法務委員会 第6号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/12/08
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますから、これを許します。畑和君。
○畑委員 いろいろ新聞などにも出ておりますけれども、例のゲバ学生が盛んに使っております火炎びん、この取り締まり、その使用についての処罰をやろうといったようなことが最近新聞に出ております。これを何とかしなくちゃならぬというようなことにつきましては、私たちにおきましても考え方は同じでありますけれども、ただ、形の問題で少しわからない。 そこで、私はきょうお尋ねいたすのですが、最近火炎びんで警官が焼き殺されたり、あるいはさらに最後には、例の松本楼がこの火炎びんによって放火されたり、こういった事件が頻発をいたしました。特に今度の沖繩返還協定をめぐる大衆運動で、学生たちのゲバルト作戦で使われた、あるいはその前に成田で使われた、こういったことでございまして、そうした背景の上に立ってこの立法化の必要が言われ出したと思うのであります。 この点は、そもそも番最初には閣議で問題になって、警察関係の責任者であります国家公安委員長が閣議でそういった発言をして立法化の必要を説いて、これは立法をするというような談話が出たと思います。それから、そのあとまた法務大臣も同じような談話を発表したのではなかったかと思うのでありますが、そこで、私は当然警察関係なりあるいは法務省なりから、取り締まりの法律案あるいは処罰の法律案等が出るのではないか、こう思っておったのでありますが、そのうちまた新聞の報道によると議員立法でやりたい、そういうことが流されておるわけです。またそういう呼びかけも、現に自由民主党のほうからわれわれのほうにも来ておるわけなんでありますけれども、この問題についてひとつお伺いしたい。その経過は、大体私が申し上げましたような経過でよろしいのでございますか。一番そもそもは閣議で問題になって、政府でこれを立法しようということで出発をして、それで警察あるいは法務当局等でそのたたき台なるものをつくった。それで、それを最後に立法化するというような段階になって、これは議員立法のほうがよろしいということで、自由民主党のほうと政府のほうとで話をしたかどうか知らぬけれども、そういう形になってきたというふうに考えられるのですけれども、この点どうでしょうか。大臣がおられませんので、政務次官にその辺をまず最初にお聞きしたい。あとこまかい点は、刑事局長からも補足してさらにそれについて説明してもらってもよろしゅうございますが、ひとつまず政務次官から、その辺の事情をお伺いいたしたい。
○村山政府委員 私が承知している限りでは、当初これは閣議で問題になりまして、その必要性が問題にされたそうでございますが、その後それを受けて政府のほうで、特に政府提案として検討したということはございませんで、党のほうから、こういう情勢であるから何らかの措置をやはり必要とするが、ついては法務省のほうの意見も聞かしてくれ、こういうことがございまして、若干の意見を申し上げて、それがだんだん自民党のほうといたしまして、できれば議員立法というようなことで各党のほうに呼びかけておられるのではないか、かように了承しているわけでございます。
○畑委員 それは話は逆なんじゃないですか。やはりあくまで、最初に自民党の中にそういった立法が必要だというような、それは話はあったかもしれませんけれども、現に自民党の法務部会あたりでも、まだ問題になっていないようなふうに聞いている。どうも上から上からと来ているような感じがする。最初はそもそも、やはり新聞の報道するように閣議で問題になって、そこで警察関係の責任者の国家公安委員長がこれは立法する、こうやったわけです。それでいろいろ調べてみると、たたき台をつくってみると、これはどうも取り締まりのほうの警察のほうよりも、やはり処罰に関する法律だということになって、そこでやはり一番の責任者というか、もとはやはり法務省関係だということになった。ところで、政府提案として法務省が責任をとってそういった法案を提出するということになると、もう会期末でもあるし、今度の国会には間に合いそうもない。しかし、これはだれしも反対する者は、ほかの野党でもおそらく反対できまい。したがって呼びかけをすれば、議員立法でさっさと上がってしまう、こういう発想で、そういう経過で、私は、自民党の小坂政調会長がひとつ議員立法で、こういうふうなことになったというふうに聞いてもおるし、またそういうことじゃなかろうかと思うのです。いまの政務次官の話は少し逆じゃないかと思うのですが、いかがですか。もし政務次官詳しくわからなければ、刑事局長はいろいろその辺きっと関係しておられると思うから、刑事局長でもよろしいと思います。
○辻政府委員 ただいまお尋ねの経過でございますが、これは先ほど政務次官が御答弁なさいましたと同じでございまして、法務省の事務当局といたしましては、火炎びんに関する立法を自由民主党において検討されることになったから、法務省としてもその所掌事務に関して意見を述べるという形で将来進むであろうから、法務省事務当局としても十分その立場で考え方をまとめておくようにということであったわけでございます。
○畑委員 そういうことだということならば、これ以上いろいろ追及してもしかたがないんですが、ただ私は、形はどうもそういう形のようだ。 そこで、この法案のまたその案というか、法務省とそれから警察当局のほうで考えたいわゆるたたき台、これをわれわれも実は刑事局のほうから、その案の案というものをもらって私も拝見をいたしたわけです。まだ拝見したばかりで、いろいろの面等もまだしさいに検討する段階まで来ておりませんけれども、ほかの委員の方もおられますから、大体あなたのほうの考えておられる、私の手元にもいただきましたけれども、それをここでひとつ、概略でけっこうですから申し上げてみてください。
○辻政府委員 私どもが、法務省の立場といいますか、あるいは政府の立場において自由民主党に意見を申し述べるということで、いろいろ検討いたしたわけでございます。その際に警察庁のほうとも、政府部内として意見を固める上におきまして十分相談もいたしたわけでございます。その結果火炎びんに関する立法は、結局政府としての意見は処罰法になるということになりましたので、主として法務省としての意見をまとめたわけでございます。そのまとまりました意見を、自由民主党に申し上げたわけでございます。 これにつきましては、まず火炎びんの定義規定を設ける。そして処罰の態様といたしましては、火炎びんの使用事犯をまず処罰の対象にする。火炎びんの使用は、火炎びんを使用して人の生命、身体または財産に危険を生ぜしめた場合に、これを一つの犯罪としようという考えでございます。これは火炎びん使用と、生命、身体、財産に対する具体的危険が発生した場合、これが一つの使用事犯の態様でございます。そういたしまして、この使用事犯に対しては、その未遂罪を処罰する必要があろうというふうに考えたわけでございます。 それから、処罰類型の第二番目は、火炎びんを製造した者も、これは犯罪として処罰する必要があろうと考えたわけでございます。さらに火炎びんを所持した者も、これも犯罪として一つの処罰の対象にならなければならないと考えたわけでございます。 さらに、これが最後でございますが、火炎びんの所持に関連いたしまして、いろいろ具体的な事案を見てまいりますと、火炎びんを使います場合に、その直前までは火炎ぴんとしては完成しておらずに、いわばある者が火炎びんのガソリンが入ったびんを所持しておる、他の者がそれに対する着火装置に使う塩素酸カリなら塩素酸カリを浸しましたテープを別に持っておる、そうしまして騒ぎの現場で、投げる直前にこの二人がいわば落ち合いまして、塩素酸カリをびんに巻き、そして火炎びんというものを完成して、直ちに火炎びんを投げる、火炎びんを使用するという形の事犯が少なからずあるものでございますから、単に火炎びんの所持とかあるいは火炎びんの使用という者だけを処罰の対象としては、なお現実の要請にはこたえることができないのじゃなかろうかという観点から、火炎びん所持の一つの変形といいますか、火炎びんになる直前のガソリンその他引火性物質をびんに入れて持っておる、容器に入れて持っておるというような形態、これを主として頭に入れまして、結局のところは、火炎びんの製造の用に供する目的で容器に入れたガソリンその他引火性物質を持っておる、こういう状態も二つの処罰の対象にする必要があるのじゃなかろうかということで考えてまいりまして、結局、火炎びんの製造の用に供する目的でガラスびんその他の容器にガソリンその他の引火性物質を入れたものを所持しておる、こういうことも一つの犯罪として処罰の対象にする必要があろうというふうに考えたわけでございます。 結局、処罰の対象といたしましたのは、火炎びんの使用、火炎びんの使用未遂、火炎びんの製造、火炎びんの所持、それといま申しました形の火炎びんの製造の用に供する目的で容器に入れた引火性物質を持っておる、こういう者、これを処罰の対象として必要だろうということで意見をまとめた次第でございます。
○畑委員 いまの説明を聞いておりますと、なかなか苦心をしたあとは見えると思います。何とか火炎びんの使用を取り締まるための罰則をつくりたいということで、相当広範に、たいてい入るような、要するにそういった火炎びんの製造の目的に供するものを広範に取り入れて、製造までに至らぬまでも、その材料、原料としてのものの所持、運搬といったものまでも捕捉しよう、こういうことなんです。これは「火炎ビンの製造の用に供する目的で、」こういうことで締めてあるからいいようなものの、この辺も実際の運用にあたってはなかなか問題だと思う。そういった目的で、「引火しやすい物質を入れた物を所持した者も、前項と同様とする。」こういうことになっている以上は、その辺も相当広範な取り締まり対象となるわけだと思います。 そこで、やはりよほどその辺には慎重を期さないと、これは処罰法規でありますから、取り締まり法規、規制法規じゃない、処罰法規だから、いろいろな場合を想定して、相当慎重に立法する必要があろうと私は思うのです。ちょっとここで見せていただいただけでは、われわれもすぐには判定はできない。しかし、基本的にはわれわれも反対するべきものではないと思います。思いますけれども、そうした影響するところが非常に大きいし、やはり慎重を期さなければならぬと思っておるわけです。たまたまこの間以来火炎びんをいろいろ使った犯罪があちこちで行なわれた。最後にはああした放火事件まである。こういうようなことで急にこの立法の必要性がうたわれてきたと思うので、それだけにわれわれ立法関係に携わっておる者は、慎重を期さなければならぬと思っておるのです。 ところで、沖繩国会ももうそろそろ終わりの時期なんです。そこで、先ほども私、申しましたけれども、この前の例のハイジャックの問題のときも、あれも非常に緊急性があるということで急に単独立法でやられたわけです。しかし、あのときは議員立法じゃなくて、政府提案で法務省が担当してやられた法律だったと思いますが、法務省で出す以上は法制審議会等の議にかけなければならぬ。議員立法の場合はその必要もないというような慣例になっておる。そうすると、いまでも各与野党が合意をすればすっと通ってしまう。それは形の上ではそうなります。なりますだけに、私たちはそれに非常に責任を感じなければならぬというようなことで、実は私たちも慎重なんです。この間のハイジャックの問題のときにも、法制審議会を緊急であるということで一日でひょいとやった例もある。普通の場合ですと相当時間がかかるんでしょうけれども、この間のハイジャックの場合、法制審議会では特別にそれのために招集をして、そうしてきめてもらったというようないきさつもあると思う。したがって私は、こういう処罰立法でもあるし、相当広範なものを含んでおるししますから、これはやはり法務省で正規の手続で、あくまで責任をもって、それでわれわれに対して提案をしてくるということが望ましいんじゃないか、こういうふうに思っております。どうもその辺に、ともかく早く成立させようといったような、最近のそうした騒ぎの背景があるわけでありますからそういうことだろうとは思いますが、その辺議員提案ということについては、われわれもちょっと考えざるを得ないというような考え方であります。もっとも私のほうでもまだ法務部会を正式に開いておりません。きょう法務部会を開いて態度をきめようと思っておりますけれども、大体私の考え方は、そうした点でやはりこの点は正式に法務省のほうで責任をもって提案をされて、われわれはそれをこまかい点までいろいろ考えて審議をするということが望ましいと思います。学生たちの動きも、一応最近の闘争ではもう山だと思っております。またいずれやるには違いないと思いますけれども、学内の授業料値上げその他の問題のほうに方向転換をし、戦術的に戦術転換をして、だいぶたくさん逮捕されたあとの体制立て直しというふうに向かいつつある。どうも最近、その後事件が起きておりませんから、そういうような感じもするので、その辺等も少しにらみ合わせてもう少し慎重を期して、責任ある法務省としての提案、政府としての提案でやってきてもらうのが一番いいんじゃないかと思いますが、その辺はどうお考えになりますか、それを最後にお伺いしたい。
○辻政府委員 ただいまの御質問に関連いたしまして、法制審議会の問題があるようでございますから、ちょっとお答えさしていただきたいと思うのでございます。 いわゆるハイジャック法案の立案の際は、ただいま御指摘のように、ハイジャックがたしか四十五年、昨年の三月三十一日に事件が起きたと記憶いたしておりますが、それから急遽立案に当たったわけでございますが、その際の法制審議会との関係でございます。これは御承知のように、もちろん法制審議会に付議したわけでございますが、その場合にも法制審議会は総会を二回と刑事法部会一回、大急ぎで御審議を願いましてもやはり法制審議会で三回審議をしていただいておるわけでございまして、こういう立法の場合に法制審議会は、通例は最初法務大臣から法制審議会のいわゆる総会に諮問いたします。そういたしますと、総会で御検討になってそれぞれの部会、刑事法であれば刑事法部会にこれをおろされるわけでございます。そうして刑事法部会で十分審議をして、そのあとさらにこれを総会に上げてくるという手続になりますので、ハイジャック法案の場合は最も急いでいただいたわけでございますが、それでも総会二回と部会一回という手続が必要であったわけでございますし、現にさようにしていただいたわけでございます。その点、ちょっと御質問に関連してお答えさせていただくわけでございます。
○村山政府委員 最近、沖繩国会のさなかに過激派学生による火炎びんの使用、これが社会的に非常な動揺を与えておることは御高承のとおりでございます。ひとりその危害だけでなくて、そういうことが放置されるということ自体が、私は今日の日本国民の心理的な影響、こういったものは決して軽視すべきでなく、緊急の立法が要請されるゆえんであろうと思うのでございます。 法案の提出権につきましては、御案内のように国会議員、政府ともに持っているわけでございます。問題は、その内容をこの国会においていかに慎重に審議していただいて、衆知をしぼってりっぱな当面の要請にこたえ得る法制ができるかという点に要点があると存ずるのでございまして、われわれ党のほうからこの相談を受けましたときに、法務省といたしましても十分検討いたしまして御意見を申し上げてあるわけでございます。先生のような考え方ももちろんあるかと思いますが、国会でこれだけの専門家がおられ、また大ぜいの広範な見識を持っておられる方が慎重に検討していただければ、必ずやりっぱなものができるのではなかろうか、かように期待しておるわけでございます。
○畑委員 そうすると、もしわれわれ各与野党間の話し合いができないということに今国会でなりますと仮定した場合に、政府は政府の責任でこれを提案する考えがございますか。それを承りたい。
○村山政府委員 まだそういうことを考えておりませんで、何とか合意が得られるのではないかということで、われわれも及ばずながら法務省の立場から御意見を申し上げたい、こういうことでございます。
○松澤委員長 関連して、沖本泰幸君。
○沖本委員 関連で、少しお伺いしたいと思います。 畑先生がお述べになりましたとおり、もちろん私たちも現代のこういうような火炎びんの事件に関しましては、ぜひとも厳重に取り締まっていただきたい、こういうふうなことに考えているわけですけれども、それに関しまして、いまもお話ございましたけれども、引火しやすいものを所持するという点になるわけですが、これは法律ですから、短い文章でできてくると思うのです。その場合に、たとえて言うなら、ガソリンスタンドからエンジンの部品を洗うためにガソリンを買ってきても、これは爆発物、引火物を持って歩くことになると思うのです。そういうものも全部、持っている人の説明によっていろいろ変わってくると思いますし、状況によってもいろいろ変わってくると思うのですね。そういう点が私たち、刑事局長さんがお述べになりました製造の用に供する目的で、そういうふうな容器に入れたものあるいは内容物を持っているという点の目安を、どういう形でどんなものにするとか、あるいは数種類のものをばらばらに持っておって、つなぎ合わせたらそういう形になっていくとか、大きな石油かんで持っておって、これは車の燃料だという説明にもいろいろなると思いますし、そういうところで、私たちも、どういう形で処罰対象あるいは取り締まり対象にしていかれるのか、非常に疑問を持っているわけです。 そこで、これは警察庁のほうにもお伺いしてみたいわけですけれども、現在取り締まりの対象としてどういうところに目安を置いておやりになっていらっしゃるのか。どういうケースのものをそういうものとして見ていらっしゃるわけか。あるいは一番問題になる、罰則がない点になるわけですけれども、どの辺がやはり盲点になってひっかかってくるのか、その点を少し聞かしていただきたいと思うわけです。
○高松政府委員 ちょっと私いま資料を持ってきておりませんので、明確には申し上げられませんが、考え方といたしましては、たとえば爆発物については、爆発物取締罰則がある。銃砲については、銃砲の所持についての非常に厳重な法律がある。ところが火炎びん自身については、全くそれを規制する法律がない。しかも、火炎びん自体というものはほかに全く使い道のないものである。ただそういう犯行をやるためにしか、使うためのものしか考えられないものである。そういうものについて、規制が何らないというところに一つの問題点があろうと思います。 御承知のように、火炎びんも、ガソリンをびんに入れて、しんをつけてそれに火をつけて投げるというような、いわば非常に原始的な火炎びんから、現在では非常にいろいろな薬品を使い、いろいろな化学反応を起こすものを一緒にして瞬間的に爆発するというふうな非常に危険な状態のものまで、幾種類も出ておるような状況です。これについての被害も、警察官の被害もございますし、民間の自動車を焼かれたりあるいは家を焼かれたりというようないろいろ被害も出てきておる。そういうことから、私どもとしても、やはりこれについての処罰法規がほしいということを、かねがね考えてまいっておったわけでございます。 目安と、こういうお話でございますが、実際に使った最近のいままでの事例とかというものは、一応資料はつくっておるのでございますけれども、きょうはそのお話が出るように聞いていなかったものですから持ってまいりませんでしたが、またおりを見て御説明申し上げる機会もあるかと思います。 そういうことで、一つは使った場合の処罰、それからもう一つはやはり使う前の製造、所持を何とか処罰しなければいけない。兇器準備集合罪というような形で現在やっておりますが、端的に言えば、たとえば一人で持って歩いているときはとてもちょっと適用はない、軽犯罪法にもなるかならないかという情勢、それから先ほども御説明がありましたようないわゆるドッキングをやる、そういうものについて、それを製造の目的で所持してと、あの案の表現それ自体にはいろいろ検討を要する余地があろうと思いますけれども、私は少なくとも半製品でも、あと薬を入れてドッキングをやればすぐ使えるというものについては、そういう目的のある以上は、やはりそこでそれを押えることができるというふうな状態にならなければ、実効があがらないのではなかろうか、かように考えております。
○沖本委員 これは刑事局長にお伺いしたいわけですが、いま御説明があったようなわけですけれども、結局現実の具体的なそういう事例、あるいはこれからまだまだ予想されそうないろいろな新しい爆発物、火炎びん的なものになるのか爆発物になるのかわからないようなもの、そういうものも出てくるのじゃないかということも考えられるわけですね。そういうことを基本にして考えてみますと、畑先生もお触れになったように、非常に範囲が広くなってくるということになりますから、ただこれとこれとこれはいかぬとか、そういうふうなものになるのか、あるいはこういう形のものとかという法律そのものよりも、それに付随するいろいろな考え方、説明、これは該当するとか、こういうものはそういうふうな形でやっていかなければならないとか、こうなってきますと、及ぶ範囲内というところが広がっていくと、全然関係のない人まで今度は巻き込まれてくる、こういう点を私たち非常におそれるわけです。結局もろ刃の剣になってしまうおそれがあるのではないか。現在非常な緊急事態、こういう現実に即して急いで法律をつくらなければならないという立場に立ちながら、法律ができた場合には、広範囲なところまでそれが及んでいって、かえってそのために人権を侵害してしまうことになるおそれがある、こういうふうに非常におそれるわけなんです。 ですから、これから法律を——大体その原案をおまとめになっていらっしゃるわけですし、それを出す時期、出す方法、こういうことでいま政務次官と畑先生とのいろいろな質疑のやりとりがあったわけですけれども、そういう内容について、法律が出される段階においては、完全にいろいろな形で内容が解明されてそれが適用されていく、こういう形でなければならないと私たちは考えるわけですけれども、その点についていかがですか。
○辻政府委員 ただいま御指摘のとおりであろうと私どもも考えておるわけでございます。 問題は、私どもが自由民主党に提出いたしました私どもの考えのうち、いわゆるドッキングの場合を典型的な事例として考えました。半製品といいますか、容器に油を入れて持っておるこの状態が一番問題になろうと思うのでございますけれども、私どもがこの半製品の所持を考えましたのは、結局火炎びんの製造未遂というものを処罰の対象にするかどうかというところからくるわけでございます。 ところで、先ほど申し上げましたように、製造未遂ということについては、これは犯罪にするのは広きに失するということで、この点については処罰の対象にする考えはないわけでございます。そこで、製造未遂のうちの一番あぶないといいますか、現在具体的事例から見ても処罰の価値のあるという一形態だけを考えてまいりますと、結局ドッキングの場合の、しかも容器に引火性の油を入れておるほうのものを持っておるほうだけ、片や着火剤のほうを持っておるほうは、これは物の本体でないわけですから、それ自体としては危険性がまだ乏しいということで、こちらのほうも処罰の対象にするのはやや広きに失するのではないかという考えで、それも考え方からは落としてまいったわけでございます。そういたしまして、最後に残りましたのが、先ほど来申し上げておりますドッキングの場合の主たる材料のほうを持っているほう、これを処罰の対象にする必要があるのではなかろうかということでございます。 そういたしますと、ただいま御指摘のように、非常にこれは文章を読めば広いじゃないかという御不安が出てくるだろうと思うのでございます。これは火炎びんの製造の用に供する目的でということで、目的で押えておるわけでございますが、この目的というものだけで押え切れるかという問題になるわけでございます。 ところで、実際の実務におきましては、こういうふうになりますと、製造の用に供する目的でということは、客観的な資料その他で立証しなければならないわけでございまして、単にガソリンを運んでおるというような者は、とうていこの対象にならないことは明らかでございます。さらばといって、火炎びんに使われる直前のやつだけということだけでいいのかどうかという点につきましては、これは多少また問題があるわけでございまして、私どもも、先般の成田における火炎びんの使用事犯におきましては、露骨に火炎びんの製造をするためにガソリンなんかを容器で運搬しておられるというようなケースもあったように聞いておるわけでございます。その辺の限界が非常にむずかしいわけでございますけれども、そういう点を重々考えまして、結局、先ほど説明いたしましたような考えをまとめて自由民主党に提出したということでございます。
○沖本委員 もう一点だけお伺いしておきます。 きのうのテレビを見ておりますと、アイルランドのIRAというか、NHKでやっておりましたが、テロ行為をいろいろやって、初めは宗教対立のような形をとっておったけれども、政府と軍隊とが相手だ、そうして建物を爆破したりあるいは人心を撹乱して、政府を話し合いの座に引っぱり出してくるということが説明されておりましたけれども、日本で起きておる場合も同じように、無事の平和な住民の方に危害を及ぼして、そして不安をかき立てて問題が起きてくる、こういうことになりかねないということにもなるわけです。そういうところから、そういう点も対象になってくるということになりますから、相当広範囲になってくるという点と、考えられるところは、何かあったときに、何もかも網で魚をとるように集めておいて、調べてみて、それで当てはめてみて、これは違っていたからよろしい、裁判の結果でどうこうということになりますと、これまた大きな問題になってくる、こう考えられますので、その辺の点の、法律をおつくりになる立場で問題をとらえるこの法律に関してのお考え方というものはどういう点にあるのか、そういう点について、現実に取り締まっていらっしゃる警察当局と、あるいはそれと関連しておやりになる検察庁あるいはその上の法務省と、こういう点の連携を十分とられて、あるいはまたそういうことについて、詳しい方のいろいろな参考的な意見も求めて準備なさっているのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○辻政府委員 ただいまも御指摘のとおり、かりにこういう法律ができました場合に、これが広く対象になるということは非常に警戒をいたしておるわけでございます。私どもも、不必要なものには絶対これは適用されてはいけないということで、しぼりにしぼって考えたわけなんでございまして、それでもなお御指摘のような御不安があろうかと思いますけれども、私どもは、提出いたしました案も、半製品につきましては、これだけで一応のしぼりはかかっておるというふうに考えておるわけでございます。
○畑委員 火炎びんの問題はそれだけにいたしまして、次に、質問通告しておきました留置規則の改正の問題であります。 従来の被疑者留置規則ですか、それを今度十月二十八日ですか、留置規則の一部を改正して、留置人に対して、防声具、鎮静衣など戒具の使用と、それから食料差し入れの制限をつけた。これに伴って、同日警察庁長官の名前で、留置場において使用する戒具の制式及び使用手続に関する訓令を発しておりますね。この問題については、もうすでに十一月十日かに衆議院の内閣委員会で、わが党の横路君が相当こまかく質問をしておるのですけれども、当法務委員会ではまだ問題になっておりません。 ところで、これは十二月一日からもうすでに効力を発生して動き出しておるわけだと思います。その件に関しまして、弁護士会等でもいろいろこれに対する反対の動きが出ております。現に私の手元にも、ほかの委員の方にも来ておると思いますが、近畿弁護士会連合会で大会を開いた際に、この改正について反対の決議がなされまして、私たちのほうにも、本決議の実現について善処方を要望して文書が来ております。そこで、ここで問題を取り上げるわけです。 私は、この時期になって留置規則を改正することによって、いままで「手錠、捕じよう等」ということになっておったのを改正をして、そのほかに防声具、鎮静衣、この二つをはっきり加えたということです。しかも、これと同じような戒具というものは、いまの刑務所でも使っておる。これは監獄法に規定があって、さらにそれを政令に委任しておりますね。それで法務大臣が、そうした戒具についてのこまかい規定を設けると規則できめております。 ところで、この前の衆議院内閣委員会の問答を見ても、刑務所のほうは、この二つの戒具というものが非常に危険もあるというようなことでほとんど使われておらない。また防声具などのほうにつきましては、いわゆるサルぐつわですね、それについては、前に死亡事故などもあったというようなこともあってほとんど使われておらぬようです。しかも、新しい監獄法の改正の準備がいま着々と進められておりますが、その問題についても、日本弁護士連合会あたりでも特にその問題等を取り上げて、こうした非常に非人間的な戒具は、廃止すべきであるといったような意見も出しておる。法務省のほうも大体そうした傾向にあるようにも聞いておるわけですが、そうした時期に警察のほうで、一片の留置規則の改正で、新しくこうした二つの非人間的な扱いの戒具をきめるということは、どうかというふうに私も思うのです。 この点について、まず最初に私は法務省の矯正局のほうにお聞きしたいと思うのですが、実際いま私が申し上げましたような傾向になっておるのかどうか、刑務所のほうではこれを現実に使用しているのかどうか、そういった点を最初に承って、それから警察関係のほうにお伺いしたい。まずその点について御答弁を願います。
○羽山政府委員 お答え申し上げます。 刑務所にいたしましても拘置所にいたしましても、収容者の中には、精神錯乱状態と申しますか、非常に手のつけられないくらいにあばれると申しますか、乱暴ろうぜきに及ぶ事例がときどきあるのでございます。これを鎮静させます方法といたしまして、私どもが常々申しておりますのは、何か絶対無害で、注射でも打ってそれで静かになってしまうというような薬剤でもあると非常にぐあいがいいということを申すのでありますけれども、現状におきましてはそのような薬剤がないわけでございまして、またかりにありましても、この薬剤のきき目が切れましたときにまたあばれるというような事態になるのではないかと考えておるのでありますが、そのような結果、現在刑務所におきましては、大別して二通りの措置をとっておるのでございます。 その第一は、保護房と申しまして壁なども非常に特殊につくってございまして、たとえば壁に頭をぶっつけましても、壁のほうが多少弾力があって無害であるというような場所に入れまして、なお頭をぶっつけたりなどする可能性のある者につきましては、そこでさらに手錠なり捕繩をかけるというような措置をとるのでございますが、この保護房と申しますのは建物の構造の一部分でございますので、これをつくりますのに相当金がかかるのでございます。この例は、たとえばどこの精神病院にもこれに類似した保護房があると思いますが、大体あのようなものであるというように御想像いただければいいかと思います。 第二は、直接的に身体を拘束する器具を使用する。それがただいま仰せになりました鎮静衣、防声具、皮手錠、金属手錠、捕繩等の類でございます。防声具は、かつて岩見沢の支所で昭和三十一年でございましたが、防声具をはめましたところが間もなく窒息死をさせたという事故がございまして、それ以来あまり使わないように、すなわち、やむを得ないような場合には保護房に入れるというような措置に大体いたしております。しかしながら、それにいたしましても、昭和四十四年の統計で五十数件の使用件数になっております。一番多いのが皮手錠でございまして、これが二千五百件ということになっております。鎮静衣と申しますのは、四十四年の統計では一件しかございません。ただいま申しました防声具の事故にかんがみまして、鎮静衣、防声具につきましては、使用等について十分の注意をするように通達もいたしておるのでございます。 なお、将来の方向でございますが、監獄法改正において検討いたしておりますが、外国の例を見ましても、各国がやはり何らかの形で直接的に身体を拘束する器具を使用しておるようでございます。要は、できるだけ拘束の程度を弱くしてしかも鎮静の目的を達するというような、器具の様式の改善にあるのではないかというふうに考えておりますが、それと使用上細心の注意をするということにあるのだと思いますが、これをさしあたり全廃してしまうということは、非常に困難ではないかというふうに考えております。
○高松政府委員 このたびの国家公安委員会規則に関する改正につきまして、非常にいろいろな御批判がございまして、私どももちょっとびっくりしているのでございますけれども、私どもの気持ちをひとつ率直に申し上げたいと思います。 いまの時期になってこういうことをやるのは、どういう理由かというお話でございますが、私どもは過去一年以上、一年半くらいになると思いますけれども、こういういままでの手錠と捕繩、それからそれに「等」ということで、現実に手錠と捕繩では間に合わない場合に、あるいは柔道着のひもを使ったり、あるいは手ぬぐいでサルぐつわをしたり、あばれる者を声を出させないようにするというようなことを、現実に全国の警察署で行なっております。 そういうことに対して、問題になった事案も幾つかございますし、最近、私どもが一番気にいたしましたのは、千住で暴力行為を行なった男に対する問題について、留置場の看守部長が起訴になりまして、ほかの者につきましては現在準起訴手続がとられている、そういうふうな状態が出てまいりました。私どもといたしましては、一年半ばかり前から、どういうものが有効で一番危害の少ないものであろうかということを、いろいろ検討してまいっておった時期でございますし、たまたまそういう事件が起こりまして、やはりそういうものについてはきっちりしたものをきめる、そしてそれ以外のものは使わせない、そういうふうにしなければ、看守巡査自身が現実の問題に対処できないで非常に困る。そういうことは中央としても、あるいは私どもの責任でもございますし、そういう点で、そういう留置場の中であばれ、あるいは大声を発するというような、他の留置人に非常に迷惑をかける、留置場なり代用監獄なりの治安と保安の維持に支障ができた場合に、これに対処する方策というものは、当然私どもとして考えてやらなければいけない。それを放置しておいて留置場の看守が現実に困って何かやった場合に、そういうふうにひどい場合には起訴になる、こういうような状態では非常にこれはいけないということが、今度私どもが急遽これを改正しようという気持ちになった一番大きな原因でございます。 それで、いまお話もございましたが、非人間的な扱い方とおっしゃいますけれども、そういう事態を押えるのに最小限度必要なもの、そしてできるだけ安全であるもの、こういうものの様式を考えざるを得ない。それで、ほんとうはもうこの戒具ということばは私どももどうもおもしろくない、これは何とか変えられないかと思って、拘束具というのはどうだとか、保護具というのはどうだとか、いろいろ考えたのですが、残念ながら監獄法の中に戒具というのはあって、それから警察の留置場はそのうちの代用監獄にもなるわけです。そこでそれは法務大臣がちゃんとおきめになる。四十八条に戒具の様式は四種というふうにきっちり書いてあるものですから、この名前をはずすわけにはいかないということで、やむなく戒具ということばを使ったわけです。ところが、それが責め道具であるとか拷問の道具であるとかという、こういうような理解をされるわけですけれども、まことはそういうことではございませんで、そういう者に対する行為を制止するというだけの意味しか持たない。したがって、その使用も留置場内だけに厳格にしぼっておるということでございます。それから、この取り扱いにつきましても警察署長の指揮を受けてやらせる。それから、その使用の状況を明らかにするために、戒具使用指揮簿の様式をきめたりしましてきっちり書かせるということで、かなり厳格な手続をきめているわけでございます。 刑務所のほうでは、酔っぱらって乱暴するというのは、これはあまりないと思いますけれども、われわれ警察のほうでは、酔っぱらって人をけがさせる、けんかをする、それが逮捕されて入ってくる。中であばれるというのは、これは非常に数の多いことでございます。それがなかなかおとなしくならない場合にどうすればいいのか。この前も、そういう場合に、別に独房みたいなものをつくってそこに入れればいいではないかというお話が出ました。独房をつくって、テレビをつけてそれで見ておればいいではないか、こういうお話がございましたが、私どももそういうことができればそれは大賛成でございます。そんなものを使わないでも済むならば大賛成ですけれども、現実のいまの留置場の状態からいきまして、そういう音の全然届かないところにそういうものを設けるということはとうてい不可能である。もしやるとしても、それは長い年月とばく大な予算を要するであろうというふうに思われますし、当面の問題としても、やはり何とかそういうものについてつくる必要性はあるというふうに考えたわけでございます。 国連の五七年の最低基準というものの中にも、そういうものは規定されておるというお話でございましたが、これもよく見ますと、拘束具というのは一応この決議でも認められておる。問題は、現実の必要性に対してどのように、そして受ける危険を最小限度に押えるものを使っていくかということにあるのだろうと私は思います。この点、先ほど例に出されました近畿弁護士会の意見というのも私どものほうにも参って、これも読みましたが、その辺は、非常に非人間的な拷問の道具だとか、あるいは自白の強要に使うというふうにおっしゃるのは、私どもの気持ちとは全く相反しておる。もしそれが拷問の用に供するとか、警察署の中にあるから拷問の用に供されるのだというならば、それはいまの手錠、捕繩だけでも、そういうことをやればそういうことになるわけであります。私どもは、そういうこととは全然違った問題でありまして、いろいろ考えまして、そういうふうな制式をきっちりとしたものを備えつけ、必要なときにはそれを使うことによって、そして他の妙なものは一切使わせないというところに一つの大きな眼目を持った措置である、こういうのが私どもの偽らざる気持ちであります。
○畑委員 いま法務省のほうの現在の戒具を使っている模様、それから今後の方向、そういったものをお聞きしました。大体法務省のほうでは、確かにこれは刑務所ですから、酒を飲んだり何かすることができないところだから、酒飲みの上での乱暴その他のことはないと思う。反面、警察のほうではそういうのが確かに入ってくる。入ってくるととにかく乱暴する。その場合には何とか押えなければならぬというような必要性から、やはりそういった規則にきめなければならぬということになったという、その事情はわかります。「手錠、捕じょう等」となっておるので、「等」というのは解釈のいかんによっていろいろ問題になる。そこで、その「等」を適当に看守が自分で判断をしてやった場合に、この規則に違うではないかということで、逆に法規に触れるというようなことになる場合があるから、それよりもはっきりともう戒具の種類をきめてしまって、それでちゃんとやればよろしいのだというようなことで、そのほうがいいということでこれが規則の改正をしたのだ、こういうようなお話です。そのいきさつは私もわかるような気がする。 ただ問題は、この規則がそういったほんとうに留置場内だけの、乱暴する人あるいは大声を発する人、こういう者の規制のためにだけやられればいいのですけれども、それが往々にして警察は捜査機関だから、その点がはっきり留置場だけでそういった事案だけに限られればいいが、しかしながら、ともすればそれを捜査のほうに使う可能性も出てくる、危険性も出てくるということで、弁護士会等は心配をいたしておるわけだと思います。同時にまた、ことばは悪いが、責め道具ということになると捜査のときに使って責めるのだ、まあ響きは悪いけれども、いまの答弁を聞いておりますとそういう意味じゃないようで、ただ、要するに留置場であばれたり何かするやつを押えるという目的だけに限っておるようです。それならばよろしいのですが、ともすれば捜査機関であるというようなことで、そういうふうに乱用されるおそれがあるということを非常に心配しておる。私自身もまたその心配は決して絶無とは言えない。それなるがゆえにきょう質問をいたしておるわけであります。ともかく、刑務所あるいは拘置所というのは、はっきりしたからだを拘束するだけの機関でありますし、留置場のほうは警察の捜査のため、それを確保するために、逃走やあるいは証拠隠滅を防ぐために警察の中に付置をして目的を達する、こういうことでありますから、あくまでそういうことで、捜査のほうに乱用をされるおそれがないようにしてもらわなければならないと思っております。 同時にまた、ちょっと何かほかに方法はないでしょうか。いま、押えなければならぬ必要はあるのだ。しかしながら、そうかといって、どうも新聞などで見てみると、ふとん蒸しの図面が出ておりますな。これは全く手足も何も完全にふとん蒸しのような形になって、バンドで締めちゃってやるようになっているのだけれども、あばれてしかたがないやつにはこのほかにはしようがないかもしれませんけれども、ちょっと残酷な感じがする。非常に非人間的な感じがするのですな。何とか必要最小限度にとどめるものをやるべきだと思うのです。きょうたまたまいい機会だから、ひとつその見本を持ってきてもらいたいというふうに要求したのですが、十二月一日実施といっても、見本をいま何点か試作品をつくらしている段階だ、こういうことでそれはごかんべん願いたいということだから、実はきょうは要求を途中で取り下げたのですが、刑務所のほうは、持ってきてくれと言ったんだけれども、刑務所のほうも、留置場のほうの関係ができないのじゃ私のほうも、あるにはありますけれどもそれもひとつごかんべん願いたいと言うものだから、きょうは現物をここで見れないのが残念なんですけれども、おそらく刑務所のほうと大同小異で、サルぐつわといいそれから防声衣といい、非常に非人間的な直接矯正的なものだから、その辺をわれわれは非常に心配をいたしておるわけです。その辺、ちょっと警察庁のほうの見解を承りたいと思います。
○高松政府委員 いまの最初の「等」につきましては、今度の改正の中にも、前はそういうことは入っていなかったのですが、留置場内において使用する、それから警察署長の指揮を受けて使用する、指揮を受けるいとまのないときはあとですみやかに署長の承認を受けてやれというのが、次長通達その他に入っております。それで使用についてはかなりしぼっております。そういう点について、留置場以外のところでそういうものを使用するとか、そういうことは全くあり得ないと私は思います。それは確信をいたしております。 それから、中身の制式の問題でございますが、これはある程度見本を持ってまいりましてごらんに入れればおわかり願えるかとも思うのですが、鎮静衣、ふとん蒸しというのはこの前新聞に出ましたけれども、それがふとん蒸しだと言われたら私どもは非常に心外だと思っております。刑務所でいまお使いになっているものはたいへん旧式なものであって、矯正局長にはまことに悪いのですけれども、私どものつくっているのは、むしろ考え方の発端は、山で使うシュラーフザックを考えております。それで布製のものでございますし、そういうシュラーフザックで、それに入れれば大体動けなくなるということで考えたので、あれがふとん蒸しだったら、ふとん蒸しとは一体何だというふうに私どもは思わざるを得ない。それから声を出させない、これはサルぐつわには間違いないと思いますが、これもゴムを使っております。皮は使わない、危険性が多いからゴムにかえる。それからベルト手錠、こういうふうにベルトにして手だけ押える、これが一番よく使われるかと思いますけれども、これは金属の手錠よりもむしろ危険性が少ないし、布製でございます。特に手に当たる部分は裏にビロードみたいなものをつけて、保護をする形まで考えているわけでございます。 そういうことで、たいへん非人間的なものだというふうには私どもはどうしても理解できません。ただ、戒具という一つのイメージ、それからいままで刑務所で使われている戒具というものの一つのイメージから、あるいはそういう誤解がいろいろ生まれてきたのではなかろうか。私どもとしては一年半かかっていろいろ研究してまいったわけでございまして、それを非人間的と言われると、これ以上どういうものが考えられるだろうかというふうな感じさえするわけでございます。おりを見てまた見ていただける機会があればと思いますけれども、そういうことで、いま畑先生御心配になりました点につきましては、私は、そういう乱用とかそれ以外のときに使うとか、そういうことは全くない。むしろ規制は非常に厳重に考えてやっておる。いまのように、たとえば声を出す場合に手ぬぐいでサルぐつわをする、それじゃ漏れるというので、やはりぼろぎれとかハンケチか何かを押し込む、そのほうがよほど危険性がある。そういうことをやらしたくないというのが私どもの気持ちでございます。
○畑委員 いまの答弁を聞いておりますと、相当考えてやっておるんだというふうなことはわかりました。しかし、これが捜査のほうに使われるおそれもある。法律というのはできてしまうと、留置場で使うことになっているからそのとおりに使えばいいんだけれども、案外そうでないこともあるかもしらぬから、そういったことは絶対ないように……。しかも、刑務所の使っているものは非常に前近代的なものかもしらぬ。警察のほうもその辺をだいぶ新しく、なるべく非人間的なものでないように配慮をしておるようにいま御答弁で伺ったのですが、その辺はひとつ十分くふうをしてやっていただきたい。刑務所でやった場合に、かつては窒息死した場合もあるのですから、そういったことは絶対ないようなことにしなければならぬ。せっかく規則も改正されたんだから、いまここで規則をすぐ改めろというわけにもまいらぬと思います。したがって、これをやる場合をできるだけ少なくしなければいかぬ。これができたからといって、どんどん使われるのじゃまたかなわぬので、この辺も十分考えてもらいたい。 それから手続面でも、実際のところ私そう思います。規則できまって、一片の規則の改正でこうした二つの戒具が新しくきめられたということが、また一つの問題点でもあるわけです。監獄法のほうは、先ほども言ったとおり法律できまり、それを委任されて法務大臣が政令で出しておる。片方のほうはそうでなくて、あくまで規則であるわけです。そういう点で、その手続面でもやはり相当問題があるのではないかというふうに考えます。人権の問題等も関係がございますし、憲法の問題にもなります。その点は十分戒心をしてもらわないといかぬ、こういうふうに思います。最後に、警察関係のこれに対する心がまえをもう一度……。
○高松政府委員 私ども、いまの御指摘のような問題につきましては、かつての刑務所における事故その他の実情も伺っておりますし、それらをあわせまして、二十八日にかなり長い次長通達を出しております。それにこまごまといろいろなこまかい規定を盛り、そしてこれを地方に通達いたしておるわけでありまして、それから全国の捜査長会議におきましても、この点については十分注意をいたしまして、現在の私どもの気持ちとしては、大体この点については非常に厳重に守られているというふうに確信をいたしております。また、これらについての監督なり指導なりというものは、十分私どもも今後やってまいるつもりでおります。そういう点で、御心配になりますような事態が絶対に起きないように、私どもも今後十分指導してまいりたい、かように思う次第であります。
○畑委員 質問を終わります。
○松澤委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 ただいまの御質問、私もしようと思っておりましたので、関連的になりますがお尋ねいたします。 重ねて明確にしておきたいのですが、このような被疑者留置規則の改正を行なう理由といいますか、改正を行なわなければならなかったような理由の具体的なもの、あるいは緊急性といいますか、そういうものがあるのかどうなのか、それを刑事局長にお尋ねしたいと思います。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
○高松政府委員 先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、私どもはかねてからいろいろ検討してまいっております。留置場における看守が暴行したとか、エビ責めにしたとか、いろいろな問題が毎年のようにありました。これについて何とかきちんとした方策はないだろうかというようなことで、いろいろ用具その他について一年半ばかりもいろいろ試作をし、検討してまいっております。 直接に、これをこの際やろうという経緯になりましたのは、先ほど申し上げました千住の事件についてであります。先ほども申し上げましたように、一線の看守の警察官に責任がかぶさるというようなことを放置しておいてはいけない、やはりこれがぴっちりした形において、使用できるもの、それから使用できないものというものは、はっきりさせてやらなければならないというのが、私どもの改正をやろうという気持ちになった 一番の大きな理由でございます。
○青柳委員 一般のマスコミなどの観察では、時局柄というのがたまたま浮かんでくるわけなので、無法者といいますか、どうやってもあばれる、自分の力の限り抵抗するというようなのをセーブするのには、いろいろの物理的な措置をとらなければならないので、そのために考え出されたというふうにとられがちなのです。しかも、先ほどもお話にありましたように、これが留置専門の場所であるところの刑務所ならば、刑務所内の秩序維持というようなこと、本人の保護も含めてですけれども……。ところが、警察というところは犯罪捜査をやる場所で、そこの留置場の問題だものですから、どうしても、いわゆる拷問に使われるのではないかという危険性を感ずるわけですね。そこで、いろいろと世論でも問題にしてくるわけです。 先ほどのお話では、そういう乱用といいますか、そういう方面に絶対に使わない、これは規則どおり本人の身を守る、自殺のおそれがあるときにやるとか、あるいは暴行をして自分を傷つけあるいは他人を傷つけるようなことをやめさせるとか、また大声を発して非常に妨害になる、だからこれを食いとめるとかいうようなこと以外には使わないということでございますけれども、本人の健康状態では、それがショックになるという場合もあり得るので、規則では、何か六時間以上やってはいかぬとか、それから動静を常に注意するというようなことはやっておりますけれども、医師によってその健康状態を確かめるというようなことは考えているのかどうか、またそれはできるのかどうかという点、お尋ねしたいと思います。
○高松政府委員 規則では、継続して六時間以上使ってはいけない、次長通達ではさらに三時間を一応の限度にする、三時間をこえてやるときには、あらためて署長の指揮を受ける、こういうふうな規定になっております。問題はいろいろあるのでございますけれども、大体医師の診断を必要とする場合、これはややあいまいでございますけれども、からだの関係でそういうことがあれば、それは医師に見せた上で、その意見を聞いた上でやれということを注意しております。しかし、現実の問題としては、もうそういう医師の診断を要するような人は、まずあばれることもないだろうし、使う場合も非常に少ないだろう、まずはないというふうに私どもは考えております。 まず、一番考えられるのは防声具で、これがたとえば人の鼻にかかった場合に、ずれた場合に、これが窒息という状態が起こり得る場合があるわけでございますけれども、これはいろいろの実験をいたしてみましたら、ゴムでつくりますと、鼻にかかっても必ず空気が通います。そういう点で、まずそういうことによる事故というものは非常に少ないであろうというふうに考えております。しかし、先ほども御質問のように、これが使用にあたっては、できるだけ慎重に、そしてほんとうに必要のある場合だけに限る、そのために署長自身の指揮を求め、それを薄冊に一々記録して使う、使っている間は、もし異常があるといけませんので、看守はそれの動静を常に一人見ておるという規定にいたしておるわけであります。
○青柳委員 少しこまかいことをお尋ねいたしますけれども、防声具を用いるような場合に、せっかく用いても、本人の手が自由だと取りはずしてしまわれるかもしれないというようなこともあって、皮手錠をやって腰の両側にゆわえつけてしまう。だから、これは併用されるのが常識ではないかというふうにも考えられるのですね。それは、別々に使っても効果があるものかどうかちょっとわからない。それから、それだけではなしに鎮静衣というものをやる。だから責め道具といいますか、三つの道具が三位一体でもって使われる。鎮静衣、それから防声具、そして皮手錠、昔はこれはうしろ手錠というふうにやっておったのですが、うしろでなくて横のほうに使うようになっておるようですが、これは別々に使うのか、それとも常に一緒に使うことを認めるのか、その辺のところはどうですか。
○高松政府委員 防声具は、こうつけて、上からひもでこういうふうにつるわけです。これはもう手を縛らなければ直ちにはずされてしまう。したがいまして、大体皮手錠ではありませんで、先ほど申しました布製のベルト手錠と申していますが、それを大体使うということになっております。それから鎮静衣はこれは全く別でございます。これはシュラーフザックみたいな形で、中へすっぽりからだが入るような状態になるわけです。声を出せば防声具もあわせて使うこともあり得ましょうが、一応別のものに考えております。
○青柳委員 これは、もとは監獄法の十九条にこういうものがきめられておりますので、十九条から法務大臣が、いわゆる施行規則四十八条で四種類のものがきめられておるので、それにならったんではないかと思われる節もあるのですが、現実に法務省のほうでは、このような拘束具についてどういうような扱い方をしているか、お尋ねしたいと思います。
○羽山政府委員 まことに恐縮でございますが、扱い方とおっしゃいますのはどういうことですか。
○青柳委員 こういう規則がありますので、実際に実績はどうなっているかという点でございますね。
○羽山政府委員 年間の統計でございますが、先ほども申し上げましたように、昭和四十四年の統計でございますが、鎮静衣を使用いたしましたのは、受刑者、既決の囚人に対しまして一件でございます。それから防声具は、既決が二十七件、未決が三十件で、合計いたしまして五十七件でございます。それから皮手錠は、既決のほうが二千四百九十余、未決が四百ということに相なっております。
○青柳委員 それを使用中の健康状態、あるいは使用するにあたって危険性があるかないかの検査というものを、専門家によって調べるというような慎重なやり方はとっておられるのでしょうか、どうでしょうか。
○羽山政府委員 もう古い通達でございますが、昭和四年の行刑局長通達で、「鎮静衣等ノ使用上ニ関シ注意ノ件」という通達があるのでございます。これによりますと、鎮静衣、防声具と分けまして、暴行または自殺のおそれのある被収容者というものは、現実に暴行をしたり自殺を計画をしたという事実があることが大事であって、単に人格上からその危険を予想するというようなことで使用してはいけない。それから鎮静衣は、医師の同意がなければ使用してはいけない。継続して十二時間以上使用してはいけない。使用中の収容者は独居拘禁にいたしまして、医師をして使用している状況を観察せよというようなことが鎮静衣について定められておりますが、先ほども申しましたように、現在行刑施設におきましては比較的保護房が整備されておりますので、この鎮静衣の使用が一件ということに相なっておるわけでございます。なお防声具につきましては、同じようなことのほかに、六時間以上は使用してはいけないというようなことがつけ加えてございます。 それから、先ほど申しましたように、昭和三十一年に死亡事故が起きましたために、さらに矯正局長の通達によりまして、注意事項をこまごまと通達をいたしておるのでございます。
○青柳委員 時間の関係もございますので、この問題はこの程度にいたしまして、またあとで思いつきましたらお尋ねいたしますが、次の問題に移りたいと思います。 最近、全国的に刑務所の存在に対して住民運動が起こりまして、移転を求めるという事例が、東京はもちろん地方におきましても頻発しているようでございます。これはやはり都市問題などと密接不可分の関係があるのだと思いますけれども、しかし刑務所あるいは拘置所、こういったようなものは法務省の管轄でございまして、自治省とかあるいは建設省とかその他の省では直接どうしようもない。環境庁にしても、これは公害であるからどこかへ移転するように処置するというわけにもなかなかいかない。しかし、実際は公害という状況をかもし出している例はあるわけですね。高知市で何か刑務所の中で作業をしているために、汚物が川へ流れ出して住民が困っているというような話すら聞いておりますが、こういうやっかいもの扱いをされ、周辺からきらわれるような施設を持っている法務省としては、どういう場所にどのような規模で設置するのが、その目的を達成する上において、また周囲との調和をはかる上においていいかというようなことをきめておりますかどうですか、それをお尋ねしたいと思います。
○羽山政府委員 刑務所または拘置所の設置基準のお尋ねでございますが、一般的に設置基準と申しますものはございません。ただ、こういうことを申し上げられると思います。 今日、刑務所または拘置所と呼ばれております刑事施設のうちには、大別して、先生も御承知のとおり三通りのものがあるのでございます。第一は、自由刑の執行を受ける者、すなわち受刑者だけを収容しているものでございまして、これは純粋の刑務所と呼ぶべきものでございます。第二は、受刑者のほかに刑事被告人、すなわち未決拘禁者を収容しているものでございまして、これは刑務所という看板をかけておりますけれども、中に拘置監と呼ばれる部分を持っておりまして、その限度におきましては拘置所の機能をも果たしておるものでございます。第三は、被収容者のほとんど全部が刑事被告人である刑事施設でありまして、これらは普通拘置所という名称で刑務所から区別いたしております。 この三つにつきまして、所在地の選定について留意すべき事項を申し上げますと、拘置監を持ちました刑務所または拘置所は、所管の裁判所に被告人を出廷させる必要がございますために、その裁判所からあまり遠いところでないことが必要であるということになっておるわけでございます。純粋の刑務所は、必ずしも都会地にある必要はないというのが原則的な考え方でございます。若干の例外はないわけではございません。たとえば、医療を専門といたしまする医療刑務所とか、あるいは分類を目的といたしまするような刑務所は、いろいろな仕事の関係で都会地にあるほうが便利でございますが、その他の受刑者の改善、更生、矯正、処遇ということを目的といたしまする刑務所は、必ずしも都会地でなくてもいいのではないかという考え方になっておりまして、従来、この種の刑務所の周辺の市街地の状況が発達いたしまして、移転を求められました場合に、適地がございますならばそこになるべく移転して、町の発展のおじゃまにならないようにというような配慮をいたしておるわけでございます。 その適地の一つの条件といたしましては、刑務所には職員がおりますので、職員の生活が非常に不便であるというようなところでは困るわけでございますが、そうでない限りは、町のまん中にある必要はないのだという考え方でございます。
○青柳委員 具体的に一つの例についてお尋ねいたしますが、実は中野区に中野刑務所というのが、これは東京の場合ですがございます。これは未決の人を拘禁する場所ではないようでございますが、御承知の過密都市の中野区にありまして、十三万平米程度の広さを持っているようでございます。 これに対して、付近の住民が移転を要望し、そして区議会の問題になり、また都議会や国会にも請願をするというような状況になっているようでございます。区民集会も持たれておるので、おそらく法務省に対しても陳情が出ているのではないかと私は想像するのですが、いまお話しの、ぜひともああいうところに置かなければ困るのだという事情は考えられないのですけれども、具体的にこの問題について検討されたことはございますか。
○羽山政府委員 中野の刑務所は、こういう刑務所でございます。私どもの本来の計画といたしましては、中野を分類刑務所といたしまして、東京近辺で確定いたしました受刑者を全部一度中野の刑務所に収容いたすのでございます。そして、その資質等を分類いたしまして、これは改善が容易であるとか、こういう職業の適性があるというようなことを判別いたしまして、そして改善容易な者はどこそこの刑務所、こういう職業適性の者はどこの刑務所というふうに、分散いたしまする分類処遇の準備をいたす刑務所としてわれわれの理想としては考えておるのでございまして、法務省におきましては、この種の分類刑務所を全国に八カ所、大体高等検察庁の管内ごとに一カ所置く予定にいたしておるのでございます。中野は東京高等検察庁管内における一つの分類刑務所と考えておったのでございます。 そして分類をいたしますためには、精神、神経科の医術その他をいろいろ駆使いたします関係で、なるべく、これは先ほど申し上げましたように、医療刑務所と同じように都会地に置くことが望ましいというふうに考えておったのでございますが、現在の状況を申し上げますと、もともと中野刑務所には、昭和四十四年の統計で、一日平均約七百三十人入っておりますが、そのうちの約百人が被告人でございます。これは、先ほど申し上げましたように、中野の刑務所にも拘置監がございまして、被告人を入れておくことになっておるのでございますが、そういう拘置監を付設いたしました刑務所でもあるわけでございます。 最近、ただいまお尋ねのとおり、中野の刑務所につきまして移転の陳情などを伺っておるのでございますが、当面の問題といたしましては、実は近時集団犯罪の被告人が非常にふえまして、小菅の東京拘置所が現在ほとんど飽和状態に相なっておりまして、やむを得ず中野の刑務所の拘置監をさらに拡充して、ここに被告を収容せざるを得ないという事態に相なっておるのでございます。 私どもは、この中野の刑務所を拘置監を広げて使うということよりは、むしろ分類センターとして使いたいと思っておるのでございますが、それはそれといたしまして、現実問題といたしましては被告人を入れざるを得ない。特に巣鴨の刑務所がなくなりまして、東京都の中で未決をまかないますのは小菅の東京拘置所と八王子の拘置所と二カ所である。年々人口がふえておりまする東京都の拘置、未決拘禁施設といたしまして、小菅の施設と八王子の拘置所の二つであるという点が非常につらいわけでございまして、現在は実はこの中野の拘置監も使っておりますし、府中刑務所の中にも拘置監を拡充いたしまして、刑事被告人を収容せざるを得ないという事態になっておるのでございまして、この現状が当分の間何か改善されないのではないか。そういたしますると、この中野の刑務所の移転問題は、よほどいい条件のございまする適地がありますならば別でございますけれども、その見通しがつきませんと、当面なかなかむずかしいというふうにお答えせざるを得ないということを御了承いただきたいのでございます。
○青柳委員 こういう一つの具体的な問題だけで時間を費やすのはどうかと思うのでありますけれども、一般的にいまだいぶ、この中野の問題についてあるいは小菅の問題について、それぞれ具体的な実情を検討し、住民の要求との間で調整を保つための検討はされているようでございますが、 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕 それにしても、これは計画的にやりませんというと、住民運動が起こってきて、その問題だけを何とか処理しようと考えても、片づきそうもないところへ来ているようであります。 そこでお尋ねをするのですが、こういうような陳情を待つまでもなく、もう実情などというものは法務省としてもよくわかると思うのです。自分のことだけ考えているわけではないのですから。だから、政策を先取りするというか、住民運動を待つまでもなく研究をしていく、そして引っ越し先をどこに求めるかというようなこと、その予算措置はどうするかというようなことを研究するスタッフがあることが望ましいと思うのですが、その点については何か、たとえば予算措置までとって研究しているのか、予算措置まではとらないけれども自主的にやっているというようなことでもあるのか、その体制についてお尋ねします。
○羽山政府委員 体制は、現在若干の体制をつくっております。それは、官房会計課と私どもの矯正局とで若干の委員、幹事等を指名いたしまして、行刑施設の整備の長期計画というようなものをつくろうということで、ここ昨年来かなり詰めて話し合っております。 それはどういうことかと申しますと、第一に、刑務所を、たとえば府中の刑務所は定員が千二百人にもなんなんとする、大阪の刑務所は二千人以上である、そうかと思いますと四百人くらいの刑務所もあるわけでございまして、大きさから申しまして一体どのくらいの規模が刑務所としては適正規模であるか。たとえば国際連合の意見によりますと、五百人以上の刑務所はもはや処遇などはできないというような意見も上部にあるようでございます。まずそういう意見を踏まえまして、そしてその適正規模にのっとりまして、現在の特定の刑務所はそのままでよろしい、そして現在の周辺の状況から当分の間そこに置いてもよろしい、他の刑務所は大き過ぎるし、周辺の状況で遠からず移転問題が起きるであろう、そういうときはこの刑務所はどこへ移す、場合によったらやめてしまうというようなことを考えようではないかということで、寄り寄り内部で話し合いをいたしておるのでございます。ただ、何ぶんにも私どものほうで、直ちに予算的な見通しを法務省限りでつけることができませんのと、なかなか事前に移転場所などをかってに見当をつけるわけにもまいりませんので、その辺がなかなか実行上いろいろ問題があるという実情に相なっておるのでございます。
○青柳委員 刑務所の移転だけでもありませんけれども、法務省の役所を移動する場合でも、あるいは裁判所の庁舎を移動する場合でも、特定国有財産の特別会計で大蔵省の管轄のことのようでありますが、こういう計画を準備する上で、大蔵省のほうとこの特別会計の問題について随時協議する。その具体化する上では当然協議するわけでしょうけれども、連絡を取り合うというようなことまでは考えておりませんですか。
○羽山政府委員 現在、移転を要請されております施設が非常に多うございまして、その数が約三十庁にのぼるわけであります。これもとても度に予算をもらうというわけにもまいりませんし、大蔵省との関係におきましては、これとの折衝が精一ぱいでございまして、これ以外に、将来を見通して大蔵省に、いろいろ措置を要求するという段階にはなっておりません。
○青柳委員 いずれにいたしましても、住民運動はもう一刻も早くというのが各所で起こっているわけでございまして、それがいつまでも実現できないということは、大きな政治問題にもなるわけでありますから、単にこれは、法務省という役所に全部げたを預けてどうこうというようなことにはいくまいと思いますけれども、当の責任の官庁でございますので、これは法務大臣がいらっしゃらないから、ちょっとこれ以上突っ込んで聞くことはできませんけれども、先ほどの、少なくとも部内だけの委員会ですか、そういったようなものをもっともっと活用して、そして障害となっているようなところを克服していくような努力をされることを希望いたしたいと思います。 時間がありませんので、これで一応終わります。
○松澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十四分散会