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67回国会参議院1971/12/08

沖縄返還協定特別委員会 第2号

発言数
274
登壇者
18
会派数
4
開催日
1971/12/08

会議録

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) ただいまから沖繩返還協定特別委員会を開会いたします。  委員の異動につきまして報告いたします。  十一月十七日稲嶺一郎君が辞任せられ、その補欠として高橋邦雄君が選任せられました。  次いで、同月二十四日中村正雄君、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として柴田利右エ門君、大矢正君が選任され、同じく二十六日三木忠雄君が委員を辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。  また、十二月一日山田勇君が委員を辞任され、その補欠として青島幸男君が選任され、また、本日中村波男君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 委員の異動に伴い、理事が欠けております。この際、補欠選任を行ないます。選任につきましては、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に大矢正君、松下正寿君を指名いたします。  春日正一君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ざごいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 御異議ないと認め、辞任を許可することに決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行ないます。理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に星野力君を指名いたします。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件  を議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取します。  福田外務大臣。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま議題となりました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案の理由を御説明いたします。  佐藤総理大臣とニクソン大統領は、昭和四十四年十一月にワシントンで行なわれました会談において、琉球諸島及び大東諸島の地位について検討し、これらの諸島のわが国への早期復帰を達成するための具体的取りきめ関して日米両国が直ちに協議に入ることに合意いたしました。  自来政府は、米側との間に協議を行ない協定案作成の作業を進めました結果、これにつき最終的合意に達しましたので、さる六月十七日にわが方愛知外務大臣と米側ロジャーズ国務長官との間で、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に署名するに至った次第であります。  この協定は、前文の本文九カ条からなっております。その内容といたしましては、協定の締結に至る経緯を述べた前文に続きまして、まず、米国は琉球諸島及び大東諸島に関し平和条約第三条の規定に基づいて与えられた施政権を日本国へ返還する旨が規定され、次に日米安保条約及び関連諸取りきめその他の日米二国間の条約は協定の効力発生の日からこれらの諸島に適用される旨が確認されております。いわゆる施設・区域の提供につきましては、日本国は日米安保条約及び関連諸取りきめに従い協定の効力発生の日に米国に対しこれらの諸島における施設・区域の使用を許すことが定められ、また、請求権問題につきましては、日本国は米国の施政期間中にこれらの諸島において生じた対米請求権を放棄いたしますが、この放棄には、この期間中に適用された米国の法令またはこれらの諸島の現地法令により特に認められる日本国国民の請求権の放棄を含まないこと及び米国政府は高等弁務官布令第六十号によって原状回復のための支払いの対象となった土地と同様の損害を受けながらその対象とならなかった土地の所有者に対し、この支払いとの均衡を失しないよう原状回復のための自発的支払いを行なうこと等が規定されております。  この協定は、さらに、日本国は民事事件及び刑事事件に関し、原則として琉球政府裁判所及び米国民政府裁判所がした最終的裁判の効力を認め、係属中の事件につきまして裁判権を引き継ぐ旨を定め、また、琉球電力公社、琉球水道公社及び琉球開発金融公社の財産並びに復帰の日に米国に提供される施設・区域外にある米国政府の財産は原則として日本国政府に移転されること、さらに米国保有の埋め立て地は日本国政府の財産となることをも規定いたしておるのであります。  次に、日本国政府は、米国の資産が日本国政府に移転されること、米国政府がこれらの諸島の返還を一九六九年十一月二十一日の佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること、米国政府が復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮いたしまして、協定の効力発生の日から五年間に三億二千万ドルを米国政府に支払う旨を規定しております。  この条項で注意いたすべきことは、すでに日米両国間条約の適用の確認の条項を通じいわゆる「本土並み」返還が協定上も確保されるに至ったことに加え、いわゆる「核抜き」につきましても、佐藤・ニクソン共同声明の関係部分の骨子が条文化されることにより協定上これが確保されていることであります。  その他、VOAにつきまして、日本国政府は、協定の効力発生の日から五年間沖繩島におけるVOA中継局の運営継続に同意すること及び両国政府は同日から二年後にVOAの将来の運営について協議に入ることが規定されております。  この協定は、東京で行なわれる批准書の交換の後二カ月で効力を生ずることになっており、沖繩の復帰は、まさにこの協定の効力発生の日に実現するわけであります。このようにして沖繩の祖国復帰という、戦後二十数年間にわたる沖繩同胞をはじめわが国国民すべての悲願と戦後歴代内閣の最大の政治的課題が解決を見ることとなり、いよいよ実現の運びとなりますことは、政府の最も欣快とするところであります。  沖繩の返還がこのように円滑に合意され、実現の運びに至った背景には、返還を期待してやまない本土、沖繩の国民の熱意とともに、戦後の友好的な日米関係があったことは申すまでもないところであります。平和条約第三条の規定に基づく米国政府の施政は、この協定による沖繩返還をもつて完了いたしますが、これは、一そう深い友情と理解に根ざした新たな日米関係の始まりを告げるものとなるものと確信いたします。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 次に、政府委員から補足説明を聴取いたします。  井川条約局長。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 外務大臣よりすでに本会議において趣旨説明、本委員会において提案理由の説明がございましたので、私は、できるだけ重複を避けて補足説明を申し上げます。  協定第一条一項は、米国は琉球諸島及び大東諸島に関し、一九五一年九月八日署名された対日平和条約第三条に基づく「すべての権利及び利益」を、この協定の効力発生の日からわが国のために放棄し、わが国は、同日に、これらの諸島の領域及び住民に対する行政、立法及び司法上のすべての権力を行使するための完全な権能及び責任を引き受ける旨を規定しております。協定の前文の第三段及びここにいう「平和条約第三条の規定に基づくすべての権利及び利益」という表現は、奄美返還協定及び小笠原返還協定の前文及び第一条の表現を踏襲したものであります。平和条約第三条は、米国が南西諸島等を信託統治制度のもとに置くことを提案する場合には、わが国がこれに同意する旨及びこれが国連で可決されるまで米国がこれらの地域の領域及び住民に対して行政、立法及び司法のすべての権力を行使する「権利」を有する旨を定めておりますが、三つの返還協定の前文及び第一条で「権利及び利益を放棄する」といたしましたのは、単に「権利を放棄する」とだけの表現にした場合には、右の平和条約第三条の後段の三権を行使する「権利」のみが放棄されたが、同条前段の信託統治に関して米国が有している地位のほうは放棄されていないと誤解されるおそれがありますので、これらすべてが放棄されていることにつき紛議の余地なからしめるため、奄美返還協定以来「すべての権利及び利益」を放棄するという表現をとっている次第であり、今回も事態は全く同様であるので、これにならったものであります。  協定第二条は、日米安全保障条約及び関連諸取りきめ、友好通商航海条約等の日米間の条約はこの協定の効力発生の日から琉球諸島及び大東諸島に適用されることを確認しております。奄美返還協定においては、日米両国が当事国である多数国条約の適用についても触れられておりますが、小笠原協定以来私どもは、多数国条約が返還地域に適用されるのは当然であるがこれを日米間の協定で確認するのは適当でないと考え、今回の協定にも多数国条約については触れておりません。多数国条約の沖繩への適用上問題となる条約といたしましては、道路交通に関する条約がございます。同条約によりますと、一国内の道路交通は、右側通行または左側通行のいずれかに統一されていなければならない旨規定されておりますが、沖繩は右側通行でございますので、この条約の適用上問題があるわけでありますが、政府といたしましては本条約当事国に対し事情を説明して了解を得る手はずにいたしております。  協定第三条一項の「……安全保障条約及びこれに関連する取極に従い、この協定の効力発生の日に、……施設及び区域の使用を許す」とは、施設・区域提供の具体的手続としては、本土で行なわれているのと同様に、地位協定に基づく合同委員会を通ずる個々の協定によって行なわれることを意味しており、したがって、復帰の日に米側に提供されることとなる施設・区域は、復帰の日に合同委員会を通じて締結される各施設、各区域に関する個々の協定をまって法的に確定されることとなるわけでございます。ただ、米側が現在使用している設備…用地のうちいかなるものが復帰の日に施設・区域として提供され、また、いかなるものが提供されなくなるか等は、沖繩の関係県民の方々にとってはきわめて関心の深い問題であり、現地の要望も念頭に置きこの問題をあらかじめ日米両政府間で討議しておくことは、双方の計画、予算措置その他の準備の上からも有意議でございますので、かかる討議の結果を取りまとめたものが沖繩における施設及び区域に関する了解覚書でございます。  協定第三条二項は、米国に提供される施設・区域が後日返還されることとなる際は、米国との相互協力及び安全保障条約第六条に基づく地位協定第四条の適用上、米国は当該施設・区域をそれが米国軍隊によって最初に使用されることとなったときの状態に回復しまたはそのかわりにわが国に補償する義務を負わず、また、わが国は、当該施設・区域に対しこの協定の効力の発生の日前に加えられた改良について米国に補償する義務を負わない旨を述べております。したがいまして、復帰後も引き続き米国が使用する施設・区域が返還される際は、そこに残された残存価値は、沖繩の復帰前に米側が附加したものも含め、日本政府の所有に帰することとなり、また、原状回復が必要なる場合には、本土における施設・区域の場合と同様、わが国政府がその責任において処理に当たることとなるわけであります。  次に第四条でございます。政府は、返還協定において請求権問題の処理を行なうにあたり、沖繩県民の方々の個々の請求の具体的内容やその基礎となる被害の詳細な実態を調査することは行ない得べくもなかったのでありますが、琉球政府の要請書、琉球立法院の決議あるいは軍用地地主会連合会の要請書等を基礎に、当時琉球政府から得られた限りの資料を検討して、できる限り県民の方方の請求の実態把握につとめた次第であります。その結果、まず、第四条二項に見るとおり、米国の施政期間中沖繩に適用された米国の法令または沖繩の現地法令により認められる日本国民の対米請求権については復帰後も米国政府が引き続きこれを処理することとなり、米国政府はわが国政府との協議の上定められる手続に従って復帰後そのような請求権を処理するための職員を沖繩に置くことが許されることとなった次第であります。このような請求権の詳細については合意議事録に述べられております。  次に、このような法令上の根拠はなくとも、実態的に見て米国が処理すべきであると考えた軍用地の復元補償漏れと那覇軍港の海没地の問題については、それぞれ協定第四条三項及び交換公文に定められているとおりの方式で、同じくアメリカにこれを処理せしめることとした次第であります。政府といたしましては、この協定における右に述べたごとき処理は法律的には可能な限度の妥当なものと考えております。そして第四条一項は、平和条約発効後この返還協定発効までの沖繩における米国の施政期間中に米国の軍隊または当局の存在、職務遂行等から生じたわが国及びわが国民の対米請求権を放棄する旨を規定したものでありますが、同規定は、すでに御説明いたしましたところからも明らかなとおり、第四条二項、三項及び交換公文により米側が処理することとなるもの以外のものについて、復帰後わが国が米国に対してこれを取り上げないこととし、もって施政権返還に際し、日米両国間においてこれらの問題につき結着をつけることとしたものでございまして、沖繩における米国の施政権の終了という事態においてはかかる措置はやむを得ざるものと考えております。  なお、海没地の問題の解決に関する交換公文は、米側が現に保有している埋め立て地に言及しております。米国が沖繩において造成した埋め立て地で施政権返還時に米側が保有しているものは、返還協定第六条三項によりまして、施政権返還に伴い当然にわが国に帰属するものであります。しかし、米国が復帰前にわが国政府と協議の上かかる埋め立て地を必要な限度において処分し、もって那覇軍港海没地の補償問題の解決をはかることは、妥当な処理と考えられ、本件交換公文において米側により解決することを明らかにしたものであります。  第四条四項は、平和条約第三条に基づき沖繩の施政権を米国に認めたことのいわば当然の帰結として、かかる施政期間中、米側の当局がその施政権の行使としてみずから、あるいは現地当局を通じて行ない、同期間中適法に成立していた作為、不作為の効力を施政権返還前にさかのぼって無効としないことを確認するとともに、かかる行政措置の命令者ないし執行者の民刑事責任を問題としない旨を規定したものであります。  第五条は、裁判に関する規定でございます。  民事裁判に関しては、復帰前後の沖繩における法的安定性を維持しつつ円滑な復帰をはかるという観点から、奄美群島復帰の際と同様、沖繩における裁判所の最終的裁判の効力は公の秩序または善良の風俗に反しない限りその効力を認めることとし、係属中の民事事件についても、その裁判権を引き継ぎ、かつ、引き続き裁判及び執行をすることといたしました。  刑事裁判についても復帰前後の沖繩の社会秩序を維持し、沖繩の円滑な復帰をはかる上に必要不可欠であるとの観点からこれを原則として引き継ぐことといたしました。なお、沖繩におきまして、奄美群島返還の際適用されたいわゆるやり直し方式をとらなかったのは、かりに、復帰前の沖繩の刑事裁判についてこれをやり直すこととすれば、復帰前に生じた種々の法的効果がくつがえされ、また、復帰前の犯罪の多くが復帰後放置されることともなりかねず、かくては、復帰前後の沖繩の社会秩序の混乱を来たすことになるからでございます。  なお、第五条に関する合意議事録第二項において、裁判権や執行を引き継ぐべき裁判所の対象を琉球政府の裁判所と米国民政府の裁判所に限ることを明らかにしており、米国の軍法会議は引き継ぎの対象とはなっておりません。  第六条は、資産に関する条項であります。  同条一項においては、琉球電力公社、琉球水道公社及び琉球開発金融公社の財産がこの協定の効力発生の日にわが国政府に移転し、また、これらの公社の権利及び義務は、わが国政府が日本国の法令に即して引き継ぐ旨が定められております。  同条二項においては、この協定の効力発生の日にこれら諸島に存在し、かつ、同日に提供される施設・区域の外にある米国政府の財産は、原則としてすべてわが国政府に移転される旨が規定されております。この規定に従って移転される財産は、合意議事録に掲げられております。  このように協定上三公社の財産とその他の財産とを分けて規定いたしましたのは、三公社の場合には、権利義務を含めた企業体としてそれぞれの業務を中断することなく引き継ぐ必要があり、また、これらの企業体としての性質にかんがみまして、その設備等の一部が復帰の日に提供される施設・区域の中にあろうとなかろうとこれらを引き継ぐ必要のあるためであります。  第六条四項は、米国は三公社等この第六条一項及び二項の規定に従ってわが国政府に移転する財産の底地の復元補償義務を負わない旨を規定しておりますが、これらの用地については、日本政府、三公社の後継機関等が引き続きこれを使用することとなっており、その用途の公共性ないし恒久性からして、復帰後において当該用地の明け渡しと原状回復という事態は、現実には予想されません。しかし、もし、将来三公社等の用地の明け渡しと原状回復が必要になった場合には、当該用地を使用している者が原状回復を行なうことになります。  第七条は、いわゆる支払い条項であります。協定上内訳はございませんが、交渉の結果として総額三億二千万ドルで合意したものでありまして、その主たるものは協定第七条に記されておりますが、資産の引き継ぎで一億七千五百万ドル程度、退職金負担で七千五百万ドル程度、核の撤去などを考慮して七千万ドル程度が適当であると判断したものであります。  第八条におきましては、沖繩島におけるVOA中継局の運営の継続を五年間認めております。そして協定署名の際、愛知外務大臣とマイヤー駐日大使との間に交換された「ヴォイス・オヴ・アメリカ中継局の運営の継続に関する交換公文」において詳細が規定されておりますが、それによれば米国政府は中継局の与える混信その他の障害をできる限りすみやかに除去する旨、米国政府は中継局の活動に関して生ずる請求を公正かつ迅速に解決する責任を負う旨、中継番組に関する責任は米国政府のみが負うがわが国政府は必要に応じその番組につき自己の見解を表明する権利を留保し、米国政府はそのような見解を尊重する旨等が定められております。  第九条は、この協定は批准書交換の日の後二カ月で効力を生ずる旨を規定しており、この効力発生の日に沖繩の施政権返還が実現するわけであります。このように批准書交換の日の後発効まで、二カ月の間を置きましたのは、沖繩返還にあたっては、わが国法令の適用準備その他日本側で行なうべき最終段階の復帰準備は膨大なものとなることは言うまでもなく、米側の準備についても同様でありますので、諸般の準備に遺漏なきを期するため、準備期間を二カ月とすることが妥当であろうとの点につき日米間に意見が一致したものであります。  以上補足説明を終わります。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で趣旨説明及び補足説明は終わりました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) この際、委員長より理事会の経過について御報告をいたします。  明九日午前中に各会派一巡の質疑を終えることとし、配付のとおりの各会派持ち時間を決定いたしました。これは答弁を含め、かつ、関連質疑を含めた時間帯であります。したがって、委員長といたしましては、政府側においては簡明直截な答弁をお願いいたします。  なお、本日二、三閣僚の、所用のため欠席をされたい申し出がありましたが、極力今後そのようなことのないように御配慮を願います。  また、予定どおり割り当て時間を消化いたしますため、不測の事態につきましては、別途理事会で協議することとし、円滑に議事の進行ができますよう委員各位の御協力をお願いいたします。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) これより質疑に入ります。  羽生三七君。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 質問に入るに先立ちまして、一言、どうしても申し上げておかなければならないことがございます。  それは沖繩同胞並びに日本国民全部が重大な関係を持っているこの沖繩返還協定について、衆議院におきまして、あのような不当不法な採決が行なわれたということが第一であります。  第二は、このようなことが参議院での自然成立を計算しての強行採決であったことは間違いありません。したがいまして、これは参議院の存在、二院制の意義そのものを無視する非常な、無謀な手段であることをあげなければなりません。  第三番目には、沖繩返還協定のあり方及びその内容そのものに対する糾弾を、あたかも沖繩返還そのことに反対するがごとく、デマゴーグにすりかえられることははなはだ遺憾でありますから、この機会に明確にいたしておきたいと思います。これは答弁は要りません。  以上の三点を私は質問に入るに先立って申し上げて本論に入りたいと思います。  まず最初に申し上げたいことは、沖繩返還協定に関連する諸案件の個々の内容につきましては、これから以後、同僚議員が詳細にわたって質問を行ないますので、私は主として、この沖繩返還協定に関連して、その背景をなす国際情勢とそれに対する政府の認識と方針をただしまして、そのことによって沖繩返還協定の本質を明らかにしたいと思うものであります。  まず第一に、この返還協定は事務レベルでの個別的、技術的な日米折衝はあったにしても、沖繩協定の背景をなす国際情勢、特にアジア情勢について日米間にトップ・レベルの十分な話し合いがなされていたのかどうかということであります。もちろん、一九六九年、佐藤首相とニクソン大統領とのいわゆる日米会談、それに基づく日米共同声明が示されておることは言うまでもございません。しかし、そのような合意がなされたことは事実であるけれども、しかし重要なことは、変化はその後に起こっているということでございます。すなわち、その後キッシンジャー大統領補佐官の再度にわたる訪中、そして、それに伴うニクソン大統領の訪中の計画が発表されておることは言うまでもございません。さらに、過ぐる十一月には台湾国民政府にかわって中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府として、国連の圧倒的多数の国々の支持を得て、新たに国連に議席を占めたことも言うまでもないことであります。また、これより先南北朝鮮におしては赤十字社を介して、すでに何回にもわたる接触が行なわれております。これに関しては朴政権の新しい政策が出ておりますが、これはあとに申し上げます。さらに、言うまでもないことでありますけれども、ベトナムにおけるアメリカの撤兵計画、これはわずかではあるが前進しておることも事実であります。しかし、それにしても、これら一連の国際的な諸問題は、一九六九年佐藤・ニクソン会談以後に起こった変化でございます。これらの諸問題をアメリカのアジア政策の根本的な変化と見るか、あるいはまた、これがニクソン・ドクトリンとも深いつながりを持つものではあるにしても、この変化はアジアにおける緊張緩和の要因と見なすべきかどうか、これは人によりましてそれぞれ認識の違いがあると思います。私も私なりの見解を持っております。それはとにかくとして、それが根本的な変化ではあり得ないにしても、それが重要な変化であり、またアジア情勢の重要な変化要因であるということは当然間違いのないことだと思います。また、日本にとりましても、これは重要な変化要因であることは間違いございません。このような場合に、沖繩返還協定にとっても、これらは不可分の関係を持つと思います。しかし、このような重要なアジア情勢の変化について、日米間のトップ・レベルでの何らかの話し合いが行なわれないということ、私はこれは理解できない。先ほども述べましたように、一九六九年いわゆる佐藤・ニクソン会談があったといたしましても、その後の変化に対応する日米トップ・レベルの会談がどれだけなされたかということであります。私はよくいわれるような、アメリカから何分前に知らされたとか、あるいは何時間前に知らされたとかいうようなけちな質問はする意思はありません。私の言いたいことは、日米共同声明以後の変化に対応して、技術的な問題としてではなく、日米最高者脳の基本的な問題としての話し合いがなぜなされなかったかということであります。これは日本の進路をきめ、方向を選択する上での高度の政治的な、あるいは外交的課題であり、また、沖繩返還のあり方そのものに関連する重要な前提条件ではないかと思います。総理のこの点に対する御見解をまず伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。一九六九年にニクソン大統領と私と会いまして、いわゆる共同声明を発しました。それが今回の沖繩返還協定の基礎になっておることは、ただいま御指摘のとおりであります。このときの国際情勢から申しますと、あの共同声明でベトナム条項が一つあります。これをたいへん国内でも心配しておられたと思います。しかしながら、返還協定作成にあたって、アメリカ側からいわゆるベトナム条項なるものについての意見はほとんど出てない。まあ、これがたいへんな国際情勢に対応した返還協定の進め方だと、かように思っております。かような状態で、私は円滑にすべてが進捗いたしておりますので、いわゆるトップ・レベルの会談を必要としなかったと、かように御理解をいただきたいと思います。私が一九六七年にジョンソン大統領と最初に会ったとき、そうしていわゆる小笠原の返還協定を取りつけ、その際に二、三年後に沖繩問題と取り組むという、そういう約束をした。これが基礎になり、さらにただいま申し上げるように、ニクソン大統領との間の共同声明で今回の問題がスタートしたと、しかも、その中には私どもが心配していた条項がありましたが、そういうものがなくて円滑に進んだこと、いわゆるこれがわれわれが期待するような平和の方向へすべてが動いていると、そういう証左ではないだろうかと、かように思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その会談の際の日米共同声明には台湾や朝鮮の問題に触れておりますですね。ところが、その会談以後に、台湾問題を中心とするいわゆる中国の国連問題についての変化が起こったわけですね。これは根本的な変化ではないにしても、私は重要な変化だと思う。そういうことについての根本的な討議が何ら行なわれることなしに、事務レベルで私はこの協定がつくられたのではないかと思う。それはアメリカの極東戦略の変化に伴う基本的な問題との関連なしに、この沖繩返還協定がつくられたことに根本的な問題があります。これは漸次お尋ねをいたします。  次の問題は、第一に政府は、沖繩の米軍基地、特殊部隊等をはじめとするアメリカの軍事上の諸機能ですね、これについてこれを徹底的に整理縮小して、文字どおり本土並みにするという基本的な意思なり方針を持っているかどうかということであります。すなわち、基本的にはそういう意思、方針を持っておるけれども、アメリカがそれを受諾しないのでやむを得ない、しかたがない、そういう立場をおとりになるのか。それとも、日米安保条約のたてまえから日本政府自身としても米軍の機能を存続させることに特別の異論はない、ある意味では米軍の駐留を希望するという立場があるのではないか、それはどちらなのかということ、徹底的な整理縮小をほんとに期待しておるのか、——あらゆるものを含みますよ、この場合には。そうなのか、そうではあるけれども、アメリカが聞かないからやむを得ぬというのか、日本自身もある程度アメリカに駐留してもらって機能を残してもらわなきゃ困るということなのか。この辺を十分明確にしていただきたい。これは実に基本的な問題でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の国は日本で、日本の手で守る、いわゆる日本が自衛隊を持っておることは御承知のとおりであります。いわゆる軍備、さようなものは持ちまんせけれども、みずからを守る自衛手段、これは講じておる。しかしながら、国際情勢に対応してそれだけでは不十分だと、こういう意味で私どもは日米安全保障条約を結んでおる。社会党がこれに対して反対しておられることも承知いたしております。したがって、わが国の自衛隊のその力の足らない点を補うと、こういう意味において日米安保体制、これのあることは御承知おき願いたいと思います。しかし、これは本土と沖繩を通じてすべてが一体として運営さるべきものだと私は理解しております。ただ問題は、沖繩の施政権がアメリカにある限りにおいてアメリカの沖繩における軍基地、これはたいへんな独自のものでございます。しかし、今度沖繩が祖国に復帰すれば、これが日米安全保障条約のワク内にとどまると、こういうことは当然アメリカも予想したことでありますし、また、われわれもそれより以上に特にアメリカの兵隊、力にたよらなきゃならないいと、かようには考えておりませんから、この安全保障条約の範囲内において提供すべきものは提供し、また同時に、その機能として期待するものもございますけれども、ただいまのような状態をそのまま、あるがままの姿で私どもは期待はしない。したがって、今日まで問題になっておりますように、まず毒ガス兵器、これの撤去あるいは核兵器がないこと、返還時は少なくともこれだけは絶対にないということを保証してほしいと、こういうことで大統領と私との間の約束もでき、同時にまた、そういう点についての国会におけるパッカード次官等の証言も行なわれたわけでございます。私は、そういうことも考えながら、過日衆議院で行なわれたように、基地をさらにもっと縮小整理すべきだ、こういうような決議に対しても、積極的に政府の態度もこれにこたえておりますので、そういう点では誤解がないように十分これから整理統合、縮小の方向に進むべきだと、かように考えております。ただ、現在施政権がアメリカにある、その状態のもとにおいてこれが日本に返る、その経過的な措置としての状態はある程度認めざるを得ないと、かように思っておりますので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 昨年の五月九日、本院の外務委員会において私は次のように総理にただしました。すなわち、沖繩返還協定を結ぶにあたっては米国の極東戦略がグアム・ドクトリン以後どう変化するかという基本なしに事務レベルだけで進めることはできないであろう、この点はどう考えるか、こういう質問をしたのであります。これに対して総理は次のように答えております。これは速記録どおりであります。「そのとおり考えている、いまは国会中で関係者が相談していないが、言われるような方向で、国会が終われば十分相談して取り組むつもりだ、米国の一部の人人は沖繩は太平洋のかなめ石、永久基地だと言うが、そこにこだわるなら沖繩を返すはずがない、米国に施政権があって初めてかなめ石の役割りを果たせるのである、沖繩の基地は返還後は本土と同様の基地となりかなめ石の性格は変わる、日本の施政権下で沖繩がいままでと同じような使い方をされることはごめんこうむりたい、基地の撤去縮小は時間がかかろうがそういう方向へもっていきたい」、こう答えております。いま紹介したさきの答弁からすれば、沖繩の米軍基地及び諸機能を本土並みに徹底的に整理縮小することが基本方針と受け取れる、そのとおりほんとうにおやりになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまも同じような考え方で、別に変わってはおりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それではお伺いします。  アメリカはニクソン・ドクトリン以後といえども沖繩の基地をなお太平洋のかなめ石的存在と考えている、そういう位置づけをしておるのではないかと思います。今日の沖繩における米軍の諸機能を早い機会に本土並みにできる確信がほんとうにおありになるのかどうか。たとえば沖繩につきまして十月二十五日、これは衆議院でも質問があったかと思いますが、ウエストモーランド米陸軍参謀総長は、依然として西太平洋におけるきわめて重要な戦略的価値を有しておる——これは沖繩であります——その機能は日米安保条約の適用によって低下することはないと、こう言っておるわけでありますね。アメリカがこのような強い態度を持っておっても、なおかつ、沖繩の基地機能を本土並みにできる確信をほんとうにお持ちになるでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんニクソン・ドクトリンが出されてからいわゆるアメリカの軍事体制もこのニクソン・ドクトリンに相応したと、そういうような戦術転換が行なわれておることは御承知だろうと思います。これが毒ガス撤去にいたしましても、その他の点にいたしましても、ジョンストンその他の島々に、グアム等にそれぞれの基地が移される、そういうような状況に変わってきておるということは御承知だろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 実はこれは往復時間ですから、詳細に反論できないのははなはだ遺憾でありますが、ところで総理は、私がさきに引用しました外務委員会における私の質問に答えた中で、いまは国会中でできないが、国会が終われば言われるような方向で十分相談したいと、こう言っておるわけですね、取り組みたいと。その言われるような方向とは、沖繩返還協定を結ぶには単に事務レベルの折衝だけではだめだということですね。日本政府当局としてアメリカの極東戦略がニクソン・ドクトリン以後どう変化するかというこの点を十分話し合えということであったわけであります。総理はそれに取り組みたいと答えた。こういうような点について十分な話し合いがなされていなかったんではないか。結局沖繩返還協定はそういう基本的な討議なしに単に事務レベルの技術的、事務的な作業に終わったのではないか。問題の本質はここにあるんじゃないか。ところが、現実とこの協定との間に数々の際限のない矛盾がここに出てくる。それは私はそのためだと思います。基本的な戦略と沖繩の地位との関連に対するトップレベルの会談なしで事務レベルの折衝にまかしたというところに根本的なこの沖繩返還協定のあやまちがある、こう思います。アメリカとしては、沖繩の米軍の基地及びその機能をそこなうことなしに基本的にはそのままの形で——若干のことはあるでしょう——そのままの形で返還するという、そういうことしか考えていないんじゃないでしょうか。これはかつていわれたように、要するに、いわゆる分離返還ですね、そういう形のものとしか考えられませんが、重ねてもう一度この点をお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) トップレベルとおっしゃるのはいわゆる大統領と総理と、こういうことを意味しておられるのか。私は必ずしもそうではないと、少なくとも閣僚級で話し合えばその御要望にこたえておるのではないかと、かように思っております。私はさような意味で閣僚自身がこの問題、返還協定と取り組んでおると、この事実はそのままひとつお認めをいただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 おそらく前愛知外相が、この問題に事務当局以外に外相としても取り組まれたことは知っております。けれども、少なくともこのニクソン・ドクトリン以後の極東戦略の基本的な問題について論議したと私は考えられません。それはむしろ懇請的ですね。お願い申し上げる形の事務的折衝であったことはもう間違いないと思います。しかし、これは水かけ論になりますから、その次に移りますが、明春の佐藤・ニクソン会談についてはあとからお尋ねいたします。  この際お尋ねいたしたいことは、衆議院の特別委員会での非核と沖繩基地の縮小とが決議されておりますけれども、このうちの核の問題につきましては、さきに岩国基地、それから先般横田基地、また昨日は公明党の方から厚木にもあるように言われております。現在、現実に存在するかどうか私にはよくわかりません。しかし、存在する、あるいは存在した。存在するかあるいは存在した可能性は十分はらんでいるのではないかと思う。なぜなら、日本がアメリカの核抑止力に依存しておる限り、沖繩の潜在主権が日本にあったと同様に、アメリカは核についての潜在的権利を持っていると確信しておるのではないかと思います。日米双方の国会でどういう発言があったといたしましても、日本がアメリカの核抑止力に依存する場合、アメリカとしては日本の国土に核を置けない限り、どこかに置かなければならない。これはポラリス潜水艦か、グアム島か、日本の近隣のいずれかの国か、あるいはアメリカ本土か、それはわからないが、またもう一つは、それは戦術核と戦略核の問題もある。これも関連があるでしょう。しかし、それらの問題はあるにしても、どこかに配置しなければならない。この場合、アメリカは日本に核の持ち込みを拒否されておる。ところが、日本は防衛政策、安全保障政策の根幹に、いわゆるアメリカの核抑止力というものを持っておる。わが国土に、ましてや沖繩に核の存否が論議されるということは、アメリカの核抑止力に依存する限り、今後も起こり得ることではないでしょうか。今後も私はあり得ることだと思う。アメリカは日本の立場をそれほどよく理解して日本に都合よく核政策を考えてくれるのかどうか、これはきわめて基本的な問題だと思います。結局、アメリカの核抑止力に依存する限り、日本が、あるいはこれから脱却せぬ限り、今後といえども、この種の疑問はつきまとうのではないかと思う。私は、アメリカがそれほど日本に好意的であると、なかなか理解しにくい。今後も私はこの問題は起こると思います。これは基本的な問題だと思いますので、お伺いをいたしておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 現状、沖繩にどういうような装備をしておるか、これは私どもの関知しないことです。少なくとも返還後において核がないこと、これだけははっきり確約を取りつけたというのが実情でございます。私とニクソン大統領と、最高責任者がそれを約束をした。これより以上のことはないように思いますけれども、しかし、どうも核のないということを証明することはなかなかむずかしい。そこで、いろいろ疑念も生じ、またいろいろ疑いも持ち、不信があるというようなことで、いまのようなお話も出てまいります。政府とすれば、さらにもっと確信を、何か地域住民、同時にまた日本国民に与える方法はないか等についても、さらにその方法を考えておるようなことでございます。私は内地における、本土においての核はないと確信をしておりますが、これとても、いまあげられました岩国だとか、横田とか、あるいはその他の地域においてもとやかくの疑念を持たれておる。こういうようなことを払拭することは、政府としても当然必要なことだと、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ほんとうなら、この核抑止力、抑止政策に関連する問題をここで議論したいのですが、時間の関係でただいまの問題を続けますが、核弾頭そのものは沖繩返還後なくなるかもしれませんが、しかし、核のシステムや部隊は存在すると思いますね。これはなくなるのかどうか、もしこれが存在すればいつでも持ち込める可能性を持っておると思うんです。それに関連してお伺いしたいことは、たとえば七千万ドルの撤去費ですね、核の。これは核弾頭だけの撤去費を言うのか。核システム、核の諸施設を全部撤去することを言うのか、これは明確にしていただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それは核並びに核に関する諸施設を含む意味で。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それでは今後核弾頭はもとより核に関する諸施設は全部本土、沖繩から完全に撤去される、こう理解してよろしゅうございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 核に関する施設は本土にはもうないことは繰り返し繰り返し申し上げておるところでございますが、沖繩におきましても同様に相なる次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この問題は口先だけでは解決できない問題でありますので、おそらくいろんな形で今後もこれは問題が提起されると思いますから、これ以上申し上げません。あとのそれを確認する方法につきましては、日米会談の問題に触れる際に申し上げたいと思います。  ところで、アメリカの上院における沖繩返還協定に関する公聴会の冒頭証言で、ロジャース国務長官は次のように言っております。米国としてはニクソン・ドクトリンに沿いながら安保条約に基づく日本への約束を尊重し、核の保護を提供し続けることになる。米国が太平洋国家であり続けることの重要性はいかにわれわれが重んじているかは日本及び沖繩基地構造を依然維持し続けることにある、こういうものであります。つまり、核は提供するし、沖繩の基地構造はそのまま維持するという、これが冒頭証言ですね。ロジャース国務長官のアメリカ上院における公聴会の冒頭証言です。このようなアメリカの方針のもとでなお衆議院の特別委員会の決議が十分生かされるような処置がほんとうにとれるのかどうか。総理はそれに対して取り組む場合には、これは私は並み並みならぬ決意が要ると思う。決意だけでもどうにもならぬほど私は重要な問題だと思うのです。重ねてお伺いをいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、沖繩施政権が日本に返った後においては、ここにいる米軍は日米安保条約の範囲内において行動は制約されるわけであります。したがいまして、何と申しましても、この点ではいまとは変わる。だから、これは事前協議の対象となって私どもといろいろ相談をせざるを得ない。そういう場合に日本は事前協議の基本的態度として、いままでもノーもあれば、イエスもあるということを申しております。わが国が戦争に巻き込まれないように、わが国の国益を本位にしてただいまの事前協議に対応する考えでございます。核持ち込みについては、これは最初からはっきり言えることはノーと、これはいつでも言える、かように私はこの際はっきりお答えをしておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 次の質問に移るつもりでありましたが、たまたま総理がいま事前協議の点に触れましたので、私は質問の順序を変えましてその問題にちょっと先に触れたいと思います。  というのは、昨年六月十一日参議院外務委員会におきまして愛知外相は、返還後のこの沖繩からベトナムへの出撃は事前協議でオール・ノーである、そう答えております。二回確認しております。昨年の六月十一日及びその後の外務委員会と二回。それから昨年の十二月十五日、その愛知外相の二回の確認、つまり答弁をさらに再確認する意味で総理にこれを確認しまして、総理もこれについて明確にそれを肯定されております。再確認をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。イエスもあればノーもあるじゃないのですよ。オール・ノーです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私が申したのは、事前協議についての一般的な原則、たてまえを申したのでございます。ベトナムについての事前協議、これはそのとおり私も確認しております。それに変化はございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 わかりました。ところで、この基地の縮小につきましては、一応の目標とスケジュールを立てて本格的に取り組まなければ、目的達成は困難だと思います。したがって、文字どおり本土並みにできる場合、沖繩の基地を文字どおり本土並みにするには、私はいま即時ということを言っているけれども、そんなことはいまあなた方ができるはずはないですね。では、どの程度の期間に完全に文字どおり本土並みにするというそういうスケジュールをお持ちなのか、そのためにはどれほどのきびしい取り組みをしなければならぬかということをおそらく折衝の過程でお感じになると思うが、何らかのスケジュールなり、あるいはそういう一応の期間というものを想定なさっておりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 基地の問題につきます沖繩県民の心情、私どもよくわかっております。しかし、ただいま今日この段階におきましては、基地の扱いにつきましてはA・B・C表の定めるところによると、こういうことに一応いたしております。しかし、その基地を提供するというA表につきましても、沖繩県民の心情を考慮いたしまして、これからも基地の縮小、統合、整理、そういうものに努力をしていきたいと、こういうふうにいま考えておるのであります。ただ、この問題は極東情勢がこれからどういうふうに変わっていくか、ことに極東の軍事情勢です。それからもう一つの問題があろうと思いますのは、これはアメリカの財政事情——ニクソン ドクトリンの背景にあるものは何かというと財政事情だと、こういうふうに思いますが、これがどういうふうに変わっていくか、そういうような問題がある。そこで、いまA表につきまして、これをいかなるプロセスで、いかなる長期計画で整理していくかということにつきましてはまだ計画ができておりません。しかし、当面申し上げられますことは、どうも沖繩本島の中部地区に基地が集中しておる、この密度を何とか軽減をしなければならない、そういう問題がある。また私は、沖繩基地に存在する休養の施設、こういうものが少しオーバーになっているんじゃないかということを感ずるわけであります。そういうこともひとつあらためて検討したい。その他、基地の機能は存置しまするけれども、その必要性以上の地積を基地として使っておるという事態があるかないか、これも検討いたしております。そういうようなことで、当面とにかく私どもの気づく点は最大の努力をする。しかし、ただいま申し上げたような事情で長期計画はなかなかできない、こういうふうな状況でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そんな簡単なものでないことをこれからだんだん申し上げてみたいと思います。つまり、米中会談が近く行なわれることは、これは周知のことでございます。これまでアメリカを帝国主義国として不断に批判している中国、他方資本主義体制を堅持するというアメリカとの間の体制上の違いが何ら私は縮まるとは思いません。しかし、中国封じ込め政策の主役のアメリカが、しかも大統領自身が訪中するということは、体制上の相違は別としても、これは国家間の関係としては画期的な変化であることに間違いはございません。しかし、重要なことは——これが重要だと思いますが——重要なことは、そのアメリカの外交政策の転換、その路線の修正が実は軍事的優位という観点から進められているということであります。アメリカがアジア地域における直接の軍事介入を漸次縮小させようというときに、日本における沖繩基地の価値を十分意識しながら対外政策々進めようとしていることはこれは疑問の余地がないと思います。私は確信をしておる、そういうふうに。また、このことはアメリカ上院におけるパッカード国防次官の証言に公然と出ておりますね。アメリカの対アジア外交政策の転換は軍事的なものと重要な関係がある、優位性と関係があるという重要な証言をいたしております。要するに、ニクソン・ドクトリンは沖繩基地をほぼ現状の線で確保するという政策のもとで、日本の、あるいは直接的には沖繩同胞の犠牲の上に進められている、あるいはその可能性を持っておる、そういうことじゃないでしょうか。つまり、沖繩基地の重要性を意識して、それでニクソン・ドクトリンが進められるという、これは間違いないと思います。さらに私はあとから論証いたしますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、沖繩基地をアメリカが非常に重要視していると、今日の段階においてはまさにそのとおりだと思います。しかし、羽生さんがおっしゃるほど深刻にこれを考えておるとは私は思いません。何となれば、沖繩の返還を取り行なうと、返還後においては沖繩等の基地機能は一体どうなるのだ、こういうと、安保条約の事前協議の制約下に置かれるわけなんです。これは重大なる沖繩の戦略機能の変化ということになります。それから、何と申しましてもアメリカは核大国である。その核を沖繩に配置しないということを厳粛に実行するわけでございます。これは非常な沖繩に対する基地機能の変化である、そういうふうに考えます。  なお、今後におきましても国際情勢の推移、極東軍事情勢の推移、またアメリカの財政事情、そういうようなものに応じまして私はいろいろな変化が出てくるであろうと、こういうふうに考えるわけでありますが、とにかく、あなたが心配されるほどの重要性というものは、いまや沖繩については失われておる、こういうことだけは私ははっきり申し上げることができると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それほど沖繩に重要性がなければ、こんなに衆参両院で問題が起こるはずはない。国民もまたこんなに関心を持つはずはない。問題があるからこそこんなに騒ぎが起こっているわけですね。  ところで、アメリカはさきに台湾海峡における第七艦隊の常時パトロールを中止しました。おそらく近い将来台湾からも撤退する可能性を十分はらんでおります。時期は別です。この場合ニクソン・ドクトリンがアジアにおいて期待していることは、日本の防衛力の増強、沖繩基地の確保という前提条件が必要だったのではないかと思います。それがアジアにおけるアメリカの軌道修正を可能ならしめている。それがアメリカの軌道修正を可能ならしめておる。では、アメリカはなぜこのような外交路線の修正を考えざるを得なくなったのであるか、これはアメリカは平和主義者かというと、私はそうは思わない。もちろん、アメリカの基本姿勢、その本質が根本的に変化したと私は考えておりませんが、さきにも触れましたとおり、その本質論はとにかく、その変化の原因として考えられることは、まず第一番にベトナム戦争における失敗であると思います。そうしてこの根本的な変化と関連をして国内における反戦運動の台頭、それからドル危機、犯罪の激増、麻薬の横行、人種問題、このような内政上の危機の深刻化があって、これから脱却するための手段としての実は対外政策ではないかと思う。要するに、アメリカは世界の警察官をもって任ずるどころか、みずからの国内の崩壊を食いとめなければならないほど差し迫った国内問題にいま追われておると思うのであります。したがって、そういう意味でアメリカは、一言で言うならば、ナショナル・インタレストに基づいての行動をとっている。ところが、日本はいまそのアメリカが脱ぎ捨てようとする古い衣をかわって身につけようとしている。それでなければ幸いでありますが、身につけようとしておる。沖繩基地の軍事機能を文字どおり本土並みにすることによって沖繩同胞の悲願にこたえるばかりではなしに、私は外交のフリーハンドを強めて日本の国益を守らなければならぬと思います。アメリカは今日アメリカのために日本が都合よく動いてくれることは期待しても、日本を日米運命共同体とは考えておらないと思います。それは今日までのさまざまな動き、特に最近の動きを見ればよくおわかりと思います。さきにも述べましたように、一月の佐藤・ニクソン会談についてはあとから触れることにいたしますが、この際私は特に申し上げたいことは、日本もまた日本の真の国益を追求して、このアメリカの極東戦略の肩がわりをやるようなことは絶対にやめてもらいたいと思う。これは基本的な問題だと思います。この点をひとつお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま羽生君から極東情勢についての分析が行なわれましたが、私は羽生君とは残念ながら所見を異にするものであります。いま最も危険なことはもうベトナムではなくなっていると、これが台湾であり、あるいは韓国であろうと思います。私はそういう場合に、沖繩の施政権をアメリカが持っておれば、台湾における米軍と沖繩に駐留する米軍、これはいつも一体になれる。また、韓国に駐留する米軍と沖繩に駐留する米軍が施政権を持っておればいつでも一体になれる。いつでも一体になれるものを、みずから施政権を日本に返す、こういうことを考えておると、そうすると、ただいまのような軍事行動は、これはとれない。いままでのような自由出撃はなくなる。ベトナムの心配よりも、もっと近隣のところで私どもは心配があるはずなんです。この点がアメリカ自身が日本に施政権を返す、そういう際に米軍が質的にいわゆる安全保障条約の範囲内にその行動は制約を受ける、これは大きな変化ではないかと思います。私はそういう意味でもこの点は、われわれは歓迎すべき事柄だと、かように実は思っております。また、当然かように考えると、沖繩の米軍基地はそのうちに整理縮小されるものだと、かように私は考えております。私はそういう意味で、これからもこの問題と取り組む予定でございます。まあ先ほど首脳者会談の問題は別に触れると言われましたからそれには答えませんが、ただいまのような見方をしておるものでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そういう総理の考え方をもし推し進めようとするならば、当然日本を取り巻くアジアにおける緊張緩和が前提になってくるわけです。そこで、言うまでもないことでありますけれども、日本は今日までGNPでいえば世界第一級の国家となった。アジアにおいては、特に強固な立場に日本の国はあると思います。したがいまして、日本の意思次第で再び軍事大国の道を歩むことにもなるし、また、その意思次第では、アジアにおける緊張緩和の役割りを果たすことも可能であると思います。日本はそういう地位にある、今日。ところが、日本が今日まで日米安保を軸として、南ベトナム、台湾、韓国等の反共陣営を支持してアメリカのアジア政策の一翼をになう役割りを果たしてきたわけであります。しかし、今日の国連の動向を見るまでもなく、世界は大きく流動し変化しようとしております。しかも、世界最大の経済力、世界最強の軍事力を持つアメリカが小さいベトナムとの戦争に勝利することができなかった。また、ベトナム人民の政治的意思を変えることもできなかった。また、中国封じ込め政策そのものも変革を迫られておる。わが日本も、いまこそ真剣に体制の異なる国々との平和共存を考えなければいけないのじゃないかと思います。そういう意味で対北ベトナムの問題、中国の問題、朝鮮の問題等々、これらに対して新しい路線を敷かなければならぬと思います。しかし、いずれにしても、相手の国の態様によってその速度、つまり中国、朝鮮、ベトナム等とのいまの日本との関係を緩和していくために、その速度あるいは順序、手順、そういうものは相手の国の態様によって異なると思いますけれども、全体としてはそういう路線を敷かなければ、アメリカが何と言おうとも、沖繩の基地の機能が、実質上施政権を返還されても、文字どうり本土並みに沖繩の基地機能が縮小されることは私はないと思う。だから、そういう基本的な外交路線を日本が敷く、軌道修正をやるということは、私は基本的に重要なことではないかと思いますが、まずこの点をお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は別に軌道修正をやるとは考えません。私は皆さんからいつも笑われるのですけれども、自由を守り平和に徹する、こういう日本の国是がございます。その国是から、外交の基本はどこまでも平和外交を推進する、こういうことでございまして、この点はいままでもやっておるから、このとおりのものを守って、そうして、一そうわれわれの国是を認めていただき、同時にまた、平和外交の実をあげるようにしたい、かように思っております。私はイデオロギーを異にしようが、政治形態がどうであろうと、仲よくできるものはどんどん仲よくしたい。いま言われるように、スピードの点でいろいろ制約はあるかもわからないとおっしゃるが、平和に徹した外交を展開する、この方針は従前どおり変わらない、かように御承知を願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 従前どおり変わらなくては、日本の対アジア政策の根本的な変化はできないということがまずあります。そこで日本外交が今日取り組まなければならぬ第一の課題が中国問題であることは言うまでもないと思います。中国問題につきましては、今国会でしばしば論議されて、しかも、この問題のポイントが台湾問題、日華条約の取り扱いをどうするかという一点にかかっていることは、これは天下周知の事実である。しかも、これが避けて通ることのできない重要なポイントであります。  そこでお伺いしたいことは、日中打開のために今国会に日中国交回復の決議ですね、この決議、野党案とか何案とかは言うわけじゃ私はありません。それを日中政府間の接触を可能ならしめるような形で——繰り返し申し上げますが、日中政府間の接触の可能性を生む形ですね、そういう形で今国会で成立させられてはどうでしょうか。それは国会のこと、立法府のことと言って逃げないように総理、総裁としてひとつぜひ積極的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この点におきましては、各党とも熱心に、どういうような決議が各党でまとめ上げることができるか、ただいま協議をしている最中ではないかと、かように思っております。私はいまおっしゃるような本来のあるべき大陸との国交、中華人民共和国との国交正常化がはかれるような、そういう決議をぜひともつくりたいものだ、かように期待をしております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、それは今国会中に日中政府間接触を可能ならしめるような形で、形式はいずれにもあれ、決議を成立させたい、こう理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 各党には各党の主張があるようですから、やっぱりこれは大局に立って、そうしてただいま申し上げるようなその点を可能ならしめるということが必要だろう、かように思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 可能ならしめるようにぜひこれは進めていただきたいと思います。  ところで、政府も、これは福田さんですが、アヒルの水かきでおよそ中国の姿勢はわかったと思います。感触はもうはっきりおつかみになったと思います。ところが、ここまでくれば、打診の時期は過ぎたのではないかと思います。結局政府・総理の決断いかんであると思います。あのキッシンジャーの役目が成功したのは、ニクソンの決断と指示があったからでしょう。キッシンジャーがかってにお使いして、話がまとまったわけではない。それはニクソンの指示と決断に基づいて、その使いをキッシンジャーがやったにすぎない。したがいまして、ここまでくると、私は総理の決断が重要だと思います。その決断さえされるならば、その方法というものはかなり柔軟性があるんじゃないでしょうか。だから、そういう意味で、私は総理がそういう意味の決断を下す意思をお持ちになっておるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカはアメリカでございます。これはキッシンジャーの二回目の訪中によりまして具体的な日取りがきまったと、かように発表はされておりますが、中身はどういうような話し合いをするか、これは私どもも期待をかけるといいますか、アジアの平和のために期待をかけておる次第でございますが、私はアメリカよりも日本のほうが隣でありますだけに、またアジアの直接の平和、その維持のためにも、また各国の繁栄のためにも、両国が積極的な意欲を持つ、これは当然のことでありまして、これを具現することが今日の問題だろうと、かように私も思っておる次第でございまして、そういう意味で、いままでの発言を取りまとめて、北京側のこれに対する答えをいま聞いておる、こういうように御理解をいただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この三月二十七日この部屋で、本院の予算委員会で、総理は私の質問に答えて、日米共同声明で台湾問題に触れたのは一言多かった気がすると、率直に述懐されたのでありますけれども、今日の国連における世界諸国の動向を見て一そうその感を深くされておると思います。また、この日米共同声明は韓国の問題にも触れておりますが、衆議院で総理は、これは曾祢議員の質問だと思いますが、日米共同声明の趣旨の軌道修正をやるかどうかは米中会談の結果を見てと、こういう意味の答弁をされております。ここに速記録がありますが、そういう意味の答弁をされております。ところが、総理とニクソン大統領との明春の会談は、米中会談の時期よりも前になります。したがいまして、その結果総理は、何らか日米共同声明についての軌道修正をされるのかどうか。つまり、衆議院ではその日米共同声明の軌道修正をやるかどうかは米中会談の結果を見てと言われたんでしょう。ところが、それより前に佐藤・ニクソン会談が行なわれるんです。したがいまして、私はこれは非常に重要な問題だと思います。台湾問題は一言余分だったと言われる。韓国問題は、これはあとから触れますが、この機会に伺っておきます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまサンクレメンテにおけるニクソン大統領と当分の会談、私、外務大臣、大蔵大臣、同時に通産大臣と、これらの三閣僚も一緒に行をともにしてもらいたいということでいろいろ準備を進めております。ただいま一番の問題は、何と申しましても沖繩の返還の問題、その後の、そこに米軍がいる、そういう問題。いわゆる施政権がかわることによっていろいろの問題がございますが、それを円滑にすることが一つ。同時にまた、最近の円相場と申しますか、あるいはドル相場と申しますか、国際通貨の問題、これが一つの大きな問題でありますし、また、その他通商関係の問題もございます。さらにまた、ただいま御指摘になりましたように、大にしては国際平和外交の推進——まあ幸いなことには、それまでにニクソン大統領がフランス大統領やあるいは英国、ドイツ等の首脳者と会談を持ちますので——もうすでにカナダとは持ったようでありますが、そういう後でありますだけに、私は十分国際的な分析にも役立つことだと思います。これは国際的な分析と申しますよりも、日本にとって必要なのは、何といってもアジアの問題でありますし、これが中国問題が主になる。同時にまた、印パの紛争の問題もいま当面しておる、私ども頭の痛い問題でございますから、それらの問題が話し合いの中心になること、これはもういまから想像のつくことであります。いろいろ考えてみまするとなかなか問題は多過ぎて、ただいまのような予定されたその期間中に全部が終了できるかどうか、それすら疑念を持つような次第でございます。  なお、私出かけます前に各党の党首とも会談をいたしまして、各党ともよく相談の上で出かける予定でございます。そのとおりにすると確約して参るわけじゃありませんが、各党の主張も踏まえた上でニクソン大統領との会談に臨む心組みでございますから、その点も事前に申し上げておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、いままでのずっと一連の総理の答弁をお聞きした場合ですね、あるいは衆議院の曾祢議員に対する答弁に関連をし、さらにこの沖繩返還協定に関連する沖繩同胞なりあるいは本土における多数の国民のいろいろな世論というもの、こういうものを何らかの形でこのニクソン大統領との会談の中で、軌道修正という形のものかどうかそれは知りませんが、何らかの形で新しい日米共同声明がどうせできると思いますから、その中に日本の意思というものが何らかの形で変化が盛り込まれなければ私は意味ないと思うんですが、そういうこれはおやりになりませんか。当然私はやるべきだと思いますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのところ、まだその議題もきまっておりません。いろいろ米政府と、ワシントンと私どもいま相談しておる最中でございます。また、その際に、ただいま言われるようなコミュニケを出すか出さないか、これなども一つの問題だと、かように思っておりますが、まだそこらもはっきり出すときまっておると、現状においてそのことが言える状況ではございません。とにかく、いずれにいたしましても、両首脳が会いまして、ただいま問題になりますような諸点についてこれを明確にする、こういう考え方でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、その日米首脳会談で、日本側として総理が最も主眼とする問題、力点を置く問題は何でありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは先ほど問題を解明してどういうことがあるだろうかということを申したのですが、これはやっぱり私の段階では、国際情勢、ことに中国問題、これが主眼になるだろう、かように思います。また、ただいまの沖繩の返還、その問題が国内問題で当面するのではたいへんな重要な問題であります。もう一つの国際通貨の問題は、もうすでに数回の会議を開いております。あるいはそれまでに解決を見るかもわかりませんけれども、これも非常な関心事である。また通商問題も、先ほど申しますように、一応繊維製品の自主規制は政府間協定に変わりましたけれども、まだまだ貿易の問題ではいろいろの注文が出てくるのじゃないだろうか、これに対する対応策も必要だろう。とにかく国の内外を問わず、たいへんな重大な問題をかかえた会談だと、かように考えて、ただいまも例のないような予算編成をそれまでには終わりたいと思っておりますが、なかなか困難な情勢もありますが、そういう時期に三大臣も同行しよう、こういうことでございますから、どうか実りのあるようなものにわれわれも努力をいたしますけれども、また、それぞれの分野においてそれぞれの大臣が十分問題と取り組むと、こういうことになります。まあ、ことばを簡単にして申せば、私自身は、中国問題を主に国際情勢の分析と、かように御理解いただいても間違いないかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、会談の議題の中心が中国問題ということはよくわかりました。そういう問題についてアメリカと話し合うことは悪いことではないし、当然アメリカの意向を聞くことも必要だと思います。しかし、ここまでくれば、日本自身が日中の歴史的な条件なり世界の大勢を考慮してみずから決断すべきことだと考えるのでありますが、そういう際に、この日米の会談で食い違いが出る場合もあるという、日中問題ですね。これは福田外相が、まだ佐藤・ニクソン会談がきまる前に、福田外相だけが渡米されるんじゃないかといわれた時期に、日中問題で話し合いをしても日米間で食い違いが出ることはあり得るという談話を発表されましたね。その場合に、日本が、日本自身として、日中の歴史的な条件を踏まえて決断することは当然でありますが、そうではあるけれども、アメリカの意向が大きく日本に響くことがあるのかどうか。アメリカの意向が日本に大きく影響することがあるのか。そんなことはどうあろうとも、日本は断固として日本の独自の決断でこの問題に決着をつけようとお考えになるのか、その辺をお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外交はやはり自主的でなければならないこと、これはかねての主張でございます。ことにアジアについて日本が中国と特殊な関係を持っていること、これは十分米側にも理解してもらいたいと、かように思っております。  ただいま言われるように、「断固として」というようなことばは適当でないように思っておりますが、とにかく話し合いのできる間柄でございますから、忌憚のない話し合いをし、そして私どもが自主的なその路線は守る、こういうことでありたいと、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ところで、これは外相にお伺いしたいのですが、いまの外相の、さきに述べられた、会談の結果、日米でとるべき方途は一致しないこともあり得ると、こう語っているわけですね。これは新聞の記事どおりですが、その場合ですね、アメリカに比べて対中打開の方向にウエートがあるのか。あるいはアメリカはそうやっても、日本はもっとおくれることもあるのか、どっちにウエートがあるのか。つまり、違いが出ることは明らかだと、こう言っておりますね。それはわかりました。その違いは前向きなのかうしろ向きなのか、どっちなのか。これをひとつはっきりしたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、今日の世界情勢というものが非常に大きな曲がり角に来ておると、こういうふうに思うんです。つまり、いままでは二極世界と、こういうふうに言われましたが、これが多極化時代と、こういうふうにいわれるようになってきた。わが国の外交を論ずる場合において、特にいま議題にしておりまする中国問題、これを論ずる場合におきまして、中国だけを見てこれをきめるべきものじゃない。やっぱりアメリカの情勢、アメリカの考え方というものも見なけりゃいかぬ。また、ソビエトの動きというものもよく考えなきゃいかぬ。あるいはヨーロッパの国々の動きというものも考えなきゃならぬ。そういう意味において多極化時代でいろんな極がたくさんありまするが、わが国が一番大事な点は何だと。その極の中においての私はアメリカであると、こういう認識に立っているのです。ですから、いま当面する中国問題を論ずるという場合においてアメリカと十分話をする必要がある。これはアメリカと十分話を行ない、そして、行なった結果、相互の間に深い理解ができると思います。その相互の深い理解の上に立つ米中接触の方法、あるいは日中接触の方法、その方法論において違いが出てくると、こういうことは私はあり得ると思うんです。あっていいと思うんです。わが国にはわが国の立場があるんです。アメリカにはアメリカの立場があるんです。ですから、その辺は、私はそう別に日米が共同でなきゃならぬと、こういうふうには考えておりませんけれども、しかし私は、いまずっと大局的に中国問題というものをながめてみまして、わが国のほうがアメリカに比べましてかなり前向きになっておるということだけは確信を持てると、かように存じます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこでひとつ、これは言わずもがなのことかと思いますけれども、台湾の独立運動が非常に問題になっております。これに手をかすことは非常にまずいことになると思いますが、この点は日本の政府がそういうことに関与することはないと確認していただいてよろしゅうございますね。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いろんな人が北京を訪問しまして、最近特に北京政府が台湾の独立運動、これに非常に神経過敏であり、日本においてそういう動きがあるやにまあ指摘をしておるということを報告を受けておるわけなんです。私は、この日本の国内に台湾の独立運動というものを支持する勢力があるということは承知しておりませんけれども、もし万一ですね、そういう動きがあるという際におきましては、そういう動きに接した場合におきましては、私は厳重にこれを戒めていきたい。また、日本政府といたしてましてもそう考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣からお答えいたしましたが、さようなものがあってはならない。また、日本政府がそういうものに関与すると、さようなことがあっては絶対にならない。この点は非常にはっきり、羽生君の言われたとおり私どもも考えておりますので、誤解のないようにお願いしておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それから、ここまで来ると、アヒルの水かきよりも、目下中国訪問中の、日中覚書貿易協定の交渉のために訪中している連中、訪中団、この一行のルートを活用してもっと積極的に対中関係のさまざまの問題についての打開をはかることも一つの方法だと、私はこれが一番正当な方法だと思うんですが、そういうお考えは外務大臣、ありませんか。あるいは、それと関連して日中覚書貿易事務所を通商代表部にしたいというよなことも考えられておるということも伝えられておる。それらもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まだアヒルは水かきをしておる最中でございます。そのアヒルの水かきですね、これはどういういま手段を使っておるのかということにつきましては、この席で申し上げることができない。また、そのほうが私はいいし、羽生さんもそれを御理解をお願いできるのじゃないか、そういうふうに考えますが、総理もいろいろと御苦心をされておる。そうして目標は何だといいますれば、日中において政府間の接触を始めることだ、こういうので、いろんなことをお考えであるということを、私、総理にかわってお答え申し上げます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、これは答えにくければ抽象論でよろしゅうございますが、台湾との各種の経済関係、これは今後どういうふうに処理されていくつもりか。今後の一般的な方針でよろしゅうございます。個々問題に触れることはめんどうでしょうから、一般的な方方針として承っておきます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、国連において中国が圧倒的な支持を得てこれに加盟する、こういうことになりました今日のこの事態におきましては、対中、また対華、この経済関係をどういうふうにするかということを慎重に検討したのですが、中国に対しまして、いままでケース・バイ・ケースと言っておったのです。しかし、このケース・バイ・ケースというのは、どっちかというと、うしろ向きの背景のもとにおいてのケース・バイ・ケースだった。これは否定できないことだったと思います。ですから、もうほとんどそういうケースも出てこない、こういうような状態であった。中国向けの輸銀の使用問題、こういう問題につきましては、この新しい段階におきましては、前向きの姿勢でケース・バイ・ケース、そういうふうに転換をしようと思っておるんです。つまり、あるいはフィリピンにいたしましてもビルマにいたしましても、これは全部ケース・バイ・ケースであります。もう持ってきたものを全部オーケーというわけじゃないのです。それがケース・バイ・ケース。それと同じような考え方において中国向けの問題を考えていこう、こういうことでありまして、これは非常に大きな私は転換である、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 台湾ですよ。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 台湾に関係あるから申し上げたのです。台湾は一体どうするんだ、国府をどうするんだということについて、いままで国府との間に交換公文等できめられたものがあります。これはそのきめられたとおりに実行いたしたい、こういうふうに思います。その後のものは一体どうするかというと、なるべく政治的な色彩は払拭したいと思う。しかし、これもケース・バイ・ケース。ケース・バイ・ケースで問題が出てくる。商業的なものが出てくる。そういうものにつきましては、これは慎重にケース・バイ・ケースとしての扱いをいたしたい、こういう基本的な考え方でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この問題は、実は非常に複雑な要素を持っておると思います。したがって、これ以上立ち入って質問やりません。  次に、朝鮮半島の問題に移るわけですが、その前に、沖繩の自衛隊の配置に関連して問題が起こっておるわけですが、防衛庁にお伺いしたいことは、第四次防衛計画を、ドルショックによる不況、それから予算の財源難、そういうようなことから若干削減するというようなことはあるようですが、そうじゃなしに、一年情勢を見る、そういうことはできませんか。何でもかんでも四次防を出発させるというんでなしに、一年間様子を見る。そうすると、それじゃ、おまえはいままでのことは何でもみんな認めるのか、そういう議論にとられては困りますが、そうでなしに、とにかく第四次防は一年様子を見る、それはおできになりませんか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 私、中途で就任をいたしましたので、よろしくお願いをしたいと思います。  いまのお説でありますが、確かに、経済情勢の変化もございましたので、防衛庁として自主的にある程度計画をスロー・ダウンさせるという方向で、前任者当時から作業を進めておったようであります。しかし、防衛の問題というのは、ここにあるものを、金ができたらすぐ買ってくる、そういう性格のものと違いまして、やはり継続的に積み重ねをしていく性質のものだと、私ども理解いたしております。したがいまして、やはり来年度から第四次防衛整備計画のいわゆる五カ年計画を発足させたい、このように考えておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、私は、防衛庁の職員の方もおいでになると思いますが、機会あるごとに日本の防衛力の限界論をやってきました。そこで、さきにもとの防衛庁長官の中曾根さんにこの問題について質問をしたことがあります。つまり、日本の防衛力の限界は日本にはあるのかないのか、日本のような特殊な憲法を持っている国ですね、それを拡大解釈さえすればどこまででもいけるとお考えになっておるのか、無制限なのか、どこかに限界があるのか、つまり、われわれの野党でなしに、政府自身としても何らの限界というものを感じないのかどうか、そういう問題について中曾根長官はこう答えております。「防衛力の限界につきましては、何もいわゆる四次防を待たず今日といえども限界は常に私は考えておりますし、また防衛庁としても検討を加えております」、こう答弁しております。つまり、もと中曾根長官としても防衛力の限界は考えておるし、防衛庁としても検討しておるということですね。日本がいま軍事大国とかあるいは軍国主義の復活といわれるようなことは別として、政府・与党としても、政府自身としても何らかの限界がなければ一体どこまでこれは伸びていくのか。どこまでいけば満足されるのか。あるいはそれを一応の限界と考えるのか。これがなければ、これはアジア諸国あるいは世界の各国が、日本は際限のない軍事大国となると見るのは、これは当然だと思います。これについて、新長官であろうとも、政治家としてお答えできることだと思いますので、お答え願います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) まさに御指摘の点、重要な点でありますが、もちろん、われわれ平和を確保していく、平和の価値というものを高く認識しておるものであります。したがいまして、現行憲法下においてあくまで自衛に徹する、これが一つのやはり大きな限界である、このように理解しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いやいや、それは答弁にならないのですよ。自衛に徹するのは、これは昔からの、自衛隊ができたときからの話で、その場合に自衛に徹するための自衛力の増強はどこまでかということを私は言っている。しかし、これは水かけ論になりますから、予算委員会か何かの分科会のようなところでじっくり時間をかけてまたやることにいたしましょう。  ところで、韓国は——朝鮮半島の問題に触れますが——一昨日非常事態の宣言をしたようでありますけれども、実際に私は韓国に差し迫った脅威があるとは考えません。むしろ中国の国連加盟による国際的な緊張緩和ムード、これが朝鮮半島に波及することをおそれて、これをチェックする役割りを私は果たそうとするんじゃないかと思う。ところが、伝えられるところによると、日本に特使を派遣して、そして最近の融和ムード、緊張緩和ムードに、日本が積極的にそういうことをやらないようにとでもいうのでしまうか、いわゆるチェックの役割りを果たす使節を日本に送るといううわさが、記事等も新聞に出ております。  あるかないかは別ですよ、そういうことが。かりにそういうことが起こった場合に、日本の政府としてはどうなさいますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 特使のことは私聞いておりませんです。ですから、もとより総理にもそういうことはないんじゃないかと思いますが、私は実は……

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 なければよろしいです。あとから質問しますから、なければよろしいです。  この朝鮮問題も中国問題に続いて国連における新しい重要課題となることは間違いないし、しかもその時期はかなり早く、おそらく明年の国連総会に登場することも一応予想されます。現に中国代表は先般国連における初の演説の中で朝鮮問題に触れまして、国連が朝鮮に関して行なった一切の非合法な決議は破棄されなければならない、こう言っております。朝鮮半島に対して国連が行なった決議は数多くあります。これはたいへんなものでありますからここで一々紹介できませんが、数多くあります。今日までの諸決議がくつがえされるような事態が起こる可能性が十分にあるわけでありますね、最近の動向を見て。また、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮と国交を結ぼうという国の数もふえることは、これも確実だと思います。したがって、国連において朝鮮半島における事態が変革されるようになった場合、日本としてはどうされるのか。そういう場合に、いまの韓国のそういう動きを、たとえば日本にもそんなことが波及しては困るということから何かチェックの役割りを果たそうという何らかの使節を送ろうというのでしょう。来るかこないかは別です。しかし、韓国がそういう考えを持っていることは間違いない。しかし、いずれにしても中国の次には朝鮮問題で、しかも、かなり早い機会に国連においていままでの諸決議が実際に失効するような事態が起ってくる可能性は十分あると思う。日本政府としてはどういう考えをお持ちになりますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 中国問題があのようになってきた。次は北朝鮮、また朝鮮半島の問題である、こういうことは私どももそう考えております。そして、その問題が具体的な政治課題となるのは、これは来年の秋の国連総会じゃあるまいか、そういうふうな認識を持っております。わが国は韓国との間に日韓平和条約を結んでおる、そういうような立場にありますので、この問題にどういうふうに対処するか、これはこの席で一言では申し切れないような複雑な問題です。十分緊張の緩和ということを頭に置きながら、いかに国連に対処するか、また、その背後に横たわるところの北朝鮮の問題をどういうふうに考えるかということをこれから検討していきたい、こういうふうに考えておるのです。まだずいぶん時間のあることでございますので、まあ十分慎重に時間をかけて検討したいというのが現段階でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 韓国から何か言ってきた場合どうされますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 韓国が何を言ってきますか、来て、聞いてみなければわかりませんから、その辺はお答えいたしませんです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 言ってくる可能性は十分ありますね。その場合に、いまお話しになったような、緊張緩和という方向で問題を考えていきたいと言われましたが、そういう方向でよろしいですか、かりに韓国からだれか来られた場合。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) その方向で考えたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それから次に、日本はアメリカとともに韓国支持派の招請決議の共同提案国になっております。今後はこの共同提案国からおりるべきではないかと思う。それからもう一つの決議、これは日米等韓国支持派の提唱しておるいわゆるUNCURKですね——の活動継続と国連軍駐留支持決議案、これも共同提案国になっておる。これも私は共同提案国に今後なるべきでないと思うのです。これをやりながら融和と言ったって、できっこないんですから、今後はこの種の決議案の共同提案国は両案とも私は日本はおりるべきだと考えますが、いかがでありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国連でいろいろ来年の秋は問題が起こるであろうというふうに申し上げた中に、いま羽生さんの御指摘の問題があるわけなんです。そういう問題にいかに対処するかということについてこれから十分時間をかけて検討していきたい、考え方の基本は緊張緩和である、こういうことでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 一九六五年——昭和四十年いわゆる日韓国会の際に、同じこの部屋で私は佐藤総理と数時間の質疑応答をやったことがあります、日韓国会のときですね。そこで問題点を指摘しました。そのあとの本会議の討論で、どちらが正しかったかはやがて歴史がこれを証明するであろうと私は申し上げた。そういうことを私はいまでも記憶をいたしております。ところが、明年あたりは国連総会で南北朝鮮が同時無条件招致される可能性があると思うのです。そうなれば、いわゆる侵略者決議そのものが根拠を失うことになるわけですね。したがって、緊張緩和の線に沿って考えるのでなければ、少なくともそういう場合にはどう対処するかという、そういう決意の表明がなければ、ほんとうにこの国会の質疑応答というものはあまり意味のないものに感じられてならない。これは先の先まで見通して一〇〇%正確なことを言うことはできないことはわかりますが、少なくともここまで事態が進展してきておるんですから、この種の——しかも、来年は無条件で両方呼ばれるかもしれぬですよ。そうなれば、いままでのいわゆる侵略者非難決議なんかもこれは無効となる、あるいは廃棄されるかもしれない。そういう場合に日本の政府はどうされるかということです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そういう問題が来年の秋起こるであろう、こういうふうに申し上げているんです。まだ十分時間的余裕もありますので、これは慎重に検討いたしていきたい。ただしかし、それらに取り組む態度、われわれが検討し準備をするというその態度は、緊張緩和という点にあるということだけは、はっきり申し上げさしていただきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いずれにせよ、世界の大勢は、また国連も近い機会にこの問題に審判を下さざるを得ないことになると思います。ところで、私は韓国はどうなってもいいと言うんじゃないんです。たとえば、今日まであれほどきびしい対立を続けておりました南北朝鮮が人道問題で赤十字間で会談を始めておりますね。朴政権はそれをおそれて先日のような非常事態の宣言をしておる。そういう逆行するようなことをやっておるわけでありますが、それはとにかく、こういう人道的な赤十字間の接触をさらに深めて政府間接触、つまり、赤十字間の接触をさらに発展さして政府間の接触が開かれる、さらに政府間の会談が開かれるようなところへ日本も持っていくように努力すべきじゃないかと思う。そういう動きをすれば韓国のごきげんを損ずるんではないかというような古い感覚で朝鮮問題を見るのではなしに、南北赤十字の会談を政府間接触にまで深めるような、そういう努力をし、そういうことによって望ましい合意ができ、あるいは朝鮮問題の正しい解決の方向へ一歩でも前進させるように、そういう外交的な努力が要請されるんではないかと思う。そういう問題を通じて初めて先ほど申し上げた中国問題、あるいはいま申し上げた朝鮮問題、その前にはベトナム問題がありますが、そういう問題を通じて積極的な打開策を講じてこそ初めて、アメリカが言っておる沖繩のいわゆるかなめ石的存在というものが機能をダウンすることができるんではないか。そういうことをそのままにしておいて基地機能を本土並みにするなんて、なかなかできるものではない。だから、それは実は沖繩返還の基地あるいはその他機能に関する問題は、沖繩を取り巻く、あるいは日本を取り巻くアジアの諸情勢と重要な関連性がある。その関連性を無視して沖繩の基地が急に本土並みになるということは、ほとんど考えられないことである。そういう意味で私は朝鮮問題というものは非常に重要に考えておるが、いかがですか、もう一度伺います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 沖繩の問題と朝鮮の事態は、これはまず私は関係が深いと思うのです。ですから、羽生さんのおっしゃるように、朝鮮半島におきまする緊張、これがぜひ緩和の方向に向かってもらいたい、こういうふうに存じます。それから、赤十字社を通ずる両国間の接触、これなんかが始まったことは、たいへん私は歓迎しておるわけなんです。ただ、私のそういう考え方にもかかわらず、中国の国連加盟以来北朝鮮に相当気勢がついた、こういうことを韓国では言っております。そういうようなことで、韓国の国民の士気を高揚する必要があるという必要から、非常事態宣言を発したんだと、こういう報告を受けておりますが、まあ、そういう南北間に緊張状態が復元する、非常にこれは好ましいことではございません。私ども、これは両国間の問題でありまして、これは積極的に介入ということはできませんけれども、私どものできる範囲内におきましては緊張緩和の方向の努力をしてみたい、これがわが国のとるべき朝鮮半島に対する姿勢でなければならぬ、こういうふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そういう意味で、この人事、文化、経済等の交流は一そう拡大してもらいたいと思います。これはいいですね。  それから次に、この沖繩返還によりまして、従来の在沖繩米軍は、沖繩の米軍は在日米軍となるわけですね。在沖繩米軍は返還後在日米軍となるわけです。これは自動的に国連軍の性格を持つことになると思いますね。というのは、米軍の最高司令官が国連軍の司令官として在日米軍司令官も兼ねておる。両方兼ねておる。その本部が座間にあることは御承知のとおりです。名目上にしても、在沖繩米軍が在日米軍になった場合には、同時に国連軍の性格を帯びる、そういうことになるのじゃないですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私はそういうふうには思いません。詳しいことは条約局長からお答え申し上げます。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 御存じのとおりに、吉田・アチソン交換公文というものがございますし、また国連軍協定がございます。しかしながら・在日米軍は吉田・アチソン交換公文に関する交換文によりまして、在日米軍の行動につきましては、安保条約関連取りきめの規定に従うということになっているわけでございまして、その点につきまして、ちょっと私、先生がおっしゃいました、在沖繩米軍が国連軍となるという意味が実は理解いたしかねたわけでございまするけれども、そのように、日本との関係における米軍はすべて安保条約関連取りきめの規定に従うということになっているのは御承知のとおりだと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 つまり、在日国連軍の部隊はどれだけで、人員はどれだけという規定はないのですよ。したがって、その司令官は両方を兼ねておるわけです。したがって、これは形式的な問題でもあることは私知っておるのですよ。形式的にはそういうことになるという、そういうことを言っておるわけです。実質的にそれが直ちにそういう性格をみな持つというわけではない。形式的には必ずそういうことになるわけですね。どこからどこまでが——これは兼任でしょう。兼任しておる司令官のもとに——何万人はその管轄に入るとか、あとは入らないとかいう、そういう問題ではないのですよ。  そこで、いまの吉田・アチソン交換公文のこともありますけれども、そういうことと関連して、この吉田・アチソン交換公文は朝鮮戦争という背景でこれができたものであることは、これはいまも説明のあったとおりです。しかし、今日は事態が大きく変わっておりますから、まあ実際問題としては、これは一種の形骸化しておることは事実です。しかし、それにしても、そうであるならば、そういういろいろな意味にとられる危険な吉田・アチソン交換公文、無用の吉田・アチソン交換公文は——いわゆる沖繩返還になりますというと、安保条約及び日米間の相互のいろいろな取りきめはそのまま引き継ぐわけですが、その中の吉田・アチソン交換公文だけははずしたらどうですか。これは侵略に基づく国連軍の派遣ということで特別の取りきめができておるのですから、これはこんなものははずしたほうがいいと思うのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 条約局長からお答え申し上げます。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 吉田・アチソン交換公文に関する交換公文におきまして、「前記の交換公文は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定が効力を有する間、引き続き効力を有する」ということになっておりまして、一方的に廃棄することはできませんけれども、いずれにいたしましても、御存じのとおり、国連軍協定につきましても、アメリカ側は統一司令部として行動する。いわゆる軍隊に関するものはこの国連協定の対象にはなっておりませんで、全部安保条約関連取りきめ、地位協定の対象になっておりますので、沖繩をはずすとおっしゃいますが、米軍に関しましては、はずしても、はずさなくても全く同じ……

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 沖繩をはずすのじゃない。吉田・アチソン交換公文です。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 吉田・アチソン交換公文を沖繩にはずすということは……

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 沖繩じゃない。全部あの取りきめは取りやめたらどうかというのです。交換公文は廃棄したらどうかというのです。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 交換公文は、ただいま申し上げましたとおりに、国会の御承認を得ておりまする吉田・アチソン交換公文に関する交換公文によりまして「前記の交換公文は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定が効力を有する間、引き続き効力を有する」ことになっておりますので、一方的廃棄はできません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはね、ほんとうのお役人の法律論で、実際上、もうこれは完全な形骸化されておるものですね。しかも、国際情勢がこういうことになってきている。しかも、国連軍という性格を持って、これは何万人の在沖繩米軍が在日米軍となって朝鮮の目の前におるんでしょう。何かあればこれはいつでも発動できるんですよ、国連軍として。そういう性格を持っているのですよ、吉田・アチソン交換公文の形の上から。その司令官を座間におる在日米軍司令官が持っておるのですから、このようなものは廃棄するにしかずと、こういうふうに私、言っておるわけですよ。  ところで、総理は衆議院で、これはちょっといやな質問をして恐縮ですが、わが党の川崎議員の質問に答えてこう言っておられますね。  隣家の火事があったとき、隣のことだからといってじっとしていることは、とるべきではないと。しかし、出かけては行かない。それは憲法上禁止されていると。こういう意味の答弁をされています。この答弁は一応もっともだと私も思います。ただ問題は、この場合じっとしていることはとるべきではないと。じっとしていてはいけないということですね。そういうのでありますから、その気持ちは、気持ちの問題だけではないということです。行動を意味しておるわけですね。ですから、その場合に、じっとしていないというのは何をおやりになるか、こういうことです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、類焼を受けないように、こちらはみずからバケツその他を用意するということでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 隣家に何か起これば、こちらも関心の高まらざを得ないことは、これは当然であります。私もその点は同感で、全然異議はありません。ただ問題は、隣家のどちらも——この場合は複数ですよ。どうも単数のようにお考えになっておるかもしれませんが、この場合は複数ですね。そのどちらもこちら側に対して、つまり日本に対して何らの敵意もない、いささかもこちらに対して立場を侵すような意思もなければ行動も起そうとは考えておらない。そういう場合には、どういう形にしろ、介入することのよくないことは当然でありますね。そういう場合において介入することのよくないことは当然である。相手が日本に行動を起こした場合は別ですよ。相手が何らの日本に対して害意のない場合に、日本が行動を起こすこと、介入することはよくないことである。そこで、この場合、直接介入できないことはもう明らかになった。これは総理も言われたとおりです。問題は、アメリカの行動に対する日本の立場であります。  そこで、プレス・クラブにおける総理発言は、衆議院の段階である程度修正といいますか、真意を明らかにされました。これは私、了解いたします。私の言いたいことは、隣家が直接こちらを対象として行動を起こさない限り、どのように関心は深くあろうとも、日米の事前協議でイエスを言うべきではないと、こういうことです。特に言いたいことは、隣家の片方だけが特に悪事を犯す。最初からそうきめてかかる発想というもの、それを前提とする外交、その前提とする事前協議、私はこれはとらない。だから相手の国が、相手が直接侵略をしない限り、日本はアメリカに対してイエスを与えるべきではない。これは基本的な問題だと思いますね。これは実は、軌道修正をおやりになるということも、そこらも含めて私は考えておったのですが、いかがでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまので、先ほどのお尋ねの国連という問題が浮かんでくるように思います。いわゆる米軍というだけなら非常に簡単でございます。ただ、国連軍が発動すると、こういう場合において私どもがどういうような処置をするか、こういうことが問題になるのじゃないだろうかと思います。幸いにして日本に国連軍がいるわけじゃございませんから、そういう意味では、日本の処置というか、事前協議の場合の態度、これは明確であろうと思います。いわゆる類焼の危険が全然ない、こういう場合に、また、積極的にわれわれが介入しないというそういう態度である限り、もしも介入したら類焼の危険があると、こういうことが明確であればですよ、これはもちろんわれわれは、その事前協議に対してとるべき態度は明白だと、かように思います。  ただ、私申し上げたいのは、事前協議という制度は、総体といたしまして、いつもノーと言うばかりではない。これはやはりときにはイエスもある。それでこそ初めて事前協議の効果が期待できると、かように思います。私は、そういうことも考えながら慎重に対処すると、かように言わざるを得ない、かように思っております。どうか、そういう意味で誤解のないようにお願いしておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 直接侵略のない限り事前協議でイエスは絶対に与えるべきではないという、これは重ねて私強く要望いたしておきます。  それから、日本に国連軍は全然いないんですか。一人もおりませんか。総司令部があるのかどうか、国連軍の。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) 日本には、国連軍の後方司令部がございます。  なお、国連軍の日本における配置状況は、立川にタイの空軍分遣隊が二十七名、それから座間に先ほど申し上げました国連軍の後方司令部、五人。それから府中に国連軍の合同会議、国連軍側代表というのが一人。それから横田にこれはタイの空軍機が二機常駐しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 まあ、それはよろしいですわ、数の問題はよろしいですが、存在しておることは事実ですから、総理誤解のないように。  次に、時間がもうわずかになりましたので、実は私はこれから真の安全保障とは一体何かということを実は申し上げたかったのです。これが実は沖繩の基地なりあるいは機能に重要な関係を持つことでありますので、これを実は中心にきょうは申し上げたかったのですが、時間の関係でほんとうの概括的なことしか申し上げることができませんが、まあ、いずれにしても、さきの中国の国連参加とも関連して、いまもお話がありましたが、いわゆる三極構造ということがよくいわれております。要するに、これからの世界の動きは、確かに米・中・ソ三国が大きな影響力を持つことになることは、これは当然だと思います。しかし、同時に、それ以外にもたくさんのファクターがあると思います。中には、日本を入れなければ満足のできない人もあるようですが、それはとにかくとして、ファクターはたくさんある。むしろ多極化の時代と言うべきものだと思います。そういう場合に、われわれ考えても、古いヤルタ体制というものは崩壊したと思います。これは確実であります。そして、こういう今日の世界情勢のもとで日本はどういう外交路線を選択すべきなのか、また、どういう安全保障政策が望ましいのか、お互いに私は真剣に考えなければならない問題だと思います。実はこれが、いま申し上げましたように、沖繩の基地の態様に関連する基本的な問題にもなると思います。日本は今日まで日米安保条約に依存をしてこれに安全保障を託してきたのでありますが、このような政策では決して問題の解決にはならないと思います。力の政策は、結局際限のない力の均衡の拡大となり、力の拡大均衡へエスカレートしていくことは必然であります。  ところで、去る十一月三日、ウ・タント国連事務総長は、いわゆる軍備競争白書を発表いたしました。長い命題でありますが、簡単にいえば軍備競争白書であります。その中で、この報告書は次のように言っております。「技術改革の加速とともに、軍事支出があとに残す危険はきわめて大きくなり、いまや軍備競争はついに人類の存在に終止符を打つ手段を与えるに至った」と、こう述べております。さらに、「それだけではない。軍備競争は関係する国家間の緊張そのものをさらに拡大させる。政治的対立は軍備蓄積のもたらすおそれや疑惑によってなお激しくなる」と、こう言っております。このウ・タント報告書の指摘は、われわれにあらためて安全とは何かという問題を提起しておるように思います。また、かつてのアメリカのマクナマラ国防長官、この人が、真の安全は軍備ではないと、こう言ってその職を去りました。これは一つのエピソードになっております。いわば抑止理論、マクナマラ理論ですね。抑止理論の完成者が、実はその理論の行き詰まりに逢着をして新たなる方向を模索せざるを得なくなった。これはきわめて興味深いことだと思います。いわゆる核抑止力による安全保障も、結局は恐怖の均衡にすぎない。われわれは安全保障について他に可能なあらゆる政策手段を、平和のためにも、選択しなければならぬと思います。つまり、役立つと思われるものはあらゆる手段方法を選択しなきゃならない。平和に役立つと思われるものです。そのためには、たとえば日ソ不可侵条約の締結、また、日中国交回復とともに、日中不可侵条約の締結、さらに朝鮮半島における緊張の緩和への努力、また東南アジアにおける非核武装地帯設置の問題、あるいは東南アジア中立化の推進の問題、日本の核非武装宣言の問題等々が考えられます。  この日ソ、日中等の不可侵条約を私がかつてこの席で総理に提唱したときに、総理は、一片の条約には真に信を託することはできないと、こう答えられた。しかし、第二次世界大戦前の国際連盟時代と違いまして、軍縮問題が逆に戦争——当時ですよ、当時は軍縮問題が逆に戦争の発火点となったこともある。あるいは貿易競争が戦争と結びついたような時代でもあった。ところが、現在では、そういう様相とは全く異にいたしております。古い冷戦構造時代の発想と秩序だけでは、依然としてこの問題の解決にはならないということであります。したがって、そういう基地機能と軍事力中心主義から脱却しない限り、ほんとうの意味の緊張緩和はできないんではないかと思う。それはそのままにしておいて、あれもだめ、これもだめ、不可侵条約もだめ、非武装宣言もだめ、非核武装地帯設置もだめ、東南アジア中立化構想もだめ。何もだめ、あれもだめ、これもだめで、しかし、沖繩の基地だけはどこまでも縮小できると、そんなことができますか。アメリカがそんなことを認めるとは私は思いません。それはそういう客観情勢の変化に対応して沖繩基地の縮小が起こる。したがいまして、そういう意味の積極的な努力が日本外交になければならぬと思う。その中のたとえ一つでも前向きの姿勢で取り組んで実現させるようなことはできないのか。はなはだ私は残念であります。みんな、あれもだめ、これもだめ、役に立たないと言う。総理の所見をひとつお聞かせをいただきたい。——総理がお聞かせくださらなきゃおかしいですよ。そのあとですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、わが日本の安全ということは非常に大事な問題である。この問題を考える場合におきまして、戦後数年間のような世界の四等国、五等国というような位置にある日本であるとすれば、これはまた何をか言わんや、こういうふうに思いますが、今日わが国は、経済力におきましては、とにかく自由社会においてアメリカに次ぐ日本という地位をかちえておる。世界に対する影響力も、また世界から受けるところの影響もきわめて甚大であります。そういう情勢下におけるわが日本の安全をどういうふうに確保するかということになりますと、これは基本的には世界じゅうが平和でなければわが日本にも平和も安全もない、そういうふうに考えます。ですから、世界が平和になるためにわが国が貢献をする。私は、わが日本のためということばかりでなくって、世界にある日本のあり方としてそれは非常に貴重なあり方だと思うし、またわが国自体の立場を考えましても、どうしても世界じゅうを平和にするということでなきゃならぬと、こういうふうに思うのです。その平和にする手段は一体どういうふうなんだと、こういうと、軍事抑止力といいますか、軍備を整えてこれに貢献をするという行き方、これはわが国の憲法がこれを許さない。また、核を持つかということになりますと、最初の被爆国としてのわが日本の国民はこれを許しません。わが日本の行き方というものは、やはり持てる経済力を軍備に使わないで、世界が平和になるように、その前提として世界の社会が安定をするようにという方向に貢献をする、これが私は日本の安全に対する基本的なかまえでなければならぬというふうに思うのです。いま、世界各国、大きな国々が、あれだけの経済力を持った日本がこれから先一体どういうふうになっていくんだろうかということに深い関心また疑問を持つ国もあり、北京のごときは、日本は軍事大国になるに違いないというような見方もしておるようでありますが、しかし私はそういう道を選ぶべきじゃない。かちえた経済力というものをおくれた国内の社会資本の取り戻し、社会体制の整備、そういうふうに一半は使わなければならぬ。しかし一半は、どうしても世界に向かって、世界の国際社会というものが安定するために協力をするという姿勢をとると、これが私はわが国の安全を確保するための基本的路線でなければならぬ。マクナマラの話が出ましたが、ちょうど、マクナマラさんもそういうことを考えておったようです。私は、その点においてはマクナマラ構想というものには全面的に賛成である。私は、そういう考え方で外交政策をやっていきたいと、こういう考えです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは最後の一問になるだろうと思いますが、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、これらの諸国は、——これはいわゆるASEAN諸国ですね。東南アジア諸国連合の外相たちが先日会議を開きまして、東南アジア中立化宣言を採択して、さらにこれら諸国の首脳会談を計画されておるようです。さらに、この中立化計画には南北ベトナム、ラオス、カンボジア、ビルマ各国も含まれると、こう言っております。この計画は、東南アジアを平和・自由・中立地帯と宣言するだけではなしに、アメリカ、ソ連、中国の三大国の保証をどのように取りつけるかということも考えながら進めておる計画であります。こういう動きが、当面まだ構想や計画の域を脱していないことは事実でありますけれども、われわれは、この種の試みに賛意を表するだけではなしに、積極的にそういうものに援護を与えるべきじゃないかと思う。また去る十一月二十五日、ルーマニアのチャウセスク第一書記とユーゴのチトー大統領との会談で、バルカン半島の非武装地帯化の呼びかけをしております。また十一月二十九日国連総会の第一委員会で、メキシコなど中南米十七カ国が中南米非核地帯条約の早期批准を求める決議案を提出しております。また中国も喬冠華国連代表が非核武装地帯の構想を支持することを明らかにしておる。こういう問題についても、非核武装地帯あるいは中立地帯の拡大、そういう問題についても、もう日本は、何もだめ、これもだめでなしに、何か一つでも成功させるような努力をなすったらどうでしょうか。あまりにもいまの福田外相の答弁は抽象的である。そんなものじゃないと思います。日本が小国と言っているこのアジアのそういう国が、みんな雄大な平和構想を持っている。十分な力を、経済力や武力を持つことができないので、その他の手段で自分の国を守ろうとしてやっているんです。これは私はこういう力というものを伸ばすべきではないかと思いますが、私はまじめに考えるが、総理はどういうふうにお考えになりますか。  これで私の質問を終わります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私はいま、どうせ時間が迫っておりますので長くやるとしかられると思いましたから簡単に申し上げたわけですが、基本的な考え方はただいま申し上げたとおりです。しかし、これを一体どういうふうに実現していくのかという問題でありますが、わが日本は非常にそういう意味においては世界的に貴重な立場にあると思うんです。つまり、これは何だといえば、核を持ち得る力は持っているけれども核は持たないという日本の姿勢です。これは私はたいへんなものだろうと思うんです。私はいま核が用いられる戦争が起こるというようなことを想定しますと、人類の死滅に通じます。私は、核は持てるが、持つ力はあるが核は持たぬ強大な軍事体制もとらんとすればとれるというような立場にあるわが日本がそういう方向をたどらない。これは国連等においてもいま大いにその方向を進めたいと思う。今度中国の国連参加がきまった。くしくも安全保障理事会においてはその常任理事国、五つの国が全部核保有国です。これなんかは私はその問題を解決する一つの大きなチャンスではないかと思う。その問題に呼びかけを、ほんとうに説得力を持って行ない、行動し得る国はだれかというと、核を持つ力がありながらその核を持たない、また、その最初の被爆国としての経験も持っておるわが日本だと思うんです。また軍備問題についてもそうなんです。そういうようなことを考えると、私はかなり世界の平和、軍縮という面においては貢献し得る、そういうふうに思うのでありまして、着実に一つ一つそういう問題を取り上げて実践していきたいと、こういうふうに考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣から詳しく日本のとるべき道を説明されましたので、よけいなことを私申し上げるつもりはないのですが、私どもはただいま平和に徹すると、こういうことを申しております。その平和に徹する具体的な方法は一体何なのか、これが先ほど羽生君が示されたような五つばかりのそういう具体的な方法があるにかかわらずなぜやらないのかと、こういう御叱正であったと、かように私は静かに実は承っておったのであります。私はこの際に申し上げたいのですが、われわれは実効のあることは、もちろんこれについては協力はしたいと思います。ただ日本の行き方として、平和に徹するその国是、この点を十分理解していただくならば、私どもは新しい何ものも必要としないんじゃないだろうか、かように私は思わざるを得ないものでございます。先ほども安保の常任理事国五つが全部核兵器を持っておる国だと、これが印・パ紛争について安保理事会の常任理事国としての結論が出ない、こういうところにどうも大国としてのわがままもあるんじゃないだろうか、かように私は思いますので、それらのことを考えながら、ただいまの日本の行き方、これにほんとうに平和に徹するその姿を具体的に示すべきである、そういうことも考えるべきだ、かように思いながら、ただいまの政府叱正——しかりつけるという、そういうことばはどうかと思いますが、御叱正のあった点について私は静かに御意見も伺ったつもりでございます。これから一そうこれらの点について御協力、御鞭撻を賜わるようお願いしておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 先ほど来の質問が沖繩返還協定に重要な関連のあることを最後に申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で羽生君の質疑は終わりました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  田英夫君。

田英夫日本社会党

○田英夫君 私は、午前の羽生委員の質問の上に立ちまして、さらにやや細部にわたって、佐藤総理並びに政府の御見解をただしたいと思います。  まず、外交の基本といいますか、この沖繩返還協定を結ばれた現在の時点の国際情勢、こういうものをどのように判断をしておられるかという点からお聞きしたいと思います。  いわゆる国連中心主義外交ということを、佐藤総理は機会あるごとに言っておられる。これは佐藤さんだけではなくて、佐藤さんの先生である吉田総理がかつてそういう基本的な態度を示され、池田前総理大臣が具体的にそのことばを吐かれたわけでありますけれども、現在、中国が国連に参加をしたというこの時点で、佐藤総理はこの国連中心主義外交というものをどのように考えておられるか。引き続き、この基本線は堅持をされるのかどうか、この点からお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 簡単に結論だけ申しますが、今日も変わりはございません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、当然問題になるのは、佐藤総理がこの間西村防衛庁長官を罷免をされた。これはもう内容を申し上げるまでもなく、西村発言というものは、佐藤さんが中心にしていきたいと考えている国連を、いなかの信用組合であると誹謗をされたために罷免をされたと思いますけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) さきの西村防衛庁長官は、いろいろもう少し時間をかければ、十分皆さん方の御理解も得られたと思いますけれども、どうも大事な審議をしておりますその段階でございますので、十分の時間をかけるわけにもいかない。そういうことで、西村君の真意が十分伝わることができなかった。そういうような状態で、西村君にはかわっていただいたと、かように思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 つまり、しかし、佐藤総理のお考えは、西村長官の発言は、国連中心主義外交という佐藤総理の基本線にはずれている、こういうことで罷免をされた。大臣を一人罷免をされるということはたいへんなことだと思いますが、これは明らかに国連中心主義外交に反する言辞を重要な閣僚が発せられたと、こういうことだと思います。  ところが、ややこまかいことになりますけれども、実は、西村発言というのは、防衛庁の記者クラブで西村長官が発言をされた、これは正式の記者会見でありますから、テープもとってある。私の調べた限りでは、そのテープによってあとから聞いた記者もあるようですが、問題は、どうやら、そこで防衛庁の広報関係のあたり、あるいはややもう少し上のところのようですけれども、記者クラブに対して、これをもみ消す動きをしたように思いますが、江崎新長官は、この点の事情をどのように聞いておられるか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) もみ消すというような動きをしたということは、これはもう全然聞いておりません。ただ、円滑な国会運営を続けたいということで、だれかれがあるいは話し合いの場に出ていった、そういうことは、これはまあ、あるんじゃないかと思いますが、もみ消すという話は聞いたことはございません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 まあ、もみ消すということばはあまりいいことばじゃありませんけれども、この問題は本日の主題ではありませんから、私はこれ以上触れません。  しかし、この際、佐藤総理に一言申し上げておきたいのですが、佐藤内閣発足以来、言論に対する抑圧というものが佐藤さんの手によって行なわれているといわれている。佐藤さん自身は御存じないかどうか知らぬけれども、私は、私自身の体験の中からも、佐藤さんにきわめて近い人たちがそれと思われる行動をとっていることをひとつ御注意申し上げておきたい。これは答弁は要りません。私は、このようなことは民主主義を守る上で非常に問題であるということを、この席ではっきり申し上げておきたい。  そこで、いま、西村発言は、つまり佐藤さんの言い方では、いろいろ言い分もあったろうけれども、国会運営のこともあって、まあやめてもらった、こういう発言がありました。どうやら、内容は佐藤さんの国連中心主義外交というものに反するものである、遺憾であるということをやはり総理自身思っておられると思います。ところが、西村発言と同じような発言を愛知さんがやっていますね。愛知さんといえば、現在、自民党の外交調査会会長である。しかも、前外務大臣、さらに国連の首席代表、こういうまさに重要な先日のあの国連総会に日本を代表して行ったこの首席代表である愛知さんが、国連を批判するような言辞をやはり吐いておる、こういう事実があります。佐藤総理は御存じないかもしれませんので、その内容をここで御披露いたします。  十一月二十六日の、日本倶楽部における国策研究会の講演会、そこで愛知さんは、中国の国連加盟とこれからの日本の外交という題で講演をされたんですが、この全文を読みますとたいへん詳しいものですから、問題の個所だけを御披露いたします。  敗戦の弁をいまここでするのは本意ではないが、各方面からの求めもあるので、今度の国連総会のてんまつをお話しすることにいたします。率直に言って、中国問題について私は自信がなかった。外相当時、昨年の国連総会の状況を見て、日本政府はアメリカ政府に善処を求め続けたけれども、思うような反応は得られなかったばかりか、御承知のように頭越しの訪中計画などが出てきた。——こんなことでずっといきさつを述べておられるわけですが、一番問題の発言は、とにかく、国連は、アルバニア決議案が通ったときは支持派の代表が興奮して手を振って踊りまくるような、まあいままでの国際会議ではとても見られないような情景だったと、こういうことを言っておられる。さらには、オマールなど皆さんはどこにあるかも知らないと思うが、人口八万という小国が自己顕示欲が強いというか、ナショナリズムにかられており、米ソへの反感もあってか、中国に前もってよしみを通じておこうという風潮が流れている。これは、西村発言にも同じような発言があったわけですが、同じようなことを前外務大臣、国連首席代表が言っておられる。たいへん長いので略しますけれども、最後に、いずれにしても八万くらいの人口の国が、一億の日本と同じ表決権を持ち、千四百万人の国の存在が否認されることはもはや耐え忍びがたいと、一部には国連外交は思い切るべきだとの説をなすものもあると、もともと国連憲章は日独を敵国扱いにしているし、加えて、五大国とはいまやすべて核武装をしている、ヤルタ体制の再現である、こういうことを愛知さんが言っておられる。佐藤さんは御存じないかもしれませんが、いま私が申し上げたことは、この会に出席していた私の友人、かなり多数の人から得たものを総合したものであります。これは、私の、内容としては自信を持って正しいと申し上げておきます。このような内容の発言を総理はどのようにお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、田君は答弁は要らぬと言われたんですが、私が総理になってから、言論の圧迫があちらこちらにあるというような表現をされる、私はたいへん遺憾に思います。私は、さような意図は持っておらない、表現の自由も、言論の自由ももちろん尊重する、こういう立場でございますから、その点は誤解のないようにお願いしておきます。どうも田君自身が私の圧迫があったからどうこうだというようなことも選挙中に言われたようでありますが、その点はあえて、ただいま答弁は要らぬと、ああいうふうに言われるが、さようなことはございませんから、もしそうお考になっていらっしゃったら、それだけは私の真意ではないんだということをひとつ御了承おき願いたいと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これは、現在は自民党外交調査会長である。佐藤さんは自民党総裁であります。党の中で、自民党の中にはいろいろ御意見があるのはけっこうだけれども、外交調査会長という人が、こういうことを言っている。これは総裁としてどうされるか。あるいは、もう一つ、これは国連の首席代表であります。これは国連の首席代表を任命されたのは総理であります。その首席代表であった人がこういうことを言っている。この点をどのようにされるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国連の首席代表であった当時は、さようなことは言わなかった。これはもう結果で、帰ってからただいまのような批判をしたということですから、その点はあまり追及なさらないように願っておきます。また政調会長、あるいは外交調査会長、こういうことをただいまやっておりましても、これはやっぱり総裁と意見を異にすると、総裁の言い分のとおりに党は運営されますから、あまり御心配なさらないように。自民党のことはひとつ自民党にまかしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

田英夫日本社会党

○田英夫君 どうやら総理は、国連中心主義外交ということは佐藤内閣の基本姿勢でありますね、外交の。その基本姿勢を党の外交調査会長という、外交について党の政策の中心になっている人さえもが、佐藤さんの基本方針を守らない。まあ、私も他党のことでありますから、これ以上論評を避けますけれども、まことにどうも、はたから見ていても、統制がとれていないように思わざるを得ません。そこで、いま中国が国連に入ったというこの時点で、西村さん、愛知さんという相次ぐこういう発言が出てくる中で、もう一回伺いますが、佐藤総理は国連中心主義外交をはっきり進める決意があるかどうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) けさほども私は羽生君にもお答えしたように、われわれは平和に徹する外交を展開する、そういう場合に、日本の自主的な立場もさることながら、ただいま国際的な平和機構であると考えられる国連中心主義、これは当然でございますので、それを両々相まって、私は平和に徹する外交を推進していく、かように御理解いただきたい。

田英夫日本社会党

○田英夫君 福田外務大臣に伺いますが、外務省では、この日本が国連に臨む方針の中で、安全保障理事会の常任理事国に日本もしろと、まあ、日本は経済大国である、こういうようなことを考えておるということがありますけれども、外務大臣としてはこういうお考えはありますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりの考え方を持っております。ことに、中国が今度国連に加盟すると、そうすると、期せずして世界の核を持っておる国が全部常任理事国になる、こういうことになる。私は、その状態は、核問題を解決するためには、持っていき方によってはたいへん有効に働いていくんじゃないか、そういうふうに思いますが、と同時に、どうも軍事大国ばかりの安全保障理事国、これでは私は今日の世界情勢に適当でない、こういうふうに考えております。やっぱり経済大国も、あるいは文化大国、そういうものを加えた常任理事国というような構成にしたならば、よりよき運営ができるのじゃないか、よりよい成果をあげ得るんじゃないか、そういうように考えまして、しばらく前からそういう主張を展開しているわけであります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはこれからの日本の外交を進める上でたいへん重要な問題だと思います。私は少なくとも、日本がそのような態度をとるということに対しては異論があります。この点は、機会があればひとつあらためてただしたいと思いますが、きょうは時間がありませんのでこの点を深くお聞きすることができませんが、午前の羽生委員の質問の中に、国連軍の問題がありました。これは現在も日本の中に国連軍というものが存在をするということは、吉野アメリカ局長からの答弁で明らかであります。そこで問題は、この国連軍というものは、在日米軍と国連軍というものをだれがどのようにして区別をするか。これはアメリカがかってにこの部隊は国連軍だと、こう名のることができるのかどうか。これはどなたでもけっこうです。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) まず、先ほど申し上げました吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文の第三項に「千九百五十年七月七日の安全保障理事会決議に従って設置された国際連合統一司令部の下にある合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従って行なわれる取極により規律される」ということが明記されてございます。したがいまして、米軍は、それが統一司令部のもとにあってもありませんでも、すべて日本との関係におきましては安全保障条約に基づくところの米軍なのでございます。そこで、ここに書いてございまするとおりに、一番端的に申せば、事前協議の対象にもなります。  そこでもう一方から申し上げますと、国連軍協定をごらんいただきますると、第一条の(b)「「この協定の当事者」とは、日本国政府、統一司令部として行動するアメリカ合衆国政府及び、「国際連合の諸決議に従って朝鮮に軍隊を派遣している国の政府」として、」云々ということが書いてございまして、この国連軍協定の当事国と申しますのは、日本と、ほかのあの当時朝鮮に国連軍として軍隊を派遣したアメリカ以外の国、及び単に統一司令部として行動するアメリカ合衆国政府、この間の取りきめでございまして、したがいまして、合衆国軍隊というものは、それが統一司令部のもとに——先ほど申したとおりに——あっても、それは全部米軍として日本における規制を受けると、こういうふうになっております。したがいまして、そういう意味におきましては、アメリカとして、国連軍軍隊というものはございませんで、単に統一司令部という、統一司令官というものが存在していると、こういう関係になっております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまの条約局長の答弁から確認をしておきたいのですけれども、そうなると、事前協議というものの対象に国連軍も当然これはなると、こういうふうに考えていいですか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) これは二つに分けて御説明申し上げたほうがよいと思います。  アメリカ軍に関しましては、先ほど申し上げました吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文第三項によりまして、完全にそれが国連軍として朝鮮において行動する場合も、日米安保条約及び関連取りきめ、すなわち事前協議にかかるということが第一点でございます。  第二点は、その他の国連軍はどうなるかと申しますと、その他の国連軍につきましては、国連軍協定第五条の合意議事録の中に、第五条に関し、「日本国政府が日本国において国際連合の軍隊の使用に供する施設は、朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵たん上の援助を与えるため必要な最少限度に限るものとする」という規定がございまして、これでもおわかりになりますとおりに、その他の国の軍隊につきましては、単に兵たん上の、英語ではロジスティック・サポートと書いてございますが、それのみを与える。したがいまして、その他の国の軍隊が国連軍として、日本国内の施設及び区域を使用いたしまして戦闘作戦行動に直接発進するということはないわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、そこまでの政府の答弁は、かねてから衆議院でも事前協議の対象になるんだということを言っておられる、これはすでに既定の事実でありますけれども、最近衆議院でも明らかになりました、岩国に核があるというような問題が出てくるとなると、問題が起こってくると思います。核の持ち込みというのは、もちろんこれは政府としては断わるということになっておりますが、持ち込みというのは配備をするという意味かどうか、ここのところは福田外務大臣、どのようにお考えでしょう。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 事前協議の対象になる核の持ち込みは、核弾頭の持ち込み及び中・長距離ミサイル並びにそれらのための基地の建設というふうになっておりますが、あらゆる意味におきまして、日本国内、日本国の主権のもとに存在する状態のことを申します。

田英夫日本社会党

○田英夫君 つまり核兵器の持ち込み、それから中・長距離の弾道弾、核基地、これが事前協議の対象になるということですけれども、たとえば岩国には明らかに、私どもの調査では、核を入れる核貯蔵庫をアメリカ軍が持っていると見ざるを得ない。そして、そこにトランジットで核が運ばれてきて、さらにどこかへ持ち去られていくという、こういう場合に、これは事前協議の対象になるいわゆる核持ち込みということになるのか、私どもはそこのところにたいへん疑問を持ちますが、福田外務大臣どうですか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 事前協議の対象になります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、先日来衆議院でも問題になりました岩国の核の問題を取り上げたいと思います。  去る十一月十六、十七の両日、衆議院の委員会で楢崎委員がこの問題を取り上げまして以後、実にふしぎな動きが岩国基地をめぐって起こっておりますが、そのことはあとで触れるとして、一体、この問題については日本国民も大きな疑惑を持っておりますけれども、政府はアメリカ側と正式に話し合いをして、アメリカ側から正式の回答、説明を受けているかどうか、この点、外務大臣に伺います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 岩国の問題につきましては、衆議院で楢崎委員から質問がありまして、それでアメリカ側と協議いたしまして、防衛庁のほうから係官を出しまして調査をいたしました。その結果、楢崎委員の御指摘されるような事実は全くないと、こういうことが明らかになっております。詳細はなお政府委員のほうから御説明申し上げます。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 十一月の二十二日に統合幕僚会議の伊藤将補他一名を現地に派遣をさして調査をしたわけであります。  現地で見たところによりますると、問題になっておりまするのは、長さ一・五キロぐらいの弾薬地帯がありまするが、その一隅であります。このほかにも弾薬庫がございますが、この地域が一番大きい。したがってまた御指摘のナンバー6という地域がそこにあったわけであります。  そこで、これらの貯蔵庫の態様でありますが、英語で申しますと、イグルー・タイプと申しまして、これは通常の貯蔵庫、つまり覆土式——土でおおってありまして、そして半地下にもなってない。これは自衛隊にもございます。そういったタイプの通常のものであるということでございます。それからまた、特に問題として御指摘になられたのは、ナンバー6——六番目でありますが、一番から五番までと何ら態様は変わっておらない。  そこで、中身を見ますると、現在ナンバー6に入っておりますのは、魚雷、爆雷などでありまして、ほかのほうには、いわゆる6アミュニション、少し多目のたとえばロケット砲でありますとか、幾らか大型目のいわゆる機関砲、その他のたまが入っておるということであります。  なお、内容については、もちろんたまの裸のものには英文字が入っておりますし、ケースに入っておるものは、そのケースに文字が入っているということで、中身も推測ができる。そこで中は、通常のコンクリートの上に置いてあるだけで、格別の装置はない。また特に、国会で問題になってから、何らかの特殊装置を撤去したかというようなことに着目をして見ましたけれども、それらの様子はさらさらないということであります。  それから、警戒については、これは米側でも特別の意図はないと申しておりますけれども、全体については一重さくで、ナンバー6だけが二重さくということではなくて、三番から六番までが二重さくであったということでありまするし、それから、先ほど広い地域の弾薬庫地域の中の一隅であると申しましたが、警備員は、その広い地域の端のところに衛所がある。そこ一カ所しかございません。なお、監視所あるいはライトその他が数カ所あるようでありますが、監視所などに人は配置されておらないということであります。ただ、二時間おきにMPがずうっと回って歩くということであります。  それから、特別の消火装置としては格別にありませんで、この各貯蔵庫の前のところに、携帯用の消火器が一つと、シャベルが一つ、それからピッケルが一つ、それだけが置いてあるということであります。  それから、いろんな核兵器の、あるいは核爆弾の持ち込み云々のことがいわれておりますが、これは米側は全部否定をいたしております。そういうような事実はないということであります。  それから、爆弾らしいもののマークが赤いものがついてあった、あれは核爆弾ではなかろうかというようなお話もございましたが、現実に伊藤将補が現場で見たところ、これはパーキング・エリア——飛行機の駐留しているところでありますが、そこで現実にドロップ・タンクの、つまり予備タンクでありますが、その先端に赤く塗ったのが二機確認されている。これはA4という飛行機であります。  それから特に問題になりましたのは、赤に塗ったのが黄色に変えられた。これはナンバー6の問題でありますけれども、これにつきましては、当初赤に相当するものが入っておったところが、それが中身はすでに黄色に相当する爆雷その他に変わっておったということで、赤を黄色に変えたということです。なお、小さな貯蔵庫の中で赤のものがありましたが、それは小銃弾その他のものが入っているよしであります。これは他の地域であります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 たいへん詳しく話してくださったのに申しわけないんですが、いまの防衛庁のお答えは、伊藤空将補が現地に行って調べてきたんだと、こういうことですけれども、これはまことに実はおかしな話で、アメリカは本来核の存在については大統領の直接権限であって、見せぬと、見せないんだと、こういうことを言ってきたわけですね。核兵器に関する問題は、出先の司令官あたりではどうしようもないんだと、こう言ってきたのに、今回は伊藤空将補をわざわざアメリカ軍の飛行機で向こうへ連れていって見せた、これは私どもの感覚からすれば——私どもというのは、つまり一般国民の感覚からすれば、企業がどうも公害の廃液を流しているらしいという調査をするのに、新聞記者でも国民でもいいですけれども、企業側の招待で、企業側の車に乗って、企業側が見せるところだけ見てきて、ああこの企業は公害がない、こう言っているのと同じで、長々と答弁をしてくださったのに申しわけないけれども、これを私どもは信ずるわけにいかないのですよ。  それどころか、もう三年前になりますが、一九六八年七月、このときに公明党が全国の基地を調査されたことがある。そのときに岩国で、これはある米兵の証言ですけれども、近く日本人が基地を見にくるので、基地から動かさなくちゃならないものがあるのだということで、この兵隊はトレーラーを運転させられて、ある地点まで行って、荷物を積み込むときには、おまえは別のところに行っていろと言われて、積み込みが終わるまでそれを見させられない。積み込みが終わった時点でまた運転をさせられて、今度はおろすときに、またこれは見させられなかった。おかしなことがあると思ったら、近く日本人が見にくるのでこういうことをするのだということを上の人が言っていた、こういう話があります。こういうことを合わせ考えますと、いまの防衛庁のお答えのような伊藤空将補の調査というものは、私どもは全く信ずるわけにはいかない。それどころか、その後数々のおかしなことが出てきていますが、いまの久保局長の答えられた内容というのは、正式に外務省なり防衛庁にアメリカ側から文書で来ておりますか。来ておれば出していただきたい。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) ただいまのはもちろん現地に行っての調査結果の報告でありますから、本人から私どもが見かつ外務省にも連絡したわけであります。なお、そのほかにいろいろ米側からの調査結果が参りますが、それは大使館を通じてであれ、あるいは米軍を通じてであれ、すべて口頭で参っております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 口頭で来ているということですけれども、実は去る十一月二十四日に、社会党の赤松副委員長以下楢崎、横路各代議士がアメリカ大使館に抗議に行きました。楢崎質問のようなこのような疑惑があるということについてアメリカ大使館に抗議に行ったときに、応待に出ましたマイヤーズ参事官が一つの文書を示しております。ここにありますが、それを示しながら、実はこれは日本政府に提出をした回答文書の一部である、要旨である、これを要約して、あなた方が来られるというので、タイプに打っておいたのだが、日本政府にはもっと詳しいものが提出してあるからそれを見ていただきたい、こういうふうに答えたので、赤松副委員長以下は、いや、そこにあるならそれを見せてくれということで問答をした結果、ふしぎなことに、二枚目と三枚目はおしりのほうを切って、それはどういう意味かわかりませんけれども、邪推をすればいろいろあるけれども、いずれにしてもこの文書を、これはプリントしたものでありますけれども、リコピーしたものでありますけれども、これを社会党によこした。これはありますか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) お尋ねの文書はございません。そこでそのマイヤーズ氏がそういうことを赤松さんに答えた、これは情報といいますか、何かプリントした抜き書きのもので、私どもも拝見しましたので、そこで防衛庁側で調べさせたばかりか、直接マイヤーズ氏に……、これは、それはないということでわれわれ了承しております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いままあ防衛庁長官ないと言われましたけれども、マイヤーズ参事官は、日本政府に提出をしておる、こういうことをはっきり言っているし、さらに野党の社会党にこういうものをよこしているのですから、これはたいへんおかしな話だと思う。しかも、この回答文の中でどこを破ったか、実は何で破ったかわからぬのですが、よこしたほうの中にもたいへん問題の個所があります。それは、今度の核の問題には直接関係がないのですけれども、わざわざ向こうが答えている。B52は少なくとも二年間は来ていない。ところが防衛庁はかねてから、岩国の滑走路は二千六百メートルで、B52は三千メートルなければ発着できない、岩国には来ていないということを言っておられたけれども、少なくとも二年間という言い方は、これは、前は来ている。また現に岩国周辺の人でこれを確認している。もう一回確かめておきます、来ていますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 「少なくとも」ということは、おそらく回答者の知っている限り過去二年間ということであろうと思います。そこで私どものほうで調べてみましたところが、岩国にB52は来たことがない。三十八年以前の資料は私ども持っておりませんが、三十九年、四十年、それぞれ二十数機入っておりますが、いずれも横田でありまして、四十年六月以降は横田にも来ておりません。なお申し上げたように、岩国は八千フィート、B52は通常の任務で一万フィートの滑走路長が必要である。横田の場合は一万二千フィートでありますから、よほど危険なランをすればともかくとして、通常任務でそういうところを使用しようということはさらさら考えられないと思うのであります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはだいぶ私どもの調査と違います。B52は明らかに岩国に来ることができるとわれわれは考えておりますけれども、この点はさらに機会をあらためてひとつお尋ねをしたいと思います。  先ほどから申し上げているように、楢崎質問が起こって以後、私はなんでこうくどくお尋ねをするかといえば、日本国民の間に、本土にも核があるのだということになればこれはたいへんなことだということで、私どものところにもたくさんの方からお尋ねが来ている。当然だと思います。そこでもっと明快にしていただきたい。佐藤総理は、繰り返しニクソン大統領との間に、沖繩に返還の時点では核がないのだということをもう最高責任者として約束をしておるのだからひとつ信じてくれと言われるけれども、すでに絶対にないはずの本土岩国にさえということになれば、いわんや沖繩の核抜きということはますます信じられなくなってくるという意味で申し上げているので、ひとつはっきりしていただきたいのですけれども、数々の疑わしい点があります。たとえば、この前の楢崎質問の発火点になりましたのは、御承知のとおり、何とアメリカ軍がふだん使っている電話帳の中に核の部隊の名称があるということから出てきたわけですね。疑問が生まれたわけです。ところが、その電話帳というのは、実は六九年版の電話帳であり、ここにその写しがありますけれども、六九年版の電話帳をもとに楢崎委員は質問をした。ところが、実際には、ことしになってからは、当然七一年版の電話帳というのが使われていたわけです。それには御丁寧に——ここにその実物がありますけれども、かつてはばらばらに電話帳の中に入っているのをまあわれわれ社会党の中で調べた結果そういうのが出てきた。ところが、このことしの分には御丁寧に一カ所に集めてありますよ、一カ所に。これはだれが見てもはっきりするように、三六ページですかに、はっきりと、しかも一八二という建物番号のところに、この楢崎質問のときにはばらばらにあったものがきちっと集まっておる。これはもう核に関する部隊の電話番号が一カ所に集められている。これはまあ便利でしょう、向こうにとっては。ところが、楢崎質問があったあとで、これは一斉に回収をされまして、七一年版が。そして新しく同じ七一年版の、見たところ表紙は全く変わりはありません。しかし中身は全く新しい電話帳に、それから何日もたたないうちに、変わりました。一斉に入れかえをいたしました。今度はこれを詳細に検討をしてみても、一カ所に集めてあった核部隊は姿を消しております。ありません。これは、常識のある人が考えれば変だなあと思うほうがあたりまえじゃないでしょうか。これはアメリカ軍のやったことですから外務大臣に伺ってもこれはお答えのしようがないでしょうけれども、常識のある人間ならば、この二つの電話帳の中身を見たときに、疑いを持つのがあたりまえじゃないか。私も非常に疑っているわけです。これがアメリカ軍のやったことの一つです。  そこで、いま申し上げた核部隊というのが、どうやら岩国基地の核部隊の建物が岩国基地のどの辺にあるかということがわれわれにだんだんわかってきたわけですけれども、いまの電話帳一カ所に集めてくれたところを、ことしのこの間まで使っていた、それで調べていきますと、一八一〇、一八二という建物に集中をしております。  そこで防衛庁にお尋ねをしますが、この岩国基地がこれだけ問題になっている以上は、地主であり、家主である日本政府はこの岩国基地の実態について、建物、基地の内容、こういうものを当然把握しておかなければおかしいと思いますが、そうした図面をお持ちですか。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) 私、防衛施設庁の長官でございますが、防衛施設庁におきましては、駐留軍に対する施設区域の提供業務をやっておりますので、その提供業務を遂行するに必要な資料、つまりお尋ねの地図はございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 防衛施設庁でお持ちだそうですから、ぜひこれをひとつ当委員会に出していただきたい。資料として出していただきたい。これは出せますか。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) これは私どもが事務処理をいたしますにつきまして必要な図面として米軍から一部もらっているわけでございまして、これは私どものほうには一部しかございません。したがいまして、これについて御提出するということができないのでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 一部しかないというのは、常にそうした資料は一部しかないので、政府にはプリントする能力が幾らでもある。これは出していただかぬとわれわれの質問はできませんよ、これは。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) 一部でございますので、ここでごらんに入れることはできます。ただ、これを一般に公表することにつきましては、私どもは事務処理上米側からもらっておるわけでございますので、米側の了解を得なければならないと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 それではひとつ正式に米側の了解を得て当委員会に資料として出していただきたい。これは非常に重要な問題ですよ、電話帳の先ほどの疑問を解く。私はきょうここで明らかにしておることは、国民の皆さんも疑問を持たれているから私が皆さんに伺っている。政府に伺っているのであって、これはひとつぜひ、疑問を晴らすという観点から出していただきたい。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 田君にちょっと申し上げますが、資料提供は事前に理事会でいろいろ検討した上でまた扱いますから。

田英夫日本社会党

○田英夫君 わかっております。それではその点はひとつ理事会におまかせいたしますけれども、これからの審議を続けるためにぜひこれはひとつ理事の皆さんでおはかりをいただきたい。疑問がたくさんあるのです。たとえば、私どもがつかんだある証言によると、ことしの二月ごろのことですけれども、これはアメリカの兵隊の証言です。ガード勤務、つまり警備の勤務についているときに、基地の中の、通称マガジン・エリアの地域での建物の中で導管のようなものの中に液体が入っている。そこに三つの爆弾と思われるものが液体にひたしてあった。そういうようなものを目撃をした。で、班長であるこの兵士は、専門のMPでありませんので、一般兵士が交代でガードの勤務についているわけですが、その班長が、専門のMPMPに、これは何だと聞いたところが、これはスペシャルの爆弾である。それでは核かと言ったら、そうだと、こういうやりとりをしたということであります。これはもちろん私間接の話であります。したがって、疑いという意味で私は申し上げているんだけれども、こういう話も出てきている。だから、私はしつこく聞くんですが、これがそのときの周囲の状況から判断をすると、まさしく一八一〇といわれるこの地域、実はここに、やや小さいんでごらんに入れかねますけれども、私どものつくりました基地の中の見取り図もある。その見取り図でいくと、ちょうどまん中辺のところにあるこの建物がそれだと思われるわけですけれども、周囲の状況から、これは日本人も周囲から見られますから。この前、楢崎質問で問題になりましたのは、海に近いはずれのほうであります。それよりももっとまん中の、この滑走路に近い地点がどうやら一八一〇の建物である、こういうふうに考えられるわけです。こうなってくると、先ほど要求いたしました資料というのはきわめて重要であって、これをお出しいただかぬと疑いは晴れぬ。そうして先ほどは久保局長が伊藤空将補の調査の結果を言われましたけれども、伊藤空将補があの時点でああいう形で行けるものならば、これをしっかりと、この一八一〇というところを、さっき公明党の調査団が行ったときにあらかじめ移しちゃったということのないような形で、政府の手によって確認をしていただきたいわけです。岩国基地の核についての確認というものを防衛庁長官、ひとつおやりになる意思があるかどうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) すでに楢崎質問によって核がある、いやないというわけで押し問答が続きまして、その上政府としてもそういうことはないであろうということを相手に確認をしたわけです。それが契機となって、伊藤空将補が、まことに例外中の例外という形で、現地を見たわけであります。だから、その結果を御信頼いただきたいと思います。しかし、かりそめにも非核三原則を持っておる国内に、そういうような疑いがあるとすれば、私もこれは重要なことだと思います。したがって、今後とも米軍側に対しては、そういう少なくとも誤解をもたらさないように注意を喚起していくことは当然だと思いますが、この段階ではすでに伊藤空将補が例外中の例外、便宜措置を得て視察をしておりまするので、御了解を得たいと思います。

島田豊防衛施設庁長官

○政府委員(島田豊君) 建物番号の一八一〇につきましてのお尋ねでございますので、これは私どもの調べたところによりますと、スレートぶきの平家でございまして、面積が三十五平方メートル、用途は見張り員の監視所でございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 ここに写真がありますが、いまの一八一〇というのはこのはじになるので、いま言われたことは、私どもの調査と突き合わせればすぐにわかることです。  さらに、われわれ疑問を持ちますのは、こういう事実を政府としてつかんでおられるかどうかということなんですが、例の北ベトナムの補虜救出作戦——ソンタイのアメリカ軍補虜救出作戦というのが行なわれたのは御存じだと思います。そのときに、岩国基地からこの救出部隊が発進をしているという事実があります。で、われわれの調査によりますと、その戦闘機ですが、飛行機に、小銃、水筒——これは通常の普通の戦闘では戦闘機にこんなものは積まぬそうです——といったものを、戦闘用の荷物を積んだという証言がある。そして飛行機は全部で八機で飛び立っておりますが、この戦闘機がベトナムまで行くには、当然ベトナムのどっかの基地におりなければならない。そういう場合には、整備兵も別の輸送機で行くのが通常であるにもかかわらず、このときには戦闘機だけで飛び立っている。これは明らかに海上に待機していた整備機能を持っている空母におりて補給をして作戦をして行った、こう思わざるを得ないわけですけれども、さらにアジアでは岩国にしかいないというEA6という、これは電波妨害の機能を持っている飛行機ですが、これが行っている、このときに。これは私も北ベトナムに行って、あのSAMというミサイルが米軍機を撃墜するところを目撃いたしましたが、これは誘導といいますか、飛行機のほうへ誘導されていくわけですから、それを妨害するためにこのEA6が上から妨害電波を出してこのSAMミサイルの機能に妨害を与えると、こういうことで随伴をして行った、こう思われるわけですね。こうなってくると、私どもの調べた限りでは、あのまさにベトナム戦争そのものであるソンタイ救出作戦にわが国の基地が使われている、本土の基地が使われているということになりますが、この点は防衛庁のほうでは御存じでしょうか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 正確なお答えをする意味で政府委員からお答えさせます。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 岩国からベトナムに救出作戦に出たかどうかは私存じませんが、EA6はございます。これは電子情報の収集、いわば電子関係の情報収集に当たる任務を持っている飛行機であります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 防衛庁のほうにも事前協議的に何も入っていないようですね。しかし、これは外務大臣に伺いますが、いまのことが真実とすれば当然事前協議の対象になると思いますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は事実をつまびらかにいたしませんから、当該事実について御返答はできません。しかし、一般的に申し上げますれば、岩国基地から戦闘参加の命令を受けて出撃をするということでありますれば、これは事前協議をしなければならぬと、こういうふうに考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 たいへんむずかしいんで、たとえば岩国から出かけて行って、空母に着いてみたら、そこで戦闘作戦を授けられたという言いのがれがあるかもしれない。しかし、われわれとしては、もちろんそんなことは、そういうものであっても、あってはならないと思うわけですけれども、アメリカ側はそう言うかもしれない。しかし、そのために、私がさっき申し上げた、岩国で小銃、水筒を積んでいるわけですね。これは何でもない兵器のようですけれども、ここですでに戦闘に行く準備をしていたとわれわれの調査では思わざるを得ない。この問題も重大な疑問点の一つとして、江崎さん、これはお調べをいただきたい。これはお願いをしておきます。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) そういう現実は私はないと思います。それはあったらやはり重大問題ですね。ですから、よく調査いたしてお答えします。

田英夫日本社会党

○田英夫君 先ほどの国連軍の質問は、私は実はこの布石としてお伺いをしたわけなんです。事、ベトナム戦争に関しては、本土から出て行くということになれば、明らかに事前協議の対象になるということで確認をしていいし、またそうでなければならぬわけですけれども、ベトナム戦争は御存じのとおり、いまやアメリカにたいへん不利な形で(「そうかな」と呼ぶ者あり)収拾されようとしている。先ほども佐藤総理は、朝鮮も一つ問題のところだということも午前中に言っておられるけれども、朝鮮に関する限りは国連軍という名前を、別の名詞を使って通用するおそれがある。これはまあそういう自民党のほうから何か発言があるようですけれども、私が申し上げたいのは、オオカミ少年ではなくて、日本国民は核を持ち込まれては困るという、いかぬのだということを非常に強く心配をしているから繰り返しこのことを申し上げているわけです。そういう意味では、さらに別の疑問点もあります。  ことしの二月十五日——楢崎委員が質問のときに出しましたのは、二月二十二日でありますけれども、それからさらに一週間前、全く同じようなことがあったことがその後の調査でわかっておりますが、このときもやはり先日衆議院で指摘したと同じように、警備兵が二機の飛行機を取り巻いて、外向きに銃をかまえて厳重な警戒をしているところに、実は一人の——これはオーディナンス・モースという、つまり爆弾を装着する専門技術を持ったアメリカ兵でありますけれども、それがたまたまその現場を通りかかったところが、歩け、立ちどまるな、こういうことを言われて、そこでチェックをされているわけです。で、この兵隊は夜の八時ごろから勤務についていて、そこを通りかかったのが十時半過ぎであったと、こういうことを言っているわけです。夜の十時半過ぎであったということで、そのときにその爆弾装着の技術者——通りかかった兵隊は、原爆を日本でどうするつもりだ、こういうことを言ったために、そこのガードのボスに、おまえの言ったことは重大だと言って連行をされて取り調べを受けている。こういうことがその後の調査で判明しているわけであります。そのときの二機の飛行機に爆弾を装着していた模様も、かなり詳細にわかっておりますが、全部で約四十五分ぐらいかかっている。この兵隊は爆弾装着の専門家でありますから、その辺はよくわかるわけですが、普通の爆弾ならその半分以下、とてもこんな長い時間はかからない。で、その爆弾は——装着していたものは、長さが三メートルで、太さが一メートル、ひれ——尾翼の太さといいますか、高さが一メートル、弾体は非常に明るいシルバーであった、こういうところまで見てきて——これは専門家ですから。で、弾頭のところに、赤線と黄色か白かわからぬけれども白っぽい筋が入っていた。この辺はアメリカ軍の核の専門家によりますと、赤のところが核弾頭である。この白線——運ぶときには白線以下のところに、何というのですか、持ち上げるものなんかは使わにゃいかぬ、頭のほうへそういう持ち上げるフォーク・リフトですか、そういうものを当ててはいかぬ、こういう指導を受けているということも調べでわかっております。こうなってくると、これまた核兵器を装着をし、運搬をしていたという楢崎委員がさきに指摘いたしました二月二十二日の事態と全く同じことが、ついその一週間前にあった、こう思わざるを得ないのですが、これも防衛庁はもちろんそういう事実はつかんでおられないと思いますが。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) これは田さんの御質問ですが、一体ベトナムであれだけ戦争が長期化しても、核兵器を使ったことはないわけです。一体、そこでどうしてそんなことをする必要があるんでしょう。私はそれはないと確信します。

田英夫日本社会党

○田英夫君 江崎長官のお考え、私も全くそう思うんですね。そう思いたいわけです。そういう中で、なぜこういう事実があらわれてくるんだろう。だからこそわれわれはオオカミ少年と言われようと疑いを深めざるを得ない。心理的に穏やかでいるわけにはいかないので申し上げているわけです。  ここで、これはちょっと技術的なことで防衛庁に伺いますが、この前、建物で、六つの建物の特に六番目が問題になったIATXですね、これは何の略ですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) Iというのは1のように理解しておりますが、1というのは、弾薬庫のグループの場所の区分だそうであります。それからAは弾薬庫の寸法と容量を示すもの、そういうグレードを示すもののようであります。それからTは、土盛りされ、防護物でさえぎられた弾薬庫、ちょうど現場にありまする土盛りされた貯蔵庫の前に、入口の前のとびらのところに防壁がありますが、そういった弾薬庫。それからXは、爆発の危険があるということを示すものだそうであります。その次の一、2、3、4は同一グループ内の弾薬庫の番号であるということだそうであります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはどうも私どもの解釈とだいぶ違うんですが、いま久保さんの言われた根拠は、アメリカ軍に確かめられたものですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 米側の教示を受けたものであります。

田英夫日本社会党

○田英夫君 その点はわれわれの解釈とはだいぶ違いますけれども、さらに私どもは調査を進めたいと思います。  そこで、これはもう疑いを持ちだしますと、そうした事実がたくさんありますので、これはひとつこういう事実があったかどうかを伺いますけれども、この間——ついこの間です。十六、十七日に楢崎質問があった翌日の十一月十八日に岩国に入った情報によると、その日——十一月十八日に沖繩で核を搭載している飛行機、これはスカイホークだと聞いていますが、これが事故を起こした。ちょうどそのころ、沖繩からの情報によると、嘉手納基地が二時間くらい閉鎖になっているんですが、この情報は入っておりますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 承知いたしておりません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 それでは、これはひとつここで情報を私のほうから言うことになりますけれども、三一三分隊の核兵器を積んでいた飛行機——スカイホークが事故を起こした、こういうことですけれども、この分隊というのは、三一三分隊というのは防衛庁でおわかりになりますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) あまり下のほうの部隊でありますので、私どものリストには載っておりません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 私がたいへん心配するのは、政府は、いわばわれわれ日本国民の重要な財産を、政府の立場からすれば、日本の安全のためにという安保条約ということのために米軍に貸しているわけですね。岩国基地もそうです。これから沖繩も本土並みになれば同じことになります。そういうことでいるにもかかわらず、家主、地主のほうはさっぱり貸したあとの状態を管理していないという気がするんですね。これは国民の財産ですから、特に沖繩の問題については基地の範囲が、本土に比べたら問題なく多い。これが沖繩県民の皆さんの非常に大きな不満になっている。そういう状態で返されるのは困るのだ、こういうことを県民が強く訴えておられる。そういう中で、いま防衛庁が言われたような、小さいものだからわからぬとか、図面はあるけれども、一つしがなくて、借りているだけで、これはどうも見せるだけだとか、そういうことでは非常に困ると思うのですね。そういう意味で、もっともっとこの岩国の核の問題については御質問したいことがたくさんありますけれども、依然として私のきょうお聞きした範囲では疑問が晴れません。私どものほうの調査のごく一部をきょう皆さんに、政府側にお示しをしたけれども、もちろん、どれ一つ政府側は御存じない。家主、地主である政府側は御存じない。こういう状況であるわけです。  しかも、問題は核兵器——いま沖繩返還協定を審議するにあたって、沖繩に核が将来——返還時以後というふうに佐藤さんは繰り返し言われるけれども、あるかないかという、そこのところが非常に大きな問題になっているやさきに、本土のことさえこの程度のあいまいさでしか把握されていない。こういうことになると、全く本土のアメリカ軍基地というのはわれわれ日本国民の及ばざる地域になっている。全く中のことはわからぬ。極端なことをいえば、核兵器はあるかもしらぬけれども、わからぬのだ、こういう状況じゃないかと思うのですね。そうなってくると、佐藤さんが繰り返し、ニクソン大統領と私との間で約束したのだからこれは信じてくれと、こう言われても、これはわれわれ容易に信ずるわけにいかないのはむしろ皆さんもおわかりになるのじゃないか。私どもは何もことさらに重箱のすみをつつくように、地べたに埋めてあるごみをわざわざ表に引っぱり出して、ほじくり返して、くさい思いをしようというのでこういうことをやっているわけじゃないのですよ。ほんとうに日本に核兵器があるということは容易ならざる事態なんですから、このことをひとつぜひはっきりしていただきたい。さまざまな障害があることはわかります。例外中の例外として伊藤空将補が行かれたということをさっき言われましたけれども、例外中の例外ではなくて、われわれ日本国民の総意としてアメリカ政府に迫るという気持ちがあれば、これは私は決して不可能ではないし、また非常に政治的に判断して、これは外務大臣、総理大臣の立場からきわめて高度の政治的な判断から考えても、このことはやっていただきたい。そうでなければ、ひいては沖繩の核抜きということもわれわれはもちろん信ずるわけにいかないわけですが、これを機会にそのことをぜひやっていただきたい、こうお願いをします。福田さん、どうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 田さんはいま非常に重大な問題を提起しておるわけです。わが日本国は非核三原則、これを国是としておる。国会におきましても先般の御決議がある。こういうような状態です。それからアメリカにおきましても、日本の非核三原則という核政策には協力をする、こういうふうに言っておる。衆議院におきまして楢崎委員から、これに反するやの疑いがある、こういうお話でありますので、係官を現地に派遣いたしまして詳細に調査さした。そして、われわれとしては、核なんというような問題は存在しない。楢崎委員の指摘は間違っておる、根拠がないという結論に到達いたしまして、先ほどお答えをいたしたとおりなんです。  しかし、新しい疑問を田さんはさらに提起されておる。なお新しい疑問、詳細について田さんから承りたいのですが、承りました結果、これは調査する必要があるというふうに考えますれば、これは調査をいたします。しかし、田さんも私どもと同じような気持ちで、日本には核はなからしめたいというお気持ちでの御質問と、こういうふうに承ったわけでありまするから、どうか核が日本にはないということをわれわれは願わなければならぬし、また、政府はそれをほんとうに実践しなければならぬ、こういう立場にありますから、その資料を少し、お持ちのものを御提供願いたいと思うのです。つまりわれわれの調査に御協力を願いたい、こういうことなんです。御協力を願いました結果、これはどうも調査する必要があるなというふうに考えますれば、私どもは調査をいたします。まあしかし、私は結論として申し上げたいことは、私どもは、日本政府はこれは全責任をもって、日本の中には核はない、こういうことをはっきり申し上げます。まあしかし、疑いにつきましては、できる限りこれを解明する努力をいたす。しかし、そのかわり疑いをお持ちになる田さんにおかれましては御協力を願いたいということをお願いいたしましてお答えといたします。

田英夫日本社会党

○田英夫君 まことにどうも、強大な——と言っては語弊がありますけれども、大きな組織を持ち、調査能力をお持ちの政府が、外務省なり防衛庁なりという力をお持ちの政府が、われわれのところから資料をよこせというのは、どうもまことに残念なことでありますけれども、しかし私どもも、終局的には、日本に核があってはならぬ、その意味では私もいまの福田外務大臣のおことばを信じて、政府も非核三原則を守るのだ、こういう立場からこれを進めたいとおっしゃるならば、幾らでも私どもは御協力をすることにやぶさかではありません。そういう意味では私どもの、まあきょうもそういう意味を含めて実はむしろ資料提供をした感じが強いわけですけれども、逆に私どももさらに調査を進めるためにも、ひとつ先ほど防衛施設庁にお願いをしたような資料はぜひ積極的に出していただきたい。どうも政府は、こういう問題については従来から、特にお役所のほうは、閣僚は別としても、お役所のほうは、自分たちの持っている資料を国会に出すのをどうもやや渋るような傾向がありますけれども、ぜひこれは積極的に出していただきたいということを逆にお願いをしたい。  そこで、時間がなくなりましたので、この岩国の問題については依然として大きな疑いを持ったまま先へ進めたいと思いますが、今度の返還協定第八条には、言うまでもなくVOAの五年間存続ということが書かれているわけですけれども、このVOAについても私どもは非常な大きな疑問を持っている。一体VOAから放送されているものの実態を、外務省——これは相手が国務省ですから外務省、どこまでつかんでおられるのか、一言でなかなか表現しにくいかもしれませんがお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ある程度の、努力をいたし、ある程度のことはつかんでおりますから、政府委員からお答え申し上げます。

吉野文六外務省アメリカ局長

○政府委員(吉野文六君) VOAは、御存じのとおりUSIAあるいはその下部機構であるUSISの海外放送局としまして、海外に対してニュース、ニュース解説、それから音楽これを放送している、あるいは中継している、こういうことになっておりまして、われわれも、アメリカ側からテープにとりました放送内容もそのつどもらいまして、内容を調査したりしておりました。

田英夫日本社会党

○田英夫君 福田外務大臣は、衆議院の委員会での答弁の中で、返還後はVOAを傍受したいと、こういうことをお答えになっているようですが、それで間違いありませんか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 これはどうも郵政大臣もそういうことは御専門ではないと失礼ながら思いますけれども、専門の郵政省の方からお答えいただいてけっこうですが、私の理解する限りでは、郵政省ではVOAというのは傍受はできないというふうに考えておられるようですが、郵政省で、いきなりあれですが、お答え、どなたでもけっこうです。

廣瀬正雄自由民主党郵政大臣

○国務大臣(廣瀬正雄君) 一応私からお答え申しまして、不十分なところがございますれば事務当局から補足させます。  御指摘のように、VOAはきわめて指向性の強い放送でございまして、なかなか容易に捕捉しがたいというような性質を持ったものでございます。本土なんかでは聞けないようでございますけれども、幸いに沖繩の適当な場所があるそうでございまして、そこで傍受をいたしますれば大体捕捉ができるというように私は聞いておるわけでありまして、そういうところに場所を選定いたしまして傍受の施設をやりたいと、こういうように考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 技術的なことをもう少し詳しくお答えいただける方ありますか。

太原幹夫郵政省電波監理局審議官

○説明員(太原幹夫君) お答えいたします。  中波と短波で放送いたしておりますが、中波につきましてはさしたる問題はございませんけれども、短波につきましては、周波数の関係で、時間によりまして、それから春夏秋冬、それから黒点のぐあいによりまして電波の伝わる地点というのが、場所というのが変化いたします。したがいまして、どこでも傍受できるということではございません。したがいまして、国内において、本土において受信するということも、地点において、時間においていろいろ問題がございます。したがいまして、現在その地点を確かめておりますのは、できる限りVOAの送信所に近い地点において傍受するというふうなことで検討を進めておるわけでございます。したがいまして、いま私どもが現地の人との連絡をとりましてやっておることは、大体VOAの送信所のごく近くで傍受するということでまとめつつあるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いま専門の方の答弁ですけれども、私どもの理解する限りでは、非常にVOAの傍受というのはむずかしいということだと思います。  で、なぜこういうことを申し上げるかといえば、そもそも私の立場からすれば、第八条にああいうものを入れて、いまやニクソンが中国へ訪問をするというそういう中で、少なくともアメリカの中国に対する宣伝、それも悪意のある宣伝といいますか、そういうものであったら、これはそのためのいわば基地を提供している日本は、対中国関係においても非常にぐあいが悪いということになるし、また悪意がなくて、ただアメリカのニュースをあそこから中国や朝鮮に向かって伝えるのだということになれば、これは存在価値が初めからなくなる。そんなことは何もVOAにわざわざあそこをたいへんな大電力を使って強力な電波を出すという必要もないし、そのために電波公害も起こっておることはこれは総務長官よく御存じのとおりだと思う。そういう、ただあそこから何でもない電波が出て、沖繩の人には全く関係がないのだというなら、あるいは日本には全く国際的、外交的に問題がないというのならこれはともかくとして、対中国、朝鮮関係からも内容いかんではどっちにころんでも問題がある。そういう内容のものであるだけに、何で第八条でわざわざVOAを認めにゃいかぬのか、こういう基盤に立っているわけです。これはもう御想像のとおりです。そこで内容が非常に問題になる。私どもは初めからあのようなものを存続すること自体に反対でありますけれども、百歩を譲って、それが存続するとしても、内容が非常に問題である。ところが、これを傍受すると言われるけれども、傍受、非常に困難な傍受で、このVOAの内容を全部把握するということは非常にむずかしいと思う。この点、だいじょうぶですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私どもも統一電波行政のたてまえからいいますると、外国の放送局がわが国の中に存在するということにつきましては、これは歓迎はしないところでございます。ただしかし、このVOAというのは沖繩ばかりじゃないのです、これは。これは世界各地にある。そして特に沖繩についてみると、今日でも近隣の諸国からそう抗議が来るとかなんとかというような状態ではないのです。そこで、にわかにこれを取りやめるということにつきましては、アメリカ側におきましても、この返還協定にからみまして最後まで抵抗をいたしたわけです。そこで妥協点といたしまして五年間と、こういうことにいたしましたが、統一電波行政というたてまえから、この五年間といえども、わが国におきましては電波の傍受をいたしまして、そしてまあよく適正な放送が行なわれるようにという努力をいたします。いま政府委員からお答えがありましたが、そのような方向でいま検討しておる、こういうことであります。それからなお傍受ばかりじゃないのです。事前におきましても、番組の概要につきまして承知いたしまして、もし適正でないというようなものがありますれば、これは取りやめていただく、こういうふうにいたしたい。アメリカ側もそれを了承しておるわけであります。まあ沖繩返還という非常に大きな問題である、しかもこの問題がアメリカ側としても最後まで固守しておった、そういう問題でありますので、五年という期限を限り、また内容におきましてもそういう仕組みをとることにいたしましてこれを了承する、こういうことにいたしましたので、私は実害はそうはないのじゃないか、そういうふうに見通しをいたしております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 実害がないということは、まあ私も実はいまアメリカがいまの国際情勢の中で、特にアジアの中の新しい、ニクソンが訪中をしようというこういう姿勢の中で、アメリカが中国敵視政策、いわゆる謀略放送というようなものをVOAを通じて流すということはこれはなかなかあり得ないことだ、こう思いますが、私もワシントンのVOA、USIAに行って実際に私自身も放送したことがあります。そういうつまり日本向けのVOAの中で放送したことがありますけれども、VOAの放送の内容というのは、そう常に謀略的なものであるわけではない。しかしながら、いまのこの沖繩のVOAというのは、いま福田外務大臣が言われたように、世界の各地に、セイロンとか、そう多くありませんけれども、かなり各地にあります、あることは事実です。しかし、いまのアジアの情勢、そして沖繩返還というこの状態の中で、何も沖繩にアメリカの言いなりになってVOAを残す必要はない、こういうことを申し上げたいわけです。そこでいま事前にチェックをするということを言われた。これはまあ日本の中の放送局に対する政府のチェックは、これはもうぜひやめていただきたいというか、やってはならないことですけれども、このVOAについては、これぜひやっていただきたいのですが、具体的にひとつどういう方法をとるのか、郵政大臣。

廣瀬正雄自由民主党郵政大臣

○国務大臣(廣瀬正雄君) 事前に、と申し上げましたのは、前もってプログラムなどを入手いたしたいというように考えておるのでありまして、また、それだけでは足らないということであれば、必要に応じまして適当な資料を提出してもらうということを請求いたしたいと、かように考えておるわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 プログラムを見たのでは全く中身はわからぬので、これは問題になりませんけれども……。  外務大臣に伺いますが、この五年間ですね、まあいずれの根拠によって五年間というふうになったかこれはわからぬけれども、いまの情勢の中で、これはもうすぐにでも、二年後に五年後のことを話し合うということになっているわけですが、いますぐにでもこれはひとつ第八条削ってしまうと、これはまあいま削れと言ってもあれかもしれぬけれども、実際問題として、必要のない条項になっていると思いますが、この見解はどうですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 率直に申し上げまして、このVOAという問題が沖繩返還日米交渉の最後までひっかかったんです。わが国といたしましては、統一電波行政のたてまえからこれを承認したくない、こう言うのでありますが、アメリカ側はどうしても当分の間、まあ予見し得る、永久保存をしたいと、こういう主張です。で、これができないというと、どうも沖繩返還協定そのものの行き先にも関係する、こういう状態になりまして、最後の妥協案といたしまして五年の期限を限る、しかも、その放送の内容につきましては厳重にこれを規制する、こういう前提のもとに妥協をしたと、こういうことでございます。いまこれを削除するということは、その経緯から見ましてもはなはだ困難である、これは沖繩協定の批准そのものにも関係してくる、かように考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 残念ながら時間がなくなりまして、さらにもっとお伺いしたい点がありますけれども、きょうは私は主として岩国の核の問題を中心にしてしかお尋ねができませんでした。しかし、このこと一つもってしても、先ほど私がまあむしろ提供いたしました資料から見ても、これはもう——佐藤総理はちょうど退席しておられましたけれども、どなたがお考えになっても、あのことが事実ならば、これはきわめて、核抜き・本土並み、その本土並みと言われる本土のほうがそういう状態だということですから、これはまことにどうも今回の沖繩返還という問題は非常に何かからっとしない、疑いを持ったままと、こう思わざるを得ないし、いわんや本土がそういうことであるということになれば、安保条約というその体制自体が一体どういうことになっちゃっているんだと、こういう疑いにむしろ発展をしてきたと思います。そういう意味で、事は沖繩返還だけではなくて、「本土の沖繩化」ということばがあるけれども、もう実は本土も沖繩化していたのだということになってくる。これはぜひひとつ、福田さんもさっき資料提供して協力しろと言われましたけれども、これはほんとうに、日本のほんとうの意味の国益のために私どもももちろん全力をあげてこの問題の解明に尽くしたいと思います。どうかひとつその点は政府においても事の重大さを十分認識していただいて——いただいていると思いますけれども——この点お願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で田君の質疑は終わりました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 次に、渋谷邦彦君の質疑を行ないます。  渋谷邦彦君。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いよいよ沖繩の復帰も間近に迫ったわけでありますが、総理自身もしばしば繰り返し沖繩返還についての抱負を述べられてまいりました。きょうは、いままでいろいろと論議された中から私なりに整理をし、また言い違い、聞き違いということもあるだろうと思います、そうしたことをまとめてきょうは確認を含みながらお尋ねをしてまいりたい。このように思いますので、その点を踏まえて明確に御答弁をいただきたいと、このように思うわけであります。  せっかくの政府の努力にもかかわらず、実際取りかわされたこの返還協定をめぐりましていろんな角度から、あるいは討議の過程を経て、どうしても納得がいかない。特に沖繩県民の方々にとってみれば、かねてから言われておりますように、復帰後は明るい豊かな沖繩県づくりに持っていくのだと、これは当然だと思います。しかし、はたして政府が言うような、また県民自身が待望している明るい豊かな沖繩県づくりというものが可能であるのだろうかと、これはいままでの論議の過程から考えましてもまだまだその疑問が残るのではないかということを非常に心配するわけであります。少なくとも、返還協定の内容を見ましても、一体、これが平等な人間としての立場に立って考えた場合でも、はたしてこれで許されていいのだろうかというような気もいたします。そういう点から、「琉球処分」というまことにいやな過去の記憶がよみがえってくるようなことばすらもいわれながら、そうして今回の批准を間近に控えた協定それ自体に対する反対があるということは非常に遺憾なことだと思うのです。おそらく佐藤さん御自身も、願わくは、この協定自体が、国民の総意に基づいて喜んで成立がはかれるということを望まれたに違いないと私思います。けれども、実際はそうではない。そうした、その中で、はたして県民の方々がどう受けとめるであろうか。もちろん、佐藤さん自身としては、確信を持って、われわれとしてはできるだけのことをやったとおっしゃるかもしれません。けれども、せっかくやったそうした苦労あるいは努力というものが、県民にとってみれば、あるいは全体感からいえば、日本国民全員の感情としてどうもうまくないなと、あるいはこれでいいのかという納得のいかない疑問を残したままで、一体将来どうなるんであろうかと、やはりそうした問題がぬぐい切れないというような立場に立ちまして、総理自身の、そうしたいろんな反対のある中で、この返還協定に対する将来にわたっての見解と申しますか、この返還協定の運営に当たり、そしてまた将来はどう持っていくことが一番沖繩県民の方々にとって、せめてものその御苦労に報いる政治的な配慮であるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺を総括的に見解をまず最初にお伺いしておきたいと、こう思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の返還と取り組んだのは、一九六五年に私自身が沖繩に参りまして、そうしてたいへん同胞の気の毒な状況に目を向けて、これはやはり何といってもアメリカと交渉して、これを本土に返るようにしなければならないと、かように感じたのでございます。それから後二年たって私がジョンソン大統領と交渉した、それが小笠原の返還ということを実現するその状況であります。同時に、沖繩の返還問題についてもそこに端緒を得たということであります。一九六九年のニクソン大統領と私との共同声明でいよいよ沖繩の返還、この問題と取り組むことになったわけであります。しかし、何と申しましても沖繩は強力なる米軍基地であると、そういう実態がありますし、また、そのもとに長い間、戦時中の御苦労はもちろんのことですが、戦後も引き続いて米軍の占領下において、また施政権下において苦労を続けてこられた、またそういう状態のもとに築き上げられた一つの現実がある。それをぶちこわして、ただいまのように施政権を日本に取り返す、日本に帰っていただくんだと、こういうことでございますから、われわれにいたしましてもたいへんな苦難に実は当面したわけであります。  まず一つは、これは何といっても米国の沖繩についての姿勢であります。これがまあようやくこれをぶちこわすことができたと、われわれの願望を達成するその道の方向にアメリカの協力も得たと。しかし国内においては、私どもの感じたようではなく、わが国の安保条約自身、これについて疑問を持っておられる各政党がありますから、自衛隊そのものについても反対の方もあるだろうと思いますが、そういう状況下においてなかなか国論の一致はできなかった。いま渋谷君の言われるとおりの経過をたどっております。したがいまして、なかなか平和な沖繩県づくりと、これにスタートするにしても、また時間的な経過的な措置につきましても、各党の間に相当の開きのあること、これをやっぱり認めざるを得ない。私は、沖繩の方々がこういうような政治情勢下において、同時に、本土には帰りたいと、しかも、いままでのドルの生活、これが円の生活に変わると、しかもこの際はドルが非常に弱い、円が強い状況、これは心から喜ばれるはずですが、これが一体どうなるかという。また軍基地、その基地経済にたよらざるを得ないという、これはやむを得ない状況だと思いますが、そういう状況下のものが今度は根こそぎ変わる。そこらに復帰不安というものもかもし出されると、こういうことでありまして、たいへんなその問題をかかえておると。しかし私は、大筋においてはただいまのところ順調に返還協定、その方向に進んでおり、また県民の理解もそういう意味では高まりつつあると、かように私は把握いたしておりますが、何にしても、いずれにしてもただいまのような状況、これ正しくやはりこの実態を把握することがわれわれとして大事なことだと、かように思いますし、そうして復帰を円滑に遂行いたしまして、そうして復帰後の沖繩のあり方としては、先ほど来言われるように、まことに簡単な表現ではありますが、豊かな住みいい平和な県づくり、これに百万沖繩同胞はもちろんでありますが、やはり一億国民が一体となってこれを実現すべく努力していかなければならないと、かように思う次第でございます。  たいへん長くなりまして失礼いたしました。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 総理が返還協定の締結はもとより、その基調となりました佐藤・ニクソン共同声明におきまして、大原則が三つございました。いわゆる核抜き。本土並み。一九七二年ということであります。まさしくそれは国民ひとしく、とりわけ沖繩県民の方々が心から待望した大原則であったろうと私は思うんであります。しかしその後、いろいろ審議の状況を振り返るまでもなく、この核という問題が、はたしていままで政府自身が答弁されてきたように全く安全であるのかどうなのかという保証、そしてまた同時に、本土並みというのは一体どういうことなんだろう。少なくとも、現状における沖繩の軍事基地を見る限りにおいては、これは本土並みということとはほど遠い。おそらく原点に立ち返って考えてみた場合に、すでにそうした現実の情勢から沖繩の方々としては納得がいかない。どうして政府自身が責任を持って、その辺が納得のいくような回答が出ないのだろうという不信感が、むしろ今度は不信感という状態になって県民の声がわき起こっておる。これは見のがすことのできない私は問題ではないかと思うのであります。ただいまもこの核の問題でだいぶ論議が行なわれておりましたけれども、ことしの六月でございますか、もちろん外国の新聞でありますから、その信憑性の点はさだやかではございませんけれども、世界的に有名なニューヨーク・タイムズの伝えるところによりますと、国防総省、国務省が沖繩にある核の、いわゆる核兵器でございますけれども、数百発という表現でございました。これをすみやかに撤去するようにホワイトハウスに進言をしたということを報じております。こういうようなことがもし全然ないとするならばですね、やはり火のないところには煙が立たないといういわれのとおり、間違ってもそういう議論の対象になるようなことはないんじゃないか。しかも、アメリカ自身の口から、それが新聞社であれ何であれ、権威ある筋から流れているということを考えますと、やはり沖繩にそれだけの核があるのだろうか。おそらくそういう記事については県民の方々も読んでいらっしゃると私は思うのです。そうすると、一体その核の撤去、返還時においてもしそうしたことがあったならば、ロジャーズ発言を待つまでもなく、どういう一体手段方法によって安全に運び出すことができるのだろう等々、いろいろなそうしたからみ合った問題が私は出てくるのだろうと思うのです。沖繩の核の問題が明確にならないまま、佐藤さんは、いまの答弁を伺うまでもなく、絶対そういうことは心配ないと言明もされました。いわんや、本土においてはそういうことなんかはもう絶対考えられないと、それは私たちとしてもそう思いたい。そうあってはならない、そう思います。しかし、事が軍事機密に関することになりますと、事前協議という問題もしばしばやかましく議論されてはまいりました。しかし、事と場合によっては、そうした軍事機密というものを守る上からあるいは——あるいはという、これも憶測の域を出ないということはきわめて申しわけないのでありますけれども、そうしたことも想定されれば、従来本土にも核兵器の持ち込みが、という疑念が出ないでもない。そうした一連のことを考えてみた場合ですね、その沖繩県の方々に対するまず基本的な政治方針として打ち出された佐藤さん御自身が、この問題をやはり明確にして安心を与えるべきが大きな課題ではないだろうか、こう思うのであります。これはいままで議論された範囲からもう一ぺん確認を私はいたしたいと思いますので御答弁をわずらわすわけであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカ大統領と私との共同コミュニケ、これは私自身がニクソン大統領とはっきり話し合って、そうして共同声明を出したのでございます。その際に、核のないこと、返還時には核がないと、こういうことを十分大統領自身が私に約束してくれた、こういうのが実情でございます。したがいまして私は、返還時には、返還後においては核は沖繩にはない、かように確信をしており、また、そういうようにもいままでも何度もお話を申し上げてきております。いろいろお話をされる点は、現状においてどうかという点がしばしば問題になりますが、現状ではなくて、私ども約束したのは返還後においては核は一切なくなると、これがニクソン大統領——最高責任者であるアメリカの大統領と私との間の約束であります。またその状態を裏書きするように、過日、米上院においてロジャーズさんやあるいはパッカード国防次官が証言をしておる、これらをもってしてもこれは安心すべきではないだろうか、かように思っております。ただ、いまいろいろ問題になっておりますのは、本土においていろいろな問題があるんじゃないのか、こういう新しい問題が提供されております。沖繩の問題は返還後の問題でありますから、それについて私どもはいま確信をもってお答えができます。また、本土にさような状態があろうはずはないと、だから過日も衆議院におきまして、もしも、本土にさようなものがあるなら、私自身は職を賭してもはっきりさようなものはないと明言をいたしますと、かように実は申したわけでございます。ただ皆さん方から、どういうものがある、こういうものはどうだというようないろんな疑問があった場合に、総理自身、点検するという、そういうことを約束しろと、こういうことも衆議院段階で言われました。私自身は絶対にさようなものはないと思うが、しかし、皆さん方からそういうものがあるということで、私自身も疑問を持つようになれば、それは十分あかしを立てると、そういうことはいたしますと、かようにはっきりお答えをしたような次第でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 関連。  いまの総理の御答弁を私聞いておりまして、昨日新聞記者会見しまして、私たちの公明党の調査によりますと、神奈川県の厚木飛行場に毒ガスがある。さらに昨晩から今日にかけまして核兵器も間違いなくある。こういう客観的な資料を私ここに提示します。それで総理にお聞きいただきたい。関係大臣にも。五項目にわたって私はいろいろ資料を提示します。ひとつお眠りいただいておる大臣の方も、テレビに映っておりますので、目をさましてお聞きをいただきたいと思います。(笑声)  まず第一、厚木飛行場、弾薬庫が十八、四つのブロックに分かれております。その中にヤギが飼育されている。まあ飼育されていると言っていいのか、放たれている。御存じのように、一昨年の七月、沖繩の知花弾薬庫——ガス貯蔵庫ですね、このガスが漏れて、米軍の将兵が倒れて、そのときにはそこにウサギないしヤギ、羊がいたと、そしてそれも死んでいると、こういうような報告も来ております。私も専門筋に聞きますと、この放射能漏れないしガス漏れについては、ウサギ、ヤギ、羊、この反応をもって、そして人体影響を防ぐのだ、こう伺っております。当然、在日米軍基地にいまだかつて——私も基地を相当知っているつもりでありますが、こういう生物が、ヤギが飼われていたという基地はない。しかも、その広い厚木の中で弾薬庫、しかも弾薬庫でも、この次に述べますが、特殊な弾薬庫だけにヤギが飼われているという事実であります。このヤギが飼われているという事実は、間違いなく毒ガスないし核兵器がある、この証左であるという、まず第一点の証拠であります。  第二点、しかもこの厚木の十八の弾薬庫、それが四ブロックに分かれております。その十八の弾薬庫が色別に分かれております。黄色、赤、白、黒ないしは黄色の地に赤のまんだら、これは従来から、いや、核ではなかろうか、毒ガスではなかろうか等々といわれてきた識別であります。私もこの点については、「である」と確固たる断言はできません。しかしながら、本日、一つの証拠を持ってきております、この識別について。この従来からいわれてきた識別、しかも、核であろう、毒ガスであろうといわれるこの識別、赤ないし、そういうところにだけしかヤギが飼われていない。ここにその写真もあります。カラー写真であります、識別がわかるように。  第三点、しかも昨日の段階では毒ガスくらいだと、こう思いました。さらに調査を続けますと、ここには核に関しての兵器所もあるという私は証拠をつかみました。それは、この厚木基地の地図——非常に建物が多うございます、先ほどの核の貯蔵庫は七〇一から七一八、まるをふってあります。総理にも見ていただこうと思います。二六六という建物があります。これは二重さく、しかもここだけは非常にきびしい。米軍でも入るのがむずかしい。その二六六のハウス・ナンバーの表示は何か。AUWであります。これを米軍の軍事専門用語の字引で引きますと、エアー・ツー・アンダーウォーター・ウェポンズショップ、空対水中兵器庫と、こういうことであります。私が言うまでもなく、空対水中、サブロック、アスロック、核魚雷のアストール年等々、核を使った魚雷、飛行機、そして水中、船それから水中と、こういう種類のものがAUW。ここに倉庫があって、そこだけが、三百数十あるところでただ一つ非常に警戒厳重。米軍でも入れない。こういう事実も新たに出てまいりました。しかも、この附近には、先ほど申したした当然ヤギも飼われておる。これが第三点。  第四点、しかもこの厚木の飛行場、いまいる部隊は西太平洋航空司令部、その中にいるのが戦術支援第五十大隊、これは核戦術大隊であります。当然、厚木には核運搬手段はないと、こう言われておりますが、こういう部隊が残っているということは疑惑がある。核があると思うんです。  第五点、しかも、運搬手段はないはずですが、一昨々——三日前でしょう。——日曜日にF105が飛来しておる姿をきちっと写真でおさめてあります。これは日曜日にとった写真であります。  この五点につきまして、私どもはまだまだ資料はありますが、あまり資料がないような、あるいは私たちの耳情報ということを全部カットして、それですらも、この五点についてこれだけの資料を持っておりますが、総理は私が疑問に思ったら調査云々と、こうおっしゃいましたが、ごめんどうでしょうけれども、ごらんいただければ、いつも私こういうことで御迷惑をかけますが、(笑声)よろしくお願いいたします。この三重まるが二六六、一重まるが弾薬庫、これが黄色ですね。これはヤギさんと、こういうことであります。  先ほどから防衛庁長官が答弁していらっしゃいますので、一生懸命お答えになろうとする意欲はわかります。総理をはじめ各大臣ごらんいただきまして、いま私が言った五つの事実間違いないということを御認識いただいたと思いますが、とりあえず防衛庁長官、昨日からこの問題出ておりますので、どのように認識していられるか。また総理も、いまごらんになったのものをごらんになって、どういうふうにお感じになるか、ひとつ所見だけまず初めにお伺いいたしたいと思います。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) これはもう新聞に出ましたので、もしそれがほんとうならば、これは容易ならぬ問題ですから、至急取り調べをしたわけです。もちろん、もう返還が内定をしている地域には、海上自衛隊の分遣隊もおるわけなんです。そこで事こまかにこれは調査をいたしましたので、いずれあとから防衛局長からもお答えをさせますが、黒柳さん、非常に大きなお声で、大問題という御提起のしかたですから、これは政治問題として私お答えしようと思っておるわけですが、ヤギは現在四匹いるだけだと、こういうことなんです。まさにその数まではっきりしておりますし、それから、いまの分遣隊の者が、いま御指摘になった建物のあたりはしょっちゅう通っておる、行ったり来たりする地域であって、そんなにむずかしい場面ではありませんと、しからば、ヤギが、なるほどガスに弱いということはわれわれも聞いて知っておりますが、一体なぜヤギを飼っているのだと言ったら、それについては、ヤギを飼うことに趣味のある兵隊がおって、そうしてもとは——(笑声)いや、もとは何匹もおったのだそうです。ところが、ときに犬に食われたり何かしておるんだと、また実は火気厳禁等やっておる。これは基地ですから火気厳禁地帯というものはありそうなことですが、そのために草を食べさせたり何かして消火にも役立つんだと、こういうような話で、実は新聞を見て、私どもも、おやということで、これはもうなおざりにできぬ問題ですから、直ちに調べたところが、返ってまいりましたのは、そういうふうにユーモラスな話も交えての回答であったわけです。しかし、それだけで私ども信用はできませんので、なお分遣隊の関係者から米側にも、しかと問い合わせをいたし委したところ、現在この七〇一号から七〇六号という弾薬庫の中身はからでありますと、間違いございませんと、こういう回答も得ておるわけであります。詳しくは防衛局長から報告をいたさせます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 時間がもったいない。ぼくは関連ですから、けっこうです。そういう答弁が来るであろうと思って私は昨日新聞に出さない点があった。いいですか。そういう、ヤギについてそれじゃ何とかやればいいんだ、弁解をすればいいんだ。——それでは二六六番の建物、弁解してください。二六六番の建物、どうなんですか。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 防衛局長から答弁させます。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) AUWでありますが、これはおっしゃるのとちょっと英語が違いまして、アドバンスト・アンダーシーズ・ウェポン、海中兵器の進んだものということで、磁気機雷、それから音響機雷等がこれに属するというふうにいわれております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それはどういう方法で情報をおつかみになったんですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 現地には厚木に海上自衛隊の厚木分遣隊がありますが、厚木分遣隊の司令を通じまして、米側に確かめたところであります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 そうすると、総理大臣、問題がない。問題がなければ調査できますね、行って。調査団を派遣できますね。私たちがつかんだ情報では問題がある。そういうところならば、なぜそういう厳重な警戒をするか。ヤギを放すか。いろいろな情報、耳情報で私言いたくないと言いましたけれども、ヤギも死んでいたり、しかも六十頭おったものが、なぜいま四頭になっているか。だれもわからない。ミステリーなんです。四〇六化学中隊、細菌部隊です、これは。そこに送って解剖するんではなかろうか。私も未確認情報ですから、入れませんでした、先ほどは。そういうことまでも疑いがある。だれもわかんない。六十頭がなぜ少なくなっちゃうのか。毎年また六十頭を入れる。だれか食っちゃうんじゃなかろうか。(笑声)とんでもない。草を食べさすために、趣味のある兵隊が飼うんじゃなかろうか。とんでもない。ほかの部隊だって一ぱいありますよ、草ぼうぼうはえているところが。なぜ厚木のその個所だけやらなきゃならないのか、こういう疑問が当然出てくる。その疑問は疑問だけじゃなくて、客観情勢の資料もここに集まってきている。これについて総理、いま防衛局長あるいは防衛庁長官がおっしゃった。アメリカから電話か何かで聞いただけでしょう。あるいは分遣隊を通じてのアメリカの情報でしょう。これじゃ私はならない。先ほども田委員の話がありましたが、アメリカは、こちらの尋ねに対して、ありましたなんて答えるわけはないでしょう、常識的に。それこそ常識じゃないですか。あれにはガスがありましたよ、核がありましたよ、そういう情報が入ってくるわけないじゃないですか。これほどの資料がここにある。それに対して、皆さん方が分遣隊から間接的にアメリカの情報を得た、その情報がみな正しいというならば、調査団を派遣する。それでそれをはっきりしていかないと、ますます、沖繩の核、毒ガスどころか、本土のことが、先ほど総理がおっしゃったように、問題が重なってくる、こういうことであります。これはよく政府がお使いになるように、高度の政治的判断がここは必要になる問題です、どうですか、総理大臣。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) だんだんの御質問ですが、そういう心配は私はないと確信しております。それは、少なくとも、あなたの御発言として新聞にあれだけ取り上げられておる。これはわれわれとしては責任があります。そこで分遣隊は、いまも何名か私確かめたんでありまするが、百名と申しております、百名前後。そうすると、百名の者が、絶えず、朝も夜も出入りをして、いま御指摘のあたりをしょっちゅう通っておるわけなんです。ですから、そんなところにそういう高度な機密兵器が隠されておるということは、これは常識で言っても——しかも、相手に確かめたところ、倉庫はからでございますという回答が返ってくるような次第でありまするので、これはひとつ信用をしていただきたい。

黒柳明公明党

○黒柳明君 防衛庁長官、御自分でいらっしゃったんですか。また聞きのまた聞きでしょう。当然だと思います、私は。私たちはじかに行ってみて調べた。いろいろな客観情勢を集積してのこの問題です。いいですか。防衛庁長官が常識と言えば、こっちは常識を越えているんです。これだけの資料をだから出しているんです。常識で判断されるんじゃない、私たちは。だから、この五点にしぼりますということで、しぼったんでしょう。常識論でいうならば、これは私たちは幾らも言えますよ。そんなことを言いたくない。常識での論議じゃ、やりとりできない。それだけの重要な問題ですよ。あるかないか。あるという疑惑がますます濃くなっちゃ、うまくない。ですから、総理大臣、先日の予算委員会で総理は、沖繩のことだったが、いまの核基地、毒ガス基地——特殊な基地の態様ですよ、その基地の態様が、毒ガスが撤去された、核が撤去された、その後での基地の様子が変わりがなければ、そこにかつて核があった、それと同じように見られてもしょうがないじゃないですかと言ったら、総理は何とおっしゃいました。それはしょうがないです、こうおっしゃいましたね、あのときの答弁。それと同じ態様が日本にあるじゃないですか、客観情勢が。そうでしょう。失礼ながら、防衛庁長官だって、核があるか、毒ガスがあるか、目で見てみたわけじゃない。そうでしょう。私も見たわけじゃない。客観的な情勢が、どちらが資料が強いか。もし私たちのものが、そういう積み重ね、客観情勢が非常に疑惑だとあるなら、常識論を振り回さないで、そうして謙虚に——一回、二回ならず、三回目じゃないですか、これで。横田、岩国、厚木、それに対して謙虚に——総理もおっしゃったように——そういう基地の態様がはっきりしているじゃないですか、いま。疑惑がある。そういう態様がはっきりしているならば、これに対してむしろ野党に言われる前に、政府が少なくとも在日米軍基地は手を入れなさいよ。何らかの米軍との折衝をしなさいよ。そういう疑惑らしいものは撤去させなさいよ。それだったってあるかないかわからないんです。ところが、あったってなくったって、反対にいえば、そういう疑惑がある、あると思われたってしようがないじゃないですか。しかも、これだけの材料がそろっているのですよ。常識論で言われたのじゃ、私たち何のために真剣にこういう調査やるのか。心外です、そんなことは。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 私は別に常識論を振りかざしたわけじゃなくて、要するに百名の隊員が出入りをしております。それからもう一つ、四頭のヤギのおる地域はすでに返還決定の地域におるわけなんです。そこで防衛庁側としては、分遣隊の司令に、ほんとうに、倉庫があいておると言うがそれを見てこいという重ねて指令を出して、分遣隊の司令——一佐は見たと、こう言うのです。ですから、これは私疑う余地がないというふうに申し上げたわけなんです。

黒柳明公明党

○黒柳明君 すみませんね、関連で長くなりまして。見た。これはもう非常に低いレベルで見られる。そうしたら、政府から行けば見られることは間違いありませんね、見せてください。総理、防衛庁長官、見せてください、それじゃ。そういう低いレベルで見られる。アメリカ軍の基地が、そういう基地の司令官だか分遣隊だかわからない、そういうレベルで見られるならば、私たち日本政府が見れないことはないじゃないですか。疑惑を解くために見せてください。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) この間の詳細につきまして、防衛局長からよくひとつ答えさせましょう。

黒柳明公明党

○黒柳明君 変なこと言うと、まだありますよ。まだありますよ。これは何も知らないでしょう、皆さん方は。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 厚木の弾薬地域は四ブロックであることはおっしゃるとおりであります。ところで、そのうち問題になっている場所は、海上自衛隊に七月に返還になりましたところで、建物について逐次海上自衛隊が引き継ぎをしている最中のところであります。四カ所のうち、米側がリザーブをしておりますのが、南西地区一カ所あります。これは高性能弾薬が現に入っております。ヤギはおりません。ヤギのおりまするところと、それからほかは、海上自衛隊が使っております他の二カ所、これをきのうの晩からけさにかけましてチェックしましたところが、何も入っておりません。標識は黒、白、あるいは赤の斜線が入っているもの、それから黄色、それぞれございます。それぞれありますけれども、つまり、標識は残っておりまするけれども、中はからっぽで、米側のリザーブしておりまする弾薬庫には黄色い標識がついているというのが現状であります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 赤と黒の弾薬庫は。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 赤は海上自衛隊が引き継いでおります北東地区というところで、これは赤の意味を先般にも申し上げてあるわけでありますが、フィックスト・アミュニション、つまり固定弾——ロケット砲でありますとか、砲弾でありますとか、機関砲弾でありますとか、そういうものが入っているというのが赤の意味であります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それだけ事実がはっきりしているなら、私たち調査団を派遣したって問題ありませんね。問題ないわけですね。それがもし真実だとしたら、政府に、指摘され追及されて何もやましい点はない、二六六の建物も見せる、四四〇の建物も見せる、いまの弾薬地域全部見せる、いいですね、防衛庁長官。これははっきりしてその次にいきましょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 米側の管理下の基地は、これはそう簡単にいまここでお約束するわけにはまいりませんが、海上自衛隊が使っておりまする地域については、これは私責任を持っていいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 米側のは。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 米側の管轄下については、これはいま即答いたしかねます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 だって、いま見たんでしょう、調べたんでしょう。自衛隊の人が調べたんでしょう。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) これは自衛隊がそこに一緒におるわけですから、そこで特に許しを受けて見たと、こういうことだと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それだったら、自衛隊が許しを受けられるのだったら、日本政府も許しを受けられるのじゃないですか。これだけ真剣に国会で論議をしているのを、自衛隊だったら見せる。政府が申し入れて見せないことはないじゃないですか。疑惑を解きましょう、この際、国民の。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 同居をしている友好関係に立つユニフォーム同士のつき合いとして見せたということです。しかも、それは、わがほうに戻ってきておる場所、また了解をつけて見たと、こういうわけですから。なお、米軍管理下については、これはここで私に即答しろとおっしゃっても無理でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それならそれで先に言ってくださいよ、全部見たんじゃないのだと。米軍管理のは見たんじゃないのだと。疑惑は依然残っているじゃないですか。米軍管理のところはタッチできない、見せない。百人がそこを、そばを通り——百人じゃない。基地の中を日本人のガードもパトロールしている。そんなことは別ですよ、それとは。そんなことは別です。それこそ常識論。そんなことを私は言っているのじゃない。どうですか、総理大臣、この問題がはっきりしないとその次に移れない。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 海上自衛隊が管理しておりまして、完全に管理権を持っているところについてはお見せしてけっこうであります。米側が管理しておるところについて海上自衛隊は権限がありませんので、米側と協議をしてみないとわかりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 だから、防衛局長に言っているのじゃない。総理大臣にいま答弁を求めている。  それでは、もう一つ問題を提起しましょう。佐世保弾薬庫、ここは針尾島弾薬庫と前畑弾薬庫に分かれている。ちゃんと米軍の標識とあわせてガスがあるということを——あります、この写真。佐世保弾薬庫前畑地区四〇三号、これも調べてください、米軍の標識票と一緒にあわせて。化学兵器だという標識です。ガスだという標識です。入っているでしょう、このとおり。どうですか、防衛庁長官、知ってますか、この事実を。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) それにつきましては、私はいま初耳でございます。調査いたします。

黒柳明公明党

○黒柳明君 初耳だったって。新聞に出なきゃわからなかったのか、それじゃ。新聞に出したのは公明党の調査じゃないか。公明党の調査にあとくっついて、防衛庁長官が間接的に電話かなんかで聞いて、常識の答弁を求めるくらいの、公明党はそんな党じゃありません。わからないじゃないか、現に。新聞に出なかったらどうするんだ、きょうの答弁。わかりゃしないじゃないか、何も。だから武士の情けで、きのう新聞に出してやった。まだまだ初の長官だ、苦しめてもどうかなあという、そういう配慮ですよ。それを自分で間接的に聞いて、常識を振り回しては困りますよ。こういうこともある、この調査をここで言うはやすし。どれだけ時間をかけ、真剣に調査し——長官、どっち向いているんですか——皆さん方に提示しているかわからない。どうですか、この問題。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 前段については、御報告申し上げたとおりでありまするが、いま佐世保の御指摘につきましては、今後、十分調査をして御満足のいくような答弁を申し上げたいと、こう思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 調査方法は。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 久保局長、調査方法について質問です。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 海上自衛隊の現地の総監部を通じまして、米側と調整してみたいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 間接じゃないですか。もっともっと、沖繩の毒ガス撤去のときには民間の学者が行った。岩国の場合だってあれだけの公開で査察した。それじゃなかったら、私たちのやっている、ここで提起している問題が議論がかみ合わないじゃないですか。そんな木で鼻をくくったようにぽーんとやる。それでは何のためにこう問題提起して——いま言ったばかりじゃないですか、みんな言ったことがうそじゃないですか、それでは。そんなことでは、この審議はもう続行できないですよ。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) 調査できておりませんから、御提起によって、ひとつ十分調査をすると、こう申し上げておるのですから、御了解を願いたいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 調査方法が問題であると言っている。一方的にノーと言うにきまっているじゃないですか、そんなことでは。それは先ほどもそう言ったのですが、もうここらあたりで確固たる基本線を出しませんと審議は続けられません、これではもう。そんなぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ、こっちはもう努力するかいがないですよ。一生懸命、何とか佐藤内閣のために、日本政府のため、微力ながらと思ってやっているのですよ。根本は日本のためですよ。日本本土、沖繩のためですよ。笑いごとじゃないですよ。それがみんな無意味じゃないですか、努力した結果が。もっと真剣に考えてくださいよ。

江崎真澄自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(江崎真澄君) しきりに調査を言われまするので、これは米軍の管轄下なんですから、いまここでお約束はできませんが、理解を得るべく折衝をしています。

黒柳明公明党

○黒柳明君 総理はこの資料で、御自分が疑わしいと思いませんか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも黒柳君と防衛庁との説明がかみ合わないのでずいぶんふしぎに思っております。ただいま、日本に返してくれる、そこがあぶないのだと言って御指摘になるかと思うと、そうじゃない、他の場所だと、こういうようなお話もありますし、その日本に返ってくる、引き継ぐその場所においては全然ないという、このほうはほんとうだろうと思いますが、その他の場所についていろいろ問題があるんだろう、かようにいまお話を、やりとりを聞いていたわけです。しかし、私もただ黙っているだけが総理の能でもございませんから、ただいまのようなお話は、防衛庁が主体になりまして責任持って取り調べさすようにいたしたいと思います。なお不足であれば、さらに民間人を入れることも考慮いたしますけれども、ただいまの段階ではどうもその必要はないんじゃないだろうか、かようにも思いますが、そこらの問題はしばらく私のほうにまかしていただきたいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 じゃ一体何があれば必要なんですか、何が出れば疑惑として調査するということになるのですか。基準を示してくださいよ。調査するほうだって限界ありますよ。こちらだって、何もむげにやり込めるために調査するのじゃないんですよ。一歩でも前向きに、疑惑があるなら除こう、あるものだったら除いてもらいたいという前向きでやっているんですよ。私が疑惑と思うならやる。何があればそれじゃやるのですか、調査するのですか、何があれば。基準を示してもらいたい。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 黒柳君、御質問の途中ですが、いまちょっと理事さんともそれぞれお話ししましたが、いま御質問の調査方法についてなかなか御納得がいかないようです。政府としても、いまこの場で、それじゃこういうことだという調査の方法を明らかにするわけにもいかない面がある、こういうことですから、これは大切なことですから、もう一回あなたの御趣旨をよく理事会で相談しまして、そうして政府とも折衝してみたい、こういうふうに思いますが、これで、関連質問でありますし、ひとつそこらで御納得いただけませんか。

黒柳明公明党

○黒柳明君 委員長がそういう線を出せば、私だって何もここで白黒つけるためにやっているわけじゃありません。当然出るはずのものでありません。ただ、いままでの返答というのが、一方的に向こうから来るだけ、こちらがもっと積極的に調査するという手が幾らもあるだろう。当然ある。そういうものについて、こちらが客観情勢、確実な資料を積み上げて、また一つここに出てきたら、この次佐世保へ行きますよ。三沢へ行きますよ。横須賀へ行きますよ。積み重ねて、そのたびに同じじゃうまくない。少なくともきょうを契機にして二歩も三歩も進んで、国民の疑惑を晴らすような政府の確固たる基本線を出してもらいたい、調査方法の。それで国民の前に公表して、なるほどなという調査結果を出してもらいたい。  これ、委員長のお話もありましたので、私もこれ以上やりたくありません、関連なものですから。ひとつ防衛庁長官もふんどしを締めて新しい仕事として取り組んでください。以上でございます。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) それでは、いまの黒柳君の関連質問につきましては、追って理事会でも十分協議した上でまた御相談したいと思います。それじゃ渋谷君、続けてください。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただいま黒柳委員からも、るる最近の疑わしい事実について、政府に対して答弁を求めたわけでありますけれども、結論から申せば、おそらくここでお聞きになっていらっしゃる方もそうであろうと私は思うんですが、やはり疑問として残るというのが率直な感情ではないだろうか。先ほども総理の御答弁の中で、また私の質問に先立って福田外務大臣の御答弁を伺っておりましても、疑わしい問題については、積極的にその疑いを晴らすために取り組む、こういう御意向の話がございました。当然だろうと私は思うんです。しかし、ここで私、非常にふしぎだと思いますことは、いまも黒柳委員から指摘されましたように、ためにする質問ではない。かねてから本土の沖繩化などと指摘されているような背景を考えますときに、あるいは、という一つのそういう疑わしい問題が十分考えられないでもないと、こういうところから独自の立場で調査を進めてまいったわけでございます。その結果、もうすでに先ほど申し上げましたように、あるいは岩国、横田、今回の厚木、佐世保というふうに出てまいりますと、いままでおおいをかけられていたような立場におる国民の方々も、どうなっているんだろうと、これは当然の不安感を持つことは必定だろうと私は思うんです。  私は、防衛庁の方々にも要望申し上げたいことは、やはりそうしたことがいつも国会で取り上げられ、そうして何か歯切れの悪い答弁ではなくして、当然問題になるであろうという課題でありますので、事前にそうした問題を相当緻密な計画のもとに、米軍なら米軍、あるいは米政府当局と話し合った上で、十分にその辺の検討あるいは調査というものがなされてしかるべきじゃないだろうか、私はそう思います。  私はそこで総理に申し上げたいことは、来月五日にサンクレメンテヘお出かけになる。いろんな重要課題についておそらくお打ち合わせになるだろうと思います。その中には日中問題もございましょう。しかし、当面のやはり沖繩問題についても、いままで政府としてもあるいは改善をしなければならないかもしれない、あるいは国民の世論というものをこれ以上無視するわけにはいかないというような問題点について、もう一ぺんその辺の話の詰め方、特に具体的に例を示せば、いまあげられたような問題につきましても、事前に、もういつでも日本政府が立ち入り検査もできるんだと——それは事柄によってはできない場合もございましょう。けれども、最大公約数として許された範囲では、やはりそういう疑惑を晴らす上からも、そういう面でも積極的に取り組む姿勢というものが私は必要になってきたのではないだろうか、こういうふうに感じますので、総理の御見解を伺っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 来年早々ニクソン大統領と会談を持つことになっております。その際は、ただいま言われるような点が、おそらく国際情勢のうちでやはり中国問題が主になるでしょうから、大事なことだと思います。またわがほうにとりましても、ただいま日本のあり方といいますか、いわゆる自衛態勢というか、その問題も十分考えていかなければならない、かように思いますので、ただいまのようなことを考えながら、わが党の与党の諸君はもちろんでございますが、各党党首との会談をいま予定しております。そういう際にも十分各党の御意向を体してサンクレメンテに出かける、その決意でございますから、ただいまのような点も、ただいまこの席でも御注文が出ておりますが、さらに、おそらく各党党首と会談をすれば必ず出るだろう、かように思いますので、私のほうもそういうことを用意するということだけこの際に申し上げておきます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この種の問題は、かつては核アレルギーというような表現で、あまりにも騒ぎ過ぎるんじゃないかということを言われた閣僚もございました。しかし、それはアレルギーなどというものとは次元が全く違う問題だと私は思います。また同時に、最近いろいろ米軍自身の不祥事件というものが起こっております。その管理運営の上で非常に不行き届きの面があって、あるいは銃弾が盗難にあうというようなことを考えますと、そういった面からも、疑いたくはないけれども、あるいは、というやはり懸念が出てまいります。当然、この問題は米軍の秩序の中に入る問題だと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、しかし、直接影響を受けるわれわれ国民にとってみれば、ありがた迷惑だということになるわけでありまして、かねてから総理自身が言われているように、日米の友好関係というものを持続するという、これからもそういう基本的な方向を貫くとするならば、やはり国民感情というものを害するような行き方ではこれは非常にまずいと、したがって、いま御答弁を伺っておりますと、はたしてサンクレメンテでニクソン大統領と会われる際にどういったことを——野党の党首とも会って、野党の要望も十分考慮をしながら話の中身にしていきたい、こう言われました。しかし、ただいま私が申し上げましたように、当面するこの大きな課題について、せめて沖繩県民の方々に喜んでいただけるような、そういう前向きの姿勢を帰られてから示していただきたいことをまず希望しておきたいと思います。  まあいずれにしても、本土がそういう状態でありますと、沖繩県民の方々が、本土だってそうではないかと、いわんや沖繩の場合においては、軍事基地としてのあり方というものがこれから一体どこまで続くのだろうかと、当然の疑惑が出てくると思うのであります。そしてまた次の問題点になるわけでありますが、本土並みと、まことに聞こえのいいことばであります。けれども、ことばと実際はまことにうらはらでございまして、全くもう逆の面を露呈しているわけであります。これも何回かもう議論をされた問題ではありますけれども、少なくとも沖繩に占める米軍基地というものは、本土内におけるそれとは比較にならないほど広大な面積を有し、そこに基地が設けられている。この一点を見るだけでも本土並みではないではないか。そうすると、沖繩県民にこれはうそをついたことになりはしまいかということになるのでありますが、そうした点ですね、もう一ぺん総理御自身が整理をなさって、沖繩県民の方々に御納得のいくように、何が一体本土並みかということを明確にひとつお示しをいただければと思うのであります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本土並みと私どもが申し上げておりますのは、これは安保条約の関係についてであります。つまり、米軍の基地がたくさん沖繩に残ります。しかし、この基地の性格が本土並みである、このことを申し上げておるわけです。しかし、皆さんからその基地の厚さがどうかと、こういうような御指摘もあります。あるいはその他の面において、いろんな面で本土並みになっておらぬじゃないかというお話がありますが、これは直接私どもが本土並みと言う問題とは違うのです。本土並みというのはどこまでも安保条約の適用において本土並みであると、こういうことであります。しかし、それはそれといたしまして、他の沖繩県民の生活が、また同時にその環境が、逐次本土並みになっていくという方向、つまり、明るく豊かな沖繩県民の生活ということが実現されるような問題、これは、それはそれといたしまして努力はいたしていくと、こういうことを申し上げるわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま外務大臣は、安保条約のもとでということをおっしゃった。そうすると、本土と沖繩というものは、同じ安保条約の体制のもとに置かれておりながら、おのずからその態様あるいは位置づけというものは違うということになりはしませんでしょうか。これは現在の占める基地の面積、その割合等々から見ましても、もうすでに大臣御自身も、私から申し上げるまでもないように、その割合というものは本土の十倍以上もあるというこの事実、これ自体だってまことに矛盾だと私は思うのですが、そうした具体的な一つ一つの面をとらまえて申し上げると、いろんな問題が出てまいります。そういったことを十分踏まえてのいまの御答弁でございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そういうことを十分承知しておりながら、ただいまのような法的な意味においてのことを言っておるのだということをお答えしたわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 先日の本会議において山中長官は、沖繩県づくりのその基礎といいますか、それは経済振興にある。しかしその経済振興を阻害する条件は、やはり基地にある。これを明確に述べられました。そうすると、こうしたことも考え合わせてみますと、経済の発展はたいへん後退する。後退するということは、これもまた本土並みではないではないか、われわれはそういうように単純に、おそらく沖繩県の方だって、一々むずかしい専門的なことを、たいへん失礼な言い方かもしれませんが、直覚的にお感じにならない場合もあると思うのです。けれども、やはり本土並みということは、何から何まで、たとえば税制の問題賃金の問題、物価の問題から一切と受け取っている傾向がほとんどだろうと思います。私は現地にすでに四回も行っておりまして、現地の人たちと会っていろいろ話をしてみましても、率直に返る答えはそういうことであります。そうすると、山中長官が先般本会議で答弁されたこうした問題についても、まだまだ、やはり沖繩の県民の方々を納得させ得るそれだけの要素は少しも出てこないのじゃないか。ただ失望——失望というより絶望、と言うとちょっとことばが行き過ぎるかもしれませんけれども、失望と不満だけが残る。これでも、一体この返還協定に基づいたその復帰を進めなければならないのかというところにやはり不安感が出てくるのじゃないかと思うのです。先般山中長官が言われたことは、私は確認しておきたいと思うのでありますけれども、やはりその問題が大きな阻害条件に確かになるであろう。長官としては、基地の問題についても相当その決意もあり、抱負もお持ちになっていらっしゃる。その辺、当然統一された見解をお持ちだと思いますが、あらためてひとつ長官の……。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 本土並みと申し上げておりますのは、先ほどから申しておりますとおり、基地を沖繩において提供し、そこに米軍が駐留する、その法的地位がわが国と一緒になる。つまり核もありません、また自由出撃もできません、こういった状態のことを正確に言うと申しているのです。しかし、それはそれといたしまして、基地が非常に濃密であるということにつきましては、私も十分な認識を持っているわけでありまして、ことに沖繩本島の中部地区には基地が非常に集結をしておるという問題、あるいは米軍基地の中に、その基地機能以上に基地の面積が広大に過ぎるというような問題もある。あるいはレクリエーションといいますか、休養施設等において検討を要するような問題もあるいはあるようだ。そういうようなことを踏まえまして、これから沖繩県民の希望に沿っていきたい、そういう努力をいたしていきたい、こういうように考えておるのでありまして、これは総務長官と全く同じような認識を持っておるということを御承知願いたい、かように思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官・農林大臣臨時代理

○国務大臣(山中貞則君) 先般衆議院の決議を受けまして、総理が沖繩の基地の整理、縮小につとめる旨、さらに積極的な努力を展開する旨約束されました。総理としては、そういう姿勢をとって今後外交問題を展開していかれるだろうと思います。私も、たとえば渡嘉敷の、まだ米軍所有地でありますけれども、私が現地に参りまして、これは「国立青年の家」に転用すべきが最も理想的であると考えましたので、まだ復帰前でありましたけれども、ことしの予算から「国立青年の家」調査費をつけて、結局はC表に入れることも可能になったわけであります。また大局的に見ましても、那覇市は、将来返ってまいりますと、沖繩の県庁所在地でありますが、県庁所在地の都市計画というものがほとんどないにひとしいわけでありますから、牧港住宅街等のB表の注に書いてある問題等の解決を早急に急がなければなりません。これは一、二の例をあげたわけでありますけれども、沖繩の開発計画、ことに沖繩本島の開発計画というものは、今後、返ってまいりましたら沖繩県知事の作成します原案に基づく振興開発計画というものを定めていくわけでありますが、すでに新聞等の報道で、私の手元にまだ公文書は参っておりませんが、今後協議をしたい重要な問題として、現存する沖繩の基地の全部について、その県あるいは市町村の立場から、開発計画の理想像をかいておられるようであります。こういうものは十分に参考にして、県、市町村の意向を受けながら積極的な外交の展開が必要であると考えるわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 総理にもう一点、現在の沖繩の基地の持つ機能的な働きという面から確認をしておきたいんでありますが、もうすでにベトナムでは、来年ほとんど撤収をするだろうということも言い伝えられております。きょうあたりの報道を見ますと、韓国あたりからも米軍が撤退をしていると、もう事実上、沖繩がいままでキーストーンといわれたそうした役割りというもののウエートがだんだん低下してくるのじゃないか。しかし、なおかつ依然としていま予想されることは、返還後においてもその規模、態様というものは少しも変わらない。まあ率直に申し上げて、多少は変わっても、ほとんど変わらない。こうしたことを考えると、ほかに意図があるんではないか。やはり、その後自衛隊の移駐というものもいわれておりますし、これも本土から見た場合に、相当密度の高い自衛隊の移駐が行なわれることに決定を見ておるわけであります。まあ、こうした一つのからみ合いを考えた場合に、意図がほかにあるんじゃないか、一体そこまで置く、また米軍がそこに常駐する理由があるんだろうか。もしないとするならば、どうして政府自身がそうした点を率直に話し合って、あるいはまた今度のサンクレメンテでそれが話題になるとするならば、そうした点についても、せっかく決議も出されたことでありますし、そうした縮小の方向へせめて何らかの形でそれが証明できるような、願わくば返還前においてもその可能性を見出せるような接触ができないものだろうかという点でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあかつての沖繩、これはベトナム戦との関連において非常に疑問視され、またどういう効能があるかということで議論されたと思います。直接沖繩本島の防衛、そういうところではあまり考えられないので、いわゆるアジアの防衛の中心、太平洋の戦略的なかなめ石だと、軍事的なかなめ石だと、かようにいわれたと、そういうものがよほどベトナムについてはもう変化を起こしつつある。さらにまた訪中の結果どういうような結論が出てくるかわかりませんが、私はニクソン大統領の北京訪問、これは必ず緊張緩和に役立つと、かように思いますし、またけさほどは、いろいろ韓国の情勢等についても皆さん方から分析があり、国連への北鮮の加盟というようなことが話にまで出ております。これはまあ来年の問題だろうと、こういうことがいわれておりますが、それにしても、いずれにしても緊張緩和には役立つ方向に向かっておる、これが一つの新しい事態でありますし、同時にまた、軍事的な技術上の面からも、必ずしも沖繩でなければ軍事的な目的が達せられないと、こうも言えないようになっておるんじゃないかと、かように私は考えますので、ただいまの沖繩の軍基地、これは整理縮小は可能だろうと、こういうことを実は考えておるものであります。まあ私ども、本土においての経験からいたしましても、ただいまのようなことは言える。最近の東京近郊における米軍基地の縮小などは目に見えて進行したように思います。それらのことなど考えると、当然沖繩においても変化がある、変化を起こすと、またそういう方向でなければならないと、かように私は考えております。また、米軍が撤退したあと、自衛隊が肩がわりするにいたしましても、ちょうど同じだけの数が必要だとか、こういうものではないように思っております。私は自衛隊の駐留にいたしましても、そこらに自衛隊本来の職分、それを考えながら、また日本全体の安全確保のため、平和維持のために、いわゆる日米安保条約というものが、これは部分的にカバーされるというものじゃなしに、総体として考えられると、こういうところに問題があるように思いますので、ただいま沖繩から一万米軍が撤退すれば、一万の自衛隊が出かけると、こういうようなものではないと、かように私は思っておりますので、ただ、この自衛隊そのものの理解を沖繩県民にもっとしていただかないと、どうも日本の陸軍が出てきたばっかりに沖繩が決戦場になったと、こういうその惨禍のほうが非常に強く頭に残っておると、これが県民の感覚だろうと思います。したがって、いわゆる自衛隊についての拒否反応、過去の陸軍という、あるいは海軍と、こういうようなものに対しての感じがそのまま残っておる。その拒否反応がないように理解してもらうことが何よりも大事なことだと、かように思っておりますので、これらの点について私は十分沖繩県民の理解を得る、その上で出かけると、こういうようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かにその緊張緩和の方向へ動いている、これが最近のアジア情勢の一つの流れだということは、いま申されたとおりだと思います。そうであるならば、さらに一歩進めて緊張緩和への足がかりをつくる、それはすなわち沖繩の軍事基地のすみやかなる縮小整理にあるのではないだろうか。かつて防衛庁の官房長が言われた話の中に、沖繩の軍事力あるいは軍事基地の態様というものは、多分に中国を意識していると、こういう答弁があったことがございます。そうして見ると、依然としてそういう兵力についても、あるいはその他の装備にいたしましても、あるいは返還後においてもしばらく続くということを考えた場合に、いま佐藤さん御自身が日中国交回復への意欲を持ち始めていらっしゃる——かえってマイナスの条件をますますつくっていかれて、そのみぞを深めるだけに役立つのではないかということをおそれるわけであります。それで、当然その対中国ということがいままでも話題になってまいりました。論争の焦点にもなってまいりました。そうしたことを考えた場合に、沖繩の持つ役割りというものはやはり無視できない。これはもう当然県民の方自身も自覚していらっしゃるだろうし、先般私自身が北京へ参りましたときにも、周総理自身がやはり沖繩ということにたいへんな関心を払っている。そうした点をからみ合わせて考えた場合、これからの新しいそういう道を開き、緊張緩和へ役立たせるということになれば、やはり当然基地の縮小ということは考えられていいと、まあいま、ニクソンの訪中後どういう結論になるかということも織りまぜて述べられたようでございますが、そうした点も強硬に主張すべきは主張して、やはりそういう方向へ持っていくことが私は望ましいのじゃないか。そういう点から、一体総理は、沖繩の基地に関連いたしまして、その対中国の認識というものを一体どういうふうにお持ちになっていらっしゃるのか、再びあらためてここでお尋ねをしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まあ日本が日本なりに、安全確保のために安全保障条約を持っておるとか、あるいは自衛隊を整備するとか、国力、国情に応じた自衛隊を持つとか、こういうことについてはこれはもう中国自身も内政には干渉しないだろうと思います。ただ、過去の思い出がいかにも軍国主義の日本と、こういうような意味で、これについての批判はきびしくあるだろうと、かように思いますが、ただいまたどっておる平和日本、そういうものについては、中華人民共和国もそれなりに私は評価しておるんではないか、かように考えます。そういうことを前提にいたしますと沖繩が祖国に返ってくる、そうして安全保障条約のワク内に米軍がとどまると、こういうことはこれはやはり日本が軍国主義化しない限りにおいてただいまの路線を確保すると、こういう意味において私はそれなりに評価があってしかるべきだと、かように考えておるのでございまして、ただいまのような状態、これが直ちに全部が基地をなくすると、そういうところまではなかなかいかないように思いますし、また、基地をなくしてそのかわりに自衛隊が非常に増強されるとか、かわりに出ていく、こういうようなことこそいろいろ誤解を生むんではないだろうかと思います。いましばらくはこのままで推移する、そうして行動自身が安保条約のワク内にとどめられる、そういうことが最も望ましい姿ではないか、かように思いますので、私は中華人民共和国におきましてもこの事態は正しく認識をしていただけるんじゃなかろうか。ことに渋谷君御自身も北京にお出かけになって、日本の軍国主義化についてはきびしい批判があり、日本は重ねて過去のようなあやまちはしないと、こういうことを話をされたと思っておりますが、私どももそういう方向でやっぱり進んでいく、これが私の申し上げる平和に徹する外交であり、平和に徹する近隣諸国とのつき合いだと、かようにお考えをいただきたいと思いますし、ただいまの米軍の扱い方にいたしましても、ただいまの状態よりも、祖国に復帰するその状態においてこの性格が変わる。その性格の変わる点に非常に私は期待が持てるんではないだろうか、かように思いますので、いま直ちに縮小にならなくてもその性格が変わる、事前協議の対象になる、そこに一つのワクがはめられる。こういうことでよほど変わってくる。そういう点も中華人民共和国は正当に正しく認識していただきたいと、かように思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まだこの問題についてはちょっと残しておきたいと思いまして、次に、もう時間もありませんので、移りますが、今回の返還協定をめぐりまして、まず沖繩県民の方々が非常に待望している一つのものは日本国の平和憲法に返るということにもあるだろうと私思います。しかし、現状としてはまだ憲法の適用を受けない、そういう段階ではありますけれども、当然それを踏まえた上でいろんなこれからの運営対策というものが立てられてしかるべきだと思います。しかしながら、今回の返還協定の内容を見るにつけましても、これを一つ一ついま指摘をしながら言っている時間もありませんが、少なくとも第九条、十四条、二十九条、三十二条、九十五条に違反をするおそれが出てきはしまいかということでありますが、まずそうしたこまかいことについては法制局長官から御答弁をいただいて、そうして重ねて総理から総括的に御答弁をいただきたい、こう思います。

高辻正巳内閣法制局長官

○政府委員(高辻正巳君) いわゆる返還協定は沖繩の本土復帰を米国との間で取りきめるものであるわけでありますが、この協定に基づいて沖繩が復帰されることになれば、沖繩の地域住民が日本国憲法の適用のもとに戻る——戻るといいますか、入ることになるわけでありまして、それには御承知のようないろんな必要な措置が伴ってはおりますが、それが憲法に違反するということはちょっと考えられないことであると思います。しかし、おそらく御質問の本旨は、その措置の一つ一つを予想した上での御質疑かと思いますが、別に論点の御指摘もありませんでしたので、何というか、詳しい御答弁は差し控えますが、要点だけを申し上げると、九条の関係で一応問題になるかと思われます、問題になさっておられるかと思います条文は、二条、三条あたりかと思いますが、この二条、三条は安保条約及び関係取りきめが沖繩にそのまま適用されることを定めただけのことでありまして、協定で新たに生じた問題ではございません。  それから次に憲法十四条をおあげになりましたが、憲法十四条は、まあ私御説明申し上げるまでもなく、国家と国民との関係についての、その関係を直接の問題として規定するものでありまして、本協定のような国家間の関係を直接の場面とする規定ではございませんので、その辺も、協定から十四条に違反するということにはならぬのではないかというふうに一応考えております。  それからまた憲法二十九条をおあげになりましたが、これも考えてみれば、あるいは協定第四条の請求権放棄あたりのことかと思いますが、この請求権放棄の性格につきましては、平和条約十九条のときにもたいへん論議がございましたが、これは国際法上、問題を日本国として提起しない、いわゆる外交保護権を放棄するということであって、わが国がその自己の公権力によって国民の財産を収用するというものとはおのずから性格が違うというので、これも二十九条の直接の問題ではなかろうと考えております。  それから三十一条あるいは三十二条をおあげになったかと思いますが、これも論点から逆に考えてみますと、これはいわゆる沖繩の確定判決の執行をさしてのことであろうかと思いますが、憲法九十八条に、いわゆる最高法規の規定の第一項でございますが、その辺の規定の反面解釈として、私どもは憲法の施行の際に適式に制定され施行されていた法令について、その内容が憲法の条規に反しないものである限りは効力を有することを認めておりますので、復帰前に沖繩で確定した刑事裁判の執行を引き継ぐということにも問題は別にないであろう、むろん、これらは私どもこの協定の際に十分に検討した問題でございます。ただ、おそらくそれについては個々の論点をあるいはおあげになるのかもしれませんが、もしそうであれば、その際に補足をして御説明申し上げたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かに法律的な解釈はそれでけっこうだと思います。先ほど私申し上げたように、返還協定に伴う国内関連法の成立を見ますときに、どうしてもやはり憲法に抵触する部分が出てまいります。したがって、現在は憲法の適用を受けていないけれども、十分それを踏まえた上でやらなければ、あまりにも沖繩県民はかわいそうではないか。いま、くしくも請求権の問題が出されました。これはいま時間がないからお話しできませんけれども、確かにこの請求権をめぐってもまだ相当多くの疑問が残されているわけです。そうしたことを踏まえて総理ひとつこの問題についての見解を伺っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これ掘り下げればいろんな問題が起こると思います。とにかくその起こりは一体どこから来ているかと、これは申すまでもなくさきの戦争で激戦が展開されたと、全島をあげて焦土と化したと、そうしてその後引き続いて米民政下に——軍政、民政下にあったと、いわゆる施政権がアメリカにあったと、そのもとで県民の方々は生活されたのでございます。今回日本に返る、祖国に復帰する、これは復帰するということが施政権が日本にあるその姿になられると、本来あるべき姿に返るといたしましても、過去の傷あとがあまりにも長く永続的であっただけにこれは本土の法律、制度にもなかなかなじまないものがあると、だから幾多の特例を設けてそのいわゆる復帰ショックがないようにと、こういうことまで配慮をされておるのがいろいろの手当てでもおわかりだと思います。ことにこれは何と申しましてもいままでのドルの生活が今度は円の生活になる、ここにも大きな問題があると思います。教育制度だけこそ日本の教科書を使っておるけれども、その他の事柄は全部違うもとにあります。請求権の問題、いまのまた裁判の問題等々を考えましてもなかなかなじみにくい問題であります。したがいまして、私どもが特別な考慮、配慮を払うことによって初めて問題を解決することもできるのではないだろうか。したがって、ただいま経過的な措置としていろいろの問題を考えておりますが、それなどは県民の要望にはたしてこたえておるかどうか、そういう点が問題だろうと思います。屋良行政主席からの要求書あるいは請願書とでも申しますか、そういうものも目を通してみると、やはり大きな代がわり、代がわりというか、それが各面に不安やあるいはいろいろの心配を投げかけておる。こういうことは見のがせないことでございますので、そういう点の解消にこれから努力していくことはなかなか大きな問題だと思っております。幸いにして円滑な復帰ができるならば、ただいま言われるような点も順次解決してまいるんじゃないだろうか、かように思う次第でございます。(拍手)

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で渋谷君の質疑は終わりました。     —————————————

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 次に松下正寿君の質疑を行ないます。  松下正寿君。

松下正寿民社党

○松下正寿君 私は四つの点について総理大臣以下、各関係大臣あるいは政府委員等の、場合によってはやや専門的なことについての御答弁を伺いたいと思います。  第一は、これは総理大臣の御意見を伺いたいわけでありますが、先刻からしばしば質疑応答がございましたが、やはり沖繩問題の一番難点といいましょうか、むずかしい問題、われわれ国民が非常な関心を持つと同時に、政府も非常に頭の痛い点はやはり基地の問題だろうと思います。先刻外務大臣は、本土並みという意味は日米安保条約が適用されるという意味であるというふうにおっしゃったわけで、しかし、いや本土並みじゃないんだと、こういう説も出ておるわけであります。私はいずれも正しいのじゃないかと思いますが、日米安保条約の適用を受けるという点においてはこれは本土並みであるわけですが、この一般の住民の福祉とはこれは別といたしまして、基地の性格ということを考えましても、日米安保条約の適用を受けるという点から見て本土並みには違いありませんが、これはどなたでも異論のない点だと思いますが、沖繩と本土における基地とがその性格が全然同様であるとはこれはどなたも言い切れないだろうと思います。この問題についてはわが党の曽祢議員から衆議院においても質問がございましたが、やはり本土におけるもの、これは核兵器がないということを前提としてありますが、まず大体において防衛的であるということは確かであると思うのでありますが、沖繩の基地はそれが集結されておるということも一つ、その他いろいろなことを総合的に考えまして、やはり攻撃的な性質が相当濃厚であると、であるから、具体的にどこの国をどういうふうに攻撃するという意図があるという、そこまでは極言できないと思いますが、少なくとも現在のあの沖繩は長い間極東の防衛のかなめであるといわれておったのは、やはりあそこが攻撃の基地であるというこの性格だけは、これは否定できないんじゃないか。ところで、それをやめろといいましても、やはりいままでの日米安保条約の立場から日本の安全保障という点から見て、多少まずくてもやや例外的な基地の性格を許さなくてはならないという点に——まあそうは政府としてははっきりおっしゃれないでしょうが、そういうふうな意図があるというふうに私は解釈して、これが私は国民の常識じゃないかと思うわけであります。  ところで、そうしますというと、問題はやはり沖繩の基地をどうするかということを幾ら議論しましても、根本において日米安保体制そのものを考えてみませんというと、根本的な解決が不可能じゃないだろうか。私は決して日米安保体制即時解消論、あるいは一方的に破棄せよというふうな、こういう議論は持っておりません。いままで私は日米安保条約というものは非常に日本の防衛について必要であったと、さように考えておる者の一人でございますが、さればといって、今後永久にこれを続けていいかどうか、これはどなたも永久というふうには考えていないと思いますが、それにしましても、私は二つの点が考慮さるべきじゃないかと思うのであります。第一は、ここ一年、あるいは二カ年と見ていいかもわかりませんが、国際情勢が若干緩和された。むろん、この緩和という意味がほんとうに緩和されたのか、あるいは緩和のムードがただよっているのかということになりますというと、若干そこに問題があるようであります。それほど私は楽観的に断定していいとも考えませんが、しかし、ムードがあるということは非常なけっこうなことであって、次の段階に進む一つの前提として高く評価しなくちゃならぬと思うんであります。その点が第一でありますが、私はそれから第二といたしましては、やはり一般のムードだけでなくて、中国が正式に国連に参加したと、この点も非常に国際情勢が——緩和できるかどうかわかりませんが——非常に大きく変化した。そういう点から考えまして、いままでの日米安保条約というものが、私は特定のどこの国を想定敵国としておるかどうかということはこれは別としまして、少なくとも危険であるから安全保障という措置が必要になるということ、これはもう論理上当然であります。相当に変わってきておるのじゃないだろうか。そういう点を考えますというと、総理はこの前の佐藤・ニクソン会談においてもその共同声明において、日米安保条約をいわば再確認されるとともに、「中共」ということばになって出ておりますが、中華人民共和国がもっと協力的になることを期待するといわれておるわけであります。そういう点を考慮しまして私は日米安保条約の解消というような、そういう革命的なことでなくして、もっと漸進的に段階的に発展さしていく方法がありはしないだろうか。ちょうど長い間日本の安全の外交政策の根幹でありました日英同盟が解消されて四国及び九カ国の条約になったというように日米安保条約をさらに日本のもっと現実的にほんとうの安全を期待し得るような形、たとえば——ほんとのたとえばですが、中国、ソ連等も加えたような、そういう条約に発展させることができるかどうかという点をお伺いしたいわけでありますが、御答弁を願う前にもう一つつけ加えておきたいことは単にこちらが軍事基地を減らすことによってしか私は安全保障の実をあげることはできないのじゃないか。やはり安全保障というものは、こちらもなるべく相手にとってあぶなっかしいものは引っ込める。と同時に、相手方もまたこちらに不安を与えるようなものは引っ込める。双方であぶなっかしいものを引っ込めていくと、そういう点から見まして、日本の隣国、中国を含めての日本の隣国に、こちらも自制をするが、君のほうも大いに自制をして、お互いにあぶなっかしいやつだというような、そういう印象を与えないようにしようじゃないか。そういう前提に立っての日米安保条約の発展的解消といいましょうか、もっと安全の目的に合うようなものができやしないか。そうすることによって私は初めて基地問題というものが徹底的な解決がつくのじゃないか、さように考えるわけでございます。総理大臣の御意見を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 松下君に結論から申しますと、ある点は賛成、同意見でもあるが、また、ある点では反対でございます。と申しますのは、この安保条約、これは多分に防衛的なものだと、こう言われるが、防衛ということばかりじゃなくて、やはりこれは戦争抑止力、そういうものがあることを見のがしてはならないと思います。私はそれあるがゆえに戦争は起こらないんだと、ここまでも言えるんではないだろうか。まあ大体同盟条約もそういうことではないかと、まあ、かつての日英同盟を解消してから後、日本は戦争に突入した、世界大戦争に突入したと、そういう苦い経験もありますから、私はやはり同盟条約、そういうものが持つ意義、これは攻撃されればそれが防御的にも働くが、大体戦争抑止力、戦争がこれなら開始されない、こういうものを大きく見るべきではないだろうかと思うのであります。  ただいまのアジア情勢の分析についてムード的ではある、しかしながら緊張緩和の事実はまだないじゃないか、かように言われることもそのとおりだと思いますし、われわれはそのムードをもっと高めていって、そしてムードを実りあるものにするというのが私どもの、いわゆる平和に徹する本来の考え方でございます。また中華人民共和国が国連に参加することができたこと、これは私どもの内閣におきましても、もろ手をあげてこれを歓迎するということをすでに声明しております。過去においての主張は主張として、いきさつはありますけれども、もう国際的な多数によって判断が下って、そうしてただいま国連に参加した後に、とやかく経過を云々すべきではないと、かように思います。そういうことも考えながら、ただいまのこの日米安保条約をさらに拡大して中国、ソ連等をも含めて、これはまあおそらく不戦条約を意味されるのかとも思いますが、そういうものに発展したらどうかと、こういうことを言われたろうと思います。これは羽生君の午前中のうちにもそういう話がありましたが、この不戦条約の場合に一番の問題は、やっぱりこれが守られないときに、どこかの国が不戦条約を乱したときに、それに制裁を加えるような方法があるなら、何か制裁規定があるならよほど私は有効だと思いますけれども、どうもそういうものがなくて、不戦条約があるが、ただ拒否権だけが明確になったという程度ではどうも安全確保の点から見て欠くるところがあると、かように思いますので、これも賛成しない。しかし、何かわれわれは平和と安全のために道をさがさなければならないと、まあそういうことを考えると、ただいまのところでたより得るのは日米安全保障条約、いわゆる戦争抑止力をやっぱり評価すべきではないだろうかと、かように私は思いますので、私の考え方を率直に御披露いたしまして御批判を仰ぎたいと思います。

松下正寿民社党

○松下正寿君 日米安保条約がいままで防衛というよりか戦争阻止力を持っておった。この点は私も同意いたします。不戦条約について総理の御意見、私も遺憾ながら同感であります。総理と私とは、これは偶然同じ年でございますが、私も、おそらく総理も同様だと思いますが、不戦条約ができたのを非常に喜んだわけであります。これで戦争はもう永久になくなったんじゃないかと思っておったわけでありますが、それから十年たたない前後のうちにまた戦争が、いままでにないほど大きな戦争が起きたわけであります。したがって私は、不戦条約ができれば安保が要らなくなるというほど、それほどまあ甘く見ておるわけでもございませんが、人間のやることですから一〇〇%うまくいくことはできないと思いますが、私の考えておりますのは、この不戦条約のような、そういう何といいますか、抽象的な平和を礼賛する条約というよりか、もっと具体的な軍縮条約を考えております。具体的にどこの兵隊をどこに移せとか引っ込めろとかということはこれは別といたしまして、将来、アメリカは現在同盟国ですから別でありますが——中共、ソ連等が、少なくともアメリカ、日本はいままではちょっとあぶないんじゃないかと考えておったことは事実であると思うのですが、それがわれわれのほうが実際は向こうに不安を与えておったからだとか、これは水かけ論になるわけでありますが、それを双方で引っ込める。双方に脅威を与えそうな軍事基地等は双方で引っ込めていくと、日本だけが一方的に基地をなくしてしまうというのじゃなくて、双方で引っ込めていくような、そういう前提に立っての新しい平和体制というものを私は考えておるわけであります。それにも総理は、そういうことはちょっといまのこの際は考えられないというふうなお考えでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) けさほども話がありましたが、まあ国際的な平和機構である国連、その国連の常任理事国が、偶然というわけでもないのですが、全部常任理事国は核武装国でありまして、そういうことを考えると、この常任理事国で決定されることは、大体たいへん範囲も狭まっておるからうまくいくのじゃないだろうか。私ども非常にその活躍に期待をかける次第でございますけれども、しかし、これはなかなかそうはたで見るようにはまいりません。ことに最近のインドとパキスタンとの紛争、この東パキスタンにおける紛争等から見ましても、わずか五カ国の間の話し合いがうまくつかない。こういうところに、現状ではなかなかわれわれの考えと実際との隔離があると、かように解釈せざるを得ない。そこらに、やっぱり何といいましても、国力、国情に応じての自衛力を持つ、そういうことはやむを得ないことじゃないかと、かように私は結論を下して、きわめて最近の事柄でありますだけに、印パのこの衝突については多大の関心を寄せておる次第でございます。

松下正寿民社党

○松下正寿君 まだ私の考えておるところと御答弁とが食い違っておるように思うのであります。私は一般の、国際連合の理事会がどうとか、そういうふうな一般的な議論をしておるわけではなくて、軍縮の話をしておるわけであります。たとえば日本とソ連、中共等が、双方で、具体的に兵力を減らしていくということは、あるいは少なくとも相手に脅威を与えはしないかというような印象のあるものは撤去をしていくということは、私は一般的な、全部自衛権を放棄するとかいうような、そういうふうな飛躍した議論とは違うんじゃないかと、現に米ソのような長い間のむずかしい関係にあった国もSALT条約等で非常な努力をしておることは確かでありますから、私は国益を損するとかあるいは自衛権を侵すとかいうようなことではなくして、これだけの三国ないし四国が、具体的にもっと兵力を引っ込めていくということぐらいは、まあいますぐできないにしても、努力のしがいのあるものではないかと思うわけであります。そういう点について再び総理の御意見を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の答えたのは、ただいまのようなお尋ねを前提としながら、こういうような問題にも話ができない程度だと、したがって、ただいまのような軍縮、そういう会議はなかなかむずかしいことではないか、かように思います。ただいま沖繩が祖国に復帰しようとしている。私どもは核のないことについて非常に強い要望、またこれは日本国民の願望だと言ってもいい。そういう問題を提案しております。しかし、この問題自身がなかなか証明ができないと、こういわれるが、いまの五大国、これがとにかくみんな核を持っておる。この辺で核を撤去するといえばこれはもうたいへんなすばらしいできごとだと、かように思いますが、いまの状態ではなかなかそこには話し合いはつきかねるのじゃないか。米ソのSALTの話し合い、この結論が簡単には出てこないと、かように私は思っておるから以上のような点に触れたわけであります。

松下正寿民社党

○松下正寿君 さすがに総理大臣、非常に慎重でありますから、なかなか私の一番触れたい点にはお答えにならぬようであります。この程度で総理に対する第一の問題は、やむを得ませんから切り上げたいと思いますが、ただ、それが何らかの発展ができませんというと基地問題の解決ということは、これは非常に私は困難であるという感想だけを述べてこの第一点だけを終わりたいと思います。  第二点は、返還協定第四条の第一項に関係しておりまして、日本は請求権を放棄しておる。これがいろいろ問題があるわけでありますが、第一に、第四条第一項ですが、「日本国は」云々と書いてありまして、最後に「現地当局に対する日本国及びその国民のすべての請求権を放棄する」、この点で先刻から若干の質疑応答があって多少の答弁はあったようでございますが、もう一ぺんこの点をはっきりと、これは法務大臣あるいは外務大臣、あるいは法制局長官でもけっこうでありますからはっきりとわかるように御説明願いたいのでありますが、第一点は、「日本国及びその国民のすべての請求権」、日本国の請求権はこれは国家ですから当然できると思いますが、国民の請求権を放棄することができるかどうかであります。私は、違っておったらひとつ御訂正を願いたいのでありますが、その意味は、日本国は日本国民の請求権を支持する権利、つまり外交保護権というものを放棄した。したがって、国民の請求権はどういうふうな形で出るかは別としておいて、外交権の放棄だけであって、国民の請求権そのものはこれを放棄できないのじゃないか、こういう見解を持っておるわけでございます。これについての関係当局の御説明をまず第一番にお願いいたしておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。ですから、この第四条第一項に申し上げておりますのは、これは外交権の放棄である、こういうことであります。ただ、実体といたしましては私権は残る。残りますけれども、これはアメリカへ行ってアメリカの裁判所に提訴をすると、しかし、日本政府はそのあと押しをいたしませんと、こういうことになるわけでありまするから、実際上はこの権利は眠ってしまったと、こういうふうに解釈していいと思います。

松下正寿民社党

○松下正寿君 私は、必ずしもそうも思わないのですけれどもね。外交保護権を放棄しましても、その他の方法、つまり、いまおっしゃったとおりに、アメリカの裁判所へ訴訟を提出するというような形でもって救済手段が残されておる。それが全然有名無実なものであるという点は、私は同意しかねるわけでございますが、その点、もう一ぺん、私の考え、間違っておりましょうか。

井川克一外務省条約局長

○政府委員(井川克一君) 私も、ただいま外務大臣がお答えになったとおりだと思います。国民の請求権は——国際法上国民というものは、個人は請求権の国際法上の主体ではございませんから、どういたしましても相手国の国内法令に基づく請求権になるわけでございます。それを否認されてもかまわないということになるわけでございますので、否認されてもかまわない——これはあらゆる平和条約についても同様でございまするけれども、外務大臣、おっしゃいましたように、実態的に申しますと、そのような請求権の放棄を受けた国のほうは、この請求権を否認するということが実態であるということを外務大臣申されたと思いますけれども、私もそのとおりだと思うわけでございます。

松下正寿民社党

○松下正寿君 その点で政府の御見解は、私は不同意でありますけれども、明らかになりました。  第二項では、米国の国内法または現地法令で特に認められた請求権は除く。これは当然の権利になるわけでありますから除くのがあたりまえでありますが、その他の対米補償は、まあ法律で認められてないものはやむを得ない、こういうお考えのようであります。これは、ただ純粋に法律的に考えるとそういう解釈もなり得ると思いますが、ただ、実際問題として法的根拠があるないにかかわらず損害を受けたという事実そのものは依然として残っておるわけであります。その例としまして、所有権の大部分が軍用地に取られたために残地の利用価値がなくなったといったような問題とか、水源地を接収されたためにその田に水を引くことができなくなったという問題、そういったようなことがたくさんあるわけであります。これについて損失補償の問題を法的にだけでなくて、もっと実質的に考えて、戦後四分の一世紀の間、外国の支配下に置かれたというこの事実をよく配慮されて、政治的にどういうように解決されるお考えであるか、この点については衆議院でも若干の御答弁があったようであります。次の国会までにいろいろ準備をするというような御答弁もあったようでありますが、重ねてこの点についての関係御当局のお考えを伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 協定によりまして請求権、いわゆる請求権につきましては、アメリカの法令に基づくもの、また沖繩の布令に基づくもの、そういう法令上の根拠のあるものにつきましては、アメリカ政府がこれの補償に任ずる、こういうことにいたしたわけであります。しかし、さらにそういう法令上の根拠はございませんけれども、あるいは軍用地の復元補償の問題でありますとか、あるいは那覇軍港の海没地の補償でありますとか、そういうものはこれはアメリカにおいて支払いをいたす、こういうふうに協定ではきめております。しかし、とにかく二十六年間米軍があそこを占拠しておった、こういうことが実態であります。でありますので、あるいは米軍により、あるいは米国の軍人軍属によっていろんな問題があった、こういうふうに思います。それに基づくところの請求問題ですね、これはもう数え切れぬほどそういう問題があるのじゃあるまいか。しかも、返還協定を締結するその時点におきましては、そういう請求、これは個々の人にまつわる問題でありまするから、これはなかなか実態は把握できません。そこで、ただいま申し上げたような措置をとったんでありまするけれども、アメリカが補償をする。賠償をする。あるいは支払いをすると。それ以外のものにつきましては、その実態を日本政府において十分に調査いたしまして、もし対策をとる必要があると、こういうふうに考えられるものにつきましては、日本政府自体がその対策の責めに任ずると、こういうふうにいたしたいと思うんです。そこで、これから調査を始める。で、調査が終わったということになりますれば、あるいは予算上の措置で片づくものもあるかもしれない。あるいは法律的な措置を要するものもあるかもしれない。いずれにいたしましても、適正な措置を講ずるという基本的な方針でございます。

松下正寿民社党

○松下正寿君 時間が、あとあまり残っておりませんからその次の問題に移りたいと思いますが、私のこの質問要旨の第三点でございます。協定の第七条に基づく米国政府の日本政府への移管について、日本政府が一億七千五百万ドルを支払う、その根拠は何かと、手っとり早くいえば、そういう質問でございます。要するに、第七条に基づく対米支払いの三億二千万ドル、そのうち、米国資産の日本政府への移転に伴う支払い額は、いろいろ政府の御答弁等をなにしますというと、一億七千五百万ドルということになっておるわけであります。まあ、その内訳等もすでに明らかになっておりますが。で、この資産を有価で、つまり金を払って引き継ぐ理由として、政府は、これらは、この資産は沖繩県民にとって有用なものであるから、ただで置いていってもらうのはちょっと無理だろうと、だから、買い取りじゃなくて財産の引き継ぎをするのだと。そして、その財産の評価額が一億七千五百万ドルだと。私の読み違い、聞き違いかもわかりませんが、私はまあ、そういうように理解したわけでありますが、ちょっと私によくわからぬのは、この買い取りでないが、やはり金は払う——この前、参議院の本会議でも福田外務大臣は、これは買い取りじゃないとはっきりおっしゃったように私記憶しておりますが、どうもわれわれの常識で考えますというと、この財産がどのくらいあるかということを評価して、その財産がかりにまあ一億七千五百万ドルですか、そうであって、その金を払えば、これは買い取りじゃないかと思うのであります。そこに、この買い取りでないとおっしゃるのはどういうわけか、その性格といいましょうか、この金を払う根拠というものを、もうちょっと私ら一般の国民にわかるようにひとつ御説明願いたいのでございますが。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 協定第七条では、「日本国政府は、合衆国の資産が前条の規定に従って日本国政府に移転されること」、それからさらに、「アメリカ合衆国政府が琉球諸島及び大東諸島の日本国への返還を千九百六十九年十一月二十一日の共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること」、それから「アメリカ合衆国政府が復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮し」と、こういうことでありまして、日本政府は三億二千万ドルの支払いをいたします。支払いの内容はこれは日本国が引き継ぐ財産ばかりじゃないのです。雇用政策上の問題も入っておる。あるいは核政策上の問題も入っておる。いろいろな問題がありますので、私ども日米間におきましては、これらの諸問題を考慮いたしまして三億二千万ドルを支払いますと、いういうふうにいまいたしたわけです。しかしながら、それじゃ三億二千万ドルというのは一体どういう金額かというと、一応のめどを示しますと、そのうち一億七千五百万ドルはアメリカから引き継ぎます三公社の財産などです。これが合計すると一億七千八百万ドルぐらいになるのです。それを、一応腰だめとして一億七千五百万ドル程度と、こういうふうに見る。それから雇用政策というか、軍労務者、これがアメリカの退職金制度でいきますと低くなるのでありまするが、それを内地並みにいたしたいというために七千五百万ドルを要すると、そこで合計二億五千万ドルになります。ところが、アメリカは、この折衝の過程におきまして、これから、逐次米軍が沖繩から引き揚げていく。その引き揚げていく財産は、一切無償で置いていくわけであります。同時に、大統領・総理大臣の共同声明の核抜きということも完全にやっていきたいと、それにもずいぶん金がかかる。そして、二億五千万ドルのほかにかなり多額の要請をしてきたわけでありますが、まあ、核の問題などを考慮いたしまして、それを七千万ドルと値切りましてこれを積み上げると、こういうことにいたし、三億二千万ドルになったわけでありますから、これは、三億二千万ドル払いました、資産を買い取りますと、こういう性格じゃないのでありまして、いろいろな要因がある、それに対しまして三億二千万ドルの支払いを行ないますと、こういうことであります。

松下正寿民社党

○松下正寿君 何だか、やっぱりわかったようで結局わからぬ点がずいぶんあるわけです。全体のことは別としておいて、この一億七千五百万ドル、これはちゃんと評価されておるわけですね。それを、何ですか、——私は自分の専門は法律なものですから、少し、名前をつけてもらわないと気が済まぬほうなんですが——買い取りでなければ、どういう名称でこれは呼んだらいいわけですか。概念ですね、どういうふうなものであるかという、ちょっとそれだけ御答弁願いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 資産継承といったら一番わかりがいいかと思います。

松下正寿民社党

○松下正寿君 まだ、よく十分にわかりませんが、もうちょっと私も考えて……。  もう時間がありませんから、最後に裁判権の問題についてお尋ねいたします。  裁判権の問題については第五条に出ております。この民事の二項ですね。これにもいろいろな議論もあり、反対の方もあるようでありますが、私は、大局的に見て民事のほうは問題がないのじゃないかと。現に、日本の民訴法第二百条にも、外国裁判所の効力というものは、四つの条件を備えておる場合には、その効力を認めることになっておりますから、日本の法体系からいって民事を引き継ぐことには私は問題を持っておりません。ただ、刑事裁判について非常に私がわからないのは、実際上、これで差しつかえがないのかもわかりませんが、やはり条約その他の法体系というものは論理が一貫していませんというと、あまりに便宜主義になり過ぎると、かえって非常な弊害が起きるのじゃないかと思います。つまり、私の申しておりますのは、奄美返還協定では、これと全く違った立場をとって、服役中の者、あるいは係属中の事件をそのまま引き継がないで、日本の刑事裁判の手続に従って、あらためて刑事裁判権を行使するということにその協定の第六条でなっておることは御承知のとおりであります。実際にそのうち八十六人を一たん釈放して、その他はそのうち国外犯に当たる者は五十九名をあらためて起訴したということはこれに事実であるわけであります。どうしてこの奄美返還協定の場合には引き継ぎでなくてやり直し方式をとり、沖繩の場合には引き継ぎ方式をとられたか。まあ実際問題として常識的にもわかるし、また政府筋の御説明で、実際問題としてやり直しは沖繩ではこれはできないし、しいてやればかえって非常な混乱を来たすという、この事情はよくわかるわけであります。しかし、混乱を防ぐには、他にも方法が何かとれないことはないじゃないか。やはり一国の法体系というものはきちっとした論理が通っていなくちゃいかぬのじゃないかと私は思うのであります。つまり、この返還という例はあんまりありませんから、国際法上の先例というものをさがすのはなかなかむずかしいのですが、私は、今回のこの返還というものは、国際法上の領土の割譲に似ているのじゃないかと思うのであります。領土の割譲の場合の学説、先例等に一貫しております考え方は、主権の譲り渡しという考え方ではないのですね。そうじゃなくて、甲国がその主権をいわば放棄すると、何もないところに今度は乙の国がその主権を確立する。そこに入ってくる。引っ込んだから入ってくると、こういうような考え方であって、引き継ぐというようなことは、これは国際法上はそういう考え方を持っていないわけであります。これは領土割譲の場合であって、返還の場合にそのまますぐ適用されるとも言われませんが、しいてアナロジーをさがせば、そういうようなことになると思うのであります、そうしますというと、やはり沖繩返還協定においても、一応、新たに日本の裁判権がそこに確立されるのだという考え方のほうが正しいのじゃないか。そこから生ずるいろいろな混乱を防ぐ等の実際問題の処理は、これは政令その他でもって処分できるのじゃないだろうか。にもかかわらず、そういう措置をとられないで、奄美返還の場合にはやり直し式、沖繩の場合には引き継ぎというふうな、そのたてまえをとられた理由をお伺いしたいわけでございます。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しのとおりに、沖繩の場合と、奄美大島の場合とは非常に違ってやっております。これは先ほどお話しのように、領土の割譲といいますか、そういう場合の例は両方あるようであります。何もこれは便宜主義というわけではありませんが、奄美大島の場合には施政権を譲渡いたしまして二年で復帰したわけであります。沖繩の場合にはもう二十年間、その間に、非常な長い間一応の法秩序ができておるということであります。また、こういう法律を引き継ぐということにいたしませんと、返還時までのいろんな事犯は無法律状態になると、こういうことでもあります。そこで、返還の際に、従来沖繩で行なわれております法律——犯罪につきましては、やはり発生時の法律に従うわけでありまするから、そこで、この法律によりまして、それまでに至る現在の沖繩の刑法、そういうものを日本の法律として認める、こういう行き方をしたわけであります。そうしませんと、ただいまお話しのような、いろんな混乱が起こるということと、また、引き継ぐにいたしましても、政令によってきめるものは引き継がないということで、引き継ぎましたあとで、いろんな刑事訴訟法的な、たとえば再審の規定とか、あるいは恩赦の減刑なり、いろんな規定、それを活用することによって十分救済はできると、こういうふうに考えたわけでありますし、また、憲法から考えましても、憲法九十八条は、ちょうど旧憲法から新憲法に変わります場合に、従来の、現在の憲法の条規に反しないものは引き継いでいいんだというような考え方をとっておるのでありまして、その場合と、ちょうどこの場合がむしろ合致しておる。そういう考え方によって、九十八条に対する違反とか、そういう問題は起こらないと、こういう考え方であります。

松下正寿民社党

○松下正寿君 あと二分ほど、ひとつお負けを願います。  いまの法務大臣の御説明は、やはり便宜主義だろうと思うんですね。便宜主義でないとおっしゃるけれども、やっぱり便宜主義で、便宜主義が私は悪いと言っているわけじゃないですが、やはりこういうような混乱を起こしたほうがいいと私は言っているわけじゃないですから、それは、政令その他のやり方でもって混乱を起こさないほうの方法があったのじゃないかということをお聞きしたわけでありますが、やはり同じようなお答えであったわけであります。  まあ時間がありませんから、私はこの点、これ以上追及いたしませんが、たった一つだけお伺いしておきたいことは——これで私は切り上げますが、たった一つお聞きしておきたいことは、こういう引き継ぎにしますというと、いままでの、よその国の法秩序というものが日本の法秩序、法体系の中に持ち込まれてくるわけであります。こういう場合にはどうなるのでしょうか。復帰前に何かの行為が行なわれて、何かの行為があって、それが犯罪として復帰後に発覚したという場合があると思いますが、そういう場合は、やはりこの第五条第三項にあります「いずれかの裁判所に係属しており又は同日前に手続が開始されていたとしたならば係属していたであろう刑事事件」、これに該当すると思いますが、そういう場合には、これは明らかに旧法のほうですね、旧法のほうが手続だけでなく、実体法が日本の法体系に入ってくるのじゃないか。この点は私は実際上どういうふうになるかということは別としておいて、法秩序という点から見て、はなはだ好ましくないのじゃないかと思いますが、もう一度この点を法務大臣に御答弁願いまして、私の質問を終了いたします。  どうもありがとうございました。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまのお話しの分は、要するに、旧沖繩の法律によって、その裁判なりあるいは捜査が行なわれるわけであります。ただ、それは要するに日本の法律として、もちろん返還後の事犯につきましては、これはもう日本の法律でやるわけであります。それ以前のものはやはり罰するというのでいきませんと、法秩序が乱れる、こういうことになるわけでありますし、それは要するにこの法律で、日本の法律として認めるのだと、こういう体系をとっておるわけであります。でありまするから、また、それが罰せられないのでは法秩序が乱れる。ただ、その中にも、政令できめたものにつきましてはこれを引き継がない、こういう行き方をしておるわけであります。

安井謙自由民主党

○委員長(安井謙君) 以上で松下君の質疑は終了いたしました。  明日は正午前十時から開会いたしますので、よろしくお願いします。  なお、直ちに理事会を開きたいと思いますから、理事の方、御参集願います。  これにて散会いたします。    午後五時二十分散会     —————————————

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