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68回国会衆議院1972/05/11

災害対策特別委員会 第4号

発言数
128
登壇者
14
会派数
5
開催日
1972/05/11

会議録

高田富之日本社会党

○高田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地震対策に関する問題調査のため、本日、参考人として東京大学名誉教授萩原尊禮君、横浜国立大学教授入沢恒君、東京都立大学教授中野尊正君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高田富之日本社会党

○高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————

高田富之日本社会党

○高田委員長 本日は、まず地震対策について調査を進めます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  地震対策に関しまして、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の進行上、御意見は、一人約二十分から三十分程度に取りまとめてお述べをいただきたいと思います。  それでは、まず地震予知の問題につきまして、萩原参考人から御意見を承りたいと存じます。萩原参考人。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 萩原でございます。  きょうは、地震予知について中心に話をせよということでございます。  まず、地震予知というものが現在どの程度まできておるか、またこれを今後どうすべきであるかというようなことを最初に申し上げまして、最近問題になっております南関東、東京の予想される地震ということについて申し述べたいと思っております。  御承知のように、地震予知の研究計画と申しますのは、一言で申しますと、必要な観測を整備するということに尽きるのでございます。昭和四十年からこの計画が予算的にスタートいたしまして、四十三年度まで、これが第一次と私ども申しております。  そこで、例の十勝沖地震がございまして、政府は、地震予知の研究というものの実用化を目途として、もっと推進すべきであるというような閣議了解が行なわれました。それを受けまして、地震予知の研究をさらに推進させるための体制づくりが行なわれて、若干計画を改められたわけでございまして、それが昭和四十四年度から出発いたしまして、当初五カ年ということで進んでまいっております。これは四十八年度で終了するわけでございます。したがって、いま四十八年度も近づいてまいりますので、その後どうすべきであるか、現状はどうであるかということが、これからいろいろ文部省測地学審議会の地震予知部会を中心にして議論されていくことと思います。  この地震予知研究計画、略しまして地震予知計画と申しますが、これは現状におきましては非常にたくさんの機関が関係してくるわけでございますが、この機関の協力の形で成り立っておるわけでございます。各機関、これは気象庁とか国土地理院、それから大学、いろいろございますが、これが本来の業務の形をくずさないで協力という形でやっていく、そういう形態をとっているのでございます。といいますのは、現在まだ地震予知というものはほんとうの実用化の段階にはきておらない、研究の段階であるというところからきておるのでございます。もし、これがほんとうにある方法が確立いたしますと、ある一つの機関で、ちょうど気象庁が天気予報をやっているように、一元化された機関においてすべきだと思いますが、いまちょうどその途中にあるわけでございます。  ところで、地震予知に必要な観測といいますとどういうことかと申しますと、大別いたしまして、地殻変動、土地の変形でございますね、これの観測、それからあと地震活動の観測、調査、それと、いろいろ地震の前に起こるであろうというその他の現象でございます。おもなものは地殻変動と地震活動の観測ということになるわけでございます。  地殻変動、これは要するに地球の変形でございますが、これは測量によって最も確実に把握されるわけでございます。この測量は、現在国土地理院が担当しておるわけでございます。これは今年度までに大体の計画は完了いたしましたが、新しい測定方法も生まれてまいりまして、レーザー光線を使いまして距離を測定する。そういう非常にいい機械ができまして、精密距離測量、こういうもので網を張っていく。従来進められてまいりました精密水準測量と並行してこういう精密距離測量の網を張ってまいりますと、上下変動だけでなく、さらに水平のほうの変動も非常にはっきりわかってくるということがわかってまいったのでございまして、今後の新しい計画といたしましてこの精密距離測量というのを行なっていきたい、こういうふうに計画をしているところでございます。  たとえば、南関東の問題に関連しまして、新聞紙上でも報道されておりますが、南関東のひずみの状態がはっきりわかってきた。これはみないま申しましたこの精密距離測量のおかげでございます。そのほかに検潮場を整備する。つまり海の高さ、水面の変化をはかる機械が方々に据えてございますが、こういうものを整備する。平均した海水面の高さが一定だとすると、その変動は土地の変動になるわけでございます。これは国土地理院、気象庁、水路部等で、それぞれの目的から検潮場を維持しておりますが、検潮場の数をふやして整備するという計画が大体八、九分どおり完了しております。  あとは測量のほかにいろいろ機械を使いまして、傾斜計とか伸縮計、そういうものを使いまして、土地の変動を連続的に記録する。これは現在まだ研究段階ということで、大学が観測所をつくっておりますが、現在までに十五カ所が完了いたしまして、これもおおむね完了いたしております。  次は、地震活動でございますが、これはマグニチュード三以上の地震につきましては、気象庁が業務として観測を行なうという方針で進んでまいりまして、そのためにいろいろ磁気テープ式の地震計というものの整備に当たってまいりましたが、全国で六十七カ所、これが四十七年度で全部完了いたします。それに伴いまして、半自動解析器というのを各管区気象台に置きまして、観測された記録を整理していくということになっております。  さらに、マグニチュード三より小さい微小地震につきましては、研究的色彩が濃いというところから、この微小地震観測所というものは、各大学で当分の間これを行なうということで現在十七カ所、これもおおむね計画どおり完了いたしております。ただ、地殻変動の観測所にいたしましても、微小地震の観測所にいたしましても、これより数が多いことは望ましいのでありますが、大学の観測といたしましてはこれくらいのところがもう限界でございます。  こうした地殻変動、それから地震活動、こういうもののほかにどういうものがあるかといいますと、まず活断層の調査というものがございます。これは地質調査所、大学等で行なってまいっております。これは、地質学的あるいは地形学的な調査によりまして、非常に近い過去において動いた断層、そういうものを見つけます。大地震には必ず断層がつきものでございますから、そういうところは過去において非常に大きな地震が起こったところである、そこはまた将来活動するであろう、そういうところ、そういうものを調査しておきますと、将来予想される大地震の起こる地域ということが推定できるわけであります。  そのほかに、地質調査所が現在大島と本土の間に行なっております地震波速度の変化の調査というのがございます。これは伊豆の大島で火薬を爆発させまして震動を起こして、それを本土で観測いたします。房総半島、三浦半島あるいは伊豆半島で観測いたしますと、相模湾の下の地殻の中を通ってくる震動、つまり地震波の速度がわかるわけでございますが、これが地下に異常があればその速度が変わるであろうということでございます。  このほか、地磁気の観測というのがございます。これも地下に異常があれば地磁気が変化するであろうということで、そういう観測、調査もいたしておりますが、これは国土地理院、気象庁、各大学で行なっております。  このほか、特殊なものといたしまして、海底地震計の開発というのが地震研究所を中心にして進められてまいっております。地震のうちでも特に大きい地震は、太平洋の海の中で起こります。そういうところから、陸の上からだけ観測していたのでは十分な情報がつかめないというところから、どうしても海の中の地震の観測ということが必要になってまいります。そのために海底地震計を開発して早く実用化しようということで進めてまいっております。  そのほか、東京観測と私どもが称しておるものがございますが、これは言うまでもなく東京は日本にとって非常に重要な都市でございます。ところが、東京を守るためにいろいろな観測をしようといたしましても、御承知のように、交通は非常に激しいし、工場もたくさんあるし、また地盤が非常にやわらかいということで、精密な機械をここに置いて観測することができないのでございます。そういうわけで、どうしても深い井戸を掘りまして、その底に機械を据えて観測をしなければならない。ところが、東京の中心でそういう深い井戸を掘りまして、いわゆる基盤と称する第三紀層の下のかたい地層、ここまで井戸を掘ろうといたしますと、大体五千メートルぐらいの深さが必要なわけでございます。でも、これをどうしてもやらなければならない。そのために、まず第一号井といたしまして埼玉県の岩槻に三千五百メートルの井戸を掘りまして、この井戸はいまでき上がっております。そこに入れる計器を現在つくっておる状態でございます。これは科学技術庁の国立防災科学技術センターが担当しております。三千五百メートルとなりますと、そこに機械を入れますと非常に水圧がかかる。また温度も、岩槻の場合ですと九十度ぐらいになります。そういたしますと、機械としても特殊なものになってくるわけでございます。  こういうふうな観測が進められてまいったわけでございますが、それに伴いまして体制づくりが行なわれて、昭和四十四年度からスタートしておるわけでございますが、この体制の中心になりますのは、地震予知連絡会というものでございます。この事務局は、現在国土地理院にございます。そして、ここにいろいろな観測によって得られました地震予知に必要な情報が送られてくる。そこで、この連絡会におきましていろいろな判断が行なわれておるわけでございます。  現在、地震予知研究の進みぐあいはこのような状態でございますが、それでは現在どの程度に予知というものが可能なのか、また、どの程度の見込みがあるのかということになりますが、まず、地震予知と申しましても、実用ということを考えますと、どうしても長期予報と短期予報と両方が必要になってくると思います。長期予報と申しますのは、数年前ある地域に大きい地震が起こる可能性があるというようなことを見つけることでございます。現在はマグニチュード七以上の地震——マグニチュード七といいますと、大体新潟地震程度でございます。新潟地震がマグニチュード七・五でございますが、関東地震よりはだいぶ小さいけれどもかなり大きい地震で、その地震ならば、長期予報は、現在の方法で進んでいけばできるであろう、そういう確信を持つに至っております。それはどういう方法でやるかと申しますと、先ほど申し上げました測量による地殻変動の調査、それと非常に大きい地震から極微小地震というような非常に小さい地震までを含めての地震活動の調査、この二つから総合判断をいたすことによりまして、マグニチュード七程度以上の地震ならば長期予報ができるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところが、これだけではまだ実用ではございませんで、たとえば二、三年うちにある地域に大きい地震があるということが確実にわかりましても、何年も前からその地域の列車を徐行させるというようなことは実際上不可能でございます。そういうわけで、どうしても数日前とかあるいはできれば数時間前、こういう短期予報が必要でございます。  これにつきましては、いままでの長い間のしんぼう強い観測によりまして幾つかの実例を得ております。それによりますと、傾斜計あるいは伸縮計、こういったものの連続によって地殻変動を連続観測する。また、現在気象庁が試験観測を行なっております地殻の圧力の変化計、そういう機械を井戸の中に入れて、周囲からかかる圧力が変化すればそれを記録するという機械でございます。それからこのほか非常に小さい微小地震計、こういうものによる観測、これも地震の前に非常に小さい地震がたくさん起こるであろうということが期待されるわけでございます。これを必要な、いわゆる長期予報が行なわれたような地域には、こういうものをたくさん置いて観測をする。それには、現在のように本格的に横穴を掘って観測室をつくるというようなことをしていては、手間もかかるし、間に合わないので、井戸を掘ってその中に埋める。こういう方式をとらなければならないと思います。こういうことを非常にたくさんの地点でやれば短期予報ということもできるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。  それで、ここまでまいりますと、こういうふうに観測の方法がある程度確立してまいりますと、現在の協力方式でよろしいかということがそろそろいわれてまいっております。これまでの経験をもとにして申しますと、各機関の協力というのは現在のところ非常に円滑にいっておるのでございますが、やはり協力方式には弱点がございます。第一、連絡会というものも非常に弱体でございまして、ある判断が行なわれまして、ある地域で非常に観測を強化しなければならないというような事態になりましても命令をすることはできないわけで、そういうようなわけでございますからどうぞ御協力願います、そういうことで、ある機関では、いまどうしても都合が悪くてできないと言われればそれだけのことでございます。また、大学の観測というのは、これは研究観測でございます。業務でございませんので、いやだと言われればそれっきりでございます。こういう点を何とか解決していきたいということが将来の問題でございます。昭和四十八年で俗に言う第二次の計画が終わりますので、この第三次の計画につきましては、今後文部省の測地学審議会を中心にして案がまとまっていくものと思うのでありまして、その際、いま申し上げましたような行政上の問題が当然討議されるものと思いますが、その実現にはぜひとも皆さま方のお力添えをお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  あとは、最近問題になっております南関東の地震につきまして一言申し上げます。  地震予知連絡会というのが昭和四十四年度にできましてから間もなく、地震予知計画に従って房総半島で行ないました水準測量が——元来房総半島は大地震のときは急に大きく隆起いたしますが、その後は、平時は徐々に沈下しているのが普通でございますが、これが隆起をし始めたということを見つけたのでございます。このためにそこの観測を強化しよう、まあ地震と関係があるかどうかわからないが、とにかく観測を強化しよう、そういうことになって、観測強化の第一号になったわけでございます。  その後、水準測量も毎年のように行なわれてまいりましたし、これと並行いたしまして三角点間の距離をはかるということも行なわれました。これは先ほど申し上げました光による距離測定器を使いました。そしてそれと関東地震直後に行ないました三角測量から求めた距離と、その間を比べたのでございます。そういたしますと、大島と三浦半島の間は約六十センチ伸びておる。大島と伊豆半島の間は約八十センチ縮んでおる。そういったような結果が得られました。六十センチ、八十センチといいますと非常に大きように思いますが、その間の距離は数十キロございますので、これを距離で割りますと、ひずみとしてはそれほど大きいものではないということがわかったのであります。大体地殻は、一万分の一変形、まあひずむと破壊するといわれております。現在測量されました量は十万分の一とか二とかいう程度で、これが関東地震後約五十年間にたくわえられたひずみだといたしますと、現在まだ破壊にはほど遠いということになります。  こういう距離の測量のほうからは、まだ相模湾一帯の近くは破壊限度に来ていないということになりますが、一方房総半島の隆起ということは異常でございます。この二つの間は調和しておりませんが、これがどういうことか、現在のところは不明でございます。これは今後観測を継続することによって解決していくものと存じます。  あとは東京の地震ということでございますが、とかく東京の地震と申しますと、相模湾あたりで非常に大きな地震が起こる、つまり関東地震をすぐ連想するわけでございます。確かに東京は、昔は江戸でございますが、江戸は、相模湾方面の大きな地震によって大きな被害を受けたということが何度かございますが、このほかに、それほど大きくない地震でも、おひざもとで起こった地震で、やはり非常に大きな被害を受けておる。でございますので、東京ということを考えますと、相模湾の大きい地震だけではなくて、それよりも少し小粒になるかもしれないけれども、東京の真下あるいはすぐそばで起こる地震のことも考えなければいけないということになります。  安政二年に江戸の大地震というものがございました。これがまさに東京の直下と申してもよろしい、真下でマグニチュード七程度の地震が起こったのであります。江戸ができましてから今日まで三百五十年たっておりますが、江戸ができましてからは非常に詳しい記録が残っておりますので、それによりますと、江戸はどれだけ地震の災害を受けたかと申しますと、つまり徳川幕府ができまして明治の初めまで二百五十年でございますが、震度五、つまり強震以上の地震は二十一回起こっております。明治になりましてからは、気象台ができまして、詳しい観測がありますが、今日まで百年間に震度五以上が十四回起こっております。そうしますと、明治になってからのほうが非常に数がふえたように思いますが、それはやはり気象台というものができて、ちゃんと観測をして記録を残したということでふえたのでありまして、徳川時代には多少記録漏れがあったのであろうと思います。  このうち震度六、つまり家がつぶれるような地震がどのくらいあったかと申しますと、江戸時代には六回ございました。明治以後には二回でございます。二回と申しますのは、明治二十七年に東京で家がつぶれ、死傷者が出るという地震がございました。それと関東地震でございます。江戸時代の震度六、六回というものの内訳を見ますと、そのうち半分の三回が、相模湾の方面で起こりました大きい地震によって江戸もやられたということになりますが、あと三回は、江戸または江戸付近で起こった地震でございます。明治以後の二回の地震につきましても、一回は、明治二十七年の地震は、東京の直下で起こった地震でございます。あとの一回は関東地震で、震央は相模湾でございます。  こういうふうに考えますと、相模湾のほうがだいじょうぶだといっても、東京は、東京あるいは東京に非常に近いところで起こるわりあい小粒の地震によって大きな被害を受けるということが可能なのでございます。そういうことから、相模湾方面の地震に関しましては、今後なお相模湾及び相模湾周辺の距離測量、水準測量、こういうものをひんぱんに行なっておりまして、ひずみの変化が急激にふえていって破壊の限界に近づくような傾向が出てくるかどうか、こういうことは絶えず監視していくべきであります。  なお、東京付近の観測につきましては、先ほど申し上げました岩槻の深井戸、こういうものをあとさらに二本ぐらいふやすというようなことをして、そのほか、東京の周辺でもやはり距離測量、こういったようなことを行なっていく。これは光を使いますので、スモッグの影響を受けたりあるいは高いビルが建っていて見通しがきかないというようないろいろ不利な条件がございますが、何かうまい方法を考えて、こういうことをして東京を監視していこう、こういう方針で進んでおりますが、何ぶんにもそういう観測が軌道に乗りますのはきょうあすというわけにはまいりませんし、また、地震予知がかなり実用化したといたしましても、現在のような地震に対して無防備な状態では、地震の警報を出すということはいたずらに社会的混乱を招くのではないかと心配されるわけでございまして、とにかく地震に対する対策ということが一日も早く完全なものになるようにお願いする次第でございます。  これで私のお話を終わります。(拍手)

高田富之日本社会党

○高田委員長 ありがとうございました。  次に、都市計画等の問題につきまして、入沢参考人から御意見を承りたいと存じます。入沢参考人。

入沢恒横浜国立大学教授

○入沢参考人 入沢でございます。  私の専門は都市計画のほうでございまして、おもに建築と関係のあります都市計画でございます。その立場から、現在の大都市地震に関する研究と、それを活用されました結果の対策、そういった点に重点を置いて説明させていただきたいと思います。  国のほうでも、一昨年消防審議会がすでに南関東の大震火災対策に関する答申を出しておりますし、昨年の三月には、建設省で、東京の江東地区に関しまして江東地区の防災総合委員会ですか、そちらから江東地区の都市防災に関する対策の答申を出しております。また、昨年、中央防災会議でも、やはり大地震対策の答申を出されておりまして、そういった対策を見ますと、みな適切なる対策がありますが、私ども、そういった対策を立てる前の研究に従事しておりまして、若干その研究の成果が対策の中に生かされております。  もう一歩振り返りまして、研究自体を考えてみますと、まだまだ相当の問題点がございます。特に地震が大都市に起こりました場合の大都市の災害と申しますか、被害の予測がしばしば行なわれていますが、その前に、大都市に地震が起こった場合にどういった災害が起こるか、また災害が拡大するかという問題がございます。  すでに御承知のように、都市におきます特に地震の場合の災害と申しますのは、われわれよく複合災害と申しておりますが、もちろん地震直接の震動によりまして地盤が割れたり建物がこわれたりするようなこともございますが、さらにその後火災の発生がありますし、場合によっては、ちょうど東京の江東地区のような非常に低地地帯でありますと、万一堤防がこわれた場合には水害が発生するといったかっこうで、単に直接の震害だけではございませんで、もちろん過去の例に見まするように大きな火災が起こる、また場合によりましては、昭和三十九年の新潟地震の場合におきますように、水害さえも起こっております。こういったように、非常に災害の様相が複雑でございます。  さらに、それを突っ込んでよく考えてみますと、災害がそれぞれだんだんと波及していく場合の様相、メカニズムといっておりますが、こういった点につきましても、定性的にはいろいろわかるわけでございます。過去の関東大震災、新潟地震、そういったことから、どういったかっこうで災害が発生、拡大していくかということはいろいろわかるわけでございますけれども、ただ、現在の大都市を見ますと、新しい要素も非常にふえております。しばしばいわれておりますように、現在の街路にほとんど自動車が一ぱいになっているといった場合、地震時におきます自動車は一体どうなるか、お互いに衝突するかどうか、さらに火災が発生するかどうか、そういったような新しいことが定性的にはわかっておりますが、実際にはわれわれは経験しておりません。また、そういったことに関しましての研究といいますか、実験的研究も数が少ないわけでございまして、なかなかデータがつかみにくい。  また、過去に東京消防庁なりが防災会議とかそういったところで、東京におきまして地震が発生した場合の災害予測をやっておりますが、その中にも、最近使われております石油ストーブによる火災発生、一応三万件と書いてございますが、そういった場合、石油ストーブから発生する大火の場合の様相はほとんどわかっておりません。一応定性的には、どういった災害がどんどんと起こってくるかということはわかるわけでございますが、どういった程度の規模になるかということは、あまり過去のデータがないだけにむずかしいわけでございます。  しかしながら、とにかく現在の科学技術をもってしまして、その研究成果を対策に移そうというかっこうで現在いろいろと対策がとられておるわけでございますが、過去の例から見ましても、特に木造都市であります東京その他の都市におきましては、やはり危険なのは、木造建築が燃えた場合の大火の発生でございます。これは関東大震災を見ましてもはっきりわかっております。  私どもも、特に火災に対しましてどうあるべきか、都市の震災対策はどうあるべきかという点について特に研究を進めておりますが、実はこの都市の大火の研究ということもほとんど過去にはないわけでございます。建築界のほうでは一軒一軒の火災の研究はずいぶんされておりますが、都市が一斉に燃え出した場合の大火の性状、どういったふうに燃えるかという研究は、これは非常にむずかしいという点がございます。実験研究をいたす場合におきましても、小さな模型をつくりましたモデル実験ではなかなかできませんし、また、実際の大火の場合におきましても、地震のように地震計を用いましてあとで震動その他の研究ができるかと申しますと、一般に大火の場合におきましては、そういった計測装置がない。さらに、大規模な実験をいたしますと相当の研究費が必要であるといった点からしまして、過去におきまして大火の研究は実はあまりされていないという実情であります。  そのために、実は昭和四十年、たまたま経済企画庁の調査調整費と申しますか、そちらから建設省を経由しまして、日本建築学会それから日本都市計画学会のほうに委託研究がありまして、都市におきます木造市街地の大火の性状はどうであるかというような研究の委託がございまして、私ども、ちょうどそういった比較的予算の大きい研究をいただきました関係で、大火の研究をようやく始めたという実情でございます。  そういった大火が一番危険であるという判断に立ちまして、都市の防災の第一点は、もちろん都市の建築物の不燃化にあることは当然であります。また、一軒一軒の耐火性というような研究は相当研究されております。現在では、技術的には可能であります。また、経済的に見ましても、木造と耐火構造と申しますか、その建築費は大差がございませんようになっております。また、都市計画上におきましても防火地域という制度がございまして、最近の用途地域の改正によりまして防火地域を大いにふやしていこうという体制にございますが、ただ、こういった恒久対策を考えましても、問題点になりますのは、実はそういった技術的な問題はほとんどございませんで、むしろ私の考えでは土地の問題ではなかろうか、こう考えるわけでございます。  と申しますのは、一つにはやはり借地が多い。としますと、木造建築でありますと借地権のほうもだいじょうぶでございますが、そこに永久的なかたい建物を建てるとしますと、地主のほうはいろいろ問題が起こるから反対する。また、土地の所有が非常に零細でございまして、一軒一軒木造で建てますと比較的建ちやすいのでございますが、そこに小さな耐火造の建物を建てるとなりますと、この場合におきましては非常に建築費が高くなる。もちろん大きな敷地でございまして共同建築のようなかっこうにすれば、建築費は木造とあまり変わりませんが、小さな耐火造を建てますと高くなる。そのほか、もちろん一般の市民の考えでございますが、かたい建物を建てますとあとで土地が売買できない、むしろやわらかい木造建築を建てにおきますと土地を売買する場合に容易である、そういったような、むしろ現在の都市の不燃化を阻害している要因は、技術的な問題よりも、そういった土地の問題が非常にからんでおると考えております。今後建物の不燃化ということは、都市の地震対策、防火対策としては、恒久対策としまして当然やるべきであります。  それでは、当面大都市に災害が起こった場合にどういった対策をとるかということでございますが、これもすでに新聞その他でしばしばいわれておりますし、東京都、神奈川県その他の都市でも避難場所をきめるとか、また、その場合におきましても、単に大きな広場だけでありませんで、その周辺に火災の場合の輻射熱をさえぎるとか、火の粉をさえぎるために高層の耐火建築をまわりに建てまして、いわゆる防災拠点、そういったような構想もございます。その場合におきましても、やはり火災の研究というものは、それを裏づけて、防災拠点が安全であるかどうかというような問題がございます。  先ほど申しましたように、昭和四十三年から国のほうから研究費をいただきまして建築学会、日本都市計画学会が大火の場合の模型実験をやっておりますが、現在約四年ばかり続けております。ただ、大火と申しましても、これは非常にむずかしい問題がございます。そのときの気象条件と申しますか、風速の問題、または湿度の問題、さらに燃えぐさであります市街地の木造の量、または耐火建築の量、または建物の密度、そういったようないろいろな要素が加わりまして、大火がいろいろな性状を示す。非常に複雑なる大火の現象でございますが、まだ現在は研究を四年間やったばかりでございまして、一応の成果といいますか、火災が、大火が起こった場合に、どの程度離れれば人間の生命は安全かということはほぼわかっておりますが、ただ、気象条件が非常に変化する場合とか、または市街地が、たとえば木造だけでございませんで、その中にどの程度耐火建築がまじった場合に延焼速度が変化するとか、そういった点につきましては、まだ十分にはわかっておりません。  実はこういった研究につきまして研究体制の問題でございますが、まあ大学等におきましてはなかなかこういった研究費はございませんので、ほとんどが国の行政機関あたりからの研究費、または東京都のような地方自治体からの研究費をいただきまして、学会等で研究組織をつくりまして、そのつど研究を続けるという情勢でございます。たとえば国の予算でございましても、二カ年間出るとしましてもあとは続いてこない。科学技術庁のほうも、昭和四十五年度ですか、初めて都市大火の研究を促進される意味から研究促進費というようなかっこうで予算が組まれておりますが、それもわずか三カ年計画で終わってしまう。そういったかっこうで、実は私ども研究費を受ける側からしますと、いつまで研究費が続くのかわからない。行政当局のほうの御都合で急に研究費がとまってしまうという場合におきましては、途中まで来ました研究がストップしてしまう、そういった状況がございます。  そういったように、研究体制につきましては非常に現在まだ薄弱でございまして、また研究者の数も少ない、そういった状況でございますが、一応対策としましては、とにかく河角博士の六十九年説というようなこともありまして、何かと対策を立てなければならない。そういったことから私ども研究者グループで考えましたのが、たとえば東京の江東の先ほど申しました防災拠点でございます。それともう一つの大きな都市計画上の問題点は、そういった安全な避難場所をつくりましても、そこに至る手段の問題でございます。現在も東京都とかそういったところでは、防災会議では避難場所をきめまして、避難ルートをきめているというかっこうでございますが、実際に災害が起こった場合におきましては、簡単にある一場所に避難せよといいましても、実際の災害の様相はそうはならないと思います。風向によりまして非常に火災の方向が違ってまいりますし、そういった点から、もう少し詳細に避難というものを研究してみる必要があると思います。最近のように非常に電子計算機が発達しておりますと、各地区ごとに人口の数とか火災の発生しやすい危険物、そういったことから、どういった状況のもとではどういった方向に火災が起こるか、または延焼していくか、そういった点をいろいろ考えまして、あらゆる条件を変化させながら避難方向をきめていく、そういったような研究が今後必要ではなかろうか、こう考えております。  以上、大体おもに火災を中心に地震対策、大都市の対策を申し上げましたが、最後に基本的な問題になりますが、大都市の人口抑制ということは各方面からいわれております。しかし、地震対策のほうからも、やはり大都市が巨大になりまして人口が密集する、過密大都市となりますれば、たとえて申しますと、関東大震災当時は、都心から歩きまして約一時間程度で郊外に避難できたというわけでございますが、現在の東京を見ますと、一時間ではとうてい郊外の広い場所には逃げられない。現在ではおそらく郊外まで行くには四、五時間かかるであろう。としますれば、大都市のそういった面からしましても非常に危険である。これ以上さらに大都市に人口が密集しましてどんどんと市街地が拡大しますれば、ますます大きな避難緑地がなくなっていくというようなことも考えられますので、この点からも、地震対策といった点からも、ある程度大都市の抑制といいますか、膨張の抑制は早急に考えてしかるべきであろうか、こう考えております。  簡単でございますが、私の話を終わります。(拍手)

高田富之日本社会党

○高田委員長 ありがとうございました。  最後に、防災問題につきまして中野参考人から御意見を承りたいと存じます。中野参考人。

中野尊正東京都立大学教授

○中野参考人 中野でございます。  私は、実は前のお二方とは違いまして、直接地震、災害その他について、行政の関係機関で仕事をしてきたという実績がございません。求めに応じまして地方自治体中心に助言はしてまいりましたけれども、いまから申し上げることの大半は、研究室で私どもが日ごろ考えている防災問題の考え方を中心に申し上げるわけです。  萩原先生からのお話をまとめますと、私どもには、防災問題を考えるという立場から考えますと、実は震源地域がどの地域に想定されるかという問題になるわけです。つまり、どの地域に地震が発生しそうだという問題になるわけですが、その点で御指摘がございましたのは、南関東を中心にいたしまして、東京その他日本の政治、経済、産業の中心である地域が大きな影響を受けそうだという一つの想定があるわけです。またお話の中に、歴史的な事実をあげられて、その中から東京に対する地震の危険性を、従来いわれております六十九年周期説とは申されませんでしたが、ほかの考え方があり得ることを御指摘になられたかと思います。  そういう点で、少し歴史的な事実を広げてまいりますと、実は東海沖の問題も、私たちにとっては研究の対象になるわけです。二元地震の可能性があるかどうかについては、私どもいろいろ研究資料を点検している限りでは、まだ地震予知の研究では明言されておりませんけれども、かりに二元地震が発生いたしたといたしますと、南関東から東海沖というかなり広い範囲にわたって影響を受ける範囲が発生するということになるわけであります。  したがいまして、第二点は、そういう想定される地震の震源地域に対して影響を受ける地域がどういう地域であろうかという問題になるわけです。少なくとも従来研究者がいろいろ明らかにしてまいりました点から申しますと、南関東につきましても、東京をはじめ一部五県の範囲で影響を受けるわけでございます。茨城、千葉、埼玉、神奈川、静岡県、特に静岡県の東南部。二元地震になりますと、これに愛知、三重、和歌山の南部が影響を受けるということになりますので、一都八県の範囲が影響を受けるわけです。こういう影響圏が想定されますと、実はこの範囲の中に地震に対して強いところと弱いところ、そういうものの仕分けが必要になってまいります。したがいまして、私どもの研究は、そういう強弱の地域の仕分けというところに進んでいくわけです。  地震に対する強弱の仕分けというのは、実はその地域の自然の条件、施設の条件、社会的な条件、経済的な条件、こういうものが複合的につくり出しているわけです。そういう複合的な地域の構造というものがすでに実在しておりますし、現実にそれが年を追って変わっていくわけです。たとえば、人口の密度にいたしましても、あるいは港湾の施設にいたしましても、あるいは交通量にいたしましても、年々ふえていく傾向にあります。そういうふうな年々の変化というものがあるわけです。さらにその上に、毎日状態が違うわけです。時間によって状態が違う。たとえば東京ですと、東京に所用で来る、あるいは観光で来る、そういう外部からの流入人口というものはたいへんな数にのぼります。この人たちは、必ずしも東京の土地勘に明るいわけではない。約一五%くらいのそういう外部からの流入人口をかかえた状態の中で、問題が東京では発生し得る、そういうふうに考えざるを得ないわけです。  さらに、入沢先生から御指摘のありましたように、地震発震時に気象条件というものは想定できない。一応想定するとしますと、無風の状態から強風の状態までいろいろな段階についてあらかじめ考えるという、そういう考え方しか出てまいりません。したがいまして、実際に防災的な問題を考えるときに、そういう地域の持っている構造と、それから時々刻々に変わっていく条件と、この両者をかみ合わせながら考えるということになりますと、たいへんむずかしくなるわけです。実際問題としては、対応策としては考えざるを得ないということになるわけです。  さて、実際に地震が発生いたしますと、被害を発生する力といいますか、現象というもの、すでに指摘がありましたように、地震動による直接の被害、たとえば建物が破壊されるとか、あるいは損害を受けるとか、あるいはまた外装の部分がくずれ落ちて通行人に被害を与えるというような、そういう問題、直接の震動による被害と、それから第二番目は、南関東地域では特にそうですが、千葉県、神奈川県、静岡県の範囲で津波による被害が数分から数十分の間に大きな被害をもたらす可能性があるわけです。言い古されておりますが、火災による被害、これも実は時間によって状態が変わります。初期消火可能な数分の間から、だんだんと大きくなりますと十数時間後には東京が火の海になるというような計算もされているわけです。  さらに、この火災の問題は、都市構造がだんだん複雑多様化するというような問題、たとえば地下街ができる、あるいはまた地下のアングラ劇場にたくさんの人がいるというふうな、非常に個別的な問題がこれにからんでまいります。さらに、石油タンクその他の危険物が臨海工業地帯あるいは内陸の工業地帯にもあります。それから生活様式が多様化しておりますから、以前は火ばち一個というような生活から、石油ストーブに火ばちとか、あるいは電気ストーブに電気ごたつに石油ストーブというようないろいろな多様化がありますので、こういうものについて考慮していく必要があるわけです。  さらに、従来の記録によりますと、また御指摘がありましたように、山くずれであるとか地すべりあるいはがけくずれ、あるいはまた新潟でたいへん世間的に有名になりました急性的な砂地盤の液状化現象というような地変もあります。ところが、最近のいろいろな社会状態から見まして、特に関東震災のとき、あるいは新潟地震などの例で考えつかないような問題が、南関東地域といいますか、先ほど影響地域というふうにあげました範囲内には出てまいる。たとえば高速道路あるいは高速鉄道、こういう非常にハイスピードの交通機関というのは、それなりに地震に対する制御のシステムができていると思いますが、過密な状態で走る道路交通その他につきましては、あとで述べますが、やはり問題がありそうだというふうになるわけです。  それから最後に、この点での最後に強調しておきたいことは、先ほども入沢先生が触れられましたが、地震水害という新しい現象が現状のままでは必ず発生するというくらいの高い確率を持っておるということであります。この地震水害というのは、江東地区のように海面より低い地域があるところ、護岸で囲ってある地域について、堤防に亀裂その他が入りますと約一〇%の破壊が想定されておりますが、そういうことが起こりますと、たちまちにして低地帯に水が入ります。水の入る速さは、昨年川崎で科学技術庁の関係の実験のときに起こりました土塊のすべりの約三割から五割増しくらいの速さで、その速さがどんな結果につながるかということは大体イメージとしてはお考えいただけるかと思います。しかも、その影響を受ける人口というのは、現在ですら満潮時ですと百五十万近いもの、さらに年数がたてばたつほど、現状では地盤沈下対策のおくれから人口数がふえ、範囲もふえる。そして私の試算では七七、八年、つまり河角説でいうところの地震の危険期に入るころには、埼玉県においても、そういう地震水害の発生の危険性は十分に考えられるという状況にあるわけです。  ところで、こういう被害を生み出していく現象的な面からいろいろいま申し上げましたが、実際にはそういう被害を受ける、あるいは被害に対応する人々の問題があるわけです。その点に多少言及しておきたいのですが、その対応の施策という点に関しては、実は上は政治のレベルから下は家庭のレベルまでいろいろなレベルがあるわけです。政治のレベルでは、たとえば今日のようなこういう会でいろいろディスカッションをするというのも一つのしかただと思います。それからその次に、行政のレベルの問題がある。現在行なわれております地震対策の多くは、地震予知研究を含めて行政レベルの対応策というふうに考えることができるわけです。ところが、実際には、この政治と行政のレベルの問題だけでは、現状では解決がつかないだろうという感じがいたします。  その点でまずあげておきたいことは、特定の職場のレベルの問題があります。特定の職場の問題と申しますのは、たとえば石油タンクをかかえている、あるいは放射性の物質をかかえている、あるいはまた危険性のある物質を持っている、そういう職場、そういうものがあがってまいりますが、非常になおざりにされているのが学校の化学の実験室のような、いわば少量ではあるけれども、しかしそこへ人々が逃げ込むかもしれない、そういう場所にわりあい危険物が多いということですから、たとえば、十勝沖地震のときに学校の理科の実験室からぼやが出ているというケースは何件か指摘されております。これは朝早い、まだ化学実験がそれほど活発に行なわれている時間だとは思いませんが、この点では、こういう特定職場レベルの問題というものがその職場で考えられる必要がありますけれども、なかなかそうはいきかねる点もある。特に大学のように常時化学実験をやっておる研究室があるところでは、問題がやかましいであろうというふうに考えるわけであります。  それから一般の職場、これは学校を含めて一般の職場のレベルの問題があります。この職場では、一般に教育あるいは研修あるいは訓練ということが行ないやすい。また、お互いに知り合っておりますのでぐあいがいいのですが、ただ、だんだん一つの建物に違った職場が形成されるような時代ですから、そういう点では、その面からくる混乱という問題についても、あらかじめ対応策というものをその職場で考える。と同時に、行政レベルからの行政指導というものが非常に大切な意味を持ってくるかと思います。  それから次のレベルは、実は公共的な場所におけるレベルの問題で、それは、たとえば旅館であるとかあるいは映画館であるとかあるいはまた講演会場あるいは体育館あるいは鉄道等の交通機関の中というような公共的な場所の問題で、この場合には、その個々の人々というのはお互いに関係がないわけです。多くの場合には、非常に限られた出入り口での行動を要請されている。これは先日東京でちょっとした地震があったときに、東京都体育館の中の混雑をテレビの画面に放映されましたので、実際に見ておりますとかなりの問題がありそうだ。しかし、こういう場合には、ある意味で管理体制みたいなものがありますとその処置ができるかと思いますが、なかなか対応しにくい。  もう一つは、さらにやっかいなことですが、公衆レベルといいますか、大衆レベルといいますか、全然お互いに関係がない、お互いに全然関係がなくて情報がどこから流れてくるかわからないような道路、銀座通りみたいなところ、ここでは、個人個人は、自分で何かを察知して何か行動するという形をとります。ここではさらに道路上の自動車その他が加わってまいりますので、問題がさらにやっかいになります。  それから一番小さな核に相当するレベルの問題が家庭とか、あるいは家族のレベルの対応策の問題です。現在いろいろやられておりますのは、この家庭レベルの問題について広報が行政レベルからいきなり家庭に流れ込む。これはたとえば横浜市あたりでは、りっぱなパンフレットをつくって各家庭に流している。また、その他の自治体も、広報紙を通じてそういう情報を流しておりますけれども、こういう家庭レベルの問題が扱われているわけです。  政治は、これらのあげましたすべてのレベルに、あるいは国会の席で、あるいは政党の活動で、あるいは住民組織の中で関係を持ってくるわけですから、そういう点では、たいへん重要な予見的な判断で対応策をお考えいただきたいというふうに私ども考えるわけです。  さらに、この対応策の問題につきましては、地震の発生前の年次プログラムというものが必要です。それからまた、発生時に対応する対応策というものが用意されている必要がある。発生直後の対応策、そしてさらに発生後、復旧時に適応する対応策というものがあらかじめ準備されている必要がある。これはおそらく政治と行政のレベルの問題であろうと思う。  簡単ですが、私の日ごろ考えております研究面からの問題点の考え方を御説明いたしました。(拍手)

高田富之日本社会党

○高田委員長 ありがとうございました。  これにて参考人からの意見聴取は終わりました。     —————————————

高田富之日本社会党

○高田委員長 参考人各位に対して質疑の申し出がありますので、順次これを許します。羽田孜君。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 各参考人の先生皆さまには、先ほど来たいへん貴重な御意見、また示唆に富んだ御意見を賜わりましたことを厚く御礼申し上げるわけでございます。  私たちも、先生方の御意見というものをもとにしまして、少しでも地震に対する対策というものを強めていくために今後ともつとめてまいりたい、まず、かように存ずるものでございます。  本日、各先生方からお話がいろいろとあったわけでございますけれども、昨年、たしか二月にこちらの災害対策特別委員会におきまして、たしか萩原先生はいらしていただいたと思うわけでございますけれども、いろいろと御意見を賜わったわけでございます。そしてたしかそのときでございましたか、ロサンゼルス地震というものが起こりました。そしてちょうどあのときは都知事選挙が行なわれておりまして、特に東京の安全、そして例の六十九年周期説というようなものも出まして、ともかく地震に対する関心というのは非常に高まったわけでございます。そして私も実は長野県が出身地でございまして、例の松代の地震のすぐ近くにおる者でございまして、日ごろから地震に対して関心を持っておる者でございます。しかし、地震というものは、ほんとうにはたして起こるものかどうかということがなかなか一般の人たちにはぴんとくるものじゃございません。実際に地震にあった人あるいはその近くにいる人たち、こういった人はいろいろと考えておりますけれども、平素はどっちかというと忘れてしまっているというのが実情ではないか、こんなふうに思うわけでございます。特に昨年の二月、あの数カ月前後はたいへんな関心を持っておりましたけれども、ここのところしばらく地震に対する関心というものは一般に薄れてきてしまったというのが実情じゃないかと思いまして、きょう参考人の先生をこの委員会にお呼びいただきましたことに対しても、ほんとうにいいあれであったということを私感じておるものでございます。  そしてまずお尋ねしたいことは、私は予知の問題についてだけお尋ねしたいと思うわけでございますけれども、昨年も南関東の地殻変動ということが取り上げられまして、萩原先生からもお話しいただいたわけですけれども、それ以後一体どんなふうに推移しておるか、この点について、これは非常にショッキングなあれでございますからどうかと思うわけですけれども、その点についてまずお答えをいただきたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 お答え申し上げます。  その後に行なわれました水準測量がございますが、これは房総半島、三浦半島等で特に行なわれましたが、それを見ますと、房総半島の隆起というのは、やはり依然として隆起しているようでございます。その量はあまり大きくはございません。とにかく沈むべきところが隆起しているのでございますから、これは異常でございます。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、その後水平測量のほうが進行いたしまして、あの当時もたしか相模湾のひずみというのは出ておったと思いますが、その後、これはまだ公表されておりませんけれども、国土地理院で相模湾周辺のこまかい距離測量を行なっております。これは三浦半島から小田原の辺を通りまして伊豆半島に及ぶ。これを見ますと、ひずみが一番大きいところで十万分の二というような値で、決して大きい値ではございません。一万分の一のいわゆる破壊限度の五分の一ぐらいのものでございます。そういう点で、水平変動だけから申しますと現在破壊が迫っているというふうには考えられないのでございます。  しかし、相模湾のひずみというのは、十万分の三ということが出てきておるわけでございます。これは一万分の一には、まだその三分の一ぐらいでございます。これが関東の大地震のあと、そのときにひずみというものは全部解消したと考えました。それから約四十五年の間に、一定の速度でそのひずみがたまってきた。今後も一定でたまっていくと仮定いたしますと、例の破壊限度の一万分の一に近くなるのには、大ざっぱに考えまして、かりに関東地震から今日まで五十年といたしますと、その破壊限度に達するのには今後百年かかるということになるわけでございます。実際、こういう関東地震のような、つまりマグニチュード七・九というような大きなエネルギーがたくわえられますには、相当な年月がかかると思います。  大正十二年の関東地震の前に起った同じような地震はいつかといいますと、それは元禄十六年、一七〇三年にちょうど同じような地震が起こっておりまして、このときの被害状況を見ますと、まさに関東地震と同じような分布、大正十二年と同じような分布で、ただ、津波が房総半島の外とか八丈島で少し大きかったというようなことから、あるいは少し南のほうにずれていたか、あるいは南のほうまでまたがって起こったというふうに考えられるのでありますが、とにかく大体そのものずばりと言っていいような地震が、ちょうど関東地震の二百二十年前に起こっております。ですから、それだけのエネルギーをたくわえるのには、少なくとも二百年程度の年月がかかるというふうに考えております。それで、先ほど申しましたひずみの進行状況から考えまして、私は関東の大地震が近い将来に起こるというふうには考えておりません。  それでは、もう地震はないのかというと、そういうわけにはまいらないのでありまして、いま言いました十万分の三のひずみというものが相模湾一帯に一様にある、深さも五十キロ、六十キロくらいの深さまで一様にあると考えてこのエネルギーを勘定いたしますと、それをまた地震のマグニチュードに換算いたしますと七・五というような値が出てまいります。すでに新潟地震をこすと同じ程度のエネルギーはたくわえられておる。ただ、地殻はそれを持ちこたえているというだけでございます。  そうしますと、関東大地震のような大地震は起こらないかもしれないけれども、ある何かの状態で、あるところにひずみが集中して、そこで破壊が起こる、そしてそれより小さいけれども、かなり大きい地震が起こるのではないか、そういうことが考えられるわけでございますが、実際これを過去の例に照らしましても、そういうことが起こっているのでございます。元禄十六年、一七〇三年に関東地震と同じような地震が相模湾に起こりましたが、それから七十九年たちまして天明二年、一七八二年にマグニチュード七・三と推定されておる地震がやはり相模湾に起こりました。これは東京では震度五、強震でございました。それからまた、七十一年たちまして嘉永六年、一八五三年に小田原付近でかなり大きい地震があった。マグニチュード六・五と推定されておりますが、これは江戸では震度四でございました。  こういうふうに、関東地震をかりに大型地震と申しますと、その間に幾つかの中型地震が起こっておる。そうしますと、いつかわりあい近い将来、マグニチュード七程度の地震は起こる可能性はある、こういうふうに考えられます。ただ、東京は震度五くらいであります。現在考えられますことは、この程度でございます。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 ありがとうございました。  時間がございませんのでたいへん失礼でございますが、こまかくあれしたいわけでありますけれども、もう一言だけ端的にお尋ねしたいのでございますが、いまの比較的近い将来というのは何年くらいかということがおわかりになりましたら、端的でけっこうでございますので……。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 十年とか二十年とかという程度でございます。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 もう一つお聞きしたいのは、やはり予知の問題でございますけれども、この予知に関しまして先ほど先生方からいろんな観測の方法があるというお話を承ったわけでございます。そして私ども、先ごろの新聞報道なんか見ておりますと、中国におきまして地震予知について非常に優秀な成果をおさめておるというようなことが伝わっておるわけでございますけれども、この中国の地震予知に対する観測の方法について、先生のほうで御研究なさったことがあるかどうか、そしてそれが精度の高いものであるかどうか、これはほんとに端的でけっこうでございますので、お願いしたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 中国の地震予知の研究につきましては、詳しい情報は入っておりません。ただ、アメリカ、ソ連におきましては非常に研究が進められていて、それにつきましては相当詳しい情報を入れております。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 もう一点だけお聞きします。  先ほどの先生のお話の中に、長期予報と短期予報というお話があったわけでございますけれども、長期予報で、たとえばいま南関東というお話があったわけでございます。こういったものに対して、そういった地区に深井戸を幾つか掘ること、こういったことによって短期の予想というものは相当精度の高いものができるというお話があったわけでございますが、それにはどうしても予算が伴うものでございます。そして、昨年私どもがお話をお聞きしたときにも、政府のほうでも、できるだけ大きな措置をとっていこうということを申し上げておったわけでございますけれども、それに対して、これはほんとうに端的に——もちろん十分だというお答えはないと思います。御不満があると思いますけれども、いわゆる予算措置が非常に不満であるか、こんなことでは困るのかどうか、それでも前進しておるのかどうか、その点一点だけについて、簡単でけっこうでございますが、お伺いしたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 地震予知に関します予算は、毎年少しずつふえております。大体地震予知という名のもとに特別に予算が昭和四十年からつき始めました。そのときがたしか二億七千万でスタートしたと思っておりますが、昭和四十七年度では、これは岩槻の井戸がだいぶお金がかかっておるわけですが、大体九億ちょっとになっております。  あと、将来計画といたしまして、先ほどの精密距離測量を水準測量と同程度に全国に広げていきたいと考えております。これは大体人手も要りますが、たとえば国土地理院の人をふやすというのはなかなか望めませんが、現在、優秀な民間の測量会社ができておりますので、そういうものを利用すればお金だけで解決するかと思います。これは年間大体五億程度であります。  あとは大体よろしいのでございますが、いま一番困っているのは、大学の観測所がたくさんございますが、この運営費がいかにも少ない。ほんとうに少ない。なかなか予算技術的にこれをふやすことはむずかしいんだそうでございまして、これは非常にいま大きな問題となっております。  あとは、大体におきまして、欲を言えば切りがありませんが、ほかのものに比べまして、非常に、何と言いますか、予算はよくいただいておると言えます。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 どうもありがとうございました。終わります。

高田富之日本社会党

○高田委員長 米田東吾君。

米田東吾日本社会党

○米田委員 きょうは、時間が非常に制約をされておりますので残念でございますが、諸先生に二つぐらい御質問を申し上げまして、お答えをいただきたいと思います。  非常に貴重な三人の先生からの御意見を、御研究の成果を含めてお聞かせいただきまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。私ども災害対策に携わっておる者として、特にこの地震対策という問題については、私ども自身しろうとでございまして、今後の対策に非常に参考になる有効な御意見を聞かしていただいて、心から感謝をいたします。  私、まず萩原先生に御質問をしたいのでありますが、先生も権威者でございますので、おそらく参画されておられるだろうと思うのでありますが、地震予知連絡会、これについての悩みがいま先生から述べられたわけであります。特に四十八年以降の第三次計画がこれから展開されるわけでありますけれども、こういう状態を前にして、いまの弱体の機構では十分な対策が進められ得ないのではないかという御意見だと思いまして、私どもとして、これは率直に申し上げまして何とかしなければならぬという感じを実は持ったわけであります。  それで、先生自身、この地震予知連絡会というようなものが今日の行政的な面に有効に作用するためには、もう少し機構的にあるいは予算的にどういうふうにされたほうがよろしいかということについて、私どもしろうとでよそから見ていて言うのじゃなしに、そういう中に実際に入っておられまして御苦労いただいておるし、また、どうしても今後先生方の御指導や研究の成果を私どもちょうだいして対策というものを進めなければならぬわけでありますから、そういう立場で、ぜひひとつ率直な先生のお気持ちを聞かせていただければ、そういうようなものに基づいて、今後この特別委員会等においても政府側と十分詰めることもできるだろう、こう思いまして、率直な先生の見解をまずお聞きしたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 地震予知連絡会というものは、いわゆる審議会とか協議会とか、そういう公式の委員会ではないのでございます。そういう委員会を新しくつくるということは、何か非常にむずかしいのだそうでございまして、できない。それで連絡会という名前がついておるわけでございますが、といって、全然もぐりの会でもないのでございまして、予算は百万円ぐらい会合費がついております。  それで、これは地方の大学の先生で委員の方や何かにも、委員会を開くごとに出てきていただいておりますが、大体年開くうちの半分は手弁当で出てきていただくというような状態でございます。何かもう少しほんとうの——ほんとうというか、公式の委員会にしてまいりたいというふうに思っております。  なお、あと問題は、大学の観測といいますか、これは大体東京大学の地震研究所が中心になっておるわけでございますが、これが大ぜいの声といたしまして、この地震研究所は元来、関東大地震を契機としてできまして、そのときは、日本の地震研究所であったわけでありますが、これが戦後、東京大学の地震研究所になった。やはりこういった非常に業務的の色彩の強い、観測というものまで含めました相当大がかりな仕事をいたすことになりますと、非常に大学の中にあるとやりにくいことが多い、効果的でないということから、つまり、日本のそういった地震予知の研究の中心になる研究所、あるいはいまだに研究的色彩が非常に強い点もありますので、文部省の付属、付置の文部省直轄の研究所、そういったような形態にならないものか。そういった行政上の問題が一、二あるわけでございます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 地震の予知は可能である、その予知は、いま研究の段階であるけれども、これから実用の段階に入っていかなければならないという先生の御説でございますが、私どもも、防災という立場からいきまして、第一義的に手をつけなければならないのは、やはり予知の実用化の問題じゃないかと実は思うわけでありますが、そういうたてまえで考えますと、民間の研究機関あるいは大学の研究機関、それから国土地理院あるいは気象庁が、総合的にこの予知という問題の一点で連絡会というようなものを持って、そうして主としてこれはおそらく民間ベース的に、役所のプランじゃなしに研究者の民間ベース的な方向でこの連絡会というものは機能しているんだろうと思うのでありますが、こういうものをもう少ししっかりとしたものにするように予算等も十分取って、将来の予知の実用化という方向に、この連絡会というものが総合的な、しかも中心となる機能ができるように、早急にこれは手を加えていかなければならぬのではないか。いたずらに役所の干渉が入ったり、そういうことは避けなければならぬと思いますけれども、思い切って予算づけ等もして、あくまでも研究者の自主的な、しかも総合的な連絡会としてこれが機能するようにしていきたいと実は思うわけでありますが、そういうことについては、先生は、要するに十分可能である、予算の面等十分国が、あるいは関係機関が見てくれれば、この連絡会というものは将来そういう方向に十分飛躍充実することができる、こういう御見解でございましょうか。恐縮でありますが、再度お聞きしたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 連絡会は、現在そういった地震予知に関する必要な資料を集めまして判断を行なうということだけをやっております。ただ、地球物理学的な観測業務の調整というものを行なっております公の機関としましては文部省の測地学審議会というのがございまして、この測地学審議会は、予算の調整、それから必要に応じて関係大臣に建議ができる機能を持っております。現在その二本で進んでおりますので、そういう行政的な、予算をふやすとか、そういうことに対しましては、すでに測地学審議会というものがございまして、その審議会の審議、それから建議によって今日まで地震予知計画というものが実現してまいったわけでございます。そういう意味におきまして、地震予知連絡会がいますぐ行政的なことまでやる必要はないと思いますが、ただ、判断が下されたときにいかにも無力なのが現状でございます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 またいずれかの機会に先生の御意見等をお聞かせいただくことにいたしまして、次の問題に移ります。  これは、入沢先生、中野先生のお話の内容から私は御質問申し上げるわけでありますが、都市防災あるいは地震対策の建築上の諸問題等いろいろお聞かせいただいたわけでありますが、実は私が聞きたいのは、ちょっと角度が変わりまして、今日の原子力の時代における防災、地震からくる災害防止、こういうことが両先生のお話の中にはなかったわけでありますので、私の感じでは、都市火災とか、あるいは地震になれば当然津波だとか、従来いわれてまいりましたそういうものについても、もちろんこれは大きな問題でありますし、防災体制を進めなければならぬと思いますが、最近急速に伸びておる原子力発電あるいは原子炉等によるところの産業に出てくるであろう地震によるところの複合災害といいますか、そういうものがこれからの地震等の防災で大きなウエートを持たなければならぬような状態になってきておるのではないか、実はこういう気がするわけでありまして、その点で専門の諸先生はどういうふうに見ておられるであろうかということが実は聞きたいわけなんであります。  そこで、関東周辺に例をとりましても、現に東海村では、規模は小さいにしても原子炉が動いておる。しかも最近は、燃料の再処理工場等まで計画をされているというふうに聞いているわけなんです。  それから、御承知のように、日本列島はどこへ行きましても地震のないところはないくらいに地震が多いわけでありますし、特にその地震も、大きいのになりますと、三陸沖あるいは東海道、南海道沖それから濃尾、こういう地方がいわゆる大地震が発生する常襲地帯、それから中級では日本海沿岸、こういうふうにいわれておるわけでありますが、これらのところが大体対象になりまして、各電力会社の原子力発電所だとか、いろいろそういうものが計画され、現に進行中のものも出ておるわけであります。  こういうものに対する地震からくる災害を一体どうして防ぐか。要するに、火事や水もさることながら、地震から起こるであろう放射能の被害というものを一体どうして防いでいくべきか、そういうことを私どもこの災害対策特別委員会としても今後十分検討していかなければならぬ課題じゃないかと実は思っておるわけなんでありまして、特に現在の原子力発電の形態等からいきますと、ほとんど軽水炉の炉を使って、循環装置といいましょうか、そういう装置産業的なプラントをあわせた発電の機能になっておるわけであります。したがって、場合によれば、新潟地震等にもありましたように、あのときは昭和石油の製油所だけでございましたけれども、パイプが破裂したとか継ぎ目がはずれたとか、したがって、必要な工場用水がとまってしまったとか、今度は原子力の関係になりますと、冷却水がストップするというようなことが当然出てくる。そうすると、炉の爆発とかあるいはもっとおそろしいいろいろな障害というものが出てくるということが当然考えられてくるわけであります。そういうものに対する防災という面で、私ども今後どういうふうに対策を進めていったらいいのか、こういうことについて先生方の研究の結果の御意見がありましたら聞かせていただきたいと思うのでありますが、両先生から特にお聞かせいただきたいと思います。

入沢恒横浜国立大学教授

○入沢参考人 ただいまの御質問に全部私の専門からはお答えできませんかもしれませんが、若干関連のあることを申しますと、まず一つは、原子炉の場所の問題でございます。立地の問題でございますが、日本じゅう地震帯に囲まれているというかっこうでございますが、詳細に見ますと、やはり原子炉を構築する場合に、その地盤の問題が一番大事だろうと思います。場所が、大きな場所的な問題もございますが、具体的にはそのつくる場所の地盤の問題でございます。地盤と申しましても、これは地形その他によりまして細部にわたりますと非常に差がございます。ですから、まず、原子炉をつくる場合には、大きくはなるべく地震帯から離れているということも必要でございますが、最終的には、具体的にどこにつくるかというその敷地そのもののボーリングとか、そういった調査を十分にいたしまして、一番安全なところにつくる。まず地盤との関係がございます。この辺は相当に研究が進んでおると思います。  それで、当然その上に乗ります原子炉の構造の問題でございますが、これも東海村に最初に原子炉をつくる場合に、これは建設省の建築研究所でございますが、あそこで大体実物のような模型をつくりまして、相当震動を加えまして実験しておりまして、まず十分だという結論が出ておりまして、その後もいろいろ研究が進んでおりまして、構造に関しては非常に進んでおると思います。  最後の制御の問題は、これはちょっと私の専門外でございましてわかりません。

中野尊正東京都立大学教授

○中野参考人 私、原子力関係の専門でございませんので、正確に数字を記憶してない面もございますけれども、幸か不幸か三年間私ども二十一世紀の国土設計という、そういう研究会を、これは政府が研究募集をしました研究の中でやりまして、その中で原子力発電所の問題をやはり防災的な見地、特に地震対策という面から検討を加え、その研究グループの一員として参画いたしましたので、多少私ども直接関係する面に関連してお答えができるかと思います。  現在予定ないしは候補にあがっている原子力発電の予定地は全国で二十六カ所ぐらいあります。それが地震が問題になるこれから十年先、二十年先に、実は四十から四十五ぐらい必要であるというふうな数字が計算上出ております。二十六の予定地のうち、先ほど私が申し上げましたいずれ地震があるだろう、そういう大きな地震のある地域に隣接する例は、御前崎のところにあります浜岡の原子力発電所です。その点につきましては、一応その場所が、範囲が限定されております。それを検討いたしまして、私たちは、できればもう少し場所を変えたほうがいいだろう、そしてそれに、変えるのに、その地域に対して別の国土計画を入れたらいいのではないか、そういう答えを出しております。この問題につきましては、ほかの四十幾つから二十六を引きました残りのものについても個別的な大ざっぱな場所の検討をいたしまして、地震の発生ないしはその地盤の条件から見て、この辺ならその範囲としては考えられる。ただし、前提としては、原子力発電のいろいろな施設というものが最大規模の地震に対して対応できるという条件が前提になっておるわけですが、そういう検討を加えたことがございます。その研究成果につきましてはすでに出版されておりますので、もしこまかい検討を必要とするようでしたら、またその内容を御連絡いたしますが、ぜひ政治のレベルでも御検討いただきたいというふうに思います。

米田東吾日本社会党

○米田委員 終わりますが、先生方の御答弁、非常にしにくいかと思いますが、もう一つ気になるのは、日本の場合、アメリカやソビエトと比べまして非常に大型なんですね、原子炉が。ソビエトあたりでは二十五万キロワットくらいで制限している。あのアメリカでも最近大型の計画が出ているように聞いておりますけれども、それにしても大体五十万キロくらいで押えておる。日本の場合は、敦賀にしてもあるいは柏崎にしても福島なんかもそうのようでありますが、百十万キロというような非常に大型な原子炉が計画されておるわけであります。日本のようなとにかく地震の多いところでは、どれだけボーリングしてその調査をやりましても、日本列島というのは安全だというところは私はないと思うのでありますが、そういう防災の見地等がややもすると産業の面では置き忘れられて大型になっているのじゃないかという危険を実は感ずるわけなんでありますけれども、防災の立場で研究なさっておられる両先生は、日本において、ああいう百十万キロくらいの能力を持つような原子炉は、防災上からすれば危険だという御判断はございませんでしょうか。どうでございましょうか。お答えしにくいかもしれませんが、これはやはり学者、専門家の立場の勇気ある発言等はやはりいただかなければならぬのじゃないかと実は思うのでありますけれども、いかがでございましょう。

中野尊正東京都立大学教授

○中野参考人 原子力発電の規模の問題につきましては、具体的にもう少し詰めないと私としてはお答えできませんが、ただ、いま御指摘の地域の中に、そしてすでに予定にあがっております地域の中に、実は古い鉱山とかあるいは炭鉱の坑道ですね。そういうものが近くにあって、意外にそういうものが影響する可能性がある。そういう点では小さいほうが望ましいというふうに考えられる場所が何カ所かあります。そういう点は、具体的な細部の計画を詰められるときに当然検討されることだと思いますけれども、私ども、先ほど申し上げました研究会でも、そういう場所は情報のわかっている限りは除外して構想を提案するという、そういう形をとっております。

米田東吾日本社会党

○米田委員 終わります。どうもありがとうございました。

高田富之日本社会党

○高田委員長 広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢委員 先ほどから各先生方の御意見を伺いまして、私も二、三点加えてまた御意見を承りたいと思います。  まず最初に、萩原先生にお伺いしたいわけでありますが、地震の予知の問題につきましては、先ほどからいろいろ御意見もございましたし、同僚委員のほうからいろいろ御質問申し上げたわけでありますが、やはりこの地震の予知をしていくことの重要なことは言うまでもないわけであります。先ほどから入沢先生あるいは中野先生から都市計画あるいは防災についてのお話もありましたけれども、しかし意見は意見としても、現在の行政と、そういうふうな問題に真剣に取り組んで提言されていることが必ずしも一致しているとは言えないのじゃないか。そういうことになれば、もしも地震が起こってきた場合に、最小限度に被害を食いとめるということは、やはり地震を予知するということに相当なウエートが置かれなければならない、私もそういうふうに思うわけであります。  そこで、最近では、二月の二十九日でありますか、八丈島付近に起こった地震、これは東京都内においても震度四でありますか、私も当時こちらにおりました関係で相当はだ身に感じたわけでありますが、こういうような問題について、具体的に地震予知ということで、この八丈島の地震に対してはどういうふうな予知をされたのか、その辺の状況をひとつ具体的に御説明いただければと思うのであります。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 現在地震予知はもっぱらまず陸からということで陸の観測を主にいたしてやっておりまして、したがって、八丈島につきましては、あの地域に対する地震の予知という立場からは、何もまだ事前の観測はいたしておらなかったわけでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 まあ近々にありましたそういう地震関係でありますが、先ほどのお話でありましても、四十四年から連絡会ができまして相当な資料を収集され、それに対して研究が大いに進められている。やはり私たち国民は、地震に対しては非常に学術的といいますか、技術的といいますか、知識は乏しいわけでして、それに依存しているところが非常に大きいわけであります。  そこで、先ほど先生からわれわれに対する一つの要望といいますか、提案もございました。非常に連絡会は弱体である、命令できる権限がないので、いわゆる協力要請だけである、こういうお話でございました。そこで、研究にしても、研究依頼にしても、いなと言われればどうしようもないというようなお話もございましたが、その協力方式というものを具体的にどういうふうに改めていくべきなのか、その点の具体的な御提案をひとついただきたいと思うわけであります。  それと、先ほど御質問申し上げましたいわゆる予知の問題についても、まあこれはいつ起こってくるかわからぬわけでありますから、絶えずその点の研究はなさっていらっしゃると思うのですけれども、大体この間の八丈島の地震につきましても、その後のアンケート調査によりましたならば、相当それに対する対応処置というものがとられているようなアンケートがここに一つ出ているわけですね。そういうことは、やはり具体的に住民が地震に対しての認識を高めてきていることであろうと私は思います。しかしながら、幾ら認識を高めたとしても、やはり総合的な行政というもの、あるいは対策というものが立てられなければ災害というものは防止することはできないわけでありますから、そういう意味におきまして、もう少し具体的に地震の予知のあり方といいますか、あるいは将来そういったものに対して、はたして予知というものは可能なのかどうか、率直にいいますと、そういう点について端的にひとつお答えいただきたい。また、可能であるということになれば、それに対する研究費だとか予算だとか——災害が起こりましてからあとの対策、対策ということはよく叫ばれるし、それに対する処置は当然のことながらしなければなりませんが、予知され、未然に防止する防災という面に相当経費がかかったとしても、現実に起こった災害を処置することから考えれば、たとえそれが非常に大きな金額でありましょうとも、相相有効であることは間違いないと思うわけであります。その点に対しても、この予知に対する研究というものはより具体的でなければなりませんが、しかし、あくまでもこれは未知数のものであるということだけではなくて、今日の科学技術を動員していけば、ある程度的確にその点が予知できる段階が来れるものかどうかということですね。その点をひとつ少し具体的に御説明いただければと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 連絡会の問題でございますが、これは、どういうふうにすればいいかという具体的な案はまだあるわけではございません。ただ、もう少しいわゆる公式の委員会にすればより強力になるだろうということは考えております。ただ一方、連絡会だけ強力になりましても、観測体制のほうが伴っていかなければ何にもならないわけでございます。  それと、まず観測を強化していくということが同時に必要になると思いますが、さしあたって、先ほど申しました精密距離測定を主体とした測量、国土地理院の測量を強化するということ、それから科学技術庁国立防災科学技術センター、これをもっと強力にするということですね。研究費だけでなく、スタッフもそろえてもっと地震の予知に関することをやっていただきたいということ、それと東京大学地震研究所の強化、これは大学内で強化ということはむずかしいでしょう。適当な方法によって強化する。先ほども申し上げましたが、地震予知のいわゆる長期予報、マグニチュード七、新潟地震程度の地震については、現在の方法を進めていく、つまり現在行なっていることがもう少し整備されていけばできる、こういうふうに考えております。それでよろしゅうございましょうか。

広沢直樹公明党

○広沢委員 私がいま申し上げようとしたことは、第一点は、御存じのように八丈島におけるああいう地震が相当強度なものであったし、われわれ東京におる者についても、非常にそれは突然のことのように驚いたような次第なんです。ですから、そういう面についても、もう相当御研究を進めていらっしゃいますし、その第一人者でいらっしゃいます萩原先生に予知ができたものかどうかということを伺ったわけですが、なかなかそういうことはむずかしい段階であるとするならば、よりその地震予知に対する研究を援助していかなければなりませんし、また、先ほど申し上げましたように、国民は、それに対する非常な関心というか、依存しているというか、たよっているわけですね。そういう面にかけてはウエートは非常に重かろうと思うわけであります。  そこで、先ほどの先生の御意見は、協力方式であるのか、あるいはある程度権限を持った体制にしなければならないものか、そういうことも当然検討されなければならないでありましょう。しかし、これは研究のことですから結論は先に出すわけにいかぬのかもしれませんけれども、将来、現在の科学技術で予知できる、マグニチュード七以上であれば長期的な計画で考えられるということでありますから、そのお答えでも、別にできるとかできぬとか、はっきりここで断言してほしいという意味ではありませんが、その点がある程度明確でないと、それに非常にウエートがかかっている今日でありますので、お伺いしたわけであります。  なお加えて、この地震の予知に関しては、先ほどもどなたかおっしゃっておられましたように六十九年周期説というのがございますし、あるいはそうではないという方の御意見もあるようでありますし、あるいはまた、地震を予知するにしましても、同じ東大研究所の中の方の御意見でも、あるいは和歌山県のほうに相当小さい地震ですか、そういうものがひんぱんに起こってくる場合は、関東方面において大きな地震が起こるという御研究をなさっていらっしゃる方もおられるわけですね。そういうふうに研究段階ですから非常にまちまちな御意見もおありであろうと思われますけれども、やはりその点を何か一本化して、集約された一つの意見として、連絡会というものがあると思いますから、そういう面に関してはどういうふうにお考えになっているか。いわゆる周期説とかいろいろなことがございますが、その点の御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 先ほどから、現在の方法を推し進めていけばマグニチュード七程度の長期的な予報はできるということを申し上げました。ただ、それはいろいろ段階がございまして、たとえば、あるところで地震が非常に起こりそうだというような場所をまず見つけて、そこにいろいろな種類の観測を集中するということが必要でございます。したがって、八丈島のような場合は、まだそういうことができない。何の観測もその付近でないわけでございますから、あの地震を予知することはできなかったわけでございます。ただ、陸あるいは陸に近い海の中で起こる地震について観測を十分にすればできる確信を持っているということでございます。  次に 例の河角先生の六十九年説でございますが、これは、河角先生の六十九年という数字が出ましたのは、いろいろ昔からぽつんぽつんとある間隔を置いて地震が起こっておりますが、これを統計的手段によって六十九という数字を出されたわけでございます。ただ、六十九年というのは、鎌倉における強震——鎌倉は歴史が古くて、鎌倉幕府というものがありましたから、それで、ただ鎌倉の大仏様を復興させるというときに河角先生が依頼を受けてお調べになって、そうして六十九という数字が出てまいりました。  それで、そういう統計的の手段でそういう数字を出しましたときに、それがはたして偶然であるか偶然でないかというようないわゆる検定方法がありますが、そういうところで九九・何%というような数字ができている。それがいろいろ混同されて伝わっているようでございます。ですから、鎌倉の強震なんでございます。強震というのは屋根がわらが落ちて壁が落ちれば、家はつぶれなくても強震でございます。ですから、それとその九九・何がしといういわゆる統計上の検定法ということばを使っておりますそれに出てきた数字、そういうものが一緒になって、関東大地震が六十九年目に九九・何%の確率で起こるというようにとられております。それと、河角先生と同じような方法を東京の強震について行なった人がございます。そうしますと三十六年という値が、全く同じ方法で東京については出ております。  それで、その六十九という数字が、これは学会の問題でございますが、いろいろそれはいわゆる検定法が悪いので、それは偶然でもそのくらいの六十九というような数字が出ることもある。そういったような考えを持っている人もおります。その六十九という数字につきましては、学会的な問題になりますが、いろいろと批判もあるわけでございます。ただ、しかし、地震の昔からの記録を紙の上に点をつけていきますと、大体七十年とか八十年とか、そのくらいたてば起こっているわけです。ですから、だれもがその周期を否定しているわけじゃない。とにかく周期らしいものがある。ただし、その周期はあるけれども、五十年で起こるかもしれないし、六十年かもしれないし、八十年かもしれない。その程度の周期、繰り返しで、周期という名前が当たらないかもしれませんが、そういう考えはだれもが持っておるようでございます。  そういうわけで、いろいろこの河角先生の六十九年ということに対しては反対の方は非常に多いのでありますが、それではかりに河角先生の説がいまだめだといたしますと、そうしたら地震はなくなるのかというとそうではなくて、大体あれは偶発性のものが入るとかいろいろなことになってまいりますと、もっとひんぱんに地震が起こるといいますか、地震はいつ起こるかわからない、あす起こるかもしれないということで問題は決して甘くならないでからくなるわけであります。

広沢直樹公明党

○広沢委員 もう時間がありませんが、いま先生からいろいろお話がありました。少なくともやはり地震に対しては短期的な見通しというお話もございましたが、新聞を見ましても、あるいはいろいろな人の御意見を伺っておりましても、大体短期的といいましても一カ月前後で起こりそうだというある程度的確な予知ができるんじゃないかという意見も相当出ているようであります。そういうことになりますと、非常にいま心配されている災害も最小限度に食いとめることもできるのじゃないか、このように思います。  地震の予知についてがんばっていらっしゃる皆さんの御意見を伺いました。今後も、私たちも御協力を申し上げ、またがんばっていきたいと思っておりますけれども、よろしくこの点を御要望申し上げておきたいと思います。  それから最後に中野先生から防災に対するお話がございましたが、最近、御存じのように、住みよい環境づくりだとか都市づくりだとかいわれておりますが、防災を基本に置いた都市づくりじゃないと、どんな住みよい環境も災害において一瞬にして阿鼻叫喚のちまたになるのじゃないか、こういうことが心配されているわけであります。それについても、先ほどちょっと申し上げましたとおり、先刻の地震についてもアンケート調査によれば相当関心度が高まっておりますが、私は、やはり現在いろいろな御意見を承った中で、防災に対する教育の問題といいますか、これがもう少し徹底していけば、近々にかりにあったとしても相当防げるのじゃないかということを考えているわけです。その点について、九月一日が防災の日といいますか、これは全体の防災の問題ですけれども、単なる地震だけじゃありませんけれども、そういう観点から防災ということでいまお話を伺いましたので、なおかつそういう教育というか住民意識の向上というか、そういう面に関して御意見がございましたらひとつお聞かせいただきまして、終わりにしたいと思います。

中野尊正東京都立大学教授

○中野参考人 お答えいたします。  実は防災でわれわれ対応する対応のしかたというものは、分けますと、技術的な対応とそれから教育訓練によって対応するものと二つになるのですね。ですから、技術的なものは行政にかかわり、あるいは政治にかかわる。教育もまたその行政、政治にかかわるわけですけれども、個々の人が対応する一番のきめ手になるのは実は教育訓練なんです。これは職場においてもそうです。それから原子力発電が問題になりましたけれども、そういう危険物を扱うところにおいてもそうなんです。そういう点では、実は防災の基本に教育訓練あるいは行政担当者の研修、そういうものをぜひ重視していただきたい。これは私常日ごろ考えておることでございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 けっこうです。

高田富之日本社会党

○高田委員長 小宮武喜君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 ただいま三名の先生方からいろいろ意見をお聞きしまして、その上に立ってわれわれとしても各関係省庁に対していろいろ質問がございますが、時間もございませんので先生方に限って質問をしてみたいと思います。  その中で特に、地震があった場合に建物がこわれると、そのためにまた火災が起きる。いままでの関東大震災の結果を見ても、また新潟震災を見ても、建物の倒壊による死傷者よりはむしろ火災による死傷者のほうが数多く出ておるということは、これはもう統計上明らかなんです。その意味で、われわれも、震災が発生した場合に建物の倒壊だとか火災を防ぐとか、もちろんこういうような対策は必要でありますけれども、こういった問題を一〇〇%完全に防止するということは不可能に近いことでないのか、むしろわれわれの震災に対しての焦点、重点というのはいかに死傷者を出さないようにするか、これがまず第一でなかろうかというふうに考えます。その意味から見て、地震の予知が正確にできるのかどうか、その確率はどうかということが私はやはり一番中心にならざるを得ないと思うのです。  その意味で萩原先生にお尋ねしますが、先ほどからのいろいろ質問の中で、地震を予知する可能性の問題がいまいろいろ質問が出ておりましたか、私は、いま皆さん方が、萩原先生あたりが研究されておる地震予知の問題については、予知することが可能かどうかの模索の研究段階よりは、むしろ可能だという前提に立って、その予知の確率をいかに高めるかということの研究に重点が置かれておるのじゃないかというふうに考えるのです。その意味で、いまの研究のあり方というのは、ただ地震予知が可能かどうかという問題よりは、可能だという前提に立って、それをいかに確率を高めていくかということに研究の主眼が置かれておるというふうに私、理解しておるのですが、その点いかがでしょうか。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 おっしゃるとおりでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それではその場合、もちろん確率を高めるためには、いまいろいろ言われたように、たとえば第三次計画をどうするのか、あるいはいま言われたような連絡会議の拡充強化をどうするのか、あるいは予算の増額の問題、あるいは入沢先生が言われたように、研究するにしても国の補助が二、三年で打ち切られるという問題、こういった国の補助の問題、予算の増額の問題、そういったあり方の問題については、われわれもまた別の機会に各関係省庁には質問したいと思いますけれども、その場合一番大事なのは、いかに早く予知できるかどうかということが、人を避難させて、死傷者を防ぐという立場から見れば、一番また重点になってくるわけでしょうが、いま言うように、可能性の問題よりはむしろ確率をいかに高めるかということでやっておるのだということでございますので、いまのところ、もちろんそういうような地殻変動観測所あるいは地震活動観測所、こういったものが、もし先生が思っておるように、先生が希望するように完全にできた場合は、地震予知の確率というものは一〇〇%いくものでしょうか、どうでしょうか。これはぶしつけな質問で非常に恐縮ですが……。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 地震の長期予報と短期予報ということを申し上げましたが、われわれの立場から申しますと、長期予報のほうが楽なんです。楽といいますか、短期予報がむずかしいのであります。よく地震を一分前に知らせてくれればこれだけの手段をやって安全にしてみせます、そういうことをいわれるのですが、その一分前に警報を出すということが非常にむずかしいわけです。それよりも、二、三年前に地震の起こる可能性が非常にふえた、確率がふえたということを予報するほうがむしろ現在では楽なわけでございまして、つまり長期予報については、相当に大きい地震については相当の確率で、現在の方法で進めていくことができるというふうに思っておるのです。  ただ、そういう警報なり予報について一〇〇%というのはなかなかむずかしいので、一般に八〇%できれば非常にいい。たとえば浅間の火山の噴火のようなものは非常によく予報ができるように思われておりますが、実際に厳密にやりますとやはり八〇%だそうでございます。ただ、いわゆるすぐ直前の短期予報でございますね、これは非常に必要だと思いますが、こういう方法をとればやれるだろうという考えは持っております。これはこれからますますいろいろそういったものの計器等については開発を行なっていかなければならない段階である。それから相当の年月がかかるし、また相当なお金もかかるのではないかと思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私が一番聞きたいのは、やはり長期予報よりは短期予報を聞きたいのです。特にそれは、一分前といってもこれは無理でしょうが、たとえば十二時間前とか一日前とか、あるいは最低六時間前とか、そういうようなことでもわかれば、その間に緊急に避難させるとか、やはり避難をさせるための時間的な余裕があるような前にその予知ができれば、これは非常に死傷者を出さずに済むし、ぜひそこまでいってもらいたい。そのために、先生も言われておるように、こういうようなことをすれば非常に早く短期予報も確率が高くなるというような話もちょっとありましたので、そういうような意味では、われわれも、これは先生方の御意見を聞いて、やはり各関係省庁関係者に対してはいろんな手を打っていきたいと思いますが、そういった意味で、先生、どうでしょうか、これは率直に質問して、一分というそういうような極端な時間じゃなくて、たとえば一日前とか何時間か前とかということは、先生が言うような設備いろいろな問題を含めてやる場合に、大体可能でしょうか、どうでしょうか。

萩原尊禮東京大学名誉教授

○萩原参考人 私は可能だと思います。そういう幾つかの例が過去にございます。それにはまず長期予報で地震の起こりそうなところを見つけるということが大事で、そこに非常にお金をかけていろいろな観測を集中する。そうすればできるだろうと思っております。  たとえば、東海地方のお話がさっき出ましたが、たとえば東海道新幹線ですね。非常なスピードで走っている。あれを地震が来てからとめたのではなかなか間に合わない。どうしても何時間前とか何日か前にわからなければ……。そういった、どうしても少し前に警報を出さなくてはなかなか災害を防げないという種類のものがたくさんあると思う。たとえば東海地方としたら、一案といたしましては、二十キロおきぐらいに百メートルか二百メートルの井戸を掘って、そこへずっと計器を入れる。一カ所だけですと、何かの拍子で間違ったシグナルが来たときに警報を出すと、それによる被害も非常に大きくなる。そういうふうに数でこなして、傾斜計とか、圧力計とか、微小地震計とか、そういうものを非常にたくさんの点々に置いて、しかもそれを一カ所に持ってきて記録できるようにしておけば短期予報も可能であろう、そういうふうに私は考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 先生、実をいえば衆議院でも参議院でも、地震に際してひとつ避難訓練をやろうじゃないかという話すらいまでも持ち上がっているわけです。としますと、避難場所の問題です。避難場所としての条件ですね。たとえば、単なる広っぱがあるとか単なる公園があるとかいうような問題じゃなくて、私は、たとえば明治神宮だとか、いろいろな広っぱで樹木のはえておるところ、そういうようなところがやはり避難場所として一番適当ではなかろうかというふうに考えるのですが、先生が見た場合、もし地震が発生をした場合に避難する場所の、そういうような意味から見ての条件、たとえばそこへ建物が倒れてきて、避難してもそこで死んでしまう、またその避難しておる場所自身が地殻変動を起こしたということになれば、避難した先でまた死傷が出るということになれば、これは非常におかしな問題ですから、そういった意味で、われわれが今後取り組む場合に避難場所、たとえば東京都なら東京都を見た場合に、避難場所という条件ですね。たとえば高層建築物からどれくらい離れておるとか、これだけのエリアがあればそこに何名ぐらい収容できるとか、そういった避難場所という条件の問題について、ひとつ最後にお聞きしたいと思います。

入沢恒横浜国立大学教授

○入沢参考人 避難場所の条件でございますが、まず空地が必要でございます。空地の算定によりますと、一人当たり二平方メートルあれば大体何とか余裕があるんじゃなかろうかということでございます。それから単なる空地では周辺が火災で燃えた場合非常に困りますので、普通計算いたしますと、周辺が木造市街地の場合は、木造市街地の端から三百メートル以内は大体危険だろう、やはり火の粉をかぶりましたり、輻射熱がありまして。ですから、たとえば相当広場がありましても、周辺三百メートルの中はやはりあぶない。ですから、三百メートルさらに外のほうにいれば、何とか熱から助かるだろう。そう考えますと、周辺に高い樹木がありましたり、高い建築物がございますと、熱を防ぐ、火炎を防ぐということから安全でございます。ですから、たとえばこの霞が関あたりは、直接建築物の真下ですとガラスの破片とかございますが、ガラスの破片はそうは飛びませんで、まあ二十メートル離れればだいじょうぶでございますが、こういった霞が関とか丸の内あたりは全部耐火建築ですから、少し建物から離れればだいじょうぶということであります。

小宮武喜民社党

○小宮委員 いろいろ先生方にも、今後ともひとつ研究を続けていただきますように、われわれとしても、できるだけのことをしてお助けしたい。特に地震予知の問題については、やはり完全予知、前ぶれの予知ができるように、萩原先生あたりの御研究をぜひひとつ進めていただきたいのです。また、国としても、われわれとしても、全面的に協力させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

高田富之日本社会党

○高田委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終わりました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)      ————◇—————

高田富之日本社会党

○高田委員長 次に、昭和四十七年五月上旬の降霜による災害対策について調査を進めます。  まず、被害状況等について、政府当局から説明を聴取いたします。農林大臣官房参事官大河原太一郎君。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 五月初旬の降霜被害につきまして御報告を申し上げます。  五月一日から二日にかけまして、日本海から三陸に抜けました低気圧のあとを追いまして、寒冷な高気圧が西日本から本州の中部をおおいまして、このため、五月三日早朝には、中部山岳方面から関東、東北地方南部にかけまして、各地とも気温が異常に下がりまして、晩霜により桑、果樹、これはリンゴ、ナシ等でございますが、茶、野菜などに相当の被害が発生したわけでございます。  ただいま被害額は逐次増加をしておりますが、十日現在、農林省といたしまして県報告をまとめたところによりますと、総額九十四億二千万円ということに相なっております。そのうちおもなものは、桑が最も大きく約四十五億、果樹が十五億、工芸作物、主として茶でございますが、若干その他たばこが入っておりますが、二十八億九千万円、それから野菜が十二億一千万円等々でございます。  このような被害が発生したわけでございますが、かねてから農林省といたしましても、本年の気象状況が、非常に災害が多発いたしました昨年と同様な気象のようであるというような気象庁の長期予報もございましたので、これに伴う技術指導を暖候期六カ月間の期間及び四月に出ました三カ月の長期予報に即しまして行なったところでございますが、被害が発生いたしましたので、五月の六日から十一日にかけまして、被害の大きな群馬、埼玉、長野、静岡、茨城等諸県に対しましては、今回の被害を受けました作物を所掌いたします蚕糸園芸局から、関係課長をそれぞれ現地の実態の調査及び事後の技術指導として派遣しておるわけでございます。  なお、これからもいろいろ御質疑等があるかと思いますが、農業共済金の早期の支払い等の問題もございますので、農林経済局におきましても、近々担当官を現地に派遣いたしまして、早期の査定、早期の支払いというような準備に対応するよう急いでおるわけでございます。  この対策につきましては、従来の災害対策と同様に、農林省の統計調査部においてただいま被害調査を急いでおりまして、早急に被害調査をまとめまして所要の措置を講じたいというふうにして、現段階で進めておるわけでございます。

高田富之日本社会党

○高田委員長 これにて政府当局からの説明は終わりました。

高田富之日本社会党

○高田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。羽田孜君。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 ただいま政府委員の方からいろいろとこまかく御報告があったわけでございますけれども、ちょうど連休の中日でございますか、襲いました凍霜害、この被害というものは、ほんとうにいま御説明のとおり非常に規模の大きいものでございまして、いまこちらにいただいております資料を拝見いたしましても、東北から関東甲信越、そして関西にまで及ぶ非常に大きな被害であったわけでございます。   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕  そしてその被害総額も、いまお話しのように九十四億からということでございますけれども、これから徐々に、こういった被害のあらわれてまいりますのは、また日にちが相当たちませんと出てこない問題なんかもあるようでございますので、そういったことで、これは百億をこすのではないかということが予測されるわけでございます。  そしてその被害対象も、いまお話しのように、ナシですとか桃、ブドウあるいはクルミ、桑、たばこ、アスパラガス、ジャガイモ、お茶、そしてリンゴなんかまだまだ被害状況はわからないようでございますが、リンゴも相当大きく被害を受けておるのじゃないかということがいわれておるわけでございます。  そしてこれは私自分の長野県でございますが、この県一つ見たときにも、いままで近年におきましては全県が一ぺんにやられるということはなかったわけでございまして、やはり今度の凍霜害というのは非常に異常なものであるということを思わされます。そして気温の最低の温度なんかを見ましても、地区によっては零下四度まで落ちておるというようなことで、非常に被害を大きくしたわけでございます。そしてちょうどこの時期といいますか、ことしは非常にあたたかい日が続いたものでございまして、平年より多少早く開花があったり、あるいは芽ぶきがあったり、またあるいはナシなんかはもう落花まであったという、ちょうど悪い時期に花が開いたり、芽ぶきがあったということで、ますますもって被害というものを大きくしたんじゃないか、こんなふうに私見ておるわけでございます。  いまこれに対する予報というようなことも、農林省あるいは気象庁と連絡をとり合ってやっておるというお話がございました。ちょうどこの前の委員会でも地震に対する予知という問題で論議がかわされたわけでございますが、自然災害に対する予測、予知というものは非常にむずかしいわけでございます。しかし、この予測というものが的確に行なわれ、また、それに基づきましてその指導というものが徹底して行なわれたならば、やはりこの災害の被害というものは非常に少なく済んだんじゃないかと思われるわけでございまして、いま一応長期的な予報についてお話があったわけでございますけれども、この三日の日に対する予報、そして次は農林省でございますけれども、具体的な災害を避けるための措置というものはどんなふうな御指導をなさっておるか、この点ちょっとお聞きしたいと思います。

越智彊気象庁予報部予報課主任予報官

○越智説明員 お答え申し上げます。  三日の朝を中心といたします大きな降霜につきましては、気象庁のほうでは、まず霜注意報というものが二日の夕方から出されております。大体十七県くらいにかなり霜がおりたわけでございますが、気象庁のほうでは、十六の県の気象台から霜注意報が、一番早いのは十六時〇〇分、それから一番おそいのは二十時四十分、その間に大体出されております。たとえば、長野県は非常に被害が大きかったのですけれども、長野県の場合は十八時三十分に霜注意報が出されております。それから前橋の気象台では十七時三十分、これは群馬県です。そのほか、岐阜などでは十六時〇〇分、こういうふうにして大体十七時から十八時ごろに出されております。これはNHKとか民放のルートによって放送されておりますし、またそういったほうじゃなくて、直接農家に行き渡るように気象台と県の農林部との間に、各県によって違いますけれども、たとえば長野県の場合ですと、農業気象協議会という場を通じまして、これが一たん県の窓口であります消防防災課にまず行きます。そうしますと、そこから県の農政課へ参ります。県の農政課から各地方事務所の農政課、さらにそこから各市町村に参りまして、それから有線放送によって農協とか各農家末端まで行き渡るように通知されております。これにつきましては、かなり時間がかかる場合もございますけれども、大体いままでのところでは、こういったものはチェックが行なわれておりまして、平均して約三十分で気象台が発表してから末端までは届くようでございます。早いときは二十分、おそいときは長野県のような大きな県では一時間という点検の結果もございますけれども、平均して三十分、そういうふうにして一応今回の場合は注意報というものは大体出されております。  そのほか、大体こういうような晩霜時期になりますと、各県気象台では晩霜予報というのを実施しています。これは作物の生育過程によりまして多少時期が違いますけれども、たとえば長野県の場合では、四月十五日から五月末日まで晩霜予報というものを毎晩十八時に出します。これはたとえばいまの晩霜予報の場合ですと、あしたどの辺に霜がおりますとか、そういうもののほかに、五地区に分けました最低気温予想なんかもつけまして発表されております。そのほか、夕方の天気予報でも、あすは霜がおりますというのを晴れの予報のあとにつけるとか、またそのほかに、長期予報などでも四月十日と二十日の間に注意されておったわけでございますけれども、一応三日の霜につきましては、気象台のとった措置は以上でございます。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 ただいま気象庁のほうからお話があったとおりでございまして、今回の凍霜害につきましても、五月二日の夕刻、それぞれの各関係県におきましては晩霜の警報が出まして、農林関係におきましても、技術指導所管部課を通じまして、出先機関なり農協あるいは町村に流したというふうに承知しております。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 あと同僚議員からも数人質問者がありますので、簡単に申し上げますから、また端的にひとつお答えをいただきたいということをお願い申し上げます。  いま大河原参事官のほうから被害額の一応の想定といいますか、九十四億円というようなお話があったわけでございますけれども、いつもここで論議されるのは、その額が、たとえば政府で調べたもの、あるいは県で調べたもの、そうして市町村から出てきたもの、農協から出てきたもの、それぞれが非常に違いまして、ひどいときなんかですと、倍ぐらい違うというようなことがしばしばあるわけでございますけれども、こういった問題というものを解決するのには、ただその時点で調べるというより、今度のような非常に大きな規模の災害が起こった、こういった機会に、たとえば、これからの回復の状態ですとか、あるいはまた収穫の時期、こういったものを追跡調査しまして、それによってこれからの算定基準というようなもののはっきりとしたものをつくり上げる必要があるのじゃないか、こんなふうに考えるわけでございますけれども、こういったことはいままでなさっていたのかどうか。そうしてこういったほうが適切かどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 時間の関係がございますので簡単にお答え申し上げますが、実は戦後におきましても、二十年代になり三十年代の初めにおきましては、県の報告と統計調査部の報告は、農林省関係としては非常に食い違っておるというような事態がしばしばございましたが、その後、統計調査部の被害調査のルール等もだんだん固まりましたし、県段階におきましても被害調査のルール等が確立してまいりまして、おおよその被害等については、先生ただいま御指摘のような遺憾な事態は、最近においてはわれわれはあまり経験しておりません。  ただ、たとえば昨年、先生御案内のとおり、北海道の飼料作物の質の低下とか、なかなか評価技術上むずかしい等の問題がございまして、それらを逐次克服していくというようなことがわれわれの課題になっておりますが、しかしなおケースによりましては相当食い違う場合もあります。それは災害の時点のとり方とか、それから重複災害の場合の過去の災害と今回の災害を一緒に見るとか、いろいろ実は損害評価技術上のむずかしい問題がございますが、御指摘の点につきましては今後努力を続けたいと思います。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 ともかくできるだけそういったすれ違いがないような査定というものをあれしていただく、そうしてやはりすみやかにやっていただくということが一番大事だと思いますので、ぜひともそのようにお願い申し上げたいと思います。  そうして今度の災害は非常に大きかったわけでございますけれども、それに対しまして各県、こちらのほうにも陳情書、要望書等が参っておりますけれども、天災融資法の適用をされたい、また特に大きな被害地域に対しまして激甚地指定というものをいただきたいということの依頼が各役所のほうにも参っておると思うわけでございますけれども、今度の災害に対して一体どのような御処置をとられるか、いまわかっている範囲、また予測できる範囲でお答えいただきたいと思います。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの被害状況の報告でも申し上げましたが、ただいま農林省の統計調査部において、末端を動員いたしまして被害調査を実施中でございます。凍霜害の被害の性格から、若干日を置いて調査をいたしませんと被害がわからぬというような点も技術上あるようでございますが、いずれにいたしましても、被害農家の立場を考えたり、現地の立場を考えますと、早急に被害調査を実施したいというふうに考えておりまして、毎度当委員会においても申し上げておりますように、統計の被害調査が固まりました段階におきまして、災害対策の一つの大きな柱であります天災融資法の発動につきましても早急に検討いたしたいというように考えております。  それから特別被害農業地域の指定等も、それと並行して当然考えていきたいというように考えております。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 引き続きまして、これは昭和三十九年ごろまではこういった方法というのがとられたように私、記憶しておるわけでございますけれども、いわゆる追肥のための補助ですとか、あるいは機械類ですとか、あるいは防除薬ですとか、そういったものに対する補助、こういったこまかい補助というものは、政府のほうとしては一応打ち切るということで、最近はないように記憶しておるわけでございます。しかし、県によりましては、それぞれ総合助成というような形で、たとえば長野県なんかの場合には、被害総額の百分の一あるいは百分の一・五というものを市町村に対しまして、特別なこれとこれというようなひもつきじゃなくて、被害総額に対して補助というような形をとっておるわけでございますけれども、非常に窮迫しております農家にとりましては、国から多少なりともやはりそういったものがあれされることによって勇気というようなものも非常によく喚起するんじゃないかと思いますけれども、今後こういったものをまた復活するようなお考えはないかどうか、また、それがない場合にどういう方法を講じていくか、そういった問題についてお聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  お話しのとおり、過去におきましては、凍霜害については樹勢回復用の肥料とか農薬等の助成をした例がございます。最近におきましては三十九年でございます。実はこれにつきましては、ほんとうに困窮した農家に対しての援助については万般の措置を講ずるということは当然でございますが、金額が十アール当たり数百円というような補助金額になると、あるいは使途の確認が実はなかなかむずかしいというような問題がございまして、会計検査その他経理上いろいろ問題もある。したがいまして、われわれのほうといたしましては、これは営農資材でございますので、天災融資法その他資金融資措置を十分に手当ていたしまして、なお必要がある場合においては県等の御判断で弾力的な助成をしていただくということで、災害に伴いますただいまの御指摘の助成というものは、ある程度体系的にそういう方向に動いておりますので、今回もそのような措置をとらしていただきたいというふうに考えております。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 いまのお話の中にも含まれておるわけでございますけれども、それにかわる措置といたしまして、農業近代化資金ですとか、あるいは農業改良資金、そういったものにつきまして特別の御配慮をいただきたいということを要望したい。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕  また、特別な地域に対しましては、これは自治省のほうの管轄になるわけでございますけれども、特別交付金というようなものにつきましてひとつ特に拡大していただきたいということを要望したいと思うわけでございます。これはお答えは特に必要ございません。  そして、先ほど大河原参事官のお話の中にも、いわゆる農業共済金というようなものも早期に支払うように考えたいというお話があったわけでございますけれども、その中の特に今度の場合、桑が非常に大きなあれをやられておるわけです。この間、生糸の輸入ということによって非常に生糸が安値になったということで、農家がだいぶ困窮しておるということで、そのための法律をつくったわけでございますけれども、今度は自然災害によってまたダブルパンチをくらっておるというようなことでございますので、蚕繭共済金、こういったものもすみやかにひとつ交付されますようにこの機会に御要望申し上げておきます。  続いて、これははたしてここですることがよろしいかどうかということなんでございますけれども、あるいはこの直接の関係じゃないとも思うわけですけれども、いわゆる蚕種、蚕の種でございますね。これの製造が、一応予想需要というものによりましてどんどんされておるわけでございますけれども、それが今度の凍霜害によりましてこの時期がずれてしまう、そのために催青の終わったものについては捨てなければならぬというようなことで、非常に製造業者が困っておるというのが実情でございます。特にこの二、三年来生糸の安値というような問題あるいは昨年の凍霜害、そういったことで非常に弱ってきているところへもってきて、また今度も非常に大きいということでございます。  いま私ちょっと長野県のあれで調べたのでございますけれども、いわゆる長野県で産出されます普通蚕種でございますけれども、これが百三十五万五千箱だそうでございます。そしてこれは全国が四百三十三万二千箱ということで、全国のおよそ三一・三%というものを長野県で蚕の種をつくっておるということでございます。そしてこの中で——一応いまちょっとその前のあれを取り消しますけれども、ことしの需要予想によりましてあれしましたのが十三万九千箱ということだそうでございます。それに対して今度被害を受けたのが四万四千箱ということは、およそ三一・五%というものが損失になっておる、そしてこれを金額に直しますと七千四百八十万円くらいの損失になるんだそうでございます。そして催青料あるいは保管料その他いろんな費用というものを含みますと一億円くらいになるということです。そして、これをつくっております種屋さんといいますか、昔は種屋といったわけでございますけれども、最近では、この専業の者のいわゆる協業組合ですとかあるいは協同組合、そして株式会社、こういったものがありまして、長野県の場合に九つのものがあるわけでございます。これでほとんど八三%のものをつくっているそうでございます。そしてこの分野というものは非常に合理化がおくれている分野でございまして、今度のように被害が大きな額になりますとどうにもやっていけないというような実情がございまして、何かそれに対します補助あるいは援助あるいは融資あるいは金融というものが考えられないかというような要望は非常に強いようでございます。それに対して、はたしてこれは農林省の管轄になるのかどこの管轄になるのか、ちょっと私も理解できないのですけれども、これに対するお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 突然のお話でございますが、確かに凍霜害で桑が被害を受け掃き立て不能になりまして蚕種について非常に影響があるということはお話のとおりかと思いますので、早急にその実情については調査しなければならないというように考えますが、蚕種は農林省の蚕糸園芸局の所管でございまして、まあ蚕種業について農協法に基づく農協等がこれを行なっておる場合においては、天災融資法等の事業資金というものについての検討がなされ得るはずだというふうに私承知しておりますし、その他個人業者については、これは中小企業金融というような問題になるかと思いますが、いずれにいたしましても、その御指摘の打撃の受け方というような点については、原局を通じまして至急調査いたしまして検討を進めたいというように考えております。

羽田孜自由民主党

○羽田委員 いま御説明いただいたわけでございますけれども、ともかく養蚕業者にとりましても、この種屋さんがおかしくなりますと非常に大きな衝撃を受けるわけでございまして、この問題につきましてまたいろいろと御検討いただきたい、このようにお願い申し上げたいと思います。  ほかの委員がございますので、これで一応終わりたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田委員長 松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平委員 ただいまの御説明によって一応——この農林省で出しておる九十四億円の凍霜害の資料ですけれども、これは五月の初旬の凍霜害です。私のところへ各県から陳情書が出てきておりますが、その中で一つ、たとえば静岡県においては凍霜害で二十八億、こういう数字が出てきておるのです。これによりますと五億になってますけれども、それは四月二日の凍霜害と、それからたしか四月二日、四月十日、五月三日と三回にわたってのこの凍霜害の合計が二十八億という数字が出てきております。このいま農林省から出された統計は五月の初旬だけでありますけれども、いわゆる天災融資法とかあるいは激甚災害法とかの適用ということになりますと、前の四月の分も含めて全部の数字合計ということによってどの法律を適用するかということをきめるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  例を天災融資法にとりますと、これは同一天災ということに相なっております。先生御指摘のとおり、実は三月の末から四月上旬等にかけましても、南九州等を中心にいたしまして凍霜害がございました。これは金額として約五十億近い金でございますが、比較的広く浅かった、それから時期が早くて回復もあったというようなことがあったわけでございまして、これについては、地元側からの対策の要望もないままに今日に至ったわけでございます。よけいなことを申し上げて恐縮でございますが、お話のように、今度の五月二日から三日にかけましての凍霜害による被害につきまして、先ほど県報告に基づきまして御報告を申し上げた次第でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 くどいようですけれども、静岡県の場合におきましては、静岡県の県庁から代表が私のところへ来たのですが、そのときのいろいろな説明によりますと、四月二日、四月十日のほうがむしろお茶に対する凍霜害の被害が多かった、こういうことを言っておるし、また、事実統計から見ましても多いのですよ。したがって、静岡県に関する限りはやはり二十八億という被害額、これをもとにしての対策というものを講じなければならない、こういう考え方であるわけなんです。私は当然だろうと思います。  そういたしますと、五月初旬だけの凍霜害ではなくて、その前を全然農林省では問題にしなかったかもしれませんけれども、それらも含めての被害総額というものに見方を変えていって、そうして全体の立場から凍霜害対策というものを立てなければならないと思うのだけれども、その点はどうですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お話のとおり、静岡等におきましては、お茶の被害が先ほど申し上げましたように三月の末から四月の初めにかけてあったということは、われわれ被害直後におきましても、統計調査部の組織を通じまして承知しております。  繰り返すようでございますが、対策としては、過去にも、長雨とかあるいは台風とかいうような一連の災害につきましては、同一気象条件ということが明瞭な場合にはできるだけ関係県を救う、関係者を救うという意味で処置してまいりましたが、今回は、その時期と地域等につきまして、制度の発動については、御指摘の点については、これは必ずしも肯定的なお答えを申し上げるというような実態では、技術的に見てもないというふうに承知しておりますので、四月の被害自体について、どの程度の対策を要するかということについては、別途の問題として、これは非常に傷が深く被害も大きい五月の初旬のこの対策は対策で進めたいというふうなのが、ただいま私どもの考えておるところでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 くどいようですけれども、静岡県については二十八億の被害があって、五月の初旬は五億なんです。そうすると、二十三億というのはその前の被害なんです。その前の被害のほうが多いじゃないですか。それは別途に考えてやるのだというのは、一体どういうわけですか。それを何とかして救う道はないのかね。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 これはお話を申し上げますが、先ほど申し上げましたように、時期の問題といたしまして三月下旬から四月上旬、比較的早い時期で、その後の回復の問題という点もございますし、また、これにつきましては何ら措置をしないというわけではなくて、関係した被害農家に対しては、自作農資金等の一般維持資金とか、その他それぞれ現地と農家の資金需要に応じた措置もとられるということでございます。ただ、私どもが申し上げておりますのは、今回の災害と一括して処理することはむずかしい事情にあるということだけを申し上げておるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それでは、そういう場合には、いわゆる特別被害地域の指定ということを今回もやらなくちゃならぬと思うのですけれども、静岡県の場合は、今回の五億の凍霜害の被害をこうむったところだけに対して特別被害地域の地域指定をして、三月の下旬から四月の上旬にかけて被害をこうむったところについてはやらない、こういうことですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  特別被害地域という先生のお話でございましたが、これは天災融資法が発動された場合に、年間農業収入の五割以上の被害を受けた農家が相当数おる地域を地域指定して、これに対しては特別な低利の融資をするという制度でございます。したがいまして、これはお話しの一括すべきかどうかという御指摘の問題でもございますが、天災融資法の発動があった場合にその措置があるわけでございまして……

松平忠久日本社会党

○松平委員 そんなことはわかっておる。では、今度は天災融資法の発動はするのですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げますが、先ほど羽田委員の御質問にもございましたように、ただいま鋭意統計調査部の調査を急いでおりまして、被害の確定を待ってこの発動について検討いたしたいというふうな事態でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その被害額が全体で幾らになったらやるのですか。いつやるのですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 時期の問題と金額の問題でございますが、従来は、天災融資法の発動は約三十億以上の農業被害が国の調査として確定いたしますとこれを発動するということに相なっております。今回は、先ほどもちょっとよけいなことを申し上げましたが、凍霜害につきましては被害後若干の期間、そう多く置くわけではございませんが、その時点で技術的な調査をいたしましてまとめるということでございますが、通例の場合は約二週間くらいで調査を終えまして、直ちに政令発動の措置をとっております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それでは、今回の場合は、各県から出してきておるのが九十何億ということだが、これは農林省の統計調査部ですか、あの調査によってもそんなに変わらないと思う。したがって天災融資法は発動する、こういうことをたてまえにわれわれは考えておるわけだが、その場合に、いま申しましたように、静岡県については、今度の被害をこうむったところだけは安い利息でもって自作農資金、そういうものや借りることができるだろう、しかし、その他の、その前のやつは借りられない、そこにこういう不公平が起きるわけですね。それは何か解決方法はないのですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げますが、天災融資法の発動は、法律にも書いてございますように「国民経済」云々というようなこともありまして、これを一定の基準ということで、私ただいま申し上げましたように三十億というようなことでございまして、しかも同一天災ごとにこれを発動していくという立場でございます。  静岡の二十八億円ということにつきましては、われわれのほうの統計調査部の調査についてさらに精査をしなければならないわけでございますが、われわれがただいままで承知しておる限りにおきましては、比較的範囲は広いが深くなかったということの話を承知しておったわけでございまして、われわれもじんぜん時を送ったわけではございませんで、そういうことで、被害後約一カ月になりますが、格段の御要望も実はなかったわけでございます。したがいまして、この点についてはいろいろの御指摘もございますので、静岡の茶の被害につきましては、われわれのほうとしても早急に検討したいというふうに考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 検討したいというのはどういうことなんですか。それは、いまあなたが答えたところによると、三月の下旬から四月の上旬にかけたものは天災融資法は適用できないのだ、こういう前提に立っているでしょう。それじゃ低利の自作農資金の金を借りられないということになるわけなんですね、あなたのいままで言っているところによると。それを今度のやつと一緒にするとかなんとか、何かの関係によって前の被害者も今度の被害者も同じような立場にしなければおかしいじゃないかというのが、政治家としてのわれわれの立場なんです。その点についてはどういうことなんですか。もっとはっきり言えよ。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 繰り返して申し上げますが、被害農家に対する措置といたしましては、天災融資法等の系統資金の低利の資金以外にも自作農維持資金というものがございまして、天災融資法の発動の有無を待たずこれについては長期低利の資金を手当てしておるというような事情もございまして、また農家の資金需要というものもあるわけでございまして、そういうものを勘案いたしまして、その実情に即した処理をしていかなければいかぬ、また従来もしてまいったつもりでございますが、してまいりたいということに考えておるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それ以上聞いてもしようがないから、それはやめますが、激甚災害法の指定は、昭和四十四年の凍霜害はやった。あの基準と申しますか、あのときは百三十億くらいだったと思うのだけれども、今度は九十何億と一応出ているけれども、激甚災害法についていま羽田君が質問したのに対しては、あなたは激甚災害法の適用については答えなかった。これは適用はできない、こういうことですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  激甚災害法の先生御指摘の点につきましては、やはり最終被害金額は、国としての調査を確定いたしまして——これは先生御案内のように、指定基準がございまして、先生が問題になさっておりますのは天災融資法の激甚災適用問題でございますが、これにつきましては、四十七年度の推定の国全体の農業所得に対して、今回の被害がたとえばA級地で申しますと〇・五%、B級地になりますと〇・一五%以上であって、特別被害農業者の数が当該県の一定割合以上を占めるというような基準、そういう基準に当てはめまして発動の有無をきめるわけでございます。先ほどの羽田先生の御質問は、むしろ天災融資法体系の中におきます、先生御案内の特別被害農業者、三分の資金についての御指摘かと思いまして、これらについてお答え申し上げたわけでございますが、天災融資法に関する激甚災の適用問題は、その被害の確定を待って防災会議にかける問題でございますので、あれいたしたいというふうに考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それから共済の災害の保険ですね。あれをなるべく早く払ってもらいたい。概算払いということでありますが、大体いままでの例によりますと、払うのに災害が起こってから何カ月ぐらいかかりますか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  災害でも、非常に激甚の場合で、今回の場合で言うと、長野県等におきます掃き立て不能で春蚕は全部とれないということがはっきりした場合、そういう場合と、被害程度がそれほどではなくて、やはり保険の共済の責任期間が終わって払ってもらったほうがいいというようなことと、いろいろあるわけでございますが、先生の御指摘は、相当全損のものがある、掃き立て不能のものがあるから、早期の仮渡し——村の共済組合からいえば仮渡し、それから連合会からの保険金の仮渡し、それから国の再保険特別会計からの仮払いというようなものを早期にやれというようなことでございますが、国の段階までの金の手当てを待たないでも、一応つなぎで県段階でやるとかいろいろございますので、何カ月ということはケース・バイ・ケースというふうなことでございまして、ここで画一的な期限のことは申し上げかねるわけでございますが、今回の被害につきましては、先ほど報告でも御報告申し上げましたとおり、早急な損害評価、損害額の確定ということで関係局の担当官を現地に派遣いたしまして、支払いを早めたいというふうに考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 担当官を派遣して実際の被害調査をする、そういうことをやって保険金概算払いをする、こういうわけでありますが、日数はどのくらいかかるのですか。

川村文雄農林省農林経済局保険業務課長

○川村説明員 お答えいたします。  いままでの経験からいいますと、大体いまの掃き立て不能の分についての仮渡しは、七月の上旬をめどにして共済団体を督励しておるという状況でございます。なお、本払いにつきましては、さらに七月の下旬をめどにしております。  それから、これは各県の事情によって若干違うと思いますけれども、国の目標としては、過去の経験からいって、その辺が妥当なめどじゃなかろうかというふうに考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それから先ほどの三十九年以降なくなりましたいろいろな農薬だとか追肥だとかいうものの補助制度ですけれども、それはなくなったのでできないというお話がありましたが、そのときに各県等においていろいろ勘案して若干の措置をとるというようなお答えがあったわけです。それはいわゆる県単で指導してやらせる、こういう意味なんですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど羽田先生にもお答え申し上げましたとおり、個々の農家に助成いたします農薬なり肥料というようなものについては、金額は明細ではございませんし、使途の問題で、先生御案内のとおり、いままで非常に会計検査その他いろいろな問題がございまして、やはりこれは天災融資法の対象になる経営資金だから融資をやる、あるいはさらに困っておる方には自作農資金を融資するというような方向でやったわけでございます。ただ、各県とも、非常の場合には地元の実情に即して助成をしたいということで、災害関係の条例というか基準をつくっておりまして、農薬とか肥料等の助成をしておりますし、今回も、われわれ各県と連絡をとっておるところでは、その措置を講じたいというふうなことに相なっておるわけでございまして、まさに先生御指摘の県単でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その県単については、私ども長野県からの陳情書を見てもあるいは話を聞いても、県単でやるということをきめております。ですから、その程度のことはやるのじゃないかと思っておりますが、もう一つ伺いたいのは、それに関連して、昭和四十四年度ですか、それによりますと、凍霜害対策特別活動事業費というのがありまして、ことに桑の場合、養蚕農家の経営指導ということで産業技術員、これが朝晩働いている、過重な労働だということで、特別活動のためのいわゆる活動事業費というか、そういうもので補助金が農林省から出ておったわけだ。これがその後なくなったように私は見ておるのですが、これはどういうわけなんですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の補助金につきましては、まさにお話のとおり、養連の嘱託普及員、これは県が嘱託いたしまして、県の技術指導と一体になってやっていただく、国もこれに対して助成しておるというような関係でございます。非常に大きな凍霜害等がございまして、特別な指導活動、事後措置等の活動が必要な場合には、そのかかり増し的な部分をそのときによって助成するということで、先生はなくなったと申しますが、それはその活動の実態、それからいろいろな養連なり県の財政事情とかそういうものを見まして、実は凍霜害があっても、ある年には助成した場合もあるし——三十九年は先生御指摘のようにやった、四十四年はその必要はないというようなことで、実は経過があるわけでございます。したがいまして、特に四十四年も相当凍霜害がございましたけれども、理屈を申し上げて恐縮でございますが、本来の活動部分と、それからそのかかり増し部分との仕訳等について、末端で会計経理上の問題等があったとか、実はそういうような今後の改善の問題等も残っておったというふうにわれわれは当時聞いておりますが、いずれにいたしましても、今回の措置等につきましては、今後なお特別な指導を要しますので、そういうものを勘案しながら、われわれとしては、それぞれの県の実情を含めた上で結論を下したいというように考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 いまのあなたのお答えでは、四十四年にはなくなったというのだけれども、これは四十四年には出しておりますよ。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 失礼いたしました。昨年の四十六年、本年よりも金額としてはさらに大きな凍霜害が実はあったわけでございますが、その際、その点をあれしたわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その際、会計検査院から、この出している額というのは何を基準にして出したのかわからないという意見が出てきて、そして昨年来やめたということを聞いているのだけれども、いまのお話では、そうではなくて、実情に即したやり方を勘案して出すべきものは出す、こういうお話のように承ったのですが、そうですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 繰り返してくどいようで恐縮でございますが、これは災害対策で予備費等の支出でございますので、その年、その年の実情に応じましてそれぞれの経費の手当てをしてきているわけでございます。したがいまして、毎年組んでおりまして、これをやめたという話ではございません。  そういうことで、昨年は実はそういう問題があって、問題点を改善することについて技術的になかなか困難だというようなことで、出すこと自体についても慎重でございましたし、また各県とも、いろいろな会計経理上の規制を伴う国の補助金よりも、それぞれ現地で、県なり団体の実施努力によってこれを処理いたしたいというようなことになりまして、昨年は出さなかったということが実情でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それから最後になりますが、今度の凍霜害の気象関係の通報というようなものが事前にあった、そしてそれは各県の担当部局を通じまして下におろされていき、農協にもおろされていくというわけであったけれども、どうも連休の関係があって、私は長野県の地方事務所なんかもずっと回ってみたのですが、夜は一人ぐらいしか泊まっていないというようなことなんです。ことに三日は例の憲法記念日だということで、これが各農家あるいは農協の末端のほうまで通じていないのじゃないか、こういうふうに見ておるわけですよ。また、かりに通じておったとしても、今回の凍霜害はなかなか広範な地域にわたるので手の打ちようがないと思うのだ。  そこで、そういった気象通報、予報を出すというのに対して、その予報に応じて何らかの予防措置というようなものの体制は、一体各地方によってどの程度確立しておりますか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  今回の凍霜害——各種の災害等でございますが、特に凍霜害につきましては、予報とこれに対する対応体制というようなことでしばしば問題の御指摘もございますし、行政としても大いに努力しろというようなお話があるわけでございますが、先ほど羽田委員の御質問にもお答え申し上げましたように、気象庁からもお話がございましたように、一応の警報が出て、各県とも末端に対する連絡は一応あった。ただ、先生御指摘のように、どうも徹底を欠いたのじゃないかというような点があるかと思いますが、われわれのほうも関係課長を各県に派遣いたしまして、ただシステムだけができておって実態が動いていないというたいへんな問題でございますので、今回の予防措置の指導について、とりあえずの調査でございますが、聞き取ったところによりますと、よけいなことでございますが、たとえば、静岡県では、風が非常に強くて、農家のほうの判断で、これでは凍霜害はないだろうというような感じがあったとか、それから長野県等においても、二日は非常に気温が高かった、したがって夕刻の気象に対する対応というような点について、関係者それぞれについて、十二分にした場合と比べて多少の差があったのではないか。いろいろ県によりまして実情があるわけでございますが、一応気象の予報でございまして、降霜の予報に伴いまして、たとえば先生御案内のように古タイヤと重油燃焼をやった。ことに長野県等においては、タイヤと重油燃焼を相当やった。この点についての措置としては、従来の凍霜害以上に措置がとられた。ただ、零下三度とか四度とかというお話が先ほど出ましたが、通常は十二時ごろからの気温の低下が二時ごろ以降急激に低下したとか、いろいろ地域地域においては事情があったようでございますが、いずれにいたしましても、重油燃焼とか、水田の場合には深水をかけるとか、いろいろ措置がございますが、それで対応を一応はしていただいたというようにわれわれは報告を受けておるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今度の凍霜害の特徴は霜じゃないのですね。これはいわゆる凍霜害の凍なんです。たとえば軽井沢あたりは零下九度くらいに下がっております。霜ではなくて、ほとんど極度の冷害というか凍りついてしまった、こういうことなんですよ。群馬あたりへ行って聞いてみても、かなりそういう被害が出ております。そこで、霜によってやられるおそれのあるところは、いまあなたがおっしゃったように、いろんなものをたいたり何かして霜を防ぐということをやったところもございます。しかしながら、霜ではなくていま言ったように凍りついてしまった、こういう被害が多いのですね。そういうものに対しては、何か対策をお持ちなんですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げますが、一種の凍害的な問題等につきましては、従来の果樹試験場その他の試験研究技術も、それらを一緒にしたマイナス何度以下の非常に急激な低温に対する圃場等における保温措置とか、その他植物保護の措置というようなことでいろいろこまかい試験研究をやっておるようでございますが、対策といたしましては、ただいまのような重油燃焼その他の保温措置が、いまの農家段階でとられる措置としては特に新しい決定的な圃場対策として取り上げる段階にはなっておらないわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今度の凍霜害の中で一番大きいのは桑の被害なんですね。群馬が二十一億円とかいっているし、おそらく全国で一番大きいでしょう。それから長野県にしても十四億円ぐらい、埼玉その他においてもやられています。したがって、全般的にいうと養蚕関係の被害が一番多いと思っているのです。したがって、これに対してはひとつできるだけ調査をしていただきまして、そして十分な対策をとっていただく。それには先ほど私も申しましたけれども、従来やっておられたいわゆる特別活動の事業費といいますか、そういうものも考えられて、今後の営農指導というようなものに対してフルにこういった技術員を使っていただきたい、こういうことを特にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田委員長 広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢委員 時間がありませんのでまとめてお伺いいたします。  いまいろいろ御報告を伺いまして、この凍霜害の問題につきましては、さっきもお話がありましたように、昨年同じ時期にもやはり同じことが起こっておるわけです。毎年毎年こういうことが行なわれるたびに、一つ一つ補償問題とかあるいは予報の問題とかということが論議されるわけでありますが、皆さんが御指摘のように、私も、一番問題はやはり予報の問題だと思うのですね。  そこで予報は、先ほどから通知したという具体的な報告もあったわけでありますけれども、何のために予報するかといったら、予防するために通知するわけですから、結論的にそれがなされていなければ、どんな予報のしかたをしたとしても何ら意味をなきない、こういうことになると思うわけであります。したがって、これは気象庁のほうの予報がおそかったのか、あるいは具体性を欠いたのか、あるいはまたそれを受けた農林部のほうが具体的な指導というものを怠ったのか、いま御指摘のように、具体的にはその直接の方々に伝わって具体的な対策を立てる余裕がなかったのか、どちらかに原因があるかと思いますけれども、その点、農林省としては、どういうふうな具体的な対策を立てられたか。今後、来年もそういうことになってはなりませんし、あるいは天災のことですから全然ないということは言えませんでしょうけれども、最小限度にそれだけのことを食いとめて、年々、凍霜害に対する被害がかりにあったとしても、減っていくという状況がなければならぬと思うんですね。その点に対するお答えをひとついただきたいということです。  それから現実に被害が起こっておるわけでございますので、その被害予防に対してはすでにもう県のほうからも報告があっておりますし、それから全国農業会議所からも具体的な要望事項として出ておるわけであります。六項目の具体的な要望事項が出ておりますが、この具体的な要望事項についてどの程度参酌されるのか、その点についてお伺いしておきたい。それが第二点目です。  それから、かりにいままでのように天災融資法並びに自作農維持の資金の貸し付けのワクの拡大、こういうことをやりましても、こういう災害がたび重なってまいりますと、その負担は全部農家にかかっているわけであります。したがって、すでにそういうふうな融資を受けたりして今日の農業を営んでいる方々にとっては、貸し付けのワクの拡大だけではどうにもならないわけでありまして、それに対する、被害農家の再生産の確保できろもう少しきめのこまかい具体施策はどうなっているか。その三点お伺いして、質問を終わります。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  三問一緒でございまして、十二分でない場合にはまたおしかりを受けたいと思いますけれども、第一点の気象予測の問題でございますが、この点につきましては、先ほども被害状況の報告で申し上げましたように、本年は特に、従来は暖候期の六カ月長期予報が出ますと、これに伴う技術指導をいたしておりますが、昨年と同様、晩霜のおそれがあるというような気象庁のお話でございますので、各作物別に技術指導についての具体的な点を指摘いたしまして指導したわけでございますが、従来はやっておらなかったわけでございますが、特に本年は、この四月に三カ月の一種の中期的な予報が気象庁から出たわけでございます。その中にも、五月は温暖な日が多い見込みであるけれども、一時やや強い寒気が入って天気がぐずつく時期や、おそ霜のおそれがあるというようなことがございますので、これは四月二十日に出ましたが、われわれのほうといたしましては、これはたいへんだということで、四月二十六日に、この点については、おそ霜のおそれのある地帯、特に東日本等につきましては、気象庁なり測候所等と緊密な連絡をとって、技術体制を整備しろということを、これは例年出しておりませんが、特別本年は実はその措置をとったわけでございます。  そういう点なお被害を受けたことはまことに不幸なことでございますけれども、県等におきます、せっかくの予報を受けた場合の末端への浸透なり技術指導についても、昨年来いろいろ問題が、昨年の凍霜害を契機にしてございましたので、農林省といたしましては、農政局の普及組織等を通じまして点検をいたしまして、この点についての十全を期するという点については実は格段の努力をしたつもりでございますが、このような被害が出たことについてはまことに遺憾に思います。  それから、農業会議所等農業関係者の団体の災害の対策の要望についてどう考えるかというお話でございますが、第一点には、天災融資法の早期適用、これは諸先生の先ほどの御指摘のとおりでございまして、被害の確定を待って結論を出したいということでございます。でございますが、これはまだ被害調査の結果が出ませんので、これについては検討ということで申し上げる以外にはないと思います。激甚災についても同様でございます。  第二点の自作農維持資金の資金ワクの拡大ということについては、これは天災融資法の発動と表裏いたしまして災害ワクの設定というようなことについては当然検討すべきものというふうに考えております。  金利なり償還条件、この問題は実は法律事項でございまして、金利は、被害農家の立場を考えれば、低ければ低いほどいいわけでございますが、先生御案内のように、他の業種に比べまして農業関係には、生活資金なり経営資金、何でも使える自創資金というものについては相当な程度の配慮が今日もなされておるという点もございますので、これは当委員会においても災害対策小委員会等で災害対策のあり方について今日検討中でございますが、それらとの全体の観点も待って検討をすべきものというふうに考えております。  それから、被害農家に対する共済金の支払いその他については、先ほどるる御質問がございましたし、お答え申したとおりで、必要あらば早期支払いについては遺憾ないようにいたしたいということでございます。  それから、果樹生産安定対策の一環としての果樹共同開葯貯蔵施設の設置、これは、凍霜害等を受けますと、残ったものについての授粉を確実にするというようなことから、予備の花粉を貯蔵施設から出して人工授粉をするというような話でございまして、農林省といたしましても、果樹の広域主産地形成事業なり農業構造改善事業等において現に助成中でございますが、今後その方向を強化したいというふうに考えております。  それから、第五番目については、これは実は自治省の所管の問題でございます。  六番目の水稲育苗センター、これにつきましては、やはり豪雪地帯なり凍霜害常襲地帯等についての苗しろの保護という点については、御案内のように、昭和四十六年から年次計画で百カ所ずつ助成しておりまして、本年も百カ所ということで早急にこの普及をはかりたいというように考えております。  以上でございます。

広沢直樹公明党

○広沢委員 最後にそれでは一言、要望も含めて申し上げておきますが、先ほどの予報の問題につきましても、参事官はいつもお答えになっていらっしゃるわけですけれども、被害ができるだけ最小限度に防げるように、まあ予防処置を講じたことがむだになったとしても、直接被害を受けたことよりはそれはプラスだろうと思うのです。そういう意味に関しては少々行き過ぎかもわかりませんけれども、農家に対する適切な、もっと農家の立場に立った予防策指導というものを考えていただきたいということです。  それから、いま県段階の報告は、第二次報告のようになっているようです。いまお話しなさったとおりです。具体的最終報告がまとまりましたら、先ほどからお話ありますように万全の策を講ぜられるよう要望いたします。

高田富之日本社会党

○高田委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ちょっと現物を見てもらっていいでしょうか。  実感を出すように、ここへ長野県の被害地から出てきたものを持ってきたのですが、これが桑でございます。ほとんど黒く、ずっと枯れてしまっているわけですね。それからアスパラガスが、全部やはり先が黒くなってやられております。これはブドウですが、こういう形になっているわけですね。それから、長野県はクルミの名産地ですが、クルミは、まつ黒に、全滅になっている。写真もございますが、毎年毎年あることですから、ただ実感を出していただく意味でお見せしたわけなんです。  それで、きょういただきました資料によりますと、全国からの被害が九十億というのが出ていますね。あなたのお話だと、天災融資法の適用になるのは農林省の調査に基づく三十億というんですが、その九十億と三十億、常識的にいって、どのくらいになるものなんですか。大体全国から九十億ぐらい出ておれば、農林省の調査は三十億以上に落ちつくものですか。その辺、私わからないのですが、とにかく天災融資法の適用をしてもらいたいということが各被害県から強く出ておるので、その辺をひとつぜひ聞かしていただきたいと思います。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 林先生の御質問、なかなかむずかしい御質問でございます。先ほども県の報告とそれから国との食い違いというような問題にも関連していろいろ申し上げましたが、従来昭和二十年代に比べますと、三十年代、四十年代は、それぞれ県と国の被害の見方もそう食い違いがなくなって、事実に即した統計数字が上がってくるという事態でございますので、そうわれわれとしては大きな食い違いはないというふうに考えております。これはまさに数字と事態の判断でございますので、今回のケースについてどのくらいというようなことについてはお許しを願いたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、大体天災融資法の適用はあるだろうというふうなあなたの感触も言えないんでしょうか。その点をくどいようですがお聞きします。そして、その確定は二週間といいますが、いつごろ農林省としては出すつもりですか。適用があるのかないのか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  これは諸先生の御質疑に対して断片的にお答えを申し上げたきらいがあるかと思いますが、大体、水稲みたいな作物であると比較的被害直後に調査をして、各県の統計調査事務所から国に上がってまいりますのは二週間ぐらいというようなことに相なっております。凍霜害の場合においては、桑なり果樹のその後の回復状況等の判断がなかなか普通はむずかしいというような問題が損害評価上あるようなわけでございまして、われわれ承知しておるところでございますと、十日前後たったあとできちんと調査いたしまして、そしてあれをいたすというのが従来の例のようでございます。したがいまして、評価が済んだあとの措置、諸手続等については従来以上に手続を急ぐというふうな問題に当然なるかと思いますが、実情はそういうことでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、五月の二十日ごろには大体判断が示されるわけですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 お答え申し上げます。  これにつきましては、対策をとる場合に、現地農家のいろいろな不安感とか、そういうものを解消するために、やる以上早く結論を出すという点についてはわれわれもじんぜん時を送るつもりはございませんが、末端から来る評価の技術的な問題、そういう点がございますので、ちょっと何日というようなことについては、できるだけ急ぎたいというようなことを申し上げてお許しを願いたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたの感触ではどうですか。去年もありましたのですが、大体天災融資法の適用は、この程度の被害では、できそうですか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 災害対策をあずかる農林省といたしましては、できるだけの発動し得る手段を講ずるのが当然かと思います。したがいまして、そういう点についての検討は進めておりますが、いずれにいたしましても、統計調査の数字の問題でございますので、それを見た上で、財政当局その他とも協議いたしまして結論を下すということでございまして、その限度でしか現段階では申しにくいわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 感触も言えないというなら、それでやむを得ないと思うのですね。  それからさっき松平委員もたいへん憤慨して質問をされたのですが、どうでしょうか。四月にあったあの寒冷異常気温ですね、あれも含めて四月、五月の異常寒冷気温というようなことで一括して天災融資法の適用のワクの中へ入れるということは、技術的に絶対できないことなんですか。凍霜害といえば、五月幾日の凍霜害になりますが、四月から五月にかけての異常な寒冷気温というようなことでワクを広げてできませんか、あるいはそういう意思はありませんか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 先ほど松平委員からその点については詳細な御質疑があったわけでございますが、先生御案内のように、たとえば災害対策としての天災融資法の発動というものにつきましては、同一気象原因——これは実は、詳しい先生にはいろいろあれですが、過去におきましても、長雨とか台風とか、過去の非常に近接した災害、しかも気象学的な説明が可能な場合においては、被害農家なり被害地域の実態に応じた措置を天災融資法なり特に激甚災の適用等について行なってきたわけでございます。今回は、気象的にも非常に異なるとか、期間が離れているとか、地域が非常に違うとか、いろいろな問題があるようでございまして、私どもといたしましては、これを一本化することはきわめて困難であるというふうに判断しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 けっこうです。それならやむを得ませんね。  それからかりに天災融資法の適用があるとして、長野県からは約二億の融通を営農資金としてほしいといっていますが、これはあるとしてということになりますね。これは約三十億の被害が届けられているわけですが、一億ぐらいの天災融資法に基づく経営資金が可能かどうか。それから三億円の自創資金のワクを広げること、これを災害資金として求めているわけなんです。あと県独自で、総合予算として二億ぐらい緊急に組むらしい。これは県の財源で組むらしいのですが、これはどうですか。この数字は長野県からの陳情ですけれども、可能なんでしょうか。あるいは天災融資法の適用がなければ不可能なのか、天災融資法が適用になっても、たとえば自創法のワクを広げるというようなことは可能になるのでしょうか。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 先ほども長野県の地元の要望に即した御質問が、融資額なりその他についてございました。これにつきましては、天災融資法発動の有無については先ほどるる申し上げたとおりでございますが、その融資ワクを政令できめるという場合におきましても、国の統計調査部の調査が出て、従来の算定ルールに従って全体をきめて、さらに各県については、それぞれ国の被害の数字なりあるいは実際の資金需要、地元の資金需要というものを見ましてきめていくわけでございます。したがいまして、端的にこの地元の御要望の金額等について、これはいけるとかいけないということについてはお許しを願いたいと思います。  自創資金につきましては、先生御案内のとおり、天災融資法等が発動する相当大きな災害につきましては、国が自創資金のリザーブをとっておきまして、災害のワクを設定して貸すというルールがございますが、それ以外に、自創資金は、そういう大災害にはかかわらず、天災、疾病、傷害というようなものについての農家の打撃に対してはこれを貸し付けるわけでございます。一般ワクというのが別途ございまして、それらによっても措置するということでございまして、それは天災融資法の有無にかかわらず、その資金の融資は可能だということになっております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 もう予鈴が鳴りましたので、あといろいろお聞きしたいことがあるのですが、まとめてお聞きしますが、米作の作付転換が要望されており、それから米価の値上がりが押えられておるという状態で、唯一の転換作物である果樹等がこういう被害を受けるということは、農民にとっては致命的な被害になると思うの外すね。その補償金額を至急払ってもらいたいという話がいろいろあるわけなんですが、たとえば桑の場合は、桑が被害を受けたからといって桑に対する農業共済はないわけなんですね。これを早く支払うとするならば、どのように支払う方法があるのか。やはり掃き立てを待って、その掃き立ての減収があるまでは、それは農業共済の適用は見られないのか。あるいは内渡しとして渡すという方法があり得るのか。それから果樹にとってはこれは共済保険がありませんので、これに対してはどのようにするのか。まあ長野県ではナシなど、二十世紀などが、資材費が償えればけっこうだというのですけれども、この果樹に対する農業共済保険的な何か手だてがあるものかどうか。その点が一つ。  それから自治省がおいでになっておりますが、自治省では、とりあえず長野県などは総合資金として千四百万ぐらい予算を組んで自治省さんが渡しておりますけれども、それは特交として渡せるものかどうか。  それから気象庁に、やはり今度の気象庁の通報がもう少し敏速に、そして農家の主観的な判断を排除して、これはどうしても凍霜害が来るんだ、だから何時から何時までの間は何度になるから、これはどんなことをしても処置をしろと言って、農民のしろうと的な判断を排除するだけの権威と敏速さが必要だと思いますが、それに対して、もし施設が不十分だとか人員が不足だということになれば、これは国会で考えなければならない問題ですが、気象庁として、この点について何らかの見解があるか。いまの点、もう予鈴が鳴っちゃいましたので、一括して質問をいたします。

川村文雄農林省農林経済局保険業務課長

○川村説明員 では、お答えいたします。  桑の凍霜害があった。蚕児の掃き立て前の大体今回の災害だろうと思いますが、桑が災害を受けて掃き立てができない。といいましても、具体的に言いますと、七割以上掃き立てられない場合は、これは掃き立て不能です。また六割、七割の掃き立て不能であっても、そういうことの理由で、この蚕期はもう養蚕の業務をやめるという場合も、掃き立て不能ということで、収繭期の評価を待たぬで掃き立て不能の決定をする。この場合は、箱当たり共済金額というものを組合単位きめていただく。ことしの春蚕の場合ですと、最高二万二千円から最低六千円、千円刻みで組合単位またはその地域の中できめることができますが、それの二分の一を共済金として払うということなんですが、本払いもできますけれども、大半の組合等では、連合会の保険金の仮渡しを受けて共済金の仮渡し、しかし、それでも共済団体の財源がない場合には、連合会を通じまして政府に再保険金の概算払いという要請をしてまいります。うちとしましては、その内容を審査いたしまして、再保険金の概算払いをする、そういう財源と、前段申し上げました被災農家に対する共済金の支払いをする、こういうふうに相なるわけでございます。ですから、先生御心配のように、桑は被害を受けた、蚕児はまだ掃き立て前だから何にも被害を受けない、一銭も共済金はいかないということはございません。  第二の果樹の問題でございますが、御案内のとおり、やはり凍霜害、風水害等、果樹についても非常な災害がありますので、四十二年に法律の御審議を願いまして、果樹保険臨時措置法で四十三年のものから五年間試験実施をやっておる。大体皆無の場合は価格の六割を払うという制度でございますが、これは試験実施でございますから、主産地ごとに加入区を設けまして、そこで実験をしておる。これは実際に金を取って払うというかっこうでございますけれども、その試験実施に加入している場合は、これは今回の凍霜害によってリンゴがやられた、ナシがやられたというものに対する損害てん補をやる。ただ、果樹の場合は、御案内のとおり、どうもやっぱり収穫期になってみないと今回の凍霜害がどの程度収穫に影響したかということが判明いたしませんので、米や桑と違いまして若干支払いがおくれる可能性はある。  なお、蛇足でございますけれども、五年間試験実施を終わりましたならば、農林省といたしましては四十八年から本格実施ということで法案を国会に出して御審議を願う。すでに参議院で採決をしておられる、こちらにいずれ回るという段階になっております。

福島栄造自治大臣官房参事官

○福島説明員 お答えいたします。  被害を受けました地方団体の臨時の財政支出につきましては、被害の状況、それから支出の内容、さらに当該団体の全体の財政事情、こういうものを総合的に勘案いたしまして、特別交付税で措置をする、こういうことでございます。

越智彊気象庁予報部予報課主任予報官

○越智説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました霜注意報の内容の改善等、たいへん有益な御指示をいただきましてありがとうございます。霜注意報を通り一ぺんではなくて、もう少し農家に有効であるように、そういうような内容の改善につきましては、私どもこれから技術指導を兼ねましてつとめたいと思います。  なお、迅速なる通報の伝達等につきましては、先ほども申し上げましたけれども、農業気象協議会、そういうような場を通じまして、もう少し早くできるように今後とも努力いたしたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それではこれで終わりますが、自創資金のワクは、年度当初だから相当ワクはある、こう考えていいですね。それが具体的に幾らどこの県に割り当てになるかどうかは別として、相当いまのところは潤沢にある、こう考えていいですね。

大河原太一郎農林大臣官房参事官

○大河原政府委員 本年はたしか百七十七億ぐらいの総額がございまして、これは一般の維持資金と、災害のためにとっておく相当額を災害額でリザーブしてやっておりまして、年度当初でございますので、そういう点ではこれに対処し得る体制にあるということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 終わります。

高田富之日本社会党

○高田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる五月二十四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十九分散会

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