大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 296 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1971/11/16
会議録
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、栗原祐幸君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君が選任されました。 —————————————
○委員長(前田佳都男君) それでは前回に引き続き「所得税法の一部を改正する法律案」及び「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」を便宜一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
○栗林卓司君 なるべく簡潔に伺います。 きょうは、今後の物価動向と租税政策といった問題を中心にして、二、三伺いたいと思います。 伺う前に、考え方の一つの例として繊維を取り上げながら申し上げてみたいと思いますが、この総理府が出している「世論調査」という雑誌の中を見ますと、物価上昇が生活程度にどのような影響を持っているんだろうかという調査があります。中を見ますと、物価上昇によって生活を切り詰めなければならないということに多くの答えを出したのが、生活程度が下だという人たちであります。上に行くに従って、生活を切り詰めるという必要度が薄くなっております。これはまあこの調査を見るまでもなく、常識論からいってそういうことだと思います。じゃ一体何を切り詰めるのかというと、これはちょうど日銀が出した資料ですけれども、貯蓄に関する世論調査というものを見ますと、これは所得階層のいかんにかかわらず、物価上昇によって何を一体最初に切り詰めるかというときに、一番多いのが、実は衣料費なんです。衣服代です。まあそのほかいろいろありますし、所得階層のいかんにかかわらずとは言いながら、所得が低ければ低いほどその衣服に対する切り詰めの度合いが激しくなる。これはその資料を見るまでもなく、通常想定ができる条件だと思います。そういうものと繊維問題をつなげて考えますと、物価上昇が年々続いてくる内需についての伸び悩みという実情があり、そういう中で、産業の一つのはけ口というものを対米貿易を中心にして輸出に見出し、その結果が先日の日米繊維交渉ということで帰着をした。そうなると、これから繊維産業をどうやって建て直しをしていったらいいのだろうかというと、新しい内需の喚起ということを考えなければなりません。そうすると、先ほど来の物価上昇の生活への切り詰め度合いということから考えても、かりに一つ繊維ということを例にとっても、具体的な政策というものは物価を引き下げるか、あるいは可処分所得を増大させるか、手近な政策としてはそのいずれか、あるいは両方かということになると思います。こういった観点から、実は今後の物価動向について、これは企画庁のほうに御判断を伺いたいと思うのです。 前回の委員会でも、来年度の物価上昇が何%になるかということはお尋ねしましたし、お答えもありました。ただそうはいっても、なかなか見通しと実績とは合いませんし、政府の見通しに対して物価上昇が大きかったことがこれまでの問題ですから、その意味で何%かということをやめて、要因別の少し御判断を伺いたいと思います。 最初の一つは、ことし、来年にかけて、公債発行を背景にして公共投資を大幅に実施をするということが言われておりますけれども、この公共投資というのは今後の物価動向についてどういう影響、作用を持っているのか、企画庁の御判断を伺いたいと思います。
○政府委員(宮崎仁君) 御承知のように、当面の物価情勢ということになりますと、なかなか思うようにならないというのが正直のところでございますし、いろいろわれわれも苦心をいたしておるわけでございまするが、いま問題になっております補正予算あるいはこれを中心といたします景気振興策ということに対しては、私どもは物価の観点から見ても、これはやはり進めなければならないと思っておるわけでございます。といいますのは、御承知のように、現在において供給能力というものは非常に余裕がある、そうして、そういう観点からむしろ落ち込み過ぎる可能性というものが非常に強くて、現在の措置がとられておるわけでございます。あまりに急速な落ち込みがあるということになりますと、御承知のようにスタグフレーションというような問題が起こってまいりますし、どうしても生産のほうの落ち込みがかなりありますから、コストプッシュということからくる影響が出てまいりまして、物価に対しては急速な落ち込みはかえって悪影響がある。われわれのほうは、いわばなるべくこう安定した形で運転をしていただくことが一番望ましいと、こう思っておるわけでございます。そういう見地でございますので、当面の景気振興策はやはり必要である、これは進めなければならないと思っておるわけでございます。 いまお尋ねの公共投資ということにつきましては、そういった形で政府は景気振興策をするとすれば、やはり最も弾力性があり、また需要の喚起効果もある公共投資という面に金を投じていただくということは重要である、それは必要じゃないかと思います。 ただこの際、私どもとして希望いたしておりまして、またある程度やっていただこうと思いますのは、いわゆる物価の関係では、構造政策ということが重要でございます。特に農業とか中小企業のような低生産性部門、こういうものについての投資とかあるいは流通関係とか、そういうことに対して従来ともいろいろ財政を通じ、あるいは財政投融資を通じて資金が投ぜられておりますが、公共投資という面で今後やっていただくについては、ぜひそういった物価に直接効果のあるような面にできるだけ資金をさいてもらいたい。補正予算の段階では、何ぶんにも時間もございませんし、当面実施できることをできるだけ取り上げるというたてまえであったものでございますから、私どものほうの希望といってもあまりいれていただけなかったわけでございますが、来年度に関しては、ぜひそういった点を取り上げていただこうと思っていろいろいまお話もいたしておるわけでございます。
○栗林卓司君 いまの物価対策の質問あとであらためてするとしまして、公共投資が、社会資本の充実ということが一つの重点的な目標だといわれております。そういう中で、土地価格というものをひとつ考えてみると、社会資本充実たいへんけっこうなんですが、公共投資を急速に進めるということは、土地価格をさらに引き上げる作用が出てくるのではないか。そうすると、その面から片方の構造対策は別として、公共投資が結果として物価引き上げ要因につながってくるという危険性はあるように思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(宮崎仁君) 御承知のように地価という問題、非常にこれこの十年来の問題でございまして、大問題でございますが、やはりこれもある程度景気との関係を持つようでございまして、四十年度の際も地価の上昇率は若干落ちましたけれども、最近の不況感によりまして現在地価の上昇率は若干落ち着きぎみという状況でございます。私どもはこういう傾向というものを生かして、この際何か強力な地価対策を打てないかということをいま検討いたしておりますが、一方で公共投資をふやしていくということになれば、土地の需要がございますから、これは若干地価の上昇に効果をもたらす理屈でございますけれども、しかし、いままでのむしろ地価の上昇傾向というようなことから見ていただくとわかりますように、やはり経済全体が高い成長を遂げていくというような形の際に、地価の上昇というのは、これはそれに応じて上がっていくという形をとっておったわけでございまして、そういう形ではここ当面この不況を脱するまでの間において、地価の上昇というのが従来ほど、年率二割というような上がり方をすることはまずなかろうと思っております。むしろ私どもとしては、この際公共団体等を通じて、先行取得というような形でできるだけひとつ確保していくというようなことがむしろ現在の政策としては必要だし、いいのではないかというような考え方でございます。
○栗林卓司君 公共料金ということで、これは主計局になるかもしれませんけれども、見通しを伺いたい。おいでになっておりますか。——それでは企画庁に伺います。 公共料金について、では、今後どう見通したらいいか、これはこうあるべきだという御議論は別にしまして、現在それぞれが累積赤字をかかえている三K赤字の問題をはじめとして、来年度の予算編成にからんでこれがどうなるかということがいま大きな関心を集めているわけですけれども、当面、これからの見通しとして、この公共料金というのは引き上げの方向に向かうのか、あるいは鎮静するのか、あるいは下回るのか、この辺の見通しというのはどうでしょうか。
○政府委員(宮崎仁君) これは、総理あるいは経済企画庁長官もほかの委員会でお答えをいただいておりますように、公共料金についてこれは政府が厳に抑制をしていくという方針は堅持するたてまえでございます。 御指摘のように、当面公共料金で改定を迫られておるものがいろいろございます。来年度予算と関係ないものとしては、タクシーの料金、あるいは東京都のバス、さらに営団の地下鉄というような問題がございますが、これらにつきましては、われわれのほうとしても検討いたしておりますけれども、やはりそれぞれごとの事情に応じて考えていかなければならないと思っております。たとえばタクシーのようなものについてみますると、昨年値上げしたばかりでございますから、いま改定をするということは非常に問題でございますけれども、しかし、経営の実態から見ると、どうもこのまま放置もできないということで、御承知のようにいまこれをどういうふうに考えたらいいだろうかということについて、経済企画庁で物価安定政策会議の中に委員会をつくって、公平な第三者と思われるような方々に委員になっていただきましてフリーに議論をしていただくその結果を尊重して考えていくと、こういうようなことを考えております。 それから御指摘の、四十七年度予算に関連しての問題、これはまあ三Kといわれるような大きな問題から、航空運賃の問題とかその他ございます、議論になっておるものは。ただ私どもが聞いております限りでは、こういう問題について来年度の値上げをするということで要求をしておるというふうには聞いておらないわけでございます。 たとえば、国鉄の問題、これは非常に大きな問題でございますが、一体どういうふうに持っていくのか。確かに赤字が相当の額に達しておりますから、財政で全部埋めていただければけっこうでございますが、おのずから筋もございましょう。それから合理化といっても、これも限度があるかもしれない。そういうことから料金の引き上げが問題になるのではないか、こういう感じも私ども持っておりまして、いろいろの面から検討いたしております。おりますけれども、やはりむしろ料金問題ということは、財政の手当てなり、合理化なり、それが十分行なわれた後に、なおかつどうしてもやむを得ないということになるのかどうか。それが来年度であるのかどうか。御承知のように、すでにつくられておる再建計画では、四十八年度に値上げの予定になっております。四十七年度ではない。そういうようなこともございますし、ほかの、米あるいは医療費の問題いろいろございましょうけれども、まだ正式に値上げをどうしようかというようなことが問題になったことはございません。私どもとしては、予算編成過程あるいはその後を通じまして、できるだけただいま申しましたような基本的な方針ということを守りながらこの問題に対処していきたい、こう考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 続けて物価についてあと二点伺いたいのですが、卸売り物価について、これはこれまでほぼ横ばいに近い形で推移してまいりましたけれども、これから経済が伸び悩む背景の中で、今後どんな動向をたどるのか御意見を伺いたいと思います。 そのときに一つの、含めてお答えいただきたいのは、賃金、労働条件というものを考えてみると、片方では程度の判定は別として、物価が上がってまいります。それに対する直接の国民一人一人の対応というものは賃金を当然上げろということになりますし、その面から賃金を上げる力が出てまいります。一方では今日の国際経済社会の中で、日本の労働条件、賃金水準というのが、国際水準にあるのかないのかという議論は今後さらに高まってくると思います。その両面から、賃金は片方では経済の伸び悩みという背景をかかえながら上がっていくべき性格を強めてくると思います。また片方では公害対策という問題があります。これも国内の要因と同時に、今日の国際経済社会の中で公害費用は当然企業負担をすべきだという外からの主張もあわせて強まってくると思いますし、そういったものとのかね合いで卸売り物価は今後どんな動向になるのか、御判断を伺いたい。
○政府委員(宮崎仁君) 御承知のように、この三カ月ほど卸売り物価は低落をいたしております。特に十月の卸売り物価が対前月で〇・五%の低落ということで、非常に大きな幅の低落になっております。これは不況の影響が相当深刻に出ておる、市況商品と言っておりますが、鉄鋼とか、その他非鉄金属とか、市況によって動きますものが二%程度の低落という非常に大きな下落をいたしております。こういうことから見まして、おそらく年度間の卸売り物価としても前年度に比べてかなり下がるのではないか、こう見ております。先般、十月に発表いたしました経済企画庁の経済見通し暫定改訂試算というものでは、当初見通しが一%というものであったものを、マイナス〇・四%程度に直しておりますが、そういった形に一応いま考えておるということでございます。御承知のように卸売り物価はかなり景気感応的でございます。そういう形から見まして、この不況を脱するまでの間、かなり低迷するのではないだろうか、こういうふうに私は見ております。 ところで賃金との関係という問題でございますが、卸売り物価と賃金というような直接の関係というのはなかなかむずかしゅうございますが、しかし、卸売り物価が低迷しておるということは、言ってみればそういったことに関連しておる企業の収益、採算というものが相当やはり悪くなるんだということを意味することになると思います。そういうことで、現在でもいろいろ、九月の決算、さらにその先の問題等についていろいろ見通しが言われておりますけれども、かなり企業の状況は悪いのではないかということが言われます。そういうことから見まして、賃金の水準ということをとりましても、やはりある程度そういったことが影響するのではないか。 四十年度不況の際の数字その他見ましても、わが国の場合ではまだ相当そこには弾力性があると見られております。ただそうは言いながら、一方ではやはり相当雇用の面は現在少しゆるんだとはいいながら、完全雇用的でございますから、やはり賃金の下方硬直性ということはあるであろう。そういったことから見まして、たとえば、来年の春闘はどのくらいになるだろうかということについてはいろいろ見通しがございます。少なくとも今年度の一六%とか、そういった数字は、まあ来年度はないと思われますが、といって、さらに一けた下げてしまうのかというとそうもいかぬのかもしれない。その辺がいろいろ議論のあるところでございましょうが、私どもといたしましては、やはり賃金の問題についてみましても、そう急速な低落ということはあり得ないのではないだろうか、こういう感じを持っております。またこれがあまり硬直的で下がらないということになりますと、これは当然生産性との関係で物価の押し上げになってまいります、コスト・プッシュという問題になってまいります。そういう事態がほんとうに生じてくるとなれば、いろいろ問題になっておりますスタグフレーションというような議論も出てまいりましょうし、あるいは所得政策論というようなことが非常に強くなるということも考えられるわけでございますが、まあ当面の私どもの考えといたしましては、若干景気感応的に賃金の上昇率は鈍るであろうけれども、そんなには下がらないのではないだろうかという感じを持っております。 公害対策の関係もお話がございましたが、これは企業収益にとってみれば、やはりどちらかというと悪くなるほうの要素でございましょうけれども、しかし、民間設備投資が非常に落ち込んでおるという現在の状況から見ますれば、一方からいけば公害対策ということをやれるチャンスではあるわけでございます。何かそういうことで政策的にこれを推し進めていただくというようなことができますると非常にいいのではないか、これも若干私見になりますけれども、私そういうふうに考えております。
○栗林卓司君 国際金融局長おいでなんで、ひとつ伺いたいのですが、この賃金と公害問題、ウイリアムズ報告の中にも出てまいっておりましたし、これまでの通貨調整問題の対外折衝の中で出てきた話題だと思います。現在以降、これから日本が直面していく大きな条件の変化というものは、これまでは国内の中あるいは企業体の中で判断していけば大かたのものが済んだのだけれども、これからは国際社会との見合いというものを考えながら国内の問題を考えていかざるを得ない、そういう立場に立っておると思います。片方では、いま企画庁からお話があったように、企業収益が落ち込んでくる、景気が悪くなる、この国内要因と直接関係なしに、外国のほうから、賃金の国際水準化、労働条件の国際水準化ないしは公害対策の国際水準化ということを求められてきておる。これを果たしていくことが結局輸出立国の日本の政策をささえていくことになると思いますが、その辺の御判断はいかがでしょうか。
○政府委員(稲村光一君) ただいま先生御指摘のとおり、今後の国際金融関係の調整の問題につきましては、いままでのように、ただその国が、何と申しますか、その国だけのことを考えて輸出なりなんなりを続けていくということはなかなか通りがたくなっていくのではないか。 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 その意味におきまして、やはり公害対策その他これは当然別にOECD等におきましても、一応そういうようなものの国際的な話し合いと申しますものも進んでおるようでございますが、それにいたしましても、やはり国際的観点に立ちまして公害対策あるいは賃金の水準というものもすでに従来からの問題になっておりますけれども、これからはますますそういうことが大きな要素になっていくのではないかというふうに考えております。
○栗林卓司君 先の見通しに関することなんで、これ以上議論はやめますけれども、最後に企画庁にひとつ伺いたいのは、スタグフレーションに、あるいはスタグフレーションといわれる実態に近いものにすでに日本は入りつつあるのでしょうか、それともまだ入っていないと判断されておるのか、お伺いいたします。
○政府委員(宮崎仁君) この議論もいろいろございますけれども、私どもの判断といたしますると、やはり卸売り物価というものがこういうふうに非常にまだ景気感応的で弾力的に動いておる、景気が悪くなってまいりますと下がるという状況でございまして、これはアメリカとか、あるいはイギリスのようなスタグフレーションの問題になっておる国とはだいぶ事情が違います。こういう状況から見まして、いわゆるアメリカやイギリス型のスタグフレーションという事態ではない、こういうふうに考えております。ただ現在の事態が今後どう動くかということになると、先ほど申しましたように、あまり楽観はしておれない要素もあるというふうに考えておりまして、これからの景気政策がかなりむずかしくなるのではないかと思っておる次第でございます。
○栗林卓司君 今後ヨーロッパ型のスタグフレーションになるかどうか、これは今後の政策もあわせて議論がある点だと思いますけれども、ただ、いまお答えになったように、そういう危険性が強いということは、これは否定できないと思います。で、そういう経済の動きに対して、これは主税局長に伺いたいんですが、現在スタグフレーションということで、景気停滞下の物価高ということが心配され始め、しかも、国際化時代の中で日本の国内要因と直接関係がない海外のいろんな要請にこたえながら原価の面も変わっていくということになりますと、スタグフレーションに対する危険度が増してきたと言わざるを得ません。この事実を直視した上で対策を立てていかなければいかぬのではないかと思いますが、その物価高ということに着目して、今後の所得減税というものについて、たとえば、四十七年度の所得減税は、歳入歳出をはかってみると、余地がない、あるとしても小幅だというお答えが従前からあったんですけれども、歳入歳出をはかってみると、余地がない、だから、所得減税はこうなんだという取り組みが、これから正しいのかどうか。片方では物価高という実態があり、今日では税制が経済政策の重要な柱にもなってきたということから考えると、政策的にまず所得減税を大幅にしなければいけない、そのための歳入歳出のはかり方をどうするかというように、ものの考え方が逆になってこなければいけないと思いますが、その点の御判断いかがでしょう。
○政府委員(高木文雄君) 所得税に限らず、まあ税制一般でございますが、常に二つのサイドから見なければいけませんので、ただいまおっしゃいましたように、所得税でいえば、所得税制自体の問題としてどうあるべきか、特にそのときの経済事情なり何なりに対応してどうあるべきかということが一方において考えられ、一方において、あくまで歳入調達手段でございますから、そのときそのときの歳入歳出の見通し、それからそのときの全体としての財政政策との関連において考えられなければならないという二面性を持っていることは言うまでもないわけでございます。 で、先般来申し上げておりますように、来年度の財政の編成は非常にむずかしい状態になっておる。相当多額の公債を発行するといたしましても、なおかつ今回のような非常な落ち込みに対応するための、いわば景気振興策をとるのには、相当の公債の発行を要請されるであろう。しかも、財政体質という点からまいりまして、将来のことを全く考えずに現在時点だけのことで問題を処理するわけにもいかないという角度から申しますと、税収という面から見ました場合に、所得税に限りませず、どの税目につきましてもあまり多くの減税ということを期待をするということは、なかなかむずかしいんじゃないかという感じを持っておりますので、その意味で申し上げたわけでございます。 しかしながら、一方、所得税自体の問題としまして、ただいま御指摘のように、なお、最も具体的には課税最低限の水準というものが、まだまだ是正されてしかるべきではないかという見地からの御意見につきましては、私どもも現在の課税最低限の水準でこれでいいんだ、これ以上課税最低限は動かさなくてもいいんだというふうに考えているわけではないわけでございまして、ここ五、六年の間にかなりのスピードで課税最低限の水準も、約倍に上がっておりますが、かなりのスピードで課税最低限は引き上げられ、その意味での改善は行なわれてきたと思いますが、しかし、なお物価の問題もありますし、それから賃金の上昇が非常にスピードが速い、したがって納税人員が急激にふえつつあるというような問題を考えますと、現在のままの状態で、もうこれでいいところまできているのだということではないと思うわけでございます。 ただ、しかしながらそれではその課税最低限の是正について、従来からとりきたりましたように、毎年毎年必ずといってもいいようなぐあいに、しかも、物価上昇率を必ず上回るような形で行なうべきかどうかということについては、かなり最近五、六年の間におきます課税最低限の是正が速いスピードで行なわれましたこととの関連で、この辺で一度よく冷静に考えてみる必要があるのではないかというふうに思っております。もちろん今回御提案申し上げております改正案におきまして、課税最低限は、この春お願いをいたしました改正案によりますものに比べまして、約七%余り課税最低限が平均的に上がることになっておりますから、このまま四十七年度にそれが適用になりましても、少なくとも物価との関連におきましては、まあまあ最小限度の要請にこたえ得るものであるというふうに考えておるわけでございますが、しかしそれにしましても、将来の長い方向で見ました場合に、これで、このままでいいんだというふうに考えているわけではないということだけ申し上げておきたいと思います。
○栗林卓司君 ただいまの御答弁と同じ趣旨で自治省の方に伺いたいんですが、住民税の課税最低限の引き上げ、これはどうも再々議論がありました。趣旨は繰り返しません。住民税の課税最低限の引き上げが困難な理由がいろいろあると思いますが、どうなれば引き上げが可能なのか、御意見を伺いたいと思います。
○説明員(石川一郎君) 住民税の課税最低限につきまして、昭和四十三年以降毎年引き上げをはかってきているわけでございます。私どもといたしましても、所得税との格差を埋めるという意味合いにおきまして、課税最低限の引き上げには努力していかなければならないというように考えておりますし、税制調査会の答申におきましても、国民生活水準の向上に伴って納税義務者数の推移、地方財政の状況等を総合的に考慮しながら引き上げについて検討すべきである、こういうようになっておりますので、私どもといたしましては、この答申の趣旨に沿いながら検討を加えてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。 何ぶんにも地方財政昭和四十七年は非常に困難な見通しでございまして、どういうようになるか現在全く見当がつかないという状況にございます。この点、やはり配慮しながら考えていかなければならないのでございまして、私どもとしましては、税負担の面から考えれば、これは当然引き上げの努力を今後も続けてまいりたい。しかし、その基礎になる地方財政の問題、これも無視するわけにいかないというふうに考えております。来年度の地方財政とも関連しながら税制調査会の審議を経て検討いたしたいと思っております。
○栗林卓司君 いまの財源難にからんで二つ試みの案を申し上げて御意見を伺いたいと思いますが、たとえば、道府県民税の場合、これまでは累進課税構造になっていません。したがって、下に厚い課税になっていたことは御承知のとおりでございます。たとえば今回、課税最低限を国税の課税最低限まで引き上げてしまう。財源が足りません。ところが、よしあしの論議は別にして、今回の年内減税の実施というのは、累進税率の是正に約半ばを使っています。そうなりますと、道府県民税で最低限の引き上げ——引き上げて減った財源分は累進課税率で高めるということをしても、実際払う人から見れば、こまかく数字の突き合わせをしたわけではありませんけれども、感覚的に見合いになります。おそらく二百数十億で足りるはずですから、八百十億を使った税率緩和の中に総体としては入るような気がいたします。そういう検討ができない本のかどうか、これが一点です。 それから市町村民税では、課税最低限を引き上げたらどうかという議論の中で、これは多少議論として込み入ってまいりますけれども、地方税収入の税目別内訳というものを見ますと、これは御案内のように、市町村民税の比率が累年高まりまして、反面固定資産税の比率が下がっております。地価の高騰というものを背景にして考えると、これが異常な姿であることは強調するまでもないと思います。その意味で、市町村民税でしたら、その減税の見合いとして固定資産税評価額の問題が当然出てくると思うのです。それはあくまでも住民税体系の中で財源の振りかえということでできるし、結果として低所得層に対して手厚い減税効果を生んでくるし、総体が公平になる。私はこういう気がしてしかたがないのですが、この点はいかがでしょう。
○説明員(石川一郎君) 住民税の税率についてはいろいろむずかしい問題も含んでいると思うのでございます。現在の道府県民税の税率は、御指摘のように、二段階税率でございますが、これは従来実は超過累進構造でありましたものを、二段階税率にいたしたのでございます。これは税制のあり方とも関連いたしまして、なお検討を加えていかなければならない問題であろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、住民税の性格から申しますと、税制調査会の答申におきましては、むしろいまの市町村民税の超過累進構造税率をややフラットな税率に改めるべきである、こういう御意見もあるのでございまして、それらとのかね合いにおきまして、この問題はさらに検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 なお、固定資産税の評価額の問題、これは非常に納税者の負担層も多いことでございますし、現在、土地につきましては評価額に見合って税の徴収が行なわれていないという状況でもございまして、これもまたなかなかむずかしい問題がございます。しかし、評価自体は四十八年度に評価がえが行なわれますが、いずれまた、そういう面につきましてもさらに検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
○松永忠二君 ちょっと資料をいただいたのとあわせて課税最低限の問題について聞かせていただきます。 いまたいへんいい、いろんな御質問がされていたわけです。その関連の実はこの資料をいただきまして——これは私個人にお示しいただいたのですが、総減税額の中で、源泉所得税の人たちの減税分として、控除分が七百十一億で税率分が四百三十三億。だからいわゆる控除分として減税したものの相当な、八百三十五億の中の七百十一億が源泉所得税の人たちにきているわけですね、減税されているわけです。したがって、その控除というのが、いかに源泉所得税の人たちに大きな減税効果をもたらしているかということはわかる。同時に、その税率緩和は、ほとんど申告所得税の人に多くて、源泉所得税の人には金額的に少ないということになっている。そういう点から言って、課税最低限の引き上げということをやはり相当考えていくことは、いま考えられる浮揚効果というような面から考えてみても非常に必要じゃないか。 この前も局長が答弁されているように、こういう点、ひとつ疑問の点がありましたので、これに関連をしてお聞きをするわけですが、もう百万をこしたので、課税最低限は、それほど考えることはないじゃないか、ちょっと一休みしたらどうかというのがいまの御答弁にもあったわけですね。そうしてマーケットバスケット方式を変えて、その方法は行なわないで——基準の年次の課税最低限に対して物価指数などを勘案して順次上げていくというお話もあったけれども、もう少し科学的な課税最低限の引き上げの根拠というものはないのか。百万だからもう課税最低限の内容分析をする必要はないということは私はないと思うので、マーケットバスケット方式という方式以外に、もっと別の方式だって考えられると思う。そういう中で課税最低限というものをもう少し引き上げなければいけないとか、大体生活構造も変わってきている現在の状況の中においては、こういう点から課税最低限の引き上げも必要だという根拠もできるし、また、それが引き上げる一つの幅の科学的な根拠というものがなければいけないと思うのです。ただ基準年次の課税最低限から、物価指数とかそういうものを勘案して課税最低限をきめていく、上げていくという考え方は、まことに説得力に欠けるものがあるように思うのです。 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 そういう点で、マーケットバスケット方式を使うというだけではなくて、それにかわる科学的な根拠というものをつくっていかなければならないし、そういう必要があるのじゃないかということを私は答弁を聞いていて感じるわけです。大蔵省は少なくともそういう点についてはやっぱり相当な根拠をもってやっていかなければならない筋合いのものだ。そうでなくて百万はこしたからこれで一休みだというようなことを言われたのではちょっと困るし、また、その引き上げが景気浮揚効果を生むという現実の事実もあるわけです。こういう点から考えてみて、いまお話の出ている点をやっぱりもっと真剣に考えて、根拠を求めていかなければいけないのじゃないか。こういう点についてはどういう意見を持っておられるか。 もう一つは、いま住民税のお話が出ているのですが、これは地方財政が非常に苦しいからなかなかできないというのじゃなくて、やはりこれはどうしても課税最低限は国税と同じように引き上げなければいけない。それは緊急の課題なんだ。しかもそれは、引き上げということが低所得者層に対する問題にも関連をして、やはり財源は困難だけれども何とか見つけて処理をしていかなければいけない筋合いのものだという、そういう考え方がないと……。苦しいからそこは譲れないという考え方では私はだめだと思うのです。あなたのところは課税最低限引き上げの理論的な根拠をちゃんと持っているわけです。また、国としてやらなければならぬ基準というものもあるわけだ。そういう面から、やっぱりもっと積極的な意欲をもってこれに取り組んでもらわなければならない。来年は自然増収が少ないからだめだだめだという言い方ではなしに、もっとそういう点については意欲的な発言をしてもらわないといけないのじゃないか。だから、そういうことには来年度は真剣に取り組んでいくけれども、その実現というものについてはいろいろな問題点もあると思うけれども、もう少し積極的な意欲ある答弁をなさるべきだと私は思うのです。これはやむを得ないものだというふうに考えているのですか。それともやっぱりどうしても改めなければいかぬと考えているのか。その辺のところをひとつあなたのお考えを聞かしてください。
○政府委員(高木文雄君) ただいま御指摘いただきましたように、課税最低限の問題は、所得税の問題としてきわめて重要な問題でございます。 一つには課税最低限をいかなる基準によって定めるべきかということについては、ただいまおしかりを受けましたように、もともといろいろ研究をしなければならない問題だと思います。これはいろいろな角度から研究はされておりますが、まだ必ずしも決定的なあれではないわけでございます。過去におきましては、先般の御質問の際にありましたように、いわゆるマーケットバスケット方式でいろいろ計算するということが行なわれました。それは、その当時の課税最低限は現在に比べますとかなり相対的に低かったものですから、生活費との間でぎりぎりでありましたので、かなり生活費にも食い込むんじゃないかということがずいぶん言われました。そこで毎年毎年それをいろいろ検討するということが、まあそこだけが非常にこう、いわばフットライトを浴びた形で議論が続けられたわけでございます。その意味では、最近何というか、マーケットバスケット方式によるところの計算とはやや離れてきたということについて、それほどそこだけを議論する必要がなくなったという意味で申し上げたわけでございます。現在は、もちろんいろんな研究をないがしろにしているわけではございませんで、物価のことも考えています。また、たとえば標準生計費というようなものもいろいろ見ております。それから給与の、たとえば、初任給というようなものの動きとの関係を見たりしております。しかし、どれを見ましても決定的なものにはなっていないのでございます。 そこで、もう一つそのあたりの問題につきましては、片一方におきまして生活保護基準の改定がだんだん、ここ五、六年かなりのテンポで進んできております。その社会保障でカバーされていく階層のあたりと、それから税で、課税最低限で対象になっていくあたりと、つまりそのまん中に、中間に残るところをどういうふうにつないでいったらいいのかというようなことが非常に問題でございまして、実は今回の政府の税制調査会の委員の改選の機会に、特に社会保障関係に明るい方に何人か特別委員として税制調査会に参加をしていただきまして、そういった面で社会保障制度と税制とのつながりというようなことを、今後今日的課題として検討してみようじゃないかということにしております。そういう意味で——御質問に対するお答えにはなりませんが——私とももそこが一つのごく最近における税制の問題点であるということを十分認識しているつもりでございます。 それからもう一点、非常に私どもがいつも引き合いに出しますのは、外国の税制との関連でございます。外国の税制との関連で見ますと、これはそれぞれの国の経済事情も違いますし、所得の階層がみな違っております。それから不労所得の関係、みな違っておりますから、機械的比較は非常に危険だと思います。しかし、機械的に比較した限りにおきましては、日本よりも課税最低限がいい条件にある、つまり上にありますのは、いつも申しますようにアメリカとフランスだけでございまして、今回の改正によりまして平年度で夫婦子二人の日本の課税最低限は百三万円ほどになるわけでございます。フランスがその上に条件がいいわけですが、これが百六万ぐらいでございますから、もうまさにフランスに追いつくような状態になっています。そしてフランスは御存じのように非常に間接税の国でございます。直接税はウエートが低い国でございます。そのように直接税のウエートが低い国であるフランスの所得税の課税最低限を、まさに追い抜こうかという状態になっておるわけでございます。それこれ考えてみますと、一体どういうふうに考えたらいいのか。そこは冒頭にも申しましたように、基本的に国民生活の事情が違いますし、一人一人の蓄積の状態も違いますし、それからいろいろな条件が違いますから、単純な比較はきわめて危険でございますけれども、とにかくかねて非常に日本の課税最低限が低かったのが、だんだん改善されてまいりまして、今回の改正でまさにフランスに追いついてきた、まさにフランスを抜こうかというところまできたということから考えてみますというと、何かそこらあたりに一つの別の意味での——決して私はもうそれでいいのだ、もうこれ以上課税最低限を直さなくてもいいのだということではないのでございますが——何かいままさに先生が御指摘になりますように、何かひとつ基準をどこに求めるべきか。そして先ほど申しました別の意味では、社会保障との関連などの付近に求めるべきか。さらに申しますと、もう一つは基本的に直接税と間接税のウエートをどの程度に考えていくのか。どんどんと所得税の減税をはかるということをもう少し早いスピードでやっていくということであって、しかも、国民所得に対する租税負担率は、日本の場合は非常に国際的に低いということを前提として考えてみますと、あるいは間接税をふやさなければいけないのか、しかし、一体それはいいのか悪いのかという問題あたりまで問題が及んでくるわけでございます。 で、その辺につきまして税制調査会の御答申も非常にいろいろ議論がありまして、まああんまり明確ではないのでありますけれども、ごく簡略にこう言っております。「今後における課税最低限のあり方としては、所得の増加に伴う納税人員の累増を緩和することに留意しつつ、」、これは御存じのように、たいへん納税人員がふえておりますので、これは課税最低限の上がり方が少ないから納税人員がふえるわけでありますから、「納税人員の累増を緩和することに留意しつつ、」というのは、つまりその角度から課税最低限をもっと思い切って上げろということになりますが、一方において、「少なくともある程度貯蓄のためにゆとりのある合理的な水準を確保していくことが必要であると考える。そのためには、国民の蓄積水準の動向や納税人員の推移等を十分考慮しつつ、今後における所得水準、生活水準、物価水準の上昇に見合って所要の調整を加えていく必要がある。」、たいへんばく然とはしておりますが、税制調査会の認識もその辺に置かれております。今回の改正はいろいろ御批判を受けているところでございますが、課税最低限の問題は今後ともさらに長期にわたりまして根本的な問題としていろいろ勉強させていただきたいと思います。
○栗林卓司君 自治省に答弁を求めます。
○説明員(石川一郎君) 住民税の課税最低限についての問題でございますが、繰り返し申し上げておりますように、昭和四十三年以降年々引き上げをはかってきているところでございまして、税負担の面から考えて引き上げの必要があるということは、私どもも当然考えているところでございます。ただ四十七年度につきましては、全く地方財政の見通しそのものが現在立たないという情勢でございまして、これを無視して考えるということはできないと思うのでございます。地方財政改革とも関連いたしながら、この引き上げについて努力をいたしてまいりたいと思います。
○栗林卓司君 時間がありませんから簡潔に最後の御質問をしますけれども、住民税の課税最低限の引き上げが財源難とかかわりがあることは、これはわかります。ただ納税義務者だけを見ても約三分の一。約三分の一が、住民税だけ払って国税は払わない人たち。一方、今日、税というものが経済政策の中で大きな柱を占めてしまった、しかも、今後の物価動向はわからないとしても、依然として物価は上昇傾向にある、国民生活への影響も大きい。先ほど課税最低限の論議の中で、ゆとりを持って貯蓄ができるようなという考え方がありましたけれども、それじゃいま国民が貯蓄ができると考えているかといいますと、物価が上がったために貯蓄がしづらくなった、あるいはできないと答えているのが、たとえば、日銀関係の機関が出した貯蓄に関する世論調査によれば、全世帯の過半数が、物価が上がったおかげで貯蓄ができなくなったと答えております。これは前年に比べてその率がさらに高まっている実態にあります。 そういう中で、実は先ほど道府県民税、市町村民税について自治省の考え方のワクの中だって、こういった案だってあるんじゃないかと質問したんですけれども、そのお答えが、従来から二段階方式をとっている云々ということは、それは出発点は住民税の性格論からきているんだ、それも一理があることは否定をしません。ただ日本そのものが、いま国際化時代に入って、日本国内の状況だけではものが考えられなくなっている今日において、地方自治体のワク内における考え方だけで律していけるんだろうか。律していくには住民税の及ぼす経済的な影響、国民生活に及ぼす影響というものがあまり大きくなり過ぎたんじゃないか。そう考えますと、先ほどの案は、しろうとなんですから固執はいたしません。これまで引き上げについて自治省の中でこんな案もある、こんな案もあるという検討をされたのか、されなかったのか、ひとつ具体的に伺いたいと思います。
○説明員(石川一郎君) 個人の市町村民税につきましては、税調の答申にもございますし、私どもといたしましてもいまの十三段階税率をもう少し少なくして、累進構造を緩和するような案の幾つかの検討を内部段階ではいたしております。しかしながら、これはなかなか影響するところが大きゅうございますし、何ぶんにも個人の住民税につきましては、これは切り離して考えるということはできないと思います。やはり所得税との総合負担ということも関連して考えなければならないということでございまして、まだ内部の検討段階を終えていないというところでございます。
○栗林卓司君 理由は先ほど申し上げたとおりのことで、ぜひ緊急重要な課題として御検討いただきたいと思います。 国税、地方税ということで分けますと、それぞれ二つの流れに分かれてしまいます。納めるほうは同じ一人で、どちらへ納めたって出ていくことは同じわけです。その意味で千六百五十億円の減税規模を固める過程の中で、ほんとうは住民税とのかね合いというものが論じられなければいけないと思いますし、また、そういったものがなければ、この際あぶなっかしくて住民税を引き上げるなんということが言えるかという話になってくるような気がいたします。これは時間がないからこの問題について続けませんけれども、どうもこれからの物価問題、経済問題を考えますと、税制のあり方というのは歳入歳出をはかって規模をきめて、今回このぐらいでかんべんしてくれということで済まないような気がするんです。ニクソンのこの間の新経済政策についても、特定の減税が景気刺激策を含めた一つの目玉商品として出てくる、そんな時代にもう日本も入ってしまった気がいたしますし、その面でとりわけ住民税の課税最低限の引き上げについて真剣な御検討をぜひお願いしたいと思います。 時間がありませんから以上で質問を終わりますけれども、ただ関連として最後に一つだけ自治省のことで伺いたいのですが、現在税制調査会の中で来年度の税制問題が論議をされておりますが、軽油引取税の増徴について議論をされているという記事を見ました。これは事実でしょうか。
○説明員(石川一郎君) 現在税制調査会の審議が進んでおらない段階でございますので、今後の審議によってきまってまいると思いますが、市町村の道路目的財源をある程度拡充してまいりたいという見地から、そのための税源についてどのようなものが適当であろうか、こういう面についての検討をいただきたい、こういう考えを持っております。ただし、それが直ちに軽油引取税の増徴ということになるかどうか、今後の問題だと思います。
○栗林卓司君 これでやめます。今後検討課題ということで最後に一つだけ御意見を伺っておきます。 道路財源との見合いで軽油引取税を含めた税項目が検討の対象になる、これは論議は別として否定はいたしません。ただ、かりに軽油引取税ということで考えますと、それを増徴するということの経済的な効果について、プラス効果は出ないのか、その効果についてどう考えておられるのか、最後にそれだけ伺います。
○説明員(石川一郎君) これも今後の検討の問題だと思いますが、物価その他の影響をも当然考えながらやってまいらなくてはならない、こういうふうに考えます。
○渡辺武君 本題に入る前に、一、二予備的に伺っておきたいと思いますが、この前の当委員会でも問題になりました八月末に行なわれた為替投機の問題でありますけれども、輸出前受け制度でドルを手に入れて円にかえた商社、それから為替銀行について大蔵省として立ち入り検査を行なって、その十月二十日現在の数字は資料としていただいておりますけれども、その後なお立ち入り検査をやった結果はどうなっておりますか。
○政府委員(稲村光一君) 十月二十日までの検査結果について資料を御提出申し上げておりますが、その後検査を行ないましたのが二件ございます。ただ、その二件はただいま検査継続中でございまして、結果はまだまとめられる段階になっておりません。できましたらそのときにまた……。
○渡辺武君 輸出前受け制度で入ってきたドルが十四億二百万ドルというふうに別の資料ではっきり出ているわけですけれども、立ち入り検査をした金額、調べた金額、これが十四億二百万ドルの中の何%を占めておりますか。
○政府委員(稲村光一君) ほぼ金額で申しまして三億六千万ドルくらいになりますので、ほぼ十四億に対しましては二割から二割五分ということでございます。
○渡辺武君 そうしますと、立ち入り検査をした分が、輸出前受けで入った分の約二割から二割五分ということでありますので、七割五分から八割近いものがまだわからぬということですね、立ち入り検査をしていないわけですから。 そうすると稻村国際金融局長、この前この委員会で、大体不正なものはないような趣旨の御答弁をなさっておったけれども、しかし、まだ八割から七割五分というところがわからぬわけで、したがって、いま断定的に不正なものはないというふうな答弁をされるのはどうかと思うのですけれども、その点どう思っておられますか。
○政府委員(稲村光一君) 先般も御答弁申し上げましたように、人員等の関係で現在までのところ結果がわかっておる程度では、その程度しか検査をいたしておりませんが、検査をいたしました主眼と申しますか、これは先般も御説明申し上げましたように、ほんとうに輸出契約があったかどうか、その場合、その記載が明確かつ正確に行なわれていたかどうかという点でございます。この検査をいたしました結果が、わかっておる程度におきましては、先般申し上げたとおり、直ちに違法であるというものは確認できません。ただ問題は、その後になりまして輸出のキャンセルというようなかっこうで逆送金を申請してくるというようなことになりますと、この段階でほんとの輸出契約があって、それがほんとにキャンセルがあるということでございますれば、それはやはり違法なものではないというふうに判断せざるを得ないと思いますが、そうでないものにつきましては、これはこの点でチェックをしていくということでございます。 おっしゃいましたように、検査が全体に対して及んでおりませんので、その意味におきましては違法は全くないというふうに断言は確かにできないと存じますが、できます限りの人員でいたしました結果につきましては、先般も申し上げたとおり、現在の段階で違法であるということの確認できたものはないわけでございます。
○渡辺武君 その辺をやはりはっきりしておく必要があると思うのです。まだ立ち入り検査やっていない部分が圧倒的多数で、立ち入り検査した部分というのは、ほんのそのうちのわずかな部分でしかないのでしょう。ですから、やはり答弁のときも、輸出前受け制度で入ってきた十四億二百万ドルというものが、私ども、あなたの答弁を聞いていますと、全部これはもう合法的なものだという印象を与えるような答弁をされているので、やはりその点は、間違いないように、正確に御答弁いただきたいと思うのです。 さて、いまの御答弁の中で、立ち入り検査した分については違法なものと見られるようなものはないという御趣旨の答弁なんですけれども、いま言った三億六千万ドルですかの立ち入り検査の金額の中で、あなた方が、一応こういうケースはちょっと疑わしいものだというふうにチェックしたものが、いただいたこの報告の中にある「ゼネラル・マーチャンダイズ」と表示のもの、「仕向地複数」となっているもの、契約日と買い取り日が同一のもの、一応あなた方は、こういうものに該当するものは、ちょっと若干疑わしいものと思ってチェックされた項目でしょう。そのほかの項目もありますか。
○政府委員(稲村光一君) そのほかの項目はございません。
○渡辺武君 そうしますと、調査した金額の中で、あなた方が疑わしいと思ってチェックした部分ですね、これは何%ぐらいございますか。
○政府委員(稲村光一君) いま御指摘のような「ゼネラル・マーチャンダイズ」と書いてあるもの、あるいは仕向け地が複数であったものというものが、大体、検査いたしました中に、金額にいたしまして一五%程度。件数にいたしますと八・四%ぐらいでございます。銀行につきましていたしました分でございます。それから商社につきましていたした分につきましては、件数で三・八%、金額で一七%でございます。
○渡辺武君 私があなたのほうからいただいた資料で計算してみますと、銀行のほうは一五%じゃなくて一七%ありますね、チェックした分が。それから商社のほうは一七・五%であります。あなたのほうの計算、ちょっと過小じゃないかと思いますが、どうですか、その辺は。
○政府委員(稲村光一君) ダブっておるものを、両方ダブっているものとして、一件につきまして両方あったものがございますので、そういう重複を除きました分で私のほうは計算をいたしましたのでございますが、それによりますと、そういうことになるかと存じます。
○渡辺武君 それじゃ為替銀行のほうは、チェックした分の、ダブりを除いた総額はどのくらいになっていますか。
○政府委員(稲村光一君) ダブりを除きますと五千七百二十万ドルとなっております。
○渡辺武君 それはちょっと計算が疑わしいですな。ぼくの計算によりますと、六千百四十七万九千ドルということになっております。これは、きょうはその辺あまりこまかくはやる時間がありませんので、もう一回計算し直して、正確な数字を出してほしいと思う。しかし、いずれにしましても、あなた方の御答弁、いまの御答弁を考えてみますとね、輸出前受けで入った金額の中の二割から二割五分しか調べていない。しかも、二割から二割五分調べた中で一五%、私の計算によれば為替銀行で一七%。商社で、あなたの報告によれば一七%、私の計算によれば一七・五%。かなりの量が一応あなた方の疑わしいと思う範囲内に入っているわけですね。そうしてみますと、これは決して合法的なものだと言い切れるような性格のものじゃないんじゃないだろうか。なお調査していない八割から七割五分という前受けの金額、これらを調べたらどういうことになるのか。われわれは、非常にこれは疑わしいと思っているのです。 それで、なお伺いたいのですが、為替銀行の中でA行a店というのがありますね。それからB行a店、b店、C行a店、b店、c店、D行a店、b店、c店、商社の中でもそれぞれA社からE社までずっと出ているのですが、各行ごとに、あなた方がチェックしたものは、調べた金額の中の何%くらい占めているのか、その点を御報告いただきたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) これは、ただいま全体——と申しますのは、サンプル調査をいたしたわけでございますが、それで全体のうちのどれくらいの量かという御質問だと思いますので、その点につきましては、でき得る限りいま調べましてお答え申し上げます。
○渡辺武君 いやいや、ぼくの言っているのは、検査した金額が出ておりましょう、その検査した金額の中で、チェックした分ですね、これは何%か、これをまずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) ちょっと御質問の御趣旨がよくのみ込めませんが、たとえばA行a店という場合に、a店全体でどのくらい扱ったか、そのうちのサンプル調査で検査したのが何%ぐらいかという御質問だと了承したわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
○渡辺武君 それはあとで聞きたいと思っていますが、いま伺っているのは、たとえばA行a店については検査金額は千二百三十二万ドルということになっていますね。そのうちで、先ほど言いましたように、あなた方が一応チェックした部分ですね、これは何%を占めるのかと、そういうことなんです。
○政府委員(稲村光一君) 三十三件を検査した中で「ゼネラル・マーチャンダイズ」とかそういうものが、記載が不正確であると思われるものが何%か、こういう御質問、これはさっそくいま計算をいたしましてお答え申し上げます。
○委員長(前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(前田佳都男君) 速記を起こして。
○渡辺武君 これはあなたのほうにあらかじめ通告して、計算してある、こういうことになって時間のむだにならぬようにということでお願いしてあることなんです。これはひとつ重要な問題ですから、正確に計算して、この次の機会に報告いただきたいと思うが、一応私の計算したところをあなた方のほうへ大きいところだけ申し上げておきましょう。 A行のa店ですが、これは立ち入り検査をした金額の中で一応あなた方がこれは疑わしいとしてチェックした分が七一・三%もあります、七一・三%。それから、大きいところだけ申し上げます。B行b店、これを立ち入り検査した金額の中で疑わしいと思われたものが六〇・六%を占めている。それからC行b店、これは同じく二〇・九%を占めておる。それからD行。店に至っては九七%を占めている、九七%。それから、なお商社のほうでいきますと、C社ですね、これは五一%を占めているという状態です。ですから平均しましてあなたの答弁によりますと、為替銀行、この立ち入り検査した金額の中でチェックされた分が約一五%だとおっしゃいましたけれども、一つ一つの店をとってみると、とても平均一五%なんていうところにはないのです。これはたいへんなことだと思うのです。立ち入り検査をして一応為替検査官がこのケースは疑わしいんだということでチェックしたものがD行。店などは九七%、たいへんな問題です、これは。こういう事態をわれわれは放置することはできないと思うのです。ですから、なお立ち入り検査を続けてもらって正確な資料を出していただきますけれども、この前あなたに要求しましたように、やはりこれらの立ち入り検査をした銀行及び商社の固有名詞をはっきりと出していただきたい、国民の疑惑を解く必要がある。私どもは非常に疑わしいと思うのです。あなたが答弁しているように、これは大体合法的なもので、疑わしいと思わないなんということはとても信用できない、その点をはっきりと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 さて、所得税の問題について御質問したいと思いますが、今回の所得税減税、これについてはもう前の当委員会の論議及びきょうの論議の中でも非常にはっきり各委員が指摘しておりますように、税負担の公平という原則が著しくそこなわれた、今度の減税は。これは低所得者層にはあまり減税にならない。特に現在の物価騰貴、それから副次的に出てくる名目所得の増大、これからすれば、かえって増税になる可能性さえ十分ある、そういうおそれがある減税になる。そうして一番優遇されているのは部課長クラス以上の高額所得者だということは、もうこれは論議の余地のないほど明確な事実じゃないかと思うのですね。その上に今度の減税が、これが景気浮揚策というような銘を打って出されているために、特に消費需要を喚起するという意味では、低所得者層にこそ大副な減税をすべきだ、これは私どもも主張しておりますけれども、各委員ともにその立場から質問したと思うのです。 私どもは従来、もう以前から所得税については夫婦子二人、つまり四人家族の世帯で年収入百四十万円のところまでは免除にすべきだということを一貫して主張しておりますし、住民税については、これは均等割りは一日も早く廃止して、所得割りについても所得税と同じように四人家族で百四十万円のところまで課税最低限を引き上げるべきだということを一貫して主張しております。いまの所得税を含めての課税全体の負担の不公平ですね、これが一番明確に出るのは、大企業に対する特別な減税面で、これが一方で行なわれていて、他方で低所得者に非常に重い所得税あるいはまた住民税などがかかっているというところに、税負担の不公平が一番明確にあらわれているのじゃないかと思います。そうしてこの大企業に対する特別な減税、免税をやめさえするならば、私どもが主張しております低所得者層に対する大幅な減税というものも十分に断行できるし、またそれを財源にすれば、赤字公債なども発行しなくても済むのじゃないかというふうに思うのです。その立場から、私は、きょう幾つかの点を伺ってみたいと思っております。 まず最初に伺いたいことは、このたびの円切り上げによって大企業には巨額な為替差益が出てくる会社がたくさんあると思うのです。大蔵省としてはすでにその実情について調査されていると思いますけれども、もしその実情がわかっておられるなら、まず最初にその点を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) 今回の為替変動の問題は、八月中旬から起きてまいりました。そこで、日本の、いまお話のありました大企業の決算期は三月と九月を決算期とするのが非常に多いわけでございます。当面、九月決算で、当月末に株主総会で経理報告をするという会社は多いわけでございますが、それらにつきましては、今月末に申告が税務署のほうに出てまいるわけでございます。申告が出てまいりますれば、その申告に基づきまして、その当否等をそれぞれの国税庁のほうで調べる。国税庁というよりは税務署、国税局の調査部で調べるわけでございます。その段階である程度把握ができるかと思いますが、現段階では、現在そのような申告制度に基づきまして、私どもで正確なものを——新聞紙上でいろいろ読みますものを除きまして、正式に税の種類としていただくものはまだ出ていないという状況でございますので、私どもも一般に新聞紙上で知ります以外には承知しておらないという状況でございます。
○渡辺武君 大蔵省の証券局は、外貨建ての資産、負債についての資料を企業会計審議会に提出したということを聞いておりますが、その資料があれば内容を明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(大谷邦夫君) 大蔵省には御存じのように有価証券報告書というものが、約二千五百社から出ております。これにつきまして昨年十一月の決算から本年四月決算に関する有価証券報告書を基礎といたしまして、若干の調査をしたわけでございますが、その会社数が六十五社ということで、非常に少ないのです。それから対象会社が十一月から四月の決算日現在で、債権債務として計上しておるもののみでございまして、契約が行なわれたが、まだ引き渡しが行なわれていないといったようなもので、まだ債権として計上されていないものがございますので、非常に少ない数字になっております。それも八月以降関係業界の発表した計数と比べましても非常に少額でございますので、私、別にお隠しするわけではありませんが、あまり意味がないのじゃないかというふうに考えております。
○渡辺武君 あなたのほうでは意味がないと考えられるかもわからぬけれども、やはりこれはひとつ討論の素材としては重要な素材だと思うのですね。つまり、いま御答弁があったように、ほかにこの資料がない、ところが大蔵省の証券局が自分で調べ、しかも、有価証券報告書という権威のある資料に基づいて調べ、そうして企業会計審議会に出したものですから、したがって、やはり委員会の質疑の材料としてその点公表する必要があるんじゃないかと思うんですね。 私のほうから伺いますけれども、繊維六社、これの資産と負債、差し引きして負債増加になっているようでありますがその金額、その他ずっと各業種があげられておりますけれども、その中で負債超過になっているもの、つまり外資導入あるいはまた輸入の延べ払いなどで輸入して外貨負債が資産よりも超過しているというその業種と、それから金額、これを一応読んでいただきたいと思います。
○説明員(大谷邦夫君) ただいま申し上げましたように、これは企業の、しかも前の数字でございますので、八月二十八日当時の状況を正確に反映しているかどうかという問題、それから対象会社数が少ないということがございますので、そういう前提でお聞きいただければと思いますが、繊維でございますが、差し引きいたしまして円換算二百三十九億の負債超過になっております。それから化学が三百七十一億の負債超過でございます。それから石油が千二百十六億の負債超過、鉄鋼が二千八百四十四億の負債超過、それから電気機器六百四十一億の負債超過、それから商業五千九十八億の負債超過、それから電力が千四百八十九億の負債超過、それから航空千十一億の負債超過、おもなところはこういうことであろうかと思います。
○渡辺武君 合計でどのくらいになりますか。
○説明員(大谷邦夫君) 六十四社でございますね、合計いたしまして五千九百三十七億という数字が一応出ております。
○渡辺武君 そうしますと、一応の資料として六十四社、これはほとんど大企業だけだろうというふうに当然推測できるわけですけれども、その合計が五千九百三十七億円——ドルですね、ドルという負債超過になっている。
○説明員(大谷邦夫君) 円でございます。
○渡辺武君 円という負債超過。そうしますと、もうすでに九・六%ぐらい実質上円が切り上げられているわけですけれども、かりに円が一割切り上げられたということになれば、外貨建ての負債というのはこれはそれだけ為替差益が出てくるということになってくると思うんですね。業種によっていろいろの差異はあるでしょうけれども、これは大企業がいわば労せずして為替関係の変化ということだけで入ってくるこのばく大な為替差益、これについて大蔵省は税制上どのような対策を講じておられるか、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) ただいまの為替差益の問題につきましては、為替差損の処理の問題が税制上どうなるかということと関連して、八月以来研究をいたしております。で、ただいまも申しましたとおり、ただ具体的にそれが税の問題としてなりますためには、会社がどういう経理をするか、決算上換算をどういうふうにするかということとも関連がございまして、現在御存じのように企業会計審議会では、いわゆる変動相場制のもとにおいてはかなり弾力的な企業会計を認めております。したがいまして、いまの証券局のほうから御説明いたしました数字につきましても、会社の決算の態度によりまして、具体的な決算の上にどういうふうにあらわれてくるかということは、現在の段階では私どもは把握できない状態にあるわけでございまして、どれくらいの規模のものになるだろうかということは見当がつかないわけでございます。ところで、かりに規模が大きかろうと小さかろうと差益があるとすれば、それについては何か特別な課税をしてはどうかという御意見がございます。私どももその点は研究はいたしておるところでございます。 しかしながら、従来もしばしば、いろいろな意味での異常利益というものが出ました場合に、異常利益についての直接税の課税ということにつきましては、いろいろな機会にいろいろと議論されておるのでございますが、やはり、いわば理論的にも整合性のある説明といいますか、統一ある見解がなかなかとれないということがあり、また技術的にも非常にむずかしいということもありまして、戦後の税制の歴史におきましても、異常利益の把握ということは、私どもの承知しておりますところでは、異常利益についての特別課税ということはいままでも例がないわけでございまして、ただ最近の事例といたしまして、個人の譲渡所得につきまして、短期保有のものについて非常に重課の規定を設けております。そうして、土地を投機のために短期に保有して値上がりを待って売る、そういうものについての異常利益については吸収するという税制が数年前につくられました。これなどは非常に特例的なものでございます。あのときにも、そういう制度をつくるについて、いつの時期からこういう制度を適用すべきかという議論がございまして、いろいろな議論がございましたが、結局これもさかのぼってはできないということになりました。今後法律ができまして相当期間をおきましたあと、今後のものについてそうするということになったわけでありまして、かりに異常利益の把握の税制ということを考えます場合にも、それを過去にさかのぼって、そういう税法がない時期にさかのぼって課税をするというようなことはなかなかむずかしいのではないか。私どもも、片っ方で差損の問題が出ておりまして、税収が減りましてたいへん御迷惑をかけておるときでもございますので、差益のほう何とかならぬかというのは率直に申し上げてすぐに考えつくわけでございます。やってみますとなかなかむずかしい。そうは言っても、しかしとことんまで詰めてみたいと思いますが、かたがた数字のほうがそういう状態でもございますので、もうしばらくその数字を見ながらなお一そう詰めてみたいと思っておる次第でございます。
○渡辺武君 具体的に数字を見なければわからぬという御趣旨の御答弁のように伺いましたけれども、いま発表していただきました業種別の外貨建て資産、負債ですね、その中の負債超過の——これは言ってみれば、有価証券報告書に載っている長期資産、長期負債だろうと思うんですね。ところが為替関係の変化によって大企業のおさめる為替差益というものは、これだけに私は限らないと思う。先ほど問題にしました、八月中旬から下旬にかけてのあの大きな為替スペキュレーションによる為替差益、それもこれはもうばく大な金額が為替銀行なり、あるいはまた商社なりに入る可能性があるわけですね。実際評価してみれば千億円に近いばく大な差益が入っていく可能性を持っている。また日本は原材料について輸入依存度の非常に高い業種がたくさんある。その点についてあなた方は把握しておられますか、主要商品についての輸入依存度。これも円が切り上げられれば、それに応じて原材料の輸入価格は下がってくるわけですね。いろんな業種別の事情はあるにしても、円の切り上げが行なわれれば、輸入価格は下がるというのはこれは当然なことなんで、その辺も十分把握しておられますか。
○政府委員(高木文雄君) そこらの点につきましては、実はたとえば、外貨建ての債権を持っておる企業ということになりますと、当然損が出てくるわけでございますが、その場合でも、その損にはすでに貸借対照表上の債権もありますし、そうでないものもありますが、一般にはその損というのは非常に明確に区分されずに、会計上の債権になっていないものも含めて損というようなことがいわれておるわけでありますが、それが今後どういうふうに処理されていくかということについては、必ずしもそれだけのものが全部損になるというわけではどうもない場合もあるようでございます。益の場合も同様でありまして、たとえば、輸入依存度の高い企業がある。そうするとその企業は一応そこで輸入原材料が安く仕入れられるということになるから、当然まあ益が一応出るように思われますけれども、一方において、おたくの企業はそれだけもうかるはずだからもっと安く売れ、当然消費者側からもそういう運動は起こってまいりますし、その商品の仕入れ先企業からもそういう要求が起こってまいります。 したがって、為替差損益というものは、必ずしもどうもその企業だけが全部そこでかぶってしまうということでなくて、こう波が消えていくように順番に吸収されていくような関係にどうもあるようでございまして、その辺のところは企業間において価格交渉を通じ、あるいは需給関係を通じて動いていくようでございます。その帰属がどうなっていくのかということにつきましては、私どもといたしましては税の立場でございますので、結局それが経理面、特に税務申告面にどうあらわれるかという形で把握する以外に方法がない。一般的にはいま申し上げたように、外貨建て債務を持っておったら、その債務がレートの変更に伴って一割なら一割ぽっと、五%なら五%ぽっと利益が出るかというと、必ずしもそうではなくて、その利益がまたよそに価格関係を通じて動いていくというような関係にあるようでありまして、益は益でそのままぽんと残る、損は損でぽんとそのまま残るという関係ではないようでございます。
○渡辺武君 それは私前提条件として申し上げている。損益関係がいろいろ具体的にはあるだろうけれども、しかしやはり、大蔵省としてはこの為替の変動によってどの企業がどのくらいのもうけを出す可能性を持っているかというぐらいのことは十分に調査しておかなければならぬじゃないですか。主要原材料の輸入依存度、これについてあなた方は的確に把握しておられますか。
○政府委員(高木文雄君) ただいま正確にどこの官庁が中心になって総体的に把握しているかちょっといまつまびらかでございませんが、主要商品の輸入依存度は一応調べてございます。
○渡辺武君 たとえば、一〇〇%輸入に依存しているというところがありますね。あるいはもう八〇%、九〇%輸入依存しているところがある。日本の重要産業というのは多かれ少なかれそういう産業が多いと思うのですね。一〇〇%というのは、かりにそれだけとってみますとどういう産業がありますか。
○政府委員(高木文雄君) たとえば綿花を輸入して、合成を使わずに綿花だけで繊維製品をつくっているものがあるとすれば、それは一〇〇%になりましょうが、羊毛の場合もそういうことがあろうかと思います。
○渡辺武君 繊維産業だけではないでしょう。重化学工業もあるでしょう。
○政府委員(高木文雄君) 重化学工業というと、非常に範囲が広いのでございますが、たとえば、鉄なんかについても非常に依存度の高いことは事実でございます。
○渡辺武君 そこに資料があるのだから、それをはっきりお読みになったらどうですか。これは大蔵省の関税局の統計で、あなたと同じ官庁から出ている統計ですよ。私のほうから時間を節約する意味で申しますと、燐鉱石、ボーキサイト、鉄くず、羊毛、これは一〇〇%、それから天然ゴム、これも一〇〇%輸入依存度ですね。九〇%以上、八〇%以上、申し上げればまだたくさんある。 私、なぜこんなことをしつこく伺うかといえば、こうして輸入原材料に依存しているところ、しかもその製品を輸出するのでなくして、国内に販売しているような企業は、これは何といってもこの為替の変動、円の切り上げによって輸入原材料が安くなるし、製品は下げないでそのままで売るか、あるいはさらにこれを高く引き上げて売るというようなことで、相当大きなもうけが出てくる可能性を持っているわけです。先ほどあなたのほうで発表になった外貨建ての資産、負債、これは長期のこの資産、負債の中でも負債超過で、その面からももうけが出てくるけれども、しかし同時に、こういう原材料の輸入関係、ここからも大きなもうけが出てくる可能性を持っている業種、為替の変動で中小企業その他が非常に深刻な打撃を受けている。だから、中小企業などについては、十分その面で見てやらなければならないけれども、一方でこうして為替関係の変動という、そのことだけで、いわば労せずしてころがり込んでくる利益、これは言ってみれば不労所得です。国の政策で円が切り上げられたということだけで、何にも努力しないのにころがり込んでくる利益ですよ。こういうものについては、特に大企業のこういう利益については、当然に私は税で吸収するか、あるいは物価を引き下げて消費者に回すか、適切な処置をとって、これを国民生活を潤す方向に使うべきだと思う。大蔵省はそういう点をどのように税制上やっておられるのか。先ほどの御答弁では、具体的に計算が出てこなければ何とも言えないというようなことをおっしゃったけれども、たてまえとしてどういうようになさるおつもりなのか、伺いたいと思います。
○政府委員(高木文雄君) まさにただいま先生御指摘のようなことを私も議論しております。ところが、たとえば、鉄くずとか、そういう品物について議論しますと、どうも議論がかみ合わなくなって、私自身も弱っているのですが、非常に景気がよくて、いわば需要が強くなる少し前の時点で契約をして、輸入原材料をたくさん仕入れた。その仕入れた商品が、原材料が在庫で残っておる。最近になって、たとえば、この需要が減退をしてきておりますので、生産規模を縮小する。そこで最近はこういうものの輸入を、ほとんど原材料手当をしていない、そうすると、前の高い原材料は残ったままになっているというようなことを、いろいろこまごまと各企業からは言われまして、必ずしもレートが変わった分がそっくりそのとおり益として出てこないのみならず、必ずしも全体としても企業の状態はよくないというような反論があったりいたしました。なかなか各業界ごとに事情は複雑のようでございます。そこらあたり、まさに御指摘のように、問題になりそうな企業についてはいろいろ見たいと思いますが、それを一つ一つ議論をしておりましても尽きませんので、やはり企業の実態は、私どもはすべて企業会計の上に立って出されておりますところの申告をベースにして、その申告が適当かどうか、おかしくないかどうかということに基づいて法人税制が組み立てられておるわけでございますので、まずそれを見て判断をしたい、こう思っておるわけでございます。
○渡辺武君 それはだいぶ実情と遠い御答弁をいただいておるような気がしますがね。私は、たてまえとしてどういうふうな措置をおとりになるのかということを伺っている。現実を見てからということの前に、大蔵省として、こういう為替差益、為替差損については、こういう方向で処理しろということを、すでにもう研究の段階ではなくして、通達を出している状態じゃないですか。それが実情じゃないですか。これは大蔵委員会ですよ。質問されたことに隠さないではっきりと御答弁いただきたいと思います。大蔵省が十月二十一日付で国税庁長官の名前で、「外国為替相場の変動幅制限停止に伴う外貨建資産等の会計処理に関する法人税の取扱いについて」という通達を出している。そう思いますけれども、どうですか、出していないですか。
○政府委員(高木文雄君) ただいまの渡辺委員の御質問は、為替差益があるから新しく税制をつくって、そしてその為替差益についてだけ課税をするということを考えないかというお話と私は受け取りましたので、そういう意味であるとしますと、まず一般的な経済の状態なり、業種別の企業の状態なり、企業別の企業の状態なりということがもちろんあろうかと思います。そうしてそれが私どもも一般的、常識的には為替差益があって、そしてそれが特定の企業だけが、まあいわばぬくぬくとしておるというのでは、そのまま置くのはおかしいのではないかという、私ども自身、素朴な疑問を持っておりますので、それはそのまま放置していいかどうかということを税制の問題として考えるという場合に、まずその実態を知りたい。その実態は私どもとしては集中的に税務申告という形であらわれてまいりますので、それを見たいと申し上げておるわけでございます。 ところで、いま御質問の通達につきましては、これは国税庁のほうで第一線の職員に対して出しました指導通達でございまして、それは経理のまあ基準といいますか、税務経理の基準を示したものでございますので、それは国税庁のほうから説明いたすことにいたしますが、別の問題であろうかと思います。
○説明員(江口健司君) ただいま御指摘の十月二十一日の国税庁の通達でございますが、ただいま主税局長から御説明をいたしましたように、九月二十一日に企業会計審議会で一応今回の変動幅の制限の停止に伴う暫定的な取り扱いということが意見として出されたわけでございますが、その後、十月に入りましてから、数回にわたりまして、この意見を中心にして、実態その他の議論が行なわれたわけでございます。したがいまして、私のほうはその議論の経過を見た上で実務上の、税法上の取り扱い、あるいは意見に触れられていない、たとえば、いつの時点の相場を税の計算上取り入れるかといったような点については、意見の中には表現されておりませんので、それらについて統一的な経理処理をする方向を指示する必要があるということで、この十月二十一日の通達を出したわけでございます。 ただ、先生御指摘のとおり、主として原材料を外国から輸入をするといったようなものにつきましては、その部分に限ります限りは確かに差益が生ずるということにはなりましょうけれども、企業全体としましては、それだけの差益というものを計上するわけではなしに、まあ私から御説明するまでもなく、その他の諸掛かり、その他でもって益金の計算が出てくるわけでございますので、これらにつきましては、私どもの所管する法人の中では九月決算のものが圧倒的に多うございます。この部分は今月の末におおむね決算の時期がまいりまして申告が出てくるということでございますので、今回出しました十月二十一日の処理の方向に従ってその後事後調査をいたしまして、実態の把握をするということになろうかと思いますが、輸入を主とするような業種等については、御指摘のとおり、われわれとしても注意をして決算の内容を見る必要があろうかと思います。ただ、今回の審議会の意見によりますと、いろいろな形での換算の方法を指摘しておりますので、各企業がその三つの換算の方法のうちのいずれをとるかによりましては答えがかなり違ってくるのではないかということでございますが、これはいずれにしましても、この十一月の申告期にあたりまして、どういう形の換算の方法をそれぞれの企業が採用するかということを見た上でなければ、どの程度この変動による益というものが計上されるかがわからないということであろうかと思います。
○渡辺武君 先ほど私の伺ったことについて誤解があったような御答弁でありましたけれども、私、最初から別個に、なんですね、税制を設けて、そして吸収しろというような趣旨のことは伺ってない。この為替差益、為替差損について、税制上たてまえとしてどうなさるのかということを伺っているので、最初からこの通達について、こういう通達が出されているという答弁をいただけば、これはもう質問はもっとなめらかに進むのです。隠しちゃいかぬですよ。 ところで、いま通達の御説明がありましたけれども、この通達の第一にこういうことが書かれているのですね。「法人が、その有する外貨建ての資産、負債等の換算につき、審議会意見に示されている会計処理に従って処理している場合には、その処理を認めるものとする。」、これが取り扱い上の基本的立場ということでまっ先にこの通達の最初にうたってあります。つまり審議会意見に示されている会計処理に従って処理する場合にはそれを認めるということなんですけれども、この審議会処理の先ほどおっしゃった三つの方針というものの内容ですね。これは一体どういうことなんですか。
○説明員(江口健司君) 審議会のほうの意見は、証券局のほうから御説明するのが筋かと思いますが、私のほうではいま御指摘のとおり、審議会の意見に従って処理されたものはそのまま認めるということで、内容が全く同じでございますので、便宜私のほうから一括して御説明をしたいと思います。 まず第一の点でございますが、長期金銭債権、債務につきましては、取得時または発生時の為替相場をとる。それから短期金銭債権、債務につきましては、決算日の為替相場によって円換算をする方法、これが第一の方法でございます。 それから第二の方法は、長期金銭債権、債務と、それから短期のものとのすべてにつきまして、決算日の為替相場による円換算を行なう方法、これが第二でございます。 それから第三は、長期、短期の両方の金銭債権、債務につきまして、すべてについて取得時または発生時の為替相場によって換算をする方法、これが三つ目の方法でございます。 企業会計審議会では、この三つの方法をそれぞれの企業がそれぞれの立場において総合判断をして取捨選択することを認めておりますので、私どものほうもこの三つの方法によって換算をすることをそのまま取り入れるということにした次第でございます。
○渡辺武君 そうしますと、だいぶ専門用語が入ってきてどうもしろうとにはわかりにくいので具体的に伺いたいと思うんですが、先ほど御答弁のあった中で、たとえば、石油産業ですね、五社で千二百十六億五千百万円の債務超過がある。債権もあるけれども債務のほうが多い。これは内容を十分に調べてみなきゃわかりませんが、おそらく一つは、外資の導入によって外貨債務が非常にある、それからまた石油の延べ払い輸入によって債務が非常にある、そういうものが債権よりも超過して、そうしてこれだけのばく大な債務超過、こういうことになっているんじゃないかと思うんですね。そうしますと、こういう企業、これは決算時にはどういう為替相場で計算するんでしょう。あなたのおっしゃるところによると、債権、債務の発生時、あるいはまた債権、債務の取得時の為替相場で換算してもよろしいということになるんじゃないですか。どうですか。
○説明員(江口健司君) いま申し上げました三つの方法のいずれを各企業が採用するかは、いまの段階では私どもにも想像がつかないわけでございますが、おそらく法人としましては、自分の有する外貨建て金銭債権、債務の額、内容、それから投機の収益力、あるいは株価に対する影響といったようなものを総合的に勘案して、先ほど申し上げた三つの方法のいずれによるかということを判断するのではないかと思われるわけでございまして、私のほうからしいてそのうちの、たとえば、長期的な債務のような場合には発生時でもって換算をすべきであるといったような積極的な指導はすべきではない、あくまでも企業ベースでもって諸般の事情を勘案した上で決算をするものをそのまま私どものほうとしては事後の調査によって判断をしていくと、こういう体制で臨みたいと思っているわけでございます。
○渡辺武君 つまり発生時で計算してもいいしまた決算時の為替相場で計算をしてもいいということなんでしょう。どちらでもそれは企業の選択にまかせるということなんですね。
○説明員(江口健司君) ちょっと誤解があるといけませんので、よけいな説明になって恐縮でございますが、何でもいいというわけではございませんので、先ほど申し上げました第二、第三のように、長期のものと短期のものと、一方を発生主義でいき、一方を決算主義でいくというのは、長期の場合についてだけ発生主義でいき、短期の場合には決算日の相場でいくと、これはひとつ別な形での時期のとらえ方をしております。そのほか長期と短期につきましてはいずれも決算日による、すべてについて決算日による、あるいはすべてについて発生主義によるというのが第二、第三の問題でございまして、ばらばらに自己の都合に応じて利益を操作するというような形で認めておるものではないと、かように考えておりますので、一般に公正妥当な会計経理の基準であると、こういうふうに私どもは判断したわけでございます。
○渡辺武君 それは書いてありますが、そういうことが、それは私もこれを読んで承知しておりますけれども、私伺っているのはこうして長期の債権、債務、これ差し引きしまして債務超過になっている企業、これについて、この長期債務ですね、これの処理の点について伺っているんです。 そうするとあなたの答弁によりますと、一ドル三百六十円のレートで、かりにたとえば、外資の導入をした企業が決算をするときに、円は一〇%ばかり切り上がっているとかりにしまして、その一〇%切り上がっている決算時のレートで計算すればばく大な為替差益が出る、ところが外資導入をしたその発生時もしくは債務の取得時ですね、これで計算すれば出るべき為替差益が、いわば帳簿上出ないで済む、どっちを選ぶのもこれは企業の自由だと、こういうことになるわけでしょう。どうですか。
○説明員(江口健司君) 御指摘のとおりでございます。
○渡辺武君 そうしますと、企業の自由でばく大な為替差益が出ても決算上は利益として計上されないということになる、これはどういうことでしょうか。先ほども私申し上げたとおり、この為替差益というのは何の企業努力も必要でない、政府の政策で円が切り上がったというただそれだけのことで、いわば不労所得としてころがり込んでくる利益。それがあなた方のこの通達によりますというと、企業の自由で為替差益として計上しなくてもいいということになっている。 今度は逆に債権超過の企業ですね、たとえばここでも機械三社、これは百十九億一千四百万円の債権超過ということになっている。おそらくこの機械産業の債権超過というのも、これも延べ払い輸出をやったと、それからまた資本輸出をやって他国に企業をつくったというようなことがおもな原因で債権超過になっているかと思うんですけれども、こういうところはどういうふうに決算で計算する自由を持っているんですか。
○説明員(江口健司君) 債権超過の場合には、損が出るということになろうかと思いますが、この場合にも発生時でもって換算するか、あるいは決算日でもって換算をするかということによって差が出てまいりますので、その辺の判断は、先ほど申し上げましたように諸般の事情の組み合わせでもって各企業が判断をするものと思われます。なお、先ほどの点につきまして若干補足をさしていただきますと、当然先生おわかりのことで恐縮だと思いますが、債務についてだけということでなしに、常に債務と債権を同時に換算をしなくちゃいかぬということでございますので、確かに債務が非常に大きい企業につきましては、換算をすることによって大きな差益が生ずるという問題はございましょうが、常に債権と債務を同時に換算をしなくちゃいかぬということでございますから、この差し引き勘定だけが差益または差損になるということだけをちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。
○渡辺武君 それはおっしゃるとおり私もそのつもりで伺っているんです。つまり、債権、債務を差し引いた債務超過の場合ですね、為替差益が出るのに、計算上それが出ないというふうに計算することもできる。それから差損の場合、いまおっしゃったとおり、決算日の為替相場で円換算してもいいし、あるいはまた債権の取得時ですね、発生時の為替相場で円換算してもいいということになっている。企業としては当然損が出ればこれは損だと言って計上して、そうして税金はまけてもらうという立場に立つのはこれは当然のことだと思うんですね。だとすれば、どちらでも自由だというならば、まさに切り上げられた円、決算日の為替相場で計算をして、そうして為替差損を計上するということになるんじゃないでしょうか。そうしますとどういうことになります。一方では為替差益が出ても出ないというふうに会計上処理をして税金をのがれることができる、他方では為替差損が出る、出たらそれはたちまちのうちに計上して、そして税金をのがれることができる。私はこれは大企業に対するたいへんな優遇措置だと思うんです。 先ほど来議論になっておりますように、所得税についてはどうですか。今度、課税最低限が上がった上がったというけれども、四人家族で百万円程度、生活費に食い込んでいる所得税ですよ。特に住民税の均等割りなんというものは、これはたいへんな重税だ。ところが、一方で円の切り上げという、企業にとっては何の苦労も要らなかった問題、これで為替差益が出ても税金がかからないような仕組みの通達が出ている。差損が出れば、これはたちまちのうちに差損を計上して、これまた税金を払わなくても済むような、そういう通達がすでに大蔵省から出されている。大企業優遇と言っていいんじゃないでしょうか。 さて、その点についてさらに伺いたいんですけれども、もし会計上大きな損失が出たというような場合、税金の還付だとか、あるいはまた損の繰り延べだとかいうような措置が現在認められていると思いますけれども、この為替差損が出た場合にも同じような措置をとるわけでしょうか、どうでしょう。
○説明員(江口健司君) 今回の企業会計審議会の意見によりますと——これは私どもも同意見でございますが、先ほど御披露しましたような、いろんな事情を勘案して取捨選択する道を残してございますので、損の繰り延べといったようなことは今回は認めないということにしてございます。なお、今回のはあくまでも——企業会計審議会でも意識をしておりますし、私どもも意識をしておるわけでございますが、あくまでも暫定的な事態に対処する暫定的な取り扱いであるということになっておりまして、審議会の意見でも、各国通貨の平価の変更等が行なわれた場合の会計処理につきましては別途検討して、最終的な結論を出したい、こういうふうな方向をとりますので、とりあえず決算期が逐次毎月、毎月出てくる企業がございますので、私どもは審議会の意見をそのまま取り入れるというような形において暫定的な手当てをしたという事情があるわけでございます。
○渡辺武君 為替差損が一時に非常にたくさん出るという場合も想定されるわけですよ、これは企業によっていろいろ違いますからね。そうしますと、いま御答弁では、損の繰り延べは認めないという御趣旨の御答弁があったと思いますけれども、一時に大量の損失が出てもその繰り延べは認めないということですか。それからまた、税の還付についてはどうですか。
○政府委員(高木文雄君) 一般的に今回の通貨調整の問題につきましては、ただいま直税部長から御答弁いたしましたように、企業会計審議会のほうの立てられました意見というものが非常に流動的でございます。このように流動的な意見が出されましたのは、ただいまもちょっと触れておりましたように、現在の為替問題の状態が非常にまあ固定的にきまったということでなくて、経過的であり、内容的にも流動的であるということで、三つの原則のどれをとってもよろしいということになったわけでございます。 そこで、私どものほうとして、今度税制としてそれをどう受けるかという問題でございますが、税制としてはあくまで企業会計審議会の意見にのっとって一応処理するということでございますが、そこで次にいま御質問がございました繰り延べ、繰り戻しの問題をどうするかということはいろいろ検討をいたしました。いたしましたが、非常に輸出に依存度が高い企業で、特に中小企業の場合については集中的に損が発生をする場合がございます。で、この場合には現行の制度だけで処理するというのでは手ぬるいということがございますので、今回法案を用意いたしまして、租税特別措置法によりまして、現在の欠損金を繰り戻す期間を、一年になっておりますのを、特に特定の企業——中小企業だけでございますが、特定の場合に限りまして三年に繰り戻すということをするということで、そのような法案を用意いたしまして、現在国会に提出してございます。それはしかし特定の中小企業だけでございます。 一般的にどうするかということにつきましては、会計処理自体が、このようにきわめて流動的でございまして、まあかなり企業に自由が認められておりますので、企業のいろいろな判断から、いろいろな形での経理が可能であるという状態でございますから、税制の上におきまして、それを特例的に繰り戻し期間を長くするとか、あるいは繰り延べ期間を現行よりも長くするという必要はないであろう、現段階ではないであろうということで、一般法人については何ら特別措置をとらないということにしておるわけでございます。
○渡辺武君 ただいままでは長期資産、負債の場合について伺ったんですが、短期の資産、負債の場合はどうなりますか。たとえば、短期負債が超過したというような場合ですね、これは発生時で換算するのか、それともまた決算時で円換算をして計算をするのか、それともどちらでも自由ということになっているのか、その点を伺います。
○説明員(江口健司君) 短期のものにつきましては、原則は決算日の為替相場によって換算をするということになろうかと思いますが、ただし、長期のものの債権、債務と、短期のものの債権、債務を、ともにすべて発生主義でもってやる場合には、それも認めるという形になっております。
○渡辺武君 そうしますと、やはり長期資産、負債の場合と同じように、短期の場合でも為替差益が出ても、これは発生時の相場で計算をして利益が出ないというふうに計算することができ、それからまた資産超過の場合には、決算時の為替相場で計算をして損失が出たということで、課税をそれだけ免れることができるという仕組みになっているんじゃないですか。これも大企業が非常に多いわけですけれども、これまたやはり大企業優遇ということに私はなると思う。その点どうでしょう。
○説明員(大谷邦夫君) ただいまいろいろ御質問がありましたが、そのもとは企業会計審議会の意見にあるわけでございますので、一言つけ加えさしていただきます。 御存じのとおり、八月末変動為替相場になりまして、これは日々その為替相場が動くということでございます。したがいまして、たとえば九月末に差益が出るといたしましても、翌期三月末になりますと、あるいは損が出るかもしれません。要するに長期の債権、債務というのは、長期にわたって実現するわけでございますから、それを一時期において換算することはかえっていかがかと、かえって損益を不安定にするのではないかという趣旨で、審議会の意見がまとめられたわけでございまして、このようなやり方は諸外国におきましても通常とられておる方法でございます。ただ、わが国におきましては、従来三百六十円というのが非常に基準相場として確立しておりましたので、こういう問題は出ていなかったわけでございます。たまたま八月に従来の固定相場制から変動相場制に移ったということのためにこの問題が生じたわけでございます。 で、ただいま御質問の点でございますが、短期の債権、債務は決算日で換算するのが基本でございますが、ただ長期の債権、債務と合わせまして——これは商法との関連もありますが、長期の債権、債務を発生時でやる場合には、それでもよろしいという取り扱いになっておりますが、しかしこれは、短期の債権、債務でございますから、一年以内に実現するわけでございまして、そのときに当然益なり損なりの計上をされるわけでございまして、これはずっと先に持ち越されるというものではございませんので、念のためにつけ加えさしていただきます。
○渡辺武君 ずっと先に持ち越されないから、これは短期と言っているんでしょう。ですから、私が先ほど申し上げたとおりの計算方法になっているんじゃないですか。この短期の負債超過の場合は発生時で換算してよろしいと、単刀直入に言えばそういうことになっているし、短期の資産超過については決算時で換算してよろしい。つまり別のことばで言えば、短期の資産、負債について為替差益が出ても、帳簿上これは発生時で換算して、出ないというふうに表現することができるし、資産超過については決算時で換算して損が出たということをはっきり出すことができる。まあ、そうしない企業もあるかもわからぬですが、しかし、そういうこともできるということなんでしょう。
○説明員(大谷邦夫君) はい。基本的にはそうなると思います。ただ、まあやり方は三つの方法がございますが、それをどういう方法をとりますかは企業の判断でございますので、渡辺委員の言われましたように、どういう結果になるか、その決算日を見ないと、われわれとしましても掌握できないわけでございます。
○渡辺武君 税金が余分にかかって、かかったほうがいいなんて考えている企業はどこにもないですからね。だから三つの方法のうちどれをとってもいいといえば、これは利益はできるだけ出さないように、損はできるだけ出るようにと計算するのは、これは当然のことですよ。 それで、私この質問に先立って問題にしました八月末のあの輸出前受け金ですね。あれでばく大な為替差益の出る企業、銀行はたくさんあると思いますけれども、この輸出前受けなどは、これはどういうことになりますか。利益ですね。
○説明員(大谷邦夫君) こういうふうに理解されます。輸出前受けというときは、すでに円にかわって入ってくるので、円でございますから特に差益は生じないと思いますが、その入ってきたところでは。そういうことじゃございませんでしょうか。
○渡辺武君 これはまことに奇妙な御答弁をいただきましたがね。輸出前受けというのはドルで入ってくるんですよ。それを為替市場で売って円にかえるんですよ。ですから輸出前受けの場合は、これは一種の短期債務ということになるんじゃないですか、外貨建てのね。どうですか。
○説明員(大谷邦夫君) 輸出前受け金と申しますのは、すでに円に換算されておりまするので、輸出前受け金といわれていると思いますが……。
○渡辺武君 ここに国際金融局長がちょうどおられますから、これはどうですか。外貨建ての債務になるんじゃないですか、輸出前受けでドルを入れた企業は。
○説明員(垣水孝一君) 技術的なことでございますので私から御答弁さしていただきます。 輸出前受け金と申しますのは、結局本来の輸出前受け金でございますと、それは物を引き渡すことに対して金を受け取るわけでございますから、金を受け取った段階ではすでに残っている債務と申しますのは、物の引き渡し債務でございまして、金銭債権、債務とは直接関係がなくなるわけでございます。したがって、前受け金の段階でドルが入ってまいりまして、その段階で三百六十円なりそういうレートで換算されてしまいますと、もう現実の問題としましては、物の引き渡し債務だけが残るということで換算の問題は起きない。こういうことで、通達におきましても金銭債権、債務から除外する前渡し金及び前受け金ということで、物品の売買等に直接関連します前渡し金、前受け金は換算の対象から除外しているわけでございます。
○渡辺武君 一応の御説明ありましたけれどもね、つまりいま御説明のあったのは、輸出前受けでドルを送ってもらった。しかし、これはやがて標準決済方式によれば、一年以内に輸出をするということが前提条件での前受けなんですね。だから、いずれ一年以内に輸出されるであろうということを予想しての御答弁だと思いますが、どうですか。
○説明員(垣水孝一君) そのとおりでございます。
○渡辺武君 そうしますと、問題は、八月の中旬から下旬にかけてばく大な、先ほど言いました十四億二百万ドルという短期間にばく大なドルが輸出前受け金として入ってきた。これは私どもは、正常な輸出前受けではないと考えている。全部そうだとは言いませんけれども。そのうちの大部分はこれはスペキュレーションのために入ってきたものだと考えている。つまり標準決済方式で一年以内に輸出が必ずなされるなんということはとうてい考えられない。こういうものはどういうふうに処理しますか。
○説明員(垣水孝一君) 通達では、外貨建ての売買取引に関して支払った前渡し金または収入した前受け金で、資産の売買代金に充てられることが明らかであるものについては、換算の対象にしないということではっきり限定をいたしておりまして、もしもいま先生のおっしゃいましたように、前受け金という名目で別の、たとえば実質的に借り入れ金であったというような場合が判明いたしますれば、それはその他の本来換算すべき金銭債務が決算日の為替相場で換算されておりますれば、その前受け金は、税務の技術的なことばで申し上げますと、前受け金を否認いたしまして、借り入れ金なら借り入れ金という形にいたしまして差損を計上して更正する、これがたてまえでございます。
○渡辺武君 差損を計上すると言われましたけれどもね……。
○説明員(垣水孝一君) 差益でございます。失礼いたしました。
○渡辺武君 ところがね、先ほどの御答弁によりますと、短期債務の超過の場合は発生時で換算してもよろしいということになっているでしょう。ですから、決算時で換算するか、発生時で換算するか、これは企業の自由にまかされているのじゃないですか、どうですか。
○説明員(垣水孝一君) 御質問の仰せのとおりでございまして、もし他の金銭債権、債務が、他の短期金銭債権、債務が取得日の相場のままということになりますとそういうことになります。ほかのものを決算日でいたしますれば、それと同じような取り扱いをするということでございます。
○渡辺武君 そうしますと、あの段階でばく大なスペキュレーションをやって大きな為替差益をふところに入れた商社や銀行は、これはそれがスペキュレーションである限りにおいては、ふところに入れた為替差益は計上しないで済むということになってしまう。税金はのがれることができる。一体こんな政策は、何と言ったらいいんですか、一方で所得税、働く国民に対しては重い税金をかけておきながら、他方であんなべらぼうなスペキュレーションをやった人たちには税金がかからないでも済むような通達出ているじゃないですか。これは政務次官どういうふうにお考えですか。税負担の不公平もはなはだしいじゃないですか。
○政府委員(船田譲君) ただいま渡辺委員の御質問の中にありましたいわゆる輸出前受け金につきましては、一年これから先行きを見ていって、そこで事実がなかったと、あるいは不当なるキャンセル等によって、これは明らかにスペキュレーションであったという前提のもとに立たれまして御議論されているわけでございますが、すべてのものがそうであるとわれわれのほうでいまの段階において断定いたしかねますから、したがって、先ほど江口直税部長が申しましたような、企業会計審議会の御答申に沿った通達で当面はやっていくほかないのではないか、私はそう考えております。
○委員長(前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(前田佳都男君) 速記を起こして。
○渡辺武君 そういう御答弁があろうかと思ったからこの質問に先立って立ち入り検査の結果を伺ったのです。 政務次官もお聞きになっておられたと思いますけれども、A行a店の場合は、立ち入り検査をして調べた金額の中で七一・三%、これが疑わしいとして為替検査官がチェックをした。それからまたB行b店は六〇・六%。D行。店に至っては九七%、ほとんど全部が疑わしいといってチェックされた。こういう結果がはっきりと出ているのですよ。それは確かに標準決済方式によれば、これは一年たってみてほんとうに輸出が行なわれたかどうかその結果を見なきゃわからぬと、これも答弁の一種ですよ。しかし、あまりにも無責任な答弁じゃないでしょうか。こういう人たちに税金のがれの余地をちゃんと通達で出している、大蔵省。そうしておいて、一方で——いままで各委員が口をすっぱくして追及しておられた、何で低所得者層優先の減税をやらないのかと。何でこんな政策をおとりになるのです。どうですか。
○政府委員(船田譲君) 渡辺先生の御指摘になりました、大蔵省が立ち入り検査をいたしましたたとえば外為銀行のD行。店というにおいては、記載が不備なものの金額的な割合が九七%であるというお話につきましては、先ほど来国税局の者に計算いたさせまして、ほぼ同様でございます。ただ、この記載が不備であるということが、すなわち法に照らしまして必ず不法なりということを言い切れるものではございませんで、商習慣として従来からも多少はあったのではないかというような考え方から、さらに精査をする必要はもちろんございますけれども、この場におきましてこれが不正であるということは言い切れないのではないか、こう考えております。
○渡辺武君 そういうことを伺っているんじゃないですよ。このスペキュレーションの問題を含め、それからまた、一番最初御報告いただいたように、石油会社の場合はわずか五社で千二百十六億円もの債務超過がある。円を切り上げられれば、これは当然に為替差益が出てくる。これを為替差益を計上しなくてもいいというように、この通達ははっきりと言ってみればうたっていると見て差しつかえない。為替差益を計上するように計算してもよろしいし、あるいは計上しないように計算してもよろしい、これは企業の自由だと、こういうことになっているんだから、企業の立場とすれば、差益が出たって、それを出したら税金がかかってきますから、差益が出ないように計算いたしますよ。それは当然のことです。何でこんな大企業に特別な優遇措置を講じて、何で低額所得者に減税やらないのかと言っているのです。私は。どうですか、その点。
○政府委員(高木文雄君) この通達は国税庁長官が出されている通達でございますから、私から答弁するのは必ずしも適当でないと思いますが、ただいまの御指摘の点については、まず現在の法人税の扱いといたしましては、大部分の点におきまして企業会計原則というものを考えて、そこで企業会計原則の上に立って法人の経理に乗って処理をする、こういうのを第一原則にしていることはよく御存じのとおりでございます。 そこで、今回の為替相場のいわゆる変動幅制限停止ということになった場合にどうなるかということにつきましては、当然にまずもって企業会計上それをどう処理するかということでございます。企業会計上どう処理するかということは、これは税金がふえるとか減るとかという問題が非常に重大な関心事ではございますが、それ以外に、それは一種の結果のようなものでございまして、企業会計自体としてどうあるべきか、そこにまあいろいろ債権者、債務者あるいは株主、いろいろの関係がございます。 そこで商法学的な立場、それから会計学的な立場、それぞれの方々のお集まりの場でありますところの企業会計審議会においていろいろ議論されたわけでございます。私自身企業会計審議会にはお世話役といいますか、幹事という立場で参画させていただいておりますが、主体は商法学者と企業会計学者の間で議論されているわけでございます。企業会計学者、商法学者が各方面から意見も聞かれまして、このような三つの選択を認められまして、そのことは私どもとしては、確かに重大関心事でございました。企業側に自由があるということは、ある意味においては、その結果として、企業としては一面なるべく税は納めたくないという気持ちが動くことは事実でございましょうが、結果として税収に影響があるということで、私どもとしても非常に重大関心事であるわけでございます。しかしあくまで、私どもは私どもの立場はございますけれども、あくまで従来から企業会計審議会の意見というものを尊重して、その上に立って税務会計も処理するという長い伝統の上に立って今日までやってきておりますので、私どもは私どもなりに意見は申し述べてきてはおりますけれども、一応商法学者、会計学者の御意見に従ってこういう結論が出ました。それに基づいて国税庁長官はそれに乗って処理すべしという指導通達を出しているわけでございます。 で、いまの点でございますが、企業としてはそれに対してどういう決算態度をとるかということについては、私ども非常に重大関心事でございます。当四十六年度の歳入見積りとして、御存じのように二千九百億円の減収を見込んで補正予算を御審議をお願いしたわけでございますが、その程度で済むかどうかということは、この原則に従って各企業が第一、第二、第三のどういう原則を選んで企業経理をするか、決算を出すかということによって違ってくるわけでありまして、非常に強い関心を持っておるわけでございますが、しからば、損を出す企業は全部それじゃ損を出してくるかというと、どうも必ずしも私ども自身も新聞等でまだ見ている程度でございますけれども、すべての企業が為替差損をどんどん出してくるというふうではないようでございます。 損を出してくるということは、言いかえますと、これはいわば配当ができないということになってくるわけでございますので、配当ができないということは、企業としても非常に大問題でございます、資金調達その他の面において非常に大問題でございますので、それぞれの企業の経理の角度、あるいは別の経営全体の角度から、企業の責任者がどういう決算態度をおとりになるかは非常に違うでございましょうが、かなり大きな差損を出している、差損が実態としてはあるんだという企業の場合にも、配当政策との関係上差損を一ぺんに計上するということは必ずしもやらないようでございます。そういう企業も多いようでございます。 しかし、そこらは、まだ私どものほうに、というよりは税務署なり、国税局に申告書が出ておりませんから、まだわかりませんのでありますけれども、決してこれは、いまおっしゃいますような意味で、つまり、非常に重大な関心事であり、心配はしておるわけでありますが、何か意図的にそうしているということではなしに、万事企業会計の原則というものの上に乗っておる、その専門家の御意見の上に乗っておることであるということだけを申し上げておきたいと思います。
○渡辺武君 最後に一言だけ。いまの御答弁を伺っていますと、私は責任者としてはひきょうな答弁だと思いますよ。責任は企業会計審議会に全部なすりつけ、あとは企業の誠意に、いってみれば依存するというような——しかし、この通達は国税庁長官の名前で出している通達です。責任はやはり大蔵省が負うべきですよ。企業会計審議会がこういうことをきめたから、私どももそれを尊重する以外にない。そんなばかな答弁ありますか。こういう税の不公平をやっている、だから国民は納得しないんです。その点をあなた方よくお考えいただきたい。そうしてこの中小企業に対する減税は当然のことだけれども、大企業について為替差益がたくさん出る。それについては特別な課税方法を考えて、これを適切に応分に吸収すべきだと私は思う。そうしてこれを減税財源に回すべきだ、大衆の払う税金の減税財源に回すべきだと思う。その点について大蔵省の責任ある答弁を伺いたい。 それからもう一つ、この通達は私は税法違反だと思う。この通達が税法の何条に基づいて出された通達なのか、これを参考までに承りたいと思います。
○説明員(江口健司君) 企業会計審議会の議論等を経まして、私どもは法人税法の二十二条四項にございます、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によるものであるというふうに判断をいたしまして、法人税法二十三条に基づいてこの通達を出したわけでございます。
○政府委員(高木文雄君) 先ほどおしかりがございましたが、るる申しましたように、現在の法人税の前提となります損益のたてまえというものは、企業会計の上に立っているという考え方をとっております。そこで、そのことについていろいろ御批判があるかもしれませんが、しかし、税務というものの一つの限界と申しますか、どういう立場をとるべきかということは非常にむずかしいことでございますが、まず企業としては、税務の問題も重要な問題でございますが、同時にまた企業経理自体の問題、債権者の問題、株主の問題、いろいろあるわけでございまして、それらを総合して、まあいわば長年の伝統的な企業会計のものの考え方があるわけでございます。その企業会計のものの考え方と、税務の考え方はしばしばいろいろな点で衝突する場合もあるわけでございまして、絶対に企業会計の原則の上に例外はつくれないのだということではございません。そういうことではございませんけれども、大筋としては、企業会計の上に乗っているということでいっておるわけでございます。で、その前提については、私どもとしては、いろいろ御意見はございましょうが、従来もそうでございましたように、今後ともその大前提だけは動かさないということのたてまえをとってまいりたいと思います。 ただし、いろいろ別の角度で、全く別の角度で、税法上の公平の原則という立場から別のことを考えろという御意見については、それはまたそれでの当然のお考えでございますし、私どももそういう考え方を持っておりますので、たとえば、先ほどの差益の問題につきましても、今後とも引き続きいろいろ研究してまいりたいというふうに考えております。
○委員長(前田佳都男君) 午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時五分休憩 —————・————— 午後一時四十二分開会
○委員長(前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、「所得税法の一部を改正する法律案」及び「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」を便宜一括して議題といたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 今回のこの農業共済再保険の問題で若干質問したいと思うんですが、まず第一にお伺いをするのは、過去の実績を見ますると、昭和二十二年、三年、この両年度においては、歳入不足を繰り入れ金でまかなって処理をしておるわけです。さらに、今回のようにこの法律で処理する、そういうものは過去に九回というのがあったんですね。これは四十一年度までですから。これは二とおりあるようですが、その判断はどういうところによるんでしょうかね。その見解をひとつお聞かせを願いたい。
○政府委員(吉瀬維哉君) この判断でございますが、まあ大体保険勘定でございますので、長期的には掛け金と均衡するというような形におさまることが普通でございますが、異常な災害が発生する場合に、通常の場合にはまあ基金勘定その他の取りくずしでできるわけでございますが、一般会計から繰り入れを特に通常の掛け金負担のほかに計上いたしまして、保険収支上異常のないようにしようとするという形の判断というものは、一般会計からの繰り入れ金を、今回は非常に異常な災害が発生した、こういう判断のもとに繰り入れます。ただし、提案理由の補足説明で申し上げましたとおり、将来農業勘定に剰余ができましたときには弁済していただく、こういうふうにしております。
○戸田菊雄君 おおむね被害額といいますか、共済金支払い額といいますか、その辺の限界線はあるわけですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 特に限界線ということで、金額的にきめているわけではございませんが、やはりこの会計の運営上多額の再保険金の支払いを要するという判断でございますが、非常に微細なる金額でございましたら繰り入れその他でつなぐこともできるわけでありますが、相当多額の金額に及びますと、金利負担その他も相当多額にのぼりますし、また再保険金の支払い金の問題もからみまして、やはり財源を付与して払ってもらう、こういう形になるわけでございます。
○戸田菊雄君 私の考えとしては、今回のように法律処理で一般会計からそういうことでやるのが当然じゃないかと思うのです。借り入れ金の場合ですとね、利子がかかったりその後の事態が共済組合の負担増、こういうことに結ばれてくるような気がするのですね。ですからそういう意味合いでは、この処理方式としては今回法律に基づいてやったほうがいいと思うのですが、ただ特別会計法第八条には制度上そういう借り入れ金処理もできると、こういうことになっておりますから、こういう制度の改廃はどうでしょう、考え方としては。
○政府委員(吉瀬維哉君) 先生のおっしゃいましたとおり、異常なる災害に伴う財政処理、これは国会の御審議を得まして特別法をつくりまして繰り入れるという、こういう処理がよろしいと思っております。ただ、借り入れ金の規定も、現在いろいろな事態も場合によっては予想されますので、このまま残しておいて、実態に応じて判断していきたい。原則としては先生おっしゃるように、特別異例のときには繰り入れ法をつくって一般会計から入れる、こういうことでいきたいと思います。
○戸田菊雄君 それからもう一つは、非常に日本は災害発生が多いですね、ですから当然予防措置というものが十分なされてしかるべきだと思うのですが、そういうような防災予算、これは大体どのくらい四十六年度でとっておられますか、ちょっと調査をする余裕がなかったものですから、その内容について説明を願いたい。
○政府委員(吉瀬維哉君) 手元にデータがございませんので、後ほど御説明をいたしたいと思います。あるいは後ほど資料で提出いたしたいと思います。
○戸田菊雄君 いずれ機会があったら承りたいと思いますが、きょうは時間がありませんから深く問いません。 ただ、問題は四十四年だと、私の記憶では防災予算ことに気象庁関係個所の予算というものは大副に削減をされて、年々減少の傾向にあるわけですね。たとえば一つの例ですけれども、いま気象庁につとめておる技術者の関係を見ましても、これは具体的にあとで問題やりますけれども、非常に賃金も低いんですね、いる人はどういう人かというと、たいがい学者に匹敵する一級品の技術者です。そういう人が係職にもなれないでいるわけですね。きわめて冷遇の位置に甘んじている。あるいは地域的に勤務地も悪いわけです。それはみさきとか、離島とか、そういうところに行っているのです。これはいずれ触れますけれども、総体的に恵まれていない。だからどうしても気象通報というものはお粗末になっちゃう。大体いまの佐藤内閣と同じで、言ったことの裏を行けばいいというのが気象通報のあり方ですから、そのくらい信用されないんですね。しかし当該者に聞いてみますと、たとえば、長期予報で十月中旬以降は大体快晴になるだろう、晴れるだろうということになりますと、その辺を見当にして家を建てたりいろいろな計画を入れるわけです。あるいは引っ越しとか。ところが、そういうものが全く期待はずれになっちゃう、そうするとおこられるのは当該職員だけ。どんどん電話がいってやられるので、そういうみじめな状況にあるわけです。 ですから、こういう点については国策としてもっと重点的に今後そういう防災体制というものを確立していく必要があるのじゃないか、特に金を出すほうは大蔵省が担当なんですから、そういう意味での要望を私はこの際申し上げておきたいと思うのですが、そういうやはり被害救済を含めてむしろ予防措置ですね、もっと力を入れるべきじゃないか、さしあたって気象通報が正確に行なわれるように、そういう機構、待遇、各般の問題についてもっともっと整備をしていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますが、その辺の見解どうですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) たしか御質問の趣旨のとおり、最近の気象予報は、特に御指摘がございましたが、四十五、六年度はいま手元に数字がなくて非常に恐縮でございますが、私の記憶によりますと相当防災対策、特に防災気象関係の予算は増加しているつもりでございます。ただ、最近の一つの傾向といたしまして、定点観測その他の充実によりまして、台風予報、これにつきましては相当予報技術は進歩してきておりますが、局地災害でございますね。特に集中豪雨などを中心といたしました局地災害、これが大きな問題となっているわけです。これに対しましては、たとえば観測地点、まあ無人ロボット化による急速なる拡充とか、いまおっしゃいました各気象台、測候所、こういう関係の相互のネットワークの整備というようなことに力を尽くしていきたい。もちろん、瞬発的に、局地的に起こる災害でございますので、なかなか、そういうネットワークを広げましても、問題が残りますが、そういう点は、さらに気象衛星とか これは大きな計画でございまして、まだ慎重に検討しなければいけないんでございますが、そういう点に、さらに力を尽くしていきたい、こう考えております。
○戸田菊雄君 ぜひ、そういう点は今後とも検討していただきたいと思うんです。 次に、大蔵省からいただいた資料があるわけですけれども、これは「昭和四十六年産農作物、蚕繭共済の都道府県別支払再保険金見込額等調(その一)」、これがあるわけですが、この掲載数字は確定と見てよろしゅうございますか。大蔵省、どうですか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 計数はまだ最終的には確定していないと、こう考えております。ほぼ、大体この見込みであると思います。
○戸田菊雄君 あくまでもこれは参考と見ていいわけですね、確定じゃないけれども、概数と。
○政府委員(吉瀬維哉君) さようでございます。
○戸田菊雄君 これは最終的に、支払い共済金なり、支払い再保険金、これはいつごろ決定されましょうか。並びに、その支払い措置、この時期的な見通しですね、その辺もあわせてひとつ。
○政府委員(小暮光美君) 水稲につきましては、東日本におきましては、年内に実際の被害農家に共済金が渡るようなところまで事務を進めるように準備をいたしております。西日本は、御承知のように、作柄の査定がおくれますから、例年、西日本について金額が確定いたしますのは二月ごろになりますが、大勢は、東日本の年内のものがかたまりますと、大体、全体の姿は、大筋ではかたまります。
○戸田菊雄君 まあ具体的にお伺いしてまいりたいと思うんですが、今回の共済対象の農産物は、これも大蔵省の資料だと思いましたけれども、水稲、陸稲、麦、それから繭、これは春、夏、秋を含めましてですね、等々にあるわけですが、たとえば北海道、東北は、ことしは春口から非常に冷害ないし霜害、こういう各般の被害を多く受けているわけですね。ですから、宮城県の例でいきますと、奥羽山脈の蔵王、この山腹地帯ですけれども、そういうところは、主として果樹——桃、ナシ、ブドウ、こういう産地と、それから水稲といっても、すべて単作地帯ですから、そういうことになりますと、霜害や冷害で果樹は全滅。おまけに、現在刈り取りが終わって、水稲反収は約三割以上、平均二割くらいまでいっているわけですね。きょうは農政問題に触れませんけれども、この農政全般を通じて考えまするというと、一方で米価据え置きでしょう、減反でしょう。ことに、ことしの減反は二割強ですからね。そういうことになりますと、農政局で検討されましたように、二割以上の被害、そういうものに対しての保険、補償ですね、こういうことになっているようですけれども、非常に農村は、家計そのものが食えない、こういう苦しい状況に追いやられている。 ですから、宮城県の一例ですけれども、登米郡というところがありますが、これは米の生産地です、米どころですがね、そういうところで、一戸平均が大体八反歩ないし一町歩です。その荒収入が金額にして七十万、家族平均が七名です。荒収入で七十万ですから、現金では五十万円見当、これで七人の生活をやっていけというんですから、農家収入で生活できないということはもう決定的なんですね。これは農政全般の問題にかかわる問題ですから、この保険と直接はきょうは関係ないかもしれませんが、そういう意味合いから考えますると、この冷害、霜害、そうして今度は水稲の減収、こういうことになっていまするから、このみじめな生活度合いというものは、とてもことばでは言い尽くせないような、そういう状況になっておるわけです。ですから、少なくとも共済保険での救済措置というものは、もっと、あれですね、高額選択ができるように、そういう方向での検討があってしかるべきじゃないかと思うんですが、その辺の見解はどうでしょう。
○政府委員(小暮光美君) 御指摘のように、同一地域がいろいろな災害を通年受けますような場合には、非常に苦しい状況になるわけでございますが、これにつきましては、農災制度のほかに、必要に応じ、災害融資その他の措置もあわせて対策を講ずるようにいたしたいというように考えておるわけですが、水稲共済に関しましての補てんのあり方につきましては、私どもも毎年、生産者ができるだけ被害の実態に応じ、適切な共済金額を選択するように指導いたしてまいっております。御承知のように、掛け金に対する国庫補助もかなり高率のものをこれに用意いたしております。最近、五年間あたりの趨勢を見ますと、昭和四十二年当時に、水稲の最高限度額に対して、生産者が選択いたしましたものの平均は、最高限に対しまして六六%でございまして、その後年々上がってまいりまして、四十六年は最高限に対して八二・五%。水稲の場合最高を選びますと、おおむね六三%程度の補てんになるわけでございます。本年は、おおむね五割程度、五割ちょっと切る程度でございます。その程度の補てん率になるような共済の仕組みに相なっております。
○戸田菊雄君 この損害の評価技術の問題ですが、これは積算基礎といいますか、どういうふうになっていましょうか。
○政府委員(小暮光美君) 三割以上の被害があったというふうに、被害農家が共済組合に届け出る形をとっておるわけでございます。被害農家から三割以上の被害があるというふうに届け出がございますと、末端の共済組合がこれについて現地調査をいたすわけでございます。一応、一般の場合には、検見ということで関係者が集まって圃場を見るということで見当をつけるわけでございますが、要所要所については、さらに坪刈りという形でこれをチェックする形で、全部坪刈りするわけにはいきませんから、検見を中心にして、三割以上の被害があったという申し出のあった圃場については、一筆ごとにこれを検見によって確認する、こういうことをいたしております。
○戸田菊雄君 水稲関係の被害総額はどのくらいなのか、あるいは陸稲、麦、繭、この対象農作物の品目ごとにわかれば、教えていただきたい。
○政府委員(小暮光美君) 年初から、御承知のようにさまざまな、陸稲についての干害、麦についての雨の害、あるいは春の養蚕についての凍霜害がございます。全部を申し上げますとあれでございますが、当面問題になっております冷害の関係で申し上げますと、冷害による水稲の被害が九百三十四億円というふうに公表されております。そのほかに冷害によってなお陸稲あるいはその他の雑穀類にも被害がございます。冷害による作物被害は千三百三十三億、うちいま申しましたように水稲が九百三十四億ということに相なっております。
○戸田菊雄君 繭はどうでしょうか。
○政府委員(小暮光美君) それじゃ年初来の被害をちょっとできるだけ簡潔に申し上げますと、四十六年に入りましてから四月中旬から五月上旬の降霜、低温災害によりまして果樹、桑、野菜等を中心に約八十四億円の被害がございます。それから、梅雨前線等の豪雨の関係で六月初めから七月下旬にかけて東北、中国、九州、それから七月上旬に台風十三号、関東、東海、七月上旬から中旬にかけて雷雨を伴った降ひょう、これらを合わせまして作物被害が百二十一億円でございます。それから台風十九号の関係で——八月の五日から六日にかけての台風でございますが、作物被害百九十八億円、それから台風二十三号の関係で——これは八月の下旬でございますが、作物被害が三百五十八億円、それから先ほど申しました冷害の数字になるわけでございます。
○戸田菊雄君 いまの被害総額は確定と見てよろしゅうございますか。
○政府委員(小暮光美君) それぞれその時点において天災融資法等の発動いたしました際の基礎数字でございます。
○戸田菊雄君 現地に行って私はじかに当たってみたのですが、それによりますと、宮城県の場合ですけれども、支払い共済金が十一億一千七百七十四万二千円、支払い再保険金が四億五千四百三万三千円、こうなっておるのですが、大体この倍になっておるのですね。ですから、相当隔たりがあるように感じるのですが、その点はいかがですか。
○政府委員(小暮光美君) 倍とおっしゃるのは何と何か倍ですか。
○戸田菊雄君 支払い共済金で二十二億円となっておりますが、これが十一億ですね、大蔵省の四十六年度の「再保険金見込額等調」。
○政府委員(小暮光美君) 現在東北につきましては、なお支払い共済金額が調査中でございますからまだ確定いたしておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、現在の水稲共済ではおおむね五割前後の補てん率にことしの場合なっておりますから、支払われます共済金額の見込み額、それから水稲の被害ということで把握されております金額とがほぼ二対一に相なるであろうと思います。
○戸田菊雄君 最終的に決定される時期はいつごろですか。
○政府委員(小暮光美君) 東北の場合は十二月の中旬になるであろうと思います。
○戸田菊雄君 年内と理解してよろしいですね。
○政府委員(小暮光美君) 先ほど申しましたように、年内に被害農家に渡りますことを私どもの事務の目標といたしております。
○戸田菊雄君 共済保険料率についてどういう算定でやられるかちょっとお伺いしておきたい。
○政府委員(小暮光美君) 現在の水稲共済は、過去二十年間の被害の状況から、それぞれの予想されます被害率を算定いたしまして、それがそれぞれの共済組合ごとにきまっておるわけでございます。この被害率を一方に置き、かたがた先ほども関連して出ましたけれども、そのときの米価に対しておおむね九割程度のものが付保いたします率の最高限になります。それからさらに下のほうで幾つかの選択の余地がございます。どの共済金額を選ぶかということと、それぞれその地域についてきまっております、示されておりますものの被害率、この両者から掛け金が具体的に算定されるわけでございます。
○戸田菊雄君 水稲の場合ですけれども、大体一キログラム保険料が四十円から百二十円、この間で査定をされるようですね。その判断はどういう判断によるのですか、たとえば、百円以上適用とか、あるいは二けた適用とかいろいろあると思うのですが、どういう判断で。
○政府委員(小暮光美君) ことしの場合、五十円から百二十円までの最高金額の選択が認められているわけでございますが、これを生産者があらかじめ選択するわけでございます。その生産者があらかじめ選択しましたいわば付保金額、それと被害率からそれぞれの生産者ごとの掛け金がきまるわけでございます。
○戸田菊雄君 したがって、農業災害補償制度及び果樹保険制度の機構と予算の仕組みについて、これは農林省のあれですが、いま、指導としては、先ほど私が指摘をしましたように、高額選択で大体いっているのじゃないかと思いますがね、農林省の指導は。そういう指導のために一応都道府県知事ですね、これに対して共済団体の指導監督、こういうことで九千三百五十一万八千円年間やられておるわけですが、これは内容としてはどういう指導が重点ですか。
○政府委員(小暮光美君) 水稲共済制度は、御承知のように、末端に共済組合がございますほかに、国が特別会計の再保険をするという形でございますので、いわば国の事務の一部のようなものが水稲共済という形で行なわれている事情でございますので、関係の都道府県が組合を指導いたしますための経費を国費で一部見ておるという形になります。そのほかに、それぞれの共済組合に対し事務費は一応賦課金でまかなうのがたてまえでございます。その制度の農業政策上の重要性にかんがみまして、その事務費を一部補てんするという意味で、事務費の一部も補助いたしておる次第でございます。
○戸田菊雄君 そういうことで行政上各般の指導をやっておるわけですけれども、まだ十分農作物全般に対する災害時の保険体制というものが整備されておらないと思うのですね。しかし、ようやく果樹等については六品目ですか、その実験段階に入りまして、四十八年以降本格的に実施しよう、こういうことでいっておるようですけれども、その他農作物についてはまだまだやっておらない、たとえば、地域名産物とかいろいろあります。ミカンとかリンゴとか各般の問題がありますけれども、こういった問題についてももっとやっぱり共済制度というものを拡充していく必要があるのじゃないか、そういう意味合いにおいて他の農作物の共済保険等に対してどういう考えを持っておられるか。
○政府委員(小暮光美君) これまで御指摘のように米、麦あるいは養蚕それから畜産、こういう形で農災制度の整備をしてまいりましたので、現在これを拡充いたしますための最優先の問題といたしましては、果樹につきまして現在実験実施という形になっておりますけれども、四十八年度から本格的な実施に移りたいということで、これは次の通常国会に関連の法案を御提案申し上げるつもりで、いま細目の準備に入っております。 それからそのほかにたばこ、茶、ホップあるいはイグサ、さらにいろいろむずかしい問題を含んでおりますが、サトウキビあるいは豆類といったような地域の特産物につきましても、最近の稲作転換等の農政の基調から考えまして、水稲以外のものに作付を転換いたしました際に、これに何らかの補償制度があることが望ましいという政策的な観点から、これらのものについての共済制度の基礎的な調査を始めております。 なおそのほかに、特にビニールハウスに対する雪害等がかなり目立っておりますので、施設園芸を特にその中からできるだけ早く現実のものにしたいということで検討を進めております。 そのほかに、かつて豚、鶏についてかなり激しい集中的な病害がございまして、そのときに肉豚及び鶏についての制度の試案等を調査研究いたしたことがございます。その後、これらの面につきましては、逆に技術が発達いたしまして、ニューカッスルその他が大体技術的に克服されましたために、現在生産者の側にも若干保険需要と申しますか、熱意において当時と違う点がございます。しかし、今後また新たにどのような病気が出てまいるかわかりません。私どもといたしましては、肉豚、鶏につきましても、なお引き続きこの制度化に備えての研究を継続いたしたいというふうに考えております。 ただ、全体として、特に畑作物につきましては、作付が安定しないという問題もございます。また特に作柄が水稲等に比べますと、きわめて不安定、ものによってはやや投機的な作物にならざるを得ないというような豆類のようなものもございまして、これらが、食管制度あるいは長年の技術といったようなものにささえられております水稲の場合の共済制度と同じような制度、同じような形で実現できるというふうにはどうしても考えられません。非常にむずかしい問題を含んでおるというふうに思っております。鋭意検討を続けておるところでございます。
○戸田菊雄君 いまの局長の答弁ですと、総合的に非常に前向きで検討という、そういうふうに理解するわけですけれども、具体的に果樹共済等については、いま六品目ですね。これをさらに拡大する方向はひとつありませんか。 それからもう一つは、果樹以外のいわば地域農産物、名産物と言われるもの、たとえばお茶とかミカン、ホンプとか、こういった——いま六品目があるようでございますが、それをもっと拡大するという方向はありませんか。 もう一つは、ビニールハウスの施設園芸でありますけれども、これは今後の趨勢としては、相当私は拡大していくんではなかろうか、こういう考えを持っておるんです。そういうことだとするならば、当然時期的な問題をもっと早めて検討する必要があるんではないか、こういうふうに考えます。 そういった問題について、具体的にひとつ検討の内容ないし将来に向けての展望といいますか、そういうものをもう少し具体的にお聞かせを願いたい。
○政府委員(小暮光美君) 果樹につきましては、現在五カ年ということで試験実施をいたしております樹種について、五カ年間の試験実施に伴ういわば資料の集積がございまして、これらのものを十分に活用いたしまして、本格制度を仕組みたいということで立案中でございます。 共済制度は、申し上げるまでもないことでございますが、過去の被害の実態、これを統計的にできるだけ精度を高く把握することが、保険設計をいたしますための最大の基礎でございます。その点が十分でございませんと、制度自身がなかなかうまくころがらない。かりに実施をいかにあせりましても、かえって出発したものがうまくいかないということがあり得ますので、現に現在の試験実施の中でも、途中できわめて大きな料率の改定の問題にぶち当たっておりますが、これは試験実施でございますから、過去のデータの蓄積を完全に待つわけにいかずに、ある程度の数字でまず保険設計をいたしまして、試験実施をいたしておる過程に起こったので、これはやむを得ませんけれども、本格実施の際にはできるだけそういうことが少ないように仕組みたいと思います。したがいまして、対象樹種の拡大の問題は、現在試験実施をいたしておりますものを、本格実施に移しました時点において、さらに果振法の対象品目でまだ試験実施の対象になっていないものについて、基礎的な資料の収集を行ないたいというふうに考えております。 それから地域特産物の問題につきましては、先ほどもちょっと申しましたように、関係者の熱意にもかかわらず、これを農災制度として仕組むには非常な技術的な難点がございます。 ただその中で、たとえばビニールハウスあるいは沖繩が復帰いたしましたあとの沖繩のサトウキビといったようなものにつきましては、かなりの具体的な詰めを急がなければならない優先順位にあるんじゃないかというふうに考えております。 それから、いま申しましたように、全部を一斉に制度化するということはできませんで、いま申しましたような基礎的な被害実態の統計を、保険設計を頭に描きながら収集するという仕事をそれぞれやりませんといけませんので、全体としてはかなり長期間を要するんじゃないかというふうに考えております。
○竹田四郎君 関連。いまの保険制度というのは、米作とか果樹とかというようなものですけれども、実際、農家の所得という面から考えてみますと、米が余って困るということは、結局米が非常に換金——金にして安定した収入を得るということが、米をつくっていく大きな私は原因であろうと思うんです。最近野菜等を見ますと、もう毎年上がったり下がったり、これは天然現象や、あるいは病虫害ということではなしに、むしろ供給の不安定というようなものから非常にそういうことになっておるわけでありまして、そういう意味では野菜によるところの農家の安定した所得というのはいまの形ではとられないわけです。消費者のほうはまた消費者のほうで、上がったり下がったりしましてこれまた非常に不安定だと。 こうした問題は、おそらく農民の農家所得に対する対策というものが私はおくれていると思うんですけれども、保険とはちょっとかけ離れるかもしれませんが、やっぱり野菜の安定供給をはかる支持政策といいますか、そういうものは当然あってしかるべきだ。これはかなり、各県ごとにはそういう試みもいままでされてきているはずだと思うんですけれども、そういうものがないところに今日の農政の混乱が私は大きくあらわれてきているんじゃないか、また同時に農家としても安定した現金収入を得るというところに、農家の作付というようなものもきまってくるわけであろうと思うんですけれども、そうした野菜等に対する、これも全部というわけにはいかないんですけれども、国民がかなり日常使っているような、たとえば、タマネギだとか、キャベツだとか、トマトだとか、キュウリだとか、少なくともこういう大きな野菜の種類については、私は当然保険と同じような安定した価格をつくるような、支持政策というものをつくるべきだと思うんですけれども、いまのような形だけでいきますと、これは幾らやってもおさまりがつかない、解決がつかない問題であろうと思うんですが、こういう面についてはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(荒勝巖君) 野菜の供給の安定、したがいまして、価格の安定をいたしますことが野菜行政の一番重要なことではなかろうかと思っております。で、野菜の価格安定のためには、何と申しましても生産、出荷の安定をはかることが基本であると思っております。私たちの野菜の行政の中で一つの法律のよりどころを求めまして、野菜生産出荷安定法という法律がございますが、それに基づきまして中央に野菜の生産出荷のための資金協会というものを設けまして、重要な野菜につきまして一定の価格水準以下に暴落いたしましたときには、その当該野菜についての価格補てんを農家に行なうことによって、生産の安定をはかるようつとめてきた次第でございますが、従来の野菜に対するそういった価格補てん事業が、従来ともすれば少しまあ手薄かったというふうに感じております。 これはただいま先生から御指摘がありましたとおりでございまして、われわれといたしましては、そういった野菜の価格安定のために従来以上に今後努力しなければならないというふうに考えておる次第でございます。特にこの野菜の中でも、秋冬野菜のうち、露地野菜で生産が非常に不安定ということで、さらに価格につきましてもその生産が不安定なために需給バランスを失しまして、非常に価格の暴騰、暴落が激しい大根、白菜、キャベツ、タマネギ、こういったただいま御指摘のありましたような重要野菜がありますので、そういう重要野菜につきましては、従来以上に支持すべき価格水準を引き上げまして、政府におきましても価格補てん事業につきまして十全の対策を打ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 そういう話はいつも聞いているわけですが、率直に言いまして、そういう話を聞いたあとで、野菜の暴騰が起きたり暴落が起きたりしているのが私はいままでの現実だと思うのです。言うだけではいつまでたっても野菜問題は解決しないと思うのですが、一体そのいつを目安に安定供給をはかるような措置をとるのか、そういうその時期的な問題が非常に明示されていないわけです。ただ努力しますということでずいぶん長い間通ってきていると思うのですけれども、いついつまでにめどをつけるという目標がないと、私はどうにもならないのじゃないか。そういうものがないから仲買い人が入って白菜を買い占めしてみたり、タマネギを買い占めしてみたりするわけであります。これが価格が安定してくるということになれば、そういう投機的なこともできなくなるわけであります。ただ言うだけでなくて、具体的な日時を、計画を立てて、そうして目的達成の日時を明確にしていくということが、ぼくはいま野菜の問題では必要であろうと思うのです。 いま局長のお話でも、その辺の明示がなかったわけでありますが、その辺はぜひここで明示して、その目標に向かって進んでいくと、達成させていくというような決意がなければ私はいかぬと思うのですが、どうですか。
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御指摘のように、従来の野菜行政は、全般的にこのいろいろな野菜につきまして、毎年野菜の価格を安定すべき対象野菜の数をふやすという形できたわけでございますが、やはりわれわれといたしまして、その中でも、たとえば、施設野菜、先ほどここでも御議論がありましたような、キュウリとかあるいはトマトとかいうふうな施設野菜の傾向は、生産と出荷の安定が年々逐次安定してきてまいっておりまして、これにつきましては、よほどの事情がない限り価格の大暴騰ということはないというふうにまあ考えている次第でございます。 さらに夏野菜につきましても、この稲作の転換対策事業等もからみまして、本年も約八万ヘクタール近くの稲作転換のための夏野菜ができまして、ごれも今後相当長期にわたって夏野菜につきましてはある程度安定していくのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございますが、先ほど申し上げましたように秋冬野菜、この十一月ころから来年の三月ころまでの冬の間供給すべき野菜が、天候のかげんもありまして、北関東から以北では供給がなかなかむずかしいということで、したがいまして、その供給地を西のほうに求めなければならないというふうなことで、面積的にもなかなか確保はむずかしい、こういうふうに私たち考えておる次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、この秋冬の重要な露地野菜であります、しかも、天候に左右される度合いの非常に高い大根とか、白菜とか、キャベツとか、タマネギとか、こういったものにつきまして、具体的に来年度予算でもうひとつこの辺に十全の力を注いでまいりたいということで、何らかの形で生産、出荷の確保ということと、さらにこれらの野菜の価格につきましても、従来以上に非常に相当な引き上げ幅を設けていきたいということと、さらにそれに対する国の国庫負担割合も非常に高いものにしていきたいというようなことで、ただいま検討をしておる次第でございます。
○戸田菊雄君 時間がありませんからあと四点で質問を終わります。 その第一点は、いま局長の答弁の中で、単作物の共済保険の問題については、まず果樹関係を重点にする、次に地域農産物、次に施設園芸、こういう順序で理解していいですね、これが第一点。 それから現在の水稲、陸稲関係の被害が非常に大きいというのは、一つは、やはり農政問題に触れるわけですけれども、いまの政府の品種改良ですね、非常に病虫害に弱い、言ってみれば質のいいやつをつくって多く売れと、こういうものに集中している結果じゃないかと思うのですが、これはきょうは農政問題については深くやりませんけれども、この辺はどう考えておりますか。そういう品種改良から来る多くの被害続発あるいは過大と、こういう問題が出ているのじゃないかと思うのですが、その辺の見解をひとつ承っておきたい。 もう一つは、等外米の救済をどうするかですね。これによって農家の実際の被害というものはもっと大きくなるか、狭まってくるかと、こういう結果になるわけですけれども、これは保険関係のほうで食糧庁等に対してどういう姿勢でいま臨んでいるか。等外米の政府の買い上げですね、包括をされてやっていくのか、あるいは等外米を買わないというようなことになった場合には、被害は増大するわけですから、そういう問題に対する保険の救済措置はどうか、この辺の見解をひとつ明確にお答え願いたい。 それからもう一つは、災害補償法の第十三条であります。この関係について、これは交付金関係の問題ですね、条文をちょっと読んでみますと、「前条第一項又は第三項の規定による負担金は、組合員等が組合等に支払うべき共済掛金の一部に充てるため、政令の定めるところにより当該組合等にこれを交付する。」、こういうことになりまし七、別表で、これは政令でもって決定されているわけです、たとえば、「〇・〇一以下の部分」については「百分の五十」云々ということで、ずっと政令がきまっておるわけです。この超過累進方式、大体平均六割と、こういうことになっているわけですが、これははたして妥当な線でしょうかね。その辺の見解を、あるいはまた将来に向いてこの辺をもう少し検討する必要があるのかないのかという点について見解をお伺いして終わりたいと思います。
○政府委員(小暮光美君) まず第一点につきましては、果樹が真っ先であることは申し上げるとおりでありますが、施設園芸と畑作とどっちが先かという点については、重要性の点からいうとどっちも大事だと思いますが、ただ事柄の技術的な解明の進捗状況からいきますと、どうも畑作のほうがなかなかむずかしい、施設園芸のほうがむしろ問題点の解明がやや進んでいる。ただどっちが大事だというふうには私としては言えません。どっちも大事だと思います。 それから第二点の品種の問題でございますが、御指摘のような点も決して絶無ではないと思いますが、ただ、御承知のように、耐病性あるいは耐寒性というような点で、水稲の育種についても多年の努力がございました。稲作全体の面積が戦後非常に広がって、現在は余って困っているといいますけれども、ここまで稲作が広がってきたというのには、実は耐病性、耐寒性といったような育種の改善の努力もございました。しかし、御指摘のような点は、今後むしろ果樹とかそういう選択的拡大の種目につきまして、特に試験研究の面で十分注意していかなければならないだろうというふうに考えております。 第三点の等外米の問題でございますが、これは食糧需給の状況をながめながら、食糧庁において必要に応じて、過去においても異常災害の場合に等外米の買い上げ措置を講じた例はございます。本年度もそれらの例に照らし、しかるべく措置されるように私どもも考えております。 ただいずれにいたしましても、どこまで政府が買うかという境目があるわけでございます。共済制度といたしましては、多年の経験に基づいて、一定の選別方法でふるいました結果、残りましたものを一応これを米の収量というように判断いたしまして、それ以外のものについて共済金を支払うわけでございますけれども、その点で、かりに一度共済制度上の米だというふうに観念いたしましても、食糧庁側でどうしても食糧として買えないというようなものがございました場合には、これについて本年は特に異常災害でございますので、損害評価の特例措置ということをやるように、すでに末端の指導を終わっております。これは買い上げができませなんだものにつきましては、これを試験搗精いたしまして、通常想定される相場より下がるその分だけ減収があったというふうに農災制度上読むというような損害評価の特例措置を講じております。 それから最後の超過累進の問題でございますが、米が持っておりました食糧政策上の非常に大きな意味がございまして、どんな狭いところでも、一俵でもよけいとってほしいということでやった事実はございます。したがいまして、そういった政策のあり方と見合って、水稲につきましては非常に高い累進の国庫負担というものを従来やってまいったわけであります。前国会に農災制度の改正案を御提案いたしました際、最近の食糧需給並びに農政の方向等から考えまして、極端な超過累進は一部これを是正するということで、一定被害率以上につきましては、国庫負担を七〇%に頭打ちするという法改正を前国会で終わっております。 以上であります。
○多田省吾君 私は、時間もありませんので、まとめて四点ばかりお尋ねします。 第一点は、本法によりますと、被害減収量の最高六三%しか補償されておりませんが、この補償率を引き上げるお考えはないかどうか。 それから第二点、共済金の支払いについて、被害農家の農民の方からその支払いが非常におそいという声が強いのでありますが、当然仮払い、積算払い、概算払いがなされていると思いますが、その実情はどうか。さらに被害農家の方々の主張を聞きますと、調査員の数が少ない。それから調査員の主観的な考えで被害が査定されるから、正しく実体を把握されたものが少ない。そして調査報告を集約する日数、時間が長いために、支払いが非常におくれるという苦情がありますが、その点をどう考えておられるか。 それから第三点は、被害の調査研究所、試験場調査員の数をふやすとか、調査技術の向上をはかるべきだという声が強いのであります。それをどう考えるか。さらに損害評価委員、共済の連絡員等の実態はどうなっているか。それからその方たちに対する報酬の実情はどうかという点であります。 それから第四点は、いま質問がございましたけれども、ビニールハウス等の施設園芸に関して、また野菜等に関して、この前千葉県等に集中豪雨がありまして、ものすごいビニールハウスの流出、あるいは海水や集中豪雨による全滅といううき目にあったわけでございます。この前災害対策特別委員会で質問いたしましたときにも、農林省あるいは総理府では、至急に施設園芸等に関しては補助制度を考えたいということでございましたが、いま御答弁を聞きますと、全体として長期間かかる見通しだ、こういうことでは、最近の集中豪雨が非常に重なっているような傾向から考えて、これは非常に問題だと思うのです。国でも総合農政をやる、また野菜不足だ、また県のほうでも、こういうビニールハウスの施設園芸等に関しては相当力を入れて農村の方々を激励しているのに、一たん災害が起こると全然補償金が払われない、補償制度がないということはこれは大きなことだと思う。 この四点について一つ簡明にお答え願いたい。
○政府委員(小暮光美君) 水稲共済について最高の評価額をとりますと、おおむね六三%という現行制度でございますが、水稲栽培の場合の現金経営費と申しますか、現金経営費の実態はおおむね五〇%以下でございまして、したがいまして、現在の六三%という形で現金経営費を償って、なお若干余裕があるような形になっておるわけでございます。しかし、制度が進みますならば、もちろんこれ以上高い保険率になることが望ましいと思います。ただ現在の一筆建ての農災制度のもとで、きわめて微細な被害までこれを全部拾うということになりますと、さっき申しましたように、現在三割以上の被害があったというふうに農家が判断したものを審査してくれと組合に申し出て、組合でそれを悉皆調査する仕組みでございます。これが一割か二割の被害でも全部調べるということになりますと、非常に保険設計としてもやや無理があるのじゃないかというふうに思います。ただ、前国会で改正が御承認いただけました農家単位という新しい水稲共済の仕組みがございます。農家単位でやるか、一筆単位でやるかの選択制を認めたわけでございますが、この新しい農家単位の場合には、二割以上の被害について水稲共済を支払うという形を考えております。これでかりに最高の評価額のものを選びますと、六三%ではなくて、七〇%をちょっと上回る保険率に相なるかと思います。 なお支払いの事務でございますが、いま申しましたように、被害農家ごとに検見等の方法で全部これを確認いたしましたものを、連合会がさらに全体としてのチェックをいたしまして、国が特別会計でこれに再保険金を支払うという事務がございますので、連合会の資料をさらに私どもが統計調査の数字等に照らして査定するという事務がございます。年々事務の速度を早めてまいっておりますが、現状でなお今回の例でも東北、北海道で具体的な支払いが暦年内に間に合うことを目途にいま鋭意やっているような状況でございます。今後とも事務の合理化には特段の努力をいたしたいというふうに考えております。 それから調査員の質なり数の問題につきまして、御指摘のように部落によっていろいろ問題があることは私どもも承っております。今回のような異常な冷害の際には、実は担当の保険業務課長を直ちに北海道等にも派遣いたしまして、日ごろ以上に直接専門の課長が各地域を回って、先ほどの損害評価の例外措置のものの考え方、あるいはその具体的な取り運び方等について直接指導するような、指導の強化によって、できるだけこの点を補強いたしておるつもりでございます。なお損害評価委員等を全国で三万四千人ほど予算上補助いたしております。これらの待遇と申しますか、この点につきまして年々予算によってその内容の向上をはかっておる次第でございます。 それからビニールハウスの問題につきましては、おしかりを受けておりますが、できるだけ早くそれについての災害補償制度を仕組みたいというふうに考えておりますので、いましばらく努力の時間をかしていただきたいと考えております。
○委員長(前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(前田佳都男君) 速記を起こして。
○戸田菊雄君 最初に、明年度予算に関連する質疑から入りたいと思うのですが、その前に、この前の委員会で資料を要求しておきましたが、関係者にお礼を申し上げます。その中で一つ質問しておきますが、この「自然増収額及び減税額の割合の累年比較」、この中で、四十六年度は、これは当初予算でいっていますか。その件に関してひとつ。
○政府委員(高木文雄君) 当初予算でございます。
○戸田菊雄君 それじゃ大臣に。来年度の予算を、いまいろいろと作業中であると思うのですが、規模は一体どの程度になるのか。 それから、大蔵大臣の予算に対する考え、それからワク組み、こういった内容について具体的にひとつ説明していただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ、来年度予算については作業中ではございますが、来年度の規模にしろ、歳入の見通しにしろ、いまのところまだ全然未確定で、ここで申し上げられるような数字がかたまっている段階ではございません。
○戸田菊雄君 見通しはいつごろつけますか。来月のどの程度まで、内示もしくは告示できるというその見通し。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算委員会が済んだら、私自身もこれと取り組みたいと思っておりましたが、何しろ今度沖繩の国会で、ほとんどこの予算に私自身取り組む時間がございません。いま事務のほうでは作業を続けておりますが、私自身のほうはまだこれを全然見ておりませんので、この月末から本格的な来年度の予算編成に取りかかりたいと予定をしております。
○戸田菊雄君 そうしますと、大体見通しとしては年を越すということですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 月末から始めて一カ月くらいの間に全部の各省の概算要求の査定も片づけますし、また政府としても予算の編成方針もきめて、どうしても年内編成だけはやりたいといういま予定でございます。
○戸田菊雄君 そうすると、来年度もいまの状況でいきますと、きわめて景気上昇という見通しが暗い、その理解には大体間違いないと思うのですが、税の自然増収ですね、この大幅な見込みというものもなかなかむずかしい。大体どのくらい来年度は自然増収として見込まれておるのか、その辺の見当について。
○国務大臣(水田三喜男君) 税の見込みをつけますのには、やはり毎年政府は翌年度の経済見通しを立てて、それに基づいたいろんな税収の要素を立てるのが例でございますが、まだ経済企画庁において明年度の経済見通しというものが、十二月に入らなければできないという情勢でございますので、十二月にならないというと、ほんとうの来年度の税収見込みというものは立たないのではないかと考えております。
○戸田菊雄君 四十六年度の当初予算編成の段階では、一兆四千九百六十五億円の対前年度自然増収を見込んでいたのですね。今回補正で四千七百五十七億円の減収、いわゆる歳入減が出た。一応この四十六年度は、いまの段階で一兆円の税の伸びがあったということですけれども、そういう中で、四十七年度はおおむね想定するに、その半額ということになってきます。そうすると、四十七年度の予算編成をする場合に、その財源をどこかに求めていかなければならないと思うのですね、いままでの説明ですと。大体大蔵大臣はそれを赤字国債という国債発行に求めようという姿勢にあるようであります。そういう点はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 財源を公債発行に求めなければならぬというのは、もう必然的な傾向であると考えております。しかし、どういうことがあっても、いわゆる赤字公債を出さない、財政法で許された範囲内の建設公債は増発するにいたしましても、それをこえた財源不足に対処する歳入補てん公債というようなものは一切避ける。その範囲で予算の編成をやりたいという方針だけは、すでに私どもとしてはいまのところきめているところでございます。
○戸田菊雄君 来年度の公債発行は、いままで私どもが見聞するに、一兆五千億あるいは一兆七千億、いろいろと説があがっているのですが、政府は、来年度の国債発行額をどのくらいと一体見込んでいるのか。で、大蔵省の資料をいただいているのですが、いまちょっと資料が見えないのですけれども、その資料によりますと、私が見た記憶ですけれども、あとでさがしますが、大体四十六年度補正後は一二%、こういうことですね。従来の財政答申による国債依存率というものは五%以下に努力しなさい。昨年度までそういうことで一貫して政府は努力をしてきたと思うわけです。初年度——四十年度の国債はもうすでに返還時期に入っているわけです。入るわけです。ですから、そういうことになりますと、ここで再度多くの国債発行、こういうことになりますと、これは実質的には税金の前借りですからね、勢いこれは国民の負担になっていくわけだと思うのです。そういう財政制度の答申による五%、こういう依存率についてはもうすでに破綻したと思うのですね。こういう上に立って、今後国債発行というものの増発を続けていくわけですから、どの程度に国債依存率というものを考えるのか、その辺の見解はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国債発行について依存度を五%前後にすることが望ましいという財政審議会の意見がございましたが、これはやはり自然増が非常に多いというあの環境を前提とした意見であったことと、また公債というものは好況時において活用さるべきものじゃなくて、不況時において活用さるべきものでございますので、そういう意味において、そういうときのために余裕をとっておかなければならぬというような意味からも、依存度についていろいろな意見があったことは事実でございますが、いままでその線に沿って、四十一年度から依存度を年々下げて、本年度は当初において四%台まで依存度を下げたという運営をやってきましたので、したがって、こういう不況対策に直面したようなときに、これを財政法の許す範囲内において公債政策を活用するということは、決して悪いことじゃない。私は、不況を長引かせるほうの弊害のほうが大きいために、これを短期に克服するというためには一、二年相当思い切った公債政策をとってもいいんじゃないかという方針で来年は臨んでみたいと考えております。
○戸田菊雄君 私の聞いているのは、国債依存率五%というものが、従来の財政運営の基本方針だったわけですね。そういうものがくずれたのじゃないか。だから、今後は一体財政運営での国債依存率はどの程度に考えるか、その辺の大臣の見通しについていま質問しているわけなんです。いまの答弁ですと、その点について不明確な感じがするのです。もう一回お聞きしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 経済の回復に従って、また国債の依存率というものは減らしていく。そうして経済が好況になれば、公債政策というものの活用を逐次縮小していくという方向で運営すればいいんではないかと思います。したがって、来年度も相当の公債を出すからといって、これを長く続けるという考えは一切ございませんで、この目的を達したら、当然経済も回復してくることでございますから、それに伴って国債の依存率はまた縮小していくという方向の運営をすればいいんではないかと思っています。
○戸田菊雄君 その依存率の明確な見通しについてはお答えがないわけなんですけれども、従来五%に政府がどのような意味があったかということなんですね。従来、大臣の説明ですと、財政当局の厳守すべき国債の歯どめ論ですね、これは大体財政答申の五%におくべきだということじゃなかったのですか。だから、そういうことで一貫して国債の依存率というのは五%以内に低める方向の努力を政府はやってきたと思うんです。それが従来までの財政運営の基本ではなかったかと考えるのでありますけれども、四十七年度に向けて、はたして四十六年補正の現段階における一二%というものを今後も増大をしていく、あるいはもっと低めて国債発行というものをやっていく——現に、いま取りざたをされている一兆五千億ないし七千億、こういうことになるとするならば、一八%にまではね上がるのじゃないでしょうか。そういう面についての一定の見通しがなければ、財源調達ができないでしょう。そういうプランを持っていなければ、四十七年度の予算編成というものは作業ができないのじゃないでしょうか。そういう点についてこれを聞いているのです。もう少しひとつ具体的に大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 公債への依存率が何%ということについて、はっきりした基準というものは私はないのじゃないかと思います。問題は、経済事情によるということであろうと思いますが、来年度におきましては、もう税収の見込みが大体一応予想されますし、歳入余力というものは来年は非常にないときでございますから、したがって、公債政策は十分活用せざるを得ないということになりますというと、何が歯どめになるかということになりますというと、やはり財政法の四条を歯どめとするよりしかたがないと思います。経済情勢いかんによっては、財政法によって、これは四条によらない公債も出すことはできることにはなっていますが、これはやりたくない。やはり四条に許されている範囲内の建設公債の発行で切り抜けるということにしますれば、そこでおのずから財政法の求めている歯どめにこれは従ったということになりますので、その率がどのくらいになりますか、これは来年度の公共事業費の予算の計上のしかたによって、違ってくると思いますが、しかし、あくまでもこの四条という歯どめだけは守った予算の編成をすべきであるというふうに考えております。
○戸田菊雄君 いままで大臣が説明をした歯どめ論というのは、一つは国債消化は市中銀行を中心にやっている、こういうことですね。しかし、この点はもうすでに一年経過すればどんどん日銀買い付けにいっちゃっているのですからね。そういう意味では意味をなさなくなっている。そうして今度は——国債依存率は五%で財政答申はやってきたけれども、これはだめになった。だからこうなっていきますと、私はいまの国債政策というのは財政膨張には役割りを果たしていますけれども、しかし、一面インフレの高進や物価高、こういうもののインフレ財政に着々突入していっている。こういうことはいなめない事実じゃないですか。だから、今後の国債発行は一体どういう点で歯どめをしていくのか、こういう点については大臣どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 経済がよくなって、一般歳入が多くなってくれば、それに従って公債の発行額を減らすことができますので、経済情勢に応じて、公債の依存度を逐次減らしていくという運用ができると思います。しかし、それができるまでの公債の発行としても、この財政法の四条を守っていることを限度としてやるなら、私はそれでおのずから歯どめをかけられておって、それを逸脱しない間に、経済の情勢に応じて順次これを下げていくことができるということになるので、そういう運用をするよりほかにはやはり当面しかたがないのじゃないかと考えております。
○戸田菊雄君 国債の面ばかり聞いちゃあれですから、これはいずれまた機会があったときに……。 最後に、いまの国債政策の運用というものは、景気循環に十分対処できるというものではなかったのじゃないか。そういう面については、公債政策の運用というものは失敗したのではないかと思うのですが、この点についていかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 四十一年からずっと逐次依存度が落ちてきまして四・五%になる。これは景気に即応してこういう措置がとれたということで、国債政策の失敗ではなくて、政策を活用しましたが、それによって景気がよくなるに従って依存度を切ってきた。事実上こういう実績が示しておるとおりの運営ができたということで、私は失敗じゃないと思います。
○戸田菊雄君 この補正予算審議の中で、大臣は今後の財政主導型といいますか、これは即国民福祉の充実になるのだという趣旨の答弁をしているわけですね。それはそのとおりですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりだと思います。
○戸田菊雄君 その財政主導型によって、政府として移転的経費、社会保障関係費ですね、大幅にふやされるという場合、これは福祉を高めるということについては私も否定しない。しかし、政府が言うこの財政主導型というのは、どうも私は、四十年に経済新時代と、こういうことを言って国民にバラ色の夢を与えた、それがさもよくなっていくような錯覚を与えた。結果的には社会資本の充実は何にもやられていなかったですね。肥え太ったのは大企業だけということになる。それが一貫して進められてきた自民党のいわゆる高度経済成長政策だと思います。そういう意味合いにおいて、さらに、たとえば、四十六年度の今年度の予算を見ても、一兆四、五千億の自然増収がある。しかし、その中においてすら社会資本の充実は何らやられてこなかったでしょう。今回いろいろわれわれが推測するに、来年度はこの自然増収も非常に落ち込むということ、この趨勢だけははっきりしているわけですね。そういう中で具体的に、財政主導型と言うけれども、社会資本の充実というものをどういうふうに行なっていくか、その見解、もしプランがあればプランを出してもらいたい。重点的、項目的にこういう点について社会資本の充実をはかっていく、これは財政的に全部転換をすると、こう言っているのですから、大臣はそういう意味合いでの財政主導型による社会資本充実というのは、どういうところに重点を置いて、どういう転換をするか、その辺の見解をひとつ差し示していただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) いままで社会資本の充実をはかろうとしてもできなかったということは、財政主導型の財政方針というものをはっきり確立していなかったということでございますが、それがなぜ確立できなかったかということは、御承知のとおり高度経済成長政策をとっておったために、常に日本経済は国際収支の壁にぶつかっておった。 〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 民間の設備、投資が旺盛なときに、政府が国民生活に関係のある環境の整備をしようとしても、そういう種類の、政府が金を支出するということは、経済をやはり過熱にさせて、そうして国際収支をすぐに悪くしてしまうということにつながっておりましたために、公共投資というものが十分にやられなかったというのがこれまでの実情でございますが、ようやくこの日本の経済成長について、大きい転機がきて、そうして民間の設備投資意欲というものが非常に鎮静化したときに、初めて政府はこの生活環境をよくする投資というようなものがやれるということになってきたわけでございまして、じゃ、それをどうしてやるかということになったら、民間の設備投資意欲が減って、民間に不況という様相が出てきますれば、当然に税収というものは減ってくる。したがって、市中はまた不況のために金融が緩慢になるというような、いろいろな問題が出てきますので、そういうときに、政府が財政主導型の政策をするというためには、政府が民間にかわって公債を発行して、民間の資金を政府が活用して仕事をすればいいということになりますので、したがって、財政主導型の財政方針に転換することが可能になり、それによって初めていままでできなかった社会資本の充実というようなものを、国際収支の心配なしにできるという、いま環境的な条件が整えられたということでございますので、これを実行するのは、この機会においてないというときに私どもは来ておるわけでございますので、したがって、そういう意味で公債の発行ということについては、単なる赤字対策というだけじゃなくして、政府の財政主導型の経済政策という非常に積極的な意味も、この公債政策の中に入っておるのだと私自身は評価しております。
○戸田菊雄君 まあ大蔵大臣が、これは十一月一日ですけれども、予算委員会でわが党の羽生議員に対して、そのことについていろいろ答弁をなされております。これは時間ありませんから省略しますが、いずれにしても大臣は、財政主導型に切りかえることが、国民福祉向上の絶対的な要請だ、こう言っておりますね。しかし、歳入関係についての国民負担部分については何ら明らかにしていないのですね。国債依存は今後も継続していく、大臣の答弁ですと、できれば四十八年ごろまで、四十八年度にいったら、何とか国債依存から脱却したい、こういう希望的観測を言っているわけです。言っているわけですけれども、この国債依存だけでは私は歳入見積もりは立っていかない。当然そこに税収という国民負担部分が入ってこなくちゃいけない。これは一体どういう方向でいくのか。この辺の見解、一体どうですか、税収について。
○国務大臣(水田三喜男君) 経済が回復したら自然に税収というものは多くなってまいりますので、来年はそういう形の予算の編成をやる、不況対策をやって、これに成功するということになりますというと、再来年からは、税収もいま来年に予想されるような状態を脱却していけるだろうと考えられますので、これはおのずから解決されていくと思います。
○戸田菊雄君 私はいま大臣の答弁を聞いておっても、財政主導型でいって、社会資本が充実をして、国民福祉がストレートによくなっていくなんということは考えられないのですね。もっと私は、税調でも答申しておりますように、七月ですね、答申された、あの七月三十日の税調答申、「長期税制のあり方」、この中では二つ、端的に言いますと、一つは、公平化を期しろという、一つは高福祉、高負担、そして今度は付加価値税その他を導入して、そういう構図を描きながら税収の増収対策をはかっていこうというのがありあり出ているのです。これが政府の考えじゃないですか。ですから、四十七年度以降の税収というものは、もっと高額な大衆重課の形になっていく、こういうことになりませんか。その辺の税収関係についてはどういうふうな見解を持っておりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま申しましたように、まず経済を回復させることが、税収を期待する一番の筋でございますが、それとあわせて、税制調査会からいわれております問題もあわせてこれは検討しなければならぬと思いますことは、国民の消費生活がここまで高度化し、多様化しているときでございますから、全般的な、一般的な消費税的なものを考える必要があるだろうということでございまして、この点も当然これからの方向として私どもがいま考えておりますが、たびたび申しますとおり、これはそう簡単に一年二年ですぐ実施できる税制ではないと思いますので、長期的な観点からこの問題と取り組みたいと考えています。で、そうなりますというと、一面直接税はもっともっと私は減税できることと思いますが、そういう新しい間接税が入ってくるということになりますと、差し引きして国民の税負担率というものは減るかふえるかということになりますと、これは負担率というものは全体としてふえるほうへいかなければ意味がないということでございます。 すでに、諸外国の例を見ましても、まだ日本は税の負担が、直接の税金と、それから社会保険掛け金、そのほか保険税とも称すべきものを入れても、二一、二%の負担率でございますが、もうほんとうに国民生活の質的向上のできている先進諸国の税の負担率は、もう日本の倍ぐらいいっている、みな四〇%前後の税の負担率にいっている。いっておってなぜ税の負担感がそう重くないかと言いますというと、やはり負担感の重くない税制というものを考えておって、負担感の非常に重い直接税というものに対する比率が非常に少ないというようなことも関係しておると思いますけれども、したがって、高福祉、高負担というのはこれからの原則であろうと思いますが、自分の環境をよくするということについては、やはりそれ相当の負担というものがある程度上がらなければいかないということは、もう当然の原則でございますが、それは簡単にはできないことであって、国民の所得水準がやはり相当上がるという背景と同時に、この間接税のあり方の問題と関係してこれは解決していくべき問題であって、やはり私は、高福祉、高負担というのは、これからの自分の生活環境をよくして、生活の質を高めるためにはもう必要な原則だと思うのですが、この原則に向かうための準備を、これから長期的な観点から取り組むことが必要だと、そうは思うんですが、来年、再来年程度の間、この一、二年でそこまでの問題の解決はなかなか私はむずかしいだろうと思います。
○戸田菊雄君 ついでですから、来年度で増税ないし新規課税、これが検討されておると思うのですが、これは長期税制答申にも、付加価値税とともに検討しなさい、あるいはいままで政府の発表したものによりますと、ギャンブル税を創設をしていくとか、いろんな構想があるようですね、そういう問題についてはどう一体考えておるのですか。あるいはまた、そういうものを制度化して増税として、額にして今後どのくらいの見通しを立てているのか、こういう問題についてもひとつ説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) まあいままで言われています税は幾つかございます。特別措置法にしましても、あるいは交際費の問題も、今年当初一応の解決はしましたものの、まだ見直せば見直せる問題がたくさんあろうと思います。医師の二八%の例の問題もあり、懸案になっておる問題がたくさんございますので、そういうものも来年度税制としては一応見直して、そしてこれを整理するものは整理をする。それはむしろ増税につながるものだろうと思いますが、そのほかにおいても新税において考えられる問題はないかということで、いま来年度の増税となるべき新税というようなものについては、局長に検討をしてもらっておるところでございまして、まだいまのところは結論がついていないようでございますが、そういうものも来年度は十分考えたいと思います。
○戸田菊雄君 増税ないし新税についてはきわめて積極的ですね、大臣の言われるのは。しかし、逆に減税部面はどうですか。今度の補正予算の中で一千六百五十億というのですね。しかし、これは、当初大臣は、減税については五千億前後の所得税減税を行なう、一こういう発表をしたのですね。しかし、どうもこの所得税の改正の審議をしていることを聞いていますと、その点がどうもぼやかされてきているのです。その辺の減税関係はどうですか、四十七年。
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税の減税は、今年度当初において減税はしましたので、来年の減税をどうするかを私どもはいろいろ検討しておりましたが、しかし、来年度減税をするよりも、もういま税法を改正をして、年内減税に踏み切るということをすれば、当然この減税は来年にも及ぶことでございますし、問題は、不況に対する対策という意味も持っておるものでございますからして、これを来年度まで待たなくてもいいと、ことにこの暮れの消費活動の盛んなときに、この減税をすることによって、いろいろな需要を刺激する効果というものがはっきり出るのですから、来年度予定しておった減税を繰り上げて実行するという意味を持ったのが、いまお願いしているこの所得税の減税案でございますので、これはいまやったから来年ひとつもやらぬのはけしからぬというのではなくて、来年やるのを早くやったということで、この減税は同時に来年度の減税につながったものであると思っています。当初において千六百億円以上の減税をやりましたし、今度の減税が千六百億円以上ということになりますと、この二つの減税が来年平年度化するということを考えますというと、四千七、八百億の減税をやった効果になりますので、これはやはり私どもが考えておった相当の減税になっているのじゃないかというふうに考えています。
○戸田菊雄君 時間がありませんから簡単に聞きますけれども、この大蔵省資料による「自然増収額及び減税額の割合の累年比較」、これを見ますと、 〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 四十年以降四十六年度の補正段階までで六兆二千八百七億の自然増収、私たちはこの自然増収についてはそういう名目での増税だという考えを持っておるわけですけれども、それに対して減税額は四十年−四十六年までで八千九百十四億しかやっていないのですよ。ですから、三十九年の長期税制の答申によりますと、おおむね自然増収の見合い二〇%台において減税をしていく、こういうのがたてまえじゃなかったですか。かりに二〇%、税調の答申で計算したって一兆五、六千億の最低減税体制はやっていなくてはいけないのです。政府は都合のいいところは税調、その他でもって適用していく。都合の悪いときには全部カットしてしまう。これではたして政府が宣伝するような大減税とか、そういうことが言えますか、どうですか、それが第一点。 それから、もう一つは、大臣がいま実質効果、一千六百五十億の減税効果は五千億見当に近い、こういうことを説明された。そういう結果には私はならないと思う。納得できない。結局私は、五千億から一千六百五十億を引いた三千三百五十億というものは、四十七年度段階で再減税体制をとるべきじゃないかと考えるのですけれども、その点の見解をもう一度聞かしていただきたい。
○政府委員(高木文雄君) 最近における自然増収と減税割合が、おっしゃるように、過去における税制調査会の長期答申のよりは低くなっていることは事実でございますが、それは最も大きな理由としては、四十一年度に七千億をこえる国債が発行されました。先ほどるる御討論がございましたように、二八%をこえました国債発行額のウエートを落とす一つの目標を、五%にしようということで、年年国債の財政規模における発行額を落とすことに相当財政政策上ウエートが置かれたわけでございまして、それとの関連において減税という問題が、いわば財政政策上は減税自体の問題が、他の公債、財政政策上の公債の減額との関連で少なくなったという関係にあるだろうということは言えると思います。その点は、過去におきまして、ちょっといま正確に記憶いたしておりませんが、過去の税制調査会の答申に、いま御指摘のような答申があったことは事実でございますが、そのときと事情が違っておるということだけ申し上げておきたいと思います。
○戸田菊雄君 結局大臣、来年度は所得税減税やりますか、結論として。 それからもう一つは、付加価値税の導入についていつごろを考えていられるか。いま検討段階、検討を始めたでしょうけれども、そういう見通し。 それから、いままで大蔵省としては非常にずるいやり方なんですけれども、減税の、たとえば四人家族、五人家族、こういうものいろいろありますね。税調の場合は、かつて五人家族で、大蔵省は計算した、百万円まで、百万円体制をしいた。今回四人家族で百三万円になった、補正で。そういうことになりますと、今後は四人平均で世帯平均を税制の場合には考えていくのかどうか。この辺の見解が一つ。 それから、今回の減税の改正案によって、非常に税率の緩和というものが、累進体制というものが二百万円単位のところで一番多くなっている。これは具体的に時間がありませんから、言いません。百万円あたり課税額を見まして、その累進倍率というものを一応計算してみますと、これは算術計算ですけれども、そういう計算をしてみますと、大体二百万単位のところが非常に多い。だからこういう税率の緩和方式というものを、もっと高額者にはきつくなるような、あるいはまた三百万円以下、そういう階層にもっと税率緩和体制というものをしいていってもいいんじゃないか、こういう点について一つ。 それから今回の改正で、納入人員、それから納入額、この額、人員、いろんな角度を見ますると、非常に二百万以下の低所得者層に対して減税割合というものは非常に薄くなり、まさしく上厚下薄です。部課長減税、こういうことを言われるのは、そういうところにあると思うのですけれども、いずれにしても、きわめて不公平です。税調が指摘する公平化には非常にほど遠い。こういうものを、やっぱり四十七年度に向けて、総ざらいに点検する必要があるんじゃないかと考えますが、そういう制度上の問題について、大臣はどういう考えを持っておるか、その辺の見解をお聞かせ願って、私時間ありませんから、これで終わります。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、四十六年度の当初における減税は控除の引き上げでございました。したがって、そのことを考えて今回の減税は率の変更も考えた。そうして均衡をはかったということでございますが、それによって今年度の最初と今回の二つを合わせて考えますというと、大体私は二回控除の引き上げをやっておりますので、最低限は相当にこの一年で上がっておりますし、そうして、しかも、率のほうも、二つを合わせたら百五十万円よりも二百万円、二百万円よりも三百万円、三百万円よりも四百万円というふうに、上にいくほど減税率は非常に低くなって、一応の線が直されているということでございますので、ここで、制度として姿が直っておるということでございますので、私は、来年度はこのままにしておいてもそう大きい矛盾はないと、いまのところは考えております。ですから、来年度はしないつもりでございますが、これはまた来年度の問題でございますから、国の財政の事情あるいはそのほかによって、またこれが書き直しがなされるというようなことがないとも限りませんが、しかし、大きい減税という、余地というものは、もう来年考えられませんし、また当面の、この所得税全体としての姿についての不合理性というものも、一応は今回の税制によって直されているんじゃないかというふうに考えますので、私は、できたら来年度の所得税の減税だけは、まあ見送りたいというのが、いまの考えでございます。 で、率の問題でございますが、私の経験でこういうことがございます。公務員のベースアップのときに、それに均衡をとって特別職を上げることになっておりますが、これは、岸内閣のときでしたか、総理大臣以下、特に総理大臣、これは上げるのを遠慮するというようなことで、上げないで何期か据え置いたということになりますというと、総理大臣と均衡をとるのが最高裁判所の長官であり、衆参両院の議長であるというふうに、いろんな均衡問題がございます。この均衡が全部くずれて、一般との均衡がくずれてしまうので、どうしてもやはり高額所得者といえども、この均衡をとったベースアップはしなければならぬということになって、この手直しをしようということになりましたら、ちょうど総理大臣が、そのときの給料の二倍にしないと全部が均衡がとれないということになったんですが、そうしますというと、池田さんが所得倍増ということをとなえた、責任の総理大臣が、ちょうどあのときのベースアップによって自分だけが二倍になって、ほかのだれもそういう率で上がらないというようなことになって、これはいけないというので、またそのときも押えて、これをだんだんに直してきて、全体の均衡をとることにもう十年苦しんでいるというような経験からみますというと、この所得税の改正のときも、最低限を上げていくことは、低所得者に対する、これは一番しなければならない政策でございますが、それに片寄って率を直さんでおくというと、いっかは不均衡を直さなきゃならぬというときになると、税率としては、下を優遇しないで、全部高額所得者だけ優遇したという税制改革を一ぺんやらなきゃならないところに国会が追い込められるということを私は考えまして、やはりこれは減税のたびごとにその率は高額所得者、ごく低率でいいと思いますが、少しづつこれを直していかなかったら、先へ行って減税政策というのは行き詰まるということを考えておりますので、したがって、この税率というものは、やはり高額所得者でもある程度いじっておかなければいけないということを私は考えております。 それを額でいうと、率でいうならけっこうですけれども、率はごくわずかだけれども、額で五千万以上は何万の減税になるが、百万のものは何千円だというようなよく比較をされますが、五千万の人の納める税額というものはたいへんなもので、そのうちで何万か減らすということは、ほんの一%か、二%のものであって、非常に多額の税額を納めているんだということがあわせて言われるなら非常にいいんですが、そっちのほうは言わないで、高額所得者の優遇ということを、改革のときには必ず何か言われるのが常でございますが、これはやはり国会としては、俗論と国会のここの審議は別であって、そういうものは徐々にやっぱり、高額所得者を一挙に直すというようなみっともないことにならぬように、ふだんから少しづつ直しておいたほうが、むしろあなた方のほうからわれわれが言われてしかるべきものだと私は思います。
○竹田四郎君 実はきょうは佐藤総理に来ていただいて質問をするようにお願いしたんですが、佐藤総理がお見えになりませんので……。 いまの話を聞いていますと、どうも大蔵大臣の考え方というのは、とっぴもないように実は思うんですが、今度の減税のいきさつを考えてみますと、経済学者から景気浮揚のために年内減税が最も効果がある。それはなるべく早く消費をしてもらうほうがいいんだから年内減税をやれということで、大蔵省の幹部が呼ばれて、そして急遽今度の減税になったということであります。新聞の報道によりますと、そのときに佐藤総理としては、いままでのような考え方、発想というものは大転換しなきゃいかぬというふうに言われた、こう報ぜられているわけでありまして、そういう意味では、いまいろいろ長々と大蔵大臣から話があったんですが、今度の減税の一番大きな目的は景気浮揚だ、こういうふうに思うわけであります。この間も十分この点は議論をしたんですけれども、十分にわからないんですが、その前に、千六百五十億という大ワクですね。この大ワクは何によってきめられたのですか。 この間のお話では、それは国債の発行とか、その消化の関係とかいうふうに言われたんですが、千六百五十億という金額がまた当初予算の減税額の千六百六十六億ですか、そういうものによってきめたというのですが、こういう話を聞いてみますと、千六百五十億というのがまさにつかみ金、当てずっぽうで、鉛筆さしたらそこにいったとしか私ども思えないのですが、大蔵大臣はこの千六百五十億というものを割り出した、政策的な立場から割り出したと思いますけれども、千六百五十億の根拠というのは何ですか。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ、根拠と言われますと、大体当初の減税額をめどにしようということで千六百五十億という数字になったわけですが、これは同時にさっき御質問が戸田さんからありましたように、来年度は五千億近い減税をしたいというようなことをしばしば、そうはっきり言ったわけではございませんが、諸方面に政府の意思のようにいろいろ言われておることもございますので、そこらを考えまして、かりに五千億前後の減税をするとするならばということを考えますというと、当初予算の千六百六十六億の減税というものが、来年度平年化せば、これがどのくらいになるか、その間にまあ給与所得者そのほかが何%ぐらいの所得増があるかというようなものを一応見込みまして計算する、それからもう一方、今度のこれを当初の減税額と同じ程度にするとかりにしますというと、これが来年度の平年度化でどのくらいの減税になるかということを二つ計算してみますというと、この約四千八百億円ぐらいの減税効果というものが、来年度それだけの減税をしたと同じことになるというような計算が出てまいりますので、そうしますというと、ちょうどこれを別に五千億にまるくする必要はございませんで、最初の減税額と同じ額程度の減税額をしよう。そうして最初のほうは全部控除の引き上げでやっておりますので、あとのほうは控除の引き上げを半分、率の減税で半分というくらいのことをすれば、大体制度としての姿がよくなりはせぬかということで、同じような額をきめたということでございます。
○竹田四郎君 そうしますと、あまり正確な根拠だというふうに私ども受け取れないわけでありますが、問題をほかへ移していきます。 今度の減税額を見てみますると、先ほどから指摘がありますように、三百万円以上の高額所得層には非常に厚くなっているということが言えると思います。まあ、これは参考資料だそうでありますが、三百万円以上の所得層に対する減税総額というのは今度の場合に六百億、そういたしますと三分の一以上の減税がされていると思います。まあ、この人たちの人数からいえばほんの五、六%の対象人員にしかすぎない。そうして、こういう高所得層の人たちが一体どれだけの消費性向がある、貯蓄性向はどうなんだ。この場合、この点は十分に議論をしたわけでありますが、いずれにしても貯蓄に回るほうが多いだろう、消費性向にいたしましても五階層の分類によっても、第一の所得層と第五の所得層とは一〇%ぐらい違う。そういたしますと、せっかく今度の減税が景気浮揚のために使われる、先ほどの大臣の答弁の中にも景気を浮揚しなくちゃいかぬ、不況対策をしなくちゃいかぬ、まあこういうふうに言われているわけでありますが、そうした面から見ますと、当然私は低所得層といいますか、二百万円以下の層にもっと減税をすれば、これは当然消費に回っていく可能性のほうが非常に強いですね。高所得層に減税すれば、それは貯蓄に回ってくる可能性のほうがむしろ強いわけです。しかも、五百万円以上の所得層及び——これはもちろん申告所得でありますが、申告所得税は確定申告が三月十五日ということであります。そういたしますれば、当然申告所得のほうは、確定するまででありますから、結局消費に回っていく部分も当然それだけおくれると思います。そういたしますれば、消費需要に向かっていく金の流れ、あるいは消費に向かう期間、こうしたものは当然それだけその速度がおそくなっていくわけです。そういたしますれば、この景気浮揚という対策と、今度の減税の内容というのは非常に矛盾がある、こういうふうに思うわけであります。先ほども何か五千万円の所得者とか、総理大臣の給与の話が出たわけでありますけれども、それはやはりその時期の問題が私はあると思います。 で、一方、低い所得の層というのは一体どうなのかということを考えてみますと、オーバータイムはなくなるでしょうし、ボーナスも少なくなるでしょうし、物価についても安くなっていくという見通しはほとんどないわけです。こう考えてみますと、どうも今度の税制の改正というものが、減税をやる当初の目的と非常にかけ離れている、こういうふうにしかこの間の論議では私は感ぜられないわけです。 そういたしますと、総理大臣の言った発想を転換しろ、そうしてなるべく早く消費にそれを振り向けていけ、こういうような総理の考えとはだいぶ違うわけです。これは総理にほんとうは来てもらって、総理の気持ちを聞かなくちゃいけませんですけれども、先ほどの大蔵大臣の話ですと、やっぱりここで中間層の税金を軽減していくように国会は努力しなくちゃいかぬというふうにまでおっしゃられているわけですけれども、経済が安定的な成長を遂げているときは、私はそういう考え方も首肯できるわけでありますが、今日のような、まあ戦後最大の不況とさえいわれるようなこういう時期に、こうした税制をとられるというのは、まさに逆行の形だというふうに言わざるを得ないと思います。この点について、この前も論議をたくさんいたしまして、その論議の結果はすでに大蔵大臣のところへも届いていると思いますから多く申しませんけれども、その辺、ひとつ説得力のある説明をしていただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 確かにおっしゃられるような一面のあることは十分認めますが、しかし問題は、今度の減税のねらいは、むろん景気浮揚のためというねらいもございますが、それだけではなくて、単なる不況対策ということではなくて……。
○竹田四郎君 時間がありませんから、簡単にやってください。
○国務大臣(水田三喜男君) あのときも説明しましたように、国民の長い労苦に報いたいという意味もあるのだということは、国民のいままでの勤勉によって日本経済がここまで来たと、そのために国際的にいま経済摩擦を起こして、それに対処する問題の一つとして、やはりこういう不況というようなものがあらわれてきておるというようなことと関係がございますので、そういう意味で、国民にこの際いろいろ労に報いたいという気もある。 そうしますというと、これを広く国民の層に減税の恩典が及ぶということが必要だという観点からも取り上げなければならぬということと、もう一つは、さっき申しましたように、単に消費という方面からだけなら、あるいはそのために臨時税制で、所得税をこういういまのような形の修正じゃなくて、臨時税制でやるほうがあるいはもっと効果があるかもしれませんが、そういうことをやるというと、この次に本税をどう取り扱うかというときになりますというと、いろいろな減税対策をとっても、臨時減税でやるというと、今度減税の恩典にあずかった人は、この次の減税案のときに増税に——なかなかまだ増税になる部分も考えられる、減税にすぐつながらないといういろいろむずかしい技術上の税制上の問題もありますので、税制として解決するというのなら、やはりそういう一つの問題はあっても、私は、均衡をとったやはり制度としての改正をする必要があると、将来のためにする必要があるというようないろいろなことを考えて、こういう措置をとったということでございまして、まあ貯蓄性向云々というようなことも確かに考えられますが、しかし、そういうところへもやはり今度の減税はこの恩典を及ぼしたいというのが私どもの考えでございましたので、これは景気浮揚対策という一本やりで考えるわけにもやはりいかぬじゃないかと考えております。
○竹田四郎君 時間がありませんので、一括してお聞きをしたいと思います。 まあいまの大蔵大臣の説明というのは、私はあまり納得しません。実は今度の減税の一番対象になる人たちというのは、この日本経済を一体どういうふうにもってきた人たちなのか、こういうことを考えてみますと、現在の不況というものに対して全然責任のない人たちじゃないと思う。むしろ大いに責任のある人たちが今度の減税の恩典に浴する人たちが多いと思います。そういう意味からいきますと、いまこういう時期にそういうところに減税がされるということは、どうも国民感情としても私は許されないのではないか。さらに貯蓄されては困るのだ、なるべくこれは使ってもらうことが景気浮揚の方向である、こういうことでありまするならば、利子所得あるいは配当所得、こうしたものの優遇措置というものは当然考えなくちゃならぬと思います。こういうものについては全然手をつけてない。しかし、こういうものは当然私は、貯蓄にあまり回すんじゃなくて、消費に回すというならば、貯蓄優遇的な税制というものはここで改めていかなきゃならぬ、将来も改めていかなきゃならぬ問題、こういうふうに思うのですが、ひとつそういうことについて貯蓄優遇の政策を廃止をしていく考えがあるかどうか。さらに、そうしたものを分離でなしに、総合合算して課税をしていくということが私は必要でないかと思います。 さらに、輸出優遇税制というものも同時に私はこれは変えていかなければならない。一方では収入は少なくなるわけでありますから、当然いままでの今日の原因をつくった輸出優遇税制というものも廃止をしていかなきゃならぬと思う。これを一体どう考えるか。 時間がありませんから最後に。確かにこの時期において減税ということを受ける人たちは、それでも私はゼロよりは確かに数字的にいえばいいわけです。しかし、減税の対象にならない人たちというのがかなりおる。しかし、減税の対象にならなくても、たとえば、年金等によって、まあ厚生省の所管でありましょうけれども、救われる人はまだ望みなきにあらず。しかし、全然そういうものの対象にならない人に対して、大蔵省、これは日本政府として一体どう考えておるか、この前の委員会でも、大臣は大学の授業料を上げるのは適当だ、こういうふうに言われておりますけれども、学生の大部分というのは課税対象、減税対象になっていないだろうと思います。また厚生省の救済の対象にもなっていないと思います。そういう国民というのも相当多数いるわけです、五百万前後は。おそらくあるいはもっといるかもしれない。こういうものに対しては一体どうするのか、仕事はない、物価は上がっていくということで追い詰められていく層であろうと私は思うのです。こういうものに対して一体政府は今度の減税と関連してどう考えるのか、この点をひとつ明快に御答弁いただきまして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 輸出振興税については、ただいま再検討しておる最中でございます。
○竹田四郎君 利子・配当は。
○国務大臣(水田三喜男君) 貯蓄奨励の意味はないと言われるのですが、いわゆる政府が財政主導型政策をとるといっても、民間の資金を活用するということでございますので、貯蓄をどうこうするという必要はございませんで、貯蓄政策はやはり依然としてこれは奨励していっていい政策であるというふうに私は考えております。
○竹田四郎君 減税の恩典を受けないし、厚生省のほうの年金、その他のほうからも値上げ等を受けない人たちとか……。
○国務大臣(水田三喜男君) 減税の対象にならぬ国民層というのは、御承知のとおり相当ございますが、これは広い意味の社会保障制度で対処するよりほかないと思います。年金制度、それから生活保護費の問題、それから低所得層に対する教育費の補助の問題、あらゆるこまかいいろいろな問題をやっておりますが、そういう一連のことによって減税の恩典が全然及ばない層に対しては、もうそういうこまかいいろんな社会保障的な施策の網を広げていく以外には、これはどうにもならない。
○竹田四郎君 かからないという人にはどうするのか。
○国務大臣(水田三喜男君) それでもかからないということになると、これはなかなかむずかしいのでございますが、まあほとんどいまの現行の制度において、社会保障費もこれはまあ予算の三つの柱で、一兆円をこしているものは三つしかないのですが、一兆四千億にも及んで非常にこまかいところまでこの費用は浸透しておりますので、私は大体低所得層に対しては、何かの社会保障は及んでおるというふうに考えています。
○多田省吾君 先ほど、大臣は来年度五千億減税したいという意向が伝わったので、計算の結果四千八百億円減税ということで今回の千六百五十億円の減税に踏み切ったと、このようにおっしゃいましたけれども、その根拠でございますが、私は、今回はまあ年内減税は千六百五十億円、来年度の平年度分に合わせれば、高木主税局長はこの前の答弁で大体二千五、六百億円ではないかと、こういう答弁でございました。合わせると四千二百五十億円にしかならないのじゃないかと思いますが、四千八百億円になるという根拠はどうなんですか。
○政府委員(高木文雄君) ただいま大臣御答弁なりましたのは、この春の国会の御審議で改正していただきましたのが千六百六十六億でございます。今回の分が千六百五十億円で、合わせて三千三百億でございます。それはいずれも平年分の計算の四分の三を初年度においてやる、実現するということでございますから、それを平年度化いたしますと、約三分の四になりまして、四千四、五百億になりますが、さらにそれに減税というのは、給与が伸びまして、所得が伸びましたりしますと、それに伴いまして減税効果を拡大をいたします。そういう計算をいたしますと、ことしの減税額をつまり来年に伸ばしますと、四千八百億になる。私が答弁をいたしましたのは、今回の千六百五十億の今回御審議を願っております分だけの平年度化分だけを申し上げた関係で違う数字になったわけでございます。
○多田省吾君 巷間言われました来年度五千億分というのは、何もことしの初年度減税分の千六百六十六億分を含んでいないと思う。さらに来年度分の五千億円あるいは十五カ月予算における五千億円分だ、このようにみんなが理解しているわけです。大臣の御説明によりますと、ことしの初年度分の減税も含めて計算すると、四千八百億円になる。ちょっと計算の根拠が違うように思いますが、大臣いかがですか。
○政府委員(高木文雄君) 景気浮揚効果としての五千億というのをどう考えるかということでございますけれども、これはいま大臣が言われましたようなことで、本年度は三千三百億円減税になりますし、それも平年度になりますと、当然四千八百億となりますから、景気浮揚効果という意味では四千七百ないし五千億ということで間違いないのじゃないかと思います。
○多田省吾君 それはおかしいのですよ。ことしのいわゆるドル・ショック以来、やはり十五カ月予算で五千億円減税したいということが言われておりましたのは、何もことしの初年度分の減税を含めた考えじゃなくて、来年の正月からの分、十五カ月分を考えたわけでございます。いまおっしゃっているのは、ことしの初年度分を含めた考えですから、積算の根拠が私は違うと思うのです。そういう問答をしておりますと、時間がなくなりますので終わりますけれども、それはそういう言いわけは私は困ると思う。 これは先ほど竹田委員からも話がございましたように、今回の千六百五十億円の所得税減税は、あくまでも景気浮揚策のため、しかも早急の景気浮揚策のためである、こういうお話でございました。それでこの前も、景気浮揚策のためならば、現在のデフレギャップはどのくらいか、こう聞きましたら、経済企画庁は約四兆円だ、この前の衆議院の答弁では、高木主税局長は大体四兆三千億円だ、こう大きなデフレギャップがある、当然にいままで審議されましたように、高木主税局長もはっきりと低所得者層のほうが限界消費性向が大きいから、当然貯蓄に向かないで消費に向かう、これはもう常識だと言っているわけです。ところが、百万、二百万、三百万、四百万の段階の限界消費性向は数字にはっきりあらわれないから、千六百五十億円のうちの約半分を控除引き上げに回し、約半分を税率緩和に回す、こういう答弁で、われわれはこれじゃ納得できないわけです、はっきり言いまして。 それから、景気浮揚策と一緒にやはり社会福祉、社会保障ということを考えた場合に、当然低所得者層に対する率を多くしなければならないと思う、減税率を。で、この前も主税局長に質問したのですけれども、やはり今回の税制で、初年度分と比べて今回の改正案でどのくらいの減税になるか。大体百二十万円の所得層では、夫婦子供二人で約二千五百円程度ということですから、月に直しますと二百円です。それから百五十万円程度で年に六千五百二十二円、月に直しますと五百四十三円。二百万円所得で一万一千六百円ですから、月に直せば九百六十六円。ところが五百万円所得クラスになりますと、十一万四千六百五円、月に一万円。七百万円クラスになりますと、二十一万八千四百円、月に一万八千円の減税。ぐっと高所得層は減税の額が大きくなるわけですね。そして数から見ましても、二百万円以下の所得層は大体二千四百六十六万人。二千六百十二万人の所得税を払っている勤労者の大体九四%に当たる分が、約半分の八百億円程度の減税。わずか六%の、二百万円以上の所得の方が約百五十万人。二千六百十二万人から見れば、約六%に当たる階層が、減税額が約八百億円以上。 そういう姿から見て、どうもこのたびの減税は、俗論ではなしに、もう上厚下薄であるということが、これは常識だと思う。そして税率を緩和するといいましても、主税局長は西ドイツの例などを引かれましたけれども、今回何も直す必要なかったんじゃないか、このように思うわけです。そんなに急カーブというわけじゃない。ですから私は、今回の千六百五十億円のせっかくの所得減税が、上厚下薄ということで非常に評判が悪い。もっともっとやはり控除引き上げと、また最低の引き上げと、こういう低所得層の減税を中心に考えるべきでなかったか、このように思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) もうこの点は、たびたび私は御説明したように思いますが、いま金額で御説明になりましたが、さっきも申しましたように、金額で言いますというと、たとえば、一億の所得者は地方税と合わせて九千万円以上の税金を払うでございましょうし、これがかりに一%減税しても九十万というようなことですが、九十万減税したといったらたいへんなようですが、その人の税額が大きいんですから、減税率は少なくても、額は低所得者より多くなるのは、これはあたりまえで、それを比較されて上に厚いというようなことは私は言えないんじゃないかと思います。
○多田省吾君 私は、その一つのことだけ申したのじゃなくて、いろいろな例をあげたわけです。ですから、主税局長は、今回の減税は心理的効果をねらったとも申されましたけれども、心理的効果をねらったならば、百二十万円の所得の方が月にわずか二百円程度の減税では、今回の生鮮食料品の値上がり等によってそんなものはもう吹っ飛んでしまうんです。私は心理的効果も薄いと思う。そういう意味でいろいろな例を引いて申し上げたわけでございまして、まあ一例をあげますと、千六百五十億円全部控除引き上げに回さなくても、その四分の三の千二百億ぐらいを控除引き上げに回して、あとのわずかの分を税率緩和に回すとか、そういう考え方もあったわけでございますから申したわけです。 次に私は、来年度の所得税減税も、当然先ほどの数字を引かれた点から見ましても、五千億減税ということを言うのと、大臣の言われる四千八百億減税というのは、基準が違うんですから、もっと来年度は所得税減税をはかるべきだと、このように思います。 この前、主税局長にお聞きしましたら、今度の税調に諮問した内容の中で、所得税につきましては、いわゆる課税単位の変更、いわゆる二分二乗方式にすべきかどうかという点に関しては、準備不足のためになかなかできないだろうということを言っているわけであります。その半面、相続税に関しては、夫婦間の財産移転の非課税、妻の座に対する財産移転の非課税ということを諮問しているようでございます。私は、これは両方ともやるべきだと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 二分二乗の問題は、税制調査会の答申にも出ておりますとおり、まだ税制調査会でも結論がついていない問題でございますので、と申しますのは、これによって、一人でかせぐ場合と、夫婦共かせぎの場合と、あるいは寡婦の場合、あるいは独身者の場合というようなものの均衡がみな変わってくることや、あるいは所得税のいろんな制度——源泉徴収制度というようなものにも大きい影響があるというようなことから、もう少しこれを検討する必要がございますので、今度の応急的な税制改正というのには間に合いませんでしたので、引き続き税制調査会で検討してもらって、早い機会にこれは結論を出したいと考えております。
○多田省吾君 それでは、いまあとのほうでお伺いしました税調に諮問した夫婦間の財産移転の非課税ですね、欧米の考え方を見習ったんでしょうが、妻への財産移転を無税にするという点は、これは強く推されるおつもりですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これもいま検討中でございまして、税制調査会にもこれは検討してもらいますし、至急これも結論を出したいと思います。できたら、来年度に間に合わせるようにこの問題の結論を急ぎたいと思います。
○多田省吾君 次に、国債発行について、大臣は、財政法四条の特例立法はやりたくない。すなわち、まあ公共事業の範囲で大幅増をしたいというお考えのようでございます。そうしますと、大体一兆七千億ぐらいの公共事業の範囲で国債を発行して、いわゆる特別立法による赤字公債は発行しないと、こういうお考えを持っているのじゃないかと、そして公共事業を相当大きくするのじゃないかと、こういう考え、あるいは公債対象経費の範囲を広げるのじゃないかというようなことも言われているわけです。それからさらに、国債もあまり大きく発行できないという関係で、中には大蔵省の資金運用部資金、いま十六兆一千億ぐらい九月末であるそうでございますが、その中の資金運用部資金からこの一般会計に貸し出すのじゃないかと、こういうような考えもありますけれども、そういうお考えはありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 財政法四条による以外の公債の発行は全然現在は考えておりませんで、また運用部からの借り入れというようなこともこれは全然考えておりません。それから、そういたしますというと来年度の予算編成というのもなかなかむずかしいと思います。デフレギャップを埋めるために相当財政需要も必要とされているときでございますが、私は、公経済の中におけるシェアとしたら、中央の財政よりも地方財政の、倍まではいきませんが、地方財政のシェアのほうがより大きいということでございますが、いままで財政政策というと、ほとんど中央の財政政策しか考えていなかったきらいがございますが、やはり中央・地方が一体となって財政政策を考えるということになりますというと、私は、赤字公債というようなものを避け、そういう種類のものを避けても何とか対処できる予算編成ができるんではないか、そういうところに来年はくふうをこらしたいと考えております。
○多田省吾君 最後に、私は、この前、国立大学の授業料は値上げすべきではないのではないか、こういう質問をいたしましたが、大蔵大臣からは、文部省からまだそのことは聞いていない、また値上げしないということは言えないという答弁があったわけでございます。しかし、きのうあたり早稲田大学では五割以上の値上げを理事会で決定し、すでに学生はストライキに入っております。また国立大学の授業料値上げとなりますと、ことし一ぱいに来年度予算がつくられる見通しでございますから、これは学園紛争にも輪をかけるし、教育の機会均等という面から見ても非常に好ましくない。このように思いますので、私は、さらに値上げすべきではない、このように思うわけです。 この前、船田政務次官は、大蔵大臣が言ったのは、国立大学と私立大学の授業料のアンバランスを言っただけで、決して値上げという考え方が固定化したわけではないと、こういうことも答弁しておりましたので、私はさらにお伺いしたいわけです。念のために文部省の係の方から簡単にひとつ、来年度の私立大学等の経常費補助金を四十七年度概算要求でどのくらい考えておられるか、また国立大学の値上げについて文部大臣はどのように委員会で言っているのか、その二点を簡単にひとつ答えてください。
○政府委員(安嶋彌君) 来年度の私立大学に対します経常費の補助金の予算要求額でございますが、これは四百十五億円でございます。
○多田省吾君 大臣にお伺いしたいのは、一つは、この私立大学の経常費補助金四百十五億円を前向きにお認めになるお考えはないか。それにしましても、早稲田のような場合にも、四十六年度の国庫からの補助金は経常費のわずか一〇・六%にすぎません。去年私立大学の経常費補助金を支出することにきまったわけですが、その際坂田文部大臣等は、五年以内に人件費や研究費等の半額は国の補助金でまかないたい、こう言っているわけですね。その方針で進んでいるわけです。そうすると、当然四百十五億ぐらいは出す。それによって、文部大臣は、予算が全部認められれば、私立大学の授業料値上げもしないで済むんじゃないかというような答弁もしているわけです。これが一点。 それからもう一点は、やはり国立大学の授業料値上げはこの際やめるべきではないかと思いますけれども、大臣はそのようにお考えか。それとも二倍ないし三倍の値上げを考えておられるのか。この二点をお伺いします。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、私立大学の授業料は限度にきていると思いますので、私はなるたけ値上げをしないようにするために、できるだけ経常費の補助を、そういう軌道を敷いたのでございますから、この補助をだんだんに年次的に強化していく、いままでの方針に従っていくのがいいと思っております。 きょう文部大臣に私立の値上げを押えるのに幾ら金があれば押えられるかと聞いたら、一千億出してくれたら押えられると言うんですが、これはそう簡単にいかないことだと思いますが、しかし、そのくらいのものがなければ押えられないというのがきょう文部大臣のお話でございました。そういう情勢の中で、それでは国立の大学だけはいまの授業料で均衡がとれておるのかということになりますというと、私は、私立が国の補助があるとはいいながら、なかなか苦しい経営をして、やはり大幅な授業料の値上げはないでしょうが、小幅の値上げが各学校に起こっておるというような現状を見ましたら、国立大学ひとりもういまの授業料でいいというのもあまりに均衡を欠くことだと思いますので、私は上げたいと思いますが、これはまだ文部省と折衝している事項でもございませんし、おそらく文部省当局はなかなかこれに反対だろうと思いますので、来年度の予算編成のときにこの問題は解決されると思いますが、いまのところまだこの問題で文部省と話し合いはしておりません。
○多田省吾君 最後にもう一点お聞きいたしますけれども、私は反対に、国立大学の値上げをわずかでも認めれば、私立大学の授業料値上げの大きな口実を与えるという意味からも、これはマイナスだと思うのです。 それからもう一点は、大幅な国立大学の授業料値上げに関しては、それではいま現在大蔵大臣としては、二倍とか三倍とか、そういう大幅な値上げを考えておられるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ部内においてもそういうことを相談したこともございませんし、私自身この問題にまださほど関係しておりませんので、何倍とかということは言えませんが、昔からの懸案でございまして、これでは少し低過ぎると思いますので、適当な値上げは必要じゃないかと思っているだけでございます。
○栗林卓司君 大臣に伺います。 今度の減税案がこれだけ議論になる大きな原因というのは、景気対策という面と、四十七年度減税の繰り上げ実施という面と、性格の違ったものが相乗りをしている点だと思います。なぜ四十七年度減税の繰り上げ実施が相乗りになってしまったのかということをさらに掘り下げて考えますと、結局来年度の減税をするか、しないかということがどうやら問題のかぎを握っているように思います。四十七年度減税ワクが大幅であれば、今回の年内減税実施というのは景気対策に重点を置いた割り振りになるでしょう。ところが、四十七年度減税は、先ほど大臣もおっしゃったように、所得減税については考えていないということになるから、四十七年度減税案が相乗りをしてくることになります。 そこで、四十七年度減税について伺いたいのですが、先ほど俗論云々という話がありました。しかし、税というのは国民の理解と協力を失っては命を失いますから、俗論大いに言うべきだと思います。そこで、今度の年内減税と来年の減税の関係は、俗っぽく言えば、一時金は出すけれども、来年の賃上げはだめだというようなことと同じだと俗論は言うわけです。そこで、選挙の足音が聞えないでもない今日、ほんとうに来年減税はやりませんか、念のために聞きます。
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところは私はやらないつもりで、来年度分を繰り上げて実施したという気持ちでおります。
○栗林卓司君 深くは聞きません。俗論のついでに申し上げます。 三十九年の税調答申で、自然増収のうちで二〇%を減税に充てるという話について議論がございました。主税局長のほうから、その答申が満たされない理由として、実は公債発行規模を押える観点からそのゆとりがなかったのだという説明がありました。そういうことで答申どおりの所得減税がされないまま、今日にきてまた公債をうんと出すというと、所得減税のほうは一切関係なし。そうすると、そういう公債政策の、なるほど歯どめ、ワク組みということがあっても、しわ寄せを所得減税が受ける。この十年なら十年の動きを時系列に見れば、所得税の比率が高まっていることは、これは大臣御存じでしょう。 そうすると、これまでの公債政策との見合いで、所得税が割り高のまま今日まで持ち込まれてしまったと言わざるを得ないと思います。この実態についてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、所得税は非常に高度の累進課税でございますので、これを一年でもやめるというと、実質上は国は増税になるという関係もございますので、毎年物価もにらみ合わせ、国の財政もにらみ合わせて、毎年適度の調整をとった所得税の減税をやってきておりますので、したがって、この所得税が経済の成長に対して非常に取り残されているというようなことは現在私はないんじゃないかと……。所得税の減税を実行しなかったのは昭和三十五年度だけで、あとは毎年一定のことをやっておりますので、その点は私は置き去りにされておるというふうには考えません。
○栗林卓司君 時間がありませんからほかのことでひとつ伺いたいんですが、今回の年内減税、景気対策という観点で実施されようとしておりますけれども、景気ということで見ますと、国税も地方税も与える実効という面では同じことだと思いますが、これは大蔵大臣とするとたいへん御迷惑な質問だと言われるかもしれませんけれども、含めて景気対策という面で考えなければなりません。 千六百五十億円の減税規模並びに配分をきめたときに、所得税との見合いで課税最低限に非常にきわだって差がついてしまった住民税の問題について、大蔵大臣として自治省といろいろ検討されたかどうか、またその問題について大臣としてどうお考えになるか伺いたいんです。
○国務大臣(水田三喜男君) 自治省とは十分交渉をいたしました。やはり中央・地方が財政政策において歩調をそろえることが景気対策として一番必要であると、特に中央の力よりも地方のほうが、さっき申しましたように日本経済の分野においては倍の力を持っておるからして、地方の財政政策というものが非常に景気、不景気に対する影響は大きいと、したがって、国が不況対策として減税をし、公債を発行するということに対応して、地方も地方独自の一定の減税と同時に不足分の地方公共債の発行ということによって歩調をそろえてもらえないかという相談をいたしましたが、地方の減収も本年度は非常にひどくて、住民税の減収というものも非常に大きく、地方財政が困難なところへきてしまいましたので、どうしてもこの減税余力はないということで、とうとう住民税の減税というものは今年度、そういうことから話がまとまりませんでした。逆に、中央の減税によってはねっ返りを受ける五百二十八億円分、これも地方が持ち切れないので、国の減税によってこうむるしわ寄せなんだから、その分を国が出してくれといって、地方で出す分もこちらがまかなうという結果に終わったのが今度の実情でございます。 と同時に、また自治省においてもこれは無理ないと思いますことは、住民税は実績課税でございますので、昨年度の実績によってすでに課税をしておると、これを途中で変更するという手続は、なかなかこれはたいへんなことでございまして、国の所得税の減税と同じようにはいかない技術上のむずかしさを持っているというようなことがございますので、これは来年度も困難とは思いますが、来年度において一応また考える問題にしようということで、今度は住民税の減税ということに一切手を触れないということで結末をつけた次第でございます。
○栗林卓司君 これでやめます。 いまの住民税の問題ですけれども、今回の年内減税について、これまで御苦労いただいた皆さんへの、その御苦労に報いるためという気持ちも入っているのだという御説明が大臣からありました。だれが一体苦労してきたのかといいますと、これは高額所得者だけではない、大多数の国民だろうと思います。ところが、結果として今回の年内減税で出てきたものを見ますと、所得税を払わなくて、住民税だけを払っておる人は一切恩典なし、所得税を払っている人でも、低額所得層が総額の三分の二、残りの三分の一くらいが高額所得者に回る、これは四十七年度の繰り上げ実施だといういろいろな議論はありとしても、これまでほんとうに働いてきた者の気持ちなり、それに対する苦労に報いるという気持ちもあってということになりますと、これはどう考えても理解ができないことだと思います。 そこで、ただいまの住民税の問題は、これからさらに問題として大きくなってくると思うのですが、大蔵なり自治なりというそれぞれの所管の違いはあるとしても、今回の年内減税に見られるように、税が経済政策の主要な手段として使われてくることが私は今後ふえてくると思います。その意味で、住民税の最低限繰り上げの問題も、地方交付金なりその他の問題をからめてみれば、当然大蔵省の管轄しておる財政政策の領域にも入ってくるわけですから、来年度の税制の煮詰めの中でぜひ御検討いただきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) それはさっき申しましたように、中央・地方の問題として来年は十分もう一ぺん検討したいと思っております。
○渡辺武君 先ほど多田委員が財源問題について質問されました。それに対する大臣の御答弁を伺っておりますと、国民にとってまことに無視できないような御答弁ばっかりでありました。いわく、建設公債という名の赤字公債は今後なお増発する、一般消費税と言われましたけれども、大臣が積極的にヨーロッパまで調査に行かれた付加価値税制も、おそらくこの中に入っておるだろうと思いますが、その採用を検討しつつある、あるいはまた来年度は新税その他増税を意味する税源も考えておるのだ、さらにはまた所得税の減税は大幅なものを考えていないというような御趣旨の御答弁、これは率直な御答弁ですから、その点は評価するとしましても、国民にとっては、これはもうとてもがまんできない。高福祉、高負担と言われるけれども、いまの政府の高福祉、高負担は、これは国民にとっての高負担であり、大企業にとっての高福祉だということはもう一般の世論になっておるわけです。大臣の御答弁を伺っておって痛感しましたことは、これは大臣の論理は少し飛躍しておるんじゃないか、こういうことであります。一番肝心かなめの点を抜きにして、そうして財源が足りないから国民に対する増税を考える、こういう御趣旨だと考えます。 そこでまず第一に伺いたいことは、これはなるほど不況が長期化して、財源問題が鋭い問題になってまいりますけれども、しかしどうでしょう、国民にとって必要でない支出・これがかなりあると思う。たとえば、来年度から五カ年間、第四次防で五兆八千億円の防衛費が使われるといわれている。これは削るべきだと思う。さらには、またアメリカからの強い要求もあって、アメリカに肩がわりをしてアジア諸国に経済的ないわゆる援助を出そうということ。これもGNP一%ということに義務づけられている。そうしますと、従来の計算によれば、昭和五十年度にはGNPの一%といえば、従来の三百六十円のレートで計算して約四十億ドル、つまり一兆四千四百億円というばく大な経済援助が一年間になされる。そのうちの大部分が、これが国の予算から出されるとすれば、少なくとも一兆円近い海外援助が国の予算から出されるという計算になるんじゃないかと思う。そのほか削ってほしい項目がたくさんありますけれども、少なくともこの軍事費と海外援助費、これは大幅に削減すべきだ。そうすれば財源難もその方面から緩和できるというふうに思いますが、この点についての大臣のお考えを伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) さっき増税を考えているというようなお話でございましたが、増税というよりは、ことばとしたら新税というほうが正しいかもしれません。従来の税で見直しをやって改廃するものはないかということを考えることが一つと、これはたとえば、特別措置のような問題の見直しができれば、これは事実上の増税ということにはなるんでしょうが、そういう歳入をふやすということとあわせて、合理的な新税というものが考えられないかと、あったらということの検討を、研究を局長のところに頼んであるといったことでございまして、増税を積極的に考えているというのではございませんので、来年度の非常な税収の落ち込みに対して合理的な税収補てんの税というものが考えられないかということでございます。これはまだ全然結論がついていないんで、おそらく検討してもむずかしいことで、来年御審議を願うところまでいくかどうかわからない問題だと、私自身はこう思っております。 それから、そういう経済情勢でございますから、当然いままでの経費の見直しもしなければ私はならないと思います。既定経費もできるだけここで節約して、そうして効率的な予算の使い方をやらなければならないと思います。したがいまして、そういう方針の一環として防衛費におきましても、御承知のように三次防が終わりましたのでこれから四次防の計画を、いままで防衛庁は計画を立てておりましたが、こういう経済情勢にかんがみてこの四次防の見直しもすると、手直しもするという方針でいま規模を少し縮める方向の作業をしておるところでございまして、来年度においては全般的にそういうこともやらなければ財政の窮屈さを解決できないんじゃないかというふうに考えております。
○渡辺武君 来年度以降の防衛費の手直しを考えておられるという御答弁ですが、新聞によりますと、大蔵省の考えでは約一兆円くらいは削ったらどうだという御意見が出ているそうであります。大体どの辺を考えておられるのか。 それからまた、いま申し上げましたいわゆる海外援助ですね、これについては削減を考えておられるかどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 防衛庁のまだ細部案が大蔵省にまいっておりませんのでこれは何とも申し上げられません。 それから対外援助はこれはもう御承知と思いますが、国際的に先進国の義務として各国ともGNPの一%程度の対外援助をやるところまで努力しようという申し合わせがありますので、それに向かって努力するのがやはりわれわれといたしましても一つの義務だと思います。この援助は決して軍事援助ではございませんで、やはり低開発国と申しますか、開発途上国に対する援助ということはどうしてもこれから世界経済を伸ばしていくためには必要なこれは一つの義務だと思いますので、この点は私は苦しくってもそう大きく削減するということはやはりできないんじゃないかと思っております。
○渡辺武君 この防衛費とかあるいはまた海外経済協力費とか、こういう軍事的、政治的性格を持った支出が今後大幅にふえる、これを抜きにしておいて、高福祉、高負担というような名目で国民に対して事実上の大幅な増税を考えるというようなことじゃ、国民はこれはとうてい納得できませんよ。この問題はきょうは時間がないのでこれ以上深く追及いたしませんけれども。 もう一つ、財源問題としてどうしても考えていただかなきゃなりませんことは、大企業に対する特別な減税であります。私、午前中、大臣のおるすの間に、この大企業が今度円切り上げになった場合に、あるいは事実上もう切り上げられておりますけれども、為替差益、これが非常にばく大な為替差益の出る企業がある、これについて大蔵省が事実上これを非課税処分にするという通達を出しております。こういうようなものはやめて、そして正当にこれは課税して取り立てるべきだ、そうしてこれを国民に対する減税に回すべきだというふうに考えます。この点どうでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 非課税措置にするというようなことは全然ございません。
○政府委員(吉國二郎君) ただいま通達の問題が出ましたのでちょっと御説明申し上げておきますが、御指摘の分はこの九月決算にあたりまして、変動相場中の決算をどうするかということにつきまして、企業会計審議会で一つの意見書を出しました。その意見書の内容を税務計算においても認めるという通達を出しております。おそらく御指摘なのは、その意見書におきましては、為替の短期、長期の債権、債務について、そのいずれも同時に処理するならば発生時のレートで計算をしてもよろしいし、決算時のレートで計算をしてもよろしいという規定があるわけでございます。 おそらくそこで渡辺先生が非課税にすると言われるのは、その三百六十円の債務がある、実際上三百三十円なり三百二十円なりに減っているけれども、三百六十円のまま債務をつけてよろしいということから非課税になる、こういう御趣旨だろうと思いますが、これはその後の債務を支払います際には、実際は三百二十円を支払いますから、その差額は当然利益に出てまいりまして課税になるわけでございまして、決して非課税にするという趣旨ではございませんし、また、企業会計審議会も、現在は変動相場中であるので、かりにそういう二つの計算を認めておりますけれども、最後に確定的に平価が変更されました場合には、その平価によって強制的に計算をすべきものであるという方向で審議が進められていると聞いております。したがいまして、その際にはいまの三百六十円でついておりました債務が、当然三百二十円になりますから、計算上四十円の利益が出てこれは課税処分になるわけでございます。したがいまして、私どもの出しました通達がそういうものを非課税にするというものでは全然あり得ない、それは誤解であるということを申し上げておきます。
○渡辺武君 その問題は午前中一時間半にわたって私追及してはっきりしているんです。 それから、この円が確定的に切り上がったあと、この点についても、あなたがいまここで答弁されたこととだいぶ事実は食い違っている、ですから、一時のがれの答弁はやめてほしい。円が正式に切り上がったときにどうなるのか、この点についてはまた機会をあらためてあなた方に質問したいと思う。 いずれにしましても、大企業に対してはこうして特別な税制上の優遇措置を講じている、大蔵省が発表した租税特別措置、これによる減税額、これが計算は非常に、私はもう少し追及したいと思っておりまして、不確かですが、それで四千三百九十四億円が四十六年度の予想される減税額だといわれておる。このほか租税特別措置に入っていない本法に繰り入れられた、たとえば貸し倒れ引き当て金だとか、退職給与引き当て金、その他これらによる大企業に対する特別な税の減免措置、こういうものを含めれば現在の不況下でも、十分な財源をわれわれは見つけ出すことができると思う。私どもは、簡単に計算しただけで、先ほど来ほかの委員から御質問がありましたけれども、いわゆる輸出振興税制、海外市場開拓準備金、あるいはまた海外投資損失準備金、あるいはまた特別償却、あるいはまた交際費の非課税、あるいは支払い配当についての特別な減免、あるいは原子力発電工事償却準備金だとか、新鉱床探鉱費の特別控除だとか、電子計算機の買い戻し損失準備金だとか、技術機械取得の特別控除だとか、あるいはまた利子所得、配当所得に対する特別な減税だとか、こういうものを、貸し倒れ引き当て金、退職引き当て金などによる減税額を加えてみて、大まかに計算すると一兆数千億円という数字が出る。こういうものを取り立てれば、私は、十分な国民に対する減税措置ができると思う。 私どもは、所得税、それからまた住民税、及び個人事業税については、少なくとも当面、四人家族で年収入百四十万円ぐらいのところまでは課税最低限を引き上げるべきだと思っております。また、住民税の均等割りはやめるべきだと思っておりますけれども、こういうところに財源を見つけて、そうして低所得者層に対する、いま申し上げたような減税措置を断行するおつもりがあるかどうか、これを伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しましたように、そういう問題はこれから一つ一つ全部、来年は検討するつもりでございます。 同時に、所得税の減税も、私どもはこれでいいと考えておるわけではございませんで、さらに、もう減税は、私は年中行事としていいものだと思っておりますので、そういういろいろな歳入事情というようなものを全部総合、勘案した結果来年度の減税は考えるべきでありまして、まだ最終的な今後の考えはきまっておりませんが、そういう方向で今後なお所得税の減税ということについては検討を進めていくということは間違いございません。
○野末和彦君 ぼくの質問時間は十分ですから、ひとつ大臣に明確に、簡潔にお願いしたいと思います。 まず初歩的な質問を二ついたしまして、そのあとで疑問点をただしたいと思います。 税制の基本姿勢についてお伺いしたいんですけれども、世界の趨勢は、国民の負担能力に応じて徴税する、いわゆる税の公平負担ですね、これが主流の考え方になっていると思うんです。わが国でもこうなっていると考えてよろしいですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりです。
○野末和彦君 それからもう一つ。 この議会制度というのは、国民がみずからの納めた税金の使い道を議員に託して決定するためにあると、そういうふうにぼくは理解しているわけなんですけれども、これも間違っていませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) そのとおりです。
○野末和彦君 そうしますと、いま言った原則どおり現在の税制が行なわれていないんじゃないかという疑問を強く感じるわけなんです。 それは、未成年の勤労者ですね。未成年勤労者というのは、納税義務は、これは一〇〇%あるわけですね。ところが議員を選ぶ権利というのは、これは全然ありませんで、そうなるとこれは不公平で、さっきぼくがお伺いした議会制度の原則に反するとぼくは考えるわけなんです。大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 税の原則は、所得あるところ税ありで、未成年といえども、所得税法できめられている課税最低限をこす収入があるという場合には、税を納めるということは少しも差しつかえのないことであるし、これは区別する必要は私はないと思います、税制の立場からは。
○野末和彦君 ところが、それならば今度は権利のほうがないわけですね。ですから、義務ばかりあって権利がないというところにぼくは疑問を感ずるわけです。ですから、大臣が税制の立場でというのは現実問題だと思うんですけれども、それならばお伺いしますけれども、いわゆる未成年勤労者の実態というもの、これがはっきりしないとぼくの意見も言えないんです。そこでその資料を出していただくように頼んだんですけれども、聞くところによりますと、未成年勤労者がどのくらいいて、そして納税人口に占める比率、それから未成年勤労者からとる合計の所得税収入のそれが、わが国の所得税収全体にどのくらいの比率を占めるかというような、そういうような未成年勤労者に対する税金面のデータが全然ないということをお聞きしたんですけれども、これもほんとうですか。
○政府委員(高木文雄君) おっしゃるとおり、その種の年齢別の税務統計はございません。
○野末和彦君 これはどうしてないんですか。何か特殊の理由があって、ないんですか。
○政府委員(高木文雄君) 先ほども大臣も申されましたが、年齢別に考えるという考え方はいま持っておりませんので、たとえば非常に小さい、小学校や中学校に行っておられる方でも、資産があれば課税所得、課税さしていただかなければならぬという関係でありまして、年齢問題というのはあまり関係ないということになります。
○野末和彦君 年齢が関係ないとすると、たとえば、大臣が来年は考えたいとおっしゃっている老人の控除の問題に関しては、あれは年齢を考慮に入れなければできないわけですね。そういうふうに考えますと、ぼくは未成年勤労者に関する限り、現実の政策決定はデータが基礎になっていなければいけないわけですね。ところが、データがないのにかってに税制をきめている、この階層に関しては。こういう姿勢はかなり無責任じゃないかとぼくは思うんですね。ですから、減税に対する、ぼくは、先ほどほかの委員からもいろいろ御質問がありましたけれども、いろいろな不満な点がこの階層に対してもものすごく当てはまる。 ぼく個人の考え方をいいますと、大体税体系というのは、基礎資料がちゃんとありましてそれで完成された。だからそういう点で公平だと、非常に公平だと、初めからそういう前提に立って税金を納めているわけですね。ところが、この未成年勤労者に対しては、データもないということになりますと、全くこれはいいかげんじゃないか。これは資料がないということ自体たいへんな問題じゃないかとぼくは思うわけなんです。ですから、ここでぼくは大臣にお願いしたいことは、この階層はとにかく義務のみがあって権利が全くない。この状態は非常におかしいし、なおその上に非常に不公平な点は、この未成年勤労者には何の控除もされていない。勤労学生控除が幾らかありますけれども、それについても、いま学生がどのくらいで、未成年勤労者はどのくらいで、というデータもないということになりますと、この階層に対する課税というものはずいぶんいいかげんに行なわれているのではないか。ぼくはしろうとですからそういう疑問を感ずるわけです。 そこで、時間がありませんけれども、この疑問を解決するためにまずいろいろなデータを要求したい。そのデータに基づいてあらためてぼくの質問を大臣に聞いていただきたいと思う、それが一つですね。 それから、未成年勤労者に対して現状が、大臣はそれでいいとおっしゃっていますけれども、もう一度未成年勤労者の所得税に対する政府の考え方ですね、これを再検討すべきじゃないかと、たとえば、控除の問題一つでもかまいませんが、あらゆる面から再検討すべきじゃないかというふうにぼくは考えるわけなんです。この二点について大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま主税局長の言いましたように、税制に年齢を入れるということになったらこれはたいへんなことだろうと思います。小さい子供であっても、自分が財産があるときには財産課税を払わなければなりませんし、年齢によって税をどうこうするということは、いままでそういう方向の税制というものは考慮されておりませんので、したがって、資料をと言っても、何歳の人が幾ら納めておって、何歳の人が幾ら税を納めているかという資料というものはとうていできないと思います。
○野末和彦君 ぼくは、所得税についてのみお伺いしているわけなんです。 普通、申告のときに必ず何歳ということはもうはっきりしているわけですから、その気になればデータはつくれるのじゃないですか。
○政府委員(高木文雄君) 現在、申告所得税と源泉と合わして全部で二千七百万の納税者がおられますが、二千万以上が源泉徴収になっておるわけですから、そうなりますと年齢を調査していただいて、まあ年齢を源泉徴収の際に調べていただいて、それはまあ会社でわかっているでしょうから、それを税務署にお届け願う。それをまた人員別、所得別に分類するということになってまいるかと思いますけれども、これは御指摘のように非常に特殊な目的があって、ぜひそういうことをやろうということになれば、たとえばサンプル調査をやるとかいろいろなことがあろうかと思いますが、現在ではそういうことをやっていないということでございます。
○野末和彦君 特殊な目的というよりも、未成年者と成人を、ただ収入があるからというだけでもって同一条件でもって税を徴収するというのがおかしいというわけなんです。 さっき言いましたように、要するにわれわれには租税審議に参加するという権利があるわけですね。ところが未成年者にはない。これが不公平だというふうに考えているわけです。ですから、そのためにも、どのくらいの人数がいて、どのくらい税金を納めているのか、未成年勤労者階級がですね。そのデータを知りたいと思うわけです。全然それは必要ないとお考えなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、資料をつくるのはたいへんだと思いますので、また——。選挙権とはもう関係ございませんで、選挙権を持っている人で税金を納めてない人がずいぶんたくさんございますので、この問題はもう別に関係ございませんから。
○野末和彦君 時間がありませんから——たいへんだというのはわかりますが、たいへんだからやらないというのはこれは理由になりませんから、とにかくたいへんでも、何とかしてサンプルだけでもつくっていただきたい、そう思います。 もう一つ、先ほど言いました未成年勤労階級の所得税に対する政府の考え方を再検討してほしいとぼくは思うのですが、してくださいますか、それを最後の質問にしてぼくの質問は終わります。
○国務大臣(水田三喜男君) せっかくの御提案でございますから、ひとつ十分勉強いたします。
○委員長(前田佳都男君) ほかに御発言もなければ両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。 それではこれより「所得税法の一部を改正する法律案」の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となっております所得税法の一部改正法案に、左の理由により反対の意思を表明いたします。 反対の第一点は、今回の減税法案の最も大きな政策目的である景気の浮揚について適合していないことであります。消費需要を高めるためには輸出優遇税制や、資産所得優遇措置等の特別措置を廃止するとともに、また防衛費等を削減し、年収二百万円以下の層に大幅な減税を行なうべきであります。 反対の第二は、経済の諸情勢、特に雇用の減少、高物価が予想される時期において、最もその犠牲を受け、不況や高物価への抵抗力の弱い層に減税が薄い点であります。年収二百万円以下の階層に対する軽減額は、物価高と相殺されるだけでなく、家計は一そうきびしいものになるからであります。 反対の第三は、高所得層への負担割合いの軽減が、負担公平の原則上行なわれるべきであると仮定いたしましても、なぜ低所得階層が生活の不安を感じつつある今日において、均衡上の是正を行なわなければならないのか、理解に苦しむものであります。経済が安定的成長の段階の時期にそうしたことは行なうべきであろうと思います。 反対の第四点は、所得税の課税対象にならず、年金等の社会保障の対象にもならない低い所得層についての配慮が全くなされていないことであります。公共料金をはじめ、消費者物価の上昇期の影響だけ最もはげしく受け、それは必ず生活不安から社会不安へとつながっていくものでありましょう。ここに政治はないというべきであります。 以上、おもなる反対理由でありますが、今回の所得減税法案は、勤労大衆は不況下の高物価にあえいでいるにもかかわらず、今日の経済危期を引き起こした責任の大部分をになっている階層にのみ奉仕をし、景気浮揚という国民全体の利益を阻害するものであります。企業において企業の状況が左前になろうとするときは、真に企業の将来を憂うる幹部は、みずからの給料を減額してもなおかつ企業の繁栄のためにがんばるのが当然であろうと思います。そうしたことと同じように、佐藤内閣の今回の減税案は、三歳の童児にも理解できる道をとらず、国民のわずか数%のものに奉仕する政策をとっているのでございます。かかる内閣は一刻も早く退陣すべきことを付言して、討論といたします。(拍手)
○嶋崎均君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております所得税法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表明するものであります。 所得税につきましては、すでに本年度当初の改正において、基礎控除、配偶者控除、扶養控除及び給与所得控除の定額控除の引き上げを中心として、千六百六十六億円の減税が実施されたところでありますが、去る八月のアメリカの輸入課徴金の賦課や、円の変動相場制への移行などの一連の事態を背景とする最近の経済情勢にかんがみ、政府は、税制、財政、金融を通ずる景気振興策の一環として、相当規模の所得税減税を早期に実施する必要があるとして、千六百五十億円の所得税の年内減税を行なうこととしたものであります。所得税の年内減税は、昭和二十六年以来二十年ぶりの画期的なものであり、当面の不況に対処して、このような異例の措置を果断に講じられたことは、まことに時宜を得たものであり、総合的財政経済政策の観的からも高く評価されるべきものと確信いたしております。 次に、政府案の内容でありますが、本年度当初の改正に引き続き、所得控除の引き上げを行なうほか、あわせて税率の緩和をも行なうこととしております。この結果、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は百万円をこえることとなり、これは欧米先進諸国に比較しても遜色のないものでありますし、またある程度広い範囲の納税者について所得水準の上昇に伴う負担の累増が緩和されることになります。 今回の年内減税の趣旨が、消費需要の喚起を通じて景気の回復に資することにあることから、今回の減税はむしろ低所得者層に効果の大きい所得控除の引き上げに重点を置いて行なうべきであるという考え方もあろうかと思います。しかしながら、所得税の負担軽減である限り、将来における所得税制の基本的方向を踏まえつつ、均衡のとれた税負担を保ち得るよう配意すべきことは当然でありまして、累年の減税にもかかわらず、いまなお特に所得税についての負担感が重いとされる理由の一つとして、所得水準の上昇に伴う税額の増加割合の高いことが指摘されていることを考慮しますと、この際、税率の改正によってこの負担累増の傾向を多少とも緩和することは、きわめて適切な措置であると確信いたします。 確かに、今回の減税だけを取り出してみますと、年収三百万ないし五百万円程度の階層の軽減割合が、やや高くなってはいますが、本年度の当初減税と、今回の減税とをあわせて考え、さらにまた、昭和四十四年度及び四十五年度の改正とを一体として考えますならば、各所得階層にわたって均衡のとれた負担軽減となっておりますし、特に、今回の年内減税の一つの意味が、これまでの国民各位のたゆまざる御努力に報いることにあることを考えますと、できるだけ幅広く減税効果が及ぶように配意されている点は、十分評価してしかるべきものと考えます。 以上が私の本案に対する賛成の趣旨であります。 なお、この際、政府は、今後とも、所得に対する税負担の軽減合理化につとめるとともに、財政支出の面においても、社会保障の充実に力を注ぐなど、低所得階層の福祉向上について積極的な措置を講ずるよう要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○多田省吾君 私は公明党を代表し、ただいま議題になっております所得税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行ないます。 政府は、最近のアメリカの新経済政策等により、わが国国内産業に多大な影響を与え、景気沈滞が進行しつつありとし、その対策として、早急な景気浮揚策のために、本法案による減税案を提案されておりますが、景気振興対策としてのこの減税案に納得しかねるものであります。 反対理由の第一は、政府は、今回一千六百五十億円の減税といわれておりますが、この一千六百五十億円という金額の算出された根拠、裏づけがないということであります。いわゆる所得減税の乗数効果、また五千億円の公共投資の乗数効果とGNP等の関係より見まして、今回の減税においては、少なくとも三千億円以上でなければ、デフレギャップをカバーし、景気回復としての減税政策の効果をあげることはできないのであります。したがいまして、今回の減税は三千億円以上の大幅減税策をとるべきであると思うのであります。 第二に、この減税案は、年間所得三百万円から九百万円という高額所得者優遇のものであるという点であります。 具体的例をあげますと、各所得階層別に所得一万円当たりの減税額を見ますと、夫婦子供二人の標準世帯で、百万円層は一万円当たり二十七円、三百万円層は九十四円、七百万円層は二百三十六円であります。つまり、百万円の層に対して、三百万円の層は三・四八倍、七百万円の層は八・七四倍の減税となるのであります。政府は、この上に厚く下に薄いという批判に対し、所得税の累進度の税率カーブを問題にされておりますが、税率カーブが急になってはいかぬ理由はなく、さらに全勤労所得者の二・三%の人を優遇し、国民の大多数を軽視することは断じて納得のいかぬことであります。 第三に、この減税により消費需要の拡大ができるといわれておりますが、年間三百万円以上の層よりも、それ以下の階層、特に、全給与所得者の九四%を占める二百万円以下に対して大幅減税し、そうして課税最低限の大幅アップをしてこそ、消費需要の拡大による景気回復に有効であることは明らかであります。 最後に、政府は、今回のこの年内減税を理由に、来年度における減税に対しきわめて消極的でありますが、最近の消費者物価の上昇は、政府の予想を大幅に上回っており、さらに、国鉄の貨物運賃割引の廃止、タクシー運賃の値上げ等、公共料金の値上げがいわれ、今後の物価上昇は確実視され、政府のこれに対する対策は無にひとしい現在、国民生活を守るためにも、断じて大幅減税を来年は行なうべきであります。 以上をもちまして、反対討論を終わります。(拍手)
○栗林卓司君 私は民社党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案について、反対の討論をいたします。 今国会において、政府から、大蔵大臣を含めて異口同音に強調されたことは、政策転換の必要性ということでございまして、しかし、その具体的内容は何ら明示されることなく、会期の半ばを過ぎようとしております。 しかし、どのような政策転換にもせよ、明らかなことは、国民の理解と協力がない限り、成果は期待し得ないということです。 今日の経済社会の実態のもとで、国民が切望しているのは、今後の具体的政策の明示と、その具体的政策の策定に対する参画だと思います。 しかし政府は、この国民の切望に背中を向け、率直に国民の理解と協力を求める姿勢を示していません。これでは、国民の合意を背景に政策転換の実効をあげていくことは不可能といわざるを得ません。 私はこれと全く同じ誤りを今回の所得税法一部改正案がおかしていると思います。 所得減税の年内実施について反対する人はいないと思います。なぜなら、この異例の措置に期待せざるを得ない経済、社会の実態があるからです。 したがって、今回の所得減税について国民が期待するものは、現下の産業社会の実態を踏まえた対応策だといわなければなりません。 しかし、今回の減税案はそうはなっていません。 これまでの質疑に基づいて判断すると、今回の減税案は、景気の低迷と物価高に悩む国民の実情にもかかわらず、減税額のほぼ半ばを税率緩和に充て、景気対策の効果、国民生活への配慮を減殺したものであります。 しかしこの方法は、国民の立場からとうてい理解できるものではありません。 国民の目から今回の減税案をながめると、これは、政府が経済の深刻さを軽視し、また、高額所得者のほうが経済発展に対する寄与率が高いと考えていること、低額所得者の生活実態と、これまでの経済発展に対する貢献度は多くの配慮に値しないと考えている、その具体的なあらわれとしてしか映りません。 政策当局の真のねらいが那辺にあるにせよ、結果は、いま申し上げた印象を国民に与えたことは間違いありません。 しかし、税は、国民の理解と協力を失っては、本来の役割りを果たしていくことはできません。今回の減税額のほぼ半ばを税率緩和に充てた理由として、「所得税制の基本的方向」があげられています。 しかし、国民の理解と協力を失っては、所得税制の基本的方向も存在しません。 しかも、今回の減税案は、まさに所得税制の基本的方向のゆえに、これまでまじめに努力しながら将来不安と物価高にさらされている大多数の国民を冷遇する結果を生み出しました。 以上、私は本委員会に提案された所得税法の一部を改正する法律案について、この問題に取り組む姿勢の問題も含めて、賛成できません。 以上をもちまして、反対討論を終わります。
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案に反対するものであります。 反対の第一の理由は、今度の改正案の内容が、年所得三百万円から五百万円の中堅所得者及びそれ以上の高額所得者を優遇する減税となっているからであります。 これに反し、年収百万円及び百五十万円の低所得者は、夫婦子供二人の給与所得者で、それぞれ二千七百円及び五千百円のきわめてわずかな減税であり、最近の急上昇している消費者物価のもとでは、物価調整減税の意味も持たず、生計費に食い込む重税となるからであります。 わが党は、当面、夫婦子供二人の給与所得者で、百四十万円にまで課税最低限を引き上げるべきことを主張するものであります。 反対の第二の理由は、今回の改正案で税率の緩和措置を行なっていますが、これによって最も減税効果の高いものが、年収七百万円の高額所得者であることからもわかるように、高額所得者中心の税率緩和であるからであります。これに反して、低所得者に適用される最低税率は、依然として据え置かれたままであり、戦前の最低税率、フランスの最低税率から見ても、一〇%はあまりに過大な税率であり、政府は現在の最低税率を大幅に引き下げるべきであります。 このように、低所得者のための最低税率はそのままにしておいて、高額所得者のために累進税率を緩和することは、所得税の高度累進課税の原則を否定する方向であり、断固反対するものであります。 反対の第三の理由は、政府は、今回の改正案をもって景気刺激のための減税であり、また、来年度減税分を繰り上げた繰り上げ優遇減税だと称しておりますが、これは全く国民を愚弄したものであるからであります。 もしほんとうに消費需要を拡大するための減税であるならば、当然納税者の圧倒的多数を占める年収百五十万円以下の低所得者にこそ大幅減税を行ない、また住民税の均等割りを廃止し、所得割りについても課税最低限を大幅に引き上げ、生活必需品に対する物品税の減税等を行なうべきであります。これらの措置を政府がとっていないことは、政府の景気刺激のための減税なるものが、きわめて効果の薄いものであり、政府の真のねらいは景気浮揚に籍口して、高額所得者に対する優遇減税を行なうことにあると考えざるを得ないのであります。 さらに、政府のいう来年度の減税繰り上げ実施という言い分に至っては、来年度に名目的な減税すら行なわず、所得税の増税を考えていることを政府みずから認めたにひとしいと言わねばなりません。 わが党は、このような意図と性格を有する本法案に対し、以上の理由で反対するとともに、軍事費、海外経済協力費など、危険な性格を持つ支出を大幅に削減し、大企業に対する特権的な減免税を廃止して、正当に課税し、赤字公債発行をやめ、低所得者に大幅減税を断行すべきことを主張するものであります。(拍手)
○委員長(前田佳都男君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 「所得税法の一部を改正する法律案」を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田佳都男君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定により、委員長において本案に対する可否を決します。 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。(拍手) 次に、「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 「農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案」を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、ただいま可決されました二法案につきまして、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 次回の委員会は、十一月二十五日開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十四分散会