内閣委員会 第7号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/11/17
会議録
○伊能委員長 これより会議を開きます。 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。
○和田(耕)委員 労働大臣に御質問いたします。 今度のこの監督官分限審議会の廃止の問題ですけれども、この審議会はいままで一回も開かれなかったというわけですけれども、これを廃止してどういうふうな行政機構の整理になるかということです。この点について大臣に御質問したい。
○原国務大臣 この労働基準監督官分限審議会、これを廃止しまして中央労働基準審議会で肩がわりをさす、こういうことで、いままで労働基準監督官分限審議会というのでやっておった仕事を今度は中央労働基準審議会でやってもらう、人員の構成その他やり方もほとんど同じものでございまして、決して、基準監督官の罷免等について支障を来たしたり、あるいは不公平になったり、身分を阻害したり、そういうことがないように十分気をつけてやる考えでいま進めておるわけでございます。
○和田(耕)委員 私が質問しておりますのは、これを廃止して中央労働基準審議会に編入、再編をすることで、人員が減ったり、予算が少なくなったり、そのようなことがあるかということです。
○岡部(實)政府委員 お尋ねの点につきましては、現実に人員を減らすとか、そういうような意味合いの整理はございません。
○和田(耕)委員 予算の点でもそうですね。
○岡部(實)政府委員 予算の点でもそうでございます。
○和田(耕)委員 行政機関の整理という問題は、不要になったものをなくするとか、あるいはまた再編をして能率を上げるとか下げるとかいうような問題が裏にあるわけですけれども、この問題の場合は、監督官の分限審議会というものを一応なくしますけれども、中央労働基準審議会の中の特別の一つの分科会のような形にして再編するということですね。いままでの審議会のメンバーも、あるいは予算も、ほとんどそのまま中央労働基準審議会のほうに移るということであって、名前は変わりますけれども何ら実体に変更がないということであると、いかにもかっこうだけの行政制度の整理ということになるわけですね。そういうものと理解していいですか。
○岡部(實)政府委員 御指摘のように、分限審議会は罷免事項という事案が発生しましたときに開かれるというような性格のものでございます。したがって、常設的な審議会としての、たとえば活動費その他を特に必要とするものではございません。もしかりにそういう事案が起こりました場合には、現在のように分限審議会を独立してやっておりますと、そのための特別経費というようなことが予算的に考えられなければならない。ただ、もし統合して中央労働基準審議会のほうで行なうといたしますれば、現実に必要経費の支出は同じことになると思いますけれども、予算の費目といたしましては、中央労働基準審議会の活動の経費ということで出されることになりまして、したがいまして、予算費目としては、特別に分限審議会経費としては必要なくなるということには相なるかと思います。ただ、実質的にそういう活動をやるためにどこかで経費を支出しなければならないという点では、もしそういう事案が起こればどちらかで支出する、こういうことには相なろうかと思いますが、特別の独立した予算経費を必要としないという点では現行と違うということに相なろうかと思います。
○和田(耕)委員 中央労働基準審議会の分科会にした場合の監督官の身分を守るという機能は、現在の審議会を置いた場合の機能と同じですか。違う点がありますか。
○岡部(實)政府委員 形の上では分限審議会という独立機関でございませんから、中基審という機関が最終承認を与えるということでございますから、その意味では組織上は全く違うことになるわけでございます。ただ、現実の審議会で事案を処理するしかたは、現在の分限審議会の構成と全く一致させてやっていきたいということでございますので、実体的に、その組織なり、それを現実に審議いたしまするやり方は、変わらないということが言えると思います。 ついででございますが、現行のたてまえにおきましても、分限審議会を独立して審議会とはいたしますけれども、その中に当然、中基審から労、使、公益を代表する各一名の委員が加わるというたてまえになっておりますので、現在においても、中基審と分限審議会との関係、関連づけが基準法でなされておりますので、そういう意味で、今度は逆の面と申しますか、従来は審議会のほうに中基審から入るという形でございましたが、今回の改正によりますと、むしろ中基審の特別部会にいままでの分限審議会のほうの特別委員が加わってくる、こういうふうになってまいる、その点が違ってまいると思います。
○和田(耕)委員 そういうものであれば一緒にするという議論も成り立つと思いますけれども、逆に、労働基準監督官というものの重要性、今後こういう活動は強化されなければならない、身分の保障もやらなければならないというこの現状並びに将来の展望に立ちますと、これをしいて統合するという議論も成り立ってこない、こう思うのですね。どちらかといえば、機能的に一緒にするという便宜的なものよりは、むしろ何もこれを——大きく予算が節約されるとか人員が節約されるということなら別ですけれども、今後の問題としてこの基準監督官という制度は非常に重要な制度です。しかも、これを守っていってあげなければならない制度ということになりますので、これをそういうふうな状態のもとで統合するということは、どういう意味で、どういうメリットを認めてこういう法案を出したのか、その点についてよくわからないのですよ。各省それぞれに行政機構の簡素化をやろうとしているから、かっこうだけをするという意味に思えてしかたがない。そういうわけですけれども、その点について労働省の率直な御意見を伺いたい。
○原国務大臣 御説ごもっともで、私どもとしては、労働基準監督官の強化、増員等々、私も前からこれを強く主張してまいって、現に、労働基準監督官をもっとふやすように、私、行政管理庁長官にも会いに行って、向こう五年間に一千名、毎年二百名ずつふやすように要請いたしました。まだ予算のときにならないと人員の詰めができませんけれども、一応の了承をとり、これは閣議に私は報告をして、閣議においても了解をいたしております。昨今、安全衛生、公害除去等をやるのにはやはり労働基準監督官が最も強力に働きますので、それを積極的にふやしてもっと能率を上げてやりたいという決意を固めておるところであります。 そういう決意を持っておるのならば分限審議会なんかをやめなくてもいいではないか、こういうふうにおっしゃる。そこのところが非常にむずかしいところですが、分限審議会をやめましても、中央労働基準審議会へこれを肩がわりして、ここにおいていままでと実質的には変わらないように運営をいたしまして、基準監督官の罷免等については十分留意して万遺漏なきを期することができる、こういう確信を持っております。 そこで、それならいよいよやめなくてもいいとおっしゃるが、率直なことを申しまして、一つは、閣議において行政整理の線がきまっておりまして、審議会などというものは半減せよ、大体無用なやつが多い、それが一つあります。それでも私どもは、こういう重要なものであるから、これをかえようとは思っていなかったのですが、内輪の話をしますと、この前の国会で勤労者財産形成促進法というのが成立いたしました。民社党のほうは御賛成いただきましたが、それにやはり審議会を設置しなければいかぬ。審議会を減らせと政府が閣議決定しておるのに、これをふやしてくれといっても行政管理庁のほうでしかられるし、いろいろ考えた末、ほとんど同じような働きをしているこの二つの審議会の一つをやめて中基審のほうへ移して、これが一つ浮いてくるから勤労者財産形成審議会というのをつくろう。内輪話は、そういう閣議決定というものはまっこうからまいりますので、非常な苦しい立場になって、いろいろ考え抜いた末がこういうことになりましたのですが、お説のように、決して、監督官の仕事をできにくくしたり、その立場を弱くしたりするようなことは万々いたしませんので、基準監督官の罷免等については万遺漏なきを期することは私ども誓約申し上げますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○和田(耕)委員 よくわかる点ですけれども、私がこれを審議する場合に重視しなければならないと思うのは、これまでもいろいろ各省で行政整理の場合の取り上げ方がきわめて形式的だ。各省の中で実質的にやらなければいかぬ問題がたくさんあるんですね。そういう問題に手を触れないで形だけ、かっこうだけやるという姿勢が問題だということと、分限審議会の場合は、木原君も指摘されたように、昭和二十二年ですか、基準法が成立したときにあれができて、この二つの審議会ができたわけですね。これはやはりほんとうに看板というものが大事であって、この看板をおろすかおろさぬか、あるいは他の違ったところに看板をかけるにしても、他の審議会の一つの中で小さい看板をかけるかということの、この意味が大きいわけですね。つまり形式的になくするという意味はわからぬじゃありませんけれども、この審議会そのものが、形式的にあることに意味があるという性格のものであるし、大臣も強調されたように、今後、監督官の厳正な活動を非常に必要とされておる時期ですから、この問題をいまのような形で手をつけるのは、あまり適当とは思われないという感じがするのです。労働省関係の他の審議会を一々検討したわけじゃありませんけれども、そ、ういう一つの便宜的な形で、看板をかけることに意味のあるこの審議会の看板をおろすというこのやり方が問題ではないか、私はそういうふうに考えておるのです。いまの勤労者の財産形成の問題についてもこれは大事なことだと思いますので、これは特別反対もしないし、あれですけれども、いわゆる姿勢の問題としてこの問題についてひとつとくとお考えをいただきたい、こういうふうに考えるわけなんです。これは、おっしゃる御説明を聞きますと、どうしてもこの国会で通さなければならないというふうにもお考えになってはいないようだし——そうですね。そういうように理解していいですね。
○岡部(實)政府委員 どうしてもというお話でございましたが、私どもはやはり、こういうことで改正さしていただきたいということで御提案申し上げておりますので、この趣旨を御了解の上、御審議で御可決いただきたいというふうに思っております。
○和田(耕)委員 いまの大臣の率直な言明ですけれども、それを文句をあれするわけじゃないけれども、もともと労働省関係から出てくる法案というのは大体正しいのですが、これは、与党のほうがサボったり、あるいは取引の具になったりして流れるものなんです。私たちは労働省の法案に対しては、大体基本的には賛成する立場なんです。いま大臣も、ほんとうはこんなものいじりたくなかったのだ、しかし閣議決定がある、そういう他の省との権衡もあるからということなので、労働省の立場をひとつ守ってあげようじゃないかというのが木原君なんかとも話しておることなんです。そういうことで、この問題については今後ともいろいろと御相談してまいりたいと思いますけれども、これでよくわかりました。この法案の性格なり、そして持っている意味なり、よくわかりました。 そこで私、ちょうどいい機会ですから一言労働大臣の考え方を承っておきたいのですけれども、生産性向上運動というのがまたやかましくなってまいりました。生産性向上運動をやれという意味のやかましさではなくて、生産性向上運動というものは何か非常に悪いものだというような形で問題になってきているのですけれども、現在の段階において、生産性向上運動というものに対して大臣はどういうふうなお気持ちを持っておられますか。
○原国務大臣 これはいろいろ経過も一言申し上げて、私の真意を誤解ないように御了解願いたいのですが、私は、国鉄当局と労働組合の仲介に立とうと思った理由は、どうも労使間にはなはだ不信感が強い、のみならず感情の対立が激しい、先鋭化しておる、こういうようなことをやっておるとどうしても国鉄再建もほど遠い。国鉄再建についての第一の基礎的なことはやはり労使協調していくことが大事である、こう私が考えまして、しかも、そういういわゆる労働問題となって激しく闘争をやってまいりましたので、私はそれを労働問題としてとらえて、これは運輸大臣や官房長官にも了解をとって仲介に立ちました。私は事情も聞いたし、仲介にも立って、その仲介の案も提示しましたが、それは、お互いにもっと信頼感を回復して、そして積極的に、自主的に話し合いに入るべきものである、こういうことを言いましたところが、ごもっともであるというので、労使とも私の意向に賛成して話し合いに入ってもらいました。こういうわけで、御承知のように、その間に、衆議院の社会労働委員会、それから参議院の社会労働委員会と運輸委員会の合同審査等において、長時間にわたっていろいろ問題の解明がございました。 それで、いま和田先生のおっしゃったように、生産性を向上さすということは、これはもう当然のことでございます。しかし、生産性を向上することはいいけれども、不当労働行為を起こすことは困る、だから、その区別をよくはっきりしてやってくれということを、国鉄当局にも言うたし、労働組合のほうにも言ったら、そのとおりだと言う。それなら私どもも、あえて生産性向上運動はいかぬというのではないが、不当労働行為を起こすような生産性向上運動、アル生運動は困る、こういうので労使とも大体私の意見に一致してくれました。いわゆる生産性向上運動、マル生運動に藉口して不当労働行為をやらないように、それからまた、いわゆる純然たる生産性向上運動は、これはもう当然労使ともにやるべきものである、そこまでは大体話は一致しておるのですが、いま過渡期でありますので、どうも全面的に四十五、六万もある労働職員の間でこのいわゆる不当労働行為が払拭されておるかというと、その点がなかなかはっきりしない。それであるから、とにかく結論的に言うと、生産性向上運動はけっこうである、ただしマル生とややまぎらわしいようなことはやらないように、それから、もちろんマル生運動のいかんにかかわらず不当労働行為はやらないようにというようなことで、両方とも、労使とも私の意のあるところは了解してくれておるはずでございます。一応いまほんの入り口だけでございますが、話し合いに入ってやろう、こういうところまで来ておる現状でございます。
○和田(耕)委員 私どもと比較的密接な関係を持っている鉄労という組合が、そしてまた郵便局関係の全郵政という組合がある。この二つの組合の方々が私どものところに参りまして、労働大臣があの段階であのような形で仲介に出たということ——いまおっしゃるとおりのことはよくわかりました。それは正しいと思いますが、つまり、そういう行動がどちらの側を鼓舞してどちらの側をしゅんとさしたかということになりますと、まともなことをやっていると思っている人たちのほうがしゅんとなって、どうも考え直してもらわなければいかぬじゃないかと思うほうが元気がついてきたというような印象を一般の人も持っておるのですけれども、労働大臣のあの際のああいう仲介のしかたの及ぼしている——私はそういうふうな印象を持っているのですけれども、それを大臣はどういうふうに御理解になっておりますか。
○原国務大臣 お説のようなことは私の耳にも入っておるのですが、これをそれなら、私がやらずにほうっておくということになりますと、国労と鉄労の間にもっと激しい戦いをやる。これもあまり感心しない。それで、鉄労のほうが人がふえるとかふえぬとかいうこともさることながら、労働組合同士でどうも不信感、あるいはなぐり合いなんかが起こったりする。これは、なぐったほうも悪いし、いろいろ理由はあるでしょうが、その行為自体はどうもないほうがよろしい。国鉄当局との間にもいざこざがある。ほうっておいてこのまましておくと、それならそれで平穏無事に労使協調していけるかというと、これもいけない。もう八方ふさがりだ。それでストライキもやると言いよったし、そんなことをやってもこっちも困るし、結果的にはいろいろ御議論があろうと思いますが、国労のほうにしても、もう不当労働行為さえやってもらわなければ、私どもはあえて労使戦ったりするようないままでの闘争方針をやめて、労使協調でいってよろしい、こういうところまで来ましたので、将来のことはどうか知りませんが、私は、一応あの時点においてああいう仲介をして、労使間が静かになって、それが私はいいことだと思いますし、鉄労のほうも何も遠慮することはないので、人のことよりも自分のほうで生産性強調をやりたければやってもいいし、それは私、労働省としても、どちらを応援するとかどちらが減るというようなことなしに、いま言ったような公正な立場でこれを仲介した、こういうわけでございます。
○和田(耕)委員 これはまあ一つの仮定の問題として御質問するのですけれども、生産性向上運動は必要である。その生産性向上運動というものを必要だと認めて、そして職場で、あるいはいろんな場合に積極的に働いていく人がおる。しかし、そういうものは必要でない、できるだけこれをサボタージュをするという立場で仕事をしている人がおる。こういう二つの人がおるとして、積極的に働く人が昇給の期間が早いとか、あるいはいいポストに昇任をするその期間が早いとかいうことは、つまりよく働く人がそういうふうなことになるということは、これは当然だと思うのですが、労働大臣はどういうようにお思いになりますか。
○原国務大臣 国鉄当局が、勤勉な者を早く昇給さし、能力のある者に月給をふやす、それはもう当然のことです。それは、各民間会社においても、国鉄においても、それをやることは当然のことであって、それをとやかく言うべき筋合いのものではない、こう思っております。
○和田(耕)委員 つまりこのマル生運動といわれている生産性向上運動の持っている現段階の一つの意味は、実際の影響力というものは、その原点まで来ているんじゃないか。よく働こうとする人に昇給あるいは昇任をやるということと、あまり働かない人を同じような形で昇任昇給さすというふうな運動になってきているというこの事実は、大臣はお認めになりますか。
○原国務大臣 非常にむずかしい問題で、私がさいぜんから申すように、勤勉な者によけい昇給さす、昇進さす、けっこうであります。それでその一方、マル生運動、生産性向上に反対しておる連中はなまけ者で、それをやらないで、そのほうへ右へならえするような傾向がある、こうおっしゃるが、そこが非常にデリケートなんです。いまおっしゃったことだけのそういうことは、国鉄はやるべきであり、当然である。といって、そんな不当労働行為がいいかということになるとこれは困る、こういうところでございます。国鉄もそれは認めておるのです。生産性向上運動をしっかりやるのはいいが、といって総裁の意向を無視してあんまり勇み足で、敵と味方に分かれてぎゃあぎゃあ露骨にやらずに、もうちょっと長期的な視野に立ってマル生運動をやらぬと、半年か一年、一年か二年のうちに大成績をあげるということでやると、いま言ったような不当労働行為に足をすべらすおそれがある。これは法律の禁止するところである。そこのところが国鉄としても配慮が足らなかった。だからこれからは配慮してそれはやらない。しかし生産性向上運動はやる。これは、理論としてもそうであるし、また実際にもそこへいこうとして、いま国鉄、磯崎総裁もせっかく努力中でありますが、国鉄総裁もおっしゃっているように、もうしばらく時間をかしていただきたい。私も同様で、いま過渡期ですからもうちょっと時間をかしていただきましたら、生産性向上運動もうまくいくし、不当労働行為もなくなるし等々、万般うまくいくのではないかと思っております。
○和田(耕)委員 不当労働行為というのがいけないことはわかっております。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 しかし、生産性向上運動というものと不当労働行為というもの、つまり同じたちのものを対等の一つのものとして扱うということは適当でない、私そう思うのですね。生産性向上運動も大事だが、不当労働行為を禁止することも大事である。しかしこの二つは同じ根から出ているものである。たまたまそういう例が国鉄の職場であちらこちらに出ておった事実があるからといって、その二つのものを対等のものとして取り扱うという問題、そういう態度、そういうふうな印象を与えたとすれば、これは大臣、少し考えていただかなければならぬ。 私ども、いまの国鉄の理事者、磯崎総裁以下のとっておられる態度は、正しい態度だとは思っておりません。いろいろな不当な問題については不当な問題として個別的に処理するとして、やるべき問題は信念を持ってやっていくという、そういう態度があらわれるような処置をしないと、いまのけじめがついていかない。そういう問題が、今回の問題を契機にして事実心理的な問題として現在起こっておるわけですよ。労働生産性運動はこれでおしまいだという形で、そういう職場の一体の零囲気となってそれが流されているし、マスコミにもそういうふうな流し方をしているところもある。こういう問題を私どもは重視するわけです。 それは、いまの管理者の中におかしなのもおるだろうけれども、何とか国鉄をよくしよう、よくしなければ労働者の生活の向上はできないということを本気になって一生懸命考えている多数の人たちのことを、政治的な配慮として考える必要があるというふうに私は思うのですね。したがって、今後もこういう問題はあると思いますけれども、大臣、そこらあたりのけじめといいますか、そういう問題をもっと慎重にお考えをいただきたい、こういうふうに思うんですけれども、ひとつお気持ちを聞かしていただきます。
○原国務大臣 私の考えは和田さんともう全然一緒なんです。ただ、たまたまいま世上に考えられておるように、生産性向上運動と不当労働行為と同列にして考えてはいないのですが、話が生産性向上運動から出てきたものですから、どうもそれを非常に——どこがそれをごっちゃにしたのか知りませんが、マスコミ等々の方々の意見ははなはだ私は遺憾に存じております。私の考えとしては決してそんなことはございませんので、今後とも生産性向上運動はしっかりやってもらうという方針で進みたいと思っております。
○和田(耕)委員 これで終わります。
○伊能委員 関連。ただいま和田委員から労働生産性の向上に関連して国鉄問題等について適切な御質問があったわけですが、私は大臣があっせんをされるに際して、国鉄の労働運動並びに労働生産性の現状についてどの程度に御調査になられたのかどうか、なられた上でごあっせんになられたのかどうかという点をお尋ねしたい。
○原国務大臣 私は、労働省のほうでも調べましたが、方々から情報を入れましたところ、全国的にかなり深刻に労使の紛争が起こっておる。また国鉄当局と労働組合との間の争いもある。のみならず組合員同士の間においてもそれが起こっておる。一番心配したのは、内輪で不信感があってそういうことをいつまでもやっていくと、交通事故その他のもとにもつながるのではないかということを私は非常に憂えたし、さらにそれが公労委に対して提訴もしてきておる。公労委のほうも聞いてみましたが、公労委のほうでも受理してだんだんそれが進んでおるという事情も知りました。事態は容易でないことを私は感じて、これは純然たる労働問題となっておるから、労働大臣として、ほっておくというよりも、もうちょっと労使の関係を正常化していくことがよろしいであろう、こういう見通しでやったわけでございます。
○伊能委員 その点についてはわかりましたが、私ども公労委の問題については、これは参考人でも呼ばない限りここで明らかにすることは困難であります。公労委が取り上げたこと自体については、私もこれはもっともだと思いますが、その裏に一方においては、これは労働省、調べられたということだからわかりますが、労働組合間、あるいは管理者と労働組合の間等において、暴力的な行動が行なわれたりいろいろな紛争が陰にある。これは私自身も聞いておりますが、そういう問題について、公正にこの問題を取り上げて円満な解決をはかるべきであり、同時に、和田委員も触れられましたが、労働の生性向上自体が否認されるような現状を大臣はどうお考えになるか。
○原国務大臣 その点は私も非常に遺憾に存じております。これはどこでそういうふうに歪曲して、いわゆる不当労働行為はいけない。それなら、マル生、マル生といっているが、ほんとうは生産性向上運動のことだ。それと混同してしまって、何となしに不当労働行為をやめさす、ついては生産性運動もやめさすということが流布されて、それがマスコミにも取り上げられて、それは私どもも思わぬことが発生してきておるので、はなはだ遺憾に存じております。 それで、さいぜんからも申しておりますように、これは国鉄総裁にも話しておるが、しばらく事態の静まるのを待って、生産性向上運動はもっと地道に着実に健全な方向で純粋な運動を——これは年内休むといっておりますが、マル生教育、それを年が改まると生産性向上運動を再開してやる、こういうことになっておるので、ぜひそれをもっと進めていくことがよろしい、こう思っております。
○伊能委員 私自身、和田議員が触れられたように、労働生産性の向上と、労働組合間の組合員の脱退もしくは転入、これらの問題は別だ、こう思うわけです。ところが、それがからんだために、組合間の勢力の問題で労働生産性の向上運動が非常に阻害された感が明らかにあると私は思います。一方国鉄当局も、労働生産性向上運動の新しい発足ということで、その間に二カ月間十分検討を加えるということであったのですが、依然一方の労働組合においては生産性の向上を否認をしておる。この問題について大臣どうお考えですか。
○原国務大臣 それは一方、私の知っている限りにおいて、私が直接国労のほうにも会うて話したのですが、君ら生産性が上がらなくてもいい、そんなものは無視してもかまわぬと言うか、そんなことは考えていない、ただ不当労働行為をやってもらわなければけっこうである。しかし、最終的に会って私が意見を聞くときにはそう言いますが、やらぬやらぬというだけでは困るから、一、二カ月休んでもらって、そして再開するのには異存がない、そしてほんとうに不当労働行為をやらないという見きわめをつけてもらって、それから生産性運動をやることには私どもは決して異存がない。私、直接委員長からもそういう話を聞きました。といって私は、生産性教育をやめておけ、そんなことは一つも指示したことがないし、それは国鉄総裁の判断によったものであります。そういうふうに、いま御心配のように、いろいろ歪曲されて、生産性向上運動をやらなくてもいいということを言う人も出てきて、その宣伝のほうが多いので、そういう宣伝があまり方々へ行き過ぎましたことを残念に思っておりますが、いま申したように、そういうところまで来ておるわけでございます。
○伊能委員 大臣の考え方と現実にあっせんをせられた結果、並びにその陰の影響はおそらく公労委の裁定であったろうと思いますが、現実は、全く政府や労働省が意図せられておる方向と違った方向に進んでおるということを、私どもは非常に憂慮をいたしております。現に、端的に言っていいと思いますが、総評はじめ国労、動労は、この際生産性向上運動をも中止させるのだ、こういうことで運動をしており、新聞等にも出ており、また国労自身、動労自身の連中がそういうことを口にしておるのですが、それは大臣の意図とは完全に違うのだということであれば、政府機関である国鉄でありますから、私はこの点については、さらに大臣があっせんその他の方法をとられて、この問題に関する政府の態度を、並びに労使間の協調というような点からはっきりさせる必要があると思うのですが、大臣、その御意図があるかどうか、伺いたいと思います。
○原国務大臣 私は公平に考えて、それなら、いま言ったように、私があっせんせぬでほっておいたらもっといい結果になったかというと、ぼくはなっていないと思う。決して私はそれは間違っているとは思っていません。それはどういうことか。私はいま伊能先生がおっしゃったことに全然同感です。いまの時点では、やはり労使双方、それから労働組合同士ももう頭へ来るほど熱しておりますから、第三者が冷静にいうほど単純なものではなくなっておる。だから私は、国鉄総裁のとった方法は一番賢明であった、ここ一、二カ月ちっと頭をみな冷やさして、しかも国鉄当局も——対沖繩国会闘争についてもストライキをやめて順法闘争に切りかえておりますが、しばらくここで頭を冷やしていただいて、年がかわってから、伊能先生のおっしゃるように、純粋な生産性向上運動をやることについて何らか対策を考えていきたい。政府の意向もそうであります。そう考えておる次第であります。
○伊能委員 大臣のお考え大体わかりましたので、これで私は質問を終わりたいと思うのですが、率直に言って、労働組合間においては、組合員の減少とか増加というようなものは組合自体の存立の問題にも関係してくるので、非常に大きな問題だろうと思います。それが、たまたま一部の不当労働行為というような問題に関連し、一方においては、そういう事態が生ずる裏にはいろいろな問題がある、仕事の現場において組合間における組合員の争奪というようなことがどこまで行なわれたかということは、これは労働省のほうがさらにわれわれよりよく御存じであろうと思うのですが、その組合加入の自由が拘束されるような現状。しかも、一部には非常な実力的な行為が行なわれて、組合が混乱におちいった、そのあおりを労働生産性向上運動が受けるというようなことであっては万ならない、かように私は考えているが、明らかにそういう結果を生じて、ついに労働生産性向上運動まで影響を受けて、それでは新しいスタートをすべく二カ月ほど研究をしようというようなことになったのですが、私はこの問題は、今後においても、一カ月や二カ月お互いが冷静になったというぐらいのものではなかなか解決しないと思う。問題は、組合員がいずれの組合に入ろうとも自由である、この基本的な考え方が組合間に徹底しなければ、圧力を加えて組合員を残らせるとか、非常に暴力が起こるというようなことであっては、そのこと自体が不当な労働組合行為である、かように私は考えるのですが、この辺については、労働省は、日本の労使の関係はもちろん、労働組合員自身の福祉の向上もはかられるので、基本的な人権がそれによって侵されるというようなことがあってはいけないと思うので、せっかくあっせんに乗り出されたのですが、国鉄の労使間はもちろん、組合の活動が健全になるように、そういった事態が今後起こらないように、私はこの問題については、さらに十分な調査をぜひ今後もしていただきたいと思うのでございますが、その御意思があるかどうか、最後に伺いたいと思います。
○原国務大臣 いま伊能先生のおっしゃる御意見、私も全然同感でございます。それは組合は、束縛するべきものでなく、御自由にどこへでも加入していただく、これは原則でございますが、それを妨げないようにこれからも指導していきたいと思っております。それから、もう少し事態の推移も研究し、調査し、さらにどうするかという点については、自民党のほうとも相談して対策を考えていきたいと思っております。
○和田(耕)委員 終わります。 〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
○伊能委員長 鬼木勝利君。
○鬼木委員 私は労働大臣に少しお聞きいたしたいと思いますが、ドル・ショックを起因としまして、非常に今日不安定な経済情勢下に置かれておりますことは、同様われわれも苦慮しておるところでございます。政府は、日米繊維協定でございますか、一方的な政府間協定の仮調印を敢行した。いろいろ田中通産大臣からお話も聞きましたし、事情もあったかと思いますけれども、われわれ国民としては、これをどうしても納得ができない。まことに遺憾千万でありますが、われわれ国民の気持ちを裏切ってアメリカの一方的な保護措置に屈した、こういうことにわれわれは考えざるを得ないのですが、これがために繊維業界には非常な深刻な離職者問題がいま出ております。これは労働省としても十分お考えいただいておると思いますが、繊維規制、これによって織物業界に非常な不安感がある。従業員の皆さんが非常に不安な立場に置かれておる。離職者がたいへんなことになると思うのです。あとでまた具体的に私その点について順を追ってお尋ねいたしたいと思いますが、まず労働省の姿勢、どのようにこれを受けとめておられるか、大臣にその点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
○原国務大臣 御説のように、ドル・ショックによって繊維業界が非常な打撃を受けようとしておるということは、よく存じておりまして、繊維業界の労働者の数は百七十万もあると称されるたいへんな数でありまして、その影響するところ大なるものがあると思っております。それで十月一日に、労働省としては臨時労働対策本部をつくって、事務次官を本部長にして、情報の収集、それから離職者対策等々の案をいまいろいろ練らしておる最中でございます。どれほど離職者が出るか、いつ出るかということは、ちょっといま直ちに把握しにくいものでございますから、この臨時労働対策本部をつくったし、また現地の機関を通してその情勢を把握させております。さらに次には、中央職業安定審議会委員の方にもお願いして、その委員を現地へ派遣して実情を調査していただくようにしております。また、明日早朝、繊維関係の労使双方の代表に労働省においでいただきまして、その実情、わけても私どもに関係の深い、離職者がどの程度に、いつ出るであろうかというようなことを、関係労使の代表から聞くことにいたしております等々、いま実情の把握に懸命の努力をいたしておるところでございまして、それに応じて、さてどうするかという対策も、いまいろいろ研究している最中でございます。
○鬼木委員 いまそれの対策を非常に研究をしておる、当然そうあるべきだと思います。対策本部もつくってやっておる。ところが、私どもがいろいろ聞きましたことによりますと、あるいは調査いたしましたところによりますと、これは容易ならぬことで、実際、今度の繊維規制というようなことは突如として起こったことじゃなくして、これは通産省も十分考えてこなければならぬことがこういうことになったので、それは労働省とは別問題でございますが、繊維業界は、まず特恵関税、それからドル・ショック、そして今度の協定、ダブルパンチじゃなくてトリプルパンチといわれるような、これでもか、これでもか、これでもかでやられておるわけです。たいへんなことですよ。当然繊維業界がピンチに立たせられておることはもう事実なんです。いま大臣のお話では、対策本部でやっているとか、あす労使を呼んで聞くとか、いろいろ手を打っておられるようでございますけれども、私は、もっとこれは早急に実態を把握されて対策を立てられないとたいへんなことになると思うのです。私は、石炭のほうにも関係しておりますが、石炭なんかも閉山いたしまして——閉山は前からわかりませんからね。閉山して離職者が出る、それによって今度は離職者対策を立ててやるというので、どうしてもその間に空白が出てきている。そこは失業保険を持っているではないかというようなことを言われますけれども、精神的に離職者に与える影響というものは非常に大きいのです。でございますから、これは炭鉱が閉山するのと同じで、まさに繊維業界の閉山でございますから、いささかも変わらない。むしろ炭鉱の閉山とかいうことよりも、これは事実上いけないことはわかっているのですよ。だから、もっと積極的にやっていただかないと、労働者の失業問題ということは大きな社会問題になると思う。 各新聞は競ってそのことを書いておるのですよ。これは新聞ですから、私が言っているのじゃありませんから、よくお考え願いたいのだが、「労働省は模様ながめ、」こういうように新聞では書いておるのですね。「労働省では場合によっては二十万人程度の離職者が出るかもしれないとの見方も一部にある。」しかし、「情勢判断はなかなかむずかしい。織機の買い上げのテンポによっては、それほど急激な変化があるとは思わない」と書いてあるのですね。これは労働省の雇用政策課ですよ。まことに安易な考えを持っておられるのですよね。「むしろ模様ながめの姿勢。また雇用政策課では「感じとしては、ドル・ショックで全体の産業への雇用の影響の方が大きい。繊維に比べて地域的な広がりがある」」こういうふうにも言っておられる。なるほどそれは全国的にドル・ショックということはみなこうむっております。しかし、直接に離職をするというこの繊維業界は、またこれは格別な考え方がなければならぬですよね。それは全体的からいえばあるいは多いかもしれない、こういう考えも考えられるかもしれないけれども、繊維業界に対するところの、従業員に対するところのあたたかい思いやりというものは全然ない、こういう考え方は。また、労働省はこういう考え方を持っておるという。「繊維産業では労働力の移動が他産業よりも激しく、四十四年の離職率は二五%で四人に一人の割合で繊維の職場を離れている。したがって政府間協定で二〇%、三〇%の離職者が出るといっても、それが額面通り深刻な失業問題につながるのかどうか、おいそれと判断しかねるという考え方である」、こういうことを言っているのですね。しかしこれは、繊維業界から他産業に移っていくのであって、離職ではない。これは御自分の御希望によって移っていかれる。離職と他産業に移っていくのとは、これは意味が違うのですね。失業とは意味が違う。 いま大臣は、これが対策に腐心しているということをおっしゃったのでございますが、大臣のもとにある労働省のそういう責任のある人たちがそういう考えを持っているということになれば、大臣との意見の統一ができていない、大臣のお考えが下部に浸透していない、労働省内にはそういう気持ちがない、これはこのように理解していいんですか。
○原国務大臣 新聞にはいろいろ出ておりますが、決して労働省全体としてこれをゆるがせにしておるのじゃございませんので、さいぜんも申したように、十月の一日からそういうふうに対策本部もできたし、それから人も現地で実情調査もしておるし、中央職業安定審議会委員も行ってもらうし、明日は労使代表にも来てもらう。まず私どもの考えとしては、先生もおっしゃったように、早急に実情を把握いたしたい。二十万出るか三十万出るか、二十万の数字はどこから根拠が出てきたかといいましても、明日もいろいろ話を聞いて参考にしようと思っておりますが、二十万がいつ出るのか、一ぺんに出るのか、毎月出てくるのか等々となってくると、なかなか意見がまだ熟しておりませんので、急いでその離職者の実情を的確に把握してその対策を——実情がわからないと対策もできませんので、現在、いまやっておる失業対策その他、中高年者雇用促進法というのもことしの十月一日からこれが効果を発しております。そういう法律もできておりますし等々、離職者対策あるいは就職あっせん等々、万遺漏なきを期していきたいというところまできておりまして、決して熱意がないのではございませんので、大いにこれは最大問題であるといいまして、ことしの九月ごろからこれに取り組んでおる実情でございます。
○鬼木委員 大臣は非常に熱意があるとおっしゃっておる。当然のことで、私もぜひそうお願いしたいと思うのでございますが、今回のこの繊維業界の将来の問題につきまして、当然失業者、離職者が多発することは予想にかたくないのですが、その中に未組織労働者が大体どの程度おられるのか、労働省のほうで調査ができておりますか。できておればそれを承りたいと思う。
○中原政府委員 ただいまの繊維関係、百七十万の従業者がおりますけれども、このうちの中小企業がどの程度組織されておるかという点につきましては、ほかの産業と同じように、繊維産業におきましても規模が小さいと組織化は低いわけでございます。ここのところに、小さいところだけの組織率という数字はございませんけれども、やはり労働組合がありましてもその組織率は低いという一般的傾向にあろうかと思われます。
○鬼木委員 はっきりした答弁が私には受け取れないのですが、百七十万人の中に未組織労働者がどの程度のウエートを占めておるのか、何%あるのか、何十%あるのか、大体そのくらいな大まかのところはおわかりになっておるはずだと思うのですけれども、大臣は、一生懸命調べさせておる、調査しておるとおっしゃるけれども、あなた方のほうは、一向そういうところはわからないのだな。わからなければわからぬでいいから、あとでこういう未組織の失業者に対して一体どういう手を打とうとしておられるのか、どういうふうにしてこれを救済しようとなさっておるのか。そういうところがどうも大臣のお考えと皆さんのお考えがそごしておるようなんです。そういう点を私どもは憂えておる。これが一番大事なことなんです。これは大きな企業体で、労使とも大きなところであれば——未組織労働者なんというのは気の毒なんですからね。じゃ、どうぞ大臣。
○原国務大臣 いま調べてみましたところ、繊維関係の未組織と組織労働者の数、ちょっと把握いたしていないそうでございますが、しかし私どものほうとしては、組織労働者を優遇し未組織の者をほっておく、そんなことはございませんので、これは一律一体にやります。法律によって、その他予算措置によって、これは一律一体に対策をやりますから、その点は御心配のないようにどうぞ。
○鬼木委員 いや、だから私がお願いしておるのは、大臣もはっきりおっしゃったように、実態を早く把握していただいて、さっきの新聞のああいう批評を受けないように、ひより見だ、模様待ちだというようなことでは、はなはだもって私は——労働者の保護をするのが労働省じゃないですか。保護をやらなければならない、これが一番大事なことなんです。 もうすでに御承知と思いますけれども、本年度あたりでも、新卒なんかあまり採らないというところが続出しておるのです。新卒を採らないどころか、こういうのは全部去っていかなければならぬのですからね。先般、全国繊維同盟の発表によりますと、政府間協定による労働者の影響は、これも先般、あれは十日の日でしたか、商工委員会で田中通産大臣が発言しておられた、織機を十万台買い上げる、そうなりました場合、私が調査したのを申し上げてもいいが、十万台買い上げたというような場合、今後どれだけの離職者、失業者が出ますか。
○中原政府委員 いま先生御指摘のように、十万台織機買い上げ、それから織機以外にもいろいろ紡錘関係とかミシンでありますとか、そういう点の買い上げをするかしないかという問題でございますが、十万台買い上げた場合何人離職者が出るか。これにつきましては計算の方法がいろいろございますので、一台当たり何人要るかというようなことによって変わってくるわけでございます。それから買い上げの時期、方法等によって変わってまいりますが、全繊同盟におきましては、先ほど先生からもお話がございましたとおり、そういうようなことによりまして最低二十万人以上の離職者が出る、こういうことを推計しておるわけでございますが、この場合は、たとえば一台当たり〇・七人というようなことを考えておるようでございますが、私どもとしましても、全繊同盟あるいは業界のほうにそういう根拠につきまして聞いてみておるわけでございますが、いまの段階では、一応そういう推計は組合等でも出しておられますけれども、私のほうでもう少し突っ込んだいろいろな御討議をお願いしますと、そういうような点については現在の段階では十分数字が集められないということで、私どものほうとしては、二十万以上という、それほどの大きな数字にはならないと存じておりますが、政府としましては、数字をこの際申し上げることにつきましては、いまの段階では、いろいろ私どもとしては責任上あれがございますので、一応十万台買い上げた場合に何人ぐらいになるかということにつきましては、二十万人以上というような数字につきましては、私どもとしてはそれほど大きな数字にはならぬというふうに思いますけれども、何人というふうにこの際はっきり申し上げることにつきましては、もうちょっと時間をかしていただきたい、かように存じておる次第でございます。
○鬼木委員 あなたの御答弁で、私はまさにそのとおりだと思います。的確な数字を出せといっても、それはあなたのおっしゃるとおり、ほぼ二十万程度だと思われる、まことにけっこうです。そのとおりだと思うのですよ、あなたのおっしゃるように。これがいま何がどれだけでどうだというようなことは、事態も変わってまいりますし、また時期もありますからね。まことに的確な御答弁であったと思いますが、それに対しての離職者救済は、前もっていまから私は研究していただきたい。 私が調査しましたところによりますと、織物のほうで七万名。これも私のほうも、七万名ですから、これはすこぶる大ざっぱな話で、七万何千何百何十人になるかわからぬし、あなたのおっしゃるとおりで、まあ七万名程度だ。それから二次製品で五万九千三百九十人程度だ。紡績のほうで三万二千何がしだ。メリヤスが三万百九十人ばかりだ。染色が二万三千百名程度だ。そこで二十一万四千八百云々というようなこと。これも正確かどうかわかりませんよ。あなたのおっしゃったようなほぼですからね。これが二十数万ということになると、そうたいした数字じゃないとおっしゃるけれども、そう簡単にこれはいきませんよ。これは私、炭鉱に関係していますけれども、離職者対策で、閉山なんかして離職者が出ると、九〇%就職させましたとか九五%やらせました、そんなことを言うのですよ。実際現地に行って調べてみると、六〇%かあるいは七〇%で、あとはみな困っている。これは労働省ですよ。ですから、そういうことを私は前もって十分ひとつ皆さん方が研究していただかないと、非常に気の毒な人が出てくるんじゃないか。 二、三日前の十二日の新聞にも、東洋レーヨンの社長が更迭している。繊維が非常に不況であるので経営体制を一新する。つまり相当の離職者が出るのだ。現在二万四千人の従業員をかかえておるが、二万人以下に大幅削減するなど経営改善策をきめたという。社長がかわったのですね。ですから、これは今回の政府間協定によってくるところの影響というものが非常に大きいのであって、皆さん方が安易にお考えになっておるような事態ではないということを再確認してもらいたいと思うのです。大臣ははっきりもうおっしゃっておりますけれども、実際の仕事に携わっておられるところの皆さん方が、これはもう容易ならぬ事態である。先ほども申しましたように、労働省は模様見の態勢だというような批評を受けるような——これは新聞で批評を受けたからどうだこうだと私は言うのじゃありませんけれども、一般にそういう考え方ではどうか、こういうことで申し上げるわけでございます。 現実に、いま申しましたように、東洋レーヨンもそうでございますが、この新聞にも載っています。合繊業界ではユニチカが二年間で四分の一の人員整理を発表した。東洋レーヨンもいま申し上げたとおり。福井県繊維産業設備協議会によれば、設備買い上げによる廃業や縮小で男子、女子千数百名が解雇される見込みである。具体的な事例が続出するにつれて、やはり繊維産業の離職者問題は腰を入れて取り組まざるを得ないというのが大方の意見であり、安易な考えでは断じていけない、こういうことを書いてあるのです。そうすると今度は、労働省は、先ほど言ったように、家内労働や小規模の企業が多い業界だけに実情が簡単につかみにくい、こういう考え方なのですね。実情がつかみにくいところをつかんでいくように努力しなければ、これは話にならぬでしょう。労働者保護にならない。大臣のお考えはよくわかりましたけれども、局長連中のお話を、あなた方の意気と熱意を——ただ、ここで鬼木がああ言うから、しっかり熱意がありますということを言っておきさえすればいいというつもりじゃ承知しませんよ。よろしゅうございますかどうですか、お伺いします。
○中原政府委員 私どもも大臣に負けない熱意を持っておりますので、どうもわれわれの熱意が十分外部に表現できないという点につきましては反省申し上げまして、大臣以上の熱意でもってやってまいりたいと思っております。 それから先ほどの数字でございますが、ちょっと私の申し上げ方がまずかったので若干悪かったと思いますが、二十万以上というのは全繊同盟の積算でございまして、政府側としましては、そういう数字も含めまして、現在のところわからぬ、二十万名ほどにはならぬのではないかということでございます。 それから離職者ということにつきましても、全繊同盟に聞きましても、いわゆる雇用に対する影響という意味における離職者ということでございまして、現実に二十万名以上の人が首になって出てくるかどうかという点につきましては、またそれと別途の積算といいますか、計算をしてみなければならぬであろうということを全繊同盟のほうでも申しているようでございますが、そういうことでございます。いずれにしましても、繊維協定によりまする雇用、失業の影響につきまして、私どもとしては非常に大きな影響を受けるということを前提にしまして対策を練っておるわけでございます。 過去の自主規制の例を見ますと、いろいろ数字等もこれはすでにわかってございますが、この場合には、いろいろうまくいっているような事例も多いわけでございます。私どものほうとしましては、今後は繊維協定で全面的になってきますと、いままでのようなことでは済まない。したがいまして、もっと本腰を入れてやらなければとても乗り切れるものではない、かような決意を固めておるわけでございます。 それから、先ほどちょっと数字を申し上げませんでしたけれども、組織の問題でございますが、繊維関係の組織率につきましては全繊同盟が五十五万、繊維労連が二万、合わせて五十七万ということでございまして、繊維関係の従業者全体では百七十万ほどおるわけでございますが、そのうち自分でやっておる人もおりますので、いわゆる人に雇われている労働者というのは百七十万人のうち百四十万人であります。したがいまして、組織率は四〇%ということになっておりまして、一般製造業の三九%とまあおおむね同じくらいの組織率でありますが、やはり先生御指摘のとおり、中小企業、特に零細企業のほうは組織率が非常に低い。中には組合もないようなところもあるわけでございますので、大臣からもお話し申しましたとおり、私どものほうとしましては、雇用失業対策につきましては、もちろん、組合のあるなしにかかわらず手厚い援護の手を差し伸べて、的確な措置をしてまいりたいということでございます。よろしくお願いします。
○鬼木委員 これは私、なお引き続き労働大臣にもお尋ねしたいのですが、御承知のとおり石炭では、これは三十四年でしたか、炭鉱離職者の臨時措置法が出ておりますし、三十三年には駐留軍の関係離職者等に対する臨時措置法が施行されておる。これによって離職者を救済しておる。これはもう御案内のとおりで、皆さん方のほうがお詳しいと思うのですが、今回も全く同じことであって、政府間協定の犠牲によったのであり、国策によって離職、失業をした。かってに自分たちが倒産したとか、あるいはやめたとか、あるいは離れたとかいう大量の離職者ではなくて、やってもらっちゃ困ると国会で議決までしたことを、国民の期待を裏切って、そしてああいう政府間協定を一方的に結んでしまった。まさにこれは国策の犠牲になったんですね。政府間協定の犠牲者です。こういうことになりますならば、石炭の離職者を臨時措置法によって救済するのと全く私は同じことだと思うのです。でございますので、まあいろいろ新聞やその他でも、これは何とか国で救うべきである。法制化しなければいけない、法文化しなければいけないというようなお話もちらちら承っておりますが、法によってこれを国が救うということにまで踏み切っていこう、あるいは踏み切っていくんだとか、と思っておるとか、いろいろ大臣の御答弁はあると思いますが、そのように努力したいとか、やりたいと思っておるとか、やるんだとか、いろいろあると思います。あなたの答弁をみな私は教えておるわけじゃないけれども、大臣のこれに対してのお考えを承りたいと思います。
○原国務大臣 先生のお尋ねの、この繊維離職者に対しても石炭離職者と同様な臨時措置法を制定すべきものである、こういう御説でございます。そこまでしなければならぬか、あるいはこのままで現状でいけるか等、もうしばらく実情を調査して、その上に先生の御説も踏まえて、いろいろ検討しておる最中でございますので、もうしばらく時間をかしていただいて結論を出したい、こう思っておるわけでございます。
○鬼木委員 そういうことをいま検討しておるといま大臣はおっしゃったのですが、やはり新聞なんかにもいろいろ出ておりましたが、政府において、これは石炭と同じようなケースでやるべきであるかどうか、事態がそうなるのかならないのか、いま検討しておるということなら、私が申し上げたことはすでに研究問題としてお考えになっておるわけですね。だからしばらく時間をかしてくれ、いま検討している、このように理解をしてよろしいですか。ようございますか、労働大臣。もっと私これを突っ込んでお尋ねしますと、あなたお一人の、あるいは労働省内だけの検討であるのか、あるいは閣議にでも持ち出してお話し合いをされたか、あるいは総理にでもそういうことを進言されたか。いや、まだそこまでいっていない、もう少しそういうところを——あるいは、いってないとか、いっているとか……。
○原国務大臣 ちょっといま打ち合わせをやっております。なかなかデリケートなところでございますから……。
○鬼木委員 ゆっくりしていいですよ。そういうところの事情を労働大臣から承りたいと思います。何もやかましく追及しているのじゃありませんから、労働大臣、ひとつおおらかな気持ちで御答弁を願います。
○原国務大臣 さいぜんからしばしば申し上げましたように、いま実情の把握に懸命の努力をいたしておる、その結果が出ませんと、法律でやっていいのか、あるいはその他の方法でやっていいのか等々、対策がまた変わってくるわけでございますので、せっかく、こういう場合にはどう、こういう場合にはどうというようなことを労働省内で目下のところ研究をいたしておる、こういうわけでございます。
○鬼木委員 これはなるほど、大臣がおっしゃいましたように、実態をよく把握して、これはたいへんなことだ、これはもうぜひ法的にみんなを救済するところの対策を講じなければならないということが出てくるか、出てこないかいま検討しておる、こういうことでございますが、早急にこれは結論を出していただいてやっていただかないと、私はたいへんなことになると思うのですよ。何回も繰り返しますけれども、簡単なことじゃないのですよ、これ。 もう大臣も御承知と思いますけれども、繊維業界は壊滅に瀕しておる。いかなることがあってもこれは処置できない、佐藤内閣をぶっ倒してでもこれは処置できない、こうした悲痛な繊維業界の決意ですよ。その点はよく御承知と思いますので、決して大臣がこれを等閑に付しておられるとは思いませんけれども、私はこれは最も焦眉の急だと思うのです。繊維業界をどうして救っていくか。 特に、先ほども申し上げましたように、これは労働大臣の御答弁をいただいて私、大いに安心したのですが、中小企業とかあるいは零細企業の中におけるところの未組織労働者の対策ということは、いとも簡単に大臣は、両方とも何にも差別ないようにやるということはおっしゃいましたけれども、これは家内労働者なんかもおりましょうし、あるいは小規模の企業なんかに対しての調査とか実態を把握するというようなことはなかなかむずかしいかもしれませんけれども、これにあたたかい手を伸ばしていただかなければならないと思うのです。だから私は、そういう点を積極的に手を打っていただかなければいけないと思う。実態を把握するんだ、実態を把握するんだと、それはだれだってわかっている。これは、大体私に言わせるならば、あとで労働基準監督官の問題も出てきますので、法案を審議する場合にまたいろいろお尋ねしたいと思うのですが、大体こういうことがなくても、日ごろ、繊維業界においてどういうふうな労働者の組織になっておるか、どの企業にはどの程度でどうなっているか、未組織者がどうだこうだというようなことは、もうたなごころにとるように知っておってもらわぬと困るのです。これがこうなった場合にはここはこれだけ離職する、こうなった場合にはこうなるのだというようなことは……。しかもこの繊維の問題は、政府間協定はああして突加として行なわれましたけれども、これが問題になっておることはもう数年前から問題になっておるのだから、そういう点をもう少し熱意を持ってやってもらいたい。その点いかがでございますか。
○原国務大臣 御説ごもっともな点、同感でございます。それで、先生のおことばのように、急いで調査もやるし、急いで対策も確立いたしたい、こう思っております。そして結論的に申し上げると、手厚い対策をやって、離職者が出ましても絶対失業者にならないようにその対策を十分やる決意でございますので、よろしくお願いいたします。
○鬼木委員 これは政府委員の方にお尋ねしたいのですが、職業転換をする場合の給付金ですが、この給付金のワクを広めるというようなお考えはございませんか。
○中原政府委員 転換給付金につきましては、金額といいますか、単価につきましては、明年度引き続き大幅の増額を大蔵省に要請をしておるわけでございます。 それから転換給付の人員のほうにつきましては、従来かなりワクを組むわけでございますが、一般会計で出す分と失業保険で出す分とありまして、例年失業保険で出すほうの分がかなり見込みよりも多いということは、一般会計分がそれだけ当初の見込みよりも余るということもありますので、この点につきましては、たとえば今年度の例をとってみましても、たとえかなり離職者が出てまいりましても、その全体のワク内でやりくりがつくということになっておりますが、いずれにしましても、明年度につきましても、ドル・ショックの問題、それから繊維協定、そういう点も織り込みまして、そのワク、それから金額増額の点につきまして万遺憾なきを期したい、かように存じております。
○鬼木委員 転換給付金のワクを広げる、増額するということは手を打っておる、それを増額するように処置をしておる、こういうことですね。
○中原政府委員 おっしゃるとおりでございます。増額は必ずいたしたいと思いますが、その増額のどれくらいふえるかということにつきましては、大蔵省との折衝におきましてきまるわけでございますが、最近の事情等も十分織り込みまして、十分実態を確保するようにいたしたいと思っております。
○鬼木委員 大蔵省との折衝もございましょうと思いますから、額がどれだけということはいまここでは申し上げかねる——けっこうです。了承いたします。増額することにしていただいておるということになれば、それで私は了承します。 次に、現生の失業保険についてでございますが、現在の失業保険法では、失業認定がないと支給はされない、こういうことになっております。これは正確を期する上において当然そうあるべきだと私は思う。ところが、今回のような繊維規制のような場合に、休業何カ月とか、あるいは三カ月、四カ月、半年とか休業に追い込まれた従業員に対して、一時うちに帰るとかいう一時帰休時の補償制度、そういうことを考えておられるかどうか。これは単に繊維業界のみならず、一般産業にもいわれることですが、「産業界では“円不況”の深刻化とともに操業短縮を強化、これに伴い一時帰休を実施するケースがふえてきた。この一時帰休を労働力不足時代の新たな雇用調整策として」どうするか、これは日経に載っておりますが、そういう点はお考えになっておりますか。一時帰休する、これは休業するためですね。ところが、失業の認定がないと失業保険の給付はできない。だが事実上は失業と同じで休業だ。こういう人たちの問題、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
○中原政府委員 一時帰休の御質問でございますが、一時帰休ということばはいろいろな意味に使われておるわけでございますが、いわゆる企業の中に籍を置きながら休業したという場合に失業保険を渡すということにつきましては、これはざっくばらんに申しまして、いまの失業保険法の法律のたてまえからいって、これはかなり困難な面が多いのじゃないかと思われます。しかしながら、過去、昭和二十七年、二十九年、三十二年、三回にわたりまして、文字どおり一時帰休しまして、これは休業ということではなくて、一時その間だけは籍をはずれるわけでございますが、その後また採用するという前提のもとに一時帰休するというケースにおきましては、これは失業保険を適用した前例があるわけでございます。したがいまして、今度の場合にどのような措置をとるかということにつきましては、先ほど大臣からも申し上げたかと思いますが、職業安定審議会におきまして、このたびのものがどの程度の深刻のものであるか、あるいは前のあれよりもかなり深刻になるあれもあるので、ただ前のまねをするというだけでは私どもとしては十分でないと思いますので、どういう形でどういうことをやるかということを含めまして、現在、職業安定審議会で公益、労働者、使用者の委員さんに検討をお願いしておるわけでございます。そういう検討を待ちながら、それとまた現地調査の結果、それから明日等もいろいろ繊維関係との打ち合わせ等がございますが、そういう点を勘案しまして、最もこのたびの実態に即した措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。
○鬼木委員 それはいろんなケースがあると思います。あなたのおっしゃるとおりですね。雇用契約は存続しながら一時休業する。それで、雇用契約は存続しておりますから全額給料は払っておるとかいうのは、これはもう私は関係ないと思う。ところが、雇用契約を存続しながらでも、休業をしているから金は払わない、あるいは雇用契約を一時取り消す、それでまた再開するときには来てくれということで帰休をする。中には、そういうことをやって、失業保険を六割、会社のほうから四割というようようなことをやっているケースもあるということを聞いておりますが、そういうこともやっぱりできるのですか。失業保険というものを六割払う、会社が四割払う。これはいろいろなケースがあるようですが、だからこれをもう少し統一して、雇用契約を存続して給料を払わない場合には、これは純然たる失業とみなして保険を給付するんだというようにするか。結局、一時帰休という名前は、法的にそういうあれがあるかないか知りませんけれども、要するに、休んでいる間を純然たる失業者ということにして保険を出すのか。あるいは契約を存続してそのまま帰休であったら、会社が全部払うべきだというようなことにやるのか。そういう点の指導はどういうことになっておるのですか、それをちょっと。
○中原政府委員 いま先生のお尋ねの件は、たとえば失業保険を出しながらその四割、賃金というのですか、何か手当というのを出しておるようなケースもあるやに聞いておるけれども、そういうようなことが可能なのかどうか、そうだとすれば、それは籍を置いたまま認めているのではないか、こういうような御趣旨かと思いますが、私どものたてまえ並びに指導方針といたしましては、籍を置いたまま失業保険も出すということは、現行の失業保険法上できないということがはっきりしておりますので、もし失業保険と併給して賃金あるいはそういう手当を出すということになりますと、はっきり言って私どもとしては、これは現在のあれとしては困難であるということになっております。ただ、やめるときに、これは臨時にせよ一時やめるわけでございますから、やめる場合には当然退職金を普通出す会社が多いと思いますが、その退職金を出す、あるいはその退職金が一時に払われないで少しずつ分割払いするというようなケースが賃金と思われたというようなことかもしれませんけれども、はっきり申しまして、籍が続いておる、かつそういうような賃金とか手当みたいなものが一部払われて、両方合わせて前の賃金を確保するということは、私どものたてまえとしましても、現地に対する指導としましても、しておりませんので、そういうことが現実にあるとすれば、あるかどうか知りませんけれども、私どものほうとしてはこれはちょっと保険法上問題である、こういうふうになるだろうと思います。
○鬼木委員 それで私はお尋ねしておるのですが、現在の法のたてまえからいけば、身分がその会社にあればこれは失業とは認められない。ところが、現実的に失業しておりますから、本人は非常に生活に困る。それじゃ率直に申し上げて、これを一体皆さん方はどういうふうな対策を立てようとなさっておるのか。現実的に収入がない、しかし会社の従業員だ。そうすると、失業保険というものは失業の認定がないと支払いができない。ところが認定のしようがない。これは会社員だ、ところが事実は失業しておる、こういうケースが今度はたくさん出てくるのですよ。ことに中小企業なんかは、私は非常に多いと思うのです。それをもう少し的確な、こうしたいとか、こうすべきだとか——事例をあなたはずっとおっしゃっている。事例は、私いま申し上げているように、これを全部読んでもいいですよ。何ぼでも、こうして新聞に出ているのですよ。それで私持ってきたんです。そういうことをやっておるのが何ぼでもあるのですよ。結局しかし、その人たちを救っておりますね、みんな、やり方によって。中小企業の従業員が一時帰休をする場合、六カ月間平均賃金の六割を政府が出しておる、事業主があとまた補償する、いろいろなことをやっているのですよ。そして財源には失業保険の剰余金を充てるようにしたらどうか、こういうふうな考え方もあるんですよ。これはまあ私が指図するわけじゃないから、あなた方のほうでお考えいただくんだから、現実的にそういう方は、どのように、こぼれないように、漏らないように救済をなさろうとなさっておるのか。あるいは全然これは法の認定がないから救いようがないというのか。その点ひとつもう少し的確に……。
○中原政府委員 これはまあ基準局の関係でございますが、失業の場合は、もちろん基準法上の給付補償ということで六割の補償があるわけでございますが、まあ失業保険のほうで六割を出してというようなお話でございますが、これはまあ言うまでもないことでございますが、失業保険につきましては、使用者、労働者が保険料を負担しまして、政府もそれにお金を出しまして保険をやっておるわけでございますので、保険のたてまえからいいまして、そういう場合に保険のほうで、苦しくなったような場合にすぐ肩がわりをするということにつきましては、やはり保険の経済上としてはいろいろ問題が出てくるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃったように、現実問題としてしかしどうなのかという点につきましては、これはそのときどきのケースによりまして、いろいろ生活あるいは就業の問題につきましては、特に中小企業等の場合には万全の策を講じなければならないと思うわけでございます。私どものほうとしましては、一時的にせよはっきり離職している場合には、そういう前例もございますし、また検討の対象としておるわけでございますけれども、そういう籍を置いたまま失業保険で出すということにつきましては、現在の、少なくとも保険法のたてまえからは、非常に困難な面が多いということを申し上げたわけでございます。
○鬼木委員 どうもあなたの私に対するお答えが私は満足できないのだが、事実上失業であるならばといまおっしゃっておるのですけれども、事実上失業じゃないですか。六カ月なら六カ月間会社を休んで仕事をしない、おまえは帰れ、金は払えない。会社をやめておるのなら、生産もないですから、金の出ようがない、帰ってくれ、これは少なくとも失業なんですよね。しかし身分は会社にある。これは退職する場合には、あなたのおっしゃるように、これは年限が通算されますから、会社に籍あるのだから、かりに十八年つとめた場合に、その六カ月は切れないで、まるまる十八年つとめたということで退職金支給、それはまあ非常にいいと思う。だけれども、実際その六カ月の間の問題が、認定がなければ失業と認められない。しかし、それは事実上失業して休んでおるならば、仕事をしてなければ、一時的に六カ月間の失業、一時的に失業だと認定をさるべきじゃないですか。そうしたら、その間は六カ月間失業保険を払うということに私は解釈はできると思うのですが、その点をもう一ぺん、ひとつわかったら教えてください。何か横からいま持ってきたようだが、法的に絶対そういうことはできないということがあるのか。私もしろうとだからあなたに聞いているんだから、しろうとにわかるように説明してくれなければ、わからぬじゃこれは話にならない。絶対それは法のたてまえからできないというのだったら、労働大臣はできるようにしてもらいたい。そうしなければ困るんだ、実際。
○中原政府委員 失業保険法の第三条によりますと、失業の定義が書いてございますが、被保険者が離職した、その離職したということが要件になっておるわけでございます。先生のおっしゃるところによりますと、まあ一応会社に名前だけの籍はあって、いろいろなことは通算するということになれば、籍はあるみたいなものだけれども、実際上はもういなかに行っており、仕事もしていない、金ももらっていない、これは実際上の離職と同じようなことではないか、こういう御趣旨かと思うのでございますけれども、この法律上の解釈につきましては、少なくとも現行法の意職につきましては、離職はやはりはっきりしないといかぬ。したがいまして、いまおっしゃったような場合は、実際上は離職と同じような、似たような状態ではないかというところまではわかるのでございますけれども、やはり離職としろ、こういうことになりますと、はっきり申し上げますと、いまの法律上の解釈としては困難であるということで、たとえば激甚災害の場合などには、特別な法律をもちまして、離職ではなくてもというようなこともあるわけでございますけれども、この点が、まあ先生のお話は人情論から特に出ておられるのかと思いますけれども、この離職につきましては、そういう解釈がございまして、これはやはり、ただいなかに行っていて月給をもらっていないとか、働いていないということでは、まあ離職と似たようなことではないかというお話はわかるのでございますが、やはり離職とみなして、失業の認定をして保険金を差し上げるということはちょっとむずかしい、こういうことでございます。
○鬼木委員 そうすると、そういう人たちは今度は救済はできないということですか。労働大臣、どうです。そういう人たちは救済できない、これは大きな問題ですよ。
○中原政府委員 これは基準局の所管でございますが、私からついでに申し上げますが、基準法の二十六条の休業補償で、六割そういう場合には使用者のほうで払わなければならぬということでございまして、多くの企業におきましては、その上に上積みしまして八割とか九割ということをあれしておりますので、失業保険のほうとしましては困難でございますが、そういうような基準法の規定その他の要件によりまして、いろいろ保護されるということになっておりますので、失業保険としてはむずかしいけれどもということで申し上げておるわけであります。失業保険は出せないからあとは気の毒だということではなくて、その他のいろいろな保護はもちろん受けられる、こういうことになっております。
○鬼木委員 だけれども、ここに「失業保険は、被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」だったら失業したんじゃないですか。六カ月間全然その会社から離れたことを失業とは言わないでしょうか。仕事から離れたなら失業でしょう。六カ月間でも限定されて職から離れたら失業じゃないですか。失業というものは、五カ月以上を失業というとかいうような規定がありますか。一カ月だって失業は失業でしょう。そうすると、六カ月間もやはり失業ですよ、事実上仕事を失っているんだから。そうして失業保険は「生活の安定を図ることを目的とする」というのだから。生活の安定はできないでしょう。だからあなたは人情論、人情論と言いますけれども、それはむろん人情もありましょう。むろん人情もあるでしょう。あなたは人情ないですか。なんでそんなふざけたことを言うておるのですか。
○中原政府委員 期間が短い場合は失業とみなさないのか、こういう御指摘でございますが、期間の長い短いには関係ございません。したがいまして、たとえば三カ月であろうと、半年であろうと、これはもちろん失業になるわけでございます。 先ほどから申し上げておりますように、失業保険は被保険者が失業した場合に保険金を支給するということが法律の目的になっておりまして、その失業とは何ぞやという場合に、これは「被保険者が離職し」と、こういうことになっております。離職というのが、先生からおっしゃれば、いなかに行って月給ももらってない、働いておらない、これが離職じゃないか、こういう御指摘なんでございますが、私どもから申し上げますと、その離職の要件というのが、こういう失業保険という金を扱う問題でございますので、全国的にいろいろ基準をつくりましてやりませんと、あるいはある安定所によりまして非常にゆるやかにこれを解釈する、あるいはこれを非常にシビアに解釈してかたくやるということは好ましくありませんので、非常にこまかい基準をきめて、手引きというものをつくりましてこれを地方に流しておるわけであります。したがいまして、そういう基準によりますと、幾ら働いてなくても、それから賃金をもらってなくても、いなかにいても、企業のほうに籍が残っておりましていろいろ通算するということは、これは休業ということになりまして、失業とは違うということに相なるわけでございますので、これは現在の法解釈では離職ということにはみなせないということにおきまして、先ほど申しましたように、激甚災害という地震等の場合、これは新潟地震の場合に適用があったわけでございますが、これは特別の法律によりまして、いま先生がおっしゃったような場合でも、これは特別なもので、失業ではないけれども失業とみなして保険金を渡しましょうということで、新潟地震の場合に渡した例があるということで、特別の法律をつくる、あるいはその限りにおきましてこの法律の除外例をつくるということにいたしませんと、法律上は、何回も申しておりますが、そういうような状態でありましても、離職と似たようには見えますけれども、これは離職ではなくて失業保険金はお渡しできません、こういうようなことを申し上げておるわけでございます。
○鬼木委員 しかし、「この法律で失業とは、被保険者が離職し」と書いてあるのですよ。これは職から離れているんだ。しかも期限はないといういまのあなたのお話。あるわけがない。半年でもくにへ帰っているなら職から離れているんですよ、離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず。だから、これは本人のぐあいが悪いとかなんとかいう休職とか休業ではないわけですね。働く意思はあるんだから。働くこともできなくて休んでおるというなら、休職とか休業になるかもしれぬけれども、働く能力があって、しかも意思があるにもかかわらず職業につくことができない状態にあることをいう。そうしますと、これは私は当然失業保険金を出してもいいものだと思うのですが、この法律の解釈に対して、あなた方がかっては細則をずっとつくられたんだと思うのです、一方的に考えられて。その次にこういうことが書いてある。「この法律で離職とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう。」だったら、雇用関係を結ばないで、契約を一時六カ月間だけは切って休業した場合には保険金は出されるか、こういうことなんです。その場合はどうですか。
○中原政府委員 この「離職」の解釈でございますが、そこの二項に書いてありますように、雇用関係の終了ということになってくるわけでございますが、この雇用関係が、先ほど言ったようなケースは、事実上終了しているのではないかという先生の御指摘かと思います。先ほど激甚災害の例にも申し上げましたように、法制局の解釈が、そういう場合には、政府側の解釈としては一番最終的な解釈になるわけでございますが、結局法制局のこの離職の概念では、そういう激甚災害みたいな場合に、そういう人を失業とみなして渡すことができるという解釈のもとにそういう特例の法律をつくったわけでございます。したがいまして、そういう特別の規定なしに、いま申し上げたような事態を雇用関係の終了、すなわち離職とみなしまして失業保険金をお渡しするということは、これは労働省の解釈ということではなくて、やはり法制局の解釈も入っているわけでございますが、これはむずかしいんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
○鬼木委員 それで、事実どうしてもこれはできないと言われるならば、これは私は労働大臣にこれからお願いしたいのです。何とかしなければ事実これは助からぬじゃないですか。それで、激甚災害のことをおっしゃっているけれども、これはまさに激甚災害ですよ。これはことばの解釈ではどうにでもなると思いますけれども、政府間協定だなんというのは、全然国策で、一方的にこんなことをやったのでしょう。何も従業員がそういうことをやったわけでもなければ、労使がともに一緒になってやったことでもない。泣く泣く労使は何らこれに——屈辱的、これは一方的な措置ですよ。それによって災害をこうむるということになれば、それは激甚災害というが、激甚というのは、天災地変ばかりが激甚じゃありませんよ。激甚というのははなはだしく激しいと書いてある。どうですか。法制局長官がどんなことを言ったか知らぬけれども、そんな政府の番人みたいないいかげんなことを言ったって……。だから、これができないということになれば、労働大臣に私はお願いして、絶対救う方法を考慮してもらいたい。結論としてはそうですよ。これは労働省だけで考えたんじゃありません、法制局長官がこんなことを言いました、法制局の案ですと、すぐあなたたちは逃げようとする。かりに法制局がどう言っても、あなた方は労働者を保護する立場にある。それは困る。これはひとつ大臣何とかしていただきたい。法的に解釈すれば法制局の言うとおりになるかもしれないが、だったら、これは法制局も認めるような方法をとっていただきたい。こうしたことが熱意がある、こう言うのです。だから、実際上においてこういう方々はまことに気の毒ですから、こういう気の毒な方を救っていくことが善政じゃないですか。しかも佐藤総理は、大企業優先から国民の福祉、大衆福祉、福祉経済、福祉政策に変えていかなければいけないと言った。口ばっかり、有言不実行。これはあなたにやかましく言ったってしかたがない。私はあなたにやかましく言っておるわけじゃないのです。労働省の皆さん方が、われわれはほんとうに労働者を守るためにあるんだという根本的な原点に返ってもらわないと困る。どうですかその点、大臣にひとつ……。
○原国務大臣 御主張の点はよくわかりましたが、いまのところ法律解釈は、こんな場合にどうしよう——そういうところの、いなかに帰っておる、事実上月給をもらってない、かりに二月たっておる、そういうことになった場合においては、休職手当をもらうことが一つ。それももらえないというようなこともあり得るのでしょうが、その場合に、いっそのこと退職届け出したら簡単に失業保険もらえるのです。そしていまはやめる、退職届けを出す、ただし会社がよくなったときにおいては再就職をする、これはほうぼうでやっていることです。それで保険金をもらったらどうですか。たいして給料も払ってもらえない会社にかじりついておったところで、あまりうま味もないだろうし、思い切って退職届けを出して失業保険をもらう。さらにそのほか就職あっせん手当というのがありますから、来年から少しふやしますが、月一万九千円差し上げることになっておる。これは中高年の方々であります。もしそれが、とても繊維がだめだ、伸びがないと思うなら、ほかの職業におつきになるのでしたら、職業訓練手当というのを月二万五千円差し上げている。来年はいずれももっとふやします。むしろ私としては、おしかりを受けるかもしれませんが、思い切ったそういう職業転換も、繊維の状況が悪くなってきましたから一つの手ではないか、そういうようなことも考えられます。先生のおっしゃったことも、これはもっと慎重に、よく意のあるところがわかりましたので、研究いたしたいと思っております。
○鬼木委員 いま労働大臣はそういうことをおっしゃいますけれども、それもわかっています。退職届けを出せばもらえることはわかっております。転換給付金も上げる、それはわかっていますが、やはり会社としましてもぜひ労務者を確保しておかなければいけない。いま資金繰りの都合でちょっとぐあいが悪い、必ずまた再建をはかって一生懸命やらなければならないというのもないとは限らないのです。また退職しては、長くつとめた場合には、そこの間が切れるということもあるのです。私は会社側を擁護しているわけじゃないですけれども、繊維業界のぐあいが悪くなったからどんどんやめてほかのところに行ってしまえ、それが一番いいじゃないか。失業保険金はもらえるし、転換給付金ももらえるし、失業手当ももらえるし、これに限るぞ、そういうことをあなたおっしゃる。私は企業家に味方しているわけではなく、どちらの味方でもない。みな国民だから、全部私は公平に申し上げているのですが、そういうことをおっしゃっていいですか、労働大臣は。産業界から押しかけて来やしませんか。まあ大臣のお気持ちもわかるのですよ。わかるのですけれども、そういう安易な気持ちで、こうすれば簡単ないい方法があるじゃないかというようなことは、おっしゃらなくたって私らも知っておりますし、また御本人方もそれはお考えになっておると思うのですよ。けれども、こういう法の盲点があるのだから、最後には、将来はこれに対して何らかの手を打つような方法を研究しましょうというように大臣はうまく逃げられたけれども、大臣の答弁としては私聞いた。審議官あたりはどういうふうに考えておるのか。どういうことを審議しているのですか。大体、審議官なんていうのは名前はいいけれども、何を審議しておるのか、さっぱりもことしてわからない。
○中原政府委員 先ほどから私、法律解釈ばかり申し上げたので、少し答弁がぎすぎすしたかと思うのでございますが、私どもとしましては、先生の御指摘のような問題点があることは十分存じております。したがいまして、そういう問題点も含めまして、先生の御指摘のような問題につきまして、あらゆる面からわれわれとしては、こういう問題はどう、こういう問題はどうということを考えなければならないというふうに存じております。 それから、それではそういう問題点の前提としてどういうふうにやったらいいかという点につきましては、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、役所だけの机上の空論ではなくて、そういう関係者の方々、それからきょう先生から御指摘いただきましたようないろいろな問題点を全部勘案いたしまして、少なくとも発生した失業者につきましては絶対に心配をおかけするようなことはないという確信を持ってやりたいと思います。法律解釈でございますので、私の答弁は少しかたいことばかり申し上げたようでございますが、熱意におきましては大臣に劣らないわけでございます。審議官の名前に恥じないようにやりたいと思います。
○鬼木委員 それで安心しました。まさに文字どおりあらゆる観点から各方面にわたって漏れなく審議しておる。まことに名審議官でけっこうでございます。大いに期待いたしておりますので、そういう気の毒な方のないようにいたしますというお話でございますので、繊維業界の皆さんも意を強くされることと思います。 だんだん時間が切迫してきましたので、繊維の問題については一応その程度にとどめておきまして、いよいよと言うとおかしいですけれども、この法案に対して少し御質問を申し上げたいと思います。 これは先般も木原先生からもずいぶんお話があったので、私がどうこう言うこともありませんけれども、ILO条約によって監督制度は、第十条に労働監督官の数がうたってあるようであります。「労働監督官の数は、監督機関の任務の実効的な遂行を確保するために充分なものでなければならず」、こうあるのですよ。また十九条に、いかなる場合にも年一回以上は報告を提出しなければならない。 〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 そうしますと、これらによって私いろいろお尋ねしたいと思うが、実際労働基準監督官の定員がいま何ぼあって、実情はどうなっておるか、これで十分であるか、その総元締めである労働基準局長見えておりますので、お尋ねします。
○岡部(實)政府委員 監督官の定数は、四十六年度におきまして二千七百九十六名、約二千八百名ということでございますが、この数で基準行政が十分やれているかどうか、その実情いかんというお話でございます。率直に申しまして、監督官二千八百人が全国の適用事業場を監督することになっております。そこで、適用事業場は約二百七十万、二百六、七十万の事業場がございまして、したがいまして、もし算術的にこれを見ますると、一監督官で扱うべき適用事業場は千というようなことになるわけでございます。そこで、とうてい普通の姿で監督官がくまなく各事業場を回って歩くということは事実上困難でございますので、いわゆる監督計画というものを各局あるいは署でつくりまして、定期的にその中の事業場を監督をしていく。また申告監督と申しまして、事業場等から、あるいは関係者から違反の事実等が監督署のほうに指摘されました場合には、直ちにそこに監督に行く。また、たとえば災害が発生いたしました場合には、直ちに現地に災害監督ということで行くというようないろいろな手法を織りまぜまして、できるだけ限りある人員によりまして効率的な監督を実施してまいるということにいたしておりますが、御指摘のように、ただいまの数で十分かということにつきましては、率直にいって私ども、もっと監督官の数がほしいわけでございまして、今後さらに充員をはかってまいるということに努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○鬼木委員 そうしますると、二千七百九十六名で、そして二百七十万もある事業場を一人で回るということになれば、千企業を受け持たなければならぬ。そういうことで事実任務の遂行ができておりますか、実際の話が。いいかげんじゃないですか。できるわけはないでしょう。一人で千の会社を受け持たなければならぬ。「労働監督官の数は、監督機関の任務の実効的な遂行を確保するために充分なものでなければならず、また、次のことを考慮して決定しなければならない」。そして監督官の遂行すべき任務の重要性がそこにうたってある。しかも、第十九条には、「労働監督官又は地方の監督事務所は、その監督活動の結果に関する定期報告を中央監督機関に提出するものとする。これらの報告は、中央機関が定める様式によつて作成し、且つ、この機関が随時定める事項を取り扱う」。そうすると、中央機関が定める様式によって作成してこれを云々、これは十分に遂行できておりますか。報告は出ていますか。
○岡部(實)政府委員 各都道府県の基準局から管内の監督状況については報告を受けておりまして、私どもはそれを取りまとめまして監督年報という年報の形で公表いたしておるところでございまして、実質的に十分足りておるかどうかという御質問でございますと、まだまだ努力をしなければならぬ点もあるということは申し上げなければならぬと思いますし、また、先ほど申しましたように、監督官の増員につきましても、毎年実は努力を続けてきておりまして、そういうことで、全く十分なのだということを申し上げるつもりはございませんが、先ほど私、算術的に申しますと一人千軒と、こういうことを申しましたけれども、労働基準法につきましては、本来基準法を順守するというたてまえで適用になっておるわけでございます。ただ、ある事項、あるいは監督のいままでの実施の経験等からいいまして、必ずしも守られていないというような懸念のある部面が相当ございます。これはわかりますので、そういうところを重点的に定期監督をしていく。それから、組合その他の組織が十分ございます企業につきましては、基準法の百四条によりまして関係者からの申告ということもございます。そういうものを受けたときには直ちに監督に行くということにいたしておりますので、現段階におきましては、一応この二千八百名をもちまして、できるだけの基準法が順守されるような監督を実施しておるつもりでございます。ただ、先ほど申しましたように、十分であるということは必ずしも申し上げられません。多々ますます弁ずるというようなこともございますし、さらに拡充をして、また監督のしかたについてもいろいろなくふうをあわせて考えていくということで進めてまいることにいたしておるわけでございます。
○鬼木委員 そこで、これはあとでまたずっと申し上げるのだが、労働基準監督官というのは、これは非常に重要な仕事であって、国家もこれは徹底的に保護をしておるわけです。仕事はそういう重要な仕事であり、任務も非常に重かつ大である。しかも一人で千企業も受け持たなければならぬ。非常に過重ではないですか。だから局長としては、いまの労働基準監督官はどの程度おればまず過重にならないでだいじょうぶだ——足りません、足りませんとか、どうも不十分でございます、不十分でございますじゃなくして、監督官の数がどのくらいあれば大体いくのだ、十分その仕事に打ち込んでいけるのだというお見込みはどの程度でありますか。いまでは二千七百九十六名で、一人で千受け持っておる。局長、これは事実そういうことができますか。じゃ、あなたが監督官になられて、そして千企業というとこれはたいへんなものですよ。そういうことは大体どの程度あればどういうというような、何か腹案がありますか。
○岡部(實)政府委員 的確な数字を申し上げることはなかなか困難でございますけれども、私ども、監督官の増員要求につきましては、これから五カ年間で約千名程度の増員をはかりたいという一応のめどをつけておるわけでございます。そこで、もちろん人員の増員につきましても、率直に申しまして公務員の数を非常にふやしていくことでございますので、実は現実の問題として限りがあると思いますので、それと一方におきましては、監督手法につきましていろいろなくふうをしてまいる。たとえばある業界に共通の基準法上のいろいろな問題がある場合には、その業界全体について十分趣旨の徹底をはかるとともに、その業界に対しての一斉監督というようなことを行なって、その業界自体全体が違反についての是正を行なう、あるいは元請、下請等の関係が複雑しているためになかなか基準法の順守が徹底しないという面につきましては、総合監督ということで、元請、下請をあわせて監督をしてまいるというようなことを、監督の面で、そういうやり方につきまして、できるだけ人員を有効に活用するのだということを織りまぜてやってまいっておりますので、先ほど申しましたような増員がもしできるならば、私たちの行政も、それと同時にやり方のくふうも合わせて進めまして、何とか進めていけるものと一応のめどを立てておるところでございます。
○鬼木委員 あとでまたお尋ねしますけれども、労働監督官の身分ということに対しては、先ほども申しましたように、法的には非常に保護が行き届いておるようですが、それは仕事が非常に重要な仕事であるがゆえにさようになったのだと思います。実際は非常に忙しくて手が回らない、こういうことになりますと、私はILOの条約の精神に反すると思うのですよ。これはどこということは申し上げませんけれども、私どもがときたま工場や会社に行って回るのです。そうすると、経営が非常にずさんといいますか、労務管理の状態も非常に悪い、そういうところがたくさんあるのですよ。そんなのは、何年に一回行ったか行かぬか、ほとんど実態を把握してない。これは監督署を責めるべきでないと私は思うのですよ。実際仕事ができないのだから、一人で千企業も受け持たなければならぬというようなことになれば。だから私どもが行ってみますと、よく私どもの耳に苦情が入ってくるのですよ。たまたま行って見て見ると、なるほど経営が非常にずさんで、労務管理なんかもなってない。これは以前も、私、参議院におるときでしたが、重労働をやらしている問題について、村上基準監督局長だったと思うが、きびしくやったことがあるのですが、事実できないのじゃないですか。いま局長がおっしゃったように、人数が足らなくて手が回らぬでは、私は困ると思うのですよ。手が回らなければ回るようにしてもらわなければならぬ。しかも、非常に重大な使命を持っているところの監督官ですから、そういう点を、五ケ年間にいまから千名ふやすつもりでございます、そのうちにはどうとかなりましょうというような局長の安易な考え方では、私は承知できない。ということは、これは労働基準監督官が激務になっておる、かわいそうだ、私はこう考えるのです。そういう点どういうふうに局長は考えておられますか。
○岡部(實)政府委員 基準行政につきましてたいへんあたたかい御激励を賜わりまして、たいへん感謝申し上げますが、監督官については、率直に先生御指摘のように、私もこれで十分だということを申し上げておりません。そこで、一人で全部を定期に回って歩くということになりますと、これは監督官についても膨大な数が実は要ることになります。そこで監督手法について、いろいろなことを織りまぜながら実効があがることを考えていくべきだということで、先ほど申し上げましたように、一般的には定期監督、これは抽出いたしまして定期に監督してまいる。そのほかに重点業種を選んで重点的な監督をやる。そのほかに、申告を受けた場合には、それはもう直ちに飛んでいって監督をいたします。それからさらに、監督をして違反があったような場合、特に重大な違反があったような場合については、それをフォローアップしていくためのいろいろな報告の提示等を求めまして、それを是正が十分に行なわれたかどうかを確認していく、追及をしていくとかいうようなことを進めてまいる。 そこで、現実の問題といたしましては、大企業、特に労働組合等の組織が十分につくられておりますところでは、ほとんど就業規則あるいは労働協約によりまして基準法を上回るような労働条件が規定をされておりますし、もちろん、その中で全く違反がないということを申し上げるわけじゃございませんが、大体その基準法を順守すべきものだということで労使の間で労働条件がきめられておる状態でございます。そこでやはり問題は、中小企業あるいは特別な業種、特別な職種あるいは産業というようなことになってまいると思いますので、そういう面に監督の重点を当てながら進めていくというような監督のしかたについてのくふうをいたしながら、その管内において、限られた監督官の数で最もどこを重点的にどういうふうに監督したらいいかという計画をつくらせてやっておる次第でございまして、なおなお私どもの行政を推進していくためには、先ほど申しましたような増員をはかることを考えておりますけれども、それと同時に、いま申しましたようなことで基準法が守られていくという姿を実現してまいるための努力をいたしておりますことを申し添えたいと考えるわけでございます。
○鬼木委員 そういう答弁しかできないと思います。事実、これは非常に監督署の仕事はたいへんだと思うのですが、そこで、人員がいまのところ足らない、五カ年計画によって千名ぐらいこれをふやす考えだ、そして労働行政の問題に対しては最善の努力をしたい、これはわかりました。これはわかりましたが、そのように重要な仕事をしている方であるから、ILOの条約でもこれをはっきり保護しておる。なおまた、一般公務員といたしましても公務員の規定に載っておる。ところが、今度の法案で分限審議会を解消するということになりますと、私はどうしてもそこに納得がいかない。そういう大事な監督官であるがゆえに、身分を保障するために分限審議会というものができておる。しかもこの監督官というものは、ある意味において他の機関には移られない。これはもう監督官は終身監督官をやらないというと、他には移ることは相ならぬ。極論すれば、そういうことにも私は考えられると思う。だから、監督官である以上は絶対に身分は保障してやる、決して心配要らぬぞというので分限審議会は私はできておると思うのですね。ところがそれは要らぬという。さっぱり私はその点の事情がわからぬ。 もうこれは皆さん方には釈迦に説法で、私が言わぬでも、労働基準監督官の権限について第百一条でうたってある。それから百五条には労働基準監督官の義務がうたってある。「労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない」。これはもうほんとうに非常に規制がきびしいですね。「労働基準監督官を退官した後においても同様である」。退官しても自分が監督官であった時代の秘密は漏らしてはならない。言いかえれば、監督官は退官後も制約を受けておりますから、他の機関にもう移ることはできないということになるのですよ。そのようにきびしく制約してある。ただし、これだけの重大な責任を負わせ仕事をさせるから、絶対身分は保障するぞ、安心してやってくれ。制約に対して今度は保護、これは私はいいと思うのですね。だから、少なくとも監督官の身分に関して何かあった場合には分限審議会で引き受ける、心配するな、こうした非常に意義のある審議会だったと私は思う。今日、審議会を整理せよ整理せよという話。だから、何も関係のないこれをあっちへやっておけ、それをみんな上へやっておけ、そうして、審議会を整理しました、整理しました、そういう簡単なことを考えられては私は困ると思う。名前が変わっただけです。今度は中央労働基準審議会のほうへ持っていく。いままでたった六回しかしておらぬというけれども、六回しかしていないところに大いに意義がある。そんな監督官の身分の問題は、いつもしょっちゅうあったらたいへんですよ。十分安心しておやりなさい、だいじょうぶ、あなたたちは受け持つ、身分は保障する、だからこういう点はひとつ守ってくれよ、それで問題がなかった。これが私は理想的だと思う。六回でもあったということは私はまことに遺憾だ。ないことがけっこうなんです。それを、これは二十二年から始まってほとんどやってない、二十六年まで六回しかやってない、こんなものはもう要らない、そういう安易な考え方は私はとんでもない間違いだと思う。考え違いをしていらっしゃらぬかというのです、皆さんは。たいへんな問題ですよ。監督官が退官した、そうすると何か世間話でもして、あそこの会社はこういうふうで、大体がこうだものねと、もしかりに言った。そうするとこの法律に違反するじゃないですか。たいへんなことじゃないですか。あるいはまた中途で、いい待遇とか、あるいはいろんな観点から誘いがかかった、他の機関に行く、これ行っちゃならぬということを、これは暗に言っているんですよ。もし行って向こうで何か漏らしたらたいへんだ。そうするとその人は漏らされない、秘密を守っていかなければならぬ、それがここへちゃんとうたってある。退官後といえども同様である。職務上に知り得た秘密を漏らしてはならないとはっきりうたってある。 それほどきびしく規制をしておるならば、もっと至れり尽くせりで優遇もする。人間が足らなければ、たくさん十分仕事ができるように監督官をふやしていく、優遇もする。後顧の憂いなく安んじて労働行政に専念してくれ、もし万一のことあらばいつ何どきでも分限審議会でぴしゃっと守ってあげるよ、こういうためにできているんじゃないですか、何のためにできているのか、それを局長はっきりひとつここで説明していただきたい。
○岡部(實)政府委員 監督官につきまして特別の権限を法律上与え、さらに義務を課しております。これは、一般の国家公務員には国家公務員法でいろいろ規定がございますが、それと、さらに別個に、ここに監督官のいま御指摘のような義務を課しておりますのは、やはり監督官の仕事が一般の公務員のいわゆる公務と、本質的には同じでございますが、具体的な執行の場においていろいろな問題、特殊性があるということに着目しての規定と思うわけでございます。そこで、一方において基準法が、監督官を罷免する場合に、一般の国家公務員に与えられている保障以外に、特別の審議会を設けてそこにかけろということにしておりますのも、監督官の仕事の特殊性、それが持っておる権限と義務の特殊性によるものと考えておるわけです。そこで私どもは、今回の法律改正によりまして、基準法できめられておりましたいまの審議会の行ないましたその保障の機能を中央労働基準審議会のほうに移すという趣旨でございまして、その機能をここでなくなすという気持ちは毛頭ございません。 ただ、おそらく先生のお考えとしては、中央労働基準審議会の一つの分科会と申しますか、そこでやらせないで、やはり看板をあげて独立した機関でやることがこの保障を全うするゆえんではなかろうかという御趣旨だと思いますが、私も、あるいはその看板の問題については、従来どおりのほうがいいということも考えられますけれども、要はその機能がほんとうにそこなわれずに残されるかどうかということにあろうかと思いますので、中央労働基準審議会に機能を移すと同時に、先般大臣からもお答え申し上げましたように、この中基審で扱う場合のしかたに十分配慮するために、必要な政令で、それを原則にいたしまして、この基準法でいままでもとられてきた身分保障の措置が今回の改正によってもごうもそこなわれないということを前提といたしまして、一方において審議会の整理統合ということもありますので、その線も踏まえながら今回の改正をするということにいたしたのでございまして、何回も申して恐縮でございますが、基準法による監督官の身分保障については、今回の措置によって十分従来どおり保障されるというふうに考えておりますし、またそういうふうに運用してまいるつもりでございます。
○鬼木委員 局長は、私もこれはこのまま置いておいたほうがいいとも考える、いまそう発言された。置いておいてこのままいってもいいと思うと。またしかしながら、この機能がそこなわれないでずっと残されていくかどうかということも考えておる、そういうことを言われた。妙なおことばをいま聞いたのです。これをこのまま残しておけばこの機能をそこなわれる憂いがあるというのは、どういう点でですか。
○岡部(實)政府委員 どうも私の発言がちょっと悪かったかと思いますが、このまま置いておいてそこなわれるということではございません。が、今度中基審に機能を移しましても、従来の保障措置がそこなわれないということをむしろ申し上げたわけでございます。
○鬼木委員 じゃこれを中央審議会のほうに移してもでしょう。移さなければいけないというのじゃないでしょう。移してもよい、こういうあなたの発言でしょう。ことばじりをとるのじゃありませんよ。これは絶対である、移さなければならないというのと、移してもよいというのと、これは意味が非常に違う。そんな、やってもよいというようなことならば、やる必要はない。影響が非常に大きいですよ。現場の監督官あたりは、分限審議会をなくしてしまった、これはまた何か別に変わったことがあるのじゃないか、われわれは一体どうなるのだ、この動揺は大きいですよ。非常に動揺は大きいです。いまの監督官をより以上に守らなければならぬ、絶対的にこちらに移すのが当然だというのならば話はまた承りますけれども、ことばじりをとるのじゃないけれども、局長がおっしゃっているのは、そうおっしゃいますけれども、移しても私は悪いとは思いませんと、こう言う。非常にこれは、ことばの意味も、実際も弱い。理由が、根拠が薄弱である。いたずらに波静かなところに一石を投ずるような、そういうやり方ですよ。いままでみな安心し切っておる。分限審議会というものがあってわれわれは守られておるのだ、ほとんど事例はない、よかったとみな思っておる。それをいたずらに平地に波乱を巻き起こすようなことを何がゆえにやられるかというのですね。局長の御答弁では納得できませんね。必須欠くべからず、こうやるべきだということになれば納得いたします。じゃ、いままでの分限審議会というものはどこが悪かったか。こういう点で困りました、労働監督官も全国の監督官はひとしく心配しております、かわいそうです、われわれは労働者を守る意味において絶対これはこうすべきでありますというのは何もないじゃないか、ということを私言っている。ただ審議会をなくせ、なくせ、じゃここらあたりがよかろう、これをやれ、そうすると、われわれは行管に対して点数がとれるぞ、ではないと思いますけれども、そのように曲解されてもしかたがない。いま分限審議会というものが行き詰まっておる、こういうことで困っておるという点はない。こんなのを出して審議させようなんていうのは少しおかしいのじゃないか。労働大臣は、みんなが出したから、ちょろちょろ趣旨説明でもやって、あとはおまえたちやれというようなことかもしれぬ。ところがそれは、あなた方、ことに局長が責任をもってやってもらわなければ、こんなことじゃ内閣委員はみなひとしく、こんなことおかしいじゃないかと異口同音に言っていますよ。文句言ったりしかっているんじゃありませんけれども、もう少しひとつ局長ははっきりしてくださいよ。
○原国務大臣 御説はよくわかりました。で第一は、こういう分限審議会をやめたりするくらいだから労働基準行政をおろそかにしているんじゃないかというおしかりでございます。それはございません。私自身としても、労働安全、衛生にことに力を入れ、公害除去に力を入れて、この基準監督官を強化していきたいという方針を進めて、いろいろやっておりまして、さいぜん局長から話しましたが、私みずから閣議においても、労働災害が年間百六十万、交通災害が百万、交通災害を上回る最大の災害がある、これを除去する一つの方法は労働基準監督官を増強する以外に道はないと言って、閣議も一応その趣旨を了承してくれました。また行政管理庁長官に私は出向いていって、閣議でもその趣旨は了承したんだ、君のほうでも認めてくれ、向こう五年間に千名ふやす、趣旨は賛成である、お願いする、予算編成の時期においてその活動を煮詰めましょう、こういうところまで来ておる実情でありますから、われわれの意のあるところをひとつ御了承いただきたいと思います。 それから次は、閣議決定においてこういう審議会を減らせという決定を見ております。事実、委員の各位から、審議会なんというものは減らせ、行政整理をやれるいう非常に強い意見が一つあります。といって何も分限審議会を減そうと思っていなかったのですが、打ち割った話を申し上げますと、今年、勤労者財産形成促進法という法律を通していただきました。私もこれは非常に尽力して通しましたが、大蔵省との関係で、それは実質的にはあまり中身が弱い、これを年々ひとつ強化していかなければならぬ、それにはただ労働省でどこを改める、税制を改めるとか何を改めるというようにしても、労働省だけでは力が弱いので、その勤労者財産形成促進法に関する審議会を設置して、そこでいろいろ研究していただいて、どこを改めていくかということを毎年大蔵省とも折衝し、政府の案として国会に提出しようということになったわけであります。それなら、勤労者財産形成審議会、それをひとつふやしてくれといっても、とても行政管理庁は応じてくれない。これは、減せというのをいまごろふやすのは何事かというので、いろいろ頭をひねって考えた末が、さいぜんからいろいろ御審議願っておるように、この分限審議会というのは非常に重要であるが、これを中央労働基準審議会に肩がわりさせて、そして労働基準監督官の身分をそこにおいて十分保障さす、全然変わらないようにやる、それでどうかという結論になりまして、それさえ実際において行なえれば、名前や看板はちょっと変わりますけれどもいいじゃないかということで踏み切ったわけで、そのかわりに新たなる、日本では画期的と言っては少し言い過ぎかもしれませんが、きわめて新しい勤労者財産形成促進法による審議会を設置していこうじゃないか、こういうように話がまとまって、ここへ話が来たわけであります。何でもなしに、ただ分限審議会をやめようというのじゃありません。内輪の話はほんとうは、それで頭をひねっていかんともいたしがたく、行政管理庁にも相談したのだが、それをやめるのならひとつ認める、こういうことになりまして、痛しかゆし、いろいろ頭を悩ました結果がこういうことになりましたので、この事情を申し上げて御了承を得たい、こういう考えでございます。
○鬼木委員 大臣の御苦心なさったことはわかりますけれども、しかし、そのいきさつはいま承りましたけれども、何としてもこれは私は将来納得がいかないと思うのです。それほど重大な審議会であったのを、いままで六回しかやらなかった。その六回しかやらなかったということは、それはむしろなかったことがいいのであって、それがあるからというのは私は考え違いだと思う。分限審議会があるために皆さんが守られて、そういう事件はなかったのだから。過去において六回あったとおっしゃるのですが、その一、二の例をあげてみてください。どういうことだったのですか。
○岡部(實)政府委員 六回は昭和二十四年から二十六年にかけましての間でございまして、そのほとんどが不正事件等に関連いたしまして監督官の罷免案件が出まして、この審議会にかけて了承を得て罷免をした、こういうケースになっております。
○鬼木委員 六回ともほぼ同じ罷免の問題で、六回とも全部分限審議会で審議の結果罷免は免れた、こういうことですか。全部守られて罷免はされなかった、こういうことですか。
○岡部(實)政府委員 罷免についての了承を得られた、要するに罷免になったということでございます。
○鬼木委員 結局、過去六回審議したのは、どうもこうもならぬ問題をやってきたので、にっちもさっちもいかない、それで分限審議会でその罷免を認めた、こういうことですね。
○岡部(實)政府委員 さようでございます。
○鬼木委員 そうしますると、わずか二十四年から六年までの間ですから、これをもっと幅を広げれば、二十二年から今日まで六回ということになる。そしてその間にたった六人の方が罷免になった。これはよほどの問題であったろうと思います。それ以外は全部守られた。権限と義務を法的にうたってあるところの、百一条と百五条の、権限も義務もりっぱに守り得た。それで、いよいよ問題のあった場合に、たった六件を分限審議会で審議した、こういうことですよ。だから私は、分限審議会というものは、監督官にとっては一番大事なよりどころだと思うのですよ。国家公務員法にも公務員の保護ということに対しては規定してありますけれども、それより以上のものがILOの条約によってこうして規定してある。そして分限審議会のほうでやるのだ。それを今度中央審議会に移す。それで特別委員というものに——そうすると、この特別委員というものは、議決権はあるのですか。
○岡部(實)政府委員 この案件につきまして、議決権をほかの委員と同様に持つことになります。 それからなお、ちょっとこの機会に、実は私も、この分限審議会の独立した看板をおろしまして中基審の部会にすることが監督官に与える心理的影響等を心配をいたしまして、この法案自体は公労使三者構成で組織されておる中基審にもかけたわけでございます。中基審で労働側の代表の委員からもいろいろな質問がありまして、十分に説明いたしました。それからまた、私どものほうの職員団体ともいろいろ話し合いをいたしまして、私どもがこの行政機構の簡素化あるいは審議会の整理統合という線に沿いつつこういうことをする、ただしこの機能については全くいままでどおりそこなわないようにこの運営をしていくし、そのための必要な規定を置くのだということで了解を取りつける話し合いをいたしまして、了解を得られたものと思っております。したがいまして、たいへん監督官についての同情あるお話でございまして、また私どもも、いやしくもこういうことによって監督官が士気が阻喪したり、あるいは現実にその保障がゆるめられるようなことが決してあってはならぬということで、その点につきましては、ただいま申しましたように、念を入れて関係者とも話し合いをしたところでございますので、今後の運営を十分やってまいることによりまして、現実にそういう懸念を与えないで済むものと信じておるわけでございます。
○鬼木委員 そうすると、特別委員会をつくって、その特別委員には議決権はある。そして分限審議会でやっておることを特別委員会と全部合同してやる。しかしそれは、どこが事務の簡素化になるのですか。いまあなたは事務の簡素化とおっしゃったが、何も人員、機構においては変わらないでしょう。ただ名前を変えただけだ。どこが簡素化になっておるのですか。
○岡部(實)政府委員 事務の簡素化と申しますよりは、率直に言って、組織がいままで二つあったものを一つに統合したということに結果的に相なりますわけで、その意味で、政府全体でできるだけ審議会等は統合できるものは統合しろということが、一つの組織の簡素化、行政組織の簡素化ということで出されておりますので、そういう意味で簡素化をされるということを申し上げましたので、現実の事務として、いま直ちに、具体的にどこが簡素化されたということにはならないことは御指摘のとおりでございます。
○鬼木委員 そこに私どもが納得がいかないのです。行政の簡素化ということは、これはスクラップの場合もビルドの場合もあると思う。あくまでスクラップ・アンド・ビルドでこういうふうに簡素化した、二つあるのを一緒にした、それで人員はこれだけ減ったとか、あるいは人員がこれだけふえたとか——私は行政簡素化ということは、昔のような行政整理という人員整理の問題じゃない、あくまで事務の簡素化であって、行政簡素化である、そういうふうに理解しておるから、まさにそうだとあなたも思われると思うのですが、今回のは、ただ看板をはずして、人間はみなこっちへ来い、一緒になれ、これが行政簡素化だ、そういう簡単なことは行政簡素化とは私は言わぬと思う。まだ内閣委員会のほうにいろいろほかにもかかっております。行管そのものもかかっておるが、大体そういうふうなやり方をしているのですよ。 だから、先ほどから私が言っておるように、審議会というのは幾つあるか、これだけある、二つ減らした、よくやったと、そういう安易な一般を欺瞞するような、だまかすような、これはことばが過ぎたら訂正しますけれども——だから、欺瞞したと言ってないんだ。するような、ごとき、こう言っておけば問題はない。私は言語学の専門だから。そこで、そういうようなきらいのあるやり方に対して、何にも内容、実質が変わっていないじゃないか、そういう簡素化というものはあり得ない。これはもう何回言っても同じことですけれども、それをもう少し的確に、なるほどそうだ、さすがに労働基準局長の考え方は卓越した、時宜を得た考え方だ、あっぱれだ、そういう答弁ならば——どうも私は、どうしてもこれは納得いかないのですね。 それで、いまお話を承ると、職員組合と話し合いをした。どこの職員組合か知らぬけれども、どこということは言われなかった。全国の職員組合の代表者とでもお会いになったのか。あなたの傘下の一部の職員組合——しかもあなたの最後のおことばは、了承してもらったものと思う、こう言っておる。私はそう思っておると。じゃ向こうは了承しているか。一方的な考え方だ。職員組合と会われたところまではたいへんよかった。確かにこうしてみな承知して双手をあげて賛成してくれましたじゃなくして、協力してくれると思います、アイ・シンク・ソー、それじゃどうもあなたの御説明は心細いですね。どうですか、局長。
○岡部(實)政府委員 この案件につきましては、決して卓越したものとも実は考えておりませんで、それは先ほど大臣のお答えにございましたように、全体的に財産形成審議会等の設置という、そういう新しい分野におきまする審議会をどうしてもやはりつくって、そちらのほうの機能を拡充してまいりたいということが一つございまして、それと相関連いたしまして、実質的にどこが簡素化されるかということについての御指摘もございましたが、ともかく審議会の数を一つ減らすんだということはございましたので、そこで、その機能を事実上そこなわない形で審議会の数を減らすということに協力をするというたてまえをとったわけでございます。 なお、最後に御指摘の組合については、全労働という私どもの労働組合の幹部と会いまして、非常にあいまいなようなふうにお受け取りいただきましたけれども、それは正式に文書を交換したとかいうことでございませんで、その真意について了解をした、こういうことでございますので、されたものと信ずる、こう言うたわけでございます。問題はその後労働組合との間で何も起こっておりません。私どもにその後、たとえば審議に関連して何らの注意もございませんわけでございますので、十分理解をされておると思います。
○鬼木委員 結局、私が先ほど申し上げましたように、絶対こうしなければ困るというような根拠はない。結局、審議会を一つ減らしたということが私どものねらいだから、その点において協力してくれ、こういうようなお話なんですよ、いまのをかいつまんで申し上げますと。ですから私どもは、どうもその点では納得がいかない。しかも、何回も申し上げましたけれども、決して局長のことばじりをとったりなんかする、そんなけちなことは私はしませんけれども、あなたの本意がはっきり出ているのですよ。移しても悪くない——絶対移してもらいたい、こうすべきだという結論になれば、あえて私どもは協力することにやぶさかでないのですが、移しても悪くない、これでは根拠が非常に薄弱。その点においてよく皆さん方もこの法案に対しては再思三考をしていただきたい、こういうことで一応きょうは私の質問を打ち切りたいと思います。 たいへんどうもおそくまで、長く、すみませんでした。
○塩谷委員長代理 次回は、明十八日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十七分散会