建設委員会 第2号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/11/17
会議録
○亀山委員長 これより会議を開きます。 建設財政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐野憲治君。
○佐野委員 実は十一月七日に起こりました富山県高岡市石堤の山くずれの問題につきまして若干質疑さしていただきたいと思います。 質疑に入りますに先立ちまして、私は十一月の十一日、現地の要請によりまして、実は当日は本委員会並びに本会議がありましたけれども、許しを得まして現地に調査におもむいたわけです。現地からの要請が非常に強かったこのことの意味におきましてもやはり理解していただきたいと思いますが、富山県におきましては過去におきましても、通産行政、特に監督行政なりそれらの関連する地方自治体あるいはまた地元、いろいろな問題につきまして常に鉱業法が持つ難解さあるいはまたあいまい、そういうことからいろいろな問題を経験いたしておるわけです。その第一の点としてあげられるのは、かのイタイイタイ病の場合におきましても、今日における鉱業法なり鉱山保安法、この法律の中におきましてどのようにしてイタイイタイ病の救済をはかるか、こういう点につきましていろいろな折衝と努力を重ねてまいりましたけれども、鉱業法におきましても鉱山保安法におきましても、当時におけるところの監督行政としては何らこれにこたえることができ得ないということから、私たちは鉱業法の百九条、この無過失責任制を導入しておる条文をたてにとりまして訴訟を提起する、こういうたいへん長い時間となみなみならぬ経験を経てまいったわけです。さらに第二点といたしまして、日本鉱業がもたらしましたところの亜鉛カドミウムによる汚染につきまして、水あるいは大気あるいは地上の農作物、こういう点につきましても、やはり地方自治団体なり地元関係民は問題解決のために非常に苦労をいたしたわけです。そうした場合におきましても、通産省におきましてはいわゆる日本鉱業の黒部工場は保安行政の対象にならない、こういうことで責任を転嫁する、こういう過程の中で、後ほどにおきましては対象工場に政令によって措置する、こういうところまで問題が解決の道をたどったわけでありますけれども、そういう経験を持っておる地域住民にいたしましては、今回の山くずれ、この点につきましても、いわゆる災害の予防に関して、あるいはそういう危険に対処する監督行政に対して、あるいはそうした中から引き起こされている惨事に対しまして、どう復旧するか、どう対策を講ずるか、この点につきましても、現行法による対策をとろうといたしましても、冒頭に申し上げましたように難解であり、かつまた監督責任のあいまい性あるいは復旧工事に対するところの規定が不十分である、こういうことでいろいろな不安と動揺あるいはまた周章が見られるわけです。そういう点から私にぜひ現地に来ていただきたい、こういう要請が発せられたということもひとつ冒頭において御理解していただきたいと思います。 そういう点から現地に参りまして驚きましたことは、幅百八十メートル、長さ二百メートル、高さが十五メートル、そうして三十立方メートルの土砂が押し流されて、付近におけるところの田畑、山林、県道、並びに一級河川、これらも埋められておる。しかもこの中におきましては豚なりその他の被害も大きいわけです。そういうような惨事が引き起こされたことに対しまして、現地におきましては、私が参りました当時におきましては、ようやく通産局から監督部、並びに鉱山部の責任者がかけつけて対策を練っておりましたので、それらのことに対する信頼を一応置きまして帰ってまいったわけですけれども、しかし今日に至りましてもいろいろ、なお疑問なり不安が消えない、こういう問い合わせなりいろいろな問題を私のほうに寄せてきておりますので、この機会にひとつ問題を解明していただきたい。現行法の中でどのような対策が、そしてまたどのようなことになっておるか、どうすればいいか、こういう点につきまして、各省からも出席願っておりますので、この法律を中心としながら、起こっておる現状に対しまして一応の解明を願いたい、こういうのが質問の趣旨でもあるわけです。 第一点といたしまして土質の問題でありますが、この点につきまして建設省のほうといたしましては、この地帯の土質がどういう地質であるか、こういうことに対するところの調査が行なわれておったかどうか、こういう点に対してまず建設省のほうからもお聞きいたしたいと思います。
○川崎政府委員 先生のお話の高岡市の石堤付近の地質につきましては、これは現在特に砂防指定地、そういったような指定区域に入っておりませんし、区域に入れるべき予定もございませんので、特に私どもといたしましてはこの付近の地質につきまして詳しく調べるというようなことはいたしておりません。しかし、この付近の地質は、主として地質学的に申し上げますと、第三紀層の夏川砂岩層、こういった種類に属しております。比較的固結度は低うございますけれども、砂質土で、あまり過去においてはこういったような災害はないというようなことで、砂防を指定いたします県の方針といたしましても、こういった区域は比較的通常の場合は安全なところだというようなことで、特に指定区域には入れない方針で進んでおるようであります。
○佐野委員 通産省の方にお伺いするわけですけれども、鉱業法によります第六十三条の施業案並びに二十六条の設備設計計画書、これにつきまして見てまいりますと、いずれの場合におきましても地質に対する調査、このことが前提条件となっておるわけでありますが、この地質に対しまして、たとえば施業案にいたしましても設備計画書にいたしましても、どのように理解しておるだろうか。あるいはまた、通産省の地質調査所がありますね、こういう方面でこの地質に対するところの調査が行なわれておったのかどうか、この点を。
○江口説明員 鉱業法によりまして施業案の認可申請あるいは認可届け出がございます場合には、一応九つの項目にわたりまして中身を出してもらうことになっております。そのうち地質に該当する部分といたしましては、探鉱または採掘に関する事項についての計画を出してもらうということになっておりまして、さらにその細目といたしまして、地質の状態、主要な鉱床の位置それから走向、傾斜及び厚さということについて、鉱業権の申請人から計画書を出させるということになっております。一応現在出されております施業案の中身におきましては、ただいま建設省からお答えのように、これは一応貝化石の鉱床でございまして、いわゆる砂岩でございますが、従来この地域において露天掘りで貝化石の石灰石というようなものを掘っておったという事実があるということでございまして、先ほどの建設省の御意見のように、一応安定した地質であるというふうに認定されたやに聞いております。 それからお尋ねの地質調査所等の問題でございますが、これについてはなお、これを照会いたしましたかどうかはさだかでございません。調査をさしてお答えさせていただきます。
○佐野委員 ただいま建設、通産からの見解をお聞きいたしましたけれども、今回の事故がありまして、九日、十日、両日にわたりまして富山大学の地質研究の学者グループが現地を見て調査いたしました。その報告が公表されておるわけですけれども、その報告によりますと、皆さんが御指摘になるような夏川砂岩層の貝がら粉を主体にした第三紀層だ、こういう点は一致しておるわけですが、「こんどの土砂くずれは夏川砂岩層と、その下部の谷内泥岩層の境目で起きたことがはっきりとみられ、境目にある粘土層に滞水層が形成されてすべりやすくなっていたことと、砂岩層にチクソトロフィー(流下砂)現象が起きていたことが、こんどのような大規模な山くずれになったとみている。」このように報告書に述べておるわけです。ですから、皆さんが考えられるより以上に危険な状態、当日は前夜からの雨がありまして五十ミリ、同時に崩壊する。一時間には二十ミリをこえておる。こういう状態のもとで引き起こされた、非常に危険性があったということが指摘されておるわけですけれども、これらに対しまして通産省にお聞きいたしたいのですけれども、設備計画書は出願者が出す。出願者が地形に対するところの状況を記入する。それで皆さんのほうは地質調査所にも照会をしない、だいじょうぶなんだという判断で、現地を視察されたことがあるのですか。この施業案を提出させる場合におきまして、施業案の内容にもやはり地質というものを明らかに記入しなくちゃならなくなっておる。こういう場合に、一体何を根拠にして、施業案に地質その他の条件、それからまたいま申し上げましたところの業者が出願するに際して記入していることが正しいのかどうか、こういうことは現地調査の上把握されるのですか。業者がこのような申請を出したからだいじょうぶなんだろう、だから施業案にこれを記入する、こういうことをやっているのか、あるいは実際現地を見て、ここはこういう危険性があるかないか、地質はどうだ、こういうことを立証した上において施業案においてこれを要求するのですか。どうなっているかということをもう少し……。
○江口説明員 お答え申し上げます。 本件につきましては、施業案の認可申請に際しまして特に現地を見たという事実はございません。ただ保安監督部が四十五年の二月に巡回調査をいたしております。それは施業案の認可の前でございます。 それから、原則といたしまして施業案の認可をいたします場合には、申請されました地形図あるいは地質図等によりまして判定いたしております。特に問題があると思われる、あるいはその他問題のおそれがあるという場合には現地に参ることもございますが、本件についてはそういう措置をとっておりません。
○佐野委員 巡回検査をされたのは昭和四十五年の二月ですわね。試掘から採掘に移り、そこで切れておるわけですね。転願中だ、こういうようなことになっておりますね。二回、二回、二回、七年目を迎えておる、そこで転願中であるわけですね。そういうときにたまたま保安監督官が巡回をした。ですから、その巡回の目的というのはどういう目的で行かれたかは別として、そういう地質がどうなっているか、こうなっているか、こういうことに対する能力なりあるいはまたそれに対する適否を判断する方が行っておるわけではないのでしょう。四十五年の二月に皆さんのほうで指摘されたのは、鉱業権を取得もしていないのに実際は仕事をやっておるではないか、けしからぬ。だからショベルだとかその他採掘に使用しているものは直ちに引き上げろ。それからこの山は採掘壁の高さが直立に近く、崩壊の危険性があるので、人が近づかないように立ち入り禁止のさく囲いを行ない、警標を掲げなければならぬ。まだ転願中ですよ。転願中に巡回検査に行っておる。そういう危険がある、鉱業権もないのにやっておるではないか。そうしてまたその山はそういう危険性を持っておるから、その標識なり警標を掲げなさい、囲いをしなさい、こういう警告を発していっておるわけですね。それから、あなたたちが認可されましたのは、四十五年の三月十二日に鉱業権を設定しておられるわけですからね。鉱業法に違反をして、転願中に作業をやっている。しかも非常に危険な場所だということで警告を発していながら、三月十二日において鉱業権の設定をやっているわけです。それから施業案の要求認可が五月の四日だった、こういうことになっておりますが、そこで、五月の四日に施業案が認可になっておる、その間において、皆さんのほうにおいて警告をしたのが行なわれているのかどうか。立ち入り禁止のさく囲いをしなければならぬし、警標を掲げなきゃならぬ、そういう事態にあることを前提としながらこれを承認して、そこで設備計画を出させる、施業案の認可を与えておるわけですね。今日の事故が起こりましたのは四十六年十一月の七日ですから、その間相当の月日がたっておるわけです。この間巡回検査というものを一体やられたのですか、どうですか。
○森口説明員 お答え申し上げます。 御指摘のように、四十五年の二月、名古屋の鉱山保安監督部の監督官が当鉱山を巡回検査をして、先生御指摘のありましたような事項について鉱山側に指示をいたしております。この巡回検査をやりまして以降事故が起こりました十一月まで、監督部としては現地のほうを巡回検査はいたしておりません。ただ、四十五年の九月に、巡回検査をしておらなかったような鉱山の監督者を監督部に集めまして、写真等の提出を求めて、現在の掘さく状況がどうなっておるかということについて監督者から書面で事情を聴取して、必要な指示をいたしております。こういうふうにいたしましたのは、御存じのとおり監督官の定数が非常に少なくて各山を回りきれないというような実情にありますので、次回の監督巡回検査がございますまでの中間的な時点におきまして、書面において鉱山を指導するということをいたしわけでございますが、御指摘のように事故当日まで、二月以降巡回検査はいたしておらないというのが実情でございます。
○佐野委員 そうしますと、施業案の場合におきましても、不備な点は書類によるところの訂正を命ずる、現地は見ない、書類上においてつくれば業者の責任だからという、チェックしたということで済ましておられるのですか。 それからもう一つお伺いしておきたいのは、そういう警告を発してきておる、転願中にもかかわらず仕事をやっておる、そういう危険な地帯であるということを明らかにしながら、これに基づく施業案、これらに対するチェックというものを、現地の状態を見なくてチェックをやっておられる。こういうことと、もう一つ、四十五年の四月の二十二日、四十六年の四月並びに六月、保安統括者会議が行なわれておりますが、統括者として出席しておりますか。
○森口説明員 大体、鉱山におきます保安は、現在の鉱山保安法におきましては鉱業権者が自主的に保安の責任を持つというのが基本原則でございます。ただ、自主的に責任を持つと申しましても、やはり事は人命にかかわる問題が非常に多いというような立場から、御存じのとおり鉱山保安法がございまして、各地に鉱山保安監督部並びに鉱務監督官がおって、必要のつど鉱山に自主保安体制の整備について呼びかけておる。また全文数百条にわたります保安規則がございます。こういう保安規則に従って採掘をしなければいかぬというような厳重な規制をいたしておるわけでございます。そういうような自主保安体制であるわけでございますけれども、したがって、鉱山保安法ではそういう規則違反に対しては鉱業権者等に対してきびしい罰則、制裁を科しておるわけでございますし、また先生先ほど御指摘がございましたように、鉱業法におきましては特に無過失賠償責任という、他の産業に類を見ないような強い責任制度がしかれておるというようなものも、以上の背景に基づくものではないかというように私どもは考えておるわけでございます。 なお、先生から御質問がありました四十五年四月に鉱山保安監督部管内の保安統括者を呼んで、いろいろ保安の確保について指示いたしたわけでございますが、そのときに、御指摘のとおり当該鉱山の国土高岡鉱山の保安統括者というものは、当日は出席をいたしておらなかったということを監督部のほうから報告を受けております。
○佐野委員 四月の場合は国土興業、四十六年四月並びに六月、この場合は共同開発、これは統括責任者が出席しておらない。しかし施業案は実行されているのかどうか、施業案の中に問題があるのかどうかということは、地方自治体並びに住民にとりましても非常に不安がある。これに対しまして自主的にやるのがたてまえだ。はたしてそのとおり行なわれたのかどうか。しかもこれに罰則があるではないか。賞罰もある。しかしながらこういう罰則を実際やるのはだれであろうか。地方住民の告発によってできるだろうか。施業案の内容がわからない。施業案がわかっておるのは監督する通産省だけでしょう。地方自治体はわからないわけですね。何の権限もない、わからない。警察にしても、そういうことにおける人命その他災害の危険性があると感じたとしても、罰則があるからおまえらは怠慢ではないかといわれるけれども、警察自体にしてみれば施業案がどうなっておるかということは何らわからない。罰則があるということは、あなた方だけしかこの罰則による告発なりその他の方法がとられないわけですね。転願中にすら法規を犯していわゆる採掘をやっておる。しかも非常に危険性が含まれておるというにもかかわらず、しかも施業案を現地を見ないで書類上チェックしておる。チェックした効果が、実効性が担保されておるかどうか、この点も皆さんのほうは何もやっておらない。そうしてこういう惨事が起こったということからいろいろな問題が出てくるわけであります。 ひとつここでお聞きしておきたいのは、もう事件が発生しましてから相当な日数がたっておるわけですが、一体この事故の原因というものはどこに所在しておるのか。私がさっき申し上げましたような、当日は雨も見られた。しかも地質はそのような状況だ。ですから非常に雨にもろいということも明らかなんですけれども、そこで問題になってくるのは、自然不可抗力によってくることと、施業案に違反しておったかどうかを皆さんが確認しておられるかどうかという問題と、そういうものが競合して今回の事件が起こったと判断しておられるのかどうか。原因は一体どこにあるか、こういう点に対する調査が現在終わっておりましたらひとつそれを明らかにしていただきたいと思います。
○森口説明員 先生おっしゃいました、事故がなぜ起こったか、天災的なものであるのかそれとも人為的なものであるのか、あるいはこの両者が競合したものであるかということにつきましては、現在、保安監督部が中心になりまして原因を究明中でございまして、いずれであるというように申し上げられないというのは非常に残念に存じます。ただ私どもといたしましては、現在の段階ではまだ確たる証拠を握っておるわけではございませんけれども、施業案違反の採掘を行なったのではないかというような疑いを現在強く持っております。なおこれはもう少し監督部自体の調査を待たなければなりませんので、いま少し時間をかしていただきたいというように存じます。
○佐野委員 しかし、今日に至りましてもなおはっきりしないということで、一体復旧をどうするかという問題もありますけれども、一番心配になってくるのは、ここに第二次、第三次の災害が誘発されないか。この点につきまして、私どもは現地を見てまいりました。その直後におきまして、十一月十一日の川崎における関東ローム層に対するがけくずれの実験中に、ああいう悲惨な事故が起こってまいったわけです。十五名のとうとい犠牲を出した、こういう悲惨なニュースを聞きながら私は現地を立ったわけですけれども、幸いにここには人命の損傷はなかったわけです。と申し上げますのは、この日は、ちょうど地すべり的な崩壊があったときには雨がなおも降っておりましたので、農耕には出ていないわけです。こういうことが一つ。もう一つは日曜日であったということ。崩壊して埋没しました県道を通じまして、小学校、中学校の生徒が通学いたしておるわけです。この通学いたしておる時間帯と崩壊時が大体一緒なんですけれども、幸いにも日曜日だったから人命の損傷は免れたんで、もしそうでなければこれはたいへんな惨事が引き起こされたんではないか。こういうことを考えると、帰ってきてラジオを通じて川崎の痛ましいニュースが流され、ほんとうにほっとすると同時に、私、はだえにアワを生ずる思いがいたしたのであります。そういう意味からも、第二次、第三次の災害というものが誘発される危険な状態の中にあるという点について、一体通産省としてはどういう措置をとっておられるのか。出先には監督官の方も来ておられるわけですけれども、そういう第二次、第三次の災害を防止するために、地すべりなり急傾斜なりのいろいろな経験となにを持つ建設省、あるいは出先におけるところの県の土木部なり自治体、地元高岡市の土木関係なりの協力関係、こういうことに対して一体どういう指示を与えられておるのか、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
○森口説明員 先生御指摘のとおり、崩壊が日曜日に起こりましたために人命上の損傷はなかったということにつきましては、ほんとうに不幸中の幸いであったというように私どもも思っております。ただ、おっしゃいますとおり、二次、三次の崩壊が起こりますということは、これはどうしても避けなければならないわけでございますし、現在の崩壊したあとを見ましても、そういうおそれは多分にあるわけでございます。鉱山保安監督部といたしましては、十一月十一日付で国土高岡鉱山の鉱業権者に次のような指示をいたしております。 第一は、崩壊したあとの残壁は現在まだ直立をいたしておりますので、崩壊を防止するために安全な傾斜にするというような作業を至急着手しなさいということ。この傾斜を改善するにあたりましては、下のほうからやりますと。当然のことですが問題が起こりますので、上部地表部から逐次作業を進めなさいということが第一点でございます。それから第二点といたしましては、露天採掘上、場内には現在相当量の土砂がまだあるわけでございますが、これに雨あるいは坑水等が停滞をいたしますとまた、そこにたまっております土砂が水のためにすべり落ちるというようなことも考えられますので、坑水あるいは雨水を停滞させないように排水管を至急設けるというような、二つの主要な点を鉱業権者に対して正式に命令をいたしております。この作業につきましては至急鉱業権者をして実行せしめるよう、監督部のほうで厳重に監督をしたいというように存じております。
○佐野委員 そういう命令権というものは何に基づいて出されておるわけですか。原因者が共同開発だから、共同開発に対して、第二次、第三次の災害誘発を防止するためにそういう命令を下された根拠というものはどこにあるわけですか。
○森口説明員 お答え申し上げます。 命令書の本文にも引用いたしてございますが、鉱山保安法第二十五条という規定がございます。この二十五条の規定に従いまして鉱山保安監督部長が命令をいたしたわけでございます。二十五条の趣旨は、鉱業権者がいろいろ鉱業を実施します場合に、鉱業上使用する機械、器具、建設物、工作物その他の施設の使用、その他の鉱業の実施の方法が、法律または法律に基づく省令に違反をしているというように認めるときは、命令を出すことができるという趣旨の規定でございます。先ほど説明を省略いたしましたけれども、この二十五条一項の根拠法規とされておりますのは、金属鉱山等保安規則第百二十四条第一項第四号の規定に違反をしておるという趣旨のもとに、鉱山保安法第二十五条第一項の命令を鉱山保安監督部長が出したものというように解釈いたしております。
○佐野委員 保安規則の何条ですか。
○森口説明員 百二十四条第一項第四号でございます。
○佐野委員 わかりました。露天掘採場におけるところですね。しかも根拠になった二十五条、これは明らかに業者の責任に帰せられる原因によってそういう事態が起こり、これに対する命令を発する、それを受けてこの規則があるわけですね。そうなってまいりますと、業者が施業案に違反してやったためにこういう原因が起こった。起こったから、それに対する措置はやらなければならないという命令発動の根拠法になっておりますわね。そうしますと、先ほどお尋ねしたように、これは施業案違反によるところの人災だから、当然業者が百九条によるところの責任を持たなければならない、こういう意味から考えて措置をとっておられるのか。いわゆる自然不可抗力によって起こってきた問題として解釈しておられるのか。第三は、二つが競合しておるということがまだわからないのだ、わからないのにこういう命令を出すということは、一体二十五条のたてまえから考えるとおかしいのじゃないですか。
○森口説明員 私が先ほどわからないと申し上げましたのは、申し上げましたとおり、司法上争うに足るような明白な証拠は持っておらないというふうに申し上げたわけでございまして、百二十四条違反の疑いはきわめて強い、百二十四条違反であるというように監督部は一応認めておるということでございますが、ただ司法捜査上、検察官が百二十四条違反であるというように認めるに足る物証は現在まだ完全に集めておらないという意味で申し上げたわけでございます。 なお、先生のおっしゃいました途中の話でございますが、施業案違反に関しましては二十五条第一項の命令はかけられないわけでございまして、ここでかけられますのは、鉱山保安法または鉱山保安法に基づく規則に対する違反でございますので、念のため申し上げます。
○佐野委員 鉱山保安法というのは鉱業法から出てきているわけですね。鉱業法と一体の姉妹法であるわけでしょう。ですから施業案に違反したのかどうか、これが一番問題になってくるのじゃないですか。そういう中から保安法が生まれてまいって、保安法においてこういういろいろな条件があるからこれで命令権が担保されておるわけでしょう。それをもう少し担保するために規則があるのじゃないですか。 ということは別といたしましても、ひとつ問題をもとに戻しまして、この深井教授の、いわゆる富山大学の地質学グループの報告によりますと、そういうような状態ではあったけれども、何としても第一の原因というのは、共同開発の無謀な土砂採掘にあることは確実で、山すその押えの盛り土部分を取り除く、こういうことによって地層のバランスをくずしてしまった、こういうことが最大の原因だ、こういう点も指摘いたしておるわけですね。地質、地層から考えてまいりまして非常に危険な状態だ。これは皆さんのほうで提出しておる設備設計書によりましても、「氷見層群と称する地層の上位を構成して」云々ということばが出ておりますように、この氷見におきましては昭和三十九年七月、胡桃地区におきまして大地すべりが起こって、三十億円の被害を出して、建設省が復旧に当たった。こういうことに関連することも業者のほうからもうすでに指摘されておるわけですね。と同時に、学者グループの研究を待つまでもなく、そういう第三紀層、新潟あたりからずっと続いてまいっておる貝がら状の粉、これが夏川砂岩層だということも明らかになっておる。下には谷内泥岩層がある。その境目には水がたまってくるのだ。それをすそからやるものだからバランがくずれてしまって、当然崩壊が起こるだろう。こうなってまいりますと、施業案というものに違反しておるということは明らかになってくるわけなんですし、皆さんの鉱山保安法の法律上から見てまいりましても保安係を置いておかなくちゃならないのに、実際には保安係もいなかったということが指摘されてくるわけなんですけれども、問題はそういう点に対するもっとはっきりした態度をとらなければならない。 鉱業権というものは非常に強い権利だ。ですから、あとからまた見解を聞きますけれども、そういう強い権利であるから無過失責任制も導入しておる。私も、イタイイタイ病で困って、最後は弁護士諸君らを訴訟に踏み切るように激励して、現地を説得してまいったわけなんですけれども、しかし、この場合においても弁護士の諸君なり業者の諸君も訴訟に踏み切るには非常に苦労した。だから非常に難解な法律であると思うわけなんです。こういう難解な法律であって、しかも施業案なりいろいろなことがあっても、地方自治体なりあるいはまた関係住民のこれに対する意見の反映、これを取り上げる機関もない、こういうような現状の中にあるわけでしょう。 そういう場合に、もう少し原因を明らかにして——もう相当な日がたっているわけです、十日間もたっている。この原因が明らかでなければこれに対する措置というものはとれないじゃないですか。私は責任問題をあえて言いますのは、このことを明らかにしなかったら、しかも原因を明らかにしなかったら、次の復旧工事に対するところの対策がとれないじゃないですか。おれのことを業者だけでやるのだ、だから自治体なり何なりは全然無関係。後ほど聞きますけれども、二十四条によるところの協議という問題がありますけれども、そういう形の法律の中にあって、だから事件は起こった。その場合、まっ先にやはり責任、原因を明らかにする、そのことによって地方自治体なり地元関係者はどういう対策をとるか。復旧しなくちゃならぬ。第二次、第三次の危険性がある。皆さんのほうはそういう形で保安法二十五条なりあるいはまた規則によって一応の取り除きを命じた。それは専門家の目から見れば非常に不安だ、もっとこれに対するところの措置をとらなければ危険じゃないか。雪を迎える。北陸の空じゃないか、雪がやってくるぞ、どうするのだ、第二次、第三次が誘発されるじゃないか。こういうことに対しまして、皆さんの規定の中に何ら自治体と協力する規定がないわけですね。ないですから自治体もぼう然とするよりしかたがない。しかし施業案その他に対しても何らの協議も行なわれていない。警察もこれを知らない。自治体もわからない。関係住民もわからない。しかも鉱業権だけは厳然として、非常に強い権利として土地収用権までも与えられるところの、権利として付与されておるたいへんな権利だと私は思う。個人の業者が土地収用法におけるところの収用の権利を与えられるわけですからね、この結果として。こういう権利を与えながら、住民に対するいろいろな影響があり問題点があるけれども、何らこれに関係することができない。そういうたてまえをとり、しかもその復旧はどうするのだ。ここで皆さんのほうは、百九条のほうがあるじゃないか、賠償の規定がある、こう言われる。その場合には、原因者が明らかになり、その加害者が明らかになるということで問題の処理というものは一歩進んでくると思いますが、もしそうでない、先ほど申し上げましたような自然不可抗力によるものだ、こうなれば、災害基本法に基づく災害関係の法規は非常に充実してまいっておりますから、これに基づいて復旧の措置が打たれるわけですね。ないしは、競合しておったものならどうなるのだ。鉱業法の中に、裁判の場合におきましても自然不可抗力の競合した場合にはそのことをしんしゃくして判決するということで、民事裁判に対しましても鉱業権の確保のためにある程度の規制を置いておる。こんな法律もちょっと珍しい法律だと思いますけれども、そういう規定を置いておるわけですね。ですから、競合したのかどうか。ならば裁判におきましてもこれをしんしゃくするといっておるのだから、この場合における、たとえば道路、河川、これは地方公共団体の管理するものでしょう、あるいは水田にいたしましても、田畑、山林にいたしましても、それぞれ法規によりまして、競合するとすれば競合するための措置をとらなくちゃならぬわけですね。それとも、これはもう純然たる鉱業権者の原因によるところの災害だ、鉱害だとするなら、これに対する責任追及の形でこの問題を解決していかなくちゃならぬ。十日もたっている。それを明らかにしない。警察はどうか。警察は施業案さえ知らない。皆さんからもらった施業案があるのだ、それはどうか。しかもこれはもう土砂で流されてしまっておるという現状がある。そういうことすらも実は明らかにされていない。私どもはもっとそういうことを明確にしてもらいたい。 一つの例として申し上げておきますけれども、北陸電力も十五万ボルトの高圧送電塔を三基も失ったわけですね。これによって金沢市が三十分内外の停電をやっている、たいへんな事態があったわけです。しかしこういうことに対しましても、北陸電力の土木課長が県に参りまして、全く危険なやり方じゃないか、これでは鉄塔も危険性をはらんできている、だからすぐ差しとめてもらいたい、こういう要請をやる。県の振興課におきましては、自治体はこれはもう何らこれに対するところの権限もなければ、これに対する手続も定められていないのだ、あなたからそう申し入れられても私たちはどうもできないのだ。法規を調べますとそういうことになります。ですから、そういう危険な状態にあるという、これを県がかわって名古屋の通産局に申し出る。これは電話で緊急に申し出たけれども、係が違うからわからないという。ようやく係の人が出てきて、これは法令何によりましてそういう場合にはできるのだ、こういう方法がありますということで、その方法はだれが知る方法かというと、通産局みずからがやらなければだれもできない命令権ですよ。そういうことを教えて、何らそれを実行しない。そういう法律になっておりますよ——それは私どもがやるのですからじゃなくて、法律はこうなっておりますよということで条文を説明しているにすぎない。だからこのまま放致されておって、あのような惨状が、北電側にとりますればたいへんな大きな問題が起こる。しかも公益である。あるいは施業案から申しましてもあるいは法から申しましても、五十メートルに入ってはならない。入る場合におきましても、通産局長がいいじゃないかと言う場合にはやってもよろしい、こういう規定も置いておるわけですから、通産局長が一応五十メートルまではだめだぞ、協議しなさい、それが整わなかった場合には、必要な場合においては鉱業権を守るために通産局長はそのままやりなさいという命令をすることもできるのだ、こういう条文を教えられて、これは一体どうしてくれるのだといって、こういう惨状が起こっているわけですね。 そういうことから考えましても、通産行政という、この鉱業権の持っておる非常な重みと申しますか、自治体なりあるいは関係者なりに強い影響力と強い規制力を持っておる、にもかかわらず何らの発言権も与えていない。そうしてこういう惨状が起こっているわけですね。こういう点を指摘をしておきますと同時に、こういう場合におきまして、いま申し上げましたような三つのどれであるかがまだはっきりしないという事態の中で一体どうするかという点について、これから通産省にもう一度あとから問題点を解明さしていただきたいと思いますけれども、各省からお見えになっておりますので、こういういまの質疑の中で御判断を願っていただきたいと思うのです。 まず最初に農林省のほうからお尋ねいたしますが、被害状況が皆さんのほうに報告が来ていると思いますけれども、たとえば水田が二万二千四百七十九平米埋没、畑が一千六百五十二平米埋没、山林が二万三百三十平米埋没、四万四千四百六十一平米、これだけが埋没いたしておるわけです。それから豚をやっておる織田作太郎さんという個人なんですけれども、四つの豚舎がつぶれ去ってしまって、四百頭の豚が押し流されてとん死してしまったということになっておる。 こういう状態に対しまして、まず、きょう御出席願っておる住吉参事官のほうから、災害復旧の場合におきましてはそれぞれの関連法規がありますし、これは地元住民にいたしましても私たちにいたしましてもよく理解いたしておるわけですが、第二、第三の点ですね。天然の不可抗力と競合しておる場合に起こった事件、それから鉱業権者の責によりまして起こった人災だという場合、それぞれどういう処置をもってやっていけばいいか。こういう点は地元において非常に不安な問題点であるし、実際において復旧工事に入ろうとしても入ることをはばんでおる条件にもなっておるわけですけれども、この二つの場合にはどういう措置をとられておるか、こういう点をひとつ。
○住吉説明員 災害復旧事業は、暴風、洪水、高潮、地震その他の異常的な天然現象によって生じた災害の場合に適用されるということは、先生御案内のとおりでございます。今回の場合、現地から受け取りました報告によりますと、災害を起こしましたのが採石業者の施業方法に基因しておるのではないかというように承っておりますので、このような場合には災害復旧事業として採択することは考えられないと考えております。
○佐野委員 災害復旧事業に採択するしないは別で、私の聞いておるのは、天然災害の場合は災害対策基本法に基づいてそれぞれに対する復旧措置がとられているわけで、それが適用しないいまのような場合における競合した場合、鉱業権者の責による事故だという場合には、農林省として被害農民に対する救済なりこれの復旧に対する何かの方法が講ぜられるのかどうか、こういう点。たとえば競合している場合どうなんだ、それから原因者である鉱業権者の責による場合は一体どうなんだ、そういう点を一応はっきりしていただきたいと思います。
○住吉説明員 ただいまお答えしましたように、天然現象でない場合ということは考えられません。しかしながら、競合した場合はどうかという御質問でございますが、この天然現象で災害復旧をいたします場合にも、雨量とか風速とか洪水とか、それぞれに採択の基準がございます。その基準に該当しておるかどうかということが問題になろうかと思います。それらにつきましては現在の時点では詳細に掌握しておりません。
○佐野委員 ですから、鉱業権者の責によるものはそれ自体が補償すべきだ、農林省としては金融なりいろいろ面においては何らの措置はとらないのだ、こういうことなんですね。それでいいですか。田畑の場合だけに限ってお聞きしておるのですけれども。
○住吉説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○佐野委員 そうしますと、もし鉱業権者が能力がない、こういう場合には、農民自体のみずからの名によって復旧をやって、水田のあるいは排水、用水路の整備をやっていかなくてはしようがないのだ、こういうことしか道は残されていないわけですか。
○住吉説明員 原因がただいまおっしゃいましたように明確になりました場合にはおっしゃるとおりでございますが、農地の田畑が相当量の土砂で埋没しておりますので、これらの技術的な指導とか協議というようなことではできるだけの御協力をしたい、かように思っております。
○佐野委員 土地改良法その他の場合におきましては、個人財産でありましても補助なりその他の道を与えておる。しかしながらこういう場合においては、支払い能力がない、しかも農民自体がそういう中でこれから冬を過ごし、春の植えつけに備えていかなければならぬ。しかしながらこれの救済の道がないんだ、あきらめるしかないんだ、みずからやりなさい、こういうことしか残されていないというわけですね。 それはそれとして、じゃあ林野庁の皆さんから、松形さんですね。——この場合は、いまお聞きのように山林が二万平米埋没しておる、この場合はどうでしょうか。
○松形説明員 お答え申し上げます。 ただいま農林省のほうの住吉参事官からお答え申し上げたとおりでございまして、私どもの行ないます復旧治山につきましても、その原因が天災その他不可抗力という場合に限定いたしまして復旧の対象にいたしておるわけでございます。したがって、この原因が県の報告のとおりでございますれば、これの採択とはならないというふうに理解いたしております。なお、先ほどお話しございましたように、その場合におきましても、技術指導、あるいは県単独で行ないます場合のそういう指導等につきましては万全を期したいつもりでございます。
○佐野委員 県単独でやると言われるのは、自治法の第二条に基づく地方自治体の治山は固有事務だ。固有事務ですから、この場合における県単事業に対しまして、あるいは自治体の地元市の事業に対しましては、これはどういうことになるのですか。単独事業を認めるという意味は、自治法第二条に列挙されておる治山治水は自治体の固有事務である。こういう固有事務だから、この山林の場合におきましてはいまの農林省の水田、畑と違った意味における措置というものはあるというわけですか。
○松形説明員 お答え申し上げます。 治山事業につきましては、県が行なう事業についての補助ということになっておりまして、県単独でやる場合は技術的な指導をやることだけに限定いたしております。
○佐野委員 自治省が呼んでないから何ですけれども、この場合に、県なり市が単独事業としてやる場合において、起債なりその他が当然充当されるということになってまいりますね、固有事務だから。いままでそういう経験はないですか。
○松形説明員 お答え申し上げます。 治山事業については、県単独の場合は起債の対象外でございます。
○佐野委員 そうするとどういう意味ですか。起債でだめだというのは単独事業でだめだという意味ですか。それとも補助事業その他を伴う起債、その対象にはならない固有事務であって、固有のためにやる単独事業に対して起債の対象にならないというのはおかしいじゃないですか。
○松形説明員 お答え申し上げます。 県単独で行なう治山事業については起債の対象にはいたしておりません。県が行ないます採択基準以上の補助事業につきましては起債の対象にいたしております。
○佐野委員 いずれにしても同じことだろうと思うのですけれども、こういう点は自治省の皆さんとまた後ほどこの問題点を明らかにしていきたいと思いますが、この場合におきまして農林省の皆さん、どうですか、片方におきましては固有事務として自治法の第二条に列挙主義で明らかにいたしておるわけですが、田畑の場合はそうじゃないんだという点についても、もう少し理由を明らかにして、やっぱり指導の面においてもやっていただきたい。そうしないと非常に混乱が起こるのじゃないかと思います。地元の人たちはわからないわけなんですから、そういう場合はこうなんだということをやはり明らかにしておく必要があるのじゃないかということを感じます。 それから農林省の経済局の方、この豚の場合はとん死だからということなんですけれども、たとえば四つの畜舎、この畜舎をやはり早急に建てなくちゃならないというわけですけれども、こういう場合に対するところの金融上の措置というもの、それから、この豚は肥育豚である、種豚じゃないということもいろいろ問題になってくるのじゃないかと思うのですけれども、この場合において金融的にどういう措置が残されておるか、こういう点をひとつ明らかにしていただきたい。
○渡邉説明員 お答え申し上げます。 一般的に申しまして、いまお話しがございましたような養豚用の畜舎をつくるというような場合に対しましての制度金融としましては、御承知だろうと思いますが、農業近代化資金という制度がございまして、農業者が経営の近代化をはかるための各種の施策、施設の取得、造成のための制度措置をとっておるわけでございます。したがいまして、豚舎をつくるあるいは改造するための資金としましては、この農業近代化資金の融資対象となり得ると思います。 ただいま御指摘ございましたように、中に入っておりましたかなりの頭数の豚が死んでしまって、また新しく入れなければならないということでございますが、一般的に近代化資金は施設資金でございまして、肥育用の豚につきましては融資の対象に一般的にはしておらないわけでございますが、施設と同時に購入する肥育豚で、かなりの規模であります四百頭以上というような場合でございますれば、これもあわせまして融資の対象に特別にするという措置も別途ございますので、そのような措置で対応できるのではないかというように考えております。
○佐野委員 別途措置とはどういう意味ですか、もう少し……。
○渡邉説明員 先ほど申しましたように施設資金を貸すというのが本則でございますが、三年ほど前に制度の一部を改正いたしまして、施設と同時に、あるいはその施設をつくりましてから一年以内に百二十頭以上の肥育豚を入れるというような場合には特別に対象にするという制度をつくりました。そのことを申し上げました。
○佐野委員 大体農林省関係の現行法のもとにおいての措置を聞きましたけれども、やはり問題は原因を明らかにしなくちゃならないと思います。 〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 そうしなければなかなか方法もとれないのじゃないかということが明らかになってくるわけです。 そこで建設省の関係なんですけれども、県道が埋没しておる、それから一級河川の谷内川がやはり土砂で埋まっておる、こういう点につきまして、いま応急工事、迂回路なんかをやっておりますけれども、これに対して早急に本格的な復旧工事をやらなくちゃならない。その場合にいま申し上げたような、災害ではないという場合ですね。災害の場合はこれは明らかなんですけれども、競合しておる、あるいはまた人災だ、こういう場合に、一体どういう形で県道なり河川の復旧を進めていくか、こういう点に対してどういうぐあいになっていますか。
○川崎政府委員 やはり御指摘のように、今回の事故が天災か人災か、こういったことが非常に今後のいろいろな復旧を進める上の分かれ目になるのじゃないかと思います。いずれにしても、公共土木施設の災害として取り扱うのには、雨量その他の規模からいきまして少しなじみにくいのじゃないかと思います。したがいまして、当然河川なり道路の維持とか改修とか、そういう方面からアプローチすることになると思います。その場合に、原因が人災でございますればこれは当然原因者に復旧をさせる。しかし出水あるいは交通関係の事情等で、そういった話し合いを待っておられない、こういったような場合には、それぞれの管理者が直接代執行いたしまして、その上であとで費用を請求する、こういうような処置をとらざるを得ない場合もあるかと思います。現在、応急復旧、あるいは河川につきましてもそれぞれ水路の応急のつけかえ等をやっておるわけでございます。いずれにしましてもそういった原因をはっきりいたしませんとわれわれも非常に動きにくいというのが実情でございます。現在、県に今回の事故の対策のための連絡会等がございますので、そういった連絡会の調査なり何なりの結果を待ちまして、私どももできるだけの指導なり援助はいたしたいと考えております。
○佐野委員 代執行なんですけれども、それはそれでわかるのですけれども、現にこれは応急な復旧対策をとっていかなくちゃならない、こういう場合に、通産省はどういうぐあいに現在話し合いが行なわれているのですか、通産省のほうにおいてはある程度までその業者に、たとえば第二次、第三次の災害誘発を防止する、そういう措置も命令としてやっておるんだ、こう言われるのですけれども、そういう場合におけるところの原因が通産省としてはわからない。一体その場合、通産省自体が問題の処理に当たるのか、あるいは、鉱業者をしてそういう意味におけるところの一定の、建設省なり道路管理者との協議が必要なんでしょうけれども、そういう中でもって一定の設計、一定のなによって資格ある業者に入札させてやらせる、そういう方法をとる。そういう方法がとれないという場合において初めて代執行というものが動いてくるのじゃないかと思いますが、そういう意味において、通産省はどういうお考えを持っておりますか。
○森口説明員 本件の原因につきましては、鉱業権者の全責任によるものかあるいは天災的な原因が競合したのか、その点については実はまだ確たる答えを出しておらないというのが現状でございます。おっしゃいますように、この点について至急結論を出すことが必要かと存じますので、この辺については現地の監督部を督励いたしまして、至急原因をはっきりいたさせたいというように思うわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても鉱業権者がやりました作業の結果、周囲の国有財産あるいは農家の方々に損害を与えておるわけでございます。鉱業の実施の結果起こりました鉱害の賠償につきましては、通産省がこれを所管いたしておるところでございます。したがいまして、本件の鉱害の賠償ということにつきましては、通産省が中心になって善後処理をいたしたいというように考えております。 ただ、通産省が中心になって善後処理をいたすといたしましても、やはり被害額が非常に巨大でございます。鉱業権者の資力が一体どの程度ありますものか、現在の段階ではまだ的確につかんでおりません。また被害を与えました物件は、公共的な河川、道路というような問題も含んでおるわけでございます。したがいまして、現在私のほうの鉱山課長を現地に派遣をいたしまして、現地のほうで名古屋通商産業局が中心になりまして、これに名古屋の鉱山保安監督部並びに富山県、高岡市あるいは北陸地方建設局というような現地の責任者が、ただいまきょう、原因の究明を含めまして、善後措置をどうするかということで協議しておる状況でございます。おそらくこの五者、ないしは必要によりましては農林省サイドの地方農政局の方も入っていただきまして、関係官庁の御協力を得まして、通産省としてはこの鉱害賠償ということについて一日も早く解決するようにやってみたいというように考えております。ただ前提条件といたしましては、先ほども申し上げましたように、関係各官庁の御協力と、それから鉱業権者がまあ従業員四人程度の会社でございまして、どの程度資力があるかということは存じ上げないわけでございますけれども、鉱業権者が自分の資力の許す限り被害者のほうに賠償するというような点については極力説得をして、問題の残らないように処理をいたしたいというように考えております。
○佐野委員 ただいま各省のお話を聞いて、たいへんな問題だということが浮き彫りにされてくるわけなんです。通産省としても窓口になってやるのだと言われますけれども、現実はこのような状態だ。そうしますと、賠償能力があるかどうかということが第一点の問題。第二点は、いわゆる施業案違反によって起こった惨事だ、あるいはまた不可抗力との競合だ、こういうことがはっきりしなければほとんど一歩も進まないわけですね。ですから、こういう点は早急に結論を出すということが非常に大事じゃないか、こういうことを感ずるわけです。それがなくちゃ、各省にいたしましてもあるいは被害者にいたしましても、とるべき方法もとれないじゃないか。この結果を待たなくちゃならない。そこに不安、動揺が起こってくる。 一体監督行政をやっておる官庁が現地を見なくて、しかも鉱業権を許しておる。転願中にかつてなことをやっておったのじゃないか、それもまた許して、そうしてその上に施業案に対しましても何らかのチェックをしていないじゃないか。現地も見ていないじゃないか。しかもこういう惨事が起こる地質の調査もやっておらぬじゃないか。その地質に基づく施業案というものはもっと詳細なものでなければならぬじゃないか。そういう地質だ、これに対するそういう危険性もある、これを加味した施業案ももっときびしく、と同時に現地の調査も必要だったのじゃないか。それを全然やっておらない。しかもそれによって事件が引き起こされてきている。そうすると通産省にも行政責任があるのじゃないか。単なる行政上における責任じゃなくて、こういう被害に対して積極性を持つ行政責任があるのじゃないか、こういう声がほうはいとして起こってくる。これに対して皆さんから何ら答えていない。 この点に対しましても、そういう意味におきましてもう少し伺っておきたいのですけれども、鉱業権者の資格ですね、この資格は、十七条によって外国人であってはならない、こういう規定を置いておりますね。ですから十七条によりますと、外国人でなければだれでもが——たとえば外国人であっても許された法人の場合はいいわけでしょう。そういたしますと、だれでもが出願権を持っておる。鉱業権者の設定を受けられる。これは何の条件もないわけですね。何かこれに対してそのほかに条件はあるのですか。十七条そのままどおりなんですか、どうですか。
○江口説明員 鉱業法十七条は「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。」という規定がございまして、簡単に申しますと外国人ではだめであるということでございます。いま御指摘のように、ただこれだけ規定してございます。
○佐野委員 ですから、条件はなくだれでもが権利を出願し、鉱業権者になれる。なった以上は土地収用法も与えられ、非常に強い権利を持つのだ、こういうことになっておりますね。その場合におきまして、一体この場合を見てまいりますと、国土興業から共同開発ですね、これに権者の変更ですか、皆さんのは権者の変更をやっているという。片方のこれによりますと商号変更をやっている、こういうことになっておるのですが、これはどっちがどっちか。商号変更をやった、片方の皆さんの資料によりますと権利者の変更の手続がとられておる、こういうのですけれども、これはどちらなんですか。
○江口説明員 私どもの調査いたしました範囲では、国土興業から共同開発という名前の会社に四十六年の十月十八日に商号変更をいたしておるというふうに解釈しているわけです。
○佐野委員 商号変更しているのか、権利者の変更をしているのか。こういう点がおたくから出ている書類は二つにばらばらに出ておるのですが、これは法律上相当違いがあるんじゃないですか。 それは別として、国土興業というのは一体資本金が幾らくらいで、だれが責任者になっておりますですか。
○江口説明員 お答え申し上げます。 現在の共同開発でございますが、これは資本金四千万円ということでございます。代表取締役は木村竜雄という方でございます。
○佐野委員 それは共同開発ですか、国土興業ですか。
○江口説明員 現在の共同開発です。
○佐野委員 じゃ、国土興業はだれだったのですか。
○江口説明員 お答え申し上げます。 国土興業と申しましたころの代表取締役は富田義雄という方になっております。
○佐野委員 そのころは木村君が何か役員になっておりますか。
○江口説明員 当時は木村さんは入っておられないのではないかと思います。
○佐野委員 そういたしますと、四千万円の資本金で、それを商号変更しておる。しかも経営者陣はかわってしまっていると見てもいいんでしょう。こういう場合におきまして、たとえば石炭、亜炭の場合ですと担保の供託がありますね。しかしながらこういう石灰石の場合におきましてはないわけですね。そうすると、こういう弱小企業であって、しかも相当強い権利が与えられる。その損害に対して賠償に応じなくちゃならない。いまの各省のお話からもわかるように、賠償責任を持たなければならない。そういうことに対して何らの条件もつけない。外国人でさえなければいいんだ。それで問題が起こりますと、補償はどうするんだ、支払い能力があるかないか、こういう心配をしなければならないのですが、この場合に担保の拠出なりあるいは損害補てん——これは私たちの委員会におきましても、宅建業者の場合におきましても損害補てん基金制度とかこういうものを導入しなければならないじゃないかという論議を非常にいたして、ああいう小さな宅地造成に対しましてもある程度の保証金はとる。その上にさらに損害補てん基金なりそういう制度を導入しなければならぬじゃないかということが真剣に論議をされておるときに、この鉱業法によりますと全然こういうことが考えられていない。だれでもいいから許可を与えるのだ。しかも、出願の経過をずっと見てまいりましても、それから設備設計計画書を見てまいりましても、それから皆さんの言う、しばしば言われておるところの施業案の内容につきましても、これは全くだれもが、しかもこれは現地を見なくて書類検査でやるのだ、書類でチェックをするのだということになってまいりますと、どういう危険な状態があり、何があるかということさえも書類でしかチェックしていない。そしてまたそのよって起こる被害、災害、損害に対しまして補償の責任だけは持たしておる。しかしながらその補償ができ得る条件にあるのかどうか、こういうことに対しては一体何の規定もないのですか、どうなんですか。
○江口説明員 最後の部分がちょっと聞き取れませんでしたが、もう一度……。
○佐野委員 ですから、こういう、外国人でなければ与えるんだ、出願権があるんだ、許可も与える。何らこれに対するところの条件、要件はつけていない。その場合に、災害が起こる、損害が発生する、この場合に備えるところの——たとえば宅建のような場合におきましても、保証金なりあるいはまたいま現在検討されておる損害補てん基金制度なりの導入を真剣にやっておるわけですね。わずかの宅地造成に対しましてもそのような、被害者救済のための業者に対する責任制というものを確立させておる。しかも許可条件というものは相当きびしいわけですね。おたくの場合は許可条件というのは外国人でなければだれでもいいんだ。しかも権利を与える。そこで出願のときの条件にある通産局から命ぜられるところのいわゆる設備設計計画書にいたしましても、これはもう御存じのとおり、読んでみればわかるように、だれでも作文できるものしか出していないわけですね。こんなことだったらだれだってつくれますよ。しかも現地は見ていない。よしわかった、これによって鉱業権を与える。与えた鉱業権に対しまして施業案だ。それも皆さん方がつくってこい、形式はこうでございますよ。地形の問題があったって、地形の問題に対して現地を見ないんですから、こうでありますと書く。それには罰則があるじゃないか。これを告発するのは皆さん自身である。警察もわからなければ、地方自治体もわからなければ、関係者もわからないのですから、告発しようと思っても告発の方法がないわけですね。施業案は皆さんしか持っていないから、その施業案を持っている皆さんが、認可している皆さんが実は現地を調査して、ここでやらなくちゃならぬ。これもやらない。そして事故が起こる。この場合における損害に対して、何ら法的にはそういうことを担保するものを考える必要はないと現在でも考えておられるわけですか、こういう事故に対して。どうなんですか。
○江口説明員 まず最初に、外国人もしくは外国法人の場合は認めないという点でございますが、御存じのように鉱業関係は条約上も制限業種ということになっておりまして、外国人と日本人との差別をすることができるという趣旨でこの十七条という規定があります。したがいまして、問題は日本人の中身の問題ということになるわけでございますが、現在の鉱業法のたてまえといたしましては一応先願主義というものをとっておりまして、先願者であれば優先権を持つというのが御存じのように現状でございます。したがいまして、実際の鉱業の稼行をいたします場合の監督あるいは取り締まりということにつきましては、御指摘のように施業案を通じまして監督をするということに相なるわけでございますが、従来は、非常に災害発生のおそれのあるもの等の場合には現地調査等をいたしておりますけれども、悉皆でそういうことを全部しておるというわけではございません。したがいまして、この点につきましては、御指摘のように今後も十分改めるようにいたしてまいりたい。具体的には鉱業法の監督権、現地指導と申しますか、そういう関係の活動と申しますか、監督行政と申しますか、それを今後強化いたすべく、来年度予算等においても現地出張旅費等の要求もいたしております。 それから、災害発生等に対します担保につきましては、一般の鉱業関係全般といたしましては特に鉱業法上は制度はございません。ただしかし、一部鉱物の害の発生に対処いたすべく、現在一部の鉱業権者につきまして、自主的な基金制度というものをつくって、将来それでもって何らかの、災害の発生等につきましてはカバーするように指導をしておるという状況でございます。
○佐野委員 石炭、亜炭の場合は法的に担保の供託というのは規定しておるわけですね。石炭、亜炭だけはそういうのを命じておいて、他の場合は命じていない。しかも法的に担保するものは何もない。 そこで、もう一つ伺っておきたいのですけれども、この共同開発ですか、この会社の木村君というのは、暴力団としての木村組の組長であったということは御存じだったんでしょう。
○江口説明員 出願の当時におきましては、あるいはその後の商号変更の段階においては未確認でございます。
○佐野委員 この事故の起こる前の十月十八日に権利者の変更を、書類は両方出ておるかわかりませんが、商号変更をやっておるわけですね。ですから、前の国土興業というのにはそれは全然入っていない。で、十月十八日になって、商号変更かあるいは権利者変更かわかりませんけれども、この共同開発というのに社長、代表取締役としてなってきておる。これは先ほど申し上げたように全然身分が変わってしまったんでしょう。全然別会社なんですけれども、商号変更という形をとったのかどうか、単なる権利者の変更という形をとったのか、これは相当問題がありますけれども、それは別といたしまして、暴力団木村組がいわゆる解散を警察で宣言をする。解散を宣言をして正業につくということで、共同開発というものを別につくって、ここで鉱業権を引き受けたわけでしょう、実質問題として。そうすれば重役も全然変わってしまっておる。この新しい社長なり代表取締役というものがどういう前歴で、どういう資産状況であるかということは把握もしない。ただ届けが出たから受け付ける、これもしかし少し軽率じゃないか。私は、暴力団を解散をして新しい正業につくことを決してどうのと言うわけじゃありません。しかし、まあそういう実態としてこれは相当な問題にされるべきだし、現地からもいろいろ問題が出てきておるわけです。たとえばダンプを百台も入れる。おそらく乱掘が大きな原因となってきたんだろうと思いますけれども、施業案も何もない。保安係も置いていない。皆さんの招集する会議にも出てこない。保安係を置きますと届け出たが、保安係は置いていない。しかもダンプは灯台も走らせる。付近の山も強制的に買収するというような、いろいろなことが苦情として、問題として起こってくる。そういう場合に、一体監督行政を持っておる通産省は全然そういう声というものを、住民の声なり何なりというものを聞き入れる、そういう苦情の上に処置をとる、監督権を発動する、こういう道というものは全然ないわけですか。
○森口説明員 代表者の木村さんが暴力団に関係をしておる云々ということは、実は事故が起こりましてから、代表者が一体何者であるかということで、私どもが警察等からお話を伺って知悉をした事情であります。 先ほど鉱政課長が御説明いたしましたとおり、現在鉱業権を与えます場合には先願主義でございますので、その鉱業権者の来歴を問うということはいたしておらないわけでございます。国籍の区分による区別は別でございますけれども、一般にはいたしておらないわけでございます。したがいまして、そういう先願主義で与えられた鉱業権者に対しまして、しかるがゆえにさらに監督を厳格にすべきであるというようにおっしゃいますのは、もう先生のお説のとおりでございます。まあ監督の実態を見てみますと、先ほど申し上げましたように事故が起こりますまで一回しか巡回監督をしておらないというのは、監督官の手不足、いろいろな当方側の事情もございますけれども、結果としては十分な監督ではなかったというように存ずるわけでございます。ただ、鉱業権者が暴力団であるから云々というゆえをもって特に差別的な指導をするとかあるいは監督をするというのは、現在の鉱業法並びに鉱山保安法ではでき得ないところでございまして、やはり法規に従ったとおりやっておるかということに重点を置いて取り締まらざるを得ないというのが現状でございます。ただ監督の点につきましては、先生再三御指摘ございましたとおり、私のほうとしても決して十分な監督ではなかったというように認めざるを得ない状況であると思います。
○佐野委員 ですから、いまのお話を聞いておりますと先願主義である、だからというわけですね。ですから、その経営者がどうなっておる、こうなっておる、財産的において補償する能力があるかどうかということも問わない。業者自体が施業案をつくってこい。施業案に基づいてやれ。そこで指導するために会議を招集する。出てもこない。統括責任者を置かなくちゃならない。保安係を置かなくちゃならない。いや置いております。実は置いていない。 こういう現況というものを地方住民なり自治体は一番わかるでしょう。それに対するものを全然くみ上げない。その意思の反映というものを受け付ける場所もない。おれのところは監督権を持っておると言うが、その監督権を行なわない。しかも、ずっと読ましていただいているのですけれども、皆さんのほうの通達なり何なり、省令、規則を見てまいりましても、巡回検査をするなんというのは出てこないわけですね。そうするとどうなんだろうと言うと、予算の関係だ。予算によってわれわれはA、B、Cにきめて、Aはどうだ、Cはどうだというようなことでやるのだ。年度、年度の予算によって違ってくるのだ。こうなってまいりますと、一体地元住民なり自治体はどうすればいいのか。皆さんの予算の関係によって行ない、しかもこれに対しましてこういう声があるんじゃないかということを言う方法も断たれてしまっておる。断たれるでしょう。何か方法があるのですか。こういうことが行なわれておる、これでは困るのだ、こういうことを受け入れる、そういう制度が法的にあるのですか。
○江口説明員 地方自治体の関係につきましては鉱業法の二十四条におきまして、鉱業権の設定の出願がありましたときには関係都道府県知事に協議をいたすことになっておりますことは、御指摘のとおりでございます。その際、各関係の市町村ごとの地域図といいますか、鉱区図を町村の数ごとに添付いたしまして、一応関係の市町村の意見を聞いてもらうということを前提としていたしております。これが一点であります。 それから第二の点といたしましては、現在地上権益者と申しますか、具体的には公共施設の管理者等が当然入ってまいります。そういう意味で地方公共団体が当然入ってまいりますが、その地方公共団体等から鉱業権の実施状況に関する説明要求がございました場合には、特にその鉱業権の実施によって直接影響があると認められます場合には現時点における鉱業の採掘の位置及び採掘深度等について説明をしろということを、これは昭和三十九年でございますが、鉱山局及び石炭局、両局長名の通牒を出してございます。したがいまして、問題があればこういうことで御要求に応じ、説明をさしていただくという関係には相なっておるわけでございます。ただ、しかしながら、何ぶんそういうことでは不十分かと思われますので、今後できれば定期的にやはり関係市町村のしかるべき方を集めるとか、あるいはそれを県にお願いするとかというようなことで、何らかの機会を持ってまいるようにいたしたいと考えております。
○佐野委員 ですから、私の言っているのは、そういうのは法律の制度の上において、あるいは政令あるいは規則、こういう中で明らかにしておかなければ、一般の国民はわからぬですよ、皆さんから出ておる通達なんというのは。今度鉱業法を読んでみて私も実はびっくりしているのですけれども、通達集を読まなければわからなくなってくるのですね。一般の国民なり一般の地方自治体というのは、普通は政令、規則までは読みますが、通達なんというのはなかなか——これは戦争前の通達が生きておるということが、皆さんの場合はずいぶん残っておるわけでしょう。戦争前の通達を参考にしなければならない。しかも新しい通達がまた出てきておる。そういうことに対する住民なり地方自治体の意思を反映させるのだという通達を出したのだと言いながら、それではなぜ法律の改正なりそういうものに踏み切れないわけですか。 そこで、私はそういう意味でお尋ねしておきたいのですけれども、名古屋の監督部と鉱山部ですか、これが十日に高岡市に参った。それで、ときたまたま高岡市議会の建設委員会と産業経済委員会が合同会議を持って、この事件に対する協議中であった。そこへ参考人として御出席願っていろいろな点の質疑がなされたわけですけれども、このとき言われておるのは、この鉱業法というものは明治憲法のもとにできた法律なんだ。だから明治憲法の精神を受け継いでおるのがこの法律なんだ。これが第一点ですね。第二点は、人命尊重なりあるいは自然環境の保存なりというのは明治憲法の中にないのだし、鉱業法の中にも取り入れられていないのは当然なんだ。これが皆さんのほうからの指摘なんです。第三点として、したがって、われわれ監督官としてもこの法律の欠点なり何なりに対してはわかっておるのだ。しかしながらわれわれは法律に従わなければならぬ公務員なんだ。だからそういう法律を変えたいと思えば立法府において変えてもらうように皆さんが努力したらどうだ。正規の地方自治体の経済・建設合同委員会、しかもこの中で、地方の災害地における救済はどうするか、法律的にその方法があるのかどうか、こういうことがわからない中にいながら、地方議員の皆さんが六法全書を引っぱったりして研究しているときに、幸い名古屋から出向してまいった方のこういうことに対する返事としてどうですか、明治憲法のもとにできて、明治憲法の精神を生かされておるのがこの法律なんだ。こういう考え方を皆さん方はいまもお持ちになっておるのですか、どうですか。
○森口説明員 先生おっしゃいましたように、たとえばどういうような状況のもとで鉱山部長あるいは監督部がいたしたのか、本人たちにも事情を聞いて、その間の経緯を聞いてみたいと思います。ただ、確かに鉱業法、鉱山保安法等は淵源を明治時代に発しますけれども、法の運用、解釈というものは当然時代の要請によって時々刻々変わっていくべきものだというように考えております。いまや公害の問題というのは、先生も御承知のごとく当然日本において最大の意を用いなければならない問題であります。したがいまして、現在の法律で、特に鉱山保安法等におきましては、坑内労働者の生命の危険の保護ということももちろん大事でございますけれども、同時に鉱害の防止ということにつきまして全力をあげてやっておるというような状態でございますので、明治憲法だから云々というようなことは、もし言いましたとすれば全くおかしな発言であるというように私は考えます。私どもといたしましては鉱害防止ということを第一にいたしまして、鉱業法並びに鉱山保安法を運用してまいりたいというのが現在の考えでございます。
○佐野委員 そうおっしゃいますけれども、たとえば昭和二十五年に鉱業法は全面改正をやっておりますね。もちろん憲法の前文に主権は国民だという宣言を高らかにしながら、それぞれの条項を示しつつ、それに反する一切の勅令、一切の法令は無効だ、新しい憲法はこのような宣言をやっておるわけですね。前文に明確になっておる。そういう関係で、いろいろと明治時代からその沿革を持つものを昭和二十五年に根本的に改めておると思いますが、その点をもう少し理解されませんと非常に混乱が起こるのではないか。 ですから、皆さんの通達の中を見てまいりますと、第二十四条の「都道府県知事との協議」、この基本通達、これは全く考えられないようなことが現在なお生きておるわけですね。それから個別通達「国立公園ニ関係アル鉱業及砂鉱出願ノ処理ニ関スル件」、昭和十一年二月十日。これは、国立公園における鉱業権設定に対しましていろいろな異議が出ておる。地方長官がこれに対してやっておるということに対して、一切の自然公園というものはもうやってもいいのだ。だから高岡で言われるのは無理ないと思うのです。国立公園といえどもこの通達でいうならぐずぐず言わずに設定してもいいのだ。内務大臣が厚生大臣と協議したらそうなんだから、そういうぐあいにどんどんやりなさいという通達が現在なお生きておるわけですね。皆さんの通達集の中にちゃんと載っておるわけでしょう。これは昭和十一年、港湾法に関する問題も出ておりますが、通達の中にこういうのはちゃんと残っておるわけです。これは明治憲法の精神であり、当時の戦争あるいは防空あるいは資源確保、こういう中で進められた一連の措置、こういう通達がなおも生きておる。ですから、出願に対する許可その他の問題にあたりましても、二十四条の県知事との協議の場合にも、地方長官との関係がそのまま生かされておるというのが残っておるのでしょう。どうですか。
○江口説明員 御指摘のように、現在においても一応二十四条の関係におきましては基本通達の線は残っております。ただし、この点につきましても各県ごとに覚え書きを結びまして事実上の運用は行なっておるということでございます。しかしながら一般的な方向といたしましては、御指摘のような昭和十一年の精神というものは、現在においては大幅に緩和されておりまして、私どもはいわば公益調整という面で時代の要請に応じた鉱業法の運用をしておるというふうに考えておりますし、そういうふうに努力をいたしておるつもりでございます。具体的には国立公園あるいはダムの設置等々がございまして、他の公益と調整をいたします場合には、土地調整委員会を仲介といたしまして、極力他公益を侵害しないように、合理的な調整を行なってまいるようにつとめておる所存でございます。なお、この線は今後も十分生かしてまいりたいと考えております。
○佐野委員 二十四条の府県知事との協議の問題ですが、法律においては二十四条に協議ということになっておりますが、この協議というのは一体公法的な協議だと皆さんは理解されるのですか。任意に受ける協議事項だ、こういうぐあいに解釈されておるわけですか。
○江口説明員 二十四条で申しております「鉱業権の設定の出願があつたときは、関係都道府県知事に協議しなければならない。」ということは、鉱業法上明文としてうたわれておりますので、これは任意ではない。公法上のと申しますか、いわゆる明定された協議であるというふうに考えております。
○佐野委員 そうしますと、これは手続事項としての要件だ、こういうふうに理解していいわけですね。
○江口説明員 御指摘のとおり、手続上の要件であるというふうに解釈しております。
○佐野委員 そうしますと、一体何を基準にして、どういう要件のもとで協議をやらなくちゃならないか、こういうことが当然起こってくるわけです。ところが、先ほど申し上げましたような通達を見て初めて私もわかったのですけれども、これの政令なり規則の中には全然触れてないですね。大事な手続条項であるにもかかわらず、一体協議とは何だ、協議の内容は一体何を基準として何を特定しておるんだ、これもわからないわけですね。これに対して一体どうなのかということで皆さんのほうにも照会しますと、覚え書き通達とかいうもので詳しいものはちゃんとあるんだ。詳しい覚え書き通達によってと言いますけれども、一体どこでそれをさがしたらいいのか。いま申し上げましたような政令あるいは規則を見ましても、これほど重大な手続条項が何ら基準も示されてない。これは皆さんの通達の例規集の中にも出てこない。一体どこにあるんだと言うと、いや実は覚え書き通達だ。私もよくわからないけれども、覚え書き通達によって詳細な基準、詳細な対象を明らかに特定しておるんだ。それは局長と県知事の協議が行なわれておるんだから民主的な協議が行なわれておると言うけれども、これは一体あるのですか、ないのですか。
○江口説明員 先ほども申し上げましたように、基本的には二十四条に基づく基本通達というものがございます。それから、従前協議を行なっておりました地域でございまして特に異議のなかった地域につきましては、一応協議を省略するということになっておるわけでございます。しかしながらこれだけでは不十分でございますので、具体的には各知事ごとに各関係の所管局長が覚え書きというものを結んでおります。これも御指摘のとおりでございます。具体的には、富山県との間に名古屋通産局長が昭和三十五年に「鉱業法第二十四条に基づく協議について」という文書を取りかわしておりますし、覚え書きもいたしております。
○佐野委員 ですから、皆さんのほうもよく考えていただきたいと思うのですが、日米安保条約ですら、この場合はどうだ、区域、装備はどうだと事前協議で特定しておるでしょう。この場合には事前協議は重大な問題なんですから、いわんや手続条項に対してはだれもわからないというのでは、これはおかしいじゃないですか。 私、なぜこういう点を指摘するかというと、これは建設委員会だから申し上げるのじゃないですけれども、都市計画法にいたしましても手続条項としてちゃんと公聴会を開くことが全部明記されておるわけですね。それからその地域におきまして住民が参加をする。住民の参加のもと、住民の意思のもとに町の開発なり将来の都市施設なりを整備していく、こういうために非常に民主的な手続が踏まれておるわけですね。あるいは用途区域の設定なりあるいは私権を制限するという場合におきましても、建築基準法ではやはりそういう民主的な手続というものが踏まれた中で住民が参加する、理解をする、意思を明らかにするということの中で進めていくということがなされてまいっておるわけですね。そういう点だとか、たとえば皆さんは鉱業権も土地収用法が適用できるのだという、この土地収用の場合におきましても、特別用途ということになってまいりますけれども、土地収用のできる対象というものは第三条で三十数項目を明らかにいたしておるわけですね。明治憲法のもとにできた土地収用法におきましては防空なり軍事なりという抽象的な形でやっているのに対しまして、一体公共なり公益とは何だ、これを第三条において三十幾つの項目を明らかにいたして、これが公益だ、だからここで私権の制限も行なえるのだということを明らかにいたしておるわけですね。そういう形で、建設委員会ではいわゆる土地収用法の改正案あるいは都市計画法案、あるいはまた建築基準法案では民衆参加と申しますか、そういう民主的な手続の中で民衆の意見が反映されることにおいて実効性をあげていこうとする。違法な建築に対しましても、そういう形の用途区域を明らかにする中で建築基準法によるところの規制をやっていく、都市計画制限をやる。あるいは市街化区域、調整区域にいたしましても、やはり開発許可制度をとってきておる。そういう形で、この地域における資源をどう活用するか、と同時に将来に対する町づくりをどうするか、こういう形で、明治憲法のもとで出発したものが新しい憲法に沿うようにずいぶん変化をしてまいってきておるわけですね。 そういう点から考えてまいりますと、この鉱業法におけるところの問題は私たちでさえも全く戸惑うわけですね。第一線の住民の生活、権利、あるいは地方におけるところの資源の活用、住みよい環境をつくる、こういう形で建設省の指導のもとにそういう法律が生まれてきてやっておるときに、鉱業法だけは全然なじまないわけですね。監督権はおれにある、設定すればできるのだ、こうなってまいりますと、地方住民はすべてのことに対して参加できるように、異議の申し立てなりあるいは意見書を提出するなり、こういう形において問題を解決していこう、事前に災害を防止していこう、被害の発生を防いでいこう、こういう考え方と皆さんの考え方というのと全然違ってしまうことになってくるわけで、特に二十四条の場合は、皆さんはそう言われますけれども、いま本問題に対する経過を全部取り寄せてどういう協議をしたか、こう見てまいりますと、これは一体何ですか。覚え書きでやっていますけれども、何々の事項、異議あり、なし、マル、バッテンをつけてくれ。マル、バッテンをつけた結果、これはどうなるのだ、だから公益上不当だという、知事はそういうぐあいにやっておりますね、第一回の三十七年のときに。マル、バッテンなんですよ。その他の最近の、皆さんのいわれるモデルケースか何か知りませんけれども、出ておるのを見てまいりますと、これは一体何ですか。こんなことで一体協議となるのですか。二十四条におけるところの抽象的な規定であり、何ら細部規定を置いていない。 時間もおそくなっておりますので急ぎますけれども、皆さんの基本通達というのは、「都道府県知事に協議し、さらに期限を指定して督促をしても回答がない場合には、趣意を通知して独自の見解によつて鉱業出願の処理を行なつても差し支えない。」こういうわけですね。協議条項、協議の対象というものが全く抽象的であり、マル、バッテンである。いま建設省が都市計画なり建築基準法なりをつくってまいります関係上、その法律に基づいて町村の将来の建設構想をつくらなければならないのですから、都市計画も町村の建設構想に基づいて住民参加の上でつくっていくというような形をとってきているわけですね。そんなのに、将来の建設構想を法的に町村がつくるという段階に来たときに、皆さんのほうのマル、バッテンなんというのは、都市計画法なり建築基準法なり、こういうものを踏まえた上でどういうことを一体協議しようとするのか。どういう対象がいけないのだ、こういうのはちっとも書き上げない。自治体に対してどうだ、あなたのところの町の基本構想の中にこういう問題はどうなんだというふうになってくるでしょう。それは全然抽象的になってしまっておる。各局においてどうなんだといってまいりますと、そんなものはないわけですね。この基本通達しかないわけですね。そうでしょう。第二項になってまいりますともっとひどいことをいっている。「従前協議を行ない特に異議のなかつた地域であつて、備付けの資料等から公益害のおそれがないことの認定が可能な地域の鉱業出願については、協議の省略を行なうようあらかじめ都道府県の了解を求め、出願処理の迅速化を期するものとする。」この場合にいたしましても、具体的に一体何ですか。 ですから、この場合を見てまいりましても、出願があった、それに対する片方のものは協議中に出願を取り消してしまった。だから、新しい出願が出てきた前のときに県知事の協議を求めたのだから、これはこの前来ておるものだぞ、了解しろ、了解したものと認める。これは一体何ですか。こんなのをやっているのでしょう。しかも試掘権というのは、この場合で見てまいりますと、昭和三十七年からいろいろ順序を経ておりますけれども、三十八年に設定され、そこから六カ年間のやつが一カ年間延びて七年になっている。だから延びておるときに、無権利の状態の中において採掘するわけですから、皆さんのほうで転願中に何者だということになった。巡回検査だ、施業案がどうのこうの——巡回検査じゃなくて、ときたまとったらもう期限が切れてしまっておる。それで転願中だ。一年間も転願の期間を置いておるわけでしょう。そこでこれは何者だといって皆さんがやったわけだけれども、それはそれとして、ここにおける協議というのは一体何でしょうか。皆さんずっと読んでみなさい。名古屋の写しがちゃんとあるでしょう。これで協議とは、日米安保条約よりももっとひどい。事前協議が問題となっておるときに、政府のほうは特定されたことをあげておりますね、出撃する場合だとか、装備の変更だとか。皆さんの場合はそうじゃないんじゃないですか。この通達だけしかない、あとは覚え書きだ、こういう形でやられておる。二十四条、ここでしか県知事との協力関係がないわけですね。地方自治体その他の関係というものは全然ほかのところに出てこないわけで、マル、バッテンの中に出てきていない。そうすると地方自治体は全然わからないわけだ。二十五条の場合は土地の所有者にも意見書その他を求めるというのですけれども、実は皆さんは求めていない。こんな法律があったって、どうせ採掘する場合には所有者の承認が要るのだから事前に所有者の意見を聞く必要はないというので、実は所有者の意見も聞いていない、二十五条があっても。 こうなってまいりますと、人命尊重なりあるいは自然環境なり地域住民の生活環境なりというものは、全然この法律の中には考えられてもいないのだ。明治憲法そのまま残っておる。私は監督官の気持ちもこういうことから出てきたのじゃないかと思うのですが、どうですか。こういう点を改正しなくちゃほんとに災害というものは防げないんじゃないですか。国から与えられた巨大な権力を持っておる鉱業権を守ることが監督官の仕事。人命だとか鉱山の中における労働者の生命を守らなくちゃならぬのに、鉱業開発、資源開発が最高だ、その権能が国から与えられておるのだ、そういう鉱業権者に対してわれわれは守るのだ。他の地域がどうなっておる、所有者がどうだ、それは双方話をして買収していけばいい。法律にはそう書いてあるけれども実際上は意味ないじゃないかという形で省略されてしまっておる。ですから、施業案が違っておろうとどうしようと、だれもこれに対してはわからない。危険が起こると指摘しても、どこへ話していくか、方法が明らかにされていない。だれもわからぬから、罰則があったって警察も手のつけようがない。何がどうなっているか、一つもわからない。皆さんは検査に来ない。違反が公然と行なわれておる。皆さん、こういう鉱業法の改正に対する検討会でもやっておるのですか、どうですか。やはりこの法が最上のものとしてとられておるのですか。
○江口説明員 先ほどからたびたび御指摘のございます協議の問題でございますが、原則はあくまで個別協議ということで考えております。協議の性格と申しますか中身は、あくまで鉱業権の設定をいたします際のいわゆる関係行政機関内の調整と申しますか、それを円滑に行なうという趣旨でやっておるわけでございますから、具体的には富山県との間で先ほど申しました覚え書きをかわしております。ただそこで、これはいわゆる包括協議という形でやっておるというふうに解釈しておりますが、要するに協議をしなくてもいいという場合をただ一点だけ定めておりまして、いわゆる出願地が既設鉱区と重複している場合、この場合は協議が必要はないのだというふうに、富山県との間に一般的な了解が成立しておるということでございます。 本件の場合は、試掘権のありましたところに採掘権の設定出願がございましたので、それに該当するということでいわゆる採掘権設定の場合の協議ということは省略いたしております。これが事実関係でございますが、こういう制度を通じまして、私どものほうといたしましては当然協議の段階において地方自治体の意向というものは反映されるというふうに考えておるわけでございますけれども、確かに御指摘のような問題があるということはまことにそのとおりでございます。したがいまして、今後やはり何らかの、地方自治体あるいは地方住民の御意見が反映されるような場というものはつくってまいりたいというふうに考えております。 それから法律全般につきましても、実は過去、昭和三十五年から四十年当時にかけまして鉱業法の改正ということも考えておった経緯がございますけれども、遺憾ながらその際はまだ改正法の成文を見るに至らなかったという経緯でございます。しかしながら最近の事態の変遷と申しますか、特に公害安保関係の事態の急迫化ということに対処いたしますために、やはりそれに適合したような制度改正はとってまいらなければならないわけでございまして、今後十分そういう点について検討してまいりたいというふうに考えております。
○佐野委員 もうこれ以上やってもお互いにすれ違いの論議になりますから何ですけれども、もう少し現在の他の法令、憲法に保障された地方自治、このたてまえに立って、現業官庁である建設省ですらあれだけの苦労の中から、問題の住みよい町づくりというのをどう進めるか、日本の今日の状況を打開するために苦労している、そういうのを参考にされたい。皆さんのほうでは、この法律を読んでみますと、他の官庁との協力だとかいうようなことは全然抜けてしまっているでしょう。自治体のほうも抜けてしまっている。そして昭和十何年かの通達がなおも生きておる。だから、建設省が公園法の策定、いろいろなことで努力をしておる中で、昭和十一年の通達がなおも生きて、じゃまになってきておる。こういうような地域開発に対する逆な阻害要件とすらなってきているじゃないか。こういう点も十分検討していただきたいと思います。 最後に、補償問題について一言だけ希望を申し上げて、皆さんの所見もお聞きしたいと思うのですが、こういう場合のように、自然の不可抗力との競合であるかどうか。それから第二点で、鉱業権者の過失だということになってまいりますと、これに対しても重要な問題がある。皆さんの法律からいうと、そういう競合の場合は裁判の場合もしんしゃくしろといろ規定を置いておるわけでございます。こういうことでも、一応どういうことなのか明確にしなければこれはなかなか判断が出ないのじゃないか。裁判官にこういうことを鉱業法で規定づけておるわけです。そこで、いまのような出願の要件その他に対しまして、いま述べられたような関係で先願優先主義をとっておるわけですから、そういう場合に、今日起こっている問題にあたりましても、私は決して、暴力団であった人が暴力団を解散して正業についてやっていこうとする、こういうことを一々非難するわけじゃないのです。そういう場合があったとしても、一体どうするのだ、こういうことに対して、もっと法律の持っておる意味なんかが理解されなければならないのじゃないかということですね。 と同時に、この法律によりますと和解あっせんという問題があると思います。この場合におきましても、イタイイタイ病のとき、皆さんと折衝してみまして、全くこの法律の表面だけしか見ないから、三井鉱山がカドミウムの廃液を流して、これによってイタイイタイ病が発生しておる、明らかに紛争じゃないか、だから取り上げてやりなさい、こう言って皆さんは動かないわけですね。当事者から申請がある場合においては、和解、調停の委員会を開かなければならぬとなっておる。ところが、そう言ったとしても、被害者であるイタイイタイ病の患者の皆さんが紛争の問題を持っていっても、そんなことは君、法律にはそう書いてあるけれども、片方の三井が応じてこなかったら、和解、仲裁、調停にならぬじゃないか。だから、やってもやらぬでも同じことで、どうせ三井で出てこないのだから、こんなものを受け付けてもしようがないのじゃないかという形で、全然受け付けてもいなかったということが明らかにされてまいっているわけですが、そうしますと、鉱業法の中にはこういう紛争に対しまして当然、財産の少ない者だって鉱業権を設定できるわけですから、これによって起こってくる賠償の問題に対して、紛争ということで皆さんは救済の道があるじゃないかということなんですけれども、この紛争に対するところの和解、調停という問題が全くしり抜けといってもいい状態じゃないか。こういう点についてももう少し関係者の間に、こういう制度もあるのだ、こういう中で解決の場を見出そうじゃないかという積極的な姿勢がなければならない。三井の場合に全くあきれてしまうから、逆手をとって百九条でひとつやれば、逆に違法性なり過失の故意の立証をしなくてもよくて、いきなり因果関係に入っていけるじゃないか。民法の訴訟よりもこのほうがいいのだということで、賠償に踏み切らざるを得なかったという経験を思い起こしても、こういう制度を生かすために皆さんも努力をしてもらわなければ困ると思う。一方の当事者が来なかったらこんなものは意味ないのだということ。 それから北電におけるところの鉄塔の問題なんか、たいへんなことだと思いますね。こういう場合に一体どう皆さんが対処されるか。あるいは共同開発の木村君も前非を悔いて、暴力団をやめて正業につくのだということで努力をするということも言っておるそうですけれども、それならそれとして、それにどう対処していくのだということがなかったら一つも問題は解決してこない。やはり原因者を明らかにするということと、地方自治体なり何なりがどうするかという点について、通産省としてももう少し協力的な形でやっていかなかったらどうもならぬじゃないか。建設省関係の、管理者は県知事でありますけれども、道路にしても、一級河川の知事管理の谷内川にいたしましても、やはりそういう態度がなくては全然一歩も進んでいかないじゃないかという気もいたしますので、これらに対してほんとうに誠意をもって——そうでないと、監督権があるにもかかわらず、住民のだれでもわかっているような違法行為をやっていたのに何ら手を下さず、しかも鉱業権というのは、たびたび申し上げますが、土地収用法の対象になるほど強い権利を持っておるのだ、こういうことを考えてまいりましても、もう少し指導というものをやってもらいたい。 〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 特に補償問題に対しましては、そういう実情でありますので、現行法のもとにおいて、非常に困難な中に一つの解決の道をさがしていかなくてはならない。たいへんなことだと思うのです。そういう意味において、各行政機関の協力を通産省とすれば要請していかなくてはならない。そうなると、どうしても鉱業法がじゃまになってくる。おれのところがかってにやるのだ、監督権はおれのところだということで、自治体との協議なんというものは具体的に手続をもってやっていないために、いざとなるとなかなか協力が得られないということになっておることも念頭に置いて、ひとつ本問題に対する誠意ある解決への努力をやってもらいたいと思います。 一応希望を述べて、質問を終わらせていただきます。
○亀山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十九分散会