公害対策並びに環境保全特別委員会 第24号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/06/02
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案並びに島本虎三君外七名提出、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関する法律案の二案を一括議題とし、審査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 ただいま議題となっております両案について、本日、参考人として、公害防止事業団理事長江口俊男君の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。 —————————————
○田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原委員 前回の委員会におきましていろいろと議論をいたしてきたことや、またいままで本委員会において各委員から質問があった問題を頭に置きながら、できるだけ簡潔に集約的に質問を進めてまいりたいと思いますので、お答えいただきます。 先般の質問のときも申し上げたのですが、質問に入りますまでに一言聞いておきたいことがあります。大石長官はいまストックホルムに行っておられるわけですが、小澤次官は次官の中では非常に熱心であり、かつ経験の豊富な次官として公害問題については自主的に取り組んでこられたわけですから、小津次官並びに関係各省にも出席をいただいております。経済企画庁、通産省をはじめ関係省出ておられますが、私がお聞きをしたいのは、やはり無過失賠償責任を議論をする社会的、歴史的な背景に対する根本的な認識の問題であります。いまのままで進むならば、学者の中には、三十年後には人口は半減するだろう、人口の老齢化どころか人口は半減するだろうという議論もあるように、専門的な見解もあるわけであります。ですから、環境破壊が健康破壊と密接不可分の関係で進んでいる、こういうことに対する認識については、われわれは甘く考えることはできない。そういうことで、古典的な資本主義の企業活動の自由という原則だけに政府・与党が立法措置をとどめるということになるならば、資本主義自体がピンチになるだろう、こういうことの前提で私どもは議論を進めておるわけです。 したがって、そのときに、私どもは国会でしばしば新全総の、つまりこれから新しく企業の立地を決定するそういう問題を含む新全総の、日本の工業化の政策というものについては、そういう環境保全という観点から洗い直してみる必要がある、こういうことは常識であったのであります。大石長官がこの問題をあるところで発言をし、閣議において佐藤総理以下がこれをチェックした。新全総は閣議決定ではないか、こういう形式的なことで大石発言を封じ込めようとした。大石長官もそのあとの記者会見で、口がすべった、こういうふうなことまで言った。これも私は少し軽率であり不見識であると思うのでありますが、新全総については、私どもは現在ある企業に対する総量規制の議論がここでもあるように、そういう絶対量を規制することが環境保全の上から絶対に必要である、そういう前提の議論は、新しく建設する企業については立地条件その他について、自然の浄化作用の限界を越えるような環境破壊の問題についてはきびしい規制が必要である、こういうことは常識であるはずでありますが、経済企画庁やあるいは通産省は、現在決定しておる新全総をやり直すという観点で練り直しをしているのかどうか、あるいは新全総というものは一たん決定したものであるからこのままでまかり通る、こういう考え方で進んでおるのかどうか、この点に焦点を合わせて簡潔に、経済企画庁から始めて、それぞれ関係省の御答弁をいただきたいと思います。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの先生のおことば、いわゆる環境破壊というものがたいへんなことであるというのは、全くわれわれもそのとおりだと存じます。そこで、いまお話のございました新全総計画を改定するかどうかという問題につきまして端的に申しますと、私ども新全総計画がすでにきまっておるからそれを固執するのだという考え方は全くございません。ただ新全総計画自体は、お読みいただければよくわかるわけでございますが、環境問題というのは非常に重視している計画でございます。ただ残念ながら、現実に新全総計画というのは非常に基本的な方向を示したものでございますから、それから発していると言えましょうが、具体的な開発プロジェクトというものの実施面では、確かに環境問題にもっと意を尽くす必要があるということは事実でございます。そこで、私ども新全総計画をこの段階でどういうふうに考えるかということで、しばしば申し上げておりますように、環境問題というものを中心にしてもう一度総点検をしようということで、内容といたしましては、具体的に申しますと、具体的な開発プロジェクトの一体どういうところに問題があるか、はっきり言えば、たとえば環境を無視している、あるいは、まだはっきりしたあれは出ておりませんが、環境容量を越えた開発をするということ自体がおかしいのじゃないか、そういうような具体的な問題として問題点をあげまして、ただいま検討している最中でございます。これは環境庁とも御相談しながらいろいろ検討いたしております。その結果、これが新全総自体の改定につながる、あるいは新全総の計画は別として、それの具体的な、各省庁で実施しておられるプロジェクトに対して、こういう問題をこういうふうにしてくれという御意見を申し上げる、その辺はこれからの問題でございますが、現在そういう意味での検討をしている最中でございます。
○久良知政府委員 先生のお尋ねのことは、おもに立地の問題でございますので、私の所管でないわけでございますが、御承知のように昨年度、四十六年に七〇年代の通産政策はいかにあるべきかという問題で、産構審を中心にいたしまして、かなり時間をかけて検討をしてきているわけでございますが、それによりまして通産政策の基本的な考え方というものに大きな転換があったわけでございます。その一つは、やはり生活を重視しようということにあるわけでございまして、そのためにはやはり生活の場である環境をよくするということに従来以上に重点を置くということに切りかえてまいっておるわけでございます。新全総につきましては、これは経済企画庁の御所管でございますし、ただいま御答弁もあったわけでございますが、通産省といたしましても、そういう観点から、今後の立地の計画につきましては、やはり環境と申しますか、エコロジーを入れて考えなければならないというふうに決心をいたしまして、すでに省内にその組織をつくって真剣に取り組んでいるところでございます。
○大原委員 大石長官も、その点は従来から常識的な発言として私どもが聞いておった問題を、たまたま政策については——政策の佐藤というふうな者はおるわけじゃない、人事の佐藤というので、人事のやりくりで長い政権をつないできた佐藤総理が、了解を得ぬで君は何を言っているのだというようなことを言って、新全総は既定の事実のごとく言っているという発言がまかり通っておるというような印象は、私は大石長官らしくないと思うわけであります。あなたも先般瀬戸内海の調査の第一線に立たれたと思うのです。私ども問題を提起してずっと関心を持っているわけですが、いまのままで工業出荷額が進んでおれば、汚染物質はどう出ていくか、こういうことで考えるならば、瀬戸内海が死の海になって、環境破壊が健康破壊に進むだろうということは自然だ、こういう前提で、総理も一方においてはこの問題の処理についての指示を与えたりしている。つまり将来は三分の一の人口と工場が、生産物が瀬戸内海沿岸のコンビナートに集中するといわれておるわけですが、そのままであったならばこれはしようがないというのは、いままでのある工場の汚染物質の排出の規制のしかたについて根本的に考えることが一つと、新しい工場をどういうところに立地をさせるか、どういう条件でやるかということについて洗い直すということが前提であることは、あなたも調査で身をもって知っておられると思うのです。これは数字をあげる必要はないと私は思うのです。ですから、新全総をもう一度、そういう環境保全という観点に立って洗い直さなければ、国民経済自体、これは資本主義のいまの制度だが、それ自体がピンチではないか、自己否定になるのではないか、体制の選択の問題になるのではないか、こういうことから突き詰めた議論をいたしておる私どもの議論の中から言うならば、そういうことは政治的にはきわめて不見識な議論であると思う。環境庁としては、いま私が指摘いたしました経過についてどう考えるか。
○小澤(太)政府委員 私から申すのもいかがかと思いますが、大原委員のお話のとおり、この問題に関する大石長官の発言も、また佐藤総理の発言も非常に誤解を伴うものでありまして、端的に言えば、いずれも舌足らずであり、かつ、ただ観念的な発言でありまして、いかに政治の責任者の盲動がむずかしいものであるかということを、私ながめております。しかし、この問題はただ情緒的に扱う問題でございません。やはりかけがえのない地球です。しかも、最も汚染密度の高い日本列島、その中に住むわれわれ日本人が恵まれた環境のもとに生活をしていくということを確保するためには、どうしても自然環境の保全と申しますか、回復と申しますか、これをやらなければならぬ、これが第一であるという認識に立たなければならないのであります。したがって、先ほど経済企画庁からも御答弁がありましたように、やはりこの問題は、単に経済原則の問題ではなしに、いわゆるエコロジー、生態学的にものを考えていかなければならない。 そこで、私ども考えておりますのは、新全総ももちろんでございますが、もろもろのいまの経済開発計画あるいは交通関係の計画、そういうものをあわせまして環境保全ということを軸としてやっていかなければならぬ。ただ、これはことばだけではいけないのでありまして、いかなる指標、いかなる基準をもってこれをはかっていくかということをやらなければならぬ。 そこで、先ほども話に出ました環境容量の問題、これを環境庁におきましては中公審にも現在諮問いたしておりますが、この自然の回復力、浄化力と人間の活動によって起こる自然破壊、自然に対する影響力との接点をどこに求めるか、そうしてその浄化力の範囲内において、ゆとりを持った範囲内において人間活動が規制されるべきである、こういう考え方に立ちまして環境容量をいかにして割り出すか、この浄化能力と人間の活動との境界線を一つの環境容量という観念で把握して、これをどのような指数でもっていくかというその手法、並びにこれを基準とする地域的な指標の設定、こういうことの作業に当たっておるわけであります。 御案内のとおり、先日、科学技術庁の資源調査会で、関東地区における一部のそのような手法に基づいた調査結果を発表いたしまして、科学技術庁長官に勧告をいたしております。あのような手法も、私どもがいま検討いたしております手法の一部でございます。大気なり水質なり、すべてにわたってそのようないわゆる環境容量というものを考える、その中にもろもろの計画を織り込んでいこう、こういうような考えで進んでおります。したがいまして、新全総に対する考え方その他につきましても、いま私から申し上げたような手法、考え方で進めていくということの中に自然の解決が求められる、こう考えておる次第でございます。
○大原委員 いままでのやりとりを通じまして、やはり佐藤総理なりあるいは田中通産大臣が言ったか福田外務大臣が言ったかどうかわからぬですが、あとのほうは角福戦争だからどっちも言うかもわからぬ、片方しかわからぬが、閣議でわけくそのわからぬようなことを言って、そしてこういう問題の真剣な討議あるいは問題の所在について非常に焦点を誤らしめるようなことを言ったことはきわめて遺憾である。そういうことは軽率である。そういうことであるからこの過失責任主義から無過失責任主義への転換という問題がやはりすっきりしない。こういう問題があると思うのであります。したがって私どもは、先般来議論をしているように、やはり被害者の立場、意思を貫くようなそういう立法に転換をする軸として無過失賠償責任論を議論をしている。これは高度成長の中での大きな企業の出現やあるいは技術革新、あるいは裁判で費用がかかる、そういう問題をどうして克服をして、被害者の立場、人間の尊厳を守っていくか、いまのような議論の中で。こういう議論が私どもはこの立法の背景であり精神であると思うわけですね。そういう点について私は、政府側も環境庁の当局も腹をきめて意識統一をしてやってもらいたい。でなければ、この法律案の議論をいたしましてもやはりきわめて時間つぶしである、非生産的な議論になるのではないか、こう思うわけであります。次官に所見があればひとつお答えいただきたい。
○小澤(太)政府委員 人間の英知を傾けまして、今日まで無自覚に人間の活動によっておかしてきたあやまちを何とかして取り戻さなきゃならぬ、さらにそれを改善していかなければならぬ、そういう観点に立って真剣に取っ組んでおる、これが私どもの態度でございます。
○大原委員 過失責任主義から無過失責任主義に転換することと、因果関係について推定の規定を設けて被害者の立証等が確実にできるように、かつ裁判が迅速確実に進むように、こういう議論をわれわれはいたしておるわけであります。 そこで私は、いままで重ねた議論を蒸し返すようなことはいたしませんが、端的に、共同不法行為の問題について政府が提案いたしておりまする中の民法の規定でございますが、その問題について野党案を含めて両者にお尋ねをいたしたいと考えます。 政府は先般来の答弁の中で、客観的に関連性、共同性が実在する場合においては云々という答弁をいたしておるわけですが、民法の「共同」という文字にこだわるということは一体どういう根拠によるものであるか。共同の意思あるいは謀議という議論があるわけでありますが、いままでの議論や判例等から見て、私は政府の原案の共同の字句にこだわる理由はないのではないかというふうに思った。そういう点について、ひとつ政府の集約的な見解を、政府委員でもよろしいけれども、確実に御答弁をいただきたい。
○船後政府委員 この公害事案を考えます場合に、特に複数の原因者がある。これは今回SO2のように多数の排出源から出る物質につきましても無過失の対象としたわけでございますが、そういった場合に、一体どこまでの範囲の排出源を一つの結果である損害に対して結びつけるべきかということは非常にむずかしい問題でございます。常識的に考えましても、やはりその間に何らかの客観的な関連性という範囲内の事業者に、損害という結果に対して連帯して責任を負わせるというのが一番妥当なる解決方法であろう、かように考えてまいりますと、現在の民法七百十九条の解釈につきましては、明治以来ある程度の変遷はございますけれども、当初解釈されましたように、共謀あるいは共同の認識といったような主観的な要件は必要ではなくて、主として行為の客観的な関連、共同ということに着目いたしまして、現在運用されておるというような実情でございますので、非常に複雑な公害事象につきましても、この共同不法行為の成立する範囲というものは七百十九条が現在進んでおりますような方向で解釈し、運用していくというのが妥当である、このような判断から複数原因者につきましては七百十九条の適用ということにいたした次第でございます。
○大原委員 そこで野党側にお尋ねをいたしますが、つまり七百十九条は共同認識という主観的な立場から出発をして、そうして企業活動の自由を保障しよう、こういう立法の歴史を持っておるわけですが、それを漸時判例や学説が変化し発展をしてきて、そうして客観的な複合汚染の事実があれば、これは問題の対象になるのだ、そういうように変わってきたのだ。したがって、その判例や学説の上に立って七百十九条を解釈するのであるから、特別の客観的な複数原因主義を明文化する必要はないではないか。これは内容的にはかなり進んだ議論でありますが、私は国会での論争というのは政府原案にこだわる必要はないと思うのです。ですから、論争をして一致点があるならば、これを明確に文章で表現すべきだと思うわけですが、野党はこれに対しまして野党案を主張する論点を集約的にひとつお答えをいただきたい。
○島本議員 野党案の趣旨としては、やはり共同不法行為という概念から現在の公害の発生の状態、被害の状態から複合公害の複合原因者の責任、こういう表現についてはっきりこれをあらわしておるわけでありますけれども、この複数企業間の責任については事業相互間の共謀ないしは共同の認識、こういうようなものを要しない。汚染の状態の形成に客観的に寄与しているならば、これはすべて連帯責任を負うべきである、こういうような観点に立って立案したものであります。従来の判例にいたしましても、共同不法行為はすべて例外なく連帯責任とされてきている実例もございますし、そういう原則を変更する必要はないと考えて、複合原因者に対しましては寄与度を問うことなく全損害に対してその損害の責任を課することを妥当としてこれを立案した次第であります。 以上のようなわけでありますが、なお立案に対して不足の点等ありましたならば、この点に十分の寄与をしていただきました衆議院の法制局等から補足答弁をさせていただきたい、こう思います。
○大原委員 これは先般も議論したところですが、そこで小澤次官、判例や学説で到達したところを明文化して、いま野党側の発言があったようなそういう明快な趣旨を法文の中に盛るということは、被害者の意思や立場を貫徹して、そして公害を防止をしていくというのでなしに、裁判上のそういう趣旨を貫く、こういうことはいま今日の段階における立法の認識としてはそういうのが正しいのではないか。そこを出発点として裁判が始まるということが、これが時間がかかる、金がかかる、相手が大きい、原因が複雑だ、こういう問題をそういう裁判上処理する原則の上からいっても、この点は私は議論は尽きておるのではないか、こう思います。そこから出発したらどうだ、それが私どもの国会における立法政策上の論議の焦点であってしかるべきではないか、それはもう違いはないわけです。そういう見解が私はあり得ると思いますが、政府側としてはこの点についてどこまで答弁できるかは別にして、これは国会における処理すべき事項等を含めて私の議論に対して異議があるかないか、答えてください。
○小澤(太)政府委員 大原さんの御議論、もとよりこれが適当でないという考えは毛頭持っておりません。私ども、立案の過程におきまして、もちろんそのことも考えに入れまして、ある時期にはそのような表現を一応した時期もございます。いろいろ検討、研究の結果、結論においては結局同じになるわけでございますが、現在の裁判所の判例等並びに学説が、先ほど答弁いたしましたように、主観論を排しておりまして、複合連帯の責任は、客観的事実に基づいてそれをそのものずばりで認めるということになっております。この種の問題は、立法上いろいろ考え方があると思います。立法で先に持たして裁判所の判断を先取りしてしまうということも、いま仰せのとおり、それが一つの方法としてはあり得ると思います。しかし、せっかくそのように長年の裁判の経過、学説並びに裁判官の判断等がそのように客観的に固まりつつあり、また現に固まっているということになりますならば、それを踏まえていくというような行き方もこれはまた正しいのじゃないか、このように考えまして、ただいま申し上げましたような政府原案の立場をとったわけでございます。
○大原委員 それでは、議論をこれ以上あなたと進めても意味がないと思いますが、しかし、立法政策上は、これは始関理事と議論するような国会審議をしなければいかぬと思うのです。実際はやはり私ども環境庁とこの問題だけを議論をやっても時間のむだ使いだから実際的ではない。お互いにフリートーキングで、公開の席上で、そういうルールをつくって与野党で議論をすべきだ、次官、私はこう思うわけです。これは特別法なんですから、賠償責任論の民法の一般論の上に立った特別法なんですから、特別法優先の原則があるわけですね。であるならば、判例、学説で一定の段階に到達したものを明文化して、その特別法で国民の権利義務を守っていくことは、立法政策として当然なんですよ。それを無理やり三百名で押えるというようなことはもってのほかだと私は思うのですね。実際は与野党の委員で議論すべき問題です。(「やっておるんです。」と呼ぶ者あり)やっておるんですが、やはり公然とやるべき問題です。国民の前でやるべき問題です。そこで合意点に到達すべき問題です。話があったことは私はよく知っておりますから申し上げますが、そういう問題点があるということを指摘をいたしまして、次に進めます。 遡及、不遡及、附則の問題ですが、これは最初に政府側に聞くのですが、四日市ぜんそくその他四大公害裁判、これには無過失賠償責任の問題は適用されない、当然それは考えておると思うけれども、どうか。
○船後政府委員 いわゆる四大裁判をはじめ、現在裁判が進行いたしております事案につきましては、この無過失損害賠償にかかわる部分は適用がないわけでございまして、従来どおりの民法のもとで裁判が行なわれるというふうに考えております。
○大原委員 つまり公害裁判あるいは今回の立法は、一つは不遡及の原則を、刑事法律体系その他の憲法上の規定がありますが、そういう問題とは違って、不遡及の適用を論争するのはなぜかというと、被害者の立場、国民の立場に立ったならば遡及は利益だ。しかし企業の立場に立つならば、遡及することは、制限をきびしく設けることほどよろしい、こういう議論になると思います。しかしこれは社会的な歴史的な立法政策の転換の中で行なわれておる議論としては、可能な限り遡及すべきである、あるいは公害の本質に即して遡及すべきである、こういう議論は私は当然だと思うのです。野党案も無制限に遡及しているわけじゃないのですから、そのことだけは御承知のとおりです。ただしその無制限でないということ、その点は野党の提案者にひとつ答弁してもらいましょう。無制限になっているのかどうか、野党案は無制限に遡及しているかどうか。いかがですか。 〔委員長退席、始関委員長代理着席〕
○島本議員 お答えいたしますが、野党案、これは不遡及の原則に立つものでありますけれども、施行前の行為によって施行後に病気になった、また重くなった場合には当然本法の適用を受くべきである、こういうように私どもは立法化しておりますから、この点は一応御了解願いたいと思います。
○大原委員 つまり、政府、環境庁、公害というのは先般も議論したように、汚染物質が蓄積する、そしてこれが限界を越え、許容量を越えて健康や自然を破壊するというようなこと、これがその本質ですから、たとえ私どもの現在の常識や法律の中で規制の対象になっていないものであっても、その点については企業は十分な責任を果たすべき立法、司法、行政上の立場を明確にしておかないと環境の保全はできない。ただしこれは無制限にやるということについては、やはり法律であるから問題があるだろう。そこでこういう公害問題が提起されたときにさかのぼるのか、あるいはそういう損害発生原因が排出されたときにさかのぼるのかという議論があるだろう。しかし公害というのは、いまのことからいってわかるように、あるいはPCBの問題を提起されたことからわかるように、やはり環境や健康を破壊する原因物質が排出されること自体が問題であるから、それは連続性から考えて、公害がそういう物質の本質から考えて、これはもしこの法律のとおりになるならば、四大公害裁判は、政府が民法による、こういうことを言っているように、しかし判例はまた別の判例が出ておる。水俣裁判では出ておる。これはこの前議論したとおりです。そういうことは、そういう判例も出ておる中において、それにうしろ向きになるような、ブレーキをかけるような、あるいは過去にもさかのぼるような、そういう法律をつくるということは、逆に現在行なわれておる公害裁判を被害者側にとって不利にする、水俣病の問題で、地方裁判所の段階で到達した裁判で、加害者側は上告しなかったけれども、しかし、そういうこと等も含めて、不利にする、あるいは逆に裁判を長引かせる、こういうことになるという、そういううしろ向きの、すなわち、無過失賠償責任論を封じ込める、できるだけ範囲を小さくしていこうという、封じ込める、そういう立法政策としては重要な、これは不遡及の問題は、問題ではないか。そういう結果を及ぼす可能性はあるというふうに、いまの段階での立法を考えるべきではないか。政府はそういう点についてはどういう判断をしているか、お答えいただきたい。 〔始関委員長代理退席、委員長着席〕
○船後政府委員 先般も大原委員の御質問にお答えいたしましたが、私どもも、司法の領域ではいわゆる不遡及の原則は厳格に考える必要はない、かように考えております。ただ問題は、やはり民事の領域では、加害者サイドと被害者サイドというものの間の利害の調整をどのように考えるべきかという場合、もちろん今回の法案は被害者の救済ということを目的としておるものではございますが、しかし、新しい法律を過去の行為に対してどのように適用していくかということにつきましては、立法政策上、判断の分かれるところでございます。政府案におきましては、行為の時点を押えまして、新法施行前の行為には適用しない。野党案におきましては、損害の発生という時点で押えまして、新法施行前の行為であっても新法施行後の損害については適用する。したがいまして、先ほどお答えいたしました、現在裁判手続が進行中のものにつきましては、これは両案とも、新しい法律は適用がないということは同じでございます。しかし、先ほど大原先生の御指摘のように、一つの新しいものの考え方というものを法律としてつくりました場合に、その法律の範囲外の事柄についてはそれでは反対解釈が許されるのかどうかという点につきましては、たとえば、今回は、公害にかかわる水質及び大気を通ずる健康被害について無過失責任ということを明文上明らかにするわけでございます。しかし、これ以外、現在問題になっておる事柄、たとえば薬品もしくは食品にかかわる責任につきましては、これは無過失立法しなかったから、過失責任というものを非常に厳密に解釈するのかということになりますれば、私は、やはり、判例、学説の動向ということから考えますれば、そういう非常識な結果になるはずはない。やはり最近の判例動向が、過失責任主義のもとにおきましても、過失要件というものを、いわば常識的には無過失に近いような形でもって運用しておるというような傾向そのものは、これはいかなる立法によっても否定される問題じゃない。このように考えてまいりますと、この政府案における適用の問題につきましても、現在係争中の裁判であれ、あるいは、この法施行前に生じました行為によって法施行後に生ずる損害というものに対する裁判所の民法の適用というものも、いささかも従来の傾向というものに影響するものはない、かように考えておる次第でございます。
○島本議員 本件については、野党案としては、附則の第二項に「第三条から第七条までの規定は、この法律の施行前の行為によってこの法律の施行後に生ずる損害についても適用する。」と、明確にこれを規定しておるのであります。この意味、範囲、またこの状態等については、説明、解明を要する点が多いので、法制局を通じてこの解明についての発言をひとつ許さしてもらいたいと、こういうように思います。
○川口法制局参事 少しこの遡及効の問題について突っ込んで分析を述べさしていただきたいと思います。 野党が出されました法案は、この法律施行前の原因行為をも含めて新法による、ただし実害はこの法律施行後に生じたものだけに限るという意味におきまして、一種の相対的と申しますか、完全なる遡及効ではございません。私そんたくしますに、おそらくこうなさいましたのは、もちろんこれは刑事罰ではありませんから、憲法の三十九条の不遡及の原則を受ける問題ではございませんが、事民事に関しましても、やはり一種の法的安定性というか、ある時代に住んでいた人たちが、自分たちの法律状態はこのようなものだと信頼してかかった法律状態を、あとからあまり極端に変更するというふうなことはよくないという思想を一方に踏まえながら、他方におきまして公害というものの実態という政策的判断、この両方をどう調和するかというふうなことがこのようなことになったんじゃないかと想像いたします。そこで、この法律施行前の原因行為という問題でございますが、実を申しますと、ある工場から煙が出た、ある工場から廃液が出た、その廃液によってある人が病気になった、あるいは死んだ、こういう問題を考えますときに、何月何日に出た煙でなったんだとか、何月何日に流された廃液で病気になったんだなんということを論証することは、どんな科学をもってしても不可能であろうと思います。したがいまして、この法律施行前の行為によってと書いてありますけれども、この意味は、発生原因がいつ生じたかということを論ずるまでもなく、という意味であります。つまり、裁判官の立場になりますというと、新法の適用をすべきものなのか、あるいは旧法によるべきか、あるいは民法によるべきか、こういうふうな判断をします場合に、やはり一種の法の根拠というのを考えなくちゃいけません場合に、この法律施行前の行為だから云々、この法律施行後の原因だからどうなんという話を厳密に分析しようとしますと、これは不可能に近い話ではないかと考えます。これはもう公害というものの特殊性で、自動車の運転にまつわって交通事故を起こしたなんという単純な、何月何日にどういうような人をひき殺したなんという話とはまるっきり場面が違いまして、大気の中に、ある汚染物質が入ってきて、それがあるいは海に流れたりプランクトンのからだに入ったなんという話を、何月何日に出た物質によって生じた被害だなんということを論証することは、まずほとんど不可能に近いと考えます。したがいまして、その公害の特殊事情からしても、原因を時間で区切るということは非常に無理があるだろう、このように考えます。ただし他方においてこの法的安定性の要請ということもありますので、少なくとも被害は法律施行後に出た問題だけに限るというふうなことであろうと想像いたします。
○古館説明員 先ほどの大原委員の、結局遡及効を認めないということは、この施行前の排出行為については非常にその過失責任主義、これは非常に強くなるじゃないかという御懸念でございますけれども、この問題につきましては先ほど船後企画調整局長からもお答えいたしましたように、その点は御心配御無用じゃないかというふうに考えております。といいますのは、たとえばいまの無過失責任の法案としましては鉱業法がございます。鉱業法は無過失責任でございます。そうしますと、鉱業法ができましてから、鉱業法に該当しない公害、不法行為、これについては民法の過失責任の原則が適用されてきたわけでございます。そうしますと、この鉱業法ができた後の、いわゆるこういった有害物質の排出による賠償責任につきまして鉱業法の適用のないものについて、民法の過失責任で、その要件がきびしく要求されたかといいますと、判例上そういうことは私ども調べた結果におきましてないのですね。かえって、結局判例の動向といたしましては、そういう場合に企業の賠償責任につきましては、注意義務の極限を課すというふうな方向で、実際上の取り扱いといたしましては、無過失責任と同じような扱いがなされているというのが判例の動向でございます。そういう趣旨から、いま遡及させないからといいまして、直ちにその反対解釈としてきびしく過失責任が課せられるということにはならないというふうに私信じております。 それからもう一つは、この無過失法案で非常に問題になりますのは、いままでの判例で、結局企業に注意義務の極限が課せられるような扱いがなされておりますから、大企業にとりましては、大企業の有害物質の排出の場合の賠償責任の扱い方につきましては、あまり大差がないだろうと思うのです。問題はこれは中小企業でございます。中小企業の場合には排出量がきわめて少ないという場合が往々あるだろうと思います。その場合にこれまでの民法の過失責任のたてまえでございますと、これは過失がないとしまして、賠償責任は負わされないという場合があったろうと思います。ところがこの無過失法案のたてまえになりますと、そういうものをすべて賠償責任を負わせるということになるわけでございます。そうしますと、これまでの社会規範である民法で、過失がなければ賠償責任を負わない、その限度で活動の自由は認められておるということで、少量しか排出しない、したがって、賠償責任は負わされないというものが、そういった過去の行為が原因で、施行後に損害が発生した場合に、突如として賠償責任を負わされるという結果になるわけでございます。こういうことはやはり相当問題があるんじゃないかというふうに考えております。
○大原委員 最初のほうの議論は、やはり立法政策としては判例が到達したところから出発することがよろしい。というのは判例や学説がそこまで到達しておっても、やはり民法上の最初の歴史、原則の上に立って、加害者側、企業側は裁判を長引かせることができるのです。反論を出していくことができます。結果としてそこへいくにしても、時間と金がかかるということには変わりがないわけです。ですから、判例やその他が到達している場所から出発するという観点から、野党案も二つのしぼりを設けているわけです。この議論は実質的に変わらぬとこういっているわけですから、私はそこはそれを特別法で明文化していきながら、無限に遡及するわけではないわけですから、このことをやらないと、こういう公害物質、被害物質を論証することは事実上不可能だ。こういう規定になってくると、法制局の見解では事実上不可能だ。これはやはり裁判を非常に困難にして長びかせるということにならないか。事実上有害物質が累積をするという事実、環境を破壊する物質を出したという事実、被害を受けたという事実、こういうものには連続性があるわけですから、その連続性について、被害者がやはり加害者の主張によっては立証問題について議論をしなければならぬというふうなことは、時間的にも手続上も、結果として同じ結果に到達するにしても、そのことは歴史を繰り返すことになるのではないか。法の進化というか、法の発展という観点から考えたならば、少なくともこういう点についてはやはり限界を設けて遡及をするということが、民事的な特別法としての今回の立法の政策上の観点からも正しいのではないかという議論が出てまいりますが、これについて法制局から野党側の案について、いまの政府の案に対する見解をひとつ述べてもらいたい。
○川口法制局参事 私の立場から政府案の批判を申し上げることは差し控えます。 そこで、野党がお出しになった法案の趣旨はどうであるかということを御参考に説明申し上げます。 簡単に要点を申しますと、遡及効の問題は、一方で法的安定性の要求、つまり秩序というものはあまりぐるぐる変えてはいかぬという——わかりやすく申しますと、そういう法律上の一定の安定性の要求と、それから公害という問題の特殊性という政策上の判断とが調和しなくてはいけますまい。公害の特殊事情と申しますのは、さっきも申しましたが、こういう物理的な、人をなぐって何月何日の夜殺したとか、けがをさせたとか、それとはまるで違いまして、大気中に汚染物質が入って、そうしてそれがいろいろな経路を経て人間のからだの中に入ってきて、そうして害を及ぼす、この経過というのはたいへんな長い経過をたどりまして、場合によっては十何年というふうな蓄積の結果、それが堆積してついに命取りになるという問題すらあるということは、しばしば御指摘されておるとおりであります。 さて、そこで考えてみますと、この法律施行後に生じた原因行為のみに適用するといいました場合に、この法律が施行になりましてから病気になる。これは比較的いつから病気になったということが、時間的な区切りがある程度できましょう。しかしながら、今後、病気になったという場合に、この法律が今度の国会で通りますね。そうしますと、その法律の施行後に生じたあの煙に含まれたその物質によるということ、こんな立証は、私はほとんど不可能に近いだろうと思う次第でございます。したがいまして、そういう政策問題と離れた客観的な理論の問題から、時間の問題を時間的に区切るという、原因の問題を区切るという問題は、事公害に関する限りほとんど不可能に近いのではないか、このように考えるわけであります。かつ、立法例としては、鉱業法にも前例のあることでありますし、ということがおそらくは野党の法案の御趣旨ではないかとそんたくしております。
○古館説明員 私もいま衆議院法制局の意見のとおり遡及させるかどうかというのは一つの立法政策の問題だ、また先ほど先生が御指摘なさった点については私も同感でございます。ただ、いまのその問題で、先ほど私も指摘したような問題があるということはお話ししたわけでございますけれども、ただ、いまの問題と関連いたしますると、蓄積公害の場合なんですけれども、やはり野党案の場合も、この法律施行前に被害が発生したという場合には、この適用はないわけでございます。そうしますと、問題はこの法律施行後に被害が発生したという場合に適用があるわけでございます。そうしますと、結局その法律施行前には被害は発生していない。施行後に排出行為があって、その結果施行後に被害が発生したという場合にこの適用はあるわけでございます。それが一つでございます。それからもう一つは、行為と被害の発生、これに時間が、潜伏期間が長かったという場合、この二つの問題でございます。結局、行為と被害の発生との間に時間があった。それが施行の前後にまたがるということでございますね。ですから、そういうことになりますと、まず潜伏期間の関係になりますと、いつ排出したかという関係での排出の期間というのは、これは特定できるわけでございます。ところが問題は、やはり行為が連続しておりまして、そして施行前の行為だけでは損害は発生しない、施行後の行為があったから初めて損害が発生したという問題になるわけですね。そうしますと、これはまた非常にむずかしい問題なんです。むずかしい問題でございますけれども、この関係になりますと、結局野党案でも政府案でもそれほど変わらないのではないかと思うのです。といいますのは、政府案の場合も、かりに施行前の排出行為がありまして、それからそれだけでは絶対に被害は生じないということがあります。施行後に微量ですか、排出した、そのために被害が発生したということになりますと、この施行後の排出行為という関係では無過失でございます。さらに、そういう排出行為が前の排出行為との関係で結局相当因果関係がある。前の排出行為というのが損害の発生という関係で相当因果関係があるということになりますと、これは賠償責任を負うことになるわけでございます。ですからやはり野党案の場合も、施行前に損害が生じたのか、施行後に初めて損害が生じたのかという関係では、相当これは問題になると思うわけです。ですからそういう意味では、裁判の迅速という関係では同じ問題が起こり得るだろうという感じがします。
○大原委員 野党案について聞いてみたいのだけれども、施行後に損害が発生したというのは、施行前から続いている、施行後にもある、こういう意味であると思うがどうか。
○川口法制局参事 繰り返すことになりますが、この法律施行前の行為によってこの法律施行後に生ずる損害についても適用する。この意味は、この原因行為がこの法律施行前であるか、この法律施行後であるかということを問うまでもなくという意味なんであります。そこのところをことばの技術であまり変な理屈を唱えてもらうと非常に困るわけなんでして、原因行為がこの法律施行前であるか、後であるかというふうな分析をしないでもよろしいという意味なんであります。これはことばの議論が実体に関連しますので、はっきり申し上げます。野党案の意味はそういう意味であります。 それから、今度は結果のほうの病気という問題でありますが、実際問題としては、ただいま政府側から仰せのとおり、そういう問題もございましょう、しかしこの原因行為とはだいぶ違いまして、時間で一応区切るということは比較的可能である。したがいまして、具体的に申しますと、過去の排出によりまして、従来からすでにそういう病気が出ていたであろうと同じ病気のまた新しい患者が出た、このことを言っているのであります。その新しい患者は無過失責任主義で裁判をやれ、こういう意味であります。ちっとも困ることはないと私は考えております。
○大原委員 私も全然困ることはないと思うけれども、政府のほう、法務省はどうですか。
○古館説明員 私ちょっといまのお答えが理解できなかった点があるのでございますけれども、問題は、いまの野党案の場合でも、結局私の言っておりますことは、損害が施行前に発生したのかどうかという点で相当問題になるということでございます。そういうことが一つ問題があるということを指摘をしただけでございます。 それから、いまのこれが無過失責任かどうかという問題でございますけれども、この間の公聴会で関田弁護士がおっしゃっておりましたけれども、やはり大企業の場合になりますと、結局先ほどもお話ししたような裁判上の実際の取り扱いからいいますと、裁判の迅速ということとの関係ではそうたいした弊害にならない。それはいまの富山のイタイイタイ病と新潟の水俣病が大体同じような時点で問題になりまして、そして同じころに終わっている。一方は無過失責任、一方は過失責任の法律が適用されたわけです。そういうことから、一応形式的に考えますと、何か裁判の迅速に弊害が生ずるように見えますけれども、実際の実務家の経験からいたしますと、それほど裁判の迅速という関係では被害者の不利益にならないのではないかといま考えておるわけでございます。
○大原委員 やはりこの議論の一つの中心は、公害の本質、原因行為と被害の発生との関係ですけれども、被害の発生については、古い患者もいて新しい患者も出る、あるいは被害がずっと続いている、あるいは被害があったのだということ、それがはっきり程度が上がってくる、表面に出てくる。こういう顕在、潜在ということでは議論できないけれども……。だから、そういういままでの公害が発生してきた原因ですよ。環境ですね。そういうものの実態をやはりとらえて立法していかなければ、これは逆に使われるのではないかと思う。だから、同じような一番初歩的な観点での議論を繰り返して金と時間をかけるような結果になるのではないか。ということはやはり依然として残る、公害の本質が残ってくるのではないか。そうすると非常に無過失責任というものを狭く解釈する論拠にこの法律がならないか、こういう議論は残っておる、問題としてあるということを申し上げておきたいと思うのです。特に、裁判官は非常に勉強しておるのだというふうにいま言われたわけですが、それは逆に言うならば公害その他の本質について不勉強なところがあるということなんですが、そういう問題からいえば、やはり非常に時間がかかる。あなたの答弁自体も非常に時間のかかる答弁だということになる。その点法制局が主張した野党案の趣旨のほうが一歩前進で非常に明快ではないか、現状に即しているのではないか。同じであるというならば、無制限の遡及ではないのですから、野党のやるようにぴしっとしたほうがいいのではないか、こういう議論が逆に出てくるということを指摘をいたしておきます。
○田中委員長 大原君、時間だから、あと一問ぐらいにしてまとめてください。
○大原委員 問題は、つまり仮処分の請求の問題と行政措置の要求の問題、二つあるわけですね。それで、環境庁次官、政府は住民側のイニシアチブというものはできるだけ回避しようということを考えておると思うのです。政府がやったことにしようというふうにやろうとしているわけです、全体を見てみると、いままでの討論をずっとたどってみると。しかし、一問だけと言うから協力するけれども、政府がやるという場合に、日本の場合だったら知事に行政措置をやらせるわけですが、実際やるのは、非常に人手の不足しておる公害部局と保健所がやるのです。保健所に言うなればGメンみたいな者が、専門家がいるわけですが、これが、保健所の実態を見たら、あなたは知事をやっておったからよくわかっておると思うのだが、一ぱいかかえ込んでいて、事務屋、手続屋になっているわけです。公害に専念して、これに責任を持つようにはなっていないのです。私どもは先般のときも十分議論する機会がなかったのですが、これはこの制度を変えなければだめなんだ。ということはどういうことかと言うと、この間も言ったのですが、たとえばイギリスでは、科学的な知識も法律上の知識も十分持った、非常に権威のある準司法的な機関であるたとえばアルカリインスペクターというような者がいて、西ドイツもそれに類似したものがありますが、立ち入り検査をする、企業に対して勧告をする、言うことを聞かなかったら施設をやらせる、そして補償を要求する、こういう権限まで持っているのです。労働者、住民側が問題を提起いたしましたら、インスペクターはそれを受けて、即断をして実行する権限があるのです。しかし、日本のGメンというのは、全く知事や政党や行政に従属しておって、機能を発揮してないのです。であるから、逆に、その措置要求というものを制度化することが必要ではないか。一定の限界を設けて住民が監視することが必要ではないかという議論です。どっちかをやらなければ、住民の意思を立法、司法、行政上貫徹して、無過失賠償責任論で政策の転換をするという法律にならぬのではないか。これを一つだけ、あなたの見解があれば、あなたは知事をやっておられたし、そういう点は経験があると思うからお聞きいたします。
○小澤(太)政府委員 私がやっておりましたのはもう十何年前のことでありますが、最近の県の環境あるいは厚生行政の第一線でやっております保健所の状況を見ますと、まだまだ十分でない点は大原委員の御指摘のとおりでありますが、だいぶ役人の意識も変わってきておりますし、何よりも国民の世論というものが非常にきつい監視をいたしております。そういうことから、当然行政上の責任としてやらなければならぬことはどうしてもやらなければならぬという立場にあるわけでございまして、問題は、技術の問題あるいは要員の数の問題だろうと思います。したがって、私のところではそういう講習、練成をやっておりますし、厚生省でも人員の増加をはかっておるような次第でございまして、急に、唐突にその能力を発揮するわけにはまいりませんけれども、方針としてはそういうことで臨んでいけると思うのであります。それで、住民の行政庁に対する直接請求権をここで認めなくても、当然の政府の責任あるいは地方自治体の責任としてやるべきものだ、このような責任ある自覚に立った措置をむしろ望むべきじゃないか、私はこういうふうに考える次第でございます。
○島本議員 その件につきましては、野党案にはっきり規制措置請求についてはうたってあるのであります。それから差しとめ請求の点についてもうたってあるのでありますけれども、大体公害そのものも、主婦だとか住民の力で現在までに認識されてきている。それをあとから法が追っかけてきて、それと同時に行なわなければならない行政がまだ立ちおくれておるのが現在までの情勢であります。したがって、大気汚染防止法なり水質汚濁防止法、この法律的な要件だけは備わりまして、大体において最近工場や事業場その他の公害発生源に対する計画の変更であるとか、改善命令であるとか、こういうものが出せるようになったわけです。一部には操業停止というようなものも規制措置として認められるように整備はされてきているのであります。しかし、公害の発生がいままでずっと取り上げられてきているという運動の過程を見ましても、法令の整備があっても公害はだんだんふえてきているというのが日本の現状であります。法が整備してあり、行政がそれに伴って、公害が発生してないという傾向でなければならないはずなんでありますが、これが残念ながらだんだん多くなってきている。むしろ最小限度の規制すら容易に発動しようとしないというのが行政の実態であり、行政の怠慢ではなかろうか。そういうようなことであるなら、この行政の怠慢をいままで認めてきたわけですから、いままでのやり方の欠陥をここで補って、時宜を得た措置を国民監視のうちにとらせるべきであり、そういうようなことが時宜に即した一つの措置であり、今後公害対策としてもこの点は十分に考えなければならない問題である、こういうふうにわれわれ考え、これをのっけたわけでありまして、この点等については、あえて言うまでもなく、請求のあるなしにかかわらず、規制措置だけはとられておいてしかるべきなんでありますが、あえて要求されなければとらないという現在の実態に問題があるのであります。規制措置請求については、以上のような考えから、当然置くのが正しい、こういうようにわれわれは考え、一項を起こした次第であります。
○大原委員 終わります。
○田中委員長 以上で大原君の質疑は終了いたしました。 〔委員長退席、山本(幸雄)委員長代理着席〕
○山本(幸雄)委員長代理 田中武夫君。
○田中(武)委員 去る二十三日に当委員会において加藤清二委員が質問をいたしましたことに関しまして、ただいま法務省のほうからその答弁のメモが出されたのであります。もちろん法務省のこのメモは私は間違っておるとは思いません。しかし、念のために少し確認をしておきたいと思いますので、あえて質問というか確認をいたしたい、こう思った次第であります。 そこで、このような場合を考えた場合に、私はその従業員、労働者の行動は、二つに分けて考えることができると思うのです。その一つは、当該企業における労働組合の決定に基づいて、その違法ないし不当の企業の行動を告発した場合、すなわち組合運動の一環としてなされた場合と、もう一つは、その従業員が個人としてそういう行動をとった場合に分けて考えるべきだと思います。 第一点については、答弁メモにも若干触れられておりますが、労働組合の決定に基づき組合運動の一環としてなされた場合には、これは労働組合の運動である。したがって、企業の不当ないし不法の行為を摘発したからといって、差別待遇あるいは解雇、こういうことは、明らかな不当労働行為である。第二点の個人として行なった場合、これは解雇その他の処分は、当然就業規則ないし労働協約その他の内規によるものだと思います。 そこで、労働基準法によると、まず第二条に、労働条件の決定という項がある。そして十五条に労働条件の明示がある。すなわち、雇用契約の内容は就業規則その他の内規、労働協約によって定まる。そこで、解雇する場合は当然就業規則その他の規則等違反ということになろうと思います。ところが労基法の九十二条によりますと、これらの就業規則等は法令に基づかなければならない、法令に反してはならないときめられておる。したがって、企業の不当あるいは不法な行為、これは公害だけではございません、公害の摘発も含めて、そのような場合は就業規則違反、すなわち雇用契約の内容ではない理由によって解雇する、そういうことになろうと思うのです。そこで、法務省は解雇権の乱用、すなわち民法一条二項、三項をもって答えられたと思う。しかしその前に労働基準法をまず考えるべきである。どこが違うのかといえば、その救済が違います。法務省の答弁メモによると、権利乱用なりやいなやは当然民事訴訟でやる。しかし労働基準法の問題で不当解雇ということになるならば、これは労働基準法に従って、あるいは労組法に従ってやる。すなわち第一点の場合は労働委員会における救済、第二点の場合は、労基法百四条に基づいて労働基準局または労働基準監督署による行政的救済をまず求めることができる。法務省のこのメモは、法務省としての立場からの答弁としては間違いではない。しかし法にうといといいますか、そう詳しくない労働者に対しましてはもう少し親切な回答をなすべきである。そこで私はあえていま申し上げましたようなことを申し上げて、労働省及び法務省の答弁を確認いたしたいと思います。いかがでしょう。
○岸説明員 ただいま御質問のありました件でございますが、過日の加藤先生の御質問、これが御質問の限りにおいては非常にいろいろな要素がございまして、一がいにこれが基準法の上からどういうふうに見るか、労組法の上からどういうふうに見るかということはむずかしい問題でございます。ただ一般的な議論として申し上げますと、これはこういうような事実がもしも公害に関します法令、特にこれが刑罰法規によって強制をされているような事態について事業主のほうでそういうようなことを隠匿しつつ公害物質を外へ流しておった、こういう事態になりますと、これは当然反公共的な行為でございますから、いかなる人といえどもこれを告発することができるわけでございます。したがいまして、労働者は労使関係においてやはり企業の機密というものはなるべく尊重すべきである、これは当然でございますけれども、かかる反公共的な事実についてこれを告発するということは当然許されてしかるべきことである。また、この行為に対して就業規則等の懲戒規定を通用いたしまして懲戒、解雇をするということは、明らかにこの解雇については効力が認められない、こう見るべきであろうと思います。したがいまして、労組法の問題におきましてもやはり同様でございまして、そういう点について、もしもそういう行為を行なった、それに対して不利益な取り扱いをしたということであれば、これは当然労組法第七条の規定によって不当労働行為が成立するといえると思います。 そこで、先生が、集団的な、組合の指令に従ってやる、あるいは個々の労働者の個人の行為として行なうということを区別されましたけれども、少なくとも、いわゆる刑罰法令等に反するような反公共的な行為については両者を区別する必要は全くない。当然、こういうものに対しては法的な救済が受けられますし、また先ほどおっしゃいましたとおりに監督署にこれを摘発した、あるいは違反を訴えたという場合におきましても、これは御説のとおりに基準法上の百四条によりまして、不利益な取り扱いを受けられない、そういうものがあった場合には当然救済を受けるということであります。
○古館説明員 私どもは民事法を所管している役所でございます。そういう意味で、過日の御質問につきましては民法一般レベルからお答えしたわけでございます。そういうことで、いまこういうふうな設定、問いの場合に、この結果企業が賠償責任を負うということになりますと、企業は損をします。それは従業員のそういうふうな解雇ということで企業は解雇するという場合に、先ほども先生御指摘のように、従業員の地位につきましては就業規則等によって保護されているわけでございます。ですから、そういった就業規則等に定められている要件を満たさない限り解雇されないという期待、そういうふうな信頼関係があるわけであります。ところがそういうふうな要件にわたらないにもかかわらず、単に企業に損害を加えたということを取り上げて解雇するというのは、信頼関係を裏切って、そうしてその就職、従業員たる地位を奪うということになりますから、それは要するに民法の一条二項、三項によって無効というふうに言っていいのじゃないかというふうに考えるわけであります。そういう趣旨でこの間もお答えしたわけであります。 なお、不当労働行為の関係になりますと、これはただいまの労働省の法規課長のお答えしたとおり、またこういった公権的な解釈は労働省の関係なものでございますから、私のほうでは、この間回答を差し控えたということでございます。
○田中(武)委員 労働省の法規課長、必ずしも二つに分けて考える必要はないというけれども、私はやはり分けて考えたほうがいいと思う。組合活動の一環としてやった場合は、これは労働委員会における不当労働行為としての救済を求める、個人の場合は労基法に基づいての労働基準法上の救済を求める、そういうように考えるべきだ。その点については別に異議がないのでしょう。どうなんです。
○岸説明員 ただいまおっしゃいました点につきましては、筋といたしまして先生のおっしゃったとおりだと思います。ただ、組合の指示に従って行なった行為、これが必ずしも、そのときの解雇の理由というのはこれはいろいろな理由が重なるだろうと思います。御承知のとおり日本計算器の峰山製作所の事件におきましても、地労委におきましては不当労働行為と認めましたけれども、裁判所の地裁の判決では、その点についてやはり解雇の原因が決定的ではない、むしろ公害問題についての争点につきまして判断をしておるようなわけでございます。でございますから、一がいに個々の個人が、いま言った、加藤先生の設定をされました問題になりますと、やはり根本的に、いわゆる反公共的な事実、刑罰法規によってもしもこれが強制されているような事実であるとするならば、これはもう組合の活動であろうとあるいは個人の従業員の行為であろうと、差異はないだろう。ただ問題は、組合の活動で行なわれましたときには、これは御承知のとおり労組法の保護があるわけでございます。問題は、非常にこまかい議論になりますが、ただあくまでも組合の活動として行なわれます場合におきましても、労組法の規定によって保護を受けます場合は、これはやはり労働条件その他に関する事項については七条の規定によって保護が受けられる。しかしながら労組法のいわゆる労働組合の活動範囲といたしまして、公害問題について、労働条件外のことについても取り上げることは当然許されるわけでございます。そういう行為が行なわれた場合について、これはもう一般の市民法によって保護される範囲内において当然許される。ただ厳密な意味において労組法第七条の規定による保護を受けるためには、やはり労働条件関連事項ということになるわけでございます。その関連がいかなる範囲に考えていくかということは事実認定の問題でございまして、個々のケースによって判断しなければならぬ、こういうふうに考えます。
○田中(武)委員 まあ不当労働行為の範囲がどういうことになるのか、労組法七条ですか、の論争になると、またほかの問題にも波及いたします。私はきょうはそれを目的としておりません。私も数年間労働委員会の委員をやっておりましたので、あなたのほうで希望せられるならば、不当労働行為とは何ぞやということからさかのぼって論議をするが、それはきょうの目的ではありません。私の言わんとするところは、法務省の答弁メモによると、法務省としては、民法の上に立って権利乱用である。こういう答えは必ずしも私は間違っておるとは思っておりません。しかしせっかく労働法があるんだから、まず労働法による救済を考えるべきだ、こういう点を確認しておるわけなんです。さらに、先ほど来話が出ておりますように、私は質問者の質問内容については申しません。それは必ずしも的確な質問のしかたではなかったかとも思います。がしかし、受けた場合には、当然労働運動としてやったのか個人としてやったのかは、私は考える必要があるんじゃないか。その場合はこっちの道、他の場合はこっちの道というように考えていくのがいいのではないか。これは私が労働委員をやったような経験から申し上げておる。そういうことで、まず、民法による救済すなわち民事訴訟によるまでもなく労働法、これは労組法及び労基法を含みます、によって救済が行政的にできる。もちろん労働委員会の決定の不足の場合、あるいは労働委員会と裁判所が違った見解を示す場合はあり得ると思う。しかし、少なくとも労働者保護のための法律があるんだから、それをもってまず救済を考えていく、あるいはそれは違法である、こういうように受けとめてやるほうがより親切ではなかろうか、こう申し上げておるのですが、その点についてはいかがです。
○岸説明員 ただいま先生のおっしゃいましたこと、私も全くそのとおりだと思います。もちろん一般的に申しますと、労働者はいろいろな部面があるわけでございます。市民としての立場もございます。しかしながらそれが労働運動として行なわれる、あるいは労働者の、企業の従業員として行なわれるという場合には、やはり労組法の面並びに労働基準法の立場に立ちましてそれを判断をして救済をしていくということが必要だと思います。
○田中(武)委員 終わります。 〔山本(幸雄)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中委員長 次に、古寺宏君。
○古寺委員 最初に防衛庁にお尋ねしたいのですが、毒ガスの問題でございます。現在青森県におきましても毒ガスによる被害者が出ているわけでございますが、この問題については参議院ですでに質問が行なわれておりますが、その後どういうような対策を進めていらっしゃるか、まず承りたいと思います。
○田中委員長 古寺君に申し上げます。法案審査でございまして、一般公害問題については質問者がたくさんあるのですが、法案だということで待ってもらっておりますので、法案に関連して具体的事実の指摘、こういうような方向で進めてもらいたいと思います。
○古寺委員 それでは最初に環境庁にお尋ねいたしますが、水質汚濁防止法の中にあるいわゆる有害物質、この中には毒ガスが含まれているかどうか、まず承りたいと思います。
○岡安政府委員 水質汚濁防止法の中の健康有害物質として毒ガス関係が含まれているかという御質問だと思いますけれども、毒ガスの内容その他明らかではございませんけれども、現在私どもの理解では、毒ガス中に含まれるような有害物質は、健康有害物質として指定されていないというふうに考えております。
○古寺委員 今回問題になっているのはイペリットでございますが、こういうような物質についてはいかがでございますか。
○岡安政府委員 それも指定されておりません。
○古寺委員 そういたしますと、今後毒ガスの処理をする場合に、その事業所から毒ガスが排出されまして水質汚濁を来たした場合に、健康被害あるいは生命に対する被害が生じた場合には、今回のこの法律の中には含まれていないわけでございますね。
○岡安政府委員 水質汚濁防止法は先生御承知のとおり事業場等からの排出水に対する規制でございます。そこで、毒ガスがどういう状態にあるのかという問題がまず前提でございますけれども、今後製造することはあり得ないことでございますし、現在問題になっておりますのは、かつて製造されたものが放置されたりあるいは廃棄をされてあった、その処理に伴う人命に対する影響並びに環境汚染の問題というふうに考えておりますが、水質汚濁防止法をすぐに当てはめるということはちょっと困難性があるのではなかろうかというふうに実は考えております。
○古寺委員 防衛庁はこれに対してどういう対策を進めていらっしゃいますか。
○福田説明員 防衛庁、自衛隊におきましては、海中におきますそういったイペリット等を中心といたします毒ガス類が発見された場合には、これは主として一般の方あるいは漁民の方、そういう方が発見する場合が多いのでございますが、警察を通じて通告をいただき、直ちに参りましてこれを処理するということでございます。毒ガスの処理につきましては、イペリットのボンベとか、あるいはこれがイペリット爆弾というような形態になっておるわけでございますけれども、それらをドラムかんに詰めてそのすき間をコンクリート詰めにいたしまして、海中、大体水深二千メートルくらいのところに投棄するというような作業をやらしていただいておるわけでございますが、せんだって大久野島の環境庁の施設の工事の過程におきまして、あるいはイペリットの残存物等による被害ではないかというような事案が発生いたしまして、それに関連いたしまして国会等々で追及をいただきまして、総理のお声がかりでこの毒ガス問題についてひとつ総点検をしていけという御下命がございまして、これは環境庁が中心になりまして、五月の二十五日、環境庁、内閣審議室連名でこの毒ガス問題の処理ということで一応決定が下されております。これは各省庁の連絡会議で決定を見たところでございますが、その第二の(3)という項目の中に「大久野島毒ガス問題に関連して、全国の旧陸海軍基地等における毒ガスの状況、戦後における掃海作業の措置の状況等を防衛庁が中心となって調査し、これを連絡会議に報告する。」こういうことで、私どもが総点検におきます仕事の中で申し上げましたような旧陸海軍の基地等を中心にいたしまして毒ガスの残存の状況というものを総点検し、調査し、そして報告して、それで各省庁の連絡会議によってその処置等をする、こういうことになったわけでございますが、これはもちろん総点検という形での調査であり、処理の方法等を申し上げたわけでございますが、そういった総点検の過程におきましても、いろいろなそういった情報がございまして、緊急を要するということでありますれば、関係省庁との連絡はもちろんでございますけれども、防衛庁、自衛隊といたしましても、防衛庁の能力あるいは技術というようなものが活用されるような場面がありますれば、積極的に私どももそういったイペリット等の処置に当たっていきたい、かように考えている次第でございます。
○古寺委員 そこで、政務次官にお聞きしたいのですが、こういうような水質汚濁防止法に入っておらない、しかしながらこういうものはたくさん投棄しているわけです。これが水質汚濁の原因にもなりますし、漁民等がたまたま網にひっかかったものを知らずに処理するために非常に被害を受けているわけですね。こういうものについて環境庁としては一体どういう対策をお考えでしょうか。
○小澤(太)政府委員 ただいま防衛庁からお答えいたしましたとおり、第一回の会合を五月の二十五日に環境庁と総理府が中心となって開きまして、関係省庁の会議をつくったわけであります。そこで分担をきめまして、海中投棄等の毒ガス等については防衛庁がこれの調査に当たる、こういうことになっております。調査し発見されましたならば、もちろんこれを取り除くという作業をやるということにいたしておるわけでございまして、この問題は水質汚濁防止法をもって律する問題ではなしに、それよりもっと具体的に、そして速急に政府の行政としてやる仕事でございますので、このように御理解いただきたいと思います。
○古寺委員 そこでお尋ねしたい問題は、陸奥湾の場合は、現在判明しておる人たちだけで三名の被害者が出ておるわけです。いまだにケロイド等がありまして被害者は非常に困っておるわけですね。こういうような患者の救済、これは一体どこが責任を持っておやりになるのか承りたいと思います。
○小澤(太)政府委員 いま申し上げましたような連絡機関を設けまして、そこの話し合いで、これは一つには旧従事者、こういう人たち、またその後のいま御指摘のようなそのための健康被害者、こういう者については大蔵省と厚生省が責任を持ってその衝に当たるということを決定いたしました。したがいまして、そのような所管に従った措置を急速にやるべきである、このように考えます。
○古寺委員 厚生省はこの被害者の救済についてどういう対策をお考えでしょうか。
○春日説明員 従来、厚生省といたしましては、イペリットの掃海事業中の医療救護班の一部というかっこうで医療救護班を出動させ協力をさせていただいてまいったのでございます。いまお尋ねのような今後の補償と申しますか、あるいはそういったものにつきましては、現在私どもは的確な方策をいまだ打ち出しておるわけではございません。これから関係省庁と御相談してやっていきたいと思います。ただ補償というかっこうで行なう以前には、旧軍がどこに廃棄をし、どういう形で現在このイペリット管が破損しておるか、あるいはまたどういうかっこうで漁夫の方に被害を与えたかというような調査が前提になるであろうと考えております。
○古寺委員 そこで政務次官にお尋ねしたいのですが、こういう戦後二十数年経過した問題すら解決をしていないわけです。そうして今回、公害の被害者を救済する立場から無過失法案が提案になっておるわけでございますが、現在の公害の監視体制あるいはまた公害に対する政府の姿勢、こういうものからいって、無過失法案以前のものが非常に欠けておるのではないか、こう思うわけです。こういう毒ガスによる被害者すら泣き寝入りの状態で放置をされております。もちろん数多くの公害の被害者もそのとおりでございます。こういうものについて今後、無過失法案適用以前のいわゆる環境庁としての姿勢、政府としての姿勢、取り組み方、こういうものについて、まずお尋ねをしておきたいと思います。
○小澤(太)政府委員 戦時中製造されました毒ガスを海中その他に投棄した問題この対策はあなたの御指摘のとおり、これは無過失の問題とかあるいは公害の問題以前の問題でありまして、先ほど申しましたように、当然政府が行政責任を持って処置すべき問題でございます。したがいまして、総理の決算委員会ですか何かの国会答弁もありまして、私どもはその指示に従いまして、先ほど申しましたような機能をもちまして、この対策を進めておるわけでございます。もちろん環境庁と総理府が中心となってこれをやってまいるわけでございますが、無過失とか公害というよりも、もっとそれ以前の政府が当然の責任としてやるべき事柄でございますから、そういう認識に立ってやるつもりでございます。
○古寺委員 そういうような公害とか無過失以前のものすらまだ解決されていないということは非常に重大な問題であると思いますので、今後こういうような問題については国民の立場に立ってしっかりやっていただきたい、こう思うわけでございます。 そこで、今回の公害の無過失賠償責任法につきましてはもうたびたび審議も行なわれまして、さらに私は法律の専門家でございませんので、質問が非常に専門的でない質問になるわけでございますが、最初にまずお尋ねしたいのは、なぜ今回のこの法案の中に財産被害というものを取り入れなかったかということについて、まずお尋ねしたいと思うのです。
○船後政府委員 公害の被害者救済につきましては、御指摘のように財産被害というものも非常に重要ではございますが、今回民法の原則である過失責任主義というものに対しまして、無過失責任、この特例を導入したわけでございます。それにつきましてはやはり現在社会的に被害がきわめて重大であり、かつ緊急に救済を要するという人の生命、身体被害というものに着目いたしまして、この無過失制度を発足させる。財産につきましては、これをどのような範囲内で、たとえば生業被害に限るとか、いろいろな考え方がございますが、そういった問題につきましては長官もしばしば当委員会で申し上げておりますように、今後の課題といたしまして検討いたしたいと考えております。
○古寺委員 通産省にお尋ねいたしますが、鉱業法の場合には無過失賠償責任はすべてのものにかかっていると思うのでございますが、今回のこの提案されている法案と鉱業法の違いについてひとつ御説明願いたいと思います。
○森口説明員 お答え申し上げます。 鉱業法の無過失賠償責任の場合は、まず、先ほど来実は議論になっておった点でございますが、従来の公害賠償の慣行を踏まえまして公害賠償について遡及効が認められております。これ、異なる第一点でございます。 第二点といたしましては、今回提出の法案が物質を指定いたしまして、その物質を排出した場合の無過失賠償責任ということを考えておりますが、鉱業法の場合には物質ではございませんで、土地の掘さくあるいは坑廃水の流出あるいは堆積場の崩壊というような鉱業のいろいろな原因に伴います結果について無過失賠償責任を考えております。 それから第三点といたしまして、先生からいま御指摘いただきましたように今回の提出法案は人の健康にかかわる被害に限定をいたしておるわけですが、鉱業法の場合におきましてはそれのみならず、財産被害まで広く適用するというような考え方をいたしております。 なお、こまかい異同点はございますが、大きな異同点は以上の点でございます。
○古寺委員 そこで環境庁にお尋ねいたしますが、気仙沼に砒素の製練工場があります。ここにはたくさんの砒素の鉱滓あるいは粉鉱、こういうようなものが放置されておりまして、この工場について環境庁はどういうような措置をおとりになったか、お尋ねしたいと思います。
○久良知政府委員 先生お尋ねの東北砒素鉱業の鹿折製錬所は昭和十年に鉱山の付属の製錬所として発足をいたしておったわけでございますが、昭和三十年から鉱山と離れまして独立製錬所として操業をやってきておりますので、先生お尋ねのように現在ではこれは県が規制をいたしておるのでございますが、前に鉱山の付属製錬所として稼行しておった時代があったものでございますので、最近の休廃止鉱山についての公害防止のための調査の一環といたしまして、私どもで一応の調査をいたしたわけでございます。 この製錬所は四十五年の十月二十七日に操業を中止いたしまして現在に至っておるわけでございますが、四十五年当時に休廃止鉱山としての調査をいたしまして、その後ことしの一月にも再度の調査をいたしたわけでございますが、そのときに四十五年の状況とあまり変わらないということで、これは休廃止鉱山に対する対策の一環といたしまして県の公害規制課それから薬務課と相談をいたしまして、さらに共同の調査を二月に実施をいたしております。その結果、応急の措置といたしまして製錬所の施設につきまして立ち入り禁止の禁さくを設けるということ、それから値久対策といたしましては精錬設備、それから粗亜砒酸、それから原料であります粉鉱の処分ということにつきまして、これはその処理法を具体的に県と協議をする必要があるのではないかということで相談をし、処理にかかったわけでございます。禁さくにつきましては、県のほうで直ちに実施をいたしまして、通産局の公害保安課のほうでこれは三月に調査をいたしまして一応禁さくができておるということを確認いたしております。 それから恒久対策についてでございますが、現在この製錬所を所有しております日本砒素工業株式会社というのが無資力でございますので、現在のところ日本砒素は加藤さんという方の所有になっておるわけでございますが、同氏にこの製錬所の適正な処分について要請をする。この要請によりまして、製錬所そのものを放棄をするので、県が処分をしてもらいたいということを文書でとる。それによりまして市並びに県を中心にいたしまして製錬所についての処理をしようということでございます。その後の報告によりますと、現在製錬所に砒素の鉱石が約三百トン、それから中間の硫化砒素が約四トンほどあるわけでございますが、この中間物につきましては、これは中間物を出しましたもとの化学工場に引き取りをさせたわけでございます。三百トンの鉱石とそれから砒素の製錬所につきましては、これは製錬所につきましてはかまをこわす必要があるわけでございますが、このかまをこわすのと、それから鉱石を埋めるということをつゆ前に、これは県が中心になって工事を施行するというふうに決定をいたしておるようでございます。
○古寺委員 ここの製錬所の場合には、非常に環境被害がひどいわけでございますが、この製錬所から流れてきている川の利水地点、ここではもう環境基準を上回っております。また、この地点におきましては、小学校の生徒が水泳をやっているようでございますが、この製錬所の場合には鉱業法が適用になるのかどうか、まずこの点お尋ねしたいと思います。
○久良知政府委員 昭和三十年にこれは鉱山から離れまして、独立製錬所として操業をいたしてきておるわけでございますので、この製錬所につきましては、鉱業法の適用はないわけでございます。
○古寺委員 そういたしますと、昭和三十年までは鉱業法による無過失責任というものがこの製錬所にはあったわけでございますが、三十年以降にはそういうような責任はなくなってくるわけですね。したがいまして、今後の問題としてはただいま提案をされております無過失責任法案と関係が出てまいるわけでございますが、こういうふうに前には鉱業法の適用を受けておる。しかし、今回の新しい法律によりますと、財産被害とか、そういうものについては、今度の法律は適用にならない。非常に矛盾をしているように考えるわけでございますが、こういう点について政務次官はどういうふうにお考えでございますか。
○小澤(太)政府委員 今回の無過失関係法案は、先ほどからたびたび説明をいたしておりますように、健康被害無過失という一つの民法上の原則の百八十度の転換を行なう問題でございます。そういうような関係もありまして、健康被害に限定をいたしております。しかし、これはあくまでこれだけで済ますというわけではございません。今後の検討にまって財産被害あるいは生業被害というものに対し、どのような措置をとるかということは引き続き研究してまいりたい、こういう立場におるわけでございます。 御指摘の鉱業法との関係はそのような御指摘のとおりのギャップができますが、これはやむを得ないのじゃないかと思っております。
○古寺委員 ギャップができてやむを得ないというのは、どうも納得できないのですが、これはやはり現在起こっている公害でございますが、山形県の南陽市の問題でございますが、カドミウムによる汚染が非常に問題になっております。健康被害も出ているようでありますし、また米のカドミウムの高濃度の汚染も心配されているわけでございますが、この点について環境庁はどういうふうに調査をし、どういう対策を考えていらっしゃるか、承りたいと思います。
○船後政府委員 山形県の南陽市の吉野川流域におけるカドミウム汚染の問題でございますが、昭和四十五年度に緊急一斉総点検を実施いたしました際に、農林省が予備調査といたしましてその流域産の玄米、水田土壌のカドミウム濃度を測定し、引き続き四十六年度に本調査を実施したのでございます。 この結果四十六年度産米のカドミウム濃度が比較的高かった南陽市の宮内及び金山地区の四十歳以上の婦人六百三十名を対象といたしまして、第一次検診を本年四月に実施いたしました。その結果、四百十三名が受診いたしておりまして、このうち六十九名に指曲がりを呈するものが見られました。そこで、そのほか尿中たん白が陽性の者が三十七名、また尿中糖が陽性の者が六名というような結果が得られましたので、五月四日以降地元医師会、病院、保健所の協力を求めまして、現在県では尿中カドミウム濃度の測定、骨のレントゲン検査等の第二次検診を実施しておるところでございます。
○古寺委員 米に対する対策については、食糧庁からお答えを願いたいと思います。
○中村(建)政府委員 山形県の吉野川流域の四十六年産米につきましてカドミウムの細密調査が行なわれまして、これは百十ヘクタールでございますが、六十点について調査を実施されました。その結果一PPM以上の濃度を持ったものが一点出ました。それから〇・四から一PPM未満のものが十九点ございました。〇・四未満のものが四十点、計六十点の調査をいたしております。 そこで、従来から食糧庁としてカドミウムの汚染問題につきましての取り扱いは、一PPM以上の地域の米は買い入れもいたしませんし、一PPM未満でございましても、〇・四PPM以上のものは、買い入れはするが配給には回さないという措置をとっております。 そこで、この地帯の四十六年産米につきましては、一PPM以上の地帯の米を三トン買い入れております。これは買い入れた後に一PPM以上であるということがわかりましたので、現在政府手持ちとしてこの米は持っております。それから一PPM未満で〇・四PPM以上の地帯の米は九十六トン買い入れをいたしまして、これも現在そのまま保留をして持っております。したがいまして、この地帯でできました以上の米九十九トンにつきましては、現在も配給その他に回さないで政府の手持ちとして持っております。 それから農家に対します配給でありますが、一PPM以上の地帯の農家に対しましては政府の米を配給いたすことになっておりますので、配給の希望に応じて配給をいたしました。 なお、一・〇未満の地帯の農家に対しましては、保有米と政府の米の交換を希望があればいたすことにいたしておりますが、現在のところこの地帯の農家からは交換の希望が出ておりませんので、交換はいたしておりません。
○古寺委員 そこで通産省にお尋ねしたいのですが、こういうような場合たくさんの鉱山があるわけでございます。この場合に共同不法行為の責任の範囲というものについては、鉱業法の立場でいった場合にはこういう米の補償問題等についてはどういうような責任の範囲になっているのか、御説明願いたいと思います。
○森口説明員 お答え申し上げます。 鉱業法の規定によりますと、損害の発生のときの鉱業権者が原則として責任を持つことになっておりますけれども、問題になりました時点には鉱業権者がかわるというような場合がございますので、そういうような場合には両方が共同して損害賠償をするといういわゆる連帯債務の規定がございます。租鉱権についてもそういう連帯債務の規定がございます。それから鉱区の隣接しておるものについて問題が起こりました場合には、やはり連帯債務の規定があるわけでございますが、本件の場合因果関係の究明によりまして、鉱業法の規定を運用して解釈すべきだと考えております。
○古寺委員 この吉野川の現在のカドミウムによるいわゆる汚染については、原因は一体どこにあるわけですか。
○久良知政府委員 吉野川の流域と申しますか、この水に対しまして影響を及ぼし得ると考えられる鉱山は数多くあるわけでございまして、現在日本鉱業に属しております吉野鉱山、それから福舟鉱業株式会社の南沢鉱山、それから朱山鉱山、そのほか往時からのと申しますか、皆稼行いたしまして現在休んでおるといいますか、休廃止いたしておる鉱山が数鉱あるわけでございます。具体的にどの鉱山がどれだけの寄与をしたかということを現在の時点で明確に決定することはおそらくむずかしいのではないかと考えられるわけであります。
○古寺委員 そうしますと、これは一体だれが責任を負うわけでございますか。
○久良知政府委員 現状におきまして排出しております水につきましては、カドミウムについて見ますとかなり排出基準を大幅に下回っておるわけでございます。往時の問題につきましては、責任分を明確にするということは先ほど申し上げましたように非常にむずかしい問題があるわけでございます。やはり先ほど参事官がお答え申し上げましたように、鉱業法によりまして処理をいたしていくということになるわけでございます。
○古寺委員 結局は鉱山に対するいわゆる監督行政というものがずさんであったためにこういうような結果が出ていると思うのです。現在の吉野鉱山の実態を見ましても十分な体制ができているとはいえない。沈でん池等を見ましても、全く公害防止に役立たないような沈でん池が一つあるだけで露天掘りもやっております。これに対して通産省のほうは心配がない、基準を下回っている、こういうような回答しかしないわけです。ですから、無過失以前のあるいは共同不法行為成立以前の問題になってくると思うのです。こういうようなずさんな行政そのものに今日の公害の大きな原因があると思うわけです。こういう点について、今回の吉野川の一つの例をあげましても、通産省としては一体どういう責任を感じ、この問題をどういうふうに今後解決していこうとするお考えを持っておられるのか、まず承りたいと思います。
○久良知政府委員 カドミウムが人体に有害であるということがはっきりいたしましたのは昭和四十年代に入ってからでございます。私ども有害物質としてその排出について厳重な監督を始めましたのは大体昭和四十三年当時からでございます。それ以降特に重点的に監督をいたしまして、カドミウムの排出につきまして、現在稼行しております鉱山については、先ほど申し上げましたように、排出基準をかなり大幅に下回っておるわけでございます。吉野鉱山につきましても処理施設を設けさせまして処理をやらしております。最近の調査を見ましても、大体この排出県準につきまして一けた低いくらいの数値を得ておるわけでございます。何ぶん昔から排出を続けておりまして、カドミウムについていまほどの知見がなかった時代が長かったわけでございますので、その当時やはり廃止された坑廃水それから廃滓等については問題があるわけでございます。今回カドミウムを含む汚染米が発見されておりますし、それからそれを出しました農用地についても汚染が一応予想されるわけでございますので、こういうものにつきましては、土壌汚染防止法による土地の改良ということが将来の問題になってくるわけでございますけれども、環境庁、農林省とも協議をいたしまして、そういう農地の客土を中心にいたします改良事業ということで解決をしていこうと考えておるわけでございます。
○古寺委員 カドミウムの有害説がわかったのは四十年であるというのはわかります。しかしきちんとしたいわゆる防止体制というものが整っておれば、そういう問題というのは起きないと思うわけなんですね。 次に、酒田港の大浜運河というものがございます。この運河が重金属によってものすごい汚染をされておる。この運河の処理を今後どういうふうにお考えになっているのか。これは環境庁にお尋ねしたいと思います。
○岡安政府委員 酒田港の大浜運河につきましては、水質の点につきましてはPH、COD、SSそれから健康有害物質等につきましても、環垣基準といいますか、環境基準のレベルには達していないということでございますけれども、お話の底質につきましては非常に大量の重金属が発見されているわけでございます。特に非常に多いのは鉛でございます。それから水銀も発見されておりますし、砒素、カドミ、クロム等についても底質には相当量が堆積しているというふうに私ども承知いたしております。 そこで一つの対策といたしましては、今後そういうような汚染の進行を防止するということが必要でございますが、これに対しましては、関係の事業場等に対しまして適切な公害防止施設の設置をさせまして、現状におきましてはほとんど有害重金属等の排出はなされておらないわけでございます。 問題は堆積しております底質の処理でございますが、底質中に含まれます有害重金属が環境に及ぼす影響等につきまして、現在私ども調査、研究を進めておる段階でございまして、これが環境、特に水質に非常な影響があるというようなことになれば、しゅんせつその他の措置によりまして、原因である底質の汚染物質を除去するということが必要であるというように考えております。早急に私どもはこの底質につきましての環境に対する影響並びにその対策を研究をいたしたいというふうに考えておる段階でございます。
○古寺委員 水銀についての魚介類に対する心配がないかどうか、お答えをお願いいたします。
○岡安政府委員 私どもの調査によりますと、底質中に含まれる水銀は、アルキル水銀につきましては検出されないということになっておりまして、総水銀が〇・四PPMから百七十五・五PPMというような数字が出ております。こういうような総水銀がどれだけ水の中に溶質しているか、また最近いわれておりますようにアルキル水銀に転化をするかというような問題、必ずしも現在明らかになっておりません。早急に私どもはそういうようなメカニズムにつきまして明らかにいたしたいというふうに考えておりまして、これが環境汚染、またそれを通じまして魚介類等に影響があれば、早急に対策を講じなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
○古寺委員 いまの吉野川の場合を見ましてもあるいは酒田港の場合を見ましても、まず環境の破壊というものが起きてきているわけです。財産の被害が起きてきます。それからやはりわれわれの生命や健康にも被害が及ぶ、こういうふうに考えられるわけですね。ですから、公害を防止するという立場からいけば当然この財産の被害というものも含まれてしかるべきではないか、こういうふうに思うわけですが、政務次官はいかがでしょう。
○小澤(太)政府委員 いまの御意見、ちょっと私理解しかねるのですが、財産の被害は底質がよごれたということが財席の被害ということにはならないのではないか、ですからあまり議論はいたしたくありませんけれども、いまのおっしゃった事柄はむしろ逆ではないか、こう思います。
○古寺委員 この運河にはかつては魚がたくさんすんでおったわけですが、現在もうほとんど魚がすんでいないわけですね。そうしますというと、当然相当の被害があるわけです。これは漁民の財産でございますね。そういうような財産の被害がまず起きてくる、環境の破壊が起きてくる、その後にその水銀によって水俣病のような公害病というものも考えられるわけです。ですから当然、そういう一つの段階としまして財産被害あるいは環境の破壊というものをまず考えなければいけないのじゃないか。
○小澤(太)政府委員 議論をするつもりはございませんが、環境の問題を考える、これは当然なことであります。しかし、一般的に財産被害というのはなかなかむずかしい。ことに漁業の補償などは財産被害といっていいのか生業被害というのか、魚が少なくなったからそこで、観念的と申しては失礼でございますが、被害があるのだからこれは財産被害だというようなとり方はなかなかむずかしいのでございまして、したがって漁業権が侵されるとか、実際に養殖していて漁業者の手のうちにあったものが侵されるとか、あるいはそのことが可能性が非常に深いものが侵されるとか、いろいろ問題がございまして、したがいまして財産被害なり生業被害のとり方というのはなかなかむずかしい問題である、これからの研究の課題にいたしたいと思っております。 それよりも何しろ、とにかく健康被害というのは何といってもこれは早急にやらなければならぬということで、段階的にまず健康被害に限定をしておる、こういうことでございますので、この点はひとつ御理解いただきたいと思います。
○古寺委員 ここでまた逆戻りするようでございますが、先ほど鉱業法においては健康被害あるいは生命の被害以外にもかかっているわけですね。なぜ、そういうような前例があるのに、今回この無過失法案にはその点を入れなかったのか、非常に納得に苦しむわけなんですが、そういう点について法制局の御意見を承りたい。
○角田政府委員 せっかくの御質問でございますけれども、主として側面としては政策的な問題であろうかと思います。むろん一つの考え方として、財産的な損害に対する面も無過失責任として取り上げるということも、立法政策としてはむろん可能だと思いますし、そういう考え方も政策的にも妥当な側面を持っておると思いますけれども、法律的に、それでは法秩序として全然おかしいかどうかという観点から見ますと、それはもう絶対におかしいとまでは言い切れないのじゃないかということしか言えないと思います。
○古寺委員 そこでこの複合汚染についてはいわゆる今回の法案においてはどういうように救済されていくのか、御説明願いたいと思います。
○船後政府委員 いわゆる複合汚染ということばの内容でございますが、まず硫黄酸化物のように非常に発生源が多数ありまして、多数の発生源から排出いたしました硫黄酸化物、あるいは粉じん等が合わさって一つの被害が生ずるという問題につきましては、今回の法案におきまして無過失責任の対象となる物質の範囲に、このような複合汚染を常態とするような物質をも取り入れておりますので、そういった面から救済を考えております。 次に、複数の原因者、この行為が合わさって一つの被害が生じた場合に、複数の原因者間において連帯して賠償の責めに任ずるという問題につきましては、現在民法七百十九条に共同不法行為の規定がございますので、これによりまして、そういった複数の排出原因者の責任を問うというような立て方にしておるわけでございます。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。 船後局長。
○船後政府委員 多数の排出原因者がありまして、どの範囲内の原因者についてそういった共同責任を問うかという問題でございますが、これにつきましては民法七百十九条の解釈及び運用といたしまして、共同不法行為ということにつきましては、これはいわゆる主観的な要件、共謀でございますとか、あるいは共同の認識というものは必要でない行為につきまして、客観的に関連共同しておれば足りるということでございますから、問題はやはり一つの損害を引き起こしております多数の行為について、どこまで客観的に関連共同性があるかというケース・バイ・ケースの裁判所の判断になろうかと思うのでございますが、ただ原因者が多いから全く責任の追及ができないのだということではございませんでして、その間に一つの関連共同性があれば、いずれもそういった原因者は連帯して責任を負うということになるわけでございます。
○古寺委員 今回のこの法案を見ますと、減額規定だけを置いているわけでしょう。ですから、これはやはり大きく後退するのじゃないかと考えられるのですが、そういう点についてはいかがですか。
○船後政府委員 今回微量寄与者につきましてのしんしゃく規定を設けておりますのは、現在の七百十九条でございますと、一つの損害に対しまして共同連帯責任を負う排出者が、いずれも共同連帯でございますから、どのような微量の寄与者といえども、全額につきまして賠償の責めを負うわけでございます。こういったことで、非常に原因者が多数ある、しかもそういった原因者の中でも大量に排出しておるものもあれば、あるいは大企業の隣の中小企業のように、ごく微量しか排出していないというような企業もあるわけでございます。こういう場合に、ごく微量のそういった中小企業に、全体の連帯責任を負わせるというのは、やはり過酷ではないか。公平の原則からいたしまして、そういった微量の寄与者には、その部分につきまして、その寄与の程度等に応じまして、裁判所が責任の額を定めるについてしんしゃくしようという道を開こうというのが、微量寄与者についてのしんしゃく規定でございまして、この規定が置かれたからと申しまして、共同不法行為というものの成立にはいささか影響されるものではない、かように考えております。
○古寺委員 いささか影響されないというと非常に影響される、こう思うんですね。 時間の関係で次に進みますけれども、二十五条に「生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のもの」こういう条項があるわけでございますけれども、「生活環境のみに係る被害」というものは、結局人間の生命やからだに対しても当然影響があるというように考えられます。ですから、ここの字句については削除したほうがいいのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、政令で定める予定の物質についてはあらかじめどういうものをお考えになっていらっしゃるのか、承りたいのであります。
○船後政府委員 先生も御承知のとおり、水質汚濁法の系統におきましては、規制する物質を人の健康にかかわるものと生活環境にかかわるものと、こういうふうに区別して規制しております。ところが大気汚染防止法の系統におきましては、人の健康及び生活環境にかかわるこういう物質ということで規制いたしております。そういう関係上、今回の政府案におきましては、もっぱら人の生命、身体に対する侵害という点に着目いたしておりますので、大気汚染防止法の系統では、主として生活環境にかかわるというような規制物質があれば、これを政令でもって指定いたしまして排除するという趣旨でございます。 しからば具体的にどのような物質が考えられるかということにつきましては、これは科学的な検討を要するところでございますが、現在私どもの頭にございますのは、たとえば粉じんの中で、これはいろいろな製造工程から粉じんが発生するわけでございますが、小麦粉の粉じんといったようなものにつきましては、これに該当するのじゃないかというような点から検討を進めてみたいと考えております。
○古寺委員 次にお尋ねしたいのは、移動発生源としての自動車の排出ガスです。これについての責任はどの条項が適用されるかということ。
○船後政府委員 御指摘の自動車の排出ガスにつきましては、移動発生源でありますと同時に発生原因者が全く不特定多数でございます。こういった自動車の排気ガスから出てくる物質が人の健康に影響があるという事実はございますけれども、民事の問題としてこれを追及することはほぼ不可能に近い、実際問題として不可能に近い、かように私どもは考えております。したがいまして、このような不特定多数の、しかもとらまえがたい移動発生源というものの損害賠償関係につきましては、やはり民事の領域よりはむしろ行政的な損害賠償制度というようなものになじむのではないかという方向で今後検討を進めてまいりたいと考えております。
○古寺委員 次に静穏汚染の場合のしんしゃく規定はどういうふうに適用されるかという問題でございますが、具体的に申し上げますと、硫黄酸化物が〇・五PPMの高濃度を記録しておる。大気警報が発令された。しかし汚染は一向によくならない。ついに健康被害も発生した、あるいは死者も出た、そういうような状況におきまして、その原因が、二重逆転層になって、高い煙突も逆転層を破ることができない。そういうような場合に共同不法行為の責任範囲を決定するためには、本法でいうところの天災、地変あるいは不可抗力の判定がどういうふうに適用されるか、こういう問題についてお答え願いたいと思います。
○船後政府委員 いま御指摘のような問題は、やはり病気という損害と排出という行為、この間を結びつけるところの因果関係の問題の究明がまず前提になるのではないか、かように考えております。したがいまして、ある排出行為がある損害に結びつく間にはその物質と病気の関係もございますし、また到達系路の中に天然現象というものがどの程度入ってくるかというようなことがございまして、ケース・バイ・ケースに決定していくべき問題ではなかろうかと思います。
○古寺委員 それでは島本議員に先ほどの質問をお願いしたいと思うのです。 複合汚染の問題でございますが、これは野党案でなければ救済ができない、こういうふうにお話があったわけでございますが、政府案との違いについて御答弁を願いたいと思います。
○島本議員 その件につきましては、野党案ではいろいろ論議になったところでございます。すでに御存じのとおりでありますが、野党案では特に複数原因者というふうにしてこれはとらえておるのでありまして、複合公害の場合には数企業の責任ということになりますので、事業者相互間の共謀ないしは共同の認識は要しないものである、汚染状態の形成に客観的に寄与しておればこれは連帯責任を負うべきである、こういうような考えに立って立案されております。したがって、従来の日本の判例を見ましても、共同不法行為はすべて例外なく連帯責任と、こうされておりますので、公害についてもこの原則を変更する必要はない、こういうふうに考えておるのでありまして、この複合原因者、すなわち共同不法行為者に対する寄与度を問うことなく全損害についての損害の賠償を課するものである、こういうような考えであります。したがって、まず損害に対する責任をとってもらう、賠償に応じてもらう、その度合い、寄与度については事業者同士で求償し合えばいいのじゃないか、まず被害者の救済が第一である、こういう観点に立っておりますから、野党案によって救済をはかるのがまず第一じゃなかろうか、こういうふうにわれわれは確信をいたしておる次第でございます。 いろいろございますが、いまの答弁で御理解賜わりますでしょうか。
○古寺委員 それから第二十五条の第二項でございますが、「その物質が健康被害物質となった日以後の当該物質の排出による損害」こういうふうにあるわけでございますが、「なった日以後」は物質の排出にかかるのか、損害にかかるのか、立法の趣旨について法制局から御答弁願いたいと思います。
○角田政府委員 お答えいたします。 排出にかかることばとして書いてございます。
○田中委員長 ちょっと古寺君に申し上げます。 公害防止事業団の理事長江口君が参考人として出席しておりますから……。
○古寺委員 そうすると、これは物質の排出というように理解してよろしゅうございますね。われわれが考えますには、やはり被害の発生時、こういうふうに考えたほうがいいと考えられるわけなんですが、この点についてはどうですか。 〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
○角田政府委員 御質問の趣旨が、解釈論としてお尋ねであるとすれば、この規定の解釈としては、なった日以後の排出にかかるということは明らかだろうと思います。もし損害にかけたいのであれば、もう少し別の書き方を当然しただろうと思います。 ただ政策的に、なった日以前の排出を何か取り入れるような規定のしかたというものがないだろうかという御質問であるとすれば、むろんそういうことも一応考えられると思いますが、ただこれはこの法律全体の、例の適用の問題と同じような性格の問題であろうと思いますけれども、新しい無過失責任を適用する場合に、従来健康被害物質として指定されなかった時期における事業者の排出行為をどう考えるか、どう評価するかという問題であろうと思います。
○古寺委員 事業団のほうにお尋ねいたしますが、塩釜に加工団地の処理施設をおたくのほうでおつくりになりました。しかしこれは当初の予想に反して全く処理能力のない施設をつくったわけでございますが、これに対しては事業団としてはどういうような責任をお感じでしょうか。
○江口参考人 昭和四十二年に塩釜市からただいまおっしゃいましたような施設をつくってくれという申し込みを受けまして、四十三年末に一応これを完成したとして譲渡をいたしたのであります。おっしゃるように十分な機能が発揮できなかったということは、公害防止事業団としてもまことに遺憾に存じまして、その後県、市、あるいはこの施設を請け負われました会社等ともよく話し合いをして、改善すべき点は改善をしつつ所期の目的を達したいということで、自来いろいろな付加的な施設をやってまいったのであります。 〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、いま考えますと、最初の診断と申しますか診察と申しまするか、どれくらいよごれた水であるかということにつきまして、結果におきましては約一けた違ったような、二、一三〇PPMの汚水というものを一〇〇PPMにするという内容の契約を結んで仕事をやったわけでございまするけれども、現実にでき上がってみましてうまくいかないものですからさらに調べてみますと、そのときの汚水の濃度は二、一〇〇なんかじゃなしに二〇、〇〇〇をこえるというような数字に相なっております。これは最初の二、〇〇〇と設定したのが、常識的には私たちあとで考えますと合わないというような点もございますが、その原因の中には、たまたま調べたときが盛漁期でなかったというようなことや、その後の漁法の変更というようなことあるいは数量等も六百八十トンでございますか、そのぐらいのものを見ておったのが干トン以上であるというようなことで、いろいろな原因はございましたようでありますが、とにかくうまくいかなかった。しかしながらこれは何としてもうまくいくようにしなければならぬということで、鋭意その改善に努力をいたしておりましたところ、昨年でございますか、環境庁の御指導によって、いままでのやり方ではどうも幾らやってもだめじゃないかというようなことで、これは業者のほうはさらに研究を重ねればあるいはできるかもしれぬ、一生懸命やりたいというような意思を表示いたしましたけれども、第二次団地の中にとにかく千トンの水を使わなければならぬということになりますと、ほかの施設もやらなければならぬという時期になりまして、とにかくいままでのつくった施設をそのうちの一部分として利用できる限りにおいて利用したらどうかというようなことに相なりまして、従来の施設を今度の新しい施設の調整施設として、どうせ新しくつくればこれくらい要るのでそれをそのものに利用すればそれだけの新しい施設をつくらぬで済むという考えから転用の申し入れがございましたので、私たちといたしましては最後的には私自身も出向きましたが、県、市、市からは市長さん及び市議会を代表して議長さんもお見えになっておりましたが、その方及び受注者で注文を受けておりました住友軍機械工業の代表者というようなものが集まりまして、最後的にはその役に立たなくなった分を補償するというような形で新しい施設の一部分としてそのものを使うということで、現在はいわゆる連続式の施設によりまして仕事をやっておられるようでございますが、私たちは確たる数字を得ておりませんけれども、聞きますところによりますと、指定値以下の排水が現在は出てきておるということになっておるようであります。この新しい施設をやりますることに対しましては、国が指導をされた関係もありまして、国あるいは県の補助金が相当出ておりますが、その足らずまえにつきましては当事業団におきましても優先的に融資をするということで、これは現実に一億三千八百万でございますか、融資をいたしまして、現在のところ処理している排水は基準に適合しているというふうに、これは近く科学技術庁かどこかで発表になるはずでございますけれども、そういうふうに私たちは聞き及んでおる次第でございます。しかしながら、何にしましても第一次の計画どおりいかなかったということにつきましては事業団としましても非常な責任を感じておりまして、私たち自身としてやり得る事柄につきましては、調査研究費等をこれにつぎ込むというようなこともいたしましたし、県のほうも努力をいただいたというようなことで、これは各方面の御助力の結果、とにかく現状におきましては一応の良結果を得ておる、こういうことを御報告申し上げます。
○古寺委員 公害防止事業団が結局その使いものにならないいわゆる処理施設というものをつくって、それを一年間にわたってですか、全然その公表をしないでため池をつくって、そして非常に悪い、いわゆる汚濁された汚水を松島湾に流しておった。そのためにいろいろ水産被害も出たようでございます。その場合に、いまのお話を承りますと、最初は二、〇三〇PPMのものを一〇〇PPMに落とすための処理施設である。そういう設計のもとにつくられた。しかし実際に処刑する原水と申しますか、それは二〇、〇〇〇とかあるいは一〇、〇〇〇PPMをこえておった、そのために処理することができなかった、こういう問題になるわけでございますが、その点について事業団としてはいろいろ漁業被害を与えたこと等についてどういうふうに責任を感じていらっしゃるのか。またこういう全然使用できない処理施設というものを塩釜市に譲渡をして、その損害というものについては一体だれがこれは責任を負うのか、その点について承りたいと思います。
○江口参考人 お答えをいたします。 まず第一点の漁業被害についてどう考えるかという点でございますが、御承知のように塩釜地区におきますささかまぼこの関係業者は、まあ大小いろいろあると思いますけれども二百六十あるわけでございまして、第一次の対象になりました工場はそのうちの十六が入った。なおさきの計画によりますると、第二次以降に百五十ぐらいを入れ、あるいは第三次、第四次というのがあるかもしれませんけれども、とにかく順次全部の業者をそのままの形で収容するか、あるいは相当集約した形で収容されるか、これからの問題だと思いまするけれども、とにかく松島湾を汚染いたしました原因のもちろん一つにはなっておりますことは否定できませんけれども、二百六十余のうちの十六についていまのような問題が起こったということをまずお考え願わなければならぬと思いまして、これは、水産被害がどれくらいあったかということや、あるいは二百六十のうちの十六がそのうちの何彩を占めておったかというようなことにつきましてはつまびらかではございませんけれども、松島湾汚染の原因——これができなかったのが一番大きな原因であるかのように誤解、まあ誤解ということばは悪うございまするが、そういうふうに理解されることはいかがかと思いますが、とにかくその一部分に責任を強く感じておるということは事実でございます。 なお、役に立たないものを譲ってどうしたのだとおっしゃいまするが、これはいま人がかわってしまって日付ごとに御説明ができないのはまことに遺憾でございますけれども、とにかく一応は役に立ったといってはおかしいのですが、初めの予定どおりの二、〇〇〇幾らが一〇〇にならなかったという事実は否定できませんけれども、二〇、〇〇〇ないし一〇、〇〇〇というものが二、〇〇〇くらいのものになって出てきたというのは事実でございまして、相当の期間そういう形で営業をやったのでございますから、もしもこれをやらなかったとすれば、二万の原水そのものが流れたということになるのでございますから、これは言いわけめいて失礼でございますけれども、とにかく二、〇〇〇と思ったから一〇〇にできるということでやったけれども、二万であったから二、〇〇〇ないし四、〇〇〇というような数字で出てこざるを得なかったというようなことがあとではっきりしたわけでございまして、そのはっきりしたあとは、先ほども申し上げたように、事業団としてできることは事業団としても誠意これをやる、県のほうも助力をされる、それから業者のほうももちろんこれは責任がございますから、契約以外の沈でん池等をつくって、何とか所期の目的通りのものをつくりたいということに努力をいたしてまいったということは、あらゆる機会に御説明を申し上げているとおりでございまして、まことに相すまないという点につきましてはこの一語に尽きますけれども、その間できるだけの努力はいたしてまいったということを御了承願いたいと思います。
○古寺委員 そこで、これは政務次官にお尋ねしますけれども、二、〇三〇PPMのものを一〇〇PPMに落とす施設をつくった、ところが実際には、二万PPMくらいのものを二、〇〇〇PPMくらいにしか処理できなかった。そういうものをずっと放出しておったわけです。事業団としては、非常に遺憾であるという意は表しておりますけれども、それに対して責任というものをはっきり言わないわけなんでございます。この点については、環境庁としてどうお考えですか。
○小澤(太)政府委員 実は、環境庁ができましてさっそくこの塩釜の事業団の施設のことが問題になりまして、私どもそれを聞いて実は驚いたような次第であります。設計がずさんであるか、最初の計画が間違っておるか、いろいろ原因があると思いまして、事業団には、環境庁としては強くこの究明と善後処置を要求してまいったところでございます。 責任がどこにあるかと申しますれば、端的に言えば、やはり引き受けてやった事業団に責任がある、こう申さなければなりません。しかし一面におきましては、これは確たる自信を持って申し上げるわけじゃありませんけれども、ここに入ってこの施設を利用する人たちのいわゆるモラルの問題もあるわけでありまして、そこに計算のそごができたゆえんもあろうかと思うのです。こういうこともあわせまして、もちろん事業団が責任を負うことは当然であります。また、これの監督に当たった政府も責任なしとは申されません。このような考えで責任を分担すべきだ、こう考えております。
○古寺委員 これは早く言えば国の事業ですね。こういう防止事業団がやったことでさえ公害をたれ流しするような施設をつくっているわけです。 そこで、今回の法案でたびたび問題になった不遡及の原則の問題でございますが、これを野党側では当然遡及すべきだということを言っておりますし、政府の法案にはその遡及はないわけでございます。これは当然遡及すべきであるというふうに考えるわけでございますが、島本議員からこの点について御答弁願いたいと思います。
○島本議員 古寺さんと考えを一にいたします。それで、立法作業のほうもその点に留意しながら、すべてすっきりとその原則を受け入れるようにしてやったらどうだろうかというような点で努力したのであります。 立法作業の中で、附則の第二項できめたように「第三条から第七条までの規定は、この法律の施行前の行為によってこの法律の施行後に生ずる損害についても適用する。」こう入れることが、すなわち法の原則は原則で踏んまえながらも、実施の面において十分これは救済できるものである、こういうような考えに立ちまして、本法を特に規定したわけであります。ただし、いま政府案のようにしてやる場合には、施行された以後に発生する損害、また以前にすでに発生しておったものについては取り上げられないという可能性が考えられます。そういうようになりますと、現在の裁判の進行に重大な影響を与えることがあるかもしれないということをわれわれはおそれるのであります。そうならないためには、やはり野党案のようにこれをはっきりさせたほうがせめてもいいのじゃないか。そうでなければ、一切それに触れないでおいて、民法の不遡及の原則のみによって、あとはりっぱな学説や判例が出ておりますから、その判例によって進めるのが最も実効的であろう、こう思っておる次第であります。どうせ入れるなら野党案のように、施行前の行為によって施行後病気になったりまた重くなったりした場合には本法の適用を受けるようにする、これがベターではなかろうか、こう思って立法した次第であります。ひとつこの点、とくと御了承願いたいと思います。
○古寺委員 因果関係の推定の問題あるいは遡及の問題、いろんな問題が出たわけでございますが、これらの野党がただいままで申し上げましたいろんな意見等も十分に取り入れまして、さらにまた参考人からのいろいろな意見等もあったようでございますので、国民の期待にこたえるためにも、今回のこの政府提案の法律を大幅に修正する意思があるかどうか、最後に政務次官から承って、質問を終わりたいと思います。
○小澤(太)政府委員 これは、私から御答弁申し上げる筋合いのものではないのでございます。われわれ政府としては、国会に御提案申し上げましたので、まないたの上にのったコイのようなものでございます。国会議員の諸君の慎重な御審議をいただき、また公明な御見識に従って適当に処理されるもの、このように考えておる次第でございます。
○田中委員長 古寺君の質疑は終了いたしました。 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回は、来たる六日火曜日午前十時より理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十九分散会