公害対策並びに環境保全特別委員会 第20号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/05/23
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案、島本虎三君外七名提出、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。 この際、須賀海上保安庁次長から発言を求められておりますので、これを許します。須賀海上保安庁次長。
○須賀政府委員 先般の委員会におきまして、岡本先生のほうから、東播磨海上保安署の職員の宿舎につきまして、御質疑があったわけでございますが、私ども、その件につきまして、深い事情もわきまえませず、御答弁ができなかったことを深くおわび申し上げるものでございます。 その後さっそく神戸の第五海上保安本部の職員を呼びまして、いろいろ事情を徴したわけでございますが、その間のいきさつにつきまして、若干御説明申し上げたいと思います。 東播磨海上保安署は、昭和四十六年の四月一日東播磨分室として発足したわけでございます。その間四十六年七月一日に、海上交通の関係から、私どもで、海上交通の中で特にふくそうする港内につきましていろいろな規制を行ないます港則法というものによりまして、特定港にこの東播磨港を指定したわけでございまして、七月一日の指定でございますが、九月一日に巡視艇「なつかぜ」十五メートル型、乗り組み員五名をさっそくこれに配属したわけでございます。ここに企業がいろいろ進出してきまして、昨年あたりから特に六万五千トン程度の船がいろいろ出入りするということで、こういうことになったわけでございますが、われわれといたしましては、分室ではもの足りないということで、予算の関係もございまして、海上保安署というものに昇格をいろいろ関係方面と折衝しておったわけでございます。地元加古川市その他の熱烈な要望もありまして、これが実りまして、本年五月一日に海上保安署に昇格を見たわけでございます。 そういう関係でございまして、ここの東播磨の分室あるいは保安署といったものの職員について申し上げますと、四月一日から分室として二名職員が配置されたわけでございますが、これは自宅が近くにある者ということでそういう者を選んだわけでございます。その後九月一日乗り組み員五名が参ったわけでございますし、また昇格が決定した五月一日からは陸員二名が配属されたということで、現在陸員四名、乗り組み員五名という九名の構成からなっておるわけでございます。したがいまして、去年の四月に二名から九月に七名になり、ことしの五月に九名になった。こういう非常なふえ方でございまして、これはもちろん港の性質がそういうことになったわけで、組織もそういうことにできたのでふえたわけでございますが、乗り組み員の宿舎につきましては、特に船艇の係留地、つなぎ置く場所に近いところに確保する必要があるわけでございます。これはもちろん夜中の緊急出動、そういったようなものが、事あるときに行なわれるというようなこともございまして、乗り組み員は近いところに住んでおるのが通常でございますので、そういう意味合いから、特に乗り組み員につきまして加古川市に宿舎のあっせんを非常に強力に依頼して、その確保に努力してきたわけでございますが、これが思うにまかせなかったというときに、たまたま神戸製鋼の社宅、木造モルタル二階建て、一戸三十六平方メートル十一坪でございますが、これに余裕があるということで、同社から進んで提供するという申し出があったわけでございますので、当分の間四名をこれに入れることにしておったということでございます。 この件につきましては、先生から御指摘を受けまして、本庁においても現地の者を呼びまして、いろいろ検討を重ねたわけでございますが、もちろん、こういうことにつきましては、こういう公害その他の問題が非常に世論をにぎわしておる時期におきまして、いろいろな事情があるにいたしましても、企業の提供するものを借りておるということは変則的なことであるということで、これをできるだけすみやかに解消しなければならないという結論になったわけでございます。これは当然のことでございますが、抜本的措置といたしましては、前からもそうなんですが、現在も国有地をいろいろ確保するように努力しておりますが、これを早急に確保いたしまして、四十八年度予算で保安署の職員用の宿舎というようなことで要求したい、こういうふうに考えておるわけでございますが、暫定的には緊急出動の関係その他があるわけでございますので、何らかの方法を講じまして、全力を投じまして、可及的すみやかにこういう状態を解消させるように努力していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。現在九名のうち四名がここに入っておるわけでございますが、その他、先ほど申し上げましたように、自宅に最初からおります二名につきましては自宅。それからひとり者につきまして間借り人が一、借家が一。それから他の一名につきましては灯台関係の官舎を、通勤に約九十分かかるという遠いところでございますが、そちらのほうに一名入れておるわけでございます。 以上、先生の御指摘、身にしみて感じまして、今後できるだけ懸命の努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
○岡本委員 ただいま海上保安庁の次長さんから、この前の答弁がございました。これは環境庁長官に先日私が質問したわけでありますが、こういうように住宅を企業におんぶする。そういうことを行ないますと、やはりどうしても民間側のほうから見たり、あるいは住民の側、国民の側から見ますとおかしい、こういうことになるわけでございます。また事実どうしてもやはり、何といいますか、取り締まりについても手心というのはおかしいのですけれども、あまり強いことを言いにくい場合もございましょう。したがって、私、そのときの提案としては野党の規制措置請求、すなわち「公害によって生活環境が汚染され、損傷され、若しくは破壊され、又はそのおそれがあるときは、当該地域の住民その他利害関係を有する者は、その公害の原因となる事業活動について規制権限を有する行政機関に対し、その規制権限の発動を求めることができる。」こういう野党案も出ておりますが、このほうがいいのではないか。これはやはり規定しておく必要があるのではないかということを長官のほうにお聞きしたわけであります。そのときに長官は何を言うのかさっぱりわからぬというようなお話でありましたのですが、いまの答弁で少しわかっていただいたのではないかと思うのですが、長官のほうからお答えをひとつお聞きしたい。
○大石国務大臣 いままでの聞きました事実そのものはそのとおりで承っておりますけれども、それが無過失関係のこととどういうつながりであるのか、愚鈍でありますので、私はまだその判断について判断いたしかねておるわけでございます。
○岡本委員 そこで長官、実はきのうでしたか、瀬戸内海の汚染調査を環境庁が中心になって大々的にやっていらっしゃる。これは私どもも要求してきたところでありまして、非常に喜ばしいことでございますけれども、中の一部を見ますと、企業が排水をしておるその地帯の調査に、その同列の企業の民間団体といいますか、そういうところに調査を依頼したというわけで、市長さんをはじめ住民が非常に不満を持っているというような報道がされておるわけでございます。そういうことになると住民のサイドから見ると、いまの権限を有する行政機関がその調査について非常に失敗だというような考え方の、要するに私たちは住民側に立った発想をしておるわけですが、いまのこの二点について最後にひとつお答えを願いたいと思います。
○大石国務大臣 きのう、二十二日の瀬戸内海の要するに水の一斉点検につきましては、政務次官がその本部長となりまして参りまして、けさ帰ってまいったはずでございますが、おそらくただいま参議院の公害環境特別委員会に出席中のことと思います。そういうことでまだ報告を聞いておりませんので、どのような事情がございますかわかりませんけれども、去年からいろいろな計画を立てまして、十分に準備をいたしてやったことでございますので、そう手落ちがあるとは思いません。ただ民間の団体に依頼して市長さんに依頼しなかったことに不満があるということでございますが、そういうことをまだ聞いておりませんので、いま簡単にどういう事情である、どれが正しいかどうかということについては、私としては返事をいたしかねる次第でありますが、おそらくはできる限りのすべての方面の団体あるいは人々の協力を得てりっぱにやったことと考えておる次第でありますが、いずれその報告を聞きましてから、その判断をいたしたいと考えます。
○岡本委員 長官がまだそこまで実態を知ってないということでありますから、これはこれ以上質問いたしましてもいたしかたございませんので、保留しておきますけれども、いずれにしましてもこれは特に愛媛県の、私ども当委員会も調査に行きました川之江あるいはまた瀬戸内海の汚濁につきまして、ちょうど企業があるわけですね。その企業の同列の系統で調査をする機関がある、それに依頼したということは、市長さん、あるいはまた住民が非常な不満を持っている、こういうような報道がございますので、至急に万手落ちのないような措置を願いたい。そういう面をとらえまして、そういういままでのいろいろな実態がございますので、私ども野党三党としては規制措置請求というものを今度の無過失法案に盛らなければならない。要するに私どものは、やはり住民サイドで被害者の保護を促進するという、救済を促進するという意味の、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関する法律案ですので、その点も十分心得ていただき、今後の答弁にも、また質問にももってまいりたいと思いまして、きょうは委員長にお許しをいただいて海上保安庁の締めくくり——海上保安庁に対しても私まだまだ言いたいのですが、一応今回はこれで了としておきまして、今後の審議に資してまいりたいと思いますので、きょうはこれで終わりたいと思います。
○田中委員長 岡本君の質疑は終わりました。次に、加藤清二君。
○加藤(清)委員 お許しを得まして、ただいま上程されております大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部改正、いわゆる無過失責任法について御質問を申し上げたいと存じます。 大石長官にお尋ねしますが、この国会が終わりますと世界公害会議が行なわれることになっていますね。あれにはどなたがどのような組織で日本は参加される予定でございますか。
○大石国務大臣 来月の五日から十六日まででございますか、ストックホルムで人間環境会議がございます。それでまだ正式な代表なり代表団というものは編成されておりません。まだ任命されておりませんので、だれが参るかはっきり申し上げるわけにはまいりませんが、おそらく私が首席代表だろうといううわさでございますので、そのような心づもりで準備をいたしておる段階でございます。
○加藤(清)委員 普通考えられますことでございますと、まず政府側、それから民間の公害を発生する側、それから被害者側、この三者が選ばれてしかるべきだと思います。過去の世界会議にも大体そういうメンバーが選ばれ、プラス立法府側、国会議員という編成のようでございますが、それじゃいつごろ編成されるのでしょうか。私はこれは早いほどいいと思うのです。と申しますのは、あなたのように専門家で、毎日そのことを研究していらっしゃる人はいいですけれども、突然命ぜられますと、準備なり勉強なりができない。せっかく世界会議に出る以上は十分に準備を整えて、日本の誇りを傷つけないように、よく準備をして行っていただきたい、かように思うからです。したがって、これはいつごろ決定なさいますか。
○大石国務大臣 私も同じ考えでおるわけでございますが、大体行くような人は実際見当がついておりまして、そういう方々には御連絡したり、いろいろ準備を進めておる段階でございますので、そう突然の任命であるということはなかろうと思っておりますけれども、おそらく私もきょうの閣議ではまだ任命がありませんから、おそくとも来たる二十六日の閣議には当然任命しなければならないだろうと考えておるわけでございます。どのようなことでおくれておるのかわかりませんが、おそらくは私がそこに首席代表として参りますと、国会の問題が控えておるということではないだろうかと想像するわけでございますが、はっきりしておりません。それから、この会議は政府を中心とした会議でございます。政府間の会議でございますので、そういう意味で今回は政府というものを中心といたしまして、企業側とかあるいはその他の、被害者側とか加害者側、あるいはその他、そういうものは今回は代表団の中に加わらないで、大体政府関係筋が中心で参ろうという方針でございます。
○加藤(清)委員 経団連は含まれておりますか、おりませんか。
○大石国務大臣 これは参りません。
○加藤(清)委員 私も実は別な会議に、世界会議に招待を受けておるのですが、かつてアメリカで公害会議が行なわれましたそのおりに、私は一生忘れないような印象を受けてきました。それは、チェアマンはハーターがやっていたのですけれども、議長が提案して、日本の公害に対する態度を責めるのですよ。日本は公害を出しっぱなし、たれっぱなしだ。スチールスチールって、鉄を目玉商品にとりまして、けしからぬ、公害除去の設備をせずに鉄をつくって、これを諸外国に輸出するということは不公正競争に匹敵する。諸外国が公害除去に対して投資をしているのに、日本はそれをしていない、コストが安くつくのはあたりまえである。だからそのコストの安い分だけはペナルティーとして罰金をかけるべきである、それが平等の原則である。その率は諸外国が公害除去に投資している率が正しい。すなわちそれは二割から二割五分が妥当だと思う。場所は関税としてひっかけるべきである、こういうことをチェアマンのハーターが提案するのですね。それについてカナダが直ちに賛成なんですよ。そうしたらEC諸国を代表してフランスが賛成なんです。私は、この日本におりますと、ついつい野党のくせで政府側を攻撃しますけれども、ああいう席上へ行ってあんなに日本をひどくやられますと、しゃくにさわってくるのですよ。黙ってはおれないというわけだ。それで議長席に飛び上がるようにしていって、発言を許せ、そして撤回要求をやりましたが、問題は二つあると思うのです。これは、日本の公害対策が先進諸国と比べたら、EC諸国と比べたらおくれているということが一つ。それからもう一つは、日本の公害対策に対して諸外国が認識不足の点がたくさんあるのです。その日本の公害対策を諸外国にPRしなければいけない。そのためには、環境庁ができた場合に、ぜひ国際関係のセクションをつくってもらいたいということを要求しましたら、さきの山中長官からそれをつくりましたという話がありました。あったらその活動はどうなってますか、そこを御説明願いたい。
○大石国務大臣 公害の問題はグローバルでございますので、公害あるいは環境保全を中心といたしまして、各国間のいろいろな意見の調整なりあるいは理解なり協力なりそういうことが必要でございます。そういう意味で、やはり国際環境外交と申しますか、その必要性をわれわれも感じましたので、昭和四十七年度の予算要求にあたりましては、いま国際課という名前になっておりますが、国際課の増設とその予算を要求いたしました。これが先日の国会を通過した予算の中に認められまして、今月の中ごろはっきりとこれができまして、いま平尾参事官がその課長を兼ねていろいろな広報活動もあわせて仕事をすることになった次第でございます。
○加藤(清)委員 その任務と活動の分野はどう予定されておりますか。これから発足するのでしょうから、過去のことは問いません。ことし一年四十七年度予算で与えられた予算の範囲内でいかなる仕事をやるのですか。
○大石国務大臣 後ほど政府委員から、その内容なり規定なりの詳しいことは御報告させますけれども、いま申しましたように、環境保全に関しまして、これはいろいろな他の機関、他の官庁、その他を通じましていろいろと情報の交換とかあるいは折衝とかあるいはPRもございます。そういうものをやりますと、非常にふくそうしまして、なかなか思うような効果をあげ得ないのでございますので、そのような仕事を直接国際課において外国との間の折衝あるいは交換あるいは宣伝その他いろいろなことをするということで方針をきめておるわけでございますが、その職務内容につきましては政府委員からお答えさせてもけっこうでございます。
○船後政府委員 今度新設されました国際課は、海外関係の広報と連絡、これが主たる任務となるわけでございまして、外交問題は当然外務省でございますが、事実上外務省のそういう活動もお手伝いするというような任務を持っておるわけであります。特に広報予算につきましては、環境庁発足いたしましてゼロからの要求でありましたが、総額六千万円くらいがございますが、そのうちかなりの部分をさきまして、海外向けの英文、その他の外国文のパンフレットの作成、そういった方面に重点を注ぎまして——確かに加藤先生御指摘のように、日本の努力が地理的に非常に隔たっておりますとかあるいはことばの関係とかそういったことで、海外では理解されていない面が多分にございますので、そういったPR活動に重点を注いでまいりたいと考えております。
○加藤(清)委員 外務省は外交のことを扱っていても公害のことは一向知らないですよ。インターナショナルな会議に出ていても、外務省の連中一言もよう言わぬです。英語ようしゃべれるくせに。なぜか、基礎がわかっていないからです。ですから、ぜひひとつ環境庁とそれから通産省、ここも公害関係は、企業の責任者側ですから、公害発生源のほうをどのようにセーブしていくかということをある程度世界に発表する必要がある。そうすることがやはり貿易を振興させることになる。何か世界的な空気ですけれども、公害というのは全人類の共通の敵である、こういう観念がもうだんだんに浸透しておるやさきでございまして、公害出しっぱなし、たれ流しで物をつくるということはこれはずっと後進国の未開人のやることである。文化人のやることではない、こういう観念がございますから、ぜひ通産省ともよく御連絡をいただきまして、PRをすると同時に、そのPRに匹敵するような実質をまず環境庁で整備していただきたい。行かれるにあたりまして、おそらくまた日本の公害対策の立ちおくれが指摘されて、それが問題点となり、それがやがてエコノミックアニマルということばに転化して日本の貿易の障害になるおそれが十二分にございますから、ぜひひとつ、この点御留意いただきたい。なろうことならば、通産省もそれからいまの国際課ですか、そのセクションの人もぜひ長官のお供をさせて連れていってもらいたいと思います。よく勉強させておく必要があると思う。そのくらいの予算はどうにでもなると思いますから、ぜひそれをお願いします。長官どうですか。
○大石国務大臣 ただいまの御示唆はごもっともと思います。われわれもそのような方向に進んでまいりたいと思います。なおこの国際課長はわれわれの代表団の一行として出てまいります。通産省からも出てまいりますので、そのような勉強も十分にさしてまいりたいと思います。
○加藤(清)委員 次に、ただいま上程されておりまするこの法案、二つあるようですね。いずれのほうがより公害追放にいいのか、それから世界のこういう会議に出した場合にいずれがいいか、一ぺん長官の私見を承りたい。
○大石国務大臣 これはむずかしい御質問でございますので、これを世界に出した場合にどちらがいいかといえば野党三党提案のほうがはるかにりっぱでございます。かっこうもいい、形もいいと思います。そうして必ずしも日本の公害の、ことに無過失の対提というものは日本政府がやることでございます。日本国民がやることでございます。したがって、そういうことは世界の国民には直接関係はありません。ですからそれをどう実行するか、どのような段階で実行できるかというようなことについては一切考慮を払う必要はございませんから、そういう点だけからいえば、まことに野党さんの案のほうがかっこうがいい、拍手を受ける筋合いのものだと考えております。 ただしわれわれには、国内におきましてこれを確実に法律を間違いなく実施をする責任があります。そういう意味では、ただ形の上だけのものにとらわれているわけにはまいりません。野党さんの案が形の上だけでかっこうがいいと申すわけではございません。ただ現在われわれが政府ででき得る、たとえば法律を国会に提案することでも、これを実行に移しても間違いのないという確実なものだけを使わなければ提案できないわけでございます。そういう意味でわれわれは現在、形から見れば非常にこれは粗末なものでございまして、われわれもこれで満足するわけではございませんで、これがごく最小限度の内容であるとは考えておりますけれども、一応新しい無過失責任制度というものの考え方を行政の上にはっきりと打ち出すということを趣旨としまして、それを土台として今後できるだけ早い機会に総合的に発展させるという意味合いから、今度の法律案を出したということでございます。
○加藤(清)委員 いみじくも正直に長官がお認めになりましたので、この点について追及しようとは思いません。 順序を追うて内容をお尋ねしたいと思いますけれども、日本の公害立法の過去をずっとながめてみますと、企業優先というところから出発しておりまするので、政府側もどうしても企業に遠慮をするという観念がいまだに払拭できないという時点ではないかと思います。基本法におきましては人間優先ということに書きかえられたのでございまするけれども、文字は書きかえられても観念として残っている。特に公害発生の企業の側にケインズの経済学の回転率のよきをもってよしとするという観念がある。その結果は人間のための新しいあれこれの物資や経済発展がかえって人間を痛めつけたり人間を苦しめたりする結果になっている。しかしそういう観念は長官みずからが陣頭に立って転向させる、変更させる、つまり公害の基本法の基本精神をよく周知徹底させる、諸外国における徹底でなく、今度は内部の企業に向かって徹底させるということが必要だと思います。 それは、公害出しっぱなし、たれっぱなしであればあるほど生産コストは安くつくでしょう。が、そのおかげで関税をかけられたりペナルティーをつけられたり、きょうこのごろのように相殺関税までもかけられるということになってまいりますと、日本の製品のコストの安さは向こうの波打ちぎわで関税として召し上げられてしまうのですから、何のことはない、相手の国の財政収入をふやすというだけに終わって、安い商品を消費者に提供するという製品の最終の目的は達成できないおそれが十二分にあると思うのです。つまりことばをかえていえば、この間の参考人の一人も言っておられましたが、公害が発生した場合に困るのは、被害者だけではなくして発生源の加害者が結論的には困ることになるんだ、こういう観念を周知徹底させる必要があると思うのです。 新しくできた環境庁でございますから、環境庁の役人に権限が委譲されたんですから、県知事、市長等々のその下に働く担当官の教育も必要でございますけれども、基本的に必要なのは私は加害者側の教育だと思うのです。これについて一体どういうことをなさっていらっしゃるのですか。それが行なわれないとこの法律は、せっかく無過失責任の立法が行なわれてもまた逃げて逃げて逃げまくってしまうという結果におちいるおそれがあると思うからです。
○大石国務大臣 現在日本は経済優先から人間尊重の方向に政治の思想も行政の思想も変わっておりますことはお認めだと思います。ただし実態は、それではすべての国民が、すべての企業が、すべての行政がそのような方向に徹しておるかと申しますと、必ずしもまだそうはいっておらないと考えなければならない。ですから、企業優先の考え方はずいぶん変わってまいりましたけれども、もちろん企業の中にはそのようなまだまだ経済優先的な思想を持ったものが相当あると私は思います。しかし中にはもちろん優秀な、正しい政治のあり方、日本の国のあり方を正しく認識してそれに協力されようという企業もたくさんございます。またあまり賛成ではないけれども時代はそうなんだ、やむを得ない、ついていかなければならないんだという、消極的ながらもそのような方向に進まれる企業もずいぶんございます。それはどちらが多いか私はわかりません、わかりませんが、まだまだある程度は企業優先でなければならぬという公害の認識のない企業も相当あると思います。ことにそういう企業はパーセントにしては全体のうちの一部であるにしましても、そのような声がとかく大きく世間に広がりやすいものでございますから、そういう面もあるかと思いますが、ある程度のそのような無理解な企業もまだあると思います。 また一面、行政につきましても、日本の行政というのは一番正しく国民のために働いていかなければならないものでありますけれども残念ながら、これは意識的ではありませんが、いままでのものの考え方が企業優先の考え方で日本の行政もしばらく前まで進んできたものですから、そのような考え方が完全に新しいヒューマニズムを基盤としたものの考え方に変わっているとはいえない。ですからやはりどこかで一部には、故意ではないにしても、企業優先的なものの判断が行なわれる面が私は相当あると思います。しかしこれはやむを得ないことで、そういう意味で環境庁が新しく出てまいりました。少なくとも環境庁自体このような新しい意識に目ざめまして、その強い人間尊重の行政の推進力になっていかなければならない、私はそのような決意のもとに働いておるわけでございます。 それから、そういうことでありますが、たれ流しというのはいまほとんどございません。よくよく監視体制の網の目をくぐった、監視体制の目の届かないところがあれば別でありますが、おそらく日本の国で、企業でたれ流しをして公害を公に発生している、あるいは基準以上のものをめちゃくちゃに発生しているというのはほとんどないと私は考えます。そういう時代ではなくなりました。ですから、私はそのような企業はないと思います。それはやはり行政の努力の結果だと考えます。あるいはこれは政治の方向の大きな影響だと考えます。 で、まだまだ理解をしないあるいは規制を守らないという企業もありますから、これに対してわれわれは十分な教育をしなければなりません。それには二つの方法がございます。一つは、いわゆる直接的な教育、宣伝あるいは理解を求めるという方法、もう一つは別な面から強制し規制することによって消極的ではありますが、これに従わせてそのような方向に歩ませるという二つの方法があると思います。その直接的な教育面の指導としましてはいろいろやっておるわけでございます。講演会をやったりいま言ったようにPR、これは海外ばかりではございません、今度予算もとりましたし、マスコミもみんなそろって、日本の公害防止のためのいろいろな直接的な指導が行なわれているわけでございます。 〔委員長退席、始関委員長代理着席〕 われわれもそれには便乗と申しませんが、協力をいたしまして、そのような方向で進んでおります。 もう一つの消極的な間接的な規制、教育は、基準をだんだんきびしくいたしまして、監視体制を強化して、確実に公害の規制を守らせるということによって教育をいたしておるわけでございます。これはずいぶん強く出てまいりましたので、われわれとしても、このような両方の指導というものは必要でございますが、特に後者の規制の強化と監視体制の強化については十分に意を用いて、まだ残念ながら以前の経済優先のものの考え方が残っておる面もありますので、私は規制面では少し手ぬるいなと思うところもございますけれども、できるだけそういうものを強く進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○加藤(清)委員 企業に対する新しいヒューマニズム的な立場の教育ですが、これはいままで具体的にどのようなことをなさったでしょうか。それからまた将来どのようなことをやろうとしていらっしゃるでしょうか、まず企業に対する教育面……。
○大石国務大臣 これは非常にむずかしい広範な問題でありますが、一番のいい教育は私はマスコミによってそのような思想を鼓吹してもらうことだと考えております。そうすると国民全体に、公害は非常にいけないものである、これは守らなければならぬという自覚が出てまいります。この国民のいってみれば市民運動というものは企業に対する一つの大きな教育的な役割りを果たすものと考えておりまして、われわれも十分にマスコミを通じましてそのような努力をいたしてまいりたいと思います。 その他、たとえばいろんな企業団体の中に出てまいりまして、話し合いをしたり、懇談をしたり、講演をしたり、そういうことをいたしておりますが、やはり一番大きいことは、マスコミを中心としてその考え方が日本国民に徹底して、市民運動が強くなりまして、それが企業の教育になるということが一番大きい効果をあげているのではないかと考えております。
○加藤(清)委員 それは私も同感なんです。しかし、環境庁のほうから考えてみれば、それはあなたまかせということになる。もうお説のとおりです、過去は。イタイイタイ病にしても水俣病にしても何にしてもそうですが、まず新聞がキャンペーンを張る、マスコミが宣伝する、これにお医者さんが協力する、同時に弁護士会が手銭、手弁当で応援をする、そのころになると大衆運動化してくる、これが公害追放にいままで効果をあげたおもな原因と思います。それはそのとおりなんです。が、それだけでなくて、せっかく環境庁というものができたのだから、環境庁みずからが陣頭指揮をとって、企業の教育もやってしかるべきではないか。経団連、日経連あるいは青年会議所等等で所修会が行なわれます場合に、間々公害のことが出ても一向に熱が上がらないという批判が多いようでございます。そこで政府みずからが、担当のあなたみずからが陣頭指揮で何かの機会をつくって教育を積極的に行なう、こういう姿勢を示されることが、日本の公害を追放し、その追放している行動なり態度なりを世界の人が認識してくれる原因になるのではないかと思うから申し上げている。だから、あなたのところみずからが何をなさるかということを聞きたい。
○大石国務大臣 環境庁長官として一番のやるべき仕事は、正しい規制をできるだけ確実に企業に守らせることだと私は思います。そういう意味ではできるだけ努力をいたしまして、しょっちゅう努力をいたしまして、常にいろいろな環境基準なり排出基準というものを検討いたしまして、これを強化いたしておりますし、そのようにして規制を強化するとともに、監視体制がやはり大事でございますから、委任した各地方自治体にできるだけの強い監視ができるようにいろいろと指導したり、あるいはそのためのいろいろな設備を補助したり、いろいろなことを努力いたしておるわけでございます。そういうことが私は環境庁長官としての一番の仕事であると考えまして、そういうことをやりながら、同時にいわゆるマスコミ、市民運動とも手を取り合って、公害の実態、公害のあり方というものを国民全体に認識してもらうということにつとめるわけでございます。ただ、私個人としましては、おっしゃるとおり、いろいろなできる限りの経済団体なり青年会議所、ことに青年会議所からあちこちから引っぱりだこで、これは環境保全に対する希望が非常に多いのだと思います。私は日曜は毎週のように青年会議所に引っぱり出されます。そして出かけまして、ほかの地域に講演もしてまいります。その他経済団体にもできるだけ出てまいりまして、公害問題についての環境庁の考え方、そういうものをよく申し述べているわけでございますが、こういうものは幾らやりましても限りがございます。また、役人自身に対してもできるだけ出て歩いて実態を見るように、それからそのような教育をするようにということを指導しておりますので、環境庁としてもよく役人は出てまいりまして、そのような働きはいたしておる段階でございます。こういうことで、行政面だけの仕事ではとうていこれはすべてを包含することはできませんので、やはり補完的にと申しますか、車の車輪のようにいろいろな国民の協力によってこういう思想を進めてまいらなければならない、こう考えておる次第でございます。
○加藤(清)委員 この間の参考人の、公害出しっぱなし、たれっぱなしでは加害者もその存立が危ぶまれる時代になった、こういう意見を聞きまして、私もごもっともだと思いました。私は、世界の公害会議に出て太平洋を飛行機で帰るときにしみじみ思ったことは、もはや公害という問題は、企業といえども避けて通ることができない関所である、企業が今後大きく伸びるにはどうしても越えなければならぬ関所である。ないしはもっとわかりやすくいえば、昆虫が成長する場合に、お蚕さんでも皮脱ぎということをやりますね。あれだな。いままで持っていた自分の器を捨て去ってでも新しい器に住みつくということをすることがやがて大きく成長するゆえんではないか。だから私は、あれ以来企業家とこういう問題で接触するときには、避けて通ることのできない関所である、それを避けて通っても到達点でまたチェックされますよ、今度は外国に売るときにチェックされるんだ、だから、どうせ到達点でチェックされるものならば、途中の関所を無事に越えるように努力すべきだ、そう申し上げているところなんです。これはしみじみ太平洋上で思ったことでございますから。その観念が、このように公害がたくさんに発生をしておりますと、まだ続くのではないかと私自身思うのです。 そこで一つ提案します。環境庁のできることで、やったらPRにもなるし教育にもなる。先例があるのです。消防が訓練をやりますね。千日前でああいう痛ましい事件が起きた。そうすると東京で、直ちにビルやマンションに行って、自分のところのはしご車が間に合うか間に合わないかということをやるのです。ああいう演習といいましょうか、練習といいましょうか、公害の場合には、公害が発生した、それに対する対応策いかんというような演習ですね。特に必要なのはスモッグの関係だと思うのです。光化学スモッグ、これはことしになってからでも数え切れないほど発生している。これは東京だけでなくして名古屋にも大阪にも発生している。ですから、ある日、あるときを選んで想定して、それが起きたらどうするかという訓練をなさることが、これがPRの一つの対策になる。必ず新聞は書くでしょう。マスコミが第一だとおっしゃったが、私もそれは同感です。マスコミがスポットを当てて徹底的に書き上げてくれたのでこそ、あの十四の法律も無事に通った。十四の法律が無事に通った原因は幾つかありますけれども、一つには新聞のスポットが当たったと私は思っているのです。 〔始関委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、ひとつその演習をやってみたらどうです。あなたのところでできることですから。
○大石国務大臣 いまの御提案は非常におもしろい、あまり金をかけなくてもできるけっこうな一つのアイデアだと思いますので、参考にいたしたいと思います。
○加藤(清)委員 ぜひこれをやっていただきたいと思います。 さて、次にこの内容でございますが、先ほどもう野党提案のほうが内容はまさっているということを正直におっしゃられましたから、政府案の間違いをあげつらう気持ちはございませんが、私は、この法律を通す前に通産省に聞いておきたいことがあるのです。 それは、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、これを審議いたしましたおりに、電気とガスだけは除外してくれ、こういう声が起こりまして、ついにそうなってしまったのです。しかし、いまのマスコミは何と書いたかというと、大どろぼうをのがしてこそどろだけをつかまえる法律である。なるほどごもっともだ。言い得て妙だと思う。そこで、そのときの公益事業局長並びに時の通産大臣と一問一答を試みました。そのときに、答弁は、電気、ガス法のほうが系統的にできていて、電気、ガスを取り締まるにはまことに都合のよい法律である。ゆえにこれは、取り締まらぬのじゃなくて、別にりっぱな法律があるから、それで取り締まりが可能なので別にするのだ、こういう答弁がありました。それじゃ電気法、ガス法の第何条によって公害を除去することができますかと尋ねたら、答えがなかった。それはできるように法改正をいたします、こういう答弁が返ってきた。あれから何年たちましたでしょうね。電気、ガス法の公害に関する法の修正が行なわれましたですか。
○三宅政府委員 その後法改正は行なっておりません。
○加藤(清)委員 行なっていないですね。そうするとあのときの約束はまだ実行されていない、こういうことになりますね。まあ約束は実行されなくても、法は改正されなくても、電気、ガスの公害がなくなったということであれば何をか言わんやです。公害の状況、電気、ガスによる大気汚染、水質汚濁、この状況を今度は環境庁のほうから承りましょう。
○大石国務大臣 電気事業につきまして、公害環境のことから何か特例をつくって逃げたということでございますが、それはおそらくあれではないかと思いますが、特にたとえば硫黄酸化物の基準を規制をいたします場合には、硫黄酸化物については排出基準が全国一律にございますが、それに対して各県で上乗せをしないというようなことにその問題はあると考えるわけでございます。しかし確かにそのとおりでございますけれども、いまわれわれはそれに対しまして、そのような硫黄酸化物、そういうものをできるだけ放置しないようにいろいろな指導をいたしまして、要するに脱硫設備をできるだけつけさせるように強制いたしております。そういうことで相当の効果をあげておると考える次第でございます。 ただ、公害というのは一年や二年で起きたものではございませんで、日本の明治維新から今日までの国の方針、いわゆる西洋物質文明に追いつこうというその百年間の努力の積み重ねが行なわれました。その間にいろいろな推移がございますけれども、その間に起こった工業発展の歴史においてこのようないわゆる公害の積み重ねがあるわけでございますから、そういう長いものは一挙に、ことにこの十数年というものは、約二十年以上は産業優先の思想によって日本のおそるべき高度経済成長が行なわれたわけでございますから、そういうことでなかなかこれは急にいままでの積み重ねが、大きな山が一挙にこれを取り去ることができないように時間がかかりますけれども、そのような体制をすでに整えまして、おそらくこの公害防止に対するいわゆる行政的な体制は、現在では私は世界で一番すぐれていると思う。ただそれはあまりに過去の蓄積が多過ぎましたために、累積が多過ぎましたために、急に大きな効果をあげ得ないのでありますけれども、御承知のように、洪水が起こる場合には、川の水がどのようにふえましても堤防を越えるまでは一切洪水というのはありませんが、堤防を越しますと堤防が決壊して一挙に洪水が起こってまいります。そのようにわれわれも、このようなおそるべき山積している公害に対しましてもわれわれは準備を整えて戦っておりますが、それがあるところまで伸びてまいりますと、大きな効果を急にあらわし得るものと考えておるわけでございます。そのようなことで、われわれは根気よく、しんぼう強く、あらゆる努力をもって公害と戦ってまいらなければ十分な効果をあげ得ないと思います。それから、いま申しましたようないろいろな、まだ経済優先の思想からさめない企業なり、あるいは意識はしないけれども、そのような思想的な行政の面もあるわけでございますから、こういうものをできるだけ是正して持っていくのにはやはりある程度の時間というものが必要であると考えて、必ずしもあせらないで努力いたす方針でおるわけでございます。
○加藤(清)委員 私の質問しましたのは、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、これができてから以後、電気ガスは独立しているはずですから、その公害はなくなったのかと聞いておるのです。なくなれば何をか言わんやだ。しかしあれば問題があるから、あったかなかったかということを聞いておる。
○大石国務大臣 ですから、いま申しましたように努力いたしておりますが、多少は効果は出ておりますが、その大きい効果はまだ出ておりません。それはいま努力段階でございまして、いずれ近い将来にはその努力が積み重なった結果大きな効果があらわれる、こう考えまして、効果があらわれつつあると申したほうがいいと思いますが、そういう考えでございます。
○加藤(清)委員 それじゃ内訳を聞きましょう。東電さんが静岡で火力電気をつくろうとしたら、これは断わられましたね。千葉へ持っていったら、また友納知事に断わられましたね。これはともに自民党の知事ですね。私はこの二人に敬意を表したいと思う。りっぱなものだ。つまり県民を守るために、もうこれ以上、わが県では電気は十分あるのだから、東京で使いたかったら東京でやってください。知事が言うのは無理からぬことだと思う。これはいままででも、すでに無過失責任が課せられているところの原子力発電、これをつくろうとしますと、あちらでもこちらでも反対運動が起きているのですね。なぜ反対運動が起きるかといえば、公害が伴うから、こういうことなんです。それ以外だったら工場誘致のほうに動くはずなんです。いま工業再配置法が商工で論議されております。工場誘致を歓迎するところがある。ところが公害企業だけはごめんだ、こういう。みんなそうなんです。 さて、あなたはだんだんよくなるとおっしゃったから、内訳を聞きますが、私は、このままでしたらだんだん悪くなるのじゃないかという気がするのです。大気汚染の最たるものはSO2、光化学スモッグその他その他ありますけれども、いま電気にしぼって考えてみましょう。これはSO2ですね。なぜか。それは重油の中にSが含有されているから、その含有量が世界の重油と比べて日本のほうが非常に多いから。なぜ多いか。それは輸入されるときの原油にS含有量の多いものを世界カルテルから仕向けられておる、簡潔にいえば。だからやむを得ざるの仕儀もありまするけれども、いま二億キロリットルの輸入なんです。これから十年たつやたたずで五億キロになるといわれている。十五年先には七億キロになるといわれている。その七億キロの内訳を資源から調べていきまするというと、ローサルは一割にも達しないということになる。やむなくハイサルを買わなければならぬということになると、二億キロのうちの半分が重油に歩どまって、一億キロが日本列島でたかれただけでも大気汚染がこんなになってくる。七億キロまでいく前に、五億キロたかれるようになったら、今度は二・五倍になりますね。そうしたらこの日本列島の大気はどうなる。そこで、それならば最初の問題としてあげられるのは、直脱の方法がある。しかし、精製の場合の脱硫装置はべらぼうな金がかかる。千葉にありまするあの四万バーレルだけで、あの当時八十億、いまじゃ百億かかるというのです、四万バーレルだけで。あそこは二十万バーレル精製しているのですね。日本にどれだけ脱硫の装置があるかといえば、直脱、間脱入れてみても、せいぜい一割前後。ローサルのミナス原油はゼロに見ても、これも二億キロの一割前後しかない。かりに二割抜けたとしても、残り八割はこれはハイサルといわなければならない。この傾向は五年先以降に行きまするというと、ますますハイサルを買わなければならない。それじゃ、LNGがこれとブレンドして相殺材料になるからというので、LNGをさがしても、それがそんなにたくさん出てくるかというと、そうもいかない。そこでガスのほうは原料をナフサに切りかえたり、ある程度LNGに切りかえたり努力をしていらっしゃるようですから、ガスのほうの大気汚染はあなたのおっしゃるとおりやや減ったでしょう。しかし、電気のほうは自分でたくさんだくのですから、おのれみずからが脱硫のために努力をすべきじゃないですか。何ぞやっているのですか。
○大石国務大臣 私もただいまの加藤委員のいろいろな見通し、お考えに非常に賛成でございます。いま二億キロリットルですか、これだけの重油が輸入されているわけですね。それでいろいろ精製されておりますが、これが十年後には四億ですか。それから十五年後には七億キロリットルだと、重油がいまの三倍半になります。そういうことは一応計算はされておりますけれども、そういうことは断じて行なわれないと私は思います。これは行なってはならないと思うのです。そうしますと、このまま原料を日本に持ってきて、そして日本でそれをつくりあげていくという、そういうのはいわゆる重化学工業とかそういった経済の高度成長をはかっていく一番先の段階のやり方だと私は思うのです。日本はそのような段階、手段を取り入れまして、今日の高度経済成長を見てきたわけでございますが、いつまでも同じような方法で、原始的なものから高度なものまでのやり方を今後も続けていくのは日本では不可能だと思います。たとえばいまの三倍半の原油が日本に輸入されるとしますと、どこでその三倍半のものを精製するのでしょうか。いまでさえも日本じゅうは石油コンビナートで困っているという状態でございます。かりにいまのところでは、東北のむつ小川原湖であるとか、あるいは志布志湾——これは私は志布志はできないと思いますが、志布志湾であるとか、何カ所かありましょう。あったっていままでの半分か、いままで程度のものができれば一ぱいだと思う。三倍半なんか、日本国じゅう全部石油コンビナートになりまして、それはたとえて見れば日本国じゅう全部硫黄酸化物でおおわれるようなことになるおそれがございましょう。そういうことは鉄鋼、製鉄も同じことだと私は思うのですね。みな原材料を輸入して、原料を運んでくることによって海洋を汚染し、わざわざあらゆる苦労をしながら持ってきて、それでいろいろな製品をつくる場合に、日本ではさんざん公害をまき散らして、かすを一ぱい残して、いいところだけを外国に売るというようなばかなことをいつまでもやるべきではないと思うのです。当然産業構造、産業の将来のあり方は根本的に考えられなければならないと思いますし、必ずそうなると思うのです。いまの二倍や三倍の原油を輸入、精製するというようなことは不可能です。その運んでくるタンカーのあり方、大きさ、日本の港の構造あるいはどこに入れていいか、そういうことだって大きな問題があります。ですからそのような将来の産業の発展にはなり得ない、なってはならないと私個人では考えておるわけでございます。しかしいまのところ、現に原油がよけい入りまして、精製業が始まっております。これをどう対処するかということは非常にむずかしい問題なんですが、すべてはおっしゃるとおりで、ローサルファのものは入ってまいりません。そうなると入ってきた原油を、日本国内において硫黄酸化物をできるだけ排出させないように、脱硫設備をさせることが絶対に必要だと私は思う。そういうことが幾ら金がかかっても、そういう条件のもとでなければそういうような企業を許してはならないと思います。ですから私はどうしたらいいかわかりませんが、たとえどのような金がかかっても許してはならないと思います。ことに電気事業の火力発電に関しましては、この前の予算委員会におきまして加藤委員から私もお教えをいただきましたから、あのとおりに、たとえば根本的に脱硫装置ができないならば排煙脱硫でも、これは少なくともこれから新設するものは完全につくる、そういうことで当分の間はこれを防いでいく以外にないと考えております。
○加藤(清)委員 七億キロの輸入、精製、それは国内ではやらせない、できないであろう、こういった意見に私も賛成します。当然そうあってしかるべきだ。二億キロのうちの五割歩どまりの一億キロの重油でさえも、大気汚染が問題になっておる。それが三倍半になったらこれはもう日本列島には人間は住まえなくなる。したがってそれはやらせては相ならぬ、けっこうです。そこまでは賛成。ゆえに野党が提案しているこの無過失責任、これが一つの歯どめになると思う。おたくのほうの出していらっしゃるところの原案は逃げ道がたくさんできているし、裁判が長引くし、既往にさかのぼらないし、あなたが認めていらっしゃるから、あれこれあげつらおうとは思いませんけれども、野党案を通過させることのほうがより歯どめになると思う。これについての御意見を聞こうと思ったって、あなたの立場から与党案を削って野党案を通しますとは言えぬでしょう。それは言えというほうが無理でしょう。だからそれは聞きません。が、私はこのことばを記録に残しておいて、いずれこの無過失賠償責任のほうはまた近いうちに修正をしなければならない、こういうことになると思う。 そこでさきの問題に返ります。この法律で規制する、これも一つの方法でしょう。が、もう一つ、企業みずからの努力によって——さっき私は教育ということを前提に置きましたが、教育の次に実行させることが必要だと思う。その一つに排煙脱硫がある。その排煙脱硫、今日どこでどういうふうに行なわれていますか。
○三宅政府委員 お答えいたします。 現在行なわれております排煙脱硫は、通産省の大型プロジェクト計画に取り上げられました乾式法が一応のデータが出ましたので、四十五年ごろからそれについて実用化のための検討が業界で行なわれまして、現在東京電力の鹿島火力第三号、これは本年秋に完成の予定でございます。それから中部電力の四日市火力第三号、これは十一万キロ相当のものでございますが、この春に連続運転の開始が一応行なわれております。それから関西電力の堺港八号、これは六万キロ余りの能力でございますが、昨年の秋に一応完成いたしましたけれども、活性炭のトラブルがございまして、いま設計変更で手直し中でございます。この秋に再び稼働に入りたい、こういう計画でございます。なお以上申し上げましたのは乾式法でございますが、関西電力では湿式につきまして現在試験的に石こう法の設備を尼崎東第三火力につけております。三万五千キロ、これはこの春から一応試験運転に入っております。ただ、いずれにいたしましても、電力の安定供給の義務を課せられておる電力業界にとりまして、普通の化学工業その他とは違いまして、一度排脱の連続運転の安定性、負荷に対する追随性の見きわめがない限り、なかなか技術的に踏み切りにくい点がございます。コストの点でもむろん火力発電のコストが約五十銭、二割以上コストアップになるという試算がございますけれども、それはさておきまして、連続運転の安定性並びに排脱のプロセスにおいて出てまいります石こうあるいは硫安、硫酸等の副製品をいかにうまく処理するか、これまたへたに処理しますと第二次公害を発生することになりますので、そういう点を含めて電力業界は鋭意検討中でございます。私が昨年六月に着任いたしましてから、月々の社長会に私は出席をいたしまして、環境に対する経営者のあり方、特に排煙脱硫についてはいろいろな問題があるだろうけれども、トップマネージメントが先頭に立って、この問題についての対応策、解決策を見出してほしいということを数度にわたって要請してまいりました。幸いに最近中部電力が西名古屋火力に二十二万キロ相当のフルサイズの排煙脱硫を試験的に入れる、また関西電力の海南火力も十五万キロ相当のものを入れるという計画ができ上がっております。そのほかの電力会社も鋭意この排脱の導入につきましては、湿式、乾式、両式を含めまして検討中でございます。 なお、先ほどちょっと答弁に舌足らずな点がございましたが、法律改正を行なったかという点につきましては、公害特別国会におきまして、電気事業法並びにガス事業法につきまして所要の修正が行なわれておりまして、法律の目的に公害防止というものを明示し、電気事業法につきましては都道府県知事との連絡調整に関する所要の規定の整備を行なっていることは、特別国会において行なわれましたので、その点は御了承願います。
○加藤(清)委員 三宅局長、きょうはあなたに突然出てきてもらってほんとうに失礼しました。しかしあなたはさすが名局長だから、よく勉強していらっしゃるので、りっぱに答弁ができましてけっこうですが、なぜ突然やったかというと、私がこういう問題で質問すると、やめとけやめとけという圧力がかかってくるのです。どこからかということは言いませんが、やめとけやめとけという。こういう問題は私以外の同志が質問されてもやめとけという圧力がかかってくるわけですから、きょう突然にしてあなたには済まぬと思ってます。 問題は、法律が整備されただけであって、しかし供給面のほうがいまだ優先しておるのですから、公害除去があとで供給が先である、これは今日の状況ではやむを得ぬ仕儀だと思うのです。思いますが、過去においてはあまりにも大企業は大量に大気を汚染しながら、その追放に努力するということが欠けていた。あなたがいまおっしゃられましたけれども、現在東電でも稼働していないのです。名古屋でも、中電でも稼働していないのです。目下のところ試験をしてとりこわしてしまって、大型プロジェクトにしたり、あれこれの危険が伴うといって稼働していないのです。もう一つの問題は、かりにそれが成功したとしても、膨大な面積を必要といたしますから、既設の火力発電、すなわち人口密集地帯にある火力発電については、この成功した大型プラントを適用することができない。そうでしょう。だから、やれることは何かといったら、今後火力発電ができる場合に、それを義務づけることくらいはおやりなさいといっている。これは長官としてはどうお考えですか。せっかく研究、開発されたとしても、いまこれを義務づけたら、鹿島は成功します。なぜ、面積があるからです。ところがいまこれを東京地帯、まあ京葉と申しましょうか、それから阪神地帯、それから名古屋から四日市にかけてのあの地帯に義務づけてみたって、それでは発電機をこわさなければできないことになる。面積が足りないからです。私は、ほんとうはそこにもつけるべきである、そこはもうできなければやめるべきであるという意見なんですけれども、百歩譲って、これからどんどん原油の輸入量がふえる、電気はますます需要がふえる、しからば今後の火力発電には必ず排煙脱硫の装置をつけねばならぬということにすることが、電力会社の生きる道だと思う。なぜかならば、そうすれば火力発電誘致反対という声も公害がもとなんですから、公害は出しません、ハイサルをたいても公害は出しません、こういうことにすれば歓迎されるようになるだろう、さすれば少々この法案が底抜けになっておったって間に合う、こういうことなんです。長官の御意見を伺いたい。
○大石国務大臣 ただいまの御意見には私は趣旨として賛成でございます。ただ、それを直ちに行政面に実現することは、やはり今後いろいろ折衝がございますので、私としてはそのような努力をしてまいりたいと考えております。
○加藤(清)委員 通産省どうです。
○三宅政府委員 おっしゃるとおり既設の発電所については、用地の関係等からなかなか排脱が採用しにくいことは御指摘のとおりでございますが、国の定めた排出基準、あるいはそれにさらに地元の要求がございまして、公害防止協定でさらにそれを上回る基準が設定されておるケースがございます。そういうケースに対応いたしましては、たとえば東電の大井火力発電所は、東京都知事とのかたい約束によりまして、一番サルファの少ないミナス原油を使っておりますし、また南横浜のLNG火力、これは完全無公害燃料を使用しております。また最近私どものほうではナフサの導入、あるいはNGLと申しまして、液化天然ガスに付随して出てまいりますガスを電気に使いたいということでこれを推進しております。そういうことによりまして、特に都市の近郊の既設の火力については対応しておるわけでございます。 それから新設の火力につきましては、排脱が非常に好ましいプロジェクトであるということは当然でございますが、経済的採算性の問題のほかに、先ほど申し上げましたように、電気という安定供給を義務づけられておる施設について連続運転の自信が必ずしも持てていない。さらに副産物の処理について第二次公害を発生するおそれがないか、いかにそれをこなしていくかという点についてなお検討すべき点が残っておりますので、先ほど申し上げましたように、中部電力は西名古屋火力あるいは関西電力は海南火力、これは二十二万あるいは十五万という相当大きなサイズに格上げされておりますので、これを中心に研究し、所要のデータを求め、将来の足がかりを考えたい、かように考えておる次第でございます。
○加藤(清)委員 湿式の脱硫装置がいま研究されておるはずでございます。三菱化工機に日本合成ゴムが協力して、いま千葉県で研究されておるはずです。もう小型では成功したと聞いておりますが、これはどうなっていますか。
○三宅政府委員 三菱化工機の湿式は、確かに日本合成ゴムの敷地内ですでに稼働しておりますが、サイズは七万五千キロでございます。さらにそこから出てくる副産品は日本合成ゴムの社内においてこれを処理するというふうになっておりますが、火力の場合には相当大きな発電容量に対応する排脱設備をつくる必要がございます。たとえば関西電力の場合は海南四十五万に対して三分の一サイズの十五万、中部電力は非常に思い切りまして、西名古屋火力においてフルサイズの二十二万というのを採用する。これはいずれも私が聞いているところでは、まだどこの会社の機械を採用するかということは確実にはきまっていないと伺っておりますけれども、いずれにいたしましても、湿式法であることは間違いないようでございます。従来大型プロジェクトで勉強してまいりましたのは乾式法でございましたが、最近湿式のほうがいいんじゃないかという意見もございますので、電力業界の全体の計画の一環といたしまして、この西名古屋火力並びに海南の湿式をわれわれは推進し、この成果、データ、連続運転についての安定性の確信についての期待を持っておるわけでございます。
○加藤(清)委員 私はめくらめっぽうですからね。電力業界の会長の加藤さんには、あなたのところはまず隗より始めなさい、あなたのところからやりなさいと前に言ったことがございますが、通産省としてももう少し前向きにこの公害追放に努力していただきたい。 先ほどの質問の答弁が一つ残っています。新しい火力発電をつくる場合には、脱硫装置を義務づけるべきである、それができないにしても、まず面積だけは必ず確保させるべきである、こういう意見に対して長官は賛成の意見が出ました。あなたからはまだ全然その答えが出ておりません。
○三宅政府委員 どうも答弁漏れがありまして失礼いたしました。 新しい火力発電所の設置の許可にあたりましては、所要の面積をリザーブするという条件が確かにつけてございます。そういう行政指導を強くやっております。 それから前向きにもっとしっかりやれというおしかりでございますが、確かに油の将来需要を考えますと、排脱というのは決定的なきめ手になるかどうかは別にいたしまして、LNGの導入とかナフサだきというものと合わせて非常に興味のあるないしは非常に有効ではないかと考えられる方式でございます。 ただ先ほど来申し上げておりますように、化学工業等におきましてはサイズがまだ小さい。そうしてそれについての連続運転は自社だけの問題でございますけれども、電力の場合には非常にサイズが大きい。その大きいサイズに対応する連続運転負荷の追随性についての確信がまだ持てていません。さらに副産品の処理について、第二次公害を起こさないかどうかということについては、化学工業と電力会社とは、技術系統も営業形態も違いますから、まだ確信が持てておらないわけでございます。しかし私どもは昨年秋民間の方も入れまして排脱研究会をつくりまして、大いに排脱の促進についての勉強をいたしましたし、先ほど申し上げましたように、社長会では事あるたびに排脱について下の技術屋の問題ではなくて、トップマネージメントの問題として検討していただきたい、取り上げていただきたいということを強く要請してまいったわけでございます。先ほど来申し上げましたような西名古屋火力、海南のケースは今後非常にわれわれとして経済的にも技術的にも注目をしておるケースでございます。
○加藤(清)委員 今後新しく火力発電の設備を設けるときには必ず脱硫装置の面積だけはとっておけという行政指導は行なわれておるのですね。そのことだけを聞きたい。
○三宅政府委員 そのとおりでございます。
○加藤(清)委員 それでけっこうでございます。それじゃ通産大臣との予算委員会における約束は守られておるということですから、それはそれでけっこう。と同時に石油精製のほうもそれは金がかかるからといって脱硫装置を怠るということは許されないと思うのです。したがって石油精製の場合も、今後新しく設立する場合には必ず脱硫装置を、全部とは言いませんけれども、その一部なりともつけさせるように行政指導をすべきであると思うのです。そのことが放置されておりますると先年の姫路事件のようになる。姫路では出光が石油精製をやると言った、さしあたって十何万バーレルですか、やると言った。それに併設して脱硫装置がなければ火入れ式はやらせないといって二カ月延びたでしょう。もう地元の学識経験者や審議会の方々がそういう観念になりつつあるやさきですから、地元の観念、民衆の声におくれないように、監督官庁としては行政指導すべきであると思いますが、これについて大石長官の御意見を承りたい。
○大石国務大臣 ちょっとうっかりしておりましたので、恐縮でございますが、もう少し……。
○加藤(清)委員 じゃもう一度申し上げます。こういうことです。脱硫装置について大口消費者は間接脱硫の設備をするようにいま行政指導をしておる。せめて義務づけはできないでも今後の面積だけは確保させるようにする。同時に精製会社のほうも、今後精製がどんどん行なわれるでしょう。それは後段でまた時間があれば海外でやるのは別に討論をしますけれども、国内への輸入はまだまだふえるでしょう。二億キロではとどまらない。さすればその精製の場合に今後はぜひ脱硫装置をつけるべきである。そういう行政指導をすべきである。それをしないと姫路事件のように問題が起きて、せっかく精製工場の火入れ式をするといっても、地元の意見によって火入れ式が行なわれなくなってしまう。だから精製会社も脱硫装置を今後は義務づけるべきである。せめてその義務づけができなければ、面積なりとも、予定敷地なりとも確保しておくべきだ、こういう意見であります。
○大石国務大臣 御趣旨には原則的に賛成でございます。
○加藤(清)委員 通産省はどうですか、三宅局長。
○三宅政府委員 石油の問題ですか。
○加藤(清)委員 いまの精製会社のほうもという意味です。
○三宅政府委員 お答えいたします。 電力については先ほど申し上げたとおりでございますが、石油については事情がどうなっているかよく存じません。本年度は設備の割り当てをしないというぐあいに聞いておりますが、方向としてはそういうことになるべきだと考えます。
○加藤(清)委員 わかりました。脱硫装置をすべきであるという方向は、政府も方針がきまっているのですよ。同時にそれには奨励金がつけてあるのです。一キロについて五百円以上の奨励金がついておるのです。そうでしょう。石油関税の割り戻しが行なわれておるのです。その割り戻しが足りないというものだから、追加して与えてある。奨励金つきでやっていながら、なおそれができないというのは——これはもっとも日本内地の石油精製業に世界カルテルがたくさんあって、日本の公害追放に協力しない会社があるということも原因の一つでしょう。しかし日本国内で仕事をしている会社であり、日本法人である以上はそのくらいのことができなかったら、この無過失責任の法律が通ったって、外国資本に対しては適用ができないなんというなまっちょろい観念だったら、これはどうにもならぬと思うのです。どうなんです。答えられなければ答えぬでいいです。
○三宅政府委員 鉱山石炭局長が御答弁すべきところでございますが、先ほど申し上げましたように、本年度の石油精製の設備割り当てはないと聞いておりますけれども、長い将来を考え、いま補助金が出ておるというのは関税還付の制度だと思いますが、方向としてはそのとおりだと考えております。
○加藤(清)委員 もう一点長官にお尋ねしますが、アメリカから公害関係のある権威者が来て、工場の中からホイッスルを鳴らすことが公害追放の一つの近道である、こういう意見を述べたことがありますですね。ところでいま今日、その工場の労働者がほんとうはたれっぱなし、流しっぱなしを一番よく知っておるのです。暮夜ひそかに——われわれが調査に行ったときは別ですが、だだだっと流す場合がある。しかしそれは社長がやるわけでもなければ工場長がやるわけでもない、命令受けて従業員がやるわけなんです。そのことをホイッスルしたり、あるいは今度法律が通りまして、仲裁裁定等々の問題が行なわれるようになりました場合、しかしその席へ来て労働者がそのことをしゃべった場合にどうなるかということなのです。これは企業機密を漏らしたということによって、彼らは工場内で罰則を受けなければならない。正直にほんとうのことをしゃべったら罰則を受けなければならぬ。そうなると偽証をしなければならぬことになる。この場合どちらが優先するでございましょうか。特に仲裁裁定の問題があり、これでも裁判になりますね。その場合裁判所の認定にまかせるというところがありますね。これは裁判が長引いてたいへんなことになると思いまするけれども、複合の場合は認定にまかせるというところがありますね。この認定にまかせぬでも、こんなものは工員が一番よう知っていますよ。その一番よう知っている者が正直にしゃべるというと、企業機密にひっかかって首になります。そうすると、うその証言をすれば、あとで裁判がどんどんどんどん進行していって、結果的に、あのときうその証言をしたということになると、これまたやられますね。これは従業員はどっちにころんでもやられますよ。したがってこの際、いずれが優先するかということをきめておいてもらわぬと、一番被害を受けるのは、その工場長の命を受けて仕事をした従業員であるということになる、これはどうしますか。
○大石国務大臣 少し法律的なところは政府委員からお答えいたさせますが、私は常識的に考えまして、そういうものは企業機密ではあり得ないと思うのです。企業機密というものは、それは会社にあってけっこうでしょうが、それが犯罪であってはならないと思います。犯罪というものを告発することは私は正しい人間の義務だと思うのです。そういう意味で私は、やはり従業員がそれをはっきり公に話しましても、それは企業機密をばらしたことにはならないと常識的に考えますが、少し法律的なところは政府委員からお答えいたさせます。
○加藤(清)委員 これは委員長から聞いたほうがいいと思いますが……。
○古館説明員 ただいま環境庁長官からも御答弁がありましたように、これが会社の企業機密に当たるかどうかという関係は、私は当たらないというふうに解すべきではなかろうかと思います。そうしますと、そういうことを述べたからといって、それによって企業機密を漏らしたので解雇したといたしますと、これは解雇権の乱用になるのじゃなかろうかと思います。
○加藤(清)委員 いいことを聞きました。ほんとうにいいことを聞きました。これで全国の公害発生企業の労働者は救われると思うのです。いま企業が労働者に向かって言うことは何かというと、無過失責任の法律が通るとおまえらも直ちにやられるぞ、だから反対しなければいかぬという、こういう教育が行なわれている。私はこの会社の銘柄を全部知っておりますけれども、それはいまここで言いません。それと同時に、なぜやられるかというたら、おまえらは企業機密をおかすことになる、たれ流しのものをしゃべったくらいでどうして企業機密をおかすことになるかと反論すると、いやその中に含有されていたものがいかなる物質であるかということが検査されるというと、逆に計算して製造工程における機密が漏洩するおそれがある、だから君らはものを言っちゃならない、こういう箝口令がしかれておる。けれども、いまおっしゃるようにそういうことが仲裁裁定に持ち出されたりあるいはこの法律によって裁判に持ち込まれた場合に、正直に事実を述べることが正しいのであって、正直に事実を述べた者に対して罰則を与えたりするようなことがあってはならない。 そこで、いま解雇権の乱用であるとおっしゃいましたね。それは法律的根拠はありますか、ありませんか。
○古館説明員 ただいま私がお答えしましたのは、いまの加藤委員の夜ひそかにこういった有害物質を排出したという場合を前提にしてお答えしております。 なお、いまの権利乱用であるということ、そういう場合解雇するのは権利乱用であるということの根拠というお尋ねでございますけれども、私は.権利乱用は民法の一条三項の権利の乱用はこれを許さないというような根拠になるだろうというふうに考えております。
○加藤(清)委員 それでは、この根拠を、あとでけっこうです、よく検討して、メモでいいですからぜひ——いま突っ込もうというわけではございませんから、後ほどその法律的根拠をメモしていただきますよう、お願いします。 もう時間が参りましたので、最後にお尋ねしますが、私は、調査に来てくれということでございますので、志布志湾へ行ってまいりました。これはいずれゆっくり参考人などを呼んで質問をさせていただきたいと思っておりますが、はしなくもいま長官が、あの志布志湾は工業融資ができないだろうとおっしゃられましたが、それを住民は望んでいる。同時に知事は、申請書の中にあまたあまたの誤謬をおかしている。例を言いますと、第一は、一条に、住民の意思によってというように書いてある。住民の意思をよくそんたくしてという意味です。そして工場誘致をするというようになっておるにもかかわらず、漁民はまだ漁業権の放棄はしていない。国立公園の廃止も行なわれていない。それから次に参りますと、同じ志布志湾の中で百万バーレルですよ、驚いたな、そんなスケールは日本で見たことがない。百万バーレルの石油精製工場をつくるということになっておる。にもかかわらず、同じ志布志湾の中に漁業振興と農業振興を並立させると書いてある。それが行なわれるなら、東京湾でハマチが飼えなくなったり名古屋港でエビがとれぬようになるはずがない。例をいうと、こういうたいへんな誤謬に満ちた原案が通産省のほうへ提出されておる。これは大きなあやまちで、もしかすると、またこれは大分の大阪セメント事件と同じ轍を踏むのではないかという気がいたしますので、先ほど長官がはしなくも述べられましたその件について、現時点における考え方をお漏らし願いたいと思います。
○大石国務大臣 志布志湾一体はいま国定公園に指定されております。したがいまして、われわれは国定公園として十分に国民生活に利用されるよう望んでおる次第でございます。ただ、鹿児島県知事からあの辺の開発の計画書が提出されまして、これを国定公園指定からはずしてほしいという口頭の希望がございました。去年の末でありましたかその計画が提出されましたが、われわれは一応それを見まして、いま申しましたように百万バーレルとか、五十万トンのタンカーとかいうことでございますので、この計画では住民あるいは漁民の生活を保障する、環境を保全するという責任は持てないから、いまのこの段階では私はやる意思はないということを知事に申しました。知事はそこでいずれあらためて計画を改定いたしまして、今年度末あたりまた持ってまいりますから御検討願いますということでお帰りになりましたので、別に何も申すことはございません。いままでの方針でまいりたいと考えております。 〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕
○林(義)委員長代理 加藤君の質疑について関連質問を許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 先ほどの加藤委員の質問に関連して、ちょっと確認しておきたい点がありますので、お伺いをいたします。 それは先ほどの加藤委員の質問に対して政府側答弁が必ずしも明確でなかった、そのために誤解を招くおそれがあると思いますので、あえて質問をする次第であります。 と申しますのは、政府案は大気汚染防止法、水質汚濁防止法の改正というかっこうをとっておる。したがって、電気、ガス事業については、この両方から適用除外になっておるので云々ということでございます。しかし電気、ガス事業はこの両方から適用除外になっておりますのは、たとえば大気汚染防止法は二十七条、水質汚濁防止法では二十三条の二項、これは電気、ガス事業の施設の届け出あるいは基準等についての適用除外であって、この両事業がこの両案から全部適用除外ということでは必ずしもございません。したがって、改正法案が成立した場合というか、この両法案ではいわゆる無過失の問題についてガスあるいは電気が適用除外になるという考え方があるとするならば、誤解であります。当然適用になりますから、この点確認しておきます。いかがですか。
○大石国務大臣 いま田中委員の御意見のとおりでございます。
○田中(武)委員 これはむしろ通産省の三宅局長に要望あるいは確認をいたします。 この電気事業あるいはガス事業がこれら両方から適用除外になっておりますのは、むしろ電気、ガスにはより一そうきびしく規制すべきである、そういう観点に立っての除外であります。と申しますのは、御承知のように電気事業法あるいはガス事業法等で、電気、ガスの工作物は、一般工場の工作物よりか法による厚い保護を受けております。たとえばこれら工作物に対する損壊の場合、一般工場よりか重い刑罰をもって保護せられておる。これはともに公益事業であるからだということであります。したがって、この除外はあくまでも一般工場より、より一そうこれら工作物あるいは設備については厳格に規制すべきである、こういう観点に立っての除外であることを十分に確認をしていただく、認識をしていただいて、より一そうガス、電気については公害を起こさないように行政的指導をするのが当然であります。その点いかがですか。
○三宅政府委員 全くそのとおりだと考えております。保安上の規制あるいは安定供給の面からの規制並びに公害の規制、これは公益事業に課せられた大きな使命であると存じております。電気事業法、ガス事業法の第一条の目的も、そういう意味で公害規制についての所要の修正を行なったわけでございますから、お説のとおりだと考えております。 〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤(清)委員 残余の質問はあとに譲りまして、本日はこの程度で。ありがとうございました。
○田中委員長 加藤君の質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕