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68回国会衆議院1972/04/14

外務委員会 第8号

発言数
71
登壇者
11
会派数
3
開催日
1972/04/14

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  国際交流基金法案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案について参考人から御意見を聴取することといたします。  御出席の参考人は、鈴木九万君、山田正春君、山崎正和君、滝沢幸一君の四名の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  さきに御連絡申し上げましたとおり、本案につきまして忌憚のない御意見の御開陳をお願い申し上げる次第でございます。  なお、議事の進め方につきましては、参考人各位には最初にお一人二十分以内で御意見の御開陳を願い、その後委員から質疑が行なわれることになっておりますので、お答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、鈴木参考人からお願いいたします。

鈴木九万ユネスコ国内委員会委員

○鈴木参考人 国際文化振興会という団体が設立されましたのは昭和九年のことでございまして、ちょうど満州事変の問題が出まして、日本が国際連盟を脱退した翌年のことでありまして、当時は国際危機感というようなものが盛んであったときでありましたが、当時の設立関係者は非常な熱意をもちまして、当時としては非常に大がかりな組織をつくったのであります。最初から高松宮殿下が総裁になられまして、非常に御熱心な指導、激励を賜わりまして、政府はもちろんでありまするが、財界方面からも非常な協力、援助を得ましてよいスタートをしたのであります。大東亜戦争の間、また戦争直後はいろいろな関係で仕事も衰微しまして非常に困難な時代があったのでありまするが、その後政府の援助も再開し、非常な順調な発展を遂げまして現在に至ったのでありまして、この約四十年の間に国際文化振興会が文化交流上に大きな実績と経験とを積み重ねたというわけだと存じます。  しかし、何と申しましても振興会の資金は政府の援助と財界の協力によったのでありまするが、米、英、仏、独、イタリア等の文化事業に対する規模というものに比べまするとその規模はすこぶる小さいといううらみがあったのであります。それで振興会の中におきましてもこれは何とかせにやならぬというので、まず資金もずっと増し、それからまた長期的な視野に立って継続事業ができるような仕組みにするために華金を設定してみたいという希望が再三持たれまして、当時外務省にもお願いしたのでありまするが、残念ながら実現しなかったのであります。このたび福田外務大臣の大きな構想によりましてこの基金が発足するということになりましたことはたいへんけっこうなことであります。ただ、この四十年間文化交流の仕事に携わってまいりました振興会としましては、発展解消するためにこの振興会の古い看板が消えるということにセンチメンタルになるのはまことにやむを得ないところだと思うのでありまするが、顧みますると、振興会としましては年来の夢がここに実現したというわけでありまして、日本の文化交流事業のためには非常に慶賀すべきことだと存ずる次第であります。  福田外務大臣のお話しによりますると、基金の終局の目標は千億円というお話しでありまするが、これは経済大国としての日本にまことに恥ずかしくない大きな規模の文化団体ということになりますわけでありまして、まことに慶賀にたえない次第であります。特に金額の点も比較にならぬほど増額されるわけでありまするが、先ほども申しましたように、財源が長期的に安定しまして文化事業に必要であるところの継続性というものが確保されるということが非常に大きな点だと思うのであります。  振興会の寄付行為とそれから今度御審議中の基金法案とを比較してみますると、両者の目的、事業というものは大体同じであります。したがって、振興会が解消し、基金に吸収されるというのも非常にスムーズにいくわけでありまするが、基金は財源も非常にふえ、また人員もふえます関係上、文字どおり発展的の吸収といいますか解消ということになるわけであります。この法案は基本の大ワクをきめたものだと見られまするが、今後十月一日の発足までの六カ月間というものは基金の組織、しまた運営方針の細目をつくるということに費やされるものだと存じまするが、この細目づくりにあたりましては、もちろん衆知をお集めになることと存じまするが、振興会が四十年の長い間積み重ねました実績と経験というものを参照していただいてりっぱな基金をおつくり願いたいと思うのであります。この四十年間の実績、経験また多くの職員を金をかけ時間をかけて養成してきておりまするが、この要員というものが振興会が新基金に持ってくることのできる一種の持参金だと思う次第であります。  私は、この機会に四年間国際文化振興会の理事長をしましたものとしまして思いついた点、気づいた点を新基金に対する希望として申し上げてみたいと存ずるのであります。  第一番に人物の交換という問題であります。文化交流事業として人物の交換、文化人を派遣し、またこれを招聘するという仕事が非常に大事なことは問題ないのでありまするが、法案の第二十三条を見ますると、この問題をその第一番目にあげておるのでありまして、これはたいへんわが意を得たものだと存ずる次第であります。振興会の寄付行為を見ましても、これが第二番目にあげられておりまして、重要視しております。実際問題としまして、戦争前には振興会もこの人物の交換という問題に非常に力こぶを入れまして、たとえば田中耕太郎博士をイタリアに派遣し、また次いでラテンアメリカに派遣し、非常な好評を博し、成功をおさめたというような例もあるのでありまして、戦後は振興会も財政の関係その他でこれをあまりやっておりませんが、基金が成立の暁にはこの点をぜひとも活発にお願いしたいと思う次第であります。  それから、第二に申し上げたいのは、文化会館の問題であります。いまから十数年前にローマに日本文化会館が設立されたのであります。これはなくなられた吉田首相が非常な熱意を傾けられまして実現したのでありますが、イタリア政府がローマの目抜きの場所に地所を無償でくれまして、これに日本政府が二億日余の金をかけ、日本式のりっぱな建物また庭園を配しまして非常にりっぱな文化会館ができました。中の施設も非常にりっぱでありまして、また館員も人を得まして非常に活発な活動をしまして好評を博し、成功したのであります。  これが一種のテストケースになりまして、三年ほど前には西独のケルンというところにも同じような文化会館ができまして運営されておるのでありますが、私としましては、この文化会館というものが外国における日本文化交流の拠点としまして非常に重要な意味を持つのでありまして、今後重要な国には続々としてこの文化会館が設置されることを希望したいと思うのであります。  御承知のようにオーストラリア、豪州は日本との間の経済関係が非常に急速に発展してまいりまして、豪州における日本熱、日本研究熱、日本語の勉強というようなことが非常に盛んになっておりますが、この数年前から豪州と日本の財界の人の集まりであるところの日豪経済合同委員会というものがありますが、この委員会の中で、最近日本と豪州の間で相互に文化会館をつくろうというような話が出ております。豪州側も非常に熱心であります。豪州は今後も日本にとってますます大事な国でありまして、ぜひとも近い将来にこの日豪間の文化会館の相互設置という問題を実現していただきたいと思うております。  この振興会としましては、いま申しましたローマとケルンの文化会館のほかに、ニューヨークとロンドン、アルゼンチンのブエノスアイレスの三カ所に派遣負を出しておりまするが、戦前のKBS、振興会というものはもっとたくさんの派遣員を各地に派遣しておったような実情でありまして、この派遣員も大いに拡充してもらいたいと存ずる次第であります。  それから、もう一つ申し上げたいと存じまするのは、日本の著作物を外国人に翻訳してもらう問題であります。  御承知のように英国人のウェーリという人が「源氏物語」をりっぱに翻訳しまして、そのおかげで「源氏物語」が世界に広く紹介されたということがあります。  また米国人でサイデンステッカーという人がありますが、この人が十数年前に川端康成先生の「雪国」を英訳しまして、これがまたりっぱな翻訳でありまして、そのおかげで川端先生の著作というものが世界に広がり、ついにノーベル賞をもらうというようなことにもなったわけでありまして、この日本の名著をりっぱな外国語に翻訳してもらうという問題は日本の文化というものを知ってもらう上から非常に大事だと思うのであります。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕  ただ、現在の状態を見ますと、日本のものを翻訳する人も相当アメリカ等に多いし、また欧州でも何人かあるようでありますが、日本のものを翻訳するだけではなかなか生活の足しにならぬというような問題がありますので、新規機関が成立の暁には、こういう人に対して援助といいますか激励の手を差し伸べる方法というようなものを考えていただけたらと存ずる次第であります。  最後にもう一つ、少し小さな問題かもしれませんが申し上げたいと思うのは京都の問題です。京都が古い文化都市として日本の文化、日本を研究する人にとって大事であるということは申すまでもないのでありまして、京都には多くの外国人がたずねていって、京都の風物、文化を見ようとして押しかけていくわけであります。それらの人を援助しまた便宜を供与するために振興会としましては京都支部というものを年来つくっておるのでありますが、この京都支部が補助金の対象にはなっておらないのでありまして、大体は現地の京都の財界の人の協力、援助によってこれを運営していくというような形になっておりますが、この京都支部のやっておることは非常に評価されまして、実績をあげておるのであります。この基金の法案を拝見しますと支部を置くということも予見されておるようでありますので、基金ができました暁にはぜひともこの京都の支部というものの地位を公に認めていただいて十分活動ができるようにしていただきましたならば、日本の文化を宣揚する上から非常に役に立つのではないかと思うのであります。御承知のように英国にはブリィティッシュカウンシルという強力な文化団体がありまして活動をしておりますが、このブリティッシュカウンシルに招待されまして英国へ参りますと、英国の国内各地にブリティッシュカウンシルの支部がありまして非常に親切にまた要領よく待遇してくれ案内してくれるのであります。これは英国に行ってブリティッシュカウンシルの世話になった人の非常に感銘するところなんでありまして、ひとつぜひとも、そういう例もありますので、京都の支部の地位というものを公に認めていただいて京都が活動できるようにさしていただいたらと存ずる次第であります。  私の申し上げますことはこれでございます。ありがとうございました。

永田亮一自由民主党

○永田委員長代理 鈴木参考人ありがとうございました。  次に、山田参考人にお願いいたします。

山田正春財団法人国際文化振興会職員

○山田参考人 本日は、国際交流基金はどうあるべきかという点に関し、国際文化振興会での経験から得た見解を御参考として述べてみたいと思います。  まず第一に、国際文化交流の理念と国際交流基金との関係について述べてみますと、国際交流基金の構想は昨年秋に行なわれた日米経済閣僚委員会での福田外務大臣の発言を契機としていると聞いておりますが、この構想の動機となった一番大きな理由として、ここ近年におけるアメリカやヨーロッパ、アジア諸国からのきびしい批判にあると思われます。日本に対して名づけられたエコノミック・アニマルということばはアジア諸国ばかりではなく、いまでは全世界の民衆の間にまであまねく流布喧伝されていることばとなっております。特に一九六〇年以降における日本の驚異的な経済発展は、その結果として海外への経済進出となり、アジア、アフリカ諸国などの発展途上国にとってはその国の経済成長をも破壊しかねないゆゆしき事態を生じつつあると思われます。  日本の経済進出がたとえ貿易や経済協力という形をとっても、いまの速度で進んでいけば、今後五年、十年先には日本は欧米やアジア諸国と敵対関係に突入していくという可能性は十分に考えられます。ヨーロッパに滞在中、私はしばしばヨーロッパ人から詰問を受けました。その内容は、日本の機械製品、電気製品の質はヨーロッパのものと同じ水準に達している。資源が乏しく、外国に依存している日本がヨーロッパ製品と同じものをつくり、しかも値段が格段に安いのはなぜなのか。労働者の賃金を低く抑え、犠牲をしいているからではないか。しかも日本の工業都市はあらゆる環境汚染に悩まされているのは何を意味するのかと詰問されました。そのたびに私は返答に窮したことを覚えています。  一方、日本の現代文化とは何かを考えるとき、私たちは異常なほど不気味な経済成長や環境汚染や都市住民のおそるべき貧困な住居や高物価の中での貧しい民衆の生活を日本の現代文化の象徴であるとみなさざるを得ません。そうした環境の中で、海外では何の価値もない、商業主義によって堕落させられた個性の乏しいテレビ番組、映画、文学作品や絵画などの量的はんらんは現代の日本人の精神的荒廃を意味しております。  国際交流基金の発足はこうした危機的状況の中でとられた日本政府の対応措置であり、その目的には遠大な構想が含まれていることは、外務委員会での外務大臣の答弁の中に十分うかがわれます。しかし遠大な構想のわりにはその目的とする内容は貧弱ではないかと考えられます。外務大臣は三月二十二日の外務委員会での中川委員の質問に答えて、中立的な立場においてわが国の理解者を世界に求めることと、わが国民の国際的感覚を養うということという二つの目的をあげていられますが、その発想はどこまでも日本中心の考え方であり、日本が諸外国から理解されていないので、理解してもらおうという考えが中心となっております。  私たちは国際交流基金が遠大な構想と意図のもとに出発させるならば、この新しい危機に直面した日本がとるべき立場として、あくまでもユネスコ憲章に示された精神に立ち返り、そこから出発すべきではないかと考えます。ユネスコ憲章は悲惨な結末を遂げた第二次世界大戦への反省によって生まれ、周知のごとく一九五一年に公布されましたが、そこには、相互の風習と生活を知らないために、世界の諸人民の間に疑惑と不信が起こり、この諸人民の不一致がしばしば戦争の原因となったと指摘し、人間の無知と偏見を戒めています。  また文化の広い普及と正義、自由、平和のための人類の教育はすべての国民が州立の援助及び相互の関心の精神を持って果さなければならない神聖な義務であると指摘し、政府の政治的及び経済的取りきめのみに基づく平和は、世界の諸人民の一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人知の知的及び精神的連帯の上に築かなければならないと述べています。  すなわち、文化交流の根本目的は国際平和の確立であり、その平和は過去の歴史に示されたごとく、政府間の政治的経済的な取りきめによって達成できるものではなく、世界の諸人民の知的及び精神的連帯によって初めて達成されるものであるということです。  世界の諸人民の知的及び精神的連帯は、まず私たちがみずからの内部にある国家や民族という狭いワクを取りはずし、相互に他国の国民がたどって来た歴史や互いに持っている生活上の習慣や文化遺産を理解しようと努力することから始まります。  このユネスコ憲章に基づくなら、日本は決して軍事大国であってはならないし、また経済大国や文化大国である必要はありません。大国であるという意識は、やがては人種上の偏見や傲慢に結びつき、外国から痛烈な批判を受けざるを得ないのは近年の東南アジア諸国からの日本への非難によっても十分了解されるところであります。  私たちは国際交流基金の設立にあたり、まず何を考えねばならぬでしょうか。欧米やアジア話からの批判や非難に対して日本がよく理解されていないと受け取るのではなく、批判や非難の実態を冷静に分析し、相手が何を主張しているかをよく考えるべきであります。しかも私たちは欧米やアジア諸国民の苦闘の歴史や彼らの築いてきた文化の特殊性をどこまで理解しようとしてきたでしょうか。特に近隣のアジア諸国に対して、私たちは全く無知であり、その無知の上に倣慢さをも持っております。文化交流は結局、国民と国民の、一人対一人の文化的手段を通しての交流であれば、私たちはまず相手の国の置かれてきた歴史的条件やその文化が持つ特殊性を十分理解した上で、その国との文化交流のあり方や方法を検討しなければなりません。そうした現状の分析や調査なしに、日本が批判されているとか非難されているという現象面だけにこだわって、国家的観点に重点を置いて対応しようとすれば、相手の国民から日本の文化宣伝だ、経済進出をカムフラージュする文化侵略だとの非難が返ってきます。日本が経済協力や文化交流と称してお金を使えば使うほど、アジア諸国では不信と疑惑の目で見られることにもなります。  そのようにならないためには、文化交流は行政的な政策の次元でとらえたり、国家の外交政策に従属させるべきではありません。国際交流基金はそうした意味で人類的な視野を持った文化主役の立場をとり、一国の外交政策や経済政策の是正をも迫るだけの遠大な抱負が必要ではないでしょうか。  次に、国際交流基金と国際文化振興会との関係について述べてみますと、国際交流基金の設立によって、国際文化振興会は基金に吸収合併されることになっていますが、国際交流基金は国際文化振興会の単なる拡大であってはならず、この機に国際文化振興会の事業の否定的な側面を是正し、また過去に積み重ねてきた経験をいかに生かすかを検討すべきであります。  まず初めに機関の独立性についてでありますが、国際交流基金と監督官庁の外務省との関係であります。外務大臣はその外務委員会での答弁で、外務省は舞金が運営を誤らないよう監督していくが、具体的な運営は運営審議会の総点できめ、それを受けて役員会が仕事の実行に当たると発言していられますが、国際交流基金法案の条文には大臣の答弁を裏づけるものは見当たりません。条文第二十一条第三項には「運営審議会は、基金の業務の運営につき、理事長に対して意見を述べることができる。」とあるだけで、運営審議会は基金の運営に対して何の権限もなく、また拘束力も持っていません。その上、第三十六条第一項には「基金は、外務大臣が監督する。」という条文があり、これは法律の運用次第では外務省が基金の細部にまでわたって監督し、統制していくことができることを示唆しております。事業の常として、外務大臣が細部にわたり監督できるはずはありませんから、その権限は官僚機構の末端にいる事務官にゆだねられることになります。またその事務官が自分の成績を上げるということのみを考え、即興的な思いつきで監督し始めたら、どのような混乱を招くかは、容易に想像がつくところであります。  日本の文化交流事業を効果あらしめるためには、その専門機関に思い切った独立性を与える以外になく、その専門機関が自主的に長期にわたる展望をつくり出し、企画から準備、準備から実施、その上での謙虚な反省に基づく将来への展望へと有機的に運営を行なえば、日本の文化交流は十年にして全世界に共感をつくり出し、その純粋な目的によって影響力を強めるに違いありません。  そのよい例として、イギリスの文化交流機関であるブリィテッシュカウンシルがあります。ブリティッシュカウンシルは外務省文化事業部が文資第46—31号で、その財政の大部分が政府の支出でまかなわれているが、機構上は政府関係各俗からは独立した機関となっている。このような独立性を維持しているために、各国の教育者、科学者、文化人等の交流が円滑に行なわれているという利点があると指摘しております。  このように外務省は文化交流機関にその独立性を与えればより有効な成果を生むと理解しながら、国際交流基金という法案をつくるときになれば、どこまでも行政官庁の監督、統制のもとに置こうとすることは、今後の日本の文化交流事業にとって不幸なことであるといわざるを得ません。  次に、今後への提案として二、三参考慮見を述べてみますと、まず第一に、日本文化会館の増設の問題があります。  国際交流基金はその海外支部として、ローマやケルンにあるような日本文化会館を世界の主要都市に増設すべきであります。これらの文化会館はいわゆる啓発宣伝のためのインフォメーションセンターであってはならず、その活動も設置された国の文化事情、文化的特殊性及びその国と日本が持った過去の文化交流を検討し、それに基づいた活動方針を立てて、独自の活動を進めるべきであります。  各文化会館は、図書館を設営し、学術研究助成活動を行ない、質の高い日本文化の研究者を育てるとともに、一方、日本文化紹介活動を通して、日本文化に積極的に関心を寄せる新しい層を発掘し、真の理解者を育てていく必要があります。こうした理解者を通して直接外国の人々に日本文化の本来の姿を紹介させるならば、さらに新しい世代の有能な青年層が日本文化に強い関心を抱くようになるでしょう。  また文化会館はその活動目的として、日本文化紹介だけでなく、その国の文化を研究するための機関であることを明確にし、日本から訪れる研究者のために利用できる制度が必要であります。こうした制度は西欧各国の在外文化会館では本来の活動目的であります。各文化会館が相手の国の文化を純粋な学問的動機に基づいて研究する機関でもあることを相手の国民に印象づければ、相手の国はその純粋な目的のために、日本文化会館に敬意を払うようになってきます。真の文化交流は当然のことながら、相手の国の文化を謙虚に学び取ろうとする態度なくしては効果を生み得ないのであります。  また海外駐在員制度については、現在、国際文化振興会は、ニューヨーク、ロンドン、ブエノスアイレスの三カ所に駐在員を置いており、これらは国際交流基金にも引き継がれますが、この駐在員制度は確固とした計画に基づいて設置されたものではなく、予算計上したものが偶然認められたものであります。各所に駐在員を派適し、振興会が広範囲に活動を行なっているように見えますが、その実態は、事務所もなく、事務、事業費合わせて月額百ドルの予算でまかなわれており、これでは事務連絡すら十分には行なうことができません。しかも、事務所がないため、大使館インフォーメーション・センターの一隅に寄生し、大使館現地雇員として雑務を処理させられております。この制度を見ても、従来の国際文化振興会が文化交流活動に対しいかに無定見であり、現状を把握してその改善を積極的に考えていなかったかが証明されます。現に駐在員が上記の事実を指摘し、その改善を訴え続けても、一向に取り上げず放置してあります。このような中途はんぱな駐在員制度は廃止し、専門官養成のための研修制度に切りかえるか、それらの予算を一つに総合し、文化会館を設置すべきであると考えます。  また、国際文化振興会から外国に派遣されている職員は、その在外勤務手当を外務公務員の八割と機械的にきめられ、共済組合制度による健康保険もなく、ひどい待遇の中で働いております。この点もこの機に改善されるよう望んでおります。  さらに文化交流活動に必要な人材としては、従来は、文化交流活動に携わる者は、語学と事務の能力があれば十分であると考えられてきました。しかしいままで述べてきましたように、日本文化を通して世界に寄与し得るような本格的な国際文化交流のためには、単なる語学と事務能力以外にかなり高度な専門家的資質が要求されます。たとえば在外日本文化会館では絶えず現地の文化関係者や専門家と交渉があり、現在の日本文化やその国の文化について話し合う機会があり、文化現象についての独自な見解を問われたり、また具体的な説明を要求されます。こうした会話の内容は、自己の専門分野にも及んだり、またしばしば文化についての本質的な討議に発展し、しかも相手からはこのような質問や討議に当然答えられる専門家とみなされるのが常であります。  文化交流はこうした対人関係の積み重ねによって進められる場合が多く、適材に乏しければその文化交流機関は相手側に否定的な印象を与えるだけであり、大きな観点から見れば日本の文化交流事業にとってマイナスの要因となるでしょう。  したがって国際交流基金は新職員を専門官として養成すべきであり、監督官庁からの古手役人を移行させるようなことがあってはなり談せん。  また監督官庁からの出向について述べてみますと、国際文化交流の仕事には五年十年にわたる長期の経験と専門知識とを要しますので、この秘の仕事に未経験な官吏による短期間の出向は事業遂行にとって効果はなく、むしろマイナスとなります。  文化交流の仕事には未経験な官吏が国際交流基金に出向してきた場合、この官吏は短期間にできるだけ成績をあげ、本省のよりよいポストに戻りたいと願うのは人情として当然でもあります。しかしその結果、即効的な仕事で、本省の歓心を買おうと努力し、長期にわたって積み重ねてきた文化交流の仕事に混乱を引き起こす可能性は十分にあります。  このような意味からも監督官庁からの出向は、一般的に見ても効果はありませんが、特に文化交流事業にとっては、第一章第一条にあるような効率的運用をそこなうだけでありますので、出向は中止し、その人件費をもって新職員を補充すべきであります。  また管理職制度について申し上げますと、基金の予算書によりますと、管理職に対する職務手当が十四人分計上してありますが、本部職責数四十七人という小規模な団体に対して、理事長、理事、監事のほかに十四人の管理職は多過ぎるのではないかと考えます。  基金の管理体制の構想では、管理職として部長、課長、係長を考えているようでありますが、この小規模な団体において、係長まで含めれば職員全体の約半数が何らかの役職につくことになります。外務大臣は外務委員会での答弁で、基金は官庁のやり方であってはならないと明言していられますが、国際交流基金の管理職制度は、いわゆる官庁のシステムの採用では組織が硬直するだけで、文化交流事業に熱意をもって取り組もうとする職員の創意をくじいてしまうことになります。  文化交流の仕事は単なる機械的な事務処理では行ない得ず、各個人が責任を持ち、しかも一貫して仕事を担当せねばならず、各部の各担当者と常に有機的な連絡を保ちながら仕事を進めなければなりません。またときに一つの目的を実現するために企画、準備、実施、反省の各過程を通して、各部の担当者からなるプロジェクト・チームを構成し、合議により最も効果的な仕事をしなければなりません。  こうした意味でも、縦の命令系統をこまかく設けていけば、管理職という意識が逆の効果をもたらし、本来職員間で率直に行なわれていた意見の交換が不十分になり、命令にだけ従って運営されるようになれば、文化交流の仕事は事務的に進められても、決して実り豊かな仕事はなし得なくなります。  管理職につく者は職員の豊かな経験と専門知識を十分に理解吸収し、職員の創意とくふうを引き出す能力を持つ者が要請されております。  従来の国際文化振興会が陰気で活力のない一外郭団体であると世間に思われていたのは、資金がなかったことや、外務省の下請機関になり切っていたことにありますが、他の重要な原因として、幹部がすでに専門的知識を身につけている職員を十分に活用する能力がなく、また若手の職員を文化交流活動に役立たせる専門官として養成していく見識もなく、また事業計画一つとってみても、職員から創意ある意見を引き出していくという考えもないからでありました。  加川外務省文化事業部長は国際交流基金設立にあたり、新しい皮には新しい血を注ぐべきであるとその抱負を述べていられますが、職員の豊かな経験を引き出し、創意と活気にあふれた基金をつくるには、従来の考えにとらわれることなく、根本的に管理職制度を再検討されるべきであると考えます。  最後につけ加えますなら、国際交流基金がいかにりっぱなビジョンや企画を持っても、実際に担当し、運営に当たるのは職員でありますから、優秀な職員を集め、確保していくことが今後の基金の成果を左右いたします。そのためには、国際交流基金は職員の給与水準を思い切って引き上げ、より働きやすい労働条件をつくり出し、生涯をかけて文化交流の仕事を行なっていこうとする意欲のある職員を養成すべきであります。  以上をもって参考人としての意見を終わります。ありがとうございました。

永田亮一自由民主党

○永田委員長代理 山田参考人ありがとうございました。  次に、山崎参考人にお願いいたします。

山崎正和関西大学助教授

○山崎参考人 私は民間にあって文筆を業としてきた者でありますが、近年アメリカの大学で日本文化及び日本文学を講じるような機会があり、またイタリアあるいはアメリカなどで自作の演劇作品を上演するというような機会を持った者でございます。そういう機会に接しまして、日本の文化的な国際交流の現場をべっ見した者といたしまして、今回の国際交流基金の構想というのはまことに喜ばしいことであるというふうに思っております。  ただ一つここで皆さまに強調しておきたいことは、日本の国際的な文化交流というのは皆さまがお考えになっていらっしゃる以上に危機的な状況にあるということであります。それは何もきのう、きょう始まった事情によるものではなくて、日本の歴史的あるいは地理的な宿命のようなものから生まれているわけであります。  考えてみますと、日本は二十年来外国文化というものを何らかの形で受け入れ、それを消化し、独自の文化を形成してまいりました。そしてこのことはわが国にとって恥ずべきことでも何でもないのでありますが、その一面、従来わが国は文化を外国に対して積極的に紹介するあるいは輸出するという経験を持たなかったわけであります。  たとえば、この二千年来中国文化というものは、その周辺諸国にとりましては理解することが死活の問題でありました。また、ここ百年来を考えますと、幸か不幸か西洋文化というものを理解することは他国の国民にとって死活にかかわる必要であったわけであります。しかしながら日本の文化というものは、残念ながら世界のいかなる国民にとってもそれを理解することが必ずしも死活の問題ではないということであります。なるほど御案内のように、日本の浮世絵が西洋の印象派の芸術に影響を与えた、あるいは日本の短歌形式あるいは俳句の形式が西洋の文学、特に詩に大きな影響を与えたというような若干の例外はございますが、そういう文化輸出にしましても、これは外国人の側から見ますと、せいぜい好奇心あるいは新しいものに対する関心にすぎないのでありまして、日本文化を受け入れなければ国際社会に生きていくことができないというような痛切な必要に立ったものではなかったわけであります。そして現在もまたその事情はいささかも変わっていないのでありまして、日本がGNP世界三位というような経済大国になるにつれ、むしろそれと反比例して、日本文化に対する理解の不足が嘆かれているわけであります。  ここで強調しておきたいことは、われわれは、つまり日本人は、自国の文化を他国に紹介していくにあたって大きな歴史的なハンディキャップを持っているということであります。つまり、たとえば私たちがフランスの文化を理解したりイギリスの文化を理解するときのような、いわば自分の生活がかかっているというような実感は向こう側にはないわけであります。したがってこちらの文化を理解してもらうためには、文字どおり懇願するあるいは哀訴するというような方法をとってでもこれは理解してもらわなければならないわけであります。  現状はすこぶる急を告げているのでありまして、先ほど申しましたように日本の経済的成長というものがヨーロッパ、アメリカはもとより、来雨アジアにおきましても、非常に大きな日本の国際的な存在観といいますかプレゼンスを与えているわけであります。それにもかかわらずカメラを輸出し、テレビを輸出する国は、そのカメラによって何を写しているのか、そのテレビによってどんなドラマを上演しているのか一向理解されていない国家であります。言いかえれば、非常に大きな肉体を持ちながら敵のないのっぺらぼうの巨人が世界をのし歩いているというのが現状であります。そして、繰り返して申しますが、それに対して諸外国に潜在的にあるものは好奇心ないしは恐怖感であります。ですから日本が国際的に文化的に理解されようと思えば、断然ヨーロッパの諸国、アメリカなどに比べて数倍する努力があってしかるべきであります。  しかるに、現状を考えますと、これまでの経過はむしろ逆でありまして、いわば自国の文化を紹介しやすい西洋諸国に比べて、一割ないしは二割ぐらいの努力しか日本はさいていなかったわけであります。聞くところによりますと、今度の国際交流基金が発足して、その運用益及び政府からの補助金を足して日本の国際文化交流に使われるお金は十二億何がしだということでありますが、それでも、つまりかなり増額された現在の額でもなおかつアメリカに比べれば一割に満たず、イギリスに比べても六分の一ぐらい、フランスやイタリアに比べてもはるかに及ばないという現状であります。  それで、まあ文化会館というような話が先ほども出ておりましたけれども、御案内のようにフランス、ドイツ、イギリスというのは、日本の文化会館に相当するようなものを日本の中だけでも二つ以上持っております。東京と京都にあったりいたします。それに引きかえ日本の場合、ローマとケルンには文化会館がありますけれども、その他の大切な国、モスクワにもロンドンにもパリにもニューヨークにも文化会館は一軒もないわけでありますハンディキャップのゆえになまけているというのがこれまでの現状でございます。  さらに内容のほうを振り返ってみますと、そういう歴史的事情にかんがみまして、私たちの文化紹介には非常にむずかしい、矛盾する問題がございます。それは、日本文化の特異性といいますか特殊性を強調して紹介していくのか、あるいは国際社会の中における日本文化の同質性の面に重点を置いてこれを紹介していくのかという二者択一の問題がございます。日本文化の従来の紹介のしかたは主として特殊性、独自性のほうに重点が置かれてまいりました。すなわち、日本文化を紹介するといえば能を輸出してみたり歌舞伎を紹介してみたり、あるいはお茶やお花を外国人に教えるという形をとるのが常識とされてきたわけであります。しかしながら、こういうすぐれた文化財というのは確かに日本の伝統を代表してはおりますけれども、非常に慎重にかつ注意深く説明を加え、注釈を加えませんと、外国人にとっては日本に対する理解を助けるどころか、むしろ一種の誤解を招く心配さえあるわけであります。すなわち、日本国民というのは国際的な常識からいえば何だか理解しがたいものを楽しんでいる。かえって日本人に対してマイナスのイメージをつくりかねません。ですから独自性、異質性というものを強調していく場合には、それにしかるべきたんねんな注釈をつけて紹介していくべきでありますが、それにつけては十分な専門家、文化を外国に対して説明していけるだけの人間というものを養成し、かつこれを海外に派遣しなければならないわけであります。従来、その点について必ずしも十分な配慮がされてきたとはいえないわけであります。  のみならず日本文化というのは、この近代化百年の歴史の中で単にこの異質性のみを育ててきたのではなくて、西欧の文化を輸入し、これを消化する過税の中で、ヨーロッパ文化のコンテキストの中で十分理解のできる、そしてなおかつ日本の独自性を秘めた文化財をつくり出しております。たとえば日本の建築でありますとか日本の現代音楽でありますとか、あるいは日本の写真でありますとか、そういった領域ではすでに国際的に評価されている日本の芸術家がたくさんおります。また学問の分野においてもそのとおりでありまして、何も理論物理学の例をあげるまでもなく、諸分野において外国のといいますか、西欧の論理の上に立ちながら日本の独自の学問の成果をあげている分野があるわけであります。そういういわば世界との同質的な側面というものを今後は大いに紹介し、かつ説明していかなければならないというふうに考えます。  ところでそういうふうな現状を踏まえて、今後の構想に対して一つの提案を申し上げますと、何よりも必要なのは、日本文化の紹介にあたって、日本側に統一的なセンターが必要だということであります。ばらばらに思いつきあるいはかって気ままな文化輸出を行なっていたのでは、日本の場合にはかえってマイナスの事態を引き起こしかねません。と申しますのは、先ほども言いましたように、日本文化を紹介する場合には、その独自性の面と同質性の面、この二つの間にデリケートなバランスをとっていかなければならないからだ、この点は何度繰り返しても足りないのでありますが、たとえばフランス文化を日本人が理解する、フランスの側からいえば、フランス文化を日本に輸出するときには、相当無神経にいいかげんにやっていてもだいじょうぶなのです。なぜならば、日本人の心の中には、初めからフランス文化を理解することは死活の問題であり、自分の教養にとって欠くべからざることだという先入観がございます。しかし、諸外国の国民にとっては、日本文化を理解することはさほど重要なことではないのであります。言いかえれば、われわれは要らないものを売りつけに行くわけであります。そうなれば、誤解を招かないように、向こう側にそれだけの積極的姿勢を期待できないとすれば、こちら側がそれに倍する積極性を持って対応しなければならないわけであります。いまも申しました異質性と同質性の間にデリケートなバランスをとるためには綿密な調査、これは外国の側にもあるいは日本の内部の側にも調査が必要であります。そして日本がどのようなイメージをつくり上げていくかということについて、いささかことはは悪いのでありますが、周到なる演出が必要でると私は考えております。そのためには、この国際交流基金というものは今後日本を代表する統一的な文化紹介のセンターになっていただきたい。今後同種の企画が各官庁からばらばらに提案されて、幾つも類似のファウンデーションができるような事態はぜひとも避けていただきたい。日本国としてそれだけの経済的な力があるのならば、できるだけこの交流基金に集中的にお金を使っていただいて、これを日本の文化センター、イギリスのブリティッシュカウンシルに相当するようなものにぜひともしていただきたい。そういうことはないと思いますが、ゆめゆめ各官庁の間に足の引っぱり合いなどということが今後起こらないようにお願いしたいものであります。  また、したがいまして、この交流基金というものは、一面において研究機関としての性格を持たなければならないと思います。単に技術的に日本のPRを行なう宣伝屋さんではなくて、一体何を宣伝するか、もっと言うならば、宣伝すべきものをいかにして日本国内に育てるかというようなところまで目の行き届く、日本の国家イメージに関する研究機関でもあっていただきたいというふうに考える次第でございます。そのためには先ほども他の参考人も申されたようでありますが、この交流基金の中に文化交流の専門家を養成していただきたいということであります。これは一面では高度の外交技術々備えた外交官であると同時に、日本文化について一流の見識を持った文化人でなければならないわけでして、これについては、長期にわたる育成、養成が必要かと思います。実際、現状を振り、返ってみますと、そういう人材というのはきわめて乏しいのであります。現在の文化振興会の中にも優秀な方はたくさんおられるようでありますが、必ずしも今後の需要を満たすに十分の人材があるとは考えられません。また民間といいましても、あるいは学界、あるいは実業界にこういう仕事をする人たちがいますぐ見当たるかといえば、これもたいへんむずかしいのであります。したがいまして、当然現在の官界といいますか、外務省に働いておられる方々を含めて協力を求めていかなければならないと思います。しかしながら、その協力を求める場合には、あくまでも国際文化交流ということに腰を落ちつけて永続的にやるという志のある人を集めなければならないというふうに考えております。まさに事態は急を告げているのでありますから、この際官民というような区別を問わず、優秀な人材本位に積極的に人を集めていただきたいと思います。  最後に、審議会という新しい構想が導入されていることについて敬意を申し述べておきたいと思います。これは従来の文化振興会にはなかった制度であるかと理解しておりますが、それだけにこの審議会の運用いかん、活用いかんによりましては、たいへん具体的かつ深い見識がこの基金につぎ込まれることになるかと思いますが、現在の法案におきましては、必ずしもその地位が明確ではございませんので、場合によっては、つまり活用のよろしきを得なければ、単なる飾りものになる可能性も残っているわけであります。今後十分その点に御注意いただきたいと関係諸公の皆さんにお願いする次第であります。  簡単でございますが、これだけで参考意見を終わらしていただきます。

永田亮一自由民主党

○永田委員長代理 山崎参考人ありがとうございました。  次に、滝沢参考人にお願いたします。

滝沢幸一政府関係特殊法人労働組合協議会議長

○滝沢参考人 今回国際文化振興会が国際交流基金として、特殊法人として発足するにあたりまして、特殊法人の自立的運営がいかに必要であるかという点につきまして、まず申し上げてみたいと思います。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕  もともと行政機関でやれる仕事を特殊法人でやる必要は全くないと思います。なぜ特殊法人が設立されるのかというと、国の目的とする業務を行政機関でやるということになりますと、制度上のいろいろな制約があって、能率的な運営がはかどれない、そこで特殊法人というものをつくって、そこに自立性を持たして運営の能率をあげる、一口に言えばそういうことなのだと思います。しかしながら、現実の特殊法人の実態はどうなっているかというと、第一義的に、いま御指摘申し上げたとおり、特殊法人の存在というのはその自立的運営にあるわけでありますけれども、実態は遠く隔たりまして、ほとんどが監督省庁の出先機関、仕事の内容でいえば下請化をいたしておるわけであります。したがいまして、特殊法人全体の職員の率直な意見でありますけれども、自分の能力をフルに発揮したくても、いろいろ監督省庁の統制とかあるいは監督上の制約があって、思うように自分の能力を発揮することができないという不満がたいへん職場に強いということなんであります。つまり今度の法案の設立趣旨にあります法人の能率的運用をはかるということであれば、その前提となりますのは、自立的運営を保障することに尽きる、この点は私はあえてこの機会に強調いたしておきたいというふうに思います。  第二点として、この自立的運営を妨げている主要な要因は、一般にいわれております天下り人事といわれる監督省庁の縦割り人事のしわ寄せが特殊法人に来ているというこの関係をます。  特殊法人の実態におきまして、かなり監督省庁からの天下り役員が多いわけでありまして、全体の特殊法人の役員の構成の中の七、八割がその方方によって占められているわけです。この役員のポストでありますけれども、おしなべて特殊法人の場合につきましては、一期二年から長いところで四年ということで一任期がきまっておりまして、大体任期二期をつとめますと交代するということが何か不文律のようになっているようであります。むろん例外がありまして、十年近くも役員のポストにすわられている古手官僚の方もいますが、一般的には任期二期ぐらいで交代をしていく。そこで問題になりますのは、特殊法人に天下ってこられる古手役人の役員でありますが、この方々は、一般的に見て、社会的にも、あるいは経済的にも、いわばその人生坂を登り詰めたという境域の方々がほとんどであります。したがって、率直言ったら、自分自身が特殊法人の役員のポストにとどまることにきゅうきゅうとしている向きがあるのです。そういう考え方の人が役員におりますから、監督省庁に対して、職員から建設的な意見があっても、自分がそれを建設的な意見として監督省庁に述べるかというと、そういう自分自身のリスクにからむ問題については、どちらかというと現状維持という形の中で、職員の意思を自分の段階でとどめてしまう、こういうことも多々生じてまいってくるわけであります。したがいまして、これらの問題について、いかにその古手役人の役員ポストというものが運営の自立性に大きな障害になっているか御理解をいただけると思うのです。  そこで、この種の問題は、単に私の意見だけではありませんでして、特殊法人の運営実態に初めてメスを入れましたのが政府がつくりました臨時行政調査会でありまして、多少古くなりますが、これが三十九年の九月に政府に向かって大体次のような勧告を答申しているわけです。そこの主要な部分の中でこういうことをいっているわけです。「政府関係機関等は、政府の強い監督、統制によって経営の自主性を著しく阻害されているのみならず、人事管理の面においても、政府の人事政策のしわ寄せを受けている。これは事業の独立性を本質的に否定するものであるのみならず、事業愛にもえた経営者の育成を帯しく困難にしている。」まさにわれわれ自身の持っている実感と相通ずるものがここにすでに述べられているのであります。  さらに、その具体策としまして、「広く人材を求めるため、官庁の都合本位による役員人事をやめて、役員は部内外からも積極的に登用することとし、かつ本省からの直接登用による役員は原則として役員の半数以下とする。」こういう具体的な提言があるのですが、その後かなりの日時がたっているわけですけれども、この種の勧告が守られたかというと、むしろこの指摘されている部分が拡大をしている、われわれの側から見れば、ますますこの点は声を大にして非難しなければいけない、そういう状態にあるということをあえてこの機会に私としては御披露申し上げておきたいというふうに思うのであります。臨調答申がいっておりますように、特殊法人の設立というものが中央官庁の天下りポストの拡大に利用されている向きがあるわけであります。  今回の法案の中にも、公益法人としての役員構成に比べれば、今度は特殊法人として発足にあたって役員構成が拡大されています。特殊法人の全体の傾向を見まするに、規模に比べて役員のポストがふえるという傾向があります。これらの問題と今回の役員構成の問題についても、私は傾向としては密接不可分の関係があるのじゃないかと思うのであります。  ここに外務関係の特殊法人の資料を用意してまいりましたが、これを御案内しますと、いま外務省関係の特殊法人としてございますのは、海外移住票業団と海外技術協力事業団がございます。その辺の役員構成、それから全体の人件費に占める役員給の比を申し上げますと、次のとおりになります。  海外移住事業団は、これは資料といたしましては、四十六年度の予算書からとった資料でありますが、理事長はじめ役員は七名いるわけです。そうしてそこに働く職員は、予算定員で三百五十一名いまして、役員と職員の比は五十人に一人、こういう形になっております。それを今度は予算の面で拾いますと、全体の事業団の人件費予算というのは五億五千七十六万二千円でありまして、それに対して役員給の占めておりますのは三千三百七十三万四十円、したがって全体の六・一%が役員給、こういう数学になっております。  同じように海外技術協力事業団の例をとりますと、役員一人に対して職員が四十九・一、こういう比になります。それから予算に占める人件費の中での役員給が五・八%、こういう数字になっております。  そこで、今回、国際交流基金の十月から発足する下半期の予算で同じように対比をしてみますと、国際交流基金の役員が予算上一応五名となっておりますから五名ということで押えると、十一人に一人役員が生まれてくるということになります。同じように人件費もふくらみまして、役員給の占める割合というのは一六・三%と、既存の外務省関係の特殊法人に比べても、役員給の占める割合が非常に大きい。それが必然性があるのかという点に率直に疑問があります。  特殊法人の役員について、そのように予算面においても役員給がふくらみ、そうしてその規模に比べても役員の数がふえるという点について、あえてやはりこの機会に天下り人事のポストを水増しをしている、こういうことを率直に意見として申し上げておきたいというふうに思います。  このことは単に役員にとどまりません。特殊法人全体を見まするに、一般職員まで、ことに管理職層でありますが、広く天下り人事が行なわれておりまして、そのケースは、大体大きくわけると二つに分かれるのであります。職員層におりてくる第一のケースは、役所で一応定年退職をして、あるいは定年退職近くに特殊法人へ天下るというケースでありまして、この方々は身分的には役所との縁を切っています。もう一つのケースは、監督省庁に籍を置いて、先ほども参考人の話から出願したけれども、出向職員という形をとってきているのであります。この方々も、先ほど役員のお話をいたし残したけれども、ほとんどが役所に身分がありまして、大体二年ぐらいでそのサイクルができておりまして、どんどん人が入れかわっていくという傾向がありますから、仕事をどちらの側を向いてやっているかというと、役所の側を向いてやっている。   〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 そういうことで、ますます自立的運営を阻害している。法案に、外務省の監督権の問題がありますけれども、人まで送り込んで監督をするとすれば、これはもう自主性は名ばかりでありまして、予算的にも出向職員の予算が組まれている点については、私はきびしく批判をしなければいけないと考えておる者の一人であります。  この点につきましても、最近のデータによりますと、昭和四十六年九月に行政管理庁が、事業団の監督行政監察の結果に基づく勧告を出しています。これは特殊法人の中に三十三事業団ありまして、それに対しての行政監督をやった結果なのであります。その中で人事管理の自主性の確保という点の指摘があるのです。そのところの点を要約してみると、こういうことがいわれているのです。  一として、現在計画的に幹部要員の採用を行なっているのは、十八事業団のうち二事業団にすぎない。全体の事業団を通じて本部の役員以上の職位の六三%以上が行政機関からの出向者で占められている。  二として、しかも、これらの出向役付職員、これは三百名おるわけですが、そのうち四五%、百三十五人が出身省庁への復帰を予定している。また、これらの復帰予定者については一般に在職期間が短く一年から二年、しかも同一の職位に同一機関からの出向が行なわれているのが例となっているため、海外技術協力事業団では長期の争議が行なわれて事業が阻害された事例がある。  そういうふうに指摘をしているわけです。したがいましてここら辺の出向の職員の問題につきましてもぜひともこの機会に御審議をいただきまして、内部の優秀な人材を登用していくという方向にぜひとも皆さんのお考えをおまとめ願えればたいへんありがたいというふうに考えておる次第であります。  何となれば、現在のように役員ポストや出向あるいはせきを切って天下ってこられる方々が特殊法人にたいへんおるがために、特殊法人の労働者はこれに対して反発をいたしまして、天下り人事反対闘争といわれる戦いが広範に展開をされているのであります。つまり労使関係のことを考えるならば、この天下り人事という権限を断つということがまず前提になると思います。しかし、にもかかわらず現状の一例を紹介しますと、行政監察でも指摘されました海外技術協力事業団におきましては労使双方で今後内部登用を積極的に行なう、こういう団体交渉上で協約を締結しているにもかかわらず、その後法人側がそれを破棄いたしまして、さらにその後天下り人事を強化、拡大する傾向すら出てきている。かつていまから三年前に二月にもわたる六月闘争をかまえて、一応収拾したこの職場でありますけれども、現在再び天下り人事反対闘争が大きく展開されているのであります。   〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 それはどういう事情か簡単に触れますと、四月十五日付に財務課長のポストへ外務省から。それから五月からは総務部長のポストへまた外務省から。六月には経理部長が大蔵省からと、矢つぎばやに天下り人事が行なわれようとしていくことに対する反発なのであります。この天下り人事問題につきまして、結論として次の改善点といいますか、問題提起をいたしたいと思います。  いま申したとおり、特殊法人の能率的な運営をはかるためにはまず役職員の天下りを制限しない限り、基金——たとえばここで言えは基金でありますが、交流基金の能率的運営は期待できないのでありますから、第一点として、民間ないしは部内からの人材を優先的に登用する、このことを一つ申し上げたいと思います。  それから第二点として、国家公務員法の百三条には民間への役人の天下りを制限しています。少なくとも二年間天下ってはならないという制限があります。特殊法人の場合においてもこれを適用すべきだと私どもは主張します。  それから第三点といたしまして、特殊法人の採用にあたりまして、むろんそれの所定の手続を受けて、つまり試験を受けてみんな入ってきているわけです。その点におきまして採用基準というものをきちっといたしまして、より明確に公開をするという原則に立って、さらに出向、天下りの職員についてもその採用基準に照らし合わせてテストをして採用するならする。必ずしも役所から来る人間が適材だと私どもは決して思っておりません。むしろ批判に足る人材がたくさんいるわけでありますし、それも上級ポスト、重要なポストにつくわけでありますから、そういう野放しな状態についてはきちっとチェックをすべきだ、このように考えるものです。以上の指摘につきましてはいま直ちにできるものとできないものがあると思います。しかしできるものからやっていただくということを私はこの際提言いたします。  次に第二点として申し上げたいことは、労働条件の改善についてであります。  特殊法人おしなべて言えることは、役所からおいでになるようなそういう出向職員についての待遇とはえ抜きの職員の待遇と比較してみますと、そこに歴然とした差別があります。つまりはえ抜きの職員が冷遇されているという実態があるのであります。したがいまして、この機会にぜひともこの問題について改善をしていただきますよう本委員会に私は強く要請をいたしたいと思います。  もう一つの要素は、いままで公益法人としてやってまいりました基金が今度はいよいよ特殊法人になる。一般的に公益法人と特殊法人の間に労働条件の格差があるわけです。したがいまして、特殊法人にいよいよ十月から出発するわけでありますから、そこに働く職員の労働条件も当然特殊法人並みに引き上げるのが妥当だと思うのです。この点につきまして、広く特殊法人内の組織の中で今回の国際交流基金に大体類似するという団体を拾ってみますと幾つかありますが、典型的にはアジア経済研究所あたりがその仕事の内容とかあるいは働いている職種からいっても妥当なところではないかと考えます。  それから第三点として、本法案の三十四条、それから四十条三号に職員の給与とそれから退職金につきまして規定がされています。これによりますと、外務大臣の承認事項、それから外務大臣は大蔵大臣との協議事項、こういうことに定められています。このことは特殊法人の現状の実態からすれば、全く労使双方が自主的に賃金をきめていることを不可能にしている制約条文なんです。あえて私が制約条文と申しましたのは、これはあくまでも承認ですし、協議でありますから、制約条文でないはずなのでありますが、実際大蔵省並びにここでいえば外務省が監督省庁でありますが、これを制約的な条文と解して、労使双方の労働条件の決定に対して制約を加えてくるわけです。いま特殊法人の全体の賃金の問題につきまして紛争が年中闘争化しています。昨年の賃金がまだ年度を越えて妥結をしないで紛争している法人すらあるのであります。これはなぜかというと、労使双方が賃金をきめるにあたって使用者の側があらかじめ、ここでいいますところの大蔵大臣の——われわれでは内示といっておりますが、大蔵省の表現を借りれば給与の改定に対する基準、これを大蔵省が示し、それを持って使用者が組合に対して交渉に応じる、こういうたてまえになっておりますから、労使が事前に話し合ってそして賃金をきめることができないシステムになっている。したがって、今後のこの国際交流基金の労使関係の改善の点からもあるいは労働条件改善の点からもぜひともここの部分につきましては削除をし、できるだけ労使に自主的な賃金あるいは退職条件がきめられるようなそういう形にすべきではないかと思います。  参考例として、同じ特殊法人の中に日本開発銀行というのがありまして、そこの定款では職員については総裁がその給与を定める、こういう形で労使が自主的に賃金をきめることをきめているそういう特殊法人もあるわけでありまして、三十四条、四十条三号で労使の自主交渉を妨げるような条文をこのままにしておくということについて私としては強い異議を持っているものであります。  それから最後に、国際交流基金を設置することにからみまして、既存の類似関係団体の今後の問題についてやはり十分お考えを願いたいというふうに思うわけであります。たとえば私ども承知しております国際学友会などの例を見まするに、今回の基金の発足によって競合する部分もあります。あるいは現実にこの国際学友会の現在の財政状態というのは非常に悪くて、赤字が続いておりまして危機的な状態にありまして、こういう基金ができるということによってそこに働く職員の不安が非常に強まってきている。こういう点を私としては憂慮するわけです。つまり今回の国際交流基金の発足が、広く関係団体全体の将来に対する展望を与えるものであってほしい。ぜひともそういう方向の中でこの法案が、審議されることを強くお願いをいたしまして、参考人としての意見にかえさせてもらいます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これにて参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 たいへん貴重な御意見を開陳していただきまして参考になりました。たいへん制約のある時間内、日数の中での審議をいま続けておるわけですが、私どもが最も関心を持っておる点、それからすでに政府にも質問をした点などをさらに深く検討する材料を提供していただいたと思います。特に関西大学の山崎先生が指摘されたように、今度初めて運営審議会というものができるわけで、これが単なる飾りものになる危険があるのではないかという御指摘がありました。これもすでに委員会でこの点を特に強調して、何とか、せっかく新しくできるこういう基金ですから、この運営委員会をひとつ積極的に活発に活用したいというので、いまは附帯決議もその点については協議を進めておるというような状況でございます。  時間がありませんから、これらの問題について各参考人にさらにお伺いしたい点がいろいろあるのですけれども、制約の関係上、私自身がいままで政府に質問して、なお政府の答弁では不十分——今後まだこのあとで政府に対する質問も続行しますけれども、そういうことのために少し補足的に御説明いただきたい点を気づきましたので、お二人におもにお願いしたいと思うのですが、最初に山田さんにお伺いしたい点は、国際文化振興会は今度一緒になるわけですけれども、この前から委員会の審議でも振興会の実績、それからいままでの問題点、こういう点について、私自身も調査したいし、それから政府からも少し詳しい御説明を閥きたかったのですけれども、時間の関係で、文化部長からごく概略の御説明があっただけなんです。そこで、直接の関係者でいらっしゃいますから、この国際文化振興会ではこの文化交流の仕事がなぜ満足にいくような効果があげられなかったのか、こういう点、もう少しお話しいただけたらと思います。

山田正春財団法人国際文化振興会職員

○山田参考人 松本先生にお答えしますが、国際文化振興会が満足にいく文化交流をなし得なかったのは、一つは大局的に見ればやはり資金不足ということと、毎年政府補助金というのが予算ワクに縛られてこまかく規定されているわけです。そのために、もっと弾力的に使わなくてはならない金額がすべて予算というワクの中で考えられ、しかも国際文化振興会は、いわゆる外務省の下請機関ということになり切ってしまいますと、いわゆる役所以上の役所ということになってしまいます。つまり文化事業部はある程度予備費を持っていますが、国際文化振興会は予備費が全然なく、全部補助金でまかなわれます。そのために新しい企画に対する積極的な意欲がそがれるということになります。  その問題と、もう一つは、やはり機関としての独立性を与えられなかったということです。名目上財団法人でありますが、補助金が九七%を占める関係上、すべてを外務省のほうに伺いを立てる。つまり完全に従属した形で運営が行なわれる。それでは有機的な運営は望めません。したがって国際交流基金が発足する場合には、このようなことを繰り返した場合には、どんな機関をつくってもやはり同じものにしかなりません。ほんとうの意味で国際交流基金を大きく発展させるためには、機構上どうしても自主性を持たせる。そして国際交流基金がみずから企画権を持ち、運営権を持って行なわせるということが根本的な問題であると考えます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 いまも山田さんがちょっとお触れになりましたが、せっかく基金をつくっても役所以上の役所になるのじゃないかというお話でした。この点も審議の過程で一番私どもが関心を持ち、また警告もしておるところなんです。そこでその点、今度の基金法に基づいて新しく発足するこの基金が、いわゆる官庁の出先になってしまう危険性というもの、私自身はまた十分これを感じているのですが、実際に文化振興会におられる山田さんが、この点をどの程度危険性を感じておられるのか、もう一度御説明願いたいのと、文化振興会のいままでの状況、特に海外派遣職員のことについても、この前私は政府に少し聞いたのですけれども、これも時間が少なくて十分な御説明がまだありませんから、海外派遣職員がどういう状態で勤務されておるのか、その状況の二つをちょっとお話し願いたいと思います。

山田正春財団法人国際文化振興会職員

○山田参考人 松本先生にお答えいたします。  今後の国際交流基金の見通しといたしましては、やはり役員の人材及び管理職にどういう人を抜てきするかということにかかってくると思います。それと運営審議会の運用になると思います。つまり理事長一名、理事三名、監事一名の役員が、いわゆる外務官僚出身の人で占められた場合には、これは旧来のものと変わらないのではないかと思います。この際民間から少なくとも五分の二以上を抜てきされる以外に新しい構想は立てられないのではないかと思います。つまり、それはなぜかと申しますと、外交官の体質というものがありまして、それはそれなりの資質を持っていられますが、文化交流の仕事に対しては必ずしも有効な経験を積んでいられないわけです。そして常に対外国人なり、国内の文化人との話にあたる場合も、かなり専門的な分野にまで至り、あるいは企画の点でも非常に専門的な内容を求められます。それに対して何一つ満足な回答が得られない場合には、国際交流基金の代表者としては相手に対して非常にマイナスの印象しか与えないんじゃないか。そういう点では、理事の資質というものは非常に重要であると思います。また、そういう人でなければ、幾ら運営審議会のメンバーにすぐれた人を結集しても、その人たちの意見を理解、吸収することができなくなると思います。そういう点において、運営審議会の構成、そして理事が、やはり文化の内容についてかなり深い見識を持ち、しかも意見の吸収ができる人でなければならないということです。そういう条件がない限りは、国際交流基金は国際文化振興会の繰り返しになってしまうといわざるを得ません。  それから第二点ですが、いわゆる国際文化振興会の海外派遣職員は、仕事としては専門官の仕事を要請されながらも、待遇状態ではいつの間にか外務公務員の八割ということにきめられ、しかも、健康保険の保障も何一つなく、不安にさらされながら仕事をしています。それがすでにもう十年以上続いているわけです。海外の派遣職員から、この問題を何とかしてほしい、いつどんな病気になって、手術するような事態が起こる場合に生活そのものの不安に脅かされるわけです。その点の改善を何度も要求していながら、いまだに取り上げられることもなく過ごされています。われわれは、やはり海外派遣職員に対して、国際交流基金は本格的にその仕事を保障するだけの待遇と労働条件を保障しなければならないと思います。一応そういう点で答えといたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 いま結局人の問題に触れられたわけですが、役員の資質をいま述べられたわけですが、一般の職員は、どういう人が求められるでしょうね、こういう仕事をやるには。

山田正春財団法人国際文化振興会職員

○山田参考人 松本先生にお答えいたします。  職員としては、先ほど申し上げましたが、やはり単なる会話ができる程度の語学内容とか事務能力を持つだけでは、海外に出た場合に何の役にも立ちません。つまり、文化会館の仕事というものはかなり専門官としての仕事を要請される。また、外国に出た場合に、日本文化会館は日本文化を代表する権威として存在します。そういう存在に対して、外国人がいろんな問い合わせとか話をした場合に、ただ事務的にしか答えられなかった場合には、この文化会館というのは一体どういうものなのか、これは単なるインフォーメーションセンターにすぎないんじゃないかということになり、外国の文化人や知識層は近づかなくなります。つまり、文化交流にとって一番重要な問題は、いかに相手の国の文化人や知識層の中にまで影響力を及ぼすかということであります。そういう点で、人材というものが最も重要な問題になってきます。それは本部においても同様にいえることだと思います。そういう点で、いわゆるこそくな採用手段ではなく、やはり公正な試験をもって新職員は補充しなければならないんじゃないかと考えます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どうもありがとうございました。  まだ質問者がおられるようですし、時間がたいへんあれですから、滝沢さんにちょっとまとめて御質問を申し上げたいと思います。  先ほどから天下り人事反対の問題も御指摘になっておりましたが、一ころずいぶん騒ぎました海外技術事業団、これのその後の労使関係というものはどういうふうになっているかということが一つです。それから、公益法人との賃金格差の問題に触れられましたが、アジア研究所との格差がどの程度あるのか。それから、さっき触れられた国際学友会、国際学友会がこの基金ができるんで何か不安を感じているというようなお話、どういうことに不安を感じておるのか、ちょっと補足していただきたいと思います。

滝沢幸一政府関係特殊法人労働組合協議会議長

○滝沢参考人 海外技術協力事業団のあの二カ月にわたるロックアウト紛争の背景と申しますのは、その前段で労働組合と使用者の間で、この天下り問題について議論がありまして、労使双方で一定の合意点に達したわけです。当時の確認書が手元にあるので御案内をしますと、昭和四十四年十月十一日に労使双方が次のような確認をしているわけです。幾つかありまして、この紛争にかかわる問題だけ言いますと、昭和四十四年十月二日付発令による農業開発協力室職員については、おそくとも二年後の交代時に内部登用により補充をすると、明確な確認書があるわけです。それがその紛争の中でほごにされ、いまだにこのポストについては居すわりになってきている。こういった点がいま、労働組合として再度この種の問題について、協約ほごに対する怒りとして出ているというのが一つの側面です。それからもう一つの問題としては、もう一つこの際に協定として取りましたのは、次期企画課長は内部登用にすると、こういう形で協定されているんでありますが、これも、その後確かに内部登用になったんですが、現在流れる情報によりますと、再度外務省からこのポストへ人が来ると、こういったことが労働組合側の反対の大きな理由になっている、こういうことです。全体といたしましては基本的に内部登用の方向でいくという約束が、先ほど申し上げましたとおり、かなり、重要なポストに相変らず世襲的に各監督省庁の天下り出向者が繰り返し繰り返し来ているということに対して、今回再び事業団側に反省を求めるというかっこうで、現在職場としてはかなり激しい戦いに徐々になりつつある、こういう状態がその後の経過であります。  それから、先ほど特殊法人並みにするとすればアジア経済研究所が妥当だと申し上げました。その辺の実態ですが、詳しい資料は持ち合わせておりませんが、大きく拾って次の点が一つの参考になると思います。アジア経済研究所と現在の国際交流基金に働くであろう職員の実態でありますが、平均賃金におきましてアジア経済研究所のほうが四千四百十六円高いです。それを個人的に拾ってみますと、たとえば大学卒の男子で三十歳のところを見ますと、アジア経済研究所の平均では五万六千五十円になっています。それに対してKBS、つまりこれからなろうとする基金でありますが、国際交流基金の場合については四万七千円でございますから、九千五十円の開きがあります。同じような資格で三十六歳を拾いますと九千八百三十三円の開きが出ます。女子の例を見ますと、二十八歳で拾いますと、やはり九千円からの開きがありますから、これは大卒だけではなくて、全般的に一万円近い賃金格差がいまの実態の中にあるという点を御理解いただけるのではないだろうかというふうに思います。  それから国際学友会の問題でありますけれども、国際学友会の現在やっている主要な仕事で問題になっておりますのは公的研修生の問題なのであります。公的研修生の中で、どっちかというと文科系が学友会に年間を通じて五十名から六十名来るわけでありまして、これが今度の基金の発足にあたってどういうふうになっていくのかという点が非常に職場の不安をかこっている、これが第一点です。  それから第二点としては、例の日本語の普及の問題です。この問題につきまして、やはりまあ基金でもやるということで競合する部分が出てくるわけでありますけれども、文部省のほうもこの種の問題については一本化という動きが非常に強まってきている、こういった点ではたしてこの競合した部分が今後どのように処理をされるのかという点につきまして、現在の会の赤字が使用者側の発表によりますと、十年後には三億円ぐらいになるというような状態を含めまして、先行き先細りになるんじゃないかという不安が強く国際学友会の職員の中にある。したがって、その辺の不安の払拭をこの法案の審議にあたってぜひともやっていただきたい。先般外務大臣の答弁の限りでは、きわめて抽象的でありますので、もう少しここらへんの、少なくとも国際学友会だけではないと思うのです。関係団体の問題について思いをいたされまして、対策を講じられることをぜひともお願いしたいと重ねて申し上げます。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕

正示啓次郎自由民主党

○正示委員長代理 次に、松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 鈴木参考人と山崎参考人にまずお聞きしたいのでありますが、この法案は、福田外務大省が軍国主義の復活でありますとかあるいは日本の海外での経済活動がいろいろ非難をされているということに関して、そういう問題を払拭するためにやりたいということがいわれたわけであります。それは山田参考人もちょっと触れられましたけれども、私どもは問題は軍国主義の復活というようなことの実態をなくす、あるいは経済侵略といわれるような、そういう海外での経済活動というものをなくすことが中心である。そして、その実態をそのままにしておいて、ただ宣伝活動をしていくというようなことでは困るんではないか、こういうふうに考えておるわけです。その点についてどうお考えかということと、それから、やはり政府の政策に従属をするというようなあり方では、結局ほんとうの意味での文化交流というのはできないんではないか。これは山田参考人も言っておられましたが、自立的な運営政府の政策に従属しないということが必要ではないかというふうに思いますけれども、この二つの点について、鈴木参考人と山崎参考人の御意見を伺いたいと思います。

鈴木九万ユネスコ国内委員会委員

○鈴木参考人 お答え申し上げます。  いまの交流基金ができまして、これによって文化交流を強化して、それによって軍国主義とかそういうイメージが外国でいわれておるのを払拭するという点でありまするが、これは文化交流をやったからというて、何と申しますか、いまのイメージをどうということは直接はできないと思いますが、しかしながらこれは非常に役立つんではないかと思うのであり面す。前から皆さんが言われたように、日本のいいところ、文化的なところ——文化という先ほどユネスコとの関連でお話の出た参考人もありましたが、これはごもっとが、こういう考えも入れまして、この文化交流ということをやっていったならば、これによって日本が単国主義であるということは、これは誤ったイメージだと私自身は信じておりまするが、これを払拭するのに非常に役立つんではないかと存じます。  それから第二点は何でございましたかな。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 政府の政策に従属しないということが必要ではないかという点……。

鈴木九万ユネスコ国内委員会委員

○鈴木参考人 この点は程度の問題もありましょうが、外国の文化交流の事業のやり方を見ましても、先ほどブリティッシュカウンシルのごとき場合には非常にはっきりしている点がありまするが、フランス、ドイツ、イタリア等の例を見ますると、やはり政府がこれに介入するということは、いろいろな意味でやむを得ない点ではないかと私自身は考えております。

山崎正和関西大学助教授

○山崎参考人 日本の実態が軍国主義的であるかあるいは経済的に侵略的であるかということについては、いろいろと議論のあるところであります。万が一そういうものが実際にあるとすれば、それはたとえば文化交流というようなものによって上塗りできる問題ではないのでありまして、その実態を改めなければならないことは、これは当然であります。しかしながら、半面日本の置かれている現状を考えますと、先ほども私が申し上げましたとおり、日本は顔のない巨人として世界の中に立っている。日本が自分を説明する、文化的に説明するにやぶさかであるがゆえに要らざる誤解を招いているという面も、これは現実にあると思うわけであります。暗がりに覆面をした男がぬっと立っておりますと、たとえその男に害意がなくとも、通りかかる人間は不審な目でこれを見るのであります。日本の現状というのは覆面をして暗がりに立っている大男のようなところがあるわけでありまして、少なくともその覆面を取って、素顔はこうであるということを世界の人々にわかっていただくということは、要らざる誤解としての軍国主義非難というふうなものは防げるのではないかと考えます。  第二に、政府の政策と文化交流との関係でございますが、これは直接的な次元で政府の政策を文化交流に反映するということは、これはむだであろうと思われます。しかしながら、政策といえども一国の体質というものは、その文化的な土壌というものに深く根ざしているのでありまして、申し上げるまでもなく、日本共産党という党は、同じ各国の共産党の中で、やはり外から見れば日本的なので、言わず語らず日本的である。そういうつまり、むしろ文化が政治を規定する、政治に文化が従属するのではなくて、政治が文化に従属するということは、これは現実の問題であろうかと思います。したがいまして、その次元において両方が相協調し、協力し合って日本を外に対して説明していくということは、これは必要であるし、不可避であろうというふうに考えるのであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 滝沢参考人に伺いたいのでありますが、国際文化振興会の職員を含めまして、この問題に関して政府関係特殊法人労働組合協議会としての政府あるいは使用者側に対して交渉をしておられて、問題として残っておる点、団体交渉の現状と問題として残っておる点を、かいつまんでお話しをいただければと思います。

滝沢幸一政府関係特殊法人労働組合協議会議長

○滝沢参考人 国際交流基金の問題ではなしに、特殊法人全般の共通課題としての対政府との交渉でいま問題になっているはというふうに理解をしてよろしゅうございますか。(松本(善)委員「両方含めて」と呼ぶ)それでは、特殊法人全体の問題といたしましては、先ほど三十四条、四十条の関係で申し上げましたが、特殊法人の賃金はあくまでも自主的に労使できめる、こういう基本的な立場に立っていますし、労働法の適用を受けている私どもとしてはこれは当然の権利と考えています。一方私どもの賃金につきましてはいろいろな、特殊法人によっては手続は違っておりますが、おしなべて大蔵省が先ほどちょっと申し上げましたとおり賃金の規制をしている。そういった点で自主交渉権は形骸化されている、こういう点で、ことしの春闘でこの問題について再度政府にその辺の問題について基本的に改めることを強く要求して戦っている、これが第一点。それから第二点としては、定員の問題がございます。定員の問題についても、国の予算ワクの中であらかじめ国家公務員の定員削減と機械的に合わせられまして、特殊法人の定員がきめられてくるわけです。ところが、御承知のとおり、ことしの財政投融資計画を見ましても、膨大な財政投融資を抱えておるわけですね。そういった点で、そういう人員増問題について機械的に定員を減らされては困る、こういう問題が争いの大きなポイントになっている。それからいま議論しております広く天下り人事の問題ですね。有害あって一利もないわけでして、職員の意欲はますます減殺されるわけです。そして実際問題、特殊法人の実態というのは、はえ抜きの職員は軍隊でいえばせいぜい下士官どまりですよね。そして将校クラスというのは全部役所のほうから世襲的に占められている、こういう状態に対するいわれのない差別です、はっきり言って。このいかりが広範な戦いとなって、先ほど紹介しました海外技術協力事業団の組合にも起きているし、それから幾つかの組中の中でもこれが大きな出題として昔からずって根を引いてきているという点であります。  さて、戻りまして、現在の国際交流基金をめぐる問題であります。この秘の問題について、第一点として、たいへんぼくはけしからんと思っているのでありますけれども、改組にあたって、そこに働く職員の一括雇用を依然として保証しないのですね。この点につきましては、過去に私どもは何回も経験をしております。たとえば水資源開発公団へ愛知用水公団が統合されました。あるいは原子燃料公社が核燃料開発事業団へやはり発展改組していきました。そういう数々の改組をめぐる交渉の中で、きちんと当局側はそれを一括雇用しますということを約束しているし、そして同時に、そのまま履行されているわけですよ。ところがどうしたことか、現在まだ国際交流基金になっていませんけれども、KBSの段階では、使用者側はその交渉を依然としてしようとしない、そして例外的に、場合によれば、本人にやめてもらう、説得してやめてもらうということなのでしょう、おそらく。そういうこともあり得るような発言をしているというのは、たいへんけしからぬことだと思うのです。  第二点として、労働条件の問題です。現在ある労働条件を継承していくというのは基本的な原則だと思うのです。そういう問題についても依然として、新たに発足する特殊法人の責任者がだれであるかはっきりしない段階においてはこれまた保証の限りでないという言い方をしているのですね。これもかつての、いままでのケースで私どもが経験しているのは、すべてこれは言わずもがなだ。現在の条件をそのまま引き継ぐのは当然だ、こういうことで約束しているのに比べれば、数段使用者側の態度に問題がある。  それからもう一つぼくは、あくまで言いたいことは、公益法人と特殊法人の間にかなり開きがあるわけですよ。いままでは特殊法人と特特法人が一緒になる、統合とか改組でしたから。そういった点で、格段の開きがあるこの労働条件の問題について、ただ現状を引き継ぐということだけであっていいのか、そうではないと思うのですよ。職員としてその辺のことをいま使用者側に強く改善を求めているのでありますが、この辺の保証の限りではないという点について、深く私としては使用者側の態度にいかりを持っているという現状です。  以上です。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 滝沢参考人にさらに伺いますが、この点については使用者が直接ではなくて、外務省がこの問題について何らかの発言をしているということがありますか、あなた方労働組合に対して。

滝沢幸一政府関係特殊法人労働組合協議会議長

○滝沢参考人 現在外務省と面接まだ交渉を取りつけていません。政労協としては、これから取りつける考えであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 永田亮一君。

永田亮一自由民主党

○永田委員 時間がないようでありますので、ごく端的に、簡単に質問いたしますので、参考人の方も簡単にお答えを願いたいと思います。  一問ずつ御質問をしたいと思いますが、まず鈴木参考人に対して、いままでユネスコにずっと御関係になっておられていろいろ御経験があると思うのでありますが、ユネスコをやっておられて自慢ができるものですね、いままでこれはよかった、ユネスコでこいつはうまくいったということがあって、これを続いて今度の基金でやっていったらいいと思うものをあげていただきたいのであります。それからその反対に、これはまずかった、これはもう基金ではやらないほうがいい、これは金とか人員が足りないというようなこともあるでありましょうが、そういうことがあったらお示しを願いたいと思います。  それから山田参考人に対して、新しい職員を採用すべしというのはまことにけっこうでありまして、私も大賛成でありますが、問題はどうしたらその有能な人材が確保できるかということだろうと思います。これは山崎参考人もおっしゃったのでありますが、非常にむずかしい、有能な人材を確保する方法について御意見を承りたいと思います。  それから山崎参考人に、統一センターの構想を先ほどおっしゃいまして、これは当然なことだと思います。各官庁がばらばらにそれぞれ縄張り争いで足を引っぱったりいろいろなことをやっておったのではうまくいかない、これはまことに同意見でございますが、この統一センターのやり方というのは、基金の本部でやればいいのではないでしょうか、この基本の本部以外に別に統一センターというものをつくる必要があるのかどうか、そのことをお尋ねをしたいと思います。

鈴木九万ユネスコ国内委員会委員

○鈴木参考人 私は日本ユネスコ国内委員会というものができましたときに初めて関係しまして、三年ほどユネスコの仕事をしたのであります。いまお尋ねの問題でありますが、自慢ということは何でありますが、世界からユネスコの日本の活動が高く評価されておりますのは、日本がユネスコ国内委員会をつくったときに、これを非常に大きく考えたという点であります。当時御記憶と思いますが、日本は、ユネスコこそ日本が復活する手がかりになる機関であり、理念であり、精神であるというような、民間活動が非常に高かったのでありまして、政府としましても、これにこたえて非常に強力な国内委員会というものをつくったのであります。特に事務局のごときは六十人ぐらいの陣容を擁して、外務省からも、文部省からも人が集まってやりまして、これは世界じゅうがびっくりしたのでありまして、ほかの国も日本の国内委員会にならおうとしておりますが、いまのところ日本の国内委員会ほどの規模を持った委員会はないのであります。  また、日本の国内委員会、これはいろいろの人が関係しましたが、その活動というものが目ざましかったわけであります。パリのユネスコで日本の代表になった、これは外務省の人、文部省の人もありますが、そういう人の活動が非常に目立ちまして、現在ユネスコでは日本が非常に主導的な役割りを演じておるということになっております。  やりました仕事の内容でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、ユネスコの初めのころに日本の文学とか思想に関した本を翻訳したいということを考えまして、ユネスコの本部と相談したのであります。そうすると、ユネスコのほうが、東洋思想を世界に広げる、知らせるという意味で、この仕事は非常によろしいというので援助してくれまして、日本の政府もこれにまた金を継ぎ足して、翻訳事業というものを始めたわけであります。その際に、先ほど申しましたように、米人のサイデンステッカーというのに頼んで、川端康成さんの「雪国」を翻訳してユネスコのほうで出してもらった、これが欧米に広がって、結局川端さんのノーベル賞になったというようなわけであります。  しからば、これは一つの例でありますが、失敗した例と申しますと、これはいろいろあると思いますが、ここでは何と申しましょうか、失敗したというよりも、感じましたことは、先ほどから参考人の話に出ておりますのと同じように、国際文化交流ということになりますと、これは国際機関に働く日本人という問題にもなるのでありますが、語学とか訓練とかその他の点で、こういう仕事に向く人が非常に足らないということを痛感したわけでありまして、この点はやはり基金問題でも同じになると思いますが、国際的に文化交流に働く人、それからまた文化交流ばかりでなく、国際的な機関で働く人の優秀な人をつくるということが、文化の問題と同時に、国際活動をするための非常に重要な問題だと存ずる次第であります。

山田正春財団法人国際文化振興会職員

○山田参考人 永田先生の御質問にお答えしますと、優秀な人材をいかにして確保するかという問題は、今後の国際交流基金にとってたいへん重要な問題であると考えます。つまり国際交流基金の職員というものは、外務公務員とも違いまして、いわゆる日本文化に精通するということが非常に重要な問題であります。それと同時に外国文化にも精通しなければならない。その場合、すべての分野に精通するということは不可能でありますから、やはり自分で研究目的を持つ、文学なら文学、演劇なら演劇、歴史なら歴史というような分野での専門を持つ必要があります。つまり、外国の歴史なら歴史、文学なら文学を研究しようとする態度があれば、日本の文化についても研究しようとする態度は当然生まれるわけでありまして、そういう常に研究しようとする態度がなければ、ほんとうの意味での優秀な職員とはなり得ないと思います。  問題は、国際交流基金がどのような人材を必要とするかというビジョンを明確に持つ必要があるのじゃないかと思います。つまり、従来の考えでありますと、外国語で少し手紙が書けたり会話ができるという程度の考え方しかなかったのじゃないかと思います。そうではなくて、それ以上のものが必要だというビジョンから、新しく採用する場合にはそういう角度から人材を確保する。それと同時に、そういう人たちがせっかく入ってきても、交流基金の内部の労働環境が悪ければ、そういう人たちは、外国に行って、語学をマスターして帰ってきて、ほかのところに移ってしまうわけです。つまり、国際交流基金がばく大な金をかけて投資した職員が全部逃げていくという傾向になります。そうなっては交流基金の将来は何もなくなるのじゃないかと思います。そのためには、労働環境をよくするということは、すなわち、この仕事はどうしても五年、十年の経験が必要となってきます。そうなった場合、そういう豊かな経験を持った人の意見を尊重するという姿勢がなければ国際交流基金は成功しません。そのためには、機械的に、いわゆる監督官庁から出向として現役の人を二、三年送って、また戻し、また送るというような制度は、この際改めていただきたいと思います。この間も外務大臣が、いわゆる腰かけ人事は絶対しないとおっしゃっていましたが、やはり国際交流基金に対しては、そういうような出向と称する腰かけ人事は避け、ほんとうの意味での優秀な人材を確保するような制度をつくっていただきたいと思います。  以上でございます。

山崎正和関西大学助教授

○山崎参考人 先ほど私の発言にあるいは誤解を招く節があったのかと存じますが、私の考えはまさに永田委員おっしゃったとおり、この国際交流基金がその統一センターとしての役割りを果たすべきだと考えております。従来のこれに競合するような組織が、統合できないまでも、これをセンターとして緊密な協力をするような体制をつくること、また、今後各官庁がばらばらに類似団体を並立するというようなことがないように、政府全体としてここへ統一的に資金を回していただくのがいいのではないか、また、そのことを外から保障するために、おのずから監督官庁である外務省側の慎みも要請されるということに相なるのではないか、こういうふうに考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、委員長より厚く御礼申し上げます。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 引き続き質疑を続行いたします。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 たいへん時間が詰まりましたので、大急ぎで質問の残りを申し上げたいと思います。  この前ちょっと触れたのですが、新しい基金が、先ほどから参考人からもたびたび意見が出ていましたように、天下り人事だとか官庁の出先みたいになることは困るのだという、これは私ども全く同感なんで、条文でいいますと、まず第一が第三章の二十二条ですね、これは要らないのじゃないかということをこの前もちょっと大急ぎで指摘だけはしたのですが、まだ御返事はいただいておらないわけです。運営審議会の委員は「基金の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、外務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。」という、この外務大臣の認可を受けてやるということは、不必要じゃないかという点、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 この運営は、どうしても国費が背景になっているという問題があるのです。ですから、この財団法人につきまして、形としてはこういう形をとる必要がある、こういうふうに考えてお願いをいたしておるということですが、実際上は私ども別に役所の立場から干渉するとか、そういうことは考えておりませんです。自主的な運営ができるようにということを念願しておりますから、さように御理解を願います。私の答弁でそういう趣旨であるというふうに御理解願いたいのです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 国費が投じられる以上は、形式はこれ以外にないという御答弁のようですから、実質的にはこういう弊害の起こらないようにするという大臣の確約を得たものと理解します。  それから、第五章の三十四条ですね。「基金は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、外務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」これがまたいわゆる自主交渉権というものの妨げにならないか。これは先ほど参考人の意見にもありましたように、すでに過去において自主交渉権の妨げになった事例がたくさんある。したがって、この点についての外務大臣の考え方、方針をこの際明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 私は、事業の内容ですね、その運営につきましては、これはなるべく自主的にやってもらいたいというふうに考えております。いまはそういう問題じゃなくて、職員の給与及び退職手当の支給の問題でありますが、これも別に干渉がましいことを特にするということを考えておるわけじゃございませんけれども、これは特殊法人はみなこういうことにしておりまするから、これだけが例外だというわけにはいかぬ、かようにお答えします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これについては、加川さん、さっき参考人の意見をずっと聞いておられたのですが、担当者である加川さんから、さっきの参考人の意見に関連して、いまの質問に答えていただきたい。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○加川政府委員 本件に関しましては、ただいま大臣から御答弁したとおりの趣旨が原則でございますが、たとえばこの外務大臣の認可を得るということは、国の金が入っておりますので、そういうところでやはり監督官庁としての監督権というものがくるわけでございますけれども、それとは別に、こういう特殊法人は、自己資金というものが予定できるわけでございます。そういう場合には、またそれなりに、いろいろな待遇について、必ずしもたとえば政府職員と同様というようなことじゃなくてもできると思いますので、これはまたそういう状況に応じて、ただいま参考人の方々が申されましたこと等も頭に置いて今度の基金でやっていけるように新しい理事長にもお願いしたい、こういうふうに思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 さっきの参考人の意見の中にもありましたように、外務省がかりにそういう方針であっても、制度上大蔵省との関係も出てくる、そういうことから、実質的には自主交渉というものが妨げられてきた、その点はどうでしょうか。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○加川政府委員 この規定は頭からこちらがきめるというのではなくして、むしろそういう労使間のお話し合いがあって、そういうことを参考にして、政府のほうでも、あるいはまた外務大百なり大蔵大臣、あるいは大蔵省なり外務省が考えるということでございまして、官庁のほうから、こういうことでやれと押しつけるというふうには考えておりませんし、そういうふうには運営しない、こういうふうに思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから外務大臣、この前の御答弁でも、今度運営審議会というものを飾りものにならないように尊重していきたいという御答弁があったわけです。この三十六条ですね、要するに外務大臣の監督権とそれから命令権、これの規定ですが、このことが結局運営審議会を尊重するということと矛盾することにならないか、基金の自主性を侵害する危険がこれは大ありだと思うのですが、これについての考えを明らかにしていただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 第三十六条に、「基金は、外務大臣が監督する。」「外務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」こういうふうに書いておりますが、これは非常に例外的な場合であろうと思うのです。そういうことが、外務大臣の監督、命令が発動するというようなことがあってはそもそも相ならぬ、そういうようなことが出てくること自体が、これは運営審議会なりあるいは理事者の間の運営がうまくいかない、こういうことだろうと思いますから、こういうものがありましても、決して矛盾することはありませんです。運営審議会はこれを極力尊重する、運営審議会中心で、内容なんかの問題についてはやっていくくらいな気持ちでやりますが、しかしどういう事態があるかもしらぬ、そういう際の問題として、こういう規定がある、そういうふうに御理解願います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから国際文化振興会の定款には、役員以外に、総裁、名誉会長、会長を置くことを明記していますね。この基金法にはそのような規定はないのですが、この政府の出した資料によりますと、名誉総裁、最高顧問を置くことを考えているようです。第一に、この法律の案に規定しないということの御説明もいただきたいが、一説によると、岸信介さんを名誉総裁にするんだなんといううわさがもっぱら出ていますよ。こういうことを聞くと、この基金の将来が非常に危ぶまれる。アジア諸国からどういう目で見られるだろうかというようなことも、もうすでにうわさになっているわけですから、このについての考えが、もう一定の方向がきまっておれば、この際明確にしていただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 まだそういう人事の点は、理事長も腹案がないとこの前申し上げたような程度でありまして、この組織についての内規、内規できめる名誉職というようなものを置くかどうか、これもきめておりませんし、また置くにいたしましても、どういう人がどういうところに行くか、そこは全然きめておりません。公正妥当なことが行なわれるということが望ましい、そういうことを考えるのみであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 名誉総裁は、そうすると政府の資料から見ると置くことを予定されているように見えるのですが、どういう趣旨でああいうものを書かれたのですか。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○加川政府委員 お答えいたします。  これは可能性としてそういう顧問とか名誉総裁ということも考えることができるんだという趣旨でございまして、いま大臣から答弁のありましたように、法律に書いてございませんけれども組織規程で、もしそれが必要であればできるということを申してあるわけでございます。なお今後慎重に検討する、こういうことにいたしております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どうもありがとうございました。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 時間がありませんのでごく簡単にお聞きしておきます。  私どもの、軍国主義復活あるいは海外での日本の経済活動に対する批判、こういうものについての考え方については、前回の委員会で言いました。先ほど来の参考人の意見をお聞きしましても、監督官庁からの出向とかあるいは天下り人事のおそれ、こういうものがあって、基金運営の自主性が害される危険が非常にあるし、それから政府の政策に従属をするという危険があるので、そういう点で私ども反対ですけれども、この運営について一つだけ聞いておきたいことがありますのは、この国際文化振興会の職員が基金のほうに移るということになれば、これは当然に全部一括して引き継がなければならないと思いますし、それから労働条件もそれを継承しなければならないというふうに思いますが、その点についての政府の見解を伺っておきたいと思います。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○加川政府委員 お答えいたします。  本件は、この前松本議員からの質問もございましたときにお答えいたしましたわけでございますけれども、外務省は、この基金に対しましての職員の雇用あるいはその条件等に関しては新しい理事長の権限でございますので当事者能力を欠いておりますけれども、監督官庁といたしましては、職員の引き継ぎは、話し合いによる退職というものがもしあれば、希望退職、そういうことがあればこれは別でございますけれども、それ以外は一括して引き継ぐという方針でこの次の理事長に申し継ぐ、こういうふうに考えております。  労働条件につきましては、これは先ほど滝沢参考人からもお話がありましたですが、特殊法人というものは、特殊法人の一般的な労働条件というものがございますので、これはそういうものも勘案して、もちろん労働条件が悪くなるというようなことはまあないと思いますけれども、一般特殊法人の労働条件、これと勘案して考えていくということで新しい理事長に引き継ぎたいと、こう考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 終わります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので直ちに採決いたします。  国際交流基金法案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は本号附録に掲載〕     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 この際、本案に対し、正示啓次郎君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。正示啓次郎君。

正示啓次郎自由民主党

○正示委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    国際交流基金法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項につき、十分配慮すべきである。  一、国際交流基金の設立にあたり、国際文化交流に関する政府の基本姿勢としては、わが国に対する諸外国の理解を深めることだけではなく、わが国民の諸外国に対する理解を深めることも同様にきわめて重要であることを特に留意すること。  二、運営審議会委員の選任にあたっては、民間各界からの起用を特に考慮し、基金の運営については、運営審議会の意見を十分尊重し、その積極的活用をはかること。  以下、その理由について御説明申し上げます。  まず、第一点であります。  国際文化交流事業を円滑に推進するためには、国際相互理解の増進を常に念頭に置くことが肝要であることは、言うまでもないことであります。  しかしながら、この法案の目的においては、わが国に対する諸外国の理解を促進させることに、より重点を置いているかのように見受けられ、わが国民に諸外国に対する理解を促進させる面についての配慮が必ずしも十分でないように見受けられるのであります。  この基金の事業が十分にその成果をあげるためには、わが国に対する理解だけではなく、わが国民もまた、積極的に諸外国を理解する必要があるものと思われるのであります。  よって、基金の設立にあたっては、この基本姿勢を明確にする必要があると信ずるものであります。  次に、第二の点であります。  国際文化交流事業を実りあるものとするためには、国民の総意を結集することが何よりも必要であります。したがいまして、この運営審議会は、この方針に沿って構成され、また、その意見が基金の運営に十分に反映されるものでなければならないと信ずるものであります。少なくともこの基金の審議会におきましては、官僚統制的な色彩を帯びたものとなり、形骸化することのないよう強く要望するものであります。  以上が、この附帯決議案を提出した理由であります。  何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣福田赳夫君。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 ただいまの御決議はまことにごもっともなことと存じます。御決議を尊重いたしまして、努力いたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ちょっと。異例ですけれども、もう一つ確約を得ておきたい。  それは、せっかくこういう附帯決議ができましたが、いままでも附帯決議を付して法案を通すという例は幾らもあるのですけれども、これは今度は新しい基金ですから、はたしてこれの附帯決議が尊重されてうまい運営ができるかどうか、非常に私どもは今後も関心があるわけなんです。とかく政府は、国会から要求があると資料を出したり報告をするということはありますけれども、政府のほうが進んで事態についての適宜な報告あるいは説明を国会にするというようなことはほとんどない。したがって、こういう新しい構想でできる基金ですから、今後は重要な段階ごとに外務省は進んで外務委員会に対して資料の提出なり、求められないでも進んで説明をするという、そういう姿勢で臨んでいただきたいことを特に要望しておきますが、いまの附帯決議に関連して、もう一度この点を外務大臣からお答え願いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 これまた、まことにごもっともな御意見と存じます。尊重いたしまして、さようなとおりにいたします。      ————◇—————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 次に、航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上二件を議題として、順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣福田赳夫君。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の三件につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  まず、ビルマ連邦政府は近い将来に同国国営航空企業の本邦乗り入れを強く望んでおり、わが国もわが国航空企業の東南アジア路線及び南回り欧州路線の一環としてビルマ連邦に乗り入れを確保し、同国との友好関係の緊密化をはかることが望ましいと考えまして、昭和四十五年二月以降同国政府と航空協定締結のための交渉を行ない、その結果合意が成立いたしましたので、昭和四十七年二月一日にラングーンで協定の署名を行なった次第あります。  この協定は、わが国とビルマ連邦政府との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容ともにほぼ同様のものであります。  この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上におきまして相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国とビルマ連邦との間の友好関係も一層促進されることが期待されるのであります。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第でございます。  次に、わが国は近い将来にわが国の航空企業による中南米路線を開設することを希望しており、同路線の一環としてメキシコ合衆国に乗り入れを確保し、同国との友好関係の緊密化をはかることが望ましいと考えまして、昭和四十六年七月以降同国政府と航空協定締結のための交渉を行ない、その結果合意が成立いたしましたので、昭和四十七年三月十日に東京で協定の署名を行なった次第であります。  この協定は、わが国とメキシコ合衆国との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続及び条件を規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容ともにほぼ同様のものであります。  この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上におきまして相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国とメキシコ合衆国との間の友好関係も一そう促進されることが期待されるのであります。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  最後に、政府は、米国との間に渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する条約を締結するため、昭和四十三年以来二回にわたり日米間で専門家会議を開催する等かねて米国側と話し合いを進めてきました結果、本年三月四日に東京において、日本側本大臣と米国側マイヤー駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、前文、本文九カ条及び附表からなっており、そのおもな内容は、次のとおりであります。  まず日米間の渡り鳥につきましては、その捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとしており、生死の別を問わず、不法に捕獲されもしくは採取された渡り鳥もしくは渡り鳥の卵またはそれらの加工品等の販売及び購入等も禁止されることとなっております。もっとも、科学的目的等のためのまたは狩猟期間中の捕獲及び採取等一定の場合には、それぞれの国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外が認められることとなっております。  次に、絶滅のおそれのある鳥類につきましては、その保存のために特別の保護が望ましいことに同思し、これらの鳥数及びその加工品の輸出または輸入を両国が規制することといたしております。  以上のほか、両国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換することとし、また、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の環境を保全する等のため適当な措置をとるようにつとめることといたしております。  なお、この条約の附表は、日米間の渡り鳥として百八十九の鳥類の種を掲げております。  鳥類及びその環境の保護に関する国際的協力の機運は、近年とみに高まりつつありますが、この条約の締結は、日米両国における鳥類保護に対する関心を深めるのみならず、右の国際的協力の機運をさらに高めることになるものと期待しております。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日行なうことといたします。      ————◇—————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 連合審査会開会の件についておはかりいたします。  当委員会において調査中の国際情勢に関する件について、内閣委員会から連合審査会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時は、内閣委員長との協議の上決定をいたします。  本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十九日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十一分散会

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