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68回国会衆議院1972/04/25

社会労働委員会 第20号

発言数
239
登壇者
19
会派数
3
開催日
1972/04/25

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  労働安全衛生法案を議題といたします。  質疑を行ないます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず労働大臣に伺いますが、労働安全衛生法、これをあえて基準法から別にして制定したという根拠はどこにありますか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 かねて労働基準法研究会等を中心として御研究を願っておりまして、それぞれの答申、お答え方を拝聴いたしまして、また一方において労働災害の発生、さらに職業病等の増加等によりまして、基準法を、第一条にありまする「相まって」ということで、基準法そのものを十分尊重しながら、やはりこれだけを別個の新法として出したのは、そういう経過でございます。   〔私語する者多し〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 静粛に願います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、結局は改正前と改正後、これははっきり区別をして、改正後においては効果絶大なものがある、こういうような確認の上にこれを提案した、こういうようにはっきり理解しておいて間違いないものですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 先ほども申し上げましたように、今日の現実の情勢に対処するためにはこの新法の必要がありましたので、いま島本委員御指摘のように、そのとおりの考えでこれは出したわけであります。そのとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると結局は、私が聞きたいのは、いままでのあり方はともすれば企業とべったりであるとか、あるいは企業のほうは利潤を追求するために、ある程度の被害があっても、従業員にそれが及ぼされる場合には単なる配置転換またはいろいろな企業内の操作によってこれを隠してきた、こういうような点がいままでのはっきりした状態でございます。しかし今後はそういうようなことはあってはならないし、まさにこの職業病と環境汚染、これを切り離して考えることはできないわけであります。同時に、カネミのあの油症に限らず、日本の企業に共通した問題である。最大の問題は、いま公害と企業内のいわば職業病とが同じ次元に立っているのだ、こういうような考えに立ってこの問題に取っ組まなければならないはずなんであります。したがって、ある職場では、皮膚にあらわれた現象、こういうのは労働災害になってあらわれる。しかしながら、それが企業外に出ると公害になって国民を損傷する、これが一致しているのだ。したがって、もう公害になる以前に職業病の段階でこれを捕捉して、そして壊滅させるのだ、こういうような考えに立ってこれが立案され、今後これを取り締まるというならば、私はやはり今後に期待するところ多いわけです。そういうような時点でこの問題をとらまえながら進みたいと私は思っておるのです。この点においては事務当局も、いま大臣が言ったような発想の上に立ってこの問題を把握しておりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ただいま先生御指摘のように、現在問題になっております公害のおもな発生源は工場、事業場でございます。一般に公害は不特定多数の地域の住民に影響が及ぶものでございますが、その多くは発生源である工場、事業場の中におきまして労働者にも当然に悪影響を及ぼしておるわけでございますので、公害の防止と労働者の災害防止とは密接な関係にあるとわれわれは考えておるわけでございます。そこで労働省といたしましては、従来から引き続き労働者の健康を保持するための対策を一そう強化する、それが公害の発生源もあわせて排除するという効果を持つ、こういう考え方に立ちまして、ただいま大臣が申しましたとおりこの法律の運用にあたってまいりたい、かように考えているところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 以前はそういう考えに立っていなかったのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働省といたしまして従来、ここ数年公害問題が非常に大きな問題となってまいりまして、それと発生源の中における工場、事業場内の労働者の職業病との密接な関係が明らかになってまいりまして以来、逐次そういう姿勢を強めてまいってきておるわけでございますが、今度の立法を契機といたしまして、一そうその点を明確にして取り組む覚悟でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 どうも労働省というのは、以前の労働省、現在の労働省、本日を限界にしてこれから全部生まれ変わって、違うのだ、こういうようなことにはならない。いままでの惰性というものがある。いい子になって法律だけ改正して中身は同じだ、こういうようなことであってはならない。そういうような考えで、いま公害の問題がいわば企業の恥部になっている日本、そういうようなことからして、その企業内に発生している労働災害、職業病、こういうような問題に対していまも以前も同じなんだという考えに立たないということはわかった。しかしながら労働省は厳然として以前もいまも続くのでしょうから、そうなると十五年前、松下電器で進相コンデンサー事業部の従業員、労働者の半数くらいがPCBの症状が出ていたということを、当時においては全然知っておらなかったのですか。本日以後はこれは歴然としてわかって、今後これに対処するということなんですか。この点なんかだったらまことに労働省の態度はまだまだ甘いものがある、こう言わざるを得ない。昭和二十四年にもうすでにその毒性を証明する野村博士によるところの表示があったのです。そして人体実験に入る前に動物実験に入っていた。そういうような問題についてはっきりこれを忠告しておった。しかしあえていままでの労働省はこれを顧みないで、そのままこれを実施しておった。その結果生産第一主義で、PCB、こういうものに対して、これをまき散らす結果になり、こういうような従業員に対しての態度は、これを配置転換やまた職業病として内部で操作するにすぎない。それが現在のいわゆるPCBの世界的な汚染の根源が、日本が第一番だと言われるゆえんだ。私は労働省はそういうような態度であって法を改正しても何にもならぬのじゃないか、こう思うのです。野村博士の報告は昭和二十四年十一月十日の「労働科学」第二十五巻第七号にはっきり収録されて、みなさんが一等よく知っているはずなんだ。そういうようなことに対して何ら顧みておらなかった。今後はそれを取り上げてりっぱに対処すると言う。いままでの労働省の人員と態度、これからの労働省の考え方並びに人員、画期的に違うものであるとどうしても思えない。したがって、これは「労働科学」第二十五巻第七号にはっきり収録されてこの毒性について明らかにされておった。これに対して労働省は何ら手を打っておらなかった。これに対して怠慢じゃありませんか。この事態をほんとうに知らなかったのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まことに申しわけないことでございますが、二十四年当時のそういう問題については、労働省としては当時知っておらなかったわけでございます。労働省といたしましてはその後四十年代になりましてPCBのことがだんだん大きな問題になってまいりまして、それに応じまして四十三年ごろからPCBの問題を取り上げる必要があるということで検討いたしまして、昨年、四十六年に、その検討の結果に基づきまして、特定化学物質等障害予防規則というのを制定いたしまして、その中に特定化学物質の一つといたしましてPCBを取り上げ、それに対する労働衛生上の規制措置をその規則の中に制定し、昨年以来この問題の規制を進めておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もうすでに、昭和二十四年十一月十日にこれが出されておる。昭和三十年の四月にも、これははっきりこの毒性についてもうすでに発表しておる。三十一年の秋になってから、こういうような報告書をあえてまた提出されておる。それから三十二年の夏になってこれがはっきり現象としてあらわれている。年次を追ってだんだんやっておって、あらわれた時点において皆さん考えておる。その以前においてなぜこういう問題に対して対処しなかったのか。現に昭和三十年四月から一年間の間に動物実験をやっております。そのデータもちゃんと出されております。それから、逆に今度は生産量が、鐘淵化学と三菱モンサント、これを合計して四十三年には五千百三十トンが、四十四年は七千七百三十トン、四十五年は一万一千百十トンと、注意しながら、この生産量がぐっと上がってきたというのはどういうわけなんです。労働省は注意していないという証拠です。これだけ従業員が皮膚炎を起こしたり、障害を起こしたり、いろいろこれでまいっているのです。いまあらためて法律を直したからといって、こういうような問題に対してはたして対処できるのですか。法律を直したからといって、皆さんいい子になって、局長はいい子になっても、内容が同じだったら同じような現象がまた続くということになる。法律を直した以上、もうすでにいままでの労働省じゃないんだ、労働安全衛生に関しては画期的な、こういうような事態を自分らでもってはっきりと対処できるんだ、こういうようなことに対してもっと確信を持って確認がなければならないわけなんです。やはりこう続くような気がしてならないわけです。ことばは、労働省では確かにこれは新法をつくって面目歴然たるものがあるでしょう。しかし、内容が同じだったらどうにもならないわけです。現実の例として、四十三年、四十四年、四十五年、労働省が最も内容の充実したときに、逆にこれを発生させる要因をつくっておる。あらためてこれは皆さんに聞きますが、今後こういうような事態を招来しないという確信と、それから内容の充実が労働省にあるのですか。今後こういうようなものに対してはどういうような観点に立って取り締まるのですか、規制するのですか、そして従業員を守るのですか。もう少しそういう点はっきりと解明しておいてもらいたいのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今後もこういういろいろな化学物質の新しい採用等によりまして、この種の職業病が増加してくるという問題は起きてくると思うのでございますが、われわれといたしましては、今回の法律によりまして、いろいろ危害防止措置の規制の根拠を明確にいたしまして、そういうことに対処する法的な体制を整えておるだけでなしに、実際におきましても、実質的、内容的にそういう措置を有効にとれるように極力努力いたしたいと考えておるところでございまして、そういう点につきましては、確かにわれわれのいわゆる基礎となる研究調査体制も従来必ずしも十分でなかったと思うのでございますが、これに対処いたしますために現在、産業医学総合研究所というよなものを三カ年計画で建設中でございまして、そういうものをつくりまして、先生おっしゃるような職業病の有害性、あるいはそれに対する必要な予防措置はどういうようにしたらいいかといったような点につきましても調査研究を強めまして、次々出てまいります新しい事態に有効に対処するような体制を実質内容的にも整えてまいりたい、かように考えておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 あえて申し上げますが、これは「労働科学」第二十五巻第七号というと、皆さんのいわば専門機関と言えるのですけれども、いわば基礎になるような研究の機関じゃございませんか。こういうようなところで早くからこういうように警告しておったのに、いままでの労働省はこれに対してあえて手も入れなければ顧みてもおらない、こういうようなことは私は残念だと思うのです。もっとこういうような問題に対しては、はっきり出ていたのですから――ネズミと人体実験の結果が出ておるのですが、あえて注意を払わない。そうして今度はもう、あくまでもこれが生産集中第一主義になってしまう。そういうような危害を受けた労働者は配置転換ですよ。そうしてまた別な場所で療養させたりして、あえて外部に対して全然出きなかった。その結果は公害の発生です。ですからもう現在の公害というのは、これは原点においては、労働省所管の職業病、労働災害、これをおろそかにするからいままで公害がまき散らされておる。ことばをかえて言うと、いまの日本が公害世界第一の国になったのは、労働省の怠慢であった、こういうふうに言われても、これはもう返すことばもないでしょう。イタイイタイ病の問題にしても、水俣病の問題にしても、まずその原点は職場です。そこが何にもないから、またそういうふうな人たちは、死んで、骨も何も、血液もなくなるというか、骨がすっかり溶けてしまう、燃え切ってしまう。こういうふうになってもあえて職場内にとどめてこれを職業病として出さない。公害として発表しない。その結果が結局もう火葬にしても、骨を拾うにもみんな溶けちゃってないんだ。こういうような実態がそのほかにもあったでしょう。ですから、これからこの法律をつくったあと対処する姿勢というものは、全部の日本の公害を労働省の次元において完全にこれを抹殺するんだ、なくするんだ、こういうふうな新しい決意に立たないと、結局、皆さんがいい子になっただけで、いままでと現状は変わらない、こういうようなことになって、まあ一人の優秀な局長をつくったにすぎない。労働省がいい子になって国民が全部枯れてしまう、こういうようなことじゃ困る。いままでの様子を見ると、今後のこういうような予想される現状から、画期的な一つの決意を持たないとだめなんです。ほんとうに自分らの機関が出しているのに対してさえもはっきり検討しておらない、こういうような態度じゃだめです。企業べったりだ、こう言われてもしようがない。あえてこれは、本題に入る前に強くこれを警告しておきたいし、労働大臣もこれに対してははっきりとした決意を持って対処しないといけないです。きょうの公労協のストだって、これは労働大臣だってちゃんときのうの時点だって、きょうの時点だって対処できた。それに対してずるずるとストに入らせてしまう。今度は公害の問題。これは二十九年段階でわかっている。なのに、ずるずると公害世界第一の国にしてしまっている。だめだ、こういう態度は。局長と大臣にあえてもう一回決意を聞いておきたい。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 当面の春闘の問題についてはきょうは議題外として、安全衛生法についての島本委員のきつい御指摘がございますし、一言私の考えも申し上げておいたほうがよいと思います。  確かに、二十四年の例を引かれましたが、私もそれは初耳でございます。寡聞にして知らなかったことは私の至らざる点でありますが、一昨年秋の臨時国会、公害国会といわれたときに、重要法案の公害法案の御審議を願った。世界のことはよくわからないとしても、やはり画期的なものであったということは私も承知いたしておりまするが、気がついたのがおそかったという御批判はまさにそのとおりだろうと私は思う。しかし、おそかったからといってそのまま放置しておくわけにはいかない。その分を取り戻すための努力というものは、政治の場においてなさなければならないわけであります。私、労働大臣になりましてからいろいろ各委員会において御質問を受けておりますると、確かに従来の労働行政と違ったもの、つまり職業病というか、私自身がわからないようないろいろな薬の名前等もこのごろは勉強させていただいておるのでございますが、世の中はそれほどの展開をいたしておる。これが高度経済成長の陰で気がつかなかったという御指摘は十分私たちも受けまするが、やはりこれに対処するための対応策というものはすみやかに講じていかなければならない。そうでなければ今後の経済の発展もないし、またその中心となる労働力の確保、また職場というものも確保されないわけでありまするから、いろいろと御指摘はありまするが、こういう法律も私は一つの前進であろうと思う。これだけつくって得意になっている労働省の態度というようなことばはなるべくお使いになっていただきたくない。今後これをもととして、いま島本委員御指摘のようなものの絶滅を考えていきますと同時に、労働省自体が今後やはりそれぞれ厚生省、環境庁、大蔵省、関係各省もありますが、十分協議を重ねながら、やはりあくまでも人間尊重というたてまえからその意味における労働力の確保、楽しい職場、明るい職場という方面への指導をしていくことが、これから労働省に課せられた仕事であろうと私は考えておりますので、この新法を契機といたしましてできるだけそういう御批判、御指摘のないような努力を今後とも続けてまいる考えでございます。いままでの、二十四年以来のことについて私も存じ上げなかったことはまことに申しわけないと思っておりますが、災いを転じて福となすという気持ちから、今後は十分これに対処してまいる考えでございまするので、その点御了承いただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで、そういうような製品をつくっておる、また禁止されているような品物をつくっておる、こういうような場合には差しとめ請求が労働省として新法によって可能ですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今度の新法によりまして製造禁止されます物質等につきましては、これはもしこれに違反して製造等をいたしますれば、これは罰則をもって規制されるものでございます。そのほかの、先ほど先生がおあげになりましたような禁止以外の物質につきましては、たとえば特定化学物質等障害予防規則その他の規則によりまして、それぞれ職業病の発生予防のいろいろな措置を規則できめられておりまして、それに違反すればもちろんこれは今度の労働安全衛生法に基づく罰則が適用されるばかりでなくて、そういう違反した状態で作業がなされている場合には、これは使用停止処分等も監督官が命ずることができることに相なっているわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、これは罰金があり罰則がそれぞれきめられておりますが、それを犯した場合には、差しとめ請求権がない以上、罰金を納めたならば何ぼつくってもいいということになろうかと思うのですが、この辺の関係はどうなっておりますかということです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働安全衛生法の九十八条で使用停止命令等の規定があるわけでございまして、その九十八条に例示されているような各条項に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械貸与者等々に対しまして、作業の全部または一部の停止、建設物の全部または一部の使用の停止または変更その他必要な事項を命ずることができることになっております。この違反に対しましては、懲役刑等の罰則もかかっておるところでございますので、罰金さえ納めれば従来どおり作業が続けられるのだということではないわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これはやはり六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金なんですね。同時に、これは使用停止命令でしょう。何の使用停止をするのですか。その機械の差しとめ命令であるというふうに解釈していいんですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 さように御理解いただいてけっこうだと思います。この九十八条では作業の全部または一部の停止のほかに、建設物の全部または一部の使用停止となっておりまして、建設物の中には機械等も含まれるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それはわかっておりますが、今度の改正法によって、以前の法律による基準法の四十八条、それから現在の改正される法律五十五条、これによってそれぞれ使用禁止になる、こういうようなものの物質があげられております。これぐらいはもうすでに何年か前に禁止されておったものであって、現行のものではない。もうすでに過去のものなんです。こういうようなものだけあげておいて、これが労働安全衛生の根幹であるということになると、少しさびしいような気がするわけです。黄燐マッチであるとかベンゼンだとかまたはベンゼンを含有するゴムのりであるとか、これはもう全部過去のものです。過去のものをあげて、現在進行中のものやもうすでに現行のものに対してはまだあえて何も触れられておらない。使用禁止になるものはこれでいいのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 在来のもののほかに、今回の法律によりまして新しくベンジジン、ベータナフチルアミン等四種の物質をこの政令で定めまして、五十五条の製造等の禁止の対象といたす考えでございますが、今後におきましても、先生御指摘のように、この種のものが出てくることは当然考えられることでございまして、私どもといたしましては今後も有害物質につきましては検討を進めまして、これは政令で定めることになっておりますので、必要に応じて随時追加をしてまいりまして、この制度の充実につとめてまいる所存でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ベンジジンであるとかベンジジンを含有する製剤、それとベータナフチルアミン、これらは発ガン性の物質なんです。発ガン性の物質といったら、こんなものだけじゃないのです。現在もう進行中のもの、製造中のものがたくさんあるわけでございます。現にいままでも過去の札つきのものだけをあげて、現在もうすでに指摘されているような、これがいわゆる公害源であるといわれているようなものに対してさっぱり触れておらない。これだけだったら、もう三歳の童子でもわかるようなものだけをあげて、これが画期的新法であるというようなことじゃ困るのです。(橋本(龍)委員「三歳の童子じゃ覚えられないよ」と呼ぶ)いろいろな不規則発言がありますけれども、橋本龍太郎君は四歳にしてもうすでにこんなことは知っておった。ですからこういうものだけは古いのだ。発ガン性物質というのはどういうような点を考えておりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この五十五条でただいま申し上げましたような物質は、発ガン性の物質の中でも特にこれは許容濃度がないといわれまして、ほんの微量なものに触れましてもそういう発ガン作用を持っており、非常にその発生率も高く、現在の技術水準では完全に労働者がそれに曝露することを予防することは不可能、こういうように考えられておるものでございます。  その他、先生御指摘のように、なおガンの原因となるような原ガン性物質があるわけでございますが、それらにつきましてはいろいろ製造過程におきまして規制をいたしまして、密閉した装置の中で製造させるようにする等々の処置を講じますとか、あるいは許容濃度にいたしましても、他の物質は一定の許容濃度以下に押えることが可能である、許容濃度以下に押えれば一応現在の医学水準では労働者に障害を生じないことが考えられるというようなものでございますので、そういうものにつきましては、各種の規制措置を厳格にすることによりまして、労働者がそういう物質に曝露しないように、気中濃度なども許容濃度以下に押えるように規制をしていく、こういうことを考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 あえてここに、黄りんマッチその他命令で定めるもの、これが基準法四十八条、これをそのまま受け継いで、新法ではこれに新たにベンジジンであるとか、ベンジジンを含有する製剤――またベータナフチルアミン、これは発ガン性の物質として指定してきた。その他のものも考えるという。あえてこの名前を列挙した以上、それではアスベストであるとかベリリウム、こういう発ガン性物質をあげなかった理由は、これはどういうようなわけですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生ただいま御指摘のアスベストそれからベリリウム等は昨年制定いたしました特定化学物質等障害予防規則の中に特定化学物資としてあげているものでございまして、それらに対しましては、当規則の中で局所排気装置であるとかあるいは除じん装置であるとか、あるいはその他の漏洩予防の規制であるとか等々の規制措置を講じておるところでございまして、それらを厳格に順守せしめますならば、一応労働者に有害な障害を生ずることを防ぎ得ると、われわれかように考えておるところでございます。したがいまして、今後これらの規則を厳格に守らせることによりまして、労働者にそういう障害が生ずることのないようにしてまいりたいと考えるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ベーダナフチルアミン、これは厳格に守らしても予防できないものである。アスベスト、ベリリウム、これらは厳格に守らしたならば予防できるものであるという、この根拠はありますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ベータナフチルアミン等につきましては、外国の実情等を調べましても、現在の技術水準では、労働者が暴露することからこれを完全に防御するということは期待できない、こういうような状況を聞いておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのほかコールタールやそれから砒素、砒素化合物、こういうようなものに対してはどういう措置をとっていますか。これも全部発ガン性物質でしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 コールタールや砒素化合物などもやはりこの特定化学物質等障害予防規則の物質として掲げてございまして、先ほど申し上げましたような物質と同様に障害発生予防のための規制を当規則によりまして厳格に行なってまいりたい、かように考えておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 クロム酸塩だとかニッケル、こういうようなものも同様なランクになっておるわけであります。もうすでにこういうようなものは医学的に発ガン作用が確認されている。にもかかわらず労働災害防止というこういう観点から労働省はこれに対して具体的な手はまだそこまで及んでおらないで、ただ注意だけさしておる。一方アメリカからいわれると、これはもうベータナフチルアミンのように禁止する、使用禁止の項目の中に入れている。もうすでに現行犯のものに同様なものがあって、これは学界から指摘されているものにアスベストがある。こういうものに対しては要注意だけにとどめておる。この辺はあいまいじゃありませんか。これでいいんですか。これは発ガン性物質である、これはそのおそれが十分過ぎるほどあるということをもうすでに指摘されているはずです。これはまだこの辺にも甘さがあるじゃないですか。これはもっと注意しないとだめだ。労働大臣、これは注意しないといけません。まだこういう状態なんです。いままで、これだって、あげているのはもうすでに過去の札つき。いまもう進行中のもの、現在指摘されているものは入っておらない。ただ要注意の中に入れてある。この間にまた進行するのです。おそらくまだまだこれだけやっても手ぬるい。現在公害では世界一の汚名さえ持っている。この原点においてこれをつかまえるという努力がまだ不足だ。疑わしきは、公害の場合は罰してもいいんです。労働省は緩慢に手放しで許しておる。こういうことはあってはならないはずです。どうなんですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 アスベスト等も特定化学物質等障害予防規則の中の第二類物質として掲げられておるところでございまして、同規則によりまして、それに基づく障害が発生することのないようでき得る限り同規則の厳格な順守をさせていくようにいたしたいと考えております。  なお、先生御指摘のように、まだいろいろ問題のある物質もほかにもあるわけでございますが、それらにつきましては今後とも検討を進めまして、それらの危険性等の証明が漸次明確になってまいりますならば、それに応じまして五十五条の政令で規定いたします物質をふやしていくということで、今後この制度の充実につとめてまいりたい、かように考えておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃこれは厳密に言って、塩素または塩化水素、こういうようなものに対しても――これも塩化ビニール工場なんかでは被害者がもう出ておる。それからBHCやDDT、こういうようなものによってもはっきり被害者が出たりしている。   〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕  こういうようなものに対して、一つ一つ後手後手に回ってはならないと思うのですがね。公害基本法が一昨年の暮れに改正された。関係立法十三、その後また三つふえておりますが、すでにそれぞれ変わった。大気汚染防止法、水質汚濁防止法。もう無過失賠償責任法さえ提案されている。この大気汚染防止法の中にもうすでに特定物質としてきめている問題がある。それからこれはもう規則その他によってはっきりこういうような問題を指摘しているのもある。こういうようなものとの関係はどういうふうにつけておりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 いろいろ物質の中には人体に有害なものが先生御指摘のようにたくさんあるわけでございますが、これらの、従来で申しますと基準法に基づく規則、今回で申しますと、今度の労働安全衛生法に基づきます規則は、その性質からいたしましてこれは製造等の過程で労働者が触れて、そうしてその結果労働者に障害が発生するおそれがある、こういうものを選びましてこれをそういう規制の対象物としておるわけでございまして、このほかにいろいろ物質がございましても、勢製造過程等において、労働者がそういうものに触れてそういう障害を受けることが考えられないものは一応除いておるわけでございますが、大部分のものは当然製造過程において労働者がそういうものに触れる場合が多いわけでございますので、特定化学物質等障害予防規則、そのほかにも、いままでで申しますと基準法に基づく規則といたしましては有機溶剤中毒予防規則あるいは四アルキル鉛中毒予防規則だとか等々の諸規則をつくって、それによってそれらの物質のそれぞれに対応いたします規制をいたしておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だめだよ、そんなの。そんな答弁はもう官僚の答弁だ。あえてこんなことを繰り返す必要はないから言わないのだけれども、PCBなんか御存じのように、もう九月一日までに全部製造さえ禁止している。三菱モンサントでもそれから鐘化でも、もうすでに自主的に製造さえやめておる。六月で終わる。そういうような状態で、これはすでに従業員にあらわれたという例も知っているでしょう。主婦にさえも浸透している。脂肪の中にこれが入った場合に排出しない。唯一の脂肪分の中で排出されるものは母乳である。そうすると母乳は乳児のほうに移る。これまた蓄積されていく。こういうような状態になるとどうにもできなくなるということで製造を禁止しているPCBの問題なんか、何も触れてない。それだけじゃないです。塩素とか塩化水素だって、もう工場で被害者が出ているでしょう。出ていながら、こういうようなものに対して後手後手に回る。労働行政はこれではだめだ。ていさいを整えるだけの法改正では何にもならぬ。その中からそういうような問題をえぐって、その原点でこれを完全に把握して停止するのだ、疑わしきは罰するのだ、こういうような態度でないと、労働安全衛生法は仏つくっても魂がないようなものだ、画竜点睛を欠いているのだ。ほうぼうにそういうのが散見される。ですから、こういうような点は十分調査して、大気汚染防止法施行令の中にも、十条にこの問題がはっきり、物質も列挙されている。それから第一条の中にも、こういうような問題で列挙されておりますから、十分この関連をつけて、公害を職業病の原点、労働災害の原点でとらえるならば、関連法との連携が必要なんです。十分考えてこの禁止措置を講じていますか、その点一言伺っておきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 従来も、そういう公害の対象物質になっておりますようなもの等の規制を考えて、諸規則については制定に当たっておったわけでございますが、さらに今回の法案におきましても、被害防止基準を制定するに当たって、公害に関する法令との調整措置を二十七条におきまして規定をいたしまして、これが労働災害と密接に関連するものの防止に関する公害等の法令の趣旨に反しないように、災害の被害防止措置については配慮しなければならない旨規定をいたしておるところでございまして、今後先生御指摘のように十分公害との関連というものを考えながら、われわれこの法律の運用に当たってまいりたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 希望と願望だけを申し述べても、現時点においては、はい、そうですかというわけにはまいらないのだ。いまは大気汚染防止法の関係を言ったわけですが、水質汚濁防止法の関係にもまだあるのです。この中で、シアン化合物、こういうようなものもちゃんと指摘されているのです。これを廃棄するために出かけた船、その船に乗っておった作業員が、この排出物を捨てに行く途中で被害を受けて死んでいるのです。すでにこれは労働災害です。こういうようなものに対しても、まだまだ十分考えておらぬ。シアン化合物に対して、被害者がもう出ておりますが、こういうような点十分考え、対処しておりますか。横の連絡をとると言いながら、こういうような事件があげられているにもかかわらず、さっぱり進んでおらぬじゃありませんか。私は、こういうような点は後手後手に回るのはだめだということの指摘をしている。あなたは十分これからやるのだ、願望と決意だけ申し述べているのだけれども、現時点においてこれだけのがしておりながら、これからやるのだ、やるのだと帆を上げても、船は先へは進みませんよ。大臣、どうなんですか、ちょっとひどい。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 具体的な例をたくさんおあげになっての御質問でありますが、御高見は拝聴いたしました。今日までの労働行政のあり方がいかにも公害をまき散らしている元凶のごとき御発言でありますが、それは私は当たらないことばであろうと思います。しかし、御批判は御批判としてちょうだいいたしまして、いま申しましたように職業病、ことに発ガン性のもの等についても問題点がたくさんございますので、先ほども触れましたが、関係省庁との連絡もありますが、むしろ労働省が引きずっていくという形でこういう問題に取り組んでいかなければならない、いま御質問を聞きながら私はつくづくそう考え、また労働行政においてもそういう推進をしていくことが今日の時世に適合したものであると考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これで終わりますけれども、その決意だけはわかるのですが、労働行政、安全衛生の面だって現実よりおくれている。それからきょうの公労協のストにだって労働大臣が対処できるのに、これだって現時点からはずれてしまっている、まことに遺憾であるということを表明して、私の質問を終わります。

山下徳夫自由民主党

○山下(徳)委員長代理 古寺宏君

古寺宏公明党

○古寺委員 専売公社にお尋ねをいたします。先日盛岡の工場を見学いたしてまいりましたが、非常に粉じんが多くて、安全衛生上非常に心配な点が多かったわけでございますが、こういう労働条件いわゆる環境の問題については、専売公社としてはどういうような姿勢で取り組んでおられるのか、まず承りたいと思います。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 盛岡の現場を視察いただきまして、たいへん粉じんが多かったということでありますが、私ども、働く人々が気持ちよく働けるようにすることが能率を上げる大きな原因でございますので、この点につきましては十分注意いたしておるつもりではございますが、ただ、製造工場に比べますと、原料工場のほうは多少粉じんが出やすいという点もございます。この点につきましては、まず粉じんをできるだけ発生させないようなやり方をする。これは水分のかげんによって紛じんになりやすい点もございますが、そういう点と、それから出た紛じんをできるだけきれいにする、エアコンディショニングその他、粉じんの集まりやすいところにはそういう設備をいたしているつもりでございます。働く環境をよくいたしませんと、結局作業の能率にも影響いたします。職員の健康に重大な関係がございますので、そういったところには十分配慮いたしているつもりではございまして、労働組合とも職場の衛生問題については話し合っているつもりでございますが、至らない点もございますれば私どもとして改善いたすことにやぶさかではございません。

古寺宏公明党

○古寺委員 この働いている方々の大半がリューマチとか高血圧症とかあるいは肺結核を過去にやった方々とか、非常に病人が多いわけでございますが、こういう点について労働省としていままでどういうような指導監督を行なってきたのか、あるいは、たばこの製造工場においてはどういう点が問題になっているのか、承りたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 たばこの製造工場も基準法の八条一号の製造業の一種といたしまして、製造業は建設業や貨物運送業などと並びまして非常に災害が多い業種でございますので、重点的な業種の一つといたしまして従来監督指導に当たっておるところでございます。たばこ製造につきましてはいろいろな健康上の問題がございますが、特に製造工程のうちでたばこの葉のほぐしだとか乾燥だとか、こういうような工程については非常に粉じんが多発するとかいうこともございますので、設備の密閉化とか局所排気装置の設置等、粉じんの発生抑制装置をも指導しているところでございまして、不十分なものがあるといたしますれば、今後さらに改善させるように強力に指導していきたいと考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 今度盛岡に新工場ができました。東洋一とか東北一とか非常に御自慢のようでございますけれども、何十年も経過した古い工場よりも新しい工場のほうが環境が悪い。実際に総裁がおいでになってごらんになればわかりますし、労働省としても指導監督をやってごらんになれば、環境測定等をやれば、これは明らかにわかることです。なぜこういうような労働環境というものに対するいわゆる留意を十分にしなかったのか非常に疑問に思うわけでございますが、その点について  いかがですか。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 今川理事から御説明させます。

今川演祐日本専売公社理事

○今川説明員 盛岡の原料工場につきましては、公社といたしましては従来の経験の中でそういう騒音なりあるいは粉じん防止なり、そういう対応は十分やったつもりでありますが、しかしながらそういう問題があるとすれば、さらに検討を加えまして対策を講じたい、かように考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 全然改善が見られないわけですね。建物は確かに大きくはなっています。だけれども環境はちっともよくなっていないわけです。  そこでもう一つお尋ねしたいのですが、今回、金沢、函館、盛岡に三工場ができまして、十月から二交代制になることになっています。そうなれば当然午後の部の人は労働強化になるわけですね。ああいう悪い環境の中でさらにこういう労働強化をする。これは合理化ということでおやりになるのでしょうが、そうなりますというと、この職業病あるいは労災の事故というものは当然多くなるわけです。こういう点についてどういうふうにお考えになっていますか。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 新しくできまする各工場のそういった問題につきましても、組合とよく設備の面について話し合ったつもりではございますが、もしかりにも盛岡の原料工場のような御感触が、今後でき上がった場合に起こりますと、これはたいへんなことでございますので、私どもといたしましては十分検討いたしたいと思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 二交代制になるために、特に女子の労働者につきましては、帰りが夜中の十一時ごろになるわけです。当然、今後勤務を続けていくわけにいかない、こういう方々がたくさんおって、中にはやむなく退職をしなければならないという方々もいらっしゃるわけでございますが、こういう点については、従業員の方々の御意見というものを十二分にお聞きになった上で、こういう体制に踏み切ったわけでございますか。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 盛岡等の六工場の設備改善につきまして、設備合理化に伴って二交代制度の実施という点につきましては、実は一昨年労使間のたいへん大きな問題になったわけでございます。私どもといたしましては、投資効率を高めるため――やはり国民の金をお預りしているのでございますから、できるだけ投資効率をあげなければいかぬ。一方また、そういうことをするためには二交代制を導入する。公社の一部にすでに二交代制をやっているところもございます。ただ、たばこの製造工場については今回初めてでございます。一昨年、労使間でたいへん大きな問題になりまして十二分に話し合いまして、いろいろ施設上の要求があり、私どももそれに誠意をもって交渉に当たりました結果、妥結を見て、ただいまのようなことになっておるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 大部分の従業員の方々は、そういう二交代制に踏み切ることに対しては反対なわけなんです。しかしそれを一応承諾いたしませんというと、公社をやめなければならない。それは非常に生活に支障を来たす、やむなく泣き寝入りをしているというのが実情であるように聞いております。こういう点については御存じですか。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 これは全専売労働組合としても重大な問題といたしまして、一昨年非常に長きにわたってお互いの間の話し合いもいたしました。全専売におきましても、組合員ににつきまして最後的には公社の提案する二交代制度を受ける。ただこれに対しましてはいろいろの条件がございまして、福祉関係についてもいろいろ施設をするとか、そういった方面の十分な配慮を行ないました上で、組合側と妥結して、実施できるようになったわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 工場内のたばこの加工中に出ておる粉じん、ごみと申しますか、こういうものが人体にどういうような影響を及ぼすかということについては、いままで研究なり調査なりなさったことはございますか。

今川演祐日本専売公社理事

○今川説明員 専売公社といたしましては、東京病院あるいは京都病院等、直轄の病院を持っております。と同時に、製造工場につきましては診療所を持っておりまして、そこに専任の医者がおる。そういう中でいわゆる予防衛生的な見地からいろいろの研究もいたしておりまして、臨床的には病気にかかった者の治療はもちろんでございますが、同時に環境衛生的な問題としてつかまえまして、そういう研究を進めまして、毎年そういう所長会議、お医者さんの会議をいままでも持ちまして、そういう研究発表が行なわれております。私どももこの問題について、そういう専門でございませんから詳細に覚えておりませんが、たとえばリューマチの問題とか、そういうような環境からくる問題についての研究が毎年なされております。そういう問題については工場のほうで真剣に取り組んでおるだろうというように考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 私がお聞きしているのは、具体的にどういうような有害物質がじんあいの中に含まれておるのか、そういうことをお尋ねしておるわけです。またそれに関するいろいろな研究、学問的な、医学的な研究というものがどういうようになされて、どういうような結論、データというものが出ておるか。  もう一つお尋ねしたいのは、たばこの巻き紙あるいは包装紙でございますが、この中のPCBについてお調べになったことございますか。

今川演祐日本専売公社理事

○今川説明員 その辺の詳細な点につきましては、私よく存じておりません。

古寺宏公明党

○古寺委員 労働省にお尋ねいたしますが、有害性の物質の調査につきましては、今度の五十八条からいきますと、これは努力規定になっておるわけです。ただいまの専売公社の例を見てもおわかりのように、実際にそういう非常に健康上悪い環境の中で作業をし、さらにまた有害物質が究明されない危険な場所で働いていらっしゃる。これは努力規定ですから、当然、何か将来職業病が起きた、あるいは大きな問題が起きたというときになって、はじめてその原因物質の究明をやっていくのでは、労働者というものはモルモット扱いです。そういう点について労働省はいままで、なぜ専売公社の工場内のじんあいについての調査をやらなかったのか、あるいは今後の努力規定によって、そういうような有害物質から労働者の生命、健康を守っていける確信があるのか、その点についてお尋ねします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 五十八条の有害性の調査の点でございますが、それは事業主が、使用する者が、その労働者にとって健康障害を生ずるおそれがあるという有害性につきましてこれを調査し、その防止に必要な措置を講ずることは事業主として当然の規定であると考えます。しかしながら、中小企業等におきましてはその調査能力等にやはり限界があると思いまして、五十八条はこのような努力義務にしております。そういう意味で、中小企業等で必ずしも能力が十分でないものにつきましては、官庁等におきまして、たとえば労働省でも産業医学総合研究所の建設を進めておりますが、そういうところによりましてでき得る限り今後調査能力を高め調査してまいりたいと思うのです。しかしながら、各企業自身でみずからそういう調査をされ、特に能力があるところにおいてこれによって調査をされることは当然のことであろうと私ども考えておるところでございます。なお、労働省必ずしも従来十分でなかったのではないかという御指摘、まことにわれわれも遺憾に存じておるところでございますが、非常に労働者にそういう障害が多発しておるようなものから逐次取り上げて、先ほど申し上げたようないろいろな諸規則もつくっておるところでございまして、今後ますますそういう調査能力を高めまして必要な措置を講じてまいるようにいたしたい、かように考えます。

古寺宏公明党

○古寺委員 私がいま例として申し上げているのは、国がやっている専売公社です。そういうところでさえこういう点については全くやっていないと言っても過言ではないと思う。ましてや中小企業になりますると、これは当然できないことはもう明らかです。そこで専売公社の全国の工場について労働省は、じんあいがどういうふうに労働者に対して影響を与えているのか、あるいは、たばこの巻き紙の中にPCBが一体どのくらい含まれているのか、こういう総点検をやって労働者を守るべきだと思いますが、この点はいかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 従来個々の事業場ごとに監督指導をいたしておっただけでございますが、先生御指摘のような点十分検討をいたしまして今後考えてみたい、このように存ずる次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 専売公社としては、どういうふうに今後取っ組んでいかれるお考えですか。

北島武雄日本専売公社総裁

○北島説明員 もちろん働く方々の健康を守るために、十二分なことはいたさねばならぬと存じます。ただ、原料工場等を回ってみましたが、これは私ども中に入っているだけにかえってわからないのかもしれませんが、そう粉じんのいろいろな工場等は実は私ども御指摘があるまで気がつかなかったくらいで、中に入った者がわからない、外にいる方のほうがおわかりになる方々が多いということもございましょう。ただ、それとともに、各工場には必ず診療所がございまして、先生方もいらっしゃることでございますし、組合のほうでももしそういった衛生上の問題があれば、組合としても十二分に従来から公社に申し入れておるわけでございまして、私どもといたしましては手を尽くしているつもりではございますが、なお一そうそういう点についてお気づきの点がございましたならば御指摘願いたいと思います。私どもといたしましても、中におるとかえってわからないことは今後反省いたしまして、直すべきはどしどし直したい、こう考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 工場を見学した方々の話を聞きますと、昔の刑務所の囚人と同じような作業をやらしておるような感じを受ける、こういう極端なことまでおっしゃる方がいるわけです。確かに外見はすばらしい建物の中で作業をやっております。一たん中に入ってみますと――私はきょう写真を持ってきませんが、写真もとってまいりました。ごらんになればすぐわかります。どなたでもびっくりいたします。そういうような環境の中で、しかも二交代制という、自分では納得できないのではあるけれども生活上やむを得ない、そういうことを強制的に専売公社は労働者に、従業員にそういう条件をしいている。これが労働者の健康をむしばみ、かつは生命の危険さえある、こういうように考えられるわけでございます。そこで、今度のこの法案の中に(事業者等の責務)というところがございますが、この法案の中では「進んで快適な作業環境の実現のために創意工夫をこらす」こと、こういうふうになっているわけですが、こういうようなゆるい規定であっては、これはどこまでいっても労働者の生命、健康というものは保持できない。やはりこれはきちっと事業者の責務というものを明確に規定すべきである、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘の三条におきましては、その先生お読みになりました前段に、「事業者は、単に労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、」そして、進んで快適な作業環境の実現にくふうをこらす、かように書いてございます。この災害防止のための最低基準を守る、これは当然のこと、それは当然守らなければならぬということでございまして、その上に立ってさらに、進んで快適な作業環境実現のくふうをせい、こういうことでございます。先生御指摘のように、事業主が災害防止のための基準を守るべきことは当然過ぎるほど当然のことである、われわれかように考えるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 この法案からいきますと、「最低基準を守るだけでなく、進んで快適な作業環境の実現のために創意工夫をこらす」こういうふうになっていますね。これでは十分に規制ができないと思う。最低基準すら守っていない。それを最低基準まで環境を改善するために努力するといっても、特に中小企業なんかは財政的な理由でそれができないという場合も出ます。そうなればだれが犠牲になるか。結局は労働者が犠牲になるわけでしょう。あくまでも生命尊重という、そういう立場で法案は考えなければいけないと思うわけです。そういう点が非常にここはあいまいでございますので、当然これはいわゆる事業者の責務というものを明確にして、そして労働者の立場というものを守ってあげなければいけない、こういうように思うわけですが、大臣、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 御指摘のように、人命尊重をあくまでも第一といたしております。労働災害の防止は、第一主義的に企業が人命尊重の理念に立ってみずから行なうべきものであるというのが、基本理念であります。したがってその責任者と申しますか事業者と申しますか、これに対しましてはきつくそれを守るよう、この法案でも規定いたしておると私は考えております。またそうでなければ、労働者の人命の尊重、快適な職場というものは守られないと私は考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 ここはきちっと事業者の責務というものを明確にするように修正すべきである、こういうふうに申し上げておきます。  次に労働者の責務の問題でございますが、この問題については労働者のほうは、こうしなさいというふうになっているわけですね。労働者のほうは一方的に、協力しなければならない、こういうふうに規定されているわけです。ところがいまの専売公社のように、じんあいはもうもうとしている、有害物質がたくさんある中で作業している。そういう人がそれではどういうふうにして労働災害の防止に関する措置に協力するわけですか、努力するわけですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 災害防止につきましては、事業主が責任を第一義的に持ちますことは、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、ただ災害防止という事柄の性質上、やはり事業主が講ずるだけでなくて、さらにそれに対して労働者が必要な事項を守るということも必要な場合がございますし、さらに事業主以外の関係者が実施する災害防止に関する措置に協力していただくということが、労働者の災害防止、その生命、身体を守ることに有効である場合もございますので、第四条はそういう趣旨で労働者の方の協力ということをうたっておるわけでございますが、ただ何が何でも、適当でない措置にまで協力せよということではないことは当然のことであると考えます。

古寺宏公明党

○古寺委員 何でもかんでも協力しなければならぬということではない、こうおっしゃっているわけでしょう。ところが今度十月から二交代制になるわけです。非常に過酷な労働条件をしいられているわけです。協力しなければやめなければならぬ。生活ができないのです。しかもそういう悪い環境の中で働いていらっしゃる。そういう実際の実態に合っていないこういう規定であっては、犠牲になるのは労働者だけなんです。だから労働省は、どうも労働者を守る立場ではなくて、むしろ企業寄りの法案であるというふうにしか考えられない。  そこで、次に、監督官の中に医師の資格を持っている監督官というのは一体何人いますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 医師である資格を持っております監督官は現在六名でございますが、その他監督官でない労働衛生関係の職員で医師の資格を持っております者を合わせますと九名でございます。以上、常勤の者は九名でございますが、そのほかに、大学等に勤務きれる方で基準行政の衛生関係の面に御協力をお願いいたしまして、非常勤の職員をお願いしております方々が百十一名おられるわけでございます。なお、昭和四十七年度につきましては、それをさらに三十五名非常勤の方を増員することに相なって、この経費が計上されておるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 どういうわけでこういうふうに少ないのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 われわれといたしましては、医師の資格を持たれました方々をでき得る限り採用いたしたいと思って努力をいたしておるわけでございますが、なかなか医者の方々は臨床のほら等に御希望になられる方が多い等の事情もございまして、われわれの希望するとおりにはなかなか採用が困難なのが現在の実情でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 全国の二百七十万事業所の労働者を守るための監督官が非常に少ない、あるいはまた安全衛生専門官も非常に少ない。しかも、その中で最も大事な医師の監督官がわずかに九名しかいない。こういうことで、この新しい法案がかりに通ったとしても、これをささえていくことができるというふうにお考えですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 われわれも現在の、医者である資格をお持ちの職員が九名であるということはきわめて遺憾に思っておるところでございまして、今後ともこの増員にはできるだけ努力をいたしたい。現在の定員のワク内におきましても、できるだけ医師の資格を持った職員を採用するように努力いたしたいと存じますが、必ずしもそれが直ちに実現しない間は、先ほど申しましたような、外部におられます方を非常勤の職員として御協力をお願いするというような形で、何とか行政遂行に必要最小限の医者の方々の御協力を得てまいりたい、かように考えておるわけでございます。四十七年度三十五名増員いたしますのも、各県に一名の指導医という者を置く、こういう考え方で、今年こういう措置をとったわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 先ほど島本委員からも御指摘がありましたように、新しい原材料がどんどんふえております。また、新しい職業病もふえております。やはりそういうような事態に対応した体制というものを労働省が整えなければ、労働者の生命や健康を守るということはできないわけですね。わが国の労働条件の水準というのは、国際的に見ても非常に低いわけです。   〔山下(徳)委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 そういう面から考えまして、今後のILOの条約の批准を進めると同時に、こういうような体制を早急に整備する必要がある、こういうふうに考える-わけでございますが、時間でございますので、大臣から最後に御決意を承って、質問を終わります。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 監督官並びに安全衛生専門官、それからことに指導医の問題についてお話がございましたが、確かにりょうりょうたる姿であります。この前もこの委員会で、自治省においても、自治省の自治医大と申しまするか、そういうものを考えているのだから、今後発生するであろう職業病その他に対処するために、また労働者を守るために特別の措置を講ずべきではないかという御意見もありまして、私はまことにごもっともだと思っております。いまの医者の養成ということ、これはこの問題に限らず、大きな一つの問題になっていると私は考えております。ですから、今日ただいま直ちに指導医的なものを養成するだけの機関をつくるということは、私はすぐにということにはまいらないと思いまするけれども、いま局長が説明いたしましたよらな数字では、それからまたそれに御協力願う方を極力さがす努力はいたしまするけれども、決して万全とは申せないと私は考えております。ですから、今後監督官の増員、それから安全衛生専門官、ことにお医者さん、この御協力を得るための措置を、最終的には医学全体の問題になってくると思いまするが、とにかくこの新法ができて、そして間に合わないという、その用に立たなかったというようなことのないような、最大限の努力はいたさなければならぬと考えております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 山本君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 先ほど島本委員がPCBについて質問しておりましたので、私はひとつそれをもう少し深めて質問してみたいと思います。  昭和二十四年に野村さんが「労働科学」にPCBの毒性を立証する研究報告を出している。三十年には、日本電機工業会、化成品工業協会がPCBの動物実験をやって、それの職業病調査を依頼した。依頼を受けた労働科学研究所の職業病研究室主任の久保田博士が、PCBは肝臓や皮膚をおかすということを指摘しております。昭和三十二年には、松下電器のコンデンサー事業部で従業員の半数がPCB中毒、四十三年にはカネミの中毒事件。そしてPCB自体の生産からいえば、鐘淵化学、三菱モンサント、これはPCBのメーカーでありますけれども、生産が四十三年は五千百三十トン、四十四年が七千七百三十トン、そして四十五年には一万一千百十トンとなっている。  実は私は確認をしたいわけです。昭和二十四年の研究レポートが知られていなかったと仮定しても、昭和三十一年の久保田博士の報告以後は、PCBの毒性をメーカーは知っていたと思います。これは電気メーカーあるいは化成品工業協会は知っておったと思います。そうすると、有害性を知りながらそれを隠して生産をしておった、これは確認をしていいですね。どうです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ちょっと失礼でございますが、知らなかったというのは事業主側のことでございますか、役所のこと……。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 知らなかったというのは、メーカー、つまり役所のほうの……

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 はなはだ遺憾なことでございますが、当時労働省といたしましては、その問題を十分承知しておらなかったわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私が確認したいのは、電機メーカーや化成品工業協会は知っておって、有害性を知りながらそれを隠して生産をしておった、これは確認できるわけでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 メーカー全部がその問題を知っておったかどらか、私もいま直ちにここでは明確にお答え申し上げる知識はございませんけれども、もし知っておりながらそれをそのまま続けておったということであれば、きわめて遺憾なことだと考えるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 要するに、日本電機工業会と化成品工業協会は、PCBに対する調査を依頼して、そして肝臓や皮膚をおかすという報告を受けているのですから、メーカーとしては、それを知っておったというほかはないと思うのですが、そうでしょう、この点どうなんです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、依頼をいたしました業界といたしましては知っておったものと考えられます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうするとPCBが有毒であるということを労働者が知っていたと仮定した場合――その当時は知っておらなかったと思いますが、かりに知ったとして仮定した場合には、電機産業でコンデンサー生産に従事することを拒否することは、つまりこの法案が出ている段階で私はきわめて常識ある正当なことだと思うのですけれども、それはどうでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 有害であることがはっきりいたしました場合に、それを製造禁止までするか、あるいはいろいろな規制措置をもって労働者に有害でないということを確保することが可能か、その辺はそれぞれの物質に応じまして考えていくべき問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 メーカーはそれを知って生産をしておる、従業者はそれを知らないで生産に従事しておる。労働者が生産に従事しておって、それをかりに知っていた場合に、つまりその当時においてはPCB以外に絶縁体としては有効なる材料というものはなかった。いまはありますよ、いまは。当時としてはそれが唯一のものであった。そうすると、メーカーはそれを使うほかはないわけです。そして労働者はそれを使うことによって被害を受けるということがはっきりしておるといった場合に、そういう生産に従事することを拒否できませんか。私はできるのが当然だと思うけれども、そのときは一体どうなりますかというお尋ねなんです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そういう場合に、労働者といたしましては、当然に有害なことから生ずる障害に対して、必要な防止措置を講ずべきことを使用者に要ますることは当然ではなかろうか、かように考えるわけであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 では一歩譲って、それができなければ生産に従事することは拒否できますね。できますね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 その有害なものの非常に急迫しておるような場合には、作業に従事することを拒否することができると思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、絶縁体としてPCBを使用することを労働者が拒否をすれば電気製品は生産できないわけになりますね。そうでしょう。ことにたとえば松下電器がPCBの代替品というものを完成するまでは、つまりPCBを使うことはできないとするならば、あるいはそれに対する予防措置ということができないとするならば、電気製品の生産を中止せざるを得ない、この法律によれば。そうするとPCBを使うことができないということになると、企業として存続することができないことになると私は思う。  結局私が申し上げたいことは、企業というものは企業としての生産、あるいは利潤を達成するためにはPCBを生産して使用しなければならないわけでしょう。そうすると、企業は自分の企業の必要性というものを優先させて、そして少なくともいままでは、過去にさかのぼって十六年間とにかくPCBの有害であるということを隠して、先ほどの島本委員のお話ではないけれども、労働者及び国民の安全と健康を脅かしてきたという事実はあったと私は思う。これは否定できないだろう。そうすると、政府はこの間にPCBの危険を国民に知らせないで黙過していたことになる。  結論的に私が確認したいことは、企業は労働者と国民の安全よりも、生産と利潤を重視したということになるということが第一点。第二点は、政府は労働者、国民の健康、安全よりも、企業活動を優先させるということを示したということにもなるわけです。  そうしますと、私が申し上げたいのは、労働安全衛生法という、皆さん方が安全ということを強調なさるけれども、利潤というものは、いまの段階で、すべてに優先するのではないのか。そういう企業活動の原理からずれば、企業にとっては、こちらに安全というものが出てくる。しかし、こちらのほうに企業の生産、そしてそれに伴う利潤というものが出てくるとするならば、どちらを選択するかといえば、もうぼくは選択する余地がないと思うのです。安全を捨てて企業の利潤をとるということがはっきりしているのではないかと思うのです。その点は一体どのようにお考えになっているのか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 企業として、そういう自分の企業で使われる物質の安全性というものを十分調査いたしまして、安全性を守りながら企業をすべき責務があるということは、これは明確ではなかろうかと考えるわけでございまして、そういう点の有害性の調査義務等も、今回の法案では規定をいたしておるところであるわけでございます。  なお、政府についてのお話がございましたけれども、労働省といたしましては、いまおあげになりましたPCBにつきましても、それが有害であるということが非常にはっきりいたしてまいりました四十三年来は、鋭意この問題の研究をいたしまして、先ほども申し上げましたごとく、四十六年、昨年の五月には特定化学物質等障害予防規則というものをつくりまして、PCBもその中の第二類物質ということで掲げ、まして、必要な局所排気装置であるとか、あるいはそのための労働者の健康を守るいろいろな処置あるいは環境の測定義務、健康診断等々の規制をいたしまして、労働者に障害が生じないよう規制をし、その強力な実施につとめておるところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 つまり、あなたの答弁は答弁をそらしているのですよ。四十六年以前にすでに有害だということがわかった。有害だということがわかれば直ちに製造を禁止させなければならぬだろうし、使用を禁止させなければならぬだろうと思うのです。ところが、それがわかりながら、それを規制することなしに、企業優先の立場から安全性を無視して、そうして企業に生産を続けさせたといろ実態があるではないか、こう私は申し上げておるのです。  危険性があったんだったら直ちに中止すべきであるにもかかわらず、要するにそれに対する対策研究をしながら、なおかつ生産に従事させているという事実があるではないか。そうすると、その間は、安全というものに対して労働者は非常に危険にさらされておるということではないか。つまり、そういうことになれば、企業というものは利潤を優先するではないか、現にさせておるではないか。安全ということを言いながら、企業というものは常に安全を犠牲にしながら利潤追求をやっておるというのが今日の実態ではないだろうか、こう私は申し上げておるのです。そのことをお認めになるかならぬかということが、私の質問の本旨なんです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 私どもがPCBにつきまして問題があって、これを取り上げる必要があるというふうに承知いたしましたのは四十三年ごろからでございまして、私どもといたしましては、早急にその点の検討をし、どの程度の有害性があり、そうしてその有害性から労働者を守るためにはどういう規制措置をとったらいいかということを極力急いで検討いたしまして、その結果に基づいて必要な規則を制定いたしたわけでございまして、有害であることを承知の上で生産をそのまま放置しておったということではない。やはり罰則をもって規制をいたすためには、それだけ明確な、有害性とそれを除去するために必要な最低限の基準というものがはっきりいたしませんと、罰則をもって強制するということができませんので、その検討のために若干の時間がかかりましたけれども、われわれといたしましては、有害なことを承知のままで労働者を放置しておったということではないわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 五十八条(有害性の調査等)については、「事業者は、化学薬品、化学薬品を含有する製剤その他の物で、労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものについては、」それから先が大事ですが、「あらかじめ、これらの物の有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずる」こうあるわけです。「あらかじめ、」ということばがあるわけです。これから先はそうなさる。しかし、少なくともいままでは、そういうことがあったという事実をお認めにならざるを得ないでしょう。どうですか、その点は。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 確かにいままでについては、先ほど先生から御指摘のような事実を業界で知っておったということでございますれば、ここに書いてありますような労働者の健康障害を生ずるおそれのあるという状態があったわけでございまして、それにかかわらず、その必要な処置を講じていなかったということの事実は否定し得ないと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 ですから常に、少なくともいままでは安全というものを犠牲にしながら、企業の生産、そしてそれに伴う利潤というものを優先をさせたという事実は、私は疑い得ないと思うのです。これは、あとで私が質問するのに関連があるからお伺いをしたわけです。ですから、確認をしたいことは、企業というものは安全性を犠牲にせざるを得ない、つまり選択の余地がなかった、こういうことを私は確認をしたいわけです。  第二点は、災害防止条例がどのようにあるかということは、これは労使関係による、つまり組合が、あるいは労働者の側がといったほうがもっと正確かもわかりませんが、強ければ安全性というものは非常に強調される結果になるんです。それは昭和三十五年から三十六年の三池争議後、組合が分裂した。その結果、労働組合の力が低下すると同時に安全性の措置がずっと下がってきているんです。これは疑い得ないんです、事実としてあるんだから。  たとえば争議前と争議後と三池労組の場合見ますと、保安要員は十一名から六名に滅っておる。それから保安委員会以下いろいろな会議に出席して、時間の拘束なく了解点に至るまで討議することができたんだけれども、争議後は短いときは十二分くらい、あるいは長くて二時間くらいでもう話が済んでいる。つまり問題について徹底的に究明をしていない。常任安全委員会については、人員が二十六名あったのが、いまは十二名、これは第二組合を入れても十二名。現場の安全委員については、鉱員約一万五千人のうちに、五十人に一人の割合で選出し、実際は三百八十名程度おったわけですけれども、いまは全廃をされておる。組合関係から申しますと、大災害の場合は入坑及び一斉点検を組合が行なうための入坑は自由にできたけれども、重大災害の場合入坑を申し入れても、会社は断わっておるという事実があるわけです。   〔橋本(龍)委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕 そして保安の教育予算については、争議前は二百五十万円あったのが、いまは全廃されておる。その他十項目にわたって、分裂前と分裂後とでは、保安条件というのは非常にきわだって異なっておるということが、ここに数字として出てきておるわけですね。  そうすると、災害防止について労使どちらが一体熱心であったかというと、これはやはり労働者は自分のことですから、労働者のほうが熱心だといわざるを得ないと思うのです。このことは確認していただけるかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほどおあげになりました三池の争議後のいろいろな安全衛生の状況につきまして、ただいまちょっと私、その資料を承知いたしておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますが、もし企業が経営が苦しいからといって、労働者の安全と衛生を軽視する態度があったとすれば、それはまことに遺憾なことだ、かように考えるわけでございまして、企業を経営する以上は当然労働者の生命、身体というものをまず前提条件に考えて、事業経営者というものは事業を経営すべきものである、かように考えるわけでございます。労働者よりも事業主がこういう労働者の安全衛生について軽視するという態度があってはならない、かように私ども考えますので、そういう意味におきまして今回の法律におきましても、第三条のみならず各所におきまして、事業者の災害予防の責任というものを強調し、明確にするべくはかっておるところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 時間がないですから、私は先へ進みますけれども、ここに一つの資料があります。それは労働省にも資料の提供をお願いしていただいておりますけれども、その前にゼネラル石油で横山好夫という人が懲戒解雇になりました。それは「労組支部役員の地位を利用し、該当の組合員に働きかけ、抗議行動と称して、組合指令の形で教育を受けることを拒否させ、会社の業務命令に多数の従業員を違反させた」というのが理由であります。問題はビラの背景です。  それで私は、この資料をいただいたわけですけれども、四十五年にゼネラル石油の川崎製油所で四アルキル鉛混入で火災が起きた、これは四エチル鉛原液が飛散して炎上し、そして一名が四エチル鉛の中毒になりました。報告では死傷者なしとあるけれども、これは会社の人ではありませんけれども、ガードマンが一番前に行って消火作業に従事してその後に病気になった、そしていま現にぶらぶらしております。ですから、これは多少労働省の報告と、死傷者なしというところが違いますけれども、その後組合は安全衛生委員会でこれを取り上げて、四エチル鉛作業の自動化、危険物・毒物についての教育、後遺症が出た場合の完全補償を要求いたしました。官庁側、つまり通産省と消防庁はそれに対して、装置の保安再点検の強化、安全操作教育の徹底、自衛消防組織の強化を勧告しました。そして、これを設備使用再開の条件にしたわけであります。ところがこの条件というのは、実は組合側がほぼ一年前から再三会社に要求してきたものであります。ところが会社は、安全には切りがない、現状で十分とは思わないけれども、これ以上安全に金をかけてメリットがあるなら示してほしい、こういうふうに逆に組合側に答えておる。そして会社側がやったことは、官庁の設備使用再開を取りつけるために、一つは固定式のあわ消火設備の設置、専門的に何というのか私は知りませんけれども、それからアースの取りつけなど、十一項目ほどの技術的な改善をする、そして安全教育計画を発表しました。労働省の基準局の報告では、先ほど私が申し上げたように死傷者がなし。発生状況については、加鉛ガソリンに着色染料を混入する際、混入用ポンプが故障したために手作業で行なっていたところ、発火した。原因は、静電気の放電火花による着火である。そして、防止対策としては、静電気の除去、手作業の禁止、こういうふうにいっているわけですね。  こういう経過があったのですけれども、いま申し上げたように、通産省、消防庁が示した勧告というのは、年来組合が要求し、会社がそれを怠ってきたことは事実であります。ここにも書いてあります。そして、会社の発言とあわせて、企業は、実は実際に災害が起こらなければ、部分的な安全対策すらとらない、こういう傾向があると私は思うんです。  皆さんに注意をお願いしたいことは、会社は、被災をした場合だって改善ができますよ。しかし労働者というのは、被災をしたら、改善なんて行ないようがないわけです。手がなくなったら義手を取りつけることはできるけれども、これは本来の機能をやるわけにはいかぬわけですから、そういう意味では改善はできないわけです。基準局の報告というのは、死傷者がありません。そして、後遺症者が出ておることを御存じない。これは私は、監察の方法といいますか、それは方法としては実は間違っておる、こう思うんです。むしろ基準局がやらなければならなかったことは、初めから、手作業でやっていることについて、それを改善をしなさい、自動に直しなさいというような、そういう事前の指導というものが私は必要だったと思うのです。しかし、それをやっておらぬ。  そして、解雇事件の原因となった安全教育というのは、会社の計画によると、対象が川崎製油所製造部の九十九名、期間は三月九日から十二日の四日間、そして方式は一いいですか、ここがたいへん大切なんですよ。毎日午後五時三十分から入時三十分までの三時間の間に教育をやります。そして、どれか一回出ればいい、こういうことを通達をしたのですね。科目については、装置の運転と静電気についてということで教育をします、こういうことを出したわけです。これを御存じですか。――わからなければいいですが、要するに、そういう科目について教育をするということになったわけですね。ところが、問題は勤務形態にある。勤務形態は、あそこの場合、A、B、上、日勤、こうなっている。A勤務、B勤務、上勤務、日勤務となっている。A勤務は九時から二十一時まで、B勤務は二十一時から九時まで、そして上勤務というのは、B勤務が終われば帰ってよい日なんです。そして日勤務といろのは九時から十七時まで、この日は、教育とかあるいはスポット仕事または休暇をとってよい日、こうなっているのです。つまり、これが繰り返して、八日目に公休日と、こうなるわけです。そこで、毎日午後五時三十分から八時三十分までの三時間を教育にすると、こういっているこの時間帯が実は問題になってくる。少しややこしいようですけれども、ですからB勤務というのは四日に一度くるわけですけれども、このときに教育を受けようとすれば、時間外に早出をしなければならなくなるわけですね。そうでしょう。それから日勤務のときには、仕事が終わったあとに教育を受けなければならない。つまり時間外に教育を受けなければならぬことになる。そこで組合は、安全に関する長期計画を示してほしい、これが第一点。第二点は、日勤務の交代時間にやってほしい。つまり日勤務というのは九時から十七時まで、教育、スポット仕事または休暇をとってよい日だから、ちゃんとこういう項目があるんだから、この中でやるべきじゃないかと、こういうことでありましたけれども、それをきせないで、実は支部長が懲戒解雇になった。  そこで私が言いたいことは、安全問題というのは実は労働条件そのものじゃないのか。つまり、私どもが繰り返し申し上げてきたのは、基準法と労働安全衛生法というものを切り離して考えるということがおかしいんじゃないか。特に企業の中の安全の部門だけ、何で特別な立法をつくるのか、こう言ってきたわけです。しかし、ともあれいまそういうことが出てきている。つまりそういう主張をしてきたのは、労働条件というものと安全問題というものは切り離すことができないんだと、こういう主張だったわけですね。その意味で、時間外での教育の会社指令に対して組合が討議をした。そしてこれを拒否したという組合の態度は、私は、正しいと思いますが、この点について一体どうお考えか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生の問題が労働条件の一環であることは、おっしゃるとおりでございます。また安全衛生とその他の労働条件が密接な関連がございますことも、私も、そのとおりであると、かように考えるわけでございます。したがいまして安全教育をやる場合に、安全教育というのは当然使用者側が業務として行なうものでございますが、それを時間内にやるか時間外にやるか、時間外にやるといたしましても、この場合は使用者は残業扱いとしてやるといっているわけでございますから、業務としてやるということはいっているわけでございます。それを所定時間内にやるか所定時間外にやるかという問題、これは労働条件の問題でございますから、労使が十分に話し合って処理すべき問題だ、かように考えるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 時間がないですから、その繰り返しはやりませんが、つまり私が申し上げたいのは、会社のいま言ったやり方というのは設備使用再開の許可を得るための形式的な教育の提示にすぎない。三時間のうちに、しかも時間外にいつ受けてもいいというようなことで、きわめて専門的な科目について短時間でやるというようなことに、実は疑いを持つわけですけれども、つまりそういうやり方というのは、いま申し上げたように、要するに設備の使用再開の許可を得るための形式的な教育ではないか。そして時間外にしたことは、帰ってもよろしいというようなことがあるんですから、時間外にしたことは、やっぱり安全よりも生産第一主義だというふうに私は考えざるを得ないのですよ。  冒頭に私がお伺いしたことは、このことと関連があるからお伺いしたのです。ですから、ここにはもうきちんとした対立というものが浮き彫りにされるわけです。会社というものは生産を第一にする。そして労働条件の変更を伴う安全対策をやる。しかし組合は労働条件の変更について反対をするということですね。ここにはもう、要するに初めから対立点というものが明確になっているわけですよ。これは私は、労使という立場からいえば、もう避けがたいものじゃないだろうか。そうすると前のいきさつ、組合が再三再四安全に対して要求している、そしてあとのこと、そういうことに対して基準局というものは、事故の前後に対するいきさつというものを実際に把握しておるのかどうなのか、これは一体どういうふうになっているんでしょう。把握しておられたのかおられないのか。私は、その労使関係というものを把握することがなくて、つまりそういうものを把握しないで安全指導というものは可能でないと思うからお伺いしているわけです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 監督機関といたしましては、前の事情につきましては、日ごろの日常監督で一応の事情は把握いたしておりますし、事故発生後の状況につきましても、一応災害の事後処理ということで状況を把握しておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 事故が起きて、そしてその事故が起きたときに事故現場に行って、監督署はそれを見て、そして調査している。事故前にそこへ行って手動式のものを自動式にしろというような指導というものをやってないから、こういうものが起きたと私は思うのです。解雇の場合だってそういう時間帯というものをちゃんとあなた方が御存じであって、そして指導をやっているかといったら、そういうことをやっておらぬということなんですよ。つまり、労使関係というものをつかまないで、それで安全、安全といったって始まらぬじゃないだろうか。  ですから、結論に入りますけれども、四条ですが、「労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するようにしなければならない。」とおっしゃっているけれども、労使というものは社会的関係においては対立する利害というものを持つ、これはもう本来的にそういうものを持っておると私思うのです。安全を守る問題というのは、私はそういう意味では特に例外じゃないと思う。そうすると、安全は、労使協力というようなことが前提になっていいのかどうかといろ問題です。本来対立的なものがあるにもかかわらず、それを協力しろということであろうと思うが、言い分として無理じゃないのか。ゼネラル石油の例では事業者の安全措置への労働者の協力はまさに一方的にやられておるわけでしょう。そして労働者に労働条件の変更というものを押しつけているわけですよ。労使が相談しないで、もう一方的に押しつけている。そういう事実がある場合に、一体この四条というものがそのまま素直に労使の中ではめ込まれていいのかどうか。私は基本的に対立するものがあるのに、そんなこと簡単にお考えになっていることは非常に甘いと思うのですね。  まとめて質問いたしますけれども、第二点は第三章です。総括管理者というのがあります。せんだって、たしか前の委員会で総括安全管理者を工場長とするというようなお話もあったと思います。工場長というのは企業から生産の責任を負わされている人でしょう。企業から生産の責任を負わされているその人が安全を第一に考えて生産を第二に考えられるだろうか。生産の責任を負わされている人なら、生産の限度内でしか私は安全というものを考えないと思うのです。工場長というものは、本来がそういう地位にあるんです。そうすると、安全管理体制と言いながら、利害の要するに対立する場であるこの工場の長たるものが、しかもいま申し上げたように、生産の責任を負わされている人たちが、安全とそれから生産のかね合いを一体どのように考えるだろう。これもまた私は基本的な問題だと思うのですよ。その点に対して、労働省は一体どういうふうにお考えになっているのか。これは第二点です。  そして、同じく第三章の総括管理者のところで、労使の関係の、現実にいま私が申し上げたように、両者の権利義務関係を明示をすることが私は必要だと思うけれども、これにはないわけですよ。つまり安全衛生委員会というものは工場長の意見を聞かなければならぬのか、あるいは工場長は安全衛生委員会の意見を聞かなければならぬのか、これはどっちかはっきりしなければ、私はこの辺については明確でないと思うのです。そうしなければ、要するに工場長という生産の責任者というものは、安全を無視して生産第一として、安全委員会の意見を聞かないで、ある場合には意見を押えてやる場合があり得るだろうと思うのです。それに対する押えというものはどこにあるだろう、歯どめというものはありますか。  最後に申し上げたいことは、九十八条と九十九条です。私はゼネラル石油の例を引きましたけれども、それでおわかりだと思いますけれども、特に労働者の危険業務への一就労拒否という問題について、危険の防止というものは、事業主の責務規定あるいは行政監督では保障できませんよ。はっきりと一〇〇%保障できるというなら、私はそれを立証してもらいたいと思うくらいです。ゼネラル石油の例でもわかるように、労働基準局というものは、労災のあとで現場に行っているんですよ。前に行ってませんよ。これは監督官を大幅に増員する。一万でも二万でも増員すればいいと思うんです。ですから、大蔵大臣に来ていただきたいと思ったんですけれども、参議院の関係でお見えにならぬということですから、あれしたのですけれども、監督官というものを何百人というようなふやし方で、そんなことは私は不可能だと思うのです。そうして危険性については、先ほどから申し上げたように、基本的に異なった判断を持っているわけです。  私繰り返し申し上げますけれども、機械が回っている。ゼネラル石油のような災害が起きた場合には、これは金がかかるでしょう。しかし機械が自動的に回っている場合には、指一本取られたくらいだったら一分間かそこいら機械をとめて、そうしてまた回せば、生産というものは可能ですよね。つまり企業というものはそういうものなんですよ。要するに取られた人間というものは、これは改善なんてやれっこないわけですよ。やられっぱなしというのが労働者じゃないですか。つまり機械はかえることができるだろうし、設備というものは改善することができるけれども、被災をした労働者というものは代替できないということですよ。その観念というものは、この法案の中を貫いた観念ではないということを私は指摘したいわけです。設備は改善することはできる。機械は取りかえることもできる。しかし、けがをしたり被災をした人間というものは、労働者というものはかえることができない。それが安全の一番基本であるけれども、全法案を貫いているものにはそれがないでしょう。島本さんが話したPCBの例でも、私はそのことが例証できるだろうと思うのです。それに対して一体どうお考えになっているのか。  私はたしか四点お伺いしたと思いますが、これに対して御意見を聞かせていただきたいし、最後に労働大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 第一点の、労働者の協力の点につきましては、災害防止の責任は基本的に使用者にあることは私どもも確かにそのとおりだと思うわけでございますが、労働者の生命と身体を守りますためには、場合によりますと、使用者の義務だけではなしに、労働者が、使用者が定めたものを守り、あるいは事業主その他の関係者が実施する災害防止措置に協力するということも、労働者の生命、身体を守るために必要ではないかというのが四条の趣旨でございます。しかしながら、適当でない使用者の処置にまで協力しなければならないという趣旨ではないことは、当然のことであると考えるのでございます。  それから第二点の総括安全衛生管理者の問題でございますが、工場長は生産に当たるべき責任者ではないか、それが安全衛生を所管することはどうかという御趣旨でございますが、同時に工場長と申しますのは、その事業所の最高の権限と責任を持った人でございますので、その人たちに、自分が安全衛生について責任があるのだということで責任を持たせることが安全衛生を有効に実施するための効果的なことではないかということが十条の考え方でございます。     [増岡委員長代理退席、委員長着席]  それから第三点の安全衛生委員会の権利義務が明確ではないのではないかという御指摘でございますが、十七条、十八条によりまして、それぞれ定められております安全衛生委員会の任務につきまして、それぞれの事業場でそれらの事項を調査審議させ、意見を述べきせるためにそういうものを設けなければならないということが書いてあるわけでございまして、安全衛生委員会に調査審議させるべき事項、権利を述べさせる事項というととは、一応これらの条項で明確になっていると私ども考えるわけでございます。  それから第四点の九十八条、九十九条の関係でございます。  監督官は、このような使用停止処分の権限を持っておりますが、すべての場合にこれで有効かといわれますと、確かにゼネラル石油の場合も事前の監督もいたしておるわけでありますが、そういう災害が起きた現場にいるかどうかは、必ずしも常時いるということは確言できませんので、確かにそういう場合はこれらの規定だけでは十分安全が確保できるとはいえないと思います。したがいまして、われわれはいろいろな安全衛生規則とか酸欠防止規則とか、それぞれの規則におきまして、急迫した危害が発生するおそれがあるときには、使用者に労働者を待避させる義務等も規定をいたしておるわけでございまして、それらと相まちまして使用者に安全確保の義務を罰則をもって強制しているということから、使用者にそういう安全を確保させるための責任を負わせるという形で、安全の確保をはかっておるところでございます。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 いろいろの例をあげられましての山本委員の御質問でございます。要するに、利潤追求と安全衛生を守ることには矛盾点があるではないかという御指摘でございましたが、今日までそれが絶無とは、私は言えないと思います。いろいろな面で御批判をいただいた点はあると思います。しかし、今後は労使が一体となってその企業を守り、また人命の尊重、明るい職場ということでいかなければ日本の経済というものは伸びていかないのでありますから、この安全衛生法というものを中心として、ことに責任者の責任というものも、事業主の責任というものも明確にいたしておりますから、労使がほんとうに話し合って、円満な間柄で企業の発展を進展させること、それが一番望ましい姿であり、そのための法の運用というものについては、労働省としても最大限の努力をいたす考えであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 四条についての解釈の相違といろのは、私はこれはもう政府と私とでは平行線かもわかりません。しかし少なくとも、総括安全衛生管理者の問題については、安全衛生委員会が工場長の権限をチェックするくらいのものがあったっていいと思うのですけれども、それが欠けておる。それから権利を述べさせる、こう局長はおっしゃったけれども、述べさせた権利が生きるか生きないかという問題についても、はなはだ疑問がある。  そういう点で私はたいへん不満でありますけれども、時間が参りましたので、不満であるということだけ述べさせていただいて、質問を終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働安全衛生法案については、二日間にわたって質問が展開されました。突っ込んだ意見がありましたけれども、中にはまだ十分意を尽くされない点もございます。  そこで、各委員の質問を総括する形で、端的にお伺いいたしますので、ひとつ明快に、しかも簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、労働災害の発生というものは、やはり長時間労働やあるいは低賃金等の劣悪な労働条件に起因しているということがいわれておりますけれども、こういった点から見て、労働基準法から今回の法案を分離いたしまして、その結果というものが十分な災害防止にいわば役立たなくなるのではないか、こういう実は心配をしておる向きがあります。  したがって、この際やはり労働条件の向上、改善を通じて、労働災害の防止、そして健康で文化的な職場環境づくりをするようにしなければならない。そういう意味合いで、やはり従前の、いわば労働者の憲法といわれる労働基準法とこの労働安全衛生法案というものが、一体的に運用されることがどうしても必要だということがいわれてまいりましたが、これに対する大臣のお考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 ただいま御審議願っております労働安全衛生法は、労働基準のうち安全衛生に関する部分とその他の労働災害防止等に関する措置を内容といたしておりまして、賃金、労働時間等について規定する労働基準法の規定と一体となって、労働条件の確保をはかることといたしております。  こうした二つの法律の関係を法律上も明らかにするために、第一に、労働安全衛生法の(目的)の中に、労働基準法と相まって労働者の安全と健康を確保するものであることを明確にいたし、第二番目には、労働基準法に「第五章 安全及び衛生」の童名を残し、回章中に「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。」ということを規定いたしております。第三番目には、労働基準法関係の事項を調査審議する労働基準審議会において「労働安全衛生法の施行及び改正に関する事項、」この審議をお願いすることといたしております。  さらに、今後とも、労働安全を含む労働基準行政を進めるにあたりましては、それを担当する労働基準監督機関において、労働基準法と労働安全衛生法との一体的、総合的な運用に十分配慮し、労働条件全体の改善を通じて安全衛生問題を進めていく考えであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ぜひそのとおりに行政の運営をお願いしたいと思います。  第二問は、いろいろなことが書いておりますけれども、問題はその実行でありまして、いまも山本委員の質問にありましたとおり、現在の労働基準監督官の配備等では、これは十分でありません。やはり労働災害をなくして労働者の職場を安全に保つためには、この基準監督官の増員等行政体制というものを大幅に整備、強化をしなければ、その実効があがらない、こういうふうに私どもは考えておりますけれども、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 御指摘のように、確かに監督官、それから産業安全専門官、労働衛生専門官、それから先ほどから議論になっておる指導医等、これが足りないことは私も率直に認めます。今後ますます増大するであろう行政需要に対処するため、確かに十分な体制とはいえないと思いますので、今後その増員と資質の向上につとめるとともに、機動力の増強――この前の委員会で、私抜き打ち的な監督というようなことも申し上げましたけれども、機動力の増強、それから装備品の効率的な活用、行政機構の整備等による行政能力の向上というものを考えまして、監督指導を重点的に行なう等、労働安全衛生法の施行の円滑化をそれによってはかっていきたい、かように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 この法律を運用するについては、いろいろな専門的、技術的な面が非常に必要になってまいります。したがって、専門の審議機関が必要であると思いますけれども、一体これに対してどうでしょうか。  また中央労働基準審議会がいろいろなことを審議しますけれども、建設業などの、いわば専門的ないろいろな知識が必要な面に対しては、特にこれは力を入れなければならないと思いますし、そういった点から専門の部会を設ける等の御質問がありましたけれども、これに対して、あらためて、ひとつ省としての考え方を明らかにしていただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 現在安全衛生に関する重要事項は、労働基準審議会によって審議されております。今後とも労働基準法と労働安全衛生法との一体的な運用をはかるために、労働基準審議会の所掌事項として「労働安全衛生法の施行に関する重要事項」それの審議を加えまして、従来の体制を踏襲することといたしておるのであります。  なお、お説のとおり、最近は特に問題が専門化をしておりますので、専門家の御意見を伺わなければならない場合がたいへん多くなっておりますが、特にいまおっしゃった建設関係、これにつきましては雇用形態、作業実態などに多くの問題がありますし、災害も多発いたしておりますので、これに有効に対処するためには、造詣の深い専門家であるそういう方々を交えて審議することが必要になってくると思います。このため、中央労働基準審議会の中に置く労働災害防止のための専門の部会において専門家の御意見を聞く機会を設けるなど、そういうことが必要であろうと思います。  ただいまの部会の設置というか、そういう機構の設置については、私は同感であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 第四問は、さきの質問で明らかなとおり監督官や安全衛生専門官等非常に少ないのでありまして、これでは実は十分な監督指導体制というものがはかられるとはいえないと思います。したがって、これの増員等をやっていただくと同時に、これを補完する意味で、現在の訓令によって設置されておりますところの労災防止指導員の権限をさらに明確にいたしまして、この人たちの知識というものを安全衛生行政に活用することも、また必要ではないかと思いますが、どうですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 最近工場、事業場、こういったものが増加の傾向にありますことは御承知のとおりであります。それに加えまして、新しい物質それから新しい工法、日進月歩と申しますか、そういうようなものが至るところに見られるわけでありますが、これらの採用に伴いまして、災害は大型化いたしますし、それから職業病の増加などがありまして、行政需要は年々増大している実情にあることは言うをまちません。これに対しては労働省として労働基準監督官、産業安全・労働衛生専門官の増員と資質の向上とをはかり、行政体制の整備をはかってまいっておるところであります。  労災防止指導員につきましても、この制度の趣旨が労使に理解され、徐々に効果も発揮されつつありますので、今後におきましても民間企業における安全衛生活動などの指導について、できるだけこれを活用し、災害の防止の実をあげていきたいと考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 第五問は、給食や清掃等の仕事をやっていらっしゃる方々というのは、一般には地方公共団体の業務として行なわれておりますけれども、労働基準法の適用があるにもかかわらず、ともすれば実はこれは忘れられがちでありまして、労働災害防止行政上いわば日の当たらないところにおるわけであります。最近はこの事業についても、いろいろな変化がございまして、実は粗大ごみその他いろいろのたいへんな作業に携わっておるし、また給食の方々は湿気の多い、あるいはまた非常に高温なところで作業をしている、こういう実態でございます。ひとつこれらの人たちに対して快適な作業環境を与え、労働災害が防止されるような道を開かなければならないと私は思うわけでありますが、そういった点で、これらの作業についての危害防止基準の明確化をはかることがぜひとも必要だろうと思います。  ざらにまた、これらの作業についての法第二十八条に規定をしている望ましい標準というのは、これをひとつぜひ作成していただきまして、これをできるだけ公表すべきである、こういうように私どもは考えておりますけれども、ひとつ大臣の所見を承っておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 御指摘の給食、清掃等の作業において使用される機械設備、それから炊事場の衛生措置等につきましては、現在でも労働安全衛生規則によって一部規制がなされておるところであります。しかし、これら作業についての安全衛生管理体制あるいは危害防止措置の基準が、必ずしも実情に即していない面のありますことは、お説のとおりであります。このため、新法の制定を契機といたしまして、その実情を具体的に検討いたし、危害防止基準につきましても、政省令の制定に際しまして、早急にこれを明確化しなければならないと考えております。  また、これらの作業につきましても、その実態を十分に把握し、望ましい作業環境の標準の作成のため十分検討いたしてまいりたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 第六問、労働災害は、いろいろな不備やあるいはまた材料等の有害性または墜落などの作業行動によって生ずるものが多いのでありますけれども、それだけでなくて、最初に申し上げましたとおり、長時間労働をしいられた結果、疲労が積み重なってなる場合もまた多々あるわけであります。作業中に労働者が脳卒中や心臓麻痺によって死亡する場合が非常に多いので、こういう場合も本法によって労働災害に該当するものと実は考えておりますけれども、各委員からの質問にあわせて、ひとつぜひこの際、大臣の考え方を明確にしてもらいたいと思います。  また、該当するといたしますならば、この法案の第二条第一項の規定では不明確ではないかと思いますけれども、これに対する所見もあわせてお伺いしておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 この法律で防止しようとしております労働災害は物的施設の不備あるいは作業行動によって生ずるすべてのもの、広く労働者の就業にかかわる要因に起因するものも含むものであります。  したがって、たとえば御指摘のような事故につきましては、それが、それぞれの状況を具体的に判断する必要はあるにせよ、過激な業務に従事したことによる精神的または肉体的な過度の負担が原因であるような場合には、労働災害に当たるものだというべきであろうと思います。  なお、このような事案が、法案による労働災害の規定に当てはまるかどうか不明確であるとの御批判もまことにごもっともでありますので、行政運用上は誤解のないように十分な措置をとりたいと考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 次は使用者の責任の問題でありますけれども、この労働者を使用する使用者は、やはり安全かつ健康な労働環境を確保していくと同時に、賃金、労働時間などの労働条件についても、できるだけ改善をすべき義務を有しているわけでございますが、いままでのいろいろな質問を通じましても、この法案では、この事業者の責務の規定というものが必ずしも明確ではないじゃないか、こういう批判があったと思いますけれども、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労働基準法第一条第二項に規定されておりますように、労働関係の当事者は労働条件の向上につとめる義務があるのでありまして、使用者は、労働者の安全と健康を確保することはもとより、その他の労働条件につきましても、できる限りその改善につとめるべきものと私は考えております。  本法案におきましても、労働者の安全と健康の確保につきましては、労働時間、賃金等の労働条件もこれと密接な関連があることにかんがみまして、「この法律は、労働基準法と相まって、」と先ほども申し上げましたけれども、こういう第一条の目的規定中に、その趣旨を明らかにしようとしているところであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働災害の防止、これは明確に事業者の責任であります。したがって、これは本来的に労働者の義務ではありません。ところが、第四条に、この事業者のいわゆる防災措置というものが不完全であるにもかかわらず、労働者に協力義務というものを実は強制している、こういうことがございます。したがってわれわれは、この規定というものが乱用されることによって労働者が何でもかんでも、いわば使用者に対して服従協力をしなければならない、こういうことになって、この規定が乱用されるおそれはないかというように思いますけれども、この本条を設けた趣旨を明確にしていただきたいと思うのです。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 だいぶ問題になった点でございまするが、事業場における労働災害の防止は、お説のとおり、事業者の本来負うべき義務であることは、これは言うまでもありません。ただ、事柄の性質上、単に事業者に対して労働災害防止措置義務を課するだけでは、労働災害を的確に防止できるものではございません。労働者にも一定の事項の順守を求めることが必要なこともあるのであります。  さらに、事業者その他の関係者が実施する適切な労働災害防止措置等の実効を期するためには、労働者の協力が必要となることもあります。  この法律の第四条は、そのような趣旨を明らかにしたものでありまして、事業者の妥当を欠く措置にまで何事によらず協力しなければならないというものではございません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 第九問。健康診断の問題について、いろいろ質問がありました。私はこの際、やはり健康診断というものは、賃金カットをされるような事態が起こった場合には、労働者自身がその健康診断を受けるようなことは、だんだん少なくなってくる、こういうように思っておるわけであります。したがって、健康診断を受ける時間も当然賃金の支払いの対象にするように労働省は行政指導をすべきである、こういうように思います。  さらに健康診断の実施の費用というのは、これは一般の健康診断であれ、特別の健康診断であれ、当然事業者が負担をすべきものだ、こういうようにわれわれは考えておりますので、これをひとつこの際、明確にしていただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 健康診断につきましては、労働省一般に対し行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者に実施義務を課したものであり、義務遂行との関係に基づきまして行なわれるものではないから、この受診のため要した時間に対し賃金を支払うべきかどうかは、労使がよく話し合ってきめるべき問題であると考えます。  ただ、職場で過ごす時間は労働者の全生活時間のうちの相当部分を占めていること、また、労働者の健康確保は事業の円滑な運営とも表裏をなす問題であることなどを考えるならば、使用者が賃金を支払うことが望ましいと考えまするので、御趣旨に沿って行政指導をいたしたいと考えております。  特定の有害な業務に従事する労働者につきまして行なわれる健康診断、いわゆる特別健康診断は、事業遂行にからんで当然実施されなければならぬ性格のものでありますから、その実施が時間の内外を問わず、賃金または所定の割り増し賃金を支払わなければならないことは、これは言うまでもありません。  なお、法第六十六条第一項から第四項までの規定により実施する健康診断の費用につきましては、法で事業者に実施義務を課している以上、当然事業者において負担すべきものであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 次に、安全衛生委員会、安全衛生教育、これはもう時間内で行なわれるのが当然だろうと私は思うのです。たとえ時間外に行なわれる場合があっても、これは当然割り増し賃金が支払われなければならないと思いますけれども、この点に対する見解を明確にしていただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 安全衛生委員会は事業者に設置義務があるものであり、その所掌事項も事業者が講ずべき事業場の安全、衛生対策の推進について事業者が必要な意見を聴取し、その協力を得るために設置運営されるものであります。  また、安全衛生教育も、労働者がその業務に従事する場合の労働災害防止をはかるため、事業者の責任において実施されなければならぬものであります。したがって、事業者が本来行なわなければならぬものである以上、安全衛生委員会または安全衛生教育については、時間内に行なわれるか、または時間外に行なわれた場合には、それに参加した労働者に対し、当然割り増し賃金が支払われなければならないものと考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 安全衛生委員会の委員の指名について労働者側から推薦をするわけでありますけれども、この推薦が得られなかった場合に、使用者が一方的に委員を指名するようなことがあっては、これは私はならないと思うのです。やはり労働者側の推薦があるように最後まで努力すべきものであろうと思います。したがって、この規定によって、推薦がないときには一方的に事業者がこの委員を指名できるような、いわばそういう規定がただし書きにありますけれども、しかし私は、労働者側の推薦がないために安全衛生委員会が構成をされなかったことによって、事業者がこの法でいうところの刑事上の罰則を受けるようなことは、これは私はないのじゃないかと思う。したがって、そういう心配がないように、当然労働者側の委員の推薦を受けるという本来の立場をとるべきであるというふうに考えておりますが、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 安全衛生委員会は、事業者が職場の安全と衛生を確保するにあたって、労働者側の意向を十分くみ取るために設置するものでありますから、いろいろの事情で労働者側の委員推薦を得られない場合は、お説のように、事業者としては誠意をもって労働者側と話し合うべきものと考えます。  その話し合いを続けている過程におきまして、安全衛生委員会の委員の推薦が労働者側から得られないために委員の指名もできず、委員会が設置されない場合があったとしても、事業者に刑事責任の問題が発生することはないと解釈いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 申告制度がありますけれども、これはただ単にその違法の状態を申告するだけでなくて、その違法の是正を労働者が要まするという権利を確保すべきである、私はこういうふうに思いますから、当然、この申告を受理した場合には、その本人の意向を十分体して是正等の適切な措置をすべきである、こういうように思いますけれども、その方針はおありですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労働基準法に規定されている申告につきましては、従来とも、制度の趣旨にかんがみ、優先処理の原則に立って、申告を受けた場合には直ちに監督等を実施し、労働基準法の違反事実を認めたときは、これを是正させるための措置をとってきたところであります。  本法案に規定する申告制度におきましても、事が労働者の安全と健康に関するものでありますので、特にこのことに留意し、是正させるため努力いたしたいと考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 次に、この法案の審議の過程におきまして、健康管理手帳の交付の対象となる業務において取り扱われるところの物質についても、橋本委員、寺前委員等から種々質疑が行なわれました。しかし、当局の答弁はきわめて明確を欠くうらみがなしとしませんでした。したがって、あらためてひとつ、さしあたって対象となる物質は一体何であるか、また今後においてこの対象を拡大する考え方がおありであるか、この際、締めくくりの意味で大臣の明確な答弁を伺っておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 ただいまの点につきまして、健康管理手帳の交付の対象となる業務における取り扱い物質の範囲、これは先般の審議において、橋本先生などの御質疑において御指摘を受けたところであります。おっしゃるとおりであります。その際の政府委員の答弁が必ずしも明確でなかったことは、まことに遺憾であります。  健康管理手帳制度は、離職後の労働者について、その従事した業務に起因して発生する疾病でありまして、発病まで長期の潜伏期間があり、しかも発病した場合重篤な結果を引き起こすものの予防ないし早期発見のために創設するものであります。したがって、その対象としては、業務起因性が明確なもの、たとえば当該業務従事労働者について、その疾病の発生が疫学的に一般の人と明らかに有意の差があるものを選定いたしたいと考えております。  このような考え方に従いまして、当面手帳交付対象としては、ベンジジン、ベータナフチルアミン等、労働安全衛生法により製造禁止をするものを中心に取り上げ、この制度を発足させたいと考えておりまするが、今後は有害物質等について広く検討を重ね、漸次対象を拡大し、この制度の充実につとめる所存であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 災害発生の危険が急迫している場合に、労働者が作業場から退避することができるのは当然のことでありますが、事業者が災害発生の急迫した危険があると判断した場合に、早急に退避の措置をとるべきであり、さらに当該事業場の事業者及び労働者が危険でないと判断していた場合でも、専門家が危険が急迫していると判断した場合には、事業者はこれまた当然労働者を退避させなければならないというふうに法を解釈してよろしいかどうか、お答えをいただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労働災害の発生が差し迫っているときに、その作業現場から労働者が退避できることは、きわめて当然のことであります。同様に、自己の労働者に対して労働災害発生の急迫した危険がある場合に、事業者が労働者を退避させる措置をとるべきことも、これまた当然の責務であります。  また、労働基準監督官その他権威のある専門家が避難の必要がある危険を指摘した場合のように、客観的に災害発生の危険のあるときには、使用者が労働者の避難の措置をとるべきことは言うまでもありません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 最後にお伺いしたい点は、近年多発するところの労働災害で死亡する労働者の中には、一家の主柱である人もおります。残された家族の精神的な打撃やその後の生活の不安というのは、きわめてはかり知れないものがあります。それにもかかわらず、これに対する労災補償というのは、年金にいたしましても、遺族の生計を維持するにはほど遠い額でありますし、また一時金にいたしましても、平均賃金額の千日分しか支払われておらないのであります。最近航空機事故による補償や、その他種々の事故による民事訴訟判決の人命補償というのは、相当な高額が打ち出されておるわけでありますが、人間尊重を政治理念とする以上は、労災保険の給付においても、大幅にその水準を引き上げるべきであると考えまするけれども、いかがでありますか。  また交通戦争のますます激化しておるおりから、労働者が通勤途上において災害を受けた場合において受けるところの補償制度も早急に法制化すべきではないか。その段階まで来ておると私どもは思いまするけれども、この際、労働行政の重要な柱として、この二点について、ひとつ大臣の明確な所見を承っておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労災保険の給付につきましては、従来から数次の法律改正を行なって、その水準の向上につとめてきたところであります。本年四月一日か円給付基礎日額の最低額と葬祭料の定額部分の額を引き上げたところであります。現在では障害補償、遺族補償につきましては、被災労働者及びその遺族の生活を長く補償する趣旨から、年金が中心となっておりまして、その水準もILO第一二一号条約にも達し、国際的に見ても遜色のないものと考えております。  遺族補償をはじめとする労災保険の給付水準の改善については、多くの要望のあることは承知いたしておりまするが、労災保険の給付水準は、労働基準法の災害補償と密接な関連があり、労働基準法については、現在労働基準法研究会で御検討願っておりますので、その検討の結果を待ちまして、両者の関連を考えながら労災の給付改善について検討することといたしたいと思います。  さらに第二番目の御質問でありまするが、通勤途上災害の取り扱いにつきましては、一昨年の二月、通勤途上災害調査会、これを設けまして御検討を願っておるところであり、同調査会では通勤途上災害について何らかの形での現在以上の保護が必要であるということにつきましては、基本的に意見が一致いたしております。  なお費用の負担、給付の水準などについて労使の意見が分かれておりまするので、現在その間の調整が精力的に進められているところであります。  通勤途上災害の取り扱いにつきましては、各方面からの要望もあり、調査会の見解が示されれば、その趣旨に沿って法改正等所要の措置を講ずることといたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 以上いろいろと締めくくり的な意味における質問をいたしました。大臣のお答えの中にかなり前進的なものもございますが、あるいはまた一面まだまだ不十分な点も残されておると思います。しかしひとつこの際、この法案の制定されました意義を十分認識される上に立って、その運用にあたっては最大限的確な効率的な運用をし、労働災害撲滅、その防止に万全の措置を期していただきたいと思います。またいろいろと各委員から指摘をされました点に対しても、あるいは政府答弁において私どもはすべてが尽くされておるとは思いませんけれども、委員各位の指摘も十分ひとつのみ込んでいただきまして、その質問の趣旨等も十分生かしながら今後の行政指導に当たっていただくことを私はこの際、強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 ただいままでに委員長の手元に、谷垣專一君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び寺前巖君より本案に対する修正案が提出されております。     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 まず、修正案の趣旨の説明を聴取いたします。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ただいま議題となりました労働安全衛生法案に対する自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党共同提案にかかる修正案につきまして、五党を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。  お手元に修正案が配付してありますので、朗読は省略させていただきますが、その要旨は、  一、労働災害の定義について、その範囲を明確にすること。  二、事業者の快適な作業環境の実現と労働条件の改善を通じて安全衛生を確保することの責務を明らかにすること。  三、労働者は労働災害の防止に関する措置に協力するようつとめなければならないこととすること。  四、労働者側から安全衛生委員会委員の推薦がない場合の措置について整備を行なうこと。  五、労働災害の発生が急迫している場合の事業者の労働者を退避させる義務について規定すること。  六、法令違反に関する労働者の申告の趣旨を明らかにすること。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

森山欽司自由民主党

○森山委員長 修正案について御発言はありませんか。――御発言ないものと認めます。     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより労働安全衛生法案及びこれに対する修正案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、これより採決に入ります。  まず、谷垣專一君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 この際、有馬元治君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び寺前巖君より、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を聴取いたします。有馬元治君。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。    労働安全衛生法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 本法の施行に当たつては、労働条件を確保することを目的とする労働基準法の総合性がそこなわれることのないよう、これと一体的に運用すること。  二 本法の円滑な施行を確保するため、労働基準監督官、安全・衛生専門官の増員と労働安全・衛生を相当する行政体制の整備拡充を図り、労働災害の防止に即応できる態勢を確立すること。  三 本法の制定を契機として、建設業等問題の多い業種についての専門の部会の設置等労働基準審議会の運用の充実と労災防止指導員の活用に努めること。  四 本法の制定を契機として、安全及び衛生に関する国際労働条約の批准を進めること。  五 本法制定の効果を一層高めるため、事業者、労働者その他の関係者に対して、本法及びこれに基づく命令の内容特に危険有害業務における防護措置の周知徹底に努めること。  六 通勤途上災害の取扱いについては、通勤途上災害調査会の見解が示され次第、その趣旨に沿って所要の法的措置を講ずること。  七 一般の健康診断についても、可能な限り労働時間内に実施するよう行政指導に努めること。 以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 起立総員。よって、本案については、有馬元治君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。塚原労働大臣。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいる所存であります。(拍手)     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時五十七分開議

森山欽司自由民主党

○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 後ほど後藤委員からも内容にわたっての質問があると思いますが、官房長官がお見えでありまして……。去る十二日の社労委員会で、春闘に向けての政府の所信をただしました。いよいよ春闘の最大の山場といわれる二十七、二十八日の両日が迫ってまいりました。私はこの前、かなり慎重で、しかも政府の立場も考慮しながら発言をいたしまして、この事のよしあしあるいはまた官房長官自身もスケジュール闘争に合わせて政府の態度をきめることについては、幾らかの意見があったことを私は承知いたしております。これは私どももまたいろいろと考え合わせられるところでありまするが、しかし現実問題としてここまで差し迫ってまいりました私鉄の第一次回答六千七百円は、昨年の第一次回答と全く同額であります。また公労協に対する有額回答も、国鉄を除いて昨年と同額であります。私はこの中身を見ましても、平均六千八百七円というのは昨年のいわゆる公労委の仲裁による九千三百二円に比べてはるかに低いのであります。しかも昨年と同額といいますけれども、実際には定期昇給の二千百五十四円というのは昨年よりも百五十一円多いわけでありますから、ベースアップ分の四千六百五十三円というのは昨年より下回っておる数字でありまして、物価高あるいは諸般のいろいろな賃金の状態から見て、民間に見合う賃金等を考えたときに、これはあまりにも低きに失しておる額であります。こういうふうに考えられるわけでして、この九・六一%という第一次回答のアップ率というのは、私は公労協の諸君を納得させるところまでいかないと思うのであります。しかし、いずれにいたしましても二十七、二十八日の実は戦後最大といわれるこの春闘の山場に対して、政府はさらに積極的な姿勢をもってこれに対処しなければならぬことは当然の成り行きであると私は思うのです。官房長官、労働大臣もそれぞれ、前向きの姿勢で取り組む、こういうお話がありました。あるいはまた、労働大臣はタイミングが必要だとも言われました。われわれもそう思っておりまするけれども、いまや、実は中労委にかかっている私鉄のあっせんにいたしましても、あるいはまた公労協関係の問題にいたしましても、まさに実はタイミングの最後のところに来ておるのじゃないかというように私は思っておるわけでありまして、われわれもわれわれの中でもって努力をすべきことはいたしますけれども、政府はさらに、この事実を踏まえまして、具体的な有効な手段をもってこれに対処することが絶対に必要である、こういうように考えておりますので、ひとつ官房長官、とりあえずあなたのほうから政府のこれに対するととろの具体的な対策がおありでありましたならばお示しをいただきたい、こういうように思います。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 十二日の当委員会でありましたか、田邊委員のお尋ねに対して私どもの姿勢についてお答えをいたしましたが、その後の推移は田邊委員も御承知のとおり、その経過はただいま御承知のとおりであります。  私は、今度の関係におきまして、経済情勢のきびしさという問題、それから民間賃金との比較の問題、その上にいま一つ、やはり予算が今日なお参議院で審議中であるという客観的要素というものが現実存在しておったと思うのであります。そこで、これは労働大臣とも知恵をしぼって、率直に申しまして、異なった議決がなされ得る可能性というものは法律上はあるわけであります。その条件下にあって有額回答をする可能性を模索したといろことについて、労働大臣の私どもに対するサゼスチョンと申しますか、それは非常に強烈なものであったというふうに私は感じております。その点でまず一つの前提というものを乗り越して、そのあと経済情勢のきびしさの中で、これはもとより、田邊委員御指摘の低過ぎるということに対する御認識もそれなりにわからぬわけではございませんが、これを有額回答したその状態をまた考えてみれば、このきびしさの中に定昇含み昨年並みというものを出したという当事者のその努力もそれなりに評価をすべきものである、私はこのように思います。  それで、今後の経過を見て、政府としてはタイミングを失せざるようこれに対処しなければならないというお答えは、たびたび労働大臣もお答え申し上げておるとおりでありますが、その中で具体的にどうこうするというようなことも、これこそ中労委、公労委の推移をいまは静かに見守っておる時期でありますだけに、具体策についてかくかくしかじかのものを考えておりますという状態には残念ながらございません、このようにお答えをせざるを得ない、こういうことであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 関連してちょっと。定昇込み昨年並みということでありますけれども、たとえばきのう出された公労協の中のたとえば有額回答、自主交渉を進めておる全電通の場合はそうではなくて、去年の回答からわざわざ百五十八円を引いて、そしていろいろなトラブルを起こし、またストに突入させたりしている、これは不手ぎわじゃないかと思う。まして二十七、二十八日に対しては異常なる関心がまた寄せられ、決意を固めているということは、私は行政上これがまともな措置であるとはどうしても考えられない。何のために百五十八円を引いたような額を出して、去年並みだ、政府はこのようなきびしさの中にいるのだということの表明をしなければならないのか、これはまことに私どもは残念なんです。また自主交渉でやってやれるものはやる、そしてあとになったら、調停、仲裁ということも困難ではないのだし、あとになったら新しい方法は何ぼでもあるのだから、いまの場合は政府はもっと一考すべきではないか、私はこう思ってやまないわけでありますが、それならば、これを出した理由というものはどうですか。この二十七、二十人目のストをやらせないためのはっきりとした確信がおありでありましたならば、この際明確にしておいていただきたい。この点であります。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 これは私も先般申し上げましたが、政府としていわゆる違法行為であるものに照準を合わせてもろもろのスケジュールを立てていくという考えは、やはり基本的にまず持っていないということは、これは公式の発言としては当然そうあるべきであると思っております。しかし、いまの全電通あるいは専売等々、私は専門家ではありませんが、いわばかなりの当事者能力というものが現実、客観的に立証すればあるんではなかろうかというものが、依然として横並びを見ながら回答をしたのではないか、こういう御判断もそれなりには私も理解できる問題でありますが、私は、今日当事者能力というものが認められるようになり、労使の関係がそれなりには正常化はしたが、まだそれをもう一歩踏み出した段階にまで到達しておるとは、残念ながらまだ理解いたしておりません。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 後藤俊男君。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いままで官房長官いろいろ話があったと思いますが、問題は二十七日、二十八日というのは非常に大がかりな事態になると思うわけなのであります。これはもう長官も十分御承知だと思うのです。それで公労協傘下の組合に対しまして、国鉄以外については自主交渉によって有額の回答が出た、ただし国鉄につきましてはまだこれからの問題であると私は思うわけなのであります。そこで国鉄のみのことを考えてみましても、全国で千カ所における実力行使がそこで始まるわけなのであります。ですから、今次春闘も非常にきびしいかまえのもとに進んでおることは、もう私が多くを申し上げるまでもないと思いますけれども、とにかくこの二十七日、二十人目に対しましては、大臣なり官房長官としても最善の力を尽くしていただく、そうして春闘の解決の方向に向かってひとつ全力を尽くしてもらう。これはもう私が言うまでもなく、労働大臣も官房長官も腹がまえとして十分持っていただいておる、こういうふうにわれわれは理解しておるわけでございます。ですからぜひひとつ、今次春闘につきましても、第一次回答は金額の問題で言えば非常にとやかく意見はございますけれども、さらに二十七日、二十八日に向かって解決する方向へ御努力をいただきたい。  それとあわせて、今度は私鉄の問題なんです。この私鉄の動向というのがやはり大きく影響すると私は思うわけであります。その私鉄に対する中央労働委員会のあっせん、これがやはり二十七日、二十八日の最終段階における大きな影響を及ぼす。これはもう私が言うまでもございませんけれども、その面につきましても十分なる配慮をしていただく。これはぜひひとつ、労働大臣先頭に立ちまして、官房長官にも十分考えていただいて、円満に――円満というとおかしいのですけれども、七二年春闘はどっちも立つような立場に立って一刻も早く解決する方向へ、政府としても重大なる関心を持ってやっていただく、これだけはひとつぜひ御尽力をいただきたい、こう思うわけでございます。  それからその次の問題としまして、これは労政局長、また始まったかというような顔をしていらっしゃいますけれども、いまの官房長官もこれは十分御存じの問題なんです。政労協関係の各労働組合の問題です。これも二十七、二十人目には三十幾つかの組合がストライキに入るわけなんです。ところがいまの見通しでいきますと、ストライキに入りましても今次の春闘では解決しない。八月の人事院勧告が出ないことには解決しない。こういうような方向が、この前の社会労働委員会でも質問いたしまして、大体その方向が言わず語らずに物語られておるわけでございますが、これは官房長官、いかがでしょうか。労働組合法の適用であり、労調法の適用であり、労働基準法の適用であります政労協関係の組合が、自主的に団体交渉をやりましても金額が出てこない。金額が出てこないというのは、大蔵省の内示の問題である慣例がある。こういうようなことで、春闘が始まりましても年末にならぬことには春闘問題が解決しない。これが一年や二年ではなしに、三年も四年も同じことを繰り返しておるわけなんです。しかも、労調法の第一条なり第二条を読んでみましても、労使の間で紛争が起きた場合には積極的に解決をする方向へ努力をしなければいかぬというのは、これは法律でもはっきりと書かれておるわけですね。さらに公務員と公労協とは違いまして、いま申しましたような労組法の適用の組合でございますから、ことしあたりはひとつ思い切って労使の間で自主的な団体交渉によって金額を出させる、春闘の民間相場が出れば、大体それらを参考にしてこの春闘を締めくくっていく、そういうような方向へ各政労協関係の理事者が腹をきめるようなことで、官房長官なり、労働大臣なり、大蔵省あたりが行政指導すべきじゃないかと私は考えるわけです。現在、政労協関係が中央労働委員会にあっせん申請をしておりますけれども、理事者側が全部拒否しておるわけなんです。人事院勧告が出るまでは、話をしたところで全然話になりません。それは大蔵省が言っておると思うのですよ。それなら、一体何のための労働組合法適用の組合であるかと言いたくなるわけなんです。公務員であれば人事院勧告が出ぬことには解決しないということは私らもわかるわけですけれども、労働三法適用の組合であって、しかも三年も四年も同じことを繰り返して、春の闘争から年末まで闘争をやらぬことには春闘が解決しない。こんな芸のない話は、私はないと思うのです。ですから、きょうは幸い官房長官もここへ御出席いただいたのですから、よし、ことしはがんばる、これは労働大臣と十分相談をして、ことしは春闘で解決する、それぐらいの決意を見せていただきたいと思いまして私は質問をいたしておるわけですが、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 後藤委員のせっかくの御質問でございますが、たまたまきょうここへ持ってきております、三十八年から四十六年までに至る「政府関係特殊法人の給与改定の取扱いの経緯について」ということの書類を労働省からもらったわけでありますが、これを見ながら考えておりましたことは、昭和三十九年に、私は当時内閣官房副長官でありました。四十年、四十一年、その間に、いま後藤委員の御質問のもう一つ以前の段階と申しましょうか、いわゆる当時の底流というものが、確かにそうした労働関係法の適用を受ける団体でありながら、その事業の特殊性、公共性等からいたしまして、所管省また大蔵省等の許認可等の問題から、当時は自主交渉よりももう一つ以前と申しましょうか、人事院勧告が出されて最も早い機会に内示額が出さるべきだという、そういう段階の一つの経過があったような記憶をいたしております。そういたしまして、努力をして、十二月末にいわゆる一般職の給与法の改正案が国会を通った日にこれを内示するというようなことから逐次改善されて、昨年は人事院勧告の閣議決定からほぼ一月あとに内示がなされた、こういうような長い、ここのところ八年間ばかりの歴史の積み重ねがそのようなことに相なったと思います。さらに、いま後藤委員の御指摘からいえば、これは当然労使の自主交渉によってそれ以前に解決さるべき問題である、それなりの主張というものは私も根拠がないとは申しません。しかし、現実、この政労協関係くらい内閣官房におりまして苦労する関係はほんとうにございません。どうしても今月、給与改定等を含めてその業務運営について政府の許認可が要りますし、また内示等が徐々に早目に出されるようになったものの、その内示されたものをめぐってまた労使双方の意見調整がなされるのに非常に時間のかかる組合もあるというようなことをかれこれ勘案いたしてみますと、私は今日、後藤委員せっかくの御指摘でありますが、私のほうで大蔵当局なり所管省ののりを越えて自主的に交渉してしかるべきである、こういう行政指導をする状態に現在ない、私はこのように残念ながらお答えをしなければならない。まことに御意に沿わないお答えであろうと思いますが、率直にいって、いま後藤委員のせっかくの御指摘でありますが、それを踏まえて直ちに政府の立場として所管省なり財政当局に対してそのような指導をすることは今日いかがか、こういうふうに考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いままでの経過を踏まえながら話があったわけですが、労働大臣には何べんも言っておりますから、官房長官中心に私は言うわけですが、国として労働組合法があり、労調法があり、労働基準法があり、公務員関係には公務員法がある。公労協関係にはそれぞれ企業の法律がある。それに基づいて労使の問題というのは解決されておると、私は考えておるわけなんです。いわゆる労働三法適用の組合はこの法律に基づいて労使の問題については解決しなさいよというのが、法律の趣旨だと私は考えておるわけです。ところが、いま申し上げました政労協関係につきましては、予算の関係その他がいろいろあって、いわゆる内示がないことには、いかに労組法の適用の組合でありましても、団体交渉をやっても、全然ゼロ回答。中央労働委員会に提訴しましても、理事者側のほうでは拒否をする。この拒否をするというのは、政府のほうの姿勢によって拒否をしておるわけなんです。大蔵省のほうがものを言ってくれぬ。あるいは、政府のほうがそういうような姿勢になっておらぬ。ですから、われら各企業の理事者がものを言ったところで全然前進をしないから中央労働委員会のあっせんはお断わりしますと、全部大体そういう姿勢なんです。このことが、官房長官、一体まともなやり方でしょうか。そこを私はあなたに聞きたいわけなんです。政府の都合によって法律を都合よく動かしていく。いかなることがあろうとも、労組法の適用の組合なら、労使の間でやはり自主的に団体交渉をやって、今次春闘は春闘の時期において解決をしていく、公務員なら人事院勧告の時期を待つ、公労協なら公労委なり仲裁委員会に持っていく、そういう道筋ができておると思うんです。一体なぜ――政労協の組合だけが、公務員でもないのに、公務員の人事院の勧告が出なければ解決しない。その間何回となしにストライキが行なわれる。先ほど言いましたように、二十七、二十八日は三十幾つかの組合がストライキをやる。これは当然の権利としてやるわけなんです。これを、人事院勧告が出るまでは、内示が出るまではということで、七月、八月、年内一ぱい引っぱっていく。こんな間違ったやり方を直すべきだと思うんです。直さないかぬと思うんです。これも、一年や二年じゃなしに、三年も四年も同じ芸のないことを、同じことを繰り返しておるわけなんです。労働組合のほうも、あるいは各企業の理事者のほうとしても、要らぬエネルギーをやはり消費するわけなんです。これはなぜかというと、政府のほうの行政指導が悪いからそうなると私は思うんです。大蔵省なり政府のほうが、この春闘で解決すべきである、こういう方向で行政指導をしてもらえば、そういう方向で理事者は進むと思うのです。その腹がまえが政府にないものですから、各理事者としてもものが脅えぬわけなんです。板ばさみのような形になっておるのが、私はこの政労協関係の各理事者じゃないかと思うんです。ですから、いま官房長官はうまく言われましたけれども、私は、今次春闘ではこれは絶対に解決してもらわなければ困るわけなんです。困るどころか、解決してあたりまえだと私は思うんです。解決せぬのがおかしいと思うんです。法律を無視したやり方だと私は考えるのです。  そんなら、官房長官にお尋ねしますけれども、今次春闘で政労協関係の組合のこの賃金問題を解決すると、何か法律に差しさわるところがあるんですか。解決しないほうが私は法律に差しさわると思うんです。憲法に引っかかるとか何かに引っかかるというなら、これはまだひとつ考え方もございますけれども、労働組合法の適用、労調法の適用、労働基準法の適用等、政労協関係の各企業が、大蔵省なり政府のものの言い方が悪いもんですから、理事者はどうしても自主的な解決をしないわけなんです。何べん団体交渉をやりましても話が進まぬわけなんです。それなら、公労協なり、今次春闘も大体相場が出てきたところで理事者に責任を持たして、やればやれると思うんです。そういう腹にあなた方がおなりにならぬところに、毎年毎年同じことを繰り返しておるわけなんです。ですから私は去年もおととしも、あるいはその前の年も、この同じ問題をやったわけなんです、ここの委員会で。来年は何とか善処いたしましょう、来年は何とか善処いたしましょうといいながら全然善処をしない。前進しないということなんです。だからきょうはぜひひとつ官房長官にも来てもらって、あなたなら一々こまかいことを言わなくても前のいろいろな問題はよく十分御承知だと思いますから、この辺のところで、法律に従って自主的な団体交渉で春闘を解決すると、そういう方向へ労働大臣と一緒になってひとつ行政指導していくと、これくらいきっぱりしたものの言い方をしてもらわぬことには、法律上考えましても筋の通らぬ話だと私は思うんです。いかがすでか。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 後藤委員がいわゆる労働三法のサイドから御発言なすっておるということは、それは私にもよく理解できることであります。しかし私も長年政労協関係を取り扱ってみまして、自分なりにそのつどいろいろな矛盾を感じながらも、それぞれの政府関係機関のおい立ちから、また所管省の許認可、財政当局との協議というようなものが存在する限りにおいて、いま後藤委員のおっしゃったように、たとえそういう意思を持っても、すっぱりと解決できない。これはやむを得ざる状態ではなかろうか。私なりにいつでも考えますことは、やはり政労協関係は、確かに法律上労働三法の適用を受けておる。が、これのおい立ち等からいたしますと、どうしてもその妥当性をどこに認めるかといえば、やはり人事院勧告というものに準拠せざるを得ないではないか。さようしからば、それに準拠して、まず私どもにできることは、その内示の時期を早めるということと、そしてその内容の弾力性というものをできるだけ認めることによって、当事者間の相互努力の中に私は労使関係というものを確立していきたい。後藤委員のおっしゃいます意味は、私もそれはそれなりに理解できますだけに、この問題を今日行なわれておるいわゆるこの春闘の解決の段階の中に消化していくということは、行政指導の面で努力をいたしますと大みえを切るだけの、私にはこの問題については自信もございません。したがって、非常に味もそっけもない答弁になりますが、やはり私は、今日の段階で各般の問題を検討する際、とにかく内示の時期を早めることと、そして内容についての弾力性をできるだけ多くのものを持たせること、その間に労使間――私は十年前より労使間のそれぞれの立場というものもある程度洗練されてきていると思います。私は、それぞれの事業体の中で、非常にこの労使間の問題が他の組合に比較してまだなじまない状態だなあということを感じたこともありましたが、いま徐々に成長した中で、私は、まだまだ言えることは、やはり内示の時期を早めることとか、内容に弾力性を持たせるということに積極的にわれわれも協力していく。それ以上の点につきましては、これはもう後藤委員の毎年の御質問、私も、呼び出しを受けましたので実は調査もしてまいりましたが、これに対してもっと色つやのついた答弁ができることを後藤委員も期待しておられると思いますが、今日の時点で、私は、やはりこの問題はこれ以上のことを後藤委員の御質問に対してお答えをするわけにはまいらない、このように御了解をいただきたいと思います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いまあなた、すっぱりとしたことをおやさしい顔ではっきり言われましたが、ただ、私は理屈っぽいことを言うつもりはございませんけれども、労使の間で紛争が起きまして中央労働委員会へ提訴をしても、理事者側が断わる。そうしますと、これから人事院勧告が出るまで、内示が出るまで持たぬことには、この春闘では賃金は解決しない。こういう道のりを、毎年毎年同じコースをたどっておるわけなんです。ところが労働組合のほうとしては、おれのところは労組法の適用の組合であるから何も公務員とは関係がないんだということで立ち上がっておるわけなんです。そうだといたしますと、いま官房長官からいろいろ話がありましたけれども、どうしてこの春闘で解決できないんだ。予算の関係だって、四十七年度の予算というのはもろ大体きまっておると思うのです。内示についても、人事院の勧告が出なければ相場がきまらぬというものではないと思うのです。人事院勧告というのは春闘の相場を見て出ると思うのです。それだったら、何も半年間もずるずる引っぱる必要はないんじゃないですか。それだけ政労協関係の労働組合をいじめる必要が一体どこにあるんですか。これは法律違反をやっておるなら別問題ですよ。あなたも何回も言われるように、労働三法適用の組合だったら、それなりに国としても扱っていくのが至当だと思うのです。これは裏面における仕組みはいろいろありましょうけれども、その仕組みというのはあなた方がおやりになるんだと思うのです。政労協関係の各企業の理事者を全部集めて、こうこう、こういうふうだ、いままでのように毎年毎年同じコースをたどっておってはいかぬ、これは国としても国益に沿わぬ、こういうことで行政指導をなさるならば、その方向で解決すると私は思うのです。あなた方のほうで大蔵省を通じ、労働省を通じて理事者を押えておられるものですから、全然前進しない。ものが言えない。そうしますと、労使の自主交渉だって全然金額が出てこぬわけなんです。そうして八月の人事院勧告まで待たなければいかぬ。年末まで待たなければいかぬ。たくさんある組合の中で、おれのところだけ一体なぜこういう別の扱いを受けるんだ。予算の関係はあろうけれども、労組法の組合じゃないのか。それなら官房長官、労組法の組合自体を、あなた方は文句があろうけれども、それならそれで人事院勧告が出ないことには賃金がきまらぬような形態を、政労協関係の企業については変えたらどうですか。そうするのが国の任務じゃないですか。人事院勧告がきまらなかったら賃金がきまらぬのだったら、そういうような形態にしたらどうですか。それもあいまいにしておいて、毎年毎年同じようにストライキを連続させておいて、そしてきめるがごとくきめざるがごとく、そんなことでずるずる引っぱられる労働組合は一体どういうことになるんですか、要らぬたくさんな金を使って。それが一体国益に反するとあなたはお思いになりませんか。その点からお考えになるなら、扇のかなめにおられる官房長官あたりが中心になって、ことしあたりは、よしわかった、それならそれでそういう方法で解決しようじゃないか、これぐらいのことを閣議であろうとどこであろうと相談をしていただくのが、あなたの義務だと思うのです。相変わらず去年と一緒、おととしと一緒、こんなことは――私は何も政労協関係の労働組合のみを言っておるのではなしに、そういう企業における争議が長いこと続くということは、これも何べんも言いますけれども、国益に反すると私は思うのです。労働組合法に基づいてきっちり団体交渉をやって春闘を解決すればいいじゃないですか。それをああでもない、こうでもない、内示がどうとかこうとか言われますけれども、そんなことは私に言わせれば詭弁だと思うんだ。筋の通った解決をしてもらいたいと思うのです。それも一年や二年ならいざ知らず、三年たとうが四年たとうが五年たとうが、同じコースを通っておるんでしょう。東海道線でも新しい新幹線ができたんなら、新しいコースをあなた選んだらどうです。私はそれを官房長官に書いたかったわけなんです。あなたは政労協関係のことも十分御存じだから、私は特に言いたかったわけなんです。それなのに、いまの答弁を聞くと相変わらずの答弁でしょう。私はそんなことではいかぬと思うんです。もう一ぺん重ねてお尋ねします。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 たびたび申し上げますように、後藤委員のいわゆる労働三法を踏まえた立場からの御意見は、私はそれなりに理解できます。私もこれについては何度か私なりにいろいろ検討し、今日まで対処してまいりましたが、どうしてもそのよって立つ特殊性、公共性、そしてまた所管省、財政当局等の許可、認可あるいは協議事項というようなものが法律によってきちっときまっておるという段階において、この最も妥当な対象をどこに求めるかというと、まあ人事院勧告によらざるを得ない。さようしからば、ただいまの御意見のように法律を改正して、これそのものをそういう仕組みに改正したらという御意見もありますが、それはまたいろいろ異論の多いところでありまして、このまさに政府そのものという公共性の側面を持ちながら、一方、完全な労働三法適用の団体であるというところに、今日まで何回も何回も議論しても、せっかくの後藤委員の御熱心なあれに対しても、ただ、いわば内示の時期が年々早まってきたというだけの効果しかあらわれない。事ほどさようにこれはむずかしい問題である。とはいえ私は、これをもって私なりの検討を終わろうと思ってはおりません。竹下内閣官房長官は瞬間でありますとも、政府は国家民族悠久の歴史の中に続くわけでありますから、これは一生懸命に検討し続けていかなければならない問題であるという認識を持っておるということをお答えして――これは、御不満であるということは私には十分わかりますが、それ以上、今次春闘に際して私が政労協に対して新しい方途を発見したという答弁ができないことはまことに残念に思いますが、御了解いただかなければならない、こういうことであります。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 まあ時間ですから時間は守りますけれども、官房長官、まああなたの立場としてそういうものの言い方よりいまのところないと思うんです。ないけれども、ただ、その職場で働いておる労働者の気持ちというのも考えていただきたいと思うんです。それは政府の裏面におけるいろいろな仕組みによって、いま言われたような方向ほかとれないといたしましても、職場は職場で、これは何だ、一般の労働組合法適用の組合じゃないのか。そこで働いておる労働者の人はみんなそういう気持ちでやっておるわけなんです。それをああでもない、こうでもないというので長い間、一年間も引っぱられてしまう。それに非常に不満を持っておる。これだけは官房長官としても十分考えてもらわなければいかぬと思うし――まああなたの話としては、ことしの春闘もやはり人事院勧告までと、こういうようなことらしいけれども、それはやはり労働大臣もおられるし、労政局長もおられますしね。そこはやはり、三人寄れば文殊の知恵というのが出てくると思うんです。あなたはそう思われましてもね、そこはひとつ十分相談をしていただきながら、一刻も早くこの問題については解決する方向へ、あなたもあまり木で鼻をくくったような水くさい、冷たいことを言わずに、引き続いて御尽力をいただく。そういうことでひとつお願いしたいと思うわけなんですが、それはいいですね。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 それはまあ私なりの今日までの苦悩を申し上げましたが、幸いにいま御指摘のごとく有能なる塚原労働大臣、労働省の諸君もおりますので、私も重ねて重ねてこれを検討していくにはやぶさかでないということはお答えできると思います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 大蔵省の次長さん、おいでになっていると思うのですが、この前の社会労働委員会におきましても、いまの問題につきましてはかなり私も主張したわけでございますが、その後、大蔵省なり労政局なり労働大臣あたりが十分相談をして何とかひとつ前向きの方向でということで御返答をあのときにいただいたわけですね。その後、大蔵省としては、この政労協関係の企業に対する春闘の対策というか方針というのはどういうことになっておるかお答えいただきたいと思います。

吉瀬維哉大蔵省主計局次長

○吉瀬政府委員 先ほど官房長官から御答弁申し上げましたとおり、政労協関係のいわゆる給与決定、これが公務員給与に準じて、しかしできるだけ時期を早めて行なう、またできればその自主交渉の弾力化をはかるような内示のしかたをしたい、こういうことは私ども考えております。つい二、三日前、政労協関係の方々とうちの給与課長が会いまして、いろいろな話し合いをしたわけでございますが、先ほどの官房長官の御答弁の趣旨から、私どもその後特に変わった点はないということでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 じゃ、労働大臣ひとつお願いします。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 政府を代表しますというか、この問題の当面の責任者である官房長官がいまるる後藤委員との間の質疑応答をいたしておりまして、私はやはり今日の段階において、官房長官のおっしゃっているとおり、そのことをいまのところ、それよりも前向きの答弁を労働大臣としてなし得る立場にはございません。労働大臣といたしましては、これは労働行政全般をあずかりますが、いま問題になっておるこの問題につきましては、先ほど官房長官が最後にお答えいたしておりますように、今後よく御相談はいたしますが、私としてさようしからば今次春闘の対象として云々というような御答弁はできません。やはり内示の時期を早めるとか、あるいは弾力性を持たせるということは、大蔵省もおっしゃっておりましたが、私らにおいてなし得ることは、今日の段階ではそれが精一ぱいではなかろうかと思っております。しかしいま伺っておりますと、毎年この問題についてたいへん御熱心な論議がかわされたようであります。官房長官はいま立たれましたけれども、なお御相談の機会もあると思いますが、この組合の特殊性から考えまして、私も御期待に沿うようないわゆる前向きの答弁ができないことをまことに残念に思っております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 次長さん、あなたも、官房長官がああ言っていたものだから、官房長官のごとくという話になってしまうので、質問のしかたが私は非常にまずかったと思うのです。大蔵省としましても、これは毎年毎年同じことを繰り返しておるのですね。芸のない話なんです。そうでしょう。それだったら、人間であるとすれば、ちょっと考えるのが普通じゃないですか。人間だとするのなら、三年も四年も同じことを繰り返してすったもんだ、すったもんだ言われて、やはり同じことを繰り返していく、これは何とか考え直すべきだということにはならぬわけですか。いまの政治というのはそういう仕組みになっておるのですか。これは労政局長もいかがですか。三年も四年も、あなたとは同じ問題を繰り返しておるのですがね。あなた方がやろうと思えばできる問題だと思うのです。毎年同じことを繰り返している、三年も四年も。労働大臣だってそうだと思うのです。官房長官がどう言おうとこう言おうと、おれはやるんだと言えばやれると思うのです。そうじゃないですか。労働行政についてはおれの責任だ、官房長官はおれの言うとおりやるのだ、それくらいな自信を持ってもらわぬことには、日本の労働行政の最高責任者の塚原大臣としてもがんばってもらわなければならぬと思うのです。それくらいのことを思い切ってやるところに行政の前進があると思うのです。毎年毎年同じことを繰り返すというのなら、だれでもやれると思うのです。全然前進がないじゃないですか。労政局長が一番詳しいと思うんだ。先ほども官房長官が言われましたけれども、人事院勧告が出てから内示を早よう出すという程度で、ある程度弾力性を持たしているというのは、去年も聞いておりますし、おととしも聞いております、私は黙って聞いておりましたけれども。そんなことを毎年毎年繰り返さなくても、少なくとも労働三法の適用ならこういうふろに措置すべきである、そんなものは大蔵大臣だってわかっておると思うのです。労働大臣だってわかっておると思うのです。ただ予算の関係、仕組みの関係で、政府の御都合によってそういうふうにあやつられておるわけなんです、政労協の各労働者の皆さんは。だからそこを考え直してくれということを私は申したわけなんだ。毎年毎年同じことを何べん言ったってちょっとも、同じことを繰り返す以外に前進がないじゃないですか。これは労働大臣、いかがですか。そんなことを、三年も四年も五年も同じことを、ストライキを一年間やらせて、最終的には、公務員でもないのに、人事院勧告をまたなければ、内示をまたなければ、それで解決しなければ、ならぬ、こんなやり方が労働大臣、妥当だと思っていらっしゃいますか。それが正しいと思っておられますか。正しくないというんなら正しいように変えたらどうです。あなたにできぬことはないと私は思うのです。全然一歩の前進もないところに問題があるわけなんです。大蔵省だって同じなんです。だれを呼んでみても同じことを繰り返すわけなんです。労政局長だってそうだ。毎年同じことを言って、同じことを繰り返して答弁して、善処いたしましょう、考えましょうでこれは終わりになって、翌年になると全然善処もしないし、考え直してもおらぬということなんです。それはなるほど今次の春闘では、国労とか動労とかこういう交通関係のゼネストその他、非常に障害は大きいですよ。だけれども、政府関係の別の組合だってストライキを連続にどんどんおやりになっていく。ところが、中身の話は前進しないわけなんです。ストライキのやりっぱなしなんです。打ちっぱなしなんです。それをあなた方は平然とよう見ておられると私は思うのです。公務員なら別ですよ。法律ではあなたは労働三法を適用しておきながら、解決は全然しない。中身と外面と全然違うわけなんです。これこそ政府のほうのサボタージュなんです。大臣、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 実は私は今年初めてこの問題にぶつかったわけでありまするが、国会対策の仕事をやっておりましたから、こういう問題が重要問題であるということは私もよく存じておりました。しかし、やはり考えてみますると、なるほど労働三法の適用は確かに受けておるものであります。一方において、政府関係特殊法人としての公共性、それから特殊性と申しまするか、ですからそれが先に行っておりまして、そういうことはけしからぬ、法律が優先するんだという必ず反論はあると思いまするが、そういったところにこの問題の困難性があり、また発展もなかったのではなかろうかと私は考えておりますが、今日の段階では、やはりその特殊性、公共性というものを先に置いておりまするので、労働省といたしましても、今後検討の課題には十分さしていただきたいと思いまするが、今日この場で後藤委員の御納得のいく、満足のある御答弁ができないことは、私は、繰り返すようでありますが残念に思っております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 それはいまあなたが言われた公共性とか公益性というのは、これは労働関係調整法できまっておるわけなんです。これは何も政労協の各企業がそれに該当するとは私は思っておらぬわけです。だからやろうと思えばやれるわけなんですよ。それならいま労働大臣が言われましたように、さっき私も言いましたけれども、人事院勧告まで賃金がきまらぬなら形態を変えたらどうです。公務員にすればいいのです。公務員にはしないわ、半分民間のような形だわ、法律は労働三法を適用するわ、一番肝心な賃金については、公務員と同じように引っぱっていかぬことにはきまらない、こんな矛盾したやり方は私はないと思うのです。もっと筋を通したことをやってもらいたいわけです。法律に従って解決をしてもらいたいわけなんです。それはあなた方法律違反、法律違反で弾圧しますけれども、政府自体が、政労協関係の各企業を考えると、あなた方が違反しているといってもこれは間違いないと思う。ストライキを一年じゅう繰り返さしているわけだ。それでもまだ賃金のちの字も言わぬわけだ。一銭の金額も出さぬわけだ。そんなばかな話はないと私は思うのですよ。私一昨年から、その前の年から同じことを繰り返して、気を長く、ことしもことしもということで繰り返しておりますけれども、あなた方の姿勢を見ると、これから十年やろうが二十年やろうが同じことを繰り返すような気がするものですから、私は特にきょうは言うわけです。これは労政局長あたりは、もう昔からのいわく因縁、故事来歴は十分わかっておると思うのです。こんなものいつまでもいつまでも、ことしの春闘でも引っぱるのですか。人事院勧告まで、一番肝心の賃金をきめさせないわけですか。そんなことをなぜ政府がやらなければいかぬのですか。きめられた法律で自主的に団体交渉をやって賃金をきめさせればいいじゃないですか。予算がどうあろうとこうあろうと、きまらぬものなら公務員に変えたらどうです。私はそれをはっきり言いたいわけなんです。もう決断すべき時期に私は来ておると思うのです。政府関係の皆さんにおいても。これは労政局長いかがですか。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 政府関係の特殊法人につきましては、御指摘のごとく労組法、労調法の適用がございます。しかしながら、同時にそれぞれ公団事業団の根拠法がございまして、これは先生に申し上げるまでもございませんけれども、その財政というものは政府の出資金あるいは交付金、補助金が出されておる。それから予算あるいは給与準則等につきましては、主務大臣の承認等にかからしめられておる。この特殊性、公共性というものと労働三法とをいかに調和させるかというところが問題の点でございまして、私どもといたしましては、政府の交付金、補助金等を出すにつきましては、やはり人事院勧告といったような客観的基準に基づいてそういった金を出すということが、政府の許認可等もスムーズに得られるゆえんである。まことにやむを得ないことでありますけれども、いまの方式というものがこの両者を調和させる、目下のところはやむを得ない方式ではなかろうかと考えている次第でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 あなたは目下の方式がやむを得ないと言われますけれども、これは国の予算の関係とか補助金とかそういう関係があって、職場で働いておられる労働者の一番大事なことは賃金をきめることだと思うのですが、その賃金が労組法の精神に基づいてきめられないような企業なら、そのような形態に変えたらどうですかと私は言うのです。これはことし初めて言っておるんじゃないのです。その辺のところをあいまいにしておいて、政府の御都合によって、春闘ではきめられません、人事院勧告が出て、内示が出て、それまではそこで働いておる職場の皆さんの賃金はきめられない。こんなことは政府の御都合主義だということを私は言うわけです。これは四年も前から私は同じことを繰り返しておるわけなんです。それだったら、それに対応する対応策というものを考えるべきだと思うのです。それじゃ政労協関係の全部を公務員にしなさいよ。そうすれば、現在のところでは、人事院勧告が出るまではこれは賃金を待たなければいかぬ、こうなると思う。それをやるでもなしに、一般的な扱いをしておきながら、一番肝心の賃金だけは押えてかかる。ここに私は問題があると言うのです。それはアメリカやイギリスの労働組合法を持ってきて私言うとるわけじゃない。日本の法律、それに基づいて解決させる方向へ進むのがあなた方の義務じゃないかと思うのです。そういう方向で行政指導をするのは、これはあたりまえのことなんですよ、われわれがとやかく言わなくても。一年じゅうストライキをやることが、あなた方には好ましいことなんですか。私はやっぱり好ましいことじゃないと思うのですよ。そういう紛争については一刻も早く解決するように努力しなければいかぬというのが、労調法の中にも第二条、第三条ではっきりしているわけなんですよ。そうではなしに、ベースアップ、賃金の問題になるとものも言わぬ、一方的に。それは政府が内面においてそういう指導をしておる。大蔵省もそういう指導をしておる。長官がああいう考え方でおる。ですから毎年毎年同じことをこれは繰り返しておるわけなんです。だから、ことしあたりの春闘で私は考え直してもらいたい。腹をきめてもらいたい。それを私は言いたいがために強く主張をいたしておるわけなんです。これは何べんもお尋ねするけれども、労働大臣いかがです。あなたは大臣になられてまだ日が浅いかもしれませんけれども、同じ問題を四年も五年も繰り返しておるわけなんですよ。何とかしましょう、善処しましょうというのが毎年毎年の答弁なんです。やる気があるならばやれると私は思うのです。ただ委員会の答弁だけで終わっておるところにも、これは問題があると思うのですよ。先ほども言いましたように、三十幾つかの組合が二十七、二十八日同じストライキを繰り返すわけなんです。それで公労協関係なり一般の春闘が終わりましても、やっぱり同じようにストライキを繰り返して、人事院の勧告が出て、年度末までかかるわけなんです。そんなことをやらしておくのですか。あなた方はまあしょうがないわということでそれを見ておられるわけなんですか。そんな労働行政の指導は私はないと思うのです。それも組合の言うのが無理だというのなら話は別ですけれども、無理じゃございません。中央労働委員会にいっても、使用者側はあっせんを拒否するわけなんです。そういうふうにやれといって大蔵省なり政府が指導しておるわけなんです。内示がない以上は受けたらあかんぞということで指導しているわけなんです。そんな仕組みを変えて、春闘は春闘として、やはりベースアップの問題というのはこれは出てくるのですから、それぐらいな権限を理事者に持たして、各企業ごとに団体交渉をやらして解決する、それが私は労働法の精神だと思うのですよ。そういう方向でとにかく解決するように努力せよというのを三年、四年私はこの委員会でも繰り返してきたわけなんです。これは重ねてもう一ぺん労働大臣にお尋ねしますが、あなたの返答は相変わらず変わらぬのか変わるのか、お尋ねいたします。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 本旨は、結論においてはどうも変わらないと思いまするが、先ほども申しましたように、政府関係特殊法人の公共性、特殊性というものと、それから労働三法の適用を受けている、この調整、調和というものがやはり問題点になっておって解決ができない問題だと私は考えております。ですから私は、労働大臣としては、やはり労働法のたてまえからいろいろなものを考えなければならない。しかし政府関係の特殊法人としての公共性それから特殊性というものも、従来こういう慣行で、こういうあり方で考えておるのでありまするから、その調和、調整というものがどういうふうにつけられるかということが、やはり今後検討さるべき課題ではなかろうか。先ほど官房長官が、長い間この問題に取り組んでいるが、関係方面、いま労働省と相談したいというのもそういう面ではなかろうか、これは私の想像でありまするが、毎年毎年同じことを繰り返しておるのも、ほんとうにどうかと思います。また私も労働省の立場として、そういう同じことが長年繰り返されるのもどうかと思いまするが、しかし今日の段階では、やはりあなたがそのものずばり言えと言えば、前の返答をくつがえすわけにはいかない。本日ただいまのところは、いまのようなことである。その理由は何かといえば、いまのような、調整点をどこに求めるかということに問題があるのではなかろうか。私もまだ就任したてでありまして、この問題について詳しく突っ込んだわけではありません。私は私なりにひとつもう少し調べてみたい、このように考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 調整とかなんとか、公益性が何とか労働大臣は言われますけれども、私はやる気でおやりになるならやれると思って言っておるわけなんです。やれないことをやれという気持ちで私は言っておるのではないわけなんです。たとえば公労協関係にしましても、ここ四、五年前には団体交渉で金額が出なかったわけなんです。それがいろいろと――もちろん労働大臣なり労政局長なりいろいろな関係がありまして、お互いに考え直しながら今日では金額まで第一回の団体交渉で出てくる、こういうような方向へ順次変わりつつあるわけなんです。相変わらず変わらぬのは政労協の企業なんです。これは労政局長、あなたは詳しいけれども、ちっとは変わってきましたか、ちっとも変わらぬでしょう。内示を出すのが早くなったとかおそくなったとか、そんなものは変わったうちに入りませんよ。ある程度弾力性を持たすとか持たさぬとか、そんなものは変わったうちに入りませんよ。いままで三年、四年われわれがここで叫んだのを一体どういうふうにお聞きになっているのか、疑問に思うわけなんです。いま労働大臣の言われましたように、労働組合法適用の関係と、さらに政府関係との関係でその調整がむずかしい、調和がむずかしい、こう言われますけれども、そんなものはここの答弁にすぎぬのでもやる気持ちがあるなら私はやれると思うのです。やる気持ちがないから相変わらずの答弁になると私は思うのですが、失礼なものの言い方ですけれども、これは労働大臣だってこれくらいなことは――労働大臣は日が浅いかもしれぬけれども、そんなものは十分承知の上だと思うのです。それを私は言いたいわけなんです。きのうやきょう言い始めた問題じゃないものですから、私は執念深く言うわけなんです。それならなぜ中央労働委員会のあっせんを拒否するのですか。これは裏面を考えてみると、労政局長、あっせんを拒否するようなことにちゃんと行政指導がなされておるから拒否するわけなんです。内示が出ぬことには解決しないということが背面にあるのですから、あっせんを拒否するわけです。各企業の理事だってものが言えないというのは、そういう行政指導が行なわれておるからものが言えないわけなんです。そこを考えていただくなら、お互い前進する方法はあると思うのです。これは何べん同じことを繰り返しておりましても、なかなかいい返答はあなた方はできまいと思うけれども、ぜひひとつ毎年毎年繰り返しておる問題でもありますし、労働三法の適用の組合でもあり、これは公務員ではございません。予算的に政府との関係があろうけれども、公務員じゃないわけなんです。しかも賃金というのは、職場で働いておる労働者の一番中心課題なんです。これをきめるのに公務員並みの扱いをされるということにつきましては、これは問題があると思うのです。ですから、官房長官もああいうふうに言ってお帰りになりましたけれども、ぜひひとつ労働行政の最高の責任者である労働大臣といたしましても、さらに労政局長としても、同じように二十七、二十八日はストライキをやる政労協の労使の関係を一体どう持っていくか、このことにつきましては早急にひとつ相談をしていただいて、相変わらず長い間引っぱっていくというような方法ではなしに、対策を考えていただくようにぜひお願いをいたしたいと思うわけです。官房長官なりその他かなり長い時間になりましたけれども、最終的に労働大臣の考え方をお伺いいたしまして、この問題については私終わりたいと思うわけです。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 やる気がある、ないというようなお話もございましたけれども、やはり今日まで、私が先ほど申しましたような点の調整ということで、後藤さんは後藤さんのお立場、それから政府並びに関係者はそれぞれのお立場があったのではなかろうかと私は思っております。私先ほど調べると言いましたのは、そういう面の詳細について私まだ存じておりませんから、これは調べさせていただきたいと思いまするが、御意に沿い得ない答弁でまことに恐縮ではありまするが、今日の段階ではあなたがまたから振りに終わったというか、従来のことで何だとおっしゃるかもしれませんが、結論としては先ほど官房長官が申し上げたようなことで、しかし私はこの問題はもう少し調べさせていただきたい、このように思っております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 じゃ、終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 これまで全逓の不当労働行為について、再三にわたって本委員会で私ども質問を申し上げました。しかし依然として全逓の不当労働行為は改まっておらぬというような実は感じを私はぬぐい去ることができません。  きょう実は三つの事例を私は申し上げてみたいと思うのですけれども、この三つのそれぞれがすべて不当労働行為であるというような私は感じがするわけであります。きょうはあとで大臣もお見えになるそうですから、この点についてひとつはっきりとけじめをつけていきたい、こう思うのです。  世田谷の郵便局に宮本さんという人がおるのは、人事局長も御存じだと思う。この人は椎間板ヘルニアで一昨年ごろからずっと、長期にわたって休んでおります。このまま休んでいけば、四十八年の一月自然退職の時期になっておる。本人もそのことについてはかなり心配しているんです。そしてお医者さんにかかりながら治療してきたわけですけれども、四十七年、ことしの一月に、軽作業についてもいいが、しかしまあ通院して治療しなさい、こう言われております。それで病院の医者の診断書に軽作業はやれるということで、庶務課長にその診断書を出したら、病気が完全になおるまでは休んでいろ、こう言われた。そうして集配課長は軽作業、通院加療の二項目を削除して書き直してこい、こう言ったというんです。話を聞きますと、同じような状態で軽作業についている人もおるということを私はお伺いをいたしました。そうして村田という労務担当の人は、同様の趣旨のことを病院に電話したようであります。そのお医者というのは駒沢病院のお医者さんです。名前は米谷俊朗という人であります。この人もたいへん憤慨されておる。局のほうから診断書を書きかえてほしいという電話が入っておる。つまり宮本という人は、このままでいけば長期に休んでいるので自然退職をしなければならぬ。いま局としては人手が一人でもほしい、長期欠勤者は困るということで、軽作業についたら、そこで時効が中断をする。したがってそのまま休ましておいて、四十八年の一月が来たら、その人を退職させて新規採用するというのが私は局の腹だろうと思います、勘ぐった考えかもわかりませんが。  もしそれが事実だとすれば、私はまことにけしからぬ話だと思う。あなた方がこの委員会で答弁に立つごとに、不当労働行為はいたしておりません、こうおっしゃってるが、事実においては組合員を自然退職に追い込むような、要するに小手先を弄しておるということであります。ですから、郵政当局は幾ら不当労働行為はいたしません、こうおっしゃっても、現実にこういうことが行なわれている。しかもこれは医者の診断書でありますから、いわば公文書にひとしいものであります。一つの証明書であります。そういうものまで書きかえてこい、あるいは電話を入れて書きかえてほしいというようなことがあったとするなら、これは私はたいへんなことだと思うのです。そのことに対して人事局長は一体どういうふうにお考えになってるのか、まず第一点、このことをお伺いしたいと思うのです。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 診断書を書き直してこい、あるいはその病院へ電話をして医師にその旨言ったということにつきましては、実は私ども調査が不十分なんだろうと思いますが、ただいま初めてお伺いすることでございます。私どもは、いま先生がおっしゃいましたような当時の御本人と庶務課長とのやりとりの話を私どもなりに存じておるのでありますが、庶務課長と御本人との話の中では、そういったことがあったようには出ておらないわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 これは集配課長であります、診断書を出したのは庶務課長、軽作業と通院加療の二項目を削除して書き直してもらってこいと言われたのは、自分の直接の上司である集配課長、私は本人から聞いておるのですよ。つまりある意味では、被害者から聞いている。あなたは、ある意味では加害者から聞いている。私はいたしませんと加害者は言っているかもしれない。しかし、直接にそういうことを言われた御本人は私にそういうふうに言っているのですよ。もしこれが事実なら、あなたどうします。  いままでたびたび不当労働行為はいたしておりません。そういうことをしないように指導しておりますと言うけれども、現実にここにあるのです。これは私は確認はできておりません。しかし、村田という労担が、ほぼ同様の趣旨の電話を米谷という医師に入れたこともほぼ間違いない事実であります。これは第三者が、その友人、同僚が話を聞いてる、こういう事実があるじゃありませんか。あったときにあなたはどうしますか。事実だとすれば集配課長、庶務課長、労担、こういう人たちに一体どういう処置をとっていただけますか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 庶務課長なり集配課長なり労担の主事なりがそのようなことを言った、あるいは電話をしたということは、先ほど申しましたように、私どもの調査では全部漏れております。したがいまして、その点につきましては、先生の御指摘がありますので、なおよく調べたい、かように考えます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私はある程度の確証を持って、そして確信をもって言っているわけですよ。四、五日前であります、私のところへ電話がかかってきたのです。そして一ぺん現場を見てほしい、こう言われたから行ってみたのです。春闘の集会、これは時間外であります、昼休みですから。そこへもっていって、集会をやっているときに、集会は禁止しておりますといって、中に職制が入っていって集会をさせない。しかし片一方では、会議室を貸しているんですよ。そして全郵政に対しては集会を許可しているのです。これは千歳の郵便局です。十二時半から一時まで、郵政の組合に対しては許可を与えておる。全逓の組合は出したけれども、許可を与えない。十二時から十二時半までの間です。これは会議室はあいているのです。片一方に出しておる。同じ組合ですよ。同じ組合といったらおかしいが、組合としては同じ組合の性格を持っている。それは第一組合と第二組合の差はあるけれども、しかし片一方に出しておって、片一方に出してない、そういう現実があるじゃないですか。つまり常にそういうことをやりながら全逓という組織を排除していこう、こういう傾向がありありとあるじゃありませんか。  しかも、椎間板ヘルニアという長期療養を要する人が、軽作業ができるからという診断書が出たから、それに対し、自分は働きたい。そうしたら、おまえは来ぬでよろしい。なぜ軽作業につけさしてやらないんです。その裏には、このままほっておけば四十八年の一月に自然退職になるから、軽作業についてもいいということを削りなさい。ただし、加療を要する。そのことを削りなさい、そうしたら本人は依然として昔の病状のままで勤務不能ということになるわけですよ。それを押し通していって、一人首を切って新規採用、それがあなた方の実際の人事管理なんですか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 同局で同じ日に片一方の組合に部屋を貸し、片一方の組合の集会を禁じたということでありますが、通常の場合はそういったことはあるわけがございません。ありましたら、これは何かきわめて特異な状況が発生したということ以外にないと思うのであります。通常においては、そういうことはないわけでございます。ただ、庁舎利用という問題がございまして、私どもの方針といたしまして、たとえば違法なスト、こういった指令が出ておるような場合には、私どもストを違法と考えておりますので、やはりそういったことをあおるようなことになってはいかぬというので、そういった期間だけ便宜供与をしない、こういうことにしております。したがいまして、御指摘の日時がいつであったか存じませんが、そういう期間であればストを指令しておる組合に対しては一方そういう態度をとり、しからざる組合に対しては平常の態度をとった、こういうことではなかろうかと存じます。  また、来年の一月でございますか、一月の休職期間切れというものをねらって、そういうことをしたのじゃないかということでございますけれども、実は本件は、今年の一月にそういった問題があったわけであります。ところが当該局で、同じ郵便の仕事をやっておる某々という人が、やはり椎間板ヘルニアということで休職をしておりましたのが、去年の八月に復職をしてまいった。それで、なおったという診断書で仕事がやれるということでありましたので、内務の仕事をその人にやってもらっておったのでありますけれども、その後この人は椎間板ヘルニアが再発いたしまして、現在自宅療養中である。そういう例が目の先にございましたので、当該御本人につきましても、またその某々という人の場合は出てきましたときにコルセットは着用しておらないという状況でありましたが、今回のその方につきましては、現にコルセットを着用しておる。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 ですから、同じ仕事をやってもいいという状態でありましても、今度の人はコルセットをつけておる、からだの屈伸が前の人よりも窮屈である、こういう状況でありましたので、前の人の例にかんがみまして、この人についても、いままた軽作業といいましても、そういう仕事につきますと前の人と同じように再発しては困るではないか、まだ休職期間が満了までに一カ年もあることでありますので、無理をせずに、なお療養を続けて、そうしてできるだけ完全になおしてから復職したほうがよかろう、こういう気持ちで庶務課長は本人という話をした、こういうように聞いております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 人事局長、問題をすりかえちゃいかぬです。庶務課長が言っていることは、病気が完全になおるまで休んでいろ、これは善意に受け取るか、あるいは勘ぐって受け取るかの、この二つあると思うのです。もう一つは、それならば集配課長は軽作業と通院加療のこの診断書の二項目を削ってもらえ、なぜそういうことをやる必要があるのか、これが第一点です。  第二点は、あなたはコルセットをはめておるからということで、同じ仕事と言ったけれども、何も同じ仕事をさせる必要はないんだ、局の管理者として。軽作業だっていろいろ作業の種類があるはずです。それを軽作業ということで、抽象的な概念でそこへはめ込むことに、ことばのごまかしがあるんじゃありませんか。幾らでもほかに軽作業があるはずですよ、局で考えるなら。もう一回聞かしてください。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 作業はもちろんいろいろあるわけであります。しかし、当時応対しました庶務課長といたしましては、とにかくこういったケースの場合休職期間は満三年間あるわけであります。満二年経過したところで御本人からそういう話があった。まだ三分の一といいますか一年たっぷり残っておりますから、決してそういった悪意じゃなくて、むしろそういった前者の例もあります。しかもことしの一月ですが、それまでの給与と、それから今後一年間休職しておりましても、その間本人がもらわれる給与は同じでございます。そういった点で、給与も変わらないのだし、まだ一年あるんだから、十分なおしてそうして出てくるように、こういうことを他意なく言ったのだ、こういうように私どもは把握しております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それじゃあなたはお答えになっていない点が一つある。集配課長はなぜ、軽作業という項目と通院加療を要するという項目を削れと言っているのか、その辺の説明が何もないのです。なぜそれがあったのか。  もう一つは、庶務課長なり集配課長が、あしたから軽作業についてもいいと言われましたと言って来たときに、なぜ突っ放したようなものの言い方をするかということですよ。あなた方の言ったような、つまりあたたかい気持ちで言っていないですよ。だから、その本人は悩んでおるのです。ものは言いようがあるでしょうよ。あたたかい気持ちがあったら、あたたかい態度で接したらどうなんだ。おまえは長期に休んでおるじゃないか、それが完全になおるまで休んでおけ、こう言うのと、あなたのおっしゃったように、あと一年ありますよ、自然退職ということになったら、私ども管理者としては十分に考えてあげるからという、言い方と二つあると思う。どっちをとっているのですか。庶務課長は、あなたのおっしゃったような、あたたかい言い方をやっていないですよ。それでなければ、私のところに来るはずがない、本人がどうしたものだろうかと言って。  ですから、あなた方は報告だけを聞いて、私ども何もいたしません、ことばだけで聞いておるかもしれないけれども、現実の、接したときの態度というものは、はるかに違うのですよ。そこに問題があるでしょう。もう一度あなた、答弁をしてください。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 御指摘のような、あるいはこういったケースの場合には、当然やはりこれはあたたかく接するということでなければならぬと思います。  それからまた、診断書書き直し云々の問題、これにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、ただいまの私どもの調査の中に入っておりませんので、その点につきましては、なおよく調査をいたしまして、その上でお答えを申し上げたいと存じます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それでは四十八年一月に、このまま休ませていっていまのような態度でやっていけば、自然退職ですよ。  それでは、あなた方はひとつそういう指導をしてもらえますか。このまま休んでいっても、中断なり何なりをするような配慮をして、もう一ぺん、もし必要であれば療養させるというような配慮をしていただけますか。そうしないと、その人は現実にずっと苦しむわけですよ。そうしてこのままでいけば、局の方針に従って、四十八年一月が来たら、この人にやめさせられるのですよ。そうしたら、そのことに対してあなた方がもう少し配慮をしていただいて、そういう心配がないように入院加療あるいは通院加療、そういうことができるような指導をしていただけますか。それだけ聞かしてください。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 こういう休職期間の定めというものが労使の協約できまっております。したがいまして、形式的に一日出てくるとかいう、そういう協約の乱用にわたるようなことはしたくないと思っております。しかし将来、さらにこの人が療養を続けまして、現在よりさらに軽快すると思います。そういったときに、期限が切れます前に出勤をいたします。むろんその場合、根治しておれば普通の仕事につけると思いますが、なお若干の問題があれば、それにふさわしい作業につけなければいかぬだろうと思います。そういう仕事は、確かに先ほど先生御指摘のとおり定員が満ぱいであるかないかは別にして、郵便局にもあるわけでございましょうから、そういったときには協約の乱用にわたらざる限り、そういうような措置をとることになると思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 関連して。  いま局長の答弁で、庁舎の利用は、違法ならばその間便宜を供与しない方針だ、こういうようなことを承ったわけであります。  そうすると、この事例はどういうふうなことになりますか。最近、北海道に起きたこの種の問題のうちの社会問題として指摘された大きい問題があるのです。六年前から年中行事として、日赤とタイアップして採血をしておった室蘭郵便局で一つの問題があったわけであります。当然受付用の机も管理者側が貸してくれた。そして四月十一日午後三時、ちゃんとその組合掲示板に掲示しておいて、そして勤務終了者と仕事の手のすいた人、こういうような人に対して採血の準備をし、いままでどおりこれを行なおうとした。ところが、局長が勤務時間中のこういうような行為は組合が行なう組合運動と認める。したがって公務員法違反である、中止せよ、そうして行なった者は賃金カットをすると言って賃金カットをした。一体こういうようなことは郵政省は指示しているのですか。そういうようなことをさしたのは、当然違法ならばその間、便宜供与しないという庁舎の利用、そのために違法行為と見たのですか。労政局長に、こういうようなことがはたして公務員法に違反するのかどうか、この見解を聞きたい。  それから局長には、こういうようなことを当然違法行為として、皆さんは上から指導しているのかどうか、指示しているのかどうか、この点を明確にしてください。とんでもない問題です。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 本件につきましては、事前の意思疎通が局側として足らなかった面があったわけでございます。また献血車をよこしました日赤でありますが、日赤のほうも局側には事前に連絡しなかったという、いろいろな意思疎通が足りない面がございまして、その結果といたしまして、いま先生が御指摘になりましたようなぎすぎすした局面が展開された。しかし結果的には、献血がなされて終わった、こういう問題でございます。したがいまして、当然組合も関係しておりまして、組合、日赤、それぞれがこの問題についてその後いろいろ話をいたしまして、そうして今後はお互いに事前の意思疎通を密にしていこう、局のほうも、そういうことであれば今後勤務時間を差し繰るとか、いろいろ便宜をはかろう、こういうことになった次第でございます。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 国家公務員法の解釈につきましては、私から正式に申し上げる筋合いではございませんが、献血等というようなものは労使が――必ずしも労使の話し合いばかりではございませんけれども、そういう人道上の行為につきましては、時間中といえどもそういうことの便宜供与をはかるということはよくあることでございますし、また望ましいことではないかと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 献血者の心を大事にしなければならないということは社会通念です。血は売血ではだめだ、肉体の一部であるからということで、わざわざ献血運動が数年前から取り上げられ、現在のようになってきている。たとえこれは組合が行なっても、こういうような問題に対しては組合運動以前の問題として、もう社会的な大問題として、あたたかく迎えなければならない、協力しなければならないはずのものなんです。ところが組合がやっているから、勤務時間内であるから、これは組合運動とみなすのだ、集団献血は組合運動である。したがって勤務時間中は許さないのだ、こういうような指導をしておやりになっているのですか、これは。もしそういう指導をしてないとすると、局長は独断でこういうようなことをしたのですか。献血運動、これは集団でやるから組合運動とみなすのだ、こういうような見解を皆さんがはっきりと示しておるのではないかと思うのですが、これは示していないのですか。これは局長だけの独断ですか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 もとより勤務時間中の組合運動ということは、これは原則的に否定しております。ただ、先生おっしゃいますような献血というような問題は、こういうことをかりに組合がやるのでありましても、献血というものは事の性質からいいまして、そういう範疇に考えるべき問題じゃないと思います。しかしその点につきまして、勤務時間中の組合活動はいかぬという指導はしておりますが、しからば献血についてはどうかということにつきましては、実は具体的な指導をしておりませんでした。そこへ持ってきて、先ほど言いましたような、事前の三者間の意思疎通ができてなかったというようなことから局側の発言が少しぎすぎすしたようでございます。  したがいまして、本件はそれなりに解決を見たのでありますが、私どもといたしましても、献血、あるいは献血だけではないかもしれません、そういった人道的な問題、こういった問題については、むろん業務確保という面はございますけれども、事前に十分連絡をして、そして業務を差し繰って大いに協力をするようにということをあらためて具体的に全国的に指導したい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 どうもそれがおかしいのです。これをやったのは四月十一日です。十二日になって、場所は変わるけれども、また別のところで同じようなことが起きている。今度は倶知安郵便局で、岩内駅前郵便局の従業員の人の奥さんが、三十二歳になる人ですが、ちょうど四月十二日に倶知安の病院で帝王切開の手術を行なわなければならなくなった。血液型はA型で、当然A型の血液を必要としたので、一応採血しなければならないという必要に迫られて、それを局のほうへ持っていった。当然局のほうでは、それに協力しなければならないというのが私は普通の常識だと思う。ところがどうしても許可しないので、休暇をもらって二名、三名の人がその採血に応じに行った。その間の時間が相当たっておるので、隣の電報電話局の組合の人が二人行って採血に応じ、事なきを得ておるのです。こういうような人の命にかかわるようなことさえも、時間内であればこれは許さないのですか。こういうようなことも、勤務時間内であれば当然組合運動として公務員法違反だから許さない、賃金カットをする、こういうようなことになるのですか。倶知安の例は、これはどういうことになるのですか。従業員の奥さん、それも同僚の奥さんですよ。郵便局のすぐそばに来て手術ですよ。手のすいた人、同じ血の型の人は、これは採血に応じてやるのが当然だと思っておる。郵便局ではこれをしないのですね。勤務時間中であるから休みをもらって行きなさい、それでなければ応ずるのはだめだ、こういうような指導をなさっているのですか。これは十二日の事件です。前の室蘭は十一日。どういうことですか、これは。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 倶知安の場合には、倶知安の局員じゃございませんで、どの程度距離がございますか、岩内駅前という局の職員の家族が倶知安の病院に来まして、倶知安で採血の必要が出た、こういうケースでございます。  これにつきましては、当該局といたしましても、決して協力をしなかったわけじゃございません。協力は大いにしたわけでございまして、二名に対しては時間休暇を与えたわけです。報話局では、聞きますと非番の者二名に同様に行きなさいということで、四名を用意したようであります。郵便局の場合、この手術の時間、輸血といいますか、直接採血のようでありますので、手術の時間とも関連がありまして、まず一人が行った。そして報話局のほうは二人が行ったようでございます。そういったことで三人で済んだというので、もう一人、行くなら時間休を与えるよと言っておった人は、局で待機しておる間に、もう要らないという連絡があって、そうして結局は報話局の人二人と郵便局の人一人で輸血を済ました。こういう問題であります。そういう意味で大いに協力はしたわけでございますけれども、そしてまた本人の出勤との関連につきましては、時間休暇を与えたわけでありますが、時間休暇を与えて行かすということにつきましては、当時、倶知安におきまして組合問題にもならず、本人もそれはおかしいとも言わず、ごく自然のうちにそういう形にしたようであります。  しかし、その後この問題、私どものところへあがってまいりました。倶知安では、ことさらにどうという問題もなかったわけでありますけれども、それを私ども見てみますと、まあ勤務の差し繰りがつく程度のものであるならば出勤扱いにしてもいいじゃないかということで、本件につきましても、すでに一名に対して与えました時間休暇を取り消しまして出勤扱いとするように指示をいたしました。これらにつきましても、従来そういう指示をしておったかという御指摘があろうかと思いますが、特にそういった輸血の場合の措置というふうなことにつきまして具体的に指導しておったわけじゃございません。また当該局長といたしましても協力、非協力というような意思も別になくて、すらりと時間休を与えて二名を行かす準備をしたわけでございます。しかし全体として考えますれば、こういった問題、やはり出勤扱いにしたほうがよかろうというふうに私ども考えましたので、今後この件につきましても、全国的にそういった指示をしたい、かように考えています。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 いま患者が血液が不足だということで、それで知人の献血手帳を借り、そしてそれに対して謝礼金を出すというようなことで、これは一種の売血制度ではないかということで批判があったことがあるのです。献血というのは、ぼくは要するに善意に依存するものと思うのですね。いままでの話を聞いていると、時間内云々ということでやられている。私が申し上げるのは時間外ですよ。時間外に――これは世田谷の郵便局です。時間外に血液センターの採血車が来て、そして採血をするといったときに、管理者のほうで、処分の対象になります、こう言うのです。あなた頭をかしげているけれども、そういう事実がある。そう書いてある。しかも、このことについては朝からそういうことが行なわれているのですよ。車が来たのは昼休み時間。そうして採血中に、献血によって倒れた者については処分の対象になります、こう言っておるじゃありませんか。この証人は何人もおる。北さんの話と話が違うじゃありませんか。時間内はこれから考えましょう、時間外ですよ、問題は。時間外にあったことですら、そういうような態度をとっておるということは、どういうことですか。しかも一時の就業時間に三分おくれたのです。そうしたら三人を賃金カットした。こんなばかなことが一体どこにあるのか。組合の抗議によってこれは最終的には取り消された。だけれども賃金カットする、しかも採血の最中に貧血で倒れた人は処分の対象になります、こんなばかげたことが一体管理者としてあり得ますか。あなた笑っておるけれども、すべてがそういう指導なんですよ、郵政当局の指導は。時間内のことならば多少のトラブルはあったかもしれない。問題は時間外じゃありませんか。しかも突然に入ってきたのじゃない。郵政当局、郵便局のほうはそのことを知っておるから、朝から採血に応じてはいけません、こう言っておる。  私の知人に同じように郵便局におる人がおります。その人の弟さんがガンになっておる。郵便局の人も、組合の人たちも行っておる。私の周囲の人も八王子まで行っておるわけですよ。そうやっておる段階です。善意に依存する献血に対してそういう態度が一体とり得るものかどうか。一体こういうことが許されるのですか、あなた。こんな態度すべてが不当労働行為に通じていくのでしょう。どうお考えです、このことに対して。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 ただいまのお話は去年の七月二十三日の件でございます。いま先生おっしゃった中で、もし献血によって倒れた者は処分するというようなことを言ったということは、私どもの調査には出ておりません。当日、組合から話がありまして、献血の実施時間としては七月二十八日の午前十時から午後三時までの間にしたい、許可してくれ、こういうことであったようでありまして、申し出のときにおきましては、やはり勤務時間内の指定であったようであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 七月ではありません。昨年の九月二十二日です、事柄があったのは。ですから時間が違うでしょう。七月に事柄があったから、九月二十二日の昼にやったのです。勤務時間内にはやれぬから、勤務時間外に、あとになってわざわざ選んだわけですよ。そういううそを言っちゃいけません。しかも言ったのは現実に貯金課長が言っておる。私は現場に行って聞いたら、そう言っておる。私も言われた、私も言われたというのがおるのですよ。七月じゃない、九月ですよ。いいですか、七月にそういうことがかりにあったとしても、九月にそういうことがあった。しかも北海道にあったのは、それから六カ月も七カ月もたったあとでしょう。そういう事例があったのだったならば、郵政当局としては、全国にそういうことに対して指示通達を出すのがほんとうでしょう。あなた方はブラザー制度に対しては即刻通達を出すかもしれないけれども、こういうことに対しては六カ月も七カ月もほうっておくんですか。そんなばかなことどこにある。自分のための労務管理に対しては直ちに即刻処置をしながら、こういうことに対しては六カ月も七カ月もほうっておくのかね。そういうことが許されますか。だから不当労働行為が起こるのですよ。あなた方が何と強弁しようと、あなた方が事務的にそういうことを郵便局のほうに確認をしても、私がそうしたことを言いましたとかしたとかという人がおるわけがないじゃないですか。そういうことは考えられないでしょう。もう一回答弁してください。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 たいへん残念なんでございますが、私ども手元にありますものでは、先ほど申し上げましたように、そういった七月二十三日にやりとりがありまして、七月二十八日に献血車が参りまして、そして職員四十数名が献血をした、こういうことでございます。したがいまして、当時、そのことについて、結局献血がなされたわけでありますので、特段のトラブルとして私ども把握をいたしておりませんでしたので、たいへん怠慢とおっしゃられれば、まことにそのとおりでございますが、実情はそういうことで、昨今正しい把握をした次第であります。そういったことにつきましては、まことに私遺憾であったと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ちょっと委員長、関連。  いまこうやってみると、やはり一連の傾向、同じです、これは。勤務時間のうちであろうと外であろうと、傾向は同じ。やはり皆さんのほうで指示している。あなたのほうでは、ただ管理者の言うことだけ聞いているから、そういうような作文になって出てくる。  労働大臣、この採血問題は重要なんです。人命にかかわるような重大な問題。また国がそれを奨励してやっているのに対して、勤務時間中であるならば賃金カットする、公務員法違反だという、そして届け出しないものは一切不当労働行為だ、逆にして。労働者であるならば、それに対して賃金カットその他の処分を行なう、こんなやり方がありますか。国がそれを奨励しているんです。国が奨励しているのに郵政局では反対の指示を流している。もし指示を流していないとするならば、その局長は独断でやっている。独断でやっておるなら、これはもう良識者じゃない。組合員ばかり罰しないで、こういうような局長を罰しなさい。政府の指向する方向と反対のことをやっておる局長は良識者じゃない。それくらいはっきりしないとだめです。労働大臣、こういうようなのが行なわれておるということは、まことに残念なんで、労働基本権に関する重大な問題ですが、曲げて考えて公務員法違反だとして、国の行なおうとする方針と反対のことをしている。今後十分これは気をつけさせなければならないと思います。こういうようなことがあってはならないと思います。労働大臣も郵政大臣とよく相談の上、こういうようなことを再び繰り返させないように十分これは配慮すべきだと思います。大臣どう思いますか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 沖特の委員会で私の所管の事項の採決がありましたので、そちらのほうに行っておりましたために、事件の内容についてはつまびらかにいたしませんが、いま入ってまいりましてから短時間の間でありまするが、おおよその輪郭はつかめたと思います。  もちろんわれわれの立場からいえば労働基準法、これの違反があってはなりません。不当労働行為もこれは許されません。病気の方を仕事につかせるというようなことも、これは許されてはなりません。監督という問題もおありでしょうが、ひとつ当事者間で、労使間で十分話し合って円満な解決がはかられることを労働大臣としては望んでおります。

増岡博之自由民主党

○増岡委員長代理 八木昇君。

八木昇日本社会党

○八木委員 郵政当局、特に出先職制の非常に行き過ぎた組合運動に対する介入、いわゆる不当労働行為というのが従来非常に問題になっておりまして、それに対して郵政当局は、以後はそのようなことはいたしませんということを再三言明されたのですが、いまも問題が出ましたけれども、最も新しい事例で、私どうしても承服できませんので質問したいと思うのですが、ついこの間の四月二十日であります。佐賀県の武雄郵便局、春闘第三波でございまして、出勤時間より二時間、一斉職場集会というものを実施したわけです。  ちょっと数分かかりますけれども、経過を、事実申し上げますと、その際に、四月二十日の前日の十九日午後、勤務時間中でございますので、局長から局長室へちょっと来いと呼び出されれば行かざるを得ないわけです。その呼び出されるに先立ってずうっと全従業員に一人ずつ、あなたはあすの職場集会に出ますかということを全部聞いているわけです。特に主事あるいは主任クラスの全逓の組合員に対しては、あなたたちは人を指導する立場であるからして、そのようなものに出ることは、職場集会に参加することは、好ましくないという趣旨を明瞭に言って、なおかつあなたはどうしますか、こういうあれをずうっと全員に聞いているわけです。その中で、いまの主事とかあるいは主任及び一般の職員の人でスト参加について、必ずしも私は出席しますということを明瞭に言わなかったのでしょう、あいまいな答え方をしたような人、結局私の聞いておるところでは合計九名の人を局長室にそれぞれ来いといって呼んでいるわけです。そうして結局局長室にそのまま、まあ五時までの間に職場へちょっと戻った人は中にはあるかもしれませんが、大体大半そのまま局長室に監禁したまま。局長室の中に当局側も相当数入っていたそうですけれども、内側からかぎを締めて、そうして翌朝八時半まで――それは厳密にいいますと、夜中の午前三時までは局長室で睡眠をしておりません。そうして午前三時過ぎからは宿直室で休みなさいといって休ましておりますが……。それで、しかも、局長室の中にはバケツを持ち込みまして、小用はこれにせよと、全然出していない。そうして、小用をバケツにすることがいやだった人は窓から小用をしておるということをやっております。  で、このうち、いまの主事の二名、中島主事、これは郵便課の主事であります。北島主事、これも郵便課の主事であります。この二人は、ちょっと私ども用事がございますから、もう間違いございません。六時ごろまた局長室へ参りますからと言って局長室を出ましたために――事実は六時には戻ってこないで、そのままもう自宅へ帰って、そして翌朝の職場集会に参加をしております。  それから残り七名のうちの二人は、古瀬という貯金課の主事と、及びその奥さんであります。その奥さんもやはり武雄郵便局の庶務課につとめておるのでございまして、この夫婦をそのまま、おまえたちは帰ることならぬというわけであります。そこで奥さんは非常に抗議をしたわけであります。小学校二年生の女の子と幼稚園の男の子と二人、そして夫婦共かせぎであります。それでどうしても帰らぬというわけにはいかぬじゃありませんかということで非常に抗議をいたしました結果、五時二十分に奥さんは帰しております。帰りましてから今度は電話で局長室に監禁をされておる御主人を呼び出したのだけれども、四回とうとう電話を取り次がなかったそうです。五回目についに取り次いだそうでございますが、御主人はこういうようなかっこうで部屋の中にみんなおる、どうも帰られぬということだったそうでございまして、とうとう翌朝まで監禁をされております。  それからもう一人の人について申し上げますと、これは雑務手、小使さんですね、松尾さんという人は何度も強引にねばって、私はうちへ帰らなければ、よそで寝きらぬというようなことをいろいろ理由をつけて、それから私は小鳥を飼うておる、これは余人ではえさは与えられない、どうでも私でなければいかぬということを強引に言った結果、これは帰してもらっております。  残りの翌朝まで監禁された者のうち、いままでまだずっと調査しておりますが、その調査ではっきりしておりますのは、少なくとも二人は自宅へ帰してもらいたいということを強く言ったのにもかかわらず帰されないまま翌朝まで監禁をされております。このような事実をあなたは御承知でしょうか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 実は二十日のスト、これは全国で九拠点で行なわれました。武雄局はそのうちの一つの拠点でございます。九拠点につきましての全般的な情勢は存じておりますけれども、ただいま先生おっしゃいますような武雄についての詳細は、本日ただいま持ち合わせておりませんので、御指摘のようなことにつきましては、さっそく詳細を当方としても調べてみたいと存じます。

八木昇日本社会党

○八木(昇)委員 これはともかく局長室を内からがちゃんとかぎをかけて、そして午前三時までそこの部屋に入れておいた。それは宿泊の設備も何にもないのです。そして午前三時からは宿直室で休ませた、本人の意思に反して。こういうことは間違いございませんが、事実を正確につかんでいないというならば、私が言うとおりが事実であるということを前提にしてのお答えでけっこうですから、適切だと思いますか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 一般論として申し上げますと、私ども、翌日ストであるということが判明しております場合には、やはり翌日の業務確保ということを考えざるを得ません。そのために一定の人員を要員として確保するということはさせております。  しかし、その場合、あくまで本人の同意といいますか、それが必要でありまして、本人の意に反して、そして先生がいまおっしゃいましたような態様で封じ込めるというようなことは、適切でないとはっきり申し上げられます。

八木昇日本社会党

○八木委員 これはもう不当労働行為ということよりも、むしろ私は刑事上の問題だと思うのです。ことにいまの御夫婦の方の場合などは非常識きわまるですよ。小さい小供二人が自分の家庭におるのですよ。  それで、そのようなことに一体なぜなるのであろうかということを私は考えるのです。なぜなるのであろうか。それは結局、この武雄局にも第二組合員が六、七名おるのです。そしてどこでも大体いえることですけれども、全逓から脱退をした、まあ組合切りくずしに非常に努力をした。職制と一体になってそういうことをやった者は、勤務年限が短かろうが、職務能力がすぐれていようがいまいが、一選抜でもって出世する地位につく、そういうことをやっているでしょう。そんなようなことになると、職場秩序は乱れます。なあに、あいつが仲間を裏切ってあんなことをしたために、ろくすっぽ才能もないくせに、おれたちよりはるか後輩なのに職制の地位について、そして当局側と一体になって何しておるということになるし、業務上でも、そんなおいそれとその人のいうことに従いはしない。ところが、そういう悪循環は悪循環を生んで、逆にそういうような出先の職制で組合やっつけろということに非常に努力して成績をあげれば、自分の地位は上がっていくということになると、本省あたりの親方の局長の意思より以上に出先は暴走する。それが実態ではありませんか。そういうことについての反省はありませんか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 申すまでもないことでありますけれども、人事は最も公正でなければならないわけであります。御指摘のようなことがあってはならないということは、十分私どもとしても心しておりますし、また浸透させておるつもりでございます。

八木昇日本社会党

○八木委員 なあに、熊本の郵政局長なんというものは特権官僚であって、一年半か二年くらいおればばかばかかわっていく。それで命令だけは下す。それで自分自身は事なかれ主義で、自分自身にあんまり火の粉がかかるようなことはしないようにうまいことを言って逃げておる、そういうふうに下級職制は見ておる。しかしながら、今度は下級職制は自分の地位が上がるためには、組合に対して相当強引なことをやらなければ認められない。そういうようなかっこうからいまのような事態が起こるのではないですか。最近、郵政の職場は非常に暗いですね。明るい笑顔が見えません。それがほんとうの実態ではありませんか。どう思いますか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 私ども「秩序ある明るい職場」というのを標語にいたしまして、一歩一歩その実現につとめておる、こういうことであります。

八木昇日本社会党

○八木委員 「秩序ある明るい職場」に反するように、反するようにやっているのです。戦前の時代のように、そういうことで、もうよらしむべしということに、びしゃっといけるなどと思っておったら大間違いですよ。まわりのいろいろな職場や企業その他における労働者や職場の実態と飛び離れて、郵政省がそういう権力づくの、しかもそういうような手練手管やその他を用いたやり方でいけると思いますか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 そういうことであってはならないと思いますがゆえに、人事の公正でなければならないということを、これは申すまでもないことでありますけれども、いろいろな機会に徹底をはかる。それから人事、その他を包み込みまして、全体としては一方で秩序は立てなければならない。しかし、明るい職場にする。そういう意味で、これを目標として進み、また進ましておるつもりであります。

八木昇日本社会党

○八木委員 そこで、事実の点を熊本郵政局長を通じて的確に調査をしてもらいたいのですが、えてして、山本委員も申しましたように、あなた方の型どおりの調査では、事実がほんとうにそのまま浮かび出てこないと思うのですけれども、少なくとも私どもの承知しておるところでは、いま奥さんが電話をした主人の古瀬という主任ですね。それからさっき申しましたが、小使いさんは結局帰されなかったそうです。私、先ほどの、発言間違っておりましたが、少なくとも古瀬という人と松尾という人は、はっきりと帰してくれということを何度か言ったにかかわらず帰されなかったわけです。佐賀のほうの全逓当局は、法的な訴えも場合によっては考えざるを得ないというように非常に憤っております。その辺をひとつ的確に厳密に御調査をいただきたい、こういうように考えております。  そこで、時間もありませんから、もっと具体的にやりたい点が幾らもあるんですが、もう一点だけで終わります。  もう一つは、朝の八時半から勤務が開始されるわけですが、その四十分ぐらい前の朝の七時五十分ごろ、第二組合の方六名だそうでありますが、当局側の人が十名くらいで囲んで出勤をしてきたそうであります。その通用門のところに全逓の組合員、それから若干名応援の他労組の組合員、そしてその状態を見るため社会党の書記長で椛島という県会議員もその場にいたそうでありますが、通用門の前にピケと見ればピケでありましょうが立っていた。若干の押し問答はあったようでありますけれども、勤務時間に間に合うように物理的な阻止とかなんとかはやらないで、結局通用門の中に入ったわけであります、第二組合員の人は。そのときに一緒に全逓の佐賀県全体の委員長であります佐賀地区本部の委員長が第二組合の人と一緒に通用門を入ったそうで、しかもこの杉光委員長は、この武雄郵便局の出身であります。ところが、杉光委員長が入ると同時にすっぱと通用門の鉄のとびらを締めて、そうして委員長をこづく。そしておまえ出ていけというような暴言を浴びせてやったために、その鉄門の外側のピケ隊が、杉光議長は郵政の職員じゃないか、そしてここの武雄の郵便局在籍じゃないか、それを出ていけとは何だというふうなことでやり合いがあった。県会議員も若干言ったでしょうけれども、それに対して、熊本郵政局の人事管理課の男だそうでありますが、伊藤というのが、おまえ、それでも県会議員か、暴力団みたようなことをするなというようなことを言ったそうであります。聞くに耐えないようなことを当局が口々に言ったというのですが、そういうことをお聞きになっておりますか。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 そういったことで、その県会の方から抗議があったということは聞いております。ただし、それにつきまして、その言ったという人間にどうなんだとあれしたのでありますが、自分としてはそう言った覚えは決してない、こう言っております。しかし、これも先ほどの九拠点についての報告の中で概略が上がってきておりますので、なお詳細に熊本郵政局としても調べなければいかぬ、こういう態度のようでございますので、私どももさらに熊本郵政局を督励して詳細的確に調べたい、こう思っております。

八木昇日本社会党

○八木委員 関連質問でありますから、一応きょうはこれでなにしますが、資料を要求したいと思うのです。  熊本郵政局を通してできるだけ詳細な経過を私は文書でもらいたい。そして今度はそうした一連のできごとに対する郵政本省としての見解も同時にもらいたい。私も、実は先週の土曜日にちょっと帰りました際に、口頭で一部聞いてきた程度でありまして、もっと詳しい実情を全逓地区本部に文書で私のほうに郵送してくれということを言ってありますから、しかる後に、また場合によっては機会をあらためて質問をいたしますから、その点ひとつできるだけすみやかにお願いします。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 承知をいたしました。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 時間が少しおくれてたいへん申しわけないのですが、残された最後の一つだけ、事実経過から先に申し上げます。  中村靖という保険の外勤の人であります。昨年の十二月の初めに非常な疲労感を覚えて体重が減ってきた。そこで、かかりつけの三軒茶屋の神田医院に見てもらった。ところが、そこのお医者さんが、不審な点があるけれども、自分のところに設備がないから精密検査したほうがよかろうということで、梅丘の加藤医院というところに紹介をしてくれた。そして三月の十三日から十七日の間に人間ドックに入って検査をいたしました結果が、肝不全といわれた。私、医学のことは、よくわかりませんけれども、GOTが六二、これは正常値では八から四〇だそうであります。GPTというのが三〇、これは正常値では五から二五だそうであります。同時に、診断の結果はたくさんありますけれども、胃酸過多症、肝不全、高コレステロール、右肥厚性鼻炎、それから外痔核、こういうもので、ここに二通診断書があります。一つは専門医あての、つまり主治医あての短期入院健康精査、つまり人間ドック入りの成績書であります。一つは同じような題が書いてありますけれども、これは本人あてで、人間ドックの成績書と、それから今後の生活上の注意事項が書いてあるわけであります。これを三月の二十二日に貯金課長の三具保という人に出した。そうしたら貯金課長は逓信病院に行きなさい、特に関東逓信病院というふうに指定をしたそうであります。もっとも東京逓信病院はそのころ新築の移動準備のために診療制限があるかもしれないという口添えがあったそうです。三月の二十三日に関東逓信病院の内科へこの二通の成績書を持っていった。本人は関東逓信病院へ持っていって指示を仰ぎたいと言ったそうであります。担当のお医者さんが、入っていきましたら、これは君、おどかされたんだよ、こう言ったそうであります。しかし一応血液と尿の検査をしてみよう、診察は全然、聴診器も、打診というのですか、これも全然しなくて、そして血液と尿の検査は来週結果がわかるから、来週いらっしゃい、こう言ったそうであります。指定された三月の二十七日に本人が行ったら、検査書を見ながら、この程度なら特に異常とは見られない。加藤医院に入院当時より肝機能もよくなっておるし、コレステロールも下がっておるといって、診断書を書けないといって、診断書を書くことを拒否されたそうであります。それで、本人が一週間くらいでこういう病気は正常になりますかという質問をしたそうでありますけれども、正常とはいえないけれども、この程度なら仕事をして差しつかえない、こう言ったそうであります。さらに、あなたは何の仕事をしておられるのだ、こういう話で、貯金の外務です、こういうふうに答えたそうであります。そうしたら、それなら仕事をして差しつかえない、一カ月ほどしたらまた検査に来なさい。はい、次の方、こういうふうにあれをして終わったそうであります。  その二十七日に本人はすぐ貯金課長に報告いたしました。課長は、関東逓信病院でそう言ったのなら仕事をやりなさい。これはある意味では、もっともかもわからぬ。昼食後一時間の休憩は認めます、これは自宅で休憩することを認めます、こう言ったそうであります。自宅は局から五分くらいですから……。ただ問題はそのあとです。さっきの宮本君に対する質問と同じでありますけれども、外に出たほうが疲れたとき休まれるから、こういう話だったそうであります。私はその辺の、課長の言われた意味が全く理解ができないのですけれども、外に出たほうが疲れたときに休まれるから、平常どおりやりなさい。本人は、はい、そうしますということで、何か納得がいかないものですから、庶務課長に会見を求めましたところが、課長が不在だったものですから、蒲生という労務担当主事に会ったわけであります。それで開業医と逓信病院の診断書に見解の相違があったときにどうしますか、どうなるんだろうかという質問をしたそうでありますが、当然部内の診断に従うんだ、こういうふうに言ったそうであります。  そこで私がお伺いしたいのは、もしこの当人にとって、今後病気のときに、逓信病院の診断でなければいけないのかどうかということがまず第一点です。そのことをひとつお聞かせいただきたい。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 逓信病院という施設がございまして、私どもそれなりにそこは内容等の充実をはかっております。そういった意味合い、また逓信病院でありますから、郵便局の業務内容というものも一般の医師よりはよく知っておるわけでございます。それやこれやで、できるだけ逓信病院というふうに思いますけれども、逓信病院でなければ、それ以外の医師の診断ではだめだということは一切ございません。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私は、病気というのは早期発見、早期治療というものが原則だと思うのです。同時に道義的にも、診断が相違したときには重い診断を採用するのが職員の健康管理上は当然ではないだろうか。これはある意味では使用者の義務ではないかと思うのであります。いまそこにお渡ししましたように、その診断書は、ちゃんとした施設の、あるいは検査器具というものがちゃんと備わって、私自身がしろうと目で見たにせよ、非常に精密な検査ができていると思うのであります。しかし、そういうものが現実に出されておって、それが信用されないというのでは、ちょっと問題がありはしないかと思うのでありますが、その点はどうでしょう。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 加藤医院から出てきまして、当時本人が貯金課長にこれを示したかどうか、そこまでは私は実は存じておりません。ただ貯金課長の気持ちとしては、加藤医院で、本人が、要するにいわゆるドックに入りまして、全身いろいろな機能の検査をしてもらったその中で、肝不全という項目があった。ほかも病気といえばそれは病気でございますけれども、肝不全は、常識からいいましても、たとえば鼻炎でありますとかそういうものよりも、どっちかというとわかりにくいといいますか、問題があるといいますか、そういった病気。したがいまして、そういったドックの結果で肝臓ということになりますれば、肝臓に集中して見てもらったほうがいい、こういう意味で逓信病院を示したということであります。ただその結果、最初に加藤医院の肝不全という診断があり、それから関東逓信病院では、先生がおっしゃいましたような比較的軽い見立てがあったわけでございます。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、その先を申しまして恐縮でございますけれども、関東逓信病院の結果が出ましたのが三月二十七日でございますが、そのときにその報告を本人が課長にいたしましたときに、課長といたしましても、両病院の診断結果がしろうとの目にもだいぶ違っておりました。それで今度は東京逓信病院に行ってよく見てもらいなさい、こういう助言をしまして、そして四月十二日に、今度は東京逓信病院に行って見てもらっております。その結果はまだ出ておらぬようでありますが、今週末に大体出るというふうに、当時この職員に東京逓信病院の医者は言ったそうであります。そういう経緯でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 このときには本人は非常に疲労しておったわけです。体重も減っておったし、ですから、私なら当然軽作業にさせる。あるいは仕事の量を減らすとかいうことが当然あり得ただろうと思うのですけれども、このことについて同僚が、あまり疲れておるようで、貯金課長に交渉をしておるわけです。ちょっと見ておれぬから、外に出してもし何かがあったら困るじゃないか。ですから、私よく仕事はわかりませんが、つまり仕事の量について、配達の順序あるいは集金の道順があるそうですけれども、それを三等分したらどうだということを同僚のほうから課長のほうに提案をして、そして同僚がみずからその人の仕事を引き受けてやったという話を聞いているのですよ。同僚にそれだけの思いやりがあるわけですね。同僚の交渉によって貯金課長は、ようやくその三等分を了承した。そうして本人にそれを通知したといういきさつがある。しかも本人が東京逓信病院に行ったのは四月十二日であります。指示をしたから行ったんじゃないですよ。  つまり局のほうがそういうごまかしを言うからけしからぬとぼくは言うのです。本人が、仕事がえらいし、本来ならば東京逓信病院が主として郵便局関係の人たちを預かっているということから、成績書を二通持っていったわけです。そしてその成績書を見て、今度は、関東逓信病院のようにおどかされたんだよと言うんではなくて、東京逓信病院では、これはなるほど悪いなとお医者さんが言ったというんです。これは肝機能がかなり悪いといって、丁寧に見てくれたそうです。もちろん、触診というんですか、さわって見てくれたそうです。そして中村さんという人に、肝臓がはれているから気をつけなければいかぬ、こう言ったそうです。さっそく血液と尿の検査をした。その結果が四月十九日に出てきて、肝炎の疑いがある、黄だんも出ている、引き続き注意が必要だというふうな東京逓信病院の診断が出ている。それはここにあります。これが東京逓信病院の診断書です。そしてその足で本人は、なお念のために加藤医院に行って、関東逓信病院で見てもらったけれども、そういうふうに言われた、そして東京逓信病院ではかくかく言われた。そしてGOTの検査とGPTの検査をしたところが、前の検査のときの二倍あったというんです。つまり、前の検査のときにすでに常人の状態ではないと言われたのが、今度はその二倍になっておったというのです。GOT一二五、GPT三二になっている。そして薬をもらって帰ってきている。  そこに郵政六法があるならお聞きしたいのですが、健康管理規程五十一条には一体どうなっているのか、一ぺん聞かせてください。加藤医院の成績書では、少なくとも日曜日を除いて週に一回、だから結果的には二日です。週休二日とは違いますが、週に二回は休まなければいかぬというふうにいわれているんだけれども、そのことについて何ら配慮を払ってない。しかも関東逓信病院の結果というのは、そういうふうな結果で、東京逓信病院に行って丁寧に見たら、非常にひどい。ひどいという言い方は語弊がありますが、なるほど悪い、こう言われたというのですね。その間にGOT、GPTは最初の診断よりも二倍になって、悪くなっているわけです。もし管理者が善良なる管理者としての細心の注意を本人に対して払っておるならば、こんな結果にならなかっただろうと私は思うのです。少なくとも、東京逓信病院に行きなさいというのは、管理者が言ったんではないのですよ。本人が不安で、そして疲労度がはなはだしいから行ったんじゃありませんか。  だから、私が申し上げたいのは、常に、連絡をとった郵便局の管理者の答弁というのは、あなたがおっしゃったような答弁でしかないということなんです。管理者たる人たちに何ら過失がなくて、そして常に善意をもって、細心の注意をもって取り扱っているようだけれども、結果的には違うわけでしょう。私は本人に会っているから、そう言って話をしているのですよ。  私は、きょうは三つほど例をあげて質問をしているけれども、あなたのおっしゃっているごとに一つ一つ証人があるから、私は反論をしてあなたにちゃんと申し上げているつもりなんです。この三例、どれを見ても、管理者としての注意を十分にやったとは私は考えないのです。そしてそれが実は労使の間に不当の摩擦を生んでいるのじゃないだろうか。  先ほど八木委員が言いましたように、どうも全逓の空気というのは暗い。こういう言い方は行き過ぎるかもわからぬけれども、国鉄のマル生というのは、やりとりを見ていると、それでもまだ、全逓と全逓の当局とのやりとりよりか、はるかに救いがあると思うのです。全逓の場合はほんとうに陰気ですよ。陰惨という感じが、職場に行ったら、しますよ。なぜか。つまり、いままで私が申し上げたような結果の中から、それが出てきているのですよ。東京逓信病院に本人がみずから行ったということ、あなたが言ったように管理者が行けと言ったのではないということ、それから、こういう結果というものが出ている。あなたのおっしゃるようなことではないということ、ここから生じているということ、この二点についてお答えをいただきたいと思います。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 東京逓信病院へ本人が行ったのであって、課長に言われて行ったのではないのじゃないかとおっしゃいましたが、私どもの把握しておりますのでは、この二十四日、すなわち何かビラがまかれたようでありますが、その朝、御本人が課長のところへ来まして、課長自身に対して、けさのビラに課長さんのことが書いてある、これは事実と相違しているので厳重に教宣に抗議しました。逓信病院に行けと言われたのは課長さんの好意で言われたので、課長さんに迷惑をかけて申しわけなかったという申し出があった、こういうやりとりがあったと、貯金課長自体がはっきり報告を実はいたしておるわけでございます。  それから、東京逓信病院で見立てました結果、確かに先生のおっしゃるように、四月十九日に一応の検査結果が出ました。そして詳しくこれから調べるからというので、その調べる結果が、先ほど申しましたように、四月の二十七日かに出ることになっております。その間どうすればいいかということを御本人が医者にこの十九日に聞いておりますけれども、逓信病院の医者は、いまのところ休養しろとは言わない、しかし平常勤務の中で十分注意をしていきなさい、こう言われた模様である、こういう報告を受けておる次第であります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 世田谷の貯金の職場というのは、率直に申し上げますけれども、何人かの人たちをのけたら、ほとんどが全逓の人たちじゃないわけです。私が現場に行っても、集会があるときでも、内勤の人たちで全逓の組合員の人たちすら、そこに顔出しができないような状況なんですよ。私の知っている人が、窓のところから見ているんのですよ。これは全逓の組合の人です。出てこれないのですよ。そういう職場の背景があるということを、あなた方はお考えにならなければならぬというのです。  それから、おそらく私は東京逓信病院とも連絡をしただろうと思います。しかし、これだけのものがデーターとして出てきて、そして東京逓信病院のほうは、「上記のため注意を要するものと思われます。(精査必要と思われます)」という診断書が出ているのだったら、しかも「肝炎の疑い。」が出ているのだったら、あなた方は、平常の勤務でなくて、それこそ先ほどの話じゃないけれども、軽作業につけさせるだけの配慮があっていいのじゃないですか。  そこにちゃんと詳しい資料もあるのだし、いいですか、あなた方は事情を知っているのですよ。神田医院に行って、そういう疑いがあると言われて、しかし精密検査ができないから加藤医院に行きなさいと言われて、加藤医院に行ってちゃんとした検査をして、疑いがあると言われている。関東逓信病院は検査をしなかった。そして東京逓信病院は少なくとも血液と尿の検査をして、触診をしていった。その中で一応の検査であるけれども、肝炎の疑いが出ている。「上記のため注意を要するものと思われます。」と出たときに、管理者にこれを出したのだったら、出されてこれを見たときには何かの配慮があっていいのじゃないですか。ああそうか、それでは平常どおり働け。これでいいのですか。それでちゃんとした労使関係ができるのですかと、あなたにお伺いしているのですよ。  それは課長の言われるように、外勤に行ったら、おまえはどこかで休められるだろう。つまり常に外勤をしていると、どこかで休んでいるというようなことで、そういう頭がある管理者がおるから私は困ると言うのですよ。管理者が働いている人たちに対して、要するに信頼感を持たないときに、ほんとうの意味の労使関係は出てこないでしょう。そしてそこからは、結局は漸次労使関係が悪化してくるでしょう。しかもこういう配慮、あたたかい気持ちというものを欠いているところに実は問題があるのですよ。そしてそういうものは全逓マル生で、あなた方が中間管理者を鍛え上げた結果じゃないですか。どう強弁しようと私にはそうとしか受け取れませんよ。もう少しあなた方がきちんとした配慮というものをやらなければどうにもならぬでしょう。そのことを一体どうお考えになるのです。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 当然病人に対しては、あたたかい配慮が必要だと思います。また病人でなくとも、いろいろ万般あたたかい配慮が必要であることは申すまでもないと思うのであります。  ただ本件の場合は、最初の加藤医院のほうで仕事についての注意としては軽作業が適当である、こういうことになっております。したがってその翌日は、それに本人が疲れるということでもありましたので、集金票の整理という、この人は外務でありますけれども、いわば内務のような軽い作業をさせております。そしてその翌日である二十三日に、もう関東逓信病院の受診をしたところが、関東逓信病院のほうで、まあ大ざっぱに言いますと、たいしたことはない、仕事をしても差しつかえない、貯金の外務でもやれるでしょう、こういうことであったというので、それによって局のほうも判断したわけでありますけれども、そのときに、先ほども申しましたように課長自体といたしましても、加藤医院の判断の結果と関東病院の判断の結果が相当大きく違いますので、今度は東京逓信病院へ行って見てもらったほうがいい、こういうあたたかい気持ちというのも変でございますけれども、適切なアドバイスをした、こういうことだと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 いいですか、それでは一つだけ申し上げて私は話を終わりましょう。  四月二十一日に岡本という集配の人が朝から下痢をして朝も昼も食べておらぬです。お医者にかかったところが、医者にレントゲンをとる必要があると言われて、レントゲンまでとられているのです。その人に対して、それを集配課長は知っている。知っておって、仕事にたえられれば出てこいとその人に言って、その人は仕事をさせられておるのですよ。  いいですか。私の質問に対して、あなたはきわめて事務的に、こう言えばああ、ああ言えばこうということでお答えになっている。その中に、私のところに不敏な点があれば、配慮に欠けておる点があるならば、それをひとつ慎重に対策を講じたいということが、一言だってそれが出てきていいと思うのですよ。あなたの答弁の中に、それが出てきてないじゃないですか。白々しいといえばほんとうに白々しいのです。私はほんとうに胸がむかむかしているのですよ、あなたの答弁を聞いていると。答弁の中にどこに誠意があるのです。ちょっとはよく調べて、調査をして配慮すべきところは配慮いたしますぐらいのことがあっていいでしょう。ところが質問に対しては、非常に事務的な答弁しかしてないのですよ。どこに人間味があるのです。人間の心というものがどこにあるのです。だから労使関係がよくないのですよ。これでこの時間が終わったら、やれやれこれで質問が終わったわいと、あなたはこう出てくるに違いないのだ。私は質問でこんなでかい声を出したことは初めてだ。だけれども、あなたのような人間味のない答弁というものはこりごりだよ、もうほんとうに。そんなばかな答弁がどこにある。ちょっとは人間らしい答弁をしなさいよ。現実にレントゲンまでとって朝昼食べてない人を使っているじゃないか。そういう人が管理者として適当であるか適当でないかぐらいのことは調べなさいよ。答弁しなさい。

北雄一郎郵政省人事局長

○北政府委員 私ども最初にも申し述べましたとおり、調査なお不十分な点が多々ございます。調査しております限り、お答え申したつもりでございます。したがって、調査の足りない面につきましては十分調査をいたします。  それからまた、全体を通じて、そういうことばがただいままで出ませんでしたことは、まことに申しわけないのでありますけれども、当然のことといたしまして、管理者むろんなま身でございます。したがいまして、調べまして、いろいろまずい点がございますれば、これは当然改むべきであるというふうに存じます。総じて、やはりたくさんの職員を擁して仕事をしていくというのが私どもの仕事でございますから、そういった場合に職員に対しまして十分あたたかい気持ちを持って接してまいる、これは管理者としていかなる層の管理者におきましても当然なければならぬ配慮であるということをかたく私どもも信じております。至らない面があれば、十分指摘をしてまいりたいと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 終わります。      ――――◇―――――

森山欽司自由民主党

○森山委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件について、おはかりいたします。  運輸委員会において審査中の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時は、運輸委員長との協議により決定されますので、さよう御了承願います。  次回は、明二十六日水曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十九分散会

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