社会労働委員会 第10号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/03/28
会議録
○森山委員長 これより会議を開きます。 労働安全衛生法案を議題といたします。 質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。向山一人君。
○向山委員 労働安全衛生法案について、最初に労働基準法との関連をいろいろとお伺いしたいと思います。 労働基準法は、戦後間もない昭和二十二年に制定されました法律でございまして、今日まで何回か部分的には改正されてきているのでございますが、最近の産業活動の大きな変化には対応できない点があるということで、今回労働基準法の中から労働安全衛生法案が別個の法律として提案されているわけでございますけれども、かねがね前労働大臣の野原労働大臣当時から当委員会におきまして、労働基準法はいまの時代に合わない点がたくさんできているので、全面的な改正を考えているというふうな意味の御答弁が何回かございました。 そして今回安全衛生の関係だけが単独立法として提案をされたわけでございますが、まず最初に、この労働基準法の安全衛生を取り除いたあとの部分については労働基準法としての現在の状況に合ったような改正をされるのか。あるいはその中から、さらにまた単独立法として何か考えておられるのか。労働基準法の全般の問題について、大臣がおりませんので、政務次官並びに基準局長にお尋ねを申し上げます。
○中山政府委員 向山委員にお答え申し上げます。 御指摘のように、労働基準法は制定以来すでに二十年間たっております。その間に労働者の保護、労働慣行の近代化等にはずいぶん貢献をしてきたものと存じております。しかし、最近の経済の発展、あるいは科学技術の進歩によりまして、この労働基準法の現行法の運用について、いろいろと問題が発生しつつあることは事実でございます。 こういうことで、労働省では昭和四十四年九月に学識経験者の方々に御依頼を申し上げまして、労働基準法研究会を設置いたしまして、すでに御指摘のような点につきまして、いろいろと御審議をいただいております。その中で特に問題としてあがってまいりましたのが、安全衛生に関する問題、あるいは労働時間等に関する問題でございまして、労働省といたしましては、安全衛生に関する問題が特に急務であるということで、私どもは今回安全衛生立法を提案させていただいて、御審議をいただくようになったわけでございますが、その他の問題につきましては、十分問題点をとらえて行政指導をしながら、新しい問題に対処する考えを固めてまいりたい、かように考えております。
○渡邊(健)政府委員 労働安全衛生の問題につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げたとおりでございますが、なお、基準法のその他の部分につきましては、基準法研究会におきまして、去年の暮れに労働時間、有給休暇、休日等に関しまして報告がなされております。基準法研究会は引き続きまして、その他の労働基準法の部分につきまして、ただいま検討を続けておるわけでございまして、私どもその研究会の報告の結果を見まして、またその報告に最近の情勢等も加えて判断をいたしまして、必要と認める場合には中央労働基準審議会等に御諮問をし、そして法改正を行なうかどうかということは、その時点であらためて検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。 したがいまして、安全衛生を除きますその他の部分につきまして、まだそれを改正するともしないとも、あるいはまた、もしそういう必要が生じた場合にも、別個の単独立法の形になるかいなかというようなことは、ただいまのところは全く白紙でございまして、研究会の結果を待って検討いたしたいと考えております。しかし、現在のところは、安全衛生法に続きまして、他の部分を分離して単独立法にするということは、まだそういう考えは持っておりません。
○向山委員 労働大臣は労働安全衛生法案の提案理由の説明の中で、最近の産業活動の急速な変化に即応した労働安全衛生対策を推進するために、この法案を法制化することになった、こういう説明をいたしております。 そこで、先ほど申し上げましたように、労働基準法が、戦後間もなくつくられて、今日の情勢に合わない点がいろいろあるわけでございますが、現在の時点においていろいろ合わない点があるから現在の時点に合わせようということで、この労働安全衛生法案をそういう角度からおつくりになられたのか、また、この産業活動の急速な変化というのは、実は現在行なわれているところで、今後も非常に急速な変化が予想をされますけれども、この今後産業活動の急速な変化が予想される状態をお考えになられて、今回提案になっている労働安全衛生法案がつくられているのか、その辺のいきさつといいますか、状況についてお伺いをいたしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 ただいま向山先生、基準法が時代に適合しなくなったためか、それとも産業の変化に対処するためかというふうなことで御質問がございましたが、私ども、二つの原因が今回の労働安全衛生立法の制定の必要を認めた根拠である、かように考えておるのでございます。 もう少し申し上げますと、産業の事情が非常に変わってきた、そして従来考えておったような災害防止対策では不十分になってきた、それに対して、労基法はそういう事態を予想してなかったために適応できない面がある、そういう両方の理由で今回の労働安全衛生立法を考えるに至った、かような考え方でおるわけでございます。
○向山委員 当然、ただいまお答えのあったような形でなければならないと思いますが、そこで昨今の状況から見ますと、年々老齢化の傾向も出ていくとか、あるいはまたいろいろな法律ができて、全般的な国民の健康を守るといいますか、人命尊重の時代に入っている中で、働く方々に対しては、いろいろな形で法律的にだんだん保障がされていき、また事業場に対しては公害関係の防止法案もできたり、いろいろ考えてみますと、ただいま進んでいる情勢が浸透してくると、特に、ただでさえ体質の弱い中小企業に対しては、なかなかむずかしい問題が出てくるのではなかろうかという気がするわけなんです。 そこで、私いろいろ公害の問題などを考えてみると、いまの法律がだんだん進んでいくと、都市においては、たとえば個々の工場などは、公のところで工場アパートでもつくって、その中へ中小企業が入っていくとかなんとかいうような方向のほうへでもいかなければ、実際問題としてなかなかやっていけない時代がくるのじゃないかというような気もするわけなんですが、そういう意味から考えて、今度の労働安全衛生法案が、今後の変わっていく状況も加味して法律がつくられたとするならば、労働省の御見解では、どんな点で今後大きく変わると考えておられるか。この点については、おわかりになっている程度でけっこうですから、抽象的でもけっこうですので、お答えを願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 産業がどういう点で変わっていくだろうかという御質問であると存ずるのでございますが、安全衛生の観点から申し上げますと、まず、技術革新によりまして産業が非常に高度化してくるという点が第一点。さらに、そういう技術の高度化、変化というものが今後は一そう急速になっていくのではないか、かような点が考えられるわけでございます。そういうような変化から考えますと、かつてのように、災害防止につきましては、一定の危害防止の基準を定めて、それを守ってさえいればいいというだけでは、災害防止に十分でなくなってくる。やはりそれに加えまして、技術上の好ましい指針であるとか、技術の助言をするとか、あるいはまた、それに従事される方に安全衛生の教育を徹底するとか、そういうような必要が強まってまいります。 それから、技術革新が急速になってまいりますと、やはりそういう新しい技術に対応するための研究というものも必要になってまいりましょうし、基準は、そういう技術変化に対応いたしまして、改正をすべきものはもちろん敏速に改正をしなければいかぬわけでございますが、それにいたしましても、次々に、予想されなかったような新しい技術、新しい物質が出てくる。そういうものにつきましては、今回の法律で示されておりますように、届け出制をとりまして、新しく初めて出てきたような技術、工法等につきましては、それをそのつどチェックいたしまして、新しい技術で、まだ基準はできていない。しかし、どうも安全衛生上懸念があるというようなものに対しては、専門家の意見を聞いて、それの実施について勧告をするとか、そういうようなことで急速な技術の変化に対応していくというような措置も必要である、かように考えるわけでございまして、それらの点を考えまして、今回の法案をつくったわけでございます。
○向山委員 わりあいに前向きの御答弁をいただいたわけですが、だんだん具体的にお伺いをいたしたいと思います。 過去十年間の労働災害は、災害の種類によって多少の差異はありますけれども、全般的には、残念ながら減少の傾向をたどらずに、むしろ増加の傾向をたどっているといっても間違いではないだろうと思います。特にその中でも、重大災害あるいは職業病等は相当な高い率で増加をしているわけでございますが、十年間こうした状況が続いているところを見ますと、その中で、今回の安全衛生法案が単独立法化されて、さらに強化をされることは、非常にけっこうなことではございますけれども、どうも年間百七十万人にも及ぶ被災者があってみたり、六千人にも及ぶ死亡者が年々続いているという状況を見ますと、幾つかの大きな原因があるけれども、どうもその原因が除去できない。これが今度のような安全衛生法案をつくったことによって除去できるかどうかは非常に疑問でございますけれども、この十年間の統計から見た大きな災害の原因はどういうところにあるというように見られておられるのか、また法律を改正することによって、この状態がどのくらい減るかということは、労働省でもなかなか予測はできないでしょうけれども、少なくとも法律改正によって相当改善されるとお考えになられているだろうと思いますけれども、どの程度のことを見込まれているのか、それらの点についても、ちょっとお答えを願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のようにいろいろ努力はいたしておりますが、重大災害がなかなか減らない、あるいは職業病などはむしろふえておるというような状況が見られるわけでありますが、この原因につきましてはいろいろございますが、一番大きな原因と申しますと、やはり一つには技術革新によりまして新しい工法、あるいは新しい設備、新しい製造方法というようなものが次々に出てくる、あるいは新しい物質が使われるというようなことの結果、災害が大型化し、重篤化するという傾向があること、それからやはりそういう特に化学的な新しい物質が使われるというようなことから、それに伴う職業性疾患、こういうものがふえてくる、こういう点が災害がなかなか減らない原因であろう、私どもかように考えておるわけでございます。 で、これに対しましては新しい化学物質、もともと職業病等に対しましては今度の法案でも、特定の労働者の健康に非常に有害なものにつきましては製造禁止、あるいは製造の許可制、あるいは有害性の表示制等々の処置を講じますとともに、健康診断その他の健康管理を非常に厳格にすることにいたしておりますので、そういうことによって職業病の発生の予防にかなりの効果を期待できるのではないか、かように考えております。 また新しい工法や新しい製造法等に基づく重大災害等につきましては、先ほども申しました届け出制等によりまして、そういういままでなかったような工法や製造法をチェックいたしまして、必要なものについては専門家の意見を聞いて勧告をするといったような制度を設けておりますほか、さらに危害防止基準につきましては、いろいろ根拠を明確にいたしまして、今後規則等で防止基準の改善をはかっていく根拠を明らかにいたしましたことと、さらにそういう基準を定めて、それを順守させるということのほかに、技術上の好ましい指針をつくる、その他技術上の助言をするといったようなこと、あるいは財政的な援助をするといったようなこと、あるいは安全衛生教育を徹底するといったようなこと、あるいは使用者側の災害防止責任体制を明確にする、そういった幾つかの新しいやり方を新法案の中には規定してございますので、これにつきましても、それらの運用のよろしきを得れば災害防止、減少にかなりの効果が期待できるのではないか、かように考えておるところでございます。
○向山委員 ただいま技術革新によって新しい工法や新しい物質が、特に化学物質が出てきたことも確かに大きな原因だろうとは思います。 いずれにいたしましても、そうした新しいものが使われたからふえたということかどうかは、まだまだ原因を掘り下げてみないと、十年間の形の中でよくはわかりませんし、それからこの統計に出た数字の分類をしてみないと、大体建設関係とか運輸関係とか林業関係とかいうような関係に、一般的には災害の率は高いようでございますが、これらの災害の種類もさることながら、こういう状況の中で何とかして災害を撲滅しようという形で、今回労働安全衛生法案が提案されたということ、これ自身は、私は非常にけっこうなことだと思います。そうして理由はどこにあるにせよ、この労働災害を防止して、職場における労働者の安全と健康を確保する、これはもういっときもゆるがせにできないことでございますので、この法律をつくられたことは一つの大きな前進であり、私も賛成をするわけでございますが、どうしても災害の絶滅をするには、もう少し具体的に原因がはっきり出てこないと、どうも労働省のほうのおっしゃることも抽象的な面が非常に多いわけなんで、確かにおっしゃるとおりのものも大きな原因だろうと思いますが、もう少しいろいろな原因があるでしょうけれども、どうも大きなものから見ると、こういうものが原因なんだというようなことがわからないと、労災になかなか効果があがってこないように思うわけなんです。 そこで、いま労働基準局長が答弁がございましたが、先ほどお話がありましたように、四十四年の九月からの労働基準法研究会のほうの御意見が、労働省のほうへあがってきたというのが今度の労働安全衛生法案のもとになるわけでしょうが、この研究会のほうの労働災害の実績と、その対策という労働省のほうへあがってきた、指摘されたおもな点は、どんな点が大きく指摘されてきているのか。またその指摘された点は、かねがね労働省の皆さんが考えている点とほぼ一致してきているのかどうなのか、その辺について、ちょっと事情を御報告願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 昨年の夏に出されました労働基準法研究会の安全衛生に関します報告の中におきましては、労働災害がなかなか減らない理由として幾つかあげておりますが、第一には、基準法を中心とする現行法制に基づく災害防止対策では、産業社会の急速な進展ないし変化に即応することができないという点、それから第二といたしましては、現行の最低基準の確保を中心とする安全衛生対策だけでは限界にきているのではないかという点、第三といたしましては、産業活動の急激な進展に対応するところの安全衛生を担当する技術者が、民間でも行政部門でも著しく不足をしておるのではないかという点、それから第四といたしまして、災害が中小企業や下請企業において多発しているが、そういう中小企業や下請企業に対する対策が必ずしも十分といえないのではないか、こういうような諸点を、災害発生がなかなか減らない理由としてあげておるわけでございます。 これらにつきましては、私どももかねがねそういう点は非常に認識をいたしておりましたところでございまして、以上のような原因に対しまして、とるべき安全衛生対策の基本方向といたしまして、同研究会の報告の中では、まず第一には、産業社会の進展に即応するため、積極的、科学的な対策を講ずる必要がある。そのためには新工法や新原材料の採用などに対して事前審査の制度を設けるとか、あるいは機械設備等の本質的安全の確保、職場環境の抜本的改善、こういったような積極的な施策を講ずる必要があるということをまず第一に述べ、さらに第二といたしましては、単に基準を示して守らせるというだけでなくて、今後は技術指針の作成や快適な職場環境あるいは快適基準の設定など行政指導の分野をもっと充実する必要がある。さらに、その裏づけとして研究部門の拡充が必要だというようなことをあげております。また、第三といたしましては安全衛生を担当する技術者を育成、確保する必要を述べておりますし、第四には、中小企業や下請に対しましては、下請企業などに対する親企業の責任の強化、あるいは中小企業の安全衛生施設に対する融資その他の援助制度の充実、技術的な援助、指導体制の整備等々を基本的な安全対策として講ずべきことを述べておるのでございまして、これらの対策につきましても、私どもまことに正鵠を射たものと考えて、今回の法案の中に取り入れているところでございます。
○向山委員 私も末端で実は労働災害を何とかして撲滅しようということで、長い間労働省の御指導でやってきているわけでございます。 そこで、先ほど申し上げましたように十年間、この統計で見ると、労働災害の撲滅を叫んで労働省におきましては、災害防止五カ年計画を立てたり、新しい計画を立てられたりして努力をされ、また末端でも、何とか災害だけは撲滅したいということで、ずいぶん努力をしていますけれども、その結果が、この統計で見ますと、新しい分野のことがふえてきたから依然として減らないのだというだけでなくて、何かもう形の上では官民一体となって、この長い歴史的経過をもって、産業安全週間なんというのを年々やって、ずいぶん苦労をされてきているけれども、一向に災害が減少しない。こういう現実を見ると、この災害に対する対策の行政がマンネリ化しているのではないか、もうちょっと新しい発想に立って、この災害の問題を取り上げないといけないのじゃないか。今度法律の上では労働安全衛生法案が独立になるわけですから、法的には強化されるようだけれども、何かやはり原因が非常に抽象的で、もう少し思い切ったことをやらないと、なかなか労働災害が目に見えて減るというような形はできないのじゃないか、こんな気も、実は年々自分ながらやってきて、そして全国的な統計を見ると一向に減らない、こういうところを見ると、もう行政がマンネリ化して、そうして実際は同じことを繰り返したような形になっておるのじゃないか、こういうことを実は非常に心配するわけであります。 そこで、ほんとうに労働省がこの労災を除去するというお考えならば、もう少し施策が何か思い切ったことがあるように思うのですが、その辺について私の考えているのが間違いなのかどうなのか、あるいは皆さんはどういうふうにお考えになっているのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 まあ私ども災害を減少し、撲滅いたしますために、いろいろなことを衆知を集めまして努力をいたしております。また行政の直接だけではなしに、民間におきましても、災害防止団体等を中心にいたしまして、民間の自主的な災害防止努力をもできるだけ活発にしていただくように御指導もいたして、努力をいたしておるわけでございまして、あるいは外からごらんいただきますと、マンネリ化している点もあるのではないかという御批判、これはわれわれも率直に反省をしなければならないと考えておりますが、今回の法律改正に伴いまして、私どもは、たとえて申しますと、いままで全然なかった安全融資制度も新しく発足をすることにいたしておりますし、あるいは安全教育等につきましても、今回の法律改正と同時に約三億円で安全教育センターというものをつくりまして、そこで民間の安全関係者等の教育も徹底的に強化する、こういうようなことも考えておるわけでございます。 さらに、法的な根拠といたしましては、先ほどから申し上げております有害物質に対する製造の禁止、許可制あるいは表示制といった、いままでとれなかったような処置もとり得ることに相なるわけでございますので、それら従来やっていなかったようなことも、今回、法案をつくるだけでなしに、実際の行政としても実施できることに相なりますので、これらを効果的に、強力に運営いたしますならば、必ずや効果をあげ得るものと確信をいたしておるところでございます。
○向山委員 わが国が最近特に急激に経済が成長いたしてまいりましたので、そうした過程の中で災害が出ていることも大きな原因の一つでしょうが、まあ災害については日本の企業も、大体先進国の企業と同じような、似たような設備、技術のレベル、こういう点に来ていると思いますけれども、労働省は、日本が特に労働災害が他の先進国に比べて多いというふうに見ているのか、あるいはまた、このくらいの災害があっても、まあアメリカやドイツ等に比べて、それほど多くないという見方をしているのか、その辺についての外国との比較、これは国によって情勢、形態がいろいろ違いますから、簡単な比較はなりませんが、ただきわめて大ざっぱな感触として、労働省は、一体日本の労働災害というものは他の先進国に比べて、よそより多いのだというならば——統計のとり方やいろいろ情勢が違いますから、必ずしもその数字にとらわれるつもりはございませんけれども、そんな点についてお伺いをいたしたいと思います。 それからもう一つ、また、外国はこの労働災害について日本よりもこういう方法をとっておるので、この点は非常に効果があるという、もし外国のほうが日本よりも——これはまあ役所の機構も含めてですが、そういうようなお気づきの点があるならば、そんな点についてもお教えを願いたい、こんなふうに思います。
○渡邊(健)政府委員 各国の災害の発生状況の比較につきましては、ただいま向山先生から御指摘がございましたように、いろいろ国によってとり方に違いがございまして、なかなか比較が困難でございますが、ILO等の資料をもとにいたしまして、日本のとっております資料等もそれと比較できるように、いろいろ推計をいたしてみました。一応の推計でございますが、これによって見てみますと、一九六八年の製造業の労働災害による死亡者、これを千人率であらわしました数字を申し上げてみますと、日本が〇・一でございます。それに対しましてイギリスが一番よくて〇・〇四、アメリカは〇・〇七になっております。しかし、先進国の中でもドイツなどは、日本よりもむしろ多いぎみでございまして、〇・一六というような状況になっております。それらを総合勘案いたしまして、私ども、アメリカやイギリスは、日本よりもやはり災害の発生率はかなり少ないように見ておりますが、ヨーロッパでも先進国の中で、ドイツとかイタリアとかいう大陸系の諸国は日本と同じか、あるいはむしろ日本より発生が少し多いような国もある、かような関係の中に日本がおる、かように判断をいたしておるわけでございます。 諸外国が災害防止のために、それぞれの国の法制あるいは行政措置によりまして、いろいろな災害防止の対策を講じておりますが、その中でイギリスは有害物に対する規制などをかなりきつくやっておるわけでございまして、日本は従来そういう点の法的な根拠が必ずしも十分でなかったので、今回の労働安全衛生法で有害物につきましての製造禁止、許可制等々を採用することにいたしましたのは、このイギリスの制度等をも参考にいたしまして、日本の制度の中に取り入れたわけでございます。それからアメリカは、これは従来は州によっていろいろ規制の基準などが違っておりましたが、最近はそれを連邦として統一した、連邦の安全衛生法をつくろうとしておる段階でございます。それからそのほかの国の中で注目を要するものといたしましては、ドイツなどでは災害防止団体の活動が非常に活発でございまして、これがかなりの効果をあげているようでございます。日本につきましても、災害防止団体は災害防止団体等に関する法律がございまして、そういう団体は一応ありますけれども、その活動等につきましては、それらの国の例等も十分に参照いたしまして、今後そういう自主的な民間の活動をさらに積極化するように指導してまいる必要がある、かように考えておるところでございます。
○向山委員 新しい法案では、従来法に比べますと、確かに事業者に対する責任が非常に明確になってきております。また、いまもお話ありましたように、有害物質について取り締まりが強化されて、発ガン性の物質などについては製造禁止が行なわれるというように、この点非常に画期的と言えるかどうか知りませんが、相当な前進がはかられているように思います。しかしこの法律全般を見ると、労働基準法というのが監督行政という形で出発しているところにも原因があろうと思いますけれども、先ほど来基準局長は、私どもが非常に要望しておりました労働基準法がほんとうに一般の事業者に全部守られるためには法律をつくって監督しているだけじゃだめなんだ、結局有効的な指導が行なわれなければ、なかなか効果はあがらないわけなんで、言いかえるならば、法律にきめられているようなことを事業者も労働者も、これは最低の基準なんですから、少なくともその程度のものは前向きの意欲をもってみんな守って、しかもそれより上に行こうというくらいの意欲を起こさせるような指導をやらないと、なかなか効果があがらないわけですが、そういうような考え方で見ると、今度のこの労働安全衛生法案も監督行政というような感じが実は非常にするわけなんです。たとえばこの法案自身が、基準法の場合もそうなんですが、第四の災害防止に対する関係のところなどを見ましても、どうも抽象的で、ずっと書いていって一番大事な、どうするかというところにいくと、必要な措置をとらなければならぬ。今度は、労働省は、何か問題があると必要な措置がとられていないじゃないか、こういうような形で、この必要な措置は、労働基準法等にいきますと、必要な措置とはこういうことだ、必要な事項とはこういうことだということがしるしてはございますけれども、どうも私はもう少しこの辺に、いま局長のおっしゃるような、もっと監督よりも指導に力を入れるという考え方が、もうちょっと法律のこの辺の前面に出てくるような形にしなければいけないのじゃないかという感じが非常にするわけなんですが、これはまたあとで質問いたしますけれども、どうも労働省が従来から監督的な行政で、予算を見ても失業対策の関係が大部分で、一番大事なこういう点について私ども見ると、もっともっとこれは、労働省というよりも国自身が力を入れなければならぬのに、どうもそういうところへ力の入れ方が非常に欠けている、その辺に問題があるように思うのですが、そんな点についてひとつ、一番の当面の責任者である局長の御答弁を願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、法律では使用者にいろいろ、災害防止基準を示す場合に、必要な措置を講じなければならないというようなことで、非常に抽象的ではないかという御指摘、これはごもっともだと思うわけでございますが、災害防止基準といいますものは、いろいろな業種、作業、設備等によりまして非常に多岐でありますために、これをすべて法律で規定することは非常に困難であるわけでございます。したがいまして、法律にはそういう基本的な考え方、基準を書きますだけで、あとはすべて安全衛生規則その他の諸規則に譲っておるわけでございます。現在そういう規則だけで十六規則、千数百条の規定ができておりますわけで、その個々の規則の中におきましては、具体的にどういうところに、たとえば局所排出装置をつけろだとか、あるいはどういうところに除じん装置をつけろだとか、あるいはどういう環境基準、たとえば劇毒物は大気中にどのくらいの濃度までに押えなければならぬとか、そういうような具体的な基準は、規則に詳細にきめておるわけでございまして、これはいろいろ技術の進歩等に応じまして逐次、新しい物質ができましたり、あるいは産業の事情が発生いたしますと、それに応じて追加あるいは訂正、改正等を行なっておるところでございます。 なおさらに、先生御指摘のように、そういう基準を設定して守らせるだけでなくて、指導というのが非常に必要だとおっしゃいます点は、まことに御指摘のとおりでございまして、その点、新法では必ずしも十分ではないのではないかといったようなお話もございましたが、規定で申しますと、新法の二十八条に(技術上の指針及び望ましい作業環境の標準の公表等)ということで、労働大臣は、事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施をはかるために必要な業種または作業ごとの技術上の指針を公表せいとか、あるいは快適な作業環境の形成をはかるため必要があると認めるときは、望ましい作業環境の標準を公表することができるといったような規定で、具体的な指導に当たるべき基準等を法律に書きまして、指導につとめるようにいたしておりますし、さらに七十八条以下におきましては、必要と認める場合には、都道府県労働基準局長は、安全衛生改善計画の作成を指示することができるというような規定もございまして、そういうような指導によりまして、企業に自主的に安全衛生の改善をはからせるような指導をするというようなことも、規定をいたしておるわけでございます。 〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕 さらに、それらの裏づけといたしまして、新法におきましては、健康診断あるいは安全衛生教育あるいはその他の事業者が行なう安全衛生施設の整備等々について、百六条で国はそういうことにつきまして、「金融上の措置、技術上の助言その他必要な援助を行なうように努める」べきことを規定し、特に中小企業に対しては、そういう場合にも特別の配慮をすべきことを規定をいたしまして、先生御指摘のような指導援助を、できるだけ国が努力をすべき規定を新法案の中には規定をいたしておるわけでございます。
○向山委員 先ほど来説明がございますように、労働災害には作業環境とか機械器具の整備、こうした点は当然なことでございますけれども、労働災害が起きるということは、人間のほうの側に非常に問題があると私は思います。もちろん従来の労働基準法でも、女子の場合に生理休暇を与えるとかいろいろございますけれども、しかし全般的に見まして、作業環境、機械器具のほうはいわゆる建物、設備等は当然でございますけれども、働くほうの側が、これはもう肉体的にも精神的にも全く異なった千差万別といいますか、いろいろな条件の違う方々が就労しているわけでございますが、こういう面については、事業者の責任において、抽象的な法律に書かれてあっても指導をしてもらわないと、実はなかなかやりようがないわけなんですね。労働災害を防止するための措置の第三にも、事業者は、作業場の保全、休養、避難及び清潔等に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のために必要な措置を講じなければならないというふうなことで、本文のほうにもいろいろ書いてありますけれども、私はこの面が労働災害には非常に大きな関連を持っているように実は思うわけです。 そこで、労働省のほうでこうした問題について、ことばが合うかどうか知りませんが、産業心理学的な角度から、働く人の心理状態と災害との関連の問題、あるいはまた健康管理といいますか、本人の健康の状態と災害との関連の問題とか、あるいは疲労度と災害との関連の問題、まあ労働省には労働衛生研究所というのがあるわけなんですが、この労働衛生研究所というのはどういうことをして、ほんとうにこういう労働災害に必要な基礎的な人間のほうの面のこうした問題について、科学的な研究をどの程度されているのか、私はむしろこういうところでやっていければいいけれども、そうでなければ、こうした人間のほうの、いまだにいろいろわからない面の一ぱいあるこういう関係に、ほんとうなら労災何とか研究所とか、労働災害を除くためにほんとうに労働省が取っ組んで、人間のほうの面について科学的な研究をする部門をつくってもらいたいと思っているくらいなんですが、この辺について、労働衛生研究所というのが労働省にはございますから、どんなふうなお考えでどんなことをされて、これに対処されておるのか、お伺いをしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 労働災害の防止につきまして、先生おっしゃいましたように、メンタルと申しますか、そういうような人間的の側の要素が非常に関係があることは御指摘のとおりでございます。そういう点につきましては、労働省の労働衛生研究所の中でも、疫学的な研究や物的な環境測定などの研究とともに、衛生研究所の中に労働生理部という部がございまして、その中におきましては、先生御指摘のような産業疲労に関する研究であるとか、あるいは労働時間、交代制、深夜業等の生理学的、理学的、心理学的な研究であるとか、人間−機械系の生理学的、心理学的研究であるとか、労働強度に関する研究であるとか、そういったような研究をいたしておるところでございまして、その研究の成果は、いわゆる行政指導の中にも生かしておるわけでございますが、もちろん現在で十分であるとは、われわれは考えておるわけではございませんので、かねがね御承知のとおり、産業医学総合研究所というものを、二十数億をかけて新しくつくろうということで、ただいま予算もつきまして建設中でございます。これができますれば、労働衛生研究所はこの中に発展的に吸収されるという形になるわけでございますが、その産業医学総合研究所におきましては、やはりその中に産業精神衛生研究部というようなものを設けまして、現在労働衛生研究所の労働生理部でいたしております、先ほど申し上げましたような研究を吸収し、さらにそれを拡大強化した研究体制をつくろうというようなことで現在考えておるところでございます。
○向山委員 安全衛生管理体制の問題についてお伺いしますが、従来も申し上げましたように、過去の統計で見ますと、実は中小企業の災害の発生率が非常に高いわけでございます。 そこでこの新しい法案では、親企業と子企業の間については、親企業の総括安全衛生管理者が下請関係の企業のほうも責任を持って見る、こういうことに考え方としてなっておりまして、この点は実はたいへんけっこうであろうと思います。昨年家内労働法が成立しまして、家内労働法などでも、私ども、はたして家内労働法を適用して末端の家庭内職の方々にうまく通ずるかどうかという点で非常に心配をするわけですが、これは仕事を出す側のほうに責任を持たしておりますからいいわけですが、実際問題としては中小企業、零細企業は、親企業の専属のような形でやっているところもありますけれども、もうそれ自身が独立して、あっちこっちの仕事を持ってきてやっていることが非常に多いわけなんです。そういうところは、法からいけば小さい企業でもやっていれば、その場合は工場長なりそういう方に責任を持たして安全、衛生面のめんどうを見させることになっているけれども、実際にはなかなかこれに浸透がむずかしいだろうと思う。そうかといって浸透がむずかしいから、それでは末端の労働基準監督署がこのめんどうを見れるかというと、とてもめんどうは見れない。従来のような形で監督署がめんどうを見るなら、よほど思い切って人数でもふやさぬ限りは、広大な地域のあのたくさんの事業所をとても見るなどということはいかないわけです。今度のこの国会でも監督官を多少ふやすわけですが、専門官と両方あわせて百何名かふやす、おそらく一つの県に割り当てれば、たとえば私どもの長野県なんか一名来るか二名来るか知りませんが、それは県単位に局へ来る程度で、とても末端の監督署になんか来るわけじゃないので、そんな程度のことでは、とてもこれは問題にはならぬだろうと思う。そうかといって、それでは思い切り監督官をふやせばいいじゃないかということを私は言うのではなくて、さっきも言ったように、指導面に力を入れて、そして効果のあがる方法がまだありはしないか。それともう一つは、もう少し近代的な装備といいますか——事実監督署には何もないわけです。外郭団体の基準協会かなにかが幾らかのものをやるという程度で、監督署には何もないわけです、法的にきめたって。手近なところには何もやるわけじゃない。ただ皆さんは法律をきめておいて守らなければいかぬぞということを言うだけで、正直のところ末端へいけば指導が非常に欠けているわけなんです。こういう状況は、実際問題として、親企業につながらない中小企業に対しては、法律はつくっても、なかなか浸透するのがむずかしくはないかと、私はそれを心配するわけなんです。一番災害の多い中小企業に対して心配する。だから適当な人員の増加は——一体労働省というものは必要があるからあとから出てきたので、必要がなければあとから生まれるわけのものじゃないわけなんです。そうして、しかも人間尊重の時代のGNP世界自由主義国家の中で第二位なんて、これまで経済成長して、その中で働いている労働者に対して、安全ないい環境の中で働かせようということは、一労働省の問題じゃなくて、政府のたいへんな大きな問題だろうと思う。それなのに、監督官だか専門官と合わせて百名ちょっとくらいのものを何か遠慮しいしいやっているようないまの状況では、この年間百七十万人にも及ぶ労災、この災害面だけを見ても、これだけを見ても、どうも労働省の取っ組み方が口と腹と違うんじゃないか。ほんとうに信念を持ってやるなら、もっと方法が幾らでもあるじゃないか、それをやらないでいるのは、口と腹と違うんじゃないかという気がしますが、その辺をひとつ率直に、これは与党質問ですので、遠慮せずにひとつお答えを願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 法案をつくっても行政体制必ずしも伴わないではないかという御指摘であると存ずるわけでございます。まことに御指摘のとおりの面がございまして、私どももそういう点十分でないと考えておりますので、これまでも監督官その他安全衛生専門官等の増員には、つとめてまいったところでありますが、毎年認められますものの、必ずしも十分ではございませんで、われわれもこれにつきましては今後ともその増員、必要な人員の獲得等には特に努力をしなければならないと強く感じておるところでございますが、それと同時に、そういう点を補いますためには、やはり労働基準監督官その他職員の資質の向上、それから機動力の増強などをはかりますとともに、監督指導を行なうにあたりましては、できるだけ重点的な監督指導を行なって効率的な行政を推進いたしたい、かように考えておるところでございます。 なお、資材等も不十分ではないかという点も御指摘のとおりでございますが、十分ではございませんけれども、今年も基準局、監督署等におきます災害防止関係の計測機器等の整備につきましては努力をいたしまして、ある程度の予算を獲得をいたしておりますし、それから、そういう健診等につきましては、一方におきましては中小企業などを巡回健康診断をやりますいろいろな団体がございます。こういうものを援助強化をいたしまして、中小企業に対する指導、健康診断を実施できるような体制をつくる必要があるということで、今年それらの巡回健康診断を行なう団体に対します補助金等も新しくついたわけでございまして、なおそういう団体に対します融資の道も講じましたので、そういうことによりまして、実際に中小企業等に対して有効な健康診断ができる体制を今後つくるようにしてまいりたい、かように考えております。 さらに、非常にむずかしいような病気でございますと、そういう軽易な巡回健康診断の機関等では必ずしも処理ができないような場合がございます。これにつきましては労災病院等に、今年も二カ所の労災病院に健診センターをつくりまして、また健診センターがつくれない労災病院につきましては、必要ないろいろな測定器具、診断器具等々の整備も予算で備えつけるような処置も講じておるわけでございまして、そういうことによりまして、実際の安全衛生施策を行なう行政体制というものを、法案をつくるだけでなしに実際的に強化拡充をしてまいりたい、こういう努力を今後ともいたしたい、かように考えておるところでございます。
○向山委員 時間が参りましたので、最後に、大臣がいませんから政務次官に……。 ただいま私いろいろな質問をやってまいりました。要は労働災害をほんとうに労働省が、これはほかの問題とは違って一日といえども捨てておけない、みんな人命にかかわる大きな問題でございますので、いろいろいま申し上げましたが、そうした全般的な私の申し上げましたような考え方に基づいて、特に来年度は予算の要求のときには、こうしたことをほんとうに労働省としては努力する決意かどうだかということを、一言政務次官からお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○中山政府委員 向山委員のいろいろな御意見私ども十分腹に入れまして、来年度の予算の編成にあたりましては、やはり労働省といたしましても、監督官の数が事業場の数に比例して非常に少ない、これを何とかしたいということで、今年も労働大臣努力されて、行政管理庁との交渉の上で管理官の七十名増員、専門官三十五名の増員ということで百五名増員を認めていただいて、いま御審議をいただいておるわけでありますけれども、それを見ましても、まだなかなか御指摘のように、この労働災害の発生状況と、指導監督する監督官の数とは、問題にならないほど低いということは御指摘のとおりだと思います。私どもは一番労働災害の発生の多い事業場、たとえば建設現場、そういう問題におきましても、労働省といたしましてもいろいろ調査をいたし、建設現場における事故発生の原因の一番大きなものは、事業場においては自動車免許証を持たなくとも自動車を運転して労働者を運んでいる。その転覆事故による死亡率が非常に高い、そういう問題も含めて、今後真剣に御指摘のような問題の解決に全力をあげて努力いたすことをこの機会に申し上げておきたいと思います。
○向山委員 以上で終わります。
○谷垣委員長代理 橋本龍太郎君。
○橋本(龍)委員 きわめて事務的なことのみを伺います。 従来、労働安全衛生に関する法制上の具体的な措置基準として幾つかありましたものの中で、今度の改正法第五十五条、有害物に関する製造等の禁止の規定から見ますと、従来からありました措置基準の中で、これに関連するものはおそらく有機溶剤中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、あるいは電離放射線障害防止規則、これらのものが従来の安全基準の中で関連を持ってくるものかと思います。この五十五条「黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの」ときめられておりますが、五十六条のほうを見ますと、例示としてあげられておるものは、やはり同じように「労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物」として「ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他」という書き方になっております。おそらく私は、この第五十五条及び五十六条で「重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるもの」といわれるものは、ほぼ同じ物質になるだろうと思いますが、その場合、この製造禁止等の規定をかぶせている対象として、どんなものを考えておられるのか、まずそれから簡単に御説明願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 五十五条で政令で定めることを予定いたしておりますのは、ここに書いてあります黄燐マッチ、ベンジジンのほかに、ベ−タナフチルアミン、四アミノジフェニール、四二トロジフェニール等を考えておるところでございます。
○橋本(龍)委員 ところが、この法律審議のために調査室からいただきました資料で見ますと、四十四年の「特殊健康診断実施状況」の中を見てまいりましても、相当数の業務がこの中には掲げられております。そしていま例示としてあげられましたものは、ほとんどが発ガン性の物質あるいはガン原物質と呼ばれる、いわゆる将来においてガンを発生し得る可能性のある物質を対象としておられるようでありますが、「特殊健康診断実施状況」のデータに掲げられておるものを見ましても、鉛、四アルキル鉛——電離放射線、柴外線、騒音等は別にしましても、水銀、クローム、マンガン等の微量重金属、黄燐等の業務、有機燐剤、亜硫酸、二硫化炭素、ベンジン、ベンゼンのニトロアミド化合物、脂肪族の塩化又臭化炭化水素業務、五塩化石炭酸、砒素、いま局長があげられたベータナフチルアミン等もありますが、フェニル水銀、アルキル水銀、クロルナフタリン、沃化メチル、沃素、弗化水素、相当数のものをわざわざ調査をしておられる。こうしたものは有害物質としては判定されないわけですか。
○渡邊(健)政府委員 先生おあげになりましたようないろいろな物質も確かに労働者に有害な影響を持つわけでありますが、製造禁止と申しますのは、やはり労働者がそういうものに曝露することを現状の方法では、なかなか有効に防止することができないで、曝露すると非常に重篤な結果を招来するというようなものに対しまして、やむを得ずとられる処置である、かように考えておるわけでございます。したがいまして、そのほかの有害な物質がございましても、その取り扱いについては、密閉をしたり、あるいは局所排せつ装置を設けたり、その他によって、それに労働者が曝露することをある程度防止できる、そういうことが可能なものにつきましては、できる限りそういったような本来の手法によりまして健康障害を防止する、こういうことが望ましいのではないか、かように考えておるわけでございまして、したがいまして、五十五条で掲げられました以外のものにつきましては、それぞれの規則等によりまして、労働者がそういうものに曝露し、それによって健康障害を起こすことがないよう十分な規制をしていく、それによってある程度労働者の被害を防止できる、かように考えておりますので、それらにつきましては、五十五条の製造禁止に指定はしなくてもいいのではないか、かように考えているところでございます。
○橋本(龍)委員 局長、そう言われますが、これは労働省の特殊健康診断結果調べのデータでありますけれども、たとえば電離放射線業務有所見者率一七・八%、あるいは水銀等業務六・七%、クローム等業務一〇・六%、マンガン等に付随する業務二・三%、むしろ黄燐等の業務、マッチをわざわざ例示をしておられますけれども、黄燐等業務の有所見者率は〇・八%であります。むしろ他のもののほうがはるかに有所見者数は多い。砒素関連の業務を見ましても有所見者率一〇・六%。いま局長は、労働者の作業環境の中で、その物質に対する曝露等が遮蔽できるものは対象にしない、たとえば、ベンジジン等のものを入れるのだということで御説明があったわけでありますが、現実に労働省が調査されたデータそのものの中で、いま局長が、労働者の作業環境がそれなりに安全にカバーし得えると言われたものの中で、例示としてあげられておる黄燐等業務よりも、はるかに高い有所見者率が提示をされています。いまあなたの御説明は違うのじゃないですか。
○渡邊(健)政府委員 黄燐マッチの製造を禁止いたしておりますのは、これは過去の歴史的なものがございまして、国際条約等で古くから製造が禁止されて、したがいまして基準法でも禁止されておりましたので、そういう歴史的な経過があるわけでございますが、その他につきまして、先生御指摘のようにいろいろ有所見者率が出ておりますことは、われわれまことに遺憾に存じておるわけでございますが、先生があげられましたようないろいろなそういう健康障害につきましても、われわれ、たとえば放射線障害につきましては電離放射線障害防止規則、あるいはその他有機溶剤中毒予防規則あるいは特定化学物質等障害予防規則等等、いろいろな規則を最近の産業事情に応じまして規制をいたしまして、現在の労働衛生学の見地からいたしますれば、それらの規則を確実に順守されますならば、一応労働者にそういった被害が出ることはほとんどない、かように考えておるわけでございますが、ただ実際には、それらの規則をきめましても、なかなか一〇〇%確実にすべての事業場で順守されているということには至っておりませんので、われわれ監督指導等によりまして、そういう有害業務は特に重点的に監督をいたしておるわけでございますが、なおそういうような障害が出ておりますことは、まことに残念でございますけれども、今後ともこれらの規則を順守を確保させるようにいたしまして、そういう健康障害の防止に一そうの万全を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○橋本(龍)委員 局長、そういうふうに言われるのなら、電離放射線防止規則はいつつくられましたか。いま私が拝見しているのは四十四年の「特殊健康診断実施状況」です。あなたが有害物質として指定すると言われたベータナフチルアミン七所見者率は、あなたのこのデータはゼロです。規則を守っていれば問題は起こらないはずである、規則を守らない人がいたから、その点は遺憾であると言われた。いまあなたが例示としてあげられた電離放射線業務有所見者率一七・八%、あなたが禁止すると言われたベータナフチルアミンはゼロ、おかしいですな。
○北川(俊)政府委員 お答えいたします。 五十五条及び五十六条で製造禁止もしくは製造の許可にしておりますのは、そこにございますように、労働者の身体に重度の健康障害を与えるもの、あるいは与えるおそれのあるもの、先生御指摘のように発ガン性あるいはガン原性物質と言っておるわけであります。労働衛生的にいいますと、作業環境の中で気中濃度がゼロでなければいかぬ、全然労働者が曝露してはならない、こういうものを製造禁止ないしは許可にする、こういうものでございます。先生御指摘のように、労働省ではそれ以外の有害物について、たとえば電離放射線とか、あるいは鉛とか、それぞれの特別規則をつくっておりますけれども、これは人体になるほど影響を及ぼしておりますが、五十五条ないしは五十六条で禁止しておりますガン原性あるいは発ガン性物質と違いまして、若干の曝露があり得ても、たとえば許容濃度以下であれば、それはよろしい、こういうものでございます。 具体的にあげますと、たとえばカドミでいいますと〇・一ミリグラムパー立米の気中濃度ならばけっこうです。そういう許容濃度をきめておりますものと、全然曝露してはならないというものとでは違うわけであります。 ただ、いま御指摘の健診の結果の有所見者率でありますが、ベータナフチルアミン等につきましては、この十数年間非常にきびしい指導をやっております。かつ、それを使用ないしは製造しておる事業所が少ないために、その点についての有所見者率がない、こういうことではないかと思いますが、一方、それ以外の有害物につきましては監督指導が不十分なために、先生御指摘のような有所見者率というものが出ておりますので、この点につきましては今後行政を充実いたしまして、そういう有所見者の減少につとめてまいりたいと思っております。
○橋本(龍)委員 私はこれが悪いと言っているのではないので、むしろどこまで指定されるつもりなのか。むしろいままで私どもが伺っていた説明では、発ガン物質またはガン原物質のみに限るというお考えであったと聞いていましたから、それ以外にも指定すべきものはあるのじゃないかということを実は申し上げたいわけなんです。ですから、皆さんのほうで現在その中毒症状は根絶をさせるのだと言っておられるものの中の、たとえばニトログリコール、四アルキル鉛、二硫化炭素、有機水銀、臭化メチル、沃化メチル、有機燐、フタロジニトリル、五塩化石炭酸による各中毒、ベンジン、また、いまのベータナフチルアミンによる膀胱ガン、これらを根絶するのだ、ゼロにするのだと言っておられる。そうすると、大体いままでの、いま読み上げましたようなものが有害物質として皆さんがその指定をされるようなものだと考えてよろしいですか。必ずしもそうではないのか。
○北川(俊)政府委員 有害物質として指定するという意味がちょっと私理解ができないのでございますけれども、この法律で五十五条ないしは五十六条で製造禁止ないしは製造の許可制をとるものにつきましては、あくまでも労働者の身体に重度の障害を与える、もしくはそのおそれのあるものに限定をして、それ以外の有害物につきましては気中濃度の限度を定める、あるいはそれに対する防護措置を徹底するということで、防護措置について片一方は禁止、片一方は使うことは認めるけれども、それに対する制約あるいはそれに対する防護措置の徹底というような取り扱いのしかた、いわゆるその身体に対する影響度、危険度によって差別をつけたいと思っております。 なお先生御指摘のように、いまわれわれが考えております発ガン性、ガン原性に限定して、将来ともずっとこれを維持するという考え方はございませんで、身体にやはり重度の障害を与えるとか、あるいはそのおそれがあるものがほかに出てまいりますれば、当然製造禁止ないしは許可制の物質の中に追加をしてまいりたいと思います。現在のところ、労働省で特定化学物質等障害予防規則等で取り扱っております有害物質、たとえば鉛とか先ほど御指摘のものにつきましては、まだそこまでの有害性というふうには認めておらない、こういうことでございます。
○橋本(龍)委員 そこまでの有害物質とは考えておらないと言うけれども、現実に微量重金属による事故は起きていますね。有害物質として相当な問題が出ているはずだ。そうしてしかも、むしろ微量重金属の関係の場合には、長期に人体に蓄積した場合の影響というものも、それこそ非常に悲惨なイタイイタイ病のような一つの例をとってみても、いま予知し得ない問題を生じる可能性というのはあるわけです。 いまのあなたの御説明を聞いていますと、五十五条の条文の「重度の健康障害を生ずる物」と、五十六条のほうで「重度の健康障害を生ずるおそれのある物」を使い分けられた。そうすると、そのいま言われたような区分からいうと非常に危険度の高いもの、いまの時点で考えているガン原物質または発ガン物質のようなものだけを一応製造禁止の対象に考える。そして鉛その他微量重金属関係等のものは、むしろ五十六条のその許可制の対象として考える、そう区分していいですか。
○北川(俊)政府委員 私の説明が不十分でございまして、申しわけございませんでした。 五十五条で製造禁止といいますのは、ペンジジンその他局長が御指摘申し上げました発ガン性物質に考えております。これと違いまして、五十六条はガン原性、ジクロルベンジジンあるいはジアニシジンあるいはオルソトリジンというものは、学術的にはガン原性といわれておるようでございまして、これは動物実験等ではガンが出るけれども、これを取り扱って人体に発ガンをした事例がないというようなもので、しかし絶対に人間にこれは発ガンがないかということについては、やや疑問点がございますので、これは製造禁止と別に製造の許可制というものをとっておる、こういうことでございます。
○橋本(龍)委員 いまの部分はなぜしつこく繰り返してお尋ねするかといえば、六十七条の健康管理手帳の中身にもかかわる部分なので、それじゃもう一つだけ繰り返してお尋ねいたします。 その場合に、労働者は砒素は一体対象にされますか。その場合は五十五条の対象にされますか。五十六条の対象にされますか。
○北川(俊)政府委員 砒素につきましては、現在特定化学物質等障害予防規則の対象物質、第二類物質として取り扱っております。
○橋本(龍)委員 それではいまこの五十五条、五十六条から飛ばして六十七条の健康管理手帳のほうに付随しながら伺いましょう。 この六十七条は「都道府県労働基準局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。」という条文であります。この場合、「労働省令で定める要件に該当する」、あるいは「政令で定める」、私は頭が悪いので、こういうむずかしいこと書かれてもよくわからぬのですが、これは大体五十五条、五十六条の有害物質の製造禁止または製造許可、それで対象にされたような物質を中心として、それに関連のある業務を取り上げられると理解してよろしいですか。
○北川(俊)政府委員 六十七条の健康管理手帳の交付対象者は、ベンジジンまたはベータナフチルアミンの製造等に三カ月以上携わった者ということを予定をいたしております。したがいまして、先ほどの五十五条、五十六条との関係でいいますと、五十五条で製造を禁止されたもの、これについて対象とする。五十六条のジクロルベンジジン等につきましては、密閉式あるいは健康診断のやり方、設備等につきまして条件をつけて製造を許可をいたしますので、その許可をした以上は、健康管理上は十分の注意を払えば、健康障害は防ぎ得るという考え方でございますので、これについては健康管理手帳の対象とは考えておりません。
○橋本(龍)委員 私はそこが非常にひっかかるのです。先ほど微量重金属にこだわったのもその点ですし、実は砒素を最後にわざわざ確認をさせていただいたのもその点なんですが、その場合に、それじゃ製造禁止の対象になるものであれば、むしろ普通必要はないですな。ほとんど試験研究その他非常に特殊な場合にしか使用を認めない。そうすれば非常に特異なケースにだけしかこの健康管理手帳というものは支給されないことになる。ところが発ガン物質あるいはガン原物質といわれるもの、これはその場にたとえば三カ月間いて、その場ですぐに発病するものじゃない。相当長期間たって、それから発病をする。その点からいけば、実は砒素等も同じことがいえるわけです。また許可性のジクロルベンジジンあるいはジクロルベンジジン含有製剤、これはいま動物実験等で発ガン性が見られたが、人体に何らいまのところは所見が見られていないからと言われるけれども、これは人体実験をしたわけではないので、発ガンの可能性というものは学術的にもこれは否定をされていない。そうすると、なぜベータナフチルアミンあるいはベンジジン、これらを取り扱う方のみを健康管理手帳の対象者として、ジクロルベンジジンその他いわゆるガン原物質について取り扱いをする方々は健康管理手帳の対象にされないのか。またもっと手近な事例として砒素等はその対象にされないのか。私は非常にその点はおかしいと思う。首尾一貫しない。現実にこれは直接には公害問題から提起をされた話ではありますけれども、先般来問題にされている土呂久における砒素の問題一つをとってみても、これは完全に、いわゆる公害起因と考えられるケースと同時に、労働安全衛生の上から作業環境内における汚染が問題となって発病したと思われるケースもある。 この健康管理手帳のもう一つの問題点としては、時間がありませんから簡単に申し上げますけれども、労働安全衛生の上で対処すべき疾病と、一般の病因に起因する疾病と、あるいは公害起因疾病、この辺非常に分離しにくい性格があります。これは、お役人は頭のいい方がそろっておられるのですから、当然それはちゃんと振り分けておられると思うのだけれども、しかし、しろうと目に考えてみて十年、二十年先に発病するその病因が、短期間、三カ月や四カ月で健康管理手帳の対象になるとするなら、携わった業務によって発生したガンであるのか、あるいはその後における何らかの原因によって引き起こされたガンであるのか、その方の寿命の中で出てきたガンなのか、これは区別ができないのですね。ところが、こういう健康管理手帳というものを出される以上、相当広範囲に、将来においてはガンの患者に対しては、労災対象として考えていかれることになるのでしょう。労災対象という言い方はいいかどうかわからぬけれども、その場合に、それでは同じような問題の考えられる砒素その他、あるいはガン原物質、これに対してなぜ健康管理手帳は支給されないんですか。
○北川(俊)政府委員 まず初めに五十六条の許可対象になっておりますガン原性物質につきましては、なるほど学術的にややまだクエスチョンマークが残っておると申し上げましたけれども、日本のみならず外国を通じまして、人間がそれを扱いましてガンが発生したという事例がまだございません。その点、ベータナフチルアミン、ベンジジン等は日本においてのみならず、世界各国においてガンが普通の人の六十倍も出る、発生率が疫学的に高いというようなことが発表されておりますので、その点は許可物質、ガン原性と発ガン性の物質とは明確に区分でき得ると思います。 なお、砒素の問題を盛んに御指摘でございますが、砒素につきまして土呂久の問題あるいは最近いろいろの鉱山の廃鉱の問題で、職業病あるいは公害病の問題がいろいろ指摘されておることは、私たちも承知しておりまして、その対象に腐心をいたしておりますけれども、砒素につきましては先ほど申し上げましたように、気中濃度でいいますと、〇・五ミリグラムパー立米程度でいいのです。御承知のように、先生は非常に御専門だから私から申し上げることはございませんけれども、これは一般論で砒素に直接関係した作業をしておらない者でも尿中に砒素が出る。それだけ砒素というものは、われわれの日常生活と密着しておるものでございます。ベンジジン、ベータナフチルアミンのように、気中濃度はゼロで、全然曝露してはならぬものとは違うものでございます。しかも砒素の焙焼炉その他におきます作業環境につきましては、ベータナフチルアミンと違いまして、密閉装置あるいは局所排気装置を備えつければ〇・五ミリグラムパー立米に気中濃度は押え得る。したがって、これから砒素を製造禁示にするというようなものではないと思います。したがいまして、砒素につきましては、それをつくる際に十分な作業環境、よい作業環境にすれば、砒素の製造というものは、これからもやめられないし、またそれを続けていかなければならない、そういうものではないかと思います。 その点につきましては、ベンジジン、ベータナフチルアミンにつきましては、われわれの洋服その他等で染料としてはたいへん必要な物質でありますけれども、それを使いますれば、たとえばドイツのバイエルンの製薬会社等でもあれだけの完全な施設、密閉装置をしても、なおかつ発ガン性の根絶ができなかった。それがゆえに製造禁止に踏み切らざるを得ない。この辺にわれわれの物質の取り扱いについての差異があるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
○橋本(龍)委員 私はせっかく労働省が——これは全体としてたいへんけっこうな法律だと思う。この条文そのものも、書かれていることは、たいへんけっこうなことだと思います。それならば、もう少し幅を広げて、なぜ考えられないのか。むしろこれが私は非常に残念なんです。あなたはそれに非常にこだわられて御議論をされた、発ガン物質とガン原物質について。また砒素の場合においても、作業環境が完全に守られていれば問題は起きないんだと言われた。しかし現実に問題は起きている。私は、それは監督行政が悪いんだなんて言うつもりはありません。これはどれだけ注意を払っても、人間のやることですからミスが起きることもある。それで問題の起こることがある。しかし、せっかくここまで踏み切って健康管理手帳というような制度をつくっていかれるならば、そこまで幅を広げてお考えになってはどうなのか。むしろ現実に、それが作業環境が守られていれば問題は起きないというなら、手帳を交付される手間だけであって、その手帳が使われることはほとんどないでしょう。なぜそこまで幅を広げて考えられないか、私はこの点非常に疑問に思います。 また、特にいまお触れにもなりませんでしたけれども、たとえば自動車の燃料、航空機燃料に、四アルキル鉛、四エチル鉛が添加されておりますが、その毒性というものは非常に問題にされておる。むしろ現在では自動車用の鉛の添加はストップしようという声も出ておる。しかし航空機燃料の加鉛というものは、依然として残っておる。製造も続いておると思います。問題が起きておる。こうしたものは対象にされないのでしょうか。あくまでもガンだけを健康管理手帳の対象にされるのでしょうか。
○北川(俊)政府委員 この五十五条で製造禁止をしましたゆえんのものは、一つは、職場の作業環境の中で曝露されるということが一つの要件であります。それと同時にガンについて特にこういうことを考えましたのは、ガンにつきましては潜伏期間が、長いものは二十五年もある。やめてから毎年毎年健康診断をやっておらないと、なかなか発見がむずかしい。しかも早期に発見しなければ非常に重篤な結果になる、こういうことを勘案をいたしまして、なおかつ、それらのものについてはいかなる防護措置をやっても健康被害、障害を防ぎ得ない、したがって製造禁止にする。いま申しましたもろもろの要件を勘案して、製造禁止とうらはらの形で健康管理手帳の交付、こういうものを考えておりますので、それ以外の四アルキル鉛とか、そういうものにつきましては、それを使う段階で防護措置を十分にやるということを徹底すべきでありまして、それが不十分であることを前提として、健康管理手帳の交付対象にするということは、適当ではないのではないかと思います。
○橋本(龍)委員 もう時間が来ましたからやめます。やめますが、現実に、先ほど特殊なものの健康調査を皆さんがおやりになった。その特殊健康診断の結果から見ても、守られているんだというものについて相当な有所見率が出ておる。しかも先ほどあなたはベータナフチルアミンなんかはたいへん注意が行き届いたから、有所見率ゼロになったと言われた。たいへんけっこうなことですけれども、それなら現実問題としては、その四アルキル鉛一つを見たって、有所見率はりっぱに出ておる。そのほか微量重金属関係その他についても、非常な有所見率が見られておる。あなたは理論の上で、それが守られれば起きないと言われる原因物質で、相当な有所見率が見られておる限り、私はせっかくこういう制度をつくられるならば、発ガン物質のみに健康管理手帳の交付対象者を限られることなしに、むしろそういう点までカバーされることがほんとうは親切だと思います。しかし、この点は労働省として、どうしてもそういうふうにしていくんだといわれるなら、私はこれ以上あえて議論はしません。しかし将来にわたって、これから先この対象として取り上げていく範囲はできる限り広げていき、より多くの幅をカバーしていくことを考えていただきたい。この点だけは申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 将来の問題につきましては、五十五条物質と同性質のものが将来出てこないとは断定できないわけでございまして、同様なものが出てまいりますれば、その対象に加えていく。こういう考えでおるわけでございまして、先生の御趣旨を十分体しまして今後法律の運用に当たりたい、かように存じます。 ————◇—————
○谷垣委員長代理 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 過般、福岡の県政の問題について亀井県政が県政を壟断をしておる、こういう話がありまして、調査に参りました。ところが、その調査に対して、一つは私的な調査団である。もう一つは法的な根拠がない。そして地方自治は地方自治体にまかせておけばいい、こういうようなことで実地調査を実質的には拒否をされました。そのことについて、まず第一点に、政務次官のほうからどういう御見解になっておるのか、お伺いをしたい。 承るところによりますと、自治大臣のほうは県知事に対して仲介の労をおとりになったようであります。しかし、それが無視をされたといいますか聞き入れられないで、会見を拒否なすった。このことに対して自治省としては一体どうお考えになっているか。まずこのことをお伺いしたい。
○小山政府委員 福岡県の組合関係の問題につきまして調査に参りました件について、県知事が拒否の態度に出たということでございますが、私どものほうに報告を受けております範囲におきましては、たまたま県議会開会直前でございましたし、かつ突然のお申し出であったということ、予定のスケジュール等がございまして、残念ながら調査団の人と会うことができなかった。したがって、代理の副知事がかわってその調査団の人とお会いをするというようなことで、御了解をいただきたいという申し出をしたと承知しております。 なお、大臣から電話でお話をされたというような問題につきましては、調査団の構成がたいへん多数のようでございましたので、その点について大臣が、もう少し人員を整理されたらどうかというような私見を申し上げたというふうに聞いております。
○山本(政)委員 いま次官のほうからお話がありましたけれども、県議会における知事の答弁を二、三点私読んでみます。 「三月一日と二日に行なわれました社会党、総評調査団あるいは共産党等の調査団の性格の問題でございますが、国会の調査権というのは、国会法に規定されておりますように、各委員会で議決を経まして、議長の許可を得まして、調査が行なわれるのでございます。したがいまして、一政党あるいは一労働組合の調査というものは、これはあくまでも私的な調査であるというように、私等はこの調査団については考えております。」 ということで拒否をされているのが実態なんですよ。日程は三時以降はあいておられたのですよ。二日の日は三時まではお忙しいということは私は認めます。ですけれども、三時以降はスケジュールはあいておるんです。そんなことは私のところできちんと押えていますよ。その上での質問です。もう一度お答え願いたい。
○小山政府委員 県知事が三時以後あいておったかどうか、まあそこまで私ども知事の行動について十二分に承知はいたしておりませんが、確かにいま御指摘になりましたように、調査団の公的な資格と申しますか、そういうものはお話のように公式の調査でございませんから、知事がそのような見解をたぶん県会の答弁の中で言われたんではなかろうかというふうに私、理解をいたしているわけであります。
○山本(政)委員 じゃお伺いいたします。政務次官は一体どのようにお考えになっておるか。私どもの調査団に対して、三時以降少なくとも時間があった。そのときに政務次官、もしあなたが亀井知事であったとしたらお会いになったかならなかったか。会うべきであるとお考えになったかどうか。 なおもう一つ。副知事が二名おります。副知事を一名お会いするように出したと、こうおっしゃっているけれども、この人は労使の関係では非常に悪かった副知事であります。そういういきさつがあるから、私どもお会いすることができない、こういうふうに言ったわけであります。
○小山政府委員 私も県のその事情というものはつまびらかでありませんから、そのときの事情というものをいろいろの点からしんしゃくして、会われるか会われないか判断をいたすものと思いますが、その辺の事情を私ども十分承知しておりませんから、私から会うとか会わないとか、そういう可否について申し上げることはどうかと思います。
○山本(政)委員 林さんお見えになっていますね。はっきりこう言い切っているんですよ、知事は。あなた耳打ちをされているようだから、あなたに直接聞いたほうがよさそうだから、私はお伺いするのですが、いま申し上げたように「法的な根拠があって、調査に来られているわけじゃございません。したがって、これに応ずる義務が私どもにない」なるほど義務はないかもしれない。義務はないけれども、あれほど大量処分を出し、支配介入をやった。これはあとで私申し上げますが、そのことに対してわれわれが調査に行ったときに、知事としてそれに応ずる責任はないのかどうか。つまり県の行政の最高の担当者としてそういう責任はお感じになるべきでないかということに対して、あなたはどうお考えになっているか。
○小山政府委員 先ほどお答えを申し上げましたとおり、県のいろいろなスケジュール等がありました関係から、私はたぶん、まあ自分と一心同体に近い副知事を自分の代理として、そういう調査に来られた方に御説明を申し上げるために派遣をしたものだというふうに考えておりますので、その辺はその当時の県の事情というものを十分承知いたしませんと、その可否について私ども言明がしにくいのでございます。
○山本(政)委員 再度お伺いします。それじゃ時間があったら会うべきですか。私どもが前もって時間の余裕を置いてお知らせしたら、会うべきでしょうか会うべきでないでしょうか。時間がないというお話なんだから、時間があったらどうなんです。
○林(忠)政府委員 会うべきか会うべきでないかというのは、私のほうから申し上げるのははばかりたいと思いますが、県会での知事の県会議員の御質問に対する御答弁のうちでは、こういう調査はもっと前もって調査の要点その他についていろいろ連絡をしていただければ私は協力する用意があるということを言っておるという事実はあります。
○山本(政)委員 地方自治体をあなた方は指導するお立場にある。そういうことからいって、あなた方のお考えはどうなんだろうか。それを聞いているわけです。
○林(忠)政府委員 一般的には、地方自治体の労使関係については常によく話し合うということが必要だと私は考えております。ただ、この福岡県の今度の調査団について会うべきか会うべきでないかということについては、見解は遠慮さしていただきたいと思っております。非常にいろいろ微妙な問題もあるように聞いております。
○山本(政)委員 いろいろな事情があるようだからという、その事情を聞かせてください。そして、あなたが答弁を控えさしていただきたいという理由を私は聞かせてもらいたいと思います。
○林(忠)政府委員 私のほうも今回の調査団に対しての報告を概略聞いておるだけでございまして、詳しく聞いておるわけでございませんので、そのいろいろな事情というのも、いまつまびらかに具体的に申し上げるだけの資料を持ち合わしておりません。まことに申しわけございませんが、これに対しての判断は控えさしていただきたいと存じます。
○山本(政)委員 きょうは私は少しいやなことですけれども、あえてお伺いいたしますから……。 労政局長にお伺いいたしたい。亀井さんという人はあなた方の先輩であると思うけれども、福陽会というものをつくって、そしていろいろなことをなさっている。あとで私は質問申し上げたいと思うけれども、それは——これは新聞であります、福陽会の新聞。この人が回顧談をずっと書いておられる。当時亀井さんは労政局長であります。私は過去のことをほじくってどうこうするということではなくて、私がいまから申し上げる亀井さんの態度が実は県政というものに対する姿勢になっているだろう、こう思うから、そのことに対する見解をお伺いするわけであります。 ここにこう書いてある。一回、二回、三回、いままでにいろいろなことで決断をしたことがある。そして、「第三の決断は労働省の労政局長時代、三井三池の大争議のときに致しました。これは世界の労働運動史上まれな大事件でありました。八月の十七日に仮処分執行命令の期限が切れました。ホッパーを中心に総評系、炭労系の何千という人々が坐りこんで命令実施の阻止を致しました。」こういうふうにいっている。「私は辞表を懐ろにして当時の柏村警察庁長官に会い一万二千人の警官を動員しよう、血を流してもやむを得ない、」こういっておるのです。そうして当時は池田内閣だったと思います、小坂善太郎さんが当時の亀井労政局長のところへ行って、「池田内閣の発足早々に血を見るのでは縁起が悪い、何とか流血の惨だけは避けて欲しい」こう言ったという。それでここに書いておることは、涙をのんで計画をやめたというのですよ。当時の県知事は鵜崎さん。知事も総評も炭労も、そして当時の委員長はたしか鈴木茂三郎さんだったと思います。あらゆる意味で各界の指導者の人たちが流血の惨を免れようと努力をしているときに、当時の亀井労政局長というのは、流血の惨をおかしてもやむを得ないということで動員をしたというのです。 そういうことに対して、労政局長としてあるべき態度なのかどうか。あなたはいま労政局長であるのですから、つまりその当時の状況というものは十分に御承知ないかもしれぬけれども、しかしこの文章から察する限りは、ほかの人が流血の惨を免れようとしているときに、この人は流血の惨を見ても、やむを得ないという態度だった。そういう労政局長の態度というものは正しいかどうか。このことだけを聞かせてもらいたい。
○石黒政府委員 私、三池争議の当時は日本におりませんでしたので、当時の状況はよく存じません。またただいまお読みになりました新聞の全体の文章がどうなっておるかも存じませんので、あるいはお答えが的をはずれているかもしれませんが、もちろん流血の惨というのは、できるぎりぎりまで避けなければならないというふうに、最後まで努力をするということは当然のことであろうと存じます。
○山本(政)委員 政務次官、いま労政局長はできるだけそういうことは避けなければならぬ。その人の態度が実は県政にあらわれているのですよ。そういう基本的な考えを持つ人がおるから、今日の福岡県の労使の関係というものがゆがんだ形になっている。 林さんにちょっとお伺いいたします。地方自治体で決算書類というのは一体どのくらい保管するのですか。
○林(忠)政府委員 議会への決算報告書そのものは永久保存だと存じます。ただその決算報告書につけるべきいろいろな添付書類、これはそれぞれの団体で、その書類の種類に応じて三年保存、五年保存、十年保存というようなきまりがあると思います。
○山本(政)委員 福岡県の規定では、決算書類は五年。私、調べたのですから。文書規程であります。そして私が行ったときに見せていただいた決算書類というのは正本であります。昭和四十六年三月四日の決裁である。ですから四十六年度の決算書類ですね。そうでしょう。
○林(忠)政府委員 四十六年三月五日に決裁をしておる書類とすれば、四十五年度の決算かと存じます。
○山本(政)委員 私が参ったのは、四十七年三月一日、二日だったと思います。決算書類が破られておりました。遠賀福祉事務所長藤律次所長、私自身が確認をいたしました。そのときに——あとで見つかったら私お見せいたしますけれども、私のところへ書類が回ってきて、県のほうから上司が見えている。だから傍聴させていただいてよろしゅうございますかという紙きれが私どもに回ってきました。だから私はけっこうでございますということで中に入ってもらいました。各別はあとで調べてあれいたします。その人がおるときに私に見せた書類でありますから。そして私以外には小柳さんもおりました。だから、これは証人がおるわけであります。 公文書を破棄したら一体どんなになるわけですか。これ、公文書の破棄になりますね。公文書破棄といいますか、そういうことになりませんか。決算書を破って、そして中で書類を抜いておるわけですから。それで抜いたやつについては、もとどおりこうしているわけですよ。
○林(忠)政府委員 その書類がいかなるものか私も全く存じませんので、公文書破棄になるかどうか、ちょっと判断がいたしかねます。
○山本(政)委員 決算書類と私が言っているでしょう。決算書類だったら一体どうなるんです。
○林(忠)政府委員 決算関係の書類というのは非常にたくさんあると思いますけれども、ほんとうの決算報告であれば、それは県で一部つくって議会に出す場合の正本で、おそらく出納局その他にあるものだと思います。それをつくるためのいろいろな資料が各出先機関にいろいろな形であるのかと存じます。それがいかなる書類であるかは利はちょっと申し上げかねますが、決算報告の正本であれば、まさに公文書であると存じます。
○山本(政)委員 遠賀福祉事務所における決算報告書となっておりました、私が見たものは。
○林(忠)政府委員 それだけ伺っただけで、私もその書類の性質をちょっとつまびらかにいたしかねます。どういう手続でどういう書類を出納長のところに集めて、どういう手続をとって正式の洋算書になるか、私ちょっと実務にうとくてわかりかねますが、先生おっしゃいます出先の書類というものが、どういう性質のものかちょっと判断いたしかねます。
○山本(政)委員 だから私が申し上げたように、遠賀福祉事務所における決算報告書であれば、そしてそれが正本であれば、どうなりますかと聞いているのですよ。もしそれが仮定の問題であるならば、仮定の問題でもけっこうですから、それをお答え願いたいと思います。
○林(忠)政府委員 県で決算をつくります場合に、どういう書類をどこからとって、それをどこでまとめて正式の決算報告書にするかというものは、それぞれの文書手続であると思うのでございますが、福岡県の場合に、出先からのその部分の報告書がはたして決算報告書そのものなのか、それはおそらくそのものでないと思います。それらが決算報告書をつくるときの一つの資料としてとられたと考えるわけでございますが、そういう資料に対する取り扱いというものは、ちょっと私つまびらかにいたしかねます。
○山本(政)委員 あれこれあなたが言わぬで、私がお伺いしたことについて答弁してもらいたいと思います。 つまり、いま申し上げたように、決算報告書の正本であったら、一体どうなりますかと聞いているわけですよ、遠賀福祉事務所の。それだけ答えてくれればいいんです。あれこれ答える必要は何もない。
○林(忠)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、その遠賀福祉事務所の決算報告が正本であったといたしましても、その正本の性質が私いま判断いたしかねておるわけでございます。
○山本(政)委員 それじゃ文書上、文書規程によって保管すべきものであったとしたら、問題になりますか。
○林(忠)政府委員 文書規程で公文書として保管すべきものであれば、おっしゃったとおり問題があると存じます。
○山本(政)委員 私が調査した中で、なぜその文書を提出願ったかというと、福岡の遠賀事務所というのは所長のところに電話があります。そして所内の電話というのは、全部ベルが鳴ったら、そこの受話機をとれば所内の職員の通話が全部筒抜けに入ってくるわけです。そしてこれは藤所長も私に対してそのことを認めておる。私は盗聴じゃないかと思う。それは盗聴になりませんかと言ったら、いいえ傍受でございます。こう言ったのです。傍受であろうが盗聴であろうが、私は実質的に変わりはないと思う。そうして実は私が疑問に思ったのは、その工事に対する仕様書がほしかったから、見せていただきたかったから、それを見せてくださいと言ったところが、それがない。報告書の中にちょっと破ったあとがある。 第一番目に労政局長にお伺いしたいことは、所員の電話が筒抜けに——要するに盗聴でなくて藤所長の言う傍受であってもけっこうでございます。そういうことをやり得るということは違法であるのかないのか。 第二点は自治政務次官にお伺いしたい。先ほどの話じゃないけれども、急に言われてもだめだと言っている。だめだと言っているのだけれども、四十七年の二月二十五日に調査団が行くということは大体わかっているのです。そのときにそれを切り落としておったということですよ。いいですか。第一番目に、亀井さんが一日前に言われても、あるいはその当日に言われたってしようがないと言うけれども、二十五日にそれだけの準備がなされている。亀井さんのおっしゃっていることも筋が立たぬ。しかし問題は、そういうことをやっていいのかどうか、政務次官それから労政局長にお答えを願いたいと思う。
○石黒政府委員 電話の場合に親子電話のようになっておりまして、一つの受話器でしゃべっていることが、もう一つの受話器でも聞こえるという装置になっていることは間々あるわけでございまして、私の役所にもございます。その場合、他人の話を盗み聞く、いわゆる盗聴というようなことが穏当でないことはもちろんでございますが、違法かどうかという点につきましては、私は電信法につきましては十分承知しておりません。
○山本(政)委員 労政局長、電信電話法では盗聴傍受は違法になっているのですよ。それじゃ政務次官お願いします。
○小山政府委員 そうした公文書を破棄した者がだれであるか、私どもまだそれらの点につきましては県庁から全然報告を受けておりませんから、あるいは破棄したものか最初からなかったものか、いま先生の調査では破棄したあとがあるというような御指摘でございますから、あるいはそういう方法をとったかしりませんが、私どもとしては一応それらの事情を調査申し上げませんと、ここでにわかにその可否についてお答えを申し上げることは、お許しをいただきたいと思います。
○山本(政)委員 次官、電話を傍受するか、盗聴か、私は盗聴ということばをあえて申し上げませんが、傍受するのがいいか悪いかということはどうなんですか。
○小山政府委員 それは御指摘を待つまでもなく、いいことではないと思います。
○山本(政)委員 この藤所長という人はあなた方の答弁と違うんですよ。傍受してもいいと言っているんですよ。私はちゃんと書いてきた。その書きとめたものを持っているのですよ。個人の通信の秘密を侵していいのですかという問いに対して、場合によっては許されると言っている。私がわからぬのは、さっきの決算報告書でありませんけれども、なぜ電話を秘話式にしたのかわからぬ。そのことだけでも公務員としての資格は欠格でしょう。行橋にもほかの事件でありますよ。そういうのは亀井県政至るところにあるのです。そのことに対しては処分も何もなさっていな。しかも福岡県はあなた方にそういう報告をなさらない。林さん、にやにや笑っているけれども……。
○林(忠)政府委員 その事務所で一階の電話を二階で聞けるようになっておって傍受したということについては、実は県から報告を受けておりますが、県の報告によりますと、何か一階と二階の事務連絡が非常に悪いので、そういう種類の電話をつけたのだけれども、つけたときは受話器をあげれば話を全部聞けるということは知らなかった。そして現実に下の話を聞いたことがある。しかし、これは非常にぐあいが悪いということなので、今度は聞こえないように改造をしたのだ、つまり盗聴の意思を持っていたのではないので、たまたま盗聴できるような機械になってしまったので、それの悪いことに気がついて直したのだ、こういう報告を聞いておりますが、私のほうではそれしか存じておりません。
○山本(政)委員 組合の追及にあって、そして変えたのじゃありませんか。あなた方は労使の関係がこれだけ紛糾しておる中で、組合のほうから一ぺんでも報告を受けたことがありますか。ありますかないのか、それだけを返答しなさいよ、にやにや笑わないで。
○林(忠)政府委員 組合のほうからもいろいろな問題について聞いております。
○山本(政)委員 では、その電話のことについて聞きましたか。
○林(忠)政府委員 その電話のことについては、直接まだ聞いておりません。
○山本(政)委員 大きな問題になっていることでしょう。問題になっておったら、なぜ一方の話しか聞かないのですか。
○林(忠)政府委員 まだ組合のほうから問題についてどういうことになっているか、まとまった御報告を受けておりません。県のほうから今度の調査で問題になったようなことについて、概略の報告を、先ほど申しましたように受けておりますけれども、詳細なことはまだ受けておりませんし、どこでどういうやりとりがあったかということも正直な話まだ受けておりません。
○山本(政)委員 この電話があなたのおっしゃるように、他人のものが傍受できないようになったのは何カ月かたったあとですよ。二日や三日じゃないのです。そして私が行ったときに所長は答弁をなさらなかった。電話をかけて、そしてあれこれ指揮をして、そして自分から出向いていった事実もあるのですよ。そういうことに対して一方的に県のほうからは、私が言って初めてあなたはおっしゃった。聞いたことがありますと言った。一事が万事じゃありませんか。 もう一つ、福岡県の民生部長から福祉事務所あてに「社会福祉施設職員等の海外渡航研修計画に伴う被研修者の推せんについて」というのがある。ここには判を押してありますけれども、判が抜けているのです。係長、次長の判は抜けているのです。しかし回覧のところにはちゃんと判こを押すようになっている。これは財団法人の中央競馬社会福祉財団によって、昭和四十五年度から社会福祉法人関係の施設の職員の海外渡航研修を実施されておるということなんです。それで、これが出たわけです。出て、十二月十八日、上のほうからこれが出されておるわけです。そしてこれは十二月二十一日に該当者がおりませんという返答をしているわけです。ところが該当者がおるのですよ。該当者というか希望者はおったわけです。ところが希望者は、おまえは組合員だからということで、資格がありませんとして断わっているのですよ。所長と私との話し合いの中にその人がちゃんと出てきた。そして行かしていただけないだろうかという話をした、行きたいという希望を述べたのを、所長はおまえにはその資格がない、こう言ったのですよ。その人は二回それをやられているのです。ところがこの文書の中には、希望者があったら別紙要項により慎重に審査をしてほしい、こういうことなのです。だから私は、審査をした結果、おまえはだめですよ、こういうことなら話はわかります。しかし申し出てきた目の前で、会談のところで、だめだ、おまえは。こういうやり方というものは、管理者としての正当なあり方なんだろうか、これは林さんどうお考えになりますか。
○林(忠)政府委員 その事実は全く初耳でございます。私いま初めて伺いましたので、事実どういうような経緯であったかは存じません。先生おっしゃるように、希望者があれば出せというのであれば、希望者として出すべきであると存じます。
○山本(政)委員 私は、いま電話の話と海外渡航の話だけした。これだけでも遠賀の福祉事務所長というものの管理者の態度というのは、私はなってないと思うのですよ。 もちろんあなた方は聞いているでしょう。目まいがして倒れたけれども、医者にも見せなかった。私が現場に行ったときには談笑しておりました。私が、いまからお話を伺いたいのだけれども、何かだいぶトラブルがあったようだが、からだのほうはいいのですか、こう聞いたら、いや元気です。こう言うのです。それから私は一時間後にあらためて藤さんとお会いをした。ところが藤さんはからだのぐあいが悪いのに不当に云々したとかいうようなことで——これは訴えられておるそうであります。しかし、少なくとも私の目から見たら、そんなことはない。 先ほども私はある政府関係特殊法人の人に来てもらったけれども、何か既成事実をつくっておきながら、そうして不当に上司のほうが被害を受けたようなやり方をすることを、このごろあちらこちらで私は耳にするのですよ。そして県の総務部長も、皮肉な言い方かもしれないけれども、どうもそのことを推奨されているような気がしてならない、山崎総務部長が新聞発表をやっているのですから。一体そういうところにいい労使関係が生まれると思いますか。政務次官どう思いますか。
○小山政府委員 いま御質問の範囲でありますと、具体的な事実が私どもまだ十分わからないわけでございますから、そういう場合に私どもで判断をいたすことが適切であるかどうか、一応いま御指摘になりましたような問題について、私どものほうに報告だけは来ておるわけであるが、その報告は、いま先生からお話しになりましたように、言うなら一方的報告と見られがちになるわけでありますが、われわれは一応その報告に基づいて判断をしなければならないという現状でございます。その報告によりますと、健康の問題から診断を受けたいというふうに申し出たが、監禁をされて、その申し出が届かなかったというような報告を一応私ども受けておるわけです。したがって、まだ今日の段階におきましては、私どもそれらを一応基礎としていろいろ判断はいたしておりますけれども、現在まだ、的確に私どもが自信を持ってこうだと御答弁申し上げるほどの実情に至っておりません。
○山本(政)委員 私どもは何班かに分かれて行った。分かれていった先の所属長は全部出張命令が出ているのです。その事実はもうすでに林さんは御承知だと思う。出張命令を出しているのです。なぜなら、われわれが行くから会うな。不当労働行為なり支配介入をしていなければ、なぜ堂々と会うことができないのです。労使関係に対してきちんと誠意を持って当たっておるならば、何も恥じることもないし、逃げ出すことも、出張命令を出すこともありませんよ。会うべきじゃありませんか。しかし、それが県の命令で全部出張命令ですよ。だから、下部の人たちが、調査団が来るのに会ってほしいと言うのが、それが監禁になるのか。あなた方、どちらをおとりになるのですか。私に言わしたら、悪いことをしているから会わしたくないのです。 いまから質問するけれども、福陽会のことについて出ているのですよ。たとえば亀井さんは福陽会というものを壟断しているわけだ。福陽会というのは県の職員の幹部、そして県の職員たちを包含した組織ですよ。役員は全部県の人である。いいですか。会長以下二十数名あるけれども、職場名から言えば、農政課の総括係長、消防災害課の災害対策係長、甘木農林農畜産課長、門司財務総務課長、農業技術課肥料機械係長、医務課事務主査議会出向、広報室広報係長、 こういうものが入っているわけだ。この人たちを使って県政を聖断しようとしているから、われわれの調査団に対して会わせることができないのですよ。これことごとく県の職員の幹部もしくは職制じゃありませんか。こういうことが一体許されるのかどうか。労政局長は福陽会のことについて何かお伺いしておりますか。
○石黒政府委員 福陽会につきましては、私どものほうは、そういう職員の任意団体が昭和四十四年ですかにできて、会員が二、三千名おるという程度のことを承知いたしております。
○山本(政)委員 それじゃ、労政局長にお伺いいたします。 少なくともこの構成員というのは第三者の構成ではありません。県の職員、しかも役員はほとんどが職制。それから幹部に準ずる人たちもおります。第三者の構成ではない。しかも利益をもって誘導している事実がある。指摘をせよと言われれば、私はここにこれだけのものを持っておる。事実関係を持っております。地位利用じゃないのか。 第三番目に、役職にある者が組合役員を立候補させているのですよ。これもだれがだれにどうしろと言った事実がここにある。しかも会則があり、会費がある。福陽会が自発的、任意的に設立されたものであり、亀井さんがおっしゃるようなものであるかどうか、はなはだ疑問があるわけであります。ある意味では第二組合的な機能を果たしているとも言えるわけですよ。県庁の中においてこういうものの存在が許されるかどうか、この辺の見解はどうなんですか。
○石黒政府委員 県職員がいかなる規律に従うべきかにつきましては、私どもその立場上、正確なことを申し上げ得る立場にございませんが、県の職員が任意団体をつくるということ自体は結社の自由の一種でございまして、それ自体が悪いというふうには言えないと存じます。
○山本(政)委員 それでは、私が先ほどお伺いしたように、そこでその会の役員が組合の役員に立候補させたり、そういうことをするのは一体どうなのか。そして、仮定の問題でけっこうであります。あなたのお答えの中で、もしということばをお使いならば、それでもけっこうでありますが、利益誘導か何かしている事実があるとするならば一体どうなのか。そのことをちょっと御答弁いただきたい。
○石黒政府委員 任意団体の者が、労働組合のあり方につきまして、あるいはその人選等につきまして発言をするということ自体は、これは別にどうということはございません。しかしながら、もし労働組合であった場合には、経営者の意向を受けて労働組合の内部に発言をしていくということになれば、支配介入という問題が起こります。福陽会につきましては、私詳細に存じません。
○山本(政)委員 これは公務員部長も、それから政務次官もお聞き取り願いたい。 地位利用という事実があるのですよ。地位を利用して、そして役職にある人たちが組合員を立候補させておる。会計監査を二名、おまえのところで出せということで、それを上司のほうから、福陽会の幹部のほうから言っておる。それは、いま労政局長の言うように、もしそういう事実があれば、これは間違いのはずなんです。だけれども、それが現実に行なわれておる。そのことに対しては、あなた方はどうお考えになっておりますか。
○林(忠)政府委員 何度も同じようなことを繰り返してまことに申しわけございませんが、今回の調査の件に関しては、どういう点を調査されたか、それに対する一応の県の考え方という、一応の県の報告だけしか受け取っておりませんし、自治労のほうからまだ詳しい話も伺っておりませんし、県のほうでも一応こういうことはなかったという報告が来ておって、はたしてあったかなかったか、そこまでの詳細な調査は全部やっておりませんので、ちょっと私は、価値判断するということは、この際非常にあやまちをおかすことになると思います。いま先生の御指摘の福陽会についても、今回、福陽会についてはいろいろそういう職制的な介入があったとか、いろいろな趣旨において調査が行なわれまして、これに対して県のほうは、そうは言われたけれども、そういう事実は一切なかったという報告だけしかしておりませんので、私もこの現在の県の報告あるいは自治労からのいろいろな話その他を総合的に詳しく聞いておるわけではございませんので、何とも判断いたしかねるというのが事実でございます。
○山本(政)委員 それじゃ、自治労のほうから話を聞くという御用意はあるわけですね。
○林(忠)政府委員 この問題に関しては福岡県自体の問題でございますので、福岡県当局と福岡県の職員団体その他において解決すべきものはそれぞれ解決すべきだと存じております。ただ自治労のほうから福岡県について、こういうことがあったというお話があれば、それは喜んで承りたいと思います。
○山本(政)委員 これは福陽会の新聞でありますが、重ねて申し上げますが、亀井さんはこうおっしゃっておるのですよ。「福陽会三千の同志こそ私の親衛隊と確信し、誇りに思っています。」こういっている。そして県議会の質問には、ユーモアを解さぬ、こう言っておるのです。自分の言うことにもし瑕疵があった場合に、すべてユーモアであるから、こう言って逃げるのだったら、言われた者はたまったものではない。労使の意思疎通が十分にされるということなら、そういうふうに心得ておるということなら話がわかるけれども、親衛隊というのは一体何事なんです。都合の悪いところは全部ユーモアで解消してしまうわけですか。親衛隊という考え方について、一体そういう考え方がいいのかどうか。この答弁はあるいはむずかしいかもわからぬけれども、労政局長、どうなんでしょうか。親衛隊なんというとらえ方というのは、三十年ばかり前にさかのぼっておるのじゃないかと私は思うのです。
○石黒政府委員 親衛隊ということばは、御指摘のとおり昔はやったことばでございますが、任意団体につきまして、同志とか、あるいはたいへん仲がいいんだとか、意思が疎通するということを知事さんが言われること自体につきましては、私は特別申し上げるべきことはございません。
○山本(政)委員 親衛隊については、やはりいわく言いがたしの答弁だと思うのですよ。こういうことがぬけぬけと言われているのです。組合活動を電話で盗聴する、これもたいへんな所長だと思うのですが、福岡県にはこういうのもあります。人事管理員という制度がある。これは林さん、御承知ですか。
○林(忠)政府委員 承知しております。
○山本(政)委員 私はほかの県についても調べました。人事監察係というのは他県にもあります。しかし、それ以外に人事管理員というものを置いて、そして組合員あるいは職員の話を盗み聞きして、これを御注進、御注進ということで上司に御報告する。いわば密告制度でありますよ。親衛隊と人事管理員という密告制度、まさにナチスのゲシュタポじゃありませんか。そんなものを置いておって、そういう考えのもとで、労使の関係がはたしてうまくいくかどうか。下を向いてないで答弁してくださいよ。
○林(忠)政府委員 また県の言い分を伝えるだけにすぎないではないかと、あるいはおしかりかと存じますが、私のほうで聞いております人事管理員というのは、何か福岡県には他県にある人事監察あるいは人事考査という制度がないので、これにかわるものとして設けた。それでその職責は、所属長に対する助言、指導、それから事後報告、こういうようなことであるということでございまして、先生のおっしゃるような密告とかゲシュタポというようなことでは全くないという話を県から聞いておるだけでございます。
○山本(政)委員 自治労のほうから、そのことについても、お話があれば聞いていただけますね。
○林(忠)政府委員 自治労のほうから福岡県についてどうだという御開陳があれば、喜んで承ります。
○山本(政)委員 先ほどのお話でありますけれども、私が話をしたときにお見えになった人は本庁民生部保護課長で、同席したいということで、状況視察に参っております、こう言っているのですよ。出張命令で私ども調査団をはずそうとしたけれども、会見をしておるということで、おそらく県のほうから来たのだろうと思うのです。別室に待たせておりますが、いかがいたしましょうかということで、この人がおる前で私が確認をしたものですが、妥当であるかどうか、あなた方ひとつお取り調べ願いたい。そして後日、私のところへ報告を持ってきてください。
○林(忠)政府委員 この問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、福岡県の職員組合と県知事あるいは使用者との問題でございますので、いろいろな問題はできる限り現地で話し合いで片づけていただきたいと思います。私のほうがそれについて調査し、介入し、いろいろ判断を下すことは、できるだけ避けたいと考えております。
○山本(政)委員 そうすると、私はこれを確認する方法がないわけですな。いま私は国会で御質問申し上げている。その国会で御質問申し上げていることについて、あなたは、決算報告書が正規のものであるかどうか、原本であるかどうか、そしてそれが保存すべきものであるかどうか、このことについてはお答えできない、こう言った。そうしたら、どこで私はそういうことを確認ができるのです。国会における質問なんだから……。そのことに対して、あなたはあいまいな答弁をされて逃げておられるのですよ。私はそのことに対して、あなたから確答を得る責任があると思う。そのことでは一体どうなのか。
○林(忠)政府委員 その件に関しては調査をして報告をとりたいと存じております。
○山本(政)委員 亀井さんの県会における答弁の中で、こういうことがあります。「地方公務員法第五十八条におきましては、民間の労働組合あるいは国鉄等三公社の労働組合の労使関係におきましては不当労働行為制度を認めながら、地方公務員法第五十八条では、労組法の適用を排除しておる。そうしてそのかわりに、人事委員会に対する不知益処分に対する提訴という形でこの問題を処理されていることは、法律をごらんになれば、すぐわかるわけであります。したがって、不当労働行為制度というもの、あるいはこれに伴う制裁というものは、民間の労使関係、国鉄を含む三公社にのみ適用があるということをもう一度御理解をいただきたい」こう言われておる。 そこでお伺いしたいのですけれども、そういうことになれば、労政局長、地方公務員は不当労働行為はやられてもいたしかたがないというふうに解釈をすべきでしょうか、どうでしょうか。亀井さんばそういう答弁をされているのですから……。
○石黒政府委員 不当労働行為と名づけられる制度は、労働組合法第七条に規定がございまして、地方公務員については、この規定の適用はございません。しかしながら、地方公務員につきましては、職員団体の活動に対する不利益取り扱いの禁止という類似の制度があると了解しております。
○谷垣委員長代理 山本さん、ちょっとあれですが、おたくの時間が迫っているとき、ちょうど幸いに自治大臣がお見えになっておりますから、もし何でしたら……。
○山本(政)委員 先般の私どもの調査に対して自治大臣が仲介の労をとられたことに対しては、感謝をいたしたいと思うのであります。しかし、せっかくの仲介の労にかかわらず、私どもは知事との会見を拒否されました。その理由については、先ほど私は申し上げたわけであります。時間がないので省略いたしますけれども……。 しかし、いままでの答弁の中で、電話の盗聴の事件がありました。私は申し上げたのであります。遠賀の福祉事務所の所長が部下の電話を全部盗聴しておった、そういう事実があるわけです。林さんのおことばでは、それはいかにも短時日のように、そしてすぐお取りかえになったようなことになっていますが、何カ月もそれはそのまま放置されておった事実がある。気がついたから、すぐ直したようなことをおっしゃっておるけれども、組合の抗議によって直したということも、事実として私は調査をいたしました。同時に、決算の報告書、私は自分の目で見たのでありますが、その書類が破られておるのであります。公文書破棄というのは、これは刑法上の問題にもなると思います。二百五十八条で、公文書破棄は三カ月以上七年以下の懲役という罰があります。そのことに対して、私は刑罰のことは申し上げませんでしたけれども、言をあいまいにして一方的に県の見解だけをお聞きになってお答えになっておる。そういう中で正常な労使関係ができるはずがないと私は思う。しかも亀井さんは福陽会というものをおつくりになって県政を壟断されておるというふうに私は私なりに理解をしております。そして民間の大企業の中では、これは後援会で明豊会というのがあります。県の部長クラスの中では福友会というのがある。しかし、少なくともこの福陽会というのは、県の準幹部クラスあるいは管理職を含めての人たちが役員になっておる。しかもその人たちが組合の選挙に介入をしている事実があるんですよ。労政局長に言わせれば、もしそういうことがあれば違法だ、こう言っておる。しかし、事実としてはここにこれだけのものがあるのです。そういう中では決してノーマルな労使関係というのは生まれてこないと私は思うのです。大量処分、不当労働行為、支配介入というものがあるのです。一体そういうことに対して自治大臣としてどういうふうにいまの実態を私が申し上げた範囲でお考えになっておるか、そして一体どういう御処置をおとりになるつもりなのか。 私は委員長にも要請があります。亀井知事を呼んでいただきたいという要請をいたしたいと思います。あるいはそうでなければ正式の調査団をつくっていただきたいという要請がある。もしそれができないというのだったら、私は反論を持っております。昭和三十五年の決算委員会に生活保護法に関する不当支出ということで三十万円の金に関して鵜崎知事を呼んでいるんだから、呼べないという理由はないはずなんだから、時間がないから結論から申し上げますが、大臣の御見解をひとつ聞かしていただきたい。
○渡海国務大臣 冒頭に述べられました私のあっせんの件でございますが、率直に事情を話させていただきますと、山口委員から電話がありまして、国会議員の方が多数福岡へ調査においでになっておる、知事はこれを拒否しておるというふうな状態である。それでは具体的な事実としてよろしくないから、渡海さん何とかあっせんしてくれたらどうか、こういうことでございました。私も率直に山口委員に、調査団といったようなかっこうでどういう権限があるか、どういうことが起きたか知りませんけれども、ほかの学者とか、あるいは組合の方とか、そういった方と一緒に会われる紹介の労をとる、そういうふうな姿で自治大臣たる私がこれをあっせんするということは困難である。しかしながら、お互いに知事であり国会議員であるんだ、だから議員の方々に対して、そういった意味でなくしてお話し合いをするということで私はお話をしてみる。だから同時に、調査団の方々にもそういうふうな意味でお会いしてくれということを山口君、君からお願いしておいてくれということでお取り次ぎをさせていただいた、こういう事実でございます。いま拒否されたということでございましたが、その後副知事が参りまして、私の聞いたところでは、そういうふうな姿でお会いすることを——これは首藤副知事のことでございましたが、申し入れたんだがうまくいかなんだ、こういうふうな姿で、その間拒否したとか、されたとか、私はその間のやりとりはどうなったか詳細聞いておりませんでしたが、私の言うような意味でも両者の間に話し合いができず、ついにお会いする機会がなかったという姿で終わったということは、後刻山本弥之助君からお聞きしまして承知いたしておるような次第でございます。 なお、いまあと二件ほど事件を申されましたが、どういうふうなことでございますか、詳細な御質問があったのだろうと思いますが、私いまここで件名的に聞かされたものでございますから、ちょっと私、答弁いたしかねます。 ただ第三点で言われました福陽会の件でございますが、私が事務当局から聞いておる限りにおきましては、これは任意団体であって親睦団体であるというふうなことの報告を聞いておりますので、その限りにおいては、何ら私たちが申し上げるべきこともなかろうと、こういうふうな報告を聞いておるような次第でございまして、あとの二件につきましては、事務当局からお答えさせていただきます。
○山本(政)委員 私は私の申し上げた範囲で是非の御返事だけをいただきたいと言うのです。所属の遠賀の福祉事務所の所長が何カ月間も、数カ月にわたって職員の電話を盗聴するということは、あなたの目から見て好ましいことであるかないかということです。数カ月ということについては、林さんもお認めになっておられるわけです。労政局長はそのことに対して、これは行き過ぎだというふうな話をしているわけです。 第二点は、書類についてそういう破棄のことがあった、つまりそれは電話の工事費明細であります。それがないんです。そういうことはあり得べきことなのか。よしやそれがつまり保存をすべきものでないにしても、そういうことは私どもの調査を避けようとしているのか、妨害する行為でないか、こう思うのであります。 そうして福陽会については、あなたのおっしゃるとおり一見任意団体であります。だけれども、そこで幹部クラスあるいは準幹部クラスの人たちが役員になっている。そういう団体が組合の役員に対して立候補しろと、こういうふうに窓通したり、そういうことをすることは、これは私はノーマルではないと思う。もしという仮定がつきましたけれども、労政局長の好ましくないという御返事があった。この三点については、きわめて明快な質問だと思うのです。それを答えていただきたいと言うのです。
○谷垣委員長代理 山本君に申し上げますが、お約束の時間もございまするから、適当に結論を出していただきたいと思います。
○渡海国務大臣 山本さんの御質問でございますが、実はいまきわめて具体的だと、こう申されましたが、この種の事件を具体的な問題としてお取り上げになった場合、自治大臣という立場で直ちにその当否その他をお答えすることは私は避けさせていただきたい。これが全然関係のない抽象的な一般的な例として、こういうふうな場合はどうだという全然事件に関係のないものでございましたら、お答えさせていただきます。しかし、当該具体的な問題に関しては、自治大臣という立場では、また事実、詳細を聞きましてから答弁させていただくのが至当でないか、かように思いますので、せっかくの御質問でございますけれども、私この際、お答えすることを控えさせていただきいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
○山本(政)委員 時間がないようですから、それじゃこれだけお願いしておきたいと思うのです。このことについては、とにかく慎重に善処していただけますね。あなたのほうで御配慮をしていただけますね、いろいろなことについて御注意をしていただいて。つまり福岡の件についていま起こりつつある、あるいは現に起きている事実について、ひとつ十分に調査の上しかるべき態度をとることが必要ならば、ひとつアクションもついでにとっていただきたいという私のお願いなんです。
○渡海国務大臣 私、自治大臣という立場で、私たちが皆さま方からも一番要求され、またそうでなければならぬということは、地方自治は、地方自治体としてとにかくその自治をほんとうの意味で発揮していただく、こういう意味からは、何と申しますか上級機関的な態度をとらざることが最も望ましいものである、かねてからそのような姿で当たっております。しかし、せっかくのおことばでもございますので、自治体としてやっておられることだろうと私は信頼をいたしておりますが、向こうから特に御相談もあることだろうと思いますので、もし相談等がございました場合には、私は善処さしていただく、こういう姿で臨ましていただきたいと思います。
○山本(政)委員 自治大臣、どうぞけっこうですから……。 それでは最後に労政局長にお伺いしたいのは、亀井さんがおっしゃっている、人事委員会に対する不利益処分についての提訴という形で問題を処理される、こうおっしゃっているわけですね。だけれども、これは不利益処分だけですね。つまり支配介入等については規定が何もないわけですよ。しかも人事委員会では、事実上はこれは勧告権だけ、しかもそれが個人的にしかやれないという、そういう制約があるわけです。ですから、それじゃ一体そういう場合にどう地方公務員に対して救済しなければならぬかということがあると思うのです。それが実はILOの八十七号の結社の自由の条約でないだろうか、そしてこれは、労働省の態度は私は知りませんけれども、九十八号条約の行政公務員の範囲、こういうことについての規定ではないだろうか、こう思うのです。ですから、その辺の見解をひとつ私は聞かしていただきたい。これが一つであります。 それからもう一つは、なるほど公務員については、組合活動を理由とする不利益扱いの禁止規定は存在いたしますけれども、憲法二十八条の団結権の保障というのは、私はそれに優先するものではないだろうか、こう思う。そうでなければ、実は公務員というものは救済の道を断たれているわけです。民間企業に対してはそういうことがなされる。しかし、公務員に対してはなされないというのでは、私はこれはたいへん公平を欠くと思う。だから、そういうことからいえば、救済の道があり得るはずであり、それはやはり二十八条の団結権の保障に当然含まれているんだろう、私はこう思うのですけれども、その辺の見解をひとつぜひ聞かしていただきたいと思うのでございます。
○石黒政府委員 地方公務員法につきましては、詳細は自治省からお聞きいただきたいと存じますが、御指摘のごとく不利益処分に対する審査の手続がございます。そのほかに行政措置の要求という方法も活用できるのではなかろうかというふうに思っておりますが、詳細は私存じませんので、具体的には自治省からお聞きいただきたいと存じます。 それから、憲法二十八条の団結権、団体交渉権、いわゆる労働三権の保障というものは、これは公務員にも適用があることは、学説、判例も認めるところでございます。それに対しまして、具体的にどのような保護規定を置き、あるいはその侵害に対する救済規定を置くかということは立法政策の問題でございまして、立法政策上、労働組合法と公務員法はたいへん似てはおりますけれども、やや違うところがあるというふうに了解いたしております。
○山本(政)委員 林さん、その点について見解をお聞かせいただきたい。
○林(忠)政府委員 ちょっと、地方公務員法の、組合活動に携わったことによる不利益取り扱いの禁止規定と憲法二十八条との関係ということをおっしゃったと思いますが、そのことでございましょうか。
○山本(政)委員 そのことが一つ。 それからもう一つは、亀井さんが問題をすりかえておるのじゃないかという気が私はするわけですよ。というのは、福岡県職労では、あなたの御見解はどうか知りませんけれども、やはり支配介入がある。現実にやっていると思うのです。そういうことに対しては、亀井さんの県議会の答弁ではお触れになっておらないわけです。それで不利益処分については地公法にはそういうものがないんだ、不当労働行為の処分に対するそういうものはないんだということでお逃げになっておるけれども、私はそれは問題のすりかえじゃないかというふうに思うのですよ。いまのそういう二つの点についてお伺いしたいと思うわけです。
○林(忠)政府委員 まず前段のことにつきましては、地方公務員法五十六条に、職員団体を結成しようとしたこと、加入しようとしたこと、あるいは職員団体のために正当な行為をしたことによる不利益な取り扱いを受けることがないという禁止規定がございます。これはむしろ憲法の団結権の規定の一つの保障になっております。地方公務員でも団結権があるのでございまして、組合を結成することができる。しかも組合についてある程度活動したということを理由としての不利益な取り扱いを禁止しているわけですから、これは二十八条の一種の保障の役をなしていると思います。 それからあとの問題でございますが、亀井知事が、不当労働行為は地方公務員法にはないと言われたのですが、これは労働組合法上の不当労働行為という法律用語で、不当労働行為というものは地方公務員法にはないわけでございます。しかし、いわゆる不当な労働行為といいますか、その不当労働行為という法律用語でなくて、不当な労働行為については、先ほど労政局長も御答弁いたしましたように、労働組合法と地方公務員法とではやや立て方が違う。しかし、ほとんど同じような点について同じような救済措置その他を設けているわけでございまして、労働組合法で不当労働行為として地方労働委員会に救済を求められる行為のような行為は、地方公務員法においては不利益処分の審査、あるいは行政の措置要求というもので権利保護をはかっておるわけでございますから、権利の保護という点では、地方公務員法も労働組合法と同様に職員の保護を考えている、そういう体系にはなっております。亀井知事の、不当労働行為というものは地方公務員法にはないというのは、地方公務員法上それを不当労働行為とは呼んでなくて、不利益な取り扱いとか不利益な処分とか、こういうものに対する救済ということばでやっておる。それだけの違いで、法律の立て方の違いだと思います。一般の労働組合と地方公務員とはやや取り扱いが違うのは、それは全体の奉仕者という立場からある種の制限その他が加えられております。反面、これに対する代償措置もできておりますので、立て方が違い、用語が違う点は確かにございますけれども、考え方として、同じような労働関係を同じように扱うという態度では両者とも共通の面がある、こう考えております。
○山本(政)委員 地方公務員に対して、組合活動を理由とする不利益扱いの禁止規定が存在するというのは、私はよく法律のことは知りませんけれども、しかし、その基底にあるものは官は悪をなさずという、そういう思想が根底にあるんだというふうに私はお伺いしているわけです。これは学説として、そういうふうな考え方があるというふうに承っておる。その点については、一体公務員部長はどういうふうにお考えになっておるか。
○林(忠)政府委員 地方公務員法のつくり方、組み立て方のいきさつとしてそういう考え方があるというのは、学説に確かにございます。しかし、じゃ地方公務員の場合は、管理者は労働組合法にいう不当労働行為と同じようなことをしっぱなしでいいかというと、決してそうではなくて、先ほど申しましたようないろいろな救済措置その他で規定されておるということでございます。内容は労働組合法とは多少違います。
○山本(政)委員 これは、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、委員長にひとつおはかりをいただきたいと思うのです。 先ほど申し上げましたように、昭和三十五年に鵜崎さんは決算委員会に呼ばれているのです。生活保護における費用の不当支出三十万円ということで、前例があるわけですよ。おそらくいまの考え方からいえば、亀井さんは私どもが行っても、先ほど述べたような理由で調査させていただけないと私は思う。また、御見解も直接には承ることができないかもわからない。とすると、私は当委員会に呼んでいただきたいということを一ぺんおはかりいただきたい。そうでなければ正規の調査団でないんだから会う必要がないということを根拠にされたんでは、実態調査というものができないと私は思うのです。ということになれば、この社労委員会から調査団を出すことをひとつお考えをいただきたい。これはお願いでございます。このことを申し上げて私、終わりにいたします。
○谷垣委員長代理 ただいまの山本委員からのお話は、いずれ理事会等ともはかりまして御返答をいたしたい、かように思います。 それでは、後藤俊男君。
○後藤委員 ただいまの山本議員の公務員の不当労働行為の問題について、もう少し明確にしてもらいたいと思うわけなんです。 先ほどからもお話がございましたように労働組合法の第七条の第一号、第二号、第三号、第四号と不当労働行為についてきめられております。ところが地方公務員法におきましては、第五十六条で不利益な扱いの禁止というだけできめられております。国家公務員法におきましては百八条の七におきまして、これまた地方公務員法と同じように、不利益な扱いの禁止をいたしております。それからさらには職員労働組合の現業職員の組合に対しましては、公労法の適用ということがきめられております。公労法は第三条によりまして労組法の適用ということがきめられておるわけです。 そこで私はっきりいたしたいのは、法的に見まして公務員の不当労働行為というのは成立するのかしないのか。抽象的なことを聞こうと私は思いません。 それとあわせて、時間がございませんから聞きますけれども、滋賀県におきまして不当労働行為の救済、いわゆる地方労働委員会に提訴をしておるわけなんです。その申し立て人といたしましては現業職員の代表と——これは公労法の適用でございますから地労委に提訴する権利があるんだ、それとあわせてもう一人は滋賀県の職員労働組合の執行委員長ということで、連名で滋賀県の地労委に不当労働行為で提訴が行なわれておる。ところが現在滋賀県の地方労働委員会におきましては、現業職員のほうは当然の権利として認められるけれども、非現業のほう、いわゆる県職労働組合のほうの委員長のこの申し立てにつきましては、認めるべきかどうかということで現在も滋賀県の地方労働委員会で論議をいたしておると私は聞いておるわけです。 そこで問題になりますのは、はたして公務員の不当労働行為そのものは成立するのかしないのか、法的に見て一体どうなんだ。先ほども話がございましたようにILOの八十七号なり九十八号でございますか、これらの関係もあり、憲法二十八条の関係もあろうと思いますけれども、労働省としてこれをどう思われるのだろうか、この点の見解をひとつ明確にお答えいただきたいと思うのです。
○石黒政府委員 先ほども若干申し上げましたが、不当労働行為という実定法上の技術的な表現による不当労働行為は、これは労働組合法の適用のある労働者に限ってございます。したがいまして民間の労働者全部、並びに公務員につきましては企業職員及び単純労務者につきまして労組法の適用がございます。それから公務員につきましては不利益処分の禁止等の規定がございまして、これはいわゆる不当労働行為というふうに申しておりますけれども、正確な意味の実定法上の不当労働行為ではございません。類似の制度というふうに申すのが正確かと存じます。
○後藤委員 そうしますと、いま労政局長が言われました地方公務員にしても国家公務員にいたしましても、不利益扱いの禁止の条項は、先ほど言ったようにあるわけですね。その分に対する不当労働行為というのは成立するのかしないのか、しかも組合の運営に対する不当介入については不当労働行為ということが成立するのかしないのか、この点をもう少し明確に、指導される労働省の見解としてどうなんだろうか、再びお答えいただきたいと思います。
○石黒政府委員 非現業の地方公務員に対して職員団体の活動をしたゆえをもって不利益取り扱いをする場合には、人事委員会に提訴ができるという意味で、これをいわゆる不当労働行為の救済と常識的にいうのは間違いではございません。しかし組合法のものとは制度上名称が違うということを申し上げて、趣旨においては同様のものであろうと存じます。
○後藤委員 ですから、いま言われました労組法でいう第七条第一号でございますか、これに関しては、公務員関係は人事委員会で個人個人の申し立てによって解決する方法だと思うんですね。ところが不当労働行為そのものについて、たとえば先ほど私が申し上げましたように、不当労働行為を地方労働委員会に提訴をした場合、現業職員につきましては公労法の適用の権限はある、ところが非現業の県の職員組合においては地労委へ提訴する権限があるのかないのか、この点なんですよ。この点を、あるのかないのか、ないのならどういうわけでないんだ、この問題を具体的に説明していただいたほうがわかりやすいと思いますから、この点でお答えいただきたいと思います。
○石黒政府委員 非現業の職員団体が地労委へ提訴といわれる場合に、二つのケースがあると存じます。 一つは、非現業の職員団体が非現業の職員が不利益処分を受けたということで提訴する、これは人事委員会のみにいけて地労委には参れません。しかし非現業の職員団体でありまして一部、単純労務者を含んでおる場合がございます。その単純労務の分についてだけ不当労働行為で地労委へ行けるかどうかという問題がもう一つあるわけでございます。この点につきましては、単純労務者個人の申し立てはもちろん許されるわけでございますけれども、労働省の見解では、団体としましては、地労委に提訴する権限は労働組合にしかない。したがって、職員団体では地労委にいくのは無理だろうというふうに考えております。
○後藤委員 それならばいま言われました非現業の職員組合、この中の一部として現業の組合があるわけなんです。単純労務の組合があるわけなんです。その職員団体の一部として現業の組合があるわけなんです。そこにおける不当労働行為について、今度地労委へ提訴したわけなんです。そういう場合はいかがですか。
○石黒政府委員 現業の組合が、先ほどのお話のように、現業協議会というような現業だけの名前でもって、あるいは現業を主体とする団体の名前でもって提訴することは、もちろんできるわけでございます。しかし、職員団体としての提訴ということになりますと、これは労働組合でございませんので、地労委にはいけないというふうに考えております。
○後藤委員 それならば、いま労政局長が言われましたのは、いわゆる労組法と公労法と地公法と国家公務員法の労働関係の法律の中から考えると、そうなってくるんだ。ところが、ILOの関係ですね、これは一々条文は読みませんけれども、ILOの九十八号と八十七号ですか、批准をいたしておりますね。この中におきましては、公務員といえどもその団体に対して使用者が不当介入してはいけない、これははっきりした条文があると思うのです。さらにまた憲法の二十八条におきましては、交渉権、団結権、罷業権、これらも認めておるわけなんですね。そういう点から考えた場合に、いま申し上げましたところのいわゆる非現業の職員組合においても、いま申し上げました、不当労働行為の問題を地労委に提訴する権限があるのかどうか。そのことはひいては、公務員に不当労働行為の問題が成立するのかしないのか、ここにやはり問題がいくと思うのです。この点いかがでしょうか。
○石黒政府委員 ILOの条約は、八十七号条約は結社の自由でございまして、不当労働行為のほうは九十八号条約のほうでございます。九十八号条約は、私いまちょっと正確に覚えておりませんが、これは不利益取り扱いと経理の援助の禁止であったかと存じます。かつ九十八号は公務員には適用されないとございますから、ILO条約に直接抵触するということには相ならないかと存じます。 それから憲法との関係でございますが、単純労務者あるいは現業職員は、労働組合法上不当労働行為の保護を受ける。そのためには労働組合という憲法並びに組合法に許された結社の自由を積極的に行使するということが必要なのではあるまいかというふうに考えております。
○後藤委員 これはILOの九十八号条約ですか、これの第二条の一項と、それから第二条の二項にはっきりしておるわけなんです。「労働者団体及び使用者団体は、その設立、任務遂行又は管理に関して相互が直接に又は代理人若しくは構成員を通じて行う干渉に対して充分な保護を受ける。」ですから、不当な干渉をしちゃいけない、これははっきりILO九十八号の第二条できめられておるわけなんですね。そういう点から考えた場合に、先ほど言いましたように、公労法なり地公法なり国家公務員法では、労組法の第七条の第一号の精神だけの条文はありますけれども、それ以外のものはない。そうなりますと、組合運営に対する不当干渉については、何にもないことになるわけなんです。そこでILO九十八号条約の第二条で、これは批准もされておるのですから、当然不当労働行為という問題は成立すると私は考えるわけです。この点いかがですか。
○石黒政府委員 九十八号条約の条文については、私さっき思い違いをしておりました。先生の御指摘のとおりでございます。非現業の地方公務員の場合には、不利益取り扱いの禁止のほかに、行政措置の要求というのが四十六条でございましたか、これも活用する余地があるというふうに考えております。したがいまして、両々相まちまして一応の保護ができておるというふうに考えております。なお、九十八号条約は公務員には適用はございません。
○後藤委員 ILO九十八号は公務員には適用がないのですか。
○石黒政府委員 九十八号条約の第六条におきまして「この条約は、公務員の地位を取り扱うものではなく、また、その権利又は分限に影響を及ぼすものと解してはならない。」という規定がございます。 〔谷垣委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕
○後藤委員 いま言われましたように、第六条の問題はありますけれども、さらにILOの公務員部会ですか、ここでもこの問題は論議が行なわれておるわけなんです。これはこまかいことは私、時間がございませんから一々申し上げませんけれども、ただ私は、先ほどから言っておりますように、労組法の第七条の第一号から第四号までの第一号だけの不利益取り扱いの禁止につきましては、地方公務員も国家公務員も一応載っておる。ところがこれらに対して法律的な制限がないとするならば、その職員団体に対する不当介入はやりたいほうだい、先ほどの亀井知事の話じゃございませんけれども、何も法律的に拘束がないんだからやれやれ、不当労働行為は成立しないんだ、こういうようなことになる心配というのは十分あるわけでございますけれども、その点については一体どういうふうな保護のことが考えられておるのか。個人個人のことは、これは別なんです。人事委員会の問題につきましては、これは別ワクでございます。私の言わんといたしておるところは、不当労働行為の問題が成立するのかしないのか、公務員関係において。しないとするならばやりたいほうだいか、そういうことになってくるなら法律の不備じゃないか、こういうことになってくるわけなんですね。この点いかがでしょうか。これは林さん、いかがですか。
○林(忠)政府委員 先ほど山本先生の御質問にも、これに関連すること一部お答えしたのでございますけれども、地方公務員法と労働組合法は扱う労働関係が、一方は公務ということでございますし、一方は民間の労使の関係でございますので違うという点がもとで、構成がやや違っております。そこでいまの御質問のように、地方公務員法あるいは国家公務員法も同様でございますけれども、公務員法関係には労働組合法のような包括的な不当労働行為の禁止規定がないんじゃないか、ないということはやりたいほうだいなのか、やりたいほうだいということは法の不備なのか、端的にいって御質問の趣旨はこうだと思います。しかしそれは組み立て方が違うだけでございまして、また不当労働行為という実定法上の法律用語を公務員法関係で使っておらないというだけでございまして、大体労使間に共通する問題については同じような考え方に立っております。したがって、たとえばいまの不利益取り扱いの禁止規定ももちろんその趣旨でございますが、そのほかにたとえば労働組合に介入の問題についても、たとえば経理上の援助をしてはいけないとか、その他その介入についてこれを拒否すべき考え方での規定というのが諸所に散在しておりますし、それからさらに、不当介入した場合に職員がそれによって不利をこうむれば、不利益処分あるいは行政措置の措置要求というようなことで救済手段も設けている。その他全体を通じまして、地方公務員あるいは国家公務員関係でも、管理者のほうが介入するということについては、全体に否定的な体系で法律はできておりますし、いわば労働組合というものがあり、あるいはこちらでいえば職員団体があり、そこに団結権があるものに対して、職制とかその他をもって介入するということがいけないことは自明の理というような形でこの法律は扱っているものでございます。したがって、個々の救済規定その他はそれぞれの条項にございますので、全体としての体系から考えてこれが不備であるとは思いませんし、裏返していえば、国家公務員であろうと地方公務員であろうと、管理者側がいわゆる不当労働行為、組合に対する支配介入が御自由でございますとは決してなっておりません。やはりそれについては全部否定的な態度で法律ができている、とう私たちは考え、またそういうふうに運用しております。
○後藤委員 それじゃ林さん、いまあなたが言われました、管理者が職員団体に不当介入していかぬということは、これはもう当然のことだ。地方公務員法にしても国家公務員法にしましても、労組法と法律的な仕組みは違うけれども、これは当然なことだ、やっちゃいけないんだ、こういう説明だと思うのですがね。ところが法律を読んでみますと、不当労働行為という項はございませんし、ただ不利益処分の禁止という条項だけがあるわけなんです。ですから、これをいいこと幸いにして、地方公務員、国家公務員につきましては不当労働行為がさんざん行なわれておるわけなんです。ところが先ほどの山本君の話じゃございませんけれども、地方公務員法なり国家公務員法ではなぜそういう不当労働行為の条文がないんだろうか。これはだいぶ前ですが、政令二百一号で、マッカーサーのあれで公労法なり国家公務員法ができたと思うのですが、官というのは悪いことをしないんだ、そういうことをしないという前提に立って国家公務員法なり地方公務員法ができておる。ですから、そこまで心配する必要がないんだという法律の組み立てになっておるのじゃないか。ただ個人的に不利益な扱いを受けた場合には、人事委員会へ持っていってそこでひとつ、こういうものだけがあるわけなんです。 ところが今日の日本の全国の情勢、各県の自治体の情勢を見てみますと、そうではなしに、不出介入から、ありとあらゆる不当労働行為が行なわれておる県もたくさんあるわけなんです。ところが地労委に提訴して解決しようと思っても、あなたのところは法律的にいいまして権限がございませんのや、ただ、先ほど労政局長の話じゃございませんけれども、県職員組合の現業の協議会だけはありますというようなことで、地労委のほうとしてもいまもんでおるわけなんです。しかも先ほど労政局長は、ILOとの関係は公務員にはございません、こう言われましたけれども、やはりILOの公務員部会でこの問題も論議が行なわれておるわけなんです。ですから、労働省としての先ほど言われた見解に間違いがあるのかないのか、私はここではっきりいたしませんけれども、ぜひひとつこの問題については間違いのない見解を早急に明確にしていただきたい、これをひとつお願いしたいわけなんです。 それからその次の問題としまして、時間がだいぶ切迫してまいりましたけれども、組合の別によって不利益な扱いをしておる、これが滋賀県の資料ではっきりしてきたわけなんです。と申し上げますのは、滋賀県の土木事務所、この土木事務所も十幾つあろうと思いますけれども、八日市の土木事務所におきまして「職員配置替資料調書」というのが昭和四十六年に——これは各所長から出されたわけです。その調書を見ますると、職員の名前のところへ、第二組合は2と書いてあるわけだ。第一組合はバッテンが書いてあるわけだ。ペケですね。これはあかんということだ。これが一人一人全部記号されて、それに基づいてまた勤務評定も行なわれておるわけなんです。さらにまた、「説明」という欄を読みますと、この人は第一組合の役員をやっておったから早急に転出する必要があるとか、そういうことが書かれておるわけなんです。これが、聞くところによりますと八日市だけではなしに、滋賀県下の土木事務所のほとんど全部でこういうふうに昨年も行なわれた。ことしもまたこういうふうなことをやろうとされておるように推定ができるということがはっきり言えるわけです。 さらにまた勤務評定の問題につきましては、滋賀県の議会におきまして、そういうことはやりません。昭和三十何年でございますか、かなり前の規定にはそういう規定はあるけれども、勤務評定は行ないません。これは三月の十四日と三月の九日の県議会でもはっきり県知事が答弁いたしておるわけです。ところが、もう特A、A、B、Cの四段階にまで勤務評定をやって、この男は第二組合所属だ、この男はバッテン組合所属というようなことを職員の名前と一緒に書いて、しかも「説明」のところには、これまた組合の役員であるとかなんとか書いて、これをしっかり読んで、第二組合のほうは栄転さしてください。第一組合のほうは大学を出ておろうと出ておるまいと、どうなとしてくださいというような「職員配置替資料調書」というのが、滋賀県の各土木事務所で行なわれたわけなんです。 ところが、おまえどういう資料に基づいてそういうことを言っておるんだと言われれば、これは八日市の土木事務所の資料ですが、この資料も間違いがあってはいけないということで、三月の段階で八日市の土木事務所へ調査団を派遣しまして調査をしました。調査をしましたら、向こうは向こうでこれを持って出てまいりました。こっち側のものと突き合わしてみますると、一分一厘違わない。この資料は全く間違いありません、私のほうから出したものでございます。どういうわけでこういうものを出したんだと言ったら、土木部の監理課のほうからこういうものを出せという指示がございました。その指示に基づいて出しておるのです。これは私のところだけじゃございませんよ。滋賀県下全部でございますよ。これが行なわれておるわけなんです。 このことは一体どうなんだろうか。先ほどもいろいろ言いましたけれども、地方公務員法なり国家公務員法から考えてみましても、労組法第七条第一号の精神に反するものだ。第二組合におればいいけれども、第一組合におると差別扱いを受ける、これがこの調書にはっきりあらわれておるわけなんですね。この問題を一体どういうふうにお考えになるんでしょうか。現実にこのことが行なわれ、ことしもまたこの方向で行なわれようといたしておるわけですけれども、政務次官、いかがでしょうか。
○小山政府委員 いま参りましたばかりで、十分お話の詳細について存じませんので、公務員部長からかわってお答えを申し上げます。
○林(忠)政府委員 お答えいたします。 ただいま先生が御指摘の案件につきまして、実は昨日、この件についての御質問という予定をお漏らしいただきましたので、至急県のほうに照会をしたわけでございます。できれば詳しい事情を承知した上で御答弁申し上げたいというつもりで照会をいたしたわけでございますが、その照会をして回答をしてまいりましたところによりますと、この問題の異動調書なるものは、お話しのとおり八日市の土木事務所でつくられたものである。それで、現実につくった者はおそらくそこの庶務課長であろうということはわかりましたのでございますが、この庶務課長はその調査団の調査日において病気で休暇をとっている。現に入院中である。それからまた所長はその交渉の直後においてからだを悪くしまして、年次休暇をとって静養中である。そこで、その両者がおらぬので県当局もどうもはっきりしたことがようわからぬ。そこで調査が可能になり次第、調査した上で詳細に返答する、一応こういう返答でございます。 それから、じゃ一体そういう調書が必要だと上から指示したのかということに関しては人事当局は、人事当局が求めている資料というのは一般の職員の希望調書、職員がどういうことを望んでいるかという、職員に申告させる希望調書である。もう一つは配置がえが困難であるという職員の調書、この職員はいま動けないのだというその調書。その二つだけであって、いま問題になりましたような様式のことは内心はさっぱり求めてもおらぬそれからさらにその点については土木部長も同じように、こういう資料の作成を指令したという事実がないと否定している、何かこういうことなんでございます。したがって、一体いかなる意図で、いかなるものに基づいてその調書ができたのかということが現在の段階でどうもさっぱりわからないというのが、きのうからきょうにかけての現在の回答でございますが、その本人の土木事務所長ないし庶務課長が出てこないとはっきりわからないのではと思いますが、考えようによっては、第一組合に入っているか第二組合に入っているかということによって区別をしなければならぬ何か理由があったとすれば、これは県当局のほうの推察でございますが、何かそれぞれの組合から、組合の役員とかあるいは分会役員というのを動かすについてはひとつ相談してくれという申し入れがかねてからありますので、適当ではございませんが、とにかくその両組合に、ある人を動かすというようなことについて意見を求める必要があるという場合が予想されるとすれば、いずれこの人は第一組合、この人は第二組合という振り分けをしなければならない必要性が現場にはあるんだ、あるいはそういう必要性かもしれないというような推察の回答があっただけでございます。 そこで、現在の段階では、こういう調書の作成を指示したこともないし、土木部長も指示していないし、まして組合の所属によって異動のときに違った取り扱いをするとかという意図はさらさら県はないという返事でございます。現在の調査段階では以上のとおりでございます。
○後藤委員 それで、いまあなたの言われましたように、八日市土木事務所の所長はいま休んでしまっておるわけなんです。庶務課長も休んでしまっておるわけなんです。これはいつ出てくるやらわかりません。それで職員組合のほうは連日にわたって土木部長交渉をやったわけなんです。積極的にこれを調査しようとしないわけなんです。しかもいまあなたが言われました、子供だましじゃあるまいし、この人は第二組合、この人は第一組合と全部レッテルをつけぬことには何か話すときに都合が悪い、そんな子供だましのことをあなた言いなさんなよ。そんならこの職員の配置がえの資料調書に、一人一人にどうしてこういうものに全部書くのです。しかも第二組合は2と書き、第一組合はバッテンですよ。だめだということですよこどもじゃあるまいし、そんな子供を説得するようなことを言ってみたって私は納得しませんがねだからこの問題については明らかに、八日市の事務所に行って確認してきて、私のほうから出しましたと、これははっきりしておるわけなんです。県の土木部長がこういうものを要請しなかったら、出しておるわけがないんですよ。八日市だけじゃないです。滋賀県下の各土木事務所がこういう様式で出しておるわけなんです。勤務評定から何もかも全部ずっと出ておるわけなんです。だけれども、いまあなたが言われますようにどっちも休んでしまっておりますから、現実の調査というものはできないかもしれませんけれども、それならここで話を一歩進めて、このことをやっておったとしたら一体これはどういう扱いにされますか。どうすべきが妥当であるか。
○林(忠)政府委員 先ほどの振り分けた理由は、私の推察ではございません。県から、あるいは推察すればそういうことかもしれないというようなことを言ってまいりましたのを、そのままお伝えしたわけでございます。私がそういうふうに推察いたしたわけではございません。 それからはっきりしておりますのは、県の人事当局では、この人事異動についてこういう資料を出せとは言っていない。むしろ一般職員の希望調書と配置がえ困難な職員の調書だけを出せと言っておる。このことだけははっきりしておるようでございますので、土木部長の場合はこういう調書作成を指示したということを否定しておるということは、これは否定したという知らせだけでございますから、土木部長との連日の交渉のいきさつにおいてあるいはこう言っておるのかどうか、その辺は推察ができませんが、いまはっきりしておりますのは、県の人事当局としてはこういうものを出せということを指示したことはいままでもないし、いまもないし、従来の人事としてはこういうものを資料としてはやってはいないということを言っております。まあ、これも言っておるだけでございますから、あるいはしておるのじゃないかという推察があるとすれば別でございますけれども、少なくとも人事当局の現在の話であれば、そういう差別は実際の人事の取り扱いについてはしていないということでございますので、そうであればけっこうではあるまいかと思うわけでございます。
○後藤委員 同じことを二回聞きましたけれども、私のほうはもう現実に所長ときちっと照らし合わせまして、間違いなくやりましたという確証を握っておるわけなんです。ですから管理者がこういうことをやっておったとした場合には、その管理者を一体どうすべきであると思われますか。けっこうでございますとそのまま放置しておくのか、一体どうすべきが正しいのか、この点をお伺いしておるわけなんですよ。
○林(忠)政府委員 現実に滋賀県の場合に差別をしていないと私は思うわけでございますけれども、所属の組合によって異動の点に差別をするということがあれば、例の地方公務員法の五十六条でございますか、ある組合に入るとか入らないとか、あるいはその組合に関する活動をしたことによって差別をしてはならないという規定に違反することになるので、そういう人事異動はすべきでない。ただ、滋賀県の場合はそういうことをしていないと言っておりますし、人事当局はそういう資料を求めていないと言っておりますので、そういうことはないと考えておりますけれども、現実に加入組合によって差別をすることはこれはいけないことだと存じます。
○後藤委員 そんなことを私は聞いておるのでなしに、林さん、あなたのほうはまだ十分調査ができておらぬからはっきりしないと言われますけれども、私のほうはもう現場の土木事務所長のところまで行きまして、こういう調書を出しましたということをはっきり確認しておるわけです。それには一人一人この人は第二組合、この人は第一組合ということで全部記号をつけておるわけです。それで説明の欄には、この人は第一組合の職員である、この人は何だかんだというところまで説明をつけておるわけなんです。それに基づいて人事異動なり昇任昇格等をやっておるわけなんです。これは間違いがないわけなんです。あなたのほうは、調査せぬことには間違いがあるかないかわからぬと言われますけれども、それはそれでけっこうですけれども、このことを管理者がやっておった場合には、地方公務員法の第五十六条違反、こういうことで当然その管理者は処分すべきであると私は考えるわけなんです。この点いかがですかということを質問しておるわけなんです。
○林(忠)政府委員 土木事務所において御指摘のような調査資料、御指摘のような異動調書ができたということは、これは滋賀県の当局も認めておるわけでございます。ですから、できたことは間違いないと存じます。ただ、それが一体どこまで上がったのか。土木部長は指示していないと言いますし、まして人事当局はそういうことは指示した覚えもないし、いままでの異動でも使ってないと申しておりますから、私はその問題の調書がどういう目的で、何のために、だれがつくったかさっぱりわからないということを申し上げておったわけでございます。この滋賀県に関しては私は間違いないと考えておりますけれども、御指摘のように、もしそういう資料がつくられて、しかもそれが現実に異動に使われて差別をされたということであれば、これは組合活動による差別取り扱い禁止に触れるであろう、したがって責任ある者はしかるべき責任をとることになるであろう、こう考えるわけでございます。
○後藤委員 それでいま、公務員部長ですか、そういうことは滋賀県ではやっておらぬ、こう言われましたけれども、やっておらぬのなら私は問題にする気持ちはないわけなんです。しかも簡単に、人に聞いたからといって私はやっておるわけじゃないのです。確固たる間違いのない資料に基づきまして、しかもその資料は八日市の土木事務所長さんのところに持っていって、これはあなたが出された資料に間違いございませんか、照らし合わせましょうと言って照らし合わせましたところが、寸分違わぬものですから、その寸分違わないところの資料に基づいて、その資料を見ますると、一人一人、第一組合か第二組合か全部氏名のところに記入をして、しかも先ほど申し上げましたように、説明という欄には、この人は第一組合の何である、この人は何だということが全部書いてあるわけなんです。しかも勤務評定のところを見ましても、それは第一組合の人でも中には特Aという人もありますけれども、大体がよからぬ方向への勤務評定が行なわれておるわけです。しかもその勤務評定というのが、県知事と労働組合との間で、勤務評定はやりませんということがもう七、八年も前に約束されておりながら、勤務評定が堂々と行なわれておるということで、いま滋賀県の県庁に参りますと各職員が、そんなことをやっておるのか、おれらをばかにしておるというようなことで、土木部長交渉でもやると、第一組合であろうと第二組合であろうとみんなが一緒になって、何たることをやるんだ、約束違反じゃないかということで、この間うち連日これが行なわれたわけなんです。ですから私は、第一組合、第二組合と、そういう立場ではなしに、第三者という立場に立って考えるときに、「職員配置替資料調書」のこの中にですよ、配置がえによって昇任とか昇格も行なわれるわけでございますけれども、なぜ一人一人に、この人は第二だ、この人は第一だというようなレッテルを張らなければいけないんだ。さらにまた、この「説明」の欄には、この人はどうだこうだというところまで一体なぜ記入しなければいけないんだ。ということは、土木所長がこの調書に基づいて土木部長のところへ出して、土木部長は一人一人の人間を見て、ああこの人は第二か、これは第一か、第二はけっこうだが第一はバッテンだと、こういう気持ちで人事の操配を行なう、そのための資料がこれである。そうなると、地方公務員法の第五十六条にこれは明らかに違反である。これが現実に行なわれたとするのならば、その管理者は処分すべきであるというふうに私は考えるわけでございますので、この点、時間がございませんけれども、政務次官、最終的に、このことが現実に行なわれたとした場合にこの管理者は一体どう扱うべきであるか、どう処分すべきであるか、この点の御意見を承りたいと思います。
○小山政府委員 その調書の中に、何の必要性があって第一組合あるいは第二組合というものをしるしたかは私どもつまびらかに存じませんが、いずれにいたしましても、所属する組合によって人事に差別を与えるというようなことは断じてあってはならないことだというふうに私ども理解いたしております。したがって、その調書がそういう差別の材料になったとは私ども思わないわけでございますが、もしそのような事実があるとすれば、私ども十分調査をして、その事実に基づいて考えを新たにしなければならぬというふうに思っております。
○後藤委員 それなら政務次官、これでやめようと思いましたけれども、あなたの言い方がちいっとあいまいなところがありますからね。差別したとは思わぬと言われますけれども、差別する気持ちのないものがなぜ、この、公文書であろうと思うんですが、調書に第一組合、第二組合ということを記入するんですか。第一であろうと第二であろうと差別をしない、きれいな、公平な立場でやるというならば、一人一人に何もレッテルを張る必要がないでしょうが。それをやる意図のもとにこれは一人一人に第二組合、第一組合のレッテルを張ってあるわけなんだ。しかも御丁寧に、説明欄でまたいろいろ書いてあるわけだ。それに基づいて人事の操配が行なわれておるわけなんです。それは、先ほどの公務員部長じやありませんけれども、土木部長に聞いたってだれに聞いたって、ええ私はそれをやりましたなんというあほうな返答する者はおらぬのはあたりまえなことなんです。やってもやらぬと言うのですから。ですから、われわれのほうはやられっぱなしになるわけなんです。今回はからずもこういう資料が手に入りましたもので、これは冒頭言いましたように、八日市の土木事務所だけではなくて、滋賀県下の各土木事務所で全部やった形跡が十分あるわけなんですが、どこからこういうものを出せといったかというと、土木部の監理課から出しておるわけなんです。よそも全部土木部のほうから出しておるわけなんです。それに全部一人一人のレッテルが張ってあるわけなんです。それであなたの言いますのは、レッテルが張ってありますけれども差別扱いしたかしないかわかりませんという、こういうものの言い方もあるかもわかりませんけれども、大体、調書にこういうことを記入するというのは、私は初めて聞いたんです。国鉄であろうと全逓であろうと、どこでありましょうと、マル生問題で国鉄が問題になりましたけれども、あのマル生問題の国鉄でさえもこんなことはしませんでしたよ。一人一人に第二、第一、全部レッテルを張るわけなんだ。こんな公然たる資料を出しておきながら差別扱いはしませんでした、では、これは通らぬです、差別扱いするためにこういう資料がつくってあるわけなんですから。ですから私は、こういうことをやっておる管理者に対しましては、地方公務員法にこれははっきり抵触するんですから、これは管理者として不適格である。十分あなたのほうもこれを調査をしていただいて、これを現実にやったということならこれを処分すべきである。次官の言われるように、考え方を新たにせにゃいかぬということはどういうことを意味するのかわかりませんけれども、私は別に必ずしも処分せいということは言っておりませんけれども、これが現実であるとするのなら当然処分すべき問題ではないでしょうかということをお尋ねしておるわけなんです。それはそのとおりでございますと言えば、それで話はしまいになるのです。いかがですか。
○小山政府委員 御指摘の、その第一、第二としるしたというその必要性は私どもつまびらかにわかりません。わかりませんが、そのことによって明らかに差別をしたという事実を私どもがつかみません限りにおいては、その第一、第二としるしたということだけで、それが差別だという断定はできにくいのではなかろうかと、かように考えております。
○後藤委員 あなたの言われることは、書面だけでなしに現行犯をつかまえなければいかぬ、現実にその差別扱いをしたという確証がないことには、ということだろうと思うのですが、それじゃ、現実に間違いなく差別扱いをしたということがはっきりした場合にはどうされますか。
○小山政府委員 仮定の問題については的確にお答えすることもどうかと思いますが、しかし、原則として差別をしてはならないと法で規定があるわけでございますから、差別をするということは私は断じていけないことだというふうに理解しております。
○後藤委員 差別してはいけないということだとおっしゃるんですが、だから、いけないことをやったこの管理者に対してはどう処置されますか。どう処分されますかということをお尋ねしておるんですよ。
○小山政府委員 その内容によって処分の方法は違うんではないか。しかも私どもが処分するわけでなくて、県の知事が行なうわけでございますから、私どもがどういう処分をするということは申しにくいわけでございます。
○後藤委員 私も、別にどういう処分をしてくれというようなことを言っておるわけじゃございませんけれども、次官のおっしゃるように、内容によって処分も変わってくるということは、これは、現実にそういう扱いをされておったとするならば地方公務員法の第五十六条に違反するので当然処分を行なうべきである、ただしその処分の内容についてはこれは県当局のほうでやるんですから一々どういう処分をすべきであるということはここで言明の限りでないと、こういうふうにおっしゃいましたので、それは私もそのとおりだと思うのです。どうかぜひひとつ、私がつくりごとを言っておるように思われましてもいけませんので、私も証拠として調べるべきことは十分調べましてここで申し上げましたので、ぜひあなたのほうとしても十分調査をしていただいて、いま次官が言われました方向で行政指導をしていただきますようにお願いをいたしたいと思いますし、また県のほうに対しましても、職員組合等もございますので、今後もこの問題につきましてはさらに引き続いてやっていく、こういうことでございますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。いかがですか。
○小山政府委員 御趣旨のように、県当局からそういう相談でもございますれば、私ども努力をいたしたいというふうに考えております。
○後藤委員 また一口言わないかぬと思うのですけれども、県のほうから相談があった場合にはということではなしに、やはり県庁の中でこういういろいろ紛争が起きておるんですから、そうでないようにひとつ行政指導を十分していただく、そういう立場で私も最初からお話を申し上げておるわけでございますから、その点もひとつお間違いのないようによろしくお願いをいたしたいと思います。
○小山政府委員 御質問の趣旨のように努力をいたしたいと思います。
○後藤委員 終わります。
○増岡委員長代理 次に、古寺宏君。
○古寺委員 昭和四十六年の四月二十八日に、大分の保健所長から大分労働基準局長に通知があって、日本鉱業の佐賀関製錬所の労働衛生調査が行なわれております。この中間報告にはその結果が一応載ってはいるわけでございますが、そこでまずお尋ねをしたいのは、この四十六年の四月以前においてはこういうような事実について労働省は知らなかったのかどうかということを承りたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 大分県の佐賀関製錬所の問題につきましては、昨年の四月、大分保健所から製錬所の退職者に非常にガンに罹病する方が多い、職業病の疑いがあるという通報を受けますまで、特に退職者等でございましたために、基準監督署では退職者の中に特に発ガンした者が多いというような状況は把握していなかったわけでございます。
○古寺委員 把握していないというのは、どういうわけですか。
○渡邊(健)政府委員 ただいまも申し上げましたように、退職後の発病でございますために、特に職業病ではないかという本人からの請求もなかったために、どの程度そういう方がおられるかというようなことはわからなかったわけでございます。
○古寺委員 そういたしますと、毎年定期的に健康診断等もおやりになっていると思うわけでございますが、そういう時点においては全然そういう事実はわからなかったわけでございますか。
○渡邊(健)政府委員 在職者に対しましては健康診断等の健康管理をいたしておりますけれども、その過程では特にそういう現象はあらわれておりませんでした。
○古寺委員 この大分の保健所長からこういう指摘を受けてから、労働省がどういうような措置をしたか、その経過を御説明願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 大分保健所長から大分基準局に対してそういう通報がございましたので、労働省ではそういう事態を重視いたしまして、専門家六人からなる調査団を編成いたしまして、さっそく実態の調査に当たっていただいたわけでございます。その結果、昨年の十一月一日に中間報告をいただきましたので、その報告書において指摘されております退職した労働者の追跡調査、それから把握できた労働者に対する胸部エックス線写真直接撮影等の健康診断の実施等を、大分基準局を通じまして同製錬所に指導するように指示いたしまして、現在同製錬所においてこれらの措置を実施している最中でございます。
○古寺委員 何名の方の健康診断をやったわけですか。
○渡邊(健)政府委員 健康診断は、これまで同製錬所に勤務されました方々のうち、生存者千八百六十人のうち製錬関係に従事しておられた五百五人につきまして健康診断をただいま実施しておるところでございます。 なおそのほか、死亡されました五百四人につきまして死亡原因等について現在照会中でございます。
○古寺委員 そうしますと、この中間報告でいきますと、これは現在作業に従事している労働者の方々の健康調査をおやりになったわけですね。現在勤務していらっしゃる方々です。したがいまして、すでに退職をして現在生存していらっしゃる方々については、まだ健康調査が行なわれていないわけです。これはどうなっておりますか。
○渡邊(健)政府委員 それらの方々に対しまして現在健康診断を実施している最中であります。
○古寺委員 それではいつから、どういうような方法で、どこで健康診断を実施していらっしゃるか、御答弁願います。
○渡邊(健)政府委員 健康診断につきましては、同製錬所にそれらの方々の胸部エックス線写真をとらせまして、それを労働省のほうに御提出願って検討いたしておるところでございます。
○古寺委員 ですから、現在従事している方々の健康診断をおやりになっているのであって、退職した生存者についてはまだおやりになっていないわけですね。そうですね。
○渡邊(健)政府委員 いま五百五人について健康診断を実施していると申しますのは、それは退職者でございます。退職者のうち生存しておられる千八百六十人のうちから、製錬関係に従事しておられた五百五人、これは退職者でございます。退職者の方々について、現在そうしたエックス線写真等で撮影して、それによります健康診断をいま行なっている最中でございます。
○古寺委員 そういたしますと、その時日と、それから場所、どこでどういう医僚施設で行なっているか、お伺いします。
○北川(俊)政府委員 まずいまの生存者につきましては、住所の確認をいたしまして、住所が佐賀関町ないしはその付近に在住しております者は、日鉱の佐賀関の病院でフィルムをとっております。それ以外の者につきましても、事業所を通じまして公的病院、たとえば県立病院等でエックス線写真をとらせまして、それを会社を通じて本省、労働省に送付をして、労働省でその映像について読解をする、こういう手続をとっております。
○古寺委員 現在、佐賀関の診療所で実際にレントゲンをとられた方が何人で、佐賀関以外でそういう健康診断を受けている方が何人いらっしゃるか、お答えしてください。
○北川(俊)政府委員 現在まで健康診断を受診いたしたということで報告をいただいておりますのが五百五名でございまして、そのうちエックス線フィルムを本省に届けて、いま読影中のものが三百二十名でございますが、その内訳につきましてはまだ把握をいたしておりませんので、今後調査をいたしまして、御報告をいたしたいと思います。
○古寺委員 そこで、この中間報告を見ますというと、昭和三十二年の十月以降に佐賀関の製錬所に勤務しておられた労働者の死亡者の方々の調査をなすっているわけでございますが、それ以前の方々について先ほど五百四人というお話がございましたが、これはいつからいつまでの死亡者でございますか。
○渡邊(健)政府委員 いまお申し出の五百四名の対象者といいますのは、佐賀関製錬所で把握ができました、すなわち会社で把握をした限りの従業員全体、総数、現在まで、一番最近の数までの二千九百七十四名のうちの五百四名でございますので、把握できる限りの中の死亡者数、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○古寺委員 ですから、それはいつからですか。一番古い死亡した年月日はいつでございますか。
○北川(俊)政府委員 いまの対象労働者の一番古い方がいつごろつとめておられたかは、ここでまだつかんでおりませんが、少なくとも会社で把握できる一番古いものまでさかのぼっておるということだけは申し上げまして、あとその一番古い時点がいつで、一番新しい時点は——まあ一番最近でございますが、それがいつかはまた調査をして御報告さしていただきます。
○古寺委員 その五百四人の中で、ガンという病名で死亡していらっしゃる方は何名ございますか。
○北川(俊)政府委員 死亡原因につきまして、現在本籍地に照会中でございまして、いまのところまだガンで死亡したという報告を承っておるのはございません。ただ、全体についてまだ確答、御返事をいただいておりませんので、あとどのくらい把握できるか、まだわかりません。
○古寺委員 それでは、この中間報告に出てまいりました三十二年十月以降の勤務者の方で、二十七名の方が肺腫瘍で死亡していらっしゃいますね。これは肺ガンでございましょう。こういう方々に対してはその後どういうような補償をされたか承りたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 二十七名の方々のうち十七名の方につきましては作業環境、職歴、病歴等の調査の結果、労災保険適用労働者であることが判明いたしましたので、これは多量の砒素を含む粉じん等を吸収したことが肺腫瘍の発生との間に関連があるものと認めまして、業務上の疾病といたしまして労災保険より所要の保険給付を行なったところでございます。なお、労災保険法施行前に退職されました他の八名の方につきましては、これは現行労災保険法の適用がございませんので、事業主であります日本鉱業株式会社に申しまして、その会社のほうから遺族に対しまして相当額の特別見舞い金が支給されたわけでございます。残りの二名につきましては、これは船員法の適用を受ける船員でございまして、これは労働省の所管ではございませんので、関係機関にその旨を通知いたしております。
○古寺委員 昭和三十二年十月以降に製錬所に勤務している以上は、労災の適用は全員が受けられるわけじゃないですか。
○渡邊(健)政府委員 これは当事業所に勤務したことのある労働者のうち、三十二年十月以降に肺腫瘍によって死亡しておることを把握したもの、こういう意味でございまして、死亡いたしましたのは三十二年十月以降でございますが、そのうち八名は勤務は労災保険法の適用前に勤務してすでに退職をしておられる方々であったわけでございます。
○古寺委員 どうもこれを見ますと、三十二年以降に勤務した人というふうにとられるわけでございますがね。そこで、その労災適用の方は、補償の内容はどういうふうになっておりますか。
○渡邊(健)政府委員 労災保険法に規定するところに従いまして、遺族補償、葬祭料等、すべて給付をいたしております。
○古寺委員 大体平均どのくらいでございましょうか。
○渡邊(健)政府委員 平均いたしますと、遺族補償は現在は年金でございますが、年額二十七万でございます。
○古寺委員 そこで、この報告書は肺腫瘍だけを対象としておやりになっています。他の肝臓ガンであるとかいろいろなものも当然考えられると思うのですが、そういうものについてはどういうふうになっておりますか。
○渡邊(健)政府委員 調査いたしました結果では、肺腫瘍以外の肝臓ガン等で死亡された方はなかったそうでございます。
○古寺委員 そういたしますと、これは徳島大学教授の鈴木先生がいろいろ調査をした結果が出ておりますが、その中には肝臓ガンが非常に多いわけです。この製錬所だけ肝臓ガンの方がいないということはちょっと考えられないと思うのですが、どういうわけなんでしょう。
○渡邊(健)政府委員 鈴木先生の御発表等、新聞等では承知いたしておりますが、それ以上詳しく御発表の内容をまだ把握いたしておりませんので、その辺どういうふうに理解していいか、ちょっとそれをよく調べました上で検討してみたいと考えております。
○古寺委員 それではもう一回振り出しに戻りますが、このいわゆる労働衛生調査団というのは、一番最初に肺ガンの発生の実態とその原因を追及するためにいろいろな調査を行なった、こういうふうにきちっと報告しているわけでございます。肝臓ガンとか他のガンについては調査をしたということは全然出てこないわけです。そういう調査をしないで一人もいなかったという、そういうことではいかぬと思うのですがね。これはどういうわけでございますか。
○渡邊(健)政府委員 保健所からの通報が、肺ガンの発生が非常に多い、それで職業病の疑いがあるという通報がございましたので、それを中心に調査をしたわけでございます。
○古寺委員 保健所の通報があって初めて、あわてて調査団を委嘱をして調査をしておる。しかも、その調査の内容というものが肺ガンを対象にした調査なんです。したがいまして、他の肝臓ガンなりいろいろなガンというものは当然考えられる。そういう調査については全然やっていないわけですよ。そういう調査をしないで、そういう人は一人もいませんでしたというような答弁では困ると思うんです。今後そういうような他のガンについても調査を行なうのかどうか、その点を承りたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 その中間報告にもございますとおり、当事業所の製錬及び砒素関係職場を中心に疫学的調査、作業環境調査等を行なったわけでございますが、肺ガン関係以外の肝臓ガン等の死亡者はなかったわけでございます。
○古寺委員 それでは、他のガンに対してはどういうような調査を行ないましたですか。
○渡邊(健)政府委員 肝臓ガン等でなくなられた方はおらなかったわけでございます。
○古寺委員 それは間違いございませんですか。
○渡邊(健)政府委員 調査団の報告ではそうなっておるわけでございます。
○古寺委員 それでは、調査団の報告でもって肝臓ガンとかあるいは子宮ガンとか胃ガンとか、そういうような他のガンについての報告は一体どこに記載されているのですか。
○渡邊(健)政府委員 三十二年以降死亡された方につきましてはございませんでしたので、調査報告には書いてないわけでございます。
○古寺委員 そういうものが報告書にないからといって、否定するわけにはいかぬじゃないですか。そういう報告がこの報告書にない。調査団のほうは肺ガンの発生の実態とその原因を追及するために調査をやっているわけです。ですから労働省が考えているのと調査団が行なった調査とは、全然違うわけでしょう。
○渡邊(健)政府委員 調査団の報告によりますと、三十二年十月以降死亡した人について調査したところでは、二十七名の肺腫瘍による死亡者があったということで、それ以外のガンによる死亡者ということはなかったわけでございますが、御説のような、それ以外の死亡者がそれ以前の死亡した人たちの中にもなかったかという点は問題でございますので、先ほど申し上げましたとおり、すでに死亡した人五百四名について、現在死亡原因等を照会し調べておるところでございます。
○古寺委員 そういたしますと、この報告書でいってもいいのですが、鈴木教授の報告によりますと、四十年から四十六年までの七年間に佐賀関の町でなくなられた一千二百七十七人の死因について調べたところが、ガンで死亡された方が二百四十五人もいらっしゃる。その中で男子の肺ガンによる死亡率は全国値の二・六倍、胆路・肝臓ガンは全国値の二・二から二・四倍の死亡率である。また、口腔ガンあるいは咽頭ガンの死亡率は全国平均値の四・七倍から四・九倍である。また、男子の皮膚ガンは三・四倍、泌尿器のガンは二・七倍から二・九倍と、異常に高い死亡率である。こういうふうに報告がなされております。さらに、胆路・肝臓ガンの方は四十三人死亡者がいらっしゃる。こういうふうに、この町の中におけるガンの発生率が非常に高いわけです。 ところが、いまのお話によりますと、製錬所に従事した人にはそういう人が一人もいらっしゃらない、全部肺ガンである。そうしますと、この佐賀関町の方々の、肺ガンをはじめとするいろいろなガンの原因は、何にあるとお考えですか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、鈴木先生の御発表等まだ十分に検討いたしておりませんので、鈴木先生の御発表等十分検討させていただきますとともに、現在死亡原因等を調査いたしております五百四名の方々の状況等も把握いたしました上で、それらの点につきまして十分今後検討してみたいと考えます。
○古寺委員 そうしますと、退職されてからの生存者の方々、それから、死亡されました五百四名の方々の調査というものは、現在、この中間報告を出された調査団によって行なわれているのかどうか、それを承りたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 それは労働省の本省でやっております。
○古寺委員 それはいつごろまでに結果がわかるわけでございますか。
○渡邊(健)政府委員 地元ばかりでなくて各地に分散しておられる方もございまして、そういう方に照会をいろいろやっておりますので、まだしばらく最終結果が出るまでにはかかるのではないか、かように考えております。
○古寺委員 五月からは、調査団を委嘱してやっておりますね。その後はなぜ調査団を委嘱しないわけですか。労働省だけでよろしいわけでございますか。
○北川(俊)政府委員 調査団につきましては、昨年十一月に中間的報告をいただきまして、その後さらに、三十二年以前の退職者の問題あるいは疫学的な調査等につきましては、継続的に調査団で御検討をいただいておるわけでございまして、まだ調査団を解散あるいは終了したということではございません。ただ、いま読影中のものにつきましては、時期的に逐次まいりますので、便宜本省で、医師である監督官が読影をいたしておりますけれども、その結果が取りまとめられましたところで、また調査団の先生方の御意見を拝聴する、こういうことを考えております。
○古寺委員 厚生省にお尋ねしますが、厚生省はこの住民検診等についてはおやりになっておりますか。
○黒木説明員 お答え申し上げます。 このガンの問題につきましては、御承知のとおり、国立がんセンターを中心にいたしまして、いろいろ体系的整備をやっておるわけでございますが、そのほかにも、いまの御指摘のように、成人病対策の一環といたしまして、特に検診車による検診をやっておるわけでございます。それにつきまして、検診方法等の問題がございますので、胃ガン及び子宮ガンを中心にして各都道府県あるいは民間団体を通じまして実施いたしておる状況でございます。
○古寺委員 この佐賀関町において、特に重点的にガンについての住民の健康診断はおやりになりましたですか。
○黒木説明員 この件につきましては、発見の端緒が保健所でございますが、保健所の関係といたしまして、死亡数その他から見まして、特に問題意識を持って、この保健所自体もいろいろ調査したようでございます。この点につきまして、地域の問題でございますので、よく府県のほうが中心になって実施いたしたわけでございます。
○古寺委員 それじゃ、その県がやった調査結果は、対象人員が何名で、異状の発見者何名あったか御報告してください。
○黒木説明員 この調査につきましては、死亡数をもとにしていたしておりますので、一般検診といったかっこうで実施は計画的にはしてないと思います。
○古寺委員 厚生省は、なくなった人のデータだけを労働省のほうに報告をして、従業員の健康診断は労働省にやらしておりながら、一番大事な一般住民については全然——重点的な住民の検診をおやりにならないというのはどういうわけなんですか。
○黒木説明員 特に、佐賀関町のことでございますが、この点につきまして、主として保健所で問題意識を持ちましたのは、肺ガンによる死亡率であったわけでございます。そういう状況でございまして、この間にいろいろ、集団検診による実施状況とか、いろいろな技術上の今後開発すべき問題がいろいろございまして、こういう面もいろいろがんセンターその他において研究いたしておるわけでございますが、いまのところ、その関係といたしましては、いわば結核検診が相当行きわたっておるわけでございまして、その間に発見するという場合もあるわけでございますが、そういう点で、現在のところ、先ほど申し上げましたように、胃ガンあるいは子宮ガンといったものを中心にして実施いたしておるわけでございます。
○古寺委員 ですから、その検診をやった結果でございますね。結核の検診は、レントゲン写真等をおとりになるでしょう。だけれども、実際に受診している人の数というのは非常に少ないわけですね。あるいは一般の住民検診にいたしましても、ガンを対象にした検診というものは、おそらくこの佐賀関町では十二分に行なわれていないと思うわけです。しかし、実際に厚生省が行なった結果、何名の人を対象にしてどれだけの結果が出たかということがもしおわかりになっておるならば、いまここで御報告願いたいわけです。
○黒木説明員 現在、県に対しまして照会中でございまして、現在のところ、具体的な数字を、申しわけございませんが、持ち合わしておりません。
○古寺委員 環境庁いらっしゃいますか。——環境庁は、この佐賀関の住民の問題あるいは環境汚染の問題について、調査をしたことがあるかどうか、承りたいと思います。
○船後政府委員 お答え申し上げます。 環境庁といたしまして、特に佐賀関近辺につきまして健康調査をいたしたことはございません。 なお、大気と水質につきましては、県におきまして、佐賀関付近におきましてそれぞれ、硫黄酸化物あるいは水質の状況等の調査がございます。
○古寺委員 いや、私がお尋ねしているのは、労働省がこういうふうに、調査団を委嘱してまで肺ガンの問題を調査をしたわけでございます。したがいまして、当然、いろいろな環境の問題その他についても、環境庁としても十分なる調査をしなければ、一般住民のガンの問題というのは解決がつかぬわけですね。そういう点について環境庁はどういうような考え方を持っているわけでございますか。
○船後政府委員 佐賀関の問題は、当初、大分の保健所におきまして、特に従業員を中心として肺ガンの発生が多いということから、労働省を中心とする調査が始まったわけでございますが、先般、徳島大学の鈴木教授が近く発表されます、学会における報告内容が新聞に報道がございまして、私どもさっそく県を通じまして、まず先生の資料を入手いたしたい、このようにお願い申したところ、学会の発表が済んでからということでございますので、至急に鈴木先生の御研究の結果というものを参考にしながら、今後、佐賀関周辺につきまして、ガンの死亡の問題を中心に健康調査をするかどうかという問題を検討いたしたい、かように考えております。
○古寺委員 そうしますと、鈴木先生のいわゆる調査結果が発表にならぬうちは、環境庁としては、いろいろな環境の調査その他はおやりにならない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○船後政府委員 先ほども申しましたとおり、昨年大分の保健所が指摘いたしましたのは、佐賀関の従業員の方々を中心とした問題でございまして、これが住民にどの程度影響があるかということにつきまして、先般、鈴木先生の御研究があったわけでございますから、その鈴木先生の御研究の内容を十分拝見いたしました上で、今後どのような住民に対する調査をするかという点の判断をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○古寺委員 そういうことは逆じゃないですか。鈴木先生よりも先に厚生省なり環境庁が当然、その住民の人命尊重の立場から住民検診をやらなければいけないのであって、鈴木先生がおやりになって、その結果が出たら何とかしましょう、こういうような体制では、公害の問題は解決つかぬじゃないですか。おかしいんじゃないですか。労働省は保健所のほうから、こういう問題があるといって指摘されないうちは調査しない。環境庁のほうは、どこかの大学の先生が環境調査をして、その結果がわからないうちは動かない、こういうことでは労働者ももちろん、労働安全衛生ももちろんのこと、公害ももちろん解決がつかないのじゃないですか。もう一回環境庁御答弁ください。
○船後政府委員 まずお断わり申し上げたいことは、私ども佐賀関近辺につきまして、一般住民を対象としたガンの関係の調査をやらないと申しているわけではないのでございまして、鈴木先生の非常に貴重なる御研究があるわけでございますから、それをすみやかにお聞きしました上で、どのような手順でやっていくかということを検討いたしたい、こう申し上げておるわけでございます。 なお、いままで環境庁は中の問題だけで外のことには関心が向かなかったのではないかという御指摘でございますが、私どもとしましては、昨年大分の保健所におきまして肺ガンの疫学調査を、これは昨年の秋に公衆衛生学会でもって発表いたしておりますが、その際も、職業歴について特に有意の差が出てきたということから、対象を従業員にしぼっておるという調査になったわけでございまして、当時、大分保健所の見解によれば、やはり問題点はそういった職業病ではないか、こういうことでございましたので、労働省のほうの御調査にゆだねたということでございます。
○古寺委員 通産省いらっしゃいますか。——現在の企業の設備内容からいって、砒素の公害あるいは砒素の職業病の心配というものはないようになっておりますか。
○蓼沼説明員 お答えいたします。 佐賀関製錬所におきましては、主として銅、鉛、フェロニッケル、硫酸、こういうものを生産いたしております。ただいま先生お尋ねの砒素につきましては、まず、ここで現在検査をしております内容は、硫黄酸化物、ばいじん濃度、カドミウム濃度でございまして、これはいずれも排出基準を下回っておるわけでございます。ただ砒素につきましては、排出基準あるいは環境基準がございませんのでいままでいたしておりませんが、先般来問題になりました以後、四十七年の三月六日から十一日に至りまして、広域の精密検査をいたしまして現在その分析中でございます。
○古寺委員 現在の設備でもって、公害やあるいは職業病の心配はないかどうかということをお尋ねしているわけです。その企業に対して改善の計画があるのか、どういうようないままで欠陥があったのか、そういう点について御説明願いたいと思います。
○蓼沼説明員 お答えいたします。現在の鉱山の公害問題についての測定の基準でございますが、煙に関しましては鉱煙の排出基準がございまして、この基準に従いまして検査をいたしておるわけでございます。いま申し上げましたように、検査の内容は硫黄、ばいじん、カドミというものを検査いたしておりまして、その内容が基準の中に十分合格しているということで、この排出基準というものに合格している範囲においてはこの公害防止設備がよろしいというように判断しております。 〔増岡委員長代理退席、向山委員長代理着席〕
○古寺委員 そういたしますと、今後改善をする必要は全くない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○蓼沼説明員 現在の設備でございますが、いま申し上げましたように、砒素につきましては基準がございませんので調査をいたしておりません。ただし、現在調査中でございますが、この結果、砒素というものの環境その他の問題がもし出てまいりましたときに、それに対しまして排出が合うかどうか、もしそれが合わなければ改善をする必要があるかと思います。
○古寺委員 これはいま大臣もいらっしゃらないのであれなんですが、政務次官お聞きになっていると思いますが、まだその砒素の基準がないから十分な結果が出ていない、もしも改善をする必要があれば今後改善をするのだ、こういうふうに通産省はおっしゃっている。労働省は一体どういうふうにお考えでしょう。
○渡邊(健)政府委員 調査団の中間報告におきましても、現在の作業環境、健康調査の結果に関する限り、健康状況については、胸部及び皮膚にガンまたは前ガン症状を認められる者もなく、かつ環境調査の結果においても現行の許容濃度を大幅に下回っているとはいっておりますけれども、その調査の中でも、一部副産工場等に従事する労働者に尿中砒素量が多い方などもあるわけでございます。これは砒素中毒を起こすようなものではございませんけれども、そういう状況も認められますので、さらに労働省といたしましては、従業員の砒素への曝露を防止するために、労働環境の改善、清潔の保持、健康診断の促進等をはかりまして、労働者の健康管理について一そうの万全を期することといたしておるわけでございまして、そういう指導によりまして、製錬所の副産工場におきましては、砒素の空気輸送設備を四十六年の四月に設けまして発じんの防止をするとか、あるいは焙焼空気輸送設備を同じく四十六年の六月に設けまして発じんの防止をはかるとか、あるいは粗砒のかき出し時の発じん防止設備を四十六年の十二月に設けるとか、あるいは粗製炉、精製炉の投入時の発じん防止設備を四十六年の十二月に設けるとか、あるいは粗製炉、精製炉の排ガス処理設備を四十六年の十二月に設ける等々の設備の改善を、製錬所側においても実施しておるところでございます。
○古寺委員 そういう施設の改善について、通産省のほうに労働省のほうからは何にも協議しないのですか。
○渡邊(健)政府委員 労働省といたしましては、先ほど申しましたように、副産工場に従事する労働者の中に尿中砒素量が多い者がいるということで、それらの作業場における労働環境の改善等について指導をいたしておったわけでございまして、それに基づきまして会社が先ほど申しましたようないろいろな設備の改善を実施したわけでございます。
○古寺委員 通産省は全然聞いておらぬのですか。
○蓼沼説明員 そのような施設の改善については十分承知をいたしております。
○古寺委員 知っておるならば、その改善をしたことを御答弁願いたいわけだったわけでございますが、労働省のほうからいまお話がございましたので、今後も十分にそういうような危険のある施設については、その改善計画にのっとって一日も早く改善をしていただきたい、こういうように思うわけでございます。 次に、現在まだ判明しておりません五百四名のなくなられた方々について、今後砒素によるガンによって死亡されたという事実が判明した場合には、こういう方々についても当然労災を適用して補償してあげるわけでございますね。その点はいかがでございますか。
○渡邊(健)政府委員 なくなられた方が、業務上の疾病によってなくなられたということが調査の結果判明いたしますれば、労災保険法適用以後になくなられた方々につきましては、当然労災保険法によって補償をいたしますし、もし労災保険法の適用前になくなられた方がおられますれば、さきに二十七名中、労災法適用以前になくなられた方に対して、会社側から別途の特別見舞い金を支出してもらったと同様の措置をとるように、会社ともよく話をするつもりでおるわけでございます。
○古寺委員 従業員の方々にはそういうような労災の補償もございますけれども、それ以外の一般住民の方が佐賀関製錬所の砒素が原因になってガンになって、不幸にしてなくなられた、こういうような事実が判明した場合には、これは当然企業が責任を負うべき問題であると考えるわけですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。環境庁に伺います。
○船後政府委員 付近の住民の方の発ガンが、企業活動によることがはっきりと判明いたしますれば、企業が当然賠償すべきもの、かように心得ております。
○古寺委員 そういうような因果関係については、だれがこれを調査してあげるわけでございますか。
○船後政府委員 問題は付近の住民の方のガンがいずれの原因によって起こったかという問題でございまして、この点につきましては、先ほど来申しておりますように、すでに行いました労働省の調査、また鈴木先生の研究結果、これらを一応判断いたしました上で、必要とあらば大分県において調査をする、そういうことによって、付近の住民の影響が何に起因するものであるかということを行政的にきわめてまいりたい、かように考えております。
○古寺委員 労働省は調査団を派遣したわけでございますから、環境庁としても、当然大分県と連絡をとりまして調査団を一日も早く編成して、一般住民の健康診断、また並びに環境の調査を早急に行なわなければならない、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。
○船後政府委員 佐賀関周辺につきまして必要な環境分析調査、健康調査等につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在その点につきまして県と協議いたしておるところでございます。県において実施するとなれば、当然環境庁もこれに対しまして必要なる指導を行なうわけでございます。
○古寺委員 いままでいろいろ佐賀関製錬所の問題についてお尋ねをしてまいったわけでございますが、不幸にして犠牲になられた方々がたくさんいらっしゃるわけです。しかし、こういう問題に対する労働省あるいは環境庁、厚生省あるいは通産省の取り組み方というのは、非常に何かまだるっこいような、積極性がないような感じを受けるわけでございますが、大臣がいらっしゃいませんので、こういう問題に対する政府の代表として政務次官から、今後の考え方、あるいは今後の対策、御決意、そういうものをあわせて御答弁を願いたいと思います。
○中山政府委員 いま御指摘のありましたような問題につきまして、今後労働省はじめ関係各省におきましては横の連絡を十分密にいたしまして、総合的な住民の健康管理並びに企業内の従業員の健康管理に一段の努力をいたしたいと考えております。
○古寺委員 一日も早く関係各省庁間で連絡をとり合って、人命尊重の立場からこの問題を真剣に取り上げて対処していただきたいということを御要望申し上げまして、時間でございますので、終わります。
○向山委員長代理 次に、田畑金光君。
○田畑委員 予算に関連して二、三お尋ねをしたいと思うのですが、炭鉱離職者の雇用対策事業として、産炭地域開発就労事業並びに炭鉱離職者の緊急就労対策事業の二つが実施されておるわけでございますが、この事業が制度として取り入れられて以来の事業の規模、すなわち雇用する人の数の問題、それから予算、事業規模、事業単価の推移、それから実施の状況、これについてひとつ概略の説明をまず願いたいと思うのです。
○桑原政府委員 お答え申し上げます。 まず産炭地域開発就労事業についてお答え申し上げます。 予算の推移は、昭和四十四年度からこの事業は開始されたわけでございますけれども、昭和四十四年度は事業規模三千二百人、事業費単価が三千六百円で、予算額は二十五億二千三百万でございます。次いで昭和四十五年度は同じ三千二百人で事業費単価が四千五百円、予算額が三十一億五千四百万でございます。四十六年度は同じく事業規模は三千二百人で、事業費単価五千円、三十五億五百万となっております。四十七年度は、事業規模は同じく三千二百人、事業費単価五千六百円、予算額三十九億二千五百万を予定額として計上しております。それで、それで吸収率は七〇%でございまして、補助率は三分の二でございます。実施しております県は福岡県、佐賀県、長崎県となっております。 それから事業の種目別実施状況を申し上げますと、道路整備事業が一番多うございまして、四十五年、四十六年とも五二ないし五四%を占めております。次に多うございますのが土地等整備事業で三六、七、八%でございます。あと排水路の整備、営造物等の整備、農林施設等の整備事業がございます。 それから次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業でございますけれども、事業開始当初からのものを持っておりませんので、昭和四十四年度から申し上げますと、昭和四十四年度におきましては事業規模四千七百人、事業費単価二千五百円、予算額が三十億五千二百万となっております。昭和四十五年度は四千三百人、事業費単価二千八百円、予算額が三十一億二千八百万円。四十六年度は事業規模が三千九百人、事業費単価が三千百円で予算額が三十一億四千百万円。四十七年度は事業規模三千四百人、事業費単価三千四百円で予算額は三十億三百万円を計上いたしております。吸収率は八五%で補助率は五分の四でございます。実施しております地域は福島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県の産炭地でございます。 それから事業種目別の実施状況を申し上げますと、やはりこれも道路整備事業が最も多うございまして、比率といたしましては六〇数%を占めております。あと多うございますのは、土地整備事業が二〇%から二四、五%を占めております。あと多少こまかくなりますと、水道整備とか港湾整備とか砂防の事業等が実施されております。 以上簡単でございますけれども、御説明申し上げました。
○田畑委員 同じく緊急失業対策法に基づいた一般失対事業について、四十四年度以降予算の規模なり事業実施の推移、ことにまた就労適格者に対して毎年就労者数がどのような比率になっておるのか、これもついでにひとつ御説明を願います。
○桑原政府委員 一般失対事業につきましては、昭和二十四年度から開始されておるわけでございますけれども、当時は吸収人員が二万人程度で八億九百万程度で開始されたわけでございます。(田畑委員「四十四年度以来でよろしい」と呼ぶ)四十四年度を申し上げますと、吸収人員が十四万七千人で三一日七十一億三千八百万円でございます。それから四十五年度は吸収人員十四万人で予算額が三百九十六億七千九百万でございます。四十六年度は十二万人の吸収人員で三百七十三億六千二百万円でございます。四十七年度は十万五千人で三百五十九億四千九百万を予定いたしております。 以上でございます。
○田畑委員 去年の六十五国会で、例の中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法ができて、一般失対の就労者については漸減する、特に新しく発生する中高年齢の離職者について常用雇用に就労させるように指導していく。その意味において昨年の一般失対事業は就労者が十二万、今回は十万五千名、漸減しておる。それで一応政府の、あるいは労働省の方針からすると、それに基づいてこのような予算措置がなされた、こういうことであろうと思いますが、またいま炭鉱離職者の雇用対策事業を見ましても、緊就事業については毎年減っておるわけです。就労人員についても、予算規模についてもですね。四十四年、すなわち第四次石炭政策が始まったのが四十四年でございますが、その一環として産炭地域開発就労事業、これが発足しておるわけです。そうしていま説明がありましたように、産炭地域開発就労事業は、制度が発足したとき以来、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、事業規模は三千二百名、こういうことになっておるわけですね。事業単価もまた、たとえば昨年は四十六年五千円が、ことしは四十七年五千六百円、すなわち六百円事業単価もアップしておる。ところが緊就事業を見ますると、事業規模は四十六年が三千九百名、四十七年は三千四百名、すなわち五百名減っておる。事業単価もまた四十六年は三千百円であったのが、四十七年は三千四百円、三百円しかアップしていない。 そこで、私いつもこの予算の立て方について疑問に感ずることは、一般失対事業を見ても、あるいは炭鉱離職者対策事業の中の緊就事業を見ても、毎年予算定員、就労人員は漸減しておるのに、産炭地域開発就労事業だけは制度の発足以来ずっと同じ事業規模を維持しておる。本来から言うと、この種事業で働く人方は、正常雇用に移動さしていくというのが労働省がとっておる雇用対策であるはずだし、また口をきわめてそのような説明をなされておる。ところが、産炭地域開発就労事業についてだけいつも横ばいをしておる。この理由がどうしても、私は去年も同じことを質問したが、納得ができないので、どういうわけでこんな立て方にしているのか、それをひとつ明らかにしていただきたい、こう思うのです。
○桑原政府委員 炭鉱離職者緊急就労対策事業は、先生も御承知のように、昭和三十八年炭鉱離職者臨時措置法の改正によりまして、それまでは法律によって緊就事業が行なわれておったわけですけれども、三十八年のときから、炭鉱から出てまいります離職者につきましては三年間の求職手帳を発給いたしまして、その間促進手当を支給しながら職業訓練、職業指導、職業紹介といったようなきめのこまかな援護措置によってすみやかに安定職場についていただく、こういうようなたてまえになりまして、したがって、緊急就労対策事業は予算措置によって現在働いておられる方たちについてのみ事業を行なう、こういうようなたてまえに変わりましたわけでございます。そういたしますと、新規に入ってまいりませんわけでございますので、リタイアその他によって事業規模はだんだん小さくなってまいります。特に昨年の中高法の改正を契機にいたしまして、現実に民間の雇用におつきいただくという方については、御希望があれば就職支度金等を増額いたしまして、一般の民間の雇用におつきいただいたというような形で、事業規模はその事業の性格上だんだんと減ってまいっております。 一方、産炭地開発就労事業のほうにおきましては、四十四年度から実施いたしたわけでございますけれども、相変わらず合理化閉山が続いてまいりますし、産炭地域において必ずしも雇用情勢が好転していない。したがって、そこの地域における開発を進めながら、企業の進出等を期待しながらそういった事業を起こし、その間臨時的な就労の場を提供しようというわけで、産炭地開発就労事業ができたわけでございますので、したがって、産炭地の雇用情勢が現状よりも好転いたしませんわけでございますから、現状のまま事業規模を確保いたす、こういうような考え方で進めておるわけでございます。
○田畑委員 その点は後ほどまたお尋ねいたしますが、先ほど触れていましたように、去年の国会で中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法ができて、これからの一般失対に働く人方はだんだん減っていく、現実に毎年二万ないし一万五千減っていくわけですね。そこで、それにかわるものとして、今後中高年齢者の予想される離職者については特定地域開発就労事業、これをもって充てる、このようになっておりまするが、一体この特定地域開発就労事業というのが実際どのような運用をなされておるのか。この事業は、説明によれば産炭地域であるとか、あるいは同和地域であるとか、過疎地域であるとか、こういう地域を対象に、こういうわけで昨年も五千名の事業規模、四十七年度の予算でも同じように五千名の事業規模、このようになっておるわけですね。これが一仮失対事業の就労者の漸減に応じて、特定地域開先就労事業にこれを振り向けていくというような面も一面あるわけでありまするが、そのあたりの運用というものが末端でうまく調整されているのかどうか、この点ですね。特に私は、これは政務次官にお尋ねしたほうがいいかもしれませんが、昨年やはり同じ六十五国会で農村地域工業導入促進法、こういう法律ができておるわけで、これも一つは農業の構造改善ということも出てくるわけでありまするが、いわば農村にふさわしい企業を誘致することによって農村の労働力の確保をはかる、離農者対策あるいは出かせぎ労働者対策をはかるというようなことを唱えておりましたが、実際これがどのように運用なされておるのか。これは農村工業導入促進法というのは、労働省みずからがすべてやるのじゃなくて、通産省、農林省、労働省と、こうなっておりますが、特に雇用の面は労働省が関与されているわけでございまするが、この法律に基づく雇用関係などは、どのようになされておるのか、このあたりもあわせてひとつ御説明を願いたい、こう思うのです。
○道正政府委員 御承知のとおり、さきの通常国会におきまして成立をした農村地域工業導入促進法は現在計画立案の段階でございます。 いまのところ二十県くらいの県におきまして計画ができ上がっておりますが、まだ全部完成を見ておりません。その計画の立案の段階におきましては、都道府県の労働主管部を中心に雇用面につきましても、地域の実情に応じ、雇用面の計画を織り込んで立案をいたしております。そういう段階でございます。
○桑原政府委員 特定地域開発就労事業は、昨年の中高法の改正に伴いまして新しく昨年の十月から実施を始めた事業でございます。この事業に就労いただきます失業者の方は、原則として中高年齢法によりまして手厚い就職援護措置を講じても、なおかつ就職ができない方をこの地域開発就労事業に就労していただくというようなたてまえになっております。ただ、現在十一県において約三千人の方が就労されておりますけれども、昨年の十月、失対事業が、新規の失業者については入れなくなったわけでございます。その機会に失対に働いている方につきまして、特に民間の雇用に御希望いただく方、あるいは地域開発就労事業に体力その他から見てぜひ働きたいという方につきましてのみ、とりあえず三千人の規模で開発就労事業を現在施行いたしておるわけでございます。 したがいまして、そういった失対事業が、今後高齢者に対するいろいろな施策等が完備するまでの間は失対事業でお働きいただけるわけですけれども、そういった失対事業に依存しなくてもいいという方についてのみ、先ほど申し上げましたように、開発就労事業にお働きいただいたというようなことで、特例的な現在運用をいたしております。 したがって、現在中高法によって手帳を発給していろいろな就職活動をされます方がいずれだんだんと就職されるし、あるいはどうしても就職できないという方がだんだんと出てまいられると思いますけれども、その時期においてそういう方々を必要に応じて必要な地域に開発就労事業を逐次始めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○田畑委員 どうも局長の答弁は、農村地域工業導入促進法について都道府県の計画を待ってというようなお話でありますが、この種法律が次から次にできてくる、また今度の国会では工業再配置促進法というのが、これは特に田中通産大臣の大きな構想として、また土地再開発計画の一環というようなことも性格としてあるわけでありますが、工業再配置促進法案というのが提案される。 今日、太平洋ベルト地帯というのは、国土面積の二割だが、人口は五割を占めておる。工業出荷額は七三%に及んでおる。これをある年度を目標にして工業出荷額を五〇%程度に下げて、そうして、たとえば首都圏のようなところから地方の農村に対して工業などを移転促進しよう、こういうことをねらった法律でございますが、この法律を見まして、これは今後の国土の均衡ある発展、あるいは過密過疎の問題の解決、あるいは都市政策、あるいは土地政策、これを進めていく上においては、この法律は非常におもしろいと申しますか、なかなか斬新な法律である。このように考えるわけでありますが、この中で一番大事なことは、雇用面という問題がほとんどないということです。 現実に、たとえば東京都内の公害その他もあって、自然環境その他もあって、この都内から、首都圏から地方に移転をしよう、あるいは移転の促進をはかろう、こういうことになってきますと、財政あるいは金融あるいは予算措置等のいろいろな援助措置がその移転のために、あるいはまた移転地域において工場を新設する、あるいは製造業を経営する、その場合にいろいろな援助措置がなされておるような仕組みになっておりますが、肝心かなめのそのような移転措置から来る現に工場に働く人方、これは新しいところに移転できるかどうか。家族持ちもあろうし、また子供の就学の問題もあろうし、そうなってきますと、この法律を実施するためには当然整備されて、来る企業や工場については労働対策なり雇用対策なり離職に対する援護措置、こういうものがとられなければならぬはずなんだが、この法律については一、二条で、たとえば第一条を見ますと、「雇用の安定」ということばが出ておりますが、ただそれだけだ。第三条の第二項に「労働力の需給に関する事項」云々というのが載っておるだけだ。 この法律を読んで一番感ずることは、大事な、そのような移転する企業の労働者の雇用の問題、離職する人方の援護措置の問題が何一つ取り上げられていない。一体これはどういうことなのか。さっきの農村地域工業導入促進法を見ても、やはり大事なのは労働力の確保の問題なり雇用対策の問題なんだが、これもいまの局長の答弁を聞いても何ら具体的なものはない。工業再配置促進法安は一そうその感じを強くするわけでありますが、労働対策、雇用対策が一そう必要であると思うのでございますが、この点についてはどういう準備なり、あるいは話し合いなり、提案に至るまでどのような経過を経ているのか、このあたりをひとつ承っておきたいと思うのです。
○道正政府委員 御指摘のとおり工業再配置促進にあたりまして、雇用問題が非常に重要であるということはもう全く同感でございます。当初、率直に申しまして、通産省で立案いたしました原案には、雇用面につきましてはほとんど触れるところがございませんでした。私ども、この種の法律を施行する場合に、雇用面の配慮なしにはできる問題ではないということを強く言いまして、その結果、先ほど御指摘がございましたように、(目的)にも入れまして、また計画立案の場合にも「労働力の需給に関する事項」を大きな要素として検討するということに明文をもって書き、また第四条におきましては「関係行政機関の長」となっておりますが、労働大臣といたしましては、所掌事務につきまして通産大臣に意見を言うという仕組みも法律上明文をもって仕組んだわけでございます。さらに第十条におきましては「訓練施設その他の施設の整備の促進に努めなければならない。」という努力義務等も入れたわけでございます。 問題は、この法律が施行になりますと、出ていく工場がございますのは、いわば東京をはじめとする大都市であろうかと思います。確かにその場合に全部が全部地方に移転できるわけではないと思います。したがって雇用問題は必ずや起きてくるわけでございますけれども、地方と申しますか、過疎地帯におきます事情等を比較するならば、工場が出ていくその土地というのは、いわば人手不足と申しますか、労働力がむしろ足りないというふうにいわれている地域でございますので、特別の雇用対策を用いなくても、職業指導あるいは相談、職業訓練あるいは各種の転換給付金の支給等の援護措置をもちまして、工場の再配置に伴って生ずる雇用問題については対処できるんではないかというふうに、実は私ども考えておる次第でございます。
○田畑委員 私は、ある大きな企業が東京都内の工場を閉鎖して地方に移転する。そのために、いま組合と会社の間に合理化反対闘争というようなことで深刻な紛争が起きていることを承知しておりまするが、東京都内では、もうすでに公害の問題、環境の保全からくるいろいろな制約の問題等があって、どうしてもこれは地方に移転せざるを得ない。それはまたそれだけの理由じゃなくして、もっと原材料の輸入等々、そういうような点から臨海工業地帯に移転せざるを得ない、こういうような問題をめぐって深刻な紛争状態が起きておる。 これを見ますと、やはりこの工業再配置促進法が適用されますと、そっくりそのままの事例が所々方々に企業の中に起きてくる、こう見るわけです。しかも工業再配置促進法というのは、先ほど申し上げたように、土地の再開発のためにどうしても必要なんだ、あるいはまた過密過疎の問題の解決等々のためにも、そうしてまた国土の調整のとれた発展を促進するためにもどうしても必要なんだ、こうなってきますと、大きな国の政策目標のもとに運用されるわけですね。そういうような場合は、当然たとえば炭鉱離職者に対して、駐留軍離職者に対して、あるいは昨年の日米の繊維協定に基づく、繊維労働者に対する特別の雇用対策、離職者対策はとられたが、こういう大きな法律をつくるならば、少なくとも一番大事なその裏づけである人の問題、人の配置の問題、離職の問題等々について対策がとられないということは、私は片手落ちもはなはだしいと思うのです。 いまの局長の答弁では、どれだけこの立法に労働省が参与なされたかということを強く疑問に思うのです。私は、こういう問題等について、もっと労働省がこういうような法律の立法過程に参加して雇用対策の問題等、あるいはそういう該当労働者の援護措置等々については、もっと強い内容というものがとられてしかるべきじゃないか、こういうように思うのです。どうですか。政務次官、あなたはこの点についてどうお考えですか。
○中山政府委員 先生御指摘のとおり、工業の再配置の問題が過密都市の分散につながるということは、私どもよく存じておりますけれども、事業場、工場の移転に伴いましては、当然従業員の移動という問題が当面の課題となって登場してまいります。その場合に、家族を持った勤労者たちが遠隔の地に移るということは、就学問題やいろんな問題等で事実上困難な問題が起こってくることも現実にございます。そういう面で、新しい工場の移転等につきましては、十分離職問題につきましては、離職の起こらないように配置転換等を企業側とも十分相談をいたすとともに、どうしても移動できない労働者のためには再就職のあっせん、あるいはまた中高年の雇用促進等につきまして、労働省といたしましても、今後は十分関係各省と相談の上で、働く人たちの不安のないような施策をとりたいと考えております。
○田畑委員 私は、この種法律ができることは大いに賛成であり、けっこうであるが、やはり大事なのは、いま政務次官のお話にあったように、既存の工場、企業に働いている人が新しいところに配置転換が円滑にいくならば、これはけっこうなんだけれども、多くの場合はなかなかむずかしいと思うのです。 そのような場合に、そのような企業に働いている人方が離職した場合の対策をどうするか、こういうような問題については、もっと責任ある、言うならばきめのこまかな援護策ぐらいはとられて法律が出てくるようなことでなければ、私は、この法律をつくっても、たいへんに社会的な混乱だけを巻き起こしはせぬか、こういうことを心配するわけで、こういう点はもっと真剣に取り組んでいただきたい、こう思うのです。 それから、先ほどの産炭地域開発就労事業の問題にもう一度戻りますが、過去の石炭合理化による失業者の滞留が著しい地域であるとか、あるいは今後合理化に伴い、多数の失業者の発生が予想される地域を対象に、この産炭地域開発就労事業というものができたわけです。また、使用する者の側から見るなら、合理化に伴う炭鉱の離職者並びに関連企業から出てきた離職者、このような離職者を雇用することになるのが開発就労事業でございますが、先ほど失対部長の答弁を聞いておりますと、私が納得できないのは、これだけは四十四年以来事業規模も減っていないで、予算規模だけは毎年大きくなっておるということですね。これは、石炭対策特別会計の中の予算措置でございますが、四十七年度の石炭対策特別会計を見ますと、今度は石炭及び石油対策特別会計と名前が変わりましたが、御承知のように、石炭特別会計は別建てで、原重油関税収入の十二分の十を充てておる。ところが、昨年のドル・ショック以来、経済活動が沈滞して、そのために原重油関税の収入もことしは減ってきた。そこで、毎年石炭特別会計は、四十六年度までは予算の全体の規模もふえてきたのだが、ことしは石炭対策特別会計は規模が減っているわけです。これはもちろん炭鉱そのものが大幅に数が減った、これも一因でありますが、大きな原因は原重油関税の財源がずっと減ってきておるということです。 それで、この石炭特別会計を見ますると、通産省関係の予算措置は——四十七年度の通産省関係の石炭予算は、昨年に比べますと六十三億四千五百万減っておる。ところが、労働省関係はどうかと申しますと、四十七年度の労働省関係の炭鉱離職者予算は昨年に比べて四億以上ふえておる、こういうことですね。それで、ことしの石炭特別会計は千一億でございますが、昨年に比べると約六十億減っておるが、労働省関係の離職者予算だけは四億ふえておる、こういうわけです。 私は、石炭特別会計について云々議論する時間もないし、そのつもりはございませんが、このように予算措置がふえておる。ところが、この産炭地域開発就労事業というのは、現行次官通達によって、北海道のような積雪寒冷地帯であるとか、離島であるとか、新産都市であるとか、工業開発特別地域は除くと、こうなっておる。この点はこの次官通達はもうなくなったのですか。これが一つ。 それからもう一つ、私が非常に遺憾に思うことは、この開発就労事業が発足した四十四年は、一体炭鉱の閉山の規模はどれだけあったのか、炭鉱の離職者がどれだけあったかというと、四十四年には八百四十二万トンに相当する山が閉山しておる。離職者が二万二千二百八十八名。四十五年はどうかというと、六百四十八万トンの規模の山が閉山になっておる。そして離職者が九千七百十五名です。四十六年度はどうかと申しますと、閉山が六百一万トン、炭鉱の離職者が一万二百三十七名、こういう状況です。 ところで、私は質問であなたに答えてもらわぬで、資料をあなたに説明して判断を願うわけですが、四十四年、四十五年、四十六年にこのような規模でこれだけの離職者が出ておるが、産炭地域開発就労事業というのは、御承知のように九州地域しかやっていないでしょう。なるほど、九州地域における炭鉱離職者の発生状況はどうかというと、四十四年は、二万二千二百八十八名の中で、九州地域は一万三千六百七十名の離職者が発生した。四十五年は、九千七百十五名の炭鉱離職者の中で、九州地域から離職者が出たのは四千七百一名、半分くらいですね。四十六年はどうかというと、四十六年は、一万二百三十七名の炭鉱離職者が出て、一体どこからそんなにたくさんの離職者が出たかというと、一番大きいのは、これは常磐地域が五千七百五十六名、北海道が三千五百二十九名、九州は、わずかと言ったら語弊があるかもしれぬが、九百五十二名です。あの小さな常磐地域で五千七百五十六名の炭鉱離職者が出ておるのに、北海道は三千五百二十九名出ておるのに、九州は九百五十二名、こういうわけです。もう筑豊地区にはほとんど炭鉱というものはなくなったでしょう。これから炭鉱の閉山が出てくるのはやはり北海道地域だ。常磐などは昨年でほとんど全部閉山してしまったというような状況ですね。 そういうようなことを考えてみますと、私は言いたいのは、産炭地域開発就労事業というものが九州に、しかもそれは福岡県のみに集中的に実施されておる。先ほど、不当労働行為で福岡県知事亀井さんの名前が出ていたが、どうもこの開発就労事業というのは、労働省の先輩の亀井知事のためにとられた措置じゃないかという悪口も、もうこの制度ができた当初からあるわけで、これは実際の四十四年以来昨年、四十六年までの予算運用を見ますると、そういう点ではまことに遺憾だ、こう思うのですね。 だから、この際、労働次官もいらっしゃるわけだが、いまのような問題を私が指摘いたしましたが、この開発就労事業について、もし私の記憶違いであるとすれば、次官通達というものがあって、その次官通達によると、こうこうこういう地域はだめだ、こういうような通達があるやに聞いておるが、もしあるとすれば、すみやかにその通達は取り消すべきだと思うし、またせっかく石炭対策特別会計の予算の中で、石炭を維持存続させるという前向きの予算というものはぐっと減っておるにかかわらず、炭鉱離職者の予算だけはふえておる。しかも、これは労働省所管である、こういうことを考えてみますと、開発就労事業の予算運用等について、もっとくふうがあってしかるべきだ、このように考えますが、この点について、ひとつ政務次官の見解を承っておきたい、こう思うのです。
○中山政府委員 田畑委員の御指摘にお答えさせていただきたいと思います。 従来、産炭地開発就労事業の運用につきまして次官通達があるのではないかというお尋ねでありますけれども、そういう趣旨の点は、その通達には載っておりません。 なお、この産炭地開発就労事業は御存じのように、ただいま福岡県、佐賀県、長崎県の三県に限って行なわれておりますけれども、今後は炭鉱離職者の実情を調査いたしまして、現状に合うようにひとつ運用させていただきたい、かように考えておりますので、御了解賜わりたいと思います。
○田畑委員 私は昨年の何月何日かに、この委員会で、産炭地開発就労事業等について質問いたしまして、当時の遠藤失対部長、それから労働大臣も出席していまして、いま政務次官の答えたようなことを同じく答えておるのです、昨年のいまごろ。だから、また同じようなことを答えているが、また私をだますつもりかどうか。今度はもう少し切り込みたいのだが、あまり切り込みもしないままに今度は人がかわっているし、顔ぶれもかわっているから、今度はほんとうのことかなということで私、受け取りたいと思うが、ひとつ政務次官の答えはよくわかりましたが、担当の部長がもっとしっかりせぬと困るので、部長からも、ひとつはっきりと答えていただいて、私の質問をこれで終わります。
○桑原政府委員 ただいま政務次官が御答弁申し上げたとおりでございます。私もそういった方向で十分検討いたしたいと思います。
○田畑委員 それじゃ終わります。
○向山委員長代理 次に、寺前巖君。
○寺前委員 きょうは、私は、映画産業で働いている人の中には俳優さんもあるし、また撮影その他の仕事についている人もあるわけですが、契約者制度という制度で、事実上労働者と同じ仕事をしているわけですが、扱いがそうなっていないという実態を最近知りましたので、この問題についてお聞きしたいと思います。 最近、こういう手紙が私のところに来ました。 映画産業には「契約者」と呼ばれる大量の未組織労働者が働いています。契約制度とは一言で云えば、有名俳優の出演契約の形式を一般労働者の雇用形態に無理にあてはめ、「請負契約」であるかのように偽装した悪質な臨時工制度です。それは、労働者を労基法や労組法の適用から除外し、団結権を奪い、無制限な長時間労働と過勤手当なしの固定賃金や出来高賃金をおしつけ、実態は長期雇用であるにもかゝわらず身分保証の面でも非常に不安定な状態にしばりつける一種の奴隷制度であると云っても過言ではありません。しかもこれらの労働者には、社会保険が一切適用されていないのです。 長い間バラバラにされ、劣悪な労働条件に甘んじていたこれらの労働者も最近ようやく要求をかゝげて立ち上るようになってきました。 とくに東映では、契約者四〇〇余名が契約者集団という組織に結集し集団交渉権を確立し、急速に労働条件改善斗争を強化して来ました。その結果東映では、昨年冬までに、健康保険、厚生年金の適用をかちとりました。しかし東映でも今尚、失業保険の適用対象からは除外されており、基準法の保護も依然として受けていません。 深刻な産業危機の渦中にある映画産業では、失業保険適用問題は、それ自体非常に緊急性をもった問題となっています。しかもそれは単に、失保の給付問題だけでなく「契約制度」という悪質な雇用制度を改善し労働者としての当然の権利を次第に確立していくための貴重な一歩となる性質をもっています。 云々、こういう手紙をいただいたわけであります。 それで、この間、私、実際に所用があって撮影所へ行きましたついでに、東映の京都撮影所というところに行ってみました。 先ほど当局の方にはお渡しをしておいたわけですが、この撮影所の組織、人員の配置というのを見てみたのです。そうすると、撮影所の中に社員というのがおりますし、契約者というのがおりますし、下請の労働者という三つの形態があるわけですが、全体として、映画撮影からテレビその他を入れると、この事業所ではざっと千人ほどの職員がおると同時に、契約並びに下請というのがざっと三分の一の四百から五百という数が存在しているということが明らかになりました。そうして、一本一本の映画をとる場合にどういうふうにやっているのだろうかと思って、具体的に調べてみました。先ほどお手元にお渡ししておいたわけですが、たとえば「任侠列伝」という一つの映画をとる。そうすると、そのスタッフというのをまず山下耕作という監督さんにお願いをする、この監督さんは技師としての契約を一手に引き受ける、そこでこれを山下組のスタッフということで人員配置を、社員並びに契約者、下請をそこに入れてしまうわけです。 そこで、技師の契約の問題は一応たな上げにして、お手元に渡してある表をごらんいただいたらわかりますが、たとえば助監督というのがあります。助監督というのは監督さんを助ける仕事だと思うのです。その助監督さんのチーフは社員です。その次の人も社員です。しかし、もう一人の人がおります。その人は契約だということになる。そうすると、監督の指揮のもとに仕事をする助監督グループがあって、その一員が、他の二人は社員として労働者としての諸条件を全部獲得しているのに、その助監督は契約という身分のために一%の青色申告の積み立てをやっていくということで、事業契約の資格であるがために失業保険の対象から、一切の労働者としての労働条件の保障を受けられないという状態になっておる、こういうのです。 あるいはまたそこにありますように、撮影という分野があります。この撮影という分野のチーフである人は契約者です。技師として撮影全般に対することを請け負うということはあり得ると思うのです。その下で働く人が社員という形で三人おります。この人たちは労働者としての扱いを受けているのです。ところが、その下に二人、まだ別に契約者というのがおるのです。仕事はこの社員の人と同じように、あしたは何時何分に出てきてくれよ、こういうふうに仕事につけさせられて、そしてその契約者の指揮のもとに撮影の任務につく。そうすると、この契約者というのは、名前は事業契約のごとく扱われているか知らないけれども、実態は全く労働者としての地位であるのに間違いありません。また、だれが常識的に考えても、それ以外に考えられない性格であるのにもかかわらず、これが契約者として存在している。 こういうふうな道筋をたどっていくならば、契約という形を通じて労働基準法の適用を受けない労働者が入ってきて、休暇の問題から勤務の問題から、労働者としての一切がっさいの権利が剥奪されていく。先ほどお読みいたしました手紙の内容じゃございませんけれども、映画産業全体がゆれ動いてきている今日において、失業した場合に、この人たちが失業保険の対象にもならないということになってきたら、これは非常に重大な制度問題として、基準局、監督署あたりでも当然指導、監督をしておられる内容だと思うのですが、どういうふうな御見解で今日まで御指導なさっておったのかを、ちょっと聞きたいというふうに思うわけです。
○渡邊(健)政府委員 映画作製の事業におきましては、この業務の特殊性から、いまおっしゃいましたような技術者、技能者の一部が映画会社と特殊な契約関係を結んでいるものがあるということは承知をいたしております。法律的に見ますと、これらのものは、その契約の形によるのではなくて、実質的にそれが会社との間に使用従属関係があるかどうかということによって基準法上の労働者と見るかどうかというものを判断すべきであると考えておるわけでございます。また社会保険も、それぞれの法律に従って実質によって適用さるべきものであると考えるのでありますが、個々の場合につきましては、その実情を見まして判断し、指導してまいる、こういうことで進んでいるわけでございます。
○寺前委員 それで局長さん、個々の具体例を私いまちょっと提起してみたわけですね。もう一つ、先ほどお手元にどういう形態があるかというのを渡しておきましたけれども、そこはわざと技師契約というのは数字を抜いておいたわけです。それはどういうことかというと、先ほどお話ししたように、チーフになる人の場合には、これは契約という形態があり得るということは見当がつきますので、一応技師契約というやつは、ちょっといまはずしたわけなんです。 そこで、私が提起した、たとえば助監督が三人おられる。助監督というのは監督の助手だ。助手契約をしている人が三人のうち一人おるということは、あり得ることなんだろうか。全くの手助けを契約でやって、労働者としての扱いにならないというようなことは、これは想像することもできない契約という形態じゃないだろうか、あるいは、先ほど言いましたように、撮影の場合に、みんなと一緒にやっているチームの中に社員がおるにもかかわらず、契約者というのが存在するのだろうか。そんな契約というのがあるのだろうか。切り離した場合の契約というのはあり得るか知らないけれども、しかし、こういうふうにチームになって指揮監督権の中に入ってしまったら、これはどこから見たって、実態上からいうならば、当然おかしいと思うほうが常識じゃないだろうか。そういうことになってくると、当然これらの人たちは、どんな名称をつけようと、労働基準法の十五条による労働条件の明示をきっちりし、それから八十九条による就業規則をちゃんとして、作成、届け出もきちっとやる。そういう扱いにして、当然失業保険の対象として取り扱っていくというのは、常識的に見てそういうふうに思うのですけれども、局長さんどうでしょうか。もしもそうだと思われたら率直に言ってほしいのと、もう一つは、ぜひこれはすみやかに調査をして指導の改善をやってもらわなかったら、こういうことが大きな映画会社で天下ごめんで通っているということになったら、労働省としても、ちょっと重大な問題じゃないかというふうに思いますので、もう一度お聞きしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 お話の状況を伺っておりますと、使用従属関係があるのではないかと思われる場合が多いのではないかと考えるわけでございますが、私、映画のいろいろな作業の実態をよく承知いたしておりませんが、聞くところによりますと、それら契約者の中には、一定の仕事だけを担当いたしまして、それが済むとほかの人と別に、拘束を受けないで帰ってしまうというような実態の方もあるように聞いておりますので、いまおあげになりました例のいろいろな職務につきましても、ごく特殊な部分だけを何か請け負うようなことがあるのかどうか、そういう点もよく調査いたしてみたいと考えておるわけでございまして、個々の実態をよく調査しました上で、それに応じて、先ほど申したような考え方で対処してまいりたい、かように感ずるわけでございます。
○寺前委員 特殊な場合もあるということで今日まできているのか知らぬけれども、実態というのは、どこから考えたって、助監督の性格というのが、一つの映画をとるという意味において、三人おって特殊なものだけというようなことはあり得ないのですよ。だから、むしろこの行なっている形態のほうが疑問が多い性格だと思うのですね。ですから、そういう意味で先ほど言いました労働基準法の十五条なり、あるいは八十九条なりの立場に立って、この人たちをぜひ見てもらいたいということで、すみやかに調査をしていただくことを、私はこれは問題を提起しておきたいと思いますので、ひとつよろしく頼みたいと思います。 それから第二番目に、このスタッフ表の中にこれまた、引き続いて申し上げるわけですが、照明のところに——照明のチーフは技師契約です。その下に三人並んでいるのは社員です。外五名と、こうなっている、これが下請なんです。そうすると、照明を指揮する人がおって、その中で労働者が一緒になって、下請も、それからそうでない社員の労働者も一緒になって照明作業をやっているのです。この実態を見られたら、おわかりになると思いますけれども、これは一つの分野を請け負うという性格ではもうないわけなんです。現場では器具そのものは全部会社の器具なんです。下請の会社がその器具を使わしてもらうということで金を払うわけじゃないのです。そうすると、これはどういうことになるかというと、この会社の事業の中に、いまのは契約という問題でしたが、今度は下請会社が労務提供、人を派遣するという下請会社になっているんじゃないか。 そこで、もう一つの表を見ていただいたら、わかるのですが、この中に下請の会社名が入っています。制作プロというのは八名おります。これは助手その他の人たち、助監督などの人たちを派遣するプロダクションなんです、それから関西映機というのと矢部プロというのがあります。関西映機というのは、いま言った照明の下請の人を派遣するところなんです。矢部プロというのは、録音関係の人を派遣するところなんです。ごらんのとおり、下請とこういったって、実はこのシステムの中に組み入れられているところの労働者だ。そうすると、この他の会社のやつは一応請け負っている性格がありますから、これは一応別として、この三つの会社は全く人を派遣するだけのことが現実に行なわれているというのが実態のようです。とすると、これは職安法に基づいて、人入れ稼業をやるということは許されていないということになるという性格を持つんじゃないだろうか。したがって、私はこういう人入れ稼業の事業が、ここに存在しているということになるならば、非常に重大な問題だと思うので、これは職安局長さんになりますか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
○道正政府委員 下請業が労働者供給事業に該当するかどうかは、個々具体的な事例につきまして職業安定法施行規則第四条第一項に示します四条件を満たしているかいなかを判断する必要がございます。そういう意味で御指摘の映画産業における請負業につきましては、早急に実態を調査したいと思います。
○寺前委員 それで私は最後に政務次官にお願いといいますか、お聞きしたいわけですけれども、いま映画産業は東映だけではなくして、他の分野にもこういうような形態が存在しているようです。さらに、これはテレビ関係その他の分野にもこういう問題があるようです。私は労働基準法を、これは労働者の今日までの戦いの中でつくられてきたところの一定の労働者の基本的な最低の労働条件をきめるものであって、これよりもよくしなければならぬと法律には書かれているとおり、当然労働省自身がこの労働基準法に基づいて、現実にいまの労働者を保護していくという使命があると思うのです。 そういう立場に立って、私は具体的にいまある一つの事業会社について指摘しましたから、この事業会社についてはもちろんのこと、この全分野に対して緊急に調査をしていただいて、そうして労働者の基本的な権利を保護するように善処していただきたいと思いますが、政務次官の見解を聞きたいと思います。
○中山政府委員 ただいま御指摘のありました点につきましては、労働省といたしましても十分調査をいたして、鋭意努力をいたしたいと考えております。
○寺前委員 終わります。
○向山委員長代理 これにて散会いたします。 午後七時十五分散会