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68回国会衆議院1972/04/26

社会労働委員会 第21号

発言数
273
登壇者
17
会派数
4
開催日
1972/04/26

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  老人福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 老人福祉法の一部改正の法案を具体的に伺う前に、厚生大臣に伺いたいと思いますのは、きのうの本会議で、わが党の大原議員から、年金は私らこう思うのだがと説明し、それに対して後藤議員から総理大臣どう思うのだということを尋ねたら、特に老人福祉については大幅にこれを引き上げるべく検討しておるというおことばがあった。あの話を聞いてみると、傍聴席ばかりではなく、かなりこれは期待をするような話に聞こえたのです。そこで厚生大臣は、特に厚生行政には非常に造詣の深い大臣でありますから、総理大臣はああいうように答弁しても、大蔵省というけちけち省がいるために、なかなかそうはいかぬのだということが実態だと思います。  そこで、厚生大臣が、老人福祉は、ほんとうは私に全部金をまかせるなら、こういうようにしたいのだが、このぐらいしかできなかったというところに落ちつかざるを得なかったと思うので、大臣の理想図と、いまの提案されている法案との差がどのくらいあるか、何割くらいこれに織り込まれたと思われるか、その辺を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ちょっと何割という数字はなかなかむずかしいのでございますが、たとえばことし老人福祉年金千円アップということになりました。私どもは千五百円アップにぜひ今度はいたしたいものだということで、大蔵省に要求をしたわけでございます。これもそれで十分とは思わなかったのでございますけれども、いままで毎年百円、二百円あるいはせいぜい三百円という上げ方をしておったわけでございますから、そこで今度は思い切って千五百円、したがって三千八百円という要求をしたわけでございますが、諸般の情勢で千円アップになったわけでございます。  大体その程度の開きで、私のほうもこうやりたいと思うても、やはり厚生省全体の行政もあり、国全体をながめて、ここならというところで出しているわけで、これが将来の理想図として出したわけではございません。理想を達成していくのには、やはり地についてやっていかなければなりませんので、そういう意味で来年度は年金と取り組みたい、こう言っておりますが、しかし一挙に来年理想の姿がぱっと出るというわけにはまいらないと思いますが、将来への展望を考えながらというように考えているわけであります。来年は福祉年金は五千円をめどにいたしたい、こう言っております。たしか予算委員会でもそういうようなことで考えてみたいと大蔵大臣も言っておりますので、大蔵省も最近は福祉関係、ことに老人の福祉というものについては、いままでになく非常に時代の要請、社会のニードというものをそういうように把握をしてもらっているというように私も感じておるわけでございます。  なお一段とひとつ皆さま方の御鞭健、御支援によって社会福祉を増進をしてまいりたい、かように考える次第であります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 厚生省は千五百円を要求したんだが、千円に落ちついたというお話から考えると、ことばじりを取り上げるわけじゃないんですが、厚生大臣が考えておる老人福祉の未来図というものは、どの辺程度かということを私なりに感じとったわけです。  そこで局長に伺いますが、私も年寄り二人かかえておりますが、一体老人福祉という、老人というのは何歳ぐらいからと考えるか。老人の年齢的な概念を聞きたいのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 これは非常に個人差があると思うのです。私なんか老人クラブに入らぬかといわれても、どうも入る気持ちがまだしない。そう老人扱いしてくれるなと言いたい。しかしながら大体平均してみると六十五歳以上ぐらいが老人扱いしてほしい、あるいはされてもいいというところではなかろうか。これは社会的に見まして、さように考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 結局弱まりの年齢だと思います。そこで局長、いま大臣からいみじくも、まあ六十五歳以上ということばが出た。局長はどの辺を考えて老人福祉を考えておりますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 何歳から老人と考えるかにつきましては、制度的にもそれぞれの制度によって、たとえば厚生年金の老齢年金は六十歳から、国民年金の老齢年金は六十五歳、あるいは福祉年金は七十歳というように、何歳から老人というかということが、必ずしも制度によって一致していない。老人福祉法につきましても、健康診査なんかは六十五歳から始めている。それから老人ホームなんかに入れるのも大体六十五歳をめどにしているというような点を考えますれば、客観的に言えば、いま大臣からもお答え申し上げましたように、六十五歳あたりが一つの基準にはなろうというぐあいに言えるのじゃないかと考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私もそう思うのですよ。個人差で、年寄りというものをそう扱うべきじゃなくて、行政というのはある程度きちんとしなければならない。ある制度は六十歳、ある制度は六十五歳、そしていま出そうとする医療費なんかは七十歳以上、それは差をつけるのは個人差じゃなくて厚生省のあなた方が差をつけている。財政の関係その他で差をつけざるを得ないということなのであって、概念的には個人差じゃない、制度が差をつけている、そう思いますよ。  そこで聞くのだけれども、それじゃいまの老人の暮らし向きの実態というものはつかんでおりますか。もしつかんでいるとすれば、その暮らし向きが最近どうなったか、どうなっていく趨勢にあるか。これはあなたも私も全部将来老人になるわけです。何といったって、特に私のようなまだ若手が老人の制度を確立していかなければならないと意気込んでおるだけに、いまの趨勢を聞かしてもらいたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人の生活の実態につきましては、厚生省におきましても、いろいろ実態調査を実施いたしております。一応私どもの手元にございますのは昭和四十五年あたりの老人の実態調査でございますが、現在のわが国における老人の生活の実態というものは、一般的に申して必ずしも恵まれてないということが言えると思います。特にひとり暮らしの老人あたりが非常に生活に困っているという実態が把握できるわけでございます。  たとえば四十五年の調査によりますと、これは六十歳以上を調査したわけでございますけれども、ひとり暮らしの老人で、自分の働きでどうやら食べていけるというのが三五%程度でございます。子供その他からの仕送りで何とかやっているというのが二二%ぐらい、それから生活保護を受けているというのが一八・七%でございます。いまの国民全体と生活保護の比率は一・三%ぐらいでございますので、この一八・七%というのは非常に大きい数字だと思います。その他、年金、恩給などが一六・七%、あるいは私財とか貯金なんかで何とか食っているのが七・三%というような数字が出ておりますが、生活保護のウェートが非常に大きい、あるいは自分が働いて、とにかく食べていけるというのはわずかに三五%程度であるという実態から言いますと、生活実態というものは非常に楽ではないというのが実情だと思います。  それから健康の面で言いましても、からだが弱い、病気がちである、あるいは床につききりだというのが大体三四%ぐらいございます。特にひとり暮らしの老人では三七%ぐらいになるというようなことで、健康状態も必ずしもよくないということでございます。その他、主観的に申しましても、ひとり暮らしの老人の大体五六%ぐらいは毎日非常にさびしい気持ちで日を送っているというような調査もございます。  こういうものを総合いたしますと、老人の現在の生活実態というものは必ずしも恵まれているものではない。これをこのままに放置いたしますと、いろいろな物価高、それから生活というのは、ある程度相対的なものでございますから、国民の生活水準が上がるにつれて、相対的に老人の生活というものは苦しくなっていくのじゃないか。そういうことで、国とか地方公共団体が老人の生活について相当てこ入れをしていく必要があるのではないかというぐあいに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それから、それの趨勢なんですが、これは東京都に比較するわけじゃないんだが、老人福祉ばかりじゃないけれども、どうも国の厚生行政が、すべて地方の自治体におくれてついていっているような気がするのです。たとえば、今回提案された七十歳以上の医療費ただなんというのは、たとえ山の中の、私のほうの秋田の横手でもとうに実施しておる。そういう自治体がたくさんあるのです。児童手当もそうなんだ。だから、一番肝心かなめの厚生省が、地方自治体がやり始めて、たいがいのところがなってしまったというところで、こういう制度が成るのです。  それはなぜかと言うと、地方では、自治体というのは生活と密着しているから、わかるわけなんです。市長でも何でもその生活がぴんぴんくるわけでなんです。だが、厚生省は、痛みは感じないかもしれないけれども、統計ではわかる。ひとり暮らしというのは三五%ある、さびしく暮らしているのは五六%ある、こう言うのでしょう。仕送りで暮らしているのは二五%。そこで問題は、さっき局長が言った健康状態、こういうことなんです。  そこでさらに、世論調査したようなものもだいぶあるようですから、老人がいまさびしくしておる、悩んでおるというもので一番多くのパーセントを占めているのは何だろうか。老人が困っているという中で、何が一番困っているか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人の生活上で一番悩んでいる点でございますが、これは昭和四十四年の調査でございますけれども、六十歳以上の老人につきましての調査でございますが、一番悩んでいるのがやはり健康上のことで、これが四五・五%でございます。その次の悩みが経済的な問題、これが二一・二%でございます。それから家族との関係でいろいろ悩みがあるというのが一八・二%、それから住宅問題が九・一%、職業・仕事のことが六・一%、その他というような状況でございまして、健康上の問題、経済的な問題、それから家族との関係、人間関係というふうなことが、老人にとって大きな悩みだという調査の結果が出ておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 その調査は六十歳以上でしょう。六十歳以上の調査ですら、健康上が半数を占めているわけですね。四五・五%だと局長が言うからね。やっぱりそれだと思うのですよ。だから厚生省も老人医療を主軸とした改正案を出していると思いますが、そこで、一体それではなぜ七十歳というところまで引き上げて老人医療の無料をしたのか。その考え方はどういうことですか。六十歳以上の統計が出ているのでしょう。それを聞きたいです。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 今度の老人医療につきましては、御指摘のように、七十歳からということでスタートをしようとしているわけでございますが、これは一つには、先生御指摘のように、都道府県や市町村が国に相当先がけて、こういう制度に乗り出している。その実施状況を見ましても、七十歳以上というのが、最近ちょっとふえていますけれども、四十七年の一月で四十二の都道府県がすでにスタートしておりますけれども、そのうちの四十一県は、七十五歳とか八十歳というのもございますが、大半が七十歳以上で始めている。そのほか、寝たきり老人につきまして六十五歳以上というのを、それにつけ加えてやっているという県が約十県ばかりございますけれども、老人医療の無料化につきましては、大体大筋は、大半の府県が七十歳以上であるという現実をとらえまして、そして都道府県と一緒にやるわけでございますから、客観情勢がそうなっているということが一つと、それから財政的な問題が非常に大きな問題になります。  財政上の問題でとやかくするのは必ずしも適当だとは思いませんけれども、とりあえずスタートに際しましては、七十歳でスタートをしまして、その後の実施状況を勘案して、年齢の問題については、さらに検討を加えてまいりたいというぐあいに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 いまの地方自治の能力なんというのは三割なんでしょう。三割自治と、これは比率ではあれだろうけれども、そういうところが、それでも、なけなしのお金で、国がやってくれないから、七十歳以上はただにしようということで、ばっとふえてきたわけでしょう。それにつり込まれてつくっている制度だからというので、これはおもしくないですよ。なぜ厚生省が旗上げしないのですか。一応旗を上げて計画を立てればいいのですよ。今回は財政難だから困る、これだけしかないのだ、しかし将来の五カ年計画は、何年ごろからは何歳以上からやるのだという、その計画を、やはり青写真を出さなければだめだと思いますよ。局長は、地方では七十歳以上にしているから七十歳でいいのだということでは、これは最高の行政府とはいえないですよ。そうでしょう。どうです局長。それとも展望があるなら話してくださいよ。今回は七十歳だけれども、将来はこういうようにしたいのだと、あったら話してください。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 地方は住民に密接をしているから、住民の必要なニードというものを把握しやすい、その点も確かに私はあると思います。しかし児童手当にいたしましても、老人医療の無料化の問題にいたしましても、実は国のほうで児童手当は近くやるということをきめたから、国がやるのなら、もうちょっと先取りしておけ、どうせ一、二年だからというてやるところが非常に多い。老人の医療の無料化も、これは御承知のようにもう二、三年前に、老人の医療は特別の保険でやるか公費でやるかやらなければならぬということをきめ、そしてこの前関係の審議会にも諮問をしたのは、もう三年前、そのころから、どうせこれは近く国がやってくれるに違いないということで始めてきたというので、きっかけは地方自治体にもあったと思いますけれども、国のほうでも施策はこのほうに向かうべきだ、こうきめて、そして待ち切れないから早くやろう、どうせ一、二年だから、ということが実態だと私は思うのです。  そこで老人の医療の無料化、私は一番心を打たれましたのは、たとえば老人クラブに行って、そしてそこでいろいろ話し合いがある。健康診査も六十五歳以上は無料だから、ひとつ診査を受けに行くようにと話をする。家に帰ってきて、せがれや嫁に話をしに行くと、どうせ健康診査をすれば、これは医者にかからなければならないに違いない、だいぶからだもいたんできているから。だから、老人クラブなんかに行くと、そういうつまらぬことを聞いてくるから、もうクラブに行きなさんなというような声が高いというようなことから、これは結局嫁やむすこに医療費の世話にならなければならないことは耐えられないというような感じが非常にびまんをしている。したがって、これはやはり一日も早くそういうことのないようにしたいというので、医療の自己負担を公費で負担をするというのを、最後私は自分自身打たれたのはそういう心理的な状況もございます。  そこで、むすこや嫁に医者に行くのをとめられるというような状況は何歳ぐらいからであろうかと考えますと、いまの段階では七十歳と見るのが適当ではないだろうか、こう思って七十歳ということにきめたわけでございます。いま局長が申しますように、実情も七十歳以上が大部分であって、ところによると七十五歳以上というところもあるし、六十五歳以上というのはごく一、二例しかないという——これは地方のニードから、そういうことになっているというところもありますし、そういう点を勘案いたしまして、七十歳が現在の状況から考えて適当である、かように考えております。これは六十五歳以上をやるのが理想であるけれども、財政の都合で七十歳にしているということではない、こう御理解をいただきたいと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 嫁やむすこに医者の費用をもらいにくいということ、大臣よくわかっているじゃないですか。よくわかってやっているのでしょう。それを七十歳以上からだなんて、冗談じゃないですよ。だからその感覚が違うと思うのですよ。総理大臣も七十歳ですけれども、大臣のようにバッジをつける人はそういう感じを受けないかもしれませんけれども、五十五歳が定年でしょう。公務員は何歳か知らぬけれども、上のほうは知りませんが、一応御勇退というのがあるようですから、まず五十五歳というのが社会相場でしょう。それから十五年働かなければ、ただにならないです。  それから大臣、ちょっと考えが違うのは、自治体は国がやってくれるような空気になったから、ひとまずやっていこうなんて、そういう感覚じゃないですよ。これは先取りなんということばはこういうときには合わないでしょう。先取りというのは、例の防衛費みたいなのが先取りというのだけれども、こういうのは先取りじゃないですよ。とにかく、地方に行けば、年寄りを何とかしなければならないといって行政官が、お互いがお年寄りをかかえているから、これはやはり社会の制度としてやってやろうという時代になったんですよ。そうなんですよ。だから、七十歳ぐらいの老人をかかえている大臣がそこへすわれば、また感覚が違ったかもしれないけれども、そういうことだと思いますよ。嫁やむすこに医療費をもらいにくいというのは、これは自分のあれで働けなくなると、すぐ思います。年齢じゃないですよ。そんな七十歳なんというのは、きょう変えたほうがいいですよ。やはり財政的に七十歳でまずスタートする以外にないのだ、こういうことだと思いますが、どうですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私は、そういう考えで六十五歳以上が適当だけれども、出発は財政的なあれがあるから、まず七十歳からという意味ではなくて、医療無料化をやるのは七十歳からが適当であろう、こういうことで七十歳という提案をいたしたわけであります。それはいかぬとおっしゃれば、いろいろ御議論はありましょうから、皆さんの御議論も私は率直に伺います。おまえはどう思ってやったんかとおっしゃるから、こう思って七十歳が適当ということで、七十歳に踏み切りましたということであります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 これは局長に、将来の展望という理想図、何カ年計画があるかということを聞いたら、大臣が立って答弁してくれたから、こういう問題になったわけだ。  それでは局長にまた聞きますよ。いいですか。局長に聞きますが、むすこや嫁から医者代をもらいにくいというのは、それを何で所得で制限するの。むすこがうんと給料を取る人の親は、もらいやすいというように感じているのか。なぜ所得を制限するのか。どういう思想ですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 一応親が病気したというような場合には、子供のほうで、ある程度経済的な余裕があれば、可能な限りで病気の親のめんどうを見るというのが普通の考え方であろうと思います。中にはそれはもらいにくい、非常に金を持っていながら、そういうめんどうを見ないという者もあるかもしれませんけれども、やはり普通のわが国の常識からいいますならば、ある程度の金があるならば、親が病気したときにはその治療費のめんどうを見るというのが普通の考え方であろうと思います。  そういうことで、老人医療の無料化をいたします場合におきましても所得制限、これは制限の額は私どもはそう低くはないと思いますけれども、ある程度生活できるという人については負担をしてもらう、こういう考え方で所得制限をつけたわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 これはわが国の常識だ、こう言うのだけれども、老人の自殺がこのようにふえていっているでしょう。社会観というか、常識が変わっていっているわけだ。局長の場合は、父母に孝にという修身の教育を受けてきたから、自分は変わらないということなんだけれども、しかし社会構造はそういうことじゃないというのだ。局長は病気になったら、とこう言うでしょう。これはそうじゃないのだ。年寄りは常に病気なんだよ。がたが来ているんだよ。そういうことなんだよ。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 常にがたが来ている者の健康診査というやつは、病気になったからみるということじゃなくて——だから老人ホームというのが、病院のような雰囲気もするというのは、常に病気のような状態になっているわけだよ、年寄りというのは。そうでしょう。いろいろ働いて、がたが来るわけだから。そういうことでしょう。だから、病気になったら、まさか嫁やむすこは黙って見ていないだろうという感覚じゃ、老人福祉はできないのですよ。自然に、おねだりされなくたって、手を出されなくたって国がやるという考え方を持たなかったら、私は老人福祉の制度はできないと思いますね。要求する力もなくなるんだよ、老人には。  だから、たとえば老人ホームなんかで、あれになぜ年寄り方が響いたかというと、あれは原労働大臣が間違ってああいうことを言ったと思うんだけれども、あれは、はねつける能力がなくなっちゃっているんだよ。ああいうことを言われてみなさい。それでなくても肩身狭めて老人ホームに入っている人方に、ああいうことを言われてごらんなさい。そういうことになる状態なんだ。佐藤総理みたいに、七十歳になっても、だれが何と言ったっておれはやめないといった、ああいう気力のある人は一億人に一人しかいないわけだから。そういうことでしょう。普通ならたいがい、おねだりができない精神状態になるんだと思いますよ。国会議員で、あれだけあばれたようなおやじを私は持っていて、そのおやじが、そういう感覚を持つというんだから。そういう感覚でなければだめだよ、老人福祉というのは。どうですか、局長、もう一ぺんひとつ、感覚の問題だから。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 私どもは、老人福祉というのは、国や地方公共団体ができるだけ老人の福祉のために金を出すということも、これはもちろん大事でございますが、やはり老人のほんとうのしあわせというのは、老後においてその周囲の人たちが老人というものを大事にして、そして終生可能な範囲でめんどうを見ていく、そういう人間としての気持ちの交流の中に、やはり福祉、ほんとうのしあわせというものがあるんじゃないかという感じがするわけでございます。  そういう意味におきまして、やはり家族があって、その家族がある程度経済的な余裕があるという場合には、まずその家族にめんどうを見てもらうということも、これは筋として必ずしもおかしいということもいえないんではないか。やはりそうやりたくてもできないという家庭に対して国や地方公共団体が応援する、そういう形でいくのも、老人福祉の方向としては必ずしもおかしいいき方ではない、こういう感じで今度の制度もつくったわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私から言わせれば、案外裕福なせがれのほうが貧乏なせがれより親不幸ですよ、趨勢からいうと。大体老人の自殺するものは、むすこや嫁がそう苦しい生活をしている人のあれじゃないんだ、統計によると。局長、それは全然感覚が違うよ。そういうことだと思いますよ。  それじゃ、一歩下がって、むすこや嫁がそういう所得がある人のあれなら医療費はただじゃないぞという制度なら、老人にひとり暮らしが三五%いるんでしょう、あなたの話だと。統計によると。それでは、そのひとり暮らしの人が——ひとり暮らしというのは、自分で働かなければ食えないから働けば、がたが来ているのに働くんだから、なおさら医者代がかかりますよ。医者代をかせごうとして働く。働けばまた医者代がかかる。これは悪循環ですよ。あなたが改正しようとする十条の二の三項、「老人医療費」というのは、これはどういう意味ですか。本人の所得との関係は、これはどういうことをいっているんですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この福祉法の一部改正の十条の二の三項でございますが、これは二つのことを規定しておりまして、一つは、前段におきましては、老人、その御本人が一定額以上の所得があるとき、それから後段のほうにおきましては、その扶養義務者がその老人の生計を維持しているという関係にある者について一定の所得があるとき、こういう二つの場合、だから、御本人がある程度収入があるという場合と、それから扶養義務者が収入がある場合、これはどの程度の収入かというのは政令できめるということになっておりますが、その政令で定める額以上の収入があるときには、老人医療の無料化のこの法律は適用しないということを三項に書いてあるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃ、本人の場合の一定額というのは、どの程度の額をいうんですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは一応政令できめるということになっておりますが、大体私どものほうでいま考えておりますのは、所得税の非課税の方を一応対象にする。したがって所得税をかけられるという方については、一応この対象からはずす。具体的に申し上げますと、たとえば一応六人家族の場合には、御本人の収入が年間におきまして百三十九万六千円ということ、その程度の所得がある場合には、これは老人医療の無料化の適用をしない。それから扶養義務者の場合におきましては、同様六人家族におきまして二百五十万円以上の収入がある場合におきましては、この法律を適用しない。大体それが、家族の数が減るにしたがって金額は下がりますけれども、一応そういうめどで政令をつくりたいというぐあいに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 扶養家族の話をしたけれども、ひとり暮らしの場合はどの程度の金額を考えておるのか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 ひとり暮らしの場合は本人だけでございますが、これは所得税非課税でございますから、大体年間五十九万八千円でございますか、約六十万円、大体その程度の収入ということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると月に四万円くらいですね。そうすると、いわゆるじいちゃん、ばあちゃんの二人暮らしで、じいちゃんが働く、そうすると、四万八千円ぐらいかせがないと暮らせないんだよ。そうすると、いわゆる生活費をかせぐために働きに出るんです。働きに出ると税金がかかる。税金がかけられる人は、医療費はただじゃない。そうすると、ひとり暮らしというのは何も恩典は受けないですよ。どうなんですか、これは。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 いま、じいちゃん、ばあちゃんと言われましたけれども、そういう場合は二人という——一人の場合でございますか、一人の場合は、いま申し上げましたように年間五十九万八千円ということでございます。これはまあ一応福祉年金の所得制限とそろえてあるわけでございますけれども、まあ、普通七十歳以上の方ということになりますと、サラリーマン——もしどこかにつとめるということになれば、これはおそらく被用者保険の本人になるということで全部無料になる。被用者保険の本人ということであれば、そっちのほうで無料になる。どこかの会社とか何とかにちょっとつとめるということになれば、これは保険の適用がありますから、そういうことは、みんなそっちのほうでやってもらうということになろうかと思います。それ以外の方、自営でやっているとかいうような方について五十九万八千円以上の収入があった方については、これは一応この制度から適用を除くということでございまして、普通ひとり暮らし、私どものほうで調査しておりますひとり暮らしの老人というものは、とてもそれだけの収入がある方というものはほとんどない。調査の結果は、むしろ非常に生活に困窮されているということでございまして、そういう方は全部適用になるということでありますので、まあ、本人の所得制限よりも、むしろ問題になるのは扶養義務者の所得制限ということではないかと思いますけれども、一応そういう感じでおります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 局長はつとめている人は保険に入っているんだからとこう言うけれども、その考え方がよくないんだ。あなた六十五や七十ぐらいの人を使う会社がどこにある。そんなのがあったら、あなた紹介してくれますか。日雇いとかなんとか、保険なんかかかれないようなところに働いている。保険にたよろうとする老人福祉を考えようとするなら、根本的に考え直さなければならぬですよ。保険じゃだめなんだから老人は。保障でないとだめだ。どうなんですか。国全体として、老人は住宅も健康も所得も保障するという考え方で一貫しないとだめだ。その上、そういう人はつとめているんだから保険に入っているだろう、だいじょうぶだろう。いま七十歳ぐらいの人を使う大きな会社、そんなのがあるんなら紹介してください。根本的に違うよ、その問題は。どうですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 たとえば日雇いなんかに出ておられるとすれば、これはもうとても五十九万八千円なんかの所得ございませんから、当然対象になる。そういう場合には、もちろん日雇保険のほうでまた対象になるわけでございますけれども、日雇い程度の所得であれば、当然ここからはずれて法の適用を受けるということになると思います。私が申しますのは、五十九万八千円程度の所得ということになると、先生おっしゃるように確かに七十歳以上過ぎてそう雇ってくれるところはないかと思いますけれども、まあ七十歳以上の人に対して、これだけの月給を出すということであるとすれば、おそらく保険の適用もあるだろうということを申し上げたわけであります。  そういう意味で、御本人が働いて七十歳以上で五十九万八千円の所得という方は比較的少ないんじゃないか。まあいろんな資産を持ったり何かして、これ以上の収入がある方はそれはあると思いますけれども、自分で働いてこういう収入を取られるという方は、わが国の現状においては、七十歳以上では非常に限られた人であろうというのが現実の姿であろうと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 だから局長、年齢は一歩下がって七十歳なら七十歳でもいいとしても、老人だから全部ただだ、こういう考え方になぜ立てないのかというんだ。なぜ立てないんですか、あなた。そういう考え方に立てないというのは財政なのか、それともあなた方の思想なのかというのです。どうですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この法案をつくりますときに、一応各方面と御相談いたしましたけれども、一つは本人がある程度所得があるということなら、そういうものまで全部税金でめんどうを見る必要はないじゃないかということ。まあいろいろな方面の御意見はそういう御意見が多かったわけでございます。  それから扶養義務者の所得制限につきましては、これは本人の所得制限よりもいろいろ御批判はございました。御批判はございましたけれども、しかしこれをある程度の額に引き上げて、大半の人がこれにひっかからないということであれば、これも国民感情としてはある程度許されるんじゃないかという感じを私どもは持つわけでございます。それで、これが高いか安いかという問題は別にいたしまして、家族にも相当の所得があるという者については一応これからはずしていくということについても、これは御納得いただけるんじゃないか。まあ国民の貴重な税金でございますので、そういう意味である程度の所得のある家族を持っている人については——それは個々に例をあげれば、先生御指摘のように金があっても、なかなか親のめんどうを見ないというのもあるかもしれませんが、全体として見た場合に、こういう制度でスタートするということは、一応国民の合意を得られるんじゃないか、こういう感じでつくったわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 この案でいって今度七十歳以上がただだということになると、受療率というのは、かなりふえるんだろうかね。どうです。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人医療の無料化ということで、いままで自己負担が三割なり五割ありましたのを一応無料にするということになりますと、十割になります。  それで受診率につきましては、たとえば東京なんかの例でございますと、東京は御承知のように四十四年の十二月に実施いたしておりますけれども、四十四年の十二月から四十六年の十一月まで約二年間でございますが、その間に受診率につきましては約三倍ぐらいに伸びております。東京都が老人医療の無料化をやったということで、東京都の実績では三倍くらいに伸びている。これは地方によりまして一部負担があったり何かしまして、それによって受診率はいろいろ違いますけれども、東京都の場合は現物給付で、そして福祉年金の受給者ということで制限も政府の案に大体似ている。そういう点からいいますと——まあ東京は医療機関が非常に多いということで、そういった点でまた若干違ってくるかもしれませんけれども、いま私どもの手元にあります資料では、東京都あたりでは、受診率が約三倍ぐらいにふえているという実績がございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 三倍ぐらいふえたって言うんだけれども、これはだいじょうぶかね。受け入れ体制はいいんですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人医療の無料化ということは、結局受診率をふやすためにやるということで、いままでなかなかかかれなかった方にどんどんかかってもらうということで、受診率がふえるのは、これは当然でございまして、御指摘のそれに対する体制はどうかということでございますが、この場合入院と外来に分けました場合に、入院につきましては、現在東京都あたりでは、老人医療によって東京都のベッドが占められている。パーセントは約三%ぐらいである。この老人医療の無料化によって若干それが進んでおるけれども、まあ老人によってベッドが占領されてしまうという、おそれはないということでございます。そのほかの府県につきましても、いまのところはそう心配は要らない。むしろ外来が非常にふえているということで、これを全国的に実施いたしますとお医者さんのところの待合室に老人がたくさん来て、そして外来の待合室の中の老人が非常にふえるということはあろうと思います。お医者さんが相当忙しくなるという実態はあろうかと思いますけれども、一方において、そういう医療機関の整備その他をはかるという必要はもちろんでございますが、当面これによって一般の人に非常に御迷惑をかけるという事態にはならないというぐあいに考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 どうも局長考え方が甘いよ。きょうは社会局しか呼んでないけれども、これは容易でない、かなり混乱すると思うよ。だからぼくは言うのです。老人の場合はからだ全体ががたが来ているんだから、大病だとかそういった病気というよりも、何となくマッサージとかあんまとかはり、きゅうだとか、そういうもののあれに似通った病気が多くなるんだ。しかし、それによって一般の聴診器を持っての診療は狭められるわけだ、年寄りがたくさん行くんだから。そうすると一家でさえ、年寄りの寿命が延びてきたために、いろいろないざこざが起きてくる。社会にそういう現象が出るわけです。嫁にしてみれば、年寄りよりも子供のほうを先に早く見てもらいたい。具体的に言うとそうなっちゃう。だから年寄りの場合は同じ場所ではだめ、ちゃんと年寄り専門の養老病院みたいなものをつくらなきゃだめだと思うんですよ。  これは、こういうのがあるんですよ。福祉協議会でつくった「老人福祉の動向」ですか、これをちょっと見ますと、受診率、これには「受療率」と書いてありますが、受診率はこうだというんだ。十五歳から二十四歳のころは病気を持っておるのが千人のうち何と三十四人であって、そして医者にかかるのは四十七人おるというのです。というのは、病気がなくても見てもらう年齢だ、また親がいるから見る力のある年齢なんだ。ところが六十五歳から七十四歳になると、千人のう毛百七十六人が病気を持っておるんだが、医者へ行ける者は九十八人しかいない。それから七十五歳以上は千人のうち百七十一人病気を持っておるんだが、医者にかかったのは七十九人しかいない、こうなるわけです。これは国民健康調査ですから正しい数字だと思います。これが今度、いいですか、百七十一人病気を持っておって医者にかかるのは七十九人、半分以下しか医者に見てもらえない。これがだっとなだれ込みますよ。いいですか、ちょっと甘いのじゃないですか。対策を全然考えなくても、だいじょうぶだという考え方は、どうも納得できないですね。どうですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 対策を全然考えないということではございませんで、たとえば老人につきましても特別養護老人ホーム等の整備をはかっていく。しかもその特別養護老人ホームをもう少し病院的なものに改めていくというようなことも検討いたしております。そういった寝たきり老人について、ある程度看護のできる特別養護老人ホームを今後どんどんつくっていく。それから病院の整備等につきましても、そういった成人病関係の病院、そういうものをふやすという計画も医務局のほうで持っておられるようでございます。そういうことで決していまのままでいいということを申し上げているわけではなくて、ただ、いまの段階でこれを実施した場合にすぐ大混乱が起こるのではないかという、もし御心配であれば、その点はない。それから、すでに一応対象が三百八十万くらいでございますが、先生御指摘のように地方がすでに実施しておりまして、大体半分くらいの百九十万くらい、七十歳以上の老人がすでにある程度——程度の差はございますけれども、老人医療が無料化になっておるわけでございます。国が出おくれまして、あと国がやりまして残り半分の百九十万くらいが今度その中に入ってくるというわけでございますので、地方でスタートして、七十歳以上の老人の半分くらいは、程度の差はございますけれども、老人医療の無料化の恩典にある程度浴しておるわけでございます。  そういう点も勘案いたしますと、これを全面実施いたしましても、そういう面でのものすごい混乱ということは起こらないのじゃないか。ただ、何もしないでいいのではなくて、受け入れ体制の整備ということについては今後も大いに努力をする必要があろうということは、そういう気持ちでおるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私は老人問題というのは、そういうふうに総合的に考えないとだめなような気がしますよ。老人問題で老人局が一つできますよ、人口構成がこれからふえていくわけですから。  それでは労働省に伺いますけれども、こうなんですよ。いまの老人に対する制度が、ある制度は六十歳以上、ある制度は六十五歳以上、それでこの医療無料化なんというのは七十歳以上というディスカッションをやっておった。ところが、それでは定年になったあと、さらに十五年働かないと医療はただにならぬわけだ。医者がただになるのは、定年になってから十五年しないとだめなんです。  そこで観点は全然違うのだが、労働省のほうでは定年制の延長というものをどういうように考えておられるか。それから五十五歳定年というのは日本で何割くらい占めておるか。それから官庁の場合は何歳が定年になるのか。そういうところを聞かしてください。

森山眞弓労働省労政局労政課長

○森山説明員 定年制の現状につきまして詳細御説明申し上げます。  一昨年に労働省で調べました結果によりますと、五十五歳を定年といたしておりますものが、定年制を持っております事業場のうちの五七・九%でございます。その次に多いのが六十歳を定年とするもので二三・一%でございます。あと五十六歳、五十七歳、五十八歳あるいは六十歳以上というものがございますが、やはり大半は五十五歳ということになります。それで労働省といたしましては、最近の寿命が伸びましたこと、それから労働力不足あるいは人口構成の高齢化というようなことを考えまして、高齢労働者の生活安定の面はもとよりでございますが、国民経済的な視野に立ちまして考えましても、定年の延長が心要であるといふうに考えております。  それからもう一つは、公務員についての御指摘でございましたかと思いますが、国家公務員については、定年がただいまきまっておりません。地方につきましては、それぞれの事情によってきめられているところもあるようでございますが、法律的にははっきりきまっているところは、まだございません。以上です。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 よくわかりました。  それで厚生大臣、いまの労働省の考えている趨勢から見ると、これは福祉的な年齢をもっと下げるべきなんだろうか、それとも労働する期間、定年制を引き上げていくべきなんだろうか。厚生省のほうから見ると、どうですか。五十五歳で定年にするのは早いよ、こう言いたいのか。この辺どうです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 今日、たとえば五十五歳定年で、そして何にも仕事をしないでいるという人は、私はないと思うのです。それでは生活もできないし、またそんなことでは、かえってほんとうに精神的にも老い込んでしまう。したがって肉体的、精神的に働ける間は働く。また、そういうような受け入れ体制も必要だ、私はかように考えております。  それで、これは私は労働関係ではありませんから責任をもって申し上げるわけではございませんが、日本の賃金体系が能率給というのではなくて、年功序列というようなものが非常に重きをなしている。そこで大体五十五歳か六十歳を定年にして、あとは働いてもらうけれども、いまの年功序列の賃金では困りますよというようなことが非常に影響しているのではないであろうか。五十五歳定年になって、あと働いていない人があるかといったら、私はほとんど全部働いていると思いますが、それは年功序列の賃金によらないで、もうちょっと低いところで、精神的、肉体的な能率に合う程度の賃金で働いているというのが通常であろう、私はかように考えます。  したがいまして、そういう方向で、やはり働ける限りは働いてもらえる職場を与えてもらう。労働省もそういった方向で、やはり中高年者の働く場所というものを、職を与えるということについて、非常に大きな政策の一つだとしてやっておられるし、またもらいたい、こう希望しておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうなんだ。老人福祉と定年制との関係の結び付きば、やはりこの辺でぐっといろいろと考える時期だと思いますよ。大臣は働けるだけ働いてもらうような方向——まあ引退してもいいのじゃないかという人もいますよ、国会には。大臣は違いますよ。  そこで働けるだけ働いてもらいたいということ。労政課長、ここなんですよ。だから労働省は——厚生省は、ある制度は六十歳以上、ある制度は六十五歳以上、これなんか七十にならなければただにならないんだ、料金が。ところが、片一方は五十五歳でちょんですよ。そうすると、第二の職場になると条件が全然悪い、がたりでしょう。ところが、公務員でも課長のように偉くなるとどこかに行ける、定年になっても天下れるわけです。ところが、大半の人たちなどは、ちょんでしょう。第二の職場ではがたりです。それから十五年働かなければ、これはただにならないのだ。そうなんですよ。だから、五十五歳のほうも早いし、七十歳は少しおそいから——大体局長、大臣は六十五歳から六十歳前後と言われる。そして六十歳から老人福祉制度ができているのです、あらゆるいろいろなことをやると。そうすると、これは早急に検討する用意があるかという質問をしたいのだけれども、課長どうでしょうか。

森山眞弓労働省労政局労政課長

○森山説明員 労働省といたしましては、定年というものも労働条件の重要な一つでございますので、基本的には労使のお話し合いできめられるべきものというふうに考えておりますが、先ほど御説明いたしましたような趣旨で延長されることが望ましいと考えますので、その方向で皆さまの御協力、御理解を得て、それが普及いたしますように、いろいろな普及活動あるいは調査その他をしまして、そういう点を助成していきたいというふうに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 どうですか、せっかく労政課長出てこられたので、この辺で公務員からひとつやってみようというあれが起案されておるものがあったら、御披露願えませんか。

森山眞弓労働省労政局労政課長

○森山説明員 たいへん申しわけございませんが、私はそういうものを持ち合わせておりませんので、ただいまここでお見せすることはできません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは、あるいはあとで同僚議員から関連質問があると思いますから……。  それから、寝たきり老人というのは、一体何人ぐらい……。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 大体三十四万人というぐあいに推定いたしております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 三十四万人に対する老人福祉制度はどういうことになっていますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 寝たきり老人につきましては、やはりその家にいろいろな関係の者が行って、めんどうを見るという必要があるわけでございますので、一つには、老人家庭奉仕員の方々に寝たきり老人のところを訪問してもらいまして、そしていろいろなめんどうを見るという対策を講じております。これは現在約六千五百名ばかりでございますが、今後も老人家庭奉仕員の質、量の拡充、拡大につとめてまいりたいと思います。  それから、そのほかに訪問健康診査の実施というのをやっております。これはお医者さんと看護婦さんを一つのグループにいたしまして、寝たきり老人の中で、なかなかお医者さんにかかれない、しかも非常に低所得である、そういった老人を選びまして、そしてお医者さんと看護婦さんが行って必要な診査なりをやり、治療をやる、そういう制度をやっております。  それからもう一つは、脳卒中その他で倒れられました場合に、最初に適切なるリハビリテーションをやりますと、寝たきりにならないで済む。少なくともずっと寝たきりにならないで、また機能が回復する。この機能回復訓練というものの重要性が非常にあるということが認識されておりますので、そういった機能回復訓練の実施ということを全国九十六カ所で実施して、なるべく寝たきり老人をつくらない、初期のうちに機能回復訓練をやる、そういうことをやっております。  その他特殊寝台の貸与とか、あるいは浴槽の給付というようなものを予算上実施しております。そのほか寝たきり老人を特別養護老人ホーム等に収容する必要がありますので、特別養護老人ホームの整備を今後重点的にはかってまいりたいというふうに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 三十四万人に対して六千五百人の奉仕員というのは、少な過ぎるのじゃないですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かに老人家庭奉仕員の数が少ないということは御指摘のとおりでございますが、ただ、私どもといたしましては、一応数字的にも計画は持っているわけでありまして、私どもが老人家庭奉仕員を派遣するのに必要な世帯というものは、一応六万二千五百六十一世帯というぐあいに考えておるわけでございます。これは三十四万人の寝たきり老人のうち介護者のある方、家族が介護しているという人たちのところには、必ずしもホームヘルパーを派遣する必要はないわけでございます。それから、ある程度所得があるというような方についてもこれを除くというようなことで、一応要派遣世帯は六万二千五百六十一世帯というぐあいに私どもは考えております。それに必要な家庭奉仕員の数が八千三百四十一人、現在六千四百六十人でございますので、あと二千人ばかりとりあえず充足する……。(「いつの調査か」と呼ぶ者あり)これは一応今度予算要求いたしますときに、そういう調査をいたしまして、そして大体昭和五十年までに少なくとも八千三百人のホームヘルパーを一応養成する、そういう計画を持っております。それで必ずしも十分ではございませんけれども、とりあえず急いでそれだけのホームヘルパーを充足するということを考えておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 やはりどう考えても少ないな、一貫してない。やはり老人問題というのはずっと一貫した、たとえば年金なんか——時間がないので年金だけ一つお伺いしますと、年取ると年金がもらえるというので、非常にそれにたよろうとする年齢層がずっとふえてきたわけです。ところが、ずっと回ってみると、もらってみたら何と年金の額が少なくてと——年金の額が少ないのではなくて、インフレと物価高から価値がなくなってしまっている。年金で暮らせないということで、いまごうごうとした声になっている。  それで、私らはどのくらい価値がないものだろうかと思って——「暮しのなかの社会保障」これは毎月出ている。この「暮しのなかの社会保障」を見ますと、こういうことになっている。四十歳からずっと六十歳まで二十年掛け金を納めて、三万円もらえるものと思って計算したら、価値が八千七百四円だ、だから二八%になってしまう。これだったら年金じゃなくて保険か何かかけておいたほうがいいのではないかという声が出てきた。そこで、年金に対する局長の考え方を出してみてくれませんか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 年金につきましては、私、所管外でございますので、責任あるお答えはいたしかねますけれども、確かに御指摘のように、老人対策といたしましては、今後一番重要なのは所得保障であろうと思います。それは言いかえれば年金である。いま先生御指摘のように、厚生年金につきましては、これはずっと二十年間なら二十年間かけた保険料、これを基準にいたしまして年金額を算定する、そういう関係になっておりますので、必ずしも公務員等に比べますと、——公務員はやめる当時の所得を基準にして年金を計算するということでございますが、厚生年金はずっと初めから非常に月給の安かったときからの保険料、給料を基礎にいたしまして年金額をきめるというようなことでございますので、相対的に年金額が非常に低いということでございますが、今後そういう厚生年金の引き上げ、それから前から話が出ました福祉年金の大幅引き上げというようなことによりまして、やはり所得保障を充足していく、できるだけ拡充していく。それによって老人ホーム等についても年金で入れるという形になるのが一番理想であろうというぐあいに考えておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうなんですよ。やはり所得保障だと思いますよね。所得保障それからさっきからの健康の保障、医療保障でしょう。それから大臣の言う就労保障です。就労保障ということは定年制を延ばすということが唯一の早道ですから、何といったって、これは労政課長考えてもらいたいですよ。そういうように所得保障、医療保障、就労保障、そして大臣がさっき言った住宅、こういうような保障全体を包んだ老人福祉でなければだめだと思うのです。大臣どうです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 川俣委員の御意見には私も同感でございます。そのとおりに思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それでは時間がありませんから、大蔵省にこれはお願いをしておきますけれども、資料でけっこうです。  それでは一体いまの年金は種類別で、しかもきのう六兆五千億という本会議でやりとりがありましたが、それの二五%を大臣は厚生関係に使っております、こう言いましたが、それではその内訳をなるべく詳しく資料であとで出していただきたいと思います。

福島量一大蔵省理財局資金課長

○福島説明員 後刻調製してお届けいたします。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大臣、この法案を逐条的にやると、まだ六十五質問項目があるのですけれども、やはり考えてみますと、年齢的に七十では何といったって全然現実にマッチしてないです。それから所得保障、こういうことはどうしてもやはり年金の問題、それから例の医療費をただにする所得制限、   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 これはどう考えたって、この法案はなじまないと思います。大臣どうですか、これは。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 年齢の点は、先ほど私が申し上げましたから繰り返しません。  そこで所得制限の問題であります。これはやはり一番当面の問題だと私は考えております。  所得制限をなくしたらという声も相当あるのでありますが、極端な例——それでは松下幸之助さんも無料にするのかという議論が出てくるのですね、一番極端な例をあげると。それはまあやる必要はないんじゃないか。そこでこれは程度の問題なんです。これは本人所得にいたしましても、あるいは扶養家族の所得にしても、まあ高額所得というところあたりで、きめたらどうだろうという議論が出てくるわけであります。高額とは幾らだということになるわけです。結局落ちついたところは、本人所得は所得税を納めているかいないかで制限を設けよう。扶養家族の点は他の福祉年金その他にもありますが、所得二百五十万というところで押えようという結論になったわけでございますが、これはやはりもう少し引き上げていくことが必要ではないだろうか。これは福祉年金その他のものにも影響があると思います。また児童手当の所得制限にも関係すると思いますが、これらの点は、私は今後さらに前向きに考えていく必要がある、かように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃ私は立ち直ってもう一ぺん質問するけれども、松下幸之助なんという名前が出ることがおかしいのですよ。松下幸之助であろうが、佐藤榮作であろうが、斎藤大臣であろうが、いいんですよ、そんなことは。税金で取ればいいじゃないですか。そういう考え方。一億のうち何人かの人を名前を出してみたって、たいしたことはないですよ。私はそうじゃないですよ。長年ずっと働いてきた——松下幸之助だって社会に貢献したわけだから、働いてきたわけだから、がたは来ているわけだ。だからそういう人方は、そんなに個別につままないで全部ただでいいのですよ。税金を取ればいいじゃないですか。そういうことですよ。佐藤榮作からうんと取ればいいじゃないですか。私はそういう考え方ですが、大臣どうですか。ちょっととらわれ過ぎると思うのですよ、観念的に。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 その考え方とは、われわれちょっと違っておりまして、これは考え方の相違かもわかりません。いま川俣委員のおっしゃるのも一つの行き方でございましょう。やるものはすべてにやる。そして税金で取れるものは取ってしまう。これはまあ一つの考え方でございましょうが、いままで社会福祉という考え方からやっております国の給付、援助というものは一定の所得のある者には遠慮してもらおう、こういう観念でずっと貫いてきているものですから、そこでこの老人医療だけはそういう観念でというわけにはまいらないということで、そこで所得制限はどこら辺が適当かという適当問題になっているというのが今日の状況でございます。  まあそのほかの、すべての者についてもというのは、いま川俣委員のおっしゃるのも私は一つの考え方であろうと思いますが、大体いままで定着している考え方は、ある程度以上の人は社会福祉というものからの国の施策からは遠慮してもらおう。大体社会福祉は健康にして文化的な最低生活を保障するというところからできているのだから、したがってその限度以上の人は遠慮してもらおう、こういう考え方でずっときておる、その考え方に立って考えると、程度問題ということになってくるわけであります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大臣、それは恵みという思想から出ているんだよ。恵みじゃないのだと言うんだ。児童手当だって、老人福祉だって、社会保障は恵みじゃないですよ。そうでしょう。世の中の制度として確立すればいいんだというのですよ。あそこはあんないい暮らしをしているから、医者代くらい出してもらったっていいじゃないか。あそこの子供は児童手当なんか要らないだろう、こういう考え方は間違いだと私は思いますよ。恵みじゃないですよ、社会保障は。保護とか恵みとかそういうものだったら、大臣のような考え方があると思います。この答申にしたってそうですよ。「この方式をとる限り、保険制度の中でなら解決できる部分が残されてしまった。たとえば、所得による適用除外の人がでること、事務手続が煩雑になることなどの点であり、そこに批判が生じている。また、適用年齢を七〇歳以上とし、引き下げに対する将来の展望を欠くことに疑問をもつ向きが多い。」私はいま偶然にこの答申を見たんだけれども、三者構成の審議会の答申がこうなっていますよ。どうですか、局長。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほど申しますように、それも川俣委員の一つのお考えであろう、かように考えますが、とにかくいままでこの委員会でもそうでございましたが、大体、社会福祉の根本は何かといえば、憲法二十五条の規定を忠実に実行するということである。憲法二十五条の規定は何かといえば、すべて国民は健康にして文化的な最低の生活を保障される権利があるということでございます。これをもとにしてずっと社会福祉というものをやってきたわけでございますから、そうしますると、そこにやはり限度を設けるというのが至当ではなかろうかという考え方で、ずっとほかの制度もできているということを申し上げております。それを全部変えてしまうということも、一つの御識見であろう、かように考えます。しかし、いままでの考え方はそういう考え方で参ったということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大臣は、それだったら一時間半近くいろいろ質問して、一切これはもう絶対のものだ、君のあれなんか全然考え方が違うのだという考え方なのか、やはり少しはそういう考え方も取り入れる必要があるという考え方なのか、その辺はどうなんですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私自身もよく考えまして、これからの日本の社会福祉のあり方というものについて、川俣委員のおっしゃる御意見もあるということを十分に踏まえて、さらに検討を続けたいと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 どうもありがとうございました。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、竹内黎一君。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 ただいま議題になっております老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑を行ないたいと思います。  まず、私は最初に最近の新聞に報道されましたことを話題に取り上げたいと思うわけでございます。大臣もおそらくお読みになったかと思いますが、警察庁が去る二十一日に家出白書なるものを発表しております。その白書によりますと、六十歳以上の老人の家出が、昨年一年で三千百八十四人、四年前に比べて三割もふえた、あらためて孤独な老人の姿が浮き彫りにされた、このように報道され、われわれもショックを受けたわけでございますが、この現象について、まず大臣、所見を聞かせてください。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 やはり最近の日本の経済社会の変化でございましょうが、核家族化が進んでまいって、そして孤独な老人が多くなってまいった。それに対して、生きていく上のめど、あるいは生きがいというような点についても十分でないというようなことが多いのではないであろうか。この家出人の数字と、それから自殺をする人たちの数というものは大体一致しているわけであります。幾らか最近は多くなってきておるというわけでございまして、昭和二十二年は自殺の数が非常に多い。四千名前後である。それから一度減ってきて、またふえてきておる。これはどういう現象であるかというふうに考えますけれども、総括的にいって、私はただいま申し上げたように把握をいたしておるわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 私も大臣の見解と別段意見を異にするわけではありませんが、こういう報道を読みまして、あらためて、いま老人の座というものが、いかに切実な問題かということを痛感するわけでございます。そういう意味で、健康で生きがいのある老後を老齢の方にいかにして保障するかというのは、もちろん政治の重要な課題であるわけでございますが、そういった観点につきまして、若干法案の中身に触れたいと思います。  実はただいま川俣委員から数多くの点で有益な指摘がありまして、私のお尋ねしたい点もだいぶそれと共通しております。重複はなるべくするつもりはございませんが、やはり今回の老人医療の無料化の対象の範囲、年齢引き下げについて伺っておきたいと思うのでございます。  先ほどの大臣の御答弁を伺っておりますと、六十五歳以上と対象を扱うのが適当であろうがとりあえずは財政の都合もあるから、七十歳で今回は出発をする。このように私は受けとめたわけでございますが、それならば一体大臣のお心づもりとしては、あと何年ぐらいでそういう六十五歳のところまで対象の拡大を持っていきたいか、その辺の御計画がありましたら、ひとつ示していただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私は、川俣委員にお答えをいたしましたのは、七十歳が適当でないだろうか、適当だ、こう思って七十歳ということにいたしました。財政の都合で六十五歳にしたいのを七十歳にしたというのではございません。そう申し上げておったわけでございます。もちろん七十歳以下は、その必要はないという意味ではございませんが、現在都道府県あるいは市町村でやっておられるのも七十歳がほとんど大部分であることも踏まえてやったわけであります。これを六十六歳にしたほうがいいじゃないかという御意見もあるようでございますが、まず七十歳で出発をいたしてみまして、その状況に応じまして、これは六十五歳でなければならぬというような社会的ニードがあれば、さような方向に進んでまいりたい、かように思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 この点につきましては、また他の委員の方からも質問があろうと思います。時間の関係がありまして次へ進みたいと思いますが、いまお話がありましたように、住民のニードにこたえる先見性がある地方の公共団体におきましては、すでに老人の医療無料化対策を進めていることは御案内のとおりでございます。そのやり方は確かにばらばらでございます。しかしながら、その現にやっておるところを見ますと、今回国が考えておる基準を上回って、すでに無料化の対象にしている事例もあるわけでございます。  たとえば六十五歳以上の寝たきり老人を扱うとか、国民年金の一級、二級の障害者は含めるとか、こういうような措置をとっておるところがあるわけでありますが、そうしますと、これから四十八年一月に施行しようとする国の制度の関係と、それを上回っている地方の現にやっておる本のとの関係、これはいわば既得権というものを剥奪する結果になりはしないかという点を憂慮するわけでございますが、その点はいかがでございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 御指摘のとおり、確かに現在地方でやっております老人医療の無料化の対策の中には、いまおはかりいただいております、この老人医療の無料化法案よりも、そのほかの、いま御指摘のような六十五歳以上の寝たきり老人についてもやっておるというようなところがあるわけでございますが、そういう点につきましては、国の制度ができました場合におきましても、地方公共団体がさらにその上に、いままでやっていたものを地方公共団体の負担においてやるということであれば、それはまたけっこうなことでございますので、国の制度ができました場合に既存のものをどうするかというのは、地方公共団体がおきめになるということだと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 地方団体が国の基準を上回ってやるのはけっこうだという御返事ですが、いささか私には冷たい返事のように聞こえるわけであります。私も、さっきの年齢の問題にも関連いたしますけれども、一体こういう老人医療の無料の対象の範囲をどうすべきか、いろいろ論議があると思いますが、先ほどから議論がありましたように、寝たきり老人というのは、お年寄りの中でも特に悲惨な状態にある、こういう点に着目をいたしますと、やはり寝たきり老人については年齢引き下げを考える余地はあるんじゃないか、このような気がいたしますが、もう一ぺん所見を聞かせていただきたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かに寝たきり老人については、都道府県においても約十県ばかり、六十五歳からの寝たきり老人について医療の無料化というものをやっておるところがあるわけでございますけれども、私どもは、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、一応七十歳ということで線を引いたわけでございます。で、六十五歳以上の寝たきり老人という方々がおられることは確かであり、非常に苦労されていることも事実だと思いますが、そういう方々については、先ほども申し上げましたように、できるだけホームヘルパーの制度であるとか、あるいは介護員の派遣とか、場合によっては特別養護老人ホームのほうに収容する。その他のいろいろな寝たきり老人に対する対策というものを、六十五歳から七十歳までの寝たきり老人の方々に集中的に向けるということによって、ある程度こういう方々の要望は満たせるんじゃないかということで、とりあえずは七十歳でスタートいたしまして、その後の段階でまたそういった問題をあらためて考えてみたい、こういうぐあいに存じておるところでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 対象者の範囲、いまあげた一般的な年齢の引き下げであるとかあるいは寝たきりの老人を特別に考慮するとか、この点につきましては、厚生省においても今後十分に御検討をいただくことを要望して、次の質問に移ります。  次にお尋ねしたいことは、やはり先ほども論議がされておりました所得制限でございます。  わが自由民主党におきましても、老人問題につきましてはいろいろ研究をいたしまして、「老人対策要綱」というものを制定、発表したわけでございますが、その中で私どもが示している考えは、本人に医療費負担が可能な程度の所得がある場合を除いては、すべて対象にすべきものである。われわれもこのように考えたわけでございます。  今回の政府案は、本人の所得のほかに、いわゆる扶養義務者の所得制限を設けておられるわけでございますが、なぜにこういう扶養義務者の所得制限を設けてあるのか、その辺の必要性について、さらに御説明いただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは先ほどの川俣先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、確かに扶養義務者の所得制限については、先生御指摘のとおりいろいろな方面から御批判もあったわけでございますけれども、まあ六人の世帯で二百五十万ということであれば、これはわが国の現状からいえば相当の収入の家庭だろうと思います。そういうところでは、老人の医療につきまして扶養義務者がある程度自己負担をされても可能なのではないか。しかもそれがまた、非常にかさむということになりますれば、いま保険局のほうで高額医療の無料化の問題を検討されておるようでございますし、それから家族の給付率についても、五割から七割に引き上げるというようなことを抜本改正で検討されておるようでございますので、そういう制度ともにらみ合わせて、一応この程度の所得のある方については、必ずしも無料化をしなくてもいいのではないかということで、こういう仕組みにしたわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 時間の関係がありますので、この点はまた他の方の論議に譲りまして、次の問題に進みたいと思いますが、この老人医療の無料化を議論した際に、一つ出ました議論は病院占拠論。無料化を行なった場合にお年寄りにベッドが占領されてしまう、したがって一般患者の入院が制約をされるおそれがある。まあこういうような議論があったわけでございます。  私たちはそういう立場もとれないし、現に、先ほど局長の説明でも、東京都の例を見れば入院した中で老人がベッドを占める。パーセンテージは三%である。この実情を見ましても、老人が病院のベッドを全部占領してしまうという論は根拠がないと私は思いますが、ただしかし、老人の病気というものは一般に言って長期加療を必要とするものであります。そういう意味で私は、老人病棟というもの、あるいは老人病院というものがむしろ積極的に構想されるべきじゃないか、こう考えるわけでございますが、この点につきまして、厚生省のほうに何か用意なり研究があったら、ひとつお示しをいただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この老人医療の受け入れ体制につきましては、先ほども申し上げましたようにベッドの占有については、私ども現在のところ、実施している県からそういう点で非常に困っているというような情報はございません。東京都におきましても、四十五年の四月一日と四十六年三月を比較してみますと、四十五年四月には老人によるベッドの占有率は二・四%でございましたが、四十六年三月には三・一%、まあわずかずつふえてはおりますけれども、全体に占める比率は、東京都においてはたいしたことはない。ただ東京都はベッドも非常に多いというようなことで、これをもって全国を推計するわけにはまいりませんけれども、いまのところは直ちに困るということではないと思いますが、しかし、先ほども申し上げましたように、受け入れ体制の整備ということについては、さらに努力をする必要があろうと思います。  それで老人病院の建設という問題については、これは医務局のほうの所管でございますけれども、老人病院ということになりますと、相当総合的な病院ということになるわけでございまして、いろいろ問題がある。先生御指摘のように老人病棟につきましては、確かに今後、そういった面に重点を置いて整備をはかっていくということが必要になるんじゃないかということを私ども社会局としては考えるわけでございます。  それで、そういった医療機関の整備につきましては、公的ないろんな資金もございますので、それから特別地方債という問題もございますし、あるいは医療金融公庫等の融資の問題、年金福祉事業団の融資の問題等もございますので、そういうことでまあ成人病——今後のわが国の疾病対策としては、特殊疾病と同時に成人病対策というものが非常に大事であろうと思いますので、老人医療の無料化と並行いたしまして、そういった成人病のための医療施設の整備ということを、公的融資の金等をフルに使いまして、はかってもらう必要があろうと思うわけでございます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医務局長がおりませんので、さらに私からつけ加えて申しておきますが、国立の療養所にいたしましても、また公立の病院にいたしましても、いままでは小児の病棟をふやすということに相当力を注いでまいりましたが、今後はそれとともに、まあ老人病院というより成人病の専門病院あるいは療養所というようなものに指向していく必要がある。かように考えまして、その方向で進んでいるわけでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 厚生省におきましては、いわゆる社会福祉施設整備五カ年計画をもちまして各種施設の整備を急いでおるその中に、老人施設を含めてやっていることは私ども承知しております。しかしながら、特に養護老人ホームあるいは特別養護老人ホーム、こういうものの建設は、私は非常に急を要する問題だと思います。そういう意味におきまして、現在における計画についてさらにこれを再検討し、いわばこれを急傾斜させて、年次を相当繰り上げて完成させる必要があろうかと思いますが、その辺について何か御準備がございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 社会福祉施設の整備五カ年計画を厚生省としては四十六年度から発足をさせておるわけでございますが、その計画の中で、特に私どもといたしましては、老人ホームの整備ということに一つの重点を置いておるわけでございます。  それで現在、四十六年度末で老人ホームの収容定員が約九万人でございます。施設といたしまして千二百五十カ所、それを昭和五十年までに約倍の十八万三千人という収容能力に持っていきたい。個所数といたしましては、約倍の二千五百四十カ所ということで、今後、四十七年から五十年までの間に、現在の収容定員の約倍の九万二千人だけの収容をできるように整備をはかりたいというのが一応の五カ年計画の案でございます。先生御指摘のように、これをできるだけ早く整備をはかるように、そういう計画変更の考えがないかという御質問でございます。  私どももこの計画につきましては、一応の五カ年計画でございますが、四十七年度の実施状況を見まして、あと四十八、四十九、五十、こういう三年間にどういうぐあいに持っていくかということは、もう一度私どもといたしましても検討してみたいと思います。その計画自体につきましても、経済企画庁のほうでも、新経済社会発展計画を練り直すということをやっておるようでございますが、それとの関連もございますので、そういった問題ともにらみ合わせて、これはさらに今後このままの形で動かさないということではなくて、よりよい方向に持っていきたいということで、また検討してみたいと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 仄聞するところによりますと、厚生省は去る四月四日に開かれた中央社会福祉審議会の老人福祉専門分科会に、老人ホームのあり方ということについて諮問をしたようでございます。実は私も、いまの老人ホームのあり方が決して悪いという意味ではございませんが、何かまだくふうがあるのじゃないか。端的に申しまして老人ホームというのを単に収容中心に考えるより、むしろ一種の地域センターになるような、そういう役割りを果たしてもしかるべきではないか、このような考えを持っておりますので、厚生省が老人ホームのあり方につきまして専門分科会に諮問をするということは、私はまさに時宜を得たと思うのですが、どういった問題意識を持って一体諮問されておるのか、その辺御説明いただければ幸いです。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 中央社会福祉審議会の老人福祉専門分科会というのがございまして、そこにいま先生御指摘のような老人ホームについての諮問をしたわけでございます。  一つは老人ホームというものが特別養護老人ホームと、養護老人ホームと経費の老人ホーム、そういう形でございますが、老人ホームの形というのが、そういう形のままでいいかどうかという点をもう一回洗い直してもらうということが第一点でございます。  それから第二点は、設備の基準、これについてさらに意見を聞きたい。それで現在のわが国の老人ホームでは、まだ大部屋制といいますか、四人ぐらいが一部屋に住んでおる。これは先進諸国の老人ホームと比べて一番劣っている点が、その点だということでございます。特別養護老人ホームは、これは病院みたいなものでございますから、ベッドで一部屋に二人とか三人とか、あるいは多いときは六人とか、これは病院と同じ形でございますから、やむを得ないと思いますが、健康な人を入れる老人ホームで相部屋であるところは、いまのところは四人くらい入っておるという老人ホームがたくさんあるわけであります。これは諸外国、先進諸国と比べて非常に劣っている点であろうと思います。そういう点もひっくるめまして、今後の老人ホームの理想的な構造、設備というものについて専門家の意見を聞きたいということでございます。  それから最後には、運営の問題にからんで、いま先生御指摘のように生きがいという問題。いまの老人ホームというのはとかく閉鎖性が強く、老人ホームの中に閉じこもってしまうので、地域との交流の問題をもう一回考えなければいかぬ。それによって老人ホームも明るくなるということでございますので、そういった老人ホームの運営のあり方を検討していただく。以上のような三つの点について御意見を伺うことにしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 老人ホームのあり方について、そういう問題意識を持って諮問したということは、私はけっこうだと思うのでございますが、それに関連いたしますけれども、今後私どもが老人福祉というものを考えるときに、老人ホームに入れて世話をするということが、ほんとうに老人のしあわせになることだろうかどうか、これをもう一ぺん考えてみなければいかぬと思うのです。さっき川保委員と厚生大臣とのやりとりの間に恩恵とか恵みとかいうことばが出ておりましたが、単に困っている老人の人たちを施設に収容してめんどうを見ればいいということでは、それは場合によっては冷たい慈悲になるかもしれない。老人を社会から隔離するという冷たい慈悲になりかねないと私も心配をするものでございます。そういう意味で老人福祉のこれからの方向というものは、収容してケアする方向から、むしろ居宅福祉と申しますか、在宅の上での援護ということを一そう充実しなければならぬ、私はこのように考えるわけでございます。  そこで、まず第一に考えられるのは、老人の今日の住宅の問題でございます。私も何べんか外国を旅行しまして、こういった先進国の例を見まして、ほんとうに感じさせられますことは、たとえば一つの団地をつくります際には、そこに必ず老人用のスペースあるいは建物をとっておく。しかも身体的条件を考慮して一階のフラットに近いところに設ける等々の至れり尽くせりの配慮をしているというところに感銘を受けるわけですが、これはわが日本でやってできないわけはないと思います。そういう意味におきまして、私実は日本住宅公団法というものを若干読んでみましたら、目的にもっぱら「勤労者のために」云々ということを書いてございます。今日日本の住宅の問題というものは、老人のみならず一がいに逼迫しておりますから、そういう意味で「勤労者のために」ということは当然のことであろうと思いますが、できれば私どもは、そういった住宅計画を立てる場合には、老人のための居宅を確保するという発想もぜひ入れてもらいたいものだ、このように思うわけでございまして、今後閣議でまた機会がございましたら、厚生大臣からそういった老人用の住宅を確保するということも十分念頭に置いてぜひ御発言をいただきたいわけであります。この点については別に答弁を求めません。  続いて先ほど話が出ましたホームヘルパーの問題、将来は昭和五十年までには八千三百四十一人にする、こういう計画を持って、ことしは六千五百人だ、こういう説明を伺いましたが、これはケアを要する人とホームヘルパーの関係は何対何の関係になるわけでありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 七・五人に一人ということでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 七・五人対一人というと、一人のヘルパーが一週間に一ぺん訪問するという勘定になりますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 大体週に二回訪問するということになります。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 ところが、このホームヘルパーの守備範囲は、実は老人だけじゃないのでしょう。他の訪問の守備範囲もあるはずでございますね。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 先ほど私が申し上げました六千四百六十人、それから八千三百四十一人というのは、一応老人を対象としたホームヘルパーということでございまして、ほかに身障と児童というものがございますが、それは別ワクといいますか、今後それを一緒にするということでございます。そうなりますと、この数はふえますけれども、一応ひとり暮らしの老人対策として必要なホームヘルパーの数ということで申し上げたわけでございます。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 したがって、身障と児童の関係を入れますと、さらに数はふえるということでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 私がお尋ねしようと思ったのは、七・五対一というのは、要するに老人専門のヘルパーである、こういうぐあいに理解していいかどうかということなんです。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは一応老人だけを回るといたしました場合に、七・五世帯を受け持ってもらうということでございます。ですから、たとえばそのうちの半分ぐらい児童のほうを回るということになりますと、もう一人のホームヘルパーが半分老人を回るということで組み合わせになると思いますが、それを一人の人が老人だけを回るとすれば、このくらいの割合になる、こういうことでございます。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 イギリスの例を見ますと、イギリスのホームヘルパーと、ケアを要する人たちとの関係は実に二対一というようなすばらしい関係になっておるわけです。一挙に二対一、これもなかなかむずかしいところもあろうかと思いますが、私はやはり七・五対一という、こういう関係はもっともっと縮めて、できるだけケアが手厚くなるように、ひとつこの計画についても、さらに五十年以後のその次の計画は、すみやかにやっていただきたい。しかもできるだけスピードをもってそれをやっていただきたい。これを要望しておきます。  それから諸外国の例にありますことは、ホームナースというのがあるのですね。日本の場合は保健婦さんというものもそれに似たような立場であるわけでございますが、現在日本の保健所あるいは保健婦さんは事実こういう老人家庭のこういうケアをやっておりますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 一部に、たとえば国保の保健婦なんかには若干やっておられるところがあるかもしれません。私ども実態の数字はただいま持っておりませんけれども、必ずしも多くない。大体いま申し上げたように老人家庭奉仕員とか、それからさっき申し上げましたように、お医者さんと一体になって健診に回るという場合には、そういった看護婦さんと保健婦さんが行く場合があるかもしれませんけれども、保健婦さんが専門に回るというような例は比較的少ないだろうと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 居宅福祉で、私どもはさらに今後真剣に考えていかなければならぬ問題に、私はお年寄りに対する給食のサービス問題があろうと思うのであります。現に諸外国はやっておる例も私も承知しておりますが、少なくとも私が承知しておる限りでは、厚生省はまだそこまで計画をしていないように聞いておりますが、もし事実と違ったら御訂正をいただきたいし、また計画がありましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは私どもは実は四十七年度予算でそういう計画を持ちまして予算要求をしたわけでございます。これは私どもその給食を、しかも老人ホームでつくってもらって、そしてひとり暮らしの老人等のところに配って歩くということで、それは先生御指摘のとおり諸外国でもやっておりますし、非常にこれが喜ばれるという話もございますので、一応四十七年度は予算化されませんでしたけれども、この問題についてはさらに推し進めてまいりたいと思いますし、またスタック等でモデル的に実施するというようなことも検討いたしております。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 まだまだ伺いたいこともありますけれども、割り当てをいただいた時間が参ったようですから、最後に一つ伺っておきたいことは、老人医療の無料化に伴いまして、当然老人の受診率は向上する。さっき東京都の例でいくと三〇〇%ぐらいになった、こういうことですが、これは当然保険の財政に影響があると考えざるを得ない。特に財政的に弱い国民健康保険にとっては相当シリアスな問題になるという気がいたします。その辺の見通しについてひとつ保険局長からでも…。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 確かに国保につきましては高齢者が多いというようなことでもって、波及効果というものが見込まれるわけでございます。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 四十七年度は波及効果が実施期間の関係で一三%程度ですが、平年度にしますと五三%ぐらいの波及効果が見込まれると思います。  それで、これに対する対策としましては、これを医療費の算定基礎の中に織り込みまして、これに対する国庫補助並びに財政調整交付金、そういったもので措置いたしておるわけでございますが、こういう波及効果は一挙にもろにかぶってくることはないと思いますけれども、漸進的に進んでくると思われますので、その実施の状況を見て、また必要だとすれば措置をいたしてまいりたいと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 波及効果五三%、これは実に容易ならぬ数字だと思います。ところで私が一番懸念いたしますことは、これがまた一つの例になって保険費アップの口実になるということ、これは極力避けるべきである。極力というよりも絶対にそういうことをしてはいけない、私はそう思います。この点について、ひとつ大臣からお約束をいただけましたら……。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 国保にどの程度影響してくるか、確かに影響があるだろうと考えております。先ほどからも、すでに竹内委員もおっしゃっていたように、半分以上はもうすでにやっている。その波及効果はもうすでに出ているというわけでございます。国保は健保と違って家族も七割給付をやっておって、三割ですから、国保の影響は健保の家族よりも影響が少ないのじゃないだろうかという感じもいたします。これによって生じてきます保険財政の圧迫につきましては、必要に応じて善処しなければならない、かように考えております。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 これで終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 この際、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時四十一分開議

森山欽司自由民主党

○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  老人福祉法の一部を改正する法律案について質疑を続けます。大原享君。

大原亨日本社会党

○大原委員 いままでの二人の質問に引き続いて質問をいたします。質問の内容については重複をできるだけ避けて、繰り返し蒸し返し同じことをやるというようなことはいたしませんが、しかし、けさからの質問を聞いておりまして、質問に答えていない、そういう答弁がたくさんあります。何というか賢問愚答と申しますか、そういうものがかなりあるわけでありますから、そういう点は重複するかもしれない、そういうことをあらかじめ通告をしておきます。審議は時間をかければいいというものではないわけでありますから、討論を通じて中身が前進をしていかなければ大臣がここへ出ておる意味もないし、その受け答えができないような大臣であれば資格がないわけでありますから、そういう議論を通じて前進ができないような大臣であるならば、一日も早く——処理すべきである。  そこで第一は、医療の抜本改正の問題が昭和四十二年以来議論になっておるわけでありますが、抜本改正においては、医療の需要面で保険制度の面からも議論があるし、また供給の面からも議論があるのですが、この老人医療というのはその両面に、全体にまたがる非常に重要な問題です。政府が出しておる赤字対策の上からも、いままでの議論ではなお、私どもの議論といたしましては十分尽きていない点がたくさんあるわけであります。老人医療の問題を今回政府は自治体や国民の強い要望によって取り上げたわけでありますが、老人福祉法で老人医療の問題を取り上げてきたわけですけれども、医療の抜本改正の構想の中における老人医療のあり方、こういうものについて考え方をまとめてこの問題を取り上げているのかどうか、そういう点をまず質問いたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医療の問題は、医療の供給の問題と、それからこれを経済的にどう処理するかといういわば保険の問題、それからまた福祉の面からどう把握していくか、いわゆる公費負担の医療の問題というように三つぐらいに考えられるかと思います。これらはお互いに無関係ではございません。お互いに関連はいたしておるわけでございますが、しかし、それはそれとしてやはり別の角度からも考えなければならないという、こういう問題で、これまた愚答になるかもしれませんが、申し上げるまでもなく、今日の中高年齢者のいわゆる健康の問題、また疾病の問題というものはいままでとは変わったような状況を見ているわけです。高血圧、循環器系統、脳卒中といったような疾病、ことにまたリューマチとか、老人に多いわけでありますが、そういう老人側から見た医療のニードというものが非常に高まってきております。これにこたえるように医療の供給体制もやっていかなければ相なりません。また、それに要する費用をどう負担していくかという問題、これは公費負担とそれから保険の問題というものにからんでくるわけであります。これら関連しながら考えているわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 医療の抜本改革の中における老人医療の位置づけ、こういう問題について政府は構想を持っておるのかどうか。観点を変えて質問いたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医療の抜本改正とおっしゃいますが、医療自身の抜本的な、発想を変えた供給体制の確立というものと、それから保険の制度の抜本的な改正というもの、これはよく車の両輪といわれますが、両輪であって一つのものではないということで、両方ともやっていかなければならない、かように考えておるわけであります。したがって、老人の医療の供給体制というものは供給面で考えて、そして経済的に処理する問題は保険と公費負担というもので考えていく、こういう考え方であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたのいままでの私の二問に対する答弁は、言うならばみな落第であります。全部落第です。  そこで観点を変えて質問いたしますが、老人問題がこんなに重要な問題に急速度になったのはどこに原因があるか。老人問題がこんなに大きな問題になったのは、どこに原因があるか。こういう問題に対する認識の問題についてお答えいただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 大きな傾向といたしましては、とにかく日本の経済の非常な成長のもとに老人が取り残されているということであろうと思います。取り残されているのはどういう面から取り残されているか。まず、いままでの家族の中から取り残されている。いわゆる核家族化ということばで代表されておりますが、そういうことが一つ。  それからまた、やはり高度経済成長によって個人の消費水準が非常に高まってまいった。このことはさらにマイホーム主義といいますか、自分たちの生活を豊かにしよう。その中から老人が取り残されるということが一つ。それに加えて、日本のいわゆる人口の老齢化が急速に進んでまいる。この三つが大きな原因ではないだろうかと私は考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 ただいまの答弁はまあ四十点ぐらい。これはいままでの答弁より少しよかったわけです。ただしこれは、私は想定問答集でやっておるわけじゃないが、あなたはマスコミが悪いとか教育が悪いとか、こういうふうに答弁するかと思っておりましたけれども、そういう答弁ではなかった。それでは政治家として落第ですけれども、いまの点はやや認識が前向きである。つまり高度成長政策の中で過密と過疎が急速度に進んできたということ、人口の流動に伴うて核家族化が進んできたということ、こういうことが一番大きな原因だと思います。それに伴うて福祉の問題、これが低福祉の政策であったということ、あるいは社会保障その他に対する賃金の分配という問題がやはり解決されていないということ、あるいは疾病の構造がだんだんと多面的かつ深刻になっておるということ、そういうことの社会的な問題であると私どもは思うわけです。ですから、たとえば環境破壊と健康破壊がどんどん進んで、一億の国民すべてが潜在患者であるというふうな現象、あるいは人口の老齢化が進む中においてそういう社会問題が起きているという、そういう高度成長のもとにおける社会問題、そういう公害と老人の問題は、これは今日の二大社会問題であると考えてよろしい。そこで問題は、私はそれを議論するのは何かといいますと、これは老人の医療の問題、老人問題はやはりそういう社会的な問題である、全部の国民の問題である、国の問題である、こういう観点でこの老人問題を取り上げて施策を展開すべきであると思います。この点についてのお考えをお聞かせいただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 われわれもそのとおりにとらえて老人問題と取り組んでいるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 医療の抜本改革の問題の中で、老人医療の問題について各方面から意見が出ておるのであります。その意見によりますと、厚生大臣がけさほどからお考えになっている点とは少し違うのであります。似ているところもありますが違うのであります。これは与党の案にいたしましても、与党の案はそのことについてはっきりいたしておりませんが、非常にぼけておりますけれども、日本医師会の案にいたしましても、これは老人医療は社会的に公費で負担すべきである、こういう意見を出しております。しかしこれは、突き詰めてみると違う点もあります。それから日経連の案でも公費で負担すべきであるというふうに述べております。順序不同ですが、公明党の案も、やはり老人の医療については社会保障的に国が負担すべきであるといっております。健保連も老齢者に対する医療保障は国が見るべきである、こういうふうにいっております。国民健康保険組合の案にいたしましても、やはりそういうふうにいっておるのであります。たとえば日経連も、結核、精神病、伝染病、公害病、心身障害者、老齢者、乳幼児に対する医療とリハビリテーション等の費用等は公費負担の対象とする、こういうようにあります。もちろん総評とか同盟とかはすべてそういうふうにいっております。老人医療の問題は年金の問題とともに大きな問題になっておるわけでありますが、老人医療の問題はやはり保険で相互扶助ということよりも、国全体の財政配分の中で考えていく。つまり三兆円の総医療費を国の費用でどれだけ負担するか、保険制度の中において保険財政からどれだけ負担するか、個人はどういう面において責任を持つか、こういう三つの面が考えられると思うわけです。しかしこれは国民の立場に立ってみれば、どこで負担しても同じことです。そこでやはり老人医療の問題は、今日社会問題として大きくなりました原因からいいましても、たとえば福祉年金等を税金から出しておりますが、年金については保険方式か税金方式かというので大きな議題になっておりますけれども、老人の医療についてはやはり社会保障的に考えていく、そういうことが抜本改正における基本的な考え方でなければいけない。そういう側面をとらえながら、全体的な老人福祉の問題を確立することが必要であると思います。そういう点で、これに対しまして厚生大臣はどういうお考えを持っておられるか、ひとつお聞きいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 公費負担にするか保険にするかという根本問題でございますが、私は公費負担は、何といいますか、社会的な原因によって起こってくる疾病というようなものはやはり社会的に公費負担、あるいは、社会的にほっておいては困る、よく社会防衛的といわれますが、精神、結核あるいは伝染病というようなものは公費負担、そういったような考え方で公費負担の考え方が出てきていると思うわけであります。  それ以外の疾病の治療は社会保険という原則でやっております。この社会保険も一つの社会保障的な行き方でございますが……。児童についても公費負担という議論も出てきております。年齢層によって公費あるいは保険というように区別をするのが適当な考え方であろうかというのに若干私はまだよう踏み切れないでおりまして、いままでの公費負担という考え方を拡張していくという行き方がいいのではないであろうか。このたびの、いま御提案を申し上げておりますのは、これは保険の一部負担を公費で見るということにいたしておりまして、保険で十割給付しているものはそのままという形になっておるわけであります。今度、保険の抜本改正では、高額医療についてはある程度以上は全部見る、また家族給付も引き上げるということになっておりますが、それでもなお一部負担が残ります。そういう一部負担はこれは公費で見ていくということが適当ではないだろうか、現在ではさように考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 老人とは何かという議論があったわけですが、そういう問題も政府全体としては雇用問題と医療問題、社会保障の問題で整理をされていないわけです。しないところに私は問題があると思うのです。この問題は議論すればさらに大切な問題があるわけですが、しかし六十五歳までは、働く意思と能力があるならば働く職場を与える、これが雇用政策である。そのときはすなわち年金で老後の生活が保障される、インフレで貨幣価値が下落することを含めて保障される、こういうけじめをつけていく。ただし個人的なそういう条件や体力に差があるわけですから、六十歳からは年金で生活ができる道を開く、六十歳と六十五歳の間は一つの緩衝地帯にいたしまして、年金と雇用の調整をすべきであるというふうに私は思うわけです。そうすると、たとえば六十歳以上の老齢者に対しましては年金で生活できるような所得保障をすると一緒に、そういう老人層の医療についてはやはり全国民がこれを保障していくという形をとる。私は税金、公費で負担するか保険料で負担するかということについて、形式的な議論をしようとは思わない。これは皆年金のもとにおいては、保険料も所得に比例するいわゆる一つの税金ですから。源泉徴収いたしますし、強制徴収、強制執行するわけですから、これは税金と同じです。ある意味においては所得税の付加税といってもいいわけでしょう。ですから私はそういう形式論は、国民が負担するという立場ではとらない。しかし、考え方の基礎としては、所得保障について社会保障として考えるということと一緒に、老人医療についても社会保障的に考えるべきではないか。つまり保険の分野について私どもは現状においては否定しない。というのは何かいうと、元気で働いている者が、医療の問題については、自分が病気になった場合にはみんなで相互扶助の保険財政で見ていく、元気になったら自分が働いてお互いに助けていく、これが保険主義の真髄なんでしょう。お年寄りの人は働く体力や条件がない、あるいはいままで働いてきたからみんなで生活を見ましょう、こういう原則でやっているわけですから、この人たちの労働に期待をし、所得に期待をいたしまして保険財政をささえるというふうな相互扶助の仕組みではないわけですから、老人の医療の問題は相互扶助の保険主義、保険財政に対応するような制度としてやるということには理論的に矛盾があるのではないか。そういう点は所得の問題と同じように、所得の再配分として社会保障的に考えながら、総医療費の分担においては国民が税金で分担をしていくというたてまえをとるべきである、こういうことではないか。  もう一つの問題は、これを法律的に言うならば、老人福祉法と一般医療保険法との関係はどうかという問題であります。国民健康保険でしたら七割の残りの三割を自己負担する、その三割の自己負担分を公費で負担するという老人福祉法をつくったわけですから、これは国民健康保険やあるいは一般の保険の関係からいえば、特別法だと私は思う。特別法であるから、特別法優先の原則に従って、特別法で適用される対象は保険財政から除外するという法律の原則も適用すると私は思う。皆保険でないときには必ずしもその原則は適用しないかもしれない。しかし、今日は皆保険ですから、保険料といってもこれは保険税の側面もあるわけです。国民健康保険税といっているのもあるわけですから、取り方にはいろいろあるわけですけれども、考え方といたしましては以上の二つの観点から、特別法優先の原則と、それから保険主義自体に老人の医療の問題はなじまない、やはり国民が公費で負担する、保障的な考え方でこの問題を処理することが抜本改正における基本的な考え方でなければならぬ、こういうふうに私は思います。いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 健康な者は病気をした者を助ける、そして病気をした者が健康になれば、また病気の人を助けるという考え方、これは一つのお考え方であろうと思います。ことに健康保険ができた最初、家族給付のないときに、本人給付だけのときには、これはまさしくおっしゃるように、働く者、勤労の立場にある人が病気をしたときには、お互いにめんどうを見合うということです。今日は皆保険になって、これは生まれてから死ぬまで全部保険に入るというたてまえになっていますから、この方式から考えますと、一定年齢以上の、もう働く能力のなくなった者は保険からはずして全部公費ということになると、やはりそうすれば家族の給付を、働かない者は全部公費ということに割り切ってしまえば、なるのじゃないかと思いますが、そこら辺はちょっとむずかしい問題ではないかと考えます。皆保険の点から考えますると、公費負担と保険に見合うものというものは、普通の状態においてだれにでも起こり得る疾病をお互いに保険し合うということではなかろうか、私は私なりに現在の法制のたてまえからそのように考えておりますということを申し上げたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 考え方の整理として、将来、保険料の負担、財源の負担と給付を公平にするということが理想でしょう。それをいま格差の是正ということで言っているのでしょう。いま抜本改正で議論しているやつは、ばらばらに分かれている保険制度を、保険料の負担と給付の条件において格差を是正するということでやっているのでしょう。ですから、老人医療とか幼児の医療というふうなものは、家族といたしましても家族一体、夫婦一体の原則はあるわけでありますが、これは個人主義の原則の中にあるわけでありますから、家族全体について働き手の主人が全責任を負うというふうな仕組みは、まだ文化以前の問題として議論されることもあるわけですから、保険で負担するのは何がいいかと言えば、私が最初に言ったのは、原則は自己責任の原則ですよ。こういう仕組みがいいか悪いかは、社会主義か資本主義かの論争になりますよ。しかし、いまは資本主義の体制ですから、抜本改正では、自己責任の原則というものをある程度入れるべきであるということを私どもは考えておる。それは何かといえば、原則で言えば、生産年齢人口の中における、元気でやっている者が、自分が病気になり、けがをした場合にはみんなの力で負担をしてもらう、そのかわり、からだについては気をつけますよ、元気になったならば、他の人が病気になったり、けがをしたときにそれを負担しましょう、それが自己責任の原則であり、保険主義の原則なんですね。そういうところから、ずうっと近いものから、あるいはそういうふうに自覚し合ったものから助け合ったのが保険制度の発生であって、これが全国民の保険になった、皆保険になったわけであります。しかし、それが保険制度の間や供給面においてたくさんの老人が累積いたしまして、爆発寸前になっておるというのが日本の制度です。だから、これを抜本的に改正しようという際においては、三兆円の総医療費の中で、保険財政で負担をすべきものは何か、公費で負担をすべきものは何か、こういう原則をお互いに議論してこれを整理することが必要です。というのは、私どもは、開業医を含めて全部の医療機関を国営にする、保険料は全部社会保障で、医療保障で、税金でとる、そういうふうなことはいま言わないわけです。そういうことを言うべきではないと言っているんですよ。開業医の存在もある程度、健康管理医制度というものを考えながら認めよう、保険制度もある程度認めようというふうに考えておるわけです。この議論をしておりますと長い時間かかるわけですから、これのあとの健康保険法の論議の中に入ってしまって、そのほうへ協力することになりますから、私はその点は自粛いたしますが、いずれにいたしましても、悪いのは何かというと、いま予防とか健康管理というものが、リハビリテーションが、いまの社会環境——環境破壊、健康破壊の現状から必要なんですね。しかし、国民健康保険は主宰者が自治体でありますから、自治体がいろいろな保険施設等の相談や診断等をやるわけですよ、経営主体が市町村ですから。組合健康保険は労使が集まっておりますが、しかし早く病気をなおして、できるだけ安い治療費であげて、元気なからだにして働くという面においては一致点があるわけです。ですから、組合間においてそういう努力をするわけです。保険主義の原則から考えても、一番野放しになって、努力してないのは政管健保であると私は思う。厚生省の官僚が官僚的に中央統制して、民主的にやっておらぬ。しかも、予防とか健康管理について組織的に参加をしたり、何らそういう施策がないでしょう。あとで議論いたしますが、保健所にいたしましても荒廃の極でしょう。その中身を見てごらんなさい、建物を見てごらんなさい。そうでしょう。そこにいまの保険制度、日本の医療の一つの問題があるわけです。そこで老人医療をどうするかという問題が出てくるわけです。ですから、老人医療については公費負担で社会保障的に考えていく。その点は国民が何らかの形で税金で負担するわけですから、その中でやる。保険主義というのは自己責任の原則ですから、元気になったり病気になったりするものが相互扶助する、お互いの問題として健康管理をしようという考え方でしょう。老人、子供の問題、児童手当もくっついている、そういうものは社会保障的に考える。難病奇病の問題あるいは救急医療の問とか僻地医療の問題等についても、あるいは心臓やその他大きな費用を要するもの等については社会保障的に考えていこうというのが、抜本改革の考え方の基本ではないかと思う。そういう面からいいますと、老人医療の問題は各方面でも言っているように、公費負担の原則でやるべきだ。特別法優先の原則からいってもそうだ、法律的に見てもそうだ、皆保険下においてはそうだ、こういうふうに私は考えるのです。いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医療の経済的な支出を保険で見るか、公費で見るか。いまおっしゃいますように、生産年齢にある者だけを保険で見て、非生産年齢あるいは生産に携わることのできない者は全部公費、これも一つのお考えであろう、かように考えますけれども、どうもいままでの考え方に執着しているからかもわかりませんが、そこまで踏み切るのはちょっとどうであろうか。いまにわかに私としては賛成をいたしがたい、こう申し上げる以外にございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたの議論は、いままでの武見会談その他をずっと見ていると、支離滅裂なところがあるのです、議論はあとでいたしますけれども。あなたの考えは、全部が全部そうじゃないけれども、支離滅裂だ、そういう点があるわけでありますから、これはともかくとして、問題があると私は思っているのです。社会保障税の中で、医療保険税を所得に応じて取っていく、そういう制度も考えられると思うのですよ。社会主義とか資本主義とか、イデオロギーの問題じゃない、医療の問題は。どこでもそうです。そしてすっきりすることも考えられる。現状においては事業主負担等が八千億円もあるわけです。それで国際的な社会保障の原則では、雇用主がそういう医療とか社会保障については負担すべきであるという原則もあるわけです、もちろん基本は国がやるわけでありますけれども。そういう問題があるわけです。そこで、たとえば政府管掌は平均年齢が高くて、老人が多いわけです。組合健保の関係あるいは共済組合の関係から、それをやめてこっちに来る人もある。若い人もおりますけれども、たくさんウエートを占めております。そういうことになっておると思いますが、日本には所得保障もない。基本は所得保障でしょうけれども、一生涯働いて働いて死んでいくということになります。一生掛け金をかけるということになります。年金もそうです。医療保険もそうです。だから働く意思と能力があれば、働く場所を与えるということは何歳になっても同じで、あなたが七十をこえて国会議員になり大臣になるのは決して間違いであるとはいわない。それだけの意思と能力があればいいでしょう。佐藤さんも、七十三歳になってもよろしい。ただしかし、あの人がこれ以上続けて政治活動をされる意味がないからやめなさいと私どもは言っておるだけの話です。だから、この問題については、原則的のそういう議論でこの増大する医療の経費をどこで負担するかという問題は、たとえば政府管掌のそういうものでありましたら、国庫負担の問題が議論になっておりましたが、公費で底上げをしながら保険料と給付の平等化をはかっていく、公平化をはかっていく、その中で被用者保険はどうするのだということを考える、これが私は考え方の順序である、こういうふうに言っておるわけです。ですから、公費負担すべき問題はどこかという点はやはり考えてみる必要がある。保険主義を採用するという点においても考える必要があるという議論であります。これはあらためてまた議論をすることにいたします。  そこで、老人福祉法と一般健康保険法との関係は、私が言っておるのにあなたから答弁がないのですが、特別法と一般法の原則ではないのか。そうすれば、老人福祉法で特例を設けるということになれば、特別法優先の原則でこちらの一般法からはずしていく。精神衛生法や結核予防法ははずしておるから、八割は国が負担して二割を自治体が負担しておるのですから、そういう負担方式で社会保障的に考えていくべきではないか、こういう特別法優先の原則を私は言っておるのですが、それについては答弁がない。いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 老人医療の特別法が老人福祉法というようには考えておりません。その点は先ほど申し上げましたように、公費負担をするというたてまえに立てば、それは特別法のように見られるかもわからぬ。一般の保険関係の法律の特別法という考え方かもしれない。ところがこのたびの仕組みは、自己負担の分を自分で負担しないで、老人福祉の現状から公費で負担をしなさいという事柄でありますから、これは並立しておる……。

大原亨日本社会党

○大原委員 そこがおかしいと言っておる。そこが中間的でびほう的であって、抜本改正の中では老人医療をどう考えておるのか、私はこういう議論をしておる。それを法律面から言うたのです。つまり自己負担分の三割を公費で負担しましょうというのは便宜的な措置なんですよ。だから、老人福祉法による老人医療の無料化ということは便宜的な措置ですか、あるいは抜本改正ですか、こういって議論しておるのはそういうことなんです。そういう議論なんです。ですから、老人の医療については国民全体の責任で見るのだということになれば、三兆円の医療費の中で公費の面をどうするのか、そういうことになれば、税金の負担と関係して考えていくことができるわけです。そうしないと、これから議論するように、いままでいろいろ議論があったように、はね返ってくる波及効果の問題があるわけです。その措置の問題がある。非常に不公平な問題、これは問題があるということを残しておいて議論を進めていきたいと思います。これは基本的な問題としてあとで議論をする。これは健康保険の議論でも出ておるわけですから、政府は管掌保険等の底上げの問題、国庫補助の問題について出ておるわけですから、これはあとに回しておきます。  ただし言い得ることは、老人医療について出してくるということになったら、こっちの保険財政がうんと違ってくるのです、主として家族で見ておりますから。日本のような老人に対して残酷なそういう制度に対して、老人が七十をこえても働いておる、八十になっても働かなければ食べる道はない、こういう問題等との関係があります。  それから次の質問は——これは質問の大小、順序不同です。大きな質問から入っていくとは限らぬ、これからは。寝たきり老人の問題が議論になったわけです。七十歳以上の医療無料化の施策を非常に妥協的に、かつ中途はんぱにやるけれども、しかし、少なくとも六十五歳以上の——六十歳と言いたいが、将来進まなきゃならぬが、そのステップとしても、六十五歳以上の寝たきり老人については、回復をして働くというふうな、そういう希望はないわけですから、そういう問題については公費負担の対象にすべきであるし、これを広く解釈をしていくべきである。それは、六十五歳は六十歳にすべきである。いまの三十五万人というのは、あれはどこで区切っておるんだか——六十五でしょう。その医療費については公費で負担をする、こういう原則を老人福祉法でつくるということは、私は、議論をして、やるべきことである。大蔵省が圧力をかけて文句を言っても、国会で議論をして、やるべきである、そういうことは。老人福祉法を審議するにあたって、やるべきである、こういうように思いますが、いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 六十五歳以上の寝たきり老人を、この七十歳以上の医療の無料化の中に入れるということにつきましては、これは前向きで検討をすべきであり、また、いたしたい、かように考えます。寝たきり老人の医療費を根っこから全部公費で負担するかどうかという問題はまた別の問題、同種類の問題であると同時に、別の問題になります。大原委員の御説によると。もう保険から全部はずして、老人の医療費は全部公費で負担しろという御意見でございますから、それに通じると思うのでありますが、われわれのいまの考えは、老幼ともにいま国民皆保険だから保険で、という考え方のもとに立っております。これは万古不動のものではないと思いますが、御意見も承りながら、いままでの考え方を変えていくという考え方に立つようになるかもわかりませんが、今日のところではそういう考え方に立っておりませんので、したがって。六十五歳以上の寝たきり老人も、七十歳以上の老人と同じように取り扱うというのがまず第一段階であろうかと、かように考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 六十五歳以上の寝たきり老人については、自己負担分は国が見るの。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 国が見るように次には前向きに考えなければならぬであろうと考えますと申し上げたのです。

大原亨日本社会党

○大原委員 私が言っておるのは、特別法優先の原則で、公費負担にすべきだ。老人医療は根っこからはずせと、精神病や結核と同じようにはずせと、広い解釈のしかたを、現在沖縄でも結核や精神病についてやっておるのですから、そういうことを言っているのですが、しかしいまの政策で、国としても、自己負担分だけは公費で負担をして、自己負担がないような形で寝たきり老人の医療を見るようにしなさい。このことはできるじゃないか。六十五歳から六十歳までと、こういうようにいくけれども、六十五歳まではせめてこれはできるじゃないか。それだけはやるとすると、予算は幾らかかるか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 六十五歳から六十九歳まで——七十歳以上は全部無料になりますから、六十五歳から六十九歳までの寝たきり老人、これは大体七万六千人ぐらいと推定されておりますけれども、それを無料化にいたしますと、四十八年一月実施ですから、四十七年度予算に関連する分につきましては一億八千五百万、約二億でございます。それから平年度化にいたしますと十七億四千万ぐらいになります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは、委員長、ぜひあとでひとつ理事会等で協議をいただいて、国会の意思として、これは最小限度可能な問題として取り上げるように要望しておきます。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 いま申し上げました一億八千五百万とか十七億というのは、もしそれをやった場合に国が負担する額、国庫負担がそれだけふえるという話であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 だから、財政上の措置をそうすればいいわけでしょう。  それから、これは一つ希望意見として言っておきますが、七万六千人のいまの寝たきり老人は、これから五ヵ年計画でホームヘルパーを充実させる、こういう今朝来の質疑応答がありました。現在の時点に立って、ホームヘルパーは非常にいまの制度では大切な制度でありますが、それは、その寝たきり老人は増加をしないという前提なんですか。そして、それに対しましては何人のホームヘルパーを充足をしていくという考え方ですか。もう一回ひとつ整理をして御答弁いただきたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは、一応六十五歳以上の老人の数を、昭和五十年に何人になるかというのを推定をいたしまして、そしてそれが七百八十七万、現在七百四、五十万でございますが、五十年にはそれだけにふえる。それについての寝たきり老人の率というのがございまして、四・三二%、これは床につききりでございますが、それにさらに介護者が全然ないというのが五六%、それに所得税の非課税分というようなパーセントをかけまして。そしてさっき申し上げました、寝たきり老人であって、そしてホームヘルパーの派遣を必要とするというのが昭和五十年までに六万二千五百六十一人——世帯でございますか、そういう計算でございます。それに大体七・五人に一人の割合で家庭奉仕員を設置するということにいたしますと、必要な数が八千三百四十一人ということでございます。それで現在、四十七年度で六千四百六十人おりますから、あと二千人足らずの数が不足であるという計算になっておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それは現状が動かぬというふうなことが前提ですけれども、しかし寝たきり考人の数もふえていっておる、あるいは介護を必要とする人もふえてきておる、こういうことが予想し得ると思うのです。そういたしますと、いまの必要なホームヘルパー八千三百人を確保することを目標にしてこれから努力したいということは、これは少し内輪な、少な過ぎる要求ではないか、こういうことを言うわけであります。なお、ホームヘルパーの、法律や政令に基づく配置基準、何人にどれだけ、こういうものから——国際的な問題は論外といたしまして、イギリスは二人に一人だそうだから、論外といたしまして、そういう点で、法令上の根拠からいってもホームヘルパーの数は少ない数字ではないか、こういう点についてどういう見解でありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 いまのところ老人福祉法では、家庭奉仕員をどれだけの人員に対してどれだけの数を置かなければならないというような法律上の規定はないわけでございます。〔大原委員「ないのか」と呼ぶ〕法令上どのくらいの数をおかなければならぬという、そういう基準はないわけでございます。これは、私ども予算の実施上一つの基準をつくってやっておるということでございまして、法令上は別に、たとえば寝たきり老人何人に対して何人置かなきゃいかぬという規定はございません。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 関連して。あなたのほうはいま、ホームヘルパーの実際の配置について法令上の規定はないと言うけれども、昭和四十年の四月一日に社会局長通知でもって出しておる「老人福祉法による老人家庭奉仕事業の実施について」という中に、担当世帯数は常時勤務する者にあってはおおむね六世帯ということがあるわけですね。ですから総数でもって六万二千何がしの老人がいるとすれば、算術計算からいったって一万人必要なんだ。しかもいま常勤でない者がまだ残っておるという状態から見ても、これを一体どうやって改善するかという二つの問題があるわけです。大体常勤は八一%、非常勤は一九%。市町村の職員は常勤が七七・二%、社協の職員だって常勤が八七・二%。この状態を実は中身と数と両方を改善しなければならない。ことしは大蔵省と折衝して給与を上げたから、数のほうは引っ込めているのでしょう。大体まことに弱腰なんだ。いまのような考え方ではとても充足するような状態にはならない。一体何を目標にしてやらすのか。まず常勤なら常勤にする。常勤にしたって六世帯でもって一人というのがそもそも多過ぎるのですよ。これは大体諸外国の例からいって四人に一人ぐらいにしなければ十分な手だてはできない。いまの交通難、いろんな装具の不備、それからいろんな難病が出ている、そういった状態から見てこの基準自体を改めなければいかぬ。大体老人福祉法自体を改めなければいかぬ時期にきているでしょう。こういう通知を出しっぱなしで七年間もやってきたというのが問題なんだ。常勤を原則とするといいながら常勤でない者がいまだかなりいるという状態だ。だからあなたのほうは、いま大原質問があったけれども、どういう展望を持って、その展望に近づけるには一体どういう年次計画でもってしようとするのか。まず人数は一体どういう年次計画か、それから給与は一体どういう年次計画か、その基準になる常勤の問題はどうするのか。これをきちんとしなければ、これは場当たり的なやり方では時代に追いつけないですよ。どうですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 私ども法令と申しますのは、普通法律、政令等を法令と申しております。局長通達などは法令とは一応申していないのでございまして、法令の根拠がないということを申し上げたのはそういうことでございまして、田邊先生御指摘のとおり、局長通達では確かに基準は示しておりますが、ただそれは法律にはないということを申し上げたわけでございます。  それで、今後どういう方針で内容なり人員を充足していくか、拡大していくかということでございますが、人員につきましては、少ないということでおしかりを受けましたけれども、一応五十年までの目標は——もちろんこれで十分とは申しません。国際比較その他からいいましてこれはまだまだ少ないわけでございますが、とりあえず五十年目標といたしましては急遽これだけの、さっき申し上げました八千三百人ばかりにもっていくということをやろう。それから給与については、これも田邊先生よく御承知のとおり、四十七年度は前年度に比べて五割増しぐらいの給与改善をやったわけでございますが、これにつきましても、確かに老人ホームの整備とともに、家庭にある老人の福祉を増進するということとバランスをとってやらなきゃいかぬ、その一番大切なのは家庭奉仕員だということは私どもも承知いたしておりますので、そういった意味で、四十七年度はこの給与改善ということに全力を尽くしたわけでございます。その結果、増員というものがわずかに百六十名ばかりにとどまったということは確かに私どもの力不足で、両方がうまく行かなかったということは非常に残念でございますけれども、四十七年度は給与の改善に重点を置いてやったということでございます。今後は、もちろん給与の改善につきましても必要な改善をやってまいりますが、同時に今後は人員の増ということに努力をしてまいりたいと思います。  常勤、非常勤の、状態は田邊先生御指摘のように、常勤がいまのところまだ八〇%、非常勤が二〇%ぐらいの割合でございますが、これをできるだけ常勤化していく、それに伴って給与も引き上げていくという方向で今後努力してまいりたいと思います。いろいろ不十分な点は私どもも承知いたしておりますけれども、老人家庭奉仕員の重要性につきましては十分認識いたしておりますので、一応五十年まではこれを第一期の計画みたいな感じで、いま申し上げた線で努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま局長ははそういうように話をしたけれども、あなたのほうはことしは一体人数はどのくらい要求したのですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 要求は一万八千人であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 だから、どうしてもそれは、いわばあとを追っているかっこうなんですよ。給与の改善につとめたと言うけれども、実際には市町村の職員なりから比べれば、手当の問題にしてもあるいは通勤の問題にしても、いろんな面で不備があるのですね。これは市町村なり社協が補っているかっこうなんですね。だからそういう形だけ追っておったのでは、いつもバナナのたたき売りみたいに大蔵省の厚い壁にぶつかってだめになるんですよ。十分な目的は達成できない。  だからまず身分関係をきちんとしなさいと、私は口をすっぱくして何回あなたに質問しているかわからない。まずそれをしなければならぬ。それにはもちろん交付税と国庫補助との振りかえの問題がありましょうからなかなか困難だけれども、まずそれを基本に置いて、それに到達するには一体どうしたらいいか、こういう決意と計画がなければこれは追いつけないだろう、こういうふうに私は思っているんですよ。  これは確かにいろんな未亡人や中高年の御婦人が多い。片手間じゃないかという話があったけれども、いまはそうじゃなくなってきているんだから、またそうでなければ寝たきり老人について十分な手だてはできないわけだから、四十年に通達を出したときと違って、これは今日的な課題になってきていると思うんです。そういうことに気がつかれれば、私はまずこの通知自身もいろいろと検討され、それからまた、いま言った身分の問題についてあなたのほうは一体どうするのかという展望を立てられ、その上で計画を立てられる、こういうふうにしなきゃいけないじやないかという話をしているんで、そういうことについては大臣よろしゅうございますか。どうです。それはそういう形でやらなきや私はできないと思うのですよ。そうでしょう。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 田邊委員のおっしゃることはもっともだと思います。私の指導力の不足だ、かように考えております。今後十分気をつけてまいります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ちょっとお尋ねしますが、ホームヘルパーの所属、身分は、大体公務員であるものはどことどういうところの自治体か。そして何%ぐらいか、あとはどの所属か、これをひとつ御答弁願いたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 ホームヘルパーの身分でございますが、比率といたしまして、六二・四%が市町村の職員、それから残りの三七・六%が市町村社協の職員、大体そういう振り分けになっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 六二%が市町村の職員になっておるわけですから、それは国の施策といたしましても非常にアンバランスであると思うわけです。そうすると、必要人員と単価の問題が出てまいります。単価というのは、待遇問題が出てまいまりす。待遇問題でも私は議論したいと思いますが、これはいま田邊委員からも指摘があったとおりです。  そこで問題は大臣、こういう総合計画だと思うのです。つまり七十歳以上の老人医療については、中途半ぱな形というか、自己負担分が、公費負担になった。そうすると、受診率が非常に多くなってくる。差額べッドまたは付き添いその他に現金支出が要るから入院はあまりふえぬだろうというけれども、しかし公的医療機関その他ではふえてくる。特別養護老人ホームはどうするのだ。からだが悪い人で、身寄りのない人でホームに入る、あるいは自分の家庭環境が自分で満足できないからホームに入る。これはいいことだと思うわけですが、そういう老人医療無料化を契機にいたしまして、在宅患者の寝たきり老人のようなかっこうもあるかもしれないけれども、全体がそういうことになるわけです。そうするとやはり全体の特別養護老人ホームをどうするか、あるいは老人病院をどうするか、あるいはいまのようなホームヘルパーをどういう条件で整備をするか、こういう問題については、もう一度これを契機に練り直して、そうしてホームヘルパーは、これは市町村の職員にする。一番目が届くところですから、身近なところですから、市町村の、自治体の職員にしていくことがいいのではないか。それから人員についても、あるいは待遇、単価等についても、いままでの議論を踏まえながら、やはりこの際必要なものは確保していく。家を出たり蒸発したり死んだりする人が多いというのは孤独であるというようなことがあるわけでありますから、いつなくなったかわからぬ、なくなってから数日後に見つかったという人もあるわけですから、老人問題はきわめて大きな問題であるという観点の上に立つならば、ホームヘルパーの問題は、片手間の単なる奉仕、そういう問題ではなしに、制度としてやはりもう少し整備をしながら改善をしていくことが必要である。私はこういう考えを持つわけですが、そういう点について総合的な検討を加えながら、来年度はいままでの五ヵ年計画という惰性ではなしに、新しい観点でこの計画を立てながら、全体の福祉政策と一緒に長期計画の中に入れていく、こういう考え方をすべきであると思うが、いかがでございますか、大臣のお答えをいただきます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 大体御意見ごもっともに思います。そういうように努力いたしてまいりたい、かように思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 たくさん申し上げたいことがあるのだが、老人は平均寿命が延びておるわけです。これから十年、二十年、三十年というふうに区切った場合に、平均寿命は予定どおり延びますか。そうすると、これは五ヵ年計画、十ヵ年計画等ではかなりのスピードの伸びでありますから、そういうことも考えて、たとえば来年度の予算も考えているか、その次の予算も考えるのか、来年度の予算は自己負担分を三割あるいは五割を負担するというふうにして、幾ら平年度はかかって、これがだんだんとふえていくという見通しがあるのかどうか、保険財政との関係があるから私はお尋ねしておきます。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 一応老人医療、七十歳以上につきまして、今度御審議いただいているような案で必要な所得制限を行ないまして、そうして老人医療の自己負担分を無料化する、そういう前提でやりまして、四十七年度は、四十八年一月実施でございますから、国庫負担といたしまして約九十二億でございます。これを平年度化いたしますと八百六十八億になります。  それでその先行きでございますけれども、これにつきましては、四十八年度におきましては、これは結局医療費の伸びをどう見るかということでいろいろ違ってまいります。それで一応私ども試算いたしましたのは、国保それから健保、それぞれ過去三年、四十二年から四十五年までの一人当たりの医療費の伸び、これの平均をとりまして、国民健康保険におきましては毎年一二・四%医療費が上がる、そういう仮定をいたします。健康保険につきましては一一・九%、被用者保険については一一・九%、そういう仮定のもとに、それから老人の人口がふえるというのをあわせて計算いたしますと、四十八年度で千二十三億、これは国庫負担でございます。それから五年後の五十二年ごろには国庫負担が八百八十億、公費負担にいたしますと、それの五割を加えるということになるわけでございます。一倍半になるということでございます。  それから十年後の五十七年では三千九百八十一億、大体四千億、こういう一応の計算をしてございます。しかしそれはただいま申し上げましたように、医療費の伸びその他が一つの仮定でございますから、一応のそういう計算ということでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 保険財政に対するはね返りについては、けさほどから議論があるわけです。つまり自己負担分を公費で負担いたしますと、受診率が向上するわけです。しかし問題は、自己負担分だといっても問題は何かといえば成人病、老人病との関係があるわけであります。病院に入ったら保険の自己負担分だけではだめだということです。差額徴収があるわけです。付き添いの費用が要るわけです。これは実際上は全額自己負担分にならぬわけです。そういう問題が一つあるわけですが、その実態と対策があるわけでございますけれども、保険財政に対するはね返りは、もう少し、私はことし来年にかけて、来年の一月にかけましてどういうはね返りがあるのかという点をもう少し的確に答えていただきたい。  それを、はね返ったやつを今度は他の保険が負担することになるわけですから、保険財政が負担して、赤字の原因が——健康保険法の審議でもこれは議論になると思いますが、赤字がふえてくるという結果になるのではないか。この点は、そのはね返りの問題は保険局からあらためて答弁してもらいたい。保険局はどういうふうにはね返りを考えておるのか。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 保険への老人公費負担医療のはね返りでございますが、政管健保を例にとってみますと、七十歳以上の老人の医療費が、四十七年度、平年度ペースで約二百六十億、それが老人公費負担をすることによりましてのその波及効果は約倍になりますので、約五百二十億でございます。  それで、あと組合健保とか日雇健保とかいろいろありますので、被用者保険の合計で申し上げますと、七十歳以上の者の医療費が約七百億、その波及効果を見込みますと千四百十億、約倍でございます。それから国民健康保険について申し上げますと、七十歳以上の者の医療費が千百九十億、それの波及効果は、国保の場合は七割が十割になるわけでございますので、約五三%の増となりまして、千八百三十億ということでございます。これらを四十七年度の予算ベースの中に織り込んでいるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 四十七年度は財政からいえば一月と二月しかないわけですね。三月は四月に払うのだから、来年度に行っちゃう。だから本年度は少ないけれども、四十八年度には非常に大きな波及効果があるわけです。これは、単にこれでは済まぬだろうというふうに一般的に関係者は言われているわけですね。ですから、この問題は、そういう保険財政全体をどうするかという制度上の問題から見ても考えなければならぬときが来るだろう、私はこういうふうに思います。  それで、二、三の問題を補足をして質問をいたします。  けさから議論で議論されてないのは、せっかく自己負担分を公費で見ましても、差額ベッドの徴収とか付添婦の費用が要るわけであります。これは全体の医療費からいえば大体何%ぐらい要るというふうに実態を把握しておりますか。実際、差額ベッドの徴収あるいは付添婦の費用負担ということ等を考えた場合には、最近これがどんどんふえております。たとえば、山本委員が先般質問されて私もびっくりしたのですが、日赤という公的な医療機関で、非常に奉仕的なナイチンゲール精神でやっておる——ナイチンゲール精神がいい悪いは別でありますが、そういう伝統を持っておる日赤にいたしましても、一〇〇%の差額ベッドがあるわけです。そういう病院がたくさんある。私は、そういうことはあとで議論いたしますが、健康保険法自体にはずばりは違反してないだろう。しかし、健康保険法の精神をじゅうりんしていると思うのです。皆保険の精神をじゅうりんしていると思うのです。自己負担を公費で負担するという精神からいってもおかしいと思うのですね。この問題に対する政策的な配慮、考え方、対策というものを確立しておかなければ、これはほんとうに効果があるということは言えないのではないか。実態と対策について、ひとつお考えを聞かせていただきたい。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 ちょっと差額ベッドについての資料を持ち合わせておりませんが、四十三年度の調査によりますと、総ベッド数に対する差額ベッドの比率は大体一七%ちょっとであったと思います。内容的に見ますと、国立などは少ないわけですが、公立病院とか公的病院などにはかなり差額ベッドが多いという結果が出ております。指導の方針としましては、その病院のベッドの半数以上も差額ベッドであるというようなことは、これはやはり病院の運営としておもしろくないことでありますので、指導によって改善するようにしているわけでございます。ただ、差額ベッドというものは悪いもので、これは絶対廃止すべきであるとも一がいにいえない面がございます。社会的需要と申しますか、重病者、あるいは重病者でなくとも、やはり病院生活というのは社会生活の延長である一面もございますので、ある程度の差額ベッド、個室はやむを得ない場合はございますが、こういう老人医療、特に公費負担による老人医療を受けるような人については、なるべく保険診療でもって見るべきものであろうと思いますので、そういうものにつきましては、そういう高額な差額ベッドなどを避けるように指導してまいりたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 そういう希望はわかるのですが、だんだん悪くなっているのが現状ですからね。この問題はだんだん悪くなっているのが現状です。  もう一つお尋ねしますが、生活保護費の中の医療扶助に対しましては、どういう影響がありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 生活保護の医療扶助を受けておられる方の態様の問題でございますけれども、問題となり得るのは、被用者保険の家族であって、五割の自己負担がございますが、その負担ができないということで、その一部について生活保護の医療扶助を受けているという場合が一つ想定されるわけでございますが、そういう場合には、この制度が発足いたしますと、当然そういう扶助を受ける必要がなくなります、七十歳以上の場合には全部無料になりますから。ですから、そういった方は、こちらのほうの制度の対象になります。ただ、国保につきましては、国保は三割の負担がございますけれども、それが負担できないために医療扶助を受けるという場合には、国保から除かれて、根っこから生活保護の医療扶助を受ける、こういう体制になりますので、これは関係ないということでございます。いま申し上げましたように、健康保険の給付を受けながら一部医療扶助を受けているという方は、当然こちらの対象に入ってくるということでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 自治省から林公務員部長と潮田交付税課長が見えているのですが、まだほかにもあるわけですけれども、自治体病院等の問題もあったわけですが、私はいまホームヘルパーの問題について議論いたしましたから、この問題について、身分を全国的に一元化する、そしてホームヘルパーの制度を確立する、こういう意味において十分厚生省と協議をして自治省においてはやってもらいたい、こういうふうに当然の帰結といたしまして希望いたしますが、御所見を賜わりたいと思います。

林忠雄自治省行政局公務員部長

○林(忠)政府委員 現在のホームヘルパーの制度は、一応常勤、非常勤という二つの形態ができて、さっき伺いますと、常勤が八〇%に達しているということでございます。これは需要が非常に多いので、常勤の形態がふえてきたものと思いますが、その常勤の形態が、都会とか農村とかによって、それぞれ団体の事情に適した形態もある。いずれ常勤化のほうに進むという傾向は、そのとおりだと思います。現在一律にすぐ常勤にするのがいいかどうかという問題には、なお検討すべき問題があります。御指摘のとおり、所管省たる厚生省と勤務の実態その他について十分打ち合わせをして、適正な方向に指導したいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 公的医療機関の中で、自治体病院はこれから老人の治療等においては大きな役割りを果たすわけですね。ですから、そういう問題においては、独立採算とかいろいろなことが議論されているので、その議論はいたしませんが、しかし、病院の体制において、差額ベッドその他の問題を含めて、やはり問題が出てくると思う。たとえば東京都は老人病、成人病に対しましては専門病院をつくっている、そして採算からいえば九〇数%は持ち出しだとこう言っているが、かなりヨーロッパ等の先進国のそういう成人病、老人病院等の施設を参考にしながらやっている、こういうことであります。ですから私は、やはり医療機関に対する抜本改正の問題はあるが、自治体側もこれは非常に大きな責任を公的医療機関として負うているわけですし、あるいは差額ベッドの問題その他たくさんの問題があるわけですが、その経営上、採算上の問題についてもこれは検討を十分してもらいたいということを申し上げておきます。  それで、私は質問をしたいことはなおあるわけでありますが、時間もまいりましたので、私の質問は、これで全部終わったということではありませんが、一応ここでピリオドを打っておきまして、次の方に質問をしてもらいたいと思います。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 主計官に対する質問は、明日に留保していただきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 はい、承知しました。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 では、次に古川雅司君。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 老人福祉法の一部を改正する法律案につきまして、若干お伺いをしてまいりたいと思います。  全国的に老人福祉の水準があまりにも低いということが社会問題、そしてまた政治責任の問題として議論されてまいりましたが、その中で私は特に、いわゆる過疎地帯あるいはまた僻地における地域差というものを問題にしなくてはならないと思います。一例をあげるまでもないのですけれども、御承知のとおり農山村の過疎化、あるいは島嶼部における過疎化というものは著しいものがありまして、いわゆる若い労働力はみんな都会へ集中いたしております。そういう地帯についての実態調査を、私は本委員会を通して厚生省に再三お願いをしてまいりました。まだその実態は明らかにされていないようであります。それぞれのこうした過疎地にあっては、独自に老人生活の実態調査を行なっているようでありますが、おしなべて、そういう実態からうかがうと、特に医療問題については、そうした取り残されたお年寄りの半数以上が病気にかかっている、病気がちである。しかも驚くべきことにその半数、多くて六割くらいしか病気になっても医者にかかれない、かかっていないという実態があちらこちらで明らかにされてきております。これはお年寄りが、交通の不便やそれから医療費の過重な負担を理由に医者にかからないという結果がここに出てくるのだと思いますけれども、さらに深刻なことは、そうした山間僻地のお年寄りの場合には、一たん病気で倒れますと、長い間非常に無理な労働を重ねておりますので、往々にしてこれが手おくれになってしまうというような、悲惨なケースがしばしば報告されております。当然こうした実態についても、厚生省が全く御存じないということはないと思いますから、お年寄りの健康管理がいかに放置されているか、特にこうした過疎地帯、僻地においてその実態がひどいわけで、からだの不調を押しても働かなければならないという非常に悲壮な実態が横たわっていると思います。  すでに過疎地域対策緊急措置の指定を受けているところはたくさんございますけれども、これもいわゆる道路網あるいは通信網の整備に対して国がわずかな補助をする、そして整備をはかるという点にとどまっておりまして、いわゆる老人福祉対策にまではなかなか手が回らないというのが現状ではないかと思います。  以上、長々と申し上げましたけれども、今回の医療費の無料化対策スタートに臨みまして、特にこうした過疎地のかかえる悲哀と申しますか、悲惨な実態に対してどういう効果を及ぼし、こういうところに住むお年寄りの方々が、一体いつになったら安心して老後の生活を送ることができるようになるのか、あわせて御所見を伺っておきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいま過疎地区における医療の問題の実態について御意見、御質問がございましたが御指摘のように過疎地域においては特に老人が取り残されているというのが実態であろうかと存じます。いわば僻地の医療対策といたしましては、従来からも屡次申し上げておりますように、いろいろな立地条件の態様に応じまして、あるいは診療所の設置でございますとか、あるいはそういったところに診療所をつくりましても、親元病院との提携を密にして医者を確保する、あるいは患者輸送車、巡回診療車、こういった措置をそれぞれの態様に応じまして講じてまいっておるわけでございますが、なおそれをもってしても、いま御指摘のように、老人の健康管理といったような問題についてはなかなか行き届かないというのが実態であったと存じます。私どももそういう点に着目いたしまして、昨年度から「へき地医療地域連けい対策」というものを打ち出しまして、各都道府県単位で、それぞれの地区に応じて、そのバックになっている地域があげてその僻地の医療不足をカバーする、こういうような方針を打ち出して、それに基づいた各地域の計画の樹立を急がせておるわけでございます。その中には、いわば健康管理カードといったようなものも備えるということを示してございます。これによりまして、いわばその地域の方々の健康診査といったものを十分記録いたしまして、そしてそれが常時、いわば医療に恵まれることの少ない地域におかれましての健康管理に役立たせたい。また同時に、過疎地域に対しましては、保健衛生対策の一環といたしまして保健婦の配置ということをやっておるわけでございますが、その保健婦の配置ということと健康管理カードシステム、それに基づく健康管理対策、こういうことによって、少なくとも老人の方及び一般の方の健康管理というものに万全を期したいと思うのであります。  またもう一つ、いま御指摘のように、いろいろな病気が発生をいたしたという場合におきます判断も、そういう基盤に立ちますならば従来よりも的確な処置が打てるのではないか、こういうことで進めてまいっておるわけでございます。しかしながら、これらをもってこういう過疎地域における健康問題、医療問題が万全だとはわれわれも決して存じておりませんので、ただいま新しい角度からいろいろと各過疎地域の実態調査を進めておりますが、四十七年度でいままでの第三次五カ年計画が終わります。これにこだわりませんで、四十八年度以降は新しい構想をできるだけ織り込みたい。ただいま勉強中の段階でございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 私くどくどと申し上げましたのは、過疎地であるということによって、そうした地域差をこれまであまり考えないまま施策が非常に取り残されてきたのではないかという観点から申し上げたわけでございまして、今回の老人福祉法の一部改正によりまして、特にそうした地域差というものについての配慮を法令の中ではっきりと明記して、重点的にそこに対する対策を考えていくというようなことも今後必要ではないかと思うわけでございますが、いま局長から御答弁のような、特にこうした地点に対しての配慮というものも一応あるようでありますけれども、ただそれだけで私が申し上げたような悲惨な実態を救済し得るのかどうか。先ほど最後に申し上げたとおり、いつになったら、こうした僻地にあるお年寄りについても何ら不安がなくなるような状態になるのか、もう少しはっきりした見解をお示しいただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 こういう不安の問題というのは、おそらくいつという時限をもちまして一切解消するということはなかなか申し上げにくいと存じます。先ほど申しましたように、従来からいろいろな対策を取りまぜて、その地域でやらなければならぬ——私どもは率直に申し上げまして、過疎地域、僻地に対してこの一つだけやればいいというきめ手というものはなかなかないのではないか。やはりその立地条件その他のことに応じまして、いろいろな施策を総合していくということが一番正しい行き方のように考えております。  その中では、ただいまいろいろ調べておりますけれども、道路事情その他がその後非常に改善されまして、そのために僻地性というものもかなり改善されて、そういったことによって、従来悩んでおった問題が解消されておる地域も多分に出てくるようでございます。そういったことも一方では十分踏まえて、それならそれなりにそういうものに適応した対策もそれに組み合わせていかなければなりません。しかし一方、そう言ってもなかなか、取り残されているということであるならば、またさらに別の、道路事情以外の、通信施設の問題もございます、また先ほど申し上げました保健婦の配置、保健婦の活動の重点地区ということも指定いたしまして、一歩でも二歩でもそういった不安のないように努力していくという態度で臨まなければならないと思っております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 先ほど申し上げましたが、国のいわゆる過疎地域対策緊急措置の施策につきましても、今日ではまだ道路、通信網の整備の一部に取りかかった程度であります。まだ老人福祉対策にまでは手が回らないという実態ではないかと思います。これまで申し上げたような実態と合わせて、大臣としてはこの点についてどうお考えでございますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま医務局長からも申し上げましたように、また社会局長からも先ほどからるるお答えいたしておりますように、これからなすべきことは非常に多いと思っております。どの施策一つということでなしに、かゆいところに手の届くように、こまごまとした事柄を惜しみなくやっていくということが基本的な考え方でなければならないと思っております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 このたびのこの老人医療費の無料化対策でございますが、財政対策の内容を見ましても、市町村の負担というものがあげられているわけであります。特にこうした過疎地帯におきましては、極度の財政困難という事情が伴っております。この施策を実施することによって、そうした地方自治体に対する過重負担という問題等を考えて、こうした過疎地にあるお年寄りに対して、はたして十分な制度の運用がはかれるものかどうか、その辺についての御配慮はいかがなものでございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この老人医療の無料化対策の法案は、何らかの保険で給付を受けて自己負担があるという場合に、その自己負担を七十歳以上の老人について国と地方公共団体で肩がわりしましょう、こういう法律でございます。したがって先生御心配の点、われわれも、そういった医療機関の乏しい過疎地帯の老人、こういう人たちが医療の機会に恵まれないということについては全くその憂いを一にするものでございますが、ただ、この法律の中でその問題を解決するというわけにはまいらないわけでございまして、これはあくまでもそういう保険の給付、医療給付があった場合にその自己負担がある、それを肩がわりしようということでございますから、問題は、その医療の給付を受ける機会が、老人ばかりではなくて過疎地帯の人たちに非常に恵まれていない。したがってそういう点を、医務局長からも説明がありましたけれども、早急に整備してもらって、過疎地帯の人も保険が使えるということを大いにやってもらうことによってこの法律も生きてくる、こういうことになろうと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 私は去る予算委員会の一般質問でも申し上げましたが、このたびのこの老人医療費の無料化対策のスタートにつきましては、これは一応高く評価させていただきます。ただ、その問題点につきましては非常に限られておりますので、これは議論し尽くされていると思いますが、いわゆる年齢制限の問題、それから本人並びに扶養義務者の所得制限の問題、それから公費負担分をどうするかという問題、あとはこの制度の運用にあたってのそれに付随する諸問題ということに限られてくると思いますけれども、非常に重複をして恐縮でありますが、その点について私どもの疑問とするところを以下一つ一つ伺ってまいりたいと思います。  年齢制限につきましては、予算委員会で大臣は、これ以上当面引き下げる考えを持ってい、ない、七十歳が適当であろう、かように考えておりますというふうにはっきりおっしゃっております。それでよろしいのかどうか、まず確認させていただきたいと思います。今後どういう情勢の変化によって、これは再検討されるべきものか、全く検討の余地が残されないまま、七十歳が妥当であるからこのまま行くんだということなのか、その辺を確認させていただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 諸般の情勢を見まして六十五歳からがいいか、七十歳がいいかという判断をいたしたわけでございますが、今日の老人医療の無料化ということを必要とするニードというものは七十歳からでいいのではないか、こういう結論に達したわけでございます。  そこで、しからばもう七十歳というのは鉄則であるかということになりますと、実行いたしてみまして、ニードの見違いがあったということであれば、これはまた再検討いたしたいと思いますが、いまのところは、六十五歳にやるべきだけれども逐次七十歳から進めようという考え方でなくて、七十歳が適当だ、こう判断をした、こう申し上げているわけでありまして、実施をしてみて、これは非常なニードの見違いであったということになれば、またそれに応じて改良いたしてまいらなければならないと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 特にニードということばをきょうお使いになったわけでございます。これは今後、国会の議論におきましても数々議論が重ねられていくと思います。そういったものを含んでおると思いますし、いわゆる老人の病気の実態、そうした内容についても当然検討の対象になると思いますが、そのように判断いたしてよろしゅうございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 いまの先生の御質問は、あるいは取り違えているかもしれませんが、老人の健康の実態についてどういうぐあいに把握しておるかということでございますか。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 ええ。その内容によって、今後年齢制限というものも再検討の対象になるか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 それにつきましては、一応七十歳以上と七十歳以下というものにつきまして、健康の状態についても若干の差異がございます。これは四十三年の高年齢者の実態調査でございますけれども、六十五歳から六十九歳までの老人については、あまり元気でないという者も含めて、大体三六%ぐらいが病気がちである。それに対しまして、七十歳以上の老人につきましては、四五%ぐらいが病気がちであるというような実態が一つございます。それから受診の率も、やはり七十歳から七十四歳あたりの老人が一番受診率が高い、そういう老人の健康状態をも勘案いたしまして、七十歳ということにしたわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 あと、こまかく順次伺ってまいりますので、最初に項目的に、結論的に伺ってまいりますが、所得制限のほうについてはいかがでございましょうか。今後検討の余地はございますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、所得制限の点は、これはまだ大いに検討の余地がある、かように考えております。本人所得の点、それから扶養家族の所得の点、両方に問題がございますが、まず扶養家族の所得制限を撤廃したらどうだという議論が相当強い。これはまず検討しなければなるまい。それから所得制限も、所得税を納めるということでは少し低過ぎるのじゃないかという声もあります。これらの点は十分前向きに検討いたしたいと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 四十八年一月からの施行ということについて御説明いただきたいと思います。  これは何も今日起こった問題ではありませんで、長年強い、それこそ国民のニードがあったわけです。厚生省としては、法改正に踏み切るまでに数々の準備を重ねてこられて、すでに私どもは準備は完了していたと認識をするわけでございますが、これをあえて四十八年の一月からと決定したその根拠を明らかにしていただきたいと思います。これは財政的な配慮だけでございますか、それとも何か理由がありましたらあげていただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この制度は四百万近い老人を対象にして全国的に実施するということでございますので、この制度の実施自体そう小さな問題ではございません。相当いろいろな準備が要るわけでございます。そういう点と、それから一つの問題といたしましては、この支払いの方法等につきましても、医師会あたりともすでにいろいろ話をしておりますけれども、そういった点をいろいろきめていく必要がある。これがなかなか一朝一夕にいかない問題でございます。いろいろ意見もありまして、その実施の方法、この法律ができましたときに老人医療費の支払い方式をどうやるかという問題等につきましても、相当これを詰めるには時間を要する、そういうような点がございます。それからその周知徹底をはかるということのためにも時間が要るわけでございます。そういうようなことから、ややおそいような感じがいたしますけれども、四十八年一月からの実施ということになったわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 すでにこの制度につきましては、地方公共団体において国に先がけて独自に制度化をしているわけでありまして、これはいまさら申し上げるまでもありませんけれども、四十七年一月現在で、三十七都道府県、六指定都市に達しているという報告をされておりますが、そういう実情からしても、国としてここで初めてこの制度の実施に踏み切るにしては、四十八年の一月まで待たなければならないということは、いまの局長の御説明では何か不十分ではないかと思うのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 率直に申しますと、私としては少なくとも十一月実施をしたいと、こう思っておりました。だんだんやっておりますと、事務的にいまのような点も出てまいりまするし、それから四十七年度は税収入も景気の落ち込みでどうであろうかという点もあったりいたしまして、両々相まって一月実施ということになった、かように御承知をいただきたいと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 ここ数年来、厚生省、それから総理府のほうで、いわゆる国としていろんな種類の老人生活の実態の調査を行なってきたようであります。どういう調査が行なわれてきたか、まずそれは項目的でけっこうでございますからあげていただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 これは、老人の実態調査につきまして、国民生活の実態調査というのを厚生省の統計調査部で実施いたしております。それから私のほうでも老人の実態調査というものを実施いたしております。その結果は、先ほどちょっと申し上げましたように、老人の生活の状態というものが非常に困難である、生計が非常に困難であるということ、それから健康状態も非常に恵まれてないということ、それから、ことにひとり暮らしの老人たちの間では、非常に孤独感を訴えているというようなこと、例をあげますとそういうようなことでございますが、老人の生活というものが、一般国民の生活レベルが非常に上がったのに比べまして非常に恵まれてない、そういう実態になっておるわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 局長の御説明のとおりでありますが、これらの調査の結果を通してみましても、六十五歳以上の老人が全国で七百万、有病率が二二%ということのようですが、これは若い人たちの四倍以上でありまして、寝たきり老人を含めますと四〇%の老人が病気になっている。しかもひとり暮らしのお年寄りが全国で六十万、寝たきり老人は全国で約四十万、そのうち八万六千人はだれもめんどうを見てくれない年寄りである。特に注目しなければなりませんのは、いわゆる生活保護制度で救貧的な保護を受けて細々と暮らしていらっしゃる老人が全国に三十五万人、一日二食で済ませているお年寄りが約十七万人、しかも最近お年寄りの家出が多くなっているというような、こういう数々の実態が報告をされているわけであります。わが国が福祉国家を標榜する、口にする、こととは非常にうらはらな状態にあると思うわけであります。そういう現状に対処するにしては、どうも老人福祉問題に対していわゆるおそきに失したという感覚が薄いのではないか。先ほどの年齢制限や所得制限、そしてまた実施の時期等々を考えると、もう少し急激なこうした制度の成熟というものをはからなければならない。その決意というものがどうも薄いのではないかという感じを受けるわけでありますが、先ほど触れました地方自治体が現にこうして先駆を切って、国に先がけてこうした老人医療の無料化対策を実施している、こういう実情を踏まえても、どうも所管大臣としての責任感と申しますか、取り組み方が甘いように感ずるわけでありますが、この点大臣、くどいようでありますが、もう一度所感を伺っておきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 大体政治は将来を見通して先手先手を打っていくのが要諦であろう、かように考えます。ところが、実際はむしろ後手後手に回っているのが実態でありまして、これでは相ならぬと戒めているわけでございますが、その点は申しわけないと存じております。  この老人医療の無料化の問題も、実を申しますともう三年前に厚生省あるいは政府としてはこのやり方をやりたい、それには老人の保険でやったらいいか、一部負担でやったらいいかというようなことを打ち出しまして、制度審議会等にも諮問したのがもう三年前、そのときからこれはもうやるべきだということで踏み切って、手続に非常におくれておったという点が一点あるわけであります。したがいまして、そういった先の見通しは三年前でもおそ過ぎた、かように存ずるのでございますが、審議会その他に付議をいたしたりなんかしている間に、自治体のほうでは先を見て実施されるところが非常に多くなってきたというのが現状でございまして、偽らざる実情を申し上げた次第でございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 そういう御弁解はともかくとして、いずれにしても、国の施策に先立って各地方自治体で先がけて実施をしているわけでありますから、少なくともそうした地方自治体で実施している制度の内容、それより後退するものであってはならないと思います。これまでいろいろ議論はありましたけれども、これまで地方自治体で行なってきた制度と国がこれから実施に踏み切ろうとしているこの制度との関連する問題点等があると思いますが、くどくど申し上げませんけれどもその調整についてどう考えていらっしゃるか、局長のほうから伺っておきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 すでにもう大半の県で、いろいろな形ではございますけれども、老人医療の無料化に踏み切っておりますが、大半の県は現在御審議を願っておりますこの無料化の老人福祉法の一部改正案よりは下回った内容のものが多いわけでございますけれども、一部に、先ほど申し上げましたように、六十五歳以上の寝たきり老人について医療の無料化ということを実施しておる県が十県余りございます。それから所得制限を全然課しいてないというところも、数は非常に少ないわけでございますけれども二、三の県であったと思います。そういう例外的なケースはございますけれども、大半のところは一応、年齢の点からいいましても、所得制限の点からいいましても、給付の内容について見ましても、大体政府の今度の案よりは下回っているということがいえると思います。これを上回っておると申しますか、こちらの対象としている給付内容以上のものを、対象年齢とかそういうものについてやっております県については、先ほども御答弁申し上げましたけれども、これは国の施策が発足いたした後におきましても、どういうぐあいにプラスアルファ分をおやりになるかということは、それぞれの自治体でおきめになる、依然として国よりもよりいい部分をそのまま続けるということであれば、それもけっこうだろうと思います。そういうことで、現在、地方自治体でやっております老人医療の無料化対策との調整はそういうかっこうでつけていきたいというぐあいに思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 今回の改正の趣旨が、いわゆる医療保険で医療を受けた場合に、自己負担をしなければならない費用を公費で負担する措置としておりますけれども、国民皆保険というたてまえでございますから、国民全員が何らかの健康保険なり社会保険に加入しておるわけでありますが、これに該当しない方がいるということもあり得るのではないかと思いますけれども、こうしたお年寄りについて、もしそういった問題が生じた場合にはどう対処されますか。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 御指摘のとおり、国民皆保険でございますので、一応全国民は何らかの保険に加入しているというのがたてまえでございます。現に約九九%の国民は何らかの保険に入っておる、こういう形になっておりますが、わずか一%足らずの人たちがまだ残っておる。しかしその大半は、先ほどの議論に出ましたけれども、生活保護の医療給付を受けておる生活保護の受給者、こういう方たちが大半でございます。あとそれ以外の者につきましては、適用漏れと申しますか、そういう人たちが若干ある、こういう方々については、この際特に七十歳以上の御老人については積極的に国保や何かに加入していただくという努力をしたいと思います。そういうことで、生活保護とそれからその他のいろいろな公費負担の医療給付というものを受けておられる方は別でございますけれども、そうでない場合には一応何らかの保険に入っていただくということによってこのチャンスに七十歳以上の老人の方であれば、条件に該当すればその適用を受けられる、そういう体制になるように持っていきたいというふうに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 そういう御答弁で一応わかりますけれども、こうした改正の趣旨からして、この対策がいわゆる社会保障の補完的役割りしか果たせないのではないかという、制度発足に際してそういう憂慮が残るわけでありますけれども、この点は大臣、心配ないでしょうか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かにこの老人医療の発足のしかたといいますか、その形が、要するに保険の医療があって、その上に乗っけるという形でございますので、先生御心配のような、確かに補足的な形ということを法律的な形でも取らざるを得ないということになったと思います。これがいろいろ議論がありますけれども、根っこから公費負担でやるか、あるいは根っこから保険でやるかは別にいたしまして、一本立ちの老人医療ということになりますと、一つの老人医療を打ち立てたということになりますけれども、今度の政府案が、一応それぞれの保険がまずあって、その自己負担分を公費負担という、木に竹をついだようなかっこうになっておりますので、その点は確かに補足的な形ということは否定できないと思いますけれども、しかし老人が実質的に費用を負担しないで済むということは同じでございます。それで、われわれもいろいろな形を考えましたけれども、とりあえず急いで発足するというためにはこういう形を取らざるを得ない。各県の老人医療の形もそういう形になっておりますので、一応こういう形でスタートしたわけでございます。そういう意味で、形は確に補足性でございますけれども、とにかく七十歳以上の老人のこの条件に合った方は無料になるということでは、これは非常に積極的な意味を持つものだろうというぐあいに考えておるわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 質問がはなはだ前後いたしますけれども、先ほどの年齢制限の七十歳についてであります。  これは法的に問題となる点を一つ伺いたいのですが、いわゆる老人福祉法の第十条の解釈との関連がどうなっていくのか、この点疑問として残るわけでございますが、先ほど来の局長、大臣の年齢制限に対する御答弁は、それはそれとしてお受けいたしますけれども、この法律上はどういう解釈になるか。ということは、この第十条は六十五歳以上の老人の健康診断を義務づけているわけです。ここでは七十歳以上ではないわけですね。当然今回の年齢制限はこの第十条の規定から見ると、やはり私たちが主張しているように、六十五歳としてスタートするのが妥当だったのではないだろうか、こういう気がするわけでありますが、この辺からの解釈はいかがでありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かに先生の御指摘はごもっともな点があると思います。この第十条は健康診査の規定でございますが、この健康診査の規定は、六十五歳以上の者に対して市町村長は健康診査を行なうべきであるという規定でございます。ですから、この条文との関連から見ますと、先生御指摘のとおり六十五歳のほうがいいじゃないかという御意見は、当然な御意見だと思います。ただ私どもは、これとの関連はございますけれども、先ほど大臣からも再々申し上げましたように、老人医療の無料化というものについては、先ほど大臣が申し上げましたような理由で、私は繰り返しませんけれども、そういうことで、とりあえず七十歳ということで出発をするということにしたわけでございます。この十条、これは六十五歳、老人医療の無料化は七十歳ということで、アンバランスがあるようでございますけれども、一応健康診査の問題と老人医療の無料化の問題というものは切り離すということもできないわけではございませんので、そういうことで老人医療の無料化は七十歳ということにしたわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 それともう一つ、現在定年退職制度があるわけであります。大体五十五歳から五十七、八歳までが非常に圧倒的に多いわけであります。早期の健康診査あるいは健康診断の着実な実施ということを考えるときに、そうした成人病の発見に即応するような医療の体制、医療器械の供給がはかられてこそ、私は名実ともにいわゆる老齢社会の保障と老人福祉の充実がはかられると思うわけでありますが、こうした点から見れば、むしろこれは六十歳から健康診査を行ない、そしてまた医療給付の公費負担を実施すべきであるという議論も私は当然出てくると思います。たいへんくどいようでありますが、この辺重ねて御所見を伺いたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この点も、確かに健康診査、ことに老人病というようなものはできれば五十歳くらいから健康診査を始めてなるべく早い機会に悪いところは見つけて治療しておくということが一番いいと思います。実はこの老人医療問題と取り組みますために厚生省にプロジェクトチームをつくりましていろいろ検討いたしましたときも、この健康診査の実施についてはいまは法律上六十五歳になっているけれども、これはやはり老人になった後の健康を守るためにはむしろ五十歳とかあるいは五十五歳、そういった時期に一度スクリーニングをしておくほうがいいじゃないかという議論も出たわけでございます。中間報告の中にはそういうことも言及しておりますけれども、今後の問題といたしまして私どもは、健康診査というものは六十五歳ではややおそすぎる、将来はもう少しこれを早い時期に実施するような方向で改善をいたしたいというぐあいに考えておりますが、いますぐにというわけにはまいりませんけれども、将来の方向としては先生の御指摘のような点を私ども考えてまいりたいと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 予算委員会で、私はことに成人病の問題について大臣に伺いまして、ガンあるいは脳卒中、心臓病対策等については、老人医療という観点から申し上げますと。六十四歳から七十四歳にかけてその死亡率、発病率が非常に高いということを申し上げました。それで、いわゆる七十歳以上という対象年齢とのギャップでありますが、そのギャップについては大臣は、いわゆる高額医療は公費負担の原則を導入してこれに対処していきたい、そういう意味の答弁をされているわけでありますが、この点についての具体的な方策を伺っておきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 保険局長がおりませんから私からお答えいたしますが、具体的な方策とおっしゃいますのはどの程度の二とか存じませんが、私が高額医療を保険で給付をしたい。それは自己負担がいまのところ月に大体三万以上かかる、月額三万以上かかるという場合にはその医療の部分を保険で給付をする、こう考えております。疾病その他の種類は限定いたしません。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 会議録によりますと、このとき大臣は「全般的に高額医療費につきましては、今日保険で自己負担が健康保険なら家族五割、国保なら三割の負担がありますが、その負担がまことに重いものに相なるわけでございます。さような次第でございまするので、ただいま提案をいたしたいと思っておりまする保険の抜本改正におきまして、そういう高額医療は全額保険で支弁のできるように改正をいたしたい、かように考えております。」このようにお答えになっているわけですね。それで、こうしたいわゆる保険の抜本改正において、私、お年寄りの病気の実態とそれから今回の医療費の無料化対策とのギャップを埋めていくというふうに理解をしてよろしゅうございますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 場合によればギャップを埋めるということにもなりましょうが、高額医療費の保険からの給付というのは、老人であるとないにかかわらず自己負担が月額三万以上を要するというものを高額として保険給付をしたいというわけでありますから、自然に、たとえば六十五歳から七十歳までの方で自己負担が非常に高くて困っておられる方も高額医療についてはこれで救済ができる、こういうことを申し上げております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 そうしますと、いわゆる高額の一定水準ですね。医療費の三万円とおっしゃいましたけれども、それ以下の人については制度的には漏れていく、そのように理解してよろしいですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 さようでございます。三万までは自己負担をしていただくということでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 そういう意味からも、年齢制限の引き下げというものはやはり真剣に御検討いただきまして、早期に引き下げがなされるように強く要望いたしておきたいと思います。  次に、この無料化対策が行なわれます。これはほかの各種の老人福祉対策の充実と相まって進められていかなければならないということは、先般来議論のあったところでありますけれども、行政措置として施設中心主議に考えた場合、こうした年寄りの医療を担当していく機関の問題でございますが、一つには老人専門病院というような、そういったものをふやしていくという考え方があると思います。それから大臣がかねがねおっしゃっておるように、特別養護老人ホームにいわゆる老人病院を併設をしていくという方法があると思います。もう一つは、現在ある総合病院等に老人医療科なりあるいは老人のための病棟を増設をしていく、そのほかあったらお示しをいただきたいと思いますが、いろいろな考え方があると思います。こういう方法、何か重点的にお進めになっていくお考えか、あるいはこういう方法を並行して進めていくお考えなのか、その点の方針はどうなっているか。あわせて、特に現在ある総合病院等に老人のための病棟をふやす、あるいはベッドをふやすということになりますと、これは単に厚生省の指導だけでは済まされない点もあるかと思います。そういう点はどうお考えになるか。その辺あわせて御見解を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまあげられましたようないろいろな方法、その組み合わせ、これは地方地方の実情といいますか、現に成人病を中心にした病院がある、あるいはそれを建てたい、そこで特別養護老人ホームをつくりたいというような場合には、できるだけ近い、歩いてでも行けるところにつくっていく、またそういう場所があれば、そういうやり方をやりたい。したがって現状に合わせながら、できやすい方法をその地方の状況に応じて勘案していくのがいいのじゃないだろうか、かように考えております。それから老人病院、成人病院のベッドをふやすというような場合には、これは今日必要性を最も強く感じるわけでありますから、たとえば医療金融公庫の貸し付けもそういうものは先順位でやっていく、そういう方向でやってまいりたい、かように考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 従来の老人福祉法は、いわゆる施設を中心とした考え方が非常に強いと思うのです。施設もこれは全くいま貧弱な現状でありますから、その点にも当然重点を置かなくてはなりませんけれども、在宅主義というものについても何らかのはっきりした方針がこの法の中に明記されなければならないと思います。これについてのお考えはいかがですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かに老人福祉対策は施設に収容して老人の福祉をはかるということと、それから在宅の老人に対する福祉対策というものと両々相まって、しかもそれが、バランスをとって行なわれる必要があろうと思います。そういうことで、私どもも一方において老人ホーム、ことに寝たきり老人につきましては特別養護老人ホームの充足に重点を置くと同時に、先ほどからいろいろ御説明申し上げておりますように、老人のホームヘルパーあるいは介護人の派遣というような居宅の老人の福祉対策ということにも力を入れておるわけであります。今後の法の改正につきましては、これは一応先ほども申し上げましたように医療費の費用負担の法律でございます。そういうことで、特に入院とかあるいは在宅ということに関係なく、とにかく七十歳以上の老人の方が病気のために保険の医療を受ける、これは入院であろうと外来であろうと、あるいは自宅で治療を受けようと病院に行って受けようとかまわないわけでございます。そのときに自己負担分を公費で負担する、こういう仕組みになっておるわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 いわゆる施設中心主義と在宅主義との間、それから老人医療という問題を今後重視していく上においては、病院と家庭との間に一つのステップが必要ではないか。いわゆるハーフウェイハウスというような形の対策も当然はかられなければならないと思いますが、今日の日本においてはどうも皆無というような気がするわけでございますけれども、その辺の施策については現状はどうなっているのか、どうお考えか、お示しいただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 確かに先生御指摘のように、いま私どもは特別養護老人ホームを一生懸命つくっておりますけれども、ここはお医者さんが、常勤の場合はほとんどありませんが、嘱託というかっこうの場合が多いと思いますけれども、一応おられる。それから看護婦が二名でございます。これをもう少し医療体制を整えて、いま先生御指摘のようなナーシソグホームといいますか、そういう形のもの、今後新しくつくる場合に、現在の特養をさらに一歩病院に近づけたような形のものをつくってまいりたい、これはできれば来年度あたりから実現するように努力していきたいと思います。いまそういった問題を審議会の先生方にいろいろ検討していただいておるわけでございますけれども、やはりそういう施設が必要じゃないか。ことに老人医療の無料化が今年発足するということになりますと、病気になった老人の収容施設というもの、これは必ずしも病院でなくてもいい場合も相当あると思います。家庭に置いておくのはまずいけれども、しかしちゃんとした病院に入れるほどのこともない、一応お医者さんと看護婦さんの適当な看護があれば、あるいは介護があればそれでいいというような場合も相当あると思います。そういったお年寄りを入れるための施設を今後——いま先生御指摘のようにわが国にはございませんので、そういうものを整備する必要があろうというぐあいに考えます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 今度のこの制度は、いわゆる健康保険を中心にして実施されるわけであります。それはさきに触れたわけでありますけれども、いわゆる健康保険の適用対象外になるものについていろいろ考えなければならないと思いますが、現状は修復医療と申しますか、そういった点に偏しているという感じがするわけでございまして、それが今度の老人医療対策についても当てはまるのではないか。予防とリハビリテーションについては今回どう対処されていくか、また今後どうなっていくか、この点御説明願いたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人医療の無料化のこの法律は、繰り返すようでございますが、要するに、保険の給付を受けた場合に、この自己負担分をカバーするということでございますので、保険の適用の対象にならない予防の問題とか、あるいはリハビリの問題というのは、一応今度の改正では真正面から取り上げておらないわけでございます。しかし、老人についてそういった予防とかリハビリ、ことにリハビリテーションというのは非常に重要であるということで、これは別途予算措置をもって、この老人医療の無料化とは別に予算措置でやる、こういう体制に一応振り分けておるわけでございます。予防の面につきましては、健康診査、これを毎年やっております。  それから、リハビリテーションにつきましても、これは必ずしもいま予算十分とはいえませんけれども、できるだけこれをふやしまして、とにかくリハビリテーションを適切に行なうことによって寝たきり老人をつくらないで済む、こういう実績が相当出ております。そういう意味で、このリハビリテーションというものは老人の福祉にとって非常に重要でございますので、そういう問題はこの老人医療の無料化とは別に予算措置でできるだけ拡充してまいりたいというぐあいに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 その制度の発足にあたっては別に対処したということでございますが、その辺の考え方、この老人医療対策の問題の中で考えていくべきなのか、議論はいろいろあると思いますけれども、大臣はこの辺どう御判断でございますか。何かちぐはぐな感じがするわけでございますが、あくまでもこれは老人医療の無料化対策の中で考えるべきではなかったか。その健康保険、社会保険を対象とした、くどいようでありますけれども、その範囲内で考えれば、そういう結果にならざるを得なかったと思いますけれども、やはり今後の制度の充実ということを考えれば、この無料化対策の中で考慮すべきであるというように思うのでございますが、その辺いかがでございましょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 率直に申し上げまして、まず、さしあたってやることは、保険の自己負担を老人についてどうするかということがまず先決ということで、そこでそのための特別の法律を出すかと考えました場合に、やはりこれは老人福祉という面からやるのだから、老人福祉法の改正でやろうということで老人福祉法の改正に踏み切ったわけであります。  そうして考えてみますると、老人福祉という点から考えると、ただ自己負担を公費で負担をするというだけでなくて、いまおっしゃいましたリハビリの問題もあるじゃないか、あるいは予防、健康管理の問題もあるじゃないか。しかし、それらはすでに公費で十分とはいえぬけれども、やっておるといった問題に発展をしてまいりまして、そして医療費の自己負担を老人福祉の面からやるというために老人福祉法を改正をするということになった機会に、自己負担だけでなしに、広くいろいろ考えてみてはどうかという議論も出てまいり、われわれもここにこの法律に入れたことによって、さらにこれ以外の点にもまだ及んでいないところがあるということを御指摘にもなり、またわれわれも考えているということになってまいったわけであります。  率直に申しますと、そういうようないきさつから、この法律に入れたということでございまして、この法律に入れたことはそういう意味ではよかった、こういうように考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 老人医療の問題を考えるときに非常に大切なことは、いわゆるよりよく年をとるために若いうちからの健康管理、また病気の予防を考えなければならないということが盛んに言われてまいりました。こうした病気になってからお年寄りの医療費の負担を軽くしてあげるとか、国が見てあげるということは確かに大事でありますが、いま申し上げたような病気になる前の予防なり、健康管理というものをもっと強化しなければならないと思います。  特に生活環境というものは、最近十年来非常に驚くべきような変化をしているわけでありまして、いわゆる公害の激化とか、あるいは食生活の変化、あるいは高齢化社会に非常に進んでまいりました。成人病患者の増加というようないろいろな変化があると思うわけであります。こういった点から老人医療については、さらにこれまでの概念を越えて考え方を持っていかなければならないというように思うわけでございます。特に成人病対策等については老人医療との関連でどうお考えになりますか。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○滝沢政府委員 先生御指摘のように、健康な老人づくりということがまさに必要な対策でございまして、この点につきましては、従来成人病予防対策あるいは脳卒中予防対策、それから老人福祉法に基づく先ほど来の六十五歳以上の老人の健康診査、それから一般的には結核、これもわが国の結核は十五年前、二十年前と比べまして、もう全く老人の病気といえるような状態になってまいりました。  これらの施策につきまして、現在成人病対策は特に胃ガンと子宮ガンを従来ガン対策を中心にやってまいりましたが、これからわが国の死亡率の傾向を見ますと、ガンは先般も新聞に出ましたように横ばいからやや減少の傾向が出てまいりましたが、いま上昇傾向にあるのは、また諸外国の先進国の実態を見ましても、心臓病が最も今後重要になってまいります。わが国がこの循環器のうちの脳卒中が特に高いことは御存じのとおりでございますが、心臓そのものの病気、いわゆる心臓血管系という中の心臓そのものの病気がこれからの非常に注目される病気でございます。この心臓が健康であることが、すべての健康な老人づくりの基礎になりますので、厚生省といたしましては四十七年度健康増進センターのような施策というものを発足させまして、四十歳以上の中高年齢層に積極的な健康づくり、ただいま特に最近いわれておりますことは、循環器系統の病気は静かにしていればいいという概念は、いまの医学からはすでに古くなりまして、糖尿病にしろ、あるいはある程度の高血圧にしろ、積極的な体力づくり、積極的な運動をする——労働というようなものは、からだは動かしますけれども、これは固定した一つの筋肉なり、全身の運動にはならないために、いわゆる労働による過労というものはかえって害もありますけれども、全身運動的な体力づくりは、むしろ循環器系統の予防につながる、こういうような施策が必要になってまいると思います。  われわれがいま一番四十八年度以降の厚生省の対策の中心に考えなければならぬと思いますことは、やはり各種の審議会等の御指摘にもございますように、四十歳以上の者の健康管理対策というものを軌道に乗せまして、そうしてそれが老人健康診査なり、あるいは老人医療の医療を必要とする場合の今回御審議の医療対策につながっていく、いわゆる健康な老人づくり、こういう施策がいまの統計の実態からいって早急に手をつけなければならぬ問題である、こういうふうに理解いたしております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 お年寄りの健康管理対策の方向としては、いわゆる健康増進から疾病の予防、適切な医療、そうしてリハビリテーション、こうした一貫したサービスに対応する施設なり、設備というものが整備されなければならぬと思います。やはりこうした一生涯を通した健康管理というものが必要になると思いますので、いまの局長の御答弁の中にもその方向は十分にくみ取れるわけでありますけれども、特に青壮年から老年期にかけての一貫した健康管理、そういう観点から、先般厚生省が行ないました成人病に対する基礎調査というのを私高く評価したいと思うのです。これは一体どういうことを目ざしてこの調査を行なわれたのか、私流に受けとめれば、先般の予算委員会で私御提案申し上げました、いわゆる成人病予防対策法、これは一応の仮称でありますけれどもそういった法制化によって成人病対策の一貫した方向をここに明確にすべきではないか、そのためにこの基礎調査が行なわれたのだ、こういう準備を当然していらっしゃるのじゃないかという、私どもそういう気持ちで受けとめているわけでございますけれども、いま申し上げた老人の健康管理対策の方向、そしてまた先般の成人病基礎調査、この目的、そしてまた成人病予防法制定への準備、動きについては実情はどうなっているか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○滝沢政府委員 成人病の基礎調査につきましては、実は三十六年、三十七年に二年にわたり実施いたしたわけでございます。その成績等の中で特に注目すべきことは、当時四十歳以上の者約二万人を調査いたしましたが、心電図における異常の発現率を見ておりますと、その結果ほぼ半数の者に何らかの異常を見出しておるということで、たいへんな一つの結果が出たわけでございます。その他のデータも出ておりますが、そういうものを踏まえまして、十年経過いたしました四十六年、四十七年、再び成人病の基礎調査を実施いたしまして、これの比較をするということと、先ほど御説明いたしましたように脳卒中傾向よりもむしろ心臓病の傾向、これが全体の健康の問題につながるということで、四十六、七年の調査は主として脳卒中よりも、むしろ心臓を中心にした調査をいたしております。  この四十六、七年の成績は、ただいまの段階ではまだ手に入りませんし、また結果も出ないのでございますけれども、先ほど先生の御指摘の成人病基礎調査が、何か立法の問題とのからみということでございますが、私たちは国際的にも見ましても、こういう特殊な疾患、特にガンのようなものは外国に非常に高うございまして、日本はまだガンそのものは外国に比べると低い。たとえば昭和四十二年、日本は十万対百十三という死亡率でございますが、ドイツは二百三十というような形でございまして、それぞれの国の実態に応じた対策が必要でございます。脳卒中につきましては、日本は百七十三という数字に対して、アメリカは百二というようなことで、それぞれの国が現状のいわゆる成人病に対応をするのに、立法的な措置による対応のしかたというものはほとんどございませんで、すべて医療制度なり医療保険制度、いわゆる医療を通じての社会保障制度等を通じまして、これらの対策に対応しているわけでございます。  それともう一つの特徴は、先ほど申しましたように、非常に健康づくりを予防的にやるという方向で、ドイツにいたしましても、アメリカにいたしましても、そのような施策が推進されてまいっております。わが国といたしましても、当面われわれがこの問題を担当している事務当局としましては、この事柄の性格上、医療を受ける場合、今回の立法のような一つの安心して医療を受けられる体制をしくことも必要でございますが、その前の段階の問題についての重要性は認識しますけれども、これを立法によって措置しなければならぬかということになりますと、やはり問題点があろうかと思うのでございまして、十年間隔で二回実施しましたこの成人病基礎調査は、必ずしも立法との関連ということは考えておりませんで、むしろ先ほど来申し上げておりますように、わが国の成人病対策全体の強化の資料として用意いたした、こういうのが実態でございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 そういう意味の調査であれば、先ほども申し上げましたとおり、いわゆる公害問題とか、食生活の変化とか、あるいはまた生活環境の変化が相当見られるわけであります。今日の実情については、また調査をすべきではないかと思います。その立法化というものは私は必要だという観点でずっと申し上げてきておりますが、特にガンなどの悪性新生物ですね、これは昭和四十四年で一年間に十一万八千人がなくなっているわけでして、国民総死亡の一七%です。欧米と比較されましたけれども、これは比較の上で低いとおっしゃったわけでありまして、国内の総死亡に対する比率としては、決して低いものではない。そのほか、脳卒中等の脳血管疾患につきましても、約十七万八千人がなくなっている。二五・六%です。それから心臓麻痺等の心疾患については八万三千三百五十八人、これは一二%。こうした成人病につきまして合わせると、国民総死亡の五四・七%を占めているわけであります。  その個々の問題点を一々あげませんけれども、やはりこれまでのばらばらな個々の施策では、私は非常に不十分だと思います。やはりその成人病予防対策法等の立法化によってそれを一貫した施策として充実させていく必要があるのではないかと私は思います。意見としてつけ加えさせていただきます。  最後に老人医療制度を補完する意味での、いわゆる施設の問題でございますけれども、特別養護老人ホームの整備が急務であるということは、繰り返し叫ばれてまいりました。寝たきり老人等でいわゆるこうした施設に入所を要する者が四十万人のうち約二十二、三万人ではないかというふうに私どもは理解いたしておりますが、厚生省の持っておられます五カ年計画、これをもってしても昭和五十年までに大体五万二千三百人しか入所できないわけでありまして、少なくともあと十五万人程度の老人が入所できないで取り残されるわけであります。こういう意味では、まだまだその整備計画も完ぺきではないと思うのでございますけれども、この辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。  私は先ほど施設中心主義と、それからいわゆる在宅主義という両方あげましたけれども、そういった点では昭和五十年にして、なおかつ十五万人が取り残されるというのは、多少修正されるかもしれません。この辺はどうお考えか、お示しをいただきたいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人ホームの整備の方針につきましては、これは特別養護老人ホームを含めまして、五カ年計画では十八万人の収容能力をつくるようにしたいということで、そのうち特別養護老人ホームにつきましては、昭和五十年の目標が七万二千三百人でございます。   〔増岡委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 四十六年から五十年の間に必要な整備量が三万八千六百人、こういう状態になっております。この数でございますけれども、確かに寝たきり老人三十四万といわれておりますが、その中には家庭で家族の介護を受けられるという、そういう意味では比較的恵まれた老人もおられるわけでございます。あるいはまた所得がある程度あるというようなこと、そういうことで急いでとにかく常時介護を要する、しかもその介護をする家族がいない、しかも低所得者である、そういうことにしぼりまして、一応いまぎりぎり最小限必要な線ということで、五カ年計画では特別養護老人ホーム約七万二千三百という数字をつくったわけでございます。  したがいまして、これは明らかに寝たきり老人のすべてを収容できるということではございません。まあぎりぎり緊急にそういった施設にお世話をするという必要がある、そういった老人についてはとりあえずこの特別養護老人ホームに収容する、それを五カ年計画で実施をいたしました後において、さらに必要な老人のための収容施設をさらにつくっていく、こういうことで一応五カ年計画をつくったわけでございます。  なお、五カ年計画につきましては、先ほども大原先生でしたかにお答え申し上げましたけれども、これはさらに再検討する機会もあろうと思います。五カ年この計画で絶対動かさないということじゃなくて、もう少し検討して、さらに場合によってはもっとふやすというようなことも検討してみたいと思いますけれども、いまのところは、一応こういう計画で五カ年計画というものをつくっておるということでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 特養に入所してくる老人に、いわゆる固定病状といえる者は何名もないと思うのです。この特別養護老人ホームの施設を充実するとともに、いわゆる安上がりの病院的な存在にならないかというような心配も一つあるわけであります。たとえば脳卒中で何回も発作を起こしたお年寄りが、福祉事務所を通して十数回病院に依頼したけれども、全部断わられた。結局引き取るところがなくて特別養護老人ホームに入所をさして、不幸にしてこの方は三日後になくなったわけであります。こういう事態も現にあちらこちらに起こっているわけであります。このようにいわゆる現実には重症のお年寄りが病院から捨てられている。それをかろうじて特養老人ホームが拾い上げているというような実態があると思うのであります。この辺、こうした実情について大臣いかがお考えですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 施設の不足のために、そういったようなまことにお気の毒な事態があることを私も見聞をいたしておるわけでありまして、できるだけ早くそういったお気の毒なことのないようにつとめたい、五カ年計画もできるだけ早く完成をいたしたい、かように考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 最後に、老人福祉法でございますけれども、今回の一部改正に関連をいたしまして、この際お伺いしておきますが、三十八年に制定されましたこの老人福祉法につきましては、第一条の(目的)それから第二条の(基本的理念)非常にりっぱであると思いますが、それだけに以下続く各種の施策につきましては、この目的、基本的理念に比べると非常に貧弱である。極言すればまことにちぐはぐであり、バランスがとれていないという感じがするわけでございます。今回の老人医療費の無料化対策、その制度のスタートにあたっての一部改正を一つの出発点として、今後やはり現状に即した大幅な法改正の必要も迫られてくるのではないかと思いますけれども、老人福祉法全般について大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 老人福祉法の目的並びに基本理念に照らして、まだ、はなはだその施策が不十分で恥ずかしいという感じがいたします。その原点に立ち返りまして、またよくさらに考え直して完備をしてまいるようにつとめたい、かように考えます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 西田八郎君。

西田八郎民社党

○西田委員 冒頭にお断わりをいたしておきますが、いままで質問された方と質問事項が重複する点もあろうかと思いますけれども、その点はひとつ御容赦をいただきまして、政府側の御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、この老人福祉法の今回の改正によって医療対策が確立されるわけでありますが、これによってすべての老人の医療が公費負担となるかどうか。例外的に漏れるものも出てくると思いますが、そうした点についてお伺いいたしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほど古川委員からも御質問がございましたが、これに漏れるものはないだろうか、ということは、現在国民皆保険というけれども、保険から漏れているものがありはしないか、あるいはそれが医療保護からも漏れているというものがありはしないか、私どもいろいろ統計を見ておりまして、一、二どうも漏れているものがございます。そこで検討してみますと、これは保険に、はいれない低所得の人は生活保護で見ることになっているわけでありますが、その生活保護の手続もとっていない、あるいはまた浮浪者のようでつかまえどころがないというような人たちが大部分ということでございまして、したがって、そういう方々が病気にかかられた場合には、生活保護なり、あるいは国民健康保険なり、どちらかへ入れて、そして公的な扶助のできるように、というように指導いたしているわけでございます。

西田八郎民社党

○西田委員 確かに浮浪者であるとか生活保護者、つかまえどころのない人は別としまして、たとえばある被用者保険の被保険者であった場合、その人が定年退職をしますね。そうしてすぐに国保加入の手続をとればいいけれども、退職して当時は元気であったから、そういう手続をとらなかったというようなこと、私はそういう例をたくさん知っておるわけです。ですから、そうした問題を一体どういうふうに解決されるのか。そういう漏れ方があると思うのですね。一応国民皆保険ですから、理屈の上では漏れようがないのですけれども、現実にそうして漏れた人がおる。それがあわてて今度は治療を受ける時期が来てから、それから加入するというような問題もあると思うのです。ですから、そういう漏れ方があるように思うのですけれども、それに対して何らかの処置を講じられるのか。あるいは被用者保険脱退のときに国保加入についての趣旨なりを説明されるのかどうか。そうしたきめのこまかい行政指導というものが必要ではないかと思うのですけれども……。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 被用者保険からはずれた場合に、すぐ国保に入る手続をしておきなさいよという注意は、私は必要だと思うのです。各事業所等で、そういう注意を今後さらにしてもらうようにいたしたい、そうしてまた、注意はしたけれども、まあいいといってほったらかしておいたという方が、さあ病気になったという場合に、そういう方が何ぼあるかということをさがして回るということは、なかなかたいへんなことでありますから、そういう方があれば、これはいろいろ方面委員なりまたそういった相談所等もございますので、そこへ行っていただければ親切に指導するように注意をいたしておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田委員 そのことは、やはり私は全企業者に対して、皆保険の立場から十分な指導をする必要があると思うのであります。いま大臣がそういう点を注意したいということでありましたから一応了承いたしますが、行政指導上やはり特に御注意をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  次に、今回の老人医療対策が七十歳以上となった理由は、どこで七十歳ということを区切られたのか、ひとつお教えをいただきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 これは、考えの途中におきまして七十五歳以上でもいいじゃないかということの議論もあり、いや六十五歳以上から必要だという議論もあり、いろいろございましたが、先ほども御説明申しておりましたように、今日の老人医療に対する、できるだけ早くからほしいというのが各個人の要求でございましょうが、社会的なニードというところから見れば、まあ七十歳というのが適当ではないか、かように判断をいたしました。現実に、府県並びに市町村でやっておられる大部分は、七十歳からということでもあるわけです。これらもやはり、そういった社会的なニードを把握してつくっておられるというように判断をいたしたわけであります。

西田八郎民社党

○西田委員 労働省の方見えておりますか。——職業安定局ではつかんでおられるかと思いますが、現在日本の企業の大多数は五十五歳を定年にしておるわけであります。最近一年、二年延びておりますけれども、まだ六十歳、六十五歳というところまでいっていないわけでありますが、定年退職した人のその後の就職状況等についてわかりますか。大体退職者のうちの何%くらいが再就職をしているのかということでいいですよ。

加藤孝労働省職業安定局業務指導課長

○加藤説明員 これは四十四年度の実情でございますけれども、定年到達者の八五・八%が就業をいたしております。それから、この就業者のうち雇用の形をとっております者が七六・四%、自営業の形で就業をしておりますのが九・四%、無職の方が一四・三%ございます。その内訳を見ますと、これを一〇〇といたしました場合に、仕事をしたいという方が八七・四%ございます。仕事をしたいとは思わないという方が二%ございます。それから健康上の理由で働けないという方が一〇・六%、こんな状況でございます。

西田八郎民社党

○西田委員 そこで、その八五・八%の再就職をしている人のうちで、再就職をしてその次にやめるまでのいわゆる就職年数、定着率といいますか就業年数というか、そうしたものはわかりませんか。

加藤孝労働省職業安定局業務指導課長

○加藤説明員 その点につきましては、私ども申しわけありませんが、調査が行き届いておりません。

西田八郎民社党

○西田委員 まあこれは少なくとも、厚生年金六十歳、国民年金六十五歳というような制度がありますから、大体その程度の年限までだというふうに私は推測をするのですが、そうなると七十歳ということになりますと、その間に十年ないし五年の空白ができるわけですね。この空白の期間、年金等ではたして、医療費まで負担して健康を保持することができるのかどうか、ここに一つの疑問を持つわけです。したがって、七十歳以上とされたことに対して非常な、なぜそうなったのかということが、これはもう考えようによっては、予算上の処置から考えて、そうせざるを得なかったというふうに、私は私なりに推測するわけですが、大臣いかがでしょう。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 一面考えますると、御承知のように生活を保護する制度がございまして、そして職業がない、収入がない、あるいは低いという方は、これは生活保護として社会的な保護をやっているわけです。そしてまた医療保護も別にやっておるわけでありまして、今度の場合は生活保護、医療保護を受けている、その上にいる人たちというようにお考えいただければ、その面では必ずしも無謀なギャップをつくっている問題ではない、かように御理解をいただきたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 それはわかりますよ、生活保護その他の保護の方法で救済される方法があるのだからと。だからそれを除いた者、上、下で言うのもおかしいのですが、その上のほうの人についてやるのだということ、それはそのとおりだと思いますが、しかし、それではたして、それらの人の収入が一体どの程度であるのか、しかも罹病率が、先ほどの質問に対するお答えにもあったように非常に高くなるわけですね、そういう面からいうと、やはり医療負担というのは非常な、かりに三割あるいは半額の負担にしても、これは収入に比べてその率が高くなるのではないか。したがって私は、後ほど申し上げますけれども、年金等の一体化をはかる中で、年金の支給開始時期あたりからこの適用をするのが至当ではないかというふうに考えるわけなのであります。  そしてまた、別の面から考えても、日本人の平均寿命が延びた、延びたと言いながらも、まだ男子の平均は七十歳をこしていない、女子の場合は七十四歳ということになっておりますけれども、男子の場合は七十歳をこしていない。だからその平均を越えた非常に少ない部分を対象にこの救済制度というものを設けて、はたしてそれで救済をしたということになるのかどうか、その辺のところに非常に大きな疑問を持つし、また国民の間にもその点が疑問ではなかろうかというふうに考えるものですから、お伺いをしているわけなのであります。  しかし理由としては、いまおっしゃったような点でありますから、これは議論をしておっても平行線をたどるだけであれでありますから、私は、早急にこの面について年齢を引き下げるというようなことを考慮していってほしい。今回は七十歳から出発だ、つまり四十八年一月からですが、これは七十歳から出発だ、しかしそれによって一応実施をしてみて、やはり漸次年齢を引き下げるというような方向にいくべきであると思うが、それに対する大臣の所見を伺いたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほどからお答えをいたしておりますように、今日の段階では七十歳以上が社会的な実情に合うものであろう、かように考えてやっておりますが、やってみまして、これは相当実情を踏みはずしておったというようなことになってまいれば、またその時点で考えてみたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 そこで先ほど話に出ました所得制限の話ですが、これは原則として上げるべきではないかと思うのですけれども、どうして所得制限というものがいつも出てくるのか。年金の場合もそうですし、今度の場合もそうですが、この点についてお伺いしておきたい。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 所得の制限はいまの限度でいいのかどうかと申しますと、もう少し高いところで制限をしたほうがいいのではなかろうか、これはそういった意味で前向きに再検討いたしたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 それでは、今後制限額をもっと引き上げるというふうに解していいわけですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 その方向で検討をいたしたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 次に具体的な、非常にこまかい問題になりますけれども、この措置が実施されますと、やはり無料ということに非常に魅力が出てきて、ただより安いものはないというくらいですから、受診、入院のいわゆる患者といいますか、受診者、入院者等がふえてくるように思うのですが、それの見通しはいかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 確かにふえてくると、かように考えます。しかし、先ほども局長が答弁しておりますように、全国でもうすでに半分ぐらいは実施をいたしておりますので、そういった受診がもうすでに半分ぐらいは高まっている。ですから、これによって、あともう半分ぐらいは高まるであろうということは覚悟をいたしております。

西田八郎民社党

○西田委員 それで、もう三十七都道府県ですか、実施をされているようでありますが、実施される以前と、された後との何か統計といいますか、これはまだ期間が非常に短いので集約されたものはないと思うのですけれども、大体のそうした見通しといいますか、実績の上に立ったものがありますか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 東京都が比較的早くと申しますか、四十四年の十二月から開始しておりまして、それで、ごく大ざっぱなことで一年間で受診率が平均して大体二倍ぐらいになっているという一つの傾向でございます。東京都なんかは医療機関が多いわけでございますので、いなかに行くと、それだけふえるかどうかわかりませんけれども、一つの受診率の傾向は、そういう傾向が東京に出ているということでございます。

西田八郎民社党

○西田委員 そういうことを前提にしての今度の予算措置であるというふうに理解してよろしいのですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 そういう受診率がふえるということを前提にして予算を組んでおります。

西田八郎民社党

○西田委員 そこで、そういうふうになってくると、受診しなくてもいいような人、これは病は気からといいますけれども、そういう人、あるいはその前に、医療行為以前の問題として、カウンセラーというような形で解決するような問題も出てくるんじゃないか、こういうことも起こり得るんじゃないかと思うのですけれども、それに対して健康相談のようなもの、現在いろいろ健康診査をやっておられるわけですけれども、そういうカウンセラーというような形でマン・ツー・マンの相談に乗るというような制度をお考えになっているのかどうか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 健康診査ということは老人福祉法の規定によりまして六十五歳以上の老人に無料で実施いたしておりますが、先生の御指摘の点は、たとえば実際老人医療の無料化によって病院に行く前に何かそういう診療についての相談をするような機関を考えておるかという御質問であるとすれば、いまのところは、そういう問題については考えていないということでございます。

西田八郎民社党

○西田委員 それは考えておられないというと、少し片手落ちになりはしないかというような気がするのです。片一方で医療の無料化を進めていかれる、それはいいわ、いいわで医療行為を行なうわけにいかない。また年寄りというのは非常にかたくなな頭の人も多いわけです。したがって、病院に行かなくてもいいような人でもああ痛いんだ、悪いんだということで病院に行こうとする。それは、いわゆる住みにくい家庭からの逃避ということも考えられるし、いろいろの面での要素があると思うのです。したがって、それはやはり事前に何か相談をしてやるということによって納得をせしめて、そしてそれをいわゆる精神治療をするというような方法もやらないと、ただ医療だけ無料にしたからということでは済まされないと思うのですけれども、いかがですか。考えていないというんじゃなくて、考えてほしいと思います。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 いまの先生の御意見、私ども生常にごもっともだと思います。  私ども老人医療の無料化をするということについては、やはり貴重な税金でございますから、ほんとうに必要な、ほんとうに客観的に医療を必要とする老人が、こうした手段によって必要な医療を受けるということが理想でございます。しかし、それをどうやって担保するかという問題でございますが、これも私ども老人医療の実施の方法のときによく検討してみたいと思います、医師会ともよく話し合いまして。医師会も決してむだな医療が行なわれることを歓迎しているわけじゃないわけでございますから、そういう点について何か適切な方法があれば、それは採用する。これはやたらにチェックするということでなくて、やはり適切な医療を適切な人が受けるということを担保するような何かうまい方法がないか、これはあれば当然医療保険のほうで採用しているのかもしれません。なかなかむずかしいかと思いますけれども、そういった点をもう少し、やはり新しい制度に踏み切る場合に、よく検討してみたいと思っております。

西田八郎民社党

○西田委員 この点はひとつぜひ実施をお願いをしたい。この場合、医師会あたりにしかられるかもわかりませんけれども、ひとつ医師会あたりで——日曜日の受診を担当をきめてやっておられる地域もあるわけですね。したがって、そういうような方法で相談日というようなものを設けられて、そしてそこへ安易に相談に行けるというような方法を考えるということも一つの方法じゃないか。これは単なる思いつきで申し上げておるわけですけれども、そういうことも考えられるのじゃないか。ぜひひとつ実現をしていただきたいと思います。  そこで、受診、入院等がふえてきて、どうしてもやはり入院患者がふえてくると思うのですね。その場合に、現在の施設ではこれは足りないと思うのですけれども、その施設の拡充についての何か方策があるのか伺いたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 この入院のベッドの点でございますが、これは先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、東京都の例では、一年間で、四十五年の四月の実績では、東京都のベッドのうち、老人によって占められているのが二・四%であったわけでございますが、それが一年後の四十六年の三月のときに三・一%というぐあいに、わずかにふえておるわけでございますが、いまのところは、東京都においては、この老人医療の無料化によって特に病院が老人が非常に多くなっているという傾向にはないようでございますが、しかし東京なんかはわりあいベッドの多いところでございます。地方に行けば、やはりこの老人医療の無料化によって、場合によっては医療機関にある程度の影響があるところが出てくる可能性もあろうと思います。それとも関連がございますが、私どもといたしましては、この受け入れ体制という意味で、ことに成人病に対する医療機関の整備、それからベッドの整備、そういうことは当然医務局のほうでもすでに考えておられるようでございますが、医務局ともタイアップいたしまして、この老人医療が円滑に行なわれますように受け入れ施設の整備についても、厚生省として努力してまいりたいと思います。   〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕

西田八郎民社党

○西田委員 私の知っているところで、成人病検査のセンターをつくりました。ところが、あまり利用者がないわけですね。そういうところなんかをやはり利用されるのも、一つの方法ではないかと思う。全国市町村長が選挙ということの基因もあるでしょうけれども、政策の中に成人病センターだとか、あるいは病院だとかということで公約をする。そしてそれを実現するということで、苦しい財政の中で四苦八苦して建てる。建てたところが、病院も、ベッド数が十分満たされないというようなことで困っているようなところも、全国ではずいぶんあるのじゃなかろうかと思うのですね。そういう点を活用するということも考え、かつまた、それにはやはりそれなりの補助が必要だと思う。それはここである程度の、今日まで定められた額の補助等をしてこられたわけですけれども、そういうものに対して、今後増額するというような意思があるかないかお伺いしたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 そういった施設につきまして、特に医療機関の整備については年金福祉事業団の融資であるとか、あるいは医療金融公庫の関係、それから特別地方債の融資というようなものがあろうと思います。そういった対策に対する、いま申し上げましたような金の手当てということは、毎年ふえておるようでございますので、ことに老人医療が実施されます四十七、八年度以降は、そういった面も特に関係方面で意を用いていただきまして、融資やあるいは補助金の面において、できるだけ万全の体制がとられるようにやってまいりたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 ぜひひとつ、そのようにお願いしたいと思います。  次に、こうして無料化してまいりますと、やはり入院患者がふえる。そしてそれは、今度は居ごこちがよくなると、なかなか退院されない。医師から退院を言われても、あそこが痛いここが痛いと言って、言われる医師も扱いにくいということで、いわゆる老人病棟が老人ホーム化しているような傾向もなきにしもあらずだと思うのです。それを無理やりに退院させれば、これはトラブルが起こります。非常にかたくなな老人のことでありますから、その辺の扱いをじょうずにしなければならぬと思うのですけれども、それらについて一体どういう指導をされようとするのか。そしてまた老人自身逆に病院に行けと言ったって、おれはいやだ、おれは医者のところに行って見てもらうのはいやだ、そんな聴診器なんか当ててもらうのはきらいだという老人もおられるわけですね。そういう老人に受診せしめるというのも一つの苦労だと思うのです。変におかみさんが言えば、うちの嫁はわしをいじめよる、追い出しよるというようなことで、非常にトラブルが絶えないと思うのです。そういうものに対する相談というものは、ある程度権威を持った人がやるということによって解決をする場合も非常に多いわけですね。したがって、先ほどのカウンセラー等を含めて、そういう入院、退院等に起こるトラブルの解決、さらには受診等について拒絶反応を示す老人の指導というような面について、どういうような方策を持っておられるか、どんな指導をしていこうとされているか、聞かしていただきたい。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 入院した老人が、医療的には必要がないのに、なかなか退院しないというような場合もあるかとも思いますが、問題はしかし、そういう老人もからだのぐあいや何か悪いわけでしょうから、それを入れるための特別養護老人ホームなんかを整備しまして、そして病院からすぐ自宅というようなことじゃなくて、場合によっては特別老人ホームに入れるということで、そこである程度の医療行為もできますから、そういう体制を完備するということで、やはり病院のベッドというものは必要な人のためにあけておくということが必要だと思います。そういう意味からもやはり特別養護老人ホームの整備ということを急いでやりたいと思います。  それから、なかなか病院に行かぬ人の問題については、これは健康診査のときとか、そういうときにできるだけ出てもらうというようなこと。それから私どものほうの実態調査で、なかなか医者のところに行かぬという一つは、病気を発見された場合に困るということで、なかなか行かぬという御老人が多いようでございます。今度老人医療が無料化になるということであれば、その点は心配ないわけでございます。そういった面におきましても、そういう御老人はある程度減るだろうと思いますけれども、健康診査のときに大いに指導してもらうということで必要な医療は確保されるようにつとめてまいりたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 そこで特別養護老人ホームの話が出ましたけれども、特別養護老人ホーム等に伺って、いろいろと実地に見さしていただくと、全く赤子と同然のような老人の方もおられるわけです。そういう人の看護をしていただく人、介護人といいますか、看護をしておられる方の苦労はほんとうに並みたいていのことではないと思います、自分の子供にさえしてもらえないことを、そういう人たちにしていただくのですから。したがって、そういうことを業とする人が非常に数少ないということで非常に困っておられる施設が多いわけですね。  そこで当然、人間のからだにかわる機械器具というものをもう少し考慮する必要があるのではないか。ふろへ入られるときだとか、あるいは廊下へ連れ出すときだとか、車いす、あるいは担架、いまいろいろな方法が考えられておりますけれども、器具にもう一つ考慮する、改善の必要があるのではないかというふうに思うわけです。そうした点について、厚生省では何か改善についての研究等をやっておられるのですか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 私どものほうに社会福祉審議会というものがございますが、そこに老人福祉のための専門分科会がございます。そこに老人の、ことに老人ホームの問題について諮問をしております。  三つばかりやっておりますけれども、その中で特に老人ホームの運営問題、あるいは構造、設備の問題、こういった問題を審議するようにお願いいたしておりますが、その中でいまお話しのように、確かに今後の老人ホームの問題は施設をできるだけ整備するということと同時に、そこで一生懸命に働いていただけるような、そういった人を確保するということが非常に大きな問題になろうと思います。これが、先生御指摘のように一生懸命にそういうことをやろうという方が必ずしも多くない。また非常に苦労の多い仕事でございますので、その点がたいへんだろうと思います。いま御指摘のような必要なものは機械化していく。たとえば洗たくなんかもいま相当中でやっておる場合があるようでございますが、こういうのを大いに機械化したり、あるいは外部に発注する、外に出すというようなことでできるだけ手を省いていくということをぜひやっていく必要があろうと思います。  そういった問題も含めまして、いまそういった専門の先生方に集まっていただいて検討していただいております。その答申を待って必要な施策をやってまいりたいというぐあいに考えております。

西田八郎民社党

○西田委員 それは答申を待つだけではなしに、もうすでに業者なんかはそういうものについて、医療器具の中の一つとして、ある程度開発をしているところもあると思うのですよ。だから、それはもう行政の中でできることではなかろうかと思うのです。もちろん施設の中はスロープをつくって階段をやめるとか、あるいはエレベーターの速度を落とすとかいうような方法は別として、そういう器具の改善というようなことは、これは厚生省自身でもやれるんじゃないですか、そういう審議会等の答申を待たなくても。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 問題は予算との関連でございますので、私どもはその審議会の答申も別にゆっくりということでなくて、早急に出してもらう。できれば来年度、四十八年度予算の要求に間に合うように私どもとしてはお願いしたいと思っているのです。そういうことで、いま先生御指摘のような点はもっぱら予算との関連でございますので、そういった方面の予算をできるだけ獲得するように努力したいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 次に、こうしたホームで働いておられる方々の給料等について、何か統計がありますか。基準があるはずなんですが……。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人ホームばかりではございませんけれども、そういった社会福祉関係の施設に働いておられる方の処遇の改善というのが、私ども四十七年度の予算要求の一つの非常に大きな項目であったわけでございます。  それで一つの例を申し上げますと、ことにこういった老人ホームとか、あるいは身障の施設とか、あるいは児童の施設において、直接老人とかあるいは子供の処遇に当たる寮母さん、保母さん、そういった人たちの給与の改善ということにできるだけの努力を払っておるわけでございます。  それからもう一つ、民間の社会福祉施設、それから公立の社会福祉施設の職員の格差の問題がございます。ことに四十七年度では、その民間の職員の給与の引き上げということで努力をしたわけでございまして、その結果、一つの例を申し上げますと、特別養護老人ホームの寮母さんの給与が、四十六年の当初で五万二千五百二十八円でございました。それを四十七年度におきましては六万四千九百円、これは民間の方でございますけれども、六万四千九百円ということで相当大幅な引き上げをしております。こういうことで、ああいったところで働かれる方は何も金が目当てというばかりではないと思いますけれども、しかし相当困難な仕事をやっておられますので、それにふさわしい処遇ができるように、今後も改善してまいりたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 それは当然のことでありまして、私、この金額を聞いてまだ少ない、よくこんな金額で働いていただけるなという気がするわけです。実際はその人の気持ちがそういうところに自分の仕事の生きがいというものを感じておられるから、ごしんぼうなすっておられるんだろうと思うのですけれども、やはり先ほども申し上げましたように、身内でさえ世話がしにくい人たちへのめんどうを見ていただくわけであります。そういう意味では今後一そう引き上げに努力をしていただきたい。まあ大幅と言われますけれども、一万二千円ばかりの引き上げであって、いままでが低いんですから、それを二〇%程度引き上げたからといって、私は決して大幅ではないと思うのです。やはり社会的賃金というものもあるわけでありますから、そういうものとにらみ合わせて、それ以上のものを保障するという姿勢が必要かと思いますので、ぜひひとつその点は今後とも御考慮をいただきたいというようにお願いをいたしておきます。  そこで、こうして医療対策が確立されつつあるわけでありますが、同時に、やはり老人対策ということになってまいりますと、所得保障、さらには生活指導というような問題が非常に重要な問題になってこようと思うのです。しかも、長い間日本の敬老精神といいますか、老人対策というものは、子供がこれをめんどうを見る、それがあたりまえだという考え方で私どもは教育を受けてきました。そういう方向できておるわけですが、それがいまやそうではない。親は子供を育てる義務があっても、子は親を育てる義務がないんだというようなパターンに変わりつつあるわけであります。そこに、いわゆるいろいろな問題が生じてきておるわけなんですが、特に重要と思われるのは、年寄りをじゃまもの扱いにするという、こういう偏見といいますか、あるいは実際にそういう人もあるかもわかりませんが、カーつき、家つき、ばば抜きということばも一時はやったわけでありますから、そういう人もあるかと思いますが、そういう老人たちに対する生きがいというものをどう指導していくかという問題があろうと思うのです。それらについて大臣並びに関係者の所見をひとつ聞かしていただきたいのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 なかなかむずかしい問題だと思います。やはり老人の方々、これはだれでもでございますが、生きがいがなくなれば、結局自殺をするとか、投げやりになってしまうとかということになるわけですから、ことに老人になればなおさらだ、かように思います。そこで、老人クラブ活動を補助金も出して奨励をしておりますのも、やはり一つの生きがいの道である。そして、老人クラブに入っている人で、社会に役立つような、社会奉仕的な仕事をやるとか、いろんな方法も考えてもらっておるわけであります。自分自身でやる仕事に精魂を打ち込んでいける人は、これは最もしあわせな方だ。まずそういう方向に仕事をしたいといっても、仕事がないというのでは困るから、そこで、そういった仕事のあっせん等をまず第一にする。しかし、そういう仕事をしなくてもいいけれども、社会的に何か貢献をしたいという方にはその道を開いていただくというような方向で、あるいは老人クラブなり、あるいは一般のPRなりをいたしておるわけであります。  さらにこまかくいえば、これは個人個人の差のある問題でございますが、抽象的には、いまおっしゃるとおり、ぜひそういう方向にやりたいということで進んでおります。

西田八郎民社党

○西田委員 大半の人が、いま大臣のおっしゃるように、老後を自分の趣味を生かしながら、そしてまたいままでの人生経験を生かしながら、何か社会の役に立ちたい、こういう気持ちを持っておられる。それが満たされないから、老人の生きがいがない、こういうことになるんだと思います。そこで、いままでの持っておられる技術なりを生かす方法として職業のあっぜんということがあるし、そして、どうしてもそれが生かされない場合の再訓練というような問題もあろうかと思うのです。  そこで、労働省お見えになっているだろうと思うんですが、そうした定年退職後の人たちの職業指導、特に老人を対象とした職業の訓練というようなことについて、いままで施してこられました状況について、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局業務指導課長

○加藤説明員 いま先生から御指摘のございましたように、定年退職者につきまして私どもが、現在雇用されておられます方の動機といいますか、そういうものを調査をしたものがございます。それによりますと、働かないと生活が困るからというのが八割ございます。それから働くことに生きがいを感ずるからというような方が五%程度ございます。それから生活に直接困りはしないけれども、やはり収入をふやしたい、こういう方が一割程度ございます。そういうようなことで、直接には、やはり生きがい論もございますが、何よりもやはり、私どものあれとしては、生活に困るからというような需要がございますので、何とかそういう定年退職者の方につきまして就職あっせんをしたいということで現在やっておりますのは、安定所に高齢者コーナーというものを、いま全国二十七カ所設けております。それからまた、これは無料職業紹介事業ということで、社会福祉法人に許可してやっております、こういう高齢者のための無料職業紹介事業というものがあるわけでございます。また、全国に九カ所人材銀行というようなものを設けまして、そこで老人のための職業相談、就職あっせんをいたしておるわけでございますが、職業訓練につきましては、私の所管外ではございますが、四十七年度には新たに、現在ございます職業訓練校に併設をいたしまして、特にそういう老人向きの訓練科目を設置していこうということで、現在その種目などの検討を始めておる、こんな段階でございます。

西田八郎民社党

○西田委員 その職業訓練のほうは、ぜひひとつ実現をさしてもらいたいと思います。  それから職業指導。いまおっしゃったような形でいろいろあっせん、指導をしていただいておるようですが、大体それであっせんした人の何%ぐらいがすなおに受け入れて就職をしておられるか、そういうことが何かわかれば聞かしていただきたい。

加藤孝労働省職業安定局業務指導課長

○加藤説明員 たとえば現在安定所に併設をしております高齢者コーナーの就職のあっせん状況を申し上げてみますと、これは年齢別でひとつ見てみますと、たとえば六十歳から六十四歳、こういう方につきましては、いままで七千人の方の求職の申し込みを受けておりますが、そのうち就職いたしましたのが千八百六十七、こんなデータが出ております。また、七十歳以上になりますと、求職申し込みを受けましたのが千四百五十五ございますが、そのうち就職をいたしましたのが百六。それから無料の職業紹介事業でやっておりますデータを見てみますと、この高齢者の無料職業紹介事業で求職の申し込みがございましたのが約二万四千ございます。そのうち常用の就職をいたしましたのが七千二、三百ということでございます。それから常用以外の臨時的なようなものでございますが、それが五百ばかりでございます。特に非常に高齢者になってまいりますと、この辺のあっせんが非常にむずかしくなっておりまして、四十六年度について見ますと、たとえば七十歳以上の方を例にとってみますと、四千人ばかりの求職の申し込みに対しまして、常用の形で就職がさせ得られましたのが八百七十、臨時の形でございますと九十六、こんなようなデータが出ておる現状でございます。

西田八郎民社党

○西田委員 やはり、それから判断しましても、大体三分の一あるいは四分の一程度の就職率ということになるわけですね。ということは、あとの三分の二ないしは七割の人はどうして就職をきらったかというと、やはり自分の能力が生かせないからだということの理由のほうが私は非常に多いように思うのですね。だから、そういうことが高じてくると、どうしてもやはり日常生活の中で精神的にすさんでくるでしょうし、さらに高ずれば病気になるというようなことにもなろうと思うのです。やはり老人に対する生きがいというものは、やってきたんだという、何といいますか使命感というものを持ってきて、そしてさらに、まだおれはやれるんだという自信を持っておられる、それをやはり挫折させないためのそういう対策というのがきわめて重要ではないかと思います。そういう意味で高齢者対策というものも進められたであろうと思いますけれども、ますますこれから老齢化していきますわが国の人口動態の中で、これはきわめて重要な問題だと思いますので、ぜひともそうした点について労働省の抜本的な思い切った対策をひとつお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、仕事だけではなしに、今度は趣味を生かすほうで、先ほど老人クラブ等のお話が出ましたけれども、まだまだ社会全般には定着していないように思うのです。非常に活発な老人クラブもありますけれども、そうでないところもある。したがって、この老人クラブの活動が活発であれば、先ほど私が申し上げましたような、受けなくてもいいような診療は受けないだろうし、また病気にかかる率も少なくて済むのではないか。そしてお互いに慰め合う機会もできてくるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、そうした老人クラブないしは老人が集まって趣味を生かすというような方法について、何か特別に対策を考えておられるかどうか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 老人クラブにつきましては、確かに老人の生きがいといいますか、老後の生活を明るくするということで、私どもそういう老人クラブが活発になることは老人福祉のために非常にけっこうだというぐあいに考えています。それで、実は四十七年度予算におきましても、老人クラブにわずかではございますが補助金を出しております。その対象のクラブを、四十六年までは七万クラブでございましたが、一万クラブふやしまして、八万クラブに対して補助金を出すということにいたしております。そのほか、たとえば老人のスポーツの普及費、これは四十七年度にわずか七百五十万くらいでございますが、新規予算として計上されております。  そういうことで、そのほかいろいろございますけれども、老人の生きがい対策ということで、予算の面におきましても、そういうきめこまかい対策を講じてまいる予定にいたしております。

西田八郎民社党

○西田委員 いま老人クラブに対する補助の問題が出ましたけれども、これはほんとうにスズメの涙程度のもので、出しているとはいうもののきわめて少ない額で、しいて聞きませんけれども、これではほんとうに、クラブの建物の借り上げ料すら無理ではなかろうかというような気もするくらいの金額しか出ておりませんので、この点はいま御説明のあったように、ぜひひとつ次の機会に、来年度ですか、大幅なアップをひとつ御考慮願いたいと思うわけであります。  次に、同じ老人でも趣味を生かしたり、仕事をしたりできる人はいいわけですけれども、今度は寝たきり老人あるいはひとり住まい老人というのが六十万とか百三十万とかいわれておるわけでありますけれども、こういう老人に対して現在の処置で十分と考えておられるのかどうか。

加藤威二厚生省社会局長

○加藤政府委員 寝たきり老人につきましては、先ほど申し上げましたように、要するにホームヘルパー等をできるだけ派遣するということで、この数がまだ不十分であるという点もございます。したがって、そういった点、またからだの悪い方についてはお医者さんや看護婦のチームによる巡回診療ということも始めております。こういうものもさらに一段とその数あるいは度数をふやして実施する必要があろうと思います。その他たとえば、ひとり暮らしの老人に対しましては、相談電話みたいな電話を設置する。これは現在、四十六年度二カ所でございますが、四十七年度もさらに二カ所増設いたしまして、全国四カ所になる、これをモデル的にふやしてまいりたい。一カ所で大体百五十から二百くらいのひとり暮らしの老人のところに電話をつなぐということで、そういった対策は非常にきめのこまかい対策が必要だと思います。問題は老人医療の無料化と年金だと思いますけれども、社会局のこまかい予算で、そういったひとり暮らし、ないし寝たきり老人の福祉の増進のために努力をしてまいりたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、最後に、いまたまたま局長が口にされたわけでありますけれども、医療対策とあわせて生活指導というのは伺ったとおりでありますが、同時にやはり所得保障というものは、切っても切れぬ問題になってくるわけでありますが、この所得保障というのは、私は年金ということになろうと思うのですけれども、これらについて、いずれ国民年金法の改正案の出ることですから、詳しく聞きませんが、私はもうあくまでも年金は一本化すべきだという主張なんですよ。これに対する大臣の所信を伺い、かつまた老人問題研究所等を設置せよという、これはたしか厚生省内の議論の中で出た問題だと聞いておるわけですが、そうした研究所を設置して、老人の今後の対策万般について、さらに対策を進めていくというお考えがあるかどうか最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わります。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 各所で申し上げておりますように、来年は年金の大きな前進という意味で検討いたしたい、いまおっしゃいました年金の一本化、これは保険の一元化と同じように非常にむずかしい問題でありますが、この間の、自民党を除いた三党の共同提案の法案もございます、それらも参考にさせていただいて、できるだけやっていきたいと思います。  老人問題研究所につきましても、たしか本年度千二百万の補助金をとりましたが、なおこれが推進に努力をしてまいりたいと思います。

西田八郎民社党

○西田委員 終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次回は、明二十七日午前十時三十分より理事会、十時四十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会

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