運輸委員会 第22号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1972/05/19
会議録
○小峯委員長 これより会議を開きます。 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小此木彦三郎君。
○小此木委員 臨時船舶建造調整法の目的及び機能というものが船台確保、船質確保あるいは船腹需給のための調整、航路適合性判定のための調整ということでありますが、まず本法が、従来これによってどのような効果をあげてきたのか、目的を達成してきたことであるのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
○田坂政府委員 ただいま先生の仰せのような機能を発揮いたしまして、昭和一、十八年以来本法が施行されておるわけでありますが、今日の海運界が世界の第二位まで発展するという実績を得た一部をこの法がになってきたと私どもは考えております。 具体的には国内船台調整機能につきましては、国内船に対する、まして最近輸出船の建造需要がたいへんふえまして、五〇%から六〇%は輸出船が船台を占めるという状態であります。これらの建造許可にあたりまして、国内船の建造甲の船台の確保ということがなされておるかどうかということを十分チェックして輸出船の許可に当たっておりますが、これらにおきましてただいままで、非常に船台のふくそうがございましたけれども、国内船の建造に支障を来たしたということはございません。円滑に国内船が建造されておるような状況でございます。 次に、船質確保並びに航路の適合性の判定、適合性に対する機能でございますが、これにつきましては具体的な例といたしまして最も顕著なものは、一昨年来大型船の建造が非常に増大いたしまして、特にわが国最大の三十七万トンあるいは四十七万トンという超大型船が建造されるようになりましたが、これらの建造の許可にあたりまして私どもといたしましては事前に学識経験者からなる五十万トンタンカー技術検討会を行ないまして、これの安全確保あるいは航路の適合性というものを検討いたしまして、造船所にそれらに対する処置を指示し、すでに三十七万トンは昨年無事に建造され、また現在非常に良好な航海結果を得ておるような次第でございます。また四十七万トンは現在建造に取りかかっておりますが、順調に進行いたしております。 次に、船腹調整機能でございますが、日本——豪州間のコンテナ船の建造許可にあたりましてわが国に豪州向けのコンテナ船の発注がございましたが、これにおきまして本航路におけるわが国コンテナ船隊の配船計画に照らし、その調整を待って許可をいたしました。現在豪州航路のコンテナ船は非常に円滑に進んでおるというような状況であります。
○小此木委員 その三番目の船腹需給のための調整ということに関連しまして、これはもっと別な広い意味でもって——こういうことはわが国一国だけが調整をしようと思っても、必ずしも全面的にできるものではない。やはり世界各国が共同してこれを行なうべきであると思うのでありますけれども、ここらあたりでわが国がそれを率先して各国に呼びかける、そういうような意思があるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの先生の世界的な規模で共同してやってはどうかという御意見でございますが、その点は非常にいいと思います。ただ、現実には各国でやはり利害関係が一致してないことが多うございまして、たとえば、こういう船腹が過剰のときでも船台をふやそうということがございましてなかなか実行は困難ではないかと存じます。現在まで、過去におきまして、そういう世界的な規模で共同していこうという例はあまりございませんで、大体各国とも係船なり配船なりそれぞれの業界で自由にやっておるということで、好、不況に応じておるというような現状でございます。ただ問題は、定期航路につきましては、限られた数の船主が参加しておりますので、同盟の中のワク内で船腹を不況のときには調整するというようなことは現在までやっておりますし、船腹過剰の混乱を解消するというような同盟自身の内部統制というようなことは定期同盟航路では実現しております。 なおこれは臨調法に関係がございますが、日本の近海区域でございますと、たとえば東南アジアまで入りますが、幸いといいますか、日本船が近海、東南アジアまで向かうことが圧倒的に多うございます。したがいまして、臨調法によりまして建造の調整を行なうということは近海船につきましてはかなり効果があるのではないか、かように存じておる次第でございます。
○小此木委員 そこでもとに返りまして、ことばにこだわるようで恐縮でございますけれども、本法は、計画造船に対応して有効期限の延長ということでたびたび改正を繰り返してきたと思うのです。本来、臨時ということばは、文字どおり臨時であって、事に臨んでこれに処するというかそういうことだと思うのでありますけれども、こういうことで本法は計画造船というものが行なわれる限り事に臨んで改正を繰り返すのか。逆に言えば、いつこの臨時という名称が取り除かれるのか、質疑応答的な質問で恐縮ですが、これをちょっとお伺いしたいと思うのです。
○田坂政府委員 本法律に規定しております一般許可制度、こういうことは本来からいいますと、民間企業の企業活動を制約するということになりますので、このような規制は必要最小限にとどめたいというのが基本的な私どもの考え方でございますが、一方、計画造船等は政府の財政によって相当支えられておりまして、計画造船が円滑に有効に効率よく運用されるということは、私どももまた非常に期待するところでございますので、これらの計画造船に対する必要性がなお続くというようなことでございます間は本法を存続していきたい、またそのような事態が変わりました場合にはまた特別にその事態に合わせて考えていきたいということで臨時ということにお願いしておるわけでございます。
○小此木委員 そこで、昭和四十六年度の造船工事状況に関連しまして、新造船受注量が史上最高であった——これは昨年です。引き続いて昭和四十六年度の受注量も前年度に続いて史上二位であった。その内容は残念ながら国内船の受注量が前年度のほぼ二倍であるのに、輸出船が半分に激減してしまった。まずその理由を説明してもらいたいと思うのです。
○田坂政府委員 四十六年度におきまして後半に輸出船の受注が非常に下降いたしました。これにつきましては、基本的には国際経済の停滞ということが基本であろうかと思いますが、それにあわせまして通貨不安というようなものが相当程度影響をしたのではないかと私ども思っております。
○小此木委員 そういう中で発注された船の契約がキャンセルされる、そういうものがふえつつあるということでありますけれども、実際その事実があるのかどうか。あるとすればその理由はどういうことであるのか。また外国船の場合に、こういうことはあり得べからざることであると思うのでありますけれども、外国船主が円の再切り上げというものを予測して一ドル二百八十円くらいを基本にして、なかなか商談の成立がないということですが、これは事実かどうか。またさらにこういうような全部を含めて不況を幸いにといってはおかしいのでありますけれども、不況を幸いに日本の造船界を外国の船主が買いたたくというような傾向が生じつつあるということでありますが、これも事実であるかどうか。以上について説明してもらいたい。
○田坂政府委員 まず、キャンセルの問題でございますが、この臨時船舶建造調整法で正式に許可した船舶、こういうもののキャンセルにつきましては、まだ実例はございませんが、まず先生の御質問は輸出船のキャンセルという問題であると思いますが、輸出船につきましてはいま私どもキャンセルの実例を聞いておりません。一方国内船につきましても臨時船舶建造調整法におきまして許可したものにつきましてはキャンセルの実例はございませんが、船台の確保等の目的で従来から船主と造船所の間で口約束で先の約束をしておったというようなものが、鉱石運搬船等を中心にいたしましてある程度のキャンセルが行なわれておるということを聞いております。 それから、次にこれらの理由でございますが、輸出船につきましては現在聞いておらないわけでございますが、国内船につきましては当面わが国の経済の停滞、特に鉄鋼の生産が予想よりも伸びないというようなことで、その予想された伸びに見合って用意した鉱石運搬船等が当面必要性が考えられなくなって、キャンセルといいますか、実質的な契約上のキャンセルではございませんが、口約束をいたしました船の取り消しをするというような実例が起こったものと考えております。 次に、外国船主の買いたたきという問題でございますが、最近船舶の価格は従来から非常に低船価で押えられておりましたが、最近新造需要等が非常にふえまして、その傾向に従いまして大体コストに見合った、一般の商業ベースに沿った船価にだんだん上がってきたわけでございますが、これは従来の船価からいいますと相当に上がってきたということで、やはり外国船主は相当、日本の造船業界が現在の当面の市況といいますか、造船業界の見通し、これらについてどういうふうに対処するかということのサウンディングをやっておるというような状況で、特に買いたたきをしておるというような現状ではないと思います。 それから申しおくれましたが、確かに一ドル二百八十円程度の為替レートで商談を行なっておるのではないかということでございますが、私ども具体的に細部にわたってそういうものについて調査をいたしておりませんが、そういう実例もあるけれども、大体いまのところはそう顕著な傾向はあらわれておらないというふうに判断いたしております。
○小此木委員 いま言ったキャンセルですが、口約束のキャンセルということですが、予約した分に対するキャンセルということでよろしゅうございますか。
○田坂政府委員 計画造船の遂行にあたりまして、計画造船を有効に進めるために、三カ年間の予約制度が一昨年以来からしかれておりますので、これによる予約の取り消しが相当あるのではないかと考えております。
○小此木委員 いずれにしても、そういう苦難の時期というものを造船業界がこれから迎えていく、これを食いつながせるために運輸省がどういう措置をとっていくのか、あるいは指導していくのか。同時に、業界のほうでもこういう際に自主的に相談というようなことが行なわれるのかどうか、この説明してもらいたいと思います。
○田坂政府委員 当面大型造船所は四十七年、四十八年、四十九年の相当部分まで、三カ年半ぐらい受注を持っておりますので、特段の処置をやる必要性は現在の段階ではございませんが、将来先生の御心配のように船台があくというような事態が予想される場合には、私どもといたしましては操業度を下げて工事の平準化をはかっていくというような、各企業にそれぞれ自主的にそういうことをやるような行政指導を行ないたいというふうに考えております。
○小此木委員 いまちょっと話のあったドル・ショック、実際問題としてこのドル・ショックによるところの為替差損というものが業界に数字的にどのくらいの打撃を与えたのか。そして、当時はたしか業界に対する措置として税制措置のみの救済措置が行なわれたと思うのでありますけれども、それではたして足りたのか、あるいは今後ともそれ以上のことをする必要がないのか。要するに、これが四十四年に提案されたときに、少なくとも今後五年間はこういう好況状態が続くのだということを運輸省が言ったとすれば、それはかなりな根拠を踏まえてそういうことを言ったと思うのです。そういうことにもかかわらず、こういう不況材料が続出している。こういう際に、造船に対する助成というものはそういうことぐらいでいいのかどうか、そこらあたりをちょっと説明してもらいたいと思います。
○田坂政府委員 為替差損でございますが、造船業界に輸出船の占めますシェアというのは、先ほどちょっと申し上げましたように、大体五〇%から六十%で、相当大きなものでございます。これらのものは大部分が延べ払いによってなされておりますので、造船所では相当大きな外貨債権を持っております。四十六年、昨年八月二十七日現在で造船業界が持っておりました外貨債権は約三兆円でございますが、そのうち外貨建て債権、これが、一兆六千億以上でございまして、これらによりまして造船業界は約二千四百六十億円近い差損をこうむったわけでございます。このうち債務もありましたので、合計いたしまして造船業界の損失は約二千四百億円というふうなものかと考えておりますが、これは、造船業界の従来の実績から見ますと、大体四期にわたって利益が飛んだというふうなことになります。造船業界はわが国の基幹産業でございますし、相当に幅広く影響がございますので、これらの産業が不安定になるということはたいへんなことだということで、政府といたしましても為替差損に対する対策を講じたわけでありますが、その対策といたしまして、先生のおっしゃいました税制の面と、それから金融措置の面と、両面ございます。 税制の面につきましては、税の特別処置といたしまして、税の計算しの処置といたしまして、為替差損を早期に繰り上げて算入いたしまして、欠損を生じた場合は、その後十年間、益金から順次これを控除していくということで、税の支払いを後期に延ばすというふうな処置をいたしたわけでございます。 一方、金融処置といたしましては、外貨建て債権にかかわります輸銀の返済金につきまして、差損相当分につきまして約定金利で六年から十年間返済を猶予するという処置をいたしたわけでございます。 またあわせまして、四十六年八月十六日以前、為替変動相場制に移行した以前に契約いたしましたものにつきましては、輸銀と市中銀行の協調融資を行なっておりますが、輸銀の融資を拡大するという処置をとりました。これらによりまして、造船所の差損の相当部分がカバーされるということになろうかと思いますが、造船所が期待しておりました。一〇〇%のカバーにはなりません。ただ一方、現在の財政事情から、可能な最大限度のことを私どもはやれたというふうな考えを持っておりまして、これ以上のことは造船業界の今後の企業努力によってこれをカバーしていただきたい、そういうふうに考えておりますし、また何とか努力すればカバーできるの、じゃないかというふうに考えております。
○小此木委員 ついでに聞いておきたいのですけれども、そういうことを含めて、わが国の造船力に対抗するために外国ではどういうような救済措置と申しますか、助成措置を行なっているか、これを聞かしてもらいたいと思います。
○田坂政府委員 諸外国の造船助成でありますが、わが国にない特異なもの等の主要なものをあげますと、国内市場保護あるいは面接建造補助あるいは造船業の、再編及び転廃業に対する補助等がなされております。そのおもなものを御説明いたしますと、国内市場の保護につきましては、輸入承認制度とか輸入関税だとか、自国建造の国内船に対する海運補助、そういうものがございます。また直接建造補助といたしましては、造船所に対しまして、建造船価または建造コストの何%かを補助金として交付するというようなことがございます。一方再編、転廃業に対する補助といたしましては、そのような事態に対しましてそれぞれ補助金の交付あるいは融資制度、そういうものが行なわれております。
○小此木委員 いま通産省が中心になって検討中といわれるところの為替損失保険制度ですか、それに対して運輸省側はどういう考えを持っているのか。またさらに業界側はこれに対してどういう反応を示しているのか。あるいはまた、諸外国にこのような制度が現実に行なわれているのか、これを説明してもらいたいと思います。
○田坂政府委員 為替差損保険制度の創設につきましては、現在通産省がこの制度創設の検討をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この制度は将来の為替不安を解消する。方策といたしまして有効なものと考えております。具体的には任意保険制度にするかあるいは強制保険制度にするかとか、補てん率をどういうふうにするとか、また料率をどういうふうにするかとか、細部にわたってはまだ十分に問題点が詰められておらない現状てございます。一方造船業界におきましても、私どもと同じような考え方から、この制度の創設について強い希望を持っております。諸外国におきましては、西独並びにフランスにこの制度がございます。
○小此木委員 業界が運輸省と同じように待望しているということですけれども、大手の業界のほうでは、そういう制度よりもむしろ円建てということをしっかりしたものにしたほうがいいということなんですが、そこらあたりはどうなんですか。
○田坂政府委員 確かに超大型船等、相当に建造需要の多いもの、そういうものにつきましてはまだ円建てを遂行していきたいということでございますが、中には、なかなか円建ての契約がむずかしくなってくる、そういう傾向も見えております。ただ私どもといたしましては、せっかくほとんど一〇〇%を円建ての制度を確立いたしましたので、その制度と申しますか、慣行を今後とも推進していきたいというふうに考えております。大手の造船所も確かにそういうように考えております。
○小此木委員 そこでお聞きしたいのでありますが、現行の新造計画というものを運輸省は修正する考えがあるのかどうか。現行の造船計画というものは、日本経済が好況で海運マーケットもたいへんよかった。そういうときに作成されたわけですね。経済成長率も年平均、〇・六%ですか、海上荷動きが大幅に拡大することを前提にして立てられたというわけでありますけれども、いまいろいろ申し上げましたドル・ショックあるいは円の切り上げ、それによるところの産業界の大打撃でもって船腹の需給バランスが大幅に狂ってしまった。二十九次船では鉄鋼業界が専用船の積み荷保証を積極的にすることを控えあるいは中止する。さらに石油の業界もタンカーの用船計画を縮少する、こういり際に、建造の速成というものはできることであるか、またできないとすれば、これを、どういうふうに手直しするのであるか、そこを説明して、もらいたいと思います。
○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、外航船舶建造六カ年計画では、そのもとになっております経済社会発展計画、そこでの諸指標が変動が生ずるものと思われますが、そういった経済指標にもとづきまして、四十四年度から五カ年間というのを策定したわけでございます。したがいまして、昨今のようなドル・ショックを機会に、こういった経済界が沈滞した。それから今後の輸出の伸びというものが、いままで期待したように伸びないのではないか、そういった面で、経済政策の軌道が修正されるというような時期にきていると思います。したがいまして、そういうときに経済企画庁のほうで、この海運計画のもとをなしております経済計画のほうの諸指標が手直しされれば、それに基づきましてできております造船計画のほうも当然修正する必要があるのではないか、かように考えております。
○小此木委員 いまの見込みでは、具体的にどのくらいの手直しということが行なわれるのですか。
○鈴木(珊)政府委員 まだ企画庁のほうの作業が詰まっておりませんので、その点、はっきりしておりませんけれども、たとえば鉄鋼業界あるいは石油業界のほうにおきまして、それぞれの見通しを立てております。たとえば鉄鋼関係で申しますと、大体五十年年を目標としておりました粗鋼生産ですね、それを一割ないし一割五分くらい減産する。石油もそれに伴ないまして、それほど需要は伸びないのではないか。やはり、一割くらいの減をいま見込んでおるようでございます。そういった各業界での見通し等も根拠といたしまして、経済企画庁のほうではさらに数字を詰めていくだろうと思います。したがって、現在のところはまだはっきりした数字はつかんでおりません。
○小此木委員 そうなると、私はいつも思うのでありますけれども、一体計画造船とは何であるかという問題になってくると思うのであります。基本的に基調が悪くなると政府が建造を許可しない。産業天界は、いまおっしゃった、たとえば鉄鋼業界では、一九七五年のわが国の粗鋼生産を一億六千万トンと見込んだけれども、いろいろな不況材料などでもって、一億二千万トンくらいになってしまうんじゃないか。したがって所要の輸入原材料も二億八千七百万トンから、二億一千五百万トンに、七千二百万トンも減ってしまう。こんな状況では、とても長期的な積み荷保証をするということはできない。ところが、この積み荷保証と八年の償還というものが可能でなければ開銀のほうが融資しないということであろうと思うのであります。私は、そこに造船計画というものはそもそも何ぞやという問題が出てくると思うのでありますけれども、要するに私が言いたいのは、景気、不景気の波の作用によって造船計画というものがぐらぐら揺れてしまって、はたしていいのかどうか。極端にいえば、四面海に閉まれた日本においては常に船か必要である。そうすれば、やはり計画造船をやった以上は、それに基づいてそれを遂行していく。その船腹がだぶついた場合には、財政措置あるいは財政資金の応用でこれをさばいていくということがあってしかるべきであると思いますけれども、この点、いかがですか。
○鈴木(珊)政府委員 その点につきましては、一時的な好、不況によりまして建造計画を変えていくということは、これは先ほど先生御指摘のように、そういうことになってはならないと思います。やはり日本の国民経済から見まして必要な物資、原材料の手当て、これをある程度保つということでやっておるわけでございますから、一時的な好、不況でそういったものを変えてはいけないと思います。ただ、今回の場合はかなりな、いわば経済政策の転換の時期にきておるやに感じます。特に、建造計画のもとをなしております経済社会発展計画そのものが改定される、修正されるというような場合でございますので、今回については、そういった、もとが変われば、これを変える必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。本来的には好、不況によりまして変えるべきでない、変えてはならないと思います。
○小此木委員 この際は、業界に対する適切な行政措置を怠らないということを心がけていただきたいのであります。 そこで観点を変えまして、わが国の造船業の国際競争力という点でもって、従来の実績や建造技術やあるいは労働力の確保、その問題についてお聞きしたいことがあるのでありますけれども、まず世界の中で、日本の造船力のシェアが高いとい うことの一番大きな原因は何であるか、その点をお伺いしたいと思います。
○田坂政府委員 日本の造船業は、先ほど来申し上げましたように、世界の造船量の大体五〇%を占めておる、非常に高いシェアになっております。これは三十一年以来、世界で、建造量におきまして第一位になりましてからずっと増勢を続けまして、今日五〇%を確保したわけでございますが、その最も大きな理由といたしましては、世界に先がけまして超大型船に関する建造施設あるいは建造技術等の開発に業界あるいは官界、私どもも含めまして開発に当たってきたわけでございますが、これがちょうど船舶の需要が実際にあらわれてくる前に、十分に開発が間にあったということで、先行投資あるいは先行開発、そういうものが成功をいたした、非常にそういうことによるものかと考えておりますが、基本的には、また日本の造船業がわが国に非常に適した企業であるということが基本ではないかと思います。適しておると申しますのは、四面海に囲まれて非常に適地が多い、あるいは豊富な労働力に恵まれ、またその労働力が非常に優秀である。あるいはまたわが国の従来からの造船に対する技術レベルが基本的に相当高かったというようなことによるものかと考えております。
○小此木委員 わが国が造船というものに地の利を得ていたり、あるいは労働力が確保できる条件に恵まれている、さらには船価が安いとか、納期が確実だとかいろいろな理由があると思いますけれども、そういうものを今後も維持できるかどうか。かりに維持できなくなるとすれば、十分そういうことでもって国際競争力というものに耐え抜けるのかどうか、その点聞きたいと思います。
○田坂政府委員 国際競争力といいますのは、まずコストの面それから船質の面あるいは先生のお話しのように納期の点、そういうものが関連してくるかと存じますけれども、コストの面につきましては原材料が、造船業はいろいろな各界の生産物の集合産業でございますが、鉄鋼を含めまして関連産業等が非常に安定した供給力を持っておる。 次に、労働力につきましては、現在なお相当の労働力の確保ができる見通しでございますが、造船業の配置から申しますと、周辺都市に相当配置されております。都市におきます労働力の確保ということにつきましては、今後問題があろうかと思います。これらにつきましては、総合開発ということも含めまして、地方に分散配置していくということが必要かと考えます。これらのことが適正に行なわれれば、労働力の確保にもそう問題がない。 次に、納期の点でございますが、納期の点につきましては、先ほど申し上げましたように、関連産業や現在開発いたしましたいろいろの合理化生産施設、そういうものを駆使いたしまして、まだなお十分な納期の確保ができていく。諸外国に比べて相当確実な納期を確保していける。 一方、船質の点でございますが、これはもちろん諸外国に負けるようなことは絶対にないというふうに考えております。
○小此木委員 先ほどもあなたからことばがありましたけれども、わが国の造船技術が国際的にも非常に高度なものであるとされておる反面、船舶局が四十六年度の技術導入件数というものを五十六件と集計したといわれているわけでありますけれども、その技術提携の対外支払い料金というものも昭和四十五年度においては七十五億円にのぼっている。件数において四十三年度が三十三件、四十四年度が三十六件、四十五年度が四十件と次第次第に多くなっているわけでございますけれども、こういう状態を見て、運輸省当局でさえ、日本の技術力が高い、高いと言われるけれども、その中身を分析してみると、大半が外国から技術を導入しておるんだ、これではほんとうの世界一といえないからもっと自主開発によるところの技術のレベルアップを考えてもらいたいということを言っているそうでございますけれども、まことにわれわれも同感なんです。しかもなお、さっき言われたように、日本の造船技術が高いといわれるゆえんはどこにあるのか、また同時に日本の造船技術開発研究というものが現在進んでいるのかどうか、そこらをひとつ説明してもらいたいと思います。
○田坂政府委員 日本の造船技術につきましては、私ども、まあ我田引水になるかもしれませんが、少なくとも世界の造船技術のレベルと遜色はないというふうに考えておりますが、先生の仰せのように相当程度の技術導入、また近来におきましても相当程度の技術導入があったり、また特許料の支払い、そういうものがございます。 造船業につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、非常に広範な製品、そういうものの集積産業、集合産業でございますが、これらの中には、やはり一部には外国の技術を、また外国の開発にかかわるものを利用したほうが性能がよろしい、あるいは有利だというふうなものが残念ながらまだあることはいなめません。 それからまた特許料でございますが、これのおもなものは船舶の推進のために使われます主機関あるいは補助機関、そういうものが非常におもなものでございますが、これらにつきましては、本来諸外国の開発にかかわるものが多うございます。 メーンエンジンにつぎ一ましてもディーゼルエンジンあるいはタービンあるいはボイラー、補助機関につきましては発電機あるいは発電機の原動機というようなもの、それらのものにつきまして、 一部わが国独自の技術におきまして開発したものもございますが、大部分が外国の開発にかかわるものである。造船量が非常にふえまして、それらのものの使用が非常にふえるという傾向から、外国に払う特許料も相当にふえてまいったわけでございます。 一方、今後の開発にどういうふうに対処しておるか、また現状はどうかというような御質問でございますが、わが国の造船の技術開発の最も特徴といたしますところは、官民、それぞれ民間企業が一致いたしましてオープンに共同研究をやっておるということでございまして、官のほうにおきましては船舶技術研究所あるいは船舶局、民におきましては財団法人日本造船技術センターあるいは各企業の研究所、そういうものが共同いたしまして諸般の研究開発を進めておる。これを有効に活用運営していきたいというふうに考えております。
○小此木委員 それに関連して、ラッシュ船であるとかコンテナ船であるとかあるいは原子力船であるとか、そういうものが建造が進められているわけでありますけれども、そういうものにもやはり技術料とか特許料とか、そういうものがあるとすれば支払わなければならないと思いますけれども、そういうものは船価に対して何%くらいであるのか。簡単でけっこうですから……。
○田坂政府委員 総体に、先ほど先生のお話のございました昨年度の特許料七十五億、これは総船価の一%未満、総生産量の一%未満と考えております。 個々のコンテナ船あるいは原子力船、ラッシュ船等でございますが、コンテナ船については特に特許料の支払いはないかと思います。それからラッシュ船も、これは特許料という意味になりますかどうか、これは米国の開発にかかわる設計でございまして、特殊船でございますから、図面を買ってきたということで、図面料を支払っております。一方原子力船でございますが、原子力船につきましては相当部分、いろいろ外国の技術を取り入れておりますので、どの程度特許料を払っておるかという詳細な数字は持ち合わせございませんが、相当程度の特許料はこれにかかわるものとしてあるというふうに考えております。
○小此木委員 そうすると、当然技術導入の面で問題にされなければならないことが、たとえばLNG船というような問題でも問題になってくると思うのでありますけれども、私の聞く範囲では、大手各社が五十一年度に第一船完成ということを目標に建造体制を固めているといわれているわけでありますが、わが国の産業の需要度の高さあるいは技術革新のスピードアップの状態、そういうようなものを考えてまいりますと、そんなスローモーションぶりで、はたして世界情勢というものに対応できるのか、さらにまた大手五社が五十一年度にそれなりに建造体制というものを固めているとすれば、具体的な助成措置と申しますか、これに対する助成措置というものを運輸省は進めているのかどうか。 またさらにいま申し上げたLNG船をつくるとすれば、その技術導入料といいますか、あるいは特許料、当然大きなものになってくると思うのですけれども、そういうものは船価に対して何%くらいのものであるか、説明してもらいたいと思います。
○田坂政府委員 LNG船につきましては、ただいま先生仰せのとおり、大体五十一年完成、あるいは早ければ五十年完成という目標で、わが国の大手造船所は建造体制、技術開発というものを進めております。それで間に合うかというふうなお話でございますが、これは海運事情等もあろうと思いますが、現状の研究開発の進行程度あるいは建造体制の進行程度、そういうものから考えますと、私どもはそのころに船舶を完成するというのがもっともよろしいステップかというふうに現在考えております。需要側の要請につきましてはいろいろございますが、諸外国の船主等の配船等も現在相当あるように聞いております。わが国の船主の需要につきましては造船所はそれに対処しておるというふうに私どもは聞いておりますので、需要にこたえられておるのではないかというふうに考えております。 一方、これの特許料等でございますが、大体船価の比率においてきめられる例が多かろうと思います。そこで、大体の比率船価に対する特許料といたしまして、二%から二・五%程度の約束がなされておるように承知いたしております。
○小此木委員 コンテナ船にしてもラッシュ船にしてもあるいはLNG船にしても、そういう特殊な船が今後の造船界あるいは海運界というものをにぎやかにしてくると思うのです。それと同時に、一般の船も、技術的にもあるいはいろんな面でますます近代化、能率化してくる。そうすると、般の船もどんどんよくなってくるというようなことになってまいりますと、いままでは、十年前の船というものが、老朽とは言わないまでも陳腐なものになってしまう。いままでは十年前のものであったけれども、こういう状態になってくると三年、五年でもって古くさいものになってしまうのではないかという憂慮も当然あろうかと思うのでございますが、そういう場合の対策は従来どうやってきたのか、あるいは今後どうやっていくのか、ひとつ答弁願います。
○鈴木(珊)政府委員 老齢船といいますか、つきましては、やはり能率が落ちますし安全の問題等もありますので、耐用年数が来る前に代替建造する。要するに船質改善をするというようなことで、従来そういった面での指導をやっております。そのささえになりますのが、大きなものとしてはやはり計画造船制度を通じましてそういった意味での船質改善をやっております。もちろん、今後ともそういった面でいわゆる体質改善と船質改善という問題は進めていきたいというふうに考えております。
○小此木委員 不経済船対策ですか、そういうようなものはそういうことの対策として従来行なわれてきたのですか。
○鈴木(珊)政府委員 仰せのとおりでございまして、要するになるたけ労働集約といいますか、手数のかからない船をつくっていく。たとえば機関部でもそれほどの機関部員がいなくても済むようなリモートコントロールとかそういったような方式、そういったできるだけ無人化に近いような——無人化といいますか、手数を省くような意味でのそういった技術的な性能を持った経済船をつくっていくということが現在行なわれている次第でございます。
○小此木委員 技術の革新とともに船舶の大型化ということも盛んに行なわれるわけでありますけれども、大型化ということが運賃の合理性あるいは航行の安全性、そういうようないろんな要素を当然持たなければならないと思いますけれども、大型化というものは一体どのくらいが限界であるのか、またどのくらいが理想的であるのか、ここらあたりを教えてもらいたいと思います。
○鈴木(珊)政府委員 大型化の問題、特にタンカーの問題がいま非常に大型化が進んでおります。現在三十四、五万トンくらいまでできております。技術問題はあとで船舶局長が御説明すると思いますけれども、運航の面で申しますと、やはりこういうふうに大型化がどんどん進んできたといいますことは、それだけ経済効率が上がっているということではないかと思います。日本の場合、特に大量の石油を輸入しておりますから、できるだけ安く石油を運んでくるということが輸出業界、生産業界から要請されております。それにはやはり船舶大型化がその分だけ運賃が安くなるということは、現在までの実績が示しております。したがいまして、もちろん通過するマラッカ海峡の喫水問題等もございますけれども、その場合もロンボク海峡を通る、そういった問題があろうかと思いますが、やはり大型化したほうが経済的な面ではコスト面から運賃が安くなる。したがって、一般物価への影響というものも大きいということではないかというふうに考えております。したがいまして、今後も経済性追求という面から大型化してくるのではないか、かように思います。 なお、タンカー以外の面につきましては、鉄鉱石が限度だと思いますけれども、これはあまり大型化しても、今度はそれを持ってきて精錬する施設等、そういった面での限界がございます。現在のところではそれほど大きくならないのではないかと思っております。タンカーにつきましては今後さらに大きなものになるのではないかというふうに存じておる次第でございます。
○田坂政府委員 造船技術あるいは建造技術、そういう面からの大型化の限度につきまして、現在造船業界が持っておりますあるいは整備を進めております造船施設から申しますと、能率的につくるという観点からは現在の能力では、大体デッドウエートで五十万トンくらいがちょうど限度のところかと思います。また物理的に、それではいま進めている設備でどのくらいまでできるかということになりますと、タンカーにおきまして大体百万トンくらいまでのタンカーは建造できるという設備は物理的には持っておりますが、これで百万トンのタンカーを建造するということになりますと、またさらに建造能率とかあるいはその他の面で整備をしなければならないということがあろうかと存じます。一方、造船技術、設計あるいは安全、そういう問題から申しまして、今後のタンカーの大型化に対処するために現在運輸技術審議会に百万トンタンカーの開発上の諸問題点といたしまして、港湾施設あるいは造船施設を含めてどういう問題点があり、どういう解決をしなければならないかということを御諮問いたしまして、現在審議が続いておる段階でございます。特に私どもは、安全の面に重点を置いた審議をお願いしておるというのが現状でございます。
○小此木委員 次に、関連する問題でありますけれども、海運界の中の南北問題として、海運の世界でも発展途上国パワーというものが火をふいている。サンチアゴで開催されたUNCTADですか、国連貿易開発会議、それにおいても先進国側がたじたじになったといわれるわけでありますけれども、日本政府はこの会議にどのくらいの構成規模で出席したのか説明してもらいたいと思います。
○鈴木(珊)政府委員 UNCTAD会議には海運問題以外に通貨問題等たくさんございまして、私のほうに関する限りは海運問題でございますので、海運の代表といたしましてはもちろん運輸省のほかに、たとえば関係の荷主業界、それを代表する通産省の方も加わっております。運輸省に関する限りは、海運局の次長が代理になって加わっております。それ以外の規模は、愛知先生が団長になられまして最初お出になりました。それからあと外務省から審議官、大使等も三、四人加わりまして、総勢三十名近くの団体かと聞いております。そういった規模でやっておりまして、現在会議中でございます。
○小此木委員 時間がないようですからまとめて聞きますけれども、先進国グループが世界的に二百以上の運賃同盟というものを張りめぐらしている。そして配船の調整とか価格の協定というものをやっているといわれるのでありますけれども、一等最初の問題のようなことになりますが、日本政府はこれに入っているのかどうか。二番目に、商船隊の育成について、南側が現在のシェアが七・四%を、今後十年のうちに一〇%まで引き上げる、そしてそういう目標達成のために北側が資金であるとか技術援助であるとか、あるいは信用条件の緩和であるとかそういうものに応ずるように要求しておる。こういうような要求に対してわが国はどういう考え方を持っておるのか。またそのような問題も含めて、その会議の中で日本の発言力と申しますか指導力というものは当然痛くなければならぬと思うのでありますけれども、実際問題として高いのであるかどうか。そしてさらに、逆にそういうことが一面における威勢のよさと申しますか、横暴というようなこともないでありましょうけれども、最近ヨーロッパにおいてわが国の造船業界あるいは海運界に対して、どういうことか多少の非難の声があるということを聞いておるわけでありますけれども、もしあるとすれば、それは一体どういう理由であるのか、ひとつまとめてお聞きしたいと思います。
○鈴木(珊)政府委員 お答え申上しげます。 第一番目の同盟の加盟状況でございますけれども、世界じゅうに定期航路の運賃同盟はおそらく二百以上あると存じます。日本はいわゆるリーディングの海運国でございますから、日本の船が配船しております限りは同盟へ加入しておるというのが実情でございます。特に日本を発着点といたします同盟が六十ぐらいございますけれども、これはもちろん日本も入っております。それから日本を発着点としない三国間の同盟がございます。たとえば北米から南米の東南へ行くとか、あるいは極東の香港越しで欧州へ行くとか、あるいは香港越しで南米へ行くとか、三国間航路もございます。そういったところでは、日本が配船しておる限りは同盟に入っておりまして、そういった同盟を通じて市場の維持ということに積極的に協力しておるということでございます。 それから第二番目の、UNCTAD会議等を通じまして発展途上国が自国商船隊の育成をはかりたいという希望は前々から出ております。特に今回発展途上国のあるグループ、これはアジア、アフリカ並びにラテンアメリカからの非常に強い要望が出ておりまして、その面でのディスカッションが行なわれておるわけであります。御指摘のように、現在七・六%程度の商船隊の保有量を全世界の一割ぐらいにということでございます。それがためにはやはり技術上のみならず経済上の援助なり協力を望んでおります。先進国に対しましても、特に御指摘のように先進造船国に船をつくってもらう、あるいは中古船を先進海運国から買い入れる、そういうことによって自国商船隊を育成するわけでございますけれども、それについての融資条件等をかなり低い有利な条件、たとえば延べ払いの期間とか金利とかございますが、要望しております。これは政府対政府の援助の場合はもちろん各国それぞれ非常に前向きに、安いと申しますか低い、いい条件での融資をやっておりますけれども、それ以外に一般ベースに乗りました金融、これにつきましてもうんと有利にしてくれという要望がございます、これに対しましては、今回のサンチアゴ会議におきまして、やはりそういう要望に対しまして、先進国側といたしましては、そういった要望はよくわかります、できるだけそういう要望に沿うように今後検討いたしますという決議をついこの間やっております。わが国といたしましても、もちろん先進海運国の一員といたしまして一つのグループがございますから、先進海運国の中でいろいろ討議いたしまして、その討議の結果の結論を、その代表が発展途上国間とディスカッションを行なうというシステムでございますので、日本が特にリーディングをとってがたがた発言するということはございませんけれども、一応先進海運国の中で十分話し合って、それで思想統一いたしまして発展途上国側に対しまして議論をしておるというのが現状でございます。 それから、たとえばいま発言力に関しまして先生の御指摘のように、日本が造船なり海運の面で何か非常に横暴だというような風潮があるかというお尋ねでございますけれども、海運に関する限り先進十三カ国が——これはアメリカは入っておりませんけれども、欧州の十二カ国と日本、十三カ国が集まっておりますCSGというグループがございます。日本はその一員になっておりまして、その中で特に日本が態度が悪いとか横暴だとかというような非難はございません。先進国の間で非常に協調してやっていくという精神でやっております。したがいまして、特に発展途上国に対しましての商船隊の育成につきましては、日本といたしましてもそういった線で今後とも前向きに協力していくという姿勢でいくべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
○小此木委員 最後にひとつ政務次官にお答え願いたいのですけれども、先ほどの問題を繰り返すわけでありますけれども、要するに日本の造船、海運界というものが戦後の日本経済の成長の中でこれだけ大きな発展をしたということは非常にりっぱだと思うのであります。このように発展してきたこと自体が日本経済の成長に大いに役立ったといたしますれば、なおさらこれは偉大なことだと思うのでありますけれども、そういうことがあるときは外貨の節約に役立った、具体的にはそういうような原材料を輸入しなければならない日本産業の宿命と申しますか、そういう宿命に協力するために、あるときには運賃を安く押えられた。逆にいえば、黒字基調の財政経済というものの中でどのくらいの運賃が妥当であるかということで不当なものをあるいはしいられたかもしれない。そういういろいろなことがあったでしょうけれども、そうだとすれば、これはやはり日本の造船界、海運界というものは今後も、緒になって日本経済の牽引力となってもらわなければならないと私は考えるのです、そうしてくると、先ほどの計画造船というものは日本経済の偶発的な屈折と申しますか、偶発的でもないでしょうけれども、そういう屈折によっていろいろと手直しされるということが私は本質的におかしいと思うのです。そういうことで運輸省はもっと独自の確固とした計画というか、あるいはそういうような場合の助成措置とかそういうものを今後き然として持つべきである、遂行すべきであると思うのでありますが、この点の考え方を政務次官から最後に聞かしていただきたいと思うのです。
○佐藤(孝)政府委員 私も御指摘と同様な考えを持っておるものですが、造船と海運とに分類して考えてみますと、海運については先ほど来質疑応答の中にございましたように、四十四年度以降六カ年に二千八百万総トンを建造することを骨子とした改訂新海運政策に基づいて今日に至っているわけでございます。しかしながら先ほどのお話もございましたように、最近のドル・ショック、為替差損その他により、必ずしも現状は満足のいく現状じゃございません。経済企画庁は新しい視野に立って経済計画を現在手直しの作業中でございます。したがって、海運政策については経済企画庁ともよく相談いたしながら、長期的展望に立った海運政策というものを国全体として考えてまいりたい、かように考えております。 また造船については、これも海運と大体同様のことがいえるかと思いますが、御承知のとおりわが国の基幹産業の代表的なものでございます。しかしながら現在の日本の経済界の状況、特に海運の不況等によって、必ずしも直面している現状は楽観を許さない状態でございます。世界の需要の約五〇%を占める指導的な立場にあるわが国の造船工業でございます。したがって、日本の立場というものが世界の造船界をリードしていくといっても私は過言でないと思います。そういう現状を踏まえて、今後国際協調の上に立っていかに日本の造船政策を推進していくかということは、御指摘のように私は、きわめて大切な問題ではなかろうかと考えております。 運輸行政全般を見たとき、いろいろ御指摘される部局もございますが、海運三局というのは比較的今日では安定した行政である、私は運輸行政の中ではそういう評価がされているものと判断いたします。したがって、目先のことにこだわらずに、将来の長期的展望に立って、日本の世界の海運界に占める造船工業並びに海運行政を今後とも維持していく方向で、事務当局を督励し、私ども一緒になって検討してまいりたい、かように考えております。
○小此木委員 どうもありがとうございました。 ————◇—————
○小峯委員長 次に、陸運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。 この際、日航機の東京国際空港滑走路上における事故及び新幹線における車両破損事故等について、政府当局から説明を求めます。佐藤運輸政務次官。
○佐藤(孝)政府委員 最初に、日本航空所属DC8−61型の事故について申し上げます。 概要から申し上げます。お手元に資料は配付してありますから、そのお手元の資料をごらんいただきたいと思います。 日本航空所風DC81−61型JA八〇四六機は、同社の定期航空三六九便(東京−福岡間)として、昭和四十七年五月十五日十七時二十五分、管制塔からランプアウトの承認を得ました。同機は、十七時三十一二分ころ、滑走路三三Rによる離陸を承認され、十七時三十五分ころ、離陸のためRWY三三側(C滞走路)から滑走を開始しましたが、滑走後二千フィート(約六百メートル)付近から滑走路を逸脱して、約千フィート(約三百メートル)逸走した後、同機は再び滑走路しに乗り上げ、滑走路に対してほぼ直角の状態で擱座いたしました。 同機は、エンジンに火災を見たので、直ちに消火しましたが、機体は大破されました。 同機には、旅客二百三十四名及び幼児九名、機長以下九名の乗り組み員が乗っていたが、旅客十五名及び乗り組み員一名が軽傷を負いました。 次に、調査状況を御報告いたします。 本事故については、本名及び東京空港事務所において、十五日の二十三時三十分から十六日の一時までの間に乗務員から事情聴取、及び十六日の四時三十分から六時三十分までの間に滑走路及び芝生地帯におけるタイヤ痕跡の調査を行ない、なお、現在次の事項について調査中であります。 乗務員からの事情聴取、フライト・データ・レコーダー及びコックピット・ボイス・レコーダーの解析、機体及び発動機関係の技術調査、以上、鋭意積極的に原因究明に当たっております。 次に、新幹線における車両破損事故について御報告申し上げます。 五月十七日十七時四十三分、新幹線静岡−三島間において、時速、百キロで運転中の上り「ひかり」六八A電車が停電状態となり、緊急ブレーキが作用して急停車いたしました。直ちに運転士は、CTCに無線連絡するとともに、車両状態を調査したところ、八個のパンタグラフが全部破損または脱落していたほか、地上設備も約一・四キロにわたり吊架線の断線、碍子の破損、鉄柱の湾曲等の被害が発生していることが判明いたしました。 このため、十八時、対策本部を設け、復旧につとめました結果、下り線は、二十二時、上り線は二十二時十八分に送電を開始し、故障電車は、三島基地より救援を迎え、二十三時五十八分分三鳥駅に収容した後再び現場復旧につとめ、十八日二時二十五分開通いたしました。 この事故により、上下十六本の列車が運休しましたほか、多数の列車に大幅な遅延を生じました。なお、この間静岡−三島間で折り返し運転をし、不通区間は在来線で輸送いたしました。この事故による旅客への影響は、約五万人に及びましたが、この間臨時列車の運転、給食その他について努力いたしました。 国鉄においては、この事故を重大視し、十八日、本社に山口常務理を長とする架線・パンタグラフ事故対策委員会を設置して、徹底的に原因の究明に当たることとしております。 去る三月末の総武線の事故にかんがみ、安全総点検を命じ、約一カ月間にわたり、各般の点検を実施したにもかかわらず、この種事故が発生しましたことはまことに遺憾であります。今後は、原因の究明を待ってこの種事故の再発防止に万全を期するよう指導いたす所存であります。 なお、十八日も当該事故の影響により、合計三十一本の列車運休を行ないましたが、ダイヤは十五時ごろほぼ正常に戻りました。 以上、御報告いたします。 次に、帝都高速度交通東西線の車両故障による人身障害事故について御報告申し上げます。 五月十八日、十八時二千八分東西線行徳−浦安間において、国鉄乗り入れ車両の故障による人身障害事故が発生し、乗客に重傷者一名、軽傷者一名を出しましたことは、まことに遺憾に存じます。 この事故の原因は、この車両の床下に設けられた主電動機たわみ接手の側板が破損し、この破片が乗客に当たったものでありますが、なお、事故原因の詳細につきましては、鋭意調査をいたしております。 また、負傷された方には、医療、お見舞いについて誠意をもって当たるよう指導しております。 以上、事故報告を申し上げましたが、特に東西線のごとき事故は、いままで一度も経験されない事故でございます。三件については原因の究明に鋭意努力中でございますが、早期に原因を究明し、再び事故の発生しないよう、輸送機関としての国民の負託にこたえるよう、行政指導並びに努力をする所存でございます。
○小峯委員長 これにて説明は終わりました。 次回は、来たる二十三日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十九分散会