公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1972/03/07
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 この際、一言御報告申し上げます。 かねてより理事会等において、本委員会の名称について協議願っておりましたが、去る二月二十六日の本会議において、その設置目的が公害対策並びに環境保全の諸施策を樹立するためとなりました。 また、本委員会の名称につきましては、議院運営委員会の決定により、公害対策並びに環境保全特別委員会となりましたので、以上御報告申し上げます。 ————◇—————
○田中委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 公害対策並びに環境保全に関する件、特に休廃止鉱山の公害問題について、本日参考人として、日本鉱業協会副会長高野日出男君、宮崎県西臼杵郡岩戸小学校教諭斉藤正健君、金属鉱物探鉱促進事業団理事長平塚保明君、岡山大学教授小林純君及び早稲田大学教授矢嶋澄策君、以上五名の方の御出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○田中委員長 参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、公害対策並びに環境保全に関する諸施策を樹立するため調査を進めておりますが、今回特に休廃止鉱山の公害問題について、参考人各位から御意見を承ることになりました。 現在、各地において問題となっておりますように、休廃止鉱山から排出される鉱物によって人の健康等に重大なる被害が生じ、その対策は急務となっております。このときにあたり、参考人各位からその対策について御意見を賜り、万全を期したいと存じます。 つきましては、忌憚のない御意見を開陳していただくようにお願い申し上げます。 なお、議事の整理上、御意見の開陳はおのおの十分以内といたしまして、あとは委員の質疑にお答えくださるようお願い申し上げます。 それでは、高野参考人からお願いいたします。
○高野参考人 私は参考人の高野でございます。平生はいろいろ鉱業に関しまして種々御指導、御心労をわずらわしておりますことをおわびかたがた御礼申し上げる次第でございます。 本日の題目でございます休廃止鉱山の公害対策について御理解をいただく前提といたしまして、鉱業界の現況について簡単に述べさせていただきたいと存じます。 日本の非鉄鉱業の現況を申し上げますと、日本経済の高度成長政策に従いまして、ごく最近まで非鉄資源の確保のために、国内はもちろんのこと世界にわたる海外資源確保に努力する一方、近代的な臨海大型精錬所の建設につとめてまいっておる次第でございます。その成果は大いにあがっておりますわけでございますが、最近の高度成長の行き悩みと申しますか、いわゆるスタグフレーションということでございまして、不況の様相を呈しつつありましたところに、御承知のとおり昨年の夏ドル・ショックをまともにわが業界は受けまして、多額の為替差損を背負わざるを得ないという結果になっております。また、国際商品であります非鉄金属の銅、鉛、亜鉛等は、円の切り上げということが即国内価格の下落ということになるわけでございまして、このために非鉄業界の打撃は非常に大きいわけでございまして、さらにドル・ショックに伴う不況、売れ行きの不振、滞貨激増等の追い打ちがかかっておりまして、まことに困難な様相を呈しておるわけでございます。 また公害問題に関しましては、公害規制の強化によりまして公害対策費が非常な勢いで増加いたしておりまして、また硫黄酸化物等の排出規制の強化によりまして、硫化鉱、硫黄、精錬所の排ガスより製造する硫酸の売れ行き不振ということがありまして、硫黄鉱山はもうすでに御承知のとおり全滅いたしておる次第でございます。硫化鉱、硫酸対策もいま申し上げましたように非常に重大な局面を迎えておるという状況でございます。 このように、スタグフレーション、ドル・ショック、ドル・ショック後の不況、公害対策、公害規制政策の影響、このような種々の影響が相重なっておりまして、非常な苦しみを味わっておるわけでございまして、そのために最近鉱山の休廃止、操業縮小が続出しておる、こういう現状でございます。 現在、われわれの協会の会員の広義の公害防止関連対策費は昭和四十五年度で七十九億円、昭知四十六年度で百五億円に及んでおります。これ片設備相当費額中に占める割合で申し上げますと、鉱山部門では二八・六%へ精錬所では一五%という割合でございまして、一般産業に比べまして非常に高い比率であります。その他年二億円程度の公害賠償費を支払っておるというわけでございます。 また、公害にかかわる健康被害の救済に関する特別措置法案の実施によりまして、現在までいわゆる公害病患者の方々に対する治療費その他のために二千二百万円程度の金額を公害防止事業団を通じてお納めしておる、こういうことになっております。 また、休廃止鉱山の公害対策のために、通産省の御指導によりまして、金属鉱業公害基金の制度というものを設けまして、昨年の十月に発足いたしております。休廃止の際に必要な公害防止対策費を確保するために毎年二億円を拠出いたしておりまして、五カ年間で十億円を積み立てるということにいたしております。 われわれのほうの会員の方が二十七社加入しておるということでございまして、こういうふうに非常な不況のさなかで、われわれのほうの業界といたしましてもやりくりに非常に奔命これ疲れておるというわけでございまして、ついに休廃止鉱山続出というありさまでございますけれども、われわれも全力投球をいたしまして、公害対策を一生懸命にやっておるということをひとつ御理解いただければ幸いだと思います。 はなはだ簡単でございますが、御説明を終わらしていただきます。
○田中委員長 ありがとうございました。 次に、斉藤参考人にお願いいたします。
○斉藤参考人 皆さん、こんにちは。ぼくはこういうことは初めてなので、とてもあがっております。そしてぼくが考えてみるところ、ぼくはこんな場へ立って発言するべきじゃないと思うのです。それがなぜあえてこんなふうになったかということを、行政当局の皆さんそれから企業の皆さんにぜひじっくり考えてほしいと思います。 実はいま私の教え子は三年生で、たぶんいま三時間日だろうと思いますけれども、来る前に親、子供に断わっておきました。親、子供も何一ついやな顔せずに私を許してくれました。それはなぜかというと、いままでの休廃止鉱山が——ぼくの場合土呂久ですけれども、あまりにも非人道主義だということだと思います。鉱山それから行政当局の方はもうけるだけもうけて、そのあと閉山してしまったらあとはほったらかし。たとえば土呂久の場合には二本の用水があります。それは住民が百年以前に、水がなかなかないのでかんがい用水と飲料水のために骨を折ってつくったものです。その水の中にいわゆる鉱毒をたれ流ししているのです。そのためにいまも非常なたくさんの人が、それだと思いますけれども、苦しんでいられます。そこを国の方も企業の方も行政当局の方も、これは党派を乗り越えて、利益などを考えずに人間としてじっくり考えてほしいと思います。そういうのがいまの世の中じゃないでしょうか。ズリのごく近くで約二百メートル地点ですけれども、その上のほうにこんな亜砒酸試験所があります。 〔斉藤参考人、写真を示す〕 それからもう一方の用水のほうに、上流ですけれども、もう一つの亜砒酸試験所があります。いずれも放置のままです。こちらはブルでこわされました。こちらはまだ放置です。それからそのあと、そこではこのように解けてから鉱毒が流れ出ております。これをいまでもまだぼくのクラスの子供の家族は飲んでいるのですよ。ほかに水がありません。それを飲んでいられるのです。そしてそこのおうちの人は神経痛など、ひどい苦痛を訴えられ、大半の人は目の病気なんです。ぼくは証言のテープをこのバッグに一ぱい持ってきております。スライドも持ってきております。年輪も持ってきています。実物の鉱滓も持ってきております。それはなぜか。こういうかわいそうな人を救ってあげてほしい、そこを訴えたいばかりに来ました。ぜひそういったところを親身になって救っていただきたいと思うのです。 いまブルで企業の方がやっていられますけれども、上の坑口から次第にブルでつぶしてきているのです。下のほうのズリ受けはほとんどありません。鉱滓の防護壁はつくらずに、上からブルでやってきている。これはなぜでしょうか。部落の方もとてもいま心配していられます。雨が隆ったらそのままどろりです。ここをよく考えてほしいと思います。ほんとうに住民を救うなら、まず下のほうの川に流れ込まないように防護壁をつくって、それからブルでやるのがほんとうではないでしょうか。こちらのこの試験炉は実は相当高いところにあります。ここに来られている小林先生も現地に行って見られておられます。びっくりするほどの高さで、そこをよくまあブルが登ったものだと思います。それをつぶしてから亜砒酸を持っていかれたといわれますけれども、一体そのつぶした原因は何でしょうか。まず下から囲いでもするべきだったと思います。 以上のようなことを述べてきましたけれども、操業中はもうけてあとはほったらかし、そういうことは絶対してほしくない。それを見のがす国であったらこれはやはり国たる価値はないと思うのです。ぜひそこをお考えの上、これから注意して全国の休廃止鉱山に対してより一そうの御努力または御協力をしていただけるように切にお願いします。 一応このくらいにしておきます。
○田中委員長 ありがとうございました。 次に平塚参考人にお願いいたします。
○平塚参考人 平塚でございます。 本日は、私どもの金属鉱山の探鉱開発業務についても関係のありまする休廃止鉱山の公害対策につきまして、意見を申し述べる機会を与えていただきましてまことにありがたく、お礼を申し上げます。 まず、最初に、探鉱事業団の業務について簡単に申し上げますと、当事業団は金属鉱物の探鉱を促進して、優良資源の確保をはかるために特別の事業団法によって昭和三十八年に設立されたものでございまして、通産省の鉱業政策の中で探鉱問題についての実施機関でございます。すなわち鉱業政策によりまして、国内における広域、精密、企業探鉱のいわゆる三段階方式によりまして全国で探鉱いたしておるわけでありまするが、大企業に対する融資のほかに、全国二十八地区で広域及び精密の調査をいたしております。さらに二地区におきまして金山の基礎調査をいたしております。この三十の地区は、その道の専門家によりまして地質学的にも鉱山の発見が可能であろうと思われる地域が選定されておるわけでありまして、いわゆる鉱山地帯でございますので、その地域内にはたくさんの休廃止鉱山もあるわけでございます。したがいまして、その休廃止鉱山がもとで何らかの公害問題を起こすようなことがございますると、円満な探鉱作業が困難になるわけでありますので、私どもも非常に関心を持っておる次第でございます。 次に、日本の金属鉱山の歴史について触れてみたいと思うのでありまするが、御承知のように、わが国は地域が狭いわりに比較的鉱物資源に恵まれておりまして、大正の初年時代は世界第二位の産銅国であったことは御承知のとおりであります。すなわち、天然自然にこういう鉱物が賦存をいたしておるということから、古くからたとえば御承知の天照大神が天の岩戸に隠れられましたときに、イシコリドメノミコトと呼ばれまする鍛冶の神さまが天の香山というところから銅をとって天羽鞴(あまのはぶき)と申しまするふいごで鏡を鋳られたというようなことも伝えられておるわけでありますが、これらはわが国は古代から鉱山が開かれたということをうかがうことができると思います。 しかし、記録によりまするわが国の金属鉱山の開発は、西暦六七四年、天武天皇の御代に対馬から銀を初めて献上したということになっておりまして、その後六九一年にも伊予からの銀を献上いたしております。また文武天皇の御代の西暦六九七年から七〇六年にかけて全国で多数の鉱山が発見されておりまして、たとえば因幡、周防、安芸、長門の銅、伊勢、伊予のアンチモニー、伊勢、備前、豊後などの水銀、因幡のすず、紀州の銀、対馬の金などがあげられております。西暦七〇一年には年号を大宝と改めておりまするが、有名な大宝令には鉱業に関する法規がありますことは、当時鉱業が盛んであったということをあらわすものだろうと思います。また元明天皇の七〇八年には秩父から銅を献じたということで和銅と改元されておるわけであります。御承知の奈良の大仏のつくられましたのは聖武天皇の時代で西暦七四三年で、当時としてはばく大な銅、金が使われておるわけでありますが、当時、摂津の多田、但馬の生野、明延、長門の長登というようなところから多量の銅が出ておるわけであります。 あまり長くなりますからはしょりますが、その後武家政治時代には一そう鉱業が発達して、奥州の藤原一家によります中尊寺の金色堂とかあるいはマルコポーロの旅行記によるフビライの元の役というようなことも、いずれも日本に鉱山が多いということを示したものと思います。 また有名な毛利、尼子の戦争で大森銀山の取り合いをやった、あるいは越後の上杉家の佐渡金山、また生野銀山は但馬の山名家、伊豆の金山は今川家、あるいは甲州や信濃の金山は武田家の軍用金として知られておるわけであります。 また豊臣が天下をとりましてから大宝令の規定に従いまして鉱山の国有化を行ないました。佐渡をはじめ各所に鉱山奉行を置きまして鉱山を直轄し、大いに鉱山を奨励いたしたことは御承知のとおりでありまするが、なおまた徳川家康が幕府を開くに及びまして大久保長安を重用いたし、御承知の伊豆の金山とかあるいは佐渡、院内鉱山なども盛んに稼行されたわけでありまするが、明治、大正時代にわが国の主要な鉱山はほとんど多くはこの十六世紀の後半から十七世紀にかけて発見されているものであります。 徳川時代では最も盛んであったのは銅鉱業でありまするが、この十七世紀の後半に稼行されておりました鉱山は三十四にも及んでおって、かようなことでその当時、日本が輸出した銅量は四十万トンにも及ぶものと計算されております。 かようにいたしまして、明治、さらに昭和の時代に入ったわけでありまするが、時間もございませんので、この辺ははしょることにいたしまするが、前の大戦にあたりまして、御承知のシナ事変が起こりましてから日本も大いに鉱山を開発して資源を確保しなければならぬということで、御承知のように昭和十二年には日本産金振興会社、また十四年には帝国鉱業開発会社というのができまして、大いに日本の鉱業の開発を促進したのでありまするが、これらにつきましては時間がございませんのではしょりますが、記録を調べてみますると、昭和四十六年の四月一日現在、昭和三十六年四月一日現在、すなわちこの十年の違いでありまするが、このときの鉱山の数を鉱山石炭局の資料によってみますると、三十六年に生産をあげておりました鉱山が六百三十七、生産はありませんが、探鉱をやっておったとか施業案による報告を出しておりました鉱山が千二百八十九、合わせて千九百二十六の鉱山があったわけでありまするが、これが四十六年の四月、すなわち十年後には前者が二百二十八、後者が三百五十九、合わせて五百八十七となっています。すなわち十年間に千三百強もの鉱山が休廃止しておるわけであります。このことは鉱山の探鉱開発がその時代の経済情勢に非常に左右され変動が多いということがうかがわれると思うわけであります。 また、なお鉱山の特殊性についてちょっと申し上げますると、御承知のように採鉱いたしまする鉱物は、その鉱山の所在する土地の持つ天与の資源でありまして、人がつくったものではありません。天然にあるものを人力で掘り出したにすぎません。したがって、鉱山は他の工業と違いまして事業所を他の場所に移すわけにいかないのであります。また、地表、あるいは地下の鉱物を採掘する事業でありまするから、一部は多少の自然の破壊し、環境を荒らすことは免れない仕事であります。 次に生産する金属または鉱石は、現在は国際価格によって取引されております。需要や価格の変動も非常に大きいということ。低品位の鉱山や自然条件の悪い鉱山は景気の変動に耐え切れなくて休廃止されるものが多いということであります。また、作業環境が坑内作業で悪いということ。また、採掘が進めば進むほど稼行の条件が悪くなってコスト高になること。採掘すれば埋蔵量が減りますから、常に探鉱をやって新規の鉱量を確保していかないと安定した操業ができません。いつかは鉱石が掘り尽くされて廃山になるわけであります。事業を停止しても完全に復元ができませんから、鉱害の発生の危険がありますこと、また、旧坑からの酸性坑水はいつまでも流出されていくということであります。多くの鉱山は山間僻地にありまするから、鉱山の繁栄と地元の地域社会の繁栄が一致することでありまして、鉱山が廃山になれば山元の町は衰微するを免れないということであります。 ここで休廃止鉱山の実情を申し上げたいのでございまするが、時間がございませんので中止いたします。 つい最近、新聞でごらんのように、別子鉱山、これはいよいよ来年度をもって休廃止いたします。これは元禄年間から開坑されて今日まで二百八十一年、その間に銅量七十三万トンを出しておりました。これは住友の各鉱業のもとになっておるわけでありますが、ついにこれも命数が尽きて廃山に至ることはまことに残念なことでございます。これは開坑以来露頭部から次第に掘り下がり、現在露頭から二千三百メートルの深部を掘っておるわけでありまして、品位は低下し、——さようなことで、ついに廃山することになったのであります。 これで私の陳述を終わらせていただきますが、現在鉱山の鉱害防止問題につきまして、国会の諸先生から特段の御配慮、お骨折りをいただいておりますことは、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げる次第でございます。また、公害保安局をはじめ環境庁、局長以下皆さんあげてこの問題に努力をしていただいて、休廃止鉱山の実情についても調査を進め、その対策も着々と進めておりますことは、私ども鉱業に関係するものとしまして、まことにありがたいことと存じておるわけであります。しかしながら、ただいまも申し上げましたように、金属鉱業界の現状ははなはだ苦況にありまして、歴史ある大鉱山におきましても次々と休山に追い込まれておる実情であります。もちろん、各鉱山もそれぞれ鉱害防止についてたいへんな努力をいたしておるのでありまするが、これは社会問題として今後一そうきびしく取り上げられるに相違ないのでありまして、政府におかれましても、この問題について今後さらに一段と強力に対策について助成策を講じていただくことを心からお願い申し上げて、陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○田中委員長 ありがとうございました。 次に、小林参考人にお願いいたします。小林参考人。
○小林参考人 岡山大学の小林でございます。 鉱山が操業します場合に、煙とかあるいは廃水に対しまする対策を十分に立てておきませんと、それが周囲の土地を汚染したりあるいは公害病を発生しますと、その償いがいかに大きいかということは最近はっきり御承知のとおりでございます。ところが、きょう問題になっております休廃止鉱山の問題、これは私も長年、昭和十六年、つまり戦争前から農林省におりまして、いろいろの鉱山の公害地を調べてきたわけでありますが、一番問題になりますのは非常に小さな鉱山でありまして、金属の値段が高いときには、たとえば銅が暴騰しますと盛んにそこで掘っております。それで、私のほうへ農民からぜひ被害の調査に来てくれというお話で、調査に行くわけでありますが、一ところが、そのあとでまた行ってみますと、もうそこにだれもいない、経営者はだれも掘っておらない、そして、鉱害というものは相変わらず出ておる。それは銅の値段が下がったために採算がとれないから、もう逃げちゃったんだというふうなことでして、私ども、ですから最近公害問題がやかましくなります以前には、もう小さな鉱山は行って文句を言ってもこの次私が来るときにはもういないんだというふうな気持ちで調査して帰るというような事例すらあったわけであります。結局、そういう小さな鉱山というものは、大鉱山と違いまして、そこに長く腰を据えて掘ろうという覚悟が最初からないわけでありますから、値段次第で盛んに掘って、値段が下がれば逃げてしまう、そうして、そういう鉱害の対策というものも初めから立てておらない。もう掘れるだけポケット状にあるところをいいところを掘って、そうして逃げてしまうというふうな関係ですから、行って見ましても沈でん池とかなんとかというものを名目的にはつくってありますけれども、それは一向に役に立っておらない。言いのがれのためにつくっておる。こういうような場合がしばしばあるのでありまして、そういう点は大きな鉱山が長年にわたりまして腰を据えて掘っておる場合とは非常に違うということであります。 先ほどお話のありました宮崎県の砒素の鉱山、土呂久とか松尾とか、こういったような砒素の鉱山がありますが、せんだってその調査に私も行って見ました。まるでこれはひどいところでありまして、山の中腹あるいは山の上で砒素の鉱石を掘りまして、それをその現場でつくりました非常にお粗末なかまの中に入れまして、そうしてそれを炭火か何かで焼きまして、出てきます砒素のガスを集めまして、お隣の石でつくりました冷たい部屋にそのガスを導いて、そこで砒素を結晶させる。亜砒酸をそうやってとるというような状態でありまして、まるでそれは、この設備が原始的なのと、回収率がこんなことで砒素が回収できるのだろうかと思うような悪い設備で、そうしてその働く人たちも、そういった煙の中で働いておる。砒素の煙がもうもうと漏れたに相違ありませんし、あるいはまた、そういった砒素を掘ります坑道の中で働く人たちは、石屋が昔のみと金づちで石をたたいたように、砒素の鉱石をたたいた。そのときに火花が飛んだわけですが、その火花は、もちろん砒素の煙を含んでおったわけです、砒素のガスを含んでおったわけですが、そういった場合に、そういった従業員は顔が焼ける。砒素のために黒く焼けてしまう。そこで石灰を顔一ぱいに塗りまして、まっ白くして、そうして働いたということであります。ところが、その人たちは、そういった砒素のガスを呼吸しております。ですから、肺臓は顔の皮膚に比べれば非常に弱いですから、当然そこに呼吸器をおかされまして、ぜんそくとか肺病、そういった病気になって死んだというようなこともあるわけでありまして、私が現場を見まして、いかにそれが原始的なやり方であるか、またその土地の住民の無知を利用していかに非人道的な、そして人間の命を消耗品扱いにしてやっただろうかというようなことを目撃して驚いたのであります。そうして私たちが行きます前には、そういったあとをブルドーザーによりましてすっかりぶちこわしてしまって証拠の隠滅をする。そうしてまた、そういったところで働いた何百人かの人たちの追跡調査をしていけば、その人たちがその後健康で長生きをしておるかどうか、廃人同様になっておるかどうか、そういった追跡調査ができるわけでありますが、そういった従業員の名簿なんかの書類というようなものをみんなその事務所から引っぱり出して焼き捨てたというような話がございました。このようにしまして昔——いまよりは公害問題がやかましくなかった当時の話ですが、そうやって、とにかくもうけるだけもうけて、そうして最近のように公害問題がやかましくなったとたんに証拠の隠滅をはかるというような、こういうひどい話もあるわけでありまして、先ほどお話のありました、これは天孫降臨の地、宮崎県の土地でのお話でございます。 こういったところでは、単に人命が奪われただけじゃありません。馬が非常にたくさんに死んだり農作物が被害を受けたりしております。昔は馬に稲わらを与えておりました。ところが砒素は稲わらの中に非常にたくさん集積しまして、七〇〇PPMとかいうような値の砒素を持っておったわけであります。こういった稲わらをおもにやりますと、当然死にます。ですから、こういった部落では馬なんかの保険がかからなかったというような話も聞いておるわけであります。 このようにいたしまして、あるいはまた、先ほどの硫黄が最近値下がりしまして採算がとれなくなって休廃止した鉱山がほとんどであるというようなお話もあったわけですが、硫黄なんかも天然に硫酸にかわりまして酸性になりまして鉱山から出ていくわけでありますが、こういった鉱山が廃止しましたからといって、急に硫酸を含んだ水が減るわけではございません。ですから、そういった廃水が川の水を汚染する、こういったこともあるわけでありまして、ですから、やはりそういった採算だけによって鉱山が掘ったりやめたりするということは、周囲の人たちに対しては非常に大きな迷惑があるわけでございます。ですから、こういった点をどうしたらいいかということは十分対策を立てていただきたいと考えております。 ここに、この間宮崎県に参りましたときの写真がございます。お回しします。これは鉱石を特に好んではえますヘビノネゴザというシダ類であります。冬ですからいま葉は枯れておりますが、夏は青くなります。それからこちらはその原始的なかま。まだこわされないで残っておりましたかま。それからこのくつは、私がちょうど雨の日でして、こうもりがさをさして歩いたわけですが、このくつが水でしめりまして、翌日宿屋でこのくつを見てびっくりしたのです。くつが白くなっておるのです。粉をふいたように白くなっております。これは砒素を含んだ水がくつからずっとはいのぼっていってかわいたためにこういうものが出てきたのだということを見まして、現在も、ですから砒素がもうさんざんにそのあたりにまだあるのだ、こういうことを見て驚いたわけでございます。 この裏は、これは違います。こちらの両面を見てください。
○田中委員長 どうもありがとうございました。 次に、矢嶋参考人にお願いいたします。矢嶋参考人。
○矢嶋参考人 鉱山とは特定の元素が濃集しているところ、すなわち鉱床から特別の元素を持った鉱物を取り出しまして、これからこの元素を抽出する作業場のことをいうわけであります。したがいまして、これらの元素は需要のあるなし、またはその多寡などによりまして興廃することは当然であります。しかし、私ども鉱床というものを研究いたしますのは、こういった経済的な影響というようなものを考慮いたしませんで、特定の元素の濃集、すなわち鉱床について地球化学的に研究するということ、これが私たちの研究の対象である鉱床学であるわけであります。 鉱床学の上から申しますと、地球上にあります元素の存在や分布というようなものはきわめて複雑でありまして、地球の内部の組成とその状態というものの知識が完全になければならないわけであります。しかし、いままでに最も深いボーリングでも六キロ程度であり、鉱山としてもそんなに深いところはないわけでありますから、これらの観察できる事実を除きましては、地殻を実際の目で見るという以外にはないわけであります。一九二二年に地殻の上の元素を分析いたしまして表をつくりましたのが有名なクラーク・ナンバーでございます。これらのクラーク・ナンバーによりますと、いわゆる百万分台と申しますと、最近はやりのPPMでございますが、そのPPMでもって約二万以上の値を示しておりますのは酸素とけい素とアルミニウムと鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムの八元素でありまして、これらのものが九九%を占めておるのであります。それ以外のものは、非常にたくさんの元素というものは非常に少量しか含まれていないということがいえるのであります。 結局、元素の存在量とその利用度の間に明確な区別をする必要が私たちにはあるわけであります。すなわちある元素は地殻の中にはかなりの量が存在しているけれども、普通の各種の鉱物の中には系統的に分散していて、必ずしも濃集の状態には産出していないものが多いのであります。一つの元素が容易に抽出し得るかどうかということは、それが主成分となっている独立の鉱物が存在しているかどうかということに大きな関係がありますけれども、私たちが最も入手の困難であるという元素それ自体は鉱物をつくらずに他の元素鉱物の中に微量に分散されている場合が非常に多いのであります。 このようにクラーク数というのは地殻の平均の値でありまして、大体大陸を構成しております大部分の花こう岩と、大洋の底を構成されております玄武岩とのちょうど中間的な成分を持っているのでありまして、実際複雑なそれぞれの地域での数値というものは当然この平均値とは異なる値を示すべきではございます。ことに最近堆積岩、すなわち粘板岩、頁岩、泥岩というようなものの中には非常に特殊の元素が濃集しておりまして、この中にもし熱い温度の水、たとえば温泉みたいなものが通過してそれを溶解して他の地域に運んで沈でんしたような場合には、優に現在の鉱床と全く同じような規模のものができる可能性があるというようなことが最近の学説でいわれているのであります。最近の鉱床学というものは火成鉱床の特に末期の生成であります熱水鉱床での金属元素というものはマグマ起原であるとする必要がない、堆積岩から持ってきた場合がうんとあるのだというような考え方をしだしている学者がうんと多いのであります。したがいまして地球を構成しております地殻というものをしさいに検査いたしますと、私たちは予想外の数字の金属元素が大量に入っていることがわかるのであります。しかしこの数字というものは、もちろん絶対の含有量を示しているものではありませんので、分析という技術が進んでまいりますと、その値に変動が起こってくるのは当然であります。しかしこういうような現在の分析技術、分析の精度というようなものから申しまして、一応出されました数字というものは、少なくともこのくらいの成分は含まれているということの数字であるといわなければならないのであります。 結局われわれが鉱床を研究するにあたっては、特定の地域の元素の濃集ということを探究する場合に、その地域のバックグラウンドになっております土壌あるいは母岩、そういうものの中に入っております金属元素というものの明確な分析の結果を知る必要があるわけであります。 最近私たちの鉱床の探査に最も多く用いられております地化学探鉱というのがございます。これは最も高度の技術を駆使いたしました分析を取り上げまして、それによりまして特定の鉱物がどういうところに存在しているかということを研究するのであります。これはごく最近、一九六三年から七〇年までにおきまして、国連が世界各地において分析いたしました地化学探鉱の結果でございます。これらの結果によりまして、最近ごく問題になっておりますマレーシアのマムート鉱床——マムートという鉱山が見つかっているのでありますが、これらの鉱山の分析の結果によりますと、結局最初にまずバックグラウンドの数字がどれだけであるかということを判定いたしませんと、それらの数字を解釈する上において非常に困難が伴ってくるわけであります。 ここにその他化学探鉱の結果を一々御説明申し上げるわけにはまいりませんので、お回しいたしますのでごらんいただきたいと思います。 こういうように、銅だとか鉛だとか亜鉛だとかというような金属元素というものは、特定の鉱物がつくりやすい元素でございます。したがいまして、その特定の鉱物の寄り集まっている鉱床が、自然にその稼行の対象になることは明らかでございます。しかしながら、このほかに銅だとか金だとか銀だとかあるいは白金属とか水銀などのように、天然の状態で元素の形で存在している鉱物もございます。しかしこれらの鉱物というものは、大体におきまして火成作用ででき上がります。大部分の鉱床は火成作用でできるわけでございますけれども、その火成作用ででき上がります鉱床のうちで非常に早期に出てくる元素でございまして、その後に砒素とかアンチモニーとか蒼鉛とかいうようなものは硫塩鉱物をつくりまして、かなり晩期に出てまいります。そういうようなことから考えまして、一応そういったものが鉱床の形態を整えるわけでございますけれども、それらの鉱物が析出いたしました後の残りの液は、全く完全なピュアな水になっているかというと、そうではございません。非常に多量の陽イオンや陰イオンを含んでいるのでございます。これらのものがかなり遠くの地、いわゆる鉱床と全く関係がないとわれわれが考えるようなところまで運ばれまして、土壌だとか粘土の中に吸着されて存在しているのであります。 先ほどお回ししましたような地化学探鉱は、結局直接の銅の存在あるいは鉛、亜鉛の存在と結びついた地化学探鉱でございますけれども、この他の陽イオンを探査いたしまして地化学探鉱をいたしますと、全く鉱床とは無縁と思われるような遠隔の地に存在している場合がかなりあるわけであります。こういうようなことからして、地化学探鉱をいたしますときに、われわれが一番注意をしなければならないのは、そのバックグラウンドの持っている金属の含有量と、それからもう一つ、それに必ず伴って研究しなければならないのは地質現象でございます。その地質現象を伴わないで鉱床を議論するということになりますと、かなり危険度が多くなってくると思います。 私はここで日本の鉱床について申し上げたいと思いますが、時間がございませんので省略さしていただきますけれども、日本の鉱床はほとんど全部硫黄にくっついてくるいわゆる親銅性元素の鉱床を主体にいたしているわけでございまして、大体熱水鉱床あるいはゼノサーマルと私たちが呼んでおります押しかぶせの鉱床、日本の深いところのマグマからできたのではなくて、浅いところのマグマからできた鉱床が大体基本になっております。こういうようなところにございますので、多くは海底の堆積物の中に入っていることでございますから、これらのものをさがし出すためには地化学探鉱が非常にむずかしい状態でございまして、これを研究するのには当然いろいろな地質現象を考慮に入れなければならないと思うのであります。こういうようなところから、鉱山として鉱床を掘り出してまいりました場合に、それが有用金属をとりますほかに、それらの場合、副産物としていろいろな元素がついて回ってくるわけでございます。これが必要がないからといって、それを捨ててしまうというようなことになりますと、一方は人間の繁栄のために鉱床を開発するかたわら、人間の生命をおかすようなものが同時に出てくるものでございまして、それらに対しては今後十分検討を加えなければならないと思います。 私は鉱床学者でございまして、決して公害の問題に対しての専門家でございませんから、いろいろな議論を申し上げることははばかりますけれども、とにかく主要の元素を取り出したあとのものに対する処置、これは当然考えなければならないと思います。しかしながら、それらに対する公害その他の問題に関しましても、現在の状態と昔の状態と比較しますと、それが有毒であるとか有毒でないとかいう判断ができかねた時代があったわけでございます。そういうことから考えますと、今後有用な鉱物を開発すると同時に、それらの元素が人体に、生物にどういう影響があるかということを同時に研究して、並行して開発と保護、公害の対策に当たらなければならないのでありまして、この二つの学問が両立しない場合は、必ず跛行的な問題が起こってくると思うのであります。したがいまして、今後鉱山の開発におきましては、当然鉱山を開発する人たちはこの公害の問題ということに着目して、おのおの専門家の意見を聞きながら対策すべきであると思います。
○田中委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 —————————————
○田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、質疑時間につきましては、理事会での申し合わせのごとく御協力をお願いいたします。林義郎君。
○林(義)委員 本日は、五人の参考人の方にはたいへんお忙しいところをわざわざお越しいただきましてありがとうございます。特に斉藤正健教諭は、はるばる宮崎県のほうからお越しいただきましてほんとうに御苦労でございます。小林先生にもわざわざ岡山のほうからお越しいただいたようでございまして、ほんとうに感謝いたしております。小林先生には、特に当委員会にはいろいろな点でごやっかいになっております。この機会をかりまして厚く御礼申し上げます。 いまいろいろと五人の方からお話を聞きましたが、私は時間がありませんので、少ししぼって質問を申し上げますので、お答えもできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。 まずお尋ねしたいのですが、問題になっております砒素というのは、砒素鉱山というのがありますが、やはり銅、金、銀等の鉱山から一緒に出る場合も私はあるだろうと思うのであります。そういった点で、先ほど矢嶋先生からお話がございましたが、この問題は鉱床学的な見地と、それから小林先生おられますが、分析のほうの観点からやはり考えなければいかぬ。鉱床学という見地と分析学という見地とはどうも違うのではないか、いろいろ考え方がある。そういった学問の間の問題というのはこれから大いにやっていく必要があると思うのであります。そのほかに、鉱山からしますと、亜鉛鉱山の中からカドミウムが出てきたり、亜鉛から鉛が出てくるという問題もたくさんあると思います。 一体、鉱山を掘る場合に、きわめて常識的に申して、山の中にあるところの砒素とかカドミウムとか鉛、そういったものと、鉱山という形になって鉱石というようなかっこうで出てくる場合と、どのくらいの差があるものか。そういったものが何か実際の学問的な数字その他でわかるかどうか。その点につきまして、まず矢嶋先生、小林先生にお尋ねしたい。 それからまた平塚理事長はたくさん鉱山を見ておられますし、鉱山のほうの専門家でありますから、お三人からその点について簡単にお答えいただきたいと思います。
○小林参考人 まず私からお答え申し上げます。 実は先ほどの砒素の鉱山ですが、サンプルをまだ分析中でございます。はっきりしたことはわかりませんが、相当たくさんあると思われます金属は、砒素のほかに亜鉛、鉛、カドミウム、銅、すず、こういったものが、いまスペクトルによって金属を検出するわけですが、そのほうから出ております。 それから先ほどお目にかけました写真のヘビノネゴザ、あの中にも、そういった金属が非常に好きらしくて非常にたくさん吸い上げております。ほかの植物は吸い上げないのですが、あれだけよく吸い上げております。鉱石にくっついてはえております。
○矢嶋参考人 先ほど申し上げましたように、砒素とかアンチモニーだとか、ああいった元素は非常に硫黄とくっつきやすい性質なものでございまして、もちろん銅や鉛や亜鉛も同じように親銅性元素でございますから、それらのものは必ずといっていいほどついてまいりますけれども、それは大体において温度の低い、低温型の鉱床に限られております。いま小林先生のお話しになりましたものは、おそらくアーセノパイライトという形だと思いますが、砒素と鉄とのくっついた硫黄の化合物でございます。これらの分析の品位と申しますものは、経済的な価値によりまして、結局銅の多いところをとるとか、あるいは砒素の多いところをとるとか、その鉱山の目的によって差があるわけでございます。
○平塚参考人 お答え申し上げます。 ただいまの御質問の件でございますが、鉱山の鉱石は単味で出るというのはほとんどないと考えてよろしいのでございます。さようなことで、技術の進歩で、昔捨てておったものが技術が改善されてこれが経済的に出る。そこで初めて鉱山になるのでありまして、ただいま来、両先生の御専門のように、ただ物があるというのと違って、経済的にとり出さなければ、これは鉱山になりません。という一つの証拠を申し上げますと、小坂鉱山というのがございます、日本で第二位の銅山でございますが、これは銅と鉛、亜鉛が一緒に、金、銀も出ていますが、昔は銅だけしかとっておりません。もちろん金、銀はとりました。亜鉛は金くそと称して、とれなかった。これが今日は技術的にとれるようになりましたから、亜鉛も鉛もとっておる。さようなことで、単味で出るというのは少ない。一応単味というのは、あるいは金、銀のごときものは、自然の砂金のようなものは金と銀のまざったもので単味でありますが、それ以外のものは、まずないと考えてよろしゅうございます。
○林(義)委員 お話を聞きますと、経済的に価値のあるものであるかどうかという問題と、それから健康に対する影響の問題は、私はちょっと違うのじゃないかと思います。そこで、経済的に価値があるかどうかというのは、これは商売の計算になりますから、私ははっきりしてくると思いますが、健康にどこまで害があるかというものにつきましてやはり突っ込んでいかなければならない問題だろうと思います。そういった点でやはり少しやっていかなくちゃならぬ問題があるのじゃないか。学問的にもやっていく分野というものは、両先生おられますけれども、間がちょっと抜けておる点があるような気がするのであります。 ここでお願いしておきたいのは、いろいろ問題がありますが、自然的にも、先ほどありましたように硫黄とくっつきやすいという状況で出てくるのが事実であります。経済的にはこれは掘ってもしようがないということであるかもしれないけれども、健康上は問題があるというような場合も、私は観念的には想像できるのであります。それならばやはりその辺をどうするかという問題が一つあるだろうと思いますし、やはりそういった点で、経済的にはいろいろ通産省の鉱山局の分析か何かでいろいろとやっておられるわけでございますか。分析室で鉱石を調査するというようなことでありますが、そういった形の公の機関で調査するとかなんとかいう形でやっていかなければいかぬような気が私はするのであります。また公の機関でやるのがいいのかどうかというのも一つ問題でありますが、少なくともオープンな形でいろいろ調査していくことが私はぜひとも必要であろうと思います。そういった点でいま経済的な問題についての調査分析というもの、あるいは地質学的なものはどういった形で、この鉱石はどうだということはどこでどういうふうにやっておられるのか、それから健康に対する問題はどこでやっておるのか、もう一ぺん恐縮でございますがお三人の方に御答弁いただきたいと思います。
○小林参考人 先ほど申し上げましたように、金属のトン当たりの値段が非常に変化があります。どこかで戦争があれば金属が非常に暴騰しますし、また戦争が済めば暴落します。ですから経済的に掘れるか掘れないかということ自体がずいぶん問題があるのじゃないかと思います。それから同じように掘りましても公害が非常に出やすい場所と、わりに出ない鉱山とがございます。概して言いますと東日本のほうが公害が出やすい、西日本のほうが出にくいように思われます。それは地質の関係だと思いますが、例の岡山県に柵原鉱山という硫化鉄の鉱山があります。あそこなんかはわりあいに公害が出ません。すぐその下の川にアユがたくさん住んでおります。非常に大きな鉱山です。それで同じような硫化鉄を掘っておっても東北の松尾鉱山のように非常にたくさん硫酸が出て魚も住めない、こういう場合もありまして、どうも東日本のほうが大きいような感じがいたします。
○矢嶋参考人 先ほど平塚さんからお話がありましたように、単味で出てくる鉱山というのはないわけではございませんけれども、非常に少ない。必ずいろいろな元素が寄り集まって出てくるのが多いのであります。私は先ほど冒頭から申し上げましたように、私のやっております鉱床学というものは必ずしも現在の経済と結びついたことをやっているわけではございません。とにかく元素がどういうような状態で地球の中に濃縮するかということを勉強しているわけでございます。したがいまして、まずわれわれがやるのは、その元素というものがどんな形で出ているのかということをこまかに最初分析をいたします。しかし、これは分析ということは、分析の技術はさることでございますけれども、結局総合的にそういったものがどういう組み合わせになっているかということはそういった分析技術を基礎に置いてわれわれいま研究しているわけでございまして、その点はかなりこまかく、小さくはかっていくのと、それらの結果を寄せ集めてどうなっているかということとの考え方の違いでございまして、私は全くその公害の問題に対しては門外漢といってもよいほど知識がないのでございまして、そういうことは申し上げることができないのは残念でございます。
○平塚参考人 お答え申し上げます。 御質問の件、分析はいずれも鉱山会社自体でやっておりますし、さらにあとは地方にあります鉱山部というところにお願いしてやる場合もありますし、最後には造幣局にお願いするようなこともございます。 なお、先ほど、公害が西のほうに少ないとおっしゃっておりますが、実は私どもといってはなはだあれでございますが、柵原鉱山は私十数年前所長を三年ほどやっておりまして、これは鉱業権者がやるかやらないかという違いであります。私はそこで研究もし、実は科学技術庁長官賞もそのためにいただいておるのでございまして、それはやはり鉱山会社がやる考えがあるかどうかということでございまして、決して西のほうが少ないということではない、間違いないようにお願いいたします。
○小林参考人 ちょっと私申し加えますが、先ほどのようなぐあいで、ですから掘るとなれば公害対策を十分立てなければなりませんので、それを入れての採算が成り立つか成り立たないかの見通しが非常に困難だ、そうやって値段がしょっちゅう変わるものですから困難だということですね。それを申し上げるつもりだったのです。 それからいまのお話ですが、同じような銅亜鉱業におきましても、岩手県においては相当公害を出しておる、岡山県においては出していないということは、やはりそこの立地条件、自然条件に差があるためだということも認めていただきたいと思っております。
○林(義)委員 いろいろとむしょうにむずかしい話でありますし、皆さん一致して公害対策をやらなくちゃいかぬというお話でありますが、先ほど高野参考人からお話がありまして、やはりいろいろと施策をやっているというような話でありますが、私は、はっきり申し上げましてどうもいままでの金だけでは足りないのじゃないか。政府が二億円とか、あるいは二千二百万円の健康被害者に対する費用を出している、また業界としても二億円の積み立て制度をやっておるということでありますが、やはりこれだけでは足りない、もう少し何か金を積んでほんとうにやらなくちゃいかぬ、またいろいろな手当てもしてやらなくちゃいかぬということだろうと思うのであります。その辺につきましては高野さんから何かいい具体的な方法でもあればお話を聞かしていただきたい。やらなくちゃいかぬというだけでは困るので、具体的に何か考えておられることがあればお話を聞かしていただきたいことが一点。 それからもう一つ、時間もありませんから斉藤参考人にお聞きしますが、土呂久鉱山は非常に長い歴史を持っておる鉱山であります。いま現在やめておる鉱山でありますが、私も先生の「公害と教育」という本を読ましていただきました。ずいぶん昔からの問題であります。鉱業法の百九条、また鉱業法の百十七条ですか、いろいろな関係で規定がある。当然に当時の鉱山としてはやらなくちゃならない問題だったろうと思います。小林参考人も言っておられました。やはりいろいろな施設をやらなくちゃいかぬということでありますが、特に聞きたいのは、斉藤教諭がこういった段階において取り上げてこられた動機というか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○高野参考人 休廃止鉱山の公害対策につきましては、先ほどるる申し上げた次第でございますけれども、鉱山が休廃止するということになりましていろいろな問題が起こるわけですが、やはり一番大切なのは鉱山が生きている間に、死んでしまってからいろいろ非違の度合いを尋ねましてもせんないことが非常にございますので、やはり鉱山が生きている間に十分な公害防止対策をやるということが必要ではないか。それから休廃止の際に、これは鉱山監督局の非常に厳重な御指示があるわけでございますけれども、休廃止の際に公害を出さないような万般の設備をする。それから、休廃止というような問題が起こりますということは、操業の継続不可能だとかあるいは経営の存続不可能という事態の結果でございますので、そのような場合に備えまして、金属鉱業鉱害基金という制度を通産省の御指導によってつくったわけでございますが、こういうものをやはりさらに拡充してまいらなければならぬ、こういうふうに思っております。 それから、休廃止鉱山の公害と申しましても、その態様はいろいろございまして、鉱種から見ましてもいろいろございますし、非常に遠い昔の休廃山もございますし、昔のものといいましても、わりあい最近にやめたものもございますし、また、新たな公害諸法令が出ましたあとに起こったというようなものもございます。そういうことで、新しい分析技術の進歩というようなことで、われわれが全然未知であったものがかなり多いわけでございますが、そういう新しい科学技術、分析技術の進歩あるいは医学の進歩ということで新たにできた問題もございます。それから、先ほど矢嶋参考人よりいろいろお話ございましたように、天然の汚染なのか人為の汚染なのであるか、そういう問題も非常にむずかしい点がございます。 それから公害防止事業と申しましても、態様によりまして非常に膨大な額に達しまして、もう企業能力の限界を越えるというようなものも今後相当出てくるのではないか、公害防止設備をすることと同時に、企業の倒産につながるというようなケースもあることであろうかと思います。それから、公害防止工事というものがはたして公害防止に役に立つのかどうか、技術的にも非常にむずかしい問題があるわけでございます。そのように休廃止鉱山の公害対策と申しましても、多種多様な場合がありまして、科学技術上の問題、客観情勢の進歩だとか、あるいは時期、手段、方法、段階的にいろいろ考えなければならぬと思いますので、その辺のところをいろいろ、私自身も非常にたくさんあります休廃止鉱山の個々の態様についてよく承知しているわけでございませんので、そういう問題をよく研究いたしまして対策を立てる以外に方法はないのではないか、こういうふうに思っております。
○斉藤参考人 先生から動機は何かと尋ねられましたけれども、まず第一番目に、いわゆる高度の経済成長ですか、経済面ばかり重んじたためか、公害が非常に多くなった。そこで社会の教科書にも公害と教育というところが設けられた。そういった面で子供に教える以上は、軽率には教えられない。やはりいまの授業というのは主体的に子供に教える、子供が子供自身で考えていく、そういう授業なんです。とすると、やはり地元にころがっているところを取り上げることによって、児童は主体的に受けとめて、そこで考えるのじゃないか。その中で、なぜ起こったか、どうすればよかったか、ひいては公害防止になるのじゃないか。それが第一ですね。 それから第二に、生徒の顔色とか体位が全般的に各部落の子供に比べると劣っている。特に調べた結果ですけれども、胸囲、それから握力は特に違っておるし、学年が上にいくほど差が大きい。それから、実は東岸寺という隣の部落があるのですけれども、そこにも実はすずを選鉱した場所があるのですけれども、昭和十六年にその選鉱所が焼けてから三十年以上たったいまでも放置のままで草一本はえてない。そこで子供たちは毎日登下校するのです。子供たちはそこでも遊ぶし、また夏に、遊び場がありませんので球技大会の練習などもする。子供たちは知りませんが、その中で目が痛いとかふらふらするような気分がしたと述べている子供もいます。それから、いろいろプール問題が長引いたのですけれども、実は近くの土呂久川の水が使えないために、学校のプールの予定地はあったけれども、用水、水確保でおくれた。子供たちはそこで遊んで、また泳いで、ときにはやはりはずみでその水を飲んだりすることもある。そういった状態ですね。 それから、保健所、行政当局の皆さんや企業の方や何かの態度がどうしてもおかしい。もうこれはぼくも知っているのですけれども、非常にいろいろな、大根とか稲とかそれから土壌とかそういったものを持っていかれるのですよ。持っていったきりナシのつぶてで結果は全然発表されてない。私も聞きましたけれども、だれから聞いた、あなたはだれか、なぜ聞くのか、そういうことも保健所の方が言われるのですよ。保健所というのは、これは国民の健康を守る、調べるというのがあれだと思うのです。下流の延岡では、見立川が汚染源だとして大体二回だったと思いますけれども、作物調査とか健康調査が行なわれたのに、土呂久、特に汚染源の土呂久では全然ない。これは一体どうしたことか。これはやはり見のがすことはできないと思うのです、そういう人道主義から立てば。そういった点が重なって、一応これはどうしても取り上げなくてはいけない。これは人間として見のがすわけにはいかない。 それで、いろいろなズリ対策も要望されていましたけれども、これも全然していただけない。そういったところでやったわけなんですけれども、非常に金がかかると思うのですが、全力をもってやっていただきたい。これが子供の健康を守って、ひいては私たちみんなが安全に暮らせて、土呂久の人たちもそれでほほえみが浮かぶようにしてほしいというのです。いま土呂久の人たちは行政当局や企業者に対して非常に不信感を抱いております。これは実にさびしいことだと思います。行政の人たちは住民サイドに立つと言われながらも、こんなように不信感をなぜ起こしたかということをじっくり考えてほしい。そして親身になってぜひやって、土呂久の人たちに光を与えていただきたい。ズリの処置とか水道の施設の完備ですね。それから道路にズリなどを敷いたのですけれども、それで作物もできないのですが、そういう道路。特に子供たちが朝、非常に遠いものですから走ってこけるのです。それでけがをすることがしばしばあるのです。とてもかわいそうなんです。そういった点などもぜひお願いしたい。 ちょっと脱線しましたけれども、お許しください。
○林(義)委員 各参考人に申し上げます。たいへんどうもありがとうございました。時間もありませんので、このくらいで質問を終わりたいと思います。
○田中委員長 次に、松浦利尚君。
○松浦(利)委員 きょうおいでいただきました五人の参考人の皆さんには、たいへんお忙しい中をいろいろ貴重な御意見をいただきまして、委員の一人として心からお礼を申し上げたいと思います。たくさん皆さん方から意見を聞きたいのですが、時間が制約をされておりますから、簡潔に質問をして皆さん方の御意見をいただきたいと思います。 最初に、高野参考人にお尋ねをいたしたいのですが、こういう土呂久のような事実ですね、現実に私たちも調査団として各党全部現地に行ったわけでありますが、休廃止鉱山が形そのまま、極端にいうと毒があるといわれておる砒素がそのまま現地に残されておるというようなことは、はたして現在の鉱業法に照らして正しいあり方かどうか。先ほどあなたは、休廃止するときには鉱山保安監督局から来てきびしいチェックを受けております、こういうふうにおっしゃいましたが、現実に土呂久では、われわれが調査した結果そういう事実があったわけなんですが、そういうことはなぜ起こるのか、休廃止鉱山と業界の皆さん方の連絡の不十分、あるいは保安監督局の行政の不備と思われますか、そういう点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○高野参考人 私、土呂久問題につきましては、現地の事情もよく存じない次第でございますし、また、私の現在の立場からお答えできる問題ではないので、その点は御容赦いただきたいと思います。
○松浦(利)委員 一般的な問題として私お尋ねをしておるのですが、土呂久のようなことが現実にあったわけですね。そういうことが実際あなた方業者の団体としてあり得べきことかどうか、現在の法に照らしてそういうことがあっていいことなのかどうか、その点を一般論としてお聞かせをいただきたいと思うのです。どうでしょう。
○高野参考人 土呂久の問題は、私よく存じませんが、かなり昔のことのようなことでございますので、いまの時点で考えます場合にああいうことはあり得ないようなことではないか、こういうように思っております。
○松浦(利)委員 休廃止鉱山が全国で五、六千、そのうち要監視鉱山が千五、六百ある、こういうように推定されておるわけですけれども、たまたま土呂久がこういう状態で表面化してきたわけですね。業界から見られて、これは一つの例ですけれども、こういった鉱山というのはまだたくさんある、こういうふうにお思いになりますか、土呂久だけが特例であって、ほかにはそういうのはないのだ、こういうふうに思われますか、どちらでしょう。
○高野参考人 私はそういう大きな、全国の鉱山の内容をいろいろ調べあるいは調査する立場にございませんが、ですからお答えになるかどうかわかりませんが、ああいうケースはほとんど他には例が少ないのじゃないか、ごくまれな例じゃないか、こういうふうに思います。
○松浦(利)委員 私はそれをなぜ前提にお尋ねをしたかといいますと、先ほど高野参考人は、ドル・ショック、為替差損といったことで非常に業界が苦しんでおられる、そのことはわかります。しかも、これからまただんだんと休廃止鉱山がふえていくだろう。そうした場合に土呂久のような事態が発生しないように歯どめをしなければならぬ。そのためには何らかの救済措置というものを国で行なうべきだ、そういうことを考えますので、お手伝いをする意味で参考人の御意見をお聞きしたわけですが、業界の代表として国に——ほんとうは企業が責任を持つべきですけれども、実際にそういった政治的な状況で非常に苦しい状態はわかりますから、どういったことをあなたは国に要求されるか。いま出された法案が不備だと思うのですけれども、どういったことを国に対して要望されるか、そういった点をひとつ簡潔に言ってみてくれませんか。
○高野参考人 その点につきましては、先ほどお答え申し上げましたわけでございますが、休廃止鉱山の態様が非常に複雑でございますので、個々のケースでやはり考えなければならぬ問題があるのじゃないか、こういうふうに思っております。
○松浦(利)委員 高野参考人にこれだけ要望ですけれども、私たちの調査した範囲内では、行政と休廃止鉱山の鉱区権を持ったところ、こういったところとの連絡が非常に不十分ですね。ですから、業界を指導していただいて、ぜひもっと保安監督局と十分に連絡をして、休廃止鉱山になったときには、少なくともこういうふうに鉱害が出ないように整備しますという整備計画も企業のほうから保安監督局に出されますね。そして許可をもらって休廃止鉱山の整備をされますね。そういう連絡もきわめて不備です。ですから、私は要望として、国は国として、私たちの責任において努力をいたしますが、業界の方もこういう事実をひとつ他山の石とされて、もっと監督局と十分連絡をして、休廃止鉱山等についての手続をはっきりさしていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思うのです。 それから、地元から来られました斉藤先生にお尋ねをするのですが、この鉱山が設置される——だいぶ歴史は古いのですが・設置された場合、そして再開された場合、地元の皆さん方はどういう態度をとられましたか。
○斉藤参考人 いまの答えですけれども、設置された場合には、最初のときには個人でやっていたと思うのですけれども、あとからやりだしてから非常に煙害が激しくなって、部落の人たちやら——まあ土呂久には明治二十三年から土呂久和合会議事録というのが残っているのですけれども、それを読みますと、非常な、企業それから行政当局に対しての陳情をやっています。昭和十二年だったと思いますけれども、こういうことが書いてあるのです。「煙害はなはだ多いため、寸時、待つこともできかねる」、「一時も早く設備を急ぐよう」申し込み、「それに応じてくれざる場合は、万やむをえず村長の手を経て県係員まで交渉の上、設備完全を計ることに決定す」、そしてそのあとで県へ行った人に費用の払い戻しをしておるのです。そういったことで、県にも相当言っておるのですが、実は、昭和十六年に、土呂久和合会との亜砒酸製造に関することで——契約満了の年だったのですけれども、代表住民四人を福岡鉱山保安監督局は招きました。で、自分たちだけではわからないからと言って長老代表二人行ったのですが、その中では、これは佐藤十一郎さんという方がただ一人生き残って、いま病院に入院していらっしゃいます。証言のテープもきょう持ってきておりますが、宮崎県からは害は言ってきてない、だから許しておるのだ、おまえたちは何を言っているのだということで、非常に強硬にまた焼かせろ、焼かせろ、そういうことだったそうです。それから、何う言うんだ、県も一回もまだ土呂久に来たことはない、そういうことを言うことができるか。そういって、非常な口論状態になって、そういうことがあってから、それではというところで来たとおっしゃいましたけれども、そのあとで年輪なども持たされたそうです、こんなにひどいのだといって。でもその結果についても何も言ってこなかった。またそういうようにひどかったので、今度焼くときにはもう絶対にこれは反対する、部落民が決議しております。昭和二十八年の十二月の十一日ですけれども、土呂久和合会議事録にありますが、住民亜砒酸製造反対の決議をしています。これはなぜしたかということもよく考えますと、鉱山当局がまた焼かせろと言っていたに相違ありません。そこで松尾鉱山のほうにも住民たちを連れていって、県や企業が説得をした可能性がある。契約のほうを見ても、そういうことが大体予想できます。そんなことで住民たちは非常に反対をして、煙害の資料作成までしていたのに、住民を説得して、国のためだ、地下資源開発のためだ、岩戸村繁栄のためだ、こういって説得された節があると思います。そういうことでとうとう説得されて焼いたのですが、その契約書の中に、煙害は出さない、それからいわゆるそういうズリ、鉱滓の河川流入を防止する、それから試験的操業で、もし煙害があったといわれたときには第三者などのような公平な学識経験者を通じて調査して、そしてから要望があったらやめるというような契約内容になっておるのですけれども、実は昭和二十九年にこれは契約が取りかわされておりますが、三十四廣に、煙害が多い、ぜひ部落民としてはやめさしてくれということを部落の人たちが陳情して、町長あてに言っておるのです。この陳情書までけって、地下出水した昭和三十七年まで焼かせておるのです。こういったように非常にこれは住民を無視しておるのです。この間住民の人たちは飲んでいたのですよ。去年の四月末まで土呂久南の十三世帯は雨の日も飲んでいました。で、福岡保安監督局や県の方は、これは晴天の日のたとえば四十四年の十一月に東岸寺用水、これは取り口ですが、渇水期のときに調べて砒素が〇・一〇七PPMあった。住民は飲んでいないというふうな発表をされた。某新聞社に暴露されると、砒素が入っておるから絶対に飲むな、水道をつくれ、しかし水道をつくらせたが、ほとんど大部分は個人負担、まことに身がってな、まことに残酷な仕打ちだと思います。いまでも、これは約八十万かかったのですが、十七万は町で、あとは部落の負担で、まずしい人たちはこの水道組合に加入できなくて、それ以後も毒水を飲んでいたのです。そういったことで非常に悩んでいられます。そういったような態度です。
○松浦(利)委員 斉藤先生、簡単に言ってください、時間がありませんのでね。 それでは小林先生にお尋ねをいたしますが、私たちが調査をしますと、砒素に限定をして、精密検査をやったという経過があるのです。ところが実際に鉱害の調査をする場合、先ほどの質問者の意見に参考人それぞれお答えになっておりましたが、少なくとも砒素に限定をせずに、疑わしい金属についてはすべて調査をするということが健康調査の上では必要ではないかと私は思うのですが、小林教授の御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。
○小林参考人 お答えいたします。 ただいまの御質問のとおり、やはり亜鉛とかカドミとか、あるいはゲルマニウムなんかもあるのじゃないかというふうに出ておりますが、こういったような金属の影響というものも十分考えなければいけない。特に農作物をつくります土とか、あるいは農作物あるいは飲み水を対象といたしまして、そういった分析が必要であろうと考えております。先ほども申しましたように、雨の中をただ歩いただけで、くつがぬれて、そして水が砒素なんかを持っておったというような状態ですから、まだ現場にはそういう重金属がうんとあるわけです。ですから今後あれをまだ処置しなければいけない問題があります。あれをどうやって処置するか、これは大きな問題だ、なかなか困難だと思っております。とにかくあそこは砒素だけじゃない、いろんな金属がございます。それから焼いたからなんかも相当まだ砒素を持っております。
○松浦(利)委員 ありがとうございました。 斉藤参考人にお尋ねいたしますが、現地で検査をした場合に、いま小林教授が言われたような検診が行なわれたかどうか、行なわれたあと住民の不安は解消されたかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○斉藤参考人 率直に言って、今度の検診は砒素に限ってやられた節があると思います。県も亜砒酸中毒というのを盛んにいわれますけれども、そういった点で住民は非常に不満を持っております。県は不安解消といっておられますけれども、不安解消どころか不満を抱いておる。それはなぜか。第一点に健康調査ですけれども、まず一日に約五時間ぐらいだったと思います。約二百三十人ぐらい調べておりますが、問診を保健婦さんたちがやった。それも非常に簡単な問診で、非常に簡単な問診というとぼくはわかりませんけれども、森永砒素ミルク中毒事件を取り扱っていらっしゃる北九州の市立小倉病院の廣澤元彦という先生が来られたのですが、県のとこちらのあの先生が調べた問診表を比べてくださいといわれて、ぼくはもらっているのですが、この先生の話によると非常に簡単過ぎる。それを短時間に保健婦さんがやって、そしてその人によってえり分けられていっているのです。この証言もとっております。だから、たとえば佐藤ハルエさんという人がおられるのですが、この夫が今度精密検査で熊大に入院したけれども、自分のほうがひどいんだ、それでも自分はたった二人のお医者さんにしか見てもらえなかった、全部を見てもらっているのじゃないのです。そして保健婦さんがもうあなたはいいですというようなことでやっていらっしゃる。またお医者さんの態度も少しおかしかったといって非常に憤激していらっしゃる方もいられるのですが、そういった点で、着物を着る時間のほうが長かった、もうこういう調査だったらしてもらいたくない、そんなことでまた県のほうで——これも廣澤元彦先生言っていらっしゃるのですが、第一次検診は全員対象でなくてはいけない、その中でレントゲンとか心電図、脳波もとるべきではなかったか、もちろんつめや毛髪も全員対象にしなくてはいけなかったのではないか、そういうことも指摘されております。つめ、毛髪も第一次検診では全然取られていません。そういったこと、それからお医者さんが問診すべきではなかったのか。だから、この前の調査をもってあの人数にしぼるのは非常におかしい。延岡の桑原先生が、皮膚科ですけれども、二百三十人ぐらいの中で自分が見たのはたったの七十九人だ、まだいらっしゃるはずだ、こう述べていらっしゃる。そういったことで、土呂久の人たちは非常な不満を持っているわけです。
○松浦(利)委員 小林先生に結論的にお尋ねしておきたいのですが、こういった鉱山公害による問題が起こった場合、行政のあり方としては、精密検査はやっぱり、いま小倉の森永砒素ミルクの告発をなさった教授の話が出ましたけれども、そういった意味であくまでもすべてにわたっての調査をすることが正しいいき方だ、こうお考えになりますか。その点どうでしょう。
○小林参考人 いまの御質問の内容は公害病の調べ方についてですか。
○松浦(利)委員 ええ。
○小林参考人 結局はっきりと証拠が出ておる、たとえば砒素によりまして皮膚に斑点がはっきり出ているような方は、これはだれが見ても砒素の中毒だということがわかるわけです。ところがそうじゃなくて、後遺症的にいろいろな、外部から見てもよくわからないというような病気がありますので、実際公害病と認定された人以外にも、被害者、間接的なあるいは外部からわからない公害病の患者は相当数あるのだろうと思われます。これはイタイイタイ病の場合でも私はそう考えております。ほかの地区にイタイイタイ病は全然ないという発表になっておりますが、実際はそれに至るまでの初期の患者は相当数よそにもあるのだろうと考えますけれども、外部から見て、レントゲンでわからないだけだというふうに考えております。
○松浦(利)委員 もう時間がなくなりますから簡潔に御答弁をいただきたいと思うのですが、小林先生、通産省が要監視鉱山だと指定しているのが千五、六百あるというのですけれども、そこの流域でやはりこういった土呂久のような形態が出る可能性がまだまだあるのだ、潜在的にあるのだ、こういうふうに御理解になりますかどうですか、その点どうでしょう。
○小林参考人 土呂久の場合あるいはもう一つの松尾鉱山ですか、ああいったケースはそうたくさんはない。いまおっしゃるように、千五百も千六百も鉱山がありましても、実際にああいうひどい例はそうたくさんはないのだろうと考えます。私はかなり回ってみましたけれども、あそこは特に宮崎県の山の中でして、不便なところですから、住民の人もあまりその毒性に気がつかないでああいうことになったのだろうと思いますが、たいていの場合はあそこまではいかない鉱山が大部分だろうと考えております。
○松浦(利)委員 あと二つ最後に矢嶋先生にお尋ねをするのですが、元素の人体に与える影響というのがまだすべてにわたって研究開発されておらないというお話があったわけですけれども、実際にこういう元素の人体に対する影響というのは、臨床学的にも相当期間がかかると思うのです。そういったものについて国がやるべきが正しいか、それとも大学や何かに、先生方に委託してやったほうがより効果的か、どういうふうにその点思われますか。
○矢嶋参考人 私はどういう元素が生物にどういう影響を及ぼすかというようなことは専門外でございますから、全く不案内でございます。しかしながら、いろいろな元素につきまして、それが人間の文化に役立つ反面、どういう生物に対してどういう影響があるかというようなことはともどもに研究していかなければならない問題だろうと私は思います。 この問題につきましては、たとえば分散元素といたしましてあまりわれわれの目に触れておりませんけれども、たとえばベリリウムのようなものは非常に大きな害毒を持っているものでございます。しかしながら鉱床としてはあまり数多く存在していないので、現在日本などでは問題になっておりませんけれども、そういうような問題がたくさんありますので、いろいろな元素につきましての研究というものは、もちろん国の御方針でおやりになるべきだと思いますけれども、その研究の範囲はできるだけ広い範囲でやるべきでありまして、ごく特定の人たちだけで片づけられる問題ではないように思います。
○田中委員長 松浦君に申し上げます。島本君の時間との関係もありますから……。
○松浦(利)委員 最後に。実は私たち党のほうでサンプルを持ち帰りました分析結果がここに出ておるのです。参考人の皆さん方が言われましたように、砒素のほかにカドミ、鉛、亜鉛、銅、すべてがここで大量に検出されております。さらに延岡の五カ瀬川の下流流域の土壌、畑その他からも、砒素、カドミ、鉛、亜鉛、銅等が大量に分析結果から出てきているわけであります。これはたまたまその氷山の一角でありますので、参考人の皆さん方からいただきました御意見をもとに、ぜひ国のほうでできるだけの努力をさせるように、私たちも政府を叱咤激励するつもりであります。 参考人の皆さんにいろいろまだ聞きたいこともありますけれども、時間でありますからお礼を申し上げて私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田中委員長 次に、島本虎三君。
○島本委員 一時が本会議でありますので、それまでにあと残る三人の人全部やってしまわなければなりませんから、要点のみちょっと、漏れた点を質問いたします。 まず斉藤参考人、先ほどからいろいろ不満を表明され、たとえば問診の問題でも検診の問題でもいろいろ行き届かない点が多いようであります。そういうような不備な点を意見として出しましたかどうか。もし出したとするなら、どういう機関にこれを出して取り上げられなかったのか、これをひとつ伺いたいと思うのです。それからもう休廃山に対しては鉱山保安局ではきびしくこれをチェックしていなければならないことは法できまっております。しかし行政当局に対する態度は、まことにこれは不信の念を持たれているようでありますが、これは企業責任なのか、これはもう国のほうの指導か、行政当局の怠慢なのか、これはいずれか。この二点を簡単に指摘してもらいたい。これは斉藤参考人に……。 高野参考人に対して、これはもう御存じのように、おととしの暮れ公害罪処罰法ができて、それ以来公害を排出したものは社会的に犯罪者なんです。皆さんの場合は犯罪者意識というものはまだないようにちょっと伺って、私はこの点はそんなことはなかろうと思っていましたが、この点少し、たとえば地下の鉱物、自然環境を荒らすのは、これは免れないという平塚参考人の御意見等あったのですが、免れないじゃないのです。こんなことをしてまでやったならば犯罪だということに、もう一昨年の暮れからなったのです。法律変わったのです。この点少し甘いんじゃないか、こう思いますが、鉱業権を持っておられる住友鉱業ですか、数十万円の水道もかけないでこれを住民負担にしてやったということは、これは責任回避どころか公害犯罪であるということさえ認識していないんじゃないか、こういうような点では十分今後鉱業協会としても指導すべきじゃないか。そして全国に残っているこういう廃鉱、休鉱、これに対してはもう一回自主的に点検して自分で措置させるように当然すべきじゃないのか、私はそう思っておりますが、この点については高野参考人いかにお考えでありましょうか。この点を伺っておきたいのです。 それから三つ目ですけれども、平塚参考人ですが、これは相当の数、十年間にもう千二百をこえるだけの休廃鉱ができておるというのです。いろいろな措置については皆さんの促進事業団のほうでもやっておられますが、事後の措置はしておられたのか、おられないのか、そういうことについてはどのようにお考えでおったのか、この点ちょっと釈然といたしませんので、この点に限って質問いたします。
○斉藤参考人 意見として出したかどうかという御意見だったと思いますが、どこに出したということはないのですけれども、私たち職場で一月の二十九日に、岩戸小分会という名で次のような文の声明を出しました。 新たな段階をむかえた土呂久鉱害問題 県調査中間報告に対する分会の見解と今後のとりくみについて 新聞の報道などによると県当局は「ヒ素中毒との因果関係は薄く、今後、新しい健康被害の危険度は少ない」などの中間報告をしている。これが事実とすれば、私たちは、どうしても次のような問題点を指摘せざるを得ない。それは先ず、何よりも土呂久鉱害問題は子供たちを含む、住民のいのちとくらしを守る重要な課題であり、そのためにはあくまでも慎重で科学的、綜合的、全面的な調査と根本的な対策が必要だということである。この点から考えたとき、今回の調査ははじめから重症患者のみの検診をヒ素(亜ヒ酸)との関係のみで「追求」したものにすぎず、それも、全住民から毛髪や爪などを採取していない(第二次検診者のみ採取)とか、最初短時間の不充分な問診形式によってふり分けられた検診方法になっていたと言う事実からも決して住民の方々の不安、要求にこたえているとは言えない。私たちは父母住民の方々からのアンケートや直接の訴えなどで土呂久鉱害の被害がどれだけひどく広大なものか事実をもって知らされている。このことを考える時、私たちは最小限次の二つのことを……
○島本委員 わかりました。それはどっちの方面へその意見として具申されましたか。
○斉藤参考人 先ほど言ったように、ぼくたちの職場でやって、官庁あてにやったのではありません。それと、知事にも一応つめ、毛髪をなぜとらなかったのですかと私は言いましたけれども、非常にむずかしいということで答えていただけませんでした。
○高野参考人 ただいま非常にきびしいおことばを賜わりまして、実は恐縮いたしておる次第でございますが、私のほうの協会は昔鉱山統制会と申しておりましたが、そういう鉱山統制会の戦後にできました団体でありまして、指導監督というようなことをやる任務にはないわけでございます。それで先生の御趣旨には必ずしもわれわれの業界として直ちに沿うというわけにはまいらぬわけでございますが、御趣旨はよくわかりましたので、その点をよく連絡させていただきたいと思います。
○平塚参考人 お答え申し上げます。 先ほど私が鉱山は自然の破壊を免れないと申しましたが、公害を起こしていいとは決して申しておりませんで、やはり掘れば天然の形が変わってくるということを申し上げたのでございます。それから千三百くらい十年間に出たと申しましたが、ただ数字を申し上げたので、そのくらいに鉱山の変遷が多いという例を申し上げただけでございます。
○島本委員 時間ですのでこれでやめますが、高野参考人に、これは水道を住民負担で数十万円も払わせて鉱業権者として目をつぶっておる、こういうような行き方は、一昨年の暮れにできた公害処罰法でこういうようなものを出したら社会的犯罪者なんだという意識が足りないのじゃないか。お互いに鉱業権者としてこの点は十分反省すべきである。ですから、こういうような点は皆さんの仲間としてチェックをして十分やるべきじゃないのかというのですが、さっぱりその辺の答弁がないのはやらないという意味ですか、それはもうわれわれの権限外だという意味ですか。それ一つだけでけっこうです。
○高野参考人 そういう意味ではございませんので、私のほうの協会はそういうことを任務といたしておるわけではございませんので、やらぬということでは決してございませんで、そういう問題につきましてはやはり鉱業権者自身がやるべきものだ、こういうふうに思っておる次第でございます。
○島本委員 じゃ、これで終わりますが、まことにいまの発言は残念でございます。
○田中委員長 次に、岡本富夫君。
○岡本委員 時間の関係で土呂久の問題につきましては同僚の瀬野栄次郎委員からまたお尋ねいたしますが、私は、こういった休廃止鉱山あるいはまた現存する鉱山から出てくるところのいろいろな物質によって被害を受けなければいいわけでありますが、健康被害あるいはまた農作物の被害、こういうものが出てくる。そこで一つの例をとりますと、今度の亜砒酸の問題でもなかなか県は認めようとしない。 〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 同じようにカドミウム公害につきましても、見ますと、三十年くらいかかって初めて症状があらわれる、この症状が発見されたならばもう処置がない、死ぬのを待つよりしかたがない、こういうことではならないので、まず何といってもこうした被害者の救済が先ではなかろうか、こういうように思うのです。 そこで、小林先生にきょうは時間がありませんので、ちょっと聞きたいのですが、文献によりますと、カドミウム公害によって第一期、第二期、第三期、四期、五期、こういうように分けていらっしゃいますけれども、これは萩野先生の文献ですけれども、第一期、第二期、第三期、これはカドミウム中毒というように厚生省で言われておりまして、四期、五期が初めてイタイイタイ病、こういうように言われておりますが、分析学者の先生の立場からやはり一期、二期、三期もイタイイタイ病の初期である、こういうように判断するのが正しいのではないかと思われるのですが、先生の御意見をお伺いしたい。
○小林参考人 お答えいたします。 神通川流域以外にはイタイイタイ病の患者はいないというふうに発表されておるわけでありますが、実際このイタイイタイ病患者と判断しますのは、骨が、レントゲン写真によりまして非常に無機物がなくなりまして、そしてイタイイタイ病の特徴のある症状が出ている場合に初めてイタイイタイ病とされておるわけです。ところが、このレントゲン写真によって、骨が脱灰しまして無機物を失って、それがはっきりと写真にあらわれるまでには、相当骨の脱灰が進まなければ出てこない。相当熟練した整形外科の先生が見ても、骨の三〇%ぐらいは少なくとも失われなければレントゲン写真にはあらわれないというふうにいわれております。私どもの岡大の医学部の児玉先生という先生も、整形外科でそのほうの専門家ですが、その先生も、少なくとも三〇%は骨が溶け出さなければレントゲンには全然異状は出ないというふうに言われております。ですから、結局このイタイイタイ病というふうに判断されます場合にはもう三〇%以上の骨が失われている、溶け去っておる。その後に初めてイタイイタイ病になるわけですから。ですから実際は一〇%あるいは二〇%がカドミウムの影響によりまして溶け出しておっても、それはイタイイタイ病の初期症状であるわけですが、レントゲンには全然出てこない。そういう時代には尿にたん白が出るとか、あるいは本人としては骨が痛む、こういうような症状が当然あるわけなんですが、そういったところをつかまえまして、萩野先生はそれを一期、二期、三期というふうにしておられます。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 四期、五期というのは、いまのようにレントゲン写真にはっきりともう出てくる重症患者について言っておられるわけなんですが、そこに問題があるわけでして、レントゲン写真に出ないからこれはイタイイタイ病じゃないんだといっていいものかどうか。当然これは常識としましても、レントゲン写真に出なくても、一〇%、二〇%の骨がカドミウムによって溶けた状態はこれはイタイイタイ病の初期症状であります。ところが前から厚生省では、そういったレントゲン写真にはっきり出ないような患者はカドミウムによる慢性中毒ということばを使いまして、イタイイタイ病とは絶対に言わない。そういうカドミウムによる慢性中毒の患者はよその地区にもおった、あるいはそういう疑いのある患者はいるということをしばしば新聞などでも発表されておるわけです。しかしそれは決してイタイイタイ病とは言わない。慢性中毒とイタイイタイ病とを完全に別な病気であるかのように区別してあるわけです。そこに萩野先生とそれから厚生省あたりの考え方との根本的な相違がありました。だからこそ、よその鉱山にはイタイイタイ病はいないんだというのですが、実際に安中におきましてもあるいは対馬におきましても、今度の生野にしましても、カドミウム汚染のあるところでは、よその対照地区に比べればたん白尿の出る人が多い、あるいは骨の痛む人はずっと多い。そういう人の率が高いんでして、その高いということは、当然それはカドミウムによる悪影響、イタイイタイ病の初期であるべきはずなんですね。それがさらに進んでいけばイタイイタイ病になるわけですけれども、最近はこういうカドミウム中毒の研究調査というものがよく進みまして、早期に発見されますから実際はイタイイタイ病は出てこない。ですから、よその鉱山にイタイイタイ病がないんじゃなくて、レントゲンに出るほどの重症患者が出ないということの意味だと思います。
○岡本委員 このあと瀬野栄次郎君に譲りますから……。
○田中委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 休廃止鉱山の公害対策等につきまして参考人の皆さんには貴重な公述をしていただきまして、たいへん感謝いたします。私から、各委員からいろいろ質問がありました以外の問題で、来たる十日に公害対策特別委員会が開かれますので、その節、また政府の見解をただすわけでありますが、その際の参考にぜひしたいのでございますので、若干のことを各参考人にお尋ねしたいと思います。 まず最初に高野参考人にお伺いしたいと思うのでございますが、先ほどの公述の中で、休廃止鉱山の基本制度として、昨年十月発足したところのいわゆる基金があるわけでありますが、毎年二億円で今後五カ年計画で約十億円、関係の会社が二十七社、こういうふうに申されました。今後も休廃止については懸命の努力をしていきたい、かようなお話でございましたが、こういった基金、現在、休廃止鉱山がかなり多くなっているという状態であって、二十七社ですべてなのか、私はもっとたくさんある、こういうように思っているのです。またこの基金が十億では当然少なくて足りもしませんけれども、こういった基金の見通しの確保、十分あるのか、こういったことについてまず御意見を簡潔に伺いたいと思います。
○高野参考人 昨年の十月につくりました金属鉱業鉱害基金と申しますのは、われわれのほうの協会の会員の中でその趣旨に賛成された方がつくったわけでございまして、こういう二十七社でスタートいたしたわけでございます。もちろんこれで——私のほうの業界は、全国の鉱山に全部関係しているというわけではございませんので、われわれのほうの協会は任意団体でございまして、加入、脱退は全く自由の団体でございますので、そういう会員の中で賛成者を求めましてできましたのがこういう基金になったわけでございます。今後につきましては、もちろん賛成者を得まして拡大できるということを望んでおる次第でございます。
○瀬野委員 高野参考人にもう一点お伺いしますが、これは一般論でひとつお答えをいただきたいのですけれども、全国で五千ないし六千の鉱山、九州だけでも現在鉱山と名のつくのが七百あります。その中で現在操業中のものが百、残りの六百のうちに約百カ所はすでに鉱山保安局等で調査が進んでいるけれども、残り五百は全然調査も進まないという現状であります。おそらく全国的にもそういう状況じゃないかと思いますが、土呂久のような例がありますように、かなり廃鉱になったものについて、ブル等でその証拠隠滅というようなことで急遽山元をこわして、それが中小河川に残渣が落ちている。雨が降れば相当量が下流へ押し流される、こういう心配があります。特に土呂久の例で申しますと、土呂久の鉱山も五カ瀬川の上流にそういった残渣が数ケ所も、いわゆる土砂崩壊のような形で中小河川の上流にこれが押しつぶされております。たいへん私危惧するわけでありますが、こういったことから、当然これは鉱山法違反と私は見ておるのですけれども、一般論から見て、何も土呂久に限らず当然チェックをしなければならぬわけでありますので、そういったことに対してはどのような見解を協会はお持ちであるか、ひとつこの機会にお漏らしいただきたい。
○高野参考人 私のほうの協会は、全国にわたってそういう鉱山の現状なり休廃止鉱山なりを調べるというそういう機関でございませんので、そういうことにつきましてお答えが困難であるかと思います。
○瀬野委員 調べる機関であるとかないとかでなくて、協会でやるならば当然そういったことも十分掌握しているわけですから、いわゆる参考人としてそういう状態を皆さん方ももちろん知ってもおられましょうし、そういう場合はどういうような見解を持っているかということを、皆さんは協会の責任者でありながら知らないなんと言って、どうして指導したり、または協会の役目がつとまるか、こう言いたいわけです。一般論としてあえてぼくは聞くということでお尋ねしているわけです。もう一度御意見を伺いたい。
○高野参考人 いまのお答え、たいへんおしかりをこうむったわけでございますけれども、私の団体の性格からいたしましてそういうことになっておりますので、あしからず御了承いただきたいと思います。
○瀬野委員 それでは何もやらないという意味なんですか。
○高野参考人 やるとかやらないとかという問題ではないと思っております。
○瀬野委員 次は平塚参考人にお伺いしますが、いま高野参考人からいろいろ話がありましたが、金属鉱物探鉱促進事業団はもちろん協会ともいろいろ連絡をとられて、いろんな面で公害等も全国的にいろいろ問題になっておりますが、こういったことについては事業団と協会のほうは事実どういうような協調をし、または協議をしながら対策をしておられるのか、全然何もそういったことをしておらぬのか、そういった関係についてひとつこの公開の席で明らかに御意見を承っておきたい、ころ思います。
○平塚参考人 お答え申し上げます。私のほうの事業団は探鉱をする事業団でございまして、公害とは全く関係は実はございません。しかし先ほど申し上げましたように、それを……(「鉱業法と関係ないのか」と呼ぶ者あり)いや、仕事は関係ございませんと言っている。ただ先ほど申し上げましたのは、ところが全国で仕事をやっておりますから、そういうところで公害を起こすとわれわれのほうの仕事、探鉱をするのも支障を来たしますかう困りますということを申し上げているわけなのです。それでぜひ国としていろいろと御援助くださいということを申し上げているので、そういう意味です。 それからいま協会とそういうことに対してやるかということ、私のほうは探鉱のことについては協会と相談いたします。それから公害の問題には別な組織がございまして、そちらがやっておるわけですから、私のほうはそういうことでおしかりを受けましたが、直接的な公害についてやっておりませんけれども、関係があるということをるると実は先ほどから申し上げておるわけであります。(「自然環境破壊は公害という意味と同じことだ」と呼ぶ者あり)そういうことではございません。というのは、山を削りますから景色や何かも変わってくる、木も切らなければならぬということを申し上げたので、それにはできるだけ公害を起こさないようにやらなければいけないから、どうぞお願いしますということをるると申し上げておるわけです。決していいと申し上げた覚えは一つもございません。むしろお願いをしたい。山も一生懸命やっているけれども、とても——とにかく先ほど申し上げたのは、千年前からやっているということを申し上げた。何代もかかって、そういう累積されているようなものをいまの鉱業権者だけでやれといってもとてもできないだろう。それであるから、そういうふうに地面に帰ってしまったようなものに対しては、国もぜひお願いをいたしたいということをお願いしておるわけでございますから、さようひとつ御理解をいただきたいと思います。
○瀬野委員 ただいま平塚参考人から話がありましたが、これは私特に認識してもらうように要望申し上げておくわけですけれども、先ほど公述の中で平塚参考人は、日本地域は狭い中に鉱物にはたくさん恵まれている。大正二年以来世界第二位ですいぶん誇った時代があるというようなことから、奈良の大仏の鋳像の問題とかいろいろ話がございましたが、さっきのお話を聞いていますと、昔からやっていたんだ、いまごろいろいろ言われたって昔からのあれなんだということで、何かしらん公害が起きているのはやむを得ないじゃないかというようなニュアンスの受けとめ方をしなければならぬような公述がございましたので、時代も変わっているし、あえてこういった問題について公害に関係ないというのじゃなくて、当然関係あるわけですから、真剣にひとつ指導者の立場にある平塚さんでもありますから取り組んで、今後人民の安寧を守るために協調しながら努力してもらいたい、こういった意味で私あえて申し上げたわけです。その点はよろしくひとつ御認識の上に立ってやってもらいたいと思うのです。
○平塚参考人 お答え申し上げます。 ただいまたいへんおことばをいただいてありがとうございます。私先ほど申し上げましたのは、そういう古くからある、それはみんな下のほうまで流れていってしまった。そういうことでありますから、非常に広い範囲においてそういうものもいま見ればあるだろう。これはもう自然に帰っておる。ですからそういうものはやはり国として何とか考えていただきたい。私自身は先ほど申し上げましたように、自分のことを言ってははなはだあれでありますが、保安でもって通産大臣賞もいただいておりますし、科学技術庁長官賞もいただいております。それだからこそ私あえてここへ出ておる。実際は今日の私の職掌は国の探鉱をやることであって、保安のことを私は受けておるわけではございませんが、それは関係があるからこそあえて今日出てまいったわけで、さよう御承知おき願います。
○瀬野委員 それでは斉藤参考人にちょっと二点、簡単にお尋ねします。 私、一月と二月に土呂久の現場を調査団として二回ほど参りました。その節はたいへんお世話になりました。現場で、名前はここで一々申しませんが、農林大臣賞を受けた馬が、いわゆる砒素公害によって狂い死にしていけてあるということで、私もいろいろお聞きしてまいりましたが、場所とかまたはいろいろな条件がございまして、なかなか確認できませんでしたけれども、二月の四日に、きょう見えております小林参考人と一緒に現場へ調査に参りましたときに、こういった馬の骨を掘り、また内臓等の一部を確認できれば、因果関係の上からはっきりとした砒素公害等のあれが当然わかるということで重要な参考になるのですけれども、この問題について地元の御協力をぜひ得たいと思うが、斉藤教諭はそういったことを承知しておられるか、また協力できるものか、また確認できるか、その点わかる範囲でけっこうですからお漏らしいただきたい。 それからもう一点は、当時の従業員名簿が、私が調査に行ったらその前の日に焼かれておる。一説には大分のあるところへこれを隠匿してあるということも聞いて、いま調査をしておりますが、その従業員名簿なるものが何とか地元で入手できないか、あるいはそれにかわる戸籍、その他の調査によって従業員の名簿等ができないものか、その点ひとつ御協力いただければと思うのですが、その二点簡潔にひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
○斉藤参考人 牛、馬が埋めてあると部落の人が言われております。そしてこれは炭疽病だといってからげっそりやせて、死んでいったのは炭疽病だといって土葬されているとおっしゃって、いつでも知っているから協力はします、ぜひ調べてくださいと言っておられます。 それから従業員名簿などですけれども、ちょっとぼくではわかりません。済みませんけれどもお許しください。
○瀬野委員 最後に小林参考人に若干お尋ねをいたしたいと思います。 さっき同僚委員から質問があって若干お答えになりましたけれども、私もあえてこれは小林参考人にお聞きしますが、高野参考人は土呂久鉱害みたいなひどいのはまれである、こう先ほど答弁がございました。珍しい例であるというような話でございましたが、小林教授は昭和十六年以来、戦前からこういった公害の問題と取り組まれて長年やってこられました。小林教授も全国全部津々浦々、回られたというわけじゃないと思いますけれども、私らしろうとから見ましても、あそこがそうならばここもというのが九州の山脈にはかなり多くございます。現に土呂久の周辺にもまだああいったところがあるわけでございまして、二回の調査に参りましたにもかかわらず、まだ隠れた場所もございまして、その後発見されております。 そういったことでその公害の差こそ違え、かなりああいった残忍な、いわゆる住民を犠牲にしたような公害があるというふうに私確認しておるのですが、そういった点について、どうかひとつ高野参考人に遠慮することなく、小林参考人の長年の経験から、どのくらいあるものか、かなりあるというふうに思われるのですが、さらにひとつ御意見を承っておきたい、かように思います。
○小林参考人 先ほどこういった土呂久のようなひどい被害のところがたくさんあるのじゃないかとおっしゃいましたのですが、私も、ああいう小さな現場で、掘ってすぐそこで精錬する、焼いて砒素をつくるというような非常に小規模な、しかも同じ山の中でも、二カ所から出ればその個所ごとに掘って、そこで精錬といいますか、砒素を焼いておるというような非常に原始的なやり方をしたために、それがよけい回収率も悪いし、砒素をのがしてしまって、それが煙になり水に溶け出していったので公害がかえって大きくなったのだと思います。ですから、もう少し近代的に考えて、回収率もよくするし、そしてああいう焼きかす、あるいは掘りかすをそこら辺に捨てないでやっていったならば、もっと被害が少なくて済んだろうと思われます。 それで、私の経験では、あれは相当ひどい部類だと考えております。ですから、ほかの鉱山でもまだあるとは思いますけれども、あんな例はそうたくさんは出てこないのじゃないかと思います。 それから、先ほど申し忘れましたのですが、砒素の中毒患者として、はっきりと皮膚に斑点なんかがある人は、これは患者と見なされますが、たとえば肺病になったとか、あるいはぜんそくになった、本人はもうそれが完全に砒素のためだということを承知しておるわけですが、外部から見たらそうは見えない。それは、ぜんそくはまたほかの原因でもなるのだというようなわけで、宮崎県あたりでもそれを公害病とは認定しないわけですね。こういったぜんそくや肺病で、自分はこんなにも廃人同様になったのだと言っている人が多いわけなんですが、そういう人も救済するように考えていただく必要があると思います。
○田中委員長 瀬野君に申し上げます。時間が参りましたので、あと一問だけ許します。
○瀬野委員 最後に小林参考人に、去る二月四日、調査団の一員として、一緒に宮崎の登呂久、松尾鉱山等に参りました際、つめとか毛髪、稲わら、または米あるいは鉱滓、鉱内水等を採取しまして、約四十数点調査をして持ってお帰りになりましたが、これらの試験結果は大体いつごろになるのか、いま十分慎重に検討しておられると思うのですが、大体の見通しをお聞かせいただきたい、かように思います。現に、また何か中間的に発表いただけるものがあれば、この際お漏らしいただきますと、十日の委員会で参考になるかと思います。 以上、申し上げまして私の質問を終わります。
○小林参考人 お答えいたします。 実は、持って帰りましたサンプルをスぺクトルグラフという器械にかけまして、どういう金属が多いか少ないかという網をまず張っております。いまその操作をやっております。そして、その中で、これは相当問題になるという濃度の金属が出ました場合に、それを定量的に別の方法で分析したい、こう考えていまやっておりまして、先ほど申しましたように、砒素以外のいろいろな金属がいまのところ見つかっております。
○瀬野委員 では時間が参りましたので、以上で質問を終わります。 参考人の方々、ありがとうございました。
○田中委員長 次に、西田八郎君。
○西田委員 参考人の方々、たいへんお忙しいところをわざわざ御出席いただきましてありがとうございました。時間もありませんので、特に今後の審議について重要な点についてお伺いをしておきたいと思います。 まず最初に、高野参考人ですが、四十六年に鉱業鉱害の基金が設けられておりますが、この金属鉱業の鉱害に対する基金の設立は行政指導として行なわれたのか、あるいは鉱業権者が集まって自発的におつくりになったものか、そうしたことを政府に要請されて、それからその基金というのがつくられたのかどうか、その点について簡単に動機だけ……。
○高野参考人 これは両方だと思います。行政指導もお受けいたしまして、われわれのほうの二十七社の賛同がございましてできた、こういうことでございます。
○西田委員 そうすると、期せずして、ちょうど公害問題が出てきたからということで、業界もその気になったし、また政府もそうしなければならないと思っておったことが偶然一致したというふうに理解していいわけですね。
○高野参考人 偶然といいますか、偶然という表現ではふさわしいかどうか、私ちょっとお答えしかねます。
○西田委員 次に、矢嶋参考人にお伺いをいたしたいわけですが、先ほど日本列島の鉱床の分布について若干御説明がございましたが、日本列島の鉱床については非常に硫黄分の多い鉱石が多いというお話でございましたが、大体どういう分布になっておるかということはもう学術上はっきりしているのだと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
○矢嶋参考人 お答えいたします。 先ほどちょっと触れかかったのですけれども、鉱床学のたいへんな問題で、とんでもない時間をとるものですから、簡単にはしょってしまったわけでございます。 元素には親鉄性元素とか親石性元素、親銅性元素、それから親気性元素と大体四つに分けておりまして、大体造岩鉱物として岩床から固まりますときにでき上がります元素というものは親石性でございます。大体石にくっついてくる。ところが親銅性元素と申しますのは大体硫黄とくっついてくる元素でございまして、これらのものが大体鉱床として働いております。日本における鉱床として働いておりまするものは大部分そういった元素に属しているわけであります。先ほど来ずいぶん問題になっております土呂久などは非常に特殊な鉱床でございまして、いわゆる浅熱水鉱床ではありまするけれども、非常に高い温度から低い温度の鉱床が一緒にかたまって出てくる特定の鉱床でございます。これを私たちはゼノサーマル型の鉱床といっているわけであります。 それから東北日本に発達しておりますいわゆる黒鉱の鉱床といいますのは、これは最近世界的な問題になっているわけでございまして、黒鉱という名前が世界で通用するほど、日本で研究されておるりっぱな鉱床でございますが、これらの鉱床は、海底で噴火いたしました堆積型を伴った鉱体鉱床でございます。あるいは別子の鉱山、先ほど出てまいりましたけれども、別子の鉱床と申しますのはおそらく——その原因ははっきりいたしませんけれども、いわゆる黒鉱型の鉱床が圧力を受けてでき上がったものだと思います。そういう変成の鉱床になりますと、大体砒素の分は非常に少なくなっている。銅を含んだ含銅硫化の鉱床で非常に単純な形になっているわけであります。しかし、いまのようなゼノサーマルの鉱床とかいわゆる黒鉱の鉱床とかいいますものは非常に複雑な成分を含んでおりまして、むしろ、それから銅を取り出すということにも困難を伴うような鉱床なわけでございます。こういうような複雑な型の鉱床が現在、日本の第三紀末の火山活動、しかも非常に浅いところのマグマから分化した鉱床でございまして、こういう鉱床におきましては元素の組み合わせというものは非常に複雑だということを申し上げたいと思います。
○西田委員 よくわかりました。私どもしろうとでありますので、大体もう鉱山といえば同じようなものが出るのじゃないかというふうに理解をしておったわけですが、そういうふうに分類されるとは存じませんでしたのですが、そうしますと、そういう鉱床が分布しているということは、もうすでに鉱床分布図等ができ上がっておると思うのですが、そういうことによって事前に、ここからどういう金属が出るということはわかるので、対策というものは十分立てられると思うのですが、そういう点はいかがでございましょうか。
○矢嶋参考人 もちろん化学分析をいたしますといろいろな元素が出てまいります。しかし、そのいろいろな元素が出てきたからといって、その中から特定の元素を引き出すということがきわめて簡単かというと、そうではございません。非常に複雑でございまして、たとえばいまの黒鉱の鉱床のごときは、銅を取り出すためには必ずしも含銅硫化の別子型の鉱床に比べて簡単だとは言えないわけであります。こういうような形でございますので、鉱山を経営いたしますにつきましては、それらの鉱石の中の元素分及び鉱物の分布、そういうようなものを詳細に検討いたしませんと、その鉱床を開発するというわけにはいかないわけであります。したがいまして、各鉱山におきましてはそれらの元素に対する認識は十分持っていなければならないと思います。しかし、それらがどういう形で——利用されるものは非常に簡単に研究できますけれども、それらがどういうような影響を生物に及ぼすかというような研究に関しましては、これはもっともっと広い意味のいろいろな方方の御研究を基礎にしなければ考えられないことだと思います。
○西田委員 さらに矢嶋参考人にお伺いするわけですが、先ほどのお話で、鉱床の存在するところ以外のところから、その鉱床に含有している金属が間々発見されることがある。これはどういうことでそういうことになるのか私どもにはわかりませんが、発見されることがあるというお話がありましたが、そういうことはあるわけでございますか。
○矢嶋参考人 先ほど申し上げましたように、特定鉱物が晶出いたしますときには特定の物理化学的な条件、もちろん成分とかそれから圧力とか温度とかあるいは最近問題になっておりますPHとかEHとかそういうようなものが非常に問題になってきて、特定の鉱床を形づくるわけでありまして、その鉱床形成の非常に濃縮してくるというのは地質的な場の条件というものが必要なわけであります。しかし、そうでない特定の鉱物があるところに固まります以前に、その鉱液が拡散するという事実もあり得るわけです。しかもまた鉱床の中の特定の鉱物が晶出しましたあとのそのしぼりかすというものが全然完全に純粋の水になっているということは考えられないのでありまして、これは現在の温泉に、別府におきましては鉛地獄だとかいろいろなものが入っていますようにいろいろなものが溶けているわけです。その溶けたものが土壌の中とかあるいは粘土鉱物の層間、結晶鉱床の中あるいは結晶の層間、そういうものに含まれて入っているわけでございまして、最近の分析の技術でいわれておりますクロマトグラフというようなものが天然の現象として行なわれているのが事実でございます。
○西田委員 そうしますと、それらの自然現象からそうして起こってくるということであれば、ただ休廃止鉱山からいわゆる人体に有害な金属が排出されるということもさることながら、全然自然にそういうものが排出されるということも起こり得るのかどうか、ひとつお伺いしたい。
○矢嶋参考人 まことにそのとおりでございまして、もちろん鉱山の中で、廃止になりましてその坑道から出てくる水はその鉱体を通りますれば当然溶かしてくると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、地殻のバックグラウンドの中には相当多量の重金属が入っているということを認識しなければならないと思います。
○西田委員 まことに再々で申しわけないのですが、最後にもう一つお伺いしたいのですけれども、そういうような先生のいわゆる御研究なりというものは、当然のことと思うのですけれども、行政庁である通産省の鉱山局等では、そうした点は先生方の御意見を聞いて十分知っておると私ども思うのですが、先生もその点はもう了解済みというか、十分承知の上だというふうにお考えになりますか。
○矢嶋参考人 もちろん私どもが出しておりますいろいろな研究の論文は公開しておりますので、たぶんごらんになっていらっしゃると思います。しかし、先ほど申し上げましたように、粘板岩だとか、頁岩だとか泥岩だとかそういう堆積岩の中に非常に大きな数量のものが入っているというのはごく最近の研究でございまして、これらに対してもそれと鉱床との関係というようなことは新らしい議論でございますので、それらのことは御勉強になっているかどうかは私よく了解いたしません。
○西田委員 本会議前ですから、聞きかけるとあと五分で終わりませんので、この辺で私の権利を放棄します。
○田中委員長 御協力ありがとうございます。 最後に米原昶君。
○米原委員 あと十分だけしか発言時間がありませんから、繰り返しを避けて、いままでの点で、十日の日に政府及び行政機関に対する質疑をこの委員会でこの問題についてやることになっておりますから、それの参考にもするために若干質問したいと思います。 私も、二月十一日に現地に行って村の人たちとも会いまして、いろいろ御意見を聞いたのですが、その中で一番出たのは、先ほどお話のありましたいわゆる検診というのは全くずさんなもので話にならぬ、たとえば検便もしないのにあなたは回虫はいませんでしたなんということを聞いても何にもならないといって憤慨しておりました。 先ほど斉藤先生は、行政機関のほうに特別自分たちの意思を何か伝えたことはないような話でしたが、私としましては村の人たちの意見を聞きましで、その翌日宮崎県知事に面会しまして、村の人たちはこういうことを要望しているのだということを直接話したわけです。その中でもう一ぺんどうしても検診をやる必要がある、再検診をしてほしいというと、知事のほうは医師会に頼んでやってもらったので、もう二度と頼むことは非常に消極的だという態度だったのです。しかしこれじゃもう検診の役に立っていない、単に砒素だけの被害調査という形ではなくて、つめとか毛髪とか血液などの検査もやってほしい、砒素以外のたとえばカドミウム等による被害もあるということを考えてむしろやるのが検診の行き方じゃないか、そういうことを要望しまして、考慮するとは言ったが、はっきりした返事はしなかった。 もう一つは、村の人たちの意見では、検診はされたけれども何にもその結果どうであったかわれわれ聞いていない、知事のほうに聞きますと、保健所は全部各家庭に知らせた、こう言っているというのです。とんでもないことだ。どういうふうにやったかというと、どういうふうにやったかわからないというのですからね。そうじゃなくて、検診の結果全部文書にして手渡せということを要求したのです。その点は考えますと言っていましたが、その点についてその後何も変わったことはありませんか。ひとつ斉藤教諭にお聞きしたい。
○斉藤参考人 先生は口頭でも受けていないとおっしゃいましたけれども、ぼくが知っている限り口頭で——文書より口頭のほうがというふうなことで回られたと聞いております。
○米原委員 そうじゃなくて、口頭で伝えたようには知事は聞いていると言ったのですけれども、村の人のほうは口頭で聞いた人もあれば、全然聞いてない人もあるという状態だったから、それじゃ不正確だから、少なくとも検診した以上どういう結果かということを文書で知らせるべきだといって私はあらためて言ったのです。その点についてその後何もありませんか。それから再検診するというような動きは全然ありませんか。
○斉藤参考人 口頭でされたということで非常な不満を持っていられる方がおられます。 それから再検診ぜひしてほしいという声も強いです。これは公民館長さんも述べていられます。
○米原委員 その後は何もないわけですね。——そうしますと、それからもう一つの要望、これは小林先生もお話しになりましたが、非常にへんぴな山の中なんですね。そのために医療費はもちろんのこと、すぐそばの高千穂の町に出るにも交通機関は全然ないのです。それから自動車を頼んで行けば往復で一千円以上かかる。とうていそんなものは払えない状態ですね。そういう中からああいう問題がほとんど外界には知られないうちに積もりに積もって起こっているのだろうと思うのですが、そういう面もある。ですから通院費や医療費は何とかして県のほうで負担するのは当然だということを私は言ったのです。入院、通院中の生活保障、それからもう一つは、あそこの道路をぜひ直してほしいというのが村の強い要望です。道路がつけばバスもすぐそばまで来ているのでバスも行くわけです。ことに小学校の子供の通学すら何キロも歩いていかなければならないところですね。そうして実際は、いまでも鉱山の権利は住友金属が持っているわけですからね。だから一定の税金を納めているわけですよ。そういう点からいっても、そういう措置を同時にとらなければ解決にならないということを要望したら、知事のほうは今度予算を組むときだから考えましょうということを言ったのだけれども、何もその後ありませんね。そういう点について……。
○斉藤参考人 道路のことに関してですか。——いま見ている感じでは橋を改修工事しています。そのほか少しはやっているようなふうですけれども、詳しい正確なことは答えられません。
○米原委員 それからもう一つお聞きしたいのは、福岡の鉱山保安監督局のやり方について、私もその前日に監督局に行っていろいろ文書をもらったのですが、監督局が指示した程度のことすら実際はやっておりませんね。そういうことがわかって、たとえば佐藤操さんの家の上部の堆積べいのところに雨水の流入防止装置を指示したと書いてあるけれども、これは何もやってなかった、行ってみたら。これを抗議しておいたのですが、指示しているのにそのことすらやってない。上部のほうにはやっているようにみんなきているわけですよね。 それから精錬所の前の堆積からみに対する措置が昨年の十二月二十日に指示したと出ているのですが、しかしその堆積場の両側にみぞをつくるということは指示されてなかった。これはもう指示したからすぐにやります、こういうふうに監督局では答えたのですが、これはできましたか。
○斉藤参考人 ぼくも授業がありますのでそうたびたびは行けません。でも知っている限りでは、館長さんの意見では、大規模にすると知事は答えられたけれども、いま一台のブルが上からくずしてきているだけではないか、かえって危険だ、そうおっしゃっています。
○小林参考人 ちょっといまの問題につきまして……。 実は堀りました鉱石、あるいは焼いたかす、そういったものが現場にまだ一ぱい置いてあるわけでして、これが雨ざらしになりますと、風化作用でだんだん砒素その他の金属が溶けて、どんどん下流の川の水あるいは土へ流れ込んでいっているわけですよ。ですから現状で、あれを置いておいていいのかどうかという問題が、これは大きな問題だと思うのです。ですから砒素その他が溶け出さないようにここで食いとめる処置を鉱山側がすべきじゃないか、そのためにどういう処置をしたらいいかというような問題が、残っている一番大きな現在の問題だと思います。 で、これは鉱山が違いますが、足尾の銅山でも例の銅は堀っておりますが、やはり砒素なんか出るわけです。ところが実験室内では排水中の砒素を除ける、足尾銅山でも言っていますし、現にある程度除いているわけです。ですからこの土呂久の場合もあんなもうほったらかしにしないで、やはりああいうところからこういうものが出ないように、ひとつ沈でん池をつくるなり石灰で中和するなりいろいろと処置を考えていただかないと、これでは何ぼでもまだ今後出ていくという感じがいたします。
○米原委員 小林先生にその点聞こうと思って、ちょうど答えていただいたわけですが、もう一つ小林先生に聞きます。 あの一帯で、土呂久だけでなく松尾鉱山とか、最近はまた見立鉱山とか、多くの休廃鉱山が問題になっております。あの五ケ瀬川の全流域に対して、この場合、水から土壌から農作物まで調査を全面的にやっていかないと、ほんとうの解決にならないのじゃないかという感じがするのですが、小林先生の御意見を聞かしていただきたい。
○小林参考人 延岡で五ケ瀬川というのが流れ出しておるわけですが、この五ケ瀬川の流域に、いまお話しの鉱山、砒素なんか、あるいはタングステン、アンチモンですか、いろいろな鉱山が散在しているわけですから、当然そういった休廃止鉱山すべてを調べる必要があると思います。延岡付近の五カ瀬川の下流においても、水田の被害がいまだにとれない。それは大部分は砒素ですけれども、そのほかカドミなんかの被害も出ておりますので、やはりその原因対策、そういったものをもう一ぺんよく考え直す必要があると思います。
○米原委員 最後にもう一問、小林先生、いま渡良瀬川の話も出ましたが、私もその問題で桐生市の上水道に砒素が入っているという問題をこの委員会で一ぺんやったことがあるのですが、砒素の人体への蓄積による被害を防止するために、現在きめられておるあの環境水質基準程度のものでいいのかどうかという点についての御意見を聞いておきたいのです。
○小林参考人 カドミなんかはほんの少しずつ食べましても、じん臓、肝臓、そういったところへ蓄積される性質がありますが、砒素のほうは比較的からだから出ていくというような点がありますから、ある程度薄ければ排泄されていきますから蓄積は起きないだろうと思われます。だけれども、濃度が濃ければもちろん中毒いたします。
○米原委員 終わります。
○田中委員長 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 次回は、来たる十日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。 午後零時五十七分散会