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66回国会衆議院1971/10/12

法務委員会 第4号

発言数
143
登壇者
20
会派数
4
開催日
1971/10/12

会議録

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これより会議を開きます。  去る九月、本委員会は、司法及び法務行政等に関する実情調査のため、東北地方各県に委員を派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員からの報告を求めます。高橋英吉君。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 それでは報告いたします。  去る九月六日より行なわれました、派遣委員による福島、山形、秋田三県の調査につきまして、私からその概要を御報告申し上げます。  なお、詳細な報告書を別途提出いたしましたので、会議録にとどめさせていただきます。  福島、山形、秋田班は、当委員会の決定に基づき、司法及び法務行政等に関する実情を調査することとし、関係各地方へおもむき、各方面の意見を聴取し、懇談を行ない、あるいは関係諸施設を視察する等の方法により調査を行ないました。  調査の概要とその結果について簡単に申し上げます。  まず、裁判所について申しますと、各管内とも事件数はほぼ横ばいの状態でありますが、事件の内容は次第に複雑化し、難解な事案が多くなっているようであります。  家事審判は、逐年漸減の傾向にありますが、家事調停は逆に逐年増加しており、これは家事調停に対する国民の信頼と利用が高まってきている証左ではないかと思います。  次に、検察庁について申しますと、各管内とも一般犯罪の傾向は、全国的に軌を一にして横ばい状態でありますが、交通関係の業務上過失致死傷事件が著しい増加を示しており、この傾向は、車両台数、運転資格者数の増加もさることながら、運転者らの交通法規に対する順法精神の欠如も看過することができないものと思われます。  公害関係は、各管内ともいまだ起訴するまでに至っておるものはありませんが、各地とも大幅に苦情の申し立てが相次いでおり、これは公害問題をめぐる情勢の変化などから、地域住民の権利意識が高揚してきたためと考えられます。  次に、地方法務局関係について申しますと、各管内の各行政ともその需要は逐年増加の傾向を示し、特に登記事件は、道路等各種公共施設の開発事業や土地改良事業等の進展に伴い、今後ますます急増するものと推測され、これら事務処理については、大幅な職員の増員をしなければ、社会の要請に対応できないのではないかと痛感されました。  最後に、庁舎の整備状況等について視察の結果を申しますと、福島地検庁舎は、資材難時代の二十四年に建てられた木造二階建て庁舎のため、腐食がはなはだしく、その上狭隘で執務環境劣悪の状態であり、早急に改築の必要を感じました。山形地裁鶴岡支部及び同地検鶴岡支部庁舎は、明治四十五年建築のきわめて古い庁舎で、現在地裁、地検の各支部が同居しており、庁舎全体が狭隘である上、採光、通風がはなはだしく悪く、快晴の日でも点灯しなければ執務し得ない状態で、保健衛生上からも放置し得ない実情にあります。右庁舎については、三十四年ごろから地検支部と拘置支所との合同庁舎の建設案があり、また四十三年末には、市から予定敷地内にある裁判所支部、検察庁支部並びに拘置支所の移転要請を受け、その後具体的に移転予定地を示され、交換の協定が行なわれておりますが、現地を視察して、裁判所支部庁舎及び合同庁舎を早期に実現する必要をあらためて痛感しました。  なお、現地において、鶴岡市長からも実現促進についての陳情を受けました。  各管内の職員の宿舎は一般的に不足しており、そのため人事異動等の一つの隘路ともなっておる状況にあり、早期に整備される必要があるものと思量されました。  なお、今回の調整において特に感じた点を二、三申しますと、四階建ての裁判所の庁舎の場合エレベーターの付設がないため、老人などの証人等が出頭する場合非常に不便を来たすのではないか、東北管内の各庁舎には冷房装置が少なく、特に公判廷等での審理促進の面で支障を来たしているのではないか、記録等を保管する倉庫が木造のところもあり、防火対策上問題があるのではないかなどの点でありました。  以上、簡単でありますが御報告申し上げます。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 この際、おはかりいたします。  委員派遣報告書は、これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕      ————◇—————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 本日、最高裁判所長井総務局長、矢口人事局長、瀬戸民事局長及び牧刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑和君。

畑和日本社会党

○畑委員 国鉄総裁に伺います。  最近、国鉄労使の紛争のもとになっております、国鉄当局で進めております例のマル生運動、これに伴う各種の人権問題が続発いたしておるわけです。もっとも不当労働行為そのものが、同時にまた労働者の団結権を侵害するという意味におきまして、これまた基本的人権を侵害することになるわけでありまして、そういう点につきましては、特にきのうの社労の委員会においていろいろ追及がなされ、質疑応答がなされました。私も一部聞いておりましたので、また新聞その他の報道にも出ておりますから、あまり重複しないように質問をいたしてまいりたいと思います。  実は、私も社会党の党内に設置してあります不当弾圧対策委員会の責任者をいたしておる関係もございましたので、今度のマル生関係の調査団、社会党、総評あるいは動労、国労あるいは文化人、弁護士、こういったもので編成されました第二次のほうの北海道の調査団に実は加わりました。そうして私自身は、九班に分かれたうちの東室蘭駅あるいはまた東室蘭貨車区、さらにまた鷲別の機関区、こういった三つのところを見せてもらいまして、同時にまた労働組合の人たちからもお話を聞き、さらにまた各職場長等にも会って、いろいろ不当労働行為があったかないかということについて問いただしてまいったのであります。そして最後に、全調査団の調査結果を総合いたしまして、そうして最後に北海道総局交渉をいたしました。  そういった私の経験からいたしましても、国鉄当局がいままで不当労働行為はない、終始こう言っておりましたにもかかわらず、相当の案件の不当労働行為があったのではないか。あったという疑いがきわめて濃いのであります。私たちの調査したところによりましても、全北海道だけで三百六十二件の不当労働行為件数をわれわれは確認いたしました。もちろん、その点について当局の現場長等にただしましたけれども、いずれもそうした不当労働行為はやってはいないし、今後もやらない、ただ生産性向上運動は、これは大いに今後とも進めます、不当労働行為と生産性向上の運動とは関係が一切ないんだ、こういったようなことで、いろいろ事実を摘示いたしましても、なかなかそれを認めようとしていないのが、私たちの受けた印象だったと思うのであります。私も、生産性を向上しようということ、そのことは壮とするに足りますけれども、結局、結果的に非常に陰湿な労使関係によって、逆に事故等が起こるのではないかということを実は心配をいたしてきたのであります。  そしてその後も、事の成り行きを見ておったのでありますけれども、公労委の救済命令が出まして、それに対して総裁も、最初は軌道修正はしない、不当労働行為、その救済命令に対しては不満だ、こういったような御意見のように新聞等でも見受けました。ところが、昨日社労委員会が開かれるに先立って、国鉄当局といたしましても、この公労委の救済命令には服する、いままで生産性向上運動が歪曲されておったというようなことについては、きわめて遺憾だというような意思の表明があり、救済命令には服します、こういう態度に出られたということは、私はせめてもだと思った。しかし、一体ほんとうに不当労働行為が根絶できるだろうかということについて、私もまだまだ非常に危惧をし、心配をいたしておる一人でありまして、何とか一日も早く国鉄の労使関係が正常になって、そしてお互いに不信感を払拭して、ほんとうの意味の国鉄の再建に邁進することができるような雰囲気をつくることが、私は総裁としても絶対に必要だと思う。  その問題について、きのうも社労委員会で総裁の意向が表明をされましたけれども、さらに当委員会におきましても、あらためてはっきりしたあなたの考え方、いままでについての反省、同時にまた将来についてどうするかといったようなことについての考え方なり方針なりを、まず述べていただきたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 最近の国鉄をめぐります環境につきまして、いろいろ御心配をおかけいたしまして、まことに申しわけございません。私も責任者として、深く不徳のいたすところというふうに思っておる次第でございます。  さて、ただいま先生がおっしゃいました、今後の問題あるいはいままでの問題に対する私の根本的な態度につきまして、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。  現在、国鉄は創業百年を迎えまして、前途に新幹線等の輝かしい未来を見出しながらも、現実は全く有史以来の難局に直面いたしておると申し上げても差しつかえないと思います。私はその責任者といたしまして、従来とも微力を尽くしてまいりましたが、昨今のいろいろな状況、これはもう財政問題から労働問題から全部ひっくるめました昨今の諸般の状況にかんがみまして、ここであらためて国鉄法第一条並びに公労法第一条に示されておりますところの、企業を健全に発展させて、そして公共の福祉の増進とその擁護をはかるという原点に立ち返りまして、四十数万職員の各自の信念と自覚を喚起して、国鉄の再建をはかるという所存を新たにいたしたわけであります。この新しい立場に立ちまして、私は、去る八日公労委から発せられた命令を受諾し、かつ、これを実行することといたしたわけでございます。  これまで、純粋な生産性運動が、いわゆる不当労働行為によって歪曲して理解された事例があったことは、はなはだ遺憾でございます。生産性運動をやっておる連中の中には、全くこういうことと関係なしに、純粋に国鉄の生産性を高めるという気持ちに満ちあふれておる者が多数おりますが、そういった純粋な生産性運動が、不当労働行為によって歪曲して理解されたということは、はなはだ遺憾なことであります。まして、生産性運動という運動に名をかりまして不当労働行為を行なうということは、全く許されないことだというふうに考えます。  本来、国鉄におきます生産性運動は、私の考えでは、まず国鉄を利用してくださる国民への誠意、それから企業としての国鉄への愛情、この誠意と愛情、この二つを基調にするものでありまして、それはあくまでも職員のめいめい、各自の信念と自覚によってのみ発展しなければならないというふうに考えます。  こういう状況によりまして、私は新しい所存を固めたわけでございますが、ただ、何と申しましても四十数万の巨体でございます。その発進には若干の時日を拝借いたしたいというふうに思います。しかしながら、私は私自身の責任におきまして、全力をあげていま先生のおっしゃいました労使相互の不信を払拭いたしまして、国鉄再建に邁進いたしたいというふうに、かたく決意する次第でございます。  以上、たいへん簡単でございますが、私の決意を述べさせていただきました。

畑和日本社会党

○畑委員 総裁の言われることは、一応形は整ってりっぱだと思うのです。ところが、実際にはなかなかそういかないと私は思うのです。大体国鉄における生産性向上運動、マル生運動、このことが、私は不当労働行為にどうしてもつながる必然性を持っておるような気がしてならないのであります。総裁も純粋な生産性運動、本来あるべきマル生運動というのは、不当労働行為に絶対つながらないのだ、人権侵害にならないのだ、こう割り切っておられますけれども、総裁以下言われておるマル生運動というのは、大体精神教育だ、精神運動だ、こういわれておるようであります。ところが、当局が考えておられる精神教育というのは何を目ざすかということになると、やはりいまの状態における国労あるいは動労といったような組合の行き方というものをまるきり否定して、そうした違法なストをやる組合、それを否認するというようなことに当然なる。なるから結局組合を脱退させ、そして新しい鉄労に加盟させよう、その準備のために盛んにマル生運動をやる、こういうことにどうしてもおちいらざるを得ないというような宿命を持っておると私は思う。また、ほかの工場、大企業、こういったところの生産性向上運動とだいぶ国鉄の場合は違うと私は思う。合理化そのものが、技術革新といったようなものが、そうした大工場等でいたしますれば、技術革新とともにずいぶん生産性も向上しようとすればできると思う。けれども、ああして広い地域に列車なら列車を走らせる、その列車には機関士、車掌しかいない、こういったような形でやっているところがたくさんあるのです。これは合理化しようにもなかなか合理化できないという面が相当あると思う。ほかの企業とはだいぶ趣を異にしていると思うのであります。  そして、反面人事管理の面が非常にやかましい。いわゆる管理者一体の原則でなかなかやかましくやっている。そして動労と国労をどうしても忌避するようになる。そうすると、そういうところに入っている人たちは善良な国鉄職員ではない、生産性向上運動を一生懸命進めて国鉄を愛してやっていくような職員としてはふさわしくないというような考え方にどうしてもなる。そこで敵視政策が生まれて、何とかして自分たちの思うようになる、意のままになるような職員を育てあげようというようなことになりますと、もうここまで育ってまいりました新しい意味の近代的な労働組合、こういうものと管理者の考え方とはどうしてもぶつかる。それを盛んに進めよう進めようと下に号令しますと、号令された中間管理者等はそれをひたむきに、それだけ目標にして突っ走るというようなことから、各地に今度のような不当労働行為が頻発をして、最後には自殺者も出すというようなことにもなっておるのではないか、私はかように思うのですが、その点はいかがですか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 私、先生のおっしゃること、非常によくわかるのです。御承知のとおり、いま国鉄の中には国労と動労と鉄労、そのほかの小さいものは別としまして、あと組合に所属していないというふうに、大きく分けて四つあると思います。その中でいろいろ考え方が違っていると思います。各組合によりまして、政治的な考え方も違えば、また企業に対する考え方も違うということだと思います。国労と動労にいたしましても、公労法によってストライキが禁止されておる、これは明らかなことでございますが、そのストライキをやるということについては、私は当然違法性があるというふうに思います。したがって、国労、動労が全部違法なんでなしに、そのストライキをやることにより法律を破る面において違法であるというふうに観念すべきだ、私はそう思います。  そういたしますと、いま申し上げました四つの大きなグループの中でも、グループの中に通じる一つの共通意識と申しますか、コンセンサスがなければいけないというふうに思っております。それはとりもなおさず鉄道職員としての、組合員たる前の鉄道職員としての意識というものがなければいけないんじゃないか。すなわち鉄道職員は国鉄を動かし、そうしてお客さまから運賃をいただき、その運賃でわれわれの生活をささえている、こういう生活をしているわけでございますが、そういう職員である以上、組合問題以前、組合員たる資格以前に職員たる立場、これはどの組合に所属しようと組合に所属しまいと、同じでなければいけないというのが私の考え方でございます。したがって、国鉄職員としての考え方というものは、当然利用者に対してほんとうに誠意を持つことだ、それから企業を愛することだ、この二つが国鉄職員としての本来あるべき生産性運動の基調でなければいけないというふうに思います。それはあくまでも労働問題以前の問題であって、労使関係以前の問題であるというふうに考えます。  したがいまして、そういうところからスタートした生産性運動と労働問題とは必ずしも一緒の次元でない。すなわち、職員として十分自分が自分の信念と自覚でもって考える、その後に、自分がどの組合に入るかあるいはどの組合から出るかということは、もう先生御承知の公労法第四条にきわめてはっきり書いてございまして、職員は組合に入ろうと入るまいと、結成しようと結成しまいと全部自由である。ということは、とりもなおさず職員自身の信念と自覚でもって組合問題というものを考えるというふうな御説示だというふうに考えます。したがいまして、いま進めつつある生産性運動と申しますものは労働問題以前の問題である。ちょうど事故防止ということが労働問題以前の問題であると同じように、生産性運動、国鉄の生産性を高めるということは、とりもなおさず労働問題以前の問題である。そうしてそれは、何べんも申し上げますが、利用者への誠意と国鉄への愛情、この二つを基調とするものであるというふうに考えますと、これが即組合から脱退しなければいけないというふうなことにはならないと私は思います。現に国労所属の職員でございましても、この運動に共鳴し、この運動を強力に推し進めている者もある現状、動労でもしかりでございます。また、組合に所属していない者でもしかりでございます。組合所属のいかんにかかわらず、この運動に共鳴し、この運動を熱心にやっている職員があるという事実は、必ずしも不当労働行為につながるということだけではないと考える次第でございます。  この点、先生のお考えと若干違う点は非常に残念でございますけれども、私は私なりの立場といたしまして、どうしてもいまの国鉄を再建しなければいけないという立場から、純粋な生産性運動と不当労働行為とは、完全に切り離し得るものだというふうに考えるわけでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 生産性向上運動は、そうした労働問題よりももっと別の高い次元の問題、労働組合に加入しようとしておるまいと、国鉄職員である以上は国鉄を愛する、こういう考え方に立たなければならぬ、したがって、この運動を進めるのは、その組合関係とは別の次元だ、それから出発しているのだから、したがってそれさえ区別しておればいいんだ、こういうようなお考えのようでありますけれども、ところがなかなかそうはいかない。幾ら国鉄当局のほうで扱いにくい、また憎らしいと思うような国労や動労でありましても、やはり厳として公労法上ちゃんと認められた労働組合だ、そして労組法、憲法によって保障された団結権がある、こういうことなんでありますから、したがって私は、総裁は形の上では、形式的には優等生のような答弁をされるけれども、現実の現場にまいりますとそうはいかない。そうしてどうしてもその目的を達するためには、国労から脱退をさせて子飼いの鉄労に入れようというようなことになるわけです。あなたのほうで号令かければかけるほど、そういうように末端ではなる。だから、それよりも先に、いままである既存の国労なり動労なりと国鉄当局者がほんとうに意思の通い合う、一応利害の対立はいたしておるとはいいましても、そうしてまた対等の立場であるといいましても、やはり対話をかわそうといったような姿勢の上に立って、そこがうまくいかないと、総裁の進めておられる生産性向上運動も実際には実現不可能だ、私はこういうふうに思うのです。そういう信念を私は持つ。その点、あなたと食い違う。  そういう意味で、むしろ生産性運動、いまのマル生運動、いやな響きですが、マル生運動という形になっちゃったのだが、これを一たんやめて、そうしていままでの国労や動労との労使関係をもっと確立をして、スムーズなものにして、その上に立って明るい雰囲気でマル生運動ならマル生運動、あるいは別な名前で進めたらいかがか、こういうような感じを持っているんですが、どうでしょうか、思い切ってやる気はありませんか。そうでなければ、いまのことをやって何かつじつまを合わして、これは別だ別だと言っても、なかなかそうはいかぬというふうに私は考えるのだが、いかがでしょう。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 実はこの種の運動は、先生御承知のとおり、昭和四十三年ころから現場にほうはいとして起こってまいりました。名前はいろいろ違っておりましたけれども、たとえば国鉄を愛する運動、あるいは勉強するグループとか、あるいは国鉄再建連盟、いろいろな名前でもって各地でぼつぼつ、とにかくこのままじゃだめだ、国鉄はだめになってしまうというふうな角度から、四十三年から四十四年にかけてだいぶ現場の各地で起こってまいりました。ただ、これには指導理念もなしに、何かとにかくしなければいけない、このままじゃ自分たちじっとしていられないというふうな、自然発生的な気持ちがあったことは事実でございます。それが一つのきっかけになりまして、そしてこういう運動に発展し、これを組織づけたわけでございます。  いま先生のおっしゃったことは、私は実際問題としてお説のとおりなかなかむずかしいと思います。現実にこういう問題が起きたことも、むずかしいということの実例だというふうに考えます。しかし、私といたしましては、実はもう国労とは二十数年のなじみでございますし、個人個人とは非常に、どっちかと申しますれば友だちのような関係にある人もございます。そういう意味でお互いの気持ちというもの、意思というものは、決してパイプが切れていないというふうに私は思っておりますけれども、やはり組織体でございますので、必ずしも私ども意見が一致しない点もある。ここで一番大事なことは、国労や動労の人数が減ったほうがいいとか、あるいはつぶれてしまったほうがいいということは、少なくとも私としては考えていない。私自身の経歴から申しましても、非常に組合運動と密接して育ってきた人間で、終戦後そういう道を歩いております。したがって、組合の問題には私自身は相当理解をしているつもりであります。そういう立場でおりますので、いわゆる組合をつぶすとか、組合が減ったほうがいいという気持ちは毛頭持っておりません。しかし、不幸にしてときどき違法なことをする。たとえば一昨年のごときは、一年間に十数回のストライキをやった。そのつど国民に御迷惑をおかけし、そのつどわれわれ自身が国民に対しておわびをする。それはかまいませんが、国民に対する御迷惑はどうにも払拭できないという時点に立って、やはり国鉄職員にそのつど、必ず私は組合に対してそういう違法なことをやめてくれ、やめるべきだということを言っておりますが、それは実行されていないということです。  私はそう考えましたときに、やはり組合員としてのもう一つ前の立場、これはどの組合に属していようと、国鉄職員として当然国民にサービスする義務があるという立場からいえば、国鉄職員としての一つのかまえ、国鉄職員としての心の持ち方というものはなければいけないのじゃないかというふうに考えるわけでございまして、その象徴が国鉄法の第一条であり、また公労法の第一条であるというふうに観念いたしたわけでございます。  したがいまして、現時点におきまして、いままでやってまいりました生産性運動の歪曲された面につきましては、これは徹底的に切り捨てる。しかし、純粋な生産性運動は、あくまでも国鉄職員としての国民に対する義務として——義務ということはちょっと一方的でございますが、国鉄職員としての国民に対する誠意の表徴、あらわれとして、また国鉄企業に対する愛情のあらわれとしてやっていかなければならないというふうに考えておるわけであります。  いろいろ御助言賜わりましてたいへんおそれ入りますけれども、いまこの運動を私自身として——それは決してこだわった気持ちではなしに、私自身国鉄職員としての立場から、ぜひ進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。御意に沿えないことはまことに残念でございますけれども、私なりの考え方で申し上げるとそういうことになるわけでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 その点ですが、先ほども言われました下からのいろいろな、これではしようがないというような運動があったというのですが、それがきっかけなんだ、そうして今度当局でそれをきっかけにしてマル生運動を始めたのだ、こう言われるのですが、私はむしろそのままにしておいて、下から自然に盛り上がるならそれはけっこうな話だ、そういう気分もあるのでしょうから、それを今度あなたのほうで統一的に取り上げてマル生運動として、それで全国に能力開発の課を設けて、全国的にそれを組織している、そして人事権という強力なものを持って、そしてそれを片手に使って、そして管理者一体の原則で、そして人事権を持って、それでマル生を進めるということになるから、結局、ますます在来の国労や動労との不信関係が起きてくる、そして各地に紛争が起こる、そして本来のマル生の目的を逆に達しない結果になる、こういうことになるのではないか。当局が人事権を持っての均一的な、画一的なそうしたことをやるから、あなたの意思にあるいは反して、末端の中間管理者が行き過ぎをするということになるのではないか、こういうふうに思うのです。  それで、私この間調査に行ってまいりまして、きのうの社労委員会でも提出されました例の札幌電力区ですか、あそこの管理目標という例の文書がございます。ここにも手元にございますが、あの問題を見て私もがく然としたのです。なるほどこれじゃいかぬわいと思ったのです。総裁が幾ら不当労働行為はやってはならぬ、こういうことを形の上で言っても、そうは受け取っていないのであります。結局、ああしてマル生運動を進めて、あすなろ会なんというものをつくって、それを初めのうちは当局は覆面でいて、だんだん勢力が増大して過半数になれば、そのときははっきりと覆面を脱いで、当局が国労脱退、鉄労加入ということを公然と推し進める、こういったような管理目標をとにかく中間管理者がきめているのですね。私はどこでも大同小異だと思うのでございまして、そのこともあり、かつ、ついこの間また問題になって新聞をにぎわしました、総裁もけしからぬということを言ったそうでありますけれども、あの水戸管理局管内での、例の新聞に出た管理者の会合、それをテープにとられておりますね。あれによると、不当労働行為は絶対にやってはいかぬのだと言いながら、その口の裏から、また同時に、とにかくこれはどうしてもやむにやまれないことなんだ、そうしてこれはうまくやれ、一対一でやって証拠をとられないようにしろ、こういったような発言まで能力開発の課長か何かが発言をしておるのが、たまたま壁に耳ありでテープにおさめられちゃった、この事実。  そこで、この札幌電力区の管理目標ですか、こういったものと、この間の水戸の管理局管内のテープ、これらを結び合わせますと、どうしてもやはりそういうふうになる可能性がある、こういうふうに思うのです。幾ら総裁がきれいごとを言っても、なかなかそのとおり割り切れるものじゃないので、人事権、管理権というものを持っておるのですから、したがってそれを一〇〇%に使って、あるいは昇給、昇格をえさにして、そうして国労脱退しなければ試験は受からぬよ、あるいは昇給、昇格はできないよ、こう言って陰に陽にしつこく現場長等が弱い組合員を説得をする。そうして中には、国労の脱退届けと新鉄労への加入届けと、これを一連の一つの紙にしたやつに半ば強制的に判こを押させる、それを強要する、こういった人権問題等も起きておる、またいろいろな差別をする、こういうことが出てくるのでありまして、そうして最後には結局追い詰められて、間にはさまって、板ばさみになって死ぬ人すら出てくる、こういうことにもなって世間の批判を買っておる、こういうことになるのだと思うのです。  そういう意味で、私はここでほんとうに考えてもらわなければならぬのじゃないか。そうしたことは、いままでできたことは、やはり結局総裁の責任ということになることは、おそらくもう自分でお考えだと思うのでありますが、この責任を一体総裁はどうとられるつもりですか。その点をあわせて伺いたい。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 じゅんじゅんたるおさとし、非常にお話としてよくわかります。いまの生産性運動が末端までいくと、どうしてもそういうふうな、いま具体的な例をお示しになったような問題に帰着するんじゃないかというお話でございます。ことに、この間の水戸の問題はたいへん遺憾な問題、けしからぬ問題でございまして、これはまさにもってのほかだというふうに私は考えております。もちろん、これがただ一つの例外であるというふうなことは決して私、申しませんが、先生はそういう風潮が全国的にみなぎってきておる、これはもうとめようがないのじゃないかというふうなお話だと思いますけれども、それは私はとめられなくてはいけないというふうに考えます。それには、生産性運動をやっていく上での派生的なそういういろいろな問題についての具体的な注意、具体的な指示ということに欠ける点があったというふうに感ぜざるを得ないのであります。それは、いわゆるいま先生のおっしゃった、うまくやれという意味ではなしに、ほんとうにこの線以上は押してはいけないのだ、これからあとは全部職員自身の自覚と判断以外にないのだということをきちっと教えてやらなければいけない、その指導のしかたに欠ける点があったというふうに私は思います。  したがいまして、ここで、いままでの方針の中から歪曲された、また歪曲されるおそれのあるような方法などにつきましては、具体的に問題を提起して、そして間違いのないような方向、いわゆる私どもの申します純粋な生産性運動にそれを持っていくというのが、一番私としてはとるべき道であるというふうに考えるわけであります。  なお私自身、おまえはどういう責任を感じておるかという御質問でございますが、私といたしましては、非常に私の不徳のいたすところであるというふうに考えておる次第でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 私は、これから以下、若干具体的な例を申し上げまして、どうその点について反省しておられるか、今後どうされるかといったようなことについて質問いたしたいと思います。  まず、一つの人権問題という立場から見ますると、新聞にもいろいろ報道されておりますけれども、自殺事件が相当出ております。これは国鉄四十数万のとにかく大世帯でありまするから、まあいろいろなほかの原因等でも、自殺者が毎年何人かは出るということはあるだろうと思うのです。また最近報道されているような事件、国労あるいは動労等で取り上げておる何件かの事件、こういったものもございますが、これが国労、動労の側からいたしますれば、明らかにマル生運動に原因があるのだ、当局と組合との間の板ばさみになって死に追いやられた、こういうふうに言うておりますが、多かれ少なかれ、直接間接にそうしたものが原因である事件が最近多いのではないか、かように私も思うのです。いろいろ、当局のほうではそれに対して、これはまあ女関係だとかなんとかいったような反論等をしておるのも一部あるようでございまして、お互いにそうだ、そうじゃないとこう言い合っておるようでありますけれども、いずれにしろ、直接間接にやはりこうしたマル生運動というものの紛争に巻き込まれて、悩んだ結果の場合が相当あるような気がいたすのです。  そこで、例をとってみますると、東京の管内で、東大宮の駅の助役の金田周三さんという四十二歳の方が、四十六年九月二十七日ガス自殺をされておる。これは組合のほうの調査によると、この助役が国労脱退を何人かにすすめたということについて、告発をすると言われて抗議を受けた、こういうようなことをやはり考えて、それで板ばさみになって自殺したものと思われる、こういうことになっております。もっともこれを当局のほうでは、これは女関係だとこう言って反論をしておるようでありますけれども、こういう事実もある。  それから鹿児島の竹内照夫さんという、これは志布志駅の予備助役三十九歳の人ですが、四十五年の四月二十八日これも首つり自殺をしている。原因は、妻と駅長あてに残された遺書及び回りの者の報告及び状況からいたしますと、団体募集の成績が上がらなかったということ、また、団体募集について国労の側からいろいろな抗議を受けた、こういった関係でその板ばさみになったものと思われる、こういうふうな報告でございます。  もう一つは米子の藤田安男さんという人、二十四歳の方、美作加茂駅駅務掛、四十五年十一月十一日に農薬自殺をしておる。原因は、組合員である本人の保証人は元局の総務部長であり、その保証人から組合をやめろと言われていた、昇職試験に国労バッジをつけて受験をした、その際配転強要などのことを含めていろいろ試験官にやり込められたというようなことを苦にしておった、こういうようなことがいわれておるわけです。  またもう一つ、さらに旭川管内ですけれども、古川清さんという四十七歳の方、これは旭川客貨車区の車両検査掛、これは鉄道自殺をいたしております。神居古潭のマル生講座に参加、分会長として参加せざるを得なかったという点で、これまた当局との間の板ばさみになったというようなこと、これはまあ間違いのない事実のようであります。  またもう一つ、青函ですが、木元弘二さんという二十六歳の人、二股駅の運輸掛、これは四十六年二月十五日、これまた首つり自殺をいたしております。四十五年春闘でリボンをつけたということ、これを理由に処分をされ、仲間とともに処分無効の裁判を起こしており、本人は原告として証言台に立ってそのことを主張しておったが、この主張に対して現場管理者から何とか言われたというようなことを気にしてなくなったのではないか、こういうことでございます。  さらにまた、最近渋谷におきましても吉井弘君という人が、これまた二十四歳の方がなくなっております。これはノイローゼになり、その後自殺をいたしておるわけでありますけれども、これも何か昇給、昇格の試験の問題ですか、脱退の問題でしたか、これに関連をしていろいろ当局との間にやりとりがあったようでございます。こうしたこと等もいろいろ原因になって、これまた死に追いやられたというような、こういうような六件ばかりの自殺事件があるわけであります。  これにもいろいろ、先ほど言ったとおり理屈もないではなく、いろいろな方面から憶測等がなされるわけでありますけれども、私も、少なくともやはりこうした労使関係の紛争等、あるいはその昇給や昇格などの関連で死に追いやられたと思うのでありますが、こうした事件が頻発をしておるということは、非常に世間からも、マル生運動というのはひどいのだな、こういったような印象、批判を受けておると思う。この点について当局はいかにお考えになりますか、考え方を示してもらいたい。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 最近におきます私のほうの職員の不幸な自殺の問題につきまして、いま先生いろいろ具体的におっしゃられました一件一件の問題は別といたしまして、また、全国の自殺の割合がどうだこうだというふうなことでなくて、私としての総体的なことを申し上げさせていただきますと、実は私も近親者にそういう例を持っております。死ぬ前の行動あるいは遺書等によりまして相当原因が明白であると思われながらも、いろいろ聞いてみますと、やはり非常に複雑な事情があったようでございます。そういう意味で私は、人間の死というものは非常に尊厳なものであり、それに至る過程というものは、決して生きている人間がああでもないこうでもないというようなことを憶測すべき性格のものではないというふうに思います。先ほどお示しのお話の中に、私のほうの者が、何か女の関係で死んだんじゃないかといったようなことを申しましたそうでございますが、私は、そういうことは人間として言ってはいけないことである、いやしくも人が死んだことに対しては、それを自分のほうの何か有利な材料に使うとか、あるいは何かそれをあえて誹謗するとかということは、人間として許されないことであるというふうに思います。やはりなくなった方は静かに眠らしてあげるのが一番いいことであって、なくなったあとでもっていろいろああでもないこうでもないという憶測をすることは、私としては差し控えたい。それが有利であるとか不利であるとかという観点でなく、人間的な立場でもって私はそういうことは差し控えるべきだ。いわゆる労使の問題とは全然別な問題だというふうに考えます。   〔委員長退席、田中(伊)委員長代理着席〕  したがいまして、御答弁にはなりませんけれども、私自身として多数の職員をかかえ、またいまでも年間五十人前後の殉職者を出しております。その殉職者のほかに、そういった不幸な自殺者が出ることは非常に責任者として悲しむべきことでございます。しかしその中で、殉職者のほうは理由がはっきりしておりますが、自殺のほうは、いま申しましたように人間の死を自分で選ぶという、われわれの考えられないような事態になるのは、いろいろな原因があったというふうに私、実例でもって考えておりますので、この際それを当局でも組合でも、その現実であげつらうということは、私は人間として差し控えるべきことだというふうに思いますので、一件一件について申し上げることは御遠慮させていただきたいというふうに思いますが、ただ私、やはり部下の重鎮を失ったということについては、非常な悲しみの中にあるということだけは率直に申し上げさしていただきたいと思います。

畑和日本社会党

○畑委員 総裁のその考え方は、私はある意味でりっぱだと思うのです。こうした紛争にありますと、労働組合は労働組合でこれはマル生の犠牲である、こういうことを言いたくなる。同時にまた当局のほうでもそれに反発をする。最高責任者はそうでないとしても中間管理者等がそういうことの発言をする、こういうことになると思うのです。まあ自殺ですからいろんな原因が複雑にからみ合って、そういうことに追いやられることになると思うのでありますが、少なくともその中で、マル生運動というようなことが多かれ少なかれ相当原因になっておるということであるといたしますならば、その意味においては、その死者の霊を慰めるためにも一日も早くこうした労使紛争を解決する、こういうことが必要だ、こう思うのですがどうですか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 その点は、先ほど申し上げましたことでもって、私は、その死者の死の原因というものは、いまの運動に関係があるとか関係がないとかということを別問題といたしまして、紛争の解決に尽力したいというふうに思っておるわけでございます。死者の弔いは弔いとして、私は人間としてお弔いしたいというふうな気持ちでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 その問題はそれだけといたしまして、人権問題等で考えてちょっと問題になる事件があるのです。こういうことがあるのです。静岡の管内の焼津青年の家で青年研修会を当局がやられた。やったのは九月の二十八日から三十日の間でありまして、浜松機関区の電気機関助士の青野勝次という人と仲田節男という人、この二人の青年が、この焼津青年の家での青年研修会に参加をした。これが本人の意思と相当違って、強要された結果だということが推測をされる事実がございます。  それというのは、開催をされたのは九月の二十八日から三十日まででありますけれども、その前に二十六日と二十七日、この二日間、実は上役に佐藤事務助役という人がおりますが、この人が、この二人を開催日より二日も前に自動車で一緒に連れて、そして静岡まで行っております。しかも、静岡で泊まったところはどこかと聞くと、これが警察の寮でございまして、警察の寮と申しましても、これは集会所みたいなものだと思います。警察関係でやっている集会所、そこでたまには宴会もやったり泊まったりと、こういう警察官の保養所みたいなところだと思うのですが、そこへ二晩泊まらせられている、こういう事実がございます。  というのは、これはいろいろそれまでに家庭訪問されたり何かして、どうしてもこの二人に参加してくれという上からの話であった。それで一時は承諾をいたしたのでありますけれども、どうも本意でないので組合に相談に来た。二十五日の日であります。まあ分会長が、それは参加しないほうがいいだろうとすすめた。ところが、その後保証人等を通じて盛んに圧力がかかってくるし、その後さらに二十五日の晩、機関区の区長さんのところへ連れて行かれた。そして、参加しないと言ったけれども、一番最初に参加しますと言ったものですから、結局はまた説得されて帰ってきた。そして二十六日の朝九時ごろには、佐藤という事務助役が仲田君というのを最初に呼びに行って、それから青野という青年のところへまた来て、そのままタクシーで東名高速道路を走って静岡へ行った。そこで、料金はどうしたのかと思うと、現金六千円をタクシー代として払っている。浜松から静岡まで相当あるわけであります。そして二十六日、二十七日その寮で泊まったと、こういうことなんです。  このことにつきましては、家族もそういうことは一切知らない、おとうさんもどこへ行ったんだかわからない、こうして心配しておる。勤務しているのだろうと最初は思っておった。ところがそうじゃなかったのでありまして、まあ結局参加をすると返事をして、それで参加をしないということになると勤務を放棄したということで、減給処分という処分を受けるような前例、慣例があるようでございまして、したがって、どうしても最初に参加をすると言うと、あとで気持ちが変わって参加をしないということになっても処分をされるかどちらかになる、こういう雰囲気のようであります。  私は、これは問題だと思うのです。一種の軟禁事件ともいわれる一つの人権問題だと思うのです。若い青年はいろいろ考え方が変わるが、一たん返事をしてしまうと、あとはもう何としても連れて行かれてしまう、こういうことになる。しかも、開催が二十八日から三十日ということであるのに二日も前から、例のストライキのときに、かつてやりました労働組合が運転士を抑留してしまう、軟禁してしまうというか、あらかじめ拉致してしまう、あるいはまた当局が先回りしてそれをやらす、こういうような争奪戦がよく前にありました。いまでは自主参加ということで、そういう闘争方針は国労、動労ともとっておらぬようでありますけれども、これに似たような現象ではないかと、聞いて実はびっくりしたのです。そういうことがあっていいのだろうかというふうに思いました。しかも、ここでは三十二名が参加をして、運転関係ではこの二人だけだったそうです。おそらく当局の上のほうから割り当てがあって、割り当てをどうしても消化しなければいかぬ、こういった一つの体質です。そこで無理をしてこの二人に目をつけて、そして家庭訪問などをやった上で返事をさせる。それを、今度不安になるから組合のほうに相談する。行くべきでないだろう、それでまた行かない、こう言うと、前におまえ参加すると言ったじゃないか、こういうことで前にも例がある減給処分だ、こういうことで暗におどかされて、結局は連れていかれる。これが不安だから、いつ逃げられるかわからぬということで、先ほどのストのときの運転士や何かの抑留と同じように、二日も前に、浜松じゃなくて、静岡の現場のほうへ連れていってしまって、そこで泊まらせる、こういうことになっておると思うのです。これについては国鉄当局は御存じですか。職員局長、知りませんか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○真鍋説明員 具体的な事例につきましては、私どものほう聞き及んでおりませんけれども、一般的に、教育につきましてはできるだけ職員には積極的に参加していただきたいというのを基本に考えておるわけでございます。ただ、こういった研修につきましては、強制をして研修あるいは教育機関に入れるというようなことはとっておりませんで、できるだけ本人の了解、理解を得て教育機関に入れる、教育のチャンスを受けてもらうということを基本的な考え方にいたしております。  したがいまして、この場合にも、おそらく本人にも、こういう研修会議だからひとつ積極的に受けてみてはどうかということを言ったのではなかろうかと思うわけでございますけれども、具体的に個々の、先ほどおっしゃいましたような事例があったかどうか、またどのような形でそういうことがあったかということは、調べておりませんので、私どものほうも調査をしてみたいと思うわけでございます。

畑和日本社会党

○畑委員 これは私は問題だと思うのです。こういった組織というか、管理というか、人事管理というか、どうもいろいろそこに問題があると思う。やはり上から命令されて、二人どうしても出さなければならないということであせるあまりのことでもあろうか、上役とすれば。それでこうして無理をして、二日も前にとにかく連れていって泊まらしておく。なわをつけておくわけではありませんけれども、またひっくり返ってはいかぬということだろうと思うのですね。さもなければ、二日も前にわざわざ六千円もタクシー代を払う必要はない。それはどこから出たかわからないが、おのずと何とか課の金から出ているだろうと思うのですが、それからさらに、泊まったり泊まらせたりするその宿泊代等もあるだろう。こういうことまでして青年の家の青年研修会に参加をさせる必要があるのだろうか。これはやっぱりマル生運動にも関係があると思う。  こういった国鉄の姿勢というか、これが私は大きに問題だと思う。こういう問題を直さなければ、なかなかいまの国鉄の官僚主義というか、これは直らない。私、この間行ってみましてつくづく感じました。私も警察関係は、弁護士ですから商売柄よく知っておりますが、警察は、それでもやはり各県に県警本部がありまして、各県でまたおのおの問題がありますると県会等でも追及される、こういうことなんです。したがって、その点私は警察や何かよりも、むしろもっと官僚的な組織じゃないか。人事管理ということが管理一体の原則かどうか知らぬけれども、非常に陰惨なものになっておるのではないか、こういう感じをこの間深くしたんです。やはり体質をこの際改めなければならぬのではないか。四十数万の大世帯、しかもそれは結局国会を通じて、こうしてたまに総裁以下に来ていただいてわれわれがチェックをする以外に機会がない、こういったことなんです。そして上の命令に下はそのとおり従う、批判も何もなく従う、盲従する、昔の鉄道省のなごりが残っておるのではないか、私はそう思う。新しい近代的な公共企業体としての国鉄のあり方は、この問題から推しましても問題があると思う。  それからもう一つ申し上げます。実はこれの勤務扱いの関係なんですが、調べてください。二十六日は、仲田君は乗務の予定だった。それから青野君のほうは公休の予定だった。ところで佐藤事務助役が運転助役に、仲田本人が腹が痛いので乗務をやめると通告してきたということなんです。   〔田中(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 ちっとも腹も痛くもない。つじつまを合わせるためだと思う。二十七日は、仲田は非番ですし、青野の場合は乗務の予定であります。そして二十八日−三十日は、二日三泊の出張扱いとされております。ところであとで調べてみますと、結局二十六日、二十七日は、仲田については事後処理はどうなっているかというと、年休扱いになっている。それから青野については、二十六日は公休、これはよろしい。二十七日が年休扱いになっている。当局が拘束をしておるのに、年次休暇とは何事かと私は思う。拘束されておれば、勤務扱いでなくちゃならぬわけです。その点はどうなのか。これは職員局長答えてもらいたい。これでいいのかどうか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○真鍋説明員 その間の事実につきましては、私のほう承知いたしておりませんが、事実関係につきまして調査いたします。

畑和日本社会党

○畑委員 この関係、ひとつよく調べていただいて、それではっきりさせていただいて、違法であるということになれば、やはりそういうことをした人はこれは処分をしてもらわなければならぬ。一般の職員については非常に厳重ですね。すぐ減給あるいは停職何カ月、こういったようなことになっている。その点われわれのほうに報告が来ているが、幾多の事例がございます。そしてまた、もしこうして行きますと言って行かないということになると減給処分になる。すぐ処分処分だ。その処分処分でおどかして、そして管理者の言うとおりに従わせよう、こういう体質、これが私は根本にあると思う。この体質を改めない限り、私は近代的な国鉄にはならないんじゃないかというふうな心配をしておるがゆえに、あえて申し上げるのです。この点ひとつはっきり調べていただいて、その結果はひとつ報告をしてもらいたいと思います。処分は処分でまた私はすべきだと思う。いいかげんにすごすことはできない。  この事件以外にも、事例がきのうもたくさんあげられました。私もまたたくさん持っておる。私、現実に北海道で調査をしてきたのに、やはり差別の問題あるいはそうした昇給、昇格をえさにして、国労脱退あるいは動労脱退を迫った例が幾つかあるのですが、時間がございませんから、それをいろいろ詳しくは申し上げません。申し上げませんが、そうしたことをやった当局者、中間管理者は、総裁の考え方を間違ってやったのかもしれませんけれども、それはそれとして、そういう意味では、場合によったら総裁以下の中央幹部が私は責任をとるべきだと思う。間違ってやったなら向こうを処分すべきだ。ところが、そういういきさつでうまくやれというようなことなどがあるとすれば、やはり上のほうでこそ責任をとるべきだ、こういうふうに思う。この点やはり責任を明確にしてやることが、総裁はほんとうの生産性運動に徹するのだ、こう言われておるけれども、そうだとすれば、まずこれはいままでのことをはっきりけじめをつけて、処分すべきものは処分する、責任をとってやめるべきものはやめる、やはりこういう態度をとってこそ初めて新しい出発ができるのだと思うのです。その点を十分考えていただきたい。この点、総裁いかがです。簡単でけっこうです。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 先ほどからの具体的な問題につきましては、さっそく調査いたします。  ただ、私のほうでは、やはり官僚主義が残っているという御説示もございました。確かに国鉄の仕事は規則をきちっと守らなければならない面が若干強過ぎるかと思いますが、一方、たとえば汽車を運転するとかあるいは切符を売るとかということについては、規則どおりしなければいけないという面があることも確かでございます。そういった規則どおりするということが、そうでない面について考え方が同じ考え方じゃないかという意味で、官僚的なものが残っているということになると思います。そういう点につきましては、いわゆる汽車を運転するとか切符を売るという規則については、これは絶対に個人の判断は許されません。しかしそうでない、いわばヒューマンリレーション的なものについては、やはり職員各自の信念と自覚がなければいけない。私はそこにこれからの国鉄の基礎を置かなければいけないというふうに思うわけです。私自身の不徳のいたすところにつきましては、十分考えていかなければいけないというふうに考えております。

畑和日本社会党

○畑委員 どうもいまの雰囲気は非常にとげとげしいものですから、私はそれも心配をいたしております。この間実は鷲別の機関区へ参りました。そうして最初に労働組合の事務所に参りまして、いまいろいろいわれておる不当労働行為があったかどうかということについて、現に受けたという人の証言を実は聞いたのです。それがもとだと思ったものですから、それをやって、それから区長さんに会った。そうしていろいろ話をした。ところが、われわれが調査をしておるときに助役あるいは区長までが来て、勤務時間中にあれしている人がおるというようなことを言うてわめいておられました。それであとで、どうもああいうわめき方はぐあいが悪いのじゃないかということで意見を言うたのですが、そうしたら区長さんがいわく、先生方がおいでになるならちゃんと調査を受けるつもりで、もしそういう人の必要があるということならば、その人を勤務中であるときでも呼んで出席をさせる考えでおった、ところがそうでなくて、黙って組合の事務所へ行った者が二、三おるということなんだ、こう言うから、それならば実は私たちも悪かった、しかし、そうすればあなた方も初めから私らを迎え入れてくれたらいいじゃないか、そういう姿勢がなかったにかかわらず、いまになってわめくということは理解に苦しむ、だがそういう考えでおられたことについて、そうだとすればあるいは二、三それに加わった者があるかもしれぬ、しかし、われわれが来て証言を聞きたいと言うから、ほんとうの短時間に勤務に差しつかえない範囲で出てきたのだろうから、そういった人たちにはそういう考えでひとつ大目に見てもらえないか、こういうことでその人たちをかばうつもりで私は団長として申したのです。そうしたところが、処分は処分でいたします、こういうようなことを言うから、それならそれでかってにしろということで、そういう考えなのか、こう言ったのですが、いまも総裁が言われましたけれども、しゃくし定木にいろいろ考えてものをやっても、かえってとげとげしい結果になると思う。そういう点はお互いに反省するところはあるといたしましても、まず当局者のほうでそうけんか腰にならぬということにしてもらって、何でも処分処分というので人事関係でおどかすということだけはやめてもらいたい。そうでなければやはりどうしてもとげとげしくなるものです。ぜひひとつ下のほうには、そういうことでしゃくし定木にならぬようにやらしてもらいたいと思うのであります。これはちょっと感じたことを申し上げました。  それからもう一つ、ちょっと人権問題がございますが、これは刑事問題やなんかまでは至らぬと思うのですが、どうもこういうことはちょっとぐあいが悪い。人権の問題だと思う。これは私が言ったところではございませんけれども、苫小牧の貨車区です。柳田勝治さんという組合員なんですが、この人が結婚するということになった。そこで、どこでもよくあることですが、頼まれ仲人、頼み仲人として区長さんに仲人になってもらうことになった。ところがこの人が国労に入っておったのです。区長や助役はもちろん知っての上でしょうが、最初は仲人になることを区長さんもちゃんと承諾しておった。ところが、国労を脱退しない、鉄労に入らないということで、それでおれは出席できぬ、出てもおまえをほめることができないじゃないか、何が基準か知りませんが、鉄労に入るのがほめることになるというふうに理解するほかないのですけれども、鉄労に入らないということになれば、国労にとどまっておれば私はほめることができないから、私は前にはそう言ったけれども仲人になれないというので、とうとう仲人にならなかった。区長が仲人でということで手紙を二百人にも出した。ところがとうとう出ない。それから岩崎という首席助役、これが区長さんにそう言い渡されたところにちょうど同席いたしまして、おまえが過激な行動を反省して生産性向上運動に協力するのであれば、私は区長にとりなしてもいいんだ、こういうようなことを区長の前で言ったりなどして、助役一同は申し合わせておまえの結婚式には出ない、こういうことを言い渡して、とうとう実際に出なかったのです。こういうことは犯罪やなんかには結びつかないけれども、不当労働行為の一つにもなるだろう。同時にまた、ある意味での一つの大きな人権問題だと思う。これは私も問題だと思ってびっくりしました。私が行った現場ではございませんでしたが、これは久保議員が行った個所での報告であります。こういったこともどうもまずいことだ、人権の侵害だと思う。この点はいかがですか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○真鍋説明員 その事実も私ども承知いたしておりませんけれども、区長がそういった個人的な関係で、たとえば仲人になるのを何らかの理由で断わったということがそういう労使問題とすれば、あり得ないことだと思うわけでございますけれども、これにつきましても、私どものほうで必要なれば調査いたしたいと思います。

畑和日本社会党

○畑委員 ひとつ十分に調査をして、これは厳重に警告を与えるか処分するかしていただきたいと思う。こういう点は全く人間の問題としてほんとうにいやですね。こういう根性を持って、とにかく上役がしかも結婚式の仲人を引き受けてそういう理由で出ない。これは何と申しましてもかわいそうだ。こういうことをやっちゃいかぬと思う。こういうことだから不信の念がわいてくるのです。どうぞその点はひとつ至急に処置をしていただきたい。このことは総裁のさっきから言われていることにも合致することと思うが、この点はっきりやってもらいたいと思います。  それからもう一つ、国労の元組合員と思われる人の奥さんから国労のほうに手紙が来ておるのですが、これをちょっと配ってください。——これをちょっとごらんください。これは長野鉄道管理局内のある国鉄奉職者の奥さんだと思うのです。マル生運動に関して新聞にいろいろ記事が出て、似たような記事が出てきたからでありましょうが、それで思いついた、こういうのですが、家庭訪問をしていろいろ上司の人がねばって、とうとう国労から脱退して新鉄労へ入った人の、腹の中ではどうもそうしたくなかったらしいが、とうとう落ちた人の奥さんのようでありまして、これを読んでもらえばわかりますが、そうした家庭訪問での説得活動がいかに平静な家庭を乱し、遠いところにやられるのじゃないか、国鉄をやめさせられるのじゃないかといったような不安、こういうものを抱く、こういったことが書いてございます。これは一つの投書でございますから、別に具体的な人名をあげるわけにはまいりませんが、こうしたことはやはり九牛の一毛だ。これも一つの大きな人権問題だ。私も現場に行ってみまして、こういう例がたくさんございました。家庭訪問をする、そしていろいろまわりから攻める、こういう事実が現にあるのです。これは調べてもらえばよくわかる。とにかく総点検をしていただきたい。そしてそういうことの根絶をはかっていただきたいということを申し上げたい。  それからまた一つは、向日町電車区、これなどは、私は参加しませんでしたが、第一の調査団の方たちが参りまして現に見てきた。やはり国労に入っておるというようなこと、脱退しないからというようなことを理由にして機関車乗務をはずされて長いこと仕事を与えない。そして草取り仕事をやらしておる。一カ月にほとんど乗務させられない、こうして差別扱いをされておる、こういうことなんです。これは現に見てきた人の報告でありますが、また訴えも聞いたようであります。機関車に乗る人、機関士が長いこと、おまえはだめだということで、乗務の割り当てを受けずに草取りでもしておれということじゃ、これはえらい侮辱だと思いますね。心理的に非常な圧迫を受ける。しかも、それは何かというとマル生運動に関係があり、かつまた国労、鉄労との関係、そういうような脱退、加入の問題や何かにからんでのことのようであります。こういうことも一つの大きな問題だと思います。この点は職員局長気づいておられますか。そういうことがありますか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○真鍋説明員 現在運転区におきましては、一人乗務あるいは回帰キロ延長等の合理化によりまして、一時的な過員が生じておるところが多いようでございます。これらの過員につきましては、年度内には消化する方向でいろいろ施策を講じておるわけでございますけれども、一時的にこれらの過員が出ますので、そういった、主として機関助士でございますけれども、グループをつくりまして交代で、たとえば構内の清掃をやってもらうというようなことをやっておるのが実情でございます。ただその場合に、組合別にそういった措置をするということは全くございません。それは、たとえば草取りにいたしましても、そういうグループを順番に、たとえば一カ月交代なら一カ月交代というような形でやっておるのが実情でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 まあ過員を生じてひまができるので草取りをさせる、そういうこともありましょうが、ここの場合はどうも違うようです。これをひとつよく調査をしていただいて、もしそういう私らの視察団の調査をしてきたことのような意図が含まれての草取りだとすればまことに人権問題だ。この点をよく再調査をしていただきたいと思います。そして改めるべきは改めてもらいたい、かように私は思います。  時間も長くなりまするから、私の具体的な質問については大体その程度でありますが、きょうは人権擁護局長にもおいでいただいており、また労働省の労政局長にもわざわざおいで願って、時間をだいぶ待たして恐縮でしたけれども、最後にお尋ねいたします。  人権擁護の仕事は、一応法務省の人権擁護局でやることになっておる。それで、いろいろ訴えがあれば取り上げるということでもあると同時に、また、ある程度新聞その他世論でやかましくなったような事件は、職権で調査をするというたてまえになっておると思います。そこで人権擁護局としては、この一連のマル生問題についてのいろいろ紛争に基づく、不当労働行為に基づく、また人権問題の立場で問題になっているものがありますが、そうした問題について何らか調査をしたことがあるか、あるいは何もしてないか、調査をしたとすればどういう点を調査し、またこれからどういうものを調査したいと思っていらっしゃるか、それがあったら承りたい。

影山勇法務省人権擁護局長

○影山説明員 この国鉄労使間の問題につきまして、各地の法務局、地方法務局等が、たとえば広島、横浜、甲府、松江等におきまして、人権侵犯に関係があるのではないかということで、いろいろ話を聞いたりあるいは情報の収集をしているという報告は受けておりますが、本省のほうに、その結果についてはまだ報告がまいっておらないという状況でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 法務省は、どろぼうをつかまえたり何かするほうの治安の関係をおもにやっておる役所ですが、同時にまた人権の擁護もやることになっておる。まことに私は奇妙な役所だと思うのでありますけれども、しかし、どうしても片っ方のほうが強く打ち出されるものだから、人権擁護のほうは案外ひまなんじゃないか。それじゃ困るのでして、やはり人権の擁護も同時に半面ではやってもらわなければならぬ。いろいろ情報があれば、情報収集をやって職権ででも調査をしてもらいたい。この問題は相当、ここに総裁おられますけれども、いろいろ世論の問題にもなっておりまするし、ほんとうの意味の正しい労使関係というものをわれわれは願っておる者の一人として、そういう人権問題を根絶するためにも、やはり実際に起こっている人権問題については、勇敢に法務省当局としても調査をしてもらって、はっきりさせるところははっきりさせる、こういう態度が望ましいのです。その点、まだ各地方法務局の何カ所かで情報収集の段階だ、こういう話でありますが、さらにこれを進めてやってもらいたいということを要望しておきます。  それから、最後に労働省関係ですが、わざわざ早くから来ていただいて、あまり質問もしないで恐縮だったのですが、ほかの事実問題や国鉄関係との問答が長過ぎたものですからどうも失礼いたしましたけれども、きのう私も社労委員会である程度聞いておりました。労働大臣の見解なども聞きましたけれども、しかし、当委員会としてまだ特別に労働省の態度、考え方、これからの方針、こういったものについて聞いておりません。したがってその点、労働省側としてのこのマル生運動に対する考え方、見方、それから、これから国鉄労使の関係をどうあなたのほうで関心を持ち、正常なものにしていこうという考えを持っておられるかということについて、最後に御意見を承りたいと思います。

石黒拓爾労働省労政局長

○石黒説明員 国鉄の労使関係につきまして、新聞あるいは国会におきましてしばしばいろいろな指摘がなされております。ただいま非常に労使間の関係が、先ほど陰湿ということばがございましたが、そのような関係になっております。  労働省といたしましては、個々の争議あるいは個々の不当労働行為という問題は、これは公共企業体等労働委員会という機関がございます。これにおいて判定されるべきものでございますので、私ども、個々の問題について、これはいいの悪いのというふうに申す立場にはないわけでございます。しかしながら、そういった問題がしばしば指摘されておる、しかも、そのために労使間の信頼感が失われておるということは、個々の問題を越えまして、労使の基本的関係におきまして非常にまずいことである。で、労働省といたしましては、そういう公労委が当然扱う問題のその底に流れておる労使の不信感というものを除去しなければ、個別問題だけを扱っておったのでは、なかなか国鉄の労使関係はすっきりしないだろうという立場に立ちまして、この不信感の除去、信頼感の回復ということについて、何か労働省としてお手伝いすることができないだろうかということを考えまして、労働大臣が乗り出しまして、御承知のごとく、先週末に国鉄の経営者並びに関係労働組合から事情の聴取をいたしたわけでございます。今後とも、労使間の自主的な話し合いによりまして片づけば一番けっこうでございますけれども、しかし、それはなかなかむずかしいような情勢ではなかろうか、それならば私ども何らかの国鉄の労使関係の正常化にお手伝いをすべき点があるんじゃなかろうかということで、目下模索をしておるところでございまして、今後どのような手段でどのような時期にどう解決するということは申し上げかねる状態でございますが、基本的態度は、そういう立場から、何かお手伝いすることがあるんじゃなかろうかということで乗り出しておるという状況でございます。

畑和日本社会党

○畑委員 それではこれで私の質問を終わるわけでありますが、先ほど来申しておりまするように、また労働省側でもそう言われておるように、いまのこの陰湿な労使関係、こういうものを払拭して、ほんとうに対話をかわし得るような姿勢になってもらいたい、私は心からお願いします。いままでのような、組合否認的なふうに見える国鉄側の姿勢もやはり問題が大いにあると私は思う。やはりその点、生産性向上運動、マル生運動というものも、先ほど私るる申しておりましたように、私の希望は、もうマル生運動は一たんやめなさい、やめてもらいたい。しかし総裁は、純粋な意味のものは不当労働行為とつながってはならぬものだから、だからこれは純粋な意味のものは進めるんだ、こうおっしゃるが、私は、むしろここで一たんやめて、それで正常な労使関係の確立、労使間の不信の払拭、これをまずやって、その上で、労使で話をした上で、その労働組合も一緒に参加できるような、これは理想論かもしらぬけれども、そうした生産性向上。これは生産性向上そのものをわれわれは否定する考えは全然ない。ただそれが、先ほど言ったような人事権というものを持った生産性向上運動が、往々にしてこうした陰湿なものになるということだと思う。その辺を十分ひとつ考えてやっていただきたい。ここで生産性向上運動をやめろと言っても、あなたはいまやめる考えはないとおっしゃる。私はそういう考えを持っているのですが、私の考え方だけを十分考えていただいて、ひとつほんとうの意味の国鉄再建に邁進してもらいたいと思います。  私が言わなくてもわかっていますが、国鉄のいまの赤字というのは、ほんとうにだれも言っているように構造的な赤字ですよ。これはずっと長く続けられた構造的なものでありまして、これをそう簡単な生産性向上運動等によって正常化することはむしろむずかしい。国鉄でありながら、国が出している投資というものが、ほかの公共企業体に比べて非常に割合が少ないというようなことなど、私は根本的に問題だと思う。その点をむしろついて改善をするということのほうが先ではないかとすら思う。これは私の最後の駄弁ですが、そう私は思うのですが、ぜひそういった立場でこの運動をやり直してもらいたい。もしどうしてもやめられないということであれば、ほんとうに総裁の言ったような意味で純粋に考えてもらいたいと思います。  以上で終わります。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 たいへんいい御意見を承りまして、私もいろいろ考えさせていただきたいと思います。  最後に先生から、国鉄経営全般の問題についてお話がございました。まさにいま私どもそういうことで悩んでいる最中でございます。たとえば運賃上の公共負担にいたしましても、関係各省から全部私のほうで請求書を受け取っておりまして、労働省自身も私どもに相当負担をかけていらっしゃるというふうなことで、これは労働省に限らず各省が、国鉄なら何とでもなるんだというふうな御要望が非常に強いと思いますが、おまえのところでやってくれというふうな、いままでのようなそういう安易な考え方——労働省も国鉄問題についていろいろ御助言を賜わるならば、政府として国鉄にこれだけのことを迷惑をかけているのだということも前提として、そういうことも一つの私どもの気持ちのあらわれだということを、ぜひ御了承願いたいということをつけ加えて申させていただきます。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 内藤良平君。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 私は法務大臣、国鉄の磯崎総裁に御出席願って、いまの国鉄の財政再建に端を発したと思いますが、いわゆるマル生運動、不当労働行為、また国鉄のこの紛争、世間を騒がせておるこの実情、こういうものを一日も早く解きほぐさなければならぬと思います。私は運輸委員でございまして、きょうは法務委員会に飛び入りでありましてまことに恐縮でございますが、委員長に発言を許していただきましてありがたく思っておりますが、運輸委員会なり国鉄小委員会におきましても、最近いわゆる現場の管理者が、本来の任務を忘れるとは言わぬけれども、再建のために安全対策なり、よいサービスを国民に提供するための本来の任務を忘れたような中で、いわゆる脱退問題、不当労働行為問題を起こしておるのではないか、これを御注意申し上げまして、国鉄総裁は、私の不徳のいたすところであるという御発言があったわけであります。しかし、きのうの社会労働委員会におきましての質疑応答を通じて私、感じましたのは、国鉄総裁のお考えは、いわゆる不当労働行為は偶然に出たものであって、いわゆる生産性運動は間違いないものである、これは進めてまいらなければならぬ、こういう御発言であったと思います。しかし、私はいまの畑先生のお話にもございましたが、これは形は二つに分かれておっても、今日の国鉄現場の紛争は、この生産性運動に基因しておるのではないか。このことにつきましては、われわれもいろいろの形で調査をしまして、それなりに結論を持っておりますけれども、なかなか国鉄総裁以下最高幹部の皆さんは、われわれの認識に対しては御同意なさらない状態であります。そこで、私は別の角度から議論をして、客観的なある一つの要素なり答えなりが出て、それがまた国鉄の紛争を解決するために有効になればありがたいものだ、こういう謙虚な気持ちでやっておるわけでありますから、前もってお話をしておきたいと思うわけです。  いま国鉄総裁は、いわゆる労働者と使用者、労使の前の国鉄職員として云々というお話がございました。そこで私も、いま国鉄の現場に出ております紛争の中で、いわゆる基本的人権を侵害するような事例がたくさん出ておるのではないか、そういう面から少しくお話をしてみたいと思います。  そこで、最初に村山先生、法務政務次官ですからお尋ねしますけれども、あるいはまた人権擁護局長でもよろしゅうございますが、憲法によってわれわれの基本的人権というものは守られておるわけであります。それにおきまして、人権擁護の問題につきましては国の措置もあるわけですね、いま畑先生からもお話がありましたように。また、これは常識的なものでございましょうけれども、私、五月二十一日、ここにおります国鉄の真鍋常務理事が出席されました運輸委員会でも発言をしましたのをまた繰り返して申し上げますけれども、「憲法の第十四条には法のもとに平等ということばがある。差別禁止ということがある。第十八条には奴隷的拘束及び苦役からの自由ということがある。三十四条には抑留、不法拘禁に対する保障、こういうことで人身保護法あるいは人権擁護委員法がある」こういうぐあいに私も言っておるわけです。私は、地域社会においては、こういう国の措置なりによりましてわれわれ国民の人権の擁護がされておると思います。ただ、いわゆる企業の中で、雇用関係の中で、はたしてこの人権が雇用者と被雇用者の中で正しく守り守られておるものかどうか、こういう観点から少しく申し上げたいと思うわけであります。この関係になりますと、ここに労働省の労政局長さんもおりますから、労働関係になりますると、基準法なりあるいは労働組合法なりがあり、労働者の団結も、これも基本的人権でありますけれども、団結権を認められて、そこで労働組合をつくり、労使の協約あるいは労働者の賛成によるところの就業規則、そういう問題等があって、いわゆる労働者、国民の人権は十二分に守られ、労働条件も向上されつつある、こういうことだと思います。  ところが、日鉄法なりあるいは公労法なりによりますると、いわゆる人事問題といいますか、こういう関係は労使の交渉の事項になっておらない、こういう制限もあります。そういう点から、労使の交渉外といいますか、人事問題といいますか、あるいは雇用といいますか、こういう関係から、どうも管理者側が雇用されておる国鉄の労働者の人権を侵害しておるような事例が多々ある、こういうぐあいに私は調査の中から非常にその感を強くしておるのであります。私は、さっき申し上げましたが、憲法の中でもいろいろいわれておりますが、私たちは、やはり今日の民主的な日本におきまして、奴隷的な環境等は、常識的に考えても、これは人権を無視する職場であろうと思います。あるいは強制的な措置、これもしかりであります。あるいは恐怖心を起こさせるような管理者側の言動とか、あるいは精神的な拘束、これは私は法律家でありませんから、厳密な意味から申すとはたしてどうかということもありますが、一般的に言えば、今日の民主的な日本の中での、しかも企業の中におきましては、しかも国家的な大企業、こういう中におかれましては、この種のことがあってはならぬ。これは被雇用者側も当然気をつけなければならぬ、雇用者側も、当然というよりもこれは十二分に気をつけなければならぬ、こういうぐあいに思うわけであります。そこで、事例として、これは二番せんじのような感じもしますけれども、真鍋職員局長もおりますので、私もう一度これを事例として申し上げたいわけであります。  東神奈川車掌区に山本聖代という方がおります。この方が、安全運転の区長の示達のガリ版されたものを助役から手渡された際に、それを面前において破棄した。こういうことから、この山本聖代君は、本来の業務である車掌の乗務の勤務からおろされて、そして東神奈川車掌区の事務室に臨時の勤務をさせられまして、区長、助役、総数十名くらいおるそうでありますけれども、その監督のもとに、その事務室におきまして机を与えられたわけですね。そして四十日間の規約、法規の勉強という名のもとに教育をさせられた事例があるわけであります。この安全週間における通達、これはガリ版で印刷されたもので、一般区員にPRするような様式のものであったといわれております。それを助役が山本君に手渡しする際に、これは十二分にわかっておるという名目でそれを面前で破棄した。これもある意味では刺激したかもしれません。しかし、本来の命令なりあるいは安全週間の仕事の内容はすでに十二分に周知しておる、ガリ版でこれを刷るほどの一般的PRでございますから。ただ、その間に何かその職場における不愉快なことがあったかもしれませんが、それを面前で破棄した。そこで、けしからぬということで、いまのような四十日間の一種の精神的な苦役に従事せしめられたものではないか。また、この際区長は、これは通達を破棄したものであるから、刑法二百五十八条に該当するものである、こういうことで、おまえは刑法に触れた、これは厳重に罰しなければならぬという意味合いのことを本人に言っているわけであります。この山本君は、これらの経緯のもとに、さらに停職三カ月の処分を受けているわけであります。  私はこの事例を、これは国鉄の業務が安全の問題あるいは大組織ということで、命令の順奉、厳守をしなければならぬということも考えられますけれども、これは明らかに行き過ぎもはなはだしいものじゃないか。命令なり業務上の通達、こういうことでの若干のトラブルを通じまして、刑法を持ち出して本人をおどし、しかも四十日間も管理者十名の監視のもとに、教育という名のもとに、衆人環視ということばもありますけれども、その中で諸法規を勉強させられる。これが、いわゆる雇用者と被雇用者の関係、組合ではなかなか介入のできないいわゆる人事の問題といいますか、管理の問題といいますか、そういう立場でこういうことが行なわれておる。これは私は当時真鍋常務に、このことについてのあなたのほうの資料もつくって、そして早くこれを出しなさい、われわれだけの資料では誤りをおかしてはならぬから、あなたのほうでも資料を出しなさい——これはことしの五月の二十一日です。しかし、いまだに当局側の資料というものは私の手元に届いておりません。これは善意に解釈したいと思いますけれども、その中にもこういうことが——法務省の皆さんにもぜひひとつこれはわかっていただきたいと思うのですが、あなたたちから見ても、われわれ一般の国民から見ても異常な状態がある。国会で指摘されて、しかも五月二十一日にこれが資料要求されても、今日、九月一ぱい、十月に入っても、その質問者の国会議員に資料が来ないというほど、事ほどさようにこういうことは日常茶飯事なんだ、こういうぐあいに疑われてもしようがない国鉄の内容じゃないかと私は思うわけなんです。  それから、いま畑先生からも自殺の問題がございました。これも必ずしも従業員だけじゃありません。雇用者だけじゃなく、いわゆる管理者と職員の関係から見まして管理者側のほうにも自殺者が出ておる。助役の自殺事件、これは東大宮駅であります。金田周三さんという助役さんが自殺をしておられる。九月二十七日に自宅においてガス自殺。この内容をかいつまんで申し上げますと、運転の事故もございましたけれども、この金田助役は一番の古参である。そしてこの金田助役が駅長からの指示を受けて、駅員の方二名の自宅を訪れて、国労の脱退を強く家族に訴えた。いわゆる本来の仕事を離れたとわれわれは指摘しておりますけれども、自宅を訪問されて、そうして国労脱退の強要をされた。ところが、なかなかその脱退がはかばかしくない、また事故も起きた、こういうことで、さらには組合からは、国労脱退をさせることは不当労働行為だ、告発するぞ、こういう強い要望もあった、強い意思表示もあった、こういう中で、家庭の奥さんには自殺する前に、おれはいま組合に不当労働行為で告発されている、この告発を取り下げるには金が要る、だから今月は給料をうちに出せない、こういうことを語っておったそうであります。これは一見すると、組合のほうから攻撃されてそして自殺したようなことにもなるかもしれませんが、しかし、本来の原因はやはり脱退を強要し、それを拒否され、あるいは発覚して組合から追及され、また助役としての本来の任務の運転問題での事故もあった、そういうものが加重して、そしてその中で自殺をせざるを得ないような状態になった、こういうことは客観的に十二分に言えるものではないかと私は思うわけであります。これなども国鉄の現場におきましては、現場長、助役あるいは組合員という中で、あるいは職員という中で、本人の人権が侵害されるような状態が日常茶飯事で、しかも、生産性向上運動あるいは生産性運動という名のもとに行なわれておる、こういう実態ではなかろうかと思うわけです。  自殺者のほかに、また発狂者もおります。発狂者が二人おる。これもまことに悲惨なことでございます。その一人は、中央鉄道学園の佐藤厚生係長、この方が発狂をしておるのであります。またこの佐藤氏は、中央学園の生産性教育研修講座の卒業生の第一号だ。そこで三十人の集団国労脱退を指導した。そして十二月には鉄労、第二組合を結成しました。ところが、このあたりから奇矯なふるまいが多くなりまして、そして当局ではこの方を鉄道病院に入院をさせた、こういうこともございます。  また、これも支区長でございますけれども、原ノ町の客貨車区の支区長の水口喜佐雄さんという方が九月二十三日に発狂しまして、汐ケ崎精神病院に入院をした。これはどういうことかといいますと、マル生運動には積極的でありましたが、復帰者、脱退はしたけれども結局また国労に復帰をした、そういうことから、おまえはどうも成績が悪い、こういうところから本区の指導助役から支区の区長に降職をさせられた、こういうことがあるわけであります。これは、八月の三十一日に検査詰め所で全員を集めて国労脱退用紙を配付し、全員に捺印を要求し、八名中七名に脱退届を出させた、しかしそのあと、うち五名が国労に復帰しておる、こういう状態がございました。そこからおそらく、今日の国鉄の最高幹部から末端管理者までの非常に強いこのマル生運動、その成果があがらない、こういうことからの悩みのもとに、この方が精神病院に入らざるを得ない。本人は、現在は人が近づくと逃げ回ったり所かまわず大声で笑ったりしておる、こういう悲惨な状況であります。  このほかに、平客貨車区、関東学園、仙台運転所、あるいは秋田県の大館駅、あるいは長崎電気区、向田町運転所、高崎保線区、北海道の倶知安貨物駅、千歳保線区、こういうところにもノイローゼ、精神病者になる一歩手前のノイローゼの通院者が、戦後最高にふえておるといわれております。  また、この種の人権侵害と思われることには、いわゆる家庭訪問ということを盛んにやっております。その家庭訪問というものがどういうものか、これはちょっと私、秋鉄管内のことを読んでみたいと思いますが、これは大鰐の駅のことでございます。大鰐駅の古川祐三郎という方が後藤という助役から駅長宿舎へ行けと命令されて駅長宿舎へ行ったところが、駅長からビールを出されて、鉄労に入れ、国労をやめろと言われた。また、大館駅の石岡兼反という方は、勤務の終了後駅長宿舎に呼ばれて、そして国労を脱退し鉄労加入を強要された。その際お酒も出されておる。また、この秋田の車掌区の牧野勝広という方、この方は首席助役の高橋愛武なる人物から区長の宅に呼ばれて、そこで国労脱退、鉄労加入を言われておる。あるいはまたこういう例もあります。秋田車掌区の八柳勇という方は制帽をなくした。そこで事務室にもらいに行ったところが、その制帽をなくしたという弱みにつけ込んで、これに判こを押せと言われた。それがその国労脱退、鉄労加入の書類であった、こういう例もあります。  これは数限りなくあるわけですけれども、まあこれは法務省なり労働省の皆さんにも私は御参考にしたいと思っていま読み上げてみたいと思います。大体一時ごろまでに終わりたいと思っていますが、まだまだこういうことがある。こういう例もあります。秋田車掌区の村田宗一という方は、やはりこの首席助役の高橋愛武という方から呼ばれて、おまえは国労から幾ら金を借りているか、十万円借りている、それなら十万円返せば鉄労に入るかということで、助役が庶務掛の木曽という方に命じて共済から金を借りて、そして十万円を国労に返せ、それなら鉄労に入れるだろう、今度は当局との関係で義理が生じたから、国労脱退、鉄労に入ったら、こういうやり方もある。こういうぐあいに申し上げていきますとまだあります。秋田県の男鹿駅の鈴木和雄さんというこの方は、今度は宿舎に呼ばれたのではなくして、自宅に土井という助役と真田という庶務掛が来て、そして休養中の彼に国労脱退、鉄労加入の用紙を突きつけて判こを押せと強要されておる。同じ駅の根布谷征雄という方も、栗林貨物助役が自宅に来て、そして国労を中傷誹謗して国労脱退、鉄労加入を一時間以上にわたって自宅、いわゆる本人の自宅でこれを強要しておる。また秋田車掌区の田村圭三という方は、先ほど来のこの助役の高橋愛武という方に区長室に呼ばれて、すでに区には新しい考えを持っている人が大多数だから、君も村八分にならぬようにしろ、そして国労脱退、鉄労加入の用紙を出して判こを押せと強要をされて押した、こういう事実がある。また男鹿駅の古仲弘志、この方には、違う駅でございますけれども、土崎駅の山田啓四郎という助役が泥酔して勤務中の事務室に入ってきて、生産性運動、マル生に協力していないことや、国鉄の現状はどう思うかなどわめき立てて、そしてストをやるつもりかなどしつっこく聞くので、仕事中であったけれどもその職場から逃げ出したところが、追いかけてきてえり首を絞めてげんこつで頭をなぐりつけた。国労の誹謗は聞くに忍びなかった、だから私は勤務中だけれども逃げた、逃げたところを追ってきて、またえり首を絞めなぐられた、こういう実例もあります。また秋田県の大鰐駅の三上友造という方、ここにも駅長と助役が家庭訪問しまして、そして国労脱退、鉄労加入を強要された。五所川原駅の垂石松蔵という方も、これもやはり助役が自宅に参りまして同様のことを行なっている。  こういうぐあいに述べてまいりますと、とにかくたくさんの事例があるわけであります。これはマル生運動という名のもとにやっているわけでありますけれども、雇用関係の中で管理者、いわゆる上役がその部下に対して、国労を脱退し鉄労に入れということを強要しておる。しかも国労にいま入っている方を、その本人の意に反して、いわゆる上役という立場での強制力をもって、その方を精神的に拘束をするといいますか、ねじ曲げて、そして国労を脱退して鉄労に入れ、こういうことなんです。本人がどこにも入っていないでまっ白な方であれば、これはあるいは幾らか許されるかもしらぬが、しかし、国労に入っている方を自宅訪問あるいは自宅、区長室に呼んで、そこでいままでと逆の方向に行けということを上役の立場でそれを強制する、つくっておった書類に判こを押させる、あるいは帽子をなくした場合に、その弱みにつけ込んでやらせる、国労から借金をしておった場合には、借金をこっちで肩がわりするからどうだというぐあいにやる。  そういう中で、先ほどのノイローゼの関係でございますけれども、家庭の奥さんから、これは投書でございますから匿名ですけれども、こういうのがありました。「突然お便り申し上げます。私一国鉄職員の妻でございます。実は今朝の新聞(九月二十一日)を見て「マル生運動による不当労働行為に対し全国対決を打ち出した国労」と云う見出しで管理職が職員宅を訪問して国労脱退を勧誘したとの記事を見て思い出した次第ですが、実は主人も国労の一員でした。今年の初めより上司の方から強く脱退をすすめられましたが、「オレは一人になってもぜったい国労からは身を引かない」と云って居りました。そんなさなかに管理職の方が、社宅に見えまして「もしおくさん御主人が国鉄をやめるような事があったらどうする」とか「国労を信じているのか」などと二時間余りにわたって話して行きました、それまでは私も主人の苦しむ様子を見て「たとえ一人になっても頑張って!」とはげまして来ましたのに、管理職の方が見えてその日からもしこれ以上国労に残れば、もしや首になるのでは、それともどこか遠くへ転勤にでも……と思っていつもおびえて居りました。管理職の方のそのような一部脅迫を思い、いつか公労委に訴えたいと思って居りました。労働者から労組を取ってしまえばいったい我々には何が残ると云うのでしょう。公労委の皆様を信じて居ります。乱筆乱文失礼致します。」これは長野の鉄道管理局のことです。ことしの九月二十五日にこの手紙が国鉄の組合本部に届いておる。  こういうぐあいに事例を申し上げましても数限りないわけですが、私はこういうことを申し上げて、これは専門家でしょうから、人権擁護局長はどうお考えになりますか。これは上役としての関係、マル生運動ということで、総裁はこれはどうしてもやらなくてはならぬということでやっているわけだが、不当労働行為はさておいて、その職場の長とその部下との中で日常こういうぐあいに行なわれておる。私いまずっと申し上げました。冗漫にわたりまして恐縮でございましたけれども、いかがでございますか。こういうことが、いわゆる労使の問題なり不当労働行為はさておいても、いわゆる基本的人権を持っている人間の職場の中においてこういうことが行なわれておる。しかも全国多数あまたの職場で行なわれておる。これをどういうぐあいに考えるか、人権擁護の立場で御見解なり御発表願いたいと思います。

影山勇法務省人権擁護局長

○影山説明員 ただいま御指摘のありました個々の事件が直ちに人権侵犯になるか、一々の事件について具体的な資料もございませんので、個々の事件について申し上げることは、この際差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しまして、労使間に差別があり、あるいは強制圧迫というようなことがあるということは、これはもう人権侵犯の疑いがあると言わざるを得ないわけでございます。  ただ、私ども人権擁護機関で扱っておりますのは、すべての権利の侵害というものを擁護機関が全部直接に扱うということではございません。御承知のように、基本的人権を守るためにいろいろな法律の制度ができておるわけでございまして、たとえば労働問題で申しますれば、労働法制というものがございまして、これにさまざまな救済方法が設けられているわけでございます。したがって、第一次的には、労働問題につきましてはまずそういう救済方法がはかられるべきであると思われます。しかし、いまも申しましたように、一般的に申してやはり労使間であれ何であれ、差別とか強制圧迫ということはもちろん好ましくない、人権上好ましくないというふうに考えております。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 村山先生、法務次官として、国の機関である国鉄の職場の中に、日常こういうことが行なわれているということがある程度おわかりになったと思いますが、これは労使という対立関係だけでなくして、職場において長と部下といいますか、職場の中で人権が守られておるのかどうか、こういう立場から御所見いかがでありましょうか。

村山達雄自由民主党法務政務次官

○村山説明員 そのことに直接お答えする前に、一般的なことを若干述べることを許していただきたいと思うのでございます。  御承知のように、戦後わが国の制度で基本的人権の擁護ということが非常な大きな礎石になっているわけでございます。そしてその精神は、おそらく各制度にわたって具体的に法律制度としてでき上がっておることと思うのでございます。法務省におきましては人権擁護局というのがございまして、職員が全体で二百人足らずでございます。そして人権擁護委員は市町村からの推薦に基づきまして約九千名、法務大臣が任命をしておりまして、これが一般的に申しますと、人権擁護の重要性についてのPR、これを第一に受け持っておるのでございます。しかし、具体的なやり方といたしまして、個々の事件について相談がございます、あるいは人権侵犯事件としての申し立てがございますと、もちろんこれを取り扱っておるわけでございますが、いままで相談事件を見てみますと、年間二十四万件に及んでおります。しかし、そのうち人権侵犯事件として調査をいたしましたものは大体九千件くらいでございます。その人権侵犯事件としてやりましたものの、実はわれわれのほうには、事柄の性質上強制調査権がございません。当然任意調査でございまして、当事者からいろいろ聞きまして、まず良識的の判断、憲法に基づく人権擁護の観点から良識的判断をできるだけ当事者に説得、あるいは行政的な改善措置、こういったことを説示しておる。あるいはそういうことはやめたほうがいいじゃないですかというような、口頭でやるものがほとんど大部分でございます。それから、特に文書で所管省に勧告して、こういう点はどうもいかぬじゃないかというようなことをいっているのは、実は統計を見ておりますと年に三件くらいしかないということでございまして、これから考えましても、あらゆる権利侵害を当人権擁護局は取り扱うということでなくて、そういう考え方の重要性をPRする。そしてまた人権侵犯事件として具体的な法規ではなかなかむずかしい良識問題につきまして、当事者にそれぞれ良識の範囲内で説得している、こういうのが主なのでございます。  そして、先ほどから私、伺っているのでございますが、したがって、いままでわれわれが取り扱っておりますほとんど大部分のものは、いわばそういう法律、知識の両方を持ち合わせていない人々の、たとえば住居の問題でこのごろは非常に問題が起きておる。あるいは家族の間の圧迫事件とか、そういう法律になかなか乗りがたいものを主として扱っているわけでございます。  ただいま聞いておりますと、国鉄当局並びに組合、これこそまさにある意味で申しますと戦後における非常に権威の高い、高水準の当事者であると私は思うのでございます。それに関する労働問題あるいはそれに伴ういろいろな派生問題が、いま人権擁護の立場からどうかというお話でございますが、それを一般的に申しますれば、ただいま擁護局長の言ったとおりだろうと思うのでございますが、この問題は、必要があればもちろんわれわれは情報を収集し、調査をすることにやぶさかではございませんけれども、こういう問題は、おそらく高度の知識を持っておられる国鉄当局と国労の間の問題でございますので、どうかひとつそこで十分お互いの立場を理解されてそして話し合いを進める、そしてほんとうの意味で人権擁護に違背がないように、当事者間の話をぜひお望みしたいと思うのでございます。抽象的に申しますれば、もちろん憲法の諸条項に触れたことは、これはいかぬことは当然だろうと思います。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 時間もあまりありませんから結論を急ぎますけれども、磯崎総裁はきのうの社労以来、不当労働行為はいわゆるマル生運動、生産性運動の中で歪曲されて現場に出てきてしまった、これは私もどうにかせねばならぬという意味の御発言があったと思います。しかし、マル生運動、生産性運動というものは、これは純粋の意味で必要なものであろうと思っておられる。確信ゆるぎない、こういうお考え。ところがそれは、私はいわゆる労使間の考え方、いわゆる労働問題としての対労組というお考えでの御発言であろうかと思うのであります。磯崎さんの確信は、総裁と部下職員という関係から、いわゆる昔の愛社精神のような生産性向上運動だ、私は信念としてやっていきたい、こういうことで不当労働行為とは違う。いままでわれわれが、この一月から調査をしておりましても、しばしば当局側の皆さんから聞いておりますのは、不当労働行為はやっておりません、やらない、やらしておりません、生産性運動は違います、こういうことでわれわれのほうに答えておられました。ところが労働問題ということで、労使の関係はさておいて、総裁と部下という関係になって、生産性運動をやらなくちゃならぬ、そういう発想のもとに出てきておる現象が、やはりいま私、事例を申し上げたように、現場では、いわゆる従業員、職員の人権をじゅうりんし、無視するような上司の言動が全国的に行なわれておる。これが、あなたが信念とするところの生産性運動の末端における現象だと言って間違いないと私は思うのです。私たちこの問題に取り組んでからもう半年以上になりますけれども……。  そこで私は、労使の問題をさておいて、総裁と部下、管理者と部下、国鉄職員と最高幹部のこの関係の中においても、あなたの進めておる運動は、部下の人権を侵害しておる事例があまたあるんではないか。この実情をお認めになりませんか。まずそれをひとつ簡単に。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 先ほど畑先生に申し上げたとおり、私がやっております生産性運動は、あくまでも国鉄職員としての運動であると、るる昨日来申し述べたところであります。それを自分の組合運動にどう適用するかということは、これは職員自身が自分の信念と自覚でもって判断すべきものだというふうに考えます。  先ほど来いろいろ具体的な事例をお示しになりましたが、そのうちで一つ私は申し上げたいのは、不幸にしてみずから命を断った人、あるいは少し気持ちが変になった人ということに対する一方的な御観察は、私は先ほど申しましたように、これは死者に対する礼儀であり、また、あるいはいま病院にある者に対する一つのあわれみとおぼしめして、これを単に、原因を簡単にお片づけにならないように、ぜひその点は触れないでいただきたい。私も触れさせません。しかし、簡単に、あいつはマル生で死んだんだとか、あるいは女で死んだんだということは、まことにおそれ入りますが、そういうことは、私の部下でございますからおっしゃらないでいただきたいということを、この点をくれぐれもお願いしておきます。さっき畑先生も、おまえの言うことはわかったとおっしゃっていただきましたので、その点はお間違いないようにお願いいたします。  それから、先ほどのお話の中で、冒頭の車掌の問題でございますけれども、いろいろ事故が起こりますと、国会でも、先般の酔っぱらい運転などのときも、結局職員管理が悪い、職員に対する伝達が不十分だということで、ずいぶんあのときはおしかりを受けましたけれども、私どもも国鉄運営の責任者として事故を起こさないことが何といっても一番大事であるという意味で、家庭を訪問して休養管理についていろいろ意見を伝え、あるいはまた運転上の種々の達示、ことに車掌とか乗務員のように、常に自分の手元にいない者については、やはり書いて渡しませんと、単に掲示しただけでは命令が徹底しないということで、この前も非常に国会でおしかりを受けております。その意味で、具体的な運転上の規定あるいは達し、命令等につきましては、これを紙に書いて各人に渡すという相当的確な方法をとっておるわけでございまして、それをおれは知っているからといって目の前で破くということは、その点ちょっと、さっき必ずしも穏当でないとおっしゃいましたけれども、そのことはやはり労使以前の問題だ、やはり職員としてのモラルの問題であろうというふうに考えます。それに対して四十日間区長室勤務させたことがいいかどうか、非常に期間が長いか短いかは別問題でありまして、これは反省してもらわなければ、安心して電車に乗務させるわけにいかないというように判断するとするならば、ある程度のそういう別な勤務をさせる、そして規定を十分勉強してもらう、させるということは、これは管理上必要であるというふうに思います。ただ、そういうような日にちが長い短い、それは一応別といたしまして、考え方といたしまして、乗務員として一番大事なそれを目の前で破るということは、行為としては穏当でない、どの組合員であろうと組合員でなかろうと、それはけしからぬ、いけないことであるというふうに思います。それに対する一種の今後の戒めとしてそういうことをしたことが、日にちが長過ぎる短過ぎるの問題は別といたしまして、ある程度の勉強をしてもらわなければいかぬ、安心して一人前の乗務をさせることができないということは、お認め願えると思います。  その他の事例につきましては、主として先ほど来拝聴いたしておりますと、いわゆる労使関係の不当労働行為的なにおいが非常に強いと思います。その点につきましては、昨日も私るる申し上げましたように、いやしくも生産性運動に名をかりて不当労働行為をするということは許されないということを申しておりますし、十分その点について徹底が足りなかったという点がいまのような結果になっていると思いますので、その点は十分徹底するように、私は全責任をもって今後やっていくというふうに申しておる次第でございます。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 そこで、ちょっと国鉄総裁にあれですが、あなたは、ことばは違うかもしれませんが、考え方として、国鉄再建に協力しない者は国鉄から去れ、こういう意味のことを言ったことがありましたね。それからこういうことばもありました。これは天王寺の鉄道管理局での管理体制の強化についてでありますけれども、総裁は、再建に協力しない労働組合と対決する方針である、こういうことをあなたの思想、お考えとして言っておられる。それを受けて現場の総務部長あるいは能力開発課長らは、生産性運動に不熱心な管理者は首だという趣旨の言辞を弄しておる。これはもう全国的に言われております。こういう最高幹部の発言あるいは局長、総務部長など地方鉄道管理局の幹部の発言、それが生産性運動の展開の中で、現場の長が部下職員に対して、部下職員の人権を侵害するような言動になってあらわれておるとあなた思いませんか。いろいろ御釈明ありましたが、程度の差はあろうがそういうことを言っております。しかし私は、さっき村山次官もおっしゃいましたが、最高と思われる国鉄の労使だ、しかも国の機関だ。最近は出かせぎの飯場等におきましては、ひどい雇用状態があることは私らも知っておりますけれども、ほとんどこういうことがないと思われておる最高の職場の中で、私は事例的に申し上げて、やはり人権を侵しておるような地方の上役の言辞があるということを申し上げた。あなたの国鉄に協力しない者は去れとか、あるいは生産性運動に協力しない者は、現場長、おまえ首だ、こういうことが日常茶飯事に言われておる中で生産性運動が展開され、そして人権を侵害するような実情、事例になっていると私は思うわけだ。だから、ここで生産性運動なるものは人権侵害しておると私は断定したい。人権侵害の疑いもあります、あるいはそういうぐあいに言ってもいいかもしれない。  そういう生産性運動を、きのうきょうの段階で、あなた純粋ということばでいろいろ形容詞を使っておりますけれども、まず私はここでストップすべきだというように思います。そうでなければ、この種の人権侵害なり不当労働行為は、なおこのあと私は全国的に続々と出ると思うわけです。いかがでございますか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○磯崎説明員 再建運動に協力するとかしないとか、あるいは生産性運動をやるとかやらないとかということでなしに、私どもが考えなければならないことは、いやしくも国鉄職員として国民に国鉄を利用していただいて、そして運賃をいただいて月給をもらう、簡単に申せばこういうような関係になります。そうすれば国鉄職員として、国鉄を利用してくれる方に誠意を持つこと、それからやはり自分の企業に対して愛情を持つこと、この二つは私は職員としての最低の条件だと思います。その条件を満たせない人は、これは残念ながら私は国鉄職員としての資格はないと言わざるを得ないと思います。もちろん、この条件の考え方あるいはそれに対するニュアンスはいろいろあると思います。しかし最小限度、これはどの組合にいようと、あるいは管理者であろうと、組合に入っていなかろうと、いやしくも国鉄職員としては、その二つだけは最低の条件として持つのがあたりまえだ、私はそう思っております。  したがって、私は、すべてその二つを基調として今後の問題を解決していきたい。その二つが要らない、国鉄なんかどうなってもいいんだ、お客さんなんかどうでもいいんだというような気持ちを持って国鉄の仕事をされたんではかなわぬということを、私は申し上げておるのであります。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 四十六万人といわれる国鉄職員、もう年齢四十何歳になっている方が平均でございます。親子何代という方が多いのです。最近入った方々でも、最近の変わった、複雑な時世の中で国鉄に職を求めた以上、国鉄の再建なり業務に協力しないということを、入るとたんから、あるいは入って何十年になった方が、そういうお気持ちになっているということは私はまずないと思います。これは総裁も、あなたも国鉄人だからよくおわかりだと思います。不逞無頼の連中を集めてそして国鉄を運営しているわけではないんでしょう。百年の歴史を持っておる、厳重な採用試験あり中間の登用試験あり、しかもいま申し上げたように、先祖代々国鉄なんという方もおるのですから、そういう中であなたがおっしゃるのは、何か私は理解できないのですね。国鉄の再建の最もポイントはどこにあるかということは、運輸委員会等でも議論されていますとおり、職員だけにあるわけではありません。大ざっぱに言いますと、私は国の今日までの財政的な援助が非常に弱かったから、これが大宗じゃないかと思っておるのですが、そういう面につきましては、われわれも努力が足りないけれども、国鉄全体、政府全体の中でまだ解決策が出ておりません。そういう中で、あなたのいまのようなおことばがあり、そしてあなたの非常に高圧的と思われる言辞が、前総裁石田さんの時代と比較して恐縮でございますけれども、あなたの時代になりましてから、国鉄を去れ、あるいは現場長、おまえがマル生運動やらなければ首だ、こういう高圧的な言辞のもとに生産性運動が行なわれて、そして部下の人権も侵害してブルドーザーをかけている、あるいは不当労働行為になっておる。こういうぐあいに、私はあなたからやはり反省ということは、まあ私おこがましいことばで恐縮でありますが、やはりそういうことをお考えにならなければ、ますます私は、きのうのあなたの決意もございましたけれども、今度の紛争というものはなかなかおさまらぬじゃないか。やはり人権問題から見ても問題のある、あるいは不当労働行為から見ても問題のある生産性運動をここで中止をして、そして法務省なり運輸省なりその他の皆さんの衆知を集めて、いかにして国鉄を再建するか、いわゆる労使協調、労働省の皆さんの御意見も十二分にこれを取り入れてやるべきじゃないかと私は思うのです。  そこで、これで終わりますが、村山次官いかがでございますか。私は人権問題に焦点をしぼって国鉄の労使問題を論じてまいりましたが、結論的に、人権問題から見て国鉄の現状というものを打解する道がないかどうか、総裁と私のやりとりの中でも、法務省なり人権擁護の立場で一言だけお聞きして終わりたいと思っております。

村山達雄自由民主党法務政務次官

○村山説明員 だんだんお話を承っておりまして、私はことばのやりとり以上に、お互いの主張点がよくおわかりになっていると思うのでございます。私たちは人権擁護の立場を一貫しているわけでございますが、重ねて申し上げますが、ぜひひとつ労使の間でこの問題をとくと話し合って、そしてまた解決を進めていただきたいことを心からお祈りするわけでございます。

内藤良平日本社会党

○内藤委員 時間がありませんのでこれで終わります。どうもありがとうございました。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時六分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沖本君。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 私は、新潟水俣病事件の判決が、一応原告の勝利で終わったことは非常に喜ばしいことであります。また、きのうきょうのテレビ、新聞を見ますと、原告側のほうも、裁判の判決の意義を意義あらしめるために控訴はしない、こういうふうな内容の発表があったりしました。こういう判決とは別個に、公害事件における被害者救済の法制度として、現在の法制度がはたして必要かつ十分のものであるかどうか、こういうことは大いに問題点があるわけでございます。そういう点につきまして、少し関連をした質問をさしていただきたいと思います。  まず、被害者救済における法律としては、新潟水俣病事件においては民法の七百九条が用いられました。これは前にありましたイタイイタイ病事件における鉱業法の百九条、無過失責任の適用と異なり過失責任主義の上に立っておるわけであります。このために、被害者は加害者の加害行為が、故意または過失に基づくものであることを立証しなければならないわけです。この立証が、われわれの考えでは言うにやすく行なうにかたい、こういうことは皆さんもよく御承知のとおりであるわけでありますが、この立証ができなければ裁判上勝てない、勝訴にならない、こういう点についてでありますが、被害者救済が果たされない、こういうようなことになっていくことは、被害者救済を拒否していることにひとしいと考えるわけであります。公害事件について、民事責任については無過失損害賠償責任制度をとる必要に迫られてきているわけであります。これは総理大臣もあるいは前の総理府長官におきましても、二度もつくります、こういうことを言いながらそのままに流されてきておる。次の通常国会ということなんですけれども、これは、現在のこういういろんな過程をたどってみていくときには、早くこの制度はやるべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、この点につきまして環境庁のほうでは、長官がいま盛んに東奔西走していらっしゃる。きょうも出ていただきたいとお願いしたわけすが、現地のほうに行かなければならない、こういうことになっておるわけです。ましてこの裁判の過程につきましても、被告側のほうに対して長官が働きかけて、上訴しないようにという勧告をしたり、いろんな行動を今度の長官はおとりになっていらっしゃるわけですけれども、むしろこういうことよりも、無過失損害賠償責任制度をつくることのほうが先決問題じゃないか、私はそういうふうに考えるわけでありますが、まず環境庁のほうでは、おそまきになりますけれども、今度の臨時国会中、約六十日間あるわけですけれども、その間に御提出になるお考えがあるかどうかという点と、それから法務省のほうもこれは関係があるわけですが、こういう必要に迫られておる、私はそう考えるわけですけれども、その点についてお答え願いたいと思います。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後説明員 公害につきましての無過失損害賠償責任制度、大石長官もしばしば言明いたしておりますとおり、環境庁といたしましては通常国会に提案を目途といたしまして、いま残されております種々の問題点を部内で煮詰めておるところでございます。さようでございますので、目下の予定といたしましては、来たる通常国会に法案をぜひとも提出いたしたい、かように考えております。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 公害による被害者の保護を厚くするために、無過失責任を認めるようにと、そういう御趣旨でございますが、御承知のように、最近の不法行為理論におきましては、危険責任という考え方が相当多く用いられるようになってきております。そういう意味におきまして、公害事件につきましても無過失責任を認めるということは、一つの方向として考えられるところだろうと思います。  御承知のように、鉱業法あるいは原子力損害の賠償に関する法律等におきまして無過失責任を認めた例もございますし、ただいま環境庁のほうからお答えもございましたように、目下環境庁で公害事件についての無過失責任の立法について検討をされておりますので、法務省といたしましてもこれに十分協力していきたい、このように考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 これは大臣がお越しになってからお伺いしたいと思いますから、再度お尋ねするつもりでございます。  こういうことで、私は率直に申し上げたいことは、裁判のときにも原告側の方々が言っておりましたけれども、幾ら賠償してもらっても死んだ人が帰ってくるわけではない。きのうテレビあたりでも言っておりましたけれども、裁判には勝った、で、それ以上訴訟を進めていく考えはないということを明らかにしておるけれども、水俣病の病気はどんどん進んでいっている。あるいは森永、サリドマイド、こういうものにみな焦点を合わせていきますと、結局サリドマイドにしても子供の手が延びるわけではない、幾ら補償してもらっても。こういう点、私たちはどっちかしますと、公害が起きてからあとの補償の問題、あるいは公害による被害だけをお互いに追っておるような考えに立ちやすい、こう考えられるわけであります。  無過失賠償責任につきましては、私たち野党がそろいまして国会に提案しておりますし、継続になっておるという経過をたどっております。またこれから申し上げることは、もっとこれを深く突き進めて、きめこまかなものにしなければならないという観点に立って言うわけでありますけれども、こういうことで無過失賠償の責任制度が法律上認められるようなことになって原告の立場は非常に有利になっていく、こういう考えでこれを言っているわけですけれども、この責任制度にしても、必ずしも民事救済として十分一〇〇%の制度が完成したとは思われないと思うわけでございます。そういう点で、いまはこの制度が出ていないわけですから、早く無過失賠償責任制度をつくらなければならない、こういう観点に立って先ほど御質問したのですが、大臣がお越しになりましたので、いま民事局長のお答えの中で、環境庁のほうで次の通常国会に向かって準備をしておる、煮詰めておる、こういうことなんですけれども、大臣にお伺いをしたいわけですが、現在環境庁長官は盛んに現場のほうへお飛びになって、現場と直接の対話を進めたり、いろいろな制度の問題のお話、ずいぶん御活躍していらっしゃるわけですけれども、それも大事ですけれども、むしろそれ以上に、無過失賠償責任を早くつくらなければということで、次の通常国会を待たないまでも、今度の臨時国会の終わりのほうにでも提出なさって、早くこの制度を用いたほうがいいように考えるわけでありますけれども、法務大臣のお立場とし、閣僚としてこの問題をどういうふうにお考えか、お答え願いたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 公害の無過失賠償責任につきましては、もちろん環境庁長官も極力早く提出したい、こういうような意向を持っておられることについては間違いがありません。また、それにつきまして法務省当局も大いに協力をいたしまして、いろいろ環境庁長官も忙しいようではありますが、いろいろ法案の研究、検討、また法務省との協力、そういうものも十分努力をしておられる。臨時国会というわけにまいらないかもわかりませんが、通常国会には提出をするということは間違いない、かように思っておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 ついでにまとめて大臣にお伺いするということになりますけれども、今度の裁判の結果でも、裁判所のほうとしても内容を十分重要視して、立証段階のいろんな問題はありますけれども、一応その情況証拠によってでもこの問題は解決できる、こういうふうな判決の内容もあったわけです。こういう点を考えていきますと、全体的な国民の考え方、またわれわれの考え方も、企業よりもいわゆる被害者のほう、また被害を出さないようにというような方向に世論も向かっていっておる、こういうふうに考えるわけですけれども、そういう中にあって、以前に小林法務大臣は、この公害罪法は歯どめになるんだということでこの法律を出すということだったわけですけれども、私たちの考えではあまり歯どめになっていないということで、当時は「おそれ」の字句を入れるか入れないか、こういうことで盛んに国会で論議したわけです。そういうことで、われわれの立場としては「おそれ」の字句を抜くということはこれは企業をカバーしてしまう、こういう観点に立って御質問していきましたけれども、むしろこれからは企業責任というものを盛んに追及もしていき、企業のほうから公害を除去していくという方向に向かって設備も整えてもらわなければならないし、採算をとる上にもそういう考えを中に入れた今後のあり方になっていかなければならない、こう考えるわけでございますが、現段階になっては、この「おそれ」という字をもう一度復活さして法律改正すべきではないか、私はそういう考えに立つわけでございますが、大臣としてこの法律をもう一度改正して、「おそれ」という問題を中へお含めになるお考えはありませんかどうか、この点をお伺いいたします。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 「おそれ」の文句を入れるかどうかということにつきましては、当時いろいろ論議されたようであります。いわゆる有害物質の排出行為自体を処罰するという直罰規定が設けられておりますことの関連においてもその必要はない、かように考えておりますので、ただいまのところ法律を直す考えは持っておりません。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 何らかの方法で、現在からもう少しさらに進んだものに持っていかなければ、法律が荒過ぎてまだ国民の被害を救済したり——われわれはむしろそれ以前に公害を防がなければならない、こういう立場の、以前大臣がおっしゃった、いわゆる歯どめ役を果たせる役目をさらにほかの方法でしていかなければならない、こういうふうに考えるわけです。  そこで、先ほどの話に戻しますけれども、いま次の通常国会には出すように、こういうことですが、私たちは今度の臨時国会にも出していただきたい、こう考えておるわけです。  そこで、この法律が採用された、こういう観点に立ってお伺いするわけですけれども、公害訴訟について、民法の七百九条ではなく無過失責任を認める法律ができたとき、結局原告は損害賠償請求における訴訟の上で、立証責任はこの段階でどの程度軽くなっていくのか、一〇〇%この法律ができた場合の被害者側の原告のほうの立証責任はどの程度のものであるか。この点についていま煮詰めておるという段階ですけれども、やはり土台になるものがあると思うのですが、その点について法務省と環境庁のほうからお答え願いたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいまお話しの無過失損害賠償ということでございますから、故意、過失というものについては挙証責任はなくなるわけです。ただそれ以外につきましては、当然被害があったとかあるいは因果関係、そういうことについては一応従来と変わりません。しかし、だからといって私はそんなに困難だとは思わないのです。挙証責任が原告のほうにあったとしましても、間接的な証拠とかいろいろ方法があるわけでございます。そういう点について、完全にお話しのようなふうにはなりません。しかし、何と申しましても民法の非常な例外でありますので、その公害の態様によって判断する、そういう性質のものでありますからその点はやむを得ないもの、かように考えておる次第でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 環境庁のほうはある程度の何か試案はないのですか、その点について。

船後正道環境庁企画調整局長

○船後説明員 環境庁といたしましては、公害対策本部の当時に本件につきまして一応の原案を作成いたしております。それを土台といたしまして現在種々検討しておるところでございまして、先生の御質問の、この制度ができたといたしました場合の裁判上の問題につきましては、ただいま法務大臣がお答えになりましたとおりでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 そこで、簡単ではないんですが、因果関係の立証が残るということになることについては、何らか原告側が立証しなければならないものはある程度残ると承知はしておりますけれども、その因果関係の立証は、はたして原告側に立ってみてやさしいものであるか非常にむずかしいものであるか、どういうふうな点になるのか、この点についてお教えいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 因果関係の立証がむずかしいものかどうかという点でございますが、これは事案によりまして相当差があると思われるわけでございます。ただ一般的に申し上げますと、公害事件の場合には、公害が発生するに至るまでの過程が非常に複雑である、そうしてその過程を科学的に証明しなければならないという技術的な要素が多分にございますので、相当困難な場合が出てまいると思います。  そこで、その困難を緩和いたしますために、先ほどちょっと大臣がお触れになりましたように、因果関係の推定というようなことが行なわれておるわけでございまして、先般、富山のイタイイタイ病につきまして富山地方裁判所が行なった判決、それから最近の新潟地裁の判決、いずれも疫学的方法という方法を用いまして因果関係をいわば推定している、こういう方法がとられているわけでございます。公害訴訟におきましては、こういう推定の方法を用いることによって、その因果関係の立証の困難性を緩和するという運用がなされている、このように考えておるわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 そうしますと、原告側が勝訴に至るまでには、無過失責任の法律ができても、故意、過失の立証責任から解放されたということにしかすぎなくて、因果関係はあくまで原告側に残っていると、こういうふうに解釈していいわけでしょうか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 結論的に申しますとそのとおりでございます。先ほど申し上げましたのは、その因果関係の証明の困難性を緩和するために、いろいろな方法がとられておるということを申し上げたわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 そうしますと、結局その無過失責任の法律ができても、これは結局被害者のほうを守っていくという法律になるわけですけれども、完全に一〇〇%の民事救済にはなり得ない、こういうふうに考えられるわけです。こういう点に私たちは問題があるというわけでありますけれども、この因果関係の立証責任を、加害者のほうに持たせるように法律をつくっていくべきである、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、この点についてはどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 一般的に被害者が加害者に対して損害賠償を請求するという場合には、相手が加害者である、つまり相手方の行為によって自分が損害を受けたということを主張、立証しなければならないということは当然であろうと思います。そういう意味において、全面的に加害者に立証責任を負わせるということは、これはとうていできないことであろうというふうに思うわけでございます。  しかしながら、公害による因果関係を証明するという困難性にかんがみまして、先ほど申し上げましたように事実上の推定であるとか疫学的な方法であるとか、そういう手段を用いまして因果関係の証明の困難性を軽減するということが実際に行なわれておりますし、こういう方法によって比較的妥当な立証責任の配分が得られるのではないか、このように考えられるわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 その点、いま民事局長がおっしゃっているとおりでございまして、その疫学的方法の理論とか推定法則の理論とか、こういうものを使ってその因果関係の立証についていろいろやっていただいている、こういう挙証責任を軽減する方法が考えられているわけですけれども、まあこういう関係で非常にむずかしいと、こうおっしゃっておるわけです。  そこで、もう一度振り返って新潟の水俣の判決を読んでみますと、「一般に、不法行為に基づく損害賠償事件では、因果関係の立証責任は被害者にあるとされているが、いわゆる公害事件、なかでも化学工業に関係する企業が事業活動の過程で排出する化学物質によって、多数の住民に疾患等を起こさせる「化学公害」事件などでは、争点のすべてにわたって高度の自然科学上の知識を必須とするから、被害者に対して、因果の環の一つ一つにつき逐次自然科学的な解明を要求することは、民事裁判による被害者救済の途を全く閉ざす結果にもなりかねない。」こう判決の中に出ているわけですね。こういうところを考えていきますと、因果関係の立証責任についても理論の活用にも限界があるわけです。ですから、この点について、被害者救済の面から一〇〇%完備されている法制度にはなかなかならないのではないか。つくれということを言いながらも、その中にこういう不備な点が出てくるということを申し上げているわけですけれども、公害事件における民事訴訟ではその無過失損害賠償責任を認めるとともに、さらに従来の被害者側にある因果関係の立証責任を、結局転換して加害者のほうに法律上持たせるべきである、こういう考えに変えるべきであると私は考えるわけであります。因果関係の立証責任を加害者が負う、こういう法律制度にすべきであると私は考えるわけです。そうでなければやはり被害者はなかなか救えない、いままでどおりの繰り返しが重なるのではないか、こう考えられるわけであります。この点についていかがでございますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 いま因果関係の立証責任を転換して加害者に負担させるということをおっしゃったわけでありますが、ちょっとその趣旨が私、理解いたしかねるわけでございます。立証責任というのは、それを証明しなければ自分が不利益をこうむる、こういうものでございますので、普通被害者のほうが因果関係を証明して、証明できなければ自分の請求が認められない、こういう関係に立つわけでございます。  ところが、加害者が因果関係の立証責任を負担するということになりますと、加害者がそれを証明できなかった場合には、結局被害者の請求が認められないということになり、加害者は責任を免れる、こういう形になってしまうわけで、これは理屈の上からいってもおかしな議論ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その立証責任の転換というものがそういう趣旨でございますか、ちょっとその趣旨を伺いたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 結局、被害者のほうから訴えが起きても、私のほうはそういう事実はありません、こういうことを加害者のほうで立証するような方向に行くべきであって、被害者の一人一人にとってみれば非常にささいな人である、それから加害者のほうは企業である、こういう点を考えていくと、これからも裁判所にお願いもし、お答えもいただかなければならないと考えておるわけですけれども、裁判が長引くと原告側はつぶれてしまうわけですね。その間にもうすでに死んでいく人が出てくるし、あるいは病がどんどん進んでもいく、こういうことで、あくまでも公害に関する裁判はすみやかに進めていただかなければならないということになるわけですけれども、その反面、現行法からいきますと、いわゆる故意、過失の立証責任から因果関係の立証まですべて被害者のほうがやらなければならない。しかし、被害者のほうにはそういう資力もなければ方法もないわけです。あるいは立ち入り検査そのこと自体もできない、こういうようなことになっているのが現状ですから、法律が実際に活用されて公害を防いでいく役目を果たしたり、あるいは多数の被害者を救うという観点に立ってものを考えていくときには、いわゆる無過失賠償責任制度を認めるとともに、重要なことですが、原告側にあった故意、過失の立証責任、因果関係の立証責任、こういうものからも被害者のほうを解放していかなければ法律的な役目は果たせない、こう考える観点から御質問しているわけです。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 かりに加害者に立証責任を負わせるということにいたしました場合に、加害者としては自分の責任ではない、したがって立証しようとしてもそれが立証できないというふうに主張するおそれがあるわけでございます。その場合に、結局因果関係があるということはだれによっても証明されない。その場合に、その企業に責任を負わせるというわけにもいかないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、私が先ほど来申し上げておりますのは、被害者のほうに完全な因果関係を証明させなくてもよろしい、ある程度加害者のほうに責任があるというような因果関係を推測させる、そういう事実を被害者に立証させる、そして加害者のほうでこれに反証をあげない限りは、その事実、その因果関係が認められてもやむを得ない、こういう取り扱いが現在行なわれておるわけでございますから、結局その取り扱いによるほかはないんじゃなかろうか、こういうことを申し上げておるわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 それは非常に困難なものであって、ケース・.バイ・ケースで考えなければならないということはよくわかるわけです。そういう観点に立って、全く被害者のほうに因果関係なり何なりの立証をするものを全部なくしてしまえということではないわけです。ある程度の因果関係の立証なり何なりは残さなければならないわけですけれども、たとえて言うなら、いわゆる不法行為の根本精神である衡平の原理からいっても現在の段階では不公平じゃないか、こういうことが考えられるわけですね。そういうところから裁判所のほうも、いろいろな点を駆使されてある程度のことをカバーして、いま判決がいろいろ出てきておるということになるわけですから、いわゆる無過失賠償責任制度をつくるにしても、たとえて言うなら、何かのことで契約事項があって、その契約をやった当事者が、了解したけれども債務不履行をやって損害を受ける、こういうことではなくて、公害の場合は、一方的に不意打ちに起きてくるわけですね。こういう点を考えていきますと、どうしても被害者のほうが不利な立場に追い込まれていっている。この点を考えていきますと、やはり衡平の原理からいって、加害者のほうにもそういう関係の立証責任を転換させていって持たしていくという考え方に立つべきである、こう考えるわけです。これはいろいろ検討してつくっていただかなければならない問題ですが、この点についてもう一度いかがですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 加害者であると認定するためには、やはりある程度の因果関係というものが考えられなければならないわけでございます。したがって、だれを訴えるかという場合には、すでにそこに因果関係があって、相手方が加害者であるという推測がなければならないわけです。その推測を成立させるための事情というものは、これは因果関係を推定させる一つの材料であると思うわけでございます。その程度の、つまり厳格な証明ではなくても、やはり因果関係を推定させるような事情、これはどうしても訴えるほうの被害者側がまず証明しなければならない。それに対して、これは推定でありますから、加害者としては、いや、自分の責任ではないということを主張するためには、それを証明する、つまり反証をあげる責任を負わせる、それが衡平な責任の分配だろうというふうに思うわけでございます。  そこで、訴訟の実際におきましては、先般の富山地裁それから新潟地裁、これらの判決はおおむねその線に沿った判断を下しているわけでございますが、これをしからば法律の上に規定したならばどうだろうかという議論になってくるのではないだろうかと思います。しかしながら、公害の態様というのは非常に千差万別でございまして、どの程度の証明があった場合に事実上の推定を働かせるかというようなことが、法律の規定の形ではちょっと書きあらわしにくい問題でございますし、個々の事案に応じて裁判所が判断してきめていくというほかにないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。そういう意味で、御趣旨はよくわかりますけれども、法律に因果関係の推定の規定を設けるということは適当ではないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  なお、いわゆる公害犯罪の処罰に関する法律、あれには第五条に因果関係の推定の規定がございます。しかし、あれは刑事で特に厳格な証拠による証明が必要とされている場合でございますので、ああいうような規定が必要になってくるわけでございますが、民事の裁判におきましては、刑事のように証拠の範囲が厳格になっておりません、したがって、ある程度の情況証拠であっても、それを証拠として使えるということになりますし、認定に当たっても事実上の推定という方法がありますので、特にあのような規定を置かなくても十分まかなえていくというふうに思うわけでございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いま民事局長がお述べになったことは、最近の裁判の意向をごらんになった結果おっしゃっていらっしゃるということになるわけで、それが出るまでの間は、みんな憶測でたいへんな考え方を持っておったということが言えるわけです。ですから、ああいうものは一つの基準として何らかの形で法律上加えていくべきである。そうすれば、いわゆる被害者のほうも訴訟を起こす上について、被害を受けたままあきらめたり、あるいはそのまま泣き寝入りをしてしまったり、こういうことには至らない、こうなってくるわけです。結局一つ一つが、裁判の意向についてはっきりした結果を求める方向にも向けなければなりませんし、またそれ自体が、公害を起こさない歯どめにもなっていってもらわなければ、法律をつくった趣旨にはならないわけですから、そういう点もお考え合わせて、もう一度検討を加えて、今後そういう点についてさらに深いものを掘り下げていただきたい、こう考えるわけです。  そういう関係で、損害がこういうふうに発生してしまってからの、われわれはいままで事後処理としての損害賠償を中心にいろいろ現在お互いに考えている、こういうわけなのですけれども、ほんとうに必要なのは損害賠償をすることではなくて、その損害賠償をしなければならないような事態を出させないということが一番肝心かなめなのですけれども、こういう点についてなおざりにされてきているということが、非常に多いのじゃないかと私は考えるわけです。ですから、こういうふうに損害賠償するような事態を出させないことを考えなければならない点について、差しとめ請求の問題というものを考えてみたい、こう考えるわけであります。  今度の判決によりましても、判決文によりますと、「危害発生の結果を回避すべき具体的方法は、その有害物質の性質、排出量等から予測される実害の大小との関連で相対的に決められるべきであり、最高技術の設備をもつとしてもなお人の生命、身体に危害が及ぶことが予想される場合には、企業の操業短縮はもちろん操業停止までも要請されることがあると解する。けだし、企業の生産活動も、一般住民の生活環境保全との調和においてのみ許されるべきであり、住民の最も基本的な権利ともいうべき生命、健康を犠牲にしてまで、企業の利益を保護しなければならない理由はないからである。」こういう当然のことを述べておられるわけです。いままでこういう差しとめ請求の問題が問題にされなかったという点、いろいろ伺ってみますと、ちょっと意外な印象を受けたり、少し飛び過ぎているんじゃないか、こういうきらいがあるという専門家のお話もいろいろあるわけでございますけれども、結局、私がつたない勉強をしたところでは、こういう事態を起こさせないためにも、こういうすでに定められた制度があるわけですから、こういうものを使うべきであるという意見も出てきておるわけであります。ですから、この差しとめ請求を正面から堂々と肯定する法律条文が必要になってくる、こう考えられるわけであります。  この点について、仮処分でするにしても、裁判所にしては一つのこれは弱点ではないかということをおっしゃっている方もいらっしゃいます。この問題を避けて通るということは、公害被害者の発生を放任しておくということになるわけでありますから、いまもありましたとおりに、企業の活動は私たちの命とか健康を害してまで許されるべきではない、こういう判決の内容からも考えて、この問題を取り上げなければなりませんから、不法行為の点からもこういう点でこの制度を設けるべきである、こう考えるわけですけれども、その問題についてお答え願いたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 差しとめ請求の制度を正面から認めるべきではないかという御意見、傾聴すべき御意見だと思いますが、現在の民事訴訟法のもとでは、ただいまお話しになりましたように仮処分の制度がございまして、これによって差しとめの請求ができることになっておりますし、また訴訟で差しとめを求めるということもできるわけでございます。実際に公害について、この仮処分や訴訟によって差しとめが請求されたという例は非常に少ないのでございますが、これは公害というものはなかなか初期の段階ではわからない、それが危害をもたらしたときに初めて問題にされるという性格がございますので、との点もう少し公害に対する研究が進みますれば、仮処分なりあるいは訴訟による差しとめ請求というものがもっと効力を発揮するんではないか、このように考えているわけでございます。   〔委員長退席、田中(伊)委員長代理着席〕

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いまの差しとめ請求の問題について、民衆訴訟を認めるべきであるという考えに立つわけです。というのは、この公害の被害というものは、突然わが身に振りかかってくるということでもあり、その辺まで公害が起きておった、そのあとわからない、いつ何どき自分にくるかわからない。あるいは今度の新潟の阿賀野川の問題にしましても、一応裁判は終わりましたけれども、その後まだ一企業から起こした問題で、その後阿賀野川の魚を食べて、また被害者が出てくるおそれも十分あるというふうなことを考えていきますと、第三者だからといって放置するわけにはいかないわけです。  そこで、アメリカあるいは西ドイツでは実際にこういう制度を取り上げてとっている、こういう点もあるわけですから、われわれのほうといたしましても、民衆訴訟を盛り込んだ問題を取り上げて制度化していけば、さらに公害に対して大きな歯どめが起きてくるということになるわけですが、この点について裁判所のほうの御意見はいかがですか。

瀬戸正二最高裁判所事務総局民事局長

○瀬戸最高裁判所長官代理者 アメリカにおきましては昨年の十二月三十一日、クリーン・エア・アクト、大気清浄法という法律ができているようでございまして、この中におきまして、一定の場合には住人が担当行政庁に対しまして、企業に対し一定の設備を設けることを命令しろというような趣旨の民衆訴訟を起こせるという規定があるようでございます。わが国におきまして同じような制度を設けるかどうかということは、これは立法政策に関することでございますので、裁判所としてはこれ以上申し上げることを差し控えたいと存じます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いま裁判所側のほうがお述べになったようなことなんですけれども、こういうことを設けることによってその被害者救済、これから被害者が出てくることに対する最小限度防止、未然防止にまた役立ってくる。法律が実際に適用されていくということよりも、その法律があることによって防止しなければならないということが公害の実態ではないか、こう考えられるわけですけれども、さらにこういうことをおやりになる考えは全然ありませんですか。研究なさいますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島説明員 民衆訴訟を認めるかどうかという点でございますが、御承知のように、民衆訴訟はわが国では特殊な場合に認められておるだけでありまして、外国でもおおむねそうであると思います。一定の行政官庁を相手にして一定の措置を求めるというような場合に多く使われるわけでありまして、もし公害についてこのような制度を用いるとすることになりますれば、いかなる官庁を相手にしていかなる請求を認めるかというような点を検討すべきであろうと思います。この点につきましては、まだ行政庁のほうとも十分意見を交換したことがございませんので、なおよく検討してみたいと考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 そこで、今度は行政訴訟の面でもお伺いしておきたいのですけれども、イタイイタイ病の場合は鉱業法の百九条が適用されて被害者側は勝った、こういうことになるのですが、通産省をお呼びしておるわけですけれども、鉱業法の五十三条の中に、鉱物の掘採が保健、衛生上害があり、著しく公共の福祉に反するようになったと認めるときは、鉱区の減少の処分または鉱業権を取り消さなければならない、こういうふうに規定しておるのですけれども、すでに銅山なんかでたれ流しがどんどんあったり、新聞紙上を非常ににぎわしておるような問題があるのですが、案外こういうふうな法律が生かされていないというようにわれわれは考えるわけですけれども、こういうふうに一義的にきめられている法律があるのに一向に活用されていないんじゃないか、こう考えられるわけですけれども、この点について通産省のほうはいかがですか。

森口八郎通商産業省公害保安局参事官

○森口説明員 鉱業法におきましては、公益調整の問題につきましていろいろな配慮をいたしております。  まず第一に、鉱業権を設定いたします場合には、鉱業法の二十四条によりまして都道府県知事その他関係行政機関に、鉱業権の許可をいたします通商産業局長が、公益上支障がありやなしや、鉱業権を設定をして公害を生ずるやいなやというようなことについて協議をするという規定がございます。したがいまして、この設定の段階でまず公害を生ずるような鉱業権の設定を認めないということといたしております。  次に、こういう協議をいたしました結果、都道府県知事のほうから差しつかえがないというようなお話がありましても、鉱業法の三十五条によりまして、鉱物の掘採が保健衛生上有害であったり、文化財、公園等の保護に支障を生ずるときは出願を不許可とすることといたしております。この規定は現に発動されておりまして、相当件数のものが年間不許可になっておるというのが現状でございます。  次に、鉱業法の規定では、そういうふうに設定されました鉱業権に基づいて試掘、採掘等を行なうわけでございますが、試掘、採掘等を行ないます段階におきまして、鉱業権者が施業案を通商産業局長に提出いたしまして審査を受けるという段階がございます。この段階で、公害が生ずるような鉱業の実施の方向でありますれば、やはり施業案を認可しないというようなことで、鉱業の実施をきびしく監督をいたしておるわけでございます。こういうようなわけで、現に施業案が認可されずに鉱業権が実際上動かないというような状況に立ち至っておるものがございます。  そこで、先生の御質問の件ですが、そういうような配慮をいたしまして、なお鉱業権の設定後、鉱業権の実施が公益上支障を生ずるようになった場合には、先ほどおっしゃいました同法の五十三条によりまして、鉱業権の取り消しをしなければならないというような規定がされております。しかし、先ほど来申し上げておりますように、設定の段階において周到な配慮を行ない、また実施の段階につきまして、施業案の段階において厳重なチェックを行ない、さらに鉱業法とは別個の鉱山の被害及び公害の予防を監督いたしております鉱山保安法によりまして、鉱業の実施を非常にきびしく監督をいたしておるわけでございますので、実際上五十三条が発動されるに至ったというようなケースは、お説のとおり現在の段階ではないというのが現状でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 あなたはないとおっしゃいますけれども、新聞では、銅山のたれ流しとかいろいろ出ていますよ。だから実際に例がないのじゃなくて、結局こういうものを適用をなさらないから例が起きているわけでしょう。法律があってあなたのほうに義務づけされているわけです。被害者が訴えてこういうことが起きるということではなくて、少なくともあなたのほうでそういうものを見つけたら、直ちに内容を検討して、鉱区を減少したり、差しとめたり、停止したり、あなたのほうにいろいろやることができる内容があるわけです。現にイタイイタイ病の場合でも、ほかに適用がないので鉱業法の百九条を使うというふうに、あなたのほうにいろいろ関係があるわけです。そういう内容を見ていくときに、こういうものが現実にあるのに行政官庁が行政の取り締まりに対してあまりにも積極性がないという点に問題があるのではないか。あるいはおっしゃるとおり都道府県の認可業務の中からつながっていくわけです。ところが都道府県のほうは、新産都市であるとかあるいは臨海工業地帯とか、こういうものをつくらなければならない、誘致しなければならないという弱みがあるわけですね。そういうことで大企業を引っぱってきて、それから公害が起きてきている。公害が起きて被害者が騒ぎ出したそのときにはどうにもならない事態が起きているわけです。その点を考えていきますときに、こういうふうな行政官庁が十分取り締まれる内容をすでに法律的にお持ちでありながら、実際にやっていらっしゃらないということになるわけで、結局権限を発動しないというところに問題点が残っておるということが考えられるわけです。そういうことですから、あなたのおっしゃった全然そういう該当がないということは、これはことばを改めるべきじゃないかと思うのですね。その点どうですか。

森口八郎通商産業省公害保安局参事官

○森口説明員 若干ことばが足りませんでしたので、ちょっと補足させていただきますけれども、該当がないということではなくて、現在まで発動した例がございませんでしたという事実を申し上げたわけでございます。  なお、イタイイタイ病等につきましては、現在鉱山保安法によって厳重にカドミウムの排出は保安監督部で規制されておりまして、一般的に定められております排出基準以下のカドミウムの量しか排出しておらないということで、規定は守られておるというのが現状でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 ですから、私が申し上げたいことは、法務委員会で論じられている裁判所というのは、一番最終段階の問題をいろいろ申し上げているわけですね。ですから、公害を起こさないためには、あなたのほうが一番前線の、一番大事な部門を持っていらっしゃるということになるわけですから、あなたのほうの権限を発動する内容に足るだけの法律は十分お持ちなんですから、その点を考えていただいて、十分発揮していただければ、幾らかでも、一歩でも公害を起こさせない方向に向かっていくということになるわけです。ですから、新聞紙上にここにもたれ流し、ここにもたれ流しという記事はおそらく出なくなってくる、こう考えられるわけですね。その上で、今度は不特定多数による公害が発生したときに、いまいろいろ申し上げておるような無過失賠償責任とか、こういうことによっていろいろ問題を追及しなければならない、こうなるわけですし、すでに日本列島は公害列島ということになって、これからどうするかということで、生命財産どころか、実際に都会の中でも農薬の被害が出ている、こういう事態になってきているわけですから、もう少し真剣にこういう問題を取り上げて考えていただかなければ公害に対して効果はあがらない、こういうことになるわけです。国民が大切なのか企業が大切なのかという点を、あらためて考え直していただきたいと思います。  そういう点につきまして、いま申し上げたような事例に対して行政官庁に権限発動を求める規定をつくって、その権限発動を命じる裁判を求める訴訟、無名抗告訴訟というような名前になると思うのですが、こういうふうな訴訟形態を法律上認めるべきであるとわれわれは考えるわけで、どうしてももう一つ行政官庁の動きが鈍い、こう考えるわけですけれども、この点はいかがでございますか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○香川説明員 御指摘の無名抗告訴訟と申しますのは、いろいろの態様のものがあげられておるわけでございますけれども、御質問の御趣旨の公害予防策というふうな点から考えられます無名抗告訴訟の代表的なものとしましては、義務づけ訴訟あるいは予防的不作為命令訴訟と呼ばれているようなものが考えられるわけでございますけれども、これらはいずれも、行政庁が法令上一定の措置をとるべき義務があるというふうなことが何ら疑義なく確定できるような場合に、その義務を履行しない、それによって権利あるいは利益の侵害あるいはそのおそれのあるものから、その行政庁にさような措置をすることの義務の確認を求めるような訴訟、そういうものが一応考えられると思うのであります。しかし、このような訴訟を認めることが、御承知の三権分立の原則からどこまで許されるかという原則の大きな問題が一つございますのと、それぞれの行政法規による行政庁の義務づけられておる措置と申しましても千差万別あるわけでございまして、これを一般法ともいうべき行政事件訴訟法の中に包括的な形で規定を設けるということも、立法技術上非常にむずかしい問題があるわけでございます。  さらにまた、先ほど申しましたように、だれが考えてもそういう措置をとるべきだということが確定できるような場合は、訴訟になり得るものとして検討の対象になるわけでございますが、さような場合に一々裁判所で訴訟で解決するよりも、行政庁が可及的すみやかにその措置をとるという姿勢が望ましいわけでありまして、この点は先ほど御指摘のとおりであります。さような点をあれこれ考えて、立法政策的にやはり慎重に検討しなければならない問題ではなかろうか、かように考えております。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 いま五十三条を例にとって申し上げたわけなんですけれども、鉱業法の五十三条は、結局要件事実が規則的に確定されている、こういうことになり、そしてこの場合は行政官庁は一義的に権限発動しなければならない義務を負っておるということになる。ですから、その行政官庁が権限発動しなければならないわけなんです。そういうことですから、この点について三権分立に反するということにはならない、こう考えられるわけですけれども、その点についていかがですか。

香川保一法務大臣官房訟務部長

○香川説明員 三権分立の原則と申し上げましたのはたてまえの問題でございまして、本来行政庁がすべきものを、裁判所が行政庁になすべきことを命ずるというふうな、いわば司法機関が行政庁の監督的な立場で行動するということが三権分立の原則上相当疑義があるのではないか、かような趣旨で申し上げたわけでございまして、したがいまして、この無名抗告訴訟の一つの態様としてあげられました事例の場合のように、行政庁に一定の義務があるということを確認するような形の訴訟というものが、三権分立の原則との調整として考えられないかという問題が論議されておるわけでございます。この点、学説いろいろ積極、消極の意見もございますし、判例としてこれを認めておるものもまだごく少数でございます。やはり根本的にいろいろ検討しなければならない問題だ、かような趣旨でございます。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 さらに加えていきますと、こういうことを申し上げている根本の趣旨は、結局公害被害の未然の防止、最小限度に予防していきたい、こういう考えからあれこれ取り上げていろいろ申し上げているわけであって、アメリカでもこういう方法をとっておるそうですし、西ドイツでも行政官庁に行為を命ずる訴訟形態を認めている。こういう形もあるわけですから、この点は、そういう観点から三権分立に反することにはならないというその基本に立っていただいて、こういうことをつくり上げていってお互いに公害をはずしていくことに向かっていかなければ、お互いがそれぞれ消極的な立場でものごとを考えておったのでは、公害はなかなかもってなくならないし、国民の健康とか生命、財産の維持はむずかしい、こういうことになるわけですし、公害は毎日のように発生して、どんどんどんどん国民の健康をむしばんでいっているという事態になっているわけです。ですから、考えていきますと、いつ爆発的な問題が起きて、びっくりするようなことが起きるんではないか、こうも考えられるわけですから、まさにその歯どめをするための法律条文を十分つくっていかなければならない。さらに、そうなると企業の立場がなくなってしまうという考えに立ちますけれども、それは政治の上でいろいろ考えていかなければならない。企業をある程度守っていかなければならない。これは政治の上でできることであって、その反面、公害をなくするために努力を重ねていかなければならないわけです。  時間も迫ってきましたが、研究課題的な問題ばかり申し上げて、私も勉強不十分でございますけれども、どうかひとつ、こういう点についてさらに検討を加えていただいて、一歩でも二歩でも前進していただくような方向をとっていただかなければならないわけでございます。  そこで、最終的に、環境庁長官がいらっしゃればいいのですけれども、閣僚の御一人として法務大臣に、できますれば無過失賠償責任制度をこの国会でも何とか早く間に合わしていただきたい。それでもまだ不備だと考えるわけです。少なくともそういうことによって公害を少しでも防いでいきたいという信念、観念に立ってお願いするわけでございますから、その努力を重ねていただきたいわけですが、大臣、その点について一言おっしゃっていただきたいと思います。

前尾繁三郎自由民主党法務大臣

○前尾国務大臣 ただいまいろいろ有益なお話を伺って、われわれも大いに今後勉強して、検討してまいりたいと思います。  また、無過失損害賠償責任に関しましても、極力ただいまのお話を環境庁長官にも伝えて、最善の努力をいたしたいと思います。

沖本泰幸公明党

○沖本委員 以上で終わります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員長代理 青柳さん、お待たせしました。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 最高裁判所にお尋ねをいたしたいと思います。  去る九月三日の前回の法務委員会で、私が質問いたしましたことの継続になるわけでございますが、その際に私は、具体的には鹿児島地方裁判所で、勾留に関して公安事件ということばが出てまいりました。裁判所が公安事件を特別に扱っておるというような例が鹿児島地方裁判所以外にもあるのではなかろうか、そういうことについて最高裁判所はお調べになるつもりがあるかどうかという趣旨の質問をいたしまして、結論的には、よく調査をしてみますということでございましたので、まず一般的に、鹿児島地方裁判所以外のところでも何かこれに類するような特別な措置がとられているかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 鹿児島のような例をいたしている例は、ほかには見当たらないようでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 それでは鹿児島の例というのは、前回はお答えが、ちょっとよくわからないということでございましたのですが、その後お調べになってみて、私が申し上げたような四十五年度の鹿児島地方裁判所の事務の分配について、公安事件の勾留関係事務について何か取りきめがあったかどうか、これはいかがでございますか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 前回の法務委員会で、青柳委員からお読み上げになりましたような議決がなされているようでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 これは最高裁とすれば、どういう趣旨でこういうものがなされたのかという点についての調査はなされたかどうか、この点をまず……。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 前回は推測で、この規定から考えましてこう考られるのではなかろうかというふうに申し上げたのでございますが、鹿児島のほうの制定のいきさつ等を伺いましても、やはり前回私がここで推測として申し上げましたように、この種事件につきましては、令状関係につきまして非常に複雑、困難な問題点を包蔵しておるし、事後において、いろいろ準抗告なりあるいは勾留理由開示等に発展していく可能性を持っておるので、できるだけ練達な者をもってこれに充てたいという趣旨で充てたように伺っております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 趣旨は、まさに重要な案件だということで、慎重を期するために出たものであるということでございますが、それにいたしましても、公安事件という一つの類型を設けまして、しかもそれは前回の委員会で私が法務省当局にお尋ねをいたしまして、辻刑事局長から詳細なお答えがありました。だから裁判所もこれに対応するような形で、思想的な事案あるいは公安ということでございますから、社会的な秩序と申しましてもやはり背景には思想的なものが、あるいはイデオロギー的なものがあるわけでございますが、そういうのを裁判所までが特殊扱いする、しかも特定の裁判官をしてこれに当たらせるというようなやり方は、はたして妥当であるかどうかということに疑問を持ちますので、重ねてお尋ねをするわけですけれども、公安事件ということでこういう勾留関係にせよ、あるいは文書では私はまだ証拠らしいものをつかんでおりませんけれども、鹿児島地方裁判所ではいわゆる公安事件、労働事件とか学生の事件とかいうものを、公安を担当する部というものが、やはり特定の裁判官によって構成されるように運用されておったというような事実も聞いておるわけでございまして、これらの点について、最高裁判所とすればどういうお考えをもって、それは大いにけっこうなことだから進めてもらおうということであるのか、それともそれは考えるべき問題であるというのか、それをお尋ねいたしたいと思います。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたような趣旨でつくられているわけでございますので、用語として公安事件という名称が用いられていることの適、不適というようなことはあろうかと存じますが、これはその裁判所が裁判官会議でおきめになられたことでございますので、私どものほうからとやかく批評をすることは、差し控えさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 私が最高裁判所のほうからいただきました昭和四十五年十二月号の、これは十二月二十三日発行というカッコつきになっておりますが鹿児島地方家庭裁判所事務所総務課発行の裁判所広報ナンバー六〇、これには冒頭に、当時所長であられた飯守重任氏の論文のようなものが載っております。   〔田中(伊)委員長代理退席、高橋(英)委員長代理着席〕 それにはいろいろなことが書かれておりますけれども、たとえば、「司法修習生から判事補に任官すると、まず目立つ現象は、勾留請求を頻繁に却下することである。これは青法協判事補にとくに多い。」そして、「公安労働事件の裁判においてはとくに、犯人や労働者の立場の過保護となり、犯罪事実の認定にも手心を加え、刑罰は軽く、国家や使用者側に不利に、労働者側に有利な思考力が働く。」また、「このようでは、偏向判決の増加は避けられない。公安労働事件において偏向判決と見られるもののなかには、青法協裁判官の一人または二人が構成員になっているものが多い。」と、系統的に青法協攻撃が述べられているわけでございますが、こういう思想的なグラウンドがあって、そして公安事件の勾留については順位を狂わせてまで青法協の裁判官、判事補にはやらせないようにするということがうかがえるのでありますけれども、この点についても、それは全く各裁判所の自由であって、最高裁の言うべきことではないといを立場でございますか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 当時所長で在職されておられた飯守判事がどういう意向を持っておられたか、それはわかりませんけれども、この議決がなされましたときは、鹿児島地方裁判所の裁判官会議で議決されておるのでございまして、裁判官会議の議決である以上、私どもがこれについてとやかく申すべきではなかろうというふうに先ほど申し上げた次第でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 それが実は裁判官会議の議決ではなくて、昭和四十五年四月十八日にきめられた。前回私が読み上げたのは、常置委員会が裁判官会議に報告すべき事項としてきめたことのように見受けられるのですけれども、それでもなおかつ別にかまわないという趣旨でございますか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 鹿児島地方裁判所におきましてはやはり管内が広く、支部その他も点在しておりますので、常時裁判官会議の構成員全員を集めて会議を開くということはなかなかむずかしかろうかと存じます。それで鹿児島地方裁判所の定めといたしまして、随時常置委員会で決議し得るようになっておりまして、その常置委員会で決議した分を、その次に開かれる裁判官会議で報告してその了承を得るということになっているわけでございます。したがいまして、当初議決されましたのは常置委員会の議決であったようでございますが、自後裁判官会議に報告してその了承を得て行なわれているわけでございまして、やはり裁判官会議の議決であることに変わりはないと存じます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 先ほど引用いたしました飯守元鹿児島地裁所長の論文によりますと、「裁判官会議という多数人の多数決による決定では、司法行政の責任の所在が不明確である上、非能率、機密保持には不適当などの事情から、各地裁の裁判官会議は、司法行政のうち、書記官以下の職員に対する人事権などの権限を大幅に所長に委任し、所長が裁判官会議の代行機関である常置委員会の意見を聴いて専決する方法に改めた。これをしなかったのは大阪地裁ほか二、三に止まった。」「ところで常置委員になる者は、おもに体制派の年輩判事であって、反体制の判事補の意見は、常置委員会を通じて、書記官以下の人事等の司法行政へほとんど反映させることができない。」こういうふうにあるわけですね。要するに若い者なんかに口出しをさせないで、常置委員会できめてしまって、報告だけすればいいのだ、この制度は責任体制を明らかにする上においては非常によろしい、こういう趣旨のことも言っているのですね。だから民主主義とおよそ縁の遠い話なんですが、いまのお話ですとそれでもいいんだということになりますが、それでよろしいのですか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、最終的には裁判官会議の議決を経ておるわけでございまして、すべて所長が責任をもってやる、あるいは所長が常置委員会の議を経て専決をするといった趣旨ではございませんので、いま申し上げた趣旨とは、できた趣旨がいささか異なるように考えられますので、先ほど申し上げた趣旨には変わりはないと存じます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 そこで、前回も私、昭和四十六年度同じようなことをきめているのじゃないかということを質問いたしましたら、そうではないようた。「四人の裁判官がそれぞれ四分の一ずつの勾留事件の担当というふうに事務分配が定められているというように聞き及んでおります」という御答弁でございましたけれども、現実にはどうなっておりますですか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 前回申し上げましたのは、その年度に定められました裁判官会議の事務分配で承知いたしておりましたところを申し上げたのでございますが、その後四十五年のに関連いたしまして調査いたしましたところ、やはり四十五年のと、表現その他については変わりがございますけれども、同様の趣旨で勾留関係の特例が定めてございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 それは、この委員会が始まる前に私が事務当局を通じてリコピーをいただきましたけれども、その内容は、「本庁における類型的に勾留理由開示請求の予想される事件の勾留関係事務分配について(昭和四十六年六月二十五日裁判官会議)」こういう表題で、「類型的に勾留理由開示請求の予想される事件の勾留関係事務は、昭和四十六年度鹿児島地方裁判所事務分配の定めによる令状当番が三年未満の判事補であるときは、右の定めにかかわらず、判事岩隈政照、同島信幸、同小島建彦、判事補鬼頭史郎、判事寺井忠、同露木靖郎、同松本光雄、判事補出嵜正清、同橋本勝利、同井上正明の順序で担当する。ただし、公判担当その他で支障があるときは次順位の裁判官が担当する。」こういう内容のものですか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 そこで、いままでは、昭和四十三年以来公安事件といっておったものを、今度四十六年になりますと、類型的に勾留理由開示請求の予想される事件というふうに表現を変えた理由はなぜでしょうか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 公安事件と申しますと、必ずしもその範囲が明確ではございませんで、先ほど申し上げましたように、複雑、困難な事件について練達な者が取り扱ったほうがよろしいという趣旨をはっきりさせるために、そういうような文句に変えられたものだと存じます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 ただ、公安事件ということがいかにも思想的であることを暴露しているので、この表現を改めて、事実上は従来どおり公安事件を特殊扱いをするというだけのことにとどまるのではないですか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 適用になる分が、いわゆる公安事件と称されるものが多いことにはなろうかとは存ぜられますけれども、特にそれだけに限定した趣旨ではないのではなかろうかと存じております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 従来は、十四名くらい裁判官がいる中で八名を指名しておりました。今度四十六年度の六月二十五日のこの裁判官会議の分配のときには、十四名中十人に、二人判事補が追加されたという現象が出ているようであります。だから、何かそこに扱いが変わってきているのではなかろうか。この点はどう見ておりますか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 鹿児島地裁あるいは家裁における人員配置が、四十五年、四十六年でどのように変わりましたかつまびらかにいたしておらないわけですが、四十六年度で申しますと、そこに初めに記載されております判事岩隈政照から判事補鬼頭史郎までが刑事、その他が民事、それから最後の二名が家庭裁判所というふうになっておりまして、刑事、民事、家庭裁判所の順序で担当するということになったことをあらわしただけにすぎないものではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 私の手元には最近の職員録がありませんので、どうも正確なことがわかりませんが、四十五年度の大蔵省印刷局編の職員録によりますと、酒勾武久、松尾家臣、冨塚圭介、楠井勝也という四名の裁判官、判事補がいるようでございますけれども、こういう人たちを除外したのはどういう理由でしょうか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 そこの四十六年度の分で見ますと、「三年未満の判事補であるときは、」ということで、取り扱う範囲を練達な者ということにいたしますときのやり方として、未特例の判事補を除いたという形になっております。ところが、四十五年度につきましてはその点が必ずしも明らかに表に出ておりませんので、どの範囲で切ったのか、あるいはいわゆる五年の職権特例がついた者から上の者を練達な者として担当する者に指名したのかというふうにも存ぜられるわけではございますけれども、そこのところの詳細は、ちょっと現在わかりかねております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 この程度にいたしますけれども、最後に、どうもこのような特殊な扱いを、ほかの裁判所ではやらないで、鹿児島地裁が依然として所長さんがかわっても続けていくというこの特色のあるのに対しては、どういうような評価を与えておるのか、それだけお尋ねしたいと思います。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 今度の四十六年の議決ができます場合にも、事前に約三回にわたりまして、本庁の裁判官同士の集まりであります昼食会におきまして十分議論した上においてできているようでございますので、その庁が十分審議をなされて論議を尽くされた後にできたのでございますので、最高裁としてその裁判官会議の議決についてとやかく言うことは差し控えたいというのが、最高裁としての気持ちでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 ちょっとその点について、先ほどもお尋ねしたからもうくどくなりますけれども、他の裁判所ではこういう表現は、いまのような回りくどい表現であろうと何とを問わず、こういう扱いをしているのは、最高裁としては見かけておりませんですか。

牧圭次最高裁判所事務総局刑事局長

○牧最高裁判所長官代理者 現在、そういうものを私どもは承知いたしておりません。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 では、次の問題に移ります。  ことしの十月五日の東京で発行された各紙によりますと、例の問題の宮本康昭裁判官が、十月四日に最高裁の矢口人事局長、千葉秘書課長をたずねて、できるだけ早く再任を実現してもらいたいという申し入れをした。それによりますと、何か宮本裁判官は、十年の任期満了の際に再任を希望したけれども再任されなかった。で、六月に行政不服審査法に基づいて、最高裁が再任を認めなかった処分の取り消しを求める異議申し立てというものをやったけれども、それは九月八日付で却下されたというのがあります。このような事実があったのかどうかということをまずお尋ねします。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 そのような事実はございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 そうしますと、この却下理由ですね、これはどういうことになりますか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 宮本裁判官の異議申し立ての理由は、要するに判事の任命の名簿に登載しない処分があった、その処分を取り消して判事の任命の名簿に登載することを求めるといろ趣旨のものでございます。それで、裁判所として御検討いただいたわけでございますが、最高裁判所の御決定としては、判事の任命の名簿に登載しないというそういった処分はないので、不服申し立ての対象として主張しておられる処分はないのだから、異議の申し立ては不適当であるということで却下されたものでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 そのことにつきまして、同じくそのころの新聞の報道によりますと、約二百八人の現職の裁判官が十月の二日に東京に集まって会議を開いた。その場で、横田元最高裁長官あるいは我妻東大名誉教授などが講演をされたそうでございますが、その中で、少なくとも我妻東大名誉教授のお話では、拒否理由などというものがあり得ないんだから、どうも裁判所が名簿に登載しないというのが正しくないという趣旨の見解を表明されたように新聞では報道されている。ですから、登載はしないことは別に行政不服審査法の対象にならないんだというふうな見解が成り立つ余地があるかどうかという点を、ちょっとお尋ねしたいと思います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の集会のことに関しましては、私どもも新聞記事で拝見をいたしました以上のことを承知いたしておりませんので、当日、記事によりますと、我妻東大名誉教授が何かお話をなさったようでございますが、もちろんその中身は、どういうお話であったかを承知いたしておりませんので、ちょっとそのことから御説明を申し上げるという点はないわけでございます。  私どもの裁判官会議の御決定といたしましては、名簿に登載しないという意味の処分というものはないというふうな御決定が根拠になっておったというふうに承知しておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 ここで法律論争をこれ以上続けるつもりはありませんが、さらに五月の末に宮本康昭裁判官は、最高裁に対して今度は書面で再任願いを提出している。これに対する回答がまだないので、それを至急やってもらいたいということを申し入れたんだけれども、これに対して最高裁当局は、新聞の記事では、そのままになっておるという趣旨のお答えであったようでございますけれども、真相はどうなんでございますか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のように、五月二十四日付で宮本裁判官から判事採用願いが書面によって提出されました。現在、担当局でございます人事局におきまして留保中でございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 裁判官の採用あるいは不採用をきめる手続でございますけれども、当然のことながら任官希望者からの申し込みがあって、それを受けて採否を決するという順序だろうと思いますが、これは口頭の場合も書面の場合も同じ扱いにするんだろうと思いますけれども、何か期間というものがあるのかないのか。この申し込みに対して、いつまでもそのままにしておいてよろしいものなのか、それともこれはすみやかに結論を出すべきものなのか、規則上何かあるのかないのか、規則上何もないとしても、運用上はどうしておるのか、これをお尋ねしたい。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 採用願いが提出されました場合に、いつまでにどうしなければいけないといったようなことは一切ないわけでございます。運用上の問題といたしましても、定期的に当然考えられますもの、たとえば修習生を終了いたしまして四月に大量に判事補の採用を申し出るといった場合は、これは遅滞なくその時期に合うように、卒業の時期と合わせまして、最高裁として判事補の発令をしていただきますように事務的な処理を行ない、裁判官会議の議によって御決定をいただいておるというのが実情でございますが、それ以外、随時提出されます裁判官の採用願い等につきましては、いつまでにどうしなければいけないというものはございませんので、私ども担当の部局において留保させていただきまして、事務の必要に応じて、場合によりましてはその中から採用を御決定いただく、名簿登載を御決定いただく、あるいはそれは登載に至らなくておしまいにしていただくというように、適宜処置をしておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 例年、裁判官の定員をきめた法律の改正が行なわれております。事務が多くなる、事件の数が多くなるというような点やいろいろな点で、増員がたいてい改正のおもな理由でございますけれども、それでいながら定員が充足されていないというのが例年の大体の実情でございますけれども、そのように定員を充足できないような状況である中で、なおかつゆっくりやればよろしいんだというようなことでいいものなのかどうなのか。不適任であればこれはもうあきらめるにいたしましても、別に不適任でなかったら、どんどん随時その審査をして採用するというのが、定員をきめておく意味からいっても当然のことであるし、充足なんかしなくてもかまわないんだということだったら、毎年定員をふやすような法律の改正を出す必要もないわけだが、この点どう考えておるか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 一般論といたしましては、できるだけ早く、適当な方でありますれば任官をなさっていただいて裁判をやっていただくようにお願いしたいわけであります。ただ、それにいたしましてもやはり欠員等が、必ずしも任官を御希望なさいます方の御希望になる土地にあるかといったような問題もございますので、なかなかそこは一がいに、右から左という形ではまいらないわけでございます。  宮本裁判官の場合は、本人が、この間私がお会いいたしました際にも、早く結論を出せということを重ねて御希望のようでございましたので、私ども、その趣旨に沿ってできるだけ早く結論を出したいと考えております。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 この問題については、一事不再理ということはないはずだと思うので、四月のときといいますか、正確には三月のときかもしれませんが、三、四月の候においては、事情ははっきりいたさないのでございますけれども、とにかく拒否された。また五月に重ねて申請されて、もう半年近くたっているというような状況は、これは何か同じ状態ですね。態度が変わらないというようなことを新聞に書いてありますので、同じような状態が続いているという見解でございますか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 御質問の趣旨が必ずしも明確ではございませんので、あるいは間違ったお答えになるのかもしれませんが、私どもといたしましては、現在のところ、宮本裁判官の採否ということをおきめいただくまでの段階には必ずしも至っていないのではないかということで、保留しておったわけでございますが、本人の御希望もございますので、早急に結論を出させていただきたい、このように考えておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 その理由については、採用しないという理由について、最高裁判所はそれは明示しない、本人の希望があっても明示しないというのは、いままでのお答えであったのでありますが、その後の状況を見てみますと、現職の裁判官が、五百人以上の方々が要望書、上申書等で、理由は明らかにすべきではないかとか、あるいは採用するしないの基準というものは、抽象的でも一応明らかにすべきである。たとえば、国会での御答弁を聞いておりますと、だれが見ても裁判官になってもらいたいという人を採用するというのが、基準といえば基準であるというようなことでなしに、少なくとも欠格条項といいますか、あるいは採用基準といったようなものが明らかになれば、みんな安心して仕事をしておれる、あるいは希望者、修習生なども安心して、前途に光明を見出しながらやっていけるのだけれども、どうも採用してもらえるのかもらえないのかわからないということでは、現職の裁判官はもちろん、これからなろうという人も非常に不安だということでございまして、これは今度の二百数人の討論集会でも、情報によれば、こぞってそういう趣旨のことが論議されたようでございます。ですから、この点、最高裁ではもう一ぺん考え直すというような態度が出てくるのかどうか、これをお尋ねいたします。そのあともう一つだけ聞きますから、簡単にお答え願います。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 要望書が多数参っておることは御指摘のとおりでございまして、そういった要望書の趣旨も十分に取り入れて御検討をいただいておるわけでございますが、ただいまのところまだそういった、これまでの態度といったものを変える必要はないというふうなことではなかろうかと考えておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 最後に一点だけ。沖繩の復帰ということがいま日程にのぼってきているわけでありますけれども、まあこれは今度の臨時国会で沖繩協定が承認されるとか、国内法が制定されるということが前提になりますけれども、それが、仮定の上ですが、協定が承認され国内法が制定されたという場合に、沖繩の裁判官が今度は本土の裁判官として採用されることになると思うのです。これはやはり憲法に基づいて、裁判所法の規定によって内閣が任命するという形をとるわけだと思いますけれども、これについて、やはり採用される者とされない者とが、沖繩の裁判官の中にも出てくるのではないか。もちろん欠格条項の方はこれはやむを得ませんけれども、何ら欠格条項はないのだけれども、どうも本土においてすでに実績が出てきているわけでございますから、沖繩の裁判官だからといって特別扱いをするわけにいかないから、採用しない者もあり得るのだということが、ちょっといまのような状況の中からは想像できるわけです。だから、その点を確かめておきたいのですが、その点はいかがでしょう。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、沖繩は戦争後復帰いたしますまでの間に、非常に御苦労をなさっているわけでございます。その沖繩で、現在裁判官として勤務なさっておる方々は、やはりできるだけそのままのいわば資格と申しますか、そのまま裁判官として御勤務いただくようにいたしたいというのが私どもの念願でございます。ただ、沖繩の裁判官の数等がどのようにきまりますか、これは今後の折衝の問題でございます。できるだけ全員の方が引き続き裁判官としておとどまりいただけるように、私どもできるだけの努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 沖繩で現在裁判官の地位を保っておられる方で、多くの方々が本土で委託修習というのですか、本土の修習生と同じように修習を受けて、沖繩の裁判官の資格をとって裁判官になっておられるということでございます。沖繩は祖国復帰協というような組織もございまして、非常に多くの人々が沖繩の無条件全面返還ということを要望しておられるようでございます。そういう中で、裁判官も沖繩県人でございますので、いわゆるそういうような考え方を持っておられる方も当然あると思うのです。そうなりますと、自由民主党の運動方針によれば、沖繩全面返還などということを言うのは反体制的な考え方の連中で、とても裁判官にはしておけない、そういう青法協はもうだめなんだ、こういうようなお話でございまして、沖繩の裁判官の中に青法協の会員がいるかいないか、それは私つまびらかにいたしませんけれども、いずれにしても、反体制だというような理由によって採用されない、本土の裁判官としては、もう理由は明らかにしないまま不採用、宮本裁判官と同じように、そういうことがあり得るのではないかという心配を、これは私はそういうことはあっては困ると思う立場から言うわけですが、その点はいかがでしょうか。

矢口洪一最高裁判所事務総局人事局長

○矢口最高裁判所長官代理者 沖繩の事情を私どももまだ十分つまびらかにしていない点がございますので、そういったことを前提にしての御質問には確定的にはお答えいたしかねますが、私ども、現在裁判官として御勤務の裁判官の方は、できるだけ全員の方が引き続き裁判官として御勤務いただけるように、今後も努力をいたしたいと考えておる現在の心境だけを申し上げておきたいと思います。

青柳盛雄日本共産党

○青柳委員 終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会      ————◇—————

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