公害対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/02/02
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 まず、理事辞任の件についておはかりいたします。 理事橋本龍太郎君から、理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 引き続き、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。 ただいまの橋本君の辞任による補欠のほか、理事でありました寒川喜一君が去る一月三十一日委員を辞任されましたので、現在理事が二名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 それでは、林義郎君及び西田八郎君を理事に指名いたします。(拍手) ————◇—————
○田中委員長 公害対策に関する件について調査を進めます。 環境庁長官から所信を伺うことにいたします。大石環境庁長官。
○大石国務大臣 第六十八回国会における衆議院公害対策特別委員会の審議に先立ち、環境保全行政に関し私の所信を申し述べ、委員各位の御審議の参考に供したいと存じます。 わが国経済の急速な拡大と都市化の進行の過程で生じつつある公害と自然環境の破壊が、今日ほど国民の関心の的となっているときはありません。 このような情勢を背景に、昨年の七月に委員各位の御尽力により、新しく環境庁が設置されてから早くも七カ月を経過いたしました。 この間、私は、自然保護と公害対策を車の両輪とする環境保全行政の推進に全力を尽くしてまいりました。しかし、環境保全行政はまだその緒についたばかりであり、環境問題の解決のためには、なお一そうの努力をもって積極的かつ勇敢に取り組んでいかなければならないと考えております。 昭和四十七年度の政府の環境保全行政は、各省庁の有機的な連携のもとに総合的に推進することとし、各般にわたり施策の強化拡充をはかることといたしました。すなわち、各種公害にかかる環境基準、排出基準の設定強化、環境保全のための長期ビジョンの作成、公害防止計画策定の促進等公害防止のための総合的な施策の積極的な展開をはかることとしたほか、公害防止事業に対する財政投融資、税制を含む各種助成措置、下水道、廃棄物処理施設等の公害関係公共施設の整備を飛躍的に充実させるとともに、公害関係研究の推進をはかるため、試験研究予算の一括計上及び国立公害研究所の設立のための所要の予算措置を講ずることとしたのであります。 また、自然環境の保護及び整備をはかるため、新たな自然保護法制の確立、交付公債による民有地の買い上げ制度の創設及び鳥獣保護対策の強力な推進等をはかることとしております。 以上のような政府の環境保全行政の基本的な方向に沿って、環境庁においては特に次の諸点に重点を置いて行政を推進してまいりたいと考えております。 まず、公害対策といたしましては、第一に、大気汚染、水質汚濁等の各種公害にかかる環境基準、排出基準等の設定強化並びにこれらの監視測定体制の整備等の推進であります。 大気汚染に関する環境基準につきましては、本年一月に、浮遊粒子状物質の環境基準を設定いたしましたが、引き続いて窒素酸化物、鉛等の環境基準につきましてもできるだけ早い機会に設定したいと考えております。 また、大気汚染に関する排出基準につきましては、昨年十二月に、硫黄酸化物の排出基準を昭和四十八年に全国の大部分の地域が環境基準を維持達成し得るように強化改定いたしたところでありますが、今後はさらに排出基準の強化をはかるとともに、自動車排気ガスについても思い切った基準強化を実施することといたしたいと考えております。 水質汚濁に関する環境基準につきましては、水域類型の当てはめを引き続き推進するとともに、環境基準が未設定である有機塩素等について項目追加のための検討を進めてまいることといたしております。また、水質汚濁に関する環境基準を維持達成するため、水域の実情に応じて都道府県が行なう国の排出基準よりきびしい排出基準の設定につき指導する等水質汚濁防止法による排水規制の強化をはかることといたしております。 騒音対策につきましては、特に昨年十二月、東京空港及び大阪空港について、当面緊急を要する航空機騒音対策の指針を定め、その達成について運輸大臣に勧告したところでありますが、今後は航空機騒音についての環境基準の設定を急ぐとともに、鉄道騒音等その他の特殊騒音についても環境基準の設定につとめたいと考えております。 地盤沈下に関しましては、近年における地盤沈下の広域的進行に対処するため、地盤沈下の実態の把握、メカニズムの解明を深めるとともに、地下水採取規制地域の拡大、地下水採取の許可基準の改定等現行の地下水採取規制法令の適正な運用につとめてまいるほか、地下水の採取規制のあり方、地下水の水源転換の促進等について検討を進め、地盤沈下を防止するための新しい法制度の整備を含む総合的な地盤沈下対策の確立をはかってまいりたいと考えております。 土壌汚染に関する環境基準につきましては、カドミウム及び銅についてすみやかに基準を設定するとともに、土壌汚染対策地域の指定、対策計画策定の推進等土壌汚染防止法の適正な運用をはかることにより土壌汚染の防止に積極的につとめてまいりたいと考えております。 このほか、悪臭防止に関しましては、本年五月に悪臭防止法の関係法令を整備して同法を施行するとともに、振動等現在規制が行なわれていない公害に関しましても、調査研究を進め、これらの防止のために全力をあげて取り組むことといたしております。さらに廃棄物による環境汚染を防止するため、廃棄物に対する規制の強化等をはかってまいる所存であります。 以上のような公害の規制を効果的に行なうために、地方公共団体に対し、計画的に、各種の公害に関する監視測定機器の整備及び監視測定事業の実施についての助成を行なうことといたしております。 また、公害防止施策の総合的実施の基礎となる公害防止計画については、これまで十五地域について計画策定の指示をしてきておりますが、当面現に公害が著しい地域等について計画策定の促進をはかることが急務と考えられますので、来年度においては、富士等五地域について計画策定の指示と計画の承認を行なうとともに、新たに十地域について基礎調査を実施することといたしております。 第二は、不幸にして公害の被害を受けられた方々の救済であります。これにつきましては、現在公害に係る健康被害の救済に関する特別措置に基づいて、公害病認定患者に対しまして、医療費のほか、医療手当及び介護手当の支給が行なわれておりますが、来年度におきましては、医療手当の額を引き上げるほか、医療手当及び介護手当の所得制限の緩和を行なうとともに、対象地域を拡大するなど制度の大幅な改善をはかることといたしております。 また、公害による被害者の保護の重要性にかんがみ、公害にかかる事業者の民事責任につきまして、無過失損害賠償責任制度の創設に関する法律案を今国会に提出し、その成立を期したいと考えております。 第三に、公害の防止等に関する調査、試験研究の推進並びに職員研修の充実であります。光化学スモッグをはじめ、PCB、窒素酸化物、振動等新しい公害に対する対策の早急な確立が要請されている実情にかんがみ、これらの公害の発生メカニズムの解明と防止対策の確立をはかるため、調査及び試験研究の推進をはかるごとといたしております。 また、昭和四十八年度末までに国立公害研究所を設立するため、所要の予算を計上して準備を進めることといたしております。 さらに環境保全行政を推進する職員の資質の向上をはかるため、来年度中に公害研修所を設置することとしております。 なお、瀬戸内海の総合的な水質汚濁防止対策につきましては、引き続き、水質汚濁の実態把握、汚濁メカニズムの解明を進めるとともに、これらの成果を踏まえ、工場排水の規制、下水道、屎尿処理施設の整備等の施策を推進してまいりたいと考えております。 次に、自然保護対策についてであります。昨今、自然保護の必要性が国民一般から強く要望されてきたことは、私の非常な喜びとするところであります。 昨年の自然保護行政は、問題点の発掘に主眼が置かれてきましたが、今後はその成果を踏まえ、次のような施策を実施することにより自然保護対策の強力な推進をはかってまいる所存であります。 まず第一には、わが国の自然を総合的な観点から保護するため、良好な自然環境の保全に関して基本となる事項を定めるとともに、守るべき自然の地域を明確化し、原則としん、人為を加えず厳正に保護すべき区域や、ある程度の開発を認める区域を設定して、自然の状態に即応した開発規制を行なうことを内容とする新しい自然保護法制を確立することとし、目下、鋭意その準備を急がせておりますが、ぜひ今国会に上程し、その成立を期したいと考えております。 第二は、交付公債制度の創設であります。国立公園内の特別保護地区等に所在し、私権との調整上当面特に緊急を要する区域を対象として、都道府県の交付公債により買い上げることにより、自然環境の厳正な保護をはかることとしております。 第三は、自然公園関係の施策の推進であります。沖繩の西表等につきましては、すみやかに国立公園または国定公園の指定を行なってまいるほか、国立公園の施設整備の促進及び管理体制の強化、東海自然歩道の全線開通の早期実現、国民休暇村の新規指定等についても十分意を用いてまいる考えであります。 第四に、鳥獣保護対策についてでありますが、近く日米鳥類保護条約が締結される運びとなっておりますので、この条約の締結に伴う国内法制の整備を行なうとともに、条約関連事業として、渡り鳥調査のための鳥類観測ステーションの設置、渡り鳥の渡来地である干潟の調査、絶滅の危険にある鳥類保護のための調査等を実施し、渡り鳥等の鳥類の保護対策の確立につとめてまいる所存であります。 また、国民に鳥獣保護思想の普及啓蒙をはかるため、野鳥の生態観察を目的とした野鳥の森構想の実現をはかってまいりたいと考えております。 このほか、本年六月にはスウェーデンのストックホルムにおいて国連人間環境会議が開催される等環境保全に関する国際協力はますます緊密化しており、わが国もこれに積極的に参加することとしております。 以上、所信の一端を申し述べましたが、環境保全行政推進のため、今後とも、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○田中委員長 引き続き、昭和四十七年度環境庁関係予算の説明を求めます。城戸官房長。
○城戸政府委員 昭和四十七年度の環境庁関係の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 昭和四十七年度の総理府所管一般会計歳出予算のうち、環境庁の予算の総額は八十億一千五百五十五万八千円であります。このほかに、建設省の所管予算として計上されております国立公害研究所及び公害研修所の施設整備の経費がありますので、これを合わせますと、昭和四十七年度の環境庁関係予算は八十二億八千五百五十五万八千円となり、前年度の予算に比べ四十三億九百九十六万九千円の増加となっております。 なお、建設省所管予算の国庫債務負担行為として、官庁営繕に十億七千百万円を予定いたしております。 次に、個々の施策の予算の重点について御説明いたします。 第一に公害対策について申し上げます。 まず、大気汚染防止対策等及び水質汚濁防止対策につきましては、環境基準の設定につきまして、所要の経費を計上いたし、計画的に推進するとともに、排出基準、排水基準をはじめ各種公害の規制基準の強化等をはかり、また政策的対応がおくれている自動車公害、特殊騒音対策及び悪臭防止対策について、自動車排出ガスの許容限度の設定等のための調査を行なうなど、三億一千九百七十九万円を計上いたしております。このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費に一千九百九十七万円、土壌汚染防止及び農薬対策費に一億四十万円をそれぞれ計上するなど、公害規制基準の強化等の経費として、総額四億四千十六万円を計上いたしております。 また、公害監視設備整備費につきましては、地方公共団体に対する監視測定及び分析体制の整備費の補助の充実をはかるなど、これが施策を一そう強化することとし、六億四千二百四十四万円を計上しており、前年度予算に比し大幅な増額となっております。 環境保全企画調整等の経費については、環境保全に関する長期ビジョンを策定するほか、公害行政担当者の研修を行なうなどのため、三千八百三十二万円を計上いたしております。 公害防止計画策定については、新たに公害防止計画策定のための基礎調査を十地域において実施するなど、所要の経費を計上いたしております。 公害被害救済対策については、医療手当の額の引き上げ、支給要件の改善をはかるほか、地域指定拡大に要する経費を見込むなど、一億三千九百六十六万円を計上いたしております。 公害防止事業団については、事業計画規模を五百九十億円に拡大することとし、これに伴い事務費等の助成費も増額し、八億二千四百二十五万円を計上いたしております。 さらに、公害の防止等に関する研究について申し上げます。 研究費は、科学的な環境行政を推進するために欠くことのできない前提でありまして、総額二十七億三千四百六十七万円を計上しており、前年度予算に比し大幅に増額いたしております。 まず国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として十億円を計上いたし、各省庁試験研究機関等の公害の防止等に関する試験研究経費を一括計上することといたしております。 また、瀬戸内海大型水理模型の建設を行なうため、九億五千九百十万円を所要経費として計上し、その整備をはかることといたしております。 さらに社会的に強い要請のあります光化学スモッグにかかる調査研究に一億百七十八万円、瀬戸内海水質汚濁総合調査に七千六百万円、その他健康被害、自然保護、大気汚染及び水質汚濁等に関する調査研究費として二億四千七百七十八万円を計上し、重点的な調査研究を進めることといたしております。 以上のほか、環境保全総合調査研究促進調整費として三億五千万円を計上いたし、関係省庁の所管する各種の環境保全に関連する調査研究の総合的な調整をはかることといたしております。 以上、これらもろもろの施策に必要な経費として総額四十八億四千八百八十六万円を計上いたしております。 第二に、自然環境の保護整備対策について申し上げます。 まず、国立公園内の特別保護地区等に所在し、私権との調整上当面特に緊急を要する区域を対象として、都道府県の交付公債により買い上げることとし、事業費総額を約六十億円と予定いたし、所要の経費を計上いたしております。 鳥獣保護行政につきましては、新たに野鳥の森の施設の整備、渡り鳥保護対策のための鳥類観測ステーションの整備を行なうなどのため、一億一千七百三万円を計上いたしております。 さらに、自然公園等の施設の整備につきましては、十四億六千六百十六万円を計上し、国立公園等の整備をはかる等、これまでの施策にあわせ、東海自然歩道について早期に全線開通をはかるため所要の整備を行なうほか、国民休暇村の増設に着手することといたしております。 以上、これらもろもろの施策に必要な自然環境の保護整備対策費として総額十九億三千百七十三万円を計上いたしております。 なお、このほか建設省所管の予算として、公害研修所の四十七年度建設費として二億円及び国立公害研究所の四十七年度建設費として七千万円がそれぞれ計上されております。 以上をもちまして、昭和四十七年度の環境庁関係予算の説明を終ります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 —————————————
○田中委員長 次に、関係各省庁予算について、便宜環境庁から説明を求めます。船後企画調整局長。
○船後政府委員 各省各庁の昭和四十七年度環境保全関係予算の概要について御説明いたします。 まず、歳出予算について御説明いたします。 昭和四十七年度における環境保全関係予算の総額は千六百八十億円となり、前年度の予算に比べ五百六十六億円の増加となっております。このうち一般会計分は千五百七十六億円と、前年度の予算に比べ五百三十億円の増加となっており、各特別会計分は百十四億円と、前年度の予算に比べ三十六億円の増加となっております。これを公害防止関係と自然環境保全関係とに分けますと、公害防止関係予算は千五百六億円、自然環境保全関係予算は百七十四億円となっており、それぞれ前年度の予算に比べ、四百九十二億円、七十四億円の増加となっております。 次に、各省庁別にその予算の主要項目について御説明申し上げます。 第一に、総理府におきましては、まず、総理府本府においては中央公害審査委員会等を発展的に解消せしめ、新たに総理府の外局として公害等調整委員会を設置することとし、所要の経費一億六千六百万円を計上しております。 警察庁におきましては、公害事犯の取り締まりに万全を期すべく、これに必要な資器材、指導等に要する経費一億一千二百万円を計上しております。 首都圏整備委員会におきましては、首都圏における広域的な排水計画等に関する調査を行なうこととし、調査費三百万円を計上しております。 北海道開発庁におきましては、下水道事業費補助、公園事業費補助等の北海道分として、総額五十億三百万円を計上しております。 防衛施設庁におきましては、防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づき、学校等の防音工事の助成、家屋移転補償等を行なうこととし、これに必要な経費百五十七億六千万円を計上しております。 経済企画庁におきましては、離島における下水道事業及び公園事業を実施することとし、所要の経費四千万円を計上しております。 科学技術庁におきましては、公害を起こさない新農薬の創製開発をはじめとする各種調査研究を実施することとし、所要の経費六千三百万円を計上しております。 沖繩開発庁におきましては、沖繩における下水道事業、公園事業等の各種公共事業の実施を推進するほか、公害防止のため各種調査、指導を実施することとし、新たに総額十五億二千三百万円を計上しております。 環境庁関係予算につきましては別途御説明申し上げましたので、説明を省略させていただきます。 以上総理府関係の本府及び各庁の予算を合計して総額二百九十六億六千三百万円となります。 第二に、文部省におきましては、公立学校の公害防止工事等の補助につき大幅拡充をはかることとして七億二千四百万円、さらに、少年の健康を守るとともに自然についての体験的学習を行なわしめることを目的とする少年自然の家の設置費用の補助についても大幅拡充をはかることとして六億八千万円、大気汚染地域の公立小中学校児童生徒の特別健康診断を実施するとともに、自然環境に移動させて健康の強化増進に資するための経費として一億三千二百万円を計上するほか、史跡等の買い上げを行なうための史跡等保存整備史跡等買い上げ費二十三億四千百万円を含め、総額四十九億二千七百万円を計上しております。 第三に、厚生省におきましては、近時における廃棄物発生量の飛躍的増加と処理の困難化の実情にかんがみ、廃棄物処理施設整備事業の飛躍的拡充をはかるため、新たな施設整備五カ年計画を策定することとし、これに必要な補助のうち昭和四十七年度において八十二億三千百万円を計上しております。このほか、浄水場の排水処理施設整備費、保健所の公害関係諸経費等を含め、総額八十四億七千三百万円を計上しております。 第四に、農林省におきましては、まず農業関係公害防止対策として、都市用水等による農業用水の水質汚濁に対処するため水質障害対策費四億七千百万円、土壌に蓄積された重金属の排除等をはかるため公害防除特別土地改良事業費一億五千九百万円を計上する等の措置を講ずることとしております。また、畜産農家の集団移転を促進し、畜産経営の規模拡大をはかるとともに公害問題の解決に資するため畜産団地造成事業費十三億七千三百万円、さらに地盤沈下対策として新潟地域特殊排水事業十六億五千五百万円を計上しており、このほか公害による漁業被害防止対策として、防油さく設置費、漁場環境維持保全対策費等の諸経費を含め、総額として五十億四千五百万円を計上しております。 第五に、通商産業省におきましては、まず、公害防止技術の開発を強力に推進するため、重要技術研究開発費補助金中公害対策特別ワクの大幅拡充をはかることとし、三億円、生産工程そのものの完全無公害化を実現すべく、新たにクローズドプロセス技術開発の特別ワクを設け、三億七千万円を計上することとするほか、大型工業技術研究開発費の大幅拡充、資源再生利用技術システム研究開発調査費の新規計上等公害防止技術関係予算の飛躍的充実をはかることとしております。このほか、企業の公害防止体制等の整備をはかるための諸措置につき強化拡充をはかり、さらに、公害計測機器及び防止機器の性能の確保をはかるため検定制度を実施するための経費を新たに計上する等の措置を講じ、また、地盤沈下防止対策工業用水道事業費補助の飛躍的拡充をはかることとしており、これらを合わせて総額四十二億五千二百万円を計上しております。 第六に、運輸省におきましては、まず、海洋汚染防止対策として、廃油処理施設の整備及び港湾における汚泥しゅんせつ等の公害防止事業に対する補助のために要する経費十億五千九百万円、海上公害事犯の取り締まりを効果的に行なうため、海上保安部署に所要の機器の整備等をはかるため、八千七百万円を計上する等の諸措置を講ずることとしております。また、空港周辺の騒音問題に対処するため、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づき、学校等の防音工事の助成、家屋移転補償等の事業の飛躍的拡充をはかることとし、五十八億七百万円を計上することとしております。このほか、自動車公害防止対策、地盤沈下地域の海岸保全施設整備、青少年旅行村整備等の諸施策につき一そうの充実をはかることとしており、これらを合わせて、総額七十一億四千九百万円を計上しております。 第七に、労働省におきましては、労働環境整備の見地から各種専門技術指導を行なうため、有害環境改善推進費として三千二百万円を計上しております。 第八に、建設省におきましては、まず下水道整備対策について、昨年八月に定められました下水道整備五カ年計画に基づき、下水道事業の大幅拡充をはかることとし、九百二十八億二百万円を計上することとしたほか、下水道事業の円滑な実施をはかるため、下水道事業センターを新たに設置ずることとし、これに対する出資金等一億五千万円を計上しております。 次に、都市における産業公害を緩和防止するための措置として実施している緩衝緑地整備事業の拡充をはかることとし、八億円、地盤沈下に対処するため、高潮対策事業費につきましても所要の予算を確保することとし、二十九億五千万円をそれぞれ計上する等各種の公害防止事業の拡充をはかることとしております。 自然環境保全関係の施策としては、都市の生活環境の改善をはかるため、公園事業費の飛躍的拡充をはかることとし、百三億五千七百万円を計上するとともに、大都市近郊の自然環境の保全をはかるため広域緑地保全事業費の一億円、古都における歴史的風土の保存をはかるため古都保存事業費四億円を計上しております。 以上の経費を中心といたしまして建設省においては総額千八十五億三百万円を計上しております。 第九に、自治省におきましては、公害防止のため必要な地方公共団体職員の研修等に必要な経費百万円を計上しております。 次に、公害防止関係財政投融資について御説明いたします。 昭和四十七年度における公害防止関係財政投融資は、全体として、契約規模または貸し付け規模において総額二千六百三十二億円を予定し、前年度に比べて九百三十億円の増加となっております。 公害規制諸法の強化に伴い、民間企業等においては公害防除装置の設置等公害防止事業の飛躍的増大が必要となってきており、これを円滑に実施せしめるため政府系各種金融機関の果たすべき役割りはきわめて重要であります。 まず、公害防止事業団におきましては、契約規模において五百九十億円と前年度に比べて百九十億円の増加をはかるとともに、対象施設に悪臭防止施設、産業廃棄物処理施設を追加することとしております。 次に、日本開発銀行におきましては、貸し付け規模において三百五十億円と前年度に比べて二百五十億円の増加をはかるとともに、対象施設に悪臭防止施設、無公害工程転換等を追加することとしております。 さらに、中小企業金融公庫におきましては、貸し付け規模において八十億円と前年度に比べて四十億円の増加をはかるとともに、融資限度の引き上げを行なうこととしております。 国民金融公庫におきましては、貸し付け規模において二十億円、農林漁業金融公庫におきましては、畜産環境保全施設に関し、貸し付け規模において二十九億円、日本私学振興財団におきましては、私立学校の防音工事等に関し、貸し付け規模において四億円をそれぞれ予定しております。 このほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設整備等の事業を推進することとし、地方債計画において千五百五十九億円を予定しております。 最後に、公害防止関係の税制上の措置についてそのおもなものにつき御説明いたします。 まず、公害防止施設の特別償却制度につき所要の拡充を行なうこととし、対象施設について新たに悪臭防止施設等を追加するとともに、適用期限の到来する対象施設についてその延長を行なうこととしております。 次に、公害防止費用の支出に企業が対応できるよう、新たに公害防止準備金制度を創設することとし、公害防止費用の支出が相当多額にのぼると見込まれ、かつ、所得変動が大きいと認められる業種に属する企業について、売り上げ金額の一定割合を公害防止準備金として積み立てることとしております。 さらに、発電及び製鉄に供される燃焼用揮発油に対する揮発油税及び地方道路税を三年間免除することとしております。 以上をもちまして、各省各庁の昭和四十七年度環境保全関係予算の御説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○田中委員長 以上で予算の説明は終わりました。 ————◇—————
○田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 公害対策に関する件について、本日参考人として公害防止事業団理事長江口俊男君に出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○田中委員長 次に、公害防止事業団の事業概況について参考人江口理事長から説明を聴取いたします。公害防止事業団理事長江口俊男君。
○江口参考人 公害防止事業団理事長の江口俊男でございます。 公害防止事業団の昭和四十七年度の予算について御説明申し上げます前に、当事業団事業の実施状況につきまして簡単に申し述べてみたいと思います。 公害防止事業団は、御承知のように昭和四十年十月一日に業務を開始いたしまして以来、昨昭和四十六年十二月三十一日までの六年三カ月の間におきまして、お配りをいたしておりまする資料の一枚目にございまするように、造成建設事業につきましては契約件数六十三件、契約金額約四百七十四億円、貸し付け事業におきましては契約件数五百二十六件、契約金額約四百七十一億円、合計九百四十五億円の事業を実施いたしてまいりました。この事業実施状況の内訳は資料の三枚目に掲げておきましたので、後ほどごらんを願います。 このように、いままでは造成と融資という当事業団業務の車の両輪ともいうべきものがほぼ均衡を保ってまいりましたが、一昨年あたりから規制の強化と公害防止意識の高揚を反映いたしまして融資が急速に伸び始めまして、昭和四十五年度には百七十五件、百九十億円、四十六年度には四月から十二月までにすでに契約済みのもの二百十六件、百八十億円、さらに事業団内部で決定済みのものを含めますると二百六十四件、二百三十億円と相なっており、この三月末までには三百八十億円に達するものと見込まれます。 そこで昭和四十七年度の政府予算案編成の段階では、この事業団事業の進展特に融資事業の伸長に伴って、資料の一枚目及び二枚目に掲げておきましたような措置が認められることになっております。 すなわち財政投融資資金計画におきましては当事業団の事業費として契約ベースで五百九十億円、資金ベースで五百七十八億円となっており、年間に新たに契約金額五百九十億円の契約を行ない、また事業費として五百七十八億円を支出してよろしいということであります。これは前年度当初予算契約ベース四百億円に比べますと四八%の伸びを示していることになりますが、造成建設事業分につきましては前年度と同額の百四十億円になっているのに対し、融資事業が四百五十億円になり、前年度当初予算契約ベース二百六十億円に比べまして七三%の激増になっていることに原因をいたしております。 この事業を行なうために必要な財投資金借り入れ額は四百七十一億円となっております。 貸し付け対象施設につきましては、本年度まではばい煙処理施設、汚水処理施設、粉じん防止施設、特定物質処理施設、緊急時用低硫黄燃料貯留施設及び騒音防止施設となっておりますが、これに四十七年度はさらに悪臭防止施設及び産業廃棄物処理施設が追加されることに相なります。 事務諸費、貸し付け業務委託費等をまかなうための政府交付金につきましては約七億八千万円、事業団事業の金利と財投借り入れ金の金利との逆ざや補てんのための政府補給金は約四千四百万円となっております。 なお、金利は資料の二枚目に掲げておりますように、従前どおり原則といたしまして中小企業及び地方公共団体につきましては六%、大企業につきましては七%と相なっております。(「五・五%じゃないか」と呼ぶ者あり)だから、共同公害防止施設につきましては原則としてというもののほかに特別に安い金利をこの資料の中に掲げてございます。読みますと、共同公害防止施設につきましては、建設、融資ともに中小企業及び地方公共団体は当初の三年間が五%、そのあとが五・五%、これが大企業におきましては当初の三年間が六・七五%であとは七%となるわけでございまして、私がただいま申し上げましたのはそれを除く大部分の事業費について申し上げたわけでございます。 次に、事業団の実施いたしまする事業のうち、共同福利施設いわゆる緩衝緑地の建設につきましては、その高度の公共性にかんがみまして毎年補助金が交付されておりますが、昭和四十七年度は八億円の国庫補助が行なわれることに相なりました。 最後に、昭和四十四年十二月十五日に公布されました公害に係る健康被害救済に関する特別措置法による納付業務費予算案につきましては四億三千万円となっております。 これは公害病認定患者の救済に充てるため事業団から県に納付する医療費等と事務費の総額で、国からの交付金と公害対策協力財団の拠出金の合計額でございます。 以上が、簡単でございまするが、公害防止事業団の事業及び四十七年度の予算案の概況でございます。よろしくお願いいたします。
○田中委員長 以上で公害防止事業団の事業概要説明は終わりました。 ————◇—————
○田中委員長 この際、土呂久鉱山の公害問題について環境庁から調査報告の説明を聴取いたします。船後企画調整局長。
○船後政府委員 土呂久休止鉱山における砒素問題の経過と概況につきまして、御説明申し上げます。 まず経過につきまして御説明申し上げます。 土呂久鉱山は慶長年間に発見されたといわれております。以来昭和三十七年に至るまで断続的にすずの精鉱や無水亜砒酸の生産が行なわれてきたものでありますが、昨年十一月、鉱山の所在いたします宮崎県高千穂町の岩戸小学校の斉藤教諭によりまして、同町土呂久地区におきましては過去の無水亜砒酸の採取等によって、地域住民の中に健康被害があるという意見が発表されたのであります。 他方、宮崎県におきましては、公害未然防止の観点から県下における休廃止鉱山の一斉点検を昭和四十四年度から実施しておりまして、問題の土呂久休止鉱山はこれを要監視鉱山としまして、通産省の福岡鉱山保安監督局と協議しながら調査及び事業活動停止後における環境汚染源対策を講じてきておりました。 同県におきましては、以上のような新しい事態に対処いたしまして、昨年十一月から所要の環境調査を実施するとともに、県医師会の協力を得まして土呂久地区の社会医学的調査を実施し、それらの調査の結果につきまして、去る一月二十八日、審議検討を行ない、中間報告を行なったものでございます。 環境庁におきましては、かねてからこの問題につきまして宮崎県から連絡を受けていたのでありますが、この中間報告の機会に担当者三名を派遣いたしまして、宮崎県から詳細に事情を聴取いたしました。 なお、この報告会には学識経験者及び県医師会も参加いたしております。 次に、中間報告の概要につきまして御説明いたします。 土呂久地区におけるこの社会医学的調査につきましては、あとで申し述べますように、県におきましてはさらに引き続き精密検査等を実施することといたしておりますが、現段階におきましては、この中間報告の資料によりますと、土呂久地区と環境及び社会的条件がきわめて類似しております対照地区とを比較いたしましたとき、土呂久地区が特に死亡者が多い、あるいは若死にしたというような所見は見られておりません。また、国民健康保険の受療状況から見ましても、土呂久地区が特に病人が多いという傾向は見られておりませんし、砒素と関連するような疾病につきましても同様な傾向を示しております。 しかし、昨年十一月からことしの一月にかけて県医師会が行なった一連の健康調査の結果によりますと、精密検診を必要とする者が八例認められております。このうち現在三名につきましては、砒素の暴露歴が確認されております。いずれにいたしましても、要精密検診者の所見と砒素との関連につきましては、今後の精密検査の結果を待って判断することと相なります。 次に、環境庁といたしましては、河川及び飲料水の水質、農産物、土壌、鉱物中の砒素等につきまして実施しておりますが、飲料水の水質、土壌、鉱物中の砒素等に関しましては、水道水質基準を満たしていないとか、あるいは一般農作物中の砒素含有量と比較して特に差異があるというような所見は見られておりません。ただし河川水の水質につきましては、一部の測定点で環境基準を若干上回る砒素の濃度が見られております。 以上のような中間報告の所見は、主として昨年十一月から本年一月にかけて行なわれました調査資料をもととして得られたものでありまして、なお最終的な結論に達するためには、これらの調査の継続や補足的な調査の実施が必要であると考えられます。したがいまして、今後の問題といたしましては、県におきましては、さきに申し述べました八名につきまして、早急に精密検診を実施するほか、一般住民の健康調査や河川や浸透水の水質調査、ズリ山の重金属調査などの環境調査を引き続き進めることといたしております。環境庁といたしましては、県が実施いたしますこのような調査につきまして適切な指導、援助を行なうとともに、県と密接な連絡をとりまして、関係省庁とも協議し、ズリなどに対する保安、流出防止措置を講ずるなど適切な対策をとってまいりたいと考えております。 なお、中間報告の詳細につきましては、担当の課長から必要に応じ報告させることといたします。
○田中委員長 それでは補足説明を山本公害保健課長から聴取いたします。
○山本説明員 社会医学的調査の内容につきまして、補足説明をさせていただきます。 土呂久地区と環境及び社会的条件がきわめて類似しております対照地区として山附地区を選びました。土呂久地区は、御承知のように世帯数五十五世帯、人口二百六十九名、それに対しまして山附地区は世帯数五十六世帯、人口二百八十二名のところでございます。昭和二十年から四十六年十一月までの二十七年間の両地域におきます死亡調査の結果を比較したものでございますが、土呂久地区におきましては、この間百三十九名が死亡しており、山附地区におきましては百六十二名が死亡しております。それぞれの地区におきます死亡原因について比較いたしましたところ、特に死亡原因による両地域の差異というのが見受けられなかったわけであります。 それから四十四年から四十六年までの三年間におきまして、国民健康保険の受療状況から比較を両地区についてしたわけでありますが、土呂久地区におきましては、国民健康保険に加入している世帯が四十六世帯、二百二十六名、山附地区におきましては四十七世帯、二百四十四名でございます。両地区におきます疾病の種類等につきまして比較いたしましたところ、一、二の疾病、特に悪性新生物等におきまして若干の差異は認められますが、例数があまり多くないというようなことで、特に差をはっきりいえることはできない状況であります。 それから、昭和四十六年十一月から四十七年一月にかけまして県医師会が行ないました一連の健康調査では、第三次検診を必要とするものが八例認められたわけであります。そのうち現在砒素暴露歴を確認し得るものが三名でございます。この八例につきましてさらに所要の検査を行なうということを県が決心しておりまして、それにつきましてはいましばらく、入院検査の結果でございますので、時間がかかりますが、結果を待って判断をしてもらいたい、こういうことになっております。
○田中委員長 これで説明は終わりました。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
○江藤委員 ただいまの報告につきまして若干質疑を行なってみたいと思います。時間がないことでありますから、大急ぎで、前段を抜きにしまして、そのものずばり質問をしてまいりますので、簡潔に答弁を願いたいと思います。 まず一番先に、神話のふるさとであるといわれる、日本のふるさとといわれる平和な村にこういうふうな鉱害が発生したということでありますから、たいへんな驚きを住民が禁じ得なかったのは当然のことでありますが、したがって、それだけに環境庁が乗り込んでこの調査をされるということについては、非常な関心と期待を持っておった、そういうことがいえると思います。そこで、県の調査はさることながら、環境庁としてはどういう調査をなさったのか、この機会にあらためて聞いておきたいと思います。
○山本説明員 ただいまも社会学的調査の概況について簡単に御報告を申し上げたわけでありますが、環境庁が参りまして、県が行なった調査についていろいろと聞いたわけでありますが、その内容といたしましては、宮崎県において、休廃止鉱山について、かねがね要観察鉱山としてこの土呂久鉱山も環境汚染源対策を講じてきたわけでございますが、昨年の十一月に健康被害がある、こういう一部の方の意見の発表がございまして、その後十一月の下旬から環境調査を実施した、これは水質等の環境汚染調査並びに県医師会の協力を得まして地域住民の調査をしたわけであります。これは、比較対照地域の両地域におきましての住民全員について訪問調査をいたしまして、その聞き取りの結果から、さらに第二次検診として所要の臨床的な検査を医師会の方々が行なった、こういうことでございます。環境庁といたしましては、これらの県の行ないました一連の調査につきまして、県と連絡いたしまして指導してまいったわけであります。今回はその中間的な報告というのを聴取し、それによって、いまの段階である程度言えることを報告した、こういう形のものでございます。
○江藤委員 環境庁としては、県の調査におんぶしたというようなかっこうになるわけですね。住民としては、政府が来るわけですから非常な期待を持っておった。それが二、三日で、何か砒素との関連性は薄いんだ、こういうふうな、住民の心配というものとはうらはらに、それを打ち消すような印象を与えたかの感がある。これは私は否定できないと思うのです。 そこで、中間報告の段階ですから、八名の方の最終的な精密検査の結果がわかって結論が出るのでありましょうけれども、類似の山附部落というものとの比較を非常に重視しておられる。したがって死亡率を比較をする、あるいは健康保険の利用状況等から、非常に推計的に結論を出しておるのをうのみにされておるのじゃないか、こういうふうな印象が強いわけです。ですから私は、環境庁そのものが、よしんば同じ調査方法であるとしても、そう結論を急ぐことなく、独自の科学的な調査というものをやられることが必要ではなかったか、また必要ではないか、こう思うのでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○船後政府委員 ただいま担当課長が少し先生の御質問の趣旨を取り違えたようなお答えをいたしまして、失礼いたしました。 今回の中間報告は、宮崎県が昨年の十一月から今年の一月にかけて行ないました調査に基づく中間報告の検討でございますので、したがいまして、環境庁といたしましての調査はないわけでございます。宮崎県の行ないました調査で、特に健康に関連する部門につきましては、いわゆる疫学的な調査、住民の直接的な健康診断、こういったことをいたしておるわけでありまして、これらにつきましての方法論といたしまして、疫学的な問題は統計的な操作によるところが多いわけでございますが、通常対照地区を選びまして、問題になっております事項を広範に調べる、さらに住民の健康状況につきまして質問なりあるいは直接の診断をする、こういうことを宮崎県が県医師会との連絡のもとにやったようでありまして、その手法自体につきましては環境庁といたしましてもいいのではないか、かように考えている次第でございます。ただ、ではその調査だけで十分なのかという点になりますれば、これはやはりまだいろいろ補足的な調査もしなければならないようでございますし、さらに問題の精密調査も残っておるわけでございますが、これらの点につきましては、私、冒頭に申し上げましたように、宮崎県におきましては今後の調査計画というのを立てておりますので、それにつきまして環境庁も適切な援助をし、調査に従事される方も、従来のメンバーをどのようにするかという点も相談にあずかってまいりたい。ただ、環境庁といたしましては、直接の手足があるわけではございませんが、いずれにいたしましても、県が実施するというものを非常に権威のあるものにしたい、このような考え方で十分調査したいと考えております。
○江藤委員 これはひとり土呂久鉱山の問題だけには限らない、今後の環境庁の全体的なやり方というものに関連すると思いますから、この機会にお尋ねしておきたいのですが、今度のものは、宮崎県がやったのを環境庁が受け売りをしたのだというような感じが多分にあるわけです。ですから、環境庁ができたいきさつ、その性格からいって、まだ公害センターもでき上がらないから手足がないのだ、こういうことならば、その点はまあ了とするとしましても、やはり環境庁の責任においてこれだけのことは調査をし、こういう結論が出ました、こういうことでなければならないし、あるいは現在それができないとするならば、今後の宮崎県の調査については、費用負担についても調査団のメンバーにしても、環境庁が責任を持って権威のあるものにして、そうして住民の不安を一掃するようにやっていきます、こういうふうな何かがなければならないと思うのです。 そこで私は、山附と比較をされたということで、それは比較をしてみることも大事だと思うのですが、それが何かさっきの中間報告の主流をなしておるような感じがするから私は申し上げるのですが、山附という部落と全く違う条件が土呂久地区にはある。それは大正年間、昭和年間、そのころから煙害の問題がたいへん問題になっておる。家畜が死んだ、あるいはまた米がとれなくなった、あるいはまたその間に若死にをしたという説もある。いろんなそういうほかの比較した対照部落とは違ったものがここにはあるわけですね。だからただ単に国民健康保険の利用状況から見て云々と言われるけれども、それは砒素に関する調査というものは、健康診断というのはその当時はおそらくなさってないはずです。ですから、そういう歴史的な背景を考えて、環境庁という大きな機構の中でやはり広く私は考えてみる必要があると思われるわけであります。 そこで、これらの問題を考えてみますと、この報告にもあるのですが、砒素との関連は少ないという表現があるのですけれども、これを飲料水を使っておる人もあれば、あるいはこれを農業用水に取っておる人もある。現にここで生活をしておる人もある。あるいはその中にはシイタケが売れなくなるんではないか、この地域の子供たちにはお嫁さんの来手がなくなるんじゃないか、あるいはこの辺に生産をした家畜というのは売れなくなるんではないか、こういうふうな非常な心配が地域住民の中にあることもこれはもう否定できないことでしょう。そうなりますと、この八名を除く他の者については、この中間報告でいわれておるように、砒素との関連はないということで、一応の結論に似たそういう報告で事足りるのかどうか。この一帯は御存じのように観光地でもあります。ですから、お客が来なくなるんじゃないかという心配もある。ですから、この機会に承っておきたいことは、この八名の精密検査の結果は別としまして、その他の分野において、これはもう住民あるいは農作物、畜産物、そういうあらゆる分野においては今後発生はしない、心配はないんだ、こういうふうに断言ができる——非常にむずかしいことですけれども、一応心配ない、こう答えられるだけのこれで調査報告になっているのか。これから残ったのは、もう八名のいわゆる精密検査の結果だけというかっこうになりましたから、そういうふうに考えていいのかどうか、ひとつ所見を承っておきましょう。
○小澤(太)政府委員 休山、廃出しておりました鉱山でこのような鉱害らしきものがあったということを学校の先生によって発見されたということ、私先生の御努力に対しまして、その熱意に対しまして高く評価し感謝をいたしております。このようなことが発見されました以上は、そのことがただいまお話しのように、過去において住民の健康にどのような害を及ぼしたか、また将来人間の健康並びに産業その他に害を及ぼす可能性があるか、これをなくすためにいかにするかということについて真剣に取っ組むのが私どもの立場でございます。それでそういうような立場に立ちまして、宮崎県からの事前の連絡もございましたので、環境庁といたしましては、その疫学的な調査につきましてもいろいろ指示をし助言をしてまいったところでございます。そして中間的な調査が一応できたという段階におきまして、先月の二十八日、二十九日に担当の専門家を派遣いたしまして、その中間報告について検討を加え、そしてさらに補足調査をすべきことが、あるいはもっと厳密な審査をする必要がございます。そういうところも発見いたしまして、そしてそれに基づいて今後の対策についても宮崎県に対しましては指示をし協力をして、いまスケジュールをつくっておるような次第でございます。したがいまして、現段階におきまして、ただいま江藤先生のおっしゃったように、もはや問題でないんだというような結論はもちろん出ません。われわれは真摯に真実をつかまえてそしてこのような問題に国として責任をもって対処していとう、こういう考えで臨んでおるわけでございます。 なお、県が医師会とともに疫学的にかなり広範な資料に基づいて努力した調査につきましては、この鉱山からの害と住民の健康との関連につきましてはかなり評価できる、このように見ております。しかし先ほど申しましたように、何しろ中間的なものでございますし、また人口の少ないところでございまして、死亡した方々につきましても少ない統計でもって判断しなければならぬ、学童の体位につきましてはきわめて少ない学童をとって判定しなければならぬというような、統計的にもかなり困難な問題がございますので、そういう問題も含めてさらに今回の中間報告、それを補い、さらに精密な審査を行なって、住民の方々、また国民の納得していただけるような結論を出したい、このように存じておる次第でございます。
○江藤委員 それではお尋ねをしますが、これからはひとつ、政務次官からお答えいただきましたが、宮崎県におんぶするのではなくて、環境庁の責任でやりましょう、こういうことでひとつ結論を急がずに、川の流域はもちろんですが、その流域全体、あるいはまたその他の重金属、あるいは人々の健康調査、最盛期には百五十人もおったといわれるのですから、それらの人が各地に分散しておって、なかなか調査も容易じゃないと思います。容易じゃないと思いますけれども、せっかくこういう機会ですからやっぱり徹底的に追跡調査をしてみる必要がある、私はこう思うのですが、今後そういうことをおやりになる意思があるかどうかを簡単に一言お答えいただきたい。
○小澤(太)政府委員 先ほど申し上げましたとおりでございまして、こういう問題につきましては、地方公共団体と国とを含めたいわゆる政府の責任である、このように考えております。ただし、何もかも環境庁がみずから調査をするというわけにもまいりませんし、かなり宮崎県も努力しておられます。相当のスタッフをそろえ学者の意見なども聞いてやっておりますから、これに対する助言あるいは指導なり、こういうことをあわせ協力してやるわけでございます。地方でなしに環境庁独自でやるという場合がもしありまするならば、そのようなこともありますけれども、現在の方針としましては、宮崎県の調査に対する全面的な協力をいたしまして、その責任はともに負うということに考えておる次第でございます。
○江藤委員 この機会に通産省にお尋ねをしておきたいと思います。記録を読んでみますと、この長い鉱山の歴史の中で、煙害があるあるいはその他の被害があるということで、住民が福岡の鉱山監督局に出向いたこともあれば、あるいはまた鉱山の再開について強く反対をしたという歴史もあるわけでありますが、こういうことがおそらく通産省の担当局に私はわかっていなかったということは言えないんじゃないかと思うのであります。たまたま問題になったからこれが表面に出てきたのですが、こういう面で監督官庁としての、いわゆる通産省としての責任は一体なかったのか、この点についてどういうお考えをお持ちかお尋ねをいたします。
○久良知政府委員 お答え申し上げます。 戦前の古いことにつきましては、終戦まぎわに福岡の監督局が焼失をいたしましたので記録がないわけでございますが、戦後中島鉱山が現地で砒素の焼き取り精錬を再開をしようというときに、地元との間で公害の防止協定、いまでいえば防止協定でございますが、それに相当するものを結んだということを施業案その他の認可のときに承知をいたしておるわけでございます。その当時私どもで承知しておりましたのは、いわゆる財産被害と申しますか、農作物の減収それから山林の被害というふうな点についての問題があるというふうに承知いたしておったわけでございます。健康被害について問題があるというふうな点につきましては、当時としては全く承知いたしていなかったわけでございます。その後においても同様でございますが、昨年の五月に宮崎県から、土呂久地区の共同調査を実施してもらいたいという話がございました。そのときに調査をいたしたわけでございます。このときには、おもに鉱害防止についての調査をし、必要な指示をいたしたわけでございますが、やはり健康被害についてもそのときには何も情報がなく、承知していなかったということでございます。昨年の十一月十五日に再度土呂久鉱山の砒素の鉱害について、宮崎県の公害課それから工業開発課、高千穂町が現地で地元の住民の方と協議するという連絡がございました。これに監督局としても立ち会ってほしいという要望があったわけでございます。そのときに、健康被害の問題が過去からあったということを初めて知ったわけでございます。
○江藤委員 当時のいきさつからしますと、物をどんどん生産せよという時代ですから、人間の健康ということはあまり考えなかったいきさつがあるということは経過としては理解できる。ただ、将来の問題もありますが、こういう問題が起こったとき、監督官庁は知らなかったから責任はないで済むのか、責任はあるのか、どっちかですね。これは一言でけっこうですから……。
○久良知政府委員 今度の問題の砒素につきましては、鉱煙の問題と廃水の問題があるわけでございます。廃水の問題については、現在排出基準をオーバーしていないということは確認してございますので、将来についても問題はないわけでございます。 それから鉱煙の問題につきましては、昭和三十七年に休山をいたしまして、その後精錬所の使用をとめておりますので、約十年の間には問題はなかったわけでございます。鉱煙に対する取り締まりというのが、過去を調べますと、昭和三十七年、ちょうど休山した年にばい煙防止法が発効いたしたわけでございまして、国といたしましては、その後鉱煙に対する取り締まりを厳重にしていったということでございまして、ちょうど同鉱山が精錬をやっておりました時期については具体的な規制事項というものがなかったわけでございまして、私どもといたしましても一般的な監督事項といたしまして監督してまいったわけでございまして、先ほど因果関係についても御報告があったわけでございますが、鉱山の実施と、いまの住民の健康被害との間に因果関係ありということになりますれば、もちろん行政的な責任はあると私どもは考えておるわけでございます。
○江藤委員 これからは公害基本法もできて、公害関連法案も整備されてくるわけでありますから、当然もちろん企業者にも責任はあると同時に、監督官庁にも責任はある、これからですね。はっきりしてくる、こういうふうに理解してよろしいですね。そこでいまこの場合は鉱山を休んでおるわけですが、この場合に、農作物が売れなくなってくる、畜産物が売れなくなってくる、あるいは個人が病気をして、そうして長い間非常に苦しんできた、あるいはこれからもいろいろと苦しまなければならないかもしれない、そういうふうないろいろな問題があとに残されてきます。その場合の企業責任は一体だれが負うのかということを、この機会に通産省に明らかにしておいていただきたいと思います。というのは、いろいろ調べてみましたら、鉱山保安法の第九条の二の二項に「鉱業権者の承継人は、当該鉱業権者の集積場等に係る義務を承継する。」とある。「承継する。」ですから、この場合には住友鉱山が鉱山保安法にいう第九条の二の二項の責任を負うことになるだろうと私は思う。 それから、鉱業法でいう「賠償義務」、第百九条の第三項、これは全部読むと長くなりますけれども、前に持っておった人と譲り受けた人、これが連帯をして損害を賠償する義務を負う、こういうことが明文化されてあるわけでありますが、端的に言って、この場合の一切の責任、賠償の責任、事後処理の責任というものは、現在の鉱業権者である住友鉱山が有する、こういうふうに理解してよろしいのかどうか。
○久良知政府委員 鉱害防止についての管理責任と、それから賠償責任について、鉱山が休廃止ないしは鉱業権の移転があった場合にどうなるかというお尋ねであったわけでございます。鉱山保安法の第九条の二、「(集積場等)」という条項では、鉱害のもとになります捨て石集積場でございますとか鉱津の堆積場というふうなものは、これだけを鉱山から切り離して他人へ譲渡をするということも可能なわけでございます。そういうふうに譲渡をされました場合の鉱害防止についての管理責任はどうなるのかという点が不分明な点もございましたので、これは昭和三十三年に法を改正いたしまして規定をされたわけでございます。つまり、この改正以後にそういうふうな施設の譲渡をした場合にも、もとの権者の管理責任というものは承継をしていくんだ、管理責任があるんだということを、連帯で責任を負うのだということをはっきりきめますと同時に、鉱業権の移転があったときには、その承継人はこの義務を承継をするということをはっきりさせたわけでございます。したがいまして、土呂久鉱山につきまして三十三年以前に譲り渡された捨て石集積場というふうなものについての管理責任は、現在の鉱業権者にないということになるわけでございますが、その時点以後に譲渡をされたものについては、現在の鉱業権者に責任があるということになるわけでございます。 それから二番目の鉱害賠償責任でございますが、これは鉱害が発生をいたしまして、その後に鉱業権の譲渡があったという場合、そのときには鉱害の発生をしたときの鉱業権者、現在の鉱業権者とが連帯で責任を負うということになっておる。(江藤委員「それはわかっている。ちゃんと書いてあるんだ。そんなことを聞いているんじゃない。この場合はどうですか、ということを聞いておる。」と呼ぶ)ですからこの場合は、いまの健康被害とそれから鉱業の実施ということの因果関係が明らかになれば、現在の鉱業権者が連帯をして責任を負うということになるわけでございます。
○江藤委員 時間がなくなりましたからこれで私は終わりたいと思いますが、そうすると、因果関係が明らかになれば一切の責任は住友鉱山が負うのである、こういうことをはっきりしておいていいですね。——それでいいですね。
○久良知政府委員 法律的に申しますと連帯で負うわけでございますが、鉱害につきましては時効の問題等があるわけでございます。それから、具体的には、現鉱業権者が鉱業を実施していないという点についてのしんしゃくというものは、やはり考えられるべきであろうかと考えるわけでございます。
○江藤委員 端的に答えてください。因果関係がはっきりしてきたら住友鉱山が責任を負う。それでいいでしょう。そうですと……。
○久良知政府委員 原則的には住友鉱山に賠償責任があるわけでございます。
○江藤委員 それじゃ、原則的ですか。この場合でしょう。原則的とか何とかのよけいなものをくっつける必要はないのです。住友鉱山に責任が生じてきます。きますか、きませんか、それだけ。それで終わりますから。
○久良知政府委員 時効の問題があるわけでございますが、原則としてはやはり住友鉱山に責任があるわけでございます。
○江藤委員 終わります。
○田中委員長 次に、島本虎三君。
○島本委員 ちょっとお伺いしますが、日本じゅうの休廃鉱、現在どれほどございますか。
○久良知政府委員 休廃止鉱山がどのくらいあるかというお尋ねでございますが、鉱山の歴史が非常に古いわけでございまして、先ほど報告の中にございました土呂久鉱山については、慶長年間から四百年近く稼行しておるというふうなことでございますので、全国に休廃止鉱山といえるものが正確に幾つあるかということはなかなかむずかしい問題ではございますが、私ども推定によりまして、大体五千から六千ぐらいの間あるのではあるまいかというふうに考えております。
○島本委員 休廃止鉱山の場合には、それがかってに許可や届け出をしないで廃止していいのですか。それでわからないのですか。届け出かまたは許可を得て廃止をしているのならば、わかっていなければならないはずです。なぜそうばく然としておるのですか。
○久良知政府委員 私、申し上げましたのは、鉱山の歴史は非常に古いわけでございまして、鉱業法と申しますか、法的に規制をしてからの歴史のほうが浅いわけでございますので、鉱業法ができる以前に稼行をし休廃止した鉱山が圧倒的に多いということを申し上げたわけでございます。 鉱業法によりましては、休止をするときにはもちろん休止届けを出すことになっておりますし、それから、廃止いたしました場合には鉱業権の放棄があるわけでございますので、その時期にわかるわけでございます。
○島本委員 そうして、現在そういうようなのを含めて五千ですか、六千ですか、七千ですか。
○久良知政府委員 五千と六千の間であろうと思います。
○島本委員 間というようなのは、それだけはっきりしないでかってにやめているところが千ぐらいある、こういうことですか。そういうようなのがほかにたくさんあるということがおそろしいのです。
○久良知政府委員 私、申し上げましたのは、歴史上稼行をしたことがあるという山を加えましてそういう数になると申し上げたわけでございますが、こういう山につきましては、昭和四十四年までに概査をいたしまして、その中で現在精査が必要であるという山が約千五十あるというふうに推定をいたしまして、この千五十の山につきまして、現在四カ年計画で再調査を実施しておるわけでございます。
○島本委員 じゃ、五千、六千というのは、それ以外のどんな山なんですか。
○久良知政府委員 過去に稼行した山でございまして、概査によりまして公害の防止についてすぐに手を打つ必要はないであろうというふうに考えておる山でございます。
○島本委員 よくわかりました。五千あるいは六千といい、はっきりわかるところは千五十くらいだ、千五十くらいに四カ年くらいで処置したいという。 今度は環境庁、その中には石炭もあり硫黄もあり、いろいろな鉱山があるはずです。こういうようなものは、こういう不完全な状態で投げられている場合には、いつまたこういうことが起きないということの断言はできないのです。これはやはりはっきりとこの点は急いで調べておかないと、同種のものが続々と出てくるおそれがあると思うのですが、環境庁、いまの通産省のその態度に対して、環境保全の立場からも公害防止の立場からもこの機会にはっきりしておかないとだめだと思うのですが、大臣にかわって政務次官の答弁を求めます。
○小澤(太)政府委員 ただいま通産省から御答弁があったとおりの状況でございまして、いまになって考えますと、先ほどもお話ありましたように、人間の健康というようなことが重視されなかった、遺憾ながらそういう時代があったわけでございます。いまやそういうことが許されませんので、私どもとしましては、通産省の休山あるいは廃山いたしております各種の鉱山につきましていまの調査をされるということでございますから、われわれとしましては共同の調査をやりまして、環境保全の立場からこれと共同でやっていきたい。また、私どもの観点から、特に健康保全の必要からやらなければならぬ鉱山につきましては独自にでもこれをやりたい、こう考えておる次第でございます。
○島本委員 こういうようなことが起きてからやるのでは、政務次官、だめなんです。公害対策基本法ができてから何年になりました。そして一昨年から公害罪処罰法ができて、公害を発生した者は社会的に犯罪だというらく印が押されているのです。こういうような犯罪を黙って見過ごしておいていいのですか。これからやるのではおそいのです。これから完全に全部調査して、全力を傾注してこれに対処してもらいたい、こう思うのです。 それと同時に、次に一つずつ聞いてまいります。が、先ほど報告を受けました土呂久休止鉱山における砒素問題についてのこの調書報告、これは県のものですか、独自の調査ですか。
○船後政府委員 先ほども申し上げましたように、一月二十八日に行なわれました中間報告の資料は、すべて県の調査に基づく資料でございます。
○島本委員 きょうの新聞によると、県当局ではこの資料は不十分である、中間報告は不十分である。そしてもう県当局がはっきりこれを訂正していなさいます。訂正しているのに、こっちのほうではべらべらとこれをまたわれわれに報告する。県当局のほうが一体何のために修正したのか、修正したのはどの部分なのか、これをはっきりさしてください。
○船後政府委員 中間報告でございますので、中間報告の段階でやられた資料でもって中間報告を行なった、こういうことでございますが、県当局におきましては、なお引き続き調査をすべきものもございますし、今後補足的にしなければならないこともあるわけでございまして、本日の新聞報道はそういった関係のことを県が発表したのではなかろうか、かように思います。私どもも、県が今後行ないます調査といたしましては、健康調査といたしましては、先ほど申しました精密調査、それから健康調査といたしましては、若干でございますが精密検査も残っておりますし、住民の中にはさらにもう少し診断を受けたいというような御希望の方もおられるようでございますので、これらの調査をやる、こういうふうにいろいろなことをやりたいと思っております。
○島本委員 この中間報告は不十分だといって、不十分なままに、いまの中間報告に基づいて報告されておる。それがこの小学生や中学生の体位の不十分なこと、これはもう十分調査しなければならないということを言っておるようです。それから過去の死亡者の死因についても、あれに関係ないといったやつが、いま疑問点があるから、これはもう一回やり直さなければならないといっている。はっきりそういうようなことを言われているのに、その当時の資料をもってまたわれわれに説明している。ここらあたりはあとから修正されるからそれでいいのだというなら、環境庁は県の下働きですか、使い走りでいいのですか。そんなわけにはいかぬはずです。
○小澤(太)政府委員 きょう報告いたしましたのは、先月の二十八日における中間報告について報告申し上げたわけでございます。その際に、環境庁から派遣いたしました職員によりまして、調査の今後なすべきこと、欠陥、そういうものについて一々指摘をいたしております。そして会合のあと県の責任者と打ち合わせをしておりまして、ただいま御指摘のような問題について、今後さらに補足し、また精密検査をするということを助言をいたし、指図をいたしております。おそらくその内容をとらえて県で申しておるのでございまして、中間報告が完全でないということは明らかでございます。それの不完全なところを指摘しておるのでございますから、そういう意味での表現かと思います。したがいまして、いろいろ御指摘のことは、これから環境庁もともどもにりっぱな調査をしていかなければならない、こう考えております。
○島本委員 行管庁からの勧告、きのう出されているものの中に、公害監視は不十分だ、せっかく権限を委譲してやって毛技術者もおらない、それから機械があっても、それを完全に動かす人もおらない、結局権限委譲しても何にもならない、この指摘を十分受けているようです。環境庁も受けているはずです。こういうような状態の中で、宮崎県のいまの状態を見ても、これは十分公害行政は行き渡っておらないのじゃないか。私はこの点なんかほんとうに残念でしようがないのです。それで、もう少し県当局にもこういうような問題では注意すべきじゃございませんか。いろいろこの報告にもあるとおり、これは過去五十年間無視されてきているのですよ。そしてこれは住民がたびたびこういう苦しい訴えをしているわけですよ。ところが行政機関がまともにこの問題に対して取り上げようとしていない。それから小学校の先生がこれを掘り起こした。それに対して賞揚のことばを皆さん与えている。ところが行政当局の怠慢に対して何らこれを責めようとしない。これはいけませんよ。姿勢が悪い。ですから、一月十六日の時点で、これがもうレポートとして発表されてからようやく問題になってきている。とたんに行政が動き出す。これは鹿島も水島も同じだ。市民運動があって、市民に摘発されてようやく県当局が動くのです。これはどうも本末転倒です。そこで、権限委譲してやっている県当局が企業と結びついているというのが例として多い。こういうのはほんとうの意味の環境行政の指導にはなりません。また実も結ばれないような状態だと思います。 それで、いままでのこの状態を十分考えてみて、これは資料がなくてわからなくていままでほっちゃらかされたのか、行政当局がもうわかっていながらほっちゃらかしてきたのか、今後の点でこれは重大だと思うのです。この二つの見解だけでいいのですが、どっちなんですか。これはわかっていてほっちゃらかしていたのですか、わからなくてこうしていたのですか。
○船後政府委員 わかっていたのか、わかっていなかったのか、非常にむずかしい判断の問題でございますが、私どもが宮崎県から聞いた報告によりますと、県のほうにおきましては、このような健康被害につきましては、わかっていなかったというように聞いております。
○島本委員 わかっておらなかったというのですが、それならば大正二年から死亡当時の年齢が——九十二名死んでいる人の平均年齢は三十九歳になっている。中には一家七人が全部死亡した記録もあるんですよ。こういうようなのは県当局がわからぬですか。そうして七十四名、三〇%近くの住民が呼吸器系統の疾患だ、これはもうはっきり出ているじゃありませんか。現在もそれが継続されている。そういうようにして県当局がそれに対して……(発言する者あり)いまの不規則発言に乗って私も言いますけれども、これは単に隠していたわけじゃありませんか。もう今後は徹底した調査を行なわなければならないということになるわけです。この徹底した調査はどういうふうにして行なうつもりですか。これは官房長……。
○城戸政府委員 私、聞いておりまして、いままでの調査でございますが、これは県独自でやった調査もいろいろなケースの場合がございます。それからまた、国が県に委託してやったのもございます。あるいは公衆衛生協会等が委託を受け健康調査をいたしたのもございます。ただいまのは、たまたま県独自でやった調査ということにいろいろ議論を呼んでいると思うわけでございまして、今後必要なものにつきましては環境庁が委託してやっていくということがより望ましいと思いますが、ちょうど年度末でございます、予算の関係がそういうところはどうなっておるか、私、わかりませんが、一般的なことをお答え申し上げます。
○島本委員 だからこの程度の小さい予算しかとれないんですよ。ほかの省庁の予算から見ても、きょう予算の説明を受けて、意外に、単位が二こまぐらい、ゼロが二つぐらい少ないのにもうびっくりした。これはもう相当がんばらないとだめだし、調査はこれから一生懸命やってください。やらぬとだめだ。自主的にやらぬとだめです。これはことに警察の前歴を持つ政務次官は、こういうような点は徹底的にやらせるようにしなければだめです。こういう点だけは強く要請しておく。 それと同時に、三十六年にこの土呂久の山は運転をやめているようですが、三十七年以後の資料はあるのですが、それ以前の資料はないのですか。
○久良知政府委員 先生のおっしゃいます資料どういう種類の資料かということがちょっとわかりかねるわけでございますが、私どものほうの監督関係の資料につきましては、施業案等の事業の改廃に関するものは残っておるわけでございますが、通常の監督検査に関するもの等につきましては、これはそのときどきの調査の記録でございますので、問題のないものについては五年間で廃棄処分をするように文書規程できまっておりますので、三十七年以前のものについては、いまのところないわけでございます。
○島本委員 これはもう五年以前のカルテ——お医者さんの場合にはもう規定されておるようでありますけれども、この鉱業権の原簿はどうなってますか。
○久良知政府委員 鉱業権の原簿というような権利関係の記録につきましては保存をしてあるわけでございますが、九州につきましては、先ほど申し上げましたように、終戦前に監督局が焼けておりますので、戦前の正確な原簿というものは焼失いたしまして、それを戦後に修復をしてつくりかえたという点がございますので、全部が全部正確な記録が戦前までさかのぼってわかるということまでは申し上げかねるわけでございます。
○島本委員 死んだ人の場合なんか遺族がいるわけですから、損害賠償の請求は、五年以前にさかのぼればお医者さんはカルテを焼却してしまってない。原因の立証ができない。鉱業権の原簿はあるかといったら焼けてもうない。こういうような場合は住民は権利要求としてどうすればいいんですか。これは法務省に……。
○多羅尾説明員 ただいまの御質問につきましては訴訟援助という事項がございまして、これは法務省の所管の財団法人といたしまして、財団法人法律扶助協会というのがございます。そこでその訴訟に関しまして訴訟追行上困難を来たすというものにつきまして、訴訟援助の業務をいたしております。
○島本委員 だから質問取りに来るなといっているんだよ。私のところに来たときにそのことを言ってやったら、そのことを答弁している。まだそれを聞かないのですよ、私は。だれもそれを聞いてない。 いま言ったように、カルテは五年以前にお医者さんが焼却しているから、原因関係の立証はいま患者はできないんだよ。それから正式な鉱業権の原簿は焼けてしまって手元にないんだ。しかし死んだ人の場合なんか遺族がいるから、損害賠償の請求が必要であり、これができるのか、できないのか大きい問題だ。したがって住民はこの権利要求として何ができますか。それを法的にいまあなたに聞いたんですよ。——わからなければわからぬでいい。政務次官、その場合どうすればいいのか。
○田中委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。
○多羅尾説明員 それにつきましては検討いたします。
○島本委員 こういうことがまたあるから、局長も変な報告なんかしちゃだめなんだ。もっと自分自身で行って、ほんとうに調べてきたものでないと、めったにこういうような報告なんかすべきじゃありません。ことに公害対策特別委員会はベテランばかりいるじゃありませんか。あなた今度こんなことを二度、三度やったら、この次には重大な決意を持ってもらわなければならぬですよ。 では、今度法務省のほうにほんとうに聞きますけれども、昭和四十五年の十二月に男の人が二人、女の人が五人で訴訟援助の申し出の手続をしたようであります。それも訴訟の費用として補助のあり方なんかについて宮崎法務局の高千穂支局に行って聞いておるのです。それに対して、ほとんど一年以上何ら返答もしないでほったらかしておいた、こういうようなことがいわれておりますが、これは事実でしょうか。
○多羅尾説明員 お答えを申し上げます。 この件につきましては、昭和四十六年の五月に八名の方から損害賠償請求事件について法律扶助の依頼がなされているという報告を受けております。それで、昨年の七月三日に先ほど申しました法律扶助協会の宮崎県支部の審査委員会にはかったわけでございますけれども、先ほど来議論になっています因果関係その他の関係で現在資料を収集中ということのようでございます。本年の二月十九日に再度審査委員会を開くということを報告を受けております。
○島本委員 結局するのですかしないのですか。
○多羅尾説明員 これは財団法人法律扶助協会の決定いたしますことで、私のほうからはまだするともしないとも申し上げることはできません。
○島本委員 人権擁護の立場からそれはやるべきです。
○多羅尾説明員 被害者の悲惨な状況を考えますと、それは同情に値する事案であろうと思います。
○島本委員 これは山附というんですか、この地区との比較を調査で出しているのですが、これはなぜ土呂久地区とこの二つだけを対象にして出さなければならないのですか。調書を出す以上、これはやはり比較対照というものは全国民が必要じゃないですか。年齢別の死亡率はなぜ出さぬのですか。土呂久地区と他の四区との年齢別の死亡率、こういうようなものを出して初めてわかるんじゃありませんか。なぜ二カ所だけに限定した調書をわれわれの前に出して、こういうふうな状態ですという説明をなさるのでしょう。これは他のほうと対比しなければわからぬではありませんか。同じような似たところ二つ出してこのようですからと言っても、これは正確な資料になり得ない。だから年齢構成からしても、十単位調べて私どものほうに報告してもらいたい。これは資料として要求しておきたい。いいですね。
○山本説明員 疫学の手法の原則論の第一歩を調査としてやった、こういうぐあいに私ども理解しておるわけでございます。と申しますのは、ある地域の死亡あるいは疫病の状況が、非常に全国平均と比べて衰えているというところは多々あるわけでございます。おそらく土呂久地区におきます状況を全国で比較いたしますと、いろいろな点で劣っている点があるわけであります。したがいまして疫学的な手法といたしまして、私原則論を申し上げるのでございますが、社会的要因の似た比較的近似した地域を選びまして、ただそこの相違点は、その両地域の片っ方は鉱山による影響がある、片っ方においてはないというようなところのはっきりしたものを選んで、その相互的な比較々するというのが第一歩でございます。そういう意味で県がこの調査を行なったというわけでございます。したがいまして、これは疫学の弱点かとも思いますが、ある種の結論を導き出す一歩ということは言えると思いますが、それをもって最終的な断定的な結論は出せないんじゃないか、かように理解しておるわけでございます。 資料は提出させていただきます。
○島本委員 その資料の提出をお願いします。 それとこの被害者に対する補償の点、救済の点、治療の点、これに対してどういうふうに処置しようと考えておりますか。
○小澤(太)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、被害者で精密検診を要する者が八人ございます。そのほかにただいま担当政府委員から申し上げましたように、みずから検診を希望する方もおられるようでございます。そういたしまして、十分な検診をいたしまして公害病として考えられるということになりまするならば、公電被害者損害補償をするという法律の適用をいたしたい、このように考えております。ただしいろいろ議論をいたしますれば、その職歴等によりまして工場労働者の災害補償保険法の適用になる場所もありましょうし、あるいはまた因果関係がはっきりいたしておりまして、加害者、被害者がはっきりいたしておりますならば、当事者間の民事訴訟におけるところの損害賠償の案件にもなると思います。いずれにいたしましても、はっきりいたしまするならば、最後的に救済する意味におきまして、公害被害者救済の法律の適用を考える、こういうふうに考えておる次第でございます。
○島本委員 では、あとは本番がこれは突きますから、私はこれでやめておきたいと思いますが、治療法ははっきり現在確立されてございますかどうか。それから、責任は先ほど追及いたしましたから私はもう再びやりませんが、ほんとうに対策の樹立ということが一番必要だと思うのですが、この点等については早期に急がないとだめだと思いますから、この被害者の治療について治療法、現在ははっきりしているのですか、はっきりしていないのですか、これを最後にちょっとお尋ねいたします。
○滝沢政府委員 今回のような慢性の疾患の鉱害は一般的にそういう傾向がございますけれども、疾患の根本の治療対策、たとえばイタイイタイ病のような場合のカドミウムを本来なら体外に出せるという基本的な治療が開発されればいいのでございますが、そういうことが困難な現状では対症療法というものが主体になると思うのでございます。その点につきまして、高千穂保険所管内の医療機関の背景を申しますと、病院が高千穂に二カ所、他の町にそれぞれ一カ所、病床三百八十八、そのうち約半分が一般病床で、結核伝染病病床等、一応地域社会としての条件を備えておりますので、家庭から離れて特殊の治療を要するという状態の方は、県立病院あるいは医科大学等を利用する場合が一般論としてはあり得ると思います。対症療法であるならば、地域の病院、診療所等において治療が可能ではなかろうか、こういうふうに存じております。
○島本委員 終わります。
○田中委員長 次に松浦利尚君。
○松浦(利)委員 それでは私は江藤委員、島本委員のほうからいろいろと質問がありましたから、一なるだけ重複を避けてお尋ねをしたいと思うわけであります。 まず一番最初にお尋ねしたいのは、きのう環境庁の皆さんに来ていただいて、土呂久の問題をいろいろとお尋ねをし、また質問もしたわけでありますが、きょうまた公式にこの場で報告をいただいたわけであります。 〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 その中の第一ページに、社会医学的調査、その内容は「評価に値する資料であることを確認することができた。」という断定を環境庁はすでに下しておられるわけなんですね。ところが実際に現地のほうを調査をしてみますと、地元のお医者さんたちは非常に苦労をして努力をしておられることは認めますが、問診が中心なんですね。もちろん尿の検査とか血液の検査等はしておられるようでありますが、主として問診によって振るい分けておる。少なくとも環境庁が調査をするあるいは具体的に鉱害としての調査をする場合には、そういった問診という姿ではなくて、むしろ積極的につめあるいは毛髪等の採取を行なって、疫学的に調査をする、私はそういう行き方が正しいと思うのです。そういう点に対して、なぜこういう結論を出したかということが一点。 それからもう一点は、砒素に限定をして調査をしたというところに私は問題があると思う。現実に調査をしたあるお医者さんの話によりますと、鉛による鉱害病というものがあるということが散見をされておる。鉛鉱害というものもあるのではないかという疑いもある。こういうことがすでに行かれた医者からも言われておる。だとするならば、砒素というものに断定をして調査をするのではなくて、むしろもっと広範な立場から住民の健康状態等と取り組むべきだ、こういうふうに思う。そういう点について県のこの調査というのは、ここでいっておるように評価に値するものであるのかどうか。間違いなく評価に値するのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思う。
○山本説明員 この調査について評価に値すると申しますのは、中間報告の中でやりました疫学的な調査の一部、それから問診調査等の内容として評価できる、こういうことでございます。私どもも現地に派遣いたしました調査官に、行く前に、県の調査では砒素を中心に考えているようであるけれども、そのほかの原因物質についての考慮を払うべきであるということで県当局とは話しておりました。県もその後三十日の日に私どもと打ち合わせまして、今後の調査の中にはそういったことも含めたことを検討していくということを計画させておるわけであります。 それから問診調査を主体としておる、こういうお尋ねでございまして、皮膚あるいは毛髪の調査を一斉にやるべきではないか、こういうことでございますが、確かに先生おっしゃるとおり、ある物質につきましてその汚染が考えられた場合には、その物質を尿、血液、毛髪、つめというようなものから検査するのが常道でございます。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、今日の宮崎県あるいは各検査機関の能力から申しまして、この二百何十人全員の検査をするには相当の長い時間がかかります。したがいまして、第一義的には本人の過去におけるいろいろな影響の、つめも含めまして、問診をいたしました。その結果で特に早急に検査をすべき人を検査をする、こういう方式になるわけでございます。
○松浦(利)委員 それじゃこの二ページに書いてある「鉱害と住民の健康影響への関連性を検討するうえで、評価に値する資料である」、これはどういう意味ですか。いま言っていることとは違うでしょう。中間的なものとしてはわかるけれども、あなたが三十日指示したようにもっと精細にやるべきである。もっと的確な調査をすべきであるということがここに出てこなければいかぬでしょう。これは評価をすると出てきておるじゃないですか。しかも県のほうでは、先ほど島本委員が言ったように、昨日新聞で発表して、この中間報告については全面的に否定をするような発言をしておられる、さらに積極的に調査を進めるということも言っておられる。そういった事実を見ますと、きのう、きょうにわたって御報告いただいたこの環境庁の御報告というものは一体何を意味しておるのですか。何の効果があるのですか。この内容について、訂正するならいまのうちに訂正してもらいたいと思う、修正するならいまのうちに修正してもらいたいと私は思うが、その点どうですか。
○山本説明員 現在、県の場合もあくまでも中間報告であるということで私ども臨んだわけでございまして、したがいまして、現在の得られました資料に対しましての評価というものがここに出ておるわけでございます。しかしながら、これが完全なものではなしに、今後さらにどういうこと々するべきかということにつきましては、私ども三十日に県の者と相談をしているわけでございます。それにつきましてここに抜けているという点があるわけでございます。したがいまして、今後県が行なう調査は、これの中の内容の抜けをさらに強くしていくべきだということに相なるわけでございます。
○松浦(利)委員 それじゃここに書いてある字句の問題等については、これはただ単なる中間の報告をこの委員会にしたのだというふうに理解をしていいですね。全く根拠のない、ただ中間的な報告である、こういうふうに理解していいですね。
○船後政府委員 その点につきましては、私先ほども申し上げておりましたが、中間報告の資料として一応の評価だ、(松浦委員「評価」と呼ぶ)中間報告の資料といたしまして、疫学の原則から見て評価するという意味でございまして、これでもってすべての結論を出し得るに足るという評価をいたしたものではございません。したがいまして、先生の御指摘のように砒素以外の物質の影響等もなお考えられるわけでございますし、さらにつめ、毛髪中の砒素の含有量等につきましても、はたしてあの十五名だけでよかったのかどうか、そういった問題も残っておるわけでございますから、そういった点につきましては、さらに今後の調査を宮崎県と相談してまいりたい、こういうふうに考えます。
○松浦(利)委員 三名の方が、服部さん、藤井さん、小川さん、調査官が三名行かれましたね。この人たちが行かれたことは私は非常にいいことだと思います。しかし、先ほど江藤委員が言っておったように、この調査官の人たちは、きのうも私が指摘をしたのですが、県の中間報告を権威あらしめるための立ち会いだけをやっておるのですね。極端な言い方をすると、私は環境庁というものがせっかくできて——いままでなら県が出したものをそのままうのみにして、こうだああだと県の調査を分析して発表するのもよろしいでしょう。少なくとも環境庁が発足し、環境庁ができた以上は、ぼくは環境庁独自の立場でこうした問題はチェックをし調査をすべきだと思う。そして、それに対して県を援助させる、こういう姿勢がなければ、私は環境庁が発足した意味はなくなると思う。その点どうです。
○小澤(太)政府委員 先ほどからたびたび私また船後君から御説明申し上げましたとおり、環境庁の職員が参りましたのは、向こうの中間報告を裏づける意味で行ったのではさらさらないわけでありまして、それをしさいに検討し、足らざるところはさらに調査研究を進めること、そのような指示をいたしておるわけでございます。中間報告を差しおいて、そして環境庁独自の調査をするということには相ならぬということは、先生も御理解いただけると思います。 そこで、中間報告がいかなる評価に値するもの下どうかという検討をいたしておるわけでございまして、三人の調査官から、私ども直接、三人帰庁の上で、大臣とともに報告を聞いたわけでございます。私の受けた印象では、先生のおっしゃるような裏づけのために行ったのではなしに、指図を与え、助言をし、指導をしに参ったと思います。したがいまして、きょう御報告申し上げましたのは、あくまで先ほどのお話しのとおり中間報三口でございますが、それが十分でないということで、さらに調査を命じ、しかも早い機会にその結果が出せるようにというようなことを指図しておるわけでございますから、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
○松浦(利)委員 政務次官、もっと具体的に質問いたしますが、この問題について、環境庁が主導的な立場に立って、逆に言うと県を援助させるというかっこうになりますね。国がこれに対して積極的にタッチをして、いま言ったような調査を全面的に進める、そういうお考え方があるのかないのか。これからの問題ですからね。
○小澤(太)政府委員 これまた先ほどから私から申し上げておりますとおり、あくまで環境庁が主導的な立場に立ちまして、それから、責任におきましても、地方と政府とを含めての国の責任として考えておるわけでございます。終局的には、政府における環境庁が責任をもって措置をする、こういう立場は堅持しておるわけでございます。
○松浦(利)委員 宮大の斎藤教授が、この土呂久鉱山の下流にあります延岡市周辺の、洪水によって作物の非常にできなくなった地帯についての変化について調査をいたしましたね。その調査は非常にむずかしい調査で、学術的なことは、私はしろうとでわかりませんが、アメリカでも公定法になっておるブロメート法によって、土壌における三酸化砒素についての調査を行なっておりますね。非汚染地区の土壌と延岡地区の土壌とを調査をしてみたところが、同じ分析方法でやってみたところが、百五十倍近くの砒素を検出したという事実が、実は宮大の教授から発表されておるのですね。こういう事実については、地方自治体を通して、環境庁なりに連絡があった事実がありますか。
○岡安政府委員 お話の下流地帯でございますが、やはり亜砒酸のみならず重金属によります上壌の汚染があるということで、いろいろ調査をいたしております。やはり中には、砒素につきましても相当程度高度の汚染をしている土壌が発見されております。私どもは、この地帯につきましてはさらに細密調査を要するということで、四十六年度、県に補助金を出しまして、現在、その調査結果につきまして県が取りまとめ中という状況でございます。
○松浦(利)委員 もうすでにその問題については県のほうで発表しておりますね。その結果についてはどうですか。
○岡安政府委員 私が申し上げました、四十六年度、国の補助金によります細密調査の結果につきまして、私どもの聞いておるところでは、現在資料を分析中というふうに聞いておりまして、まだ発表したというふうには聞いておりません。
○松浦(利)委員 まだ環境庁のほうには報告がないということですか。ないということですね。
○岡安政府委員 そのとおりでございます。
○松浦(利)委員 それじゃもう一つ、これは通産当局にお尋ねをするのですが、この問題が非常に大きくなりました昨年の十二月十五日、福岡の鉱山保安局のほうから係官が来られて、現地の砒素焼きがまをブルドーザーでこわしておる事実がありますね。これは何の目的でそういうふうにこわしたのですか。もう少し言わしていただくなら、こわす前に、どれだけの砒素が残留しておるか、その他について正確なデータをとられたかどうか、その点もあわせて御報告いただきたい。
○久良知政府委員 砒素の焼き取り精錬のかまにつきましては、先生いま御指摘のとおり、十二月に鉱山に指示をいたしまして、取りこわしをさしたわけでございますが、あの地区の砒素のかまにつきましては、これは前に二つほどこわしておるわけでございます。と申しますのは、昨年の五月に宮崎県とそれから監督局が共同調査をいたしまして、そのときに土呂久鉱山の奥にありました古い精錬がま二つにつきまして、これを取りこわしをし、土の中に埋めるように指示をいたしたのでございます。これは七月にそのとおりに実施をされておるわけでございます。昨年十二月に取りこわしをいたしましたのは、十一月の巡回検査をいたしましたときに、問題の土呂久の精錬がまの内部を見ましたときに、亜砒酸がかなり残留をしておるということがわかったわけであります。御承知のように亜砒酸は、昔から有名な毒でございまして、少量でもかなりな影響があるというふうにいわれておるわけでございますので、もし子供でも中に入って、残っておる亜砒酸をなめるとか口中に入れるというようなことをおそれまして、人命に対する不測の事態の発生を防止するためということでございますが、鉱業権者に指示をいたしまして、亜砒酸を除去した上で精錬がまを取りこわし、これを土中に埋めるということを指示をしたわけでございます。 先ほどのかまの中に残っておる亜砒酸の問題でございますが、亜砒酸を全部たがねで取りまして、これを別に処理をいたしたわけでございます。亜砒酸の量にいたしまして、約二トンのものが残っておったわけでございます。
○松浦(利)委員 いま宮崎県ではやはり砒素の問題で、松尾鉱山も大きな問題になりました。福岡の通産局のほうから来られて、いま焼きがまをこわしておられますね。問題が起こったらこわすのです。 水質保全局長にお尋ねしますが、土呂久川上流に二トンもの亜砒酸が残留しておった、そういう事実から見て、あの周辺の住民が、この土呂久の鉱山によって身体に影響を受けたということは、もう因果関係については推定できるでしょう。疫学的に証明されなくても、いま通産省から報告があったように、二トンもの亜砒酸がかまの中に残留しておった。しかも、屋根も何もかもこわれてしまって、野ざらし、日ざらしのようなかっこうですよ。そういう事実から見て、ここの周辺住民が、土呂久鉱山による亜砒酸の被害を受けたという因果関係は、推定できるじゃありませんか。その点、どうです。
○岡安政府委員 因果関係の推定につきましては、やはりまず健康被害が何の原因によって起こったかを確定することが第一でございます。その原因物質がどこから運ばれたかという、経路の判定と二つあるわけでございますし、前者につきましては、医学的な調査を待たなければわかりませんし、経路につきましても、たとえば堆積物、その他からだれだけの水がどこへ流出をするか、その場合の希釈その他がどうなっているかを、十分調査する必要があると考えております。 私どもは、今後のこともございますので、現在までの宮崎県の調査では、点数等が非常に不足しておるというふうに考えておりますので、補足調査の意味を持ちまして、至急その間の調査をするように宮崎県とも相談をし、早急に実施したいと考えておる次第でございます。
○松浦(利)委員 これは政策的な問題ですし、今後もあることですから、政務次官にお尋ねしておきたいと思うのです。 少なくとも、鉱害の発生源であるかまを破壊するときに、環境庁なら環境庁が立ち会って、そしてどれくらいの量の亜砒酸があって、どれくらいの影響が下流にあったかということがデータで確保されて、しかる後に破壊をするなら破壊をする。しかも、調べてみますと、破壊をしたあと、環境庁は立ち会っておらないでしょう。先ほど、二トンの亜砒酸を撤去した、こう言うけれども、二トンの亜砒酸を撤去したといって、その上へ残土でずっと土をかけて盛り土をしておるけれども、雨が降って、浸透水がわき出してくるかもしれない。実際に、亜砒酸が完全になくなったかどうかはチェックしておらないでしょう。形の上ではなくなったように見える。通産省のほうでは、こういう処置をいたしましたというけれども、実際に、それが正確なデータのもとに、正確になされておらないから、それが二次公害というものを引き起こしてくる。少なくともこういった鉱害の発生源に対しては、証拠隠滅ということばは悪いけれども、そういうことではなくて、むしろ積極的にデータをそろえて、そのデータによって完全にそういう鉱害発生源が除去されるという手だてを講ずべきだ。ただブルドーザーを持っていってばっとくずしてしまう、それではやはり周辺住民というのは非常に不安でたまりませんですよ。今後もあることですから、休廃止鉱山は非常に多いのですから、この際、こういう扱いについての政務次官の態度を明確にしてください。
○小澤(太)政府委員 先ほど通産省から御答弁があったように、このかまを取りこわしたというのは、おそらく証拠隠滅ではなしに、有毒のものがありますから、これによって住民にさらに被害を及ぼさないようにという善意からであったというふうに思いますが、(「問題が起きてからやっておるじゃないか。なぜ早くやらない」と呼ぶ者あり)御指摘のこの場合におきましては、福岡の鉱山保安監督局と宮崎県の薬務課と、それから高千穂町に所在する保健所の職員が立ち会っておりまして、この毒物を処理する資格のある者が作業に当たっておるということは事実でございます。 なお、今後こういう問題が起こり得ると考えられますので、こういう処理につきましては、環境庁といたしましてもさらに一そう十分な配慮をいたしたい、このように考える次第でございます。
○松浦(利)委員 地元ではささやいておるのですよ。いま不規則発言がありましたが、三十七年に閉山になって二トンもの亜砒酸が残留しておるのに、何でもっと早くしなかったのか。十一月にこの問題ががんがん問題になったら、十二月にこわす。今度は松尾鉱山にもこういう事実があるといってわんわん騒ぎだしたら、またブルドーザーでこわす。私は、言われておることはわかりますが、証拠隠滅ということばは悪いけれども、そういった問題が起こらなければ放置しておる、そういう姿勢に問題があると思う。やはり公害をなくすというなら、そういう面についてももっと積極的に対処してもらいたい。いまの政務次官の言われたことを——さっきから、五千から六千の鉱山がある、そのうち千くらいが問題だと言っておるのですから、もっと積極的にこうした問題は扱っていただきたい。これは要望として申し上げておきたいと思います。(「やるかやらないか聞きなさい」と呼ぶ者あり)やるかやらないか聞きなさいということですから、聞きましょう。
○小澤(太)政府委員 確かに、行政の立ちおくれということを私も非常に遺憾に思っております。したがいまして、環境庁ができました以上は、今後そのようなことがないように、各省庁とも十分な連絡をとってやりたい、このように私どもは強く決心をいたしております。
○松浦(利)委員 決心だけではだめだから、積極的に、政務次官の答弁を正直に受け取って、これから二度とこの土呂久鉱山のようなことが起こらないように、ぜひ環境庁のほうで通産省に対してきちっとしていただきたいというふうに思います。 そこで、これは行かれた服部さんにお尋ねをするのですが、あなたは現地に行かれて、ここの土呂久鉱山における問題は、公害病の認定はむずかしいであろう、しかも、さらにそれにつけ加えて、いま問題になっておる人たちの因果関係を調べると、鉱山に働いておった人がおる、ですから、これは当然労働者災害補償保険の対象になるべきことだ、こういう発言がされ、また報道されておるわけでありますが、そういうことについては間違いありませんか。そういう発言を、事実なさいましたか。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を起こして。
○山本説明員 私が調査官から聞いたことでございます。 この砒素の影響であるかどうかということにつきましては、最終的に先ほど申し上げましたような八例についての検査結果を待たなければならないというのが一点でございます。その結果、その人が労働者災害補償保険法の対象になるような、いわゆる職業の場においてその影響を受けておるというケースにつきましてはそういった形が考えられる。その職場内でもし影響を受けたということであるならば、これは公害ではないだろう、しかし、その判断につきましてはいろいろむずかしい点がある、こういうような趣旨で発言した、こういうぐあいに聞いております。
○松浦(利)委員 あなたとは間接的ですが、公害病の認定はむずかしいだろう、そういうことを言っておられるのですよね。そういう事実はあったのですか。
○山本説明員 若干受け取られ方に問題があったと思いますが、いま私が申し上げましたような趣旨の発言をした、こういうぐあいに聞いております。
○松浦(利)委員 もう時間だそうですから、あまり質問を重ねて申し上げることはできませんが、先ほど江藤委員、島本委員の質問に対して政務次官は、救済特別措置法による措置をとる、最終的には、そういう事実が明らかになってくれば公害病の認定ということで救済を進めたい、こういう答弁をなさったのですが、その現地に行かれた調査官の発言の受け取り方が、新聞発表ですから、その点を私はここで追及しようとは思いませんが、そういう調査官の発言というのは、先ほど政務次官が答弁された公害病の認定、最終的には因果関係が明らかになればそうしますぞということで打ち消された、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○小澤(太)政府委員 そのような疑問があろうかと思いましたから、先ほど私が答弁の中で、議論をすればということばを差しはさみまして、職歴を見まして、この鉱山に従業しておった人がその職場において被害を受けたという場合におきましては、現在の法制のたてまえにおきましては、理論としては労働者災害補償保険法の適用の問題として扱うべき問題である。これは法理論としてですよ。それから、そうでない、職場におらないけれどもそこにおって、現に加害者と被害者がはっきりしておる、こういう被害者の場合におきましては、これは民事上の損害賠償という問題で加害者に対して被害者が請求する問題である。こういうものをひっくるめまして、その点も明確でないという場合を含めまして、救済法の適用を考えなければならない、議論としてはこういうふうに分かれるということを申し上げたのであります。公害病に認定することを否定した考えでは毛頭ございません。広く何らかの形において被害者を救済していこうというたてまえから、議論としてはこういうような仕分けのしかたがありますけれども、われわれとしては終局的には公害の被害者としての救済法の適用を考えたい、こう申し上げた次第でございます。
○松浦(利)委員 よくわかりました。 それでは、労働省から来ておられますね。労働災害に対する法律では時効は三年、こういうふうに聞いておるのですが、いま直接鉱山に働いておる人が、因果関係で、この鉱山に原因ありということが調査官の言うように具体的になった場合に、労災の救済がありますか。現在の法体系の中で認められますか。
○松尾説明員 急性の疾病の場合は起因性がきわめて明らかでありますが、慢性の疾病は、遅発性と申しまして、えてしておくれて出てくる。したがいまして、われわれといたしましては、たとえ退職後でありましても、適用労働者につきましては起因性を明らかにして補償する、そういう状態でございますので、たとえかりに適用労働者が退職後でありましても補償の対象になる、かように考えております。
○松浦(利)委員 それじゃ、十年経過しておってもだいじょうぶですね。
○松尾説明員 適用の労働者といいますと、この法律ができました二十二年九月一日以降ということになりますが、その前の労働者はどうするかということにつきましては、いま関係省庁と県とも相談いたしまして、療養、治療についての万全を期するよう、検討をいたしておるところでございます。
○松浦(利)委員 それじゃ、私はもう時間が来ましたので、前の江藤委員と島本委員がほとんど質問をなさいましたから、それに重複を避けて質問をしたのですが、最後に、非常に不明確だった点をもう一ぺん、鉱業法の百九条の賠償の問題について、はっきりさせていただきたいと思うのですが、これは無過失でしょう。ですから、現在の住友鉱業に責任あり——いろいろ先ほど注釈というか、原則とかなんとか言われたけれども、これは因果関係が明らかになった場合は、現在の所有者である住友金属鉱山にその責任あり、そういうことでしょう。その点はっきりさせてください。
○久良知政府委員 お答えいたします。 法の適用そのものについては、先生のおっしゃるとおりでございます。
○松浦(利)委員 この問題は、きょうここで質問が済んだから終わったということではなくて、われわれのほうもさらに第二次、第三次の調査を行なうことになっております。したがって、最後にこれは委員長にお願いをしておるのですが、この問題を社会に告発いたしました岩戸小学校の斉藤教諭、この方を含めて、この問題に参考人としていつの機会か出頭していただきたい。関係者の出頭その他の出頭を委員長にお願いをしておきたいと思いますので、この扱いについては理事会等で御審議いただいて、ぜひ参考人の出頭等についても御配慮いただきたいということを委員長に要望しておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○田中委員長 松浦君に申し上げます。御要望の点につきましては、後日、理事会で相談の上、ぜひ要望にこたえるように努力したいと思います。
○松浦(利)委員 それじゃ、私の質問は終わります。
○田中委員長 次に、岡本富夫君。
○岡本委員 約束の時間が非常に少のうございますので、いままでと重複を避けますけれども、もう少し詰めておきたいものがございますので、若干質問いたします。 この報告は中間報告あるいは県の報告だけである。環境庁としては、それならばいつごろ新しい調査団を編成して、いつからこの調査を始めるのか、これをひとつ明確にしておいていただきたい。
○船後政府委員 先ほど来の所見は、いずれも中間報告の資料でございます。県におきましては、引き続き調査を継続する必要もあるわけでございます。さらに補足の調査も計画いたしております。私どもといたしましては、先ほど来政務次官も申し上げますとおり、事実の究明ということを急がねばなりません。しかも、調査は権威あるものが必要でございます。国と県が一緒になりまして、今後行なうべき計画というものを具体的に考えてまいりたい、かように考えます。
○岡本委員 いつごろそれを実施するのかね。
○船後政府委員 調査によりましては、たとえば精密検診、これは住民の方々の御都合もございまして、二月の中旬ごろそれぞれ熊本医大でございますとか県立病院に入院するという計画になっております。その他の調査につきましても、大綱がまとまり次第早急に開始したい、かように考えます。
○岡本委員 これは先ほど官房長があまりはっきり言わなかったのですが、予算の関係もあるからというような非常にことばを濁したような答えだった。これが中間報告とあなた方がみなすならば、それならば大体の次にはどうするというスケジュールはおそらくできておると思うのですが、それができなければこれはもう最初から中間報告という考えでなくて行ったんではないか、こう先ほどからも言われたように言われてもしかたがないんではないか。どうですか、ひとつ相談をして大体いつごろからやるか、はっきりしてください。
○船後政府委員 先ほど来申しておりますとおり、種々の健康調査あるいは疫学調査、環境調査につきまして今後とるべき調査がございます。これらは先ほど申しましたとおり、調査の計画設計ができ次第早急に実施する、そのように宮崎県との間で打ち合わせをいたしております。
○岡本委員 じゃ何もまだスケジュールは立っていないんだね。大体今日じゅうぐらいには行けるわけですか、どうですか。
○船後政府委員 第三次の精密検診は先ほど申しましたとおり二月の上中旬ごろからそれぞれ住民の方々の御都合によりまして入院検査を実施いたすことになっております。それから一般の健康調査につきましては二月中旬ごろを予定いたしております。疫学調査の中の補足的な調査、これは引き続き実施いたしておりますので、継続して行なうことになっております。さらに環境分析調査、これは各河川、ズリ山、浸透水等の重金属の水質検査が中心になりますから、これも継続して実施しているというような次第でございますので、調査でございますからずっと引き続いておるものもございますし、これからやるというものもあるわけでございます。
○岡本委員 これは現地にわれわれが調査に行ったときの現地の稲なんです。普通の半分しかないんですよ。そうすると相当土壌にも砒素があるということがわかるわけです。 そこで政務次官、あなたにひとつこれから新しく環境庁が調査団をつくってやろう、その因果の究明もやろうということはいつごろ——要するに先ほどから聞いていると、十一月の十五日に通産省のほうと協議をした。そのときに住民の健康被害がわかったということですから、先ほども松浦委員からも話がありましたように、現状のままにおいて先ほど話があったように亜砒酸の焼きがまですが、これは二トンも残っていた亜砒酸、これを佐賀関に送ったらしいのですけれども、そういう焼きがまを置いたまま調査してこそ私ははっきりした調査ができると思うのですがね。しかしそれはつぶしてしまってもうない。それから先ほど、もう書類が焼けてしまってない。私どもが行ったときに、中島鉱業の下請工場か知りませんが、書類をたくさん焼いている。こういうもの、どこから焼けという指示が出たかそれはわかりませんよ。ですからこういうことを見ますと、この因果関係をはっきりしないようにしておいて調査するというように疑われてもしかたがないのではないかと私は思うのです。わが党から衆参合わせて三人、さっそく調査に行きましたが、そういうのを現実に見まして、ほんとうに出てきたところの調査は確実なものとして今後の対策にされていくのか、そういった環境庁、それから先ほど話もありましたように通産省のやり方、どうもわれわれは納得いかない。そういう点で、やってしまったあとだからしかたがないのですけれども、今後どうするか。かつてわれわれがイタイイタイ病を追及したときも、厚生省が調査しようとすると通産省が別にやっているわけですね。そういうのを見まして、ほんとうに原因、結果をはっきりさせて、そして被害者を救済しようという政府の姿勢が、これは佐藤さんは七年前に人命尊重なんて言っているけれども、どうもその点が私は納得がいかないのですがね。これをひとつもう一度環境庁とそれから通産省の両方から答弁もらいたい。
○小澤(太)政府委員 お答えするまでもなく被害者でありあるいは住民であるその立場に立って被害をなくそうというのが私ども環境庁の立場でございますから、いやしくも証拠隠滅のごときおそれのあるようなことは絶対に排除しなければならぬと思います。ただし放てきしてその現状に置くことがさらに二次公害を起こしたり住民に迷惑を起こすというようなことがあればこれはまた別でございます。そのように考えておりますから、ここで御答弁申し上げるまでもなくわれわれの態度、姿勢ははっきりいたしておりますから、その点は御理解いただきたいと思います。
○久良知政府委員 先生御指摘のように、焼きがまを取りこわしました時期とこの問題が公になりました時期と重なりまして、いろいろ誤解を受けておるわけでございまして恐縮に存ずるわけでございますが、このかまにつきましては、私ども三十七年にこの山が休山をいたしまして、十年近くそのままに放置してきたという問題が第一にあるわけでございます。この問題につきましては、休止当初にはやはり再び再開をしたいという意向が鉱山のほうにもあったわけでございまして、かなりいろいろと画策ないしは努力をしたようでございますが、昭和四十二年になりまして、万事尽きて会社としては解散をしたということでございます。したがいまして、その時期にこわすべきであったろうかと考えるわけでございますが、そこに及び至りませんでそのまま放置をしておったということにつきましては、先生おっしゃるように問題があろうかと反省をいたしておるわけでございます。この時期にこわしたということの可否でございますが、私、先日斉藤先生がおまとめになりました報告を一読さしていただいたわけでございます。やはりあそこの児童が精錬所のあとで遊んだときの記事がかなり出ておりまして、やはりかまの中にも入って遊んだことがあるようでございますし、山の管理といたしまして、だれかしっかりした番人でもつきまして、かまの中に人が入らないようにして保管をするということであれば、そのまま残しておいてもいいかと私ども考えるわけでございますが、そういうふうに子供が入って遊ぶ可能性もあるというふうなことを考えますと、早急にこわしてよかったのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
○岡本委員 昨年の五月に宮崎県とあなたのほうは共同調査をやっているんです。そのときには健康被害ということがわからなかったと先ほどあなたから話があった。十一月十五日に住民との協議があったときに健康被害がわかった。そして十二月にこれをこわしているんです。そういうところを見ますと、昨年の五月に共同調査をやったときにはこわさなかった。そして十一月の十五日には、あっ、これはたいへんだといってこわした。こういうことを考えますと、あなたがいま言うているのとずいぶん違うわけだ。あるいはまた斉藤先生のこのレポートを読んで初めて気がついたというのであれば、これは相当のんきな廃鉱のあとの管理ではなかったか。こういう点、非常にむずかしい答えになろうと思いますが、これは今後のために必要ですからひとつしてもらいたい。
○久良知政府委員 いま先生おっしゃいましたいわゆる検査を二回いたしておりまして、初めの五月でございますか、県と共同でやりましたときに、旧精錬所のあるつづら坑でございますか、そちらをおもに見たわけでございます。その検査結果に対する指示の中に入れておるわけでございます。検査をしたところについて指示をしたわけでございまして、先ほど先生おっしゃいましたように、この五月にいまの新精錬所についても取りこわしを指示すべきであったということはそのとおりでございますが、これは十一月のときに、この部分の検査をしたということで取りこわしの指示をしたわけでございます。
○岡本委員 ちょっとあなた、詭弁だよな。三十七年にそういった取りこわしの指示をほかのものには出していて、これ一つだけ残っていたわけだ。それに四十六年の五月には取りこわしの指示を与えなかった。十一月十五日に初めて取りこわしの指示を与えた。こうなれば、これは私、よほど答弁のための答弁と考えざるを得ないと思います。 これ以上追及してもしかたがありませんから、今後それを環境庁が調査するというのであれば共同できちっとして、それであらゆるその調査が終わる、あるいはそれを取りこわしてもだいじょうぶのような調査をきちっとして、原因というものをはっきりした上で、これをこわすならこわすあるいはまたとめおく、そういうようなやり方をしなければ、いつまでたってもこの公害の原因というものがわからなくて済んでしまうのじゃないか。だから、ひとつこれは環境庁としては今後十分にこの問題については権限を——権限というとおかしいけれども、指示ができるような、そうでなければ佐藤内閣の姿勢というものは、これはいつまでたっても変わらないですよ。そう言われてもしかたがないと私は思う。ひとつその点についてもう一ぺんはっきりした答えをもらっておきましょう。
○小澤(太)政府委員 毒物の問題は、これは私責任をとやかく言うわけではございませんが、厚生省の所管になっております。環境庁といたしましては、それが水に溶けたり、大気汚染をしたりあるいはまた土壌汚染をするというような健康被害に関係がありますので、そういう意味合いから私のほうもこれに強く関連を持っていきたい。 先ほど申しましたように、県の薬務課長が関与し、保健所長が関与しておる、こういうことは末端におけるそのようないわゆる関係の政府機関が関与しておるということでございますが、いま御指摘のとおり、人間の環境保全、健康保全という最大の、最高の目的を持っておりまする健康行政といたしましては、私どもの立場を強く各省庁に協力を求めまして、今後は十分配意をしてまいりたい。政府の姿勢が乱れないように私どもが全力をあげてこの面で努力をしてまいる、このことを申し上げます。
○岡本委員 それでは、あとお医者さんである古寺委員に譲りたいと思いますけれども、環境庁にもう一つだけ要望しておきたいことがある。それはもっと詳しく土壌汚染、こうした作物にも被害が出ておるんですから、それから水質のほうの検査も県でやったものが出ておりますけれども、これは年に一ぺん、これも現地のほうで調査する非常に簡単なんですね。この調査は間違いないということが非常に言いにくいと言う人もいるわけです。ですから、少し長くかかってやっていかなければならない。 それからもう一つ、このデータを推定しますと、徐々に薄くなっていっておるのではないかということを考えると、昔はもっと相当すごい砒素の入った水が出ておったのではないか。それも四十年からしか出ておりませんが、この時分は簡易水道がなかった。湧水ですね。ということになると、簡易水道のほうでもどんどん減ってきておるわけですから、そうすると相当そういう砒素が入った水をその付近の人が飲んでいたのではないか、こういうことも推定されるわけですから、ひとつ十分な調査をして、そしてこの付近の住民の皆さんが、あるいは先ほどお話がありましたように下流の延岡市、これも十年前のものをひた隠しにしておるというのは、知事あるいは当時の市長さんですか、ここに出ておるわけです。ですから、こういったことの広域調査も必要だと思うのですが、それについての最後の決意を承って私は終わります。
○小澤(太)政府委員 水質調査につきましては、水質の局長から先ほど御答弁いたしましたように、簡易水道のところは〇・〇五PPMに満たない。けれども、河川水についてはそれをこえておるところも県の調査ではあります。河川水についてはたしか四回くらいしか調査しておりません。そういうこともありますので、この中間報告に対する環境庁の指示といたしましては、環境庁自身がこの水質の調査はこれから強くやってまいることにいたしております。 また、土壌関係につきまして、先ほどこれまた担当局長から御答弁申し上げましたように、現在調査をいたしておるような次第でございます。
○田中委員長 それでは、次に古寺宏君。
○古寺委員 最初に環境庁にお尋ねをいたします、この資料の中の「社会医学的調査」の第三番目でございますが、八例の方々の精密検査を今後行なうということになっておりますが、その理由はどういう理由によるものか、御説明を願いたいと思います。
○山本説明員 お答えいたします。 ここに土呂久地区、山附地区で二十三名の人があがっているわけですが、それぞれにつきまして血圧測定、血球検査、心電図、たん白分画、毛髪検査、肝臓機能検査、GPTチモール検査、つめの検査というようなことをずっとやってございまして、その結果、たとえば皮膚の角化層が厚くなっている、それから貧血がある、色素沈着がある、そういうような一応所見のある人たちにつきまして精密検査に持ち込んでいこう、こういうぐあいになっているわけでございます。
○古寺委員 この八人の中で四人の方が病理組織学的な標木をとっておられるようでございますが、その所見はどういうふうになっておりますか。
○山本説明員 病理検査を行なったという話は聞いておりますが、その結論は、まだ私どもで結果を聞いておりません。
○古寺委員 この宮崎県の資料に基づいて検討がなされた時点において、延岡病院の桑原先生から御報告があったはずでございますが、どういうような御報告があったか承りたいと思います。
○山本説明員 調査に参りました者から聞いたところでは、報告がなかった、そのときはなかった、こういうことでございます。
○古寺委員 その中で一名の方がボーエン氏病である、こういうふうにいわれております。さらにまた三人の方々の組織標本によりましても有核細胞の非常な乱れであるとかいろいろなことが見られるので、今後この精密検査が必要であるというようなことをおっしゃっているようでございますが、その点についてはいかがでございますか。
○山本説明員 私どもその話は聞いておりませんで、今後さらに精密検査をした上で最終的な判定に持ち込む、こういうぐあいに聞いておるわけでございます。
○古寺委員 ボーエン氏病というのはどういう病気でございますか。
○山本説明員 私、不勉強でございましてあまりよく存じませんが、皮膚の前ガン状態みたいなものをいうように聞き及んでおります。
○古寺委員 私どもは表皮内ガンというふうにこれを承っておりますが、今度のこの土呂久地区の死亡原因の調べによりますというと、悪性新生物が土呂久では五例ございます。ガンによってなくなっておられる方が非常に多いわけでございますが、こういう点について環境庁はどういうふうにお考えになっておられますか。
○山本説明員 私も県から取り寄せました調査の報告書を見ますと、過去の死亡例の中で肺ガン、肝臓ガン、直腸ガン、子宮ガンというものが山附地区に比べて非常に多いということがわかっております。また国民健康保険の受療状況を見ましても、この土呂久地域におきましては悪性新生物に対して罹患が多い、こういうことがわかりました。こういうことにつきましては個別にケーススタディーをやっていくように今後県が計画しているわけで、そのような結果をまって最終的な判断をしたい、かように考えております。
○古寺委員 四人の方々は一応ガンと疑われるようなそういう結果が出ているわけでございます。したがって、八例の方が今後精密検査を受けるわけでございますが、こういうような重大な問題については、この報告書の中には全然記載をされておりません。一項目にしましても二項目にしましても、ほとんど斉藤教諭がおっしゃっておる事実を否定するようなそういう結果を報告しているわけでございますが、これはどういうわけでございますか。
○山本説明員 お答えいたします。 現地におもむきました調査官の話によりますと、その席上ではその報告がなかったということであります。さらに非常に重要な所見でございますので、今後入院し精密検査をした上で判断をする、こういうことでその措置を適当なものと了解してまいったわけでございます。
○古寺委員 それではもう一度お尋ねしますが、砒素の中毒の中で一番おそろしいものは何でございますか。
○山本説明員 砒素の中毒といたしまして急性中毒と慢性中毒とあるわけでございますが、急性中毒につきましてはここで置きまして、慢性中毒の中で、ごく最近の知見といたしましては、ガンの原因ではないかということの報告が一例あるように聞き及んでおります。私直接現地を当たっておりませんので、現地の模様を申し上げられないわけでございますが、そのように聞き及んでおります。したがいまして、非常に長期の影響でありましても重大な問題を起こすという点があるように聞いております。
○古寺委員 私が持っておる文献によりますと、慢性中毒の中で一番危険なのはガンであるというふうに記載されております。そういうような一番大事な問題を放置しておいて、こういうような簡単な資料によって調査の結果心配がないというような新聞発表等がなされているわけであります。しかしながら現実に精密検査をしなければならない方々が八人もいらっしゃる。こういう方々に対して早急に治療してあげるなり、あるいはまた今回の健康診断の結果、第一次、第二次検診で出てこない方がたくさんいらっしゃると思います。当然肺ガンの問題もあれば、あるいは他の内臓のガン、いわゆるアベック・キャンサーと申しますか、そういうような状態でいろいろな心配があるわけでございますが、そういう点については環境庁としてはどういうふうにお考えですか。
○山本説明員 ガンというようなことになりますと非常にたいへんな問題でございます。したがいまして、慎重な検査をするためにそれぞれの人たちを説得いたしまして、大学の付属病院あるいは県立の大学に入院させる、こういうぐあいの計画を県が立てているのを聞いているわけでございます。 なお、こういった人たちの検査費用あるいはその間におけるいろいろな費用等につきましては、県が十分対処する、こういう形を聞いておりますので、そのようなことでこの人たちの対策が打たれる、こういうぐあいに聞いておるわけであります。
○古寺委員 次に目の問題でございますが、このデータによりますとトラコーマというのが非常に多い、こういう結果になっているのですが、砒素の場合一番大事な問題は視神経の炎症の問題であるというふうに聞いておりますが、そういう点についてはどういう検査が行なわれておりますか。
○山本説明員 急性中毒におきましても、慢性中毒におきましても、神経障害があることは砒素についてはっきり知見がされております。したがいまして、眼科並びに神経科の先生の精密検診をこういう人たちに行なっていこうという計画を立てております。 一応診断の面では、従来国民健康保険等でトラコーマが土呂久地区については明らかに高くなっております。そのほかの眼病の所見も他の地域に比べてやや高いようでありますが、そういった人たちについての精密検査をさらに考えております。
○古寺委員 いまいろいろと課長さんから御答弁がございましたが、いろいろな急がなければならない問題がたくさんあるわけでございます。今後住民の精密検診について、政務次官どういうふうに対処されるか、もう一度御決意を承りたいと思います。
○小澤(太)政府委員 八人の精密検診を要する方に対しましては、宮崎県立病院、熊本大学等に入院をしていただきまして、そこで精密な検診をして、できるだけ早く結論を得たい、こういうような段取りにいたしておるわけでございます。
○古寺委員 今回の調査で一番大事な因果関係を究明する要因として考えられるのは、焙焼炉の問題であると私は思うのですが、この点については先ほどから取りこわしの問題についていろいろお話がございました。昨日、松尾鉱山で十一基のうち九基の焙焼炉が取りこわしをされているわけでございます。あと二基残っておるわけでございます。この残っている二基も取りこわしをするのかどうか、通産省に承りたいと思います。
○久良知政府委員 先生いま御指摘の松尾鉱山の焙焼炉の問題、特にその取りこわしの問題については、現地の監督局からまだ報告を受けておりませんので、至急調べましてお答えを申し上げたいと思います。
○古寺委員 先ほども公害病かあるいは労災の適用かという問題がございましたが、労働省はこの焙焼炉の実際の調査というものをおやりになりましたか。
○北川説明員 いま問題になっております土呂久の関係の事業所につきましては十数年前に閉鎖をしておりますので、当時労働衛生関係では、じん肺関係が国で直接健康診断等やっております記録はございますが、当時の監督につきましては記録が残っておりません。 なお、そのあとの焼却炉の実地調査につきましては、現在宮崎の基準局を通じまして実態の把握につとめております。
○古寺委員 いま問題になっている土呂久並びに松尾鉱山の焙焼炉が取りこわしになる以前において、労働基準監督局からどなたかがおいでになって調査をしておられますか。
○北川説明員 廃止になりましてからは、おそらく調査はしておらないと思います。ただ、操業中には、労働衛生に関しては労働省の所管でございますので、おそらく監督をいたしておるのではないかと思いますが、現在のところ、それについての記録が見当たりません。
○古寺委員 結局、職業病であるかどうかというきめ手になる一番大事な焙焼炉の調査というものは、当然もう労働省が手を打っていなければならぬわけでございますが、まあいままでの労働者の立場に立たない労働行政というものが、そのまま浮き彫りにされているような問題でございますが、いま残っている二つの焙焼炉については、早急に労働省としても実地調査をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○北川説明員 さっそくそういうふうに調査をいたします。 なお、これに似た例としましては、昨年、日本鉱業の佐賀関の製錬過程で肺ガンが発生をした例がございますが、これも戦争直後ないしは戦争中の操業でございます。当時の工程等につきましては、わからない点が多々ございましたけれども、当時の職員あるいは会社の記録等をいろいろ調査をいたしまして、業務上というふうに認定をいたしました経緯もございますので、そういう方針に基づいて、今回についても前向きの姿勢で検討をいたします。
○古寺委員 そこで、非常に疑問に思うのは、十年間放置しておいた焙焼炉を、なぜこういう問題が提起されてから、いまの松尾鉱山も同じでございますが、取りこわしをしなければならないのかということでございます。この点については先ほど御答弁があったのですが、どうも納得がいかないわけでございますので、もう一度通産省から、なぜ今日まで放置しておきながら、こういう問題が起こってから急にあわてて取りこわしをしなければならなかったのか、承りたいと思います。
○久良知政府委員 お答えいたします。 焼きがまの取りこわしにつきましては、先ほど申し上げましたように、ことしの夏から古いほうのかまについての取りこわしを指示をしたわけでございまして、十一月に問題が起こってから急にしたということではないわけでございますが、私どもやはり砒素の猛毒性ということを考えますと、そのかまが完全に管理をされておる状態にあればいいと思いますが、休廃山で管理人もいないというような状況が明らかになりましたときには、やはり不測の事態の発生を予防するということのためには、亜砒酸を除去いたしまして、残りについては埋め、覆土をするというような措置をとらざるを得ないと考えているわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、今後の精密検査その他によってこれははっきりする問題でございますが、この鉱山のいわゆる砒素によっていろいろ影響を受けてこられた問題を究明する場合に、この焙焼炉の問題が一番大事なポイントになってくると思うのですが、そういうことを知っていながら、あるいは現実にもうすでになくなった方もたくさんいらっしゃいます。また、ガンの疑いでこれから精密検査を受けなければならない方が八人もいらっしゃる。このほかにも、肺ガンの疑いとかいろいろな問題もございます。そういう地域住民の方々の立場に立った場合には、当然、焙焼炉は危険のない状態にして、調査が終わるまではこれは保存しておかなければいけないと思う。そういうことを知りながら、なぜこういうふうに松尾鉱山まで急いで焙焼炉を取りこわすのか。人間が第一なのか、あるいはそういういままで十年間も放置しておいた自分たちの怠慢の責任をのがれるために取りこわしたのか、その点についてはっきりさせていただきたいと思います。
○久良知政府委員 鉱山の焼きがまの構造がよかったかどうかということが今度の公害の争点の一つになるであろうというお話しでございました。私、やはりそのとおりだと思うわけでございます。この土呂久の山の焼きがまにつきましては、構造その他につきましては図面それから写真が残っておりますし、先般御調査の際には御提出を申し上げまして、私ども証拠を隠滅しようという気は毛頭ないわけでございます。この構造その他からいきまして完全なものであったかどうかという点でございます。これは御承知のように、十年間の間にかなりいたんでおったわけでございますが、構造そのものにつきましては、最近と申しますか、数年前に出版されました非鉄金属の精錬につきましての教科書と申しますか、鉱学書に、この土呂久とそれから松尾鉱山のかまが一つの典型的な例として、同型の寸法、構造のものが載せられておるわけでございますが、私どもそういう点を考えましても、やはり構造につきましては、当時の水準からいきましても、平均以上のものであったろうと考えておるわけでございます。
○古寺委員 この延岡市におきまして、土呂久の下流においてカドミウムが相当に検出をされております。こういう点については、公害の総点検をおやりになった通産省、また環境庁もこれはもう御承知のはずだと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○岡安政府委員 延岡におきます土壌の汚染状況でございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、細部調査につきましては四十六年度におきまして実施中でございまして、まだ結論が出ておらないわけでございますが、四十五年度に予備調査といいますか、簡単な調査をいたしております。そこで発見されました金属は、カドミウム、亜鉛、砒素等がございます。土中にもございますし、玄米等からも発見されておりますが、カドミウムについて申し上げますと、玄米の中で一PPMをこえるようなカドミウムは発見されておりません。したがって、土中のカドミウムもそんなに多いような量ではございません。やはり、私どもの予備調査の結果では、砒素が土中に相当入っておるというのがこの延岡市におきます土壌汚染の状況ではなかろうかと考えております。
○古寺委員 これは鉱山でございますので、砒素だけではなしに、当然他の重金属というものも考えられるわけです。そういういろいろな疑われるような、考えなければならない資料というものがたくさん出ていながら、非常に簡単な結論というものを環境庁がお出しになっていらっしゃるわけです。そういうことは新聞の記事ですでに報道になっておるわけでございますが、少なくともこういう問題についてはもう少し慎重に、しかも実際に被害を受けている住民というものを救済する立場で調査も進め、また検討も行なわれなければならない、こういうふうに思うわけでございますので、ひとつこういう点に今後は十二分に御配慮を願って、一日も早くこの鉱害の被害者を救済するような施策というものを進めていただきたい、こういうふうに御要望を申し上げまして、きょうは時間でございますので、これで終わります。
○田中委員長 次に、西田八郎君。
○西田委員 まず最初に健康被害について、先ほどから砒素の話が中心になって行なわれてきておるわけでありますが、この土呂久における原石には硫黄も相当含んでおったようでありまして、この鉱石を培焼し、亜砒酸を採取するにあたっては、やはりこの硫黄をかなり焼き出さなければならなかった。こういう点から、かなり密度の濃い亜硫酸ガスが当時充満しておったんではなかろうか。先ほど公害保安局長から、そういうことでそのかまを移したという話がありましたが、なぜかまが移されたかということについての御答弁がなかったのですけれども、これは地域の住民がその煙害を非常にきらうというために、かまをわざわざ山の上へ移しているという、こういう経過があるわけですね。したがって、この亜硫酸ガスによる健康被害というものもかなり多いんではないか。先ほどから話に出ております宮崎の教諭の調査によりますと、今度の七十数名のいわゆる被害者と見られる患者の中から、気管支系統の患者も十一人出てきておる。こういう実態からながめまして、私は、これらは、砒素等を含めて当然この対象にしなければならぬ問題だと思うんですが、そういう点について保安局長、どういうふうにお考えになっておるか。
○久良知政府委員 砒素と同時に亜硫酸ガスの影響があったのではないか、焼きがまの操業時に亜硫酸ガスが出たのではないかというお話でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、法律的には三十七年から鉱煙に対する規制が始まったわけでございますが、その前にやはり一般監督の内容といたしまして、当時砒素よりはむしろ御承知のように亜硫酸ガスの問題のほうが重く見ておられましたので、監督に参りましたときに二回ほど測定をいたしております。三十五年の八月と三十七年の十一月でございます。そのときに、この焼きがまの排出口で0濃度にいたしまして二回とも〇・二%という量を測定をいたしております。
○西田委員 そういうことは、亜硫酸ガスの被害が非常にあったということを認められるわけですね。
○久良知政府委員 そのときに、かまから三十メートル離れましたところではかりましたときには亜硫酸ガスはゼロであったという記録が残っておるわけでございます。やはりかまの性格上、亜硫酸ガスの公害が皆無であったと言うことはできないと思います。
○西田委員 これは調査されたのが昼間であるとすれば、あの山の谷合いにありますから上昇気流に乗ってガスが全部上がってしまう。ところが夜になると下降気流になって下がってくる。夜はかってもらわなければ何にもならぬ。調査された時間はおそらく昼間だと思いますので、この点はどうですか、認めていただけますか。
○久良知政府委員 先生のおっしゃるようなケースもあり得るわけでございますが、古いことでありますので、その当時どうであったかということについては、はっきりしたお答えができないわけでございます。
○西田委員 だから、その亜硫酸ガスが認められますね。
○久良知政府委員 ケースとしては、当然あり得ると思います。
○西田委員 そこで次官にお願いしたいのですが、先ほどから出ておりますいわゆる健康の被害に関する救済特別措置法によりまして、いま砒素だけが問題になっておるようですけれども、当然これには亜硫酸、そしてあの付近では亜鉛を採鉱しておるところもあるわけです。亜鉛にはこれは当然カドミウムがついてあるものだというふうに聞いておるわけでありますけれども、そうした問題もやはりひっくるめて調査しなければならぬという問題があると私は思います。特に土呂久の問題がいまクローズアップされてまいりましたけれども、あの土呂久川、さらには五カ瀬川流域には相当硫砒系統の鉱脈が走っておる地質になっておるのであります。したがって、いまは廃鉱になっておりますけれども、当時十二カ所でしたか、稼行したり休山したりという山が相当たくさんあるわけで、そういうところのズリだとか鉱滓だとかいうものから水中に溶解して流れるものもあれば、あるいは土砂のままで流れ出るものもあろうと思うのですが、相当多数にわたって有害物質が流出しておると思うのです。したがって、ただ土呂久の問題だけをクローズアップして取り上げるのではなしに、あの流域全体にわたってこの健康診断を行なう中から、やはりそれらの被害者に対する救済というものを行なっていくべきではなかろうかというふうに私は思うわけですが、次官これについて……。
○小澤(太)政府委員 御承知のように、健康被害者救済制度は、水質、大気の汚染によりまして住民多数が健康被害を受けるというような地域を調査の結果指定いたしまして、そして各人に対する救済の措置を講ずるということに相なっておるわけでございます。したがって、これまた申し上げるまでもありませんが、法のたてまえに従いまして、十分調査した上で該当する場合にはこの救済の措置をいたしたい。長官もかねがね申しております。われわれもそう思っておりますが、できるだけ被害者を救済していこうという態度でございますが、やはり法としては一つの規約、規範がございます。それに該当するやいなやという調査をまず先決としていたしたい、こう考えておる次第でございます。
○西田委員 次官、そういう心配があるから、土呂久だけを取り上げますと、相当範囲にわたって相当多数ということにならないわけです。ところがあの川には、私もずっと現地まで行ってまいりましたが、砂防工事のしてあるようなところはほとんどないわけですし、ですからひとつ——宮崎、鹿児島といえば台風の銀座ともいわれるほど台風がたくさん来るし、水害も多いところなんです。そうしますと、そこから流出される土砂の中にそうした有害物質が含まれておればただ単に土呂久だけの問題ではなかろうと思うのです。そういうことを考えますと、私はこの際、環境庁はこれから被害調査をというようなことでなしに、もう早急にこの地区はひとつ調査対象地域とするのだということできめていただいて、宮崎県の調査を待っているというようなことでなしに、環境庁独自の調査を積極的に進めるべきだと私は思うのですが、いかがでしょう。
○船後政府委員 初めに、先生御指摘の砒素以外の有害物質の問題でございますが、現在土呂久では砒素が問題になっておりますが、鉱山のことでございますのでいろいろな物質が出てくるわけでございます。したがいまして、今後宮崎県で行ないますいろいろな調査につきましては、そういった点につきましても十分留意するように宮崎県に指示いたしておりますし、打ち合わせてそのような方針で今後の調査は万全を期していきたい、かように考えております。 なお、健康被害の指定につきましては、これはやはり地元でそういったおそれのある地区につき一まして、各県が実施いたしました基礎的な調査というものを踏まえまして、環境庁のほうで調査をするということになっておりますから、いま御指摘の土呂久の問題につきまして、土呂久地区に限るかあるいはその他の地区にも同様のおそれがあるか、なお宮崎県とも十分打ち合わせてまいりたい、かように考えております。
○西田委員 その、宮崎県でというのではなしに、環境庁独自で調査をやるかやらぬかということを聞いておる。
○船後政府委員 先ほども申し上げましたように、一応おそれのある地域というものを調査してみなければわからないわけでございますから、土呂久地区以外につきましても、おそれがあるかどうか、そういった現地の調査を踏まえて、必要があれば国の調査を行なう、こういうことで進めてまいりたいと考えております。
○西田委員 まあ多少気に入りませんけれども、とにかく宮崎県では相当な調査を進めておるわけでありますから、環境庁はその報告が出てくるのを待ってといわずにやはり乗り出していくということでなければいかぬと思うのです。先日大石長官は琵琶湖の水を、わざわざ行って自分で確かめておられるわけですから、長官のそういう気持ちに乗ってやはり事務局も動かなければいかぬと思うのですが、とにかくあまり時間がないので、ぜひひとつこれは調査されることを要求をしておきます。 次いで公害保安局のほうにお伺いするのですが、一月の二十口ですか、あそこにありました旧中島鉱山ですか、持っておられた事務所の中の書類が全部焼かれていますね。これは御存じですか。
○久良知政府委員 そういう話を聞きまして、私どものほうの立場でいろいろ事情を調べたわけでございますが、鉱山事務所に約十年の間放置をいたしておりまして、中が非常に荒れておった。実はこの問題が取り上げられましてから来山者が非常に多くなったわけでございます。それから国会の先生方も現地の御調査を親しくされるということで、山の管理の責任者が参りましたときに事務所の大掃除をいたしました。そのときに出たほご類その他を確かに二十日の日に焼いたようでございますが、私の聞きましたところでは書類全部ということではなくて、書類はそのまま残してあるというふうに聞いております。
○西田委員 それで私お伺いしたいのは、そうすると当然労働者名簿なんかは保管されておる中に残っておるのですかどうですか。
○久良知政府委員 どういう書類が残っておるか私承知をいたしておりませんので、この点は照会をいたしまして明らかにさせていただきたいと思います。
○西田委員 それはほごであったかどうか知りませんが、問題が起こってからその事務所の前で書類を焼くというようなことは私はやはり配慮をすべき事柄だと思うのです。私も行ってこの目で見てきたんです。列車の時間表だけは半焼けになって残っておったのです。しかしその他の書類は何か竹でつついたようにきれいに焼かれているんです。あの灰の量からするとかなりな書類が焼かれたように思うのです。しかしまだ重要なものは残っておるというのですから、ぜひ私はその中から労働者名簿をさがし出してもらいたいと思うのです。当時あの鉱山で働いておった人二、三人と私は直接話をしてまいりましたが、あの焙焼炉の焼きがまのそばで仕事をするのはたいへんな苦労だったということをおっしゃっているのです。そうでしょう、砒素はあるし、亜硫酸ガスは出るのだから。ですから、そうしたところで働いておった人たちが、あるいはいまどんな病気を引き起こしておるかわからないのです。先ほど労働省の答弁で、業務に起因するものなら、時効を問わず中断をしてでも労災で救済すると言ったけれども、肝心の労働者がどこへ四散しているかわからないということでは第一困るし、また働いておった労働者が、私はこういう症状が出てきたんだけれども、砒素中毒じゃなかろうか、亜硫酸ガスにやられたんじゃなかろうかということでかりに訴え出てきても、その人がそこに働いておったかどうかという証拠さえなくなるわけです。それはその人たちに対して実際申しわけないということになるのですから、ぜひとも残った書類を早急に調べて、私は、労働者名簿があったかなかったか後日でけっこうですから、委員長ひとつ報告をしていただきたいと思います。
○田中委員長 よろしいか。
○久良知政府委員 そのように取りはからいます。
○西田委員 次に、住民の中では非常に不安が出てきていて、砒素中毒だあるいは何だといわれると嫁のもらい手がないとか、あるいは御承知のようにあの地方はシイタケの産地でありますけれども、シイタケが売れなくなるのではないかというようなことから非常に心配をしておりまして、極力これを隠そうとしておられるわけです。しかし、行って聞いてみれば、ほうとうに住民不安というのは大きなものがありまして、ちょうどあの事務所の、おりてきたところのうちのおばさんなんかは、早く何とかしてくださいよと言っておられる。そこで何とかせいというのは何だといえば、もちろん被害者に対する救済、これはいま次官からも答弁があったとおりでありますが、もう一つはやはりズリ山であるとかあるいは鉱滓の捨て場、さらには原鉱がかなり残っておるわけですね。さらには昔、選鉱をやりました選鉱場がそのまま土呂久川の流域に放置されておる。これは岩戸村から、天の岩戸のあるところからもう少し上に上がったところにちょうど選鉱場が設定されておったわけですが、そこには原鉱がうんと残されております。こういうものが雨ざらしになれば当然浸水するでありましょう。またズリにしても同様であります。先ほど危険だからといって焼きがまを取りこわした、焼きがまを取りこわして土中に埋めたとおっしゃったが、そこに雨が降れば当然かまについておった砒素は土中に浸透するのではないかというような心配さえ出てくるわけですが、こうしたズリ山のいわゆる崩壊防止、さらには浸透防止というような点から、やはり谷川の水の流れを変えなければならぬという工事も出てくるわけでありまして、さらには、下流に流さないための砂防工事というものもやはり当然必要になってこようかと思うのですが、一体こういう工事はだれが責任を持ってするのですか。その点公害保安局長からお伺いします。
○久良知政府委員 土呂久鉱山に残されておりますズリ、それから精錬の焼きかす、それからさらに原鉱の堆積物等に対する処置がどうなるのかというお尋ねでございますが、去年の五月から十二月までに四回検査を実施いたしまして、ズリの堆積場につきましては、堆積物の流出の防止をいたしますために、のりじりに石がきをつくる、それからすでに石がきのあるもので不十分なものについてはかさ上げをするというふうなことを中心にいたしまして、かなりな指示を、いまの鉱山の管理をいたしております鉱業権者である住友鉱山にすでにしてあるわけでございます。これが大体二月中に完了する予定になっておるわけでございます。 それから、先ほど申し上げました焼きがまについておる亜砒酸でございますが、これは炉をこわします前に極力たがね等で取ったわけでございますが、やはりどうしても若干のものが残る可能性もあるわけでございますので、土中に埋めたわけでございますが、先生御指摘のように、さらにそれからやはり若干のものが溶けて出るおそれもあるわけでございますので、そういう心配のない場所を選びますと同時に、覆土をいたしまして、上に雨水が浸透しないように芝を張らせるというふうなことをやらせることにいたしておるわけでございます。
○西田委員 それはだれが責任を持つのですか、それの工事すべてについて。
○久良知政府委員 現在の鉱業権者でございます。
○西田委員 現在の鉱業権者といえば住金ですね。ところがあそこにやってきているのは鯛生鉱業がやっているのじゃないですか。住金にその責任を持たしておられますか。大体その鯛生鉱業は租鉱権を持っておるのかどうか。
○久良知政府委員 この休山中の鉱山の管理につきましては、住友が鯛生鉱業に委託をしておるようでございますが、責任は住友にあるわけでございまして、工事そのものは住友の責任において行なうということでございます。
○西田委員 それは間違いないですね。これははっきりしておかないと、住民の人たちのふんまんはそこからきておるのです。住金が持っておられるのにどうして住金がやられないのかということが非常に大きなふんまんになっておるわけです。したがって、これは通産省としても厳に住金のほうにその点は責任を持たすようにさせなければいかぬということと、それからいま、のりじりをこしらえて石がきを積んで、そこにズリ山を云々とおっしゃっておりましたけれども、いまの現状からいったら、あれは全然防止にならないのですね。そこに少しでも雨が降ったら、ずるずると石がきから飛び出すような状態になっておる。現にもう相当数こぼれ落ちておる、下に落ちておるのですよ。だからそうだとすれば、覆土どめのコンクリートを打って、あれはどういう工事か私は知りませんが、よく道路工事でやっておられる落石防止工事というのか、砂防どめというのか、そういう工事をやらせなければいかぬと思うのですが、そこまでやらせるおつもりをしておるか。さらには砂防工事はどうなのか。
○久良知政府委員 工事の具体的な内容につきましてはいまつまびらかにできないわけでございますが、必要があればもちろん先生がおっしゃるようにするわけでございます。
○西田委員 必要であればというのでなしに、もうやってほしいというのが住民の声なんですよ。だからやるならやる、やらせるならやらせるということをはっきり言ってほしいのですが、どうなんです。
○久良知政府委員 前回巡回をいたして指示をしてございますので、私どもといたしましては、公害防止に必要な施設ができ上がるというふうには考えておるわけでございます。
○西田委員 どうもはっきりせぬのですが、向こうでは公害保安局か監督署から来られた係官と一緒に私は歩いておったのです。そしてそれまでやらせるというまでの言明はなかったのです。ということは通産省本省からそういう命令も出てないということなんですよ。これで終わりだというふうに考えておられる。あなたはかまを危険でないところに埋めるとおっしゃるけれども、埋められた場所はちょうど土が盛り土になっていて、雨が一番よく当たるところなんです。木も何もないのですよ。そういうところに埋めておられるのですよ。ですから、そんなことではたして済むのかどうか、あなた自身一体土呂久に行ってみてそれを実際に対策をする意思があるのかどうか。
○久良知政府委員 現地の調査確認につきましては善処したいと思っております。
○西田委員 それはもう答弁はいつも善処なんですけれども、これは約束してくださいね。——ひとつ次官、これは約束してください。きょうは、通産省の役人に環境庁からはよう言えぬだろうけれども、そのくらいのことはひとつなにしてください。 次に土壌汚染について、土壌の汚染基準というのはもうでき上がっておるのかどうか。環境庁からお見えになっておられる方がおると思いますが……。
○岡安政府委員 土壌汚染防止法につきましては、有害物質は政令で指定をするということになっておりまして、現在カドミウムだけが指定されております。ですから、砒素による土壌汚染を防止するということであの法律の適用を受けるためには、砒素を指定して、それにつきましての地域の指定要件というものをつくらなければならない。そのためにはやはり砒素がどれだけ土壌を汚染した場合には作物の生育障害になり、また作物のほうに吸収されまして人の健康に被害を及ぼすかという関係を明らかにしなければならぬということで、至急私どもも調査いたしまして、それらの関係を明らかにし、それの結果が出次第、やはりこの法律の対象にいたしたいというふうに考えております。
○西田委員 そうすると、まだ砒素は入っていないわけですね。これは森永の砒素ミルク中毒なんかもあって、砒素というものは有害であるということはきょうの報告書の中にも明確になっておられるのですが、どうして入らなかったのか、これはちょっと私ども不可解の一つなんですけれども、それでは大体いつごろそれができ上がりますか。
○岡安政府委員 実は土壌汚染防止法のほうは世界でも初めての法律であるということでございまして、カドミウムにつきましてもなかなか因果関係が明らかでないということで、環境基準を鋭意いま努力中という状態であるわけでございます。私どもは銅につきましても至急作業をいたしたいと思っておりますけれども、砒素につきましても、現在資料が必ずしも十分でございませんので、私どもはできるだけ資料を収集し、急ぐということを約束するだけで、現在はいつまでというめどがつかないという状況でございます。
○西田委員 そういうことではほんとうに不安でならない。と申し上げますことは、先ほどもちょっと私申し上げたのですが、山口県さらに兵庫県、それから奥羽地方ですね。それから九州、宮崎だけでなしに熊本にも私は鉱床は伸びておると思いますが、硫砒系統の鉱床というものは、日本の地質学上そういうことになるのかどうか知りませんが、相当多くの鉱区が私はあると思うのです。そういうところからやはり砒素というものは相当検出されておるんじゃないか、たまたまこの土呂久の問題が氷山の一角として出てきたので、これはたいへんだということで、いま各県ともに、これはあまり表面に出すとぐあいが悪いんで、内密に調査を進めておるところもあるというように私は聞いておるのです。そういう点から考えれば、私は非常に急がなければならぬと思うのですね。ですから、申し上げられませんということを、何べん聞いても、いやそれならということで二回目に答弁を変えるということはなかろうと思うのですが、ぜひひとつ急いでください。これは次官にもお願いをいたしておきます。 最後に通産省にお伺いしたいのですが、全国で休廃閉鉱になった鉱山が五千から六千の間あって、その間に精密調査をしなければならぬ要精査の鉱山が千五十あるとおっしゃったわけですが、そしていま精査中だということですけれども、これは一体いつごろ完成するのか、その中には現在操業中のものも含まれるのか、あるいは休山、閉山、廃鉱のものだけなのか、それらの点についておわかりになる範囲でひとつお答えいただきたい。
○久良知政府委員 私先ほど申し上げました千五十の精査を要する鉱山につきましては、四十五年から四カ年計画で調査を進めておるわけでございます。五、六、七、八と四十八年に終わる予定で進んでおります。 これはいわゆる休廃止鉱山でございまして、現在稼行中のものは含まれないわけでございます。現在稼行いたしておりますものについては、一般の巡回検査で、大体少なくとも年に一回程度は巡回いたしておるわけでございます。
○西田委員 当然そうであろうと思うのですけれども、しかし操業中のものでも、大手企業がやっておる場合には、そうした面についても比較的無理をいっても、これはいうことを聞かなければいろいろとまた罰則というかそういうものもあるので、これはやむを得ずやるでしょうけれども、えてして鉱山というものは大手企業が鉱業権を持ってそのまま自分たちでその鉱山を採掘するというのは少ない。鉱床の大きさによってはほとんど中小企業に下請させておるというような現状から考えましたときに、またいわゆる山師と昔からいわれるように鉱山の採鉱主というのは比較的中小企業の人が多いと思うのであります、そういうところでやられておると、えてしてそうした安全衛生、特に環境保全というような点から不備な点が多々出てくるのではなかろうかというふうに私は思うのでありますが、そういう点に対する監督に万遺憾はないという答弁がしてもらえるかどうか。
○久良知政府委員 鉱山につきましては、経営者の規模を見渡しますとかなり格差があるわけでございまして、先生御指摘のように鉱山の数からいきますと大手の稼行しておる鉱山というのは少ないわけでございます。生産の量からいえばその大部分を大手の山が占めるということになりますけれども、そのほかに中小の小鉱山が非常にたくさんあるということでございまして、御指摘のように鉱害それから保安の問題等の大多数のものはやはり中小鉱山にあるわけでございます。私ども平時の監督にあたりましても、やはり中小鉱山のそういう対策というものに重点を置いてやっていっておるわけでございます。
○西田委員 この点については特別の配慮を私はお願いしておきたいと思うのです。ということは、やはり中小鉱山というのはもうほんとうに石を掘り出してどうにか売るだけのことですから、やはりたいへんな人力も要ることですし経費もかかることでありますから、なかなかそこまで手が伸びぬと思いますから、そういう点について特別な配慮と十分な指導をひとつお願いしたいということと、いま精査をしておられる各休廃鉱山のその調査を私はもっと速度を速めてほしい。おそらく土呂久もその対象になっておったのではなかろうかと思うのですけれども、それがこんな問題を引き起こしておるわけですから、これはもって知るべしということであって、全国至るところにこういう問題が出てきておると思って決して思い過ぎではないと私は思うのです。したがって、そういう点についてひとつ徹底的な調査を進めていただくことをお願いをいたしまして、まだまだ言いたいことたくさんあるのですけれども、時間が来たようでありますから終わりたいと思います。
○久良知政府委員 御趣旨に沿って格段の努力をいたしたいと思います。
○田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十六分散会