社会労働委員会 第26号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1972/05/16
会議録
○森山委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 最初大臣に申し上げますけれども、いままでも政労協関係の組合の闘争につきまして、再三再四にわたっていろいろと申し上げたわけですけれども、現在のところ昭和四十五年には六つの組合、昭和四十六年には八つの組合、ことしは政労協傘下の十五の組合が中央労働委員会に紛争解決のための調停、あっせん申請をしたわけですけれども、これは不成立に終わった。こういうことになってまいりますと、公労協関係は調停、仲裁機関がある、公務員関係としては人事院勧告がある。政労協関係としましては労働三法の適用される組合でありながら、紛争解決の場が実際の面で考えるとないような形になってしまうわけなんです。そうしますと、いつまでもいつまでも紛争が続いていく。こういうことになれば、政府に関係のある機関でございますから、決して望ましいことではないと私は考えるわけでございます。そういうことを十分考えていただいて、きょうは理事者側のほうの参考人としてお忙しいところ二名御出席いただきましたもので、いま申し上げましたことを頭に置きながらひとつ話を十分大臣としても聞いていただくようにお願いしたいと思うわけでございます。 第一番に、雇用促進事業団の鈴木理事さんですか、いろいろと調べてみますると、いま申し上げましたような情勢で中央労働委員会も調停、あっせんがうまくいかない。ところが全総訓関係の組合としましては、この中央労働委員会の問題については協約の中に入っておると思うわけなんです。紛争が起きた場合には、労働協約の第三章の第十七条でございますか……。そうすれば当然中央労働委員会の調停、あっせんに基づいてこの紛争を解決する、そういう方向へ理事者側としても進めるべきだと私は考えるわけでございますけれども、ここでも不成立で最終的には話がまとまらない、これ以上中央労働委員会が事情聴取をしておっても前進の可能性が全然ないということで打ち切られる。こういう経過に今日なっておるわけでございますけれども、この点について理事者側としてどういうふうにお考えになっておられるのか。時間が短うございますから、簡潔でけっこうでございますのでお答えいただきたいと思います。
○鈴木参考人 私どもの賃金紛争が労働委員会に回りまして、あっせんが不調に終わりましたことも先生御指摘のとおりでございます。あっせんが不調に終わりました原因は、私どもといたしまして現在の段階で具体的な賃金の回答ができない、こういうことが大きな原因だったと思うのでございます。私どもの事業団の職員の給与が労働協約に基づいて決定されることは言うまでもないことでございますが、御存じのように、私どもにおきましては、職員の給与というものは民間の企業のようにみずからの収入によってまかなうというのではなくて、すべて政府からの交付金によってまかなっておるわけでございます。言いかえますと、一般の民間の企業でございますならば自分たちの賃金は自分できめる、その必要な資金についてはみずからの努力によって収益をあげてかせいでいく、こういうふうになっておるわけでございますけれども、私のほうといたしましてはそうはまいらない。どうしてもその財源につきましては政府の財政支出によらなければならないわけでございまして、いわば財政支出と労使間の労働協約との関係をどういうふうに調整していくか、こういうふうなまだ答えの出ていない問題に当面せざるを得ないわけでございまして、その問題を私ども労使のレベルで解決しろといってもなかなかむずかしい問題があるということにつきましては、先生御賢察をいただけることだと思います。 ただ、私どもがなぜ具体的な回答ができないかという問題にまた返ってくるわけでございますが、いまのような根本問題があるわけでございまして、そういう根本問題の上に立ちまして、現在の体制は、一方で賃金は労働協約できめるということになっておりますが、一方では事業団法で、賃金をきめる場合には主務大臣の認可を要する、主務大臣が認可をする場合には大蔵大臣と協議をしなければならないという規定がございまして、私どもといたしましては、こうした認可を得る見込みのない段階で具体的な賃金の案をお示しするわけにはまいらない、こういう立場をとらざるを得ないような次第でございます。
○後藤委員 重ねて鈴木理事にお尋ねいたしますが、いま言われたような事情のもとに、理事者側としても自主的に団体交渉で賃金をきめるということができない。その背後は何かといえば、大蔵省の承認が必要である。さらにいままで毎年毎年行なわれたところの内示制度というものがある以上は、いかに労働三法適用の組合といえども、自主的な賃金決定をする団体交渉はやれないのだ、この背景がある限りにおいては、中央労働委員会へあっせん、調停申請したところで、これを受けて立つわけにはまいらぬ、こういうふうに私は考えるわけなんですが、鈴木さんもそうおっしゃったと思うのです。そういう行き方がはたしていいのかどうか。この点について雇用促進事業団の理事としまして、鈴木さんどういうふうにお考えになっておるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木参考人 先生からこういう行き方がいいのかという御質問でございますが、こういう行き方が望ましいというふうには思いませんけれども、先ほど申しましたような根本問題がございます。やむを得ない状況ではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。
○後藤委員 そこで重ねて鈴木さんに対する質問になろうかと思いますけれども、組合との間における団体交渉におきましても、先ほどもちょっと触れられたようにも思いますけれども、民間の訓練所ですか、こういうところの賃金形態、賃金の問題等も十分に参考にして独自の賃金をいわゆる調査研究を進めていったらどうか、こういうのがやはり労使の間で団体交渉でかなり問題になったと思うのです。 それからさらに、いま鈴木さん言われましたことをこれからの予測として考えますと、やはり人事院勧告が出ない限りにおいては、この賃金問題は解決しない、こういうふうに考えられるわけなんですけれども、それまで待たなくとも何か考えられる方法があるのじゃないか、こういうようなことも労使の間の団体交渉で話が出たと私は聞いておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、理事者側としてはできれば自主的に労使の間で団体交渉をやって賃金をきめる、これが労働組合、いわゆる労組法適用の組合として当然のことでございますから、そういうふうにしてもらうのが一番正しいけれども、現在のこういう仕組みになっておる以上は残念ながらその方向には進んでいかない、やはり公務員の賃金が出ない限りはものさしが出てこない、さらに予算の関係で国との関係もあるから、こういうふうに鈴木理事としてはお考えになっておるというふうに私考えるわけなんです。 それから、その次に農林共済組合の成田常務理事さんにお尋ねいたしたいと思うわけですけれども、いま申し上げました内示制度というもの、去年あたりの労使の団体交渉におきましては、内示制度というのは好ましくない、何とかこれは前向きに解決する方向へ努力いたしましょうということも話が出ておったと聞いております。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 ところがことしになりまして、もう内示制度はやむを得ないのだ、現在きまった方向でいく以外に方法がないのだというように態度が一変したというふうなことも、労働組合のほうから団交の中における一つの問題として私聞いておるわけでございますけれども、去年はそういうふうなお考えでおられたのに、ことしになってそういうふうな態度に変わってまいったというのは、何か背後における指示なりあるいは何かがあるのかというふうな気も私するわけでございますけれども、その辺の実情をひとつお伺いいたしたいと思います。
○成田参考人 ただいま先生から御質問がございました、私、農林年金の常務の成田でございます。昨年四月に理事に就任いたしまして、労務を担当いたしておるわけでございます。 昨年の賃金改定、賃闘の段階におきましては、確かに先生いまお尋ねのようなことも考えまして、いろいろ労働組合とお話し合いを進めてまいったわけでございますが、御承知のように、農林年金の場合におきましても、労働三法適用の団体であることには間違いないわけでございますが、農林漁業団体職員共済組合法という特別法によりまして、賃金の改定につきましては主務大臣の認可を必要とする、こういうことに相なっておるわけでありますし、さらにこれに伴うところの予算等につきましては、主務大臣はこれを認可する場合に大蔵大臣と協議をする、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、そういういわゆる労働三法の適用団体であるという一面、主務大臣の認可を経なければ給与の改定はできないと、こういう実態にあるわけでございますので、昨年一年間そういう方向で努力はいたしたわけでございますけれども、なかなかそういう方向というものは見出せなかった、こういうことでございますので、今年の賃金改定の要請が出てまいりました段階におきましては、いまのこの実態の中で何ができるか、こういうような考えのもとに、いまの段階におきましては、現在とられておる制度の中で、われわれとしてできる限り前進的な方向で検討し、主務官庁のほうにもお願いする。たとえばいまの制度がありますが、その中でたとえば内示という問題につきましては、その時期を早めていただくなり、あるいはその内容について改善の方向で御検討いただくなり、そういう方向で主務官庁のほうに、あるいは関係方面にお願いしてまいりたい。そういうことで、昨年と何か後退したのではないかというようなお考えをお持ちかと思いますけれども、私自身といたしましては、むしろ昨年よりも、そういう方向に進んで現在の中で何ができるかという努力をすることこそ前進しておるんだというふうに考えておるわけでございます。
○後藤委員 それから成田常務理事に重ねてお伺いするわけですけれども、いま言われましたように、去年よりかはことしはさらに前進した形で賃金問題を解決しようということで関係庁に一生懸命に努力をいたしておるのです、こういう話でございますけれども、そうだといたしましても、人事院勧告が出ない限りにおいては解決しない。あなたは少しでも内示を早く出してもらうようにと言われましたけれども、勧告が出ない限りは内示は出ないと私は解釈しておるわけなんです。そうだとするなら、内示を早く出すということも、これは勧告がない限りにおいてはできないと思うのです。しかも毎年毎年の内示によりますと一律何%のベースアップ、こういう形になるわけなんですね。そうしますと、実質的に労使の間で団体交渉できめるということに対する幅というのは非常に小さいと思うのです。その辺にも私は問題があると思うわけなんです。 そこで私この際特に労働大臣にも考えていただきたいのは、いまの事業団、両方の理事さんの話を聞きましても、過去に振り返って考えてみますると、四年も五年も、毎年毎年同じことを連続的に繰り返しておるわけなんです。ことしのことを具体的に申し上げますと、また十九、二十日ごろにはストライキをかまえる。人事院勧告がおそらく八月だろうと思うのです。それが出まして、内示が出るまでは、やれストライキであるとか何であるとか、やはり争議行為が行なわれるわけなんです。ところが冒頭に私申し上げましたように、こういう紛争を解決する場というのは実質的にはないわけなんです。公労協関係なら最終的に仲裁委員会に持っていくという手もありましょうし、公務員関係は人事院勧告で、いい悪いは別問題として、やはり解決するわけなんです。ところが労働三法の適用の組合である政労協関係は、中央労働委員会へ行っても拒否されてしまう。どこの場で一体この紛争を解決するんだということを過去四カ年間、五カ年間、われわれは繰り返してきたわけなんですよ、この場におきましても。それが全然前進しないというのが今日の情勢である。何とか考えましょう、何とか考えましょうで四年、五年たってしまったんです。同じことを一年間闘争を繰り返す、紛争解決の場はない、組合のほうは労働三法の組合であり、労調法適用の組合であるのに、中央労働委員会へ持っていけば拒否されてしまう。なぜ拒否されるかといえば、国の予算が関係がある。そこで内示制度ということになっておる。この辺に私は矛盾を感じるわけなんです。ですから、もうことしあたりはこの紛争、賃金問題、いわゆる政労協関係の賃金を相談をして解決をする場をつくるべきであると私は思うわけなんです。これは大蔵省にも入ってもらう。労働省もお入りになる。理事者側もお入りになるのです。その辺は考えていただいて、紛争を解決する場所を早急にひとつ相談をしてつくっていただく。その場所をつくっていただいて、人事院勧告を待たずして、大体春闘が終われば民間賃金相場から公労協関係から私鉄関係から、これは全部出るのですから、春闘のベースアップの率というものは大体出てくると思うのです。それらを参考にしながら政労協関係の賃金を解決をする。それが現在のところ、いま言いましたようなことになっておりますから全然前進をしない。解決しない。だから、相談をして解決をする場をつくったらどうだ。これはもうどうしても早急につくっていただかなければいけないことではないかというふうに私は痛切に感じるわけでございます。 さらに、ここ二、三日前に総評関係の各代表も官房長官にお会いになったそうです。で、政労協関係の問題につきましては十分知っておる、できるだけ早くひとつ政府部内においても相談をして解決する場をつくりたいと考えておる、こういうふうなこともやはり総評の代表に官房長官としてはお答えになっておるということを私は仄聞しておるわけでございますけれども、こういう実情に対して労働大臣としてはどういうふうにこれはお考えになるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○塚原国務大臣 この政労協の問題につきましては、四月下旬でございましたか、後藤委員から官房長官とともどもに非常に御熱心な御意見をまじえての御質問をちょうだいいたしまして、御批判をいただき、御不満ではあったと思いますが、当面の政府の考えを申し上げたわけでございます。最終的に、私といたしましてはこの問題はよく調べてみたいということであのとき終わったと思っておりまするが、あの直後でありまするか、政労協の方々にも私、お会いいたしました。総評の幹部の方とおいでになりまして、ことしの春闘の問題もたくさんございましたけれども、いろいろのお話も承りました。今日まで何年間か繰り返しているいま御指摘のような点もるる承ったわけであります。ただいま後藤委員の御指摘された問題、まだ私、官房長官とその点について打ち合わせてはおりませんけれども、この間からのたいへん御熱心な御意見、ただいまの御提案、いま直ちに私が、それではそういうものをつくってというお答えをすることは、これは困難ではありまするが、御意見を踏まえまして関係各大臣と、特に官房長官がそういうお考えを持っておるということをいま初めて承りましたので、よく御相談いたしまして検討さしていただきたいと存じます。
○後藤委員 いま大臣が言われましたように、早急にひとつ検討したい、そういうことでございますから、これは検討は十分していただく必要はあると思いますけれども、大臣には私くどいようなことを言って申しわけないと思いますが、先ほど言いましたような事情に基づきまして、労使ともに無用なエネルギーを毎年毎年使っておるということはいえると思うのです。しかも政府機関である以上は、これは公益事業であるといっても間違いないと思うのですが、こういうような紛争が一年じゅう続いておるということはこれまた好ましいことではないと思いますし、さらに中央労働委員会の見解といたしましても、ここに書いてありますけれども、こういう問題についてはできるだけひとつ労使の間で解決するような方向へ努力すべきであるというふうなこともいわれておりますけれども、そういうことも十分考えていただいて、ぜひひとつ早急に検討をしていただいて、先ほど申し上げましたような方向で紛争解決の場をつくって相談をしていただく。そのことも大臣の頭の中に入れていただいて、できるだけ早くそういう方向へ進めるように御尽力をいただきたいと思いますし、さらにまたきょうは鈴木、成田両理事もたいへんお忙しいところを御出席をいただいておるわけですけれども、私は別にあなた方両名の理事にどうこうと質問責めにする気持ちは、これは毛頭ございません。あなた方の立場としても、非常に板ばさみのような形になるのじゃないかと思うのです。予算の関係では政府につながりがある。だから、なかなか賃金の問題についてはいえない。労働組合のほうは労働組合のほうとして、労働三法の適用の組合だ、自主的に団体交渉で賃金をきめるのはあたりまえじゃないか、こういうことにこれはなってまいります。ですから、各事業団には多くの理事がおいでになると思いますけれども、いま申し上げましたような問題も、ただ上すべりの考え方ではなしに、十分ひとつ理事の皆さん、代表の皆さんお集まりいただいて検討をしていただく。そうしていま労働大臣に私が話をしましたような方向で、各理事の皆さんにもこれからの賃金問題については、いままでのようなことではなしに、春闘なら春闘で解決する、そういう場をつくる方向で政府のほうへもひとつお願いしようじゃないかというような気持ちで進めていただくことが、あなた方のおとりになる一番正しいいまのところの路線じゃないかというふうにも考えますので、その点はひとつ十分に理解を持っていただきますように、これはお願いいたしたいと思うわけでございます。 そこで、先ほども大臣がおっしゃいましたような方向で、この政労協の問題につきましては、ぜひとも、くどいように申し上げますけれども、賃金問題解決の場をつくっていただきますようお願いしたいと思いますし、長い間労政局長もこの問題には取り組んでいただいたわけでありますけれども、具体的に、もちろん大臣が中心になろうと思いますけれども、話を進めていただく決意は労政局長としておありですか、お尋ねいたします。
○石黒政府委員 政労協の賃金問題につきましては、毎回非常にしばしば後藤先生からもいろいろ御指摘をいただいており、私どもとしても非常に頭を痛めておるところでございます。しかしながら民間のように、もうかったからもうからないから賃金を上げるとか下げるとかいうような経済原則は動かない、政府の補助金、交付金等によってまかなわれておるという特殊性がございますので、なかなか普通の団体交渉だけにまかせるというわけにいかない点がございまして、非常に頭を悩ましておるわけでございます。御承知のように従来、内示につきまして時期あるいは内容等につきまして前進をはかってきたというところでございまして、今後ともこの問題につきましては、関係官庁もたくさんございますが、十分相談いたしまして、さらにできるだけの前進をはかるように努力いたしたいと考えております。
○後藤委員 それで労政局長、いまあなたが言われました、できるだけ前進するようにと、それはけっこうなことだと思いますけれども、先ほど私大臣にも申し上げましたように、過去四年、五年の間抽象的にできるだけ善処しましょう、前進しましょうとやってきまして全然前進しなかったのが実績なんです、率直に申し上げまして。ですからもうこの辺で何とか紛争解決の場をということを私はくどく申し上げておるわけでございますから、この点については労政局長も、いま申し上げました点を中心にして具体的に舞台回しをあなたやっていただきたいと思うわけなんです。そういう気持ちでやってもらえますかどうかということを、私はいまお尋ねしたわけなんです。ただ抽象的な、前進で、前向きでやりましょうということは、四カ年間聞いてまいりましたからもうそのことは聞く必要はないので、具体的に解決の方法としてどうあるべきか。何か政府のほうでほかに方法があるならいいですよ。別に方法はないと思うのです。それで一年間紛争を続けさしておいて、そのままでいいのですか。そういうものじゃないと思うのです。それなら紛争を解決する場をつくらなければいかぬ。それが中央労働委員会だと、これは全然不成立で拒否だ。それじゃそこで働いておる労働者はどうなるんだ、こうなってくるわけです。ですから特殊な機関であればあるほど、何か紛争解決の特殊な場をつくらなければいかぬのじゃないですかということを私は言うておるわけです。だからその方向で労政局長もひとつやってもらいたい、このことを私はお尋ねしておるわけなんです。そういう方向であなた進めてくれるかどうか、大臣はさっきああいうふうな決意をお述べになったのですから、やっていただくのが当然だと思うのですが、どうですか。
○石黒政府委員 この問題は御承知のごとく非常に複雑かつ困難な問題でございまして、そういう特殊の場をつくるというお約束を今日いたすわけにはまいらないと思いますが、御指摘のことも十分踏まえまして、私どもとしては誠意をもって検討いたしたいと考えております。
○後藤委員 労政局長、具体的な紛争解決の場をつくるということは言えないけれどもということは、一体それはどういうことなんですか。それじゃ何か紛争を解決する方法が政府のほうにあるのですか。どうですか、労政局長。紛争を解決する場をつくるということは約束はできぬけれども、その他の方法でひとつ解決することを考えましょうとおっしゃいました。先ほど労働大臣の言われましたのは、直ちにうんということは言えぬけれども、検討をしてそういう方向で一ぺん考えてみたいと思う、これが労働大臣の先ほどの返答だと私は聞いておるわけなんです。それじゃあなたは、そういう場をつくるということは言えぬけれども、何かひとつ解決の方法を考えてみましょう。それならひとつ、その解決する方法をここで説明してくださいよ。具体的に説明してください、解決する方法を。それならそれで私も納得しますよ。私は過去四カ年間、五カ年間の経過を踏まえて考えてみてもなかなかむずかしい。この前も極端なことを言いました。政労協関係を全部公務員に切りかえてしまったらどうだという極端なことも、私この前、官房長官と労働大臣に言った覚えがあるのですけれども、国がつくった法律で労働三法を適用しておきながら、中央労働委員会へ持っていけば拒否だ、それじゃこの紛争は一体どこの場所で解決するんだと言うのです。それが特殊機関だからむずかしいということを言われるのです。それだったら解決の特殊な場所を考えたらどうだ、考えるのがあたりまえだという言い方を私はしておるのです。だけれども大臣としては、それにいろいろないきさつがあってむずかしいから、直ちに検討をしてその方向を一ぺん考えてみたいというのが大臣の先ほどの返答ですよ。あなたいま言われましたのは、そういう場所をつくるということは考えられぬ、だけれども前向きに、解決するほうに努力します、こう言われますから、それを裏返して言うならば、去年と一緒で、人事院の勧告が出て、内示が出て、それに基づいてやっていくのだ。相変わらず昨年、一昨年どおりのことをやろうということを意味しておるわけなんです。それじゃわれわれは承知できぬというわけなんです。国がつくった法律を労働者に適用しておいて、しかもそれを国がこわすような形になっていますよ、これは。それならそれで中央労働委員会でちゃんと取り上げて、そこであっせん、調停を成立させたらどうだ。させぬようにしておるのは大蔵がしておるのです。大蔵が圧力をかけておるのだ。内示の制度がある以上は、理事者のほうがやろうと思ってもやれないのだ。だから理事者は労働者に責められ、政府のほうからやられる、板ばさみになる。だから私は、事業団の中には、このことを考えていらっしゃる理事もたくさんあると思うのです。こんなことを毎年毎年繰り返しておってはいかぬ、もうこの辺で解決すべきだということを考えておられる理事がたくさんあっても、政府のほうの関係がありましてなかなか踏み切れぬわけなんです。それをもっと円満に、この賃金問題については労使の間で自主的に解決する方向へ進めるように考えるのが、労働行政の主導である労働省の任務だと私は思うのです。大蔵省の次長もきょうは来ておられますけれども、何ぼ尋ねても同じことだろうと思いますから一々お尋ねしませんが、その点労政局長いかがです。
○石黒政府委員 私ども従来から申し上げましたことは、内示の問題を申し上げたわけでございますが、その辺をもってしてもなかなかこの政労協問題につきまして解決をはかることは困難でございますので、これをさらにどういうふうに前進させるかということについては種々苦慮しておる点でございまして、ただいまの御指摘というのも非常に貴重な御示唆でございますので、私ども真剣に研究いたしたいと考えております。 〔田邊委員「だめだそんなのは。具体的に何 をするかを言いなさい」と呼ぶ〕
○後藤委員 いまも声が出ておりますように、ただ抽象的に、この場だけは適当に申し述べて、こういうことがもう通用する問題じゃないのです、この問題は。過去四年も五年もわれわれは同じことを繰り返しておるわけなんです。私だけでも社会労働委員会で十数回やったと思うのです。それなのに労政局長の答弁は、相変わらず四年前も現在も一緒なんです。検討します検討しますと言って、大臣は一年ごとに交代するかもしれませんが、あなたはだいぶ長いと思うのです。何を検討しておったのですか、いままで。だからいまも話が出ましたように、政労協問題につきましてはことしの人事院勧告を待たず、内示制度云々ではなしに、早急に解決するように努力をする、その方法としてはこういうふうに私は考えております、ただしそのことは政府部内で十分相談せねば具体化はしませんけれども、そういうふうな具体的なあなたの見解を聞かしてくださいよ。
○石黒政府委員 私ども従来は、御承知のごとく内示制度の前進ということで考えてきたわけでございます。これを変えるといたしますと、どういうふうに変えたらよろしいかという点につきましては、率直に申しまして、この方法が一番いいという案はただいま持ち合わせございません。御示唆の点も踏まえまして十分検討いたしたいというふうに申し上げております。
○後藤委員 それじゃ大臣、さらにまた労政局長にも聞いていただきたいのですが、これ以上きょうここで言いましても返答ができないようなこと、だからといってこの問題は、昨年と同じようにこのままにしておこう、このまま昨年どおりでというような考え方はわれわれ全然持っておらぬわけなんです。ことしこそはこの政労協関係の問題につきましても解決をしてもらう、こういう決意に私は立っておるわけなんです。ですから、冒頭からいろいろお話しいたしました点を、労働大臣も十分お聞きでございますので、労働省なり大蔵省等といろいろ政府部内で十分相談をしていただいて、この政労協の賃金の問題についてはどう解決するかということを今週中に御返答をいただきたい、こう思うのです。(大原委員「政府部内で協議してね」と呼ぶ)もちろん政府部内で十分協議をしていただいて御返事をいただく、これをひとつ実行をしていただきたいと思います。大臣、いかがでしょう。
○塚原国務大臣 私が先ほど申し上げた点に尽きるのでありまするが、官房長官が先ほど後藤委員御指摘のようなお答えをしたという、これはまだ私御本人からは聞いておりませんから……。この間の委員会でも官房長官と並んでいろいろ伺い、また官房長官が政府を代表して答弁され、私も答弁いたしました。そこで関係各大臣といえば官房長官、それから大蔵大臣、その他もあるかもしれませんが、そういう者と御相談いたすということは私はここで申し上げ、あなたの御意見を踏まえて検討するということを申し上げた。ただそれは、今週といってもきょうは火曜ですから……(田邊委員「期限を切らなければだめですよ」と呼ぶ)ですから、できるだけすみやかに関係各大臣と私は御相談いたします。ただ、ぎりぎり何日何時までと言われてもあれですから、可及的すみやかに関係大臣と御相談いたします。(「この次の委員会まで」と呼ぶ者あり)不規則発言に対してはお答えいたしませんが、後藤委員の御質問に対しては私はそのようにお答え申し上げます。
○大原委員 関連して。労働大臣、これは簡単に申し上げるのだが、労働者の立場に立ったら——政労協の中には、金融関係もあれば、技術畑で道路その他建設関係もあるのです。みなそれで同一労働同一賃金という相場ができておるのです。だから、ほんとうに労働意欲を燃やして働くという点からも、問題が一つここにあるわけです。 もう一つは、労働者の立場に立てば、理事やその他天下っておるわけですが、それはかってに政府がきめておるじゃないか。公務員の賃金以上にきめておるじゃないか。しかも一生懸命働いたって、そこでそういう幹部になるという道は、天下りということでかなりふさがれておるわけです。ですから、労働基本権が周知のとおり憲法にきめてあるのですから、だから支払い能力だけでこの問題が解決されるということになるならば、労働問題解決の能力は政府にないということになる。ですから、政府部内において大蔵省を含めて協議して、そして次のこの労働問題を審議する社会労働委員会までに政府でしかるべき答弁をしてもらう。こういうことは当然のことじゃないかと思うのです。労働大臣塚原さん、あなたは国対委員長もやられたし根回しはうまいはずだから、しっかりした答弁をしてください。
○塚原国務大臣 私は、この前のときにも後藤委員の御質問のお答えで、よく調べますと申し上げましたのは、その後聞いてみますると百幾つかあるのです。いま大原委員御指摘のように、内容は非常にバラエティーに富んでおるというか、それで実は私自身驚いたわけでありますが、そういうものがありますだけに、統一的なものを求め、そして関係大臣と御相談するといえば、今週中と言われても、私はさっき明言は避けましたが、とにかくこの会期内において、適当な時期に、それは可及的すみやかに私は政府の考えを申し上げる、この点でいけないのですか。あしたまでの何とか言われても、それまでに大蔵大臣だの官房長官と会うチャンスがなければそれっきりですから、私は端的に正直に申し上げているのですが、可及的すみやかに私は政府の考えを申し上げます。
○後藤委員 労働大臣、政労協関係で百幾つの団体は最近できたのじゃないのです、前からあるのです。あなたが労働大臣になられる前からあるのですよ。それはそれとして、いま大臣が言われたように可及的すみやかに、今会期中に、先ほどの問題を御相談を願って御返答をいただく、こういうことでお願いしたいと思います。
○塚原国務大臣 さよう承知いたしました。
○後藤委員 終わります。
○山下(徳)委員長代理 参考人の方、まことにありがとうございました。 ————◇—————
○山下(徳)委員長代理 次に、勤労婦人福祉法案を議題といたします。 質疑の申し出があります。これを許します。土井たか子君。
○土井委員 まず塚原労働大臣にお尋ねしますけれども、国民生活、特に勤労者を含めて、政治の場において国民生活を考えます場合の基本法は何であるとお考えでいらっしゃいますか。
○塚原国務大臣 非常に高邁な御質問でありまするが、私は憲法であると思います。
○土井委員 ならば、きょうこれから私が質問をさせていただきますこの勤労婦人福祉法案の中身を吟味いたします場合にも、ひとつ憲法を基本に置いてお尋ねするということについて、基盤は大臣と同じであるということをただいま確認させていただいたわけです。 そこで、まずお尋ねしたいのは、この憲法の中にあります勤労者の問題と、いまこの勤労婦人福祉法で問題にしております勤労婦人の問題、さらには勤労権ということを具体的にきめております法律の基本法とも言うべき労働三法、わけても労働基本法にいうところの勤労と労働は同じと考えてよいのですか、違うのですか、この点、まず御答弁願います。
○塚原国務大臣 勤労と労働は同じと考えております。
○土井委員 そこで、婦人も含めまして、労働者の労働権、勤労者の勤労権を保障している基本法は何であるとお考えですか。
○塚原国務大臣 憲法第二十七条に明記されております。
○土井委員 それに従ってその中身を具体的にきめている法律は、どういう法律があるとお考えですか——私は大臣に聞いています。大臣にお願いします。
○塚原国務大臣 事務当局をして御返答申し上げます。
○土井委員 こういう問題については、やはり担当大臣がみずから担当責任があるわけですから、勤労者の問題、労働者の問題については、これを取り扱っている基本法律は何であるかということについて具体名を御指示いただけないというのは、まことにもって心外のきわみだと思うのです。労働大臣、いかがですか。
○塚原国務大臣 今日まで何年間かにわたって提案し、御審議を願い、また成立いたしておりまする労働関係の諸法規は、すべてそれであります。
○土井委員 その中で、わけてもやはり労働者の権利あるいは労働条件等々を考えていきます場合に、基準になる法律があると存じます。労働基準法という法律の存在は、これは無視し得ないと思います。 そこで、この勤労婦人に対して特にこのような福祉法が必要であるというふうにお考えになったのは、労働基準法にある労働者の権利としての母性保護ではまかない切れないとお考えになっておるのか、それとも全く別の観点からこのような福祉法案が必要であるとお考えになられたのか、その点ひとつ承りたいです。
○塚原国務大臣 もちろん労働基準法、これは実はこの審議の際は、昭和二十四、五年でありまするか、私もまだ出てきたばかりの、労働委員会でこの審議をした一人であります。世の中は日進月歩というか、算術級数から幾何級数的な発展を遂げておる今日でありまするから、それのみにこだわっておるわけにはまいりませんが、あくまでも労働基準法というものは一つの憲法としてわれわれは考えております。しかし、その間、労働基準法研究会やら、いろいろのわれわれの諮問機関もありまするが、御審議を願って、こういう立法措置を講ずべきであるというようなものについては、過去幾つかにわたって立法措置がとられているわけであります。 今回の勤労婦人福祉法につきましては、田辺繁子先生でありまするか、その方を委員長とする審議会から答申をいただきまして、法的措置を講ぜよというようなお話があったそうであります。これは私の就任前でありまするが、それに基づきましてこの法律は制定されたものでありまして、あくまでも労働基準法と相まって、労働基準法を一つの憲法として、基本法として、そして新たに勤労婦人福祉のためにこの法案は制定されたものである、勤労婦人の一つの基本法的なものであると私は解釈いたしております。
○土井委員 基本法的なものとして解釈なすっていられるその中身が、どのように基本法として重視され、そして実際の問題において守られているかということに対して、どれだけいままで御理解をなすっているかということが、はしなくも今度の法案を見た場合に物語られていると思うのです。実はこの法案の立法趣旨を見た場合に、どうも私自身判然といたしませんのは、婦人の育児であるとか家事に重点を置いたものの考え方をこの中で持っていらっしゃるのか、あるいは婦人が労働者として当然この基本法の上で、先ほど言われた労働者の憲法といわれる労働基準法の上ですでに保障されております婦人の労働権保障ということを忘れないで、それにさらに重点を置いて、そのことを具体的にさらに十分に保障するという点にウエートをかけて考えられたのか、その点がさっぱりわからぬのです。一体育児、家事に重点を置いたのか、それとも婦人の労働権保障に重点を置かれたのか、この点はいかがでありますか。
○塚原国務大臣 いま、勤労婦人の労働力という面において占める位置は非常に大きいということはたびたびいわれている。雇用関係にある三千万のうち、千百万が勤労婦人である。しかもさらに既婚者は、この間まで五一%であったものが五四%にも上昇した。その半分が中学生以下のお子さんをお持ちになっている。こういう方々に非常に重要な役割りを果たしていただくためには、家事もやらなければならぬ、育児もやらなければならぬ、こういう方々の基本権を守ると同時に、よき職場、働きやすい職場をつくるということは絶対に必要であります。そういう両方のものを含めた立法措置であると私は考えております。いろんな御批判がありますることは、この間から諸先生方の御発言で私もよく承知している。担当大臣として、そういう発言が適当であるかどうかは知らないが、私もこの法律を見たときに、一つの義務規定、努力目標というもので、いまの育児休業の問題、育児の問題等について御批判があることは私も万々承知している。だから、適当なことばかどうかは知らないが、ベストなものではないがベターなものである、だから十分ひとつ御審議を願ってこれを通していただいて、そしてまたこれが一般法ならば特別法的なものを考えていくという、順を追うていくところに初めて働く婦人の基本権も守られ、また明るい職場をつくるための基礎的なものも生まれてくる、私はこのように思っております。世の中に完全なものはございません。だから私も、ことばとして適当ではないかもしれませんが、あえて申し上げるものは、ベストではないがベターであるという、こういう観点から御審議をお願いしておるわけであります。
○土井委員 私も世の中には完全なものがあるとは、大臣同様に考えておりませんし、さらに、ベターなものよりもベストなものであってほしいという心は同じです。しかし、そうであるから私は申し上げたいのですが、いまあるところの基本法の労働基準法というこの法律の中身を見た場合に、中身が十分守られて、しかもなおかつ、その基準法について定められておるところの最低基準をさらに引き上げるという努力、これはなるほどベターだと私は思いますが、現在の基準法の中身がまだまだ十分に守られていない段階で、それに対しての対策というものをいかにとるかということが不明確なままに、新たにこういう法案をつくって、そしてどうしてそれが施策の上でベターな施策として保障され得るかという不安を私はたいへん感じます。 労働大臣にひとつお伺いしたいわけですが、現在の労働基準法の第四条では、女性であることのために賃金の上で差別をつけてはならないという意味の保障がございますけれども、手元にいただいております労働省の婦人少年局から出される「婦人労働の実情」といったこの報告書を見ました場合に、男女間の賃金格差というものはたいへんにあります。これは毎年毎年出されていて、しかも中身を見ていったら、ずっと横ばい状況です。男性一〇〇に対しまして女性の平均賃金がどれくらいであるかということが指数として出ておりますが、労働大臣は、男性一〇〇に対して女性の平均賃金がどれくらいというふうに、この婦人少年局の出されております「婦人労働の実情」の中に述べられているか御存じですか。
○塚原国務大臣 私が承知いたしているものは、五〇%にはまだなっておりません。四九・三ないし四、しかもこの数年間では四三・幾らから四九・三%に上がったというふうに私は承知いたしております。
○土井委員 国際水準から考えて、その点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○高橋(展)政府委員 国際水準ということでございますが、比較のしかたがなかなかむずかしい点がございますが、算術的平均だけで比較いたしますと、日本の場合は、たとえばイギリス、フランス等と比べますと若干低い、こういう数字になっているところでございます。ただ、御存じかと思いますが、日本の男女間の賃金における差というものの要因といたしましては、一般的に見まして女子がついている職種、あるいは女子の職場内における地位が、男子と比べて平均的に見まして低いところに多く分布しているということ。それからまた、特に日本では年功序列賃金体系が非常に多いのでございますが、その中で女子の平均年齢が低いということ、また勤続年数が少ないということ、こういうことなぞが非常に大きな要因として働いている。あるいは、時間外の労働の制限等もございます。あるいは家族手当、住宅手当といったような、いわゆる付加的な給付も、世帯主でない女子の場合は男子と比べて平均的に受給する者が少ない。そのようなものがいろいろかみ合って、平均的な数字でそのような開きが出ている。そのように承知しております。
○土井委員 いまのお答えから憶測いたしましても、婦人が好んでそうなっているわけじゃないのです。労働市場のあり方、あるいは企業者の御都合、事業者の御都合ということがその内容を決定しているというふうに申し上げてさしつかえないと思うのですね。それからいたしますと、この労働基準法の第四条という具体的な条文があるにもかかわらず、実情は、このように賃金格差において、女性であるということが理由で相変わらず差別というものをなくするわけにいかない。そしてそれが男性一〇〇に対して、女性の平均賃金がいささかでも一〇〇に近づくということが数字の上で出ているならともかく、年々これは相変わらずの横ばいであって、そのことに対しては一〇〇に近づいていないのです。労働大臣、そうなんですよ。これはお読みになっていますね、そして活用なさっていますね。 それではお伺いしますけれども、こういうふうに横ばいになっている中身を、どういうふうに具体的施策の中で是正する努力を払っていらっしゃいますか。
○塚原国務大臣 今日までの実態というものは、確かに御指摘のとおりだと思います。しかしそういうものであってはならないということから、ことに最近の働く婦人の立場というものを考えて、その向上をはかるということが、おそきに失したかもしれませんが、やらなければいけないという観点から、この法律案を御審議願っており、またこれに引き続いていろいろなものも考えていかなければならない。それからただいま横ばい、横ばいと申されましたが、私が聞いておる範囲では四三・幾らから四九・幾らになった。しかし逐次これを上回らしていかねばならない、このように考えておりますが、冒頭に申しましたような今日の経済のあり方、それから労働力のあり方、中高年並びに婦人のあり方から考えて、一〇〇に近い数字に持っていくための努力は、これは皆さん方とともにやらなければならないし、ことに労働省としてはそういうことに重点を置いて行政指導をやっていくのは、これは絶対必要だと思います。そのきっかけとしてこういう法律案もできたものである。さらによきものをつくる、全女性のためによき法律をつくっていかなければならない、このように考えております。
○土井委員 たいへん調子のいいお答えなんでありますけれども……。しかし平均賃金というものを見ます場合に、男子の一〇〇の中身も物価の上昇に追いつかない賃金の中身であるからして、さらに女性は男性一〇〇に対して五〇にも満たない、半人前以下という取り扱いだと私は言いたいわけですが、この取り扱い自身が、一体労働者の基本権として、はたして一人前の労働者という取り扱いが女性になされているか、婦人になされているかどうかという基本的な問題をここに物語っていると思うのですね。そこでいま労働基準法では、こういう第四条の条文について強制力を持っています。罰則規定もあります。しかし今回の法案では事業主に対して心得程度、訓示程度の条文が羅列されているわけでありまして、あるいは国、地方自治体それぞれの行政機関が施策を講ずる努力を払うということが述べられているだけの話でありまして、今回の法案については何ら強制力というふうなものを伴っておりません。したがいまして、強制力を持った労働基準法においてこのようなありさまでありますから、ましてや今度の法案についてどの程度の実効性をあげ得るかということについては危惧なきにしもあらずです。あってもなくても同じような法案だという声が早くも出ているわけであります。なおかつ、絵にかいたおもちのようなものであって、かいてあるだけで食べてみるわけにいかない、こういう法案であるというふうな意見も出ている始末であります。はたしてこれでもって、ないよりもあるほうがましではないか、この法律ができたらいまの状況に対しては一そうベターな役割りを果たすに違いないという確信が、大臣にはおありなんですか。
○塚原国務大臣 絵にかいたもち、食べられないというようなお話がありましたし、この間は何かヤマブキ問答もありまして、そういうものも十分私は拝聴いたしまして、だからこそ私はベストではないのだ——ベストではないものをなぜ出したかと言われるかもしれないが、私自身は、繰り仮すようですがベターである、しかしこれでは何もかも出さないほうがいいのだという先生の御意見とは、やや見解を異にする。まずこれを出して御審議を願って、通過さしていただいて、ワンステップ踏む。さらに前進体制をとっていくというためにも、この法律案は大事なものであり、ぜひ御審議を願い、また御批判をちょうだいして、おしかりもいただいて、その間において今後の問題にぶつかっていくという、そういうことも非常み大事なことではなかろうか。これは私の率直な意見として申し上げておきます。
○土井委員 そう言っては何ですけれども、労働大臣、非常に気が早いと思うのです。いまの私の意見に対する早とちりの理解であります。私はこの法案を出したということについて、意味はないとか、この法案を何で出したか、こんなもの何だというふうな意味で言っているわけではないので、先ほどから申し上げている質問の趣旨は、現在ある労働基準法の中身を守ることが先であるという論法なんです。現在あるところの労働基準法の中身について守れないような状況をそのままにしておいて、さらに上塗りするような法案をつくってみたって始まらないぞということを私は申し上げている。したがって、いまの労働基準法の中身からすると、そこの中にははっきり婦人労働者に対する基本権が保障されているわけですから、私はいまの労働基本権の中身を見た場合に、母性保護について言うならば、このままで十分であるとまだまだ考えておりませんが、しかし、いまあるところの最低基準についてもまだその基準を満たしていない、その基準以下の状況であるということが、現実の労働の現場に行くとあっちでもこっちでもあるわけなんです。その結果は年々出てくるところの「婦人労働の実情」を見た限りでも、はっきり出ているわけです。したがいまして、何が先で何があとかというふうなこと、これはやっぱり政治家として考える問題として大事な問題だと思うのです。基本的なことに対して何ら措置を講ずる努力を払わず、さらに追い打ちをかける法案でお茶を濁す、これは表現が悪いかもしれませんが、お茶を濁す、あるいはそっちに逃げを打つというふうに誤解を受けても、これはしかたがない問題だと思うのです。したがいまして、この基本権というふうなものについて、そのあり方をどう考えるかということのほうが先じゃないかということを私は先ほどから申し上げているのです。
○高橋(展)政府委員 私からお答えさしていただきます。 労働基準法との関係ということについてのお尋ねであるかと思いますが、先生もおっしゃっていらっしゃいますように、基準法は非常に基本的な法律でございますが、それは職場における労働者の労働条件の最低基準を定めたものでございまして、国家権力でその実施を事業主に強制する、このようなものでございます。 最近の婦人労働の動向というものは、先生も御存じのように、非常に多くの婦人が職場に出るということと、それから特に既婚の婦人たちがたくさん職場に出るという大きな動きがございます。そして、そういう中で、今日の婦人労働者あるいはこれからの婦人労働者は、いかにして家庭生活との調和をはかりながら、しかも職場でその能力を有効に発揮して、生きがい、働きがいのある職業生活を送るか、これが大きな要望となっており、また課題となっているわけでございます。このような要請に応じてまいるためには、職場における労働条件の最低基準の確保というだけでは対応しきれない。職場外の生活も含めまして福祉というものを総合的、広範に進めていく必要がある、このような判断に立ちましてこの立法の準備をいたしたわけでございます。 なお、労働基準法の施行につきましては、もちろん厳正な施行というものは労働省としては当然に行なっているところでございますが、なお先生お触れになりました改善というような問題につきましては、労働基準法研究会におきまして数年来現基準法の検討等を行なっているところでございますし、またその結論をまちまして、改正が必要となれば正規の審議会におはかりして進めていく、こういう手はずになっているところでございます。
○土井委員 それは現在労働基準法で保障されているところが職場内で守り切れないから、何とかその外で問題にしていこうという姿勢で取り組まれたということになるわけですか。
○高橋(展)政府委員 職場内における労働条件の最低基準の確保は当然でございますが、それにプラスして職場外における、生活の面における福祉もはかってまいりたい。また最低基準を上回るような労務管理面の配慮ということも促してまいりたい。それには地方公共団体の援助、相談といったような措置についても進めてまいりたい。その前提として、国がこの法律で初めて勤労婦人というものを一体的に対象として取り上げたわけでございます。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 労働基準法の中ではもちろん女子、年少者についての保護規定は非常に重要な部分をなしておりますが、しかしこれは労働基準法というワク組みの中でございます。その他職業訓練法、職業安定法、失業保険法、それぞれの労働関係の法規は、その機能的な面から婦人に対する保護援助をしておりますが、勤労婦人、労働婦人というものを一体的に取り上げて、その特質を究明いたしまして、その特質に見合った対策を総合的に進めようというのは、本法が初めてであります。
○土井委員 やはり日常において男女の格差があり、労働条件、賃金あるいはかんじんのここで取り扱われておる母性保護自身についても、いろいろ法が予期しているところよりも低い、あるいは法が予期している中身を十分に現実の場面において充足できない点があるという認識があって、今度の法案の意味はあると思うのです。そういう点からすると、いままで労働基準法が問題にしてきた、それを上回るところの保障というものがあってこそ実効性は発揮できる問題だと私は思うのです。ところがこの法案を見てみますと、相変わらず、当事者というのは国、地方自治体の行政機関ですね。そしてかんじんの主体になるのはやはり事業者。しかもその中身は、先ほど申し上げたとおりに、そういうことを心がけるべしという訓示規定、心得規定でありまして、これに対しての強制力はございません。さらに、労働基準法ならば、その百十三条あたりでは、「この法律に基いて発する命令は、その草案について、公聴会で労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者の意見を聴いて、これを制定する」という条文がございましょう。要は、ここで保障しなければならない主体は勤労婦人なんです。勤労婦人というものの立場あるいはその意見というものを反映させる場所というのは、どこにあるのですか。それは国がかわってやりますとおっしゃるならば、もうすでに労働基準法については国が責任をとって、はっきり中身が守られるような措置を講ずるのが政治責任なんですから、いまのような状態、いまのようなありさまのままで今日まで及んでいいはずはなかろうと思うのです。したがいまして、今回の法案についても、そういう点からしますと、もう一つ肝心のところが欠けているじゃないかと私は言いたいのですが、その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○高橋(展)政府委員 この法案の作成にあたりましては、働く婦人の現実の要望というものを十分にくみ上げるための努力をいたしました。具体的に申しますと、私ども労働省婦人少年局は、全国に出先機関がございます。婦人少年室でございますが、その組織を通じまして常時勤労婦人等との接触を保ち、その要望を承るという努力をいたしておりますし、さらにまた先生も御存じの各種の調査等を実施いたしまして、婦人労働問題の所在ということにつきましては、常にその分析検討を行なってまいったところでございます。そのような従来からの研究の結果、このような法案の必要性を感じまして準備に着手したわけでございますが、法案の作成準備過程におきましては、特に労働大臣の諮問機関として、婦人労働問題について調査審議する権能を持っておりますところの婦人少年問題審議会におはかりいたしまして、その内容について御検討願っております。この審議会は三者構成でございまして、そこには正当に代表権をお持ちになったところの労働者代表の方々が組織から参加しておられるわけでございまして、その方々を通しましても、その組織に属される方々の御意向というものを承りながら、準備を進めてまいりました。 さらにまた、この法案が成立いたしました後には、労働大臣がこの法案に基づく具体的な施策の展開をはかるために基本方針を定めることになっておりますが、この基本方針の策定にあたりましても、これまた、ただいま申し上げました婦人少年問題審議会の御意見を伺い、その議を経て決定するということになっておりますので、そこから十分にまた働く婦人の方々の御意向というものを反映させて、具体的施策の展開が行なわれる、このように考えております。
○土井委員 いまおっしゃいました大部分は、この法案がつくられるまでの経過をおっしゃったわけです。この法案をつくるまでの経過の中で、勤労婦人の声をどの程度反映したかという問題をおっしゃったわけです。私がお尋ねしているのは、この法案が法律となって施行されて適用される場合において、どれだけ現場の婦人労働者の立場なり意見なりが反映されるということに対する配慮があるかという問題です。それは国が代弁するとか、地方自治体の行政機関が代弁するとか、それだけの努力をできる限り払うとか必ずおっしゃるでしょうけれども、婦人労働者そのものでないために、私は、理解についても必ずしも十分とはいかない点もあるでしょうし、実情について把握していても、肝心の現場の婦人労働者から見れば、どうもまだまだ不行き届きだと思われる点もあると思うのです。やはりその問題は、当事者が問題に参加をして、こういうことについてこうなければならないというふうな意見を出し、具体的な政策の中にそのことが入ってこそ、問題は仏をつくって魂を入れたことになると私は思うのです。そういう点の配慮というものが、この今回の法案の中でどの点でどのように生かされておりますか。
○高橋(展)政府委員 繰り返しお答えするようになるかと思いますが、この法案の第二章に、労働大臣が基本方針を策定することが定められているわけでございます。この基本方針は、この法律に基づきまして具体的な施策を展開していくその際の重要事項というものをこの方針の中に定めてまいる、こういう仕組みになっているわけでございます。この基本方針によりましてまさにこの法律に魂を入れていくことが行なわれるわけでございます。つまり具体的なプログラムというものを進めてまいることになるわけでございますが、この基本方針の策定にあたりまして、婦人少年問題審議会の議を経るということがこの法律によって定められているわけでございまして、この審議会には労働者の代表の方々が加わっていらっしゃるわけでございますので、その方々から十分な御意見を伺うという手続を通しまして、婦人労働者の声というものは施策の展開に反映されてまいる、そのように考えているわけでございます。
○土井委員 これは基本方針という非常にばく然とした問題でありまして、抽象的過ぎるぐらい抽象的でありますから、具体的なそれぞれの問題について、やはり現場の婦人労働者の現状、置かれているいろいろな取り扱いというふうな問題について、どの点がどういうふうなぐあいでなければならないかという問題を込めて、各条文について少しお尋ねしてみたいと思うのです。時間のかげんがありますので、できる限りの、これだけは御質問したいという点に限ってお尋ねを申し上げます。 まず、今回の法案の中の第九条あたりを見ますと、「事業主は、その雇用する勤労婦人が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするように努めなければならない」とありまして、そして続いて第十条では、そのようなことが守ることができるようにするために必要な配慮を、事業主に対して、つとめるように規定しているわけですね。この際の「必要な配慮をするよう」という中身は、どのようなものであるというふうにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
○高橋(展)政府委員 第十条に申しております「必要な配慮」の中身について、予定いたしておりますことを申し上げます。 これは、第九条による事業主の配慮によりまして、勤労婦人が保健指導または健康診査をまず受けるということがあるわけでございますが、その結果、医師あるいは助産婦等が母子健康手帳にその婦人が守るべき事項というものを書くことになっております。それに基づきまして事業主が配慮をすることをここで要請しているわけでございますが、たとえばその婦人が非常につわりで悩んでいる、そして休むことが必要であるというように医師が判断した場合は、休ませるような措置を事業主がとる。あるいは足にむくみがある、だから立っている作業は無理であるということならば、いすにすわれるように配慮をする。あるいは、通勤の非常にこんだ電車で通うことは非常に危険であるという判断を医師がなす場合には、それは通勤の時間について特段の配慮をする。あるいは残業が無理であるという判断があるならば、それを守らせる。そのように非常に個々人の状態に応じて千差万別な事情が起きますでしょうし、またそれに見合ったところのきめのこまかな配慮というものを事業主に要請している、このような趣旨でございます。
○土井委員 いまおっしゃったとおりだと思うのですが、保健指導だとか健康診査それ自身も、真に妊産婦の健康を尊重するということでなければ出てこないわけですから、基本はどこまでも妊産婦の健康を尊重するということでなければならないと思うのです。そのために必要な配慮をするということが大切だと思うのです。具体的にいうと、つわりに対して保障をどうするかとか、あるいは妊産婦の時差出勤に対してどう考えるかとか、労働の軽減に対してどのような措置を講ずるかとか、夜勤だとか残業などについてこれを認めないというふうな保障が必要であるとか、具体的なことが必要だと思いますが、いままでも労働基準法の中では具体的なことを明示しつつ、その中身がなおかつ先ほど来申し上げておりますように十分に守れないわけでありますから、いま十条のように包括的に必要な配慮をするようにというふうな表現では、私はこの中身というものはなしくずしにくずされるだろうと思うのです。局長、本気になってそういうふうなことが必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのなら、なぜこの条文の中にそういう具体的な事柄を明示するというふうなところまでいけなかったか。やはり私はそこの配慮があってしかるべきだと思うのですが、必要とお考えにならないかどうかからまずお聞かせいただいて、できなかった理由をあわせてお聞かせいただきます。
○高橋(展)政府委員 第十条の「必要な配慮」の中身をもっと具体的に明記することが必要であったのではないかという御質問でございますが、その点につきましては、私どもも非常に慎重に検討いたしました。また、審議会の御審議の過程でもそのことは取り上げられたところでございます。しかし、結論といたしましては、ここで厳格な要件を付して具体的な措置を書きますことは、その要件にはずれるというものが非常に出てくる可能性がある。たとえば、つわりというようなこと一つにいたしましても、そのつわりの定義が非常にむずかしい。また、通常いわれておりますつわりは妊娠初期におけるつわりをいいますが、妊娠のかなり進んだ時期においてつわり症状を持つ者もあるようでございますし、要は非常に千差万別な健康状態というものが予想されるのでございますので、厳格な要件を付して明記するということは、むしろその要件に欠けるというような問題も出てくる可能性もございますから、むしろ広くいろいろな場合を想定しました必要な配慮という中できめのこまかい配慮を期待することが適当であろう、このような結論に達したわけでございます。 また、このようなことでは骨抜きになるのではないかという御心配でございますが、もちろんその点につきましては行政指導を通じまして、この必要な配慮というものが確保されるように強力に指導をしてまいる、このような考えに立っているところでございます。
○土井委員 強力な御指導をなさるたてまえから申しましても、やはり私はこの点は具体的におきめになったほうがいいのじゃないかと思うのです。これは立法技術の問題になるかもしれませんが、具体的にそれを明示することによって、かえって本来の保障すべきものをそこなうきらいがあるというふうなただいまの御発言でございましたが、それは例示しておいて、「等」と書けば済むことじゃないですか。日本語でいえば、何々何々等と書けば済むことですよ。あとそれ以外の事例についても、そこから漏れた分は「等」で救えます。あるいはその中身については、具体化すればするほど吟味というものは容易になりますし、こういう「必要な配慮をするよう」というようなばく然とした書き方では、逃げようと思ったら何ぼでも逃げを打てます。私はこれは必要な配慮と考えませんと言えば済むことです。やはりここに押えをきかす、あるいは責任をもって具体的なことを明示するということは、この立法の趣旨から言ってもかなうことじゃないかと思うのです。
○高橋(展)政府委員 ただいまの件につきましては、この「配慮」というものはあくまでも医師あるいは助産婦等の権威のある指導事項というものに即した指導でございますので、恣意的にそれをないがしろにするということはあり得ない、そのように考える次第でございます。
○土井委員 では、追い打ちをかけるようなことを申しますが、九条、十条については母子保健法のワク内にとどまる問題であって、別にあらためて九条、十条がここに保障する意味は積極的にはないというふうに理解していいわけですね。いまおっしゃったような中身なら、母子保健法で保障されておりますから。
○高橋(展)政府委員 母子保健法におきましては、事業主に対してこのような要請をいたしてはおらないところでございます。
○土井委員 事業主も当然、これはやはり国家の法律において拘束されますよ。したがいまして、母子保健法は事業主に及ばないとは言えないです。これはただ、母子保健法というものが保障している中身よりさらに積極性を持った保障規定であって初めて、九条、十条がここに保障する意味があると私は思う。先ほどおっしゃったのでは、母子保健法のいうところの中身からそれ以上の保障をしているとは私は思わないので、それからすればこの九条、十条の置かれている意味が消えてなくなるように私は思うのですが、できたらもう一度御答弁ください。
○高橋(展)政府委員 母子保健法におきましては都道府県知事のほうに、妊産婦に対して「保健指導を受けることを勧奨しなければならない」と、知事に対して勧奨の義務を課しているのでございます。その受ける側については、妊産婦は原則的にそれらの指導を進んで受けなくてはならない努力規定が書かれているわけでございまして、確かにおっしゃいますように、母子保健法のワクをこの法律が破る、そのようなことはないわけでございますが、しかし母子保健法の期待している効果をこの法律でしっかりと裏づけをする、そういう意味合いで母子保健法を乗り越えて、母子保健法を破って新しい制度というものができなくとも、母子保健法が期待するところの妊産婦の保健、それを勤労婦人という特殊性にかんがみまして、特に事業主の配慮ということによって、勤労婦人に特有な疎外要因を除去することによって、母子保健法の期待するところの妊産婦の健康の保持という原則ともマッチするようにはかってまいる、このような趣旨でございます。
○土井委員 なるほど九条、十条についていまの御説明で私は少しはっきりしてきたように思うのですが、それは何がはっきりしてきたかといいますと、これはやはり現場の勤労婦人のいままで持ってまいりましたいろいろな問題に対する要求というものを十分に吸い上げて、それを生かす措置というものがやはり必要だということを再確認する意味においてわかったわけです。これは事業主に対して、このようなことを心がける必要があるのであるぞよというだけの条文にとどまるのなら、労働省が通達をおやりになればいい。母子保健法の中身を十分に吟味して、それが守れるような措置を講ずるというような通達をおやりになれば済むはずであって、わざわざこの条文が九条、十条として置かれる以上は、法律としてこれがまかり通るということを考えるときには、やはりそれだけの積極的な意味を持つことがことさら必要だと私は思うのです。それからしますと、やはり「必要な配慮をするよう」という中身を明確にするようなことが、私はこの際、いままであった母子保健法について一そう事業者に対するところの義務規定というふうな意味を持つということからいっても意味のあることじゃないか、それは忘れられてはならない必要事項じゃないかと思うのですよ。 そこでいま、ちょっと委員長に申し上げたいわけですが、この法案が審議されるまでに、婦人少年問題審議会でこのことに対しての審議がずっと進められたということが、いま局長の御答弁の中にもございました。そこで、この際要求申し上げたいことがあります。婦人少年問題審議会の議事録をひとついただくわけにはまいりませんか。ぜひこれはいただきたいと思います。
○高橋(展)政府委員 審議会の審議につきましては、議事録をつくりまして編集いたしておるのが慣例でございます。今回ももちろん審議の過程につきましては議事録をとっておりますが、いままだいわゆる印刷というところまでいっておりませんので、可及的すみやかに作成いたしました上お目におかけいたしたい、そのように思います。
○土井委員 これは順序からすれば、法案が私たちの間で審議されるまでに、審議会の過程が明らかになるような、それはもうこれに対するところの参考文書だと私は思うのですよ。それはどういうぐあいになっているのでしょうか。どうもそういう点、少しおくれ過ぎているとお思いになりませんか。これはどっちが先かという問題ですよ。
○高橋(展)政府委員 審議会につきましては、昨年の十二月に御諮問いたしまして以来、二月まで非常に真剣な御討議がされたわけで、その回数も七回に及んでいるわけでございます。ただいまことばが足りなかったかと思いますが、初めのほうの部分は収録、編集が終わっておりますが、最後の部分がこちらの準備等のために完成していない、そういうことでございます。 もちろん審議会の御審議はいろいろ広範に行なわれましたが、その御審議、御意見の総まとめというものが答申という形で御提出いただいたわけでございまして、いろいろな審議の過程の御討議、御意見交換、それらの結実が答申であるということで、私どもはそれを尊重して法案を作成いたした次第でございます。
○土井委員 もちろん答申に従ってこの法案を作成なすったのでしょうが、私は結論に至るところの過程というのを非常に重視する人間でありますので、なぜそうなったかといういきさつをやはり吟味してこそ、この条文についての意味なり中身なりを知ることができると実は思っているのです。そういうところから私はいま、議事録を要求したわけです。ですから、これはぜひいただかなければ事が済みませんです。どっちかというと、それを拝見いたしてからこれについての審議が始まると私はむしろ思っております。 そこで局長、しつこいですけれども、もう一度言います。この十条の「必要な配慮をするように」という中身について明示をするというふうにお考え直しになるわけにはいきませんか。これはぜひそうしていただきたいと思います。
○高橋(展)政府委員 議事録につきましては、早急に印刷をいたしましてお目にかけるようにいたしたいと思います。 それから十条の点につきましては、先ほど申し上げたような理由で、私どもといたしましてはここに明示するということは妥当ではないと考えております。
○土井委員 どうも妥当ではないとおっしゃる理由が私には判然としないわけで、その点やっていきますと押し問答ですけれども、妥当でないとおっしゃるところの積極的理由がもう一つ乏しいのですよ。これはやはり私は、この立法の趣旨からすると、ここのあたりは明示の規定があってこそ意味をなすのじゃなかろうかと考えております。なぜそれを一々明示する必要がないというふうにお考えになっていらっしゃるかという御答弁を、もう一度お尋ねしたって同じ繰り返しだと思いますけれども、その点ひとつもう一度ぜひ吟味してください。局長も御婦人であるし、やはり勤労婦人の立場というものを非常に尊重される局長であるということを私は期待してやみませんから……。だから、そういう点からすると、この点に対する再吟味をぜひお願いしますよ。それをぜひやっていただきたいと思います。 さてその次、これは、先ほど大臣が育児休業の問題についてお触れになったわけですから、大臣に先にお尋ねしましょう。 特に、条文からいいますと十一条がそれに関係のある条文ということになってまいりますが、育児休業についてこの法案は定めております。この育児休業の対象になるところの御婦人は、勤労婦人ではございませんか。
○塚原国務大臣 勤労婦人であります。
○土井委員 休業中についても、勤労婦人というふうな認識を持つべきでありますね。
○塚原国務大臣 もちろんそのとおりであります。
○土井委員 勤労婦人にとっての勤労基本権というのは、何でございますか。
○塚原国務大臣 たいへん高邁な質問でありますが、端的に答えれば働く権利でしょう。婦人に限らず、労働行政の中心は人間尊重であり、福祉であります。しかしいまの御質問に端的にお答えしようとすれば、働く権利でしょう。
○土井委員 そうしますと、この育児休業という間においても働く権利というものが保障されている、働く権利の中身を保障するところの措置が講じられているということでなければならないわけでありますね。そういうことですね。それからしますと、「その他の育児に関する便宜の供与」ということの中身をどのようにお考えですか。
○高橋(展)政府委員 十一条で申しております「その他の育児に関する便宜の供与」というのは、これは育児休業の中身ではございませんで、「育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与」、このように並べているところでございます。
○土井委員 そうしますと、育児休業そのものと、「その他の育児に関する便宜の供与」というのは別口だというふうにまずはっきりしなければいけないわけですね。 さて、育児休業について、先ほどの大臣の御答弁によりますと、育児休業中も勤労婦人は勤労婦人である。したがって、育児休業中についても勤労者としての基本権は保障されなければならない。それについての保障の具体的な中身はどのようになっておりますか。これは大臣お願いします。
○塚原国務大臣 つまり具体的ないまの御質問の内容は、有給にするとか無給にするとかいう意味を込めた御質問ですか。
○土井委員 それも含まれて、労働者として当然保障されるべき基本権というものが保障されてないことには、労働婦人とか勤労婦人とは言い得ないわけですよ。
○塚原国務大臣 いまの日本の現状から考えまして、あえて法律にそういうものをうたわなかったのも、これはやはり労使双方の話し合いによって、あるいは労働協約等によってきまるべきものでありますので、法律でこれをどうこうということはここでは書かなかったわけであります。基本権は、しかし、あくまでも守る、守られなければならない。しかしその具体的内容については、国または地方公共団体あるいは企業主等がそれぞれ労使の話し合いによってきめられるべきものである、私はこのように解釈しております。
○土井委員 確かにおっしゃるとおり、それは現場において労働協約等々で具体的な中身がきめられるという考え方もあるでしょう。しかしいま私たちが問題にするのは、これは政治の場での問題でありますから……。私たちはお互いに企業者でもなければ事業主でもありません。営利追求ということを仕事にしているわけじゃない。したがっていま問題にするのは、あくまで勤労婦人の勤労権をいかにして保障するか、いかにして福祉を保障するかという問題だと思うのです。さらには、勤労婦人の地位向上ということをうたってありますから、地位向上ということを言う以上は、やはりその勤労権それ自身をいやが上にも保障しなければ地位の向上にはならないと思うのです。そういう点から、これは政治の場ですから、どのような育児休業についての保障を考えているかということは、やはりこれは条文に書く書かない、これは大事な一つの問題点としてありますが、どういうことを腹案として持っているかということがあると思うのです。大臣の率直な意見をひとつここで聞かせていただきたいのです。
○塚原国務大臣 日本では大企業、中小企業また先ほど言った国または地方公共団体等、いろいろなものがございます。大企業と中小企業との間には、経営の面でも非常に困難な面もあるでしょう。ですから一例をあげて——その基本権を守るということはだれでも考えるでしょう。しかしたとえばいまの育児休業の問題について、おそらくあなたは、これはもう基本権を守るという意味からあらゆるものを保障しろという意味を含めての御質問と思いまするが、はたしてそれがやれるかやれないかという、それぞれの業態によって多少違ってくると思う。またそういうものを規定することによって、婦人労働者というものを避けるというような傾向も端的に出てくるんじゃないかと私は思う。そういうことがあってはならない。また日本の現状から、いまこれを有給にしろとかどうこうしろということは、私はやはり各業態の状況から考えてまだ無理があると思う。だから話し合いによってあるいは労働協約等によってこの問題は解決さるべきであるというのが、私の基本的な考えであります。
○土井委員 できるかできないかは状況によって異なるということをおっしゃいましたし、また、そういうことを具体的にきめることによってむしろ逆作用があるというふうな意味のこともおっしゃいました。けれども、労働大臣、そのできるかできないかということは、これは確かに力関係という問題だろうと思いますが、しかしできるような素地をできる限り保障するのが政治の場の役目じゃないですか。できることをできるように保障しておくということは、これは政治の場の役目だと思うのです。さらに、こういう規定を具体的に、たとえば保障の中身を有給制にするとか選択制にするとか復職に対する保障をするとかいうふうなことを明示することによって、むしろ逆効果があるんじゃなかろうかという御懸念は、一番最初に私が、だから勤労者も含めて国民生活についての基本の法は何であるかということをお尋ねしたことになってくる。憲法十四条にどう書いてございますか。すべて国民は法のもとに平等であることに始まって、性別によって経済的、政治的、社会的関係においても差別されてはならないとあるわけですから、この点からすると、これを基本にした政治をやらなければいけないですよ。もし逆作用が出るような場面は、これにおいて押えられると思う。ですから、大臣が先ほど、できるかできないかは事情によって異なってくるということを言われましたが、すでにその事情はありません。 十四条は私が持ち出しましたから、それについて話を進めてまいりますけれども、結婚定年制とか結婚退職制とか若年定年制とかいうふうな問題、これは女性に特有の問題でありまして、男性に結婚定年制がある職場なんて聞いたことないです。男性に対して若年定年制をとって、特に女性とは差別して問題にしているという職場も聞いたことがない。結婚定年制ということは、これはだれでも女性のことと、もう常識化している問題でありますけれども、これが憲法十四条から考えてどういうふうに裁判所が認識しているか。あるいは民法にいうところの公序良俗というふうな点から考えて、どのように裁判所が認識しているか。私はここに数例そういう判例を持ってきていますけれども、どの判例もどの判例も、こういう問題を取り上げて提訴すれば、出る判決は例外なく必ず同一です。これはすべて法に対して違反している。したがって、こういう取りきめは無効であるといっていますよ。これは国家機関であるところの裁判所がそういう認識を持ち、そういう判定をやっているわけですから、労働省としては裁判所の認識より以上に、やはり労働者の生活なり労働者の置かれている状況というものを把握して知っていて、しかも労働者の権利ということを政治の場において十分保障するという、そういう考え方がないことには、私は、今回のこの法案だって、勤労婦人の地位の向上、福祉について対策を講ずるということなんですから、おぼつかないきわみだと思う。いまの問題についてどういうふうにお考えですか。
○塚原国務大臣 男女平等の立場に立ってこの法律をつくったことは、これは言うまでもありません。 それからさらに、育児休業についていろいろお話がございましたけれども、政治家としての話し合いだから政治的に話ししよう、それはけっこうですよ。 それからまた、私は、日本の産業の現状その他の現状から考えて、端的に先ほど申し上げたのであって、より好ましい姿を望むのは、これは当然であります。だからこそ、あえてこの法律に育児休業ということばも使ったわけでありまして、さらにそれを前進させて云々という先生のお考えは私はよくわかりまするが、今日の日本の現状においてこれを政治的に判断した場合には、私は、今日ではこの育児休業というものを条文にうたったということで御理解をいただきたいと、このように考えております。
○土井委員 それじゃ端的に、この法律が施行されてから適用される場合に、たとえば育児休業の結果、復職について事業主が保障しなかった、あるいは本人が休職を希望しているにもかかわらずそれが認められなかった、そういう場合についての措置はどのように講じられるわけですか。これはついでに大臣おっしゃってください。
○高橋(展)政府委員 条文の説明という意味で、私からお答えさしていただきます。 十一条で育児休業につきまして概念規定のようなものをいたしておりますが、この中で、先生がお尋ねになっておられる点のお答えになるものがあるわけでございます。まず、この法案でいうところの育児休業というものは、これは勤労婦人の申し出によるということが一つの要件となっております。したがいまして、この休業をしたくない者に対して強制的に休業させるということは、ここでいう育児休業ではございません。したがいまして、先生言われるところの選択制ということの原則は、この休業ということの概念規定の中に含まれているわけでございます。それからまた、休業という概念自体が、これは雇用関係の継続ということを前提といたしておりますので、原職復帰ということが原則で、この休業という用語から当然に予定される。原則的に原職に復帰する。もちろんもとの職場そのままに戻るということに限らないかもしれませんが、それはあるいはその職場が変わるということもございましょうし、あるいは本人がその職場よりもさらに違った態様の職場により適するという事態もございましょうが、原則的には原職に復帰するということがこの休業ということばから予定されるものといたしまして、私どもはこの育児休業ということばをここに概念規定をいたしました。したがいまして、本法案でいうところの育児休業は、選択制、それから原職復帰というところの原則については、これはこの法案の中に書かれていると考えております。 もう一つのお話しの有給ということにつきましては、先ほど来大臣から申し上げておりますように、この法案の中では有給、無給ということには触れませんで、労使の自主的な話し合いということにゆだねた、こういうことでございます。 それからもう一つ、若年定年のことにつきまして労働省の姿勢というふうなこともございましたので、この法案の関係で御説明をつけ加えさせていただきますと、第五条に啓発活動という規定がございます。その中で、「とくに、勤労婦人の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図るため」にも啓発活動を強力に行なうということをうたっているわけであります。若年定年あるいは結婚退職等が発生してまいるその要因といたしましては、いわゆる事業主の無理解あるいは社会一般の婦人労働に対する軽視といったような、いわゆるものの考え方といったこと、あるいは職場社会における慣行等が非常に影響するところが多いわけでございます。それらを解消してまいるということが非常に重要であり、また先決でございますので、特にこの総則におきまして、これらの婦人労働に対する考え方の是正、慣行の是正、また労務管理体制の是正といったことをここにうたっているわけでございます。特にその若年定年につきましては、あるいは結婚退職制につきましては、しばしばそれが労働協約の中でそのような取りきめが行なわれているということも御存じのとおりでございますので、これらも啓発活動の必要ということに帰することではないかと考えるわけでございます。
○土井委員 労働協約云々ということをおっしゃいましたけれども、現在の労働基準法にいうところの生理休暇の中身が実際問題としてどの程度活用されているかということを具体的に御存じの局長でございますから、一体協約に期待して、どの程度それが実効性をあげ得るかということも、おのずと御存じのはずだと私は思うのです。いままで、特にこの育児の問題ですから出産にかこつけて申し上げたいんですが、出産時に離職していく婦人の数というものは非常に多うございますね。これは「婦人労働の実情」というこの報告書の中にも数字がはっきり出ています。なぜ出産時に離職していくか。わがままだからではないですよ。これは復職に対しての不安があるということも一つでしょう。それからさらに、休みたくたって休めない。なぜかというと生活が成り立たないという問題があると思うのです。ですから、その点に対する保障を、全く配慮をなくしてしまいますと、任意性という問題も復職という問題も、ほかの条文で保障があるとおっしゃいますけれども、それ自身が雲散霧消してしまうのです。だから、復職についての保障だとかこの選択制の問題だとかということの保障の前に、その選択制も復職も十分生きるような措置をちゃんと講じておく必要があるんじゃなかろうかと思うのですよ。私、だから先ほどから労働大臣に、育児休業中の勤労婦人も勤労婦人として勤労権が保障されますねという、この質問を再三再四繰り返して言ったんです。だからその辺の配慮について、もしなければ、私はこの十一条の条文の「必要に応じ、育児休業の実施」云々ということだって、これはまるでもぬけのからみたいな条文になるおそれもあるだろうということを申し上げたいんです。そういうふうなことが十一条の前に、この育児休業について、中身をもう一つ、やはり保障をはっきりさすということ、それからさらに「その他の育児に関する便宜の供与」というのを、先ほど、少しこれは区別して、別のことだということをお伺いしたわけですが、中身についてはどういうふうなことを具体的にお考えになっていらっしゃるんですか。
○高橋(展)政府委員 育児に関する便宜の供与といたしましては、たとえば勤労婦人がその乳幼児を地域の保育所に毎日連れていくというような場合には、そのための、たとえば時間の配慮ということについて考えてもらうということも入りますでしょうし、あるいは職場の中に育児に関するところの物品の販売というふうなことの便宜を供与することもございますでしょうし、あるいは母子保健法でやっておりますところの幼児の保健指導がございますが、そのようなものを受けにいくために母親がどうしてもついていかなくてはならないという際の配慮であるとか、これも非常に千差万別のことであるかと思います。あるいは地方都市などでは、乳児を授乳のために家の者が職場にまで連れてくるというようなケースもございますが、そういう際に落ちついて授乳ができるような授乳室のような設備を設けるというようなことなども考えられると思いますが、これらも、その地域の実情あるいはその事業所における勤労婦人の実態等に応じた、きめのこまかな配慮というものを期待しているところでございます。
○土井委員 勤労婦人にとって、育児に関する便宜の供与ということを考えた場合に、一番大事なことは何ですか。いまるるおっしゃいましたけれども、一番大事なこと、これだけはどうしても問題にしてもらいたいという要求の一番多いものは何ですか。
○高橋(展)政府委員 いろいろ考え方もあるかと思いますが、勤労婦人が、自分が働いている時間、子供が安心して守られている、そのような状態の実現、つまり保育施設あるいは保育の便宜ということであろうかと思います。
○土井委員 そのとおりだと思うのですね。これはもう、きょう私ここへ持ってまいりました「勤労婦人福祉法案関係基本資料」というのをいただいた中にも、これはすでに「既婚婦人の就労のための制度・施設の希望」では、男女全国無差別で三千人に対して調査をなすった結果「保育施設など」というものが圧倒的多数ですよ。これはもうナンバーワンもいいところです。続いて育児休暇制度というのがありますが、育児休暇制度よりもはるかに多くの人たちが保育施設についての希望を述べている。いま「その他の育児に関する便宜の供与一の中でいろいろこまかい点もお述べになりましたけれども、一体この育児施設などについての配慮をどの程度なすっているのですか。
○高橋(展)政府委員 お尋ねの点は、事業主がそこに働く勤労婦人のためにいわゆる企業内の保育施設、託児施設というものをつくるということをどう考えるかということであろうかと思います。 それで、近年そのような傾向がかなり見られるところでございますし、私どもといたしましては、企業がその福祉施設といたしまして託児施設を設けるということはけっこうなことだと思います。しかしこの法案との関係で申しますと、児童の保育というものは児童福祉法によりまして、市町村と申しますか地方公共団体がその施設を設置し、事業を行なうということになっているわけでございます。それで、行政の体系といたしましても厚生行政として全国的に進められているところでございますし、また事業主に託児施設の設置を努力義務としてでも期待することは、地方公共団体の責任をそちらに持っていくのではないかという疑義があることと、それからまた、事実上事業主にとってその負担が非常に過重であるというようなもろもろのこと、あるいは現実に、事業所が設ける企業内託児施設についてはいろいろと好ましくない点もあるという御意見等もございましたので、この法律案の中におきましては、この「育児に関する便宜の供与」の中に当然含めるということはいたさなかったわけでございますが、しかし行政ベースにおきましては、企業内託児施設というものにつきましても事業主の努力が進められますように財政面の援助等を行ない、また指導を行なってまいりたい、そのように考えております。
○土井委員 そこで申し上げたいのですが、保育施設などについて圧倒的多数の希望があるということは、つまり足りないということですよ。不十分だということなんですね。だからそれに対しての要求が圧倒的に出てくるということなんですね。で、いまおっしゃいました託児施設のある事業場、ない事業場、あると思いますが、この事業場の中に託児施設を設けるということと、公立の保育所を建設するということと、どっちに重点をかけてこれから先、労働省としてはこういう問題に対しては取り組んでいくという姿勢をお持ちか。さらに公立の保育所ということになってくると、関係省庁は厚生省ですから、厚生省さんにもその点をひとつ伺ってみたいと思うのです。
○高橋(展)政府委員 私どもといたしましては、児童の保育という問題は児童の福祉という点からきわめて重要であると同時に、働く婦人の問題としても非常に重要な課題であると存じます。それで、婦人が働いている間安心して子供が守られているという状態の実現のために努力すべきであると思いますが、どちらに重点をとおっしゃられますと、労働行政のワク内では企業内の託児施設ということに対する援助、指導をしてまいるということでございますが、もちろん厚生行政で御担当なさいます保育所の推進につきましては私どもは常にその御配慮を願っているところでございまして、協力して保育ということについての万全を期してまいりたい、そのように考えます。
○松下政府委員 保育所の問題につきましてお答え申し上げます。 ただいま御質問のございました、公立あるいは民間立のものもございますけれども、総括いたしまして、児童福祉法に基づく都道府県知事の認可を受けたいわゆる児童福祉法上の保育所の場合と、それから企業内の、これは労働省のおことばとしては託児施設、私どもでは一応、事業所集団保育施設というようなことばを使っておりますが、そういったものを今後の行政としてどういうふうに考えるか、そういうお尋ねであろうと思います。 それで私どもといたしましては、児童が保護者の家庭におきまして十分な保育ができないというような状態にあります場合には、私たちの責任におきまして、児童福祉法の規定によって市町村長が、その児童を行政上の措置といたしまして保育所に預けるということをやるたてまえになっております。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 そういう保育を受ける施設といたしましては、市町村立あるいは、これは法律上全く同じ扱いをしておりますが、それにかわるべき私立の保育所におきましての保育対策ということが、いろいろな面において最も望ましい。これは公的な助成もございますし、あるいは保育に対する措置費といたしまして公費が支出されるというような点もございます。それからまた、いろいろな意味におきまして安定性を継続することができるというような点もございます。それから、まあこれは職場の態様によると思いますけれども、現在特に都市等におきましては、勤労婦人のつとめておられます事業所が家庭からかなり遠いという通勤の問題もございます。その通勤のために、小さい子供さんを長時間にわたって連れていくというようなことのディメリットもある。それから企業内保育施設につきましては、どうしてもその企業の消長によりまして安定性を欠くというような点もあるわけでございます。いろいろな意味におきまして、法律上規定されております最低基準の守られる公私立の認可保育所におきまして児童が保育されることを目的といたしまして、現在私どもとしては、四十六年度を初年度といたしまして、昭和五十年度までに約百六十二万五千人の児童を保育することができるような保育所の整備ということを目標として五カ年計画を進めておる次第でございます。 ただ、いま高橋局長からも御答弁がございましたが、企業内の保育施設につきましても、これはやはり企業内の保育施設でなければできないようなメリットもあると思います。たとえば中小都市におきましては、工業団地のような形で、家庭から非常に近いというようなところもあるわけでございますし、また特に私ども考えますのは、たとえば看護婦さんのように夜勤を必要とするような勤労婦人につきまして、特に夜間保育をするあるいは長時間保育が必要であるというような場合において、企業内の保育施設がそのメリットを発揮されるような、その業態に即した特殊な態様の保育を行ない得るというようなメリットもあるわけでございます。私どもといたしましても、まず目標といたしましては公的な保育所を全体につくりまして、原則的には保育を必要とするような、保育に欠ける児童を全部そういった児童福祉法に基づく公的な保育所において保育できるようにすることを目標として保育所の整備を進めますと同時に、またそういった保育の需要の多様化というような点に即応できるような企業内保育所につきましても、認可保育所と同様にその保育の内容、施設等が充実されますように、労働省とも十分に御相談をいたしまして財政的な援助等も行ない、また技術的な指導もいたしまして、どこにおきましても児童の保育の面で欠けるところがないような配慮を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○土井委員 額面どおりに聞いておりますと、そのまますぐにいったら保育所についてももう何も困ることがないような御答弁なんです。いま、保育所がないために働くことができなくて、一人目はともかく二人目の子供ができたらもうどうにも職場をやめなきゃならないという場面に追い込まれている女性というのは非常に多いのですよ。保育所さえあれば、保育所さえあればという悲鳴に似た声を私たちはよく聞きます。厚生省さんに聞けば、公立の保育所よりも私立のほうに期待をかけているとおっしゃる。労働省さんに聞けば、なるべく事業場の託児施設というふうなものも完備するように力を入れたいとおっしゃる。それぞれこれは御意見のあるところを先ほど来伺ったわけですが、いま労働省がおっしゃった育児施設のある事業場についてまずは現状がどうであって、これから先どういうふうな予算措置を講じて、どういうふうに行政指導をしたらよいかというような基本になる問題、これは同じく基本資料を私はいただいて、その面についてのデータを取り上げて申し上げるわけですが、「託児施設のある事業場の割合」というのが、いままで調べられているのが昭和四十三年のデータしか出ていないのです。四十四年、四十五年、四十六年、ことしは確か四十七年だったはずですが、その間の調査というのは一体どういうことになっているのですか。
○高橋(展)政府委員 託児施設のある事業所の全国の統計的な調査につきましては、本年度ただいままだ調査を実施中でございます。
○土井委員 ただいま実施中と言われるけれども、私はただいまのことを聞いていないのですよ。四十三年度のデータしか出ていない。それから女性の労働市場というのは年々ずいぶん変化していますよ。経営の合理化ということによって、それはもう女性のほうに——それは局長御承知のとおりです。男性労働者にもずっといろいろな、経営の合理化によるところの賃金の中身のいろいろな締めつけだとか、労働条件についての締めつけ、あるいは首切りなんというふうな問題が具体的に出ておりますが、女性の場合にはもう一つ深刻です。そういう中に置かれている女性について、託児施設がどのようになっているかということを四十三年以降どういうふうに調べられて、どういうふうにそれに対する措置をいままでお考えになってきたかということをお伺いします。
○高橋(展)政府委員 働く婦人の保育の問題は、先ほど申し上げましたように、児童福祉という点からはもちろん、働く婦人の福祉という点からも非常に重要な課題であるということで、私ども今回の法律をつくるにあたりまして問題意識として強く持っているところでございます。 お尋ねの託児施設の問題でございますが、これは先ほど来児童家庭局長のお話もございましたように、また私からも申し上げましたように、児童福祉施設としての保育施設は地方公共団体が設置するということがたてまえでございまして、事業内の託児施設はその補完的な役割りとして、事業主の自主的な努力で設けられてまいっているものでございます。私どもとしては、この事業主が行なうところの託児施設、これも非常に意味があるということで、この指導と申しますか、援助、指導等につとめてまいっているところでございますが、その託児施設の調査ということにつきましては、これは四十三年に全国的な調査をいたしまして、それから本年において調査をただいま実施しております。その間におきましては、これは申しわけないところでございますけれども、調査は実施いたしておりません。しかし、全体の働く婦人の保育の問題という点につきましては、保育施設が児童福祉法に基づくところの保育施設とあわせての設備として勤労婦人が利用することでございますので、その全体の中での全体の保育行政と申しますか、保育施設の発展の中で位置づけて考えているところでございます。
○土井委員 事業場内にあるところの託児施設というものが副次的なものだという御発言がいまございましたが、それならば、本来十分完備されていてしかるべきこの保育所について、労働省の側から厚生省に対して、いままで要求なりあるいは協力を仰ぐというふうな措置を講ぜられたか、私はむしろお伺いしたいくらいです。ですから、そういうふうな点についてどのように努力なさいましたか。
○高橋(展)政府委員 厚生省に対しましては常時連絡をとりまして保育行政の一そうの発展についてお願いをしているところでございますけれども、特に具体的には、これはほとんど毎年であるかと思いますけれども、私どものほうで、基準局長と婦人少年局長の合名で厚生省の事務御当局に対しまして、この保育施設の完備ということにつきまして文書による御要望、またその中での保母の労働条件の向上あるいはまたそれらを実現するための財政的な措置の整備等につきまして、例年お願いを申し上げているところでございます。
○土井委員 例年お願いをなすっているにしては、どうも託児施設のある事業場の調査がずさんだったというふうに考えられるわけですね。一つは四十三年以後のデータというものを私たち具体的に見てないわけですから。 そこで、さらにこれは労働省さんも含めて、具体的なそういう保育施設ですね、託児施設というものを完備していくことのためには、これはいろいろ困難な条件はあると思いますが、最も困難な条件というものはやはり財政措置だと思うのですよ。そのことに対する裏づけがないことには、幾らやろうとする気さえあせっても、これは具体的にそのことを十分にしていくというわけにはなかなかいかぬだろうと思います。 そこで今回の法案について申し上げたい。━━━━━━━━━━労働大臣、「この法律は、公布の日から施行する。」とありますが、公布の日はいつですか。
○塚原国務大臣 成立後おおむね一カ月であります。
○土井委員 成立後おおむね一カ月というと、この国会でおそらくは通過するであろうということを見越して一カ月後、そういうことをお考えになっていらっしゃるわけですか、この「公布の日」というのは。
○塚原国務大臣 責任をもって提出いたしましたからには、ぜひ十分の御審議を願って法案の成立をお願いしたいというのが私の偽らざる気持ちであります。
○土井委員 ならば、この法律については、施行されるについて予算措置がすでにつけられているはずです。この託児所あるいは保育所についての問題はどのように予算の上で講じられているか、ひとつ教えてください。
○高橋(展)政府委員 予算、なかんずく託児施設の予算についてのお尋ねでございますが、これにつきましては雇用促進事業団の融資という中で援助をしてまいりたいと考えております。それは福祉施設の中の貸し付け資金ワクといたしまして、特に託児施設のために使い得る金額が十八億ほどあるわけでございますが、それに加えまして、特にこの託児施設の設置を奨励してまいりますために、さらに低利で、託児施設の中の備品等を購入するための融資につきましても別途措置をいたしているところでございます。
○土井委員 別途措置とおっしゃいますが、それは十八億以外にそういう措置を講じられているのか、十八億の以内でそれを講じられているのか、いずれでありますか。
○高橋(展)政府委員 十八億のワクの外でございます。
○土井委員 それの額はどれだけになっておりますか。
○高橋(展)政府委員 託児所一所あたり五十万程度でございます。
○土井委員 一カ所について五十万の措置をなすって——私はその中身も十分とは思いませんが、何カ所あたりを考えて予算の全体のワク組みをいまお考えになっていらっしゃるか。そして具体的にどれだけ確保なすっているか、それをお聞かせください。
○高橋(展)政府委員 ちょっとことばが足りなかったかと思いますが、先ほど十八億と申し上げましたが、これは託児施設等を含めた福祉施設の貸し付け金のワクでございます。そして、その中で、その一カ所分の融資の額でございますが、これは大体二千万程度というふうに考えているところでございます。それは施設の設置に対するところの融資でございますね。そのほかに備品についての融資というものを別ワクで一カ所当たり五十万程度、このように申し上げたわけでございます。
○土井委員 一カ所についてどれだけの予算を計上なすっておるかということを私は問題にしておるわけじゃないのです。全体のワク組みについてどういうふうな御用意があるかということを私はお伺いしています。もう「この法律は、公布の日から施行する。」とありまして、先ほどの労働大臣の御答弁では自信満々だったわけですよ。この国会で通過をして、あと一カ月しか余すところ日はないわけです。予算についても具体的にその中身がなってないと、これは責任をもって施行できないですよ。いま御答弁の中身を聞いておりますと、ああでもない、こうでもない、ぐるぐる変わるわけでありますから、私は託児施設についてもどれだけ期待をかけていいかということについて、ずいぶん危惧を感じます。こういう態度で、労働省、ほんとうに自信を持ってできるのですか、いかがですか。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(展)政府委員 重ねてお答え申しますが、施設の貸し付けのワクが十八億でございます。そしてその施設のほかに、備品が一カ所五十万程度ということで、これが二十カ所分計上されているところでございます。これはもちろん初年度でございますから、今後そのニードに応じまして進めてまいる、そのように考えているところでございます。
○土井委員 実際問題からしますと、かっこうつけもいいところだと思うのですよ。これがどれだけ現場の要求にこたえ得るかということになってまいりますと、たいへん心さびしい感じがいたします。 それでは、厚生省のほうにひとつお伺いしますが、公立保育所については予算の上においてどういうことになっていますか。
○松下政府委員 公立の保育所というお尋ねでございますが、児童福祉法の志向といたしましては、先ほど申し上げましたように、公立及び私立の保育所を一括いたしまして国庫補助の対象といたしております。整備費につきましては、国庫補助の額が四十六年度の予算は約十五億でございますが、四十七年度につきましては、これは正直に申し上げまして、現在の国庫補助の基本額が非常に低くて実情に合わないという問題もございまして、できるだけこれを引き上げたいというような要素も含めまして、予算で計上されておりますのは、他の社会福祉施設全体と込みでございまして約百二十億の額でお願いいたしております。その中で、保育所の整備費につきましてどれだけの経費を計上するかという点は、いま財政当局等も含めまして、できるだけたくさんの額を計上できるように折衝いたしておる段階でございます。なお、この保育所の整備につきましては、国民年金等の還元融資におきましても融資の対象といたしておりまして、市町村あるいは民間団体等において整備をいたします場合に、国庫補助の裏づけ分あるいは単独で設置する分につきまして相当の融資を行なっております。 それから、先ほど私がお答えいたしました中で、公立よりも私立を主として考えておるようだという御批判がございましたが、これはそのように聞こえましたならばおわびを申し上げますけれども、現在の保育所の分布から申しまして、公共団体立が六二・三%という数値になっておりまして、主たる部分はやはり市町村立でございます。今後もこの方向は変わらないと思いますし、私どもといたしましても、地方公共団体の責任として行なってまいりたいという指導を続けてまいるつもりでございます。 それから、先ほど申し上げました措置費につきましては、これはある程度の保護者負担分を除きました公費負担部分につきまして、保育に要する人件費等も含めた経費の全体について、国がその十分の八を負担するたてまえになっておりまして、四十七年度の予算額は約六百五十億円でございます。
○土井委員 いま松下さんのほうからお聞かせいただきましたけれども、予算の中身は、全国に保育所を増設し、しかも完備していくということから考えたら、まだまだ十分とは思わないわけですね。そこで、そういう予算の措置をやる場合に、これは補助額というものを引き上げると同時に、補助率というものも引き上げていかなければならないという両側面の問題もあるかと思いますが、もちろんそういう問題については、私たちもできる限りがんばってもらうというための努力を払っていかなければなりません。しかし、それを思えば思うほど、予算措置要求というふうなもの、あるいは予算措置というふうなものがそれに従って十分に講じられるということを考えれば、やはり法律でそのきめ手になる保障の根拠があるのかないのかということがずいぶん大きな意味があるのじゃなかろうかと私は思うのです。つまり、ない場合とある場合とは違う。法律の上でそれをちゃんと保障させるための裏づけとなる根拠の条文があった場合には、だから必要なんだ、予算についてもそういう措置をしてもらわぬと困るじゃないかというような持っていき方がかなりできると思うのです。今回の場合、どうですか局長さん、この法案の中で、そういう問題について、具体的に事業主が「その他の育児に関する便宜の供与」をやる際に、これは十分やり切れるような措置を講ずる責任は国の責任としてあると思いますから、そういう点から考えますと、何らかそのところが一つほしかったように思うのです。保育所あるいは先ほどからお述べになった事業内での託児施設についての保障というものを、具体的にこうしなければならない、そういうことについてはどういうふうな御配慮がございますか。
○高橋(展)政府委員 先ほども一度お答えしたところでございますが、この十一条でいう「その他の育児に関する便宜の供与」という中には、企業内の託児施設の設置ということは、当然には読まないということになっております。これは先ほど申し上げたようないろいろな理由で、厚生省御当局ともいろいろ御相談した結果、児童の保育のための施設は児童福祉法によるところの保育施設でやっていくということがたてまえということで、この法律では、ここでは当然には読まない。ただ、事業主が一般的に福祉の増進の措置として託児施設の設置をなさるということは望ましいことでございますので、それに対する助成、指導ということはやっていこう、こういう区分けと申しますか、たてまえになっているところでございます。また、事業主が託児施設の設置ということにかかわるばかりではございませず、事業主がもろもろの福祉のための事業を行なうことにつきましては、この法案におきましては、第五章の十五条(国の助言等)というところで、事業主のような努力に対しましても、国は「助言、指導その他の援助を行なう」、このような規定を置いておりまして、事業主に対する指導、助言、また可能な場合には財政的な援助というものも行なってまいる、その基本となる規定を置いているところでございます。
○土井委員 「その他の育児に関する便宜の供与」の中には、事業内での託児施設というのを含まないというふうな御理解のようですけれども、十一条の条文を読む場合には、事業主の立場と、それからそこに働いております勤労婦人の立場と、いずれの側に立って労働省がその考え方をお進めになるかということで、ずいぶんここに対する理解の中身は違ってこようと私は思うのです。いま、勤労婦人側の要求とすれば「その他の育児に関する便宜の供与」ということが、何はさておいても、先ほどから申し上げるとおりに、保育施設、託児施設の完備でございます。私は、労働省としては、やはり労働婦人、勤労婦人の側に立ってこのことを保障していくということが第一義的に考えられなければならないのじゃなかろうか。それでこそ行政指導であり、それでこそそういう問題に対するところのいろいろな助言ということの役割りはある、意味もあるというふうに考えるわけです。したがいまして、いまの局長さんの御答弁からすれば、どうも肝心のところが抜けているような気がしてなりません。このことに対してのもう一度御配慮をまたお願いしまして、さて時間がありませんから、先をたいへん急ぎます。 働く婦人の家というのが地方自治体にございますね、労働大臣。今回の第四章の「福祉施設」のうち第十三条第三項、「労働大臣は、働く婦人の家の設置及び運営についての望ましい基準を定めるものとする」とございます。この働く婦人の家についての設置、運営について「望ましい基準」という中身を具体的にはどういうふうなものだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。労働大臣というのが第十三条の三項では、定められる担当大臣、当事者でいらっしゃいますから、ひとつ大臣から……。
○塚原国務大臣 法律の条文にはそういう形がとられるのが、これは常日ごろそういうのがたくさんありまするが、詳細につきましては政府委員より答弁させます。
○高橋(展)政府委員 「働く婦人の家」については、これは地域におきまして勤労婦人の福祉の事業を展開してまいります拠点でございますし、また勤労婦人にとりましても、それが地域におけるよりどころとなるところでございますので、その適正な運営ということが期待されると思うのでございます。その適正な運営、それからまた十分な機能の発揮というものを確保するために基準というものを設けてまいりたいと思っております。ただこの基準は、中身といたしましては施設の規格それから設備、職員の配置等を大きな項目としては考えているところでございますが、その具体的なことにつきましてはやはり婦人少年問題審議会におはかりをして定めてまいる、そのような心づもりでおります。
○土井委員 いままで働く婦人の家が都道府県に設置されておりまして、その機能がどういうものであるかというのは、一応これも資料をいただいておりますから私も心得ているつもりですが、中に保育所であるとか学童保育を働く婦人の家でしている府県がすでにございますね。この公立保育所、低学年児童のための学童保育所というものを働く婦人の家の中に併設するということについては、どのようにお考えになりますか。
○高橋(展)政府委員 すでに建てられておりますところの働く婦人の家のうちに若干のものが、いわゆる学童保育と申しますか小学校の低学年の児童を放課後お預かりするという役割りをいたしておるところがございます。それからまた乳幼児につきましては、これは原則として、先ほど来お話が出ておりますように、地域の保育所がその責任を負っておられるところでございますが、地域の事情によりまして非常に勤労婦人のニードが強い、近所に保育所がないというような場合、それを事実上お預かりしているというケースもございます。働く婦人の家といたしましては、本来的にはそれを利用する勤労婦人が、たとえば講習等を受けるというようなとき、その他その場所を利用する際に一時的にお子さんをお預かりする託児施設というものは、これは必置といたしておりますけれども、学童保育あるいは乳幼児を預かるということにつきましては、従来は必置とはなっていなかったわけでございます。ただ、このことは非常に需要が強いものでございますので、私どもといたしましては今後は、学童を預かるという事業を働く婦人の家の事業として進めてまいりたいと思います。ただ、乳幼児を預かる事業につきましては、児童福祉法との関係がございますので、これは厚生省とよく御相談をした上で考えてまいりたい、そのように思います。
○土井委員 現在ございますこの働く婦人の家というのを活用するためにも、いまおっしゃいました線はぜひ必要であると思います。 それからさらには、保育所については無理があろうというふうな御答弁の向きでもございますが、ひとつできる限りこれが実現できるような方向での努力を払っていただきたいと思います。 労働大臣、働く婦人の家の設置及び運営についての望ましい基準をお定めになるのが、一応この法案の中で大臣のお仕事ということになってまいりますから、いま局長のほうからの御答弁の中にもございますとおりに、学童を預かるというふうなことを中身としては考えていくという姿勢というものを答えていただきたいと思うのですよ。はっきり確認しておいていただきたいと思うのです。この法案が通る通らないは別にして、現在働く婦人の家というのは現実あるわけですから、この働く婦人の家の活用という面からも、労働大臣、この点について御答弁賜わりたいと思うのですが、いかがですか。
○塚原国務大臣 働く婦人の家につきましては、各地区でかなり利用度も高まっております。しかし、またそれだけに足りない面というか御注文も多いことは私はよく承知をしております。いろいろ局長が答弁しておりますけれども、望ましい姿というものを、いま御指摘の点も含めまして最高度に発揮できるような努力をいたす考えであります。
○土井委員 さらに、働く婦人の家についての予算の措置というものがまだまだ不十分だということも自治省からも聞いておりますし、それから労働省さんからももちろん聞いてわかっているわけです。こういう働く婦人の家というものについて中身が充実されると同時に、ほんとうに勤労婦人の要求にこたえる場になるための努力を払うと同時に、そのことが完備されるという予算措置ができるような努力こそ肝心じゃなかろうかとこの問題についても思うわけです。 そこで、もう時間ですから、総じてこの際提案をされております勤労婦人福祉法案というのは、姿形はいいけれども、中身がどうももぬけのからというふうな感じが私はするわけですよ。実効性に乏しいという思いがするわけです。これよりも先にやるべきことがあるじゃないか。これより先にやるべきことは何かといえば、現にあるところの勤労婦人の家、勤労権というものをそれぞれ保障しているところの各法律の中身を具体的に実行することだと私は思います。中でも労働基準法の中身を実行することだと思います。現実、憲法の十四条や二十四条、二十七条や二十八条という条文に勤労婦人の勤労権というものが保障されていながら、その中身がそのとおりにいかないという現実の理由というものをひとつしっかりと見詰めていただいて、それに対する対策をどう講じたらいいかという問題のほうが私は先だと思うのです。それからしますと、この労働基準法の中では、私はいつもこれはしこりになると思うのですが、第三条の中に国籍、信条、社会的身分というものを理由としてこの差別的取り扱いを禁止するということになっておりますが、ここでは明確に性別ということは出してはいないけれども、しかし具体的なそれ以後に保障されている労働基準法の中身、たとえば賃金の問題もそうです、労働条件の問題もそうです。それについて女性である、婦人であるということを理由に差別的取り扱いをしてはならないということを基本にした労働政策こそ私は、なければならない問題だと思っております。 労働大臣、今回この法案を御提案になって、自信を持って今国会で通過するに違いないという期待をかけていらっしゃるわけですから、少なくともここに書いてある「勤労婦人の福祉」を重視して、そうして勤労婦人の地位の向上ということをしんから考えていらっしゃる労働大臣は、女性に対しては思いやりや理解が深いと私は見込みまして、労働基準法についてどういうふうな立場で臨まれるかということを最後にお伺いしたいと思うのです。これよりも先にこの問題があるじゃないかということを申し上げたい。それをひとつ意見聞かせてください。
○塚原国務大臣 従来の法律が守られていない、従来の法律においてすべて行なってから後に立法措置というものを考えたらよいではないかといういまの御発言については、私はやや見解を異にいたします。なるほど従来の法律で確かに御批判の点もあったでしょう。しかし、これは厳重にその法律というものは守られていかなければならないことは当然ではありまするが、何回も繰り返したように、今度御審議を願っておりますこの勤労婦人福祉法案は、私はベストではないがベターであるという観点から、また先ほど審議会の途中の経過が出てないというふうにおしかりをいただいたようでありますが、大方の御意見というものは私も大体承っておりますので、その点、あなたと見解の相違はあるかもしれませんが、この法案を御審議願って、ずいぶんいろいろとおしかりもいただいたし、御注文もちょうだいいたしましたし、また御意見を交えての御質問は、私もこれは謹聴いたしておるわけであります。 先ほど下を向いておりましたときに、何か私に妙な御発言を土井委員されましたが、あれはひとつお取り消しを願いたい。私はまじめに聞いておりますから、あるいは顔つきでそうとられたのでは——私が至らなかった点があるかもしれませんが、この間からこの問題について、私は皆さんの御意見をほんとうに謹聴しております。 それからまた、予算の裏づけ等につきましても、私がベストではないというのは、やはり私自身も考えておる点でございます。厚生省との関係においても明年度予算で考えなければならないものがあると同時に、この法案の裏づけとなるものは、やはり予算措置において、さらに今後の法的措置においても、このものの改正というものは考えておりませんが、いわゆる一般法というかそれに伴う特別法というようなものは引き続いて考えていかなければならない問題である、私はこのように思っております。 福祉というもの、これはいろいろな解釈があるでしょうけれども、人間尊重、私は福祉はあくまでも働く権利であり、幸福であり、言うなればウエルフェアであると考えております。それを与えながら、そして今後勤労婦人の果たすべき役割りというものをフルに活用させていくということが、これからの日本に課せられた重要な問題であろうと私は思います。批判はあるでしょう。婦人のために何だ差別があるじゃないかというおしかりはあるでしょう。しかし、われわれはあくまでも男女平等の立場に立ってこの問題は提案いたしたつもりでありますし、今後ともそのことを中心として私はあらゆる問題にぶつかっていく考えでございます。
○土井委員 御決意のほどはまことにけっこうなんでありますが、勤労婦人の福祉を考えていただく際の基本になるのは、勤労権そのものを保障することだと私は思うのです。そういう点からしますと、時間さえ許せばまだ言いたいことは山ほどありますけれども、今回の法案の中身を見ました場合に、事業主に対する義務規定になっております。それから国や地方自治体のそれぞれの行政機関が施策を講ずるということになっております。そこで現場の婦人の声は、この法案を練られるまでに婦人少年問題審議会の場所で出ておるというふうなお考えもあるかもしれませんが、この法案が施行されるということになってくると、事実上事業主をしていろいろな努力を払わしめるということになってまいりますので、ことさら現実の問題として私は委員長に一度お願いを申し上げたいのは、現場の勤労婦人の声というものを、参考人としてこの場に呼んで意見をお聞きいただくわけにはいかないか。そうしますと、どういうところにもっと要求の声が高いか、どういうところにもっと配慮があってしかるべきかという問題も出てくると私は思うのです。ぜひそのことを委員長にお願いいたしまして、理事会ではかっていただきたいと思います。それをもちまして終わります。
○森山委員長 承知いたしました。 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後直ちに再開いたします。 午後零時四十四分休憩 ————◇————— 午後三時三十四分開議
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案、国民年金法等の一部を改正する法律案、廃棄物処理施設整備緊急措置法案及び参議院から送付されました食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 —————————————
○森山委員長 順次提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
○斎藤国務大臣 ただいま議題となりました身体障害者福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 身体障害者福祉法は、昭和二十四年に制定され、その後、逐次その内容の充実がはかられてきたところでありますが、今回さらに身体障害者の範囲を拡大するとともに、身体障害者更生援護施設に関する規定を設備し、重度の身体障害者に対する援護措置の強化をはかることといたしまして、この法律案を提案した次第であります。 以下、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。 第一は、身体障害者福祉法に規定する身体障害者の範囲の拡大についてであります。現在、身体障害者福祉法においては、視覚障害者、肢体不自由者等の外部障害者のほか、心臓または呼吸器の機能の重度の障害のある者をその対象としているところでありますが、今回、身体障害者の範囲に、新たにじん臓の機能に障害のある者を取り入れることとし、必要な場合には、人工じん臓による人工透析医療につきまして身体障害者福祉法による更生医療の給付の対象とすることとした次第であります。 第二は、身体障害者療護施設に関する規定を設けたことであります。すなわち、身体障害者であって常時の介護を必要とする者を収容して、治療及び養護を行なう施設として、新たに身体障害者療護施設を設置し、重度の身体障害者に対する援護措置を充実することとしたものであります。 その他市町村が身体障害者更生援護施設を設置する際の規制を緩和する等の改正を行なうことといたしております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 国民年金制度並びに児童扶養手当及び特別児童扶養手当制度については、従来からその改善につとめてきたところでありますが、今日、国民福祉優先の考え方のもとに、老齢者をはじめ、心身障害者、母子家庭に対する福祉の充実が一段と強く求められております。 特に、人口の老齢化、扶養意識の変化等を背景に、年金制度に対する国民の関心はとみに高まっており、老後生活に占める年金の役割りは、ますます重要性を増しております。 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、受給者が多く改善の緊要性の高い福祉年金を中心に、かつてない大幅な年金額の引き上げを行なう等これらの制度の充実をはかろうとするものであります。 以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。 第一に、老齢福祉年金の額を、昭和四十七年十月から、千円増額し、月額三千三百円に引き上げるとともに、あわせて、障害福祉年金、母子福祉年金並びに児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額を大幅に改善することといたしております。 第二に、拠出制の障害年金、母子年金等の額を昨年の厚生年金の改正に準じ、昭和四十七年七月から、一〇%増額することといたしております。 第三に、特別児童扶養手当の支給対象に、新たに内科的疾患に基づく障害、精神障害を有する児童等を加えることといたしております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、廃棄物処理施設整備緊急措置法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 屎尿処理施設及びごみ処理施設の整備につきましては、生活環境施設整備緊急措置法に基づく第一次五カ年計画に引き続き、清掃施設整備緊急措置法に基づいて、昭和四十二年度を初年度とする第二次五カ年計画を策定し、その促進をはかってまいったのであります。 しかしながら、近年、わが国における産業活動の拡大、国民生活の向上等に伴い、排出される廃棄物は、量的にも質的にも大きく変化しており、一昨年には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が制定され、産業廃棄物も含めて、廃棄物の処理体系の整備がはかられたところであります。 このような事態に対処し、廃棄物の処理に遺憾のないようにするため、屎尿処理施設、ごみ処理施設のほか、産業廃棄物処理施設につきまして、新たな計画により整備を促進することが必要となり、ここに廃棄物処理施設整備緊急措置法案を提案した次第であります。 この法律案では、新たに昭和五十年度までの間の廃棄物処理施設整備計画を策定することとし、その手続として、厚生大臣が経済企画庁長官及び建設大臣と協議の上、計画の案を作成し、閣議で決定するものとしております。また、政府は、その計画の実施に必要な措置を講ずるものとし、地方公共団体も計画に即して廃棄物処理施設の緊急かつ計画的な整備につとめなければならない旨を規定しております。 なお、本法案の制定に伴い、清掃施設整備緊急措置法は廃止することといたしております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、食品衛生法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 近年、農薬による食品の汚染、食品添加物の安全性、消費者保護の見地からする表示の適正化等、食品に関連する多くの問題が提起され、国民の重大関心事となっておりますことは、御承知のとおりであります。 政府といたしましては、従来より食品衛生の向上のため必要な諸施策を、逐次計画的に進めているのでありますが、なお、現行の食品衛生法の規定によっては、必ずしも十分に対応できない面もありますので、今回所要の改正を行なうことといたした次第であります。 以下、この法律案のおもな内容について、御説明申し上げます。 第一は、安全性に疑念のある食品等に対する規制を強化するため、関係規定を整備したことであります。 第二は、厚生大臣及び都道府県知事が、それぞれ、営業者が順守すべき措置に関し、基準を定めることとする等、営業者責任を強化したことであります。 第三は、必要に応じ、製品検査を命ずることができることとする等製品検査の制度を改善するとともに、検査体制の整備をはかったことであります。 第四は、食品等に関する表示制度を改め、また広告についても、公衆衛生の見地から必要な規制を行なうこととしたことであります。 その他洗浄剤の規格を定めることとする等所要の改正を行なうことといたしております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 —————————————
○森山委員長 次に、大原亨君外六名提出の公的年金の年金額等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。大原亨君。
○大原議員 お手元にございます資料は、本会議の提案趣旨説明の資料でございますが、ただいま提案説明いたします点は、これをはしょって申し上げますので、このとおりではございませんから、御了承願います。 公的年金の臨時特例に関する法律案の提案の説明を、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして申し上げます。 今度提案いたしました年金額特例法案は、本年十月より実施する一カ年間の年金額の引き上げ特例と、来年十月より実施する全面的、抜本的、統一的改革案の二段階に分けまして、第二段階の改革は、本特例法の附則に改革の骨組みを規定して、五カ年計画でこれを実現することといたしたのであります。 以下、提案の趣旨と要綱を申し上げます。 本臨時特例法の第一は、来年よりの全面改正の足固めといたしまして、老齢福祉年金を七十歳以上月一万円、夫婦で二万円、六十五歳以上が月五千円、夫婦で一万円にいたし、それに準じて障害者福祉年金は月一万五千円、母子福祉年金は月一万三千円に引き上げるものでございます。国民年金の本体である拠出制国民年金は、昨年から十年年金として月五千円年金が給付されておりますが、これを月一万円底上げをいたしまして一万五千円、夫婦で三万円とし、障害者、母子、準母子、遺児及び寡婦の年金をこれに準じてそれぞれ引き上げることといたしたのであります。 第二は、昭和十七年戦争中に発足いたしました厚生年金は、昨年十一月からの改正で二万円年金といわれておりますが、実際は月一万六千円程度にすぎません。生活保護費にもはるかに及びませんから、月一万円の底上げをいたしまして、月二万六千円のベースにいたすものであります。船員保険も同様であります。 第三は、国家公務員、地方公務員、公共企業体、私学及び農林漁業の各共済年金は、既裁定分を含めまして、それぞれ最低保障額に年十二万円、月一万を加算することによって、年二十七万円を限度といたしまして、それ以下の年金をなくしていこうというものでございます。もちろん各年金制度の通算老齢年金もこれに準じて引き上げるものでございます。 以上申し上げました年金額の改正の臨時特例は、昭和四十八年、つまり来年十月より実施する各種公的年金の統一的改革の基礎をなすものでありまして、本法の附則におきまして、抜本改正の四つの大きな柱を規定いたすことといたしました。言うまでもなく、この四つの改革の骨組みは、すべて有機的に関連を持っておるのであります。 すなわち、第一の改革の柱は、現在八つのグループに分かれている被用者年金の水準の引き上げと格差の是正をはかりつつ、一体的に改正する方向を規定をいたしたのでありまして、国民年金と被用者年金の二本立て制度の実現をはかる趣旨でございます。 第二の改革の柱は、国民年金の最低保障額を月二万円、夫婦四万円とし、厚生年金等各種被用者年金の最低保障額として月三万円を確保することといたしたのであります。この結果、被用者年金額の平均は月五万円以上となりまして、平均賃金の六割相当額が給付されることに相なるわけであります。 第三の改革の柱は、賃金及び物価の変動に対応する年金額の自動スライド制をとることを規定をいたしたことであります。現行の制度は、五年ごとに再計算するその場当たりの政策スライド制でございまして、消費者物価が一年間に六%も七%も上昇する慢性インフレのもとで、国民の立場からはとうていがまんすることができるものではございません。 第四の年金改革の柱は、年金財政の仕組みを現在の積み立て方式より賦課方式に改めることであります。 賦課方式とは、一年または数年の一定期間における給付の財源をその期間内に賦課徴収した収入をもって充てる財政方式であります。現在元気で働くわれわれ国民が、老齢者、身体障害者及び母子家庭などの生活を保障するという仕組みでございます。 以上が今回提案いたしました三党提案の年金改革案の骨子でございます。慎重審議をいただきまして、満場一致通過されるよう御協力いただきますことをお願いいたしまして、提案理由といたします。 ————◇—————
○森山委員長 次に、川俣健二郎君外六名提出の国有林労働者の雇用の安定に関する法律案を議題といたします。 国有林労働者の雇用の安定に関する法律案 —————————————
○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。
○川俣議員 私は提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者の雇用の安定に関する法律案について、その提案理由と内容について御説明申し上げます。 現在、五十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら、森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし歴代保守政府の進めてきた高度成長政策は、山林労働者をも一そうの貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活の近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。すなわち、これらの労働者の賃金は、依然として人間としての健康な生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件を規定した労働基準法の中心的規定であります労働時間、休日休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。 わけても国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の降雪、積雪を理由とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者の身分、生活を極度の不安におとしいれているのであります。 しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、定期作業員、臨時作業員という雇用区分によって、その労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強要しているのが、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私の最も遺憾とするところであります。 しかも、国有林の経営、管理のための基幹的な作業は、いわゆる定員外の作業員によってになわれているのが現状でありまして、いわば国の恒常的な業務が、臨時的な雇用で処理されているわけであります。 LLO国家公務員専門家会議は「恒常的な職務を遂行するため必要とされる職員は、常勤として採用されなければならないし、その間といえども常勤と非常勤との間の法的身分の違いをもって、賃金や労働条件全体について差別の理由とすべきでない」という報告をしております。したがいまして現在、林野庁が行なっております労務政策は、このLLOの見解にも全く反しているのであります。 このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者の雇用を継続させ、その雇用と生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これが、この法律案を提出する理由であります。 次に、この法律案の概要について説明申し上げます。 まず、国は、国有林労働者として前年度及び前前年度において、それぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないものといたしました。 第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国はできる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしました。 第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者であって、常時雇用の国有林労働者の対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として、平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。 以上が国有林労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同くださるよう御提案申し上げます。
○森山委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○森山委員長 この際、委員各位に申し上げます。 本日、このあと直ちに大蔵委員会及び物価問題等に関する特別委員会との連合審査会が、当委員室において開会されます。 また、明後十八日木曜日は、午前十時から社会労働委員会公聴会を開会いたします。 なお、次回の委員会は、公聴会散会後に開会することとし、開会時間等につきましては、公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十四分散会