P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
68回国会衆議院1972/03/21

沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号

発言数
89
登壇者
12
会派数
2
開催日
1972/03/21

会議録

床次徳二自由民主党

○床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる北方領土問題対策協会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。森喜朗君。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 ただいま議題となりました法案に対しまして、少し関連をいたしまして、自民党を代表いたしまして御質問を申し上げたいと思います。  全国民待望の沖繩返還も目前に迫っております。五月十五日からは沖繩開発庁が設置されます。北方問題のほうは北方対策本部がこれを推進されるということで、まことにけっこうなことだというふうに理解をいたしておるわけであります。また、先般グロムイコ外相が来日されまして、共同コミュニケを発表なさいました。日ソ間に、今日までのただ理論的な両国の友好的なものから、新たに現実的な友好への胎動が始まった、こういうふうに日本の国民も理解をしておるんじゃないかというふうに思います。特に日ソ間の主張は、膠着状態を続けておるようでございますし、このあたりでいよいよ政府も本腰を入れて整理して、またさらに推進をしていく段階であろうかというふうに思っております。  しかし、一方国際情勢は、雪解けムードとはうらはらに、印パ紛争やマラッカ海峡をめぐる問題、あるいはわが国に対しましては、尖閣列島の帰属の問題等、非常に領土問題に対してはきびしい情勢であるというふうに考えられるわけであります。  そこで、きょうは、日ソ交渉の中での北方領土に対しまして、外務省並びに総理府に対して御質問を申し上げたいと思います。  まず、今回の日ソ定期協議におきまして、ソ連側の態度に、従来とはかなり変わった微妙な変化が見られてきておるようにうかがえます。この背景を外務省としてはどのように見ておられるのか。これをまず第一点にお伺いをして、次に日ソ共同コミュニケが一月二十七日発表されましたが、このコミュニケを読んでみましても、領土ということばが全く見当らないわけであります。この点に関しまして、政府がこれから領土返還問題を扱っていかなければならぬ。外務大臣は、あくまでも平和条約の前提は領土問題であるということをいろいろな方面で言っておられるわけでありますから、わが国の政府としては、この辺の関連性の問題をどういうふうにお考えになっておられるのか。特に平和条約交渉の見通しと、それからそれに対するタイムスケジュール、その二点の問題点についてまず御説明をいただきたいと思います。

大木浩外務省欧亜局東欧第一課長

○大木説明員 ただいまの森先生の御質問についてお答え申し上げます。  御質問は二つございまして、まず第一は、平和条約ないしは日ソ間の領土問題について、ソ連側に何らかの態度の変更があったかということでございますが、これにつきましては、先ほどのコミュニケにもはっきりしておりますように、ソ連側としては、今後平和条約問題を日本側と話し合っていく用意があるということを明らかにしておりまして、しかも、その交渉を現実に本年じゅうに始めることも明らかにしております。日本政府といたしましては、もちろん平和条約を締結する最大の目的は、領土問題の解決でございまして、領土問題の解決なくしては平和条約はあり得ない、こういうふうに存じておるわけでありますから、今後とも平和条約交渉の過程において、領土問題について日本側の主張を力強く押し出したい、こういうふうに存じております。  それから、コミュニケの中に、現実に領土問題ということばが入っておらないというお話でございましたが、これはただいまも申し上げましたように、平和条約締結交渉ということは、当然に領土問題の解決なくしては平和条約の締結はあり得ないということでございまして、共同コミュニケというものは、双方の立場は非常に詳細には書かない、どこまで書くかということは、双方でいろいろ交渉した結果まとまりましたものでございますけれども、当然にこれは領土問題を含んでおるというふうに御理解願いたいと思います。  それから最後に、具体的にいつ交渉を始めるかということでございますが、これは一応先ほども申し上げましたように、本年じゅうに始めるということであります。もちろん交渉が始まってどのくらいかかるかということは、これはまたいろいろ予測——ただいまの段階では困難でございますけれども、とにかく本年じゅうに交渉を始めるということについては、日ソ双方とも合意しております。  以上でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 共同コミュニケは、両方のお互いの国情を十分理解しながら結ばれるわけでありますから、当然こまかな問題が書かれないということは理解できるわけであります。  グロムイコ外相が日本に来られましてからいろいろな発言をなさっておられるわけでありますが、それを読んでみましても、そのあたりについてはなかなか微妙な雰囲気が感ぜられるわけであります。  これは北海道新聞の一月二十八日の写しでありますが、福田外務大臣は、二十七日の記者会見で、領土問題が解決しない限り平和条約は結ばないというのが政府の基本的態度だ、この点は、ソ連側に十分説明がしてあります、こういうふうに記者会見で漏らされております。ところが、一方ソ連側に感想を聞いているこの記者の書き方は、あくまでも個人的見解だということで、駐日ソ連大使館のエフィーモフ広報部長が、平和条約が結ばれることはきわめて自然なことだけれども、この段階で大事なことは、日ソ関係を複雑化することよりもすっきりすることに考えをいたすべきだ、こういう言い方をなさっておられます。これはその言い方を見ると、北方領土問題、つまり複雑な問題を出さぬほうがいいんだというふうにもとれるというふうに書いてあるわけでありますが、私もこのあたりは非常に微妙な問題であり、特にグロムイコ発言というものの速記録を見てまいりますと、一月二十八日の羽田では、今回の訪問は非常に有意義だった。平和条約の締結も両国が現実的な立場に立てば決して不可能ではない、この現実的な立場というものの中身にあるものは一体何なんだろうか。お互いに、先ほどから申し上げました引用文あるいはいまの問題から、北方領土の問題というものを一体どういうふうに外相が考えたりソ連側が考えておるのか。共同コミュニケを出されるまでの間に、そういうような問題は非公式ながら話し合いがあったのかどうか、その辺のお答えをでき得る範囲でけっこうでございます。私がいま申し上げましたようなことを、いろいろ拾い読みをいたしましてたいへん恐縮でありますが、外務省としてはその点についてどういうふうに考えておられるか、感想をちょうだいしたいと思います。

大木浩外務省欧亜局東欧第一課長

○大木説明員 森先生の御質問にお答え申し上げます。  先ほどからの繰り返しになりますが、日本側といたしましては、領土問題の解決がなければ平和条約の締結交渉というものはあり得ないというふうに考えております。そして、もちろん日本側の領土問題に関します基本的な立場といいますのは、例の四つの島、これをあくまで返してもらうというのが基本的立場でございまして、この日本側の主張というものは、グロムイコが参りましたときにも詳細に説明しておる。もちろんこれはまだ交渉が始まっておりません段階でございますから、それに対してソ連側が具体的にそれをどうというコメントはしておりません。つまり、それに対してどういうことができるかということは申しておりませんけれども、先ほどの現実的なということばの意味、これはどうかという、これは向こうのことばでございまして、それを私が推論する立場ではございませんけれども、今後日本側が粘り強く交渉を進める、とにかくその立場をはっきりさせるということが肝要でございまして、この出発点から始まりまして、今後とも交渉を続けていきたいというのが日本政府の立場でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 これについては、こまかなことまで私はこれ以上追い打ちをかけるというようなことはいけないかと思いますが、あくまでも領土問題を話し合っていくという前提、これは政府としては、外務省としては統一的な見解として考えておられるわけでございますか。まずそれから……。

大木浩外務省欧亜局東欧第一課長

○大木説明員 御質問の意味、私、正確に理解しておると思うのですが、つまり、交渉を始める場合に問題が二つございまして、実質的な問題と、それからどういう形で、いつ、どういうレベルで話を進めるか、こういう二つの問題があると思いますが、日本側としては、とにかく交渉を始める初めの段階から、領土問題というのは日本側の一番重要な問題であって、それの話し合いが行なわなければ、平和条約交渉というものは成り立たないのだ、こういうのが日本側の立場でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 またこの談話を取り出すわけですが、二十七日に総理大臣と会われたあとでしょうか、友情のトンネルは双方から掘らなければならない、こういうふうに言っておられるわけでありますが、当然日本側からそういう問題が出てまいります。ソ連は、それに対して領土問題が出てくるということをある程度認めて、お互いにこれはおとなのあれでありますから、当然向こうも理解しておるのだと思いますが、それについてソ連側からそれに対応するといいますか、お互いに両方から友情のトンネルは掘らなければならぬということでありますから、当然お互いに交渉する段階では、ソ連から何かが出てくるというようなことも考えられるわけでありますが、その辺のところを外務省では何かつかんでおられますか。予測されることがございますか。

大木浩外務省欧亜局東欧第一課長

○大木説明員 いまの御質問に対しましては、私としては、あるいは外務省として申し上げられますことは、今回グロムイコが訪日いたしまして、とにかく友好的に問題を解決したいという一般的な姿勢を示しておる。その具体的な、たとえば領土問題について向こうの歩み寄りがあり得るか、これは具体的な問題としては、残念ながらいまのところお答え申し上げ得る立場にはございません。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 非常に米中接近、あるいは中国の地位の回復等々、国際情勢も微妙であろうと思います。また、日本もあくまでもこの問題を通していかなければならぬ、これは基本的見地でございますけれども、どうぞその辺の交渉に両方の友好がそこなわれないように、また非常に変化が目まぐるしい動きをしております国際情勢の中で、どうぞ外務省の大臣以下皆さん方も、日本の国益というものを考えながら、また国際情勢というものを見比べながら、積極的に果敢に、また同時に慎重に進めていただきたいということをお願い申し上げておきます。  時間があまりございません。三十分程度しか与えられておりませんので、引き続き別の問題に入っていきたいというふうに思っておりますが、これは「北方領土」という北方領土問題対策協会から出ている新聞の二月十日号でありますが、岡部長官が根室を視察をなさいまして記者会見をなさっておりますが、その中の一つに「国際情勢は北方領土返還にとって有利に展開していると思う。日本の主張はどこから見ても正義にのっとったものだけに、どこまでも要求を貫く。」こういう御発言があります。国際情勢は北方領土問題に対して有利に展開している、こういう御発言でございますが、これについて対策庁ではどういう観点で、どういう情勢というふうにお考えになっておられるのか、御説明いただければと思います。

岡部秀一沖繩・北方対策庁長官

○岡部(秀)政府委員 ちょうど私が現地に参りますときに、全くただいま先生と外務省の課長との応答の内容のこと、私も聞いてまいりましたので、そういう点で非常に有利に進んでおる、そういうことでございます。ほかに特に深く私の私見を申し上げているというわけではございません。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 北方領土問題を実現する、これは沖繩に次ぐ日本の国民に対するたいへんな一つの大きなテーマといいますか、問題意識であろうというふうに私どもも思いますが、その辺について、いまの御答弁にありましたように、いろいろな微妙な問題をたくさん含んでおると思いますので、いろいろな施策に遺憾のないように私どもは望むわけでありますが、その意味で沖繩返還を機に、北方対策本部を政府が設けていく、そして施策の推進に万全を期していかれることはまことにけっこうなことだと思いますが、内外の世論というものを十分に背景としてこれから交渉に当たっていかれるわけでありますけれども、国内世論の喚起という問題それから国際的理解の促進という問題、これは非常にむずかしい問題だと私は思いますが、政府としては、国内世論を喚起させていくと同時に、国際的な理解という面の促進、このあたりの政府の具体的な施策のあり方、またこれからどういう方向で進めていかれるのか。  先ほど申し上げましたように、いま外務省の課長からの御説明では、本年度中に交渉に入ると言われる。当然前提として領土問題が入ってくる、こういう御説明でございますから、国内側のそうした世論の喚起、このあたりをどういうふうにお進めになるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 先ほどから外務当局にも御質問がございましたけれども、政府の基本的な方針というものは、北方領土問題というものを解決しなければ日ソ平和条約というものはない、こういうふうに実は割り切って考えておるわけでありまして、一日も早く歯舞、色丹、国後、択捉の祖国への復帰実現を願っている。そこであの三十一年の日ソ共同宣言のあの時期においても、ソ連の側の要求は、歯舞、色丹、国後、択捉ともソ連領であるということを認めろという非常に強い姿勢の交渉でありました。それをはね返し得たあの共同宣言。御承知のように歯舞、色丹については、日ソ間の平和条約というものを前提としながらもああいうことが書かれております。国後、択捉というものをソ連領土とはあの共同宣言で認めておりません。三十一年当時、戦争に負けた力の弱かった日本の代表が、非常に強大国のソ連の、あの四つの島をソ連領土と認めろという非常に強い要求に対して、これをはねのけ得た、やはりこれの背景にあるものは一億国民の打って一丸となった、歯舞、色丹、国後、択捉は正当に日本国有の領土である、こういう世論を背景にしていた外交であったればこそ、あの強大国のソ連の要求をはねのけることができた、こういうふうに考えておりますので、やはり日ソ定期協議で新しくことしから平和条約の問題の交渉に入れる、こういう新しい事態になったわけでありますだけに、国民の世論喚起というものが非常に重要な時期を迎えてきた。  こういう意味から、一つは沖繩の復帰が実現するということもございますけれども、四十七年度の予算で裏づけをされた総理府の中に、北方対策本部というものを新たに総務長官を長として設けよう、そういう考えを持ったわけでございます。世論の喚起のために、御承知のように四十七年度予算で、いま御審議をいただいておりますあの中に、いろいろな方法で国民の世論喚起につとめてまいりますと同時に、今日も御審議をいただいておりますこの協会法の改正、こういうこともあわせて、日ソ共同宣言の三十一年の日本の外交団を送り出すときの、あの国民の打って一丸となった非常に強い、熱烈な世論の支持と申しますか、これをひとつ実はもっと急いでといいますか、高めていきたい。その努力をひとつ四十七年度——ちょうど先般の定期協議で新しい事態が展開されようとする時期でございますから、積極的に取り組んでいきたい、このように考えておるところでございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 副長官の強い御決意を伺ったわけでありますが、領土問題というのは、日本が小笠原、そして沖繩返還というきわめて平和的に話し合いの中で領土を返還するという、世界に例のないことを日本がやっていったわけであります。これは日本の平和外交といいますか、平和優先の日本の政策の最もすばらしい偉業だというふうに私は考えるわけでありますが、実は私どもの選挙区なんかを回ってまいりますと、いろいろな若い人たちと話を交換する機会がよくあるわけでありますが、そんなときに、沖繩を返してもらって、次は北方だ。もちろん、取られたとか戦争によって領土を奪われたとかいういろいろな背景があるわけでありますが、何といいましても戦後二十六年も経てしまったわけでありますから、若い人たち、青少年というものはかつてのいきさつがあまりわからない。しかも、なおかつ、いまの学校教育といいますか、あまり歴史的なものを教えようとしない。特に戦争というものが介在してまいりますと、先生方はどちらかというとアレルギー的になって、その辺の発言というものは非常に微妙なものになっている。たまたまそういう会合をよくていますと、沖繩をもらった、次は北方だ、日本は武器を使わない、戦争はしないけれども、どうも領土に執着し過ぎるのではないか、そういうことが軍国主義につながっていくことなんだ。これは私が考えるとまことに意味のない理論展開なんですけれども、そういうようなことを言う人たちも国民の中にあるわけであります。まして最近何をやってもみなすぐ軍国主義に結びつくというような理論展開の帰着を求めていくわけでありますから、国民の中にもそういう青少年層がおられるということも事実であると思いますが、そういう国民の——逆に言いますと、そういう北方領土返還に対し反対だというようなことを言われるような政党もないし、そういう団体がないということも明らかでありますが、裏面的にやはりそういうことを主張するような、あるいはそういう疑問を起こすような人たちもおられることは事実だと思います。  私どもは一昨年でありますか、自民党の青年局で根室へ参りまして北方領土の各島々を見て回った。そのあとに根室で、かつてその島に住んでおられた方々と話し合いをいたしたことがございますが、そのとき、たしか択捉だったかの島の村長さんだったと思いますが、私と党の青年局長の海部俊樹先生のところに来られて、われわれは日本が負けた、その悲惨な気持ちであったときに、翌日にソ連の人たちが船に乗って来た。そして上がってきてあたりを見回して、アメリカは来ていないかということを聞いた。いや、アメリカもだれもまだ来ていないと言ったら、そうかと言ってそのまま帰っていって、翌日また彼らは来てソ連の旗を立てて行った、こういう説明を私たちは聞いたわけでありますが、こういうことは、われわれ直接に行って聞いたりしますと意外によくわかるわけであります。  先ほど私、選挙区の話を申し上げましたように、どうもそのあたりの説明やそのあたりのPRといいますか、もちろんこれはソ連を刺激する——これから交渉を進めていかなければならぬ国でありますから交渉相手国に対して非礼があってはなりませんけれども、そういう歴史の事実の現実というものをもう少し国民に対して示唆し教えていく時期でもあるのではないかというような感じも私はいたしますが、その点、副長官、どういうようにお考えになっていますか。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 四十七年度まで、国民の皆さんに北方領土の問題を御理解いただくためのいろいろな資料等を総理府といたしましても配布したりなんかしてやってまいりました。それは歯舞、色丹、国後、択捉という島々がわが国固有の領土であるという、いわば戦争前の領土の性質、性格といいますか、そういうことに主として重点を置いてやってまいったわけでありますが、四十七年新たに考えておりますことは、ただいま森委員がおっしゃいましたような点にも関連を持つことでございまして、御承知のように、終戦から昭和二十四年までの間にいわゆる北方領土におられた方々が引き揚げておられるわけでございます。  そこで、終戦までのことではなくて、四十七年度から新たに調査をいたしまして、国民の皆さんに御理解をいただく資料にしたいと思っておりますことは、終戦から昭和二十四年までの間の歯舞、色丹、国後、択捉の島の状態、こういったことを新たに調査をいたしまして、終戦直後から昭和二十四年ごろまでのその状態、いま森委員が御指摘になりましたようなこともひとつ調査をいたしまして、その実情を国民の皆さんにも知っていただく、御理解いただく、こういう資料にひとつ使っていきたい、このように考えているわけでございます。  さらに、各都道府県に対します説明会のようなことももっと積極的に四十七年度から取り組んでまいりたい。なお、協会にお願いをしてまいりました啓蒙宣伝は、なお一そう幅広くお願いをしていこう、こういうふうに考えているわけでございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 ありがとうございました。私は昭和十二年生まれでありますから、私どもの年齢になってきますと、ちょっと拾い読みをしていかないと、ちょうど戦争に負けたのが子供のころ、小学校のころでありますから、そろそろいきさつはあまりわからない。まして私どもより若い後輩諸君になってしまいますと、ほとんどその辺のことがわからない。さっきちょっと冒頭に申し上げましたが、特に学校ではあまり歴史的なものを、特に戦争が介入しているようなことについては、学校でも説明不足だというような感じがいたします。  文部省、お見えでございますか。学校の授業の中であるいは教科書の中で、この北方問題というものは取り扱いをなさっておられるのですか。あるいは教科書の中でそんなことを触れておられるようなことがございますか。

浦山太郎文部省初等中等教育局教科書検定課長

○浦山説明員 教科書におきましては、文部省におきます教科書の検定の方針によりまして、その範囲内で教科書を編集するという形になっているわけでありますけれども、その検定の方針におきましては、先ほど来申し上げられておりますようなわが国の基本方針に従いまして教科書を編集するという形で、具体的な記述もその線に沿ってなされているわけでございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 特に地図ですね、教科書の中のこの地図についてはどういうふうな取り扱いをなさっておりますか。また、これから進めていかれることもあわせてひとつ。

浦山太郎文部省初等中等教育局教科書検定課長

○浦山説明員 地図につきましては、色分けの問題とそれから国境線の記入の問題がございまして、色分けの問題につきましては歯舞、色丹、国後、択捉島は日本本土と同一の色によって表示をする。それから得撫島以北、占守島に至る千島列島及び北緯五十度以南の樺太は白地とする。すなわち帰属未定地域のために白地とするという扱いになっております。  それから国境線の記入につきましては、択捉島と得撫島との間に国境線を入れる。次に、占守島とカムチャッカ半島ロパトカ岬との間に国境線を入れる。それから北海道は宗谷岬と樺太南端との間に国境線を入れる。それから樺太の北緯五十度の線に国境線を入れるという取り扱いをしているわけでございまして、これは外務省及び当時の特別地域連絡局と連絡をとりましてこのような方針をとり、また、平和条約によって領土の帰属が明らかになるまではこの方針でまいる所存でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 子供たちの反応というのは非常に微妙だと思いますし、白色のところはなぜだろうかということは当然出てくると思います。あるいはまた、境界線というのは複雑な形になっている。かといって、日本が一方的に相手国のあるものに対して、先ほど副長官にも申し上げましたように、非礼があっては私はならないと思います。かえってそのことが交渉をはばむようになってもまずいと思いますので、どうぞその辺を適切な、特にそういう地図を先生方が御説明なさるときに、その判断についてはどうぞ間違いのないように、文部省の指導を学校側に示されますように特にお願いを申し上げておきます。特に、これから育っていく若い人たち、子供たちはそういうことについてはきわめて無関心でもありますし、そういう当時の状況というものは、これまたつぶさに正確に伝えておかなければならぬことだと私は理解しております。  ここに「北方領土」という本がありまして、たまたまうしろを見ておりましたのですが、いま学校唱歌「螢の光」がありますね。これはいま学校ではどういう取り扱いをしておるわけですか。たとえば、卒業式には私ども必ず歌ったわけでありますが、いまの学校ではこれは義務的になっておるわけですか、自由に採択をするわけですか。

浦山太郎文部省初等中等教育局教科書検定課長

○浦山説明員 私、実はそこのところが義務的になっておるかどうかはちょっといまのところ記憶ございませんですけれども、おそらく、そういう歌を義務的にするという形にはなっていないのじゃなかろうかというように考えております。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 私が申し上げたいのは、この「螢の光」の四番目に「ちしまのおくも おきなはも やしまのうちの まもりなり」と書いてあるのです。「まもりなり」というのは非常に微妙な問題ですが、しかし沖繩は返還されてくるわけです。「ちしま」とちゃんとこううたってあるわけですから、こういう小学校の子供たち、しかも日本の国民ならだれもが何回となく卒業式という機会があるわけですから、そういう機会のたびにこの歌を歌う。これはせいぜい二番くらいまでしか歌いませんが、こういういい歌もあるわけですから、現にこういう子供たちに説明のつくような材料もあるわけでありますから、文部省もひとつ、いま私はこれ以上具体的に聞きません。検定課長としてはお困りのことも多いと思いますので、どうぞいま副長官のおっしゃったように、国民あげて世論喚起をしていかなければならぬわけでありますから、特に私は大事なことは、子供たちに正しい外交のあり方を示して、正しい領土の返還をしていったということを後世に伝えるためにも、文部省のほうに積極的にこうした問題に取り組んでいただきたいという二とを要望を申し上げておきます。  協会法の改正についてお伺いしたいことも二、三ございますが、時間がだいぶ進んでしまいましたので、特にこの北方領土とどうしても離せられない問題点として、漁業の安全操業の問題がございます。これについて水産庁の方にお伺いをしたいと思います。  北方地域の四島周辺の安全操業についての現状、それから今後の見通し、安全操業確保に関する政府の基本的な態度についてまずお伺いをしておきたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 北方水域におきますところの安全操業問題につきましては、昭和三十二年から話し合いが始まっておるわけでございますが、特に、昨年一月に政府の代表がモスクワに参りまして、ソ連側と話し合ったことは御承知のとおりでございます。その間、両者の主張にかなりの隔たりがございまして、日本側は四島周辺の水域を主張いたしておりますが、ソ連側は歯舞、色丹の周辺の特定水域に固執したというようなことで、交渉は進まなかったわけでございます。その後、現地におきまして大使とイシコフ漁業大臣との間で話し合いが進められたわけでございます。昨年十月赤城農林大臣が訪ソされたわけでございますが、その際、実際的な解決を促進するという観点から、歯舞、色丹、国後、択捉周辺水域につきまして、漁場として非常に重要であって、しかも拿捕の多い水域が含まれないと問題の根本的な解決にはならないということを基本の理念といたしまして、そういったことを強くイシコフ漁業大臣にも要請をいたしたのでございます。現在この方向で、現地におきまして新関大使とイシコフ大臣との間で話し合いが続けられておるという現状でございます。  この問題は、御承知のとおり、北海道沿岸漁民等の多年の宿願でもございますし、人道上の問題としての拿捕防止という観点から見ましても、また日ソ間の友好関係を促進するという観点からも、早期に解決をしなければならないということでございますので、なお今後とも積極的に対ソ交渉を進めるということを基本にいたしておるのでございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 続いて水産庁に、北方海域における拿捕、抑留、これは先般のグロムイコ外相のお見えのときに全員返していただいたということになっておりますが、その後、引き続いてそうした問題がございましたか、また今後そういう方向がさらに強まっていくのか、その辺の見通しはどういうふうにとっておられますか。あるいはまた拿捕、抑留の状況、あるいは政府がこれに対してとっていかなければならない措置等についてもお伺いしておきたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 御承知のとおり、拿捕は昭和四十六年までに合計で千三百六十三隻、一万一千五百八十八人の乗組員の抑留があったわけでございますけれども、たしか私の記憶に間違いたければ、現在のところは拿捕、抑留されておる乗組員はないというふうに理解をいたしております。  この問題の根本的解決は、御承知のとおり、先ほど来議論になっておりますところの安全操業の問題が話し合いがつくというところに基本があるわけでございますけれども、われわれといたしましてはできる限り、操業海域等につきましては、われわれがかねて言っておりますところの四島周辺の三海里から十二海里というようなことで、操業上のことでトラブルが起らぬように、実際に操業する漁船につきましてはかねて注意をいたしておるわけでございます。  なお、不幸にして実際に抑留されましたような場合が起こりますれば、当然その実情も調べまして、外務省等の外交ルートを通じまして、早期釈放というようなことの要請をいたしておるわけでございまして、今後ともかかる不幸な事態が起らぬように、指導等につきましては特段の努力を払ってまいりたい、かように考えております。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 水産庁としては努力をなさっていろいろな交渉をなさっておられるようでありますが、漁民にとっては、はっきり申し上げて政府のやり方が、手ぬるいというとしかられるかもしれませんが、どうも具体的に進んでいないような感じがするという声も、北海道選出の国会議員を通じて伺っているわけでございます。  たとえば、これは小さな地図ですからわかりにくいかと思いますが、歯舞、色丹の上に国後があるわけであります。そのちょうど中間点が一番漁場としていいのだそうですね。ところがこれに入っていくときに、歯舞、色丹の上を通ってそのまま行ければ一番いいのだけれども、これが領海の問題があって現実的にはむずかしいということで、色丹のほう、遠くを回って入っていく。そうして国後の下のあたりに入って中間点で漁をする。そのあたりでいつもトラブルを起こす。これがまっすぐにダイレクトに入れれば一番漁民にとっていいのだというような、こういうこまかな——私はしろうとでありますけれども、こういうこまかなところの交渉、ここだけは通すようにできないかというような、そんなような詰めた話をされておると思われるのですが、お答え願いたいと思います。

太田康二水産庁長官

○太田(康)政府委員 現実の問題といたしまして、いま先生の御指摘の水域を航行いたしていないわけではわけではございませんので、実は航行いたしております。御指摘のとおり、この問題は北海道の漁民の長年の宿願でもございますし、拿捕というような問題は人道上のゆゆしい問題でございますので、私どもといたしまして、安全操業をいかに確保するかということで、従来いろいろな考え方を展開いたしたわけでございますけれども、その際、たとえば歯舞、色丹についてはあまり問題がなければ、とりあえずステップ・バイ・ステップというような観点から歯舞、色丹だけでも安全操業を確保したらどうかというような現地側の要望もございましたし、そういうことを考えた時期もあったわけでございます。しかし御指摘のとおり、どういったところで拿捕されているかということを実際にながめてまいりますと、四島周辺では歯舞、国後の周辺が非常に多いというようなこともございまして、先ほど申し上げたように拿捕が多い。しかも漁場としての価値も高いというところの安全操業が確保されなければ、問題の根本的解決にはならないということで、先ほど申し上げたような新しい提案をもとにいたしまして、現在せっかく現地におきまして話し合いを続けておるということでございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 十六日の委員会で公明党の斎藤議員から御質問があった中で、外務大臣が、人道的な立場で解決しなければならぬ、こういうことをおっしゃって、外相として対案もあるんだというようなことをおっしゃっております。外務省として、外務大臣としての対策、いま水産庁からの話もございましたが、特に人道的立場で解決をはかりたいという、具体的にこういうふうにしていきたいということをお持ちでございますか。

大木浩外務省欧亜局東欧第一課長

○大木説明員 いまの安全操業問題につきましては、水産庁長官からも御説明がございましたように、ただいまモスクワで日本側の大使と向こう側のイシコフ大臣と話をしている段階でございまして、その中でいろいろな対案を日本側が出しております。もちろん日本側の基本的な説明のしかたとしましては、これは非常に人道的な問題であるというところを基本として種々の対案を提案して交渉中の段階でございます。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 この問題についてはもう少しお伺いしたいと思いますが、本会議の予鈴が鳴ってしまいました。いよいよ二十一世紀にならんという今日、こういうようなことで漁民の皆さん方がほんとうに不遇な思いで、安心して仕事ができないということは、政府としても無策と責められてもやむを得ないと思います。もちろん相手国があることでありますが、特にそれに対する補償等については、日韓の李ラインがあったころから比べて、どうも今度の場合のほうがいろいろな意味で日韓の当時のよりも補償問題が弱いんじゃないかといいますか、政府の対策が弱いんじゃないかといわれております。どうぞそのあたりも加味をしていただいて、御質問申し上げませんが、どうぞ北海道の漁民の皆さん方が一日も早く安心をして操業ができますように、つとめて気を配っていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたので、あと副長官に。  この返還の問題については全国民の理解と支持を確保することはもちろん大事でございますが、また外交交渉でもございます。その辺がきわめて表裏一体、うらはらの関係にもあります。非常な微妙な点でもあろうと思いますので、どうぞ特段の配慮と、そしてまた、積極的な施策を講じられてお進めいただくように特にお願い申し上げまして、副長官の御決意をいただいて質問を終わりたいと思います。

砂田重民自由民主党総理府総務副長官

○砂田政府委員 北方領土の問題につきましては、昭和三十一年という、まだ敗戦の痛手さめやらぬあの時期において、全くあのときの日ソの外交交渉を始める時期のあの環境というものは戦勝国と敗戦国、そういう立場からあの交渉はスタートをいたしました。何日から交渉を開始するという通告はありましたものの、鳩山、河野という全権がどういうふうにソ連の国内へ入っていいのかということすら連絡をしてもらえない、そういう環境の中での交渉ですら、あれだけの効果をかちとり得た外交交渉でございます。したがって、これだけ国力を回復したと申しますか、国際社会の中でこれだけの地歩を確保したわが国が、日ソの平和条約というものを新たに展開しようとしておりますことし、領土問題を解決しないで、ずるずる後退するというふうなことがあってはならないし、またあるべきはずはないというふうに考えております。北方領土の歯舞、色丹、国後、択捉は、あくまで国際政治のもとにおいてもわが国固有の領土であるということの信念を持って、官民一体となってひとつ成功をさせていきたい、こういう決意をいたしておりますことをお答えしておきたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森(喜)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後四時十七分開議

床次徳二自由民主党

○床次委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 私は、北方問題並びに北方領土問題対策協会の運用内容等について質問いたしたいと思います。  外務大臣が来る前に、北方対策協会関係を中心にして御質問いたしますが、まず第一点は、今度新しく改組されて、北方地域については、北方対策本部が構成されるわけです。この際、その本部の構成及び人員の配置についてお聞かせ願いたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは総務長官を長として、その下に内閣総理大臣の任命する副長官を置くわけでありますが、それは事務の副長官ということで考えおります。あとこまかな機構については事務当局より答弁させます。

岡部秀一沖繩・北方対策庁長官

○岡部(秀)政府委員 本部長、総理府総務長官、副本部長、内閣総理大臣の指名いたします総理府総務副長官を置きますほかに、審議官、参事官等、職員を置くことにいたしておりますが、審議官以下定員七名でございます。そのほかに併任の参事官一人、計八名を置くことにいたしております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 今回、北方領土に居住する者あるいは漁業を営んでおる者に対しては、政府は十億円の国債を交付してまいったわけですが、これが十年たって正式に交付されたわけです。この十年間、いわゆる北方協会及び領土対策協会にかわった十年間のこの協会の業務については、一体どのように政府は評価をされておるのか。いわば十年間のこの運営についての成績といいますか、総括的な判断をどう持たれておるか、この際承っておきたいと思います。

岡部秀一沖繩・北方対策庁長官

○岡部(秀)政府委員 貸し付けは昭和三十七年以来ずっとやっておるわけでございますが、いままでの十億円の貸し付け実績を見ますると、昭和四十七年の三月十六日現在で延べ二千七百六十九件、人数にいたしまして三千六百八十二人でございます。その金額は十一億三百九十五万四千円でございますが、いままでの各年度の実績推移等を申し上げますと、昭和三十七年度三百四十四件、七千九百四十八万八千円、三十八年度三百九件、七千九百八十万四千円、三十九年度二百七十八件、七千九百七十八万六千円、四十年度二百十七件、九千四百九十三万四千円、四十一年度二百二十八件、九千九百九十七万六千円、四十二年度二百三十二件、一億九百九十九万八千円、四十三年度二百一件、一億三千万ちょっきりでございます。昭和四十四年度三百五十九件、一億三千万ちょっきりでございます。昭和四十五年度が三百四十件で一億三千万ちょうどでございます。四十六年度が二百六十一件で一億六千九百九十六万八千円でございます。  以上でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 いまは融資の件数、その他について総括的なお話があったわけですが、この運用については、決して公的な金融機関ではありませんけれども非常に成績はよかった、いわばこげつきがなく、回収もきわめて順調である、私はこう理解してよろしいのではないか、こう思うのでありますが、その点はよろしいですか。

岡部秀一沖繩・北方対策庁長官

○岡部(秀)政府委員 おっしゃるとおりでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 そこで、今度は十億円の国債が交付になったわけですが、交付した以上、これは政府が拘束すべきものではない、こう思うわけです。いわばこれらの団体が自主的に運用する、あるいはまた極端にいえば、自主的に分配することも可能ではないかと思うわけです。それは一にかかって交付を受けた団体がどう扱うかということに尽きるのではないか、私はこう思うわけです。したがって、政府は十億の国債を交付いたしたわけですが、この交付にあたって、特に政府としてかくあるべきだという行政指導を行なったのかどうか。また一応の計画が立てられておりますけれども、今後、しかし、自主的な団体がこの交付を受けた資金をある計画によって運用する、これに対して、今度それぞれ長期資金の借り入れ、一時借り入れの問題の法改正が出ているわけですが、この法改正が積極的に出され、利子補給をするということは、従来の国債資金運用と同じ扱いをするという、また法律的なワクをはめる結果になるのではないか、こう思うのですが、この点の見解はいかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは償還が一括してなされた以上は、協会の利子と申しますよりその対象となった旧漁業権者等の、正確に漁業権とは言わないが、補償にかわるものとして設定された金額が大部分でありますから、したがって、その運用のしかたについて、極端にいえば、みんなが一人一人で権利を持っている者が分けようじゃないかといえば、それを妨げるところの何ものも法的にはないと思います。しかし、みんなの話し合いによって、いままでの十億円の果実による貸し付けの運用が非常に順調にいって、しかも、漁獲その他によって返済というものもスムーズに運用ができておりまして、皆さんがみんなの共有財産として運用するほうがいいという共通の認識を、私も行って承って、持っておられると確信をしております。したがって、昨年の予算で一括計上された国債償還額は、そのままやはり協会としてファンドとして運用していこうということについて特別に異論があるとは聞いておりません。そこで、それらのことを自主的に運用される場合にあたっては、当然非常に安定した、しかも有利な運用を期すべきでありますから、それらの運用については、なるべくそれらの権利を持っておられる方々の合意によって、そして最も高い利回り等の運用で、しかもリスクを伴わない運用をしてもらうという方針で進んでもらおうとしておるわけであります。  さらにまた、今日までの貸し付け実績等を見ますと、やはり漁業資金や住宅資金等、長期資金として要望の強い性格のものが多うございますので、基金だけでいつまでもやっていくのでは、対象人員が限定されているといっても限度がございますので、やはりこの際、その方法が一番いいかどうか、これは疑問がございますが、少なくとも協会が協会の責任において借り入れ金を市中から行なって、大体農中と思っておりますが、九分の金を借りて現在の四分の利息で貸し付ける場合の五%の逆ざやになる分を国が補助しよう、したがって、二億で正確には一千万でありますが、年度当初は下半期分は来年度予算に支払いがすれ込みますから、五百万円が計上してありますけれども、その方式を繰り返していくことで何とか長期資金の需要には応じ得るものと考えて予算措置をしたわけであります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 いま長官の答弁からいえば、いわば国債を交付したのであるから、その団体が自主的に運用することがたてまえである。とすれば、私は、今度の法律改正案はいわば自主的な団体として認定をするような方向にむしろ法律の改正をすべきではなかったのか。従来の法律はそのまま置いて、逆に長期資金の借り入れについて、あるいは一時借り入れについてこの面の法改正を行なっておるということは、自主的だというたてまえをとりながら、従来の国債当時と同じように法律で縛ってしまう。したがって、従来の交付されない以前の運用と協会の運用は依然として同じ方向をたどっていくということになるんではないのか。この点の何らの転換が行なわれなかったということに私は非常にふしぎに感ずるわけです。長官は、そういうたてまえ論を言うけれども、結局、従来の国債、しかも金利で運用してきたというその延長を政府は期待している。むしろその方向を奨励しているといいますか、そういう立場が今度の法改正に非常に端的に出てきたのではないか。もし長官の言うたてまえであるならば、こういう法律案の改正は今国会に出されるはずがなかった、こう思うのですが、いかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは、私どもは押しつけるべきものでないと思います。したがって、旧漁業権者を中心とする発言の権利を持っておられる方々が、そういう貸し付けなんかの原資にしてもらわなくてもよろしい、全部現金で分けてくれという声が圧倒的な声であり、しかも、それに沿わなければならないと判断をした場合、それは当然それに対応しなければならぬと思いますが、少なくとも私も現地で聞き、あるいはその後それぞれの関係者から聞いたところでは、やはりみんなで分けて取るようなことをしないで、果実をもって借り入れ金の利子に充てていったほうが長期的に見ていいという御判断であると私は聞いておりますので、私のほうから押しつけて、政府のそういうものを分けちゃいかぬぞ、引き続きいままで国債の償還されなかった時点と同じような運用をしろというようなことは、全然一ぺんも言ったことはないわけであります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 そういたしますと、交付される団体の意向というものをすなおに受けて、従来の立法があるから、その面でそういう希望を、むしろ立法として、法改正として受けとめた、こういう理解になるんだと私は思うわけです。しかし、そういう精神からすれば、この運用は、当初まだ交付されない場合と、すでに交付された以降の運用については大幅に、自主的に団体の意向というものが尊重されなければならないし、そういう意味で、その運用については従来と当然変わってくる、理念が変わってくる、こういわざるを得ないと思うのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 そういうこともありまして、いままでは国債期間中の運用利回りは六%でありましたけれども、大体目下のところ最も有利と思われるのは金融債取得であろうということで、十億円の今後の運用の検討対象としては、利付農林債券について、これは年利七・三%で、これについて七億を回そう、それから北海道信用漁業協同組合連合会の定期預金に回しますと利息は六%でありますが、奨励金一・三%で、これも同じく七・三%になりますから、この分について二億を回す。さらにつなぎ資金等の必要性がありますから、北海道拓殖銀行定期預金について、これはいままでどおり年利六%の運用として一億を回そう、大体こういうことで協会並びに関係者との話が進みつつあるということで、やはり高利回りの運用によって、いままでよりも有効な自分たちへの施策の展開を期待している、私はそう聞いておる次第であります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 私がいまお尋ねしたのは、従来は、まだ国債が交付されない以前の運用として立法され、その法に基づいて、また政府がこれを監督して運用されてまいったわけであります。すでに今度は国債が交付されたのでありますから、一応たてまえとしては、その当該団体が自主的に運用するのがたてまえだ。しかし、当該団体が一応結論を出して、従来の法律に基づいてその一部改正を行ない、そういう形で運用を希望したということによって、今回法改正を出すのだというのが長官の答弁でありますから、少なくとも、従来の交付されない以前の運用と、これは厳格に——法律あるいはまた業務方法書その他規則の定めるところによって厳格に運営されるわけでありますけれども、今度は交付されたわけでありますから、自主運営がたてまえでありますし、そういう意味で運営については当該団体の希望、意見というものが大幅に尊重され、そういう形では実質運用に関しては、国債交付後の運用は変わってしかるべきではないか、そのたてまえについてはいかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 たてまえは、もうまさに一括償還したわけでありますから、したがって、協会に対して権利を持っておられる方々の希望が表明されればそれに従わざるを得ない。法的に強制すべきものではない。性格は明らかに変わっておると私も思います。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 この国債交付は、一応居住者及び漁業を営んでいた者に対する見舞いとしてこの国債が交付されたわけですが、この点政府としての見舞いといいますか、この点についてはもうすべて終わったと解釈されるかどうか。いわば今度は領土問題が正式に解決された時点では補償問題その他がありますけれども、一応それまでの中間的な見舞い措置としては、これで終わったと理解されるかどうか。それと同時に、十年間という流れは——わが国の経済社会は非常に急速な変化を遂げているわけです。昭和三十七年当時の十億というものは、一体今日幾らの貨幣価値があるか、こう考えても、当初決定した十億円に対する期待と今日の十億円では、あまりにもその価値というものは当初より下回っている、こう申さなければならないと思うわけです。そういう意味で、私はこの見舞いについてはさらに暫定的に追加されるべきではなかろうかという考えを実は持っておるわけですが、そういう点については政府としては全然考えていないのかどうか、今後の推移によってなお検討していこうとするのかどうか、これらについての見解をこの機会に承っておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは、旧北方領土居住者に対する措置として、十年前に国債でもって交付するということが決定いたしました際に、そのような性格のものとしてはこれで終わりであるということでありますから、そのうちに、漁業権そのものとはいいませんが、七億五千万円というもので、漁業権の補償されざるものの相当額ということの内訳は一応あるとしても、その措置は終わっておる。したがって、それでは今後運用していく場合において、いま言われましたように物価その他も影響がずいぶん当時と違って出てまいりましたから、そこで、需要の動向から見て、長期資金というものがやはり大きなウエートがあるということで、今回二億の市中の金を借りて、そして四%の低利で運用できるような措置を補完していこうということを一歩前進させたという次第であります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 そういたしますと、従来の国債交付の場合には、その利子によって特に協会の人件費、事務費一切をまかなってきたわけです。先ほど説明がありましたけれども、四十七年の場合を見ましても、大体その三分の一強は人件費、事務費に充当しなければならないわけです。過去十年間またそうであったわけです。そのために資金の需要に対して非常に困難を感じた時期もあったわけです。今度の場合には、長期借り入れを認めるというわけですが、従来のまだ償還されない国債運営と同じく、やはり金利によって事務費あるいは人件費等をまかなうことになっているわけです。そうして今度の法律案では、五百万の金利補給という内容が出されておるわけですが、私は、この点について抜本的な改革をすべきではないのか、こういう気持ちを持っておるわけです。いわば十億円を据え置くとするならば、このままであるとするならば、この際、この事務費あるいはまた人件費については、政府はむしろこれを見るべきではなかろうか。先ほど北方本部の構成についてもお話がありましたけれども、きわめて人数も少ないわけです。いわばその実質業務というのは、協会の定められている定款にも基づいて、この対策協会のほうが北海道と協力しながら、主たる受け持ちをするという内容でもあると思うわけです。私はそういう面から考えて、従来の国債交付以前の事務費、人件費というものをその中で見てきたけれども、国債交付にあたって、この間の抜本的な改正をすべきではないか、本年度は無理としても、来年度に向けて行なうことが必要ではないか、こう思うわけです。私は、もしやっておる業務を政府がやるとするならば、これだけの構成ではなかなかできないと思うのです。大幅にこの人員の配置を増加させなければならないと思うのです。そういうかね合いから考えて、この事務費、人件費をある程度政府が見るということになれば、相当資金も円滑に行なわれるでしょうし、また、さらに金利を軽減することも可能であると私は試算できると思うわけです。十年間たった今日、新しく出発をするわけですから、政府としてこの間の姿勢をやはり明確に定めるべきであると思いますが、いかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは国にかわってある意味ではやってもらっているわけでありますから、そういう御意見があってもちっともふしぎではないと思います。  しかし一方において、やはり果実を生み出す基金を持っておるもの、そういうものについては、その中から当然事務費、人件費等を捻出するのが大体の仕組みになっておりますし、そういう基金を、果実が得られるようなものを持っていて、なおかつ人件費、事務費を補助しているという例を私は知りませんが、たとえば南方同胞援護会のように、長期にわたって各種の復帰せざる地域についてめんどうを見てきました団体でも、基金がありませんから、それについては人件費、事務費等の補助等を行なっておりますけれども、やはりこれは二つに分けられる性格のものではないだろうか。しかし今後——外務大臣も来られましたが、ソ連との交渉その他が進展をしていくに従って、この内政上の措置もいよいよ重大かつまた慎重な配慮を必要とする時期に差しかかってまいるでありましょうから、たいへん好ましいことでありますので、いま言ったような御意見も、将来はそういうような仕分けを越えて、国策として、国にかわってやってもらっておるのだからという、そういう大きな残された領土問題がたった一つあるという意味において、そのような姿勢を国がとる時期がないとは言えないわけでありますが、現在の時点においては、いま申し上げましたような仕分けをいたしておりますので、事務費、人件費がその果実から支払われていないと仮定すれば、それは確かに運用はもっと楽になっているはずでありますが、それらのところは今後予算措置を逐年とっていくことによって、一番需要の強い長期資金の政府のほうの肩がわりができていくということで、何とかやっていけるとは思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 大臣の時間の都合もありますから、いまの問題はそのまま置いて、外務大臣に御質問いたしたいと思います。  去る一月にグロムイコ・ソ連外相が日本を訪れて、一月二十七日に日ソ共同コミュニケが出されているわけです。さきに昭和三十一年、日ソ共同宣言が出されて、しかもこの共同宣言は、平和条約締結と同時に歯舞、色丹を返還をする、そして平和条約を結ぶために引き続き交渉すると定められておるわけです。この日ソ共同宣言と、一月二十七日発表されました日ソ共同コミュニケの持つ意義について、外務省当局としてはどのように受けとめられておるのか、この機会に承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 一月の日ソ定期協議におきまして、私は北方の領土問題を持ち出したわけであります。そうしますと、ソビエト側におきましては、従来でありますと、日ソ間の領土問題はこれは昭和三十一年の共同宣言でもうきまったことだ、いまさら論議の必要はない、こういうことで話しの筋に乗ってこなかったのです。今度は、それが多少ニュアンスが違うといいますか、わが国にはわが国の事情があります。非常にむずかしい問題ではありますが、とにかく平和条約の話し合いをいたしましょう、こういうことになってきた。もちろん、領土問題についてコミットするところはありませんけれども、領土問題に対する従来の考え方を一歩といいますか、半歩といいますか、とにかくやや進めた、こういうふうにも受け取れないことはないという判断をいたしておるわけであります。いずれにしても、今年中に平和条約の交渉に入りましょう。平和条約の交渉とは何だといいますれば、これは領土交渉でございます。そういう場において領土問題を論ずることができることになった。これは、共同宣言発出以来、今日までの経過からいたしますと、私は若干の前進を示したものである、こういうふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 本委員会に対する外務大臣の所信あるいはまた総務長官の所信の説明、これは内容を読んでみますと、特に日ソ間の問題にいずれも触れられておるわけです。そして、今度一月二十七日の日ソ共同コミュニケに関連して、いわばこれから始まる交渉がストレートで領土問題の解決につながっていくと、きわめて楽観的に受け取れる文章の節回しも実はあるわけなんです。外務大臣の所信よりも、総務長官の所信表明のほうがそのニュアンスが強いと私は読んでおるわけです。しかし、私は、いろいろ新聞紙上でも報道されておりますけれども、あるいはまた、外務省の公式的な評価かどうか知りませんけれども、そう容易にこの交渉が開始されて、わが国の希望している領土問題の解決の方向につながっていくと、いともやすくといいますか、きわめて安易に評価をすることはどうか、こう私は非常に心配をする向きも考えざるを得ないわけです。  問題は、いま外務大臣が説明されたように、いわば従来公式的な平和条約締結の交渉の糸口はなかなか双方合意に達しなかった。しかし、今度は共同コミュニケで、一応双方都合のいいときに交渉を始めましょうという合意に達したという点においては、すなおに評価できるのでありますが、この問題が、何か容易に領土問題の解決につながっていくというのは、私はちょっと早計ではないか、こう判断もいたしておるわけですが、この間、国際情勢あるいはまた両国の最近の友好親善というような面から判断して、外務大臣としてはどう評価をされておるか、承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 率直に日ソ領土交渉の前途につきまして見通しを申し上げますと、これは、なかなか容易なものじゃない、そういうふうに感じます。しかし、容易なものじゃありませんけれども、従来ソビエト・ロシアがとってきた態度に比べますると若干の変化を示してきた、こういうふうに見ておるわけなんです。確かに岡田さん御指摘のように、そう簡単にこの領土問題が片づくというような見通しを持つこと、これは私は早計に過ぎると思いますが、とにかく少し潮がひたひたと動いてきた、これに乗りまして、粘り強くわが国の主張を押し通す、そういう姿勢でやっていきたい、こういうふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 なお、この共同コミュニケの作成にあたって、当初ソ連側からは、近く首脳会談を開催をして、そしてこれからの交渉を進めていくという強い希望があったように受けとめているわけです。その結果、総理大臣というわが国の最高責任者との会談ということについて向こうの希望をいれて、表現は首脳会談の開催、こうなったやに私は聞いておるわけです。このことは事実がどうかということが第一点。と同時に、首脳会談というのは、これから佐藤さんの任期も近いようでありますから、そういうわが国の事情等も踏んまえて首脳会談という表現にしたのではないかとも思いますけれども、首脳会談というのはどういう程度のクラスを意味しているのか、この点については、特段ソ連側との話し合いがあったかないか、この点を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 期せずして双方から、日ソ関係、これは両国の首脳で話し合いましょう、こういうことになった次第でございます。そこで、わが国といたしましては、首相が首脳であるという見解を示したわけであります。ところが、ソビエト側におきましては、首相というふうに限定するわけにはいかない、こう言われる。私は、これは想像でございまするが、これは党のほうの最高責任者、そういう方を考えておるのではあるまいかとも見たのでありますが、私のほうははっきりしているのです。首相。向こうのほうは複数のうちの一人、首脳、こういっておるわけであります。その中にはもちろん首相も含めておる、こういうふうに了解をいたしておるわけであります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 この交渉が双方都合のいいとき、合意した場合に開始されてまいるわけですが、私は、いま日ソ間で特に緊急的に解決を希望されておるのは、安全操業の問題であると思うわけです。すでに接触を具体的に進められておるわけですが、まだこの解決には相当時間もかかるように承っておるわけです。また、日本側としても、その安全操業のあり方については、ずいぶん弾力的な態度を示しておるように実は承知もいたしておるわけですが、そういう人道問題である安全操業の解決、そして合意に達している日ソ平和条約締結への交渉の開始、こういう問題は、やはり外交手順として整理をする必要があるのではないのか。これはまた、結果的には並行的に進められる場合もあると思いますけれども、その点はやはり外交手順というものを整理をして対処することが大事ではないか、こう実は私は受けとめておるわけです。一方におきましては、日ソ漁業交渉も進められておるわけですが、そういう安全操業の解決と、このコミュニケにいう日ソ平和条約締結交渉との関連について、どういう姿勢で臨まれようとしておるのか、この機会に承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 領土問題に対しまするわがほうの主張は、あくまでも歯舞諸島、色丹島それから国後、択捉、これらの島々はわが国の固有の領土である、これをすみやかに引き渡せられたい、こういう考え方でありまして、この線は一歩も引きません。しかし、ソビエトは、この問題はなかなかわがほうにおいても事情がある、こういうような主張をしておりまして、これは先ほども御指摘がありましたように、かなり時間のかかりそうな問題である。しかし安全操業のほうは、これはその問題の解決を待っておるわけにはいかない問題であります。そこで、領土交渉、つまり、平和条約の交渉と安全操業との問題は区別して考えておるわけであります。現に、新しい安全操業交渉は昨年の初めから始めておるわけでありますが、これとてもなかなか簡単にはいかない。そこで、昨年の暮れに至りまして、新関駐ソ大使に対しまして、当初の考え方よりはかなり当方といたしましては譲る線になったわけでありますが、新たなる対処案を訓令をいたしまして、これで妥結するように、こういうふうに申しておるわけであります。その案を基礎にいたしまして、ただいま日ソ間で交渉が行なわれておる、こういう最中でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 私は、昨年の二月二十三日に愛知外務大臣に二つの提案を実はしたわけです。一つは安全操業に対する提案でありまして、最近の交渉状況では、日本の案というものが、私の一年前に提案した内容とほぼ同じ内容のように承っておるわけです。もう一つの提案は、同時に、最近外務大臣も質問に答弁されておるわけでありますが、北方領土が日本に返ってきた場合に、日米安保条約並びに行政協定の適用について、法律論としては当然これは適用されるが、政治論という立場、領土問題の解決が困難であるという立場から、この点については適用除外として中立地帯もしくは非武装地帯とすべきではないのか、そういう点についてはどうかという提案をしておりますが、これについては、そういう面も検討してこれから対処してまいりますという答弁を、実は昨年の二月二十三日いただいておるわけです。今国会で、福田外務大臣から、この種の質問に対してそれぞれ答弁されておるわけですが、このことは、結局領土問題の解決がはかられるならば、今日アメリカと締結している日米安保条約、法律的には問題があるが、わが国政府としては、政治的な立場からこの領土に対しては安保条約の適用除外にする、いわば非武装地帯にする、中立地帯にする、こういう積極的な御意思と私は受けとめておるわけですが、そのとおりに受けとめてよろしいか、この機会にあらためて御所見を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 領土交渉は、これから先は長く、かついろいろこれと関連する問題が出てくると思うのです。私は、相手のある交渉事でありますから、この交渉の始まる前の段階で、交渉に臨むわがほうのカードを一つ一つポケットから出してしまう、こういうことはいかがかと思うのです。思うのですが、いま御指摘の安保条約とこれらの島々との関係を考えてみますると、幸いにしてこれらの島々がわが国に返ってくる、こういうことになった場合におきまして、アメリカが、よもや、日本の領土になったのだから、あそこに一つ基地を設定したいなんというようなことを申し出るとは夢々思いません。またそういうことがありましても、わが日本政府がそう簡単にこれにオーケーというような立場をとるとは思いません。ですから、現実の問題とすると、この問題がそうむだかしい問題になるというふうには思いませんけれども、とにかくまだ交渉も始まらない、こういう前でありますので、法的にどうだとか何とかいうことをあんまり詰めて申し上げたくないというのが率直な私の気持ちでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 この共同コミュニケによって、日ソ平和条約締結に対して交渉を進めていくわけですが、いま大臣も言われたように、そう短時間で問題が解決するとは思えないわけです。相当時間と努力が必要ではないかと思うわけです。その際、特にわが国としては、粘り強く、そうしてまた弾力的に、いわば一階から二階にすっと上がれれば一番いいわけでありますが、相手もある交渉でありますから、なかなかそう簡単には上がれない。階段を踏み締めながら踊り場に出て二階に上がる。外交交渉ですからいろいろ考えられると思うわけです。私は、そういう意味において前進をするのであれば、当然あらゆる努力をし、そうしてある段階ではわが国の意向が完全に通らなくても、それをステップにしてさらに前進する、こういう姿勢が対ソ交渉には一貫してとられるのが望ましいのではないか、こう思うわけです。  特に、昨今国際情勢の変化に従って、いま西ドイツ議会で問題になっておる独ソ条約の批准の問題がきわめて注目をされているわけですが、やはり独ソ間における今度の武力不行使の条約、こういう傾向等も見ながら、わが国の平和条約の締結についても、いろいろな段階を経て前進をする可能性があるのではないかと判断する向きも実はあるわけです。  したがって、私は、この機会に外務大臣にお聞きしたいのは、要は、わが国が主張している日ソ平和条約の締結の方向であるならば、当然階段があろうと踊り場があろうとも、そういうものを通り越えながら、最終的にはわが国の主張を貫いていく、そういう一貫した姿勢というものが対ソ交渉には当然確立されなければならぬし、内外の情勢は、特にそういう姿勢をバックアップするような傾向もあるのではないかと私は判断するわけです。そういう意味で、いずれにしても近くこの交渉に臨まれるわけですが、領土問題の解決なくして日ソ平和条約の締結はないという基本方針に従い、なおかつ、日ソ間のこれらの問題を最終的に解決する交渉の姿勢といいますか、そういう点について私も若干意見も述べたわけですが、踊り場を通りながらも目的にまっしぐらに達するといいますか、そういう一貫した姿勢を持つべきだと思いますけれども、所信を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 年内に始まります日ソ平和条約交渉、これは、主体はどこまでも領土確定交渉になります。しかし、日ソ間に平和条約を締結しようということでありますから、領土問題ばかりじゃございませんで、いろいろな問題がこの段階において論議をされる、いうこうことになろうかと思います。したがいまして、この交渉に臨むわがほうの態度は、相手のあることでありますから、これは硬直一点ばりというわけにはまいりませんが、いずれにいたしましても、この領土に関する限りにおきましては、これらの島々がわがほうの固有の領土である、この立場だけは一歩も引くことはできない、こういう姿勢で臨みたい、かように考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 日ソ共同宣言の場合でも、領土の交渉については引き続き行なうということになっておるわけですが、ただ、この場合の北方領土に対する認識について、この機会に承っておきたいと思うわけです。  いわゆるサンフランシスコ平和条約の二条(C)項で放棄した北方領土、昭和三十六年、政府は統一見解としてわが国のいう北方領土、いわゆる歯舞、色丹、国後、択捉は、これはわが国が主張する北方領土である。得撫から占守に至る十八島及び樺太は、これは平和条約にいう放棄をした北方領土である、こういう見解を政府は持たれておるわけです。しかし、現実に樺太の場合には、最近中断になりましたけれども、かつては天然ガスのパイプラインを北海道に敷くという計画もございましたし、いわば樺太については、これはソ連が占有し、何ら国際的に異議のないものであると、こう理解をされておるのか、あるいはまた、得撫から占守に至る十八島についても、すでに現在ソ連がこれを占有いたして支配いたしておるわけですが、この点についても、サンフランシスコ平和条約では放棄をしておるが、条約締結国及び国際的には、結果的には平和条約が締結された場合にはソ連がこれを支配するということについては、わが国としては何も問題がないのか、この北方領土に対する認識についてこの機会に承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 まずわが国は千島列島及び樺太の領土権を平和条約によって放棄したわけであります。放棄した地域は、樺太についてはこれは南樺太で、はっきりしております。ところがソビエトの間に千島につきまして問題がある。平和条約においては、千島列島はこれを放棄する、こういうふうにいっておるわけでありまするが、私どものほうは、いうところの千島列島というのは、これは国後、択捉、歯舞、色丹を除いた島々のことであると、こういう理解であります。これは千島樺太交換条約というような歴史的な経緯を見ても、千島列島というと厳密にそういうことになる、これはまあ明らかなことであると、こういうふうな理解をいたしておるわけでありまするが、その放棄をいたしました南樺太と千島、これにつきましては、わが国は、それがどういうふうになりましょうが何ら発言をいたす地位にはない、これが私どもの法的な見でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 平和条約を締結する場合に、すでに中国大陸は中華人民共和国がこれを支配をし、現在の蒋介石政権が台湾のみを支配する、そういう情勢の中で平和条約が締結されたわけです。したがって、この台湾の放棄と同時に、その見合いとして北方領土関係も放棄をするということにとどまったと、こう解されるべきが私はきわめて当然だ、こう実は認識をいたしておるわけです。最近福田外務大臣は、特に台湾については、統一見解が出されておりますように、中国の領土の一部であるという認識に立って、これから日中問題等についても交渉に当たってまいりたいという統一見解を示されておるわけです。平和条約からいえば、法律的に台湾の場合も北方領土の場合にも放棄したという点について同じなわけですね。法律論的には同じなわけです。しかし、今日のわが国と中国との関係からいって、国交を回復するために少なくとも政府は統一見解として、台湾については中国の領土の一部であるというこの認識に立って対処をしていく、こういう姿勢をきめられたのでありますから、私は、当然北方領土についても、少なくとも南樺太及び得撫から占守——国後、択捉は政府の統一見解がありますから別にしても、これらは当然ソ連が占有し、今日支配をし、そして平和条約が締結されれば当然これはソ連が支配する領土になるという認識に立って平和条約の交渉にわが国として臨む、こういうやはり認識論といいますか、当然一致されるべきではなかろうか、こう思うのでありますけれどもいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 まあ似たような関係が南北あるわけでございますが、北方領土、つまり放棄いたしました千島諸島並びに南樺太、これにつきましては、御承知のようにヤルタ会談というものがあり、そのヤルタ会談を基礎にいたしましてポツダム宣言というものがわが国によって受諾されておる、こういういきさつがあります。そういうような経過、ヤルタ会談で千島、南樺太はソビエトへというような意向が合意された、そういうようないきさつはこれは尊重といいますか、ソビエト側がそういうことからこれはもう当然わがほうの領土となるべきものであるという主張をするであろう、その主張については、主張をされることについて理解を示すのにはやぶさかでない、こういうふうな気持ちでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 この北方領土の問題に関しては、政府は昭和三十六年に統一見解を定めたわけでありますけれども、その後、統一見解に基づいて、いわばサンフランシスコ平和条約締結相手国との間に、この政府の統一見解に基づいて、わが国の主張について同意を求めるあるいは理解を求める、こういうことを一体政府としては積極的に行なってきたのかどうか。私の調査ではあまり積極的に政府自体としては行なった形跡はほとんどない、こう思うわけですが、最近佐藤総理が国連総会の場に出て、この問題を取り上げて発言をしたということがきわ立って目立つ程度ではないか、こう思うわけです。あるいはまた、昭和三十一年の日ソ共同宣言の締結にあたって、特にロンドン会談の席上のときに、わが国の重光外相の要請に従ってダレス長官のほうから国務省メモランダムとして、国後、択捉は、その後注意深く検討した結果、日本の固有の領土であり、これを返還することは極東の平和のために非常に有効であろうというようなメモランダムがアメリカ国務省から渡されたということがあるわけです。そういう意味において、外交のそういう経過及び統一見解を正式にきめたのが非常におそかったという面があるわけですが、政府は、単に対ソ交渉にこれらの見解を持ち出していくというだけにとどまらずして、サンフランシスコ平和条約締結当事国に対して、この点について積極的に理解を求めるという、あるいは認識を求めるというようなことを行動する。そういう努力をする考えが一体この交渉を前にしてあるのかないのか、そういうことは別に特段考えていないというのか、少なくとも経過からいって、この面をどう扱うかということは最も重要な問題の一つではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 この問題は、本質的に日ソ両国の間の問題である、そこで、第三国の理解を求めるということは、まあ補助的というか第二義的な問題になろうか、こういうふうに思うんですが、しかし、事はサンフランシスコ平和条約におきまして、条約にいうところの千島列島とは一体どこの区域からどこの区域をさすのだという締約国の意向というものも大事な問題でありまするから、これを確かめる必要は確かに私はある、こういうふうには思うのです。思いますが、この確かめ方がまたきわめて機微な問題でありますから、その辺もひとつ御配意おき願いたいと思います。御意見は十分私ども承って、またその方向で善処したい、こういうふうに思っております。具体的にどういうふうにするということにつきましては、お答えをひとつ差し控えさしていただきたい、かように存じます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 外務大臣は時間がありませんから、もう一問だけで外務大臣に対する質問を終わります。  日ソ共同宣言が締結された当時、まあ相手のブルガーニン首相はすでに今日いないわけでありますけれども、当時この締結にあたって最終条約案文は、ソ連側の原案は、歯舞、色丹については、沖繩が返還されるときには日本に返還をされるというのがソ連側の当初原案であった。これに対してわが国の全権は、いわゆる他動的な規定によって領土問題が扱われることについては不満である、こういう意思表示があり、その後調整されて、日ソ平和条約が締結されたときには歯舞、色丹は返還する、そして交渉引き継ぎをやると認められた、こう外交史の面から承っておるわけですが、このことは事実であるかどうか。としますならば、それが当初のソ連原案とするならば、当然まさしく沖繩が返還をされるというこの時点というものは、もちろん情勢は延長されたものではありませんけれども、私は、そういう意味では非常に重要な一つのポイントといいますか、先ほど踊り場論ということばを使いましたのもいろいろな意味を含めておるわけですけれども、そういう認識、そういう点については、外交史上そうであったことが事実なのかどうか、そういう点について外務大臣はどのように受けとめられておるか、この機会に承っておきたいと思います。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 お答え申し上げます。  平和条約の交渉においてはいろいろ案が示されましたし、その間にいろいろやりとりがあったことは事実でございますけれども、これは長い間の話し合いの経過において行なわれましたものですから、それの一々についてこの時点で意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、この領土の返還交渉においていろいろな点が主張されました。御承知のように、サンフランシスコ平和条約の会議の際にも、ソ連代表のグロムイコ当時次官から、対日平和条約については、これは日本を非武装化すべしとか、あるいは軍事同盟的なものを結ぶべからずとか、あるいはいまのお話しの北方領土問題につきましては、ソ連に放棄を明示せよとか、いろいろ要求が出まして、いろいろな経過で、結局ソ連はこのサンフランシスコ平和条約に署名しなかったという事実もございます。  また沖繩につきましては、その後においても、アメリカは沖繩を返還すべきだ、あるいは沖繩の米軍基地について非難をしておりますので、いろいろ交渉の話の経過において、アメリカが沖繩を返すならばソ連側のほうも相当の考慮をすべし、このような考慮はあったかと考えております。また、今後の交渉においては、われわれとしても、小笠原も奄美も沖繩も返ってきておりますので、残るはこの北方領土の問題一つでございます。この点は、ソ連側においては十分認識してほしいということは、十分主張すべきことかと存じます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 大臣、どうもありがとうございました。日中問題、また新しく展開しようとする日ソ問題、いずれも国際的には相互に両者は連関性もあると思うのです。そういう意味で、わが党としては、いずれの問題についても政府を十分バックアップして協力をする用意がありますので、せっかくの努力をこの機会に心から期待をして、外務大臣に対する質問を終わりたいと思います。  話が飛び飛びになってまことに恐縮ですが、もう一度総務長官にお尋ねしたいのは、先ほど人件費の問題についていろいろ取り上げて見解を承ったわけですけれども、私は貸し付け内容をずっと検討してまいりますと、確かに預金の場合には七分二厘何毛ですか、非常に高率になっている。そういう意味で原資を生み出しているということは同感でありますけれども、貸し付け金利については、もちろん生活資金等は三分、あるいは大学生の場合は奨学資金は無利子、こういうのがございますけれども、全部金利が安いわけではないわけです。大体据え置き期間は二年以内、高いのはやはり七分以上の金利もあるわけでありますから、その点で問題の解決が非常に長くなっている。北方関係の漁業従事者及び居住者に対する措置として、大体当初は、十年たったならば何らかの目安がつくのではないかという期待も、私は十年間という国債の交付をきめたときにはあったと思います。その基礎は、先ほど大臣が言われているように、昭和二十五年の漁業補償に基づくあの海域のその当時の計算の基礎は大体七億五千万、それ以外の要素を含めて十億という額が算定されたという面、こういう点、しかも十年間経過して依然として安全操業すらも解決できていないという現実等から考えますと、この機会にやはり一段と漁業従事者及び旧居住者に対する援護の面で強化をすべきではなかろうか。私は、どうも国債がせっかく交付になったけれども、結局は従来の償還以前の路線をずっと継承して、何ら今日の十年後の情勢を踏んまえて離陸する姿勢が感じられないというのは非常な不満なわけです。そういう意味で、私はたとえば金利の補給について、あるいはまた人件費の補助について、もし人件費でないとすればそれ以外の事務費等の補助について、あるいはまた追加国債の発行について、いずれにしても従来の過去十年間の延長線上から離陸をするという姿勢が、特に沖繩が五月の十五日に返ってくるという情勢の中でも最後に残されている問題でありますので、そういう路線の延長線から離陸をした政策、そういう政策を確立した姿勢が望ましいと思うわけです。ですからいま例をあげしまたけれども、いずれについても、いずれをとるかという問題は別ですけれども、そういう姿勢を今日政府が示すということが非常に大事ではないか。そうしてまた、そういう姿勢がわが国の北方領土に対する考え方というものについても、国内的にも明確に示すものになるでしょうし、また国際的にも対外的にもそういうことを示すことになると思うわけです。そういう意味で、私は総務長官に期待をいたすわけでありますけれども、この点の私の意見について所見を承っておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 私も大体同じような考えを持っているわけですが、先ほど事務費、人件費を直接補助することについて、この仕分けのしかたの問題として、いままでのやり方としてはそういう方式をとっていなかったということを申し上げました。さらにまた、貸し付け金の条件等については、これは平均金利四分でありますけれども、貸し出し限度額については今回の国債が償還された事実、さらにまた長期借り入れ金を二億新しく展開していくというような事実を踏まえて、それを引き上げようというような検討をいまいたしておるところでありまして、これはやはり逐次充実をしていかなければなりませんし、先ほどの外務大臣との応答を聞いておりましても、わが国が固有の領土として主張する根拠が明確であればあるほど、それらの外交交渉の事態を踏まえて、国内措置としては遺憾のないようにしておきませんと、そこらの外交折衝に対する日本政府の国内措置の姿勢としては、疑われる点が出てきても困るということも考えながら聞いておりましたので、さらに今後も一そう研究をいたしたいと存じます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 協会が作成いたしております長期資金計画書によれば、昭和四十七年度の利子補給費は五百万、四十八年が一千万、四十九年が一千五百万、五十年は二千万、五十一年は二千五百万、五十二年は二千五百万と、一応長期計画というものが出されておるわけです。これに伴って、収入支出あるいはまた基金の問題、いろいろ計画がきめられておるわけでありますけれども、この協会の計画は当然大臣のもとに提出されておると思うわけです。そこで、四十七年度予算で利子補給五百万と定められたのは、一応この長期計画の路線に従って今年、四十七年五百万を出されたのか。したがって、年次計画としては、いま私が説明した計画で一応進む、こうお考えになっておるのか。あるいはそういう計画が確定されておるのか。それと同時にもう一つは、法対象者の認定基準の是正、緩和の問題について特に強い希望が出されておるわけです。主として漁業協同組合関係でございますが、この点については別に法律はございませんけれども、希望どおり、要請どおり基準緩和をするという方針であるか、この点について承っておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは、来年度予算の折衝の最終段階で、四十七年度から二億を借り入れることについての金利差の逆ざや分について、前期分の利子五百万という計算をして予算を計上いたしました。もちろん、長期にわたり毎年二億ずつ借り入れていって、ピーク時において償還その他と相殺いたしますと、七億七千万円程度に達するのが大体昭和五十三年。したがって、利子補給のピークとしては、三千八百五十万円という一応の試算は大蔵のほうにも出してあるわけでございますが、これは長期計画として、大蔵省と私とが完全に合意しているというところまではまだ詰まっておりませんけれども、今後のやはりそれぞれの長期資金の資金需要の動向等を見ながら、必要なものは国家として惜しんではならない措置であると考えておるわけでありまして、私は、こういう措置が続いていくべきであると考えております。  さらにまた、いわゆる貸し出し対象者の問題についての陳情等については、やはりそう野放図に対象を広げるわけにもまいりませんけれども、しかし、いまの要望等は長年の要望でありますから、それらのものについてさらに基準等で対象者を広げていって、可能な範囲はどこまでかということで、目下検討をいたしているところであります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 せっかくそういう利子補給の計画があるとするならば、しかも法律によって一応この協会が運用されて、理念は別にして、体制は同じでありますから、むしろその財投をこれに充てる、こういう姿勢をとられたほうがいいのではないか。大体六分五厘、あるいは借り入れる場合には七分から七分五厘くらいになるでしょう。そういう点からいっても、すでに一分の差があるわけですから、これを貸し付けする場合に、五%を上回る〇・五%については利子補給をするという計画であるわけですから、むしろ法律のワクをはずさないのであるならば、先ほどの関連からいってもそういう点についても検討し、対処をされてはいかがか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 それも一つの方法だと思います。国の政策資金として、この事柄の重要さにかんがみ、新しく長期資金の借り入れの財源としては財投からこれを充てる。そしてその逆ざや分についてはさらに一般会計から利子補給を行なう。これも国家として私は基本的な姿勢、とり得る方向の一つだと思うのですが、これは今後も検討いたしますが、現在のところまでは、今日まで協会の人たちと、あるいは一般の貸し出し希望者との間にいろいろの意見を交換いたしました。一つの方式としては、自分たちの力によって、国の財投の金でなくても利子補給さえしてもらえれば、資金手当ては十分にできるし、かつ、それによって四分の貸し出しの確保さえ可能ならば充足はできるということでありましたから、私はこの手段をとったわけであります。しかしながら、これとても予算折衝の過程においてはきわめて難航をいたしまして、やはり利子補給というものは、ある意味においては安易な手段と財政運営上受け取られてもしかたのない面もありますので、相当難渋をいたしたわけでありますけれども、わずか五百万の金額にしては、やはり理論的に問題がありました。しかし、一応踏み切りましたものの、今後国家としての政策展望の中で、ただいまのお話しのような意見が取り入れられる方向にいくならば、やはりこれは検討に値する手段の一つである。しかも明確な国家意思の表現として捨てがたい点であるということは考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 長期資金借り入れによって、今後の運用が特に漁業者の貸し付けに偏重していくのではなかろうか。大体生活資金あるいは民生安定、更生資金などは、いまの実勢から見てもそう額にはのぼらないのではないか。したがって、今後二億円の長期資金の借り入れを契機にして、貸し付け融資というものが漁業者関係に偏重していくのではなかろうか、こういう懸念を非常に持っておるわけですが、今後の運用として、従来の長期資金の借り入れをも含めて、貸し付けのそれぞれの構成比については、ほぼ従来の構成比と変わらない、そういう方向で運用するという基本的方針かどうか、この点について伺っておきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 これは、貸し出し希望者の希望によって、そのウェートが分かれた実績が出ておりますので、大体いままでのウェートというものは漁業資金が一番大きいわけでありますから、そういうことで、漁業資金とか住宅とかということが重点になって、傾向としてはほぼ変わらないと思います。しかし、新しく長期資金を借り入れて措置することによって、それだけの長期資金が年々二億円ずつワクがふえていくとするならば、さらに貸し出し希望のウェートが違ってくるということであれば、これについては柔軟に対処していく姿勢を持っていかなければ、肝心の借りる人の希望にこたえない借り入れ金をやってもしようがないと私は思いますので、これは、今後の運営の実態を見て、それに沿っていくべきことであろうと考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 そこで、この機会に長官にお願いしておきたいのは、旧居住者、あるいは漁業者でもそうですが、大体根室が主で、いわば道東に偏在いたしておるわけです。あとは富山その他ございますけれども、たとえば今度の貸し付けの中に、高校及び大学の就学子弟に対しては無利子の奨学資金を出している。これがようやく上がって、大学の場合には月五千円ということなんです。東京で月五千円というならば話はわかりますけれども、根室に大学はないわけですね。結局、釧路に教育大学があって、帯広に畜産大学がある。北見に工業大学がある。あと、札幌そして東京ということになるわけです。そういう意味において、五千円の奨学資金というのは少な過ぎるのではないか。そういう普通一般の基準ではなくして、北方居住者の分布の実態から判断して、こういう面と更生資金及び住宅資金ですね、この三つについては、もう一段と貸し付け額をかさ上げする、あるいはまた期間等についても考慮をするということが非常に大事ではないかと思うわけです。相当多くの人もなくなっている現状でありますから、この面、特に今後協会と協議をされて、この長期借り入れ金制度ができるにあたって、一段と前進させるようにぜひ御配慮を願いたい。私どももそういう意見を言っているのですが、何せ資金がないということでいままで推移しているわけですが、この機会に、やはりこの面について配慮を願いたい。そして、相当な資金といっても、この三つに限ればたいしたことはないわけですから、もしそういう点で、ある程度の問題があるならば来年度に向けて何らかの措置を願う、いわば、民生安定の面をこの際最重点に、さらに力を入れていくという姿勢をぜひ確立するよう検討願いたいと思いますので、お願いいたしたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 大体予算が通過いたしますころまでをめどとして、大蔵といまお話しになりましたような点を重点に、限度ワクの引き上げ等を検討いたしております。まだ検討中でありますから、一例だけあげますが、具体的に申し上げますと、大学については五千円を一万円にしたい。一万円が満足な金額であると私は思っておりませんが、これは一ぺんにはできないものでありますから、この機会に二倍にしたいというような希望をもっていま折衝中であります。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 時間もありませんから、最後に、水産庁が来ておりますから、北方海域における拿捕漁船の補償問題について御質問しておきたいと思うのですが、本年度、この調査には五十万の予算がついているわけです。大体昨年一年で実態調査は終了して、まだ若干残っている面について検討しなければならぬということで、五十万ですから継続調査費というまでの額ではないわけです。すでに韓国水域の場合はすべて問題は解決をしている。私は、大体昨年一年間の調査で完了して、今年、昭和四十七年度の予算ではこの補償問題が予算化される、こう実は思っていたわけですが、これはさらに見送られて、五十万の予算をつけて調査を継続をする。先般も質問いたしたのでありますが、時間がなくて詰められなかったわけですが、この間の理由についてどうなのか。  それと同時に、韓国水域の場合と北方海域の場合、これは北方領土はわが国の領土だ、しかし韓国の場合もこれは公海だというようなもの、韓国側は、これはわれわれが規制する海域だということで拿捕いたしておるわけですから、いずれも質的には国際法上変わりないんだと私は思うのです。そういう意味で、韓国の海域の場合も北方海域の場合も相違はない、こう理解をいたしておるわけですが、特に韓国海域の場合と北方海域の場合の、この問題を取り扱うについて何らかの相違点があるのかないのか、この点を伺っておきます。

田中慶二水産庁漁政部長

○田中説明員 ただいまお話しがございましたように、北方海域におきましては漁船が拿捕された問題に関連いたしまして、水産庁といたしましては、四十五年度におきましては七百四十八万円、四十六年におきましては百四十八万、そして四十七年におきましては四十万円をもってこの実態の調査をいたしておるわけでございます。四十五年度におきましては、全数調査によりまして、拿捕された船主、乗組員の実態、拿捕漁船の内容、抑留期間あるいは拿捕後の代船建造の状態、あるいは生活対策等の調査をいたしました。本年度におきましては、拿捕された漁船を、年次別あるいは漁業種類別、地域別と広範にわたっておりますので、この実態を十分把握するために補完調査が必要であるということで、船主、乗組員別に、拿捕後一カ年と最近での就業状況等につきまして、調査し取りまとめ中でございます。昭和四十七年度におきましては、漁業種類別に漁具あるいは所用資材、仕込み資金、漁獲等操業経営の実態を、拿捕による影響について調査をする予定でございます。  このように調査をいたしておりますが、いまお話がございましたように、韓国におきましてはこれはすでに解決を見ているわけでございますけれども、やはり韓国の拿捕におきます内容等にもかなり相違がございます。また韓国におきましては、必らずしもこれと直接の関連はございませんが、いわゆる正常化の措置ということで、請求権の留保しておりましたものを国が放棄するというふうな実態等もございます。したがいまして、私どもといたしましても、この北方周辺海域におきまする拿捕されました漁船の船主、乗組員への対策につきましては、どのような措置を講ずるべきか、これらにつきましては、やはり先ほどもお話しがございましたいろいろ日ソ間の交渉の経緯等をよく見まして、総合的に勘案をいたしまして十分に検討いたしたいというふうに考えている次第でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 いまの説明で、先ほどの日ソ間のいろいろな問題の解決、こういうものとの関連もしながらということばもいただいたわけですが、端的に申し上げますと、すでに水産庁及び外務省は意見を調整して、北方海域の安全操業について具体的な提案をしこの解決に当たっているわけですから、これがもし協定に達するということになりますと、政府間協定でありますし、この海域の一応の領土問題は未解決のままにおいて一応の秩序が保てる、もちろん国家間の協定でありますから、これを順守するように、わが国もこれに対して指導しなければならぬ、また、取り締まりもしなければならぬということに国際信義上なるんだと思うのです。したがって、最低、安全操業の問題についてある一定の協定に達し得るというような条件、前提が出てきた場合には、この補償問題については当然従来の調査の延長として行なわれる、こう解すべきかどうか、そう理解してよろしいかどうか承っておきたいと思うのです。

田中慶二水産庁漁政部長

○田中説明員 安全操業の問題がどのように解決をされるか、現在のところ私どもとして予断を許さないところでございます。したがいまして、もし解決をされる場合にどのような解決をされるか、その内容等によりましても、いろいろこの問題を考えてまいります場合に影響するところが大きい問題でございます。したがいまして、現在の段階におきましては、私どもといたしましては、そういう段階において検討するということしか申し上げられないわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田委員 部長さんからこれ以上の答弁を求めることは無理だと私も思いますので、やめますけれども、ただ、やはり従来の水産庁の態度というのは、要するに歯舞、色丹、国後、択捉はわが国の固有の領土だ、したがって、一定の許可を持っておる漁船は、言うならば水ぎわまで行っても差しつかえないんだというのが水産庁の態度、外務省としてはそういうむちゃなことはいえない、あくまでも現実に支配しておる領土であるから、この面は考慮に入れて、話し合いで解決していく方向を打開すべきだという点で、外務省と水産庁の見解はずっと食い違っておるわけです。極端にいえば、つかまってもいいからどんどん行ってとれ、これが水産庁の考え、外務省は、それはやはりいかぬ、支配しておる現実を見て、わが国が領海三海里なら少なくとも三海里以上は入ってはいかぬ、あるいは危険海域を設定をして、これから入らないようにしなさい、海上保安庁もそういう指導をしておるわけです。しかし、水産庁が事、法律論に立っていいますと、水ぎわまでとっていいんだ、入っていいんだということですから、政府部内でこの面について、安全操業、単に二国間の協定以前の問題としての安全操業についての行政指導の統一見解というものがいままでなかった、今日もないわけです。何べん聞いても同じだ。私も何回も聞いておるわけです。そういう意味で、特に補償問題についてなお一そう問題の解決をむずかしくしておるのではないか、こう思いますので、この点十分部内で検討されて、特に安全操業等の問題もある程度具体化しつつあるわけですから、そういう意味では、北方海域の操業が安全操業をできる体制、安定化した条件の中でそれらの問題を一応解決するという、前進的な方向をぜひとられるように心から希望して終わりたいと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員長 次回は来たる二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗