決算委員会 第15号
- 発言数
- 102 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1972/06/06
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、大蔵省所管及び日本専売公社について審査を行ないます。 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
○勝澤委員 私は、数年前に南米のアルゼンチンに参りましたときに、静岡県出身で、大学を卒業されて、外務省の海外農業実習生でブエノスアイレスの郊外で農業を営んでいる青年に会いました。最近その青年から郷里のほうに手紙が参りまして、その手紙を私のところに持ってまいりまして、何とか実情をよく調べてもらって善処してもらいたい、こういうお話がありました。手紙を見てみますと、われわれが知らない実情でありまして、やはりこの実情を知ると同時に、日本政府としても何らかの措置をすべきではないだろうか、こう思いましたので、きょうは少しその問題について質問をさしていただきたいと存じます。 この青年からの手紙によりますと、移住事業団から現在のコロニアに入るときに融資をしてもらった。当時一ドル・三百五十ペソで百万ペソ借りた。それがいま一ドルが九百五十ペソから一千ペソになって、利子を入れると百万ペソ借りたのが三百数十万ペソ返さなければならないような実情になっている。ことしひょうで花がやられたために、返済の延期を事業団にお願いして認めてもらったけれども、最近のインフレの実情は、ことしの一月から三月までで政府の発表でも生活費上昇が二〇%、実際には三〇%をこしているというような状態で、一ドル・三百五十ペソで借りたのが、今日では一ドルが千五百から二千ペソぐらいになるのではないだろうか、こういわれているわけでありまして、これは国柄の実情からいって、借りた移住者の人たちはたいへん返済が困難だということでございますので、この辺の実情について、外務省のほうからひとつ御説明を賜わりたいと思います。
○福田委員長 勝澤君に申し上げます。ちょうどいま外務省の遠藤領事移住部長が来られておりまするから、遠藤君からあなたの御質問に答弁させます。遠藤君。
○遠藤説明員 ただいまの問題について、お答え申し上げます。ただいま向こうの青年の方からのお手紙の披露がございましたけれども、インフレ並びにペソ貨の下落はそのとおりでございます。数年前に、昭和四十四年で申しますと、一ドルは三百五十ペソでございました。現在は大体において九・九ペソ、実はこれは一昨年の一月に百分の一のデノミネーションがございましたので、そういうことになるのですが、約三倍、値打ちにしますと三分の一にペソ貨が下がっているということでございます。外貨の上からはそういうことになりますし、もう一つ、インフレもかなりひどいことになっております。たとえば昭和三十六年から四十六年までの十年間をとってみますと、生計費は約六倍に上がっております。それから、あとでまた触れることになると思いますけれども、その間に農産物は約五倍というようなことで、その格差はございますが、いずれにせよインフレの状況はそういうことでございまして、入植者の方々は移住事業団から、土地の取得について、それから事業をやる上についての融資を受けるということで、かなりの借り入れをやっております。それについての今後の評価のしかた、返済にあたってどういうふうにやるかというようなことでいろいろ希望があるということも聞いておるわけでございますが、おいおい考えていきたいと思います。 それから、ただいまのひょうの害を受けたということがございますけれども、これはアルゼンチン、ブエノアイレスの南部のほうでこの三月初めにひょうの害をかなりひどく受けまして、特に日本の移住者の方でこのひょうの害を受けた部分が二カ所ございます。それを合わせまして大体被害総額五千ドルでございました。これにつきましては、移住事業団のほうで同額の融資をしてあげるということで、とりあえずの急場はしのいでおるような状況でございます。
○勝澤委員 それでは、まず私はひょうの被害に対する問題からちょっとお尋ねしたいのですが、ひょうの被害で五千ドルの融資をしたといっても、実際には今度返すときにまたドルで返さなければならないということで、ペソの値打ちがまた下がっていくわけです。ですから、借りるには借りたいけれども借りられないというのが実情だということが書かれておるわけです。ですからやはり根本的な問題は、現地通貨で貸せる、現地通貨で返す、こういうようにしないと、インフレが激しいわけですから、融資をしたといっても現実にはその融資の価値がないわけであります。ですからその辺について、私は、ひょうで被害を受けた、その融資をしているからいいじゃないかというところではやはり問題の解決にならないのではないだろうか、こういう点で、これは根本的な対策というのをもっときっちり早くしてあげるべきじゃないだろうかと思うのですが、その辺の関連についてちょっと御説明いただきたいと思います。
○遠藤説明員 この三月に五千ドルの融資をいたしましたし、それからまた今後も、いままでのところの方針といたしましては、ドル建てでやるということになっております。しかしさっきも問題が出ましたように、インフレがひどい、それからペソ貨の下落もひどいということからいいまして、返済する身になってみますと、ドル建てというものは非常にきびしいことになるということもよくわかる次第でございますので、この点についてはおいおいと改善策を講じていきたいというふうに考えておるわけであります。
○勝澤委員 手紙でもこう書かれているのです。「今後のひょう害でもドル建ての災害融資を事業団が出すということですが、たとえ園を整理しても、この融資を受ける人はなかったようです。」これは私は当然なことだと思うのです。ですから私は、アルゼンチンの場合はドル建てを現地通貨建てにしなければ根本的に問題は解決しないという点は外務省もおわかりになっていると思うのですが、この現地通貨建てに対する努力はどうなされておりますか、御説明いただきたいと思います。
○遠藤説明員 この移住事業団から移住者の方々に従来から行なわれておるもの、それから今後融資するものにつきまして、ドル建てでなくてペソ貨建てにしてほしいという要望はかねてから出ておるわけであります。その事情もまたよく理解できるところでございますので、できるだけ希望に沿うようにしていきたいと考えておるわけです。 それと同時に、もう一つ、移住事業団のそういう融資する場合のお金は出資金から出るわけで、全額国の出資になっております。それで国のほうにまた損害も与えないようにという立場もあるわけでございますので、その間の調整をいまはかっておるところでございます。
○勝澤委員 いま日本の国はドルが余って困っておる。片方でどうやって使おうか。しかし片方では、ドルで貸して、現地通貨が上がっておるのに無理無体とはいわぬでしょうけれども、ドルで回収さしておる。そして事業団自体が、やはり出資がドルだから、それをなるべく減らさぬようにということで、これでは私は根本的な移住者に対する融資にはなっていないように思うのです。これは、外務省が人さえ送ればいいのだということでなく、農業問題は国内と比べてみても私は移住者に対しては酷な扱いになっているような気がしてならないわけです。せめて国内並みにもっとやって、海外に出てやっているわけですから、条件をよくしてやれるようにしてやらなければいかぬと思うのです。それは外務省がもっときっちりものを考えて、対大蔵省との話をしていくということにならなければ、問題は解決しないと思うのです。いまのままで、与えられた金を減らさぬように減らさぬようにということで、出資金を減らさないようにということならば、これはだれでもできることなのですけれども、国家的な事業として海外移住というものを推進しているのですから、それを回収するというよりも、そこで居ついて気持ちよくその国の人たちに同化し、そこで働けるようにしてあげなければいけないと思うのです。 そこで、いま外務省のほうは、このアルゼンチンの債権の現地通貨建ての切りかえについて案をつくられて、大蔵省と話し合いをされているようでありますが、その話し合いはどんな内容で、どういう状況になっておりますか。
○遠藤説明員 これは実はブラジルについても同じような前例がございまして、一昨年にクルゼーロ建てに直したことがございます。そのときにはブラジルの大統領令が出まして、そうせざるを得ないような状況でございましたので、一昨年の三月にその一年前にさかのぼって実施するということでやった例がございます。それを参考にして、いま大蔵省と折衝中でございます。
○勝澤委員 一ドルが当時はデノミをやりましたから三・五ペソ、いま一ドルがあなたの説明でも九・九ペソ、三倍近くなっているわけですね。一ドルがいま九・九ですから、いまに十二なり十三ペソになっていく。こういうことで、貸した金の取り立てが、これじゃ遠藤さんどうでしょうか、無理だとお思いになるでしょう。ドルを借りた人はドルで使っているわけじゃないですからね。ペソにかえてペソでとにかく仕事をして、そして花を売って、いろいろな収穫がみなペソで収入されて、物価はどんどん二割なり三割上がっていく。農業収入のほうは一割か一割二、三分しか上がっていかない。しかし借りた借金は二倍にも三倍にもなっていく。これで移住者はやっていけますか。御感想をまず聞きたいと思うのです。
○遠藤説明員 ドル貨が高くなっていく、ペソ貨が下がっていく、それから国内的にはインフレがひどくなっていくという状況下において、そういうドル建てで縛られることは移住者に対しては非常な苦痛ですし、なかなか立ち上がれないという事情もよくわかるわけで、できるだけ早く解決案をつくりまして、それである一定のところでペソ貨を固定してしまうということで、それに加えまして支払い条件を穏やかにするようにしていきたい、それで十分立ち直れるようにやり方を考えたいということでございます。
○勝澤委員 借りている人は移住事業団に借りている。移住事業団は外務省が管轄している。そして外務省は大蔵省と話がつかなければそれができない。何千里離れた先で、遠い異国でやっている人たちの気持ちを考えたら、これはすぐやってあげなければならぬ問題じゃないでしょうか。日本でこうやってのほほんとして机にすわっているから、これは努力しましょうとか努力をすればと言っているでしょうけれども、現地へ外務省が派遣された海外移住ですから、もっと私はそういうのを敏感に政治がやってやらなければいけないと思うのですよ。あまりのんびりし過ぎているのじゃないかと思うのですよ。そういう点ではこの移住行政の中に棄民制度的な考え方がまだ残っている。それなら初めからやらなければいいのです。やっておいて、いまも話を聞いたって、国民全部に話をしたって、それはひどいものだ。だれも行く人はありませんよ、それは。そういうひどい実情がわかっているのですから、外務省はもっとしっかり一いまこうなっているのですよ。日本から行った人たちが、毎年毎年来てはいろいろ現地の話をいたしますけれども、しかし涙ぐましい努力をして、粒々辛苦をして、ようやく日本に帰ってきて、また向こうに帰っていくわけですけれども、そういう人たちの気持ちになって問題を解決してやらねばいかぬですよ。 それで、大蔵省側にお尋ねしたいのですが、主計官のほうがいいのでしょうか、政務次官のほうがいいのでしょうか、よくわかりませんけれども、やはりいまの実情は外務省から主計官の方は説明を聞いて知っていると思うのです。これは金を借りているほうからいえば、一体どうなるのだろう。借りた金が二倍にも三倍にもなっていく。ひょうでやられてしまった。物価は上がっていく。売るものはそんなに値上がりになっていない。これは別にむずかしいことではないし、金額的にも私は日本の国の中からいえばたいしたことないので、やはり早急に解決すべきだと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○徳田説明員 お答えいたします。移住事業団の現地における融資につきましては、ただいま外務省から説明がありましたように、原則として比較的安定性のあるドル通貨建てにするということがたてまえになっておるわけでございまして、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、全部そのようにやっていたわけでございます。ただ、いままでの唯一の例外はブラジルでございまして、これは現地の法律でドル建てによる融資ができないということで、現地通貨建てにしていたわけでございます。しかしながら、ただいま先生いろいろお話がございましたように、アルゼンチンの実情、これは昨年の九月に二重為替レート制をとりましてから非常にその点問題が出てきたようでございますし、移住された方々が非常に苦しんでいるということも十分に理解できますので、自主的に現地通貨建てに変更する最初の試みということになると思いますが、今回アルゼンチンにつきましては、外務省からもいろいろお話がございましたので、現地通貨建てにすることを検討したいと思っております。ただ、先生も御存じのとおり、換算レートをどのようにするかということにつきましては、国際的にいろいろ影響もございますし、微妙なこともからみますので、いまいろいろと資料を集めている段階でございまして、その辺の検討が終わり次第に、なるべく早急にそういう方向で処理したい、このように考えております。
○勝澤委員 徳田さん、いろいろ資料を集めて早急に、こう言っているのですけれども、私からいえば、この手紙の主人公は、実は私がお嫁さんを世話してやったわけです。これはまさに写真結婚なんですよ。現地の青年を見てきて、お嫁さんをという話があって、おうちへ帰りましておにいさんと相談しながら、お嫁さんを世話して、まあこれならええだろうということで行ったわけですよ。この手紙を見て私もびっくりして、身をちぎられるような思いがするわけです。あなたも去年の九月ごろから起きているという認識を持っておるわけですから、日本の政治はそんなにおそいものではないと私は思うのです。見通しもはっきりしているわけですから。政務次官、これはまああなたと、いまの福田さんが大臣の間にきめて、ひとつやらしてくださいよ。外務省のほうから聞いてみると、いや、この夏あたり主計官が現地を回って実情を見て、それからというようなお話であります。そうすると、夏か秋ですよ。これは気の毒なことですよ。いま私が話をした実情は、外務省はよくわかっておるわけです。わかっておるわけですから、外務省としてもこの案を出してきているのだと思います。外務省としては、これはまさに案でしょうけれども、三月三十一日付で一ドルを八ペソの割合でアルゼンチン通貨に切りかえたい。貸し付け金利は一六%、貸し付けは九年。まあ一ドル・八ペソがいいか悪いか私わかりませんが、そちらは専門家でしょう。しかし、金利が一六%と、日本に比べたらとんでもない高い金利だと思うわけですけれども、理屈を聞いてみると、ブラジルが一六%だからここもということです。これが時間があれば根本的に、一体こんな高い金利でいいのか悪いのかという議論があると思うのです。しかし、主管をしている外務省が案を出しているわけですから、私はその問題よりも、いま働いている人たちが心配のないように早急にしてやらねばいかぬ。ひょうで被害を受けたので、事業団が五千ドル融資をしたといっても、実際はその金を借りる者がないということを私はこの手紙で知りましたけれども、遠藤部長のほうはまだ向こうから通知が来なければそんなによく実情はわかっていないと思うのです。金をやったから何とかなっているだろうと思っているのではないか。しかし、いまドルを借りても、来年再来年は、この金額が借金で重なってたいへんなことになるということは、いまの話でわかっているわけですから、ドルで貸せる金はなかなか借りられない、だから、それはひょうの対策になっていない、何も親心はない、こう思うわけです。ですから、中身の問題はとやかく言いませんけれども、この問題は、いまはもうあとがどうとかこうとか言っているときで、あんまり延ばすときではないわけです。そうしてまた、簡単にきめようと思えばきまることですから、この辺で思い切ってきっちり二、三日じゅうにでもきめて、安心を与えてもらうようにしたいと思うのですが、政務次官いかがですか。
○田中(六)政府委員 勝澤委員の御指摘のように、現地ではわれわれが想像する以上に実生活に直結しているだけに苦しい立場にあると思われます。幸いに大蔵、外務両事務当局では、現地建て通貨に返済を切りかえるという根本的な基方本針がきまっているようでございますので、勝澤委員のおっしゃるように二、三日うちにということはどうかと思いますが、原則がきまっている以上、早急に実行に移さなければならないというふうに思っておりますし、そういうふうにしたいと思います。
○勝澤委員 特に外務省の遠藤さんにもお願いしておきますけれども、これはやはり日本と違って、遠い国におる人たちのことです。私も数年前回って、涙が出るような思いで現地の人たちと会ってまいりました。ですから、実はひしひしと感ずるわけであります。しかし、現地におったときと、離れてこちらへ来たときの感覚は、どうしてもスローモーになることはやむを得ないことだと思うのです。それからまた、徳田さんも言われるように、大蔵省からものを見た場合は、やったドルがあまり減らないように、パラグアイやウルグアイともにらみ合わせながらうまくやってくれさえすればいい、その中でやってくれさえすればいいというものの考え方をすることはやむを得ないことだと思うのですけれども、やはりこういうものは別のものなのだという点でお考えをいただいて、いま政務次官が言われたように、この問題をとにかく早急に解決してもらうと同時に、もう一度、こういう海外移住の人たちに対する融資というものはこれでいいだろうかという点の再検討もぜひひとつしていただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
○福田委員長 勝澤君に申し上げます。あなたの先ほど来の御質問に対して、大蔵当局の政務次官からも御回答がありましたが、直接主管者である遠藤移住部長より所信表明をさせとうございます。遠藤君。
○遠藤説明員 現在の移住行政の一番大きな眼目といたしましてわれわれがとっておりますのは、既移住者の援護の拡充強化ということでございます。これはいろいろな面から、すでに移住地に入っておられる移住者の方々に対する援護を内容的に、それから規模の上からも拡充強化していきたいということで、予算の面で、それから実際の移住事業団の仕事の上で実施されておるところでございまして、これに携わる者みんながそのつもりでやっておるわけでございます。問題となっておりますドル建てのために移住者の方々が非常に困る立場に置かれているということは、この既移住者に対する援護の拡大強化という点から申しましても非常に大きな問題でございますので、この点に従来とも取り組んできているわけであります。いまもいろいろお話がございましたように、大蔵省との間の話もだんだんと煮詰ってきております。できるだけ早い機会にこれをペソ貨建てにいたしまして、しかもできるだけ有利な条件で実現いたしまして、移住者の方々が元気一ぱい働けるように、そして移住者としての成功をかちとることができますように応援してあげたいというつもりでやっておるわけでございます。
○勝澤委員 どうもありがとうございました。
○福田委員長 以上で一応勝澤君の御質問の終結を見ましたので、乙の際、西宮弘君の発言を許します。西宮君。
○西宮委員 私は専売事業について若干お尋ねをいたしますが、まず冒頭に、会計検査院が指摘をいたしました指摘事項について御説明をお願いしたいと思います。ただし、会計検査院が指摘をいたしましたこの事項については、実は私も衆議院の調査室を通じまして資料を徴しておりますので、一通りは承知いたしておりますから、ごく要点だけお答えいただきたいと思います。時間の関係がありますから、要点だけかいつまんでお答えをいただきます。
○福田委員長 西宮君、いまのあなたの質問に対して斎藤総務理事に答弁させます。斎藤君。
○斎藤説明員 お答え申し上げます。この事件は専売公社の札幌地方局管内の函館支局に起こりました事件でございまして、同支局におきまして製造たばこの出納保管、倉庫の運営を担当いたしておりましたたな卸資産出納員の谷藤某ともう者が、その職務を利用いたしましてハイライトを不正に持ち出しました。数量にいたしまして六十九万三千二百個というものを横領いたしまして、そして適当に売りさばいて、その金をみずから着服をして遊興その他に使っておったという、そういう事件でございます。
○西宮委員 この問題については、政府委員室を通じて連絡をしておきましたので、専売公社のほうでも答弁の用意をしておられたと思うのでありますが、私が特にお聞きをしたいのは、一体この問題はどちらに責任があるのか。その犯罪を犯した個人、もちろんその人が悪いことは当然でありますが、しかし、もし制度として機構とかそういう点に欠陥があったということであれば、これはその本人もさることながら、同時にその監督者あるいはまた団体そのものに責任があるというふうに考えざるを得ないと思うのであります。たとえば、非常に厳重にかぎをかけたけれども、普通の常識では考えられないそういうところから犯人が忍び込んだという場合と、かぎはかけないであけっぱなしにしておいたという場合と大さな違いがあるわけであります。そういう点から、この問題はどちらにより大きな責任があるのか、あるいはもっと言いかえれば、公社の立場からはそういう点について手ぬかりはなかったのかということをお答え願いたいと思います。
○斎藤説明員 ただいまの御質問でございますが、実はこの事件が起こりましたと申しますか発覚いたしました直後、ほかの支局なり出張所にもこういったことがあってはということで、直ちに全国の事業所に対しまして在庫の一斉調査をやらしたわけでございます。そのほかのところでは全然間違いは起こりませんでした。したがいまして、一般的にこういったことが、公社の仕事のやり方の仕組みとして起こるような仕組みになっていないというふうには考えております。ただ、問題は、もちろん本人にもいろいろなことがあったかと思いますが、この事件の起こりましたポイントは、一見本人が、これはあとから考えますとたいへんな間違いであったわけでございますが、たいへん出勤状況もよいし、態度もよろしい、仕事もできるというふうなことで、つい信用し過ぎたという点が一点あったかと思います。それから、監督者でございます課長なり支局長なりというものが、随時あるいは定められた月、たとえば支局長の場合、月一回倉庫に入って現品のチェックをやってみるというような規定になっておるわけでございまして、そういったことがきちんと行なわれておりましたとすれば、こういったことが起こらないはずのものでございます。かりに起こるといたしましても、こういった長期にわたって大きな損害になるようなことはないはずでございますけれども、とかくこういったチェックの仕事と申しますものは惰性に流れると申しますか、形式的に流れて、実態的にチェックになっていなかった、そういったところに一番大きな問題があるのではないかというふうに考えまして、この事件が判明いたしましたあと、そういった点に重点を置きまして本社といたしまして地方を指導しておる次第でございます。
○西宮委員 ほかを調べてみたけれども同じような問題は起こっておらなかった、したがって仕組みに問題があるとは思わない、こういう考え方は私は根本的に誤りだと思うのですよ。ことにこれは専売公社としてもほとんど前例がないといってよいほどたいへん大きな事故だったと思う。金額にして五千万をこえる、そういう横領でありますから。たった一人の人間が五千万をこえる金額を横領している。しかもそれが三年間にわたっている。その三年間に全然気がつかなかった。しかも発見の端緒は、本人が記帳をする際間違ってミスをした。それでたまたま発見された。もし本人の記帳にミスがなかったらば、これはもっともっと続いていく、こういう可能性が十分にあったわけです。したがって、そういうことを考えると、これは明らかに仕組みあるいは組織、そういうところに欠陥があったというふうに考えざるを得ないと思う。特に、いまのたなおろしを十分にチェックしなかったという点は重大な問題だと思います。たった一人の職員にまかせっきりでたなおろしをやらせておったというところに問題があるということは当然だと思う。 さらにそのほか、およそこういうものは、どこでも相互牽制という組織を持っておるのは当然だと思う。たった一人の人間が数年の間にわたって同じことをやっており、何ら相互牽制の組織がないということになれば、それは人間の弱点で、いつそういう誘惑におちいるかわからぬ。たまたまよその地方はそういう誘惑におちいる人間がいなかったからそれで済んでおっただけの話で、そういう相互牽制という制度がなければこういう問題の起こるのは当然だと思うのですね。私は、そういう観点から、これは明らかに公社の制度なりそういう点に根本的な問題があったというふうに考えざるを得ないと思うのだが、その点は総裁いかがですか。
○北島説明員 このような事件が起こりましてまことに申しわけなく存ずるわけでございますが、ただ当人の方法がいかにも巧妙だった点が一つはございます。と申しますのは、売りさばきましたあとのあき箱を公社の製造たばこの入っております倉庫の中のほうに積んでおくわけです。ですから現品検査いたします場合にも箱数は合うということなんです。中まで登って一々ダンボールをたたいてあき箱かどうかを見ることをしなかったという点があるわけであります。その点は非常に巧妙なことではございましたが、現品検査の際やはりそこまで注意をしなければならぬのだということを、私どもこれによって深く反省いたしておるわけでございます。
○西宮委員 この問題で時間をとりたくないので終わりにいたしますが。私は、根本的にはやはり相互牽制という点が欠けておったと思うのですよ。それから一人の人間が一つの職種、職場に長年勤務をするというところに問題があったと思うのですね。専売事業は、一般の小売り商人との接触もあるし、その他いろいろ、かなりそういう誘惑におちいる危険性を持っておる。そういう点から考えても、そういう人事の管理というような点にもルーズな点があったのではないかというふうに私は考えるわけです。何といってもそういう相互牽制というようなことをやっていかなければ問題の解決はとうていできない、根絶はできないというふうに考えるわけです。十分その点を、反省をしておると思いますけれども、今後再び繰り返さないように注意をしてもらいたいと思います。しかも、これは五千万をこえる損害を専売公社に与えて、ほとんど補てんされない。もうほとんどそれは本人が横領したままになってしまって回収されないというふうにも聞いておるので、それではたいへんな損害だと思うのですね。十分今後自戒をしていただきたいと思います。 それでは次に本論に入りますが、専売公社ではさきに、昭和四十三年十一月に長期経営計画を立て、あるいはさらに次の年の六月には第一次中期経営計画を立てたわけであります。私はこの計画が今日どのように実施されておるか、つまりどんな成果があがっておるかという実績をお聞きしたいと思うのであります。第一次中期経営計画によりますと、昭和四十四年から発足をいたしまして、ちょうど三年を経過したわけですね。そして七、八と経過をすればこの計画はこれで終わりになる、そういう段階にあるわけでありますから、三年間の実施の経過はどうであったかということについてまず簡単に紹介していただきたいと思います。
○斎藤説明員 長期経営計画なり第一次中期経営計画、いろいろな項目がございます。いまその成果をという御質問でございますので、まとめておりませんが、気のついた大きな点を申し上げますと、第一点は、製造の面の問題でございます。製造面で、一つはたばこの品質の問題といたしまして、毎度申し上げておりますが、いまニコチンなりタールなりの少ないたばこが非常に好まれてきておるということで、たばこの品質の中身を変える、公社のことばで本格ブレンドというふうな呼び方をいたしておりますが、要するにたばこの葉そのままを刻んで吸わせるというのではなくて、加工をいたしまして、ニコチンなりタールを下げて軽くしていくといったような製品、こういうものがとにかくいまだんだんと出始めてきている、そういった製造の中身の改正というものがございました。それから製造工場につきましては、これも古い工場がいろいろございまして、これをできるだけ近代化をしようということで、たとえば工場の統合をやりますとか、それから工場を新しくして二交代制の工場にするとかいったような点が相当計画どおり行なわれております。 それから原料の関係につきまして、原料を処理する工場が全国に現在十六カ所ございますが、古い工場が実はございまして、原料の使い方なりあるいは産地なりが変遷をしてまいるに従って、そういった工場を統合いたしたり廃止をいたしたということをやっております。 それから販売の面でございますが、販売を含めまして公社の事業をやります場合に、全国に五百ばかり事業所があるわけで言いますが、これも古い歴史的な配置になっている点もございますので、その辺の整地統合ということもこの四月一日からやっております。それと同時に、仕事のやり方もより能率的に変えていこうというふうなことをやっております。 それから、大きな問題でございますが、原料の問題でございます。原料そのものの耕作面の問題、これがたいへんむずかしい問題でございまして、できるだけ品質のいい、品質的に問題がない葉たばこをできるだけ合理的に生産をするというふうなことを目標にしてやってまいっております。本年度から約一万ヘクタールの、黄色種という種類でございますが、それを新しい低ニコチン、低タールという品質に転換をすることを始めてまいりました。この原料の問題は非常にむずかしい問題で、現在、将来の展望を含めまして具体的にどうしたらよろしいかということをいろいろと検討いたしておる最中でございます。 気がついた大きいところを申し上げますと、そういったことでございます。
○西宮委員 総裁に伺いますが、第一次中期経営計画を立案された動機は何であったろうか。この計画書を見ますと、私はおそらくこれがこの計画をつくった動機じゃないかと思うのであります。何となれば、それは冒頭に書き上げられておるわけでございまして、「自由化を軸とする事業環境の展開は、従来に増してその速度と圧力を加えるものとみられる。」こういうことをいっておるわけであります。つまり自由化の圧力ということで、それに対応する問題を取り上げる、こういうことがおそらくこの計画をつくった一番の動機ではないかというふうに考えるわけですが、もしそうだとすれば、この問題に対する現在の実情、あるいはこれに対する対応、そういう点はどういうふうになっておりますか。
○北島説明員 第一次中期計画は、実は私の着任前でございましたが、参りまして、内容を検討して、この路線でいこう、ただし状況の変化に応じて補正はしなければならぬけれどもと、こういう態度でまいっております。ただいまのところ、第一次中期計画は、先ほど斎藤が申しましたように、大体順調に遂行してまいりました。 そこで自由化の問題でございますが、それをどういうふうに考えるかという点でございます。やはり世界の趨勢は自由化の方向へと向かっている。これは事実でございまして、わが国は外国から、もっと自由化せい自由化せい、こういうふうな圧力があるわけであります。現在専売公社は、外国の製造たばこ輸入につきましても、一手でこれを掌握いたしまして、きわめてきびしい制限のもとに輸入いたしておりましたが、こういったきびしい輸入制限というのは、やはりだんだんとゆるめていかなければ世界の非難の的になるのじゃなかろうか、それが実態に合うのではないか、こういうふうに考えておりまして、こういった製造たばこの極端な制限はだんだんとゆるめていく必要がある。しかしそれとともに、専売公社はそれに負けてはならぬので、専売公社としても外国のどんなたばこが入っても負けないようなたばこをこれからつくっていこうではないか。それはまず第一に、やはり新しい世界の嗜好の傾向に沿ったたばこでなければならぬ。しかもそれは今後外国たばこの輸入に対応するとともに、外へも出られるような製造たばこでなければならぬ、こういった方向で一生懸命考えておる次第でございます。
○西宮委員 この第一次中期計画をつくった動機は私はその点にあったと思うのでありますが、現在もそういう外部から迫ってくる自由化の圧力は変わっておらない、こういうことであれば、十分それに対応する措置を講じなければならぬということが当然に考えられるわけであります。そういう点で、いまは例の外国との間でいろいろ折衝が行なわれているということでありますが、たとえば日本のたばこを海外の輸入国の嗜好に合うたばこにして売り出す、あるいはまた、いわゆるクロスライセンスというようなことになりましょうから、向こうのたばこもこっちに持ってこなければならぬ、こういうことになりましょうが、そういう点からいま問題になっておること、あるいはまた近い将来に具体化する問題、そういう点はどういう状況にあるか。これは総裁でなくてけっこうです、お答えいただきます。
○斎藤説明員 ただいま先生の御指摘にございました外国との関係で、実は正直に申しまして専売公社は戦後国内の需要をどうやって満たすかということに多年追われてまいりました。したがいまして、外国に対する輸出といったようなことについては、かなりあとになってそういうものを始めたということは、率直に申し上げてそういうことであると思います。したがいまして、現在たとえばソ連でございますとか、ブルガリアでございますとか、あるいは香港その他いろいろなところに輸出の努力をやっておりますが、アメリカなりヨーロッパなりの先進国がすでにそのマーケットを占拠しておりまして、なかなかこれに食い入るのに苦労をしております。しかし、苦労をしておるからといってあきらめないで、そういったことはなお年々努力を続けておる次第でございます。 それと並行すると申しますか、あるいは別に、ただいま先生から御指摘がございましたライセンス問題というのがございます。これはヨーロッパの諸国あたりではかなり行なわれている方法でございますが、たとえばヨーロッパのある国がアメリカのたばこ会社と契約を結びまして、そしてアメリカのそのたばこ会社のブランドを自分の国でつくるというようなやり方、そういったものがかなりポピュラーになってきております。専売公社におきましても、先方からのそういったことをやったらどうかというお話が、実はもう四、五年前からございました。慎重にいろいろと検討しておったわけでございますが、これから、先ほど総裁から申し上げましたように、いずれ外から輸入するものをそういつまでも制限しておくというわけにもなかなかまいりにくいという状況は片方にございます。片方には、輸出といっても、普通の輸出というものは、そう言うだけでなかなかうまく実効があがりにくいというような事情もございます。したがいまして、むしろこの際、向こうのブランドをこちらでつくる、そのかわり日本の場合にはこちらのブランドも向こうでつくりなさい、そういう意味でクロスと言っておるわけでございますが、お互いに銘柄を交換し合って、そして外から来る圧力というものもそれで受けとめながら、専売公社の製品というものが向こうに出ていくということを助長する、そういった考え方でこの問題を検討している次第でございます。
○西宮委員 海外にも一生懸命売っておるけれども、他の国に占拠されておって食い込むのは容易でない、こういう話でありますが、実は先般、いまも香港という話がありましたけれども、たまたま香港に行った人の話を私は聞いたのでありますが、まことにちゃちなやり方で、とてもお恥ずかしくて、あんなことではあそこへ日本のたばこを売り込むということはとてもできないのじゃないかというようなことを見て、非常に情けなかった、こういう報告を聞いたのでありますが、私は、せっかく海外に市場を開拓するといいながら、そういうやり方ではとうていその成果をあげることはできないと思うのでありますが、たまたま私が聞いたのは香港の実情にすぎないのですが、よその国ではどうなんですか。そういう点について十分手落ちのないだけの体制ができているのですか。
○斎藤説明員 確かに私どもがやっております香港におけるマーケット活動と申しますか、これは十分であるというふうに申し上げるような状況になっていないかと思います。香港と申しますのは、御承知のとおり、世界各国のただこの集まってくるところでございまして、たいへん競争の激しいマーケットでございます。かなり思い切った施策をして、相当お金をつぎ込んでやらなければ、なかなかうまくいかないといったような感じがされるマーケットでございます。ですから、私どもといたしましても、できるだけ予算の範囲内で市場活動というものを充実したいと思っておりますが、いろいろ見てまいりますと、どうも人にまかせっぱなしというのが一番いけないようです。あるディーラーをつかまえて、そのディーラーの力でたばこを売っておるわけでございますけれども、私ども専売公社のほうから人をやりまして、そしていろいろ市場の調査をし、販売の督励と申しますか、そういったことをやりますと、その期間だけは売り上げが上がるといったようなことを実績としてつかまえましたので、今後は人をできるだけ常駐させて、そして自分の手で実質的に売っていくというような体制を強化していく必要があるのではないかということで、本年度からそういったことをやりたいというふうに考えております。
○西宮委員 先ほど総裁は、そういう海外からの圧力がある、しかしそれに負けてはならぬ、日本の専売制度は守っていかなければならぬ、こういう答弁があったわけでありますが、このことは、今日日本の専売制度、この制度そのものをあくまでも維持していく、こういう意味でお答えになったのでしょうか。総裁のお考えをお聞きいたします。
○北島説明員 わが国の専売制度の可否につきましては、戦後だいぶいろいろ論じられたわけでございまして、たしか昭和二十六年ごろから、委員会もおそらく三年ごとぐらいに設けられまして、やっております。最後は、昭和三十五年の専売制度調査会でございました。その結論によりますと、民営論、専売論、いろいろ優劣を比較いたしまして、専売収入の財政収入に占める地位と、それから民営移管の困難性を考えるとともに、専売制度を考えながら、結局のところ現在の専売制度のもとにおいて運営に改善を加えるべきこと、こういった結論になっております。私もそのとおりだと存ずるわけでありまして、専売制度はやはり維持すべきもの、こういうふうに考えております。
○西宮委員 この点について政府の見解をお聞きをしたいと思うのでありますが、専売公社の考えはいまそれでわかりましたが、大蔵省としては、その点はどういうふうに認識をいたしておられますか。
○福間政府委員 私どもといたしましても、ただいま公社の総裁から御答弁がありましたように、現行の運営に改善を加えて今後存続させることが望ましいという三十五年の専売制度調査会の結論を変えなければならない特段の理由があるとは考えておりません。
○西宮委員 これは大きな政策の問題でありますから、監理官の見解もさることながら、政務次官の御意見も伺っておきたいと思います。
○田中(六)政府委員 専売公社の総裁並びにいま監理官がお答えしましたように、私どもといたしましては、根本的には運営その他の改善は必要な場合があると思いますが、専売公社のこの制度を変えようという気持ちは現在のところ持っておりません。
○西宮委員 たとえば行政管理庁等から、あるいは行政管理庁長官の個人的な見解かもしれませんけれども、ときどき新聞等を通じて民営移管論というのが出てくるわけです。いま政務次官が答弁をされたそのことがこの専売事業については正しい見解だというふうに私は考えておるわけですが、行管等からそういう意見が出てくるのに対して、大蔵省としてはどういうふうにお考えですか。
○田中(六)政府委員 たばこの民営につきましては、外国にもあることでございますので、民営にするか、専売にするかという議論は、いままでもそうでしたが、今後もそういう議論は出ると思います。行政管理庁からそういう現在の専売公社の制度そのものを改革したらどうかというような答申あるいは意見が正式に出た場合どうするかということでございますが、そのときになりましたら、またそういうことを検討していく以外にはしかたがないというふうに考えます。
○西宮委員 いまの最後は何ですって。行管等からそういう意見が出てきたらば、そのときはそれについてもう一ぺん考える、こういう答弁ですか。
○田中(六)政府委員 まあそういう勧告並びに答申というようなことは、一応無視するわけにはいきませんので、そのときになりましたら、また検討しなければならないというふうに考えます。
○西宮委員 そういう問題が出てくれば、当然それについて考える、それを議題にして検討するということは当然でしょうけれども、大蔵省の見解としてどうなんですか。さっき大蔵省の見解をお聞きしたわけですね。そこで私は、ただ行管等ではそれと違った見解がときどき発表される、したがってそれに対する大蔵省の態度はどうか、こういうことをお尋ねしたので、問題が出てきたら検討するのはもちろんでありましょうが、検討する際の大蔵省の態度はどうなのか、こういうことをやはり明らかにしておいていただきたいと思うのですね。
○田中(六)政府委員 先刻申し上げましたように、専売公社の制度そのものを変革するという気持ちはいまのところございませんので、そういう行管その他から変革についての御意見並びに答申などが出た場合どうするかということでございますが、そのときになりましたら、私どもも、客観情勢とかいろいろなもので変化がございますので、そのときには検討し、そのときの事情なども十分勘案してきめなければならないというふうに考えます。
○西宮委員 それでは、とにかく大蔵省の考え方、それは専売制度を変える意向はない、そういうことを冒頭に述べておるわけですから、それを前提にして、たとえば行管等の意見に対しても大蔵省のいま言った大前提のもとに折衝するということになるのでしょうから、それじゃこれ以上申しません。たとえばECの中でフランス、イタリア等が今度民営に移す、こういうことが日本にもやはり考え方の上で相当な影響を与えていると思うのですが、これはやはりECという特殊な、あれ全体で経済はもとより政治的にも一つの団体をつくっていこう、そういう特殊な状況下にあるところでありますから、その内部で違った制度があるということは好ましくない、こういうことでおそらくフランスあるいはイタリア等は民営に移管する、こういうことが考えられているのではなかろうかと思います。したがって海外のそういう現象から影響されたりすることのないように、この点は念を押しておきたいと思います。 その次は納付金率の制度でありますが、これが三年間の試行ということでやっておりますけれども、その三年間の試行が終わったらどういうことになるのかという点について、どなたでもけっこうですが、お答えを願いたいと思います。
○斎藤説明員 先生から御指摘ございましたように、現在日本専売公社法に納付金の規定がございます。その法律の範囲内におきましてその法律の運用のやり方というものは大蔵省と約束をいたしまして、三年間、四十六年度から三年間その覚え書きに従って、テストとして納付金率制度、仮称でありますが、そういうものをやってみようということで、やっと四十六年度が終わったのが現在の段階でございます。もともとは公社として、いわば実質的には税に当たる部分、それをどれだけ負担すればよろしいか、それを明らかにしてほしい、そのことが経営の責任をはっきりするということでございますし、あるいは実質的に企業を運営していくということにもつながるということから、そういった議論が出てきたわけでございますが、三年間試行をしたあとどうするかということについては、結論から申し上げますと、いまのところまだきまっておりません。試行を重ねまして、その結果を見て、どの道が一番よろしいかということを考えるわけでございますが、思いついたことを申し上げますと、一つは、税という形できめるというやり方が一つございます。それからもう一つは、いまのようなやり方を法律にして法律でもって納付金率をすぱっときめてしまうというやり方、それからもう一つは、法律はいまのままにしておきまして、法律の運用ということでいまのようなやり方でやっていくといったようなやり方、いろいろあるわけであります。法律にしたほうがものごとが安定するというようなこともございますが、法律にいたしますとまた逆に弾力性がなくなるといったような問題もございます。その辺のところ、試行期間のテストの結果というものを十分に検討いたしまして、いずれの道をとったらよろしいかをまた大蔵省とも相談しながらきめてまいりたいというふうに考えております。
○西宮委員 私は、いまの大蔵省との覚え書きでやっているのなら、これは何といっても不安定だと思うのですよ。ですから、やるのならば法律にしたほうがよろしいというふうに考えるわけですが、この実績はまだ一カ年ですから、これでこれが終わったあとどうするかということをいまにわかに判断するのは困難だろうということは私どもにもわかります。ただ、こういうやり方からさらに発展をして消費税制度に移行するということに対しては、私どもとしては非常な不安を感ずるわけです。その点についてそういう心配がないかどうか、お答え願いたいと思います。
○斎藤説明員 もともとこういったことが考えられましたスタートは、たしか四十三年度でございましたか、消費税制度ということでこの問題を解決したらどうかという話から発展してまいったわけであります。税については、税としてまたいろいろと問題があったわけでございます。そのために実は実現をしなかったわけでございます。したがいまして、現在は税という形でなくて納付金率制度ということで、しかもこれも大蔵省との約束という形でいまやっておるわけでございますが、税がいいか、いまのような納付金率をきめるというやり方がいいのかということについては、いろいろこれまで検討したものもございますが、今後もいろいろ検討してまいらなければならぬかと思います。どちらがいいか、一長一短がございまして、私がここでどっちというふうに申し上げるようなことじゃないと思いますが、今後ともその辺を十分に検討して結論を出してまいるべき問題であると考えております。
○西宮委員 私は、税という形でとにかく有無を言わせず差っ引いてしまうということは、公社の運営としては適当ではない。いろいろ公社には公社としてこれから内部には仕事がたくさんあるわけですね。たとえば、さっきから話になっておりますような国際競争にも耐えるたばこをつくるというようなことになれば、設備の近代化ということももちろん必要でありましょうし、あるいは労働条件の改善というようなこともこれまた重要な課題だと思うのですね。そういう大事な問題をかかえておるのでありますから、それを消費税というようなことで頭から差っ引かれてしまうということは、いまあげたような公社内部の問題の解決の際に非常な困難があるのではないかというふうに考えるので、私はぜひとも消費税に移行するということだけはやめてほしいというふうに考えておるのですが、その点についてもう一ぺん答えてください。
○斎藤説明員 実は私のほうの説明が不足しておったかと思いますが、税といたしますか、納付金の率できめますかということについて、どちらできめましても、いま先生の御指摘になりましたような問題は公社に残ります。公社としてこれから、先ほど総裁からいろいろ答弁申し上げましたように、国際競争に勝てるような企業にしていかなければいけない、そのためには企業の近代化もやらなければなりませんし、また御指摘の従業員の問題なども考えてまいらなければならぬ、これは当然でございます。その場合に、税と納付金の率をきめるというのはどういうふうに関係してまいるかと申しますと、これは結局税ときめました場合の税率の高さ、あるいは納付金の率をきめた場合の率の高さ、公社にとってそういった近代化もできない、従業員の手当もできないといったような高い率できめられますと、形式は税であろうと納付金であろうと、たいへん苦しいことになります。したがいまして、いまの先生の御指摘の御議論は、そういった専売公社として負担するものをどの程度の高さにするかという問題であるというふうに考えております。それと別に、税にするか、納付金の率にするかということにつきまして、またいろいろ技術的な問題もございますので、その辺はいろいろと今後検討してまいりたいということを申し上げた次第でございます。
○西宮委員 現在やっております制度も、第二種負担金ですか、これのほうは利益率に応ずるわけですね。しかも三六・五%でしたかね、そういうところでとどまっておる。こういうことであるわけで、私はやはり公社のあげた収益ということをまず見て、その上でその率を算定するということが正しいのではないかと思うのですよ。そうでないと、さっき言ったような非常に弾力性を失ってしまうというような問題が出る。したがって、消費税に移行するということは単純に率だけの問題なんだ、そう簡単に言ってしまわないで、これはあくまでも慎重に検討してもらいたいと思います。 それから、これに伴っての内部保留金の問題ですね。これは公社法には積み立てができるという規定があるだけで、使途については何らの制限がない、こういうことになっておるわけですが、私は、使途については何らの制限がないという点について、おそらく不安はないと思うのですけれども、これもまた場合によっては国庫に徴収されるというようなことが起こったらたいへんだ、こういうことを心配する向きもあるわけです。それでは十分に国庫に納付する金額が確保できない。これは絶対額は上がっていましょうけれども、国の財政の中に占める、歳入の中に占める専売納付金の率はだんだん低下している。こういう状況にありますので、せっかくの内部留保金にまで手をつけられる、こういう懸念がありはしないか、こういう一まつの不安があるわけですが、そういう点は全然心配ないということを断言できるかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○斎藤説明員 御指摘のございました内部留保、これは公社の利益積立金として年々積み立てられております。これにつきましては取りくずしの規定はございません。したがいまして、これをどう使うというふうなことについては、先生制限がないとおっしゃいましたけれども、実は公社の中に積み立てでおくということにいまとどまっております。したがいまして、そういった点から申しますと、大蔵省がこれを引き上げるということはできないということになっております。片や、大蔵省におきましても、専売公社の資金繰りということについて最近たいへん関心を持っていただきまして、できるだけ内部留保ができるようにということから納付金率制度などもできたわけでございますが、毎年毎年かなりの借入金をしないと運営していけないという実態、これは過去長い間のいきさつの上に出てまいりました事情でございますけれども、こういったことをできるだけ解消しつつと申しますか、そういった方向で大蔵省のほうにも理解をいただきまして最近の留保を行なっております。そういうことでございますので、先生の御心配になるようなことはなかろうというふうに感じております。
○西宮委員 この留保金は、要するに事業の成績がよかった、こういうことから生まれてくるわけです。したがって、私は、成績が向上したということには当然労働者の業績ということも大きな要素を占めていると思うのですよ。そういうことになりますと、これは労働条件の改善というようなことにも振り向けていいのではないかという気がするわけです。しかもこのことは、たとえば臨時公共企業体合理化審議会の答申に——むろんこの問題を対象にしているわけではありませんけれども、給与の問題については、給与総額制度は存続するが、企業努力の増進、生産意欲の向上のために、放漫にならない範囲で弾力性を持たせるということをいっている。あるいはまた業績賞与というものについても、公社が自主的に決定し得るようにしろ、こういうことをいっているわけですね。したがってこういう公社等においては、たとえば給与の制度なりあるいは業績賞与等についても、労働者のせっかくの努力の結果というものを十分に評価をするということが正しいと思うのですが、そういう立場から、この内部留保金は、単に資金繰り等に使うということだけではなしに、この業績向上に参画をしたあるいは貢献をした労働者にも分け前を与える、こういうことが当然だと思うのですが、その点どうですか。
○斎藤説明員 ただいまおっしゃいましたように、留保の中から従業員に対する手当と申しますか、そういったことをやったらどうかというような御意見のようでございますが、現在のところ、さっき申し上げましたように、留保金は積み立てておくだけで取りくずしの規定がないということでございますので、それをストレートに給与のほうに回すというふうなことはできない仕組みになっております。公社がだんだん近代化されてまいりまして、能率が上がっていく、これはむろんそういった近代化投資の効果でもございますが、半面は従業員の努力ということもあるわけでありまして、これはそれなりに合理化の過程の中において、これはもちろん政府関係機関として法律のいろいろ制約の中であるわけで、必ずしも幅広うございませんけれども、できるだけの手当というものはやるように心がけておる次第でございます。確かにおっしゃいましたように、できるだけ企業体として給与の関係は自主的にやれるようにというふうなことは望ましいわけでございますけれども、現在いろんな制約がございまして、必ずしもそういうことが十分にいっておるというわけでございません。給与の問題につきましては、しかし私どもも労働組合のほうもできるだけ自主的に解決するというふうな方向でここ数年自主交渉と申しますか、自主解決というふうな態度でこの給与問題を扱うようにしてまいっております。またいまの留保のお金を積み立てておくわけでございますが、これもただ資金繰りというふうなことでなくて、それだけ公社の企業の中身が充実すると申しますか、これは実は方々で申し上げるわけでございますが、従業員を含めましても、将来の公社全体の発展のため、ベースとしてそういう積立金というものがふえるということは、現在それを右から左に使うということはできないにいたしましても、企業の体質を強化するという意味においては、これはけっこうなことではないかというふうに考えておる次第でございます。
○西宮委員 先ほど来、いわゆる低ニコチンあるいは低タールのたばこを供給する、こういうことのために、製造工程においては本格的なブレンド方式を採用するとか、あるいは原料のたばこの葉っぱを改善するというようなことなどが日程にのぼっているという話でありますが、そこで葉っぱを栽培する生産農家、これの立場からもたいへんな問題があるのではないかというふうに考えるわけです。もしそういう低ニコチンのいわゆる緩和性の葉っぱを採用するということになりますと、従来つくっておったのを新しく切りかえるわけですから、これにはいろいろ指導なり助成なり、そういう問題も必要ではないかというふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。問題がたくさんありますけれども、時間がなくなりましたので、簡単にお答えいただきたいと思います。
○北島説明員 お話しのとおり、喫味の緩和化、すなわち低ニコチン、低タールのたばこを製造しなければならぬというのが現在の専売公社の大きな命題でございますので、まず国内産葉につきまして、それにふさわしくないたばこはそちらの使いやすいたばこに転向する必要があるということでございまして、現在、第二黄色種をMCというニコチン、タールがいままでの新品種よりも四〇%くらい少ないのに転換するということで四十七年から始めております。四十七年は第二黄色種を約半分、一万ヘクタール程度のものをMCに転換する、こういうことをやらせております。なお、在来種、バーレー、これは非常に使いやすいたばこで、今後のたばこに適するわけでありますので、こういったものについてもできるだけ助長していく、こういう方針をとっております。できるだけまず国内産業で今後のたばこに合った品種に変えていく、それでもなおかつ消費は多少ふえると私どもは考えておりますので、これを補いますためには緩和な外国の葉を輸入する必要がある、こういうわけで、現在もそういった観点から外国の緩和な葉っぱの輸入をいたしておるわけであります。
○西宮委員 外国の葉っぱを入れるということになると、いまの国内のたばこの生産農家に影響を与えるということが大きな心配の種だし、同時にまた、いまの原料工場が仕事がなくなる、こういう問題等も出てくるわけです。そういう懸念等があって、外国の葉を輸入するというやり方はできるだけ避けるべきだというふうにわれわれは考えるわけです。しかも、日本のたばこ栽培農家は日本では安定した農家なんです。これは少し統計が古いけれども、昭和四十一年の統計によると、専業農家というのは二一%しかない。その中でたばこをつくっている農家で専業農家であるというのが六〇%占めております。少し統計が古いので現在若干変わっているかもしれませんけれども、いずれにしても、たばこを栽培している農家は、非常に安定した、農業だけにたよっている農家である。これが現在の日本の実情なんで、そういう日本の農村をささえている安定農家ということになれば、これに大きな影響を与えることは極力避けるべきだし、あるいはまた、外葉が入ってくることによって不必要になる工場が出てくる、こういうこともわれわれとしては警戒をしなければならぬというふうに考えるので、とにかくできるだけ国内産のたばこで間に合わせる。しかも、さっきお話しのように、それぞれ方策を講ずれば、国内でも十分いまの需要に合ったたばこができるわけですから、それはぜひそうしてもらいたいと思います。 それからもう一つ、私は最近の小売り店の実情を見たのでありますが、これは宮城県の仙台のことだけでありますから、単に一部だといわれればそれまででありますが、ただ、関係方面の話をいろいろ聞いてみますると、これはほとんど共通した現象であるというふうにいわれているわけです。要するに高いたばこをしきりに売っている、売らせるようにする、こういうことで、専売公社の職員でいうならば、いわゆる営業員という人たちがその面で非常な苦労をしている、こういうことになるわけです。つまり、いつでも十分に間に合っているのはホープ、ハイライトデラックス、チェリー、ハイライトとこれだけで、あとのものは、買いたいと思っても、買いたいと思うときにほとんど買えない。予約をしておってやっと間に合わせるというようなのが実情であります。さらに、あるいは二十本のホープであるとか、ルナとかカレントとか、十本のピースとか、こういうのは、私がたまたま調べた時期では、工場の在庫は皆無に近い、こういう話でありまして、これは買いたくてもとうてい買えない、こういう結果なんです。要するに、最近の需要に合った低ニコチンの、安いあのたばこなどはほとんど手に入らないという状況であります。こういうことで消費者が非常に困るということは問題だと思う。 そこで、そういう点も踏まえながら、公社のこれからの営業政策として大きくかかわる問題ではありまするけれども、消費者の声を聞くためにたとえば消費者会議を開く、こういうことがたいへんいい考えではないかと私は思う。これは実は労働組合が提案したアイデアでありますけれども、私は非常にけっこうな考え方ではないかと思うのですが、そういう点についてどうお考えですか。 つまり前段の、なるべく高いたばこを買わせる、売りつける、こういうことに非常な努力を払って、そのために第一線で活躍をしている専売公社の営業員等は非常な苦労をしている。あるいは、同時に、それはたばこを買いたいという消費者には非常な迷惑を与えているわけであります。そういう点と、それからいま申し上げた消費者会議の開催等によって消費者の意向を吸い上げる、こういう点についてどうですか。これはどちらでもけっこうです。
○斎藤説明員 ポイントは二つございます。あとのほうから申し上げますと、消費者の声を聞く、これは企業といたしまして、それからことに政府機関である専売公社といたしまして、消費者なり国民の声を聞いて、それを踏まえて仕事をしてまいることでなければならないということで、実はいろいろな声を聞くようなやり方は従来もやってまいったわけでありますが、ただいま先生がおっしゃいました何らかの場で消費者の声を聞くといったようなこと、これは確かに労働組合からもそういったお話がございまして、けっこうなことだということで、いまそれを具体化しようということで具体案を検討しております。 それから銘柄の高いものばかり売って安いものがない、簡単に言えばそういうことでございますが、そういうことで消費者に御迷惑がかかっておる、あるいは公社の事業所の第一線の職員がそのために非常に苦労しておるという御指摘でございます。実はそういった御指摘はいろいろなどころからございます。極端なのは、刻みが足りないといったようなこと、こういう問題につきましては、実は三十ばかり銘柄がございます。それから事業所は五百ばかりあるわけでございまして、全国四十ばかりの工場でものをつくっておる、それをうまくつじつまを合わせながら運営していく、あまり大きなストックも持たない、あるいは品切れが起こらないといったようなかっこうで運営してまいることは、いろいろ努力はしておりますけれども、その間にある程度在庫が多かったり、あるいは少な過ぎたりといったようなことは避けられないことでございます。できるだけそれを解消したいというふうに努力はしております。 それからもう一つ、いまおっしゃいました中で、たとえば低タールで比較的安いたばこ、エコーのことかと思います。エコーは、実は去年に比べて今年も同じくらいな数量を出しておるわけでございますが、安いたばことして、たとえばしんせいだとか、いこいだとかいったようなものがございますが、フィルターのつかない比較的ニコチンの高いたばこからエコーのほうに移っていくお客さんがかなり多いのだと思います。あのスタイルのたばこはエコーしかございません。したがいまして、これは足りなくなるからといってすぐ増産ができない、機械の関係がございまして、機械のパーツを取りかえる、いろいろなことをいたしますと、幾ら急いでも数カ月かかるということでありまして、そんなこともございまして、いろいろやりくりに苦労しておるわけでございます。先生がおっしゃいました消費者のための政府機関である専売公社でございますので、できるだけそういったことの御迷惑がかからぬようにこれから進めて努力してまいりたいというふうに思います。
○西宮委員 時間がなくなりましたので、最後に一問だけお尋ねをして終わりにいたします。 それは、われわれ工場を見学に参りましても、たとえばまず気がつくのは騒音ですね。耳をろうするばかりのたいへんな騒音、あるいはどうしても粉じんが多いわけですね。こういう点についてずいぶん衛生管理が容易ではないと思う。あるいはまた、温度の高いところもあるわけですね。こういうところの労働者の衛生管理というものがきわめて不十分ではないかというふうに思う。しかし、これはたいへんむずかしい問題が多いと思いますので、短時間ではお答えいただけないかもしれませんから、そういう点について十分関心を持って将来の改善をはかってもらいたいと思います。 一つだけ、これは総裁にお尋ねをしたいと思うのですが、昭和四十三年に出されました長期計画ですね。これには労使関係について、「労働基本権についてはその制限排除の方向を今後とも支持し、」こういうことをいっているわけです。つまり、労働基本権、労働者の三つの権利ですね、それについてはその制限を排除する、いまいわゆる三公社の労働者についてはこの権利は制限されているわけですから、その制限を排除する、そういう方向で今後とも努力する、これを支持する、こういうことをいっておるわけですが、この専売公社の労働者等は当然にスト権等が与えられてしかるべきだ、これは公社自身がこの計画の中でいっているとおりでありまして、私はそれが当然だというふうに思うのですが、その点いかがですか。これをお聞きして終わりにいたします。
○北島説明員 これはILO条約のときにドライヤー報告が出たわけでありまして、それを見ますと、一律にすべての公共企業体等について労働基本権を制限するのはよくないのではないか、たとえばたばこ事業などは、というような例をあげておりまして、これなどは別にそれは国民生活に大きな影響を及ぼすものではないから、労働基本権を与えてしかるべきだ、こういうふうなことをいっております。私どもも、そういう点は、いろいろ大きな関係はございますけれども、ごもっともな筋ではなかろうか、ただ、しかし、これには国全体の大きな労働政策の問題があります、それから、かりにそういたしますにしましても、公社法等の内部について十分やはり考えなければならない、検討して改正しなければならない問題もある、こういうことに思いますので、これは十分慎重にいたさなければならぬ問題だと思いますが、方向は正しい方向ではないか、こう私は思っております。
○福田委員長 西宮委員に委員長からお願いいたしておきたいと思うことがあるのです。あなたの先ほどのご質問の中で、専売公社に関する専売制度の問題と、いわゆるたばこ民営問題に対する非常にうんちくの深いところの御質問があられて、公社の答弁もさりながら、田中政務次官は非常に謙虚に、同時にまた御丁寧に御答弁されたわけなのだが、ここにおりまするわれわれは誤解なくしてよくわかるのでありますけれども、記録に残ったところを見るところの当委員会外の、あるいは大蔵委員の諸君、内閣委員の諸君その他の諸君が見ると、ともすれば物議をかもしやすい傾向がありますので、もう間もなく大蔵大臣が参りますので、ちょうどこちらのほうに四、五十分おってくれる予定になっておりまするから、吉田賢一君の御質問に関してあなたの関連質問を許しますから、その点だけに対して明確に御質問されて、政務次官殿から大蔵大臣とよくお打ち合わせになって、物議をかもさないようにその点を明瞭に記録に残しておきたい。さようにしないと、当決算委員会は諸君ともに非常に迷惑をこうむりますから、特にお願いいたしておきます。 ただいまの西宮委員の御質問が終わりましたので、この際、坂井弘一君の発言を許します。坂井君。
○坂井委員 去る一日の当委員会におきまして、私は、大蔵省が終戦直前、これは非常に多いわけでございますが、土地収用法に基づいて収用いたしました国有財産でございますが、この管理のあり方あるいは実態、同時に払い下げあるいは転売に関する具体的な事例をあげましてただしてまいりましたところ、土地収用法に基づくこの違法行為、これが国みずからの違法行為によって買い受け権者に対して不測あるいは不当なる損害を与えた、明確にこの収用法に反しておるというような具体的な事例につきまして、それを認められまして、これらに対しては国が誠意をもって賠償に応ずる、同時に総点検を行なうという水田大蔵大臣の確答を得たわけでございます。つきましては、この件については国家賠償法、同時にそれを受けまして民法上の実際の損害の賠償の額の根拠のある算定等がなされ、同時に全国的なそうした、あえて申しますが、国の行為による被害者に対する救済が行なわれることを期待しているわけでございますが、本日私は、前回取り上げましたこの土地収用法に基づくものと別に、当時軍が強権をもって土地を買い上げましたその買い上げのあり方にも実に問題が多々あるように思います。いずれにいたしましても、軍が買い上げ、それを戦後大蔵省に移管をいたしております。ところで、移管した分の中に、登記をするに足る証拠書類をそろえまして登記がなされて移管された分と、証拠書類がそろわないままに未登記のまま大蔵省に移管された分がある。はたしてその実情は、数量はいかほどであったろうかと思って、私なりにいろいろ調べてみたわけでございますが、なお、その数量について私はさだかにいたしておりません。したがって、本日まずお尋ねをいたしたいことは、戦後そのような登記、未登記のもので大蔵省の国有財産台帳に登録されたその数量、なお件数がわかれば件数もお示しをいただきたい。
○小幡政府委員 戦時中に旧軍が買収しましたいわゆる旧軍財産を戦後大蔵省が引き継ぎました数量は、これは実は昭和三十年度末の数字がございますが、それによりますると、土地が約三十三億五千百万平方メートルでございまして、この中に登記手続を終了しないまま引き継いだいわゆる旧軍未登記の土地はどれくらいあるかということになりますると、実は件数は、相手方の件数として把握いたしておりまするが、昭和三十二年度末に約二万三千件、数量にいたしまして二千四百四十五万九千平方メートル、坪数にいたしますと約七百三十九万坪ばかりでございます。これが年々処理をいたしまして、最近時点におきましては、昭和四十六年度末、すなわち四十七年三月三十一日現在におきまして大蔵省が管理しております旧軍未登記財産が、千四百七十五件、数量にいたしまして二百二十八万一千五百七十六平方メートル、坪数にいたしまして約六十九万坪でございます。
○坂井委員 三十二年度末の数量についてはわかりました。ところで、戦後受け継いだ数量というものはおわかりになりませんか。それがだんだん減ってまいりまして、三十一年なり三十二年度末においてはいまのような数字になったわけでございますが、同時に、四十六年末における旧軍未登記財産の数についてもいまお示しをいただきました。戦後引き継いだ総量はおわかりにならぬでしょうか。
○小幡政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、戦後引き継ぎました旧軍財産の総体の数量は三十三億五千百万平方メートルと称しておりますが、その中に旧軍夫登記財産が幾らかということになりますると、実は昭和三十二年度末のただいま申し上げました数量しかわかっておりません。
○坂井委員 それでは、いまの三十三億五千百万平米というのは三十一年度末でございましたね。事前にはもっと多かったのではなかろうかということを私お聞きしているわけですけれども、戦後引き継いだ総量はいまの数字であるというように受け取って間違いございませんか。
○小幡政府委員 三十年度末の数字が私が申し上げた数字でございまして、終戦当時に幾ら受け継いだかということにつきましては、資料がございませんので何とも申し上げかねますが、三十年度末の数量はそれまでに引き継ぎました旧軍財産の累計だと思っております。
○坂井委員 それでは本題に戻しまして、未登記財産についてしぼってお尋ねしたいと思いますが、この未登記で大蔵省の財産、国有財産として登載をされた、つまり登記に足るだけの証拠資料がないままに国有財産とされたわけでございますけれども、少なくとも未登記というような、そういうきわめて不明確な物件を国有財産台帳に登載するということはそれなりの根拠がなければならぬ。しからばその根拠は一体何であったかということをたずねてみますと、つまり売買契約がなされておった、売買契約書がかわされておったという一つの証拠をもって、未登記ではあるけれども、登記はできないけれども、国有財産としたのだ、このような基本的なというか、まずそういう一つのめどをつけまして国有財産としたのだ、こういうふうに聞いておるわけですけれども、間違いございませんか。
○小幡政府委員 旧軍が買収いたします場合は、原則としまして私法上の契約によって買収しているわけでございまして、若干先生が先般おっしゃいましたような収用によってやったものもあるわけでございますけれども、大部分契約によるわけでございますので、売買契約が民法の規定に従いまして当事者の意思表示で成立するということで成立いたしまして、所有権が国に移転した。それで当時の取り扱いとしましては、原則として登記手続をしてから代金を払うというような契約の書式がございますけれども、何ぶん戦争末期でございまして、いろいろと登記手続には日数を要しまして、旧所有者は早く代金をほしいといったような事情もございましたので、当時の海軍の資料もございますけれども、急を要するという問題で、代金を先に払いまして、登記には非常に日数がかかるので、それはあと回しにした、そういった事情がございまして、それが終戦を迎えたものですから未登記のままになりまして、それを大蔵省が引き継いだということであろうかと思っております。
○坂井委員 私の質問の趣旨にお答えいただきたいのですけれども、大蔵省が未登記財産として登録をした、登載をした、その際の国有財産とした根拠の一つに、売買契約書のみに基づいて国有財産としたのかどうか、そういうこともあったのかどうかということをお尋ねしておるわけです。
○小幡政府委員 当時の、買収いたしました際の契約書等がございましたならば、これは所有権が国のものになっているということが確認できるわけでございますが、そういった資料がないものもございます。ただ、これにつきましては、当時の軍の会計規則のほうで、ともかく買収したものは国有財産台帳に登載するということでございまして、それを台帳に登載しておりますので、それを引き継いだということでございます。確かにおっしゃいますように、中には契約書のはっきりしているものもあるし、はっきりしていないものもある、こういうような状態でございます。
○坂井委員 どうも理財局次長、お答えが何だか奥歯にもののはさまったような……。もっとも終戦前の非常に混乱期の物件でございますので、そういう事情があったことは私もよく承知いたしております。しかし、少なくとも大蔵省が国有財産として登載する際の一つの基本的な考え方として、売買契約書のみに基づいて登載をしたことは事実でしょう。そのことについてははっきりとお認めをいただきたい。 その事実の中からどういうことが起こっているかといいますと、あなたもいまおっしゃったように、当時の契約書を見ますと、第三条に「売買代金ハ所有権移転登記済後請求スルコト。」つまり軍が金を払わないで売買契約書を結ばせた、その売買契約書のみをもって大蔵省は未登記のままで国有財産とした、こういう経緯があるわけですね。金は受け取っていない。金を受け取っていないから、軍が当時たいへん心配しまして、早く金を払えという指示もいたしております。そういうことに触れていきますと長くなりますから、私は申し上げませんけれども、そういうことについては、すでに大蔵省はよく熟知なさっているはずであります。つまりそのような形でもって未登記のままで国有財産として登載されたものが、今日なお非常に大きな問題をはらんだままで、それがたとえば訴訟事件、事案等になってあらわれてきておる。このような事実については、大蔵省は率直に認められて、適切なる措置を講じなければならぬ、これに対する解決の方法を考えなければならぬ。いたずらに戦前のそういうきわめてこんとんとした時代のものである、また旧軍から受け継いだものであるということをもって、こういう問題の処理に対して不明朗あるいはまた正確さを欠いたのでは相ならぬというのが私の考え方でございます。したがって、そういう立場からいまお尋ねしているわけでございまして、時間のほうもきょう限定されておりますので、先に進みたいと思います。 しからば、いまそのような形で今日なお残されている、これは大蔵省一つとってみましても、大蔵省の分といたしまして旧軍未登記財産が千四百七十五件、二百二十八万一千平米ですか、ある。この中で訴訟になっている分は何件ございますか。
○小幡政府委員 この中で訴訟中の件数が二百六十五件でございます。
○坂井委員 つまり約二割が訴訟になっておるというわけですね。この種の問題につきましてはたいへん多くの問題をかかえておるということは、こうした訴訟の件数を見ても容易にうなずけるところであると思うのです。したがって、やはりこういう形のものは訴訟等に持ち込む以前に適切な措置を講じて、この問題の処理に当たらなければならぬ。確かに困難性はございます。しかしながら、少なくとも未登記のままで大蔵省が国有財産として登載をした。一方から言うなれば、もとのこの旧所有者は、私に権利がある、こういう主張をいたします。なぜかならば、売買契約書を無理やり当時の軍に書かされた、金は一銭も受け取っておりません、言うなれば取られたようなものだ、では一体大蔵省が国有財産と言うに足る証拠はどこにあるのでしょうか、こう向こうから開き直られた場合に、未登記の物件ということは、国にも所有権がなければまた相手にもない、言うなれば宙に浮いたようなものでしょう。そういうこんとんとした時代の、言うなれば落とし子です。それを大蔵省は二万的に、未登記であろうが何であろうが、とにかく軍から受け継いだのだから、これは国有財産だ、こういうようなことをそういう態度でもって当たったのでは、ますますこういう訴訟問題は多くなってまいりましょうし、あるいはまた解決に非常に困難性を来たす。同時にまた、そういう中から相手方に対して不当の損害を与えないとも限らない。つまり多くはこのような人たちは当時の国策に沿いまして、いや応なしに父祖伝来の土地を手放した、そういう経緯があるわけです。したがって、こういう問題の処理にあたっては、やはり温情をもちまして、この旧所有者、当時のいや応なしに軍に協力をさせられた人たちに対する思いやりのある、しかるべき行政の姿勢の中から問題の解決を見出していかなければならぬ、私はそのように思います。したがって、そういう観点から考えたときに、この訴訟事案を全部私は精査したわけではございませんけれども、非常に問題がある。いろいろな具体的な事例を実は持っております。しかし、本日はそのことについてはあえて触れません。ただいま申しましたような、そういう行政の姿勢をもって事の解決に当たらなければならぬということを私はあえてここで警告を申し上げておきたい。そうでなければ、たとえば二重登記であるとか、たいへんな問題が起ころうとしておる。またこうしたことで旧所有者が非常に泣いておる。こういう事例が間々ございますので、いま言ったような点に十分ひとつ留意をなさって、解決に当っていただきたいと思うわけでございます。 ところで、いま数字のあげられました二百二十八万一千平米、この旧軍未登記財産の使用状況はどうなっておりますか。つまり国が占有しておるのか、あるいは相手方がここを占有しておるのか、あるいはすでに払い下げ転売されて第三者がここを使っておるのか、大まかに区分いたしますとその三つになろうかと思うのですけれども、その使用の状況はどのような比率になっておりますか。
○小幡政府委員 旧軍未登記財産の四十六年度現在の占有態様でございますが、国が占有しておりますものが、六百三十一件、数量にいたしまして四十四万二千四百六十四平方メートル、それから旧所有者が占有しておりますものが、二百二十三件、十八万五千五百五十平方メートル、それから第三者に譲渡され、第三者が占有しておりますものが、四百四十六件、六十一万四千八百五十五平方メートル、そのほかに現在内容を確認中のものが百七十五件ございます。
○坂井委員 いまお聞きいたしますと、すでに第三者の占有に帰した分が一番多うございますね。旧所有者は十八万、国が四十四万、第三者が六十一万何がし、こういう中でもやはり今後訴訟に持ち込まれるような可能性のあるものが多分にあろうと思いますし、場合によりますと国から訴訟する分がある。立ちのけというわけですね。未登記であるけれども、これは国有財産だ、あなたが占有するということは許せない、不届きであると言わんばかりの、そういうあり方でもって訴訟に訴える、こういうようなことに相なってまいりますと、いよいよこうした人たちはたまったもんじゃないですね。だからそういう点についての配慮を十分ひとつ、先ほど申しましたような心組みでやっていただきたい。 なお、もう一点お尋ねをしておきますが、大蔵省から他の省庁に移管された分が相当ございますね。三十一年末現在で三十三億五千百万平米あったわけです。その後におきまして他の省庁に移管された分がどのくらいございますか。
○小幡政府委員 ちょっと現在数字を持ち合わせておりませんが、調査いたしますればすぐわかります。
○坂井委員 具体的な中身についてお尋ねする時間が本日はございません。したがって大まかにお尋ねしたわけでございますので、この際、去る一日の私の質問に対する御答弁をいただいておりますが、それらを含めましてひとつ資料の提出をお願いいたしたいと思います。 一つは、大蔵省が戦後旧軍から引き継いだ国有財産、これは土地に限定していただいてけっこうであります。その実態を登記、未登記別に件数、面積、これがわからないという先ほどの御答弁ですけれども、一ぺん調査していただきたい、わかるかわからないかは別といたしまして。同時に、その後払い下げ転売した件数、面積、価額、それから他の省庁に移管した件数、それから現在大蔵省が持っている件数、面積についてはいまお尋ねをいたしました。 以上大体三点につきまして調査して資料を提出していただきたい。 同時に、先般の質問で、これは土地収用法において収用した土地の実態といたしまして、有償無償別にその件数、面積、価額、それから払い下げ転売の同じく件数、面積、価額、それから他の省庁に移管した件数、面積、同時に現在大蔵省が持っている件数、面積あるいはその使用状況等につきまして、これはすでに水田大蔵大臣が、この総点検ということで、これから具体的に作業日程にのせまして全国の実態の調査に当たられると思いますが、そうした過程でないといまのような内容については即座には出ないかもしれません。しかし、すでに大蔵省は具体的なこの全国調査のあり方、やり方等について御検討をされていらっしゃるとも思います。一応今日までわかった範囲におきまして、いま私が要求いたしましたような資料につきまして、荒々わかる範囲で提出をしていただければ、それをこの問題に対する解決への材料といたしまして、また私なりに、あるいは当委員会におきまして十分ひとつ御検討いただきたいと思いますので、そのような方向で取り扱っていただきたいと思います。
○小幡政府委員 さっそく調査いたしまして、できる範囲内において御提出いたします。
○坂井委員 時間が来ておりますので、私やめます。 実は、会計検査院あるいはせっかく大臣、政務次官もお見えでございますので、きょう、もし許されればと思いましたけれども、本日私の質問にはお答えはしていただけないかと思いますから、この問題につきましては、また次回にひとつ大臣、ゆっくりとこの問題の解決についてお伺いをいたしたいと思いますので、本日は、これで私は質問を終わりたいと思います。
○福田委員長 この際、吉田賢一君の発言を許します。吉田君。
○吉田(賢)委員 水田さんにひとつ率直にお伺いしたいのでありますが、今回の、大蔵大臣としての水田さんへのお尋ねは、きょうが終わりかもしれませんけれども、行政は一貫性のものでございますので、そのようなかまえでどうぞひとつ、以下幾つかの質問に対しましてお答えを願いたいのであります。 六十三国会、六十五国会並びに今国会を通じまして、本会議における大蔵大臣の福田さん、あなたの数回にわたる財政演説を通じてみますると、いずれの場合におきましても、重点施策といたしまして、社会福祉の充実、社会保障の問題は非常に大きく取り上げられてきたのであります。そこで、特に今日は、ドル・ショック、円切り上げ等をきっかけといたしまして、福祉国家実現へ向かって国民的な総意が集中しておる感もあります。まことにこれは時宜を得た重要な御演説でありましたが、伺いたいのは、大蔵大臣といたしまして、日本の福祉国家というのは、大体一口に言ってどういう構想をもって臨まれようとするのでありましょうか。非常に詳細なものはちょっと短時間でいきませんが、あなたの大体ねらっておられる構想について、ひとつ端的にお示しを願いたい、こう思うのです。
○水田国務大臣 一口に言うのはなかなかむずかしいことでございますが、まず生活環境が整備されて、日常の国民生活が快適であるということ、そういう環境整備が行き届いておるということ、それからいわゆる社会保障制度が充実するということ、この二つが国民福祉の向上の内容の中で最も重要な問題であるというふうに考えております。
○吉田(賢)委員 おっしゃるその点も大事な骨子には違いございませんけれども、歴史的に、ないしは先進諸国との比較等において考えてみますると、福祉国家を目ざしましてのそれぞれの国の努力につきましては、相当な経緯もあるようでございますが、何も私は、どの国をまねするのがいいとか、どの国が一番すぐれているとか、こういう観点に立っての質問じゃないのでありますが、日本が、これらの先進諸国の例にもかんがみ、日本の社会体質にもかんがみ、政治、経済、文化等、各般の具体的な客観諸条件も顧みましたときに、日本には一体どのような方向づけをしたらいいのであろうか。端的にこれを例をもって言えば、比較的どの国が近似しておるか。もちろんそれの長短あるいは取捨はありましょうけれども、比較的どれをもってわれわれとしては社会保障の先進国の例として取り上げたらいいのであろうか、こういうような構想で御意見を伺ってみたい。
○水田国務大臣 社会投資の面において、明らかに日本は先進諸国におくれをとっておるということは、これは言うまでもございません。したがいまして、これまで日本経済が成長に急であったために、民間の設備投資に対して、公共投資が非常におくれておりますので、このおくれを取り戻すということがまずこれから一番必要なことの一つであると思います。外国に比べて、ストックがとにかく日本は非常に小さい。住宅に関しましても何についても、まだまだ内容というものが質的には劣っておるのでございますから、この社会投資の面をもっと進めなければならないということと、それからもう一つは、いまの社会保障制度の充実の問題でございますが、大体制度自身としましたら、いまの日本の社会保障制度は、もう先進諸国に劣らないところまで整備されておると思います。一番最後になされたのはいわゆる児童手当の問題でございましたが、これによって先進諸国にある社会保障制度のもうほとんど全部が一応形の上では整備されたということが言えると思いますので、今後の仕事は、この内容の充実であろうと思います。内容がまだ全く未成熟になっておりますのは、御承知のとおりに年金制度でございますので、これは今後暫定的にも、いろいろくふうしながら、早くこの年金制度が成熟することを庶幾しなければなりませんが、これはやはり時間が解決する問題でございまして、一挙にというわけにはまいりませんが、制度自身はできておりますので、この成熟はこれからの問題として、自然にこれは行なわれていく、だろうと思います。 そのほかの問題は、日本で全社会保障費のうちの半分以上が医療費になっておるということで、非常に施策が医療に傾いておりますが、これは医療に特に傾き過ぎたということでありますか、あるいは他の制度がまだ立ちおくれておるということになるかと思いますが、いずれにしましても比重が医療に片寄っておるということでございますので、現在の医療制度をさらに整備充実するという方向と他の制度をこれにつり合いがとれたような形で進めていかなければならないと思います。 その第一番の問題として今後しなければならぬ問題は、人口の老齢化に従った老人対策であろうと思いますが、ようやく今年度の予算から老人対策に一歩を踏み出したということでございまして、今後まだまだこの問題の内容充実には問題が残されておりますので、逐次そういう点を充実させていくということにいたしまして、私は、日本の国民福祉というものを国際水準まで少なくとも十年以内には持っていきたい、そういう一つの年次計画の上にこの問題を推進することが必要であるというふうに考えております。
○吉田(賢)委員 問題が多岐にわたりますので、どうもこれ混雑するおそれがあるのでありまするが、たとえば、いま御指摘になりました日本の社会福祉について、医療費が相当割合多く食っているという問題、これを一つとって考えてみましても、なぜ一体日本に医療費がたくさん要るのであろうか。制度であろうか、運営であろうか、あるいはまた多病であろうか。多病とするならば、一体何が原因なのか。それは生活環境が悪いのであろうか、栄養に関する考え方が低調なのであろうか、食事その他の諸般の健康を害するようなそういう条件があるのであろうかというようになってまいりまするので、その辺は単に医療費がわりに多いというだけをとって考えましても、非常に問題は奥深い、幅の広いものがあるというふうに考えたいのであります。 それから、大臣は社会保障の制度が、当初おっしゃったのは、各国に劣らぬ程度にまでいっておるかのような感じのする答えがありましたが、しばしばの政府答弁によってみましても、制度としましては、一応形はなっておるけれども、内容の充実はまだまだいまだしである。これは世論一致するところでございます。また、社会保障というものがここ十年や二十年で完備するものとは思われませんです。いわんやわが国におきましても、憲法におきましてそれぞれ福祉を規定しながら、憲法の規定は置き去りにしたような日本の経済の発達の状態でございましたので、この辺を論じていきますと、際限なくまた奥深いものになってまいります。 そこで、いま大臣が最後におっしゃいました年次計画、たとえば十年くらいで、これはおもしろい御発言と私は思うのです。しさいに点検いたしまして、たとえば年金制度にしても保険制度にしても、あるいはその他の社会福祉施設にいたしましても、各般の諸問題をしさいに点検いたしまするというと、ここは相当長期計画をもって臨まねばなるまい。私は大蔵省に望みたい点は、長期計画を前提といたしまして、政府としまして相当確固たる福祉国家の構想を、青写真をお示しなさい。老齢年金のこともおっしゃいましたが、三千三百円というもので一人一カ月食えるということはもう想像もできないのが現状でございます。そいうことでございますから、名はあっても実は伴わずというのが現状でございます。そこで、やはり長期計画のもとに、これに対応する財政計画が伴うのではないか。 きょう実はお尋ねしたのは、福祉国家と言うけれども、財政の裏づけ、財政の構想は何か、これがほんとうはお尋ねしたいのであります。前段が少し長うなっちゃって時間がなくなりましたから、私はもうこの辺はいいかげんにしますが、たとえばわが国におきましての一般会計における社会保障費の国際比較等を見てみましても、日本の実情は、四十六年度が一七・九%であります。アメリカにおきましても三六・八%、西独におきましても三〇%、イギリスも二二・三%等々になっております。一番多いのは何だろうか、最も大きなウェートを占めておるのは何だろうかと見ますと、これはどうも公共事業費が大きい。一七・七%。アメリカのごときは四.四、イギリスのごときは六・三、西独は一・三であります。 そういう状態になっておりまするので、この一般会計歳出のうちの社会保障費というものがいまでは、去年、ことしへかけましての計算は、大体におきまして一四・三%ですか、去年も一四・三%、ことしも一四・三%であります。こういうことになっておりまするので、やはりこの財政の組み方、一般会計の支出の割合における社会保障の占めている地位、この位置づけというものにつきまして根本的に再検討する必要がないだろうか、こう思うのであります。これも論じていけば少し時間を食うからいいかげんにしておきまするが、この辺についても根本的に再検討の必要があるのじゃないだろうか、こう思われます。 そこで一転いたしまして、私は、この社会保障費の支出の比率を高めるということの一つの前提として、型としましては一体、たとえばスウェーデンとかイギリスのような租税本位にするような、そういう構想でいくのであろうか、あるいは西独——日本もその型でありますが、西独とかその他の諸国、フランスもそれからオランダもでございまするけれども、保険料を主としておるようであります。だから保険料を主としていくのか、租税を主としていくのか、この二点は併用していくのか。いずれにもそれぞれの得失があろうと思いまするが、大体におきまして大蔵省として、大臣としての御構想は、保険料を主にするのか、あるいは租税を主にするのか併用でいくのか。これらが世界の諸国の傾向の大別の状況らしいのでありますが、水田大蔵大臣としてはどういうふうにこの点はお考えになっておりましょうか。この二点をお伺いしておきたい。社会保障費の比率と、それからいまの点と。
○水田国務大臣 日本の公共事業費が特に多いのは、これは外国はすでに道路その他が整備されておりまして、一般会計に占める公共事業費の割合は非常に少なくなっておりますが、日本は、さっき申しましたように、非常に公共投資がおくれておりますので、予算の中に占める比重が高くなっておりますが、これはここ当分まだこの公共事業費の比率は下がるところまではいかないのではないかと思います。 それから、社会保障費の比率が少ないのは、一番大きい原因は、年金制度がまだ成熟していないということだろうと思います。掛け金をかけている人が多くても、まだ給付を受けていない人が非常に多いということが、この社会保障費が少なくなっておる原因でございまして、これが成熟しますと、この比率は相当大きなものに将来なっていくだろうというふうに思われます。 今後どういう形でこの社会保障費に対処するかということになりますと、やはり税の部分と、保険制度による掛け金の負担と、この二つを併用でいく以外には方法がないのじゃないかというふうに思います。社会保障制度審議会におきましても、この問題について過去いろいろ論議されておりますが、生活保護費というような直接国民の税をもって処理すべきものと、それから保険制度によって処理していいものという優先度をいろいろ研究してあるところでございますので、やはりこういう優先度に従って、これは両者を併用していくということが一番望ましいのじゃないかと思います。
○吉田(賢)委員 日本の社会体質、政治、経済の実態に即応いたしました福祉国策が重要だと思われますのです。わが国におきましては、西洋諸国に比較いたしまして、さっきもおっしゃいましたように、社会資本の充実を必要とするような実情、それから非常に経済的にも断層の多いこと等々からいたしまして、たとえば老人福祉施設あるいは児童の保障ないしは児童の手当、婦人の福祉、母子家庭の福祉、心身障害者、こういう保護を要するような財源の問題、あるいは貧困者の福祉、リハビリテーション、多数の、五万も数えるような交通遺児の問題、公害の被害者というようなものは、これは年金制度ではらちがあきませんですから、こういうような、日本において特殊な条件、社会現象ともいうべき特質を持っておりまするので、こういったことを総合いたしまして、長期計画、年次計画をお立てになるときには、相当綿密な、全国的な数字、正確な客観的な数字をおつかみになって、これを一つの前提にいたしまして私は計画を立ててもらいたい。従来社会保障制度審議会にいたしましても、その他民間の学者のいろいろな意見にしましても、等々出ておりまするけれども、やかましくなってきてから問題の解決に何か対案が立てられるというきらいなしとしませんので、今後は長期計画を立てまして、日本も本気になって福祉国家実現へ向かって進んでいくかぎりは、これはやはり精密な調査研究を前提としまして、その資料に立って計画を立ててもらいたい。これは強く御要請申し上げておきます。これはどの内閣であろうと、福祉国家というのは今後の日本の大きな看板になっていかないといけませんので、どうしてもその客観性が必要であろう、こう考えます。実態調査にしましても、たとえば寝たきり老人三十一万があるといいましても、ほんとう申しましたら、それが正確かどうか、まだはっきりしないのです。これが実情なんです。ですから、そういうこともありまするので、わが国におきましてはとかく行政に資料が欠缺しております。こういうことも考えてみたいのです。 委員長、だんだんこれは時間がなくなってきましたな。わかりました。そこで、やむを得ません。大臣、また別な機会に——別な機会といっても、あなたも、失礼だけれども、また引き続いて大臣をなさるとしましても——水田さんも人間的に御信頼申す人でありますので、私はやはり日本の国土に合うた物心豊かな——西洋諸国を見まして、あの福祉国家を、社会保障の国を見まして、たとえばイギリスにおきましても、イギリスは全部悪いとは言いませんよ。けれども、仕事を見つけるよりも失業したほうがいい。なぜならば、ちゃんと失業手当がくるじゃありませんか。合法なストならば、どんなストをやりましても生活費だけはきちんともらえます。払った税金も返してもらえます。監獄へ行ってもテレビは見られます。こういうことになっては日本の体質に合いませんわ。でありまするので、スウェーデンあたりにおきましても、やはり日本のほんとうに美しい、正しい、伝統の家族制度とかいうものに一つのあこがれを持っているという点さえございます。日本の国土に合ったような福祉政策を立てるということにひとつほんとうに勇気をふるってもらいたい。 そこで私は、これはやむを得ません。結論にします。いま高福祉高負担、この問題が出てきておりますね。これはもっともです。けれども、いまの日本の現状は、高福祉は望ましいけれども、高負担ということになりましたら……、こういうふうになっておりますので、そこへ高負担ということになりましたら、まさに経済的な秩序は混乱してしまうおそれがございます。でございまするので、この高福祉が、たとえば最近税制調査会その他学者等々の意見もございまして、例の付加価値税の問題も出ております。付加価値税の問題も出ておりますけれども、ECにおきましては、もうイタリアもこの七月ですか、付加価値税を実施するようでありまするが、こういう問題につきましての論議はすでに十分したものと思いまするけれども、ほんとうに実施するという段階になりましたら、その客観性、それからその物価への影響、消費の実情等々、諸般の実情を検討いたしまして、やはりこの実施に踏み切っていくということもせねばいけませんので、単純に高負担ということで割り切っていこうとしましたら、つまり高税ということになって、憲法によって義務があるのだから当然じゃないかという理屈は理屈ですよ。けれどもそうではない。社会の現状に即した負担を考えて、でき得べくんば高福祉を目ざして、そうして国民にできるだけの負担もしてもらうけれども、その幾多の断層、暗い谷間があるということも考えまして、これに応じるようにしていかねばいくまい。したがって、反面からいうならば、この委員会でしばしば論議いたしましたごとくに、行財政につきましても、ほんとうに効率的にこれを使って、浪費を防いで、そして国民の血税を大切にしましょう、この方面からくるだけでもかなり大きな節約になります。たとえば公共事業費が大きい。一体土地の買収価格は何割食っておるのだろうか。ゴネ得になったら、それで富は減るじゃないかということになったら、これはいかぬ。でありまするので、これはほんとうの意味における、あなたがおっしゃいました、あなたの演説も聞いて私も覚えておるのだが、ほんとうに国民の協力の態勢がきちんとできておりませんと、福祉国家なんて実現しませんわ。おれはこれがほしい、おれはこの洋服があるんだからしょうがないということでめいめいいきましたら、福祉国家は実現しないと思いますので、この辺のことも考えてみまして、端的にひとつずばりきょうの質問といたしましての最後の御答弁を伺って、委員長、やむを得ません、しり切れとんぼになりましたけれども、きょうはこれで終わります。大臣、いかがでございましょうか。
○水田国務大臣 やはり高福祉社会をつくるためには、それに必要な財政需要をどう調達するかという、最後は財政計画の問題になっていくと思いますが、その場合、やはり高福祉高負担という原則は、これは今後、先進諸国の歩んできた道を見ましても、この原則のもとに現実に国民福祉の向上がはかられていることございますので、やはりこの原則に沿って福祉国家をつくっていくよりしかたがないと思いますが、その場合、その高負担ということが直ちに国民の重税になったり、あるいは非常に負担感が国民に強いというような形をとることは、これは政治としても問題でございますので、そうならないような方法も考えなければならないと思います。それをするためには、たとえば諸外国は、国民所得に対する税の負担率というものは、先進国は多いのです。税の負担率が多い。それでも国民が負担感をそう感じないということは、国民の所得水準がある程度高いということで、所得水準が高くなかったら負担の率を上げるということはむずかしいと思います。そうしますと、やはり高福祉社会をつくるのには、国民の所得水準ということを一面考えなければならないと考えます。そういう意味から申しますと、たとえば金利を引き下げるという、いま政府がやっておることでございますが、この場合、国民の預金金利まで手を触れざるを得なくなった、この限界にきたということで、国民の預金金利に私どもはいま手を触れたいということを考えておりますが、国民の預金金利を下げるということは、これは国民にとっては一つの負担であろうと思いますが、しかしこれによって社会コストが下がり、景気が回復し、国民所得増となってこれがはね返ってくるということでございましたら、これは国民にとってプラスの面が大きい。そうすれば、その国民の所得増に基づいて合理的な負担というものも今後考えられるというようなことで、ただいたずらに税を重くするということでなくて、そういういろいろな問題から国民の負担についての考え方はあろうと思いますので、いま政府がやっております経済社会の発展計画という一応の基準ができましたら、これに沿った見通しをつけ、その見通しの上に今後の国民の負担のあり方、それを実現するための経済政策というようなものについて、この際いままでと違って、福祉国家をつくるのだという焦点をしぼった立場から、ほんとうに掘り下げた今後の財政計画が必要であろうというふうに考えますので、この問題、千分検討したいと思います。
○福田委員長 吉田賢一君にお願いしますが、経済企画庁に対する御発言があるようだが、ちょっとお待ち願いたい。と申しますのは、西宮弘君から大蔵大臣に対して一問関連質問があるという御通告がありますので、委員長これを許します。西宮君。
○西宮委員 一問だけ大臣にお尋ねをいたします。 大臣がおいでになる前に、専売公社の問題で、専売公社を民営に移管をする、こういう説があるが、この点について考えはどうかということでお尋ねをいたしまして、専売公社の総裁その他関係者から御答弁をいただきましたが大臣のお考えを最後にぜひ伺っておきたいと思うのであります。 それは、民営移管についてはもうすでに実は結論が出ている。つまり民営移管は適当でないという結論が出ておるわけでありますが、ともすると行政管理庁等が、個人的の見解かどうか知りませんが、ときどき新聞等でそういうことを口外をいたしますので、それに対する政府の確たる方針をお聞きをしておきたいと思うのであります。 いま私がこの問題については結論が出ていると申し上げましたのは、たとえば臨時専売制度協議会、これは昭和二十六年でありますが、ここではこういうふうに結論を出しております。結論として、民営への移行は時期尚早であるとの意見が多数であると認められる。それから臨時公共企業体合理化審議会、これは昭和二十九年であります。ここでは、公共企業体という経営形態はとりあえずこのまま存続させるというふうに決定をいたしております。次に公共企業体審議会でありますが、これは昭和三十二年であります。ここでは、たばこ事業は数個の企業体に分け、民営に移管されるのが望ましい、こう結論を出しておるのでありまするが、しかし民営移管にあたってはいろいろな問題があるので、その問題を羅列をいたしまして、政府は上記の諸点を考慮し、別途調査機関を設けて対策を立てるべきである、こういう決定をいたしております。したがって、これに基づいて大蔵省は昭和三十五年に専売制度調査会を設けまして、そこで審議をいたしました結果は、財政収入の確保という点から、公社政度と比較した場合、民営がすぐれているとは考えられず、実行上の困難もあるので、民営論は採用せず、公社制度は存続させる、こういう決定をいたしております。続いて昭和三十九年の臨時行政調査会では、塩の専売制度を廃止する、こういう決定をいたしました。つまり塩は専売をやめる、こういうことを言っておりますが、たばこには全く触れておらない。あるいは昭和四十三年の財政制度審議会では、たばこについては、専売制度を当然の前提として諸般の問題を論議をしております。 こういうことで、数々の政府の諮問機関等は、昭和三十二年の公共企業体審議会を除いては民営論は否定されておるわけであります。しかし、この昭和三十二年の公共企業体は、先刻申し上げましたとおり、民営が適当と認めるといっておりまするけれども、しかし政府において十分に慎重に検討しろ、こういう結論を出されておりまして、それに基づいての政府の諮問機関はさっき申し上げたとおりの結論を出しておるわけであります。したがってこの問題については、すでに結論は明瞭に出ていると思うのでありますが、往々にしていまのような説も出てまいりますので、この際に大蔵大臣のはっきりした御答弁を伺っておきたいと思うわけであります。
○水田国務大臣 いま御指摘になりましたように、専売制度につきましては、三十五年以前において非常に議論が多かったところでございますので、三十五年に専売制度の調査会ができて、ここで民営是か非かの問題を検討していただきまして、ちょうど私が初めて大蔵大臣になったときの問題でございます。私もこれに取り組みましたが、これには非常にむずかしい問題がございまして、この専売収入が財政に占める地位というようなものの重要性だけではなくて、実際問題としてこれを民営にするという場合のあらゆる困難性がここで論議されまして、民営にするときに、単一の独占会社をつくるか、そうでなくて幾つかの会社にするか、あるいは銘柄別に会社を分けるか、いろいろあらゆる議論が出ましたが、結論としては、これはもう民営に移すということは実行上困難性を伴うということから、最後に、いま運営上改善すべき問題があればこれはどんどん改善する、けれども、制度それ自身は存続する、ということを結論としてこれをきめて以後、大体その方針で今日まで来ておるのが実情でございます。したがいまして、行政調査会でそういうような意見を正式に出してくるかどうか、私はまだ聞いておりませんが、いままでのいきさつから見ますと、そう簡単に政府機関からこういう意見が出てくるとは思いませんが、いままでこの問題もさんざん検討しているところでございますので、この方針は今後も続けていくことが一番妥当であるというふうに私は考えております。
○福田委員長 この際経済企画庁宮崎国民生活局長に対する吉田賢一君の発言を許します。吉田君。
○吉田(賢)委員 質問はありませんで、資料だけ要求しておきます。 まず大蔵省。社会福祉、福祉国家に関連いたしまして、ここ両三年来税制にどのような手を入れたか、税制改革、立法等、それをひとつ明確に数字も明らかにして、資料として当委員会にお出し願いたい。これが一点。 それから国民生活局のほうに対しまして、たとえば年金制度にしても、諸手当にしましても、あるいは生活困窮の問題、失業の問題等にいたしましても、物価と切り離しては考えられぬのであります。したがいまして、幾らか手当がふえた、年金がふえた、物価は天井知らずに上がってくるというのでは、一体何をしておるのかわからぬということになりますので、例をあげましたら、さっき大臣にも言ったごとくに、老人年金三千三百円もらってそれで食えますか、こういうことになる。そういうことでありまするから物価対策につきまして、所得がふえれば物価が上がるのはやむを得ないあるいは当然というような議論もあります。しょせん物価は下がらないのだという議論もあります。また日本の現状から見て、物価を少々犠牲にしても、あらゆる経済の安定、繁栄をはからなければいかぬという議論もあります。これも全部わかっておるとしまして、ただし消費者物価は安定して国民生活を豊かにするというこの観点に立ったときに、企画庁といたしまして、物価政策、物価対策、今日の具体的な最も切実な物価に対する諸般の対策、方針、その他の施策、予算等を全部ひとつ総ざらいいたしまして、少し大げさになりますけれども、それをできるだけ要点を尽くしまして、資料としてお出し願いたいのであります。これはぜひお願いしておきたいと思うのであります。この点は国民生活局のみならず、企画庁の長官にもまた日をあらためまして詳しくお尋ねする機会を持ちたいと思いますが、きょうは資料として御要求申しておきます。資料でございますから、非常に浩瀚なものでなくてよろしゅうございます。それは御依頼申します。 以上。
○宮崎(仁)政府委員 ただいま御要求がございました資料につきましては、調製いたしまして、さっそく提出をいたします。
○中橋政府委員 ただいま御要求のございました社会福祉関係の税制というのは、どの辺までをとるか、非常にむずかしゅうございますけれども、ひとつつくってみまして御報告いたしたいと思います。
○吉田(賢)委員 わかりました。
○福田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十一分散会