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67回国会参議院1971/11/12

科学技術振興対策特別委員会 第2号

発言数
43
登壇者
10
会派数
5
開催日
1971/11/12

会議録

鈴木一弘公明党

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  昨日、川崎市生田におけるローム斜面崩壊実験事故により死亡された十五名の方々並びに御遺族の方々に対し、本委員会としてつつしんで哀悼の意を表したいと思います。  ここに犠牲になられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。御起立を願います。黙祷。   〔総員起立、黙祷〕

鈴木一弘公明党

○委員長(鈴木一弘君) 黙祷を終わります。  この際、ローム斜面崩壊実験事故について平泉科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。平泉長官。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) 昨十一日午後三時半ごろ、川崎市生田において、ローム斜面の崩壊実験の実施中、予想外のがけくずれが起こり、多数の人命を失い、また、多数の負傷者を出すに至ったことは、まことに遺憾にたえません。科学技術庁は、実験の安全性については常々十分な注意を払ってまいりましたにもかかわらず、このような事故を引き起こしたことにつきましては、当庁の努力の至らなかった点を深く反省する次第であります。  今回の事故の原因となった実験は、最近の土地開発に伴い増大しているがけくずれによる被害に対し、その防止対策を樹立するため、がけくずれの発生機構を解明すべく、科学技術庁が昭和四十四年度から三カ年計画で進めてきたローム台地におけるがけくずれに関する総合研究の一環として行なわれたものであり、生田試験地において実際に斜面に散水し、人工的にがけくずれを起こさせ、その発生機構を解明する基礎データを収集しようとしたものであります。  九日午後三時半から散水を開始し、昨十一日午後三時半ごろ総雨量が約五百ミリメートルに達したとき、がけくずれが起こりましたが、その崩壊の速度及び規模が予想外に大きかったため、実験関係者ばかりでなく、報道関係者を含む二十数名が生き埋めとなり、川崎市、神奈川県警、自衛隊等の必死の救出作業にもかかわらず、現在までに確認されたところでは十五名の方がなくなられ、十名の負傷者を出すに至りました。  私は、事故発生とともに担当官を伴って直ちに現場に急行し、事故の状況を把握するとともに、事故に対する対策を総合的かつ効果的に推進するため、事故後直ちに科学技術庁にローム斜面崩壊実験事故対策本部を設置し、今後の事故対策に遺憾なきを期することといたしました。  今回の事故の原因については、総理府において委員会を設け、その究明を行なうこととなっております。また、科学技術庁といたしましても、本実験計画そのものの再検討を行なうとともに、当庁関係のすべての実験についての安全性の確保、管理体制等に関する総点検を行ない、今後このような事故を二度と起こすことのないよう万全の措置を講ずる所存であります。  なお、今回の事故は、直接実験に従事した方々のみならず、その報道のため現地で取材、撮影等の仕事に携わられた方々その他の民間の方々にまで及び、まことにおわびのことばを知らないところであります。被災者及びその遺族の方々に対しましては、衷心から哀悼とお見舞いの意を表するとともに、できる限りの補償を行なうことにより、幾ぶんなりとも事故の責任を償いたいと考えております。

鈴木一弘公明党

○委員長(鈴木一弘君) 本件に関し質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

小林武日本社会党

○小林武君 ただいまの冒頭にございました、たくさんの犠牲者の方々に対して、私も心からおいたみ申し上げる次第であります。なくなられた方々の中には関係の方もあって、これから申し上げることの中に、なくなった方にむちをうつというようなこともあるのではないかと心配しているわけですが、この点は、死者にどうということではございません。これからわれわれがどうするかという問題で、するわけでありますから、御了承いただきたいと思います。  いまの大臣のことばの中の「予想外の」ということなんですね。「予想外の」というのは、われわれ一般人がこういう災難にあった場合は予想外ということばを使いますけれども、その予想外のことが起きないように、科学技術庁が、今度は科学的根拠の上に立ったデータをつくるということでおやりになった。で、私は、科学技術庁のいままでのやり方について多少考えを持っておりますが、たとえば今度の問題、あるいは原子力発電についても、やっぱり多少の問題がある。その場合には、科学技術庁の態度というのは、わりあいに、私は、こう、何といいますか、安易な立場に立っていたような気がするわけであります。あるいは、この五月九日に起きたシートピア計画についても、これは、科学技術庁としては、かなり予想外のことであったと思うのでありますけれども、今度の問題について具体的に一体どういう点が——これは科学技術庁だから言われると思うのであります。どこに欠陥があったかということが、技術的に、あるいは学問的に明らかにならない限り、だめだと思うのであります。その点については、大臣の考え方というのはよくわかりました。大臣としての立場で、まことに遺憾である、再度こういうことの起きないようにという御決意はわかりました。実際に当たっている方の、どこに欠陥があったのか、どういうところに問題点があったかということを明らかにしない限りは、死んでも死に切れない方がたくさんいらっしゃると思います。その点、質問いたします。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 今回、この実験につきまして、ただいま大臣からお話がございましたように、非常に意外の結果が起きまして、私どもまことに申しわけないと思っておる次第でございます。  今回のこの実験におきまして、これは実は昭和四十四年から三カ年継続で行なっている特別研究でございまして、この内容といたしますのは、関東地区、ことに京浜地区で毎年約二百カ所程度のローム地帯におけるがけくずれのような現象が起きているわけでございます。ところが、災害防止という観点から見て、どうしてもその崩壊機構を解明しなければならないということで、この研究に踏み切ったわけでございますが、三カ年目、本年でございますが、本年最後の仕上げといたしまして、野外実験を行なって、その崩壊の機構を解明するということになったわけでございます。  その実験を昨日行なったわけでございます。この崩壊実験につきましては、実際の斜面を利用いたしまして、そこに散水をいたしまして、そしてそれがある程度の水量といいますか、雨量に達しますと崩壊するわけでございますが、そのときの各種のデータ、こういうものをとって、これを解明したいというふうに考えていたわけであります。したがいまして、計画当初におきましては、このような計画につきましていわゆる理論的に組み立て上げたわけでございますが、その組み立てた値と非常に異なっていたというのが、いわゆる予想外ということでございまして、この点につきましては、今後調査委員会等におきまして十分御審議いただきまして、われわれのデータの欠陥——われわれといたしましては、十分問題点についてのデータを獲得したというつもりでやったわけでございますが、このような事件を起こしましたので、必ずしもわれわれが持っていたデータが万全のものではないということがはっきりいたしました。したがいまして、この点につきまして、十分委員会等におきまして御審議いただきまして、この予想といいますか、いわゆるわからなかったファクターが何であったかということを十分に解明いたしまして、今後このような事態が絶対起こらないように、また、このような災害が起こらないようにしたいということでございます。

小林武日本社会党

○小林武君 まあ、そこらが、私がさっきも言ったように、科学技術庁でなければ、この点は、なるほどということも言えないわけでありますけれども、しかも、これは、いまの御説明ですと、三年計画で、いわゆる野外でなくて、実験的な段階ですね、その場合においては詳細なデータが出たと思うのです。そして、少なくともこの野外の実験をやるという場合においては、それぞれのほかの参加者もあるわけですからね。だから、その参加者の安全ということも考えなければならない。今度は室内とかあるいは実験場の中の問題じゃないですから、そういうことを予想しなければならぬでしょう。しかし、絶対安全ということでやられたから、けさぼくはニュースで見たけれども、ここまでしか土砂は来ません、くずれるところはこの個所ですという明示があって、そうしてそれがくずれた。これは、私は、いまの答弁では尽くしておらないと思うのですよ。一体それだけのデータというものが、実際に当たってみたら全くとにかく何のあれもなかったということですから、だから、いままで私も科学技術の委員会に出たこともありますけれども、いままで私が出て聞いたいろいろなあれからすると、かなり自信を持っておられる。その自信が逆に、ぼくらのような者から見れば、やっぱり過剰な自信じゃないか。ほんとうに謙虚に、被害が起こった場合にどうなるのだとか、原子力発電であるならば、付近住民は一体それによってどんな影響を受けるとかということに対して、わりあいに私は科学技術庁の態度というものは安易であったと思う。だから、一体どうしてそういうあれが起こったかということについては、もう少し技術的な説明をするべきだと思うんです。どうしてそんな思わざる事故が起こったかということですね。まあ、新聞を見るというと、何か、学者の中にもいろいろ批判をなさる方があるようですけれども、その欠陥を、あなたのほうで、いまここで、こういうことにあったろうということが言えないということになると、私は科学技術庁というものを一切信用できないという気がするのです。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) ただいまの点につきましては、私たち科学技術庁といたしましては、この種の実験につきましては、それぞれの専門の研究機関に依頼してやっていただくというたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、実を申しますと、専門的な内容については十分確信を持って言えるようなものでございませんので、その点はお許しを願いたいと思いますが、ただいま御指摘の、まず参加者の安全の問題でございますが、これは、まことに申しわけございませんでしたが、安全というう面について手抜かりがあったということは、われわれも認めざるを得ないわけでございます。この点につきましては、従来、各種の管理体制あるいは安全対策をやっておりましたが、従来やっていたものでは不十分であるということがはっきりしたわけでございます。この点につきましては、今後十分われわれも反省いたしまして、確固たる体制をとっていきたいと、こういうふうに考えております。  なお、技術的な問題につきましては、現在 実験に従事していた者からいろいろ聞いていますが、やはり、相手によりましていろいろな見解がございますので、われわれが現時点においてこれであるということがはっきり言えないのは、はなはだ残念だと思いますが、この点につきましては、部外の学識経験者の方に十分御検討をいただきまして、そして、われわれのいままでのデータの誤りというものを指摘していただきたいと、こういうふうに存じている次第でございます。

小林武日本社会党

○小林武君 どうも、大臣、大臣にお答え願わなくてもいいけれども私は、もう少し何といいますか、科学技術庁らしい答弁をしてもらいたい。たとえば、これは屋内におけるところのいろいろないままでのデータを集めて、その上に立って安全性というものが確認をされた。そこで自信を持って、とにかく野外に入った。そしてあの場所を選んだ。その場所を選んで、そうして実地についても研究なさったと思う。どのくらい雨を降らしたらいいかということで、雨の降らせ方も研究なさったと思う。ところが、実際に起こったのは、その研究のあれとはおよそ違った形であらわれた、ということになったら、そのことは、一体どうしてこういうことが起こったか、これは重大なんですよ、これだけの大きなことが起これば。ちょっとやそっとのこれは誤差でないわけですからね。そこらのところを、やはりもっと、科学技術庁ですからね、はなはだ遺憾であったというような話だけでは、これは納得がいかないわけですからね。大臣、どなたかひとつ、説明できる人に説明させてください。いまのようなことをやりとりしておっても、しようがないと思う。そこがわからなければ、ある程度——こういうところに問題があったというようなことを科学技術庁が言わないで、まことに遺憾でありましたというようなことでやっていくならば、私は科学技術庁というものの権威は失墜してしまいますよ。だれも信頼しないということになります。だから、もっとやはり事実の上に立った、国民を納得させるような、しかし、そこの中にここの一点がどうもぐあいが悪かったということが明らかにならなければならぬのですが、それはもっと詳細な検討を待つということではあるけれども、一応、どこにということはこの場所であっても言えなければならぬはずだと思います。しろうとのあれではないですからね。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 私のほうで実験に従事していた者から聞いたところによりますと、従来全体が地すべりのようなかっこうでくずれていくというのが、それと違ったかっこうで、ふくれたようなかっこうで急激な崩壊があったというふうに聞いております。したがいまして、われわれが今後検討すべき事項といたしましては、大体五百ミリの雨が降ったときにどのように水が入っていくためにそのような現象が起きるか——われわれは、いままでの実験結果によりますと、それがそのような爆発的な地すべりは起こさないということでやっていたわけでございます。ところが、今度の場合には相当瞬間的な地すべりを起こしたということでございますので、この点について十分解明していきたいというふうに考えておるわけでございます。

小林武日本社会党

○小林武君 あれは科学技術庁の言い方ではぼくはないと思うのですね。おそらく、現地を選んで皆さんがおやりになった場合に、何か、新聞で見ると、三十三年以来百カ所も、雨が降れば地くずれが起こるということです。関東ローム層も、われわれはしろうとでも、どういうところかということがわかる。どういう土質であるかということも理解できるわけです。あなたのほうでは、雨がどのくらい降ったら、土壌がどうなって、どうして地くずれができるというようなことについては一応の基礎知識があるわけでしょう、だれよりもはっきりした。そういう上に立って、とにかくいろいろ計算をし、そして実地にも当たってやった、そうなると、どこに欠陥があったかということは、いまのような答弁では、われわれがしろうとで考え違いしておったというのと同じことだと思うのです。だから、それではどうも納得がいかぬ。科学技術庁がそのくらいのことしか言わぬということになると、これからあと、実際に十分の研究をやると言ったところで、私どもは信用できない、こう思うのですがね。それだけですか。それだけしかないということであると、しようがないから、もうあとは質問しませんけれども……。

大矢正日本社会党

○大矢正君 関連。  いま小林さんがおっしゃっておられることは、三年間にわたった最終的な総仕上げとも言うべき今回の公開実験にこの種の事故が起きたということは、いままで二年有余にわたって科学技術庁が資料を出し、その資料に基づいてやったことが一切御破算になったということですね。その資料の信憑性はいささかもないということである。でありますから、科学技術庁が行なうそういう技術的な研究や調査、あるいはそれによって大成されるところのデータというものは今後一切当てにならぬ。いままで過去二年有カ月にわたってやってきて、三年たった資料でさえ、そういう非常に信じがたいような事故を起こすようなデータしかつくられないほど、科学技術庁というものは能力がないのかということになるわけでしょう。そういうことになりますね。  そこで、いま小林さんのお話と関連して私はこの際お尋ねをいたしますが——お尋ねをするというよりは、資料にして出してもらいたいと思いますが、それは、いままでどういう研究とどういうことをやってきたがゆえに今回はあのような事故が起こらないという想定が生まれてきたのか、その基礎研究の資料をこの際明確にしてもらいたい。しかし、それは、出していただいても、もう使いものになりませんわね。それだけのデータを集めて、絶対に事故がないという前提でやった今回の公開実験というものが、あのような大事故を起こしているわけですからね。しかし、これは、いまも言われておりますとおりに、今回の問題だけではなくて、原子力発電、その他あらゆる問題に影響してくる問題ですね。だから、世界のもの笑いになるわけでしょう。こういう初歩的なミスでもって人命までそこなうということ、こんな初歩的な事故というものは、おそらく、先進国と呼ばれる国々の中からは、まあ公式にはどうか知らぬけれども、笑いものになると言っても過言ではないと私は思います。こんなに日本の科学技術というものはお粗末なものかということになりますからね、事はやっぱり重大だと思う。日本の国、わが国の権威にとりましてもね。ですから、そういう資料の問題、先ほど来小林さん再三お尋ねしておりますとおりに、どういう根拠に基づいて安全だと判断をしたのかどうか。この点についてお答えをいただきたい。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) ただいま先生からお話がございました資料については、私たちのほうで早急につくりまして御提出したいと思います。  次に、いままでの研究根拠でございますが、この関東ローム台の研究につきましては、大体、テーマといたしまして四つテーマをつくってやっていたわけでございます。地質、水理、あるいは斜面の安定性、今度の崩壊機構、それぞれの研究所にお願いいたしまして、その研究所がリーダーシップをとってやっておりましたので、今度の崩壊機構につきましてはまことに申しわけない実験になったわけでございますが、それ以外の、地質の特殊性の問題、あるいは水理の問題、あるいは斜面の安定性の問題、このようなものにつきましては、私たちは、それぞれの専門の研究所において行なわれたデータに対しては信頼を持っているわけでございます。したがいまして、この崩壊機構につきましては、われわれといたしましては、さきに述べました三つの組み合わせがこの崩壊機構になるわけでございますので、これにつきまして、どのようにこの三つのデータを組み合わせて崩壊機構を解明していくかということについて、さらに研究を進めたいというふうに考えているわけでございます。

辻一彦日本社会党

○辻一彦君 関連して。  いまの小林委員並びにうちの理事の問題に関連してでありますが、私は、実験というものが行なわれる場合、最近、科学技術庁の中で、安易な、大型化というか、スケールアップというものがどうも行なわれているんじゃないか、こういう感じをたいへん強くします。というのは、きょうは私は、実は、原子力発電所の問題について、福井県の若狭湾における問題を集中的に質疑をしたい、こういう予定でおったのでありますが、不幸に、こういう突発的な事故が起きまして、この問題は次に譲りたいと思います。  そこで、この関東ローム、いわゆる火山灰が、雨が降れば粘りこくなり、かわけば割れ目がいって、水が入れば裂けるという、こういうことは、専門の科学技術庁のほうは十分御承知であると思うのですが、その中で、室内で何回かの実験が行なわれ、それが大型化されて、そのまま野外実験になった。その間には、まだ順序を踏まなくてはならない幾つかの段階があったのじゃないか、こういうように考えます。いわゆる原子力発電一つ見ても、三十万キロワットから急速に百二十万キロワットというような、世界に、まあ欧州にもないような大型化、スケールアップが行なわれている。こういう安易さというか、スケールアップの安易さというところに、今日の事故の起きた大きな原因があるのじゃないか、こういうように考えるのでありますが、そのことについて、どういう段階を追って実験というものがちゃんと行なわれておるのかどうか。そのことをひとつ聞きたいと思います。  それからもう一つは、先ほど小林委員も触れられましたが、原子力等の問題についても、きわめて断定的な、安全であるという断言を科学技術庁あるいは原子力委員会のほうにおいてはされておるわけでありますが、たとえば、ある範囲で事故が起きてもここの範囲までは絶対にだいじょうぶだということを断定されておりますが、そういうようなデータについても、今度の関東ロームのこの実験で、日本の有名な高等数学あるいはそういう専門家の方が確信を持っておられて、なおこういう結果をもたらしたとすれば、やはり同様に、原子力はじめ、多くの問題についても検討しなくてはならないと思いますが、そういう、これからひとつ、絶対安全であるとか、あるいは絶対だいじょうぶであるとか、こういう断言はなかなかできないのじゃないかと私は思いますが、そういう問題についても、この機会にお伺いをいたしたいと思います。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 初めの御質問でございますが、どのような実験段階を経てこのようなものが行なわれるか、中間段階というものを考えるべきではないか、このような御質問でございますが、われわれといたしまして現在取り組んでおりますいろいろな実験につきまして、今回の結果などを見ますと、やはり、御指摘のような点も十分考えてやらなければいけないということをつくづく感じたわけでございます。特に、昨日の実験なんかを見ますと、やはり、もう少し段階を踏んでいくべきではないかということは痛切に考えられますので、この点は御指摘のとおりだと存じている次第でございます。  それから、次に、安全の問題でございますが、これにつきましては、どのようなデータによって安全と断言しているのかと。実は、われわれといたしましても、安全という点については非常にむつかしい問題でございまして、これは、原子力開発あるいは宇宙開発、海洋開発におきましても、このリライアビリティというものにつきましては、われわれ常々この問題について頭を悩ましているわけでございます。この点が、確かに従来わが国の科学技術において欠けていた点でございます。したがいまして、この点は、われわれ、まあ私の担当といたしましては、宇宙開発、海洋開発においては、ぜひこのリライアビリティというものについて確立したいということで、現在それにつきましていろいろ研究を進め、また開発を進めているわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 関連。  さっきから小林委員が、どこに欠陥があったのかということを聞いていられるわけなんですけれどもね、私、忘れていることがあると思うんです。きのうのこの事故は、三年間かかって世界で初めての実験をするのに、予防措置、つまり人間のほうを忘れているということを私は言いたい。これは、だから長官からお答えいただきたいんですけれどもね。予防対策がゼロ、避難対策もほとんどゼロに近い。それから、緊急の事態が起こったときの警報を鳴らしたって、それがわかっているのは十人の班員にだけだったんです。そこに立ち会っていたカメラマンにも報道陣にも、何のことかわからない。こんなずさんなやり方でこのような重大な実験をしたということに対して、私は、一番欠けているのは、科学万能主義で——科学というものは人間はある程度しかわかっていないんですよ、科学でわかっていることといえば。知らないことのほうが多いわけですから。自然界でどんな現象が起こるかもわからないというときには、人間が立ち会っているんですから、まわりに人間がいるんですから、人間をどんなに大事にするかという考え方がなかったら、私は、科学技術庁はだめだと思うんです。もっぱら科学技術のデータだけでやっていこうというところが、そのデータそのものが、さっきおっしゃったリライアビリティにおいて非常に欠けている。  昨日私は、きょう原子力発電についての同僚議員の発言があるというので、おたくの原子力関係の係官の方に来ていただいて説明を聞いていたんですが、そのときにも、原発の安全性については有名な学者がみんなたくさんで集まって、理論的に十分検討したデータによって純科学的な判断において安全性を実証していただいて、そして許容基準をきめたという説明なんです。つまり、そういう単に理論的な研究だけじゃ、私は、安全性というものを証明できないと思うのですね。その点を非常に過信していらっしゃる、自分たちのデータを。それは人間を忘れていることだ。ですから、それについて今後どういうお考えがあるかということが一点。  それから、先ほど大臣が、非常に予想外のことが起こって実験計画全体を再検討したい、科学技術庁関係の計画は全部総点検をするとおっしゃいましたので、それじゃ、これまでのものについて総点検するときには、いま私が申し上げました観点、つまり、人間のために科学を奉仕させるという立場で総点検していただけるかどうか、その辺について大臣の決意を聞きたいのです。係官は技術的な説明だけです。

小林武日本社会党

○小林武君 これで終わりますが……、社会党の議論を。  最後に、この責任というのはどういうことになりますか。大臣の責任上の問題については、まあ、新聞あるいは——これはしかし、一人の大臣の問題じゃないと思うのです。科学技術に対する国民の信頼というものがこれほど落ちた時代はない、研究自体の心がまえの問題ばかりじゃなしに、研究そのものに対する根本的な誤りがやっぱりあるのじゃないか。ですから、部内についての責任について大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか。  これで私は終わります。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) ただいまいろいろ御質問いただきまして、まことに恐縮する点が非常に多いのでございます。ことに、技術的な説明が不十分である、こういう点につきましては、ほんとうに申しわけない。科学技術庁に対して特別な評価をしてくださるだけの御質問であると思うわけでありますが、まあ、これは弁解でございますが、ただいま事故早々でございまして、実験の担当者がほとんど全員現地に飛んでおる、そしてまた、現在現地においていろいろな調査あるいは警察関係、こういうふうなことも行なわれております。また、あるいは病院に入っておられる、こういうこともございまして、なかなか実はここで技術的な問題のほんとうに具体的な点がお答えできないことが、はなはだ申しわけないと思うのです。そういう事情も実はあるわけであります。  なお、田中先生からお話がございました、安全性の問題についての根本的な考え方を再検討しなければならぬ、まことにおっしゃるとおりであります。私は、この事故が発生いたしまして、直ちに、これはこの問題の事故調査ということだけでなしに、また、これは一つの孤立した事象であるという、こういう考え方であってはならない、また、巨大科学的な問題だけの問題であると考えてはならない——科学技術庁は、御承知のとおり、直属の付属機関がたくさんございます。各般にわたる付属機関がございますし、また、特殊法人で科学技術庁が参加しておる各種の研究所、たとえば原子力研究所であるとか、理化学研究所とか、ございまして、各種各様の実験が行なわれておるわけでございます。その全貌をなかなかつかみ切っておらないのじゃないか。この際、それぞれの専門家が専門の分野のそれぞれの狭い範囲で、その自分なりのきめたコースというものをばく進していくということであっては、これはこういう事態を起こすもとになるんじゃないか、もっと広く、庁内全体でこの安全という根本的な立場から、科学技術庁のすべての現在持っております、これからやろうとしている実験計画全体というものを見直さなければならぬ、そうして、そういう方面において抜本的な対策を立てるということが、今回の実験の痛ましい犠牲の方々、また、今度のこの悲劇というものをせめても生かす道ではないだろうか、こういうことで、早急にこの問題について対策を立てたいという所存でございます。おっしゃるように、科学というものを過信してはいけません。何よりも安全性というものを重視する、そして人間というものの観点を基礎に置いて考えなければならぬというのは全く同感でございまして、今後ともそういう御指示の点でやってまいりたいと思っております。  なお、責任の問題につきまして小林委員からの御質問でございますが、私自身につきましては、現在、進退伺いを総理の手元に出しておる段階でございます。庁内におきます責任問題、これは、十分調査をいたしまして、十分この問題の責任が明らかになるような、そういう処置をとってまいりたいと思っておる所存でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いままでいろいろ質問が出ておりましたが、いま責任の問題について、進退伺いを出しているということを長官は申されましたが、いつも政府は、事故が起こってから、その責任をとるのはやめればいいのだ、こういうことはいつも繰り返されてきておるわけでありますが、私は、それだけでは済まないと思うのです。先ほどいろいろ総点検をやる云々等とございましたが、今回の事故のやはり一番の原因は、何といいましても、人災である。その人災を引き起こしたのは、もちろん、担当者にも——これは、なくなられた方を責めてまことに申しわけないのですが、責任もあると思いますが、結局、そういうふうな人災が起こる体制というものがあった。結局、現在の政府、特に科学技術庁のやっている実験あるいは研究等の体制が、私は、全体的にずさんでもあるし、また、予算等の面についても非常に乏しいために、十分な安全性の確保の上からの実験ができておらない。これはすべてに言えると思います。その点について、長官は、今回の問題のやはり一番の原因は、そういった体制にある、そうとらえておるのですか。ただ、選んだ場所が悪かった、そういうように考えられるのか、その点はいかがですか。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) やはり、ただいま私申し上げておりますように、基本的に心のゆるみである、また、ものの考え方が専門にとらわれて、そしてこういうふうにやっていけばいいだろうということで、非常に小さなサークルで技術的な見解というものだけにたよって、それを十分広く、技術的なデータというものを広範な角度から点検する、こういう姿勢がない。いわば、それぞれのグループにまかせられておる、こういう体制が私は基本的にいかぬのじゃないか。専門というのは、専門家が一番その問題を知っているようでありますが、同時に、そこに落とし穴があるのじゃないか、こういう私は考えであります。ただいまの先生のおっしゃるいろいろな問題点、これもやはりそういうところから出てくるのじゃないか。それぞれの分野に分かれ分かれになってしまう。そして、それだけの分野で方法をきめ、予算をきめ、手順をきめる、こういうやり方で、あとは、それよりも上の管理機構というものは十分通報を受けない、十分それをみんなでディスカッス、討論をする、そういう多角的な検討を経て出ていかなければならない。そういう点に私たちは大きな管理上の問題点があると思うわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いまのお話、聞いていると、何か担当者のほうの技術の過信という、それのほうに力点を置かれたように思うのですが、私は、むしろ、長官が言われた後者のほうに力点を置くべきじゃないか。というのは、あまりにも多過ぎる、こういった問題が。しかも、先ほど大矢委員から指摘がありましたように、世界で初めてである、このような実験は。こういう実験のあり方ということは、ちょっと常識では考えられない。  具体的な問題になりますけれども、この場所を選ばれた場合、地元で反対があった、こういうことも伺ったのですが、市当局との連絡、あるいは市当局の許可等も十分とられた上でこの場所を決定されたのかどうか、その点はいかがですか。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) この実験につきましては、新聞にこのようなことが載っておりました。私が聞いた範囲では、この種の実験については、当然、関東ローム地帯というのはいわゆる京浜地区に多いということで、川崎市は相当協力体制をとっていただいたということで生田を使えることになったというふうに聞いております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 聞いております、だけではなく、わからないのですか、具体的に……。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 申しわけございませんが、具体的にはわかっておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 そういう点も、やっぱり手抜かりじゃないかと思うのです。実験をやられる前に一々こちらのほうでチェックされるのは問題だと思いますが、できないと思いますが、事故のあとで相当時間も経過しておりますし、そういった点が問題の一つにあげられておるのにまだわからないというのは非常に残念に思います。  次に、先ほど長官が技術者の過信云々と言われましたが、私は、過信というよりも、もう一つ以前の段階にあるのじゃないかと。特に、先ほども少し出ておりました雨の量が、相当量、四百ミリですか、五百ミリというところでくずれが起こったということでありますが、実験室の中では大体どの辺までやられておったのか。そして、それを野外へ移す場合、最初の段階から何回か回数を追ってふやしていくと。というのは、実際五百ミリもの雨がそうしばしば降ってがけくずれを起こすということがあるのかどうか、最近の気象のほうから考えまして。やはり、最近のいろんな土砂くずれが起こっているところは、そんなにたくさん降らなくても起こる場合が多いですから、研究としては、やはりステップ・バイ・ステップを踏むべきではなかったと思うのですが、その点はいかがですか。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) その点につきましては、確かに、先生御指摘のように、ステップ・バイ・ステップでやっていくほうがいいということにつきまして、私たちもそのとおりだと存ずる次第でございます。ただ、今回のこの実験を選びました根拠と申しますのは、がけくずれが起きるのは五百ミリというところで、がけくずれがローム地帯では起きるというような計算結果から行なったわけでございます。したがいまして、その中間的段階は確たる自信を持って行なったわけではございません。したがいまして、このような点におきまして私たち非常に抜かりがあったと、このように考えておるわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 その五百ミリでくずれるという計算結果は、どういうデータ、どういう方法で出された結論ですか。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) その点につきましては、申しわけございませんが、専門ではございませんので、ちょっと私の手元にはデータがないわけでございます。防災センターのほうには十分そのデータがそろっておると思いますが、われわれのところにはございません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあ、わからないと言われますけれども、先ほどから言っているように、これまでの大きな事件になり、きょう委員会のあることは、もともときまっておった委員会ですけれども、たまたまこういう事件がありましたのでこういう問題になったわけでありまして、まあ、研究所長は現地でいろいろおやりになっておると思いますけれども、どなたか、担当官なり、来られてしかるべきじゃないかと思いますし、その以前に、三年がかりの実験なんですから、そういう点が局長のレベルでもわからないほうがどうかと思うのですがね。こういった点、長官、どうお考えになりますか。きょう、私、出せないからどうだこうだ言うわけじゃないのですが、結局、しろうとが考えても、これだけの雨をどうして降らしたか、その前にステップはとれなかったのか、どういう算定方式でなったのか、もちろん、こまかい専門的なことは私も地質学の専門じゃないから、よくわかりませんけれども、大体の算定の基準なり方法なりは、いまの段階ではむしろわかっていなくちゃいけないのです。ということは、そういう点がなされなかったので、まあいやな見方をすれば、隠しておられるのか、それとも、実際現地でたいへんですから出せないのか、この点、長官、いかがですか。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) 隠しているという事実は全くございません。現在、先ほど申し上げましたように、事故直後でございますために、関係者が、あるいは死亡、負傷、また、健康な者は現地において調査、またあるいは調査を受けると、こういう状態でございまして、はなはだ申しわけないことでございますが、当委員会におきましては、ほんとうの具体的なデータをお知らせする技術者は出席しておらないわけでございます。しかし、こういう問題について、基本的な安全の問題について十分局長なり私なり了知しておらない、そういう体制自身がいかぬではないかという御指摘であろうと思います。その点につきましては、まことにおっしゃるとおりでございます。今後とも、こういう点につきましては抜本的な改善を考えていく、こういう所存でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私は、きょう昼から現地視察ということですから、現地へ行ってわかるとすれば、また現地でお伺いしたいと思いますけれども、いま言っているのは、もちろん、こういう事故が起こったから、だから、五百ミリでまずかったから、ステップ・バイ・ステップでやるべきじゃないかというのじゃなくて、そうじゃなくて、たとえ事故が起こる起こらないは別にしても、現在のいろいろな災害の起こるところから考えて、五百ミリを一ぺんに降らしてくずれが起きる、で、実験がどうだったと もちろん、実験というのはいろいろ方法はあると思いますよ、やり方は。一番極限をやる、マキシマムをやる、あるいはミニマムをやる、あると思いますけれども、いまのいろいろな災害、土砂くずれ等が起きている。そういった雨量等を考えて、一挙に五百ミリというのは、これは、学問的にはある程度の理論は成り立つとしても、実際の実用段階、われわれのしろうと目から見て、実用段階から考えた場合、ちょっとおかしいのじゃないか、こういうように考えるのですが、その点はいかがですか。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、確かに処方ということについては不十分であったというようにわれわれ十分感じているわけでございます。  途中の段階の資料でございますが、これは私ども現在手元にございませんので、先ほど大矢先生からも御要求がございましたので、その基礎資料によりますと、それがいかにして五百ミリに積み上げられてきたかというような結果になると思いますので、その資料をつくりまして、早急にそういう点において御説明を申し上げたい、こういうように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 あと時間がありませんから、簡単に終わりますが、結局、いま申し上げたように、科学技術庁でいろいろな研究をされているのはまことにけっこうなんですけれども、どうも実際の学問と実用という点から考えて、また、予算の問題も大きくからんでくると思うのです。特に大型プロジェクトをかなりやっておられますから、そういった点で、特に原子力、海洋、宇宙というような、はなばなしいことをやられている、そういった陰に、こういうじみな、案外国民生活に密着した大事な実験が、予算等の点において非常に少ない。だから、実際に警報だって笛を使っておられますですよ。これは、笛がいいのか悪いのか、断定については私はわかりませんですけれども、これもしろうと考えで、いまのこれだけの時代になって、笛でピーピー吹いて、一回鳴ったらあれだと、三回鳴ったら空襲警報みたいに逃げろとか、非常に原始的な、それこそほんとうにちゃちな町の工場でやっている実験みたいな感じを受けるわけでして、はたしてこれでいいのか、特にいろいろな面で災害が多い日本の国、特に人口が過密して、特に住宅問題等については問題になる日本の国で、こんなちゃちな実験、たとえば事故が起こる起こらないは別にして、ちょっと警報が笛というのは、サイレンもある時代ですし、ちょっとどうかと思うのですが、そういった点も含めて、実験計画自身がずさんであるし、ずさんであるだけでなくて、結局お金がかけられていない。私も大学の研究室に数年おりましたけれども、実際大学の研究費だって乏しい。実際ちゃちな研究しかできないのです、はっきり言いまして。だから、結局、こういう大事な実験、特に国民生活に重大な関係があるような実験については、どっか片すみに押しやられてきたのじゃないか。その反面、ビッグ・プロジェクトについてはかなりな金がかけられている。これも足りないと言えば足りないのですけれども、その辺、どうお考えになっているか。その辺をこれからどう正していかれるか。  それからもう一つ、つけ加えて最後に申し上げ ますが、川崎市が許可していないようですね。実は、わが党の衆議院の松尾議員が昨日現地にまいりまして、許可がおりていないようだということの私は報告を受けておりますので、その点、後ほどお調べいただきまして御報告願いたいと思いますが、この二点で質問を終わりたいと思います。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) まことに一面御同情のあるおことばをいただいておるわけでありますが、まさにこの実験は、本来横浜地域の市街地で非常に危険な造成地域がある、その造成地域において事故が起こる、そういう事故に触発されまして、こういう国民生活に密着した、いまの京浜地帯における急速に増加する宅地造成の状態、こういうものにおきまして、科学的な見地からこれに対して規制を加えていかなければならない、そのデータをつくっていく、こういう目的から行なわれた実験であります。三カ年計画であったわけでありますが、私は、こういう事故は、関東ロームという問題だけでなしに、全国各地において、わが国のような、台風のような気象条件、あるいは集中豪雨、こういう条件のあります国におきましては、山津波、広く言えば山津波の問題狭くは関東ロームの問題、こういう問題について、ほんとうにこれからも抜本的に研究を進めていかなければならぬ重要な問題だと思っております。その意味におきまして、まあちゃちな実験であるとおっしゃったわけでありますが、まことにこういう結果を招来したという点におきまして、いろいろの問題点があると思います。しかし、ひとつこの問題を貴重な教訓として、今後は一般民家にこういう事態が起こるというようなことを未然に防ぐという科学の役割り、これをやっぱり果たすべきではないかと思うわけでございます。その意味におきまして、今後新たな安全の見地から、こういう研究というものを、全く新しい計画でやりながら、やはりこれは推し進めていきたいと思うわけでございます。  なお、川崎市との関係につきましては、私、昨夜、今朝、ずっと川崎市長とともに現地におきまして対策をとっておったわけでありますが、そのとき、川崎市長及び市の助役等からも、直接、この計画については川崎市としては土地は貸しておる、提供しておる、これは川崎市の緑地公園だ、しかし、どういう実験がどういうふうに行なわれるかということについて十分な通報がなかった、その点がどうも遺憾である、という申し入れがありまして、私からも、はなはだ遺憾であったという意を表明しておるわけでございます。そういう段階であると私は了解をいたしております。

中村利次民社党

○中村利次君 今度のこの事故については、私は、基本的に科学技術庁が中心になって関係各省庁との共同作業だったようですけれども、少なくとも人災を起こしたということ、やはりこれは非常に大きな責任問題だと思います。  もう一つは、目的意識を持って計画を立てておやりになったこと自体は、成功すれば、私はこれはきわめて称賛さるべきだと思います、当然のことをおやりになったわけですから。ところが、これは結果的に、ずさんであり、計画そのものが間違っていたわけですから、科学技術庁が科学的根拠のないままに、そういうずさんなものでやった結果が、こういう重大な、言いわけができない、取り返しのつかない人災が起きた。そうしますと、本来なら、この委員会にしたって、科学技術庁にしたって、これは人間のために科学技術をどう振興開発するかという前向きのものであるべきなのに、そういう重大な責任問題を出したために、足踏みならともかく、うしろ向きの議論をやらなきゃならないというところに、私は、やはりこれは大きな政治責任の問題があると思います。ですから、そういう意味で、どうしてこういう事故が起きたかというので私はお伺いをしたいんですけれども、少なくとも、私は、いままでのお答えを聞いていますと、何ですか、無条件降伏というような感じもしますけれども、やはりそうじゃなくって、少なくとも、あなた、科学技術庁が中心になっておやりになるからには、それなりのことをおやりになったと思うんだが、人的構成はどうだったんですか。その作業班、どういう方たちが、はたして科学技術庁として、この人的構成をもってこの計画の作業に取り組めば責任の持てる人たちであるという人たちだったのか、あるいは請け負い作業みたいなものだったのか、まず、その二点をお伺いしたいと思います。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 今回のローム台地におけるがけくずれの総合研究でございますが、これにつきましては、項目としては四つあるわけでございます。地質特性、水理特性、斜面の安定性、斜面の崩壊機構、この四つがございまして、それぞれその専門の機関がリーダーになりまして、その下にそれを担当できる機関が協力態勢をとって、それぞれのテーマを進めているわけでございます。たとえば地質特性につきましては通産省の地質調査所が行なっております、リーダーになりまして。それに必要な、各研究所がこれに協力態勢をとっておりますし、また、水理特性につきましては消防研究所が行なっております。斜面の安定性に関しましては建設省の土木研究所、今度の崩壊機構につきましては国立の防災科学技術センターがそのリーダーとしてやったわけでございます。したがいまして、今回の実験におきましては、国立防災科学技術センターの第二研究部長の丸山技官がこれのリーダーになっておりまして、それに地表変動防災研究室長、いわゆる地すべり等につきましての、あるいはがけくずれ等につきましての専門家でございますが、大石技官、それからその下に熊谷技官、木下技官、さらに流動研究官の大八木技官、このような方が防災科学技術センターから出ているわけでございます。これと協力態勢をとっております建設省の土木研究所でございますが、土木研究所の中に急傾斜地崩壊研究室というのがございます。ここから三名の方が応援して協力態勢をとっていただいております。また、自治省の消防研究所から主任研究員の細野研究員外二名が今回の実験に協力しているわけでございまして、したがいまして、今回の実験員は計十名で行なったということでございます。したがいまして、このリーダーをいたしましたのが防災科学技術センターでございまして、そうしてこの場合には、通産省の地質調査所はこの研究には直接は参加していないわけでございますが、従来からローム台地におけるがけくずれにつきましては、その地質特性等については地質調査所でやっておりますので、その成果をこの研究にも持ち寄っているわけでございます。そのようなかっこうで今度の実験が行なわれたわけでございます。

中村利次民社党

○中村利次君 そうなりますと、どうもいまの御答弁では責任体制がきわめてあいまいなような気がするんですね。一応、専門家の名前を並べられましたが、先ほど大臣からいわゆる総合的なそういう計画、作業に欠けておったというような意味の答弁がございましたけれども、それはどういう理由で、当然わかっておる、その総合技術の発揮ができないような体制にあったのか。先ほどちょっと触れられましたけれども、科学技術の振興だとか、市民福祉、国民福祉なんということを佐藤内閣はおっしゃいますけれども、実はさっぱり予算なんというのはつかないで、そういう予算関係で、やりたくてもやれなかったという実情があったのかどうか。その結果、こういう無理やりに、責任体制の持てないような、そういう陣容をもって取り組まざるを得なかったのかどうか。  それからもう一つは、これは時間がありませんから、私、全部言っちゃいますが、まだ一ぱいあるんだけれども、もう一つは、大体、計画によれば、予想によれば地すべりを起こすべきであったのが、ふくれ上がってきて、ああいうたいへんな事態になった、どえらい事態になったという御答弁がありましたが、ということは、たとえば自然降雨であった場合には地すべりをすべきなのが、ウォーターガンだか、レインガンだか知りませんけれども、どういうふうな性格だったのか、そういうもので人工降雨をやった。これが自然降雨と厳密にいうと違うから、その科学現象の起こすのが違ってきたのかどうか、そういうことは考えられますね。あるいは局部的に集中して五百ミリという、そういう器具を使って集中的に人工で降雨をさしたから、全般的な自然降雨とは条件が全く違うと、こういう状態が出て、本来この計画、予想によれば地すべりをしなきゃならないのが、ふくれ上がってきた。そういう、何といいますか、言うならば、お粗末千万みたいな、そういうことがあったのかどうか、そういう点も聞きたい。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 先ほどのメンバーにつきまして補足さしていただきますが、この場合の全体の取りまとめは防災科学技術センターの第二研究部長の丸山技官が行なってきたわけでございます。その点、取りまとめは丸山技官ということになっております。  それで、ただいまの御質問でございますが、予算がなかったからこのような実験になったのかという御指摘でございましたが、これは、そのようなことはございません。これは三カ年計画につきまして大体おおよその予算をはじいておりまして、予算自体は単年度でございますが、全体計画というものをにらみながら予算を執行しておりますので、この点は予算の不足ということは理由にならないわけでございます。  それから次に、いわゆる人工的だったからあのような状態になったのか、自然降雨ならもっと違ったかというような御質問でございますが、これにつきましては、私も実は昨日現地におきましてその実験にタッチしておりました研究員に聞いたわけでございますが、この点がやはり現在研究員でもわからないというふうに言っております。したがいまして、あの下の地層がいろいろ複雑な地層になっているそうでございまして、そのためにあのような現象が起きたのか、あるいは本質的に人工的な散水をやったためにあのような状態になったのか、この点は今後ぜひ解明していきたい、こういうふうに現地では申しておりました。

星野力日本共産党

○星野力君 私も、時間がございませんので、一括してお尋ねします。  長官も昨夜現場の談話でお認めになっておられるように、この実験計画とその実施過程で重大な欠陥があり、手落ちがあったということはこれは否定できない。したがって、直接の責任がどこにあるかということはもちろん究明を要する問題でありますが、私は、基本的には、日本の科学技術行政の立ちおくれ、貧弱な科学技術行政そのものに責任があると思うものであります。鹿児島、宮崎なんか、南九州のシラス地帯などにおきましても、ことしの台風十九号などによる被害を見てもわかるんでありますが、どうも、たびごとに大きな人命被害を出しております。シラス地帯や関東ローム層地帯だけではなしに、全国には急傾斜地などのがけくずれ、地すべりなどの危険個所がたくさんある。しかも対策は進まず、対策の基礎となるべき科学技術的な調査研究が強く要求されてきたにもかかわらず、それがきわめて不十分にしかやられておらない。高度成長のための産業基盤整備のための予算支出、そういうものは惜しまないのでありますが、人命を守るのため財政支出、あるいは科学技術行政のための予算というものはきわめて貧弱、公害問題についてもそれは言えると思いますが、いま中村委員も御指摘になりましたが、今度の防災実験のための予算の状況は一体どうなっているか。当事者はこれで満足しておられたのか、これで十分と思っておられたのかどうか、この点、時間がなかったら文書で資料として出していただいてもいいんですが、基礎的な室内実験を十分に積み重ねて、そのあとであの実験がやられたのかどうか。実際は基礎実験を積み重ねるだけの財政的な余裕がなくて、いいかげんなところであのような戸外実験に踏み切ってしまったのじゃないか、そのおそれが非常にあると思うんですが、どうでしょうか。他の委員もその点を心配されているんですが、非常にこれは基本的な問題だと思うんです、この実験だけでなしに。それが一点です。  それから、私は事故のニュースを聞きまして、どこか人里離れたところでこの実験がやられたのかと思っておったんですが、昨夜現場へ行ってみましたら、緑地公園の中ですね。すぐ下には、あの半分埋まった池がありますし、回りに遊歩道路もあって、あの時刻なら、休日なんかだったら一般市民もたくさん来ておったようなところではないかと思うんでありますが、ああいうところでこういう危険を引き起こした実験をやっておられた。しかも、緑を守るためにつくられたはずのあの緑地公園の中で、立木もろとも山をくずすような実験をやられたというのは、これはまあむちゃくちゃだと思うのですが、なぜあのような場所を選んで、ああいう実験をやられたのか、この問題についてどう思っておられるか、お聞きいたしたいということが一つであります。  それから、大臣、先ほど予想外ということを何度か言われましたし、この実験に当たられた当事者の間でも、がけくずれの速度が予想外に大きかった、どの地点まではがけくずれは達しないだろうというような、このがけくずれのおそろしさをいまさら教えられたかのような発言があるわけでありますが、このおそろしさというのは、何もいま始まったことではないわけであります。台風十九号のシラス地帯の被害を見てまいりましたが、あのときにも、ごおっという音が聞こえたと思ったら、もう瞬間にして山が落ちて家もろとも押し流された、こういう経験談というものを私たちたくさん聞かされておりますが、そういう現実はたくさん起きておる。これを当局者がもっとまじめに謙虚に受け取る必要があったのではないかと思うわけであります。当局者にこういうがけくずれのおそろしさを知らせる上では、私はあの実験は成功したとも言えると思うのであります。それにしても、あまりにもこれは痛ましい犠牲を出したものでありますが、この教訓を今後の施策にどういうふうに生かしていくかということについて、先ほど来、大臣も言っておられますが、私は最後の質問者でございます。いろいろ審議をお聞きになったその締めくくりとしても、ひとつ、もう一度お考えを聞かしていただきたいと思います。  それからついででありますが、このシラス地帯についても、ほんとうに地元から長い間本格的な調査研究、それに基づく対策の樹立ということを要求されていたにもかかわらず、これがやられておらない。こういう問題についても早急に研究に着手していただきたいと思うのでありますが、そういうお考えがあるかどうかも、あわせてお答え願いたいと思うのであります。

石川晃夫科学技術庁研究調整局長

○政府委員(石川晃夫君) 具体的な問題については私のほうからお答えしたほうが適切かと存じます。  初めに、予算でございますが、今回のこの実験の三年間の予算といたしましては、四十四年度が千四百三十万円でございます。四十五年度が二千九十三万円、四十六年度が千九百八十六万円、計五千五百九万円という額で今回の三年間の実験を行なったわけでございます。したがいまして、われわれこの実験費を組むにあたりまして、実験者から意見を求めましてこの予算を組んだのでございますので、この予算につきましては不十分ではないというふうに考えております。  次に、なぜあの生田緑地を選んだかということでございますが、これは、昭和四十四年度から始めた時点におきましては、まず関東ローム地帯におきましていろいろ地質を調べるということで、試錐、穴を掘っていろいろな実験をやったわけでございます。地質なり、あるいは水理、このような実験を穴を掘ってやるということの実験を行なったわけでございますが、このときに、南多摩から選ぶとすればこの生田の土地が一番適切であるということで、あそこを川崎市にお願いして、このような実験をやらせていただいたわけでございます。したがいまして、今回もそれに引き続いてというかっこうで行なったわけでございますが、確かに先生御指摘のように、あれだけくずれてしまいますと、景観という点については非常に問題があるということはわれわれも十分考えられるわけでございますが、ただ、そのようなことで、この年度計画の当初からあの緑地でこのような実験を行ないたいという申し入れをしておりまして、また、川崎市のほうでもそれを協力的に受け入れてくれたということで、ここで実験を行なったということでございます。  それから最後に、シラス地帯の問題でございますが、これにつきましては、ただいま科学技術庁の特別研究促進調整費をもってこのシラス地帯の研究は続行しております。ただいま手持ちの資料がございませんので、どのくらいの金額でどのような項目という点については後ほどお答えしてもいいかと存じます。

星野力日本共産党

○星野力君 お願いします。

平泉渉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(平泉渉君) 今回の事故につきまして非常に貴重な御意見をいただいたわけでございますが、十分その御趣旨を体しまして、今後二度とこういう事故の起こらないようにしていかなきゃならぬという決意でございます。このわが国の土地資源、最も足りない資源でありまして、この狭い土地の上にわれわれ生活しておる。そういう意味におきまして、先生御指摘のように、地盤の研究、これはわが国の特殊な条件から見ますと、きわめて重要な研究であると思うわけであります。科学技術庁の資源研究といいますのは、純学術的な問題ではなしに、国民の税金をもって行なうのでありまして、何をもっても、国民の直接の経済、生活、こういったものにつながっていくというものでなきゃならない。その意味におきまして、こういう種類の研究というものは新しい立場から、しかも抜本的にやはり推し進めていかなけりゃならないという決意でございます。  実は、私、早朝に、元本院議員でありまして、山津波でなくなられた佐藤先生の御遺児で、現在本院の議員であります佐藤議員からも電話をいただきまして、涙声で、ほんとうにこの問題は私としては万感胸に迫る思いがするのである、ぜひひとつ総力をあげて山津波の撲滅という問題に取り組んでいただきたい、という電話をいただいたのでありますが、私も、ほんとうにそういう意味におきまして、こういう国民の生活に密着した問題、しかも重要な、人命にかかわる問題というものについて、科学技術という力を動員してそれを解明し、そして問題の解決に寄与していきたい、こういう決意でおるものでございます。

鈴木一弘公明党

○委員長(鈴木一弘君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  なお、本日午後一時から本委員会として現地視察を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会

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