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67回国会参議院1971/12/09

沖縄返還協定特別委員会 第3号

発言数
85
登壇者
9
会派数
3
開催日
1971/12/09

会議録

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) ただいまから沖繩返還協定特別委員会を開会いたします。  琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  前回に続き、質疑を行ないます。  塚田十一郎君。(拍手)

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 私は、自由民主党の立場から若干のお尋ねを申し上げたいと存じます。特に答弁をいただく方を御指定申し上げませんので、内容に応じまして、総理、外務大臣その他の方々からしかるべく御答弁をいただきたいと存じます。  まずお尋ねをいたしたいのは、沖繩の国際法上の地位についてであります。一国がその領土の一部に対する支配権を喪失する場合の形にはいろいろあるようであります。  最も典型的なものは領土の割譲であります。  次が租借であります。他国に租借を許す場合であります。  次が他国の信託統治に付せられる場合であります。  四が、サンフランシスコ平和条約第二条に規定するように、多国間の条約によって、一方的に、ある地域に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄させられる場合であります。  このほかにいま一つ、他国に事実上占領されて支配権を行使できなくなっておる場合があるのであります。  ところが、沖繩の場合にはそのいずれにも属しない、異なった形になっておるようです。すなわち、平和条約第三条によりますと、沖繩の場合にはアメリカとの合意によってアメリカにその領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権限を与えるという形式をとっておるのであります。  このように並べてみますと、沖繩の場合は、その法律的な性格は租借に非常に似ておるように思うのでありまして、ただ、租借の場合にはたいてい租借期限というものがついておりますが、沖繩の場合には期限の定めのない租借と考えてもよいかと思うのであります。  また、これを民法上の契約の形式について似ているものを求めますと、土地の貸借に非常によく似ておると思います。土地が貸借に付された場合には、所有権の持っておる諸権能のうち、使用及び収益の権能は借地人に移り、所有権者にはただ土地の処分権のみが残るのでありますが、沖繩の場合にも、日本には返還前は領土の最終的な処分権のみが残っておるものと解されておるのであります。そこで、沖繩の場合には、これをごく通俗なことばで申しますならば、沖繩はアメリカに貸してあったのだと言えるかと思うのであります。アメリカに貸してあったのであって取られたのではこかったことが、今回返ってくるようになった大きな原因ではなかったかと考えるのであります。衆議院の協定委員会におきまして総理は、もし沖繩が信託統治に付されていたならばこのようにやすやすとは返ってこなかったのではないかという趣旨の御答弁をされておるように承知をいたしておりますが、もしそうだといたしますならば、私も総理のお考えに同感であります。ましてや、沖繩がアメリカに割譲されていたとしますならば、その返還は一そう困難ではなかったかと思うのでありますが、いかがでございましょうか、政府の御見解を承りたいと存じます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩の法的地位は、これはいままでかつてない、沖繩独特の事例であるかと思うのです。つまり、領土権はわが国にある、主権はわが国に潜在的に残っているわけです。ただ、その上に施行される三権ですね、これがアメリカに移されたと、こういうことであります。いま、民事上のいろいろの設例をあげられましたが、まあ、民事上と国際法と違うところがありますけれども、貸借にちょっと似ているような、そういう性格かと思います。いずれにいたしましても、いまお話しのとおり、これが、施政権だけがアメリカに移っておる、潜在的な主権はわが国に留保された、これが今回の非常にしあわせなる結果になった最大の原因であると、そういう認識でございます。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 そこでお尋ねいたしたい第二の点は、それではなぜ沖繩がアメリカに割譲される運命にもならず、また信託統治にも付せられず今日に及んだのかであります。対日平和条約成立史の著者でありますところのアメリカのプリンストン大学の故フレデリック・ダン教授の言によりますと、米国の陸海軍両省は、第二次世界大戦中からすでに将来起こり得る日本の再侵略と島伝い戦争に備えるために太平洋にある旧日本の委任統治領と沖繩とを米国が統治し、そこに米国の軍事基地を設けるよう主張していたと述べられておるのであります。他方、また陸軍長官のスチムソンは、一九四五年に、これらの島は信託統治制度によるよりも四つの主要連合国会議で地位を定める防衛拠点とするのが一そう適当であると示唆をしておりました。これはスチムソンとマクジョージ・バンディの回顧録にあるのです。なお、その背景には、米国独自の次のような沖繩観があったようであります。  すなわち、米海軍が一九四四年の十一月に発行いたしました琉球民政ハンドブックによりますと、「日琉の人種上、言語上の同一性にもかかわらず、琉球はいわば日本の植民地として差別され、搾取されてきたのであって、両者には必ずしも完全な同一性は認められない。むしろ琉球人は独自の伝統と中国との長い文化的なきずなを有している。したがって、日琉間には米国が政治的に利用し得るあつれきの潜在的根源がある」と述べておるのであります。このような認識から、かりに沖繩を日本から切り離して米国の信託統治区域にしても、大西洋憲章あるいはカイロ宣言に盛られておるところの領土不拡大宣言に必ずしも違反するものではないとの解釈をとっておった節があるのであります。現に講和条約の締結に際しましては、わが国に対して沖繩の割譲を求めるべきであるという有力な意見がアメリカにもまた中国にもあり、連合国の中にもこれに賛成する国が多数あったと聞いておるのであります。これらの事情にもかかわらず、なぜ沖繩が平和条約締結に際して割譲にもならず、またその後信託統治にも付せられなかったのか、その辺の事情をお聞かせいただきたいと存じます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 実は私も精細な当時のいきさつは承知してないのです。しかし、はっきり申し上げ得ることは、わが国の当時の政府が非常な努力をした。そうして、信託統治ということに一応は原則は置いたものの、さしあたりは三権を移譲すると、こういう例外の道を設けておる。それはたいへんな私は苦心があったと思うのです。振り返ってみますと、いま申し上げたように、この信託統治にならないで、そうしてさしあたりの措置として設けた三権の移譲と、こういうことが行なわれた。これはわが国の国力の伸展、そういうものも背景にあると思います。しかし、同時に、歴代の政府が非常に努力をして、主権は保有する、しかし三権だけアメリカに残すという、この努力ですね、これを評価すべきである、こういうふうに考えております。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 そこで感じますことは、われわれは第二次大戦における敗戦国であり、敗戦というものはいかにきびしいものであるかという現実を忘れてはならないかと思うのであります。戦争が終わりますれば、講和条約において、戦勝国は戦敗国から領土並びに賠償金を取るというのが、これは長い間の国際慣例でありました。  日清戦争に勝って、下関条約においてわが国は清国から賠償金二億両、当時の円で約三億円、領土といたしましては遼東半島、台湾及び膨湖島の割譲を受けました。このうち遼東半島だけはその後三国干渉で清国へ返すことになったのは御承知のとおりであります。  日露戦争に勝ってポーツマス条約においてわが国はロシアから賠償金はもらわなかったけれども、領土としては樺太の南半分、それに旅順及び大連の租借権並びに南満州鉄道の利権を継承いたしました。  近くは第一次欧州大戦の結果、ベルサイユ条約においてドイツは賠償金一千三百二十億ドル、それに領土処分としてアルサス・ローレン地方はフランスへ、西独の一部はベルギーへ、メーメル地方はリトアニアへ、西プロイセンの大部分はチェコへ、ダンチヒは自由市として国際連盟の管理下に、さらにザール地方は国際連盟の管理を受けて人民投票でその帰属を決定する。そのほか全植民地と海外権益は一切これを放棄するということになりました。この賠償金があまりにも天文学的な数字であったために、後にドイツがこの支払い不能宣言をいたしまして、その結果がフランス及びベルギーのルール占領にまで発展したことはこれまた御承知のとおりであります。以上の結果、ドイツは本土面積の一三%、人口において一〇%を失ったといわれておるのであります。  第二次大戦におきましては、われわれはソ連とはおよそ一週間交戦をいたしました。それもソ連側から一方的に中立条約を破棄して宣戦を布告してきた結果であります。それにもかかわらず、南樺太半分の返還はともかくとして、本来わが国の固有の領土である千島列島を平和条約によって放棄させられたのであります。それのみならず、平和条約の規定する千島列島の解釈の中には入らないとされておる南千島の国後・択捉、さらに北海道の一部である歯舞・色丹さえも事実上占領されていまだにわが国の手に戻ってこないのであります。第二次大戦におきまして、私どもは世界の数多くの国を相手にして戦いました。戦争はポツダム宣言を受諾して無条件に降伏して終わったのであります。したがって、賠償金や領土についてどのような無理難題を持ち出されても文句の言えた立場ではなかったと思うのであります。事実、ポツダム宣言には、領土に関しては、その第八項において次のように定めておりました。すなわち、「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とありまして、本州、北海道、九州及び四国の四つだけはわが国の領土として残されることは保証されておりましたものの、その他の島々の運命は全く連合国の決定次第ということになっておったのであります。それが平和条約の結果、沖繩も現在のような地位に置かれることとなり、それが幸いしてこのたび返還されるということになったということは、敗戦という現実のきびしさを考えますときに、たとえそこにアメリカの国益上の判断があったにいたしましても、わが国にとってはまことにしあわせであったと同時に、アメリカの好意と政府の努力を高く評価しなければならないと私は思うのであります。世間にはよく、カイロ宣言、ポツダム宣言に領土不拡大の原則が定められていたからだと論ずる者がありますが、それらは、いずれもこれは連合国が自発的に行なった申し合わせにすぎないのでありまして、それにたがったからといって、わが国の立場からとやかく言える筋合いのものではなかったはずであります。そのような判断について、政府の率直な御見解を承りたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、講和条約までに至る日本の国の立場、また日本の国に対する連合国の処遇、これにつきましても、大かた塚田さんのいまおっしゃるような感じを持っております。ことにアメリカがわが国に対して賠償の要求をしなかった。これはアメリカといたしまして、第一次大戦後のドイツに対する連合国側の過大な要求、これが第二次大戦の勃発に対する一つの基因ともなっておるといわれておる、そういうような反省もあったと思うし、やっぱり日本が再び軍国化しない、そういうような配慮と同時に、日本の存在、これを抹殺するわけにいかぬというような配意もあったと思います。しかし同時に、そういう重要な地位、役割りを占めるアメリカ、そのアメリカとともに重要な地位を占めました国民政府、蒋総統が、わが国の立場に対しまして非常に注意深い寛大な、また信義の厚い行動をとったと、これもまたわが国の敗戦処理に非常に大きな影響を及ぼしておったと、こういうふうに思うのです。私どもはそういう過去のいきさつを想起する。日本は無条件降伏をした。そしてカイロ宣言があった。ポツダム宣言があった。そういうようないきさつの中において、今日の講和条約のような立場に置かれ、それを踏んまえまして今日の隆盛を来たしたということかと思いまして、たいへんしあわせな敗戦処理であったと、こういうふうに考えます。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 時間が十分ないようでありますので、少し飛ばしまして、最後に時間がありましたらまたお尋ねしたいと思います。  次にお尋ねをいたしたいのは、極東の平和及び安全に関する政府の認識についてであります。  第二次大戦終了間もないころから、わが国とアメリカとの間に、極東の平和及び安全について、いつとはなしに一つの共通な認識が生まれておりました。それは、極東には平和及び安全について何らかの脅威が存在するというものであります。それでは、この脅威と考えられたものはそもそも何であったか。前にも述べましたように、終戦間近いころから終戦直後にかけて、初めは、アメリカはもちろん連合国の間にも、日本に再び軍国主義が復活しないようにするのにはどうすればよいかということが、これが最大の関心事であったことは疑いもない事実であります。したがって、終戦当時の米国の占領政策の基本は、どうして日本を弱体化するかにあったということは、これもあまねく知られておる事実であります。しかし、わが国に対するこのような警戒意識と、日本の再侵略に備えるための拠点として沖繩を統治するという考え方は、東西冷戦の激化とともに次第に変わってきたと思うのであります。むしろ共産主義勢力の膨張を押える戦略的拠点として、沖繩の価値が見出されるようになったのであります。現に一九五〇年一月十二日に国務長官アチソンは、米国による日本の防衛が米国の利益、日本の利益、さらには全太平洋地域の安全にかなうと述べ、さらに、この防衛線はアリューシャンから日本を経て琉球に連なるものである。われわれは琉球に重要な防衛拠点を有しており、今後も引き続き保持するであろう、と語っておるのであります。したがって、このころから生まれた日米両国間の共通な認識は、共産主義の侵略に対して共同に備えをする必要があるというにあったと考えられるのであります。一九五一年に締結された旧安保条約がその前文において、「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていない」と、こう述べております。また、一九六〇年の改定安保条約になりますと、その前文において、「両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し」と述べているのは、この認識に基づくと思うのであります。しかして、この共通の認識は、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明になりますと、一そう具体的に述べられております。それによりますと、一、朝鮮半島に依然として緊張状態が存在する。二、中華人民共和国はその対外政策においてなお十分に協調的かつ建設的でない。三、台湾についてもその平和及び安全について危険がある。四、ベトナム問題にもまだ平和的かつ正当な解決の見通しがついてない。このような極東情勢の基本的認識の上に立って、日米両国間の相互の最大限の譲歩と妥協の産物としてでき上がったのがこの沖繩返還協定であると思うわけであります。このような事情であります以上、返還協定がわれわれにとって、ことに沖繩百万の県民にとって意に満たないものであることもまことにやむを得ないものがあろうかと思うのであります。ただ、まことに幸いなことに、この共同声明以後、極東の舞台においてはかなりに著しい情勢の変化が発生をしておるのであります。  まず、朝鮮半島におきましては、本年九月以降、南北赤十字会談の形で南北間の対話が開始され、以来十一月二十四日までに十回の会談が行なわれて、緊張緩和の努力が続けられております。  二に、いままで国際連合の外にあって独自の外交路線を推進しておりました中華人民共和国は、去る十月二十五日の国連総会において歴史的な国連への加盟を実現いたしました。したがって、今後はその外交政策にも協調性と建設性が期待できる見通しが増大したと見ることができようかと思うのであります。  すでに中国を代表する唯一の正統政府は世界大多数の国によって中華人民共和国政府であると認められた以上は、中華民国の問題も遠からず中国の国内問題として、話し合いによって解決を見るでありましょうし、また、そのように期待をするものであります。  ベトナム問題に関するアメリカ政府の最終の目的は、南ベトナム人民が外部からの干渉を受けずにその政治的将来を決定する機会を確保できることにあるということは、これも共同声明で明らかであります。しかして、この最終目標に支障を来たさない範囲においてアメリカ軍のベトナムからの撤兵が逐次実現しつつあると思うわけであります。  待望の米中会談は、いよいよ明春二月二十一日から行なわれることが明らかにされました。この会談においても、ベトナム問題、台湾問題、その他幾多の極東緊張の原因となっている問題が議せられるでございましょう。  しかして、これら一連の動きは、すべてこれは共同声明以後のものでございます。したがって、このような重大な情勢の変化を踏まえて、この返還協定の内容にいま少し改善が加えられないものかとされる野党の立場もわかるように私は思うのであります。それと同時に、そのような動きの重大さを認めながらも、その動きがまだ十分に固定した情勢にまで結実していない現段階において、さらにまた、協定の改定というものが相手方のある作業であり、ことに相手方の米国はすでに協定が国会の承認を経てしまっておるというこの段階に、いま直ちにその改定を再交渉するということはこれは困難だとされる政府の立場も、これもまた十分理解できるわけであります。  そこでお伺いいたしたいのは、共同声明以後に発生いたしましたこれら一連の動きについて政府はこれをどのように把握され、また、それらの動きが将来どういうように展開をしていくという見通しを持っておられるかであります。極東情勢の緊張緩和がなくしては、政府が幾ら努力されようとしても、今後の沖繩の地位の改善は、これは至難であろうかと考えるわけであります。この点について政府の従来の御答弁は、まだ一種のムードの範囲を出ておらないという御認識のようでありますが、いま少し個々の動きについて具体的にお伺いができないか、お尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 戦後、今日に至るまでのアメリカの極東政策、これはアジアの政治情勢に非常に大きな影響を持つわけでありまするが、その推移についての見方につきましては、私も塚田委員と大体同じような見方をしております。  最初のうちは、アメリカは日本弱体化政策をとる。これはそういう意味においては、共産主義国であるソビエトとも共通の基盤に立つと、こういうような状態だったと思います。それが三、四年たつ間に非常な大きな変化を来たしておる。日本をアメリカの同志として、極東の安定勢力としての地位、これを与えなければならぬじゃないか、そういうような考え方、ことにそういう動きが決定的になりましたのは朝鮮戦争だと思います。この朝鮮戦争を契機としてアメリカは決定的に日本助成政策に踏み切ったと、こういうふうに見ておるのです。そのアメリカの考え方は、やはり共産勢力に対する陣をしく、こういう配慮であったと、こういうふうに思うのです。ただ、最近の極東の動きを見てみますと、塚田委員がただいま具体的に御指摘がありましたように、まあ、大勢としては緊張緩和の方向に向かっておる、そういうふうに見ております。一番大きな問題は、何といっても、いわゆる封じ込め、中国封じ込め政策をとっておったアメリカが、その大統領みずからが北京を訪問いたしましてその国交の打開について話し合う、こういうことです。これは、私は非常に大きな一石をアジアに投じたと、こういうふうに見ております。それから同時に、ベトナム戦争、これも逐次緩和の方向に向かっておる。とにかく一時は五十数万人の兵隊がおったのでありますが、やがてそのアメリカの兵隊がまあ十五万にも減ろうとしておる。そういう一事をもってしても、非常にこれははっきりしておる。こういうふうに見通しております。それから朝鮮半島のことに触れられましたが、これはやっぱりあの朝鮮半島を一つの人工的な境界で区切って南北で国をなしておる、こういう状態でありまするから、非常にむずかしい問題が伏在しておる。しかるにもかかわらず、南北において赤十字会談が行なわれる、こういうような状態、これも私は一つの緊張緩和であると、こういうふうに思います。まあ、とにかく緊張緩和のムードというものが、ニクソン訪中、これを中心といたしまして、非常に大きなムード化しておるということは、私は率直にそう考えております。ただ、このムードが、いま塚田さんも御指摘のように、これが固着したかというと、そうでない。まだ定着したというような状態じゃない、こういうふうにまあ考える。そこで、わが国としてはどういう態度をとるべきかというと、せっかくムードが出てきた。そこで、このムードを定着させるための努力を精力的に推進すべきではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。したがいまして、このムードに反するような行動は一切これはとってはならぬと、そういうふうに考えます。また、時に応じ機に臨みまして、これを積極的に進める機会がありますれば、その機会をのがすことなくとらえていく、こういうことかと思うんであります。そういう情勢を醸成いたしまして、沖繩県民の念願する平和な沖繩の島づくり、それが初めて実現されるのじゃあるまいか、そういうふうに考えます。沖繩の県民がこの基地の問題に多大の関心を持っているわけでありますが、この基地の問題は、そういう努力を通じて私は大きく満たされていくのではあるまいか、そういうふうに存じ、沖繩のことを考えましてもアジアにおけるこの平和ムード、これを定着さしたいと、そういう努力をいたしたいと、かように考えます。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 次にお尋ねいたしたいのは、よくいう共産主義侵略というものに対しての政府の御認識であります。  私は、すでにしばしば申し述べましたように、極東の平和及び安全に対する最大の脅威は、共産主義国が世界の人民を解放するんだという名目のもとに行なう世界侵略だと思うのであります。朝鮮動乱も、われわれ自由主義陣営からすれば、朝鮮民主主義人民共和国がソ連並びに中共の力をかりて韓国を武力解放し、朝鮮半島の統一を企図したものと解されているのであり、また、ベトナムにおける紛争も同じ型のものと理解されているわけであります。ただ、共産主義侵略の認識について、私自身は、結論としては、共産主義侵略の脅威は世界においてもまた極東においても次第に薄らぎつつあるのではないかと考えておるわけであります。  大体共産主義国というのは、その体制が固まるにつれて平和共存の道に進むというのが通例のようであります。ソ連は、フルシチョフ政権以後、早く平和共存の外交路線を打ち出して今日に至っております。ただ中共は、同じような共産主義国でありながら、平和共存に対する考え方においてはソ連よりもまだはるかに立ちおくれておるように感じられるわけであります。そうして、このように二つの大きな共産主義国の間にその考え方に大きな開きがあるのは、これは革命成就後経過した年数に原因するのではないかと私は考えておるわけであります。  共産主義の国におきましては、一般に、革命後なおその革命政権の基盤が固まらないでおる間は、国内においては弾圧の政策、そうして外に向かってはいわゆる強硬路線というものをとる。次第に政権が安定し基盤が確立してくるにつれて、国内においては修正主義にだんだんと変わってくる、また、対外的には平和共存の路線というのが選ばれてくるように大体思うわけであります。ソ連が革命を成就いたしましたのは一九一七年でありますから、革命成就後すでに五十四年の歳月を経ておるのでありますし、それに反して中共は、革命が成就いたしましたのは一九四九年でありますから、まだ革命後二十二年を経過しておるにすぎないのであります。その上、ソ連におきましてはレーニン以後すでに何人もの権力者の交代が行なわれておりますが、中共においては、まだ革命を成就した当の本人である毛沢東自身が健在であるという事情もあるわけであります。この違いが私は両国の外交路線の違いをつくっておると自分では考えるわけであります。その中国においてさえも、先ほどから申し上げるように、最近平和共存の方向に移りつつあると見られる幾多の徴候が出ておるわけでありまして、国際連合に加盟いたしましたのも、今後この方向に一段と拍車をかけるでありましょうし、米中会談の実現もまたその傾向のあらわれの一つと見ることができようかと思うわけであります。そのほか、最近極東にあらわれた幾多の雪解けの徴候、先ほど申し上げました、私はむしろああいう徴候が出てきたから、いま大臣がおっしゃるように、極東に雪解けのムードが出てきたのではなくて、むしろ逆に、極東情勢の底流にいま申し述べたような共産主義国の考え方の変化が出てきた、それが形になってあらわれてきたのがいまの雪解け徴候だと私はむしろ見ておるわけであります。この辺についての政府の御見解はいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 戦後の世界の流れを私じっと見ておりますと、そうしますと、まあ米ソ二大強国、これによる世界支配体制というような状態だったと、こういうふうに思うのです。ところが、ソビエトロシア、これは共産国です。しかし、これはまた別の見方をすれば、全体主義であり、また社会主義である。この社会主義が自由主義諸国、その中心としてのアメリカ、また、自由主義ということは経済的にいうと資本主義体制とも言う人がある。それとの対立というような形で、戦後私はソビエトロシアとアメリカの対決というものが非常に激しい勢いで続いてきたと、こういうふうに思いますが、さて一枚皮をめくって見てみると、そうすると、このソビエトにおきましても、自由主義体制あるいは資本主義体制、これを取り入れる動きというものがかなり出てきておるわけであります。また、自由主義諸国においてどうかというと、まあいろいろな面におきまして社会主義諸国の標榜しておる施策を取り入れる。そういうようなことで、主義上の観点から見ますと、この大きな二つの勢力、つまりソビエトを中心とした共産勢力というもの、またアメリカを中心とした自由主義勢力、それは考え方ではだんだんだんだんと近寄ってきておる、こういうふうに思うのです。これは塚田さんもいまそういう点に触れられたと、こういうふうに思うのです。私は、でありまするから、長いこれからの行く先を考えまするときに、さあ全体主義あるいはそれに対する自由主義だと、あるいは社会主義対資本主義だと、こういうような議論がだんだんと価値を低めていくんではあるまいか、そういうふうに思うんです。両方がだんだんとお互いの相手のいいところを取り入れた社会というものが出ていくのではあるまいか。緩慢ではありまするけれども、世界の歴史の流れというものは、そういう方向に向かっていくのじゃあるまいか、そういうふうに考えるわけであります。しかし、当面におきまして世界の情勢はどうかというと、そういう傾向が顕著にあらわれておるという情勢でもない。そこに世界政治のむずかしさがあると、こういうのが現状じゃあるまいか、そういうふうに考えるのです。私は、政治家としてのあれからいいますれば、もう共産主義だ、社会主義だ、だから一がいにこれを排撃すると、そういう考え方はよくないと思う。共産主義でも社会主義でもいいところはこれを取り入れる。それから、共産主義、社会主義の国でも資本主義のいいところはどしどし取り入れたらいいだろうと思うのです。そうしてだんだんと共通の基盤をつくっていく。そこにほんとうにいい一つの世界というような国際環境というものが生まれてくるんじゃないか、それを腹の中にはみんな政治家というものは置くべきじゃないか、そういうふうに思うのです。ただ、当面いろいろ問題がありまするから、その問題の処理、これはそう理想一点ばりでいくわけにはまいらぬと思います。その問題、問題によっての処理方法を考えなきゃならぬが、腹の底の底にはそういうことを考えておくべきであり、おいていいのじゃあるまいかと、そういうふうに考えております。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 時間がございますようですので、返還協定の内容につきましてもう少しお尋ねをさしていただきます。  返還協定において最も論議の焦点になっておりますのは核及び基地の問題であると思うのであります。この点についての野党の立場は、核も基地も全くない沖繩というものを理想として、そのように協定がなっていないではないかというので、政府に対してその改定をお求めになっておるように思うのであります。私どもはこれに対して、そもそもこの問題はわが国の敗戦の現実からスタートしたものであり、交渉相手方のあるものであるから、こちらの主張だけを言いつのっておっても切りがない。とにかく政府の努力でこのたび返ってくることになったのであり、政府はさらに不足不満の点は今後もその改善に努力するとしばしば言明されておりますのですから、ここのところは、今後の政府の努力に期待することにして、一応この協定を承認しておくということのほうがはるかに現実的ではないかと思うのであります。ところが、国会においていろいろ論議されております様子を見ますと、何か非常に心配なところがあるというムードが出ておるわけですが、何か、この返還協定によって、いままでの沖繩の状態よりも返還後の沖繩の状態が一そう悪くなるというようなところがあるのかないのか、一そう悪くなるところがあるんだから、そのくらいならむしろ返ってこないほうが国としてもまた沖繩県民の立場からも一そうベターであるというような点でもあるのかどうなのか、この点をひとつ国民の前にはっきりとお聞かせをいただきたいと、こういうように思うわけであります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 今度の協定につきましてはいろいろ議論がある、それはよく承知いたしました。しかし、これは精一ぱいのところを尽くしたんですよ。来年の上半期中に返還を実現をする、そういう時間的なことを考えまするときに、これ以上のことはもうできません、これは。しかし、そういう精一ぱいの努力をした協定であり、そして、それにもかかわらずいろんな御批判がある。ありますが、決して返ってくることがマイナスになるという要素は私は一つもないと思うのです。たとえば基地の問題にいたしましても、これはわずかではありますけれども、返還の時点において整理をされる。それから問題の核につきましては、返還日及びそれ以降においては絶対にあの島にはあり得ない、こういうことになる。あるいはいままでは、米軍基地に駐とんするところの米軍、これの作用というもの、行動というものは、これは自由自在です。いかなる世界じゅうの地域でありましても、これはそこから出動できるという態勢にあるんですが、今度はそうではない。事前協議という厳粛なる安保条約の体制に縛られる。自由出撃なんということはあり得ないことになる。非常な改善であります。しかし、一番大きな改善は何かといいますれば、とにかくわが国に三権が返ってくる。潜在主権は持っておるとは申せ、三権がない沖繩県、アメリカに領土を占領されておったというような表現さえする人があるくらいでございますが、そういう実態の沖繩であります。それがとにかく完全なる領土としてこの日本に返ってくる。日本は潜在主権を持っておりましたが、これが顕在化する。そういうことでありまするから、われわれはアメリカの干渉を受けることはない。われわれの考えるところに従いまして沖繩県民を豊かにする、沖繩県民の生活内容を本土並みにだんだんと積み上げていく、こういう努力も、だれに遠慮することもなくできるような状態になった。私はこれは非常なメリットであると考えております。

塚田十一郎自由民主党

○塚田十一郎君 安心いたしました。  そこで最後にお伺いいたしたい点は、先ほども申し上げましたように、極東には緊張緩和のいろいろな情勢が展開をしておる。おそらく今後一そうその情勢が推進されるだろうという見通しのようでありますが、私はそれらに関連して、政府が新しい事態の展開をただ手をこまねいて見ておられるだけではなるまいと、こういうふうに思うわけであります。すなわち、積極的には、極東の平和及び安全の推進にあらゆる努力を傾けるべきであると同時に、消極的には、この方向に逆行する一切の言動を慎まなければならない。ただ、この点は先ほどの質問に関連して大臣からお答えをいただきましたので、一応安心をいたしておりますが、この問題に関連してお伺いしたい一つの問題は、わが国と中国との関係の改善についてであります。  私は、過日の本会議における質問におきまして、この問題に関連して、外交問題の解決には国論の統一こそが緊要であると指摘をいたしましたし、また、極東の情勢もきわめて流動的であるからして、今後とも情勢の変化によっては政府の態度方針に変化を期待してもよろしいかとお尋ねをいたしたわけであります。今日の段階で、野党の御意見までというわけにはなかなかむずかしかろうかと思いますけれども、せめて党内の意見ぐらいはひとつ統一をしていただくことはできないものか。それができなくては、とても日中国交問題の打開はむずかしかろうと実は思うわけであります。もう政府はすでに中国は一つであるという基本的な認識に立っておられますし、そうすると、いまやこの問題について意見の分かれは、一つは、中華人民共和国政府を中国の唯一の正統政府と認めるかどうかという点、もう一つは、中華民国との間の平和条約を直ちに破棄したらどうかという点、この二点が問題として残っているように思うのであります。この二点の解決がつかないのでなかなかすっきりした形での党内の意見の統一ができかねているように私は感じるわけであります。幸いなことに、先日の私の本会議における質問以後、中華人民共和国の加盟と中華民国の脱退という問題が国連の舞台において起こっております。これは世界並びに極東情勢の上に大きな変化だと言わなければなりません。そこで、政府はこの際、もう一歩進められて、一そうすっきりした形で党内の意見の統一をはかられたらいいのではないかと思うのでありますが、これは最後でございますので、総理の御所信を承りたいと存じます。  これをもって私の質問を終わらしていただきます。(拍手)

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、先ほど来塚田君と外務大臣の質疑応答で、大体の国際情勢並びに今後日本の進むべき方向、これは意見が一致したように思っております。もちろん、同じ政党でございますから、そこに大きな開きがあろうはずはございません。しかし、ただいま言われますように、中国問題と取り組む場合に、党内においては非常に積極的な前向きの方もありますし、また同時に、いままでの国府との関係を非常に重視しておる、こういう向きもございます。しかし私は、いずれにいたしましても、今日国際間のコンセンサス、いわゆる国連における中国の代表者、これは中華人民共和国である、こういうことで国連に迎えることになり、同時にまた国連の安保の常任理事国にもなっておる。この事実は、私どももこれはそのまま受け入れるべきだ、かように思っております。ただいまいろいろ国会におきましても各党の間で、中国との国交の正常化をはかれという、こういう決議をしようじゃないか、こういう動きもある。ただいま各党がそれぞれの立場でそれぞれの案を持ち寄って相談しておる最中だと思っております。私は、自民党自身ももちろんただいまのところは流動的である、かように考えておりますので、ただいまのような国会の決議ができればそれに従うのは、政府といたしまして、国会が国権の最高の機関である、かように考えれば、当然その意思は尊重さるべきだ、かように思っております。いずれにいたしましても、いま大多数を占めておる与党、その与党の意見が一致すること、これは一番大事なことだろうと思います。私は、そういう意味で、総裁として党内の意見の一致を見出すように、ただいませっかく努力中であります。ことに、いま政府、与党との関係がそういう方向で調整もされるが、その場合に、一党一派に偏することなしに、私どもは国会の決議というものを尊重する、そういう立場でなければならないと、かように考えておりますので、いま期待されるような結果がいずれ招来されることだと、かように思います。何とぞよろしくお願いいたします。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で塚田君の質疑は終了いたしました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) この際、委員の異動について報告いたします。  本日村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として中村波男君が選任されました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 次に、春日正一君の質疑を行ないます。  春日正一君。(拍手)

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は日本共産党を代表して、沖繩協定について質問いたします。  質問に入るに先立って一言申しますけれども、沖繩の返還は国民すべての望むところであります。わが党も一貫して、核も基地もない沖繩の返還というために努力してまいりました。しかし、沖繩がどのような形で返るかということは、国の進路と国民の運命に重大なかかわりを持つ問題であります。その意味で、このたびの沖繩協定は多くの国民の疑惑と不信を招いております。それにもかかわらず、政府・自民党が衆議院で、何ほどの審議もしないで強行採決を行ない、参議院での自然成立をはかったということは、議会制民主主義を破壊するファッショ的な暴挙と言うべきものだと思います。私は、この暴挙に対して、政府の首班であり同時に自民党の総裁でもある佐藤総理にこの機会に厳重に抗議します。  そこで質問に入りますけれども、協定の前文に、「これらの諸島の日本への復帰は共同声明の基礎の上に行なわれる」と書かれておりますけれども、これは、共同声明が協定の内容を規定する、そして協定成立後の安保条約運用の基準となる、ということだと思います。けれども、そう理解してよろしいかどうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本協定の前文にそう書いてありますが、この返還というものが、これが「共同声明の基礎の上に行なわれる」、そういう意味でありまして、個々に具体的に共同声明全体を引用している、こういうことじゃないのです。その背景として共同声明がある、こういう御理解を願います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 当時の愛知外務大臣は、「この共同声明に盛られた事柄は、両国最高首脳の考え方の一致点を示すものとして最も強い政治的道義的な力を持つものであります」、こう説明しております。したがって、共同声明の沖繩施政権返還に触れた部分、あるいは極東の安全と日本の安全に触れている部分というようなものは、当然沖繩協定の内容を規定し、あるいは安保条約の運用の基準になってくるというふうに考えざるを得ないのじゃないですか。これは否定できないでしょう。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本協定には、たとえば第七条でありますとか第八条でありますとか、共同声明を具体的に引用しているものがあります。しかし、この協定全体として、共同声明を背景としてできている政治的な意味あるいは道義的な意味、そういうものを否定するわけじゃございませんけれども、背景として共同声明がある。基礎としてというのは、そういう意味であるというふうに御理解願いたいのであります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 沖繩協定調印に際してアメリカ国務省の高官の説明では、協定には「六九年十一月の日米共同声明が完全に組み入れられている」と公式に言っております。これはおそらく間違いないと思いますよ。  次に進みますけれども、そこで、共同声明の七項には、日本の安全は極東の平和と安全なくしては十分維持できない。したがって極東諸国の安全は日本の重大関心事であるということを書かれ、そして、このような日本政府の認識に照らせば、日米安保条約と関連取りきめの変更なしの適用という形での沖繩施政権の返還は、日本を含む極東諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとはならない、ということを言って、この点で合意しておいでになる。そこでお聞きしますが、「日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際的義務」というものはどういうものですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 具体的に言うと、米華条約ですね、あるいは米韓条約とか米比条約とか、そういうものかと思います。とにかく極東の安全が保持されない限りわが国の安全が保持されないということにつきましては、わが国におきましてもアメリカと同一の見解をとっている、そういう御理解を願います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 米韓、米台、米フィリピン、SEATO、ANZUSというようなものが日本ともかかわりを持って取りきめられておりますよ。そうしてそういうものの中には、たとえばSEATOの中には、明らかにインドシナ半島が対象になって入れられておる、ベトナムの問題。そこで、そういう国際的な義務の「効果的遂行」ということは、アメリカが条約上の義務と考える場合には必要な軍事行動をさしさわりなく遂行できると、こういうことじゃないですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 春日さんの御質問は、沖繩をそういう米軍の効果的使用ができるようにいたしたいと、そういうことじゃないかということかと思いますが、それはそうだと思います。ただし、事前協議というものがあります。イエスと言うか、ノーと言うか、これはわが国の自由の権限でありまして、これによってアメリカのそういう自由を、アメリカの立場を制約することができると、こういうふうに考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 とにかく効果的な遂行を妨げないということを約束された。それは、いま沖繩と言われましたけれども、ウェストモーランドは、沖繩と同時に日本の南西部の基地も含むんだと、これが新しいことだと言っておる。だから私は、日本、返ってきた沖繩を含めての日本というふうな意味でお聞きしているわけですわ。そこで、「効果的遂行」についてもジョンソン国務次官は「基地を効果的ならしめるのに必要なすべてのことを興味する」と、何でもできると言っています。「それは核兵器の場合もあるかもしれないし、そうでない場合もあり得る」。だから、必要なら核兵器だって持ち込めるんだということを説明しておるんですね。そうだとすれば、「効果的遂行を妨げるものでない」ということは、アメリカが条約上の義務と称して行なう軍事行動に対して、沖繩と本土の米軍基地の実質的な自由使用を約束したものであるというふうに考えるのが妥当な解釈だろうと、こう思うんですけど、この点、どうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど塚田委員にもお答えしたんですが、今度沖繩返還が行なわれる。そうすると、非常に沖繩における米軍の地位というものは変わってくるのですよ。もう自由出撃はできない。自由出撃——出撃をするという際におきましては、わが国の同意を求めなきゃならぬ。それに対してわが国はイエスとも言う場合もあるし、ノーと言う場合もある。全部イエスと言いますということは絶対にこれは約束をいたしておりませんのでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 ことばの上ではそうですけれども、「効果的な遂行を妨げない」というふうに約束しておいて、アメリカが、このことをやることがどうしても必要だと言ったときにノーと言えば、効果的な遂行を妨げたことになる。だから、「効果的な遂行を妨げない」ということとノーということが矛盾してくる、こうなるわけですわ。  そこで、もう一つ例を言いますと、総理は共同声明の中で「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」と、こう言って、またナショナル・プレス・クラブでの演説では、「万一韓国に対し武力攻撃が発生し、これに対処するため米軍が日本国内の施設・区域を戦闘作戦行動の発進基地として使用しなければならないような事態が生じた場合には、日本政府としては、このような認識に立って、事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決する」、こういうふうに言っているのですね。「前向き」というのはポジティブリーと言っている、ポジティブはネガティブの反対なんだから、否定の反対なんだから肯定ですよ。これはもう明らかにだれが考えたって、事前協議に対してイエスということを予約したというふうにしか受け取れない。それと「効果的遂行」を保証したということを合わせてみれば、政府の事前協議云々というようなことは信用できない。イエスもあればノーもあると言っているのだが、イエスと言わざるを得ないような約束をしてきてしまっている。ここを国民は一番心配しているのですわ、どうですか、その点。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 総理は、本席でありましたか、あるいは衆議院でありましたか、どうもあの共同声明であのようなことが書いてある、あるいはプレス・クラブにおいてあのような演説をした、少しこれは行き過ぎであったかなという若干の軌道修正をいたしております。これを御了知願いたいのであります。いずれにいたしましても、今度できる沖繩協定、これにおきましては、われわれはこの事前協議の自由を留保しておるわけでありまして、このことにつきましてはアメリカにおいても共同の認識を持っておる。沖繩から——本土でも同様でございまするけれども——米軍が出撃をするという際におきましては、わが国はわが国の国益を踏んまえまして——その国益とは一体何だと、こういいますれば、これは他国の戦争に巻き込まれない、こういうことでございますが——そういう判断に立ちまして、イエスと言うか、ノーと言うか、適正な判断を下したい、こういうふうに考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 じゃ、アメリカ側の証言をとってみましょう、パッカード国防次官はアメリカの上院外交委員会での証言で、「佐藤総理大臣は一九六九年十一月に訪米した際、韓国の安全が日本の安全にとって緊要であり、また、台湾の安全が日本にとってきわめて重要であるとも述べた。従って不測の事態が生じた場合、われわれはもし必要ならば日本及び沖繩における米軍基地を有効に運用することができるだろうと信ずる」、こういうふうに言っております。そうして議員のほうから「事前協議で強い承認が得られることは問題ないということか」、こういう質問が出たのに対して、「韓国と台湾に関しては承認するだろうという表示がある」——「表示がある」とはっきり言っている。つまり、あの韓国・台湾条項というものは、アメリカはそのように受け取っておるわけですわ。そうすると、アメリカ議会と政府がこのような理解のもとに協定をすでに承認してしまっておるという事態のもとで、総理が若干——どういう訂正をされたか、私、説明を聞きたいと思うのですけれども、若干の訂正をされたとしても、それは手おくれということになるのじゃないですか。どう訂正されたのかも聞かしてほしいし、この問題については総理からはっきり答えていただきたい、総理のことばだから。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 過日、民社党の曽祢君に、私の表現が不適当、どうも事前承認を与えたような印象がある、こういうことで、その点について説明をいたしました。ここにちょうどその、これはプレス・クラブの「前向き」の点についての国会の答弁でございますが、「前向きでこの問題を処理する、かように言ったことは、これはどうも自動承認のような考え方で言っているのじゃないのか、かような点を御指摘になりました。いかにも前向きということばは不適当のように思います。ただ、私があえて弁解するならば、実は事前協議だと、これが早目に結論を出さなければならないことだ、かように思っておりますので、そういう意味からも、あまり時期を置かないでこの事前協議についての返事はしたい、意向をはっきりさせたい、こういうことを実は申したのであります」と、かように実は衆議院で答えております。したがって、ただいまの、イエスもありノーもある、こういうことには変わりはございません。また韓国あるいは台湾、そういうところで事態が起これば、私どもはこれを全然それはよその国のことだと、こういうことで類焼を免れるような措置もとらないと、こういうわけではない。そこに関心のあることはこれは当然であります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 いま訂正がその程度なことだとすればですね、かりにそこのところのポジティブリーが何か薄められたとしてもですよ、先ほど引用した共同声明の七項というのが私は一番中心だと思うんですけれども、あそこで、アメリカの国際義務の効果的遂行を妥げないという約束をしておられる以上、米韓条約に従ってどうしてもアメリカが必要だと言った場合、拒み得ない証文を入れていることですわ。だから、そういうことをやっておきながらですよ、いや、イエスもあるノーもあるからというような言い方は、アメリカをだますことになるのか、あるいは日本の国民をだますことになるのか、どっちかをだまさにゃおさまらない問題ですわ。そういうことになると思います。そこで、まあ、そういうことに対して総理は政治的な責任を感じておいでなのか。その言質を与えたために、アメリカじゃ、もうきめちまっているんですよ。いまさら取り消したって「駟モ舌ニ及バズ」ですわ。追っつかないんだから、政治責任、どう感じておいでになるのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま日米安保条約、この問題が実はただいまのような点に関連をしてくると思います。私は一方的に問題を解決しようというわけではない。でありますから、事前協議の対象になる、これは重大な意義を持つ。アメリカ自身も、日米安保条約があるからといってワン・サイドで行動はしない、こういう場合には事前協議をする、こういうことを言っておる。私どもも、その事前協議に対しては受けて立とう、そうして十分わが国の国益が守られると、そういう立場で相談に応じようと、かように申しておるのでございます。私は、アメリカの政府もアメリカの国民も日本国民もだましてはおりません。その点ははっきりしておる。

春日正一日本共産党

○春日正一君 簡単にしてくださいよ。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどパッカード国防次官のことばを引用されましたが、パッカード次官はこう言っておるんです。これは確かに春日さんのおっしゃるようなことも言っておりますが、同時にあのとき、日本の総理大臣がああ言われたが、あれはあのときの情勢を基礎にして言われておるのであると、今後いろいろ情勢の変化もありましょう。そういう際におきましては、日本の米軍の行動に対して加える制約、これについてはまた変化があり得ることであろうと、そういうことをつけ加えておりますので、ただいま総理大臣からお答えになったとおり、まあ、アメリカ国会におけるいろいろ論議がありまするけれども、これはアメリカ当局のまあ希望的なことばである、わが国はわが国としてそのときの情勢を踏んまえまして適正に善処すると、こういうことに相なると思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 総理が、これは対岸の火事ということは黙って見ちゃおれぬと、降りかかる火の粉は払わにゃならぬというような意味のことを言われたんですけれども、まさにその考えは隣の国に対する干渉の権利を主張することでしょう。かつて、この前の戦争でも、中国革命が発展してきた。それを予防するために満州事変をやって先取りをした。だから、対岸の火事を黙って見ておれぬということの中には、隣の国の内政に干渉するということまで含まれる。これは取り消す一べきだと思う、そういう考えは。これを持つ限り、日本軍国主義の復活ということは否定できなくなるでしょう。  そこで、私、急ぎますから結論を言いますけれどもですね、効果的遂行を保証すると言い、韓国・台湾にあったときには対岸の火事として見ておれぬというようなことを証文としてはっきり入れている以上ですよ、総理が、本土に米軍基地の実質的な自由使用を許さない、事前協議でイエスと言う予約もしてないということならばですね、その証拠になっておる共同声明の七項と韓国・台湾条項を取り消さなければならない道理だと思いますよ。取り消しますか、これ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) たびたびこの席でも申したのですが、類焼を受けないようにしたい、こういうことでございます。私はそれを、危険だからこちらから出かけて行って火を消すことに積極的に手伝いをすると、かように申しておるわけではございません。日本が類焼を受けるというようなことのないようにする、そういうことをはっきり申しておるわけであります。だから、そこの誤解のないようにお願いしたい。いかにも積極的な態度だと、これこそ軍国主義につながるものだと、かように言われると、私も黙ってはおれないから、これははっきり申し上げます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで類焼ですけれども、類焼してきた場合には、安保六条じゃなくて、すでに五条が発動される。事前協議の問題もなくなってしまう。この点を指摘しておきます。  そこで次に、この極東条項の導入によって安保が変わるんじゃないかという問題ですけれども、総理はナショナル・プレス・クラブの演説で、「しかし乍ら、現実の国際社会においてわが国の安全は、極東における国際の平和と安全なくしては十分に維持することができないのであります。ここに広く極東の安全のために米軍が日本国内の施設・区域を使用するという形での日米協力という安保条約の第二の目的が浮び上ってまいります」と、極東の安全という目的を強く打ち出しております。そうして「この施設・区域の使用に関する事前協議について、日本を含む極東の安全を確保するという見地に立って同意するか否かを決めることが、わが国の国益に合致する」と、つまり極東の安全がどうなるかということで戦争を支持するかしないかをきめることが「国益に合致する」と、こう言っているわけであります。これは安保国会以来歴代の政府が「日米安保条約の目的は日本の安全を守ることだ」と言明してきたこととはっきり違っております。安保条約についてこのように違った考え方になったのはどういう根拠があるのか、そこを説明願いたい。総理にお願いします。総理のことばですから総理に。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 安保条約にははっきり書いてあります。日本の安全、また極東の平和と安全、これを確保する。これがこの条約の目的である。こういうふうに書いてあります。これは、わが国がここまで国力が伸びてきますと、これだけ強大な経済国になってまいりますと、これは世界じゅうの平和というものがわが国の平和につながってくる。特に極東に平和、繁栄がなければ日本に平和も繁栄もない。こういうことにつきまして、私は一点の疑いも持ちません。ただし、軍事行動につきましては事前協議の制度がある。これによって国益をちゃんと守っていく。それらの何らかの方法によって極東の平和また極東の安全に寄与する。こういうことを申し上げておるわけであります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 総理も同意見ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣が詳しく説明をいたしましたから、それ、同意見でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 外務大臣の意見の中には、日本がこれだけ国力が大きくなってきたから、世界のすべての問題がかかわってくる。それが「極東」を前面に押し出した根拠だとも受け取れるような発言があったけれども、それが根拠ですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 世界の平和と安全がわが国の平和と安全につながってくる、特に極東の平和と安全はわが国の平和と安全に対してきわめて重要な関係があると、こういうふうに申し上げておるわけであります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 昭和三十五年の安保国会で岸総理大臣は、「要するにこの安保条約は日本の安全と平和を守る条約である。中心は日本の平和と安全ということにある」と、こう言っております。佐藤総理自身も六五年の佐藤・ジョンソンの共同声明では、「日本の安全の確保につき、いささかの不安もなからしめることが、アジアの安定と平和の確保に不可決である」と言って、日本の安全が主体になっている。だから、極東の安全なくしてわが国の安全なしというような発想は、この六九年共同声明以前にはなかったことですわ。そうして、この点についてはアメリカ側でもジョンソン国務次官が、「これまで、日本は一般に、安保条約とアメリカの基地はただ日本の防衛のためだけのもので、日本としては、日本以外のいかなるものの防衛にも関心がないという態度をとってきた、その日本が他の地域の防衛に関心を持ち、かかわりを持つということ、これが今度の重要なできごとです」というふうに、背景説明で公式に新聞記者に説明をしております。そうしますと、重要な共同声明の内容について、片方では変わってないと言い、アメリカはこのようにはっきりと変わったというふうに受け取って公式に発表しておるということになれば、これを基礎にしての沖繩協定というようなものは、これは成り立たないはずです。まさに共同声明というのは意見の一致を書いたものでしょう。一致を書いたものの解釈がなぜこれほど違うのか、それではこの協定の審議できないじゃないですか、そこをはっきり出してもらいたい。どういうことなのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまアメリカが沖繩を返還する。日本に返還すれば安全保障条約並びにその取りきめの各項が適用になる、行動が制限される、このことは百も承知の上で沖繩は返してくれるのであります。いま言われるように、かってに自分で行動するというならば、沖繩を日本に返さないはずであります。ただいまのような前提を百も承知の上で沖繩を日本に返してくれる、ここに私は沖繩返還の意義があるんだと、かように私は思っておる。このことが極東の緊張緩和にも役立つと、かように実は申しておるわけであります。ただいままでのような自由出撃の状態なら、これがいわゆる米韓、米台、米比あるいはANZUSその他の条約で、アメリカはかってにその一翼をになうことになるわけです。しかし、今後沖繩が返ってくれば、それは安全保障条約のワク内に行動はとどまるんだと、非常な制限を受けるわけです。だから、そのことを百も承知で返還を実現しようという。だから、それは明らかにいまの安保条約そのものを、共産党のような解釈もあるかしれないが、私どもは百も安保条約のワク内にとどまることを知ってて日本に返してくれるんだと、だから、これはアメリカ自身がいままでのような考え方に沖繩の基地は使わない、こういうことを意味するんじゃないかと、かように申しておるわけであります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は、この安保の重点が、日本の安全から「日本を含む極東の安全」というように、条約の文章に書いてあることすら越えてですよ——条約には、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全」というふうに並べて書いてある。ところが、総理は今度のこの演説では、「日本を含む極東の安全」と言って、一つにしてしまって、極東の安全が安保の目的であるかのごときに言いかえておる。なぜ変わったかと言ったら、変わらぬと言っておる。ところがアメリカ側では、今度初めてこれは変わったことなんだと言っておる。変わらぬと言い、変わったことだと言う。つまり、安保の重点が変わったのか変わらぬのかということを聞いておるのに、あなたは、事前協議があるから沖繩が返ってきても心配ないみたいな、そんな月並みな説明ばっかりしておいでになる。重点を変えたのかどうなのか、変えないと言うなうアメリカと食い違っておるけれども、これをどうするんだと、そこをはっきり端的に答えてください、時間ないから。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 春日さんは安保変質論と、こういうようなことをおっしゃっておると思いますが、これは変わっておりません。これは十一年前——安保国会、このときにおきましても岸総理がはっきり申し上げています。ちょっと読み上げてみますが、やはり日本周辺の平和と安全が確保されないというと日本の平和と安全は確保できないのであります、こういうことなんであります。  いま、今日われわれが沖繩返還協定にあたってとっておる態度、これはまさにそのとおりのことなのでありまして、いささかの変更もないということをはっきり申し上げます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 日本周辺の安全が大事だと言っているけれども、私が引用したように、安保国会の五月の最終段階で、「この安保条約は日本の安全と平和を守る条約である。中心は日本の平和と安全ということにある」と。総理大臣自身六五年に、「日本の安全の確保についていささかの不安もないようにする、そのことが極東の安全に役立つんだ」というふうに、日本の安全を主にして言っておいでになるのだ。必要なら私は国語学者を呼んできて、ここで日本語の解釈を証言してもらう必要があると思う。これは理事会にはかってもらいたい。これは国語の解釈上重大な問題です。  しかし、ちょっと待ってください。私、もう先を急ぎます。結局そういうことになればですね、六九年の佐藤・ニクソン共同声明を境にして安保条約の目的が、主として日本の安全を守るということから、日本を含む極東の安全を守るということに移行してきた。少なくとも移動してきた。重点が移ってきた。日本の安全と極東の安全と二つ条約に書いてあるけれども、重点が極東の安全に移ってきたということだけは否定できないと思う。そういうことになれば、安保の運用が当然変わってくるわけですから、日米の安保から極東の安保に変わったというような批判を受けるのは当然だと思う。だから、その点をどうなのか、それに重点が変わったのか変わらぬのか、そこをだめ押ししておきます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 重点はいささかも変わっておりませんです。日本の安全、これは大事なことなんです。しかし、その前提といたしまして、極東——日本を取り巻く周辺地域——の安全というものが絶対不可欠である、これは一体である、こういうことにつきましては、十一年前以来一貫しておりますから、誤解のないようにお願いをいたします。

春日正一日本共産党

○春日正一君 その点は日本語を読む人ならだれでも変わったと考えるし、世界の情勢が変わるのに変わらぬはずないんだから、十年前と同じだというなら、変わらぬはずはないんだから、そこを正直に言わぬから国民は不安に思う。  そこで事前協議についてですけれども、政府は、安保条約が適用されて事前協議にかかるから自由出撃はあり得ないのだと言って、そこをしきりに強調するのですけれども、一体事前協議というのはどういうものなのか。ジョンソン国務次官は、事前協議にかかる戦闘作戦行動について、「アメリカの飛行機が日本の基地から飛び立ち、他の領域を爆撃して日本の基地に戻ってくる。こういう明確かつ具体的な意味に解釈するという了解がついている」と、こう言っています。——これは暗黙の了解と言っておりますけれども——ついている。「これ以外の場合は事前協議にかからない」、背景説明でそう言っています。これは間違いありませんか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) いますぐ調べればそこのところは出ますけれども、私の記憶によりますると、ジョンソン次官は、このときに「典型的な例として」ということばがたしか入っていたと思います。確かに最も典型的な例は、日本の基地から出撃して相手国を爆撃する例でございます。その点については疑いはございません。それ以外は全部事前協議の対象とならないというふうなことはジョンソン次官は申されてないと私は記憶いたしております。ただいまさらに綿密に調べるつもりでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 不勉強だと思う、時間がないのに。ここではジョンソンは、この問題について、私はことばの解釈に深入りしたくないのですが、一般的にいって両国政府は戦闘作戦行動ということを暗黙の了解として申し上げたいのですが、次のように解釈しています、と言って私がいま読んだように言っている。そこで、そういうものがあるというなら、一体どういう場合が事前協議の対象になるかということをアメリカ側と具体的にきちんと取りきめたものがあるのかどうか、それを聞かしていただきたい。あればこういう場合、というものを具体的に出してほしい。どうですか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) ジョンソン次官が答えられました一部分が出ておりました……。

春日正一日本共産党

○春日正一君 具体的に取りきめたものがあるかどうか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) それは、文書によって取りきめたものはございません。交換公文がございます。交換公文で、国会の御承認を得ました交換公文がございます。それ以外の文書はございません。

春日正一日本共産党

○春日正一君 これは問題だと思うのですよ。安保国会で岸総理は、「戦闘作戦行動というものの意義、範囲をどうするかは、日米間で話し合って具体的にきめなければならぬ問題であります」と、こういうふうに言っておるのですね。ところが、あれから十年以上たっておるというのに、この戦闘作戦行動というものは事前協議にかかるものはどういう場合とどういう場合というような具体的な話し合い、取りきめ、何もされてない。あなたが「国会で承認を得た」と言うのは、いわゆる事前協議の三つの項目というものでしょう。大規模な部隊の配置の問題、それから装備の大規模な変更——核兵器を含む。それと戦闘作戦行動と、これっきりだ。その戦闘作戦行動というのは、どういう場合に事前協議にかけるかということをはっきり取りきめてなければ、アメリカの側が事前協議はしてくるのでこちらから要求するものでないというならば、何も取りきめがなければ、いまジョンソンが言ったような、日本から出て行って日本に帰ってくる場合以外はかける心要がないという理解で何も相談してこないということになるんじゃないですか。実にふまじめだ。ここに政府の安保条約なり事前協議に対する態度、つまり、アメリカまかせの態度というものが一番はっきり出ておる。だから、事前協議云々と言ったって、そんなものは信用できませんよ。はっきりしてください。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) ジョンソン次官について一言お許し願えるならば、その直後におきましてジョンソンは、よその国に移動して、移駐してそこから出るものは含まないと、こういうことを申しております。すなわち、直接日本から出る場合とよその国に移駐してそこから出る場合とを区別して申しているわけでございます。  そこで交換公文でございますが、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」ということになっておりまして、これは直接戦闘を目的とした作戦行動の基地としてこの施設・区域を使用することでございまして、この限りにおいて、たとえば核の場合と違いまして、はっきりといたしていることと思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は時間がなくなるからじりじりしているのですよ。こういう答弁ですね。同じことを繰り返して時間をつぶしておる。日本から出て行く戦闘作戦行動だ、この中身はどうなんだ。日本から出ていく。日本から出て行くんだっていろいろありますよ。私は例をあげましょう。沖繩が返ってきた場合、ベトナムで作戦中の海兵隊がしょっちゅう交代しておる。沖繩の海兵隊が船で出発する場合、アメリカ側は事前協議にはかからぬと言っておる。こういう形がいくらでも出てくる。飛行機でも、日本の基地から出て、朝鮮に行って飛行場に降りて、そこから出て行くなら、これは事前協議にかからぬと言っておる。あるいはことしの三月に行なわれた米韓合同演習、フリーダム・ボールト作戦のように、アメリカの本土から空輸されてきた部隊が沖繩で二十四時間待機して、そこでまあ装備をするだろうと思う。そうして南朝鮮に移動して戦闘行動を行なうという場合が事前協議の対象になるのか、あるいは、日本以外の基地から発進して爆撃作戦を行なっておるB52に対して空中給油を行なうためにKC135が沖繩から現在たくさん出て行っております。時間がないから私はこの証明はしないけれども、こういう場合に沖繩基地から空中給油を行なうような、こうした実際爆撃に行っているB52に油をついでやるという場合に、これは事前協議の対象になるのか。あなた方はここで、なるならぬの説明もしてほしい。しかし、私はもう時間がないから結論を言っておけば、あなたがここでどういうことを言ったところで、こういう問題についてアメリカときちんと詰めて、この場合は対象になりますよという証文を取っておかなければ、アメリカは何も相談がないからこういう理解でやるのだと、アメリカの理解にまかせてしまうことになる。だから、事前協議、しり抜けなんですよ。そこをどう保障されるかということを向こうでも答えてほしいし、最後に総理からアメリカと取りきめるつもりがあるのかどうか、これをひとつお答え願いたい。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 具体的な御質問は第一が演習の場合だと思いますが、演習は事前協議の対象にならないことは当然でございまするが、それが現実に戦争が行なわれておる際にどうであるかということだろうと思いまするけれども、その場合は、それが補給のために行くのか、あるいはすでにそこが戦場になっておりまして、直接戦闘作戦行動の一環として沖繩基地を飛び立つということでございまするならば、事前協議の対象となります。  第二の点は給油でございます。(「具体的に聞いておるのだ、具体的に答えなさい」と呼ぶ者あり)給油につきましては、給油自体につきましては事前協議の対象となりません。  以上でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 総理の答弁。取りきめの問題。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまのような状態でただいま別に不足の点はないように私は思っております。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 春日君、時間がだいぶん超過いたしましたから……。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は時間がないからこれでやめますけれども、まだ非常にたくさん大事な問題が残ったままで、時間が短かいために詰め切れないから、この次の機会にさらにこの点はもっと深く詰めてみたいと思いますから、この点留保しておきます。(拍手)

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で春日君の質疑は終わりました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 次に、青島幸男君の質疑を行ないます。  青島幸男君。(拍手)

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 昨日来、当委員会におきまして、返還協定そのものもそうでございますが、たいへんに核の問題に議論が集中しておったように私は伺いました。この核の問題は、日本の外交姿勢あるいは安全保障の基本姿勢にもつながる問題で、たいへん皆さん重要にお考えになって、そこに議論が集中するのは私は当然だろうと思います。そこで総理は政府を代表されて、核は持たず、つくらず、持ち込ませずと、この三原則を厳守していきたいというふうに再三お答えになっていらっしゃいましたし、それから、経済的にもたいへん豊かになってまいりましたし、持とうと思えば持てる実力がありながら、世界で唯一の被爆国である日本がそういうことを、持つようなことはしないのだ。それから、たとえ実験であっても、外国で行なわれている核爆発については強く抗議をなさっておる。そういう姿勢というものは実に高く評価されてしかるべきだと私は思います。それから、たとえ抑止力にいたしましても、核軍備というものを際限なく大きくしていっても、これは必ずしも各国の安全保障につながっていかないのだということを、率先、態度を明らかにしていくということは、国際的にも高く評価されてしかるべきだと私は思います。それに、そういう総理の考え方をふえんしてまいりますと、持たず、つくらず、持ち込ませずのほかに、そういう作戦行動なんかに手をかさないというところまで考えを押し進めていっても当然ではなかろうかと、私はこう考えるわけですけれども、総理に、この点御賛同いただけるかどうかをまずお伺いしたいと思います。  それから、あわせまして、野党側から、どうも疑わしい事実があるじゃないか、沖繩についても本土についても、核があるんじゃなかろうかという疑念を持たれる事実があるということを追及されて、昨日来たいへん議論になっておりましたけれども、それを野党側に追及されましてからそれでは調べましょうということではなくて、米軍と協力して、そういう疑いを日本の国民に持たせないように積極的に努力をして調べてみようというようなお考えがありますかどうか、この二点につきましてまずお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) つくらず、持たず、持ち込まさない、これはもう非核三原則といわれておるものであります。同時に、核の実験につきましても、私どもはそれぞれ、その重要性を考えて抗議をいたしております。また今後も続けるでありましょう。また、できるだけ早く核拡散防止条約、この調印したものを批准にまで持ち込みたい、かように考えておる次第でございます。私は、核兵器というものは、最近の状態から見れば、戦争抑止力というものは考えていいが、どうも戦争になったときにそれを使うという、そういうような兵器ではないような感がしてならないのでありまして、そういう意味からも、いままでの努力はそのまま続けていくつもりでございます。これは過日も衆議院における非核三原則についての決議において政府の意向を明らかにしたところであります。  同時にまた、ただいま、国内並びに返還後の沖繩に核基地のないことをもっと積極的に国民が納得するようにしろ、こういう点は御注意のとおりだと思いますが、私いま、事柄自身が、最高責任者である米国の大統領と私とが、返還後において核をなくするのだという約束をしておる。その約束がどうも疑わしいというような状態だから、もう一度よく調べろ、こういうことを言われると、これはどうも取りきめというものの権威、これを私はますます疑うようなことにもなるのではないだろうか。私どもの自信のあるところも国民はそれ相応に買うのではないかと思っております。何でも疑わしきは全部調査をする、こういうことで右往左往することは、必ずしも国民に安心感を与えない、かように私は考えますので、いわゆる疑わしきその状態等について、もっと資料が十分あって、これなら科学的にもどうも疑わしい状態じゃないか、これはほうっておけない、こういうことになれば、私どもは進んでそういうものを調査するつもりでございます。この点は衆議院でも答えたとおりでございまして、私自身がさような疑念を持つならば、それは積極的な態度を示します。しかし、どうも、ただいままでのところで皆さん方から示されたその状態では、私自身が出かける、こういうようなところまでにはまだなっておりませんということを申し上げておるわけであります。過日来のこの委員会における質疑応答をお聞きになりましても、皆さんの方のほうからは強い資料だと、こう言って提供される。また政府側としては、それは一応調べたがこういうことですというような説明をしておる。そのやりとりなどを聞いて、私はこれで納得をしていただきたいような感がいたすのでございまして、それより以上申し上げることはございません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 何しろわが二院クラブは四名しかおりませんし、割り当ての時間が二十分でございますので、簡潔にひとつお願いしたいと思うのですけれども、第三条に関する了解覚書のA表の問題でございます。今度は外務大臣にお尋ねいたしますけれども、A表というものはそのまま米軍に残されるというほうにグループされておるわけですけれども、よく調べてみますと、何ですか、ゴルフ場があったり慰安所があったりするじゃないかということで、たいへん疑念を持っている方も多いと思います。しかし、私調べましたところによりますと、通信基地というのがやたらに多いのですね。通信基地というのが多いのですよ。十三あるわけです。あの狭い沖繩に十三も通信基地があって、もう少し洗い直したら要らないものも出てくるんじゃないかと思っておりましたところ、慶佐次にロラン通信所というものがありまして、もう一つ調べますと、宮古島通信所というのがあるんです。そこにもロランというのがあるんですけれども、これは返還になることになっております。同じロランであるなら宮古島が返って慶佐次が返らないというのはどういうことなんだろうという疑問があるんですけれども、それにひとつお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩の基地の密度が高いということは私も十分承知しております。ことに沖繩本島の中部地域、この辺がたいへん稠密的になっておる。それから、いま御指摘のような、ゴルフ場の問題とかその他の慰安施設等の問題もあります。そういうようなことを承知しておりますので、A表は、ずいぶん詰めてみてそこへ来たんでありますので、返還時においては、そのままに実施したいと思いますが、その後において、それらの問題になる点の整理ができないかいませっかく苦心をしておるところでございますが、いま具体的なお尋ねの通信施設の問題につきましては、政府委員のほうからお答えをさしていただきます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 政府委員の方からはまたあとでお伺いすることにいたしまして、まず、外相がどういうふうにロランAとCというものを認識しておられるかということをお伺いしたいと思うんですけれども。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その点を政府委員からお答えさしていただきます。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) 御説明いたします。  御存じのとおり、ロランにはAとCがございまして、ロランCはロランAに比べまして有効範囲及び精度において格段にすぐれた性能を持っております。目下のところ、その利用者は、受信機の普及状況から見て、ほとんど軍用の船舶、航空機に限られています。わが国としても直ちにロランCを引き継ぎこれを運用することは困難な態勢でございます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私はその点について外相がどういう認識を持っておられるかをまず確かめたかったんでございますけれども、ロランAというのもロランCというのも双曲線航法というようなことで——私はここで専門家じゃございませんから浅薄な知識を披瀝したいと思いませんけれども——少なくとも、ロランCというものによりますと、太平洋上の大体六千キロぐらいの範囲内の位置で、デッカとかあるいはドップラー・トランスポンダーとかあるいは静止衛星などを併用して使いますと、相乗効果を発しまして、太平洋上の任意な一点で数十センチという誤差で位置を測定できるということだそうでございます。そういたしますと、調べましたところ、そのロランCの基地が沖繩にございます。フィリピンにもございます。グアムにもあるわけです。それから四十三年の小笠原返還協定の中で唯一の米軍基地として残されましたロラン局もございまして、これは南鳥島とそれから硫黄島にあるわけです。北海道の十勝太にもあるわけです。そうすると、はなはだしいことは、十勝太と——地図の上のことを御想像いただきたいんですけれども、十勝太と沖繩と結びまして、フィリピンを結びまして、グアムと南鳥島を結びますと、ロランのネット・ワークの中にすっぽりおさまってしまいます。その地域は大体中国本土とほぼ同じぐらいの西太平洋上の地位をさすわけでございまして、この範囲の中においては、数十センチという誤差で艦船がみずからの位置を測定することが可能なわけです。ということになりますと、ミクロネシア防衛線は沖繩の通信施設、特にロランCの存在によって完成されるということが明らかでございます。いままでの考え方ですと、通信施設と書いてございますと、何となく、レシーバーを当ててツー・トン・ツー・トンというか、「もしもし」というような感覚でしか受け取られないように思いますけれども、電波を操作することによって、太平洋上の任意な一点をきわめて的確に把握できるということは、ポラリス・クラスの潜水艦が核弾頭を持って軍事行動を起こせば、中国本土とほぼ同じぐらいの面積の中で有効かつ適切に行動ができるということです。その行動ができることをロランCの局が実はになうわけですね。ですから、太平洋上の任意な一点は、日本、沖繩を含めてロランという発信基地があるためにほとんど地続きであるというような考え方もできるわけだと思います。ですから公海上のことでございますし、公海上を核弾頭を持った船舶が航行し、しかもそこから実際に核弾頭を発射するというようなことがあっても、これは事前協議の対象にはなりません。ですから、この報復というような意味から考えますと、ある日突然慶佐次の送信所が爆撃された、何のことだろうと思ってみると、太平洋上の一点から発射された、ポラリス潜水艦から発射されたロケットによって攻撃されることをおそれた国が事前にそこを攻撃したということもあり得るわけでございます。ですから、あそこにロランCという送信所があるということは、「やみ夜の鉄砲」を可能ならしめるためのちょうちんであると言っても私は差しつかえないように考える。そうなりますと、実際に日本の国土の中にあるいは沖繩に核が置いてあるとか置いてないとかの問題ではなくて、実際に総理が再三繰り返して言われるような非核三原則というようなものの意味がたいへん希薄なものになってくるに違いないというふうな感じが私はするのです。そうなりますと、日本は持ち込ませないんだ、持たないんだ、つくらないんだと言っておりましても、その発信所が的確な位置を指示することができるというたてまえにおいて、日本は大きな意味で核戦略に加担をしているということになりはしないかと思うわけです。その点、総理、どういうふうにお考ええになりますか、ひとつ御意見を御披瀝願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと私によくわかりませんが、ただいまのお話では、攻撃を受けるという、そういうほうを言われましたが、何か防衛上も役立つのではないかと、かように思いますので、軍事専門家の話をひとつ聞きたいと思います。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) ロランをポラリス潜水艦が使う可能性があるかもしれませんけれども、もともと一般の艦艇、商船そのものが位置測定に使うわけであります。また、かりにポラリス潜水艦のことを考えますれば、ロランにたよらずに衛星で地位測定ができることになっておりますので、そのためにロランのステーションがやられるというふうには私どもは考えられません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 私は先ほどそのことを申し上げました。ですから、立体的に併用すれば精度が高くなるんだということを申し上げました。この去る八日にウエストモーランド陸軍参謀総長の冒頭証言にも「沖繩の通信施設は日本、韓国、台湾、フィリピンおよび東南アジアとそれらの水域の米軍の安全保障にとって不可欠である。日本——台湾——フィリピンの環を、沖繩を失って作り直すために代りの場所を見つけることは不可能である」ということです。たとえば、昔のように飛行機なり艦船なりが核弾頭を持ってそこまで運んで行って落とす、あるいは撃ち込むということは事実上時代おくれでございまして、実際にはロケットと、それからそれを誘導する施設と、それから核というものが、この三つが一体になりまして初めて戦略的な意味を持ち、あるいは防衛上の意味を持つわけですね。たとえば数多くあります通信基地の中にそのロケットを誘導する装置があるとします。そういたしますと、太平洋上の一点から打ち上げられたロケットを日本国の基地において誘導して、ある国のある目的の場所まで運んだといたしますと、これは大きく核の攻撃に加担をしたということになります。その辺について総理はどういうふうにお考えになりますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) ミサイルの発射について日本本土で誘導するような装置は全くございませんし、そういう心要はありません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 総理も御存じないかもしれませんけれども、私がちょっと調べましたところによりますと、飛ばしますロケットのほうに乗ります通信機の本体——送受信機ですね、それによりまして飛ぶわけですけれども、その送受信機の本体はたばこの箱ぐらいのもので十分だそうです。いまやもうICもトランジスターも盛んに開発されてまいりました。それから、それを誘導する施設のほうですけれども、これも大きな発信所が要るわけではなくて、ジープに乗せて運べるくらいの大きさのものがあればそれでいいわけです。ですから、そんなものはどこに置いてあるかということを一々チェックすることはできないでしょう。核に見まがうようなものが置いてあったということさえ明確に政府は認識したり把握したりしていらっしゃらないわけですから、米軍の基地の中にロケットを誘導するための電子基地があったとしても、それは認識のほかだ、一々そこまで追及することはできないのだということになりはしませんか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 私もミサイルの専門家ではございませんが、言うまでもなく、慣性弾道弾でありますから、慣性弾道弾ということは、発射のときに方向なり距離なり、それからいろいろ方位を測定をいたしまして、そこのところは誘導いたします。したがって、米本土なら米本土で誘導をしてあるところまで行けば、あとは自動的に慣性で向こうに着く。したがって、その計算装置というものは非常に膨大なものである。その膨大なものはアメリカ本土におそらくある。途中からは誘導いたさない。そこで、現在問題になっておりますたとえば多弾頭ミサイルなどは、自分で誘導していくということで、途中の国あるいは他の地域において誘導するというような装置は全然考えられておりません。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 これもたいへん失敬な話で、私もその程度のことは十分認識しております。それはなぜ慣性によってやらなきゃならないかといいますと、電波で誘導していると、その誘導電波に対する妨害があるということでその精度を失うので、あとは慣性として、これは爆弾としてそのまま離してしまう。慣性によって飛んで行ったほうが妨害されるケースが少ないということでそういうことになっているわけです。だから、先ほど申しましたような、太平洋上の一点が的確に認識できるということは、即座に地上基地のコンピューターと連結をいたしまして、どこどこへと、たとえば地球上からロケットを発しまして月へ持っていって月のまわりを何回か回って、しかも何日かたって太平洋上の一点に、何キロという誤差で着陸させることはできるわけです、現在は。ですから、そういう現在の電波というものを兵器というような概念で考えなければならない時点に来ているのじゃないかということを私は申し上げたいわけです。ですから、そういうふうに戦略上大きく差異を生じているわけです。第二次大戦のころとは全く違った考え方でものごとに対処していかなければならないと思います。ですから、通信基地とか通信所とかと書いてございますと、私どもは、どうも形而上的な問題で、どこまでどういうふうな作用をするのかよくわからないということで条約などの取りきめをしてしまうということは、たいへんに問題が多いのではなかろうか。それで、私は先ほど外務大臣に、ロランCとAについての認識の度合いはどの程度持っていらっしゃるのかということをお尋ねしたわけですけれど、ここまで話を進めてまいりまして、外務大臣、どうお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 通信基地はもとより軍全体の機能を維持するために必要だと、こういうふうに考えますが、これが国際法上どういうふうな関係になるか、そういうような点につきましては、御指摘の点もありますので、なお十分に慎重に検討してみたいと、かように考えます。

青島幸男第二院クラブ

○青島幸男君 ですから、戦術といい、内容といい、たいへんに変わってきているのだ、戦いのやり方が。そういうことで十年一日のごとく安保条約というものを昔ながらのとらえ方をしておりますと、これから先の進展著しい国際間の調和もうまくはかどっていけないのじゃないか。  それから、外務大臣がロランCとAというものを、あるいはロランCの持つ意味合いというものを十分に御認識をしていらっしゃらないで、返還協定に政府が調印したということに疑問をお持ちにならないとすると、これは内容も知らずにその契約書にはんこをつくというような、めくら判というような、たいへん実に重大な事態を巻き起こしているのじゃなかろうかという感じがいたしますし、なお、そういうふうに内容もよく洗っていないような協定を、強行採決ということで、ろくに審議も尽くさずに決定してしまったというあのやり方に対して、国民は大きな怒りを持っていると私は確信しております。その点一つだけお答えいただいて、私の質問を終わらしていただきます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私自身が一から十まで、一から百まですべて承知しておると、こういうことはありませんけれども、私どもの部下でありますとか、あるいは防衛庁の方々とか十分調査をいたしまして協定は調印をいたしておるわけですから、決してめくら判ではないということだけは申し上げさせていただきます。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 青島君の質疑は終わりました。(拍手)  以上で本日の質疑は終了いたしました。  次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会します。    正午散会     —————————————

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