沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第15号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1972/05/26
会議録
○床次委員長 これより会議を開きます。 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
○國場委員 沖繩県民並びに一億国民の、二十七カ年という長い異民族支配の中から、悲願でありましたところの日本復帰は、めでたく去る十五日に復帰したわけでございます。その間、担当大臣はじめ、政府並びに国会、本委員会におきまして、たゆまざるところのこの復帰に対しての御努力、まことに感謝しておるわけでございます。 さて、復帰はいたしましたものの、名実ともに喜びのある復帰だ、これをこいねがっておったわけでございますが、しかし国際経済の変動その他の経済変動が起きました関係上、沖繩においては、喜ぶべき復帰というのがいままでの期待ではございましたが、しかし今日御案内のとおり、沖繩の生活必需品並びにその他の物価があまりにも異常なる高騰を来たし、いま沖繩県民は、その物価の異常値上がりによってまことに困惑をしておるのが現状でございます。 私は、三百六十円という読みかえに対しましては、昨年の十月八日、山中大臣をはじめ大蔵省の決断によって、現金または預金に対しましてのその差額補てんに対しましては補償されたのでありますが、ところが御案内のとおり、沖繩の必需物資というのはほとんど八〇%までが本土からの移入でございまして、円の切り上げによりその変動があるということは考えつつも、沖繩の現状はしかしそれを上回るところの異常なる物価の値上がりにより、県民は生活不安、喜びどころか今後どうしていくかということにそのすべを知らないというのが現状でございます。担当大臣でありました山中大臣には、まことにあらゆる面からよく沖繩のために、機構制度にしろまた日々におけるところのあらゆる問題に対して、至れり尽くせりというだけのこともやってもらいましたが、しかし、いま申し上げましたとおり、こういうような事態に至って、沖繩のほうでは、これは日本政府が悪いのだ、そして佐藤政権が悪いのだ、自由民主党が悪いのだと、最近に至っては、ちまたにはそういうようなパンフレットも出ておるというような現状でございます。私は、今後の措置に対してと、これまでにおいてのいかようなことをなし、どうしてそういうような結果になったかということに対しては、その責任というのもその所在をはっきりしておく必要があるのだ、こういうことを考えるわけでございます。 そこで、お尋ねいたしたいことは、三百六十円を三百五円に読みかえる、聞きますところによりますと屋良行政主席、すなわちみなし県知事は、三百六十円以上に物価を上げてはいかない、こういうようなことを県民に指示したようでございます。そうしますと、考えられることは、三百六十円までは物価は上げてもよろしいということに、また言いかえれば解釈もできるわけでございます。そこで、御案内のとおり、日本から行く品物においては五%というような税金もなくなる、ましてや輸入品に対しましては、特別措置をもって、値上がりのせないようにという措置も講じられております。そういう措置がありながらも、しかしこういうようなぐあいに混乱をなし、異常なる物価高になったというのは那辺に原因があるかということを、私どもはよくと県民の納得のいく説明をし、今後に対していかようにすればいいかという措置に対して、これから解明をしていかねばいかない、実行していかねばいかないということを考えるわけでございますので、大臣のかようなる事態に至っての措置に対しての御所見を承りたいわけでございます。
○山中国務大臣 沖繩の物価が、復帰のその日からいろいろと混乱をし、あるいはまたいかなるレートで読みかえてみてもそれ以上の読みかえ等がなされておる。これは販売者、購買者、ともに大混乱におちいりましたこと、これについて深く責任を感じております。 まず、その原因と思われるものを私いろいろ反省をしてみるのでありますが、やはり基本的には十月九日時点のドルのチェックをいたしましたものの、そのことによって三百五円レートと三百六十円との差額五十五円、ドル当たり五十五円というものが全額差額補給として交付されるのであるということの実感が、やはりどうしても三百五円交換レートで現金をかえた瞬間においてわからない、自分たちが損をしたという問題が一つあろうかと思います。これについては非常に説明を要することでありますし、事実十月八日閉鎖、九日チェックという措置をとりましたものについて、二百六十億の予算が結果的には三百五億まで、交換レートが三百五円になったためと、その後預貯金の名寄せその他による件数増によって金額としてはふくれ上がって、これは沖繩県民各位の台所に届くわけでありますが、しかしこれも理論的に、昨年の十月九日以降、復帰直前の五月十四日に至るその間の沖繩経済全体の成長率の中で個人所得に最終寄与したであろう、あるいは還元されたであろう所得というものに対して、現実に補てんがされていないという問題点がなお残っているわけであります。この交換レートの問題が一つ。 いま一つは、品物が全部その日に、少なくとも大体において三百六十円もしくはそれ以上に切り上げられた。三百六十円相当であっても、端数が大体切り上げの方向に持っていかれた。ために、換算率から逆算してみると一ドル四百円くらいに当たるような価格も出現をした。こういうような現象に対して、これは復帰前において、みな勤労者の方々、いわゆる雇用関係において雇い主として、復帰の日から当然の労働者の立場としての三百六十円の賃金保証というものをやりましたために、それに対する収入というものはどうしても得なければならない。なるほど政府において融資その他の措置はとってあるにしても、さしあたりは自分たちの販売する価格においてその収入を確保しなければ、いわゆる支出の面における労賃の三百六十円相当を払えないというようなこと等が売り手としてはあったでありましょうが、第一点にあげました三百五円でしかかえてもらえなかった、したがって五十五円損をしたという、そういう感情のあります瞬間に、物価は待ったなしで三百六十円の切りかえをしてきた。この点の非常な混乱が起こったものと私は思います。 さらに、第三点においては、先ほど例をあげられましたように、輸入物資あるいは本土からの移入物資その他について特例措置をとっております。これらのものが、たとえば輸入物資については、これは円圏に入れば三百五円相当の価格になるのが当然でありますから、そういうむしろ三百六十円換算からすれば安くなるべき品物も、一律にそれ以上に上がっている。そのようなこと等があって、各種特例措置について、全部自分たちに直接関係することは皆さんよくわかっておるだろうと思うのですが、普遍的に不特定多数の人が影響を受けるような特例措置については、それぞれみんなわかるようなところまでやはりいっていなかった。この点は私どもの説明不足、あるいはまたよくおわかり願うための自分たちの努力が足らなかったのだ、こういうふうに反省をいたしております。 でありますので、このような三点の原因を踏まえた反省の上に立って、本日の閣議において、第一回は私が主催をいたしまして、物価関係十三各省庁の局長クラスを集めて会議を開き、問題点を集約して、さらに物価担当官の事務段階の会議を開いて詰めましたものを、本日の閣議で決定をいたしました。どうせ御質問が各党から出ると思いますので、一応御質問の前提として、その内容についてまず報告をさしておいていただきたいと思います。 本日の閣議決定の内容でありますが、 政府は、沖繩県における当面の物価情勢にかんがみ、沖繩県と協力して下記の物価安定緊急対策を講じ、県民生活の安定を図るものとする。 記 1 物価の実態調査および消費者等への情報提供 (1) 復帰直後における主要物資等の小売価格等について、早急に一斉特別調査を行ない、その結果を公表する。 とくに必要がある物質については、生産、輸入、移入、流通各段階の価格形成の実態および在庫の状況等についても調査し、公表する。 (2) 宣伝カー、パンフレット、マスコミュニケーションその他を通ずる広報活動により復帰に伴い物価安定のために国が講じた特別措置等について周知徹底を図る。 (3) 消費者、生産者、販売業者、輸入業者相互間の懇談会を開催し、価格形成の実態および適正価格のあり方等について協議を行なう。 (4) 上記に関連して、国は緊急物価対策調査費(経済企画庁計上)のうちから緊急に五百万円を沖繩県に支出し、必要な調査等を委託する。 2 価格形成の適正化 (1) 米その他の政府関与物資については、法令等に基づく規制価格を遵守するよう厳に指導する。 (2) マル1関税等につき特例措置が講じられている輸入品(ハム、ベーコン、バナナ、オレンジ等)、マル2復帰に伴い沖繩物品税が撤廃された本土産品(みそ、しょうゆ、ラーメン、かつをぶし等)、マル3原材料関税、内国消費税等につき特例措置が講じられている島産品(酒類、砂糖、ガソリン、小麦粉等)については、これらの施策の効果が価格形成に反映されるよう指導する。その他の輸入品についても、実勢為替相場が価格形成に反映されるよう指導する。 (3) みそ、しょうゆ、調製粉乳、マヨネーズ、食用油、化学調味料、魚肉ソーセージその他の物資を供給する本土の生産者および流通業者に対し、適正な価格で販売し便乗的値上げを行なわないよう強力な行政指導を行なう。 (4) 理容、美容等のサービス料金その他島産品については、関係業界に対し、価格引上げの抑制を指導する。 (5) 輸入割当物資について、輸入業者が売りおしみや不当な価格引上げを行なった場合は、当該業者に対して、輸入割当を行なわず、 これは取り消しを意味します。 他の業者に対して、新規の割当を与える等所要の措置を講ずる。 (6) 国または県が許認可権等を有する生産者、販売業者であって、規制価格を遵守しないもの、不当な価格引上げを行なっているもの等については、当該許認可等の取消しを検討する。 これは公衆浴場の料金あるいは米等の品物等がございます。 3 主要物資の供給の円滑化 (1) ランチョン・ミート、牛肉、こんにやく、のり、還元乳原材料(脱脂粉乳、バター)等の輸入割当物資については、過去の輸入実績、消費の伸び、価格動向等を勘案し、十分な供給の確保に配意しつつ、四十七年五月中に輸入発表を実施し、可及的すみやかに輸入割当を行なう。 さらに、価格動向、需給情勢を勘案し、必要に応じて輸入枠の追加を行なうこととする。 (2) 豚肉、玉ねぎ、馬れいしょ、生鮮魚介、かまぼこ等需給の安定が特に必要とされる物資については、関係業界に対し、沖繩向け追加供給の要請および指導を行なう。とくに、豚肉については、沖繩における重要性にかんがみ、畜産振興事業団の助成の下に追加供給を行なうこととする。 (2)の項目についてちょっと説明しておきますと、さしあたり沖繩に、南九州に在庫いたしております豚肉を五百トン緊急に送ることにいたしました。現在沖繩では豚肉の小売り価格がキロ当たり千円となっておりますが、それを今回の陸上運賃、海上運賃、キロ当たり十九円を完全に全額補助をいたしますと、五百トンについて九百五十万円を要しますが、現地でキロ当たり九百三十三円ということになりまして、これは三百六十円換算よりも安い。すなわち三百六十円換算は九百六十円ということになりますから、市場に対してその物価の鎮静というものに先導的な役割りを果たすであろうと思います。今回の現象の中で、ことに生鮮食料品の値上がりが強うございますので、この索引する力というものに豚肉の緊急輸送というものが効果をあげるよう、価格等について移送費の全額補助を行なったわけであります。次にまたもとに戻ります。 (3) 沖繩本島をはじめ離島へき地等に対する物資の迅速、かつ、円滑な輸送を図るため、必要に応じ関係業界に協力を要請する。 (4) 物資のすみやかな流入を促進するため、通関、検疫その他の事務の一層の迅速化を図る。 4 独占禁止法による厳格な取締り 価格協定その他独占禁止法に違反する行為を厳しく規制する。 このため、事業者団体に対し独占禁止法による届出を早急に行なうよう指導するほか、沖繩総合事務局公正取引室に公正取引委員会職員を増派し、沖繩における独占禁止法施行体制を強化する。 5 関係行政機関における連絡調整の緊密化等 当面の物価対策の立案実施を迅速、かつ、円滑に推進するため、臨時に関係各省の物価担当官をもつて構成する沖繩物価担当官会議を設け、所要の対策の立案調整を行なうほか、県、関係市町村、沖繩総合事務局相互の連絡調整を緊密化する措置を講じ、対策の有効適切な実施を期するとともに、本緊急対策に関連して、必要に応じ、すみやかに所要の措置を講ずる。 このような措置の上に立って、本土における責任官庁としては沖繩開発庁並びに経済企画庁というものが中心になって、今後も調整実現の実施を追跡していくことにいたしておりますが、これらの措置に並行して、沖繩県において適正なる価格というものを、これらの特例措置を踏まえながら適正価格表というようなものを各物資ごとにつくる作業も、調査を大体きのうまでに終えて作業段階に入っております。したがって、私どもが経企庁とともに判断をして、これらの価格構成が沖繩において恒常的に物価として定着しても、沖繩県の立場から見て、消費者から見て、本土各県に比べて沖繩が特別に不利な体制にない価格というものが設定をされますならば、これらの価格を前提として、これ以上の価格で、特例措置その他を無視して暴利をむさぼる者については——これは閣議決定としてはただいま申し上げましたところまででございますが、一応の閣議了解として物統令の適用ということも、やむを得ない措置としては考えざるを得ないかもしれない。しかしながら、これは販売する人もやはり沖繩県民でございますので、したがって、この適用については慎重な態度をもって処してまいりたいと考えます。 たいへん長くなりましたが、各質問者に対して一応前置きとして御説明をいたしておきます。
○國場委員 大臣よく研究されて、私が質問せんとするものはほとんど説明をしておりますので、私はあえて聞くことも必要でないかと思いますが、ただ一つ問題は、特別措置法は沖繩の地場産業、あるいはまた農民、漁民、そういうものに対しての今後の育成策ということでありましたが、いまの大臣の御説明からしますと、ややもすれば物価が高くなるから、地元業者そのものが暴利をむさぼっておるという見地からだけこれを処理するとしたときに、沖繩のたとえば肉類でございますと、肉類が高くなっておるというのは便乗もあるけれども、しかし品不足だ、これも考えられるわけであります。豚価安定法というものが沖繩にもいままであって、これがざる法でございまして、有名無実で適用を受けたことはなかったわけであります。生産計画が、安定法とかこういうものが生きてこないものですから不足するときにはわっとつくり、安くなったと思ったらみんな引っ込むものですから、これがちょうど切れ目になっておるということも考えられるわけでございます。いま大臣のおっしゃったような措置は、それを早急に実施していただきたい。 私は四日前に上京したのでございますが、そこでそのようなことを実施するためにはいまの引き継ぎもありますでしょうし、やはり人員の配転もあるでございましょうから、そういうこともあるとは考えつつも、いま那覇の沖には沖待ちをしておる船が十、二十隻くらいの滞貨状態であります。それはもちろん銀行がストップする、あるいは税関も政府の事務がストップする、やはりなれない事務的な問題で政府の分野において、また県でやる分野、こういう分担に対しての操作、こういうようなものが滞るがゆえに、品不足とか、あるいはさっき大臣がおっしゃったような三百六十円が三百五円になったとか、こういうようなことで、こういう異常な物価騰貴になっておるというようなことを考えるわけでございます。 さっき大臣がおっしゃっておりましたが、公取を増員して沖繩の物価安定のために全力を尽くす、こういうことでございますが、それでは、今後公取の物価を安定する基準は大体どういうようなことでなるものであろうか、あるいはまた、いま上がっておるものをぴしゃっとどの線にすぐせよというような決断をもってやるものであるか、こういうことに対しての公取の今後の扱い方に対して、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。 今度沖繩復帰に伴いまして、独占禁止法がいままではなかったわけでございますが、同時に即日施行になりまして、沖繩におきます独禁法施行の機関といたしましては、沖繩総合事務局に公正取引室というのが新たに設けられまして、室長以下四名の人員で現在規制に当たっておるわけでございます。これではいま問題になっております価格の上昇というものに対する調査はちょっと不十分ではないかと思われますので、増員ということで本局から三名を、そのうち二名は昨日すでに出発いたしまして、増強した上で価格協定等が行なわれることがないよう厳重に監視をいたしていきたい。もし価格協定あるいは価格協定による値上げ、あるいはまた再販売価格維持行為でありますとか、その他不公正取引方法等が用いられておる事実を発見しますれば、これは法に基づいて迅速に断固たる措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、すでに上がった価格を引き下げるというようなことは、現在の独占禁止法では、価格の引き下げ命令というものは法律上出すことは困難でございまして、値上げ協定があります場合にその協定を破棄して、以後は協定によらない各自の自由な意思による価格でやれというような排除命令は出せるわけでありますが、上がり過ぎた価格を下げるということは、現在の法律ではそういう命令を出すことはちょっと困難であるというふうに考えております。
○國場委員 上がったものは下げるというようなことはできない。そうしますと、さっき私が申し上げましたとおり、適正なる価格に対して、事前において沖繩県はこういうことになるということは大体予想されることでございますので、事前の策というものがなかったがゆえにこういうようなぐあいに混乱を来たす。上がったものはこれを下げるということはできない、協定とかそういうものによってのことはある。いまおっしゃるようなことで独禁法に従って、これに抵触するのでということでありますが、法でできないものに対しては、これは上げっぱなしか、あるいは本土からの物量をもって値段を落とさせるものであるか。そうすることになりますと、これはたちまち、ますますまた混乱があるということが考えられるわけなんです。といいますのは、ルートは別のほうのルートでやるものであるか。いままで取り扱いしてやっておりますね、品物の扱いを。大体専門店があるわけなんです。そのほかで安くすればいいのだということでごうっと入れた場合は、いままでの企業者はそれではどうするかというようなことになるとこれまた問題があると思いますが、そのほうに対しての調整、調和はどういうぐあいにお考えですか。
○山中国務大臣 これは、國場君が公取に聞かれたから、公正取引委員会の権限としては法律上できませんと言ったのであって、私が先ほど閣議決定の内容を説明した中でちょっちょっと説明も加えていったのですが、輸入にかかる物資については、ドルに対していわゆる日本の円の価値は三百五円の価値を持っているわけです。したがって、これは三百五円換算の物資として販売されるべきである。したがって、それ以上のものは引き下げられるわけです。今度は本土から送ります移入物資でありましても、いままで物品税その他がかかっていたために沖繩において高かったもの、これはその特例措置というものによって、差し引かれた金額において換算されるべき価格でなければならないということになりますから、これも下がる。事実上問屋筋あたりから、このようなものについては上げてはならぬということで、その後二日ほどは便乗と申しますか、よくわからなかったために上げたというものも、その後正当な価格に下げておるようであります。 第三は、もう一つ、これは原材料関係ですけれども、先ほど例をあげました中で、たとえばわかりやすいものは、大豆の輸入はいままでどおりである。そうしてしかも、それは三百五円の、あるいは実勢は三百三円くらいになると思いますが、そういうもので原材料が入れられる、あるいはまたコンニャク粉もそうです。こういうものは島内における加工賃、その他人件費の若干のプラスはあっても、これは三百六十円に換算すべき品物ではないのだというようなことがわかってきますと、そういうものはいわゆる強制的ではなくて、理解のもとに引き下げということが可能であって、それ以上の価格というものをなおかつやろうとすれば、さっき申しました暴利取り締まりということにならざるを得ない。 なお、本土からの物資をやみくもに送り込んだ場合に、沖繩の既存企業、特に流通段階の企業というものの存廃に関する、このことは私も百も承知です。しかし、現在沖繩において物価が上がったというのは、通常の物価の上がるパターンである品物が足らなくなったから、したがって売り手側が強い、したがって、売り手市場になって値が上がるという通常のパターンではありませんので、品物は確かに、先ほど滞船もしくは滞貨という話がありましたが、品物そのものはあるわけなんです。復帰直前の買いだめ、これは別でありますが、品物が不足しているとは思われないのに値が上がっている。これは一に、私が先ほど申しました冒頭の三つの混乱要因というものが拍車をかけておる。これが理解をされ、落ちついて、月曜日から始まった交付金というものが順調に各家庭に交付をされますと、大体においてそのような不安要因は除去されるであろうということを考えておりますので、広い意味の、沖繩県民の多数の幸福ということから考えたならば、ある物資においては販売者であっても、他の物資は消費者でありますから、これは全体の幸福のために正当な価格には協力をしてもらわなければならぬ、私はそう思います。
○國場委員 もう時間がありませんので。 大臣の今後の計画に対しまして、早急にこれを実施するということによって混乱も正常に戻るのじゃないか、こういうことも考えるわけなんですが、これのみならず、私はたくさんほかにも質問をやるべきものを持っておりますが、時間の都合でできません。しかし、何を申しましても、いままで、復帰が十五日ということがきまったのであれば、それに対する前策というものがなければならなかった。前策を幾らやってでもどうにもできないということは若干はあったではございましょうが、しかしこうなるというようなことに対しましては、前に五十三億という膨大なる差損補てんも、金は積んだが、事務的な能力といいましょうか、この五十三億というのが話に承りますと約四割か三割ぐらいしか使われてない、こういうことでございますが、もしこういう事前の策としてやったのであれば、あの五十三億というのを輸入あるいは移入に対しての補てん金として完全に果たしておくのであれば、政府の政策としましても、これに対しての補てんされたものに対しては絶対にこういうことをしてはいけない、こういうことで物価はこういうぐあいに混乱を来たさないということもまた考えられるわけでございますが、しかしいまごろそんなことを言っても、やったものはしかたがない。でありますので、今後においてでも、やはり政治責任というような面から見ました場合には、いままでのやるべきことをやらなかったがためにいやが上にも混乱を来たした、こういう点もたくさん見受けるということがいえるわけでありますので、いまの計画を一日も早く実現を期して、そして県民に対しては、今後、復帰したがゆえによくなったんだ、喜びのあるような新生沖繩発足のために御協力していただきたい、御指導していただきたいことを希望して私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○床次委員長 上原康助君。
○上原委員 ただいまも同僚委員のほうから沖繩の物価問題についていろいろお尋ねがあったわけですが、時間がたいへん限られておりますので簡単に質問さしていただきたいと思います。 先ほど長官の御答弁の中で、今回の物価の異常な上昇を来たした原因について三点ばかりおあげになっているわけですが、私たちは、復帰したらそういう事態が起きるであろうということを予測をし、いろいろ提案なりまた政府に対しても要請をしてまいりまして、いまさら結果論を繰り返すつもりはありませんが、しかし、国の金融政策の変更によって、これだけ多くの犠牲を沖繩県民がこうむらざるを得なかった、その責任の所在というものは明確にしておかなければいけないと思うのです。 そこでまず私はお伺いしたいことは、変動相場制への移行あるいは円の切り上げ、今回の沖繩の通貨の切りかえ等々によって、沖繩県民がどれだけの損失をこうむったと政府はお考えなのか、その点についてまず明らかにしていただきたいと思うのです。
○山中国務大臣 これは、沖繩県民はだれ一人責任のないことであります。本土政府の国際通貨調整という手段によって、変動相場なり切り上げをやったわけでありますから、したがって、ドル圏の円物資で生活する人たちにとって、往復びんた的な打撃を与えたこと、これは沖繩県民にはだれ一人責任はない、たびたび私が申し上げているとおりであります。 ただ、その損害の計算のしかたにはいろいろあると思います。たとえば個人の現金並びに通貨性資産というものについては、これは、先ほど私が申しました十月九日以降の復帰までの成長率というものについて、個人に帰属したであろうと思われるものについて措置がなされていないことは、理論的にも現実的にも私は認めておりますし、それについて今後検討を続けていきたいと思っておりますが、一般の全体の経済、たとえば企業その他まで含めて考えました場合に、これはやはり債権債務の問題になりますので、ただ法人が手持ち現金がそのときに幾らあったか見てもらえなかったというだけのものでは実はありませんで、これを相殺の対象にいたしました場合に、おそらくはとんどの企業が借り入れ金のほうが多いわけでありますから、それは三百六十円に換算をされて、しかも長期にわたって返済すべきものは、ある時点においては、すなわち、もし十月九日にやったとすれば一ぺんに圧縮されて相殺の対象になったということでありますから、これらの問題は、経済全体としてはどれくらいの損害になったかという沖繩関係の経済人あるいは大学教授等のいろいろの数字もあります。これはそういう御意見もありましょうが、しかし、それは債権債務の相殺ということは全く抜きにした議論でありますので、そのままいただいていいかどうかについては私も問題があると思っておるところであります。しかし、いずれにせよ、このような混乱を復帰後も沖繩県民に与えたこと、そしてそれを事前に完全にカバーし得なかったこと、この点は政府の責任でございます。
○上原委員 債権債務を相殺して考えた場合に、はたしてどれだけの経済的損失をこうむったのかつまびらかでないということですが、少なくとも、確かに企業の債権債務なりいろいろ考えた場合に問題があるということは理解できます。しかし、昨年の十月九日に手持ちドル並びに通貨性資産を確認をして、以後の伸びというものあるいはその他非法人団体の預貯金の問題等は確認をされているわけですね。さらに、今回の通貨切りかえにおいても各人登録をして、通貨の交換を行なっている。そういう面からしますと、個人的に県民がどれだけの損失をこうむった——世帯別でもいいし、そういうことは当然はじき出されてしかるべきだと思うのです。その点については大蔵省なり政府としての資料はないのかどうか、あらためてその点明らかにしていただきたいと思うのです。
○前田政府委員 先ほども山中大臣から御答弁ございましたように、沖繩県全体におきましての債権債務の相殺というような考え方もございますし、この見方につきましては、これはなかなかいろいろな御意見があることは承知いたしておりますが、私たちのほうといたしまして、これだけの損害というようなそういう試算をしたものはございません。しかしながら、予算上、御存じのように、二百六十億というものを一応個人の現金及び通貨性資産の差損補償として計上しておることは事実でございまして、これに不足がございますれば、いろいろと予算上の措置をとりまして、三百六十円と三百五円との差額をお渡しするというこういう段取りになっておるわけでございます。
○上原委員 そういたしますと、政府は昨年の十月九日に通貨を確認をして、その差損については補償する予算措置をやった、それだけで県民の損失というものはないという立場でこの問題をとらえておられるのですか。的確な具体的な数字が出されないにしても、おおよそ沖繩県民の、先ほど申し上げた通貨政策の変動によってこうむったであろうという損失というものは出るはずなんですよ。そこいらにやはり県民の強い要求に対してこたえていこうという姿勢がない。確認をして二百六十億の予算が三百五億に伸びたから、それで事足れりという立場でいまこの問題をとらえておられるのですか。
○前田政府委員 この点につきましては、県民の皆さん方に御不満があるという点につきましては重々存じておるわけでございますが、もともと一ドル三百六十円で交換するということができますれば、これはもう非常にすっきりいたしまして何ら問題がございませんのですが、これが投機ドルやその他の関係でできない。そういうことに伴う次善の措置ということでございますので、やはりそこにどうしても多少の、多少と申しますか、どうしても引かざるを得ない一線というものがございまして、そのために県民の方々が非常な御不満をお持ちになっておる。こういう点は私たちもほんとうによく理解するのでございますが、政府といたしましても、これは非常に思い切った措置としてこのような措置をとったものである。そういったようなかなりの不備、不満は、これはもう飛び越えて、それはひとつ踏み切って、なおかつこういう措置をとらざるを得なかった、こういうような政府の気持ちのほうもどうぞひとつ御了解いただきまして、この措置でひとつ御了承をいただきたい、こういうふうに存ずるわけでございます。
○上原委員 確かに、その過程におきましては、投機ドルの問題なりいろいろ手続上困難な面もあったかと思うのです。しかし、現時点においては、昨年の十月九日の確認の分と今回十五日から二十日までの交換された——額においては確認をされているわけですね。そういう意味では投機ドルの心配等というものは出てこない。 そこで大臣にお伺いいたしたいわけですが、これまでしばしば、何らかの方法で県民のこうむった損失等については補償していきたい、あるいはこたえていきたいということを、国会答弁なり閣議なり等で出されております。具体的にわれわれが推測をして七十七億ないし八十億の損失になっているであろうという金融検査庁の資料等も出ております。こまかい点まできょうは触れられませんが、少なくとも私は、物価問題も当然いろいろ対策をとられなければいけないと思います。その本質的な問題は、やはり通貨政策の変更からきている。したがって、あくまで一ドル三百六十円というものを、もう一度県民のこうむった損失の補償というものをやるという前提で、まず一つは考える、さらに物価問題は物価問題として手を打つという二面性が、いまの沖繩の物価問題なり経済問題なりには出ておると思うのですよ。具体的に、県民のこうむった損失に対して政府はどう補償していこうとしておるのか。あくまでも個人のこうむった損失というものは完全に補償すべきだという立場をわれわれは捨てるわけにはまいりません。この点についてどうこたえていかれようとするのか、対策はあるのか、できるだけ明確な御答弁を賜わりたいと思うのです。
○山中国務大臣 これは、復帰までの間に、大体当初琉球政府との間においては対象外ということで了解いたしておりました、復帰後において支払いが参りますユーザンスについてもこれを三月までに周知徹底して、あとは復帰まで現金払いという措置をとることによって、ユーザンスの分も支払うことにしましたから五十三億は約六十億、価格差補給金というもの、為替損失補てん金というものが出されることになると思います。したがって、その意味においては、一応私どもは生活のためにこうむるおそれのある被害についてはカバーする努力をいたしてまいりました。しかし理論的にさらに申し上げますと、沖繩経済の成長率を通年で大体一八%ということに押えますと、昨年の十月九日からことしの五月十四日までに大体七カ月前後でありますから、まるめて一〇%程度の理論的にも現実的にも差額の補償というものがなされていないという事実は、私ははっきり認めておるわけであります。今回、十月九日時点の交付金がレートが三百五円でありましたために、金額も二百六十億が三百五億になるであろうと申しましたが、一応まるめるとその一〇%ということで、概略三百億として考えますと、三十億くらいのものは沖繩県民のために何らかの形で国のほうはそれを補てんする義務がある、責任があるというこを私は承知いたしております。したがって、これに対してどのような手段を行使したならば、はたして沖繩県民の方々、沖繩県の立場から見て、それが妥当なる手段であるかという方法について、沖繩県とも打ち合わせもしていきたい、また私のほうもいろいろと案を考えてみたいと思っております。
○床次委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。安井君。
○安井委員 私は、十四日に沖繩へ渡って、十五、十六日と、ちょうどいまの切りかえの時期に向こうにいましたからよく様子がわかっておりますけれども、佐藤さんはうれしそうな顔をしていても、沖繩のおかあさんたちはほんとうに悲しそうな顔をしています。私は、それがあのときの実態だというふうに見てとってまいりました。物価はどんどん上がるし、自衛隊は来るし、子供たちでもおかあさんたちのそういう気持ちが小さな胸にこたえているというふうな実態も見てまいりました。 そこで、いま大臣は、差損といいますか、それも約三十億円くらいだ、こうおっしゃるが、大蔵省のほうの先ほどの御答弁を聞いていると、三百六十円で十月に計算してそれを渡すんだから、もうそれで済んだんだというお考えに立っている。私は、それはずいぶん問題だと思います。三百六十円というのは、もうあり得ないレートであります。しかし三百六十円というので、ちょうど十五、十六日ごろ私ども買いものをしても、ドル表示を円に直すときですが、ちょっと待ってくださいという。みんな三百六十かけるのですよ。三百六十というのは生きているのですよ。ただ、銀行でかえるのは三百五円だ。大蔵省は昨年の十月に三百六十円というのをなぜ出したのかということです。やはり三百六十円というものが沖繩の人のふところを補償するためには必要だということを、あの時点で考えていたんだと私は思う。しかし十月からいままでのものは何もめんどうを見なくてもいいんだという考え方は、これは明らかに間違いだと思う。それならあのときになぜ三百六十円出すということをきめたのですか。あれを出した以上、その後における経済行為の中で出てきた差額についても当然考えていくべきだと私は思うのです。三百六十円であの法律の中にも書きなさいということをわれわれは主張した。ここでもずいぶん大蔵大臣に質問しましたよ。しかし、三百六十円というのをあの法律の中に書いてしまうとドルがどんどん入ってきて、それでは困るんだということを大蔵大臣はお答えになった。つまり、三百六十円でドルが入ってきては困るということで、円を守るために、あの法律の中には三百六十円と書かないで実勢価格による、こう書いたんじゃないですか。つまり沖繩の人たちは、日本の円を守るという大蔵省の方針のために犠牲にされたんだと私は思うのです。やはりその観点を大事に持って、これらの対策に立ち向かってもらわなければいけない。いまその補償の問題が出ましたから、私はその点が非常に大事なんで、そういう気持ちでこの問題の処理に当たってもらわなければいけない、そのことを申し上げて、これは大臣と大蔵省の両方からひとつ伺っておきたいと思います。
○山中国務大臣 これは大蔵事務当局に答えさせるのは酷でありますし、私が担当大臣、そして政府の閣僚の一人として内々の決意もいたしておりますから、私自身の政治家としての答弁にとどめさせていただきたいと思います。 私は、いま言ったような一応の、非常にまるめた大ざっぱな計算でありますが、その私の計算でも、そういうことが実際的にも理論的にも残っている。その問題については、どのような手段をとってでも、必ず沖繩の人たちに納得してもらう手段を政府としてとりたいという気持ちでありますので、事務当局にこの問題でこれ以上御質問願うことはお許しを願いたいと思います。
○上原委員 いま大臣の御答弁があったわけですが、しかしこれまでも沖繩県民に損失を与えない、あるいは復帰というものを県民に喜んでもらえる復帰にするのだということで、一般県民大衆というものは、ある分野においては長官なり政府の言ったことに相当期待を寄せた面もあったと思うのです。しかし今日の段階に来て、特に通貨問題からくる異常な物価上昇というものは、ある意味では恐慌状態なんですね。私は県民に幻想を与えてはいけないと思うのです。大臣のおことばをすべて否定しようという立場はとりませんし、ここで何らかの形で補償をしたい、政治家としての発言をするというその決意のほどはわかるわけですが、ただ県民向けのポーズであってはいかぬということを私はこの際長官に率直に申し上げておきたいと思うのです。どれだけ県民がこの問題で不安と不満と不信を持っておるかということはおわかりかとは思うのですが、では具体的にどういう形で補償をしていかれるのか。私が先ほど申し上げましたように、個人個人の損失補償ということを重点に置いてやられるのか、あるいはそのことがきわめて不可能ということで、政策的に補助金なりそういった別の方途をとるというお考えなのか、できたらその点もあわせて明らかにすることが、私はいまの段階で県民の政府に対しての不信にこたえる一番大事な道だと思うのです。あらためてお伺いしておきたいと思うのです。
○山中国務大臣 私は、これまでたびたび沖繩を訪れました中で、復帰を最も喜んでいただける日であると思った今回の沖繩訪問が、最も一般大衆の方々から冷たい目で見られた訪問であったことは、私自身が身にしみて感じました。したがって、先ほど申しました入り組んだ通貨政策その他あったにしても、私としてあとでそれを補てんすることは、すでに済んでしまった混乱を償う道にはならないと思いますが、しかし、少なくともいま私が言ったことがただ沖繩県民向けのポーズである、そういうふうにおとりになるならば、私としてはまことに心外であって、少なくとも公的な席において私が発言をいたします以上は、これは私自身としては胸に成算があり、そしてまた具体的な手段を考えてのことであります。しかし、やはり沖繩県というものが出発をいたしておりますし、沖繩県側からどのような手段というものが提示されるか。一つはそういう案もありました。卸売り市場をつくってくれるという意見でありますが、それだけではたして県民の方が納得されるだろうかという点もありますから、よく相談をいたしまして、それに対してこたえられる方途を講じたいということであります。私自身の腹案をここで言ってみることは、新生沖繩県のある意味の自主性というものとの関連においてできないことであると思いますから、よく相談をしてすみやかに措置をいたしたいと思います。
○上原委員 そこまでおっしゃるなら、早急に政府のお考えというものを実行していただく、県民の損失というものを補償していただくように強く要求をしておきたいと思うのです。 さらに付言いたしますと、先ほど長官は、この問題についてはあげて政府のほうに責任がある、県民のだれ一人も責任はないということまで明確にいたしました。私は、確かに物価問題なり通貨問題というものが困難な問題だということは理解いたします。物価問題は本土においてもたびたび議論されていることでありますので。ただこのことは、やはり本質的には、政府が事前に三百六十円でドルを円に切りかえなかったということ、あるいは特別措置なりいろいろな対策を十分対応していかなかった。同時にいま一つは、五月十五日を起点にして六日間通貨を円とドル建てにしたわけですが、そのことを考えてみた場合に、場合によっては復帰前にでもそういう施策というものはとれておったはずなんですよ。そういうところが今日のいろいろな問題を出しているという点、したがって、私はやはり政府の責任において、日本政府の責任においてこの問題というものは本質的に解決さるべきであるということをあらためて強調しておきたいと思うのです。 そこでもう一点は、きょう閣議におきましてもいろいろ沖繩の物価問題が検討されて、沖繩物価安定緊急対策ということがきまったようですが、先ほど御説明もございましたが、時間がありませんので簡単に触れますと、たとえば「物資のすみやかな流入を促進するため、通関、検疫その他の事務の一層の迅速化を図る。」というようなことをここにうたっておるわけですね。しかし、残念なことには、現在の沖繩の状態はどうかといいますと、御承知のように政府の役所仕事の遅滞によって相当の物資というものが沖待ちを余儀なくされているわけですね。ことばの上でこういう取りきめをやってみたところで、実際には復帰後すでに十日もたっているというのに全然なされていない。ここに例をあげますと、「復帰後、十日過ぎても輸入ワクが決まらず、業者の品物引き取りに”待った”がかかった。業者は通関申請をしようにも税関が「通産省からの指示がなければだめ」と受けつけないので、二十四日午後通産省の出先通商経済課に「早急に割り当てワクを決定し、品物を引き取らせてくれ」と直談判したが、通商経済課では「係長が本土に出張しているので、決定が遅れている。あと一週間はかかる」との返事。」こういう状態なんですね。ほんとうに沖繩の物価高の問題なり品不足であるというようなこと等を政府において真剣に考えているならば、こういうことは起こらないと思うのですよ。もし税関を通さなければいけない品目であるならば、現状の異常な状態においては、特別にはからっても輸入ワクをすみやかにきめるということが私は政府のとるべき態度だと思うのです。なぜこういう状態になっておるのか、担当者がおったらこのことを明確にしておいていただきたいと思うのです。
○山中国務大臣 私は、こと通貨に関する限り全部政府の責任だということを申しました。しかし、ただいま閣議決定の内容でも申しましたとおり、どう換算してもそうなるはずでない価格というものを設定をして売っておられることは、これはやはり沖繩県民の方でありますけれども、それらについてそれは商売人の道義の上からも、県民相互の生活の上からも、そこまでの責任が政府にあるかということになりますと、やはりこれは正常な常識の価格の範囲内であるならば、その混乱は政府にある。しかし、それ以上に換算して、四百円にもなるような販売をされるということはやはり商売人としてのモラルに反する点もある。それは私は弁解するわけではないので、責任は政府にあると申しておりますが、起こっている一切の現象は全部そうだというわけにはいかないものもあると私は思います。やはり県民のそれぞれのお互いのための最大公約数の利益ということで、自粛してもらわなければならない人たちもいるという気はやっぱりいたしております。その点だけ、何も弁解でもなければ開き直ったわけでもありませんで、その点はぜひ沖繩県民の一人として、そういう方もひとつ協力してくださいという意味で申し上げておきます。 なお、沖待ちの貨物船、滞貨その他の引き取りの問題は確かに問題点がありましたので、これは復帰前に那覇の埠頭等において野積みされて、シートがかぶっているようなものでありますから、これは税関あるいは通産省、農林省その他と協議して、すみやかにフリーパスで全部通すようにいたしました。なお、沖待ちの船も、逐次それに伴ってもの揚げ場があくわけでありますから、これは促進されると思いますし、先ほどの輸入ワクは今月中にきめるということを申し上げましたのでもうあと二、三日の今月でございますから、すぐにきめるということに受け取っていただいていいと思います。
○床次委員長 中谷君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 では、関連質問。 公正取引委員会事務局長にお尋ねをいたしたいと思います。 本日の閣議決定によりますと「独占禁止法による厳格な取締り」というのが項目として掲げられているわけであります。そこで私、独禁法に対して若干関心を持っている委員の一人として考えるのですけれども、本土において独禁法が施行されて定着をするまでに、私はかなりの年月を要したと思うのであります。そういうことで、独禁法に違反する行為をきびしく規制するというのは、まず独禁法に対するPR、理解、行政指導、そういうものが前提になければならない、そういうことであってほしいと私は思うのです。それが第一点であります。 そういう前提に立ちまして、次に実務的な問題をお尋ねしたいと思うのでありますけれども、たとえば、価格協定が独禁法の違反になるというお話であります。そこで、こんな場合は価格協定になるでしょうかということをお尋ねしておきたいと思います。 たとえば、同種の品物が一ドルと一ドル十セントで売られておった。それを換算の率を、たとえば三百六十円あるいは三百七十円というふうに換算のドルと円との関係においての協定をした。しがって、その場合、円価格においてやはり違った価格が出てくるわけですけれども、そういう場合も価格協定になるのでしょうかという問題であります。 いま一つは、たとえば私自身、前々からこの物価問題について局所的物価高が起こるのではないかということを長官にも何べんかお尋ねいたしましたが、私自身も四捨五入ではなしに、四人五入になるのだろうというふうな点についての予測をいたしましたが、四十円のものがとにかく百円になるというふうなことについての予測がちょっといたしかねた。要するに、千百四十円のものが千二百円になるというふうなことですね。だから四十入、五十入ということを協定をするというふうなことも、これは実務的な問題としてお尋ねするのでありますけれども、独禁法にいう価格協定ということになるのだろうか。こういうような点について私はお尋ねをしておきたいと思うのであります。 これは、直ちに独禁法を適用して厳重な取り締まりをするという意味でなしに、そういうふうなことについて、まず独禁法の理解と行政指導と、さらにそれについてのいわゆる勧告等があって後に、私、独禁法の厳格な取り締まり規制というものがあってしかるべきだという前提でお尋ねをするわけでありますけれども、こういう問題についての解釈上の混乱があってはいけないと思うので、この点について、ひとつ法律的な見解を承っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。 まず初めの一点、最初の御質問でございますが、確かにおっしゃるとおり、日本におきましても昭和二十二年に独禁法が施行されましてから、これが国民の間に定着いたしますまでには相当かなりの時間かかっております。まあ、たとえば一月や二月ではなかなか国民に根をおろすという浸透のしかたはしていないと思います。それと同じでありまして、沖繩におきましても、これはやはり復帰前から私ども係官を派遣いたしまして、十分にPR活動は行なっておりますけれども、一月や二月で十分に末端まで浸透するというのは無理であるというふうに私も考えます。したがいまして、まず、いきなり法に従って厳重に措置をとるといいましても、やはり当面の間は行政指導によりまして、違法な行為を見つけたらそれをやめるように指導して、どうしても聞かなければそれは法によって措置するということになろうかと思います。 それから御質問の第二点でございますが、たとえば、一ドルと一ドル十セントを同じ三百六十円で換算をして円に直すというような協定が直ちに独禁法違反になるかどうか、またその次のお尋ねの四十入ですか、そういうことが直ちに独禁法になるかどうか、私いますぐにはお答えできませんが、たとえば一ドル三百六十円で換算して円価を出しましょうということに協定をいたしますれば、これは価格協定として違法になるのじゃないかというふうに考えております。御質問の点は、いま少し検討さしていただきたいと思います。
○中谷委員 関連質問ですので簡単にいたしますが、公正取引委員会に対しては、当然の要望でありまするけれども、零細業者、中小業者等は、たとえばちらしを配って、私のほうの組合ではこういうふうな値段にしましたと一見独禁法違反になるようなことについてのちらしを配る、それで摘発をされる、こういう場合が多いと思う。ところが、現実に県民生活に非常に密着をして、しかも影響のある業者の中で、かなり力のある者については、ことに本土資本等についてはそういうふうなことではなしに、公正取引委員会で苦労された家電製品のように、ひそかに価格協定をする。ですから、私は、やはり厳重な取り締まりというのは、そういうひそかな価格協定というものについてひとつ十分なとにかくメスを入れられるべきである、この点についてひとつお願いをしておきたいと思います。答弁がありましたら、引き続いて質問いたしますので、そのときにまとめて御答弁いただきたいと思います。 それからいま一つ、長官のお話の中に、物統令を場合によっては適用することもやむを得ないだろうというふうなお話があったと思うのであります。物統令というものは御承知のとおり、終戦後の経済の混乱に対応するところの統制令であって、これを適用するということについては、非常な、私はまさに異常な場合に限られるべきだと思うのですが、そういう物統令の適用ということになってまいりますと、先ほど長官の御答弁の中にもあったのですけれども、明確に一応しておきたいと思いまするけれども、物統令の中のどの条文を主として取り締まりの対象にされるか。一体、物統令というのは国民生活局の御担当になるのか、それとも法務省の担当になるのか。この点が私、ちょっと若干先ほど質問しようと思って疑義を感じたのです。物統令については、私申し上げるまでもなく、ずいぶん物統令違反としてたくさんの条文がありまするけれども、どの物統令違反というものについてやむを得ない場合に適用するという考え方なのかどうか。物統令のただだんびらを振り回すということは、物価対策に私は必ずしも有効ではないと思う。まさにやむを得ない場合に限って、しかもこの違反については特にやるということでなければならないと思うので、その間の異常な事態に対する、ある意味においては非常に異例な適用の問題でありまするから、この機会にお話をいただきたい、これが一点です。 いま一点お尋ねしておきたいのは、次の質問であります。要するに、この五百万円を沖繩に支出して必要な調査等を委託するということでありまするけれども、この最後の状況等について調査を公表する。公表をされるのは一体いつをめどにしておられますか、これであります。以上で質問を終わりたいと思いますが、御答弁いただきたいと思います。
○山中国務大臣 物統令は経企庁の所管でありますが、これはただいまおっしゃるとおりの配慮を私もしておりますから、閣議決定には入れておりません。これだけの各種の特例措置、輸入割り当て等についてしてある。したがって、こういう異常のものは出てくるはずはありませんよという指導その他を徹底させます。しかしながら、それでもなおかつ、一夜にして五割、六割というものをいわゆる不当な価格として上げて、それをなおかつ、特例措置等あっても全然考慮しないでやっているという場合に、どうしてもそういう場合には考えざるを得ないことになるのではないか。しかし先ほど申しましたとおり、これも沖繩県民であります。したがって、先ほど申しましたとおり、沖繩県民に罪のないことで法律にひっかかる——これは罰則がついておりますから——ということは、私は最大限避けたいと思います。 適用条項はどこかといえば、物統令の第十条「何人ト錐モ暴利ト為ルベキ価格等ヲ得ベキ契約ヲ為シ又ハ暴利ト為ルベキ価格等ヲ受領スルコトヲ得ズ」、これはたいへん古くさい文句ですけれども、この条項しか考えられない。そのつもりでおりますが、これは閣議決定にもいたしていない。ただ、了解だけはとっておきたいということで、これは多分に沖繩の物価は心情的なものもありますので、そういう意味で、歯どめという意味で了解だけとってあるという配慮はちゃんといたしてあります。
○宮崎(仁)政府委員 物統令の解釈については、いま長官のお話しのとおりでございます。それで、十条で問題にするということでございますが、これの実際上の問題になりますと、刑法の問題になりますので、法務省の刑事局のほうの見解をひとつ十分検討をお願いしたいと思って、これは連絡してございます。現在は、御承知のように、この条項は、野球などのダフ屋というんですか、ああいうものの取り締まりなどの根拠条令になっておりますけれども、あまり一般的に使われておるわけではございません。 それから、調査でございますが、これは地方物価調査費という形で、経企庁に計上されております二千万円のうちから支出したいと思っておるわけでございます。 公表は、沖繩現地でやるわけでございますが、来週の月曜日または火曜日に県、市町村、総合事務局の協議会をやりまして、そしてそこでスケジュールその他をきめる、こういうことにしたいと思っております。一斉に調査をやろうということですから、調査が終わり次第、できるだけ早く公表したい、こう思っております。
○中谷委員 それは調査する段取りで、公表はいつまでのめどを持ってやるかと聞いたのです。
○宮崎(仁)政府委員 公表のスケジュールにつきましても、そのときの調査の段取りとあわせてきめてまいりたいと思っております。
○上原委員 先ほどの長官の御答弁の中でもありまして、私が申し上げたのも、決して不当な利得を得ようとする便乗値上げ、そういったものまで含めて政府の責任であるというようなあれじゃありません。あくまで、この問題の本質は一体何から出てきたかというようなことを明確にしなければいかないのじゃないかということですから、私のほうでも、その点は念を押しておきたいと思います。 そこで、時間がありませんので、あと一、二点だけお尋ねいたしますが、たとえば公取委の調査にいたしましても、いまの物統令のお話にしましても、万一そういう——公取委の場合はすでに行政指導が始まっているわけですが、物統令の問題にしましても、私たちが現在の状況で最も心配するのは、地場産業あるいは中小零細企業という方々をどう保護育成していくかということも、当然政治として、政策として念頭に入れなければいかないということなんです。本土からいろいろ不足している物資を流すにしても、中小企業の立場というものを萎縮せしめる、あるいは倒産せしめるというふうな政策配慮であってはいかないということ、ややともすると、不当に利益を得ているほうが保護されて、地場産業、中小企業がますます食いものにされるということも、今回のこの物価問題なり復帰のどさくさにおいて出てこないとも限らない。その点は、これまた政府がせっかく四百四十品目の差損補償ということまでやってきたにもかかわらず物価が安定しなかった。そこいらについても、どこにほんとうの原因があったというようなことをあわせて考えていただきたいということ、この点に対してのもし政府のお考えがあれば承っておきたいと思います。 そこで、この問題との関連におきまして、いま一点お尋ねをしておきたいことは、たとえば失業保険とか、その他の年金の読みかえ等も当然問題になってくるわけですね。特に、いま労働者に失業問題というものが大きな社会問題、政治問題になってきております。そういった保険金なりあるいは給与換算というものが、三百五円ないし三百八円というようになりますと、ますます物価高の中で、そういった失業状態にある方々の生活困窮というものが出てくる。これに対してはまだ政府の具体的な答弁がなされていないわけなんです。これに対してどういう方法をとっていかれるのか、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
○山中国務大臣 まず第一点の問題点で、既存企業を物価安定のためと称して、逆につぶしてしまうおそれがある、この点は十分配慮しなければなりません。かりに市場を冷やすために物資を送ったとしても、それはすでにつくられておる沖繩の既存の流通形態、したがって卸、小売り、そういうものの上に乗せていきますから、そういう市場を撹乱するような行為はしないように厳重に戒めてまいります。 さらに、いまお話のありました現在の保険金の金額とか、あるいはまた直接ありませんでしたが、年金とかそういう問題等は、すべて結果的には三百六十円相当の金額ということで、何ら変化のないようにいたしたいと思います。そう措置いたしてございます。
○上原委員 いまの点は失業保険の支給額、もちろん失業保険というのは、説明するまでもなく、賃金を置きかえるか、あるいは支給金を三百六十円としてやるか、方法は二つあるわけですが、その点は、三百六十円を基準にして補償するということを確約いたせますか。
○山中国務大臣 いわゆる受給者の権利としてもらわれる金、そういうものは、既裁定年金等も含めてすべて三百六十円相当額というものが給付されることになります。
○上原委員 時間が参りましたので、先ほど来申し上げた特に物価問題と、やはり三百六十円で交換できなかったそのことが一番県民の不満になり、また物価上昇ということに大きく波及してきたわけですから、その点、先ほど前向きの御答弁もありましたが、今度こそ沖繩県民が、から手形の、ただ甘い期待だけさせられるということでなくして、十分にその補償というものが受けられるように、そしてまた、物価の問題等もいまはもう調査の段階でなくて、具体的にどう対処していくのかということだと思うのです。そういう面で、ぜひともいまの県民の生活困難というものを一日も早くなくするように特段の御配慮をお願いいたしまして、質問を終えたいと思います。
○床次委員長 安里積千代君。
○安里委員 沖繩の復帰にあたりまして一番問題になり、また県民の心配した問題は、軍事基地の問題と、もう一つは経済問題だといわれておりますし、また指摘されたとおりであります。基地問題につきましては、B52の飛来というような問題が起こりまして、そこに県民の大きな復帰に伴う不安というものが現実になってあらわれてきておりますが、この問題はさておきまして、いま物価問題がいろいろと取り上げられたのでありますが、これは直接に庶民生活に影響を及ぼしておるだけに、復帰に対しまするたいへんな問題が現実に起こっているということは、もうすでに御承知のとおりであります。ただ私は、物価問題というものはたいへんむずかしい問題だと考えております。単に理屈だけでも割切れない問題がありますし、本来の理屈からいいますならば、国内におきましても物価問題というのは政策的にもたいへん処理のむずかしい問題でございますが、沖繩の返還という、しかも通貨問題に対しますいろいろな変動の時期、悪い条件が重なっておる時期の復帰でございますために、二重にも三重にもしわ寄せがきているのだ、こう私は考えております。物価を左右しますのは金融面、生産面、流通面、三本の大きな柱があるとよくいわれますけれども、今度の場合におきましては、流通面という点が最も大きく左右しておりますし、しかもそれには、先ほど長官も言われました心情的な問題が大きく加わっておるものだと私は考えております。 そこで、三つのいろいろな原因をおっしゃったのでありますが、そのとおりだと思います。しかし、その裏にあるところのもう一つの大きな基本的な問題は、沖繩復帰に対して、政府のとりましたいろいろな処置に対します一つの不信感というものが底を流れておるのじゃないか、私はこう思います。それが心情という問題にも影響してくるんじゃないか。と申しますのは、復帰前から、ことにまだ円の切り上げという問題が表面にあらわれてないときから、沖繩の場合におきましては、一ドル三百六十円で復帰前に切りかえろというところの要求がございましたし、これに対しまして逆惑を及ぼさないというようなことも総理自身言われておりましたし、そうしてまた、復帰対策要綱の中におきましても第一に示されておりますのは、「通貨の交換は、公定の交換比率を基準とし」交換するということでありましたし、この場合の「公定の交換比率を基準とし」ということは、沖繩県民としては三百六十円を頭に置いておったということもいなめない事実でございます。その後、変動相場制に移行いたしまして、これに対しまする措置も、もちろん差損補償の措置がとられたのでありますが、これ自体のやり方に対しましても不信感があったと思います。本来ならば、ほんとうに沖繩のことを考えておるならば、ドルを使っておった沖繩だけは特別に変動相場制に移行すると同時に方針を示されて、そうしてそのやり方も沖繩であれするのではなくて、本土において処理するという方法もあったんじゃないか。おくれて現地沖繩において処理するというような方向だったために、その間にもいろいろな問題が起こったということもいなめません。さらにまた、特別措置に関する法律によりましては、いまの対策要綱の公定の交換比率を基準とするということが変わりまして、つまり復帰の日前における外国為替の売買相場の動向を勘案して、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める額、こういうふうになりましたし、この場合の沖繩の受けり方も、法文においては、外国為替の売買相場の動向を勘案して、そうして内閣の承認を得て大蔵大臣がきめる、こうありますけれども、正直な話、この場合は三百八円というレートが設定されておるので、一応この線じゃないかというようなこともまた期待をされたものだと思います。それが三百五円ということになりました。ですから今日までに至りますいろいろな状況を考えてみますと、政府に対する期待と、それから言っておることと、沖繩の県民の受け取る側と、実際やったこととが非常にちぐはぐになってきて、当てにならない、こういう不信感というものが底を流れておったんじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。 大臣があげられましたところの三つのこと以外に、その裏にはやはり不信感というものが底を流れておるんだ、これが心情的にも大きく影響しているんじゃないか、そのように私は見ますけれども、大臣とされまして、その点についてどのようにお考えでございましょうか。
○山中国務大臣 どのようなおしかりを受けても、この問題で抗弁する余地は私ども政府にはないと私も思います。したがって、できるだけ手を打ったつもりでありますし、復帰の日以前における為替の売買レートの決定にいたしましても、その当日、金曜の最終引け値は三百三円台でございましたが、それの以前一週間、その先週の土曜から復帰前の最終の金曜までの引け値の平均をいたしますと三百四円台になります。そのいずれか高いほうをとって、そして端数を切り上げて三百五円にする措置をかろうじてとったわけでありますが、なおその場合でも基本レート三百八円という期待は、最悪の場合でも沖繩県民にあったというおことばは、私もそのとおりだろうと思います。これは私の沖繩担当大臣としての努力が足らなかったと思いますが、何せこの国際通貨に関する問題、また国内のそのような円等に対する扱い方は、すべて大蔵大臣の専管事項でございます。したがって、私自身がすべてをなし得るものであったなら、あるいはと思う方法も場合によってはあり得たかもしれませんし、そうでなくとも、これが一日で交換が可能である、あるいは交換にかわる手段が一日でまたチェックのときと同じように可能であるならば、これは三百六十円であっても私は投機ドルの流入する手段は防ぎ得たと思うのでありますが、やはり一週間にわたって交換をいたしまする際、三百六十円あるいは実質的に実勢が三百三円であって三百八円、五円差というものでやります場合の大蔵側の責任役所として心配をいたしまする点に、私自身も、完全なそうではないはずだという自信が実はございませんでしたし、復帰時点においてかりにそれをなし得たとしても、十月九日時点のチェックいたしましたものは全部御破算にしなければならないという、自分がやったことについて、自分自身がまたそれによって縛られてしまったという点もあったことを、私としては王手飛車をかけられたような、いわゆる円が高くなれば高くなるほど差額交付金はふえるというまた反面の真理もございまして、たいへん脳みました。もちろん、結果においては沖繩県民の期待を著しく裏切った、復帰日において生じたものは、本土政府に対する不信のみであったということを私も実感として受け取ってまいりましたので、その点はまことに申しわけなく、これを補てんする手段がかりに講ぜられるとしても、一ぺん人間の心に植えつけられたものはぬぐい去ることはできないと思いますが、精一ぱいの努力をこれからもしてみたいと考えます。
○安里委員 大臣から率直な御意見を承ったわけでありますが、これはいろいろな措置が講じられましても、私は、政府がこの点を基本的にお持ちになりませんというと、どんな手を講じましても、その不信感というものが——これは政治でもすべて私は信頼関係に基づいていたものだと思います。 例が違うかもしれませんけれども、銀行が取りつけ騒ぎになるという場合でも、実際、それは不良な経営状態でございましてもあるいは救済する道がありましょうけれども、あれはもうあぶないのだという声があがりますれば、取りつけというものは二倍にも三倍にもなってくると私は思うのです。同じようなことで、特に政治の場においての信頼関係いうものが失われた場合には、何を言ったってこれは信じられないということになりますと、いかに取り締まろうと何しようと、これはどうにもできない。沖繩の復帰にあたりまして、この点が非常に欠けているのじゃないか。いまの問題とは別に、軍事基地の問題でもその点がいま非常に強くあらわれてきておるわけでございますけれども、せっかく本土国民として同様な政治の中に入りながら、沖繩の特殊なことに対しまする処置を誤ったために、あるいは政府が目前の処理をするということだけにとどまって、そのような不信感を除く基本の姿勢がなければ、佐藤総理でありましても、沖繩県民に迷惑をかけないというようなことを幾たびか言っておって、それも信じられないということになりますと、私は今後の措置に対しても影響すると思うから実は申し上げているわけであります。 そこで、いろいろな措置が講ぜられておりますけれども、この中におきまして、復帰前において打たるべき、なさるべき手があったのじゃないか。 残念だったと思いますのは、この緊急対策についての最後の項で、これは書面にはございませんけれども、大臣が口頭で述べられたことが非常に大事ではないか。これは物価統制令のお話もなさったのでありまするけれども、そうでなくて、統制経済じゃないところのもとにおきまする問題として、実質的には同じような線に行き得る指導というものが、処置というものがなし得る道があったんじゃないか。それは最後に大臣が説明されましたように、いろんな物価の状況、それから物資の状況、あらゆるものを調査をされて、それらのデータから基づいて、このような物資については適正な利潤を加えた適正な価格はこの線であるというところを、これは別に強制するわけじゃございませんが、そういった線が示される。そうしまするならば、これによりまして、売り手買い手におきましても、暴利をむさぼっておるかどうかということも、みずから消費者の側においても規制ができてきまするし、あえて統制令を出しませんでも、これが正当な取引においての価格であるというような基本線というものが出されてきて、そうしてそれに対する協力を求めることができれば、私は、ある程度この問題というものは統制令云々というより以上に大きな効果を生ずるのではないか、このように思うわけです。ですから、すみやかにこの最後の項のことを調査をされて、沖繩における各種の特殊な物価については、これが基準となるべきところのものである、これ以上のものは不当の利益を入れているのだという批判が大衆の中からあがりますれば、それで十分規制できてくると思うのです。ですから、このいろんな施策を講じますとともに、そういう線を明確にしていただくということを早急にやっていただきたい、私はこう思うわけです。私の考えが間違いであるかどうか知りませんけれども、そのことが最も有効なものじゃないか、このように思うわけですけれども、政府とされましてこれを促進されて、はっきりした基準を示されることが大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山中国務大臣 これは売り手も買い手も沖繩県民でありますので、その価格が構成さるべきは双方納得のいく、そして県民全体のコンセンサスの得られる結論が、いわゆる基準となるべき標準価格というものになるべきだと思うのです。この点はやはり沖繩県が一番よくその実態を知っておられますから、委託費をお願いして、そういう調査もともに一緒にやってまいりますが、県がいま部長会議等も開いておられるようでありますので、そういう結果を踏まえてよく連絡会議をいたしまして、経済企画庁の話では月曜ごろ開くという、すべての担当官の会議ですが、それを踏まえてすみやかにあるべき適正価格の表示をしたいと考えます。 なお、復帰前になせばよかったという点も、確かにここまでの大混乱というものを実は私どもも琉球政府も予測しなかった。この点はやはり甘さがあったと思います。しかし、私としては、心情的な問題として起こるであろうことを心配して、交換の日に同時に差額の三百五億を交付を始めるように、同時にやるように、したがって、交換レートは三百五円だ、しかしその差額は、十月九日の時点であるとはいえ、現在持っている金額はまたそれぞれふえたり減ったりしている人もありましょうが、その差額は三百六十円に達するまでもらえるという安堵感を与えることがもし可能であるならば、私は幾ぶん違っただろうと思います。しかし、この点はやはり金融機関の職員の方々あるいは責任者の方々等が、それはほとんど顔まで住所まで確かめなくても、ドルの顔と円の顔とを数を数えて交換すればいい業務と、それから一々証票をお互いに二枚、銀行側と本人と持って、そして割り符までしてありますから、突き合わせて、本人であること間違いなし、あるいは本人の代理人であること間違いなし、相続人であること間違いなしというようなことを確認をしながら、差額を交付する業務と一緒にやらせられては、それはあまりにも酷であり、殺人的な要求だという御意見がありましたので、これは、実務は実は民間の金融機関等にお願いをするわけでありますから、私も、当初二週間、間をあけて休ませてくれというお話でありましたけれども、まげて、日曜にお休みを願って、月曜日から交付をしてほしいということをお願いをいたしまして、聞き入れていただいたわけであります。これが同時にできたならば、いま少しく心情的な動揺というものがおさまったのではないかという気持ちもありますが、これはもう帰らぬ繰り言になってしまいました。率直な私の感想を申し上げます。
○安里委員 先ほどの問題でございますが、金融問題は非常にデリケートな問題であるわけでありますが、それだけにまた受ける側といたしましては、普通の考え以上に頭を回すわけですが、長官、これは無理だったでしょうか。これぐらい明らかにしておきたいと思います。繰り返すようでございますが、第一次の復帰対策要綱で、「通貨の交換は、公定の交換比率を基準」とするということが示されました。そこで、特別措置に関する法律では、「この法律の施行の日前における外国為替の売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める交換比率」によるということになったわけでありますが、この対策要綱と特別措置に関する法律とを照らし合わせてみまするならば、特別措置に関する、この内閣の承認を得てきめられるところの交換比率というものは、少なくとも当時の交換レートというふうに受け取って考えることが普通の常識である、普通の無理もない考え方である。ただ、立場上、法律の上には、当時の「外国為替の売買相場の動向を勘案し、」云々とあるけれども、これは実際は、少なくとも当時の交換レートを基準にするのだというように実は受け取ったのです。ですから、そう考えるのが普通の常識じゃないでしょうか。一般の受け取り方はそれがあたりまえじゃないか、実際やったことは別といたしまして、そう受け取るのも無理じゃないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○山中国務大臣 昨年の十月のチェックをいたしましたときに、いわゆる三百六十円で復帰の日に交換できるということは、できないからこの手段をとったのだということは、この通貨問題というのは県民全部に関係があって、そして県民すべての人に理解してもらうというのがきわめてむずかしい、聞いてみたってよくわからないという問題も反面ございますので、私はそういうことが全部理解があったとは思いません。しかし、これは百歩譲っても、復帰の日に、いろいろ書いてあるけれども、基準は三百八円なんだから三百八円はだいじょうぶだろうという期待感があったことは私も認めますし、一日で現物交換ができたならば、私は三百八円を遂行し得ただろうと思いますが、一番急いでも一週間ということになりますと、一ドルについては実勢三百三円だったと思いますが、その三百三円と八円の差のわずか五円であるとしても、それが億ドルというようなことになってまいりますと、そのわずか五円の差でも、投機筋の動かし方は非常に巧みでございますから、やはり一週間相場を張ることは、大蔵省の言うようにむずかしかったのではなかろうかと思いますが、これらの点は私も専門家でございませんし、担当大臣でございませんので、大蔵大臣と列席しながら、いずれまた御説明する日もあろうかと存じます。
○安里委員 私はこの問題は、確かに事務当局としてはそういう措置もやむを得なかったと思いますけれども、政治的配慮というものをそれにプラスアルファすべきだった、このように思うわけです。 そこで、その点を申し上げ、さらに実は大蔵関係にお聞きしたかったのでありまするけれども、この問題とは関係なく、沖繩の物価に非常に影響する問題として、今後政府がいろいろな工事をし、いろいろな政府関係の仕事をする、こういった問題で、従来にない非常な単価でもって特殊な契約がなされている事実、こういったことがまた沖繩の物価上昇にも大きく影響する、あるいはまた特別な人との結びつきによって、沖繩の物価を上げるところの原因をつくっておるという問題もあります。この問題は次の機会に申し上げることにいたしまして、単に目の前の措置だけでなくして、政府がこれから沖繩において仕事をしようというような場合に、政府の補助金や、その他のいろいろな仕事というものが物価上昇の原因をつくらぬように、特にあらかじめ要望しておきまして私の質問を終わります。
○床次委員長 瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 時間が二十分しかありませんが、山中長官にお聞きする前に、経企庁の政府委員が来ておられますね、その人にちょっと聞きたいことがあります。 この前の沖特委で、物価問題に対する私の質問に対して、商売人のことは道徳の問題と言ったのですが、それは別として、一般の消費者、県民ももっと落ちつかぬといかぬといったようなことを答弁しておりますが、こういった経済問題、物価問題で落ちつけないから聞いているのであって、落ちつけなどといったようなことは、いまでもそう考えているのか。これは基本的な態度なので、もし経企庁あたりでそういった態度で物価問題に対処されるのであれば、沖繩問題に対してどのように美しいことばで言われようが、結局だめになるということなんです。この点について何か釈明か、あるいはそうでありませんというのがあれば、答弁していただきたいと思います。
○宮崎(仁)政府委員 前回、沖繩の今回の物価問題についての要因について御質問がありまして、そのお答えの中で、いま御指摘のようなお答えをしたわけであると思いますが、私ども、確かに現地の実情に対する把握というのが十分でございませんでしたから、そういう点において、いま山中長官のほうからいろいろと御説明がありましたようなこまかい事情まで私ども承知をいたしておりませんでしたので、不十分な認識があったということもあるだろうと思います。特に御指摘の消費者の方々が落ちつくといいますか、そういった表現でございますが、私が申し上げたかった趣旨は、言ってみれば、物価対策について、復帰対策要綱その他特例措置としてずいぶん税その他いろいろの措置がとられたわけでありますので、そういうことについて十分ひとつ御承知を願うということになれば、物価の面でそう値上がりすべき理由はないわけでございますので、そういう点をよくおわかり願うことが重要であろう、こういうことを申し上げたかったわけであります。同時に、買いだめとか、そういうことがだいぶあるというお話もございましたので、言ってみれば、需給関係に特にそう心配がない、こういったものにつきましてそういうような行動がとられたということは、やはり御心配がいろいろあったのであろう、そういう点についても、若干長い目で見ていただければ御心配なくやっていけるのではないだろうか、こういうことを申し上げたかった次第でございます。 表現が不十分だったということについてはおわびを申し上げておきます。
○瀬長委員 山中長官に質問したいと思いますが、きょう閣議決定が行なわれて——これは決定だから、すぐ実行に移されると思いますが、この基本方針は、五月十四日水準の物価に戻すということであるのか、十五日からぼかっと上がったのですから、これは事実、私もよく知っています。これを実践して十四日のあの物価まで下げていくということを基本方針としているのか。そこまではいかないので、あまり上がるのを防ぎとめよう、押えるということを方針としているのか、この点だけ明らかにしてほしいと思います。
○山中国務大臣 これは、先ほど私が御答弁申し上げました中で触れておりますが、輸入物資等については上がる理由はないのだ、したがって、原材料も含めてですが、そういうものは正当な換算、すなわち三百六十円相当が正当である場合、輸入物資は三百三円ないし五円、実勢レートよりかなおかつ外国製品は安く入るわけでありますから、三百三円見当だと思いますが、上げる理由はないばかりでなくて、そういう正当な換算による価格にしてもらいたい。したがって、ものによってやはり違うと思いますが、本土から送られておりましたもの、これは税等がなくなっただけ下げてもらいたい。換算率はやはり同じにしてもらいたい。それからいままでの沖繩産の島内産品であって、そうして別段それに対して税が重くなったりしない通常の状態のものは、正常な状態の価格で、復帰前の状態が円になったというだけの取引にしてもらいたいということを願っているわけであります。
○瀬長委員 私それを聞きましたのは、いま私の家自体で私飛び上がったのです。これは、物価が上がっていることを聞いて飛び上がったのは私自身なんです。あの十五日に、雨の日に県民大会があった。家へ帰ってきたら、娘が、ランチョンミートが上がってしまっておる、幾ら上がったのか、こうやってもなかなか出し切らない。とうとう一時間くらいで、三割上がっているなということを言っていたので、ははあなるほどやってきたなと思ったのだが、きょうもおばあさんが電話で聞いてきている。物価対策をとるというのだが、平均三割なら三割は物価が上がると食い込んできます。ある労働者の計算では、個々に直して約五万円ぐらいの給料をもらっておるが、いわゆる衣食住、そういったようなものに使う金が大体三万円、その平均三割食い込んできているわけだ。だから何と言っているかというと、復帰によってすべて重くなった、軽くなったのはさいふだけだ。だれが軽くしたか、だれが盗んだのか、そこまで言っています。日本復帰じゃなくて、日本損帰じゃないかということまで冗談じゃなしに怒りを込めて言っております。したがって、いま十二日目ですね、十五日ですから。これからだんだん、あなた方あしたからやるという場合に、二十日なら二十日間の物価値上がりに対する欠損金、いわゆるさいふが軽くなった、だれか盗んでおる。これは政府が責任を持ってもらわなければ、だれも責任持つ人はおらぬだろう。こぶしをあげてもこぶしの行きどころがない。そういう物価値上げによって県民の受けた——特に勤労大衆なんです、受けたものは計算すればすぐわかってくる。この人であれば、平均一カ月間に三割とすれば、大体三万円で、九千円の損失を受ける。こういったことをはっきりはじき出しているわけだ。いわゆる生活苦、この問題についてどうお考えか。これは明らかにしてほしい。私が聞きましたのは、十四日の時点の水準までに持ってくるのであれば、持ってくる間の期間がある。この物価値上がりは人為的であって、いわゆる政治の問題であって、決して自然の災害ではないとはっきり言っております。だから、そういう意味でも、この問題を損させないようにしなくちゃいかぬじゃないか、政府はどう思っておるかはっきりしてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 復帰直前において、たとえばランチョンミート等が非常に買われて、そして品物が払底しかかった、あるいはまたその他のウイスキー等もあるようでありますが、相当な買いだめというものも私は自衛上やむを得ないことだと思うのですが、高くならないはずのものまでやはり心配して買われた点もあります。したがって、復帰の時点等において、それだけ買い手があるならば上げても売れるだろうというような若干の心理、あるいはまた食堂等で端数がめんどくさいし、つり銭の要らないような数字にしたいというようなこと等もいろいろあったと思います。しかし、これは得、損ということはいえると思いますが、沖繩県民の中において、売り手と買い手の中において起こった現象であります。したがって、買い手のこうむった損失を完全に補てんせよという御意見もわかりますが、どのような手段があり得るのか、それらについてはその原則の問題は別として、やはり私どものほうにおいても、そのような県民が大混乱の中でこうむったもの、そういう問題に対して何をなし得るかということについては、今後とも研究をしてまいります。
○瀬長委員 これをむずかしいことばでいえば経済的な収奪というのですね。搾取、収奪、県民は盗まれたと言っていますよ。復帰の時点で交換によって一ドル五十五円の損をさせられた、結局われわれは損をさせられた、どろぼう劇、こういった表現をしています。 そこで関連しての質問は、いま法人は別として、個人で去年の十月八日の通貨確認以後所得がふえている人がいます。このふえた人は一ドル五十五円の損をしております。私の知っている労働者も苦しい中でためまして、大体百五十ドルくらいためている人がおります。しかし、この人はその以後の問題があるから三百五円でしか交換できない。一ドル五十五円の損をしている。こういった人々に対してはもうお手あげですか。何かまた考えますか。
○山中国務大臣 先ほどのお話の、本土政府が盗み取ったという御意見でありますが、これは実は売り手も沖繩県民の方なんでありますから、そういう混乱を起こした責任はこれは本政府にありますということを申し上げておりますが、本土政府がかすめ取ったものではない。私はそう思います。そして三百五円でかえて、品物は三百六十円に上がった、これは確かに問題がありますが、しかし十月九日までの分は、それだけの差の分は完全にお払いをいたしますと言っておりますから、いまおっしゃるとおり、結論は十月九日以降のもの、この点は確かにあると思います。 これは沖繩県ともよく相談をしておりますが、個人で一万ドル持っていた入が、復帰のときには順当に一万一千ドルになっていたという方については、確かに成長率一〇%程度、半年ちょっとであったとすればまさにぴたりでありますが、しかしそれはふえた人、減った人いろいろあります。それはまた換物あるいは換金その他いろいろと行為が自衛上なされたことと思いますが、そのいずれにしても、上原委員にも答弁いたしましたように、その十月九日以降の成長率、これは沖繩県民全体の成長率という問題で、県民個々にどのように帰属せしめ得るかという問題も当然検討はいたしますが、沖繩県当局も、そのあとの個々人が、一人幾ら自分はふえたという主張を裏づけるのはなかなかむずかしいということもありまして、個人に帰属せしめ得るならば、一律単純平均の分配というようなことにならざるを得ないと思いますが、そういうことははたして可能かどうか、沖繩県が望まれるかどうか、これらは今後相談してまいります。
○瀬長委員 あと時間が七、八分しか残っておりませんので、沖繩県民の物価問題、円・ドル問題についての基本的な問題について、いま搾取、収奪とかどろぼうとかいった名前を言いましたが、憲法が十五日以降適用された。憲法には私有財産は保障されている。所有権は保障されている。ところがわれわれの私有財産はどうも保障されていない。あの土地収用法では強制的に契約させるような方向でいき、うそまでついている。契約していない人でもこれは補償金を取れるのです。契約しないと取れぬぞというようなうそまでついてやっておる。その状態を見て、何が所有権の保障か、まるでわれわれ県民の所有権の否定の上に復帰が行なわれたのじゃないかということが、事実県民の中に、これははっきり申し上げますが政党政派を乗りこえてあります。自分の財産は守りそれを大きくする、所有権をだれにも与えてはいかぬ、これはもう基本的な問題であります。この物価の問題はそこに触れているわけなんですよ。これは大きくいえば対米従属の深さの問題、安保条約のアメリカに対するあの経済協力の問題、さらに軍事費の問題、こういったものに関係し、独占価格と関係している。これは簡単に直るものじゃないが、要するに姿勢として、人の財産を奪っちゃいかぬという点をはっきりする。もし奪うことが継続されるならば、沖繩県民の怒りは、この十五日を起点にして次第次第に広がるということを私は特に開発庁長官でもあります山中さんに述べまして、もう時間ぎりぎりでありますから、最後に、旧日本軍の犯した県民に対する犯罪、これは相当広範囲にわたって——この前の岡田政府委員の答弁で調査中だといっておったが、特に久米島の鹿山事件、これは大体確認されているはずであります。確認されているものに対してだけでも、政府は、刑事問題は別として、どうするという方針があればそれを述べてもらいたい。 さらにこの前も要求しましたが、久米島だけではなしに、全県にわたって広範に旧日本軍隊は残虐行為を行なっている。これをいつまでに調査を完了して政府の方針として出すか。たとえば二十一日間延長されたこの国会の会期中に、開発庁長官としては、その具体的対策を出すということをここで確約できるかどうか、この点をはっきりさせてほしいと思います。
○山中国務大臣 二十一日の延長国会の期間中に出せるかということになりますと、確答いたしかねますが、しかし、私はたびたび申し上げておりますとおり、これは総理自身の意思でもありますし、日本人同士が、軍と民間人との立場がかりに違っていたにしても、起こり得ざる事柄として起こったことが明らかになってきつつあります。私どもの沖繩事務局でも調査もいたしておりますが、久米島事件はおっしゃるとおり一応明らかになりました。したがって、これに対しては法務省その他とも相談をいたして、国家賠償を含む国の責任を明らかにしたい、かように思います。 一方、マラリアの島、西表島に強制移住させられたがためになくなっていった人たちまで含めた、先般、瀬長先生から直接いただきました沖繩県教職員組合の——手足をずいぶん山奥まで持っていらっしゃる組織でございますから、私はいま一番的確な調査表だと思います。このいただきましたものを、現地に赴任いたしました吉岡新事務局長が携行してまいりました。そしてこれをもとにして、私どもの総力をあげ、手足がない場合は、できれば沖繩県庁の方々の御助勢も仰ぎながら事実行為を確認して、そしてすみやかにこの問題については国家賠償法を含む措置を講じたいと思います。 これに対して、私たちはいささかも面をそむけることがあってはなりませんし、これに対して手落ちを残すことはもう許されないと思っておりますので、なくなった人に対しては、万全の措置というのはあり得ないわけでありますけれども、最善の措置を講ずるつもりでございます。
○瀬長委員 時間がありませんので、要請して質問を終わりたいと思いますが、特に久米島の鹿山事件、被害者だけで全県的には千名を越している。この遺族会の準備会ができつつある。したがって、突破口としてでもいいので、この会期中に久米島事件に対して、国家賠償法なら国家賠償法を適用して、一人当たりどのくらいあるというふうな具体的なことまではっきり出してほしいと思いますが、最後に一言、それに対する長官のお答えをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○山中国務大臣 確約はなかなかできませんが、これは法的な解釈、国家賠償法等の適用、それにかわる措置その他は、やはりよほど検討しなければなりませんので、誠意は尽くし、そしてすみやかにするということを、とりあえずきょうの段階では答弁いたしておきたいと思います。
○床次委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五分散会