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68回国会衆議院1972/03/09

社会労働委員会 第4号

発言数
133
登壇者
11
会派数
4
開催日
1972/03/09

会議録

森山欽司自由民主党

○森山委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。後藤俊男君。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 医療法の三十一条の規定によるところの公的医療機関には、私が申し上げるまでもなく、地方自治体が経営する病院のほかに、日赤、済生会、厚生連とあるわけでございますが、これが全国で二百八十六の病院がありまして、医療福祉に大きく貢献しておる。これはもう私が申し上げるまでもないと思います。ところが、いま申し上げました日赤なり済生会、厚生連関係の医療機関は、いわば親のない病院である。自治体の経営の病院でありますと、赤字になりましても、最終的に自治体がめんどうを見る。ところが、いま申し上げました日赤なり済生会、厚生連というのはそういうことになっておりませんし、いわば親のない病院であるというふうにも、これはいわれておるわけでございます。これらの病院が、最近人件費なり諸物価の上昇によりまして、非常に経済的にも追い込まれた形になっておる。さらにまた、私が申し上げるまでもなく、看護婦の養成であるとか、さらに公衆衛生活動というようなことも行なわれておるわけでございますけれども、こういうような面を考えてみますると、先ほど申し上げましたように、全国に二百八十六の病院がございますけれども、その中の約五五%が、半分以上の医療機関が赤字経営だ、残りの四五%が、まあどうにかこうにか現在のところ赤字にならない。これは昭和四十四年の調査でございますけれども、これが四十六年になりますと、さらにいま申し上げましたところのパーセンテージはふえておるのではないかというふうにも考えられるわけでございます。こういうようなかっこうで進んでいったといたしますると、これからの見通しとして、これらの医療機関は成り立たなくなってしまう、こういう見通しをせざるを得ないわけでございます。この問題に対しまして、厚生省としまして、直接経営されるところの国の経営の病院ではございませんけれども、当然将来の見通しも立てて指導するところの義務もあろうというふうに考えるわけでございますが、いま申し上げましたところの非常に困っておる日赤なり済生会なり厚生連に対して、今後どういうふうにお考えになっておるか、この点の大綱をひとつ御説明をいただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいま御指摘がございましたように、日赤等の三団体の病院も非常に経営が苦しくなっていることは御指摘のとおりでございます。特に、四十四年の数字で赤字が五五%という御指摘がございましたが、四十五年は六四・九%程度の病院が、約六五%が赤字というように、さらに悪化をしてきておるわけでございます。この問題は、全般的に、一般の病院全体が同じような傾向をたどってまいりまして、特に四十年以来の経営というのが次第に悪くなってきたという一般的な傾向の中にもあらわれておる問題でございます。したがいまして、何と申しましても、やはり一番基本になります問題は、適正な診療報酬ということがやはりベースにならなければならない、かように考えておりまして、私どももそういう観点から、中央社会保険医療協議会における審議というものをぜひひとつ促進していただきたい、私どもの局の立場からもそういう感じでいろいろお願い申し上げておったような事情でございまして、先般、二月から新しい改正ができまして、これによりまして悪化をたどってまいりました経営は一応安定の方向に向かってくるものと期待をいたしておるわけでございます。しかしながら、公的病院といたしまして、いろいろな特殊な任務、たとえばガンセンターでございますとか、あるいは救急センターでございますとかいったようなことをわれわれのほうからもお願いをいたしておりますし、また、そういうものについての補助金というようなものも出しておるわけでございまして、そういう形でそういう特別な任務というものを背負ってもらいたい、こういうことでいままでもやってまいっておるわけでございまして、その結果が赤字につながるか、かえってプラスになるかということは、一がいに申し上げにくい問題でございます。  しかしながら、こういったような病院が、ただいま御指摘のように、公立の病院であれば交付税なりその他のところで一応の手当てが積算されておるというにもかかわらず、基本的なバックを持ってないということは、経営上から見ますと、非常に不安定な状態であるというのは、おおうべくもございません。したがいまして、いかなる方法をとるがいいかということば別といたしまして、やはりこういった病院に対して何らかの特別な措置をとるという必要性があるのではなかろうか、こういうことで昨年来いろいろ検討をやってまいりましたが、まだ具体的なところまで到達いたしませんので、来年度におきましては、約五百万の、このための検討費というものを計上さしていただきまして、これによりまして、どういう方法をもって対応するのがいいかという結論を早急に出したい、かように考えておる段階でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いま言われました昭和四十七年度の予算で、五百万の調査費で、いま言った三団体の医療機関の経営内容なりその他を十分調査をしたい、調査をした結果に基づいて、国として今後どういう方針でいま申し上げました三団体に対して助成なり補助なりいろいろ考えていくか、それをきめたいのだ、私こういうふうに聞いたわけでございますけれども、たとえば看護婦の養成だけ考えてみましても、この三団体で看護婦なり、さらに准看を養成いたしておりますのは、かなり数が多いわけですね。これは私が言うまでもなく、看護婦の不足ということにつきましては、養成ということについては、厚生省としても非常に気を使っておられるところだと思うのです。ところが、いま申し上げましたこの三団体でも、高等看護学院が五十五校ある。さらにまた准看の養成個所が三十二カ所ある。これを総計しますると、一年間に約五千七百人近くの養成をここで行なっておるわけですね。この経費を計算しましても九億五千万円に達するわけなんです。それがこの看護婦の養成まで、いま申し上げました三団体では医療費を充当しておるわけなんです。診療費を充当して看護婦の養成を行なっておる。それじゃこれに対する助成なり補助というのが一体どうなっておるか。それは県からもある程度出ておるでしょうし、国からもある程度運営費ということで出ておるのじゃないかと思うのです。ですから、この看護婦の養成だけを考えてみましても、現在県なり国から出ておる費用だけでは全然やれないわけなんです。もっと膨大なる金を使っておるわけなんです。九億五千万円からのお金を使っておるわけなんです。この親のない、財政的に非常に苦しい日赤なり、さらに、いま申し上げました三団体でこれだけの看護婦の養成を行なっておるのですから、国としてもっと目を開く必要があると思うのです。これらの経費は国のほうで考えよう、そういう仕組みにしよう——これはいま始まった問題じゃございません。これらの点についてどういうふうにお考えになっておるか。  さらに、いま局長が言われた五百万の調査費によって調査されることは間違いないと思いますけれども、調査するまでもなく、この看護婦の養成のみをとって考えてみましても、私は非常に矛盾しておると思うのです。そのことが三団体の財政問題を非常に窮地に追い込む。そこで春闘であるとか、あるいは年末であるとか、労使の間の闘争というのは、財政的に苦しいものですから紛争が続く。そのことがやはり患者に影響を及ぼす。その原因というのは国がつくっておるのだと言っても過言じゃないような気がするわけなんですけれども、これは厚生大臣にお尋ねしますけれども、いま申し上げました約五千七百の看護婦なり准看を、いま申し上げました財政的に非常に苦しんでおる三団体で、やはり養成を行なっておるわけなんです。これに対して国なり、あるいは県からある程度の補助が運営費ということで出ておるわけですけれども、これらの経費につきましては、もっと国が考えるべきではないかというふうに私としては考えるわけでございますけれども、大臣としては、この点どういうふうにお考えになるでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 後藤先生おっしゃいますように、看護婦の養成を診療報酬費から出さなければならないというあり方は改めなければならない、かように思っております。したがいまして、四十六年度では看護婦の補助費は国費が十分の二、それに相応するものを地方費から出すという形になっておったわけでございます。これを国費で十分の五出す、地方費で十分の五出す、そうすると運営費が全部ということになるわけでありますが、そこに近づけたいというので、本年度は十分の三・五というように、十分の一・五増すことにやっといたしたわけでございます。来年度はこれを十分の五にいたしまして、地方費と合わせて十分の十、全額補助の出るように来年はいたしたい、二カ年計画で全部、いわゆる診療報酬費から出さなくていいようにしようというので、ことしはその半分いったわけであります。来年度はこれを実現をいたしたい、かように考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、大臣、いま言われました、いままでは十分の二を国が見る、県が十分の二を見る、残りの十分の六、いわば六割は三団体が経費を負担しながら看護婦の養成を行なっておった。ところが来年度は十分の三・五に引き上げたい。昭和四十七年です。県のほうも十分の三・五にする。そうしますと合計して十分の七になる。残りの三割だけが三団体が負担するんだ。昭和四十八年になって国が十分の五、県が十分の五、だから四十八年以降につきましては、三団体の看護婦の養成の運営費については全部国なり県で負担するんだ、こういうふうに解釈して間違いないのでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ちょっと私ただいま思い違いをしておりましたので、数字につきましては、正確一に医務局長から答弁をさせます。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいま申されました十分の三・五というのは、いわば養成所の専任教員などの人件費あるいは生徒経費、こういったものの費用の十分の三・五を補助対象といたしまして、それを地方と国が折半をする、こういうことでございましたので、大臣が申されましたのは、そのように修正させていただきます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 ちょっとわからぬですが、いま局長の言われた十分の三・五というのは、昭和四十七年から十分の三・五を見る。その三・五は国と県で折半する。そうしますと一・七五ずつです、折半すれば。そうではなしに、国が十分の三・五、県が十分の三・五で七割を見る、残りの三割を三つの医療機関が負担をするんだということなんでしょうか。その辺もう少し明確にお答えいただきたいと思うのです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 最初のほうに申されました一・七五ずつ、こういう形の分担が正しいことでございまして、したがって四十七年からは十分の三・五というものを合わせて持つ、こういうことになります。  この問題は、四十六年から大臣がおっしゃいましたように初めてスタートしてきた問題でございますが、この問題のいきさつとしては、私学の補助金というものとの調整ということが控えながら進めてまいったものでございますので、私どもの一応の目標は、とにかくただいま申しましたような観点からの十分の五という形に早急に持ってまいりたい、十分の二からスタートして十分の三・五というふうに四十七年に到達をした、こういうことでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 十分の三・五というのは、たとえば県によってはめんどうを見ておる県と、日赤、済生会のめんどうを見ておらぬ県が現在あるのですね。めんどうというと、えらい語弊がありますけれども。ですから昭和四十七年からは十分の三・五は県と国で折半をして負担をする。しかもその十分の三・五というのは人件費だけのようにいま聞いたのですが、すべて看護婦の養成に関する経費につきましては、その経費の総額の十分の三・五を国と県が負担をする。さらに昭和四十八年になりますと、十分の五にこれを持っていく。ところが十分の五に持っていきますと、残りの五というのはこの三団体が負担をして相変わらず看護婦の養成をしていく、そういうことになるような気がするのですが、そういうふうに考えて間違いないわけですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 いまのままのペースで進みますれば、先生がおっしゃったように十分の五が、いわば国費なり公費で負担をされる、残りはやはり病院の負担、こういうことになるわけでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、大臣、この看護婦の養成費の半分を三つの団体が負担しなければならないのはどういう理由なんですか。私はこういう関係につきましてはしろうとでございますけれども、病院の診療費で看護婦なり准看を養成する経費を半分負担させる、赤字になってもめんどうを見てくれない、独立採算制だ。百のうち五十五までが赤字病院になっておる。であるにもかかわらず、こういうふうな——昭和四十八年度に看護婦の経費につきましては十分の十全部国と県が負担をします、こういうことなら話はわからぬことはないと思うのです。ところが半分だけは赤字団体に負担せい、残りの五だけを国と県で考えよう、これはあまりありがたくない方針だと私は思うのですよ、経営者としては。そのことが、いろいろな問題の発生しておる発生源のような気がするわけなんです。この点大臣いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、私は看護婦その他医療要員の養成は国費あるいは公費でやるべきだ、こう考えます。したがいまして、私は先ほど重大な思い違いをいたしておりましたが、年次計画を立てまして、必ずこれは国費、公費で養成をして、診療報酬費からは出さないという方向に持っていくべきだ、かように考えておりますので、その方向で努力をいたしたい、かように考えます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、大臣の言われたことと、いまの計画と違うような気がするわけなんです。大臣として、この看護婦の養成等については当然国費なり公費で負担すべきである。私も全くそういうふうに思うわけなんです。ところが局長の説明を聞きますと、十分の二が十分の三・五になった。さらに昭和四十八年には十分の五に持っていく。大体そのかっこうで進んでいきたい、こういうふうな説明に聞いたわけなんです。そうなりますと、大臣の言われたのと局長の言われたのと違うような気がするのです。たとえば四十七年度は十分の三・五に持っていく、四十八年度は十分の十に持っていきますということなら話はわかるのです。大臣の言われた、そのとおり計画として、方針として進めていくのだ、一ぺんにはいかぬから、——こういうことなら私は話がわかるような気がしますが、その点局長いかがですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 私ども実は大臣から、この看護婦の養成につきましては、ただいま大臣からお話しがあったような方針でやるべきだということは、強く指示を受けております。私どもも、ぜひ本来そうあるべきだと考えて、そうやりたいと考えて努力してまいりましたが、先ほど申しましたような、やや理由めいたことになりますけれども、私学の補助というような問題とのからみ合いがここに出てまいりまして、それでいまのような姿に落ちついておるわけでございます。決してこのままで——いまのペースで進みましたならば、十分の五ということにしたい、なるでしょう、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、大臣がおっしゃったような基本方針というものは、何とかしてどっかで実現すべきであるという御指示に対しては、われわれもそれを受けて十分検討したいと思っておるところでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、これは重ねて大臣にもう一ぺん確認しますけれども、昭和四十七年度は十分の三・五に持っていく、四十八年は十分の五に持っていく、さらに四十九年は十分の七・五に持っていく、五十年には十分の十になる、こういう方向でこれからも厚生省としては全力を尽くすのだ、これが現在の厚生大臣の考え方である、こう申し上げましても間違いないのですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま医務局長の申しますように、私学との関係があるということは私も聞いておりましたが、しかし、一般の私学で養成をする要員とは違うわけでありますから、医療関係の要員の養成を診療報酬費でまかなうというあり方は、これは根本的にいけないと私はかように考えております。大蔵省との折衝におきまして、私学との関係があるとかなんとかいいますが、それはどうしてもぶちこわさなければならない、かように考えております。本年一五%上げるにつきましても相当の努力が要ったわけでありまして、特に私がやかましく言って一五%まで上げさせたわけでありますが、その際に、私は若干の思い違いをいたしておりまして、それと同額が地方費でまかなわれるものと、そうすると、来年一五%増せば全部公費負担になると、こう実は私はいまのいままで思っておりました。これは説明を聞いたときに、私は早のみ込みをしてしまったのだといま思っております。そうでありますから、来年は一五%増すというだけでなしに、もっと増して、そして少なくともあと二カ年くらいで満度、公費で負担のできるように、これは医療の供給体制を整えるという上からも必要であり、私といたしましては、これはどうしても実現をさせたい、かように思っております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いま厚生大臣から率直に話を聞きまして、私も最初説明を聞いたときに、十分の三・五ということは、地方も十分の三・五を出しまして十分の七になる、残りが三割、これは昭和四十八年度に一・五増せば十分の十になる、こういうふうじゃないかと思ったわけですが、大臣が大蔵省との折衝の際に、三・五というのは県と国と折半であるというのを、そうではなしに、どっちも三・五ずつ出すのだ、こういうふうに思い違いをされて、現在のこういうかっこうになってきておる。けれども、これではいかぬので、来年度も大臣としては、いま申し上げました看護婦の養成については、五千七百名から養成をしておるのですから、これはもう国費と公費の負担というところへ早く持っていかなければいかぬということで、現在は十分の三・五ということになっておりますけれども、これをもっとふやすように全力を尽くすのだ、こういうふうな、ただいまの大臣の話がそうだったというように私は考えるのですが、ぜひひとつ——この看護婦の養成問題につきましては大臣の考え方が正しいと私は思うのです。これだけ窮迫しておる三団体が、しかも看護婦の養成がやかましい今日、半分以上、十分の八までこの三つの団体に負担をさせて看護婦の養成を行なっておる、これは間違いだと思うのですね。ですから大臣が言われましたように、来年度につきましても、十分の三・五ということにこだわらずに、これをもっとふやす方向へ全力を尽くしていただくように、ぜひお願いをいたしたいと思うのです。  それからその次の問題といたしまして、病院関係につきましても、設備の近代化というのがやはり問題になってくると思うのです。その近代化の資金につきまして、元金なり利子の支払い、これらで非常に財政的に追い込まれておるというのが今日の情勢だと思うのです。こういうことに対して、これらの元金の返済であるとか、利息の返済であるとか、追い込まれた今日のこの三つの団体に対する何か助成の方法を国として考えておられるかどうか。もちろん、先ほど局長が言われました五百万をかけて調査をするということは、これはわかっておりますけれども、それはそれとしておいて、これだけ窮迫した財政状況に対して、国なりあるいは県として何か考えようとしておられるかどうか。これは来年度でございますが、この点いかがでしょうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 三団体の経営の中で、ただいま御指摘のように借り入れ金の返済ということが相当その経営上負担になっておるということは、私ども数字的にもいろいろ調べて承知をいたしております。それで先ほどの、今後の検討をする事項の中には、当然そういったものをどういうふうにやるかということが含まれてまいります。  一般的に言われておりますことは、単年度分の赤字なり累積赤字なりというものをそのままストレートに補てんをしてくれと、非常に単純に言えばそういう方法が一つございます。それからいまのように、いろいろ借り入れ金をやりました、そのための返済に追われているので、その利息分を補給してもらいたい、こういう方法もございます。この場合には、いわば設備の近代化と申しますか、そういう非常に必要性の高い理由をもって借り入れた場合の返済もございましょうし、あるいは例が悪いかもしれませんが、経営のやり方自体があまり合理的でないために、いろいろ運転資金を借りた、こういう場合もあろうかと思います。ここいらをやはり仕分けをして、公正な判断によって補助をするということでなければならぬだろう、そういう仕分けのやはり分析というものを急がなければならぬと思っております。  それから利子の補給というような問題にいたしましても、こういう三団体に直接そういう利子の補給という形で出すのがいいのか、あるいは、たとえば年金福祉事業団等から日赤等に対しましては、融資の方法がございます。そういったような場合に、他の公団等の例のように、そこから貸し出しますときはその返済に対して、いわば利率をうんと下げるとか、そしてその公団等に対しましては、逆に利子補給を国としてやるとか、こういう方法もあろうかと思います。そのいずれがいいかということは、ただいま申しましたようないろいろな資料の分析をいたしました上で、かつ理由も明らかにいたしまして、そして、やはりどなたでも納得のできる理由というものをはっきりさせた上で対応策を考えるべきじゃなかろうか、こういうふうに考えておる段階でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうすると、いま具体的にどうこうという説明はできませんけれども、国のほうとしても十分調査の上で、いま申し上げました問題については前向きに、ひとつ早急に検討をする、そういうことでございますね。  それからリハビリ関係なり成人病の病院の建物、さらには医療器具、機械に対して国が補助をしてくれ、国が補助をしたらどうだ、さらにまた救急医療の問題ですね、あるいはガン診療、これらに対して、現在国としてはどれだけ一体補助をしておるのだろうか。まあ、私が聞くところによりますと、二分の一もあれば三分の一もある、その性質によって二分の一とか三分の一とか、こう分かれておるというようなことも聞いたわけでございますけれども、少なくとも、これらの経費に対しては補助率を三分の二に引き上げるべきじゃないか、こう考えるのですが、現在どうなっておるか、来年はどう考えておられるか、この点簡潔に説明していただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 たえとばガンの診療施設、それから救急医療センター、こういうものに対しましての補助率、あるいは来年から始めますところの人工じん臓の整備、あるいは小児医療センター、こういうものはいま全部すべて三分の一の補助率でございます。ただ僻地の診療所関係、診療車といったようなものにつきましては、これは特別の事情ということで二分の一というふうにいたしております。それから看護婦養成所の施設の整備、設備というようなものについては二分の一、それから運営費につきましては、先ほどお話がございましたような形でございます。したがいまして、この公的機関に対するところの補助金というものは、基本として大体三分の一ということになっておるわけでございます。  この補助率を三分の二に上げろというお話でございまして、私たちの希望としては、そういう補助率を上げることは、毎年そのように考えておるわけでございますが、これは御承知のとおり補助金というものが多数でございまして、いわば横並びの問題というのが常に問題にされまして、たとえば離島振興とかいろいろな場合でございましても、そういうときにどの程度上げるかということは、いつも大問題になっておるということで、今日までこのままの形で推移してまいったというのが実情でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いま局長は救急医療とかガン医療は三分の一だと言われましたが、いま問題にしておりますところの日赤なり済生会なり厚生連だけではなしに、ほかの公的病院においても同じように三分の一出ておると思うのです。ところが、いま申し上げました日赤、済生会、厚生連の三つの団体の医療機関につきましては、特別に考えるべきじゃないのか。たとえばこれ以外の病院、自治体で経営しておる病院につきましては、最終的に赤字は自治体が負担をする、あるいはいろいろ補助を考えておる。裏にはちゃんと親がおるわけなんです。ところが、いま申し上げました三団体については、うしろに親がおらぬわけなんです。とにかく独立採算制でやりなさい。看護婦の養成もあなたのところでやれよ。近代化施設の借り入れも、おまえのところでかってにやれよ。いま申し上げましたところの三分の一の補助については、ほかの病院と一緒で、それ以上のめんどうは見ないよ。こんなことをやっておれば赤字になるのはあたりまえだと私は思うのです。そういう状態の中で、人件費の高騰であるとか物価の上昇、これらが問題になってまいりまして、昭和四十四年には百のうち五十五までが赤字だ。このまま推移していくならば、さらに赤字がどんどんふえてくる。しまいには、にっちもさっちもならなくなってくる。そういった場合に、またいろいろ大きな問題が出てくる。そういうような見通しがはっきりしておるのに、このまま推移していくということは、厚生省の指導的立場から考えてみましても、正しくないと私は思うのです。それだったら、三分の一を来年はひとつ三分の二ということで全力を尽くそう、補助率を引き上げよう。これくらいな気持ちをお持ちになるのが私は当然だと思うのですが、この点大臣いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 御承知のように、いまおっしゃいます公的病院と称する一二団体、これは発足の当時にはそれぞれの目的を持ってできたと思います。またそれぞれの目的を持って、基本金を持ち、あるいはまた一般の賛助金というようなものを集めて、そして他の一般の病院と違うような施療あるいはその他の役割りを果たして出発をしたと思うわけであります。ところが国民皆保険というような形になって、そういった面が薄れてまいった。一般の寄付金、賛助金も集まらなくなってきたというのが今日の現状だと思うわけでございます。そこで私どもといたしましては、この三団体に他の一般の病院と違った特別の性格をどういうように持たせていくか。その性格によって、国の補助金、助成金というものもあるいは考えていくべきじゃないだろうか。日本の病院形態の中で、三団体をどう考えて、どうやっていくか、これをひとつ五百万円の調査費で調査をいたしますと同時に、今日特にこれらの団体が赤字になっていた原因をきわめて、そしてこれからのあり方をはっきりさせて、特に公的病院としての使命を果たさせるために、どうしたらいいかということを検討いたしまして、そして補助金なり助成金なりをもって三団体の特色を生かしていきたい、かように考えて検討いたしたい、こう思っておるわけでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いま大臣が言われたこと、そっくり私の考えておるのと同じでございますので、そこで中身の問題として、補助率を三分の二という方向へ厚生省として全力を尽くすというのが当然じゃないでしょうか、このように私は大臣に質問したわけなんです。それはそのとおりだ、来年は当然そういう方向に持っていくべきだというふうなお考えなのか、なかなかそうはいかぬわいというお考えなのか、その辺のところをもう少し明確に話をしてもらえぬかと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 大体私も見当といたしましては、そういう結論になると思います。そういう結論を出すにつきまして、ちゃんと筋道を立てて、そしてこういう方向に将来いくということをはっきりして、そしていまおっしゃいますような方向にいきたい。検討の結果の結論はおそらくそうであろうと思いますが、それにつきましても、もう少し検討の余地を与えていただきたい、かように思います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 それでは、ぜひひとついまの問題も早急に検討してもらって、三団体の立場というものを十分考えて、補助率の問題も引き上げることで努力をしていただくようにお願いしたいと思うのです。  それから最後になりますけれども、救急医療なりリハビリなり、さらに不採算地区病院に対する運営費の交付金です。これは採算がとれないことがはっきりしておる。いわば国鉄で申しますと、いまめくるめくるというておる三千四百キロ、これに該当すると思うのです。それでも、医療機関である以上、これは廃止するわけにはいかぬと思うのです。ところが、地方自治体あたりが経営しておるところに対しては交付金を出しておるわけなんです、地方自治体から。国のほうは全然出しておらぬわけです。そうなればますます独立採算制で窮地に追い込まれるのは当然だと思うのです。医療機関に対しては当然国から交付金を出すべきだと私は思うのです。これも大臣の話じゃないけれども、五百万円の調査費で調査をした結果、そういう方向で努力をいたしますというお答えになろうかと私は思いますけれども、そうではなしに、いままでどうしてこういうことをやってきたのだろうか。こんなものは来年から考えますと言ってしかるべき問題じゃないかと私は思うのですが、大臣いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま問題になっておりますように、御承知の日本の医療機関のあり方、国立病院、公立病院あるいはまた、これからますます大事になってまいっておりますいろいろな特殊疾病等のセンターあるいは救急病院、このあり方をはっきりと立てていく必要があるという一般の要請、またそれに応じてやらなければならないという事態にいまなってきておると思うわけでございます。したがいまして、そういった系統の中におきまして、いまおっしゃるような事柄も解決をしてまいりたい、かように思っているわけでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 いま申し上げました問題も、地方自治体の経営医療機関については別途交付金が考えられておる。ところが、先ほど申し上げました三団体については、そういう点は考えておらない。だからこの点もぜひひとつ考えてくれ、これは当然のことだと思いますので、これもぜひひとつ来年度は考えていただくようにお願いしたいと思うのです。  それで、まだまだ申し上げたいことたくさんございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど厚生大臣が言われましたように、この三団体に対するめんどうの見ようというものは、国のやり方としては非常に水くさいと思うのです。看護婦の養成の問題にしたって、近代化設備の問題にしたって、さらには不採算地区の医療機関のめんどうの見方にしたって、あるいは運転資金を考えようとかそういうことは全然考えておられない。これは大蔵省との関係もあって非常にむずかしいという点はわかるけれども、むずかしいむずかしいと言っておったのでは、私はいつになっても解決せぬと思うのです。ですから、いま五、六項目申し上げましたこの問題につきましては、幸い来年は五百万の調査費、これはどれだけの調査ができるかわかりませんけれども、おそらく厚生省のほうでもこの三団体から強い要請書が出ておると思うのですけれども、その点も十分検討されまして、これはいま日本の国として大切な医療機関の問題でございますから、とにかく全力を尽くしまして、この要求は解決する方向へ、大臣を先頭にひとつ御努力をいただきたい、こういうふうに考えるわけなんです。ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。最後に大臣から総括的な御意見を承りまして、終わりたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 とにかく来年度予算で五百万円の調査費をとったということは、必ず結論をつけなければならないという観点から、この調査費をとったわけでございますので、したがって、調査費をとってやってみたけれども、何にも結論が出なかったなんということでは、これは何のための調査費かわかりません。調査費をとったというその決意をおくみ取りくださいまして、これが実りますように、ひとつ最善の努力をいたしたい、かように思いますので御了承いただきたいと存じます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 最近にせ医者が続出をして、世間にショックを与えておりますが、問題は、私は、実は厚生省の医師不足に対する政策上の見通しに誤りがあると思う。そして同時に、政策は出したけれども、それをフォローしていくのに具体策を欠いておる。三番目には、実際の行政監督上、これは厚生省もそうであろうし、労働省もそうであろう、こう思うのでありますけれども、監督が非常に不十分であるといいますか不行き届きである、そういうふうに感ずるわけであります。  昭和三十一年の厚生白書は、医師の数というのは、患者の数に比較して、わが国においてはほぼ欧米並みだ、こういっているのです。大体医師一人当たり人口は千人程度が適当とされておるところから見ても、いまの医師の養成数というのは、将来のわが国の人口増あるいは医療施設の普及を考慮しても、このままにいけば十分に医師というものは余っているのだ、医師過剰だというふうにしているわけであります。これが三十一年であります。   〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕  ところが四十年に入って、局所的に、地域によっては医師不足が訴えられておる、こういっておるのです。このころから実は医師不足がはっきりしてきたのだけれども、その後に、四十一年の八月に医務局長、これはもちろん松尾さんではありませんけれども、国立大学の医学部の定員増について、公文書をもって正式な形でもって文部省に要請をしている。そして文部省は医師の長期需給計画について、厚生省に対して、具体的な需給の見通し、それから需給計画、あるいは養成すべき年度別の人数を出しなさい、こういって二回にわたってやっておるけれども、これに対してお答えになっておらないわけであります。そして四十五年に厚生省がある程度の対策を出したというふうに、長期に見て実は医師の需給の状況に対する具体策を一つ欠いておった、こういうことが実は言、えるのだろうと思うのですけれども、その点についてまず、一体どうなんだということをお伺いしたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいま御指摘がございましたように、実は正確な年次をちょっと記憶いたしておりませんが、三十七年より前に厚生省内に設けられましたいろいろな、五人委員会でございましたか、そういうような社会保障に関する委員会の中でも、ただいま最初に申されましたように、日本の医者は大体この人口対比においてこの辺でよかろうという見通しが公式に出されたことはございます。おそらくそれに一番影響を受けまして、当分の間そういうような消極的な態度が続いておったろうと私どもは予想いたしております。しかし当時といたしましては、私どもは過去についてどうこうと言うつもりはございませんが、おそらくこの皆保険以後におきまして、日本のあるいは経済復興等の要因を含めまして、その後この患者数がこれほど急速に増加してくるという的確な見通しは、当時の段階ではおそらく十分に立て得なかった実情にあったのではなかろうか、そういうことを実は背景にしながら人口対比という点だけで考えてきた。それが伝統的にかなり続いておったということは、私は否定すべくもない一つの理由であろうと思っております。したがって、私どももかなり前から、患者数の増加に対応して日本独自の一つの考え方を立てるべきではないかということで、実は私もいろいろ検討してまいりまして、ただいま申されました最終的な一つの試案という形で出す、これがほぼ定着をしたというところまでまいったというようないきさつであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 四十六年の一月に無医地区の実態調査をやりましたね。一年たったいま、まだそのことに対して発表はないのだけれども、これは一体どういうわけなんだろう。三十一年の実態調査は、七百二十八カ所の無医地区があった、こういっておるのであります。四十一年は二千九百二十カ所、四倍に増加しております。四十六年の調査というものを、早く集約をしなければならぬ、発表しなければならぬだろうと思うけれども、それが発表されておらぬ。一年たっても、そのことがそのままになっておるというところに、つまり厚生行政というものが、きわめてずさんである、こう私は言いたいのですけれども、その点、なぜ一年たった今日においても、その無医地区の調査というものの実態が報告されなかったのだろうか、これをひとつお伺いしたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 おしかりいただくような情勢ではないかと思いますけれども、実は四十一年にやりました調査よりも、もっと具体的な政策と申しますか、単に数を数えるだけでは意味がないので、その具体的な対策でカバーできるという基準をいろいろ織り込みながら、ひとつ調査をしてみたいという、いわば意欲的に少し方向を変えまして実施をいたしたのでございまして、それで集計——いろいろ報告が参りましたのは、昨年の六月以後であったろうかと思いますが、その後一応の試算と申しますか、集計をいたしまして、それをさらにコメントをつけると申しますか、昨年度から見て、こういう見方なり集計なりのしかたで、はたしていいだろうかという点について調整を若干はかっておりまして、ほぼ大体その集計もでき上がりつつあるはずでございます。そういう意味で、私ども決して隠すつもりはございませんが、そういうものをすみやかに明らかにいたしまして、世に御報告を申し上げたい、こういうふうに思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 医師法の第五条、それから同施行令第二条に、医籍の登録が規定されておりますね。現在、医師が約二十万人、歯科医師約五万人が登録されておる。ところで医師法第六条の第三項で、医師は、毎年十二月三十一日現在において、その氏名、住所等の届け出を義務づけておる。この規定による四十四年末の届け出数が、医師が約十一万六千名、歯科医師が約三万七千四百名。そうしますと、医籍の登録数と届け出数の差が、医師で約八万四千名、歯科医師が一万二千名、これは不明でありますね。そうすると、医師八万四千名、歯科医師一万二千名、この医籍はある。しかし、この人たちがどうなっているかということについては不明である。ここから、名前を盗用して登録をするというような事態が起きてくるんだろうと思うんだけれども、一体、この整理をしないで、きちんと医師の監督ができるのだろうかどうだろうか。そして、なぜ医師の八万四千名あるいは歯科医師の一万二千名に対するフォローをやってきておらないんだろうか。これは全く行政監督上として私はずさんきわまりないものだと思うんですけれども、その点を一体どう説明をされるのか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 登録いたしました総数は二十一万二千人、医者につきましてはそれが四十六年度末の予定でございます。ただ、医籍の抹消と申しますか、中間で死亡等がございますれば抹消してまいるわけでございます。そういったものが約三万六千程度ございまして、したがって、差し引き登録数が十七万六千というのが現在の姿でございます。しかしながら、御指摘のように、いわゆる毎年の十二月三十一日現在での届け出は、先ほど申されたような数字でございますので、明らかに差があるということは、もう御指摘のとおりでございます。この点については、私どもも従来、このギャップを実態的に追及するということは実はやっておりませんし、また、それを追及することも非常になかなかむずかしい、技術的にも、どこにいるかということでむずかしい問題もあるというようなこともございまして、実際はやっておらない。今後私どもは、届け出数というものと、この医籍というものとを、膨大な数でございますけれども、できればやはりコンピューターに両方とも入れて、そして早急にチェックができる、こういうような方向に運びたい、こういうふうに考えまして、ただいま届け出のほう自体については、すでに統計調査部のコンピューターに入れるという作業をもう開始いたしておりますが、ぜひ医籍のほうにつきましても、そういう機械化をいたしまして、御指摘のようなことが早く消化できるようにいたしたい、かように考えておるところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 職安局長お見えになっておりますか。——職業安定法の第三十二条、有料職業紹介事業とありますけれども、ここに「美術、音楽、演芸その他特別の技術を必要とする職業に従事する者の職業をあつ旋することを目的とする職業紹介事業について、労働大臣の許可を得て行う場合は、この限りでない。」ということで、実は医師紹介所がある、こう思うのです。労働省のお話によりますと、日本で医師紹介所は三つありますね。これは必ず職業安定法のこの有料職業紹介事業、つまり第三十二条に基づいて、業として行なわなければならないのか、まずその点を第一番にお伺いしたい。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 そのとおりでございます。数は現在五カ所ございます。問題になりました神戸が、本年の一月に廃業届けを出さしておりますので、現在は四カ所でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、いまあちらこちらに人材銀行というのがありますね。その人材銀行で医師の紹介をやっていいのかどうか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 人材銀行は全国に九カ所ございますが、これは無料でございまして、安定所の業務の一環としてやっておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、私がお伺いしたのは、医師の紹介をやっていいのかどうかということです。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 法律的には可能でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 法律的に可能だという根拠をひとつ示してもらいたいと思うのです。ここには「営利職業紹介事業を行う者は、その事業を開始する前に、第四項の規定による補償の金額に充てるため、労働大臣が、中央職業安定審議会に諮問のうえ定める五万円を超えない金額の保証金を供託しなければならない。」と書いてある。いまのお話では無料だとおっしゃっている。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 現在の安定法のたてまえは、原則といたしまして公共職業安定所が無料で職業紹介をする。その対象は特に限定はございません。三十二条でいっておりますのは、その例外でございまして、有料で公共職業安定所以外の者が職業紹介する場合には、労働大臣の許可を受けてやるというたてまえになっておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 医師関係の紹介所というのは、これはあれでしょう、有料じゃないんですか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、原則として無料でございます。これは公共職業安定所がやる。その対象職種は特に限定がないわけでございます。その例外といたしまして、医師はじめ特定の職種につきまして、公共職業安定所以外の者が職業紹介をすることを認めるというたてまえになっておりまして、医師の場合は、必ずこの三十二条の有料職業紹介でなければならぬというたてまえにはならないわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると労働省はその職業紹介、つまり、私が申し上げたいのは、人間の生命を預かるということだから、それだけ医師の職業紹介については、あとのフォローが大切だと思うんだけれども、そういうことをやっておられるのかおられないのか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 現在医師以外に、三十二条に基づきまして有料職業紹介を認めておる職業がほかにもございます。これは御指摘のとおり原則としては公共職業安定所、要するに公の責任において、しかも無料であっせんするというたてまえの例外でございますので、監督は当然行なわるべきだということで、現在年に一回ないし二回の監督を実施いたしております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 池袋だったと思いますが、人材銀行で紹介をしてもらって、そして本人が医師だと偽って、実際に仕事をやっておるんだけれども、病院としてはほかのお医者さんを立ててやっている。千葉かどこかの女のお医者さんを所長にして、実際は自分がそこで医療行為をやっておったということがある。これは人材銀行の紹介でやったわけです。そういうときに職業安定所というのは、きちんとした調査をやらないのか、やるのか、書類だけで通しているのか、その辺はどうなんでしょう。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 安定所におきまして、人材銀行を含めまして、職業紹介いたしますときには、求職者のいろいろの条件等については事情を聞きまして、それに基づきまして求人者に紹介をするわけでございます。その際、いろいろ医師をはじめ免許を要するようなものがございます。そういうものにつきましては、免許を持っているかどうか、確実かどうかということを調べまして、責任をもってあっせんするたてまえになっております。ただ、御指摘のように、調査が不行き届きで御迷惑をかけるというようなケースがままあることは、事実でございますが、われわれといたしましては、そういう点のないように今後とも十分に留意したいと思いますし、特に医師等、人命に関係するものにつきましては、今回の事件を契機にいたしまして、監督を一そう厳にするということで臨んでまいりたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私がお伺いしたいのは、人材銀行にそういうことをさしていいのかどうかという問題なのです。要するに、必要書類だけを整えて、それで出せば、その人をそのままずっと、実際に身元なり何なりの厳重なチェックもしないで、そして紹介をしていいんだろうかどうだろうか。さっきの話は、東池袋診療所で、所長木村キンという人であります。千代田区内の人材銀行で紹介をしている。そして女医の木村キンさんという人を所長に据えて、彼女は常勤はしておらないわけでありますね。そして本人が一切やっている。そういうことに対しては、当然厳重にフォローしながら実態を調査していくことが必要だと私は思うのだけれども、それがなされていないで、単に紹介をしている。つまり、医師の職業紹介ということに対して、もっと労働省としてはとるべき施策というものはほかにないものかと思う。あるいは将来何らかの方法でそういうことに対する厳重な調査なり何なりをするということを考えておるのかどうか。この辺はどうなんですか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 今回の事件を契機にいたしまして、有料職業紹介を認めている事業場の監視を厳重にすることはもとより、先生ただいま御指摘のように、医師一般の紹介につきまして、二度とこういうにせ医者を紹介するというようなケースが起きないように、厚生省とも十分協議いたしまして、万全の対策を講ずるように措置をしたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、人材銀行というのは、つまり六カ月を限度にして紹介手数料というものを、支払われた賃金の一〇%をとっていくわけですか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 先ほども御説明いたしましたとおり、人材銀行は公共職業安定機関の一部でございます。したがいまして、有料職業紹介と違いまして、無料でいたしております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、もう一ぺん確認したいんですけれども、医師を紹介するには、法三十二条にのっとった方法が一つと、もう一つは無料でやる、この二つがあるわけですね。そういうふうに理解していいですか。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 一般的な原則といたしましては、人材銀行を含めまして公共職業安定所が紹介いたします。これは紹介職種について限定がございませんから、医師の場合も入ります。その場合は無料でございます。例外といたしまして、三十二条の有料職業紹介を認めている、こういう法律のたてまえになっております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それでは医師に例外を認めたのは、一体どういうわけで例外を認めたのでありますか。それは、ぼくの考えからいわせれば、職業安定法というものの一般的な適用は、医師に関してはさせないで、特例といいますか、そういうものの中で厳重にやはりチェックをしていくというものがあっていいんだと思うのだけれども、それを全部、無料もあります、有料、特例もありますというのは、非常にずさんなやり方だと思うのですよ。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 職種に差別を設けず、たてまえといたしましては、公共職業安定所が全責任を持って全職種について就職のあっせんをするというのが理想かと思います。その際に、特定の職種について専門的な安定所を設けてやるというふうな例も外国にはございます。しかしながら、現在の紹介体制のたてまえは、先ほど来申し上げておりますとおりに、一般的には無料で公共職業安定所がごあっせんをいたしますけれども、特殊のものにつきましては、三十二条に書いてございますような立法趣旨に基づきまして例外的に職業紹介を認めるというたてまえになっております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 何か不満でありますけれども、ぼくの申し上げたいのは、医師という特殊な職業については特別に何かの、要するに規制をするというか、チェックするというか、そういうことをやはり考えた上での職業紹介というものを考えなければいかぬのではないかという感じがするのです。その点について、今後どうされようとされるのかということです。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 医師は人命に関係する職業でございます。したがいまして、いやが上にも慎重を要することは、もう多弁を要しないことでございますが、今回の事件もございましたので、先ほど来お答えいたしましたとおりに、医師の紹介につきましては公共職業安定所の紹介はもとより、有料職業紹介を通じての紹介につきましても、一慎重に調査等を行ないまして、二度とにせ医者が紹介されるというような事態はないように、厚生省とも協議して対策を講じてまいりたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 医療法の第二十五条、病院、診療所等に対して必要な報告を命じ、立ち入り検査ができる。それから同法二十六条に医療監視員を置く。医療監視員は管理等について必要な事項の指導を行なうことができる、こうあります。そうして医療監視員は全国で三千五百三十人おるというふうに聞いておりますけれども、問題は医療監視員の活動報告、これは「衛生行政業務報告」から見ますと、四十二年に告発なし、四十三年告発一、四十四年告発ゼロ、四十五年告発一なんですね。これほどにせ医者があちこちから摘発されておって、しかも医療監視員というものが三千五百三十人いて、そうして告発一、ほかのほうから、むしろ告発されておる場合が多いのですね。一体医療監視員というものは何をやっておるのですか。資格は一体どういう資格でやられておるのか。つまり私の申し上げたいのは、この東池袋診療所の場合だって、四十五年九月からやっておるわけですよ。医療監視員という制度というものがあって、そうしてその医療監視員というものがほんとうにきちんとやっておるならば、そうして同時に労働省の職業紹介というものと、きちんと横の連絡がついておるならば、こういうことに対する監視というものは、私はそんなにむずかしくないはずだと思う。だけれども、それができておらぬ。ほかのものは別ですよ。しかし少なくとも医療ということに対してだったら、労働省が職業紹介をやる。無料のものと有料のものがあるそうですが、しかし、それをやった場合に、厚生省と労働省と横の連絡があれば、こういうものについては、ある程度は実態を把握できるはずだと私は思うのですけれども、それが何らなされていない。四十五年に告発したのが一件しかないというのは、これだけにせ医者が続出しておる段階で、まことにお粗末というほかはないわけです。その点どうお考えになっておるか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 医療監視の従来の重点と申しますか、そういったところの中には、全般的な病院等の管理体制でございますとか、あるいは人員の問題あるいは設備、構造といったようなことに主体を置き、あるいは薬品の管理というようなところにそれぞれのポイントを置きながらやってまいりました。また、年によりましては、御承知の前々から指摘がございましたように、精神病院等の特殊な状態というものに重点を置くというようなことを指示いたしましたりしてやってまいっておるわけでございますが、率直に申し上げますと、勤務している医者の方の一人一人の資格を医療監視の際に全部チェックするというようなことは、実は従来あまりやっていなかったわけです。ただ、当然これは管理者として、その病院等において十分そういうことが行なわれておるという前提と申しますか、そういうことに立っておったと申し上げたほうが事実かと思いますけれども、そういう従事者一人一人の資格を全部具体的にチェックするというようなところまで実は踏み込んでおらないというようなことがございます。したがいまして、私どもも今後医療監視の際には、管理者が十分そういうチェックをしたかどうかということも、少なくともその程度はきちっと確認をするというようなことを、この医療監視の仕事の中に重点として織り込むべきではないか、いまかように考えて医療対策をやっておるところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 とにかく、にせ医者数が毎年毎年百名をこえるぐらい発見されているわけですね。それで、検察統計年報によりますと、四十三、年には医療法で二百七十八名、医師法で百四名、歯科医師法で七十八名、これは四十三年であります。四十四年で医療法で三十二名、医師法で百三十名、歯科医師法で八十三名。四十五年で医療法で三十八名、医師法で百八十九名、歯科医師法で七十四名、これは全部何といいますか、告訴された人たちです。これは罪名別の被疑事件の受理人員数ですから、全部有罪である人たちです。それだけ出ているのだけれども、監視員のほうの——再度申しますけれども、監視員制度ができて、その医療監視員のほうから、そういうことがあげられたということがほとんどないということは、実は私は理解に苦しむわけであります。どうしてそういうふうになっているのだろう。そういう結果が、実はにせ医者の横行というか、一人の人が何回も同じようなことで摘発されている。たとえば、三重県で逮捕された泉原さんという人は、二十九年の八月に大阪の浪速署で逮捕されている。そして三十三年八月神戸の水上署、四十一年宇都宮市、三回もにせ医者として逮捕されている。しかも、その実態が厚生省も、あるいは労働省もと言ったほうがいいのかどうか、いずれにしても、それが全然把握できてないというのは、私は実は理解に苦しむわけですよ。いいですか、医師法の十七条で「医師でなければ、医業をなしてはならない。」とあって、その罰則が三十一条にあるわけです。懲役二年以下または二万円以下の罰金ですよ。三十一条の二項は、「医師又はこれに類似した名称を用いたもの」は「三年以下の懲役又は三万円以下の罰金」なんです。いいですか、三年以下。この泉原という人は二十九年の八月です。二十九年、三十年、三十一年、三十二年。三十三年にはもうつかまっているわけだ。それにしては、私は非常にお粗末な管理体制じゃないかと思うのですよ。十年に一ぺんとか、五年に一ぺんとか、三年に一ぺんとか、そういうことで一名とか二名出るなら話はわかります。しかし、ほとんど毎年百名をこえるにせ医者というものが出ているわけです。しかもそのことによって患者が被害をこうむっておるという事実があるのだったら、もっと早く適切な処置をとるべきでしょう。一体厚生省というのは、そのにせ医者に対して何をお考えになっておるのですか。つまり私はそういうことに対してタブーみたいなふうに考えられては困ると思うのです。もっと厳格であるべきはずでしょう。医師という名前がつく限りは、すべてタブーというふうにしては実は患者が困るのですよ。だから私は申し上げている。そういうことでさわらなければ、にせ医者というものの続発が目に見えて出てくるわけだから、だからもっと厳重な、要するに管理なり規制なりをしなければいかぬと言うのです。罰則だって、これは二年以下とか三年以下とか、二万円以下とか三万円以下なんて、そういうものでは軽過ぎると私は思うのです。どうですか、このにせ医者ということに対して、医療行為違反ということに対して、医療法というものをもう少し改正する気持ちはありませんか、それが第一点。  時間がありませんから、もう一つは斎藤病院の場合ですが、この人は三十四年に大阪市の大正区でにせ医者として摘発されておるのですよ。いま先ほどの法律を思い出してください、二年以下とか三年以下の懲役ということがある。にもかかわらず、三十五年の七月には特例法で国家試験をパスしておるのですよ。摘発をされたのだから、私はおそらく法の適用があるはずだと思うのです。法の適用がなければ、これはおかしいはずですね。しかし、法の適用があったとしたなら、何で三十五年の七月に国家試験をパスさせるのだろう。つまりそういう甘っちょろい態度が、にせ医者になろうという人たちを要するに増長させているというか、そういうことがあるのだろうと思うのです。医師法の四条三号に書いてあるでしょう。相対的の欠格事由として「医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者」には免許を与えないとあるじゃありませんか。免許を与えないということは、国家試験をパスさせないということと同じことだろうと私は思うのです。一体こういうことに対して、国家試験をパスさせた責任はだれにあるのです。以上二点、お答え願いたい。つまり医療法を改正する意思があるのかないのか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 罰則の問題につきましては、私どももこの社会のいろいろな状況、あるいは他の罰則との関係というようなことを考慮した上で検討すべきだと思います。私どもの一存というわけにもまいらないと思いますが、そういう罰則の一般的な原則とでも申しますか、そういうものに照らして、これがきわめて軽過ぎるというような御意見であれば、私どもは将来これは変えるつもりで検討いたします。  それから斎藤病院のような問題、まことに私もいま御指摘をいただきますと非常に残念でございますけれども、少なくとも御指摘をいただきましたようないろいろな問題から、やはり私どもが反省しなければならない問題といたしまして、一つはやはり情報というものが十分にお互いの間に交換されてない。そういったところからくる虚をつかれると申しますか、そういう問題も十分あると思います。そういったことについては今後の事例といたしましても、十分ひとつ周知徹底がはかられるというような一つのチェックを、機構としてそういうことをはかるべきであると存じます。また何よりも一番基本的な問題としましては、先ほど来御指摘のように、医師に関する問題をタブーとして扱うのではない。また厳正な態度で臨むべきだという御指摘に対しましては、私ども、まさにそうあらなければならぬというふうに考えております。したがいまして、今後の事件等における行政処分その他につきましても、私どもは非常にきびしい態度で臨むべきだというふうに決心をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 しかもその斎藤病院というのは、開業後にすぐに救急病院の指定を受けておるのですよ。この指定を受けたこと自体もたいへんおかしいし、救急病院については、後ほど私は再度この委員会で質問申し上げたいと思うのですけれども、こういうでたらめなことをやらしておるということに対する管理上の責任というものは、やはり考えてもらいたいと私は思う。  大原さんが次いで質問なさるそうですから、最後に私は厚生省と、それから労働省にお伺いしたい。  職業安定所を通じて、あるいは法三十二条ですが、これによる医事紹介所を通じて——このことについても御検討願うことにして、しかし、そういうことによって医師が紹介された場合に、今後厚生省と労働省との横の連絡をきちんととっていただけるかどうか、これをひとつ労働省のほうからお伺いしたいと思います。  最後に、いままでの話の中で、一体大臣はどうお考えになるか。以上でございます。

道正邦彦労働省職業安定局長

○道正政府委員 今後は厚生省と十分に連絡をとりまして、かりにもにせ医者が紹介されることのないように万全の措置を講じたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 最近にせ医者事件が多発をしておりますことは、まことに残念だと思っております。一言にして申しまして、私はいままでそういった監督、規制というものがきわめてなおざりであったということを率直に認めざるを得ない、かように思います。おそらく医師会なり歯科医師会なりお互いに、医師の免許証もないのに開業をしておるというようなことがあれば、それらの中で十分監視が行なわれるものというような安易な考えでいたのではなかろうかと私は推測をするわけでございます。しかし、厚生省関係また医師会関係から摘発されるのではなくて、警察とか一般の投書によって摘発をされるという事例を見ますると、一体われわれ何をしておったのだと言われても、まことに申しわけがない、かように思いまして、関係当局を叱咤をいたしておるわけでございます。そういった面においては、いままでまことに不十分というか、ほとんど無関心であった、こう言われてもやむを得ないと思いますので、姿勢を改めるように、今年の初めから大いに鞭撻をさしておるわけでございます。まことにいままでは申しわけなかった、私はかように思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは関連質問で簡単に申し上げますが、いまの斎藤病院、私も現地へ行って府、市や関係者の調査をいたしましたが、斎藤病院長自体——昭和四十三年に、これは病院を開設をいたしておりますが、自体もさることながら、そのもとに村上某、村山某という、つまり医師の免許を持っていないにせ医師が診療行為を行なっていたわけです。これはお話があったように、救急病院に指定しているわけです。そのことによって死亡者やたくさんの被害者が出ておるわけです。その被害者はにせ医師によって手術をされたり、注射を打たれたり、あるいはほうっておかれたり、そういうふうに放任状況にされて医療行為を受けなかった、こういう状況にあった。そのことによって被害を受けている、死んでおる。そういう被害者の立場というものは、どのように救済するのか、この点をはっきり御答弁いただきたい。法律上の問題と、それから実際上の救済措置の問題について御答弁いただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 たいへん残念な事件でございますけれども、国が直接この点について補償するという性質のものではなさそうでございまして、もちろん当事者であるその斎藤病院というものが、まず責任をもってその損害の補償に当たるべきだ、こういうふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 斎藤病院を昭和四十三年に開設する際における許可、認可ですか、そういうことについては厚生省は関係をいたしておると思うのです。府や市も関係をいたしておると思うのです。それから医師の、どういう医師が医療行為を行なっておるかということについては、厚生省は当然に監督上の責任があると思うのです。そういうにせ医師が横行して、公然と医療行為を行なって、犠牲者が出ておるというふうなことですね。全く日本の医療が荒廃しておる端的なあらわれですが、そういうことについて厚生省は何ら責任がありませんか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 ただいまの医療法等で病院の開設の許可といいます場合、このような場合には都道府県知事が許可を与えるということになっております。ただ、それを全般的にそういう仕組みにし、かつその全般的な指導監督に当たっているわけでございますから、そういう意味における道義的なと申しますか、法律を施行する上からの責任は、十分われわれはあると存じております。ただその場合に、ただいま最初に御指摘のように、直ちに国の賠償というものであるかどうか、私はどうもそこまではいかないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 斎藤病院は内科、小児科、胃腸科、循環器科、外科、性病科、皮膚科、物理療法科、整形外科、放射線科というて、ざっと看板を出しているのですね。それで院長は内科医でしょうけれども、それから弓削という、ちょいちょいあらわれている医師もありますが、にせ医師が二人いまのようにいるわけです。そういう場合に、保健所にしろ、第一線機関は、そういう医療行為を行なう医師がそういう仕事につく場合には、たとえば履歴書も出さないのか、あるいは医師の免許の写しも出さないのか、そうしてどんどんやっているのか、それを全然把握してないのか、全く野放しか。つまり医師会がよく言うけれども、官僚が医師会の自主的な活動や医師の活動に対して介入するということは、それはいけないだろう。しかし、医療行政をやっている者が国民にかわって行政秩序を立てる、医療行政をやるということは、そのことを医師会が拒否するのだったら、そのことは断固としてやるべきだ。そういうことまでけじめがつかないようになっておる。医療の荒廃と閉鎖性と営利性、こういうものの端的なあらわれがここに出ているのだ。だから厚生大臣がこのことは責任がないとはいえない。ここで犠牲者が出た場合に、責任がないとはいえぬだろう。いかがですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 厚生省といたしましても、これは行政責任は痛感をいたしております。都道府県知事の認可であるにいたしましても、それについての指導監督というものは、やはり厚生省がすべきものでございまして、私は先ほども申しますように、そういう点につきましては、いままで十分とはいえなかった、かように思って反省をみずからいたし、また部局に対していたさしているわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは、たとえば医師免許を持っていない大学の医系の学生が医療行為を行なっているとか、あるいは看護婦さんや家族の奥さんがやっているとか、そういうようなことは普通たくさんあるといわれているのですよ。だから、医療行為について人命尊重の観点からは、厚生省の行政というものはないのです。  そこで問題は、そういう被害者が何時間も何時間もベッドの上にほうり出されておって、担当医師があらわれてこない、救急病院であっても。あるいは普通の医療行為であっても。あるいは最後にあらわれてきたが、診断をする病院長と、このにせ医者との意見や診断が違ったり、でたらめ、診断書自体にも何も書いてなかった。これはもちろん診断書はドイツ語で書くのがいいとは限らぬけれども、ローマ字で書いたか、かたかなかわからぬ。追及してみると、そういうでたらめなことをやっているわけだけれども、そうすると現実、これはたくさん議論があるのですが、全部今日の厚生省のそういう医療の抜本改正にかかわる基本的な問題はみなあると思うのだが、集中的に出ておると思うのだが、そういう被害者の救済措置をするような手当てが、私は斎藤病院の例を申し上げるのだけれども、斎藤病院の場合に補償されているか。というのは開設者の、病院管理医師の斎藤云々という医師、そういう人々がこれに対する補償措置をきちっととるように、財産を算出させたり、逃げたりしないようにそういう補償措置をとっておるか。被害者の立場、国民の立場、患者の立場に立ってとっておるかどうか。その点いかがです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 私どもが直接その斎藤管理者を拘束するというようなことはやっておりませんけれども、状況としましては、その斎藤という者の土地等がどれぐらいあるのか、土地の財産がどれぐらいであろうかということもわれわれは府を通して一応聞いておりますし、したがいまして、そういう処分によってすみやかに補償すべきだということについては、府とは十分連絡をとりつつはございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 こういうにせ医師の問題について、行政上どういうふうな措置をとっておるか。厚生大臣は、横から警察が手を入れてはじめてわかるようなことでは困ると言ったけれども、事後の措置として、それぞれ医師法や医療法があるわけですが、行政上の措置はどういうふうにとっておるか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 もちろんこの管理者たる者がきわめて不適格でありますので、これがそのまま存続をしておれば、その病院自身の管理者の変更命令なり何なり出すべきでございます。しかし、これは御承知のとおり、すでに直ちに廃院届けをしてしまって休止しております。次に私どもがいま早急にやらなければいかぬと思っておりますのは、医師免許証自体の取り消しというような行政処分をすみやかにとることだと存じます。従来は一般的に、こういうものについては裁判の判決を待ちまして、その結果に基づいた処分をするというのが通例でございましたけれども、私はやはり、事実関係がこういうふうにはっきりしておれば、すみやかに都道府県のほうからの申達を待ちまして、医道審議会にかけて処分をはかるべきだ、ただいまそういうようなことで計画を進めておるつもりでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 時間が来ましたから、私も関連質問ですから、この問題はあらためて各方面から検討をしなければならぬ問題であると思いますので、そういう点はこれから後の機会に譲ることといたしまして、関連質問を終わります。

伊東正義自由民主党

○伊東委員長代理 次に、大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 本日は社会労働委員会における厚生大臣の所信表明に対して質問することになったわけでございますが、この所信表明の冒頭に大臣みずからお述べになっておるように、いままでわが国の福祉行政というものは日陰に置かれていたといいますか、それがようやく明るい太陽のもとに出てきたという時期である。「福祉優先の声は、蓄積した経済力を社会資本への投資と福祉向上に充てるべきであるという政治の基本姿勢としてとらえられるに至っております。」まさに厚生行政の好機到来である、だから厚生大臣である私もその心境に立って今度は大いに力を入れたつもりだといってずっとお述べになっているわけでございますが、この中身について調べれば調べるほど、まだおっしゃっている声ほどにはないという結論に達したわけでございます。この問題についてはきょう午後二時から予算委員会でわが党の古川議員が取り上げ、こまかく指摘することになっております。そこで私はきょうはそうした大筋からちょっと離れますけれども、やはりこれも一般の厚生行政すべてにわたっている問題ですから、それを二、三取り上げてみたいと思います。  まず最初に、三月の七日でしたか、予算委員会でこれまたわが党の多田時子議員が厚生大臣と質疑応答をやっておりました。それは薬の販売価格の問題と薬価基準に関係して、いわゆる物価問題という観点からこれをとらえていろいろ質疑していたわけですけれども、同じ品質、品物、同じ量でありながら、メーカーが違うばかりに、一方のほうと他方のほうを比べると、三倍も四倍も値段が違う。これに対してどう思うかという質問だったと思うのです。それは、たしか大臣は、自由経済の今日でありましてやむを得ないのだというような御答弁をなさったかに私は聞いておりました。確かにそれは筋でしょうけれども、同じ品物、同じ量のものが二倍も三倍も四倍も違うということについて、私の気持ちの上でどうしてもすっきりしない。まず、これでいいのかどうかという問題ですね。おそらく私がいいのかと言えば、決していいとはおっしゃらないと思うのですけれども、その点まず確認してみたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、私も一体どうしたらいいのかというので、いろいろと検討いたしております。保険に使いまする薬は、御承知のように薬価基準できめております。これはその品目によって薬価基準をきめるわけであります。そこで同じ品目の薬にいたしましても、メーカーによってそれよりももっと安く売るというメーカーも出てくる。これはメーカー同士の競争でございますから、お互いに競争によってだんだん安くしていくということ、このことはいいことだと思うのです。しかしそれによって弊害が出て、本来の薬効がないような薬までその名前で売るということになれば、これはその薬の製造の停止なり禁止なりしなければなりませんが、薬効は十分である、ただ販売政策において、ある薬においてはある病院に特に安くするからほかの薬を買ってくれとかいうような販売競争があるわけでございますね。これをどういうようにやっていったらいいか。極端にいえば、各メーカーのそれぞれの薬の品目について、一々何万種というものの価格をきめて、それよりも高く売っても安く売ってもいけないというようにまでやることが望ましいのか望ましくないのかというと、これまたそれにいろいろな弊害が出てくるわけでございます。  そこでただいまの行き方といたしましては、そういった同質、同じような品目の薬の値段というものが、競争によってだんだん下がってくるということでございますから、毎年薬価の実勢調査というものをやりまして、そして同じ品目の薬について、あるものは百円である、あるものは百二十円である、ある会社のものは百三十円であるというようなものを総体として把握をして、そして九〇バルクラインというところで薬価基準をきめているというのがいまのやり方になっているわけであります。これは九〇バルクラインがいいのか、八五バルクラインがいいのかということを中医協においていろいろ議論をいたしているわけでありますが、今日は九〇バルクラインが至当であるというので、九〇バルクラインというので薬価基準をきめている。  そこでただいまの状況としてやり得ますのは、だんだん薬の販売競争で値段が下がってくるということになると、薬価の実勢が下がってくるわけでありますから、その実勢に応じて毎年薬価調査をやって、そして薬価基準をきめていくというこのやり方が今日の状況としてはやむを得ない、これ以外にないんじゃないだろうか。問題は薬価の実勢というものを十分把握をするということで、中医協の建議にもありますように、定時調査というだけじゃなくて随時調査をやり、そして薬価の実勢というものを見きわめて、そしてそれによって薬価基準を毎年きめていく、こういうようにいたしてまいりたい、かように思っているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま大臣から、この問題は、薬価基準をきめるための薬価の実勢調査、これを限られたときだけでなく随時に行なっていけば、その実態が掌握できて、その実勢価格と薬価基準の差が縮まっていく、これ以外方法はない、こういう御答弁であったわけでございますが、私もそこは同感です。それ以外にない。この実勢価格を掌握するその調査のあり方、これをもっと真剣に検討し、また実行していただきたい。でなければ、かりに現状のままだと、たとえば薬屋にわれわれが薬を買いに行く、そうしますと、同じ品物であるかどうかということはわかりませんし、これは幾らだ、これは幾らだ、こう示されても、いわゆる選択の能力といいますか、その力はないわけですね。だから気持ちの上から、中身を知れば知るほど腹が立ってくるわけでありまして、どうしてもこういう問題はやはり厚生行政の大きな問題として改めていってもらいたい、これは要望として強く述べておきたいところでございます。  そこでいまの問題で、この前、例に出ましたプレドニゾン、これは塩野義が千二百五十円で売っているんだそうですね。それからプレドニゾロンという名前で、これは武田から四百二十円で出ているんだそうですよ。中身は全く一緒らしいですね。あるいはエルスロマイシンというのは、ある会社では二千四百円、あるところでは二千円、あるところでは千五百円である。こういうように、ほんとうにまちまちであるわけですから、先ほど言いました実勢調査というもののあり方をひとつしっかり検討いたしまして、こういうものが一日も早く是正されるように要望しておきます。  それから、先ほど問題になっておりましたにせ医者の件でございますけれども、厚生省もにせ医者総点検をやるというようなことが、あれは何日でしたか、たしか新聞に出ておりました。おそらく、公表なさったわけですから実行なさっていると思いますけれども、その総点検の結果どのような成果が出てきたか。成果といえばおかしいですけれども、結果が出てきたか。これまでまず判明した、たとえば去年の十一月ごろから問題になってきたと思うのですけれども、去年の十一月ごろからことしまで、どの程度それが掌握されたかということがまず一つ。そして、それは何県に何名くらい出たのか、おそらくこれももう掌握なさっていると思いますので、ここで発表していただきたいと思います。  それから、その数の中に、警察に投書が行って警察のほうで調べに入ってわかったのだとか、あるいはある一市民からそれとなく連絡があったというふうな、発覚するに至るまでのいろいろな経緯があると思うのですが、その内容といいますか、おそらく総点検の中にはそういう立場からも掌握されているとは思いますけれども、その点はどのようにつかまれているかということをまずお尋ねしてみたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 総点検につきましては、一月の十九日付で都道府県知事に通達を出しました。その際に、いわゆる総点検をやる、免許証についてのチェックをやる、こういうことを指示してございまして、ただいま各都道府県で進行中でございます。したがいましてその結果についてまだ十分トータルとしての姿はこちらに参っておりませんが、たとえば大阪等ではそういう方法においてすでに九件の告発を行なっておりますし、また新聞にも出ましたような、栃木県の山の中のにせ医者というのもそういう結果から発見をされたものでございまして、ほかの県につきましてのこまかいそういう数字はまだ参っておりませんが、すべていま進行中の段階でございます。  それから、今回中心になって起こっておりますような問題の大部分の発見の理由と申しますか、いま御質問の後段のほうの問題は、いま申し上げましたように、行政当局の手で洗いながら発見しつつあるものもございますが、大部分、かなりの多くの部分はやはり投書等による情報ということからいろいろ調べておるというのが多いわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 まず大臣に、今度のにせ医者事件、今度といいますか、最近起こっておるこれに対して、まず大臣としてはどうこれを受けとめていらっしゃるか、どう感じていらっしゃるか、その気持ちを聞かしていただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、いままで厚生省のいわゆるにせ医者に対する監督といいますか、そういう者の出てこないようにという監視の姿勢がきわめておろそかであった、この点を十分反省をしなければならない、その反省のもとに立って今後そういうことのないようにということで、ただいま一生懸命これからやる、いままで申しわけなかった、率直にその点は私は認めておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ではもう一つ、このにせ医者がこんなに出てきたという根本的な原因といいますか、要因はどこにあると大臣は思われたのですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 根本的な要因は、やはり医師の数が足りないという点であろうと思います。まあ大都会にも出ておるわけでありますから一がいには申せませんけれども、大部分はやはり、僻地においてどうしても医者を呼びたい、こういうことからいわゆる僻地ににせ医者があらわれるという声が多いわけでありますので、したがってそういった僻地における医療対策ということも十分やっていかなければならない、かように思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまおっしゃるとおり、医師不足が基本的な要因であろうと私も思うわけですが、これはほんとうに厚生行政の大きな欠陥であり、怠慢であったわけだ。医療需要の動向と供給体制の関係ぐらいは、もう当然事前にわかっているわけですね。それが今日までこのようになってきたということは、もう行政の怠慢と言う以外にない、私こう思うわけでございます。いま医師不足のために僻地のほうではどうしてもそういう傾向になりがちだという御答弁であったように思いますけれども、三月五日の、これはサンケイ新聞だったと思いますが、東京都の歯科医師会の副会長さんがにせ医者を二人も雇っておったという記事ですけれども、これは僻地じゃないわけですよ。またこれだけではなくて、私は非常に問題に思うのは、開業医自身がにせ医者であったというのもあるわけでございますが、そうじゃなくて、雇用しているその雇い主はりっぱな資格のある医者でありながら、雇用されておるその雇用者が何も資格がなくていわゆる医業治療をやっているということを知りながら使っていた。こうした医師会等の幹部が次々と出てきておるということは、これはものすごい問題じゃなかろうか、重大問題である、私はそう思うのであります。この三月五日の新聞を見てみましても、都の歯科医師会の現職副会長が、元衛生兵ら二名を雇って、一人前の歯科医師のように仕立てて、十年間にわたって患者の診療を行なってきていた、こういうことが明るみに出て、いま警視庁の防犯部は四日までに同副会長と二人のにせ医者を歯科医師法違反の疑いで検挙し——もうされておるはずでございますが、こういうことで新聞に出ております。また昨年の十一月以降、日本歯科医師会の会長の次男さんがどうのこうのとか、あるいは大阪府の歯科医師会長も摘発されたとか、このように当然医者の仲間の中でも指導していくべき立場にあるそういうところから出てきておる問題、これはもう医者のモラルの問題だと思いますけれども、こういう点についてどういうふうにお考えになっているのか、お感じになっているのか、この点もあらためて聞いてみたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 先ほど大臣もおっしゃったかと存じますけれども、やはりこの一番基本になりますのは、いま御指摘のような医の倫理というものが十分守られないというところにあろうかと思います。それで特に私どもは、その医師、歯科医師というものは医師法、歯科医師法におきまして、医師でなければ、あるいは歯科医師でなければそういう医業をやってはいけないのだということが明記されておりますし、またそのことを一番認識しておるのは医師、歯料医師だ、そういうつもりでおります。したがって、全くのしろうとが知らなくてやったというのとは性質が違って、たいへんな差のある問題だと私は思っております。したがいまして、まずその医師、歯科医師というものがみずからの職責というものを十分に理解しまして、そういう、かりにも無資格者を承知の上で雇って医療行為をやらせるというようなことは、これは絶対あってはいけません。したがって、私どもは先般の通牒の中でも——その前にも出したことがございますが、そういう無資格者の医師を雇ったという医師、歯科医師については、医師法、歯科医師法の違反の共同正犯だということをはっきり言っておるわけでございまして、そういう面からも絶滅を期したい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 とにかく、この世の中で命ほど大事なものはないわけですね。これ以上とうといものはないわけでございますが、医者はそれを直接預かる立場にあるわけですから、これは厳重に取り締まりをしていただきたい。先ほども話が出ておりましたけれども、医師法第十七条では「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定しているわけでございますが、これに違反すれば二年以下の懲役または二万円以下の罰金だ。この罰則でいいかどうかという質問が先ほどあっておりましたけれども、私もこれはもうこの際考え直すべき問題ではないか、罰則規定の中身、これについてはどうお考えになりますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 先ほど山本先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、ほかの罰則との関係もあろうかと思いますが、やはりそういう専門的な立場に立った御意見をお聞きしながら、社会通念としてこれは軽い、軽過ぎるということであれば、適当な機会にこれをもっと重くするという方向で検討したいと思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほど大臣が、今度のにせ医師の問題は、やはり医者が少ないからこうなるんだ、これは率直に認めていますし、それに対しては、それ相当の対策を立てられるものと私は信じます。信じますけれども、実際に医者がふえることを抜本的にこれは対策を立てない限りは、実際問題として解決のめどはないということですから、そこのところはしっかり考えて行政に当たっていただきたいということです。  そこで、辺地のほうは、大体医者の相場として五十万程度の給料が出るそうですね。ところがこうしたにせ医者といいますか、資格のないような医者は安い給料で雇い入れているという現実がありますね。こういう点も大きな問題ではなかろうかと思います。またそのほかいろいろ問題がありましょうけれども、今後厚生省として、このにせ医者対策をどのような姿で具体的になさっていこうとなさるのか。最終的な考え方を聞かせていただきたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 一つは、やはり先ほど申し上げましたように、医療に従事しておる方々の倫理と申しますか、そういうものを高揚することが根本であろうとは存じますが、しかし具体的な手段といたしましては、ただいま先生も御指摘のような点検ということを厳重にやる、それからさらに、往々にしてこういう事件が起こっております事例を見ますと、いわば管理者が十分に資格を確かめもしないで人を雇っておるという場合がございます印そういったようなことを、管理者といたしまして厳重にその採用の際に必要な資格を確認をして雇うということを強くやらせる。  それからさらに病院の開設届け、あるいは診療所の開設の許可、あるいは診療所の開設の届けをやる場合にも、その開設者が医師であります場合には、その資格を従来から確かめるようになっておるわけでございます。  さらに今後、先ほど山本委員からお話がございましたように、医業管理等におきましても少なくとも管理者がそういうチェックをやったかどうかということだけでも十分にチェックしていくというようなことで、それを励行をはかる。  さらに医師の届け出の問題がございましたが、この届け出自身もやはり非常に大事な基礎的なものでございます。したがって、医師がすべて届け出を励行する。それによりまして、逆に言いますと、無届けであるという人の存在、たとえばここに診療所がある、しかしながら何とかというお医者さんがいるにもかかわらず、その方からは医師の届け出が出ていないということであれば、そこはやはり一つの疑惑を持って調査をする重点にもなり得ると思います。そういったようなことで、ひとつチェックをしたい。  それからさらに将来、いま検討中でございますけれども、非常に膨大な医籍自体を実はコンピューター等にも入れまして、そしていまの届け出者のチェックをする。たとえば三重県等に起こりました事例でございますと、人の免許証を偽造しておったという問題があるわけでございまして、本物のほうはほかの県におられる、こういうような場合に、かりに届け出が出ましてもコンピューターでチェックをすれば直ちに重複ということが発見できると思いますが、そういうこともぜひひとつ解決をしたいということで検討しておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは次の問題に移りますが、今度の予算書を見ますと、四十七年度のじん不全対策には五億六千七百万円という新しい対策が出ておりますね。私は、これを見てうれしい思いがしたわけでございますが、それでもまだこれはもう少し思い切って手を打つべきではなかっただろうか、こういう気持ちがあります。と申しますのは、日本で年々大体一万二千人ぐらいのじん臓疾患者がじん臓疾患でなくなっていくわけですね。これは人工じん臓で何か今度の対策で三割程度は減少するというようなことも聞きましたし、これは大いに推進していくべきである、こう思っております。なぜならば、この人工じん臓といいますか、これのお世話にならなければならないような方は、少なくとも月に一二十万円くらいの治療費がかかるんだそうですね。これはもちろん保険を通さない場合の現金の問題でしょうけれども、かかる。とても自分の力ではできるものじゃないですね。  そこで、人工じん臓対策について、現在治療を受けていらっしゃる方々の意見が、やはりこれもある新聞に出ておりましたけれども、私はそれを読みながら、なるほどなるほどと感ずることがあったんですが、まず第一に、私自身恥ずかしいことですけれども、人工じん臓というものは、何かこう小さな、いわゆる人工でつくられたものを体内に入れるものか、こう思っておりました。実はそうではなくて、病院に設備されている浄化装置だそうですね。人体液の浄化装置である。しかも、これは週二回通わなければならぬし、その一回に八時間の時間を要するんだそうですね。そうしますと、週二回、月八回、一カ月間約八十時間の時間を要さなければその人は快方に向かわない、社会復帰ができないんだ、こういうことのようでございます。   〔伊東委員長代理退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 この機械そのものの開発、中身をもっともっと進歩させていただきたいのはやまやまでございますけれども、とりあえず、つとめをしているようなそうした患者に対して夜間の治療といいますか、その八時間の治療ですね、これができるようにしてもらえないものだろうか、こういう声が強いわけでございますけれども、これについてどのようなお考えを持っていらっしゃるかお尋ねしたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のように、この人口透析をいたしますと、大体八時間近くかかるわけでございまして、これは、あまり短縮いたしますとかえって副作用が出たりいたしますので、やはりこれぐらいの時間をかけて行なうというのが通例でございます。  それから、週に一ぺんでいいか二回程度になりますかは、その人の症状によっても異なってまいりますけれども、いずれにいたしましても、それだけの時間を要する、そういうために、まあ働きながらやっておりますために夜間透析という御希望があることはわれわれも十分承知いたしております。一部ではそういうことも実現可能かと存じますが、これは御承知のとおり、この慢性じん疾患の患者さん方というものは、決してその透析をやりましたからといって頑健な、がんじょうなからだではございません。やはり病人でございます。したがいまして、そういう方々が夜間まで透析をするということは、やはりこれは健康という観点からいえば、必ずしも好ましいものだとは言いがたいという感じを持っております。したがいまして、私ども、来年の対策といたしましては、御指摘のような問題があろうかと思いますが、別に夜間をとめるという意味じゃございませんけれども、たとえば台数を計算するにいたしましても、夜間までやればもっと少ない台数で回転できるじゃないかという問題になるわけでございますが、それについて、私どもが夜間というものをこの計算の中に入れませんでしたのは、ただいま申しましたような観点でございます。ただ、地域により、御本人の御事情によっては、その医療施設において許されるならばそういうこともあり得ると思いますが、しかし、原則としてはそれをやるというたてまえはとっていないということでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この人工じん臓を実際に受けていらっしゃる方々の声というものは、この対策については非常に感謝なさっているようでございますが、いま言ったようなこまかいことについてはいろいろまだ問題があるようでございます。たとえば、確かにいまおっしゃるように、本人はつとめには出ていても、一人前の健康な状態でない、確かに週二回そうした治療を受けなければならぬわけですから。だけれども、やはり本人たちの気持ちとしては、自分らはつとめている、そうして週二回こうして治療のために休まなければならぬのだけれども、これは単なる病欠ではなくて、一般のサボって休むような方々の休み方と同じような見方をされて非常に肩身の狭い思いがするとか、あるいは昇給に関係しているとか、いろんな問題があるわけでございまして、こういう、その人の気持ちの上から、また患者の気持ちをとらえた上で、もっとあたたかい、何か変わった新しい方向で対策がなされないものだろうか、これが私の心境でございます。こういうことをとらえられて、もっと力強い対策を進めていただきたいと思います。  それから、時間がございませんので次に移りますけれども、実は、二日の日でございましたか、これは人工じん臓ではございませんけれども、静岡の市立病院に入っている松本という方が非常に重体におちいって、いわゆる人工じん臓の手当てを受けてももうだめだ、限界に来た、そういうことで、じん臓移植手術以外にないということになりまして、だれかじん臓を譲ってくれる人はいないかとさがしていたところが、たまたま千葉大に交通事故で瀕死の状態にいらっしゃる方がいて、その家族の方がじん臓を提供してもよろしいということで話がまとまって、静岡の市立病院から千葉大附属病院にいまこの松本さんはヘリコプターで運ばれて、その治療を待っているということを聞きましたけれども、これはその後どうなったか。まずそれから聞かしていただきたいと思うのですが……。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 いまの事件につきましては、たしか静岡では人工じん臓をやっておりませんで、腹膜灌流という方法で、腹膜の中を灌流することで、まあ人工じん臓のような、透析的な効果をねらっているということをおやりだったようでございます。それで、いまのように千葉のほうに運ばれまして、ほんとうは人工じん臓の適用を受けるような手術を初めしておられた。そこへたまたま移植のケースというものが出てきたようでございますが、結果的には、何か同意が得られなくて移植ができなかったと私どもは聞いております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そうですか。そういう結論になっているわけですか。私はこの新聞情報を見ましたときに、二、三の問題点を感じたわけでございます。というのは、たまたま千葉大学附属病院から、その近くに人工透析センターというのがあるんだそうですけれども、そこにけがをなさった家族の方から提供の意思を表明なさった連絡があっておった。それをたまたま静岡市立病院の方が聞きつけて、そういう話になったんだというその新聞記事を見まして、ははあ、これは病院と病院が常に横の連絡をとり合っていれば、こういう救急の場合も助かる可能性が出てくるんだなということを感じたわけでございますが、日ごろこういうことを想定してお互いに連絡し合っているようなことになっているのかどうか、それともたまたまこういうことで、まあ幸運にそういうことが連絡とれたのか、その点はどうなんですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 体制としましては、ただいま御指摘のように各病院がすべてその人工じん臓かじん移植かということについての情報を交換し、持っているという体系にはございません。たまたま千葉の場合は、あすこに人工透析の研究会の全国的な事務局もあるというような状態でございまして、その点はよく各界から知られている問題であったと思います。  ただ、このじん移植の場合は、御承知のとおり適合性と申しますか、組織の適合がうまくいきませんと、移植いたしましても失敗におちいります。したがいまして、ただいままでは何か、例が悪いかもわかりませんが、いまの例もそうかもわかりませんが、偶然の一つのチャンスという、そのチャンスの出会いによって移植されるかしないかということが決定されているような感じがいたしておりますが、私どもは、この人工じん臓の整備と人工透析装置の整備を四十七年度からいたすにつきましては、単純にその透析設備があればいいというような観点で考えませんで、いわばそれぞれの地方のじんセンターのような機能にしたい。そこには実は移植を必要とするような方々の型でございますね、血液型でございますとかその他組織適合というものについての、私なら私が患者であったといたしましたら、私はどういう型のじん臓が提供されれば一番適合性があるということがもしわかっておりますと、ほかにそういうチャンスが出た場合に、直ちにその人と連絡がとれる、そういうようないわば情報のセンターという機能も将来はぜひやりたい。これはすでに腎学会ともそういう方向で、学会とも同じ意見で進んでいるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 その情報センターというようなものをもう早急に私は設置されることを要望しておきます。  最後に麻薬に関係してちょっとお尋ねいたしますが、この麻薬は御承知のとおり医療上には高い価値を有しているわけでございますけれども、反面その活用を誤ると、乱用されますとさまざまな犯罪を誘発しているわけでございますね。国民の保健衛生にきわめて不幸な問題が起こったり、あるいは危害を及ぼしているわけでございますが、最近、情報を聞いておりますと、ヘロインによる事犯は三十八年を境にだんだん減ってきた、むしろ激減したといってもいいといわれるほどになったそうでございますが、それにかわって最近大麻、LSD事犯の増加がきわめて目立ってきたという新しい問題が出てきたということを聞いたわけです。実は一昨年でしたか、私も、ヨーローパ視察に参りましたとき、特に大麻の弊害といいますか、これを如実に聞いたり見たりしてきたわけでございます。そこで、このようなことが日本の国に起こってはたいへんだなということを心の底に刻みながら実は帰ってきたわけでございますが、最近、私が心配しておりましたこの大麻あるいはLSDがきわめて急速な勢いで日本に蔓延しつつある、そういう傾向にあるということを聞いたわけでございますが、まずこの点についてどのようにとらえていらっしゃいますか、お尋ねいたしたいと思います。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○武藤政府委員 麻薬違反の趨勢は先生が御指摘なさるとおりでございまして、最近は特に大麻の違反がふえております。四十四年は三百三十人ほどの違反者を検挙しております。それから四十五年は六百四十八人を検挙しておりまして、四十六年は七百人というふうにだんだん増加しておりまして、従来のヘロインの違反から大麻の違反へというふうに傾向は変わってきております。今後はこういう問題についての傾向をとらえまして取り締まりの重点をやらなければいけない、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 幻覚物資の乱用というものは、大体いま申し上げましたように世界的な傾向にあるわけですね。だからこの取り締まりにあたっては、重点的に計画を立てて、またある意味では秘密的に徹底的に取り締まりを強化しなければならぬと思います。  そこで私は、外国から入ってくるその問題も大問題ではございますけれども、国内産ですね、国内産の大麻、特に野生大麻の除去というものは非常に重要な問題ではないかと思うのですけれども、これに対してはどのようにお考えになっておりますか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○武藤政府委員 国内の大麻の問題は、これはまあ正規には許可を受けてやることになっておりますが、そのほか、いろいろ野生大麻の問題が、戦争中のいろいろな特殊な状態から野生大麻がまだ絶滅いたしておりません。これにつきましては、政府は毎年予算を百万程度組みましてこの除去につとめておりますが、なかなか一掃するということが技術的にもむずかしいような状況でございますけれども、特に北海道や東北地方は野生大麻があっておりまして、こういう方面の大麻の除去に今後は全力をあげなければいけないというふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私はこの大麻に対する対策はいまだと思うのですね。ここを油断するとどうにもならないような事態になるんではないかと非常に憂えている一人でございます。  そこで、時間が来ましたので最後に大臣にお尋ねいたしますが、国連の麻薬委員会において、四十六年の二月にウィーンで向精神剤に関する条約というものが採択されております。これは言うまでもなく幻覚剤の規制を世界各国においてきびしく行なっていこうではないかというのが精神になっているわけでございますが、わが国はまだこれを批准をしていないと私は聞いているのでございますが、そうでしょうか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○武藤政府委員 ただいまの向精神剤に関します条約につきましては、先生のお話のように、まだわが国では批准をいたしておりません。これはいまのお話のように、四十六年の二月に国連の全権会議で採択されたわけでございますが、現在までこれを批准しました国は一カ国だけで、あとは署名が二十七カ国ございます。わが国も昨年十二月二十二日署名をいたしております。したがいまして、今後は国内法をこの条約に沿いまして検討いたした上で批准をする、こういうことになろうかと思います。これにつきましては、いま先生のお話のように、向精神剤につきましては現行体系でも非常にいろいろな法律がございますけれども、これに新しい、いまのお話のLSDの問題とか、あるいはほかの精神関係の薬がいろいろ出ておりまして、こういう問題を総合的に再検討しなければいけないということで、私どもは、短時間ではむずかしゅうございますので、やはりある程度の期間を国内法の検討に費やしまして、それが国際条約にマッチする程度の改正が行なわれたと同時に、この条約については批准をしなければいけない、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣、いま局長が答弁して私もわかったわけでございますが、これは非常に重要な問題だと私は思いますので、できるだけ早い時期にこれは批准すべきである、こう思います。大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま薬務局長が申し上げましたように、この向精神剤条約につきましては昨年の暮れに加盟をいたしました。そこで、できるだけ早く国内法を整えまして批准のできるようにいたしたい、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それではもう一つ、あと三、四分あるようですから聞きますけれども、去年の麻薬事犯を調べたところ、だいぶ減ってはいた。だけれども、香港、沖繩ルートで、わが国を市場とみなしてかなり流れ込んできているそうでございます。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 いよいよ沖繩が返還されてくるわけでございますけれども、それに沿ってそういうものが勢い込んでくるのではないかと心配しているわけでございますが、これに対してはどのような対策を立てておられますか。

武藤き一郎厚生省薬務局長

○武藤政府委員 沖繩が復帰いたします時点におきましては、九州麻薬取締官事務所というのが福岡にございますが、これの支所を沖繩に設置するということで、組織的には対処いたしたい。先生御指摘のように、十年前の内地のような状況にあるということで、特に南方に近いせいもございまして、密輸とかあるいはいろいろな国際的な犯罪の系統になるということでございますので、私は、現在とっておりますわが内地における体制以上の熱意と努力がなければ、沖繩の麻薬対策は達し得られない。そうしないと、また沖繩と内地との交通もひんぱんになりますので、いろいろの影響が——せっかく本土の麻薬関係がいま大体鎮静的な傾向にありますのが、また再び燃え上がるようなことは困るということで、これはぜひ全力をあげなければいけない、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次に、田畑金光君。

田畑金光民社党

○田畑委員 先ほどの質問に関連してにせ医者の問題について大臣にお尋ねいたしますが、大臣の見解も答弁でわかったわけであります。  このにせ医者の問題、これで最大の被害を受けてきておる患者の人、家族の人方の救済措置をどうするか、私はたとえば神戸の斎藤病院のような場合に、病院が持っておる財産だけで賠償の支払いができぬような場合は一体どうなるのか、こういう感じを強く受けるわけです。この事件は突き詰めてみますと、やはり私は医療行政の大きな怠慢あるいは失策であった、このように見るわけでありますが、行政上の責任から考えた場合に、この問題については何をなすべきか、これは当然出てきょうかと考えておるわけです。  元来、患者の立場から見れば、医療というのは医者と患者の人間関係だ、こういわれておる。患者としては医師に全面的な信頼を置いて治療を受ける、その間には全幅的な人間的な信頼関係を前提として医療というものは成り立っておるわけです。にもかかわらず、それがにせ医者であった、しかもそれを長い間そのような状況にあらしめたというのは、やはり私は医療行政の責任、大きな問題だ、こう考えておるわけで、この点について行政上の責任、何を負うべきか、ひとつ大臣の見解を承っておきたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、にせ医者が治療をいたしておった、それを知らなかったということは行政上のまことに大きな責任だ、かように思います。思いますが、さりとてそのにせ医者によって受けた被害を一体どうするかということになりますと、その被害の算定も非常にむずかしいと思いますが、今日のいろいろな法律関係その他から考えまして、その損害賠償を国が負うか負わないかということになりますと、これは相当考慮しなければならない問題であろう、かように考えますので、ただいまのところでは、本人が受けたであろう被害の算定も、いま申しますように非常にむずかしいと思いますが、これはやはりにせ医者が負うという以外になかろうか、金銭的にはさように考えているわけでございます。

田畑金光民社党

○田畑委員 いまの医療制度のもとにおいては、先ほど申し上げたように、医者がその良心に従い、そしてまた医者がその技術、能力を十全に出して医療行為をやったその結果について、直ちに民事上や刑事上の責任を問われることは原則としてないと思います。特に故意あるいは過失というものがはっきりする限りにおいては、患者は刑事上あるいは民事上の損害賠償責任を請求することは当然のことだと思います。しかし、いま言われておるにせ医者事件というものを見ますならば、神戸の斎藤病院においては、院長は医者の資格を持っているが、院長みずからが承知の上でにせ医者を使って、そして診療行為に当たらしめていたということ、その病院の管理、運営あるいは病院の中における医業が適正に行なわれていたかどうかという監督上の責任というのは、これは当然県でありあるいは大きくは厚生行政、医療行政の中にあるわけでありまするから、そういう面において、県や国がこのことについて、ことばでは責任は負うけれども金銭賠償その他物的な責任については考えられない、考えることはできない、こういうことでは私は許されないことであると見るわけです。言うならば、このようなケースというのは社会公害の端的な一つであります。医のモラルの低下、そして医道の退廃これに過ぐるものはないわけでありますが、しかし、さればそのような土壌を許していたのはだれなのか、こういうことだと思うのです。いまの医師法を見ましでも、医療法を見ましても、先ほど医務局長のお話にありましたように、医療行為をする者は医者なんだ、医者以外に医療行為をする者はないんだという前提で医師法もできておるし医療法もできておる。その制度のもとに、医療を受ける患者は、また医療にあずかる者はすべて、これはそれだけの経験を持ち、それだけのまた資格を持った医者であるということを信頼して医療を受けているわけです。それがにせ医者によっていろいろ、なおったであろう人が死んでしまった、あるいはもっと短期でなおったであろう人が、長期の通院を余儀なくされて物質的な負担を大きく受けざるを得なかった、こういうようなこと等を考えてみますと、私はこのにせ医者の問題等については、行政上、制度上、法律上、当然厚生省としてもそれにふさわしい責任をとるべきである、こう考えるわけだが、そのような問題についてもっと検討する余地がないかどうか、この点もう一度厚生大臣に御答弁を願います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 どうもただいま私どもが考えております範囲におきましては、そういった物的損害といいますか金銭的な損害賠償について、国がはたして負わなければならないかどうかという点−については非常に問題がある、ただいまのところでは消極的に考えざるを得ない、はなはだ何といいますか冷たいような考え方でございますが、そのように判断をいたしておる次第でございます。

田畑金光民社党

○田畑委員 いまの医師法あるいは医療法を見ましたときに、この医師法や医療法というのは、にせ医者があるのだということを前提にできておるのかどうか。さきの医務局長の答えを聞いても明らかなように、この法律自体はそのようなことは全然想定してないと思うのです。医師法十七条では確かに、医者でなければ医療行為をしてはならない、こうしております。同時にまた第七条の先ほどあげられた第二項を見ますと、医者の免許取り消しの要件というのが書かれておりまして、著しく品位を傷つけた場合、それは免許取り消しの対象になるわけでありますが、一体著しく品位を傷つけた場合という中に一このような事態が出てきたからそれはもちろんこの条項に当てはまるわけでありますが、一体立法者が、医者が著しく品位を傷つける、その中ににせ医者ということを想定したかどうか。また、医療法の二十六条を見ましても、医療監視員の問題が出ておりますが、医療監視員が監視の活動をやる場合は、二十五条において病院、診療所の衛生設備の問題、構造設備の問題、あるいは診療録を見るということもありまするが、これは物的な施設、構造、設備がほんとうに病院や診療所の規格に合うかどうか、そういう観点から医療法というものはできておるし、また医療監視員というものはそういう前提で書かれておるものだ、私はこう見るわけであります。そういう点から見ますと、法律自体にもこのようなにせ医者を想定した状況が立法当時においてはなかった。それが社会経済上のいろいろな変化等々が今日の医療のひずみをもたらし、その医療のひずみの一つとしてにせ医者の問題が発生した、こういうことだと思いますが、そのようなひずみをもたらしたのは何といっても広く医療行政であり、厚生行政の一環であるとするならば、そういう法律や制度の問題等々についても深く掘り下げてこの問題に対処する厚生省の姿勢が出てきても当然じゃないか、私はこう考えるわけで、この点大臣並びに医務局長の見解を承っておきたい、こう思うのです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 御指摘のとおり、医師法もにせ医者というものを前提にして組み立てていないことは当然でございます。したがいまして、この行政処分をいたしますときも、医師であってかつ品位を汚したとか、医師であってかつ不正を働いたという場合に適用するということでございまして、医師でない方はむしろ医師法に違反したということで刑法に問われるというような体系になっておると思います。そういう意味では、この医師法自身がほかのにせというものまで含んでものを考えるというよりも、純粋にきちっと医師というものをきめて、そして他を排除するというような姿勢をむしろ強めること、いまでも強まっていると思いますけれども、そういう形が妥当ではないかというふうにいま私は考えておりまして、私どもはそういう法律自体の専門家ではございませんけれども、少なくともいまの医師法のたてまえからいけば、そういうふうに申し上げていいのではないかと思います。  ただ、医師にしてかつそういういろいろな問題が起こったとき等の罰則その他につきましては、先ほど来いろいろお話がございましたような観点で、検討する価値は十分あるというふうに考えております。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 医務局長がお答えいたしましたとおりでございますが、とにかく医師の免許証を持たないで、そして医療行為をやる、あるいは診療所を開設するというようなことのないように、今後一そう監視をきびしくしなければならぬ、かように考えます。同時に、医師が医師でない者を情を知って雇って診療をさせたということになりますと、これは医師の免許の取り消しの対象にもなり得るものだ、かように考えます。したがって、医師が医師でない者に診療させたということの明瞭なものは、先ほども医務局長が申しましたように、医道審議会にかけまして十分な処置をしなければならない、かように考えております。

田畑金光民社党

○田畑委員 斎藤医院の院長ですか、まだ免許の取り消しもやってないわけですね。これだけ世間を騒がせたとすれば、先ほど県を通じ云々というような話がありましたが、やはり医道を正すためにも、そしてまた医療行政がもっと責任を感ずるならば、このような悪質な医師についての免許の取り消しなどというものは、すみやかに発動すべきではないのかということですね。  それからもう一つ。いまの医師法であるとか医療法あるいは施行規則等いろいろございますが、今回のこれらの忌まわしい事故にかんがみて、法律や規則の改正等というものは当然必要になってこよう、こう思うわけです。ことに、聞くところによると、一月十九日に厚生省は全国の都道府県知事に対して通達を出しておりますが、通達のねらいもさることながら、医療法の施行規則についてはやはり、免許証の点検等々についてもっときびしくする改正が当然必要になってこようと思うのだが、その点についてはどういう準備をなさっておるのか、明らかにしていただきたいと思うのです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 第一点の取り消し処分の問題は先生の御指摘のとおりでございまして、先ほどもお答えいたしましたように、従来の例でございますと一応、告発されておれば裁判の結果を待つというのが通例になっておりましたけれども、かように事実がはっきりしておるということであれば、これは医道審議会に早急にかけるべきである。ただ、このために一定の手続は必要でございますので、いま都道府県のほうから、大阪のほうからそういう進達を急がせるように指示をしております。これは早急に私どもは医道審議会にかけるつもりでございます。  それから第二の点の施行規則等の改正でございますが、この点も確かにまだ打つべき手があると存じます。現在たとえば病院の開設の許可をいたしますときに、管理者の医師であることの確認、あるいは診療所の届け出のときにその管理者あるいは開設者の医師たる資格の確認ということは行なっておりますけれども、さらに、先ほども申し上げたかと存じますが、こういったような者を管理者が雇いますときも、やはりきちっとそういうことを明確にし、かつそのことを何らかの形で行政庁にもちゃんと報告をするというような手段等はまだ残されておるように私も思っております。したがいまして、一部は県の条例等の細則でもって実行いたしておるところもございますけれども、そういったようなものを含めまして規則の改正につきましても鋭意検討を進めたいと考えております。

田畑金光民社党

○田畑委員 規則の改正をやるのかやらぬのかです。やるとすれば、いまあなたは病院、診療所の設立の場合の手続等について触れていましたが、そのような場合等においては、当然医師免許証の写しの提示等々、もっと強く義務づけることが大事なことだと思うのだが、そのような規則の改正等についてやるのかやらぬのか、この点についてはどうですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 多少ことばが足りなかったかもわかりませんが、改正すべきものは改正しようということで検討を進めているわけでございます。  それからなお、免許証の写しというようなことも御指摘がございましたが、写しといっても単に書式をこうこうだといってまねて写しておるというだけでは、実は今回起こったような偽造というような問題等の場合にチェック漏れになる可能性もございます。したがいまして、たとえばきちんとしたゼロックスみたいな、原本と間違いないという形のそういう写しという規定のしかたもあろうかと存じますが、そういうこまかいところまで含めてやるたてまえで検討を進めておるわけでございます。

田畑金光民社党

○田畑委員 今度の問題が発生して感ずることは、医療法六十九条の広告の制限というこの条文について検討する必要はないかどうかということです。  大臣にお尋ねいたしますが、医療法六十九条を見ますと、医業等に関する広告の制限というものがきびしくなされておるわけです。この三項を見ますと、「医師又は歯科医師の技能、治療方法、経歴又は学位に関する事項にわたってはならない。」経歴等については広告してはならぬ、こういうようなことがはっきりしておるわけですね。しかしこういうことのために、患者の側からすれば、医者にかかり、歯科医師に見てもらう、一体このお医者さんが、いつどこで学び、どういう試験に合格しているのかもわからぬわけですね。生命を預ける相手方が本物なのかにせものなのか、患者自身は確かめるすべもない。しかし医者であることには間違いないという、まさかにせ医者なんというのは世の中にあるはずはないという全幅の信頼をもって治療を受けてきたところが、今日にせ医者だったという事態が発生したわけですね。  そういうことを考えてみますと、医療法六十九条というのがどういう沿革で、どういう価値判断でこれができたかは私は知りませんが、経歴を知らせるということ、あるいは経歴を知るということは、私は患者の知る権利だ、こう思うのですね。  私は先ほど申し上げたように、いまの医師法も医療法もすべて、医者というのは全人格的な人方なんだという想定でこの法律はできておる。しかし最近、残念だが世の道義もすたってきて、医者の中にも間々、水増し請求をする者もあれば不正請求をする者もあるし、自分のむすこを大学に入れるためには幾ら金を積んでもはばからないという不徳義な人も出ておる状況。薬の問題についても、いわれておるとおり。こういうことを考えてみると、やっぱり患者の立場に立って知る権利、医者の経歴等についての知る権利、こういうようなことも当然保障されてしかるべきなんだ。今度のにせ医者事件の教訓というものについて、厚生行政が改められねばならぬ、医療行政が改められねばならぬということになってきますと、こういう点にまず眼を置くべきじゃないか、こういうことですね。ところが六十九条の問題等になってくると、医師会やお医者さんの突き上げや反対が強い、こういうようなことで、せっかくこのような忌まわしい事故から医療行政がえりを正さなければならぬ一つの問題点が出てきたにしても、ほうかぶりで、その場のがれで避けて通る。これが私はいまの医療行政だし厚生行政だ、こう思うのです。そういうことを考えてみますると、この六十九条等については再検討する余地がないかどうか、この点大臣にひとつ承っておきたい、こう思うのです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾政府委員 例の広告の制限につきましては、先生の御指摘のような面も一部あろうかと存じますが、あれが規定されましたのは、一種の誇大広告的なと申しましょうか、そういう学位、経歴等をひけらかすことによって、いたずらに患者を誘引するとか、あるいは期待以上の期待をかけさせる、そういったようなことは医療というものの性質から見て好ましくない、そういう判断でそれは設けられたものとわれわれは承知いたしております。したがいまして、いまのところやはり、少数のそういうにせ問題が出てきたということはまことに残念な事態ではございますが、しかしそれを大多数の医者について、いま申しましたような観点から、一々経歴等を出させる、あるいは学位等にいたしましても、決してこれは臨床と結びついた学位ではないという問題もございまして、相当慎重にこれは考慮すべき問題ではないかというふうに私は存じます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま医務局長が申し上げたとおりでございますが、六十九条はむしろ医師が誇大に広告をして、そして患者を引きつけるというようなことをしてはならないというのが全体の趣旨であろう、かように考えます。医師本来の経歴を聞く患者の権利を妨げるというような趣旨では毛頭ない、かように考えまするので、したがいまして、ただいま田畑委員のおっしゃいますような事柄にこの六十九条が作用するということでございましたら、よく検討いたしまして、そういうことのないように必要があれば改めたい、かように考えます。

田畑金光民社党

○田畑委員 私はいまの大臣の答弁でけっこうだと思います。六十九条は医者が誇大宣伝をして患者をよけいに集めるための、世間ていから見てもそのような傾向もなきにしもあらずでありまするが、そういうようなことを私は改めろ、こう言っておるわけじゃありませんし、学位を見せびらかすようなことを宣伝することも必要でない。ただ私の申したいことは、いま大臣の答弁の中にもありましたように、患者の側から見ると、本物の医者であるかどうか知る権利というものは当然あると思うのです。またそれの必要性が、今回のにせ医者事件を通じ、私は国民は強く求めておる、こう思うのです。やはりその期待にこたえるためにはどうすべきか。六十九条は経歴すらも宣伝してはならぬ、こういっておりまするが、医者であるかどうかという問題すらも触れてはならぬというように書いてありまするが、その経歴すらも表に出すことがあってはならぬ、こう書いてありまするが、私は、そのような点は行き過ぎではないか、六十九条の運用等についても、もっとこれは再検討すべきではないのか、こういうことを申し上げたわけで、その点はいまの大臣の答弁でけっこうであります。  それからもう一つ。私は今度のこの事件の教訓というものは、やはり医師の再教育の問題、これはとにかく医学、医術が高度化し、技術が専門化してまいりますると、やはり医者は絶えず再教育を受けなければならぬ。あるいはまた、生涯教育が医者にとって最も大事なことであろう。ことに今度のにせ医者事件を見ますると、昔衛生兵であったとか、あるいは衛生検査技師だったとか、レントゲン技師だったとか、こういうそれぞれ言うならばパラメディカルなある分野を担当しておる人方が、どんどんその仕事をやっておるうちに本物の医者まがいの仕事をやり、やがてそれがにせ医者として堂々と通用していたということを考えますると、結局医学の分野、医術の分野も専門化し高度化してくるに応じて、やはり古いお医者さんよりもむしろ、近代的なそのような専門的な勉強をした人が、ある面においては医者よりもひいでておる。こういうことなどは今回のこのにせ医者問題を通じて考えさせられる分野じゃなかろうか、このように私は見ておるわけであります。再教育の問題等について、アメリカでは二年前にカーネギー委員会が、全医師、全歯科医師に対して定期的な再試験と免許の更新を実施すべきだという教育改革案を出しておるわけです。イギリスでも四年前に王立医学教育審議会が、医者には生涯にわたる再教育の機会を与えるべきだという報告書を出しておるわけです。日本では言うまでもなく医師会が自主的に研修講座をつくっておりますが、その自主的な研修講座に、むしろどちらかというと一番再教育を必要とするような人方があまり参加しない、こういうことも聞いておるわけです。ずっと昔の古い教育を受けたお医者さんがそのまま、医者の免許というものはこれは永久的でありまするから、勉強もしない、新しい教育、再教育も受けない、こういうことになってきますると、先ほど申し上げたように、むしろパラメディカルの職種の勉強をしてきた人方が、その分野に関する限りはすぐれておる、こういうことがだんだん発展して今回のようなにせ医者問題にもなってきておる、私はこのような傾向というものは否定できないと思うのです。そういう意味において、医者の再教育の問題、この点等についてはもっと積極的に取り組むべきであるし、政府としても医療基本法をお出しになるわけでありまするが、今後のわが国の医療のあるべき姿というものを考えてみますると、こういう面に私は医療行政も厚生行政も重点を置かなければならぬ、こう考えておるわけで、この点について、大臣、どのようにお考えになっておられるか承りたい、こう思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま田畑委員のおっしゃいました医師の再教育といいますか、生涯教育といいますか、非常に大事なことだと、かように考えます。このやり方につきましては、なかなかいろいろとむずかしい問題もありましょうが、やはり日本の医療ということを考えまするとこれは放置できない問題だ、かように考えまして、ただいま考えております医療基本法の中にもこの点を取り入れたいと、かように考えているわけでございます。どうぞその節にはひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

田畑金光民社党

○田畑委員 医師の再教育の問題等については、医師法の例の研修の問題、これは十六条の二の臨床研修の問題等々の場合にいろいろ議論をされた点でありますが、いろんな議論の結果十六条の二というようなことになっておりますが、しかし今日状況を見ておりますると、もう一度十六条の二の研修教育等についても考え直すべき時期に来ておるのじゃなかろうか、ましてや、医師の再教育等々については、私は生涯教育として取り組むべき時期に来ておるのじゃなかろうか、このような問題等についてはまたいずれ議論する時期があろうと、こう思うのです。  最後に、今回の事故の経験から一つの大きな反省すべき点は医師不足の解決の問題、このように大臣はお話しになったわけでありまするが、これも私は非常に大きな問題だと、こう思うのです。医療需要は、皆保険とともに急増しておる。ところが医者の数はそれに伴わない。医者の数と患者の数との割合を見ると、これは入院、外来両患者合わして総患者の数を医師の数で割る単純な算術計算でありまするが、三十年当時は医師一人当たり患者の取り扱い数は二六・七名、昭和四十四年になってきますと五〇・七名、ほぼ倍になっておるわけです。医療需要の伸びに医師の数が追いつかない。深刻な医師不足だ。ようやく厚生省、文部省が話し合うて、医科大学の募集定員をふやす等によって努力をなさっておるが、五年間で千二百ないし千三百名の増加しか期待できない。人口十万当たり百五十名の医者を確保するのはいつのことか、昭和五十年ですと、こうお話しになっておるが、なかなかそうはいきますまい。こういうことを考えてみますると、やはり私は、真剣に取り組んでいただかねばならぬことは、この医師養成の問題あるいは医療担当者の養成の問題が緊急の問題じゃなかろうか、こう考えるわけです。  今回のにせ医者の問題に関連して、歯科医師会長が何か関係したというのでおやめになった。そのときの話などを聞いておりますると、にせ医者だ、にせ医者だということになってくると患者はとても見れない、こういうような話をしておりましたが、一理あると思うのです。日本人の虫歯の数は五億六千万本と推算されておるようです。三万七千人の歯科医師が、ほかの治療を全部やめて、虫歯治療に朝昼晩専念しても、全部を治療するのには十年はかかると、こういわれておるわけですね。したがって、助手がいなければとてもやれない。助手がいつの問にか歯科医師の仕事をやっておる。医者だけで現在の患者をそれぞれ見ていくということになれば、三割程度は断わらなければならぬ、これが歯科医師の現状のようであります。したがって、助手という人方が、勢い無資格者が三割も医者と同じように仕事をしなければ、患者の需要にこたえられない、こういうようなことなどを一例として見ますならば、私は、医師確保のために、あるいは医療従事者の確保のために、政府はもっと積極的に取り組んでいただかねばならぬ、このように考えておりまするが、ことしの予算などを見ますると、とうてい私がいま申し上げた目標に及ぶ年度予算ではない、施策ではない、このように見ておりまするが、この点ひとつ大臣の考え方を承っておきたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、医師並びに歯科医師の増員をはかりますことは非常に急務だと思っております。したがいまして、来年度、文部省におきましてもこれらの養成につきましては従前とは格段の配意をいたしましてその増員をはかっておるわけでありますが、今後も一そうその増員に努力をいたしたい、かように考えております。  ことに、いまおっしゃいますような歯科医師の不足というものも、われわれの予想以上のものがあるということをわれわれも感じておりますので、いまおっしゃいました線に沿いまして最善の努力を今後続けてまいりたい、かように考えます。

田畑金光民社党

○田畑委員 質問を終わります。

森山欽司自由民主党

○森山委員長 次回は明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会

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