社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 381 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/05/11
会議録
○森山委員長 これより会議を開きます。 この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。 ただいま本委員会において審査中の、内閣提出による健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会及び物価問題等に関する特別委員会から、それぞれ連合審査会開会の申し入れがありましたが、これを受諾するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間におきまして協議の上決定いたしますが、来たる十六日開会の予定でございます。 ————◇—————
○森山委員長 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、前回の山本委員の質疑に関連し、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。斎藤厚生大臣。
○斎藤国務大臣 先日の委員会で、山本委員から看護基準について御質問があり、私も答弁をいたしましたが、もう一度はっきり明瞭にお答えをいたしたいと思います。 基準看護の承認を受けている医療機関につきましては、当該医療機関の責任において、患者の病状に応じ、一切の医療上必要な看護を行ない得るよう、看護力の配置、運用の適正をはかるべきであります。しかしながら、看護要員の一時的不足あるいは患者の症状上の必要性等から、きわめて例外的に付き添いを必要とする場合もあり得るのでございますが、この場合においても、それは当該医療機関の責任において行なわなければなりません。 厚生省といたしましては、今後看護体制の運用の適正を期するため、医療機関に対し指導の徹底をはかり、患者の処遇に遺憾なきよう万全の措置を講じてまいりたいと存じます。
○山本(政)委員 大体いまのお話で了解をいたしましたけれども、たしかことしの看護要員の補充というのは、看護婦並びに看護助手を入れても二千名を切ると思うのです。千九百何名くらいだと思うわけです。したがって、その点で速急に看護要員をふやさない限りは、私は同じようなことが起こりかねないのではないだろうか、こう思うわけです。そして、そういうことがあれば、もちろんこれは患者並びに家族に迷惑をかけると同時に看護婦の労働の強化につながる、こういうことがあると思います。したがって、その点について、これは五カ年計画でしたか、ありましたけれども、速急にそれを繰り上げるような努力をぜひしていただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょう。
○松尾政府委員 看護要員の増員につきましては、特に勤務条件の改善というようなことを目標にいたしまして、私どもは四十五年から三カ年計画ということで一応の目標を立ててまいったわけでございます。四十七年度におきましては、ただいま先生御指摘のように、約二千名弱という要員でございます。四十五年、四十六年、それぞれやはり増員につとめまして、三カ年間に約四千七十六名という増員をはかってまいっておるわけでございます。今後もやはり、いろいろ病状の複雑化その他医療の高度化等によりまして、かなり要員の増員ということは当然必要になると思います。また一方、人を増すだけでなく、病院の中の看護体制と申しますか、病棟のいろいろな区分といったようなことも、やはり合理的にいたしませんと、看護婦さん自身が非常に働きにくいという事情もございます。こういった点につきましても、そういう面からも十分ひとつ考慮いたしまして、看護婦さん自身がいわば過労におちいることなく患者のお世話ができるような体制というものを、ぜひ私どもとっていきたいと思います。
○山本(政)委員 最後に現時点でもそういう意味ではオーバーワークのないようなことをぜひひとつ考えてもらいたいと思います。こういうことをやれば、どうしても労働の強化というのが末端の医療従事者にくることを実は私は心配いたしますので、このこともぜひ配慮していただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わります。
○森山委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 法案審議の具体的なことに入る前に二つばかり大臣に聞いておきたいのですが、病気に付しては国が責任を持つんだという、これはもう国際的な大勢なわけです。その国際的な機関にWHOという機関があるのですが、きのうあたりからの報道によると、WHOの総会で中国の唯一の政府である北京を招請して台湾を追放する、こういう決議があったわけでありますが、六十何対という圧倒的な賛成で決議が採択されたわけですが、これに対して、非常に私たち健康保険、医療というものをほんとうにメスを入れて抜本的に検討するという時期であるわけですから、やはり世界の仲間に入るという意味から——これに対して日本は棄権したという報道があった。これはそのとおりであるか、まず一つ聞いてみたいと思います。
○斎藤国務大臣 まだ棄権をしたかどうかということを私は聞いておりません。外務省のほうにもまだ報告がないのじゃないかと思います。
○川俣委員 そうすると、このWHOに出席する資格というか、これはどういう人がどういう辞令で行くのか、聞かしてもらいたい。
○森山委員長 川俣君、外務省から来ていますから……。
○川俣委員 あとでいい、外務省は。
○高木(玄)政府委員 閣議の決定を経まして現在のWHOの総会に日本政府代表として、がんセンター総長の塚本さん、それから現地の日本代表部の参事官の賀陽さん、それから厚生省の連絡参事官の綱島君、以上三名が政府の代表として現在の総会に出席いたしております。
○川俣委員 それはいわばみんな厚生関係のあれなんだが、外務省の辞令をもらって行くわけですね。
○高木(玄)政府委員 外務事務官の兼務発令を受けて行っております。
○川俣委員 それでは外務省に伺いますけれども、きのうからのテレビ、新聞の報道は、あれは間違いないのか、聞きたい。
○妹尾説明員 お答えいたします。 けさジュネーブから報告がございまして、入ったばかりでこざいましたので、厚生省に事前にこの会議前に御連絡をする余裕がなかったわけでありますが、報道は事実でございます。 昨日WHOの本会議におきまして、中国代表権問題が審議され、国連総会と同じ趣旨の、つまり中華人民共和国の代表権を認め、中華民国政府を追放するという趣旨の決議案が、賛成七十六、反対十五、棄権二十七で採択されたとの報告がございました。
○川俣委員 それに対して日本はどういう態度をとったのですか。
○妹尾説明員 わが国は棄権いたしました。
○川俣委員 きょうは急ぎだったから、まあ近く連合審査があるようですが、ではこの機会に聞いておくのだけれども、棄権するどのような指示を流したのか、外務省は。外務大臣から指示を流したのでしょう。それに連絡を密にして、ああいう棄権の態度をとったと思うのですが、そういったものを少しつまびらかに調べておいてほしいと思います。連合審査の際に、さらに聞きたいと思います。——いまあなたが答えられるなら答えてください。
○妹尾説明員 わが国が棄権したことにつきましては、外務省と厚生省との間で御相談した結果、代表団に対する訓令として、その際は棄権するようにという指示をしたわけでございます。棄権ということは、確かに御指摘のとおり、もっとはっきりとした線が出せれば、それが望ましいということは、私どもも全くそのとおりであると考えております。現に私どもといたしましても、中華人民共和国がWHOに参加することには反対する意向は毛頭ないわけでございます。そういう機関はやはりできるだけ広い範囲の国が入っているほうがいいと考えますし、そういう意味で中華人民共和国が入っていたほうがいいというふうに私どもも考えております。 しかし問題は、中国代表権というかっこうで提起されまして、中華人民共和国参加の反面、中華民国政府を追放するということが同時にきまるわけでございまして、この点現在中華民国と国交関係を持っている日本の現在の事情ということも、私どもとしては考えざるを得ないわけでございまして、その両方を考えた結果が棄権という方針になったわけでございます。
○川俣委員 代表権の話まで出たのだけれども、それでは、いま厚生省と相談して、こういうことだったのですが、大臣知っておられたわけですね。
○斎藤国務大臣 知っておりました、大体そうなるであろうということは。しかし会議の模様その他もありますから、それらは時々外務省の指示でやられるというように外務省にお願いをいたしておったわけであります。あるいはそういうことになるのではなかろうか、会議の模様がいろいろ変わるわけでありますから、それによって対処しようということであったわけでございます。
○川俣委員 それで外務委員会じゃないのだから、ちょっと大臣の気持ちを聞かせてもらいたい。 いま国際的に医療問題というのは、やっぱり仲間に入って検討しなければならない。その中で抜本改正、赤字対策を検討せいということで、われわれとしても積極的に検討しようとしています。ただ外交上の政策的な面でというよりも、厚生大臣としてこのWHOというものに対して考えた場合に、大臣はどういうような考え方を外務省に話をしたか、ちょっと聞きたいのです。
○斎藤国務大臣 私はWHOという立場に立って、厚生省の立場に立って考えますると、中華人民共和国が入ってこられるということは、大いに歓迎すべきことだと思います。これは何も政治を離れてですよ。同時にいま台湾地域を代表として、そして台湾の地域内における、あるいは伝染病の発生や何だという場合の通報ということもやはり引き続いてやってもらわぬと困る。現在の状態では、台湾におけるペスト、コレラ、そういったような発生状況の通報というものが、中華人民共和国がはたしてやれるのかというと、現状においてはむずかしいのじゃないであろうか。 そういたしますると、やはりそういったことは、ことに地域を接している日本といたしましては、WHOというのは、これはもう現実の機関でありますから、政治問題は別といたしまして、一日もそういったような問題について事を欠かないほうがよろしい、私はさように考えます。しかしながら、いまの提案は一方を認めて一方を排除するということでありますから、これは棄権をする以外に道がないこういうことでございます。
○川俣委員 どうも外務大臣的に考え方が流れるから、もう少し聞きたいのですが、結局大臣のところから派遣しているわけです。一時辞令ではあるけれども、いわば貸し工である。医療行政の人が行っているわけだ。そういう貸し工というものに対する厚生大臣の責任からいっても、やはりある程度の進言は外務大臣にやってもいいと思うのですけれども、その辺もう少ししゃべってください。
○斎藤国務大臣 厚生省といたしましても、これに反対をするということになれば、いまおっしゃいますように、中華人民共和国というのは、現在は大陸を代表して、そして大陸内におけるWHOのメンバーとしての機能を果たしていないわけでありますから、それはぜひ入ってもらいたい。同時に、そのために台湾に穴をあけてしまうということも日本として困る。そこで、この決議案は一方を認めて一方を排除するというわけでありますから、したがってわれわれの要望にかなうような決議案ではないわけであります。これに反対するということになれば、中華人民共和国がWHOに入ることに反対するというようにもなりますから、これも困る。立場といたしましては棄権する以外に道がないということでございます。
○川俣委員 そうすると、七億五千万と一千万との関係にもなるのです。厚生大臣としては、いまの日本の置かれている立場、いままでのいきさつの外交上の問題をおもんばかれば、そういう考え方であろうけれども、純粋に医療行政の国際的な一分野である。日本の大臣から言わせれば、外交上の問題を除けば、これはやはり賛成だということでいいわけですね、そう解釈して。
○斎藤国務大臣 そうではございません。外交上の問題を除きましても、台湾がWHOから抜けていくということは、中華人民共和国が台湾におけるいろいろな疾病の状況その他の報告もできるという状態になれば私はけっこうだと思うのです。しかし、まだそうなっておりませんから、台湾からの、いままでのWHOとしての義務は果たしてもらわないと、隣接している日本としても困る。台湾を除外をするということは、日本としても困るという立場であります。したがって、この決議案には、賛成もしがたいし、また反対もしがたいというので、棄権をしたということでございます。
○川俣委員 それでは、もう少し聞いて理解を深めたいのだけれども、この問題は非常に重大だと思うのです。そこで、閣議にこの話が出たのですか。
○斎藤国務大臣 閣議には出ておりません。
○川俣委員 それでは、現地に指示したということは、外務大臣と厚生大臣とだけの話の指示ですか。
○斎藤国務大臣 さようでございます。
○川俣委員 この問題はこれで打ち切りますけれども、閣議の問題ですが、きのう、きょうからの報道では、一応厚生省のいう抜本改正なるものができたと一斉に報道されておるわけであります。これが十二日の閣議というとあしたですが、あしたの閣議で決定を見て、近く国会に出す、こういうように報道されているのだけれども、これはでたらめな報道じゃないと思うが、大臣、そのとおりですか。
○斎藤国務大臣 さようにいたしたいと思って精力的に努力をいたしているわけであります。
○川俣委員 そうすると、三月十七日、本会議でこれが上程された際からも、私の質問は、赤字問題だけを取り上げないで、抜本改正の問題と同一線上で一緒に考えなければ無理なんだという考え方を出したら、大臣はどう答えたかというと、大臣そういう考え方だ、ただし抜本改正はいま答申を待っておるのだ、お待ち願いたい、こういうわけだった。これから国会に上程されても、会期は二十六日まででしょう。そうすると、抜本改正は提案してみるだけというように解釈していいのですか。
○斎藤国務大臣 まことに会期が迫って申しわけないのでございますが、ひとつできるだけ御審議を願って、そして最後の結論を出していただきたい、かようにお願いをいたす次第でございます。
○川俣委員 私は理事じゃございませんから舞台回しはわかりませんけれども、きょう上程されたって、衆議院で検討して、参議院にはとうてい間に合わないのじゃないですか。その辺大臣は提案責任者として、どうこれに対処しようとするのか。
○斎藤国務大臣 提案責任者といたしましては、非常に御無理だと思いますが、その無理をひとつぜひお願いをいたしたいというのが私の立場でございます。
○川俣委員 お願いする——それは検討はやぶさかじゃないけれども、無理だろうというのですよ。会期が二十六日だから無理だろうと言っているのです。どうなんですか、これは。
○斎藤国務大臣 その無理を何とかしてもらえないかというのが私の立場でございます。
○川俣委員 これは無理を何とかせよといったって、忍術じゃあるまいし……。しかも、まとまり上がったような抜本改正というのは、抜本改正とはいえないと思うのですよ。答申だってほとんど取り上げられていないし、内容的に大臣どうなんですか。
○斎藤国務大臣 内容の問題は、できるだけ答申を尊重をいたしたい。そのために、当初の段階で審議会に諮問をいたしました案を、この際一挙にやるということは、答申の趣旨に反しますので、したがって、答申の趣旨に沿うようにいたして提案をいたしたい、かように存じております。
○川俣委員 あれが答申に沿っているというふうに見えるのですか。そういう考え方なら全然話にも何にもならないと思うのですけれどもね。とにかく技術的にも内容的にも全然話にならない。それじゃ大臣はどうしても、いまとなっては、この赤字問題を切り離したいきさつからいっても、テクニックからいっても、この赤字の解消だけにひとつ全精力を費やしてくれという、こういう考え方なのですか。
○斎藤国務大臣 私は両方をお願いいたしたい、かように思っております。
○川俣委員 私は、何ぼお願いをされたって何たって、無理だと思うのですよ。赤字問題だったら、これはいろいろあると思いますよ。社会党だって本会議で二〇%という国庫補助も考えているわけだから、そういう考え方でいけば煮詰まるかもしれぬけれども、抜本改正もこれから出して一緒に上げてもらいたいという気持ちは、大臣そのとおりですか。これはテクニック的に無理だと思うのですよ。
○斎藤国務大臣 そこはひとつ何とかよろしくお願いいたします。
○川俣委員 それは大臣、哀訴嘆願的な発言じゃ、法案審議ですからね。大臣に影響するものだけの問題なら、この委員会だって斎藤大臣がお願いだからというので……。ところが、これはみんな国民一般に影響する大きな法案であるし、比較的弱い立場の中小企業に働く人方に影響する問題であるだけに、何とかというもみ手だけじゃちょっと無理なんで、私はもう少し、本論に入る前に、やはり抜本改正と赤字問題というのは切り離して、ひとつ進めてほしいという気持ちがあるのかどうか聞いてみたいのです。
○斎藤国務大臣 御審議は委員会を中心に国会側でやっていただくわけでありますから、その点はひとつ委員会で政府の意のあるところも考えていただいて、できるだけ政府のお願いを聞いていただけるようにお願いいたしたい、かように思います。
○川俣委員 政府の意のあるところという気持ちがわからないのです。もう少し教えてもらいたいのです、政府の意のあるところを。
○斎藤国務大臣 政府といたしましては非常に無理だということは重々承知いたしておりますが、しかしその無理なところを……(川俣委員「だから、何が無理だかと言うのですよ」と呼ぶ)会期が短いところをまことに御無理でございますが、そこをひとつおくみ取りいただいて、この国会で結論を出していただきたい、かように思います。
○川俣委員 そうすると、やはりあした閣議決定を見る抜本改正を含めて無理なところをひとつ頼むということなのか、提案されているこの法案も会期から見て、かなり無理だと思うから、どっちのことを言っておるのですか。
○斎藤国務大臣 両方でございます。
○川俣委員 これはとても無理だと思います。そういう考え方であればこの審議はとても無理だと思います。先に提案された赤字問題というものを取り上げて、どうしても別に審議しなければならないという政府の意のあるところということであれば、まだ理解できます。抜本改正も含めて意のあるところということになると、これは無理だと思うのですけれども、どうなんですか。
○斎藤国務大臣 財政対策は、実は四月一日から実施をいたしたいということで提案をいたしております。もうその時期は終わりましたが、それほどに緊迫をいたしております。抜本改正も四十八年度から実施ということでお願いをいたしておるわけでございまして、したがって、これに間に合うようにひとつ提案をいたしましたら、御審議をいただきたいと思います。
○川俣委員 そうすると政府としては、大臣の気持ちは、やっぱり四月一日から実施したかったということもあるし、この赤字のほうの財政問題だけを取り上げて、まず最初にやってもらいたいという、これが意のあるところですか。どっちが先かと言ったら、これだけは先にやってもらいたいということですか。
○斎藤国務大臣 順序から言いますと、財政対策を——四月一日からと言っておるのをもう一カ月おくれましたけれども、これを審議をしていただき、それから抜本改正は、四十八年度から実施をできるように審議をしていただきたい。
○川俣委員 そうすると問題は、赤字、赤字とこうなってきたのは、前から各委員方が言っているように、いままでほっておいたから赤字になったんじゃないか、政府の怠慢だということで本会議や何かでずっと言ってきているわけです。そうなれば、やはり抜本改正が主目的だと思うのですよ。しかしそれに到達する一つの手段で、いまの赤字対策も考えなければならない、こうなれば、政府のほうで赤字対策にかなりのものを持ってこなければ抜本改正の審議には乗られないじゃないですか。この赤字というのは、どっちかといったら政府がいままでほっておいたからであって、だれが見ても、できなかったと政府は言うけれども……。 そこで、それじゃ国庫補助の五%というのは、定額から定率にした五%というのは、別に根拠はないのだ、この五%そのものに。前からの各委員方の質問から聞いてみると、そういうように受け取れるのだけれども、五%そのものには大した根拠はないのだ、できれば大蔵省はもっと出したいのだ、こういうことなんですね。
○斎藤国務大臣 五%問題はこの前にもそういう御議論がございました。政府が何とかしなければならぬという中に、とにかく累積赤字をたな上げをして、これは一般会計から解消をいたしますと、これも大きなことでございます。それに今度の五%は、これはいままで定額補助であったのを定率補助に直します、それが十分であるかないかという御議論であると思うわけでございますが、大体健康保険は、国庫補助というものをあまり前提にしないで出発をしているわけでございます。しかしながら、まあ足も弱いし赤字も出やすいというので、いままで二百二十五億の定額補助をいたしておりました。これはやはり医療費が、医療給付がふえてまいれば、それに相応するだけの補助をする必要があるのではないか、定額を定率に直すのが筋ではないか、かように考えて定額を定率に直したわけであります。 しからばその定率は、いままでの二百二十五億であった、そういった当時の医療費総額と、それから国庫負担の割合というものを考えてみますると、五%という数字は必ずしも低い数字ではない、ここらが適当である、かように考えて提案をいたしたわけでございます。
○川俣委員 それは根拠というものではなく感じだと思うのだけれども、大臣の感じだと思う。五%というものは、この程度なら低いとは思わないという根拠はないと思うのだ。ある一つの根拠は、この間参考人を呼んで——まだ会議録ができてないと思うのですけれども、各参考人の意見というのは大臣その後聞かれましたか、どういう意見が出たか……。
○斎藤国務大臣 参考人の意見の中には国庫補助をもっとふやしていただきたいという意見もあったというように聞いております。 それから根拠がないとおっしゃいますが、根拠は先ほど申し上げましたように、いままでの定額を定率に直す、そしてこれがまあ五%ということであれば、いままでの医療費に対する、給付費に対する国庫負担の、ここ数年やっておりましたその割合から考えますると、いままでよりも低いというよりは、若干プラスをした定率の国庫補助になる、こういう考えであります。したがって、その考え方は、いままで定額補助をしておったという考え方を定率に直したということでございます。昨年度に比べれば、これは約六七%かの増になりますが、かつては医療費総額がもう少し少なくて、二百二十五億のときに比べると、六七%の増ということにはなりませんけれども、昨年度に比べると六七%の増で、そうして国庫負担といたしましては、いままでの定額に比べても若干の増加である。この程度が適当だというのが根拠でございます。
○川俣委員 昨年に比べて上げた、こう言われるんだけれども、いままで数年間ほっておいたわけでしょう。それは全然上げたというものじゃないですよ。いままでの穴埋めを一部やったという程度の金額でしょう。この三百何億というのは。だから、やはり根拠というのはうそでもほんとでも積み重ねて、数字からずっと追っていかなきゃならぬですよ。 さっき大臣が、各参考人はやはり低いではないかという意見もあった——この意見だけでした。むしろこの五%は高過ぎるとか、ちょうどいいと言う人は一人もいなかったわけですよ。そこで、パーセントを示した人は、厚生省の方々聞いていたと思うんだけれども、一四%がいいんじゃないかと審議会の近藤会長代行さんが言っておりましたね。あの三段論法的な根拠はどう思いますか。これは大臣でなくても、考え方を聞いていた人でけっこうです。
○戸澤政府委員 一四%という御意見の説明としましては、何か国庫負担率、調整交付金を除いた四〇%という国庫負担率の半分の七割ということでもって一四%というようなことを言われたようでありますけれども、その根拠の真意はちょっとわかりかねます。
○川俣委員 これは全然部外者というか、きわめて厚生省から離れた人が言うのじゃなくて、審議会の会長代行さんが私らに教えてくれたんですよ。二回聞いたんだけれども、かなり自信を持って言ってくれたから、あなた方が知恵をつけた数字かと思うんです。 それでは一四%になるとどのくらいの金額になりますか。
○戸澤政府委員 一%は約八十億足らずでございますから、一四%にしますと、約千百億程度の増になります。
○川俣委員 厚生省は、この五%云々という原案をつくったのは、去年のいつごろですか。
○戸澤政府委員 四十六年度の予算編成の際につくって、昨年の六十五国会に提出いたしました改正案の中で、そういう考え方を打ち出しております。
○川俣委員 その後五%について再検討するという時期があったわけですか。
○戸澤政府委員 昨年、本案は審議未了に終わったわけでございます。その後四十七年度の予算編成、それから法案の作成にあたりましては、いろいろ国庫補助以外の諸対策を織り込んで考えたわけでございます。そういう諸対策のバランス上から見まして、国庫補助五%というものは、ほぼ適当な金額であろうということでもって決定いたしたわけであります。
○川俣委員 そうすると、当局の手を離れるときから、初めから五%だったのか。やはり予算を作成する際には、いわゆる社労委員というのがいるわけだから、与党にも実力者がいるわけだから、その人たちとこの五%というのは話をしたわけですか。それとも全然独自で厚生省でつくったのですか。審議会は全然無視しているのですから、聞 いてみたいです。
○戸澤政府委員 もちろん予算の編成それから法案の作成につきましては、政府・与党一体となって決定いたしたわけでございますから、党のほうとも相談をいたして決定いたしたわけであります。
○川俣委員 一説によると、自民党の中でも五%が低過ぎるじゃないかという意見が圧倒的だというのですが、どうですか。これを私があなたに聞くのは、与党に相談したというお答えだから聞くのですよ。
○戸澤政府委員 個人的には、いろいろな御意見がございますが、しかし保険については、保険料本位に考えるべきであるというような御意見もございます。しかし総合的に考えまして、政府・与党の意見の一致を見たところが、その線でございます。
○川俣委員 問題は、いままでの赤字というものをたな上げするというんですね。このいままでの赤字をたな上げするということに対して、まだ審議のしょっぱなですが、それでも与党の方も質問し、野党も二人目ですが、政府と厚生省では、ある程度流動的にこの法案というものを考えておるわけですか。これは絶対動かせないというように哀訴嘆願の姿勢ですか。大臣どうですか。
○斎藤国務大臣 政府といたしましては、これが最も適当である、こう考えて御提案申し上げておりますので、その点を踏まえて御審議をいただきたいと存じます。
○川俣委員 与党と相談して去年やったというし、一部の与党の意見だ、こういうのだけれども、やはり優秀な山下委員が一番先に出て、これは低過ぎるじゃないか、こう言っておるのですよ。野党の私が言っているのじゃなくて、与党の山下委員が言っているのです。低過ぎるじゃないか。一〇%程度という説も非常に多い云々ということを言っておる。あなたはさっき与党と十分相談して五%ときめて法案をつくったと言うが、ちょっとこれ、どう解釈していいのですか。
○戸澤政府委員 五%の国庫補助につきましては、先ほども説明がありましたとおり、過去の補助金のリストも考慮してきめたわけでありますけれども、今回の財政対策につきましては、そういういろいろな方策を打ち出しているわけでございまして、保険料率の引き上げに伴って国庫補助を連動式に〇・四%ずつ上げていくというような規定もございますし、それから約二千二百億に及ぶ累積赤字をたな上げをして、これを一般会計でもって償還していくというような画期的な対策も打ち出しているわけでございます。二千二百億の累積赤字のたな上げ、これを十年間でもって償還するとなれば、毎年二百億以上の国費支出になるわけでございまして、そういったことを総合的に考えますと、政管健保に対する国の援助のあり方としては、決してそう低いものではない。この辺が適当であろうというようなことでもって総合的に判断した結果、こうなっておるわけであります。
○川俣委員 どうも、いままでの怠慢の結果の赤字をたな上げしてもらえるのだということに対して、あまりにも卑屈になっておるのじゃないか。当然だよ。こんなもの。みんなたな上げすれば一番いいのだけれども……。ただ、たな上げの話で、審議会の答申によると、政管健保の「累積赤字を棚上げし、その償還財源に当てるため、一般会計より補てんする措置は、一応評価できるが、これに伴い累積赤字の解消が将来保険料収入の一部で補てんされることのないよう法文的にこれを保障し、負担者側の不安を除くべきである。」こう書いてある。それじゃ、これは大蔵省の問題ですが、厚生保険特別会計法にはどのように書いてあるのですか。法文的にどう書いてあるのですか。
○渡部説明員 累積赤字のたな上げにつきましての法的な措置の内容でございますが、厚生保険特別会計におきましては、特別会計法の十八条ノ九の規定によりまして、四十七年度以前に生じました損失に見合う借り入れ金の償還及びその利子の支払いに充てるために、一般会計より繰り入れすることができるという規定を設けているわけでございます。 さらに、厚生保険特会法の十八条ノ八、第二項によりまして、四十七年度末における借り入れ金の借りかえができるという規定が入れてございます。 さらに、健康保険法の一部改正法附則第六項におきまして、保険料率の弾力的調整権限の発動要件におきましては、四十八年度以前に生じました不足を算入しないということを明らかにしておるわけでございまして、この三つの規定をもちまして、政管健保の累積赤字を四十七年度限りでたな上げし、それを一般会計で見るという法的措置を担保しているわけでございます。
○川俣委員 そうすると、やはり審議会で心配して答申してくるのも無理ないと思うのだけれども、これは、この法案が通れば、いままでの赤字の累積を将来黒字になったときに一切払わなくてもいいのですね。これ、だいじょうぶですね。この法律の保障があるわけですね。
○渡部説明員 黒字になったときに、一切見なくてもいいという点でございますが、黒字というものが保険料の引き上げによって生ずるか、これはいろいろな要素があると思いますけれども、その点につきましては、法律上はっきりさしておりますことは、先ほども言いましたように、健康保険法の一部改正法の附則第六項におきまして、将来の収支の不足に充てるために保険料率の弾力的調整権限が入っておるわけでございます。その発動のためには、四十七年度以前に生じた不足を頭にカウントして保険料率の上げ幅をきめることをしないということを明らかにしておるわけでございますから、そうこう意味で、過去の累積赤字を消すために保険料の引き上げをしないということを法律的に担保されておるわけでございます。
○川俣委員 過去の借金を返すために上げろということは書いてないけれども、千分の七十三から千分の八十まで長官の権限でできるわけだから、やり方によっては、借金を返すために上げるのだが、いろいろテクニックがあるわけです。 簡単に聞くけれども、これを一切永久にたな上げが法律的に保障できるのかということです。
○渡部説明員 永久にたな上げという意味がちょっとはっきりいたしませんが、先ほど来申し上げておりますように、法律上の規定といたしましては、まず、厚生保険特会におきまして、四十七年度以前に生じました過去の累積損失につきましては一般会計から繰り入れすることができるという規定があるというのが第一点です。 それから今後保険料を引き上げる場合、それのカウントする収支といたしましては、単年度収支でいく、要するに四十七年度以前の累積損失はカウントしないということを明らかにしておるわけでございます。 それともう一つは、今後は新規の借り入れを限定しておりますけれども、四十七年度以前分の借り入れにつきましては、借りかえすることができるという規定を設けておることによりまして、われわれは法的に累積赤字のたな上げの措置が担保されておるというふうに考えます。
○川俣委員 それは、厚生省がいままでの赤字をたな上げしてくれるのだから、こういうあれが非常に強いわけだけれども、五%は低いとみんな思っているわけだ。だけれども、いままでのやつをたな上げしてくれるならということで、大蔵省に気がねの発言もあるわけだ。だから問題は、いままでの赤字は一切将来ずっと永久に大蔵省の一般会計で責任を持ってくれるということなのかというのだよ。簡単に聞くから、簡単に答えてくれ。
○渡部説明員 規定の趣旨は、そういうことでございます。
○川俣委員 そこで、大臣、このくらいの法案で、千三百億というのが出る。それでもちょっぴり赤字の計算でしょう、今回の法案を見ると。そうすると、ここ十年間の罹病率というのは、厚生省の統計によると二倍になっているのだけれども、それに公害だ何だと、ものすごく罹病率が出てくると思いますよ。そうすると、この程度の財政対策ではだめだと思うのですよ。したがって赤字が、政府が一四%ぐらい上げてきれいになった、ゼロから始まるといった場合に、いままでのような考え方で政府管掌の健康保険を管理しておったら、だめだと思うのですよ。そこに抜本改正というのはあるのだから、やはり治療より予防というところに力を入れなければ私はだめだと思う。治療より予防という考え方ですね。 ある人が、病気に二千万かけるより、二千万予防に金をかけたほうがはるかに効果があるという数字を出した資料があるんだ。予防というものに力を入れるという考え方を抜本改正としてどう考えておりますか。
○斎藤国務大臣 予防それから健康管理、これは今後ますます必要になってくると思います。 そこで、これは健康保険の分野というよりは、むしろ一般の厚生行政、国民の健康管理体制というものを整えていくことがまず肝要だ、かように考えます。本年も個所はわずかでありますが、府県に健康管理センターというものもつくってまいる、これは手始めでございますが、そのほかに一般的に予防、管理を強化をいたしていきたい、かように考えます。また、政管健保の中におきましても、この政管健保の管理、運用というものについて、いままでよりももっと強化をいたしてまいりたい。そして、政管健保の中においても、いわゆる職場における疾病の予防、管理というものを強化していきたい、かように考えております。
○川俣委員 どうも予防は一般的なもので、一般的な厚生行政だというふうに聞いたんだが、予防は医療だと思いますよ。その点どうなんですか。
○斎藤国務大臣 医療でございますから厚生行政の範囲内でございます。医療のすべてをこの健康保険法というものでやっておるのではございません。医療はいまおっしゃいますように、予防から健康管理から、リハビリから、医療の範囲は非常に広いわけでございます。その中で、保険として取り入れるものは何かというので、それは疾病の治療ということで保険ができておることは御承知のとおりであります。したがいまして、この健康保険の分野のそこにおいても、いまおっしゃいますように、国民の健康管理体制というものは非常に肝心でありますから、今後は一そうこれを強化をしてまいらなければならない、かように考えております。
○川俣委員 どうもそういう考え方だから、だめだと思うのですが、いままでは沖繩では、予防医療はほとんど公費負担ですよ。今度は無理やりあんな条件で復帰したために、健康保険の体制の中に入れられると、いままでの公費負担がなくなってしまう。そこで、一説によると厚生省はいま前向きで予防給付というものを考えておるということですが、そういう前向きの姿勢があるんですか。
○斎藤国務大臣 保険の中で予防給付というものを大幅に前向きにやるというよりも、予防はやはり私は公費でやるのがたてまえである、かように考えております。
○川俣委員 これは非常に進歩的だと思います。これはずっと歴史的にこの社労委員会で決議されているんだ。予防給付を保険で考えろ、——事務当局いいですか、お聞きしておきたい。
○戸澤政府委員 医療保険は、一義的には疾病とか傷病とか死亡とか、そういう偶発的な、いわゆる保険事項に対して、これを給付を行なうというのを本来のたてまえにしているわけでございますけれども、しかし、そういう医療保険を実効あらしめるためには、予防的な見地からいろいろな健康管理あるいは予防活動、そういったものをあわせて行なうことが望ましいことであるわけでございます。 したがいまして、保険制度におきましては、保険給付としては、法定給付としてはやっておりませんけれども、保健施設活動、そういった福祉事業として行なっております。特に健康保険組合においては、そういう面の活動はかなり活発にやっておりますが、政管はそれに比べますと、まだ不十分ではございますが、ある程度のそういう保健施設活動を行なっているわけでございます。
○川俣委員 政管も低いんだけれども、ある程度やっていると、こういうのだけれども、それじゃひとつ組合健保と政管健保との保健施設費の状況を聞かせてみてくれないですか。
○穴山政府委員 疾病予防費につきましては、大企業で構成されております健康保険組合の場合と、中小企業を対象にしております政府管掌の健康保険の場合とは、だいぶ格差があるわけでございまして、残念ながら、その点は率直に私どもも認めざるを得ないわけでございます。いままでは御承知のように、私どももやらなければいけないとは思っていたわけでございますけれども、赤字が続いておったようなことで、なかなか手が回りかねるというような面もございました。財政の安定がもたらされたときには、この点には飛躍的な充実をはかっていかなければならないと思っております。
○川俣委員 数字をもって示していただきたいのですけれども、総額的に、一人当たり的に、組合健保との比較ですね、率直にひとつ教えてください。
○穴山政府委員 保健施設費の中にはいろいろな費用がございますが、いま先生の御質問で一番ぴったりするのが疾病予防費だと思います。四十六年度の政府管掌の健康保険では、疾病予防費が約九千万でございます。それから組合健保につきましては、これは各組合全部トータルいたしますと、約百三十億ぐらいになります。一人当たりの金額に直しますと、政府管掌のほうが組合健保の約百八十分の一ぐらいにしかまだなっていないということでございます。
○川俣委員 そうすると、九千万と百三十億、これは一人当たりになるとどのくらい違うのですか、参考までに聞いておきたい。
○穴山政府委員 政府管掌のほうは約千三百万ございますが、一人当たりに直しますと約七円でございます。それから組合健保のほうは約九百万ないし一千万ぐらいの被保険者だと思いますが、千二百七十円ぐらいになります。したがって、この差が約百八十分の一ということでございます。
○川俣委員 大臣、いま聞きましたか。三割とか五割じゃないですよ。一人当たりの疾病予防費が片や七円だというのです。片や千二百七十円だというのです。大臣これどう思いますか。低過ぎるというもんじゃないですよ。百八十分の一だというのですよ、どうです、これ。
○斎藤国務大臣 まあ政管健保におきましては、いま申しましたように非常に財政か苦しいために、そこで、いまおっしゃるように非常に低いというのが事実であります。これをやはりある程度は高めてまいらなければならないと思います。
○川俣委員 ある程度高めていかなければならないと言ったって、この法案じゃどうにもならないだろうと言っているのですよ。片や七円だというんだ、疾病予防費が片や千二百七十円だというのだ。これは同じ日本の国の国民の違いですよ。どうですか、もう少し何か考え方を出してくださいよ。
○斎藤国務大臣 ただいまの比較は、はたして正しい比較であるかどうかわかりませんが、聞きますと、たとえば健康保険病院の整備費等も入れているというわけで……。
○川俣委員 整備費は入っていないはずだよ。
○斎藤国務大臣 これはおっしゃられるように非常に低いわけでありますから、今後これを高めてまいりたい、かように考えます。
○川俣委員 いよいよ末期的症状の内閣だから、しょうがないと思うけれども、弱い立場にある人方だから、厚生省の事務局で言っているように政府管掌というやつは。片や七円、片や千二百七十円というのは、あまりにも——人間尊重の総理大臣だから、閣議にこういう話出ないんですか。出したことはないんですか。
○斎藤国務大臣 私はそういう意味で、国民の健康管理というものは保険で主としてやるという考え方はどうであろうか、公費でやるべきである、かように考えます。ただいまの相違は、とにかく組合健保ならば、たとえば法定給付をやるについて千分の五十以下でやれる。政管健保は千分の七十であってもなお足らない、そういうところに、こういった法定給付以外の疾病予防というものに手が回せないというのが、いままでの現状であったということでございます。 そこで、私は、今後もっと公費の健康管理を十分にやっていくと同時に、抜本改正を認めていただければ余裕もできてくるであろうし、したがって、疾病の予防ということも給付としてではなくてもやれるであろうし、またやらなければならぬ、かように考えております。
○川俣委員 とにかく政管健保、組合健保、この二つだけ比べても、百八十分の一だというんだ。条件も違うんだろう。条件の差があるんだろう。厚生行政としては平等に扱っている——いずれにしても条件が違うんだから差があるわけでしょう。差をいってください。偶然こうなったんじゃないんだよ。
○穴山政府委員 御質問の趣旨ちょっと取り違えているかもしれませんけれども、いま申しました、たとえば健康診断とか予防接種とかいわゆる保険施設費の差がどうしてここまで格差が開いたかということにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、いままでできるだけこういうことはやらなければいけないとは思っていたわけでございますけれども、逐年赤字が累積をしていくという状態下で、できるだけ予算を計上いたしましてやっていこうとしたわけでございますが、なかなか十分な予算が計上できなかったということでございます。
○川俣委員 いろいろと弁明するんだろうけれども、とにかく現実は同じ厚生大臣が厚生行政をやっていて、国民が片や七円の疾病予防費、片や千二百七十円の疾病予防費、こういう状態だ。 それで大臣は予防費というものは保険財政の中で云々と言ったのですけれども、公費負担だというのは、たとえばどういうことですか。厚生省は公費負担で何をやっていますか。
○滝沢政府委員 現行の疾病予防対策につきまして御説明申し上げますと、妊産婦につきまして約八十五万人、乳幼児につきましては百八十万人の健康診査を実施いたしまして、四十七年度の予算は四億七千万、四十六年度四億五千万の予算でございます。結核予防対策にかかわる健康診断は三千八百三十万人実施いたしまして、四十七年度予算は十二億でございます。成人病対策の中では胃ガンの検診が二百十七万人、子宮ガンの検診が五十六万人、脳卒中対策が、厚生省予算が関連あるものが十五万人、その他地方で実施しているもの等は集計が困難でございまして、数字を申し上げられませんが、広範に実施されております。この厚生省予算が四億八千万。老人福祉法に基づく老人の全国一斉健康診査費としては五億五千万でございまして、百六十万人に実施されております。そのほか三歳児健康診査が約二百万人に実施されておりまして、一億九千万でございます。 総計いたしまして約二十九億程度でございますが、補助率はほぼ三分の一でございまして、これに基づいて都道府県、市町村等それぞれ法に基づくもの、あるいは予算措置で実施するもの等が、現行行なわれております疾病予防対策の概要でございます。
○川俣委員 いわゆる地域住民の健康管理が入るわけだけれども、それは保健所を通してやっているわけだね。
○滝沢政府委員 法律上、たとえば老人福祉法は市町村が実施責任になっておりまして、市町村が医療機関等を利用して実施している例もございますが、実施困難な地域につきましては、保健所が協力いたすことになっております。結核予防法も市町村の実施責任が大部分でございますが、患者家族等の健康管理は県知事が実施することになっております。妊産婦、乳幼児等につきましては、ただいまのところ原則としてはまだ市町村に移管しておりませんで、保健所が中心でございまして、保健所の業務はこのような予防対策全体というものを実施するのに、われわれの現状の力では十分でないということが、今後のこれを改善していく課題であるというふうに思っております。
○川俣委員 大臣、地域住民の予防というのは保健所だと思いますよ。ところが保健所というものについて社労委員会で長年ずっと検討されているのですね。近く保健所問題懇談会ですか、これは厚生大臣の私的諮問機関ですが、これは実際いつごろどういう結論を、内容はどういうものが出るのですか。差しつかえなかったら、教えてくれませんか。これは大臣どうですか。
○斎藤国務大臣 川俣委員のおっしゃいますように、国民の健康管理は保健所が中心という考え方はそのとおりでございます。保健所の機能はまだ十分でない、人的な充実も十分でない。これを今後どういうようにやって、そして今日の国民健康管理に即応するようなものに持っていくかというので、いまおっしゃいました厚生大臣の私的諮問機関である保健所問題懇談会というので、いまやってもらっているわけでございます。最終的に到達するのには若干の年時を要すると思いますが、さしあたっての問題は、次の予算編成に間に合うまでに当面の結論を出していただきたいということで進んでいるわけでございますが、詳細は局長からお答えいたさせます。
○滝沢政府委員 保健所問題懇談会につきましては、昨年十月以来回を重ねまして、ただいま十五回開催いたしております。およその結論のめどは六月末を目途にいたしまして、委員の方々に精力的におまとめをいただいているわけでございます。 内容につきましては、一つの問題点の基準になります点は、行政管理庁が保健所行政に関する行管の勧告をいたしておりまして、その考え方は、審議の中で十分討議されてしかるべき一つのものであると思いますし、また実態をかなりついているものと思います。 その中で大要を申しますと、やはり保健所の実施体制には、それぞれの保健所にまんべんなく同じような機能を持たしても、これは無理なんだ、地域の特性に応じて、もっと集中的にやるような業務は集中した保健所をつくりなさい、それからもっと住民サービスを中心に考え、保健所はもう少しさらにきめこまかく設置して対応すべきじゃないか、こういうような点が基本になっております。 そのほかそれぞれ、たとえば政令市というものは、昭和二十三年に法律制定当時、政令市というものを定めたまま拡大いたしておりません。ところが、政令市で定められた市が保健所を持ちますと、これはやはり市長みずから市民の保健衛生に努力されるという観点もございまして、実績としては、非常にいい成果があがっておりますので、行管の勧告の中にも、政令市の保健所をもっとふやすべきではないかというような問題点も触れております。 そのほか、それぞれ個々の業務について、たとえば公害対策等についての保健所の役割りを明確にしなさいというようなこと等を触れまして、あるいは保健予防対策の中では母子保健の業務は市町村に移せるものは移しなさい。それから結核の健康診断のようなものは保健所が手一ぱいの場合はもっと医療機関そのものを活用するようにすることを考えるべきではないかというようなことも触れておる次第でございます。それから保健所業務はあまりに盛りたくさんのものをしょい過ぎているから、もっと重点指向をすべきである。その重点の中にはやはり結核は重要である。それから精神衛生対策が今後重要になっていく。それから母子保健は、市町村が十分やれればけっこうであるけれども、やはり今後の保健所の業務としては、母子保健事業というものは依然として重要である。こういうような焦点をしぼった業務というものを、まあ対人保健サービスと申しますか、健康診断的な業務としては指摘いたしております。 以上のような行管の勧告というものを、やはり中心にいたしまして、保健所のあり方というものについて十分御検討願い御答申をいただいて、それに沿って四十八年度以降対策を具体的に進めたい、こういうふうに考えております。
○川俣委員 行管の勧告をいまずっと読んだけれども、どうもそれはちょっと違うよ。 保健所というのは、集中管理制というのはサービスにならないんだ。いいですか。静岡県でやったじゃないですか。失敗したじゃないですか。大失敗でしょう。地域住民というのは入っていかなければだめなんだよ。ここへレントゲンをとりに来いといって大きな都市に何ぼりっぱな設備を置いたってだめなんですよ。局長は、集中管理しなければならない、片やきめこまかく、それはどっちなんだ。行管はそういうことを言っているのじゃないですよ。これはどうなんです。
○滝沢政府委員 ただいま御説明の中身が不十分でございましたが、集中的に実施すべきものとしては、かなり専門的な業務、たとえば特殊な検査業務であるとか、あるいは食品監視その他のことで機動的に活動することの可能なものは集中的にしなさい。きめこまかくすべきものは、いま先生の御指摘になったような健康相談、あるいは健康診断のようなものは、もっときめこまかく、場合によっては市町村に健康センターのようなものを考えるというようなことも各方面の御意見としては——行管というよりは、各方面の御意見として、市町村に健康センターのようなものをつくらせるべしという御意見も出ております。 その点、先生御指摘のように、先ほどの御説明の集中化と分散と申しますか、末端まで浸透する方向との内容の面が不十分でございましたが、そういう意味で行管は勧告いたしておりますので、この点については十分考慮する必要がある、こういうふうに考えております。
○川俣委員 これは局長、大臣が言っているように、予算がないし、人員不足でどうにもならないんだよ。それで各県では、衛生部長会議なんか開いて、これは何とかしなければならぬから、ひとつ三つ四つの市町村を合併させて、そういうような体制にいま動こうとしておるときに、(「保健所は整理しておるんだよ」と呼ぶ者あり)そうなんだよ。それを厚生省に言わせれば、予算がなくてどうにもならない、こう言うのだけれども、局長がそういう姿勢じゃいかぬですよ。やはりレントゲンだって、各所に分散されたほうがいいよ、ぼくから言わせれば。働きながら見てもらうんだもの。片や勤労婦人福祉法案を労働省は出している。働きながら見てもらえるという、安直に行けるところが各所にあるという体制が必要なんだ。いまの保健所を整備するという方向ならまだ話はわかる。いま各県は人が足りないから、集めるという姿勢なんだ。これはどうなんですか。
○滝沢政府委員 この点につきましては、検査業務ということばを使いましたので誤解があったと思いますが、人間のからだのほうの検査は先生おっしゃるように、なるべく末端まで浸透するように、もっと増加させるべきだ。それから公害とか、そういう測定とか、特殊の検査器具を使うような、やや専門的な検査というものは、各所に分散させるよりは集中的に考えたほうがいいという意味でございますので、その点については先生の御主張になることと、われわれが検討すべしと考えていることと一致しているというふうに考えております。
○川俣委員 現実は全然逆です。 じゃ一つの例を申し上げますと、例の食品衛生監視員、この数はいま何人いますか。
○浦田政府委員 食品衛生監視員は、昭和四十五年度末現在の数字でございますが五千四百九十五名、うち専任が一千二百五十二名でございます。
○川俣委員 それで、許可を要するもの、あるいは許可は要しないのだが、監視は常に必要だというやつがあるわけだ。こういった件数というか対象商店というか、これは何ぼあるものですか。
○浦田政府委員 許可を要する施設の数でございますが、総数で四十五年で二百三十一万三千三十六施設でございます。それから許可を要しない施設でございますが、これは同じく四十五年度末で百三十四万一千九百四十八施設でございます。
○川俣委員 そうすると、合わせて三百七十万。三百七十万というのは監視しなければならないものなんだね。
○浦田政府委員 さようでございます。
○川俣委員 そうすると、五千人で見るんだね、これは。
○浦田政府委員 先ほど申し上げました五千四百九十五名の監視員で、昭和四十五年度末の数字でございますが、監視を行なっております。
○川俣委員 何%ぐらい見ているのですか。
○浦田政府委員 監視の基準回数は業種によって違っておりまして、たとえば年に十二回、あるいは年に一回というふうに分かれておりますが、その基準回数に対しましての監視率を例で申し上げますと、高いほうでは、たとえば乳製品製造業関係では基準の倍、二二〇・八%、それから清涼飲料水あたりで八〇・一%、また低いほうになりますと飲食店営業、喫茶店営業あたりで一四%、あるいは一〇%前後といったようなものもございます。 基準回数をかなり下回っているということは事実でございますが、これらにつきましては、季節的に、あるいは機動力を発揮いたしまして、また業種を重点的にしぼりまして、できるだけ目標の回数に達するように努力しているところでございますが、人数その他につきましても、今後格段の努力をする必要があるとは考えております。
○川俣委員 大臣、これはやはり格段の努力が必要ですね。しかも五千人のうち専従が千何人じゃないですか。これは各地方に行くとやってないのですよ。全然野放しです、こういう体制ですよ。 それじゃ、保健婦の話をひとつ聞かしてもらいたいのですが、保健婦の実態はどうです、数その他。
○滝沢政府委員 保健婦の数でございますが、就業個所別に申し上げますと、総数が昭和四十五年度末で一万四千七名でございます。学校、養成所に従事する者が九十八名、保健所が六千三百五十四名、市町村の国保関係、国民健康保険特別会計所属が五千三百六十二名、都道府県職員として勤務するものが三十三、その他が六百四、あと病院診療所に保健婦としてつとめて、登録されている者が四百七十四、それから工場、事業場等で健康管理に当たるために従事している者が七百八十三名、その他二百九十九名で、合計一万四千人が保健婦の数でございます。
○川俣委員 保健婦は、人口割りにいうと、何人が基準になるのですか。
○滝沢政府委員 この点につきましては基準はございませんで、ただ、国民健康保健のほうの考え方としては、三千五百人に一人という指導的なお考えを持っておられます。われわれの、県を通じての保健所の問題については、実態といたしましては、割り返しますと、六千人で一億というようなことになりますと、八千人に一人くらいになってしまいまして、それは都市型と農村型で、人口に対する保健婦の割合は、地域的に計算しますと、かなり変わってまいりますけれども、いずれにいたしましても、当面少なくとも、五千人に一人という目標を達成するのに、いまの養成の状況では十年かかるというような実態でございます。
○川俣委員 大臣、こういう状態ですよ。保健婦一つだって、いまのやり方でいけば十年かかると言う。どんどん病気にかかる。病気には健康保険をかける。それより、やはり予防に金をかけるというのも一つの大きな方策じゃないですか。これは大事だと思うのですよ。 じゃ、保健婦の話がついでに出たけれども、国保の保健婦と、いわゆる保健所保健婦との調整というのは、地方に行くと、うまくいっていないけれども、どうなんですか。どう見ていますか。
○滝沢政府委員 この点については、三十五年に保険局長、公衆衛生局長の連名通知として、一つの指導通知が出ておりますが、先生がそれぞれの現地で見聞される中に、やはりうまくいっていないという問題があることも、私たちもまた現場で経験しております。しかし、うまくいっている実態も承知いたしておるわけでございます。基本的には、保健所長は市町村におる保健婦も指導することができるようになっております。それから業務上の協力ということが最も大事でございますが、これは原則として各保健所月一回、管内の保健婦の連絡会議を開いております。 この点については、人間関係その他給与の問題等ございまして、保健婦の社会にいろいろの考え方があるようでございますが、私はやはり県職員の身分であり、国保の身分であっても、もっとお互いに処遇はよくしていく必要があるというふうに考えまして、必ずしも身分の一体化を——全く同じ県職員に全部してしまわなければならぬという考え方はとる必要はないと思いますいずれにいたしましても、業務上協力できるのに、そういう人間関係あるいは気持ちの上で一体化がはかれるような処遇の改善はぜひとも実現したい、こういうふうに考えております。
○川俣委員 うまくいっていない大きな理由は、やはり数が少ないからです。忙しくていらいらする、女であるし。これが大きな原因ですよ。どっちかといったら、一番大きい原因だな。それで、保健婦さんのかっこうをして机にすわりっきりの人がいる。 それで、行管の方、来ていらっしゃいますね。ちょっと聞きますけれども、どうも、保健婦ということで雇って——国保のほうだけれども、村役場が、三分の一の補助をもらえるものだから、雇っていながら、一般の保険事務をやらせっぱなしのところがあるように見えるのだけれども、行管、どうですかな。
○石黒説明員 お答えいたします。 ただいまの件につきまして、保健婦が実際に、まるっきり保健活動をやっていなくて、しかも衛生関係の仕事をやっていないということであれば、あるいは御指摘のとおり流用ということになろうかと思います。
○川俣委員 そういう実態はいまありませんか。
○石黒説明員 いままで、われわれのところに入りましたあれでは、承知しておりません。
○川俣委員 行管は、地方で、堕落したいまの政治の中でも、きわめて姿勢正してやっていると好評なんだけれども、この面はある程度調べてみる必要がある。やはりかなり人不足だし、そして現に補助金だって、昭和二十六年から交付税に切りかえられて——たとえは監視員の問題ですがね。そうすると、交付金になると、どれに使ってもいいものだから、ひもがあまりつかないものだから、そういうきらいもいまはあるのじゃないですかな、局長。
○滝沢政府委員 いまの保健婦の勤務の問題は、私は過去の——過去といっても十年以上前、私が地方で行政を経験したときに、確かに市町村役場の保健婦の活用のしかたに問題点があることは、保健婦みずからがこの点を指摘し、保健婦の会合その他においてわれわれにも訴えられて、市町村をいろいろ御指導申し上げて、できるだけそういうものを排除したわけでございますが、最近は市町村の保健衛生に対する考え方もかなり明確になり、活動の要望も強くなってまいりましたので、過去のような実態というものは、きわめて特殊な地帯以外はなくなって、保健婦は保健婦なりの活動ができておる、私はこういうふうに考えております。
○川俣委員 それにしても、もう一ぺん確認するけれども、国保の保健婦に全然あなたは聞いてない。
○石黒説明員 私、監察官になりまして以来、まだ現在聞いておりません。
○川俣委員 これはなければいいことですから、私からも一ぺん要望しておきますけれども、どこかをピックアップして——これは役場が苦しいだけに、財政がないから、そうやらざるを得ない。それほどいろいろと末端では混乱しておりますから。大臣、これはなぜかというと、不足から来るのです。不足なんというものじゃない。とにかく予防体制なんか全然ない。だからさっき言ったように、いま衛生部長会議で集中管理しようとする動きがあるのです。人が足りないから。 ところが、保健所問題懇談会で六月ごろ答申する、こう言うのだけれども、私の見るところでは、いま一生懸命に衛生部長会議を各県でやっているみたいだから、これを早くやらないと困ると思うのですよ。それに対して、これは局長でもいいです。もう一度整理して、ゆっくり、どういうことを諮問したのか、どういうように諮問したのかその姿勢、どういう問題を審議しているのか、差しつかえなければある程度ここに披瀝しておいてください。いまこの衛生部長会議というのは、たいへんな方向に行っている。それはなぜかというと、反動的に言っているのではないのです、私の言うのは。誤解しないでください。人が不足だからです。予算がないからです。
○滝沢政府委員 その点につきましては、先ほど静岡の例が引かれたわけでございまして、人口の少ない管轄区域の保健所を統合いたしまして、機能を強化した上で、機動力を持って、それぞれにサービスを充実していくという地方の行政の考え方は確かにあるわけでございます。 今回の審議会の諮問と申しますかお願いしている点は、健康管理体制の中における保健所のあり方というものを御検討をお願いしているわけでございます。したがいまして、健康管理という全体の問題を議論していただき、その中における保健所の従来の不十分な点、あるいは業務が整理ができていない点、あるいはその地域的な配分の点で、先ほど触れましたように、これ以上保健所の機能というものを実際の国民に浸透させていくためには、市町村自体の行政の中でも、たとえば母子健康センターのようなものを妊産婦、乳幼児の指導をするために、児童局の予算で僻地、山村につくっておりますけれども、こういうような考え方で市町村の健康センターのようなものを設ける。それによって保健所の機能と市町村の健康管理の機能とを結びつけて、そしてその地域という観念で——従来保健所運営協議会というものが保健所法の六条にございます。この名前からおわかりのように、保健所運営協議会となっているものですから、われわれも、保健所長を自分でやりながら、自分の保健所を運営するために地域住民の代表の方に意見を聞くというようなことよりも、自分の運営している保健所の事業報告をすることに終わってしまっているような内容になっております。したがって、保健所運営協議会というかっこうではなくて、地域の保健協議会のような形のものに直していきなさい、こういうような意見というものも出てまいっております。 審議のこまかい経過については、ここにメモがございますけれども、現地の保健所を、埼玉、静岡等を委員の方に御視察願っておりますし、各種の資料をお出しいただき、また全国の保健所長会からの保健所改革に対する意見、全国の衛生部長からの保健所改革に関する意見もお出しいただきまして、それを検討の資料にお願いいたしてございます。 先ほど申しましたように、健康管理というものの考え方の中で、保健所はどういう役割りをしていくべきか、こういうことが議論されておるわけでございますので、先ほど問題になりました保健婦の問題等も当然議論されております。 以上のような内容でございまして、答申につきましては、六月末を目途にただいま御意見をおまとめいただいておるということでございます。委員の方々の中には保健所長の代表、それから一般的な学識経験者のほかに、保健婦の代表、それから医師会の関係の代表者、地方の病院等の運営に当たっておる代表者というような方々をお願いいたしまして、御審議を願っておる次第でございます。
○川俣委員 関連して大原委員から……。
○大原委員 いま川俣委員の質問で非常に実態がはっきりしたと思うのですが、大臣、大体これは総理大臣が出て答弁すべき問題ですよ。総理大臣か大蔵大臣も来られて——あなただけで不足だというわけじゃないけれども、いままでずっと審議いたしました経過からいうと、そうです。 つまり、いま非常にはっきりしたのは、保健所の人的なスタッフの充実状況がどうか、問題はないか。それから、いま議論にはならなかったけれども、保健所自体の物的な設備、だんだんとこれは古くなって荒廃しているのですよ。戦後できた建物ですけれども、占領以来できた施設ですけれども、どこへ行っても非常に荒廃しておるのです。 それからもう一つは、運営が非常に官僚的なんです。いまお話しのとおりなんだ。ですから健康管理という問題は、これは環境破壊とか、交通問題とか、ストレスとか、つまり健康の問題と表裏一体の関係ですよ。外的には環境破壊の問題、それから内的には食品衛生あるいは残留農薬あるいはいろいろな化学物資による汚染、そういう問題でしょう。だから、そういう問題を抜きにして、治療だけをやっておるところに問題があるわけだ 治療だけに矮小化して問題を議論して赤字対策をやっておるから、いままでの議論のように、さか立ちしておるということになる。あなたの質疑応答の中で、私はそういう予防とか健康管理は、国がやはり惜しみなく金を出す、公費でやる、こういう考え方は、私はいいと思うのですよ。 ですから、たとえば敷地はあるのですから、いまの公共事業なんかで、五カ年計画でぱしっとやって、りっぱな何階建てかの設備を設けて、人的にはどうするのだというようなことをやって一新をして、ほんとうに地域における健康管理のセンターにして、いま局長の意見の中で、これは海のものとも山のものともわからぬけれども、各町村ごとに健康センターを設けるというような構想、そういうことを通じて全体的にやれば、一年間にそう何千億円もかかる問題じゃないわけですよ。五カ年計画でできる。そうすれば土地があるのだから、土地を購入するために金がかかるというような他の公共事業とは違うのですから、それだけだって一つの福祉優先の政策になるのですよ。ですから、懇談会という非常にやわらかい弱い組織、諮問機関でなしに、十何回やったか知らぬけれども、そういう問題については、ぴしゃっと方針ができて、政府がやるようなそういう体制、総理大臣以下がそういう重要性を考えるような体制、そういうような問題をずっと議論すべきなんです、今日まで。その問題を離れて赤字の問題の議論はないわけですよ。健康の問題はないわけですよ。 ですから、そういうことを、できることでやるべきことをやらないで置いておいて——実際は何もやっていません。税金のむだづかいである。これはいまの行管の監査報告を見ても、いま川俣委員が指摘されたのを見たって、そうなんです。たとえば牛乳の監視だってそうでしょう。ぴしゃっと権限を持って重要だと思ったならば、牛乳の中にヤシ油とかそういうものが入っていて、下痢その他の問題を起こすのだったら、それをはっきり出しといて、そうして警告しながら、企業が責任を明確にするような主体性のある行動をしておればいいけれども、それを五年間ずっと隠して、もう出してもいいだろうというようなことをいって出してくる。やるべきことはやっとりゃせぬ。こういうことでしょう。 そうであって、では政府管掌では、政府がやっておる保険では、何を一体やっておるのかということになる。健康管理について何をやっておるのですか。ですから大臣は問題に答えてないと思うのです。そういう点では、私は厚生大臣が、いま私が申し上げ、また川俣委員がお話しになったことについて見解を述べてもらうと一緒に、政府全体がこの問題について、どういうふうに考え方を変えているのだ、こういう問題をやらないと、保健所というものは、いまのように、もう便宜的に整理をしている、ずっと人間がおらぬから、だんだんと。あなたが言っていることと実際は違っているのですよ。実際に現場に私らが行ってみると、こういう問題があります。 ですから問題は、この法的な関係だって、こんなものを一ぱいやっておるけれども、こんなものは何をやったって中途はんぱになってしまっている。僻地なんかの保健婦の活動などは、非常に大きな期待があるのだけれども、ほとんど位置づけがない。ですから、保険があっても、そういうサービスはないわけでしょう。健康管理もないわけでしょう。つえとも柱とも頼む保健婦だったら、方針がきちっとあってもいいはずなんですよ。 だから、そういう点を考えてみても、保健衛生と、保健所の活動と、いまやっておる赤字問題と、医療問題、疾病の問題、赤字の構造の問題、この問題は、本質的に表裏一体ですよ。 ですから、そういう問題について、川俣委員の指摘をされた点について、また私が追加して指摘をいたしました点について、厚生大臣はどういう考えを持っておられるか、ひとつお聞かせ願いたい。
○斎藤国務大臣 川俣委員や大原委員のおっしゃることは、私はそのとおりだと思います。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 とにかく保健所ができ、保健婦というような制度ができたその当時と今日とは、もう国民の健康管理という面から言うと、諸条件が非常に変わってきている。そこで、いままでのような考え方で、人が足りぬから少し増せとか、建物が古くなってきたから改築せいということだけでは、とてもいかない。これも今日の経済社会情勢の変化、農村にいたしましても、農村は男が働きに出る、御婦人が家というか農業を守る。しかも農業は、いままでのような農業でなくて、あるいはビニールハウスで促成栽培をやるとかいろいろなことで、したがってそういった労働条件も変わってくる。これが健康に及ぼす影響も非常に変わってきているというようなことから考えますると、いわゆる疾病の治療ということを除いた健康管理、地域医療というものが非常に大事なことになってきていると思います。それに見合うような管理体制を整えていかなければならない。それは保健所の充実だけでいいかどうか、保健婦の増加だけでいいかというと、必ずしもこれだけではいかぬ。これもしなければなりませんが、そういうことに考えて、ひとつここで、いままでの考え方を一新するような行き方で行かなければならぬ、私はさように考えております。 そういったこまかいことは医療基本法の中には盛り込んでありませんけれども、そういう考え方に立って、そして今後のいわゆる包括医療というものを、各地域的にもどう見ていくかということを検討し、そして計画を立ててやっていくというような考え方で、いま医療基本法というものを提案いたしたいと考えております。 いまおっしゃいますのは、私は全く同感でございます。そうかといって、それでは健保問題をほうっておいて、それができるまでほうっておくというわけにはまいらぬものでございますから、とにかく片づけるものは片づける、次から次へとやっていきたい、こう考えているわけであります。
○大原委員 つまり最後が悪いのです。昭和四十二年以来、一つも進歩していない。ばかばかしい。全部議事録を持っているけれども、一つも進歩していない。赤字の問題だけに追われて、そして保健省としての厚生省の役割りを果たしておらぬのだ。 つまり問題は、開業医の諸君だってみんなそう言っております。一日百件とか二百件見るのですよ。つまりいろいろな診療所をかけ回って——自分の健康についていろいろな不安があるから。これは近代の疾病の特徴ですよ。環境破壊とかいろいろな問題の特徴ですよ。ですから三時間も待って三分というふうなことでしょう。それが幾つも診療所をかけ回っているわけです。だから二重診療、三重診療、二重投資、三重投資、こういうものが赤字の原因になっておるのです。お医者さんに聞いてみると、一日五十名以上見ることはできないというのです、良心的に自分の能力の限界で。ところが、それは実際には七十件とか百件とかずっと見ておるわけです。それで住民は、やはり自分は不安を持っているわけです。これは何かというと、予防とか健康管理についてしっかりと密着した方針がないし、それから天下り的であって、こんな法律をたくさんつくっておいて、実際上は何にもやっていない。法律をつくって、これもやっております、これもやっておりますというけれども、やっておらない。ですから、これは不徹底に終わっておる。いま指摘されたとおりです。ですから、この問題について、やはりきちっとやらない限りは、この赤字の構造というものはなくならない。この赤字の構造をどうしてなくするかという議論をやるのが政治じゃないですか。いままで四十二年以来議論をしたことで初めて今回出たのなら、われわれだってその点については、これから議論しましょうということになるけれども、いままで何回も議論して一つも進歩せぬだけでなしに悪くなっている。そのしわ寄せがすべてこういう治療中心の、しかも実際のお医者さんなり医療担当者が良心的に見て、自分が納得できないような形になっておる。 ですから、そういう最後の判断なりというものが、いよいよ佐藤内閣の最後になって、そういうことが出てくるわけだけれども、言うておいて逃げるわけだけれども、それじゃ国民はたまらないですよ。国会の権威もないですよ。だから、ここにはさらに問題がある。たくさん問題がある。徹定的に議論する問題がある。政府のような医療基本法ではだめだ。あるいは懇談会に諮問する態度でもだめだ。公衆衛生局長はきわめて率直なところはいい、声が大きいところもいいですけれども、結論、中身はなっていない。そういう問題があるということを私は指摘しておいて、私の質問は一応関連ですから……。
○川俣委員 やはり大原委員から指摘していただいたように、厚生大臣は前段で非常にいいことを言うのですけれども、あの姿勢を閣議で言わなければ、これから予算は取れないですよ、遠慮していたんでは。やる気があるわけでしょう。局長方ももっとやらなければと言っている。ところが大臣は、そう言っていながら、結果は疾病予防費が一人頭七円だというでしょう。保健婦の数、監視員の数、こういうのは、私はきょうは二時間使って、医療費のほんの一角じゃないですか。この問題点は、ほんのわずかです。一つですよ。 なぜかというと、十年間に有病率が二倍になったというんだ。そういう世の中なんです。公害その他インスタント食品を使うようになったし、いろいろ世の中が繁雑になってきたから、これに対処するのには、一般厚生行政が予防で、保険の範疇ではないなんというきれいごとを言う前に、いま難病、奇病だって保険で負担すべきではないかという声が非常に大きく出てきておるのですよ。どうなんです、大臣。もう一ぺん予防というものに対して——私はむしろ治療の範疇くらいだと思っているのです。これは少し言い過ぎかな。予防というのは治療の範疇くらいだと思うのです。ある人は言ったですよ。二千万円、医療の範疇はもちろんだけれども、そのくらいの力を入れて治療費を浮かばせられると思うのですよ。予防費に金をかけたほうがいいと思うのです。どうです。 これはもう少し大臣——ここで言うたってしようがない。大原委員が、総理大臣からみんな並べなければならぬと言うのは、そのことだと思うんだけれども、それをもう少し勇気を持って厚生行政に当たる人がやってもらわなければならぬ。大臣、その点はどうです。
○斎藤国務大臣 おっしゃるように、予防にまさる治療はないわけですから、予防費に金をかける。これは結局国民の健康投資だと私は思うのです。国は国民の健康にもっと投資をしていい、私はさように思います。 そこでいままでの考え方を一新といいますか、ちょっとことばはオーバーかもわかりませんが、そのくらいの考え方で、ひとつ国民の健康管理、予防というものに取り組んでいかなければならない。いま医療基本法、そんなものはだめだとおっしゃいますが、そういう基本的な姿勢をきめて、そのもとに、ひとつ新しい施策の基礎に立って、いまの時代に即応したやり方をやっていく必要があるんじゃないか。医療基本法ができれば、これから予算も取りやすいということもありますし、めどが立つわけでありますから、ひとつ大きなめどを立てて今後の行き方を考えるという考え方で、基本法をいま立案をいたしているようなわけでございまして、決してお考えと矛盾をしているのではございません。
○川俣委員 だから、基本法的なものを非常に力説されるんだけれども、私もそう思うんですよ。その中での相談なら話はわかりますよ。それをまだ出してないで——きょうの一番先に戻りますよ、哀訴嘆願的な、何とかそこをまげてという、こういうのは無理だ。と言うのは、赤字対策だけ相談かけられたって、どうにもならないというんですよ。(「これを採決してから、じっくりやろうよ。」と呼ぶ者あり)いや逆だね。いまの考え方は逆だと思いますね。厚生省はこういう考え方で行くんだということを国民に示さなければ、赤字対策にうっかり乗れないと思いますよ。
○斎藤国務大臣 そこで、おっしゃる点もごもっともなんですけれども、われわれといたしましては、火のついたところからまず消す。そうして、おっしゃることはおっしゃることとしてやっていきたい。したがって、他のほうはおろそかになっておるのではございませんということで、少しおくれておって申しわけございませんけれども、おくれておっても、私はこの国会に基本法案は提案したいというのです。そうでないと、また政府もおくれてまいりますから、一歩でも二歩でもここで前進の端緒をつくっておきたい。そしてそれをもとにして、おっしゃるような施策を進めていきたい、こう思います。まず火のついたところを消していただきたいというのが、私どものお願いでございます。
○川俣委員 それは、燃えているところを消せといったって無理だというんだ。大火なんだから。 厚生大臣の気持ちをずっと二時間聞いてみると、抜本改正の中でやりたいという気持ちがあるようですね。テクニック的に、赤字だけを先行さして火を消そうとしたって、これは無理だと思う。ですから、やはり抜本改正の中で相談すべきだ、委員会で検討すべきだということを、いよいよ意を強めて、私の質問は終わります。
○増岡委員長代理 次に、古川雅司君。
○古川(雅)委員 健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について若干質問をさせていただきます。 本法案につきましては、去る三月の十七日に本会議で斎藤厚生大臣から提案理由の趣旨説明が行なわれました。その際、私は、公明党を代表いたしまして質問に立って、首相、蔵相、厚相の所信をただしたわけでございます。 このとき私は、政府がこれまでの医療保険制度の抜本改正を怠り、そのために政管健保の赤字を一方的に国民に肩がわりさせようとしていることについて政治責任を糾弾いたしまして、以下四項目にわたって質問を展開したわけであります。 一つは、社会保障制度審議会の答申を無視したという点。二番目に、収入面だけの対策に終始して支出面の不合理を放置しているという点。三番目には、国庫補助率を定額から定率に変更したことは、一応評価いたしますが、定率五%はあまりにも少な過ぎる、これは当然二〇%にすべきだということを申し上げました。そして四番目として、医療保険の前提である、いわゆる医療供給体制の整備が非常におくれている。こういった点をあげまして、本改正案の撤回を強く迫ったわけであります。 この本会議における総理はじめ大蔵大臣、厚生大臣の答弁は全く納得のいかないものでありました。しかもその後、撤回するどころか、政府は、四月の十三日に至りまして、本社会労働委員会において提案理由の説明に入られたわけであります。 今回の本法の改正案は、従来の四十二年並びに四十四年の改正と異なりまして、多少複雑な内容になっているということをあげることができると思います。複雑というより、むしろ政府が非常にきめのこまかい小細工をして国民をあざむこうとしているのが一つの大きな特徴ではないかと思います。きめのこまかい小細工といいますと、それは何かといえば、健康保険法という一つの法律を改正するために、二つの改正法案を用意しているという意味であります。 その一つは、健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案と称されておりますが、その内容については、くどいようでありますけれども、ここで繰り返さしていただきますと、政管健保の赤字解消が重点であります。いわゆる赤字対策法案と呼ばれているのはそのゆえんでありますが、もう一つの法案は、健康保険法を根本的に、いわゆる抜本的に改正しようという抜本改正案というものであります。この二つの法案はともに被保険者いわゆるサラリーマンや労働者の人々の保険料を大幅に引き上げて赤字をなくそうという値上げ法案であります。 それの改正内容について詳しくつけ加えますと、いわゆる赤字対策案であるということを申し上げるために、あえてここでまた申し上げるわけでありますが、その第一は、保険料の値上げとして、現在の千分の七十から千分の七十三に引き上げるという点。 二番目に、保険料率千分の七十三かける所得、いわゆる標準報酬の上限を現在の十万四千円から二十万円に引き上げ、さらに下限を三千円から一万二千円に引き上げるということ。 三番目は、いわゆるボーナスにも保険料をかけるということでありますが、賞与に関する特別保険料の徴収という点。これは、当分の間、被保険者の受ける賞与について、賞与を受けるつど、これに千分の十を乗じて得た額を徴収するものとし、事業主及び被保険者が折半負担すること。なお、健康保険組合においては、規約の定めるところにより特別保険料を徴収できることとし、その料率は千分の十の範囲内、被保険者負担分は二分の一以下とすることという定めがあります。 さらに、四番目に、保険料率を千分の七十三とするけれども、健保財政が赤字になるようなら、国会の承諾を得なくても、千分の八十までは社会保険庁長官の一存で引き上げることができる。いわゆる保険料率の弾力的調整の項目。 第五番目には、国からの財政援助として、これまで定額の国庫補助を行なっていたことに対し、これを定率として百分の五と定める。金額的には定額の二百二十五億円から、およそ三百八十九億円を国庫負担として補助するという点、そういった内容のものであります。 標準報酬の上下限が引き上げられ、その上に保険料率が引き上げられ、しかも賞与等のボーナスからも取られるのでありますから、これは被保険者にとっては全く踏んだりけったりである。被保険者、国民からこうした世論が起こるのは、これは当然であると思います。 それに対しまして、一方の医療保険制度の抜本改正案の内容についてであります。これは、きょうの新聞報道によりますと、抜本改正案の要綱については、去る十日、自民党が了承した抜本改正案の要綱は、次のようになるであろうという報道がなされております。聞くところによると、これは十二日の閣議において決定される運びだということでありますが、健康保険制度については、まず第一に、家族医療給付の改善として、その一つに「家族の医療給付の給付率を現行五割から六割に引上げる」その二として「政令の定めるところにより、高額医療について自己負担とされるもののうち一定限度以上について、新たに療養払いとする。」ということ。 第二項として、現金給付の改善をあげ、その一に「分娩費の最低保障額を現行二万円から三万円に、配偶者分娩費の額を現行一万円から三万円にそれぞれ引上げる」その二として「埋葬料に二万円の最低保障額を設けるとともに、家族埋葬料の額を現行二千円から一万四千円に引上げる。」 第三に、被保険者本人の一部負担として、その一に「初診時一部負担金を現行二百円から四百円に、入院時一部負担金を現行六十円から百二十円にそれぞれ引上げる」その二として「外来投薬時一部負担金を新たに設けるものとし、被保険者が薬剤の支給を受ける際、一剤一日分の額が三十円以上の薬剤について、一剤一日分ごとに三十円の一部負担金を支払う。なお、外来投薬時一部負担金について、標準報酬月額三万円以下の被保険者を対象に免除措置をとる。」 第四項として、共同事業については、その一に「健康保険法による保険者の間で、六十歳以上の高齢被保険者本人の医療給付の支給に関する共同事業を行なう。国は共同事業に対し政令の定めるところにより補助を行なうことができる」その二として「健康保険組合の間で、政令の定めるところにより赤字組合の援助その他の共同事業を行なうことができる。」としております。 第五項に「事業運営の効率化」をあげ、第六項には「医薬分業の促進」として「医薬分業の計画的実施を図るため、保険薬局の整備状況に応じて医薬分業を行なう地域を政令で逐次指定するものとし、当該指定地域における保険医療機関は、原則として保険診療に関する外来投薬ができない。」ということにしております。 そして第七項に「領収書の発行」について触れまして「医療機関は、被保険者またはその家族から保険診療に関して領収書の発行を求められたときは、交付しなければならない。」ということをあげております。 以下、船員保険及び共済組合について、また国民健康保険制度について、それぞれ抜本改正案の要綱をあげ、その「実施時期」を「第一から第三までの改正措置は、昭和四十八年四月一日から実施する。」というふうに掲げているものであります。 いずれにいたしましても、この抜本改正案の内容を見ましても、政府が提出しようとしている法案は、政府の健保に対する姿勢が、いわゆる疾病に対する個人責任主義であって、自分の収入から出せという、いわゆる受益者負担政策をとっており、それが底流を流れているものでありますし、しかもその根底にあるのが、私は大企業本位の政策から出発している点を見のがせないと思います。 こうして見てまいりますと、被保険者本人は十割健康保険で見てくれたのが、この改正によって、実質的な被保険者の負担は九割を切って八割八分、いわゆる一割二分の個人負担金がふえることになるのではないかと私は思います。こうした一方的な患者泣かせ、被保険者泣かせの値上げ法案であるということで、当然これは国民の強く反対するところであると思います。 こうした法改正の準備が進められている反面、いざ医者にかかりたいと思えば、三時間待って、いわゆる三分診療というような実態、その他よい薬を使う、あるいは輸入の薬を使うから、保険では治療はできないとか、あるいは入院をしたいと思えば、一日のベッド料が三千円からひどいときには五万円といった状態、こういう状況を見てまいりますと、まさしく保険あって医療なしと常々いわれているようなわが国の医療の実態が、まざまざと浮かび上がってくるわけであります。 しかも、今回本改正案の提案にあたりまして、どうしても見落としてならない点は、政府が二つの法案を分けて提出するというその表面の理由として、健保の抜本改正は前々から出すという国民との公約がありながら、なかなかこれを果たしてこなかった。さらに、昨年七月の保険医総辞退のときに、日本医師会と厚生大臣との約束の手前抜本改正を出さざるを得ない。しかし現実は非常にむずかしいという、そういう局面に政府は立っていたわけであります。しかも本法案の提出にあたっては、繰り返し繰り返し政管健保の累積赤字がこのままいけば、四十七年度の末には約四千億円をこえるとか、そういうことを繰り返して赤字対策だけに政府は血眼になって、この法案の通過をはかろうとしてきたわけでありますが、これは私ども野党や国民から、その無責任な法案提出の姿勢をたたかれても当然であると思います。 本年の二月から、さらに医療費が実質一三・七%引き上げられまして、政府としては、赤字対策案の上程の絶好のチャンスがきたと、ここで判断をなさったのじゃないかと思います。医療費を引き上げた後に、どうしてもこれでは赤字で保険制度の存立が危ぶまれるから、保険料を引き上げるといえば、これは結果的には、いわゆる被保険者である労働者と医師との分断にもなるし、国民総反撃を肩すかしにするということができると考えているのじゃないか、そういう疑問を私たちが持つのも当然ではないかと思います。むしろ抜本改正によって財政対策を早く行なおうとしているのが政府のねらいであって、本来の医療のあるべき姿、いわゆるよい医療をいつでも平等に受けられるということに、これではならないと思うのであります。 こうした政府の、医療政策としては非常に時代に逆行する改正案には断固反対していくという声が高まってくると同時に、被保険者や、本人や、あるいは家族の実質的な十割給付の確保をはかることが医療の公費負担制度の拡充、さらに国庫負担の定率五%ではなくて二〇%にするということで財政的確保をはかっていく、まず、こうした施策に着手しなければ、本法案の改正の意味はないと思うのであります。 まず最初に、総括的に私どもの本改正案の提案に対する基本的な考えを述べてまいりましたが、あらためて以上申し上げた各般にわたって、厚生大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 御所見全部に対するお答えになるかどうかわかりませんが、まず政府といたしましては、いわゆる保険医療、保険制度の抜本改正というものが多年の懸案の問題でございました。もちろんその中には健康管理体制、これの改善をはかるということがうらはらにはなっておるわけでございますが、しかし、さしあたって医療保険というものの本来のあり方にふさわしいようなものにすべきであるということに受けとめまして、昭和四十四年に関係審議会に諮問をいたしました。そしてその答申を昨年の秋にいただいたわけでございます。審議会で二年余り審議をしてもらっていたわけでありますが、この審議会で諮問をしてもらっている間に、もっとやるべきことをやっておくべきではなかったかということも言外に含めておられたのではないか、かように考えますが、われわれ厚生省といたしましては、答申の出るのを待ってということであったわけであります。 昨年の秋に答申を一応もらってから、さらに具体的にそれじゃどういう案を提案いたそうか。その考え方は国民皆保険という立場に立って、現在はなるほど皆保険には違いないけれども、しかしながらこの保険は、従来かく必要とされた、それぞれの理由に基づいて立案をし、今日に至っている。健康保険は昭和の初めにできた。これはどちらかというと、いわゆる企業内におけるむしろ労使の問題、あるいは企業内における労働力確保の問題というような点が主になって健康保険法というものができ、しかもこれは被用者本人だけの保険ということであったわけであります。それがまた、いろいろな社会情勢から家族は五割給付ということで改正になりました。その当時は国民の医療という面から考えられたというよりは、むしろ他の要素が多かったと思います。 同時に、農村の恐慌その他の関係等から、いわゆる国民健康保険というものを考える必要がある、それも任意に出発させようということで出てまいった。健康保険の系列に属するものが八種類あることは皆さん御承知のとおり。 これもいろいろな必要性から起こってまいった。そうして皆保険ということになったわけでありますが、今日になって考えてみると、これは国民医療という観点から考え直す必要があるだろうという点にかんがみまして、そうして抜本改正の基本的な考え方は、国民の医療をどうして確保するか。保険制度で確保をするという基本に立って関係審議会に諮問をいたしました。その答申は先般いただき、その答申の中でまたいろいろ御意見がございましたので、そこでその御意見を尊重をして、政府の案として、できれば十二日には閣議決定をいたしたいというので、ただいまおっしゃいましたような一応の方向で党と相談をいたしておるわけであります。まだ党の最後の機関の決定を得たわけではないというのが今日のこの時点でございますが、これを早急に党の機関決定の上、閣議の決定も得、そうして提案をしたい、かように考えておるのが筋道と、その考え方でございます。 ところが、財政対策としてただいま御審議をいただいておりますのは、御承知のように赤字が非常にふえてまいった。このままでは累積赤字がますますふえてまいるばかりだ、これをやるについて、ことしの二月一日から実施いたしました診療報酬の改定とからんでおるんじゃないかというお話でございますが、それがありましたために、さらに赤字がふえるということでございますが、しかし診療報酬の改定は閣係審議会で、これは保険者も被保険者代表も公益委員も入ったところで今日の物価、人件費その他あらゆる情勢を考えて、ここまでが適当だという結論を得ましたので、それで改定をいたしたわけでございますので、何も今度の財政対策法案を出すために診療報酬の改定をやったのではなくて、診療報酬改定があったということは、むしろほっておけば、さらに赤字が増す原因にもなり、財政対策の緊急性をよけい増したということになってくるわけであります。 ただいまの財政対策法案は、ただ一方的に被保険者の負担を増すだけであるというお話でございますが、財政的に申せば、累積赤字をたな上げし、一般会計からこれを支払う、また定額補助を定率補助に直す、それで国の負担もいままでよりもうんと増すということでもございますし、標準報酬の上限、下限の問題、それからボーナスから一部負担をするという問題——この問題は、その考え方は、健康保険料の公平な負担という面から考えまして、上限、下限を上げるということは、その公平な原則にかなうものだ、またボーナスから一部負担をするということは、総報酬制というものをとるほうが公平にかなうのじゃないかという議論も一方にあるわけなんで、そういう議論も踏まえて、とにかくその議論が定着するまでの当分の間はボーナスからということにいたしたわけでありまして、公益委員の中には標準報酬は総報酬制にするほうか公平の原則にかなうという議論も有力にあるわけであります。 〔増岡委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 必ずしも赤字対策という意味でなくても、保険料の公平という面からいって、今日十万以上の報酬を取っておる人が非常に多くなっているのに十万に限って、そこに上限をきめるということは、不公平じゃないかという考え方からでございます。片や保険料率のアップは、先ほど申しましたように国も財政措置を講じ、そうして保険料率も増すということで、一方的にいわゆる被保険者の負担のみ多くしたという意味ではございません。さように御了承をいただきたいと存じます。 抜本改正と称しておりますものにつきましては、またあらためてその内容を御説明申し上げたいと思いますが、基本的な考え方は、先ほど申しました、いわゆる国民医療という立場から保険制度をどう見るかという考え方に立って、ただいま提案いたしたいと思っておりますのは完全なものではございませんが、そういう考え方に立った第一歩だ、こういう御了承をいただきたいと存じます。
○古川(雅)委員 法案の内容につきましては、以下順を追ってお伺いをしてまいりたいと思いますが、その前に、いわゆる自民党の医療基本問題調査会の中で、内容の大幅修正の方針をきめた抜本改正法案の内容につきまして、大臣はいま一応の方向であるし、また完全な内容ではないけれども、一つの抜本改正の目安であるというような意味の御答弁をなすったわけであります。 私たちはこの政府案につきましては、これは単に政管健保の財政対策法案を成立させるための手段として使っているのではないかという疑惑が非常に強いわけでありまして、大臣は、そうではないと、いまはっきり否定をなさいましたが、それは当然のことであると思うのであります。いわゆる国民の医療を確保するための法案にするように真剣に取り組んでいくのが当然でありまして、かりそめにも、これを財政対策法案の成立のための小道具に使うようなことがあれば、これは重大な政治責任が生ずると思います。 ただ、この抜本改正法案につきましては、厚生省かさきに試案の形でまとめたものがございました。しかし試案は、社会保障制度審議会それから社会保険審議会からきびしい批判を浴びましたし、また私たち野党からもいろいろな形で反対の態度を示してきたわけでありますが、今回閣議に提出をするに先立って、大幅に手直しをせざるを得なくなったその辺の経緯を御説明を賜わりたいと思います。 たとえば財政調整の問題で、二分の一のプール方式による財政調整を今回断念いたしました。そのかわりに六十歳以上の高齢在職者についてだけ医療給付費を政管、組合両健保で標準報酬に応じて出し合うという、いわゆる共同事業の実施構想を打ち出したわけであります。これは一つの例でありますけれども、こうした大幅な手直しをせざるを得なくなった経緯について、また新たにこうした構想を出したからには、これは単なる一つの方向を示すだけのものなのか、ある程度こうした方向で実現可能だという見通しをつけての上での手直しなのか、その辺の経緯について御説明をいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 諮問案の手直しの点は一ただいまの段階では、いまおっしゃいましたような、きょうの新聞に出ておりましたような事柄で党の最終機関決定をもらいたいと思っておりますが、まだ機関決定も得ておりませんし、これで閣議決定がほんとうに出せるかどうかという、いまのところ機微な段階になっております。 これは今明日ということでございますが、そういうことで、こまかい点は提案をいたし、政府案になりましたときに御説明を申し上げたいと存じますが、大まかな考え方は二分の一財政調整というのが一つの大きな方向でございました。 両審議会とも、これは労使の代表の方々の中には大体反対がございましたが、公益委員の方々は、方向は認める、わかる、これはこういう方向にいくべきだ、しかしながらまだ政管健保ももっと効率的な運営をはかるようにすべきではないか、そのほかの諸種の周辺の条件も整えてやるべきではないかという強い意見でございまするので、そういう意味で、そういった諸条件を整えるということを抜本改正法案の中にも、政管健保については、その運営の効率をはかるような点も入れて、諸種の条件等もその法案の中に入れ込んでおきまして、そういった諸種の条件の少しでも進んでまいって、そしてその上で出したい、こう思って、いま直ちにということは断念をいたし、諸種の条件を整えることにまず意を用いるということでございます。 したがいまして、また政府といたしましては、この前、提案をいたしました基本的な考え方を一大転換をするという考え方ではない、かように思っておるわけでございます。 こまかい内容につきましては、また提案をいたしてからの御質問にしていただければありがたいと思います。
○古川(雅)委員 私はあくまでも単なる一例としてお伺いしておるわけでありまして、その財政調整一つにしても、こうした数々の意見があって、その調整にむずかしいわけであります。特に政管健保の体質を改善しない限り、いわゆる出すべきものが出せない。そうした意向も一方にあるわけです。そういう問題が残っていながら、いわゆる共同事業方式をその方向として打ち出していこうというからには、やはりしっかりとした根拠がなければいけないし、あくまでも財政対策法案の成立のための小細工ではないということを立証するためには、その点は明らかにしておいていただかなければならないと思います。それはほんの一例であります。 〔橋本(龍)委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕 なおかつ、その上で明十二日の閣議におはかりになるということでありますけれども、これは一体閣議決定をして国会に提出するはっきりとしためどがついているのか、いつ国会に提出をなさるのか、この辺は担当大臣として、はっきりとした確信をお持ちであり、すでに心づもりを持っていらっしやると思いますが、その所信のほどをここで表明願えれば幸いであります。
○斎藤国務大臣 諸手続が済みましたら、即刻提案をいたしたい、かように考えておりますので、先ほど申し上げたとおりであります。 これは決して財政対策に関係する法案を通していただきたいために、ただ言いわけに出すのではございません。これは幾ら御説明を申し上げても、あるいは御了解いただけないかもわかりませんが、私どもはいかにこの抜本改正と真剣に取り組んでまいったか、またまいりつつあるか、これを信用していただけるかいただけないかということにあるわけであります。私といたしましては、まことに力不足でございますが、私なりに精魂込めて、この問題と取り組んでいるということだけは、ひとつお認めをいただきたいと思います。
○古川(雅)委員 ここで誤解のないようにはっきり申し上げておきますが、自民党との間で了解をされました大幅に修正されたこの抜本改正法案については、私たちは了承しているわけではございません。非常に数多くの疑念を持っておるわけでありますが、しかしそれにしても、政府としては何も今回初めて法律を国会に提出するというわけではございませんので、これまでに何十も、あるいはそれ以上も提案をなさってきているわけでありますから、全く見通しの立たないわけではないと思います。しかも会期もあと二週間少々しか残っておりません。してみれば、あすの閣議ではっきりと了解を得て、何日には国会に提出できるという見通しは当然立つし、それがなければ、真剣にこの抜本改正案に取り組んでいるとは私たちは理解できないのでありますが、国会提出の期日をはっきりここで御発言願えませんか。
○斎藤国務大臣 法制局の条文整理の次第もあります。法制局長には徹夜してでもやってもらいたいと言っておるわけでありますが、この条文を整理するのにどれだけ時間がかかるか、まだちょっとここで申し上げかねる次第であります。
○古川(雅)委員 ですから、先ほどもちょっと俗っぽいことを申し上げたとおり、今回初めてその法律を提出するわけではないし、いままでいろいろな作業を経験なさっているわけですから、法制局との打ち合わせも決して初めてのことではないし、内容からいって、大体の見通しは立つと思います。何日には国会に提出できるというその見通しをお伺いできなければ、先ほど来私が非常に強い疑問として申し上げている財政対策法案を成立させるための道具ではないか、ただそれをちらつかせているだけではないか、こういう疑問がずっと残っていくわけであります。
○斎藤国務大臣 おっしゃるように、法制局もこれから条文整理にかかるわけではございません。手直ししたところをどの程度というような問題でありますので、徹夜でもしてもらえば、何ぼおそくても月曜日くらいには条文ができ上がって——印刷もしなければなりません。おそくても月曜とか火曜にはできるであろう、かように考えております。
○古川(雅)委員 これは長い間懸案になっている医療保険制度の抜本改正案でありますから、その第一歩を踏み出すという意味で、それなりの意味はあると私は思います。月曜日か火曜日というような曜日でお示しになったわけでありますが、もう一度はっきりと、何日ごろには国会に提出できるということを御表明願いたいと思います。
○斎藤国務大臣 私も印刷が終わるところまでは確かめておらぬのですけれども、月曜日といえば十五日、火曜日といえば十六日、そこらには印刷もでき上がるだろう、かように思います。
○古川(雅)委員 印刷ができただけでは国会に提出はできないと思うのであります。十五日ないし十六日に印刷ができ上がるということですが、印刷ができると同時に国会に御提出になる、そのように理解してもよろしゅうございますか。
○斎藤国務大臣 一応さように御理解いただきたいと思います。
○古川(雅)委員 一応というまだあいまいな表現を残されているわけでございます。その辺御説明をいただきたい。
○斎藤国務大臣 提出の準備ができましたら、直ちに提案をいたす考えであります。
○古川(雅)委員 答弁になりませんが、先ほど来の大臣の御発言を通して、来たる五月十五日、あるいは十六日には抜本改正案の政府案を国会に提出するというふうに理解をさせていただきます。 時間がありませんので、先に進めさせていただきますが、先ほど大臣もおっしゃいましたとおり、昭和三十六年に国民皆保険になりました。国民の健康と福祉の増進に何らかの意味で寄与してきたことは確かであります。ただこの間に医学や薬学が非常に進歩をいたしました。それに伴って社会的な環境の変化が起こりまして、いわゆる公害病とかスモン、ベーチェットなどの難病、あるいは交通災害、ますます七〇年代に入って国民の医療に対する依存度が高まってきたと思います。国民の医療のニードに応じた法改正、これは決して疑問をはさむ余地はないと思いますが、今回の本法の改正案につきまして大臣は、はたしてこれは国民の医療のニードに応じた法改正であると一体考えていらっしゃるのかどうか、大体どういう感覚を持っていらっしゃるのか、その辺の疑問があるわけでございます。まず大臣に伺っておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 私は国民の医療のニードに応じたということについては、なるほどいわゆる被用者は十割給付ということになっておりますが、一部負担もありますから、まあ今度改正をしたいと思っておりますのは、一部負担が一〇%ぐらい、一割ぐらいになるかと思いますが、家族は五割給付。したがって家族が病気になったときに困るという声を非常に強く聞いております。したがって、家族には十分な治療ができないという声も聞いております。何とかしてもらいたい、またこれが実際であろうと思います。私はいわゆる企業内における労働力の確保という面から、これは十割給付、それが実質は九割であっても、それはいいと思いますが、そうかといって家族と区別をするということは、やはり国民医療という面から見ると、これは非常な片手落ちである、ひとしく国民でありますから、家族であろうと本人であろうと、やはり同じかかりたいという医療にはかかれるようにするのが道ではないであろうか、これを根本的に考えているわけでありますが、しかし一挙にやるわけにはまいりませんので、当初の考えは国民健康保険と合わせて七割までと考えましたが、諸般の情勢で当分の間六割にするということにせざるを得なかった。これは提案をいたしましたら、よく御説明を申し上げます。 それと、七割にしたところで六割にしたところで、高額医療は非常に困る。これは痛切な声だと思います。したがって、少なくとも高額医療は国民の生活水準から考えて、これ以上出すことは無理だというものは、やはり保険で見るというのが適当ではなかろうか。月額二万か三万より以上の負担をしなければならぬということのないようにいたしたいというのが、一番の一つのねらいであります。 それから保険料も、やはり保険料を負担する人の資力といいますか所得といいますか、それに見合ってひとしく公平に出すのが皆保険の考え方ではないかというのがねらいでありまして、それが二分の一財政調整を考えたゆえんでありますが、これはもう少し周辺の条件を整備をする必要があるという強い両審議会の答申でありますから、この点はその答申に従ってまいりたい。しかし整備ができたら、やはりこの負担の公平ということもぜひやらなければならぬことだ、かように考えております。
○古川(雅)委員 私はただいま議題になっております健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案、このいわゆる財政対策法案が国民の医療のニードにかなった提案であるのかということを伺ったわけでありますが、大臣は今後提案されるであろう、いわゆる医療保険制度の抜本改正案の内容が国民のニードにかなったものであるという、そういう意味の答弁をなさいました。ということは、あくまでも国民のニードに沿う法改正をするためには、大臣の御答弁からしても、抜本改正案が最前提にならなければならない。それが抜本改正案の提案をおくらせて、そして財政対策法案を先に提案したということも、そこで大きく責任が追及されなければならないし、ただいまの大臣の答弁も非常にうつろな響きを持ってくるわけでありますが、その辺についてのお考えはいかがでございましょうか。
○斎藤国務大臣 ただいま、国民のニードに沿う改正をするためにも、この政管健保の財政対策というものをちゃんと確立をいたしておく必要があると思います。ある意味においては、これが一つの前提条件というように考えるわけでございます。
○古川(雅)委員 しかし大臣の御答弁では、そうした国民のニードに沿うということは、あくまでも抜本改正の内容に待たなければならないというように私たち理解するのですが、もう一度その点確認させていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 抜本改正をやらないでは国民のニードに沿えないと思います。そのニードに沿う抜本改正をやりますのには、まずいまの政管健保というものの財政を確立しておく必要がある、かように考えます。
○古川(雅)委員 そうしますと、昭和四十四年の八月五日に厚生大臣——当時斎藤厚生大臣だったかと思いますが、両審議会にいわゆる抜本改正に関する諮問をしておりますけれども、当然御記憶だと思いますが、その内容について簡単に御説明いただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 そのときの諮問と先般の諮問と非常に違っておりますところは、健保の家族を切り離して、これを地域保険でやったらどうだというのが大きな点でございます。これにつきましては全面的な反対の答申がございましたので、これをあきらめました。いま一つは、老人保険というものを別立てにしたらどうであろうか、これにも反対でございました。 したがって、そういう意見を踏まえまして先般の諮問案をつくって諮問をいたしました。その答申を得ましたので、それによってまた答申を尊重しているというわけで、両審議会の答申は、そういう意味で非常に尊重しつつきているわけでございます。
○古川(雅)委員 この諮問の中には、大臣が諸条件の変化に対応して、現在の制度を根本的に改める必要があるということを前提にしていらっしゃるわけですが、これを受けて両審議会で二年間もかけて、昨四十六年の九月十三日に答申をしているわけであります。重ねて大臣にお伺いをいたしますけれども、答申に対する大臣のお考え方ですね。これを聞かせておいていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 四十四年のときの諮問は、政府案を諮問をしたというよりは、抜本的、根本的に国民皆保険という見地から改正をするとすれば、どういう改正がよろしいか、それを聞きたいというのが主でございまして、そしてその中に給付の公平、保険料負担の公平というようなことを踏まえて、どういう案がいいかひとつ答申をしてもらいたいというものでありまして、先ほど申しましたように家族を切り離し、そして地域医療にマッチするような地域保険の確立とか老人保険とかというような点は、これは政府の参考意見としてつけて出したわけでございます。それに対して、ああいう答申がありました。そこで御承知のような政府の諮問案をつくって、われわれ答申を得たわけであります。 それで、ただいまおっしゃいましたのは、財政対策に対する答申をどう扱ったかという御質問でございましたですか、ちょっと私、聞き違いましたかもしれません。(古川(雅)委員「抜本のほうです」と呼ぶ)このたびの答申で一番の点は、先ほど申しました二分の一財政調整はまだ早い。やるなら少なくとも政管健保の効率的運営をはかるということを、もう少しやった上でなければならぬというのが一番の結論でございます。 同時に医療の供給体制、国民の疾病の予防、健康管理というものを含んだそういう医療の供給体制の整備というものが答申の一つの大きな柱になっております。これは、先ほども申しておりますように、医療基本法というものによってやってまいりたい。健康保険法の改正では、こういった供給体制は健康保険法の中には書けませんし、車の両輪ではありますが、別の法体系とし、また別の考え方として医療基本法というもので供給体制を整備いたしたい、充実をいたしたい、かように 思っているわけでございます。
○古川(雅)委員 まあ大臣が指摘されておりますように、健康管理体制に密着した医療保険制度上いう考え方を中心にして抜本改正案に対する答申が示されたわけでありますが、これは、大臣はあくまでも医療基本法の中に盛り込んでいくんだ、その方向づけをしていくんだということでありますけれども、それすら今度はあと回しになりまして、何はともあれ財政対策法案の成立だということを前提としていらっしゃるわけであります。 まあくどくど申し上げるのではありませんけれども、国民皆保険の前提条件であります医療供給体制等の医療制度の整備が今日まで非常におくれてきた、行なわれなかったということは、やはり一つの大きな政治的な責任であり、問題であると思います。これが今日国民の生命と健康を大いに脅かしていることになりますし、深刻な社会不安を引き起こしているわけでありますが、国民の生命と健康を尊重するということを第一義に考えるならば、やはり七〇年代の国民医療のあり方、治療はもとより疾病前の万全な予防対策——先ほど来保健サービス等の問題について各委員から御質問がございましたけれども、予防体制の確立や、あるいは予防治療、それからリハビリテーション、アフターケアといった一貫した医療体系というものが確立されて、そして国民の健康管理体制というものがはっきりしなければならないと思うわけであります。 したがいまして、そうした一つの考え方を示されて、審議会から答申という形で受けて、それをぼちぼち医療基本法という形でまとめなければならないだろうという、そういうあいまいな姿勢では、今後の対策に非常に不安を抱くわけでありますけれども、この医療基本法については、その内容についても、すでに形になる前から非常に疑問視されておりますし、それが今日の医療制度、また医療保険制度に対してどれだけの効用、効力を発揮するか、根本的一抜本的な医療のあり方についてメスを加えることができるかという大かたの批判なり不安があるわけであります。現段階において、単に医療基本法の形でそうした健康管理体制、医療供給体制の充実をはかっていこうということで済まされるかどうか、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 基本法はただ基本理念の法律でありますから、それだけではとうていまいりません。その基本的な考え方に立って個々の供給体制を整えてまいるということでございます。今日はその基本的な方針に対してすらも、どちらかといえば、しいて言えば、まあ行き当たりばったりのやり方をやっておった。それではいけないということで、ここに大きな基本を立て、その基本のもとに着々と進んでまいりたい。 御承知のように公害問題も、問題に火をつけられてから、もう十年以上になると私は思います。公害基本法をつくるについても相当年次を要しました。やっとそれができて、そして一昨年の公害特別国会で相当の法律を出していただき、やっと着手ができたというふうな現状であります。政府が考え、一大臣が考えて、こうやるといってすぐぱっとできる情勢でないことは非常に残念でございますが、それだけに各方面の御意見を聞き、そして審議会の意見も聞き、あるいはまた国会でいろいろ御論議をしていただき、そこで国民のコンセンサスというものができて、そしていいものができていくのじゃないだろうか。ここでひとつ国民の大きなコンセンサスを得たいというのが基本法の考えであるわけでございます。さよう御了承をいただきたいと思います。
○古川(雅)委員 ただ私たちがあくまでも不満に思うことは、医療の問題また医療保険制度の抜本的な問題についても、今日にしてその議論が始まったことではないということですね。また、医療の供給体制にしても、健康管理体制にしても、今日突然浮かび上がってきた問題ではない。先ほど申し上げた、いわゆる環境等の諸条件、社会情勢の変化等はあげられますけれども、時代の変化はあるけれども、基本的な問題としては、かなり以前から議論をされてきたわけでございます。したがって、こうしたいわゆる財政対策が国会で問題になる、表面化するたびに、いわゆるつけ足しのようにして医療基本法の制定もはからなければならない。その内容の方向づけも、この際詰めていかなければならない。そういうときに議論が盛り上がって、あと一切声が出てこないということに私たちは大きな不満を持つわけであります。公害基本法等の例をあげましたが、これはよほど国をあげて強力に取り組んでいかなければ、今後の根本的な解決はあり得ないと思いますけれども、これが、いわゆる今回の本法案の提案をきっかけとした一時的な議論に終わらないように強く要望しておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 ただいまの御意見は、これは一厚生大臣が言っておるのじゃなくて、もうやはり社会全体の大きな要望であろうと私は思います。政府がかわろうと、厚生大臣がかわろうと、これを捨てておけない今日の状況になっていると私は考えますので、医療基本法にいたしましても、それに伴う供給体制の整備にいたしましても、あるいは保険の抜本改正にいたしましても、これはもう避けておれないというのが、もう今日の追い詰められた状況であると考えますので、御了解いただきたいと思います。
○古川(雅)委員 ただいま審議をしている健保の一部改正と、準備している医療保険各法改正の両者の収入面と、それから支出面の推計を伺いたいわけであります。これはかなり詳細な数字にもかかわることでありますし、ただいま健康保険法の問題について御質問申し上げており、なおかつ、健康管理体制についていま詳しく伺ったところであります。時間はすでに二時になっておりますので、委員長におはかりをいたしますが、答弁の都合等もあると思いますが、暫時休憩をいただき、本会議の後に質問を続行させていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○谷垣委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○谷垣委員長代理 速記を始めて。 この際、暫時休憩いたします。 午後二時五分休憩 ————◇————— 午後四時十九分開議
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案の質疑を続けます。古川雅司君。
○戸澤政府委員 休憩前に古川委員から御質問が残っておりまして、予定している抜本改正の収支関係の見通しを示せという御質問でございましたけれども、この抜本改正の中身につきまして、かなりいろいろ重要な部分がその後変更になりましたので、これに基づく収支計算はいま調整中でございまして、ちょっといまの段階で申し上げられませんので、御了承願いたいと思います。
○古川(雅)委員 あす十二日にも閣議で決定をしようというときになって、いまだにその収支面での推計もお答えいただけないということは非常に意外であります。そういった点からも、非常に政府として、この財政対策法案についての姿勢がふまじめでないか、そういう感じがするわけでございますが、そういう私たちの観測は誤りでありましょうか。
○斎藤国務大臣 いろいろおしかりを受けていますが、まあ厚生省当局といたしましても、あらゆる努力で精力的にやっておりますので、その辺をひとつ御了承願いたいと思います。
○古川(雅)委員 委員長にお願いいたしますが、ただいま私御質問申し上げましたこの収支面の数字につきましては、推計がつき次第御報告をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○森山委員長 承知しました。そういうように取り計らいます。
○古川(雅)委員 最初の改正案が財政対策ずばりであり、国民に負担を願うというのであれば、いよいよ二番手に出てくるのは抜本改正で、これはどこまで国民医療の確保をはかるものであるかと、そこまで期待していれば、財政調整等で、これもやはり一種の、政管健保を救済していこうという意図が盛り込まれていたわけでありますが、これは抜本改正案として一括して法改正をし、国民医療の機会均等をはかるべきではないか。議論が振り出しに戻るようでありますが、なぜそれができなかったかということを、あらためて御説明をいただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 一つには、抜本改正をやるにいたしましても、政管健保がいまのような財政状態では困る。まずそれを収支均衡のとれるものにして、その上に立って保険全体の公平をはかっていく。そしてまた、公平というのは、給付も、それから保険料も公平をはかっていきたい、こういう考えに立ちまして二つに法案が分かれたわけであります。法案が二つに分かれても同時提出が望ましかったと思うのでありますが、御承知のように、抜本のほうは審議会の関係その他関係方面との折衝の関係がございまして、おくれましたことは、まことに申しわけないと思っております。
○古川(雅)委員 被保険者、患者、国民の怒りは、その保険料率を引き上げてはいけないとだけをいっておるわけではないわけでありまして、昭和四十六年の答申にありますように、医療供給体制という前提条件の問題を解決しないで行なうのは答申無視だ、矛盾しているではないかと——過去、抜本改正に対する公約を何回となく繰り返して、そのつど約束をほごにして今日に至っているわけであります。その抜本改正をやるというのであれば、この際この健康保険法等につきましては、大正十一年の法でございまして、その後何回も改正を繰り返してはきたわけでありますが、抜本改正という意図を含めて、法全体を洗い直すという議論も当然出てきているわけでありますが、大臣としては、この点どういう所見を持っていらっしゃるか、この際伺いたいと思います。
○斎藤国務大臣 本来、たとえばいま何にもないところに国民皆保険の制度をどうしくかということになると比較的事柄は簡単でございますが、現にたくさんの医療保険制度があって、そしてそれを抜本的にまとめていこうというわけでございますから、したがってある程度既成の事実というものとの調和をはかるというわけじゃございませんが、それを踏まえた上で段階的にいく必要がある、かようにいま考えておるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃいますように大正十一年の当時の法律を、いまでいえばかたかな書きの法律をひらがなに全部直してしまうということも考えたのでございますが、これは次の段階にいたしたい。いまの段階では、いまあるものを抜本改正の趣旨に従ってまず第一歩を踏み出すということにとどめたわけでございます。
○古川(雅)委員 ただいまの件につきましては、次の段階でという意味の御発言があったわけでございますが、それは具体的にはどういうふうに了解すればよろしいんでしょうか。次の改正の機会にということか、あるいは次の国会というような意味なのか、その辺の御構想はいかがでありましょうか。
○斎藤国務大臣 このたびの両審議会の答申も、いろいろなその周辺の条件を整えて、そしてさらにやるべきだ。たとえばいまの一番の眼目である二分の一財政調整についても、そうでございますので、したがってそういう周辺の条件も整えたところで、今度は二分の一財政調整になりますかどうか知りませんが、そういったような考え方を踏まえて、そしていまの考え方を前進させるというようにいたしたいと思うわけでございます。
○古川(雅)委員 医療の基本的な問題について御見解を伺いますが、本来医療というのは、公共的なものではないかということでございますが、この点については、いかがお考えでございましょうか。
○斎藤国務大臣 公共的という意味は、どういうように解釈をいたしますか、まあ、医療は公共性を持ったものだと一般的にいわれております。これは何といいますか、やはり国民の健康の保持並びに健康破壊時に対するこれが回復の手段でありますから、したがって、これは私的なものというものではなかろうと、かように考えますが、そういう意味では非常に公共性を持ったものだと、こう申し上げてよかろうかと思います。
○古川(雅)委員 公共的なものであるかどうかということをお伺いしましたのは、実は、今回の本法の改正案の提案に際しまして事務当局から再三御説明をいただいた中で、いわゆる健康保険の保険料の引き上げは、物価問題の中で公共料金として扱う性格のものではないという、そういう意味の御説明を重ねていただいてまいりました。相次ぐ物価上昇の攻勢の中で、このように公共性を持つ医療のその保険制度の中で、保険料金を二倍も二倍半も引き上げること自体が大きな問題であると思いますが、これは事務当局の方でけっこうでございます。局長からお答えいただければよろしゅうございますが、財政対策の収入は、いわゆる保険料率で見ると、どのくらいアップするのか。あわせて、これが全国的ないま国民の関心事になっております物価問題の中で、いわゆる公共料金としての扱いをするのは筋を得ないという御議論について若干御説明をいただきたい。
○穴山政府委員 私からパーセンテージを申し上げたいと思いますが、標準報酬等級改定によりまして約六・二%、それから保険料率の引き上げによりまして約四・一%、それから特別保険料の徴収によりまして約三・五%、これを合わせますと約一三・八%でございます。
○古川(雅)委員 もう一つお伺いしました物価対策との関連はいかがでございますか。公共料金ではないと強く否定をしていらっしゃるように伺っておりますが、いかがでございますか。
○戸澤政府委員 保険料が公共料金であるかどうかという問題でございますけれども、医療保険というのは、そういう医療が公的な性格を持っておるという意味では公共的な性格を持ったものだと思いますけれども、しかし保険は、いろいろないわゆる保険事故について、それを危険分散するために相互扶助の考えから、お互いにその危険分散を保障しようという趣旨のものでございまして、その個々の保険料の拠出と給付というものが直接本来的に結びつくものではないわけでございます。その点が普通の料金は、財貨あるいはサービスの対価ということでございますので、そういう意味の公共料金と保険料とは、これは性格が違うのではないかというふうに思われます。 それで、いま各省の物価担当官会議もできておりますが、そこで公共料金等の値上げの取り扱いについての申し合わせが四十三年三月に行なわれておりますが、その中でも、保険料は特に公共料金としては取り上げられておらないというようなわけであります。
○古川(雅)委員 大臣もやはりいま局長の御答弁になったような見解をおとりになりますか。私は最初から、今度のこの保険料率等の引き上げが、かなり被保険者、ひいては国民全般にいわゆる物価高というしわ寄せが及ぶ、影響するというふうに判断をいたしておりますが、あえて公共料金であるとかないとかいうたてまえの議論は、いま局長から伺ったわけでございますけれども、公共料金でないんだから国民に及ぼす影響はどうこうないというような議論にはならないと思いますが、その辺の御見解、いかがでございますか。
○斎藤国務大臣 国民に及ぼす影響は、保険料率をアップをするという場合に、その適用を受ける者には、やはり相当の影響があることは当然でありまして、私は、保険料というものは公共料金というよりも、これは保険税に近いようなものでございますから、公共料金というよりは、むしろ税に近いもの。しいていえば診療報酬、これはいわゆる公共料金に近いものだ。この診療報酬をまかなう全体の保険料というものは、まあ保険税として取ってもいいようなものでございますから、これは税金に近いようなもの、税金そのものじゃありませんが、税金に近いようなものである。したがって、これが及ぼす影響は、やはり税が及ぼすのと似たような影響を来たすことは当然であります。
○古川(雅)委員 料金というよりも、むしろ性格的には税に近いものであるということになります。そうすると、これはいわゆる公共料金云々という議論よりも、いわゆる増税ということで国民、被保険者に負担がかかってくるというふうにお認めいただけるわけですね。いずれにいたしましても、今後審議の日程の中で、物特あるいは大蔵との連合審査も予定されておると思いますので、大臣の御発言からすれば、このいわゆる増税について、国民に及ぼす影響について、また詳しく議論があると思いますので、私はこれ以上進めません。 いわゆる保険料率を除いた他の収入増の対策についてでありますけれども、これははっきりと時限立法的なものであるというように理解をしてよろしゅうございましょうか。この点について御答弁いただきたいと思います。
○戸澤政府委員 今回特別保険料としましてボーナスを対象にして保険料を徴収する対策を出しておりますが、これは先ほど大臣からもお話がありましたように、現在の標準報酬制が最適のものであるかどうかというような検討問題もございますし、それらの結論を得るまで暫定的な対策として考えているわけでございます。したがいまして、何年までという時限立法にはなっておりませんけれども、当分の間という暫定対策というふうに考えております。
○古川(雅)委員 そうしますと、健保財政の収支のバランスということが大きな前提になると思いますけれども、これがあくまでも赤字傾向が続く以上、いわゆる暫定的な時限的なものではなくて、永久にその他の収入増対策というのは継続され、これが定着していくのだというふうに理解されますが、そのとおりになりますか。
○戸澤政府委員 特別保険料の扱いにつきましては、今後の政管健保の経営状況、収支の状況等の趨向を見きわめまして、一応安定した財政、安定が見込まれる時期になりましたならば、ひとつこの扱いについて再検討いたしたいというふうに考えております。
○古川(雅)委員 そんな安定するというような事態が想定できるのかどうかですね。これまでの健保財政の経緯から考えて、そういう観測が成り立つのかどうか。むしろ財政のバランスを失して今後も赤字が続いていくということの可能性のほうが非常に強いのじゃないか。そうすると、先ほど私申し上げたように、この特別徴収については、はっきりと定着していくのではないか。安定した段階で再検討をするとか別の方途を考えるというようなそうした方法は、非常に説得力のないものではないかと思いますが、重ねてお伺いいたします。
○戸澤政府委員 ただいま御審議いただいております財政対策は、特別保険料の問題のほかに、標準報酬の等級の改定とか、料率の改定とか、国庫補助の定率化、あるいは保険料率と国庫補助率の連動規定、そういったいろいろな対策を総合的に織り込んでいるものでございますので、もしこの対策が、ほぼ原案のような形でもって成立するとすれば、ある程度長期にわたって財政収支が安定するのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういうような時期になりましたならば、この特別保険料をどうするかということを再検討してみたいと考えております。
○古川(雅)委員 もう一度確認さしていただきますけれども、そうすると、健保財政が安定を見て黒に回ったときには、特別保険料については廃止をする、中止をするというふうに理解をしてもいいのかどうか。そしてまた、今後とも医療費の増高等によって赤字が継続する場合には、この対策は今後とも継続する、私が申し上げたとおり定着してしまうというふうに理解してよろしゅうございますか。
○戸澤政府委員 ある程度長期安定の見通しが立った段階におきまして、この保険料について、正規の保険料だけでもってそれをまかなっていくか、それともこの特別保険料をある程度残しておいたほうが運営上有効であるか、その辺を判断して処置いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○古川(雅)委員 今後の収支の推移を予測いたしますと——これはあくまでも予測でありますけれども、むしろ、私は、後者のこうした特別保険料対策、また制度が定着をしてしまう、このままずっと引き継がれていくという懸念が強いのではないかと考えます。そういう意味でも、非常にこの特別保険料の考え方については疑念を抱くものであります。 その中で、いわゆる弾力条項の件でありますけれども、本来、これは中間というものがあって、それに上下の幅をつけるのが筋合いではないかと思いますが、その辺の考え方については、いかがでございますか。
○戸澤政府委員 お話しのとおり、政管健保につきまして四十一年までは、いわゆる弾力的な規定があったわけでありまして、そのときは上下の幅をつけておりました。しかし、この弾力条項の発動というのは、保険料率を上げる場合に意味があるわけでございまして、下げる場合は、これは被保険者の利益に関することでありますし、下げるほうは幾ら下げても差しつかえないというふうに考えられますので、特に下限は設けなかったわけでございます。
○古川(雅)委員 大臣、いまの点についていかがでございますか。保険料率の弾力的調整事項でありますが、いまの局長の御答弁のまま受け取ってよろしゅうございますか。私どもの印象としては、何か上げるほうに非常に重点を置いていらっしゃるように受けとめたわけでございますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、下げる場合もあり得るじゃないかということであろうと思いますが、これは理屈としては下げる場合もあり得ると私も思います。しかしながら、実際の場合を想定をいたしますと、先ほどの御意見にありましたように、一体今度の財政対策をやっているのは、いつまで持つのかという御質問があるくらいに、下げるということは、将来の医療事情等を考えても、実際上はなかろう。したがって実際上、下げるというようなことは、まあないであろう。下げられるような事態になることは、あるいは好ましいのかもわかりませんが、しかし、これからの医療事情等を考えますと、下げるようなことはまあなかろうというので、したがって、下げる場合の規定をしていない。また下げる場合には、これはどこも異論なしに下げられるであろう、こういうような考え方でございます。
○古川(雅)委員 それで、弾力条項については、いわゆる社会保険庁長官の判断によって調整がなされるわけでありますが、これは国会軽視ではないかという批判が従来から非常に高かったわけであります。これに対して、政府のほうは、いやそうじゃない、社会保険審議会の意見を聞いて、それを尊重して、この限度内で変更できることにするのだ。したがって、国会の軽視でも何でもないというようにお答えになってきたように思いますが、この弾力条項を適用する段階になって、社会保険庁長官が審議会の意見を聞く場合、もし審議会の側で遺憾の意を表明されたような場合、これも決してあり得ないことではないが、そういう事態のときにはこの弾力条項を発動しないと断言できるか、またそういう事態が生じたときにどうなさるか、どう取り扱われるか。一つの想定でありますけれども、大事な問題点であると思いますので、御見解をお伺いしておきたいと思います。
○穴山政府委員 確かに社会保険審議会にかけました場合には、イエスと出る場合とノーと出る場合があり得ると思います。本来の筋から申しますと、その答申というものは極力尊重しなければいけないと思います。ただ、いま先生がおっしゃいましたように、一つの仮定の問題でございますが、その場合実際に諮問し、答申をいただいたときにどう判断するかということは、その場になって慎重にまた考えなければいけないと思いますが、筋としては極力尊重しなければならない問題であるというように考えます。
○古川(雅)委員 くどいようですけれども、弾力条項を、私たちが理解できるかできないかという一つの手がかりとして伺っておるわけでありまして、これを単に社会保険庁長官単独の判断にまかせないで、審議会の意見を聞くというところに一つの意義があると思うのです。その審議会が賛成できないという意思を表明したときに、保険庁長官としては、これは弾力条項を適用しないのだという判断があるかないかということは、私たちがこの弾力条項を理解する上では重要なかなめになると思います。そういう事態が起こってみなければ、そのときになって考えるというのでは納得できないわけでありますが、もう一度御答弁願います。
○穴山政府委員 その答申が出ました場合に、全員一致で反対する場合もありますし、あるいは従来のいろいろな問題にありましたように、並列答申のよう場合とか、いろいろあると思います。私どもは審議会に、一つの諮問機関として諮問をして、審議をしていただいて答申をいただくわけでございますから、筋としては当然その答申といりものを極力尊重していかなければいけないと思うわけでありますけれども、いろいろなケースがあると思われますので、そのときにどう対処するかということは、私どもとして慎重に考えていかなければいけないというように思います。
○古川(雅)委員 この間からこの点、たくさん議論があったわけでございますけれども、「社会保険審議会ノ意見ヲ聴キ」というところですね、そこにとらわれざるを得ないのであります。並列答申とかいろいろいま事態をおっしゃいましたけれども、要は最終的に審議会の意見は聞くけれども、判断は長官の判断で押し切ることができるんだ、多少審議会の中に反対の意見はあっても、事態を判断して社会保険庁長官の判断で弾力的調整を断行できるんだというように、私たち理解してもよろしゅうございますか。
○斎藤国務大臣 これは大きな問題だと思いますから、私からお答えをいたしますが、「意見ヲ聴キ」という以上は、聞けばいいんだということだけではなくて、やはりその意見を十分尊重しなければならぬということでございまするし、社会保険庁長官の権限に法律上はなっておりますけれども、やはりこれは厚生大臣の責任になりますから、したがって場合によれば、政治問題としても考えなければならないというようなことでもありましょうから、そう簡単に聞きっぱなしでいいんだといりような解釈ではございません。その辺は御了承いただきたいと思います。
○古川(雅)委員 ですから、もとへ戻ってしまいますけれども、審議会から反対の意が表明された場合、はっきりと、弾力条項を適用しない、審議会の同意が得られるまでは適用しないんだというふうに態度をお示しになることができますか。それが結論として伺いたいわけです。
○穴山政府委員 もちろん、否定されるような答申が出ました場合は、それに従って、私どもが考えました料率を引き上げることを取りやめるというような場合は当然あり得ると思います。しかし、いろいろな場合があると思われますので、ノーと出たらば、必ず取り下げるかといわれた場合には、そのときのいろいろな情勢の判断による場合もあり得るというふうに考えられます。
○古川(雅)委員 もう少し具体的に補足していただきたいのでありますが、そのいろいろな情勢というところがまた問題になると思いますけれども、それはどのように私たち判断をすればよろしいのでしょうか。
○穴山政府委員 それは非常にむずかしい問題で、いろいろの場合を、あらゆる場合を想定し切るということは、いまちょっとこの時点ではできませんが、たとえば公益委員は賛成である、しかし公益委員以外は否定的な見解であるというような場合には、私どもとしては、その答申をどう扱うかということは考えなければいけないというように考えるわけでございます。
○古川(雅)委員 この弾力条項を設けた意義でございますけれども、保険料率について、国会の審議にかけないで変更できるということにした、国会の審議にかけないということにどれほどのメリットがあるのか。社会保険庁としては、どういうメリットを認めていらっしゃるのか。その点をひとつ胸を開いてお伺いをしたいし、また特別保険料のほう、賞与に関する特別保険料のほうは国会の審議にかけているわけでございまして、その辺はちょっと矛盾しているような気がするのでございますけれども、その辺御説明をいただきたい。
○戸澤政府委員 この弾力条項を設けた趣旨は、こういう医療保険のような短期保険につきましては、毎年その収支の状況、医療費の動向、そういったものは非常に目まぐるしく変わるわけでございます。それに対応する収支計画を立てるために、保険料の修正をする必要があるという場合に、これを一々国会に、法律改正として出して御承認を求めるということは、時間的な問題としましても困難な場合がございます。それで大体、短期保険におきましては、ある程度のこういう条件、制約のもとに弾力的な運営をまかされておるというのが例でございます。健康保険組合しかり、共済組合しかり、また失業保険や労災保険等も同様でございます。これらはいずれも、あるいは運営審議会的なものにはかって、認められた範囲内でもって保険者が料率を修正し得る権限を与えられております。それで政府管掌健康保険につきましても、昔、四十一年まではそういうふうになっておったわけでありますけれども、ちょうど、いわゆる抜本改正問題が論議されかかったときでありまして、この問題については抜本改正のほうも一緒に再検討するということでもって一時的にストップになったという経緯があるのでございます。 それで今回この財政対策をつくるにつきまして、やはり短期保険においては、こういった弾力条項がどうしても必要であるという判断から、一つの制約のもとにまた復活をさせていただきたいという趣旨でございます。 社会保険審議会は労使それから公益、三者構成で、利害関係者が集まって非常に熱心に、また厳格に審議されるところでございますので、この決定を無視して保険庁長官がかってな裁断をするというようなことはできないわけでございますので、こういう規定を設けましても、これが乱に流れるというようなおそれは絶対にないというように考えております。
○古川(雅)委員 これは乱用されたら、えらいことになるわけでありますから、当然のことであると思いますけれども、いわゆる短期保険という性格をあげて、どうしても弾力調整の方式を採用しなければならないという御意見でございましたけれども、むしろぼくはその議論はおかしいと思います。これは手続の繁雑さ等はあると思いますけれども、年々そうした点を国会の審議にかけて法改正をしてでも調整をはかるべきではないかということを考えます。さらに四十一年度以前は認められていたけれども、抜本改正の考え方が出てきてから今日まで認められていないんだということがございましたけれども、そういう経緯があるのであればあるほど、いわゆる抜本改正が実施の段階になってから、この弾力調整の項については設けても、決しておそくはないという理屈になると思います。これははたして詭弁でありましょうか。
○戸澤政府委員 その点につきましては、本来ならば抜本改正のときに一緒にこういう問題も論議すべきものかもしれませんけれども、今度のいわゆる財政対策と抜本改正というものと二つに分けて出しました関係上、財政に関するいろいろな対策は、この財政対策法案のほうにまとめて盛ったのでございます。 それで、なぜこの中で四十七年度から弾力条項を設けなければならぬかということでございますけれども、これは四十七年度末をもって過去の累積赤字を全部たな上げするということになっているわけでございます。たな上げをするというためには、それ以降はもう収支とんとんでいくという制度的な保証がなければ、たな上げはできないわけでございます。 それで、四十七年度中にこの弾力条項を発動するということは、実際問題としては何か特別の事情の変更でも起きない限り、そのおそれはないと思いますけれども、しかし理論的には、やはりたな上げをする以上は、何か不時の大きな支出あるいは不測の事態などが起きた場合には、この弾力条項という制度の裏づけがありませんと、そのたな上げを保証する担保にならないわけでございます。そういう意味で、四十七年度から弾力条項の実施ということをいたしているわけでございます。
○古川(雅)委員 次に、歳入面の弾力的調整事項でありますが、保険料率の弾力調整によりまして千分の七十三をこえる料率千分の一について国庫補助の割合を千分の四増加するという規定でございますけれども、最初に申し上げましたとおり定額補助から定率補助に改正をする。改正側としては、かなり高く評価されていると思いますが、金額的にいえば二百二十五億ですか。それから概算で三百数十億ということですね。まあ一歩前進ではあると思いますが、先日来議論されておりますとおり、五%で妥協したという根拠が非常に明らかではないわけでありまして、くどいようでありますけれども、以後の質問の順序がございますので、まずその根拠からお示しいただきたいと思います。
○戸澤政府委員 五%の根拠は十分的確なものがあるわけではございませんけれども、定率補助を導入するにつきまして、従来の定額補助の給付費に対する比率をずっとながめまして、四十六年度は四・三%程度になっております。それを若干上回る額、率ということでもって五%にめどを置いて、それで保険料の引き上げとか何かとのバランスを考えますと、まあこの程度の国庫補助によって国の負担と保険料負担というものが、ほぼバランスがとれるのではないかというような考え方でもってきめられたわけでございます。
○古川(雅)委員 定率五%というのは将来引き上げていく性格を十分中に含んでいると思いますが、一応確認の意味でそのように理解をしてもよろしいか伺っておきたいと思います。
○戸澤政府委員 国庫補助の問題につきましては、定率補助の五%のほかに、保険料の引き上げと連動式に国庫補助をふやしていくというような規定もございますので、これらを総合的に判断しまして、保険料との見合いも考えて、どうしても国の支出を一そう増さなければ収支が合わない、また保険料の引き上げにも限界がきたというような場合には、今後またその改定も考えなければならないと思いますが、いまのところは五%ということでもって了解しているわけでございます。
○古川(雅)委員 弾力条項で引き上げて、その引き上げに準じて国庫補助をふやすと言われますけれども、これは将来定率を五%から一〇%、一五%、二〇%と引き上げていくその要求に対する一つの歯どめではないか、そういう疑問がわくわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○戸澤政府委員 歯どめというようなものではございませんで、むしろ定率補助をとったことと対応しまして、保険料の引き上げに、いわばスライドして国庫補助のほうも引き上げていこうという考えでございますので、まあ両者相まって国の支出責任というものを果たしていこうという考え方でございます。
○古川(雅)委員 歯どめということばの使い方が適正かどうかは別として、歯どめというような性格のものでないとすれば、先ほどお伺いいたしましたとおり、いわゆる定率五%というのは、その五%というものを引き上げていく要素というものは十分持っている。そのように判断できるんじゃないかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○戸澤政府委員 この国庫補助の扱いにつきましては、定率のほうを修正していく方法と、それから連動方式、そのほうを引き上げていく方法、それによってふやしていく方法と両方考えられているわけでございますので、それを——これらは片方を押えて片方を伸ばすというようなことではないので、まあ両者相まって運営していくのが適当であろうというふうに考えられるわけであります。
○古川(雅)委員 そうしますと、次にお伺いいたしますけれども、保険料率と一部負担の引き上げとを行なわないで、累積赤字をたな上げにした上で、どのくらいの定率にすれば赤字が解消になるか、この辺の試算をなさったことがございましたら、お示しをいただきたいと思います。
○戸澤政府委員 試算を計算する前にちょっとお伺いしたいのですが、一部負担をやらないでとおっしゃいましたが、そうすると、今度の財政対策法案には一部負担の改正は入っていないのですけれども、現行の一部負担をやめた場合ということですね。(古川(雅)委員「そうです」と呼ぶ)それは収支にわたっての計算になりますので、ちょっと時間がかかりますので、後ほど結果が出ましたならば、またお答えいたします。
○古川(雅)委員 それは御報告いただくといたしまして、先般本委員会においては、参考人の出席をいただいて意見を聴取したわけでございますが、先ほどの川俣委員からの御質問にもございましたけれども、参考人の中からこの定率についての御意見がございました。私どもが従来主張してまいりました二〇%の妥当性を一応証明されて、なおかつ政府側としても当然理解でき、第三者として当然と思われるものが、いわゆる一四%程度だということをお示しになったわけであります。そうした参考人の意見はすでにお聞き及びだと思いますし、その辺についての見解もすでにまとめていらっしゃると思いますが、先ほどの御答弁ではどうも納得がいきませんので、もう一度参考人の意見について、一四%ないしまた私どもがこれまで提唱してまいりました二〇%という定率について、政府ではどう受けとめていらっしゃるのか、御見解を伺っておきたいと思います。
○戸澤政府委員 この国庫補助の負担率につきましては、審議会等の意見でも、いろいろ一〇%あるいは二〇%あるいは参考人の御意見の中にあるように一四%、まあそれぞれの根拠に基づいておられるのだろうと思いますけれども、いろいろ御意見がございました。しかし先ほどもお話ししましたとおり、今回の財政対策は、総合的にいろいろな対策を考えているわけでございまして、国の支出についても、この定率補助のほかに、連動性とかあるいは繰り返して申し上げますが、過去の累積赤字のたな上げとか、いろいろの国の支出を考えておりますので、保険料の負担等とのバランスから見て、定率五%というのは、現状においてもほぼ妥当な数字であろうというふうに考えておるわけでございます。
○古川(雅)委員 こうした一連の保険料等の引き上げによる財政対策が出てくるゆえんですが、いわゆる政管健保の赤字要因について、私たちの理解するところでは、昭和三十七年以来約十年間にわたって、いわゆる決定的な解明をしていないというふうに私は理解をしているわけでございまして、その点は特に大臣としてはどうお考えになっていらっしゃるか。これまでいわゆる赤字要因についての御説明では、はなはだ心もとないと思うのでありますが、いかがでございましょう。
○斎藤国務大臣 政管健保がいつも赤字に脅かされているということ、その原因は、これはたとえば組合健保に比べての問題でございますが、まず一言で言えば、保険料収入が医療費のアップに伴わないということでございますが、その原因は、保険料収入の伸びは、政管健保に比べて組合健保のほうが伸びがよろしい。政管健保は中小企業でありますから伸びが悪い。同時に、御承知の人口の老齢化によって、政管健保には老人の比率が組合健保に比べて多い。老人が多いということは、医療の給付がよけい要るというわけでございまして、これを組合健保の平均と政管健保と比べてみますと、標準報酬において一人当たり月額約一万円違う。それから医療費において一人当たり一万円弱政管のほうが多いという結果でございまして、したがって、これはそういった体質的なものが大きな原因である、かように考えます。
○古川(雅)委員 この十年間の単年度の赤字を見てまいりますと、昭和三十七年は十六億円、三十八年が百三十一億円、三十九年は三百二十五億円、四十年は四百九十七億円、四十一年が二百六十六億円、四十二年が五十八億円、四十三年は二十四億円、四十四年は五十六億円、四十五年は三百八十三億円、四十六年の見込みが百五十八億円。これらの単年度ごとの赤字を見てまいりますと、健保の特例法が行なわれたときは縮小をしているという傾向が一つ見られるわけでありますし、ある年は何百億円、ある年は何十億円というように、非常に格差を生じているわけでありますけれども、この辺をどのように分析をしていらっしゃいますか。
○穴山政府委員 四十年をピークといたしまして四十一年度、二年度、三年度、四年度と縮小いたしました理由は、先生がいまおっしゃいましたように、この時期に特例法が施行されておりまして、落ちついてきたわけでございますが、四十五年度に再びこの額がふえましたのは、医療費の改定がございまして、それがだいぶ影響をしているわけでございます。それから四十六年度再び縮小いたしましたのは、これは御承知のように、昨年の夏、初めての経験であります総辞退がございまして、総辞退の影響と、それからその後の医療費の鎮静というようなことで、四十五年度に比べて単年度の赤字が減ったというような、まあ大ざっぱでございますけれども、そういったような傾向でございます。
○古川(雅)委員 これは政管健保につきましては、医療費との関連についても、単年度赤字の内容について何らかの傾向が分析されるのではないかと思いますけれども、その一例として、都道府県別に見た医療費でありますが、これは、一番高い県と一番低い県をちなみにあげていただきたいわけでありますけれども、そういう格差は一体何によって起こってくるのか、その辺の原因の究明等ができておりましたら、御説明いただきたいと思います。
○穴山政府委員 四十五年度でございますが、一人当たりの医療給付費を見ますと、一番高い県が奈良県でございまして約五万五千円でございます。一番低いのが東京でございまして、約二万九千円でございます。このように県間の格差が何であるかということ、これは昔から私どもが究明をせよと言われておりまして、いろいろと検討をいたしておるのでありますが、なかなか解明できない問題でございます。まあ従来からよくいわれますのは、たとえば医療機関あるいはベッド数、これが多いところは、わりに医療費が高いというようなことがいわれるわけでございます。 数字的には確かにそういったような傾向は否定できない面がございますが、しからばそれとの因果関係がどうなのかというようなことになりますと、これは残念ながら、いまだにその因果関係というものが究明しきれないわけでございます。わりあい生活水準と申しますか、生活程度が高いと受診率が高くなるというようなこともいわれておりますし、まあいろいろな原因が想定をされるわけでございますけれども、なかなかそれが数字との間の因果関係ということで結びつかないわけで、私どもとしても分析解明がなかなかできないでいる現状でございます。 いわゆる健康保険の運営に当たるものとしても、こういったようなものの解明はすべき責任がございますので、今後ともいろいろな資料をもって解明をしていきたいと思いますけれども、いままでのいろいろな検討では、いま申しましたように解明しきれないということが、率直に申しまして現状でございます。
○古川(雅)委員 政府が管掌する健康保険であり、なかんずく、こうした大きな赤字をかかえている、財政の破綻を目前にしている健保でございます。したがいまして、この赤字の要因については徹底した調査と究明がなされなければならないと思うわけでございますけれども、過去においてチェックしたことがあるのかどうか。先ほど私は昭和三十七年ころに解明された、そういうデータが一応あるというふうに認識していることを申し上げましたけれども、これは非常に部分的なものでありまして、過去にあるのかないか、それからまた今後やる必要があるのかないかどうか、また技術的にそういった赤字の要因の科学的な分析、調査、追跡というのは困難なのかどうか、できるのかできないのか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
○穴山政府委員 三十七年は、これは赤字が発生し始めた年でございますが、そのときにその赤字の原因の究明を行なったということは、ちょっと私もいまは聞いおりませんのでわかりませんが、しかし今後の問題としては、当然私どもの姿勢としては、こういったような問題の分析というものに全力をあげて取り組んでいかなければいけないというように考えております。
○古川(雅)委員 ただいまの件ですが、大臣の御意見を承っておきたいのでございますけれども、いずれにいたしましても、こうした赤字を年々かかえてきながら、その要因の科学的な追跡調査や分析が行なわれなかったというのは、当局の怠慢ではないかというふうに私は考えるわけでございますけれども、しかもその赤字を一方的に患者に負担をさしてきたその繰り返しであります。これを十年も続けてきたわけでありますけれども、こうした問題を含めて何らかのチェックをしなければ、被保険者は納得しないと思います。大臣、いかがでございましょう。
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、府県間、いわゆる地域的に一人当たりの医療費が高低があるという問題でございますが、これは政管健保の中だけでなしに、国保の間においても組合健保の間においても大体同じ趨勢にあるわけです。たとえば京都は非常に一人当たりの保険料が高い、診療費が高いところでございます。これは国保も同じこと、組合健保も同じでございまして、政管と国保の間の違いというよりは地域的な相違である、かように考えます。 そこで、そういうような地域的な違いを保険でまたどうやっていくかという問題も、さらに一つ残されている問題だ、私はかように考えますが、地域によっては一人当たりの一日の診療報酬というものは、これはあまり変わらない。政管も国保もまた地域的にもそうたいした違いはございません。そうしますると、いわゆる受診率というものが相当違ってくるのじゃないだろうか。受診率の違いは何かといいますると、やはり疾病率が多いということ。それから医療機関にかかりやすい要因というものが存在するのではないだろうか、かように考えておりますが、もっと詳細に分析する必要もあろうかと考えております。
○古川(雅)委員 その分析する、その要因を突きとめていくことが必要であると言いながら、そうした健保財政の支出面でのチェックが十分行なわれていなかったということに対しては、これでは国民は納得できないと思います。これはあまりにも無責任であると思いますが、そうした赤字の要因をいろいろ言われましたけれども、それをなくそうという努力が非常に見られない。くどいようでありますが、それを患者の負担に、被保険者の負担に一方的に押しつけてきた感じ、これはどうしても私たちぬぐい去ることができないと思います。大臣は一体そうお感じにならないのかどうか、もう一度伺っておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 これは保険の経営が効率的でないという点からきている面もなきにしもあらずと私は思いますが、同時にこれもまた地域の体質的なもの、本質的なもの、保険の努力によってはどうにもならないものが相当多いのではないかと私は思いますが、大体医療機関の多いところは診療報酬費も多いというのが現状でございます。したがって医療機関が全国に人口に比例して同じようにあるというようになれば、これはまた変わるかもわかりません。わかりませんが、それはむしろ医療機関の薄いところに医療機関を増していくということでありますから、診療報酬費はまた高まっていくということであって、これは赤字をなくするというよりは、診療報酬費がふえてくるということであろうと思います。 今日供給体制を整えるという意味において、たとえば過疎地帯の医療機関をもっと充実をするということになれば、その過疎地帯の診療報酬費も上がってくるということになるわけであります。上がってくることが悪いのでなくて、やはりそれだけの需要があるのに診療ができないという現状を直していくわけでありますから、それは診療報酬費が高まってきても、むしろ国民のためには喜ぶべきだ、こういうように考えます。したがって赤字解消というよりは、そういったやはり供給体制を均衡ならしめる、整えていくということが必要である、このように考えます。ことにいい病院がよけいある、病院のベッド数も多いというような場合には、どうしてもその病院にかかって、そして高度の治療を受けるという人が多いわけでありますから、そういうことになるであろうと考えます。
○古川(雅)委員 もう一つ、それは推量等でなくて、やはり技術的に可能であるならば、また、そのはっきりしたデータを整えて、そうした地域格差等の内容についても、原因についても説明をいただきたいと思います。 次に、患者の一部負担でありますが、いわゆる入院時等の一部負担等につきまして、これは今後負担増がはかられることによって、負担できない人もいるのではないかというように思いますけれども、こういう方々に対しては、どうお考えになっていらっしゃるか。
○斎藤国務大臣 それは抜本改正の中で、いわゆる高額医療については保険で給付をするということによって解消してまいりたいと思います。
○古川(雅)委員 たとえば四人家族でかぜをひいて医者にかかった。高額医療というようなものでなくとも、そういうときには少なくとも二、三千円の金がふっ飛んでしまうわけです。これだって決して負担としては軽いものとはいえないと思いますけれども、そういったボーダーラインにある方々にとっては、ちょっとした負担増も大きく生活に響いていくわけであります。そういうことでなかなか受診の機会等も遠ざかっていくというような事態については、どうお考えになるか、そういう意味で伺っているわけであります。
○斎藤国務大臣 ボーダーラインの方々に対しましては、医療扶助の制度を活用いたしまして、そういった方に医療にこと欠かないようにいたしておるはずであります。 高額医療といいましても、特殊な高額医療でなしに、自己負担が、たとえば月額二万円以上かかるというような場合には、その二万円を超過する分を保険で給付をしたいというのが、今度の抜本改正の一つの大きなねらいの点でございます。それと医療扶助を適当にあんばいしてまいれば、ボーダーラインの方々もいままでよりは困難性が少なくて医療にかかれる、かように思うわけでございます。
○古川(雅)委員 局長に伺いますが、被保険者本人の十割給付が、こうした患者の一部負担の強化によって実質には何割くらいに低下するというふうに考えていらっしゃいますか。試算がございましたら、お示し願いたいと思います。
○戸澤政府委員 抜本改正でもって、一応現在の案でもって予定しております一部負担をそのとおり実施いたしますと、本人の給付率は九二・五%でございます。現行の一部負担ですと、給付率は九八・五%です。
○古川(雅)委員 実質ですね。抜本改正では……。
○戸澤政府委員 九二・五%です。
○古川(雅)委員 これは健康保険の後退ということにつながると思うのですが、数字的にはきわめて少ないというふうに認識をしていらっしゃるわけですか。私は、今回考えられております抜本改正では、一部負担の強化によって実質八割ぐらいに低下するんじゃないかというふうに認識をしておりましたが、いまの御答弁では九二・五%ということでございました。いずれにいたしましても、これは一歩後退であると思いますけれども、医療を確保するという本来の目的からすると、これがそこなわれるという感を抱くわけでございますが、いかがですか。
○斎藤国務大臣 私は十割給付というより、やはり少額は負担をする、高額は保険で十分見る、今日の日本の生活水準、所得水準等から考えて、そのほうが適当ではないか、かように考えております。
○古川(雅)委員 患者の一部負担の功罪についてでありますけれども、特例法の持っていた意味が非常に重かったわけであります。特例法では薬剤の一部負担があったわけでありますが、これは一部負担の機能というのは、受診の抑制につながるという判断が一つあります。大臣は、いまおっしゃったように高額医療については保険で見るのだということであって、受診の抑制にはならないという御見解でございますけれども、これは実際問題としては、やはり受診抑制ということに対して何らかの波及効果があるのじゃないか。それをどうお考えになっているかという点が一つであります。 患者の一部負担制度というのは、本来の姿ではこれは完全に保険で見るのが当然ではないか。特に今日世間で国民の皆さんが嘆いておるのは、医者に言わせれば、医者はもうからないもうからないと言って嘆いています。健康保険はふたをあければ全部赤字だ。赤字がひしめいている。一方健康保険に入っていながら、政管、国保を問わず、あらゆる健康保険を問わず、保険証を持っていって医者にかかっても、けっこう保険の適用しない、いわゆる患者としての一部負担のかかる部分がかなり多い。そういうことで、ちょっと病気でもしようものなら月に何千円、ひどいときには二万円も三万円も金を取られてしまう。一体日本の医療保険制度というのはどうなっているのか、非常に単純な言い方かもしれませんが、そういう疑問が非常に強いわけであります。したがって保険料を納めていても、医者にかからないでいる人たちとの公平をはかるという意味においても、やはり一部負担制度というのは、保険制度の中では結局受診まで妨げることになってくるのではないかという議論が私は成り立つと思うのであります。くどいようでありますが、その辺についてどう判断をしていらっしゃるか、どうお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 いま健保では家族が五割負担で、一部負担どころじゃないのでございます。これは非常に受診を抑制するといえば、そういう意味で抑制されるわけでありますが、これは私どもは少なくとも国保のように七割まで上げたい。それでも困る人は、月二万円、三万円あるいは三万円以上かかるというものは、かかった分をあれしたい。そこで被保険者本人は十割給付というたてまえになっているが、しかしそこには一部負担があって、先ほど九八・五%といいますから一・五%だけ負担をしてもらっているわけであります。十割給付といえども、一・五%負担をしているということでありますが、いまの生活水準、所得水準から見れば、今度考えている一部負担は、そう受診の抑制にはなるまい、かように考えております。 むしろ今日の給与水準、生活水準から考えれば、この程度は本人といえども負担をしてもらって、そうして家族のような一部負担の多いものを減少するというほうが実情に合うのじゃないか、かように思うわけであります。
○古川(雅)委員 言うまでもなく病気の治療については早期発見、早期治療ということが非常に重要であり、その効果というのは無視できないと思います。あくまでもその一部負担によって早期受診がはばまれはしないか、そういう心配があるわけでありまして、決して患者の一部負担が多くはない、率としては高くないという御説明でございますけれども、実際問題としては、そういうことではなく、患者は非常に大きな負担に苦しんでいる。やはりこうした病気の治療の対策について、早期受診をはかる意味においても患者の負担というのは、さらに軽減をいたしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますけれども、その点よろしゅうございますでしょうか。
○斎藤国務大臣 ただいまの点は、古川委員と所見を異にするといえばそうなってしまうわけでございますが、本人の十割給付が、これが平均して九二・五%ということになりますが、初診時に四百円持っていく、あるいは薬剤投与一薬について三十円ということで、私は必要な受診の抑制にはなるまい、かように思います。
○古川(雅)委員 先ほども指摘をいたしましたが、薬剤の問題ですけれども、総医療費に占める薬剤の費用が約半分弱、四七%を占めているというふうに私記憶いたしておりますが、いわゆるレセプトによって診療報酬支払基金の審査員が調査しているわけですけれども、毎月一人の患者が三千点をこすような人がどのくらいおりますか。
○穴山政府委員 ちょっといま資料をさがしますので、少しお待ちを願います。
○古川(雅)委員 では、その間に重ねてお伺いいたしますけれども、これは朝日新聞の記事によりますと、ある月の診療日数は八日、かかった保険点数が三千六百八点、その内容を見ると、ほとんどが薬と注射で占められていた。保険審査で文句のつけようのないのが現状だ。こうした例が、レセプトを区別し、追跡調査をする上で非常に問題になっているわけでございますけれども、そういった事態について一体どうお考えになりますか。
○戸澤政府委員 確かに従来わが国の診療費に占める薬剤費の割合というのは、御指摘のとおり諸外国に比しても高いような状況でございます。これが医学、薬学の進歩によって適正に投薬された結果高くなる、その比率が多くなるというなれば、これはあながち非難すべきことではないと思われますけれども、投薬が必要以上になされておる、乱用されているというようなことですと、これはやはり問題であると思います。 それで、この薬剤の適正化の問題につきましては、いろいろな面からその対策を考えなければならないわけでございますが、中医協におきましても、診療報酬の改定のつど薬剤の扱いについては、この合理化をはかるようにしております。薬剤の値段のきめ方、その他いろいろ処方料とか調剤料というようなものを合理化するとか、まとめるとか、いろいろな方法でもって薬剤に関する適正化をはかっているわけでございます。今度復活しようとしております投薬時の一部負担、薬剤に対する一部負担というのも、一つはそういう意味合いもございまして、投薬の適正化を期するためにも、そういう一部負担というのは、ある程度の効果があるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○古川(雅)委員 政府が本気になって医薬分業を推進するのかどうか、その辺についてもお伺いしておきたいわけですが、たまたまきのうの朝日新聞の夕刊のコラムに、非常に端的に医薬分業のあり方についての評論が載っておりました。「今日の問題」という欄でございますけれども、大臣お読みになったかどうか伺いたいと思いますが、「厚生省薬務局が「医薬分業に関する基本方針」をまとめ、このほど全国都道府県関係課長会議で説明した。このため、厚生省が「医薬分業」に積極的な姿勢を示したと受取られているようだが、果してそうなのだろうか。」という疑問符で始まっております。私もその辺は非常に疑問になるわけでありますけれども、根本的に考えれば一何のために医薬分業を推進する必要があるのかという根本問題も出てくると思いますけれども、その辺の議論がまだ熟していないというか、詰められていない段階で、薬務局がこういう基本方針を急に打ち出してきたというのは、どういう意味合いによるのか、この際お伺いしておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 医薬分業はもう多年の問題でございまして、法律上も医薬分業が原則だということをもうすでに十数年前に確立をいたしているわけでございます。ところが、いままでの習慣上なかなかそれが実現を見ない。何も諸外国がいい例ではございませんが、先進国はみな医薬分業をやっているわけでございます。医薬分業の必要性ということは、今日の時代になっても決して薄れてはおりません。 そういう意味から、なぜ医薬分業をするのかという点については、もう医薬分業はやらなくていいじゃないかというような議論は、学界その他にもどこにも出ておりません。われわれ考えましても、やはり薬は薬の専門家がこれを管理をする。そして、その薬の効能というものも判断をするということが必要でありますから、したがって医薬分業は、やはり本気で進めなければならない。ところが、いままでは医薬分業をするだけの受け入れ体制ができていないのじゃないかというような事柄と、そしていままでは医者のほうは医薬分業をあまり好まないというようなことから今日までずるずる来たと思います。そこで薬剤師協会のほうも、薬局のほうも体制を整えます、整えるなら政府も助長はするけれども、真剣に整える体制をとってもらいたいということで、真剣にいよいよ整える体制をとろうというようになってまいって、これから真剣に整えるということで、着々その準備を進めかけております。したがって、この機会に少なくとも一定年限を限って、受け入れ体制の整ったところから、法制的にももっとかっちりと医薬分業をやるようにしていきたい。これが健保制度の周辺を整えるという意味からも一つの解決すべき問題だ、かように考えて、今回これを積極的に、いままでよりも画期的な進め方をやりたい、かように考えております。
○古川(雅)委員 ことばを返すようでありますが、この執筆者はこういう指摘のしかたをしているわけです。「薬務局としては、この問題が医療保険制度の抜本改正の一環として論議されるようになったので、この機会にPRを、という考えのようだ。」という指摘のしかたをしております。そして、さらに「厚生省が、もし本気で推進するつもりならば、医薬分業についてあらゆる角度から慎重に再検討し、どうしてもやるべきかどうかの結論を出してからにすべきであろう。」としておりますし、さらに加えて、「ところが、同じ省内でも、医務、保険局などの関係各局は相変らず消極的な態度をとっている。こんな状況の時に、薬務局が独走してみても、はじまらないのではないか。」という、そういう疑問を投げかけているわけでありますけれども、いまの大臣の御見解、御所信とは多少そぐわないような指摘のしかただと思うわけでございますが、こういう意見に対して、どうお考えになりますか。
○斎藤国務大臣 外側から、そういうようにもし見られているとすれば、まことに心外だと私は思っておるわけでありまして、これは薬務局が独走しているのではなくて、厚生省全体としてその方針で進むということになっております。薬務局の独走というよりも、厚生省の姿勢としてやっておるわけであります。医務局も保険局もへっぴり腰ではございません。
○古川(雅)委員 薬に関連いたしまして、現在出回っている医薬品の再調査をやれということで、厚生省はこれに着手をしておりますが、薬務局に製薬第二課が設置されまして、薬の再評価関係の業務を行なっておりますけれども、現状はどの程度まで進んでおりますか。
○武藤政府委員 医薬品の再評価につきましては、昨年の夏、懇談会で答申がされまして、昨年の十月に、薬事審議会の中に再評価特別部会という大型部会を設けまして、検討に入ったわけでございます。具体的にこの特別部会の下に薬効分の専門調査会をつくりまして、漸次検討を行なっていくということで、十月からは基礎関係、ビタミン関係、それから抗菌性剤、つまり抗生物質でございます。それから精神神経用剤という四つの調査会を設けてスタートをしております。なお循環器関係、それから肝臓関係、それから鎮痛剤の関係の三調査会を近く発足させる予定でございます。 なお全体の計画としましては、大体昭和五十年末を完了目標に現在出回っております約四万の薬品につきまして再検討を実施するというのが大体のところであります。
○古川(雅)委員 ちょっとお声が小さかったのですが、約四万品目について昭和五十年までに行なっていくということですか。——今日までに、いわゆる不良品として審査の結果判定を下されたものについては、これはどうなっておりましょうか。
○武藤政府委員 昨年の秋に発足したばかりでございまして、そして、現在資料を中心に先ほど申しました各専門部会で検討中でございまして、まだ結論が出たものはございません。 ちなみに、現在審査を行なっておりますものは大体二千品目でございます。
○古川(雅)委員 最後に、医療保険制度全般について総括的にお伺いをしてまいりますけれども、憲法第二十五条の国民の生存権、これは社会保障・福祉に関する基本理念を具体化するためにも、たくさんの法律があるわけでございます。 その中で医療制度の基本となっているものは、今日まででは医療法、あるいはこの問題になっております健康保険法でありますけれども、すでに医療については、あらゆる方面から日本の医療は瀕死の状態であるというような指摘も出てきておりますし、さらにこのままいけば、日本の国は医療に滅ぼされてしまうというような医療亡国論というような極論まで出ているときでありますし、冒頭に申し上げたような、いわゆる健康保険財政の赤字対策と、それをきっかけとして出てきたような医療基本法や、あるいは抜本改正案では、ほんとうの意味の発想の転換というか、一億国民総健康への大転換にはほど遠いのではないか。 それほどに問題は多岐をきわめていると思うのでございますが、医療保険制度の基本的な考え方として、いわゆる医療保険の統合について将来の方向をどうお考えになっていくか、私どもはその医療保険制度の統合については、当分の間は被用者保険と地域保険の二本立てとして、将来においては医療保険制度の一本化というような方向を一応私たちは目ざしているわけでございますけれども、当然そうした将来計画等を踏まえての法の改正というような操作が論じられるのだと思いますけれども、非常に先のことになりますけれども、政府のお考えを、この際伺っておきたいと思います。
○斎藤国務大臣 私は国民の医療保険は、やはりただいまおっしゃいますような方向に進むべきだ、かように考えております。当分のうちは、健保の中をできるだけ一本化をしていく、一本化ということは、経営主体を一つにしてしまうということで必ずしもなくてもいいと思いますが、この間に、先ほど申しております、いわゆる保険料の負担、給付の関係に差異のないようにやっていって、そうして実質的には一本化、その後にやはり地域保険とも一本にやっていくというのは、将来の姿でございます。 しかし現実を踏まえてまいりますると、段階的に行かざるを得ない。相当時日を要すると思いますが、目ざすところは、私は公明党のお考えに最終的な点は一致をしておる、かように思います。
○古川(雅)委員 そのほか給付の改善、あるいは保険料負担や、国庫負担等について将来的な一つの方向が問題になると思いますが、特にきょう私はただいま提案されております法案を中心にして、その考え方を述べたつもりでおりますが、その中で診療報酬制度の改善につきまして、これも政府としては今後どう取り扱っていくとお考えか、所見を伺っておきたいと思います。 特に先般問題になりました、いわゆる審議会の「診療報酬体系の適正化について(審議用メモ)」の今後の取り扱いについてどうお考えになっていくか。このメモでは診療報酬体系の適正化の問題については、その内容が非常に複雑多岐にわたるので、また国民の医療に直接関連する問題もあるから、いろいろな意見がある。その各方面で指摘されているような意見について、それをそのまま取りまとめて提出することにした。 これはいろいろないきさつを含んでいるわけでございますが、その中で、特に技術の適正評価の問題、それから薬剤等の適正使用の問題、そのほかたくさん項目的にはございますけれども、診療報酬の改定のルール化、一つの例としてその三点にしぼって、今後どういうふうに取り扱いをしていかれる方向か、その点をお伺いしておきます。
○斎藤国務大臣 診療報酬制度の合理化は、どうしてもやってまいらなければなりません。毎回の診療報酬の改定の際には、その方向に進みつつあるわけでございます。これもなかなか一挙にできない。その目標は、いまおっしゃいますように、技術料の評価を十分にする。それから、物価、人件費の上がってくるのに見合うような診療報酬制度をやる。これをスライド制、こう診療側はいっておりますが、自動的なスライド制にすることは、いまの診療報酬制度としては困難でありますが、しかし、そういう考え方によって物価、人件費に見合った、そして技術料を十分評価をした、そういう診療報酬というものに逐次移行をしていかなければならない、そういう方向でまいりたい、かように考えております。
○古川(雅)委員 お約束の時間にはあと二十分少少ございますが、あすはわが党の浅井委員がまた詳細にわたって政府の御見解を伺う予定になっていますので、きょうは、私はこの程度で質問を終了させていただきます。
○森山委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○森山委員長 速記を始めて。
○穴山政府委員 前者の第一の計算がまだちょっとここでできませんので、後ほど御報告いたしたいと思います。 もう一つは、いま電話で照会しておりまして、まだとれませんので、とれ次第御報告いたします。
○森山委員長 次に、西田八郎君。
○西田委員 私は、いままで質問された各委員との間で重複する部分もあろうかと思いますけれども、さらに念を押して質問をしたいと思いますので、長時間にわたって大臣以下たいへんお疲れでございましょうけれども、親切、丁寧な御答弁をお願いをいたしたいと思います。 最初に、今回出されてまいりました健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案は、主として政府管掌健康保険の赤字対策というふうにいわれておるわけでありますが、そもそもこの政管健保が赤字を出してきた要因について、最大の要因は一体何なのかということをお伺いしたいわけであります。 と申しますことは、もともと保険制度でありますから、収支つじつまを合わすという形の上から立法化されておりますし、そのように運用されてきておらなければならないはずのものが、このように大幅に赤字になってくるということは、これはとうてい考えられないことであるわけであります。したがいまして、その要因が一体何にあるのか、その点からひとつ伺ってみたいと思います。
○斎藤国務大臣 政管健保の赤字の原因は、一口で申しますると、診療報酬の伸びが多くて、保険料収入の伸びがこれに伴わないということであります。なぜ伴わないのかと申しますると、いわゆる政管健保の被保険者は中小企業に従事する方々でありますから、その収入の伸びというものは組合健保に属している方に比べて低い。ところが、診療報酬のほうはどうか、診療はどうかといいますと、老齢者がだんだん多くなってまいる。それから、もともと中小企業の被保険者は疾病率が高い。この二つの要因からでございまして、先ほどからも申しておりますように、組合健保に比べて標準報酬は一人当たり一万円低いし、それから医療費は一人当たり一万円高い。その原因は、一方は年寄りが多いし、疾病にかかりやすい人が多いし、一方は中小企業だから標準報酬が低い。根本的にはここに原因があると思います。
○西田委員 中小企業は賃金が低いという話でありましたが、私は必ずしもそうは断定できないと思うのです。去年のドル・ショック以来、労働市場は非常に変化を来たしてきておりますけれども、ここ数年来、労働市場はいわゆる労働力不足時代でありまして、もちろん中高年者については、求人数に対して求職数が多少上回っていた時代もありましたが、それも均衡を保つというような状態になってきておるわけでありまして、そういう状況から考えますと、私は必ずしも賃金が低いとは断定できないのではないかというふうに考えるわけであります。これは統計が示しておりますので、私、きょうはその賃金論争をやろうという意味ではありませんけれども、そういう断定のしかたというものには、若干問題があるのではないかというふうに私は考えるのであります。 さらに、中小企業は罹病率が高いということでありますけれども、私は必ずしも罹病率が高いとは考えられないと思うのです。それは、人間同じでありまして、ただ問題は、大手の企業等におきましては、健康管理のしかたが非常に容易であるから、したがって、集団で検診をするとか、あるいは予防措置を講ずるとかいうような方法がとりやすいけれども、中小企業の場合はそれができない。ぎりぎり一ぱいまでいってから診察を受けるというので、もうその時点では普通の施療だけでは済ませられないというようなことになるのではないかと思うのですが、しかし、もともと政府管掌保険と事業場の組合保険とに分離されたときから、そのことはわかっていたはずだと思うのです。それをいま理由にされるということについては、いささか私はふに落ちない。そういうことはもうもともとわかっておって、そしてその全体の健康保険をどうするかということで進められてきた問題で、いまそういう問題は私は当を得ないと思うのですが、いかがですか。
○斎藤国務大臣 先ほどから私が申し上げておりますのは、これは統計に基づいて申し上げておるのでありまして、中高年層の年齢の、たとえば五十五歳以上の年齢の人は政管健保には一〇・五%もある、組合健保のほうは五%足らずであるというように、これは統計も出ております。賃金統計からいっても、先ほど申しましたように一人当たり一万円違うわけであります。当初から、とにかく収支が十分できるというものを組合として認可をしている。収支がつり合わないというものは政管健保にかかえているわけであります。組合健保でも赤字が出てくれば政管健保に入れるという仕組みになっておって、仕組み自身が、当初から政管健保は赤字を出すというたてまえになっているわけであります。 だから、このたてまえをずっと続けていくのがいいかどうかという問題が、これは抜本改正の問題でございますが、いま御審議願っております財政対策は、そういった本来赤字要因をかかえている政管健保の財政をどうやっていくかということで御審議を願っているわけでございます。
○西田委員 そういうことになりますと、当面の赤字については何とか埋められるということになっても、いま言うような要因が根本的に解消されない限りは、またぞろそういう赤字というものが累積していく心配が起こってくるのじゃないかと思うのです。これはあとで申し上げますけれども、社会保障制度審議会のほうでもそうした点について非常に憂慮されておられるわけであります。したがって、こういう問題については、いま来たことではないわけですね。累積赤字三千億というのですから、これはいま来た問題ではなしに、ここ数年来の問題であるわけでして、それならそれで、もっと基本的に、この問題をどう解決するのかという対策が立てられて、しかるべきではなかったかというふうに思うわけです。 たとえば、この二月から診療報酬が一三・七%引き上げられたわけですが、診療報酬のほうはしかたがない。中医協のほうからもそうした答申もなされたし、それは答申どおりではなかったと思いますけれども、そうした要求があって、これは引き上げざるを得ないということで上げてきた。そうして片一方では、まだ財政対策は完全に法制化されていない。そうしたいという希望だけしかない。こんな中で、片一方だけ引き上げておいて、そしてあとでそれを手直ししよう、それを埋め合わせするために財政対策を立てるというようなことは、本末転倒ではなかろうかと私は思うのです。 したがって、診療報酬そのものについても、それを審査する時点から、もっと的確に、これをこうすればどうなるかという、その計算をする中からきめていくべきではなかろうかと思うわけでありますが、そうした点について、 大臣いかがでしょうか。
○斎藤国務大臣 診療報酬を上げれば財政が赤字を増すであろうということは、これは当然だれもが覚悟の上でございます。そこで、政管健保が赤字になるから、診療報酬は上げられないということは逆でございまして、やはり適正な診療報酬というものを必要に応じて改定してまいらなければ、診療に従事する医師、歯科医師あるいは従事員に対しても、十分な報酬が払えない。 〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 十分な賃金に見合う報酬をしようと思うことがまず先決になって、政管が赤字でございますから診療報酬は上げられませんということは、道理として通りません。 問題は、診療報酬をどの程度上げるのが適正であるかということで、これは御承知のように中医協で、保険者も、あるいは被保険者代表も、公益委員も入って、そこでこれが適正であるというふうな結論をいただいたということでございます。したがって、それに見合う財政対策を講じなければならぬというのは当然であります。 〔発言する者あり〕
○小沢(辰)委員長代理 静粛に願います。
○斎藤国務大臣 それを税金からも見るが、保険料の適正化というほうからも見る、両方から見るというのが、いま御審議願っている財政対策法案でございます。
○西田委員 それは私は、診療報酬を上げたらいけないという議論じゃないのです。もちろんそれは、診療報酬もやはり物価だとか生活費の高騰だとかいうことで、これは統計に出てきておるわけですから、その分の引き上げが必要だということは私も認めるわけです。ただ、それは程度の問題だと思うのですね。だから、政管健保が赤字になるから診療報酬を上げてはならないというような、そういう飛躍した議論をしているわけじゃないのです。少なくともそういうふうにして診療報酬も上げていかなければならぬ。さらに、保険の赤字が累積してきておるというときに、それじゃ一体どうするのかということが抜本的に解決されなければならぬと思う。 これは、後ほど申し上げる医療制度というものに対する基本施策の問題にもかかわってくることかとも存じますけれども、少なくともこの赤字が出だしてからというものは、何年かたってきているわけです。わかりきっていることがどうして放置されてきたか。それは大臣などは、そんなことはない、努力したのだ、前々国会にも出したじゃないか、しかし、それは君らが承知してくれなかったんだとおっしゃればそれまでですけれども、そういう答弁をされたら困るのです。 問題はそれ以前の問題です。その当時も赤字であるということで騒がれておったのです。その以前の問題として、それに対処する措置を考えていくべきではなかったかと思うし、それから診療報酬にしても、お医者さんがおられるから、おこられるかもわかりませんけれども、地方で名士といえば大体お医者さんかお寺の坊さんか神主さんかと昔からいったものです。いまは神主さんとかお寺の坊さんは地位が下がりましたが、お医者さんというのは、かなり名士であると同時に、やっぱり高額所得者なんです。だから私は、むちゃくちゃなことを言って、そんなものは払うなということを言っているのじゃないけれども、やはりそれも程度があると思うのですね。そういう問題については、やはり適正な診療報酬というものをもっと考えるべきではないかというふうに思うのと、同時に、それを考えた上に立って、一体どうするかという対処の方法があったと思う。それについて一体どういうふうな処置をしてこられたのか。どういう対策を講じてこられたのか。ここに配付されておりますいきさつをずっと読ましていただいても、これといって配慮された点はないわけです。 抜本的に解消しようということは、ちょっとど忘れしましたが、四年ほど前のいわゆる健保国会といわれたところの国会で、そういう条件を付せられているわけですね。それからすでに数年たっているのに、そういう問題について対策が立てられていない。私は、やはりこれは問題があると思います。ですから、それについて一体どういう処置をしてこられたか、具体的にひとつお伺いをしたいと思います。
○斎藤国務大臣 政管健保の赤字の解消は、いま御提案申し上げております法律をお通しいただければ、大体これで将来安定していくであろうと私は思います。政管健保の経営努力が足らぬじゃないかという声も伺っておりますが、たとえば収入面においては約九八%の収入成績をおさめております。支出においてどうか。これは乱療乱診といわれるものにもつながると思うのでありますが、これは健保組合と政管との間のいわゆる間違ったレセプトの点検はどうであるとか、そういう点にも触れるわけでありますが、これはまだ完全とは私は申せません。何といっても、政管健保のそういったことに従事する人員が非常に不足でありますから、これは人員の充実もはかり、もう少しレセプトの点検というものを十分やる必要がある、かように考えておるわけであります。 ただ医者の乱療というか、先ほど言われた薬をよけい出し過ぎるじゃないかとか、あるいは中には、特に診療報酬を増すために点数を増しているというようなものがなきにしもあらずで、これもやっておりますけれども、その監査も今後もっと厳重にやっていく必要がある、 かように思います。しかし、それは何百億とかというような数字には、とうていなるものではないと思いますけれども、そうかといって、やらぬのではありません。やりますけれども、体質を直していくということがまず肝要であって、それはやはり抜本改正に待つ以外にないのじゃないだろうか、かように考えているわけであります。
○西田委員 たまたま支払基金の話が出ましたけれども、現在支払基金では、全国で五千名程度の職員が何千万件という診療の審査に当たって、その審査の業務を補佐しているわけですね。これらのことから考えて、とてもじゃないが、人間の能力では解決し得ない方法なんですよ。ですから、そういう点でも、やはりもっときびしくすべきじゃないか。 これは支払基金のほうの職員の組合がありますが、組合からも、本年度予算が成立以前にもこの問題について大臣に陳情があったと思う。昨年のように医師会がああいうふうにしてボイコットをすると、その間の減収等によって職員の給料も払えないであろうという事態に瀕した、そういうような環境の中で、こういうような重要な診療報酬の——これは職員が査定するわけじゃありませんけれども、そういう仕事に従事させていることに問題がありはしないか。ですから、昨年医師の免許を持たない人が診療をしておったというようなことが大問題になって、にせ医者問題というのが一時期社会の話題をかっさらったこともありますが、そういうことも、やはり私はそうした牽制制度といいますか、チェックのしかたにも問題があると思うのです。 だから、したがってそうした点にももっと改善をさるべきではなかったのか、少しも改善されてないままに来ておる。ここでどれだけの増収になるか、ここに資料として出されておりますが、しかし、それ以上にもっと支払うほうを押えるということも考えなければならぬのではないか。支払うほうに対しては、比較的ずさんといえば大臣そんなことないとおっしゃるかもしれないが、われわれから見ると、非常にずさんな方法がとられていながら、そして取りやすいものから保険料を取って、それでつじつまを合わすというやり方は、私はこれは許さるべきではないと思う。したがって、そうした報酬の支払い等についてのチェックその他ももっと考えるべきではないかというふうに思うわけです。 特に最近は電算機という便利なものもできたわけですから、そうした点をもっと機械化することによって能率をあげることもできるだろうし、そういうチェックがあるということになれば、当然請求をするほうにも、注意をするという、そういう姿勢が生まれてくるのではなかろうかというふうに思うわけですが、大臣いかがですか。
○斎藤国務大臣 全く御意見のとおりに思います。ことに、支払基金の充実また職員の方々の安定ということも必要でございまして、いまおっしゃいました陳情の趣も私は十分承知をいたしております。各レセプト一枚に対して幾らというものを元手にして、そうして支払基金制度というものがいまのままでいいかどうか、これは検討しなければならぬと思っておりますので、それにはこと欠かないように安心して支払基金に従事する方が仕事をやっていけるようにいたしたい。来年度の予算の面においても、必要があれば改善をしていきたい、かように考えております。 またレセプトの点検は、支払基金においても、これを抜き取りではありましょうが、やっておりますが、結局そのレセプトが保険者に回されて、そして保険者においてさらにまた点検をするということ、これは政管健保においては点検をする職員が非常に少ないというわけで、いまおっしゃいました電算機の導入、事務の能率化をはかりますと同時に、やはりもう少し——もう少しどころじゃない、相当に職員を増して、そして過誤の、誤りの発見につとめたい。この誤りの発見を少なくとも健保組合のやっているのに劣らない程度の成績をあげるようにいたしたい。そうすればある程度の、これは数字にしてみれば、いまの赤字から見れば、そう大きな数字じゃございますまいが、しかし、二十億、三十億くらいの過誤修正というものはできるのじゃないだろうかという見当をつけておりますので、来年はそういう意味で大蔵省に予算を要求したいと考えております。
○西田委員 私はやはりこういう問題が起こってくるのは、受益者負担というか、そうしたことを原則とした保険制度であるから、案外監督のほうもずさんになるのではないかというふうに考えるわけです。これが公費負担というものが原則になっておれば、私はもっと政府のほうも、そう税金を湯水のように使うわけにいかぬということから相当きびしくなってくると思うのですが、しかし、そこにやはり政管健保と組合健保の違い、そんなものがあるのではないかというふうに思うわけです。ですから、こういう点は、いまおっしゃったようにぜひ来年度予算の中でそうされるのはわれわれも極力支持しますので、支払い制度についての抜本的な制度の改革といいますかこれをやらなければ、私はまた同じようなことを繰り返すように思います。 一体、何十万かおられるお医者さんのすべてが悪いとは、私はそんなおこがましいことを言えない、そんなことを言えばたいへんなことになります。また私は決してそうは考えていない。しかし、そうしたことに便乗をしている人がおるということも事実なんです。これはすでに摘発されておる。でありますから、少なくともそういう点もやはり監督を重視することとかね合わせていかなければ、私は問題解決にならないというふうに考えるわけです。 そのことが結局審議会の答申から出てくる。非常に審議会としても不愉快な感じでおられるわけです。たとえば審議会の答申書の中に、審議会を形骸化する云々というようなきびしい口調で批判され、非難されている。これは批判というより非難されている部分があり、これは社制審のほうでも社保審のほうでも、きわめて遺憾だというふうに言われておるわけです。 そういうふうにせっかくつくられた民主的な機関としての審議会等が、このような形で立腹をし、口をきわめて役所に対してことばをぶっつけてくるというのは、よほどのことでない限りないことだ。したがって、こうした審議会等の答申書をお読みになっておるだろうと思うが、そのような部分について、大臣どういうふうに考えておられるか。
○斎藤国務大臣 審議会の御意見もごもっともなところがたくさんございますので、できるだけその方向で抜本改正にいたしましても、審議会の答申を尊重して相当諮問案を変更する予定でございますし、また医療供給体制を整備する必要がある、これは言われるまでもなく、そういうふうに考えておりまして、そういう意味でも医療基本法というものを近く提案をいたしたいと考えております。できるだけさようにいたしたい、かように考えております。
○西田委員 ただそれだけではないのですね。まだほかに、今後赤字補てんのための財政対策は原則としてはあり得ないと思う、こういうふうに述べられていますね。非常にこれは断定的なことばが使われておるわけです。さらに財政対策と抜本改正はセットさるべきである、こういう意見が付せられておるわけですね。これはきわめて私は重要な問題だというふうに考えるわけです。 先ほどからも私申し上げておるように、ただ単につじつまさえ合わせれば、帳じりさえ合わせればいいような問題ではないように思う。そうした点について、この審議会の答申書の中にある、その諮問は今後あり得ないと思うといわれた点、さらには財政対策と抜本改正はセットさるべきだという意見、この両意見について、一体どういうふうに受け取っておられるのか、所信を承りたい。
○斎藤国務大臣 この二月十六日の制度審議会の答申の前文でありますが、「今回の改正により政府管掌健康保険の財政は、長期的に安定する筈であるから、今後は赤字補てんのための財政対策の諮問は、原則としてありえないものと了解する。」諮問案どおり答申を認めていただき、これが国会を通していただくということになれば、今後赤字対策というものはないものと、かように考えております。このとおりに考えております。
○西田委員 そういうふうに断定されて、また今度赤字が出た、保険料改正だ、赤字対策だというようなことになってきたときに、斎藤大臣はおられないというようなことでは、私は水かけ論みたいになってしまいますけれども、ほんとうにそういうふうに理解していいですか。この審議会の答申も、全部政府の諮問を一〇〇%認めたという意味ではないんですね。一〇〇%認めたという意味ではなしに、こういう前文がついているわけですが……。
○斎藤国務大臣 もうこの前文で、このとおりやれば長期的に安定するはずだから、今後は赤字補てんのための財政対策の諮問は出ないものと了解する。そう了解していただいてけっこうだ、こういっているのです。
○西田委員 しかし大臣、これは念のために私、議事録に残るわけですから、断わっておかなければならぬけれども、審議会の答申書は「政府の言明によれば、」ということばが入っているのです。その点に対し、責任を持たれるわけですね。
○斎藤国務大臣 さようでございます。
○西田委員 それからさっきの質問の、セットさるべきである、これは財政対策と抜本改正はセットさるべきであるという意見がついていますね。これについて——セットということばは使ってありませんけれども、「本来、財政の安定とは収入面の措置とあわせて支出面に対する対策があってはじめて完全なものとなる。これに対する具体的な諸方策を本審議会は、繰り返し提案している。しかるに政府は、この面に対しほとんど見るべき策を講じていない。これでは、いかに収入面に努力を払っても、長期的な安定は到底望みがたいことを憂えるものである。」となっておるわけです。読んでないのですか。
○斎藤国務大臣 ちょっと御質問の御趣旨、つかみかねているのですが……。
○西田委員 この声で言ってもわかりませんか。要するに、財政対策と抜本改正とは同時に考えらるべきである。しかし、今回の法の改正では財政対策だけになっておるわけです。医療保険に対する抜本改正というものは、まだ姿を見せていないわけです。これについて審議会の答申と、今回の政府の財政対策だけの提案と、一体どういう関係を持っておるかということを聞いているのです。
○斎藤国務大臣 わかりました。抜本改正と、この財政対策と整って初めて一つのものになるんじゃないか、片一方だけ先に出してという御質問であろうかと思いますが、おっしゃることは、そのとおりだというふうに思います。やはり抜本改正もあとに続いてこなければなりません。一緒に出せばよかったと私は前から申しているのでありますが、諸手続、その他の関係で時期が相当おくれましたことは申しわけございませんが、そういう意味で抜本改正もぜひ御審議をいただいて、そして一つのセットのものだとお考えくだすってけっこうだと思います。 ただ財政対策は、本来なら四月一日から実施をいたしたい。もうしりに火がついておる。抜本改正は四十八年度から実施をいたしたい。それまでにぜひひとつ御審議をして御可決をいただきたい、こうお願いしているわけでございます。
○西田委員 だから私は、虫がよ過ぎるというふうに言いたいわけですね。それは政府にして見れば、赤字を出したその部分について、まずそれを解決することが先決である。そして財政の立て直しの中から給付改善等を行ないながら、医療問題についての抜本的な改正をしたい、これは政府の考え方であると思うわけです。 しかし保険料を取られているほうは、被保険者のほうはそうじゃないわけです。保険料が上がったのだから、多少はわれわれのほうの給付もよくなるのだろうという希望を持つわけです。また、そうでなければおかしいと思うのです。そこで赤字を解消するかしないかというのは、ここでの論議であって、被保険者自身の考え方じゃないわけです。だからこれが提案されてきたときに、被保険者みんなが感じたことは、何だ、保険料だけ引き上げるのか、こういう形が出てきておる。それが結果的には政治不信という形になってくると思うんですよ。 それでは一体抜本改正は、いつごろどういう形で出されるのか。
○斎藤国務大臣 財政対策と抜本改正と切り離したものですから、そういう印象を受けるのは、私ももっともだと思います。一緒であれば、給付改善もあるし、若干、ある意味においてはごまかせたのかもしれない。それをごまかさないで、赤字は赤字で、こうしてひとつ料理をして、その上に立って、こういう抜本改正をやる。ある意味においては正直過ぎたのかもしれませんが、財政対策だけをごらんになると、何だ、おれたちに費用の負担だけさせるのか——なるほど政府も赤字のたな上げ、あるいは定率補助というような点もあるけれども、もっと見るべきじゃないかという声が一般に起こるのも、これは無理からない。だから、本来なら一そろえにして、あるいは一本の法律で出せば、そういう点はあるいは免れたかもしれない。しかし同時に、赤字をほったらかしておいて、そうしてこういう抜本改正とは何だということもまた一面出てくるだろうと思います。 したがって正直に、赤字は赤字で、これでしっかりしりをふいて、その上であるべき姿にいたしたい、かように考えて二本立てになったわけでございます。
○西田委員 それはそういう衝に当たっている者と、それに対して批判する側にあるわれわれとのニュアンスの相違というか、受け取り方の違いだと思うのです。大臣は正直に出されたというふうに考えるかもしれない。しかし、それは保険料を値上げせずに国庫なり、あるいはその他の方法で赤字を解消するという方法をとられるなら、被保険者のほうも、いわゆる国民のほうもなるほどなと感心をするんですよ。しかし、国庫で負担される部分というものは、これはそんなに多額じゃないわけですね。それよりも、保険料の収入のほうが大幅に見込まれておるわけです。 そうすると逆に、何をしよるんや、保険料だけ上げて、そうしておれらの給付のほうはそのままかい、けしからぬじゃないか、そもそも政府管掌という限りは政府で責任をもってやるのと違うのか、それを、赤字が出てきたから、おまえらのふところから金を出せ、そして政府もちょっぴり出してやろう——おまえらだけ出せというのでは筋が通らぬから、政府もちょっぴり出してやろう、そうしてほとんどはわれわれにおおいかぶせてくる。しかもいままで取らなかった賞与にまでかけるのかというようなことで、これは怒り心頭ですよ、被保険者のほうは。そこに私はこの問題の処理の基本的な考え方の違いがあると思うんですよ。大臣は、これは正直だとおっしゃるけれども、私は正直でないと思う。
○斎藤国務大臣 これは端的に考えまして、医療費が上がれば保険料が上がるのはあたりまえじゃないでしょうか。医療費だけ上がって、そうしてそれをだれが負担するのか。税金で負担をするか、保険料で負担をするかしか道がないと私は思うのです。医療従事者の給料を上げろ、そのために診療報酬を上げる、これはまあ当然のことだと思うんですよ。それが上がったら、今度は医者に見てもらう者が対価をよけい払うのはあたりまえであって、いまのたてまえからいえば、いままでの保険料で足らなければ保険料を上げるというのはあたりまえのことであって、これはむちゃをやっているんじゃないと私は思います。いままでよりも国の負担率も増しましょうといっているんだし、いままでの赤字もたな上げしましょうといっているわけですから、私は国民にだけむちゃな負担を押しつけているわけではない。もし保険がないとすれば、医療費の負担で国民のじかのポケットから出す金はうんとふえるであろうと、私はさように思います。
○西田委員 そのことについては基本問題ですから、あとで私は大臣と少しやりとりをしたいと思います。 しかし、いまおっしゃった点は、確かにそれは赤字が出てきたのは、自分らが診療をしてもらった結果、累積してきて赤字になったんだ。だからかかった者が負担すべきだ。いわゆる受益者が負担すべきである。この理屈はわからぬことはないわけです。しかし、片一方で共済制度の中の医療保険だとか、あるいは組合健保があるわけですね。そっちのほうでは保険料も低いし、逆に給付は高いわけですよ。これは御承知のように本人そのものにはかわりがないにしても、家族のほうにしてみれば、その組合の財政にもよるけれども、しかし、かなりのパックペイが行なわれているわけですね。これは御承知だと思うのですよ。そうすると、入った会社なり、自分の職場というものの選択のいかんによって、同じ病気にかかっても、その負担が違うというような、こんなばかな話はないわけです。やはりそれに対しての疑問というのは、被保険者の中に生まれてきていますよ。 私は事実政府管掌の保険の被保険者であったわけです。そして自分と同じ仕事をして、同じようにやっている人間の中に組合の健保の被保険者がいたわけですよ。考えてみますと、こんなばかげたことないなという気になるわけです。同じところで働いていて、たまたま所属した、籍を置いた場所が違うばかりに、何でこんなに違うのだということになってきますよ。だから、それをやはり大臣は頭に入れてもらわなければ困る。そういう考え方で処理をしてもらわないと、いまのような考え方で、赤字が出たんだから、それをわれわれが負担するんだというような考え方では、一般の被保険者は理解できないですよ。
○斎藤国務大臣 これは政府管掌という名があるから、みな政府に責任があるようにいわれるわけでありますが、自分の入った会社が違うことによって、保険料の負担も違えば給付も違うというのは、同じ健康保険組合の中にもあるわけなんです、御承知のように。標準報酬の千分の四十で、しかも付加給付までやってもらっている組合もあれば、千分の六十出しても法定給付しかやってもらえないという組合もあるわけです。 これを正常化しようというのが抜本改正で、私が二分の一財政調整といったのも皆さんからたたかれているわけですが、そういうことなくしては、この体質の改善というものは私はできないと思いますよ。同じ保険料率であっても、いわゆる標準報酬の高い会社は保険料収入がよけい入るわけでありましょう。したがって保険料率は少なくてもいい。Aの会社に入れば保険料は比較的安くても、給付は法定外給付までやってもらえる。これは何も政管となにとの間にあるだけでなしに、保険組合の中にもたくさん千差万別あるわけなんですよ。その場合においてはみんな黙っていて、そして政府管掌でやるものは政府のやり方が悪いんだ、悪いんだといわれる。この体質の相違からくるものを政府管掌のゆえなるがゆえということは、私はいただけない。その点だけは私は御理解いただきたいと思います。
○西田委員 だから申し上げているんですよ。あなたもいま認められたように、そういうおかしなことが存在すること自体矛盾でしょう。同じ人間であり、同じ国民である。それはもちろん組合健保の中でも、組合財政の事情によって付加給付も違うことは知っているんですよ。しかし、どうしてそんなことが起こってきたかという疑問は、今日被保険者の中に非常に強い疑問となって出てきておるわけです。そういうものを、こう変えるのだという前提に立ちながら保険料をこうするということにならないと——だから私はそこ申し上げておるわけですよ。 いままでにできた、これはこれだけで一たん整理すべきである。整理したあとで、一体それではどうするのだというものが同時に出てこなければ理解できないでしょう。その点を申し上げているんですよ。
○斎藤国務大臣 なぜそうなっているかといいますと、いままでの保険の仕組みは各会社ごとに個個の組合をつくってやっている。そうすると、いい会社と悪い会社で非常に不公平が起こってくるというわけです。これはこのままにしておいてはいけないから、そこでやはり保険料の負担の公平、給付の公平をはかるためには、保険全体を通じた抜本改正が必要ではないだろうか。それには二分の一財政調整というのはいかがでございましょう、といったところが、それは時期尚早だから、もう少し周辺を整えてと、こういうことでありますから、それじゃおっしゃるとおり、もう少し周辺を整えてからいたしましょう。しかし基本的な考え方は、そこまでいきませんと、いまの不公平はなくなりませんということを申し上げておるわけであります。
○西田委員 それは大臣の言われることもわからぬことはないですけれども、いわゆるどんぶり勘定だけで、それをしようと思ったってできないと思うのですよ。だから片一方黒字になって片一方赤字だから、これを一緒くたにしてプールで計算すれば、そんなものは、完全に赤字はなくなるのだ。こういう概念でものをいうと、これはやはり黒字を出しておるところは、黒字を出しておるための努力があるわけです。片一方では、一体どれだけの努力がなされたか、これは批判の対象になってくるわけです。だから、そうは簡単にいかない。 そこで問題になるのは、医療制度に対する基本的な施策だということですね。どういう考え方で医療問題というものに取り組むか。この姿勢が私は非常に重要な問題じゃなかろうかと思うのです。 先に私の意見を申し述べますならば、私はやはり同じ国民である限りにおいては、しかも憲法二十五条にいう健康な人間生活を営んでいく上の必須要件の立場から人間を守る。そうだとするならば私は、これは原則として公費医療、それを補完する意味での保険制度というものでなければならぬのじゃないかというのが私の持論なんです。前の内田大臣ともだいぶその点でやりとりしたわけですが、そういう原則に立たなければ、私は問題の解決にならないような気がするのです。これについて現在の保険制度を前提にした医療対策、医療施策、これを一体どういうふうにして将来、国民の医療全体にわたって平等に、かつ国民を病気の苦しみから解放するか、こういう点について大臣どう考えておられるか。
○斎藤国務大臣 ちょっと根本に触れますから、もうちょっと申し上げますが、よく、医療の供給体制を整えないで保険にだけ手をつけるのは片手落ちだ、こういわれますが、これは医療の供給体制を整えることの必要であることは、もちろん申し上げるまでもございません。同じ東京都内で、同じ滋賀県の中で、今日の状態で、先ほどおっしゃる不公平が起こっているわけなんですね。同じ滋賀県の中で、工場によって保険料の出し方も、また給付のあり方も違っている。それは医療の状況は同じところでですよ。それをまず公平にしたいというのが、これは保険の見地からできるわけですね。 それから国民に十分な医療を与えるということは、金の裏打ちになる保険の給付の引き上げももちろん必要でありますが、同時に医療の供給の体制を整えなければならない。これは予防から、健康管理から、健康破壊時の場合においても、それには先ほどもお話しになっていましたように、国民の予防や国民健康管理体制を整えていく必要もあります。これはどうしてもやっていかなければなりません。 しかし、それとまた公費負担とは別であって、公費で負担すれば、それが全部解消するというわけにはまいりません。何ぼ公費を出しても、医者のないところにいる人は、公費を出してもらっても医者にかかりようがないというわけでありますから、それとは別個に、やはり今日体制を整えなければならないのです。公費で出すか、あるいは保険で見るかという問題は、これは性質によって、本人の個人的な差からくる問題でなくて、社会防衛として、どうしてもこれは、本人が医者にかかりたくてもかかりたくなくても、公費で無理やりにでも治療をさせなければならないという疾病もあれば、社会的な原因から起こってきた疾病というものは、これはやはり大きくいいますと、公費で見る必要がある。あるいは最低の生活を保障しなければならないという社会保障的な見地から、公費の医療扶助ということも考えなければなりません。これは公費負担をどういうものでやっていくか。今後ますますふえていくであろうと思います。社会的原因による疾病がふえてまいれば、それは公費で見ていって、個人に負担させるべきものではない。個人が負担していいものは保険制度でやっていくというたてまえだ、私はかように考えます。 公費負担をすれば国民にまんべんなく医療がやれるかといえば、私はそういう問題じゃない、医療機関、健康管理体制、これが整わなければ何ぼ金を出したってやりようがないわけであります。この三つは分けてやらなければならない。一つが整わなければ一つはやってはいけないという問題じゃない。両方、三つとも同時にやれればけっこう。できるならば、それぞれやっていくべきであって、これが完全にならなければ、こちらはやってはいけないという問題ではない、このように私は理解いたします。 〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
○西田委員 私の不勉強で、ことばの使い方が悪かったかもしれませんから、あるいは十分の理解がしてもらえなかったと思うのです。私が医療制度のあるべき姿といいますか、それはもうまず憲法二十五条の精神に基づく国民の健康を守るという立場から行なわるべきである。したがって、それは国の責任において行なうべきものであるというふうに考えるべきではなかろうか、これが私の意見なんです。それを公費負担ということばで縮めましたので、いわゆる官庁などで使われておる公費負担と同一的に解釈をされて、いまのような御意見になったと思います。 私はやはり少なくともこの問題は国の責任、言いかえれば社会の責任においてなすべきだという基本的な上に立っている。しかし、だからといって、国民の中には健康な人で医者に死ぬまで手を握ってもらわなかったとか、生まれてから死ぬまで医者にかかりっぱなしという人もおるわけです。そういう場合に、はたしてどうだろうかということになってくると、これは非常に議論の分かれるところだと思うのです。私は、だから国の責任だと言いたいのですけれども、しかしなかなか個人の感情としてはそうはならないだろう。そこでそうしたものを補完するために保険制度というものを持つべきではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。その辺が多少大臣との間の考え方の違いであったかもしれません。 そうだとすれば、やはり医療全体を国のコントロールといいますか、公的なコントロールのもとで、その医療施設も、あるいは医療従事者の養成も当然そこで行なうべきだ。こういう体制にしていかなければ、いまの保険制度の上に立って、これを前提としてものを考える限りは、私はそういうような概念というものはなされないだろうし、なかなか問題の解決にはならないというふうに考えるから伺ったのですが、そういう観点から、ひとつ御意見をいただきたい。
○斎藤国務大臣 よくわかりました。西田委員のおっしゃいますように、国民の健康を守るということは、これは国の大きな責任だと思います。これは国の責任でございます。そうかといって、すべて国が直接やるのかどうかという問題がありますね。国の責任だからといって、薬を飲みたくない者に飲ませるということはできないわけです。しかしながら国の施策として国民の健康をまんべんなく守るということは、これは国の絶対の責任だと思います。 それをやり方において、たとえば医師、歯科医師、あるいは診療従事者、これが足りなければ国の責任において養成をしていくべきだと私は思います。その養成は国の責任だから全部補助しなければならぬかというと、必ずしもそうではない。公立であってもよろしい。また私立であっても、いいかもしれません。しかし、それにはそれがやれるような施策を考えなければならない。 そして、いま非常にいわれております過疎地帯においても、医療に欠くことのないような施策は国の責任としてやらなければなりません。保険だけで国民の健康を守るというような考え方をとっては相なりません。保険はただその一つの手段にすぎません。それだけで国民の健康が守れるものでないということは、西田委員のおっしゃるのと私は全く同感でございます。
○西田委員 それで若干基本問題に触れておりますので、ついでにお伺いしたいわけですが、そういう意味で、いま医科大学がことしふやされたというようなことでありますけれども、根本的に需給体制がくずれているところにこの問題の欠陥というか、原因があるように思うわけです。だからやはり医療従事者を養成するということも非常に重要なことである。それは医師、歯科医師その他理学療法士等医療に従事する方々あるいは看護婦の養成も必要ではないかというふうに考えられるわけでありますが、それらについて、いま足りないものを充足していくのに一体どういう方法で、何年後に国民の医療に対してまず不便を与えない、たとえば無医村地区なんかもなくすというような時期が来るのか。そしてまた現在のような診療所だけでは解決しない問題がある。といって長い間の生活慣習として、家庭医としての開業医にお世話になってきた国民のこの習慣というものは、そう一挙になくならないと思うのです。 しかし、ほんとうにいまおっしゃるように、国民の健康を守るという立場に立つならば、それにふさわしい公的な医療機関というものが拡充され、かつそれがセクトで争うのではなしに、もっと連係動作のとれた、有機的に機能するような、そういう形にしていかなければならぬのではないかと思うのですが、そうしたものの考え方について大臣の所信を聞かしてください。
○斎藤国務大臣 お考え方には全面的に同意でございます。そのとおりしなければならない、かように思います。 そこでまず、医療基本法をしょっちゅう持ち出して恐縮でございますが、国民的なコンセンサスを得たその基礎の上に立ってやってまいりたい。そうでなくても、たとえば医師は昭和五十年か五十一年までに少なくともアメリカ並みの医師数にいたしたいというので、ことしは文部省でも相当医学部の増設に踏み切ってもらいました。また看護婦その他のパラメディカルな要員の養成も、看護婦なんかは病院で養成をさして、国あるいは公共団体は補助をいたしておりますが、全額補助じゃありません。こういうものは患者の診療報酬から見るべきものでない。大蔵省はまだ全面的な賛成でないと思いますが、ことしはある程度補助率を上げましたが、こういうものは公費で全部養成すべきだ。それはしかし国立だけにするか、あるいは公立、私立どういう割合にしていくかというようなこと、いまおっしゃいましたその他の点も、ひとつ専門家の意見も聞き、そしてもし医療基本法をお認めいただければ、その精神に立脚して、そして各医療機関のあり方、国立のあり方、公立のあり方、またその他時代の要請に合う専門医療機関をどう配置するかというようなこともきめて、過疎の地域に対する問題もきめて、そしてやっていただきたい。 いま看護婦が足りなければ、それではどうしてやっていこうか、この前看護婦の法律の改正案を出しましだが、これもつぶれてしまいましたが、一つ一つある意味においては、脈絡なしにやっておったというような情勢でありましたから、それでは困りますから、全部を系統立ったもとにおいて、最近の医療事情に即応する供給体制を整えていく、そのもとをつくりたい、かように考えておりまして、いま西田委員の御意見と全く同感でございます。
○西田委員 賛成をしていただいてありがたいのですが、では一体そのほうの責任者としての大臣として、これは当然いろいろな問題が複雑怪奇に入り乱れてくると思うのです。これはもう医師会のほうとしても、自分たちの職場を荒らされるというか、生存権にかかってくる問題ですから、重要な問題になってきましょうし、あるいはまた現在既得権として免許を持っておる人たちも、そうめたらやたらにふやされては困るという意見も出てきましょうから、よほど思い切った施策として踏み切らなければならないと思うわけでありますが、先ほどお伺いした中で答弁漏れの、それの計画的なものは一体いつごろできて、何年ごろ先にそういうような体制が整えられようというふうに考えておられるのか。
○斎藤国務大臣 医療基本法の中で考えておりますのは、まずそういうものを審議をしていただく学識経験者のみの審議会を設けて、そして国の医療供給体制の計画をそこで審議をしていただく。これを国会に報告をする。これは五年ごととかなんとかに改定をしていく。そして、その計画に基づいて実行をしてまいる。また府県、広域地域にはそれに即応する地方審議会、協議会というものを設け、その地域に応じた医療の供給体制、これは健康管理体制も含めたあり方を策定をしてもらい、その策定に従ってやっていくということで、私は、国民の健康を保持するというためには、もっと国費も投資をしてしかるべきである。幾らしてもし過ぎはない、かように考えておりますが、その投資をするに際して、いま基本的な土台をまずつくっていただきたいというのが基本法の考え方でございます。
○西田委員 そういうことで、何年先とはなかなか答えられにくいことだと思うのですが、少なくとも、先ほど申し上げたように、健保国会といわれた国会では二年後にと、まあ時期は設定されたけれども、結局それは無理だったということで、延び延びになったまま今日まで来ておるわけです。このままでいきますと、また延び延びになってしまうのではないか。したがって、これはもう大いに大臣にハッスルしてもらわなければならぬ、そういう方向に努力をしてもらいたいというふうに思うわけですが、しかし、いずれにしても、それまでの間はやはり現行の保険制度というものをこのまま踏襲して、それを改良、改善していかなければならぬと思うのですが、この現行の保険制度そのものについて、これだけ多様化しておりますと、ほんとうに均衡ある医療行政というわけにはまいらぬと思うのです。 これを一体どうしようと考えておられるのか、その改革の方向なり現在の制度そのものについての、先ほど若干御説明がありましたけれども、欠陥なり、あるいは問題点なりという点について、どういうふうに把握をしておられるか、聞かしていただきたい。
○斎藤国務大臣 いわゆる被用者保険の中の公平をまずはかってまいりたい。それから地域保険の地域間の不均衡を是正をしてまいりたい。その上で被用者保険と地域保険の公平をはかってまいりたい。大きく言えばそういうことでございましょう。これはいま何年計画とかこまかい計画というものは、ただいま私の頭の中にもそういうこまかい点はありませんが、大まかに言ってそういうことであります。その入り口を抜本改正をしてつくっていただきたい、かように考えます。
○西田委員 これはいずれ医療基本法の審議等も行なわれるわけでありますが、その際に、もっと突っ込んだ話をしなければならぬことになろうかと思うのですけれども、少なくとも、先ほどから申し上げておるように、その加入する保険によって、また言いかえれば所属する職場なりその地域によって、保険における給付その他が非常に格差がある、不平等だということは、これは許さるべきことではないと思うのです。これはやはり早急に是正すべき問題だ、こういうふうに私は考える。 特に今回の赤字になってきた政府管掌の健康保険は、そういう意味から言うと、私はやはり、この赤字を出したことの原因は被保険者だけの責任ではないように思う。先ほどおっしゃったように罹病率もふえてきているし、そして診療報酬も上がってきた、だから被保険者だけの責任ではない。そうだとすれば、これは被保険者の保険料率を引き上げるとかいうようなことだけでなく、政府も思い切って赤字はたな上げをする、そして定額補助を定率に変えて、そしてそれを政府が責任を負うのだとおっしゃるけれども、しかし私は、それがはたして被保険者の皆さんにどこまで理解してもらえるかというと、問題があるように思うわけであります。 したがって、今回のこういう財政対策そのものも、こんなような形で出すべきではなしに、国の長期財政計画の中でその負担をしていくというような方法が当然ではないかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
○斎藤国務大臣 全く政管の赤字は何も被保険者の責任ではございません。物が上がり、医療技術が進んできて、医療費が高まってくるということがもとでありますから、別に被保険者が悪くてこうなったものじゃございません。ただ、その物の上がってきたその負担を、どう負担していくかということでございますから、それは被保険者が悪いから、被保険者の責任だから、おまえらが払えというのじゃなくて、医療費が高くなってくれば、それにかかる人たちの費用がふえてまいる、それをどういうようにあんばいしましょうかというのが問題なのでありますから、被保険者の責任ということではございません。
○西田委員 そこで、この機会にもう一つお尋ねしておきたいのは、投薬が非常にずさんだということもいわれておって、診療報酬そのものが増高をしておるというようなことも、公然の秘密のようにいわれておるわけなのであります。そこで、はたして医薬分業にすれば、それが解決するかどうか、これは問題だろうと思うのですけれども、少なくとも私どもの知る範囲では、かなりな薬が患者に投与されておると思うわけであります。それはやはり薬を投与することによってある程度収入にもなるということ等もあって、この問題が起こってきておるように思うのです。 そこで医薬分業という問題について、大臣どういうふうに考えておられるか、これを機会にひとつ聞かせていただきたい。
○斎藤国務大臣 医薬分業は必要であるということは、もう従来から言われておりまして、私も、最近のように薬剤が変わってまいって、昔のように散薬をこね合わせてやるというようなことでなくなってきたから、もう医薬分業なんて、そう必要ではないのではないだろうかという感じもいたし、いろいろ検討をいたし、研究をいたしました。 医薬分業は必要性がなくなったということを言う学識経験者は一人もございません。やはり医薬分業は必要だ、これも薬事法にも当時宣言をいたしたわけでございますから、そういう意味で国民の健康を守るという意味からも医薬分業は必要である。ところが、ほっておいたのでは医薬分業はなかなか進まない。例外が原則のような形になっている。これは少なくとも原則は分業だということにいたさなければなりませんので、そこで薬局の整備、受け入れ体制というものも急速に進める、そして医薬分業の早期完全実施というようにやってまいりたい、かように考えております。その結果、あるいはいま言われている薬剤の過剰投与というものがありとすれば、それもなくなっていくであろう、かように考えます。
○西田委員 以上質問をいたしました、いわゆる医療制度の基本的な施策、大体のアウトラインだけではありますけれども伺った上に立って、今後の医療問題を、われわれ自身も政府自身も、もっと真剣に考えなければならないのではないか、いずれ抜本改正なり医療基本法なりが出てきたときにもっと突っ込んだ論議をしたいと思うのです。 そこで、私はこれからおもな改正点について具体的に、非常にこまかくなるかもわかりませんが、質問をしたいと思います。 まず標準報酬額の改定ですが、いま最高が十万四千円であるものを一挙に二十万円に引き上げられたその根拠、それから三千円という最低限を一万二千円に四倍に引き上げられた、片一方も約倍というようなことで大幅な引き上げになってきた原因は、そもそもどこにあるのですか。
○戸澤政府委員 今回の改正でお話しのような上下限の改定を計画しておるわけでございますけれども、特に標準報酬の上限につきましては、四十一年以来全然改正されておらないわけです。毎年赤字が累積してくるのに何の手も打たなかったじゃないかというようなこと、いろいろ議論されておりますけれども、これは、もし賃金の上昇に応じて標準報酬の上限だけでもスライド的に改正されておったならば、今日の政管健保の財政状況はかなり緩和されておっただろうと思います。特に四十一年以来、高度成長の爛熟期といわれるような時期に毎年賃金は十数%、一六%以上も伸びておるというのにかかわらず、標準報酬の上限を十万四千で押えておったということは、それだけ高額所得者が相対的に有利な扱いを受けておったということになるわけでございます。これが総報酬制というようなことになれば、その点は解決するのですけれども、健康保険では標準報酬という制度をとっておりますために、これを改定しない限りは保険料も対象額がふえないということになるわけであります。 それで、今回十万四千から二十万と約倍くらいの引き上げを予定しておりますけれども、四十一年に現行の額に上げたときも、五万二千から十万四千とちょうど倍引き上げたわけです。こういうふうに数年間放置しておいて、一挙にこれを大幅に上げるということは、ほんとうは望ましい方法ではないと思います。やはり毎年の賃金の上昇に応じて上げるべきものではないかと思うわけでございます。 それから下限のほうの三千円を今度は一万二千円に上げようというわけですが、この三千円などという賃金は、いまの各企業の最低賃金の比較から見ても、ほとんどアルバイト以外には考えられないようなものですが、こういうものも、いろいろな現金給付、傷病手当金なんかはこの額に応じて給付されるわけですから、そういうものをやはり引き上げる必要がありますし、三千円というのは、あまりにも現実離れをしているので、船員保険並みの一万二千円まで上げようというふうに考えておるわけでございます。
○西田委員 労働省見えていますね。いまのような話で過去六年間上げなかった、だから今度は一挙に上げなければならぬのだというようなことですけれども、企業で働いておる、いわゆる被用者といわれる労働者の賃金が一体どういうふうに移動をしていったか、これらについて統計があるでしょうから、ひとつ聞かせてください。
○橋爪説明員 お答えいたします。 雇用労働者の賃金の推移につきましては、私どもでやっております毎月勤労統計という調査によって規模三十人以上の賃金の推移を見てまいりますと、昭和三十年におきましては現金給与総額で一万八千三百四十三円、そのうち定期給与が一万五千七百四十一円、特別給与が二千六百二円となっておりまして、現在、一番新しい年次といたしまして四十六年の数字でございますが、それによりますと、現金給与総額で月額八万五千百二十円、うち定期給与が六万三千九百六十九円、特別給与が二万一千百五十一円というぐあいになっております。
○西田委員 こういうふうにして賃金が動いていることは明らかなんですよ。それを六年間放置してきたということは問題だと思うんです。いまあなたも答弁の中でおっしゃったように、一挙にこれだけ引き上げるということは望ましくないんだ、みずから認めておられるわけですよ。それを一挙に引き上げようということは、これはみずからの怠慢をどっかでしわ寄せしようということになるんじゃないかと思うわけです。 いままで十万四千円で頭打ちだった場合の保険料は最高で三千四百七十円しか払わなかったわけです。ところが今度はそれがかりに十五万円の人であれば五千円ということになるわけであります。保険料のほうは八割近い引き上げになるわけです。こんなことを一挙にやるということ自体が非常識きわまると思うのです。それが必要があるなら、六年間の間に何がしか機会はあったと思うのです。それをどうしてもっとしてこられなかったのか。 それともう一つ、よく聞いていてくださいよ。前々国会のときに、私は最下限三千円というようなものが、どうして存在するんだと質問したのです。そうしたら、そのときに答弁されたのが、とにかく家事労働者みたいな人だけれども、事務所の掃除を一日、午前中なら午前中来て、して帰る。それに対して給料ではないけれども、百円くらい払っているんだ、一月三十日として三千円になるんだ、そういう人も法人化すると、当然被保険者に入れられるので、そんな人もおるので三千円というのを残してあるんですと、こういう答弁であったのです。 これは二年前の話ですよ、私が国会に出てきてから二年ちょっとにしかならないのですから。私がここで質問をして私の耳に残っていることです。そのときはそういう答弁をしておいて、今度はそんなものがなくなったから引き上げるんだということは、これは理屈に合わぬことですよ。そういう点をどういうふうにしてあなた方は解明されるのか。
○戸澤政府委員 昨年の六十五国会の改正案にも、この標準報酬の上下限改定の案を出したわけですけれども、不幸にして審議未了になってしまったのですが、その前にも一、二回改正のつど持ち出したことがございますけれども、いろいろな事情でもって実現を見るということができなかったわけでございます。 それから最低限の問題につきましても、やはりすでに御意見も出ておりますが、幾ら安い賃金でも、そういう者が現実におる限りは、やはりそう無理な引き上げをすべきでないというような御意見等もありまして、改定の引き上げの幅も小さかったというような事情もあるわけでございます。
○西田委員 出したけれども、法律が通らなかったというのは詭弁ですよ。通らなければ通すような努力をするということでなければいかぬじゃないですか。そういうことを、通らなかったから、しかたがなかったんだ。これじゃ私は答弁にならないと思うのです。そういうことを言うということ自体に問題があると思うのです。なぜもっと通すような努力をしなかったかということが問題になってくる。それでは結局先ほどに戻ってくるわけです。 結局保険料ばかり上げて給付が改善されないというのが、やはり被保険者の不満になっている。自分の命を守ってくれる医療保険のことですよ。それをそんなにめちゃくちゃに反対するものじゃないですよ。だけれども、それはやはりそれぞれに魂を持っているわけですから、またそれぞれに考え方を持っているわけですから、そういう人たちの意見として、これはどう考えても理不尽だとか、あるいは納得できないということから反対の声が上がってくるわけですよ。だから、そういう反対の声が上がらないように努力をするということでなければいかぬと思うのです。 そこで、特別に賞与に対しては特別保険料を課すると、こういうことなんですが、これまた労働者に聞きますが、一体賞与というものは、どういうふうになってきておるのか。賞与ということをいわれるけれども、われわれは賞与というようなことばをもう使わない、一時金というふうに言っておるわけですけれども、それを統計からひとつ聞かしてください。
○橋爪説明員 先ほど申し上げました毎日勤労統計調査で特別給与という分類が大体賞与に当たるわけでございます。 これは先ほど申し上げましたように、昭和三十年では月額平均で二千六百二円、それがだんだん上昇してまいりまして昭和四十年には月額で八千四百二十四円、さらに四十三年には一万二千八百六十三円、それから四十六年には二万一千百五十一円、年間にいたしまして大体二十五万円程度というぐあいになっております。
○西田委員 これは労働省の方に、これからの見方なんですけれども、去年あたりまでが私は、一時金獲得額といいますか、組合側からいえば獲得額、企業側からいえば支給額ですが、これはピークのように思うのです。昨年からドル・ショックだとか経済不況だとかいうものがぽつぽつ出てきていますから、ことしの賃上げでも春闘の平均が一万円、五けたの大台に乗せたといっておりますが、しかしそれは率からいけば昨年とちっとも変わらぬのです。ベースになるものが上がってきておるから、それは上昇率からいえば変わらない。ですから、そういう面からいって、たいして大きな引き上げにはなってないと思うのです。したがって、一時金のほうも私は従来のものを踏襲するということは、むしろ場合によっては相当ダウンするのではないかというふうに考えるわけです。労働省、これをどういうふうに見通しておられるか。
○橋爪説明員 先生おっしゃいますように、昨年以来ドル・ショックと経済不況がございまして、定期給与の伸び率も一昨年に比べまして落ちております。それから特別給与につきましても一昨年以来、上昇率が鈍化しておるというのが実態でございます。 そこで、ただいま問題になっております特別給与の定期給与に対する支給割合を見てまいりますと、昭和四十四年、これは年間合計いたしまして定期給与の三・八七倍支給されておったわけでございます。四十五年にはそれが三・九六倍、こういうふうになったわけでございますが、四十六年はそれが三・九五倍というふうに〇・〇一だけ下がっておるわけでございます。 本年の動向につきましては、実は特別給与のきまりぐあいというのがこれからでございまして、まだ現在の段階では何とも言えないのじゃないかというふうに考えております。
○西田委員 それで厚生省のほうに聞くのですが、特別保険料の収入を当然計算されるわけですが、算定の基礎を聞かしてください。
○穴山政府委員 私どもが特別給与を計算いたしましたのは、いま労働省から御説明がありました四十五年の民間企業の実態調査の結果で、特別に支給される、いわゆるボーナスの額、その賞与率というのが出ているわけでございまして、それをもとにして四十六年、四十七年を推計いたしまして、それに特別賞与の率をかけて積算をしたわけでございます。
○西田委員 いや積算したのはわかりましたが、金額です。
○穴山政府委員 四十七年度、私どもが推計いたしましたのは被保険者一人当たりの賞与額が年間約二十万二千円、賞与率として二六・二でございます。
○西田委員 もう一回労働省のほうに尋ねまするが、先ほど二十五万が四十六年の実績だというふうに言われましたね、三十人以上の事業場の平均で。そうすると中小企業といわれるものと、大企業といわれるものとの差が出ていますか。
○橋爪説明員 ただいま申し上げましたのは、毎月勤労統計調査によります三十人以上の数字でございます。先ほど申し上げましたのは全産業についてでございますが、ただいま申し上げましたのは製造業の常用労働者につきましての数字でございます。特別給与の格差につきましては規模五百人以上を一〇〇といたしまして、百人から四百九十九人までの規模が昭和四十六年におきまして七四・〇でございます。それから三十人から九十九人までの規模が五一・三、五人から二十九人の規模につきましては三五・七という数字が出ております。
○西田委員 そうすると、これは厚生省も聞かれたとおりです。無理ありませんか。
○穴山政府委員 私どものほうは、いまの労働省の数字が三十人以上でございますので、そのまま私どものほうで使えませんものですから、具体的に申しますと、民間給与の実態調査の昭和四十五年の賞与が約十八万七千円でございます。私どものほうの事業所は、非常に零細なところに固まっておりますので、その分布率でこれを少し修正いたしまして、それで十八万七千円というのを十六万九千九百円にこれを修正いたしまして、それを出発点にいたしまして、四十七年度を推計するというような方法をとりました。
○西田委員 そうすると、いま言われた二十万二千円というのは推計ですか。これはえらい伸び率ですね。その格差は約三万円。そうすると十六万に対する三万円というのは一八%増ということになりますね。一八%も伸びると見られますか。
○穴山政府委員 いま申し上げました十六万九千円、これが四十五年度の数字でございまして、四十七年度を出しますので、伸び率を二回かけております。それで私どもの推計いたしました伸び率は八・三でございまして、それを二回かけて二十万にいたしております。
○西田委員 これは非常に危険だと思いますよ。だから、それで算定されて、こういうことでつじつまを合わすということなんでしょうけれども、実際に実効的な数字というものは非常に悲観的な方向へ下がるんじゃないかという気がするのです。これはよほど慎重にされないと問題が出てくるように思います。 第一、労働省でいま示された数字というものと皆さんで把握しておられる数字と違う。同じ政府のもとにありながら、労働省と厚生省でそういうものが違うということは、これはどうにもならぬことじゃないですか。労働省のほうでは、四十五年から四十六年にはわずかではあるけれども下がっておる。さらに四十六年も非常にむずかしい——これはまあ断定はしておられませんけれども、しかし私もそういうふうに考えるわけであります。 そうすると、片一方では上昇するというふうに見ておられるし、片一方ではダウンする。これは上と下の差というのは大きいですよ。
○穴山政府委員 私どものほうで中小関係の伸び率を対前年度比を計算しております基礎は、四十四年が二二%、四十五年が一七・五%ということで、少し落ちてきておるということは事実でございます。
○西田委員 まあそれはいいです。私はそれで間違いがなければいいのです。現在の労働事情あるいは社会事情等から考えて非常に把握のしかたが甘いと思うのです。やはりもっときびしく把握しておくべきではないか。そして低く見積もるというのが、私は予算を立てるときの原則ではなかろうかと思うのです。それを労働省と厚生省と多少把握のしかたが違うところにも問題があるというふうに思うわけだが、ただ私の言いたいのは、そういうことによって無理やりに財源を求めてこられたようですけれども、いままでなかったものに対して、どうして保険料を徴収することになったのか、その辺のところを伺いたいのです。
○戸澤政府委員 ボーナスに対して特別保険料をかけるという構想を初めて出したのは、昨年の国会に出した法案ですけれども、あのときの考え方と内容は違っておりますが、ボーナスを保険料の対象にするという考え方を打ち出したわけです。それは、標準報酬という制度について、審議会等におきましても、こういった方法がいいか、それとも総報酬制といったような方法がいいか、いろいろ検討すべき問題だというようなことを指摘されたわけであります。 それで、われわれもまだ総報酬制に踏み切るというふうなところまでは決断いたしかねておりますけれども、ボーナスの実態を見てみますと、やはり定期収入に対してボーナスの占める比率というものは相当大きくなっておる。しかもこれが臨時収入といいましても、生活給的なものとして固定しているような状況にございます。そういう点に着目しますと、いま標準報酬だけでもってやっておるということは、保険料の負担の公平という点から見て、どうも適当でない点があるのじゃないか。ボーナスもたくさんもらっておる。——大体ボーナスの支給実態調査を見ますと、高額所得者ほどボーナスも多いという数字が出ております。 そういう点から見ますと、高額所得者は標準報酬の上限でもって限定があり、さらにボーナスは全然除外されるということで、相対的に非常に得をしている、その分が低所得者にかかっておるという状況でございますから、この際、ボーナスの一部を保険料の対象に入れるほうが負担の公平を期するという意味で適当ではないかというふうに考えたわけでございます。
○西田委員 負担の公平って、何に対して負担の公平なんですか。
○戸澤政府委員 その被保険者相互間に対してです。高額所得者、低額所得者、そういった者に対する現在の保険料のかけ方が、結果的に逆累進制といいますか、そんなようなかっこうになっておるということであります。
○西田委員 そういう意味でわからぬこともないのですが、これはいま急に出てきたことじゃないでしょう。昨年の六十五国会に初めて出したと、いまあなたおっしゃったように、これらの問題は、いままで等閑視されてきた、不問に付されてきておったわけですよ。戦後できました社会保険、失業保険にしても、労災保険にしても、すべて総支払い賃金制ということで計算をしてきておるわけですよ。いまごろになってそれをやるということは、何かそこに意図的なものがあるのじゃないか。要するに赤字を解消するために、あ、忘れておった、ここに保険料をかけるやつがあったというようなことから、思いつきで出てきたのと違うのですか。
○戸澤政府委員 この問題は、何も急に思いつきでもって持ってきたというわけではございませんで、標準報酬のあり方についていろいろ検討しておったわけであります。これは、お話しのとおり、労災とか失保等においては総報酬制をとっておりますけれども、厚生保険におきましては、年金がありますので、これは総報酬制をとりますと、それが給付にはね返ってくるので、もう長期計算ががらりと変わってまいります。 そういったこともありまして、踏み切れなかったわけでありますが、今回こういう政管健保につきまして総合的に抜本的な財政対策を考えるという際でございますので、この際、いま申し上げました負担の均衡をはかるということ、それからいま一つは、こういう特別保険料をやめれば、その分、一般の保険料、正規の保険料に対する料率が高くなるわけでございまして、その辺も考慮して、この際、賞与の一部を取り入れることが、やはり負担の公平、軽減をはかる意味でも適切ではないかというふうに考えたわけであります。
○西田委員 ただ比較してということなら、私はいま言ったとおりだと思うのですよ。早くから、もう二十数年前から実施されておるものを二十数年間そのまま放置されて、そして去年、にわかに出てきた。それを何とか正当性を主張するために、他と比較してというのなら、これはおかしい。そしてまた、負担の公平と言われるけれども、もちろん給料は上がってきた、上がってきたなら、上がってきたそのことに即応するような体制をなぜとらなかったのか。これについても、先ほど申し上げたとおりである。 そうすると、結果的には、もう保険財政を何とかつじつまを合わすために、どこかから財源はないか、これは賞与が抜けておったのじゃないかというところで、賞与に手をつけてきたという以外にないわけです。だから、他との均衡をとるためなら——この審議会のほうからの答申の中にも、労働関係保険と医療保険との間に、保険料そのものに対する基礎報酬に対しての考え方が違う、こういうものについても考えるべきだということが出ておるわけですよ。だから、やるのなら思い切ってそこで変える、こういうようなやり方でこられるなら、賛成はできないにしても、まだしも理屈は通るわけですよ。しかし、これからいきますと、どう考えたって、その赤字対策のためにとしか考えられない。そうすると、被保険者のほうは、いま計算されました十六万九千円というものは、この賃金がかりに六万円だとした場合には、その二カ月分ないし二・五カ月分をこれによって何かただ取られたような形になるわけです。 ものを改革するときには、何か犠牲にならなければ改革はできない。それは私も承知している。だけれども、この制度は長い間踏襲されてきておるし、そして社会の情勢は大きく変わってきておるわけですよ。それにもかかわらず、それに乗った対応策が全然考えられていないで、にわかに出てきた。そのことがどうしても納得できないのです。大臣、どういうことから、こうなったのですか。
○斎藤国務大臣 いままでやるべきことをなぜやらなかったか、西田委員がこうおっしゃるのは、そのとおりでございます。もちろん、前にも出して、これが通らなかったということもございますが、まあせっぱ詰まらないと、いい考えが出ないというようなことであったかと思います。おしかりは端的に私はお受けします。しかし、いままで怠慢であったからというおしかりは受けますけれども、このほうがいいのなら、ひとつ前向きにいいほうにやっていくということにぜひ御賛成をいただきたい、かように思います。 それで、一つの理由は、厚生年金は、総報酬制をとっていないということがあるわけです。そこで、厚生年金も総報酬制をとったほうがいいのではなかろうか。そうすると、年金額にもはね返ってまいりますが、そのほうがあるいはほんとうではないであろうか。そういう検討もやって——失業保険とか、あるいは労災保険は総報酬制をとっているのでありますから、あるいは総報酬制というほうが被用者にとっても負担の公平がはかられるのじゃないか。いままで被用者の中から、われわれ低い者からわりに高いものを取って、高い給料を取っている者は安いじゃないか、この公平をはかれという声がどうして出てこないんだろうかと私は思うくらいでございまして、やはり低所得者の負担を軽くし、高所得者は高所得者なりに負担をするという行き方のほうにひとつ御賛成をいただきたい。 それは高額の所得を取っている被用者は反対されるかもしれませんが、そこらは被用者全体のことを考えていただければ——税金は下のほうを安くせよ、上のほうによけいかけろといって、保険料は上のほうによけいかけることに反対だという考え方はわからない。しかし、西田委員は非常にこの点御理解をくだすっているようでございますから、いいなら、いままで怠慢であったというそしりは十分に受けますから、御賛成をいただきたいと思います。
○西田委員 それは誤解してもらっちゃ困るのです。私は賛成の立場でお尋ねしておるのじゃないのです。これはもういままで、こういう形で不平等の中の平等性をうたってきたわけです。もともと不平等であることははっきりしておるわけです。しかし、それでもなおかつ、可能な限りの平等性を求めて、こういう報酬体系のランクが設けられてきておるわけです。だから、変えるのなら抜本的に、他の保険との均衡を保ちながら、他の保険と同様に変えるべきである。にわかにこういう形で変えてきたのはなぜか。それから、実態に即さないというのなら、なぜ実態に即すようにいままでしてこなかったのか、こういうことを申し上げておるわけです。 それは確かに、たくさんもらっている人が、たくさんの負担をするのはあたりまえだ。これは保険制度ですから、そういうこともいえるでしょう。職場の中にも、場合によってはそういう意見もあるかもわかりません。しかし、逆に、おれは保険料ばかり取られて、ほとんど病気にもかからぬ、何でこんな負担せんならぬという声もあるわけです。この声も無視してはならない。だから、そこらの点をどう調整するか、どうコントロールするかということが、私は政治の役目ではなかろうかというふうに考えるわけです。 そういう観点で今日まで報酬月額表というものが一応つくられてきておるわけです。それを踏襲し、かつ実態に即さぬものを即すようにしようというなら話は別ですけれども、そこに、にわかにつけ足したように、こういう形で新しい問題を提起するということは、これはほんとうに重要な問題だと思うのです。だから、根本的に変えるなら変えるで変え方があるのです。それを何かしらん、いままでのもので抜けておったものをさがして、そしてあらさがしをするか、言うならば話のあげ足をとるか——というのと若干違うかもわかりませんが、そういう形でそれを取ってつけたように持ってくるところに、私は問題があるように思うわけです。 ですから、大臣、私は賛成という意味で申し上げておるのじゃないのですよ。それは、先ほども申し上げましたように、不平等の中の平等性、そういう意味で現在あるものはやむを得ないだろうということを申し上げておるのですから、大臣ないし政府当局から説明されたことを、私は全面的に了解した上に立って質問しておるのじゃないということを明らかにしておきたいと思うのです。 そこで、国庫補助を定額から定率に切りかえるということなんですが、はたして百分の五の補助率でいけるのかどうか。私、どうもその点は、何か心もとない感じがしますし、いまの保険料収入を見ましても、保険料の基礎となる標準報酬にしましても、非常に不明確ですよね。ぴしゃっとした答えが出ない。自信を持って答えておられない。念のために私は、労働省と厚生省両方に聞いてみた。やはり違うのですね。それで、もし狂った場合にどうするかという問題があるわけです。 そうすると、その場合には審議会に諮問して、そして保険庁長官に、その千分の八十を限度として引き上げをすることを許すというようなことになったら、これはもう千分の八十がきまったようなものになってしまう。これはもうとてもじゃないが……(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはないことはないですよ。 これはそうなってしまうんだ。そうでなくても、いままで答申が聞き入れられたことはほとんどなかった。こんな点から考えましても、私はどうもその点は信じられない。その辺のところ、大臣、ほんとうに、それは約束できるのかどうか。そして、あなた自身は、この審議会からもくぎをさされているように、財政対策ということで、二度とこんな問題を提起するようなことはないという自身があるのかどうか、その辺をひとつ聞かしてください。
○斎藤国務大臣 この数理の点は、先ほど労働省も呼ばれてなにをされました。数理については、私自身はほんとうは自信がないのです。自分でやったわけじゃございませんから。しかしながら、事務当局は間違いないと、こう言い、それから特に単年度赤字は出さないということで、大蔵省も相当これはしぶく見られたと私は思う。あのしぶい大蔵省が見て、これならだいじょうぶというので計算をされた結果ですから、私はそれを信用いたします。この数理には間違いがなかろうと思います。
○西田委員 大臣が、自信がないけれども、事務局がそういうのだからというようなことでは困る。やはり大臣が、おれはこれでやるのだ、もしも問題が起こったら、おれは政治生命をかけてでも約束するというくらいの姿勢でなければ、こんなものはできません。もちろん私はそれだからといって賛成するという意味じゃないけれども。意味じゃないけれども、やはり国民の多くの人が、この問題については相当関心を寄せているのです。 ところが、当の大臣に聞いてみたら、おれは自信がないけれども事務局を信用するよりないのだということで、ばかに自信のないことをおっしゃってくださったのでは、この審議はもうほんとうに徒労に帰してしまう。もしもいまの大臣の発言が、いや、そうじゃなかったのだというのなら、いまのうち訂正してください。
○斎藤国務大臣 私は事務当局の数理計算を一〇〇%信用いたしております。さらに、自分のところの事務当局だけでなしに、大蔵省も非常にしぶしぶ査定をしておられると思います。その結果、これで収支償うという太鼓判が押されたわけでありますから、私はそういう意味で自信は持っております。自分で計算したのじゃないということだけは言っておきますけれども……。(「だいじょうぶだ」と呼ぶ者あり。)
○西田委員 皆さんはだいじょうぶだ、こういうふうにおっしゃるかもわからないけれども、私はどうもだいじょうぶじゃないと思う。大蔵省が言うから、あるいは事務当局が言うから——それを所管大臣が責任を持つところに、法案も本物になるか、あるいはにせものになるかということになってしまう。 だから過程ではどういうことがあったか知らぬけれども、少なくとも厚生行政、特に医療行政に対して造詣の深い大臣が、私はしろうとだと言われたのでは困るのです。これはくどいようでありますけれども、もう一度自信を持っておるかどうか。
○斎藤国務大臣 私も私なりに事務当局から積算の基礎、いままでやった説明も聞き、これならだいじょうぶだろうということで提案をした次第でございます。
○西田委員 最後に、先ほど明確な答弁を聞いてない部分が一つあるわけですが、そうすると給付の改善は当然行なう腹づもりでおられるのですね。
○斎藤国務大臣 給付改善は、抜本改正の中でいたしたいと思います。
○西田委員 ぼつぼつ時間が来たようで、まだ聞き足りないこともたくさんあるわけですが……。(「やれ、やれ」と呼ぶ者あり)やれ、やれということは、反面はやるなということに通ずると思いますので、私は、これで終わりますが、特に要求をしておきたいことは、とにかく保険料さえ収入をふやして、つじつまを合わせたらいいという考え方では、医療問題は解決しないと思います。あくまでも、保険制度はいかにあるべきかという根本問題から、この問題を討議しなければならぬ。それには何といっても医療基本法が前提であり、そして抜本改正が前提でなければならぬ。ただ、赤字だけが先に走ってしまうということは、私はけしからぬことだと思うのです。 本年度の予算の中にだって、われわれから見て承服し得られないものがたくさん組まれておるわけです。何たって国民の命を守る健康保険制度ですから、そういう点については、もっと慎重に臨んでもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○森山委員長 次回は、明十二日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時五十五分散会