P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
68回国会衆議院1972/04/12

社会労働委員会 第14号

発言数
174
登壇者
16
会派数
3
開催日
1972/04/12

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  田邊誠君外六名提出の失業保険法の一部を改正する法律案及び最低賃金法案の両案を議題といたします。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 提案理由の説明を聴取いたします。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。  申すまでもなく最低賃金制は、制度ができた初めのころは、欧米資本主義諸国で、極度に窮乏化した一部の極貧層の労働者救済のための社会政策として、また資本家の側からは、産業平和や社会緊張緩和のための手段として採用されてきたのであります。しかし第二次大戦後においては、最低賃金制は労働者の最低生活保障のための統一要求として掲げられるようになっております。  本来、最低賃金制の目的は、労働者の最低生活水準を保障することであります。現在労働者の最低生活費はほぼ全国同水準となっております。また学卒労働者の初任給水準も労働市場の需給状況を反映して格差は縮小しつつあります。  また最低賃金水準については産業別、規模別の格差も縮小しつつあり、このような現状のもとでは原則的には全国全産業一律の最低賃金が設定されなければなりません。  わが国の経済情勢を見ますとき、国民総生産は実に世界第二位の地位を占めるに至っていながら、国民一人当たりの所得は、中南米のベネズエラ以下というみじめな状態であることは広く指摘されてきました。  こうした著しい生産と所得の不均衡を是正し、健康で文化的な労働者の生活を維持するに足る賃金を保障することこそ最低賃金法の使命でなければなりません。  すでに現行法実施以来十年余になりますが、現在、中小企業労働者千三百万人の八〇%は月額二万円以下という賃金なのであります。しかもこの膨大な低賃金労働者の存在が、他の労働者の賃金にも悪影響を与え、今日のわが国労働者の生活を常に不安におとしいれているのみならず、法的最低賃金は、さらに米価の生産費に含まれる労働力の費用の基礎ともなり、農民の所得水準をも規制しているのであります。さらに生活保護基準、失業保険の最低額、失対賃金、国民年金とも関連、低い国民生活水準のおもしとなっているのであります。まさに国民総生産世界第二位を誇るわが国の見せかけの繁栄を物語っていると申せましょう。現行最賃法では最低賃金制度本来の役割りを十分果し得ないのはここに明らかであろうかと思います。  円切り上げ以後雇用情勢は悪化の度を加え、不安定雇用者、したがって低賃金労働者が著しく増加する勢いを示しています。また、円切り上げの経過から明らかなように低賃金によって国際競争に立ち向う時代は過ぎ去りました。  今後のわが国経済は、労働者の生活水準の向上をはかっていくことを怠っては、発展の基盤を失うと申してもよいのであります。  いまこそ真の最低賃金制を確立することは国家の急務であります。中小企業の上に大企業がそびえ立っている経済の二重構造を解消する方向もこれをおいてありません。  以下法案の内容について御説明申し上げます。  まず第一に、最低賃金の適用方式は全国一律制にいたしたのであります。このことは特にわが国のように、産業別、業種別、地域別の賃金格差がなお存在し、低賃金労働者が多数存在する状態のもとでは、それぞれの最低賃金を定めることは最低賃金制度の効果を半減せしめるからであります。  なお全国一律の最低賃金制の上に、労使の団体協約に基づいた産業別あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度を積み上げるここといたしました。  第二は最低賃金の決定については、労働者の生計費(原則的には標準家族の必要生計費)と一般賃金水準等を考慮してきめることといたしました。  第三に最低賃金の決定及び改正は行政委員会の性格を持つ最低賃金委員会に権限を持たせることとし、同委員会は労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって構成することといたしました。  第四に最低賃金委員会は六カ月に一回必要生計費及び一般賃金水準に関する調査を行ない、その結果を公表し、必要生計費が三%以上増減したときには最低賃金の改正を決定することといたしました。  以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。  今日までのにせ最低賃金法に対する汚名をそそぐために何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いして提案説明を終わります。(拍手)

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣議員 私は、提案者を代表して、失業保険法の一部を改正する法律案の提案の理由を説明します。  昨年八月、ニクソン・アメリカ大統領が金とドルとの交換を停止する声明を発して以来、一連のいわゆるドル・ショックが発生したことは御承知のとおりであります。このドル・ショックは、わが国にもさまざまな影響をもたらし、円の変動相場制移行、円の大巾切り上げ、そして今日の不況局面へと推移してきたのであります。  このような推移の過程で、当然、雇用あるいは労働市場にも一定の影響が出てまいりました。  労働省の調査によりますとドル・ショック以後わずか、二、三カ月の間に、一万三千人もの新規学卒者の採用取り消しが発生いたしております。また、繊維、化学、電機、機械などわが国の主力産業のしかも大企業で、一千人、二千人という人員削減ないし削減計画が続々と出てまいったことも御承知のとおりであります。このような現象は、いま現在もなお続いているのであります。このような雇用変動の現状を反映いたしまして、労働力の需給関係も急速にゆるんでまいりました。労働省の統計が示すところでは、昨年九月、十月、十一月と月を追うごとに求職者数と求人数とのギャップが縮小してまいったのでありますが、本年二月に至って、ついに、求職者数が求人数を上回るに至りました。申すまでもなく、このことは、労働力の供給過剰、すなわち就職難を示すものであります。  ここ十数年来、労働力不足ということが一般にいわれてまいりました。事実、この間は、常に求人数が求職者数を上回る、いわゆる求人難であったわけでありますが、円切り上げに伴う不況はかくも急速に労働市場の様相を一変せしめたのであります。  このような雇用あるいは労働市場の状態は引き続き進行すると考えねばなりません。不況カルテルを結んだ鉄鋼産業が最もよい例でありますが、産業界は一斉に生産調整、生産縮小を行なっており、そのこと自体も雇用の縮小を伴うものでありますし、産業の主導的な立場にある大企業で生産縮小が行なわれる場合には、その下の膨大な中小企業に、徐々に、大きな影響を及ぼすことは、系列化、下請化の進行している現在の産業構造のもとでは、明らかなことであります。中小企業における雇用は非常に不安定化していると見なければなりません。  以上のとおり、現状を要約すれば、失業者が現に、徐々に増加していると同時に雇用が不安定化しており、一方、わが国の主導的な産業・企業においても、労働力を排出する動向にあり吸収する力はないということができるでしょう。したがって、一たん職を失えば、その失業期間もまた長期化せざるを得ないことは明らかであります。  以上が、提案の理由でありますが、次に本法案の概要を説明いたします。  主たる点は次の二点であります。  第一に、物価の高騰等にかんがみ、従来賃金日額の一〇〇分の六〇であった保険給付日額を一〇〇分の八〇に引き上げることといたしました。  第二に、給付日数は、従来百八十日であった者は二百七十日とするなどそれぞれ延長することといたしました。慎重審議の上、御賛同くださるよう、御提案いたします。(拍手)      ————◇—————

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 きょうは労働大臣並びにその他に、公労協を中心として、また民間を含めた春闘全体についての状態についてまず聞いてまいりたいと思うのであります。  その前に、春闘の一環としても国鉄関係では特にエキサイトしておるような状況、この問題については、後ほど後藤委員によって詳しくこの問題の解明を迫るはずでありますが、その一環として、自動列車停止装置、いわゆるATS、この問題に端を発して、けさほどもまた動力車のいわゆる紛争が一そう深刻になり、管理上のミスが特に目立ってきておる。パンタグラフの上げ下げできないような欠陥車を発進さしておる、こういうような例さえ出ておるのであります。ことに最近は、当局の業務上の過失、ミスが一そう大きくなってきておるのは、これは解しかねる次第であります。こういうような問題を平常から交渉によって解決し、こういうようなことが露呈しないような運行を望みたい、これはわれわれのかねがねの希望であったわけであります。こういうようなことで、はたしてどういうようにして解決する意思があるのか、しない意思なのか、これは国民の知りたいところであろうと思うのであります。春闘の中でいま一番クローズアップしてきておりますこの安全運転の問題について、総裁はどのように措置をされておるのですか、この際はっきり国民の前に解明してもらいたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 春闘の問題につきましては、いずれ御質問がございますから、それによってお答えいたしますが、私のほうは、御承知のとおり、ベースアップの問題はいわゆる自主交渉の段階でございまして、公労委その他にはまだ持ち出してないことは御承知のとおりでございます。ほかの公社等の関係もございますが、御承知のような事情で非常に自主交渉が難航していることは事実でございます。  いま発生しております問題は、その問題と若干離れておりまして、去る三月二十八日の総武線の事故、それから四月三日の、昨年の春闘における暴力行為に対する処分に対するまた向こうの抗議というようなことによりまして、いわゆる順法闘争が非常に激化いたしまして、今日になっているわけです。  内容は後ほど御質問によってお答えいたしますが、私といたしましては、いまの組合のやっておりますことは旅客輸送並びに貨物輸送にとりまして非常に大きな影響を出しておるということは事実でございますので、極力これを早く安定させたいと思っておりますけれども、いわゆる労働問題以前の問題がございます。これは団体交渉その他によって解消さるべき問題でなくて、むしろイエスかノーか、たとえば暴力の問題などになりますとイエスかノーかという問題になってしまいますので、交渉としては非常にむずかしゅうございますけれども、きょう、たぶんただいまの時刻だと思いますが、私どもの副総裁と動労の責任者と会見することになっておる。実は、きのうやるはずでございましたが、どうしても向こうがからだがあかないということで、きのうはできませんで、きょうに持ち越しておりますけれども、やはり責任者同士の話し合いによって極力事態の解決に全力をあげて努力いたしたいというふうに思っておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは総裁、私自身、現在やっておることは否定いたしませんけれども、傾向として、いつでも春闘のいわば交渉の始まる前の前段闘争と申しますか前段交渉と申しますか、こういうようなところのつまづきが多いのです。  まず私が指摘しておきたいのは、安全運転に注意して事故を出さない、これは総裁だけじゃなく、組合のほうでもこの問題についてはもう徹底しているはずです。ところが、私自身あのマル生運動で中に入ってみて意外に感じたことが一つあるのです。総裁にはこの点はっきり申しましたが、一昨年、南武線の中でいつ脱線するかわからないような欠陥車両を百以上も走らせておった。それに対して、組合のほうでは当然、欠陥車であるからという指摘をしたにもかかわらず、それはまだまだ使えると思うから、責任は私が持つからと管理者が言ってそのまま走らした。あぶないあぶないと注意しながら走ったものの、一カ月を経てその車両並びに線路、これらをきちんと直して事なきを得たという報告も得ておるのであります。  この前段のうちに、こういうような問題は双方で話し合いをしようとする、その話し合いに至らないうちになぜこのように問題が起きるのか。これはやはりわれわれとしてはわからない点なんです。ことに、人間が足りないから貨車の点検、保守も不十分、その結果からこういうようなのが発生しているとすると、それを補わない管理者側に重大な責任があるのじゃないか、こう思われるのですが、なぜこういうような話し合いを進めないのでありますか。これはやはり国民の立場に立てば一日もほったらかしておけない問題でありますから、この点についてもう一度はっきりさせておいていただきたいと思うのです。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 車両、線路の整備につきましては、もちろん私ども管理者の最大の責任でございますし、私どもといたしましては、現場の保守につきましてはあらゆる努力をし、人的にも物的にもやっておるつもりでございます。もちろん、いま先生のおっしゃったように、入手がないから保守ができないなどということは全くございません。むしろ、先般も申し上げましたとおり、いまは職員は過剰ぎみでございまして、余りぎみでございます。人が足りないから保守ができないという事実は絶対にございません。  それから、もう一つ申し上げておきたいことは、私どもは先般の総武線の事故の直後にも、国会を通じて私は国民におわびを申し上げましたけれども、いわゆる安全の問題というものは労使問題以前の問題というふうに思っております。これは数年前になりますか、三河島事故の直後に、超党派でそういう御勧奨をいただきまして、これは労使問題以前の問題である、したがって労使机を並べて事故防止の懇談会を持つべきだ、こういう御勧奨を超党派でいただいたことがございます。それによりましてずっと今日まで、私どもといたしましては、当局、国労、動労、鉄労というふうに机を並べて、あるいは別々の場合もあるし、また一緒の場合もございますが、机を並べて事故防止に努力しておるつもりでございまして、先ほどおっしゃったATSの問題などは、そういう席でもって話が十分できるというふうな仕組みにいたしておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 こういうような問題に対しては、ほったらかしておくと、労働大臣、これはもう桜木町の二の舞いになるかもしれない、こういうような状態をわれわれは予想できるわけであります。この問題については労働問題以前の問題であるから団体交渉にもならない、労働問題以前の問題だから交渉に応じない、こういうような態度は総裁としてとってはならない。これはやはり人命にかかわる重大な問題であって、一日も一刻もおろそかにできない問題なんですから、どういうような問題であろうと、以前であろうと以後であろうと、この問題については率直に労使話し合いの場に議題にのせて解決すべき問題です。あとだ前だ、これによって国民の命を犠牲にするような、こういうようなことが少しでも予想されるようなことは許されない。私は、やはりこれも労使の話し合いの議題にのったならば、積極的にこの話し合いに乗るべきである。乗らないことが国民の生命を不安ならしめるもとになる。したがって、こういうような事故が起こる、こういうようなことになるとまた従業員のほうに責任がもたらされるということになったらとんでもないことになり、これが労使関係をまたまた悪化させることに相なるわけであります。したがって、早く交渉を進める、こういうようなことは当然労働大臣としても考えなければならない問題点だと思うのです。  公労協の問題で、労働大臣も知っておられるとおり、昭和三十九年十二月十七日、時の橋本官房長官と社会党の当時の山本国会対策委員長、同時に、国鉄出身でございましたが参議院議員の野々山労働局長、この三者ではっきり会談を持って、「公共企業体の当事者能力を検討し、速やかにその問題点の解決を図る」こと、これは同意しております。それと同時に「賃金引上げ問題については、労使交渉を通じて解決するよう努力する」。これは三十九年十二月十七日に三者の話し合いではっきり成立しているのです。これはいまだに消えておらないはずです。こういうようなことをしないがために、いまのようにしていろいろと国民に生命の不安を与える、こういうようなことになるととんでもないことになりますから、特に大臣はこういうようなことがないように早く交渉の場に着かせ、そうしてこの当事者能力を発揮させて、そうして話し合いになぜ応じさせないのか、労働大臣にこの点を国民は期待しているのではないかと思いますが、特に大臣の所見を承りたい。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 国民の足を奪うという、公共性を帯びた国鉄にあっていろんなトラブルがあることは、これは私もまことに遺憾に思います。いま磯崎総裁がお話ししておりましたが、おそらく今度の春闘以前の問題としていまのATSの問題ですか、それについての島本君に対してのお答えが磯崎総裁からあったと思うのですが、先ほどお読みになりました橋本官房長官時代のことも私はよく存じておりまするし、労働省の立場としては、相互に不信感があってはならない、すみやかに話し合いの場に着いて、一日も早く国民が非常に迷惑を受けている問題の解決に当たっていただきたい。事実、いまのお話によれば、きょう動力車労組の委員長と山田副総裁の会談が行なわれているようでありますが、これは一刻もすみやかな解決を要する大きな問題だと考えております。したがって、この事件が起きましてから、所管の丹羽運輸大臣ではありましたけれども、丹羽運輸大臣ともたびたび連絡をとり、個人的には私は磯崎総裁とは親しい仲でありますが、その個人を離れてこの問題の解決をすみやかにやるよう私からもお願いをしておるようなわけでありまするが、とにかく両者が不信感をなくしてすみやかに話し合いの場に着いて、そして一日も早い解決、足を奪われている国民の悲壮な叫びというのは連日大きな社会問題となって新聞紙面をにぎわしておるような状況でありますし、やがて御質問もおそらくあるであろう春闘問題とも関係があると思いますので、一日もすみやかなる解決を両者の話し合いによってされることを労働大臣としては心から望んでおります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この問題の細部にわたってはあとから後藤委員が行ないますが、私が特にこの問題を取り上げたのは、当然あるべき当事者能力、この問題に対しての三十九年十二月十七日の確認がいまなお行なわれておらない、そういうようなことは労働大臣として十分注意して、そうして早く話し合いの場に着かせる、こういうようなことの必要を感じてこれをいま私は言い出したわけです。  同時に、国鉄当局の考え方として、今後そうあってはならないことは、国民の命にかかわる重大な問題で、春闘のあとである、春闘の前である、これが何の関係があるのですか。現在問題があったならば、春闘以前の問題でも春闘以後の問題でも解決しなければならない。それが話し合いであり、それがあなたの当事者能力ではありませんか。前の問題であるからこれは関係しない、あとの問題であるからあとに出せ、現在与えられているのはこれこれだ、こういうような官僚的な考え方で団体交渉を進めようとすると、当然起こるべきものが起きる。それがおそらくは以前起こった桜木町の二の舞いになるようなことを予想して、そんなことのないようにつとめろ、それが私のきょうおもに総裁に希望している点なんであります。この点は十分考えて、いま大臣言ったように早く話し合いの場に着いて——以前の問題であるから着かない、もし着かなければ着かないだけに、国民の命のほうがなお風前のともしびにさらされておるような結果になる、こういうことがあってはいけません。大国鉄を預かるあなたの立場として、あとからこういうような問題、従業員の怠慢によるものであるとか、こういうように責任を押しかぶせるのがいままでの例ですから、こういうようなものが起きたときにとめておく、同時に、起こさないようにしてやる、それがあなたの裁量、それがあなたの当事者能力、私はそういうように思うのです。今後そういうような態度で当然つとめなければならないと思いますが、最後にその所見と決意を聞いて、次に移らしていただきます。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 先ほど私の申しましたことが、ことばが足りなくてあるいは御了解いただけなかったのかもしれませんが、いまの事態と全然別に、すでにいわゆるベースアップ問題についてはきわめて平和裏に団体交渉をしているわけでございます。三月十日、三月二十三日、四月五日とすでに三回の、これは片一方でああいうことがあろうが、それと全然別にきわめて平和裏にベースアップの団体交渉をしているわけでございます。  ただ、よその公社と違うことは、私のほうは御承知のとおりな財政状態で、うわさなどに聞きますと、よそのほうはなかなか進んでいるようでありますが、私のほうが進みが悪いということは事実でございますが、いまの闘争問題とは別にベースアップの交渉はずっと続けている。次回も間もなくやる予定でございますが、その点は私の御説明が足りなかったと思いますが、別途進めておることははっきり申し上げておきます。  それからもう一つ、先ほど私が労使問題以前と申し上げましたので、何かちょっとその辺もやはり誤解があったかと思いますが、私は労使問題よりもっと次元の高い問題であるという意味で申し上げたのでございまして、労使問題が重要だという意味でなしに、労使問題という一つの場と違ったもう一つ高い問題である。人の命を預かるということは、組合であろうが当局であろうが、いやしくも国鉄職員である以上当然のことである、これは労使問題よりもっともっと次元の高い問題であるということを労使問題以前の問題である、これは前の国会でそういうふうなおことばを使われましたものですから、私は労使問題以前であると申しましたが、以前というのはそういう意味でございまして、もっと高いという意味ですから、誤解のないようにお願いいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣は今回の四月八日の参議院の予算委員会の総括質問の中で、春闘の問題に関連して、予算成立前でも決着はあり得る、そのためには労使の交渉を尊重したい、こういうように述べておられるようですが、これはやはりこの線で今後指導すべきであって、こういうような点一つ一つが欠けている点にいままでいろいろ憂慮される問題があったのじゃないかと思うのですが、これによってひとつ十分進めてもらいたいと思いますが、三公社五現業の交渉状態は前進していなさいますか、それとも全然これが進んでいないのですか。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 三公社五現業関係の団体交渉は、三月末までに各組合とも要求を提出いたしまして、現在まで多いところでは七回、少ないところでは二回程度の団体交渉が行なわれております。その間で電電その他一部の当局からは、有額回答についてはもう少し民間賃金の状況を見守った上で具体的に回答したいというような返事をいたしておるところもございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 民間の回答を見守ってから団体交渉を進めるというのは、これは民間のほうを先にしなければ公労協並びにそれに類する組合は、いかに自主能力また自主解決の方向に進んでもやっちゃだめだ、こういうようなように指導していなさるんですか。また能力があり、またそれが可能であるならばこれは当然考えて、そうして他の企業等も考えながらそういうような点は進めるべきであるというような指導はなさっていらっしゃるのかどうか。この点になるとびたっととまるのでありますが、これはどういうわけなんでありましょう。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 三公社五現業の賃金のあり方につきましては、公務員給与、民間賃金、物価、生計費その他の事情を考慮してきめるというふうに法律できめられておるわけでございます。当該当局、三公社五現業八つございますが、それが全然ばらばらにその経理事情その他によって賃金をきめることが適当か、それともある程度統一的な基準によってきめることが適当かということにつきましては、いろいろ問題もあろうかと存じます。三十九年以来は大体、民間賃金の大勢に順応するというような形で三公社五現業の賃金がきまるのが至当であるというような考え方になってきておると承知いたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これはもう心得違いしていなさるんじゃないかと、ちょっと私も思いました。これ間違いでなければ、この辺にもはっきりした労働省としての見解を示してもらいたいのです。これは二つあります。その一つは、やはり公労法第八条、この中に、団体交渉の対象とし、労働協約を締結することができる云々。そのうちの第一号に、賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日に関する事項があるわけです。これはもう私が言わなくても皆さんが知っていなさる。同時に、こういうようなことからして、第十六条に、「不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない」というような、これを否定するような条項もあるわけです。いまこの条項の上に立って調整をなすっておられるというような意味のことをおっしゃったんじゃないかと思うのですが、その方向がはたして妥当かどうか。これはどういうようなことになりますか。いままでいろいろと、これは民間の賃金を参考にしてきめるんだということになっておりますけれども、またきめたと言っていなさいまするけれども、これは去年の、七一年の経過を見ますと、やはり三月十五日からずっと始まって四月二十九日、三十日、まあこの辺からそろそろ動いて、結局は公労協のストが、五月の二十日の段階で調停委員長の解決案が提示され、八%プラス二千三百円ということでこれが了解された。そのあとの五月二十一日に私鉄、電機、電力が賃金闘争を収拾した、こういうようなことになって、もうすでにきまったあとで民間が行なわれたということなんであります。あなたは民間がいつも先行したというが、去年はそうじゃないのであって、去年やりながらことしはまた退歩して民間が先だということは、労働省に定見がないということを労働者に知られ、不信感をあおるようなことになっては困る、私はそう思いますが、去年の例によってもこうなっておるのです。はたして自主交渉、自主解決、これが必要だからやりなさい、せめてできるところにはやって、できないところに対してはみながアップしてやって、その辺までの妥当性を発揮しながら、やはりこのうちに統一された行動、統一された一つの連帯性、こういうようなものは労働者は全部知っていますよ。これをやることが労使の関係を円満にすると同時に、いま人の命にかかわるような、こういうような事故を払拭してしまうのです。私は、何か労働省の考え方、右往左往するような結果がなお春闘情勢を混乱させる、こういうように思わざるを得ないのですが、そうでないということだけをはっきりここでひとつ反論してもらいたいと思うのです。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 昨年の春闘の経緯は、いま先生の御指摘のとおりであります。その中で中労委の裁定書の中でも、まだ若干の産業がきまってないけれども、対民間賃金の大勢はこうであるというふうに判断されるからこういう額を出すというふうに申しておるので、公労委の立場といたしましては、やはり、民間の大勢に従うというたてまえはくずしておらないと承知しております。昨年あるいは過去数年においてそういうプリンシプルで賃金が決定されたから、ことしもそれでなければ絶対いかぬという筋ではない。賃金というのは労使の団体交渉によってきまるものであり、そしてきまらない場合には独立機関たる公労委の調停、仲裁によってきまるものでございます。私どもそれに対してとやかく干渉するつもりはございませんが、従来はそういうプリンシプルでやってまいりましたということを申し上げております。ことしは新しいプリンシプルということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題があろうと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なかなか困難な問題があろうとおっしゃるが、困難な問題ならば避けて通るという意味ですか、これは。労働大臣、そうじゃないでしょう。やはり一国の労働行政、こういうようなものは、困難な問題であってもそれが是であるというならばその方向を指導しながら進まれるのが、労働省のいまの指導力であり態度であり姿勢でなければならない、こう思うのです。困難だからだめだ、困難でないからやれる、こういうようなことでは私は少しどうも理解できないのでありますが、これはもう少し是正する必要はございませんか、大臣。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 いま石黒局長が御説明したのは今日までの経過を申し上げたのであって、決して労働省が右往左往しているとか後退しているとかいうような意味ではないと私は考えております。事務的に御報告を求められれば、いまのような報告をするしか方法がないと考えております。  それからまあ三公社五現業の場合、いつでも問題になるのは当事者能力ですね。これはこの一、二年確かに額の問題、その問題は別としても私は批判が少なくなってきていると思うし、また今年度においても、今年度は特殊事情にあります、まだ予算が成立しないという特殊事情にありまするけれども、もちろんそういったものが通るということを前提としてものを考えなければならぬような場面も出てくるのではないか。ですから決して、労働省が指導方針を見失ってどうこうということは絶対ございません。全般の情勢をにらみ合わせながら適切なる労働行政を展開していくことには毛頭間違いございませんから、御安心を願いたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それならば、だんだん詰まってまいりましたが、ここに総理府関係から出た資料があるのです。その中で生活物資に対しましてはこの資料はなかなか指数としては少ないと思いますけれども、昭和四十五年を一〇〇として四十七年の二月は一〇八・二という数字を示しております。対前年上昇率で見れば四・一という数字を示しております。しかしこれが同じような資料の中で、東京の主婦グループが消費者物価の追跡調査を行ない、そして生活必需物資であり普通使っておられるようなこういう物資に限ってその追跡調査を行なった結果、四十六年十月八日の朝日の報告によりますと、生活必需物資の値上がり、これは昭和四十五年七月から四十六年七月までの間に一五・六八%上がっておる。ぐっと上がっておる。ですから指数そのものを見ると、全部のほうへ入れたら少なくなるが、ほんとうに日常生活に必要なこういうものの数字は特に上がっておる。こういうような情勢がはっきりしておるわけです。それだけ生活が苦しくなっておる。それと同時に、勤労者の世帯別について見ると、人口五万以上の都市の平均でありますが、いわゆる非消費支出の指数、これは税金です。こういうようなものの点から見ると、現和四十五年十一万五千三百七十九円の実収入に対して非消費支出が九千六百六十四円という数字、そしてそれが結局はもう数字そのもので見ると昭和四十年から四十五年の間に、四十年を一〇〇として一五九・〇というように、税金の面は異常に上がっているわけです。そうしてみると生活必需物資が上がっている、税金のほうも負けないで上がっている、こういうような情勢の中で、今度は消費水準の推移を見ます場合には、本年の場合には、特に四十年から四十六年の九月、これまでずっと見ますと、いままでは全部プラスの状態が昨年の九月になってから初めて〇・一というマイナスの状態に転落しているわけです。生活そのものは一つ一つ調べてみますと、異常に苦しい状態になっておる。これははっきり言えるのじゃないかと思います。この中でいま春闘が戦われているわけでありますから、ことに政府が指導的態度にある公労協の場合等についても十分この物価や社会情勢に相応したような妥当額というのがあるはずでありますから、こういうような点も考えて、民間のあとでなければならない、こういうことじゃなしに、進んで団交を持たせ、そして自主能力を発揮させて、それによって決着をつけさせるように指導するのが、私はこの情勢からして当然だと思っているわけであります。いかに経済情勢が思い、こういっても、これは働く労働者の責任である、こう考えている人はいま日本国じゅう一人もいませんです。労働者の叫びです。いまの生活がこのように苦しいということは、資料によってもはっきりした問題であります。したがってこれは交渉によって早く解決さしてやる、こういうようなことが一つの労働省の指導性でなければならないと思っております。民間のあとでなければならぬ、これは結局最後まで待って、きまったところにきめる、こういうような行き方以外に何ものもないじゃありませんか。労働省として自分の力の発揮できる、この点何ら努力を大いにしようとしない。いままでのような惰性である、こういうように思われてもしょうがないじゃありませんか。やはりここを一歩先に出て、そして国民の期待に沿えるような解決の方向を指示してやる必要がある、私はそう思います。この点について労働省当局の御意見をお伺いいたします。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 賃金を決定するプリンシプルというのは、いろいろたくさんございます。それについて公労協関係では、従来は民間賃金順応というプリンシプルできめてまいりましたことは御承知のとおりでございます。必ずしもそれが唯一のプリンシプルではないというふうなお説は、まことにごもっともであると存じますが、しからば、それではどういうプリンシプルでいくべきか。物価だけでいくというわけにもいきませんし、あるいは生産性だけでいくというわけにもいきません。その辺は、新しいプリンシプルを求めるということは非常にむずかしい問題である。公労委がきめます場合に、私どもはこういうプリンシプルでいけという指示をする権限を持っておるわけではございませんので、私どもといたしましては、従来のいきさつを参考にするという以上に、公労委にあれこれというふうに指示する権限は持たないということは御了承いただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはり去年と同じような考えであります。しかし、あなたも去年いろいろと苦労されたことは、私は知らないわけじゃないのです。知っていて同じようなことをまた言わざるを得ないことも、なかなかつらいことなんです。しかし何かこの現状を打開したい、こう私どもも思うからこそ、これを次から次へ聞いてまいるわけでありますけれども、これは不況だといわれている昨今でありますけれども、予算的にも、このものによる景気浮揚策、こういうようなものはいろいろ出しておるようであります。ことに予算の補正、工事の繰り上げ、弾力性の発動、こういうようなものもやっておるようであります。したがってこれはもう、作業量が増大しておること、それと同時に、要員数もどうかすると増大しなければならないのに据え置かれている、こういうような状態のもとに、やはりこれは何としても労働強化が行なわれるだろうということははっきりわかるわけです。ですからそうでないような状態にし、なおかつ政府自身も、政府主導の景気浮揚策、こういうようなものをとって指導しなければならないとすると、やっぱり賃上げ、購買力の増高、こういうようなものによって国内の消費を増加させることも一つのやり方じゃないか、こういうふうに思うわけです。民間賃金をリードするような政府主導によるところの賃金政策、こういうようなものを考えられないのか。いまにして皆さんのほうで、そういうような状態だが、この際違ったようなパターンを、いままでと同じようなパターンを改めて、ひとつここに一歩踏み出すということこそ必要なんじゃないか、こう思われるわけなんですが、政府はやはりそういうことに対しては去年並みだというお考えでしょうか。何かこのままではますますみぞが深くなり、ますます今回の場合は困難が予想されるから、その打開策がもしあるならばひとつこの際はっきり国民に示してもらいたい、こう思います。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒政府委員 先生のお説重々ごもっともでございますけれども、打開策につきましては、もうない知恵をしぼって苦慮しているところでございます。ただ、景気が悪いから賃金主導型によって浮揚させるというような政策をとるべきかどうかという点につきましては、逆に景気が過熱した場合には賃金抑制策をとるというような政策をとることがはたして適当であるかどうかという点から、私ども政府の賃金政策、具体的な賃金について政府が今回は上げるべきだ、下げるべきだというふうなイニシアをとるということが適当かどうかにつきましては、労働省といたしましては疑問を持っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その疑問を持っておるだけではなく、それと反対の方向を皆さんが指導なさっているのじゃないか。これは逆に労働省としても困った立場におちいるのじゃないか、こう思うがゆえにいまの質問をしているわけなんです。  まず例をあげると、この七日、日経連の中心組織である関東経営者協会、この総会で松崎専務理事のほうから、賃上げは昨年の六、七割、八・五%から一〇%以下にする、それから官公庁の組合の場合は親方日の丸だ、それから公務員の週休二日制はとんでもないことである、銀行も同様である、こんなことはやめさしたほうがいい、こういうふうな発言をしたかのように報道されております。すぐこれがはね返りまして、やはり総評をはじめとして、昨年の妥結額の七割以下の数字をあげて反駁するのはもってのほかで、異例である。それと同時に、官公庁と民間を分断させるような意図が露骨じゃないか、こうなったならばゼネスト態勢で戦うよりしょうがないじゃないかというふうにまた落ち込むわけです。皆さんのような考え方、それはどうなっておるかというと、労働省のほうでも、それと軌を一にしたわけでは決してないと思いますが、やはり労働大臣も官公庁指導型から民間指導型に改めるというような談話をその後発表なすっておる。ちょうど発表されておるようです。そういうふうになってくると、やはり全然これを手を抜いてやる。また、昔せっかく指導してきたやつがもくあみになってしまう。ここで皆さんのほうがどう考えておるか知らぬけれども、週休二日制の問題でも、これは前の大臣が一生懸命にやっておることを皆さんが援助してある程度進めたじゃありませんか。それが今度の場合には、そういうふうな点をだめだと言ったら、また一緒になってそれもだめな方向に歩調を合わせる。一体考えはどこにあるのだといわれてもしょうがないじゃないか。アメリカの週休三日制、これはアメリカの人事院でこれをやろうとしておるのですよ。   〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 これはやはり思い切って、施策をとる場合には労働政策としてこれをやるのでないとだめです。せっかく進めていくと、今度またもとへ戻してしまう、こういうふうなやり方では何ら対策がない、こう言われてもしょうがないじゃないですか。もう少し、この点だけはアメリカに見習ったほうがいいです。向こうは三日制を実施しようとしておる。だめですよ、こんなことでは。(「塚原労働大臣、反動だ」と呼ぶ者あり)

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 いま私はそれを初めて聞いたのですが、私が談話を発表したというのは、何にあるのですか、それは。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは労働大臣の「賃上げ、昨年よりきびしい、労相、春闘情勢報告」、これは労働大臣の春闘情勢報告の中で、十一日の閣議でことしの春闘情勢について報告した「これまでの賃上げ回答額は、全体として昨年の回答や妥結額よりも低く、経営者のきびしさがうかがわれる、と強調した。また今後の見通しについて、十八日に予定されている鉄鋼回答のあと本格的に回答が出され、四月末から五月にかけて賃上げが解決するものとみられる」こういうふうな報告を述べておられる。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 わかりました。それはきのう閣議において、春闘についてどういうものであるかというので私から報告した文章であります。私は何か週休二日制云々というのがいま島本委員の口から出たものですから、それについての談話などは発表したことはありませんし、なお原労政から引き継ぎまして、原君からも強く言われておりますし、私は決して後退はいたしておりませんから、その点はどうぞひとつ誤解のないように願います。  それから、きのう閣議で報告したことが、いま不規則発言の中で何か後退したというようなことがございましたが、私は今日までの現実の姿を報告したのでありまして、正しい姿を報告した。言うならば第一回の報告でありまして、これからわれわれも重大関心を持ってこれをながめておりまするから、今後逐次問題のあるごとに報告を求め、またいろいろ御意見を伺うような場面もあると考えておりますので、どうぞ誤解のないように願います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 あえてこれは誤解しておるのではないのです。前に、七日の日に、日経連の中心組織である関東経営者協会の総会で、松崎専務理事のほうからいま言ったようなことが発表された。そのあと軌を一にして総評のこれに対する談話が発表された。そのあとで労働大臣の批評家的なこういうふうな談話が発表された。これによると、結局は経営者協会の総会で松崎専務理事が発表したこの重大なこれをそばから見ておる、間接に促進しておる、こう思われるような系統立った推定ができるわけであります。おそらくは反動だと言ったのはそういうようなことじゃないか。それははっきりしている。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 その松崎君が関東経営者協会でしゃべられたことは、私はそれは新聞で拝見いたしました。しかし私がきのう閣議で報告したものは、そういうものに基づくものでは全然ございません。したがって、組合側が本年度は例年よりも高い賃金、ベースアップを要求しているということもきのうの中には含まれておりますが、私はいままでの経過を正直に報告したのでありまして、それは何かの誤解ではないか。ことに前々から申しておりますように、今度の春闘というものは非常に苦しい、きびしい経済情勢の中にあっても、社会福祉の向上というか、生活防衛という立場で労働組合側はかなり高いものを要求しておるし、それから経営者側はいまのきびしい経済情勢のもとで、やはりこれを何とかチェックしなければならぬというような動きはずっと現実にあらわれておりますので、ですからその報告の中には、要求された額もそれからそれを受ける側のことも私はそのままの姿を報告したのでありまして、軌を一にして云々ということは、たまたまタイミングでそうなったかもしれませんが、私の脳裏にはそういうことは一片もございませんので、どうぞその点は誤解のないようにお願い申し上げます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 予定の時間にもなりましたから、これ以上あまり進めることはいたしませんが、やはり去年までしいた一つのパターン、またこれを今後も皆さんのほうでも改めるべき段階にもきておる、そうして主導型を悪い、こういうようないわゆる政府主導型についてはこれは考えなければならない、こういうようなことを労働省当局は強く主張しておりますが、この点等についても、必要に応じてやって悪いことはないのであります。いままでこういうようなことに対して民間まかせであり、あるがままにまかしておいた結果が、いろいろと解決困難な状態にこれを追い上げてきてしまった。こういうような事態からして、やはり理性のある人間として、動物として、今後こういうふうにしたほうがいいということになれば、ここで権限をもって労働大臣としては春闘を今後よく指導してやる、そしてこのように暗礁に乗り上げることがないように、そして自主的に解決できるように、そして自主的に解決のできない面についてはやはり労働大臣の指導によって早くこういうようなものは軌道に乗せるようにしてやるのが指導力である、それが指導である、こういうように思うわけであります。したがって、今後大いにぜひともやってほしいものであるし、今後はこういうようなことによって人命を損傷するようなおそれのあるような、こういうような状態を再びもたらさない、こういうようにしてもらいたい。これは強く私自身期待して、私の質問を終わりますが、最後に一言決意を表明していただきたい。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 今度の春闘のきびしさについては、いままでの質疑応答でもおわかりのように非常にきびしいものがあることは、これはだれでも知っておると思います。また私自身、それだけに今度の春闘に対してはいろいろと気を配っております。しかし先ほど石黒局長からも申し上げましたように、労働省としてなし得る範囲というもの、そののりを越えてはならぬということも私はよく存じております。ですから出しゃばったことはしようとは思いませんが、従来にない強い関心を持っておりますだけに、いま島本委員のおっしゃったようなことは私も十分わかっておりますから、なし得る範囲において、あるいはその点で批判がまた出るかもしれない、何だ出しゃばったじゃないかというような批判があるかもしれませんが、とにかくこの大事なときに大事な問題を解決して国民の批判をできるだけ少なくする、よかったというような形に結末を持っていかなければならないと強く決意いたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 後藤君。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 大臣、いまの春闘の問題ですが、いろいろと話されましたので抽象的な気持ちというのはわかるのですが、問題は、新聞なりその他で十分御承知だと思いますけれども、今月の二十七、二十八というのは交通ゼネストということで、いまだかつてない大きな行動が行なわれる。これは十分大臣も御承知だと思うのです。そこで問題になりますのは、いま大臣も決意の中で言われましたように、結果的によかった、なるべくそういう事態にならないうちに解決することが望ましいのだ、具体的にいえばこれはそういうことに通ずると私は思うわけです。そうなってまいりますと、特に公労協関係の闘争につきましては二十七日、二十八日というのはことしの春闘の最高の山場である、こう申し上げましても間違いないと思うのです。ところが、そこでさらに一歩突っ込んで考えてみますと、中労委の問題なりあるいは公労委の問題なり、あるいは仲裁裁定、仲裁委員会等の関連もこれは出てくると思うんですけれども、われわれがいろいろと聞きますところによると、国の予算がまだ通っておらない、予算の関係で、というようなことで非常に微妙な大蔵省その他のものの言い方がされておるのだ、こういうことも私は聞いておるわけなんです。  そこで問題になるのは、二十七、二十八のこの最高の山場を組合のほうとしては要求を通していかにして解決をするか、さらにまた政府のほうといたしましても、そういう立場になる以前に解決させる、そういうような考え方に立つとするならば、いま申し上げました公労委なりあるいは仲裁委員会等の関係等につきましても、やはり大蔵省なり政府のものの言い方というのは大きく影響すると思うのです。この点について労働大臣としてはどういうふうにお考えになっておるか、これは簡潔でけっこうでございますけれども、お答えいただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 それぞれの関係当事者において今日までかなり精力的に話し合いが進められておりますることは先ほど石黒君が答弁したとおりでありまするが、ただいまの予算との関係、つまり当事者能力の問題、これは予算が例年と全然違った形をことしはとっておりまするから、予算が通りますのは来月の三日でありますか、ですからいまおっしゃったように時期的に、タイミングから見ますとなかなかむずかしい問題があります。参議院では予算の審議をお願いしている最中でもありまするし、ですから、私としては予算が通ったらというような、通ればこういう形になるということをもちろん頭の中に描きながら、時期の問題については実は苦慮しているわけです。もちろんその間にあって公労委も開かれると思います。当事者間の話し合いで話がつけば一番いいですけれども、これはなかなか実際問題としてむずかしいとなれば、公労委その他の御審議もわずらわさなければならぬと思いまするし、またその時期も、今日の段階でそれでは何日がどうこうということはとても私としては申し上げられませんが、その点が非常に苦労のあるところ、苦慮しておるところでございます。ですから、必ず予算が通らなければやらないのだという意味で私は申し上げておるわけではありません。参議院の予算委員会等においても、私はそういう答弁をいたしてまいりました。しかし一方において、予算は審議中であります。ですから、それが通ることを前提として頭に置きながらやはりこの問題に対処しなければならぬときがくるのではないか、こういう言い方であります。   〔発言する者あり〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 静粛に願います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうなりますと、いま労働大臣言われました、予算が通ったらということを頭に置きながら、一方では予算を審議されておる、これはうまいものの言い方で、どっちつかずのものの言い方なんです。予算というのは、これは通ること間違いないわけなんです。ところが、あなたも頭の中で描いておられると思いますけれども、二十七、二十八というのは春闘の最高の段階に入ってくる。そこで公労委なりあるいは仲裁委員会その他が動き出すということになろうと思いますけれども、予算が審議の最中であるから政府なり大蔵省あたりがこれに対してものが言えないというような立場に立つとすれば、これは解決しようと思っても解決する方法がないわけなんです。ですから、予算というのはもう日にちさえたてば成立する問題でございますから、そのことも十分わきまえて、この二十七、二十八日の最高段階における春闘の戦いに対処する方法を、労働大臣としてはしっかり腹に持って考えていただきたい、このことを私は言っておるわけなんです。いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 いま参議院で予算は審議中でありまするし、私は十分これは頭にありまするし、また通ったら云々という後藤委員のいまのお話、これはお話として承っておきますが、私が先ほどから申し上げておりまするのは、タイミングの問題あなたがおっしゃったような時期、それからその間における当事者能力、こういった問題について、これは関係各大臣とも時期を失しないで話し合って、一方において自主交渉が進められておるでありましょうけれども、それに対して何らかの措置をとるという事態が必要であろう、こういう意味で私は申し上げておるわけであります。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 ぜひひとつ労働大臣として、いまいろいろお話し申し上げましたような趣旨に沿って、ことしの春闘の二十七、二十八というのは非常に重要な時期になってまいりますので、予算の問題につきましては十分腹に入れていただいて、とにかく解決する方向へ大臣の立場において全力を尽くしていただく、これはぜひひとつお願いしたいと思うのです。  それから次には、先ほども島本議員のほうからお話がございまして、新鶴見の動力車労働組合の闘争の関係ですけれども、きょうあたりの新聞を見ますると、生鮮食品が三割でございましたか、非常に国民の生活にも影響を及ぼしておる。さらに生鮮食品の値上がりというようなことも新聞で報道いたしておることは、私が言うまでもないと思いますが、今日新鶴見の動力車労働組合関係の闘争があそこまで発展してきたという過程におきましては、いろいろな問題があったと思うのです。  その第一番の問題として取り上げたいのは、処分の問題です。四月四日でございましたか、かなり多数の処分の発表をなされたわけですね。三百七十名でございますか、免職が十二名、停職が三十二名、減給が百十三名、戒告、訓告、厳重注意が二百十三名で、合計三百七十名ですね。この処分の内容というのは昨年の問題であろうと私は思うのですけれども、この処分に対して、簡潔でけっこうでございますけれども経過をひとつきかせていただきたいと思います。

原田種達日本国有鉄道常務理事

○原田説明員 新鶴見機関区の暴行事件の概況、どうして起こったかということを簡単に申し上げます。  昨年の五月二十日のいわゆる五・二〇闘争に反対して動労から二十名、国労から二名の組合員が脱退したわけであります。これらの職員や鉄労所属の職員に対しまして、管理者の警告あるいは制止にもかかわらず、一部の組合員らが集団でいやがらせ、つるし上げ、暴行といったことを加えたわけです。これらの行為が特に目立ったのは、ストの翌日の五月二十一日から七月の二十八日までの約二カ月間でございます。この間に、出退勤途中や執務中の職員に対しまして、同機関区の組合員数名ないし数十名が、ときには他区から集合した組合員多数とともに暴言を浴びせ、暴行を加えた。あそこは御承知のように、動労職員が大多数を占めておるというところであります。  特に六月の三日には、約二十名の組合員が鉄労役員及び鉄労所属の職員をつるし上げるなどしまして、七名になぐる、けるの暴行を加え、負傷させた。七名のうち特に鉄労分会を訪問した鉄労の東京地本委員長に対しましては、乗務員詰め所に四時間以上も軟禁状態にして暴行を加え、このため肋骨骨折という重傷を負いました。他の六名もいずれも負傷し、七名中四名が入院する、こういう状況であったわけです。  また六月五日にも、動労の組合員約二百二十名が庁舎前で集会を開きまして、デモの上、事務室になだれ込もうとし、これを制止しようといたしました公安職員らに対し暴行を働きまして、公安職員ら十三名が負傷しました。  また六月十一日にも、職員のつるし上げを制止しようとした管理者が暴行を受け、また負傷しております。  六月十八日にも、動労組合員が、勤務個所におもむこうとした同区職員に対し暴言を浴びせた上、暴行を加えた。  これらの事件は五月二十一日から約二カ月間にわたってほとんど連日行なわれたわけでございます。免職となりました十名は、これらの一連の暴行事件に何回となく加わり、みずから暴行を働いたものでございまして、一連の行為のうちのおもなる行為を免職事由といたしまして懲戒免職としたものでございます。またこれに関連いたしたものにつきましては、それぞれの事実に基づきまして懲戒処分を加えた次第でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 これは総裁にお尋ねするのですが、いま説明がございました。ございましたことについて、全部全くそのとおりであるということは私は申し上げられません。去年からことしにわたってマル生の問題でかなり職場でいろいろな問題が発生したことは、総裁も十分御承知だと思うのです。そこでいま説明されました問題は、暴行ということが中心になっておるように聞こえたわけです。これらの処分に対してはいままで労使の間で慣行として、本件で申しますならば紛争対策委員会でありますか、ここで労使の間で話をしまして、そこで最終的に処分発表になる、これが慣行になっておると私は思っておるわけなんです。ところがいま職員局長が言われました、すべてで三百七十名でございますか、これはもう、紛争対策委員会で、あるいは懲罰委員会でございますか、その途中において突然として処分が発表された。このことにつきましては私はどうしてもわからぬわけなんです。しかもいままさに春闘に入ろうとしておる、こういう重大なる時期に、抜き打ち的になぜ一体処分を行なわなければいけないのだろうか。万一処分をしなければいけないという問題があったにしたって、大企業を預かる国鉄総裁として、去年の事件を今日まで持ち越して、この重大時期に処分を発表する、時期から考えてみますと、全く適切でないというふうに私は考えるわけなのです。ですから、なぜ一体慣行を破ってまで、こういう時期にこういう処分を発表しなければいけないのか。ただ、私はこの問題について一つの情報としまして、三月三十日の翌日の三月三十一日には、新潟地方の鉄労の組合の職場の掲示板には、処分の予告が発表されておるわけなのです。さらに予算委員会で、ある代議士が、いま申し上げましたことに対する質問をいたしましたのが三月三十日ですね。もう職場では三十一日に予告の発表が行なわれておる。しかも、処分は四日の日に一斉に発表をしておる。国会では追及されておる、職場のほうでは、四日に当局の発表があると三十一日に予告が発表されておる。こうなりますと、疑う気持ちがなくとも、何らかその辺に一連のつながりがあるんじゃないのか。しかも、大企業を経営していらっしゃるその責任者でいらっしゃる国鉄総裁として、いままさに春闘に入ろう、しかも、この重大なる時期に、先ほど言いましたように、慣行を破ってまでなぜ一体ここで不当処分を発表しなければいけないのか、この点が私にはわからないわけなのです。この点の御説明をいただきたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 まず、昨年の五月二十日の春闘、それから後に発生したいろいろな暴行問題につきまして、先ほど原田から申し上げましたように、処分をいたしたわけでございますが、この処分を通告いたしましたのは、昨年の八月十六日でございます。八月十六日に、労働協約に基づきまして、各人に処分を通告してございます。その後、御承知のとおり、いろいろ手続がありまして、一般に定められた普通のいわゆる苦情処理の手続があります。それに非常に時間がかかりまして、おおむね二月一ぱいにそれが終わったわけであります。ことしの二月までかかりました。延々数時間にわたる弁明、弁護もやりました。そしてことしの二月に大体その弁明、弁護を終わりましたので、その後なるべく早くこれを発表したいというふうに思っていたわけでございます。しかし、御承知のとおり、いろいろ岡山の開業あるいは合理化等の問題がありましたので、それの終わり次第ということで、四月早々に発表いたしたものでございまして、何か三月の末の予算委員会の御質問と関連があるというふうな御質問でございましたけれども、私どもいやしくもこういうふうな問題について、国会議員の諸先生方にいろいろなことを連絡してやるというようなことは絶対ございません。これは企業内の問題でございまして、したがって、その点の御疑念はお晴らし願いたいと思います。  それからもう一点でございますが、紛争対策委員会、これは確かに去年の例の問題の収拾としてつくりました。そのときにはっきり、この暴行問題は、御承知のとおり、組合法第一条第二項によりまして、明らかに労働問題でない、すなわち暴力の行使は労働問題でない、これははっきり書いてございます。したがって、紛争対策委員会におきましても、この暴行問題は労働問題じゃないのだということで、話し合いの対象にしないということをはっきりいたしておるわけでございます。したがって、紛争対策でケリがついた問題ではなくて、すでにその前に、八月十六日に、すなわち、いわゆるあの問題の起こる前に処分を通告してある、そのあと始末が非常に長くかかった、こういうことでございまして、御質問の紛争対策委員会とは関係ない問題でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 東京地方本部の新鶴見支部の処分問題につきましては、労使の間で協定がありまして、処分を行なう前に弁明、弁護をやっておるわけなんですね、これらの弁明、弁護を終わりまして処分の発表、発令というのですか、これがいままでの慣行としてやられておったと思うのです。ところが十二名の免職の中には、新鶴見の支部の関係の人が八名おいでになるわけです。これらの人につきましては、いま申し上げました弁明、弁護が終わってから、その上に立っての発令じゃなしに、途中での発令になっておるわけなんです。慣行を無視したやり方になっておるわけなんです。そうなりますと、国会で国会議員がこの問題を取り上げて追及をした、それが三月三十日である、地方の掲示板には三月三十一日に処分の予告の発表までされておる、四月四日に処分の発令、こうなってまいりますと、総裁がいかにどう言われましても、その辺に一連の関連があるのではないのか、こういうふうに疑わざるを得ないわけなんです、人間として。それはそれといたしておきまして、慣行を破ってまでこういう時期になぜ一体処分を発令しなければいけないのか。しかも、私が聞くところによりますと、去年からことしにかけてのマル生問題の途中におきましては、いろいろな問題があったと思うのです。たとえば、動力車労働組合なり三つの組合があるわけですけれども、あえて暴力問題は組合だけではなかったと私は記憶いたしております。現場長のほうにも、あるいは管理者のほうにも暴力問題があったわけなんです。これは総裁も御承知だと思いますけれども、動力車労働組合として三件か四件やはり告訴しておるわけなんです。だけれども、マル生問題その他ずっと解決をしてまいりまして、それじゃけんか両成敗というわけじゃございませんけれども、動力車労働組合も告訴を暴力問題については取り下げましょうということで、取り下げておるわけなんです。ですから、あの間に起きたところのいろいろな問題につきましては、一応、しっかりした書いたものはないにいたしましても、解決したものだという気持ちに立つのが当然じゃないかと私は思うのですね。そういうふうな空気になっております今日において、しかもまさに春闘が激しくなろうとするこういう時点において、三百七十名から処分されれば、いかなる組合といえども不当処分反対闘争で立ち上がるのは当然だと思うのです。これは私が言わなくても、国鉄総裁なり職員局長あたりも十分わかると思うのです。なぜこういう時期にそういうような、かりに百歩譲ってその処分の発令をするにしても、時期というものを考えるべきじゃなかったのか。慣行を破ってまでこの時点でなぜ一体処分を行なったのかということが、客観的な情勢その他から考えまして、どうしても私はわからないわけなんです。ですから、この不当処分の問題につきましては、これは抜き打ちの発令であろうと私は思います。ですから、この不当処分はぜひひとつ撤回していただく、そうして労使の間で十分話をしてもらう、こういう方向へ総裁といたしましても一考をしていただくようにお願いしたい、こう思うわけであります。  それからその次の問題としまして、新鶴見の問題でございますけれども、私も二、三日前に新鶴見へ行って調査をしてまいりました。話せば長くなりますから、詳細な説明はいたしませんけれども、あそこの職場に参りましてまず第一番に私驚きましたことは、いずこに原因があるかは別問題として、どこの機関区に参りましても指導助役さんというのは多くて三名ぐらいだと思いますけれども、あの新鶴見は指導助役さんが十数名おいでになるわけです。しかも乗務員を指導するところの指導員というのは九名だそうでございますけれども、職場には全然姿が見えない。大東亜戦争じゃないけれども、どこかへ疎開をして仕事をしておられる。こういうような実態を私は見てまいりました。これは非常に変わったケースで、指導助役さんが十数名おられて指導員さんが九名、しかもその指導員というのは機関車に添乗しまして乗務員を指導する任務にあろうと思うのです。そういう人が新鶴見には現場に参りましても全然姿がなし、どこかへ疎開をしておられる。指導助役さんに指導員は一体どこに行っているんですかと聞きましたら、われわれの口から申すわけにはまいりませんとこう言うので、その場では全然聞けなかったわけですけれども、こういうような職制のあり方というのははたして妥当なのかどうか、これもやはり問題点であろうと思います。  それからさらに、時間があまりございませんので簡潔に申し上げますけれども、きょうの新聞にもいろいろ載っておりました。パンタグラフの故障の問題、また着線変更等が当直助役のミスによって、しかも乗務員の注意力によって防止したというような問題、あるいは時刻変更の問題、あるいはその他入れかえ貨車の云々の問題、これら相当多く管理者に業務上のミスがあるわけなんですね。そのミスに対しましては、ミスをやった人がほとんど始末書を書いておるわけなんです。ここに全部私持っておりますけれども、数えれば切りがないほど管理者の業務上のミスというのはあるわけなんです。いつでしたか、時刻表の作製が間違っておりまして停車駅を通過した。これは新聞でも報道されましたけれども、そういう事故に至らんばかりのいわゆる業務上の管理者のミスというのがたくさんある。これはもう私が申し上げるまでもなく、実態は十分御承知だと思います。  それからその次には、いま新鶴見で一番問題になっておりますのは、これは気持ちの上の問題でございますけれども、やはり管理者と職員というのは一心同体のような和気あいあいな職場というのが一番望ましいと私思うわけですけれども、一般の乗務員等がちょっとミスをおかしたことにおいては、管理者が徹底的にこれを追及する。それならそれだけ管理者がミスをした場合には一体どうなんだ。管理者自体がたくさんの業務上のミスをやっておりながら、おれらがちょっとミスをやるとこれは徹底的に追及される。こんなばかなことが一体どこにある。これらのことも今度の新鶴見の闘争の一つの大きな原因になっておるのではないかというふうに私は考えるわけなんです。  それからさらに、新鶴見に行って驚きましたことは、われわれが行ったときには公安官が三十名、さらにまた局の課員が三十名、これが白昼、新鶴見の建物の二階のつくえの上にみな寝ていらっしゃるのです。これは四月の三日から常駐でございますから、ずっと常駐されておられるというようなところも見てまいりました。さらにまた四月の六日でございますか、事件の——事件というとおかしいですが問題の日は、あのときには公安官がやはり三十名以上おられたと思うのです。局の課員が三十名以上おられたと思うのです。しかもあのときの問題が起きておりましたのは晩の八時半ごろでございますけれども、七時三十五分に現場長が機動隊の出動を要請いたしまして機動隊が出てきた。しかも出てきた機動隊は全部がたてを持っておる。さらに、中にはガス銃まで持ってきておる。こういうようなかっこうで機動隊が国鉄の現場の中に入り込んできておる。この問題につきましては神奈川の県会において県警本部長のほうから、いわゆる過剰警護でまことに申しわけなかったということを表明されておると私聞いておるわけでございます。ですからいま申し上げましたようなかっこうで、あの新鶴見へ行きまして私も驚いたようなわけでございます。先ほど島本委員の質問に対して総裁は、一刻も早く解決するように労使の間で云々ということを言われたと思いますけれども、その間に、いま申し上げましたような雰囲気の中で動労の東京地方本部のほうから南の東京鉄道局長のほうへ、総務部長を通じて紛争解決のために団体交渉をやりたいということを二回、三回申し入れをしておるわけなんです。このままで進んでいくと、これはたいへんなことになる、一刻も早く解決しなければいけない、こういうことで二回も三回も申し込んでおりますけれども、全部拒否をされておる。さらにまた動力車の本部といたしましても、本社のほうの原田職員局長のほうへ話はいっておると思うのです。ところが、先ほど総裁がちらっと言われたかと思いますけれども、こういう問題は組織問題じゃない、団体交渉で解決すべき問題じゃないんだからこんなものは知らぬ、本社のほうでは、そんなものは東京鉄道局の問題だから本社では知らぬ、こういうふうに言って拒否をされておるというようなことも私は聞いたわけなんです。  そこで私が言いたいのは、どちらに分があるにいたしましても、いかなる経過をたどったにいたしましても、この紛争を一刻も早く解決しなければいけないというのは管理者の義務であろうと私は思うのです。でありますのに、団体交渉をやって解決しようじゃないかといって数回申し込んでもそれを拒否する。これをひっくり返しますと、組合には徹底的にやらして徹底的に処分をしよう、その道に通ずるような気が私はするわけです。そうではなしに、一刻も早く団体交渉をやってこの問題の解決をはかる。しかもまた先ほど言いましたように、公安官なり課員等があの新鶴見へあれだけ常駐しておりますけれども、これらの問題につきましても一刻も早く引き揚げてもらう。引き揚げることができないので、そこで団体交渉を労使の間でやって、これだけ、生鮮食品が三割くらいしか輸送されない、生鮮食品の値段が上がる、そういう大事に至っておる現状を解決すべく全力を傾注すべきじゃないかと私は思うのです。これは何も私は管理者だけに言っておるわけじゃない。労使の間でやらなければいけない問題だ。労働組合のほうは何回団体交渉をやろうやろうと言ったところで、拒否ばかりされておる。きのうきょうの動きは私は知りません。私が行きました時点においてはそういう現状だったのです。これは原田職員局長も十分御承知だと思うのです。私が原田職員局長なら、いまごろ新鶴見へ飛んでいって、これはえらい問題だ、労働組合とさっそく団体交渉をやろうじゃないか、君らの言うことを聞こうじゃないかということで団体交渉をやって、一刻も早くこの事態を解決するのがあなた方の義務じゃないかと私は思うのです。それを組織前の問題であるとか暴力の問題であるとか何であるとか、どんどん引き延ばすところに、さらに解決をむずかしくする方向へ進めていってしまうのじゃないかと私は思うわけなんです。これらの点に対しまして総裁としてはどうお考えになっていますか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 いまいろいろ御質問がございましたが、順を追って御答弁申し上げます。  まず第一に、昨年の五月二十日時点における暴力行為についての処分を取り消す意思はないかという御質問でございますが、これはすでに手続を全部終わり、労働協約に基づいた慣行によりまして発令したものでございまして、私どもは取り消す意思はございません。  それから次に新鶴見の現状でございますが、先生も現地へおいでくだすってよくごらんくだすったので私が申し上げるほどのことございませんけれども、多少ほかと違った空気があることも事実でございます。いろいろ暴行事件等も起き、あるいは暴行に至らないまでもこの席で申し上げるのをはばかるような、あまり申し上げたくないような事態が起きております。いやがらせと申しますか村八分と申しますか、通勤途上にまで及ぶというようなこともございまして、一種異様な空気で、あの近所の方は大体知っておられます。したがって、私どもといたしましてはやはり職員の保護、業務の安全な運営の確保ということはどうしてもしなければならない、したがって職員を保護する、それには物理的に保護することはできませんので人を置きまして何かのときに助けてやるということをする以外にないわけでございます。先ほど助役のミスの問題がございましたけれども、あの始末書をごらんくださるとわかりますように、大体事故発生その他非常にダイヤが乱れたときのことでございまして——もちろんいかにダイヤが乱れようとミスをしてはいけないことは確かでございますが、その際には局から現場の末端まで事故防止を頭に置いてあとの始末をするというたてまえでいかなければならないのでございますから、もちろんミスは許されません、みんなで協力してミスにならないようにするという努力をしなければいけない、これは国鉄内部の隠蔽でなしに、事故の際のあと始末、助け合うというやり方でございます。  それから四月六日に先生が現地へおいでになりましたこと、よく私存じております。その当時の先生と現場長とのいろいろなお話のやりとりも承っております。四月七日にいまおっしゃったように組合から話があったようでございますが、現地の管理局としては四月六日の事態のあと始末に非常に追われておりまして、やむを得ず私のほうでは、本社でもって本社の労働課長と動労の書記長、組織部長が会っております。現地では会いませんでしたけれども、本社でもって事態の収拾、一体君たちは何を要求しているのか、処分なのかATSなのか、何なのかということをいろいろお話をしたことはございます。これはたしか四月七日の午後だったと思います。  それからその後四月八日にまた四百人の職員が大挙して参りまして、御承知のように白ヘルメットをかぶり、鉄パイプを持って、あるいは竹ざおを持って区の庁舎に乱入するという、申し上げるのも恥ずかしいような事態が起こりました。これは一応解決いたしましたけれども、相当大きな物的被害が出ております。そのことは新聞にあまり報道されませんでしたけれども、あるテレビでそれを申しました。土曜日の夕方であります。私はそれを聞きまして即刻問い合わせましたら、確かにそういう事実があった。しかし新聞には詳しくは出ておりませんでした。しかしそういう事実があったことでございますから、私は何とか日曜日に動労とアプローチしたいということで向こうの責任者をさがしたのでございますが、どうしても日曜日にはわからない。こちらはもちろん関係者全部出まして日曜日には緊急対策本部をやっておりまして、そして昨日も私のほうの副総裁と動労の責任者と会わせようと思いましたが、きのうも一日忙しくてどうしてもだめだということで、やっときょう会う運びになっているというふうに私はけさほど聞いて出てまいったわけでございます。いま先生、何もおまえのほうだけ責めるわけじゃないとおっしゃいましたけれども、私のほうも、事のよしあしは別といたしまして、全力をあげて事態の収拾をしなければいけないというふうに思っております。いろいろ方法もあると思いますが、ただ私も責任者として、しかも私のほうの職場の中で、うちの職員が暴力的なことをやったということは、まことにお恥ずかしくてあまり申し上げられた筋ではございませんけれども、事実は事実でございますので、その事実を一つの基礎として事態の収拾をなるべく早くやっていきたい。  ことにいま非常に複雑になっておりますのは、その暴力行為と、それからそれと関連していわゆる順法闘争とがからみ合っているわけでございます。これも御承知かと思いますが、現在新鶴見でやっておりますいわゆる分解作業は、大体列車速度が二キロから三キロで走っておりまして非常に時間がかかります。その点などにつきましても、やはり良識ある、りっぱな名誉ある、歴史ある組合として善処してほしいということを十分話し合うつもりでおります。そういうような現在の状況でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 総裁、時間がございませんので私端的に、余分なことを言わずに質問しますけれども、一つとして、公安官なり局の課員を職場から撤去をしてもらう。  それから、四月六日の晩に機動隊を要請されましたのは現場長さんです。これは私も確認をしてまいりました。ところがその機動隊がガス銃まで持ってきたので、現場長さん、あなたどう思いますかというと、ええ、私も見てびっくりしました、こういうことなんです。そのことがやはり紛争に刺激を与えておるということは、これは間違いないと思うのです。ですからこの機動隊を要請したところの責任者に対して、要請したことがはたして妥当であったのかどうか、これは一ぺん総裁としても十分検討していただく必要があると思うのです。このことがかなり今度の紛争を拡大しておることは間違いないわけです。  それから三つ目の問題としまして、あの運転当直の助役さんのいわゆる当直の部屋でございますが、これは私がここで言うてみたところで、どっちが先に手を出したとかなんとかいっても、これは水かけ論争になると思いますけれども、私が内々調べた範囲におきましては、局の中村という係長ですか、これが一番最初にアッパーカットを食らわした、これでみんなが激昂したというか、その一つのあれになっておる。それ以前にネクタイを握ったとか握らぬとかいう話も聞いておりますけれども、そうなりますと、そういわれておる中村係長をやはり総裁としては十分一ぺん調査をしていただく必要があろうと思うのです。これは聞き流しにする問題ではないと私は思うのです。  それから四つ目の問題としまして、これは新聞にも載ったそうでございますけれども、四月八日のいま総裁が言われました総決起集会でございますか、あの新鶴見の構内で開かれたと思うのです、そのときに消火器を振り回した、これは翌日の新聞に載ったそうでございますけれども、これは全然情報が違う、消火器を振り回してやったのは公安官がやったんだ、それを全部動労の組合員がやったような報道になっておる、これは全く事実と違うんだというふうに私は聞いておるわけでございます。ですから、その消火器を振り回したりそういうような暴行——それこそ暴行でございますけれども、万一公安官がそういうことをやったとするならば、これはやはり責任問題になろうと思うのです。このことにつきましても、ひとつ徹底して調査をしていただく。これが事実とするならば、それ相当の処分をしていただく。これが四つ目の問題です。  それから五つ目の問題としましては、これはおそらく本社の広報課長かだれかの発表だろうと思いますけれども、いま申し上げました消火器問題についても、公安官が振り回したものを全部組合員が振り回して、組合員が暴力を働いた、こういう発表があったから、ときわクラブの新聞記者の皆さんもそういうふうな記事にしたのだ、そういうことを述べておられるそうですけれども、そういうような間違った報道をされるということは、これはやはり一つの大きな問題だと思うのです。そのことがやはり今次紛争に拍車をかけるような形になっておるわけなんです。ですから、いま申し上げましたところの情報を提供した課長さんですか、係長さんですか、これは本社だろうと思いますけれども、これもひとつ総裁の手によって徹底して調査をしていただきたい。大体まとめてこの五項目を申し上げた。  それと、最終的に私お願いしたいのは、いま総裁が言われまして、きょう労使の間で話し合いを進めるという段取りになっておると聞いておるのですけれども、私はいまごろおそいと思うのです。先ほど総裁がいろいろ言われました。どこをさがしてもおらない、日曜の日でもおれは行ってやりたいという気持ち、これは私聞きましたけれども、少なくとも四日に不当処分がありまして、それからずっと今日になりまして、もう今日は十何日なんです。どんどん紛争は大きくなってくるわ、生鮮食料品にまで影響するわ、国民の生活にまで影響するわ、物価はどんどん上がってくるわ、これを一週間以上にわたって——労使で話し合えば私は解決すると思うのです。その真剣なる話し合いすら行なわれておらないというのは、私はまことに残念に思うのです。それとあわせて、冒頭申し上げましたように、こういう時期において処分を発表、発令する、このことにつきましても私は適切なやり方ではない、このことは指摘したいと思うわけです。直ちに団体交渉をやっていただいてこの紛争解決のために全力を尽くしていただく、このことをつけ加えまして、いまの五項目に対する総裁として責任ある御回答をひとついただきたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 いろいろ御質問がございましたが、まず第一の公安職員その他職員の撤収の問題でございますが、私も新鶴見に一切今後暴力の心配がなくなり、ああいう職員を置かないでいい事態が来ることをこいねがっている次第でございます。  それから、四月六日の機動隊の問題でございますが、機動隊がどういう装備をしてくるか、これは私どものほうではそこまで要請するわけではございませんので、先生と区長との話が、指示云々の話があったことも私聞いておりますが、どういう装備で来てくれということはこちらとしては言う資格はございませんので、ただ一一〇番に電話でお願いしたというだけでございます。   〔橋本(龍)委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕  ただ事態といたしましては、実は六日の日も八日の日も、ああいうときは現場長は渦中の人になりますので、とかく公正な判断を失しやすいということも考えなければいけません。また、非常に肉体的にも疲労いたします。したがって私どものほうから、本社ないしは首都圏本部からも相当な責任者を現地に出しております。これはなるべく渦中に入らないように、客観的に見るようにという使命を与えて出しておりますので、相当な責任者から聞いた話でございまして、あの事態におきましては、二カ所で非常に問題があった日でございます。非常に事態が緊迫しておって、機動隊の要請はやむを得なかったというふうな判断をいたしております。  また、中村と申しますか、職員の件、これもすでにいま派遣しました職員から聞いておりますが、全く本人は、実はそういう手を出すような男ではございません。そういうこまかいことはここで申し上げませんが、中村の事件あるいは消火器の事件等につきましては、これはいずれ司直の手で明らかになることと思います。私どもは私どもなりに調べておりますけれども、いま先生のおっしゃったことと残念ながら逆なことの報告を、その場に居合わせた、しかも渦中に入ってない者から聞いておりますので、私どものほうは、残念ながら私の職員の暴行によるものだというふうに思わざるを得ない事態でございますが、これはいずれ司直の手で明らかになることと思います。  最後に、八日の晩に発表した事態でございますが、八日の事態は先生も御承知かと存じますが、四百人ほどで鉄パイプ、竹やり等を持っていたことは事実でございます。また現場の写真も全部とってございます。しかしその後の事態、いろいろその日も、私実はちょうど予算委員会に出ておりまして、非常に気になりましたので予算委員会から電話いたしまして、すぐ本社の責任者を現地へやりました。それから受けた報告、事実自分の目で見た報告をしろと言って報告さしたわけでございまして、決して現場長からのあとになっての報告といったことでなしに、なまの、実際の姿を見てきたことを広報部長がクラブで発表したという次第でございまして、それは誇張も何もございません。したがいまして、ただ事実を事実として、私のほうでこういうことを見てきた。こういうことは、ちょうどあの日はほとんど新聞関係の方は現地におられませんで、御存じなかったようです。私もテレビでは実際その事態は知りましたが、何か昼ごろ、だいじょうぶかなと思ったものですから、とにかく現地に至急行けと言って、本社からわざわざやったこともございます。そういうことで、事実に基づいて事実だけを申し上げたというふうに私は考えております。  ただ、最後に、先生がおっしゃったような経済の問題として、今日の事態は私も非常に遺憾でございます。しかも部内だけの問題でこういう事態が起きたことは遺憾でございまして、私責任者として非常に残念に思っております。先ほど申しましたとおり、暴力問題とは私は思っておりませんが、たとえ暴力問題であっても部内の職員が——これを暴力問題であるとすれば、やはり私の一つの広い意味の責任になると思います。その意味で、私は事態の収拾につきましては、全力をあげて事態収拾をやってまいりたいというふうに思っております。ただなかなか一方的に、相手のあることでございまして一方的には進まないかもしれませんが、ただ私も、先般申しましたとおり、日曜日もきのうも、何とか相手方をさがして話をしようと思ったが、どうしてもつかまらないということで実は困り切っておりましたが、やっときょう糸口がつかめたことは幸いだと思います。しかし、いずれにいたしましても、影響は相当大きいのでありますから、極力早く事態を収拾いたしたいというふうに考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 もう終わりますけれども、ただ一つだけ言いますと、あのときに三名逮捕されて勾留されました。そのときに向こうの検察庁側の言いますのには、これは逮捕する根拠がないというので、二、三日でもう釈放しました。逮捕する根拠のない者をなぜ一体逮捕したのだろうか、こういうような言い方だったそうです。そういうような点から考えますと、やはり私は現場における管理者の行き過ぎというのはあるのじゃないかと思うわけなんです。これはあなたが言われますように、一一〇番に連絡してどういう武装で来てくださいというようなことは要求しません、全くそのとおりだろうと思います。ところが、職場の中へガス銃まで持ってくる。しかもガス銃をちゃんとかまえてやっておったわけなんです。私も写真を見ましたけれども、一々いま私はこまかいことは申し上げようとは思いませんけれども、管理者としても反省すべき点が多々あるんじゃないか。この点だけは総裁としてぜひひとつ忘れないように、今度の問題についても考えていただきたいと思うわけなんです。ただ暴力だ何だかんだ言っておりましても、時間がどんどん過ぎ去りまして、その影響は相当に大きいわけなんです。ぜひこの問題については、いま六項目総裁に私出しましたけれども、ここにおける返答だけでなしに、お帰りになりましてから十分検討をお願いしたいと思います。それからきょうは労使の間で交渉が行なわれ、話が行なわれる、こう聞いておりますので、ぜひひとつ解決の方向へこれまた力一ぱい努力をしていただく、これはお願いしたいと思うのです。  最後に労働大臣の所信を伺いたいとは思いますけれども、大体、伺いましてもおっしゃることは想像が私はできますので、時間の関係でこれで終わらさせていただきますけれども、ぜひひとつ大臣としてもこの問題については十分関心を持って、一刻も早く解決する方向へお力添えをいただきたい。ぜひお願いいたします。  終わります。

増岡博之自由民主党

○増岡委員長代理 次に、田畑金光君。

田畑金光民社党

○田畑委員 私は初めに、いま質問のありました問題に関連いたしますが、総裁、それから労働大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  動力車労働組合によるATS闘争、これが四月三日から行なわれておるわけです。順法闘争、こう呼ばれておりますが、順法闘争というと、法律や規則や国鉄内部の業務規程に従った闘争であるとすれば、それがはね返って国民に迷惑をかける、大衆の足を奪う、あるいは交通混乱の中で善良な市民が傷害を受ける、こういうようなことはないはずでありまするにかかわらず、順法闘争という名の労働組合の争議行為が、いま言ったような事態を発生しておる、まことに私は理解しにくいのであります。きのうもきょうも新聞の報道を見ますると、この労組のATS闘争で、十一日にも全国で特急、急行など長距離列車を中心に大きな影響を受けておる。九日以降の貨物の運休は全国で三千六十八本にのぼった、こういうようなことが報じられております。また一方、新鶴見の操車場を中心に緩慢闘争ということで、貨車の編成作業が平常の三〇%程度で、二時間に三本に落ちてしまった、こういうようなことが伝えられておりまするが、われわれといたしましては、例の三月二十八日の朝のあの総武線の船橋駅で起きた国電の追突事故、重軽傷者が六百三十名をこしたという国鉄史上の事故としても有数の大きな事故であった。原因は、追突した電車の運転手が鳴り続けるATSのブザーをATSの故障と誤認して、それに気をとられて信号を見落とすという人災事故であった、こういわれておりますが、これだけ国民に迷惑をかけておるとすれば、事故の原因が何であるのか、訓練や教育に不備があったならば、その反省の上に立ってどうするのか、あるいは伝えられるところによりますると、変電所の故障によって信号の電流が切れて、何か全線が無電流状態になり、そのような原因に出発しておるということも伝えられておるが、私は、これだけ大きな不始末を次から次に国鉄は起こしておるならば、この際当局といわず労働組合といわず、お互いが国鉄の負わされておる社会的な使命の立場に立って、問題の原因を追及し、国民に対するサービスあるいはその使命をどう遂行するかというところにお互い知恵をしぼるべきであるにかかわらず、ATS闘争、順法闘争という名において、ますますこのような傾向に拍車をかけておるということは、まことに遺憾きわまりない。一体国鉄当局としてはこの問題についてどう考え、どう対処をなされようとしておるのか、これをまず総裁から承りたいわけであります。  同時に、私は昨日の夕刊を拝見しまして、昨日の閣議の中で丹羽運輸大臣は、今回の動労のATS闘争というものは、これは違法である、こういうことをはっきり述べていらっしゃるわけでありまするが、違法な闘争がいま展開されて、その結果、都民、市民、国民が迷惑をこうむっておる、これはゆゆしい問題だと思うのですね。閣議の席上において運輸大臣が、違法な闘争だ、こうお話しになったというのでありますが、このことを現実に見られて、労働大臣としては一体どういう対策を講じて、すみやかにこの種の不幸な事態をなくして国民の迷惑を最小限にとどめる、そういう立場に立って、どのようになされようとするのか、これを労働大臣からもとくと承りたい、こう思うのです。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、総体的に申しまして、先ほど後藤先生にもお答え申しましたように、全般の事態、これは暴力によるものであろうと何であろうと、とにかく私の全般の責任であることは事実でございます。したがって、私といたしましては、一刻も早く事態を回復したいということで連日いろいろやっておりますけれども、なかなか相手があることで進まないという事態、きわめて焦燥の感にたえないという点もあるわけでございます。  しかし、と申しましても、やはり私は筋を通すものは通すというたてまえでいかなければならないというふうに思っております。単に事態を収拾するために筋を曲げるということは、またまた大きな事態を招来するということになりますので、どうしたら筋を曲げないで事態を収拾できるかということを考えなければならないというふうに思います。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  次に、いまたまたま御質問のATSの問題でございますが、これは非常に世間に誤って伝えられておりますので、私、この際ちょっと時間を拝借して、はっきりとしたことを申し上げさしていただきます。  ATSと申しますのは、厳格に申しますと自動列車停止装置ということでございまして、これは二つの部分からなっております。一つは目ざまし時計的な性格でございます。すなわち、前方は赤ですよといってブザーでもって教える、これが一種の目ざまし時計と申しますか、そういう性格。それから、五秒間何もしなければ急ブレーキでとめてしまう、いまこれは自動的にとまるわけです。五秒間運転手が失心する、あるいは居眠りするという事態がかりにあったとすれば、これは自動的にとまります。そういう非常に違った、目ざまし時計的な性格と、非常事態的な性格と、両方持っております。したがって、目ざまし時計が鳴るたびに電車をとめたのでは、これは運転ができないわけです。ちょうど道路信号でもって二百メートル先に赤信号が出たといたします。自動車の運転手で、二百メートル先の赤信号を見て自動車をとめる運転手はございません。それは赤信号を見たらブレーキをかけてスピードを落として、いつでも自動車をとめられる状態にするのが道路交通の常識でございますが、まして専用軌道を走っておる鉄道の場合には、目ざまし時計で前方は赤だぞといわれたら、そのつもりでもってブレーキをとって、承知をしたというボタンを押して、自分で信号を見ながら運転をするのが当然でございまして、その点は道路上を運転する自動車運転手よりも、専用軌道であるだけに、自動車運転手ほど左右から来るということはございませんので、重い注意義務は、自動車運転手のほうが私はずっとたいへんじゃないかというふうに思います。  ですから、重ねて申しますが、もし交差点の手前二百メートルで赤信号を見てとまるのだということをしたならば、この東京の交通は全部渋滞してしまいます。それと同じことをいまやっている。これではいけないわけでございまして、まして、ごく最近やっておりますのは、東京とか上野とかいうことになりますと、あそこは汽車で行くと終着駅になります。終着駅でございますと、必ず終着駅の信号は赤でございます。出る信号は、終着駅の最後の信号は赤でございます。そうすると、当然ATSが鳴るわけでございます。なぜ鳴るかと申しますと、もう行きどまりですよ、これから先行っちゃいけませんよ、だから気をつけて運転しなさいという意味の警報が鳴るわけです。それを、警報が鳴ってすぐとめれば、ホームの途中でとまってしまうわけです。そうすると、お客さんがもし間違えておりれば、特に暗いときなんかでございますと、間違えて線路の上におりぬとも限らないということで、それを非常に気にしているわけでございまして、各車掌に申しまして、もしホームの途中でとまったようなときには、絶対にお客さんがおりないように車内放送その他で気をつけろということを言っておりますが、それほど逆に危険を伴う停止のしかたでございまして、そういうことが私どもの規則できめてあるはずがないわけでして、それをあえて部内の闘争の手段として使うということは、非常に残念なことです。  また、新鶴見操車場は現在三〇%に落ちております。新鶴見の入れかえ機関車というのがたくさんございますが、その入れかえ機関車が現在時速五キロ以下で走っている。五キロ以下じゃとても仕事になりませんで、普通は私どもあの構内で本時速二十キロ、二十五キロくらいで走りますが、時速五キロ、ひどいのになると時速一キロということで、もうこれでは貨車の分解もできなければ、機関庫に帰ることもできない。そういうために非常に大幅なスローダウンが行なわれているわけでございまして、これは一人一人の乗務員並びにそれに対する動力車労働組合の相当強い締めつけがそういう結果になっているんだろうと思います。私は、職員がみんなまじめにやっているということを確信しております。しかし、当局への協力だということの次元から問題をとらえまして、それをしちゃいかぬというふうなことは非常に遺憾なことでありまして、全体として申し上げますれば、何とか事態の収拾について全力をあげてまいりたいと思う次第でございます。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 国鉄の社会的使命というものは言うまでもないことであります。国民生活、国民経済に非常な影響を与えるものであることは論をまちません。したがって、今回の事件というものはわれわれとしても非常に憂慮にたえないところであります。しかし、いま私として、処分がどうであったか、こうであったかということは、私の立場で申すべきことではないと思います。  なお、昨日の丹羽大臣の発言、違法であるというお話でございますが、これはおそらく閣議後の発言か何かではないかと思いますが、これがサボタージュではないか、違法ではないか、これは事実認定ということはわれわれのほうではいたしておりませんので、やはり論評を避けたいと思いますが、国民が非常に不安に思い、連日の紙面がますますエスカレートをしてこれを報道している、事実、物価問題その他にも非常な大きなはね返りがあるというような問題でありますから、先ほどから国鉄当局も申しておりますように、すみやかに交渉の場に着いて、相互の不信感をなくして、話し合いですみやかなる解決をされることを私は心から望んでおります。

田畑金光民社党

○田畑委員 ATSの問題について総裁からお話もございましたが、私も衆議院予算委員会における総裁の説明を見まして、これが国鉄にとって非常に大事な安全確保の装置である、こういうことも承知しております。  しかし、きょうは時間が限られておりますので、一々の問題についてお尋ねする時間的な約束にもなっておりませんので私は次に進みたいと思いますが、今度の動労の順法闘争、一体これは何が闘争の目標であるのか。四月三日現在では、例の総武線船橋駅の事故で逮捕された高石運転士の釈放、その二つ目は、国鉄本社の鈴木運転局長との話し合いで、ATSが鳴ったらすぐとまれ、こう言われたのでそれに従ったまでだ、これで旅客の安全を確保するんだ、こういうことも言われております。三つ目は、四月三日に通告した大宮、坂町機関区を中心とする処分について、これは不当処分だ、こういうことで反対のためにこのような闘争を進めておる、このように承っておりまするが、この点について当局はどのように理解されておるか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 三月二十八日に総武線で、たいへん申しわけない事故を起こしました。私はあの運運転士に責任をかぶせるという意味ではなしに、残念ながらあの運転士のミスであったことは認めざるを得ないところであります。それが逮捕されたことが動労を非常に刺激いたしまして、たぶん四月一日の中央執行委員会か何かで四月四日からいわゆるATS順法闘争をやるということをきめたようであります。ところが四月三日に、私のほうの処分の正式通告をいたしましたために、それを一日繰り上げまして、しかも中身を少し強化して、いわゆるATS闘争、形はATS闘争ではございますけれども、その目的は処分反対あるいは公安職員の撤収とかいうふうな、目的がいわゆる暴力行為に関連する目的に変わってまいりました。それが四月三日からずっと続いておりますが、きのうくらいからまた言い方が変わってまいりまして、またATS闘争に戻っております。どうしてそういうふうに目的が変わるのかよくわかりませんが、初めは船橋の事故と関連してATS闘争で始め、その後、処分通告と同時にそれが組織の保全という意味でございますか、とにかく処分反対というふうなものに変わりました。ところが暴力行為が六日、八日に発生したということと関連して、また、したかどうか知りませんが、きのうくらいからまたATS闘争ということを言っております。けさ、実は九時からフジテレビでうちの副総裁と目黒委員長が対談しております。これはなま放送であります。そのときもいわゆる新鶴見事件には全然触れておりません。私、ずっと聞いておりましたが、もっぱらATSの問題だけに限ったということで、私のほうから見ておりますと、いままで私もずいぶん長い間、約二十数年間組合のおつき合いをしておりますけれども、こういうふうにしょっちゅう目的の変わる、目的と申しますか、内容の変わることに会ったことがございません。順法闘争なら順法闘争ということできちっと目標をきめてやるというのが慣例でございましたけれども、今度はATS闘争になってみたり処分反対になってみたりまたATSになる、何か非常にわけのわからぬ状況なんです。しかし、きのうきょうはいわゆるATS順法闘争並びにその拡大ということで、入れかえのスローダウン、いわゆるサボタージュということのようでございます。  それから先ほど先生のおっしゃったお話の中で、運転局長がATSが鳴ったらとめるんだというように言ったと、ある新聞に出ました。これは明らかに間違いでありまして、その後の動労との話でも、それは事故防止のサンプル、三つの項目を言いまして、その三番目の緊急非常事態のことを言ったわけでありますが、それを曲解して申しましたので、それはその後の動労との会合で、動労のほうでも運転局長がそういう発言をしたことはないということを正式に認めておるわけでありまして、したがってあの問題は解消したというふうにお考えくだすってけっこうであります。

田畑金光民社党

○田畑委員 春闘が現に進んでおる、それにまた、いまお話しのようにATS闘争が進められる、あるいは処分反対の闘争が進められる、こうなってまいりますと、ますます闘争はエスカレートしていくのみ、この迷惑はだれが受けるのか、言うまでもないことでございます。特に暴力行為に伴う処分の問題について、四月三日当局が処分者を発表された。先ほど来お話があったように、昨年の五月二十日闘争に伴う六月から七月にわたる暴力行為、その処分がようやくこの四月三日に発表された、こういうわけです。この処分の発表に対して動労としては、これはマル生の再開をたくらみ、春闘に結集した全労働者に対する攻撃であるということで反発をし、闘争をエスカレートしておるということが報じられておりますが、私は、新鶴見の暴力事件の処理のしかたを見ても、あるいは坂町機関区における暴力行為の処分のしかたを見ても、一体当局は——たとえば新鶴見機関区については、すでに免職の通知を昨年の八月十六日に出しておいた。これに対する弁明、弁護が終わったのが本年の二月末であった。そして、ようやくそういう経過を経て四月三日出した。こういうような取り扱い自体が今回の動労の争議行為に火をつけた、私はこういう一面があることはいなめないと思うのです。言うならば、当局の管理体制のゆるみ、あるいは事なかれ主義、こういう態度が今回の動労の争議をさらにエスカレートさせている一因になっていると私は思うのです。なぜならば、昨年のいわゆるマル生運動即不当労働行為、そして当局は、その後動労や国労との紛争処理委員会を持っていろいろな相談、話し合いなどをなされてこられたが、その間の経過をかれこれ考えたときに、あるいはまたマル生運動に伴う当時の真鍋職員局長以下末端管理者に対するいろいろな処分のやり方等を見たときに、あの一連のできごとを中心として当局のとられた姿勢というものが、はたして——先ほど国鉄総裁は今回の動労との関係については今後に問題を残さぬように筋を通して処理する、こういうことを答えられたが、昨年秋以降の一連のできごとに対してほんとうに国鉄当局が筋を通した態度で乗り出していたならば、動労をして今日このようなエスカレートするような闘争状態に走らしめなかったのではなかろうか、こういうことを私は考えておるわけでございまして、こういう点について、暴力行為というのは、私は労使関係の、それこそ以前の問題だと思うのです。  先ほどATS闘争について総裁はまさに労使関係以前の問題であると言われておりますが、労働運動にからまって暴力行為が頻発をしておる、いま現状がどうなっておるか、私はたくさんの資料を持っております。先ほど来お話しになっておる四月八日の処分反対に名をかりたあの新鶴見職場における紛争の実態を見ますならば、組合員を四百名動員された、その中で百七十名が白いヘルメットをかぶった、鉄パイプを持った、竹やりをひっさげた、そうして庁舎に乱入しておる、公安官が、あるいは管理者の諸君がけがをしておる、こういう事態。私は、このような事態を招いたということは、国鉄当局が昨年秋以降とっておる姿勢に、常に右にゆれ左にゆれ、一本の線が通っていなかった、やはり何事であっても筋を通す、総裁ならば総裁が、自分の職をかけて国鉄の再建に取り組むならば取り組む、こういう姿勢がなかったところに今日のような事態を招いたと思うのです。このように激動する状況の中において、お互いそれぞれの持ち腸持ち場を持つとすれば、その持ち場において私たちはやはりそのポストを守るためじゃなくして、自分のポストを維持するためじゃなくして、ほんとうに自己の責任を果たす、こういう立場に立って取り組んでいくならば、国鉄の労使関係等についても、このような動労に見られる事態などは未然に防げたのじゃなかろうか、私はこのように考えておりますが、この点について私は総裁の所見を伺っておきたい、こう思うのです。いろいろ具体的な暴力行為等についてたくさん事例を持っております。私は、幾らでも資料をひっさげてここであなたを責めたいと思うのでございますが、きょうは時間の制約がございますので、具体的な事例には触れません。  それから、先ほど質問の中にございました新鶴見機関区において指導機関士が数名雲隠れしておる、所在がはっきりしない、この問題について、私は先ほど正確な答えがなかったように記憶しておりますが、私が現地に行って調査をした昨年の暮れの事実関係は、十六名か十八名の指導機関士が、これは別に動労を脱退して鉄労に入っているのでもない、どこの組合にも入ってない、いわば労働組合の関係からいうと中立的な姿勢をとっておるわけでございますが、脱退をしたということ、あるいはその他日常の職場の仕事の関係で、この職に対するたいへんないやがらせ、暴力行為、村八分、こういうようなことが起きて、この人方の身の危険がたいへんだ、公安官を動員し、あるいは職場の管理者がいろいろ注意してもなかなかこの身の保全を全うすることができない、そういうわけで、これは当局が自発的に、危険だというので、生命の保障ができないということで、他に職場がえをする、こういうようなことを私は現地において説明を受け、しかも、それは局の部長からの説明、その機関区の区長からの説明、私たちはまことに慨嘆の至りです。仕事もできないような姿に、職場をなぜそのような無法な状態に置くのか。これが国鉄なのか。あの庁舎を見るならば、すべて庁舎はまわり一ぱいが組合のポスター、ビラで張りめぐらされておる。それが今度はめちゃくちゃにたたきこわされておる。それが一体国鉄の職場なのか。国鉄というのはそういうようなことを放任しているのかいないのか。私は、これこそ労使関係で、働く職場以前の実態であると、この目で見てまいりましたが、あなたの先ほどの答弁の中にこの問題についての正しい答えがなかったように承っておりますが、それもあわせてこの際承っておきたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 最近の動労の姿というものが、昨年の生産性運動との関連でああいうふうにエスカレートをしたのじゃないかという御質問でございますが、私も全然ないとは申せません。ただ、私どもといたしまして、昨年のあのあと始末につきましては、やはり悪いことは悪いとしてあやまったというさっぱりした態度であの態度をとったつもりでございますが、やはりずうたいが大きいせいか、多少末端まで私の真意が通じなかった点もあるかと思います。しかし、全体といたしまして、もしそういうことの影響で一種の暴力に対するあきらめというものが出ていたとすれば、これは私はたいへんなことだと思います。暴力に対するあきらめと申しますか、そういうことがもし私どものほうの職場にかりにあったとしたら、これはゆゆしきことだというふうに私は思います。少なくとも管理者がその線まで下がるということは、私はあり得ないと思いますが、とかくやすきにつくというふうなことがあるとすれば、もう暴力に対してあきらめてしまう、これは民主主義の放棄だというふうに私は思います。したがって、こういうようなセンスが絶対に出ないように、これはしなければいけないというふうに思います。しかし、先ほどから申しておりますとおりに、新鶴見の機関区におきましては、残念ながら、私がここで申し上げるのも恥ずかしいような暴力的な行為がひんぴんとして行なわれていることは事実でございます。いわゆる村八分あるいはいやがらせ、つるし上げ、刑事事件にならないまでも、そういう問題があることも事実でございます。それを私どもとしては守って、少なくともまじめに働く気持ちのある職員をまじめに働かせるのが私どもの仕事だというふうに思いまして、とりあえず人海戦術として約五、六十名の人間を現地に置いてあるわけでございますが、先ほどの御質問にもお答えしましたように、私どもといたしましても、ああいう特別な職に置かないで済むような事態が一刻も早く来ることを願っているわけでございます。したがって私は、何とかしてこういう暴力的な事件を部内から一掃するというための具体的措置、非常にむずかしい、実行不可能な点もあるかと思いますが、やはり職場が暴力に荒されたんではまともに仕事ができない、これは当然なことでございますので、その点に立って全力をあげて、ひとつ具体的な方策をとってまいりたい。ですから、防ぎようがなければ私どもの職員の手で防ぐ以外にない、現場の職員で足りなければ、応援に出す以外にないという強い態度でもってきちっと、少なくとも職場の安全だけは守っていかなければいけないというふうに思っております。  また、お尋ねの指導員、先ほどの後藤先生の御質問で落としましたが、これは昨年の五月十九日に動労を脱退した指導員であります。これは五月二十日のストライキには自分はついていけない、ストライキはいやだと言って自主的に脱退したものでございまして、いわゆるマル生運動とは全く関係のない脱退でございます。昨年の五月十九日の脱退者に対する非常ないやがらせが続発いたしまして、多少ノイローゼぎみになっておる者もおりますし、非常に家族が心配いたしております。そういう事態が去年の秋ごろから起こりましたので、いましばらく私どもが身柄を保護しております。そしてほかの仕事をさしておるわけでございますが、この問題が決着し次第——いやしくも動労という名のもとで、こういった不当労働行為が行なわれるというような事態が絶対ないというような事態が来れば、これは喜んで現場へ戻してやりたいというふうに思っております。  いまいろいろこまかいことを申し上げますと切りがございませんが、いずれにいたしましても、目下まだ現場に戻してやれない、本人たちも何か非常に精神的な圧迫を受けているわけでございまして、これはほかの仕事をさせて、しばらく静養させたいという事態が率直な事態でございまして、非常に残念な事柄であります。

田畑金光民社党

○田畑委員 時間もございませんから、私は最後に総裁にお尋ねしたいことは、この生産性運動について総裁の考え方なり、国鉄当局の方針はいかん、これをお尋ねしたいのでございまするが、マル生運動即不当労働行為だ、こういう受けとめ方でこの問題が一般的に見られてきた。このような状況下において、昨年の十月十一日のこの衆議院の社労委員会において、この問題を議論したことがございます、総裁御記憶のとおり。  総裁はそのとき、両者は別個のものである、純粋な生産性運動が歪曲されているのは遺憾だ、国鉄再建法審議のときも、三本の柱、すなわち国鉄内部の姿勢を正すこと、政府の財政援助、利用者負担、こういうふうなことから見ても、当然国鉄のあり方としても国民に対する誠実なサービス、あるいは国鉄に対する愛情、こういうような立場から見て、純粋な意味の生産性運動は国鉄にとっては大事なことなのだ、こういうようなことを言われました。また、そのとき総裁は、国鉄が赤字で、危機状態におちいったのは、昭和三十九年以降だ、機関車乗務員問題で、年間十数回のストを頻発し、そのような反省の中から自然発生的に生産性向上運動というのが起きてきて、四十四年、四十五年から生産性運動が国鉄の内部で強くなってきた、で、私としては、純粋に国鉄に対する愛情、こういう面から見ても、国鉄の職員にそのような国鉄に対する愛情あるいは国民に対する誠実なサービス精神を振り起こすためにも、やはり生産性運動というものは、本来の純粋な軌道に戻していきたい、こういうことを約束されたのを総裁よもやお忘れでないと思うのです。なるほど完全雇用であるとか、労使の協議制の問題であるとか、あるいは成果の配分であるとか、特にわれわれは国鉄労使の関係を見ますると、この中の労使協議制の確立というのが一番大事な問題だと考えまするが、とにかくこの生産性三原則が、即いまの国鉄の中にそのまま形式的に適用されるかというと、確かにいろいろな問題があることも私たちも十分承知はしております。その議論はいたしません。ただ、昨年の秋以降、国鉄当局としては生産性運動については、教材整備のために、とりあえず中止をするが、新年度から生産性運動を進める方針であるということを、かたくこの委員会等でお述べになっております。参議院の予算委員会等でもお述べになっております。また本年一月十二日の閣議決定における国鉄財政新再建対策要綱の決定を見ても、経営の合理化と生産性の向上が前提だということがはっきりうたわれております。いま国会で審議をされておる運賃法の改正を見ても、その前提は経営の合理化であり、生産性の向上だ、こう思うのです。ちょうどいま春闘の時期でございますが、昨年七月六日の新賃金についての仲裁裁定を見ましても、生産性向上に最大限の努力を払うのだということがはっきりうたわれておる。また本年度の当局と国鉄の内部の幾つかの組合との賃金等の交渉を見ておりますと、国鉄当局から労働組合に対する回答書を見ますと、「生産性の向上に対する貴側の協力が必要である。」こううたわれております。「まず提案中の合理化事案の解決に全力をあげる」ことを国鉄当局は組合に求めております。  そういうことを考えてみますと、やはり国鉄に生産性向上運動を適用するというのは、いまの国鉄の内部事情から見ると、どういうことになるのか。いろいろ議論があるかもしれないが、私は、やはり生産性向上運動というのは、総裁のことばをかりるならば、一つの経営哲学だ、この経営哲学によって国鉄の労使関係を正さない限り、国鉄の再建はできないのだということを、あなたはしばしば国会において約束されておられる。ところが新しい年を迎え、もう四月になったが、この問題については具体的な何らの対策も、方針も、国会における約束ごとも実行されないまま来ておりますが、この問題について、総裁はどういう態度でこれから対処されようとするのか、この点は、はっきり承っておきたいことなんです。その御答弁いかんによって、私はこれで質問を終わりますから……。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 昨年の十月に、いわゆる公労委の御決定に服従いたしまして、その後いろいろこの問題につきまして内外に物議をかもしました。そのとき私は当委員会に出席いたしまして、私自身の哲学として、国鉄職員というものは国鉄に対する愛情と利用者に対する誠意がなければいけない、それが私の経営哲学だということをはっきり申し上げました。そしてその見地から、もう一ぺんひとつ、いまやっている生産性運動を考え直そう、見直そうということで、教科書の点検その他は一応終わりました。そこで私どもは、新年度からいよいよ財政再建の新しい十カ年計画がスタートするわけであります。いままでにない政府からの御協力というものも得、国民の御支持もいただくことにいたしまして、いま再建計画をつくって、できれば四月から発足する、大体それに合わせて新しい運動を展開するつもりでおりましたところが、御承知のような事情で若干おくれております。  私はいつかも申し上げましたが、もう名称その他はともかくといたしまして、いわば生産性運動を通して、生産性向上の真意というような新しい理念を見出して、そしてその経営合理化の中で、いわゆる計量ができる、数字になる経営の合理化と数字にならない経営の合理化、すなわち、いまの国鉄の再建運動とか、あるいは人事の問題だとか、人材登用の問題だとか、あるいは仕事のやり方とか、そういう数字にならない合理化をぜひやらなければならない、その一つの大きな柱としてこの問題を取り上げていくべく着々と準備を進めておる次第でございまして、その点私どもといたしましては、できれば再建十カ年計画の発足にあたって、それをみんなでもってかみしめてやっていきたい気持ちでございます。ちょうどいま中途はんぱな時期になってしまいましたので、いまその具体的な計量されざる国鉄の合理化というものについて検討といいますか、その案をつくっておる次第でございまして、再建十カ年計画とともにスタートいたしたいというように考えております。

田畑金光民社党

○田畑委員 私はこれで質問を終わりますが、総裁に特に願うことは、初心忘るべからず、初志一貫して国鉄の立て直しのためにはどうあるべきか、私は総裁の信念と勇気が国鉄の再建に大きな比重を占める、いやこれなしにはできない、このことを念頭に置かれて努力されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いままで春闘に関連をしての質問が各位から展開されておりまして、いろいろと見方、考え方の相違はありますけれども、いずれにしても、その基本は春闘の成り行きを非常に注目しているということになると思うのですが、労働大臣、いろいろと情勢は流動的でありますけれども、ことしの春闘は昨年までに比べていろいろむずかしい要件もありますし、また賃金引き上げを要まする逆の意味における要因も非常に強いわけでありますけれども、一体どういうふうにこの成り行きがなるのか、またその最終的な時期やその内容について、にわかに判断しずらいと思いますけれども、昨年よりも若干あるいは率において下回るのではないか、額は大体昨年よりはちょっと上回るか、実は学者やその他の意見もいろいろあるわけでありますが、労働大臣は、一体この春闘はどういうふうな見通しを持っておりますか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 確かに今年度の春闘は文字どおり非常にきびしいものがあると私は考えております。それは、やはり組合側の意向は福祉優先、生活防衛というか、そういうことを旗じるしとして、政策転換という立場に立って要求をしておると私は見ております。もちろん組合のほうは、いまの経済のきびしさを認識しながらも、そういう政策転換を迫っておる。一方において経営者側は、どうにもこのきびしい情勢のもとにあっては、その要求には応じられないという、いわゆる守りの体制というか、そういうものががっぷり四つに組んで、いま動いておるというのが現状ではなかろうかと考えております。  いま、時期とかあるいはその額とかのお話でございますが、これは今日の時点において私が口にすべきものではない。しかし冒頭に申しましたように、きびしさと、それからまた非常に大事なときに大きな問題を起こしては、これまた国民の非常な不安感を増大するということもあると思われますので、重大関心を払いながら推移を見守っていく。できれば両者間の話し合いが自主的に円滑に行なわれるということを期待しておりますし、もちろん公労委、中労委というような場面も考えられますが、いずれにしても、このきびしさというか、経済情勢の実態というものを、視野を広くし、現実に即したものの考え方で、労使双方が話し合いを進められるということを、心から私としては望んでおります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま労働大臣から、この春闘は、実は非常にきびしい情勢下で行なわれているという考え方が述べられました。一般的にそういわれておるわけでありますけれども、私はきょう現在において、大体中小の組合を含めて、一万円以上を獲得した数というのは昨年に比べて六十くらい少ないという状態から見ても、確かにそういう要因が、いわれておるようなものがあると思うのでありますが、しかしまた一面、不況不況と言いますけれども、昨年のドル・ショック以来、一番痛手を受けたではないかと予測されておる、たとえばカラーテレビにしても、あるいは自動車にしても、その後における輸出は、実は減少どころか増大の状態であるということがいわれておるわけでありまして、事実閣議においても、佐藤総理自身が、これらの輸出が増大しているという事態は非常に寒心にたえない事態であるから、秩序ある規制をすべきであるということを、通産大臣に指示したという事態も実はあるわけでありまして、必ずしも不況だという形だけで、このことを見ることはいかがかと、実はわれわれは思っておるところでもあります。  それからまた、本来的に言えば、物価の値上げが相次いでいるというこの事態、それからまた政府が唱えておる福祉優先という政策というものが、事実上なかなか地についていないという状態、まあ、これから問題になりますところの国鉄運賃の問題にしても、いま国鉄総裁がおいでですけれども、これは値上げだということで国民から批判を反けている。健康保険法の改悪にしても、これまた国民はいろいろな面で実は非常に批判的な意見を持っておる、こういうことがメジロ押しにあるわけであります。いわば、労働者側からするところの要求が熾烈であることも、また当然の成り行きではないかと私は思うのです。  私は、ここでその中身についていろいろと申し上げることは避けますけれども、政府はこの春闘に対してどういうような姿勢で臨もうとしておるのか、労働大臣から先ほど来所管大臣としての御意見が開陳をされたわけであります。われわれは、一応大臣のその考え方をさらに積極的に伸ばしてもらいたいと実は思っておるのですが、同僚の質問に対する労働大臣の答弁とあわせて、きょうは官房長官がお見えでありますから、政府を代表する立場で、いま私が申し上げたような春闘の情勢の中で、政府は一体これに対して、どういう態度をとろうとしておるのか。私どもは、やはりこれをただ黙って見過ごすということではなくて、かなり積極的な姿勢でこれに対処してもらいたい。もちろん額やその内容については、私はいろいろと意見があろうと思うのであります。また、あるいは民間のやり方なり、その他いろいろと政府が手出しをできないところの要因もあろうと思いますけれども、しかしいずれにいたしましても、やはりこの春闘に対して従前にも増して積極的な姿勢で、この賃金引き上げ要求に対応すべきである、こういうふうに思っておるわけであります。  特に三公社五現業という公労法傘下の賃金引き上げの問題については、当然政府も関与する立場にあるわけでありますから、私は、第一には、やはり何といっても自主的な交渉を精力的にやってもらう、こういうことが必要だろうと思うのです。さっき私は国鉄総裁のお話を聞いておって、是とするところの意見もありましたけれども、中には何か組合側の闘争目標がよくわからぬ、くるくる変わるのでわからぬというような意見もあった。わからんければ積極的にあなたが問いただすべきだと思うのですよ。それは賃金引き上げの問題でないでしょうけれども、しかしそういう賃金引き上げについても私は姿勢を示すべきである。したがって、政府の立場から言えば、自主交渉を認めて、これと精力的に取り組んでもらう、これが第一。  第二には、いわば時期をいろいろと云々することなくして、なるべく早い機会に回答を出すよう、この二つの問題について、政府は三公社五現業に対しては積極的に指導をすべきだと私は思うのです。介入することはできないという立場を当然おとりになるわけですけれども、しかし、よりいい意味における指導は、私は当然すべきである、こういうふうに思っておるわけでありまして、私は、回答という中に有額やその他のことを言いませんでしたが、それはいろいろの意味があるから言いません。国鉄のいまの事態等についても、いろいろと私はおもんぱかっております。  いずれにしてもそういう積極的な、自主的な交渉を進めて回答を出すという姿勢は私はとるべきである。したがって、このことに対して、政府のいわば大所高所に立った積極的な指導というものを求め、いい意味における指導を私はやるべきである。こういうふうに思っているわけですけれども、官房長官、御意見はどうでしょう。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、私はきわめてしろうとでございますので、適切な回答になるかどうか自信がございません。ただ、本質的にことしの春闘の問題につきましては、すでに労働大臣からもお話があったところであろうと思いますが、いわば利潤の分配について労使双方がしのぎを削るというような実態からやや大きく変わってきておりますのは、政府が福祉予算を叫び、いわば暮らしの問題とかというところへ国民の眼が向いておる。そういうことを踏まえての労働者側の要求というものは、単なる利潤の分配というよりも、いわゆる暮らしの実態の中に豊かさを見出し得るという土台の上に立っての要求がある。それだけにいわば多様化した今日、そういうものに対応するだけの考え方としては姿勢をもって臨むべきである、このように思います。  そこで、直接私どもに関係のあります三公社五現業ということになりますが、これはいま田邊委員からも申されましたとおり、従来から適切に当事者能力を発揮できるような努力を続けたところでありますが、本年もこの方針に沿って自主交渉の促進につとめてまいりたい、このように考えております。政府としても、そのためにはできる限りの努力はしなければならない。きわめて抽象的なお答えですが、認識と、そしてそれに対応する姿勢について、抽象的ではございますけれども、申し上げ次第であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 私は官房長官の認識は基本的に正しいと思うのです。いま国民が要望するのは、何といっても国民の暮らしに対してどのようにあたたかい政策を具体的に政府が実施してくれるか、こういう一つの待望する気持ち、またそれに対する一面は政府の無策に対して批判をする考え方、こういったことがその底流にあるという考え方からすれば、いま官房長官の言われたように、やはり従前と違った意味でこの春闘に対して政府が注目をされ、できるだけの積極的な姿勢でもって対処するということが、私は当然の成り行きだろうと思うのです。実際問題としては、来たる二十七日、二十八日に私鉄あるいは国労、動労その他の公労協をはじめとして、民間、公労協を通じて一大決戦をするといっておるのであります。私はさっき国鉄問題を通じていろいろ話し合われたことを聞いておりまして、これはなかなかたいへんな事態だと思うのであります。このことのよしあしを論じておりますと、これは私は見解が錯綜してくると思うのでありますが、それはあえてきょうは言わないのであります。そしてまた、このいわば実力行使といわれる問題にしても、政府は従前これは違法ストライキだといってきたわけであります。これに対する政府の見解もまた問い詰めていけば、意見がいろいろと分かれる点もあろうと思います。しかし私は、この際適法、違法というようなそういう考え方は別として、この事態というのはたいへんな事態ではないかと思うのです。  ですから、この四月の月末に予定されておるところの実力行使というものについて、私も何としてもこれは避けなければならぬと思うのです。避ける方法はいろいろありましょう。いま政府のいっているように、違法ストライキだからこれは断じて認めない、やめなさいという警告を発するということも、これは政府の立場からいえばあり得ることでしょう。しかし問題の解決は、労働者要求というものに対してどうやってこれを解決するか、どうやって対処するかということが基本になければならないと思うのです。それでなければ、ただ単に抑圧をしたり、あるいは批判をしたりというだけでは問題の解決にならないと思うわけでありまするから、ひとつこの要因をなすところの賃金要求を主体とした労働者要求に対して、これを解決することが迂遠のようであって最も早道であるとわれわれは考えておるわけでありまして、それに派生的に起こっているところの、特に国鉄のATS闘争やあるいはいろいろな暴力事犯といわれるもの、これも私はそういう問題の根本に流れるものを解決することが一番大切であると思いまするので、あえて論争を避けて、ともかくも国民に大きな影響を与えるこの月末の事態に対して、これを回避するために、これを未然に防ぐために、政府は一体となった努力を払うべきではないかと思うのであります。  ですからこの事態に対処するために、従前いわば機が熟さないから、その間近になってやらなければいかぬという話があるんですけれども、私は今度の事態は労使双方にとっても早目にこれに対処していかなければならない。したがって、政府もこの迫り来るところの事態に対して対処する手を早目に打つ必要があるのではないかと思うのであります。いまそれに対して、官房長官から具体的なこれこれの手があるということは申せないかもしれないけれども、ともかくもひとつ事態の認識を正確に持っていただく中で、早目にこれに対応する手だてを講じてもらうということが必要ではないかと思うのであります。これは政党人であるわれわれにも責任があると私は思いまするから、政府のこれに対するところの積極的な姿勢が示されますならば、われわれもわれわれの中でもってまた、これの解決のための努力を惜しむものでないことを申し添えておきたいと思うわけでございまして、そういう事態の中で政府のこれに対する考え方、方針をこの際、ひとつ承っておきたいと思います。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 田邊委員のいまの御意見を交えての御質問でございますが、いわゆる一切の争議行為に対する見解とかいう論争を避けて、あえて言うなれば政府の姿勢を問いたい、こういうことでございますので、私も今日ATS闘争にいたしましても、あるいは暴力事犯にいたしましても、それなりの見解は持っておりますが、そのことは私も避けてお答えをしたいと思います。  ストライキが回避される、何とか回避しなければならないというのは、これはまさに主権者たる国民に対し、その責めを負う政府として、何とかして回避されなければならないということは当然の熱願であろうと思います。そこで具体的な問題については、あるいは政党としての介入の余地もあろうとか、たいへんお含みのあることばもいただきましたが、私としていま何をなすべきかということについての確たる考え方もございませんが、なすべきことがあるとすれば、できる限りの努力はしなければならない。ただいま一つ基本的に、設定されたスケジュールに沿って、それぞれ手を打っていくというようなマンネリ化したスケジュールの中で問題を処理しようという姿勢は、それなりに避けなければならない、このように思うわけであります。  お答えになっておるかおらぬかは田邊委員の御判断でございますが、私なりに精一ぱいのことを申し上げたつもりであります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 多くを申し上げませんが、最後に私が申し上げたいのは、スケジュール闘争についての御意見はありましたが、それはそれなりに受けとめておきますけれども、しかしいずれにしても、この事態になっておるということは事実でありますので、例年どうもぎりぎりのところまでいきませんと、なかなかお互いに時期が選べないという形があったのですけれども、なるべく早目に対応することが、ことしの場合必要である。というのは、やはり労働大臣も労政局長も御存じのとおり、その時期の問題については、いろいろと実は意見があるところだと思うのです。ですから、従前のペースでいきますると、この時期に一つの結論を出すことはなかなかむずかしいのが通例のやり方でありまするから、そういった面も踏まえて、私はそれから逆算をしてものごとを処理しろと単純に言いませんけれども、しかしいずれにしても、早目に手を打つべきものは打たなければならぬだろう、私はこう思うわけでありまして、その点に対しても御同意を得ておきたいと思うわけであります。よろしゅうございますね。

竹下登自由民主党内閣官房長官

○竹下国務大臣 田邊委員の御指摘の趣旨は私にも十分理解できるところであります。ただ私自身がこれについて具体的なものの考え方もございませんので、有益なる見解として、しかと受けとめさせていただきます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働大臣には先ほど大体同趣旨の御発言があったように私は聞いておるわけでありますから、いま官房長官からのお話も所管大臣として当然しかと受けとめていただきまして、これに対して、まず第一線の大臣としていろいろと活動していただかなければならぬ、こういう部面が多いと思いますので、その点もあわせてお含みをいただき、積極的な御努力を私はお願いしたいと思います。  官房長官、どうかひとつあなたも総理にお話しをいただく中でもって、この事態を解決するための積極的な御努力を、私はこの際、特に念を押して要望しておきたいと思います。  終わります。      ————◇—————

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、労働安全衛生法案を議題といたします。質疑を行います。質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 労働安全衛生法案、これの審議にいよいよ入るわけでありますけれども、大臣のお昼食の間に、逐条審議に入る前に、冒頭まず当局に二つ三つ伺っておきたいと思います。  それは労働安全衛生法案ですから、名前のとおり働く者の人権をいかに災害から守るかということに尽きるのだと思います。いままでの十五カ条じゃとてもこれは事足りないし、労働省としても労務管理、そして労務監視、ここまできめこまかく指導行政に当たっておったと思いますが、今回この労働法案は、少し時期的に早いという意味じゃなくて、経緯からいうと、ちょっと急ぎ過ぎたきらいがあるのじゃないかなという感じは私は受けておりますが、その経緯をひとつお聞かせ願いたいと思います。  それからあわせて、なぜ労働基準法の本法から抜き出して単独法案にしたかということをまず当局の気持ちを伺っておきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まず経緯について申し上げますと、労働者の生命と身体を災害や職業上の疾病から守りますことは、これは労働者の福祉の向上をはかるべき労働行政の最大の重点として、かねてから労働省が取り組んでまいっておるところでございますが、ただ、それにもかかわりませず、いろいろな産業の技術革新、それに基づきます新しい製造法とか工法の導入、あるいは新しい物資が使用されるといったような最近の産業事情の進展に応じまして、さらに重大な災害が出てくる、あるいは職業病が多発するといったような事態も見受けられるのでございまして、われわれとしては、これに対してどう効果的な災害予防対策を進めたらいいかということを、かねてから考えておったところでございます。  この安全衛生行政の基礎になっておりますのは、従来の労働基準法でございます。しかしながら、労働基準法は昭和二十二年に制定されましてから、すでに約四半世紀を経過いたしておるわけでございまして、その間の産業事情あるいは社会の変転あるいは労使をめぐるいろいろな情勢の変化というものに、必ずしも適合していないのではないかと思われる点もございますので、労働省といたしましては二、三年前から、それらの労働基準法上の実際の運用並びにそれについての問題点等を学識経験者の方々に御検討いただきたいということで、労働基準法研究会というものを設けまして、それに御検討を願っておったところでございます。  同研究会は、基準法の運用上の問題点ということで、非常に幅広い分野の検討をされておるわけでございますが、中でも労働者の生命と身体に関係いたします安全衛生は、最も緊急を要することだということで、まず優先的にお取り上げいただきまして、基準法に基づく災害防止体制の運用並びにそれの問題点について御検討をいただきました結果、やはり現在の基準法に基づくいろいろな体制だけでは不十分な点があるということで、総合的、抜本的な労働安全衛生体制を確立するために、法制的にもその新しい検討をすべきであるという御報告を、昨年の夏、労働大臣に提出されたわけでございます。  私ども、その御報告、まことに時宜を得たものと考えまして、それに基づいていろいろ労働安全衛生の法制的な抜本的な対策について検討をいたしました結果、一定の案を得ましたので、それを昨年の秋に中央労働基準審議会に御諮問を申し上げまして、同審議会で非常に御熱心な御検討をいただきました結果、今年の二月初旬それにつきましての幾つかの御意見を付して、そしてその上で、その考え方についてはおおむね妥当であるという旨の御答申をいただきましたので、それらの中央労働基準審議会の御意見等もわれわれの案に入れまして、さらにこれを練りました結果、今回の労働安全衛生法案を得まして、この国会に御審議をいただくべく提案をいたしました。これが経過でございます。  なお、先生から、なぜ労働基準法からこれを分離して単独の立法にしたのかという点のお尋ねがございますが、これにつきましては、労働基準法を中心といたします従来の安全衛生につきましての法制につきましては、先ほど申しましたような最近の産業事情、社会事情等々から見まして、必ずしも適合していない面があると考えたからでございまして、それらの点を若干申し上げてみますと、労働基準法というのは使用者と労働者の個別的労働関係を前提といたしまして、その個別的労働関係について使用者に一定の最低労働条件についての義務を課すたてまえをとった立法でございますが、最近の労働安全衛生の完ぺきを期しますためには、直接の労働者、使用者という雇用関係面の規制だけでは必ずしも十分でないわけでございます。たとえて申しますと、建設業その他には元請と下請が混在して就業しているというような場合がございますが、そういたしますと、直接の雇用関係のみでは的確な安全衛生対策はとれない、あるいはジョイントベンチャーと申しまして、幾つかの企業が共同いたしまして、一つの建設業などを請け負う体制がございますが、これにつきましても個々の労働者は、それぞれの使用者との間に雇用関係があるわけでございますが、共同して事業が行なわれますために、安全衛生に関しましては直接の使用者との関係だけでは、やはり的確な安全衛生対策がとれない、責任の所在が不明確だというような問題等、直接の労使関係面の規制のみでは不十分な点がございます。  また近ごろ職業病等によりますと、離職後におきましていろいろな職業病が発生してくる。そのためには離職後においても健康管理というものをやる必要がある場合があるわけでございますが、そういう場合等につきましても、雇用関係は離職後は切れているわけでございますので、直接の雇用関係を前提とした規制だけでは不十分だ等々、そういう直接の雇用関係のみでは律し切れない事態に対処するためには、やはりもう少し幅広い立場からの立法が必要であるという点があるわけでございます。  それから、単にそういう直接の雇用関係だけではなしに製造とか流通とか、そういう段階についても安全衛生の対策の万全を期するためには規制をする必要がある。これも基準法の直接の雇用関係を前提とした規制よりもワクがはずれておるわけでございます。そういう問題もあるわけでございます。  それからまた、最近の産業事情等々から見ますと、最低労働条件、最低基準を規制して、それを守らせるというだけでは、技術革新の進展が非常に急な最近の産業の事情のもとにおいては必ずしも万全を期することができない。やはりもっと幅広い指導行政であるとか、あるいは最低基準以上に好ましい作業環境の形成といったようなことをはかっていく必要がございますし、さらに労働者の安全衛生教育といったようなことも進めなければいけない、あるいは中小企業には最低基準だけ順守を求めましても、その基盤が弱いためになかなか守られない。それに対してはいろいろな指導、援助の処置をしてやることが最低基準を守らせる前提として必要である等々の問題もございます。こういう点も、従来最低基準を設定し、これを順守させることだけを中心といたしました基準法よりは、もっと範囲の広い部面になってくるわけでございます。  そういったように、基準法よりももっと広い範囲の立法措置を講じ、それに基づくいろいろな対策を推進していく必要があるという観点から、やはりそれらにつきましては、基準法と別個に独立の立法としたほうがよいのではないか、かように考えた次第でございます。  なお、先生ごらんのとおり、当立法の内容は百数十条に及んでおりまして、これを基準法の中に入れるということも立法技術的にもいろいろ困難な点もございます。それらも考えまして、単独の立法としたわけでございますが、ただ、基準法と密接な関係があることは当然のことでございますので、その点については、単独立法といたしますにつきましても十分配慮をいたしまして、新法の一条におきまして、その目的の中で、基準法と相まってこれは理解される、運用されるべきものだという精神も明らかにいたしました。また基準法の中にも連結の規定を残しまして、両者統一的、一体的に運用されるよう、確保もはかっているところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 よくわかりましたが、その経緯なんですが、四十五年の五月に、時の労働大臣の私的諮問機関の研究会にかけたというのでしょう。そのかける場合に、労働省の何らかの骨子をかけたのか、それをまず聞きたい。  それから二つ目は、どういうメンバーであったのか。一々名前を言わなくても、どういうメンバーであったのかということです。労働基準法は、やはり局長が冒頭言ったように、働く者を災害から守るという基準法をつくるのだから、これはかなりこの審議の——使うほうと働くほうと第三者と、こういう構成が中央審議会なんだ。ところが研究会にかけたのは、四十五年から一年以上かけた。ところが、四十六年の十一月十五日に中央審議会にかけた、それから四十七年の一月ですから、これは二カ月ですよね。二カ月で、中央審議会という公的の場でよくこういうことができるものだな、こういうように——私は案外、しろうと的な発言かもしれぬけれども、この辺は少しスピーディー過ぎるのじゃないか、こういうように思います。そうして今度は、この一月、労働大臣に答申して、そして二月に閣議で決定したのでしょう。だからその辺がまず、中身は別として、経緯がなぜこんなに——時期が早いという意味じゃないですよ。なぜこんなに急いだのかということをもう少しわからせてください。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 最初に、研究会の構成のことでございますので、私から申し上げます。  労働基準法研究会は、成績大学の学長の石井照久先生ほか約二十名程度の方に御審議をいただきましたけれども、特にその中で、第一小委員会で一般問題、第二小委員会で労働時間、第三小委員会で、本日問題になっております安全衛生関係の御審議をいただきました。第三小委員会の先生方は、会長の石井照久先生を委員長にいたしまして、あと労働衛生関係の権威でございます勝木新次先生、あるいは安全工学の大家であります内田俊一先生、建設関係の東大の先生であります奥村先生、あるいは横浜国大の北川徹三先生というような、自然科学関係の非常に御造詣の深い先生方による構成でございます。  なお、御指摘のように、昨年の夏に研究会から答申をいただきまして、それで御審議をいただきました期間と基準審議会に諮問をして、ことしの二月に答申を得、あるいは法案作成までの期間のアンバランスの御指摘でございますけれども、われわれとしましては、この私的研究機関といいますか、労働基準法研究会での御検討あるいは御報告をも参考にいたしておりますけれども、従来長年の行政経験から、局長が先ほど指摘いたしましたように、昭和二十二年以来、基準法が制定されて何らの改正が行なわれていない。その間に生産の場の改革が非常に進んでおって、行政矛盾としていろいろのことを積み重ねて経験上把握をいたしておりますので、その面では研究会と別個にいろいろ資料収集、検討をいたしております。  そういうものを基礎に基準審議会に御諮問をいたしたわけでございまして、基準審議会では、御指摘のように十月十五日に諮問をいたしましたけれども、それ以前から、たとえばその夏の七月、研究会答申が出ましたころから労働省の考え方等の説明をいたしておりまして、この法案につきましての御審議は実数、十数回に及んでおりまして、この種の法案の作成としましては、私たちとしましては十分御審議をいただいたと考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 時間をかけたとか、審議を十分にやったということじゃないのです、私の言うのは。中央審議会というのは、五回総会を開かれただけでしょう。しかも二カ月ですよね。だから、いま言った石井照久先生はじめ、このものに権威があると思うのであります。これは労働省が行政をやっていく場合の参考、そういう意味においては権威があると思うのです。そうではなくて、労働基準法にいう労働安全衛生というのは、終戦後つくられた日本の国では非常に急進的な基準法だと思うのです。その底を流れるものは、やはり労働者の基本的な人権をいかに守るかということがずっと先行しておる。だからどっちかというと、経営者というか使用者というか、ここでは事業者といっていますが、より安く、より早くものをつくる、建てるということからいわせると、この労働安全衛生法というのは、そういう立場から見ると、じゃまものなんです。実はこれは足かせなんだ。だけれども、労働省はそれはいかぬ。これからの世の中は、やっぱり昔の江戸城を築城したころのめちゃくちゃのあれじゃなくて、あくまでも基本は労働者の人権を守りながらものが生産されなければならないというのが基本なんです。だから、そういうものの中身にだんだん入っていけば、労働者の権利というのはほとんどここから抜けていっているわけです。   〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 だから私は、どのくらい時間をかけたかというのじゃなくて、かけ方、一番かけるべきなのは審議会なんですよ。労働大臣の私的諮問機関が一年半もかけて、それが唯一の根底になって法律ができ上がると考えてみなさい、どんな法律だって、一人の労働大臣の私的諮問機関じゃだめなんだ。せっかく中央審議会というのは労働者代表、使用者代表、公益代表とあるわけだから、そこになぜあまり時間をかけなかったかということをもう少し。  それからもう一つは、労働省のほうがあらかじめ考えておったアイデアというものが先にあったのかどうか。あったとすれば、研究会なり審議会にかけた結果、いわば後退したのか進展したのかということもあわせて聞きたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、法案の立案につきまして御意見を聞くべき最も重要な機関は、法律に基づきます中央労働基準審議会であることは申すまでもない点でございます。時間的に基準法研究会のほうが長くかかったじゃないかという御指摘の点につきましては、基準法研究会に、それら安全衛生等基準法の運用の実態及び問題点の検討をいただいたときには、これをどう改善すべきかといったような、別に労働省としての案を付して御検討いただいたわけではないわけでございます、問題点あるいは実情等は、われわれの知る限りでは御説明申し上げましたけれども。そういう中から運用の実態を判断され、こう改めていくべきではないかという考え方を研究会としては出されてまいったわけでございます。  そういうことで約一年余りの時間がかかったわけでございますが、その間われわれといたしましても、先ほど安全衛生部長から申しましたように、過去の法施行の経験あるいはこれまでの行政運営の実際等々から考えまして、われわれ安全衛生対策を抜本的に確立するためには、どうしたらいいかということも考えておりまして、研究会からの御報告をいただきました段階では、それも参考としつつ、われわれ労働省といたしましての新たな立法についての考え方をそれからまとめたわけでございます。  したがいまして、中央労働基準審議会に御諮問いたしますときには、大体労働省としてはこう考えるという一つの具体的な考え方を持って、それについての審議会としての御意見を承らしていただきたい、こういうことで御審議をわずらわしたわけでございます。そういう意味では、基準審議会で御審議になりますには、大体その研究会の研究結果等も前提条件としてすでに明らかになった。さらにそれに基づく対策についても、一応労働省側の案というものが審議の対象としてございましたために、それについての是非、メリット、デメリット、そういう点に審議の中心というものがはっきりしておりましたために、比較的短時日の間非常に精力的に御審議をいただいて御結論をお出しいただけたものと、われわれはかように考えておる次第でございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは何も労働省は労働基準法を曲げようとは思ってないと私も理解します。ただ、こういうかけ方をすると、やはりせっかくの守ろうとする権利が、むしろ業者の責任体制を後退させるとか、あるいは労働者の責任過重だとか、こういうようになりかねない。というのは、さっき四つばかり理由を並べておったでしょう。たとえば本法から抜き出さないと、かなりの個条になるという——民法なんというものは千四十四条あるでしょう。商法だって、七、八百条あるでしょう。刑法だってしかりでしょう。だから、それはあまりたいした理由にならぬと思うのですよ。条項が多いから抜き出すのだ。そうなると、勘ぐりたくなるのは、労働基準法というこの大法を検討しなければならないという世の声を、どのようにあなた方がつかんでいるかということと、これだけ抜き出していじって、あとは労働基準法はそっとしておこうという、いじくりを逃げているというようにも勘ぐられる。おたくのほうにそのねらいがあると思いますよ。それが一つ。  それからもう一つ、その理由の中に、あなたが最初に言った、たとえば下請労働者の労働災害を的確に防止する。これは全く大事なことです。これが私もこれから出かせぎ問題なんか追及するのに、どうしても一番大きな問題だと思います。しかし、いまの本法だって、たとえば親企業の危険有害作業を、親企業とは直接雇用関係のない下請労働者に転嫁されているところに、いまの労働災害が多くあるわけです。局長のほうから出されたパンフレットを見たって、建設業下請業者に災害の危険が多くあるわけですよね。これはいまの労働基準法だってできるのです。それから構内の下請労働なんというのは、あれは私から言わせると、職安法違反のすれすれをいっているのではないかと思う。ところが、新法でこういうものまでうたうと、職安法違反のような、いわゆる例の借り工制度ですよ、労務者を送り込む何々組というのが構内にいるでしょう。ああいうものを正当化する危険性があると思うのです。  それから三つ目には、最低基準云々だけでは事足りないということをさっきおっしゃった。私はそうじゃないと思う。いま労働災害の分布を見ると、大きいのはいまの労働基準法が守られないというところに災害があるのですよ。守れないというのだ。下請の下請という構造になっておる。労務供給者が仕事で人を殺せば、さっと飲場をたたんでどこかへ逃げるという状態でしょう。八時間労働、深夜作業労働といういろいろの規制、そういうものを守らせる労働省が、人が足りないのか、いまの労働基準法を守りさえすればもっと災害が減るであろうというように世にいわれておる。ところが、最低基準だけでは事足りないということから、こういうように直したということであれば、これはちょっと私ももう少し聞いてみたい。  その次の理由として、中小企業には基準面の指導とか財政面の援助とかいうことをやっておる。こんなものはいまの労働基準法を手直ししたり、あるいは細則を直せば——問題は労働省の指導なり人なり予算なんだと思います。予算はなかなか大蔵省はくれない、人は採れないということから、から念仏に終わってしまって、大きくかまえてしまったら、せっかくの労働基準法にうたわれている権利実体がぼやけてしまうということで、せっかくの安全衛生法にもろ手をあげて賛意を表し得ないと私思っているわけです。その辺をもう少し聞かしてもらいたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働安全衛生法と基準法と別個の法律としたことによって、労働基準法の基本的な精神がぼやけるのではないかという御趣旨が中心であろうと存ずるのでございますが、労働基準法は、もちろん労働者の労働条件の最低基準を守り、それによって労働者の保護をはかる基本的な立法でございますが、労働安全衛生法におきましても、使用者に労働者を使うについて安全衛生上のいろいろな守るべき最低基準を設定してこれを守らせる、こういう姿勢につきましては、基準法と何ら変わるところはないわけでございます。  さらに、先ほども申しましたように、そういう意味において、労働基準法と労働安全衛生法はまさに姉妹法をなすわけでございますので、両者は一体的、統一的に運用されるべきものという考え方に立ちまして、新立法の一条にもその旨を「相まって」ということで法の目的として掲げますとともに、労働基準法のほうにも労働者の安全、衛生については、「労働安全衛生法の定めるところによる。」ということで、労働安全衛生法上のいろいろな労働条件は、基準法にいうところの労働条件であるということを明らかにする、つながりをつける規定を設けておるわけでございます。  したがいまして、労働安全衛生法に規定されますいろいろな労働者の労働条件につきましては、基準法上の労働条件といたしまして基準法の総則に規定されております、いろいろな基準法の基本的な理念というものは、それはそのまま適用になるわけでございまして、そういう意味で、われわれ、労働安全衛生法が別個の法律になってことによって労働者の保護に関する理念がぼやける、そういうことは全くない、かように確信をいたしておるところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そういう確信があるなら、それじゃ逐条的にちょっと聞いてみますよ。  (定義)の中に、いわゆる労働災害の定義から始まっておるわけですが、あくまでもよってくる原因が「作業行動によって、」ということから始まっている、この文章は。ところが、昨年これは山林労働者の三十二歳になる人が木を砕いておってばったり倒れた。死病だ、心臓麻痺。そこでいろいろと、公務員だから人事院で半年かかってやったら、よってくるところは労働が起因だということで、公務員災害に認定された。これは御存じだと思う。そうなると、「作業行動によって、」ということでくくっておる労働省の考え方は、やはり業務に起因して云々というような考え方をしないと、これからもうしょっちゅう心臓麻痺というふうなものは、単なる死病だと片づけられる。それはもちろん原因は医者その他に検討させなければならない問題ですよ。だから、「作業行動によって、」というように片づけると、この問題が将来非常にそごを来たすということが一つ。  それからもう一つ、局長は確信を持っておるとおっしゃるのですが、長年懸案として先輩各位が検討されておった通勤途上の交通事故、これはやはり通勤あって労働ありということばから、労働災害とみなす、退勤は別として。これは補償問題になるのですが、労災法を将来検討する場合、通勤途上の交通事故を、労働災害という解釈を労働省はぼつぼつ始めたのかどうか、その辺を聞いてみたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まずお尋ねの第一点の、労働災害の定義の問題でございますが、この労働安全衛生法の二条の(定義)におきましては、労働災害というのは、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動によって、労働者が負傷し、」云々と書いてあるわけでございまして、作業行動によって生ずるものだけを言っておるのではなくて、労働者の就業にかかるすべての要因に起因して労働者が被災することをとらえておるわけでございます。先生が例としておあげになりました心臓発作等によってなくなられて業務上と認められたような方につきましても、これは具体的な詳細は、いまちょっと私記憶いたしておりませんが、そういう場合であっても、それがあるいは非常に天候の悪い寒いところで、そういう重労働に従事しておられた、あるいは非常に肉体的に特に心臓等にいろいろな重荷をかけるような状態のもとでの作業がやられておったことが原因となって、その心臓発作を起こされたという場合には、当然この二条にいうところの「作業行動によって、」それは労働者が疾病にかかられ、死亡されたということに当たるわけでございまして、当然この新立法の労働災害の(定義)の中に含まれるわけでございます。  それから通勤途上の災害についてお尋ねがあったわけでございますが、業務上の負傷、疾病といいますのは、労働者が使用者の管理下において労働しておるときに、その業務に起因して起きたものを言うわけでございます。従来は、通勤途上というのは、それは就業に密接な関係はございますけれども、使用者の管理下における労働をしていた、こういうことにはまだ当てはまらない、その前段的な行動だということで、原則といたしまして、通勤途上の災害は業務上の災害ということにいたしておらないのでございますが、ただ通勤途上、最近の交通事情等から非常に災害が多発いたしておりまして、その保護について非常に問題がある。また、それについての要望も非常に強いものであるということを、われわれは十分に承知いたしておりますので、一昨年来通勤途上災害調査会というものを設けまして、通勤途上災害に対します保護をどのようにすべきかということを、いま御検討をいただいておるところでございまして、先生が先ほど申されましたような点も、その調査会の中では、考え方についての問題点の一つとして、いま真剣な議論がされておるところでございます。労働省といたしましては、この問題の重要性にかんがみまして、調査会から結論をお出しいただきますならば、その結論を十分尊重いたしまして、関係法令の改正その他につきまして検討し、実現をはかってまいりたい、かように考えておるところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 一昨年からで、調査会はずいぶん時間がかかるものですが、これなんかずいぶん早くできたものですね。それでは労働災害法というのを改定する見通しを持っているのかどうか、改訂版を。もしできればお聞かせ願いたいと思います。その場合、私は何もかも一切、労働を原因とした交通事故ということは、これはいろいろあると思う、お医者さんのほうで。やはり夜働くでしょう、いまバタバタとか、メーカーが非常に多いでしょう。そうすると、使用者の管理体制にはないかもしらぬけれども、やはり労働に起因する交通事故なのだ、そういう方向もあるわけでしょう。ですから、そういうようなことを柔軟性を持ってこれに対処しないといかぬという意味で、単なる「作業行動によって、」という頭書きを書いておかしいと言ったら、局長は、いやそうじゃない、就業によるすべてのあれを大きく含んでいるというので理解しておるのだ。  そこで聞きたいのは、通勤途上をもう少し見通した——これは災害補償法の問題になるが、いい機会だから聞いておきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 通勤途上災害調査会は、一昨年発足いたしまして以来、鋭意検討を続けられておるわけでございまして、昨年四月、中間報告も出されたわけでございますが、その後も熱心な討議をしていただいておるわけでございまして、大体最近までには、通勤途上災害について、現行の制度以上に何らかのより手厚い保護をする必要があるという点については、同調査会の中の労・使・公益、大体意見が一致されておるわけでございます。しかしながら、その保護の水準だとか、あるいは費用負担とか等々の問題につきまして、なお委員の中にいろいろな御意見がございますので、ただいま公益委員が中心になられまして、労使の委員の意見の歩み寄りをはかるべく御努力をされておるところでございまして、私どもそう遠くない機会に御結論がいただけるかと考えております。  で、労災法を改正する考えがあるかどうかというお尋ねでございますが、その点については、まだ同調査会の最終的な御結論が出ておりませんので、確定的なことをまだ申し上げる段階ではございませんけれども、労災保険法の改正等によって行なうべきだという御意見も、同調査会の中では有力な御意見の一つとして、ただいま検討が進められておる段階にあるということは、申し上げておきたいと存じます。   〔橋本(龍)委員長代理退席、田邉委員長代理着席〕

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 では進めますが、われわれは基準法を読むと、事業主ということばになれておる。ところが新法では事業者ということばが出てきたので、これは何か意味があるのかということと、それではついでだから、事業者、事業主、使用者、あえていえば行為者、四つ、労働省が使う法律用語が出てきたのですが、はっきり区別しておるとすれば、聞かしておいていただきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 基準法では、これは使用者ということばを使っておるわけでございます。基準法十条では「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」ということで、基準法上、使用者と申します場合には、事業主のほかに、事業主に使用されている、いわゆる従業員の中で労働関係について一定の権限を使用者、事業主のために行使するような者も含まれるわけでございます。  そういう意味で、使用者と申しますと、最高責任者である事業主だけでなしに、そういうような従業員の中の、使用者のために行為する人までも含まれる、非常に広い範囲になりますので、ややもいたしますと、そういう問題について事業主御本人の責任ということがぼやけるきらいがあるわけでございます。しかしながら、特に労働者の安全衛生等につきましては、これは何といっても、その労働者を使用しておられる業事主が最高の責任を持って当たるべき事柄でございますので、そういう使用者の最高責任を明確にし、使用者が責任を持って労働者の安全衛生の確保に取り組むべきだという趣旨を明確にするには、やはりいろいろな義務の対象者を事業主にすることが、事業主の責任明確化のために効果的である。かように考えまして、労働安全衛生法では基準法の使用者という概念を使わずに、事業主ということでとらえたわけでございます。しかしながら、実際に事業主に使われまして、労働者の安全衛生を補完する人たちも、もちろん安全衛生については責任を負っていただく必要があるわけでございますので、この安全衛生法の百二十二条におきまして、罰則を科する場合には、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、」違反行為をしたときには、行為者を罰するということにいたしまして、事業主の責任を明確にしたために、その下におる安全衛生管理担当者が責任感が薄らぐことのないように、その意味では実際の安全衛生担当者についても、事業主とともに、違反行為に対する責任を問うことに新法ではいたしておる。そういうことによりまして、事業主の責任を明確にしつつ、しかも担当者の責任も決して免れるものではないということによって、労働者の安全衛生確保の確実なる履行をはかっておるところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは理由はどうだっていいと思います、使いようですから。各会社の労務課長はこれは迷う。事業者、事業主、使用者、行為者というものは、これはその解釈を労働省できめればいいのだから、だからそこをやはり端的に説明してもらいたかった。しかし、これは時間がないから、あとでけっこうですから、事業者と事業主との違い……。これは非常に事業者というのを使っているから、さっそく事業者でいきます。  さっき申し上げましたように、事業者の権利義務がうたわれていない、弱くなったということは、三条を見たって、そうでしょう。(事業者等の責務)と書いてある。(事業者等の責務)と書いていながら、一項は「協力するようにしなければならない。」二項は「努めなければならない。」三項は「配慮しなければならない。」こういううたい方なんです。安全衛生法がぼやけたというか、弱いというのは、そこだと思うのですよ。その点やはり義務として押えないと、事業者というものをせっかく局長が定義づけたから、そうだとすると、なおさら、しなければならないという義務をうたわないと、ちょっと罰する場合でも、これではいかぬ、これではできないですよ、おそらく。どうです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 第三条では、事業者等の責務を規定いたしておるわけでございますが、事業者につきまして、災害防止の最低基準を守るべき義務があることは当然でございます。三条におきましては、その冒頭におきまして、「単に労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、」と書いてあるのは、守るべき義務があることは当然だということで、ただしかし、それだけではなしに、さらに、「進んで快適な作業環境の実現のために創意工夫をこらす」ように、さらにまた、国が実施するいろいろな施策に協力すべきことを求めているのが、三条の事業者の責務の規定であるわけでございます。これはそういう最低基準の順守以上の快適基準の実現のための創意くふう、あるいはそういう国の施策に対する協力すべき義務、こういうものを書いておるのでございまして、先生がおっしゃっておる災害防止のための最低基準を守ること、これはもう努力義務でなくて、義務そのものでございます。その最低基準につきましては、この法律の各条に、詳しくいろいろ使用者にこれこれしなければならないということで規定がされ、それについて罰則の規定も、この法案に詳細に規定されておるわけでございまして、それらの個々の最低基準順守義務、使用者が明確なそういう罰則を伴った義務を負っているということは、これはもう当然のことであるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃこういうことですか。あなたの説明だと、最低基準のところは順守義務にして、これは絶対許さぬぞ、協力なんということじゃいかぬということをうたっていて、その上のあれは協力ぜいとか、なるべくやれというようなところをうたう、こういうことだと思います。それをこの事業者の責務というところへ一緒くたにうたうと、事業者のほうは、これは協力程度でいいのだということになるのですよ、この文章を見ると。それはどうです。  それが一つと、二つ目は、事業者とその次は労働者と、こう二つ並べているから、事業者だけ守って労働者が守らなければだめだ——当然だと思います。そうすると、事業者に対等のは労働者という意味ですか。その辺二つ目の……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 三条の規定のしかたから、使用者が自分たちに義務がなくて、ただ努力義務だけがあると誤解するのではないかという御指摘でございますが、先ほど申しましたように、三条にも「単に労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、」と書いてございまして、守ることは当然のことだという趣旨をうたっておるわけでございますが、さらにそれ以外の個々の最低基準を守る義務につきましては、各条、特に最低基準の根拠につきましては二十条以降に詳細な規定があるわけでございまして、それぞれの規定におきまして、これこれしなければならないということで、明確な義務であることは表現的にもはっきりいたしておりますし、なお、この法律の末尾のほうには、それぞれの使用者の義務に対して違反した場合の罰則が明確に規定してございますので、そういうような誤解はないと思うのでございますが、私どもさらにそういう点については、使用者の順守義務の明確化については、今後ともなお一そう努力をいたしたいと考えておるわけでございます。  なお、それに対しまして、労働者の義務が四条に書いてある点のお尋ねがございましたけれども、事業場におきます労働災害の防止のためには、事業主に責任があることは論をまたないわけでございます。ただ、事柄の性資上、単に事業者に災害防止義務を課するだけでなくて、一定の事項につきましては労働者にも順守を求めることが必要なこともございます。また、関係者が実施いたします災害の防止に関する措置に労働者が協力することも、災害防止のためには必要である場合も少なくございませんので、四条で、労働者にそういう災害防止のための必要な事項を守る義務を課しますと同時に、事業者その他の関係者が実施する処置に対する協力すべきことを規定をいたしておるわけでございます。これも労働者の生命と健康を確実に守っていこう、こういう見地からの規定であるわけであります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 前の労働安全衛生規則は、「使用者は、」と書いて、その次に「労働者は、」とこう並べてあったので、そこで、事業者に対抗する反対用語が労働者はという意味なのかということを聞いておるのです。それを確認したいのです。  それから、労働者の責務をこのようにうたうと、やはりこういう反発がありますよ。いまの災害というのは貧弱な設備とか、あるいは手不足な機構等から出てくるわけです。おたく方が発行したこのパンフレットを見ると、おのずから建設業務がピンはね業務で、ただ荒かせぎで、いわゆる災害の悪玉の標本みたいな建設業者に労働災害が多く発生して困ったものだということを、これはあなたのほうの統計によるとうたってある。だから、これだとあまりにもそういうものを労働者に無条件で応諾義務をしょわせるという感じです。だから、そういううたい方じゃなくて、労働省は安全衛生はこういう法案をつくった。これは会社ぐるみ守らなければならないのはあたりまえですよ。労働者だって守らなければならないのは当然でず。おれは守らない、あぶなくても、死んでもいいという労働者は一人もいない。問題は、災害を受けるのは貧弱な設備であり、手不足なあれであり、むちゃな働きをさせるから災害が起こるのじゃないですか。だと思いますが、どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まず前段の御質問、労働者と規定したのは使用者に対抗するものとしてかという御質問でありますが、これは対抗するとかそういうことではなしに、第三条におきましては、一項で事業主そのものの責務を書いておりますが、二項におきましては、事業主そのものではないが、機械、器具その他の設備を設計したり製造したり、そういう事業主に機械や設備を供給するような人たち、こういう人もやはり災害防止につとめるようにしていただかないと災害は減らない。それから三項では、特に建設工事などにおきましては、発注者が非常に関係をしてくる。発注条件が適正でないと、それが発注条件を守るためにいろいろ災害が起きる場合もございますので、発注者等についても、安全衛生を守った事業の遂行ができるような配慮をすることを求めておるのでございまして、事業主ないしそれに関連をする外部の人たちについて、災害防止についての努力義務を課しておるわけでございます。  それで四条には、さらに労働者について先ほど読みましたような規定を設けておるわけでございまして、これらの関係者が全部災害防止ということに最大の配慮をもって取り組むことが災害防止のためにぜひとも必要なことだ、こういう関係で、三条と四条に分けて書いたのでございまして、この点は別に労使が対抗とかそういう意味で書いておるわけではない。災害防止のために努力すべき関係者、こういうことで書いておるわけでございます。  それから、この四条のような書き方は、いろいろ使用者側からの労働条件等についての不適当なものがある場合にも、安易に労働者が協力しなければならぬように受け取れるという御指摘でございますが、もちろん、これは災害防止のために、労働者の方々も御自分たちの生命、健康に非常に関係があるわけでございますから、ほんとうに生命、健康に重大な関連のあるものについては協力して災害防止をはかられることは当然であるわけでございますが、労働条件その他に関しまして、労働者のほうが、使用者が行なっておりますことに適当でないと考えます場合には、これは当然労働者といたしまして、使用者とそういう労働条件については話し合いをし、あるいは組合を持っておられる方でございますれば、それは交渉されるといったようなことは、本来の労働者の権利でございます。四条の規定があることは、それらの労働者の権利にいささかも影響するものではないわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 もう少し意見があるのですけれども、次の五条に進みますが、新法の特徴にジョイントベンチャー、これが非常に伸展したと思います。全くこうだと思います。ただ私がいろいろと事故が起きて死んだという、特に出かせぎのあれを個別に扱っているのは、地下鉄工事でも、さっとそこを解散したあとの問題。そうしますと、ジョイントベンチャーのAとBとCがあって、Aに責任を持たしたというのは労働省が確認をして仕事をさせる。それが解散をしたといった場合のあとの問題は、解散したあとでもAをもって責任者と見ていいのかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ジョイントベンチャーが存続中に発生いたしました法令違反等の責任につきましては、この法律によって特定されました事業の代表者である者が、この法律の事業者といたしまして事故の一切の責任を負うわけでございますから、その代表者である事業者自体が消滅すれば格別でございますが、代表者となっている者が存続する限りは責任を負うことになるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 では確認しておきます。  それから、この辺で「安全衛生管理体制」に入るわけですが、それではいま労働災害がウナギ登りにのぼっているというのだけれども、労働災害の規模なり状況なり、あるいは産業別のあれなり形なり、内容を少し聞かせていただけませんか。それから質問に入りたいと思います。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 労働災害は、傾向的に申しますと、戦後非常にふえ続けてまいりまして、三十六年が最高のピークに達しております。その後は徐々にではございますけれども減少はいたしております。ただ、最近減少の傾向が鈍化をしております。私たちがたいへん憂慮しておりますことは、最近の災害は非常に大型化をしておるということでございます。それから生産に携わっておる労働者の方が労働災害のために年間六千人もおなくなりになっておる。六千人の死亡者を減らそうというのに対しまして、なかなか壁が厚くて達成ができない。昨年あたりはややそれができたのではないかと推定しております。そういう現状にございます。したがいまして、労働災害によって被害を受けられる方は労災補償の支給対象者だ。計算をいたしますと、年間約百七十万、四十五年で正確に申しますと百六十五万でございました。交通災害の九十九万の方に比べまして非常に多い、こういうことになります。  なお、産業別の労働災害について申し上げますと、先生御指摘のように死亡者の分布で申しますと、建設業が非常に多うございまして、全体の死亡六千人のうち二千四、五百、すなわち約四割が建設で占められております。死亡者以外の負傷者を含めまして産業別に申しますと、ずば抜けて鉱業、これが災害発生率としては高うございまして、以下港湾、林業、建設、運輸、こういうところが目立つ災害の多い事業所でございます。  それから規模別の状況で申し上げますと、労働災害の八割近くが百人未満の事業所で発生しております。発生率そのもので見ましても、千人以上と百人未満を比較いたしますと、百人未満の中小企業で大企業の六倍の発生率、そういうような現状にございます。  なお、われわれ問題としておりますのは、先ほど申しましたように重大災害がなかなか減らない、むしろふえる傾向にある、あるいは新しい職業病がどんどん出ておる。それから先生御指摘のような建設現場等で構内下請の災害がやはり集中的に発生しておる、こういうふうなことが、これからの労働災害の課題としては重要なものと考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大体傾向はそういうことだと思うのですよ。そうして何といったって建設業であり、もう零細というか小規模の建設業、これだと思うのですよ、いま世の中を騒がしている災害戦争というのは。それを労働省が押えようとしなければならないわけだ、この件数を減らすのには。その押え方は、私から言うと、いまの労働基準法だってできるのですよ。金がないのと監督官が少ないのと——やる気はあると思うから、ぼくは言うのだ。  こういうりっぱな新しい労働安全衛生法をつくってみたところで、竹中なら竹中の下請の——竹中は、きのうかおととい総理大臣表彰を受けたそうだが、だけれども、そういう大企業のその下請の下請の下請に出かせぎ労働者が六十万から七十万来て働いているわけだ。その人方の災害というものは、私から言わせると、この法律じゃ救えないのです。それではこういうような中小の建設業における災害がなぜ起きるのだろうか。じゃ一体どういう対策をしておるのだろうかということを聞かせてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 確かに先生おっしゃいますように建設業、特に中小規模におきまして災害が多いことは事実でございます。これに対しましては新法におきましても新しい規定といたしましては元請、下請混在事業所におきます統括安全衛生責任者制度を設けましたり、あるいは先ほども申しましたようなジョイントベンチャー方式でやられておるところにおきましては、その責任の所在を明確にするといったような規定も設けて、まず責任体制の明確化をはかっておるところでございますが、さらにこれら建設業、特に零細なものにおきます災害の絶滅を期するためには、監督指導を一そう強化いたしまして、災害の撲滅をはかっていく必要があると考えるわけでございまして、われわれ今後監督指導につきましては災害の多いような会社、あるいは組別に重点的な監督指導を行ない、あるいは場合によれば小規模事業場をパトロールし、監督指導するといったようなことで進めてまいりたいと思っております。  なお、さらにそれにつけ加えまして、それら中小零細企業等におきましても、安全衛生施設の改善等を進めるよう行政指導いたし、そのために今度新たに設けられます安全衛生融資等々も活用いたしまして、そういう面からの指導、援助、そういうものもあわせまして、総合的な安全対策を今後強力に進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうなんです。やっぱり監督をきびしくしないとだめなんですよ。通産省見えておると思うのだけれども、鉱山保安法をこれは参考にしたと思うのですよ。鉱山保安法というのは、これは歴史的な発展過程から労働省にはないのだ、これはどういうわけかわからぬけれども。だけれども、鉱山と保安というのは、これは切り離せないほどで、保安なくして鉱山経営はできないと思うのですよ。この間公害問題で騒いで、保安と公害と一緒くたにして環境庁に持ってくるといったが、とうとう持ってこなかった。鉱山に起因するものだったと思うのですよ。ということは、鉱山保安法というのは、形態を別にして非常に進んでおるものなのですよ。だから鉱山に一年に一回は監督官が入る。ところが、まず労働省の監督官——あとで人員に入りますけれども、人員で割ると十二年に一ぺん入るのだそうです。そのうち地下鉄工事はほとんど終わってしまう。  そこで、いま局長は監督だということなんですね。それで一つ思い出したんだが、工事の災害規模が非常に大型になったという部長の説明があったのだが、大阪の横綱である尻無川、東京の横綱の新四ッ木橋、これは二つとも建設工事であり、新工法等によるものなんです。その後のてんまつはどうであるかということと、あのときだって、まだてんまつと調査会の結論が出ないうちに認可しているじゃないですか。仕事をさせているじゃないですか。それじゃ、いま何ぼことばで監督を強めるといっても無理ですよ。まずそのてんまつを聞かしてください。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 まず新四ツ木橋の建設工事のてんまつでございますけれども、事故が発生しましたのは四十四年四月でございます。事故の概要は先生御承知のようにリングビーム工法によりまして橋梁下部工事を行ないましたところ、そのリングビームにつきまして崩壊をして八名が水没死亡した、こういう内容でございます。これにつきましては、労働省といたしまして科学調査団を設置をいたしまして、東大の奥村教授を団長にいろいろ御調査をいただきました結論をいただいております。  主要原因としては、リングビーム構造等が十分剛でなくて、土圧、水圧等の外力によりリングビームが面外に座屈したものである、こういうようなことで御結論をいただいておりました。自今リングビーム工法の使用につきましては、建設省等とも御協議をいたしまして、その使用につきましては十分留意をするように注意を行なわせておるところでございます。   〔田邉委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕  なお、本事件につきましては司法処分になっておりまして、昭和四十四年六月二十四日に現場所長外二名が送検をされておりまして、現在三名につきまして公判中と聞いております。  それから大阪の尻無川水門の建設工事につきましては、四十四年の十一月に発生をしました潜函工法によります水門下部工事におきまして、潜函を水面下三十三メートルまで沈める作業の中で、四本のシャフトのうち一本が、ロックとシャフトの継ぎ目部で折れた、こういうような内容でございますが、これにつきましても、労働省で大阪工業大学の岡部教授を団長にいたしまして、科学調査団でいろいろ御調査をいただきました。まだ結論を得ておりませんけれども、近々出ると聞いておりますが、その内容は、おもな原因は、シャフトの接合ボルトの強度不足ではないかという結論が出るように、ちょっと伺っておりますが、まだ確定的ではありません。  これにつきましても、四十五年三月十九日に現場責任者、それから法人である若林工務店、これが送検されております。現在これにつきましても公判中、こういうふうに伺っております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 鉱山保安法によると、一応その問題が片づくまでは操業停止なんですよ。この場合は単に新工法のリングビーム工法をまださせていないということを確認していいですか。それは確認していいですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 それ以降使用いたしておりません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 運輸省か建設省、見えていなければあれなんですけれども、いま青函トンネルを掘っております。あれはリングビーム工法の大型化じゃないですか、どうですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 青函トンネルはシールド工法によって行なっておりまして、リングビーム工法には関係ありません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうしますと、尻無川の場合は、まだ調査が終わっていないし、全然結論が出ていないということであるのでしょう。そうすると労働省はあの災害、あやまちを起こした者に対する監督というか行政処分というか、いわば業者の痛いところは、どこが痛いのですか。何を停止したのですか、何を命令したのですか、そういうことなんですよ。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 本件につきましては、司法処分として送検をした、こういう内容でございまして、調査団の報告にもございますように、シャフトの接合ボルトに問題がある。したがいまして、自今そのボルトにつきまして、十分改善したボルトを使わしておる、こういうことでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃ個別から一般的に言うんだが、建設業に非常に労働災害が高率を見せているんだが、原因は何かということをつかんでおりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 建設業に災害発生率が高い理由といたしましては、いろいろあると思いますが、考えられる幾つかをあげてみますと、建設工事の指揮が重層下請関係において行なわれておりまして、総合的な安全管理が十分でないということ、あるいは労働力不足の影響を受けまして、未熟練労働者に依存している度合いが高くなってきておるというようなこと、あるいは先生が新四ッ木橋、尻無川等の例をあげになりましたが、そういうような新工法、新術技の導入に際しまして、安全衛生面からの検討が必ずしも万全にいままで行なわれていないということ、あるいは工期、工法など発注条件が適正でない建設工事などが見られるといったようないろいろな原因が互いに競合、ふくそういたしまして、これが高い災害率を起こしている原因をなしておるものだ、さように考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それから建設業の年齢というか、階層というか、どういう雇用条件というか、身分というか、単なる日雇い、出かせぎ、そういうものに多いのか、その辺の趨勢はわかりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まず年齢の点でございますが、年齢別に分けますると、建設業で被災しております率が一番多いのは、やはり六十歳以上の方々でございます。その次が二十歳未満、これに次いで二十歳から五十歳までは年齢が高くなるに従って災害率が高くなっておるわけでございます。  なお、身分関係等につきましては、御指摘のように臨時、日雇い、あるいは臨時の中には季節労務者といったような人も少なくないことは御指摘のとおりだと考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そういうところに非常に労働災害が高率的に出ているんだよ。そういうものに、皆さんが考えているこの新法案で対策になりますか。いままではできなかったが、今度はこの法案ができたから、よしということにどういうところがなるかね。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 今回の法律で一つの特色といたしましては、人の面につきまして、たとえば出かせぎで都会に出ている方が、ふなれな作業につかれる、安全工法につきまして、あるいは作業手順につきまして、知識が十分でないために災害を起こすという事例が多うございますので、そういう場合の教育というものを徹ますることにいたしております。かつ従来は採用時のみ教育すれば足りる、こういうことでございましたけれども、今回の場合は採用時のみならず、職場転換の場合、あるいは危険、有害な業務につけた場合、こういうような場合にすべて教育を十分にする、こういうことにいたしております。  さらにそういう日雇い労働者の方を指揮するという職長、フォアマンクラスの方が安全につきまして、これも十分な安全上の配慮がなければならないわけでございますが、今回は、従来の一般労務者に加えまして、職長クラスに新たについた方に対して、これも法律ではっきりと教育をする。その内容につきましても、これから指針として示す、こういうことにいたしております。  さらに、建設業では重建設機械等で最近いろいろ災害が多いわけでございますけれども、そういう重建設機械につきましての就業免許の問題、あるいはその構造規格の問題というのは、この新法を契機としてこれから検討してまいる考えでございます。  さらに、先生御指摘のように、建設業につきましては中高年齢者が非常に多くなっておりますし、その方々がこうむる災害の発生率というものも高うございますので、この法律の六十二条で、中高年労働者、そういう方につきましては、その適性というものを十分配慮して、労働災害が起こらないように適正な配置をするということを使用者に望んでおるわけでございます。  以上の点が、今回の中高年労働者の増加、そういうものに関連しての処置と考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 中高年齢者の配置だって、「適正な配置を行なうように努めなければならない。」という、それは努力うたいだというのだ。それは部長はきれいごとを言うけれども、たとえば建設業の地下鉄の工事なんて——労働大臣、釜ケ崎か、あるいはそこの山谷ですか、あそこに行ったことがありますか。あそこなんか、労働者を、はい、これは千五百円、トラックに乗れ、こうですよ。毎日そういうことで労働者を買ってくるわけだ。しかも同じ工程で、同じものを毎日つくるのじゃないのだ。一品生産じゃないから、きょうはここだ、全部目隠し労働をさせられているわけですね。そこに災害があるわけだ。だから、労働省はこれにメスを入れていかなければならないと思うのです、その背景には入れ墨のおっさん方がいるわけだから。そういうところへメスを入れていくというのには、こういう努力うたいなんかしたって、何ぼ法律をつくったってできないと思いますよ。やはり監督者を多くして強めて、ぐっと入っていかなければだめだと思いますよ、労働問題というのは。  そこで、その努力するという体制に、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者等々がある。これは、ひとつがちっと労働省が把握しなければだめですよ。だから、これは届け出制というか、できれば認可制、どういう顔ぶれで安全衛生委員会をやっているんだ——私は、きょうはこういう仕事をやりますということを労働者が知らなければ事故になる。これが鉱山の保安教育なんですよ。ところが、そういうものは建設現場にはないのだ。とにかく、きょうはあそこだ、きょうはここだ、目隠し労働、そこに災害があるのだ。だから私は、安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者のあれは最低届け出制にすべきだ、こう思うのです。どうでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 総括安全衛生管理者あるいは安全、衛生管理者の選任、交代等につきましては、基準監督署のほうに報告していただくことにいたしたい、かように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 報告じゃ弱いんだよ。届け出して、そして届け出したら、その報告によって行ってみて、どういう顔ぶれで委員会をやっているかということを確認するという考え方がなければ、事故がやまないというのですよ。どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 届け出と報告の問題でございますが、報告にいたしましても、もちろん報告されましたものにつきましては、それがいいかげんなものであってはなりませんので、確認につきましては監督の際に十分いたしたい、かように考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それでは、安全管理者、衛生管理者とせっかくうたっているのなら、これは仕事の権限ぐらいは書いておくのが普通じゃないですかね。設置だけぜいということでは、どうにもならないと思いますよ。権限の区分の明確化ということはどうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全管理者、衛生管理者につきましては、それぞれ新法の十一条、十二条でその職務が定められておるわけでございまして、したがいまして、使用者は安全管理者を選任いたしまして、そういう法律で定められた事項を管理させなければならない義務があるわけでございますから、使用者といたしましては、その安全管理者が法律上の職務を遂行できるだけの権限を当然安全管理者、衛生管理者に与えておかなければならない。与えておかなかったとすれば、使用者は十一条にいうところの選任をし、管理させた義務を果たしていないことになっておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは局長の拡大解釈だ。使用者なんかそんな技術的事項を、管理させているよ、君、こう言われれば終わりだよ。だから、やはり権限の区分というものをうたっておかないと法律にならないと私は思いますよ。この問題は検討してください。そこで、今度は衛生管理者の問題からお医者さんに入ろうと思います。産業医というのは、どっちかと言ったら、これは言いたくはないけれども、使うほうの土建屋のほうはこちら側の言いなりになる医者を選定したがりますよ。それはそうですよ、労働者がけがをした、死んだ、このけがはたいへんだとか、あるいは労働によっての死亡だとかということを認定させるわけだから。その場合の産業医は、このきめ方がまた、せっかく衛生管理者があるのだから、安全衛生委員会で産業医をきめてもらうようにうたっておいたほうがいいのじゃなかろうか、使用者が一方的にきめるというのはどういうわけだろう、こういうことなんですよ、私がどうもぼやけているというのは。どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 十三条で事業主は医師である産業医を選任すべきことが義務づけられておるわけでございますが、これは事業主が、この法律で事業主に課せられております健康管理を行なうべき医師である者のうちから労働衛生に関し適当と認める者を産業医として選び、任命いたしまして、自分が法律に基づいて課せられておる健康管理上の業務について必要な援助をしてもらうのが、この産業医を選任すべき義務を課しております理由でございます。  したがいまして、選任をいたしましたならば、衛生委員会等があればそれに報告されることは当然と存じますが、選任につきましては、ただ使用者が、自分が法律で課せられておる義務を行なうについての医者としての助言、協力をしてもらう人でございますので、事業主に選任をさせることにいたしておるわけでございまして、特に衛生委員会等での選任といったような規定にしていないわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私は、医者というのは、社労委員会でもたくさんお医者さんの御出身がおられるようですけれども、悪たれ医者からにせ医者から——ここにはおられないですよ——あるわけです。だから……(「悪たれ医者かもしれないよ」と呼ぶ者あり)ほんとうに良心的な、学識経験深いりっぱなお医者さんが代議士になっておりますけれども、ところが事業者は、できればそういう傾向になるのです。  だから、事業者がきめるのじゃなくて、せっかく安全衛生委員会というものをつくるのだから、産業医の選定ぐらいはここでやるべきですよ。報告はするのだからいいのだと局長は言うけれども、報告なんかされたって安全衛生委員会はしろうとだからわかりゃせぬのですよ。ところが、やはり医者のよしあしは大衆がきめるのだ、あの医者はいいか悪いかというのは、長い間の技術がものをいうのだから。だから私は、この権限にうたうという用意があるかどうかというのです。これは一ぺん書いてしまった条項だから絶対直さないということであれば、おれも考えがある。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 運営につきましては、先生の御意見も十分考えて運営されるように今後指導してまいりたいと考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 議長だってそうですよ。委員会があって、議長というのは当然ながら互選が常識ですよ。少なくとも互選じゃないかな、委員会の議長というのは。どうでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全委員会あるいは安全衛生委員会、こういうものを設けました趣旨は、事業場におきます安全衛生問題につきましては、労働者が十分にそれについて理解を持たれ、そしてその意見が事業者の安全衛生対策に反映される。そして労使が協力して安全が確実に行なわれるようにというのが、この安全衛生委員会制度が設けられました趣旨でございます。そういう意味において、安全衛生委員会というのは、そういう労使の安全衛生意識、安全衛生の観念の高揚、それをそういう協力関係の形成の場として運営されることが期待されるものでございまして、特別にこれは権限を持ってある決定をするとか、あるいは交渉の場というようなものではないと考えておるわけでございます。  そこで、この議長につきましては、企業におきまして安全衛生についての最高責任を持っております総括安全衛生管理者が議長になることが適当なのではないか、かように考えた次第でございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 安全管理体制なんですが、どうもずっと聞いてみますと、一番災害が多い日雇い、下請労働者というものの意見が、一体この委員会に反映するようにできるのだろうか、建設業なんか特に。どうですか、これは。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生委員会の委員の半分の方は、労働者の中から推薦された方がそのメンバーになられるわけでございますから、そういう意味におきまして、労働者の意見は十分反映することができると考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大臣、さっきからのあれは、どうしてこういうような労働安全衛生法を、基準法から抜き出して、どういう経過でどうしてつくったんだ。大体その経過なり、あれはわかったんです。ところが労働災害が一番多いのはどこかといったら、建設業であり、しかも大企業じゃなくて小規模零細、下請の下請の下請のところにあってこうだ。そこにメスを入れるのには、文章に書いたものではだめなんだと、この質疑応答の中で思うのですよ。それはやはり長時間労働、休日労働の、とにかくいまの労働基準法もへったくれもないのです、その辺の地下鉄工事なんかやっている出かせぎ労務者のあれなんか。  そこで、私は昨年でしたか、一ぺん建設現場を、この国会の下でもやっているから、原労働大臣、ひとつ社労委員会で抜き打ち調査に、夜どこかへ行こうじゃないかということがあった。そしてそれはわかったということだった。ところが、変なことを言ってすぐやめちゃった。首になったんだかやめたんだか……。  そこで大臣、この法案ができれば、災害が一番多くて、こういうものをどうしてもやらなければならない——労働大臣、よしやるというような姿勢はわかるとしても、実際問題、さっき言ったように、どや街から出てくるような労働者を、うしろには入れ墨のおっさん方が控えているというものを、労働省がメスを入れて、この法案ができればできるんだというようにお思いですか。やはり別の方法、いまの労働基準法だって監督官をふやして、やはり本腰を入れて国をあげてやるという姿勢がなければ私はだめなんじゃないかと思う一人なんです。大臣は、それに対してどうお考えですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 この法律の基本に触れるような御質問でございますが、私自身、先ほどの、山谷で人を適当に配置している状況というものは、よくあそこを通りますので、立ちどまって、二、三回ぐらいですか、現場を見たことがあります。それからまた、地下鉄工事ですか、それも、私のうちの近所でやっているものですから、中までは入りませんが、拝見したことがあります。そこで働いている方々がおそらく季節労務者ではなかろうかという気持ちから——季節労務者そのものについての議論になりますと、いまの農村問題あるいは農村工業化、工業を地場に持っていく、工場の分散配置というような問題に触れてまいりますが、いずれにいたしましても、労災というものが今日非常に大きな問題になっている、人命尊重の立場からもこれはたいへんな問題であります。  先ほど百六十五万のうち死者が六千名、これはしかも一家の支柱をなすものですから、そういう面から何とかして守らなければいかぬということで、この法律案というものはつくられたものでありますが、はたしてこれで全部がカバーできるか。いま下請の下請の下請の下請というようなお話もございましたが、そういうものも、たとえば賃金不払いその他の問題は、建設業法ができてから、やや前向きになっているとは考えます。  しかし、あれとて完全なものではない。また、働きに出られる方が、たとえば茨城なら茨城、秋田なら秋田で、その出るところにおいて、あらゆる、登録その他職業訓練等も完全に終えて出てくれば、いろいろな面で今日までのような批判は受けないで済むような事態もあると私は思うのですが、いずれにしても、これで完全にカバーできるかといえば、私はそれは全部が全部カバーできるとは言えません。  いま川俣委員いろいろな例をあげて御指摘されました。私もよく聞いておりましたけれども、しかしこの法律によって、いま大きな問題となっている労災というもの、安全衛生というもの、これが防止できるというほうに持っていくことが、やはりいま一番大事なときではないかというようなことから、この法案を提出した次第でありますので、御批判はあるでしょう、また運営面においてやらなければならない面もあると思いまするが、私は、この法案が出されたことは、決してベストとは申しませんが、ベターなものである、あるいはそれ以上のウエートを持ったものである、このように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それではまた基準局に伺いますけれども、新法で特徴的なのは、事業者が講ずべき措置というのが二十条から二十七条あたりまでずっと書いてありますね。いま、山林労働者、港湾労働者、いわゆるフォークリフトを使う人とか、腰痛症が非常に多いですね。これは労働省、つかんでいると思います。これなんか、たとえば腰痛症一つあげると、有害原因を突き詰めて、発生防止、たとえばのこぎりの機械を使う白ろう病、振動病、これを一番防止できるのは、使わないのが一番防止できる。しかしそれは、この機械の世の中において、やぼな言い方だ。そこで、ただ発生防止の義務うたいが、たとえば鉱山保安法の場合は、粉じんで悩まされる、けい肺、よろけで悩まされるが、かけたがらないマスクをかけろとか水で押えるとか、いろいろこまかくある。ところが、これが、ちょっとないようだけれども、どうなんですか。腰痛症対策、いわゆる発生防止の義務をうたっているのが、ないようです。どうなんです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 腰痛症につきましては、現在、重量物取り扱い作業におきます腰痛の予防につきまして通達を、これは四十五年の七月でございますが、出しておりまして、それによりまして、省力化あるいは作業姿勢、取り扱い時間等の作業管理及び健康診断あるいは予防体操の実施などの健康管理の実施を指導いたしておるところでございます。  腰痛症にはいろいろな原因が考えられるのでありますが、作業行動から生ずるものが少なくございませんし、また、先生いまおっしゃいましたように、フォークリフトのような機械の構造規格の面から検討をすべき問題もあると思いますので、そういう点につきましては、今後ともさらに十分な検討をいたしまして、それにより適切な有効な措置の実施をはかるために、必要なものにつきましては、技術上の指針なども検討し、公表することも、ただいま検討しておるところでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 当然そうあるべきだと思います。  そこで、この法案は細則が出されてないで、本案だけ先に見ろという提案だから、これはちょっと妙に思ったのだけれども、たとえば二十八条に技術上の指針をうたっておりますね。ところが、この複雑な社会ですから、いろんな産業があるわけです。これは二千五百人の監督官が全員オールマイティーであったって、建設業者だけでも三十万業者あるというのだから、そのほかの産業全部を入れて、それをわずか二千五百人が全国に散らばっている監督官で見るというのだから、十何年に一ぺんということになると思うのだが、せめて作業環境の標準の公表とか技術上の指針とかは、そこの産業の労働組合とか、そういう通というものを参加させて検討していくという必要があると思います。そういうのを細則で考えられるのかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 技術上の指針は業種または作業ごとに作成することを予定いたしておりますが、特にこの場合には、問題が多いようなものから取り上げていきたいと考えております。なお、その作成にあたりましては、専門家の意見を聞きますとともに、事前に関係労働組合あるいは関係事業主団体等の意見も十分お聞きしたいと考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 同じように、細則などもう少し——第五章に、機械、有害物に関する規制が書かれていますね。こういうものなんか、さっき言ったように、どんどん変わった工法、新しい機械が労働現場に入ってくるわけです。それをやはり労働者に周知徹底させないと災害の大きな原因になる。今度はこういう機械が入るのだからこれの訓練をする、あるいはこういう薬を使うのだから、こういう周知義務はないのだけれども、これは細則に考えられるのかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 確かに災害防止のためには、先生おっしゃいましたように、危険な機械であるとか、あるいは危険な物質の取り扱い等につきましては、労働者に十分にそれを周知徹底させることが必要であることは申すまでもないことでございます。新法におきましては、危険な機械を使用する等、危険または有害な業務に従事する作業に労働者をつかせる場合には、特別の教育を行なうことといたしておりますし、またクレーンの運転等特定の業務につきましては、そういう災害の防止を期するために、一定の免許を持った者をそういう仕事につかせるようにいたしております。  なおまた、ボイラーとかクレーンとかその他そういう特定の機械につきましては、安全性を確保いたしますために、製造の段階から十分な規制を行なってまいりたい、かように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 さっきのように、リングビーム工法がだめだということは、災害が起こってから停止したわけです。薬でも有害物でも、使ってしまってだめだということで、あとで追っかけてやめろ、こういうことなんです。これは通産省でも、あるいは農薬なんか農林省なんだけれども、これは通産省が大かたやっておる、そういった関係団体、関係官庁と、これからよほど労働省がそういう常任機関をつくらないと、事故が先に行って措置があとだという繰り返しになると思います。統計を見てみるとすべてそうですよ。それに対してどう考えていますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そういう危険な機械の規制等につきましては、役所としても日ごろ十分勉強いたしまして、あるいは関係各省とも十分に連絡をとって、事前に規制の処置を講じ得るように努力いたすつもりでございますし、そのためには、基準審議会の安全衛生部会等々でも、そういう問題のあるものにつきましては常時御検討を願って、万全を期したいと思っておりますが、そのようにいたしましても、最近のように非常に急速な技術革新の進展からいたしますと、どんどん新しい工法あるいは製造法等々が出てくることが考えられるわけでございます。  そこで、今度の労働安全衛生法の八十八条におきましては、そういう場合に、新しい機械設備あるいは新しく建設業等で工事をやるようなときには、それにつきまして届け出をしていただく規定を設けておりまして、そして届け出があったうち、高度の技術的検討を要すると認められるものにつきましては、労働大臣が学識経験者の意見を聞いて、届け出があったものについてそういう審査をする。そうして審査の結果必要があると認めるものについては、労働大臣が事業主に対して必要な勧告または要請をする制度を設けておるわけでございまして、そういうことによりまして、先ほどからお話がございます尻無凡その他新四ツ木橋の事件のような新しい工法に基づくいろんな災害というものをできるだけ事前にチェックし、防止するようつとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 災害といっても、かなりいろいろと取り扱う官庁が、労働災害というものは違うのですね。たとえば鉱山の場合は通産省、それから消防の場合は消防庁ですか、それから公務員、自治体等々ある。わからないから私聞きますが、たとえば浅間山荘の場合に例のこわしモンケンで、あれは警察庁ですか、それとも土建屋を頼んだのですか。あれはだれもやりたがらないと思うのだけれども、それをやれという指示は、だれがだれに流したのか、どなたかわかりませんか。消防庁どうですか。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 お答えいたします。  浅間山荘の事件はもっぱら警察の専管事項でございまして、消防庁といたしましては全然承知しておりません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それでは、せっかくおいでくださったから、もう少し勉強さしてもらいたいのですけれども、あのときに頼みもしないのに入っていったスナックバーの田中さんという人がいましたね。警察官かわいそうだ、これはうんと災害補償を取ってやなければだめだろうというように、ぼくら正義感で燃えておったら、ぐっと五千万円も集まったですね。ところが、同じ死んだ田中経営者は、あれはどういう救済法ですか。消防庁か何か……。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 先ほど申しましたとおり、警察の専管事項でございますので、私といたしましては詳しい事情は承知しておりませんけれども、消防に民間の協力者の関係の規定があるのと同じように、警察に関しましても、やはり警察官に対する協力者の関係の規定がございます。警察におきましては、警察官の職務に協力援加した者の災害給付に関する法律というのがございまして、その関係で警察官の協力者に対して補償をするというふうな法令が現在ございます。  ただ、しかし、浅間山荘の事件に関しましては、御指摘の人間がはたして警察の協力者であるかどうか、これは私どもとしましては、ちょっと判断できません。警察のほうで御検討いただくものと思っております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃ、消防のいわゆるとび職ですね、正月出ぞめ式でやりますね。あれは準公務員、地方公務員ですか。消防庁の管轄ですか、ああいう場合、特にけがした場合は。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 消防団員は、これは非常勤の公務員でございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると、それはずっと村、部落の例のはっぴの消防団、あれは全部おたくの管轄の災害補償というのがあるわけですか。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 非常勤の消防団員に対しましては、消防団員の災害補償に関する基準、政令がございまして、その政令に基づきまして各市町村の条例によって、その災害を補償いたしております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうしますと、それは労働安全衛生法をわれわれ審議する場合に、恐縮ですけれども、消防庁でもいろいろといわゆる安全衛生教育、これは非常にやっておると思います。その場合おたくのほうから、見識の深いところから見て、この法案をどう思いますか。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 所管が違いますので、私どもといたしましてはちょっと判断できません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると、全然見てなかったということですか。

青山満夫消防庁消防課長

○青山説明員 さようでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そこで局長、また(安全衛生教育)第五十九条、六十条に書いてありますが、これなとは非常に大事な事項なんで三、四点——もちろんとにかくこれは鉱山保安法なんかでも当然やるのです。ところが、これが就業時間にやらす。この労働安全衛生法もそう思っていいですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この法律によりまして事業主が行なうこととされております安全衛生教育は、その事業場におきます災害を防止するため、事業者の責任において実施すべき事業者の本来の仕事であるとわれわれ考えております。したがいまして、この安全衛生教育は事業者の業務といたしまして労働時間中に行なわれることが本来である。もし時間外に行なわれる場合でも、それは賃金が支払われなければならないと考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それではそういう考え方でもう一つ聞きたいのですが、六十六条の(健康診断)ですね。これはやはりどちらかといったら、おれはだいじょうぶだというのが人間の人情です。だけれども、とにかく健康診断をやれ、法律にあるばかりではなく、やらせたほうが得なんです、使用者のほうは。その場合にやっぱり場所というか医者の選定というのは、労働者が選定できるのかというのが一つ。  それから、もちろんこれは就業時間内で健康診断をやるのが普通だが、これを確認していいかどうかという問題です。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕  それからさらに、したがって医者の健康診断の費用はもちろん使用者の負担というようなところ、いわば総体的に使用者の責任でやる、やらなければならないという法律と解釈していいかどうかです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まず医者の選択の問題でございますが、六十六条の五項にございますように、これは事業主が健康診断を実施すべき義務があるわけでございますから、事業主が選んだ医者による健康診断を労働者がお受けになる、これが原則でございます。ただし、その五項にただし書きがございますように「事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合」、すなわち事業主が指定した医者がいやだという場合には、労働者は「他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面」を事業主に出して、それにかえることができることに相なっておるわけでございます。  それから、健康診断を受けます時間の問題でございますが、健康診断を実施すべき時間につきましては、法律は特に規定をいたしておりません。しかしながら、法で規定をいたしております健康診断のうち、一般の健康診断につきましては、これは結核や成人病とかいうような項目によりますものでございまして、一般的な健康管理を目的として事業主に義務づけておるものでございますから、その賃金支払いにつきましては、これは労使で話し合うべきものであって、特に義務として使用者が払わなくてはならぬということはないと思います。  ただ職場で過します時間が労働者の全生活のうち相当部分を占めております。また一般的な健康管理といえども事業の運営にとって非常に大きな関係があることでございますから、一般の健康診断も時間内に行なわれることが望ましいし、時間外に行なった場合にも、その賃金は支払うことが望ましいと考えますが、そうしなければならぬという義務が法律上出てくるかどうかという点については、必ずしもそこまではいえないのではないかと思います。  しかしながら健康診断の中でも、特定の有害な業務に従事している労働者につきまして、六十六条の二項で特殊健康診断の規定がございます。これにつきましては、そういう有害な業務を使用者がさせておるということに対応いたします業務に不可欠なものでございますから、これは当然に使用者側が業務運営の一環といたしまして、時間内に行なうのが当然であり、時間外に行なった場合は賃金を支払うべきもの、かように考えるので承ります。  なお、健康診断の費用につきましては、これは法律に基づきまして事業主に実施の義務が課せられておるわけでございますから、事業主が受け持つべきものでございますが、たださっきも申したように、事業主が健康診断をやろうとしておるのに、労働者のほうで、その医者はきらいだ、いやだということで、自分のほうから健康診断を受けないで、自分が選んだ他の医者あるいは歯科医師の診断を受けて、その証明を持って帰ったというような場合には、それは労働者が、使用者が行なう健康診断を自分のほうの選択で行なわなかったのでありますから、その費用は必ずしも使用者が受け持たなければならないということにはならないのではないかと考えます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それで病気になった場合の就業禁止が六十八条にうたわれてあるのだが、この「その他の疾病で、」という中には、いま非常に多い一酸化炭素中毒、それからじん肺患者、こういったものが当然細則に盛られると理解したいのですが、よろしいですね。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 六十八条で就業禁止をいたしますのは「伝染性の疾病その他の疾病」でございますが、省令で定めますのは、就業することによって病気がさらに悪くなる、そういうような内容のものでございまして、いま先生御指摘のように、じん肺あるいはCO中毒で、就業することによって非常に悪くなるというものは当然就業制限、就業禁止の対象になろうかと思いますが、じん肺法あるいはCO法の中にもございますように、中毒にかかっておる、あるいはじん肺にかかっておるけれども、ほかの職場に転換すれば、それでからだに対しては影響がないという場合がございます。そういう場合には作業転換の義務を使用者に課しておる。そういう軽い場合には就業禁止の対象にすべきではない。むしろほかの職場で働いていただくほうが回復等にも役立つのではないかというような場合もあり得ようと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それからちょっと角度が変わるのだが、建設業者の話がさきに出ましたけれども、いま非常に、これは労働省は手が届いてないだろうというような失礼なことは言わないけれども、私は認識を新たにしたのだが、こういう話を聞いた。  いま沖繩で米軍基地撤去をやっております。ところが、いまは琉球政府の法令の労働安全衛生法でやっております。ところが、こちらのほうから大量に潜水夫が働きに行きました。そこで、私は逃げてまいりましたという訴えを聞きました。潜水夫の労働時間、労働条件というのは、めちゃくちゃだそうですね。これはまあ一つの会社——私はわかりませんが、どういう状態になっておるか、労働省、はたしてこのサルベージか何かの会社の労務管理を把握しておるかどうか。把握しておるとすれば、潜水夫の労働条件を聞かしてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 潜水夫につきましては、先生御承知のように、長時間深いところにもぐっておりますと、潜水病等々にかかるおそれが非常にあるわけでございます。そこで潜水作業につきましては、昭和三十六年以来、高気圧障害防止規則というのを制定いたしまして、潜水士の免許を受けた者でなければ内地では従事できないことになっております。また、そういう免許証の交付のときには、安全衛生教育などもかなり徹底して行なうことにいたしておるわけでございます。  新法におきましても六十九条で、「事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、労働省令で定めるものに従事させる労働者については、労働省令で定める作業時間についての基準に反して、当該業務に従事させてはならない。」ということで、作業時間についても規制をすることにいたしておるわけでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 私はそういう法案とか条文を言っているのじゃないのですよ。要するに監督官の中にサルベージ、潜水夫の現場を実際見た監督官がおられるかどうか。われわれが理解できないほどの悪条件で——金取りもいいそうですが、悪条件で働かされておるということだそうだが、そうかということです。  それからもう一つは、免許の話が出たのだが、七十四条に免許の取り消しがあります。この免許の取り消しは事故が起きてからではなくて、車の運転者は三年に一ぺんということがあるわけですし、これは特にこわしたモンケン、その辺の解体工事、あれは免許を受けておるのかどうかわかりませんけれども、この間それが飛んできて、とばっちりを受けて、出かせぎ労働者が死んだということがあるのだが、こういうことを考えてみますと、あの事故によると、そのこわしモンケンを操作している人が、言いたくないのだけれども、ちょっと条件というか頭のあれが悪かったそうです。そういうこともあるので、やはり一ぺんその免許をやったら、取り消しというのは事故が起きてからではなくて、免許をやった者について審査を何年かに一ぺんやる必要があると私は思うのです。それを細則にうたう必要があると思うが、確認しておきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 まず潜水についての監督の状況でございますが、先生おっしゃいましたように、確かにサルベージ等々につきましては、なかなか監督が困難な面があるわけでございます。しかしながら、これらのものについても、潜水作業が大規模に行なわれているようなものにつきましては、極力監督を行なうことといたしておりまして、昭和四十五年度におきましても二十一件、この高気圧障害防止規則の違反を摘発をいたし、そのほかに、さらに四件につきましては使用停止処分等も行なっておるところでございまして、今後とも潜水病等につきましての監督も極力実施をいたしたいと考えております。  それから、これらの者の免許の取り消しの点でございますが、確かに御指摘のように事故が起きてから、あとからの追っかけの取り消しだけでは、決して災害の事前防止にはならないと考えておりますし、新法におきましても、七十二条の二項の一号、二号、三号等がございまして、特に一号では、先生おっしゃいましたように、「身体又は精神の欠陥により免許に係る業務につくことが不適当であると認められる者」というのがございまして、こういう者につきましては七十四条の一項で、事故を起こす前であっても、免許を取り消すことができることに相なっておるわけでございます。  これら取り消しの手続等につきましては、省令等を制定いたします場合には、先生御指摘のような御趣旨を十分に勘案いたしまして、省令等にも規定したい、かように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 とにかくこの機会に強く要請しておくのは、どうやら監督官でもぐった人はいないかもしれぬけれども、実際あそこに行ってみた人もいないように思えるので、もう少し労働省の監督官、サルベージ会社に対して、ささることを要請します。  それから、この新法の特徴として、八十一条から始まるいわゆる労働安全衛生コンサルタント、これは非常に耳新しいあれなんですが、その前に指定教習機関を民間でやるべきか、官庁でやるべきかという論争もあると思うのだが、これはやはり自動車教習所だって民間がやっているのだから、しっかり管理すれば民間にやらせても私はいいと思います。ただ安全衛生コンサルタントは、これはどうも労働省に監督官が不足だから、こういう苦肉の策に出たのか、あるいは労働省の皆さんが、将来お役所勇退後にコンサルタントになろうというねらいなのか、私なんかも代議士を落っこったらコンサルタントになれるのかどうかわかりませんが、これはやはり労働省がかっちりつかんでおかなければならない仕事であるだけに、むしろ監督官をふやしていくべきだという方向だと思います。これはちょっと経営コンサルタントとはよほど違いますよ。安全衛生コンサルタントといえば、責任もあるし、診断の権限も持たせなければならぬし、とにかく業務命令もさせなければならないところに通ずるものであるだけに、その点どういう考え方で、このコンサルタントというのを考えたのですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 安全衛生コンサルタントにつきましては、今度の法律が、先生先ほど御指摘のように、最低基準の監督を厳正にやるということが災害防止の根幹でございますので、新法施行後もその点を最重点に行ないますけれども、あわせて、災害防止にたいへん大事なことは、事業者がみずから自主的に災害をなくそうという、そういう意欲をかき立てるということがたいへん大事なことであると思います。そういう意味合いから、七十八条にございますように、必要なところにつきましては、労働大臣が指定をいたしまして安全衛生改善計画を事業主につくらせる、ただその事業主につくらせるときに、先ほどから問題になっておりますように、中小企業では資力はもとよりでありますけれども、技術的能力についても不足するところが多いわけでございますから、そういう方々に監督官あるいはあとに出てまいります専門官、いわゆるわれわれ基準監督の職員がそれにあずかるということが理想的でございますが、先生御指摘のように、そういう人員の確保がなかなか十分でないということの反面、民間の安全衛生に関しての経験者あるいはそういう専門家たちがあまたおられるわけでございまして、こういう方の御指導あるいは力を活用するということが、この際は非常に有効であり、かつ受ける側としても、そのほうを歓迎される面があるのではないかということで、監督官の増員ということをなおざりにするわけではございませんで、今後その方向に十分に努力を傾注いたしますが、あわせて一般民間の方々の能力、そういうものの活用をはかるという面から、このコンサルタント制度をつくったのでございまして、これも厳正な国家試験によって適正な人が得られるようにということを考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それでは多くは申しませんが、監督官がふんだんに多くいるとすれば、こういうものは要らないと判断していいですか。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 監督官はオールマイティーといいますか、すべてにつきまして能力を持っておるのがたてまえでございまして、安全衛生に関しまして助言あるいは指導を求められた場合に、それに応ずることが理想ではございますが、先生御承知のように、最近の生産技術の伸展あるいはいろいろの有害物の出現というような最近の激しい変化の中では、監督官がなかなか対応できないというような事態もございます。  したがいまして、これからの安全衛生を事業主が積極的にやろうという場合に、監督官も指導をいたしますけれども、それだけでは不十分で、先ほども申し上げましたように、民間でそういう能力を十分持っておられる方の能力を活用するということが並行的に行なわれる、そういうことがたいへん大事だと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 部長、こう思うのですよ。監督官にオールマイティーを望むのは無理だ、そのとおりなんです。いまの監督官に全部を望んでいるから無理なんです。二千人を一万人くらいにして、やはり専門のセクションをきめるべきです。そうあるべきだ。いまのこのいろいろな産業があるのを監督官に全部やらせるということに無理がある。そうじゃなくて、大蔵省も話がわかって、労働省もぐっと強くなって、一万人も監督官が出るという世の中になれば、コンサルタントは要らないだろうというのです。どうです。

北川俊夫労働省労働基準局安全衛生部長

○北川(俊)政府委員 先生の、専門別監督官といいますか、あるいは専門担当者を設置するということにつきましては、私たちもかねがね検討しておりまして、今後の監督官のあり方の方向としては、非常に御貴重な意見ということで拝聴いたしました。そういう方向に努力をいたしたいと思います。  ただ、そういうふうに監督官を専門別にいたし、かつ人員を非常に多くふやしましても、いまの技術革新の非常に進んでおる時代に、民間の力のある方の能力を活用する、おかりするということは、やはり必要な場合が多いのではないか、こう思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 時間もなくなりましたので次に進みますが、使用停止命令というのが九十八条にうたってあるのですが、労働基準監督官が現場にいないのは常ですから、それは事故が起きてからじゃだめだ。ところが局長、私は労働者の権利うたいが骨抜きになったというのは、ここを言いたいのですが、いま石が落ちてくる、おれは職場から離れられないから、石が落ちても黙っているなんという人はいない。ただ、道路工事をやっているのだけれども、どうもこれはがけくずれが来そうだということがわかっていても、土建屋の下請の下請はやらせるのが往々にしてある。その場合に、労働者が身に危険を感じているし、一番知っているものだから一番よくわかっている。きょうは落ちるぞ、おれはどうしてもやめる、こうなると、どこかに労働者の拒否権というか、あれはいやだ、こういうものがどこかにないとぼやけると言いたくなるのですが、これはどうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働災害の発生が急迫してまいりましたときに、作業現場から労働者が退避できることは、これは労働者として当然のことでありまして、法文の規定をまつまでもないと思っておるわけでございます。  なお、しかしながら、使用者といたしましても、そういう場合に退避させる必要があることは当然でございまして、それらにつきましては、個々の安全衛生規則であるとか、あるいはその他の安全衛生に関します数多くの規則の中で、たとえば安全衛生規則の中では、隊道の中で崩壊の危険があるときはすみやかに退避させなければならないという規定、その他それぞれの規則の中で、個々に使用者に労働者を退避させる義務を規定いたしておるところでございまして、こういうことと相まちまして、たとえ使用者がそういう退避命令を出さなかった場合におきましても、労働者が退避できる。これは当然のことである、災害が急迫している場合にそういうことは当然のことだ、私どもはさように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 これは局長はすらすらとそう出るけれども、日銭をかせぐ労働者はなかなかそうはいかぬのです。高圧線の下であっても、何も無防備でやっている。あれはほんとうはやっちゃいけない。  それから、たとえば成田空港で、向こうから火炎びんが飛んでくるというので警察の前に出た、一番先に出て、さっとたてになったのは建設労働者だ。あなた見ていたでしょう。あれを見て、労働大臣はそれはいかぬというくらいの強いあれを持たないといかぬのだと思います。ああいうところに、だれ好きこのんで——ところが第一線に、警察の前に建設労働者が行って出たんだから、そういうことを言うのです。こういうものはやはり労働省の立場でそれはいかぬというものを、労働者がいやだという前に法律でうたってやるべきだとぼくは思うんだ。細則でそういうことを考える必要があると思うが、どうですか。むしろ本法に入れるべきだと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 確かに労働者に非常に危害が急迫しておりますときに、使用者としては労働者を退避させることは当然のことでございますが、ただ、それはそれぞれの場合によりまして、非常に多種多様であるわけでございます。  そこで現在は、それぞれの規則におきまして、こういう場合には使用者は労働者を退避させるというような、それぞれの場合をあげまして規定をいたしておるところでございまして、法律で包括的に書くということになりますと、これはなかなかむずかしいのではないか、かように考えますが、なお規則等におきましても、考えられるいろいろな場合を想定いたしまして、今後とも使用者にそういう義務をできる限り明確にしてまいりたい、かように考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 やはり大臣、こうやって、さらっとこの膨大な安全衛生法というのを検討させていただきますと、大臣がお昼食で席をはずしたときから始まったんだが、一番先には何といっても、どさくさまぎれといわないけれども、時の労働大声の私的な諮問機関から始まった、研究会から始まったこの法案だというのです。それから権威のある中央審議会にわずか二カ月しかかけていたい。これが去年の一月で、さっと閣議にかけて、それから現在の塚原労働大臣になって、さっと労働省が出してよこした。中を見てみたら——私らからいうと、災害を防止するというためには、いまの労働基準法を完全に守らせるという強い姿勢が労働省にあれば、だいぶ減るだろう。ただ不足だというものを、こういうところに盛ればいい。しかし、あえて単独立法にしてりっぱなものにしよう、局長の言うには、最低限は順守しなければならないということを書きながら、あとは協力うたいだ、協力しなければならないといううたい方なんです。  こうやって考えますと、労働安全衛生法の目的というのは、労働者を災害から守らなければならぬ。ところが、使用者はあぶなくても働かせるというのが当然人情として働く。それを労働省が中に入って、こういうことをさせてはいけないということをやらせたら罰則だよ、それでもやらせるから、監督官というのは必要なんです。でなければ監督官は必要でない。だけれども、監督官が、これだけの業種があるのにわずか二千五百人。ことしはうんとふやしてもらったといったって、百四人、去年は七十何人、こういう状態では、実力大臣がおつきになったんだけれども、この労働安全衛生法をつくれば全部災害がなくなるとは私は言わないにしても、これは少しはなるんだろうか。大臣、その辺をもう一ぺん聞いて——一体これはやはり国会を通して施行しなければ災害はなくならないということがあれば、もう少し聞かしてもらいたいんです。いまの基準法でなぜ悪いか。どこが悪いか。行き届かない、じゃないですよ。監督官がいないから、竹中とか大林は表彰されて、その下請の下請に災害が起きているんだから、こんなものは罰すべきですよ、私らから言わせれば。その辺をひとつ大臣聞かしてください。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 この法案提出までの経過は、私も労働省に参りましてから詳しく承りましたが、いま川俣委員御指摘のように、どさくさまぎれに云々というのは、これは全然ないと考えておりまするし、審議会をはじめ各方面の御意見も承って、単独立法としてこれをお出しになったいきさつは非常に正しいことである、私はこのように考えております。  内容については、先ほどから御意見を交えての御質問、私も非常に謹聴して聞きました。ことに鉱山保安との関係においての御質問は私もよくわかったわけでありまするが、先ほどもちょっと触れましたが、なるほど運用の面で改善を加えるとはいいながら、私は、決してそれはベストのものではない、そういうことを所管大臣が言うことはどうかと思いまするが、しかしベターなものであるということは、私は申し上げ得る。やはりこれによっていま一番大きな問題となっている労働災害、あるいは安全衛生が保たれるということは、私は、当面必ずやらなければならない問題だと思いまするから、どうぞいろいろ御批判がありましても、慎重に御審議の上すみやかなる通過を心からお願いするわけであります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 終わります。ありがとうございました。      ————◇—————

森山欽司自由民主党

○森山委員長 この際、理事の辞任及び補欠選任についておはかりいたします。  理事向山一人君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長に「おいて指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山欽司自由民主党

○森山委員長 御異議なしと認め、理事に山下徳夫君を指名いたします。  次回は、明十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗