公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/04/07
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 この際、おはかりいたします。 ただいま本委員会において調査中の公害対策並びに環境保全に関する件、特に、ポリ塩化ビフェニール汚染問題につきまして、去る五日科学技術振興対策特別委員会から、連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、連合審査会開会日時につきましては、両委員長間で協議の上決定いたしますが、来たる十三日及び十四日、午前十時三十分から開会の予定でありますから御了承願います。 ————◇—————
○田中委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 公害対策並びに環境保全に関する件、特に、ポリ塩化ビフェニール汚染問題調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、参考人からの意見の聴取は、先ほど決定いたしました科学技術振興対策特別委員会との連合審査会において行なうこととし、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○田中委員長 内閣提出の特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島源太郎君。
○中島(源)委員 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案に関しまして質問いたします。 最初に、提案の理由について伺いたいのでありますが、鳥獣保護につきましては、現行法で鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というのがございます。それを補足する形の新しい法律であると思いますが、これを、現行法の一部改正という形ではなくして、別個の新法といたしまして提案されました理由をひとつ伺っておきたいと思います。
○小澤(太)政府委員 現在の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律は、御承知のとおり、国内におります野生鳥獣を対象といたしております。今回のは、これまた御承知のとおりアメリカとの渡り鳥の条約に関連いたしまして制定されるものでございますから、その特殊鳥類の中には国内におらない、外国におるもの、並びに国内におりますけれども、動物園などで生まれた二世、三世で現在野生鳥獣でないもの、これが対象になるわけでございますので、ここでそういう意味で鳥獣保護法の改正ではなしに別途新しく立法をいたす、こういう考えに立っておるわけでございます。
○中島(源)委員 そうしますと、いま政務次官からおっしゃられましたように、この法律はいわゆる日米鳥類保護条約のいわゆる実施法である。同時に現行法を補完する意味での新しい法律であるというふうに考えてよろしいですね。
○小澤(太)政府委員 実施法といえばちょっと適確に表現できるかどうか存じませんが、この条約に伴って日本の国内においてなすべき事柄を立法いたす、こういうことでございます。
○中島(源)委員 自然環境というものがともすれば破壊されがちな今日でありますから、鳥類の保護の強化がさらにうたわれるということにつきましては、まことに時宜を得たものであろうと私は思います。したがって、この法律に関しまして、日米鳥類保護条約並びに現行法に言及しながら、二、三御質問をしたいと思います。 第一条に「絶滅のおそれのある鳥類」と書かれてございますが、この「絶滅のおそれのある鳥類」というのは現在何種類ぐらいございますか。
○首尾木政府委員 今回の法律によりましてとりあえず私どもが指定を考えておりますのは、内地の鳥にしまして二十一種、それから沖繩が復帰いたしますと、それに七種が加わりまして二十八種というものでございます。さらにアメリカにおける絶滅のおそれある鳥類といたしまして、約四十六種を想定いたしております。
○中島(源)委員 そういたしますと、日本におります鳥の種類というものは、私が伺っておる範囲では約四百二十四種類、うち約二〇%が日本固有の鳥と申しますか、要するに六〇%にあたる二百五十七種は渡り鳥である。それから二〇%にあたります八十三種類がいわゆる迷鳥でございます。それを引きますと八十四種類ぐらいが日本固有の鳥ということになろうと思いますが、うち二十一種類から二十八種類が絶滅のおそれがある鳥類であるということになりますと、日本固有の鳥の三〇%強は絶滅のおそれがあるという形として認識してよろしいかと思うのです。これは相当なパーセンテージであろうと思います。したがって、私は鳥類の保護というものはまことに緊急を要する問題であるという認識を新たにするわけであります。 さて、日米鳥類保護条約の第三条の(b)に人命及び財産を保護するための例外がうたわれておりますが、私どもは、鳥類を全面的に保護してまいる、これはよくわかるわけでありますが、ここでうたわれております、たとえば人命をそこなうと目される場合というのはどういう場合か、あるいはどういう鳥をさすのでございますか。
○首尾木政府委員 お答え申し上げます。 人命をそこなうおそれがある場合といたしましては、たとえば飛行場等におきまして航空機の離着陸に際しまして、そこでたとえばトビでございますとかそういうようなものによって離着陸に事故を及ぼすおそれがあるというような場合、あるいはまた人を襲うタカでありますとかそういったようなもの、こういうものにつきましてそういうおそれある場合の捕獲ということが問題になるわけでございます。
○中島(源)委員 そうしますとその場合、鳥そのものをさすのではなくて、ある環境、ある場所における鳥ということになりますが、間違うといけませんが、絶滅のおそれがあるタカは保護すべきなのか、これは要するに人命をそこなうものとして例外規定に入るのか。それは、鳥そのものを指定して考えるのかあるいは、繰り返しますが、ある飛行場のある一定時間に飛んでおる場合、危険がないようなトビのようなものでも、場所と時間を限った場合には危険がある、そういうふうに考えてよろしいのか。
○首尾木政府委員 多くの事例といたしましては、場所とかそういうものとの関係におきまして、そういうことが問題になるというふうに考えております。
○中島(源)委員 それでは、鳥の種類をさして規定しておるものはありませんか。人命をそこなう鳥として種類をあげておるということはありませんか。
○首尾木政府委員 それはございません。
○中島(源)委員 それではもう一つ、財産の保護に関して念のために伺っておきたいのでありますが、鳥類を保護する場合、たとえばある場所で絶滅のおそれのある鳥を保護育成したとします。たとえばの話ですが、タンチョウヅルあるいはトキというようなものですね。ところがその鳥がその周辺の農作物をついばんだ。農民といたしましては財産をそこなわれる場合は現実にあろうかと思いますが、こうした場合にその調和はもちろんとられると思いますが、もし優先するとすればどちらを優先されるのですか。 同時に、鳥類を保護するために結果的にその周辺の農家に対して財産の損害を与えた場合に、補償措置がありますか。
○首尾木政府委員 先生の御質問の件でございますが、これはおそらく絶滅のおそれのある鳥というような場合でございますから、非常に生息数も少ないわけでございまして、そういう意味における若干の被害ということ、これについては特別に——その際どちらを優先するかという問題でございますが、私どもといたしましては、その場合にはむしろ絶滅のおそれのある鳥というものを保護することが比較的重要なことだろうというふうに考えております。おそらくケースとしてはそういう絶滅のおそれのある鳥によって被害が多く発生するというようなことは考えられない。むしろ鳥類の被害というものは、これはたとえばスズメでございますとかその他渡り鳥等のものはございますけれども、そういうものについては有害鳥獣駆除という形によりまして許可を受けてこれを捕獲することができるというような制度がございますから、それによって対処できるということになろうかと思います。
○中島(源)委員 いまお話しの中に有害鳥獣というのがございましたが、「有害鳥獣」という字句が鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の第一条にありますが、有害鳥類というものはあるとすればどういうものですか。
○首尾木政府委員 これはその鳥自体が有害であるということでございませんので、農作物とか水産物でありますとか、そういうものに対して被害が生ずる場合に、非常に群れをなしてやってきてそれに被害を生ずるといったような場合に、その群れに対しまして一定数の捕獲を認めるというようなことをいっているわけでございますが、その鳥自体が有害、この鳥が無害といったような査定は、これは一がいにつけられない問題があると思います。
○中島(源)委員 その辺のポイントの調整だと思いますが、非常に絶滅のおそれがある、絶滅のおそれのあるくらい少ないものは少なくとも有害鳥にはなり得ない。しかしそれを非常に保護、育成して数が多くなった場合、ほんの一羽が農作物もつついてもたいへんな被害を及ぼすだろうけれども、その鳥一羽はかわいらしい、非常に人間に対して豊かなものをもたらすとしても数の問題で、つまり種類の問題ではなくて、数の問題で有害鳥にもなるあるいは保護鳥にもなるということだろうと思いますが、そのいわゆるコントロールと申しますか、これは二、三羽しかいないのと何十万羽といるというその比較はやさしいと思いますが、そのコントロールは簡単に申して地方行政、たとえば県知事なら県知事がおやりになる、あるいは住民の判断と申しますかつまり要請によって出てくる、あるいはこれは全国的なもの、あるいは今度の法律で、たとえば二国間あるいは多国間の保護というものを主にして国がそれを判断されるのか。念のために伺いますが、実際にはどういう形でそれを行ないますか。
○首尾木政府委員 法律的に申し上げますと、まず絶滅のおそれのある鳥類につきましては、この法律によりまして環境庁長官が指定をするということになります。その判断の基礎でありますが、これにつきましては、まず国際的な面からする相互の情報の連絡でありますとか、そういうことによりまして、具体的に申し上げますと、日米間で今回渡り鳥条約が締結をされますと、それに基づいて情報の交換をし、また適時に会合を開いてそれについての相談をいたします。 それからなおわが国でそういうことも参考としながら絶滅のおそれのある鳥を指定するにあたりましては、鳥獣保護審議会の御意見を聞いて指定をするというような手続を考えております。したがいまして、先生の御質問に対しましては、国全体としては絶滅のおそれのある鳥というのは環境庁長官が指定をするということになるわけでございます。
○中島(源)委員 日本に参ります鳥、日本に住みます鳥の六〇%は渡り鳥である。たいへんな数であります。要するに有害鳥という意味はわかりました。念のために伺いますが、渡り鳥その他鳥の検疫については必要を認められるという事例はないかどうか。たとえば鳥からある種の病菌が持ち込まれるあるいは運ばれるということのおそれをいまのところ私も聞いておりません。聞いておりませんが、たとえば鳥獣の中には、獣を入れますと要するにコウモリなどがたとえば狂犬病の媒体になるというようなこともあるように伺っております。鳥類の中でそういった危険はないか。ああいう見た目はかわいらしいですけれども、そういった面で気をつけるべきところはチェックしなければいかぬと思いますが、そのおそれはありませんか、あるいはそういうおそれのあるようなデータはお持ちではありませんか。
○首尾木政府委員 私どもといたしましては、現在のところそのようなデータを持っておりません。また、そういうことについても詳しい情報を持っておりません。 鳥と病気の問題でございますが、その辺の問題については、実は十分解明されていない問題が多いように承っておりますが、今後の問題だというふうに考えておりますけれども、さしあたってのところ先生の仰せになりましたような検疫ということの必要はいまだ具体的には考えておらないところでございます。
○中島(源)委員 それは今後ある意味では研究を続けていただく必要がありはしないか。ただ、現在のところそういった危険がないということになれば、渡り鳥を含めまして私どもは率先してこれを保護していく。これは国の方針並びに国民各自が鳥を愛するということ徹底していく必要があろうと思います。しかしその一面で、鳥あるいは渡り鳥、特に水鳥などのいわゆる安住の地、生息の地と申しますか、いわゆる水ぎわの干がたでありますが、ここでひなをかえし、鳥の一家がまたそこから巣立っていく、数少ないそういう干がたがだんだんと数少なくなっておるのではなかろうか。特にわが国の場合にはいわゆる臨海工業都市化の波がますます激しくなりつつある。特に日本の四大干がたと申しますか、東京湾、大阪湾、伊勢湾、有明湾というようなところがほとんどつぶされていっておる。これは私どもの社会生活の中で必要であるかどうかは別といたしまして、この法案を中心に考えた場合、鳥を一生懸命保護するという法案が新たにつくられようとしておりますが、その一方で鳥の生息に最も安らぎの地であるそういった場所が人間の生活のために刻々こわされていく、これについて実際にはどのように処しておられるか。環境庁あるいは地方行政がこれを補っておる場合もあろうと思います。これをわざわざ伺うのはどうかと思いますが、実際に港湾その他建設関係でそういった面をどんどんやっておる。その日本の置かれました立地条件から、産業の発展もよろしいが、この鳥のことと関連いたしまして、今後の対処の方針をひとつ伺っておきたい。
○小澤(太)政府委員 御指摘のとおり野鳥の渡り鳥の生息地である干がたがだん失われておりまする現状、まことに遺憾に思い残念に思っています。これに対する対策としましては、鳥獣保護法によって特別保護区を設定するという方法が一つございます。それからもう一つは、御承知のとおり海岸地帯は公有水面、大部分そうでございますが、公有水面の埋め立て等につきましては、これは関係大臣の許可を要することでございます。その際に環境庁長官と協議をするというようなことをもって、今後は十分に規制をしてまいりたい、こう思っております。どうもいままでその点が手ぬるくて、だんだん減っていくという現実を見て、私も非常に遺憾に思っておるわけでございます。
○中島(源)委員 次に、やはり公害基本法によりましても、生活環境の保全というものに、いま私どもは、国をあげてあるいは国民全般が関心を持ちながら、進んでおるわけであります。言うなれば、鳥というのは人間よりも当然あらゆる面で敏感である、通例といたしましては鳥のほうが人間よりはひよわいと思います。そこで、大気が汚染してまいる、あるいは土壌が汚染してまいる、こういった汚染につきましても、鳥類というものは非常に敏感に反応するであろう。ですから逆に言うと、鳥類が安らかに飛んでおるかどうかが、人間の社会生活としてのいい環境かどうかのバロメーターであるというふうな考え方もあると思います。しかし、鳥をバロメーターにしてしまうのではあまりにも気の毒だ。したがって、鳥をほんとうに保護したいのであれば、人間の生活する社会環境を保全、改善するのはもちろんでありますが、鳥が住めるような社会でなければいたし方ないのではなかろうか。したがって大気汚染、その他の公害基準という場合、現在はもう人間に合わせるのが精一杯であるというのが現状かもしれませんが、本来鳥を、私どもの生活の中に、共通の生活の場を与えていこうということによりて、鳥類をさらに保護するという立場からすると、いわゆる公害規制基準というものも、鳥類まで含めた形での明るい、清らかな公害基準というものを考え、策定していくべきではないのか、これは当然だと思いますが、現状を踏まえてあわせてその点のお考え方を伺っておきたい。
○小澤(太)政府委員 たいへん示唆に富んだ、かつ微妙な問題を御質問になったのでございますが、そこで現在の、ただいま御指摘の公害対策基本法における公害の定義の中で、人間の健康とそれから生活環境に害を及ぼすものと、こうなっておりますが、その生活環境の中には人間の生活に密接な関連のある動植物、こういうことが書いてあります。そこで、さて、その人間の生活に密接な関連のある動植物というものをどうとらえるか、またこの表現が人間中心なんですね。「人の健康又は生活環境」、ですから、公害基本法で意図しておりますところは、これを狭義に解釈しますならば人間本位のもの、人間に対する被害、こういうものをなくそうというようなことからいろいろな基準を決定して権力的にこれを遂行していく、こういうことでございます。そういう意味から、たとえば生物濃縮の過程、プロセスによって動植物が汚染され、それが濃縮されて人間の健康やひいては生活環境に影響を及ぼす、こういうようなことを主としておりますから、狭義に解釈いたしますならば、人間が日常食糧にするというようなものを対象にするかに見えるわけであります。しかし一面、いまお話しのとおり人聞も自然の一部であり、メンバーであり、そしてこの地球をグローバルな立場から、輪廻と申しますかエコロジーと申しますか、そういうあらゆる動植物を含んでの健全なるところの状態を保持することが、それがひいては自然の一部である人間にも大きな影響を持つということに考えますならば、これからもう一歩前進すべきものであろう、そういうところまで理論的には突き進んでいくべきものだと思うのです。しかし現実はまだそこまで行っておりませんし、遺憾ながら大気汚染、水質あるいは土壌の汚染が野生の鳥類にどのような影響があるかということの調査研究等も、まだきわめて未熟でございます。したがいまして、そういうところに排出基準等を合わせるということが現状においてはほとんど不可能でございます。むしろ、いまおっしゃったように人間の命を守ろうというところに重点が置かれておるわけでございます。もとより、いま御指摘のように鳥獣の健康というものを人間の健康の指標、バロメーター、メルクマールにするというような考え方だけではこれはいけないのじゃないか、もっと謙虚に人間が自然に対する考え方を進めていくということになれば、御指摘の点は将来十分に研究に値する、またそういう方向で努力すべきものだ、このように考える次第でございますが、現状はまだそこまで至っておりませんということを重ねて申し上げます。
○中島(源)委員 政務次官から将来を考えたお考えをお伺いしましたが、私も同感であります。そこで将来でなくて、いま現在のあり方に心をはせるわけでありますが、いわゆる公害基準というものの考え方と、同時に、現在地方都市におきましてもいわゆる工業化の波が進んでおる、あるいは市街地再開発の問題も進んでおる、あるいはその中で防災都市、街路がよくなり見た目では非常な発展都市に見えますが、逆に申せば、いわゆる居住地から緑が刻々なくなっていく現状である。そのかわり、地方におきましても広域都市圏その他の問題で緑を保存する、あるいは緑地公園、運動公園というようなものが確保はされております。しかし、それは一町村あるいは数町村の中でまとめて何千坪、何万坪もあるような緑地を確保しておるわけでありまして、居住地そのものからは緑がなくなってきて、坪数では確保できても、それはまとめて確保するあるいは建設していくというような機械化された確保でありますので、居住地の鳥というものはこれではだんだん離れていく。したがって、端的に言うと、われわれの住んでおる家からあるいは町から鳥の姿が刻々消えていってしまう。これは鳥にとってもまことに気の毒な話であります。また人間の生活環境からしましても、いま新しい青少年諸君が育っていきます。その育ちゆく郷土に鳥の姿もない、鳥の鳴き声もない、これはまことに憂うべきことじゃないか。これは公害基準ではなくて、いま現在進みつつあるものを、いわゆる国民創意の中からあるいは環境庁のお考えの中から、建設その他について示唆に富むアドバイスができるのじゃないか。それで、私の聞いている範囲は、建設省の中でもいわゆる緑土計画というものがあり、あらゆる道に緑を植えて緑のある道を建設したい、確保したい、こういったものをより強く推し進めることによって緑を確保すると同時に、鳥の安住の地をもっと広く確保すべきじゃないか。これがいま地方都市の開発の中で何だかそこなわれているのじゃないか。これはいますぐ変えられることでありながら、その一つの指針がはっきりしないためにそこなわれておるとすればまことに残念なことであると思う。これは市街地再開発の問題も含めまして重要な指針になると思いますので、その点のお考えと、それを具体的にアドバイスできるかどうか、その点私も勉強不足でありますが、環境庁さんのお考え、それからお立場を伺っておきたい。
○首尾木政府委員 先生の申されました御意見、まことにごもっともな御意見でございます。私ども実は鳥獣保護の観点から、従来そういったようなことについて特別の考え方でもって、そういう意見を申し上げるというようなことに欠けておったわけでございますけれども、私どもは、生活環境の保全という意味の中には、そういった鳥獣の住むような、鳥獣と人間とがともに接し得るような生活環境をつくり出していくということが重要なことを考えておりますので、今後そういう面から意見を申していきたいと考えております。これは環境庁設置法の中で、自然保護に関しまして各省に対しましてそういうふうな意見を申し上げる立場にありますので、それを積極的にやっていきたい、かように考えております。
○中島(源)委員 この際、ひとつ伺っておきたいことがあるのです。たとえば特別保護地域の指定というものがございます。あるいは国立公園の指定もございます。これは国有地の場合も民有地の場合も当然そこに含まれてくるわけなんですね。国立公園にいたしましても、当然自然環境を破壊してはならないというたてまえがあります。しかし、たとえば国立公園の第一種特別地域に遊歩道の建設が進む。これは言うならば自然に接する機会を一人でも多くしていこうという趣旨からすれば、正しいと思います。同時にまた、自然を自然のままで残してまいりたいという気持ちには相反する場合が出てきます。端的にいって、ある民有地があります。その民有地の中に——これは国有地にならずして、遊歩道計画が入る。遊歩道があれば当然一般の方々がそこを通る。緑のうちはよろしいけれども、秋になって葉が枯れ出す。ハイキングに来た方がうっかり投げ捨てたたばこによっていつ山火事になるかわからない。そうすると、そこで自然を愛しながらその土地を所有しあるいは居住しておる方々にとりましても、これは自然の破壊の脅威にさらされる機会がむしろ多くなってしまう。ところが、実際には国立公園の指定をし、自然を保護すべきだというかたわらで、遊歩道を通し、そこを一般に開放していこう、これは相反するものを一緒にやるのですから、なかなかむずかしいわけであります。そこで、一体これについて環境庁さんはどのようにお考えですか。実際にそういうところが現実にどんどんできていきます。そこに住んでおる方、持っておる方も、環境庁さんのお考えをはっきりしておかないと、協力するに非常に迷う場合がある。あるいはそこを観光の主要地にしてしまうかどうかということについても、たいへんな迷いが出てくる。そこで、この機会にひとつはっきりそのお考えの要点を、念のために聞いておきたいと思います。
○首尾木政府委員 自然公園法の運用におきまして自然の保護、それからそれをたとえばレクリエーションのために利用するということ。これを両立させていくことは非常にある場合にはむずかしい問題でありますが、また重要な問題であるというふうに考えております。自然公園の地域内を区分いたしまして、かなり利用を密にできるような地域、それからそうでない地域というものに区分をいたしまして、これを運営をしておるというのが実情でございます。仰せになりましたような第一種特別地域というようなものにつきましては、自然環境の保全ということに非常に力を入れておるところでございます。しかしながら、そういったような自然環境として人間が享受していくということのために、歩道を設けるというようなことも必要であるというふうに考えておりまして、それは適地にそういうような形の歩道を設けるということでございます。何が何でも歩道を全部つくってしまうというような考え方は持っておりませんので、こわれやすい自然のようなところにはそういうことは避けるということをしますし、またある意味ではそういったような自然歩道をつくるということが、利用者が乱雑に自然の中に分け入っていかないということのための一つの規制にもなるという規制の面も持っておるわけであります。そういったような意味で、自然歩道をつくりまして、その適正な利用ということを考えておるわけでございまして、今後もそういったような方針で十分やってまいりたいと考えます。繰り返して申し上げますけれども、かりにそういったような破壊のおそれがあるというようなものについては、避けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○中島(源)委員 いろいろ伺ってまいりましたが、たいへん幅広い問題でございますし、こういった自然環境の保全あるいは鳥類の保護というものにつきましては、環境庁さんはより積極的であってしかるべきだと思います。先ほどおっしゃったようにアドバイスするところはアドバイスする、それから各省に対しても自然環境の保全と住みよい人間社会環境、そういうものには積極的であってほしいと思います。ところがそういう中で鳥獣保護関係の予算というものを見ますと、四十七年度は多少ふえましたが、諸外国に比しましておそらくまだまだおくれておる実態じゃなかろうかと思います。わが国の場合は四十六年度の予算が千六百万円ということで、今度が一億二千万に大幅にふえた。この伸びは確かに大きいのでありますが、諸外国と比較いたしました場合、わが国は、たとえば予算規模の問題から見てもあるいは行政面での拡充の現状から見てどの辺に位置しておるか、日本の現状をちょっと伺っておきたい。
○首尾木政府委員 諸外国の場合、予算制度等が異なりますので、その点で十分これを分折して比較をいたすというところまで実は私ども資料を整えておりませんが、大観をいたしまして、日本における鳥獣保護関係の予算というものがきわめて少ないということについては御指摘のとおりだと考えております。国のベースでことしは従前に比べましてかなり大きな伸びを示しましたけれども、まだ二億に足りません。それから全国の都道府県でやっております鳥獣保護関係の予算もおおむね十二、三億程度と想定をされるわけでありまして、それらを合わせましても鳥獣保護関係の予算というものは十分でない、また機構的にもまだ十分でないというふうに考えておるわけでございます。これらは西欧諸国でありますとかアメリカ等と比べまして非常におくれておるというのが、全体の実情であろうというふうに考えております。
○中島(源)委員 最後に、この法律に関連してひとつ伺っておきたいのですが、日米間の条約、これはことしの三月四日に調印されたわけであります。現状では日米間の渡り鳥というのが百八十九種類、ところが、日ソ間ではたしか約二百五十種を数え、日中間では約二百種を数える。一応日米間には鳥を保護すべき条約ができまして、それを推し進めるための法案がいま審議されておるわけでありますが、さらに日中、日ソ、その他諸外国との協定の見通しはいかがでしょうか。 それと同時に、一緒に伺いますが、日米間の条約以外の二国間あるいは多国間の条約、協定ができた場合に、この法律はそのまま適用できますか。この点をあわせて伺っておきたいと思います。
○小澤(太)政府委員 御指摘のとおり、渡り鳥のコースはアメリカと日本だけでございません。ソ連、中国、また南方から渡ってくるものもございます。それぞれの国々と積極的にこのような条約を結んでいきたい。現在国交のある国はもとよりでございますが、国交のない国は政府間の交渉がむずかしいのでありますけれども、そういうところでは、民間ベースでさらにそういう機運に持っていく。お互いの事情を十分わかっていないところもありますから、そういうことで努力してまいりたい。 また、この法律は、そういう条約ができますれば、それに応じて指定する鳥もふえてまいりましょうし、この法律の改正によってこれに対応していける、こう考えております。
○中島(源)委員 私は、国内はもとより、国際的な協定、条約がさらにいち早く結ばれまして、鳥といたしましても、絶滅する鳥その他の鳥を国際間で守っていく、その中心に日本がなってまいり、また日本の国内の環境そのものを、さらに私どもあるいは環境庁さんの要するに勇気ある行政、御発言によってこれが進められることを心から望みまして、私の質問を終わります。
○田中委員長 中島君の質疑は終了いたしました。 次に、島本虎三君。
○島本委員 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案、もともとこれは渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約、こういうようなものに基づいて国内法としてこれが出されたように思います。いまアメリカとの間の両国間の条約に基づいたということを了承いたしました。他のソ連やその他の国の日本に渡り鳥が入ってくるこれらの国との条約をやらないで一国だけとやったというような、この発想はどこにありますか。
○小澤(太)政府委員 発想と問われますと、ちょっと答えにくいのですが、この種のものが国際会議で多数国間に同時に行なわれるということは望ましいことでございますけれども、現実にはそういう姿でございません。そのようなことができるところからやっていこう、こういうことでまず第一着手にアメリカと、アメリカは非常に熱意を持って、わが国も熱意を持ってやったわけでございます。これで一つの道が開けますし、逐次関係諸国との間をこのような関係で結んでいきたい、こう考えております。
○島本委員 その関係はもうすでにソ連との間にもできているのじゃありませんか。了承を得ているのじゃありませんか。それを出さないでアメリカのほうだけ先に出しておいたというこの根拠は……。
○小澤(太)政府委員 根拠は何もございません。アメリカとのこの議が出てから二回にわたって事前の協議研究をいたしております。非常に多種にわたる鳥類をどのように扱うか、きわめて技術的な問題もたくさんありまして、その結果、結論がようやく出たということでございますから、そういう端緒がつかまれてから、これからそういうコースを経て、そういう過程を経て現実になる、こういうことでございまして、別に特別の構想があり、特別の配慮があったというわけではございません。
○島本委員 少なくともいま国民に期待されておる環境庁ですから、そういうような端緒もなしに偶発的にこれをやったんだと思われるような答弁じゃまずい。やはり今後はソ連とも、あらゆる国とやるのだ。渡り鳥が来ていると思われるところのすべての国と結ぶんだ、とりあえずアメリカなんだ、こういうように了承して私は質問したいのですが、その他の国との関係はどういうようにできておりますか。できていないとすると、これからどういうふうにいたしますか。
○小澤(太)政府委員 ちょっと私の答弁を間違えておられると思います。端緒もなしに偶然行き当たりばったりにアメリカと条約を結んだというわけじゃございませんから、その点ははっきりしておきます。 それからほかの国とも端緒をつかみながら具体的に進めていくということは、先ほど御答弁申し上げたとおりであります。 それから先ほどの中島議員にも申し上げたとおり、逐次できる限り関係の国と結んでいきたいという意図を持っているということも、これも申し上げたとおりでございますから、どうぞ誤解のないようにお願いします。
○島本委員 誤解のないような答弁を願いたいのであります。 そうすると、いまこの根拠になる条約は、国会で批准の手続はどうなっておりますか。
○首尾木政府委員 この国会に承認の案件として提出をいたしております。
○島本委員 すると、これは私どもも、承認されるようになるのじゃないか、こう思いますけれども、この条約の中には、一条から九条までございまして、そしてこの中では、「この条約は、批准されなければならない。」こういうように第九条第一項にはっきり載っておりますから、その趣旨に基づいてやっておられるだろうということは了承できます。 それで、この中の、絶滅のおそれのある鳥ということで、条約の第四条に準拠してこの国内法としてこれを出されたようであります。そうすると、あとの共同研究の法制化の必要性がないのかどうか。こういうようないわば環境を守っていくための法律、こういうような点については今後どういうふうにするのか、これも明らかにしておいていただきたいと思います。
○首尾木政府委員 日米渡り鳥条約のおもな内容は、先生の仰せにありましたように、渡り鳥の捕獲規制が第一点でございます。それから絶滅のおそれのある鳥類の保護あるいは輸出入の規制という点がございます。それからさらにこれらの鳥類の生息環境を保全するということが第三点としてございます。そうしてそれらの基礎となるべきいろいろの調査研究でありますとかあるいは資料、情報の交換でありますとか、そういったようなことが第四点としてあるわけでございます。 そこで、お話しのように、この法律は、そのうちの絶滅のおそれのある鳥類の保護及び輸出入の規制ということに着目をいたしまして法律を立法いたしたわけでございますが、まず第一点の渡り鳥の捕獲の問題であります。これは現行の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律において措置し得るところと考えております。 第三点の環境保全ということでございますが、これはまだ実は現地のそういったような実態につきまして不明な点も多いわけでございまして、今年度予算で研究調査をするというようなことをやっていきたいというふうに考えております。 それから第四点の情報の交換でありますとか、そういったような問題につきましては、これもことしの予算の中で観測ステーションを設けますとか、バンディングの数をふやしますとか、そういうような措置をいたしておりまして、今後それらの点を強化をしてまいりたい、かように考えおるわけでございます。
○島本委員 いろいろございますが、そのうちで、私どもはちょっと気の毒な思いもするのでありますが、せっかく絶滅に瀕している鳥を保護する、こういうようなことで、一応はこういう法律が出されておるわけであります。これはよくわかるのです。ところが、PCBによる最近の被害、これを受けているのが鳥なんです。かつてDDTによって被害を受けて、人間がこの問題に対してまだ無関心であったころもう死んでしまったのも鳥なんです。そして、アメリカとの条約、こういうようなことで、はっきりいま日本も国内法を提案するようになりましたけれども、「沈黙の春」という、いわばケネディ大統領の当時、春が来ても鳥が鳴かない、鳴かない鳥ということで沈黙の春、こういうようなことで、DDTによって被害を受けて鳥が死んだ、こういうことで対策をして、現在それぞれ一生懸命やっているわけですが、結局は、これによって守られるのは鳥自身でなくて人間だということじゃありませんか。いまこう見ても、環境に対する一つの守っていく法律、こういうようなものはない。日本国じゅういわゆる環境をはっきり保全しないと、まさに沈黙の春ですよ。鳥が被害を受けて死んで、それを解剖して人間が自分を守る、こういうようなことのために、美辞麗句を並べてこういう法律を出す、こういうわけじゃ決してないと思いますが、やはりいつでも犠牲になっているのは鳥でありますから、その意味では、やはりわれわれも今後は十分反省しなければならない点を含んだ有意義な法律にもなるのじゃないか、これは少しそういうような感情を持っていま質問しているわけなんです。ですから、この環境に関する法律、環境を守っていくための対策、こういうようなものを今後日本としてはまっ先にやることが、鳥獣類の保護のためには一番手っとり早い、一番特効薬なんだ。これをやらないでいたら、これはもう画竜点睛を欠くおそれがあるのじゃないか、こういうように思っておりますけれども、この点等については、いま絶滅に瀕しているやつを助けようといったって、これをほっておいたら、どこへ行って生きるのですか。環境の整備をしないで、どこに鳥だけの安楽の地があるのですか。結局鳥が犠牲になって人間が守られるのです。こういうような環境といままでのいきさつであるということをわれわれは自己批判しなければならないのじゃないかと思うのです。この点はどうでしょうか。
○小澤(太)政府委員 全く同感でございます。
○島本委員 いや、全く同感はわかりました。環境を守っていくための施策はこの条約でちゃんときめられておりますが、それをやらないで、瀕死の状態にある鳥だけを守ってやって、はたしてそれが守ったことにつながるのかどうか。また、この共同の研究というようなものに対しての法制化、これが必要ないならば、そういうようなものに対して具体的な行政の実施があるはずであります。こういうようなことをやらないで、ただ助ける、助けるじゃ、これはやはり私どもとしては、名前は立法だけれども実質はないのじゃないか、逆に言って、鳥を犠牲にして人間が自分の生命をつなぎとめている実態じゃないか、この法律はまさにそういう意義があるのじゃないか、これを自己批判すべきだ、こういうように言っているのです。いまのPCBの問題でも、いろいろすでに一万PPMをこえるようなものが脂肪の中に検出されて死んでいる鳥を東京湾あるいは千葉県で発見しているのですよ。DDTによってもうすでに鳥も死んで、これでアメリカではようやくこの条約が発想される一つの根拠になったわけですよ。そういうような点から見ると、環境の浄化に関するこの点を法制化して、もっと積極的にやるのでなければ、これはまさに画竜点睛を欠く、こういうようなことなんです。そのとおりだと言うならば、環境浄化に関する法律共同研究に関する法制化、これはどうするのですか。この点についての具体的なお考えを伺っておきたい、こう思うわけであります。
○小澤(太)政府委員 全く同感でございまして、同感と申し上げたのは、このような約束をし、また国内法でそういう規制をいたしましても、これを実体化するところの施策が続いて行なわれなければならないという御指摘でございますから、その意味で同感でございます。 これに関連しまして、直接御質問につながるかどうかは存じませんが、自然環境保全に関する法律を出したいと思いまして、現在関係各省間の調整をいたしておる次第でございます。それともう一つは、鳥獣保護の法律の運用をさらに十分にいたしまして、一般的に野生鳥獣の保護を強化してまいりたい、そういうような考えに加えまして、ただいま御指摘の絶滅に瀕している鳥については、科学的にも、また環境と申しましても、広い意味の環境というよりもその地域の環境の整備というようなこともいろいろございましょう。これはもっと掘り下げて、何とかして絶滅を防ぎあるいは積極的に増殖をはかるという施策を伴っていくこと、これがわれわれのやるべき事柄でございますから、そういう意味において同感でございますし、その御趣旨に沿ってわれわれもこれからさらに力を入れてまいりたい、こう思っておるような次第でございます。
○島本委員 そうすると、絶滅の危機に瀕している鳥の輸出入の規制二十一種類、トキ、そういうようなのが十一羽程度、それからタンチョウヅルが数千羽か数万羽かいるのでしょう。こういうようなことはそれでわかりましたが、獣のほうもこれは入るのですか。「鳥類」ですが、獣のほうの野犬、野猫、こういうのは保護の対象になっているのですか。トラはどうですか。
○首尾木政府委員 今回の法律は、さしあたって日米間で結ばれました鳥類の保護ということの国際的な協力という意味で、これは特に鳥類、渡り鳥ということが中心になりまして条約が結ばれたわけでございまして、もちろん絶滅に瀕する鳥のほかに絶滅に瀕する獣類があることも事実でございますが、わが国の場合獣類というものはごく限られておりまして、絶滅のおそれある獣類といいますか、もはや絶滅したに近い状態の獣類としてカワウソというものが一種類ある程度でございまして、現在のところこの法律はそこにまで及んでいかないわけでございます。これは今後の検討問題というふうに考えております。 それから野犬、野猫でございますか、これは鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の中の対象になっております。 それからトラでございますけれども、これは、わが国には現在トラはおりませんので……。
○島本委員 そうすると、野犬それから野猫、これは保護の対象になっている、こういうことですね。そうだとすると、これはちょっといまいろいろございましたけれども、これはどういうようなことですか。次官のほうから、自然環境保全法の中にいろいろ新しい構想を盛り込んで考えている最中だ、こういうようなことのようでありますが、この自然環境保全法というものは、これはもう当初の原案とおり出せるのですか。
○小澤(太)政府委員 原案と申されましても、まだ政府の原案はいまから、つくりつつある途中でございますから、できれば政府の原案がまとまればそのとおり出したい、こう思っておるわけです。
○島本委員 この中にいろいろと鳥獣保護法なんかも全部入れて、そして自然公園法、これも含めて、そうして大きく、自然環境保護という意味においてこれは考えておるというような当時の発想があったわけでありますが、それより後退しておりますか、前進しておりますか。
○小澤(太)政府委員 いませっかく関係各省間でよりよき法律をつくろうとして努力しておるような状態でございまして、ここでちょっと申し上げかねる。お許しいただきたいと思います。 〔委員長退席、始関委員長代理着席〕
○島本委員 じゃ許しておきましょう。 この中でちょっと私特に聞いておきたいことがあります。鳥獣保護というために保護区がそれぞれきめられておるようであります。琵琶湖一帯は鳥獣保護区の指定を受けて、狩猟を全面禁止をしておる、こういうようなことになっております。今度奈良県では大和平野一帯一万ヘクタールを銃猟禁止区域ということに指定し、環境庁あたりでもこの点については合意してきめるようになると思うのです。この鳥獣保護区というのと銃猟禁止区域というようなのは、何か見ると、両方ともこれは区域に指定されておるようですが、銃猟禁止区域というのは銃でとらなければ何をとってもいいんだという場所に——これは環境庁はオーケー出したのですか。それから琵琶湖一帯は鳥獣保護区域ですから、とってはならない。同じ場所でも銃でとらなければ手でとってもいいんだとか網でとってもいいんだとか、こういうことならばいいが銃でとってはいかぬのだ、こういうような地域はたくさんあるんですか。同じ保護区でも保護のしかたによって違うように思いますが、この奈良県の関係と滋賀県の関係と、同じ保護区域ですが違うようですが、これを解明してもらいたいと思います。
○首尾木政府委員 御案内のように、銃猟禁止区域は、主としてその目的が人身事故でありますとか、そういったような銃による事故の防止といったような観点を中心にいたしまして、設定をいたしております。これは人口棚密地域でありますとか、そういうようなところに銃猟禁止区域を設けております。それからさらに鳥獣保護区でございますが、これは積極的にそこの鳥獣を保護するといったような意味で、その中にいろいろな給餌施設をつくりますとか、給餌のための巣箱を設けるとか、そういったようなことに関係いたしまして設定をいたしておるわけでございますから、鳥獣保護区といたしましては、そういう意味では進んだ区域であるというふうに考えていただければけっこうでございます。
○島本委員 念のためですが、銃猟禁止区域は銃でなければとってもいいんですか。
○首尾木政府委員 そのとおりでございます。 〔始関委員長代理退席、委員長着席〕
○島本委員 いろいろあるものですね。これはあなたのほうもそれを許可したようですが、そうだとすると、琵琶湖一帯鳥獣保護区の指定を受けて狩猟が全面禁止ですから、これは全面禁止ですからわかる。これはもう考え方によっては、先ほど言ったとおりです。政府のほうでは鉄砲によって鳥類を殺すことは禁止するけれども、汚染物資によって鳥獣を死傷することに対しては何ら手を加えない。これではしり抜けになるんじゃないか、こう思うのです。これは行政の一つの盲点になるんじゃないか、こう思いますが、この点等についてはどうなんでしょうか。同じその場所では地上に三万PPMをこえるようなPCBの蓄積された土壌が発見されておる。一メートル掘ってもなお一万PPM、こういうようなものが検出される。こういうようなのをそのままにしておいて今度はそれを直接受けるのはまず魚であり、同時に鳥類です。これは脂肪にたまりますから、直接濃縮もされます。魚の場合それを食べると当然人間のほうにも被害を受ける。鳥の場合にはそのまま死んでくれるからわれわれのほうでは他山の石として、今後もそれあたりに対して注意することもできるわけですが、同時にこういうようなことも考えてやるのでなければ、これはもう鳥に対してもすまないのではないか、こういうふうに思うのです。たとえば琵琶湖一帯に限っても、狩猟は禁止してもこういうような汚染物質による死傷に対しては野放しなんです。こういうようなことに対しては環境庁は指揮命令権とは申しませんが、調整権はないものですか。それともまたこういうような方面に対しては、自治省なり、建設省なり、厚生省なり、——公共下水道、これもなくて、たれ流しのように聞いております。同時に屎尿関係の処理も、ほとんど二万程度しかなくて、それもあの湖内へたれ流しのように伺っております。鳥はまだしも魚のほうにまで重大な影響を与えておるようでありますが、公共下水道、それから流域下水道、屎尿処理施設、こういうようなものに対しては、なぜあの辺だけは自然のままにしておいて、逆に鳥類に害悪を及ぼすのでしょう。同時にその周辺の工場はたくさんございます。たくさんございますが、どうしてもあの辺にはPCBをはじめとして、その他幾多の鳥類に害を及ぼすような、そういうような状態をそのままにしてございます。これに対して環境庁は黙っていなさるのですか。調整権ないのですか。これに対して農林省あたりでも黙っておっていいもんですか。それから建設省関係でも、こういうようなことに対しての行政指導はないもんですか。この点一括してひとつお知らせ願いたいと思います。
○小澤(太)政府委員 PCBの問題は、これもとよりいま御指摘の鳥獣にもちろん直接影響がありますが、さらに人間の健康被害に重大な問題がございますので、公害対策基本法による公害としての処理をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。これに対しましては、環境庁がその法律に基づいた権限に基づきまして、関係各省との調整のもとに基準をきめ、これに対する規制を行なう、こういう筋合いでございまして、鳥獣保護のたてまえというよりも、むしろ公害対策そのものずばりの問題でございますから、そういうふうに理解していただきたい。そのことが反射的にやはり鳥獣の保護にもなるということではございます。
○島本委員 小澤政務次官、私どもがいまいろいろ言っているのは、先ほど二回ほど言ったように、まっ先にまず環境を保全しておかないと、いかに法律をつくっても、まっ先に、人間より先に害を受けるのは鳥類である。ほんとうの意味の瀕死の状態にあるものを助けるといいながらも、もう逆に環境の汚染はそれ以外のものを殺しているんだ。したがって、環境の保全と環境を浄化することがあわせてこれを行なわなければならない一つの施策だ、こういうような考えに基づいて、いまそれから抜けておる問題について聞いているんです。それの基本的な発想は先ほどそのとおりだというからわかっているんでしょう。琵琶湖一帯が鳥獣保護区域の指定を受けて狩猟は全面禁止になっておりますが、環境の浄化は意外にもこの辺は手おくれになっておりますが、あの辺の公共下水道がないのはどういうわけか。流域下水道がないのはどういうわけか。屎尿処理機関がただの二万人を単位にしたものしかないのはどういうわけか。そしていままでPCBを、あれはコンデンサー会社がそのまま数百メートル下がったところにそのまま流しておいて、そしてそれをあえて指導もしなかった理由はどうか。環境浄化のために、鳥を今後犠牲にしないためにも、この対策を聞いているわけです。したがって、通産省、それから水産庁、建設省……。
○森口説明員 お答え申し上げます。 PCBの問題につきましては、その蓄積性について近時非常に大きな問題になっております。当省といたしましても、開放系のPCBにつきましては御存じのとおり昨年一ぱいをもって全部その使用を中止したところでございますが、三月には、回収のできないPCBにつきましては閉鎖系のものといえどもこれはを使用してはいけないというように方針を打ち出しまして、各電気機器メーカー等の団体について強力に指導をしておるところであります。したがいまして、PCBのこれ以上の汚染は避けられるというような見通しでございまして、これ以上PCBによって国土もよごさないというような考え方で強く問題を進めてまいりたいというように考えております。 なお御指摘を受けました琵琶湖周辺等のPCB汚染の問題につきましては、日本コンデンサーから流出いたしましたPCBが沈でん池等に多量に滞留いたしておるというような事実が指摘されております。滋賀県当局におきましても、琵琶湖周辺のPCBに関係のあります会社、コンデンサー工場二社、熱媒体使用工場四社等について厳重にその改善について指導をされておりますが、最大のPCB使用メーカーでございます日本コンデンサーは、PCBの使用を中止するというような意向を表明いたしておりますので、問題はよごされました環境をどういうふうにするかというような問題にかかっておりまして、日本コンデンサーのPCBが汚染しましたため池等につきましては、会社側のほうでは買い取りの上、できますればその池自体をコンクリートで被覆するとか、適当な方法でPCBが外に漏出をしないような形で処理をいたしたいというような考え方を述べております。 PCB問題につきましては通産省の基本方針は冒頭申し上げましたとおりでございますが、その汚染の実態が明らかになっていくにつれまして、われわれのほうでもますますその対策の強化の必要に迫られておりまして、当方の指導力の及ぶ限りPCBのこれ以上の汚染を拡げないというような考え方で仕事をしてまいりたいというように考えております。
○松下説明員 先生が御指摘されました点につきまして、水産庁といたしましても非常にこれは困った事態であるということを痛感している次第でございます。 水産庁といたしましても、現在関係の研究機関、それから関係の府県の水産試験場の協力を得まして、幾つかのモデル水域につきまして魚介藻類のPCBによります汚染の実態、それから汚染の経路の究明、それから魚介藻類におきますPCB物質の蓄積、濃縮、排せつ、そういった汚染機構の解明のための調査研究を現在実施中でございます。その結果を待ちまして関係各省庁とも協議いたしまして、できる限りすみやかにこの事態解決をはかりたいというように考えている次第でございます。
○久保説明員 琵琶湖地区に対する下水道のたれ流し問題あるいはあの地域に公共下水道が設備されておらないじゃないか、こういう問題かと思いますが、これにつきましては御指摘のように現・状では大津市のごく一部に公共下水道の設備が整えられているだけでございます。しかしながら琵琶湖全体の問題は、これは全域を対象にして、どういうような下水道整備計画を立てるべきか、こういう観点から、昭和四十四年度に全域の調査をいたしまして、全域を四つのブロックに分けて流域下水道を整備するのが適当である、こういう結論を得ましたので、昭和四十六年度から特に緊急に対処すべき南湖地域を対象にいたしまして、すでに流域下水道を開始いたしております。今度の下水道整備五カ年計画の中で、特に琵琶湖地区の下水道整備に重点を置いていく予定にしておるところでございます。それに伴いまして流域下水道に関連をする関連公共下水道を整備することによりまして、あの地域の水質保全をはかり、環境基準の達成に対応していく施策といたしたい、かように考えているところでございます。
○島本委員 それはよくわかっているのです。ただ、通産省もこの事態を重く見て今後指導を強化するというが、いままでは、事態がわかるまではこういうようにほっちゃらかしておいたということは、指導がこれでよかったからこのままなのか、それともこれ以上指導をしていたのにそれに従わないでこうなっていたのがわからなくてほっちゃらかしておいたのが、いまわかったからこれをやるのだ、これはわかったのですか、いままではわからなかったのですか。 と同時に、建設省では、これからの計画はわかりましたが、もうすでにああいう観光地帯、ことに世界で第三番目といわれる、また学術的にも貴重な湖、琵琶湖です。この琵琶湖に対して、これからやるんだじゃ、これはやはりどうもぐあいが悪いんじゃありませんか。これも施策がおそ過ぎるのじゃないか。これからやるのはわかった。いままでなぜやらなかったか。ほかのほうではほとんど終わって、また、もう実施中のものでしょう。あそこだけ大津で二万人単位の屎尿処理施設があるだけで、あとはない環境下では、ほとんどこれはたれ流しじゃないですか。こういうのを放置しておいたのでは環境が悪くなるのはあたりまえだ。これも行政の手おくれである。これではもう環境の整備に対して、この条約にあるそのままをまだ十分やっておらない、こういうようなことになるわけであります。この点はまことに私も残念だ、こう言わざるを得ないのであります。これに対しては答弁は要りません。どうせもう言ったってこれ以上出てこないでしょう。 ただ八月から十月にかけて東京湾、千葉、埼玉の野田、こういうような方面を調査した結果、埼玉の野田の鷺山でとらえたコサギから最高一万六千PPM、これだけのPCBが発見された。これはすでに使用しているものに対して手も足も出ないという状態だ、こういうような状態なんでありますけれども、結局は長期間にわたって鳥類が回収役をつとめることになるわけなんであります。まさにわれわれはこういうような犠牲者を手厚く葬らなければならない。ようやくそれによって人間が対策を講ずるのだ。先に犠牲を受けてくれるのが鳥類なんだから、いますでに東京でもこういうような状態です。そしてコサギの胸の筋肉の脂肪の中から最高一万六千PPMのPCBが発見された。サギの集団繁殖地として有名な埼玉県浦和市の野田の鷺山でこういうような状態です。動けないサギが昨年六月に救われたと思ったら死んじゃった、こういうようなのさえあるわけです。絶滅に瀕している鳥類、渡り鳥であろうとなかろうと、国内の環境の整備をやらない限りにおいては、ほとんどそれはままごと遊びみたいになってしまうのです。現実のほうがよほどきびしいのであります。江戸川河口の千葉県側にあった死体のコサギから二一〇から七二〇PPM検出されております。東京湾上のウミネコ、こういうようなところからは、脂肪から八八〇PPM、これだけ検出されている。日本の汚染は世界最悪だ、こうさえいわれておるわけでありますから、まずこの辺を徹底的に直すことも、絶滅に瀕している鳥類を救うということと合わせて一番大事なんです。これは環境庁も、いま出した法律は悪い法律じゃありませんから、いいのですから、むしろそれに錦上花を添えて、画竜点睛を欠くことのないように、環境の整備について、これも条約の中にありますから、これをまずまっ先にやるべきことを、私は心から提言しておきたい、こういうふうに思うわけであります。この辺で次官の決意をひとつ伺いたい。
○小澤(太)政府委員 全く同感であります。野鳥が人間の健康被害をいち早く教えるという意味で、いたましい犠牲を受けている。この姿はわれわれとしてもほんとうに考えなければならぬことだと思います。よけいなことだと思いますけれども、スウェーデンにおいて環境保全を非常に真剣に取り上げました最初は、あの湖で水鳥が水銀によって死んでおったという事実を発見して、これは重大な問題だということから発足したように聞いております。そのように人間の健康被害に対して、まずもってみずから犠牲になっておるというこの野鳥に対しまして、われわれは十分に環境の整備等を考えなければなりませんが、先ほど申しましたように、これは結局は公害対策の基本の問題でございます。私どもは現在の法律を十分に活用することによって、環境庁としての職責を全うしてまいりたい、このような決意を持っておるわけでございます。
○島本委員 PCBのひどさ、これはもう人体実験の前に鳥が受けた、こういうようなこともよくわれわれとしては今後の対策として、努力に感謝しながらも、今後こんなことのないように十分対策を講じなければならないのですけれども、あまりにもひどい。自然界で濃縮されて人間の体内に侵入するこの連鎖を断ち切らなければならないためにも、鳥と人間を守るためにも、PCBの規制の徹底をはからなければならない。それと同時に、日本での人間の許容基準、こういうようなものもはっきり設定すべきだと思うのです。この点について厚生省ではっきり基準ができておりますか。
○神林説明員 お答え申し上げます。 厚生省といたしましては、四十六年度に科学技術庁の特別研究促進調整費をいただきまして、まず分析そのもの、これはものさしの問題でございますが、ものさしがいろいろございましたものですから、その分析研究班というものをつくりまして、一応標準分析法というものを作成しました。さらに、先生が先ほどから申されております乳肉食品であるとか、あるいは魚介類、そういうものの実態の調査をいまやっておる最中でございまして、特に魚介類につきましては、ただいま水産庁の担当になっておるわけでございます。それからさらに、いま問題になっておるのは急性毒性よりもやはり慢性毒性の問題でございますから、毒性研究班を組織しまして、慢性毒性の研究をいま続行中でございます。さらに今後、先生御指摘になりましたが、日本はまだ食品に対する基準というようなものは設定されておりませんけれども、これはいろいろこうした実態調査の結果、あるいは毒性研究の結果というようなものと相まちまして、食品衛生調査会等の専門家の御意見を聞いて、私たちも至急つくっていきたいというふうに考えております。
○島本委員 新聞に発表されていたあの基準は、ではでたらめですか。もうすでに厚生省ではその基準をつくったということで新聞に発表しておるではありませんか。
○神林説明員 新聞記事につきまして私たち読んだのは、基準をつくったではなくて、これから急遽作成するというふうに了解しております。
○島本委員 PPMまで書いてありましたが、それは一つの予想ですか。あなたでわからなければわかった人に答弁してもらいますが。これはきのうの新聞です。ほかの人でわかっている人はいませんか。
○神林説明員 私、きのうの新聞ちょっと見てございませんから、それにつきましてちょっといま先生にお答え申し上げられませんが、アメリカのFDAで三月十八日に牛乳、乳製品あるいは鳥肉、卵、そういうようなものにつきまして、一応基準の設定をやっているということは、私たちも存じております。
○島本委員 では、この委員会はまだやりますから、あなたすぐ局長のほうに行って、暫定的にもその基準ができているのかいないのか、いたならばその数値をここに出していただきたい。それまであなたはいいですから、ちょっと行って省としてはかってきてもらいたい、こういうふうに思います。
○神林説明員 そういう数字は一切ございません。
○島本委員 確かに私見たのですから、ないかどうか、局長にはかってきて、ないというなら了解します。もしあったらあなた立場上困るから、行って相談してきてくれというのです。私見たのですから、あるかないか局長と相談していらっしゃいというのです。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めてください。
○島本委員 同時に、使用済みの核燃料の再処理工場の建設について、科学技術庁がすでにOKを出しておったという問題で、これも少しからんでくるようであります。東海村のあの辺は、魚介類への影響について、本格的な海洋調査が行なわれていないこと、それとクリプトン八五の大気汚染について、健康に影響なしとの保障はないということ、こうなればまたその辺の鳥類にも重大な影響が来るということになります。また鳥類を犠牲にして人間が対策を講ずるということにもなるのであります。絶滅に瀕した鳥類を救うというような、こういう法律のたてまえ上、やはりこの点等も重要じゃないかと思うのですが、この排出物について、長官は海中へ投げるということを初めとして検討中だ、科学技術庁長官もそう言っております。そうなりますと、これは海の問題も当然出てくる。また陸のほうにおいてこれを処理ということになると、当然人間とともに鳥類に影響があるのかないのか、この辺の検討も当然重要になってくるわけでありますが、この辺についてはどういうふうになっておりましょうか、科学技術庁並びに水産庁。
○成田政府委員 東海村地区におきます再処理工場は去年から建設に着手しておりますが、あの周辺の海洋調査は、これはまだ稼働前でございますが、十分に調査をやって、そして稼働後の影響も十分調査するたてまえになっております。 それからクリプトン八五につきましては、いろいろ安全審査会で検討をやって、世界の基準の十数分の一を下回るという実証的な検討を行なった上で許可になっております。 それから原子力発電所からの廃棄物の処理、処分につきましては、先生は海洋投棄するのだという長官の御答弁があったと言われておりますが、海洋投棄するか、陸上で埋没するか、いろいろな方法がありますが、これについてはまだ確定的なきまったことはないのであります。現在は発電所の構内で貯蔵して、放射能が出ないように非常にかたい密封処理方法等をとって問題のないように貯蔵しておりまして、海洋投棄するかどうかは、今後十分学問的な研究開発をやった上で処理するということになっております。アメリカ、ヨーロッパ諸国も、発電所から出ますところの低レベルの廃棄物をどうするかというのは、世界的にまだ確定しておらないのでありまして、国際会議等においても世界各国の専門家が集まってこれから慎重に検討するということになっておりまして、現在のところは発電所の構内で問題のないように貯蔵するというかっこうをとっております。
○松下説明員 水産庁といたしましても、東海村沖合い周辺におきますいわゆる天然海水中のバックグラウンド調査を含めまして現在調査を続行中でございます。その結果については現在まだ公表できる段階になっておりません。
○島本委員 この原子力問題についてここで徹底的にやるのではないのです。これはいずれ日を改めて、いまの局長の答弁、また前からのいきさつをもって堂々とこの問題に対してはやりますから。ただ、いま言っているのは、わからないために、現状においては人間とともに鳥類に影響を与えるようなことがないかあるかということを聞いておるのです。その調査の結果に対しては、まだクリプトン八五の大気汚染については健康被害なしとの保障はないのだ、こういうようなことになっていますから、これはまた鳥類にも影響があるのじゃないか、魚にも当然いくのじゃないか、この点に限って聞いているわけですから、そのほかのことについては日を改めてやりますから。皆さんがおそらくもう業界と一緒になってこれはとんでもないような危険なことをしておるというようなこともあえて言わなければならないようなことになるかもしれないが、きょうはこれでやめておきます。これでやめたというのは了解したという意味じゃありませんよ。鳥類保護のために万全を尽くせということですから、そのためにきょうはこれで打ち切っておきます。 それと同時に、通産省の方もおりますけれども、琵琶湖の周辺ということで、私どもも十分注意してまいりましたが、あの周辺は開発し尽くされておって、これからあらためて開発することによってとんでもないことにもなるおそれもあるような要素もございまするけれども、逆に知らない面で、カドミウムと銅と鉛、亜鉛、これが琵琶湖のいわば北湖、この方面の湖底にたくさん存在しているのがわかり、調査したところが、旧土倉鉱山の銅亜鉛、カドミウムがいまだにたれ流しになっておるのだということをいわれておりますが、この休廃止鉱山については通産省で知っておったのですか、知っておらなかったのですか。
○森口説明員 お答えいたします。 私、直接の担任ではないので、ちょっといま手元にデータも持っておりませんし、明確なお答えはできない状況でございます。後日取り調べて先生に御報告申し上げたいと思います。
○島本委員 これはもう重大なことであって、あの湖はきれいだということになっておるはずですが、きれいなはずの底質の中に、意外に銅、亜鉛、カドミウム、こういうようなものが発見されて、これはもう廃鉱の処置が十分でなかったというようなことをいまいわれているのです。これもまた、あとから重金属であるところのコバルトや銅、鉛、亜鉛、カドミウム、クロム、ニッケル、アンチモンその他のこういうようなものもあるようであります。そのままにしておいたらまたとんでもないことになりますから、われわれはついでにこういうような問題も——せっかくあの場所は禁猟地域に指定されて鳥類を保護する場所になっている、その辺がこのようによごれている、そうしてその辺にすんでいる魚を食べる、その魚そのものも汚染されているのを人間が知らない、こういうようなことであっては困りますので、この土倉鉱山のたれ流しの問題については十分調査して、あとからこれを報告してもらいたい、このことを強く要請しておきますが、この点はよろしゅうございますか。
○森口説明員 調査して御報告申し上げたいと思います。
○島本委員 ついでに、これはいまいろいろ考えられている琵琶湖のその辺の対策でありまするけれども、水位が下がるような計画もあるように聞いております。もし、あの水位を下げることによってヨシやアシや微生物、こういうような浄化の役割りを果たすものが生息できなくなる、そうなると、結局はもう琵琶湖そのものもまた汚染の湖になってしまうおそれがあるわけでありますけれども、環境庁の水質保全局長としては、もしいまの開発計画を進めれば、一・五メートル水位を下げるとほとんど三千年後のこういうような状態が現出される、こういうような事態から、学者その他の人は憂慮しておりますが、この環境保全のためにも、せっかくあの辺が指定されておりますが、あわせてこの対策等について十分知っておられるか、知っておられるならば、どのようにして調整権を発動なすっておられるか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
○岡安政府委員 琵琶湖開発につきましては、現在いろいろ法律も御審議願うことになっておりますし、それに基づきまして計画を立案中でございます。考え方によりますと、大体琵琶湖から毎秒四十トン程度の利水をいたしたいということで計画がなされておりますが、その計画によりまして、これは試算でございますけれども、そういうような利水目的のために琵琶湖を利用いたしましても、従来からの周辺の流入状況その他を勘案いたしますと、過去の状況にこれを当てはめた場合、過去四十七年間に新しい利水の状態を想定しまして換算をいたしますと、琵琶湖の水位が一メートル以下に低下するというのは、おそらく四十七年間に九回ぐらいの割合で発生するのではあるまいかということが想定をされております。その場合にはなぎさ線はほとんど移動はないであろうというふうに考えられております。異常な、一・五メートル以下に低下するということも想定をされておりますが、これは三回ぐらいあるかもしれない。その場合、なぎさ線の移動は、平均いたしまして大体二十メートルから三十メートルぐらいというふうにこれも考えられております。私どもはそういうようなことによりまして、琵琶湖の汚染が進行するということは極力避けなければならないわけでございまして、ごく最近琵琶湖の環境基準を設定いたしまして、北湖につきましては湖沼としては最大のAAクラスということに指定をいたしましたし、南湖につきましても将来AAに持っていく、暫定的にはAクラスということで指定をいたしております。私どもは、琵琶湖の開発によりましてもこの環境基準が守れるように、そういうことを関係各省にもすでに申しておりますし、今後とも環境を十分にいたしまして、そういうような環境を維持されるような形におきまして水の利用その他が行なわれるようにということを私どもは注意してまいりたい、かように考えております。
○田中委員長 島本君、ちょっと待ってください。神林厚生省乳肉衛生課長から先ほどの件について発言を求められておりますので、これを許します。
○神林説明員 局長と連絡をとりましたのですが、そういう事実はございませんということでありました。
○島本委員 まことに残念であります。これほどまで被害が及んでいるのに、その許容量はどれほどが認められるのか、そういうようなことも全然わからない厚生省なんというのはあきれ返ってものも言えない。すぐにでももう全知識を導入して、こういうようなものを予備的でもいい、前もってでもいい、それにぴったりしなくてもいい、この辺まで危険だ、こういうようなものくらいはやはり樹立しなければならないはずだと思うのです。それもないようでありますが、私があると思っていたのは厚生省に対する過信でありました。これはまことに申しわけない。まことに申しわけないというよりがっかりしたのです。こうまで被害が出ているのに、まだ許容度もわからない、許容限度もない、こんなことで国民の健康の指導ができますか。局長を連れていらっしゃい、終わるまでの間にもう一回……。そこだけしかってもしようがありませんから、それは残念だと言っておきます。 いまこれは岡安水質保全局長、あなたもせっかくあれをAAに指定したのですから、それが汚染されることのないようにもっともっと調べないといけませんよ。この点は環境庁も少し不勉強のそしりを免れない。一・五メートル下げても何でもない、心配はないのだ、こういうように言うのは、私は環境庁から聞くと思わなかった、通産省か建設省から聞くと思ったのです。だけれども、あなたがそういうふうな考えだとするならばこれはとんでもないことになりますから、もっともっとこの点は考えて善処されるようにしなければなりません。ただあなたは何と言っても、あれは専門的に言うと冬と夏、この密度によって、冬の場合にはあの南湖というのですか細長い小さいほうです、あの辺は汚染のきわみですから、限度までいっていますから、それはもう北湖、北のほうのきれいな水のほうにいかないのだとあなたは考えておられるようです。しかしあれはもう密度流、こういうようなことばを使っておりますけれども、冬の場合は南湖の温度が下がるので湖底を伝わって北湖へ流れていくのです。冬はこのようにいつでも交流しているそうじゃありませんか。それと同時に内部静振というのですか、夏それがまた反対に交流するそうじゃありませんか。これは年じゅう表面の風その他によって移動もある。したがってもう流域下水道をすぐにでもつけてもらわなければ、この汚染の防止にはならないということもはっきり言われておるのです。ですけれどもまだないのです。言われていてもないのです。AA、AAA、これも何にもないのです。まして一・五メートル下げたならば三千年間の急ピッチをもって汚染するのです。環境庁がそういうふうな考えだったら、もう一回急いでこの点はすぐ検討すべきことを私は要請したいと思います。もう少しあの辺では急にやって、シジミさえも変化と起こしております。いま世界でも有名なシジミですね。これさえもほとんどとれなくなってきている。これはとり過ぎもあるけれども、これはもうやはり水質汚濁のせいもある、こういうようなことであります。そのほかにまた通産省のほうがさっき言うとおりに、廃鉱を含めて、いままで工業排水が無限にこれまた流れ込んでいる。AAAなんといったってこれは保たれません。生物学的に見ても、この点なんかいまや瀕死の状態なんです。環境庁の水質局長、この水草まで枯れてしまった場合にはどうにもできなくなるし、その中に住む魚の質までもうすでに変わってきている。もういまあらわれている。それなのに、もっと水位を下げてもいいんだという考えは、もっともっと学術的にも実際的にもよく検討しておいてほしい。これは重大です。しかしいまあなたが言ったことは、ほとんどしろうとの考えだ。それが環境庁の局長の言としたら、品位を欠く思いです。もう一回答弁を承ります。
○岡安政府委員 私申し上げましたのは、もう一回申し上げますけれども、一メートル程度の水位の低下ではなぎさ線に影響がないということを申し上げたわけでございまして、一・五メートル程度まで下がりますと、なぎさ線が二、三メートル移動するということは申し上げたわけでございます。そういたしますと、先生おっしゃるとおり、やはり湖水に影響はあるだろうというふうに考えております。私どもは、先ほど対策を申し上げませんでしたけれども、このような利水をする場合には、当然やはりAAなりAという水質を維持するために、汚水の排水につきましてはさらにきびしい規則をすると同時に、たびたび御指摘ございましたとおり、下水道の整備その他の措置は当然とらなければならないというふうに実は考えております。 さらに琵琶湖につきましては、そういう濁りのほかに富栄養化という問題がございます。もちろん北湖につきましては、まだ富栄養化の段階とは必ずしも言えない段階でございますけれども、南湖につきましてはもはや富栄養化の入り口に到達したというふうにいわざるを得ないような状態でございますので、私どもは今年度予算をお願いいたしまして、富栄養化につきましての実態の調査、さらに対策につきましても緊急に手を打つということを講じているわけでございます。私どもやはりこの美しい琵琶湖の水をこのまま守るということで、あらゆる手を講ずることは当然考えていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○島本委員 そのとおりであります。富栄養化の問題なんかも、いまもう刻々として一時間ごとに変わっている状態である。こういうのは急速度で進む。これは環境庁の指定したAAAに属する場所だということにおいては、これはもうすでに侵されつつあるのだから、すぐ全面的にこれに対する対策を講じなければならない。それにしてみても、どうしてもあの辺に治山治水の原則を踏みにじったいろいろな状態がそのまま認められているようなんですけれども、治山治水ということはまっ先に考えてやらぬといけないはずのものじゃありませんか。自然の環境そのものを破壊してしまっては何をやってもだめなのでありまして、いままでいろいろ申しましたけれども、湖岸及び湖底を含めた清掃、整地の事業、またこういうものに対しては国が全然見ておらないという。環境庁、これはAAAに指定してもAAにしても、湖岸だとか湖底だとかこういうようなものまで十分指導し、知っておらなければならないはずなんですが、湖底について十分指導しておりますか。知っておりますか。
○岡安政府委員 実は底質の問題につきましては、湖のみならず、河川それから海域等につきましてもまだよくわからない点がたくさんあるわけでございまして、私ども先般一斉点検をいたしまして、おもな汚染地域の状況を把握いたしましたけれども、これらの汚染がさらに拡大するメカニズム等につきましては、必ずしも明らかでない点がたくさんあるわけでございます。これもおくればせながら四十七年度におきまして、湖底の汚染のメカニズムの調査を進めまして、要すれば対策を講ずるような基準をつくりたいというふうに考えておる次第であります。
○島本委員 これでやめますけれども、この保護法、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案このものはいいのです。しかしいま言ったように、ほんとうに守るためには瀕死の状態にある鳥に対する具体的な直接的な保護と、その環境の保全と、この二つが一つにならないと実効があげられません。いまの場合は環境のほうはめちゃくちゃである、死にそうなものを持ってきても、発見しても、おそらくは死ぬまでの期間を長くしてやったにすぎないような状態である。こういうようなことをすれば法律をつくっても画竜点睛を欠くおそれがありますので、こういうようなことのないように、これが錦上花を添えるようなりっぱな法律であるような行政を今後は進めてもらいたい。いまのような状態で法令をつくっただけではひとりよがりになるおそれもありますから、この点だけは強く申し上げておきたい。 そして最後に、これに対して今後まだ不足したものもあります、やってないものもありますね、行政措置だとか共同研究だとかその他のもの、こういう抜けているものに対しも緊急に措置をしてもらいたい、このことを強く要請して私はやめたいと思います。あえて決意の表明はないでしょうな——じゃ、これでやめます。
○田中委員長 それでは午後一時四十五分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時五十五分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 次官にお伺いしたいのですけれども、日米間で条約の締結が行なわれて、それが近く批准をされる状態である。そういうことはよくわかるのですけれども、だからといって、日本政府が直ちにこの国会で、この特殊鳥類の譲渡等の規制を行なう法律を提案をしなければならないという緊急な問題点があったのか、または条約でそういう拘束を受けておるのか、その辺御説明願いたいと思います。
○小澤(太)政府委員 日米間の渡り鳥条約は、御承知のとおり、たびたび両国の間で準備会議を開きまして、ようやくここに運んだわけでございますが、それが出まするときには、国内にこれに応じた法的な体制を整えておくということが当然のことでございますので、緊急やむを得ずという意味ではございません。当然の措置として提案する次第でございます。
○阿部(未)委員 緊急やむを得ないのではなくて、条約を結んだから、当然こういう法律を出さなければならぬのだというおことばのようですが、私もう一つお伺いしたいのは、この法律をつくらなければアメリカとの条約の中で抵触をするような部分が生まれてくるのかどうか、その辺でございますが伺っておきたい。
○首尾木政府委員 今度の条約の関係で、多くの点につきましては、現行法で十分対処できるわけでございますが、絶滅に瀕する鳥につきましては、これは現在のわが国の鳥獣保護法は外国鳥一類を対象にいたしておりません。それからさらに、いわゆるその二世、三世といったようなものにつきましても対象にいたしておりませんので、そういう意味におきまして、それを含めまして、今度の条約で輸出入の規制ということが義務づけられておりますので、今回の法律をつくる必要があったわけでございます。
○阿部(未)委員 先ほど島本委員からも意見が出されておったんですけれども、この中で明らかな拘束ではないまでも、少なくとも条約第六条にいうところの鳥類の環境保全の措置というものは、これはやはり精神からするならば、当然きわめて重要な部分をなすものだと思うのですけれども、提案をされた法案の中には、この鳥類の環境の保全については全然触れられていない。あるいはまた先ほどちょっとお話しが出ましたけれども、鳥類だけに限られて、たとえばけだものの類のカワウソなどについても全然これが入っていない。それからまた、今日条約のない第三国との間の関係についても、将来を見通して、もう少し慎重な、すべてを網羅した法律にしたほうが好ましかったのではなかったか、そういう気もするので、あえて拙速とは申しませんけれども、そういう配慮が必要でなかったかという気がしますが、その辺のお考えはどうでしょうか。
○小澤(太)政府委員 島本議員にお答えいたしましたように、今回の法律は、日米渡り鳥条約に対応する法律として制定したわけでございます。たがいまして、それに必要な限度のものを今回法定いたしたわけでございまして、今後条約を結ぶ国がふえてまいりますれば、それに対応した措置をこの法の改正で行なっていくという考えにいたしております。 それから、渡り鳥条約に対応する法律でございますが、動植物を含めまして世界で保護しなければならぬ問題は別にございます。これは別途国連の場においていろいろいま検討されて進められておるような状況でございます。
○阿部(未)委員 どうもこの法律は屋上屋を架する、たとえばいまのこの法律にしましても、従来の関係の法律で大体事足りるのではないかという気もしますが、鳥獣保護及び狩猟に関する法律等もあるわけですし、さらにいまお伺いした法律の中で次官の答弁しておるのは、鳥獣類環境保全関係ですね。これは少なくとも条約に対応する法律として取り上げなければならぬ問題だったと思うし、くどいようですけれども、この条約に対応することだという限りにおいても、この環境の保全は当然取り上げられるべき問題だと思うのです。いかがですか。
○小澤(太)政府委員 環境保全の問題はこの法律に取り上げるまでもなく、現在鳥獣保護法等の既存の法律がございまして、それでもって規制する体制はできているわけでございます。要は、それに基づいて絶滅に瀕しつつある鳥獣を具体的にいかなる方途をもって保護するか、こういう問題になるわけでございます。したがいまして、この際、環境保全について特に法定をするということの必要性はないという判断に立っているわけであります。 なお、現在の鳥獣保護法で事足りるんじゃないかというお考えに対しましては、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、外国の鳥また動物園のおりの中におる二世、三世の動物のこともあるということでございますので、そういう点は鳥獣保護法では事足りないというので、条約に対応する法律としてこの法律を制定したということでございます。
○阿部(未)委員 それで、この日米条約の関係ですけれども、まずこの第二条で渡り鳥についての定義をうたってあるようでございます。第三条で渡り鳥の捕獲、その卵の採取あるいはその他の規制を行なってあるようでございます。それから第四条で絶滅するおそれのある鳥類ということになって、二、三条とは別に絶滅するおそれある鳥類が分かれておる。そして五条では共同研究というものがうたわれて、第六条で環境の保護、こういうことになっておるようでございます。それで少し不勉強ですが、知らしてもらいたいのは、第三条の一項では「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」こうなっております。ところが同じ第三条の二項では、狩猟期間を各国は設けることができるんだということになっております。この間の考え方が矛盾するんじゃないかという気がするのですけれども、どういう解釈になるのでしょうか。
○首尾木政府委員 これは条文のとおりでございまして、渡り鳥につきましても、狩猟ということは前提として認めておるわけでございまして、狩猟期間を設けまして、その狩猟期間の間は当然のこととして狩猟ができるというたてまえをとっているわけでございます。
○阿部(未)委員 第一項の中で「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」という原則がうたわれておるような気がするのです。それに対して、二項では狩猟期間を設けて、その間はとってよろしいということになるのでしょう。そうすると、第一項の禁止されるという原則に対して、狩猟期間を設けてとってもいいということになると、どうもこの趣旨に反するような、少し矛盾する内容のような気がするのですが、どうでしょう。
○首尾木政府委員 狩猟期間というのは狩猟を規制するために設けておるものでございまして、結局その意味は、今日の鳥獣保護のやり方と申しますのは、一切狩猟ができないということではなくて、狩猟も一方に認めますが、狩猟期間の制限あるいは方法の制限でありますとか種類の制限でありますとか、そういうことを一方にやりながら、また狩猟鳥獣というものも定めながら、そういうことによって鳥の狩猟を規制するという形がすなわち一面において鳥類の保護である、こういうようなたてまえをとっておるわけでございます。第一項で禁止されると申しますものは、正当な形ではなく、認められていないという形で捕獲することを禁止する、こういう意味でございます。
○阿部(未)委員 そうすると、第一項の渡り鳥の捕獲という項と第二項の狩猟期間というのは、これはいわゆる渡り鳥は含まないというふうに考えるのですか。いわゆる非狩猟のものは第二項の場合には当然のことだからそれを抜いて、狩猟のできるものについてはこうこうだ、こういう意味ですか。第一項では「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」こうなっていますね。ところが二項のほうでは、その狩猟期間を設けてもいいということになっている。ただ巣をつくるときなどはなるべく避けてくれ、こうなっております。したがって二項のほうでは非狩猟は含まない、その他の鳥類についてはということですか。
○首尾木政府委員 第二項のほうにも渡り鳥は当然入っておるわけでございます。
○阿部(未)委員 どうも私はわかりにくいのですが、「渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。」こうなっておるのでしょう。特に狩猟期間はよろしいとなっていないのでしょう。「禁止されるものとする。」とこうきまっておるのに、第二項では、狩猟期間を設けるときには巣をつくる期間を避けよとか、こう書いてあるようですから、そうすると禁止をしたことにならぬじゃないかという疑惑を持ったわけです。
○首尾木政府委員 失礼しました。私の説明が十分でございませんで、第一項に(a)、(b)、(c)、(d)、(e)という各号がございますが、その(c)号に「2の規定に従って設定される狩猟期間中」というのがございます。この「狩猟期間中」は、第一項の後段に「次の場合における捕獲及び採取については、各締約国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外を認めることができる。」こういうことになっておりまして、したがいまして狩猟期間中は第一項においても狩猟ができる。後段の規定によりましてそういうことになっておるわけで、それに対応しまして第二項で、それぞれの国において渡り鳥の狩猟期間というものをきめるということを規定いたしておるわけでございます。
○阿部(未)委員 それは国際条約ですから、日本語をそのまま持ってきてやかましくいってもむずかしいと思うのですけれども、明らかに一項と二項は別々に起きておるのですね。そして一項で渡り鳥の狩猟を禁止して、二項では狩猟期間を設けていい、こうなっておるわけですね。もし常識的な日本語でいうならば、一項後段の場合の狩猟期間についてはこうこうだ、こうならなきゃおかしいのじゃないでしょうか。
○首尾木政府委員 これは二項を引用いたしまして一項で、「2の規定に従って設定される狩猟期間中」こういうふうに引っぱっておりますから、逆に二項のほうできめた狩猟期間については、一項後段によりまして「各締約国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外を認めることが下さる。」こういうふうに読むことになるわけでございます。
○阿部(未)委員 どうもわかりにくいのですがね。二項のどこを引っぱってもわからないのですが、要するに「渡り鳥の狩猟期間は、各締約国がそれぞれ決定することができる。」各国でもって狩猟することができる期間をきめてもよろしい、こうなるわけでしょう、二項をそのまま読めば。そしてその期間については云々、こうなっておる。第一項は、捕獲しちゃいけない、その卵も採取しちゃいけない。一切禁止する。ただし次の場合においてはとってもいいということが一項にあるわけでしょう。したがって一項は一項で独立しておる。二項は二項で独立しておる。この二つの間の関連はないような気がするわけですよ。もし関連を設けるとするならば、私が申し上げたように、一項後段の場合の狩猟についてはこうこうだというならわかりますが、しかしそういうことがどこにもないでしょう、これは。
○首尾木政府委員 あるいは法規定としてそういうふうにしたほうがいいのかもしれませんが、一応私どもは、一項の(a)、(b)、(c)の(c)号に「2の規定に従って設定される狩猟期間中」こういうふうに書いてございますから、したがって二項を引っぱりまして、一種の法律技術としてこういうふうなかっこうにしたということでございます。
○田中委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○田中委員長 それでは速記を起こしてください。
○阿部(未)委員 その次にお伺いしたいのは、提案理由の説明か何かの中に、野生鳥類ということばがあるのですが、この適用を受けるのは野生鳥類だけになるわけでございますか。
○首尾木政府委員 原則として野生鳥類でございますが、本法の場合には、先ほども申し上げましたように、二世、三世といったようなものも入っておりまして、これは人が現に飼養をいたしておるという形でございますけれども、こういうものも入っておるわけでございます。
○阿部(未)委員 それはあとでもう少し触れます。 次にお伺いしたいのですが、わが国の、この提案された法律によりますと、これは明らかに絶滅のおそれのあるものを特殊鳥類として規定をして、そしてそれぞれその趣旨に従って規制措置を設けてあるようでございますけれども、条約によると、渡り鳥というものと絶滅のおそれある鳥類というのは明らかに二つに分けておるようでございます。それをわが国の法律で特殊鳥類ということばで一本にまとめて、しかもその趣旨は、あくまでも絶滅のおそれある鳥類というように限定してあるようですが、渡り鳥との関係はどういうことになりますか。
○首尾木政府委員 渡り鳥の中にも絶滅のおそれのある鳥類が含まれておりまして、それは二種類ございます。
○阿部(未)委員 たぶん渡り鳥の中にも入っておるだろうとは思いますけれども、そこのところがはっきり私はわからないのですけれども、条約では明らかに二つに分けて、二条、三条では渡り鳥の規定がある。そして四条で絶滅に瀕する鳥類が出ておるわけです。それを日本の法律では、絶滅のおそれある鳥類だけに限って、しかもこれを特殊鳥類というふうに規定をして提案をされておるわけです。したがって、いまおっしゃった二種類ですか、二種類以外の渡り鳥についてはこの適用は受けない、こういう理屈になりますか。
○首尾木政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 次にこの第二一条、こっちの法律のほうの関係ですけれども、第三条で譲渡の規制が行なわれて、第四条では輸出入の規制、こういうふうになっておるようでございますけれども、条約のほうでは、さっき申し上げたように、第三条で捕獲、卵の採取も禁止されております。それからこっちの特殊鳥類のほうの法律になりますと、譲渡の禁止があって採取や捕獲の禁止がないのです。これはもちろん鳥獣何とか狩猟の関係でいいんだと思うのですけれども、そうなってくると、こっちのほうにも、もともととられないものを譲渡したりすることはできぬことになりますから、もともととっては悪いものだということが成り立つならば、この規定はなくてもいいんじゃないか。これを入れるならば、採取あるいは捕獲についても入れるべきじゃないか、そういう見解を持つのですがどうでしょう。
○首尾木政府委員 捕獲に関しましては、先生の仰せのとおり、現在の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律によって規制ができるということになっておるわけでございまして、ただ譲渡について、なぜこの法律であらためて規定をしたかという点を御説明すればよろしいかと思いますが、その点につきましては、現在の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律におきましては、適法に捕獲したものの譲渡というものは、適法に捕獲をしたというその証拠があれば、流通は自由にできるわけでございます。これに対して今度の法律では、適法に捕獲をいたしましたものでも、譲渡について一々許可制にしよう、こういう関係でございます。したがって、その点だけがこの法律において必要な条項ということになったわけでございます。
○阿部(未)委員 わかりましたが、それでは、こっちの、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律によっては、適法に捕獲をしあるいは適法に採取をした、それでもなお譲渡その他についてはこれで規制ができる、こういうことになるわけですか。
○首尾木政府委員 さようでございます。この場合には、従前の鳥獣保護法にさらに加えまして——従前の保護法は、先ほど申し上げましたように、これは適法に捕獲された人については当然飼養許可証というものが発せられるわけでございますが、そういうものがあれば文句なく譲渡ができるということになっておりますが、今回の場合には、適法に捕獲されたものにつきましても、これは当然に、その相手方がどういう人であるか、譲り受け人がどういう人であるか、飼養の方法がどうであるか、あるはい目的がどうであるかというようなことまで一々チェックする必要がありますから、そういう点に着目をいたしまして許可をするということであります。
○阿部(未)委員 そうしますと、ここでいう特殊鳥類を適法に捕獲したという場合には、私は適法に捕獲しましたという届けがまずなければ、それから先の流通はわからぬわけですよ。たとえば、Aなる人間が適法に捕獲して、私がもらった。私が適法に捕獲をしたと言っても、どうしようもないわけです。そうなってきますと、適法に捕獲をしたものでも、なおその次に譲渡する場合には、この法の適用を受くるとなれば、まず適法に捕獲をした時点において、どこかに届け出なければならぬという理届になりはせぬですか。
○首尾木政府委員 そのとおりでございまして、飼養許可証を発するということになるわけでございます。
○阿部(未)委員 その飼養許可証というのは、何を飼養することを許可するのですか。つかまえることを許可するのですか。つかまえることを許可するのはわかっていますけれども、許可がなければできませんけれども、捕獲したというのは、許可があっても捕獲できるかわからぬわけですから、適法に捕獲したというものも、届け出なければ、持っているかどうかわからぬわけでしょう。持っておって初めて譲渡するということが起こるわけですから、したがって、適法に捕獲しても、捕獲した時点で届け出なければ、私はとりませんでしたと言えば、これはまたわからぬことになるわけですから、その辺、どういう手続が要ることになりますか。
○首尾木政府委員 これは適法に捕獲をいたしましたので、自分はこれを飼養したいということを、飼養許可証を得るときに申し出るわけでございます。
○阿部(未)委員 その飼養許可証というのは、どっちについて飼養許可証がおりるのですか。とった鳥類に対して飼養許可がおりるのですか、とる手段に対して飼養許可がおりるのですか。
○首尾木政府委員 鳥類に対してでございます。
○阿部(未)委員 そうすると、適法に捕獲をした。適法に捕獲したけれども届け出なければ飼養許可がおりようがないわけですね。自分で持っている限りは何ぼ捕獲してもかまわぬということになりますか。
○首尾木政府委員 常に飼養許可証を持って飼養しておるわけでございますから、それが——先生のおっしゃる意味は、ちょっと私、御質問の趣旨を十分はかりかねておるのですけれども、現在、これは先生のおっしゃるとおりでございますけれども、そのときには当然飼養許可証を持ってなければ適法に所持をしておるということはできないわけでございます。
○阿部(未)委員 飼養許可証というのは、捕獲をする手段についての許可ではなくて、さっき何か鳥類そのものに対する許可だというお話があったのですが、私が、飼養許可というのは、捕獲の手段、捕獲をすることを認められておるというところまでが許可だと思うのです。あと、とったか、とらぬかは、それから先になってみなければわからぬわけですから……。その譲渡を認めるということになってくれば、とったということをどこかに届け出なければ、譲渡を認めるの認めないの言ったってそれはしようがないのじゃないですか。
○首尾木政府委員 現在の鳥獣保護法にそのことが規定されておるわけでございます。鳥獣保護法は第十二条で「都道府県知事ノ許可ヲ受ケタル場合ニ於テハ前数条ノ規定ニ拘ラス鳥獣ヲ捕獲シ又ハ鳥類ノ卵ヲ採取スルコトヲ得」ということになっておりまして、それに対して、都道府県知事は許可をしたときは許可証を出すということになっております。 それで、次に第十三条におきまして、許可証を得た人が現実にそれを捕獲いたしまして、一定の期間を経過いたしますと、これはとってもよろしいという許可によって、一定の期間は、これはその期間中であればそれを保有することができるわけであります。その一定期間、有効期間の満了後三十日をこえて飼養する場合は、これはあらためて飼養許可証というものを必要とするわけであります。ですから、最初に捕獲の許可証を得まして、その一定の期間の間に飼養許可証というものを得なければならない、こういうふうな形に現行法はなっておるわけでございます。それによって、一般の場合にも今度の法律の対象になるようなものにつきましても、飼養についてはその飼養許可証が要る、こういうことになるわけであります。
○阿部(未)委員 なるほど。そうすると飼養許可証というものはとったものについてある。それならば届け出の義務はないのですか。最初狩猟の許可をもらって、そしてとってきますね。そうしてとって一定の期間自分のうちに置いておってもいいし、その期間に譲り渡したらどうなるのですか。それも問題が一つ残ると思いますが、かりにいまおっしゃったように、一定の期間自分のうちに置いておって、それの期間が過ぎてから三十日ですか、以後過ぎるときには飼養許可が要るということになりますと、期間が過ぎないうちに適法に捕獲したものを期間内に譲るというようなことは、いままでならできたわけですか。
○首尾木政府委員 これは譲り渡しは「飼養許可証ト共ニスルニ非ザレバ」譲り渡しすることを得ずとなっておりますから、そのときは飼養許可証を、あらためて譲り渡人が許可を得ましてその飼養許可証をもらって、それとともに移転をするということになるわけでございます。
○阿部(未)委員 そうしますと、どっちにしても適法に許可をもらって捕獲または採取したものについては届け出がない、飼養許可をもらわない限りはどうしようもない、こういう理屈になるわけですか。
○首尾木政府委員 さようでございます。
○阿部(未)委員 これは、特に特殊鳥類などは貴重なものだと思うのです。そうすると適法な許可をもらって、そして捕獲をする、それを剥製にして自分のうちに飾っておく、その場合でも期間が過ぎて三十日以降飾っておくと、届け出してなければ、飼養許可がなければやはり違反ですか。
○首尾木政府委員 たいへん失礼しますが、先生の仰せになりましたのは適法に捕獲したものでございますか。——これは死んだものでございますから飼養許可ということはないわけでございますが、その製品につきましてはやはり譲り渡しとか、そういったような規制は当然かかってくると思います。
○阿部(未)委員 この法律では加工品等も何か入るとか、いろいろ書いてあるでしょう。そういう意味があったからお伺いしたわけですけれども。 そうするとまた妙な質問になりますが、適法な手段によって捕獲をする。そして、たとえば卵の場合などは早くかえさないといたむおそれがあるから、その鳥類の卵を許可をもらった人がふ化させる。そして何羽かふえますね。ふえたものがやはりこの法律の適用を受けるわけですか。
○首尾木政府委員 先ほども申し上げましたように、二世も入るわけでございます。
○阿部(未)委員 それからもう一つお伺いしたいのですけれども、次に、原則としては野生のものだけれども、この法律では一部二世、三世が入ってくるということになるのですが、そうするとその所有権との関係はどういうことになるのですか。たとえばオナガドリなどがかりに絶滅に瀕しておる鳥類だというふうに認定をされると仮定をいたします。これはもともと自分のうちでずっと飼育してきた鳥になるわけですけれども、その場合二世、三世とはいえぬと思うのですが、これはこういう指定を受けた場合どういう取り扱いになるのですか。
○首尾木政府委員 オナガドリの場合は家禽でございますので、鶏でございますので、そのようなケースにならないわけであります。
○阿部(未)委員 オナガドリはならぬかもしれん。例が悪かったかもわかりませんけれども、たとえば、いま絶滅に瀕しておるような鳥類で愛好家がおって、自分でそれを飼育しておる、そういう場合のことですけれども、どうなりますか。
○首尾木政府委員 それは適用がございます。
○阿部(未)委員 そうすると、この適用があるということは、前に戻るのですけれども、やはりどっかで届け出がない限り、だれが持っておるかということがわからなくなるのではないでしょうか。あらためてここで譲渡等ができないという法律をつくってみても、一体だれがどこで持っておるか登録でない限りわからない。私がそういう絶滅に瀕する鳥を一羽飼育しておった。それをBならBという方にお譲りしても、それが譲渡されたものかどうかというのはわからないことになるのではないでしょうか。
○首尾木政府委員 いろいろな場合があると思います。まず最初に持っておりますものが、これが最初に許可を受けたものであれば、当然その段階において押えられるということになると思います。 それから、それが二世になったという場合でございますが、これについても、二世の場合について特に届け出というのはありませんが、絶滅に瀕する鳥一世の場合には、そういうことで許可の段階で当然押えられておりますし、また譲り受けの時点においてもわかっておりますし、そういう絶滅に瀕する鳥というのは非常に貴重なものでありますから、十分これについては私どもとして所在を確かめておくということをやっておるわけでありまして、行政上そういうようなところについてのいろいろ報告を求めるとか、そういう手段によって把握することはできるというふうに考えるわけであります。 それからなお先生のおっしゃいましたのは、全く何かわからなくて従前所持しておった、こういうものについてはどうか、こういうようなお尋ねも含んでおったように考えたわけでございますけれども、その点につきましては全く私どもも現在手段がございませんで、しかし十分それは貴重な鳥でございますから、そういうことについて実際の問題として把握しました際には、それを行政上把握していくという手段によりましてやっていきたいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 いずれにしても絶滅に瀕する状態にあるのですから、これがもう非常に貴重なものであることは間違いがないのですけれども、いま後段でおっしゃられた、どういうものか知らなかったが、あそこの友だちが非常にかわいい鳥を飼っておったので、その卵がたまたま二つあって、それをふ化さして自分のうちで飼育をしておる。これはもう明らかに今日の時点で二世になるわけですね。いま二世であるものについてもこの法律は遡及して適用するのか。それは法の上ではやむを得ないことになるのか。どうなりますか。
○首尾木政府委員 法律上それにつきましては届け出の義務はございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、行政上把握するよりほか方法がないということは法律上はそうなんです。しかしこれにつきましては、当然今度その二世、三世を譲渡する場合には、これは法律上対象になるわけでございまして、それを譲渡しようとするときには許可を受ける必要が出てくるわけでございますから、その時点においてはこれを把握することは、そのルートによってもできるということになるわけでございます。
○阿部(未)委員 その次は、輸出入の規制の問題ですけれども、これは特別の許可がない限り、こういうものについては輸出入はできなくなってくる、規制を加えられるわけです。そういう場合において個人の財産権との関係、たとえばアメリカの人が買いたい、日本の人が売りたい、しかし、その政府が許可をくれないという場合には、本人はそういう貴重な財産を持っておるけれども、それを金にかえることができない場合の財産権と規制との関係はどういうことになってきましょうか。
○首尾木政府委員 現在そういうことについての補償の規定はございません。
○阿部(未)委員 その補償の規定がないようだから私は気になるのですけれども、これは簡単に許可がなければ譲渡もできないことになるわけです。そうすると非常に貴重な、たとえばこれに剥製も入るわけでしょう。この法律ができますとりっぱな、貴重な剥製を持っておる、譲り渡したい、金にかえたいということがあっても、一応許可を受けなければ譲り渡すことができない、こういうことになるわけでしょう。本来、自分の財産は自分が自由に処分できる権利があるはずなのに、この法律によって個人の財産権に対する規制が加えられぬか、そういう気がするんですけれども……。
○小澤(太)政府委員 その問題は、この法律に限らずすべて所有権の自由、私有財産の補償という憲法上の規定から出てきておりまして、これが公共の福祉のために利用される場合には、有償でなければならぬという原則があるわけです。これはいずれの民事法についても、行政法についても当然にあることでございまして、そういう場合は、裁判所において請求することによって解決する問題でございます。この法律にそれの補償ということは書かない。ということは、この絶滅に瀕している鳥類を保護するということが非常に大きな目的であり、社会的な視野において公共の福祉ということばに当てはまると思います。そうなりますと、この問題をそういう目的に沿うて規制するということは、法律としてできるわけでございます。これの補償の規定までこれに書くということがいかがか、こういう問題でございます。これは当然憲法に従いまして、民事法のたてまえで賠償の請求をすることができる。それは、成功するかせぬかは裁判所の判断によると思います。そういう法のたてまえになっておるということを御了承願います。
○阿部(未)委員 大体わかったような気がするのですけれども、どうも片方は法律によって、公共の福祉という名前で個人の財産権が規制を受ける。悪ければ裁判所に訴えて補償してもらうようになさい、こういう理屈になるようですけれども、本来、公共の福祉というのは非常に高い次元で考えられるべきのもで、たとえば剥製の鳥一羽というとたいへん失礼ですけれども、剥製の鳥一羽にまでそういう規制が加えられるということについて、逆に本末が転倒されはせぬかという気がするんですが、どうですか。
○小澤(太)政府委員 国際条約をもって、お互いにこの絶滅に瀕しておる鳥類を保護しようということでございますから、一羽、二羽の問題ではなしに、その鳥類を保護するというそのこと自体が、これは一国だけでなしに、世界全体の面から見てきわめてなすべき価値の高いことでございます。それと、個人の財産の損害と申しますか、それをいかに比較考量するかという問題も出てまいります。したがいまして、こういう問題は、原則に従って裁判所の判断に基づくところの補償という道が残されておりますからそういうものに譲って、合目的的な貴重な鳥類の保護ということのための規定を強化するということをまっこうから押し出した法律として、これを制定したということでございます。
○阿部(未)委員 趣旨は大体わかりましたけれども、しかし他の法律の中にも、同じではないが、そういうような場合には国なりが適当な補償をするということがうたわれておる法律が多々あるように私は思います。そうすれば、この場合でも国が特に規制を強制する場合については、何らかの方法で公共の福祉のために財産的な規制については措置を講ずる、補償をするというようなことがあってしかるべきではないか。それは裁判で争いなさいというならばちょっと片手落ちのような気がするのですが、どうでしょう。
○小澤(太)政府委員 お説のとおり、他の法律によって所有権の制限をいたした場合、あるいは私有権の行使を拒否した場合に補償をするということが法律の明文に掲げてある法律もございますし、またこれがない法律もございます。掲げてある法律というのは、通常の状態において判断する場合には、そのために侵害される個人の財産権の重さと、公共の福祉の重さとの関係もあるかに思うのでございます。逆に言いますと、いずれの法律にもそれは書いてなくて、これは一般原則にまかされておるというものがございます。この後者の場合にこれが該当する。法理論的には、おっしゃるとおり何もかもみんな法律に書くとすれば、そのような明文があっても決して差しつかえないし、あるいはそれがあるほうが体裁としては整うかもしれません。まあ法律目的、いわゆる合目的的な最小限度の法律としていかにするかということを規定しておるわけでございます。そういう配慮をいたしておるということを御了承いただきたい。
○阿部(未)委員 それから捕獲、採取の考え方なんですけれども、これはどの辺までが捕獲、採取になるか。たとえば、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の中でも、自分の庭に来て、へいの中か何かで卵を産んだのはかまわぬというような規定がところどころあったような気がするのです。銃で撃ってはいけないとかいろいろな中にそういうのがあったような気がするのですが、この場合でも野生の鳥類ですから、自分の庭に来て卵を産まぬという理屈はない。したがって、自分の所有しておる土地の中で卵を産むとか、ひなをかえすとかいうふうなことがあり得ると思うのですが、そういう場合の所有権はどこへ移っていくのですか。自分のたんぼの中に、あれば自分のものと考えていいのですか。なぜそう聞くかといいますと、所有権が移れば届け出の義務はないけれども、それから先の譲渡の関係があるから明らかにしなければならぬ。そうなりますと、採取とか捕獲という意味をどの辺まで考えればいいのでしょうか。
○首尾木政府委員 実際の例といたしまして、そういうふうな場合はあまりないと思いますが、もしそのようなことがありました場合には、その卵は無主物ということになるわけでございます。
○阿部(未)委員 一番起こり得ると思うのは、自分の所有しておるたんぼとか山とかいうところへ鳥類が来て卵を産むということだと思うのです。鳥が巣をつくって卵を産んだ。その卵は自分の土地の中にあるから自分のものだということにならなければ、だれのものになるわけですか。
○首尾木政府委員 それが野生の野生たる理由下ございまして、したがって無主ということになるわけであります。
○阿部(未)委員 私は、法律はちょっと明るくないのですが、おれの山の中にあったんだ、うちのたんぼの稲の中に産んであった卵だ、おれが持って帰っていいんだと言って持って帰ったらどういうことになるのですか。
○首尾木政府委員 それは、野生のものを捕獲しあるいは採取したという概念に当てはまるわけでございます。
○阿部(未)委員 なかなかむずかしいですね。自分の土地に卵が産んであった。たまたまその卵がここにいう絶滅に瀕する鳥類の卵であったのか、そうでないのか、これはわかりませんね。わからぬから持って帰った。それを、おまえ絶滅に瀕する鳥類の卵じゃないかということでおしかりを受けるということになったら、それはたいへんなことになると思いますが、そういうときにはどういうことになるのですか。
○首尾木政府委員 それは法律的に申し上げますと、卵を採取するということについては、すべて許可制ということになっておるわけでございますけれども、しかし実際の法律の運用において、わからないものをどうこうするというようなことはございませんので、その点は、卵だけでしろうとが判別するということは非常に困難な場合もあり得ると思いますし、そのような場合は、事後的にそういうことが判明をいたしました際に、やはり法律の運用におきまして採取についての許可とかそういうことを事後的にやっていくとか、そういう便宜的な手段によりまして問題を処理していくしか方法がないと言わざるを得ないと考えております。
○阿部(未)委員 たいへんいろいろお伺いしまして勉強させてもらいましたが、ただ一つだけ、島本委員からもお話がありましたように、日米の条約に対応するものとして、何よりも先にやらなければならぬのは、やはり鳥類の環境の保全だと思います。これなくして、あといかに譲渡を禁止してみても、あるいは輸出入の関係をやかましく言ってみても、やはり貴重な鳥類が滅んでいく。ほんとうにそれだけ——さっき次官もおっしゃったように、大衆の利益のためにそれが必要なものだということをお互いが認識をするのならば、まずその鳥が繁殖できるような環境をつくることこそ緊喫の要事だと思います。それを抜きにして、あと幾らこの法律をつくって、やれ譲渡するなとか卵をとるなとかやかましいことを言ってみましても、それで絶滅に瀕する鳥類が救い得るとは考えられません。残念なのは、この法律に環境の保全についてもっと明確な政府の姿勢を打ち出していただきたかった、私はそういう気がいたします。今後もあることですから、特に環境庁においてはこの法律の趣旨に従って、ほんとうに貴重な鳥が繁殖できるような環境をつくってやる、そのことにひとつ十分に意をとめてもらうように希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○小澤(太)政府委員 委員長から答弁をしろという督促がありましたので申し上げますが、御趣旨はそのとおりだと思います。 ただ、つけ加えさせていただきますと、環境保全の問題は公害基本法並びに自然環境保全、これはいまは出しておりませんが、自然公園法、鳥獣保護法その他現在の法律をフルに活用することによりましても、どうしてもやらなければならぬ問題でございます。それにかてて加えて、この絶滅に瀕しておるところの貴重な鳥類については、その住んでおるあるいは住む可能性のある環境について、特段の措置を行政的にも運営していく、研究もしていく、こういう心がまえでおるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
○田中委員長 阿部君の質疑はこれで終わりました。 次に、岡本富夫君。
○岡本委員 私もこの特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律案について若干質疑をいたしますけれども、環境庁長官の構想について、こういう記事が出ているのです。小鳥のさえずりが遠からず日本じゅうにあふれる日がやってくるでしょう、日本を中心とした愛鳥ネットワークを推進したい、こういうような発言がありましたけれども、はたしてこのアメリカとの渡り鳥条約、それから現在審議しておりますところのこの法律で、小鳥のさえずりが日本じゅうにあふれる日が来るだろうか、非常にこの点が疑問なんですが、この点について、どういう確信があって、これは長官が言うたのですけれども、環境庁としてはそういう小鳥がさえずる日が遠からずやってくる、どのくらいの期間か知りませんが、どういうような構想のもとに、あるいはまた今後の目標、これをひとつ伺っておきたいと思います。
○小澤(太)政府委員 何に出ておるか知りませんが、大石長官が申されたとするならば、これは環境庁長官としての自分の信念と申しますか、その目標と申しますか、そういうことを語られたものだと思います。またそれが正しいと私どもも考えております。ただし、どのようにしてということになりますと、これはあらゆる手段を用いるということになると思います。きょう御審議をいただいておりますこれは特殊の鳥でございますから、この法律を出すことによってそのような大きな効果を期待するということはできません。これはほんの一部の問題であります。
○岡本委員 これはほんの一部ということなんですね。 そこでもう一つ聞いておきたいことは、昭和三十五年に国際鳥類保護会議、ここで条約を結ぼうというような勧告がありました。また四十三年にもアメリカ政府から条約の締結の呼びかけがあった、しかしなぜ今日までそのまま放置されたのか、この背景をお聞きしたいと思うのです。
○首尾木政府委員 四十三年及び四十四年に専門家会議を開きまして、この条約についての基礎的な検討をいたしたわけでございます。そういう両国間の話し合いのための時間というものが必要であったわけでございまして、その結果、今日の条約の締結を見るに至った、こういうことでございます。
○岡本委員 結局、非常に手おくれになっている。首を振ったってだめですよ。これはあとで話しますけれどもね。 こういった渡り鳥がどんどんなくなっていく、こういうような状態は、やはり地球が汚染され、それからわが国が公害列島になっている、その大きなあらわれによってこういった鳥類がなくなっていくわけですから、やはり私は国全体の姿勢として、こういったアメリカと日本が渡り鳥条約でも結んで、その鳥類を保護していこうというこの根本の姿勢が一これは政務次官のほうに言わなければならぬわけですが、この政治姿勢がやはり問題があるのではないか。四十三年にアメリカからこういった呼びかけがあったのに、いままでできなかったというところに一つは問題があろうと思うのです。それをいまこの場で責めてもしかたがありませんけれども……。 そこで、この鳥獣保護法、これは大正七年かと思うのでございますが、これを改正をして、そして全面的にこの条約に対し、あるいはまたほんとうに渡り鳥あるいはまた鳥類を保護しようというのであれば、この鳥獣保護法の改正が正しいんではないか。一つ読みますと、鳥獣保護法の二十条に、違法の捕獲鳥獣の譲渡あるいはまた譲り受け等の禁止及び輸出入の制限、こういうようにちゃんと二十条にあるわけですから、これと同じようないまの法律を見ましても、ただ渡り鳥だけだ、こういうことですから、この中に含めても私は決して問題ではないんじゃないか。したがって、私は、この法律は趣旨はいいんですけれども、あわててつくったような、何と言いますか、日米の条約に合わして、ただ表面だけつくろったような感じがしないわけではない。したがって、この鳥獣保護法の改正を必要とすると思うのですが、この点についてひとつお聞きしたい。
○小澤(太)政府委員 姿勢についてというお話しでございまして、政務次官にということでありましたが、これはもちろん、早きに及んで各国との間にこういう条約を結ぶことは願わしいことでありますが、これは時間が経過いたしましたことは、先ほど局長から申し上げましたように、その間専門的な問題その他いろいろについて、この条約を結ぶについての準備期間があったということでございまして、それが早かったかおそかったかという批評は別でございますけれども、そういう努力を傾注してまいりまして、これが今回初めてでき上がったということに私どもは安堵の気持ちを持っておるわけでございますが、これから先、ほかの国々との間にこのような努力をやってまいりまして、早きに及んで条約が締結されるということを望んでおるというのが私どもの基本的な姿勢でございます。 それから、鳥獣保護法の改正でよろしいだろうというお気持ちのようでございますが、御承知のように、野生の鳥獣を対象といたしておりましても、鳥獣保護法は日本国内における鳥でございます。ところが今回の条約は外国における鳥、さらにまた、すでに野鳥ではないものになっておりまする特殊な貴重な鳥というものを対象といたしておりますので、従来の鳥獣保護法ではこの対象に取り入れることができません。したがって、この条約に対応する法律としてこれを制定した、こういういきさつになっておるわけでございます。
○岡本委員 そこで、この鳥獣保護法の根本精神を見ますと、やはりこの時分ですから、あまり公害のことがやかましくいわれなかった。どうしてもたくさん繁殖をさせて、たくさん捕獲しようというようなその当時の精神ではなかろうかと思うのです。もう一つは、この渡り鳥、野鳥、これが一緒におりまして、私は渡り鳥ですよ、私は野鳥ですよと鳥は言わないわけですよ。そうするとこの辺の鳥が、一々私は渡り鳥だとか条約にきまっていますよと言えばよろしいですけれども、そう言わぬということになれば、これは野鳥と思ったら渡り鳥だったというようなことになったら、あるいはいろいろな問題が起こってくるのではないかということで、やはりすみやかに鳥獣保護法も私は改正を必要とするのではないか、こういうようにも考えられるのですが、いま聞いておりますと、新しい法律を考えておる、各省とも打ち合わせをしたというようなお話しもありましたけれども、幾らたくさん法律をつくりましても、やはり現在あるものをきちっと改正していくということを考えることも大事ではないかと私は思うのですが、その点についてひとつ……。
○小澤(太)政府委員 各省と意見の調整をいたしておりますのは、自然環境保全に関する法律案を用意いたしてやっておるわけでございまして、鳥獣保護についてはそれをまだやっておりません。 それから、法律をたくさんつくるのがいいとは思いません。しかし、既存の法律で対象としてしょい切れないものを、それを改正するかあるいはそのものずばりで新しい法律をつくるかという問題になるかと思います。改正の必要があれば改正をする、あるいはまた新しくつくる必要があれば、厳正に判断をした上でこれを行なうということが必要かと思います。むやみやたらに法律をつくるという考えではございません。これは条約との関係もございまして、これに対応する必要な限度において、必要なことを法律に盛ったというだけのことでございます。
○岡本委員 そこでひとつ御質問しておきたいのは、特殊鳥類の指定と、それから文化財保護法によって天然記念物の指定がされている場合がある。こういったものが重複されてくるのではないか、こういうようにも考えられるものですが、これについてひとつお聞きしておきたい。
○首尾木政府委員 すべてではございませんけれども、これは重複して指定をされるという場合があり得るわけでございますが、考え方としましては、私どものほうの今回のこの法律は、種の保存といったような考え方からこの鳥類についての指定を行なう。絶滅に瀕するものについて、種の保存をはかるという目的からやるわけでございます。その中はに、しかし当然学術的に、学術研究上重要なものというものも含まれておるわけでございますから、それについては、文化財保護法のほうとしましては、天然記念物としての指定がなされるというようなことがあり得るわけでございます。
○岡本委員 そこで次は、現行の鳥獣保護法の狩猟制度の改革、こういう観点から見まして、自然環境保護の野生動物の保護と関連して、狩猟制度、こういうものをやはりここで再点検しなければならないんではないか。これは環境庁のほうで、全国の小鳥なんかの鳥類の実態調査をおやりになったと思うのです。そうすると、鳥の群れが相当大きかったのが非常に小さくなっておる。そういうような生息状態というものが非常に変わってきておるのではないか。特に私申し上げたいのは、今度の、法にあるところの渡り鳥、先ほども言いましたけれども、鳥は、私は特殊鳥類ですということを言わないのです。したがって、こういった狩猟制度あるいはまた捕獲禁止、規制、こういうものをもっと積極的にやらなければ、この法律ができましても、絶滅のおそれある鳥がほんとうに保護されるということがないのではないかというようにも考えられるのですが、この点についてひとつ……。
○小澤(太)政府委員 先ほどあなたが言われました、朝起きると小鳥の声がする、大石長官の夢がいかにして実現できるかという問題に触れてくる問題だと思います。そこで、狩猟制度と鳥獣保護の問題はいま一本の法律でできております。この問題をどのように扱っていくかということについては、現在私どもの環境庁の中でいろいろと検討いたしておる段階でございます。いろいろ法体系、法制度のたてまえもありますし、あるいはまた農林業との関係もございます。害獣害鳥の問題もございます。もとより鳥獣の保護に徹するためにはどうすればいいかということが基本でございますけれども、そういう問題もあわせまして、また外国で、アメリカやヨーロッパ等でやっております猟区狩猟制と申しますか、そういうような考え方などもいま検討いたしておりまして、いかようにすれば鳥獣保護に徹することができ、かつまたそれから起こるいろいろな問題を適正に処理できるか、こういうようなことでいま環境庁の中でいろいろ検討いたしておる段階でございます。
○岡本委員 私は、今度の条約にあわせてあわてて出しただけではないか、もう少し抜本的に考えなければならないじゃないかという意見を先ほど言ったわけであります。そこで、規制対象、要するに大正七年にできた現行の鳥獣保護法の保護される野鳥の対象と、それから絶滅のおそれある鳥類との相違についてちょっとお聞きしたいのです。
○首尾木政府委員 たいへんおそれ入りますけれども、御質問の趣旨を十分に理解いたしかねましたので、もう一度お願いいたします。
○岡本委員 もっとはっきり言いますと、「絶滅のおそれのある」という判定基準ですね、これをどこに置くのか。また「絶滅のおそれのある」という文言によって非常に対象が狭められてくる危険があるのではないかということで聞いているわけです。
○首尾木政府委員 今度の条約の関係におきましては日米の専門家が集まりまして、その鳥についての個体数がどうなっておるか、それからその趨勢がどうなっておるかというようなことを判断いたしまして、鳥類の専門家によって絶滅のおそれがある鳥として指定をする、それを選ぶ。さらに国内におきましては、鳥類のやはり専門家が集まりましてその判定をして、絶滅のおそれある鳥類ということで指定をいたすわけであります。そういう意味におきまして、そういう鳥類についての全く学問的な見地からこれをやるわけでございまして、いたずらにそれが狭くなるおそれがあるとかあるいは広くなるおそれがあるとか、そういったことはないというふうに考えております。
○岡本委員 いま考えられるのは、絶滅のおそれあるという鳥はどのくらいですか。
○首尾木政府委員 日本の本土におきまして二十一種類、それから沖繩が復帰になりますと沖繩関係で七種でございます。それからアメリカの関係でございますと四十六種でございます。さらにそれが、この法律が、他の諸国との条約等によりまして広がっていく場合には、さらにそれに加えまして新たに環境庁長官が特定鳥類として指定をいたす、こういうことになるわけでございます。さしあたって日米の間で相互に検討いたしました、先ほど申し上げました専門家会議等におきまして問題にされましたのは、いま申し上げたような数字になっておるわけでございます。
○岡本委員 そこでそういった絶滅のおそれある鳥ということできめるんでしょうが、そういった鳥はこん虫あるいはまた魚介類、あるいはまたその他の食物、こういうものを食して、そして生きでいくと思うのです。したがってこれは何と申しましても、この条約によって保護される鳥類の環境を保全し、また国内の環境を保全してそういう鳥が住めるようにするということが、絶滅のおそれをなくする一番大事なことではないかと私は思うのです。捕獲ばかりに力を入れましても、結局捕獲する前に死んでしまうというようではこれはどうしようもないと思うのですが、この環境保全についてどういうようにやっていくのか、この点の問題をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。 〔委員長退席、始関委員長代理着席〕
○首尾木政府委員 鳥類の生息環境につきましては、特に現在の法律におきましては鳥獣保護区を設け、さらに特に環境面に対応いたしましては特別保護地区というものが設けられることになっておるのでございまして、その特別保護地区になりました際には、そこについての各種の開発というものが規制されるということになるわけであります。したがいまして、従来これの規制ということが必ずしも十分に行なわれていたとはわれわれは考えておりませんが、今後は積極的にこういったような特別保護地区といったようなものをふやしていくというような方向で考えていく必要があろうというふうに考えておるわけでございまして、絶滅のおそれのある鳥につきましても、そのようなことは特に重要であると考えるわけであります。 ただ、さらにそういったようなことを指定いたしますには、実際の調査ということが必要でございまして、とりあえず私ども、今年度の予算におきましてそういうような絶滅のおそれのある特定鳥類の環境についての調査ということを予算化をいたしておるわけでございますが、これらと相まちましてそういう環境の保護ということに力を尽くしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡本委員 環境の保護についてはまたあとで聞きますけれども……。 それで、野生の鳥獣は国民の共有物である、したがって、保護すべきものだというような訓示規定ですけれども、これは現行法の前回の改正のときに、鳥獣審議会のほうでこういった理念を打ち出しておるわけですが、これを非常に無視した計画があるように私には思われるのです。したがって、こういった目的規定と申しますか、訓示規定、こういうようなものはやはりきちっと入っておるのが一番いいのではないか。ただ条約できめたからこうではなくて、先ほど申しましたように、野生の鳥獣は国民の共有物なんだ、したがって、保護すべきものだというような規定が必要じゃないかと私は思うのですが、その点についてひとつ……。
○首尾木政府委員 先ほど政務次官からもお答えしましたように、今回の法律は、条約実施ということから最小限の問題につきまして法律をつくったわけでございますが、全般といたしまして鳥獣保護及び狩猟に関します現在の法律についての改正の問題というのがあるわけでございまして、そういう中で今後検討さるべき問題だろうというふうに考えておるわけでございます。
○岡本委員 もう一ぺん、いま言うたのは、鳥獣保護法を改正する、そして検討する、そう言ったのですか、どうですか。
○首尾木政府委員 鳥獣保護法の改正の検討ということは当然今後必要な課題でございまして、そのような中で検討をいたしてまいりたい、こういうことでございます。
○岡本委員 そこで、こういった渡り鳥あるいはまた野鳥、こういうようなものの保護は、鳥獣を繁殖さしていく、したがって、この保護区についてはあっちこっち非常によく調査をしてやらなければならぬのでありますが、そこで四十七年度の予算で何カ所ぐらいを指定するつもりをしておるのか、これをひとつお聞きしたい。
○首尾木政府委員 現在鳥獣保護区といたしましては、四百六十四カ所が既設のものとしてございますが、さらに新設のものとしまして鳥獣保護区二十五カ所を新たに指定をしたいというふうに考えております。ただいま申し上げましたのは国設の鳥獣保護区でございます。さらに、そのほかに都道府県の鳥獣保護区というものがございます。数字につきましては、ただいますぐ調べて御返答申し上げます。
○岡本委員 そこで、たとえば東京の多摩川の上流ですか、青梅市ですか、あるいはまた兵庫県の西宮の浜甲子園あるいは淡路島の千鳥ですか、これは人工増殖をやっておりますけれども、こういうような保護する場所について、環境庁としてはどういう助成をしていくのか、あるいは保護をどういうようにして——予算の関係になると思うのですが、国のほうと都道府県のほうとあると思いますが、都道府県に対して推進するためにはどういう方法をとっていくのか、これをひとつお聞きしたい。
○仁賀説明員 いま国と県との補助金に類したようなものというお話でございましたが、私どもの鳥獣行政では補助金を一銭も持っておりません。そのかわりに、狩猟に伴いまして入猟税という目的税をとることにいたしております。これは都道府県に入る目的税で、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に使っていくという形をもちまして、そういう中において各都道府県で実施していただいておるというのが現状でございます。 〔始関委員長代理退席、委員長着席〕 なお、国設等のものにつきましては国がやっていくという形をとっております。
○岡本委員 そうしますと、都道府県でそういった目的税を出すためには、狩猟をする、そうしてそこから上がってくるところの地方税で鳥獣を保護していこうというようなことでは、政務次官、どうですか。そういうことになりますと、私が先ほど指摘した、いままでの大正七年の、現在の鳥獣保護法は、やはりえものをたくさんつくらして、そうしてそれをとらす、こういうのであって、決して環境を保全し、そうして小鳥がさえずるような、そういう環境を保持するための鳥獣保護ではないように考えられるのです。したがって、私は、都道府県に対してもそういった助成でなくして、もっとこの保護地区をたくさんつくれるような誘い水ができるような助成にしなければならないのじゃないか。これは国の相当抜本的な考え方でありますから、これは検討をしていただかなければならぬと思いますが、この点についてひとつ……。
○小澤(太)政府委員 現在あります鳥獣保護並びに狩猟に関する法律が、先生のおっしゃるように、鳥獣を狩猟するためにたくさんふやす、そのような法律であるというお考えは間違っております。現在の鳥獣保護法といえども、その趣旨はあくまで鳥獣保護が目的でございます。猟については、これは人身傷害の問題もありますし、それを規制いたします、また、ある程度やむを得ざる範囲においてこれを認めておるのでございまして、たくさん鳥を育てて撃たせるためにあるという考えでは毛頭ございません。けれども従来の行政運営においてそのような誤解を起こし得る可能性もなきにしもあらず、このように私は考えます。したがいまして、今後この問題について先ほど申し上げましたように、野性鳥獣の保護に徹するための法体系の問題等を含めまして考えをさらに深めていきたい、この検討をいたしておるということでございます。したがいまして、鳥獣保護の精神を、先ほど申されたように野性鳥獣は個人のものではない、国民の共有の財産である、むしろこれは世界人類の共有の大事なものであるという観点に立ってやりたいということは十分に考えておる次第でございます。 それからただいま課長が申しましたのは、府県の鳥獣保護についての施策の目的税として入猟税というのを考えておる、これは逐次増額してまいりましたことは御承知のとおりであります。狩猟免許税と各府県に入るところの入猟税、これでもってやるのであって、国は何らこれに対する熱意がないじゃないかというお話でございますが、府県の行ないますことについての補助金を出しておらないということでございます。 なお鳥獣保護につきましてはこればかりではない、いろいろ方法がございまして、御案内のとおり今年度予算には、金額はまことにわれわれも意に満たない一億二千万、しかし前年度に比べますと約八倍の予算を組んでおります。新しく野鳥の森をつくるとかあるいは観測点、観測所を増設するとか、やや前向きの政策を打ち出しておるわけでございます。もとよりこれで十分ではございませんけれども、環境庁ができまして世論のもとに鳥獣保護に徹してまいるというその姿勢が昨年の七・何倍という予算をかちえたということだけで私どもは前途に一つの望みを持っておるわけでございますが、先生が先ほど御指摘になりましたように、ともすれば鳥獣保護法があらぬ誤解を受けておったという現在までの日本における状況を勘案いたしますと、これからさらにわれわれは腹をしっかりくくって、この施策が予算と行政が伴っていきますように努力をしたい、こう考えておるような次第でございます。
○岡本委員 私もずっと県庁を回りまして、先ほど申しましたように猟をする人たちの手数料と申しますか入山料と申しますか、そういうものをふやそうとすると結局鳥獣が少なくなる、それをしなければ予算が困るから新しい保護地区ができない、こういうジレンマがやはり各府県にあるのではないか。したがっていま政務次官はその点についてはひとつ今後考えよう、こういうことでしたので大いに期待をいたしまして、その問題はまた次にいたします。 そこで、オランダあたりでは全国を禁猟制度にしている。ある新聞社のアンケート調査でも全国の禁猟区制というものを国民の七一%、これが支持している、賛成している、こういうことですから、私はこの際、日本も全国禁猟制にしたほうがいいんではないかとも考えられるのですが、それから見ますとこの法案というものは根本的にまだまだ未整備であると言わざるを得ないし、私も過日ずっとオランダのほうを回ってきますと、野鳥が非常に人間に寄ってきますね。日本は逃げるのです。小鳥が人間不信を起こしている。そんなことでは、先ほど長官が言われた小鳥があっちこっちで鳴く、朝起きたら鳴くというような状態にはなかなかならぬではないかということで、今度抜本改正のときにはひとつこの点も含めた検討をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
○小澤(太)政府委員 抜本改正と申しますか、先ほどオランダの例を言われたようでありますが、諸外国の例などを十分に私ども検討して取り入れてまいりたい、こう思っております。 元来、御承知のとおり狩猟についての狩猟権の問題とかあるいは山林所有者の所有権とそこにおる鳥獣との関係とかあるいはいろいろな面においてかつて狩猟国家であったヨーロッパと農作民族でありました日本との間に相違があるわけです。それが国民性の中にも、さらにそれを反映した従来の制度の中にも出ております。こういう点は十分に検討して、改むべきものは十分に改めてそして鳥獣保護に徹していく、こういう考えでございます。ただそれには、先ほど申しましたように農林漁業との関係もいろいろありますし、いろいろな問題がございますからその点を十分に整理していきたいと思います。 それからもう一つはあとの点でございますが、人間が野生の鳥獣に親しめる雰囲気、環境をつくりたい、これは願わしいことでございます。しかしこれは単に法律制度でできる問題ではございません。むしろ国民の中に愛鳥精神、愛鳥というようなことを普及すると申しますか、そういう気持ちに国民がなっていただくということが必要でございまして、われわれもそういう面についての助長、援助、協力の体制は行政の上で進めてまいりたいと思います。 こういうふうに物心両面と申しますか、制度と国民の気持ちというものをあわせまして、これからこの行政に取り組んでまいりたいと思っております。日本も野生の鳥獣がみな逃げていくというわけではございません。ところによってはもう寄りついて困るようなところがあります。外国よりはむしろ日本のほうが進んだところもありますので、そういうところを一つの善例として進めてまいりたい、こう考えております。
○岡本委員 小鳥が寄ってきて困るというようなところは見たことないですが、それだったら一ぺんそういうところへ連れていってください。 そういうことを言っていてもしかたがないから、そこで、いま政務次官から愛鳥教育、こういうものがやはり必要ではなかろうかというお話しがありましたが、私もこれは賛成でして、欧米先進国の例を見ますと、義務教育の段階で教科課程になっている。この愛鳥教育はわが国でも取り入れたらどうなのか。義務教育の社会科に入れる、あるいはまた大学の教育の講座の中に野鳥保護の講座を開設する、こういう考えはどうかということをひとつ文部省のほうから聞きたい。
○大崎説明員 鳥類の保護ということにつきましては、動物の生態の研究あるいは先生が御指摘になられました自然保護あるいは環境保全というような点が重要な分野であろうかと存じますが、このような分野につきましては、これまでも農学部あるいは理学部の関係学科等におきまして基礎的な研究を続けておるわけでございますけれども、さらに今後とも大学からの御要求等も考慮いたしまして対処いたしてまいりたいというふうに考えております。 なお、愛鳥教育の点につきましては、私所管外でございますので明確なお答えがしかねるわけでございますが、自然を愛するあるいは生きものを愛するという点につきましては、現段階におきましても配慮が払われておるというように承っております。
○岡本委員 現在配慮がされておる、こう言いますけれども、これは近代文明はこんなに発達をしましたけれども、精神文明、要するに人間性喪失がいま非常にやかましくいわれているわけです。だから赤軍派の総括なんかが出るわけですが、子供は非常に小鳥が好きなんですよ。そういった職業もあればいいというような意見もあるわけですが、鳥が好きで鳥を専門でいろいろとやっていこうというような人たちはたいがい外国のほうへ行ってしまう現状がある。ですから、米国やスウェーデンのように専門家の積極的な養成、これを教育課程に入れなければならないと私は思うのです。あなた、いまそういう専門家というのは何人くらいいるのかどうかおわかりになりますか。
○大崎説明員 その方面の職業についておられる方々がどの程度おるかということは存じません。 それから、そういう方面に将来進むためのコースといたしましては、多く理学部の生物学科でございますとか、あるいは農学部の林学科でございますとかというようなコースに進むのではないかというふうに存じております。
○岡本委員 これは大臣が来たときにまたお聞きしなければならないと思いますが、政務次官、これは高度な政治的配慮から、やはり義務教育からこういった愛鳥精神を養成すると同時に、将来のためにこういった課程を入れなければならぬ、こういうように考えられるのですが、その点についていかがお考えですか。
○小澤(太)政府委員 これは当然のことでございまして、いまさらこれをやるというような問題ではないと思うのです。現にこれは、私実は義務教育の教科課程をつまびらかにいたしておりませんけれども、かつて私が地方におりましたときなどにも、小学校、中学校で巣箱をつけさせて愛鳥のためにもう一生懸命になってやっておるその学校、学生を表彰したりなどいたしまして、これは戦後すぐから始めております。ですからいまさらそういうことを言うときじゃないと思いますが、もし万々が一その点の配慮が文部省にないということになれば、私はないと思いませんけれども、まだ足らぬということでありますれば、私のほうからもお願いいたしまして、こういう国民あげの愛鳥精神が徹底できますように努力いたしたい、こう思っております。
○岡本委員 これは自主的にやっているところもありますよ。しかし、社会科の中に全部入っているということは調べましたけれどもない。ですからそれが一つと、それから大学教育の講座に野生生物保護の講座がない。こういうものを私ずいぶん調べたんです。したがって、今後やはりこういったものを入れなければならないと思うのです。 そこで、次はちょっと戻りますが、保護区を国でも指定をしよう、こういうことですけれども、保護区に指定をしただけで鳥獣が安全に生息し繁殖し続けるような施設及び管理人、あるいはまた鳥獣に対するところの、特に小鳥に対するところのいろいろなそういった知識のある専門家、こういうものの配備を私はほとんど見たことがない。たとえば山へ行きますと鳥獣保護区というようなほんとうに小さな看板が木をよけたら中にあった。そこにはだれもいないわけです。ですから密猟をやるような者があるわけです。そういうことを考えますと、各都道府県に何人それを管理したりあるいはまた監視する人がいるだろうか。あんな広い県に一人か二人、ほとんど一人です。こういうことでは私は法律ができてもとてもほんとうの保護はできないのではないか、こういう見地から私はやはり学校教育というものがもっと必要じゃないかということを申し上げておるわけですが、その両面についての御意見があれば承りたい。
○首尾木政府委員 鳥獣行政を進めるにあたりましては、鳥獣の生態だとかあるいは保護の方法等に関する広範な知識を必要とすることはもとより、各種の海外との情報交換の増大に対処するといったような意味におきましても、こういったような高度な専門家というものを養成する必要があると考えております。 先生の仰せになりました鳥獣保護区でございますが、その関係では鳥獣保護員が現在全国で千百八十人ということでございます。まだこれで十分ということにはとてもまいらない状況でございますので、この充足についてさらに積極的に考えてまいりたい。さらにまたいろいろな標識等につきましても十分な状況でございませんので、今後これらについて充実をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡本委員 そこでひとつ提案ですが、野生生物の衰減、これが非常に速度を速めておるのがわが国の姿であろうと私は思うのです。したがって、保存するため、この基礎条件や技術開発のために、また天然記念物の保存という意味から考えてやはり国立研究所を設置しなければならぬのではないか、こういうことを考えておるのですが、その点についてこれはちょっと高度な政治判断ですから政務次官にお答えいただきたい。
○小澤(太)政府委員 せっかくの御提案でありますから、十分検討してみたいと思います。
○岡本委員 そこで三月二十二日の報道によりますと、佐渡のトキ、この保護鳥が死亡した。それを解剖した新潟大学の調査によると、肝臓から七〇・四PPM、それから骨、筋肉あるいはまた肉から三六・五あるいは二八・四、二七・六というような高濃度のPCBが検出されておる、こういう面から考えまして、PCBの恐怖というものが非常に進んでおる。これも先ほどもお話しがありましたが、このPCBの製造禁止、あるいはまた使用禁止、こういうものがすでにいろいろと行なわれておると思うのですが、時間の関係でこれはPCBのときにいろいろとまた論議したいと思います。 そこできょうは通産省の小幡化学第二課長ですか、あなたのほうで新しい化学化合物ですね、PCBとかこういうものをつくるときにはやはりよく規制を加える。将来そういった大きな公害が起こったり、あるいは土壌汚染が起こるというような面まで検討をして、そして許可をするということでなければ、今度日本の国土が相当汚染されて初めてわかったというようなことでは相ならない、こういうふうに思うのですが、そういった面についての法的規制、これを考えておるかどうか、これを一つだけお聞きしたい。
○小幡説明員 一般の化学品の中で毒性の高いものはすでに毒物劇物取締法により指定されまして、十分な管理体制がとられているわけでございます。ところがいまや毒劇法による毒性基準から見ますと、指定の対象にならないPCBのような物質が問題となっているわけでございますが、これは毒性は低いけれどもきわめて分解しにくいこと、また人体に対する蓄積性が高いというようなことから問題が生じたものでございます。今後新しい化学製品で、毒劇法の対象にはならないけれども、やはりPCBと同じような問題を生ずるというものが出てくることも考えられますので、これら新製品の実用化の前に、安全性について何らかのチェックをする必要があるというように私は考えております。したがいまして、通産省といたしましては広く関係者の意見を聞きまして、適正なチェックの基準体制等について法規制も含めて早急に検討を行なってまいりたいというように考えております。
○岡本委員 最後に一問だけ。それはもう特別にきちんとやってもらわないと、あとになってまた公害だ公害だというのじゃ話にならないと思いますから、次に環境庁に一つだけお聞きしたいと思うのです。 これは環境基準ですが、たとえばいまカドミの排出量が〇・一、これが環境基準になりますと〇・〇一、それから銅が一・二、亜鉛が一九PPM、こういうような単独で環境基準がきめられております。しかし御承知のように最近は複合になっておるのですね。水の中に、まあ大気でもそうですが、複合汚染。そうなってきますと、この環境基準というものが非常に問題になると私は思うのです。 これは岐阜女子短大の教授が試験データを出しておりますけれども、この三つが複合したときには、非常に致死量というものが強くなってくるわけでありますね。こういうことを考えますと、ここで環境基準についてはもう一度洗い直しする必要が、そういう時期が来たのではないか、こういうように考えるのですが、これについてお聞きをしたいと思います。
○小澤(太)政府委員 最近の研究でそのようなデータが出たということを、私も新聞紙上で実は拝見しております。この重金属の複合公害の問題については、まだ十分な研究が実はできておりませんし、そういうものが問題として提起されております以上は、私どものほうも各省と十分検討を加えた上で、環境基準その他について手を加えるべきものがあればこれは当然やるべきことだと思います。いま検討の段階でおりますので、急いでそういう点についても研究させてまいりたい、こう思っております。
○岡本委員 約束の時間はあとまだだいぶ残っておりますが、これで一応打ち切りますが、この環境基準につきましては、いまきめてある分がそのままでよいということではなかなかないと思いますので、ひとつ各省との検討ということもありましょうが、何と申しましても環境庁がやはり鳥あるいはまた人間、生物こういうものの生命の一番根源を握っておるという面から考えますと、そういった面の研究、この国立研究所もまだもたもたしておるらしいのですが、こういった研究を早急にどこかの大学にでも出すとか、あるいは研究班をつくるとかなんとかして、複合汚染についてもやはり早急にやらないと、私は後手後手になってしまうということを懸念するわけでありますので、再度これを要求いたしまして、きょうはこれで終わります。
○田中委員長 岡本君の質疑は終わりました。 次に、古寺宏君。
○古寺委員 今回提案されました法律案の目的は、鳥類の絶滅を防止するためにこういう法律の提案があったと思うのですが、現在わが国の鳥類の実態についてはどういうふうに把握をしていらっしゃいますか。
○首尾木政府委員 わが国の現在の鳥類全体の種類でございますが、これは四百二十四種でございまして、うち特殊鳥類が二十一種というようなことになっております。さらにこれは鳥獣という面で、獣類につきましては五十八種というようなことになっております。そのうちで、鳥類全体のうちで狩猟鳥類が三十二種、狩猟獣類が十七種というような状況でございます。全般といたしまして、わが国の鳥類が過去に比べまして趨勢的に非常に減ってきておるということは、これは事実でございまして、この点については、今後こういう鳥類の保護の施策を積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 最近の実態調査によりますと、ここ数年間というのはそれほど趨勢的に大きな変化というものは見られないというふうに私ども一応把握いたしておるわけでございます。
○古寺委員 現在わが国には四十万人のハンターがいらっしゃる。また猟犬もいるわけでございます。青森県の下北半島の例で申し上げますと、昭和二十年を一〇〇といたしました場合に、現在は五に鳥類が減っておるわけでございます。二十八年間に二十分の一に減っているわけでございます。これはわが国の中では最も開発のおくれている、いまお話しのあったPCBあるいはいろいろな農薬等の公害、そういうものから非常に隔絶した地方であるにもかかわらず、現在二十分の一に減少しているわけでございます。したがいまして、私は前に環境庁長官がお話しになっておりましたように、全国を禁猟区にして十年なら十年という期間を定めて鳥類を保護しませんと、いかにこういう法律や条約をつくっても絶滅を予防することができない、こういうふうに考えるわけでございますが、その点について環境庁はどういうふうにお考えですか。
○小澤(太)政府委員 御質問の点につきましては、今朝来たびたび諸先生から御質問がございまして、お答えいたしておるのでございますから御了解をいただけるかと思いますが、この鳥獣保護制度、またこれを法制上取り上げた法律としましても、この段階に立ってもっと鳥獣保護に徹するような考え方で進めなければならぬということは、これは環境庁のみならず国民すべての方々がそのように考えておられることだと思います。したがいまして、環境庁におきましては、ただいまお話のありましたような体制、アメリカやヨーロッパでのいわゆる猟区狩猟制というような問題をも十分に取り入れることができるかできぬか。取り入れた場合にどのような調整を行なうかというようなことを真剣にいま検討いたしておるような次第でございまして、現在の制度の欠陥と、さらにまたこれを運用する精神の上での欠如というものをいかに補うか、こういうような方向で努力をいたしておる段階でございます。
○古寺委員 検討しているうちにハンターはハンティングが全然できない、また野鳥が全然いなくなる、こういうような事態が到来するのじゃないかということが心配になるわけでございますので、できるだけ早くこの絶滅を予防するように、全国を禁猟区にして逆に狩猟のできるような地域を定めて、そして予防していただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。 次に、青森県の六ケ所村の尾駮地区というところでございますが、ここでニシンの不漁の問題がございまして、昨年は七万六千キログラムの水揚げがあったわけでございますが、今年は三百キロしか水揚げがない。これは一昨年この一帯を禁猟区にしたために白鳥が五、六百羽、それからカモが千羽以上飛来するようになった。このためにこれは白鳥公害ではないか、こういうことで漁民が騒いでいるわけでございますが、白鳥というものはニシンの繁殖というものとどういう関係があるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○首尾木政府委員 これは私は聞いたところでございますが、白鳥はそのえさとしましてはアマモ、カワツルモ等の水生植物の葉や茎や根を主食とするものでありまして、白鳥がニシンを食べるというようなことはないと伺っております。したがいまして、それ以上の知識はございませんが、そういうような関係で特にニシンに害があるというようなものではないのではないかというように私は考えております。
○古寺委員 もしもかりにニシンに影響があるとすれば、この第三条の(b)号「人命及び財産を保護するため」に捕獲あるいは採取ができる、こういうふうなことになるわけでございますか。
○首尾木政府委員 条項には該当するところでございます。
○古寺委員 その点についてやはりはっきりした見解というものを打ち出して、現在いろいろと白鳥公害だということで意見が対立しているようでございますので、適切なる指導をしていただきたいと思います。
○首尾木政府委員 そういう点につきましては、十分専門家の意見を反映できるような措置をいたしたいと考えております。
○古寺委員 終わります。 ————◇—————
○田中委員長 次に、内閣提出の公害等調整委員会設置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。古寺宏君。
○古寺委員 日本鉱業の佐賀関製錬所の問題についてお尋ねをしたいと思います。 昨年の十一月に労働省の調査団によりまして、死亡いたしました二十七名が砒素による職業病であるということが認定をされたわけでございますが、その後徳島大学の鈴木教授の調査によりますと、昭和四十年から四十六年の七年間の死亡者千二百七十七人の死因について調査をいたしましたところが、二百四十五人がガンによって死亡している、こういうような問題が起きているわけでございます。そこで、この佐賀関製錬所の周辺ではかんきつ類の被害あるいは水産業に対する被害、いろいろな問題が現在までに起きておったわけでございますが、この点について環境庁は調査をしたことがあるかどうか、まず最初に承りたいと思います。
○岡安政府委員 まず私のほうで環境調査の状況について御説明申し上げます。 お話の佐賀関製錬所周辺の水質の状態でございますが、昭和四十五年と四十六年にそれぞれ二回にわたりまして水質調査をいたしたわけでございますが、製錬所からの排出水質につきましてはいずれも水質汚濁防止法に基づきます排水基準を下回っておりまして、特に上回ったという事例はないようでございます。一方周辺の公共用水域についてでございますが、四十五年に三回、四十六年に一回それぞれ水質の測定を行なったのでございますけれども、四十五年十月六日に採水いたしまして検査いたしましたもの、その地点は佐賀関港の湾の奥の部分でございますけれども、砒素が環境基準でございます〇・〇五PPMを上回っているという事例が一件ございます。 それから土壌の関係でございますが、製錬所の周辺の地域につきまして、大分県におきまして昨年度調査をいたした事例があるようでございますけれども、調査地点が少ないということもございまして、必ずしも実情が現在十分明らかになっているという状態ではございません。そこで私どもは、今後水質並びに土壌等につきましては、さらに詳細な調査をいたしたいというようなことを考えておる次第でございます。
○古寺委員 ただいまは砒素に対する調査の結果だけ発表したようでございますが、他の重金属あるいは水銀等についての調査結果はどうなっておりますか。
○岡安政府委員 水質につきましては、砒素のほかPH、銅、鉛、カドミウム、亜鉛、鉄等につきまして調査を行なっておりますが、水銀につきましてはどうも資料がないようでございます。先ほど申し上げましたように、水質の調査につきましては、砒素の一点以外はそれぞれ基準以下であるという状態でございます。 土壌につきましても、現在三点程度しかまだないようでございますが、土壌はカドミウム、亜鉛それから銅につきまして調査をいたしたように聞いております。
○古寺委員 次に、農林省にお尋ねしたいのですが、昭和四十四年にかんきつ類に相当の被害が起きて、これを会社側が買い入れをしたということを聞いておりますが、その原因は何によるものか。またさらに、最近におきましては、この被害を受けたかんきつの畑を会社側が借り上げをしている、五十年間の期間を定めて借り上げをしているということを聞いておりますが、それらの経過並びに原因について御説明を願いたいと思います。
○荒勝政府委員 農林省の私たちのほうにあった県からの報告によりますと、佐賀関で昭和四十四年に被害が発生した、主としてナツミカン園でございますが、原因は佐賀関の工場から出た亜硫酸ガスの発生によって被害が出た。被害面積といたしましては約三十ヘクタール程度というふうに報告されておりまして、当時の四十四年といたしましては、被害数量としては約百三、四十トンというふうに報告を受けております。その後被害面積は大体三十ヘクタール前後というふうに聞いておる次第でございます。
○堀川説明員 ミカン園の借り上げのお尋ねについてお答え申し上げますと、私ども県を通じまして報告を受けたところによりますれば、佐賀関製錬所が四部落、約二十ヘクタール程度のミカンの樹園地につきまして借り上げの仮契約を結んでおり、本契約はいずれ後日結ぶということになっておるということを聞いております。
○古寺委員 私が実際に会社側から聞いた話によりますと、回収したミカンは金額にして一千百万円でございますが、これは三十ヘクタールからこれくらいの収穫があるわけでございますか。
○荒勝政府委員 亜硫酸ガスによる被害の減収量としてはその三割ぐらいというふうに、被害量としてはその程度というふうに聞いております。
○古寺委員 実際にミカンに斑点ができたりあるいは商品価値がなくなったためにこれだけのものを買った、こういうふうに私は聞いているわけでございます。減収の問題ではなしに、実際に被害を受けた数量がこれくらいあるのだというふうに聞いているわけでございますが、いまの御答弁では合わないわけでございますが、もう一度御答弁を願いたい。
○荒勝政府委員 被害に対しまして会社側が支払ったということになっております金額が、四十四年では約一千九十三万円、その後、年によりますが、四十五年は七百四十八万円、四十六年は千五百四十五万円ということで、大体四十四年ないし四十六年で三千三百八十八万円前後の補償金を支払ったという報告を聞いております。
○古寺委員 農林省はそのミカンが実際に食品として適当なものであるかどうかということを確かめましたですか。分析をするなり、食品として有害でないかどうかということを確認いたしましたですか。
○荒勝政府委員 そのミカンは亜硫酸ガスによる被害というふうに聞いておりましたので、ミカン自身については確かめておりません。
○古寺委員 このミカンは大体五百万円でジュース会社であるとかあるいは従業員に売られているわけです。食用に供されているのです。それを亜硫酸ガスだけで簡単に片づけているわけでございますが、このかんきつを栽培している畑の土壌について調査をしたことがございますか。
○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、県が数点土壌の調査をいたしたわけでございまして、まだ正式に確定というふうには聞いておりませんで、内々報告を受けている数字によりますと、大体カドミウムにつきましては一・八PPMから三PPMの間、それから亜鉛につきましては二九PPMから四六PPMの間、それから銅につきましては九・八PPMから二二〇PPMというような、これは三点のようでございますが、そのような内報を受けております。
○古寺委員 そういたしますと、カドミウムの三PPMあるいは亜鉛の四六PPM、銅の二二〇PPMというのは、一般の土壌に比較してどうですか。
○岡安政府委員 カドミウムにつきましては、一般に人工的に汚染をしていないというふうにいわれております土壌中のカドミウムの量は大体〇・三ないし〇・五PPMで、最大で一・五PPM程度というふうにいわれております。それから銅につきましては、平均大体六PPM程度の銅が土壌中に含まれておりまして、最大で三〇PPM程度というふうに聞いております。亜鉛につきましては平均が大体二〇PPM程度、最高で約一〇〇PPM程度の亜鉛が土壌中にあるものというふうにいわれております。
○古寺委員 そういたしますと、相当に土壌が汚染をされているわけでございます。そういう結果、会社側は今後の紛争を避けるために、この畑を借り上げをするということをいま進めているようでございますが、五十年間の期限をきめて会社が、企業がこういうような農地を借り上げる、これは農地法上どういうふうになりますか。
○堀川説明員 この契約なるものの目的あるいは内容等についてまだ不明の点がございますので、いまの時点で最終的にこうであるという判断を下すことはむずかしいわけでございますが、私ども農地法の立場でこの問題を考えるにあたりまして、観点が三つあろうかと存じます。 一つは、耕作目的で樹園地、ナツミカン園賃借権の設定ということであれば、これは農地法三条の規定によりまして当事者が都道府県知事の許可を受けることを要するということに相なっております。しかし、この場合、当事者の一方であります借り受け手の製錬所は農地を農地として取得し得る資格を認められておりませんので、したがいまして農地としての取得はできないということに相なります。 それから次は、農地を農地以外のものにする目的で賃借権を設定をするというふうに考えられる場合でございます。と申しますのは、この契約につきましては会社側は緑地として使用をするということを申しておるようでございまして、緑地なるものの中身がいまの段階では具体的にはっきりいたしませんが、もし公害防止に役立つような緑地ということで、そこのミカン園の管理のしかたが、おのずから収穫物であるミカンの収穫を目的とするということでなくて管理をする、それにふさわしい管理の方法も加えるということであれば、これは第五条の規定によりまして農地を農地以外のものにする行為に当たりますから、これもやはり面積によりまして違いますが、都道府県知事なり、二ヘクタール以上であれば農林大臣の許可を要するということになります。 それからもう一つは、さような契約を締結をいたしたといたしまして、賃借りというような形はとっておりますけれども、しかし依然として土地の所有者である耕作者が耕作を継続しておる、農耕を続けておるというような場合におきましては、その契約の内容は土地の賃貸という形はとっておりますけれども、実は賃貸借ではなくて、公害に関連をいたします補償のための契約の一種であるというふうに見る見方もあると思います。さようなことでありますれば、これは農地法とは関係がないということになろうかと思います。
○古寺委員 そうしますと、一反歩年間六万円ないし七万円で借り上げをする、こういうふうに契約書ができている場合は、これは三条ですか五条ですか。
○堀川説明員 契約の文言だけではどちらとも判定はできないわけでございまして、三条の場合に当たる場合もありましょうし、あるいは五条の場合にあたる場合もあろうかと思います。
○古寺委員 そうしますと、三通りの方法があるわけでございますが、賃貸借契約をしながら耕作者が今後もなお耕作を続けていくというような場合には、これは公害防止のためであるから農地法には抵触をしない、こういうふうにお考えなんですか。
○堀川説明員 公害防止のためという目的であるかどうかは別問題といたしまして、とにかく前耕作者が耕作を継続しておる、その耕作権を何ら害されない、かような契約内容であるとすれば賃借権の設定ということの意味自体が意味を失うわけでございまして、さような場合にはむしろ意味のある協定、契約として理解し得るのは補償金の支払いの実質を持つ契約であろうというふうに考えられます。
○古寺委員 これは補償という立場では会社は契約していないようでございます。したがいまして、毎年借地料を六万から七万円払うわけでございますので、当然この契約というものは農地法に抵触をする、こういうふうに考えられますので、この問題につきましては早急に調査をして、そういうようなことのないように農林省としては善処していただきたいと思いますが、いかがですか。
○堀川説明員 契約の内容が三条の規定に該当するという場合におきましては、これは賃借権の設定自体ができないわけでございますから、さような契約内容である場合におきましては契約を取りやめるというふうに指導をしたいと思います。 なおまた、五条の緑地として管理をするという目的で契約をしておるというふうに見られる場合におきましては、これは正当な手続をとりまして、都道府県知事なり農林大臣に許可申請をして、ちゃんと適切な法的措置をとった上で利用をするというふうに指導をいたしたいと思います。いずれにいたしましても、まだ具体的な内容が明確でございませんので、一刻も早く内容を明確にいたしまして適切な処理をとるよう指導するつもりでございます。
○古寺委員 次に、水産庁にお尋ねしますが、つい三月の末にこの佐賀関の製錬所の近くでイカが何万と死んで漂流してきた、こういうふうなことを先日聞いてきたわけでございますが、こういう事実について水産庁は御存じでしょうか。
○太田(康)政府委員 私ども、そういうお尋ねがあるということで実は県に照会をいたしたわけですけれども、県の報告によりますと、本年の三月二十日から二十一日にかけまして、イカ、カワハギ等が約三十キログラム斃死をしたというふうに聞いております。
○古寺委員 その原因についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○太田(康)政府委員 実は四十五年の十月にもウマヅラ、カワハギがかなり多量に斃死したというようなこともあったようでございまして、その際に県の水産試験場が調査をいたしたようでございますが、原因が不明であったようでございますし、このことにつきましても原因がどうであるというようなことについては詳細私どもまだ承知をいたしてないのでございます。
○古寺委員 質問をするというので県のほうにお聞きになった。ところが県のほうも知らなかった。県のほうで漁業協同組合にお尋ねしたところが、漁業協同組合のほうも知らなかった、それであわててそういうような報告をしたということを現地から聞いております。実際には何万というイカが死滅をしているわけですね。こういうような事実を水産庁も県も知らない、こういうことでは水産資源の確保もできないし、公害の防止も当然できないと思うわけです。この佐賀関の周辺の沿岸漁場についての調査は、水産庁としてはおやりになったことがございますか。
○太田(康)政府委員 私どもとして実は確かに調査をいたしておりません。しかし実際にこういった事例が起こりますと、県に照会して調査をいたしておるわけでございますけれども、そういった問題が頻発するような場合には、私ども現地におもむいて調査をしなければならぬだろうというふうに考えております。
○古寺委員 この佐賀関の港の中をしゅんせつした際に魚介類が一つも生きていなかった。特にホタテガイ等がとれるようでございます、もう全部死滅をしておった、こういうことを漁業者が話しておるわけでございますが、そういう事実についても水産庁は知らないわけですか。
○太田(康)政府委員 私どもも県を通じて承知している範囲におきましては、四十三年以来排水等の監視も十分やっておりまして、先ほど申し上げたような四十五年における事例あるいは先ほどお尋ねの四十七年三月におきます事例、これを除いては被害があったというふうには実は聞いていないのでございます。
○古寺委員 これは大阪市立大学の調査結果でございますけれども、海のどろの濃度でございます。港の中でございますが、ある一つの地点で申し上げますと、砒素が八六一PPM、総クロムが二五〇PPM、カドミウムが一二・五、ニッケルが五二五、鉛が五、六一八、銅が三、四六五、亜鉛が一二、七〇五、水銀が一、五〇六PPM、こういうような結果が出ているわけでございます。これだけ汚染されていれば当然魚介類も死滅をすることはもう目に見えているわけです。こういうような環境調査を水産庁は全然やっておらない、こういう点について今後調査を早急に進める必要があると思うのですが、いかがですか。
○太田(康)政府委員 実はおととし水産庁といたしまして河川、湖沼、海面等につきまして環境調査をいたしたことがございます。まあ佐賀関の場合について具体的に調査をしたというようなことはないわけでございますけれども、かような問題が非常に発生をしておるというような事態にございますればさっそく調査に取りかかりたいというふうに考えております。
○古寺委員 カドミウムそれから銅、亜鉛の土壌中の濃度が非常に高いわけでございますが、農林省におきましてなぜ砒素の分析をやらなかったのか、その点について農林省にお尋ねしたいと思います。
○川田説明員 農林省は、土壌汚染について概況を把握するということで全国に定点を設けて四十六年度からやっております。その分析の項目はカドミウム、銅、亜鉛でございます。なぜ四十六年度からカドミウム、銅、亜鉛に砒素を入れなかったかといいますと、土壌中の砒素を抽出して分析する方法についてもう少し検討したらいいというような専門家の意見がございまして、検討を進めた結果、分析法がきまってまいりましたので、四十七年度からはその定点観測をカドミウム、銅、亜鉛、鉛、砒素というように拡大して四十七年度から実施いたしたいと思っております。
○古寺委員 環境庁にお尋ねしたいのですが、砒素の基準がまだいろいろきまってないようでございますが、この基準の問題について環境庁は現在どういうふうにお考えですか。
○岡安政府委員 土壌汚染の有害物質につきましては現在カドミウムだけが指定されておるわけでございまして、私どもそれ以外の有害物質につきましての指定を急ぎたいというふうに実は考えております。現在やっておりますのは銅を近々のうちに指定をする作業を進めておるわけでございますが、砒素につきまして残念ながらなかなか、土壌中の砒素の分析の資料も数が非常に少のうございますし、またその砒素がどういうような形をとって農作物の生育障害ないし果実等に吸収されるかというメカニズムも必ずしも明らかでないのでございまして、私どもは早急に調査をいたしまして、この調査結果によりまして追加して指定をしてまいりたい、かような段階でございます。
○古寺委員 そうしますと、大体砒素と粉じんが職業ガンの原因であるというふうに調査団が報告しておりますね。そういう点からいきますと、土壌中に蓄積されている砒素があるいは粉じんと一緒に飛んでくる砒素が多量にかんきつ類に含まれておる、あるいは海のどろの中にありますところの砒素が魚介類の中にたくさん濃縮されて人体に入ってくる、こういうような面も考えられるわけでございますが、こういう点について心配ないですか。
○岡安政府委員 砒素が人体に及ぼす影響につきましては従来からわかっておりまして、そういう関係から水質につきましては排水基準なり環境基準等を定めているわけでございます。ただ土壌中に含まれます砒素がどういう運動をするかというような点につきまして従来の資料は必ずしも十分でないということもございまして、直ちに土壌汚染防止法の有害物質に指定することができないということを申し上げたわけでございまして、私どもできるだけ早くこれは指定をいたしまして、対策に遺憾のないようにいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○古寺委員 そこで、この二十七名の方が肺ガンで死亡されているわけでございます。住民の方々もたくさんガンで死亡していらっしゃるわけでございますが、住民検診の問題については環境庁あるいは厚生省はどういうふうに対策をお考えでしょうか。
○船後政府委員 佐賀関製錬所周辺の健康被害につきましては大分保健所が、昨年、先ほどから御指摘の職業病の問題に関連いたします肺ガンの疫学調査をやったわけでございます。引き続きまして徳島大学の鈴木先生から付近住民につきましても肺ガンのみならず皮膚ガンあるいは肝臓ガン等の非常に多発があるというような御報告がございまして、本日それが学会で発表になったわけでございます。環境庁といたしましては大分県と連絡をとりつつ、とりあえずこの徳島大学の御研究の結果というものを詳細に承知いたしまして、保健所が昨年行ないました調査とも照合し、そして地域住民の健康被害調査につきましては、今後検討してまいりたい、かように考えております。
○古寺委員 保健所あるいは鈴木先生の死因調査の結果は一応きょう発表になると思いますが、環境庁としてはこういうようないわゆる住民の健康被害の調査というものはどういう方法でお進めになる考えですか。
○船後政府委員 一般論といたしましては休廃止鉱山に関連いたしまして種々の環境調査等がございまして、環境調査の結果から住民の健康被害の疑いが非常に濃厚になってきたという場合には健康調査に乗り出すわけでございます。それ以外にも保健所がやはり地域住民の健康というものには最も関心を持ち、かつその健康の保持につとめておるわけでございますから、そういった保健所の系統の活動というものを通じまして、やはり要調査地域というものをきめて、必要に応じ健康調査を実施していく必要がある、ただ環境庁みずから手足を持っておるわけではございませんので、やはり県の衛生部の系統の力というものを期待しながら進めてまいりたいという考えでございます。
○古寺委員 そういたしますと、前に保健所がやった調査と環境庁がこれからおやりになろうとする調査というのは同じになるんじゃないか。
○船後政府委員 佐賀関につきましては、県が前回行ないましたのは主として肺ガンを中心に、大体職業歴のある方々に対象を向けてきた疫学調査でございます。これに対しまして、徳島大学では一般住民を主たる対象とした疫学調査をしたわけでございます。まあ対象が同じでございますので、用いられた資料も同一であろうと思いますけれども、この二つの疫学調査の結果というものを、ともかく十分に検討する必要がある、その検討いたしました結果、実際にレントゲン撮影等、地域住民を対象とする健康調査の必要があるかないか、そういった点も含めまして大分県において現在計画しておる、こういう段階でございます。
○古寺委員 実際にミカンも大被害を受ける、またイカやカワハギも大量死する、また付近の環境もものすごく汚染されているわけですね。そして従業員の中で二十七名の方が砒素と粉じんによる職業病であるという認定を受けて、もうすでに補償が終わっているわけです。それなのに環境庁としては鈴木先生の発表を待ってから調査に乗り出す、これからやるんだ、そういうことでは人命軽視の公害行政だとしか考えられないのですが、この点については政務次官、どのようにお考えですか。
○小澤(太)政府委員 そう言われればそう批判されてもやむを得ないかと思います。ただし、なかなかいろいろな問題が出てまいりまして、前にも申し上げたと思いますけれども、一わたり総洗いをやってみようか、今年度においてやってみるということにいたしておるようなやさきでございます。多少おくれてはおりますけれども、まず県の調査が行なわれて、その県の調査が環境庁の指定する基準に基づいて行なわれたかどうか、それによって今度は環境庁がさらに新しい指図をして調査をいたすわけでございます。その上で健康被害等があればこれに対する措置をする、こういうような段どりをとっておるわけでございます。おくれてまことにあと追いばかりやっておるという非難は、そういう非難をされるということになればこれまたそれ相当の御判断があると思うのであります。われわれはこの上ともこういう点については府県を督励いたしまして、ともどもに早期発見、早期措置をいたしたい、こう考えておるやさきでございます。
○古寺委員 佐賀関に対してはどういたしますか。
○小澤(太)政府委員 ただいま局長からお答え申し上げましたあのとおりにやろうと思っております。
○古寺委員 そこで通産省にお尋ねしたいのですが、現在佐賀関は第二期の拡張工事を進めておるようでございます。こういうふうに公害の範囲が非常に広い、深い工場に対して第二次拡張計画というものを許可したその経過、内容についてまず御説明願います。
○久良知政府委員 現在佐賀関製錬所で進めております増強計画についてのお尋ねでございます。 増強計画のおもな内容といたしましては、現在銅量にいたしまして月産一万トンの自溶炉一基で操業いたしておるわけでございますが、一応計画としては四十八年の五月を目標にいたしまして、もう一基増設をいたしまして、月産二万トンの規模にしたいというのが中心でございます。これに伴いましてスクラップ等の処理のための処理炉を新しくするとか、硫酸工場について四系列のものを五系列にいたしまして、現状月産四万五千トンの能力を六万五千トンにするというふうな付属の施設の増強が行なわれます。そのほか転炉、精製炉、それから、からみの選鉱所、電解工場というふうなものについてもそれぞれ若干の増設が行なわれるわけでございます。 この計画の手続関係でございますが、四十六年の十一月二十五日に施業案の認可をいたしました施設につきましては、これは保安法の八条関係になるわけでございますが、四十六年の十二月二十日に認可をいたしております。 工事につきましては、四十六年の十二月二十四日に着工式をあげておるわけでございまして、完成は大体着手後十八カ月ということで、四十八年の五月末に完成をする予定で、現在ではおもに、まだ主体工事といたしまして古い施設の解体工事をやっておるようでございます。 それから保安上の問題でございますが、私ども、やはり増設に伴いましていろいろ大気それから水関係の排出がどうなるかということにつきまして、重大な関心を持っておるわけでございまして、現状におきまして、先ほど構内の砒素の環境について若干の問題があるという報告もあったわけでございますが、排出につきましては鉱煙、排水とも、現在私どもの監督しておる範囲内ではみな基準の中におさまっておるわけでございます。この製錬所、かなり大型になることも予想いたしまして、現在の一般の基準値と申しますか、これは鉱山保安法できめておるわけでございますが、これにも、他と同様に上のせをして基準を強化する道が開かれておりますので、佐賀関につきましては、たとえばカドミウムにつきましては、一般には〇・一という排出基準でございます、これを〇・〇一。 〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 それから鉛は一PPMでございますが、これを〇・五PPM。銅は普通の基準が三PPMでありますが、これを一PPMに強化をする。そういうふうに、浮遊物質、それからCOD等につきましても上のせをいたしまして、強化をした基準で今後検討を続けていきたい、そういうふうに考えております。
○古寺委員 現在、この佐賀関製錬所へ行きますと、昔の鉱滓あるいはからみ、こういうものがそのまま放置されております。雨が降ると当然これは海にも流出するし、あるいは天気のいい場合には、風が吹けばこれが飛んでも行くでしょう。こういうようなものを放置しておきながら、なぜ第二次拡張工事というものを認可したのか、その点について承りたいと思います。
○久良知政府委員 先生御指摘のように、佐賀関製錬所は非常に古い製錬所でもございます。過去にできました製錬からみを構内の緩傾斜の個所に相当量堆積をいたしております。四十五年の八月の台風のときにもその一部が海中に流出をいたしたわけでございますが、その後扞止堤の改修を行なっておりまして、四十五年に起こりました災害を繰り返さないように、私どもといたしましても増設の工事をさしたわけでございます。特に四十六年度、今年度でございますが、やはりこのからみの堆積というものについては長い年月を見通しますと問題があるというふうに考えておりますので、これは覆土をいたしまして上に植裁をするように指示をいたしました。今年度から始めたわけでございますが、四十七年度一ぱいにこれを完成するようにさせたいと思っております。
○古寺委員 いままでたとえば佐賀関の港の場合は相当の重金属、砒素がもう蓄積されているわけでございますが、こういう、いままで沈でんして、もうどうしようもない港については、通産省はどういう対策をお考えですか。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
○久良知政府委員 港湾につきましては、直接所管外でございますので、持ち合わせてないわけでございますが、私どもといたしましては、今後さらに製錬所から排出する重金属によって汚染を増加することがないように厳重に監督してまいりたいと存じております。
○古寺委員 そうしますと、いままでさんざんよごしておいて、それを放置したままでまた拡張して、倍の生産量になるわけです。当然その公害の量もふえます。そういうことをなぜ考えて、許可をするなり認可をするようにしないわけでございますか。
○久良知政府委員 港湾内にすでに堆積しております泥土といいますか、中の問題については、これは所管外になるわけでございますが、先生御指摘のような事情がありますので、特に基準というものを十分の一ないし三分の一程度にまできびしくいたしまして、将来に備えるわけでございます。
○古寺委員 何べんも同じことを繰り返すようですが、いままでの汚染された状態に今度は規制をして、その汚染をあまりこれ以上進行しないようにするというんですか。それともいままで汚染された環境については、これをもとに復元をして、そしてきれいな水を流す、きれいな煙を出す、こういうふうに考えているんですか、どちらなんですか。
○久良知政府委員 汚染をされております港内の泥土の状況等も踏まえまして、環境基準としてきめられておるいろいろな数値に対しまして余裕を持たせるよう今後の排出の規制をしていく、そういうふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 そうなれば、今後の規制はゼロでなければいけない。これ以上汚染を進めないためにはゼロでなければいけない。そのゼロでなければいけない工場に対して倍の拡張を許可する、これではあなた方が規制を幾らきびしくしても、汚染の進行というものはとめることはできないわけです。今後規制をゼロにしますか。
○久良知政府委員 佐賀関周辺についてもやはり汚染はされておりますけれども、環境容量というものがあるわけでございまして、環境基準というものがきめられておるわけでございますので、その環境基準をオーバーしないように排出のほうを規制をしていくということでございます。
○古寺委員 もう現在すでに環境基準をオーバーしているわけでございます。数字は時間がないので全部申し上げませんけれども、どの地点をとってみても全部汚染をされて、環境基準を越えている。基準を越えないようにというんですけれども、もう現実に現在越えているわけです。それをどうやって防止するわけですか。
○久良知政府委員 現在環境基準を越えておるか、越えてないかということにつきましても見解が違うのがいまの先生との意見が食い違う原因ではないかと思いますが、環境基準のいろいろな数値につきましては、後ほど具体的にお伺いをいたしまして、私どもといたしましても検討さしていただきたいと存じます。
○古寺委員 そういうふうな現実の環境調査もやらないで、そうして一方的に拡張工事を進めた場合には、犠牲になるのは住民であり、破壊されるのは環境です。そういうような企業優先の許可、認可のしかたでは、どこまでいったって公害の防止はできないと思うのです。こういう点についてはやはり環境庁も責任があると思いますので、十分にこれをチェックして、今後これ以上環境を汚染しないように、やはり通産省とも連携をとって、拡張工事を一時見合わせるとか、あるいはこの環境に対してはどういうふうに取り組んでいくか、そういうことを検討しなきゃならぬと思いますが、環境庁の御意見を承りたいと思います。 現在、環境が基準を上回るくらい汚染されている場合、その場合にいかに排出規制をきびしくしましても、だんだんその汚染が進行するわけです。こういう場合には、やはり拡張工事というものは相当調査もし、検討もして進めませんと、たいへんなことになるわけです。そういう場合は、やはり環境庁としても住民の健康を守り、自然環境を守るためにも、当然通産省に対していろいろなことを申し入れもし、調整もしなきゃならぬ、こう思うわけなんですが、この点についてどうでしょう。
○小澤(太)政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
○古寺委員 ところが、何もやっていないわけですね。そこで時間でございますので、公害紛争の処理制度が今度できるわけでございますが、その中でいわゆる因果関係を究明することが必要になってくるわけでございます。そういうようないわゆる因果関係を究明できるだけの調査体制、こういうものについて十分に考えているのかどうか、まずそこから承りたいと思います。
○小澤(文)政府委員 因果関係につきましては、それぞれ専門的な知識を必要とする場合が多かろうと思いますが、それにつきましてはおそらく委員の方々も、各方面の学識経験の豊かな方が任命されることになりましょうし、それからさらに専門委員が三十人まで任命されることになります。それでございますから、それぞれの事案に応じて、最もその専門分野についてのすぐれた方々の御協力を得て因果関係の解明をすることになろう、そういうふうに思います。
○古寺委員 予算は幾らでございますか。
○川村政府委員 一応職権によりまして証拠調べないしは事実の調査を行なうために、これは原因裁定だけとは限っておりません。公害等調整委員会で行ないます調停あるいは仲裁あるいは責任裁定あるいは原因裁定、全部で一応二千三十万用意をしてございます。
○古寺委員 その中で、原因裁定をする場合のいわゆる調査の予算というのは幾らなんですか。
○川村政府委員 原因裁定、責任裁定というのは、今後制度ができまして、それが具体的に持ち込まれる件数によりますので、その範囲内においていわばこれに幾ら振り向けるというかっこうになるわけでございまして、初めから原因裁定が幾らというふうには入っておりません。
○古寺委員 そうしますと、かりに原因裁定あるいは責任裁定にしましても、年間二十件を予想して一応スタッフなりあるいは予算なり計上している、こうおっしゃっている。そうしますと、まるまる全部使ったって二十件といいますと、一カ所百万円ですよ。百万円でもって原因裁定あるいは責任裁定をして、被害者を迅速かつ適正に救済するということができると確信しておりますか。
○川村政府委員 予算の点はいま申し上げたとおりでございますが、実際問題として事実の調査を行なう場合には、先ほど申し上げた専門委員ないしは事務局の職員が直接出向く場合もございますし、さらに現行法では四十三条にございますが、関係機関の協力等を要請できるかっこうになっておりますので、その辺の資料はそちらからちょうだいすることになります。
○古寺委員 そうしますと、佐賀関のような場合、土壌の調査もしなければいけない、あるいは海底のどろの調査もしなければいけない、海水の分析もやらなければいけない、こういうようなことはどこへお頼みになるのですか。
○川村政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、一応まず原因裁定の場合に、おそらく両方の当事者がある意味で説明をいたしましょうから、その中で当事者等からとれる資料がまずあろうと思います。それをまずお出しいただきます。それ以外に、私どもが直接調査をする費用以外に、かりに関係行政機関の場合には、これは協力という形でお出しをいただきますので、おおむねその場合には、経費につきましてはあまりかからないだろうと思います。それでもなお委員会として心証を得るために調査を必要とする場合には、それぞれその専門家、これはあるいは学者のグループのこともありましょうし、しかるべき民間団体という場合もありましょうし、それぞれの処理能力を見て、私どもはお願いをするかっこうになろうと思います。
○田中委員長 古寺君に申し上げます。すでに申し合わせの時間が過ぎておりますので、結論を急いでください。
○古寺委員 こういうふうに予算も少ない、また現実にイカが何万も死んでいる、あるいはミカンが何千万も被害を受けている。そういう事実があってすら、そういうものの原因の究明というのができないわけです。いかに専門家を三十人任命したところで、はたしてこの制度でもって裁判にかかる費用もない、また公害を受けながら泣き寝入りをしているそういう被害者が救済できるかどうか非常に疑問があると思う。そういう点について、政務次官から、あるいは委員長から、はたしてこの制度が、ほんとうに泣き寝入りをして困っている、犠牲になっている、いままで踏みにじられてきたそういう公害の被害者を救済できるという確信をお持ちかどうか、承って質問を終わりたいと思います。
○砂田政府委員 ただいま古寺先生から御心配をいただきました予算のことでございますが、裁定に関する調査の予算はこれが半年分でございます。裁定については、法案が成立して当委員会が改組されてから三カ月準備をしてスタートいたしましたが、現実の問題としては半年分でございます。ただ、おっしゃるように、調査に必要な費用というものはどれだけかかるか、初めからきめてかかるわけにはまいりません。さらに提出をされるであろうと予測される件数というものも、おととい御説明をいたしましたようなことで、推定二十件と申しておるわけでありますので、初年度の予算としてはただいま事務局長がお答えいたしました金で出発をいたしますけれども、少なくとも、この委員会を改組して三条機関にして裁定制度を導入するという目的が、被害者救済、これを迅速にやろうということを目的にしておるわけでございますから、年次途中で金がなくて調査ができない、そのために被害者救済ができないというような事態だけには絶対にさせない。何とかやりくりをいたしましても、被害者救済の目的のためにはさような決定で、当委員会の裁定制度の導入と取り組んでおりますことをお答えしておきたいと思います。
○古寺委員 何の罪もない、悪いことも何もしない人が砒素やあるいはカドミウムや、いろいろこういう公害によって肺ガンになって死んでいったり、農作物に被害を受けたり、漁業被害を受けておるわけです。こういう被害者を救済するためにはもっと住民の立場に立った、被害者の立場に立った真剣な対策というものが政府には必要じゃないか、私はこういうふうに痛感いたしますので、環境庁においても、この点については今後もっともっと積極的に、真剣に住民の立場に立ってしっかりやっていただきたい、こういうふうに御要望申し上げます。
○小澤(太)政府委員 おっしゃるとおり、私どもはそういう被害者の立場、また被害を受けるべき立場にある人々のその立場に立って行政を進めてまいっておりますし、また将来もそのつもりでございます。 ただ、ここで申し上げたいことは、私どもがそういう真剣に施策に取り組む以上は、やはり厳密な調査を待って的確な判断と処置をいたしたい、こう思いますので、先生方にはやや御不満があるかとも思いますけれども、慎重な調査を先行させるというそのわれわれの行き方に対しては御理解いただきたい、こう思う次第でございます。
○田中委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会