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68回国会衆議院1972/03/21

社会労働委員会 第8号

発言数
72
登壇者
4
会派数
2
開催日
1972/03/21

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  労働安全衛生法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 時代の進展によりまして、働く職場の状態が変わってまいりましたが、政府は、今回、この職場の安全を確保し、そして産業の進展に寄与するという意味合いから、新しい法案を提案をしてまいりました。  私は、きょうは労働安全衛生法案のいわば前提をなすいろいろな条件なり、あるいはまたその周辺の問題について主として質問をいたしてまいりたいと思います。  労働災害は、日本の場合はかなり多発をしておるわけですけれども、その総数は年間百六十万から百七十万といわれておりまして、数のはかり方にも問題がありまするけれども、まあ百万といわれる交通事故に比較をしても、さらにこの労働災害は多発をしておるという状態であります。まあ、死傷者の数は減少傾向にあり、特に死亡者は横ばいであるといっておりまするけれども、しかし、業務上疾病の数がふえているということから見ましても、近年かなり、労働災害がさらに深刻化しているということを物語っていると思うのであります。そういった面から私は、この労働災害というものが最近特に重大な事故、あるいはまた悪質な疾病、特に職業病といわれるところの非常に深刻な疾病、こういったものをもたらしているということを見た場合には、実はないがしろにできない傾向ではないかと思うのであります。  労働省がお出しになっておるところの統計資料によりますると、いま私が申し上げたように、総体の数は必ずしもふえておらないといっておるのでありまするけれども、私は、実は厳密にこれをながめてみた場合には、そうではないのじゃないかと思うのであります。  一つには、その質的な面において、いま申し上げたように、いわゆる大型化しているところの事故、それから、職業病等に見られるところの、いわば非常に長期にわたるところの疾病、さらには、その内容的には下請零細企業に非常に事故が多発化しているという状態、こういったものを見たときに、表面的に数の推移だけでこれをとらえることなく、その質や中身の意味するものから見て、私は非常に重大な要素を含んでいるのではないかと思うのでありますけれども、大臣、どうでしょう。最近の労働災害の傾向について、一つの特徴がいま私が申し上げたようなことであるんじゃないかと思うのでありますけれども、いかがお考えでございましょう。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労働災害を防止することが必要なことは、これは言うをまちません。なぜならば、労働力の中心をなす非常な影響力をもたらすからであります。そこで、よくこれを交通災害と比べまして、数字の上等で発表いたしておりまするけれども、交通問題は別として、労災を見ますると、いま田邊委員御指摘のように数の面では減っておる。これはなるほどいい傾向ではあるかもしれませんが、その中には、やはり企業にそれだけ仕事がないのではないかという面も一部考えなければならないし、それから大型化する災害、職業病において、いまあなたが御指摘されたような長期にわたる問題等、これは非常に重要な内容を織り込んでおると私は思うのであります。  災害防止につきましては、各省庁の協力を得まして、その計画に基づいて着実な堅実な減少方につとめておりまするけれども、いまなおあとを断たないことは、まことに残念でたまりません。われわれは今後とも労災の撲滅のために、労災の少なくとも数を少なくするために——全然なくなることが一番いいのでありまするが、全力を傾けていかなければならない、このように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 問題は、いまいわば生産状態というものが非常に鈍化しているということも大臣言われたのですが、それと同時に、この労働災害というのが表にあらわれない形で、潜在的に実は非常に多くなっているんじゃないかという気が私はするのです。このことを私は非常に心配しなければならぬと思うのです。ですから、労働省は表面に報告されるところの労働災害というものをとらえるだけでなくて、いわば表にあらわれないいろいろな事故、それからもう一つは、事故があっても報告をすることをきらったために、それを内部でもって処理するというような傾向、あるいは安全衛生月間とか事故撲滅週間とかいろいろなものを設けたために、いわば統計上あらわれることをきらうために表にあらわさない、こういうことについてあなた方はよほど深く探って、その根源を突きとめなければならないのではないかというふうに私は思うのですけれども、それらについて一体どういうような手だてを講じてこられたか、お伺いしたいと思うのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ただいま田邊委員御指摘のように、一部には災害が起きましても、いわゆる安全表彰などの目標達成のためにそれを表に出したがらないという傾向があるというようなことも私ども聞いております。しかしながら、われわれといたしましては、業務上の災害疾病につきましては、できる限りこれを正確に、そのまま把握するようにつとめておるわけでございまして、確かにそういうような傾向が全くないかどうかは、必ずしも私どもも断言するまでの自信はございませんけれども、しかし最近の状況で申しますと、死亡といったような、もう隠しようもないようなものにつきましても、昨年には四十五年から見まして、かなり減ってきておりますので、減少の傾向はあるのではないか、かように考えておるわけでございます。  ただ職業病などにつきましては、いろいろな最近の新しい化学物質の使用等によりまして、職業病であることが直ちに判明しない、あとになってからだんだんそういうことがわかってくるというような事態は確かに見られるわけでございまして、私どもそういう点につきましても、できる限り事態を的確に把握するよう、あらゆる機関を通じてつとめておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それでいま局長は、死亡者についてはかなり減ってきておるというけれども、そんなに減っていないですね。大体六千人の台を実は上下しておるという状態、これだけ企業が近代化し、機械化し、いわばだんだんと設備がよくなってきている。当然、死亡者という最も悲しむべき労働災害を中心として急速にこれが減らなければならぬ。にもかかわらず、死亡事故が横ばいの状態であるということは、すなわち私は時代の進展を見たときには、いわば逆に言えば、上昇的な一つの要素があるというふうに見なければならぬと思うのですよ。そういった点で、あなたの答弁も私はがえんずることはできない。いま申し上げたような業務上疾病についても、なかなか発見ができないということは当然でありましょうけれども、実はこれをどうするかということが、いま現代的に公害の問題も含めて問われていると思うのです。したがって、いわば死亡事故が横ばいであるということと業務上疾病が増加をしているという傾向について、私どもとしては、これをひとつ撲滅するという方向がはかられなければならない。  したがって、今回の労働安全衛生法を策定をいたしました基本的な考え方というものは、いまの現象に対して根本からメスを入れてその解決をはかるという、こういう観点でなければならぬと私は思うのでありまして、そういった観点から見て、一体この法案がいわばあなた方の意に沿い、私どもの希望するところに沿っているかどうかというのが、私は論議の焦点ではないかと思うのでありまして、いま申し上げたような点から見まして、現在の状態は決して好ましい状態を招来していないという点に対しては、私は一致をするのじゃないかと思うのですが、大臣どうですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 死亡者の数が減っておるということ、それは潜在的にはもっとふえているんじゃないかという御指摘、しかし、これは私は数字に間違いはないと思います。  それから、なお訓練その他かなり充実したこともやっておりまするし、一方において機械は日進月歩どんどんいいものができておるというようなことで、なかなかその間においていろいろな問題もあるわけでありまするが、要は、基本的にはそういう問題をなくするために、安全衛生を考えるための法案でありまするので、十分その点を盛り込んで、あらゆる観点からそういうことに十分重点を置いて、この法案というものは作成した。御批判はあるでしょうけれども、ベストのところではないかもしれないが、私は十分その点を考慮に入れて作成された法律案である、このように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大臣も死亡事故が減っておるというが、あなたのほうの統計は間違っておる。大体幾らか三十六年に死亡事故がふえておったり、あるいはまた四十二年に少し減っておったり、そういう傾向はあるけれども、ここ十年くらい大体全体的な傾向は横ばいですよ、あなた。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 私が報告を受けておりまするのは、六千というのが普通いわれておる数字でありまするが、今度、まだ発表にはなっておりませんが、四百を割るというふうな報告を受けておりましたので、つまり五千六百くらいの死傷者というので、そういう報告を受け取りましたので申し上げたのであって、決してそれでよろしいという意味ではございませんよ。ただ数字の上では、四百くらいの減であるということが、私の頭に入っておりましたので申し上げたような次第でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それは一昨年から昨年にかけて、特に建設業等でもって実は重大な事故が起こっておるのですね。リングビーム工法等、その他のいわば新工法によるところの事故が多発したことによる若干のそれに対する自粛等があったというふうに見てもいいのでありまして、大体長く十年くらいのところをとってみて、いま横ばいの状態であることについて間違いない事実なんですね。ですから、何かあなたが局限されたところだけ見て、たいへんうれしいような顔をしちゃいけませんよ。そういう形でなくて、私は特にいま申し上げたように、建設業の死亡事故が全体の四〇%を占めておる。それが新工法や新原材料を用いることによって起こっているというこの事態、言うなれば企業利益を追求し、その割合を増加するために、かなりの無理を承知でやっている、このことに着目しなければいけないと思うのです。私はこのことをおそれるのです。ですから、新しい技術を導入する際には、よほど安全関係に留意していかなくちゃいけない。それを置き忘れられているところに、日本の現在の企業の実態があると思うのです。これをどうやってチェックして、どうやってこれからこの災害を防止するかということに、現在この法案にかけられた近代的な意義がある、私はこういうように受け取っているわけでありまして、そういった点から、何も数字の四百がどうこうということを私はあえて争うわけじゃございませんから、さらに問い詰めばいたしませんけれども、ひとつ大臣の御認識を新たにしていただきたいという考え方であえて申し上げておきたいと思います。  今回のこの法案が一体どういう根拠で出されてきたのかということに対して、私どもはいろいろと論議をかわしてみたいと思っております。  今度の労働安全衛生法案は、御案内のとおり、従前の労働基準法の労働安全衛生関係の条項というものを摘出をいたしまして、これを軸として新しい装いをこらして提案をされてきたわけであります。いま前段に申し上げたことを考えたときに、この新法をつくりました根拠というのは、一体那辺にあるのかということを明確にしていかなければならないと考えるわけでありまするが、いま私が申し上げたように、労働災害はなぜ起こるのかということをまず十分解明しなければならぬと思うのです。日本の場合は欧米に比較して約三倍、特に建設業の場合は約五倍の労働災害が起こっているという現状を見たときに、これにはやはり日本の企業のいろいろな面における立ちおくれ、いろいろな面におけるネックがあるのじゃないかと思うのですけれども、これに対してどういうお考えでしょうか。労働災害はなぜこういうように多発しているのか、この原因は一体どこにありますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働災害が多発いたしております原因にはいろいろあろうかと存ずるのでございまして、技術的その他から見まして、大企業におきましては日本ではかなり進んでおりますけれども、非常に多数を占めます中小企業におきましては、まだまだおくれた状態にあること、それから全体を通じまして近ごろようやく人命尊重、人間重視という考え方が普及してまいってはきておりますけれども、まだまだ歴史的に日も浅く、そういう観念がほんとうに経営者の全体に徹し切っていないというようなこと、あるいは労働者自身につきましても、安全衛生教育などが必ずしも十分に徹底的に行なわれていないこと等々のいろいろな原因が総合いたしまして、先進国に比較いたしまして、こういう災害がまだまだかなり多い状況を示している、私どもかように考えているわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま局長がいみじくも言われたように、日本の場合における労働災害の多発化している要因は、一つには何といっても企業の体質にある。特に大企業と零細企業との間における格差、いろいろな経済条件の差、こういったものが私は一つあると思うのです。第二は、何といってもその上に立って、なおかつ企業の利益性を追求しようという利潤追求のみに走る、利潤追求を優先する体質、そのための劣悪な施設の状態、特に問題にされる非常に悪い労働条件、さらには近代的な技術の進歩に適応できない一つの体制、こういうものが企業の体内にあると私は思うのです。また一方においては、いま言ったように企業の利益追求を優先するという、こういう体質であるだけに、一つには企業の公共性を十分認識してない。もう一つはそこに働く労働者の生命、財産を尊重して、これを第一義に考えるという、そういう考え方がない、こういうことに要因があるのではないかと私は思うのです。世にいわれる公害の問題も後段の問題がその論拠になっているのではないかと思うのです。  ですから、そういった企業の体質を考えてこれに対処しませんと、ただ単に新法をつくって、いろいろ技術的な面におけるくふうをこらし、あるいはまたいろいろな行政上の指導を強化する、そういうだけではいわゆる労働災害を撲滅するという、この最大の目標に到達することはできないというように私は考えているわけですけれども、この点はひとつしっかり私と大臣との間にコンセンサスを求めておきたいと思うのですが、大臣、私のいま言ったことに対してどうお考えですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 企業は自分のためにのみ利益を追求し、そのために劣悪な条件を労働者にしいるという、一言にしていえば田邊委員のお話はそこにあると思うのです。私は日本全部の企業がそういう形であるとは考えられません。ですから完全なコンセンサスということは困難ですけれども、そういうことをなくするために企業は企業としてなすべきこと、また労働者は安全な楽しい職場を求めてそこで働くという、そのためにこの法律はつくったのでありまして、完全なコンセンサスを得られないとしても、あなたと同じような気持ちから企業者も労働者も守るべきものは守るという形で、この法律はつくられたものであるというふうに了解していただきたい、私はこのように思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それはどこのところがあなたと私と違うのでございますか。それは私の言ったことに対してあなたが抽象的に反論をされる。具体的な問題をとらえて今度の法律はどうするかという課題をしょっておるわけでありますから、私はそれだけではいかぬと思うのです。  全体的に見て、いま日本の企業が問われておるものは、企業の公共性、そしてまた労働条件の向上、さらにはいま申し上げたような技術の進歩、近代化に即応できる体制、こういう三つ、四つばかりの条件がそろわなければ、日本の企業は今後国内的にも国際的にも即応することができないということが、昨年のドル・ショック以来特にいわれておる問題ではないかと思うのです。ですから私が言っておることについて、具体的に大臣どこのところが違うというところがあれば御指摘をいただいて、お答えいただきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 これは具体的にどうこうというふうに申し上げたのではなくて、労使一体となって進んでいかなければ、これからの日本の発展も望めませんし、またその企業、その産業の発展も望み得ないことは当然であります。したがって、労使一体となって今日まで努力を続けておる、私はこのように考えております。ですから、企業者は企業者、労働者は労働者の立場としてお互いに話し合っていい条件をつくろうという努力をしておった、私はそのように考えておる。そこまではあなたと同じですが、田邊委員は、企業はただ利益を追求することのみにきゅうきゅうとして、労働者は劣悪な条件をしいられたというそのことばはコンセンサスが得られないということを私は申し上げたのであって、実際、労使一体となって企業の発達をはかり、産業の発達をはかっていく、そういうことはあなたとちっとも変わりありません。ただことばの言い回しで若干かちんとというか、ぴんとこなかったものがあったというか、そういう点だけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 私は、何も企業が利益追求のみをやっておるんじゃない、それを優先的に走るために、置き忘れられておるものがあるんじゃないかとこういうことを言っておるので、その認識がありませんと、今度の法律は実際に生きてこないのですよ。なぜ造船にああいう事故が起こるのですか。なぜ交通会社にいろんな事故が起こるのですか。大臣のおっしゃるように労使一体となって明るい職場づくりに邁進しておれば、ああいった事故は起こりませんよ。なぜ建設業界に死亡事故が起こるのですか。もっと安全の観念があり、もっと労働者の命を大切にし、もっと公共性を考える立場に立てば、ああいう事故は起こらないのですよ。  ですから、これは比較論であるかもしれないけれども、まだまだそういった面において、観念の上においても基本的な考え方の上においても、諸外国との比較においておくれておるのではないか。それだからこそ、あなた方はそれに対応するところの施策を講じたいという念願で法案を出されたんだと私は思うのです。そうじゃありませんか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 私は、基本的には田邊さんと考えは違ってないと思うのですよ。とにかく労使一体となっていかなければ、これからいよいよ労働力が問題にされるときに、これはどうにも動きがつかなくなるのですから。また最初にごあいさつで申し上げたときにも、人間尊重、社会福祉の向上ということで、福祉の向上に重点を置いたんですから、働く者の味方であることは間違いないのです。  ただ日進月歩というか、機械類が非常に進んでいく、これに応ずる対応力が、いかに訓練等施しても、なかなかついていけないところに今日までの事故があったと思うのです。そういうものをなくすために労使一体となっていく。だからベストではないが、ベターなものをつくり上げようというねらいでありますから、その点御了承願い、誤解のないようにお願いしたい、こういうように申し上げておるわけです。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 現状の認識を正しくしておきたいと思って、私は大臣に特に申し上げておいたわけでありまして、それならば、いま申し上げた労働災害をなくするためには一体どういう対策を講ずべきなのか。労働災害を撲滅するための前提となるべき条件というものは一体何であるか。そう申し上げただけでは、ちょっとわかりづらいかもしれませんけれども、いま私が申し上げたような面から見て、私は何といっても、一つには企業の側におけるところの責任体制、これを明確にしなければいけないんじゃないかと思うのです。  もう一つは、災害を受ける側の労働者に対する救済策に万全を期さなければならない。これは予防もあり、あとの手当てもあり、補償もあります。この両面にわたって救済策を講じてやらなければならぬのじゃないか。これは両面があると思うのです。その点に対してはいかがでございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 田邊委員のおっしゃるとおりでございまして、今回の法案におきましても、法案の大筋の中心をなしますものは、一つには事業主に対します責任の明確化でございます。それから第二番目には、労働者の災害を予防するための危害防止基準をより一そう明確にいたしましたこと、それに関連をいたしまして、機械あるいは原材料等につきましても、労働者の災害に重大な影響があるものにつきましては、この規制を強化いたしておるわけでございます。  それに加えまして、そういう最低基準だけではなしに、技術指針等によりまして、よりよい快適な職場づくりにさらに上向きに進むということ、あるいは労働者に対して安全衛生教育を徹底すること、あるいは中小企業等につきまして、安全衛生施設等を改善するに必要な技術的、あるいは金融的な援助をする、そういうプラスアルファをそれにつけ加えていくというようなことが、この法案の骨子になっておるわけでございまして、田邊委員のおっしゃいますようなことは、今回の法案の中にもおおむねその趣旨は盛り込まれておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま、一つ問題になりましたのは、何といっても企業者側の責任であります。これは労働災害の社会性というものを私どもが追及するときに、どうしてもやはり企業責任、管理者責任というものを明らかにしておく必要があり、このことは非常に重要であるというふうに私どもは思っておるわけです、その次の労働者の問題もありますけれども。  したがって、そういう立場でものを見たときに、この法案の中で実はいろいろな行政指導なり手当てを講じています。いま局長が言われた点がその中心だろうと思うのです。しかし、私は企業者の責任を追及する際に、いま申し上げたようないろいろな予防措置や、あるいは施設の面における改善措置や、そういういわば周辺の固めも必要でありましょうけれども、その中心をなすものは何かといえば、企業者がこれを怠った場合あるいは労働災害を起こした場合、その責任はきびしく問われるぞということにその中心があると思うのです。もちろん苛斂誅求ではありませんで、そのことだけがすべてではないと思います。そういったことにすべてをかけるということは、私は間違いであろうと思いますけれども、しかし何といっても、この責任を明確にするという意味で、罰則を強化することは忘れてはならないことだろうと思うのです。  きょうは実は法務省に来ていただいているわけではございませんから、あらためてこの問題についてはお聞きをしたいと思うのですけれども、今度いろいろな面におけるところの罰則が強化をされたといいましょうか、あるいは罰金等の措置が、かなり現在までに照らして重くなった、こういうことがいわれておりますが、私は何といっても一番重大なことは、この労働災害が起こった場合における業務上の責任、いわば業務上の過失なり傷害に対するところの刑罰、いわゆる刑法の二百十一条にいうところの業務上過失あるいは重過失致死傷等の面までさかのぼってこの問題に対して触れなければ、本来的な意味をなさないじゃないかというように実は思っておるのです。この点を避けて通っている限りは、他のいろいろな罰則規定を強化いたしましても、私は企業者の最終的な責任を社会的に負わせるという観点から見れば、非常に弱いのではないかという気がいたしますけれども、この点はいかが考えてお避けになっておるのか。あるいはこれはあなた方に直接聞く部面ではないかもしれませんけれども、法案を作成いたしました当事者として、これに対する考え方は一体那辺にあったかということを、まずひとつお聞きしておきたいと思うのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 田邊委員のおっしゃいますとおり、災害の防止につきましては、企業者の責任を明確にいたしまして、危害防止のために一定の基準を設け、それに対します厳格なる履行を求めまして必要な監督も実施していく、こういう視点が基礎であることは申し上げるまでもないところでございまして、今回の法案におきましても、そういう観点に立ちまして基準の明確化、それに基づく厳正な履行の確保という点に十分な配慮をいたしておるところでございます。  それに伴いまして、従来基準法のいろいろな一定の危害防止基準に対する違反につきましての罰則等につきましては、基準法が二十数年前にできた法律であるというような観点から、その後の情勢に、罰則等におきましても、やや適合しない点があったわけでございますが、今回の法案におきましては、最近におけるこれら社会的な事案に対しますもろもろの法律の罰則との均衡をはかりまして、結果的に申しますと、罰金の額も従来五千円でありましたものが最低五万円に上がっているとか、あるいはそのほかの体刑等につきましても、安全衛生につきまして従来一年以下でありましたのを三年に上げる等々、最近の情勢に適合したような罰則とし、他の法律との均衡をとれる体系にいたしておるわけでございます。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕  なお田邊委員御質問の刑法上の業務上過失の責任でございますが、これは刑法の本法に基づくものでございまして、罪刑法定主義の立場から、従来からも多くの判例によって一つの考え方、適用のしかたというものができているわけでございまして、これは労働安全衛生事案につきましても、同じ考え方に立って検察当局におきまして厳正に適用されている、その点については私は今後も変わるところはない、かように存じておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま申し上げたように、業務上の過失に対して責任体制を明らかにするというこのことを中心としながら、現状に照らして罰則の規定を上げていくということは、どうしても私は避けて通ることのできない道ではないかと思うので、この点に対してはあらためて法務当局に対して、これらの問題に対して一体どういう適用のしかたをすべきかということに対しては問いただしていきたいと思っているのでして、私の考え方の底にそういったことがあることを御承知をいただきたいと思うのです。  第二番目は、先ほど申し上げたように、いわゆる企業者の責任と同時に労働者の基本的な人権、生命と財産を守るという、こういう観点で、この労働安全衛生というものがはかられなければならないということはもう言うまでもないわけであります。  ところが、私は今回の改正の中でさらにもう一つ、いま申し上げたような刑法上の問題とあわせて、この労働災害が起こった場合におけるところの措置、救済策という面から見て、私はやはり現状を変えていかなければならない部面があるんではないかと思うのです。特にその補償額は保険制度によって、いわば救済するという労災のたてまえというのが中心をなしておるわけでありまして、それに基準法によるところのいろいろな補償というものが伴っているということになっておるわけでありまするけれども、この補償額の面においても、実はいろいろな災害の際に、しばしばその額が少ないということが指摘をされておったわけでありまして、この災害補償に対するところの部面についても法案の提案を機にして、私は中身を改善すべき段階に来ておったのではないかと思うのでありまするけれども、これにお触れにならなかったのは一体どういうことでありましょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 災害が起きました場合の被災労働者に対する補償につきましては、ただいまお話しのように労働基準法、あるいは労災保険に加入している事業場につきましては、労災保険法によって補償が行なわれておるわけでございます。  基準法のほうは昭和二十二年以来、その面についての改正は特にございませんけれども、労災保険法につきましては、いままで戦後数回にわたりまして改正が行なわれ、補償の内容の改善がはかられておるところでございまして、最近では昭和四十五年に改正も行なっておるところでございます。  なお、これらの基準法、労災法は最低基準でございまして、それ以上労使が話し合いによって補償を行なうことは、これはもとより望ましいところであり、現に労働協約等によりまして、使用者の上積みの補償もいろいろ行なわれておるところでございます。ただ、この最低基準につきましても、これを改善すべきではないかという御意見もあるわけでございまして、われわれもそれにつきまして慎重に考えておるところでございますが、労災法と申しましても、基本はやはり労働基準法とつながりがあるわけでございます。  基準法につきましては、御承知のように四十四年以来、労働基準法研究会というものを設けまして、学識経験者の方に戦後二十数年たってまいりました基準法につきましての運用の実情と、その問題点等について御検討を願い、御報告をいただいております。いままで安全衛生、労働時間、休日等について御報告がなされ、今回の法案も、その安全衛生につきましての御報告に基づいて提出されたものでございますが、いま御指摘の災害補償等につきましても、その他の部面と同様現在、基準法研究会で基準法体系全体の中で検討をされておりますので、その検討の結果を待って基準法、労災法を通じます災害補償の改善の問題についても検討をしてまいりたい、現在はかように考えておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ですから私がさっき言いましたように、いわゆる労働災害を撲滅する道というのは、一つには企業責任もあるし、一つには労働者に対するところの予防措置なり、あるいはまた労働災害が起こった場合における補償等がはかられなければ車の両輪にならない。そういった点でいま局長が答弁いたしましたけれども、いわば基準法の災害補償という部面について現状とあまりにも食い違っているのじゃないかという気が私はするのです。最低保障といいますけれども、なかなか最低保障をこえて支払うことをきらうのです。  ですから、たとえば一昨年の四月に横浜地裁でもって一つの造船事件が起こって、いわば半身不随になった三十六歳の月収五万七千円の労働者に対して、この労災保険のほかに基準法の三百万をこえて三千五百万をこえる金額を、解雇料や慰謝料を含めて支払うべしという命令が出たことは、いわば裁判所がそういう前進的な立場をとって初めて救済されるわけでありまして、実際にはなかなかこの最低の保障をこえて支払うことができ得ないという状態なんですね。それだからこそ私はさっきから、やはり労働者に対するところの補償の万全を期するということなしに、形の上でもっていろいろな法律ができましても、安全衛生を真に根本から解決する道にはならない、こういうように申し上げているわけでありまして、この点はいまいろいろな人たちの意見を聞きながら検討を進めているということでありまするけれども、できれば、これが両方出ていって初めてこの面におけるところの一つの完ぺきを期せられるのじゃないかという気持ちが私はするわけであります。  大臣、いまお話のありましたとおり、少しくその面においては、この法案の提案と、いま申し上げた基準法の改正等の災害補償の部面における改善が時期が合わないことについては、私はやはり片手落ちではないかと思っておるわけでありまして、大臣の所見を承ると同時に、今後にぜひ対処をしてもらわなければならない部面じゃないかと思いますけれども、ひとつどうでしょう。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 御意見として承らしていただきました。先ほど局長が答えましたように、労働基準法研究会にすべて検討をお願いしておりまするから、その結果を待って、いまの御意見を踏まえながら新たなる問題としてこれを取り上げていきたい、このように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 だから、そういったことがおくれていることは、災害防止なり、災害の手当てからいっていわば万全ではないだろう、一面において。だからこの安全衛生法をお出しになっておるけれども、そういった部面が一緒についてこなければ、ほんとうの意味における災害の撲滅なり災害の予防なり、災害の手当てにならぬじゃないか、この点に対してどうですか。これも御意見として承っておくのですか。あなたのほうは一体それに対してどうお考えですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 先ほどから私繰り返しておりまするが、いろいろな御批判があることは承知いたしておりまするし、ベストではないけれども、今日ベターということでこの法案を提出いたしたわけでありますから、御意見は十分に私は承りました。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 私の意見に対してあなたはどうお考えですか。意見を承っておくじゃない。あなたは一体どうお考えなのですか。本来的にいえば、これは両方ついていかなくてはならない問題でしょう。ついていかなくてはならない問題を、汽車がおくれて発車しておるわけですから、これに対してあなたはどうお考えですか。前提条件として、大臣はベストでなくて、ベターだなんという抽象的なことばで済まされるのじゃ困りますよ。具体的に法改正があるのだから、それに伴うところのいろいろな措置がなされていなければ、私はあなた方がいうところの労働災害撲滅に通じないじゃないかと言っておるのでして、私の意見に対して、あなたはイエスかノーか言ってください。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労災法は今日まで事あるごとに改善いたしております。しかし、いまの田邊議員の改善すべきであるという意見は、私はこれに同音心いたします。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 最初からそういうふうにひとつお答えいただきたいのです。  私が言いますのは、労働災害を撲滅するための今度の法改正、これが新法という形をとられている、これはそれなりの意味があると思うのです。確かに、労働基準法は終戦直後につくられた法律でありまして、現状に即していない、この安全衛生関係だけの法の規定をもってしては、現状にそぐわないという意味は、そのとおり受け取っていきたいと思うのです。しかし、この基準法が持つところの労働者の憲章としての意味、基本的な人権といわば生命、財産を守るという意味合い、これからこの法を抜き出してきているという改正のしかたについて、いろいろな意見があるのを十分踏まえていかなければならぬと思うのでありまして、労働基準法の改正という、こういう形をとらないで、いわばこれを新しい形でもって独立法としてつくったというこの考え方、これに対してやはり世論を納得させるところの論拠がなければならないと思うわけでありますけれども、この点いかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働基準法が労働憲章といわれるものであるという点につきましては、われわれも十分に配慮をいたしておるところでございまして、今回単独法の形をとりましたけれども、基本法の精神はいささかもそこなわれないようにするという配慮につとめたつもりでございます。  しかるに、基本法の一部改正という形をとらず、なぜ単独法としたかという点につきましては、最近の労働災害の傾向より見ますときに、基準法のように直接の雇用関係のみを前提とする規制のしかたでもって災害を的確に防止することができないいろいろな状況が出てまいっておるということ、すなわち機械や材料などにつきましても、製造、流通の段階における規制が必要になってきておる、あるいは直接の雇用関係だけではなしに、重層下請関係だとか建設のジョイントベンチャー等、特殊な雇用関係下における規制も強めていかなければ災害が防止できない状況になっておるということ、あるいは特定の有害業務に従事した者につきましては、雇用関係にある間だけの健康管理ではなしに、離職後にわたってまで健康管理を確保する必要があるというようなこと、あるいは公害の防止に対する配慮を労働衛生にあわせて行なう必要があるということ等々の事情は、直接の雇用関係を前提とします基準法のワクよりはみ出しておる部面があるわけでございます。こういう点が基準法と別個に単独立法といたしました第一の点でございます。  さらに第二の理由といたしましては、最近の災害の状況からいたしまして、その防止のためには、最低基準を設定し、それを確保するということは、もとより根本でございますけれども、その施策のみでは有効な災害の防止に十分でない。すなわち災害防止の実をあげますためには、最低基準の順守、確保のほかに、さらにそれとあわせまして、安全衛生教育の徹底であるとか、あるいは技術指針や望ましい産業環境の標準をつくる等によりまして、安全かつ快適な職場環境を形成する必要があること、さらに最低基準の順守を容易ならしめるために、中小企業に対して技術的な援助、財政的な援助等、幅広い行政を展開する必要があるというようなこと、これらのことからいたしまして、基準法のワクを越えた幅広い総合的な労働安全衛生行政を展開するためには、やはり別個の法律にしたほうがいいのではないか、かように考えて単独法といたしたわけでございます。  なお立法技術的に申しますと、この関係の条文は全部で百条をこえる法案になりますので、基準法の中にそれを全部入れるということも、立法技術的にも非常に困難なことでございますし、また一部基準法に残し、一部指導行政等につきまして外にするという点につきましては、やはり安全衛生というような人の生命、身体にかかわるものにつきましては、総合性ということが大事ではないかという観点から、そういう意味で統一的な立法にすることが適当である、かように考えて、基準法と別個の単独立法にいたしたわけでございますが、最初にも申し上げましたとおり、基準法の精神というものは、いささかもそこなわれてならないという観点から、本法の第一条におきましては「基準法と相まつて、」ということで、両方の法律の考え方の一体性を明確にいたしておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 実はさっきから私が質問いたしておりますように、大臣といろいろやりとりがありましたけれども、日本の企業というのは、何といっても労働者の生命、基本的な人権を尊重するという精神が欠けておるのですよ。ですから、労働災害が起こるというだけでなくて、いわばいろんな面におけるところの労働条件の劣悪化というものが問題にされている。ですから私は、いま局長から答弁がありましたように、法の形の面からいえば、今度の労働安全衛生法という単独立法も一つの方法だろうと思うのです。しかしそのことが、その労働安全部面というものを基準法から抜き出してきたということの中に、何といっても世論的には、やはりいままでにも足らない労働条件の問題なり、基本的な人権の問題なりというものが、これを取り出すことによって、さらに薄められやしないか、いわばこういう危険を本能的に感ずることもまたうかがい知れるところだと思うのです。事実そういった面において、技術的な面に走りがちな新法というものの危険性、私が最初からくどくどしく申し上げたのはそこにあるわけであります。  何といっても、やはり労働者の生命、人権を守るという、このいわば基本的なことが、この新法によって薄らいでいくということはないかということが一つと、「労働基準法と相まつて、」と実はいっておるのですね、その点が私は非常に心配なんです。基準法というものは、いま申し上げたように、賃金や労働時間やあるいは安全衛生や、いろいろな面が総合的にはかられて、実は一つの法体系がなされている、いわば基本法としての労働者の憲章といわれている法体系がなされている。その中の一つの重要な部面である安全衛生という部面が適用されてきた。しかし、新法と労働基準法というものが相まってというて、関連性を持ってやっているというのですね。関連性ということはそのものずばりじゃないわけでして、やはり基準法の中において労働者の人権を守るという立場からするこの安全衛生、労働安全という、こういう部面は、これは基準法からなくなってきているわけです。これがそのまま新法に乗り移っているわけじゃありませんよ、「相まつて」というのですから。その点の、いわば労働者の立場からくるところの不安感というものに対して、あなた方は一体これをどう解明していくのかということをお聞きしているのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 御懸念のようなことがございませんように、われわれ今回の立法につきましても、いろいろ配慮をいたしておるところでございまして、今回の立法にあたりましては、旧労働基準法の安全衛生に関する条項は削除されましたけれども、改正後の基準法の四十二条で労働者の安全衛生については、「労働安全衛生法の定めるところによる。」ということで、基準法と労働安全衛生法との連係の条項を残しておるわけでございます。  したがいまして、安全衛生は、その改正後の四十二条によりまして、基準法上の労働条件だということは明確になっております。したがいまして、安全衛生につきましては基準法の一条、二条など、基準法の総則に書かれております考え方はそのまま適用はされるわけであるわけでございます。そういう意味において、安全衛生が基準法の体系から完全に外へ抜け出したということではございませんで、基準法の体系の中に一応置いて、その詳細は労働安全衛生法に譲った、こういう形をとりまして、基準法との連係をはかっておるところでございます。  なお、新法の第一条の(目的)の「労働基準法と相まつて、」と申しますのは、基準法と一体的な運用をはかるという趣旨でありますと同時に、基準法の中に規定されております労働時間、賃金、その他の一般労働条件、それの改善と、それから安全衛生法に定められます安全衛生についてのいろいろな基準、それが両々相まって、労働者の災害の予防、安全衛生の確保がはかられるべきものである、こういう考え方を明らかにいたしておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ところが戦後の日本の、いわば労働者の人権を守るという立場、労働条件を守るという立場の基準法という体系から見たときに、最低賃金法はここから抜け出た。いま労働安全衛生が抜け出るというような面からいいまして、いわば労働者の憲章といわれる基本法が、個別法にだんだんに移されているという状態であります。そういった点から、この総合性というものが宙に浮いてくるんじゃないかという論議は、私は当然あると思うのです。  それからもう一つは、労働安全衛生法というものが個別法としてのいろいろな要件を整えなければならぬということは当然でありまするけれども、私はやはりこの安全衛生というのは、労働条件と密接不可分の関係にある。いわばこの労働条件というものが改善をされ、これがよりいい状態にならなければ労働災害はなくならないという宿命的なものが私はあると思うのですよ。そういった点から見て、時間短縮の問題も含め、いわば基準法に定める総合的な一つの条件というものが、これが一つ欠けても私はならないと思うのです。  そういった意味合いで、この安全衛生という部面も、他の労働時間の問題なり労働条件の問題とからみ合いながら、いわばそういったものを前提としながらこの撲滅をはかるという観点に立たないと、本来的な任務を果たすことができない。私はさっきから強調して、大臣もややおわかりになったようですけれども、その点に対して実は私が言っているのは、日本の現状というものは、そういったものなしには労働災害はなくならない。こういうことを考えたときに、私はこの労働基準法の総合性という部面と、いま申し上げた労働災害の撲滅の前提となる、いわゆる労働時間なりその他の条件というものが、いわばこの法の別の形づくりによって失われていくんではないかという心配、これを私はきちんと踏まえてやらなければ今後に十分対処することができない、こういうふうに思っているわけでありますけれども、この点に対して、もう一度念を押しておきたいと思うのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 法体系の中で労働基準法に四十二条というものを残しまして、安全衛生も基準法の体系のかさの下にあるんだということを明確にいたしておりますこと。それから新法の一条におきまして、「基準法と相まって、」ということによりまして、賃金、労働時間等の一般労働条件の改善と、それから安全衛生法による安全衛生確保のいろいろな規定と一体的な運用によって災害の防止、労働者の安全がはかられるべきだという考え方を明確にしておること、この点は先ほど申し上げたとおりでございまして、一応法文の形の上では、先生御懸念の点は十分な配慮がされておると存じておるわけでございますが、実際の運用につきましても、われわれ労働省の、一般労働条件と安全衛生とが別々な動きをして一体がそこなわれないかという御懸念をなくしますために、運用につきましても労働安全衛生法を所管いたします審議会といたしましては、労働基準法を所管いたしております中央労働基準審議会、これが労働安全衛生法をも所管いたすことになっておりまして、労働安全衛生法を今後改正したり、あるいは運用の重要な問題につきましては、同審議会にはかることに相なっておりますので、労働基準審議会が一方においては基準法の上に立った一般労働条件、一方におきましては安全衛生、両方を見ながら一体的な運用の確保をはかる仕組みに相なっておるわけでございます。  それからまたそれを実施いたします実施機関にいたしましても、基準法を所管いたしております労働基準関係の行政機関、中央の労働基準局及び地方の都道府県労働基準局、監督署、この系列が同じく労働安全衛生法の施行にも当たることになっておりますので、そういう施行の面におきましても、基準法の施行機関と労働安全衛生法の施行機関は同一の機関が当たることによりまして、両者が両々相まって効果的な法の運営、一体的な法の運営がされるよう配慮をいたして、御懸念の点がないようにはかっておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 こうなってまいりましたときに、あなたは労働基準局長だから基準法の番人でなくちゃいけませんけれども、そういった点で、あと労働基準法というものは一体基本法としてのていさいというか、その形づくりの面からいって、これはどういう形になりましょうか。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕 私は、あなたがいま言われたことでもって、法の面における統一性ということについて、実態的にはある程度除去される面があると思いまするけれども、しかし基本法としての労働基準法のいわば残された面におけるところの総合性、それから基本的人権を踏まえての性格、こういったものは一体どういうふうに残っていくのでしょうか。  私は最賃のときもそういったことを指摘しておいたわけでありますけれども、労働基準法というものは、今後女子の問題も、これはどうなるのか、あるいは労働時間の問題がどうなるのかということを考えてまいりますると、戦後いわば日本の法体系の中でも最も進歩的だといわれた基準法が、いわば形骸化して実体がなくなる、こういう形におちいってくるのじゃないか。そのことをあなた方が意図しないけれども、いわゆるそういった人権問題なり権利というものは、これは当然踏まえていくんだということをいかに強調されましても、個別法としてそれはだんだんに分極化していく中でもって、いわば中心をなすところの問題がだんだんと薄らいでいく。そうでなくても薄らぎたいというか、そうでなくてもそういったものを忘れたいというか、そういったものはなるべく考えたくないという思想の持ち主がおるわけでありまするから、私どもはそれを心配するわけでありまするから、そういった面が、いわば磐石なものとしてその総合性を保ち、基本法を保っていく中でもって、初めていろいろな個別法というものが生きてくるという面から見まして、一体今後労働基準法というものはどういう形をとっていくのですか。どういう基本的な性格というものが残っていくのでしょうか、それを心配いたします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生お話しのように、確かに労働基準法は労働条件の最低基準につきましての基本法、憲章といたしまして、その基本原則を定めますとともに労働条件一般につきましての全体的な通則的な規定を内容といたしておるわけでございます。ただ、その労働条件一般の中で、たとえば最低賃金であるとか、あるいは今回の安全衛生問題だとか、一般労働条件の中で個々のものがだんだんに社会情勢の変遷とともに大きな意味を持ち、ウエートを持ってくる場合に、それが基準法そのものから、規定といたしましては独立して、個別の法律になることはあるわけでございますが、しかしながら個別の法律ができたといたしましても、それは基準法体系がカバーいたしております分野の一部を受け持つものでございまして、先ほども申しましたようないろいろな両者の関係を明確にいたします規定を設ける等により、基準法体系の当然の一員であるということを明確にいたしておるわけでございます。  そういう意味で、基準法とそれらの個別法とは姉妹法の関係に立つわけでございまして、基準法の法理念は、したがいまして姉妹法として、当然にそれらの個別法もカバーするものである、われわれはかように考えておるわけでございます。そういう意味で、形といたしましては基準法から別個の法律となったといたしましても、基準法全体の法体系の中の一員である点には変わりはございませんので、そういう意味で基準法体系の中の基本法としての基準法の性格ということは、今後ともいささかも変わるものではない、かように考えておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 もう一つ問題になりますることは、今度の労働安全衛生法案にしてもそうですが、かなりいわば努力目標というのが多いのですね。私はそれが悪いとは言いません。ある面においては、そういった高い目標を掲げて、いろいろな面において努力することは、これは私は当然の責務だろうと思うのですね。しかし、忘れてならないことは、何といっても、その最低基準というものをどう引き上げていくかということがなければ、この努力目標は生きてこないのですよ。あくまでも努力規定に終わってしまうのです。したがって、その最低基準というものをどのように押えていくか、どういうふうに規定をし、その最低基準というものをどうやって引き上げていくかということが一方にはかられていかなければ、私は本来の任務を果たすことはできないだろうと思うのです。その面から見て、いわば最低賃金法なりあるいは労働安全衛生法なり、そういう個別法ができておりますけれども、そのいわゆる最低基準の引き上げという面についての、その考え方というものがどうしてもおくれがちなんです。ですから、努力目標というのは、ただ単なる一つの目標に終わってしまって、これが現実に生きてこない。これは両々相まっていかなければならぬと私は思うのです。  さっき労働災害補償の面について、大臣といろいろと対話をいたしたのでありまするけれども、私は労働基準法全体から見て、いまお話しの個別法が具体的に生きるというそういった点から考えてみましても、この最低基準を定めた基準法というものの今後の改善というものが、どうしても必要になってくるんじゃないか、こういうように思うのです。この観点からとらえてみたときに、あなた方の主張をある程度生かす意味でこの個別法というものを認識した場合においても、やはりその最低基準というものを引き上げていくというのが、どうしてもその底について回らなければいけないんじゃないかというふうに私は思っておるわけであります。  災害補償の問題でさっき御意見は承りましたから、大体は私の意見もおわかりだろうと思いまするけれども、全体的に見て、この基準法についての所見をひとつ承っておきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 基準法から安全衛生問題を抜き出しまして、今回単独の労働安全衛生法にいたしましたのは、先生のおっしゃいますような最低基準の明確化等をも含めて、法を整備するために単独法をこういうように制定いたしましたわけでございまして、今回の法律自身の中におきましても、危害防止基準等は従来基準法でわずか二条ばかり根拠規定がありまして、あとすべて安全衛生規則その他の規則関係にまかされておりましたのに比較いたしまして、防止基準の設定等につきましては、従来から見ると、はるかに明確、詳細な規定を設けておるところでございますし、また先ほども若干申し上げましたけれども、安全衛生に関連をいたします機械あるいは原材料等につきましては、製造、流通段階についてまで、新法では明確な根拠を設けまして規制を行なう等々によりまして、最低基準につきましても、これまでの基準法体系のもとにおきます規定よりは、はるかに改善をはかっておるところでございます。  今後におきましても、法に基づきますそれらの基礎の明確化に応じまして、省令、政令等にゆだねられました問題につきましては、今後の情勢の進展に応じまして、有効な災害、職業病の予防ができるよう逐次基準をはっきりさせていく、こういうような努力を今後ともしてまいる所存でおるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大臣、ひとつ、その次の質問に移る前に——あなたの大臣就任以来の宿願でありますところの、基準法の中における重要な部面を占める労働時間については、当然これが短縮のために今後とも努力をされると思うのであります。労働基準法の改正と相まって、この労働時間の短縮の問題あるいは週休二日の問題は当然果たすべき問題であり、労働災害の撲滅の前提条件としても、当然この実現を早急にはかるべき現代的な課題になってきている、私はこういうふうに思うのであります。これは大臣の抱負の中にも入っていることだと思うのですが、これはひとつ念を押して——当委員会でも質問がありましたから多く申し上げませんけれども、私は実は労働災害の今後の対応策としても、その前提条件として、この問題について十分なお考えを披瀝しておく必要があるのじゃないかと思うのでありまして、所見を承っておきたいと思います。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 田邊委員の強調された、労働基準法が労働憲章である。いままでいろいろそれに基づく御見解が述べられましたが、私はそれは同感であります。と同時に、今度の労働安全衛生法によって形骸化するのではないかというような御感念もありましたが、田邊委員の御懸念は杞憂であると私は考えております。それだけ労働基準法というものは守られていくというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。  いま、週休二日制を中心とした労働時間の問題が出ましたけれども、これは今日一つの政治問題であり、社会問題であると私は考えております。先進国ではほとんどこれをやっておるからどうこうという意味じゃなくて、今日の日本の現状から考えて、この問題には真剣に取り組んでいかなければならないし、私自身も取り組んでおるつもりでございます。すでに完全に週休二日制をやっておるところもありまするし、まあ大企業において逐次テストケースとして、月のうち一回あるいは二回というようなところもあるようでありまするが、今日の段階では、中小企業の抵抗はかなり激しいようにも聞いております。また御承知のように、金融関係はどうかということで労働省から大蔵省にお願いし、金融界を中心として御研究を願い、その結論も一部得ておるような状況でありまするが、今日まで当委員会並びに予算委員会を通じて、官庁が中心となってやらなければ、この問題は推進できないではないかというお話もございましたけれども、私はやはりこの問題は労使が話し合って、それこそコンセンサスを得て実現できることを一番望んでおりますけれども、やはり諸般の情勢を判断しながら、労働省として指導すべき事項については前向きに当たっていきたい、このように考えております。  いま、それではいつからこれを実施するか、いつからどうなるかというと、これは今日の段階ではまだ申し上げられませんが、要するにコンセンサスを得て、話し合いでこの問題が実現されるということを望んでおる。この点だけは強調いたしておきます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大臣、まああなた非常にいろいろとはっきりものを言われてけっこうでありまするけれども、あとで支障があるようなことは言わないでおいてもらいたいのでありまして、労働基準法は守られておって、私のような心配は杞憂でありましょうなんて言わないで、杞憂になるように努力いたします程度にしてもらいたいと思うのです。いろいろな支障が起こっているのですから。  あなたの言うように簡単にものごとが進んでいるなら、われわれは心配いたしません。あなたのことばを勇気あるとして評価しておきますけれども、そんなぐあいに現在の日本の働く各職場が基準法が守られておって、平和で問題がないというような職場ではありませんよ。きょうは具体的な問題は申し上げませんけれども、その点ひとつ十分観察をされてから発言をされていただきたいと思っております。  私がくどくどしく申し上げてまいりましたのは、基準法は守られているという、それからまた今後もいろいろとはかられるという。しかし、それならば一体日本の政府は国際的に見て、いわば安全衛生の部面にわたるところの国際条約の批准についてどれだけの熱意を示してきたのかということに対しても、私は実はお伺いしたいのであります。  ILOのいわばこの部面に対するところの条約は、実は一つの批准を除いては多くの批准をされておらない部面がございます。十三号、三十二号、六十二号、百十五号、百二十号、百二十七号、私は数えてみましても、これらの条約の批准を実はいまだかつてしておらないのであります。これから先、基準法を改善される、最低基準を守っていく、それから労働安全衛生はさらにひとつ努力をしていくという熱意があり、こういう御決意があるとすれば、これらのいわば国際的な水準に達するためのILOの条約批准についても、私は当然熱意を示していかなければならないのではないかと思いますけれども、これに対して一体どういうふうに見通しを立てておられますか。どうですか、大臣。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 労働安全衛生法を御審議願っておりますけれども、この法案についてもわれわれは前向きにこの問題と取り組んでおりますから、ILO条約、これに関連のある問題につきましても、もちろん前向きに検討いたしまして、すみやかな批准の方向に持っていきたい、このように思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 具体的にはどういう順序で、どういうような条約批准をいま考えていらっしゃいますか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 まず、いま考えておりますのは百十九号、機械防護条約でありますか、百十九号条約をまず第一の目標といたしております。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたように、百十九号の機械防護条約につきましては、今回の労働安全衛生法の中にも、機械等の危険部分の防護に関する規定を新しく挿入いたしておりますので、この法律が成立すれば、同条約は批准できるように相なると存じます。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕  その他六十二号条約あるいは百十五号条約等につきましても、これはこの法律ができました後における諸規則の改正等で改善をはかっていきますれば、批准可能な状態になり得るものと考えておりますので、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、われわれといたしましては安全衛生に関しますILO条約をできるだけ批准するという前向きの方向で、それらの問題に取り組んでいきたい、かように考えておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 特に私は、その六十二号条約は一番最初に申し上げたような、いわば建設関係の労働災害が非常に多いという部面からいって、これを防護するという立場から見ても、早急にこの批准をすべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  ひとつ、そういった部面についても、百十九号と並んで私は早急な批准を望みたいわけでありまして、これに対する対策を早期に立てていただくことを私は心から祈念いたします。よろしゅうございますね。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 先ほど申しました機械防護に関するものは、この法案が制定されますれば、非常に前が開かれてくるわけでありまして、それと同時にというのは、ややことばが当てはまらないといたしましても、その道は開かれてくるわけであります。そして、さらにいまの六十二号と百十五号でありますか、それが追っかけていくというふうにとっていただきたい、このように思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 これはぜひひとつ、いま申し上げた一連のILO批准について政府の決断を望んで、そのことによってやはり前向きの姿勢というものが現実に明らかにされると思うわけでございますから、そういった面についての御努力をぜひお願いしなければならぬと思うのであります。この労働安全衛生法は、いままで論議をしてまいりましたように、労働者の生命、人権を守るという立場から見て、私どもはぜひひとつ従来以上の前進的な体制をとってもらいたいというふうに思っておるわけでありますけれども、特に今後のいろいろな規定を実施をする中に、労働者の、あるいはまたそこに労働組合があれば当然でありますけれども、そういったものの労働災害防止のための発言権を確保することが私は必要ではないかと思うのです。いままでややもすれば、一方的な押しつけでもってこれが職場でやられている、何か官製的なにおいの中でもって、これが処理されているという労働者側の反発もあったわけでありますから、当然この面について発言権を増加するという立場に立って、知る権利なり意見を述べる権利なり、あるいは違法、不当な作業に対しては拒否するという権利なり、こういったものを私は順守できるようにしなければならぬし、法的な面においてもこれが明確化を期すべきであるというふうに思っておりますけれども、この点に対してはどういうお考えでございましょう。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 この法案の中に安全衛生委員会というものが設置されます。もちろん労働者が参加することは、これは当然でありまして、数はあとで事務当局から説明させますが、たぶん半数が組合の方の参加になる、このように思っております。ですから発言権を大いに拡大して、その声を反映させるということは十分に考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、これは当然私が申し上げた発言権というものに対して、法でやはり明確にしておく必要がある。特に一番問題なのは労働安全委員会の設置なり、あるいはまた具体的にその中でもって労働者側の意見を述べるという考え方なり、一番重要なことは、やはり違法なものや不当なものに対して、そういった作業には労働者は携わらないという拒否権、これを持っている。そういう権限、権利、これは法の中でもって明確にしておくことが必要なことであるし、当然なことであると私は思うのでありますけれども、この点はどういうわけでここまで踏み切れなかったのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働者が作業をいたしております際に、安全衛生上の事態が発生いたしまして、そういう生命、身体に急迫の状態になったというような場合には労働者が避難できますことは、これは法律に規定するまでもなく当然のことであると私ども考えておるのでございます。さらに個々の具体的なケースごとに必要であります場合には、いろいろな労働安全衛生規則ないしはそのほかの省令で定められております諸規則によりまして、個々の場合ごとに事業主に労働者を退避させるべき義務を義務づけております。  たとえて申しますと、隧道におきまして落盤、出水等が発生して危険な状態になったときには直ちに退避させろというようなことが安全衛生規則に出ておりますし、   〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕 その他特定化学物質等障害予防規則とか、あるいは電離放射線障害防止規則等々に、具体的な危険が生じた場合に、使用者に労働者を退避させるべき義務を設けました規定を設けておるわけでございます。したがいまして、そういうことで労働者につきましては、制度的にもある程度規定が設けられておるだけでなしに、実質的にも当然、身体に危険が急迫した場合に退避する権利ということは規定するまでもないと考えておりますので——この法律は法体系全体といたしますと、主として事業主側の責任とか義務とかを規定しております関係上、特に退避する権利等はこの法律に書くまでもない、こういうことで規定してないわけでございますが、実質的に労働者が退避し得ることは当然のことである、かように考えておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 実は私が知っておるある中小企業の経営者、もっともこれはいわば悪質な人なんでしょう。労働者がくたびれて機械につけない、あるいはまた車の運転ができないと言ったら、君はそういった機械や自動車を取り扱う部品なんだから、部品はときどきかえなくちゃならぬ、くたびれてくればかえる必要があるから、どうぞひとつおやめなさいと言って、それをお払い箱にしたという例を私は知っておるのであります。  これは極端な例でしょうけれども、そういった思想というものがまだまだ実は残っておるわけです。したがって、いまあなたがおっしゃったように、緊急の事態に対しては、避難をする権利を持っておる、避難させるところの責任があるとおっしゃるけれども、そういったことだけでもって処理できないのが現在の状態じゃないかと私は思うのです。大臣は相当楽観的にものごとを見ておりますけれども、日本の職場というものはそんなものではない。牛馬のごとく使うという表現まで実は私はまだまだ残っておると思っておるわけでありまして、したがって、やはり労働者の生命と人権を擁護するという立場から、労働災害時における処置についてわれわれが考えたときに、当然こういったものに対しては何らかの措置というものを法的に明確化する必要があるのではないかと思うのです。  まして労働者側から見て、この施設、機械は違法なものである、不当なものであるという指摘ができるとするならば、そういった作業には携わらないところの、これを拒否するところの権利というものを法的な面で明らかにしておかなければ、その心配を除去することはできないように思って私は申し上げたわけですけれども、この点はどうです。そういうことは絶対にだいじょうぶですね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 機械等が規則に違反する等の危険な状態にあるというような場合につきましては、先ほど大臣も申しました安全衛生委員会等について、その付議事項と、いたしまして「労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。前二号に掲げるもののほか、労働者の危険防止に関する重要事項」というようなことがあって、それらの事項につきましては、安全衛生委員会は事業主に対して意見を述べることができる法律の規定に相なっておるわけでございます。  したがいまして、おっしゃいましたような事態のときには、安全衛生委員会の中で十分実情を委員として把握され、それについて意見を使用者側に表明される機会があるわけでございますし、さらには一般論といたしまして、基準法ないしは安全衛生法関係の違反がある場合には、労働者はその違反を労働基準監督機関に申告する権限も認められておるわけでございますから、そういうことによりまして、十分に違反を是正し、それを直させる、そういう権限も労働者に与えられておる、われわれかように考えておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働災害を防止する責任が事業主にあることは当然でありまするけれども、これがいままで実は非常に不明確であったわけであります。今回は事業者に対して責任を負わせる、こういう規定があるということでありますが、——しかし私はことば自身もいろいろと問題でありまするが、これはあとでお教えをいただきたいと思っておりまするが、基準法によるところの「使用者」という規定が、今度はたしか「事業者」というふうに変わってきておるのですが、この区別も私どもでは明確でありませんけれども、いずれにいたしましても、この事業経営者がはたして労働災害を防止するところの責任を負うことができるようなぐあいに、今度の法律案は明確な規定を設けておるのかどうか。そのことによって、さっき私が申し上げて大臣といろいろな意見が交換をされたわけでありますけれども、その利益をあげる立場というものと、その労働者の安全衛生を守るという立場、労働災害をなくすという立場というものと、一体どういうふうにからみ合ってこの安全衛生法というものが生きてくるような事態になるのか、この点に対するところの、経営首脳者に対するところの責任、これは一体どういうふうになるのか、この点をひとつ教えていただきたいと思うのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、基準法では義務を課しておる対象は使用者でございまして、その使用者というのは基準法の十条で、「使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」ということで、最高の経営者、責任者だけではなしに、その下におります労働関係に関与する、いわゆる使用者側の立場にある従業員も使用者の中に入っておるわけでございます。  そこで従来ややもいたしますと、最高責任が事業の経営者にあるということがぼける、使用者の範囲が非常に広くて、実際の衝に当たる行為者まで含みますために、最高の責任が経営者にあるのだということがややぼけるきらいもございましたので、今度の労働安全衛生法におきましては、義務を課します対象を事業者といたしまして、これは「事業を行なう者で、労働者を使用するものをいう。」ということで、経営者そのものに義務を課しまして、経営者が労働安全衛生につきましては最高の責任を持っておるということを明確にいたしておるところでございます。  さらにそれに加えまして、三条で(事業者等の責務)という規定を設けまして、事業者が災害防止につとむべき責任を明確にするとともに、それに加えまして各事業所ごとに、事業者はその事業所で総括的な管理運営に当たるべき者を総括安全衛生管理者に選任をいたしまして、その者に安全衛生についてのいろいろな業務を統括管理させるべき権限を与え、責任を与えることにいたしております。それらの規定によりまして、事業者が安全衛生についての最高の責任を持っているということを、この法律ではきわめて明確にいたしておるところでございます。  なお、それでは事業主にだけ責任があって、その下におります担当者は実際の責任がないかというようなことになりませんように罰則の適用につきましても、この法律の百二十二条におきましては、両罰規定というものを設けまして、そういう経営者そのもの、たとえば、法人で申しますれば代表者等だけではなしに、その代理人、使用人その他従業者で、違反行為をした行為者についても罰するということで、その方面から行為者もこの労働安全衛生法の諸規定に違反してはならない責任を課す。  こういうことによりまして、一面において経営者の安全衛生についての最高責任の所在を明確にいたしますとともに、あわせまして行為者についても、そういう面で違反行為に対する責任を問うという形で、その義務を明確にし、両々相まちまして経営者側の責任の明確化をはかっておる、これが今回の立法の一つの大きな特色に相なっておるわけでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 あまり時間がありませんから、次に移りたいと思いますが、今度の法案の主要な目的というのは、私は、労働災害を防止する手段として、いろいろな面における行政的な指導というものを強めていくというか、これをかなり拡大していく、こういう部面が多いと思うのであります。これはもちろん技術上の指針や作業環境の標準を公表する等、私は現在に即応した部面も相当あると思うのですが、しかし要は、労働災害をなくすという面から見て、企業者の責任——いま私は事業者ということばについて、実はいささか不安を感ずるのですけれども、ばく然たる意味における企業の最高責任者の責任、そういったものを、やはりはっきりさせるということになりますならば、これに対するところの厳重な監督という部面を、やはり中心に据えていかなければならない。したがって、いろいろな規定なり規則なり基準なりというものを設けておるとすれば、それを厳格に守らせるということが私は基本になければならないというふうに思っておるわけでありまして、そういった指導行政的な色彩を強化すると同時に、いま申し上げたような基本の部面についても、さらに厳重な監督行政というものがしかれなければならないというふうに思っておりますけれども、いかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生の確保につきましては、危害防止についての基準を設定し、それを順守させるために、それについての厳正な監督を実施するということが根幹であるということは、先生御指摘のとおりであるわけでございまして、今回の労働安全衛生法におきましても、そういう観点から監督につきましても、基準監督官によります監督につきましての明確な規定を設けておるわけでございます。  ただ、最近の労働災害の情勢を見ますと、それだけですべて安全衛生は万全でないという観点から、それに加えまして、いろいろな幅広い指導行政、援助行政、こういうものを展開することといたしておりますが、監督が基本でありますことにつきましては、先生のおっしゃるとおりである、われわれかように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 監督が基本であると言われましたが、一体だれが監督をいたしましょうか。一体、この監督をする行政能力というのはどのくらいあるのでございましょうか。労働基準監督官の配置について、一体万全であるとあなた方にお考えでございましょうか。大体毎年百人ぐらいの監督官の増員をずっとやってまいりましたね。現在、三千人足らずでしょうかの監督官がおりまして、いまの事業所の数から見ますならば、大体十三年に一回ぐらいしか実はめぐってこないという勘定になるわけですね。そういったことで一体監督行政が万全であり、十分厳格な監督を基本に据えてやれる、こういうふうにお考えでございましょうか。一体、これに対するところの行政能力をどの程度発揮する配置をあなた方はしようと考えているのでしょうか。いまのそのことばを、そのままそっくりいただけるような行政能力ではないように私は判断をいたすのですけれども、これもさっきのお話しのように、労働基準法はちゃんと守られていて、田邊君の言うことは杞憂にすぎないと、あなたがおっしゃるような行政能力が発揮できるような体制でありますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働基準監督官は、四十六年度におきましては、定員が二千八百三十二名に相なっております。四十七年度につきましては七十名増員をいたしまして、二千九百二名にすることにいたしております。  なお、監督官のほかに安全衛生等につきましては、安全衛生につきましての専門官の機能というものが非常に重要でございますので、今回、安全衛生の専門官といたしまして三十五名を増員いたしまして、基準監督官と合わせますと、百五名の増員をいたしたところでございます。四十六年からいたしますと、増員は約倍になっておりますけれども、われわれもとよりこれで十分であるとは考えておらないわけでございまして、今後とも基準監督官並びに安全衛生専門官の増員につきましては、できる限り努力をして必要な人員の確保をはかってまいりたい、かように考えておりますが、それまでの間におきましては、監督につきまして重点的な監督を実施する、あるいは機動力を増強いたしまして監督官、安全衛生専門官の効果的な運用をはかる等々によりまして、できる限り監督の効果的な確保をはかってまいりたい、かように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働省は、この監督官は何しろ不足であるということでもって、これの増員をはからなければならぬということで毎年要求しているのですが、なかなか思うようにいかない。そこで、いつでしたか、五年間に千人の増員を計画しておるということを実は私、一度聞いたことがあるのですが、これは本物ですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 前に原大臣のときに監督官の確保をはかるために、そういうような目標で今後努力をしたいということで話をされたわけでございまして、われわれといたしましても、できる限りそういう目標が達成できますよう今後できるだけの努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 まあ専門官も含めて百五人というのですから、毎年大体百人前後ずつぐらいは監督官をふやしてきたのですね。これは総定員法によって基準局の職員全体をふやすわけにいきませんから、その点に対しての苦衷はわかりますけれども、私は、いままでいろいろな論議をし、これからも皆さん方が論議をいたします労働災害撲滅の中心をなすところの行政能力の面からいって、これでは何としても絶対数が足らぬと思うのですね。ですから、五年間に千人ということを聞いたときにも、私は一年間二百人で、はたしていいのかと思ったけれども、いまとなってみれば、これくらいは何とかしなければいけないのじゃないかと思って、ずいぶん弱気になってきたのです。あなた方、いままでずっと十年くらいやってきたことを振り返ってみますと、まあ大体これが精一ぱいだろうというようにいま実は思っておるわけですけれども、これすらもできないという状態では、これはもういかに労働災害を撲滅するために行政的な面における能力を発揮いたします、監督を厳重にいたしますと言っても、私は絵にかいたもちだろうと思うのであります。  大臣、どうですか、ひとつ五年間千人などと言わないで、五年間二千人でもいいですが、具体的な計画を立てて——きょうは大蔵省を呼んでないから、最後に私は大蔵省を呼んで、この点に対してはぜひ納得させたいと思っておるのですが、こんな法律を幾らつくっても、あなたのほうの体制がそれに即応しなければ、実は何にもならぬですよ。これは経営者の自主的な努力、理解、協力、労働者のそういった面におけるところの教育、そういったことだけにたよっておったのでは、本来的にできない仕事なんでございまして、そういった面において、あなたもせっかく大臣になられて、いろいろな面における抱負をお持ちでありましょうから、それをひとつ重大な柱として、この監督官、専門官も含めての増員について、ぜひひとつ決意を込めて今後の御努力を私はわずらわしたいと思うのでありますけれども、いかがですか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 監督官、専門官、何か先ほど十三年目に一回ということば、私はこれは初めて聞いたことでありますが、全事業所と人数を考え合わせると、おそらくそういうことになると思いますが、今日においては、現実の問題として、やはりきめられた者で機動力を発揮してフルにひとつ活用してもらう、そして御懸念のないよう、杞憂であるよう、最大の努力をすることが一番大事だと私は思っております。  いま私は明年度予算において、明年度予算編成期にどれだけの人間を採るという数字をはっきり申し上げません。しかし足りないことは事実でしょう。定員増ということには、非常なたががはめられていることは田邊議員御指摘のとおり、議院内閣制のもとにあって、われわれ党にありましても、いろいろ取捨選択いたしましたが、この点については、私は増員というものを考えた一人であります。したがって、労働大臣となりました以上、数をはっきり申しませんが、いま御批判がありました、御指摘がありました点が杞憂であるよう努力する。最大限の努力をするためには最小限の、人数の確保をはからなければなりません。原労働大臣の御趣旨に従うような努力をいたします。いま数をここで云々することは差し控えさせていただきたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 あと、監督官がふえても、実は職場をめぐっても、おまえが来ても何にもわからぬじゃないかといわれておったのでは何にもなりませんね。最近の非常に複雑な技術の進歩等を見たとき、基準監督官なり専門官というものが行ってみても、経営者なり、そこで働く労働者がばかにして、いまの労働基準監督官では何にもわからぬよ、こう言ってのける状態があるのですね。ですから、やはり監督官の技術的な向上、これは民間の職場におけるそれに携わる人たちの質的な向上も必要でありましょう。そういった面に対する訓練機関の充実等も当然しなければならぬと思うのであります。きょうは訓練局長来ていないようですが、いずれにしても、そういった面において労働安全教育センターの設置等がありまするが、予算の裏づけ等もはかられて今後に対処してもらいたいというように思っておるわけでございます。一つ大臣に必要なことは、そういった面においてこの法案が山吹法案にならないような、予算の面において十分な手だてを講ずる必要があるというように私は思うのであります。これは当然なされるべきじゃないかと思って——塚原さん、そういった面では、言われたことはきちんとやられる方であることは、国会対策から見て、いままでも信じてきた一人でありますから、ぜひそういった面で予算の十分な獲得をはかっていただくようにお願いしたいと思うわけでございます。  十二時半までに終わりにしたいと思いますので、自後の問題はいろいろとありますが省きたいと思いますけれども、いまちょっと話が出ました有害物質については、あとでいろいろとわが党の専門家が質問をいたします。しかし総体的に見て、この有害物質に対するところの規制は、現行では非常に不十分であります。やはり人の生命、健康にかかわる問題でありますから、疑わしきは規制をするという立場で事前に手を打たなければならないというように思うのでありまして、この法案では、時代の進展に従って次から次へと登場する有害な物質に対して、一体どういうふうに処理していく考え方であるか、その考えの基本についてだけひとつお聞かせいただいて、あとはひとつまた他の委員に譲りますから、基本だけ伺わせていただきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この法案におきましては、有害物につきましては従来製造が禁止されておりました黄燐マッチ等のほかに、新たにベンジジンあるいはベンジジンを含有する製剤その他などで、ガンの発生源となりますものにつきましては製造を禁止することを明確に規定いたしますとともに、さらにベンジジンほどではないにしろ、発ガン性物質であるということがいわれておりますジクロルベンジジン等につきましては、これを製造許可制度にいたしまして、密閉装置等、労働者の健康障害防止に十分必要な規制をした上でなければ製造を許さない、こういう制度を新たに設けておるところでございます。さらにその他ベンゼンなどで労働者の健康障害を生ずるおそれがあるものにつきましては、これを製造し、あるいは譲渡する際等に、その容器にその有害性の表示をさせることを規定いたしまして、労働者がそういう有害性を承知することによって健康障害を予防することができるよう規定を設けておるところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 この有害物質の規制については、私はひとつ個々の問題についてまたお伺いをしていきたいと思いますけれども、やはり発ガン性に対する製造禁止なり、ガン源性に対する製造許可なり、こういう面についても、われわれとしては、今後予測し得るところのいろいろな物質についても十分規制できるような措置がほしいと同時に、この危害防止基準なり、有害物質の規制の対象になるもの、これが一般の者がわかるような、一般の知識でわかるような形で基準をきめて表示をする必要があるというように私は思うのでありまして、われわれしろうとがわかるような状態で、そういった表示をやはりなされるべきであると思いますけれども、これに対する指導も十分行き渡るようにしていただきたい、こういうように思っておりますが、いかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 有害物の表示等につきましては、細部は省令で定めることになっておりますので、先生御指摘のように、一般の人ができるだけわかりやすいような表示をするよう、省令の制定に際しては配慮してまいりたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それでは自後の問題はまたいろいろとお聞きすることにいたしまして、これも、公害の権威である島本委員がおりますから、公害問題は触れたくありませんが、やはり公害の防止という点からいって、その発生源になるのは何といっても事業所でありまして、労働安全行政の対象となる事業所、これが快適な、健康的な、衛生的な事業所として改善をされれば、自然に公害もなくなるという形でございまして、この公害防止という観点から見て、この事業所の改善あるいは安全衛生、労働災害の防止、こういったものがはかられなければならない。  そういった面で労働省の、労働行政の果たすべき役割りというのは、社会的に非常に大きくなってきているとわれわれは考えているわけですけれども、これに対して一体どういうふうな姿勢で取り組むつもりでございますか。

塚原俊郎自由民主党労働大臣

○塚原国務大臣 言うまでもなく、労働者の健康がむしばまれてはなりません。したがって、公害につきましては異常な関心をわれわれも払っております。後刻そのほうの御質問もあると思いますが、われわれはいま関係各省と連絡をとりながら万全を期するという、この一点にのみ集中いたしております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それでは、きょうは一番最初に申し上げたように、この法案の前提となるべきいろいろな条件、特にいまの基準法との関係、それから周辺のいろいろな問題についてお伺いいたしましたが、私が申し上げた点でもおわかりのとおり、実はいろいろなこれに対するところの意見なり、あるいはまた疑問なりというものが出されておる現状でございますから、これをひとつ十分解明をする中でもって、この法案の今後の審議について私は携わっていきたいというように思っておりますので、きょうはこの程度で終わっておきたいと思います。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次回は来たる二十三日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会

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