大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/12/22
会議録
○齋藤委員長 これより会議を開きます。 国の会計、税制、関税、金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 たいへん時間が制約されておりますので、私も準備したのをはしょって端的に聞きますから、なるたけ簡明にお願いしたいと思います。 このたび一ドル三百八円に決定をしましたが、皆さんの声明やら談話を読んでみますると、これは三百二十円にきめようと、三百円にこれをきめようと、皆さんの声明は同じものが出たんじゃないか。問題は、皆さんは、踏み石というか、ステッピングストーンをきめさえすれば、また国家はその機能全力をあげて勤労人民を収奪する、国債等で景気浮揚策と言うけれども、利潤の高度成長を果たしていくということで、佐藤総理をはじめ涼しい顔をしておるというのが実態じゃなかったですか。どうですか。
○水田国務大臣 どうも御質問の意味があんまりはっきりしないのですが、要するに円の実勢を離れているか離れていないかの問題であろうと思いますが、なかなかむずかしい問題ですが、これが低過ぎたら為替を安定させることはできなくてさらに切り上げに追い込まれるというような事態が出るのなら、多数国によるせっかくの調整ということが無意味になってしまいますし、これが負担が多過ぎるということになりますと、これは経済界にもいろいろ影響を与える、ショックを起こすというような問題にならぬとも限りませんで、ここが一番当局としては心配しているところでございますが、大体、きのうもお話ししましたように、日本の円の実勢の見方において一応動揺のない範囲内に決定されたというふうに私は思っておりますので、したがって、昨日来の国内の様子を見ましても、現状の追認に終わっているというような感じが私はしていまして、これがここに特別の新しいデフレ要因を加重したとか何とかというような問題はないのではないかというふうに思っております。
○阿部(助)委員 佐藤総理は、この前の記者団との発表のあと、この新聞によれば、佐藤番記者との雑談で、金持ちになったような気にならぬかねと言って笑ったと、こういっておりますし、また水田さんの、きまったときの談話を見ましても、これは皆さんの購買力が上がった。それはそのとおりでありましょう。また、皆さんの労働の成果がより高く評価された、日本の円は百年にして世界最強の通貨となり、国際調整の一環として主要国中で最も高い切り上げが行なわれた、というのは、確かに切り上げた、高く評価されたかもわからぬけれども、何か、あなたの談話を見ても佐藤総理の談話を見ても、これならば、円はもっと高く切り上げれば切り上げるほど高く評価されるということになる。五〇%も六〇%も上げたほうがより高く評価されるのだからよりいいというような考え、こんな考えで水田さんは交渉なすったのですか。
○水田国務大臣 これは、ここへ来るまでには御承知のとおり百日を要しておりますので、したがって、各国の経済の実情というものは、各国別にそれぞれがみな調査し合ってわかっておることでございまして、日本が異常の場合を除いて平常の状態だったら、いまの経済が運営されていってどれくらいの経常収支の黒字というものが定着していく経済にあるかという黒字の計算が各国別に始まっておって、そうして、それからどれだけの黒字を各国に許さなければいかぬかという妥当な許容の黒字というものも専門家によってお互いに計算される。こういう一つの機関をもって計算されたもので、たとえば日本でいいますと、もし日本が国際義務を果たすというのなら、日本のGNPの一%というものは将来外国援助の黒中として余裕を見ておかなければならぬというようなものがやはり一応計算されて、そうして経常収支の黒字からそれを引いた残りのぐあいを各国別に見て、そしてその強弱の均衡をとる。それが七二年にいってどういうふうになるだろうかといって、大体七二年度のときの姿というようなものをやって、いろいろ各国の研究ができてきますと、そこにおいて、おのずから各国の均衡があって、これ以上の線を越えたら国際競争の上において明らかに日本が不利とか、明らかにどこの国が為替相場の上で不利になるというようなものが当然出てきますので、これが各国間に均衡が納得されなければ多数国調整なんというものはできるものではございません。一国が無理だといってがんばって、その理由をあげて、いろいろ研究された結果、無理だといわれれば、やはり大ぜいの国の承諾を得て、了解を得て、合意を得てこれが直されるというような過程をすでに一回から四回やってきておって、一応のものができ上がっているというときに、アメリカの引き下げ幅を実は私どもはもう少し少なく見たことでやっておりましたが、これが最後にきまして、赤字国の責任であるといって、引き下げ幅を九%という原案が出されました。そうしますと、これが多いというと、それだけ各国の切り上げ率が割り高になるということでございますので、問題は、最後には均衡とかいうものには問題ございませんが、アメリカの引き下げ幅を、ドルの切り下げをどの辺にしたらいいのかということで、これは理屈に合いません、アメリカの赤字から起こったことですから、アメリカに切り下げろということを各国そろって要求したのですから、アメリカが多く切り下げればいいのですが、さて、アメリカが多目に切り下げてくるということになりますと、各国別にその計算の基礎が少し違ってきますので、そこで、全部がこれはいかぬということで、米国に八・五七%の切り下げ、アメリカの切り下げを訂正して解決したというのが真相でございますので、したがって、この間におけるあれで、私が、いま二〇%になっても多いほどいいだなんというようなことで臨むはずはございませんで、列国の同意する、多国間協調でございますから、一国のエゴイズムはある程度捨てなければならぬかわりに、正当な理由は堂々と主張して、少しでもそこに不利があるというものは訂正させるというので、日本はほとんどそういう点においては完全に私は訂正されたというふうに思っております。
○阿部(助)委員 あなた、きょうの毎日新聞をごらんになりましたか。これを見ると、コナリーに完全に押えつけられたみたいな話が出ておるわけであります。私は、いろいろ主張された、こう言うけれども、いままで日本政府のいろいろな声明等を見ておりましても、大体アメリカがこんな事態に立ち至ったというのが一番大きな原因でしょう。それでいながら、八月のニクソン声明は、一番大きな問題を二つ彼はほおかぶりをしているじゃないか。一つは、二千億ドルをこえる大量の戦費を使ったベトナム戦争、しかもそれが敗れて信任を失ったという事態、あるいはまたばく大な対外投資、多国籍企業、こういう形で外国へ行って利潤をあげておるが、アメリカの収支決算からいえばたいへんな大きな赤字を起こしておるという、この二つのドルを弱めておるといわれる一番大きな問題にほおかぶりをしてきた。そうしながら、IMFの柱である金・ドル交換をぶん投げてしまった。停止してしまった。今度もそれは解決していない。そうして課徴金なんというものをつくって、日本はどうかつされ通したというのが実態じゃないですか。 もう一つは、日本の高度成長もまたこれとほんとうに一体となって、そして円の切り上げを迫られたんじゃないか。朝鮮戦争、ベトナム戦争を踏み台にしながら労働者、農民を収奪してきた、そして利潤の高度成長をはかってきたというのが今日の日本の事態じゃないですか。そうしてこのまままた国債を発行して景気浮揚策というけれども、この一番大きな日本の低賃金、低賃金だから物は安く出る。いま日本は強いといわれながらも、日本の国内をとってみれば、毎年毎年あの政府統計、生活実感と全く離れておるといわれるあの物価統計を見ても、七・三%もこれは物価を落としておるところの円が、国内では弱く国際的には強いというこの矛盾した円の姿、そうしながら労働者は搾取されておる。そうしていままで大蔵省で幾たびか議論されてまいりましたところの租税特別措置あるいはまた独占管理価格という二重価格、財政投融資、こういうものをまた上げながらやっていけば、また近い将来に円の切り上げというところへ追い込まれるという一きのう堀委員の本会議における質問に対する答弁、全く総理は焦点をぼかして正確な答弁をしていない。問題はこの認識に立つか立たぬかが、私は、次の政策を立てる場合の一番大きな根拠だろうと思うのですが、この問題を、こういう事態になったということを大臣はお認めになりませんか。簡単でいいです。
○水田国務大臣 いわゆる対外政策八項目というものをせっかく立てたのですから、あれがもっと早く行なわれておったら、私は、円がここまで異常的に黒字を蓄積して、国際均衡を害し、国際摩擦を起こすという事態は避けられたのではないかと思うのですが、そういう施策のおくれというものは確かにございます。
○阿部(助)委員 私は、やはりアメリカにとっても日本にとっても、いままでこうなってきたというところの原因をはっきり認識することから、初めて新しい今後の対策が出ると思うのであります。きのうの本会議での答弁においても、総理は、また為替差損に対して何か二重帳簿で税金をまけるみたいな話をしたようでありますけれども、私、どうもよく聞き取れなかった。通産省の両角次官は、ちょっと前ですが、新聞記者会見で、幾つかの税金の問題等をやりたいというふうな発表をしておるわけであります。一つは法人税の繰り戻し、何か両角さんは、これは五年前からのあれを戻せ、こう言っておるようでありますが、こんなことを一体おやりになるのかどうか。 時間がないから続けて申し上げます。損失準備金の制度をつくるべきだとか為替手形の日銀買い取りをすべきだとか、こういうようなことを言っておるわけでありますが、これはいやしくも事務次官であります。事務次官がこれを言うにはやはりそれなりに大蔵省との話し合いも多少はやり、そうしてこの方向へ進もうという意欲を持っておるからこれを発表したに違いないのでありまして、大臣はまたこんな政策をおやりになるつもりなのか、それともぴしゃりと、こんなことはやらないというおつもりなのか、その点をはっきりお答え願いたいのであります。
○水田国務大臣 税についてはいま検討中でございまして、まだ最後の結論が出ておりません。 それからもう一つは、先ほどアメリカの話がございましたが、アメリカの赤字についての責任はアメリカにある、これは私どもがもう早くから主張しておりましたところで、アメリカがみずから切り下げをしないで国際協調を迫まるというようなことがあったら、これはアメリカが自分の責任を尽くさないということになるわけでございますが、そうじゃなくて、国際収支の赤字を解決するためにみずからがドルの切り下げをやるという措置がとられるということは、この問題についての赤字国の責任を果たすということでございますので、この責任と黒字国の引き上げというものとが一緒になって多角調整が実現したということでございまして、今度の処置によってアメリカも平等に責任をとったということが私は言えるんじゃないかと思います。
○阿部(助)委員 フランスがドルの切り下げ、金価格の引き上げを主張したというのはたびたび新聞で見るところでありますが、日本政府からそういう忠告をし、注文をつけたというのはあんまり見たことがないのであります。 まあそれはさておいて、いまの税金の問題はこれから検討するとおっしゃったけれども、やはりこういう方向でおやりになるという形で検討をされるわけですか。 もう一つ、ついでに。前から輸出振興に関する特別措置は整理をしていくという方向をとっておった。ところが今度のドル・ショック以来、何かそれがぼかされておるような感じがするわけでありますが、この点をあわせて御答弁を願いたいのであります。
○水田国務大臣 御承知のように、この変動相場制をとってから、企業会計の問題でどう処理するかということで研究されました結果、取得時の価格をいまのレートで評価しますと大きい損が出る。一時に損を立ててそれを処理するのか、そうでなくてそれを先に延ばしてもいいのか、こういうのは自由に選択してもいいというような企業会計の処理の問題について当然いろいろくふうが要るべきですし、それに伴った租税制度というものも考えられなければならぬというようなことから、この為替変動問題の処理についての税制はいま十分研究しているところでございますが、それ以外にこういう損失を補償するという方向の税制をいま考えているわけではございません。
○阿部(助)委員 そうしますと、法人税の繰り戻しなんというものはお考えにならない、おやりにならない、こういうことで了解してよろしゅうございますか。
○高木(文)政府委員 法人税の繰り戻しにつきましては、前回の委員会におきまして審議していただきました中小企業の措置がございます。あれと同様のものをやることになるかどうかはいま検討中でございまして、その必要があるかどうか、またその必然性があるかどうかということについては中小企業——この前の場合は輸出に関連の非常に強い中小企業だけに限ったわけでございますが、さらにそれを一般に及ぼすかどうかはいま直ちにはきめかねておるところでございまして、もう少しその辺の事情を企業ごとに産業界ごとに調べた上でないと、結論を出しにくいという事情になっております。
○阿部(助)委員 大企業向けの輸出振興の特別措置等もこの際整理をしなければ、また再び円の切り上げという事態に追い込まれるんじゃないか。また特に大企業向けの法人税の繰り戻し、両角さんは五年前からのものを戻せなんて言うが、あの好況のときの分を戻したらたいへんなことになります。こんなものは私は絶対にやるべきでない、こう思うのであります。 それで、政府は何か円切り上げで通貨問題が片づいた、アメリカとのいろいろな問題がある程度片づいたようにおっしゃっておるようであります。新聞等でも、もうあとはないとか、これを見ますと赤城さんは、もうアメリカは農産物の問題に対してはあまり文句をいってこないみたいな話をしておられるわけです。米国は日本の農業事情をよく理解してくれ、当分の間農産物の輸入自由化問題がぶり返すことはあるまい等のことがありますが、私はそうではないんじゃないかと思う。たとえば繊維のときも田中通産大臣は、繊維が片づけばあとはたいしたことはない、もうこれで終わりだみたいな話をしたことがあるけれども、実際は、繊維が終わればいや自動車だ、電算機だと追い打ちをかけてくる。今度もまた自動車、テレビあるいはジュース等がやってきておる。私は、ある意味ではこれはワンセットのものじゃないだろうかと思う。そうしてアメリカの要求は日本はいままで大体のまされておる。この新聞にあるように、コナリーをこれ以上おこらしてはあとがたいへんなことになるということを水田さんおっしゃったようだけれども、アメリカの言うことならばもう何でも言うことを聞いておるという感じを国民は受けておるわけであります。これはたいへん失礼な言い方かもわからぬけれども、国民はそう思っておる。そう言う点でこれから武器を買えといえば、アメリカの要求は第三次防の約倍の十億ドルの古兵器を買え、こういっておるようだし、対外援助の肩がわりをせい。自由化はまた強く押されておる。電算機、牛肉、オレンジジュースという形でくるというようなことで、私はワンセットでくると思うのだが、政府は一体どこまでこれは譲歩されるのか、国民はこれを非常に不安に思っておる。その点を大臣から聞いておきたいのであります。
○水田国務大臣 対外不均衡をなくさなければなりませんので、なくするためにはいわゆる八項目のあの路線は、今後、通貨調整が行なわれたらそれで済んだというものじゃなくて、むしろ日本の経済の内外的な要請としてあれはさらに進めなければならぬものであると思っています。それをやらないと、いまあなたのおっしゃるように再び切り上げに追い込まれるという事態も起こりかねませんので、今度は日本自身の必要としてもこういう方向は推進すべきだと私は思っております。 それからもう一つ。いまコナリー長官の話が出ましたが、何か少し勘違いしているんじゃないかと思うのです。今度の貿易交渉は外国から見ましたら、欧州は全部の国が対米貿易では黒字をかせいでいない。赤字をかせいでおる国がドル強化のために、ドル安定のためにみんなまず基礎的に八・何%の引き上げを平等に負っているというふうに、対米黒字を持っていない国が全部それだけの負担をしているというようなことから見ますというと、一番アメリカと貿易が多くて、アメリカに年間二十何億ドルの赤字をつくらせて黒字をかせいでいる日本の、日米の率というようなものについては、そう大きい問題ございませんでしたが、この勢いで日米の問題が調整がついてくると、日本品が欧州方面に今度は進出するであろうというような懸念が非常に強く起こってきましたために、日本の円を三百円以下にすることがみんな安全だというような国際的な競争意識が非常に強くなったために、その圧力が日本に多くかかってきたということから交渉がなかなかむずかしかったというのが、会議における私ども一が苦闘した実際でございまして、それが何か誤り伝えられているようでございますが、そうじゃございませんで、多国間調整というのは、むしろむずかしさがそちらのほうにあったというのが真相でございます。
○阿部(助)委員 時間のようでありますから、最後に大臣にもう一度申し上げたいのでありますが、私は、先ほど申し上げたように、日本の卸売り物価は横ばいだ、こう言われておる。消費者物価はどんどん上がる、そうして、日本の労働賃金は一流先進国の中では最も安い、社会保障は貧弱だ、こういうことがますます輸出へドライブをかけていく、こういうことになるのでありまして、特に来年度はいろいろ問題がある。国債発行額もたいへん大きい。これがまた利潤追求、独占資本といわれる大企業の利潤率を引き上げるためにだけ使われたのでは、これはまた同じことを繰り返すだけであります。そういう点で、予算の編成に向かって今度こそ、労働者、農民、中小企業、そして一番気の毒な労働力を失ったお年寄り、社会保障というところに最重点を置いた政策の転換、予算の編成、そういうものをなされないと、またこういう事態にはまると思うのであります。水田さんは、決して楽観いたしておるのじゃないんだと言うけれども、国民はいまたいへんな心配をいたしております。どうもこの新聞、佐藤さんの談話にしても、あなたの談話にしても、何か切り上げをすればするほど高く評価されてけっこうな話だみたいな感じを国民に与えるような、楽観すべきいま状態ではなかろうと思うのでありまして、その点を十分心して予算編成に当たっていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
○齋藤委員長 貝沼次郎君。
○貝沼委員 時間が二十分でありますので、こちらのほうも簡潔に聞きますから、あなたの答弁も簡単に願います。 初めに、先ほどからずっと出ておりますけれども、今回の円切り上げの問題全般につきましての政府の認識というものについて、私は非常に不満であります。昨日のあの本会議における総理大臣をはじめとする各大臣の答弁は、質問に答えているのか、答えていないのかわからないような、いわばばく然とした答弁に終わっておる。これは非常にわれわれとしても残念であると思うのです。 そこで、この円切り上げは、アメリカの外圧もさることながら、いわば一切の政策努力を輸出指向型の高度成長政策に集中してきた当然の結果であった、こういうふうに私は思います。そうしてまたしたがって、慢性的な物価高、公害問題の深刻化、社会資本あるいは社会保障の立ちおくれなどに見られるように、国民生活の向上はあと回しにされてきたのである、こういうことが大きな認識の相違だと思うのですね。しかしながら、各報道関係のものを見ましても、あるいはほかの人たちの意見を聞きましても、こういう見方というのはわりと一致しておるわけでありますけれども、政府は、そうではないとお考えなのか、ここが根本的に私は違うと思うのですが、この点について簡単にお尋ねいたします。
○水田国務大臣 私にわからない点は、いまでも私が心配しています点は、実際に円の実勢という問題、ほんとうにこれはむずかしい問題で、百日間私どもは模索するのに苦しんできた問題でございますが、百日間外国と折衝している間に、円の力はそこまでないんだといって、われわれは円の少し過小評価をしておったと思いますが、評価している百日間において、国際収支は黒字になり、毎日毎日ドルがたまってくるという現状において、円の実際の姿はここであるというものをほんとうにだれがこれを正しく判断するかということでございまして、この判断を誤った場合には、われわれの責任は大きいということで、この点に苦心してやってきましたが、これをもし間違っていくというと、これは安定させないと、再切り上げに追い込まれるという事態があったら、明らかにこの調整は失敗だったということになりまして、負担が多過ぎたから経済界に対して影響は大きくて、まず株式その他へ大きい動揺を与えるというような事態になりかねない、この責任も私どもは大きいと思いますし、どの範囲において日本のこの経済を一応安定させるか。 先行き不安がある限り、いかに公共事業費を多く増しても、なかなかこの不況が回復しないという中には、将来の見込みが立たないというための足踏みというものが非常に大きい要素でいまの日本の中にあるということを私どもは見ておりますので、これにピリオドが打たれるのならこれからの施策が初めて生きてくるというふうに思いますので、間違わないところでこれを早く決着をつけることが必要だという観点からやってきて、今度の処置をとったのでございまして、それが何か政府の考えが違うとかなんとかというような点が私にはどうもちょっとぴんとこないでいるのですが、これは私はもう、世界的に年を越させる情勢では各国ともなかったと思います。これで不当の、均衡を害したきめ方であったとすれば、これはどこかの国が不幸だったということが言えるかもしれませんが、この結果において非常に不満の強いのは、言っては悪いのですが、日本以外の国のほうに多いということが会議の最後の場面であったということも、これは私はいい参考にしていただきたいと思います。これは非常にむずかしくて、神さまでなければ私は判定ができないと思います。
○貝沼委員 この円切り上げに関しまして、日本の経済がたとえば貿易勘定の大幅黒字基調の上に国際超均衡時代へ突入したという重要さに経済政策当局がもっと早く気づいて適切に対応していたならば、たとえ切り上げをやったとしても、それはもっと小幅ではなかったか。そうすれば、今度の新しい体制に入った場合でも、その苦痛というものももっと少なかったのではないかということを考えた場合に、その政策に携わっている現政府の責任というものは、これは大きく糾弾されなければならないと私は思うわけでありますが、この点について政府は反省しておるのかどうかということですね。この政府声明文によりますと、「しかし円の為替レートの切上げは、われわれが過去において怠惰であったために生じたものではなく、国民の努力によって、日本の経済力が充実したがゆえに、その実力にふさわしい行動をとるということである。」これには反省を含んでいるのか含んでいないのか、この点についてお伺いします。
○水田国務大臣 この円の切り下げではなくて切り上げということは、円自身が強くなったことであり、国の経済力が強くなったことであり、これは国民の働いたおかげである、この点までは間違いございません。これは間違いございませんが、そうしてできた経済で、そこまでよくなった経済の最後が、国際収支がよくなって、なおかつ経済の成長が確保されているという、好景気と国際収支がよくなる、いままで日本になかった初めてのパターンの経済ができたというときに、この処置をどうするかということについて、私は、経済政策について反省すべきものがあるとすればそこにあるというふうに思っております。今日円が強くなってきたことは国民によるたまものでございますが、この異常な国際不均衡を起こした経済政策というものについては、これは反省すべきものが十分あったというふうに私は思います。
○貝沼委員 時間が幾らもありませんので、一つ一つ詰めることができなくて非常に残念なんですけれども、円が強いという話でありますので、一言だけここでつけ加えておきますけれども、これはある新聞の記事でありますが、化けもの説というのがあって、「低賃金、低福祉、週休一日でアリのように喜々として働いて経済侵略を助けている日本人、という意味もある。私たちとしては全く心外な話だが、なるほど、働きすぎには思いあたるふしがある。わが家はスラムで会社はピカピカ、国は豊かで民は貧しい。ほんとうに勉強になった」、こういう記事が出ておるわけであります。 それから次の問題でございますが、今後新しい環境条件の中で、日本経済の発展の方向を大急ぎでさぐらなければならないと私は思うわけでありますが、そのためにも資源配分のあり方を基本にして、経済政策並びに政策展開の手段に至るまで、根本から総ざらいして吟味することが必要ではないかと思うのですが、この点についての大臣の感触はいかがですか。
○水田国務大臣 そのとおりだと思います。
○貝沼委員 さらに政府声明の中に第一、第二、第三というふうに番号が打ってありますが、この番号の順序というのは力の入れぐあいを示しているものですか。もしそうだとするならば、今後の政策としてその裏づけとなるべき来年度予算の編成というものについても、やはりこれと同じ順序で詰めていかなければならないと思います。したがって、その後において不況対策だけが優先されて、第一番目に出ているような国民福祉の充実というようなものが第二に回されるようなことがあっては断じてならない、こう思うわけです。ところが実際は、所得税減税の見送りであるとか、公共料金の一連の値上げなどの動きから見られるように、むしろこれが後退しそうな情勢にあるというふうに思うわけでありますが、この点についてはいかがですか。
○水田国務大臣 減税も必要でございますが、必要なうちの一部は所得税の減税で、これは御承知のように、来年度実施すべきものをすでに繰り上げ実施している。これに若干の修正が加わる余地があれば修正を加えるという程度で、所得税中心の減税は来年度は見送るかわりに、国民負担を軽減するという意味から見ますと、問題は地方税をどうするかということが当然来年は考えられていい問題でございますので、この点を私どもは考えたいということと、同時に、減税と、そうでなくて社会保障費の増額というようなものの意味というようなものを考えますと、いまの資源の重点配分という点からも、そちらのほうを減税以上に重点を置く必要があるというふうにも私どもは考えますので、その辺のあんばいということを今度の予算で考えたいと思っておるところでございます。
○貝沼委員 そこで、この切り上げにつきまして通産大臣は、たとえ一%でも末端に与える影響は大きい、こう発言がありました。さらに日本商工会議所会頭は、相当の混乱を招くだろうということも言っておりますが、直接には貿易面、特に低マージンの雑貨などは非常に影響を受けるわけでありますけれども、四十五年度後半からの不況もさらにこれに拍車をかけまして、非常に今後影響というものは大きいと思うのです。そこで、この対策といたしまして、やはり予算の裏づけを考えますと、予算の規模の伸びというものは大臣はどうお考えなのか。たとえば一般会計は何%伸ばそうとしておるのか、それから財投はどれくらい伸ばそうとしておるのか、そうして、時間がありませんからまとめて言いますけれども、その問題と、同時に今度は財投などが対象になっております、たとえば国民金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫などが予算概算要求をしたのは実は七月ですね。七月のときにはドル・ショックもまだ起こっていないときでありますから、この概算要求がそのまま認められても、実はこの対策の裏づけとしては非常に乏しい財源である、こういう見方もあるわけであります。実際これは当事者としてはたいへんな問題だと思いますけれども、これに対して積極的な予算をつけようという姿勢があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
○水田国務大臣 御承知のように、本年度の当初予算は前年度に比しまして一八・四%のワクの拡大でございましたが、今度はこういう情勢を勘案しまして、私は二〇%以上の予算ワクをただいま考えております。歳入が非常に減ってきているときに予算ワクを大きくするということは、なかなかむずかしい積極政策でございますが、これはいまの経済情勢から見てやむを得ないと思っております。 それからお尋ねの財投も一、七月当時とは違って、ことしは昨年に比して少なくとも二五%以上の増大を財投の面においてはかって、積極的な振興策をとりたい、こういうふうにいまのところ考えております。まだ最後の数字は確定いたしませんが、考え方は大体そういうことでございます。
○貝沼委員 さっきの後半の、中小企業金融公庫とか、国民金融公庫等の要求に対してはどういう姿勢ですか。
○水田国務大臣 やはり財投のワクの拡大によって、その割り振りも当然多くなっていくと思っております。
○貝沼委員 そこでいよいよ対策を講じるようになってきますと、国の予算だけではなく、たとえば国のほうは国債を発行すればある程度できることはできるわけでありますが、しかしながら、それによって地方の交付税交付金が多くなるわけではないでしょう。そういうようなところから、地方財源の問題も対策を講ずるためには非常に重大な問題になってくると私は思うのです。先般地方制度調査会の答申が出されております。この答申によりますと、私は案によって見たわけでありますが、第一に所得税減税に伴う地方交付税の落ち込みを補てんするために、交付税率を引き上げる、こういうことが第一点。第二点は公共事業拡充に見合う財源として、臨時地方財政交付金を設ける。それから第三点は、地方債を大幅に増額するとともに、政府資金の構成比を高める。第四点は、国庫補助事業の超過負担を解消するなどの措置をとることなどを求めておる。こうなっておるわけでありますが、今回のこの地方財政危機は、国の経済運営が大きな原因をなしていると私は思うわけであります。このような観点から見ると、地方財政危機を救うためには交付税率の引き上げは必至と考えられるわけでありますが、この点についての大臣の所見はいかがですか。
○水田国務大臣 同じ経済背景のもとにおける財政ですから、中央財政の傾向も地方財政の傾向も全く同じである。歳入が減ずるという傾向も両方とも同じでございますし、したがって国はこういう経済情勢に処するために、たとえば一〇%をこす十数%の公債をもって対処しようとしておるのですから、やはり地方財政も歩調をそろえてそういう同じような財政政策をとったらどうかというようなことで話し合いをしておりますが、なかなかそうはいきませんで、不足分は交付税を増せとかあるいは国が全部補てんしてくれと、昔からとられたいろいろなことにまだ考えがこだわっておりまして、そこの調整が非常につきませんが、国が自分自身の補てんがつかなくていっているときに同じ歩調をそろえていってもいいと私は思いますが、地方の公共債の依存率なんというものは非常に少ないもので余力を持っておる。それを借金を一円もしないで全部国のほうでして、地方の不足分、減税分も全部埋めろということは、これはやはりそうは簡単に国としてもよろしいというわけにはまいりません。両三回も自治大臣と話をして重ねて詰めて、ようやくきのう、まあ一方ある程度地方債もこの際は考える、同時に国も少し苦しいところを助けないかというようなことで、歩み寄りで地方財政の来年度の危機を切り抜けるというような方向が大体はっきりすると思いますが、何とかしてそういうことで地方財政の立つことも考えなければなりませんので、このくふうはいたしますが、交付税をここで税率を増すということだけは私は避けたいと思って、これはやらないつもりでおります。
○貝沼委員 もう時間がありませんので、第二番目の臨時地方交付金ですね、こういう答申に対する大臣の考え方、それからもう一つは三番目の地方債の問題、いまちょっと答弁がありましたけれどももう一度、それから第四番目は国庫補助負担事業に関する地方団体のいわゆる超過負担の解消の問題、この問題についてあらためてもう一回、全国知事会などの資料にもこれは明らかに出ておりますので、それについての考え方をお願いしたい、これが第一点であります。 それからもう一つは、もう時間がありませんのでまとめてお伺いしますけれども、この円の切り上げによって大臣は物価は上がると思いますか、それとも下がると思いますか。経企庁あたりでは下がるような計算をしておるわけでありますけれども、しかしながら過去の実績を見ましても、変動相場制になってからのほうがずっと円レートの上昇による物価上昇抑制効果はほとんど見当らない。さらにまた西ドイツの例を見ましても、過去二回にわたって切り上げを実施しておるけれども、最終的に物価は上がっておる。こういうようなところから私どもは、ただ数字でもって上がることはないようなそういう感触のお話がありますと、非常に不安であります。したがって、上がると思うのか下がると思うのか、また下げるということであるならばどうして下げようとするのか、その点についてお願いいたします。
○水田国務大臣 円の価値、対外購買力が上がったのでございますから、物価が下がるのが本則でございます。しかし、いままで下がらなかった理由にはいろいろありますが、流通機構の問題もございますし、同時に変動相場制というもの自身先行きどうなるかがわかりませんから、現実に円が上がっておりながら、入ってくる品物が安くなっておりながら、それが中途段階で吸収されてしまって末端には下がってこないというような問題もあったと思いますが、今度ははっきりと固定為替相場ができましたから、これをもとにして輸入物価は明らかに下がると思います。もし円の切り上げがなかったら徐々に上がるべき物価も、これによって少なくとも騰勢は完全に押えられるということになろうと思います。あとは、これがはたしてそれだけの効果が末端にあらわれてくるかどうかは、政府のいろいろな管轄各省の行政のいかんによるものであって、これに十分これから気をつけなければならぬと思いますが、全体として私は物価に対しては非常な好影響を与えるということは間違いないというふうに思っています。 それから、地方財政のそのほかの問題につきましては、私のいない間にいろいろ事務当局で折れ合っておりますので、事務当局から……。
○平井政府委員 自治省当局と私どもの間で話し合っております考え方については、先ほどの地方制度調査会の考え方そのままでは必ずしもございませんで、自治省当局とされましても、その際に地方交付税率を上げるということなんかはおとりになっておられません。御承知のように、交付税率の変更というのは、地方財政基準財政需要と基準財政収入とのギャップが大きく、かつかなり長期に続くというような事態において初めて考えられる問題でございまして、今年度の情勢のもとで直ちに交付税率の引き上げという形にはならないということで、臨時の形で交付税を要求しておられるわけであります。そこで、臨時特例交付金についてでございますが、これにつきましても先ほど御指摘のありましたような地方制度調査会のお考え方の公共事業の増加に見合うという形とは必ずしも一致いたしません。全体としての地方財政の財源の不足分を交付税と交付税特別会計からの借り入れと地方債と三本立てで処理をしてほしいというのが自治省の御要望でございます。その具体的な細目につきましては、ただいま大臣、御答弁ございましたように詰めている段階でございまして、いまのところ計数的に申し上げられる段階には立ち至っておりません。
○齋藤委員長 この際、おはかりいたします。 議員安里積千代君から、委員外発言の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、許可いたします。 安里積千代君。
○安里議員 私は、円の切り上げの問題に関連をいたしまして、沖繩がドル通貨でありまするので、沖繩に対する諸影響、それに対します対策などにつきましてお伺いをいたしたいと思いますが、時間が十分ほどしかございませんので、ごく簡単に御質問申し上げたいと思います。 沖繩の問題は、復帰を前にして、いま軍用地問題、これは本土にない特殊の膨大な基地を持っておるという大きな問題があります。これはよく論じられております。もう一つの特殊な事情というのは、御承知のとおり、ドルを通貨としておる点が大きな変化でありますが、復帰を前にいたしまして、基地問題はそのまま引き継がれる。しかしドルの通貨の問題になりますと、これは切りかえられてくるわけであります。ところが、これは切りかえる前、復帰前におきましてすでに変動制相場がとられ、あるいはまた円の切り上げということがなされました。 そこで大臣にお伺いいたしたいのは、このような措置によりましてドルを使っておる沖繩がどのような影響を受けるのだというふうな御認識をお持ちであるか、まずそれをお答え願いたいと思います。
○水田国務大臣 円とドルとの関係で、円のほうの価値が上がった、ドルの価値が下がったということですから、ドル圏に生活されている沖繩の方たちは対外購買力がそれだけ減るということでございますから、日本から買う品物がいまのドルで買う限りは高くなる、こういうことになります。復帰まではそういう状態が続く。復帰するということは、今度は逆に価値の下がったドルを一定期間で調査したも一のに従って価値の高くなった、一六%以上も上がった円と交換して、購買力の多くなった円の社会へ来るということで、これは沖繩の方たちにとって決して損なことではございませんで、非常に円の切り下げられた国に戻ってくるのじゃなくて、上げられた国に来て、持っておるドルをもとの評価で一応取りかえてくれる。しかもその差額を円でいただくということですから、これは沖繩の方たちに損ではない。損ということを考えるのでしたら、いまちょうどハワイの人たちと同じだと思えばよろしいと思います。ハワイの人たちは、いま明らかに沖繩の人たちと同じドル圏に生活しているのですから、ドル圏の中で生活している限りは別に問題はございませんが、内地と近いので内地の品物を一番多く買って生活しておるというところに沖繩の人たちの不利というものがある。ですから、この不利を、もう復帰するということはわかったのですから、復帰までの間に、価値の高くなった円がめんどうを見て、当然その損失を補償するいろいろな協力をすべきであるということを私どもは考えまして、したがって、日常生活物資の四百何品というようなものについて、ドルが落ちただけの損を差額だけ補償する方法を沖繩の方たちにとってやったら、さしあたり生活必需物資についてのお困りは緩和されるんじゃないかという構想に基づいて一つの基金を設けて、この差額をこちらからその基金に入れるという措置をとっておることは御承知のとおりでございますが、これがいままでは変動しておりましたからはっきりわかりませんでしたが、ようやく三百八円ということに落ちつきましたから、今度は計算が簡単で、はっきりした措置ができますので、この三百八円を土台にして復帰までの間、いままでのような形のことを私どもはとって、そうして一日も早く復帰していただくということにするのが私は一番いいのじゃないかというふうに思っております。
○安里議員 沖繩は御承知のとおり、貿易の八〇%、しかもそれは日常生活品を含めまして本土からの輸入にたよっておったわけであります。でございまするからして、変動制相場に移行して以来今日まで、それから生じますところの沖繩の損失が非常に大きいものがあったということは、私は争えない事実だと思うのであります。おっしゃるとおり、変動制相場の際に、一応二十億の基金を贈られて予算を計上されておるわけであります。その差損金を操作するところの措置も確かにとられておりますが、お聞きいたしたいのは、あの変動制相場が実施されましたときは八月二十八日だったと思います。その当日に大臣にもお目にかかったわけでありますが、あの変動制相場になると同時に、この貿易差損金をどうするか、沖繩の受ける取引上からくるそうした損失をどうするかという問題につきまする構想というものが大蔵当局にあられたのでしょうか、それともあとで問題になってこの措置をとられたのでしょうか。
○水田国務大臣 当時いわれておりましたのは、即時三百六十円のレートで金を交換しろということでございましたが、通貨の権限というものは主権者にあるものでございまするからして、日本が沖繩へ行って円を全部沖繩に流通させるという権限はございませんで、その交換というものは事実上むずかしい。かりにできたにしても、すでにドル自身の相場が狂ってしまっておるときに、円の三百六十円で交換するということをやるとしましたら、これは沖繩におられる米軍の方でも何でも全部一律に交換しなければなりませんが、そうなった場合に、別にドル圏は全部戸をたててございませんので、一体どれだけの金額を交換しなければならぬかといったら、これが事前にあらかじめこれだけということをもう予想することもできません、いまの状態では。銀行に一秒の間に外国から振り込まれる制度になっておりますから、金の交換というものは実際において、現実にむずかしいということでございまして、いろいろ方法を研究し、沖繩の政府とも研究した結果、一定時点を押えて、そのときに皆さんの現金を調べ、そうして債権と債務を調べて、その差額について、三百六十円と円の決着が済んだときの差額を全部補償した値段の交換をいたしましょう、こういう約束をしておきますというと、たとえばそのときに金を持っておったのが復帰のときに一円もなかったという、現金を持たない方でも、そのときに登録してあれば、その方に対しては差額分を出す。そのかわりに、あのとき以来少し多くいま現に持っておるというのも、これはもうあきらめてもらいたい。一定の時期を限って、それを動かさない、基点としてやろうということで御了承を得てああいう措置をとったんですから、これは、今度は三百八円になりますと差額は相当大きくなりましたが、このとおりに全部復帰時において交換補償をいたすということでございますので、この点の心配は全然ないと思います。大蔵省もどういう形でこの交換をやるかということは、もう最初から頭を痛めておった問題でございます。策がないわけではございませんでしたが、これはなかなかむずかしい問題でございますし、策がきまっても公表はできない問題で、ああいう形で実行したというような次第でございます。
○安里議員 私が御質問を申し上げた以外にも及んだわけでありますが、私が申し上げたのは、変動制相場になると同時に、ほんとうに沖繩が本土と違ってドルを使っておるという観念がありますならば、また取引が実際上八〇%も日本本土とあると考えますならば、その貿易によって生ずる非常な不利益と申しますか、あるいはまた取引のキャンセルと申しますか、いろいろな問題がすぐ起こるということが考えられる。貿易の差損金については、あれから十日以上も過ぎたあとでしか実はとられなかったのです。その間において物価は上がる、品物は来ない、たいへんな混乱を来たした。その上げた物価というのは、今日もう下がらないという状況であります。また、それによっていろいろな市町村における工事もうまくいかなかったという実情も出ております。 私がお聞きしたかったのは、変動制相場になると同時に、ほんとうに当局が、沖繩がドルを使って本土と違っておる立場にあるということを考えますならば、あの貿易差損金も同時に、同じようなときに構想の中に生まれてしかるべきではなかったかということをお聞きしたかったんです。 もう一つ。いまの、なるほど十月九日現在で個人の持っておりまするところの現金というものは一応確認をいたしまして、これに対する補償はなされております。その措置はとられておりまするけれども、これは個人だけでありまして、問題は、沖繩におけるところの法人の持っておる、会社の持っておるあるいはその後の取引、その後の収益、こういった問題というものはこれからはずれてしまっておるわけであります。そこで、いまのような状況でいきますと、復帰時点におきまして、私はいろいろなトラブルが起こるだろうと思っています。労使間におきますところの、この換算に伴ういろいろな問題が私は起こってくると思っております。現に起こりつつあります。 そこで当然大蔵当局、政府といたされましては、この切りかえまでの間にも、どんどんこの損失は出てきます。沖繩からこっちへ出てきますならば、もう三百二十円、十円、八円と、旅費の換算だけでももうすでに損が出てきます。あらゆる面においていま沖繩は損失を生じつつあるわけであります。そこで当局とされまして、一体復帰までの間に沖繩がこの変動制相場以来、そうしてまたこのような円の切り上げによって現実にドルを使っておりまするところの沖繩には、どのような損失を及ぼすか、その数字的な概算でも握っておられましょうか。
○水田国務大臣 最初の問題は、私どもは、そうなった場合にどういうことを考えても、直接沖繩の消費者にどういうふうなことをしてやったらいいか、直接消費者へやる方法があるかとか、いろいろ計画がありますが、結局沖繩政府に責任を持ってもらう措置を考えたいということを考えておりまして、沖繩政府と話をしておったということでございます。 それから、いまの法人についての問題は、法人は当然為替差損の損失を持っておりますが、同時に輸入の点においては利益が出ておるんですから、そういうものが両面、これは当然ございますので、それによって最後の決算にどういう形であらわれてくるか。これは内地の会社、法人においてもそういういろいろな問題がございますが、沖繩について今後、そういう面においてはまた特別な考えをしなければならぬじゃないかと私は思っておりますが、まだそういう問題は検討中でございます。
○安里議員 最後に一つだけ。実は一二・五%切り上げになるだろうという予想のもとにおいて琉球銀行の調査しました資料によりましても、沖繩の復帰までに受けるところの損害というのは六百二十二億八千万、こういった数字が実は琉銀の調査で出ております。こういったことを考えますと、いまの三百八円になった場合においてもより以上この損害は多くなると思うのです。そこで、せっかくドルでかせいだところの沖繩の金が復帰時点におきましてこのような損をさせられるということは、これはほんとうの復帰の場合における政府の配慮じゃないと思います。 そこで最後にお聞きいたしたいのは、こういう事態でありまして、沖繩ではいますみやかにドルを円に切りかえろという要求が強い。現に本日も県民大会が催されて代表が出てくることになっております。そこで円に切りかえるという問題に対しましてどのようにお考えになっていらっしゃるか。これをやらぬというと、復帰時点までにおいては沖繩においては庶民生活はもちろんのこといろんな問題にたいへん重大な支障を来たす、非常な損失になってくる、私はこう思っております。そこで、復帰までにおいてすみやかに円に切りかえてもらいたい、この要望が強いから、これに対するお考えをお聞きしたいと思います。
○平井政府委員 沖繩タイムスに出ておりました差損一億七千万ドルという数字でございますが、これは若干の誤解があるようでございまして、たとえばその主力を占めます銀行の預金勘定、これの関係は率直に申しますと一方において貸し出しのレートのほうも変わってまいるわけでございまして、銀行の形式的な規模の縮小という形にはなりますけれども、それが直ちに損失につながるというものではないということでございます。 それから輸入代金の問題等も出ておりますけれども、これは先ほど申し上げましたように、生活必需物資の価格差補てんという形で、ある程度まで政府としても現在まで措置いたしておりますし、もちろんレートが変わりました以上はそれに即して措置をするということにいたしておりますので、差損額の一億七千万ドルという数字は、大勢においてはそう大きなものにはならないというふうには考えております。もちろん先ほど御指摘ございましたように、たとえば内地へおいでになる場合の旅費であるとか、そういった面において損失が出ておることは事実でございます。けれども、まあその中でどうしても措置しなければならない留学生の問題であるとかあるいは病気で本土においでになる方の問題であるとかにつきましては、それぞれ差損補てんという形で実質的にカバーいたしておりますので、まあその程度でがまんをしていただきたいと考えておる次第でございます。 〔堀委員「円の切りかえの問題、復帰前における切りかえ」と呼ぶ〕
○水田国務大臣 復帰前の円の切りかえというものはもう不可能でございます。(堀委員「それは高度の政治的な処理だから、だから私がきのう月にやりなさいと言っているんだ。それを不可能と言っちゃ困るよ」と呼ぶ)私はむずかしいと思います、とにかく。
○齋藤委員長 次回は、明二十三日木曜日、午後零時三十分理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、−本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十四分散会