運輸委員会 第3号
- 発言数
- 212 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/10/28
会議録
○委員長(木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 参考人の出席要求についておはかりいたします。 近畿日本鉄道の衝突事故に関する件について、本日の委員会に近畿日本鉄道株式会社副社長大槻丈夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題とし、近畿日本鉄道の衝突事故に関する件について調査を行ないます。 まず、本件について政府から報告を聴取いたします。佐藤運輸政務次官。
○政府委員(佐藤孝行君) 近畿日本鉄道の列車衝突事故概要について、当委員会に御報告申し上げます。 去る十月二十五日十五時五十八分、近畿日本鉄道大阪線東垣内信号所におきまして、上本町発名古屋行特急列車と賢島発難波行特急列車がトンネル内で衝突し、死者二十五名、負傷者二百十八名を生ずる事故が発生いたしました。 ここに、死亡された方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々には一日も早く御回復をお祈りする次第であります。 この事故の原因については、事故直後、名古屋陸運局より局長及び運転保安課長並びに本省より鉄道監督局事故調査官を現地に派遣し、三重県警と協力してその原因の究明に当たっております。なお、私も二十六口午後現地に到着し、本事故の原因究明とあわせて被害者のお見舞いに行ってまいりました。 これらの線区については、ATS及び自動閉塞装置を設け、事故防止につとめているところでありますが、本件事故発生にかんがみ、早急にその原因を究明し、必要な対策を講ずる所存であります。また、今回の死傷者に対しましては、近畿日本鉄道に対し、補償に万全を期するよう指示しております。 以上、御報告申し上げます。
○委員長(木村睦男君) 次に、先ほど決定されました大槻参考人の御出席を願っております。この際、大槻参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多忙中、本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。本日の議事でございますが、まず大槻参考人から御発言を願ったあとで、各委員から質疑がございますので、お答えを願いたいと存じます。 それでは、大槻参考人にお願いいたします。
○森中守義君 委員長ちょっと。 お話を承わる前に、ちょっと私からお尋ねしておきたい。 ただいま委員長から御苦労さまというお話がございました。そういう気持ちに変わりございません。けれども、問題の所在が所在であるだけに、国会にお越しいただくのは副社長じゃなかった、社長です。そこで、社内のいろいろな御事情等もございましょうけれども、こういう重大な事故が発生をして、国会を通じ国民の前に近鉄としてものを言われるのに、社の最高責任者である社長がどうしておいでいただけないのか。それといま一つは、副社長、代表権ありますか。 そのことと、いま理事会で問題になりましたのは、できるだけ早く帰してほしい、こういう御意見でございました。なるほど事故対策の措置等もございましょうけれども、やはり国会は国会で事実の究明をしたい、国会は国会にそういう責任がある。したがって、おおむね五時ごろという御意見は御意見として聞いておきますが、必ずしもそういうことには沿いがたい。それぞれの関係の委員のほうも十二分に真相を究明したいという意見も強いわけですから、そのことをあらかじめ御了承願っておきたいと思います。 ですから、どうして社長が出てこれないのか、その辺の事情からひとつ最初に聞いておきたい。
○委員長(木村睦男君) それじゃ大槻参考人にお願い申し上げますが、いまの森中君に対する答弁と、引き続き参考人としての御発言を願います。
○参考人(大槻丈夫君) 佐伯といたしましては、事故の原因の究明とその対策を早くやりたい、こういうことでございまして、現在、きょうすでに開通したかと思いますが、一時ごろにとりあえずの開通をする見通しになっておりましたので、本日は、現地におもむいておりました重役はじめ担当の者が全部午後帰ってまいりまして、佐伯を中心に今後の対策、処置、そういったことを協議することになっておりまして、どうしても手が放せないということでございます。 私、先ほど話がありましたが、代表権はございます。そして鉄道関係の運営のほうをやっております鉄道総局長というのがおるんでございますが、その上で鉄道関係を私が総括しておると、こういうことになっておりますので、私、鉄道関係の最高責任者として出てきたような次第でございます。 このたびはたいへん大きな事故を起こしまして、多数の死傷者の方々を出しまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。ことにその御遺族の方々、あるいは親戚その他御関係の方々はもちろんのこと、皆さま方にも非常な不安なりあるいは御心配なりおかけいたしまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。 事故の内容その他につきましては一応すでにお耳に入ってることと思われますので、御質問に応じましてお答えさしていただきたいと、かように存ずる次第でございます。 —————————————
○委員長(木村睦男君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、沢田実君が委員を辞任され、その補欠として三木忠雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(木村睦男君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小柳勇君 昨日、本会議でわが党の森中議員が国民にかわって質問いたしました。きょうは副社長がここに参考人として見えておりますので、細部の問題の質問をいたしまして、今後この種の事故が発生いたしませんように対策を立ててもらいたいと思います。 まず御質問に入ります前に、なくなられた方に心から御冥福を祈りますとともに、いま病院で治療しておられる方の早期の回復を祈るものでありますが、きのう、森中君の質問を聞いておりまして一番気にかかりましたのは、今回の事故にあわれました方たちが、病院に入りましても異口同音に、救援対策が非常に遺憾であって、怒りをぶちまけておられる、こういうことであります。この事故発生から救援対策を立てるまでの社がとられました措置について第一に質問いたします。
○参考人(大槻丈夫君) 救援対策と申しますか、現地に行くことのおくれましたこと、一つには山間部で非常に不便なところであったことと、それから道路——百六十五号線という国道があるわけでございますが、それから事故現場まではほとんど自動車の通じない道が、二キロ近くあったと思いますが、あるといったような状態が一つ。それから事故によりまして鉄道電話の線路が切れまして、鉄道電話を使用することがしばらくの間、ある程度の時間不可能であったということで、公衆電話にたよらざるを得なかった、こういうことなんでございますが、最初報告を駅にしてくれましたのは、地元の人と申しますか、その辺で仕事をしてた人だと思いますが、それが駅まで来て、何かあったらしいという御報告がありまして、その次に、垣内の信号所のポイントマンでございますか、それが連絡に参りまして、どうも脱線をしている、中の様子はわからぬけれども脱線をしているという報告を持ってまいりまして、それが全部駅から今度また公衆電話で連絡があったわけです。それで、今度は駅の助役に指示いたしましてその確認をさしたわけでございます。同時に、事故があるということがはっきりいたしましたので、これは名古屋営業局の管内になっておりますが、名古屋のほうからは直ちに中川というところに——これが保線、通信、電力、そういった全部の技術関係の機関のまとまっておるところでございます。——そこに指令いたしまして救援隊を編成して出すということにいたしまして、さらに名張——これが西側でございますが、ここに同じようなそういった技術関係のまとまっておるところがございますので、そこでも準備体制を整えまして待機させたというようなことでやったわけでございます。 それで、さっそく本社におきましては、五時でございましたが、事故対策本部を設置いたしまして、私を本部長とし、鉄道総局長を副本部長としまして、それから現地と本社両方にそれぞれの対策首脳部を置きまして、さっそく名古屋の営業局長の土方取締役を現地の大将として派遣を命じたわけでございます。それが現地に到着しましたのはたしか二十時と聞いておりますが、これは名古屋から行ったのでなくて、たまたまその日、本社に連絡があって、事故の起きた前の列車に乗っておりましたので、途中で連絡を受けて引き返して行ったということで、それで八時に到着できたということなんでございまして、その道路の関係、通信の関係、そういったことから、私たちとしてはできるだけの努力は払ったのでございますが、その程度の時間になったと、こういうことなんでございます。
○小柳勇君 なくなった方の御遺族の気持ち、あるいは現在、病院で加療中の負傷者の気持ちを考えますと、各種事故もそうでありますが、その人の、まず人命の救助なり、その処置が一番最初になされなければならぬと思いますが、したがって、現状をお伺いいたします。なくなった遺族に対して会社がどういう措置を現在までとっておられるか、それから病院で治療中の負傷者に対してどのような措置をなすっておられるか、現状についてお尋ねいたします。
○参考人(大槻丈夫君) 先ほど運輸省の佐藤政務次官からお話がありましたが、二十八日に確定いたしましたところを申し上げますと、合計——合計と申しますか、死者の方が二十五名、そのうち二十一名の方は、現場と申しますか、列車の中でなくなっておられた、四名の方が病院に入ってからおなくなりになられた、こういうことでございます。 それから負傷者のほうでは、重傷——重傷と申しますのは、私たちのほう、大体、鉄道では二十一日以上の治療を要する方を——三週間以上の治療を要する方を重傷と申しておりますが、重傷の方が二十二名、それから軽傷の方が百九十六名、合計二百十八名。それで二百十八の二十五で二百四十三名の方が遭難されたわけでございます。現在入院されております方は五十三名ということでございます。お手当てその他したのも含めまして、病院はその付近の十一の病院におかかりになった次第でございます。 それで、先ほど申しましたように、現地に土方がおもむきましたのは八時ごろでございますが、その後、本社からさらに鉄道総局長水原常務取締役、それから石井取締役、橋本取締役、柳瀬常務取締役、この四人を中心に派遣いたしまして、柳瀬君というのは技術関係のあれでございますので、それは土方を助けて一緒に現地の指揮に当たるということにいたしました。さらに追っかけて社長、それから副社長はまだあと二人おりまして、二人の副社長等を中心にお見舞いの班をつくりまして、たしか午前三時ごろだったと思いますが、社長以下、現地の各御遺体の置いてあるところに参りましてお悔やみ御弔問申し上げ、それから副社長以下で各病院を回りましてお見舞いを申し上げたというような形でございます。それから、その次の日の二十六日——それが大体夜中から昼ぐらいまでかかっておりますが、そのあと今度は、なくなられた方の御霊前に三十万円をお供えさせていただきました。それから負傷で入院しておられます方には三万円とお見舞いのくだものを持って参上いたしたような次第でございます。 その後、昨日になりまして——昨日になりましてと申しますか、御遺体の方がだんだんお身元なりが判明いたしまして、昨日では全部、最後に一人ちょっと身元のわかるのがおくれた方があったのでございますが、それもわかりましたので全員身元ははっきりいたしたわけでございますが、昨日、そこで密葬してお骨にして帰宅したいという方が四名おられまして、その合同慰霊祭を現地でやりましてお引き取りいただいたような次第でございますが、最後の一人の御遺体の方は、まだそのときに御家族が来ておられませんので、もうお引き取りいただいているかと思いますが、そういうような状況でございます。それから、なくなられた方につきましては、私たちのほうからお一人について二人の人をつけまして、一人は部長級——私のほうで部長と申しますと、大体四十五歳から五十歳ぐらいなところで、相当人生経験も積んだ男でございますが、それに社員を一人おつけいたしまして、初めからお付き添いする。それからお宅のほうにお帰りになる場合にはお供して帰り、お通夜のこと、お葬式のこと、全部その二人が常時お付き添いしてお手伝い申し上げる、こういうようなぐあいに措置をとっております。今後も、御遺族の方からの御連絡等はその二人が窓口として必ず承っていく、こういうぐあいにやっておるような次第でございます。 それから病院にまだおられる方々につきましては、その病院に入院しておられる方の人数に応じまして、その病院に何人かの社員をつけまして御不自由のないようにいろいろの御連絡なり御用命なりを承るということにいたしております。
○小柳勇君 これからの死亡者に対する遺族見舞い金なり、将来の救援措置について、補償措置についてお伺いいたしますが、きのう本会議で運輸大臣も、会社に万全の対策をとらせます、そういう指導をいたしますと言明いたしておりますので、会社として遺族の方に対し、あるいは傷害者に対して補償措置としてどうお考えになっておりますか。
○参考人(大槻丈夫君) 補償の問題につきましては、運輸大臣がそういうような御意思を持っておられる、お考えがあることは、私たちはよく承りましてございますし、私のほうの佐伯といたしましても、御遺族の方が、あるいは御負傷になった方が十分お気の済むような措置をとっていきたい、具体的な問題といたしましては、いろいろの最近の事例等もございますし、そういったことを十分参酌いたしまして、いま申し上げましたように、お気の済むような十分の対策をとっていきたい、かように考えておる次第でございます。
○小柳勇君 次は、近畿日本鉄道株式会社の企業内容でありますが、鉄道営業の収益が、全体の企業の中の収益に対して何割くらいを持っておるのでございますか。
○参考人(大槻丈夫君) 収入の比率は、四十六年上期でございますが、約三百十億が総収入でございまして、そのうちの、いまおっしゃった内訳を申しますと、鉄道関係が六四・四%、それから自動車関係が——バスでございますね、乗り合いバス、観光バスを合わせまして五・二%、直接の運輸関係で約七〇%でございます。
○小柳勇君 上半期の利益はどのくらい出たのでございますか。
○参考人(大槻丈夫君) ちょっといま実績は、私どもこの関係の鉄道事業の比率だけは調べてきたのでございますが、総括の書類を持ってきておりませんので、ちょっと正確には申しかねます。
○小柳勇君 私のいま入手しております資料によりますと、上半期の利益三十二億ということであります。なお、鉄道営業の利益が二十五億六千三百五十五万五千九百九十二円と出ておりますが、大体こういうところでよろしゅうございますか。
○政府委員(山口真弘君) ことしの三月期の決算でございますが、三月期の決算によりますと、鉄道業の営業利益が二十五億六千三百万円、それから全業の営業利益が六十六億でございまして、その他営業外収支がございます、その営業外収支を差し引きまして、経常利益といたしまして三十三億八千八百万円、その他特別損益を差し引きまして三十二億六千一百万円の利益、こういうことでございます。
○小柳勇君 国鉄や他の私鉄に比べまして、上半期の決算でも利益を出しておりますが、単線でこれだけ特急を走らせてもうけておるという鉄道は少ないのでありますが、まあ世間の批評にもありますように、これだけもうかって、特急でどんどん観光旅客を送っておる鉄道をなぜ単線にしておくか。単線で特急を走らせてこれだけの過密輸送をやっておれば事故が起こらないのがふしぎだというような一般の批判が出ておりますが、単線を複線計画にするということについては、社でおきめになっておりますか。
○参考人(大槻丈夫君) この区間は、大阪側の上津というところから三重県の先ほど申しました中川まで、大体トンネル区間の多い、両方に多少さがってくる形になっておりますけれども、区間が約二十八キロでありまして、それを漸次複線化を進めてまいりまして、現在残っているのが約十五キロ、十五キロちょっとこします。そういうような状態になっておりまして、私たち、単線でそして過密——単線だから過密あるいは現在のダイヤが過密であるとは実は考えておらぬのでございます。この区間で、一時間最高、列車を入れていますのが八往復でございます。単線でも、ことに自動化しているわけでございますし、保安装置も十分につけてありますので、それで八往復ぐらいが過密であるとは実は思っておらぬような次第でございます。ただ、私たち考えておりますのは、線路容量と輸送力とマッチすればいいんであって、輸送要請がそれほどないところをどんどん複線にしていくという必要もないんじゃないかというふうに思っておるわけなんでございますが、ただ来年度以降の計画といたしまして、四十八年に伊勢の御遷宮がございますし、引き続いて三重県の国体等もあるので、輸送需要が相当ふえてくるだろうということを想定いたしまして、すでに持っておりました計画、いま持っております計画としては、今年度からいろいろ技術的な調査等をいたしまして、来年以降で、大体来年から再来年の秋ぐらいにかけて三キロ余りの区間は複線化を進めていきたいと、こういうぐあいに考えておったわけでございます。繰り返すようでございますが、輸送要請に見合った輸送力、無理のない輸送力が設定されておればそれでいいんであって、単線であるから危険であるということは私たち考えておらぬわけなんでございます。
○小柳勇君 もう一回、くどいようでありますが、代表的な一つの新聞の論説を一節だけ読んでみますが、「しかも事故を起した単線区間には五つのトンネルがあるという。単線、トンネル、それに特急とそろえば、いままで事故がなかったのが、不思議なくらいである。」、これは論説の一節ですけれども、これは各新聞ともそういう論調であります。私も先般、一カ月ばかり前に乗ったのでありますが、あの辺の情勢も若干わかるような気もいたしますけれども、いま副社長は、輸送状況から考えて、お客の数から考えて、ダイヤが過密だから、単線であったから事故が起こったようなことに考えておられないようです。まだこれから調査という段階のようで、複線計画もないようであります。で、このような世論に対してどうお考えになっておりますか。
○参考人(大槻丈夫君) 計画と申しますと、いま先ほど申しました、三キロ余りのと申しましたのは、これはこの事故が起きてからの計画ではありませんので、来年度から工事に取りかかりたいということで、その下準備をいましているということで申し上げておるわけでございます。世論と仰せられましても、小柳先生なんか国鉄におられたと承っておるので、そういった事情はよく御存じじゃないかと思うのでございますが、この間、読売新聞のコラム欄にも書いてあって私、非常にふしぎに思ったのでございますが、タブレット方式が単線区間では一番安全なんだ、それを人手を減らすために自動化してやっているのだ、こういうような記事がございました。私、新聞社の人が十分にそういった鉄道輸送というものについての安全性なり何なりに認識を持ってお書きになっておるのかどうか、そういった点、私は疑問を持つ点が多いのでございまして、私たちのように輸送のほうを専門にしておる者から考えますと、国鉄なりほかの例から見ましても、単線区間で特急列車を動かしているところはたくさんあるというふうに思っておるわけでございます。
○小柳勇君 運輸省側にも聞きたいのですけれども、あと、たくさん委員がおられるし、時間がありませんから、運輸省は次官や局長にあとで聞きます。参考人からまず意見を聞いてまいります。 私はわかりますけれども、各紙ともそのような論調です。これに対して会社としてはどうお考えになっておるかということは当然聞いておかなければなりませんし、いま当面はこの区間の複線計画はないと、このように確認していいですね。
○参考人(大槻丈夫君) いいえ、いま申しましたように三キロ余りの工事は、これはやります。それからあとの問題につきましては運輸省御当局の御指導等も得まして検討いたしたいと考えます。
○小柳勇君 それでは次に、事故の原因について今日まで御調査になっておるようであります。また、運転士もまだ病院におりまして調査もできないようでありますが、今日まで判明いたしました原因を副社長及び警察庁からお聞きをいたします。
○参考人(大槻丈夫君) 原因につきましては、これはいろいろあるんじゃなかろうかと思うわけでございますが、そのうちの一つ、これが確実であろうと思われまする原因の一つといたしまして、やはりブレーキ関係の問題があったと、かように思っております。と申しますのは、車両を、昨日も五時まで現場検証がございまして、五時以後私たちが入って調査することを許されたわけなんでございますが、そのときに全車両の空気制動器のコックが締めてあったという事実が判明いたしました。それといま一つ、下りの一一四列車——大阪から行ったはずの列車でございますが、この車掌から聞いた話でございますが、東青山の駅に着く前に場内信号——場所がはっきりしないのですが、場内信号のすぐ下なのか、もう少しトンネルの奥なのか、そこのところははっきりいたしませんが、列車が停止した、そして運転士からちょっと来いという話があったので車掌は行った。そしたら運転士がいろいろ機器を操作しながら、列車は動かないのだ、ブレーキがかかっておるようだ、一ぺん見てくると言って下へおりて、ずっと車の下を点検した。車掌はもちろん車の中におりますから、どういう点検をされたかは全然承知しておらぬわけなんでありますけれども、そういったような事実があったということと、それから東垣内のポイントのところの転轍手といいますか、職員が、いつもよりも非常に速いスピードでぶっ飛ばしていった、そしてポイントのところで脱線した、脱線したというか、脱線ポイントを乗り越えてしまったという、こういうふうな話をしておりますので、あわせ考えまして、やはり空気制動器の関係に非常に大きな理由が含まれておるんじゃないかというふうに考えておるわけなんでございます。そのほかにもいろいろとまた今後の調査の結果出てくるというふうに考えるのでございますし、また運輸省の担当官も先ほどのお話のように初めから行って検査しておられるようでございますから、いずれはそういったところからオーソライズされた結論が出されるのではないかと思います。私たちは、いまの段階ではそういったことでブレーキ関係のミスがあったんじゃなかろうかと推測しておるわけでございます。
○小柳勇君 随行の方で技術の専門家がおられたら説明を求めますから、また運輸省のほうで技術のわかる人があったら説明してください。いま、空気ブレーキのコックが締まっておったとおっしゃった。それでわかったんですけれども、新聞を見ますと、手ブレーキで運転したと書いてあるんです。まあ、普通三十三ミリの下り勾配を手ブレーキでやっていくということ、そのこと自体これはもうたいへんな問題だと思うのです。いま副社長の話では、どうもやはり手ブレーキで行ったのが正しいようですね。そうすると三十三ミリの勾配で、これは自動的に速度がつくのです。そういうことで速度がつきまして、だからもうブレーキがきかなくて行っていると思いますから、随行者の方で専門家がおられたら、もう少し詳しくその点を御説明願います。
○参考人(大槻丈夫君) あの車にはハンドブレーキはついておらぬようでございますし、同時に、その運転士はおっしゃるようにまだ入院中で、私、実態は知りませんけれども、きのうぐらいまでは意識もうろうだったと聞いているわけでございますけれども、そういった状態で車掌はうしろのほうにおるわけでございますから、だれもその点を確認することはできないのじゃないかと思いまして、私たちは前後の事情から具体的にあらわれた事象から推定して、空気ブレーキのコックの締めが原因じゃなかろうかというふうに推定しておるわけでございます。
○小柳勇君 運輸省でその点お調べになっておりますか、御説明願います。
○政府委員(山口真弘君) ブレーキにはいろいろあるわけでございますが、この車両についておりまするブレーキは電磁直通ブレーキと称しますものでございまして、この原理は、直通ブレーキのものといたしまして、その直通ブレーキを電磁的に作用させるというものでございます。そうして、このブレーキが同時に発電ブレーキと抑速ブレーキに組み合わさっておりまして、そういう形で作用をする。そうしてさらにそれにつけ加えまして、自動ブレーキによりまして列車分離等の場合の処置をするというのがこのブレーキでございます。したがいまして、先ほどお話がございましたような手動のブレーキはついていないということでございます。
○小柳勇君 それ以上には何か原因はわかっていますか。前には、ATSをきかないようにしておいて突っ走ったのだというような話がありました。私の推測では、ATSを切っておきまして、あとそのままでいけるわけですから、ブレーキには直接ATSは関係ない。ATSがあたかもブレーキに関係があるようにおっしゃいますが、これは赤信号を越したときに自動的にとまるだけで、運転にはちっとも関係ない。いま言ったように、電磁ブレーキあるいはエアブレーキで運転していると列車のブレーキ等が切断したら自動的にとまるように車は全部つくってあるのです。したがって、いま副社長がおっしゃいましたように、コックを締めたとするならば、おそらくそれはATSの取り扱いを間違って車掌が、これは今度はブレーキ運転しなければならぬということであるいはコックを締めたかもわかりません。そうなりますと、これは教育の不徹底ですね。扱いがわからない。車両の構造がわかっていない。電磁ブレーキの構造がわかっていない。この車両はいつできたのでしょうか。
○参考人(大槻丈夫君) ちょっと担当の技術関係の者に発言させてよろしゅうございますか。
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
○小柳勇君 車両の構造が急にそう変わっているはずがありませんから、私も全部わかっているのですから、構造も運転も十分わかって聞いているわけですから、私はこの事故というものはそう複雑な原因じゃないと思うのです。いま副社長がおっしゃいましたように、ATSがもうきかないような——これはまたあとで質問いたしますが、ATSを切るということは、赤信号を突破して運転するということです。だから、自動信号の赤を越して運転するようにしようと判断をしたわけですね、両方で。だから、ATSを消して、そうして運転をしようとしたら、あやまって——車掌があやまったか、運転士があやまったか、運転士があやまるはずはないと思うのですけれども、大かたブレーキのコックを締めたと思うのですよ。だから、ブレーキがきかないから、もう三十三ミリの勾配に入りましたら自動的にもう八十キロぐらい出ます。もっと出るかもしれない、計算したらすぐわかりますけれども。だから、ポイントに行きましたら、そのポイントをもう——そうして安全側線に入っておりましても、惰力がつきますからそのまま行ってしまうわけです。まっすぐ行ってしまう。だから、原因は非常に単純だと思うのですね。そこのところは、また運転士が元気になられてから聞いてください。 そこで、原因については、もう少しわかっておればひとつ運輸省からこの際、速記がありますから、説明してください。原因調査の今日までの段階を説明してください。
○政府委員(山口真弘君) 原因につきましてはただいま調査中でございますし、特にまだ、一番の責任者でございまする運転士が入院中でございまして、その供述等もまだ聞くわけにいきませんのでよくわかりません。ただ、先ほど近鉄の副社長から話がございましたように、ブレーキが故障をしたか、あるいは何らかの形で作用をしなかったのも一つの原因であろうかということだけはわかっております。
○小柳勇君 それでは、赤信号であったにもかかわらず車を動かしたのは、だれが一体指示したのでしょうか。そこを調べてありますか。
○参考人(大槻丈夫君) そこは運転士以外にはわからぬということでもないのでございまして、車掌の話では、車掌が運転台に呼ばれて、それからそのときに信号は、はっきり自分も信号を見ようと思って確認したわけではないのだが、帰りかけてひょっと青だったという印象を持っている、あまり正確な言い方ではないのでございますけれども、青だったという印象を受けていると、こういうことを言っているのでございます。そうしますと、そのとまりましたのが、ATSにかかってとまったのか、御承知のように、ATSは安全サイドに働きますから、青でもとまる場合がございますから、ATSの何かの事情によってとまったのか、あるいはそれより手前で何かブレーキ故障で、ブレーキ故障というか、ブレーキが締まってとまったのか、そこのところ、私たちは明確にわからないのでございます、いまの段階では。
○小柳勇君 運輸省のほうで、なぜ駅の助役が運転席に乗ったか、お調べになりましたか。
○政府委員(山口真弘君) その車両に乗りました助役さんは死亡されておりまして、まだ運転士の供述もとれませんので、その理由はまだつまびらかにしておりません。
○小柳勇君 自動信号が不良になって、助役が指導者として乗ったと私は判断しているわけですけれども、助役さんも死んでおりますからわかりません。運転士さんが元気になればその点わかると思いますから、その点はまた質問を先に延ばしましょう。 そこで、教育訓練は、会社ではどのようにやっておられますか。
○参考人(大槻丈夫君) 運転士についてでよろしゅうございますね。
○小柳勇君 ええ。
○参考人(大槻丈夫君) 車掌の経験を二年以上持って、しかも二十歳をこえた者、その中から、募集じゃありませんが、その経歴を持ったあれによりまして、一年に一回選考試験をやりまして、そうしてその及第した人を、四百二十時間と申しますから、約二カ月になりますでしょうか、教習いたしまして、さらにその後において、その教習を済ましてからもう一回試験をいたしまして、それで採用者を決定して運転士の本務とすると。それから二カ月間ばかり——そこのところははっきりいたしませんが、それから見習いとしての期間を置きまして、それから本務に登用していく、こういうような順序になっております。本務になりましてから後は、大体平均いたしまして一カ月に一回は、研修会議と申しますか、研修をさすということにしております。年に一回は、御承知のような、相当むづかしい運転競技をいたしまして教育訓練をする、こういうような方法をとっております。
○小柳勇君 教育については、たとえば学校なり、特別にそういう機関があるのかどうか。それから教育訓練に対して会社としてはどのように力を入れておられるか。たとえば、予算をどのくらい使っておるとか、いろいろありましょう。どういうふうな方針でありますか。
○参考人(大槻丈夫君) これは列車の運行上一番重要な仕事を預かっておるものでございますから、それを教育訓練するためには教習所を持っておりますし、それから、その後におきましては、各列車区におきまして、区長以下指導員その他で常時訓練指導をしておる。安全教育の徹底ということは、これは私のほうの社としても第一に考えておることでございまして、決して私たち、いままで、そういった教育の点におきまして抜かっておったということは考えておらぬわけでございます。こういう場合にそう申してはどうかと思われますけれども、実は、ほかのところからも、私たちの運転士の態度、たとえば喚呼応答をしておるようなときでも、喚呼応答をよくやっておるといったような、また信号の指示、指さし示す指示の問題だとか、非常によくやっているというおほめのことばをいただくことが多々あるのでございますけれども、そういう話をいましたら非常におこがましいと申しますか、お怒りになるかもしれませんが、そういった点で、決してよそに見劣りするような運転士ではないし、それから教育その他について熱がないというようなことは絶対にないと私のほうは確信しているわけでございます。
○小柳勇君 運転士の待遇あるいは福利厚生施設などは、おたくのほうの会社としてどのような処遇を与えておりますか。
○参考人(大槻丈夫君) 待遇と申しますか、初任給とかベースということになりますでしょうか。——ちょっといま、初任給はどうかといったようなところはわかりかねるのでございますけれども、運転士で成績優秀なのは助役に上がっていくといったような形のあれにしておりまするし、それから厚生施設等につきましては、主として列車区における休養の設備等だと思いますが、全部には入っておりませんけれども、漸次クーラーを入れたりしまして、ことに、夏の夜の休養が十分にとれるようにということを組合とも話し合いまして、漸次進めておるような状況でございます。
○小柳勇君 いま、全般的にこれは教育訓練の問題だと申しましたですが、たとえば車掌をやっておりましても、車両の構造などについては、経験ではわかりますけれども、理論的にはなかなかたいへんな問題があります。したがって、二カ月間の訓練でもちろん十分ではないと思います。この事故にかんがみまして、どう会社としては措置をされるか。 それから、これは単に運転士さんだけの問題ではないと思います。やっぱり駅と駅間の連絡の問題もあったんじゃないかと思います。相手の駅が列車を出さなければ衝突するはずはないと思いますから。自動信号になりますと、えてして、そういうふうな——たとえばタブレット方式では、両方から電話をいたしましてタブレットを器械から出さなければ列車は出しませんけれども、自動信号でありますと、何らかの故障で、あるいは災害で、自動的に電気が流れることもありましょうから、そういう問題があります。したがって、職員、たとえば運転助役同士の連絡の問題、あるいは機械に対する習熟度合い、やっぱりそういうものの欠陥が幾つか重なったものと思います。一つであれば防げるはずですね。それが幾つか重なってこういう事故が起こったのでありますが、そういう教育訓練などについて、今後、会社として、この事故を契機にして、何か、特にこうしたいという御意向ございますか。
○参考人(大槻丈夫君) 教育訓練の問題につきましては、さらに一そう徹底をはかるという方向で、運転取扱規程の問題でありますとか、その他全部もう一回洗い直しまして、十分の徹底を期したいと、かように考えておりますが、さしあたりの問題といたしまして、いま言われましたように、頭ではわかっておっても、現実に何かそういう異状が起きた場合、そのときにすぐに対応できるかどうかといった問題、そのときの精神の動揺もありますでしょうし、そういった場合を考えまして、異常時に対する処置がすぐ反射的にでもできるぐらいに、実地訓練を中心として指導していきたい、これはもうすぐにでも取りかかってやるというような気持ちでおります。
○小柳勇君 時間がありませんから、最後に運輸省に。 たとえば自動車、バスなどは、監督が具体的になされております。自動車は、自家用車も、二年間たちますと車検というのがございますね。運転手だって、免状の切りかえがございますね。ところが、いわゆる鉄道、レールのほうは会社まかせです。それは国鉄がそうでありますから、おそらく国鉄に準じて私鉄もそうしておると思うのですけれども、レールに対する監督官庁として、このままでよいのかどうか。まあ大臣も局長も、えらい、私の責任でありますと言って国民の前に謝罪をされました。これはもちろん行政官庁としての責任はありましょうけれども、具体的には何も見ていないわけですね。車両の検査もしない。運転士の試験もしない。まかせっきりでしょう。そういうものについて大臣からの具体的な答弁がきのうありませんでしたが、運輸省でお考えになったことございますか。
○政府委員(山口真弘君) 従業員の教育訓練につきまして、ただいま先生御指摘のように、鉄道の場合には、直接には鉄道事業者の主体性によってやっていくというようなたてまえでございますが、しかしながら運転士の養成につきまして、これは志望者の中から厳選をさしたところの者の中から運輸大臣が指定いたしました養成所に入所させまして、そして運転者としての必要な知識技能を得させるということにいたしておりまして、そして、かつ、数カ月間の見習い期間をおいて登用するということになっておりますが、基本的には、さらに国家試験をいたしております。動力車操縦者の国家試験ということをいたしておりまして、それによった合格者を運転者に採用するということにいたしております。さらに、その後の教育訓練でございますが、これにつきましても基本的には各事業者にまかしてやっているわけでございますが、そのやり方につきましては当局側から通達をいたしまして、その教育訓練のやり方といたしまして、たとえば心理方面の適性検査あるいは身体方面におけるところの適性検査をさせるとか、あるいは業務上必要な知識技能の教習を定期的に実施をさせるというようなことで乗務員の資質の向上をはかっておるということでございます。
○小柳勇君 もう最後でございますが、副社長に私の要望だけ、お願いだけ申しておきます。一つは、会社ももうけておるようでありますから、運転士なり車掌さんなりひとつ生活環境をよくして待遇をよくして、十分休養ができて勉強ができるようにしてもらって、事故が再び起こりませんように格段の御配慮を願いたいと思います。大槻さんのような専門家がおられるのですから、本気になってやられたら、りっぱな事故のない鉄道ができると思いますし、会社の今後の発展を祈ります。質問を終わります。
○伊部真君 大かた質問が各般にわたって出ましたので、私、要点だけ二、三お聞きしたいと思います。 先ほど参考人のほうで、この事故の原因であるスピードとそれから過密の問題については、単線は必ずしもその原因ではない、こうおっしゃいましたが、スピードが速まり、そしてダイヤが過密化されると、容量が一定のものですから、そこに無理が起きるということは私は当然のことじゃないかと思う。その無理は、結局やはり勾配のほうにも無理があるでしょうし、安全上からいえば、あるいは単線ということから無理が起きるように思えるわけです。今度の事故の直接の原因はブレーキの問題にあるかもわかりませんが、これだけ大きな惨事をもたらしたというのは、明らかに単線によるものです。単線であるから正面衝突が起きた。そう考えると、やはり単線というのはかなり過密の状態においては問題がある。したがって単線トンネルというのは早急に解決をせなければ、真の原因の除去にはならぬのではないかというふうに思うわけですが、その点についてもう一回明らかにしていただきたいと思います。
○参考人(大槻丈夫君) おっしゃるようにスピードをあげ、かつ、列車をたくさん入れれば、容量が従来どおりであれば私おっしゃるとおりだと思います。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、正確に申しますと上津−中川間二十八キロのうち、現在は十五キロが単線で残っておるわけなんでございますが、残りの十三キロでございますか、そのうちの十キロというものは四十一年から四十二年にかけて複線化した区間でございます。それで、非常に工事がむずかしい、あるいは用地の問題がむずかしい、そういったところにつきまして、それが主としてトンネルになるわけなんでございまして、そういった点について、それをはずして輸送需要に応じられるといったところを複線化したということが一つと、それからスピードの関係は、ここ七年間、私たちは全然この線並びに名古屋の方面については手をつけておりません。スピードは七年間変わっておりません。
○伊部真君 いま容量についてお話がありましたが、やはり三十九年の新幹線の開通、あの当時から、やはりお客の争奪面で、料金面とスピードの面というのは私は変わってきたんではなかろうかというふうに思えるので、三十九年当時と、ダイヤについて具体的な変化はありませんか。
○参考人(大槻丈夫君) ありません。
○伊部真君 七年間ダイヤが変わらぬということは、それでは、お客の量がふえた分はどうなっているわけですか。結局車両の連絡のほうでやっているわけですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私さっき変わっておらぬと申しましたが、スピードが変わっておらぬということでございます。ダイヤは、十キロばかり複線化いたしましたので、前は最高七往復だったところを最高八往復にいたしております。それから新幹線との関係でございますけれども、これは御承知のように、「こだま」で見ますと、新幹線では名古屋、大阪間一時間八分でございますか、私のほうは二時間十三分かかるんでございます。だからスピード競争だとかなんとかということは問題になりませんので、お客さんは、だからなぜ新幹線に乗らぬで近鉄に乗る人があるんだというような御疑問もおありかと思いますが、結局、大阪から南のほうの人で、それに乗って出て行ったほうが、新幹線まで行って名古屋に行くのとそう時間も変わらぬし、かつ、電車に乗る、何というか、ターミナルが近いといったような、そういう名古屋、大阪圏は私は観光路線じゃなくて、むしろビジネス客のほうが圧倒的に多いと、直線のお客さんですね、見ているわけでございますけれども、そういったお客さんがお乗りいただいているわけでございまして、スピードだけで見ますと、とてもとてもこれは問題にならぬということで、スピード競争なんかすることは、初めからお手あげだという形なんでございます。
○伊部真君 問題は、その単線なんでございますけれども、単線について、これを年次計画でやっておられるわけですね、複線にしていくということ。今度の事故で、残っている単線について複線にするという計画を検討されておりますかどうか。
○参考人(大槻丈夫君) 再来年伊勢神宮の御遷宮祭等がありまして、それから引き続いて三重県としての行事が予定されたりしておりますので、お客さんがふえることを予想いたしまして、もう一本くらい列車を入れる必要ができてくるんじゃないかということで、来年の初めから工事にかかって、三キロ余りを複線化していこうという計画を持っておりまして、それにつきましては現在準備中でございますが、そのあとの問題につきましては、輸送需要等を見合いまして進めていきたいと思っておりますが、また、その点は運輸御当局側とも十分私たち御相談いたしまして、御指導いただきまして検討いたしたいと、かように考えております。
○伊部真君 先ほども少し小柳さんのほうからありましたけれども、事故が発生をしてから救助作業が始まったという時間について明らかにしていただきたい。
○参考人(大槻丈夫君) 現実に、正確に何時から御遺体なり、けがの人の運び出しが始まったかということをちょっとつまびらかにしてないのでございますけれども……。
○伊部真君 先ほど大体の時間では、四時間ほどかかった、四時間ちょっと以上かかったという事情なんですけれども、これはたいへん大きな問題点だと思うのですけれども、その間にもっと救助が時間的に早ければ助かった人もあるんではないか、命を落とさなくても済んだ人もあったのではないかと思うわけでございます。どうもその点がわれわれのほうでは理解ができないわけですけれども、たとえば車の運行を見ておる信号所で——デッドマンなんかで車両の衝突が起きれば信号所でわかるんじゃないですか。
○参考人(大槻丈夫君) 推定でございますが、衝突と同時に停電が起こっております。その関係で電気関係がどうなりましたか、もし見ておりましても、具体的に何が起こったか——場所はわかります、場所はわかりますが、具体的に何が起こったかということはちょっとわかりかねるんじゃないかと思います。脱線転覆——ちょっと相談してよろしゅうございますか。
○委員長(木村睦男君) ちょっと申し上げますが、大槻参考人の付き添いの方に申し上げますが、メモ等で適宜、参考人のほうに連絡をしていただいてけっこうですから、十分答弁ができるように援助をしてあげてください。前へ出てすわっていてください、発言ができないだけですから。メモでどんどん参考人のほうにお教えいただきたい。
○参考人(大槻丈夫君) そのときに停電しているからわからぬだろうと、こういうことなんでございますが、同時に両方の列車が進行して、ランプがついておりますけれども、これが重なるだけであって事故であるかどうかということはわかりかねるであろうということなんですが、その点は私もちょっと確実に、正確にそのとおりだとは言いにくい面がございますが、……。
○伊部真君 一つ明らかにしてほしいのは、事故がわかったときと、発生したときと、それから救助という、この三つの時間というのは明らかにしていただきたいですね。それでやはり一つの問題点というのは、わかったのはいつなのか。このわかったのは、いま言われたように、これも専門的にはどうかわからぬけれども、ランプが重なって単線のところについておれば、これは何かの事故なんだということはわかるはずですよ。もしも、それから停電だったとしても、これは事故が発生してからの停電ですから、そこの時点までの標識は出ているはずですね。これは私、専門のことはよくわからぬけれども、常識的にあの電照盤のほうに常に電車の走っているランプがついていくわけですから、そこでわかるはずであるのに、それをいつ事故が発見されたか、あるいは隣の発車した駅とこの駅との間にあるわけですから、その間に、この列車は何分後に通過するかということはわかるわけです。これがおくれれば、これがそんなに二十分、三十分おくれれば、やはり何かの予見があって当然連絡をするとか、そういうことが起こるはずなんですけれども……。だから、その事故が探知できたか、承知できたとすると、救援に行ったときというのはわかりませんか。
○参考人(大槻丈夫君) 先ほどちょっと私、言い間違えたように思うのでございますが、最初に事故を私のほうの社員で認知したのは変電所でございます。それが十五時五十八分でございます。そのときに停電したのです。だから停電した時間が十五時五十八分で、それが衝突の時間、こういうぐあいに思っておるわけでございます。列車は定時にそこへいけば、たしか四十二分のはずでございまして、十六分ばかりおくれている、こういうことでございます。青山のほうで列車がおくれたということで、片方の上りのほうの列車はこのときに榊原温泉口で十何分間かとめまして、そうして向こうから出るのを電照盤で見まして、それからちょうど垣内の複線区間で離合ができるというふうに、時間的に榊原温泉口から列車を発車さしておるわけでございます。それで、その点でやはり片方の下りのほうがスピードが上がり過ぎたために、片一方が入っていくまでに向こうが出てきた、こういうことになったのだろうと見ておるわけでございます。
○伊部真君 そうすると、事故が発生したことがわかったというのは、やはり十五時五十八分の停電によってわかったと言われるわけでございますか。
○参考人(大槻丈夫君) ちょっと正確を欠く面がございますが、電照盤のところでそれがわかったか、わからぬかということは、ちょっと申し上げかねるわけでございますが、十五時五十八分は、変電所で停電をしたという時間でございます。それは、その時間の報告を得て、それが衝突の時点と、こう思ったわけでございます。
○伊部真君 これは、変電所の停電したということは、列車事故でなくても停電するわけですしね。それは私、その程度のことは、これはたいへんなことだというふうに変電所では予知できないと思うんですけれども、しかし、少なくとも電照盤というのか、電動盤というのか知りませんが、列車が、ずっと見ている信号所ではこれは重複するわけですから、これは停電して、そこで見ておればそれはわかるんじゃないかと思う。わかったら、わかってからどういうふうに救援体制が組まれたのか。これはやはりたいへん重要なことだと思うんですよ。だから、いつその事故というものがキャッチできて、そして救援作業をいつからやって、どこに隘路があったのか。それは、先ほども言われるように、山道であったから行くのに時間がかかったのか、あるいは事件の発生自体が発見がおくれたのか、その辺はっきりしてもらわないと、これはその間たくさんの人が、命が助かるか助らかぬか、車両の下で呻吟していたわけですからね。この点は、当事者としては明らかにキャッチするのがあたりまえだし、キャッチできないというのはおかしいと思うんで、それを明らかにしていただきたい。
○参考人(大槻丈夫君) 第一報が、一般人によりまして榊原温泉口まで連絡がありましたのは十六時十五分でございます。三時五十八分として、わりあい早く電話で連絡をもらっているわけでございます。それから第二報といたしましては、先ほど申しましたような、ポイントマンが公衆電話で連絡してきております。
○伊部真君 第二報はいつですか。
○参考人(大槻丈夫君) 第二報は、引き続いてということになっております。 それから、本社に連絡がありましたのは、そこから、これ私のほうの連絡ルートとして、列車の問題のときには名古屋営業局の運転司令のほうに入ることになっております。名古屋を通じて本社に連絡がありましたのが、十六時五十分でございます。
○伊部真君 これは、どうしてですか、名古屋のほうに、事件が起きてから一時間もかかっているというようなことは。
○参考人(大槻丈夫君) いや、いや……。
○伊部真君 十五時何分でしょう、事件が起こったのは。
○参考人(大槻丈夫君) 本社のほうに連絡があったのが、十六時五十分でございます。
○伊部真君 どっちにしても、本社のほうはキャッチできたというのは、電話一本でかかるわけですね。
○参考人(大槻丈夫君) ただ、その事故があったらしいということは、先ほど申しましたように十六時十五分と、それはあったらしいですがね。その次のポイントマンと申しますのは、先ほど申しましたように、脱線をしているぞということで、歩いて出てきて、公衆電話で言うてきたわけでございますね。それで、助役が現地に実情を確認に行っております。
○伊部真君 このときに。十六時五十分に本社に受けてからですか。
○参考人(大槻丈夫君) いやいや、本社に受ける前に。本社に受ける前にその報告を受けましてですね、現地に状態を確認に行っております。
○伊部真君 そうすると、これだけの人身事故、いわゆる脱線というだけではなしに、大きな死傷者が出ているという事故だということをキャッチできたのは、いつなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) それが、助役が現地に行きまして往復——先ほどのは電話を途中から使っておりますから、比較的早く通知してくれておりますけれども、これは現地まで歩いて行って、歩いて帰っておりますので、相当の時間をこの間費やしていると思います。それで、大きい事故だということがわかりましたので、それが本社に直接、対策を立てなきゃならぬという段階まで、事情の、事情というか、大きい列車事故であるらしいと、あるということが確認されたのが、十六時五十分でございます。
○伊部真君 事件が発生してから、事故の内容というのが掌握できたのが十六時五十分ごろということになると、一時間かかるわけですね。そこから結局救援作業というものが始まるわけですね。これはどうなんですか。まあこれからでも問題なんですけれども、あの場合に、振り返ってみて、そういう連絡方法しかないわけですかね。これは、最寄りの駅から、もう少し、状況を見て電話をするという時間が、短かくなるのが普通常識的には考えられるのですがね。 それからもう一つ、本社がキャッチをされて、それから救援が四時間も——まあ本社でキャッチされたのは三時間くらい過ぎておるのですが、それだけ時間がかかった大きな理由について明らかにしてもらいたい。
○参考人(大槻丈夫君) 最寄りの駅と言われますが、ここらの、責任者がおるというか、駅長、助役のおりますのは、榊原が一番近いのでございます。それに対しましてですね、いまのこの山道から、これを考えますと、何キロあるですかな、四キロくらいあるのじゃないかと思うのだが、大体四キロと私は聞いておりましたのでございますが、それが国道から一度南に下がって、国道に出て、それからまた北へ、今度は山をずっと上がらなきゃいかぬのです。非常にたいへんなところだものですから、そうして先ほど申しましたように、鉄道関係の電話はない、こういうことで、足で歩くよりしようがないと、こういうところでございますから、どうしてもそれぐらいの時間はかからざるを得なかったと、私のほうでは思っております。
○伊部真君 この事故の原因が、直接原因が運転士もしくは車掌という、とにかく乗員の車両操作に問題があるというふうに言われておるようですけれども、それは運転士か、車掌かということもわからぬわけですね。 それからその前に、先ほどの救助作業のことですけれども、その事故が起きたときに、車掌はどうしていたんですか、車掌は。運転士は、これはけがをしたりあるいは即死の方もあるようですが、車掌はどうしたんですか。
○参考人(大槻丈夫君) 車掌自身の話では、非常にスピードがあがってきて、あぶないという状態を感じたので、お客さんに、後のほうの車に移ってもらいたいというような案内をしたようでございます。 それから追突後は、けがされた人の救出にしばらくあたってから、榊原温泉口駅のほうに連絡をした、こういうことでございます。
○伊部真君 そうしますと、こういう事故のときの措置なんですけれども、その場合、車掌が両方ともおるわけですね、両方、列車の。この場合、車掌ができるだけ早く事故の内容を知らせるというふうなことにはなってないわけですか。
○参考人(大槻丈夫君) そのとおり早く通知、連絡するということになっておりますが、上り列車のほうは運転士、車掌ともなくなっております。その関係で、片方、下りのほうは、運転士は御承知のようにいまなお入院中、それから乗っていた助役は死んでおる、こういった状態でありまして、この下り列車の車掌一人だけが鉄道関係職員としておったわけでございます。それも、その連絡するにしても、やっぱりまあ苦しんでおられた方か何か知らぬけれども、そういうものを見すごしにはできなくて、やっぱり二、三人の人を世話したので手間をとった、こういうような言い方をしておるようでございます。どの程度、そのために時間がとられたかということは、正確にはわかりかねますが。
○伊部真君 これはやはり後日の安全面から見ても大事なことでありますので、事故の発生時間、それから救助作業の開始時間、この点については、後刻でも明らかにしてもらいたいと思うのです。 それから、この事故の原因とその防止策について、その討議は行なわれているかどうか。これは直接原因は何か。その原因が推定され、そしてその問題の、事故の原因と救援体制というような問題についても、いわゆる反省というものが討議をされたかどうか。討議されたら、その内容について明らかにしてもらいたい。
○森中守義君 関連。大槻さん、時間の経過というのがどうもぴんとこないんですよ。それと、対策本部長やっておられるし、本来ならば、逐一そういう事実の経過については、だれよりもあなたが一番詳しく知っておらなければならぬはずだ。ところが伊部質問に対して、ほとんどその内容というのはおわかりになっていない。これでは、いかに国会で原因を究明しようとしても、あまり価値がないと思う。それと、運輸省には事実の経過、すでに報告されているんですか。どういう報告があるんですか。 そこでちょっと私も一、二、この質疑をあるいはお答えを聞きながら釈然としませんのは、事件が発生して約一時間経過後、十六時五十分、名古屋を経由して本社に入った、こう言われる。さっきのお話からいきますと、どなたかが現場に確認に行ったから一時間かかった、こういうお話でしたね。そうですか。私、そういうふうに聞いている。そうなると、少なくとも惨たんたる現状というのは、一時間後の十六時五十分にはわかっていたんじゃないんですか。それはどうなんでしょう。ちょっとそれから答えてもらいたい。
○参考人(大槻丈夫君) 名古屋を通じてということが御理解を妨げたかと思いますけれども、これは、私のほうの業務組織といたしまして、列車事故のありました場合には、駅から、名古屋の営業局の管内になっておるものでございますから、名古屋の運転司令に連絡して、そうして名古屋の運転司令から本社のほうにくる、これがルートになっているものですから、ですから、名古屋にいったために時間がかかったということではありませんで、具体的な情勢を助役が現場まで行って把握してきてから連絡をとったから、その間のおくれがあった、こう申し上げたのでございます。
○森中守義君 そこで、十六時五十分に本社にキャッチされたわけですね。そのときに、あの惨たんたる状態というのは本社でわかったわけですか。ただ事故が起きたという、それだけの報告ですか。それが問題なんですがね。
○参考人(大槻丈夫君) 衝突事故が起こったという報告でございまして、惨たんたる実情というのまでわかっておりません。が、しかし、出ていますのは、外側はもうすでにころんでいるのでございますから、それは惨たんたる実情というのはわかりますけれども、そこまでのことで、現実に、中で正面衝突したらしいというぐらいのことであって、中まで入って確認はしてないようでございます。これはたいへんだということで、すぐ引き返してきたということのように承知しているのでございます。
○森中守義君 そうなると、それは死人が何名、けが人が何名、そこまでの確認はむろんできないでしょう。けれども、ぶつかっておる、横転しておる、そういうことが十六時五十分には、こまかな内容はわかっていないが、報告があった。そこで判断どうしましたか。これはたいへんだ、こう言われるのだけれども、そこでどういう措置をとろうとされたか。私は、たいへん険難な場所で、どこか道を登っていかなくちゃならぬ、こういうお話などがありまして、だから四時間ぐらいかかった、こう言われる。そのときは責任者として、どういう措置をとろうとされたのか。つまり、私がしろうととして判断しましても、名古屋からくる電車、大阪からくる電車、事故区間だけ除いて動いているわけでしょう、ほかが何ともないわけですから。そうじゃないですか。全線とまったのですか。ですから、そこでこれはたいへんだという判断が立ったならば、名古屋でよし、大阪でよし、何でもない区間を走っている電車をとめてでも、緊急に救援の電車を出したらどうだ。そういう措置がとられたかどうなのか。それもなおかつ不可能であるというならば、もっと現場を正確に確認するためにヘリコでも飛ばす、そういうことはできなかったのですか。停電でだめだった。歩いて見に行った。どうもそういうことでは、こういう緊急の場に臨んだ救援の措置としては、だれが考えても納得できませんよ。そうじゃないですか。その辺の事情がわからない。ただもう、三時間も四時間もかかったというのは、非常に険難な場所だから、国道から入り込まなくちゃならぬ、こう言われるけれども、手持ちの電車がちゃんとあるのじゃないですか。取るものも取りあえず、救援の電車を名古屋なりあるいは大阪から出して、現場の近くへ電車を持っていく、こういうことはできないのですか。それもなお物理的に困難だとするならば、大阪にも名古屋にもヘリコプターはありますよ。自衛隊もおりますよ。直ちに現場の確認ぐらい、あるいは見に行った人から、大ごとだという事実の報告があっているわけです。直ちに医者なり何なり派遣するくらいのことは、あってもよかったんじゃないですか。そういう措置がないので、伊部質問というのは、非常に重大だと、こう本人も指摘されておる。どういう措置をとられましたか。わかりません、そういう答弁では。
○参考人(大槻丈夫君) 救援列車を出すということにつきましては、すでにその区間に、どこにどの電車があったという確認はできておりませんけれども、結局、一時間に五本なり六本なりの列車が入るわけでございますから、事故の起きたその手前のところには列車がずっとおるわけでございますね。そうして、それが赤信号によってみなとまっておる、こういう形になるわけでございまして、単線ですから、列車を仕立てて救援列車をそのあと持っていきましても、その先には行けないという点が一つと、それから先ほど申しましたように、停電しましたので、電車は動けなくなっておる、その時間には、ということなんでございますけれども。 それから救援の方法、何を持っていくかというのはやはり、だから現場の判断になりまして、先ほど申しましたように、私たちのほうに連絡のあるおそらく直前になると思いますが、名古屋からさっそく中川という技術関係の各種の機材のそろっておるところへ命令いたしまして、で、大阪方では名張がそういうところでございますから、そこで一応の救援の資材とか、人間とか、何だとかいうものがそろえられるわけでございまして、そこに指令をして急遽現地におもむかせた、こういうことになっておるわけでございます。先ほどの、八時に着いたと申し上げましたのは、現地の大将としての土方取締役が着いたと、こういうことを申し上げたのでございます。
○森中守義君 どうも、話がちょっとやはり感覚的に合わないのです。まあ、ことばじりを取るようで悪いけれども、事実だからそのとおり受けとめますよ。けれども、ぶつかっているらしい、倒れているらしいということになれば、これは直ちに死人か、けが人かということがまずくるのじゃないですか。その措置がとれなかったというのが、これはやはり社会的に糾弾されると、こう言うのですよ。これはいろんな方法があるんじゃないですか。まずやはり、それはなるほど停電で電車が動かないというならば、ヘリでも何でも飛ばすべきですよ。まず医者じゃないですか。看護婦じゃないですか。人命を何をおいてもやはり救援の第一義にすべきですよ。そういうことが全然行なわれていない。少なくともあなたの答弁の限りにおいては、ないのです、それが。それは考えれば手段は幾らでもありますよ。私もあまり列車のことは詳しくわかりませんがね。停電をしておったならしておったように、国鉄などでは、無蓋車の、何かこうモーターで緊急に飛ばす五人か十人乗りのものをよく見かけますね。ああいうのはあるのでしょう。近鉄にもあるのでしょう。
○参考人(大槻丈夫君) あります。
○森中守義君 そういうものでもいいじゃないですか。どういう険難な場所か知りませんけれども、少なくとも一番近いヘリコプターのおりれそうなところへ、それは医者あたりを動員すべきですよ。二十五名の犠牲者あたりは、そういうことではこれは眠れませんよ。第一、十六時五十分に、概括的な情報であったにしても、とられて、そういう人命の救助ということが、どういうことで考えられたのか。その辺のことをちょっと話をしてくださいよ。これは非常に重大な問題です。少なくともお話の限りにおいては、釈然とできない。そのために、落とさなくともいい命が落とされた、こう言われてもしようがないではありませんか。しかも、機材を集めて行った——機材じゃないですよ、こういうときは。まず医者ですよ。看護婦ですよ。その手段と方法をどうしたかという問題ではないですか。しかも私は非常に残念に思いますのは、事故対策本部長と言われるけれども、発生から一時間の経過を詳しくわかっておいでにならぬ。一体運輸省に対する報告は、どういう報告をしているのですか。また鉄監局長、こういうなまぬるい経過で、運輸省は黙っているのですか。いいですか、これで。どういう報告を受けているのですか。まことに重大な問題です。肝心な対策本部長が、発生から一時間後、この間の経緯は十分把握もしないし、理解をしていない。何が救援対策だ。運輸省も責任がありますよ。事実はもっと正確に、はっきり把握すべきである。人命救助に粗漏はなかったか、遺漏はなかったか。運輸省が報告を受けたのはいつですか。どういう指示をしましたか。人命はどうだ、医者はどうした、看護婦をどうしたと言いましたか。両方からもう一回、正確にお答えをいただきましょう。それだけのことでは引き下がれない。非常に大きい問題です。
○参考人(大槻丈夫君) 人命救助の大事なことはよくわかりますが、最初に——最初ではありませんが、現場を確認に行きましたのは駅の助役でございまして、一人だけでございまして、それがやはり帰ってきてから報告をしないと、私たちのほうには大きさの内容ということはわかりかねたような次第でございます。 それから、先ほどちょっと機材ということばを使いましたので何でございましたが、私たちのほうの事故が起きた場合の救援対策のまず第一の出発は、そういった一番近くにある、そういった区が集中しているところがあるわけでございます、そこのポイント、ポイントに。そこが一番人を動員するのにも何にもなれているところでございまして、そこが救援の第一次の派遣部隊になるのが、私たちのほうの組織運用の、何といいますか、慣習というか、例というか、そういうことになっているわけなんでして、それで中川と名張のほうに指令をした、こういうように申し上げたわけでございます。その点は、ちょっと誤解のないようにしていただきたいと思います。 それからレールカーその他というお話がございましたけれども、これは線路の上を走るものでありますから、電車が途中にとまっている限り走れないわけでございます。 それから病院は、さっそく付近の病院に対しては、お医者さんをどこまで動員したかどうかということは、私もちょっとあれでございますが、町なり何なりにお願いして、病院はずっと押えてもらったという事実はございます。それから警察の関係、警察の方、それから消防団の方々、この人たちは非常に、ことに地元の消防団の方は早く出ていただけたのではないか、かように思っておりますが。それからヘリコプターというお話は、ちょっと手配のとり方が非常にむずかしうございまして、時間的にも。その点については、ちょっとそういう措置は、私としてはちょっとそのときには思いつけなかったような次第でございます。
○政府委員(山口真弘君) 会社のほうから運輸省に第一報が入ってまいりましたのは、五時ごろであろうかと思います。とにかくたいへんな事故が起こったようだという程度の内容でございまして、さらに詳報を知らせるようにということを申しておりました。その後に、時間ははっきりいたしませんが、続々と状況が入りまして、これに対して、とにかくまず第一は救護の問題であるというようなことで、会社に対して申しておったわけでございます。これは今回の問題に限らず、私ども、何といいましても、こういう大事故の場合には被害者の救護というのが第一の条件でございますので、本回におきましても、第一が救護である。その後、ちょっと時間ははっきりいたしませんが、なお会社のほうから省のほうにしかるべき人を差し向けて報告をさせるからということがございましたが、私どもそれに対しましては、運輸省への報告よりもさらに救護のほうが大事であるから、現場第一線に手ぬかりがないようにということを申しております。
○伊部真君 いまの話ですけれども、たとえば救援に、停電であっても、何というのですか、先ほど森中さんが言われたモーターカー、気動車のようなものが行って、様子をキャッチできるというふうなことについては、結局、停電をしているから、あるいは単線だから途中に車がおるからと、こうなるのですよ。やっぱり、これは安全上からいっても、単線というのが問題じゃないですか。だから、こういう事故というのがこの十年間、近鉄では昭和三十七年から七件も起きている。内容は、ダンプカーの衝突だとか、あるいは信号の未確認だとか、いろいろ形態は違うけれども、七件もあり、死傷者も、この場合でもやはり死者は合計で四、五名出しておられるわけです。けが人は何十人、何百人も出しておるわけです。したがって、この種の事故が起きた場合の救援体制というものは、万全でなければいかぬはずですよね。それが、結局どうも単線が原因ならその単線を直すようにしなきゃいかぬし、あるいは事故発生からキャッチまで一時間もかかるというようなことなら、これは当然に、この事故の内容がもっと早くキャッチできて、そうして事件が察知できて、その後に、救援について、現場の救難作業が三時間もかかったというようなことは、これはどうも国民も理解ができぬと思うのですよ。だから、なぜそういうふうなことになったのか。この点、もう少し救援についてどういう手段をとられて、一番最初に現場へ救援作業に行ったのはどういう態勢で、たとえば看護婦がいつ行ったとか、お医者さんがいつ行ったとかというようなことを、具体的にそれを知らしてほしいと思うんですよ。
○参考人(大槻丈夫君) 私たち救援の実態につきましては、現場対策本部というのを置きまして、それに、先ほど申しましたように土方を大将として、名古屋から——名古屋のほうが近く、一番早く行けるわけでありますが、第一には名古屋から行きまして、現場はやっぱり、そういった問題は現場に即して現地でやるのが一番いい。ことに電話の回線なんかも、通じても少ないものでございますから、そういったことを大阪から一々指令をしても、これは隔靴掻痒というか、指令しても、それは救援を第一にしろということはもうよくわれわれの部下の連中も理解して知っておることでございますから、一応現場に責任者を置いてまかした、こういうことなんでございますけれども。ただ、その責任者の到着が八時ごろになったということでございまして、それまでの問題につきましては、あの辺で駅長のおるところは榊原温泉口だけでございまして、それからまた西垣内にしましても、東にしましても、非常に離れたところなものでございますから、なかなか思うように救援体制がとれなかったので、おそらく第一には地元の町の消防隊その他が御活躍いただいたのではないかと、私は推察しているような次第でございます。まだ具体的には、そういった時間的にどうしたどうした、最初にだれが行って、それでお医者さんがどうしたといったような点は、組織的に私把握しておりません。
○伊部真君 いまの答弁では私納得ができないのは、新聞でも、救援対策に事故が発生してから四時間もかかったということを言われているわけです。そうではないと言うのならそうではないということを、やはり国民の前に、この時間ぐらいから始めたのだということを明らかにしないと、それは命を落とされた肉親の人たちにとっては、たいへん無責任なことだと思うのですよ。それは、新聞が正確なのか、そうでないのかということを、当事者の会社としては明らかにすべきじゃないですか。そうじゃないと、いまのこの答弁でいくと、責任者が行ったのが三時間とか、四時間後だと、こう言われる。それまで、じゃ何があったかということは掌握できていないわけですね。あるいは、どういう救援対策をしたかということについては、会社のほうとして掌握していないわけですね、救援の状況について。
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(木村睦男君) 速記をつけて。
○参考人(大槻丈夫君) 私の現在の段階では、ちょっと御説明できません。先ほど申しましたように、きのう最後の御遺族の方々のお引き取りがありましたし、それから、きょうの午後一時過ぎに開通しているだろうと思うのでございますが、その開通後、現地の連中が本社に集まりまして、いま申されましたような点なんかも、現地の手配を全部トレースしまして御報告なり何なりするという段階にきておったわけであります。おっしゃられるように、本社から何も指示してないのはおかしいじゃないかというあれを言われますと、こういうぐあいにして、こういうぐあいにやれといった指示は、本社からは現場の司令官には与えておりませんでした。
○瀬谷英行君 いま、ちょっとダイヤをお借りして見たんですけれども、当該電車がすれ違うべき場所は、垣内西ポイントと垣内東ポイントの中間ですれ違うようになっておりますね。その時間が、所定の時間でいいますと十五時四十二分くらいになっておりますね、このダイヤでは。それが十五時五十八分ぐらいに停電があった。そこで事故があったのではないかという推定が成り立つわけなんですけれども、当該電車の後続電車というのは、五分ぐらいあとにそれぞれ上り、下りとも出るようになっておるわけです。そうすると、この後続電車は当然榊原温泉口と東青山両駅でもって停車をして、発車できない状態になったんじゃないかと思うのですがね。これはまあ発車してしまえば追突してしまうわけですから、発車できない状態になったわけですね。また、当該電車が所定の時間でもって運転を行なっていれば、東青山駅なり、あるいは榊原温泉口にはやはりそれぞれ四十五分ぐらいに着くようになっているわけです、所定の時間でいって。それがおくれたということなんでしょうけれども、そうすると、東青山と榊原温泉口の両駅でもって、来るものが来ない、しかも、後続電車は五分後に発車させるということになっているわけでありますから、この時点で、この区間でもって何か事故があったなということを推定をしなければならないのじゃないかというふうにわれわれは思うんですけれどもね。 それから、歩いて見に行ったという話でありましたけれども、単線区間で、両方から行って、お互いに出てこないんですから、ここで何か起こったということは当然予想されるわけです。そうすれば、歩いて見に行ったということを待っているということでは、これは時間かかるのは当然の話なんですが、あとそのダイヤを見ますと、かなり過密になっておりますよ。先ほど参考人から、単線区間といえどもそんなに過密じゃないというお話でしたが、一時間に八往復というお話がございましたが、一時間に八往復ということになると、この単線の一つの線路の上を一時間に十六本の電車が走るわけです、そういう計算になりますね。そうすると、平均して三分か四分おきに走る計算になるわけですね、その単線区間を。三分ないし四分おきに電車が走るという状態は過密でないということは言えないと思うんですよ。相当過密である。単線区間としてはこれは限界じゃないのか、複線区間にすべきではないかということになると思うんですが、相当過密か過密でないか、運転できるから過密じゃないということにはならぬじゃないかという気がするのですね。これは先ほど大槻参考人のおことばに対してちょっと私は疑問を感じたから言ったわけです。 それから、十六時五十分ぐらいに本社へ事故があったらしいという話があったということですが、そうすると、本社の中で、これはたいへんだということになったのは五時過ぎということになるわけですな。五時過ぎになって、しかもいまのお話しのように、四時間ぐらいの間は一体何をしていたのかという話になるわけですけれども、少なくとも事故に対する認識というものが軽かったんじゃないか、そんな大きな事故とは思わなかったというようなことがあったんじゃないかという気がするわけですがね。これは、これほどの大事故があったならば、四時間もうろうろするということは常識的には考えられない。だから事故に対するいささか甘い判断があったんじゃないかという気がするんですが、その点はどうですか。
○参考人(大槻丈夫君) 先ほどの私のことば、ちょっと訂正させていただきますけれども、対策本部を置きました、それが五時でございますが、それから八時まで何もしてなかったと、私が現地に対して指令は出さなかったと申し上げましたですが、鉄道総局長のところが中心になって動いておりましたので、そこのほうでいろいろの指令なり相談はやっておったと思います。その点は、私自身としては指令を出さなかったと申し上げたのでございますが、本社全部が動いてなかったのだということじゃございませんので、その点は御必要とあれば、またトレースの結果を、トレースといいますか、実際の経緯を御報告申し上げたいと思います。 それから、単線区間の八住復で、大体四分ごとぐらいというお話でございますが、これは単線自動が働いておりますのと同時に、さっき伊部先生からお話がありましたように、榊原温泉口なり何なり線路の状態が全部わかって、列車がどういうぐあいに進んでいくという電照盤がありまして、それでここへ来たらポイントを切りかえるということになっておりまして、列車の動きが一目でずっと一カ所でわかるようになっておりますので、そういった点で、列車がどこの区間にどう入っているのだということはしょっちゅうにらんでおりまして、行き違い場所におけるポイントの操作をやっておるということでございます。その行き違い場所では、今度は脱線はいたしましたけれども、そういった場合には、必ず安全側線のほうにポイントが入ってすぐそこの信号が赤になる、そしてATSでストップする、行き過ぎようとしても。こういう組織になっておりまして、今度のような非常な——大体そのあたりのこの間のところの制限速度は六十キロでございますが、六十キロまでならば安全側線のほうにも逃げたわけでございますけれども、それが非常なスピードになっておったために、それを飛び越えて入ったというようなことで、非常な異常事態でございまして、保安の普通の装置としては、こういった特別な原因のない限りは決して過密であり、危険であるという装置ではないわけでございます。
○伊部真君 私の言っているのは、一つは、この事故が単線であったから起きたということは確かなんです、まあいずれにしても。それは複線であれば正面衝突はなかった。その意味でもこの事故を防ぐ道は、複線であったらなかったのに、単線であったために起きたということは事実である。その意味からも、単線であるからこれはどうしても安全上からいっても、いま瀬谷委員からお話がありましたように、年々ダイヤが過密状態になっていくわけですから、当然にこれはもう特急の走っている単線で、われわれが施設の関係者にちょっと電話して聞いてみたのですが、もう東京なんかで単線では、特急の走るところで単線というのはないというのです。そういう常識的にもおかしいといわれるような単線区間を置いておくというのは、私はやっぱりこの事故の、いわゆるもうけ主義、経費が高くつくから、費用が高くつくから複線にはせなかったというふうにいわれてもしようがないと思う。だから、この大きな原因というものは、やっぱり経費の節約をして複線にすべきところを単線で見のがしておったというのが一つだと思う。 それからもう一つは、事故というものは、事故の発生を未然に防ぐための装置、対策というのも必要だけれども、起きたときには直ちにできるだけその犠牲者を少なくするということが常に考えられていなければならない。特に近鉄の場合は七回もこの十年間に事故があって、やはり事故としてはかなりの経験をしているわけですね。そうすると、いま言ったように、事故が発生をしてから探知ができたのは、状況が把握できたのが一時間後、救援に行くのにそれから三時間もかかるというふうなことは、これは安全あるいは救援対策に関して非常に不熱心であったといわれてもしようがないと思うのですよ。だから、なぜ一時間かかったのか、なぜ救援まで三時間かかったのかということについては、これはどうしても明らかにしてもらわなければならぬと思う。同時に、これは運輸省のほうでもその点については、国民が疑問を持っておるわけです。そして、その犠牲になられた人はそのことを恨んでいるわけですよ。列車の中で、列車の下で何時間も苦労したのですからね、ほんとうに想像のできないような苦痛を味わったわけですから。もう一時間早く来てくれたらというのは私は当然なことだと思うのです。三十分早く来てくれれば、あるいは一時間早く来てくれればというような願いは。その点はやっぱり新聞でもあれだけ掲げておそかったのではないかという非難があるのに、それは当事者が、それについてどこで手間取って、山道でこうなって、ここらに隘路があったのでこうなったというようなのが、もう二十五日から、事故が起きて今日の段階でもまだそれが十分に議論もされてなければ、掌握もされていない。あるいは医者が何時間にどの程度行ったのかということが掌握されていないというようなことでは、私は十分な救援対策が行なわれたというふうには思えないわけです。その点について私は後刻明らかにしてもらいたい。いますぐにわからなければ、ぜひそういうふうにしてもらいたい。同時に、この事故の大きな原因は、やはり近鉄が安全面に不十分で、単線が大きな原因だったと私は言わざるを得ない。なぜそうなったかと言えば、やはり本体の鉄道部門に対しての熱意というものがどうも少しそれたんだ。やはり付帯業務だとか、そういう方面にかなり力が入り過ぎて、どうもこちらのほうに不十分な点があったんではないかというふうにも感じられるので、その点についてひとつこれから十分御配慮を願いたいと思うのです。 先ほど私、言いかけてやめたのは、私は、当然もう事故が起きて、相当日数がたったので、この事故の原因と対策について反省というのがあったんではなかろうか、社内でもそういう議論があったんではなかろうかというふうに思って、そういうふうに感じたので、その点の議論があったらその点を明らかにしてもらいたい、こういうふうに申し上げます。以上、その点の質問の回答を受けて終わります。
○参考人(大槻丈夫君) 先ほどの、現地に着いたのが三時間おくれたと、これは私の申しましたのは、現地の大将にした土方が着いたのが八時であったということを申しましたので、救援がいつ着いて、それから地元の方、消防なり警察なり、どうお願いして、どういうぐあいのあれであったかということはトレースして運輸省に御報告申し上げたいと、かように考えております。 それから反省の問題でございますが、さっそく指令を出しまして、昨日からATSとブレーキ関係の全装置につきまして総点検をやるということでもう出発しております。それからいま一つは教育の問題でございますけれども、先ほどもちょっと触れましてございますが、頭で理解していただけでは、非常の場合、とっさの判断で迷うというようなことではいけないので、実地訓練、非常時の場合の、どうしたらいいか。前のATSのランプがどうついたらどうするかというようなことを考えないで、反射的にでも作業できるというぐらいに実地訓練を中心とした教育の徹底を期していきたいと、かように考えまして、これもすぐ各列車区、営業局を通じまして、その訓練に入る、指導に入るというように指令をいたしましてございます。それがさしあたりの措置でございまして、今後基本的に、根本的にどうするかということは、この事故の反省に基づきまして検討を加えていくと、かように考えております。
○江藤智君 いまの大槻参考人の返答で私が頼みたいことは、大体お話しになったんですが、これは運輸省にひとつ要望しておきたいんだけれども、いまの御指示の結果をみて、事故発生のときから、いよいよ救援隊が現地に着いて救援を始めた、この救援の始め方にもいろいろある。ほんとうにクレーン車を入れて、そして車をつり上げるというようなことになれば、これはやっぱり最終段階になるわけですけれども、その間にもいろいろな処置があるはずなんだから、そういうような、とった処置をひとつ運輸省がきちんとつかんでよく聞いて、そうして報告してもらいたい。そしてその間にもしも十分でないような点があれば、今後はそういう点について、十分ひとつ運輸省のほうからも注意してもらい。近鉄のほうでも今後の参考にしていただく、非常に大事な問題ですから運輸省においてひとつよく近鉄のほうを調べてこの委員会に報告をしていただいたらいいと思います。それが一点。 もう一点は、やはり反省の中の一つとしてぜひ入れてもらいたいことは、安全側線というものがいまのような姿の安全側線でよかったかどうか、言うまでもなく、安全側線というのは、単線区間で行き違いをする場合に何かの都合で、すなわち信号機が間違ったとか、操作を誤まったとかといったときでも、絶対に正面衝突を避けるためにできておるのが安全側線なんです。だから今度の場合も、非常なスピードであっても安全側線に乗り上げれば正面衝突は避けられたはずなんです。それが安全側線側にポイントが開いておるにもかかわらず、そこで脱線をして、しかも本線を走ってトンネル内という一番事故の復旧のむずかしいところで衝突をした。ここには安全側線の設計上のやはり反省点があるんじゃないかと私は思います。そういう点に加えて、ひとつ十分今後こういう事故を二度と起こしてはいけないんですから、そういう意味で、ひとつ運輸省と近鉄のほうで検討をしていただいて、その結果がわかれば報告をしていただければ非常にいい、かように考えますので、要望しておきます。
○瀬谷英行君 参考人の御意見でもって、あくまでもこれは単線でもだいじょうぶだというふうに言い張られた点がどうも理解に苦しむわけです。いまダイヤをお借りして見てみますと、朝の五時、六時、七時ぐらいまでの時間帯と夜の九時以降の時間帯と、こういう時間帯を除くと、大体ダイヤを見ますと、ほとんど一時間に十五、六往復ぐらいなんですね。ほとんどそういうダイヤなんです。これは相当なものですよ。東海道線以上じゃないかという気もするわけですね。しかも、これはもっとも特急といっても国鉄の特急とは多少違うかもしれませんが、特急が何本も走っているわけですね。国鉄でも単線区間で一時間のうちに特急が何本も走るという区間はあんまりないんじゃないかという気がするわけです。これは相当無理があるような気がするんですね。特に東青山と榊原温泉口の間は、垣内西ポイントと東ポイントの間だけを複線にして、ここで交換をするようにしているんだから、これは運転上もなかなか無理をしているということになりますね。こういう無理をした。ダイヤの面でもかなり無理をしている。そうすると、こういう区間は当然複線化するだけの値打ちがあるんじゃないか。これは現在は間に合わせているというだけであって、運行密度の点からいうと、単線区間にするにはちょっと危険じゃないか。複線区間にすべきではないかというふうにだれが考えたって常識的に考えられることです。それとトンネルですけれども、このトンネルにしても延長三百五十メートルのトンネルですよ。三百五十メートルの長さということになりますと、国会図書館から総理官邸ぐらいの距離ですね。こういう区間のトンネルを掘るのに一体どのぐらい金がかかるのか、複線にするのとトンネルをもう一つ掘るのとどのぐらい金がかかるのかということを考えてみますと、まあ、そんなに腰を抜かすほどの巨額の出費を必要とするのじゃないような気がするのでありますが、その点、設備上これで間に合うのだということをあくまでも言われるのか、やはりこの区間は複線区間にすべきであるという考え方に立つのか、これからの問題でありますので、もう一度お伺いしたいと思います。
○参考人(大槻丈夫君) いまの列車ダイヤの面では不定期の設定が入っておると思うんでございますが、だから十六……。
○瀬谷英行君 それは私、これを見せてもらったのだけれども、ほとんど、七時から四時までの間は、これは相当なものですよ、列車密度というのは。
○参考人(大槻丈夫君) 一時間十六本以上になっておりますでしょうか、実際。
○瀬谷英行君 参考人が先ほどお話しになったのは一時間八往復と、こうおっしゃったでしょう。それで私もダイヤ借りて見たのです。一番激しいところが八往復ぐらいかなと思って見たらほとんど全線にわたって——この当該区間の東青山と榊原温泉口の間、これは計算してみると大体七、八往復になるわけです。そうすると、単線区間で八往復ということになりますと、往復でもって十六回電車が走ることになるでしょう、八往復ということは。そうでしょう。だから一時間のうちに、この衝突した区間、この間だとすると、この単線区間を一時間以内に十五、六回電車が走るということになる。そうすると、平均して三分から四分おきに走るということになるわけだ。決してこれは過密でないとは言い切れないと思うのですがね、常識的に。三分ないし四分おきに上り下りが走るということは私は過密だと言っていいと思うのです。楽なダイヤだとは言えないと思うのですよ。それはどうですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私は安全を何するようなダイヤじゃないということを申し上げたつもりなんでございますけれども。
○瀬谷英行君 それはそういう言い方をすると水かけ論になっちゃうんですけれどもね。やっぱり単線区間としては非常にこれは無理な区間ではないかという気がするんですよ。あなたが先ほど社長の権限を持って来られたというので、ここで複線にしますということをうっかり言うと、あとで問題になってしまうということを警戒してしきりにそういうふうに言っておられるのかもしれませんけれどもね。単線区間にしては無理だということを言っておるのです。私もきょうは片目だから、目のほうが単線なんです。単線の目でもってこのダイヤを見ているんです。やはり複線と単線じゃえらく違いがあるわけです。今度だって単線だから正面衝突しちゃったわけでしょう。複線じゃこれは追突することはあるけれども、正面衝突ということはないんです。単線のトンネルの中で正面衝突なんというのは活動写真時代の漫画みたいなものだ。どう考えても常識的に考えられないのです。それから、いま江藤さんからもお話があったけれども、安全側線にしてみても、これはしょっちゅう使うものではないのです、安全側線というのは。事故があるような場合を考えて安全側線つくっている。だから、それは勾配を考えてみるとどのくらいのスピードでぐるかもしれない。それは運行速度は六十何キロかもしらぬけれども、勾配によって加速度がつけば、近鉄のような広軌の車両の場合は百キロくらい出すのは簡単だと思うんですよ。その百キロくらいのスピードに耐え得る安全側線であったかどうかという点検がはたしてなされておったのかどうか。役に立たない安全側線なんというのはこれはちっとも安全じゃないのですからね。安全側線と言う以上は、そういう不慮の事態に対して役に立つから安全側線なんです。それが全然役に立たないということになるとこれはおまじないみたいなものです。紙のヘルメットみたいなものです。それではしようがないだろうと思うんですね。その点はどうも安全側線の点でも、つまり安全の点についての抜かりがあったのじゃないかと思う。これは安全側線は一つの例であって、この区間を単線のまま放置しておくこと自体が問題じゃないか。それから、国鉄でいうならば、この線区というのは東海道線みたいなものですよ、いわば。その東海道線のようなところに単線区間を置いておくということが、はたして妥当であったのかどうか。会社側としてこれは十分に反省をして考えるべき点ではないかと私は思うんですよ。それが、いや単線でもいいんだと言われるということになると話は平行線になってしまう。会社の経営上こんなところにいまさら金をかけたくない、事故が起きるよりも複線化するほうがよけい金がかかるからということで、投資を控えるということになると、これは問題だと思うんです。安全の面から考えてやはり複線化すべきじゃないか。東海道新幹線とは言いません、在来の東海道線に匹敵をする線区であるとするならば、当然これは複線化すべきではないかというふうに思うんですが、その点はどうでしょう。
○参考人(大槻丈夫君) スピードの問題で非常になんでございますが、安全側線のところは、分離の手前にはATSがありますし、それまでにもずっとATSがありますので、ブレーキがきいてさえおれば、その制限内の速度で走る、それがそれ以上になればとまる、この方式になっておりますので、ほんとのスピードの異常ということは、途中でATSがきかなかったという、途中の一つ一つの段階できいていなかったということは、やはり私はブレーキがきかなくなっておったという原因をそこで推定したわけなんでございまして、ブレーキさえ確かであれば、各ATSの段階で安全性を保ち得るということになっておるわけなんでございまして、それは正面衝突は単線だから起きるんで、単線でなければこういった場合に非常に最悪の事態でも追突しかないわけでございますけれども。 それから、複線化する意思ありやいなやというお話でございますが、先ほどは上津−中川間で申しましたが、その前からこの区間の単線はだんだん縮めておりまして、最初は四十一キロあったわけでございます。伊賀神戸から四十一キロあったわけでございます。それが現在残っておりますのが十五キロということでございまして、だんだんに複線化を進めてきておるわけでございます。そうして、来年も三キロ余りを複線化するという計画で現在調査を——来年度から工事にかかれるように組んできておる、こういったような状態なんでございます。それ以上にどの区間をどういうぐあいに早めていこうかという問題につきましては、先ほど申しましたように、この問題を含めまして、私は、そのためにということはありませんが、複線にすればより安全であったといまこの場合におっしゃられればそのとおりと思いますので、そういった点につきましては、さらに運輸省当局の十分な御指導をいただきまして研究をしたい、かように考えております。将来——将来というか、年次計画を現在具体的にどう組んでどうやるということは、来年の三キロ余りの計画しか持っておりませんけれども、将来についていえば、何年かの間にこれを複線化していくということは、いままでの進めてきた推移からも御了解していただけるかと思うのでございますけれども、それをどの期間にどういうぐあいに詰めてやるか、また実際上できるか、私は金の問題を中心に考えているんじゃないのでございまして、先ほど申しましたように、輸送力に見合って安全を確保できる範囲でだんだんにふやしていこうじゃないかという形でいままで進んできたのでございます。
○江藤智君 ちょっと関連しまして鉄監局長に聞きますが、私鉄の輸送力並びに施設の近代化のために相当計画を持っていますね。そうして、財政資金も応援しようということで計画を進めておるけれども、ここの複線化についのはどういう程度に入れているか。そこまではまだきめていない、はっきりわかっていないわけですか。
○説明員(山口真弘君) 私鉄の輸送力増強計画につきましては、この五年前からいわゆる五カ年計画を計画いたしましてやっておりまして、近鉄につきましても、その計画に従って輸送力増強と運転保安工事をやっています。ただ、その工事の計画の中には——これは今年度まででございますが、今年度までの計画の中にはこの線区の複線化は入っておりません。
○江藤智君 そこで、いまの審議の経過などを見まして、やはりこういう区間で、いままでの計画で複線化を進めておる区間であるには相違ないが、そういう年次を繰り上げてやる必要がないかということをよく運輸省と近鉄のほうと——むしろ運輸省のほうで十分検討して、必要であったならばそういう五カ年計画に追加する、そしてその促進をはかるようにしてやると、こういうふうにひとつやってもらいたいと要望します。
○田代富士男君 私は、きょう、いま、運輸委員の皆さんが、あらゆる立場から質疑をされました。それに対して、近畿日本鉄道を代表して大槻副社長がおいでになりましたが、おそらく、ここにいらっしゃる委員の皆さん全部が、このきょうの姿が事故を起こしたその責任者の副社長であるかと、おそらく全部憤りを持っていると思うのです。いまさっきから質問することはまともに答えたことないです。少なくともこの場所へ臨んでくるにはそれだけの準備をしてくるべきじゃないか。ちょっと深く突っ込んだ問題を言えば何にも返答ができない。これじゃ、あなたのいまの姿が今回の近鉄の事故を起こしたと言われてもしかたがありませんよ。私は、これだけの大きな事故を起こして社会に迷惑をかけたんだから、申しわけないという謙虚な姿があるならば、もっとしっかりした——いろいろな問題につきましても、何聞いても、あなた、まともな答弁が戻っておりませんよ。ここへ、もしも今回事故にあわれた負傷者をこの席上へお呼びしていたならば、おそらくあなたになぐりかかっていくでしょう、その人は。何という答弁かと、私はその人たちの声を代表して申し上げます。当初からこんなことを言いたくありませんでした。しかし、言わなくては済まされないようなあれです。私は、その姿が今回の事故です、それを一番当初に言っておきます。あなたの今日の姿が、一貫した今回の事故にあらわれている。それを私はあらゆる立場から指摘していきます。そして、この委員会に来るのに、近鉄社長が出るべき立場であるけれども、社長が忙しいからと、かわりに見えたあなたが、もう早く帰りますからと、来たとたんにそういうことを言うべき立場ですか。徹底的に御審議願いますというのがあなたの立場と違いますか。来たとたんに早く帰してください——何たることですか、これは。断じて許すわけにいきません。こういう思い上がった姿が今回の事故に通じているんです。 そういう意味から、私は当初にお尋ねしたいのは、あなたが鉄道部門の最高責任者だと最初に申された。あなたが二十六日の午後、記者会見をされました。その記者会見において話されたことを——新聞にも出ておりますけれども、もう一度そこで話してください。
○参考人(大槻丈夫君) 最初の記者会見では、事故が起きて何とも申しわけないということを中心にお話ししたつもりでございます。詳細な内容は正確には記憶しておりません。
○田代富士男君 最初に記者会見をしたそのときに、申しわけありませんということは言ったけれども、そのあとは記憶しておりませんと、それがあなた、近畿日本鉄道の代表としてきょう来たあなたですか。 じゃ、あなたは忘れていらっしゃるならば、新聞に発表されたのを一回読んでみましょう。どのように発表されたでしょうか。新聞を読みますと、今回の事故につきましては、あなた御承知のとおり、今回の事故は運転士のブレーキ事故である、そういうような発言をあなたはしていらっしゃいます、今回の事故に対して。そうでしょう、今回の事故に対して。どうなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) 記者会見は何回もやっておりましたので、一番最初のことかと思っていまお話ししたんでございますけれども、その会見はおとといの午後八時三十分からやりました会見でございます。そのときには、それを運転士のミスと、はっきり私は断定はいたしておりませんが、新聞にはそういうふうに書かれておるように思っております。 私の申しましたのは、私たちは初めから何かブレーキの問題じゃないかというあれは持っておった。しかし、その現地検証が済んでわれわれのほうが調査に入れるという段階までは、実際、車を見なければ、車のブレーキの状態を見なければわかりませんですから、だから、一昨日の五時に、おまえたちが調査に入ってもいいという許しの出るまでは私たちはわからなかったわけであります。それから五時前でございますが、午後になりましてからでございますが、先ほど申しましたように、下りに乗っておりました車掌が、東青山駅の場内のところで列車がとまって、それから運転士からインターホンで呼ばれて運転台に行ったら、列車が動かないんだブレーキじゃなかろうかというようなことで、一ぺん点検してくるわと言って下へおりて、そしてずっと点検をしておったようであったと、車掌は車内におりますから、どういう点検をしたかはわからぬけれども、そういうような事実があったということを話しておるわけでございますね。それと今度五時に解除になりまして、現地に入りまして車両を見ましたところ、これは技術屋は非常に一番ブレーキなんか簡単にそれがわかる場所のようでございますが、そういったエアブレーキのホースが、弁が、コックがみんな締まっておったということでございます。それで非常なスピードで来たということと、それからエアコックが締まっていた、ブレーキのきかぬ状態に各車両ともあったという事実をあわせまして、何か、だから運転士のところにミスがあったのじゃなかろうかという推察をするということと、それから事故全体としましては、これはブレーキの問題が一番確実にそれが見えたものですから、それを一つ言ったのと、あとはATSの問題だとか、それからエアホースの配管の問題だとか、いろいろありますけれども、ことに、その時点においてはまだそれらは確かめておらなかったので、このブレーキ事故が一つの大きな原因であるというふうには思うが、正確なことについてはまだこれから十分に調べて報告を発表する、こういうような言い方であったわけでございます。
○田代富士男君 そこでいまあなたおっしゃるとおりに、ブレーキの事故であると、また運転士のミスであるかもわからない、最終的にはわからないと言うが、ブレーキの事故であるということは発表されている、記者会見で。しかし、これには警察庁も運輸省も調査団を出しております。その運輸省調査あるいは警察庁、その見解出していますか。どうなんですか。一回、高松局長見えていらっしゃいますから、警察庁の立場をちょっと聞かしていただきたいと思うんですが。
○政府委員(高松敬治君) 事故原因の捜査につきましては、私どものほうといたしましては、二十六日に国鉄の技術研究所の太田調査役ほか四名、それから科学警察研究所の小松崎室長ほか一名、それから関西大学工学部の山口教授、それから近畿管区の鑑定官の細井技官、それらを補助にいたしまして二十六日に総括的な現場検証を一応実施しました。それで引き続き昨日来も事故車両あるいはATS等の制動装置関係、信号機の機器系統というふうなものについて細部にわたってなお検証を実施し、必要な部品は取りはずしてさらに鑑定する、こういう段階でございます。
○田代富士男君 運輸省は現時点においてどう見ていらっしゃいますか。
○政府委員(山口真弘君) 先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、運輸省といたしましては、ブレーキに何らかの欠陥なり故障なり、あるいは取り扱いの誤りがあったのではないかということを一応現地のほうから電話で聞いておりますが、しかしながら、現地に参っておりまする調査官がまだ帰ってきてもおりませんし、それから名古屋陸運局及び大阪陸運局からも係官が出て、いろいろと検討しております段階でございますので、現段階ではまだ原因が不明でございます。
○田代富士男君 ただいま、調査団を派遣していただきました責任当局であります運輸省の代表の方、警察庁の代表の方から御答弁があったとおりです。このように、関係官庁のそういう正式な見解もまだ出てないさきに、軽々しくブレーキの事故であったとあなたは発表しているのです。あなたは何ともなしに発表しておるかもわかりませんけれども、こういうことは私は一般常識から考えて不謹慎と思うのですよ。あくまでそういう事故を近鉄当局といたしまして調べるのは当然でしょう。しかし、これはあくまで内部の問題です。近畿日本鉄道の内部として事故を調査していく、それは外へ発表すべきあれじゃないでしょう。警察庁も運輸省も一生懸命調査して、まだ結論が出てないのに、それはブレーキの事故であったと、どうして一方的に発表できるか。あなたは得々としている。申しわけありませんというその姿があるならば——そういう事故を起こしたのはブレーキだと、正式にまだ警察庁も運輸省もなされておりませんよ、あなた軽々しく不謹慎ですよ。法律的に云々、これはきめられるものじゃありませんけれども、一般常識からいって、運輸省も警察庁も原因を述べていないのに述べるというその姿勢、これはあなたどう思うのですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私たちそれは、それぞれの監督官庁なり警察なり、そこでお調べになっていることはよく存じ上げておりましたし、それがオーソライズされた結論になることもよく承知しております。ただ、私たち自体の、企業というか運営の立場から申しまして、少しでも早く事故を究明して、その対策を立てるということが運転従事員、乗務員、その他の不安感と申しますか、どういうことで事故が起きたのであろうかという不安感を解いて、そして彼らのがんばってやろうという意欲を早く高揚さしてやりたいというふうに考えたわけでございまして、ブレーキ事故が全部だとは私は決して言っておりませんので、前後の事情からブレーキが非常に重要な問題であるということが推測される、こういうことを言ったわけでございまして、先ほども申しましたように、ATSの問題だとかなんとかいろいろまだ検討しなければならぬ面もあるので、これが原因の中の一つであるというふうに思って話したわけでございます。
○田代富士男君 じゃ、その問題はその程度にとどめておきますけれども、あなたが対策を早く立てて、ただいま申されたとおり、不安感を解いて意気を高揚したい、早く原因を解明したいのだ、それは当然あるべき姿です。それならば、私はお伺いしたい。近鉄の最近の事故をあげてもらいたいと、私はほんとうに聞きたいのですけれども、聞いてもあなたはいまさっきから何も答弁できておりませんよ、こちらから聞くことに対して。だから、こちらから申し上げますと、三十八年の五月には南大阪線の阿部野橋東踏切で重軽傷者百十名出している。四十一年の十一月、大阪線国分駅でもって、準急と特急が衝突をして死傷者百七十四名出しております。そして最近では四十四年八月、大阪線の、三重県の今回と同じ一志郡、ここで特急転覆事故をやりまして六十数名の負傷者を出しております。私は特にこの事故を一つ一つ取り上げたいのです。準備しております、全部の事故を。阿部野橋の事故から全部準備しておりましたけれども、時間がありませんから、このうちの一つだけを取り上げます。 四十四年八月の三重県一志郡におけるところの、伊勢中川駅構内におけるところの事故でございます。このときに雲出川分岐点で発生した事故であります。これは今回起きました事故と同じケースですよ。この伊勢中川駅構内の事故は複線から単線に入るところの分岐点において起きた事故ですよ。同じ一志郡、今回も同じ複線から単線に入ろうという分岐点におけるところの事故。四十四年八月にすでにその事故が近鉄において起きているわけです。あなたは今回の特急下り一一四列車の事故に対しましては、早急に、ブレーキ事帆である、意気を高揚しなくちゃならない、不安を解消しなくちゃ、ならない、あなたはそのように、運輸省や警察庁が結論出していないのに矢つぎばやに出された。しかし、四十四年八月のこの事故に対しましては、原因がまだはっきりしていないじゃないですか。あなたの今回の事故に対して取り組んだ姿と、四十四年八月の事故は同じですよ。この事故を徹底的にあなたのほうで解明して、この原因はどこにあったかということを、四十四年の八月の事故において解明しているならば、おそらく今回の特急一一四列車の事故は起きていない。この責任はあなたどうとりますか、どうなんです。
○参考人(大槻丈夫君) おっしゃるように複線から単線にいくときの事故でございました。それは同様でございます。ただ、今回の事故の場合とそりときとは、そのときのやつはずっと警察のほうでも運輸省のほうでも、私のほうでも検討いたしましたですが、おっしゃるように、いまだ結論の出ぬような非常にむずかしい複雑な原因がからんで出たんだろうというふうに思っておるわけでございまして、今回のは、ブレーキの問題に関する限りは非常に端的に事情がわかるものでございますから、その点の違いが私たちのほうの調査ではあったわけでございます。
○田代富士男君 意味がわからぬ。私が聞いておるのは——四十四年八月の事故の原因がいまはっきりしません、これは運輸省、警察庁もはっきりしないからという私は責任転嫁のような受け取り方をしますよ。これはあなたの社自身で、運輸省、警察庁よりもわが社の問題だから、わが社で解明しようという姿勢がなかった。場所こそ違え、同じ複線から単線に入る分岐点で起きておるんです。同じケースです、場所こそ違え。この四十四年八月の事故を徹底的に究明していたならば、今回の事故は起きていないと言うんです。どうなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私のほうであのときに技術研究所をはじめ——私のほうの研究所でございますが、あげて検討した結果では、競合脱線ということに結論を得ておるわけでございます。それで、そういった起こるケースを考えまして、ポイントを大型化したり何かして対策を打ったわけでございます、あのところにおきましては。
○田代富士男君 じゃ、今回のこの事故が起きた総谷トンネルのところでもそのような対策を講じましたか、その時点で。四十四年八月と同じようなケースになっているところがたくさんあります。それはどうなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) ここではポイントは変えておりません。
○田代富士男君 私はそれを言うんです。四十四年八月のその事故が起きた地点だけを改修して、同じケースのところに同じようなそういうポイントを大型化にするとか、そういう事故防止をしていたならば、今回のような事故が起きていないと言うんです。ここに事故に取り組む姿勢というものが、近鉄は一生懸命やっておりますと言うけれども、私はふに落ちない点があるんです。その証拠が、あなたのきょうの答弁じゃないですか。私はこれを一回整理していきたい。またあなたがこれは古いことだと言うならば、もう一つ言いましょう。この事故が起きましたのは何日ですか。
○参考人(大槻丈夫君) 中川の事故でございますか。
○田代富士男君 今回の事故が起きたのは何日ですか。
○参考人(大槻丈夫君) 二十五日でございます。
○田代富士男君 二十五日に事故が起きまして、副社長も御存じのように、二十七日の朝、午前七時五十五分ごろ西大寺駅で京都行の特急が同じエア漏れのための事故を起こしているじゃありませんか。これ御承知ですか。 〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕
○参考人(大槻丈夫君) 承知しております。
○田代富士男君 あなた、社として、二十五日にあれだけの大きな事故を起こして、社員全部に対して事故なきを徹底したと、いまさっき申された。二十五日から数えて二十五、二十六、二十七ですよ。徹底したと言うけれども、すでに同じ特急列車、奈良発京都行、それが西大寺駅においてエアタンクの事故を起こした。これはどういうふうにお考えですか。指導徹底したことが不徹底だったのか、偶然にも起きたとお考えになるのか、これはいたしかたない事故であります、三つのうちどの考え方ですか。
○参考人(大槻丈夫君) まだそれの空気漏れの原因は、私にはわかっておりませんが、十分の出庫検査なり何なりができていなかったんじゃないかというふうには思います。
○田代富士男君 あなたね、そういうことを、あれだけの事故を起こしたあとに責任者としてなおかつそういうことを言うんですか、あなたは。あれだけの大きい事故を起こして、今回の事故をまだ掌握しておりません。何たることですか、これ。(「参考人だから……」と呼ぶ者あり)いや、参考人であろうと責任者です。あまりにもひど過ぎます。私ここに持っている資料を全部やりたいんです。今回の総谷トンネル事故と西大寺の特急事故、この車両を考えてみましょうよ。私は資料で聞きたい。私はほんとうは聞きたいんです。しかし、いま社会党の委員の方が車両の製造年月日をお聞きになってもお答えできなかった。約三年前と思いますがね。私はもう、そういうことは聞きません。私が知っているのを申し上げます。 下り特急一一四列車、この車両番号は名古屋に向かっての一号車が一万二千三百二番、二号車が一万二千二百二番、三号車が一万二千百一番、四号車が一万二千一番、これが特急下り一一四列車の編成です。今度は二十七日の朝、事故を起こしました京都行特急の、京都に向かっての一号車、一万八千四百五番、二号車、一万八千五百五番、三号車、一万八千四百二番、四号車、一万八千五百二番、四両編成。この製造年月日を調べますと、特急下り一一四列車は、製造年月日、四十四年三月、一号車、二号車ともに。それから三号車と四号車が四十二年の十二月が製造年月日。京都行特急一号車、二号車が四十四年九月の十八日に製造。三号車、四号車、四十四年の三月に製造。そして御承知のとおりに車検があります。この車検をどのように受けているか。今回の特急下り一一四列車は、一号、二号は、これは連結になっております、一緒に。この車検については私申し上げるまでもありませんが、全般検査と重要部検査と二つに分かれている。 〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕 四十六年の一月二十九日、ことしの一月二十九日に重要部検査が行なわれております。それから四十五年二月二十三日に全般検査が行なわれている。今度は、三号車、四号車が、四十六年十月二十二日に全般検査が行なわれている。四十五年十一月五日に重要部検査が行なわれている。今度は、京都行特急の一号車、二号車は、四十六年三月四日に重要部検査が行なわれている。三号車、四号車が、四十六年の七月二十二日に重要部検査が行なわれている。四十五年の二月二十五日に全般検査が行なわれている。これを図表に書けばはっきりいたしますが、今回の特急下り一一四列車、総谷トンネルに突っ込みましたこの三号車、四号車は、四十六年の十月二十二日、事故を起こす三日前に全般検査をやっているんですよ、事故を起こす三日前。全般検査をやった三日後の事故です。整備不行き届きということは言えませんぞ、これは。また、京都行特急、事故を起こしました同じ三号車、四号車は、四十六年の七月二十二日に重要部検査を終わったところだ。まだ三カ月しかたっていない。これをどうするか。また車両も、四十四年三月にできたような車両。こういう一連を通じて、あなたはいま、今回の京都行特急事故はまだ掌握しておりません、このようなことで、怠慢と思いませんか。どういうお考えですか。 私は、政務次官にお聞きいたしますが、私は、いまるる申し上げました。怠慢と思いませんか、これは。どうです。最初に大槻副社長からお聞きします。
○参考人(大槻丈夫君) 事故があったことは承知してますが、原因についてはまだ聞いておりません。
○田代富士男君 怠慢と思いませんか、この事故に対して。二十五日に起きて、いま言うとおりに、私が丁寧にも日にちまで教えてやっているでしょう、ほんとうは聞きたいと思ったけれども。それに対して、謙虚にこの問題に取り組んでいるという姿ありますか、あなた。二十五日にあれだけの大きな事故を起こした二日後の二十七日に起きていることに対して、これは怠慢でありましたということは思わないのですか、どうなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) おっしゃるとおりです。十分気をつけてやります。
○政府委員(佐藤孝行君) 先ほど来、委員各位の御質問を承って、私なりに判断しますと、大別すると四点に分かれるんじゃないかと思うんです。一つは、安全側線の問題。それから事故に対する善後策。もう一つは、単線か複線かの問題。さらにもう一点は、事故原因に対する近鉄側の態度。 私は二日間にわたって現場に参りまして、私なりにいろいろ判断して帰ってきたわけですが、安全側線の問題についても非常に改良すべき余地があるんじゃないかと、私はしろうとながらそういう判断を抱いて帰ってまいりました。また、事故の善後策については、必ずしも人間のすることですから一〇〇%正しいとは、間違いなかったとは言いがたいと思いますが、今回の近鉄の事故に対する善後策に必ずしも万全であったということは私は言いがたいんじゃないか、そういう判断をいたしました。もとより私個人じゃなく、県警本部、消防、地元の自治団体、病院、そういう公的機関を回った上で、私自身がこの目で見た結論でございます。また、複線か単線かの問題、この問題についても、御承知のとおり、複線は輸送力増強のための複線ではありますが、いずれが安全度合いが高いかという観点から判断した場合、もちろん単線より複線にこしたことはございません。こういう点。さらに事故原因に対する近鉄側の態度、いささか早計に走っているんではないかと、私はそういう判断を抱いて帰ってきたわけでございます。 先ほど来の委員各位の質問をお聞きしまして、いずれも核心を突いた質問じゃなかろうか。まことに敬服する次第でございますが、したがって、いま申し上げた、大別すると四点についても、監督管庁である運輸省としても当然責任を感じなきゃならぬし、また同時に、経営者自体にももっとえりを正して、これを契機として今後の私鉄経営に当たらなきゃならない、かような観点から大臣とも相談いたしまして、できるだけ早期に複線にさせよう、また安全側線の点についてももう少し検討しなきゃならぬと思います。なおまた、事故原因等の判明次第早急に立ち入り検査なり監査もすべきもの、かような判断を抱いております。
○田代富士男君 いま政務次官が決意のほどを、前進的な、建設的な決意を述べられましたから、委員会だけの発言だけでなくて実行していただきたい。また、近鉄の大槻副社長も、そのことを実践していただきたいと思うんです。 そこで、私が次にお聞きしたいことは、今回の事故はブレーキ事故であるということが一貫して出てきていた、ほかの事故もあるということも含んでいらっしゃると思うんですが、東青山駅付近で、御承知のとおり、なぞの臨時停車をやった。ATSの装置につきまして私は専門家ではありませんが、私なりに今回の事故を通じまして勉強しました。ATSにつきましては、これが今回の事故の一つのポイントになると思うんです。なぞの臨時停車をやったという。そこでATSを解除するときには解除する手続が要ると思うんです。ATSを解除したために東青山駅の二見助役が、下り一一四列車に同乗しました。これは運転司令のほうに連絡をしてATSの解除をとったればこそ二見助役も乗車したと思うんです。そこで、このATSを解除するときの条件、故障が起きたというような場合にはどうするか、これはまず運輸省からお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山口真弘君) ATSの解除でございますが、これは運輸省自体としての規定できめておるわけではございませんが、会社といたしましてそのATSの解除につきましての基準をつくっております。その基準によりますと、ATSは原則としてなるべくこれを使わなきゃならぬということでございまして、非常にきびしい条件をつけております。そういう条件でなければATSの解除はしないというたてまえでございます。その条件と申しますのは、たとえばATS自体、地上のATS装置が故障を生じておる場合であるというようなのがおもな条件でございまして、そういうような条件のもとには、これを運転司令等と打ち合わせをし、そして助役あるいは駅長というような人の添乗を求め、そしてその添乗を求めた上で、十分な安全性の確保をした上でATSを解除する、こういう姿の規定となっております。
○田代富士男君 まず、私も資料いただいておりますが、それはATSの事故の段階にもよりますが、ATS事故が起きた場合には車両取りかえの手配もしなくちゃならいようになっておりますが、この点はどうですか。
○政府委員(山口真弘君) ATSの事故につきましても、たとえば車両のほうの事故の場合もございますし、あるいは地上装置という地上のほうの部分もございます。そういったような両方の部分によりまして取り扱いが違っております。私がいま申しましたのは、たとえば地上部分のATSが故障であるというような場合におきまして、その地上部分のATSの故障の場合の処置といたしまして、たとえば指導者を乗せるというような形にしておる。それから車上部分のATSが故障しておるというような場合になりますと、これは非常に危険でございますので、むしろ車両を取りかえるという形を原則とする。しかし、たとえば途中の駅間等におきましてそういった処置がとれない場合には、一定の速度以下の速度でそこまで徐行をして持っていくというような手続としております。
○田代富士男君 いま局長が申されたのは、ATSの車上装置故障の場合の処置の第三百二条の二と、それからATS地上装置故障の場合の処置の三百二十四条の二のことだと私は解したいと思います。 そこで、いま局長が、もしもATSを解除してなかったならば今回の事故は起きてなかったといま申されましたけれども、私もそうじゃないかと思うんですね。事故現場は、もう皆さま御承知のとおりに、三段にわたってATSが働いているわけなんです。西垣内信号所、二十一番ポイントでは、列車は五十キロ以内にスピードが落ちるようになっている。ちょうど私はここに参考に図表を持ってきておりますけれども、総谷トンネルでは上り列車が平均五十キロぐらいで通過している、下り列車は六十四キロぐらいで通過していると私の調査した範囲内では出ております。上り五十キロ、下り六十四キロですね、総谷トンネル。通過時間もここにありますが、上りが五十キロというので二十秒、下が下りになっておりますが、下りが六十四キロ、十三秒で通過するところのトンネルになっているわけなんです。そういうことからしますと、ATSの装置が三段階にわたって働いていたならば、五十キロ、六十四キロまででポイントを通過できるようになっていた。ATSの装置が欠けていた、装置が解除された、ATSの故障のため、これも原因の一つじゃないかと思うんです。そのATSを解除するについては、運転司令と相談をしなければ、指示がなければできないんですけれども、ここで問題点は、当日のこの垣内信号所におきまして、このATSの故障が、下り特急一一四列車に至るまでの間に、もうすでに当日で四回ATSの故障が起きている。これをどう見るか、この下り一一四列車もATSの故障で東青山駅の近くに急停車した。これも入れまして当日は五件目です。四件までもATSの事故が起きている。それにもかかわらず、運転司令はそのままに放置していたかどうか。五回目にこの事故にあっている。その点は大槻副社長、どうです。
○参考人(大槻丈夫君) 私の聞いておりますところでは、青山トンネルのところで、その付近で上り下り合わせて——上りが四件、それから下りがその事故の前に一本と、そしてそれというふうに聞いております。その事実はあったと思います。ということでございます。
○田代富士男君 副社長もその事実があったとお認めになった。ATSの装置がなくても、徐行して行けば運行できるかもわからない。飛行機でいうならば、ATSは計器飛行になるでしょう、ATSを解除すれば有視界飛行と同じでしょう。しかし千分の三十三という勾配で、近鉄当局としても複線工事ができないというような山の中です、勾配です。そこでATSは、運転士がミスした場合でも、ATSの立場からするならば、運転士なんか信用できない、おれがしっかりしているのだ、これATSの立場でしょう。そのATSがあればこそそういう難関を突破できるでしょう。にもかかわらず、その当日四回、五回事故が起きているのです。いま上り線で四列車、下り線で一列車、そして一一四列車になった。ここにも大きな事故の原因。だから近鉄とすれば、ATS事故が五件もあっても、ふだんからそのようによろしいとやっているのか。この点は、運輸省としてこういう行政指導やってらっしゃるのですか。どうですか、政務次官。
○政府委員(山口真弘君) ATSの装置は、先生ただいま御指摘のように、ある地点を通過することによりまして、その地点をチェックポイントといたしましてスピードのチェックをする、しかも、先生御指摘のようにこれは多段階のスピードのチェックをするということによりまして、運転士のたとえば錯覚あるいは運転士の失神というような場合でも停止の側に作用をして、そして事故を防止するという役割りを果たしておるわけでございます。したがって、そのATSが車上並びに地上両方が故障するということになれば、ATS自体が働かないというようなことでございまして、これはまあ非常な危険なことでございますから、そういうATSのきかない車両につきましては、なるべく早くこれを取りかえるというような措置をとっておるわけでございます。それで、いまの先生御指摘の点は、まだ調査中ではっきりわかりませんが、おそらくATSの地上装置が故障になったのではないかという一応の想定ができるわけでございまして、何回かの故障がその日に起こっておった。そしてその起こっておった故障に対しまして、駅側並びに乗務員側が所期の手続で助役等を添乗させまして、そしてその故障区間を通過をして、そして運転をするという措置をしておったのではないか、というふうに推定をされるわけでございます。それで問題は、かりにそういうことでございますとすれば、ATSの開放は前の列車にはおそらく行なわれていないで、その地上設備、地上のATS装置の故障のところだけを通過いたしまして、あとはATSを使用して運行されておったのではないかという想定ができるわけでございます。ところが、問題はブレーキの問題でございまして、かりにブレーキの点についての故障があり、あるいは取り扱いが非常に悪かったというようなことになりますと、その場合のATSとの関係という問題に、問題はなってまいるのではないか。ということになりますと、そういたしますと、ATSがきいていたにもかかわらずブレーキがきかなかったのではないかという一つの疑問が生まれてくるわけでございまして、その点はもう少し調査をしてみなければわからぬ問題であろうかと思います。いずれにいたしましても、先生御指摘のようにATSの故障があったようだということは、そこで臨時停車をしておったというようなことからもはっきりしておりますので、その関係等は、今後十分調べてみなければいかぬ問題だろうと思います。
○田代富士男君 いま局長おっしゃるとおりじゃないかと思いますが、これもひとつ検討すべき事故の大きな要因です。そこで、東青山駅で停車して、ATSが故障だという事実はあるんですから、これには助役も、同乗の車掌もそれを確認しておるわけなんです。まあそれはやっていただきたい。 そこで私は大槻副社長に言いたいのですけれども、こういう複雑なことがあるから、ブレーキ事故と思いますというような発言は、いま政務次官もおっしゃったとおりに軽々しく言っちゃならぬということを言いたいのです、私は。軽々しく言うべきじゃないんです、こういう事故もあるんですから。まだ原因も解明しなくちゃならない。しかし、あえて言うならば、あなたがブーキ事故であるというようなそういう発言をしていらっしゃるんですから、今後ブレーキ事故の立場で私は尋ねますと、いまATSのいろいろな話をいたしましたけれども、このATSを解除した場合ですね、まあATSを解除した場合には、故障のために制動回路切りかえをやるわけなんです。そして列車が、一一四列車が出るときには制動テストをやらなくては出発できないようになっている。どの列車でも、助役が添乗して制動テストをやらなくちゃならないようになっている。ところが現場でそのような制動テストをやったかやらないか、私はこの点を思うわけなんです。だから、いまさき大槻副社長がコックを閉鎖されていたというようなことを言っていらっしゃった。いま申し上げましたように四両連結ですけれども、そのコックを閉鎖しますと四両それぞれにエアタンクがついております、ブレーキのために。その四両連結のためのエアコックが閉鎖されますと送っていかれない。しかし、送らないけれどもタンクの中にあるエアは残っておるわけなんです、タンクの中にあるエアは。送られないだけのことなんです、コックを締めたから。少なくともタンクの中には幾ぶんかブレーキを作動するだけのエアは残っているはずです。また、いま言うとおりに、そのような制動テストをやって、とまっているときにブレーキがきくかきかないかは確認した上で進むんですから、制動テストをやった上に動いているわけなんです。この点はどうお考えなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私は、おっしゃるように制動テストをしてから出発するのが、これはもう運転士の第一の基本になっているということは承知しております。この場合それをやったかやらたかったかということはわからぬですけれども、やっていたとしたら気がついていたと思わざるを得んです。
○田代富士男君 副社長ね、一般の人が新聞を見ているのと違いますよ。私も事故の原因は追及して、私なりに研究しています。制動テストをやったかやらないか問題です。やっていたらそういう事故が起きておりません。そのとおりです。あなたは専門家ですよ。私はしろうとですが、しろうとの私があなたに言えば釈迦に説法みたいですけれども、列車が動くときにはエアタンクに空気がないときには動けないようになっているんじゃないですか。これはどうなんですか。
○参考人(大槻丈夫君) 私はそういう点についてはしろうとでございまして、もし——先生ね、私は決してちゃらんぽらんの御答弁しているわけじゃないんでございます。ほんとうに知らないところを知らぬと言っているのでございますから、その点は御了解いただきたいと思いますが。
○田代富士男君 じゃ、副社長のその誠実さは認めますけれども、私は一貫してきょう憤っているんです。あなたの一番最初からの質問を通して、あなたは誠実だと言うけれどもまともに答えていないんです。これも常識的ですよ。ちょっと研究していたら、列車が動く場合には制動テストもやるけれども、ブレーキをかけるタンクの中に空気、これがなければ動かそうとしても動きませんよ。ブレーキの故障だといっても、いま言うようにコックを閉じた場合には電動式の四両には流れないかもわかりません。これは締めてしまえば。流れないかしらないけれども、それぞれにタンクがついて空気が入っているんです。また入ってなければ列車は動かない、タンクの中に空気が入ってなかったら。動いたということはタンクの中に空気が入っている証拠じゃないですか。それで、いま副社長は知らないとおっしゃった。にもかかわらず事故が起きたということは、ブレーキの事故、それだけでもあるけれども、考えられない事故がある。ブレーキには電動式ブレーキとエアブレーキとあるでしょう。昔は手動ブレーキです。これは近鉄の車両にはついていない。いまさっき質問がありましたが、ついておりません、この回るやつはついておりません。この電動式、エア式、これは系統が全然違うんです。系統が違うのが一度に二つの系統の電動式ブレーキとエアブレーキが一度に事故を起こしたということは、どうしても考えられない。タンクにもエアが入って出発している、制動テストもやっている。こうした場合に、あなたが軽々しく開口一番、この事件であなたが記者会見で、前後の判断からして、ブレーキの事故であるというようなことを言ったことに対して、これは不謹慎ですよ、軽々しい発言ですよと言ったのはここなんです。いま政務次官からこのことは戒めがありましたから、私はそのことはあえて言いませんけれども、だから御存じなかったならば、少なくともあなたは、開口一番、私は代表権を持つ鉄道部門の最高責任者ですとおっしゃったんだから、このぐらいの問題点に対しましてはやってもらわなければ困る。まして、今回の京都の特急のエア漏れの件ですけれども、このエア漏れというのは、御承知のとおり、バルブの中にごみが入っていたそうです。このバルブの中のごみというのは外部から空気をコンプレッサーで吸収するわけです。そのときにフィルターを取るときにたまたまごみが入る場合がある。そのバルブの中にパッキングがついております。金属製とゴム製があるそうです。そこにごみが入ったためにバルブが締まらない。そういうところでこの京都行特急のタンク漏れが起きているわけなんです。そこで、ごみが入らないように、一年半に一回ぐらいはガソリンでそれは洗います。これは常識です。そのために車検は一年半ごとにやっているでしょう。にもかかわらず、私がお伺いしたいのは、下り特急一一四列車はことしの十月二十二日の、いまさっき言う事故を起こす五日前に、重要部門検査じゃないですよ、全般検査をやっているという。また京都行特急もことしの七月の二十二日に重要部門検査をやっている。にもかかわらずこれだけの事故を起こしている。この点に対して、私は詳しく承知しておりませんと、あなたに聞いても御答弁だと思いますけれども、こういうことに対しまして運輸省としていかがお考えであるのか、また高松局長に、まだ軽々しくこういうことを言ってはなんですけれども、こういうことに対していかがお考えであるか。簡単でけっこうでございますから、お願いいたします。
○政府委員(山口真弘君) ただいま先生御指摘のように、この車につきましては、最近に全般検査をいたしたばかりでございます。先生御指摘のように、車両の検査につきましては、全般検査あるいは重要部検査、さらに一カ月検査、列車検査ということによりまして、非常に車両の安全性ということにつきましては最大限の注意を払い、そして整備が万全になるような形で検査をいたしておるわけでございます。 それでかりに、ただいま先生御指摘のように、車両に関しまして欠陥がもしあった、検査に不手際があったということになれば、これはたいへんなことでございまして、その点は私ども十分に考えなければならぬことだと思います。ただ問題は、車両の検査によりましたか、あるいは取り扱いの不備によりましたかという点等につきまして、まだ実は調査が届いておりません。先ほどもございましたように、列車が発車する前には、当然その列車並びに車両におきますところの制動器等につきまして十分の点検をした上で発車をすべきものでございます。そういった点につきましてのどういう措置がとられたかということにつきまして、十分にまだ検査が済んでおりません。しかしながら、いずれにいたしましても、そういう各般の面につきまして十分な調査をいたしまして、どの部分で事故の原因があったかということを突きとめてまいりたいと考えております。
○政府委員(高松敬治君) 先ほど来お話のありましたATSの問題、それからエアブレーキの問題、その他車両の問題、これらにつきましては、私も非常に重要なポイントだと思います。この点についてのいろいろな残っております機器自身からの解明、それから宮田運転手が、重体ではございますが、ただいま入院をいたしております。昨日きわめて簡単な取り調べですけれども、一応の取り調べもいたしております。これから健康が回復してまいれば、次第にそういう点も明確にできてまいります。これらの点について、私どもも一番これが重要な点だと思いますので、十分に事態の原因究明につとめてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
○田代富士男君 局長、けっこうでございます。お引き取りいただいてけっこうです。 そこで、これはまた別の立場——変わってでございますけれども、これは現場の状況判断でございますが、これも検査がなくちゃわかりませんけれども、一両目はスムーズに本線の方向に走っている、下り一一四列車が。佐藤政務次官も現場においでになったからわかると思います。公明党は、佐藤政務次官がおいでになる前に行っております。事故の当日の夜に、衆議院の沖本、参議院の沢田が行きまして現地対策をやっております。そうして、公明党は津に対策本部を設けまして、特に近畿関係の事故が起きたときに、いまさっきから近鉄は三時間、四時間何をしていたか、そういう連絡はとれないだろうというわけで、公明党独自で住所氏名のわかった人には、公明党の地方議員を通じまして連絡等をいたして、対策を講じました。そのことを政務次官に申し上げておきます。 だから、そのようにして現地調査からもはっきりしておりますが、一両目は本線の方向に走っている、二両目からはポイント付近から脱線して枕木の上を暴走している、ここが問題でございますね。そこで、もう一つは、信号は赤であったということがしきりにいわれている。いま津市の病院、樋口病院に入院している患者さんの証言でございます、この人の証言。津市の樋口病院に入っていた人、また永井病院に入院中の負傷者の人から、「上り大阪行の列車に乗っていたとき、事故直前に、車掌が室内放送で、信号故障でありますから十五分ほどお待ちください」という意味の放送をしている。この信号機の故障と、いま一両はレールの上を走っている、二両目から脱線をしている。まあこういうところに疑いが持たれているわけなんですけれども、この信号機に故障があったかなかったか。この点、まあ副社長に聞いても、わからないとおっしゃるのですけれども、どうでしょうか、とりあえずお尋ねいたします。
○参考人(大槻丈夫君) 聞いておりません。
○田代富士男君 だから、聞いていないとおっしゃるが、そういう肝心なことを、責任者でございますから——だから、私がたびたび言うとおりに、軽々にブレーキ事故であったということは言うちゃならぬということはこのことなんです。私が一つ一つ事例をもってあなたに申し上げますと言ったのは、このことです。御存じないお方に——私は深く突っ込みたいと思いますけれども、これだけの資料がありますけれども、これは突っ込んで聞きません、聞いてもしかたがありません。そこで、一貫して、私は、この問題を通じて、いま政務次官もおっしゃいましたけれども、ATSという機械にたより過ぎてしまった、私はそういう感を深くするわけなんです。だから、そういう点の根本的な問題を解決していただきたい。これだけ資料があります、私、聞こうと思った資料が。これは省略いたします、いま御存じないという人に聞くわけにいきませんから。 そこで、次に、ただいまも話がありましたとおり……。
○委員長(木村睦男君) 田代君、刑事局長に、ちょっと関連して一言質問したいそうですが、どうですか。
○田代富士男君 どうぞ。
○委員長(木村睦男君) 小柳君。
○小柳勇君 刑事局長、帰えられるようですから、ちょっと質問いたしますが、まあエアブレーキの問題は、運転士さんが一番詳しいから、元気を取り戻してから調べていただきたいのですが、榊原温泉口のほうの運転取り扱いには異常がなかったかどうか。あれから列車が出ませんと衝突せぬのですね、その点の取り調べはできているのでしょうか。
○政府委員(高松敬治君) 私のほうでは、ほかにまあいま八十八名ばかり捜査員を入れて乗客、それから通過駅、関係の駅の職員その他についていろいろ事情を聞いております。榊原のほうについても、あるいは東青山のほうについても、いろいろ事情は聞いておると思います。そして、それらを総合いたしましていろいろの判断が生まれてくる、かように考えておる次第でございます。
○小柳勇君 だから、あなたの刑事局長までにそんな調査の報告が出ているはずですけれども、出ておりますか。
○政府委員(高松敬治君) 私のほうにも具体的にいまどことどことやっているというのは出ておりませんが、大体信号の系統、それから駅の通過駅の系統、そこの駅の勤務員、それから入院している患者、それから乗客、それから車掌が一人これは存命、無事で残っておりますが、そういう人たちについていろいろ状況を聞いております、という報告は入っております。
○小柳勇君 その報告は入っているけれども、まだ発表できないので発表できぬのか。もうまる二日たっておりますからね、相当調べは進んでおるはずでして、まあいうならばいま重傷の運転士さんのエアブレーキの取り扱いは、これはやむを得ぬでしょう。あと、たとえば駅の助役が何で運転席に乗ったかとか、あるいは温泉口からなぜ列車を出したか。その列車が出たから垣内信号所の信号が赤になりますね。列車が入ったら両方赤になりますから、赤になりましたのを垣内のほうが強引に出たから衝突したわけです。温泉口のほうの信号所はわかるはずです、信号所と常に連絡をやりますから。で、いま調べは、何名かを拘留なり監禁なりあるいは外部との遮断をして取り調べをやっておりますか。あればそれを説明してください。
○政府委員(高松敬治君) 外部からのあれを遮断していろいろ聞くというわけにはまいりませんので、これはできておりません。いわば参考人でございますから、そういう措置はとるわけにまいりません。できるだけ早い機会に、記憶の薄くならないうちにいろいろの関係の人の話をできるだけとるという方針で進めておるわけです。まあこういう非常に多くの人数が集まって話を聞きますと、その間に矛盾も出てまいります。いろいろ全部が全部同じということにも必ずしもならぬような状態も出てまいりますけれども、それらをいろいろ突き詰めていって、最後に一つの真相が出てくるのだというふうに考えて、手広く捜査を重ねる、こういう方針でやっております。
○小柳勇君 きょうは国会に出て来られたのですから、いままでに報告があったものは発表するつもりで来られたんだろうと思うけれども、答弁が、私が質問をいたしましても、ただ現地のほうで捜査しておりますということだけですから、いま同僚議員が質問しておりましても、これは非常に技術的な問題ですから、両方わかりませんと判断できないわけですね。だから、榊原温泉口のほうは、これはみんな駅の方は元気ですから、それが調べがあっておれば、それをここで言ってもらうと、もっとはっきりするわけですよ。そうでないとこれはわからぬわけですね。
○政府委員(高松敬治君) ある程度具体的な中身のものも、私どものほうには報告が参っております。しかし、これはあくまでも捜査のプロセスのまだ二日、三日という段階の話でございまして、まだいろいろの話が出てまいると思います。それで、その中身を一々こまかく外部に公表することは、私は、これは避けていきたい、というふうに考えております。で、いろいろいままで御指摘のありました点も、そういう意味では私どもには非常に重要なポイントに思われると、かように申し上げておりますのは、私どものいままでまあ三重県警でやっております捜査についても、そういう点については非常に重要なことに考えて、いろいろ関連の捜査をやっている、こういう意味で申し上げたわけでございます。
○小柳勇君 それじゃ最後ですけれども、いまの公明党の議員の質問でも、若干やっぱりしろうとの質問があっているわけですよ、私聞いておりましてね。だから、技術的なものはこれは技術屋でないと答弁できないわけです。したがって、刑事局長、もしできるならもう少しこれは秘密にしてもいいから、これこれわかっておりますと言いますとね、私ども判断できるわけです。だから、そういうものはもしできぬのなら、この委員会やりましても実は時間のむだですよ、そう思えるものですから質問しておるわけです。
○政府委員(高松敬治君) 確かに非常に技術的な問題が多うございまして、そのためにいろいろな国鉄の技官なり、科学警察研究所の技官なりあるいは大学の教授なりをお願いして、問題のポイントがどこにあるかということをいろいろ見ながら捜査を進めていく、あるいはその鑑定を進めていく、こういうことでやっておるわけでございます。本日どこまでわかっておるかということを言えとおっしゃいましても、何ぶんにもまだ日が短いと、やはりいろいろなことが出てくるには、あるいは鑑定の結果というものでそれを裏づけていくためには、かなりの期間を必要とする。全貌が明らかに大体これだということになれば、それは詳細につきましては、また御報告する機会もあろうかと思いますけれども、何ぶんにも今日の段階では、それはちょっとできかねるような状態でございます。
○田代富士男君 いま小柳委員からこちらはしろうとであると。まさしくしろうとでございます。しろうとでございますが、死傷者を代表してやっておりますから、それは私が電車に乗ったわけでもありませんけれども、それなりに調査してやっているわけなんですから、そこでいまさっきからも出ておりましたが、一時間に七往復から八往復で過密ダイヤでないということを、大槻副社長は固執されましたけれども、しかし私は、しろうとと言われましたけれども、この図表も調べるくらいやりました。御承知のとおりに、こちらが伊賀神戸です、大阪寄りの伊賀神戸から東青山駅、問題のところはまん中になっております。榊原温泉口からこちらへきて中川へ行くまでの単線と複線との関係をやっております。この中で驚くことなかれ、トンネルが石橋駅に、こちらの伊賀神戸から宮下トンネル、北山トンネル谷奥トンネル、三軒谷トンネル、青山トンネル、それから滝谷、溝口それから二川、それから問題の総谷トンネル、梶ケ広それから寒谷トンネル、亀谷トンネル、十二のトンネルがあるんです。十二のトンネル。そのトンネルの長さも下に数字が書いてあります。トンネルとトンネルとの間も数字が書いてあります何メートルであるかということを。それから上の数字がその地点を何キロで走っておるか、上が上りで下が下り、そのトンネルを何秒で通過するか、ここまで調べたわけなんです。そうした場合に、一閉塞区間に一車両ということは原則です。その場合に、この事故の起きました総谷トンネル、このときの時点で、どれだけの列車がどの辺にどうなっているのか、これはほんとうは説明してもらうために、私はこれを書いたんです。私の説明よりも副社長に、実はこれはこうこうこうなって、こうなっておりますという説明をしてもらうためにやったんですけれども、ここで説明してくださいと言いません私はもう。さっきから考えて、これは言っては申しわけないと思って私は言いません。しかし、これから考えましても、トンネルで複線になっているのは西青山駅、東青山駅、ここでATSの故障が起きておる東青山駅から。それから垣内信号所、垣内信号所の複線からここへ入る、ここは九十メートルです、九十メートル。ここの事故がいまさっき申しました四十四年の八月、中川の構内で起きた事故も、複線から単線に入る同じ事故が起きていると私が言ったのは、ここなんです。だからこういうわけでこの過密ダイヤであることは、四分に一回ですよ副社長、四分に一回ポイントを切りかえてあぁあと一あくびしていたら、次、列車が入る、上り、下り。一つ間違ったならばどうなるかということです。そして、いま営利主義でない、もうけ主義ではないと言われるけれども、宇治山田からどんどん、どんどん開発して、賢島まで行ってしまったじゃないですか。今度は伊勢神宮の何かがあるということで、それの対策も講じなくちゃならない。先は延びているけれども、根っこは一つですよ。これから十二のトンネルがあって、ここが一番根っこになっていて、どれだけ列車をふやせますか。私が言いたいのは、ATSの事故のためにこの東青山駅のそこにとまりました。この時点で運転士が下におりた。この下におりた時点で、このような四分に一回のすれ違いがなければ、十二分に点検をし、そしてそこで対策が講じられたけれども、もうあと四分後には、五分後にはうしろの列車が来る。さぁ上りが来る、立ち往生できないために、安易にATSの点検を終わってしまったというんです。それは過密ダイヤが原因です。過密ダイヤでなければ、そこに時間的な余裕があるならば、ATSの事故を、根本的とまではいかないけれども、ATSが作動できる範囲内の修理はできていたはずです。この過密ダイヤとATSの補修ができなかった、これに対してあなたはどうお考えでございますか。
○参考人(大槻丈夫君) 先生非常によくお調べになっておって、私それ以上のことはわかりかねますので、私がお答えしても御満足いただけないかと思いますが。
○田代富士男君 私は、いましろうとであると言われたしろうとです。その私に対して、よくお調べになっておりましてそれ以上のことは答えられませんと。これを今回の事故で負傷した人たちがここで聞いていらしたらどう思うか、私はそれを言いたい。今回の事故に関心を持っている国民の皆さんがこれをお聞きになったら、憤るでしょう、おそらく。あなたがお答えにならないと言うならば、もうしかたがありませんよ。だから、事故の起きなかったことは間違いないでしょう、過密ダイヤで組んでなかったならば。私はそう思う。そこで、あなたが、これも新聞に出ておりましたが、当初は複線の計画がなされていたけれども、山岳部のためにここはなかなか複線化ができなかったという、そういうお話を記者会見でなさったと思うんですけれども、いつごろ——まあこれは青写真で終わったと思いますよ、複線計画はなされたんですが。実際にかからなかったけれども複線計画をやったことがある、しかしこれだけの山岳地帯だからできなかったと。いつごろ複線計画をおやりになったんですか。
○参考人(大槻丈夫君) いや、できなかったとは申しておりません。結局、この複線をどういうぐあいにしてやっていくかという問題について、非常に技術的に、山の中でトンネルがたくさんある、川も迫っておるといったようなところでございますから、技術的に非常に問題が多い。だから、たとえば青山トンネルなら青山トンネルをどうするかという場合に、これを全然別のルートで新しくトンネルを掘るか、あるいはそれにくっつけて掘れるものか、そういったようなそれぞれの地域においてそれぞれの問題点を検討をしてきたと、こういうことでございます。それで、むずかしいから中止したというところまでは私は言っておりません。そのずっと引き続いてのあれとしては、先ほども申しましたように、来年は一部やるという計画を持っておるわけでございまして、そして漸次それを推し進めていくという気持ちは持っておるわけでございます。ただ、それを何カ年に詰めてどうやっていくかというあれについては、現在の段階ではまだ計画は持っておらぬと、こういうことを申し上げておるのでございます。
○田代富士男君 一番最初に、輸送にあたっては、そういうもうけ主義じゃなくして、輸送量の増強、安全運転を第一にやっておりますと、そういう発言をおやりになりました。私はそのようにやってもらいたい。しかし、いま言うとおりに、この近鉄の根っこといえばこれですよ。これがガンですよ。こういう個所が全国のおも立った私鉄にあるでしょうか、運輸省、どうでしょうか。
○政府委員(山口真弘君) 全国の複線化がどのくらい進んでいるかという問題とも、結局関連をしてくるだろうと思います。それで、近鉄におきましては、全体といたしまして五五。七%ぐらいの複線化率、大阪線で八三・九%ぐらいの複線化率ということで、非常に複線化自体は進んでおります。国鉄等に比べてはるかに複線化自体は進んでおります。なお、近鉄の大阪線は非常に特急列車が多い区間でございますが、その他の全国の私鉄におきましても、特急の通っておりまする単線区間というのはかなりございます。ただ、大阪線は、おそらく、特急の通る本数といたしましては非常に多い線であろうと思います。
○田代富士男君 これは時間があればもっと私は聞きたいのですが、こういうケースはあまりないと思うのです。これだけ特急を走らせて単線運転で途中走っている、両方が広がってまん中が単線だ。もうけ主義でない、利潤をあげるための目的でありませんと言うならば、どうしてここに複線化をやらないのか。また四十五年の十月に二二%の運賃値上げが行なわれた際には、公約でありました輸送量の増強、安全対策ということが条件とされていた。それならば、安全対策の上から一番先にここに手をつけなくちゃならないはずです。それに対しても複線化の指導が運輸省当局としてもなされてない。こういう点、われわれはおかしいと言うのです、近鉄に対しては。私は言いたいのですよ。宇治山田から賢島までどんどん延ばしていく。上本町から大阪市内の難波まで延ばしている。それだけの資金があるならば、——まだ私はこちらの工事の試算はしておりませんけれども、こちらもある程度は充実できると思う。ここで私は、宇治山田−賢島間はどれだけの費用がかかりましたか、難波までどれだけ費用をかけましたかと聞いてもおわかりにならないと思うのです。だから私が調べた数字を言いますと、宇治山田−賢島間は工事着工日が昭和四十三年の四月の一日、工事完成日が四十五年の二月の十四日、開通日が四十五年の三月の一日、そしてこの線を通すのに、総営業キロ数は三十八・四キロ、このようになっております。このための土地買い入れ金が十八億一千万円、総工費が九十七億二千四百万円、四十五年度のその宇治山田−賢島間の諸経費、人件費が十四億四千百万円、合計いたしますと百二十九億七千五百万円、これだけかかっておる。それから上六−難波間は、工事着工日が四十年十月の九日、工事完成日が四十五年二月の二十三日、開通日が四十五年三月の十五日、これは総キロ数は一・九六キロメートル、これの土地の買収費が九億六千七百万円、総工費が百九十九億一千万円、それから四十五年度の諸経費が二十五億四千五百万円、合計しますと二百三十四億二千二百万円、これを合計しますと三百六十三億九千七百万円。安全運転、営利主義でない、生命を尊厳する立場でやるならばこの宇治山田−賢島間、上六−難波にかかる前に、これだけの資金があるならばここの複線化、あるいはこのような事故を起こさないまでの最低限の設備はできたと思うんですが、この点はどうでございますか、この点お願いします。
○参考人(大槻丈夫君) 難波線でございますね、難波線は私はこれは都市通勤の輸送線と、こういうぐあいに考えておりますが、それでそれができまして御承知のように奈良線の電車は通勤電車全部そこへ入れておるわけでございまして、それに大阪線の特急を何本か入れておるといったことでございまして、本質は都市交通線というふうに思っております。 それからこの区間なんでございますが、実は、先ほども申しましたように非常に山の中でございまして、この所で乗りおりするお客さん、榊原温泉がありますし、それからシーズンには青山のハイキングの問題等がございますが、お客さんの乗りおりというのは、この区間では非常に少ないという区間でありまして、だから列車の回数から見れば特急のほうがずっと多いということにはなっておりますが、特急のお客さんはやはり名古屋−大阪、あるいは大阪−鳥羽といったような長距離のお客さんが中心でございまして、そういった意味で輸送配分がこの山の中が普通のところとは違っておる、目的が違っておるということで、列車回数から見ますと特急の率が多くなっておりますけれども、地方輸送としては一時間に二本程度の列車で大体いけるんじゃないかというふうにいままで考えていたわけでございます。 それから鳥羽・志摩線のほうはですね、鳥羽までは新しいものを引きまして、賢島までは旧線を拡幅いたしましてつくったわけでございますが、これはおっしゃるように観光的色彩が非常に強いと私どもは思っております。しかし、必ずしも観光というと遊びのようでもありますけれども、レクリエーションの問題等もありますし、これが東京から新幹線であそこまで通じて行けるということは、非常に利用者の方々には私たち喜んでいただいているんじゃないかというふうに思っているわけでございます。まん中のところはこれの問題とは多少違った性格で、いままで私のほうが手をつけていない、おっしゃるようにトンネル区間が圧倒的じゃないか、それはできるところを複線化してきたために、ほとんどトンネル区間ばかり残ったということなんでございますが、現在のここの輸送需要から見れば一時間二本程度でまかなえている。普通のお客さんはここでまかなっておれるんじゃないかというふうに思っておりますし、特急の種類によりましては榊原温泉口にとめておるのも多少あるわけでございます。
○田代富士男君 委員長から時間をなんとか短くやるようにとまた制限を受けました。前回も私は時間を余裕をもらいたいと言っておりましたが、まだたくさんあります。しかし、委員長から言われれば、あとへし折ってやりますからもうちょっとだけ時間をもらいたいと思います。できるだけ早くやります。 そこで、いまの答弁も私は不本意です。それだけでも私はもっと突っ込みたいんです。しかし先にいけませんからそれはその程度に保留しておきますけれども、運賃値上げをした際に、いま申しましたとおりに輸送の増強と、あるいは安全対策ということを条件にされておりましたが、近鉄の事故状況を調べてみました。そうしますと、昭和四十三年に全国私鉄の中で第五番目の事故を起こしております、事故件数。それから昭和四十四年度は全国私鉄の中で三番目に位が上がっております。四十五年度になりますとまた三番目になっておる、事故件数。このように事故が非常に高い。内容を調べますと死者の数が昭和四十三年は全国私鉄の中で二番目に鉄道死者。四十四年が二番目、四十五年が三番目、今度は負傷者にあたりましては四十三年が六番目、四十四年が四番目、四十五年が三番目、こういうような非常にいままでの事故率がデータの上に出ているのが高い。これに対して私はここにもたくさんデータ、ここに全部持っておりますが、個々の問題点は多々あります。私は大阪に住んでおりますから、大阪府下のことは一目りょう然よくわかっております。それをきょうたたきつけたいんですけれども時間がない、きょうはそれは削除しますけれども、また近鉄は事故発生率は百万キロ当たり六・六件ぐらいになっておりますが、これはわりと少ない数、百万キロから見れば少ない数かもしれませんけれども、この中にたいへん近鉄はよその私鉄に比べまして事故の要素が多く含まれておるということは、踏切が多いんです。特に第四種踏切が他の私鉄に比べまして圧倒的に多い。これは今回は電車の事故でしたが、将来は自動車衝突、こういうのが起こる可能性が大である、第四種踏切は全国私鉄の中で三番目です、そのように多い。このような問題を、まず既存の線の交通安全の施設を先にして、観光路線なんかあと回しにすべきです。だからもうけ一本主義と言われるのはここにあるわけなんです。こういう第四種の踏切をほって置いて、ここも単線でほって置いて、観光ルートだけ力を入れると、こういうようなことであってはならない。まして値上げの条件のときに保安施設に力を入れますという条件でありました。そのときにあなたのほうの予算をここに、四十六年三月三十一日までのいろいろな資料を持っておりますが、保安施設に対しましてあなたのほうの予算は三・九%しか入れていないんです、近鉄は。ところが東の東武、西の近鉄といわれる東武鉄道は保安施設に対して五・二九%入れている。今度は西鉄でさえも、あのような小さな西鉄でさえも四・二%の保安施設に対して力を入れているんです。これからしましても安全運転という公約を守らずに観光路線だけ延ばしている、もうけ主義だと言われてもこれは言いようがないと思うんですが、どうですか、副社長。
○参考人(大槻丈夫君) 観光路線というお話、それはもうそうおっしゃられれば鳥羽から先のやつはあの辺の観光、レクリエーションが重点になるということは私ども先ほど申し上げましたとおりですが、しかし私は地方交通として役に立っておることは事実であろうと思っております。 それから踏切の関係は先生よくお調べになってありがたいのでありますが、私たちおっしゃるとおり路線キロも非常に長うございますし、へんぴなところを走っているのが非常に長いということで、二千ほどありますうちの四種が半分以上まだ残っております。これにつきましては、四種といってもいろいろでございますが、漸次踏切道の改良の問題、それから踏切の整理統合の問題、これを進めてきておりますが、五十年までには自動車の通る二メートル以上の踏切は全部自動化するという考え方で現在計画を立てて進めております。いままでの私、いまここに資料をそれ持っておりませんけれども、毎年警報機、四種から警報機に上がり、警報機から第一種に上がっていくというための工事は相当数やっております。私のいま承知しておりますところでは、四十年から四十五年までに踏切の関係で三十億投じてきておると思っておりますが、この点先生非常に正確にお調べになっておりますので、どうか知りませんが、私は約その程度ここ六年間に入れておると承知しております。
○田代富士男君 今度で終わります。まだたくさんありますけれども、これはまた運輸省を通じまして注文をいたします。 そこで私は、これは運輸省に対するお願いです。それは監督権限の問題です。一つは、今回の事故の起きましたこの総谷トンネルの場合、事故対策がおそくなった。いま同僚議員の方が質問されました、それは監督権限がばらばらです。地上施設は名古屋陸運局、総谷トンネルの地上施設は。それで車両は大阪陸運局、このように権限が分かれている。これじゃ一貫した指導ができません、セクト主義になる。こういうような私は運輸省の機構上の問題にも盲点があると思うのです。政務次官、これは問題ですぞ。これはただ単に権限の云々と、そう言いますけれども、これは大きな問題です。 それから私鉄ダイヤの改正は、こういう過密ダイヤといわれるのは、許可は陸運局でやる。こういう事故を起こさないというならば、陸運局でもっとこれは検討し、現在のダイヤも、ある一定期間でも、近鉄の今後の体制を見るためにも、とりあえず、現在の特急ダイヤは半分に減らすとか、そういう思い切った措置を講じて、国民大衆の皆さんたちのために私は進ましていくべきだと思うのです。これは第二点です。 それから第三点には、先週運輸白書が出されました。これにはマイカー利用を電車やバスに切りかえるよう強調されている。そうした場合に、こういう私鉄だとか国鉄は、公共機関の責任が非常に大きい。しかしこういう事故を起こした場合には、運輸省の指導しているやり方というものはまだ反対、この点どう思うか。だから、私は二番目に言った特急ダイヤはとりあえず二分の一ぐらいに減らしなさいということをあえて進言したい。ぜひ実施してもらいたい。 それから四番目には、私はいま近鉄の大槻副社長に対してるる言いました。これは憎くて言っているのじゃない。負傷者を代表して、国民を代表して言っているのですから。私も近鉄が発展することを望んでおります。このトンネルのことに対してきょうはあまり思い切ったことを大槻副社長もおっしゃらなかったと思いますが、特にこの青山トンネルです。青山トンネルは三千四百七十メートルある。このトンネルを掘るときには、まだおそらくいまの近鉄は参宮急行電鉄というころの時代じゃないかと思うのです。大軌の時代の終わりじゃないかと思うのですが、そのときに、青山トンネルを掘ったときに請負業者に請け負いをさせた。しかし、その請負業者が手を上げてしまった。なぜかというと、岩盤が固過ぎる。同じ近鉄の中でも生駒トンネルがある。生駒トンネルの岩盤はこれはやわらかい、工事がしやすい。しかしこのトンネルは岩盤が固過ぎて請負業者が投げ出してしまった。そのために、千葉の鉄道隊が入りまして、このトンネルをつくったということを私は調べました。そういうわけで、堅固なそういうトンネルです。そういうようなトンネルであるから、これは近鉄一社に持たすということは、私はどうかと思う。また伊勢湾台風が来たときに、あの名古屋線は全面的に被害を受けた。そのときに近鉄は何とか政府に対して補助をしてもらいたいという申し出をしたと聞きます。しかし、政府は冷たくも何らの対策を講じてくれなかったという。こういう運輸省自身の体制ということも、私はこれを考えて、これを近鉄だけではとうていできぬと思う。だから人命尊重の上から、今回の事故をほんとうに安全ならしめるためには、近鉄に対して、運輸省としましても格段のそういう対策を講じてもらいたい。これは私の四番目です。 だから、あまり時間が超過しますと、委員長からまたお話がありますから、あとまだたくさん、質問すること一ぱいありますけれども、これは次回にまた呼ぶというわけにもいかないでしょうか……。 そこで、五カ年計画をしてらっしゃると思いますが、私はここに大阪府下、奈良、近畿から出てきましたここがどうだといういろんな資料がありますが、五カ年計画に南大阪線のここをどうする、富田林の向こうをどうするとか、奈良線をどうするとか、あなたのほうの具体的計画を持っていらっしゃると思いますが、そういう五カ年計画の具体的な計画、高架にするとか、駅をどうするとか、踏切をどうするとか、それをひとつ資料を提出してもらいたいのです。あときょう質問できないから、その資料もらいたいと思います。どうでしょうか、具体的なその資料もらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
○参考人(大槻丈夫君) それはまだ詰まったものがまとまっておりませんのです。一応のあれはできておりますけれども、まだ、もっと内容を詰めて検討しなきゃならぬ点が非常に多いのであります。
○田代富士男君 それは、現時点において何にもないかというのです。現時点において立てているものを早急に出してください。現時点で立てたもの、計画をしているもの、近鉄本社内で計画してらっしゃる具体的な、踏切をどうするとか、車両はどのくらいふやすとか、いろいろ計画を持っていらっしゃるでしょう。それを出してください、よろしいですね。その資料も出せませんか。
○参考人(大槻丈夫君) わかりました。
○政府委員(佐藤孝行君) いま、最後の四点の御指摘の点ですが、たいへん参考になる点ばかりでございます。したがいまして、今後の運輸行政の中にぜひ反映さしていきたいと思っております。
○田渕哲也君 すでに時間も経過しておりますし、かなりの多くの点で質問もされておりますので、重複を避けまして、二、三点について簡潔にお尋ねをしたいと思いますので、ポイントを突いた御答弁をいただきたいと思います。 初めに、単線の問題が先ほどから問題になっておるわけですけれども、単線だからいけないということは一がいに言えないかもわかりません。単線であっても、安全性が一〇〇形あれば、資本効率の面でそのほうがすぐれておることは事実である。しかし、近鉄の場合、やはり過密であるということは間違いがないと思うのですね。これは民間の私鉄の場合のほかのところと比べて見ますと、必ずしも同じ条件とは言えないと思いますけれども、単線区間のある路線だけを選んで見ますと、近鉄の大阪線は一時間ピークで往復で十六本、鳥羽線は一時間に十二本、ほかの会社を調べて見ますと、小田急の御殿場へ行くやつだと思いますけれども、これは一時間に十二本、これが最高でして、東武日光線が一時間当たり十一本、名鉄の常滑線が八本、河和線が九本、南海は七本、西武は六本というふうに下回っているわけです。だから、おたくの場合の十六本というのは、やっぱり非常に多い、最高であるということは事実だと思うのですね。だから、過密ではないということは当たらないのじゃないか。ただ近鉄の場合は、ATSの装備率も非常に高い。八〇%強がATS装備区間となっていると聞いておりますけれども、こういう安全装置面を強化することによって、ある程度過密ダイヤをこなしてきたというのが現状ではないかと思います。 私は、それでも安全性が一〇〇%なければいけないとは言えないと思いますけれども、ただ、今回現実に事故が起こっているわけですから、だから副社長も先ほどから、安全性の面では問題がないということを言い張っておられますけれども、今度の事故で、やっぱり一つの反省点としてとらえていただきたいと思うのです。やっぱり事故というものは、多くの原因が重なり合って事故の被害の様態というものはできるわけですから、今度の原因を調べて見なければわかりませんけれども、たとえブレーキの故障にしても、それが単線であることによって、より事故が大きくなっている、複線であるならば起こらなかったかもわからない、こういういろいろな要因が重なってきておると思います。だから、単線か複線かという問題、それから安全装置の問題、あるいは運転士のミスがあるかないかという問題、こういう総合的な面で安全性というものを判断しなければならないわけですね。だからATSがあるから少々過密でもだいじょうぶだというのは、非常に一方的な見方ではないか、そのATS自体が現に故障しておるわけですから。そういう面でこの単線や複線の問題考え直していただきたいと思います。その点何度もとらえられておりますけれども、一応この辺で区切りたいと思います。
○参考人(大槻丈夫君) 私のほうでも先ほども申しましたように、全然計画はなかったわけじゃなくって、年次計画に載せるような正確なものを確定したと申しますか、かちっとしたものはいまのところでは持っておらぬと申し上げたわけでございまして、先ほど政務次官のお話もございましたようですから、十分運輸省の御指導を受けまして、私たちも前向きに検討していきたいと、かように考えます。
○田渕哲也君 それから次に補償の問題でもう少し具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど遺族の方の気の済むような補償をするとおっしゃいましたけれども、いままでの近鉄の死亡事故の場合、一番最近の場合どれぐらいの金額が出されておりますか。
○参考人(大槻丈夫君) ちょっとここで資料は持っておりませんですが、しかしこれは時期もだいぶんたっておる例が多いですから、そういう例にとらわれることなく、むしろ最近の航空機関係の事故等がございましたですね。そういった点を参考にいたしまして検討していきたい、かように考えております。
○田渕哲也君 従来から航空機関係と鉄道関係の補償額に若干差があったように思うんです。これは私の記憶も確かでないかもわかりません。それから鉄道関係の詳細なデータがなかなかとれませんので、はっきりとは申し上げられませんけれども、一般には航空機関係は鉄道よりも非常に高かった。しかし、私はこれは差があること自体おかしいと思うんです。航空機関係では「ばんだい」号が一番最近の、補償額が具体的に出てきておるものでは新しいわけですけれども、一人平均一千八十七万、まだ決定には至っておりませんけれども、こういう額が提示されております。ということはこういうものに比べても遜色がないというものを、ある程度補償するということを考えておられますか。
○参考人(大槻丈夫君) これはまだ私のほうで具体的な検討に入っておりませんので、そういったいろいろの例をいま集めて検討さしておるところでございますので、これはもうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
○田渕哲也君 終わります。
○委員長(木村睦男君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。 参考人には御苦労さまでした。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十三分散会