法務委員会 第3号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/11/17
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 法務行政に関する件、検察行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松勇君。
○赤松委員 第四十回国会が昭和三十七年に開かれております。この国会に行政事件訴訟法の逐条説明が政府から行なわれております。 この逐条説明の中に、二十七条につきまして、「しかし、もとより、この異議の制度が」異議の制度というのは、総理大臣の異議の申し立ての制度でありますが、「異議の制度が国民の権利救済を不当に阻害するようなことが万一にもあってはなりませんので、まず第一に異議を述べるについては理由を付さねばならぬこととし、しかもその異議の理由においては処分の執行をしなければ公共の福祉に重大な影響が及ぶおそれのある事情を具体的に示すものといたしております。そして前者の異議の理由が付されていないときにはその異議の効力はないわけであります。後者の事情の明示をかりに欠くことがあっても異議の効力には影響ないものとする趣旨において規定いたしております。さらに本条第六項におきまして、内閣総理大臣は、真にやむを得ない場合でなければ、この異議を述べてはならないこと、及び異議を述べたときには、次の常会において国会にこれを報告しなければならないことといたしました。かような処置により内閣総理大臣の異議がいやしくも乱用にわたることのないことを期し、かつ、異議を述べることについての政治的責任を明らかにすることといたした次第であります。」このように、政府は行政事件訴訟法の逐条説明において説明しております。 さらに、この法案の審議にあたりまして、昭和三十七年三月二十二日の本法務委員会におきましても、当時の植木国務大臣は、わが党の猪俣浩三委員の質問に対しまして、次のように答弁をしております。「御指摘の裁判所の決定に対しまして、内閣総理大臣の異議の申し立ての制度を、今回も、それについては非常に固い、強い条件も付しまして存置することに御提案を申しておるわけであります。この点に関しましては、ただいま猪俣先生も御指摘の通り、あくまでも裁判権の独立という建前から考えますと、一つのりっぱな筋が通っていると思います。しかしながら、われわれがこの条項を存置いたしましたゆえんのものは、やはり裁判所の決定が、先刻来政府委員からも説明申し上げております通り、時に公共の福祉の点から考えまして、どうしても忍び得ない、行政の最高機関であります総理大臣として、これはどうしても公共の福祉上放置するわけにいかないというような判断が起きました場合に、先刻来申し上げましたような趣旨での異議の申し立てができ、それによって、執行停止になったものでもその執行停止が取り消されることになるということに相なっております。事は非常に重大であります。従いまして、この規定には条件を厳重につけ、しかもこれについては国会にこの点を御報告いたしまして、その最後の政治的の判断を仰いで、政治的責任を明らかにするというような措置を講じている次第でありまして、実際問題として、裁判所の決定と行政的見地による総理大臣の判断とが違う場合はあり得ると思います。また、理論上もあり得ます。しかしながら、実際上の問題として、これがあるからといってひんぱんに行なわれるようなことでは、それこそ御指摘の通りの裁判権に対する行政権の強い干渉ということにもなりますし、また国民の権利を尊重していく、擁護していくという建前からいきましても、これはいかがかと考えられます。従って、容易にこの条文は運用すべきものではなく、ほんとうにどうしてもこれは公共の福祉上放置できないのだという場合、すなわち伝家の宝刀として初めてこれが働く場合があり得るというふうに考えている次第であります。この点くどうございますけれども、万一の場合を想定いたしまして、やはりこういう条文も残しておく必要があるという判断のもとに御提案を申し上げて、お願いをいたしているような次第であります。」以上の政府の逐条説明から考えましても、あるいは本委員会における植木国務大臣の答弁からいたしましても、行政権が裁判権に干渉したりあるいは三権分立のたてまえをくずしたり、あるいは憲法二十一条の表現の自由を侵したりするようなことのないように、万全の措置を講じたい、内閣総理大臣が憲法二十一条による表現の自由の示威運動に対する禁止もしくはそれを制限する異議の申し立てについては、このように厳重な条件を付しておる、こういうことを言っております。しかるに、佐藤内閣総理大臣は、すでに七回にわたって異議の申し立てをしておるのでございます。 去る十一月十日の東京地裁民事第三部の判決によりますと、「本件集団示威運動に参加する前記各団体」各団体というのは総評と中立労連のことです。「前記各団体および傘下の組合ないし組合員は、従来も国会周辺あるいは都内各所で何回となく集団示威運動を行なったが、申立人の青年対策部等が主催したときに参加者の一部に許可条件に違反する者がいて、警察の規制を受けたことがあるという程度で、他はいずれもおおむね平穏に終始し、集団的に暴力行為に出たようなことはなく、本件においても混乱防止のために他の団体または個人を参加させないこととしていることならびに本件集団示威運動については秩序維持および危害防止のための条件として行進隊形、行進方法、携帯品についてもそれぞれ制限が定められていることが認められるのであって、これらの点からすれば、国会周辺において申立人らの集団示威運動が行なわれたとしても、その集団の内部から、国会周辺の静穏を不当にみだしたり、あるいは国会の審議に支障をきたすような行為が行なわれるおそれがあるものとは認めがたい。また、近時、一部の学生等を中心とする過激派集団が各所でゲリラ的攻撃や爆発物の使用により激しい暴力行為を繰りかえしていることは公知の事実であり、疎明によると、これらの過激派集団は、沖繩返還協定が国会で審議され革新団体の反対運動が高まる時期をねらって、同協定批准阻止のための武装闘争の展開を叫び、その機関紙やビラ等により、本件集団示威運動の当日である一一月一〇日を最初のやま場として国会撃破・首相官邸占拠・首都制圧等を呼号するとともに、右二月一〇日には都内数箇所で集会や集団示威運動を行なうことを計画していることが認められる。したがって、国会周辺において本件集団示威運動が行なわれた場合、右過激派集団がこれに隠れ、あるいはこれを利用して混乱をひきおこすということも一応考えられないではないが、本件にあらわれた資料によってみるかぎり、それはいまだ抽象的な可能性にとどまり、本件集団示威運動の機会に右過激派集団が国会またはその周辺を攻撃するおそれのあることを具体的に認めるに足りる疎明はない。もとより国権の最高機関として国政を審議する国会の周辺は静穏な環境を維持することが必要であり、その点では過激派集団の跳梁する余地を少しでもすくなくすることが望ましいことはいうまでもない。しかし、他方、かかる集団とはかかわりのない一般国民の表現の自由もまた十分尊重しなければならないのであって、法令上国会周辺における集団行動がとくに制限されていない現在においては、前記のように抽象的に混乱の可能性がありうるというだけで、ただちに同所における一般の集団行動を全面的に禁止することは相当でない。以上を要するに、本件の資料を精査しても、前記進路変更処分の効力を停止することによって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるものと認めることはできない。」昭和四十六年十一月十日、東京地方裁判所民事第三部はこのような判決を下しております。 内閣総理大臣の異議の申立書を読みましたが、これは七回異議の申し立てをやっておりますが、その内容においてはほとんど大同小異でありまして、すなわち、「かかる情況下において、本件許可申請について東京都公安委員会が「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例」に基づいて行なった条件付許可処分のうち、進路変更の効力が停止され、申請どおりの進路により、集団示威運動が行なわれるときは、前記過激団体の合流あるいはその過激行動に誘発されて、本件集団示威運動に混乱を生じ、勢いのおもむくところ、国会周辺の静穏が極度に乱される危険がきわめて大であると認められる。もしこのような事態が生ずるならば、衆参両院における本会議、委員会その他の審議、連絡等に伴なう両院議員の登退院および政府委員その他国政審議に関係する者の国会およびその関係施設等への出入が確保できないこととなるおそれがあるのであって、国会における国政審議を著しく阻害し、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるものといわざるをえない。よって行政事件訴訟法第二七条により、本件行政処分の執行停止に関し異議を述べる次第である。 内閣総理大臣 佐藤榮作」このように十一月の十日に内閣総理大臣は異議の申し立てを行ないました。 私は、先ほど申し上げましたように、この法律の制定過程及び当時の政府の説明、また法務大臣の答弁、これらを一貫して、憲法二十一条に保障されておる表現の自由をあくまで尊重するというたてまえで、やむを得ざる場合というように、非常にきびしい制限をつけておるわけであります。一体政府は、いま申し上げましたように、総評、中立労連の示威行進が、国会議員の登退院に危険を感じさせるような事実があったかどうか、あるいは事実が予見されたかどうか、あるいは国会審議の上に重大な影響を及ぼし、それが公共の福祉を害し、憲法二十一条を侵害するような行為の発生の可能性があったかどうか、その辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。
○竹下国務大臣 ただいまの赤松委員の、この行政事件訴訟法審議に際しての経過等につきましては、私も法律専門家ではもとよりございませんが、この質問を想定いたしまして、それなりに経過については勉強してまいりました。確かに、これに対処する基本的精神というものは、審議の過程において、担当大臣なりあるいは政府委員なりが申し述べておるとおりである、このように私も理解をいたしております。したがって、行政事件訴訟法、この二十七条というものによっての異議陳述を行なうということにつきましては、もとより慎重であらなければならないということも同感であります。しかも、このたびのデモに関しましては、本件デモに参加する組合は、従来も国会周辺で何回もデモを行なったが、おおむね平穏に終始しておる。総評、中立労連というもののデモ行為が、今日まで、公安の秩序を害する行為がたびたびあったというふうな理解は私もいたしておりません。 ただ、このたびの、特に異議陳述をいたしましたいわばポイントとでも申しましょうか、われわれの行政の長たる内閣総理大臣がいろいろな角度から検討いたします際に、その規模とか態様とかあるいは行動実績等々を判断の基礎に置きますと同時に、今日、先ほどの地裁の決定の第三項とでも申しましょうか、特に、これに隠れ、これを利用して混乱を引き起こすということも一応考えられないわけではないが、しかし、それはいまだ抽象的な可能性にとどまり、具体的には認められないと、こう言われております。その抽象的可能性というものが、これは私は裁判所の判断としてはそれなりに理解できることばであると思いますが、現実に私のほうがいろいろ調査いたしました情報収集等においては、やはりこの抽象的な可能性というものが具体的可能性につながるおそれが十分ある、このような判断をいたしましたので異議陳述を行なった、このように御理解をいただければ幸いであります。
○赤松委員 内閣総理大臣の異議申し立ての内容を見ますると、理由は、国会議員の登退院に危害を及ぼす可能性があるということ、これは非常に重大です。私は、総評、中立労連がそういう暴力集団でないということは、いま政府の答弁でも明らかです。この総評、中立労連に対して、国会議員の登退院に危害を与える、そういう危険性あるいは可能性というものが予見されておる、こう言っているのですが、一体そういう予見される根拠というものは何ですか。
○竹下国務大臣 先ほど申しましたように、予見されるという事実につきましては、一応一つの判断の基準として見られるものは、最近におけるデモの、いわば違法行為によって検挙者を出したということも一つの判断の基準になろうかと思われます。その最近の事例が幾らかございますが、そういう静穏を害する危険性を——私は、主催団体そのものが、この静穏を害する危険性のある団体であるとはいまもなお思っておりません。ただ、それが主催したデモ行為の中に、今日まで、静穏を害する危険性を内包しておるという過去の事実というものが、やはり検挙者とかいうような中にそれを察知することができる、このように判断の基準としております。それそのものも、私は、その当該組合員であるかなしかは明瞭でございませんが、まぎれ込んだ事態の中になおその可能性がよけい包蔵しておる、このように考えたからであります。
○赤松委員 総評、中立労連に対して、こういういわれない侮辱を与える。私は他団体のことを言うわけでありませんが、当日、共産党及び共産党系の団体は、現に請願行動をやっておるじゃありませんか。そうして総評、中立労連に対しては、国会議員あるいは政府委員の登退院について危害を与える可能性があるからこれは禁止するんだ、こんなばかな理屈がありますか。私は、何も共産党をここへ引き合いに出す必要はないと思いますけれども、それならばなぜ同様な取り扱いをしなかったか。しかし、することがけしからぬのですよ。せよと言うんじゃないのです。することは、憲法二十一条の表現の自由を侵すことになる、こういう考えなんです。しかも、国会の審議に著しく影響を及ぼすと、こう言うけれども、私の調査によれば、当日、五時三十七分に各委員会は全部終了しておるじゃありませんか。五時三十七分に沖特をはじめ各委員会は全部終了しているんだ。どこもやっていないのですよ。そうして集会は六時から始まりました。私は社会党を代表してあいさつに行って、しかもそのデモが出発したのは確認している。たしかここにデモが来ることが想定されたのは、七時もしくは七時過ぎでありませんか。すでに五時三十七分に国会というものはどこも審議していない。国会議員の登退院に対して危害を及ぼす可能性なんというものはどこにありますか。国会の審議に何の影響があるんですか。一体政府は、憲法二十一条というものをどう考えているのですか。この憲法二十一条の表現の自由、言論の自由、集会の自由、結社の自由、出版の自由、これは、われわれの戦前のあの暗い軍国主義の時代の反省の上に立って今日の平和憲法というものができてきたのです。その平和憲法は、言うまでもなく独裁制じゃなく民主主義の上に立っているのです。ですから、憲法で規定する公共の福祉ということを言う場合には、私は何よりも第一に、憲法二十一条の表現の自由、憲法二十八条の団結権、団体行動権の自由、これらが保障されなければならない。かつて私は、昭和三十年衆議院の労働委員長をやっているとき、当時の小坂労働大臣とこのスト規制の問題について論争したことがある。彼は終始一貫公共の福祉、これをたてまえにしました。私は憲法二十八条の団結権、団体行動権の保障、これを根拠として論戦しました。憲法二十八条の団結権、団体行動権の憲法上の保護を受けるものは、国民の九割を占める勤労者じゃありませんか。この勤労者の福祉がすなわち公共の福祉でなければならぬ、これが私どもの立論です。 しかるに、憲法二十一条の表現の自由を拘束し、しかもこの法律が本衆議院に提案された当時、政府も非常に慎重にやりましょう、ややもすればこれは表現の自由を侵すことになりますから、もうよほどのことでないとやりません、乱用いたしません、また乱用してはならないものです、こういうように政府の責任者がしばしば本委員会においても、あるいは本会議においても答弁しておるにもかかわらず、今月七回に及んで内閣総理大臣が異議の申し立てをする。しかもその理由としては、国会の審議に影響がある。当日は国会は五時三十七分でみんな終わっている。デモが来ること、請願行動を予見されたのはもう七時過ぎです。国会の中にはだれもいません。何の審議に影響があるのですか。国会議員の登退院に何の影響があるのですか。私はこの際、内閣総理大臣の異議の申し立て、すなわち総評、中立労連が過激派集団と同じように、何か政府委員あるいは国会議員の登退院に危害を与えるような、そういう異議の申し立ての根拠については、この際取り消していただきたい、または修正していただきたい、かように思います。 また、今後政府として、再び総評、中立労連から示威行進の許可申請があると思います。これに対しまして、もちろんいま条例があります。この条例はわれわれは憲法違反と考えているが、その議論は別として、この許可申請が出された場合、東京都公安委員会がこれに対してそれぞれの措置をすると思います。これに対して裁判所が、その東京都公安委員会の決定は憲法に違反する、あるいは表現の自由を拘束する、あるいはその必要はないものだ、こういうように認めて判決を下した場合、その裁判権を侵害しない、行政権の立場においてその裁判の結果、判決、これを尊重する、こういうことについて政府はどのように考えられておりますか。
○竹下国務大臣 赤松委員からいままでの経過なりまた意見を申し述べての御質問でございますが、当日行なわれておりました日共系の行進は請願行為であった、このように承っております。 なお、先ほどの御意見を交えての御質問の中に、去る十日のデモは、なるほど午後八時過ぎがおよそ国会周辺を通過する時間であろう、このようなことも予測されておりました。そして当日衆議院においては、大蔵委員会をはじめ法務、文教、私学技術特別委員会、物価、内閣、商工、沖繩返還等々の委員会が開かれておりましたが、事実といたしましてそれが、デモ行進はもとより、集会に予定されておった時間よりも以前に散会されたことも事実であります。しかし、このような問題につきまして、やはり私は国会周辺というものがおよそそういう可能性の中にあったという判断は、その時点ではなしてしかるべきものではなかろうか、このように思うわけであります。 さて、最後に詰めて御質問になりました、今後この種の決定が下された際の政府のこれに対処する基本姿勢でありますが、基本的には赤松委員が当初から御主張なすっておる、最もこれこそ法律上の権限とはいえ、慎重に考慮して行使すべきものであるという基本姿勢は私も同感であります。そしてまた総評、中立労連という団体そのものが、非常に危険な破壊活動を行なうものであるとは断じて私も思っておりません。その中へ介入するものの可能性というものを、私自身はむしろ評価したわけであります。 そこで、今後の問題につきましては、私はそういう基本姿勢を踏まえながら、これはやはりケース・バイ・ケースで、その時点に立って最も慎重にかつ適切な判断をもって行使すべきである、このように考えております。なかんずくこの種の行為を、これを契機としてこの際定着させようというような考え方は全くございません。
○赤松委員 定着させようという考え方はないということは、憲法二十一条の精神を踏まえて、示威行進に対する東京地裁の判決なども十分にこれを尊重して、そして内閣総理大臣が異議の申し立てをすることによって、憲法二十一条を侵害するようなことのないように十分これからは配慮をいたします、こういうように受け取ってよろしゅうございますか。
○竹下国務大臣 基本的にはそのとおりであります。
○赤松委員 この問題は、非常に憲法上の重大な問題でございますので、前国会におきましても、憲法二十一条の問題につきましては、御案内のように、予算委員会におきましてもこの問題を取り上げまして政府の見解もただし、当時佐藤内閣総理大臣は、憲法に規定するそれぞれの国民の権利については、これを十分に尊重するということを、しばしば私に答弁しております。 なお、畑委員の関連質問がございますので、私は、いま明瞭に官房長官がおっしゃいました、すなわち乱用しないということ——植木法務大臣が当時答弁しましたように、この種の乱用は人権を侵害する重大な問題であるから、乱用をしないように心がけていく、大体こういうような政府の考え方が、今日もややもすれば歪曲されておりましたが、いま官房長官の答弁によりまして、乱用しない、定着させない、固定させないということをはっきり答弁されましたので、なお質問を留保いたしまして、畑委員に譲りたいと思います。
○畑委員 ちょっと関連して質問をいたします。 先ほど官房長官の話を承りますと、非常に表現の自由を尊重することは重大である、しかしながら、今回の場合はそうした過激派集団が潜入したりなどして混乱を来たすおそれがある、こういうことも今度の異議の大きな一つの理由になっておるようであります。この過激派集団は、われわれのこの間のデモ、あの総評の関係のデモとは関係ないのでありまして、総評の中にはそうした過激派集団はおらないはずである。それを、ほかの過激派集団が潜入して混乱をするおそれがあるという理由は、まことにちょっとふに落ちないのであります。 それからもう一つ、官房長官の先ほど言われた、これを定着させる考えはない、こういうお話でございます。当然そうなければならぬと思うのでありますけれども、しかし、いま盛んに沖繩返還協定をめぐってデモあるいは請願行動が続けられておるわけであります。そこで、こういう状況下において同じように、今度もし進路変更あるいはその他の条件をつけることに対する都の公安条例、それに対しての仮処分、執行停止の申し立てがなされた場合に、この最近の状況下においてなおかつ、定着をさせる考えはないとおっしゃるが、今度それが出た場合にどうするか、それを承りたいと思います。
○竹下国務大臣 これも、畑委員はまさに法律の専門家でありまして、私は法律の非専門家であります。したがいまして、政治的答弁になることをお許しいただきたいと思います。 先ほど来申しておりますように、東京都公安委員会の決定、そして裁判所の決定、そして今度は異議申し立て、こういう一つの、ある種のパターンを繰り返すことによって定着せしめていく、こういう考え方は毛頭ございません。ただし、この問題はあくまでもケース・バイ・ケースでありまして、私が先ほども申しましたように、主催者団体である総評あるいは中立労連が、過激派集団と同じようなことをやる団体であるとは断じて思いません。そこで、今後の問題につきましても、先ほど申しましたようにケース・バイ・ケースで慎重に検討してそのつど判断を下す、こういうことであろうと思います。
○畑委員 その辺、なかなか政治的な答弁でどうもはっきりしないのですけれども、とにかくいま現在問題になっているのは、次々とデモが連日繰り返されておるのですね。それで、一番最初の十一月十日の件について、都の公安委員会のほうで条件をつけた。進路を変更する条件をつけた。ところが、それに対して仮処分の申請をして、それが執行停止になったことに対する総理大臣の伝家の宝刀というか、普通めったに抜いてはならぬものを最近ひんぱんに抜いておる。もう七回続いておるのであります。しかも、表現の自由というのは憲法に規定されておるものであります。しかも、都条例というのは国民全部の国会できめた法律でありません。単に都においてきまったものでありまして、それのほうが優位に立つ、こういうことはどうもわれわれは納得いかない。大体根本が、政府の根本的態度、都の公安委員会の態度、それから国家公安委員長の態度、これが私はふに落ちない。さらに、それを仮処分によって執行停止をされた際に、十日の場合に総理がまた異議の申し立てをしたわけであります。その行政事件訴訟法の制定過程については、先ほど赤松さんから詳しく言われましたが、これは非常に議論があった。ところが、それは一応最悪の場合を考えてということで、めったに抜くものではないけれどもということで制定されたいきさつがある。ところが、佐藤内閣になってもう七回やっておるわけなんです。 したがって、官房長官は定着させたくないというお考えのようだが、それはそのまま一〇〇%受け取りがたいところがあるわけであります。現にいま連日デモの繰り返されるというようなことにおいてはなおさらであります。その辺どうお考えになるか、重ねて承りたい。
○竹下国務大臣 先ほど申し上げたとおり、私はこれを一つのパターンとして定着させようという考えは毛頭ございません。そうして、佐藤内閣になりましてから、いま調べてみましたが、これは私のほうから申し上げることも変なことでございますが、実際は九回ございます。しかし、広島のがございましたりしますので、おそらく東京だけというようなことで御判断になったのであろうと思います。それは、昭和四十二年に二回ありまして、四十三年に一回、四十四年に四回、四十六年が二回であります。その最後が先般の十一月十日であります。 そこで、過去におきましても、もとよりメーデーを含むというようなこともありますが、昭和四十三年においては、国会周辺道路を進路とするデモを許可した実例として十五回、四十四年が十六件、四十五年が四件、四十六年が三件、こういうふうになっておるわけであります。これは、政府が今日まで国会審議の過程で申し上げました慎重な態度というものをうかがい知ることのできますところの、ケース・バイ・ケースによってやったということのよき事例であろうというふうに思っております。 したがいまして、繰り返して申し上げるようでございますが、私どもとしてはあくまでもケース・バイ・ケースにこれを判断をして決定を下す、こういう姿勢には基本的に全く変わりはございません。
○岡沢委員 関連して。すでに赤松委員、畑委員から質問がありましたけれども、私はこの件は、政府が国民の基本的人権である表現の自由をどのように評価しているかという問題もう一つは三権分立の立場から、きわめて重要な課題を含んでおると思いますので、重ねて質問をいたします。 憲法の十一条は、「この憲法が國民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の國民に与へられる。」という規定がございます。また、憲法十三条には、この基本的人権に関連いたしまして、「公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」という規定がございます。さらにこれを受けまして、本件異議の根拠法令になっております行政事件訴訟法の二十七条の三項には、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を具体的に示すものとするという意味の規定がございます。そうして、先ほど赤松委員が指摘になりましたように、この六項には、「内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。」と、非常にきびしい条件を付しておるわけであります。やむを得ない場合であったかどうか、あるいは公共の福祉に重大な影響を及ぼすものであったかどうかという判断は、先ほどの官房長官の答弁を伺いましても、このデモが総評、中立労連によって主催されたものであり、この二つの団体がいわゆる過激派グループとは全く質を異にするものであること、過去の実績に照らしても、公共の福祉を害するとか国政の審議に影響を及ぼすというようなおそれのないことは明らかでありますし、時間的に見ましても、午後八時ごろが想定されたと官房長官自身がお認めであります。 先ほど赤松委員も指摘になりましたけれども、この二十七条六項の「やむをえない場合」につきましては、定着した解釈がございます。一般的、抽象的な理由では許されないで、具体的、直接的に公共の福祉に重大な影響を及ぼす場合に限る。これは定着した解釈でございますし、おそらくこれは政府も否定はなさらないと思います。今後もこういう態度を常とはしないとおっしゃいましたけれども、ケース・バイ・ケースでこれを行なうとおっしゃりながら、今度のケースを見ましても、どう判断いたしましても、憲法がうたっておりますように最大の尊重をする、国政の上で国会議員も政府も憲法を順守する義務を負っておることは明らかでございますけれども、そういうほんとうの意味での基本的人権の尊重、そしてやむを得ない場合の公共の福祉からの制限というつり合いからいたしましても、今度のこの総理の異議というのはどうしても私は納得できない。これはやはり解釈の誤りであるということを率直に政府は反省されるべきではないか。表現の自由が思想、言論の自由と同じ程度に基本的人権として大事なものであるということは、先ほど赤松委員御指摘のように、過去の歴史が示すところでございます。真剣にお考えになる必要があるのではないか。重ねて官房長官の所見を聞きます。
○竹下国務大臣 どうも法務委員会に参りますと、それこそ次から次へと法学博士ばかりの質問でありますが、まさに私は政治の姿勢にとどまるわけであります。 さて、岡沢委員の御指摘の意見でありますが、基本的に私もその意見を支持するものであります。ただ、具体的な問題といたしまして、今度のケースに対しましての私どもの判断は、岡沢委員の判断とは残念ながらそれを異にするところであります。 しかし、私どもといたしましても、たびたび申し上げますとおり、主催者たる総評、中立労連がこの過激派集団と異なることは十分に承知いたしております。しかし、今日までもその主催の中において多数の検挙者を出したという例そのものはございます。それも判断の基準の中に置いたことも事実でございますが、先ほど来申し上げますとおり、やはりこのたびこういう決断をするにあたっての一番のポイントというものは、当日いわゆる過激派集団のデモとの接点がたまたまこの近くにあったという事実、それに伴うところのもろもろな情報に基づいて、集団示威行進自体の中に私は不測の事態も予測されなくはない、こういう判断をいたしたからでございます。
○岡沢委員 その問題につきまして、私は、あえて具体的に官房長官が理由をおっしゃられましたから申し上げたいのでございますけれども、最近の過激派集団の闘争手段というのは、昨年の安保闘争のときでございますと、デモ隊と機動隊とが正面衝突をする。最近はそうではなしに、むしろゲリラに転じておるわけでございます。デモ行進に堂々と入ってやってくるわけではない。あの明治公園闘争以降、彼らの戦術は変わっておるわけであります。そうすると、主催者側には心配ない。ゲリラの入ってくる心配はまずないと考えるのは常識ではないか。ただこれは、単に表現の自由をあまりにも簡単に考え過ぎておられる政府の姿勢のあらわれとしか私は思えないということを指摘したいと思います。 もう一点、東京地裁だけではございませんで、大部分が、地方裁判所の判断と内閣総理大臣の判断が毎年のように対立をして、国民の前に混乱的な、あるいは裁判所と行政府が対決をしているような姿勢を繰り返しておる。これがほんとうに正しいあるべき姿かどうか。一国の総理と東京地裁の民事あるいは行政部と申しますと、これは最優秀の裁判官が当たっておられることは常識ではありますけれども、一応地裁の判決、裁判長の判断に対して内閣総理大臣が異議を繰り返す、これは私は内閣総理大臣の権威に照らしても、しかも先ほど来繰り返しておりますが、憲法の精神に照らしても好ましくない。好ましい事態とはどうしても考えられない。この辺で私は、なぜ総理の異議が七回、八回繰り返されても東京地裁がああいう決定を下すかということに、政府側も謙虚に反省をされる理由があるんじゃないか。まあ法律の専門家、特に憲法を内閣総理大臣あるいは国務大臣、国会議員と同様に守る義務を持っておられる裁判官も、ほんとうの意味で憲法の正しい解釈、良心に従ってああいう決定をしておられると私は信じたいと思います。それに対して総理大臣が、年に数回も異議の申し立て、まあ形式上は行政事件訴訟法に準拠しているとは言いながらも、少なくとも憲法の精神あるいは行政事件訴訟法二十七条の解釈をも誤ったおそれのあるような判断でこういう総理の異議を繰り返されることは、決して好ましい事態とは思わないわけでございまして、重ねて官房長官の所見を聞きまして、総理ではございませんので、これ以上お尋ねすることは控えたいと思います。
○竹下国務大臣 岡沢完治委員の、憲法そしてまたこの行政事件訴訟法自体につきましても、それなりの背景として踏まえていらっしゃる基本的な考え方には、私も十分傾聴させていただいたつもりでございます。そしてまた、もとよりこの地裁の決定につきましても、それにはすなおに私どもも耳を傾けるべきものである、このように考えておることも事実であります。 ただ、最近の過激派集団の戦術というものは、まさに多岐にわたり、ゲリラだけではなく、中へ混入することによって——私どものほうへこれは文書とかあるいは投書とかいろいろな形で入ってまいりますが、非常な危険性を包蔵したものであるとともに、先般の沖繩の警官殺害事件も、これもデモの通過の中であったというような、いろいろなことを判断いたしますと、私は、基本的には岡沢委員御指摘の精神を踏まえつつも、やはり今後こうしたことに対処するに際しては、行政の最高責任者として、あくまでも公安の秩序を守るということは、基本的にはこれまた踏まえていなければならない実態であろう、このように思うわけであります。
○岡沢委員 終わります。
○高橋(英)委員 ちょっと関連。官房長官の御答弁で、ケース・バイ・ケースでいろいろ政府の態度が違ってくるというふうなことはよく理解しまするが、基本的な問題としても、私が申し上げることをよく再考していただきまして御善処願いたいと思いまするし、所見を伺いたいと思うのです。 いろいろ、国民の表現の自由というふうな憲法上の問題もありましたが、私どもは、いろいろな自由が憲法によって確保されてはおりまするけれども、最も大切なものは、憲法の前文の冒頭にありはしないかと思うのです。それは、これはいま条文がありませんけれども、たしか憲法の前文の冒頭に、「日本國民は、正常に選擧された國會における代表者を通じて行動し、」というふうなことになっておって、これを一読しますると、あらゆる行動が国会を通じてということになっておって、直接行動なんかというものはこれは許されないというふうな反面解釈ができるわけですが、それは別問題といたしまして、それほど国会というものは大切なところ、重要なところでございます。国会議員の立場も戦前とは違いまして、現在の憲法では全国民の代表であるという、そういうふうな文句も何カ所かにあると思います。そういう関係でありまするから、表現の自由とか言論の自由が確保されておるかおらないかということは、国会内における拘束があるかないか、国会内に自由が獲得できておるかどうか、確保されておるかどうかということは、最も重要なことと思うのです。 そういうふうな意味におきまして、われわれ国会議員というものは、国会内において憲法に保障されましたその基本精神に基づいて、ほんとうに圧迫のない自由な立場で自由にものを言う、ほんとうにその表現の自由、言論の自由を十分に駆使できるような、そういう環境のもとに全国民の代表としてそれぞれの国民の幸福のために働かなければならないという使命を負っておるわけです。少しでも外部からの圧迫、あらゆる圧迫、どういう圧迫にしましても、影響力にいたしましてもありましては、環境のそういうふうな自由を拘束するという、少しでも言論とか表現の自由を拘束するとかいうふうな、そういう影響力がある環境のもとでは、これは絶対に国会の最善の運営ができない、自由を確保するということができないというふうに私どもは思うのでございますから、この点については、あらゆる方法でこの環境の自由といいまするか、自由に発言できますように、何らの圧迫を感じないようなそういう環境下で十分使命を達成できるような、そういうふうなことが望ましいと思うのでございます。したがって、それに基づいて国会周辺においては、多少でも国会議員に圧迫を感ぜしめるような、影響力を持たすような、そういうふうなことのないように、ひとつ慎重に御考慮を願いたいと思います。 憲法が求めるところの表現の自由とか何とかいうのは、国民全般のことでございます。一部のデモ行進者、一部の階層のみの自由を確保するためではないので、国会議員というものが全国民の代表であるならば、その国会議員が自由に発言し、自由に行動ができる、そういう環境をつくってもらいたいというふうな意味において、ケース・バイ・ケースで判断してもらいたいと思いますが、たとえば院内においてもこの間爆竹があって、私ども腰を抜かしたのですが、あれがために相当厳重な規制をするということに対していろんな批判が起こっておりますが、もしあの傍聴席から火炎びんを十個も二十個も投げられるとか、爆弾を四個も五個も投下されたら、国会議員は参議院でも衆議院でも全滅しますよ。ああいう行動に対しては、言論の場においては相当の規制が必要である。九千九百九十九回が無事であっても、万が一非常事態といいますか、ハプニングといいますか、とにかくそういうふうな災害が起こってはたいへんなことになるのでありますから、国会が最も国政の中心にあること、全国民の代表であるということ、国会におけるあらゆる自由が国民の自由につながるということ、全国民の代表的な自由を確保することができるというようなことで、ひとつ慎重に御考慮願いたいと思うのです。その点に対する長官の意見はどうですか。
○竹下国務大臣 これはもとより国会議員がその言論の自由を確保される環境にあるということは、私も好ましいことであるというふうに思います。高橋先生が爆竹で腰を抜かされたとは私も思いませんが、今日そういう点についても、何か院の警察小委員会のほうでいろいろ検討がなされておるやに聞いておりますので、私としては院の自主的に判断すべき課題である。意見は十分私は尊重して、拝聴さしていただきます。
○青柳委員 裁判所が国民の基本的人権を擁護する一つの機関である。これは憲法を守る責任はすべての国民にあると同時に、公務員にもあることも言うまでもないわけでございまして、その一環を裁判所がになっている。 そこで、行政事件の中には違憲、違法のものが含まれているという、そこに行政事件訴訟法という特別の法律のできたゆえんもあるわけです。そして二十七条、この第一項に、裁判所の仮処分決定に対する総理大臣の異議の条項がありますけれども、二項で、それがきわめて限られた範囲でもって、この執行停止に対する異議は限局されている。しかも、六項へいって繰り返し、これはやむを得ない場合以外はこういうような理由があってもなおかつすべきではないというふうに理解できるわけですね。だからもう異議というのは、言ってみると最後の拒否権のようなものでありまして、人権が侵害されようとしている、しかし公共の福祉も侵されようとしている、いずれを選ぶかというぎりぎり結着のところで、総理大臣に拒否権を認めたというふうに理解できるわけです。 それでは、この拒否権は万能なものであるか、人事権は総理にあるというようなことがよく言われたり、いかにももうこれは専権事項でだれも批判できない、あるいはチェックできないようなものであるのかどうかということになりますと、そのあとに、これは次の常会で国会に報告しなければならないとある。この報告は、ただ紙の上でこういう仮処分決定が出たから異議を申し立てました、理由はこれこれでございますという抽象的なものを書いて出せば、それで報告になるのかというと、私はそれでは民主主義のルールに合わないと思うんですね。やはり総理大臣が拒否権を行なったことを報告することによって国会で承認してもらう。条文の上では、この承認がなかったら政治責任をとって辞職しなければならないというほど厳格には書いてありません。あるいは無効になるといっても、これはもうすでに異議は効力が発生してしまいますから、無効になるといってもあとの祭りでございますので、旧憲法時代の緊急勅令のような形で国会が事後承認する、批准するというような形にもなりませんけれども、ぎりぎり決着のところ、この次の常会でもってこのことが報告され、国会の論議の的になり、その中でその行動をとった首相の政治責任というものが追及されなければ意味がないと思うんですね。そうでなかったら、行政事件訴訟法二十七条に第六項というものを設けて、国会に報告せよといったことの意味が全く形式的なものになってしまって、いつでも総理大臣は最後の切り札、異議さえ申し立てておけば、裁判所のどんな正当な判断でもこれは無効にしてしまう、しかも国会ではそれはもうほとんど忘れられて、報告が紙の上か何かで出されても、議員も与野党とも含めて問題にされてないというようなことでは、これは非常に民主主義からいって、せっかく行政事件の違法、不当、違憲性を裁判所が批判する、チェックする、それがもう台なしにされてしまう。これでは裁判官は非常に良心的に、しかも勇断をもって冷静に正当な裁判をしたとしても、何のことはない、総理大臣の紙一本くれば、もうそれでおじゃんだ。そして国会でもほとんど論議されない。世論でもマスコミもあまり取り上げてくれない。一時は取り上げても、それでおしまい。 今回、たまたま臨時国会が開かれて、常会ではございませんけれども、ここの法務委員会で野党のほうからこれを取り上げたということは、いい前例になると思いますけれども、官房長官は、この行政事件訴訟法二十七条六項の末段にある、常会にこれを報告しなければならないということの意味を、私がただいま申し上げたようなものと同じようにお考えになって、そしてやはり政府が異議を申した、総理大臣が異議を申し立てたということには道理があったんだ、これを積極的に説明し、主権者である国民に納得のいくように国会で解明するというようなことをやるべきだとお考えになりますか、どうですか。
○竹下国務大臣 今日まで、紙一本ということでもありませんが、こうしたことが行なわれた際には、きちんと国会に報告いたしております。そして、私が内閣官房長官になって実は初めてのことでありましただけに、私自身も、文書は別といたしまして、口頭でもって両院あるいは関係各党に、そういう決定を、異議陳述をするに至ったことに対しては、これは公ということではありませんが、私自身が出向きまして、その内容をお話し申し上げてはおります。 したがいまして、いまおっしゃった、たまたま委員会等が開かれておった場合、直ちにそうしたものを、積極的に出かけて私が報告すべきかいなかについては、私は判断に迷っておりますが、基本的姿勢はそうあってしかるべきだというふうに私も思います。
○青柳委員 先ほど与党の高橋委員からも、国会を尊重しろ、国会の審議は非常に充実したもので、外部からの圧迫に屈しないような環境の中で行なわなければならぬと、国会の非常に重要なことを言われました。私もそのとおりだと思います。だからこそいまのような質問も出るわけですね。国会を重視しなければいけない。だから、裁判所と政府とでやり合って政府が勝った。それでおしまいというようなことでは、これは三権分立の精神からいったら全く本質を没却したものであり、最高の国家権力であるところの国会がつんぼさじきに置かれるようなことがあってはいけないと思うから言うわけです。 それから、国会で審議されるにあたって、外部の圧力があってはいけないと言われますけれども、これは暴力的な圧力があってはいけないというだけのことであって、憲法で保障された請願がたくさん国会に集まってくる。国民の声が選挙の際に投票を通じて意思表示されるばかりでなしに、個々の政治的な案件についての意思を表明する最も強力なやり方は、国会請願が私はその一つだと思うのです。非常な集団的な形で国会に集まってくるということは、これはその問題を扱う国会として、また個々の議員として、また政党として非常に関心のある問題でございまして、私は、安保条約の改定とか日韓条約だとか今度の沖繩協定などについて反対の請願が毎日のように国会に来るということは、やはりこれに反対する立場をとっている政党、議員とすれば非常な激励になり、そして正しい行動をわれわれはとっているのだという確信を持つことができるわけです。これを私どもは受けているのですが、どういうわけか、与党や政府のやっているのに対して、ぜひこれを通してくれという請願とかデモとかいうものはほとんどない。一つ沖繩から出てきた人たちがあった程度であって、どうもこれは声なき声なのか、一体熱心でないのかわからないようなわけで、高橋さんの言うように、請願をしちゃいかぬとはおっしゃらないけれども、何かそれに暴力が必ずつきものである、人が集まればこれはもう集会であり、人の集まりは直ちに暴民に転化するのであるという、あのメーデー事件を起訴したときの考え方と同じで、人が集まればどろぼうと思えとか暴民と思えというような考え方がひそんでいるのではないか。それは偏見だと私は思うので、政府のほうではこの請願というものを最大限に保障するような立場で、国家公安委員会あたりがあまりにも極端な規制をすることに対して、むしろそれをさせないようにするというならよろしいのですけれども、何かそれが行き過ぎて裁判所でチェックされたら、それを救ってやるというようなのは全く逆コースだと思います。ですから、その点も今後、定着しないなどというただ口先だけのことでなしに、今後厳重に世論の向くところに従ってやってもらいたいということを申し上げて終わりにいたします。
○竹下政府委員 いまの青柳委員の御意見を交えての御質問でございますが、請願は平穏に行なわれるべきものであり、現在でも示威を伴わない集団行進で行なわれておりますし、去る十一月十日の日共系デモもその一つであったというふうに私は理解いたしております。したがいまして、平穏に行なわれる示威を伴わざる請願というものについて、これを妨げる要素は何もないというふうに思っております。 そして、賛成、反対の、賛成の請願がないということでありますが、私どもにはまさに一億国民の心がついておる、このように理解いたしております。
○松澤委員長 官房長官、御苦労さまでした。 畑和君。
○畑委員 先ほどの問題と関連をするのですけれども、国家公安委員長がたまたまほかの委員会のほうにとられてしまっておいでにならない。実は国家公安委員長に直接お尋ねしたいと思っておったのでありますけれども、おられませんので、警察庁の参事官がおいでのようですから、参事官にデモの規制の問題について具体的に質問したいと思います。 最近、御承知のように、沖繩返還協定をめぐってその反対のデモが連日繰り広げられております。その中の一環として、先ほど、一番最初のデモでありました十一月十日の問題が議論されたわけでありますけれども、その後ずっときのうまでのデモの模様、その警察の介入、こういった問題を私ずっと見てまいったのでありますが、最近警察当局による規制がきわめて強くなりつつあるのでありまして、特に私は最近の顕著な例を二、三申し上げ、警察当局の考え方を聞きたいと思うのです。 特にひどかったのはきのうのことであります。これは毎日新聞にもある程度詳細に報道されておりますけれども、警察庁が、総評系あるいは中立労連系のデモに対して非常に挑発的な行動をやっておる。それでねらい撃ち的な検挙をやっておるということが非常にたくさん出ておるわけであります。こういう点について質問いたしたいと思います。 きのうのことでありますけれども、たまたま、集会が終わって、わが党の成田委員長あるいは共産党の不破書記局長、それから総評の市川議長などが一番先頭に立って、そして集会場からデモ行進に移る。そのデモ行進については、先頭集団に和歌山県あるいは問題の沖繩の復帰協のデモ隊、こういったデモ隊が一番最初に、先頭のいま言った来賓の人たちのすぐあとにくっついていくということであった。ところが、成田委員長たち、いわゆる来賓の人たちがずっと前に離れておった。ところで、沖繩と和歌山の人たちがその人たちを追及をして、一緒にまとまってするように前のほうに詰める、空間を埋めるというようなことで、ちゃんと話し合いをつけた上で少しかけ足をした、こういうことらしい。そこで早く追及して、いよいよデモ隊が出発をしよう、集結点へ行こうということで、ちゃんと連絡あっての話であるのに、その中の佐藤哲という人、これは和歌山の県評の人です。この人が和歌山の集団を率いていったわけですが、青山一丁目で逮捕された。いま赤坂警察署に留置をされております。これなどは、完全に話し合いがついておるはずであるのに、そういう私が言ったようないきさつで、前のほうに詰めるという形でいったはずであるのに、連絡が悪いせいか何か知らぬけれども、この佐藤哲さんを逮捕したのであります。 この新聞にもこう書いてあります。「しかし集会が終わりデモに移ったとたん、青山一丁目の交差点で先頭の復帰協国会行動団の後ろを行進していた和歌山県代表団の列に私服刑事三人がはいり、指揮者の佐藤哲さん=和歌山県評事務局員=を「逮捕する」と両わきから腕をとり、警備車に連れ込んだ。このため同代表団二百人が「返すまで動かない」とその場にすわり込み、復帰協行動団約三百人も「不当弾圧を許すな」とすわり込んだ。和歌山県代表団の人たちは「佐藤さんは”機動隊の挑発に乗るな、整然とデモをしろ”と出発のときから注意して回っていた。逮捕時も隊列の中で整然と行進をしていた。この逮捕は弾圧、挑発以外の何ものでもない」と突然の“ねらい撃ち逮捕”に激しく反発。一時間近くすわり込んだ。このあと」云々、こういうふうな記事になっております。また、実際に現場を目撃しておる人たちからの話によりましても、大体そのことが当たるのでありまして、まさにねらい撃ちである。わざわざ私服警官三人が中に割り込んで佐藤さんを逮捕した、こういうことで、デモ隊も非常に硬化をしてすわり込んだ、こういうようなことなんであります。 こうしたことは、明らかに今度のデモに対する警察官の介入である、過剰警備であると私は思う。その点どういう考えでいるか承りたい。
○斉藤説明員 ただいまお尋ねのございました点は、昨日のデモの中で、昼と夜ございましたが、夜のデモだと思うのでございます。昨日の夜間のデモは、二万七千人の者が明治公園から二手に分かれて、一手は土橋コースを行き、一手は宮下公園までの渋谷コースを歩いたわけでありますが、いまお尋ねの点は、その中の土橋コースを行った約一万五千人ばかりのデモ集団の行進の過程において行なわれたことだと思います。 土橋コースでは、先頭の千人が、青山一丁目から約五百メートルにわたって、その前からフランスデモで道路一ぱいに広がって行進した。そして青山一丁目付近で、午後七時三十三分ごろのようでございますが、いまお話のあった逮捕行為があったようでございます。それからあと道路にすわり込みが行なわれて、行進が再開された。行進が再開されてもジグザグデモを繰り返して、青山一丁目から赤坂見附付近まで行って、それからさらに、いまの逮捕行為の後でございますが、虎の門交差点で約二十分間ほどすわり込みがあったという経過でデモが行なわれたのでございます。お尋ねの佐藤さんは和歌山の方で、この青山一丁目のところで逮捕されたということでございます。 警察のこういうデモの警備に対するやり方のお尋ねでございますが、警察としては、デモがなるたけ自主統制のもとで平穏に行なわれる、順調に行なわれるということが一番望ましいことでございまして、そういう際には交通の安全をはかって、一般の市民の妨害にならないようにということとの兼ね合いでもって、もっぱら交通的な観点からデモが平穏に行なわれるということを考えて当たる。ただ、状況によって、必ずしも平穏でなくて、統制がうまくとれないで、統制をはみ出していま申し上げたようにフランスデモをやったり、ジグザグデモがたいへん激しくなったりして、そうして一般の交通にも迷惑がかかるという状況が出てまいりました場合には、なるたけこれを警告しまして、デモがスムーズに進むようにというのが、やはり警備に当たる者の一つの心がまえです。ところが、警告を繰り返して行ないましても、なかなか渋滞したデモがうまくいかない。場合によってはなおさらジグザグデモやフランスデモが激しくなる、違法行為が行なわれる、状況によっては個人個人のあれじゃなくて、集団による違法状態が出てくる、そういう場合が考えられるので、そういう場合に対しては、警察部隊の力でもって集団の物理的な違法状態を規制するという状況が出てまいります。その間において、違法状況との兼ね合いでどうしても逮捕しなければならぬ者をやむを得ず逮捕するという状況が出てくる。その佐藤さんの場合も、逮捕行為のその場はただいまお話のあった状態で逮捕されておりますが、その前からの違法状態との兼ね合いで、佐藤さんがこれを指揮しておられたというような状態を判断して警察が逮捕したというふうに私どもは考えております。
○畑委員 ちゃんと前に詰めるということで、むしろそちらの現場の人は了解を得て、警察官のほうでもそれで前に詰めたのだそうです。それだのに、それを片方のほうは知らぬでやった、おそらく誤認逮捕じゃないかと思う。誤認逮捕かあるいはねらい撃ち逮捕だというふうにしか思われない。とにかく、もしそういうことがあって、フランスデモ等とかでぐあいが悪いということがあった場合には、警告をして、そうして集団的にそっちに寄れとかいうふうに規制をするということが、私は警備のねらいでなくちゃならぬと思うのです。ところがそれを、だれかをとっつかまえるということにねらいを置いてやっていることは歴然としているのですね。こういうことは私は非常な弾圧だと思う。これだったらますますデモ隊は興奮しますよ。あなた方のほうはむしろ挑発をしておるということになる。それでかえってあなた方の思うようにいかないということになることが多いのでありまして、今度の場合なども明らかにそうだと思うのです。この辺よく調査してみてください、われわれの話を聞いたところによるとそういうことだそうだから。だから非常におこっているのです。さもなければすわり込みをしないですよ。おこってすわり込んだ。逮捕が違法であるからおこってすわり込みをしてしまう。明らかにそれがだれも認めるようなことであれば、そんなことはないのです。ところが、非常に逮捕が解せないものだから、それだからかえって紛糾をするということにもなる。この点はどうですか。私の言ったようなことは聞いてないですか。
○斉藤説明員 いまお尋ねのございました佐藤さんの逮捕の具体的な状況は、先ほど私がずっと申し述べたとおりでございまして、警察としましてはまず警告をする。たびたびごらんになっていただくでしょうが、マイクでもって責任者に十分警告をして、それで事が済めばそれが最善の策だというように理解しておるのですし、そういう方針で臨んでおります。それでもなおかつ、先ほど申し上げたように、集団による違法状態が繰り返される、そうして交通その他の状態から見て、その違法行為が何としても放置できないという状況のときに初めて警察部隊の力を行使し、あるいはまた逮捕をする。違法逮捕ということはあってはならないことでございますし、そういうことをやれば当該警察官の責任はもちろん、警察部隊の指揮者の責任もたいへん重いことでございますので、そういうことは絶対にないようにというふうに心がけてやっておるわけでございます。
○畑委員 ここではあなた方はそう言って答弁するけれども、あなたはその場にいたわけじゃあるまいし、私だっていたわけじゃないのだけれども、ここだけでそううまいことを答弁したって、実際現場はそうでないらしい。これは十分気をつけてもらいたい。いまの問題、よく調べてもらいたい。 〔委員長退席、沖本委員長代理着席〕 そういういきさつだったらしい。だからなおおこっているんだ。むちゃくちゃにとにかくパクればいいというのじゃ困るのですよ。 それからもう一つ、国労の副委員長の藤井忠雄さんという人がこれまた逮捕されている。藤井君が逮捕されたのは虎の門で、いま愛宕警察に入っている。これは午後の九時ごろ。これについては、フランスデモの指揮をとったということらしいのだが、フランスデモの指揮をとるなんということをいっても、実際のところ、自然とフランスデモに移ってしまうんだフランスデモをやったくらいで何もそうわあわあ言わぬでもいいじゃないですか。どうせ、ある程度交通が規制されるのはしようがないので、それをあなた方のほうは全部取り上げてやるから、デモもますます混乱、紛糾するのですよ。 毎日新聞にもどう書いてありますよ。この藤井さんの場合、「国会請願から、さらに土橋までのデモに移ったが、警備の手薄なところで盛んにフランスデモやジグザグデモを繰返した。このため、虎の門にさしかかったところで公労協部隊の責任者、藤井忠雄・国労副委員長が、フランスデモの指揮をとったとして、公安条例違反で逮捕された。デモ隊は抗議のため、ここでも一時間近くにわたってすわり込み、最後は過激派対策用の放水車が出動するなど、険悪な空気となった。」ということになっていますね。とにかく、放水車が出たりそれからガス弾銃ですか、それが出動したり、それは過激派集団とは違うのですからね。総評、中立労連のデモ隊の体質は大体わかっていると思う。過激派とは違うのだから、あなた方があまり挑発をしなければ比較的平穏にいくのですよ。ところが、あなた方のほうで挑発をしてもうむちゃくちゃやるものだから、したがって、かえってすわり込むなどというようなことになる。これはどうですか、国労副委員長の藤井忠雄君の事件について、どういうふうに握っていますか。
○斉藤説明員 いまの国労の藤井さんの逮捕現場は、先ほど御説明申し上げましたデモの後段の部分で、請願行進が終わってから九時半ごろ、特許庁の横からさらにデモが再開されましてその出発のところでございますが、フランスデモが行なわれ道路一ぱいに広がった十時十分ごろ、虎の門の交差点まで行ったところで藤井さんが逮捕されたという状況でございます。 そこで、御指摘のように、こういったデモが過激派の集団のやるものとは全く違うのだということは私ども重々承知しておりまして、こういうデモ、いわゆる表現の自由がデモの過程において確保されるようにということで、先ほど申し上げたように、まず交通整理で済めば警察のほうも一番楽だというふうに考えておるのでございますが、状況によっては一般の迷惑になるので警告をする、それでもなおかつフランスデモを指揮する——指揮をしておったかどうかわからないという御指摘でございますが、これについても警察ではマイクで、手ぶりでもって明らかに指揮者であるということが認められるといったようなことを認知して、そして何ぼ警告しても集団の大ぜいの力でもって違法状態が継続されてくるという場合に、やむを得ず逮捕行為に出たということでございますので、御指摘のように、過激派集団と全く同じ扱いをしたり、あるいはついなれて同じことをやっておるというようなことのないように峻別して、こうしたデモにおける表現の自由が確保されるように、同時にまた一般の秩序が維持されるということとの兼ね合いにおいて逮捕するという方針で臨んでおりますし、昨夜の場合も、そういう事実があらわれたんだというふうに私は考えておるのでございます。
○畑委員 手ぶりか何かでわかったとあなたはおっしゃる。あのがあがあ、わあわあやっているときに、そう簡単に手ぶりか何かで判断ができるのですか。逆のことであるかもしれぬでしょう。そういうことで、指揮者を公安条例等で逮捕するというのは、明らかに行き過ぎだと思いますよ。しばらくそのままにしておけば通り過ぎてしまうのだ。かえってトラブルを起こすのです。あなた方はしゃくし定木にものごとを考え過ぎる。大体、過激派集団かどうかによって相当考えてもらわなければならぬ。簡単にとっつかまえて、かえってトラブルを大きくする。かえって反抗心を強くするだけだと思う。その辺は十分気をつけてもらいたいですね。 それからもう一つ、これはやはりきのうの昼間のデモだったらしいのだが、この新聞にも書いてあります。「この日昼の三万人デモでも、沖繩上京団の一人で前日に宣伝カーの上からデモの音頭をとっていた久高武嗣さんが歩いていたところを“ネライ撃ち逮捕”されるなど、逮捕者は自治労、日教組、私鉄総連、電機労連の本部役員や書記十二人に上っている。警視庁はいずれもジグザグデモやフランスデモ、すわりこみなどの違反行為を指揮したためとしている。」こういうことになっておるのですが、この新聞にも書いてあるように、この久高さんという人もねらい撃ち逮捕されたというように書いてある。これは、前日のデモののときに宣伝カーの上からデモの音頭をとっておったということで、翌日おそらくねらい撃ち逮捕された、こう考えるほかはない。現場の状況がそうなんです。何もこのとき指揮をとっていたわけじゃない。やはり、あいつはというので目をつけておいて、その行動力を少しでも制約しようというようなことで、翌日ねらい撃ち逮捕をやったというふうにしか考えられない。この点いかがですか。
○斉藤説明員 いま御質問の件は昼間のデモでございまして、一万四千人ばかりが明治公園からデモを開始して清水谷公園のほうに向かったその過程で、先ほど来申し上げたと同じようなことで、出発直後から道路一ぱいにフランスデモが行なわれ、ジグザグデモを繰り返した。それで警察が再三にわたって警告をしてもなお違法状態が継続するということで、やむを得ずその過程で、昨日の昼は十二人の逮捕行為があったわけでございますが、その中の一人が久高さんでございます。 先ほどもお話がございましたが、手ぶりだけで指揮者という認定はおかしいじゃないかという御指摘でございますけれども、何べんも違法行為が積み重なってデモの過程で行なわれる、一ぺんだけのかっこうで認定するというのじゃなくて、全体を通じてその方が指揮をとっておるから混乱するということで警察は逮捕するのですが、できるだけ慎重な態度でやっておるわけでございます。警察としてもねらい撃ちをするとかそういうことは毛頭ございません。全体のデモ行進が順調に平穏に行なわれればそれにこしたことはないのでございまして、現実の場面においてどうしてもデモがスムーズにいかない、必要やむを得ないので逮捕するということになっておるのでございまして、その間の事情については繰り返して申し上げているとおりでございますが、なお御指摘のような、ねらい撃ちをしたりあるいはまた軽率に違法行為者を逮捕するというようなことのないように、今後十分戒めてはまいりたいと思いますが、基本的な姿勢としてはそういう態度でやっております。
○畑委員 あなたのいまの答弁の中にも出てきますが、何度もそういったことを指揮しているとかいうようなこと自体が、どうもやはり前からのことをいろいろ考えて、それを考慮に入れてそれでねらい撃ちした、こういうふうにむしろ受け取れるような答弁だったと思う。これはあくまで現行犯ですからね。現行犯逮捕であるんだからその場のことを取り上げてやるべきであるのに、前々にもこの人はというようなことをあなた答弁されて、数回やっている、だからというふうな答弁をされたように聞こえたけれども、そうだとすれば、なおさら前のことでねらっていてそれでやったというふうにわれわれのほうでは考えるのですが、いかがですか。
○斉藤説明員 ことばが足りなかったのでございますが、その瞬間見ただけのところでやるんでなくて、その前後の過程において——あくまで現行犯でございますから、前の日だとかずっと前のやつでねらうというのじゃございませんで、その逮捕行為の接着した前の状況において、はっきり指揮者であるということがその現場の行為から確認される者を逮捕しておる、そういう意味でございまして、前日のものをねらい撃ちするというふうにお答えしたようになれば、これはことばが足りなかったのでございます。御了承いただきたいと思います。
○畑委員 これで大体終わりますけれども、特徴的なもの、新聞記事にも出て、またわれわれのほうでもこれはけしからぬと特に思った三つのケースを代表的にあげて質問してみたのですけれども、とにかくあなた方のほうでは、総評、中立労連のデモ隊というのは本質を知っているわけだと思うのですよ。そうたいしたことはしませんよ。ほかの人に危害を与えたりなんかするようなことはしません。ですから、もう少しおおらかな気持ちで表現の自由を力一ぱいやらしてみたらどうですか、過激派の集団と違うのですから。若干のフランスデモあるいはかけ足デモ、若干のすわり込み、この辺は少しまあ見ていてやったらどうですか。そのくらいの気持ちになぜなれぬのですか。何でもだあっとあなたの希望どおりやる。とにかく静粛な示威行動でありたいのだろうけれども、それでは示威運動になりませんよ。やっぱり伸び伸びと反対なら反対の意思をはっきりさせるために、フランスデモでも、ジグザグでも——ジグザグもあまりひどくては交通の妨害になるだろうけれども、あまりジグザグはやらないらしいから、まあフランスデモなんかいいじゃありませんか。ひとつそういうおおらかな気持ちで表現の自由を満喫さしてもらいたいのだ。憲法で保障しているのだからね。あなた方の公安条例とかなんとかいうものは、とにかく法律より下なんだから。憲法は一番上なのだから。その憲法で保障されている表現の自由、これを下のほうの公安条例で、しかもそれを運用する人は恣意的な考え方でやられちゃたまらぬ。しかも放水車だ、あるいはガス弾銃だ、そういうものを編成して挑発するということはもうやめてもらいたい。かえって混乱を巻き起こすのです。 この十二人、そのほかの夜の人もいますね、これをひとつ即時釈放してもらいたい。たいしたことはないんだ。事実あったとしても、私はたいしたことはないと思う。それを、警察も忙しいのだろうから、こういうことに一々時間つぶしする必要はないんだよ、危険性はあまりないのだから。ひとつそういう点で今後やってもらいたい。どうですか、おおらかな心がまえをひとつ最後に言ってください。私のいま言った点について、しゃくし定木にやらないということを……。
○斉藤説明員 いまお話がございましたように、警察もなかなか手が一ぱいでございまして、なるたけよけいなことをやらずに済みたいという気持ちがございますので、かつまた、表現の自由が十分にデモの過程において尊重されるというふうに警察が取り締まりをやっていくということを、今後念頭に置いてやりたい。同時にまた、やはりデモの違法状態が激しい場合には、公共の一般の迷惑とのかね合いにおいてしかるべき取り締まりを最小限度やらざるを得ないというふうに思っておりますが、御指摘のような御意見を十分承って、適正な取り締まりをやるように心がけたいと思います。
○畑委員 では、いまの件はこれで終わります。 私は、続いて、新聞にもいろいろ出ておりまして非常なショックを与えた事件だといわれております、例の欠陥車キャンペーンをやっておったユーザーユニオンの代表者である弁護士の安倍治夫さん、それと一緒に行動をした方、この二人についての捜査のことにつきまして質問をいたしたいのであります。
○沖本委員長代理 速記をとめて。 〔速記中止〕 〔沖本委員長代理退席、委員長着席〕
○松澤委員長 速記を始めて。
○畑委員 では、続いて質問をいたします。 法務大臣はおられませんけれども、刑事局長がおられますから、ひとつ刑事局長にお尋ねいたしたい。このユーザーユニオンの事件、すなわち安倍さんと松田さんですか、この二人が逮捕された。非常にショックであったと思います。とにかく安倍さんというのは、御承知のようにもと法務省にもおられたし、検事でなかなかエリートコースをたどった人であった。ところが、この方が一転していろいろな話題の人になって、それで検察官をやめられて、それからは弁護士になった。いわゆる俗にいう人権派、正義派、こういわれて弁護士活動を続けておられた。この方がたまたまいろいろ問題になった欠陥車問題、この欠陥車問題を究明をして、消費者運動の先頭に立ってはなばなしくやっておった。その方が今度突然逮捕された。普通の人ならともかくも、松田さんはそうではありませんけれども、安倍さんはそうした経歴の持ち主である。この安倍さんが一転して被疑者になったというようなことで、実際私自身もショックだった。 一体、こういった被疑事実のようなことをやったのだろうか、ほんとうなんだろうか、ほんとうだとすればけしからぬことだとも思いました。しかし、どうも解せないところがあるというような気持ちが私の気持ちでもあります。また、新聞紙上等に報道されておりますユーザーユニオン側の言明、新聞記者に対する会見談、こういう点から見ますと、やはり相当問題があるのではないかというような気がいたしますので、実は質問をいたすのであります。 一体、この事件はいつから検察側のほうでは捜査を始めたのですか。
○辻政府委員 お尋ねの事件につきましては、東京地検におきまして日本自動車ユーザーユニオンの専務理事である松田文雄氏及び同ユニオンの監事であります安倍治夫氏の両氏を、本田技研工業株式会社から、同社の製造販売にかかるホンダN360による事故の被害者に対する賠償金名下に十六億円を喝取しようとした恐喝未遂の被疑事実によりまして、去る十一月二日逮捕いたし、現在引き続き捜査中でございます。そういうわけで、逮捕いたしましたのは十一月二日でございます。
○畑委員 これは告訴か何かあったのですか。
○辻政府委員 これは、本田技研工業から十一月一日に告訴がなされておりますが、東京地検におきましてはもっと以前からいろいろな状況を調査いたしまして、一応いわゆる内偵を進めておったのでございます。
○畑委員 内偵を始めたのはいつごろですか。
○辻政府委員 何ぶん現在捜査中の事件でございますので、そこを明確にすることはお許し願いたいと存ずるのでございますが、約一カ月ばかりは内偵をしておったというふうに承知をいたしております。
○畑委員 告訴が出たのが一日、それで逮捕されたのが二日、逮捕令状をとったのがおそらく一日だと思う、逮捕したのが二日ですから。告訴状が提出されたのが一日、こういうことはいまの答弁では明確ですね。しかし、その前から自主的な立場で捜査をしておったというのですが、これはその捜査とこの告訴状との関係はあるのですか。どうもあなたのほうで、検察側のほうで告訴状を出させたような感じを受けるのです。もっと早く告訴状が出ているのならあれだけれども、告訴状と逮捕があまりにも時間が接着し過ぎている。こういう点で、私はむしろ検察側とメーカー側、本田側のほうとが相当密接であったのではないかという感じがする。なれ合いじゃないかというような気もする。またわなではないかと言っておるようですが、そういう気もしないではない。その辺はいかがですか。
○辻政府委員 本件につきまして、検察側とただいま御指摘の本田側とのなれ合いがあるのではないかという御質問でございますが、さような事実は断じてございません。これは先ほど申しましたように、十分な内偵捜査を進めまして、そして一定の段階に至りまして、被害者側と目される本田技研の意向も、これは被害者のミスというものを当然内偵の段階においても聞くことがあるわけでございまして、検察独自の立場で今度の事件を捜査いたしておったわけでございます。
○畑委員 これで問題になっておるのは、十六億円の恐喝未遂の事件だけですか。逮捕状をとったのはそれですね。そのほかにいまありますかどうですか。
○辻政府委員 この両氏を逮捕勾留いたしております被疑事実は、先ほど申し上げました本田技研からの十六億円の恐喝未遂という被疑事実でございます。現在もちろんこの事実について捜査をいたしておりますが、捜査の内容はこれだけに限っておるものとは思われないのでございますけれども、その詳細につきましては、現在捜査中でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○畑委員 新聞の報ずるところによりますと、八千万円の件、奈良県の西村卓二さんというケースがございますが、この点についても、検察側のほうではいろいろ捜査をされておるようでございますけれども、この点についてはどういう結論ですか。起訴できそうですか、さもなければなかなかむずかしそうですが、この辺どうです。
○辻政府委員 これはもう全く現在進んでおります捜査の内容にわたりますことでございますので、その点の御答弁はごかんべん願いたいと存じます。
○畑委員 大体この事件は、いろいろ経過が相当あるようであります。私も若干の情報に基づくものでありますけれども、相当経過があるようでありますが、特に八千万円の件につきましても、これは示談が成立をしておる。その際本田側からつけた条件が、マスコミには漏らさない、漏れたら全額没収するというような話だった。一体マスコミに漏らさないということ、全額を没収するというのは、どういう意図だかはっきりしませんけれども、それから被害者に全額を渡さないというような二条件がつけられた。ところで、この件も伝え聞くところによりますと、どうもおたくのほうでは横領か何かでやろうとしておるようでありますが、どうもこれはいろいろの被害者と目されるような人々の証言をとってもなかなかぴたりといかないというようなことで、この辺は私自身もむずかしいのではなかろうかと思います。 また、この事件については、本田技研がユーザーユニオンに示談交渉を先に持ちかけておる、こういう事実があると聞いておりますが、この辺はどうですか。
○辻政府委員 現在捜査中でございますので、具体的な事実関係の点は御容赦を願いたいと存ずるのでございますが、先ほど来御指摘のように、この被疑ケースはいろいろな法律的にむずかしい問題も含んでおると承知いたしております。そういう点を踏んまえまして、現在検察庁は慎重な捜査を続行しておるということで御理解を願いたいと存じます。
○畑委員 いま捜査中の事件ですから、いろいろ具体的な答弁もなかなかできないかもわかりませんが、非常にミステリーを含んだ事件だと私は思っております。検察庁が捜査に乗り出して逮捕に踏み切ったわけでありまするから、ある程度の自信がなければやらないのが普通だと思います。そういう点で、結果を待たなければならぬのでありますが、同時にまた、この問題は相当いろいろな問題を投げかけていると思う。ともかく零細な一人一人の被害者だけでは力がないということで、消費者団体としてのユーザーユニオンを発足させた。そして欠陥車問題をそういう形で追及してきたということなんです。私はそういうことについては相当の功績もあったと思うのですが、それが検察庁の今度の逮捕ということになりますと、それがもし成立をすれば、そうしたことが逆にそうした法に触れるというような結果になる。したがって、弁護士活動の範囲を逸脱したということにならなければ検察側のほうの目的は達せられないわけでありますから、あなたのほうでも相当の決意でやったに違いないと私は思う。もし万 これが成立をしない、あるいは成立をしたとしても裁判で敗れるというようなことがあったら、私は問題だと思う。この点は十分考えてやっていらっしゃることだと思う。実際そういうことがあったとすればこれはやむを得ないことでありますけれども、そうでないとすれば、これが消費者団体としての一つの行き方なんですね。これは零細な人たちが集まって一つの大きな発言力を持つという形で強大なメーカーにぶつかる、あるいはディーラーにぶつかる、こういうようなことは私は好ましいことだと思う。 ところが、この逮捕からすると、もしこれが事実とすれば行き過ぎだったということになるかもしれない。しかし、同時にまた、そういったいまの問題があるのだから、検察庁はよほど慎重に行動しなければならぬと私は思う。その点について、検察庁側としてはそれだけの自信があるのか。もし成立しなかったら、あるいは裁判で無罪になったらどういうふうな責任をとるのか、その辺を承りたい。
○辻政府委員 ただいま御指摘のように、本件にはいろいろな社会的な問題点があろうと思います。そういう点を十分踏んまえまして、検察庁といたしましてはこの事件の捜査に踏み切ったわけでございますので、ただいま御指摘の点も十分踏んまえながら検察庁は善処することと考えております。
○畑委員 これがそのとおりにまいりますれば何ですが、そうでないということになると、逆に検察庁とメーカーという関係を疑われないとも限らぬのです。その辺よほどしっかりしてもらわぬといけないと思って質問したのですが、しかし、まだ捜査が途中の段階ですから、これ以上あなたのほうにいろいろこまかなことを申しましても、その答弁も得られないと思いますから、この問題についてはこの程度で保留をして、あとで一応の決着がついた際に、さらに質問することがありましたら質問したい。ひとつ慎重にやってもらいたいと思います。 以上で、この点についての質問を終わります。
○松澤委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○松澤委員長 速記を始めて。 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 ————◇————— 午後一時五十七分開議
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、主として入管業務につきましてお伺いしたいと思います。 来年成田の空港が大体できる、こういう見通しに立ってお伺いするわけですが、私はこの九月から十月にかけまして、羽田の空港に所用がありまして何日も行きました。そこで実際に出入国管理業務を以前よりもう少し深く見てきたわけですけれども、そういう観点に立ちましてぜひとも大臣、局長方に十分この問題を考えてもらわなければならない、こういうふうに感じたわけでございます。 そういう観点からお伺いするわけでございますが、私が一番感じましたのは、この十月十五日ですけれども、出発便のほうの空港のロビーはもう足の踏み場もないぐらい満員でした。そして税関から入管、中へずっと入って見てみますと、とにかく列が並んで、一つの列が終わるのに一時間ぐらいかかっているわけです。それでその間に飛行機の出発時間はどんどんきます。そして航空会社の業務員は、もう出発時間が来ているからというんでどんどん誘導しかけている。ところが、なかなか入管業務は終わらない、こういう事態です。それから見送りの人、送られる人、いろいろな人で足の踏み場もない、こういうふうな事態があったわけです。現実にこの目で見ました。 それでブースが十三から十四あります。しかし、実際に使われるのは十以内である。それも入国審査官がもうつきっきりでフルで、全く身動きできないような状態でそれが行なわれている、こういうことなんです。それで入国の場合は、まあ問題がいろいろあるもんですから検討されますけれども、出国にあたっては比較的たやすく出て行かれるんじゃないか、こういうふうに思っておりましたけれども、案外外国から来た方がまた再び出国するときには非常な手間をとっている。カードの不備であるとかいろいろな点について一々チェックを受ける、そういうことでよけい時間がかかっている。これでは何にもならないんじゃないか、こういうふうに見えましたし、またそういう状態を見て、はたしてこういうことで業務がうまく進むんだろうか、こういう感じを非常に強くしたわけです。見ていますと、審査官は全く疲労こんぱいに達してしまっている。収拾がつかないような状態になってきている。これからどんどん入国、出国がふえていく状態にあって、こういうことでは今後の業務に大きな支障が起きてくるのじゃないか、私はこういうふうに感じたわけです。 そういう観点から、これが成田に移った場合にはたしてうまくさばけるんだろうかさばけないんだろうか。飛行機の発着回数はうんと羽田からふえていくわけです。それと人員の度合いが十分マッチしていくんだろうか、そういうふうな点でいろいろ心配が起きてきだしたわけです。 それと、現在の羽田では出国の管理業務と入国の管理業務とが全然別のところに離れておる。こういうところに人手も十分食っておるということも理解はできるわけですけれども、さりとて、そういう問題をなおざりにしていいんだろうか、こういうふうに考えますし、また、よけいな労力でよけいなチェックをし過ぎているんじゃないだろうか、こういう疑問もいろいろ起きてきているわけです。 こういう点につきまして、現在の羽田の入管業務が一体どのような状態になっているんだろうかということを、具体的に局長さんから御説明いただきたいと思います。
○吉田(健)政府委員 御指摘のように、現在ジャンボ機が入るようになりましてから、特にある時期に一時に入国者及び出国者がたまるという状態が、非常に新しい最近の私たちの頭痛の種の一つになってきたわけでございますが、四六時中ピーク時が続くというわけじゃございませんので、ある時期に特に多忙になる、そういうときには、できるだけ動員いたしましてこれをさばくように努力しておるつもりでございます。 御指摘のように、入国のほうのブースは現在二十六ありまして、出国のほうのブースは十四個ありますが、現在それぞれ入国につきましては十一名、出国につきましては八名から編成した班を七班つくりまして、これが二十四時間三交代勤務でやっておるわけでございますが、何ぶんにも根本的には人手が足りないというところに私たちの一番悩みがあるわけでございます。しかし、御指摘のようにできるだけ手続を簡素化して、それを合理化して促進するということも、一面では一生懸命いま努力しておるところでございますので、できるだけこの状況を緩和していきたい。しかし、何ぶんにも出入国者の数が現在激増を来たしておるのが、一番根本原因であるように思う次第でございます。
○沖本委員 入管局長も御指摘になったとおり足りないという。では、これは絶対数が足りないのか、こういうことになるわけですけれども、いわばそういうところから労働過重が起きているんじゃないでしょうか。そういう点で、人権を無視した業務の組み方があるんじゃないだろうか。この前も御指摘申し上げましたけれども、行って聞いてみますと、平均年齢は四十歳をこしておる方々がやっておるわけなんです。そういうところで、もピークになったら全部動員して控えの部屋のところにだれもいないという、そういう状態です。その横のところを飛行機の乗務員がどんどん通っていっている、こういうことで、かえってそのほうのチェックをきびしくするために全体に対して目が届かなくなっている。そういうこともうかがわれるわけですけれども、局長さんのほうで握っていらっしゃる、現在の飛行場で入管業務に携わっている平均年齢あるいは労働時間、こういうものは一体どのくらいつかまれているのでしょうか。
○吉田(健)政府委員 平均年齢というのを正確に計算はいたしておりませんが、御指摘のように三十数歳、四十歳近くになるかと思っております。ただ、羽田の入国の審査の仕事は体力だけでまかなえる仕事じゃございませんで、非常に短時間のうちにエントリーカードの要点を適確に見で処理判断しなければならないというところで、非常に熟練度を要する面もございますので、どうしても私たちとしましては、羽田に熟練したある程度年齢の高い審査官を重点的に配置しておるということになりますので、平均年齢が多少上回っておる、こういう現象になっておるかと思う次第でございます。
○沖本委員 そういう関係からいって、いろいろ一人一人に伺ってみますと、ほとんどみんな病気持ちなんですね。すでにどこが悪い、ここが悪いというのを持っていらっしゃる方々が、がまんしながら無理をしてやっていらっしゃるというのが現状なんです。そういうことですから、何かのことで過重度が加わった場合に一斉にばたばたといかないとも限らない。限られた人間でぎりぎりの線でやっているから、そういうことが起きると大きな問題になってくるんじゃないか、こういうことも考えられるわけです。ですから、休憩する場所とか、そういうものをよりはかってあげて、十分休息ができるような、空気調節からいろいろなものもはかってあげなければならないわけで、その点は新しい到着便のところにそういうものができたから、わりかたそういう点楽になってきつつはあると思いますけれども、それも法務省のほうとしては、成田ができるまでのことだというふうにお考えになっていらっしゃるのかという点が気になってくるわけです。一体今度成田のほうはどの程度のブースになり、どの程度の人が必要なのか、いまそういう積算を出していらっしゃるのかどうか、お伺いしたいのです。
○吉田(健)政府委員 成田の新国際空港に移りますと、事務室、審査場、そういったものは現在よりも非常に広くなりますが、機能的にも先生御指摘になりましたように、現在出国と入国とが非常に離れたところにある、これが両翼になって集中してくるという機能上の便宜も考えておるわけでございまして、具体的な数字としましては、現在の羽田における数が成田にまいりますと、入国のブースでは二十六のものが六十八、四十二個の増加になります。出国のブースにおきましては、現在十四個のものが三十二個、十八個の増加になるということが予定されておるわけでございます。もちろん、ただブースがふえたから仕事が直ちに解決できるわけのものではございませんので、これだけのブース増に見合って人員の増等がないと、これはやはりまかなえないんじゃないか。それ以外の仮眠室その他の福利施設につきましては、現在よりも格段に改善されるということを確信しております。
○沖本委員 いまふえるということは、成田にいった場合に、入国の場合が二十六が六十八になり、出国の場合が十四が三十二になる。これに見合うだけの人員は確保していらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。聞きますと、大阪入管のほうからだいぶ人をお集めになっていらっしゃるというふうに現場で聞いたのですけれども、その方がいまもうすでに羽田で業務についていらっしゃる。そうすると、大阪のほうはただでさえ手薄だったのがなお手薄になってくるんじゃないか。そういう点で大阪もまかなえるのでしょうか。あるいはそういう者を呼んで、羽田で訓練して成田へ持っていって間に合うのでしょうか。あるいは間に合わない場合は、どういうふうにしてその人員を補われるか。法務省のほうとしては、人員が凍結されているからそう急激にふやされないというような現状にあるわけですね。そういう隘路をどういうふうにして来年度の成田に向かって改善されていくのか、そういう点、全然私たち疑問なんです。その点いかがですか。
○吉田(健)政府委員 成田に移りますのは、現在成田空港の完成が予定より少しおくれまして、来年の五月中に完成、六月から供用開始ということを予定しておりますので、六月の時点におきましては、現在来年度の予算で大蔵省のほうと事務的に概算要求を出しまして折衝中でございまして、この増員を見た上で、先ほど申し上げましたような新しいブースその他に対応する対策をとっていく所存でおるわけでございます。現在定員が非常に足りないというのは、私たちも非常に苦しいところでございますが、御指摘のように、大阪その他も手一ぱいでございまして、これから抜いてくるということもまず不可能の状況にございます。そこで、臨時に応援を頼んだり何かすることはございますが、現在配置されております定員は、空港におきましてはそれぞれもう手一ぱいで、その張りつけを動かすようなことは原則としてできない情勢になっておりますので、したがいまして、解決は明年度の増員ということで、いま鋭意大蔵省と折衝中でございます。
○沖本委員 大体来年六月というと、あと二カ月足せば約八カ月ということになるわけですね。そういうところに十分青写真ができて、この程度できますということと、あるいは大阪のように、出国する人は上から出ていき、入国する人は下から入ってくるというように上、下で扱えば、その中間のところに配置しておけば両方使えるという便宜さもあるのですけれども、設計の中で、いまそういうふうな仕組みに設計されて空港ビルができておるのかどうか。これは法務省に関係はないと思いますけれども、要求はいろいろできると思うのですが、そういう点からいくと、どっちかというと空港ビルの中に売店とかいろいろな、そういうところに多く場所をとられ過ぎてしまって、肝心のそういう大事な問題がすみのほうに押しやられるというような、狭っ苦しいところへ部屋をあてがわれたり、そういうことになってしまいがちであるというふうな点もあるわけなんですけれども、そういう点に関して、いまめどがついていなければこれはなかなか問題だと思うのですけれども、一体いまお示しになった数だけで足りるのでしょうか、どうなんでしょうか。
○吉田(健)政府委員 人員につきましては、もちろんぜいたくは言えないわけでございまして、私たちとしてはぎりぎりの数字を最も合理的な線で出して大蔵省と交渉しておる、こういうことでございます。 なお、お尋ねのありました新空港の施設につきましては、私たちは随時連絡を受け、また関係者におきましては定期的に、準備委員会をつくりまして、こまかい部屋の間取りからその施設に至るまで検討をいたして、ほとんどでき上がっておりますので、成田に移りましてからは格段の改善が行なわれることを確信しておる次第でございます。
○沖本委員 それにつきまして、この前も少しお伺いはしたのですが、いままでの方は東京都内にほとんどお住まいなんですね。それで適当に、近いところから通えるという条件をみずからおつくりになって羽田のほうへ通っておられるわけです。行って一番問題になったのは、いろいろ雑談して聞いているうちに、成田へみんな行きたくないということなんです。ほとんどいま羽田に勤務している人たちは、会社関係を含めて官庁関係全部が行きたくないというのが強い意見なんです。なぜかというと、向こうへつとめるようになると、小学校、中学校はちゃんとしていただいた。ところが高校には手が伸びていない。ところが、こういう審査に当たっていらっしゃる方々の年齢層からいくと、ほとんど高校へ行くお子さん方を持っている人たちが非常に多いということなんです。それで、学力の差とか将来上の学校へ行くための準備とかいろいろなものがそこに控えているわけですけれども、そういうものを満たせる条件が何にもないから、そうすると、子供を東京へ置いておかなければならない、こういう事態が起きるのだということなんです。そういうことを考えていくと、子供の将来を犠牲にして自分がつとめるということに矛盾を感じる。それでからだをこわしてまでつとめなければならないのかという点に非常な不満を持っていらっしゃる。これは何も入管だけに限ったことではないということになるわけですけれども、そうなってきますと、勤務もたいへんな勤務をやらされているし、その家族の、家庭的な保障も十分できないし、それで都心からどんどん離れてしまって、生活費はどれくらい上がっていくのだろうか、いままでのもので済むのだろうかどうだろうかという、こういうようないわゆる自分の生活上の不安が山ほど詰まっているわけなんです。それを満たされる条件というものは何もないのです。それで単に成田へできたから行けと言われたって、そうはいきませんというのが全体の声なんです。税関へ行ってもそうおっしゃっているし、入管へ行ってもそうおっしゃっている。これは上の人には言えないことだけれども、名前をあげて言ってもらっては困るということなんですけれども、そういうふうな不満が充満しているわけなんです。それに向かって、今度出入国管理業務をしっかりおやりなさい、こういうことは絶対言えないと思うのです。 ですから、少なくとも最低限の高校の設備であるとかあるいは小学校、中学校の設備であるとか、それに通えるめどですね、そういうものの裏づけがちゃんとできてないと、空港だけ一生懸命がんばってつくったって何にもならないというような事態が起きる、こう考えられるわけですが、そういうものに対する対策について、ただ入管だけということでなくて、各省間の折衝をおやりになったり、あるいは空港ビルは、村山政務次官は運輸の次官もおやりになっていらっしゃったわけですから、そういうこまかいところは十分御承知だと思うのですけれども、そういう関係の中にあって、十分それを満たせるだけのお話し合いなり計画なり推進なりが行なわれているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○吉田(健)政府委員 御指摘のとおりに、新しいところに、新開地に空港ができるという状況になりましたために、その関連の施設というもの非常に大きな問題になっていることは事実でございまして、これは法務省だけでも解決できない問題が多々あるのでございますが、私のほうの部内の措置といたしましては、現在百七十四名羽田におります職員のうち、個々人に関しまして、その子弟の年齢層、教育状況、家族状況、そういったものを全部本人の希望を聴取いたしまして、来年の三月末の異動のときに希望者をまた別からも補充いたしまして、もっとも一〇〇%喜んで行かれるかどうかは別といたしましても、かなり自信を持って行っていただけるように準備いたしておりまして、また新しい人事配置による補充もいたす予定でございます。 まず最初に問題になりますのは、やり宿舎の問題でございますけれども、これも現在百七十四名の職員に対しまして百六十四戸の宿舎を、成田ニュータウンに確保いたしております。これは来年の三月中ぐらいにその宿舎が完成する予定でございますので、まあ入れもののほうは一応できるであろう。 学校のほうにつきましては、現地のほうでも状況を調べておりますが、小学校、中学校は一応いいようでございますが、高等学校は現在四カ所、成田高校、成田農業高校、それから佐倉と千葉工業高校と四カ所高等学校がございまして、そちらのほうにその通学の所要時間がどのくらいか、どういうふうに通えるか、受け入れの態勢はどうなっているかも全部打ち合わせまして、転勤される人に不都合のないように努力するつもりでおります。 なお、関連のニュータウンのほうには、千葉県のほうも病院とか日用品の補給の施設とか、そういったものをどんどんつくっていかれるという計画があると思いますので、物価その他がどの程度になるかは、ちょっとこれは計算のしようがないのでございますが、できるだけ転勤される人が喜んで行けるような状態になっていただけるようにと思って努力しているところでございます。
○沖本委員 努力していらっしゃるとおっしゃれば、それを待つ以外にないわけですけれども、それで話は少し変えますけれども、沖繩が返ってきたとき、那覇空港も国際空港になるわけでしょう。その扱いはどうなるのですか。
○吉田(健)政府委員 沖繩におきましては、現在米軍の施政下にあって、那覇空港はすべて米軍がやっておるわけでありますが、日本に返還されましてからは、那覇空港に出入りする地位協定該当者は対象外でございますが、一般人は当然私たちがこれを出入国管理することになりますので、新しい那覇空港事務所をつくって、それによって機能を発揮していきたい。 ただ、現在そういう存在がないわけでございますので、これは返還の時点を——失礼いたしました。嘉手納空港と那覇空港とごっちゃにして考えたのでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、大部分嘉手納空港の状況でございます。もちろん那覇空港そのものにつきましても、現在沖繩に稼働しております琉球政府の機構はそのまま引き継ぐ予定にいたしております。
○沖本委員 そのまま引き継いでも、結局入管業務ということは起きるわけでしょう。その場合内地からさいて持っていくわけですか。現地からそういう人たちを募集しておやりになるわけですか。募集するようになりますと、相当前もってこちらの入管業務のあり方とか法律とか、いろいろなものを訓練しなければできないはずなんですね。語学の点はたんのうな方が向こうにたくさんいらっしゃっても、そういう点が起きてくるのですが、そういう手配はできておるのか。ということは、定数が足りないことからそういう疑問を起こしているわけですよ。
○吉田(健)政府委員 現在の琉球政府の持っております、私たち入管に対応する組織の定員は、そのまま全部引き継ぎたいという基本方針で対応しておるわけでありますが、なお現地にいままでおられた人だけでは不十分でございますので、ある部分の交流できる部分があれば、内地のほうからエキスパートを送ってこれと交流する。かりに向こうとの交流が不可能な場合にも、現地の定員減が、自然退職者等が見込まれる場合には、こちらのほうから送り込む。それで仕事の円滑な運営をはかりたい。 なお、現時点におきましても琉球政府からわれわれのほうに招待しておりまして、訓練といいますか、新しい仕事のやり方を勉強してもらっておりますし、またこちらからもたびたび出かけて、向こうのほうに指導といいましょうか、こういうふうになるということをあらかじめ目下行なっておる次第でございます。
○沖本委員 これは万遺漏のないようにやっていただかなければならないことなんですけれども、私、質問の点で一番しぼってお伺いしたいと思っていたのは、結局現在の羽田が、成田に行くまでの間にたいへんなことが何度か起きはしないかということなんですね。たまたま私が見たときは、海外へ行かれる方と結婚ブームと両方かち合ってたいへんなことになっておって、私自身がびっくりしたのです。こんなに海外へ人が出るのかと思ったのですが、中に入っていろいろな状況を見てみますと、もう右往左往して、アメリカへ行く人がヨーロッパに行く人のところに並んでみたり、たいへんな騒動が起きておりました。そういうものを円滑に運ぶようにやっていくことが大事なことではないかと私、思うわけです。同時にジャンボに乗る人たちは、出発手続をとってから五百メートルも歩いて、そして入国のところのジャンボのところから乗っていく、こういうことになって、手荷物なんかたくさん持っていらっしゃる方はたいへんな思いをして向こうに行っているわけです。そういうものもあと八カ月ほどだからしんぼうしてくださいということになるのかもしれませんけれども、もう少しあの状態が、混雑が何とかなるような方法を、成田へ行くまでの間でも組んでもらわなければ、審査官だけの問題ではなくて、たいへんなことが起きる、こう考えるわけです。場外で並んでいる人を空港の警備員が整理しておって、それで伝わっていくと、入管のところからずっと外までつながっているのです。そういう事態がしばしば起きているということをよくお考えになっていただいて、この対策を立てていただかなければならないと思うのです。ただ帰ってくる方々は物をたくさん持っていらっしゃるということで、税関のほうがたいへんだということになるのですけれども、行く方は審査の対象になることがおもなんです。そういう点だけはもう少しスムーズにいかなければならない、こう考えるわけです。 もう一度重ねて伺いますけれども、次官のほうにこれはお伺いしたいのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、政務次官は運輸次官もおやりになりまして、よくその間の御事情は御存じのはずなんですけれども、こういう問題に対しまして、入管だけにかかわらず、税関も植物検疫もいろいろなものも全部含まれると思うのですけれども、空港のこういう働く人たちの対策を十分立てていただかなければならない。そうしなければ意欲がなくなる。意欲がない人に働けと言ったってそれは無理だということになってくるわけです。そういう点について、もう少しこういう人たちの厚生施設なり何なりを十分はかってもらわなければなりません。まして高校の場合に関しましては、これから入る人は、いま局長がおっしゃったような方法をどうしてもとってもらわなければならないのですが、入っているお子さんをそのまままた連れていく方がおるわけです。そうすると、子供をこっちに置いておいて自分だけ行かなければならぬという事態が起きているわけです。その点の御配慮はあるのかないのかということですね。これは次官にお伺いしたいと思います。
○村山政府委員 沖本委員からだんだんと大事な点を御指摘いただきまして、私自身非常に勉強になりまして、ありがとうございました。 御承知のように、外国人の往来の人数がたいへんな数でございまして、おそらく年率二割か二割五分ずつぐらい伸びて、いまでは百万ぐらいになっておるわけでございます。二十年ぐらい前までは五万といわれたものがそれぐらいになっておるのでございます。入国管理局としては全力をあげてやっておるわけでございますが、おっしゃるように、税関の事務を含めまして日本の入出国の所要時間が、他国に比べてやはり少し長過ぎるというふうにわれわれは伺っておるわけでございます。その辺のことを十分わきまえて、ただいまおっしゃったことを十分頭に置きまして、できるだけの努力をいたしたいと思うのでございます。 幸い、人間のほうは、行政整理のさなかにもかかわりませず、年々少しずつはふやしてもらっておるのでございますけれども、私たちから申しますと、まだまだ十分とは申しかねるのでございます。まず第一に、今度の予算の折衝において必要な人員を確保して、そして皆さまに御迷惑をおかけすることがないようにやりたいと思っております。そしてまた、ただいま御指摘の従事者に対する非常にあたたかいおことば、私たちも非常に参考になるのでございます。局長からお話がありましたとおり、局長も非常に苦心をしてやっておるわけでございますが、私たちも法務省をあずかる一人といたしまして、この点につきましては、今後さらに局長からも十分お話を聞き、ただいまの御趣旨に沿うような方向で努力してまいりたい、かように思うわけでございます。
○沖本委員 以上で終わります。
○松澤委員長 岡沢完治君。
○岡沢委員 幸い法務大臣がお見えになりましたので、最初に、法務大臣が今月二日の記者会見で、その前日の十一月一日にございました東京地裁の例の全逓プラカード事件の判決に関連してお述べになりましたことばがありますが、いささか不安で疑問に感じましたので、その点についての真意をこの際明らかにしていただきたいと思います。 新聞報道でございますから、確実であるかどうか、私自身直接聞いておりませんので、その点は大臣からお答えいただくとして、新聞報道に関する限り、「戦前の行政裁判所がなくなった結果、裁判所が行政権にかなり介入した形になっている。おかげで行政官庁も困っている」という御発言であったようでございます。大臣は非常に見識の高い方で、三権分立の大原則が憲法上たてまえとして確立されておるということは十分御承知の上での御発言だと思います。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 けさの当委員会におきましては、逆に、裁判所に対して内閣総理大臣の異議問題を取り上げまして、やはり違った角度から三権分立の問題が議題になったわけでございますが、いま指摘いたしました法務大臣の全逓プラカード事件に関する御発言の真意を、最初にお尋ねいたします。
○前尾国務大臣 ただいまお尋ねの私の記者会見の発言、まあことばの足らぬ点もありましたし、また真意のおわかりにくい点もあったと思いますし、また言ったとおりに書いておられる点もあるわけであります。 私の申しましたのは、とにかく最近、地方裁判所で行なわれておる行政訴訟に対する判決に対して、官庁側といいますか、またそれを代理して——私は訟務大臣でありますから代理をしなければならぬが、そういう事件が非常に多くなっております。私どもから考えますと法律の解釈を誤っておる。しかし、とにかく第一審で判決が行なわれますと、私は最高裁までいったら是正されるものだと思っておりますが、もちろんその間にも是正されるでありましょうが、その間、いかにも司法権が介入しておるような感じを与える、結果的には司法権が介入しておるようなかっこうになる、こういう表現そのままを新聞も書いておるようでございます。そういうことを申して非常に慨嘆したわけであります。 御承知のように、この問題については戦前と戦後非常に制度が変わって、世界的に考えますと、英米法とそれから大陸法と非常に違いがあるわけであります。また、そのいずれにも長所があり短所があり、学説的には非常におもしろい問題でもありますし、また、現実にそれをどういうふうに調和していくか。要するに、一面から言いますと三権分立、これはあくまでどちらも介入してはならない問題でありますとともだ、また事実的にと申しますか、そういう点で非常な差異があるわけであります。でありまするから、司法裁判所がおやりになる場合にも、やはり行政担当官というようなことでかなり苦心はしておられると思います。ただ、ただいま申しましたように、一審、二審、なかなかそう専門的な裁判官の養成ができないということで、これは率直に言って法の解釈を誤っておるのじゃないか、私どもはかように考えておるわけでありますが、誤った裁判が行なわれますと、いかにも司法権が行政権に介入したような感じがする。と申しまして、私は決して第三者が判定する、あくまで行政機構だけが最終的に結論を下すようなことも、これはよくないと思います。 でありまするから、非常に学説的な話になるかもわかりませんが、私の根底には行政裁判所と司法裁判所と両立して、最終段階には最高裁判所、司法裁判所が判決する、こういう制度が一番いいのじゃないかというのが頭にありまするから、そういうような発言をしたのがああいうふうな形で伝えられたのでありまして、そういう意味でお聞き取り願いたいと思います。
○岡沢委員 学者としても誉れの高い前尾大臣でございますし、それが評論家的な立場、あるいは在野の立場、あるいは単に国会議員でおられる場合は私は許されると思いますけれども、いやしくも法務大臣が三権分立の基本精神、これはわれわれの個人的な選択によるものではなしに、憲法の基本原則でございます。行政裁判所を廃止したのも、私は憲法に従った当然の処置だったと思っております。そういうことを考えました場合、いま大臣のおことばの中にも、法の優位といいますか、法の解釈に関する限りは、最高裁判所の決定が最高位であるということをまさか否定なさるとは思いませんけれども、しかし、一審で確定した場合だって、やはり三権分立のたてまえから、いかにそれが行政府にとって、あるいは立法府にとって好ましくない判決でありましても、従うのが法治国の大原則ではないか。それをいやしくも疑わすような、それに対する疑問を投ずるような御発言は、私は法務大臣としては必ずしも適切であるとどうしても考えられないわけでございます。法の解釈に関する限りは、法制局長官よりも最高裁の判決あるいは下級裁判所の判断が優先するという点については、法務大臣御異議ございませんか。
○前尾国務大臣 最終的に申しまして、司法裁判所が、最高裁が法の解釈の権威であることについては私は決して否定いたしませんし、もとよりそれは順守するつもりです。 ただ私は、一面また訟務大臣という、各官庁にかわりましてわれわれが代行してそれに対して控訴をしなければならぬ、こういう立場にある。そういう意味からいたしますと、第一審なり第二審の判決に対しては、やはり批判をしていかなければならぬ立場にあるということも御了解願いたいと思います。
○岡沢委員 当然のことなんで、私は控訴権まであるいは上訴権まで否定しているのではもちろんございませんけれども、異議があれば黙って控訴されて上級審で争われたらいいわけなんで、いやしくも憲法のたてまえである三権分立に疑問を持つ、あるいは行政裁判所を廃止された憲法の趣旨に反するような御発言は、必ずしも好ましくないと私は思います。特に、先ほどの御発言の中の節々に出てまいりました、結局国家公務員法違反事件の下級審の判決、具体的には全逓中郵事件、これはもう最高裁の判決が出ましたけれども、都教組あるいは佐賀県教組に対する一審判決についての御不満が、あの御発言になったと思うわけでございます。 しかし、裁判所のほうでも、たとえば東京地裁の行政事件担当部というのは、最優秀の裁判官を集めているというのがわれわれの常識であり、また事実そのようであります。最高裁までまいりますと、十五人の裁判官、これは人格、識見あるいは法律的にもある程度の、それはもう一流の人材を選んでいただいていることは否定をいたしませんけれども、厳密な法律解釈ということになりますと、下田最高裁判事の場合、過去の御経歴からいたしまして、私はその適格性を否定するわけではございませんけれども、法律判断としてそう専門家的なお立場をお持ちでないということは、これは否定できない国民の感想だろうと思います。また最高裁人事につきましては、内閣が任命権を持っているというような点からいたしましても、非常に政治的な介入の余地があるということは、また否定できない制度上の欠陥でもございます。 そういうことを考えますと、むしろある意味では一審、二審の第一線の、憲法と良心に従って忠実に裁判をやっている裁判官の判決のほうが、ほんとうは憲法の精神を生かすものではないかという解釈も十分に成り立ち得る。最高裁までいった場合は、結局はいわば政府の意向が大きく反映する。あるいは最高裁の人選なり十五名という人数なりいろいろな面から配慮した場合に、やはり第一線の最も優秀な裁判官の、しかも政治や社会情勢に影響されない、法律と良心に従った判決を一応は尊重する、それに異議がある場合は、法の手続に従って控訴なさるのは当然でございます。しかし、一審の判決がいかにも不満である、不服である、それを法務大臣の立場から、いわゆる裁判所の手続によって表明されるのではなしに、記者会見で国民の前に発表される。私はいささか疑問を感じざるを得ない。これ以上は見解の相違だと言われればそれまででございますので、また畑委員からも関連質問があるようでございますから、この問題についての私の質問を終わりますけれども、もしご意見があれば、この際もう一度述べていただきたいと思います。
○前尾国務大臣 私は、何も裁判官あるいは裁判をされた方がどうこうと言っているのではなしに、された裁判に対しては批判をしていかなければならぬ。ただそこで問題は、それがいかにも司法権が行政権に介入したようなかっこうに見えるということについて、制度的にも問題があり、また実際に最高裁の非常に苦心しておられることはよく承知しておるのであります。なかなか練達の士をつくり上げられて、行政訴訟に対して遺憾なきを期しておられるようでありますが、なかなかそれが定着しないということで苦心をされておるのでありますが、とにかくいずれにしましても、最近そういう裁判が非常に多いという点で、われわれも非常に、むしろ法務大臣としては困っておるということを申したわけであります。これは御了承願いたいと思います。
○岡沢委員 そうおっしゃると、これは発言をやめるわけにまいりません。と申しますのは、憲法のたてまえ上、これは行政事件も訴訟の対象になることは明らかでございます。そうではなくて、行政庁の処分については不服は申し立てられないとなるとこれはたいへんな問題が、あるいは憲法の否定とか基本的な人権が守られないという大事な事態が起こってまいります。ことに、幸か不幸か、野党の力不足で、議会制民主主義あるいは議院内閣制のもとで、与党が絶対過半数を二十年をこえて持っておられるというような事態の場合に、ほんとうの意味で行政府が司法にも優位をするというようなことになるとたいへんなことでございます。ほんとうのいまの日本の力関係では、立法府でも行政府でも完全に自民党が握っておられる。せめて三権分立の一つの司法裁判所が、人権擁護の最後のとりでであるというのが国民の期待であり、また真実の姿であろうと思います。そういう場合に、行政官庁に不利な判決が出たから、司法権の行政権への介入だという解釈は、どう考えても見識の高い法務大臣の正しい解釈とは私は思えない。重ねて質問いたします。
○前尾国務大臣 行政庁に不利だからと言っておるわけでは決してありません。それは間違っておるものに対しては、これははっきりわれわれは負けて悔いのないことでありますし、その点について私は異議を申しておるわけではないのでありますが、率直に申しまして、われわれが考えて、どうも法律の解釈を誤っておる、現に控訴をどんどんやらざるを得ないということでありますので、その点を慨嘆したわけであります。
○岡沢委員 その点は、裁判所が間違っているのか、行政庁の処分のほうが間違っているのか、あるいは解釈が間違っているのか、ここに入管局長おられますけれども、入管事件についての判決が、大体法務省が負け続けておられるということは厳然たる事実でございますし、やはり私はそれだけに憲法に照らし、法律に照らして、行政官庁の解釈が無理があると言うほうがすなおではないかと思います。けさ問題になりましたデモの禁止に関連した総理大臣の異議にいたしましても、八回も九回も裁判所が、当然総理大臣の異議が出ることを予想しながらも、あえて法律と良心に従ってデモを許可する方向の決定をなさる。私はむしろ裁判所の勇気と良心的な行為に敬意を表するとともだ、政府こそ反省されるべきだと思うわけでございますが、重ねてこの点をお尋ねして、畑委員にこの問題に対するバトンを譲ります。
○前尾国務大臣 異議の申し立てにつきましては、われわれもなるたけ異議の申し立てをやりたくないのでありますが、率直に申しまして、最近の状況を見ますと、この情勢では問題が起こりかねないという点で、もう起こってしまったらおしまいでありまするから、また警察当局、治安当局が自信を持てないというものについては、やはりその点で、裁判所のお考えになるのとあるいは警察当局の考えるのと非常に食い違いがあるかもわかりませんが、実際問題として問題が起こらぬようにというような考え方のもとに、異議の申し立てをやっておるのであります。 そういう意味からいたしますと、私は容認される裁判所についても決して無理であるとは思っておりませんが、実際治安に当たっておる者からいたしますと、いろいろな最近の情勢を考えますと、とにかく問題が起こる不安があるというような情勢でありますので、その点は御了解願いたいと思います。
○畑委員 関連して質問をいたします。 実はこの問題につきましても、私は午前中法務大臣がおいでになって質疑応答をかわしたいと思っておったのですが、ほかの委員会のほうに法務大臣が取られてしまったので、この点質問することができなかった。したがって、私もちょっと一言あらざるべからずという意味で御質問するわけです。 大体いま岡沢君の質問で尽きておると思いますけれども、念のためにお伺いしますが、この間の全逓の例のプラカード事件、あれは被告はたぶん法務大臣でなくて郵政大臣だったと思いますが、いかがでございましょうか。
○前尾国務大臣 郵政大臣だと思います。要するに、郵政大臣なりほかの省で、行なわれました判決に対して不服であれば、法務大臣が代理としてやらなければならぬ、こういうたてまえになっておるわけであります。
○畑委員 ですから、あの裁判の段階におきましては、あなたのほうでは指定代理人を部内の訟務のほうからお出しになる、こういう意味で関係をしておられるのだと思います。ほかの場合とあの場合はちょっと違うと思います。行政上の懲戒処分に対する異議の申し立て、それを争う事件でございまして、そういう意味で御関係なさるわけであります。 ところで、あの機会に法務大臣がああした発言をなさるということは、どうしても私も納得がいかない。しかも、いま岡沢君の質問に対する御答弁の模様をずっとお聞きいたしておりますると、どうも憲法をほんとうに正しく解釈していらっしゃらないんじゃないか。法務大臣がそうであっては、もうほかの大臣はなおさらだというふうに私は思うのでありまして、それは結果としては行政庁としては不満があろうかもしれないけれども、それをやっているんです。それがいけないと裁判所で言われたのです。まだしかし控訴の道がある。不満であるからというそのお気持ちはわかります。わかりますけれども、そうした法律の解釈等の最終の判断はすべて司法権がやる。そのために三権分立で、国民は、司法権は最高裁判所以下の裁判所にまかしておるわけですから、そういったことをはっきりとやはり区別してもらわぬと、非常な誤解を招くのではないか。誤解と言っちゃおかしいかもしれないが、真意でないとすれば誤解かもしれません。しかし、私たちはどうもいままでの大臣の御答弁からしても納得がいかない。やはり国家公務員は憲法をとにかく忠実に実行する、守る義務と責任があるわけなんでありますから、その点は最終的な判断は裁判所でやる。幾ら行政事件であっても裁判所でやる。かつての戦前の時代には行政裁判所というものがあったわけであります、一番最後にはもちろん裁判所ということがありましたけれども。そういう形で行なわれたが、今度は新憲法のもとではそれはやらないということになって、裁判所で最後の判断をする。もちろん裁判所の中には一審、二審、三審とございまするから、その過程で不満があれば上訴を出していいわけであります。その範囲においては不満だということを言ってもいいのだと思います。しかもそれが、郵政大臣がこの場合言うなら私はわかります。ところが、法務大臣があえて記者会見の席上で、行政庁も困っておる。あなたがいろいろと訟務関係を担当されておるから、すべてが法務大臣のほうにそういうときは来ますから、そういうことを言われたのかもしれませんが、これは非常に響きが大きかったと思うのです。したがって、ぜひ、岡沢君がいま御質問されたようなことで考え方をあらためてもらいたいと思うのです。戦前と違うんです。戦前に戻したくてもそれはできない。戻しちゃいかぬのです。それがいまの、私は司法と行政とのあり方だと思うのです。これを十分ひとつ反省してもらいたい。どうもおことばの端のほうから、そうでないような考え方をとっていられるような感じがするんです。 それで、先ほども岡沢君が言われましたけれども、最高裁判所の裁判官は、御承知のように内閣が任命するということになっております。結局は最後のきめは最高裁でするということになるわけだ。しかもその裁判官を行政府が任命をするということになっていることにおいてはなおさらのこと、法務大臣の発言が非常に微妙に私はそういうところへ影響してくると思うのです。そういう点で、行政権が司法権に介入してくる、介入だということが言えるんではないかと思うのでございますが、その点いかがでございましょうか。
○前尾国務大臣 あの話をしました中にも、これは最高裁で是正されるということは申しておるのでありますし、要するにその過程にいくまでが、いかにも司法権が行政権に介入するかっこうになっていると、これは確かに新聞も書いていると思います。そういう制度的な問題で、私ももちろん新憲法になって、そうして司法裁判所で法律の解釈はみなやるということについて異議を申しておるわけではないんであります。ただ制度として考えますと、従来からどういう制度がいいかという議論は確かにあるわけなんです。率直に申しまして、先ほども言いましたように、最終的には司法裁判所が決定するということは私は正しいと思いますが、まあ議論といたしますと、行政裁判所と司法裁判所と並列して、そうして最終的には最高裁が決定するというような制度が、これは現にドイツでありましたか、とっておるんではなかったかと思いますが、そういうような要するに英米法と大陸法と非常に違う。どっちも長所もあり短所もあり、それをどういうふうにして折衷していくかというのが、むしろ最近の裁判所の訴訟制度のあり方ではないかというふうに私は考えておりますが、あるいはそれがそういうような感じを与えたかもわかりません。しかし、私の真意から申しますと、ただいま申し上げましたようなことでありまして、決して御心配になられるように、三権分立なり憲法を理解しないというようなことは絶対にありませんから、その点は御理解願いたいと思います。
○畑委員 もう一点。お話は、結局は一審、二審、三審とあって、まだこれからも争う余地があるということも言っておられる。しかし、司法権が行政権に介入したかっこうになる、形になるというような表現であられた。それがちょっとおかしいのではないか、そういうふうに私はどうしても思えてならぬ。ともかく、これはもう大臣が長いこと官僚生活をされた。まあ政治家になってからの時間も相当たってはおりますけれども、しかし行政官の経験がずっと長い。そういうことで、やはり戦前の制度に対するノスタルジアがあるのじゃないか。昔はそれで行政がやりやすかった。ところが最近はそうはいかぬ。最後に裁判所という法の番人がおる。すべてが、行政事件であれ何であれ、最後はとにかく司法権の裁断にまかされるという制度になった、ややっこしくてしようがない、こういったようなことで、やはり昔のようなことがよろしいという一つの郷愁に似たようなものがつい出たのではないかというふうに思います。これは郷愁は困るんでありまして、それは立法論とすればそういう考え方もありますよ。やはり昔の制度のほうがよろしいという考え方もあるかもしれないけれども、少なくともいまの憲法の全部の条章から流れ出るものはそういうものではない。三権分立は前の三権分立とは違うはずです。その辺を十分ひとつ御考慮いただいて、あなたのお立場を考えていただきながら発言をしてもらわないと困るのです、やはり非常に影響いたしますから。その点ひとつ警告と申しますか、今後そういった考え方でなくするということだけはっきりしてもらいたい。
○前尾国務大臣 私の真意は、率直に言って、何も新憲法を理解していないわけでもありませんし、最終的に最高裁判所が決定するということについて異論を持っておるわけじゃなしに、むしろ信念で、最終的には私は最高裁判所が、最高の司法裁判所がきめるということは、その点に関しましては、私はむしろ正しいという信念を持っております。まあ私も役人をやめまして、もう役人よりは代議士をやっているほうがずっと長くなりますので、その点を御理解願いたいと思います。
○岡沢委員 この問題、私も締めくくりますが、先ほど法務大臣は、まあ東京地裁のプラカード事件の判決をさしておっしゃったのだと思いますが、少なくとも司法権が行政に介入している形をとっているということをおっしゃいました。実際には介入は全然ないわけですね。御承知のとおり下級審の判決は確定しなければ拘束力がございません。そういうことを考えますと、そのこと自体も法務大臣の解釈に私は誤りがあるのではないかということが一点。それから憲法七十六条、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」下級裁判所も憲法上の存在でございますし、司法権が属するということは憲法上権限として付与されているわけでございます。その次が問題で、「特別裁判所は、これを設置することができない。」法務大臣がおっしゃるような、行政裁判所を憲法上も禁止しているわけでございます。私は、学者としてなら、批評家としてなら許されますけれども、憲法を守る義務がある国務大臣が、しかも法務大臣が、ただいまのような評論家的な発言というものは厳に慎まれるべきじゃないか。重ねて指摘を申し上げ、この問題につきまして、この全逓プラカード事件について控訴されたかどうか、その一点だけお聞きして次に移りたいと思います。
○前尾国務大臣 控訴したようであります。 実はあの問題よりも以前に、ずいぶん文部関係その他で各所に控訴しておる事件があるので、それと一体にしてそういう感じを与えておる、ほんとうにそういうかっこうに見えるということを言ったわけです。介入しておるという直接的なことばは絶対に使っておりません。
○岡沢委員 それでは次の質問に移りますが、きょうは私、中心は国鉄内部の暴力事件をただしたいわけでございますが、副総裁、ちょっと時間をとっていただいてかまいませんね。 それではその前に、昨日渋谷事件でけがをされました中村巡査、昇進されて警部補になられた方が死亡なさいました。九月十六日の成田騒動あるいは十一月十四日の渋谷闘争を頂点にいたしまして、極左暴力集団と申し上げてよろしいと思いますが、過激派の暴力行為はまさに目に余るものがございます。警察官は成田の場合三名、渋谷で一名でございますが、自衛隊員が殺されたりあるいは一般市民が全く縁もないのに物的、人的被害を重ねているわけでございますが、私は放置できない治安上の大問題ではないか。警察官、その家族に与える士気等も含めまして、あるいは損害賠償その他を考えますと、国家的な、国民の税金のたいへんなむだづかいであるということも含めまして、やはり真剣に論議をすべき対象ではないかと思うわけでございます。 この過激暴力集団、私はあえて学生とは申しません。学生の資格はないと思いますが、この極左暴力集団の実態について、公安調査庁もお見えでございますが、どういうふうに把握をしておられるか。やはり相手を知らなければそれに対する対策も立てられないはずでございます。その背後関係、思想体系あるいは資金関係等につきまして、現在把握しておられる実態を明らかにしていただきたいと思います。
○川口政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。 十一月十四日の渋谷暴動を扇動しておりましたのはいわゆる中核派といいますか、この中核派と申しますのは三つ団体がございまして、一番上部の政治的団体は革命的共産主義者同盟全国委員会、革共同というように略称しておりますが、その下に学生団体であるマルクス主義学生同盟中核派、こういうのがございます。その下にいわゆる全学連の中核派という傘下団体があるわけでございまして、現在では、最近の九月の成田事件あるいはその後の都内の爆弾もずいぶんありますが、大体最近最も過激な主張をしているのがこの中核派でございます。最近いろいろ派閥がございますので、いま岡沢委員の質問に対しまして、中核派を中心にお答えいたします。 この過激派学生集団、このほかに革マルとか反帝学評とかいろいろございますが、大体資金源といたしましては、いわゆる全学連の所属の各学校の自治会費、これが一つでございます。それからそのほかに機関紙を出しております。それからいろいろな集会のときに入場料を取りまして、これも資金になります。それからそのほかにカンパをいたします。これにあるいは中共系商社その他からの寄付、いろいろと収入源がございます。 中核派だけについて考えてみますと、現在中核派の握っている全学連の学生数が大体全国で十万でございますか、これは全学連の自治会費から学生一人につきまして四十円ずつ入ってくるわけでございまして、中核派といたしましては十万人でございますから、年に四百万円入ります。それからそのほかに革共同中核派で「前進」という機関紙を出しております。これは一週間に一回出るのでございますが、大体一回三万出て、これを五十円で売っております。印刷費その他にも半額かかるといたしまして百五十万円のうちまあ半額近くが、全部売れましたら収入になるのではないか。これが一週間に六、七十万、月にして二、三百万というのが収入になるのではないか。それから、先ほど言いましたようにカンパとか寄付とかいろいろある、こういうのが資金源かと思っております。 それからこの組織でございますが、この中心的な幹部は、十年前の安保闘争のときに学生などであった北小路敏とか、現在は書記長は本多延嘉でありますか、この前の安保のときに学生運動をやった連中です。大体その中心的な分子は全国で二、三百人ではないかと私たち見ておりますが、中央で政治局、それから書記局というものを構成しております。それから全国地方委員会、府県委員会、各地区委員会、最後に各大学に細胞がございまして、大体共産党と同様な組織を持っておりまして、全国でマルクス主義学生同盟、これの傘下団体まで入れて大体活動家は二千名くらいではないか。それからその下に動員される者が、先ほど申しましたように十万、その自治会を握っているという学生数が十方、こういうように見ております。 これが大体昨年の安保闘争のときには、いわゆるカンパニア闘争といいましてデモあるいはアジビラ、そういうものを中心にやっておりましたが、本年の六月ごろから、例の六月十七日の明治公園の爆破事件、あれ以後ゲバルト闘争と申しまして暴力主義的になってまいりまして、例の成田で警察官三人が殺されました。これもまだ実態は現在捜査中でわかりません。しかし、大体中核派が盛んにアジっておりましたので、一つの有力な構成分子になっていることは間違いないと思います。この間の渋谷の暴動、これはもう明らかに中核派の連中の行動と見ております。 私たち、ふだんから極力調査し、大体この過激派団体幾つもございますが、これに対して警察と事前にも事後にも緊密な連絡をとりまして調査を進めておりまして、私のほうで得た情報、これは捜査に役立つものは直ちに提供しておりますし、警察で押収その他捜査によって得た資料で、団体規制、活動制限、そういうもので私どもの仕事に役立つものはいただいております。 大体この程度でよろしゅうございますか……。
○岡沢委員 思想的な背後関係、団体とか個人とか、そういうのがわかっておりましたら明らかにしていただきたい。
○川口政府委員 思想的な背後関係ですか。
○岡沢委員 それも含めて、資金関係もありましたら……。
○川口政府委員 資金関係は先ほども触れましたし、組織面も触れましたのですが、思想的な背景といいますと、規約、綱領を彼らは発行しておりまして、これに明らかに書いてありますが、共産主義社会の実現が同盟の目的である。その実現の目的、実現に至る手段、これがいろいろと派閥によって違うわけでございます。京浜安保とか、一番正統なのが日本共産党でございますが、そのうちの非常に過激なものがこの連中で、過激なうちにもいろいろな手段によって派閥に分かれているわけでございます。
○岡沢委員 特定の理論的な指導者がおるかどうかというようなことはわかりませんか。
○川口政府委員 理論的な指導者は革共同の創始者といわれている黒田寛一ですね、これなんかが革命的共産主義者同盟の理論的な指導者じゃないかといわれております。これが現在二つに分かれておりまして、革マルと中核派、こういうことになっているわけでございます。
○岡沢委員 きょうの質問の主題がこれではございませんので、次に入りたいと思います。 よく言われますように、犯罪防止の一番のきめ手は犯人逮捕だと言われております。ところが御承知のとおり、成田闘争も三名の殺人事件についてもいまだに手詰まり状態、また最近の警察官の殺害事件につきましては、一応容疑者は逮捕されたようではございますが、大体この種事件、うやむやに過ごされておるというのが実態で、それがある意味では彼らの質的、量的な暴力行為をエスカレートさしているという理由にもなっているという見方は、私は否定できないと思います。 そういう点から、これは警察庁に主として聞きますが、この種事件の捜査が手詰まりになっている理由はどこにあるのか。捜査技術の問題なのか、あるいは法的に不備があるのか、あるいはまた彼らの防御体制がじょうず過ぎるのか、あるいは犯罪態様そのものに問題があるのか、この辺を主として警察当局、法務省の刑事局長ももし必要であれば御発言をいただいて、現在の時点で明らかにされている点を御説明いただきたいと思います。
○斉藤説明員 お尋ねのように、最近警察官がねらわれあるいは警察の施設に時限爆弾をしかけるような事件、そういうものが相次いで起こっておりますが、これらの事件は、いま御指摘のようになかなか捜査が円滑に進展しておらないのでございます。その原因はいろいろございますが、もちろん私どもの捜査の技術がまだ不十分で、十分に捜査力が発揮できないということが何よりも大きな原因であろうと思い、深く反省し努力しておるのでありますが、もう一つは、客観的に最近の事態が非常に捜査をむずかしくしているような状況の中で犯罪が行なわれる。 まず一般的に申し上げますと、最近の社会の社会構成といいますか、たいへん捜査がしづらい。たとえば、赤軍だとか京浜安保共闘の連中がいろいろな凶悪な罪を犯しておりますが、この人たちがたいがいやはり都下のアパートにアジトがあって住んでおります。昔の社会状態であれば、隣におる人はどこのだれべえでどういう方かということがすぐわかるのですが、なかなか最近の都会性からいってそれがわからない。そういった社会構成が都会化して、都会の匿名性というのが非常にふえてまいりまして、そういうことでたいへん捜査がしづらい。事前においても動きを察知しづらいという点がございます。 もう一つは、長くなりますので要点だけはしょって申し上げますと、最近の犯行が非常に巧妙でございまして、時限爆弾をしかけて相当時間がたってから事象が起こるといったようなこと、それからまた不意に奇襲をして被害者が死んじゃって、だれが当事者であるかわからないといったような、そういうことが多々ございますので、捜査は一生懸命やっておりますが、なかなか徹底した捜査は行なわれない、成果があがらないといったような状況で、私どもなお努力しておる次第でございます。
○羽田野委員長代理 刑事局長の答弁はいいですか。
○辻政府委員 答弁ございません。
○岡沢委員 彼らの常用する武器が火炎びんであるということは常識でございますが、もちろんそれだけではありません。その火炎びん対策について新聞の報道によりますと、きのうの閣議で問題になって中村国家公安委員長が、火炎びん対策の立法も考慮するというような御発言があったようでございますが、お差しつかえなければ国務大臣としての前尾法務大臣、きのうの閣議でこの問題についてどういう論議があり、そして火炎びん対策等について政府としても立法をお考えになっておるのかどうか、明らかにしていただきたい。
○前尾国務大臣 率直に申し上げまして、きのう閣議におきましてそういう話はありましたが、論議はありませんでした。 まあ私自身の感じといたしましては、火炎びんがはたして、これはもちろん凶器でありますが、それだけでいいか。率直に言いますと、最高裁の判決で火炎びんは爆発物ではないという判例があるわけであります。ところが、最近の火炎びんを見ておりますと、非常に残酷な災害を与えている。だからそういう点では、もう一ぺんやはり火炎びんに対して何らか立法の必要があるかどうかということを検討すべきでなかろうかと思います。
○岡沢委員 先ほどの公安調査庁長官の御発言の中にも出てまいりました、中核派の機関紙「前進」がここにございます。その号外でございますけれども、「自ら武装せよ!敵から奪え!一切を武器に転化せよ!人民の敵・機動隊、デカ、自警団ら一切の反革命分子を撃滅せよ!」あるいは「渋谷に大暴動を」あるいはまたその中に、「火炎ビンの作り方」「逮捕時の心得」こういう文書が公然と印刷、配布されているわけですね。これが犯罪にならないのかどうか、こういう点については、素朴な疑問でございますけれども、市民として国民として私は当然起こるのではないか。彼らの過去の実績等に照らしまして破防法、あるいは騒乱罪、あるいは一般の刑事犯としての暴行、脅迫、暴力行為、それの予備あるいは教唆、扇動というものに該当しないかどうか。私はこの種事件が起こってから逮捕し捜査をする、その捜査がむずかしいことは先ほど触れましたが、事前に予防するのが最大の治安当局の責務ではないか、また最善の方法ではないかということを考えました場合、この「前進」に「一一・一四渋谷に大暴動を」というタイトルのありますこの号外だけでも、かなり法律的な問題を含んでおるのじゃないか。この点について、公安調査庁及び警察当局、これは法務省も含めまして、これが一切犯罪の対象にならないのかどうか。私は、言論の自由、表現の自由とは無関係に、この文書の中身が法治国で許されるかどうかということについて大きな疑問を持ちますので、お伺いいたします。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
○辻政府委員 過激派集団の発行しておりますそういう一つの文書でございますが、私どもも犯罪を構成するかどうかという点から常々注視いたしております。 御案内のとおり、現行法規で言論あるいは文書活動を罰則の対象にするというのは、破壊活動防止法の三十八条から四十条までの条文でございます。これに該当するかどうかという問題になるわけでございまして、破壊活動防止法におきましては、内乱、外患については、一定の政治目的による正当性、必要性の主張、それからその他の殺人であるとか放火であるとか騒擾であるとか、あるいは多衆の者が凶器を持って一定の公務員に暴行、脅迫を加えるとか、そういうような者につきましては、一定の政治上の目的のほかに、これを教唆もしくは扇動するという場合がこの罰則に当たることになるわけでございます。 ところで問題は、かような文書が、内乱、外患の場合は別といたしまして、一般に殺人であるかとか騒擾であるとか、あるいは一定の公務執行妨害の扇動、教唆というようなものにつきまして、教唆、扇動というものの本質からいきまして、単に行為の正当性、必要性の主張というだけでは足らないわけでございまして、実際に現実にその扇動なら扇動を受けた者が新たに犯意を決意し、あるいはすでに持っておる犯意を助長されるという効果がなければ、この教唆、扇動というものに当たらないということでございます。それは一定の犯罪との関係において、そういう犯罪行為の決意をさせるだけの力があるかどうかという問題になるわけでございます。具体的案件、案件によってそれがきまってくるのだろうと思うのでございます。 ところで、一般の文書活動の場合には、具体的な一つのそういう犯罪行為との結びつきが非常に希薄であるというような場合が多いのでございます。あるいはまた単に正当性、必要性の主張にとどまっているという場合が多いのでございます。そういう点で、ただいま御指摘のような文書が、直ちに破防法の罰則に当たるということが非常にむずかしい場合が多いということに相なろうかと思います。 しかしながら、現実に最近の事例におきましても、中核派の前委員長と申しますか、それを、この破壊活動防止法の四十条を適用いたしまして、ごく最近逮捕いたしておりまして、現在捜査中でございます。このケースにつきましては、多衆で凶器を携えて公務執行妨害をするという罪の扇動ということに証拠上は当たるというふうに捜査当局におきましては確信を持ったわけでございまして、この言論事犯あるいは文書事犯につきましては、いろいろな法律解釈と実際の現実との当てはめあるいは証拠との関係、いろいろなむずかしい問題がございますが、私ども常に犯罪の成否という面から、一件一件常に注視をいたしておるところでございます。
○岡沢委員 午前中問題になりましたように、思想、信条の自由、表現の自由あるいは集団示威行進等の自由につきましては、われわれは最大限尊重を求めるのが憲法の精神だと思っておりますけれども、しかし、現実に中核派がやってきた行動等を見ました場合、彼らがここでうたっておる「自ら武装せよ!」とか、火炎びんを製造し、あるいは警察官から武器を奪い、実際に具体的に人を殺生するという結果をもたらすことは、因果関係が薄いと簡単に刑事局長がおっしゃるようななまやさしいものではないわけでございます。現実にうたっております文書を見ましても、「首都にコザ暴動を」みずから逮捕されることを明らかに予想して、「逮捕時の心得」を書き、火炎びんの製造法を説明している。これが犯罪にならないという解釈のほうが、私は憶病過ぎるんではないかと思う。あまりにも裁判所で無罪を出すことをおそれ、あるいはまた裁判所で逮捕状や勾留状を却下されることをおそれて、責任を回避されておると言われてもしかたがないんじゃないか。 これらの実態に照らして、私たちは行き過ぎは十分戒めたいと思いますけれども、人権を侵害し、内乱を起こそうとする集団に対しては、私はかなりきびしい態度で、法の許す限り勇敢に法律を適用されて、もちろん法に従って行動はとっていただかなければなりませんけれども、いままでのような後手後手に回るような捕査体制でなくて、解釈いかんによっては十分に方法があるんではないかと私は考えるわけでございます。先ほど来申し上げましたように、この問題につきましては別の機会にまたあらためてお尋ねすることにいたしまして、私のきょうの質問の趣旨でございます国鉄内部の暴力事犯について質問を移したいと思います。
○小島委員 関連。私は自由民主党の人間ですから、いままでそういう発言をすることは遠慮しておりましたけれども、いま岡沢君からああいう御質問が出ておりますから、私はこの問題について真剣に考えてみる必要があると思うのです。これを簡単にいままでのような形で考えられて、犯罪にならないというようなものの考え方がいまの事態において許されるかどうか。むしろ積極的にこれは犯罪になるんだという頭でものを考えなければならぬときに来ているんじゃないかと思うのです。 この問題については、いずれまた私は時期を見てもっともっと突っ込んだ質問もしたいし、意見も聞きたいと思いますけれども、幸い岡沢君からああいう意見が出ましたので、私も岡沢君と同じような考え方を持っているということだけを申し上げておきたいと存じます。
○岡沢委員 それでは、最近頻発をしております国鉄内部の暴力事件を中心にお尋ねをいたします。 国鉄内部の事件につきましては、当法務委員会におきましても、十月十二日の委員会で畑委員その他から御質問がありました。私は違った角度から、国鉄の問題は国民注視のもとで、国鉄が国民の足であり、また国民の税金に大きな影響があり、また国鉄の労使のあり方というものが他の公共企業体労働運動に与える影響もきわめて重大であるということも含め、特に国鉄が安全あるいは人権擁護ということが要求される組織であるだけに、その内部で起こっている人権侵害あるいは刑事犯罪を黙視するに忍びませんので質問いたします。 たとえば、具体的に申し上げますと、きわめて最近の例だけでございますけれども、ことしの十月十一日に、岡山気動車区で鉄労労組員が全治五日間の傷害事件を起こしておる。十月十五日、大阪森ノ宮電車区で鉄労組合員が全治二週間の安静加療。ここ一月以内の例であります。十月二十四日、熊本駅で勤務中の鉄労組合員の食事するしょうゆやお茶に毒物が投入されたという事件がございます。十月二十五日、北海道長万部機関区の分会長宅での鉄労の話し合いに三百名の他の組合員が集団デモをかけ、自転車、自動車等を破壊したという事実がございます。十月二日、札幌機関区で鉄労組合員が首を締められたり殴打されて全治二週間のけがをしたという事実がございます。それから札幌運転区で、腰かけている助役のうしろに回って硫酸をまいてけがをさせるという事件も起こっております。このように最近の一カ月だけでもこれだけの事犯が続発をしておるわけであります。 質問に入ります前に、この事犯の実態について、国鉄当局あるいは警察当局は事実をどう把握しておられるか。私が読み上げました事件以外にも暴力行為、暴行傷害、脅迫あるいは器物損壊あるいは名誉棄損、こういうような職員に対する公務執行妨害その他各種の人権侵害事犯が続発しているわけでございまして、これの実態について、これはすでに社労委員会あるいは参議院の予算委員会でも質問がありまして、資料要求が出されているはずでございますから、実態をまず明らかにしていただきたいと思います。
○山田説明員 いま御指摘になりましたような事件が、残念ながら特に最近多くなったような状況でございまして、手元にはあまり古いのは持ってまいっておりませんが、特にことしの春闘以後、春闘といいますと五月でございますが、はなはだしくなったように見受けられますので、資料といたしまして、春闘がございました五月中旬からごく最近までの事件を一応用意してまいりました。 それによりますと、おっしゃいました暴行事件その他私のほうでは大体百六件になっております。これには、もちろん加害者も被害者もございまして、被害者ははっきりいたしておりますが、加害者がはっきりいたしておらないのもございます。この事件が起こりました場所といたしましては、北は釧路から南のほうは熊本まで、ほとんど全国にわたって起きている状況でございます。
○岡沢委員 法務大臣、いまお聞き及びのとおり、ことしの春闘以後だけでも百六件、北海道から九州まで各地の国鉄職場内部で暴力事件あるいは刑事事件が続発をしているわけであります。これは先ほど暴力集団の事件についても触れましたように、質量ともに増加しているという大きな特色がございます。それはやはりこの事件につきましても、先ほど副総裁からの御答弁もありましたが、犯人、加害者がはっきりされていない、あるいは加害者に対する処分がなされていないということが大きな理由でございます。法務大臣には、さきにわが党の春日委員長に同道いたしまして、この問題について厳正な処分、あるいは法務当局あるいは検察当局としての取り扱いについてのわれわれの意図するところをお願いをいたしました。大臣も国鉄内部のこの種の問題については御理解があるはずでございますが、私は、いやしくもこれが労使間の紛争にすぎないとか、あるいは労使間の問題で民事に類する事件だから介入を控えたというような態度、特に最近の社会党あるいは総評を中心に国労、動労側が攻撃的な攻勢をかけておりますマル生運動に対する批判、特に最も正しい生産性向上運動も否定するような態度、いわゆる労働運動介入になることをおそれて、非常に消極的な態度をとってもらってはたいへんな事態を起こす。このことは不正が通って正しい者が萎縮をしてしまう。ほんとうの意味での国鉄再建はもとより、正義が死滅するという事態をも招くおそれもありますだけに、私は単に国鉄内部の問題だけではなしに、法務大臣としてもき然たる態度で、検察のあり方等について姿勢を正してもらいたい。また国鉄当局についてはこのあといろいろ指摘したり質問したりいたしますけれども、法務大臣お急ぎのようでございますから、法務大臣のこの国鉄内部の暴力に対するお考えを、この際明らかにしていただきたいと思います。
○前尾国務大臣 いかなる場合におきましても、いかなることにつきましても、とにかく暴力を使うということだけはあくまで否定して厳に取り締まりをしていかなければならぬ、私はかように考えておるわけであります。また、労働組合の内部の問題だからといって放置するわけにはもちろんいかぬのであります。それが勧告なりあるいは説得というような域を脱して、そうして暴力によってそういうことが行なわれるということについては、私はあくまで断固として是正していくべきだ、かように考えておるのであります。 また、皆さん方からいろいろお話を伺っておりますが、検察庁としましても、ともすれば渋滞がちといいますか、率直に言って処分がおくれておるように私も考えております。したがって、もうとにかくこの種の事件は長引かせる問題ではないので、どんどん処理を早くしろということで、もちろん告発されておる分もそうでありますが、告発のないものに対しましても警察と協力して、そして積極的に暴力をなくするということでいかなければならぬ、かように考えておるわけでありまして、最近では処理がだいぶ促進されておるように私は見ております。
○岡沢委員 具体的に、先ほどあげました事例の中で、たとえば十月二十四日の組合員の食事するしょうゆやお茶に毒物が混入された事件、これは事実が解明されまして加害者がはっきりしたかどうか、捜査の状況をわかっている範囲内でお答えいただきたいと思います。
○前尾国務大臣 ただいまの事件は、まだ受理していないそうでございます。
○岡沢委員 じゃ、警察のほうにお尋ねいたします。
○斉藤説明員 お尋ねの熊本の事件と申しますのは、十月二十四日朝の十一時ごろ、熊本駅の操車場の詰め所で操車の掛員四人が、詰め所の中に備えつけてございましたお茶、しょうゆを使って食事をしたところ、そのお茶、しょうゆの中に何か薬品様のものが入っておって、においがおかしいというのですぐ食事をやめたのでありますが、胸がむかついて、間もなく全員下痢等の症状があらわれた。そこで熊本の鉄道病院で診察を受けたところ、二人は急性胃腸炎である、あとの二人は急性胃炎だという診断で、医者が処置をしたということでございます。熊本県警では、そういうことで一歩誤ると人命にかかわるきわめて悪質な事件があったのではないか、計画的な事件があったのではないかということで、専従の捜査班を編成しまして、さっそく現場における実況検分、それからいまの被害にかかられた四人の方々、関係者、そういう人から事情を聞き、それからその犯行に使用されたと思われる薬品が何であったかという鑑定、そういうものを行なっておりますが、まだ残念ながら薬品の鑑定の十分な結果が出ていないのと、そういったひそかに薬品を混入した疑いがある事件でありますので、なかなかだれがやったかということが特定できないということで、目下引き続いて捜査をしております。 先ほど法務大臣からお話がございましたように、こういう事件というのは、早く措置が出るということが一番大事であると考えておりますので、なお引き続き一そう捜査をやりたいというふうに考えております。
○岡沢委員 いまお聞き及びをいただきましたように、十月二十四日、もう一カ月近くになろうとしております。同じ国鉄の職場内で行なわれた行為で、おそらく一人の犯行ではございますまい。これがいまだに究明されないというところに、私は警察の怠慢というよりも、国鉄内部の背景といいますか、事情があるのではないか。国鉄当局としてはどういう処置をなされ、また調査をなされたか、特に鉄道公安官をお持ちの国鉄当局としての姿勢を伺います。あるいは具体的な調査内容をお聞きいたします。
○原田説明員 事件の概要は、ただいま警察庁のほうからお話があったとおりでございます。国駅には、鉄労組合員がこの四人を含めまして六人、あとの五十八名が国労組合員でございまして、鉄労の者とは一緒に食事をしないということで、最近は鉄労所属の職員だけは別の食器ややかんを使っているということでございますが、職場におきます五・二〇の春闘並びにいわゆる組合のいうマル生粉砕というこの闘争以後、組合間の確執が非常に深刻になりまして、あるいはそういう問題においてこの事件が出たのではないかというふうな考え方もあるのでありますが、ただいまの警察当局の話にございますように、捜査中でございまして、私ども部内といたしましても、警察でどのように今後これがわかりますか、判定次第きびしく措置していく、こういう考えであります。
○岡沢委員 先ほども指摘しましたように、これはまかり間違えば人の生命、身体に及ぶような重大な事犯が、いまだに一カ月たって解明をされておらない。私はある意味では暴力集団の行為とは違って、範囲も限定されて、場所も特定されているし、いま職員局長がお答えになりましたように、まあ一応職場における二つの組合の対立を考えれば、加害者がだれであるかということは推定されるわけなんで、私はこのまま放置されるこの姿勢はどうしても納得できない。 それで、先ほどお答えになりました百件をこえる事案について、加害者の処分をなさった例あるいは加害者がはっきりした例はどのくらいつかんでおられるか、国鉄と警察の両方にお尋ねします。
○斉藤説明員 警察で事件があるということを承知しましたのは、先ほどお話があった本年の五月以降からの事案を累計いたしますと、多少国鉄のほうと観点が違うので数字がぴしゃりと合いませんが、全国で百二件のこの種の不法事案が発生しております。そしてそれによって鉄労と鉄道公安職員など百二名の負傷者がおるということになっております。その府県は、先ほどやはり国鉄のほうからお話がございましたが、全国ほとんど各県にまたがって発生しております。 そこで、この中でどの程度事件が解決しておるかということでございますが、警察ではこの種不法事案というものは、労働運動の労使の関係の正当性の限界を越えるものだということで、いずれも鋭意捜査しておりますが、ただいまのところ六十四件、これは人員にしますと百二十一人の者を警察では検挙しております。残る、百二件から六十四件を引くと三十八件になるわけでございますが、この事件については、先ほどの熊本の事件も含めて目下一生懸命努力して捜査しておりますが、御指摘のように、早く解決をしたいもあだと思います。
○原田説明員 ただいまお話がありましたようなことでございますが、この一件の中には、たとえば新鶴見におきます処分のように、免職、停職、減給を含めたもの、合わせて三十二名のものも一件というふうに数えております。その件数で懲戒処分の状況を御説明いたしますと、処分済みが二十件でございます。ただし一件の中には、いま申し上げましたように三十二名というものもまとめて関連したものを一件というふうに処理してございます。刑確定でまだ未処分のものが二件ございますが、これは一件は、たとえば罰金刑は確定いたしましたが、令状送達未確認のために慎重を期してこれからいたすというのが一件、それから罰金刑は確定いたしまして処分準備中というものが一件でございます。 以上でございます。
○岡沢委員 主として、副総裁もお見えいただいたので、国鉄内部の姿勢についての、私は国民を代表しての疑問をただしたいと思うわけですが、人間尊重が国鉄の一つの使命であろうと思います。安全第一ということも国鉄の使命の一つだと思います。国鉄内部で職員が安心して仕事ができない、めしも食えない、これでどうして国民の負託にこたえた国鉄運営ができるでしょうか。私は、四十六万をこえる職員がおられる国鉄でたいへんな苦労であるということはわかりますけれども、こういうふうにこの春以降百件をこえる暴力刑事事犯が続発している、こういう職場の状態というものは全く異常だと言わざるを得ないわけであります。この大部分が、むしろまじめに国鉄の再建を考えておる管理者であり、そしてあるいは生産性向上運動に積極的に協力をしている職員が被害者であるわけでございまして、この点についていまお答えのありましたような事件に対する取り組み方、実際に百六件——数字の差があります。警察は百二件とおっしゃいますが、捜査の大部分がまだ解明されていない。実態が解明されていない。私はほかの職場と違って、国鉄の内部の場合、国鉄一家といわれるくらいある意味では家族的な、人的なあるいは地理的なつながりの深い職場であるだけに、本気で事件を解明する姿勢とか気持ちがあるならば、このままの状態で犯罪を犯した者が処分もされない、犯罪もそのままうやむやにされるということがあってはならないと思うわけでございます。先ほども指摘いたしましたように、少々のことをやっても、結局いまの国鉄はもう動労あるいは国労の力に押されて、あるいは他の社会的な勢力に押されて、よう問題にもしない、あれだけ進めておった生産性向上運動についても、これから二カ月休むと言ったじゃないかというようなことで、私は国鉄の姿勢そのものが、大きな犯罪誘発の原因になっていると申し上げてもいいんじゃないかと思うわけでございます。 私がここで指摘するまでもなしに、国鉄の財政というものが非常なピンチにあることは、もう重々承知でございます。昨年の四十五年度の国鉄財政を見ましても、六百億という万博による増収がありましても千五百億をこえる赤字である。ことしの場合は二千五百億をこえる赤字じゃないかということが予想されておるわけでございます。いまもうすでに五千六百億をこえる赤字をかかえて、しかも生産性向上運動にすら真剣に取り組む姿勢を示されない。私は国鉄について大きな不満と疑問を持たざるを得ない。しかも、内部でこの再建に情熱を持って、使命感を持って取り組もうとしている組織がある。この組織の人が、逆に暴力行為で刑事犯で、あるいは社会的には萎縮した態度をとらざるを得ないという、無理が通って道理が引っ込んでおるのがいまの国鉄の内部事情ではないか、実態ではないかと考えるわけでございますが、副総裁の御意見を聞きます。
○山田説明員 いま御指摘になりました点、いわゆる職場管理、その中心をなすのは人事管理でございますが、これには私ども一番苦心をしている点でございまして、御指摘のように、現在職員の数が四十六万人おります。それで、その四十六万人それぞれこれは国鉄の職員でございますけれども、それぞれの人生観あるいは世界観が違っている人間が集まっていることは事実でございます。しかしながら、国鉄の職員として輸送の使命を果たすこと、特に、まさに御指摘がございました現在破産状態である国鉄を何とかしなければならぬのじゃないか、何とかしようという意欲には燃えているわけでございます。たまたまその四十六万人が、これは労働組合法で認められておりますように、組合を結成する自由もございますし、あるいはその組合に入らない自由もございます。その現実の姿が、大きな組合から言いまして国労、鉄労、動労という日本でも指折りの大きな組合を組織しているわけでございます。そしてその組合がそれぞれまた組合独自のイデオロギーを持っております。しかしながら、私ども常に職員に呼びかけておりますのは、組合に所属するしないは、これはもう各人の自由である。法律が保障しているところでございます。しかしながら、その以前に国鉄職員としてなすべきことがあるんじゃないか。特に、いまの破産状態である国鉄を立て直す、いわゆる再建ということは、国鉄職員として、どの組合に所属しようがしまいが、それ以前の問題であるということを呼びかけて、いままでもそれを中心にいわゆる人事管理を行なってきたわけでございます。 しかしながら、これも率直に申しまして、昨今の世の中の客観的情勢が国鉄内部にも反映いたしまして、たび重なるストをはじめとする違法行為が重ねられてきたことも事実でございます。それについては、私ども、国鉄法なり公労法なりの規定によりまして厳重な措置をとっていることも御承知のところであろうと思います。今後も、違法行為についてはそれぞれ法律、規則の定めるところによって、適切なる措置をとるという態度は変えていかないつもりでございますし、また同時に、ただいまも申しましたように、この国鉄のほんとうに未曽有の危機に際しての再建について各自どう行動したらいいか、その行動についての判断は各自の責任でやってもらいたいという呼びかけ、指導は、今後もやっていくつもりでございます。たまたまその過程におきまして、不当労働行為云々というような問題が起きたことは、私ども、まことに申しわけのない、残念なことだと思っておりますが、それについては、またそういう不当労働行為が起こるようなことのないように、それぞれの適切な始末をいまやっているところでございます。
○岡沢委員 ことばじりをつかまえるわけじゃありませんけれども、四十六万の国鉄職員に、それぞれ各自が自分の責任において国鉄再建を考えてくれ、これはあまりにも無責任な副総裁のおことばではないか。やはりここには副総裁としての責任と使命感、あるいは指導力があってしかるべきではないか。 職員局長とお二人に重ねてお尋ねいたしますけれども、国鉄法一条には、「能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」この国鉄法一条の精神からいっても、私は、生産性向上運動、労働生産性の向上というのは、いま再建のすべてだとは言いませんが、なくてはならぬきめ手だと思うのです。これを非常に姿勢的に自信のないような態度をおとりになる。生産性向上運動についても、いまのおことばを裏返せば、四十六万の職員がそれぞれ自分で判断せよということだと思うのです。これはあまりにも責任回避だと言わざるを得ない。この点で、原田職員局長と副総裁お二人に、労働生産性向上運動について国鉄としてどういうふうにお考えになっているか、この際もう一度はっきりしてもらいたいと思います。
○山田説明員 国鉄の再建、これは申し上げるまでもないことでございますので、繰り返して申しませんが、それについてのいろいろな施策をとっていることも申し上げるまでもございません。その具体的な内容をかいつまんで申しますと、政府の援助もいただかなければ達成できないと思います、また、国民の協力もいただかなければ達成できないと思いますが、その前に、これは四十六万人の職員が総力をあげた国鉄自身の努力が必要であるということを、私ども常日ごろ職員にも申し、私どももその心がけでやっておるわけでございますが、それには、いろいろな職場がございますし、それから組織も大きい組織でございますので、合理化の問題もございますし、合理化と申しましても、運転上の合理化もございますし、工場の合理化もございますし、これは一々申し上げると時間がかかりますので申し上げませんが、それから作業の近代化という問題もございます。それから端的に言って増収という問題もございますし、経費の節約という、あらゆる手段で再建をしなければならない。 その一つの理念、その再建の信念に通う理念として生産性運動という理念を導入したわけでございます。したがいまして生産性運動、これは端的に申しますとILOの条約から出たものでございますけれども、私ども、この精神運動だけでは再建ができるとは思っておりません。具体的に、先ほど申しましたような合理化とかあるいは近代化とかいうようなものも、あらゆる面についてやらなければ、いわゆる再建というものはできないと思っておりますが、その過程の一つとして生産性運動を導入したわけでございます。これはもう、先生に申し上げるのは釈迦に説法かと思いますけれども、端的に言えば、みんながよく働いて国鉄をよくしようという、そういう理念でございまして、この理念は変えるつもりはございません。 ただ、その生産性運動を導入いたしました過程におきまして、残念ながら公労委で不当労働行為であると断定された事件が起こったのは、これも事実でございます。私ども、その生産性運動の理念と不当労働行為とは全然無関係なものであるという確信のもとに出発したわけでございますが、たまたまその過程においてそういう問題があったという点で、あらゆる職場、また北海道から九州までの地域、これに対する生産性運動の具体的な実践方法について、それじゃ念のために見直そうということで見直しているのが現在でございます。したがいまして、再建の理念に通ずる生産性運動そのものを、ここで一切やめるという考えはございません。
○原田説明員 私も、就任早々でございますので詳しいことは申し述べられないのでありますけれども、ただいま副総裁が申し述べましたようなことでございまして、生産性の基本の問題は人間尊重ということでございますし、また私どもとしては職場が明るく、かつ規律正しくなければいかぬ、これは絶えず念頭を離れないわけでございます。そういうことで、今後につきましても行き過ぎた不当労働行為等のそういうものが二度と起きないように、いままでのやり方というものを点検いたしまして、さらに次に、純粋の国鉄の再建の原点に立ち返った趣旨にのっとり、生産性の再開に進みたいという感じでございます。そういう信念で進めておるわけでございます。
○岡沢委員 いまの副総裁の御答弁は、私はある程度理解できます。しかし原田職員局長の答弁は何ですか。いまあなたは、生産性向上運動の重点は人間尊重ですか。人間尊重とは別個の問題ですよ。人間尊重はしなくてもいいと言うのではもちろんありません。安全と人間尊重は、大事な国鉄の内部の目標であるべきだと思います。生産性向上運動というのは、労働生産性を高めて、むだを省いて国鉄の赤字克服に大いに資するというのが目的なんです。あなたのおことば、ことばじりをつかまえるつもりはありませんけれども、いまのおことばでも、不当労働行為と生産性向上運動がいかにも結びついたような答弁ですが、これははっきり区別さるべきじゃないか。あなたは、民間でいえば労務担当重役じゃないですか。民間企業においては生産性向上運動を否定するなんというような思想は全くありませんよ。私も労働組合、働く労働者の方々を代表する革新政党の国会議員なんです。その立場から言いましても、いまさら生産性向上運動について疑問を持つというような段階はもう過ぎた。副総裁は高々と、生産性向上運動を導入したと自慢をされましたけれども、国鉄が企業体であるならば当然のことなんです。私は、国鉄の職員の給与の引き上げには賛成します。それならそれにふさわしい努力をする、能率を上げる、国民サービスをする、あたりまえなんで、これを否定することがいかにもにしきの御旗のような最近の国鉄の態度あるいは国会における質疑応答、私は納得できないのです。その辺をもっと職員局長、国鉄副総裁も姿勢を改めていただきたい。副総裁の答弁にはそつはありません。しかしほんとうに国鉄の再建にかけるという使命感は感じられません。重ねて御意見を聞きます。
○山田説明員 原田が少しことばが足りなくて、先生からおしかりを受けたのでありますが、私と同じ考えであることは私からも申し上げておきますし、それから生産性運動というのが、ただいまも申しましたように、これだけやっておれば国鉄が再建できるということは私自身考えておりませんが、しかし、国鉄再建に通ずる非常に大きな理念であるという気持ちはいまでも変わっておりません。 ただ、先ほども申しましたように、国鉄の職場が、工場もございますし、駅もございますし、運転もございますし、保線もある、あらゆる種類の違った職場、それから北海道、九州までその職場が広がっております。それに応用する際の応用のやり方について、これはなかなかむずかしい問題がございます。それと、四十六万人の職員がそれぞれその人なりの人生観を持っている。これも現実の姿でございます。それについては、国鉄の職員であるという自覚のもとに、生産性運動を各人でよく消化してもらいたいというのが従来の考え方であり、これからもその考え方で指導してまいりたい、こう申しているわけでございます。
○岡沢委員 国鉄が四十六万の職員をかかえた大世帯であることは承知しております。しかし、また逆に考えれば八千の職場があるわけなんで、八人に一人は管理者なんです。また国鉄には創業百年の歴史があります。また国鉄一家といわれた伝統があります。他の企業よりも、ある意味ではもっともっと国鉄が一丸となって再建に取り組む条件もそろっているわけであります。これが労使間あるいは組合同士がほんとうに骨肉相はむような、国民から見ても見るにたえないような光景が繰り返される。これについては、私は副総裁としても当然の反省と責任感にあふれた姿勢が見られるべきだと思うわけです。再建も、私は生産性向上運動だけでできるなんて思っていません。しかし、国鉄の内部で努力をしてもらう、その姿勢が財政援助となってあらわれ、あるいはまた国民の協力となってあらわれる。国鉄自身が、生産性向上運動に批判的な、あるいはまじめに取り組む者を冷たい目で見るような現在の姿で、だれが国鉄再建に協力できますか。私は国会議員の一人として全くできない。私自身は国鉄を愛する一人として、国民の立場から、ほんとうの意味で国鉄が国民の足として、国民の負託にこたえてほしいという気持ちからいたしました場合、国鉄の内部で二十六万といわれる方々が、ほんとうは真剣に生産性向上運動にも協力をして、いわば再建に取り組もうとしておられるわけでございますけれども、その方々が逆に冷たい目で見られるというような実態ではございませんか。無法が通って、正しい者、正直者がばかを見ておる、こういう姿を一日も早く、私は国鉄の責任者として姿勢を正してもらう、これが一番大事なことじゃないかと思うわけでございます。 そのためには、具体的に内部に起こった犯罪あるいは犯罪に近い事犯に対して、信賞必罰という姿勢をとってもらうことが一番正しい。ところが、先ほど来繰り返しておりますように、百六件の事件はほとんど解決されない。処分も行なわれない。これがますます違法、不当、無法者をはびこらしておると言っても過言ではないと私は思う。まじめな者が冷遇されて、法を犯すような悪い者が逆に保護され、闊歩する、この態度を私はどうしても改めてもらいたい。そのためには、まず職場を明るくする意味からも、いまの続発する暴力事犯等について、ぜひ厳正な態度で臨んでもらいたい。そしてこれは警察、検察当局にも、先ほど大臣のおられるときにもお願いしましたけれども、これは単に労使紛争だというようなことで不介入的な消極的な態度をおとりにならないで、暴力というのはどこで行なわれようと絶対許されない法治国としての基本的な取り締まり対象だという気持ちで、迅速に、そして適切な処置をとってもらいたい。 申し上げたい点がまだたくさんあるのでございますが、時間が来たのでおしかりを受けました。青柳委員に質問を譲ることにして、私のきょうの質問を終わります。
○山田説明員 たいへん国鉄の問題について、私ども激励をいただきましたと言ったらたいへん失礼でございますけれども、私どもが常日ごろ考えておりまして、非常に歯がゆく感じておりますことを端的に御指摘いただきまして、私どもその気持ちでいままでもやっておったわけでございますけれども、微力でまだなかなか結果が出ておりません。今後も先生が御指摘になりましたような考えでやりたいと考えております。なお御指導いただきたいと思います。
○岡沢委員 終わります。
○松澤委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 先ほど岡沢委員のほうから、去る十一月十四日の渋谷における事件について公安調査庁の方に御質問をしたわけでありますが、私もこの問題について大きな関心を持たざるを得ない状況にあります。そしてその説明の中に、いわゆる中核派といわれる人たちの機関紙の問題が出ました。これも財源にもなるのだし、相当の部数も出るのだという話です。「前進」というものを主宰して、報道しているわけでございます。 たとえば東京新聞の十一月十二日、だから事件の起こる前ですが、「首都にコザ暴動を」というような大きな見出しで、それから十四日の日付には、「渋谷大暴動へ」、「一一・一四東京大暴動」といったような非常にセンセーショナルな記事が出ているわけでございます。こういう連中が、言ってみれば暴動を起こすぞという予告を出して、そしてマスコミもこれを追跡するというような状況、また警察もこれに備えるというような状況で、渋谷が十一月十四日の日曜日はいわゆるゴーストタウンになった、その中であばれほうだいにあばれて、警察官が一人焼け死んだ、こういうわけで、一体治安当局というのは何を考えているのだろうかというのがもう国民全体の偽らない印象だと思うのですね。また憤激でもあろうかと思うのです。非常にりっぱであるなどとほめる人はだれもないと思うのです。あばれた連中をほめる人もおそらく少ないでしょうし、またこれをこういうふうに事実上野放し状態にしていた治安当局なるものも無責任だということになり、政府も政府だということにもなってくるわけですね。 私どもは、これは偶然ではないのだ、こういう連中が、言ってみれば自民党や政府側によって甘やかされているというか、泳がされている。これはいま問題になっている沖繩返還協定反対運動というようなものを抑圧するというか、国民からこれを切り離すために使えるのだ、この連中にあばれさせると。というのは、この連中は、あばれる大義名分は沖繩奪還というようなことを言っているわけですね。そうして沖繩協定に対しても、理由は私ども共産党や民主勢力が言うことと全く違いますけれども、一応反対あるいは粉砕とか阻止とか、なかなか勇ましいことばを使っております。そうしてその戒名が共産主義というような、あるいは革命というようなことばを使ったり、中にはマルクス・レーニン主義なんて、共産党が綱領の中で明らかにしているそのことばを盗んできて使っている。こういうようなことでございますので、知らない人たちは、あたかも一連のつながりがあるのじゃないか、沖繩協定に反対している人たちは、そのあばれる者どもと何か思想的には共通なものがあるのではなかろうか。ただやり方において、片方は民主的にやろうと言っている、片方は直接行動、暴力に訴えるというので、行き着く先は同じなんだろう、そうすると五十歩百歩だというようなことで、そもそも反対するところに問題があるのだ。ちょうど十一月十日の沖繩のストライキの際に、やはり警察官一名が焼け死んだ。これは復帰協の人たちがああいう運動をやり、公務員がそれに参加した、それを認めた屋良主席の責任であるというようなところに問題を持っていこうとする、それが非常に特徴的に出ていると思うのです。 そこで、私は公安調査庁にお尋ねするのですが、中核派というものが、何か先ほど、共産主義社会を日本につくることを目的にしているんだということを言っているんだというふうな説明をされましたが、公安調査庁では、まじめにこの連中がそういうことをやろうと考えているというふうに評価しているのか、それともそれは口実であって、ねらいは別なところにあるのだというふうに見ているのか、まず、公安調査庁がこれに対して調査をするからには、どういう評価をしているのか、わが共産党と同じように、日本を民主的な国にし、やがては社会主義にし、将来は共産主義にするのと同じようなことをこの中核派やその他あばれる者どもが考えているというふうに評価しているのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
○川口政府委員 お答えいたします。 先ほど、いわゆる中核派が共産主義革命をもって目的としていると申し上げましたのは、彼らの規約、これを読み上げたわけでございます。この規約によりますと、結局、「同盟の目的」として、「共産主義社会の実現こそ、プロレタリア自己解放の闘いの最後の到達点であり、したがって」ちょっと省略いたしまして、「同盟は反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命めざして闘う。」こういう書き出しでるる述べておりまして、現在帝国主義というように日本を規定しているわけでございますが、これを倒して、世界の共産化をねらう、一応彼らは純真にそれを考えているのではないか。ただ、その考え方が非常に非現実的で飛躍的であって、とうてい彼らの目的は近い将来には実現できるとは私ども考えておりません。 ただ、私ども、いわゆる破壊活動防止法によりまして、同法に規定されておりまする暴力主義的破壊活動、これを、過去においても何回かやっておりますし、将来もやる危険性があるということで、絶えずそれを調査しておりまして、場合によっては破防法で認められた規制措置、これをやらなくてはいけないということで、絶えずその準備を整えておる次第でござざいます。
○青柳委員 彼らの規約とか目的、綱領にそういうことがあるから、まじめにそう考えているのかもしれないが、それよりも、破壊活動防止法の対象になるような行動あるいは団体であるかもしれないから、調査をして、そして準備をしているのだというお話でありますが、中核派の何か学生のほうの委員長をやっている松尾何がしという者を破防法違反で逮捕したというようなことをいわれているのですが、これは具体的な行為を問題にしたのか、団体そのものにそういう容疑が濃くなってきたという観点から逮捕したのか、これは警察庁と何か連携をもって公安調査庁は、いま準備をしているというようなお話がありましたけれども、やっているのか、それもあわせてお尋ねしたいと思うのです。
○川口政府委員 お答えいたします。 全学連の中核派の委員長松尾真を破防法違反で検挙いたしましたのは、これは警察と検察庁の問題でございまして、私どものほうは直接関係ございません。 ただ、聞くところによりますと、松尾真は、十月二十一日の例の国際反戦デーでございますか、あのときに、日比谷公園の中核派の集会におきまして、集まった数千名の聴衆に対しまして、周囲を警戒しておりました機動隊をせん滅しろというように、具体的に破防法の刑事罰に当たる扇動をしたので、検挙されたというように聞いております。 それから、私、公安調査庁で、中核派につきまして団体規制のための準備をしておると申し上げましたのは、それが私どもの仕事でございまして、破防法に規定した暴力主義的破壊活動をやったこともあり、あるいは将来もやるおそれのある団体、これを絶えず調査するのが私どもの仕事でございまして、中核派もその一つの危険な団体というように見ておりまして、数年来極力調査をしておるところでございます。
○青柳委員 ある報道によりますと、その松尾が逮捕されたあと、中核派全学連の委員長代行などという肩書きを名のっている結柴某なる者が、十日に松尾が先ほどのお話のように逮捕されたことを・破防法適用は大きな戦果である、十四日には騒乱罪適用を引き出して、あらゆる武器をもって首都東京を騒然とさせる、そうして騒乱罪を引き出すことは、まさに彼らの運動の成果であり勝利だというような趣旨のことを述べたというのですが、こういうことを彼らが言うその一方で、公安調査庁が、これを破防法で引っかけようとするというか取り締まろうという、これはどういうふうに理解していいのか。彼らにしてみると、公安調査庁や治安当局と相しめし合わせて、そしてこの希代の弾圧的な立法であり治安法だといわれている破壊活動防止法を生かしてくる、あるいはその他の弾圧法を使わせる、騒乱罪などもその一つでしょうが、そういうふうにとるよりほかに道がないと思うのですが、公安調査庁では、彼らがこんなことを言っているという真意はどこにあるのか、彼らは彼らなりにつじつまの合う議論なのかどうか、どう考えておりますか。
○川口政府委員 私も、新聞等で見た程度で、何を結柴という者がどういうつもりで言ったのかよくわかりませんが、ただ彼らの最近の闘争方針といいますか、「前進」という機関紙あるいはその他の集会で発言しているのを見ますと、結局、日本の首都で騒乱状態を起こす、革命的な雰囲気、そういう状態を現出するのが目的のようでございます。そして最後には、自衛隊を引き出すとかそういう事態になれば、彼らは自分たちの政治的目的を達するのだ、そういう意味で言ったのではないか、そういうふうに考えております。
○青柳委員 法律を動かすのが戦果だというふうにはっきり彼らは言うんですね。だから、法律を使わざるを得ないような状態を現出する、いわゆる戒厳令みたいな状態をつくって、一般市民や住民がその中でどういう犠牲をこうむろうとも、とにかく物情騒然たる状態が出てくることが彼らの戦果だというふうにいまあなたは解釈しておられるようでございますけれども、そうではなくて、むしろ、死んだ法律になっていたんじゃ残念だから生かしてやろうというふうに、いわゆる相呼応して治安体制を強化する役割りをになわされているんじゃないか。それを彼らははっきり談話や声明の中で言い出している。このことは、裏面でもって治安当局となかなか密接な連携を持っておって、そして幹部どもは、場合によると治安当局から財政的援助まで得たというようなことが、具体的な事実で明らかになっている。だからこれは古い分では、六〇年安保のときに全学連の唐牛その他の連中がどうこうしたということは天下公知の事実になっておりますし、それから共産党を襲撃した背叛社という連中が、公判の中でも警察から金をもらったということを言っております。だから裏のほうでは、治安当局と結びついて彼らは大あばれにあばれる。わかりやすいことばで言えば、治安当局御用の犯罪人といいますか、警察御用のどろぼうといったような感じで大いばりでやっている。つかまってもたいしたことはないというこういう状況があるので、この連中はいつまでたってもなくならないし、ますますばっこ跳梁するのではなかろうか。それが警官を殺すというようなことによってますます世間を騒がして、これを取り締まるためにはいろいろの体制をつくらなければいかぬという世論をつくり上げていく、私はそう思います。 そこで、時間がありませんから、先ほどもちょっと質問が出ました火炎びん対策といいますか、これを警察庁のほうでは、あるいは国家公安委員会のほうではと言ってもいいのかもしれませんけれども、考えているということが、きのうあたりの夕刊に載っております。中村国家公安委員長が談話をしたようでありますけれども、一体火炎びん対策なるものは具体的にはどういうことを考えておられるのか、それをお尋ねいたします。
○斉藤説明員 ただいま過激暴力集団の取り締まりについて、警察の取り締まりの体制が不十分であるという御指摘でございますが、おことばの中に、警察がこういう連中を泳がしておる、あるいは警察御用のどろぼうのような扱い方をしておるというお話でございますが、警察はそういうことは一切いたしておりません。警察法に定められた警察の任務を十分に達成するために、全警察官があげて努力しておるのでございまして、とうとい殉職者を出してまで彼らを泳がすというようなことは絶対いたしておりません。その点ははっきり申し上げておきます。 それから法の改正の問題については、一部新聞に報道が出ておりましたが、警察としては現行法の中で、いまも申し上げたように、警察の責務を果たせるだけの精一ぱいの努力をいたしておりますが、先ほどほかの先生方の御質問にも答えたように、なかなか最近の社会情勢、交通事情あるいは最近の過密な都市におけるいろいろな社会の実態からいって、あるいはまた加えるに連中の非常な巧妙な犯罪のやり口からいって、警察の捜査が思うようにいっておらないということは、まことに申しわけないと思っております。しかしながらできるだけの力をあげて、法規に許された範囲内のことで精一ぱいやりたい。新聞に報道された法改正の問題は、大臣はじめ警察首脳の方がそういうことをおっしゃったようでございますが、ただいま私どもの事務的なレベルでは、この場でお答え申し上げるようなものはございません。
○青柳委員 ここで警察がこの連中を泳がせているのだなどと言うことは、そのとおりでございますなんという答えが出るとは私も思いませんけれども、しかし、公安調査庁の川口さんにもお尋ねしたいのですが、この中核派といわれる連中の実態を調査している、そして規制に心要な調査もやっておられると言うのですが、これはやはり公安調査庁のたてまえ上、任意調査ですか、任意的なものしかできないわけだ。そこで、いわゆる協力者ですね、その中へ入り込んでいる人で情報を提供してくれる人、あるいはこちらからその中へ入れてそして情報をキャッチする、まあ一般的にはスパイをするということにもなるのでしょうが、そういう諜報活動をやっておられるかどうかですね。まあどこどこへ、どういう人が入っているなんということは、秘密ですからとても言えないでしょうけれども、そういう情報を集める活動の中にそういうものがあるんだということは言えるのでしょうか。
○川口政府委員 私たち、中核派の調査としては、彼らの出している機関紙を見、あるいは集会の発言を聞き、いろいろやっております。その中に入っているかどうかわかりませんが、中核派に関する情報を提供する人というものは、何人かはもちろん持っております。
○青柳委員 それが、言ってみると、その団体の中の非常な活動家であって、そして相当の中枢部にまで入り込んでいないと、情報のトップのところはなかなか得られない、組織の状態も把握できないというようなことがあり、したがって、そういう連中が機動隊せん滅などという運動方針を飛ばす、つくり上げてそれを下部のほうに指令し、そして実行させるというようなことは、当然想像できるわけですね。そういう情報までキャッチできるのじゃないのか。そこで、もしそれができた場合に、一体事前にこれを防止するということは、公安調査庁とすれば考えないのかどうか。自分のところにはそんな警察的な権限はないから、自分のところではできないと言うならば、それじゃ警察庁とその点で連携をとるということはあり得るのかあり得ないのか、それをお尋ねしたいと思います。
○川口政府委員 私たち、先ほど青柳先生おっしゃいましたように、あくまで任意調査というのがたてまえでございまして、できるだけ、内部の情報でも高度な情報といいますか、中核の中心幹部に迫った情報を得たいと努力しております。しかし、残念ながらなかなかそういうのは入りませんので、調査が徹底していない。いま先生がおっしゃいましたようなああいう記事を、だれが書いてどこで印刷したということまではなかなかわからない、そのために適切な手段が打てないでいる、こういう現状でございます。
○青柳委員 じゃ簡単にお尋ねしますけれども、この十一月十四日の渋谷事件は的確な情報をつかめなかったと言うのですが、日夜情報収集に努力しておられる、それが任務である公安調査庁として、何かやはり彼らが機関紙その他を通じて予告するというようなことになって——これはだれでもわかるわけですね、予告するわけですから。公安調査庁でなくたって、その機関紙を見ればだれでもわかるわけだ。新聞社などの方々は、非常に鋭敏にそれをキャッチして報道しておられるわけです。だからそういうようなことでなしに、まだ新聞社もキャッチしない、彼らの機関紙にも出ないようなことでわかったときには、それをただ公安調査庁だけのものにしておくのか、それともその情報は直ちに警察庁のほうへ流して、そして警察庁のほうも独自にやはり情報活動をやっておられるわけでしょうから、それと突き合わして確度を確かめ、しかるべき手を打つというようなことはあるのかないのかですね。これは公安調査庁長官にもまた法務省の刑事局長さんにもお尋ねしたいと思います。
○川口政府委員 私どもの得ました情報が、警察の警備あるいは捜査に役立つと思った場合は、破防法にも協力せよという規定がございまして、その精神によりまして、先ほどの岡沢先生の御質問にもお答えしたように事前情報、事後情報とも相互に交換している、こういうことでございます。
○辻政府委員 検察庁におきましては、検察庁の仕事、任務との関係で、刑事事件になりました具体的な事件を適正に処理するという観点で、そういう観点から関係機関から必要に応じて情報をもらうということをやっておるわけでございまして、あくまでその目的は、発生した具体的事件の適正な処理に資するものでございます。
○青柳委員 検察庁はおそらく事後的な立場だろうと思いますが、警察庁のほうはいかがですか。
○斉藤説明員 先ほど来お話し申し上げたように、この暴力集団の連中はひそかにいろいろなことをアジトなどでたくらんだり、先ほど来お話のあるような印刷物を発行したり、あるいは犯罪後も地下に潜入して逃げたりしておるので、私どもは精一ぱい捜査をしておりますが、力及ばず、なかなかこれを事前に察知しあるいは事後においてすみやかに検挙するということができないで、申しわけないと思っておるのでございますが、決して泳がしているわけではなくて、力が足りないと思っているのです。 ついては、警察はできるだけ国民一般の協力を得て、こういう者を事前に察知し、協力を得て逮捕する、こういうことをしたい。たとえば、十四日に警察官が殺された場合にも、三百人ばかりの暴徒が代々木八幡の駅でおりた場合に、一般の方から一一〇番の連絡を受けております、変なのがおったと。あるいはまた、例をあげれば幾らもありますが、火炎びんを持ってタクシーをとめたミニスカートの女、男三人がおるという御協力を得て、この連中はどこのアパートにおるのかということを教えてもらって、行ってみれば、そこの百何十本の火炎びんがあったというようなこと、そういういろいろな御協力を得て、われわれの及ばないところ、わずか十万や十五万の警察官ではできないことを、皆さんから教えていただいてやっておるのでございます。そういった意味で、どんな情報でも警察のためになるということを教えていただくということを前からやっており、お願いしており、あるいは、もちろん国民にお願いする以前に警察官お互いも相互に努力し、あるいはまた先ほど来お尋ねもございました治安機関とも十分連絡をして、できるだけ協力を得て、そしてこういう暴力集団を事前に防遏する、犯罪が行なわれたらすみやかに検挙するというように努力してまいっております。
○青柳委員 もう時間がありませんから、たくさん聞きませんが、九月二十四日の読売新聞の報道では、これは成田事件のあとに関連しての報道だと思いますけれども、警察庁は機動隊に情報偵察特務班を一小隊ごとにつくることをきめた、こういって情報偵察班というものを新設したというわけです。これは機動隊にそういうものをつくったという趣旨でございますが、警察庁自身、公安調査庁とは別に情報偵察のための任務を帯びた人たちがいる、そうしてまたそれだけじゃ足りないから機動隊ごとに情報収集もやる。その中には協力者というものは当然あると思いますが、先ほどのお話の民間の一一〇番で知らしてくださるという、そういう協力でなく、一定の協力費といいますか、報酬金というか、そういうものを警察からもらって情報を提供するような、そういう人ですね。それから、そういういわゆる過激集団とか暴力集団とかいうものの中に入り込んでおる人、そういう点はどうでございましょうか。
○斉藤説明員 いまお尋ねの九月二十四日の新聞を見ておりませんので、正しいお答えかどうかわからないのでございますが、お尋ねの機動隊の中は特別な任務を持ったものを置いたというお尋ねは、実は先般の成田事件の東峰十字路というところで、詳しくお話を申し上げると長くなりますからはしょりますが、三人の警察官が殺されたのであります。その際の教訓といたしまして、警察官が一生懸命草むらの中で火炎びんをさがす、あるいはその辺に鉄棒がないかということで無我夢中でさがしておるすきをついて、不意にあの場合も三百人くらいの暴力団が押しかけてうしろからなぐりかかったということがございますので、今後機動隊が活動する場合には、一生懸命仕事をしてわき目も振らず火炎びんをさがす係のほかに、偵察班のような、そばにおって周囲をきょろきょろよく見ておって、不意に襲われるようなことのないようにしようという精神でもって、機動隊の中の貴重な人員を見張り班にしよう、ちょうど野性のシカが見張りをつけてオオカミが来たら逃げていくようにしようという考えでもって、見張り班を設けたということでございまして、一般の御協力を得たいことはもちろんでございますが、人さまをたよりにするだけでなくて、自分たちも気をつけてやろうという趣旨のものでございます。
○青柳委員 まだいろいろ質問したいと思いますけれども、何か緊急事態が起こったという情報が入りましたので、これでおしまいにいたします。
○松澤委員長 次回は、明後十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十七分散会