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68回国会衆議院1972/04/04

公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号

発言数
292
登壇者
17
会派数
4
開催日
1972/04/04

会議録

田中武夫日本社会党

○田中委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  最高裁判所長官の指定した代理者、最高裁判所事務総局総務局長長井澄君及び同民事局長西村宏一君から、公害等調整委員会設置法案について、本日本委員会に出席説明の要求があります。これを承認するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中武夫日本社会党

○田中委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

田中武夫日本社会党

○田中委員長 内閣提出の、公害等調整委員会設置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 先回の当委員会で公害等調整委員会設置法案について質疑をいたしましたが、あと残りの分がございますので、お聞きしたいと思います。  四十二条の八項で「共同の利益を有する当事者が著しく多数であり、かつ、代表当事者を選定することが適当であると認められるときは、裁定委員会は、当該共同の利益を有する当事者に対し、相当の期間を定めて、代表当事者の選定を命ずることができる。」というようになっておりますけれども、具体的にはこれはどういうようにするのか、この点について答弁をいただきたいと思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 四十二条の八項でございますが、ここに書いてありますように、当事者が非常に多数であり、これが各別にばらばらにいろいろな主張をし、ばらばらに証拠を出すということではかえって総体としては不利益になるというような場合がございますので、その場合には代表当事者を選定してくるようにと命ずるわけでございます。しかし、それにつきましては、すぐというわけにはまいりませんので、おそらくそういう命令があっても相互の間でそれぞれ十分に相談をする、そういう時間が必要だろうと思いますので、それに応じて必ず相当の期間を定めて、そしてその期間内に出すように、そういうふうにして命ずることになると思います。手続としてはそういうことになるのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 その場合、これが逆に今度は複数原因者の場合だれを代表当事者にするかということが非常に無理が起こるのではないかという考えもあるわけです。たとえば複数原因者は大企業と中小企業、こういう場合どうしても、四日市なら四日市でずっと工場を見ましても大企業が代表当事者になってしまう、こういうことになれば、結局取りきめというものが今度は中小企業の人たちに非常に不利益になるのではないかというようなことも考えられるわけですが、この点についてひとつ……。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 まことに御指摘のとおりの事態が起こるものと思われます。現に、これは裁定ではございませんが、調停でございますけれども、現在私どものところに係属しております調停事件で、加害者とされている側、企業者側ですが、これに七十何社というのを相手方として申請したのがございまして、その七十何社の中には取引所に上場されているような大会社もございますし、それから実際呼んでみますと、家族だけでやっているほんとうに小さな工場もあるわけでございます。そして地域も、その被害の発生した場所に比較的近い場所と、それからやや離れている場所、そういうのがございまして、その間に企業側自体が利害がなかなか一致しないというような例がございます。これはいま申しましたように調停ではございますけれども、調停の場合でもやはり七十何人というのが一緒に出て、てんでんばらばらのことを言っては整理がつきませんし、主張できることも主張できない、目的を達しないというようなこともございましょうから、何とかしてこれをまとめるようにいろいろすすめたわけでございますが、結局そういう場合には大部分の企業は一番大きな会社その他を代表者に選ぶ、しかし、一部の小さな規模のものはどうしてもそれを選ぶことを承知しないというような事態がございまして、こちらもいろいろ事情を聞きますとそれはもっともなことで、そういう場合にその一群の、しかもある地域にかたまっている小さな業者については別に扱ったほうがいいんじゃないかと思われた例がございまして、その事件では、もうそれ以上大会社を全体の代表にするというようなことをすすめるということはしませんで、あなた方はあなた方でもしそれだけの代表者を選ぶことができるなら、そうしてきていただきたい、もしそれができないなら、別にこちらでそれに即するような手続を進めるからということで調停を進行している例もございます。  第四十二条の八の場合にも、その多数の当事者全部について共通のただ一人の代表者を選ぶということには、必ずしも運用上ならないと思います。やはりその事案に即して、もともと当事者の利益のためでございますから、その当事者の一群——もしそれが一群となれば一人でいいかもしれませんが、利害の交錯する数群に分かれるということになれば、それぞれに応じた最も適当な者を選ばせるようにやってもらう、そういうことになると思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 ここで念を押しておきたいことは、代表当事者というのは一名だけではなくして何名かの複数もあり得る、こういうことなんですね。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 そのとおりでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 次に、四十二条の十二の二項の中に、「被害の程度が軽微であり、かつ、その範囲が限られている等の被害の態様及び規模、紛争の実情その他一切の事情を考慮して責任裁定をすることが相当でないと認めるときは、申請を受理しないととができる。」、この「被害の程度が軽微」というようなところがありますけれども、これは結局この調整委員会の恣意に流れてしまうのではないか。その点について私申し上げたいことは、この不受理という分は、これは受理する、そして地方の審査会でできるならばそっちへ回す、やはり受理するという姿勢がなければならない。  私の調べたところによりますと、四十五年にこの地方公害委員会ができて、まだ三件ですか、今度一件追加されて四件だ。それでもまだ全部できていない。こういうことでいきますと、不受理、不受理で、この仕事がなくなるということはありませんでしょうが、将来、ちょうど土地調と同じような、二十年たって何件もできなかったということになれば、この法案の目的と違うと思うのです。裁判では非常におそくなるので、なるべく迅速にやろうというのが当委員会の目的であろうと思うのですよ。  そうすると、仕事をやる、やらぬは自分のほうの委員会できめるわけですね。これは不受理だ、不受理だ、こういったことになりますと、住民側から見れば、国民側から見れば、自分の裁量で受理したり不受理にしたということになれば非常に問題があろう、こういうようにも考えられるのですが、この点についての見解をひとつお聞きしたい。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これは中央公害審査委員会で出てくるのを軽微だからといってすぐにはねてしまう、不受理にするというような運びは考えられないのでございまして、もちろん軽微な事件でございましても、それが社会的、公共的に非常に意味を持つ事件というのは当然考えられるわけでございます。  訴訟で申しますと、古い例ではございますが、一厘事件なんというのがございまして、非常に金額はわずか、事案そのものとしては軽微であっても、それが全国民に大きな影響、関心を持たれるといったような場合には、これはもちろん取り上げて処理しなければならないのでございますけれども、しかし、もともとこの裁量による不受理の制度を設けましたのは、この制度を設けました趣旨から申しまして、この委員会そのものの運営が全国民の血税の上に成り立っているわけでございますから、これはやはり全国民の負担になりますので、この委員会で扱うのにふさわしくないような事案、それからまた場合によっては、裁定手続を行なうことがかえって被害者救済にならないような事案もあるかと思いますので、そういう事件を例外的に裁定手続からはずしたのでございまして、決して委員会が、自分の都合で事件を不受理にする、めんどうだから不受理にするとか、忙しいから不受理にするとかいうことは考えられないことでございます。  軽微な事件と申しましても、軽微であるということが当然に不受理の理由になるわけじゃございませんので、そのほかのいろいろな一切の事情を考慮して、それをきめることになります。たとえば離島とか僻地で家畜小屋などから悪臭、騒音が起きる、そのために隣の人が非常に迷惑をする、そういったような場合がございましょうが、これも形式上からいえば公害といえましょうが、しかし、その被害発生の範囲が非常に狭い、そして特に社会的な影響もそれほど大きくはないといったような事案がありましたときに、その僻地に中央の委員会から委員そのほかの職員が何べんも出張旅費をもらって出張するとか、あるいは当事者を東京に呼び出すとかして、それぞれの負担をかけるということは、これは請求額等とどうしても調和がとれない。費用倒れになって社会的にも損失だという場合が必ずあると思われます。このような事案につきましては、本来、簡易迅速に解決しなければならないという制度の趣旨からいっても不適当と思われるので、そういうのは裁量で不受理にしよう、そういうことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それでは、公害紛争処理法の施行令の第三条の一項二号に、「大気の汚染又は水質の汚濁による動植物に係る被害に関する紛争であつて、」その「被害の総害が一億円以上であるもの」、こういうようになっておりますが、一億円以下でもこの裁定委員会にかけることができるのかどうか、この点だけもう一ぺんひとつお伺いしておきたい。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 一億円以下でございましても、たとえば一千万円以下でも、あるいは極端な例を申しますと、たとえ百円の事件でも、それが社会的、公益的な見地から必要な場合には、もちろん裁定として受理することになるものと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、「動植物に係る被害」ですから、これは人体被害じゃないのですが、これが「被害の総額が一億円以上であるもの」、こういうように、いままでの紛争処理法の施行令に出ているわけですが、では、この施行令は変えるわけですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 この施行令の三条二号は調停の場合でございまして、調停では現在こういうふうになっておりますし、これは今後も変えることにはなりません。ただ、これは裁定には適用がありませんので、裁定についてこういう基準を設けるという考えはいま持っておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、当委員会は裁定だけじゃなくして、調停も仲裁もいままでどおりやるわけでしょう。裁定するときにはこの施行令のことにとらわれることなくやれる、こういうことになるわけでございますね。では理解いたしました。  そこで、次にやはりこの政令の二百五十三号の施行令の中に、「人の健康に係る被害に関する紛争であって、大気の汚染又は水質の汚濁による慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎若しくは肺気しゆ」これは大気汚染のほうで、次に水質汚濁のほうが「水俣病若しくはイタイイタイ病に起因して、人が死亡し、又は日常生活に介護を要する程度の身体上の障害が人に生じた場合における公害に係るもの」となっている。そこで、水俣病あるいはイタイイタイ病、こういうが、水俣病というのは地名ですね。水俣にいたら全部かかっておるのじゃない。水俣病というのは何かの原因で水俣病になる。それからイタイイタイ病も、これは痛い痛いと言ったから通称イタイイタイ病といっているわけだ。神経痛で痛い痛いと言ってもイタイイタイ病とはいわないわけですね。これはやはり何かの原因があってイタイイタイ病になっているわけですからね、これは通称でありますから。水俣市の人たちが言っておるのは、水俣病という名前を変えてくれというのです。いかにも水俣市住むと水俣病になるような感じがする。そういうことからしますと、大気汚染の場合は、四日市ぜんそくとか、あるいはまた横浜ぜんそくとかいうのがあるのですけれども、これは「慢性気管支炎、ぜん息性気管支炎、」こういうふうになっておるのです。ところが、この水質汚濁のほうだけはどうも病気というものがはっきりしません。水俣病というから「水俣病」と書いてあるのかもわかりませんけれども、これは非常に科学的に矛盾しておるのではないか、こういうように考えられるのです。  そこでちょっとお聞きしたいのですが、水俣病は何の原因によって水俣病になったのか、その辺のところをちゃんと御存じの上で、あるいはまたどういう見解の上で、こういう人たちが死亡しまたは身体に障害が生じた場合の紛争といいますか、裁定をするのか、これをひとつ聞きたい。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 私の伺っているところでは、水俣病というのは有機水銀中毒による神経症というふうに聞いております。イタイイタイ病のほうはカドミウム中毒による骨のカルシウム欠損病患というふうに伺っておりますが、私はそちらのほうの専門家ではございませんから、あるいは不正確であるかもしれません。もし不正確でしたらお許し願いたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 総理府の副長官、いま小澤委員長が、これは裁定のほうの、また調停の中央公害審査委員会の委員長で、全責任を持って処理をしていらっしゃった方、あるいは今後もしなければならぬかもわからない、その方が迷うような、迷うと言ったらおかしいけれども、原因はわかりません、専門でない、こう言うような施行令の書き方では、私はどうもぐあいが悪いのではないか、こういうふうに思うのですが、ひとつその点についてお聞きしたいのです。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 水俣病につきましては、中央公害審査委員会に調停が出て、受理をされて、ただいまそれの審問中でございます。したがいまして、その結果が出ないと小澤委員長としても明確なお答えがこの席では申し上げかねるのではないかと思いますけれども、いま岡本委員のおっしゃいました、イタイイタイ病という名前、水俣病という名前、その名前がどうも適切ではない、現地の人たちは非常に迷惑に思っている、それをどう思うかという御質問には、ちょっと私どもの所管事項としてはお答えがしにくい問題でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 この政令二百五十三号は総理府令じゃないのですか、そうですね。その総理府が省令を出すのに、自分の省でわかりにくいというようなものを出されると、これはほかでは全然わからない。しかも、水質汚濁だけはこういった表現を使っておる。大気汚染はそうではない。どうもその点についても非科学的な感じがするし、また調停あるいは裁定なさる公害審査委員会のほうでこれははたして水俣病なのか、これははたしてイタイイタイ病なのか、こういうふうなことまで全部もう一ぺんそっちのほうの調べまでする、それに対しては何といいますか、何の調査機関もないわけです。こういったあやふやな表現でなくして、この施行令はきちっと大気汚染と同じような症状というものをあらわさなければならないのじゃないかと私思いますが、その点について……。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先発をいたしております法律の中に使われている病名、それから引用して政令をきめておるようでございますから、事務局長から御答弁申し上げます。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま岡本先生の御質問は、政令の二百五十三号の問題でございまして、これは総理府令じゃございませんで政令でございます。それでこの中でたまたま水俣病、イタイイタイ病ということを引用しているのは、いわば根拠がどういうわけなんだという御質問だろうと思います。それで特にその政令をきめる際に引用をいたしました根拠といたしましては、別に公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法というのがございまして、そこの第二条で地域を指定しまして、そこの指定地域において「相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じたため、その影響による疾病が多発している地域」をまず政令で定めまして、その政令に応じてあわせて疾病を定めております。これも政令でございます。そこに水俣病、イタイイタイ病というのが出てまいりまして、それを引用したまででございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それを引用するについては、これは公害紛争処理法というのはあなたのほうの所管だ。それを引用するについてはもっとやっぱり科学的に、現在だったらこの中央公害審査委員会がはっきりと科学的に調査のできるような名前にしなければならぬじゃないか。その点についてもう一ぺん——これはどうしても変えなければだめですよ。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 お答え申し上げます。  その点は先ほどの政令二百五十三号は、いわば調停を進めていくための取りきめをいたしました政令でございまして、そこにたまたま引用いたしましたが、根拠は先ほど申し上げた法律に基づく政令による。これは私どもの所管でございませんで、先生のおっしゃっている点につきましては、まことにごもっともの指摘であろうかと存じますが、それぞれその点の名称を変更する問題については、直接的に私どもの所管でございませんで、むしろこれは環境庁等でお取り上げをいただき、あるいは検討される事項じゃなかろうかというふうに考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 環境庁来てますか。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 きょうは環境庁は呼んでいないのですが……。

岡本富夫公明党

○岡本委員 これは次のときにやりましょう。それから次は……。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 次に入るんですか、問題を変えて。

岡本富夫公明党

○岡本委員 いや、いまの問題でさらに伺いたいのですが、これには水質汚濁の面は水俣病もしくはイタイイタイ病に基因しただけになっております。たとえば今度渡良瀬川あるいは銅による汚染あるいはまたいま盛んにやかましくいわれておるPCBですか、こういうのはこの政令からいえば取り扱うことができないのではないかというようにも考えられるわけですが、そういうのはどういうように考えて処理されていますか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまたまたま渡良瀬川の御質問がございましたが、これは具体的に昨日の定例委員会でこれを受理いたしました。その中身といたしましては、いわば鉱毒によりまして用水が汚染されたりあるいは農地が荒廃して農作物に被害を生じたということでございまして、いま先生のおっしゃっている点は、いわば健康被害にかかるところを言っておられるわけであると思いますが、その二項の農作物被害のほうの部でございますので、私どものほうでそれを取り上げて進めることにいたしたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それはわかっているんですけれども、それはいま取り上げているのは農作物の被害である。かりに健康被害の人がいる。この場合はこの紛争処理の委員会には要するに、まだ中央公害審査委員会ですか、ここでは取り上げることができないのか。要するに水俣病とイタイイタイ病だけしか取り上げないのか、この点をひとつお答え願いたい。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまの御質問はかりに、これはほんとうにかりの問題でございますが、おそらく鉱毒によって健康被害を生じたらどうなるかという御質問であろうかと思いますが、これにつきましては、やはり健康に被害を生じた場合には、その政令自体が地方の公害審査会というものと中央公害審査委員会との管轄を分けるところの問題でございまして、当然私どもで取り上げることになろうと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすれば、そういうことがこの政令に書いてないから、この政令だけ見ますと、どうしても水質汚濁は水俣病とイタイイタイ病だけと限定されたように書いてあるわけですね。他の鉱毒によっての健康被害はどの項にそういうことが書かれておるのか伺いたい。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 先生の御質問はいま具体的に例示がされてないという意味でおっしゃっていると思いますが、そこで先ほどかりにと申し上げたわけでございまして、これもかりの話でございますが、いまかりに銅イオンによって健康被害を生じたという場合があったならば、それはいわば例示としてつけ加えて読むということになろうと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 例示であればその他とかいろいろなことが入っているのが普通なんですが、例示を入れてよいというような項目がここにない。それはあなたの言っているのは法の運営を適当に解釈してやっていこうというのか、それとも施行令どおりやっていくというのか、その点をひとつ。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 政令を改正してやるという意味でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それならわかりました。これから裁定制度ができあるいはまた今後たくさんのいろいろな新しい事案が出てこようと思うのです。そのためにいままでの公害紛争処理法の施行令がここでネックになって受け付けられないということになっては、私はこれは何にもならないと思うのです。やはりいま答弁があったように、政令の改正というものがそのつどそのつど必要になってくるのではないかということで、これは政令を改正してやっていくというのであるから、これは了解しておきます。  次に、もう一つ。施行令の第四条のところに、「航空機の航行に伴う騒音に係る紛争」これは軍用機、要するに自衛隊機あるいはまた米軍機、こういうものもちゃんと含むのかどうか。これもちょっと念を押しておきます。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまの先生の御質問のところでございます。これは先ほども申し上げましたが、そもそも二十四条がどういうふうに解釈されるかというところのくだりでございまして、本来中央委員会で処理する事案と地方の公害審査会で取り上げる事案とを振り分けたところの規定になるわけでございます。そこで先ほどのところの点に触れまして、健康被害はまず中央委員会でやりますよ。それから、環境被害のようなもので一億円以上のものは中央でやりますよ。それからそれ以下のものは地方になります。それに続いて航空機等いわば広い範囲にわたって、かりに県の公害審査会にまかすことが適当でないような、いわば航空機の深更の騒音というようなものは私どものほうで所管をいたしますよという意味での規定でございました。そこにおける航空機の中には、軍用機は含まれておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると、軍用機が含まれていない、それではなぜ軍用機を抜いているんですか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 具体的に公害紛争処理法の五十条におきまして、「防衛施設周辺の整備等に関する法律第二条第二項に規定する防衛施設に係る公害対策基本法第二十一条第一項に規定する事項に関しては、別に法律で定めるところによる。」この規定によりまして入っておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこでもとへ戻りますけれども、水俣病というのはおそらく、名前も環境庁に聞かぬとわかりませんが、将来有機水銀に基因する病気あるいはまたイタイイタイ病はカドミ中毒、そういうものによってということになると思うのですが、ここに出ていないもの、それからもう一つは「大気の汚染又は水質の汚濁による動植物に係る」これは一億円以上となっております。それ以下のものは地方の審査会でこれをやればいいんだということでありますが、地方の審査会には裁定制度がないわけです。ということになりますと、結局裁定制度がなければいままでどおり同じことではないかということに考えられるわけですが、この間、山中長官は地方で裁定をさせるとばらばらになるから、こういうような話がありましたね。ばらばらな裁定といいますと、どういうようにばらばらになるのか、それはケース・バイケースで、私はおそらく中央審査委員会、今度の調整委員会でも、いろいろケースによってばらばらな裁定がされるのではないかと思う。決して原因は同じでなく、また地域によっていろいろ違うあるいはその事案によって違う。したがってやはりばらばらな答えが出てくると思うのです。決して統一、一貫されたものではない。地方においてもやはり同じではないかと私は思うのです。したがって、地方の審査会にも裁定制度を導入したらどうなのか。これを裁定させるようにしたらどうなのか。これについてもう一ぺん、これは副長官のほうからお願いします。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 岡本委員も御承知のように、地方の公害等を処理をいたします審査会、審議会等は、公害紛争そのものがきわめて地域的な特性が強いわけでございますから、したがって各都道府県によって審査会方式を採用するかあるいは候補者名簿方式を採用するかということも、それぞれの都道府県の判断にまかしているのがただいまの地方の委員会の制度でございます。これは岡本委員も御承知のとおりでございます。そこで、各都道府県にございます審査会なら審査会も逐次充実はされてまいっておりますものの、裁定ということを考えますと、準司法的な仕事でありますから、それだけの専門家と申しますか、技術的な高度の知識を有している委員といいますか、そういうもの、あるいは今回の法案で御審議をいただいております専門委員の制度、こういうもので委員会そのものを非常に高度に充実させたものでなければ、ばらつきが出るおそれがあるということを前回総務長官はお答えをしたわけでございます。地方の審査会が決して力がないというわけではなくて、非常に充実された仕事をしてきていただいておりますけれども、準司法的な仕事となります裁定をいますぐ地方の審査会にまかせることは、当面ただいまのところは考えていない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、一つの理由としては、地方の審査会が体質が薄弱である。だからなかなかそういうことをさせることができない。もう一つは、地域的な特性がある。その地域的な特性については、いままでの公害紛争処理の法律を見ましても地域指定しておるのですから、地域的な特性なんです。ほんとうは地域指定なんか必要ないですけれども、いまのところは地域指定。その地域は、たとえば富山県の神通川のイタイイタイ病あるいは水俣の水銀中毒ですか、これも地域の特性なんです。ですから中央でやるのも地方でやるのも地域の特性は変わらない。もう一つは地方があまりしっかりしていないということでありますけれども、たとえば東京あるいは大阪、こういうようなところは、調べてみますと非常にしっかりした審査会ができるのではないか。むしろ国よりもしっかりしたことができる、変なことばですけれども。そうすると、一つの基準にしましても、東京都は環境庁あたりでやっているよりも強いものできちんと取り締まっていく。私はあまり地方をばかにする必要もないと思うのです。一律にはいかないところもありますよ。私ずっと回りまして、そういったしっかりしたところに対しては裁定制度を導入していく、将来そういうように考えなければならぬのではないかと思うのですが、その点についていかがですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 どうも私の先ほどの答弁がまずかったようで、少し間違ってとられているような感じがいたします。私が地域的な特性と申しましたのは、地方の審査会を審査会方式でいくか名簿方式でいくか、それを地方の判断におまかせしてある、その理由として地域的な特性を申し上げたわけであります。  それから、地方の審査会の体制が、たしかいま岡本委員、薄弱だというふうにおっしゃったと思いますが、私はそうは申し上げない。地方の審査会の充実ぶりというものは特筆していいほどであろうと思いますけれども、裁定という準司法的な仕事をする体制までは、残念ながらまだ画一的には充実されていない、そういう意味を申し上げたわけでございます。したがって、いま一番最後のところで岡本委員が言われました将来の問題としては、これはまた別の角度から考えなければならないと思いますが、当面、私どもといたしましては、地方の審査会に準司法的な仕事としての裁定をすぐに持ち込む、そういう考えはございませんということを申し上げたわけであります。

岡本富夫公明党

○岡本委員 やはりこの問題につきましては、私は、そこまで地方に権限を持たしていくというぐらいすれば、審査会はもっときちっとしていくと思うのですよ。地方の審査会の人たちの名簿を見ましてもきちっとしないということは、やはりそれだけの責任とあるいはまたそれだけの権限を与えないところに、まあいいかげんになっておる一 いいかげんになっているとは申しませんけれども、名前が入れかわっております。去年きめたのがこれはもう入れかわって、まだはっきり中央でそれを握ってない。そういう名簿がはっきり出てこないというところを見ましても、やはりいかに現在住民サイドに立って、そしてせっかく紛争処理もできる、また今度裁定を入れようというときにあたりまして法律はつくった。これは法律ができたら、いろんな機構ができる。しかし、それが全然動かない。こんなものがたくさんできたって、これは費用がかかるだけですよ。それで、いままでのわが国の政治のあり方を見てみますと、中小企業でもものすごく法律がある。それが全部動かないですね。そういうことを考えると、やはり一つ一つそういった面にメスを入れて、そしてがっちりしたものができていかなければ、ほんとうにこの公害紛争あるいはまた公害というものはなくならない。公害をなくさなければ将来この狭い国土でどないになるかということを考えますと、やはり相当一つ一つの法律に対しても力を入れて、確実にそれが実行できるような改正なりあるいはまたそういう状態にしておかなければ、私は結局何にもならないじゃないかということを考えるわけでございますので、その点についてはもう一度各都道府県の審査会もよく検討をして、そして裁定制度が導入できるようにやはり育成すべきではないか、それでなければ何にもならないと私は思うのですが、そういう姿勢についてひとつ承っておきたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 私どもも地方の公害に関します審査会が充実されていきますことを希望し、期待をしているわけでございます。ただいま申し上げましたように、当面地方審査会等の機構その他についてこれをいじくる気持ちは持っておりませんけれども、公害紛争にタッチをいたします特に地方公共団体のそういう職員というものが、地域社会住民と密接に結びついているわけでありますから、そういう職員の研修等につきましても予算の配慮をいたしますとともに、懸命につとめていきたい、かように考えているところでございます。  ただいま御審議をいただいております公害等調整委員会が、岡本先生がおっしゃいましたようなかっちりしたものに新しい発足をいたしまして、新しく裁定という問題とも取り組んでいく、これがわれわれが意図しておりますような公害紛争の迅速な解決に役立っていくということになってまいりましたならば、やはり地方の審査会もまたその刺激を受けて、地方の審査会もともになお一そう充実していくであろう、そういうふうにも考えるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 副長官、そんなのんきなことを言っては困るのです。現在の中央公害審査委員会ができましたのが四十五年なんですね。それでいま三件、この間一つ入りまして四件、それがまだ全然できておりません。一つも仲裁も何もできていないのです。これはまだ相当かかるかもしれない。それがこの裁定が入ったからといってずっと来る、こうはなかなかいかない。これがちゃんと動かなければできぬ。相当かかると私は思うのですが、それに刺激をされて地方の公害審査会がきちっといくだろう、そんなのんきなことを考えてもらうと、これはちょっと認識の不足ではないかと私は思うのです。だから、所轄官庁として一ぺん一つ一つ検討して、そして知事にも意見を言い、勧告もし、それできちっとしなければ、地方のほうで裁定制度が入ってこうなったからそのように波及されてよくなるだろう、きちっとしてくるだろうなんて、そういうことは全然ありません。ただ、いまのところ、この法律ができて、そして中央に公害審査委員会ができて、それから地方にできるとなったので、みんなあわてて名前だけずっとつくったようなものですから、それでもたもたしているものもあるのですから、これはやはり一つ一つチェックをして、それできちっとできるようにしなければならない。それはあなたのほうの責任ですよ。これは中央公害審査委員会の責任と違うのです。責任の転嫁をしてもらっては困る、そういうふうに私は思うのですが、いかがですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 岡本委員も十分御承知の上のことだと思いますが、のんきで言っているわけではありません。地方の公害紛争を処理するための機構が充実をしていく、被害者救済に一日も早くとたえていく、そういうためにはできることならば何でもやろうという意味で私は申したつもりであります。まさに機構その他につきましては、審査委員会の責任ではなくて、私どもの責任であることは明白でございます。御意見のような方向で努力をしてまいります。

岡本富夫公明党

○岡本委員 次に、四十二条の二十のところに、「責任裁定の効力」というのがありますね。この責任裁定の効力は、あるいは土地収用法の第三条あるいは鉱業法の九十七条、独禁法の七十七条と同じような意味を持つのか、そういった効力があるのか、これについてひとつお聞きしておきたいと思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 御指摘の条文はこの四十二条の二十とは違っておりまして、四十二条の二十では、責任裁定と同じ内容の合意が成立したものとみなされる、そういう効力がございます。  それから、御指摘の土地収用法第三条の場合には、その規定によりまして土地を収用することができる事業というのが認定されますと、いずれは土地収用法の規定に従って収用の裁決というものがあることになると思いますが、そういった裁決は一つの行政処分でございます。  それからまた鉱業法についても、先ほど御指摘のあった、たしか隣接鉱区相互間の増減、それからそれに伴う対価の決定だったと思いますが、そういう場合にも、それは行政処分としてそういうものが決定される、それによって形成的な効力が生ずるわけですが、いまの鉱区の場合には、まさにその決定が確定すれば行政処分によってそういう法律関係がきまってしまうということになります。しかし、それは合意と見なされるわけではありません。ところで、この四十二条の二十の場合には、これは合意になるわけでございます。  なお、もう一つ御指摘になりました独禁法の規定の場合も、これは裁決に対する訴えだったと思いますが、これはその裁決に対する訴えが確定しますれば、その裁決が取り消される、あるいはその取り消しの請求が棄却されて、それで裁決が確定する。裁決が確定しますと、それによって行政処分としての効力が確定するというだけでございまして、それが合意擬制の効力を生ずるというわけではありません。  いま御指摘になりました三つの場合、いずれにしても、それによって公法関係がきまるのでありますが、この責任裁定の場合には、私法上の損害賠償請求権の民事上の権利関係がきまるわけなんですけれども、それをきめるには民事上の合意があったと同じように擬制いたしまして、そういう合意があったということになるわけでございます。その点が違うわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、裁定の執行力の確保、こういうことを考えますと、その点をもう一ぺん詳しく御説明いただきたいと思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 合意が成立したものと擬制されますと、当事者間の損害賠償請求権があるかないか、そして同意して払うかといったような相互の法律関係が合意の内容のとおりにきまります。合意の内容のとおりにきまるということは、言いかえれば、お互いの間で損害賠償請求権があるとかないとかという争いをもう一ぺん蒸し返すことがなくなるというわけでございまして、もうその裁定で幾ら幾ら払うという合意が擬制されますと、これは払うべき加害者のほうではそれを必ず払わなければならない。実際はおれのほうはまだほんとうの原因を与えたのじゃないのだから、払う義務はないのだということをもう言えなくなる。そこですっかり公害をめぐる損害賠償関係はきまる、確定してしまいます。したがって、あとはもし相手が、加害者側がそれを履行しなければ強制的にも執行できなければなりませんが、しかし、これは強制執行するためには裁判所に訴えて、そして給付判決を受けるということになります。ところで裁判所に訴えて給付判決を受ける場合にも、被害者側としてはこういう合意が何年何月何日にあった、だからこの合意の履行を求める、それだけ言えばよろしいのでございまして、公害による損害の発生それから相手側の行為との間の因果関係、それから相手方の故意、過失といったような、そういういろいろむずかしい法律関係についてあらためて立証する、時間をかけて自分の主張を支持する、そういう負担というものが全くなくなりまして、もっぱら合意の存在だけを理由にして勝訴の判決を受けるということになるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 大体約束の時間らしいですから、それでは最後に一問だけお聞きしておきますが、四十二条の三十一項ですか、ここでは関係機関への通知というようになっておりますが、これは通知だけではまあちょっと弱いのではないか。したがって、私は勧告というように強めたほうがいいんではないかというふうにも考えられるわけですが、この点について一つお聞きしておきたいと思うのです。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまの御質問は、原因裁定があった場合に、その原因裁定を関係のある行政機関なりあるいは地方公共団体に通知するということでは弱いのではなかろうかということでございますが、それは二項に、その原因裁定にからみましてそれぞれ意見を申し述べるというかっこうになっておりますので、先生のおっしゃっている御趣旨もある程度そこで実現されているというふうに考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 あともう少し残っておりますが、大臣が来られたときにやることにいたしまして、約束の時間ですから、これで一応中止します。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 岡本君の質疑は終了いたしました。  次に、合沢栄君。

合沢栄民社党

○合沢委員 ただいま議題になっております公害等調整委員会設置法案に関連しまして質問いたしますが、まずこの法案は従来の中央公害審査委員会を国家行政組織法の三条の機関とする。そしてその機能も責任裁定あるいはこの原因裁定等加えて強化する。同時に従来の土地調整委員会と一体化するというようなことのようでございますが、   〔委員長退席、八田委員長代理着席〕 およそこの公害紛争の調整、それと鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益との調整を目的とするような土地調整とは全く異質のものであろうかと思うのですが、こういった異質のものを一体化するということについての理由がどうも薄弱のような気がするわけでございますが、そのことによってほんとうに効果があがるのかどうか。その辺について副長官にお伺いいたします。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 公害紛争にかかわります裁定制度の採用、さらに三条機関への移行、こういうことは第六十三回国会の附帯決議にもございました。また国民一般にも公害紛争の迅速な解決という要望が非常に高まってまいりました。このために公正性、独立性を担保するための三条機関として公害等調整委員会を設置するのでございますけれども、これを単に三条機関の新たな増設という形で行ないますことは、政府といたしましても、長年の間取り組んでおります行政の簡素化、これもまた考えなければならない重要な政策でもございますので、その方式にかんがみまして、既存の機構の統合によってこれを実現すべきではないか、そう考えたわけであります。そこで土地調整委員会と中央公害審査委員会がこういうことで統合するわけでありますが、両委員会のその性格を考えてみました場合に、土地調整委員会は、ただいまも先生がお話しになりましたように、鉱業等と一般公益等との利害の衝突についての行政争訟、これを公益的立場から解決することを任務にしております。一方、中央公害審査委員会は、公害紛争という本来は私的な民事紛争でございますけれども、地域住民全般の生活環境にかかわるその社会的公共的な性格は無視し得ない、そういう争訟の処理に当たることになっております。したがいまして、本来的には、一方は行政争訟、他方は民事紛争、こういう点で先生がおっしゃるような差異があるということは、これは否定できないことでございます。その職務の遂行にあたっては、社会的公共的見地からの統一的理念が働くという点では、これは同じような性格ということもまた言えないわけでもございません。そういう広い視野に立って考えますと、両委員会の職務というものは、共通するところもまた多々あるわけでございます。したがって、従来の両委員会の職務を今回御審議いただいております公害等調整委員会があわせ行なうことにつきましては、理念的な矛盾や衝突というものは、必ずしもない。むしろ、ただいま申し上げましたような意味で、社会的公共的見地から事案を統一的に処理することが可能である、こういうふうな考えで今回両委員会の統合を考えたわけでございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 異質のものを一緒にするということについては、どうも便宜主義みたいな感じがしてならないわけですが、ただ、まあ行政の簡素化といったようなことはもちろん大事なことでございますが、どうも私にはいまの御説明でも理解できませんが、次に進ませていただきます。   〔八田委員長代理退席、委員長着席〕  次に、調整委員会の中で、土地調整委員会のほうの仕事ですが、これは従来の御説明によりますと、今後も従来程度の仕事の量をもって進めるというような見通しのようでございますが、一方、公害紛争関係は非常に多くなってくる。わけても、今度は三条機関になるといったようなことで、裁定の仕事が加えられるということになりますと、この方面は非常にふえてくるでしょうし、案件もふえるだろうし、同時に、仕事の内容も異ってくるというように考えられるわけです。したがって、この委員会の業務は従来よりも少なくともふえるというように考えられるんですが、その点はいかがですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 土地調整委員会がいままで受理してまいりました案件数、これは過去五年間ぐらいの実績が統計的に出ておりますので、その実績の案件数というものとやはり同じような程度のもので四十七年は出てまいるであろう、こういうふうに考えております。  公害の関係では、先生おっしゃるように、従来よりも裁定という新しい仕事も加味されるわけでありますから、案件はふえてくるだろう。しかし、両委員会の委員の数というものは、今回の新しくできますこの委員会としては、むしろ委員数としては一名増ということも考えられるわけでございます。特に公害の裁定と取り組んでまいりますだけに、専門的な、あるいは科学的な、そういう専門知識が非常に要求されるものでありますから、三十名の専門委員というものは任命してまいる、事務職員の数も、従来の両委員会が持っております両委員会の職員数というものを合わせた数、こういうことを実は企画をいたしまして、当面の仕事の処理にはさして支障は来たさない、こういう判断をして今回の組織をつくったわけでございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 仕事は従来よりふえる、そして委員の数は一名ふえるとおっしゃいましたが、中央公害審査委員会では、従来の六名が七名になる。しかし土地調整委員会の数があったわけですから、従来両方合わせれば十一名のものが今回七名になるということですから、委員の数はふえるのじゃなくて、四名減るということじゃないですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 公害審査委員会の委員の数の立場からいけば一名ふえると申し上げたわけでありますけれども、事務量を考えてまいりますと、初めから四十七年度にどれだけの案件が出てくるかということはきめてかかるわけにまいりません。公害紛争につきましては、ここ二、三年の司法的な処置にゆだねられた件数等も勘案しながら、この両委員会が統合いたします四十七年度にどの程度の案件が出てくるであろうかということを想定いたしますと、今回の両委員会を合併することによって、さして事務に支障を来たすとは思えない、こういうふうに私どもは推測をいたしておるのであります。

合沢栄民社党

○合沢委員 せっかくこういった機能を付与したのですから、委員の数が少ないといったようなことで、仕事の遂行に制約を受けるというようなことがあったのでは、これは全く無意味になるわけでございます。特に先ほど専門委員の数のこともありましたが、前の中央公害審査委員会でも専門委員の制度はあったわけです。別に新しくふえたわけじゃない。しかも委員の数が少ないことによって専門委員まかせとかあるいはまた事務局まかせというようなことになるとたいへんなことになってくるので、そういった意味でも、私はこの数は少ないのではなかろうかというように考えるのです。特にまた事務局も、ただ両方合わせただけです。やはり事務はふえていく。従来の土地調整委員会そのままの仕事があるということでございますし、一方この公害関係がふえてくれば当然事務量がふえていく、それが全く同じ数だということです。そして案件の提案されるものを予想した場合、これだけでいいのだというような御答弁でございますが、どうも不足するような気がしてならないわけです。  そこでお伺いしますが、やっていく過程において、どうしてもこれは人が足りない、あるいはまた予算の面でも、前年度に比較して四%程度の予算の伸びになっているのですが、この予算の面からも制約を受けるというようなこともあるかと思います。そういったような場合はどのように処置されますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 両委員会がいままで受け持ってまいりました問題、いずれも社会的にも公共的にも非常に重要な問題でありますから、案件が非常にたくさん申請された、それにもかかわらず、委員の数が足りないから仕事ができないというふうな事態は、絶対に避けなければなりません。十分その点は注意をしてまいらなければなりませんけれども、私どもが推定をいたします四十七年の仕事としては、御審議をいただいておりますような内容の組織で仕事がさばき切れないというような事態にはならない、こういうふうな判断をしたわけでございます。ただいま先生のおっしゃいましたような御心配の点は、私どもも十分注意をしてまいらなければならないことであるとは考えております。

合沢栄民社党

○合沢委員 人の場合はともかくとして、予算の関係ですね。こういう関係で不足する場合には特別に配慮されますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 予算も、参議院でただいま御審議いただいております予算に計上してあります額でまかなえるもの、かように考えておりますけれども、これは先のことでありますから、率直に申し上げてどういうことがどうなるかはわかりません。その場合は当然そのときそのときにまた財政当局とも相談のできることではないだろうか、またそういう措置をとりましたことも国民の皆さんからの御理解がいただけるところではないか、このように考えます。

合沢栄民社党

○合沢委員 次にこの法案の条項について御質問したいと思うのでございます。先ほども御質問がありましたが、四十二条の十二ですか、「申請」の関係でございますが、二項で「中央委員会は、被害の程度が軽微であり、かつ、その範囲が限られている等の被害の態様及び規模、紛争の実情その他一切の事情を考慮して責任裁定をすることが相当でないと認めるときは、申請を受理しないことができる。」という条文がございますが、これは先ほどの質問に答えられて、被害の程度は軽微という点については、これは金額には関係ない、たとえ百円でもいいんだというようなことを申されましたが、被害の程度は軽微とは一体どういうことか、ちょっとこの辺もう少し詳しく説明を願いたい。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 被害の程度がどういうぐあいに軽微と言えるかということは、これは金額もやはり判断する非常に大きな要素にはなり得るわけでございます。しかし、そのほか、その被害がどの範囲に及んでいるか、被害者の被害の及ぶ地域とか人とか、そういう関係もやはり考慮して、それで軽微になるかどうかということを判断するということになります。それから、そういうふうに考えて、そして軽微な事案であるという結論になったといたしましても、しかしそれだけで、軽微なる事件は必ずもう取り上げないということではないのでございまして、そのほかのいろんな事情も考慮して、そして結論としては中央公害審査委員会で取り上げるのにふさわしくない事案という判断になりましたときにそれを不受理にする、そういう趣旨でございます。必ずしも、金額が何円以下なら軽微になるから取り上げないとか、あるいは何円以上は必ず取り上げるとか、そういうふうにきまるわけではございません。

合沢栄民社党

○合沢委員 私は、さっきの御答弁で、一億円以下というような問題に関連しまして百円でもいいんだということをおっしゃったが、そうなると、被害が軽微というのは一体何を意味しているのかどうもはっきりしないのですが、こういった申請をする場合に、責任裁定のこれは損害賠償に関する裁定をするわけなんで、当然被害の軽微ということは、これは金銭が中心になると思うんです。健康の問題もやはり、これは人の命というようなものは金にかえられぬぐらい大きな問題でありますが、健康の関係は別にするならば、これはほとんど金銭にかえ得るものだと思うのです。そこで、被害の軽微が百円でもいいんだということになりますと、私はこれはたいへんな問題があるんじゃないかという感じがするのですが、もう一度その辺を……。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 どうも、先ほど百円ということを申しましたが、これは金額にかかわらないという趣旨を申し上げるつもりで、まあ百円でもということを言ったわけで、特に百円に非常に意味を置いたわけじゃございません。ただ、金額いかんにかかわらず、やはり社会的、公共的な性格からして、その紛争については中央でそれを処理することが、そういう問題についての一つの全国的な影響を考えて非常に意味があるという場合があることは、必ずこれは否定できないものだろうと思います。そういう場合には、たとえ、金銭の額にして表現しますというと非常に少なくなっても、これはやはり中央で取り上げざるを得ないだろう。いたずらに、金額が何円で非常に少ないから、それだけでだめだというふうにはできないという趣旨でございます。ただし、前にもちょっと申し上げたかと思いますが、それほど社会的な影響も考えられない、公共性もそれほど強くは考えられない、そして紛争は非常に遠隔な地で起きている、そして、もしそれを中央でやるとすれば、中央からそちらに出かけてやるにしては国費を非常に使うことになりますし、そして地方のほうから中央に出てきて裁定手続に立ち会うということになりますと、今度は技術その他の点で非常に負担になる。しかし当事者としては、主観的にはこれは軽微とは考えないので、たとえどんなに金がかかっても、収支は度外視してこれははっきりしょうというような主観的な意図はあるかもしれませんけれども、それを客観的に考えて、どうしても中央でやるにふさわしくないという事案があろうかと思いますので、そういうときにはこれは取り上げない、不受理にしよう、そういう趣旨でございます。そういうための道を開いたわけでございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 私は、どうもこだわるようですが、最初の、金額というものが百円でもいいという表現で、損害賠償の裁定ですからね、それで金額の問題がそのような考え方となると、一体どういう具体的な例があるか、ひとつ例示してほしいと思うのです。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これは、出てみないとわからないことでございますけれども、かりに想像するといたしますと、非常にへんぴな土地で、たとえば豚小屋のようなものがあって、そしてそこで豚が鳴いて騒音をまき散らす。それから悪臭をその辺に発散する。たまたまその豚小屋のすぐ近所に一軒の家があって、その一軒が非常に迷惑をこうむっている。別に住宅区域のまん中というわけじゃございませんから、ほかに迷惑をこうむっている者はないんですけれども、たまたまその一軒が迷惑をこうむっている。しいていえば、その辺を通行する一般の不特定多数の人も、そこを通行するときには若干の迷惑をこうむる。しかし通行人は別にそれに対して文句を言わないけれども、たまたま近所の人がこれはたまらないというんでやってきたといったような場合をかりに仮定するといたしまして、こういうような場合に、特別に何か事情があれば別でございますけれども、普通の社会観念からいいましたら、そういうのは地方の審査委員会で和解の仲介なり調停なりをしてもらう道もありますし、それからそういう事案でしたらば、場合によってはもよりの簡易裁判所に調停の申し立てをするなりあるいは訴えを起こすなり、あるいは支払い命令の申し立てをするなり、そういう道もございましょうし、またそういう事案が起きてそして中央に申し立ててきましたときには、そういうほかの道もあるということを教示することは当然でございますし、そういうふうにして救済の道はあるということがわかりましたら、たぶんそういうのは中央で取り上げるほどのことではない例になろうかと思います。まあ、しいて考えれば、そんなような場合は一つの例になろうかと思うのです。

合沢栄民社党

○合沢委員 いまのは、だから例にならぬわけですね。いまのような場合は、中央の調整委員会では取り上げないで地方の審査委員会あるいは簡易裁判所等でやってもらえばいいんだということになれば、そういうのは例にはならぬわけです。私は、金のかからぬような被害軽微の、そういったような例がはたしてあるだろうかということで、そういった例についてお聞きしているわけなんです。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 先ほど私御質問の趣旨を取り違えてちょうどその反対のことを申し上げたかもしれませんで、どうも申しわけございません。  たとえば、これも全く仮定になりますけれども、地方でも中央でも、その点は関係ございませんが、かりにある地方といたしましょう。かりに地方で、ある化学工場で、いままで化学工場の排水なりばい煙なりの中に未知のある物質がありまして、そしてその近所の人がかりに軽微な皮膚炎を起こしたといたします。そしてこの皮膚炎は、もう治療としては医者のところに行って何かこう薬でも塗ってもらえばそれでなおる。ですから治療代としてはせいぜい五百円か千円かで済むかもしれないけれども、それはやはり要するに病気には違いない。そしてそれが調べてみると全国的に同じような公害が起こっている。同じような公害が起こって、これをそのまま放置しておくということは、全国民に同じような被害を及ぼすおそれがある。そういった場合がかりに、仮定でありますが、そういう場合がかりにあるといたしますと、それが裁定の申し立てがありますれば、もちろんこれは百円でも五百円でも千円でも当然取り上げてやらなければならぬ、そういうように考えております。

合沢栄民社党

○合沢委員 わかりましたが、私はいまの答弁、百円でも五百円でもという、それは一人当たりであって、そういう場合が非常に広範に及ぶ、ですから一人当たりは少なくとも全体の金額は非常に大きくなるということじゃないかと思うのです。ですから、さっきの岡本さんに対する御答弁の、被害の軽微というのは百円でもいいんだという意味は、それは一人当たりであって、全体としてはやはり大きい。被害の軽微というのは損害賠償ですから、やはり全体としては相当大きなものである、そういうことでなければならぬと思うのですが、そのように理解してよろしいですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 仰せのとおりでございまして、ただ一人の個人だけの被害金額が軽微で、しかもその個人限りといったような場合には軽微になるでございましょうけれども、いまいったように一般に及ぶ場合には総体的に見れば、当該事件の当事者の場合については軽微かもしれないけれども、総体的には非常に大きな被害であると考えるのがほんとうだろうと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 そこで、申請を受理しないことができるということになりますと、これはそういったことで受理しない場合の被害者救済の措置はどのようにされるのですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 不受理にする場合には、ただ不親切に、これは受理しないといって却下するということではなくて、その場合には、ほかにどういう方法があるのか、どういうところに救済を求めたらいいかという救済の手段なども、それをはっきり書面に書いて指導するというような運用の方法をやりたいと思います。それで救済の方法としては、先ほど申しましたように、もよりの簡易裁判所に救済を求めるなり、あるいは地方の審査会に和解の仲介または調停、仲裁の申し立てをするなり、そういうその事案についての一番適切な簡易な方法を教えるという方法でいきたいと思っております。

合沢栄民社党

○合沢委員 同じ公害被害者で下がそうなると非常に平等を欠くというようなことになると思うのです。そういった意味でも、先ほど岡本さんから御質問になっておりましたが、やはり都道府県の公害審査会、そういったところにはやはりこういった裁定の制度を設ける必要があると私も思うのです。しかし、お話聞きますと、地方にはそれだけの準備がしてない、その必要もないというところも多かろうと思うのです。しかし、東京とか大阪とか、あるいはまたそれに類したような機能の高い公害審査会を持っておるところもあるわけですから、やはりこの公害審査会に委員会方式と名簿方式があるように、その都道府県の希望によっては条例によって裁定制度を加えることができるということにすべきではないか、そういうように考えるのですがいかがでしょうか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほども岡本委員にお答えをいたしましたけれども、地方の公害審査会の事情、たいへんお仕事ぶりも充実はしてきておりますことは、先生も御承知のとおりでありますけれども、まだ各都道府県同じような格にはなっていない。そういうところから、たとえば東京、大阪のごとくというおことばが出たのであろうと思います。ただ、裁定という仕事が何さま準司法的なことでございますし、ただいまの地方の公共団体の持っております審査会の事情を考えまして、当面私どもは地方までこの裁定の仕事をやっていただくというふうには考えておりません。将来の問題といたしましては、中央公害審査委員会が公害等調整委員会に新しく発足をいたしまして、裁定制度というものが被害者救済にりっぱに役立ってくる、そういう過程を見守りつつ、地方の問題は将来の問題として見詰めていきたい、このように考えております。

合沢栄民社党

○合沢委員 当面はこの公害等調整委員会によってやっていく、地方の問題は将来考えるということでございますが、やはり現在でも名簿方式あるいは委員会方式があるわけですから、同じようにそういった道を開いておくということが非常に必要じゃないか。それだけ能力のないあるいは必要のない都道府県が直ちにやるわけはないですから、そういった道を開いておくということは非常に大事なことじゃないかと思うのです。将来といわずこういった道を開くことが非常に大事だ。特に公害の防止といったような面からも私はいまの公害の行政に都道府県にやはり裁定まで持たせていくということによって、公害防止に非常に役立つのではないかというふうにも考えるわけでございますので、御検討をお願いするわけでございます。  それから、都道府県の審査会が非常に充実してきておるということは認めるわけでございますが、国のほうでは四十六年度と四十七年度を比較して、どの程度の地方の公害審査会に対する助成なりそういった措置を講ぜられておられるか、お聞かせ願いたいと思います。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 お答えをいたします。  具体的に、予算の面が一番端的に出てまいるかと思いますが、公害関係につきましては、ブロック会議を開いたりあるいは中央研修会を開いたりということで、いわば経験ないしは実績の交換なり検討なりということをいろいろ行なっておりまして、その辺の経費につきましても、たとえばブロック会議に要する経費は四十六年度に対しまして四十七年度は約倍額を見込んでおりますし、さらに中央研修会ということで全部集めて研修をするというような経費につきましても、約五倍の経費を見積っております。そういう点で、具体的には地方との関係を充実してまいる予定にしております。

合沢栄民社党

○合沢委員 どうもその程度のことでは地方の公害審査会に対する国の指導というのは不十分なような気がするわけでございますが、まあしかし、いまここで申し上げてもなんでございますので、今後とも地方もそれ自体が努力しておりますが、さらに国のほうでの、地方の審査会に対する充実強化という面についての一そうの御配慮を要請しておきたいと思います。  次に、責任裁定の効力が四十二条の二十ですか、ここに出ておりますが、先ほどの御質問に対して合意が成立する、そのことによって損害賠償等の請求は容易になるというようにお聞きしたわけでございますが、さようでございますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 仰せのとおりでございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 そこで具体的な点で二、三これに関連して御質問してみたいと思うのですが、まあ水俣病の問題についてはこの委員会のほうに申請が出されているということでございますが、すでに厚生省関係の補償処理委員会ですか、でもって一応補償処理委員会に一任された方々の金額も出ておるわけでございます。そこで、今度は新しく同じような内容のものについて責任裁定をやった、そして金額が出たという場合、その金額が同一でない場合について、いろいろ問題が起ころうかと思うのですね。そういう場合にはどのように処理されますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 前に水俣病の処理委員会できまった分は、おそらくそちらの当事者はそういうことになるのだろうと思います。しかし、いまお尋ねの点は、その後別の当事者が裁定の申し立てをした、当事者が違うからどうなるのか、前の金額と同じになるのかどうかという御質問かと思いますが、これは裁定をいたしますときには、その裁定の時点であらゆる事情を考慮して責任の存否それからその額ということを決定することになりますので、まず時間的な経過ということで当然相違が出てくるのはやむを得ないことだと思います。それから、何と申しましても、水俣病という点では共通でございますけれども、それぞれの個人個人がみんな事情が違いますので、ことに裁定ということになりますと、前の処理委員会でなされました和解のような、当事者の合意に基礎を置くということではございませんので、全く実体法を適用して、そしてその結果を探求して宣言するということになりますから、たとえばその人間の収入とか、年齢とかそういうことが違えば当然結論が違ってまいりますし、それに貨幣価値の変動も考慮されますので、これも前とあととは同一にはなるまい、そういうふうに考えております。

合沢栄民社党

○合沢委員 私も違うのはそういう点では当然と思うのです。ただ同じ行政機関というか、一方は厚生省で、一方はまた今度は総理府の公害等調整委員会で出す結論が、同じような年齢で、同じような方がかりに死亡されたといったような場合——そういった場合には主として貨幣価値ぐらいできまるものだと思うのですね。それが著しく違うというような場合、前の補償処理委員会できまったのが非常に問題になってくる可能性がある。そういった考えで、そこですでに合意に達しておった方々が再度この調整委員会に申請するというような場合はどうされますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 すでに前に双方の合意できまっていることについて、その後になって額が不服のためにさらにもう一度問題を蒸し返したというような場合が考えられるわけでございますけれども、これは前の合意の内容にもよりますが、おそらく前の合意したときの当事者の趣旨は、当事者間の紛争をこれで最終的な解決にするという趣旨であろうかと思います。もしそういうふうな趣旨だということがはっきりいたしますれば、その点は尊重されなければなりませんので、同じ期間中の同じ損害についてもう一ぺん蒸し返すということは、これはできないかと思います。しかし、病人を例にとりますと、前にそういう病人についてそういうことがきまった、ところがその後年月を経過して、全く前には予想もしなかったような新しい病状ができたりして事情が変わっているということになりますれば、前には考慮されなかった新しい事情に基づく損害というのは、もう一度取り上げる余地があろうかと思います。  それから、そういう事情も全然なく全く同じで、しかもその後のいろいろな情勢の変化あるいは新しく申請をして新しく裁定を受けた人との権衡問題などからいって前の人が不満を感ずる場合もあろうと思いますが、法律的にはいま申しましたように前の合意というものが最終的にはなりますけれども、しかしその場合には、この紛争処理法によって、双方が合意されればもう一ぺん調停をするということもできないわけではございませんので、何かの解決の方法はあろうかと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 まあ一度裁定というか処理委員会ではきめておっても、今度の裁定の場合にはやはり科学的な原因についての進んだ調査をやるわけですから、そこで科学の進歩というようなことからして、原因についても当時とは違った結論が出るのではないかと私は思う。そういうことがあり得ると思う。そういう場合、前は調停和解をするにしても、その当時の科学なり調査によって、それではやむを得ないということできまった。今度は全然事情が変わってきた。新しい原因なりそういったものができたという場合でも、前の合意のものはだめだというのかどうか、その点どうなんですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、合意というのは初めから安定というものを一つの要素にし、安定に対する期待があって初めて合意ができるわけでございますから、合意が成立してからあるいは合意が擬制されてから後に、すぐにそれがまた変更できるということでは、安定を害するので困るということになろうかと思います。ただ、これはあるいは問題が違うことになるかもしれませんが、当事者が違えば、安定といってみたところで当事者相互間の問題でございますから、被害者が違えば、新たな被害者が新たに救済を求めるという段階になりますと、その救済の結論を出す段階で、その時点での相当な額をきめるということになります。  それから原因裁定などの場合には、これは別に民法上の効力はございません、私法上の効力はございませんので、合意の擬制された場合よりはもう少し別の角度からさらにもう一度原因裁定をする余地が出てくるかもしれません。  それから原因裁定できまった場合、つまり当事者間の法律関係が、その合意の内容、合意が擬制されて裁定のとおりにきまったということになると、私どものほうでは非常にむずかしい問題で、立案の段階でもそこはいろいろ研究してみたのでございます。同じような問題がいろいろな場合にありまして、たとえば判決の場合を考えますと、確定判決に対しては、特定の場合には再審という道がございますけれども、そういう科学技術の進歩による認定資料の相違というようなことは再審事由にはなっておりません。それでこれを自由裁定のときにそこまで踏み切れるかどうかということになりますと非常に問題でございまして、とうとうそこまでは踏み切れなかったのでございます。残るところは、それが非常に不合理な結果になるということになりますと、和解の仲介なり調停なりそういう方向で何とか是正するようにするほかはなかろうと思います。そしてもしそれがほんとうに不当なものであれば、これは調停なり和解の仲介なりで十分説得の効果があがるものと考えております。

合沢栄民社党

○合沢委員 それでは次に進みますが、四十二条の二十八の「相手方の特定の留保」ということでございますが、最初の項では、「相手方の特定を留保して原因裁定を申請することができる。」とあって、すぐそのあとで、「期間を定めて、相手方の特定を命じなければならない。」、そして、「期間内に相手方を特定しないときは、原因裁定の申請は、取り下げられたものとみなす。」というようなことで、どうも「相手方の特定の留保」というのが何だかあいまいなような感じがするわけなんですけれども、そこで、との「期間」とあるが、その期間はどの程度の期間を考えておられるか、まずこの辺からお聞かせ願いたいと思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 この「期間」というのは、特定して申し出るに必要な手続をするに必要な期間ということになるのでございまして、それほど長い期間を考えるわけではございませんですが、しかし、その前にやはり不特定で申請してから特定命令が出るまでの手続を申し上げたほうがあるいはよかろうかと思いますが、よろしければ申し上げます。  もともと相手方を特定しないで原因裁定を申請することができるということにいたしましたのは、公害の性質上なかなか原因がはっきりしない。あれが原因だ、あの企業者が原因だと思っていたところが、そこへかけ合ってみるというと、いやおれのところは知りません、すぐ隣に同じようなものを出しておる別のところがあって、そちらが原因だと言われる。言われてみると、それもなるほどそうでないともはっきり言えない。それでどちらにするかと迷っている間にどんどん時効が進行してしまって、悪くすると時効が完成してしまう。時効の中断の方法としては、訴訟を起こせば別ですけれども、これはたいへんなんで、今度のこの法案によりますと、責任裁定の申請が時効中断の効力があるように規定しておりますので、まさに責任裁定の申請をしたいのだけれども、相手方が不特定、相手方を特定できない。できないということでは困りますので、そのために、相手方を特定しないことについてもっともな理由があるときには、不特定のままで申請することができるとしたわけでございます。これはもともと裁定制度が、特定の当事者間の、加害者と被害者との特定の人の間の損害賠償責任を定める制度でございますから、ですから、一方が特定しないままで損害賠償の責任を定めるということは、これはもう想像できないことでございます。必ず特定が前提となるわけでございます。ですから、不特定のままで申請しまして、そしてあとは当事者ももう少し調べて、そしてどちらを相手方とすべきだということを調査する。それから、一般に被害者の中には資力の不十分な人も大ぜいありまして、その調査が十分及ばぬこともございましょう。そういうときには委員会のほうでも力をかして調査する。それから、すでに申請人のほうとしても、自分のほうでたぶんこれだろうと思っておったところが、そこで断わられて、こっちへ行ったらこっちも断わられるということになると、あるいは双方にそれぞれ申請人からなりあるいは委員会からなり問い合わせて、ほんとうにおまえのほうは関係ないのかどうかということを調査するということになったら、おのずから手がかりが得られましょうし、それからさらに委員会としては専門的な調査をする道もございます。そういうことについていろいろな方法を駆使して、とにかく相手方をはっきりさせるように努力をいたします。それで、その手続がずっと進みまして、調査の結果、これで相手方はこちらあるいはどちらということがはっきりわかったというときに、そのままでは手続を進めようがありませんから、そのときに、これこれの資料によれば相手方はわかるわけである、だから特定してくれということを言います。だから、期間を定めて特定を命ずるときには、その期間はそう長い期間ではございません。それからなお、調査しましてどうしてもこれはわからぬ、いかに現在の科学的な技術を使っても相手方は特定できないということになりますれば、今度は、相手方は特定できないというむしろ第三項の取り下げのほか道がないことになりますが、そのためにもやはり取り下げに必要な期間くらいはきめて出すということになろうかと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 いまの説明を聞けばよく納得できるのでございますが、この条文だけではそのようなことは全然理解できないわけなんで、そうなるとこの条文が不備じゃないですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 仰せのとおりそういう誤解がもし起きるようでございましたら、これは委員会規則を定めるときに、新しく発足される委員会で、その点について手続規則を定めるときに調整できょうかと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 私はいまの御説明のとおりであればよく納得できるわけなんです。どうもこの条文だけではそのようなことは全然理解できない。そこで、やはりこれは規則で、はたしていいのかあるいは政令等できめなければならぬのか、その辺もう少し検討して、そういったことがはっきり規則で規定できるという何らかの措置を要請しておきたいと思うわけであります。  それから最後に、私、費用の点についてお伺いしたいと思うのですが、こういった公害紛争に関する手続費用、これは裁定される場合、この責任裁定のとき等はその費用は見込まれるのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 手続費用につきましては、これは当事者負担ということになっておりますけれども、しかし、政令で別に国庫負担のものがございます。ですから、たとえば鑑定人の費用とかそういうのは国庫負担になります。あと当事者の負担としては、たとえば当事者の出頭の旅費などというものが考えられるかもしれません。それから、もし事案が非常にむずかしいためにとうていしろうとの手には負えないというので弁護士の方にお願いするとなれば、弁護士費用ということが問題になるかもしれません。それで、そういう費用については、この規定のたてまえでは、一般に費用は当事者の負担とし、ただ、政令で定めるものは国庫負担とし、政令で国庫負担の内容をきめることになっております。それでございますから、いまの出頭の日当、旅費などというものは、これはおそらく、調停、仲裁に関する現行の政令では当事者の負担でございますし、裁定についても同じようなことになろうかと思います。大体そういうことでございます。

合沢栄民社党

○合沢委員 私は当然被害者が持つべきだというように考えるわけなんです。そこで、当事者の負担だということの内容ですけれども、当事者というのは、双方が払ったものは双方で払うという意味なのか、一方の当事者でもいいのか、その辺がはっきりしないと思うので……。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これは当事者というのは、めいめい出した当事者という意味でございまして、相手方という意味ではございません。  それからなお、つけ加えますけれども、当事者の負担する費用のうちで考えられる一番大きなものは、先ほど申しましたその事件がしろうとの手に負えないためにどうしても弁護士を頼まなければならなくなってくる、そうすると弁護士に対する報酬といったようなものが問題になるかもしれません。それでそういう大きなものについては、これも相手方の公害によって生じたやむを得ない費用で、しかも公害との間に因果関係があるということになりますと、相当な範囲の額は、やはり相手方の不法行為との間に相当因果関係があるとして、裁定手続自体で賠償の請求もできようかと思われます。

合沢栄民社党

○合沢委員 この手続の費用は、損害賠償の裁定が起こった原因というものがあるわけですから、当然それによって起こるところの手続費用でございますので、当事者の負担というのはどうも理解できない。裁定があった場合には当然これは加害者の負担だというように考えるべきだと思うのですがね。それをそうしない理由はどの辺にあるのですか。双方が持つということを原則とするというようなその理由はどの辺にあるのですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これは制度の趣旨から申しまして、普通の民事訴訟などと違いまして、非常に公共的な色彩があるわけでございますから、国が相当の費用を負担することになろうかと思います。制度そのものに国は非常に金をかけておりますし……。それで、非常に大きな救済が与えられるものですから、・単純な普通の民事訴訟のように、お互いに法律関係を全部自分たちだけでまかなうというようなたてまえと違いまして、一方では国が相当の負担をする、たとえば手数料にいたしましても、訴訟やそれから裁判所の調停などに比べるというと、金額が非常に少なくなっておりますので、そういうところも考慮して、当事者の支弁する比較的軽微な金額は当事者に負担してもらっていいんじゃないか、そういうふうに思うわけでありますけれども、もしそれが相当の金額になる——相当の金額になるということになりますと、先ほどの弁護士費用が一つの例でございますが、相当の金額になったものは、これはやはり公害による損害賠償として請求できるかと思います。しかし、それを突き詰めていきますと、いかなる軽微なものであっても、それが公害に原因してそれとの間に因果関係があるということになれば、当然そういう軽微なものでも何でもみんな請求できるという、理屈はそうなりますが、実際問題としては、一方じゃ国も非常な負担をしておりますし、ですから当事者の出頭のための旅費、日当といったようなものはまあ負担してもらっていいのじゃないかと思います。しかし、いま言ったように、理屈からいえば不法行為と相当因果関係がある限りは全部損害賠償として請求できるという、そういう結論になろうかと思います。

合沢栄民社党

○合沢委員 国の負担があるから当事者負担というのは通らぬと思うのです。民事訴訟の場合でも裁判所の費用等を全部国が負担しているわけなんですからね。だから、国も負担しているから当事者負担だという理屈は、これはもう通らないと思うのですよ。そこで私は、当事者負担というのは理屈がどうもいまのお話では通っていないと思うのですよ。やはりこれは加害者負担だというようにすべきだ。特に大きい、小さいの問題で区別するということは、これは困難だと思う。軽微だから、手続費用が少ないから多いからというようなことによってやることは、非常にこれは問題があると思う。やはり原則としては、加害者によって起こったところの費用なんですから、これは当然加害者の手続の負担だというように改めるべきだと考え、そういった主張をして、本日はこれで終わります。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 合沢君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十五分再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。    午後零時四十五分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議

田中武夫日本社会党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私は委員長のお許しを得まして、ただいま上程されております公害等調整委員会設置法案について質問をしたいと存じます。  この法案は、すでに過ぐる何回かの公害委員会におきまして、わが党が再三にわたって請求をした法案でございます。三条に基づくところの確固たる組織をつくり、あまた山積しているところの公害紛争を早期にしかも妥当に解決する組織をつくるべきである。特にさきの公害紛争処理法案の上程されましたおりに、いまおりませんが、島本虎三君が執拗にこのことを政府に迫った問題でございます。そのおりに山中長官は、ごもっともでございまするから早期にこれをつくりますという確答を得ている問題でございます。したがって、これが上程されたということにつきましては、歓迎をいたします。しかし事内容に関しますると、必ずしも全面的に賛成とは言えないもの足りなさを、歯がゆさを感ずる点が多々ございます。  そういう点について二、三お尋ねをいたしたいと存じまするが、第一番に、この法律はいつ施行されるのですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 法律では四月一日施行というふうになっております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 この法案はそうなっているのですね。しかし四月一日は過ぎちゃったんです。エープリルフールももうないのです。だからきょうはほんとうの話をしていただきたい。実質いつやられるのですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 加藤委員がおっしゃるとおりの事態になっておりますので、理事会に御相談をしているところでございますが、法案を成立させていたださましたら、できるだけ早い時期に施行をしたい、こういう趣旨で理事会のほうに御相談をしているところでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 早い機会にというと成立の日ということになりますか。いつなんです、それは。それはあなた、四月一日はもうだめなことはわかり切っちゃっているのだから、提案者のほうとしては、そのくらいのことは用意して要求されてこないと、こちらからそんなことをお尋ねするようなことじゃだめですよ。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 まだ理事会から確固たるお返事をいただいておりませんけれども、私どもが当面考えておりますことは、附則第一条第一項「昭和四十七年四月一日」とありますのを、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内において政令で定める日、たとえばこういうふうにしていただきますならば、三十日余裕を置いていただきますならば、委員の任命その他の準備が整うかと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 そうなりますと、この法案はすでに修正しなければならぬということを提案者側も認めていらっしゃるわけですね。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 現実にもう四月一日が過ぎておりますので、そういうふうに認めております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 では、至急理事会にはかり、委員長とも御相談なさって、最も妥当にして早期にこの期日をまず解決してもらいたい。そのめどが立たないと、来年の四月一日でよければゆっくりやればいいのです。そうでしょう。  次にお尋ねしたいのですが、委員及び委員長の任命でございますけれども、これはすでに用意されておるのでございまするか、暗中模索でございまするのか、かいもくわからぬのでございまするか、いずれでございます。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 率直に申し上げますが、総務長官の頭の中では構想があるかとも思いますけれども、何さままだ法案が成立をいたしておりません。法律を成立をさせていただきました段階で早急に準備にかかりたい。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 そういう答弁が返ってくるだろうと思って私はわざと呼び水を出して、総務長官が出てくるように……。すでにここに紛争が起きておるのですから、志布志湾には。長官の地元なんです。まず隗より始めよだ。自分の手元に紛争が起きておってそれが処理できぬようなことでは、あに、全国に及ぼすなんて相手は承知しませんよ。だから、私は、まず隗より始めよで、長官の足元から処理していただきたい、こう思ってこれを最初に質問すると言うたんです。ところが、きょう見えない。見えなければ、見えるお方だけでもいい。ここへ来ていらっしゃる方だけで答弁のできることをお尋ねしているわけなんです。そんなことをあなた、長官が委員長や委員を選ぶにあたって、これも四月一日から実行に移すと言うたら、もうその時点において用意されておるはずですよ。それを次官が知らぬなんて、そんなばかな話はないですよ。これは発表したって、外務省の秘密事項とは違うのですからね。あなたは違反になりませんから、遠慮なく答えてください。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 加藤先生御承知のように、委員は両院の同意を得てから任命することに相なっておりますし、まだ発表するというふうな段階まで至っておりません。法案が成立をいたしましたならば、早急に両院の御同意を得た上で任命をしたい、かように考えておるところでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 次官、そんな他人行儀なことは言わぬほうがいい。きのうきょうのつき合いだったらそういう答弁でもいいけれども……。これは、あなたのほうが提案された法案をもう一ぺんよう読んでみてください。委員長及び委員の任命は別表の第一条及び第二条によって別に任命できることになっているんですよ。では、それを専門家に聞こうじゃありませんか。原案をおつくりになった小澤さん……。

柳川成顕内閣総理大臣官房参事官

○柳川説明員 いまの御質問のありました点は、附則の第二条だと思いますが、附則の第二条では「委員会の委員長又は委員の任命のために必要な行為は、同条の規定の例により、この法律の施行前においても、行なうことができる。」公布の日から施行の日までの間で任命を行なうことができる……。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 そうでしょう。そうなっているでしょう。いまお答えになったとおりなんです。そんなことはとっくに用意されてしかるべき問題なんです。それが用意されてないなんといったら、それは怠慢ですよ。どうなんです。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 いま柳川参事官がお答えをいたしましたとおりに、公布から施行までの間でございますので、まず法律が成立することが前提条件でございます。その上で公布をいたしまして、施行までの間に委員を選ぶことに相なるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 施行はいつですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 理事会のほうに御相談をいたしております一案は、先ほど申し上げましたとおりに、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内において政令で定める日、これが施行の日になろうかと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 では、まだ海のものとも山のものともわからない、全然手元にない、こう解釈してよろしゅうございますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 御審議いただいております公害等調整委員会の委員のお名前につきましては、まだきまっておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 きまってはいないということがきまっておるわけですね。ただし、予定があるかないか聞いておるのであって、予定も何にもない、折衝したこともなければ意中の人もない、こう解釈してよろしいんですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 まだ白紙でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 白紙。では白紙委任ができますか。社会党が提案したらどういうことになりますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 任命権者である総理の判断に待たなければならないと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 そんな形式的なことを聞こうとは思っていないんだ。総理にきまっておるんです。しかし、原案はあなたのところでつくるんですよ。総理は一人であれもこれも全部できっこないわけです、どんなに詳しくても。それなるがゆえに当該環境庁があるわけなんです。近ごろの様子を見ておるともう先は見えたよ。それは別だ。  そこで、白紙であるということであれば言うことない。きまっておれば、そのきまった人を審査しなければならぬ。きまっていないというならば、社会党が提案する人を受けて立つ用意がありますかと聞いているのです。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 委員の任命につきましては、やはりこういう角度からも考えなければならないと私たちは承知しているのですが、法案が成立をいたします前に役所のほうが先走って委員の選考にとりかかるということは控えるべきことではないか、私はこういうふうに理解をいたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それだから長官に聞きたい、長官でないと時間のロスになると言うたことなんですよ。あなたはそう言っておけば後生大事で事が足りますから、まあいいです。しかし、法案が四月一日に通ることが用意されていた。しかも、内容は急ぐ案件である。にもかかわらず、当該委員並びに委員長たる者の準備は一人もできていなかったということになりますと、失礼ながら怠慢のそしりは免れることができないということに相なるんではないか。  さて次に、その選ぶ人は人格高潔で識見高く、こうなっておりますね。それはそのとおりなんです。しかし、問題はここから発生すると思います。で、固有名詞が言えなければせめてカテゴリーなり範疇なりだけはこの際承らせていただきたいと存じます。人格高潔にして識見高くということは法案の中に書いてある。それはどういう人をさすのでございますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますけれども、まさに人格が高潔で清潔な人、文字どおりに御理解をいただきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 さっぱり——こういうのがコンニャク問答というんだ。教育は人なりということばがあるし、法は人なりということばがありますが、どんな法律ができておっても、それを運営する人のいかんによってある程度は左右されるものなんです。特に公害はそうなんです。そこで委員長もよう御存じでございますけれども、公取の場合でもそうなんです。委員長がかわることによって実行力が変わってくるのです。なぜ私がこういうことを言わなければならぬかと申しますると、法律に企業優先が抹殺されて人間優先ということにかえられても、いま現に行なわれている公害対策というものは、必ずしも法案どおりになっていないという現実があるからなんです。その生きた実例がこれなんです。私は、その生きた実例をたくさん持っております。以下一つ一つあげて御意見を承りたいと思います。  基本的に申しますと、目下のところでは公害の発生源が企業である。その企業は政治にも行政にもたいへんな圧力を加えることのできる人である、そういう人が多い。したがって、かりに委員会が設けられ、そこへ人格高潔な人が選ばれたとしても、その圧力に抗しかねて、結果、企業の味方になってしまうということが間々ある。どろぼうといっては悪いでしょうけれども、犯人の公害企業の協力者になってしまう。そういうおそれが十二分にあります。  具体的に申し上げましょう。あえて某社と申し上げておきましょう。日本的に有名になった公害、どうしてこんなことが十年も二十年もほうっておかれたのだと参考人を呼んで聞いたところ、答えていわく、私は県知事さんと市長さんのおっしゃるとおりに動いていましたと、こう言う。それが社長の言い分なんです。そこで、一体こんなことを黙って長年許しておった県知事や当該市長はどんな顔の人間だろうと思って調べてみたら、あにはからずや三人兄弟で、兄が県知事で、兄弟のうちの一人が社長で、またの一人が市長であった。これじゃ監督する側と犯人側が同じ穴のキツネだということになる。その結果がたいへんな被害を及ぼして、港湾の機能を喪失したのみならず、当該地区の井戸水までもからしてしまった。世界じゅうに有名になった公害地区なんです。そういうことがありますから、人格高潔であったって、識見が高くったって、ほんとうに勇気を持って実行に移す能力を持った人、特に勇気が必要だと思うのです。そういう人はおのずから範囲がきまってくると思います。特に、選挙に影響のある人はだめです。選挙に影響のある人は、これはもう選んじゃいけないと思う。その点いかがですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 同感でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 中央においてさえなおしかりです。地方はもっとひどいです。中央の権限を三十六項目地方自治体に委譲いたしました。これを委譲すべきやすべきでないかということを論議したときにも出たことでございますけれども、あなたは中央でりっぱにできれば地方もおのずからりっぱにできるというような趣旨の御説明を先ほどなさってみえましたけれども——違っておったら言い直してくださいよ。これはたいへんなことが地方で行なわれておるのです。当該企業の御恩を受け、援助を受けて当選したような知事や市長が、権限委譲を受けて立ち入り検査権を持とうと、設備の改善命令権を持とうとも、これは何の薬にもなっていない。これは隠れみのになっているだけなんです。したがって、特に地方にこれをつくられる場合、地方の審査会ですか、名前は何となっているか、このメンバーは、どのようにして選ばれますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 審査会方式あるいは名簿方式、二通りの方式を各都道府県知事の判断にまかせてあるわけでございますけれども、その委員の任命は知事の権限でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 知事に任命権が全部与えられておるとなりますとますます怪しくなってくる。形だけではできたけれども、実行に移すときには全然ふぬけになってしまう、こういうことになると思います。特に問題は、公害について知らない人がいままででも審議委員になったり、知らない人が県知事になったり、知らない人が監督官になっておる例がたくさんあります。したがって、どんな法律をつくっても、ここらあたりで魂を入れず、画竜点睛を欠きますとどうにもならぬ。  一つずつ具体的に申し上げましょうか。たとえば兵庫県の県知事と当該企業との間に協定が結ばれておる。それは大所高所の立場に立って見れば当然不可能な数字でございます。そのことがわかっていない。額面どおり受け取っておる。しかし公害はどんどんふえておる、そういう事件がございます。茨城県鹿島灘、これも調査に行きました。驚いたことにそこで製鉄業が行なわれておる。コールドミルをすれば硫酸を使うにきまっておるのですよ。ところがそこの排水についてはいまだ調べたことがないと、こう言う。いわんやコールドミルの場合には公害はございませんのであなたたちも見ていただかぬでもけっこうです、こういうわけなんです。遠くからながめて、望遠鏡で見て、あれが鹿島灘の製鉄業でございます。あそこには公害はありませんと、こういうわけです。とんでもない話なんです。しかも鹿島灘のような大きなコンビナート地帯に対して県はどうかといったら、たった二人の調査官しかいない。駐在は何人おりますか、消防団は何人おりますかといって私は聞いた。てんでそういう既設の調査なり保護に回る方々と比較してみた場合にお粗末きわまる。それでその調査官に聞いた。あなたはコールドミルをやったときに硫酸を使うということを知っていますかと言ったら、そんなことは覚えたことはありませんと言うのです。これではあの地区でSO2の被害が今後当然出てくる。それに対して契約書はどう結んでありますかと聞いてみると、二・五だとか三ぐらいの重油を使うと書いてあれば、なるほどそれしかいま日本にないから、こう思えるわけです。ところが〇・一以下とほとんど書いてある。この〇・一以下の原油はどこから買いますか、どこから買うていますかといって聞くと、もうそこから先答えができないのです。かかる状態で、地方で審議会をつくってあまくいくとお思いなさいますか。だから基本法律をつくったときに、当該関係の公務員の教育を先にしなければいけないということを再三にわたって言うたわけです。いわんや県単位に委員を選ぶということになれば、弁護士関係はこれは選ばれてくるでしょう。当然あるでしょう。しかし、事公害に関して書類を見ればすぐわかるような誤謬ですね、これがいま盛んに行なわれておる。これに対して発見できる手だてがありますか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 あるいはお答えになるかどうかわかりませんが、かりに地方の審査会の委員でいま先生の御指摘のようなことがわかるかどうかということにつきましては、ケースに当たったことがございませんので、一応お答えにはなりかねると思いますが、少なくともそれぞれの事務局にはいろいろ多方面の人材をそろえることも努力いたしておりますし、かつかりに公害紛争処理については、先ほど申し上げましたが、中央の研修会を何回もやっておりますし、かつブロック会議等でもいろいろと事例の研究あるいは問題の解明等の勉強会をいたしておりますので、一応その辺につきましては所期の効果をあげつつあるというふうに考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 やっぱりおざなりの答弁しかできないですね。  あなたにお尋ねする。あなたは公害発生地区をどことどこ、何回くらい調査しましたか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 私に対する質問でございますが、私のほうは公害発生地区を歩くという仕事でございませんで、具体的には紛争のケースが起こりました際、この衝に当たりますので、具体的には、たとえば現在やっておる水俣事案ということであれば、そこに行きまして現地の患者さんがすわり込んでいる小屋までは参っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 だから書類審査に終わるということを言っておるのだ。だから、書類審査で見て、その契約書を見ただけでこれは実行不可能であるか、可能であるか、また、可能であるとしても、これは十年先には可能であっても、今日ではできない、そういうことの判定できる人でないと、うそをそのまままるのみされてしまう。  それじゃ、そこで具体的に申し上げてみましょう。たとえば、いまのすでに行なわれておる公害十六法のうちで、県知事は立ち入り検査はできますね、設備改善命令もできる、停止命令もできる、やった県知事は一人でもありますか、公害はどんどん出ておるのに。それでこの間、島本理事とも一緒に調査に行った。あえて某県と申し上げておきます。某県の某企業と申し上げておきます。わが社は大気汚染については非常に熱心でございまして、含有量は〇・三の重油を使っています、こういう話であります。私は話を聞いてびっくりした、おかしなことがあるものだなあと。説明はどんどん進んでいった、そうすると、あとで、きょうはいらっしゃるかどうか知りませんが、新聞記者の方が私のところに電報を回してくれた。加藤先生、そんなことを黙って聞いていていいのと言って。そこで、私はそれなら質問をしましょうということになった。〇・三の重油とは銘柄は何でございましょうか、どこから買ってますか、仕入れ先を知らしてください、こうやったのだ。そうしたら、仕入れ先が答えるたびに違うのだ、答える人によってみな違うのだ。ありっこないのです、そんなものは。あったとしても目薬にする程度ならばありまするけれども、日本の大企業が〇・一以下の油を競争して使うなんというほどないのです。ミナスがどれだけあると言っても、これは二億キロ、全額の十分の一しか輸入量がないのだから、したがって、その重油はその二分の一しかないのだから、ありっこないのですよ。それを使うと言っておる。そこで、ここから先が問題だ。県庁側がいらっしゃったので、私は尋ねた、あなたのところは立ち入り検査をいたしましたかと言ったら、ことしは二回やりましたと言うんだ。はなはだそれはけっこうでした、立ち入り検査の結果油のS含有量は何ぼありましたかと聞いた。答えができない。きょう答えができなきゃやむを得ないので、あとからでけっこうでございまするから、データを送ってもらいたいと言って言い残してきた。どうです、あれからどれだけたつのやら、いまだにそのデータは私の手元に来ないのです。これが実情なんです。  もっとひどいことを申し上げましょうか。実情を調査していらっしゃらぬから、法律が似て非なるものになってしまう。われわれが調査に行きますと、知らないならまだいいのだ、知っとって隠すという手があるのだ、知っとるからよけい隠すのです。隠して隠して隠しまくって、逃げて逃げて逃げまくるのです。立ち入り検査を拒むのです。ところが、新聞記者の方は一番よう知ってみえる。地元の新聞記者は、先生、ごまかざれたらいけませんぜと言うのです。何でと言うたら、きょうの煙はいつもより薄いですよと、こうくる。あなたたちが調査しようとしておるスケジュールの中には、一番悪水をたくさん流しているところは除外されていますぜ、そこでそれじゃ一番たくさん流れているところはどこかと聞くと、ここここだと言うから、途中まで予定変更させてくれと言うのだ。で、行ってみるというと、案の定です。もっとひどいのがある。調査に行きますと、漁師が立ちはだかってバスをとめてしまうのです。何事ならんと聞いてみると、いつもこの海はたいへんよごれています。しかし、きょうはボラの注文を受けました、けさハマチも注文受けました。それで生きとるやつを排水溝の入り口のところへすがつくってある、あそこへけさ入れました。だから、きょうは泳いでいますよと言うんだ、けさ入れた魚ですよと言うんだ。平生のときには一匹もおりません、おかげでわしらはこの辺では漁ができなくなっちまいました、これじゃわしらは首つりだ、きょう買ってもらったからありがたいと思っていくと、排水溝のところのすの中に入れてある、それをあなたらに見せるだろうから、ごまかされて帰っちゃいけませんぜと、こう言う。漁師のほうがはるかにりこうです。生きるための知恵です。そういうことを書類審査で発見できますか。  もっとひどいところの閉塞性呼吸器病、これがどんどん出ておる。その地区のデータは、市長、県知事の出したデータは数字が書いて出されておる。ところが、正直なのはお医者さんだ。医師会で発表されたデーターとはまるきり違ってしまっておる。どっちがほんとうだろうか、こう言っておる。医師会がなぜ発表せぬならぬ。閉塞性呼吸器病はあまりにも多いからなんだ。過去と比べてあまりにも多くなったからだ。会社の発表した数字よりは医師会の発表した数字のほうを地元の人は受け取るのです。こういうことが次から次へと行なわれておる。日本全国そういう状況下にあって、なおこの紛争を正しく処理するということになりますると、これは問題なんです。そういう意味からいって、私は先ほども申し上げましたように、島本理事がもう再三にわたって三条組織をつくれ、自分のところで裁定できるようにしろという要求の答えとして出てきたこの法案ですから、精神は賛成ですけれども、この内容に至っては必ずしも賛成できない点が多々あるということなんです。それは、具体にあまりにもかけ離れているということなんです。こういう現実をとらまえて、せめてそれに合うような審査委員を選んでもらいたい。それはだれがいいかと言ったら、私ははっきり申し上げます。やはり医者であるとか弁護士であるとか、選挙に関係のない人。いわんや県知事や市長が選んだ日には、これは会社側から選ぶことになっちゃうのです。これだったら、隠れみのに屋上屋を重ねることになり、つくらないほうがいいと思う。  さて、これについて、あなたは先ほど白紙であるとおっしゃられた。どういう用意をし、どういう準備をして各都道府県知事に指令を出されますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 各都道府県知事にと先生はおっしゃいましたけれども、都道府県知事がそれぞれの都道府県の議会の同意を得て任命をいたしますのは地方の審査会のことでございます。  いま、一般的な公害行政の問題点をるるお述べになりました。公害紛争処理を担当いたしております私どもといたしましても、非常に貴重な、重要な御意見を承ったわけでございますが、白紙だと先ほど申しましたのは、御審議をいただいております公害等調整委員会の委員のことについてでございまして、そういう点につきましては、この人選に際しましては当然先生がおっしゃいましたような、人格が高潔であって識見が高く、公共の福祉に関して公正な判断をすることができる方を選ぶわけでございます。いま先生の言われました、医者がいい、あるいは弁護士がいい——当然こういう方々の中からもわれわれは考えなければならないことでありますし、弁護士の資格を有しておられる方も当然選ばなければならないわけでございますが、法案が成立をいたしましたならば、早急に高所大所から検討いたしまして、公平かつ適切な判断の行ない得る方を、国会の同意を得られる方を選んで任命をする、かように考えておりますので、国会の両院の同意を得られない人を私どもはしいて選ぶなんということは毛頭ないことでございまして、慎重に配慮を加えて、公布の以降できるだけ早く任命をして国会の御同意を得たい、かように考える次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 中央のほうはチェックする機関がずいぶんたくさんあるのですよ。ところが、事地方になりますと未分化でして、どうしても県知事の言うなりになりがちである。同時にまた、県知事が古い県知事でございますと、何回も当選した県知事でございますと、上乗せ基準まで許容してあるにもかかわらず、内目、内目に事を運び、隠し隠しして、企業の利益を守るけれども、公害関係患者の保護はスズメの涙程度で事を濁しているというケースが非常に多いのです。例はあり余るほどあるけれども、この時間では申し上げられませんから、次へ進みたいと思いますが、要は公害発生企業に直接、間接関係のある人、利害関係のある人、これは絶対に地方の審査委員にはしてはならないという、これが鉄則だと思う。これについて、あなたどう思われますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほど兵庫県を例にあげられたわけでございますが、たとえば公害を現に出しているような企業等から審査会の委員を任命するということは、決して好ましいことではございません。そこに議会の同意を得てと一つかませてありますのも、そういう趣旨で私どもは考えておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 いや、私の出した例は、兵庫県は最初に出しただけであって、あとの例はみんな別の県ですよ。全部別なんです。事公害と名のついたところへはわが党は全部調査団を派遣しております。したがいまして、決して兵庫県だけではございません。これは最初に申し上げたのです。  そこで、次に申し上げたいことは、でき得べくんばほんとうに真相をキャッチして、その真相に合った判定を下すためには、ぜひひとつその審査会のメンバーに被害者の代表を加えるようにしてもらいたい。次に、労組の代表を加えるようにしてもらいたい。これは私というよりはわが党の要望でございます。被害者を入れるということは、これは当然なこと、理由は明らかでございましょうから申し上げません。真相をキャッチするには被害者が一番身にしみてわかっていることですから……。  ところで、労組でございますが、目下のところ企業と労組がアベックになりまして、証拠を保全しなければならない義務があるにもかかわりませず、それを隠滅するという方向に行っている向きが間々あります。この調整委員会の審議のメンバーも立ち入り検査をするという。そのときに証拠が隠滅されてしまったら、これは真相をキャッチすることはできないのですね。そうでしょう。したがって、証拠を保全するという意味からいっても、労組の代表を審査委員に加える、こういうことが必要だと存じます。  同時に、もう一つ言わなければならぬことは、今日の企業機密を保持するという問題、これと公害とを並べてみましたときに、人の命を守るということがあと回しになって、企業機密を守るということのほうが優先されておる。したがって、労組側では知っていてもこれを発表することができないという状況に置かれている。こういう状況下において、いかにりっぱな審査委員が行って調査をなさろうとも、これはどうにもならない。結果、いままでどうなっているかというと、その地区における新聞記者が長年にわたって調査した、お医者さんが調査した、薬剤師が調査した、これが解決の糸口になっておる。しかし、実際一番よく知っているのは企業側のはずなんです。その企業側からなぜホイッスルが鳴らないかといえば、それは発表したとたんに、企業機密を漏洩したという罪に問われるからなんです。これではどうにもならない。  そこで、本法案についてお尋ねいたしますが、企業機密と公害の世間への発表、これはいずれが優先しておりますか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまの御質問につきまして、現在の法案では、裁定につきましては、審問の公開、これは第四十二条の十五というところにございます。したがって、公開というのは世間に公表することと同じと思いますけれども、これはあくまでケース・バイ・ケースという運用にいたしたいと思っておりますが、原則は公開でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 答弁になっていない、そういうのをすれ違い答弁と言うんだよ。予算委員会じゃないからもっとはっきり答えてもらいたい。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 この点につきましては、公害の持つ社会的、公共的性格から、あくまで真相を明らかにしなければならないという側面も事実ございますし、もう一方は企業の秘密といえども、場合によりまして保護されねばならないという側面がございます。したがいまして、具体的ケースにわたって具体的に判断をするのが妥当であるかと存じますが、その辺の両側面を考えながら事を運ぶのが妥当であろうかと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 さっぱり答弁が妥当でない。妥当でございますという答弁ですけれども、すれ違いになっておる。同時に、私は前段に被害者の代表を入れるべきである、それから労組の代表を入れるべきである、労組の代表を入れるほうがよろしいという理由はこうでございますと申し上げたはずなんです。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 一応現在の中央公害審査委員会は、いま御審議願っております法案が成立いたしましたならば公害等調整委員会になりまして、この委員の任務として当然公害の因果関係について正当な判断をいたさなければなりませんから、それが経営者であれ労組員であれ、企業関係者を委員に任命する気持ちは白紙の中でもございません。これはやはりいま言われましたようなケースも間々あることでございましょうから、それが労組員であろうと経営者であろうと、委員としては適格な委員として私どもは考えていないわけでございます。  それから企業秘密と公害原因とどちらの公開を優先するかという非常に重要な御質問でございました。川村事務局長がお答えいたしましたのは、法律に書かれておりますとおりに、裁定をいたしますときの審問は公開を原則にいたしております。すなわちその審問の内容はすべて世間へ出すということでございます。ただ、個人のプライバシーにわたる問題あるいはきわめて高度の企業秘密、こういうふうな場合には公開の原則に例外を認めております。その場合でも当事者双方というものはその席に入っているわけでございまして、審問を公開にするかしないかということは一にかかって委員会判断にまつべき筋合いのものと思います。その委員会がそういう性格を持った委員会でありますので、私どもも三条機関にして独立性を高めた。また公害のこの委員会を三条機関にするべきだ、裁定をやれということと同時に、独立性を高めるために三条機関にするべきだ、そういう当委員会の御検討もまさにそこにあったのではないかという気持ちを私どもは持っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 これはせっかく法律をおつくりになるときでございまするから、ほんとうに真剣に考えてください。ときあたかも国益と公務員規則はいずれが優先するかという問題がけさの新聞にも出ている。アメリカだったらああいうことは許されることなんだけれども、日本では機密を漏洩した公務員は機密漏洩のかどによって罰せられる、こういうことになっちゃう。それだったら、今度企業の機密と公害といずれが高度であるかということをはっきりさせておかなければ、公害をじゃかすか出して暮夜ひそかにたれ流す、蓄積しておいて一挙にやみ夜に乗じて流すんですよ。ところがやみ夜に流したからといったって、雨の降る日に流したからといったって、海の湾は一つしかない。あとでばれてくる。目下公害を追跡することで海上保安庁はもう人手が足りないほどなんです。それは何も重役が来て流すわけじゃないんです。重役、工場長ときて、命令を受けて作業員が流しておる。作業員がみなわかっておるんです。ところがそれを発表することができない。発表することができないようなかっこうにしておいて、どれだけ裁判やったって真相にマッチした裁判ができますか。言ったらおまえは首になるぞよと言われたら、だれが言います。そういうばかげた組織にしておいて、どんなに法律をつくったってこれは画竜点睛を欠くといわなければならない。だからこの際はっきり基本法に従って人間が優先するのだ、企業優先を取り下げて人間優先にしたのだから、関係各法もそれにのっとった法律にしなければならない。いまのこの問題について言えば、労組が会社の公害を知っていたら、これは発表ができる、発表しても首にならないということにしてやらなければ当然できないことなんです。したがって、審議員のメンバーに、当該関係工場の労組とは言いません、労組代表を入れるということにすべきである。口をすっぱくして申し上げます。この問題についてはすでに島本理事がいままでも質問の形式で要求したことがありまするからこれはもう島本理事に譲るといたしまして、もう一つ最後に、時間のようでありまするから申し上げます。  この法案に適用の範囲が不明確な点がございます。そこでお尋ねいたします。第一番、電気、ガスは含まれますか、防衛関係は含まれますか、除外ですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 まず最初の第一でありますが、電気、ガスの関係、これは発電所の公害とか発電所から出るばい煙だとかあるいは精製過程で出る排水だとかあるいは温水、冷水、これからはガスの場合には冷水公害などということが考えられるかもしれませんが、そういう問題だろうと思いますけれども、そういうものは全部典型公害の一つとして、紛争が起きた場合にはこの公害処理法によって処理されることになります。  それから基地公害についてのお尋ねでございますが、基地公害につきましては午前中もその話が出たと思いますが、これは別に紛争処理法の五十条という規定がございまして、「防衛施設周辺の整備等に関する法律第二条第二項に規定する防衛施設に係る」これこれの結局公害に関しては「別に法律で定めるところによる。」ということになっておりまして、そちらのほうで処理されております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もう一度簡単にお尋ねします。  電気、ガスはこの法案の範疇に入りますか入りませんか。適用の中に入りますか入りませんか。  もう一度、防衛関係、基地公害ですね、特にあなたのおっしゃった。これはこの審査の対象になりますか、なりませんか。なるか、ならぬか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 電気、ガスの、これは生産と申してよろしいかどうか、要するに電気を供給し、あるいはガスを供給することに伴う大気汚染、水質汚濁等はこの法律の対象になります。それから、基地公害はこの法律の対象にはなりません。(「どうして」と呼ぶ者あり)これは五十条で別に規定してございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 わかりました。  原子力発電はいかがですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これも別でございます。入りません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私は、基本的に言ってこの法律はかご抜けになると言いました。また範囲においても、いま承ってみますると、原子力発電も入らなければ、基地公害も入らないとおっしゃる。それでは、かつて大気汚染法、水質汚濁法を審議いたしましたおりに、電気、ガスが除外されたために、新聞は筆をそろえて書いた。大どろぼうを逃がして、こそどろだけをつかまえる法律である、その悪口がまたずばり適用されることになることをおそれます。しかし、この問題については、時間がまいりましたので、私は次に長官がいらしたときまで質問を留保して次に譲りたいと思います。——いまほかから電報が回ってまいりまして、公益と企業機密といずれが優先するかについて何度尋ねてもお答えがなかったのですが、この問題もあとで、答えられる人にゆっくりお尋ねしたいと思います。  憲法十三条によれば、公益すなわち公共の福祉が優先すると明記されているという——それはあなた専門家でいらっしゃるからよう御存じですわね。専門家でいらっしゃって、知っておってもなお答えられぬというのですから、これは悲しくなる。よう御存じなはずなんです。専門家で、一番私も尊敬しているんだから、そのベテランでいらっしゃるということで。それが答えができないということになると、悲しくなってくる。したがって、この問題について、次の山中長官がいらしたときに質問をする予定ですが、いまこの段階において私は留保しますけれども、いま答えられる用意があったら答えてみてください。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほどもお答えを申したつもりでございましたけれども、御審議いただいておりますこの法律の中で明確になっておりますように、公害等調整委員会の審問は公開をすることが原則になっております。公開をすることが原則になっておるということは、世間に発表することを原則としているわけでございます。その取り扱いについてはケース・バイ・ケースで考えていただく。それは先ほどから申しましたような人選で、国会の同意を得て任命を受けた委員長、委員が構成をなさる委員会の判断でございますから、その三条機関であるという権威を御信頼いただきましたならば、そこに判断をおまかせするほうが——政府がとやかく言うべきではむしろない。いいかげんな、無責任なことで言っているのじゃなくて、三条機関というものの権威を私どもも信頼をすればこそかように申しておるわけでありまして、公開を原則にしたということをおくみ取りいただきたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 残余の質問は次のときに譲ります。どうもありがとうございました。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 加藤清二君の質疑は終わりました。  次に島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 前回の引き続きでございまして、まず一つあらためて聞いておきたいことがございます。  いま加藤委員からいろいろ質問がございましたが、中央公害審査委員会の裁定委員、こういうようなものを含めての人選という点にいろいろ焦点が当てられております。ことばで言うと、いわゆる人格、識見、能力兼ね備えたりっぱな人、確かにそれはそのとおりであります。しかし、実際に行なわれる場合にいまでも考えられている点は、まず住民に一番密着しているのは地方行政機関なんです。中央が権限を持っていてはしようがないから地方に落としなさいという当時の世論によって、権限委譲が一昨年の暮れ——当時、公害十四法、いま十六になっておりますが、この十四法を改正した際に、あるものは地方に権限を委譲いたしました。その結果すべてよくなったかというと、そこにまた一つの怠慢と停滞がいま渦を巻いているわけであります。そうしてみますと、いいと思ってやっても、結果として、たとえば公害の場合にはなかなかむずかしい要素がある。簡単に、人格、識見、能力を兼ね備えたりっぱな人だったらいい——いま知事に選ばれた人で、これに該当しない人がおりますか。おそらく、みんなりっぱな人ということで国民の信託にこたえて出ているはずだけれども、公害の問題になると企業側に立ったりあるいは完全な権限行使をサボったり、いろいろな事例があるということの指摘がいまあったわけであります。現地に行って調べると、それが歴然としてわかるわけであります。すなわち、公害行政の複雑さと困難さはその辺にあるわけです。したがって、この人格、識見、能力を兼ね備えたりっぱな人を選任するという場合には、ことばではそう言えますけれども、ことばは少し過ぎますが、もしそれが自民党の人が選べば自民党的な人を選びたい、知事が選ぶとなるべく自分の選挙に有利な人を選びたいということにも当然なるだろうと思います。現在の経済やいろいろな情勢からして、選ぶ場合には、そういうような企業べったりの人を選んだり、またいろいろなその関係者を選ぶことによって有名無実の存在になることが地方ではことにあります。それから中央では、そういうようなものが上がってきた場合には、とんでもない決定をしでかすおそれもあるわけであります。この人選に対しては、以上のような経験からして、十分いままでの論議を踏まえて今後考えてやってほしいと思うのです。いまのは体験からにじみ出た、あるいは血の叫びだ、こう思って対処してほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 公害の問題で御造詣の深い島本委員のおことばでございます。全く同感でありますが、中央と地方をひとつ分けて簡潔にお答えをしておきたいと思います。  地方の場合、いま島本先生が現地現地に調査に行かれて見つけてこられるような、そういう事態も私どもの耳には入っております。ただ、やはり委員の任命につきましては、都道府県知事がその議会の同意を得て任命される、そういう地方自治の根幹にかかわるようなきめ方、制度としてのこのきめ方というのは、私は一番望ましいと思うのです。ただ、知事さんがお選びになった、あるいは議会でどうも御審査に漏れがあった、そういうふうなことを原因にして悪い結果をもたらしているという事態が、いま島本先生が現地に行かれてよく見つけてこられてのお話だろうと思いますが、そういう個々の事態につきましては、一つ一つの具体的なケースにつきまして各地方公共団体を指導をしてまいりたい、かように考えます。  中央の委員会の委員の任命のことでございますけれども、これは島本委員もおっしゃるように、人格高潔、公共の福祉に関して公正な判断のできる方、こういった表現でしかお答えのしようがないわけであります。ただいまは、自民党が選べば自民党色の強い人というふうなお話もありましたけれども、両院の同意を得なければ任命できない人事というものはそんないいかげんなことがまかり通るものでないことは、先般のことについても御理解をいただいていると思います。私どもは両院のもろ手を上げて御賛同いただける方を慎重に配慮しながら任命の準備を進めてまいりたい、かような決意でおりますことをお答えをしておきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いろいろ内容等についての説明があり、この中でわれわれとしても確かによくぞ踏み切った、こう称賛のことばを与えてもいい場合もだいぶございます。ただ、この中ではたしてどうなんだろうかという疑問点、国民の前に解明しなければならない点も多々あると思います。委員の人選その他についてはもう十分おわかりのことですからいいのですけれども、たとえば原因裁定を企業側からの申請も受けつけると、こうあります。一つの事案に対して、責任裁定を被害者が申請した場合には、原因裁定について、企業側が申請したその原因裁定に基づいてこの責任裁定、被害額をきめるということにもしなるとしたならば、企業家の要請に基づいてやって、そしてあらゆる条件と申しますか、そのもとに審査するか何かして、結局その被害者の責任裁定、被害者の救済の問題についてはまた別にやられた場合には、これは何らか不利になるおそれがあるかないか、この点についてはやはり国民の前にはっきり解明しておかなければならない点じゃなかろうかと思います。この点についてひとつお答えを願っておきたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 専門家の小澤委員長から補足をしてお答えをいただきますけれども、私どもが原因裁定の申請者を当事者といたしましたのは、原因裁定で委員会が出す答えは、これは真実でございます。真実は一つしかございません。したがいまして、どちらの側が申請をしてまいりましても出る答えは真実一つでございます。どちらに有利とかどちらに不利とかという問題ではございません。したがいまして、これと責任裁定との関連というものは何ら矛盾するものではない、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その場合に矛盾しないながらも慎重にしていくとするならば、原因裁定をする場合には当然何の関係なしに原因裁定をする場合があるだろうか、やはり被害者に対する補償またはいろいろそれを考えて有利に自分らはとってもらいたいために原因裁定を原因者がするんじゃなかろうか、こういうふうに考えます場合には、やはりそういうような点、動かされないのが鉄則でございましょう。しかし、動くのが人情でございましょう。実態としてやはりそれのほうに傾斜していくのがいままでの傾向でございます。そうだとするとやはりこの辺にも何か歯どめが必要なんじゃなかろうかと思うのですが、原因裁定の場合には、被害者の了解を得た上でやるとか、またはそれに対して損を来たさないようにしてやるとか何か方法を考えたほうが、これが一番万全じゃなかろうかと思いますが、そういう心配ないかあるか、あるとするならばいまのような方策はどのように受けとめられるか、この点等についても所感を承っておきたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 小澤委員長からあとお答えをいただきますけれども、いま島本委員所感と申されましたので率直にお答えをいたしますが、ただいま人情に流されるというふうなおことばがございました。先ほども申し上げました原因裁定というものは真実を発見することであります。真実に人情も何もあるものではございません。したがって、そういう御心配は何ら無用と考えます。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 いまお答えがありましたとおり私も全く同感でございまして、自分のいままですでに中央公害審査委員会で調停をやった経験から考えまして、おおよそ申し立てがあったときにその申請者が加害者であるか被害者であるかということによってどっちかに傾斜するなんということは想像もできないことでございまして、現在の委員を例にとって考えますと、われわれは独立の地位を与えられておりまして、そしてそれに基づいて全く公平無私にどちらにも傾斜せずにやるという覚悟をしており、また事実そうなっているということを御承知いただきたいと思います。その点は新しくできる委員会につきましても同じような地位が保障されることに規定上なっておりますので、全く同じことになるのではないかと思います。どうぞその点は御安心いただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その点は御安心してくださいと言うならばまあ安心したいのでありますが、まだまだ若干気にかかるところもあるのであります。もしこれで被害者が裁定を依頼する場合には金銭的な負担は被害者に一銭もかからないものであるかどうか、何らかの形でかかるものであるならばこの際その事情も解明しておきたい、こういうふうに思います。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 この法律によりますと、金銭的負担といいますと、まず考えられますのは手続の費用だろうと思いますが、手続の費用につきましては原則として法律の上では、法案の上では当事者各自の負担、つまりそれぞれの当事者がめいめい持ちということがたてまえになっておりまして、ただし政令で定めるものは別で、政令で定めるものはこれは国庫負担ということになっております。それで実際の手続の運びを考えますと、当事者の手持ちのいろいろな資料があると思います。これはやはり当事者が出すのが原則だろうと思います。手持ちの資料は当事者が出す。それから当事者が手持ちではないにしても簡単に調べられるようなもの、そういうのは当事者に出していただく。それから、そうでなくともできるだけのものは出していただきたいわけでありますけれども、特に被害者の場合には資力などの関係でなかなか力の及ばない場合もあろうかと思います。  ところで裁定いたします場合には、委員会としては双方に対して公平な判断をする前提として、双方が十分対等な立場で資料を出し合っている、双方のために必要な資料は対等な立場にまで高められているということが前提になってまいります。ところが資力が足りない被害者の場合にそれが資力の関係で制約されるということがこれは当然予想されるわけでございますが、それではほんとうに公平な判断はむずかしいのでございまして、いかに主観的には公平であろうと思いましても、資料が不十分であれば勢い公平であろうと思えば思うほど不公平になるというような、そういう事態が出てくるわけでございます。そういうことでは制度の目的が達成せられませんので、それを防ぐために委員会としては事実調査の権限、さらに進んで職権で証拠調べの権限も与えられておりまして、そういうふうにして、もし片方の資料に不十分なものがあれば、そしてそれが資力の不足のゆえにそういう原因が起きたということになりますれば、委員会としては協力をして職権ででもそういう手当てをしまして、双方の判断をするのに、公平な判断をするのに適するように、資料は両方のために積み重ねていく。(島本委員「被害者に金がかからないか」と呼ぶ)被害者のためにも積み重ねていく。まあ加害者のためにやるということは普通は考えられないことだろうと思います。加害者は資力があるでございましょうから、そのときに資力のある加害者のためにお手伝いするということはこれはやる必要がないので、それは資力のある加害者のほうはその加害者が自分の資力で資料を集めればよろしいわけでございますから、その辺は自然そういうことになるのじゃないかと思いますけれども、資力がないために進んで出さなければならない資料が出せないような被害者のためには委員会もお手伝いいたしますということになろうかと思います。そしてその結果それにかかる費用ということになりますが、職権による証拠調べの方法として、あるいは鑑定とかあるいは物件の提出とか、そういうことがございますが、そういうような費用を国庫が負担するということになります。あとは関係者としては期日に出頭するための日当旅費などというものが問題になろうかと思いますが、これは制度の上では一応各当事者負担ということになっております。  ただそこで、もう一つつけ加えさせていただきたいのですが、そういうふうにして当事者が費用を出さなければならない、たとえばその事件が非常にむずかしいために弁護士を頼まなければならない、そして弁護士に相当の報酬を払わなければならないといったような中に、これを負担するのがたいへんだという事例があろうかと思いますが、こういう場合には、そういう費用につきましては、それが当該原因との間に相当因果関係がある、損害と考える余地がございまして、そう考えられる限りは、その手続のために当該裁定手続のために支出したそういう費用についても、損害賠償として裁定で責任裁定を求めることができる、そういうことに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いま、やはり総理府総務副長官のほうから原因裁定について真実は一つである、これは情実に動かされるものではない。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)これはまさにそのとおりという支援のことばが出るほどそれが思われているのでありますが、いま御答弁の中にも出たとおり、使用者側、また原因者のほうで資料を出すならば、その資料も参考にしてやるということですから、あり余る金を出して、あり余る資料を資料としてばんとして出したならば、その資料自身がもうすでにその原因者が提供した資料になるから、それをもとにしてやっていったら有利なように原因裁定はそっちのほうに傾くというようなことにならないという言明をしていただきたい。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 小澤委員長、法律の専門家の御答弁を私が補足するのはおかしいんですけれども、この委員会のやります審査は、いま島本委員も企業側が出すかもしれないという膨大な資料のことだけをおっしゃいましたが、それだけをもとにして審査するのではございません。立ち入り検査もありましょうし、自分が出ていっての現地の調査もするわけでございますから、企業が出します資料がいかに膨大なものでありましても、やはり真実は一つであるという信念に変わりありません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 小澤委員長のほうもやはりそうですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 そのとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 次にお伺いいたしたいのでありますが、総理府のほうで本法律案を改正し、国家行政組織法第三条機関に移行を前向きに検討してこれを出していると言いました。ことに懸案の裁定権限もこれに与えたわけでございますけれども、第六十三国会、昭和四十五年四月十五日、当時の衆議院産業公害特別委員会でありますが、そこで公害紛争処理法案に対する附帯決議というものを出してあるんですが、この附帯決議全体を討論の上で今回この改正をしたものであるかどうか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 附帯決議を付せられましたときに、総務長官も附帯決議の御趣旨を尊重する旨の言明をしていると思います。したがいまして、附帯決議全文について検討いたしました上、本国会に間に合わすことのできたものを提案をしたわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その附帯決議第二項には、「本法から所謂基地公害を除外することについては、相当議論の存したところであり、今後本法との関連において既存の防衛施設周辺の整備等に関する法律等をも含め真剣に再検討し、所謂基地公害の防止等の対策に遺憾なきを期すること。」とあるわけであります。現在のこの状態から見て、附帯決議第二項、これを十分しんしゃくの上でこの改正法案を出した、こういうようなことでございましょうか。また今後にこれを残しておいて他の問題になる点を洗って出したのでございましょうか。十分これを考えたとするならば、以下これから私がお伺いをしてまいりたいと思うのでありますが、この点等についてはっきりさしてもらいたいと思うのであります。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 基地公害につきましては、附帯決議にありました事実は、十分承知をいたしております。私どもといたしましては、やはり基地公害、その原因になります自衛隊等の行為というものは、その特殊性から顧みまして、一般の産業公害と同じ扱いをすることはいかがなものであろうかというふうにただいま考えておりますことが一点でございます。  さらに政府は、すでに防衛施設周辺の整備等に関する法律等によりまして、障害防止工事の助成でありますとか、民生安定施設の助成、損失の補償等につきましては、少なくとも一般の産業公害と同等の措置をすでに講じております。また損失補償につきましても異議の申し出等の制度を設けまして、円満な解決をはかってきているものでございますから、当面この問題をすぐにどうというふうなことも考えておらないというのがただいまの現状でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、いますぐ取り上げるような被害は地域住民に与えてないから取り上げないのだ、こういうふうに副長官はお考えですか。それともそのほかに原因があって取り上げないのですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 そういった国民にかけております基地公害から生じた被害、そういうものを防衛施設庁のほうで持っております法律で受けてこれを処理していく、またこれができることである、そういうふうに考えているわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だからこれは全部できておって、そういうような被害に対する訴えは現在ないものである、こういうように理解してよろしゅうございますか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 防衛施設庁といたしましては、自衛隊あるいは米軍の行為から生じました各種の障害あるいは防衛施設の運用から生じます各種の障害に対しまして、これを除去したりあるいは軽減をする、そういうために周辺整備法というものを設けまして、これに基づきまして適切な対策を講じておるところでございます。  そこで、米軍なり自衛隊の行為から各種の障害が起こりますし、また施設そのものの運用から各種の障害が生じますので、それに対する苦情なり陳情というものを私どもはしばしば受けておるわけでございます。それに対しまして、苦情なり陳情というものを私どもが十分調査いたしまして、それに対して迅速にできるだけ適切な対策を講ずる、こういうことで従来からまいっておるわけでございまして、ただいまお話のございましたような特別損失の補償等につきましては、異議の申し出あるいは訴えの方式もございますので、そういう手続によって処理をするということでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その措置は国民全体に及ぶものですか、それとも特定の物件、特定の建設のみに及ぶものですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 周辺整備法に基づきまして各種の助成を行なっておりますけれども、障害に対する補助あるいは一般の民生安定施設に対する補助、こういうものは市町村に対する補助の形で、各施設に対する防音工事、その他の各種の対策を講じておるわけでございます。そこでこれは個々の被害者に対する対策ではございますけれども、個々人に対する補償という形でなくて、現在は市町村を通じてそういう手続を行なっておるということでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 市町村にそういうような補助をしておけば、それで被害が全然ない、こういうように自衛隊は解釈しているのですか。やられるのは個人の住宅、そういうようなものは、いかに被害を受けてもこれは適用できないのですよ。公共の事業体、そういうようなものでないとだめなはずです。そういうようなところをやっていれば、個々の被害は全然顧みなくてもこれは全面的にいいものである、こういうことになってしまうじゃありませんか。ですから、私は国民に被害がないか聞いているのです。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 たとえば騒音を例にとりますれば、当然その被害者は個々人でございます。したがいまして、騒音対策といたしましては、まず自衛隊なりあるいは米軍の飛行場における各種の騒音規制を行なうと同時に、騒音による被害をできるだけ軽減をするという意味で各種の防音工事を行ない、あるいは市町村に対する助成を行なっておるわけでございまして、その中でもたとえば事業の経営上損失をこうむるというような場合におきましては、これは個人に対しまして損失の補償をいたす、それに対する異議の申し出その他の手続もある、こういうことでございまして、あくまで、被害者は、もちろん個々人が被害を受ける、こういうことであろうと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 規制を行なうこと、また被害を軽減すること、各種の防音装置を施しておる、事業場の損害についてはそれをやる。では、事業をやっていない人に対しての損害やそういうようなものに対してはどういうふうにしてやっているのですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 周辺整備法の第四条におきまして一般助成あるいは防音助成その他のいろいろな対策を講じておりまして、それによりまして、公共用施設が主体となると思いますけれども、いろいろそういう被害の軽減防止をはかることができる。それから個々人につきましては、直接の防音の措置は現在まで実施いたしておりませんけれども、公共用施設をまず手がけましてそれに対する防音工事その他の助成を行なっておりますけれども、今後としましては、防音について考えますればやはり個々人についても十分検討いたす必要があるということで、四十七年度の予算におきましては約七百万円の予算措置を講じまして、個人の住宅の防音等についてもどういうふうなやり方でやったらその被害を軽減できるかというふうなことで調査をこれからいたそう、こういうことでございまして、十分その辺についても今後、調査の結果を待ちまして措置をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 七百万で日本全国の軍事基地のどれだけの調査をし、どれだけの効果をあげ、何年間でできるのですか。いままでこういうようなことを何回もやってきて、まだこういう調査の結論が出ないのですか。これから七百万円で調査するのですか。いままでしていないのですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 個々人の騒音に対する被害軽減の方策としましては、従来は主として公共用施設から始めておりますので、学校、病院等を中心にしましてかなり進捗をいたしておりますけれども、個々人の住宅に対する防音工事というものは従来まだ行なっておりません。やはりまず公共施設から手がけようというのが従来の考え方でございます。  それで個々に個人が被害を受けるという場合を考えまして、これから十分各種の調査をいたそう、これはいろいろ、建物そのものが木造もありますし、コンクリートもありますし、プレハブもありますし、ブロックの建物もございましょうし、そういういろいろな建物につきましてどういうふうな工法あるいは仕様で防音工事を施したほうが最も適切かというふうな点についての調査をやろうというのが来年度の調査でございます。  なお特定飛行場の周辺等におきまして、御承知のとおりに建物等の移転措置ができることになっておりますので、特に騒音のはなはだしい特定飛行場の周辺におきましては、集団的に建物を移転いたしまして、それに対する補償を行ない、あるいは必要な買い上げを行なう、こういう措置をとってきておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 こういうふうにしていま言ったような規制を強化したり被害を軽減したりする各種の防音装置の完ぺきを期する、もし事業場の損害があったならばこれはやる。個人の事業、それの損失が騒音によって明らかになった場合はやると言うけれども、これはあまり例がない。そうしてみるならば、これはおそらくは学校であるとか診療所であるとか保育所であるとか、または公共の集会場であるとか、こういうようなところで音楽を聞くにも騒音がうるさくてどうにもならないというようなところに対してはやってやるけれども、個々人の生活、その住宅を含めて個人のこういうようなものには全然及んでおらないのが実態でありませんか。ことに北海道では、私知っていますから知っている点を例にとって申し上げますが、北海道の、飛行機がおりる千歳、この隣に恵庭という軍事基地がございます。そこでは地上要撃訓練をしておるのです。それで地上演習、カノン砲とか臼砲とか、大砲をどんどん撃つからその震動で農民や住民が困っておるのです。音とあわせて震動です。この震動で困っているけれども、これに何らの対策というものが行なわれていないのです。聞いてみると、対策を行なった。何をやったか。これはその辺の下水を直してやった、または農業関係では有線放送の一斉放送に補助してやった、こういうようなのであります。個人の生活の根拠である住宅、こういうものに対してはまだ何ら手が及ばない。大砲の音と震動、それに飛行機の騒音、こういうふうになって自分の生活が困るからということで裁定を要求されたとしたら、今度は委員会としたらどうなりましょうか。これは総務副長官……。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 私どもといたしましては防衛施設にかかわる障害の紛争の解決につきましては、ただいま施設庁長官も答えましたように、基地周辺整備等にかかわる法律の中身を充実させまして紛争の処理に当たるべき筋合いのもの、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 しかしこれはやっぱりだめなんです。いままで充実してきていたというのですが、ここで二十何年問充実してきていてもまだこの程度なんです。まして、これでは被害が多いからということで、先般の附帯決議、これを十分考慮せい、遺憾なきを期せという附帯決議について、その趣旨のとおりに行ないますということをちゃんと当時の長官から答弁あるのです。今回これも十分考えたかというと考えておらないという。じゃ実害がないのかというと、いまのような答弁の状態ですから実害があるのです。論より証拠、七百万円を組んでこれから調査をするというのです。おそらくは、いままで調査をしたしたと言いながらまだ依然として残っているのが実態であって、このために、こういう基地があるならばその周辺の人は若干の補助金や何かによって生活を破壊されてもがまんしなさい、しなければならないないのだ、こういうふうになっているでしょう。それに対してあたりまえなんだという考えが皆さんにあるのじゃありませんか。だからこれに手をつけないのじゃありませんか。あたりまえなんですか、これは。実際何か手をつけなければならないのですか。この法を提案した立場にある小澤委員長のほうから、そういうような住民から震動、騒音によってどうしても生活環境を破壊されてやりきれないという裁定の要求が来たとするならば、あなたは責任者としてその裁定をどういうふうに扱われましょうか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 どうも現行法のたてまえといたしましては、それからこの法案でもこの五十条がある以上、委員会としてはこれの実質に取り組むことはできないと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 できないできないといってやっている間に、結局はもうどういうふうなことになっていると思いますか。これはアメリカのサイミントン小委員会の議事録によっても——アメリカの上院外交委員会の米国安全保障対外取りきめ・公約に関する小委員会、委員長サイミントン上院議員、これがもう佐藤・ニクソン共同声明の二カ月後の七〇年一月二十六日から二十九日、日本と沖繩を舞台とする米国の安保政策に関する聴聞会を開いて、そのときジョンソン米国務次官とランパート琉球高等弁務官とが説明を行ない、サイミントン、フルブライト上院議員らとの間に活発な論議が展開されている。その議事録によると、日本の米軍基地について詳しい評価をしており、いろいろ注目すべき発言がある。たとえば、「日本側が用意を整えてくれるならば、ほとんどすべての、または全部の施設を移転する用意がある。そういう立場をつねに日本政府に対して取ってきた。ところが、それができないのは、日本政府が無能力なためである。」皆さんの場合も若干これに当てはまるかもしれぬ。それだけでは済まない。「基地公害で騒音がうるさくて困る、というふうなことが起っていることは確かだ。だが、その種の問題について、日本政府はいっこうにわれわれに対して、正当に住民の利益を代表して言ってこない。だからわれわれはここにいられるのだ。」こういうような証言さえあるのです。結局は、向こうのほうは言ってきたならば対処するという。こっちのほうはやらないという。そして、住民に対しては今度も若干の補償を払っているからいいんだという大それた考えを防衛庁で持っている。それを裁定してくれといっても受け付けないという、こんな裁定委員会でどうしますか。もう少し内容を考えて、いわば国権の最高の機関である国会の決議を尊重すべきです。なぜ、第二項があるのに、こういうような状態も考えないでこれを出してきたのですか。人体にまたは生活に重大な影響ある場合には、これはどうしても取り入れないとだめですよ。  先ほど、前委員長である加藤清二委員からもいろいろ公益論争があったことを私も聞いておりました。それに対して田中委員長からも若干の御助言があり、いろいろとこれを指導されたのも知っておるわけです。こういうふうにして、一つのことをやるのに、企業秘密または公益、いずれが優先するか、憲法十三条で公共の福祉が優先する、これははっきりしている、こういうようなことでしょう。おそらくこの基本的な立場に立って裁定というものは動かなければならないはずのものじゃないかと思うのです。  それと同時に、この国会でせっかくいろいろ決定した附帯決議——実際の状況としてまだまだあるのですよ。時間の限りやりますけれども、いまあらわれただけでもこういうような不合理がある。それに対して裁定の依頼をしても受け付けてもらえない。アメリカのほうでは何と言っているか。ちゃんと、いま言ったように、日本から何も言ってこないからこれは取り上げないのだと言っている。それで向こうは知らないで言っておるのか、ちゃんと知っておるのです。「基地公害で騒音がうるさくて困る、というふうなことが起っていることは確かだ。だが、その種の問題について、日本政府はいっこうにわれわれに対して、正当に住民の利益を代表して言ってこない。」こういうふうに言っておるじゃないですか。ないならいいのです。こういうようなことを平気で向こうのほうの聴聞会の証言として出されておる。なぜ言っていかないのか。言ったらこういうふうな操作をして、やはり立法の過程において非常に不備があります。その不備のままにして住民を泣き寝入りさせておる。これだからそれが出ていかないのです。それをいま救済するために国家行政組織法第三条による裁定権を持ったところの強力な委員会が出てきても、まだそれに対しては触れようとしない。触れようとしないのがいいのか。前に、公害紛争処理法案に対する附帯決議第二項に、はっきりこの問題に対して検討しなさいといっているのに、さっぱり検討もしておらない。こういうような状態で、本法案が成立しても、はたしてこれが有効に実施されるかどうか、まだいまだしの感があるのです。私はこれに対してほんとうはもっと討論しなければならないのです。もう十分皆さんの意向を聞いたから、なんですけれども、まだこの状態では不十分ですね。今後、軍事基地に対してどういうふうな考えを持っているのか、これは副長官、少し無理でしょうか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたけれども、防衛施設にかかわる障害に関する紛争処理につきましては、防衛施設周辺の整備等に関する法律、これで受けるというたてまえで政府は参っております。率直にお答えをいたしますけれども、その内容についての御不満の点が、いま島本委員から述べられたわけでございます。私は、やはり防衛庁が防衛施設周辺整備等の法律というものの内容をまず充実させることが第一ではないか。アメリカの委員会の証言等お話がございましたけれども、そういう事態をなぜ言っていかないのかということは、私もここでその答弁を聞きたいくらいな気持ちでございますが、ただいまのところは、率直に申し上げまして、まず防衛施設周辺整備等の法律の内容を充実させて、基地周辺のこれらの障害の紛争の処理に当たる、それが第一ではないかという感じがいたします。直ちに今回御審議いただいております法案の中にこれを取り込むというよりは、やはりいままで政府がとってまいりました基本的な考え方で、防衛施設周辺整備等の法律の充実を防衛施設庁ではかってもらう、それがまず第一ではないかという気持ちがいたします。

野呂恭一自由民主党防衛政務次官

○野呂政府委員 島本先生からの御発言、たいへん問題の多いことばかりでございます。先ほど、米側の委員会におきます日本の防衛基地、アメリカの基地に関する問題の証言まで御指摘になったわけでございます。私どもといたしましては、この基地問題は防衛政策におきまする基盤整備を通してのみ、国民の合意の上にわが国の防衛が成り立つのではないか、こういう点から考えまして、基地問題に関しては世論と断絶してはならないし、また世論との対決の上に立ってはこれは不可能でございます。したがって、基地問題はすべて国民の理解と協力を私どもは第一の条件としなければならぬであろう。ところが、この基地公害を含めて、最近基地におきまする問題点が国会でも多くの問題について論争を招いておりますことにかんがみまして、たいへんおそまきでおしかりをちょうだいするわけでございますが、何はともあれ、すみやかにこの米軍施設あるいは自衛隊の施設に関する防衛上の問題、基地公害も含めての基本問題を徹底的にひとつ私たちは調査をし、それに対する調整をはかっていこう、こういう観点から基地問題プロジェクトチームというものを近く発足したいということで、いま実は検討を急いでいるようなわけでございます。  ただし、先ほど副長官からお答えになりましたとおり、現行法に基づきましては防衛施設周辺整備関係法律をより拡大解釈をし、範囲を広め、あるいはその規制を強め、住民全体に対して基地公害に対する障害を何とか除去していきたいという、法律内におきまする問題の整備をはかる以外にないと考えますが、このプロジェクトチームが発足をいたしまして、そして徹底的に基地問題に取り組んで、先生御指摘の方向にまで何とか問題の解決を急いでまいりたい、こういう心がまえ、そういう姿勢で今後進んでまいりたいということを申し上げて御理解をいただきたい、かように考える次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それを解決するための方法としては、まず法律の整備ということにもつながることだと思います。米軍による損害に対しては、やはり依然として特損法というものでこれをやらなければならないでしょうし、自衛隊の音の及ぼす被害に対しては、いわゆる基地周辺整備法というもでやるのでございましょう。では、一般の民間航空のほうのこういうような飛行機の騒音に対しては何によってやるのかということになるわけです。これに対してはもう全然ないではありませんか。ただあるのは、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのがもうすでに施行されてあるわけです。これは対象飛行場は、大阪と東京羽田空港だけでしょう。新東京国際空港がもしできたとするならばこれは成田にも及ぶということで、一般にはまだやっておらないのです。そうしたならば、せっかく法律はあっても、うるさくてやっていってもどうにもできないというのがいまの実態になるのじゃございますまいか。  私は、そういうような点からして、これを今後規制していくという立場をとるという防衛政務次官、並びに今後これを整備して公害紛争処理法案に対する附帯決議を尊重してやっていきたいというかまえ——これはあくまでも、一般的な法令から基地公害は除外されているのであります。それに対しては、今度これを中に入れるように検討するのか、治外法権であるという認識の上に立って基地公害を考えていくのか、その姿勢はいずれのほうを向いて検討するつもりなんですか、この際両方ともその姿勢を明らかにしてもらいたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 直ちに一般の公害の中に取り込むということを先にきめてかかって検討しようとは実は思っておりません。先ほどからたびたびお答えをいたしましたように、防衛施設周辺整備の法律の中で紛争が処理をされることが望ましいことでありますから、その法律の充実、範囲の拡大、予算の拡大等をまずはかっていきたい、かように考えております。

野呂恭一自由民主党防衛政務次官

○野呂政府委員 基地公害に対して、一般の公害の中に取り入れて平等の立場で同じ規制を受けるべきではないか、この点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いまの法律の範囲ではこの公害除去の方法は何ら解決の道には達していないと私ども判断をいたしております。したがいまして、公害除去の観点から基地公害をどういう扱いをしていくべきかということは、今後関係各省と連携をとりながら、私どもは私どもの考え方を申し上げて、調整の上に立って、積極的な姿勢で問題の解決に当たらなければならない、かように考える次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ことばはわかるのですね。平和に徹するという佐藤総理のことばのようなあんばいで、口では出るけれども、姿勢はどっちなんだということを聞いているのです。  そうであったならば、もう少し具体的に突っ込んで聞きますと、一般的な法令からは、現在のところ御存じのように基地公害は除かれているのです。それから、その他の除かれている問題ももちろんありますけれども、これは徐々に直していかなければならないということになっておりますが、基地公害の場合には特に除外されているのです。したがって、基地公害は治外法権であって、一それを住民ががまんしなければならないのか、それは聖域であって侵すことができないということに立って、住民を移すとかなんとか、それを基本にしてやるのか、それとも今後これを何らか方向を転換させたりして考えるのか、どっちなんですか。軍用地を中心にするのか、住民を中心にするのか、いずれの方向をとるのか。基地公害は治外法権で、神聖にして侵すべからざるものだというような基礎観念に立ってやるのかどうか、その辺をもう少し詰めてくれといって聞いているのです。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 私どもも、防衛施設の運用から生じます各種の障害の中で、この騒音問題というものが一番大きな問題であるという認識を十分持っておるわけでございまして、そのためにこの騒音問題解決のための方策には最大の努力をいたしておるつもりでございます。  そこで、先ほど来申し上げますように、現在この騒音対策としましては防衛施設周辺整備法というものがありまして、三条による障害防止工事の助成、あるいは四条によります民生安定施設の助成、五条の特定飛行場の周辺の移転の補償、その他事業の経営上損失をこうむります者に対する損失の補償、こういう各条項を適用いたしまして、予算措置をもちましてかなりのところまでわれわれとしては努力をいたしておるつもりでございます。ただ、何ぶんにも財政的な制約もありますので、なかなかわれわれの理想とするところまでは一挙にはまいりませんけれども、年々相当な経費を用いましてこういう周辺対策をやっておるわけでございます。  そこで、この基地問題そのものの本質になってまいりますけれども、現在の米軍の施設なりあるいは自衛隊の施設というものがわが国の防衛上やはり必要不可欠なものであるという限りにおきましては、この基地を十分活用していかなければいけませんし、その場合にその基地の存在と周辺住民の福祉問題との調和をいかにしてやっていくかということが、私どもの最大の問題でございます。そこで、私どもが従来やってまいりました対策もそういう点を十分踏まえ、十分認識をした上で最大の努力をいたしておるつもりでございまして、私どもはこの周辺整備法をうまく活用することによりまして相当な対策ができるというふうに確信をいたしております。ただ、この問題だけですべての問題が完全に処理できるということでもないと思いますので、その点については今後ともやはりいろいろ検討いたす必要があるかと思いますけれども、この周辺整備法というものによって基地公害の対策を講じていくことについては、現在のところではかなりのところまではやっていけるという自信をもって臨んでおるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それなら具体的に聞きます。  恵庭の地上要撃訓練で、地上演習というようなことによってカノン砲その他の砲台がじゃんじゃん動いております。その上を飛行機も飛んでおります。そしてその震動と騒音があるのですが、これはやはり規制ができないのです。その震動と騒音の被害を受けて苦しんでおる住民に対しては、ではどういう対策を考えて実施するつもりですか。

島田豊防衛施設庁長官

○島田(豊)政府委員 まず自衛隊の千歳飛行場の問題でございますが、これにつきましても騒音規制は自衛隊としても自発的にかなりのことをやっておるわけでございまして、これは米軍の場合も同じでございますけれども、夜間飛行時間の規制でありますとか、あるいは人口密集地域での飛行制限でありますとか、あるいは飛行場内におけるいわゆる消音機の設置でありますとか、そういうことでできるだけ騒音そのものを規制するという考え方で現在実施しております。千歳飛行場におきましては、日没後約二時間以降の飛行訓練の規制、あるいは札幌、苫小牧等の都市上空を避ける場周経路の設定、二十二時以降のエンジン始運転の規制、エンジン始運転の際のサイレンサー、いわゆる消音機の使用等の対策も講じておりまして、千歳飛行場には現在固定式の消音機が二基ございます。こういうことで、一方におきまして規制を厳格にやっていきますと同時に、現実に発生します騒音に対しましては、先ほど申しましたような周辺対策を十分講じまして、それによる騒音の被害をできるだけ縮減していこう、こういうことで現在対策を講じております。集団移転等の措置につきましても、地元の事情にかんがみましてこの範囲をできるだけ広げるというようなことも今後検討いたさなければなりませんし、その他震動による被害等につきましても、いろいろそういう現実の被害等を調査いたしまして、それに対する対策も今後十分講じていかなければならないというふうに考えております。  いずれにしても、この千歳基地の存在によります諸問題、これはわれわれとしましても地元からもいろいろな陳情、苦情を受けておりますので、そういう地元の要望を十分ひとつ勘案しながら、それに対して十分おこたえしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やはり基地公害、これはもう治外法権であって、住民を退去させてもその方向転換やその他軌道修正はしないのだ、こういうような考えのようです。住民の民家付近でやらせないで、ああいう広い場所ですから遠い方面へ行って発射させたり、音もかすかに音楽のように聞こえてくるような場所へ行ってやったらいいじゃないですか。わざわざ近くに来て振動を起こしたりして住民に被害を与えている。軌道修正せいと言っているのです。それを考えておるかというと全然考えておらない。そういう考えだから変なことばかり起きるのだ。あの広い演習場だもの、山のほうに行って人のいないところに向けて演習やったらいいじゃないですか。わざわざ民家のほうへ出てきて、振動だとかそういうものを与えている、こういうようなのが恵庭の実態ですよ。どうもとんちんかんぷんだ。やはり基地公害は治外法権であって軌道修正は一切しない。それで住民を一切押えつけておるから、アメリカのほうへはこないからいい気なものだと言っている。そのときに紛争処理でうまく解決しよう、こういうふうに言って第三条機関なんかここに出そうとしておるのです。どうもこれは矛盾ばっかりしている。ただ、ついでにもう一つ言っておきますけれども、四月一日から北海道でも北海道条例で騒音規制が実施されることになるのです。その騒音規制の対象に千歳市もはまったのです。七市のうちに入ったのです。ところが、その条件の中に自衛隊の飛行機の騒音、民間航空の飛行機の騒音、これを除外して、一般の鉄工所の音だとか、かじ屋さんの音だとか自動車の音、これがその騒音規制の対象になるのだといっています。それが五十種目あげられたわけです。住民からは政治不信ですよ。一番頭の上をぶんぶんやって歩く飛行機の騒音、自衛隊の騒音、民間ジェット機の騒音、こういうようなので神経衰弱にもなっておるのに、その騒音には手を触れない。そしてかじ屋さんの音だとか、また鉄工所の音だとか、町を通る自動車の音、この騒音だけを規制するというのです。(「大どろぼうを逃がしてこそどろだけをつかまえる法律」と呼ぶ者あり)ということになるわけじゃありませんか。これは実態としてほんとうにこういうのがいますぐにあるのです。これを救済してくれといって裁定を求めたらどうしますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 基地公害については、先ほどからだんだんとお話がありましたとおりでございますが、民間航空につきましては、これは公害紛争処理法によりまして、現行法でも、もし調停、仲裁の申し立てがあれば、これは当然取り入れますし、それから現在御審議いただいております法案によりますれば、同時にそれは裁定の対象にもなる、そういうことに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 またいま不規則発言がありましたが、小牧があるけど千歳も基地と両方一緒なのです。一緒に飛び立っているのです。ジェット機と自衛隊、音でどうやって区別するのですか。いまそこへF4Eファントム、これが配置されることになっておるのですよ。ちゃんとそれは知っておりますよ。民間航空の音、それとF4Eファントムの音、これがきいきいやっているのにどうして裁定で区別して判定するのですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 私の申しましたのは、基地に関しては別で、基地でない普通の航空機騒音については公害等調整委員会がそれを取り扱っていくということを申しましたので、同じ基地を民間航空機が利用している、それによって騒音が起きたのは、これはやはり基地から起こる騒音のほうに入りますので、委員会は取り扱うことはできないのではないかと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 結局やはりそういうようなとこでは、国民の生命財産並びに公害被害除去よりも、国のほうのこういう考え方のほうが正しいという考えで、やはり裁定やそれに当たられる考えが委員長のほうにおありのように思うのだ。これだったならば国家行政組織法第三条機関によっていかに強権発動ができても、準司法的な機関である、研究機関を持って、ここに裁定をがっしり下してやられるのだと言っても、考え方が政府寄りであって、考え方が資本家寄りであった場合は何にもならないじゃありませんか。いみじくもこれが半分だけ暴露した。こういうようなことであってはだめだとさつきから言っているのですよ。それがアメリカのサイミントン委員会ではないけれども、ああいうふうにばかにされているのです。これはやる姿勢によるのです。これは区別なんかできません。  もう一つ、これは間違いであるならば、いずれでもよろしゅうございますから、皆さんのほうからはっきり問いただして是正させてやる必要があると思います。それは北海道条例で、千歳の場合には、民間であろうと自衛隊の航空機騒音であろうとも、騒音の依拠する法律にないから、一切介入してはならないのだということをはっきり千歳市に示達しております。一方、いまそっちのほうではあると言う。向こう北海道のほうではないという。これははっきりさせて次回までの間に私の手元までに申し出てもらいたい。これは強く要請しておきたいと思います。全然考え方が違っています。これはよろしゅうございますね。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 いまちょっとわかりませんですけれども、これはさっそく調べてお答えできると思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 時間ですからこれで終わらしてもらいますが、航空機騒音は騒音の対象になっている、こういうような考えであります。これはなっておらないという考え方が北海道で持っております。これは重要であります。  それと同時に公共用の飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止に関する法律、対象飛行場は大阪、東京だけに限っておるようでありますが、全国を見る場合に、民間と自衛隊とが一緒に出ておって、あるいは千歳あるいは小牧のようにして、これがもう大阪やそれとほとんど変わらないような被害を住民に与えておる個所が何カ所かある。こういうようなところに対しては特損法あるいはまたいわゆる基地周辺法によって救済しているといっても何らされていない。されているのは公共の施設だけだ。ですから住民に対してはまる裸です。こういうような点を考えて、国内法によるならば、せめていまの公共用の飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これを拡大解釈をして、これを伸ばしてやるか、あるいはまたこういうようなことのないような措置を講ずるか、いずれかにしないと、こういうふうに二つあって一つの飛行場になっておるところは困る。その周辺の人はほとんど困る。進学率さえも落ちている、こういうような事例さえあるのに、これをやって紛争処理機関に持っていってもいまだ取り扱えない、こういうような状態では、前よりだんだんうしろ向きになってきておる。公害十四法やった一昨年の暮れにはもっと積極的だった。たった一つ進歩的な法律案として出されたこれは、その当時よりもっとうしろ向きになってきた。これはきょうは私としてはまことに遺憾です。この答弁には納得いたしません。この次にはもう一回この問題について質問をすることにいたしまして、きょうは私はこれでやめておきます。残念であります。

野呂恭一自由民主党防衛政務次官

○野呂政府委員 基地公害、わけても騒音防止に関しましては現行法を十分活用し、さらに拡大解釈の範囲を広めて強化していかなければならないことは申すまでもありません。しかしそれだけでなくて、防衛庁自体として、基地に関するいろいろな問題点が今日起こっておるわけでございますから、基本問題を調査研究し、あるいは基地に対する今後の問題の調整等につきましても十分配慮してまいりたいという根本的な姿勢をひとつ立てていきたいという考え方でございます。プロジェクトチームが一年ではたして成果をおさめるかどうかはまだ問題があると思いますけれども、とにもかくにも、基地に対する防衛庁の考え方といたしましては、国民との間において対決を求めてはならない。私どもは一般公害の中において基地公害が治外法権であってはならない、かように考え、住民の福祉、生活優先の場における基地としての調整を十分はかってまいりたい、こういう姿勢でございますことを御理解いただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 島本虎三君の質疑は終わりました。  次に、古寺宏君。

古寺宏公明党

○古寺委員 最初に裁判所にお尋ねをいたしますが、現在裁判所におきまして係属されております公害訴訟事件は大体どのくらい件数があるか、さらにまた、最近の傾向としてそういう事件がふえる傾向にあるのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 統計上裁判所では公害事件と申しますと、公害基本法にいう公害事件のほかに、鉱物採掘による地盤沈下の事件、日照、通風妨害の事件、井戸水の枯渇等の事件、そういった事件も含めて公害事件として統計をとっておりますので、それを含めた事件について申し上げますと、昭和四十六年の六月末日現在の数字で、民事訴訟事件が二百八十五件、調停事件が六十四件でございます。それから新受件数で申しますと、昭和四十五年度で新受が百一件であり、昭和四十六年度は一月から九月までで見ますと百件でございますから、四十五年よりも四十六年のほうがふえているということは申せるかと存じます。

古寺宏公明党

○古寺委員 大体審理期間は平均でどのくらいになっておりますか。さらに、おもな大きな事件についてその内容を御説明願いたいと思います。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 審理期間を既済事件について申しますと、平均的に申しますと、判決で終結をいたした事件については三年と八カ月、その他の終結原因を含めましたもので平均をとりますと、二十五・九カ月、約二年二カ月ということになるかと存じます。  それから、いわゆる四大公害事件と呼ばれておりますもので、すでに判決までありました事件は、御承知の新潟阿賀野川の有機水銀事件でございますけれども、これで審理の経過を見ますと、訴えの提起が四十二年六月十二日、これが第一次訴訟でございます。第二次が四十三年の七月八日、第三次訴訟が四十四年六月十二日、三回にわたって訴えが提起されておりますが、それらをすべて併合いたしまして審理されまして、弁論の終結が四十六年の五月十九日、判決が同年の九月二十九日となっております。訴えの提起から判決まで四年と三カ月ということになります。

古寺宏公明党

○古寺委員 今度の公害等調整法案が提案された大きな理由は、裁判が非常に長引いている、こういうことでこの法案が提案されているようでございますが、裁判がおくれる理由でございますね、どういう原因によるものですか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 御承知のとおり民事訴訟と申しますのは法に定めてあります当事者主義、弁論主義という原則によりまして、厳格な訴訟手続に従いまして当事者双方が提出する主張及び証拠を十分に取り調べた上で裁判をする、こういうたてまえになっておりますので、ある程度は、訴訟となりますと時間がかかるということはやむを得ないところではないかと考えられますが、特に民事訴訟の中でもこの公害訴訟につきましては、一般的に裁判所が判断をするにあたり、自然科学的な知識を非常に要求されるという点が第一点。第二点は、一般的に見まして原告の数が非常に多数であるということがあるわけでございます。したがいまして被害者一人一人について生じた被害の態様、程度といったこともまちまちでございまして、これらの点についてすべて事実を調べ、認定していくためには、相当膨大な証拠調べを要するわけでございます。したがいまして、民事訴訟の中でもこの公害訴訟は一般的に長期間を要しているということが言えるのではないかと考えます。  先ほど申しました新潟の阿賀野川水銀中毒事件で申しますと、訴えの提起から判決まで四年三カ月かかっておりますが、その間に開かれました弁論期日及び証拠調べ期日は全部で四十六回、取り調べました証人及び本人の数は合計八十三人、そのほか鑑定人三名、検証五回、それから取り調べをいたしました文書は、原告側が提出した文書が千七百七十四点、被告側が提出いたしました文書が千四十七点、このように非常にたくさんな証拠を調べた上で結論を出すということで、どうしてもある程度は長引くということが言えるのではないかと存じます。

古寺宏公明党

○古寺委員 こういう公害紛争はやはり裁判によって解決すべきものである、処理すべきが本来のたてまえであるというふうに考えられるのですが、こういう点について総理府としては裁判をもっと迅速、適確に進めるための要請等を裁判所に対して行なっておりますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 裁判を早く進めていただくというふうなことを裁判所に対して政府から申したことはございません。

古寺宏公明党

○古寺委員 裁判所としまして、今度の公害等調整法案が提案されているわけでございますが、こういうものをつくらなくとも裁判所でもって紛争を迅速適確に救済していく、処理していくというような、そういう態勢はできていないのでございますか。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、この公害事件の処理に関係いたしまして、まず民事当局といたしましては、先ほど申しましたとおりこの事件の審理にあたりましては裁判官に自然科学的な基礎知識が必要であるということで、その自然科学的な基礎知識を裁判官に供給する一つの方法といたしまして研究会を開催いたしまして、専門家の講師の方から基礎知識につきまして講義を受けるというような機会を設けておりますし、また専門の図書を各裁判所に配付いたしまして裁判官各自が専門知識を書物によって得られるように配慮いたしておるわけでございます。  さらに民事訴訟としても新しい種類の事件でございますので、いろいろな新しい法律問題あるいは訴訟運営上の諸問題が出てまいっておりますので、公害事件を担当している裁判官の方々にお集まりいただきまして、公害訴訟の適正迅速な処理ということに関してのお互いの意見を交換し合う、経験を話し合う、そして新しいくふうをそこから生み出していこう、そういう機会を設けるということで裁判官の協議会を開催する、そういったような施策を講じておるわけでございます。また、現実に訴訟の提起を受けました裁判所といたしましては、公害事件はまず最重要事件といたしまして優先的に取り扱うという体制をとることによりまして、できる限り公害事件を担当する裁判官にはほかの事件の配点を減らすということによって負担を軽減し、公害事件の審理に重点的に当たることができるようにいたしておりますし、また事件を担当いたしました裁判官は当事者双方の代理人と事前に十分協議をいたしまして、長期的な審理計画を立て、そして代理人に十分な準備と期日についての予定を立てていただく。しかも期日のほうは毎週一回言口あるいは一月のうち二日間を重点的にこの審理に充てる、こういうような配慮をいたしまして、できる限り迅速な処理をいたしたいということで努力をいたしておるわけでございます。しかし、まだまだ十分とは言えませんので、なお今後ともそういう点についてのくふうをこらすと同時に、また施設面等も改善していきたいと考えておるわけでございますが、なおこの種の事件が一つの裁判所にある程度多数出てくるような事態が出てまいりましたならば、その事件に、公害事件を専門に取り扱う専門部、特別部を設けるというようなこともなお今後検討していきたい、こういうふうに考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 この裁判の遅延の大きな原因には、最高裁の事務総局にはたくさんの裁判官が現在裁判を行なわないで、司法行政事務をおとりになっていらっしゃる、こういう方々をどんどん第一線に、裁判を担当させるようにしてあげれば裁判はもっと迅速化できる、こういうことがいわれておるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 ただいま最高裁判所の事務総局には裁判官の資格を持って行政事務に当たっております職員が三十六名ございます。どういたしましても司法行政事務というものをまず裁判所から取り去るわけにはまいらないのでございます。ただ、そのような有資格な職員を極力第一線に回し、行政事務を能率化、合理化するということは至上の命令でございますので、極力努力をいたしております。  ただ、司法行政事務といいますか、裁判所の内部の管理事務につきましては、裁判事務そのものに理解を有しまして司法の効率的な運営をはかりますためには、やはりその経験者を充てることが必要でありますのと、新たな憲法上の制度といたしまして司法行政に関する権能が最高裁判所の自治的な権能として与えられておりますために、その規則制定のための企画立案にはやはり裁判の経験者をもって充てる必要がある、このような観点からただいま努力中ではございますが、現在以上に裁判官有資格者を第一線に振り向けるということはきわめて困難でございますが、漸次そのような措置に進みまして、最近も一人減らし、また裁判官の資格のない職員の補佐者を極力養成して、裁判官の行政事務担当者を減らすという措置には努力中でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 先日、大臣が法曹一元化ができないために裁判が非常に遅延をしておる、こういう意味の答弁があったように記憶しているのでございますが、この点についてはいかがでございますか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 ただいまの訴訟遅延の原因を法曹一元化ができないということのみに持っていけるかどうか。これは司法政策上きわめて困難な問題でございますが、御承知のように新しい憲法におきましては、裁判官は法律家としての素養が十分で経験を十分に持っている人を充てるということを前提とした内容を持っており、その憲法のもとにただいまの裁判所法というものが制定されたわけでございます。しかしながら、司法についての沿革と社会情勢がございますために、新しい司法制度に切りかえます際に、判事補制度という子飼い主義と申しますか、キャリア制度と申しますか、若い法曹から直接裁判官に採用して養成していくという過渡的な制度を取り入れざるを得なかったわけでございます。そのような経過的な措置から法曹一元の制度への切りかえと申しますか十分な法曹一元の制度が実現できませんために、裁判官に十分な人を得ることがきわめて困難な現状であることは御承知のとおりと存じます。このような関係で裁判官が少ないために訴訟遅延の原因の一端をなしているということは言える、このように存じますので、その意味では先ほど御指摘のような事情がある、このように考えられるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 法曹一元化はどういうふうにお進めになるわけですか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 法曹一元の内容をどのように考えるかはきわめてむずかしい問題でございますが、すでに昭和三十七年に内閣に臨時司法制度調査会が設けられまして、法曹の権威者を集めまして法曹一元制度の内容とその実現の方策につきまして二年にわたり慎重に審議をされたのでございますが、その結果は、法曹一元制度は望ましい制度であるが、残念ながらまだ十分な基盤ができていないので、法曹一元の制度を実現するための基盤の培養につとめながら現在の司法制度も改善に努力しなければならないという結論になりまして、その基盤となるべき条件につきまして十数カ条の問題が提起されたわけでございますが、その後残念ながら法曹の間に十分な意見の一致が見られませんために、法曹一元の実現ということはきわめて重大な政治の問題でありながら、遅々として進まないということでございまして、最高裁判所といたしましては、そのような高度の司法政策につきましては、自分の所管と申しますか、責任の立場からどのような意見を申し上げたらいいかということについては問題が残されますので、この点につきましては、所管の方からまた御意見を伺っていただきたいと存ずる次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 現在三者協議会もあるようでございますが、ほとんど運用されていないということもいわれております。先日、いろいろ御答弁を承りました際にも、弁護士会から相当強い反対があった。そのために法曹一元化がおくれているというお話もございましたが、この問題についてはやはりお互いの歩み寄りがなければ法曹一元化の実現というものはできないと思うわけでございます。そういう点について、この弁護士会との歩み寄りについてはどういうふうにお考えですか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 国民に対して十分に責任を負える司法制度を運用いたしますためには、法曹三者の密接な意思の疎通が絶対の前提となるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、臨時司法制度調査会の結論の実現をめぐりましても三者の間の意見の食い違い、ことに弁護士会との間でなかなかみぞが埋めがたいということがありますことは、残念ながら認めざるを得ないわけでございます。  その後国会の両院の法務委員会からも、三者の意見を一致させて、司法制度の進展に努力するようにという附帯決議までございまして、まず事務的なレベルにおける協議会というものだけでも発足させてはという提案によりまして、昨年の七月に最高裁判所からそのような提案を弁護士会と法務省に対して申し入れをしたわけでございます。法務省当局からはさっそく趣旨に賛同する旨の御回答をいただいたわけでございますが、弁護士会のほうからはなかなか回答が得られませんで、十月に至りましてようやく御回答をいただきましたが、提案の趣旨とかなり隔たったものをいただいたわけでございます。その隔たりを埋めたいために、再度、裁判所のほうから提案を行なったわけでございますが、それについてその後の話し合いが、十分な信頼感が得られないために今日に至っておるということで、まことに残念なことでございます。地方では何とか話し合いの基盤をつくりたいと努力はいたしておるのでございますが、すみやかに発足をするという明快な形ができないことは何と申しましても残念なことであると申し上げざるを得ないのでございます。なお、この点については最近弁護士会の役員の方々に大幅に異動がございましたようですけれども、引き続き話し合いをいたしまして、この基盤づくりをいたしたいと考えている次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 今度の公害等調整法案が出てきたのも、たくさんの公害の被害者が泣き寝入りをしたり犠牲になっているわけですね。そういう人たちが全然救済されない。裁判に対する不信というものは非常に高くなっているわけでございます。したがいまして、当然こういう司法制度の欠陥については、前向きにこれを推進して、一日も早くこういう犠牲者を救済してあげるような司法制度を確立しなければならぬと思うわけであります。そういう点については、先日の委員会でお尋ねしたときもそうでございますが、何か積極性がないと申しますか、非常におくれている感じを受けるのでございますが、こういう問題に対してどういう責任をお感じでございますか。

長井澄最高裁判所事務総局総務局長

○長井最高裁判所長官代理者 訴訟が遅延いたしておりますために、憲法上保障されておりますところの基本的な権利が救済されないということは、何と申しましても遺憾なことでございまして、どのような方策を講じてもこれに対する手当てを考えまして、すみやかな救済を実現しなければならないということは当然で、御期待に沿えないことはたいへん申しわけない、また残念なことに存じておる次第でございます。ただ公害訴訟というものが、訴訟の類型といたしまして、先ほど民事局長からも御説明申し上げましたようにきわめて新しい、しかも内容が科学的に非常に困難なものを含んでおり、類型的な処理ができないという点、また当事者の数が非常に多いというような点、旧来の個人を中心としてきめられた訴訟手続によってはまかない得ないところの一つの画期的な時代と申しますか、そのような現下の状態になっておりますので、この点におきましては、やはり本案を所管されますところの政府の責任当局と法曹三者とが真剣に検討しまして、合理的な訴訟手続というものを考え出して運用する以外には方法がないのではないかと裁判所としては考えているわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 先ほど、総理府副長官から、裁判の遅延に関してはまだ全然考えていないというような御答弁がございましたけれども、この法案の提案されている背景にはそういう大きな問題があるわけですね。さらにこの法律がかりにできたとしても、今後公害による紛争はますますふえてくると考えられるわけです。そういう点に対して先ほどの御答弁は、公害の被害者に対する政府の姿勢は全く被害者の立場を考えていない、そういうふうにしか受け取れなかったのでございますが、もう一度御答弁願いたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 公害紛争にかかわります裁判が非常に遅延いたしておりますという現実は承知をいたしております。それがために、何かそれを補うような方法はないものであろうか、やはり被害者救済ということを目的として当委員会でも実は長い間御議論、御検討いただいた結果が六十三回国会の附帯決議となってあらわれたと私ども承知をいたしております。私どもといたしましても、被害者救済ということを目標として、この遅延をしてしまう裁判の現実に即して何らか準司法的な措置がとれて被害者救済が敏速に行なわれればということから考えたものが今回の御審議をお願いしております法改正であります。したがって、私どもといたしましては、この法改正の成立を見ましたならば、公害等調整委員会が新たに発足をいたしまして、先ほど、最高裁からも、裁判遅延の一つの大きな原因として、裁判官が科学的な知識を持っていなければならない、そのためにというふうなお話もございました。公害等調整委員会といたしましては、委員そのものにそういう知識のある方を任命することも当然でありますし、常設をいたします専門委員の中にも各分野の専門家を網羅をして任命をして、常時専門委員を持ってまいりますので、そういう意味からいたしますならば、裁判よりは早くこの準司法的な紛争の処理で答えを出せるのではないか、それはひいては、私どもが最終的に目標といたしております被害者救済ということのほかには意味はないわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこで、この土地調整委員会と中央公害審査委員会を統合しまして今度委員会をつくるわけでございますが、公害の被害者をほんとうに救済するという目的であるならば、当然公害紛争処理法の一部改正案としてこれは提案してくるのが筋じゃないか、こういうふうに考えるのでございますが、なぜ統合したのか、ほんとうに公害の被害者を救済するという目的から何かずれているような感じを受けるわけでございますが、その点はいかがでございますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 裁定という新たな仕事を公害のこの委員会に取り入れたことは御理解をいただけると思うのでありますけれども、やはり三条機関として公害等調整委員会を設置いたしますのに、それを新設と申しますか増設と申しますか、そういう形では、これは公害問題とは別の問題ではありますけれども、やはり行政政策として一つの重要な問題であります行政の簡素化ということも総理府といたしましてはあわせ考えなければならないことでございまして、総理府が所管をしております委員会に中央公害審査委員会あり、そして土地調整委員会がございましたので、この両者を合併をして、公害紛争のための被害者救済に、これが致命的なことになるということであるならば、また別の考えも出てきたでありましょうけれども、少なくとも当面予想される公害紛争の持ち込まれるであろうところの件数、土地調整委員会が従来やってまいりました任務としております業務で、四十七年度以降当面持ち込まれるであろう件数、こういうものを推定をいたしまして、被害者救済に役立たなくなる、そういう致命的な欠陥をこの合併で考えられないものでございますから、行政簡素化ということもあわせ考えてこれの合併をはかったわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 業務量をどのくらい推定し見込んでいらっしゃるかわかりませんが、少なくとも、全国的な公害の被害者を救済するためには、やはり三条機関を新たにつくって前向きの姿勢で取り組んでいくべき問題だと思うのです。行政簡素化のために公害の被害者が犠牲になってもやむを得ない、そういうような姿勢がうかがわれるわけでございますが、それでは一体、業務量をどのくらい見込んでいらっしゃいますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 見込みました業務量につきましては事務局長からお答えをいたしますが、被害者に迷惑がかかってもかまわないという考えは毛頭ないことだけは御理解をいただいておきたいと思います。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 お答えを申し上げます。  まず新たに発足をいたします公害等調整委員会の業務量の推定でございますが、現に中央公害審査委員会で行なっております調停、仲裁はそのまま引き継ぐわけでございまして、おおむねこの点につきましては年間八件程度を見込んでおります。それからさらにつけ加わる裁定については、今後実は動くわけで正確な推計はききませんけれども、たまたま裁判所等に出ております裁判ないしは民事調停のある年度に入ってまいります新受件数、新たに入る件数、その中の公害の部分のデータ等を参照いたしまして、おおむね十数件ぐらいというように見込んでおります。したがいまして、公害関係は年間に二十数件ぐらいというふうな見込みを立てておりますし、さらに土地調整委員が現在やっております仕事でございます鉱区禁止地域指定の関係ないしは土地利用に関する異議申し立ての裁定、これにつきましては、最近五カ年ばかりの推移を見まして、鉱区禁止地域の指定につきましてはおおむね七件程度、土地利用に関する異議の申し立てにつきましては大体三件程度という見込みのもとにおおむね計画を立ててございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 全国的に何百何千とある公害の訴訟、紛争を迅速、適正化して救済してあげるためにこの法案が提案されているわけでございますが、わずかに一年間に取り締まる件数が二十件を予定しているようでございます。そういたしますと、他のそれ以外の被害者は一体どうやって救済するおつもりでございますか。

川村皓章中央公害審査委員会事務局長

○川村政府委員 ただいまの御質問の観点でお答えを申し上げますと、現実に全国の公害に関する被害者の数はそれこそ膨大にのぼるであろうと思います。その点につきましては現在の公害紛争処理法に出ております公害苦情相談員という制度がまず末端にございまして、これは県及び政令で指定する市には必置でございますし、そのほかの市町村には任意設置でございまして、この数が現在では約千五百名程度でございます。実際に公害に関する苦情というものが出ました際は、まずその末端にかかりまして、その方々がそれぞれの市町村のレベルでその苦情を聞き、ある程度処理を行ない、その中で処理のできないものについては県等の公害苦情相談員のところに持ち上げまして、県の公害苦情相談員は、これを関係部課ないしは試験研究機関とも連絡をとりながら、実際にはある程度解決をしておるという実情でございます。  しかしながらその苦情だけでとどまらずして、それがある意味で紛争にエスカレートしたような場合には、いわばこの公害紛争処理法で、和解の仲介、調停、仲裁というような手段に出てくるわけでございまして、それが現在のところ、やや推定でございますが、各県平均で約五件ぐらい見込まれますので、全国的には百五十件ぐらいあろうと推定をされております。現実に地方の各県にかかっております公害紛争処理法に基づく件数は現在二十三件でございまして、その中で十二件ばかりすでに処理済みのものがございますが、さらにその紛争の中の比較的重大なものないしは広域処理事件というものが中央公害審査委員会に上がってくるという仕組みになっておりまして、これが現在までに八件出てきておるという形で進行をいたしておりますので、その全体のところでお読みをいただきたいと存じます。

古寺宏公明党

○古寺委員 ですから、そういう非常に少ない相談員のところに行きましても紛争の処理はできないわけです。非常に泣き寝入りしている人が多い、そういう人を救済するためにつくられる法案であるならば、少なくとも年間二十件ではなしに、何百何千とある公害の問題を解決できるような、紛争を処理できるような、そういう体制というものをまずつくらなければいかぬ、こういうふうに思うわけでございますが、その点についてはいかがですか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先生の御趣旨は私もよくわかるのでありますけれども、たとえば四十六年度の各地方公共団体の審査会あるいは公害苦情相談員、こういうところに持ち込まれた件数の実績から判断をいたしますと、当面四十七年度で私どもが予定をいたしますものがただいま事務局長がお答えしたような件数ではないだろうか、そういう推定のもとに準備を進めたわけでございます。  公害の問題は地域的ないろいろな特性もございましょうし、一つ一つの公害の紛争の問題は大あり小ありいろいろでございましょうけれども、公害紛争処理法で定めますところの各段階での処理機関でそれぞれ処理していけるのではないだろうか。公害の問題、先ほど先生がおっしゃいましたように、全国ではもう数千件のものがあるかもしれません。しかし紛争処理として苦情相談員あるいは地方の審査会あるいは今回御審議いただいております中央の公害審査委員会、こういうところへ当面四十七年度で予測されるものは、ただいま申し上げましたような数字が予測ができるんではないだろうか。これはもう先のことでございますから明確なことではございませんけれども、一応の推定をそこらに置いておるわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 裁判も長くてしかも費用がかかって立証が非常にむずかしい。もうそのために犠牲になる。またこういうような公害等調整法というものができても、ほんとうに公害の被害者というものは救済されないんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。  そこで次にお尋ねしたいのは、責任裁定と原因裁定を分けていらっしゃいますけれども、これはどこで区分をするのでしょうか。それからなぜこういうふうに分けなければいけないのでしょうか。   〔委員長退席、八田委員長代理着席〕

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 原因裁定を先に申し上げますと、原因裁定は公害紛争の中心になっております因果関係についてこれを明らかにするのを目的といたしております。公害紛争の大部分は、その紛争の中心をなすものは因果関係でございますし、因果関係さえ明らかになれば、あとはそれぞれの事案に即した一番適切な方法で解決することが考えられるのでございまして、たとえば任意に話をつける、和解をする、あるいはそれを前提にして調停の申し立てをする、かりに裁判に持ち込むとしても、その点についてはもうすでに明らかになっているといったようなことで、公害紛争の中心的な問題をそこで解決するということで十分であるということを考えておりまして、そこで原因裁定をするわけでございます。  それからもう一つの責任裁定のほうは、いよいよ紛争当事者間ではっきりと幾ら公害による賠償金を支払わなければならないかというその額をきめて、そしてもうその両者の間では今後一切賠償をめぐる金銭上の請求権のあるなし、それからその支払いの方法なども含めてもよろしゅうございますが、そういうことについて最終的にきめる裁定を受けるということになるのでございまして、責任裁定の場合にはそれが確定いたしますと、当事者間に合意の効力が擬制されます。その結果もはや両当事者はそこに定められた金額と違った主張をすることは将来に向かってできない、そういう効果を持つわけでございます。両々相まってそれぞれの紛争の実情に合した解決が得られるもの、そういうふうに考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこでその裁定の効力でございますが、三十日以内に異議の申し立てをしない場合には合意に達したとみなすわけでございましょうが、それに応じない場合はどうなりますか。加害者が被害者に対してそういう補償に応じない、そういう場合にはどうなりますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 その場合には、これは加害者に限らず、被害者でも加害者でもどちらでも同じことでございますが、もし不服がありますれば、三十日以内に通常の民事訴訟を司法裁判所に提起することになります。司法裁判所に三十日以内に損害賠償に関する民事訴訟を提起しますと、いまの裁定につきましては、先ほど申しました合意を擬制するという効力が発生する余地がなくなるわけでございますから、訴訟のほうに移行することになります。もっとも一度訴訟に移行しましても、その訴訟が取り下げられたりすれば、これはまた合意擬制の効力が生じますけれども、そういうことのない限りは、あとは訴訟に移行し、通常の訴訟として判決を受けることになります。そういうふうに考えております。   〔八田委員長代理退席、委員長着席〕

古寺宏公明党

○古寺委員 そうしますと、その裁定の効力というのは、何か裁判所にいってから拘束するようなものをつくっておきませんと、全然意味がないことになるんじゃないでしょうか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 いま申しましたような効力で、これでこれ以上の効力ということになりますと、あるいは裁定を、裁判所にいってから裁判所がそれを取り消すことができないというようなことがあるいは考えられるかもしれないと思いますけれども、また事実立案の過程ではそういうことが可能かどうかということを一応検討したこともございますけれども、そこは現行憲法の体系下で、行政庁の判断が司法裁判を最終的に拘束するということは、これは憲法上許されないことでございますので、現在できている効力が憲法下ではでき得る限りのもの、そういうふうに考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 裁判所はこれに対してどうお考えでしょう。

西村宏一最高裁判所事務総局民事局長

○西村最高裁判所長官代理者 裁判所といたしまして、法律案の段階でそれについて意見を述べるというのはどうも適当ではないのではないかと考えておりますが、ただ一般的に申しますと、裁定そのものが裁判所を拘束しないということでありましても、裁定に至りました手続でいろいろな資料が提出されておることと存じますので、そういう資料は裁判においても有力なる証拠となるであろうということは言えるのではないかと考えております。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこでこれは具体的な例でお尋ねしますけれども、農林省にお尋ねしますが、青森県の上北鉱山から流れて一おる坪川流域でありますが、この鉱害によって多くの農家が現在被害をこうむっているわけでございます。これに対する調査並びに今後の対策はどういうふうになっているか、承りたいと思います。

住吉勇三農林省農地局参事官

○住吉説明員 農林省といたしましては、この坪川流域の約千九百ヘクタールの水田を対象にいたしまして、四十六年度に土壌、玄米等の汚染の状況を調査いたしました。これによりますと、土壌中の銅の濃度につきましては、上流部のほうが濃度が濃く、下流のほうが比較的少ないという結果と、玄米の収量につきましては、各圃場の水口の部分が減収がはなはだしいというような一応の結果が出ております。  しかしながら、先生御存じのように、この坪川地区におきましては、冷水温の影響も非常にあることでございますし、この被害の範囲とか程度等につきましては、四十七年度さらに細密な調査を続けてまいりたいという準備をしております。

古寺宏公明党

○古寺委員 この鉱害の大きな原因は銅だと思うわけでございますが、銅の指定基準がまだできていないようでございますが、環境庁にお尋ねをしたいと思います。

岡安誠環境庁水質保全局長

○岡安政府委員 土壌汚染防止法によりまして、現在指定されておりますのはカドミウムだけでございまして、私ども次の追加指定につきましては銅にいたしたいということで現在いろいろ調査をいたしておるわけでございます。近く中央公害対策審議会の土壌部会を開きまして、銅を追加指定すると同時に、政令で対策地域の指定要件をきめるというようなことを現在考えている次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 いまの坪川流域の場合には、鉱山の鉱害だと思うのですが、こういう場合申請をする、責任裁定ですね。これは鉱山の場合ですので、適当でないかもわかりませんが、責任裁定あるいは原因裁定を申請をする場合に、これを受理しますね。その受理する場合に、どういうことを基準にして受理するか、その点からお伺いします。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 そういう申請がありましたときに、具体的な事情を実際よく調べてみないと何とも言えないわけでございますけれども、それがはたしてそういうことが社会的に、公共的に重要な影響を持つものということを考えますれば、それは受理するということになろうかと思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 それはだれが判断するわけでございますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 それは公害等調整委員会で判断することになります。

古寺宏公明党

○古寺委員 実際には社会上、公共上当然受理すべきものであるのにそれが受理されなかったということが将来起こり得る可能性もあります。そういうものをどういうふうにして予防できますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 それは公害等調整委員会の会議にかけまして、十分慎重に検討してきめるものでございまして、決して一部の人だけで考えるとか、あるいは事務当局にまかせるとか、そういうことはないのでございますから、そういうことは起きないと考えておる次第でございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこで、責任裁定の場合でございますが、当初は被害者のほうが申請をするようになっておりましたが、現在は当事者が申請できるということになっておるようでございますね。その場合に、ただいまのように、実際公害が起きております。そうしますというと、被害者のほうは鉱毒による、重金属による公害であるということを訴えてまいります。ところが加害者のほうは、それは水温によるものである、こういうような訴えが出てきます。当然この解決までには相当の時間を要するわけでございますね。しかも、専門的ないろいろな調査等も必要になってまいります。そういう点についてはどういうふうに対処するお考えですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 いま被害者のほうから責任裁定の申請があり、これは銅による農作物被害であるとして責任裁定の申請があり、加害者のほうからこの農作物被害は銅によるものではなくて冷水温によるのが原因であるということで原因裁定の申請があった、そういう場合と拝承いたしましたが、こういう場合にはまさに責任裁定の原因となる因果関係と、それから加害者が原因裁定で判断を求める因果関係とは全く同じでございますから、これは手続もたぶん併合することになろうかと思います。  そこで、それぞれの資料を共通に使用いたしまして、そして、必要に応じてその点についての専門の専門委員もお願いをするということにして、双方の出した資料のほかに、なお足りないところがあれば、委員会のほうで事実の調査もし、さらに必要がありますれば、職権で鑑定などもいたしまして、十分そこは究明して最後の裁定をするということになろうかと思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこでいわゆる加害者側も責任裁定の申請ができるようにした根拠は何でございますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 いま私聞き違いかもしれませんが、加害者側が責任裁定の申請をする道はございませんので、加害者側が申請できるのは原因裁定だけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 間違えました。原因裁定でございます。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 原因裁定は、いま申しましたように、公害についての因果関係の問題でございますから、この因果関係というのは因果関係自体があるかないかという問題でございますから、これはそれこそ委員会としては白紙でそれに臨むわけでございまして、どちらが申請したからといって、それによって左右されるわけのものではございません。また現実に公害による被害と思われる状態があり、そしてそれをめぐって加害者とされる者と被害者とされている者との間に紛争があるのでございますから、その因果関係をはっきりさせるということは、これはそれ自体非常に社会的にも、公共的にも必要なことと思われます。それでございますから、責任裁定のように金銭の支払いを求める場合とは違いまして、因果関係だけを究明する原因裁定につきましては、加害者であろうと被害者であろうとひとしくそれを明らかにする利益があると考え、また裁定についてもどちらから申請がされても審理について左右があるはずはございませんので、これは両方から申請ができるということにしたわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 当初はお考えになっていなかったようでございますが、それはどういう理由でございますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 当初の案にはございませんでしたけれども、その後いろいろ考えました結果、いま言ったような理由でこれは双方が申請できるようにしたほうがよかろうということで、最終案はそういうことになったわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 そういたしますと、当初においては原因裁定の場合は被害者のみで因果関係がはっきりするというふうにはお考えになっておらなかったわけですか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 これは被害者の申請によって原因関係を明らかにするということができることはもちろんでございますけれども、しかし現にそこに因果関係をめぐる争いがあり、その争いの当事者の一方である加害者とされている者のほうでもそれをはっきりさせることが必要であるというのであれば、むしろそこは取り上げて原因裁定をすれば、あとは被害者救済についても双方の間に話し合いなり、調停なりできわめて簡単に話が解決するという場合も考えられますので、そういうふうにしたわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 私はそういうことによって非常に紛争の解決が長引く場合が出てくるのじゃないかということを心配しているわけでございますが、時間がないので、次に移りますが、行政訴訟ができないというのは、どういう理由でございますか。

小澤文雄中央公害審査委員会委員長

○小澤(文)政府委員 裁定は、確かに責任裁定はそれによって合意擬制の効力を生じ、法律関係に変動を生じますから、一つの行政処分として普通の場合には行政訴訟は、何も規定がなければ行政訴訟ができるはずでございますけれども、この法律による責任裁定では、そもそも民事訴訟を起こさないと、何らの法律関係も生じないことになるわけでございます。そうすると、普通の行政処分でも、何にも法律関係を生じないものは行政訴訟の対象になりませんので、この場合にも、何の効力も生じないものを行政訴訟の対象にするということは理論的にもおかしゅうございますし、実質的には、責任裁定に不服であれば、三十日以内に損害賠償の訴えを提起しますと、責任裁定が御破算になりまして、そして責任裁定として取り上げたすべての問題が全く初めから、白紙で民事訴訟の対象になって、完全に救済が受けられる、そういうことでございますので、行政訴訟の道を開く必要はない。ことに、なおそれを無理に行政訴訟の道を開いて、はたしてそれで行政訴訟が成り立つかどうかも問題でございますし、なお行政訴訟をして、そしてそれによって裁判所で行政処分としての裁定の効力を争って、場合によっては一審、二審、三審と行って、そこで裁定を取り消して、そこであらためて今度は裁定がないということになると、あらためて普通の状態に戻りますから、そこでまた民事訴訟をやるということになると、それがまた三審に行くということになると実質的には六往復するということになりますので、それではとうていこの法律の、簡易、迅速に裁定の救済を得られるようにしようという目的にそぐいませんので、これは一挙にその問題を解決するために通常の民事訴訟を起こせば、裁定はそれで効力を生じないで終わる、そういうたてまえをとったわけでございます。

古寺宏公明党

○古寺委員 行政不服の申し立てももちろんできない、訴訟もできない、こういうふうになっておるわけでございますが、これはこの次にまた御質問申し上げることにします。  時間でございますので、防衛庁にお尋ねをしたいのでございますが、青森県の下北試験場は昭和三十四年にできて以来防音校舎もできていない、漁業補償も十分なされていない、あるいは施設周辺整備法があっても、ほとんどその恩恵を受けてこなかったわけでございますが、今度のような、いろいろな裁定を求める場合、責任ははっきりわかっているでございましょう、原因はわかっているわけでございますが、裁定を求める場合にはどういうふうにして地域住民はいろいろな補償を求めればいいのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 御質問の、法律関係だけについて申し上げますと、私のほうの機関といたしましては、いわゆる施設庁を含めまして、各地方の施設局というものがそういうものの窓口になっておりまして、周辺整備法の異議の場合でございますから十一条あるいは十二条それから十三条、十四条というような形で異議の申し立てあるいは補償金の交付、それから増額請求の訴えをやっていただければけっこうだ、こういうふうに思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 この東通村の場合でございますが、猿ケ森部落等のいろいろな漁業の損失その他については、たびたび試験場の場長さん、あるいは仙台の出先の防衛施設局等にいろいろ陳情もし、お願いもしているわけでございますが、もう十三年も経過しているのに、全然これが放置されてきているわけでございます。そういう場合には、それでは一体どういうふうにすればいいわけでございますか。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 先生の御質問でございますが、実は先般の分科会でお答えいたしましたとおり、実は農耕等については御申請がございません。それから漁業補償につきましては、この地域は三十二年、三十三年に猿ケ森を含めまして七千万円でいわゆる消滅補償をしておりますので、さらに補償の御要求がありましても、消滅補償という観点から、われわれは法律上それに対してさらに補償するということはできない形になっております。これは御理解いただきたいと思います。  ただ海面のほうにつきましては、年間の技術研究本部のほうの使用形態によりましていわゆる補償を行なってまいっておりますし、かつ将来ともやっていきたいと思いますが、御指摘の消滅補償につきましては、先ほど申し上げましたような事情でちょっと無理ではないかと思います。  ついででございますが、先ほど防音のことについても御質問がございましたので、この際お返事しておきますけれども、先日来われわれのほうの職員を派しまして、射撃音の実態調査をいたしております。ただその場合に炸薬を装てんしない信管試験だったということでございまして、発射音のみの測定をしておりますが、これにつきましてもやはり相当の音が出ておるということで、われわれは周辺整備法の対象になり得るというふうな考え方を持っておりますが、ただ頻度の問題が、われわれの法律なり政令なりに基づいて事業をやっておりますが、ちょっと問題でございますが、もう少しさらに調査をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

古寺宏公明党

○古寺委員 漁業権を放棄したのは海岸から五百メートルなんです。現在沖合い三千九十メートルの漁業権が残っているわけです。その五百メートルの漁業権についてはもう三千七百万円補償してございますよ。しかしその三千九十メートル、長さ十三・五キロの漁業権に対しては全く補償がされていない。そういう場合に地域住民が補償してくださいといってあなたのほうに申し上げても、全然それを放置しているじゃないですか。いまの御答弁を聞いてもそうですよ。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 おっしゃいましたのは沖合いの区域であろう、こういうふうに思いますが、これにつきましては実際上使っておらない場合もございますし、使っておる実態に応じて補償しておりますので、これも先般申し上げましたように、基本関係といたしましては実績に合わせまして、ロケットなどの試射をやったことが四十六年にあるようでございますが、そういう場合には三百五十三万円払っておる、こういうふうになっております。その実際の使用頻度に応じた実績主義でございまして、実損の補償、こういうふうに考えておりますので、使いました場合は御請求いただくなり、私どものほうでもさらに調査いたしたい、こういうふうに思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 実際に操業できないような状態にしておいて、実損がないからといって補償しない。前浜を五百メートル、長さ十三・五キロについてあなたのほうではバラ線を回して、立ち入り禁止にしておる。操業ができません。操業ができないから損失の補償はできない、こういうような考え方でございますね。そういう場合には一体責任裁定はどこへ持っていけばいいわけですか。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 法律上の問題といたしましては施設局のほうにいただけばけっこうだと思いますが、先生のおっしゃいました、立ち入り禁止をして、そのためにすぐの前面でできないということの御質問だろうと思いますが、とれにつきましては、実態の損失額の計算がなかなかむずかしいということと、それからいわゆる迂回的な方法で何とかできないかというふうないわゆる周辺対策的な面でも検討いたしたいということで、局のほうにはそういう指導はしております。

古寺宏公明党

○古寺委員 いま十分時間がございませんので、よく御理解いただけるかどうかわかりませんが、試験場の前浜を沖合いに五百メートル、それから長さ十三・五キロ、これだけの漁業権を一応放棄した形になっているわけです。しかしながら、試験のない日には操業もまたさせる、あるいは試験場内の通路も自由に通行できるような協定になっているわけです。それが現実には全く操業ができない。そして、実際に村長さんや村の人たちが防衛施設局のほうへ行って、たびたびお願いをしておる。ところが、十三年間もこういうふうに放置されてきているわけですね。こういう基地の公害については、先ほどの島本議員からのいろいろお話もございましたけれども、基地公害によって犠牲になっている方々を救済するために、この公害等調整委員会設置法案の中に乗っけることができなければ、関係法案の整備をして、当然同時に並行してこれは提案してくるべき筋合いのものじゃないか、こういうふうに考えるのですが、いかがお考えでございますか。総理府のほう……。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほども島本委員にお答えをいたしたところでありますけれども、基地をめぐってのそういった紛争の処理は、防衛施設周辺の整備等に関する法律のほうで受けていっているのが今日の状態でございます。したがいまして、これは防衛施設庁のほうで所管をいたしております周辺整備の法律の充実と申しますか、それによって受け答えをしていかなければならないはずのことである、そういうふうに総理府のほうで理解をいたしております。

古寺宏公明党

○古寺委員 まあ時間がないので……。  三沢の射爆場の場合も、一昨年までは漁民の方が一年間に補償がたった千円でございます。また、六カ所村には地対空の射撃場があります。そしてこの下北試験場というところは十三年間、もう操業できないような状態に追い込まれて、みんな出かせぎに行っているわけです。その青森県に、今度は車力村というところにミサイルの射場をつくる。そして防衛施設庁は、豚を五万頭持ってきてあげます。防音校舎もつくります。プールもつくります。いろんなことを言って住民を納得させようとしたわけです。しかし、現実には、この下北試験場の周辺の人たちはもう生活権を奪われて、それに対して全然裁定の方法がない、苦情を持っていっても受け付けてくれない、こういうふうに放置されているわけです。ですから、当然基地公害についてもやはり同じように救済するような法律を改正するなりあるいはこの中へ盛り込むなり、そういうことを政府は考えなければならぬ、こういうふうに思うわけなんですが、もう一度、今度はそれでは防衛庁のほうから御答弁願います。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 これは先ほど島本先生にうちの長官、政務次官がお答えしましたように、いわゆる私のほうの周辺整備法あるいは特別損失補償法等の十分な活用、それには当然予算的な措置が伴おうかと思いますので、そういう面を努力いたしまして御要望におこたえいたしたい、こういうふうに思っております。

古寺宏公明党

○古寺委員 そこで、この周辺整備に関する法律の訴訟を提起する場合には、どういう場合が該当するわけですか。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 周辺整備法の条文で申しますと、十四条関係でございます。これは先生御承知のとおり、基地問題につきましては、いわゆる因果関係それから原因者の関係ははっきりいたしておりますので、そういう面での争いというよりも、むしろこの十四条で、金額についての争いをこの条項でやり得るというふうな規定になっております。

古寺宏公明党

○古寺委員 その場合には、補償の申請をしていなくてもその対象になりますか。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 これは一つの救済方法の手順でございますので、私のほうの規定上は、異議の申し立てをやっていただき、かつ、たとえば増額請求の訴え等をやっていただいた後、おのおのの規定で、何カ月以内とか三カ月以内とか何日以内という規定がございますが、その訴えを請求をなさった後に十四条で訴訟という形になろうと思います。

古寺宏公明党

○古寺委員 そうしますと、幾らいろいろな損失補償その他を求めても、防衛庁のほうが受け付けない場合には訴訟はできない、どこまでも泣き寝入りをしなければならない、こういうような仕組みになっているわけですね。それを全然放置しておいて、基地の周辺の人たちを踏みにじるようなこういう現行の制度というものは、これは早急に改めていただかなければならない、こう思うわけでございます。  きょうは、時間がないので、強く防衛庁、防衛施設庁に御要望を申し上げまして、質問を終わります。

薄田浩防衛施設庁施設部長

○薄田政府委員 よく御要望は承りまして、また上司等とも検討いたしたい、こういうふうに思います。

田中武夫日本社会党

○田中委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次回は、来たる七日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会

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