本会議 第7号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/10/28
会議録
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。 日程第一 外務大臣福田赳夫君問責決議案(西村関一君外四名発議)(委員会審査省略要求事件) 本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。 まず、発議者の趣旨説明を求めます。西村関一君。 ————————————— 〔西村関一君登壇、拍手〕
○西村関一君 私は、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党並びに第二院クラブ等野党各党各派を代表いたしまして、外務大臣福田赳夫君問責決議案を提案いたします。(拍手) まず、案文を朗読いたします。 外務大臣福田赳夫君問責決議(案) 本院は、外務大臣福田赳夫君を問責する。 右決議する。 理 由 「中華人民共和国の国連議席、安保理常任理事国議席回復・蒋政権追放の決議案」(いわゆるアルバニア案)が国連において採択されたことは、米国および日本が戦後二十年にわたって一貫してとつてきた「台湾政権が全中国を代表する唯一の正統政府である」とする虚構が完全に崩れ去り、その中国政策が全面的に破産したことを物語っている。このことは、佐藤内閣がとつてきた日本外交のあやまりであり、福田外務大臣の政治責任はきわめて重大である。 また福田外務大臣は、今国会において、日米共同声明にもとづいた「沖縄協定」の批准を強行しようとしている。これは、沖縄県民をはじめ、国民の要求する「核も基地もない全面返還」を無視して、基地の現状を固定化するもので断じて容認することはできない。 世界の大勢に逆行し、かかる一連の反動的な政策を押しすすめている福田外務大臣は、直ちに、その政治責任を明らかにすべきである。 これが本決議案を提出する理由である。 以上をもちまして本決議案を提案する理由はきわめて明白でありますが、少しくこれを補足したいと思います。 およそ政治に携わる者にとって最大の責務は正しい歴史観を持つことであり、歴史の流れを深く洞察し、適確に決断し行動することであります。特に今日のような変革期に処する外務大臣は、単なる外交技術にたけているということだけでなしに、多分に予言者的、先見者的性格を持ち、同時に、部下はもちろん国民が納得してついていけるような人物でなければなりません。私は、福田赳夫外務大臣が出現したとき、ある種の期待を持った者でありますが、まず、その外交方針演説を聞き、そこにはこの激動期に処する外務大臣としての抱負経綸の片りんさえ認めることができず、その期待は完全に裏切られました。はたして本気で外務大臣をやられる気があるんだろうかと疑わざるを得ませんでした。 また、今回の国連総会における中国代表権問題について政府のとった一連の態度は、まさに歴史の歯車を逆行させようとするものであり、醜態と言うのほかはありません。七十六対三十五という大差でアルバニア案が可決されたことは何を物語っているでありましょうか。私は、だれが一体日本の外交をじっくり考えているのか、外交の責任者外務大臣はいるのかいないのかと言わざるを得ません。系統的に組織的に外交政策の樹立が全くありません。常に場当たり的で、ばらばらで混乱しています。それは外務大臣が明確な指示方針を打ち出していないからであります。外務省には優秀な専門家もいないわけではありません。しかし、あなたが責任ある態度をとられなければ、部下は右往するばかりであります。一票や二票の僅少の差で負けたというならばまだしもでありますが、あのような大差で敗れたということは、何としてもあなたの読みが浅かったこと、大局を見誤ったことを率直にお認めになりませんでしょうか。しかも、何ゆえあなたは逆重要事項指定案や複合二重代表案の共同提案国に踏み切られたのですか。このために、あなたがどんなに日中外交に真正面から取り組むと言われても、中国側がおいそれと乗ってくるはずがありません。わが国の立場がますます困難な情勢に追い込まれる結果になったではありませんか。 福田外務大臣、あなたは、たとえ敗れたりとはいえ、わが国のとった一連の行動により国際信義を貫くことができたと言われるでありましょうが、それはしょせん大きな歴史の流れに目をつむり、蒋介石氏個人に対する個人信義、しいて言えば、大きな国際信義を忘れて、小さな国際信義に殉じたと言うのほかはありません。大中小の信義の中でどの信義が大であり小であるということを評価するのは政治家の任務であると思います。 ニクソン氏は、二度までキッシンジャー特別補佐官を北京に派遣し、彼自身の訪中に備えています。日本政府が国連の場で国府の立場を守るために狂奔している間に、米中接近は着々具体化していたことをあなたはよもや見落としておられますまい。佐藤内閣が口を開けば言われる日米パートナーシップ、日米相互理解、相互信頼などということは、最近の繊維交渉、ドルショック、ニクソン訪中の発表等のいきさつから見ても、日米の特殊関係などはもはや存在していないのも同然ではありませんか。ニクソン訪中放送直前に米当局はその内容を十九カ国に通告しております。日本はその十九カ国の一つであったにすぎないのであります。大事なときには相談してくれるという考えは間違いでありました。今度の国連における中国代表権問題についても、アメリカは、内心むしろ中華人民共和国が国連における唯一の中国代表権者となったことを喜んでいるのではないでしょうか。そうでなければ、ニクソン氏はどの顔をさげて北京まで行けるでしょうか。国連におけるあの歴史的な表決が終わったとき、米側の表情はきわめてさばさばしたものであったとの外電はまことに印象的でした。国連で国府擁護の主役を勇敢につとめたのは、アメリカではなくて日本でありました。衆議院で野党の同僚議員から、日本はまさしくピエロの役を演じさせられたと申されましたが、まことに悲しい道化役者であったと思わずにはおれません。(拍手) ニクソン大統領は、日本を置いとけぼりにして、みごとな政策転換をいたしました。そうせざるを得なかった原因は、ベトナムにおける軍事的失敗、わけてもラオス介入の惨敗、ベトナムにおける戦争犯罪と麻薬、また、国内における反戦運動の広がり、未曾有の失業率、ドル危機等々の条件がありましたが、特に、日本以外のほとんどすべての有力なアメリカの同盟国が国連からの中国締め出しに従わなくなってきたという情勢に対応して、中国接近に踏み切らざるを得なかったと思われます。 米中会談の中身は何人も予測することはできませんが、おそらく台湾問題と日米問題が重要な議題になるであろうことは、心ある者のひとしく感じているところであります。ベトナム問題については、中国は、インドシナ人民への連帯の約束を国際主義の任務として果たすに違いありますまい。中国は、おそらくベトナム民主共和国や南の革命臨時政府の側に立って、特に、去る七月一日に、南の革命臨時政府の首席代表ビン女史がパリ会談において提案いたしました七項目提案を支持し、ただ、どのようにして面目を保ちながらベトナムからアメリカが完全に手を引くかということを話し合うであろうと考えられます。 福田外務大臣、あなたは、何ゆえこの大きな歴史の転換期にあたって、わざわざ愛知揆一、福永健司両代議士を国連に特派してまで台湾政権の命脈をせいぜい一カ年だけ延ばすことに小手先の策を弄せられたのでありますか。結果は、申すまでもなく、日本を国際的に孤立させるようなことになってしまいました。あなたは、この大切な時期に時のしるしを見る明を欠き、中国と日本の恨みを後世にまで残す大きな過誤をおかし、内外の信用を失墜させるに至ったのであります。あなたの責任はまことに重大であると言わなければなりません。 福田外務大臣、あなたは、それらはみな佐藤総理の胸三寸でなされたことであると思っておられるかもしれません。あなたは、この前の衆議院予算委員会の答弁でも、総理との連絡が不十分であったことを率直に認め、遺憾の意を表しておられます。しかし、それでは外務大臣として失格であると言われてもしかたがないではありませんか。 私は、この間からの佐藤総理の国会答弁を聞きながら、いたずらに声ばかり大きく張り上げておられますが、ほんとうに補佐する者が一人もいない、閣内はぴったりと一つになっていない、総理は孤立しているんだなあという、何かうつろな感じがしてなりませんでした。(拍手) 福田外務大臣、私は明治二十一年ごろ、かの黒田清隆内閣のとき、大隈重信外相の活躍について思い起こさずにはおられません。大隈外相は、当時の駐米公使陸奥宗光と通じ、ときに黒田首相を乗り越えて、伊藤博文枢密院議長の反対を押し切って条約改正に挺身し、わが国外交の進路を開かれたことは、あなたもよく御承知のところでございます。大隈外相はその際、外務省正門前で暴漢に襲われ、爆弾を投げつけられ、片足を失なわれたことも周知のところであります。 福田外務大臣、次期総理を目ざしておられるあなたとして、大隈外相以上の気魄を持って佐藤首相をリードし、補佐し、この重大な転換期における日本の進路を誤らしめないように懸命な努力をしてほしかったと思う者は私一人ではございますまい。(拍手) 国連は、ここに新たに中華人民共和国を迎えて、いままでの変態的な大国中心の状態から脱却し、国連本来の普遍性に立つ世界平和の唯一の国際機構として脱皮しようとしています。この重大な時期にあたって、あなたは日本の外務大臣として、日本が世界無比といわれる平和憲法を持ち、真の世界平和と国際的連帯と、世界を一つに結ぶ日本外交のみごとな展開をすべき絶好のチャンスを失われました。また日本は、おそらく中華人民共和国を承認する世界の最後の国になるかもしれません。あなたは、日本のためにも、世界諸国、諸民族のためにも重大なあやまちをおかされました。 私は、清潔な政治家福田赳夫君のためにこれを惜しむものであります。政治家は出処進退が大切であります。あなたは、この際、いさぎよく外務大臣の職を辞し、その不明を天下に謝すべきであります。 以上、私は福田外相問責決議案の提案趣旨説明を終わります。(拍手)
○議長(河野謙三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山本利壽君。 〔山本利壽君登壇、拍手〕
○山本利壽君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております福田外務大臣問責決議案に対して、反対の意見を申し上げます。(拍手) 決議案文並びに趣旨説明による問題の要点の一つは、福田外務大臣が世界の大勢に逆行して中華民国政府支持の政策をとり続け外交政策の転換をなし得なかったということであります。 およそ民主主義政治の基本とするところは、世論に耳を傾けるということであります。そこで、わが自由民主党及び政府は、NHKその他各新聞社が行ないました世論調査の結果も参考にし、かつ、世界の大勢を見て、中国に対する政策の大転換を行なったのであります。中国を国連に迎え入れ、しかも安保常任理事国の席を与えようという態度をとったのであります。しかして、逆重要事項指定決議案と複合二重代表制決議案の共同提案国になった問題でありますが、これはもちろん国民政府の議席を擁護しようとの計らいであります。 NHKが、いま開かれておる国連総会での中国代表権問題について関心を持っておるという人々について調査を行ないましたところ、中国を招き国民政府を追放すべしというものは一六%であります。現状のまま国民政府の議席を残し中国は招かないというもの五・六%であります。中国と国民政府両方に議席を与えよというもの実に六七・九%となっておるのであります。かような世論を尊重いたしまして佐藤総理はあの方針を決定し、福田外務大臣はこれに基づいて最大の努力を払われたのであります。われわれとしてはその労を多とするものであります。あの段階において、もし外務大臣が外交政策を転換するとすれば、中国の国連加入を拒否せよという、反対に戻るわけでありまして、まさに歴史の歯車を逆転させるということになるではありませんか。中には、国連において多数派工作をしたのはけしからぬとの声もありますが、日本の信ずるところをできるだけ多くの国々に伝え、できるだけ多くの同調者を得たいと望むことは、外交上当然のことであって、何ら非難すべきことではありません。 国内世論は別として、世界の大勢を見あやまったという点でありますが、野党の諸君のことばを聞けば、日本と米国を含む少数の国家を除いてほとんどすべての国々が反対したかのように聞こえるのであります。しかし、票数は五十五対五十九で、わずかに四票の差でありました。事前においては容易にその結果は予測できない程度のものでございます。しかも、わが国は、国連における決議は尊重して、今後はその線に沿って行動すると言っておるのでありますから、これほど民主的な態度はないと考えるものであります。福田外務大臣は就任いまだ早々でございますけれども、これから福田外務大臣の任務は、いかにして中国と親善を結び得るか、そういう点について今度の国連における決議案に従って堂々の陣を張っていくことが福田外務大臣の任務であるとわれわれは考えるのであります。 わが国が最後まで国民政府擁護に努力いたしましたことは、国民政府に対してのみならず、あの案に同調した五十数カ国及び反対投票した国々に対しても、日本は国際信義を守る国であるとの強い印象を与えたものと考えます。負けそうだからあちらにうろうろしようというようなことは国際信義にそむくものとわれわれは考えます。 日本と国民政府との間には日華平和条約が締結されております。この条約はわが国の国会で審議を尽くし可決、批准されたものであり、その条約に基づいて今日まで長年にわたって国交を維持し、友好関係を保ってきたものでありますから、無視するわけにはまいりません。国際条約に対してその破棄を軽々に云々するがごときは、国会の決議そのものを軽んずる態度と言わなければなりません。わが国の憲法第九十八条二項にも「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とあります。憲法は、自分に都合のよいところだけを拾い読みすべきものではございません。 次の問題点は、沖繩返還協定が不満足であるから外務大臣は責任をとって辞職せよということであります。 沖繩返還協定については、現にそのための臨時国会が開かれておるわけでございます。十二月二十四日まで時間をかけて十分に審議され、外務大臣とも質疑応答があるわけでありまして、質疑も始まらない前から問責とはわれわれは納得がいかないのであります。 最後に、今後わが国の外交問題を考えますときに、通貨の問題、未開発国援助の問題、資源獲得の問題、貿易の問題等経済関係の事柄が多いのでございまして、この際、わが国の外務大臣たる者は、経済的に豊かな知識を持ち、高い識見を持っておる人でなければなりません。その点から申しまして、福田外務大臣こそ、なくてはならぬ人材と考えるのであります。経済的に国益ということを考える場合に、与野党こぞって支持すべき大臣でありまして、問責し退陣を迫るがごとき決議案には、われわれは絶対に同調し得ないのでございます。 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手) —————————————
○議長(河野謙三君) 藤原房雄君。 〔藤原房雄君登壇、拍手〕
○藤原房雄君 私は、社会、公明、民社、二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題になっております福田外務大臣問責決議案に賛成の討論を行なうものであります。(拍手) 政府がアメリカに同調して提案した逆重要事項指定決議案は否決、引き続いて、中華人民共和国の国連復帰と台湾追放を是とするアルバニア決議案が、日米両国の執拗な多数派工作にもかかわらず、七十六対三十五の圧倒的多数で可決されました。わき上がる拍手と大喚声は、国連総会の議場にどよめき、また一方、衆議院予算委員会における佐藤総理のぶ然たるまなざし、あるいは福田外相の蒼白な面持ちとはあまりにも対照的であったのであります。これこそまさに新しい世界の歴史の開幕を告げる一瞬とも言えるのであります。(拍手) 内政外交を問わず、およそ政治に肝要なことは、冷静な情勢分析とそれに基づく的確な予見であります。政府がすでに国際外交の常識ともなっていたこの情勢変化をくみ取れず、いたずらに虚構の上に立った日台条約に固執し、世界の孤児への道を選んだことは、この上ない失政であります。(拍手) すでに明らかなように、戦後二十数年にわたるわが国の歴代保守党内閣の外交姿勢は、アジアにおける対中国敵視政策であり、アメリカ追随外交そのものでありました。すなわち、国連においては、五〇年代のいわゆる中国たな上げ方式、六〇年代の重要事項方式に加担するなど、アジアの緊張緩和に逆行する結果を招いていったのであります。 佐藤内閣もまたそのとおりでありました。さきの佐藤・ニクソン共同声明、沖繩返還協定、あるいは第四次防の策定など、一連の中国敵視政策をとり続け、国連においては、昨年までの重要事項方式、さらには本年の逆重要事項指定方式にアメリカとともに共同提案国になるなど、終始中国の国連における正当な権利の回復を妨害してきたのであります。 このように、戦後二十六年間、日台条約という不法、不当な虚構の上でしか法的戦争状態を終結できなかった自民党外交は、アジアの平和と安全にビジョンと自主性を持たぬ単なる思いつき外交、追随外交の歴史であったと言わなければなりません。(拍手) 佐藤総理は、かつて、「沖繩が返らなければ日本の戦後は終わらない」とのことばを残したのでありますが、そのことばは、わが国においては、「中国問題が終わらなければ日本の戦後は終わらない」と置きかえるべきであったのであります。それほど中国、すなわち中華人民共和国との国交回復は、戦後日本最大の課題であります。いまや、国連においてアルバニア案が圧倒的多数をもって可決されたということは、これら対米追随の中国敵視政策が、政府の努力ではなくして、国際世論の中に全面的な崩壊を意味するものであります。また、それは佐藤内閣自身の外交政策の全面崩壊であり、その直接的実行担当者である福田外相の責任は、断じて看過することはできないのであります。(拍手) すなわち、今回の国連総会において日本代表団は、福田外相の指揮のもとに、なりふりかまわない多数派工作を展開して世界のひんしゅくを買ったのは周知の事実であります。しかも、国連の表決に敗れ、孤立化への危険性を招くに至った外相は、当然責任を負い、国民の前に深くこうべをたれるべきであります。この一点だけでも、議題となっております福田外相問責決議に該当して余りあるものと言わなければなりません。(拍手) さらに問題は、このような国連での歴史的な表決にもかかわらず依然として頑迷な政府の態度についてであります。政府は、表面は、国連の表決に従う、中国は一つであると言いながら、他方では、台湾政府を従来どおり中華人民共和国と区別して、日台関係をそのまま持続しようとする姿勢を見せていることであります。それは詭弁であり、はなはだしい自己矛盾であり、国民を愚弄する以外の何ものでもないと言わざるを得ないのであります。しかも福田外相は、敗軍の将、兵を語らずなどと、この表決を対岸の火災を見るがごとき態度で臨み、特に逆重要事項指定方式に提案国となったことについてその不明を反省するどころか、日本は国際信義に厚いとの評判を高くしたなどと広言するに至っては、まさに言語道断であります。もともとわが国外交の基本原則は国連中心主義であり、福田外相もしばしばその言を用いたのであります。また、問題の日台条約第六条にも、「日本国及び中華民国は、相互の関係において、国際連合憲章第二条の原則を指針とするものとする」となっており、国連憲章の原則に従って協力することがうたわれているのであります。しかも政府は、今回の国連の意思決定を尊重すると言明したのであります。もはや事態は明白であります。すでに台湾は国際世論のもとに国連から追放されたのであり、中華人民共和国が中国の代表として国連におけるその正当な権利を回復した以上、日台条約は何ら効力を持たないことになり、政府、特に福田外相は、その軌道に沿っての外交施策を担当すべきであります。福田外相は、国連の表決における七十六対三十五という厳粛な事実を何と理解しているのか。事態を冷静に、謙虚に、もってわが国外交を本来の道に戻すべき決意を欠いていると言わなければならないのであります。ここにもまた福田外相を問責すべき理由があるのであります。 さらに福田外相は、今国会において、佐藤・ニクソン共同声明に基づく日米安保条約のアジア核安保という、実質的改定を意味する沖繩返還協定の批准を強行しようとしているのであります。すなわち、この欺瞞に満ちた沖繩返還協定による日米安保の実質的改定は、佐藤・ニクソン共同声明が、韓国の安全は日本の安全にとって重要とか、また、台湾地域の安全は日本の安全にとってきわめて重要と言っていることにも明らかなように、日本を再びアジアに対する侵略的軍事国家に仕立て上げようとするものであります。このことは、核も基地もない沖繩の即時全面返還という沖繩県民並びに本土の国民全体の要求を踏みにじるものと言わなければなりません。日本の一部である沖繩が祖国復帰するにあたって、無条件で全面返還さるべきことは当然であります。にもかかわらず、このような核つき基地つき、アジアの緊張激化をもたらす沖繩返還協定をもって核抜き本土並みと宣言するがごとき欺瞞的な態度は、国民の名において断じて糾弾されなければなりません。また、この協定は、日中国交回復の国民の要望に逆行することは火を見るよりも明らかであります。したがって、返還交渉をやり直すべきであるとの、わが党はじめ社会、民社各党の要求は、全国民はもとより、沖繩県民の切実なる声であります。批准強行を策するなどはもってのほかであり、担当者たる福田外相の独善的、あるいはその失態、これに過ぎるものはありません。福田外相の猛省を促すゆえんであります。 以上、私は、当面する、しかも、日本の外交の転機とも言うべき重要な外交課題に対する福田外相の責任についてその一端に言及してまいったわけであります。 いまや、残された唯一の選択は、従来の方針の誤りを率直に認め、さきの日中議連の日中国交回復に関する四原則に基づくすみやかなる日中国交回復への努力、あるいは沖繩返還交渉のやり直しを決断すべきであります。わが国が、平和憲法のもと、世界平和の実現と人類の繁栄のために自主的かつ積極的努力を展開すべきときを迎えている今日、このような失政を推し進めてきた福田外相の政治責任はきわめて重大であり、ここに福田外務大臣問責決議案に賛成するものであります。 以上をもって本案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。 これより本案の採決をいたします。 表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。 〔議場閉鎖〕 〔参事氏名を点呼〕 〔投票執行〕
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。 〔投票箱閉鎖〕
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。 〔議場開鎖〕 〔参事投票を計算〕
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十八票 白色票 百六票 青色票 百三十二票 〔拍手〕 よって、外務大臣福田赳夫君問責決議案は否決されました。(拍手) —————・————— 〔参照〕 賛成者(白色票)氏名 百六名 塩出 啓典君 喜屋武眞榮君 野末 和彦君 内田 善利君 藤原 房雄君 栗林 卓司君 藤井 恒男君 中村 利次君 青島 幸男君 原田 立君 中尾 辰義君 木島 則夫君 柴田利右エ門君 上林繁次郎君 矢追 秀彦君 三木 忠雄君 阿部 憲一君 萩原幽香子君 峯山 昭範君 田代富士男君 柏原 ヤス君 黒柳 明君 田渕 哲也君 中沢伊登子君 沢田 実君 山田 徹一君 宮崎 正義君 向井 長年君 高山 恒雄君 渋谷 邦彦君 二宮 文造君 多田 省吾君 白木義一郎君 小平 芳平君 中村 正雄君 村尾 重雄君 伊部 真君 田 英夫君 工藤 良平君 戸田 菊雄君 前川 旦君 沢田 政治君 杉山善太郎君 田中寿美子君 松永 忠二君 森中 守義君 野上 元君 西村 関一君 中村 英男君 阿具根 登君 森 元治郎君 瀬谷 英行君 羽生 三七君 加藤シヅエ君 藤原 道子君 鶴園 哲夫君 鈴木 強君 片岡 勝治君 辻 一彦君 佐々木静子君 須原 昭二君 加藤 進君 水口 宏三君 小谷 守君 神沢 浄君 鈴木美枝子君 宮之原貞光君 小笠原貞子君 杉原 一雄君 竹田 四郎君 安永 英雄君 松本 英一君 和田 静夫君 塚田 大願君 大橋 和孝君 川村 清一君 中村 波男君 鈴木 力君 森 勝治君 村田 秀三君 山崎 昇君 星野 力君 林 虎雄君 佐野 芳雄君 松本 賢一君 茜ケ久保重光君 松井 誠君 渡辺 武君 須藤 五郎君 矢山 有作君 占部 秀男君 横川 正市君 小柳 勇君 戸叶 武君 河田 賢治君 岩間 正男君 加瀬 完君 吉田忠三郎君 小野 明君 田中 一君 足鹿 覺君 成瀬 幡治君 藤田 進君 秋山 長造君 野坂 參三君 春日 正一君 ————————————— 反対者(青色票)氏名 百三十二名 久次米健太郎君 亀井 善彰君 川上 為治君 熊谷太三郎君 温水 三郎君 濱田 幸雄君 森 八三一君 小山邦太郎君 棚辺 四郎君 中村 禎二君 橋本 繁蔵君 原 文兵衛君 桧垣徳太郎君 志村 愛子君 竹内 藤男君 高橋 邦雄君 柴立 芳文君 古賀雷四郎君 黒住 忠行君 小林 国司君 今 春聴君 大松 博文君 玉置 猛夫君 永野 鎮雄君 山崎 五郎君 石原慎太郎君 長田 裕二君 菅野 儀作君 石本 茂君 佐田 一郎君 鬼丸 勝之君 安田 隆明君 藤田 正明君 源田 実君 長谷川 仁君 二木 謙吾君 河口 陽一君 木村 睦男君 土屋 義彦君 中村喜四郎君 栗原 祐幸君 木島 義夫君 米田 正文君 津島 文治君 徳永 正利君 丸茂 重貞君 平島 敏夫君 江藤 智君 鍋島 直紹君 新谷寅三郎君 植竹 春彦君 木内 四郎君 杉原 荒太君 上原 正吉君 松平 勇雄君 郡 祐一君 古池 信三君 重宗 雄三君 細川 護煕君 岩動 道行君 上田 稔君 佐藤 隆君 中山 太郎君 川野 辺静君 河本嘉久蔵君 金井 元彦君 片山 正英君 梶木 又三君 岩本 政一君 若林 正武君 長屋 茂君 増田 盛君 矢野 登君 山本敬三郎君 渡辺一太郎君 鈴木 省吾君 山崎 竜男君 高田 浩運君 佐藤 一郎君 中津井 真君 寺本 廣作君 久保田藤麿君 園田 清充君 鹿島 俊雄君 植木 光教君 玉置 和郎君 町村 金五君 橘直 治君 高橋文五郎君 大森 久司君 岡本 悟君 吉武 恵市君 大谷藤之助君 塚田十一郎君 小笠 公韶君 前田佳都男君 堀本 宜実君 柴田 栄君 大竹平八郎君 平井 太郎君 剱木 亨弘君 青木 一男君 迫水 久常君 西田 信一君 増原 恵吉君 赤間 文三君 斎藤 昇君 林田悠紀夫君 船田 譲君 今泉 正二君 嶋崎 均君 稲嶺 一郎君 世耕 政隆君 初村滝一郎君 星野 重次君 山本茂一郎君 山内 一郎君 柳田桃太郎君 宮崎 正雄君 楠 正俊君 高橋雄之助君 内藤誉三郎君 西村 尚治君 後藤 義隆君 伊藤 五郎君 白井 勇君 小枝 一雄君 平泉 渉君 田口長治郎君 八木 一郎君 山本 利壽君 山下 春江君 —————・—————
○議長(河野謙三君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時九分散会