物価問題等に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/09/10
会議録
○小林委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。
○武部委員 私は、最初に経済企画庁に、当面する円問題、これと物価との関係についてお伺いをいたしたいと思います。 いま、ドル問題、円問題がたいへん大きく取り上げられておるわけですが、いろいろ新聞なりあるいは週刊誌等に、この円の切り上げについて解説なり報道がなされております。私どもは、この委員会を通じて物価の問題でいろいろ論議をしてきたわけでありますが、かりに円が一〇%切り上げになったとすると、これはもちろん、いまの段階としては想定でありますから何とも言えませんが、かりに一〇%切り上げになった場合、これが現在のわが国の消費者物価に一体どういう影響をもたらすのか、こういう点でいろいろ数字があげられておりますが、たいへんまちまちな数字であります。ある物価の専門の経済学者の説によると、消費者物価の上昇を二%ぐらい食いとめることができるのではないか、こういうような意見がありますし、また銀行や経済研究所の意見によると、一〇%の切り上げで〇・五%くらいしか下がるまい。また、経済企画庁のどなたかの御意見によると、上昇にブレーキがかかるくらいなものではないかというような程度の説明で、引き下げの効果を期待することはできないというようなことを、企画庁の幹部の方は発表されておるわけであります。まあ円が切り上げになれば、輸入の関係で物価にとってはマイナスの要因はないというようなことも述べておられるようでございますが、この円の切り上げが、わが国の消費者物価に一体どういう影響をもたらすと考えておるのか、この点について企画庁の見解を最初に承りたい。
○宮崎説明員 お答えを申し上げます。 御指摘のとおり、ただいま、こういった円の平価の問題につきましていろいろ情勢が動いておりますので、どういうような措置が現実にとられるかということについての確たる見通しを立てられない状況でございます。したがいまして、物価という面から、どのようにこれが影響してくるかということも、それほど明確な経済企画庁としての意見ということを申し上げる段階にはないわけでございます。 ただ、経済モデル等を使っていろいろの想定計算が行なわれておることは御指摘のとおりでございまして、この場合にも、物価に非常にいい影響があるような試算もございますし、また、あまり効果のないというような形での試算もございます。私どものほうとして非常に簡単な計算でかりに試算をいたしてみますと、現在、消費者物価指数の中で占めますところの輸入物資の比率というのは三・二%でございます。そういうことでございますから、かりに単純にこれが一割の切り上げがあったということになれば、輸入物価はそれだけ下がる理屈でございますから、〇・三%程度の影響はある、こういうふうに計算をされます。このほか、わが国の輸入は原材料輸入が非常に多いわけでございまして、これはIO表等を使いまして、原材料が低下したことに伴う最終製品の価格というのを一応機械的に計算しますと、〇・五%くらいの影響はあるのではないか、こういうふうにはじかれております。ただ問題は、この場合に中間段階が非常に多いわけでございますから、それが計算どおりに全部下がるという保証はなかなかないわけでございまして、その辺のところがどうなるかということによりまして、全体として〇・五%くらいの影響ではないかというような議論もあるわけでございます。 このほかに、切り上げというような問題がかりに議論になるといたしますと、いま盛んに論議が行なわれておりますようないわゆるデフレ的影響というものが出てまいります。こういうことによって需給が緩和してくる。これは当然卸売り物価等には相当の影響があるものと思われますが、それが消費者物価にも影響してくる。また、そのデフレの程度によっては、賃金の上昇率の鈍化ということも考えられます。そういうことによって消費者物価を引き下げる影響が出てくるということも考えられるわけであります。ただ、この問題は、いずれにいたしましても、そういったデフレ的事態に対しまして景気浮揚政策がとられるわけでありますから、その程度いかん、その効果いかんということによって変わってまいるわけでありますが、私どもの見通しとしては、当面、今年下期から来年にかけて若干デフレ的な影響が出ることは免れがたいのではないか、こういうふうに見ております。 一方また、そういう効果が出てまいりますと賃金のほうが鈍化すると申しましたけれども、御承知のように最近非常に上昇率が高かったわけでございまして、下方硬直性という問題もございますから、そういう面から、賃金コストと生産性の関係からコスト・プッシュ・インフレ、そういう圧力が出てまいるかもしれません。これは物価にとってはマイナスの要素でございまして、こういった面を勘案して全体を見直さなければなるまい、こう思っておるわけでございます。 私どもの政策といたしましては、こういった輸入品の価格値下がりが実際に末端価格になかなか及びがたいというような、流通機構その他いろいろの問題がございます。こういう点についてよほどしっかりした措置をとってまいらなければならないと思っておる次第でございます。
○武部委員 いまのお話でありますと、平均して消費者物価の指数は〇・五%ぐらい下がるだろう。それは一〇%の切り上げのことを想定しているわけでございますが、現実に変動相場制になって、きのうのドル相場は一ドル三百三十八円五十一銭から三百三十八円六十二銭、五・九%の実質切り上げになっておる、こういう結果が出ておるわけであります。いずれにしても非常に動いておるわけですが、まず、ごく最近のうちに切り上げが行なわれるだろうということは、もうだれもがおそらくそのように見ておるだろう、こう思うのであります。 西ドイツが一昨年マルクの引き上げをやった。これは九・二九%の切り上げでありますが、それならば一体西ドイツで物価がどのようになったのか、こういう点の資料等もいろいろ取り寄せる努力もしておりますが、はっきりしたものがつかめません。つかめませんが、現実にマルクの九・二九%の引き上げによって輸入商品というものがある程度値下がりをしておる。しかし、それはほとんど期待するような数字ではなかった。輸入商品についてはわずかに二%ぐらいしか下がらなかったという事実が西ドイツにあるようであります。 そこで、いま全般的な数字は、それはそれとして、輸入商品については一〇%の切り上げは直ちに影響が出るというふうに、国民ひとしく思っておるものと思います。ですから、そのことについては、たとえば自動車、外車がどうなる、あるいは石油、小麦、あるいは飼料、砂糖、油脂、こういうような、ほとんど一〇〇%に近い輸入をしておる商品は、個々について相当の値下がりがあるだろう、また値下がりをさせなければならぬ、こういう世論が高まってきているのは、私は当然だと思うのであります。したがって、これからたくさんのことを申し上げることはできませんので、一つだけ具体的にお聞きをいたしたいのであります。これは一つの新聞だけでありますが、昨日の夕刊に出ておりましたので、その数字と私どもの持っておる数字、その中からお伺いをしたいのであります。 この問題は石油の問題でありますから、最初に通産省にお伺いをいたしたいのであります。 今年度の原油と重油の契約高はどのくらいになっておりましょうか。
○飯塚説明員 原油の契約と申しますと――ちょっと、先生のいま御質問の詳細は、私よく理解できなかったのでございますが、輸入の価格でございますか。
○武部委員 そうです、価格です。
○飯塚説明員 原油価格につきましては、わが国の消費量の九九%が輸入でございますが、このうち大部分が中東から入ってくるわけでございます。しかも、その原油の供給業者というのは世界の七大石油供給業者に占められておりますが、これは昨年の十一月ぐらいまでは、わが国への輸入価格はCIF価格で約四千二百円くらいだったのであります。その後、昨年の十一月から本年の六月にわたりましてOPECが――OPECと称しまして産油国の輸出機構でございますが、このOPECが、世界の七大石油業者に対する原油の供給価格の値上げを迫ったわけでございまして、いろいろ折衝した結果、ついにOPEC側に押し切られまして、原油の価格の値上げということになったわけです。そのしわが、わが国の輸入へも当然響いてきたわけであります。昨年の十一月から本年の六月までの間に、七大供給業者から日本への供給原油の価格というのは約千百円ばかし値上げということになったわけでございます。
○武部委員 私が聞いておるのはそういうことではないのです。それじゃこちらから申し上げますからお答えいただきたいのでありますが、今年度の原油、重油の輸入総額は、日本円にして一兆六百八十八億円程度、二十九億六千八百万ドル、これだけの輸入量がある、このように見て差しつかえないか、そういう点です。
○飯塚説明員 原油価格並びに製品の価格はそのつど若干変動するものでございますから、私どものほうは、輸入総額が幾らになるかということは、実は正確に申し上げるわけにはいかないわけでございますが、ただ、石油の需給計画というのをきめておりまして、これに基づきまして四十六年度におきます原油並びに重油の輸入量がきまっておるわけでございます。御参考までに申し上げますと、四十六年度におきまして輸入の計画を予定しております数量は、二億三千百万キロリットルでございます。
○武部委員 私の質問とあなたの答えとにだいぶそれぞれ食い違いがあるようですが、時間をとりますから、端的に言いますから端的にお答えください。 いま、原油は二億三千百万キロリットルとおっしゃったわけですね。それで、FOB単価でキロリットル当たり四千百八十三円、そして原油は九千六百六十四億円、重油がCIFで一千二十四億円、合計一兆六百八十八億円、これだけの原油、重油がわが国に入ってくる、こういう予想になっておる。これは、この新聞にも書いてあることとほぼ一致をいたします。二億五千万キロリットル。そのほかに、ここに新聞に書いてあるとおりタンカー用船料、これはドル建てで昨年の実績三六%と見て七百六十億円、長期債務一千七百億円、合計一兆三千百四十八億円、こういうようなものがこの円の切り上げと関係をする数字であるというふうに、この新聞にも、大体これと似たようなことが書いてあります。われわれもそのように調査の結果見るわけですが、それは間違いないか、こういうことです。
○飯塚説明員 新聞の数字は、大体私どもの考えておりますところと近いところだと思っております。
○武部委員 そこでさらにお伺いいたしますが、いまお話がございました、OPECの値上げ通告によって約千百円、こういうことになったわけですが、その値上げが一体どのような割合で、たとえばガソリンあるいは灯油、軽油、ナフサ、こういうような形では割合がどうなっておるのか、この点はどうですか。
○飯塚説明員 OPECの値上げによります千百円の分解は、それは原油から精製段階におきまして重油、軽油、灯油、ナフサ、ガソリン等ができるわけでございますが、それぞれの製品にどういうふうに割り掛けずるかというのは、これは私どもとしては関知しておらないところでございます。ただ、私どもがこの千百円の値上げ分をどういうふうに処理するかということにつきましていろいろ検討した結果、これは灯油等の、直接一般大衆消費者に関係するような製品へのしわ寄せは極力避けるように指導いたしておりまして、結果としては、重油等の大口消費者の応分の協力を得て、そちらのほうへの価格の値上げによってこの千百円の解決をはかるようにというふうに指導しておったわけでございます。
○武部委員 確かに通産省は、消費者にしわ寄せにならないようにという通達を出して指導されたことは認めます。認めますが、結果的にはそうなっていない。一番大量に消費される国民と一番関係の深いガソリン、これは一六%上がっておる。五十円が五十八円になっておる、これはお認めになりますね。――お認めになったようでありますが、こういう点から見ると、通産省の、消費者にしわ寄せにならないようにという通達の趣旨は生かされなかった、このように私どもは見るわけであります。したがって、いま私は、重油と原油の約一兆円、さらにドル建てによって石油業界が、七百六十億円なり一千七百億円という膨大な債務を持っておる。そういう中から単純に計算をすると、かりに一〇%の切り上げがあったとするならば、一兆三千百四十八億円というこの金額から一〇%、千三百十五億円というものが石油業界のふところに入ってくるという計算になるわけでありますが、そういう点について通産省はどういうふうにお考えでしょうか。
○飯塚説明員 先生がおっしゃられましたように、かりに円切り上げがあった場合の差益分は大体そのくらいの見当になると思いますが、ただ、これを分析して考えますと、まず輸入原油価格の値下がり分、これは一番大きいわけでございます。それと輸入ユーザンスの差益分、それからさらに、石油業界は外国企業から長期の借り入れ金を受けておりますが、この借り入れ金の差益分、三つに分類されるわけでございます。 私ども考えておりますのは、この輸入ユーザンスと長期ローンの分は別といたしまして、原油の値下がりが行なわれるとすれば、この分は、コストとしては当然コスト低減の要因になるわけでございますので、この分につきまして価格上昇抑制のほうに寄与すべきではないかということはいえるかと思います。 ただ、この点につきましても、実はいろいろ私ども検討すべき問題があるわけでございますが、実は今回のドルの実質的な切り下げにからみまして、OPEC諸国はすでに昨年の十一月に――ドル等の各国の、主要工業国の平価の実質的な切り下げがあった場合には、産油国の収入がそれだけ実質的に減るわけでございますので、それをカバーする意味で値上げの措置を行なうということを決議をしておるわけでございます。したがって、今回の各国の平価の多国間調整等が具体化いたしますと、そのOPECの決議に基づきます値上げ問題というのは再燃することが心配されるわけでございます。今後OPECが値上げをいってくる場合には一体どういう額をいってくるかという心配が一つあるわけでございます。 それからもう一点は、原油価格は確かに値下がりいたしますが、たとえば灯油等について考えてみますと、灯油の末端販売価格に占める原油分でございますが、大体三割から三分の一くらいというふうに考えておりますので、この分は値下げ要因として働き得ますけれども、残りの三分の二は販売関係の諸経費――運送関係等でございますが、これにつきましては、円切り上げに伴っての低下という要因にはならない。ただ、いずれにいたしましても灯油等の一般大衆への消費に直結した製品につきましては、私どもは、従来もそうでございますが、今後もできる限り上昇を押えるような方向で指導を続けてまいりたいと考えております。
○武部委員 あなたがおっしゃるように、OPECの決議がこの円の切り上げ後どういう形で出てくるか、それはこれからのことでありますから予想できませんが、先ほどのあなたの答弁を聞きますと、ユーザンスの問題は別にして、かりに大体一〇%くらいの切り上げがあった場合には、原油の輸入価格はそれだけ下がるのだから、それは当然消費者に還元さるべきものであるというような趣旨のあなたの答弁があったわけですね。それが円自体から見ると、一〇%ということについてはいろいろ問題がある。かりに一〇%切り上げになっても、これによって一〇%の額そのものが全部消費者に還元されるものではないような趣旨のお話がありました。 ただ、あなたの最初のお話にございましたように、前回の値上げ通告の際に現実にあなたたちの通達が出されたけれども、それが効果をあげ得なかった。それはガソリンの値上げによってはっきりしておるわけですね。したがって、今度のユーザンスを含めたものから見て、千二百億なり千三百億円というものが当然石油業界のふところにころげ込んでくることになるということについての数字は、あなたも否定されないと思うのです。問題は、それをどのような形で消費者に還元するか。前回の通達がほとんど効果をあげていないということは、先ほど何べんも言ったのでありますが、いまあなたは灯油のことをおっしゃった。三分の一程度は灯油の値段に影響するかもしれぬということをおっしゃっておるわけですが、少なくとも通産省のその通達の趣旨を生かすとするならば、これから値上がりが予想されるであろう灯油については、あなた方の趣旨を生かすならば、これの値上げは絶対に認めてはならぬ。消費者に一番関係の深い灯油、ガソリン、こういうものについて全力をあげて値上げを阻止する、消費者にこれを還元をするということについて、通産省はそういう態度でこれから臨まれるかどうか、それをお聞きをしたい。
○飯塚説明員 特に、先ほど来申し上げておりますように、灯油につきましては、私ども非常に重視をして考えておるところでございまして、どれだけ値下げができるかとか、値下げが確実にできるかどうかというような問題は、今後、先ほど申しましたようにOPEC等の動きとも関連をいたしまして、慎重に検討しなければいかぬ問題だと思いますが、少なくともこれからの需要期を迎えまして、値上げが行なわれるようなことについては極力抑制するように指導してまいりたいと考えております。
○武部委員 これは仮定の論争をしておるわけですから、なかなかそれ以上のことは言えないと思いますが、先ほど千百円のことをおっしゃったわけですが、私は、ガソリンは一六%上がっておるんじゃないかと言った。これはお認めになった。だとするならば、この前回の値上げによって重油、軽油あるいはナフサ、そういうものについては、値上げの幅はどの程度であったというふうに通産省は見ておりますか。
○飯塚説明員 重油等につきましては、大体一割ぐらいというように考えております。
○武部委員 一割、ガソリンについては一割六分でありますね。このように消費者にたいへん大きなしわ寄せがきておる、こういう事実があるわけであります。したがって、いま灯油のことをおっしゃっておるわけですが、私どもとしては前回の値上げの値幅、この数字から見て、ガソリン、灯油、こういうものについてしっかりした指導――業界のほうはいろいろ理屈をつけて、やれ人件費の高騰だとか流通機構がどうだとか、あるいはOPECが再値上げをどうとかこうとか、いろいろなことを言って、現実には石油業界は煙幕を張っておる。値下げの煙幕を張って、できるだけ値下げ幅を小さくしょうというような動きが現実に出ておるわけであります。少なくとも通産省は、私が申し上げたような前回からの経過にかんがみて、そうした消費者は一番影響のあるものについては絶対に上げない、そういう指導をするということを、この際はっきり言明できませんか。
○飯塚説明員 いま先生から御指摘ございましたように、ガソリン、灯油等につきましては、実は元売りから末端の小売り商に至るまでいろいろな経路がございますので、なかなか指導の面でむずかしい点もあるわけでありますが、たとえば重油につきましては元売りから大口消費者、直結をいたしておりますので、これはどれだけ値上げが行なわれたかというようなことは直ちにわかるわけでございますが、そういう点で、重油等に比べましてガソリン、灯油はむずかしい点があるという点だけは、ひとつ御了解いただきたいと思いますが、しかしながら、いずれにいたしましてもガソリン、灯油等の消費関連物資につきましては、今後の値上がり等については極力抑制するように、私どもとしては努力していきたいと考えております。
○武部委員 この問題はこれで終わりますが、先ほどお話がありましたタンカーの用船料の問題とかあるいは長期債務、こういうものが、円の切り上げによって全くたなぼた式にころげ込むわけですね。そういうものだけでも、金額としては相当なものになります。千七百億に七百数十億ですから、これだけで約二千五百億。そうすれば一割になったって二百五十億ですね。そういうものがたなぼた式にころげ込んでくるわけです。そういうものがある以上、業界がいろいろなことを難くせをつけて、そして値下げの幅を切り詰めようという、そういう動きは、絶対に通産省としては阻止をしてもらわなければならぬ。せっかく、物価の問題でたいへん議論をしている最中に、輸入品が下がるという可能性が生まれてきたわけですから、そういうものをこの際いいチャンスとして、国民の需要が非常に大きい石油問題についてはき然たる態度で、企画庁もそうでありますが、通産省もともども、いま申し上げたような指導を十分して、少なくともそうした利益が消費者に還元されるような方向、指導をとってもらいたい。このことを最後に要望しておきたいと思いますが、どうですか。
○飯塚説明員 先生おっしゃいましたような趣旨に沿いまして、私ども極力努力をいたす所在でございます。
○宮崎説明員 灯油につきましては、消費物資として非常に重要でございますので、私どものほうでもその価格の動きを注視しておるところでございます。ただいま御指摘のようないろいろの要件が出てまいりましたので、ぜひこの価格の安定のために努力してまいりたい。このために通産省にもいろいろお願いをいたしましてやってまいりたいと思っております。
○武部委員 私は、いま輸入品の中で九九%輸入にたよっておる石油をとりあえず取り上げたわけでありますが、そのほかに小麦はカナダ、アメリカから約八〇%輸入しておりますね。それから油脂、これも約八割、砂糖も同様に八割、そのほかにグレープフルーツあるいは輸入飼料、こういうものも当然値下がりするはずであります。したがって、そういう輸入飼料が格安になれば、そのことは直ちに豚とか牛とか鶏とか、あるいはバター、チーズというような酪農品にも当然影響をもたらすわけであります。したがって、先ほど申し上げるように、かりに円の切り上げがあった場合は、輸入品の値下がりにとっても絶好のチャンスであります。一つでも二つでも三つでも、具体的に値段を下げるということができるチャンスでありますから、少なくとも経済企画庁はこういう面で、この物価の上昇の続く中で、ぜひ具体的に項目をあげて各省と折衝をして、国民が納得できるような指導をぜひやってもらいたい。いま私は石油だけのことを取り上げたわけですが、いま言ったようにたくさんの輸入物資があるわけです。そういうものが価格に影響することは当然なんでありますから、そういう点について経済企画庁は、今後この円の切り上げ対策についてどういう考え方をもって各省と折衝するつもりなのか、これをお伺いしたい。
○宮崎説明員 全く御指摘のとおりでございまして、私どもこの四月に、前回の通常国会で成立をいたしました関税率の引き下げに伴う価格の引き下げについて関係各省に行政指導を要請いたしまして、これは大体効果を果たしております。今回、平価の問題でございますから、関係する部面は非常に広いわけでございますが、いま御指摘のありましたような非常に輸入品の割合の高いもの、これは非常にはっきりしておるわけでございますから、こういうものにつきましては、それぞれごとに強力に行政指導なり必要な措置なりをとっていただくことによってその効果が及ぶようにしたい、われわれも努力をしたいと考えております。
○武部委員 それでは、時間の関係でもう一点お伺いをいたします。総理府統計局であります。 私は当委員会で、かつて消費者物価の指数の問題についていろいろお伺いをいたしました。その理由は、いまも経済企画庁からこの資料を受け取ったわけでありますが、本年の四月の全国消費者物価の値上げは六・二、五月が六・七、六月が七・二、こういう数字がただいま私どもの手元に示されました。もちろん私どもは、統計学者でも何でもございませんし、そういう点について非常に勉強も足りませんが、現実に国民の側から見た場合――消費者物価の指数が新聞なりテレビに発表されます。そうすると、国民の側から見ると、全くそれが生活の実感からかけ離れた数字ではないか、一体こういう数字がどうして出るのだろうかという疑問を持っております。これは私どもは、たくさんの人からそういうふうに端的に質問を受けます。現在の消費者物価、CPIの算出基準というものも承知をいたしております。したがって、出てきた数字は、確かに現在の基準の取り方から見て、これは統計学的に間違いのない数字ではないか、それはわかります。しかし、その数字が国民と全くかけ離れた数字であって、国民の側から見ればたいへん疑問の数字だ、こういうふうに思っておることも事実でありますから、その点について、いまの物価上昇が続く中で、ただ単に政府がこの消費者物価の平均的な指数をもとにして物価対策をやってもらったのでは困る、こういうことを、われわれは何回もここで指摘をしてきたところであります。 そこで、これから四、五点お伺いをするわけでありますが、前回の統計局長の答弁によりまして、わが国の指数の変更は五年ごとであるという話がございまして、今度は新しい観点に立って物価指数を取り込む、こういう話がございましたが、その後どのような経過をたどって、いつごろこの物価指数の基準が明らかになるのか、また品目等についてはどのように取り扱われておるのか、それを最初にお伺いいたしたい。
○関戸説明員 お答え申し上げます。 昨年、先生ただいま申されましたように、いろいろ物価指数につきましての問題点の指摘を受けました。五年ごとにウエートを変えるとか品目を改定する、そういったことで、現在の経済活動の非常に変動の多い時代に、はたして適切な消費者の物価指数としてこれが利用できるかどうか、そういった問題点を指摘を受けたように記憶をしております。それと関連いたしまして、ウエートがやはり五年ごとではいかがかという観点からであろうと思いますが、イギリス等におきましていろいろ研究をされております。また、わが国におきましても、森田優三先生が御研究になっておられます連鎖基準方式というような・ウエートが非常に近い、一年前くらいのウエートが利用できるような、そういった形で計算をしてはどうなのか、いろいろ御指摘を受けました。 その後、私ども統計局におきましても検討を重ねましたが、各省庁がつくっておりますそれぞれの経済指数等との関連もございまして、行政管理庁のほうで、はたして基準時並びにウエートをどういうふうにすればいいかというような諮問が統計審議会にございまして、本年の二月に諮問が出たように記憶しておりますが、その後統計審議会におきまして御検討をいただきました結果、やはりウエート並びに基準時は五年ごとといいますか、今回は四十五年で改正するのが至当である、こういうような答申を受けたのであります。 私ども、先ほど申し上げましたようにいろいろ御指摘を受けておりますので、検討は進めておりますが、今回新たに五年目になっております。現在は四十年基準でございますので、四十五年基準という時期に到達しておりますので、今回の改正にあたりましては、答申もありました関係もございまして、やはり基準時は四十五年ということで計算を進めるように、目下作業中でございます。 なお、品目等につきましては、先生の御指摘もございますように、経済、消費生活がいろいろ変動してまいりますし、五年前と最近とでは非常に状況が変わっておりますので、そういった状況を反映するように、品目等におきましてもだいぶ入れかえをいたしました。 品目数で申し上げますと、三百六十四品目現在とっておりますが、今回四百二十八品目。この大多数はと申しますか、入れかえをいたしましたものの一、二の例を申し上げますれば、新たに今回被服の関係におきまして、御婦人方の和服というものが相当消費の対象になってふえてきております関係もございまして、そういった意味で和服を取り入れるとか、あるいはカラーテレビというようなものが、四十年当時よりもずっと一般の消費者生活の中に食い込んできておりまして、こういうものの金額につきましても、相当多額の金額のウエートを占めるというような状況になってまいっております関係で、カラーテレビを採用するとか、あるいはまた自動車等も相当の購入量がございまして、四十年当時と格段の差になってきておりますので、そういった意味合いにおきまして、なるべくわれわれ現在生活しております消費形態に近いパターンを取り上げるべきでございますので、五年おきとはいいながら、そういった関係で消費生活に密着しております品目を取り上げるということにいたしておるわけであります。 なお、これらの品目の変更等によりまして最も重要な御指摘を受けたものといたしまして、家屋の購入というものが、従来消費者物価指数の中に考えられておりません。これははなはだ不十分ではないかという御指摘もございました。これにつきましても検討いたしました結果、どういう方式によるか、世界各国においていろいろの方式をとっておりますが、私ども検討いたしました結果、帰属家賃方式という方式をとりまして、いずれにいたしましても家屋の購入というものを消費生活の中での一部分として取り上げるということにいたしました。これが今回、品目並びに内容的に大きな変化をいたしたところであります。同時に、やはり先生のただいま御指摘のような、実態に合う、実感に合う数字が出るようにという観点からも、これらのものを採用いたしたわけであります。 作業はただいま進行中でございますが、一応本年の十一月に公表できるようにただいま鋭意計算を進めておるところでございまして、従来とも出しておりました指数に加えまして、今回、いろいろの御指摘もございましたので、参考という形で指数計算をしたものを公表したい。 その一、二を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、ウエートが古くてはいけないではないかという御指摘からの見地によります連鎖基準方式、これを取り入れまして、非常に作業量も膨大になりますので、はなはだ申し上げかねるのでございますが、年一回という形で、この連鎖基準方式による指数も計算をして発表をしたい、参考に御利用願おう、このように考えておりますことと、従来も出しておりますが、年間収入の五分位階級別、こういった形によりますものも出しますと同時に、今回新たに考えまして標準世帯の消費者物価指数――標準世帯というものを、いろいろとり方はあろうかと思いますが、一応夫婦と子供二人で世帯主が有業者である、すなわちその家庭内では有業者は一人しかいない夫婦と子供二人、こういった世帯を一応標準世帯と考えまして、それらの世帯の消費者物価指数はどうなるかということを参考までに作成をいたしたい、このような構想で目下作業を進めておるという段階でございます。
○武部委員 作業の行程はわかりましたが、私は前回の委員会で持ち家の問題を取り上げましたところ、今回それを採用するということでありましたが、あのときも論議がありましたが、アメリカでは購入価格方式をとっておる、いまあなたがおっしゃった帰属家賃方式はイギリスでとっておる、こういう話でありました。それで、この帰属家賃方式をとられたわけですが、これは購入価格方式よりも現実に即しておるというふうにお考えになったからこの方法をおとりになったのだろうと思いますが、それで間違いないかどうか。 なお、いまお述べになった、六十四品目ですか今回はふやしておる。そのうちの和服のことをおっしゃったわけですが、被服が、いただいた資料によると三十品目新たにふえておるようであります。そうして、廃止になったものも若干ありますが、これは非常に多い。そして特に和服ということをおっしゃったわけです。カラーテレビのこともおっしゃった。これは端的にいえば、一万点という総ワクの中でいじくるわけですから、片一方がふくれれば片一方は引っ込むわけでして、そういう面から見ると、一番家計に必要な品物にウエートを高くすれば、これは現実に即した、実感のわいた数字が出てくるでしょうし、ほとんど縁のないものをたくさんウエートを立てて出せば、これはもう無縁の数字になってくるだろうということは当然のことであります。 それから、これは時間がないので多く申し上げませんが、前回も統計局長と私とやり合ったときに、一言で言え、一体どれだけ物価が上がったのかということを一言でいえば平均の数字を出さざるを得ぬ、一言でいえばそれしか出ないのだ、しかしその平均の数字に当てはまる階層というものは全くないと言っていいくらいだという答弁を、統計局長はいたしました。全くそのとおりだと思う。六・七という数字がかりに出たとしましょうか。六・七という数字、全くそのとおりだと、当てはまる階層というものは全く微々たるものだ。そうすると、一体あなた方が一生懸命苦労してお出しになるものは、世界的な統計学から見て全くりっぱなものだということを――宮澤経済企画庁長官当時も、いまの日本の物価指数のとり方はりっぱなものだ、世界のどこに出しても恥ずかしくないということを言っておられました。しかし現実には、さっきも言うように、それはあくまでも平均の数字であって、生活が多様化してきた今日には、国民の感覚からはほど遠いものではないか、こういうことになるのは当然だと私は思うのです。 そこで、二つ三つお伺いいたしますが、あなたはさっき和服のことをおっしゃったわけですけれども、一体ウエートはどのくらいに置こうとしておられるのか。また、カラーテレビが非常にたくさん普及するようになったので、そのウエートを相当重要視しておるというようなお話でございましたが、一体カラーテレビのウエートをどの程度に持ってきておるのか。御承知のように、いまカラーテレビの問題がたいへんやかましくなって、値段はどんどん下がりつつある。そういうもののウエートを高くすればどういう結果になるかは理の当然でありますが、こういう二つの点について、ひとつ数字をあげて説明していただきたいと思います。
○関戸説明員 では、一番最後に御質問になりました、具体的に二つの数字をあげてということでございますので、そちらから先にお答えをさせていただきます。 和服と申し上げましたが、和服全体についてのウエートを実はいま手元に持っておりませんで、和服の内訳で恐縮でございますが、婦人のウール着物が一応十五ということになっております。それからカラーテレビは、一万分の一の百五十九というウエートになっております。 先生に申し上げるまでもないことだと思いますし、はなはだ蛇足で、あるいは失礼にあたるかと思いますが、私どもウエートを計算いたしますのは、消費生活全体の中でどういう品物にどれぐらいの金が出たか、いわゆる支出金額がどれぐらいであったかということを、一年間の家計調査によりまして数字をはじき出しますので、カラーテレビが非常に出回り、非常に購入されておるという一応の常識だけでこのウエートをきめるというわけに実はまいりません。客観的な家計調査の結果によりまして、その生活費全体の中でカラーテレビには幾らの金額が支出されたかという具体的な数字をもちまして、その数字が一万分の一でどのくらいになったかという具体的な、全く機械的な計算といっても差しつかえない計算で出しておりますので、消費量の多いものあるいは値下がりするものはあまりウエートをかけるべきでないというわけにもまいらないという点もございます。先生十分御承知だと思いますが、一言申し上げます。
○武部委員 たいへん時間も経過をいたしましたので……。指数のとり方については、あなた方の御意見もよくわかります。わかりますが、何回か言うように、これが生活の実感とたいへんかけ離れておる。そこで前回も何べんも論争したわけですし、ことしの通常国会の連合審査のときにも、私は総理にもそのことを言いました。 そこで問題になってくるのは、これだけ生活が多様化をしてきて、所得別に見ても年代別に見ても、あるいは地域別に見ても家族構成別に見ても、購入頻度が非常に変わってくるのだから、そういうような生計調査をもとにした調査をして物価指数――CPIはそれでけっこう。しかし、現実に家計に占めるところの、非常に多くの支出を要するものはどの程度上がっておるのか。前回は五分位階層の問題が出ましたけれども、五分位階層ではなしに、きちんと年代別とかあるいは家族構成別とかというものにでもして、いつでもそれがわかる。そしてそのことが政治に反映されて、それに基づいて政策が行なわれるという方向をとるべきではないかということを、私は主張をしてきたわけです。 そこで、去年の二月に第一銀行が出しましたね。年間百回以上家計簿に載った品物を抽出して、それの消費者物価の指数を調べたら、あなた方のほうの統計の一・五倍という数字が出ておる。平均で大体一一%上がっておるという数字が出ました。品目もはっきりしておりますからおわかりだろうと思います。そういう点についての調査を政府自身がやる必要がある。そうして、それをいつでも国民に公表できるというようなことが必要ではないか。 それで、この前東京都が、これは美濃部知事が指示をして、いま現実に作業が進んでおるようでありますが、やはり物価に実感の指数を当てはめることが必要だということから、家賃とか地代を含める、あるいは現行のものに含まれているふだんあまり使わない品目をはずして、いま家計調査が店頭調べになっておるのを、消費者が実際に買った物価を忠実に反映させるために、都内の世帯を選んで家計調査を行なう。そういうような指示をし、現実にその作業が進もうとしておる。こういうような記事が発表をされました。これはわれわれがかねてから指摘をしておることと同じであります。 これは総理府統計局が現実にそういう作業をするのかどうか私はわかりませんが、少なくとも物価問題がこれだけやかましいのですから、経済企画庁が音頭をとって、そうして生計調査――具体的に、家計に重大な影響を与える生鮮食料品は一体どのくらい上がっておるのか、あるいは地代、家賃がいまの国民の台所をどういうふうに苦しめておるのか、こういう点について具体的な調査をする。CPIとは別に生計調査をきめこまかくやる。そういう作業を進めて、これをいつでも国民の皆さんに発表でき、そのことが消費者物価指数と実感とのズレ、それが一目りょう然わかる、こういうようなやり方をすべきではないかというふうに私は思っておりますが、いま私が申し上げた東京都の例なりあるいは第一銀行が調査をしたこういうやり方について、統計局長は一体どういうふうにお考えでしょうか。
○関戸説明員 お答え申し上げますが、先生の御質問一々ごもっともだと思います。私ども確かに物価指数の結果を公表してまいっておりますが、報道関係その他等からも、どうも実感に合わない、六・七%といわれてもどうもそういう感じがしないと、しょっちゅう言われておるわけであります。従来ともそれに対しまして、統計局あるいは諸官庁のほうで、実はこういうことだというようなことをいろいろ言ってまいったのでありますが、繰り返して恐縮でございますけれども、やはり国民の実感というものは、しょっちゅう買うものが上がりますと非常に上がったと感じてしまう。また、五年に一ぺん買うとか一年に一ぺんしか買わないようなものがかりに上がっておりましても、あまり上がったと感じないのが人情だろうと思うのであります。したがいまして、いわゆる購入頻度回数の多いものが一体どういうふうになっておるかというような観点から物価指数を見直してみる必要があるのではないか、ここら辺が先生の真意であろうと思います。 私どもといたしましてもそういう意味合いで、先ほど、全国平均の数字だから、ほとんどその世帯に当たるようなものはない――これは、平均ということになりますればそういう議論にもなってくるわけでございますが、また、いま先生の御指摘のような観点から指数をつくるということになりますと、その観点のとり方いかんというようなことが一つの議論の根底になろうかと思います。いずれにいたしましても、購入頻度というような観点からこの指数を分析してみよう、そういうようなお考えが出るのは当然でございます。また、可処分所得と消費との関係で弾性値をとってどういうふうに見ようかとか、技術的にも学者先生方がいろいろ検討されるというようなこともございます。先ほど私が申し上げました標準世帯の消費者物価指数をつくろうというのも、一つは具体的に実際ある世帯、先ほどから先生の御指摘のような、架空といっては大げさになりますが、これは統計上やむを得ませんが、まあ平均の数字が平均の世帯でこういうことだと、どうも自分たちと全然かけ離れたものだ、こういうふうにどうしてもとられやすいので、具体的に標準世帯というものをつかまえまして、その標準世帯でどういう消費者物価指数、物価はどうなるかというようにとらえていきたいというのも、一つの努力のあらわれとおとりいただきたいと思います。 話を戻しまして、先ほどの購入頻度別にどうなるかというようなことも、実はそれぞれの官庁等においても御研究になり、あるいは御要求等もございます。私どもが全く手をこまねいて何にもしてないというわけではございません。先ほど先生がおっしゃいましたように、統計局から公表する物価指数としては従来出しておるものでやむを得ないだろうけれども、もう少しきめこまかい、国民の側に立っての指数というものも出せるように統計局でも考えたらどうか、こういうような御指示であったように私は受け取ったわけであります。前局長が答えた段階におきましては、まだそのような研究が進んでおらなかったのかと思いますが、その後先生の御指摘あるいは報道関係その他からのいろいろの御注文等にもありましたので、現在は私ども、全く参考でございますけれども、購入頻度別にはどのようになるか、購入頻度回数の多いものはどういうウエートを占め、どの程度に全体平均の指数が上がると頻度回数の多いものはどういうふうな結果を示すかというようなことも、試算的にではありますが計算をし、勉強をしておるということでございます。 実際の数字で、これは全く計算上試算でございますが、四十年を一〇〇といたしまして四十四年の平均上昇率、この四年間の平均上昇率ということになりますが、全品目につきましては四・九%上がっておったものが、頻度回数別にとりますと、年一回買うか買わないか、いわゆる年一回未満の購入になる品目は三・九%上がった。それから、年に一回ないし十二回未満、これの品目につきましては四・六%、年十二回以上、すなわち月 一回以上は当然買うというような品目につきまして四年間の年平均の上昇率を見ますと五・五%、それ以上になりまして二十四回未満まで、すなわち月二回未満というものは六%という計算になっておりますが、二回以上のものが実は四・五%と出ております。平均の四・九%よりも低い。このような全く計算上の答えでございますが、こういった答えも実は私どものほうで計算をいたしておるということを、御紹介申し上げておきます。
○武部委員 申し合わせの時間を過ぎましたので私は終わりますが、いまあなたは、標準世帯を一つ例にとってそういう数字を研究する、これは一歩前進だろうと思うのです。しかし、それだけでは、私どもとしてはどうも納得できないのです。そのほかにも、さっきから何べんも言うように、所得別とか階層別とか年代別とか地域別とか、いろいろありますね。そういうものを調査をし公表してもらわなければならぬ。あなたのほうで持っておっただけじゃ何にもならぬ。それを公表し、そのことが国民の各階層に、物価高の現在どういうふうに影響を与えておるか、それで今度はわれわれが、経済企画庁なり政府に、その問題を基礎にして政策の転換を求めていく、こういうことでなければ何にもならぬのであります。公表しなければ何にもならぬ。したがって、これから研究されることはけっこうでございますが、それは公表していただきたい。それでよろしゅうございますね。それで私は終わります。
○関戸説明員 私どもも、できるだけ早い機会にこれらの指数が公表できるようになることを望んでおりますが、いろいろ技術的な問題もございますし、諸般の批判にたえ得るものでなければならないというようなことで、一応参考として発表するという段階を通ることになろうと思います。それまでの公表という形が完全な公表という段階に踏み切れるかどうかという点に、やや私どもだけの計算あるいは技術論だけで済まない問題もございますので、いろいろの審議会等の批判等も受けなければならないというようなこともあろうと思います。できるだけ参考という形で発表させていただくという前段を置きましてそれが公表されるわけでございますので、指数としてこれが基本的な指数であるという意味の公表ではない。参考的に、私どものほうで計算したものはこういうふうになったというものを一般にお知らせをするという形の公表は、できるだけ早い機会にとり得るようにしたい、このように考えております。
○武部委員 では、時間ですからこれで終わります。
○小林委員長 松浦君。
○松浦(利)委員 それでは、私は、初めに経済企画庁の宮崎局長にお尋ねをいたしますが、今度の国民生活白書は、局長の手元で非常にユニークな白書をつくられたわけですから、答弁もきわめて前向きで簡単明瞭に、国民にわかるようにひとつお答えいただきたいと思うのです。 御承知のように参議院の大蔵委員会で二日に水田蔵相は、円の切り上げが必ず物価引き下げに好影響をもたらすであろう、こういう発言をしておられるわけです。いま武部委員の質問に対する答弁を聞いておりますと、局長は、かりに一〇%円が切り上がったと仮定すれば物価に対する影響は〇・五%だ、こういうふうに言っておられるわけです。そうすると、残りは全部流通機構なり何らかに吸収されてしまうわけですが、いま国民が一番不安に思っておるのは、円の切り上げがどういう形で国民の生活に影響を与えるだろうか、円が切り上がったらはたして物価が下がるだろうかというところに、国民の不安と期待が一番錯綜しておるのじゃないかというふうに私は思うのです。 そこで、ここでずばりこの際お尋ねをするのですが、きょうは食糧庁長官も来ておられますから御答弁いただきたいのですが、政府が直接タッチをしている小麦ですね、これは四十四年度のジェトロの発表によりましても、七七・二%がアメリカ、カナダからの輸入なんです。実際に小麦が円の切り上げによって下がるということになれば、国民が食べるパンとかうどんとかいうのは値下がりするのかしないのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○宮崎説明員 もし切り上げというような事態になりました場合の物価引き下げのためのいろいろな措置が必要であるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。各物資ごとにそれぞれ相当強力に行政指導なり措置をとりませんと、流通段階でこれは吸収されてしまうというようなおそれが多分にある。これは、いままでの自由化の問題その他の例でわれわれは経験しておるわけでございます。したがって、そういう努力をいたさなければならないと思っております。 具体的にお話がありました小麦の問題でございますが、これは御承知のように食管物資でございまして、国内麦との関係もございますから、この政府売り渡し価格をいかにすべきかということは、切り上げというような問題とストレートにどうするかということにはならないと思います。これは価格支持の水準ということで問題が考えられておりますので、現在でも実は相当の差益が出ておるはずでございます。したがって、この問題につきましては、そういった食糧政策、農業政策の見地からの検討が別途必要だと思いますが、かりに、切り上げの影響で輸入価格が下がるわけですから、それに応じて引き下げていただくということになれば、われわれとしては非常に望ましいことでございます。その結果がパンなりあるいはうどんというものにどのくらい響くかということになりますと、これは御承知のとおり、小売り価格に占める原料費の割合というのは非常にわずかでございます。そういう面から見まして、末端価格に非常に目に見えて下がるというような形にあらわれてくるかどうかということになりますと、この点はそれほど大きく期待はできないと思いますが、これもやはり、先ほど申しました一般的な行政指導の一環としてやるべき問題だ、こういうふうに思います。
○松浦(利)委員 局長、ジェトロの調査で四十四年、七七・二%なんです。そうすると、四十五年度は八〇%近くカナダ、アメリカの麦が輸入されておると思いますね。ですから、国内の生産というのは、二〇%台を割っておるんじゃないかというふうに思うのです、正式なあれはわかりませんけれども。だとするなら、ほとんどがもう輸入にたよっておるという状態ですね。そうなってきたときに、やはりそれが食管の中で、逆ざやで赤字があるから云々ということで、実質的にはそういう形で吸収されてしまう。現にもう食糧庁は、新聞発表ですからその意図するところはわかりませんが、ドル建て円払いを円建て円払いにしたけれども、その為替差益というのは食管赤字に吸収されてしまうということをすでに発表なさっておる。だとすると、現実にレモンですね、レモンの自由化によってレモン農家が大打撃を受けておる。広島、愛媛のレモン農家は大打撃を受けておる。サンキストレモンがすでに、ジェトロの発表でも、四十四年で九二%市場を持っておるんですね。おそらくもう四十五年度は一〇〇%でしょう。そうすると、実際に円が切り上がった場合に、いま言ったようなことで、政府自体がやはり円の切り上げをそういったものに吸収しようとするんだから、現実に円が切り上がった分を各企業がそういう形で吸収をしてしまうということになれば、結果的に、これから物価を上げようとする要素の抑制策にしかならない、こういうふうに国民は理解すべきだ、私は、こういうふうに政府が言っておるような気がしてならぬのですが、その点局長、どうです。
○宮崎説明員 いま小麦の事例が出たわけでございますが、輸入の割合は八〇%をこえておるようでございます。これは、いま申しましたような非常に特殊な制度のもとにあるわけでございまして、これをどうするか。食管という過程を通じてその価格がきまっておることから見まして、これは政策的な問題であろうと思っております。しかし、大部分の物資はそういうことはないわけでございますから、切り上げというような事態がかりにありました場合には、その影響というものは当然にあらわれるわけでございます。先ほど石油の問題も出ておりましたが、大豆であるとかえさであるとか、あるいは粗糖でありますとか、あるいは綿花、羊毛、鉄鉱石、原油、いろいろの問題がたくさんございます。消費物資につきましても、御承知のようにいろいろ輸入物資があるわけでございまして、こういったものについて、それぞれごとに強力にやっていくということになれば、その影響はかなり出てくる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
○松浦(利)委員 私たちは、本委員会でもあるいは商工委員会でも、常に議論になるのは流通機構ですね。非常に複雑な流通機構の中でそういったものが吸収されてしまう、あるいは値上がりの様相を持っておる、こういうことで、流通機構というものについての整備、こういったものが何べんも議論されておるわけです。ですから、この際、これはもうここでこの円の切り上げ問題、そのことについて物価とどう関連するかということをこれ以上議論しようとは思いませんけれども、円を切り上げたということのメリットがやはり消費物資にはね返ってくる、消費者物価にはね返ってくる、こういうための強力な行政指導をぜひしていただきたいと思うのです。先ほど、これは局長の人柄かもしれませんが、石油の問題にからんで、武部委員の質問に対して、通産省にお願いをいたします、こういう御答弁をなさったんです。私は、お願いじゃだめだと思うのです、物価の担当省だから。お願いをするという形じゃなくて、経済企画庁の姿勢としては、むしろ強力に指導する、私はそうあるべきだと思うのです。その点を考えて、やはり円の切り上げに伴うそういった利益というものは必ず消費者物価にはね返るように、国民に還元するように強力に指導するということを、この際国民の前に明確にしてもらいたいと思うのです。
○宮崎説明員 その点はまさに私どもの仕事でございますから、そのようにいたします。 先ほど石油の関係で、通産省にお願いをすると申しましたけれども、私どものほうの物価安定政策会議でも、この問題を近く取り上げることにいたしております。十分そういった努力はいたしたいと思っております。
○松浦(利)委員 それでは、次に、米の問題について食糧庁のほうにお尋ねをしたいと思うのですが、実は本委員会で、私は約二時間ぐらい米の問題で議論をしたのです。そして最終的に結論として、米価審議会の開かれる前にできるだけ本委員会に、物統令をはずしたあとの消費者米価に対する措置について報告をします――これは会議録を調べていただけば明らかになると思うのですが、そういうふうになっておったのです。ところが、御承知のように、九月の二十二日に米価審議会が開かれるわけですね。ところが私たち委員の手元には、そういった、米価審議会が開かれる前に、消費者米価についてどういうふうな扱いをするという政府の措置なり発表というものは、何ら来ておりません。ただ新聞紙上を通じて拝見をしただけなんです。仄聞しただけなんです。そういう点は、食糧庁のほうは、ここの委員会におけるそういった約束についてはどういう解釈をしておられるのか、その点をひとつ長官、まず最初にお聞かせをいただきたいと思うのです。
○亀長説明員 いま御指摘の、当委員会における話し合いあるいは御質問の結果そういう答弁のあったということにつきまして、私さっそく議事録を調べて、それに従いまして善処いたします。 二十二日に開催するかどうかはまだ決定いたしておりません。その辺に開催をしたいと考えておりますけれども、いろいろ各委員の御都合等もございまして、はたしてその時期になるかどうか、まだ決定をいたしておりません。
○松浦(利)委員 それでは、会議録を調べて、ぜひ新聞紙上を通じてじゃなくて措置していただきたいと思うのです。 そこで、その前に、そういったことを前提にしながら御質問をするわけでありますが、この前の委員会では、物統令をはずして消費者米価が加熱して値上がりをした場合には、過剰米を政府はたくさんかかえておるから、それを市場に放出することによって、コントロールします、こういうふうに答弁をなさっておるわけです。ところが、これは私が調査したわけでありますが、実質的に昭和四十六米穀年度ですね。来年度の米穀年度の累積過剰米は幾らというふうに見ておられるのですか。いま、新米穀年度における過剰米は幾らだというふうに見ておられますか。
○亀長説明員 私ども本年度予算のときに御説明をいたしましたとおり、本会計年度の当初、四十六年の四月におきまして、四十五年産までの過剰のものが六百五十万トン近くある、それを四十六年度におきましては二百万トン処分をする、これは過剰米としての処分をするということを御報告申し上げましたが、大体これは計画どおり処分ができる見込みでございますので、そういたしますれば四百五十万トン前後の過剰米となる。しかし、四十五年産米につきましては、大体におきまして、私どもの計画よりも四十五年産米が五十万トンほど過剰になりますので、さらにその上に加えました約五百万トン近いものが、四十六年の年度末において過剰となるであろう、かように考えております。 四十六米穀年度と申しますと、ことしの十一月になるわけでございますが、四十六米穀年度において配給に使用いたしますものは、四十六年の産米と四十五年産の米でございますが、四十五年産の米は大体百万トン持ち越すという計画でございますが、先ほど申し上げましたように、四十五年産の米は約五十万トン生産過剰のような結果に相なろうと思いますので、百五十万トン、計画に対して五十万トンよけい持ち越す結果に相なろうかと思います。
○松浦(利)委員 そうすると、いま言われたその五十万トンですね、四十六米穀年度に持ち越す四十五年度のふえた五十万トン、これは実質的には米屋さんが配給を断わるお米じゃないですか。そういうお米をもらったのじゃ消費者が買ってくれぬからお断わりしますというおいしくないお米、そういうお米が米穀年度に五十万トンよけいに繰り越される。当初予定の百万トン以上に……。百万トンというのは四十六米穀年度に繰り入れる。ですから、純粋な過剰米というのは五十万トンですな、いまのあなたの御説明によると。そうすると、その五十万トンというのは米屋さんがお断わりするお米じゃないですか。
○亀長説明員 四十五年産米の十一月に持ち越すのが百五十万トンということでございますが、この百五十万トンの中身というのは、これはもちろん全国各県の生産米でございまして、その中には北海道とか青森とかあまり喜ばれない米がありますが、別に百五十万トンすべてがそういうわけではなくて、もちろん全体として各県の生産米が含まれておる。もちろん私どもは食管法の規定によりまして、うまくてもまずくても買わなければならないということもございまして、これは米価を払って買っておるものでございますから、私どもとしては、多少の困難はありましても、やはりこれは国民の方に食べていただく、食糧庁としては配給をする、かような考えであります。もちろんこれは、実際お米屋さんの立場からは、たとえば水分が多いとか、どうも歩どまりが悪いとか、入れ目という、余分に入れるという商業慣行がございますが、そういうものが少ないとか、そういう取引上のもんちゃくはございますけれども、そういうものは現実的に処理をして、これはやはり消費者の方に食べていただく。同時に片一方では、生産者に対してもうまいお米をつくっていただくように奨励措置を講じていく、かような考えで対処いたしているわけでございます。
○松浦(利)委員 そうすると、過剰米過剰米という内容、結局昭和四十六米穀年度において、いま言われた内容の中で四十四年産米、これは順調に消化されていますね。そうすると、四十六会計年度に繰り越されておる米というのは、四十三年以前のお米と四十五年度の、いま言った――私はそれはおいしくない米だと思うのですが、あなたは、ミックスした米だ、こう言っておられるけれども、その米を合わして五百二十万トン前後の過剰米となるわけでしょう。そうじゃないですか。
○亀長説明員 私ども過剰米と申しますのは、簡単に申しますれば、主食用として必要な数量を差し引いた数量ということでございまして、別に、米に過剰米という札がついておるわけではございません。数量的な概念としてこういうものが過剰米としてあるという前提で申し上げておるわけでございます。 それで、先ほど申し上げました四十六会計年度末においては五百万トンくらいになるということは、四十二年産米、四十三年産米、四十四年産米さらに四十五年のうち百万トンしか古米を食べなければ、五十万トンというのは新たな過剰ができたことになるので、それをプラスするということもあり得る。しかし、かりに百五十万トンを全部消費者に食べてもらえば、百五十万トンは過剰米の計算ではなくて一般の配給米ということになる、かようなことを申し上げたわけであります。
○松浦(利)委員 ですから、いずれにしましても四十二年、四十三年、四十四年、四十五年とある。で、四十二年、四十三年のお米というのは実質的に、過剰米というけれども、配給には供しても食べられませんわね。そうでしょう。四十三年米も、二つゆ越したら食えないのですよ。あなたは専門家だから――私はしろうとだけれども、そうでしょう。そうすると、四十三年米もだめなんですよ。そうすると、残っているのは四十三年米と四十四年米でしょう。古米と古々米ですね。そうすると、四十五年米はそういうふうに北海道とか、お米屋さんがお断わりする米ということになるなら、過剰米といっても、その内容というのは実際に国民の使用に供する内容じゃないですな。はっきり言うと、消費者が喜んで食べるお米じゃないですよ。それを政府は現実的に手持ち過剰米だ、こう言って、物統令をはずしたら、その過剰米を放出することによって消費者米価の値上がりを押えます、こう言っておられるのだけれども、おまえら、そんなにやかましく言うなら放出をするから、そのまずい米を食え、こういう政策のように聞こえるのですよ。だから、政府の過剰米を放出するというのは、実質的には国民に対して――食べられないお米を買って食べる人もおるでしょう。所得が少なくて、くさい米を食べなければ食っていけない人もおるかもしれないけれども、そういう意味では、実質的には、過剰米ということは国民の使用に供することができないお米が大半を占めておる、こういうふうに規定していいのじゃないですか。国民が喜んで食べられますか。
○亀長説明員 米の味というのは非常にむずかしい問題でございまして、私どもにも、銘柄格差をつくってうまい米を買えという御要求がございますが、なかなか完整な銘柄格差というものはつけがたいのでございます。また試食会等をいたしましても、なかなか鑑定の結果というのは一致いたしません。非常にむずかしい問題でございます。きわめて主観的な要素を持っております。銘柄格差が存在しておったこともございますけれども、これは自由取引の結果そういうものが商業慣行として生まれてきたような経緯でございまして、主観的な味の判断ということはなかなかむずかしいのでございます。 四十二年、四十三年は、御指摘のように、私どもこれは主食用に回すつもりはございません。これはもちろん日本で回しておらないだけで、私ども援助しておる国では、こういうものも主食用に食べていただいておるわけであります。四十四年産米につきましても、私どもはこの五月まで配給をしておりました。六月から中止をいたしておりますけれども、希望があればこれも売るということにいたしております。四十四年産米、私も実は先般試食をしてみましたけれども、けっこう食べられるというふうに思うのでございます。それから、四十五年産の中に百五十万トン十一月末に持ち越しますけれども、これは現在でも、北海道、青森がまずいといいましても、私ども、全国の各地にこれはまぜて食べていただいておる米でありまして、決してそれは食べられないとか、まずいとか、そういうものではないというふうに考えております。
○松浦(利)委員 食べて食べられぬことはないのですよ。それは間違いなく食べられるのですよ。くさい米でも、食おうと思えば食べられるのですからね。しかし、実際にそういう答弁のしかたでは、国民を少しばかにしておるのだと思うのですよ。もっと食糧庁長官、やはり国民の立場に立ってもらいたいと思うのですよ。おいしいお米というのは、新米は何でもうまいのです。銘柄品というけれども、新米をたいて食ったら、みんなおいしいのですよ。新米は古米、古々米よりもおいしい、そのことははっきりしている。ただ、新米の中で格差をつければ、こうある。新米と古米、古々米を持ってきてどっちがおいしいといえば、国民は喜んで新米のほうがおいしい、これはもう間違いない。食えということだったら食えるのです。だけれども、そういう点は、私はもう少し国民の立場に立ってものの言い方を考えてもらいたいと思うのです。しかも先ほど、百万トン昭和四十五年度の産米を四十六米穀年度に繰り越しますね、これは手持ち米ですからね。結局、不作とか凶作があった場合の実質的な政府の手持ち米として繰り越すわけですからね、それが百万トンなんだから。それを何かあなたはでき過ぎたから云々と、こう言っておるのは、それは常時政府が持っておらなければならぬ米なんです。それが百万トン繰り越すことが妥当かどうか、百万トンということで済むかどうかということは議論のあるところです。もっとよけいに持っておらなければならぬかもしれない。しかし、今年度のように当初の計画を、二百三十万トンの生産調整を前提にして千百六十五万トンということで、需給、生産と消費のバランスをプラス、マイナス、ゼロにしてありますね。ところが、現実に北海道の冷害その他によって作柄九八というふうに、八月二十七日の日に農林省は発表しておりますね。ところが台風十九号、二十三号、二十五号でしょう。作柄はさらに落ちるかもしれない。現実に今年産米、昭和四十六年産米は、政府の当初見通しに比べて二十万トンから三十万トン不足するというふうにすでに発表しておるのですよ。しかもそれは、繰り越し米があるから、これで操作をしてだいじょうぶです、こういうふうに言っておるのですね。だから、現実に昭和四十六年度、今米穀年度で百万トン凶作だ、百万トンとれなかったときには、手持ち米を全部出さなくちゃいかぬわけですね。それの操作として百万トンがあるわけですから、その点をはっきりしてもらいたいのですよ。現実的に今年度は、作柄指数九八というふうに不作ですね。これは、台風の被害を入れたら、おそらく九五ぐらいに落ちるかもしれませんね。陸稲を入れて四十万トンぐらい不足するかもしれない。そうすると、現実的に、米の需給のバランスというのは相当大きくくずれてくるんじゃないですか。しかも、政府は当初、昭和四十五年度の米穀年度においては、実際的に米の総体的な必要量というのを七百六十万トンに押えたわけですね。自主流通米とそれから政府手持ち米を四十五年度七百六十万トン、そのうち百万トンを繰り越すことができるということになると、実質的に来年度の作付は、昭和四十六米穀年度の国民の消費する量というものが一応維持されたとしても、今度は、四十七年度の米穀年度に繰り越すお米は一体何万トンと計算しておるのですか。百万トンじゃないでしょう。昭和四十六年度から四十七年度の米穀年度に手持ちとして、操作として繰り越されるお米の量というのは幾らですか。四十五年度から四十六年度百万トン。四十六年度から四十七年度は実質的に何万トンですか。
○亀長説明員 四十五から四十六には、御指摘のように百万トンという計画でありました。それが実際上百五十万ぐらいになるであろうと思っております。四十六から七への繰り越しは幾らかというのは、結局は新米の生産量とそれから消費量ということできまるわけでございますけれども、かりに消費量は一定と仮定をいたしまして、生産量が減れば、その分だけ百五十万トンを食い込むことになる、こういうことになるわけでございます。生産量がどれだけ減るかは、九八という数字が出ておりますけれども、これがその後台風等によってどの程度になるか、まだ結果が出ておりません。九月下旬ぐらいには出るのではないかと思いますけれども、その結果を見ないと、生産量につきましてはもう少し予測がつきかねるわけでございます。
○松浦(利)委員 しかも、農林省の発表によると、この二百三十万トンの生産調整が実質的に、もう米に対する農民のあきらめから、二百四十六万トンの生産調整ですね、十六万トンよけいに生産調整が行なわれておりますね。それは間違いありませんか。
○亀長説明員 私の所管ではございませんが、私の承知いたしておりますところでは、二百四十六万トンか七万トン、十六万トンぐらいオーバーした計画でありましたけれども、実際に生産調整をいたす数字、確認をされた数字は二百三十万トン以下であろう。現在まだ集計中ということでございますけれども、二百三十万を下回るんではないかというふうに観測をいたしております。
○松浦(利)委員 さらに、農民が七月の二日から予約いたしましたね。そうすると、二十日間で実際に予約限度量まで達しておりますか、米の出荷予約は。それは達しておらないでしょう。
○亀長説明員 予約限度数量は七百六十万トンでございますが、実際に予約された数量は、それより約十四万トン少ない数字だったと記憶しております。
○松浦(利)委員 いま申し上げたように、米の需給計画というのが一たん狂ってまいりますと、回復がなかなかむずかしいのですよ。逆にいうと、農民の人は米をあきらめて米をつくらなくなった、さあ米が足らなくなった、米をつくれといっても、今度はもう転作したものをすぐ米に作付をかえるというわけにいかないですね。そういった意味で、私はやはり米の需給計画というものはもっと慎重に扱ってもらいたいのですよ。ただ米が余った余ったということで、消費者に対しては余っておるから、農民に対しても余っておるからといって実質的に作付調整をやる、生産調整をする。そういうことじゃなくて、むしろ、やはりもう少し需給計画というものを明確に、的確にやってもらわないと、私は将来たいへんなことになると思う。ダブついておる米が不足するという事態が起こってくるのじゃないかという気がします。その点は、もう時間がありませんから、もっと数字的に詰めようと思いましたが、また次回に譲って、今度は消費者の立場からものを申し上げたいと思うのです。 これは今度食糧庁のほうからいただいた資料ですが、「昭和四十六年産米事前売渡申込制集荷要領について」それから「政府買い入れ基準数量をこえる米の取り扱いについて」という指導をしておりますね。この指導を読んでまいりますと、政府の買い入れ数量を五百八十万トン以内にとどめること、要するに、配給米に回す米は五百八十万トン以下でもいいから、五百八十万トンをこえないようにしなさい。しかも自主流通米、要するに、われわれ消費者がいま十キロ当たり二千円ぐらい出しておるその高い自主流通米を、政府買い入れ米の検査よりも優先しなさい、こういう指導をしておりますね。それから、自主流通米は百八十万トン以上になるようにしなさい。政府の配給米に回す米のほうは五百八十万トン以下になるようにせい、自主流通米に回すほうの百八十万トンはもっともっとたくさん買ってよろしい。しかも、農民が予約限度量をこえて出そうとしたら、予約数量をこえて供出する余り米については、予約限度数量をこえるまではこれを検査してはいかぬ。特別に余り米という名称を使いましてね、農民が、今度は余ったから供出しようとしても、それは別だ。政府買い上げ米でもない、自主流通米でもない、これは余り米という制度でやられる。しかも、その余り米の検査というのは、自主流通米、それから配給米――政府買い上げ米ですね、それが済んだあと余り米の検査をしなさい、こういう指導をしておるんですね。ですから、結局いま政府が考えておるのは、四十六年産米については、まず高い自主流通米のほうを優先してやれ、その次に配給米をやれ。自主流通米は少したくさん買ってもいいぞ、そのかわり五百八十万トンのほうを少なくせい。七百六十万トンのこの比率を、自主流通米のほうが上がれば政府買い上げ米のほうを下げろ。しかも、百八十万トンのほうはたくさん買ってよろしい。農民の人が、たくさんできたから政府買ってくださいと持ってきたら、あなたの予約限度量はこれだから、全部の検査が終わるまでは余り米の検査はいたしません、こうなっておるんですね。そうすると、農民の立場に立ってみてください。いままでは並行検査だった。自主流通米と政府米を全部一緒に検査をしてくれた。ですから、しかたがないから農民のほうは、いいお米は全部自主流通米に出しますね。先ほど言ったように、銘柄、品種別に自主流通米としてどんどん出す。しかも、そのいいお米をつくっておる人たちは、自主流通米で出なかった分について余り米で出そうとすれば、政府買い上げ米のあとになるわけだから、いや、これも一緒に自主流通米で出してしまえ。結局、上質のお米は全部自主流通米に流れていく。政府買い上げ米のほうは悪いお米しか残ってこない。そういうことをこの指導要領にちゃんと書いてあるのです。 そうすると、実質的にいま政府自身がキーハンドを握って配給しておるその米は、現実的には自主流通米優先の姿のもの、に四十六年度は切りかえようとしておるのです。そうじゃないですか。私の言っていることが間違いでしょうか。この貸してもらったのを見てそういうふうに読み取ったのですが、どう思われますか。
○亀長説明員 お答え申し上げます。 自主流通米という制度ができまして、この制度の目的は、銘柄米、味のよいものの生産を促進する、こういう趣旨から創設をされておるわけでございまして、できるだけ自主流通を促進するというのは、ここ数年来のわれわれの方針であります。百八十万トンということに一応の目標はいたしておりますが、できるだけ自主流通を促進をする。それに応じて総ワク七百六十万トンの中でやれば、政府の買い入れというのはそれに見合って減るのが当然である、かような指導をいたしております。 また、検査の際に政府米よりも自主流通米を優先しろと言っているわけではない。それをお読みくださればわかるように、「検査実施計画および政府買入計画の策定にあたっては、自主流通米の目標数量が達成されるよう、政府の配給計画に支障がない限り原則として自主流通米の検査を優先して行なうよう配慮するものとする。」このように指導しておりまして、自主流通米は農協等が自主的に販売をする。したがって、販売の時期等についても政府米と違いまして、できるだけ利便を考慮してやるという配慮が私ども必要であろうと思います。したがいまして、政府の配給計画に支障がない限り優先をするんだ、かような考え方でやっておるわけでございます。 それから、余り米の話が出ましたが、私どもとしましては七百六十万トンというものは、これは予約限度数量として、食管法に基づいて必要数量という前提で発足をいたしておるわけでございますから、まず政府米と自主流通米、このワク内に入る二者を優先的に確保をするというのが当然であろうと思います。それ以外の米は、政府としては論理的には必要ない米でございますから、検査としてはあとになる。これもまた当然であろうかと思います。しかし、もちろんこの点につきましても、いろいろな各地からの御要望もございまして、政府の食糧確保、自主流通の確保に支障のない限りは、各地の実情に応じて若干の弾力的配慮は、事実上の取り扱いとしていたしております。かような状況でございます。
○松浦(利)委員 ですから、もっとことばをかえていいますと、おいしい米を食べたい人たちは自主流通米、また、それでない人は自由米、そうでない人は余り米、そうしてまずい米は配給米、こういう順序立てになるわけですね。しかも、これはきょう田中先生からちょっとお借りした資料ですが、食糧庁が出された、四十六年八月十二日、「米穀管理の現状とその問題点」の中で、東京都区郡、大阪市あるいは全国を見てまいりますと、内地米の配給米と内地米の非配給米、これは自由米だろうと思うのですね、これが実質的にはもう相対的なバランスになっておるのですね。しかもそれに自主流通米を加えたら、配給米ルートに乗る米よりも、配給米ルートに乗らない米のほうが実質的に多くなってるのですよ。政府のほうは実質的にはもう、配給米のほうは少なくして自主流通米、余り米あるいは自由米というものの量を多くするという方向に指導を始めておるんじゃないか。そういう点どうですか。実質的にそういう方向に踏み切ったのでしょう。
○亀長説明員 数量的に申し上げますと、自主流通米は百八十万トン、政府の買い入れは五百八十万トン、そういう比率でございます。昨年で申し上げますと、これはもっと政府米の比率が高い。もちろん余り米というものもございますけれども、これは数量的にははるかに少ないものだろうと私は思います。全体の米の数量から見まして、やはり政府の買い入れ得る量というものは圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、政府には全部悪い米ばかり来て、自主流通米には全部いい米がいくんだ、かように一義的には申せない。自主流通米のほうが生産者としても、これは政府に売るよりもメリットがある、かような観点から売るわけでございますから、自然そこに銘柄米等がいくことも事実でありましょう。また、余り米だから簡単にまずいとはいえないのでございまして、農家の中にはむしろ余り米にいい米を残すというような傾向もなきにしもあらずといわれております。私ども、これは好ましくないのでございますけれども、そういうこともいわれておるのでありまして、少なくとも現在約八割の米が政府の買い入れになっておりまして、したがいまして、政府にまずい米ばかり集まるというわけではございません。量的な観点から御判断をいただければさようなことかと思います。 ただ、全体的には、政府が全部の米を買って全部の配給を受け持つということは、これだけ生産力が増加した時代においては必要ないのではないか。しかし、政府は相当部分を直接管理をするという姿は残るけれども、やはり自主流通米というものを通じて良質米の増産ということもはかってまいりたい。また自主流通米、幾らふえると申しましても限界があるのでございます。なぜかと申しますと、政府は農家からは逆ざやで買っておりまして、政府が売る場合にはきわめて安い価格で売るわけでございます。自主流通米は全部コストで売るわけでございますから、そこにおのずから自主流通米の価格的限度というものがございますので、これが非常に大きく伸びて政府米を圧倒するような量になるというのは、私はそう簡単にはできない、かように考えております。
○松浦(利)委員 もう時間がありませんから数字は申し上げませんが、食糧庁発行の四十六年八月十二日のこの資料を見てください。 あなた方のほうがそういう数字であるとすれば、こういうバランスにはならないでしょう。配給米のほうがずっと少ないじゃないですか。
○亀長説明員 この数字は総理府の家計調査から移入したものでございまして、この調査はこれなりのこういう意味があります。 そこで、御指摘の点は、政府が七割、八割近い量を買って配給をしておきながら、配給された結果は、配給されたものが少なく非配給の形が多くなっておるというのはどういうわけかと申しますと、これは率直に申しまして、こういうところで申すのはいかがと思いますけれども、配給してもらったものが消費者の段階で非配給という形になっておるものもある、かようなところから、こういう数字が出ておるのであろうと思います。もちろん家計調査のほうは、これはサンプル調査でありますから、全面調査ではございませんので、そういう統計上の食い違いがあるということもございましょうけれども、傾向としては、大きな原因としては、やはりそういうことを私は残念ながら申さざるを得ないという実情であります。
○松浦(利)委員 いま食糧庁長官がこの資料を見て言われたように、実際にいま政府が十キロ当たり千五百二十円で配給ルートに乗せて、五百八十万トンという政府米を持っておりながら、実際に買う末端ではこういう状態になっておるのですよ。政府が配給ルートへ流したものが非配給米に回っておる。そういう状態で、しかも先ほど言ったように、だぶついておる米というのはおいしいお米ではなくて、古々米というような、食べられない米が現実には残っておる。だんだんと作付け面積は減ってきておる。だんだん米の不足ぎみの傾向が出てきておる。カーブとしてはいまは多いけれども、そういう状態でこの十一月一日から物統令をはずしたら、一体どうなりますか。いまですらこういう状態。そうなれば結局末端の消費者というのは――いまですから自主流通米が十キロ二千円、あるいは三千円といわれておりますね。もう消費者米価というのは野放しに上がるということが前提になっておるのじゃありませんか。政府米を放出するというけれども、政府米を放出しても、買う人は初めからおらない、まずいですから。そんなにやかましいなら、これを食いなさい、こういって持ってきても食べられない。食べようとすれば食べられるけれども……。そうなってくれば、必然的に配給米というよりも自主流通米なりあるいはそういった自由米、余り米という方向に消費者というものがずっと向いていくという傾向を、いまとっておるのですよ。そして食糧庁は、物統令をはずしたら、現実にはわれわれ消費者が食べるお米について十キロ千五百二十円でとまると思いますか。どうですか。
○亀長説明員 自主流通米につきましては、すでに物統令ははずれておることは御承知のとおりでございます。末端の価格のあり方の問題として、片一方に物統令のはずれるという米があり、片一方に物統令をはずさない米がある、この両者をきわめて最末端に至るまで識別して扱うということ、それ自体行政の困難さがあるということは、もうわかっていただけると思います。 また同時に、そういう形になりますのは、現在の米の販売の方法ということに大きな問題があると思います。私どもとしては、やはりこれは大型精米というような形を通じて流通段階のコストの逓減をはかるという施策も進めてきております。また同時に、いままでは米穀の小売り店舗というのもきわめて制限的でありまして、この辺につきましても、やはり新規参入等の方法によって合理的な販売条件をつくり出すということが必要であろうと思います。私どもは、かような施策を整えていきますならば、決して米価というものがそう上がるということはないというふうに考えております。もちろん緊急の場合には、これに対する放出ということも考えます。ただ、消費者の嗜好というのは、やはりああいう結果が出てきておりますのも、品質によってあるいは味によって値段の変化があるということが、むしろ現実の生活の形で出てきておるわけでありますから、これを私どもが末端の行政に取り入れていくということ、さらにそういうことを通じて、生産者の価格の段階においても行く行くは良質米の、おいしい米の生産が刺激されるような方向をとるというのが、私は行政の筋としては妥当な筋であろうと考えております。
○松浦(利)委員 行政の筋じゃないんですよ。あなたは、行政という立場で米の管理をしてもらっちゃ困るのですよ、国民の立場でものを考えなければ。行政の筋論じゃだめですよ、国民の立場に立って筋を通してもらわなければ。いままでは、千五百二十円でけっこうおいしい米を食べておった。自主流通米をつくって銘柄、品種別に米を分けたのは政府でしょう。しかも配給米に乗せた米すらも自主流通米、非配給米に乗せてしまって、混米とか、まぜて実際に食べさせておるのを黙認して、米相場、やみ米の相場が現実に立っておるのも認めておいて、そういう方向で行政指導してきたじゃないですか。それが行政の筋ですか。冗談じゃないですよ、そういう筋があるものですか。私ども国民のサイドから言うなら、五年前あるいは六年前ぐらいの状態に戻してもらったほうがいいですよ。どこの銘柄、品種がうまいとかなんとかわからぬのだから、配給米、新米を食べたらおいしいという姿に戻すのが国民の立場から見た筋じゃないですか。あなたの話を聞いていると、行政の筋として、国民の嗜好がおいしい方向に向かいましたからとそういう方向にしておいて、さあ今度は銘柄、品種別においしいお米を食べようと思えば高いお金を出すのはあたりまえですよ、安いお米を食べるなら千五百二十円という米を食べてください。これは先ほど言ったように、政府が放出したり、あるいは自主流通米とかそういう米で、高くて売れぬまずい米――現実にこの前、新聞紙上ですからはっきりしたことはわかりませんが、新宿の舟町の米屋さんが、自分の家の下に低温倉庫をつくっておいて、その低温倉庫にどんどんと自主流通米、自由米の銘柄、品種別のやつを入れておいて、しかたがないから政府の配給米を全体の二〇%くらい置いておいて、ほとんど自主流通米や自由米だけでやっておるという事態があるのですね。そういう状態をつくり出して放任しておいて、現実的に十キロ千五百二十円――先ほど統計局長もここで話されたけれども、それでは、平均的日本人、平均的国民が食べる十キロ当たりのお米は、ずばり幾らになりますか。
○亀長説明員 新宿の米屋の記事は私も読みました。ただ現在の段階で、昔のように全部政府が握っておって、一律にまぜて千五百二十円でなくちゃいかぬという強制をすることが、実際上きわめて困難な情勢になってきておるわけであります。それは一つには、米の需給が昔ほど窮屈ではない。また同時に、食管の配給制度の目的である公平配分という観念が非常に薄れてきておる。そこに嗜好的にも価格的にも、どうしても自由という色彩が出てくる。こういう経済的な現実というものを私ども、ただ法律の力だけで否定してかかるということがきわめてむずかしい。行政のやり方としては、やはりその経済の流れに合った方向でものを考えていくのが妥当であろうということを申し上げたつもりであります。もちろんこれは私ども、何もいま自由にするとかいうことを申しておるのではありません。やはりそういうものに合ったような行政のやり方を考えていく必要があろうという意味で申し上げたわけであります。 それから、平均的日本人が食う米の額は幾らになるのかということでございますが、私どもは、おそらく物統令が撤廃されれば政府からもらった米の中で、千五百二十円を上回るものも出てくると思います。あるいはそれ以下のものも出てくると思います。ただ、千五百二十円の米がなくなるということではない。私どもまた、千五百二十円の米をつくるように業界も指導いたすつもりでおります。平均的な日本人の米の値段といわれましても、これはきわめて統計的にむずかしい問題でございますが、総理府の先ほどの家計調査でございますと、現在配給、非配給を含めて――非配給といっても、これは自主流通米も相当部分ございますから、非合法とはいえないわけでありますが、千五百二十円よりはやはり高くなっておる、千七百円程度になっておるというふうに私は記憶いたしております。私どもとしては現在の米価水準は変えない、かような観点で今後の政策を進めてまいりたい、かように考えております。
○松浦(利)委員 もう時間がなくなりましたから、最後に二つだけ質問しておきますが、平均的日本人が食べておるのが、統計では現在ですら千七百円です、現在ですら。ほんとうなら十キロ千五百二十円で配給すべきものが、末端では千五百二十円で配給されておらないです。そのために千七百円です。物統令というワクがあってこういう状態です。それじゃ物統令をはずしたら、平均的日本人の食べる米というのは現実的に上がりますね、常識的に考えて上がりますね。いまですら千七百円、二千円くらいになりますね。そうすると千五百二十円のお米は、まずいお米でよければ千五百二十円のものもありますよ、こういうふうに理解をすべきだと思いますが、間違いないでしょう。そういう理解のしかたが正しいのでしょう。正直に言ってください。
○亀長説明員 政府の配給米は従来、千五百二十円一律であるべしという法律でございました。今後はそういうものがなくなる。したがって、うまい、まずいはどうかわかりませんが、消費者に好まれるものは高くなり、好まれないものはそれより安くなる、かように考えております。
○松浦(利)委員 非常に重要な問題ですね。ですからこの前、物統令をはずすときにわれわれは本委員会でも議論したように、おいしいお米でも平均的日本人がある程度食べられるものについては千五百二十円、そういう施策をつくったあとで物統令をはずしなさい。ところが、あなた方食糧庁は、物統令をはずしても新米穀年度まで約六カ月くらいありますその間に具体的に考えます、こう言っておられたけれども、結局そういうことはうそで、いま言ったあなたの答弁が、結果的にはこの物統令廃止によって国民に与えられた代償なんですよ。私は、そういう行き方というのは、食糧庁というものが国民のためにあるなら改めてもらいたいと思いますね。ですから、少なくとも平均的日本人が食べる米、まずいということじゃなくて、あたりまえのおいしい米として食べられる――特別にすしになるとか飛び切りおいしい米じゃなくて、あたりまえに食べておった米というのは千五百二十円に極力なるように、現実的にそれが物価にはね返らないように強力に行政指導してもらいたい。そのいかんによってはまたこの問題を取り上げて、それこそきびしくやるつもりです。きょうは時間がないから静かにものを言っていますけれども。 最後に、私はもう一つお話ししておきますが、競争原理を取り入れて小売り商をふやします、百貨店とかスーパーとか生協に認めます、こう言っておられるけれども、実際的には現在ある古い規則に縛られて、距離とか人口増とか古い形に縛られて、一つもゆるやかになっておらない。物統令を廃止したあとは、生協なりスーパーなりそういったところにも米の販売を認めるという発表をここではなさっておられますが、申請されたら、一定の条件を持っておりさえすれば、そういう昔の古い形にとらわれずにどんどん小売り販売を許可するというお考え方があるかどうか。これが一つ。 もう一つは、丸紅飯田というような大手商社が米に介入してきましたね。年間の商い二兆というのは非常に魅力的な商品ですから、物統令がはずされたとたんにそういう大手商社というものが介入をしてきた。将来国内の生産米価が、コストがずっと上がってきて、コスト高になってくる。そうすると、いま沖繩の百万県民が、五〇%はアメリカのカリフォルニア米を食べているわけでありますけれども、このアメリカの米の生産コストというのは日本のコストの三分の二ですね。そうすると、商社が魅力ある商品として米の輸入――凶作その他で不足してきた場合、繰り越し米がことしは百万トンだが、来年は六十万トン、その次は五十万トン、その次は三十万トン、とうとう繰り越し米がなくなった、繰り越し米がなくなったときに凶作だったというときには、もう外国から輸入せざるを得ない。そういう場合には、商社を通じて外国から米を輸入するというようなことが起こり得ないとも考えられないわけですね。現実に繰り越し米は毎年毎年減らしておるわけですから、そういうことがかりそめにもあってはたいへんですが、そういうことについて商社が介入をした問題、これは民法上どうのこうの、あるいは食管法上どうのこうのと言えぬけれども、こういうことが好ましいことなのかどうか。それから、外国からの米の輸入ということが将来起こった場合どうするのか。このいま言った三点を食糧庁長官に最後にお尋ねをして、さらに国民生活局長には、こうした米の問題が大きく物価に影響し、物価にはね返るということは間違いない事実です。そういうものについて農林省なり食糧庁に対して、物価担当省として、たよるところはおたくしかないわけだから、どうなさるのか、その点を締めくくりに御質問して、終わりたいと思います。
○亀長説明員 御質問の第一の競争原理の導入についてでございますが、現在の規則は、御指摘のように非常に窮屈なものでございます。私どもはこの規則を改正するということで、いま企画庁と協議中でございます。私どもの考えといたしましては、一定の条件を持つものであれば新しく小売りへの参入を認めるというものでございまして、現在でもスーパー、生協等が小売り業をかなりやっておりますけれども、おそらく新規に開業するものの大部分はそういうものであろうというふうに考えております。また一面において、そういう人たちが効率的な販売をしていただくということに、私ども期待を持っておるわけでございます。ただ、自主流通米だけを売るというような考えのところもあるようでございますが、私どもは、その際にはやはり配給米も同時販売をしてもらうということも、一緒にお願いしたいと考えております。 それから、大手商社の介入の点でございますが、現在のところ、食管法に違反することがあれば別でございますけれども、最近ある大手商社が千葉県の、これは正規の卸の登録を持っておる業者に資本参加をしたということでございまして、これは単なる経済上の問題ということでございます。私ども、問題は登録業者としての法律上の義務を正確に履行していただけばそれでよいのでありまして、特にその際、ある人だからいいとか悪いとかいうことは、私は一がいに言いにくいのではないか、かように考えております。しかし、特にこれを積極的に支援するとか、そういう気持ちは毛頭ございません。 それから、輸入の問題でございますが、だんだん手持ち米が減る、連年不作があったらどうするんだということでございますが、私はそのような事態は本質的に、現在の生産調整をやるかどうか、あるいは生産調整の数量をどうするかということに当分は帰せられるべき問題であろうと思います。いまの生産調整は、御承知のように大体百万トン持ち越して、毎年必要な量をつくってころがしていく。同時に、米の生産は基本的に、過去の例から見て大幅な変化はない。また、もし生産調整をやらなければ平年反収千四百万トン、必要量をはるかに上回る生産力がある、かような前提の上に成り立っております。したがいまして、不作が三年も四年も続くということになれば、およそその前提から検討し直さなければならぬ。また、そんな根本までさかのぼらなくても、たとえば来年度生産調整をどの程度にするか、再来年はどの程度にするかということも、私は現在の段階では調節可能であろうと思います。と申しますのは、米の生産が減ると申しましても、それは定着的に減ったとは言いがたい。片一方におきまして千七百億にのぼる転作、休耕の奨励金を出しておるわけでございまして、休耕というものがまだその中に相当部分ある。これは、もしそういう金がなくなれば、また米作に復元することもあり得るわけであります。したがいまして、生産調整の量ということにつきましては、私どもはそう機械的に考えないで、やはりこれは、必要な米の生産という点から十分慎重に配慮をしながらきめていけば足りることでございまして、したがいまして、現在の段階で米が輸入されるというようなことは、私はあまり想定をいたしておりません。また、遠い将来のことでございますけれども、私は少なくとも生産調整をやっておられる期間、あるいはここ四、五年のうちにそういうことはないだろう。また私どもの政策といたしましても、米につきましては完全な自給政策をとるというのが農林省の政策でございますので、輸入の問題については、現在そのような事態は想定いたしておりません。
○宮崎説明員 いまだんだんお話がございましたが、物価統制令の適用廃止によって消費者米価の水準を上げないということが、政府としてきめられている方針でございまして、具体的になりますと、いまお話しの新規参入の問題、政府の米の売り方の問題その他いろいろのむずかしい問題がございます。米の流通の現実というものが、なかなか法律どおりにいっておりませんことはいま御指摘のとおりでありまして、そういったこともいろいろ考えなければなりませんが、私どもといたしましては物価の安定、また国民の消費という面から見まして今度の措置が非難を浴びることのないようにしたいということで、いろいろいま食糧庁のほうとも相談をいたしておるところでございまして、そういうことで努力してまいりたいと思います。
○松浦(利)委員 終わります。
○小林委員長 有島重武君。
○有島委員 きょういただきました四十六年度の国民生活白書、第二部の「国民生活行政の進展」という中に「健康の確保と増進」というような項目も出ております。それから医療関係の問題も出ておりますけれども、私は、国民生活上非常に大切な問題である薬の問題について触れていきたいと思いますが、もう時間もあまりございませんので、要点だけどんどんやってまいりますので、お答えのほうも要領よくやっていただきたいと思います。 最初に、薬価基準の改正のために調査が行なわれておるようでございますけれども、この調査方法の抜本改正につきまして、現在の調査方法は客体調査でございまして、売り手と買い手ともに、これを高く書きさえすれば、もうけようとすればもうかるというシステムでございます。二番目に、直接利害関係者の手によるということが問題ではないか。それからもう一つ、三番目は、メーカーとの間に暗黙の協調が成立しないほうがふしぎだというふうに世間ではいわれております。 それで、この点は本来厚生大臣に直接伺いたいところでございますけれども、新しい調査方法を考える時期であると思うわけでございますが、どなたか責任のあるお答えをいただきたいと思います。
○松浦説明員 現在の薬価調査の方法は、中央社会保険医療協議会におきましてきめられました方法によって行なっております。その方法は、販売サイドとそれから購入サイドと両方調べるということでございます。購入サイド、いわゆる医療機関側につきましてはサンプル調査で行なっております。それから販売サイドにおきましては、サンプルということでなくて全数ということで、中医協できめられた方法で行なっております。
○有島委員 新しい調査方法を考える時期ではないかと思うけれどもそれはどうか、そういうことを伺ったわけでございます。そういったいままでの経過とかこまかいお話を伺っているわけではございません。新しい調査方法を考えるかどうか、そのことを、本来は厚生大臣に伺いたいところだ。
○武藤説明員 薬価基準の問題は、保険局と薬務局と実質的に共同作業をやっておりますので、私からもお答えさしていただきます。 現在やっております薬価調査につきましては、先生いろいろ各方面からお聞きだと思いますが、いろいろ問題点があることを私どもも承知しております。この問題は中医協でも非常に議論されておりまして、関係者の中でいろいろ議論がございますので、私どもとしてはやはり中医協の結論を待ってやりたいというふうに思っておりますけれども、いろいろ再検討の時期に来ているというふうには、事務当局としては思っております。
○有島委員 再検討の時期に来ておると事務当局では思っているというお話でございますから、きょうは厚生大臣も来ていらっしゃいませんので、それじゃこのことを関係大臣にはお伝え願いたい。 その次、先日この物特委員会におきまして、日医の行動の問題と独禁法との関係につきまして質問いたしました。その後、四十六年の八月十三日、日本医師会は、中央社会保険医療協議会に対しまして診療報酬体系を提起したわけでございますけれども、その中で特に初診料、現行三十点を修正案で六十点、これは二倍であります。それから休日加算三点だったのが百点、三十三倍です。それから往診料は、二キロから四キロにかけては二十五点ないしは三十五・五という点数でありましたのが百点、三倍から四倍。それから入院時医学管理料、これは今度四十点になりまして、従来の六倍じゃないかと思います。 こんなような診療報酬の増加ということはもう避けられないことであると私ども考えますけれども、国民の賃金、所得等考慮いたしまして、家計費に占める医療費の増大、ひいては家計の圧迫が起こる。この点について経済企画庁または厚生省はどのように考えていらっしゃるか、経済企画庁からお答え願いたいと思います。
○宮崎説明員 医療費の問題は、大部分が現在では保険というかっこうになっておりますので、保険についての診療報酬の引き上げでございますから、これが直接に家計に響くということには理論的にはならないわけでございますが、御承知のように、各種保険におきましても財政上いろいろ問題がございますから、診療報酬の引き上げいかんによってはまた保険料の引き上げというような形になって、家計に響いてくるという面が出てくるおそれがかなりございます。それから、再診料とか初診料というようなもので、直接負担になるものももちろんございます。そういうことから、これは重要な公共料金ということで物価閣僚協で議論するということになっておるわけでございますが、現在御承知のようなことで、中央医療協議会におきまして各種の議論が行なわれておるわけでございまして、私どもといたしましても、この結果というものがいろいろの面の物価の問題に影響するということから、非常に重視をいたしております。この経過につきましても逐次フォローをいたしておりますが、できるだけこれが合理的な線で決着がつくように、こういうことを希望しておる次第でございます。
○松浦説明員 ただいま先生がおっしゃいましたような要求が、日本医師会を代表する委員のほうから現在出されている段階でございます。現在出されているこの要求をめぐりまして、中央社会保険医療協議会で討論の最中でございます。社会保険医療協議会は、いわゆる医療担当者側の代表と、それから支払い者側と申しておりまして、いわゆる被保険者あるいは事業主の代表も同時に出ておるわけでございます。その間で、ただいま先生がおっしゃられたようなことも含めて、どのような値上げであるべきかという議論をいたすのが従来のたてまえとなっております。そのような意味合いで、今後さらにいろんな観点からそのような検討が行なわれて結論が得られるのではないか、そういうふうに思っております。
○有島委員 これはほんとうに慎重にやっていただきたいと思います。 次に行きます。 医家向けの医薬品でクロフィブレートという薬がございます。これは血管を補強し、それから抗動脈硬化剤ですか、血圧の薬であります。血の中の脂肪質を低下させる。それから高血圧症、脳軟化症――こういう薬でございますけれども、最近の傾向といたしまして、お年寄りがたいへん数多くなっておる。老人病の中で高血圧というものが最も多いわけでございまして、このクロフィブレートという薬は、年間大体四十一億円の生産額と聞いております。 それで、日本薬剤師会監修の目薬ファーマシストという新聞がございまして、これの九月五日付には、このクロフィブレートに関する重大な記事が掲載されておったのを、私は見たわけでございます。古川正先生という方が書いていらっしゃいまして、との方は日本薬剤師会の社会保険委員会の委員長で、東京警察病院の薬剤部長、そういうふうに聞いておるのでございます。 この内容でございますけれども、クロフィブレートの不純物であるパラクロルフェノール、この物質についてでございますけれども、このパラクロルフェノールの害というのは、フェノール系でございますので、粘膜をおかし、神経毒があり、肝臓をおかされる。外国の公定基準以下のものは現在基準以下のものは現在日本では数社しかなくて、他はこの外国の基準に照らすと、その百倍も有毒のパラクロルフェノールがクロフィブレートの中に入っておる。純良な薬品が供給できるように、アメリカのほうのFDAのように製剤上の違いで薬効の少ないものを中止させるような、そういう薬事行政を進めるべきじゃないか、そういうことが述べられておる。 厚生省のほうからいただきました資料によりますと、これの薬のバルクメーカーは住友化学工業、それから寿製薬、三共化成それから静岡カフェイン工業、この四社でございまして、これを発売しているところは四十六社あると承っております。 このクロフィブレートの不純物、この副作用等の試験の結果を公表していただきたい、そういうわけでございます。
○武藤説明員 試験の結果は、最近はやっておりません。このクロフィブレートにつきましては四十年に申請がございまして、先生ただいまおっしゃいました四十数社が現在では発売しているわけでございますが、四十年当時にはいわゆる二年間の特審制度というのがございまして、試験は衛生試験所で行なってまいりました。その後、いま警察病院の古川先生が御発表になりましたようなことが、昨年の夏の薬学会で発表されたことがございまして、昨年の夏から薬務局のほうでいろいろ検討いたしまして、昨年の十月に、ただいま先生がおっしゃいましたパラクロルフェノールが検出できるような試験方法を各メーカーに指示をいたしまして、検出できるように指示をしたということでございます。
○有島委員 国立衛生試験所のほうではなされなかったわけですか。いまのお話では、四十年ごろにやっておった。これは、イギリスのほうから住友が輸入しておったですね、一番最初は。イギリスのほうは、このクロフィブレートの中の不純物の許容量二五PPM、アメリカのほうでは三〇PPMだ、そういうふうにいわれておりますけれども、その輸入された当初のものというのは、これは実験してもあまり意味がない。これがその後に、どうして国立衛生試験所で、この問題になる薬の試験を実施しなかったのか。国立衛生試験所、来ていらっしゃいますか。
○下村説明員 先生がいま御質問の点を、私のほうで二つ考えまして御返事申し上げます。 一つは、四十年に住友のほうからこの薬の申請の書類が出まして、薬事審議会で調査の結果、試験法に関して実際にチェックをしろということで、これを私のほうは特審と申しておりますが、その特審のチェックを衛生試験所でやりました。そのときの試験の項目は、ここに書類がございますが、医薬品の品質を確保するために必要な試験方法でございまして、その中の、いま先生の御指摘の純度試験に当たるわけでございますが、そのパラクロルフェノールの純度試験は、当時の試験法にはございません。それで、一九六九年と一九七〇年でございますが、イギリスの薬局方と、それからいま先生お話しになりましたアメリカのナショナルフォーミュラというのでございますが、その中に初めてパラクロルフェノールの純度試験が載ったわけでございます。したがいまして、一番初めに許可になりました時点では、パラクロルフェノールの純度試験は、日本でも外国でもなかったわけでございます。 これが初めて問題になりましたのが昭和四十五年でございますので、四十五年に衛生試験所のほうへ薬務局のほうからパラクロルフェノールの試験法と、それから許容量と申しますか限度、これをつくれということがありまして、試験所のほうでさっそく試験法とその規格をつくって報告をいたしました。それが四十五年でございます。そのときの詳しいデータにつきましては、いま係の室長がセイロンのほうに出張しておりますので、詳しいデータはちょっと調べかねておりますが、当時の、手元にありましたクロフィブレートを使った試験では、パラクロルフェノールの含量がそうたくさん出てなかったということを私は聞いてはおります。ただ、詳しいデータはちょっといまわかっておりませんので……。
○有島委員 そちらでおわかりにならないなら、こちらで申し上げますけれども、このクロフィブレートの中のパラクロルフェノールの問題、これが四十五年に初めて問題になったというお話がございましたけれども、これはイギリスのほうでもアメリカのほうでも、そういうものはきびしく規制しておる。ですから、かなり毒性があるということはわかっていたわけですね。それで、それが年産四十一億円にものぼっているわけです。 この試験のデータをまとめた病院それから薬学部などをあげますと、市立川崎病院、それから秋田県立の脳血管研究センター、それから大阪の厚生年金病院の薬剤部、それから徳島の逓信病院の薬局、それから徳島大学の薬学部、そういったところがやったようであります。 大阪厚生年金病院薬剤部でやりました実験ですけれども、これは六社の製品の定量試験の結果が出ております。このパラクロルフェノールの含有量が公表されておりますけれども、これは品名でいいますと、アモトリールとかクロブレートカプセルだとかコレナール、スクロビン、デリバ、ビノグラツクというのですね。このメーカーは住友化学、中外製薬、山之内製薬、日研化学、日本化薬、それから寿製薬、こういうことになっております。 その結果なんですけれども、これはイギリスのほうでは二五PPMという規制のものですね。A社のものは二一・三PPM、これは合格ですね。それからB社のものは二〇八です。C社のものは四〇四です。D社のものは一三一〇です。E社、二六一〇、それからF社のものは二六二〇、こういうデータが出ておりまして、これを試験なさった方の感想ですけれども、これを服用させられる患者はふしあわせだ、これを早く防止するために、もっと試験に力を入れなければならない、こういうような感想を漏らしていらっしゃる。 そうした結果につきまして、国立衛生試験所はどうお考えになるのか。これをそれほど問題でないといまおっしゃいました。あるいは問題でなかったからやらなかったというような御認識であると――これはほんとうにそういう認識なのかどうか。四十一億円も出ておる薬でございますから、やはり企業との間に何か癒着があるのではないかというようなことで、うわさがほんとうじゃなかろうかといわれてもしようがないんじゃないか。この点につきまして、もう一度衛生試験所の御答弁をいただきたい。
○下村説明員 まず最初に、パラクロルフェノールの毒性につきまして、外国の文献その他を調べました結果を御報告申し上げたいと思います。 ラットを使いまして、LD50、ラットが半分死ぬ量をはかっておりますが、それによりますと、パーキログラム六百七十二ミリグラムで半分のラットが死ぬ、こういう結果でございます。これから推しますと、御承知だと思いますが、例の毒薬、劇薬の、弱いほうの劇薬の範疇は大体。八一キロ三百ミリグラム以下ということでございますので、それから見ますと毒性はそう強いものではないように考えます。 パラクロルフェノールそのものは日本薬局方に収載されておりまして、ことしの三月に改正になりました第八改正日本薬局方第二部にパラクロルフェノールは収載されております。それは劇薬の指定ではございません。適用は膀胱の殺菌洗浄、歯科医が歯の治療、それから喉頭結核その他の喉頭に一〇%の液を塗布する、こういう目的を持っております。 慢性毒性につきましては、ただいまのところ世界的にデータはございません。人間に対する毒性もはっきりしたデータがございません。 化学構造の上から見ますと、塩素が一つづきましたフェノールでございますので、体内の蓄積はまずないのではなかろうかと考えております。たとえばDDTでございますとかBHCでございますとか、有機塩素剤の塩素のたくさん入っておりますものは体内蓄積の心配が十分ございますが、一つの塩素を持った水溶性の化合物でございますので、体内の蓄積はないのではないかということを専門の学者は言っております。ただ、先生御指摘の点は、量が多ければ確かに問題はあり、しかも長期連用ということになりますと問題はあると思います。このことにつきまして衛生試験所といたしましては、薬務局のほうからの指示で、先ほど申し上げました四十五年の夏に規格試験法をつくりまして、こういう製品でなければ安全性の面で非常に危惧があるという報告を出しまして、現在のところは、私どもの知っております範囲では、その規格試験法に適合した医薬品だけしか市販されていないのではないか、こういうふうに考えております。
○有島委員 いま、ネズミの試験だと、かなりたくさんやってもだいじょうぶだ、だからそれほどたいしたことはないという御認識であったというふうなお話であった。ところが、いま去年の夏とおっしゃったけれども、私の聞いておるのは、四十五年十月です。ここで純度試験をきめて三〇PPMにお定めになった。ところが、先ほどのデータでは二六〇〇もあるわけです。そうした問題についての衛生試験所のいまのお話だと、厚生省の純度試験の基準は辛過ぎる、イギリスもアメリカも辛過ぎるんだ、もっと甘くてもいいんだという御認識に受け取れるけれども、まさかそうじゃないんでしょうね。その点を一言……。
○下村説明員 ただいま申し上げましたのは、いままでにわかっております点をお話し申し上げただけでございまして、決して三〇PPM以上あってもいいというつもりでお話を申し上げたわけではございません。
○有島委員 これはたいへん重要な問題だと思うのですけれども、おくればせながら去年の十月に、パラクロルフェノールの含有量規定が追加された。これを厚生省はどことどことどこに通知をなすったのか。私が知っている医者はこの通知を知らないのですね。それでこの規格変更によって、数多い高血圧の患者が、これはみんなかなり長期に飲んでいる連中ばかりでございますけれども、この十月の通達が出たので、市販されているものはないはずである、だからパラクロルフェノールの薬害はもう免れているであろうと、そう考えてよろしいとお考えなのか。
○武藤説明員 昨年の十月に試験方法を各メーカーに、団体を通じまして全部徹底させました。したがいまして、十月以降の製品につきましては、試験方法が厳重になっておりますので、その後の製品につきましては基準どおりに行なわれていると、かように私は考えます。問題は、その十月以前のものにつきまして、現在病院等に一部まだ在庫があるかどうかということにつきましては、私どもは十分わかりません。しかしながら、大半はもうすでになくなっているんじゃなかろうか。しかし、一部にはまだ残っておるかもしれません。そこのところはつまびらかではございません。
○有島委員 一つ、どことどこにこのことを通知したのかという問題がございましたですね。
○武藤説明員 これは要するに品質の確保でございますので、それを製造するメーカーに徹底をさして、その試験法を守ってつくるべし、こういう指示をしたわけでございます。
○有島委員 メーカー側には指示したけれども、医者側には指示していなかった。医者で知らない人が現実にいるわけなんです。いまおっしゃったように、メーカー側に通知なすったわけですね。そうなりますと、そういった不良品が出回っておっても医者は知らないで使っているという結果になりますね。それで、こうしたことは非常に片手落ちな話じゃないかと思いませんか。 それからもう一つ、これは回収命令をお出しになるかどうか。
○武藤説明員 十月以前の品物が不良品ではないか、こういう先生の御指摘であると思います。その点は、一部の、と申しますか、いま四つほど先生があげられましたような研究会、学会等で学者が発表しておられまして、その結果、私どもが外国の文献を参照しまして試験方法を改めさしたわけでございますが、その発表者も申しておられますように、直ちに特別の有害な作用を及ぼすほどではない、こういうふうに昨年当時発表者も申しておられましたし、それから副作用モニター制度等でも、これに関する副作用はなかったわけでございます。したがいまして、昨年の時点におきましては特別の措置をとらないで、製品の基準を厳重にするという指示をしたわけでございまして、現在のところ、先生がおっしゃるようなことにつきましては、まだそこまでは考えておりません。しかしながら、昨年の基準を変えました以後、はたしてその基準どおりになっているかどうか。それからまた、研究者の方が発表されておりますように、以前のものが――これはまあ四十数社ございますし、研究者が発表されたのは何社の分を検討されたかつまびらかにわかりません。したがいまして、昨年の十月以後のものが基準どおり行なわれているかどうか、それから、それ以前のものでもし残っているものがございますれば、これは製品をつくった場合には二年程度は各ロットごとに保管をさせておりますので、そういう点につきまして調査をしてみたい、かように考えます。
○有島委員 たいした毒じゃないからだいじょうぶだろうというような話がちょっとあったのですけれども、それは量によると思うのです。基準量の三〇PPMの百倍にもなろうというものが出回っているということがわかったわけです。しかも十月に、こうしたことをメーカーのほうには通達した。そこでその以後の製品はよくなったかもしれないけれども、それ以前に、さっきから何べんも言ったように、年産四十一億もできているこの量が、十二月には現品添付が禁止されるようなことがあって、あの前後に在庫品はほとんどみんな吸収されているというようなことも御存じだと思うのです。それがどのくらいあるか、これからお調べになるというお話でございますけれども、調べてどうするのか、回収命令をお出しになるかどうか、このことです。
○武藤説明員 昨年の十月、基準を改正した段階では、部内の専門家なり、それから研究発表された方も、直ちに重篤な作用があるというふうな判断はなくて、現在まで至ったわけでございます。したがいまして、私どもとしては、先生がおっしゃるようなことにつきまして、まだそこまで現時点では決心がつきませんけれども、しかし、その後のものがはたして私どもから指示されたとおりになっているかどうか。それからまた、四十一億のものはほとんど消費されているのではなかろうかと思いますけれども、まだ多量に残っているかどうか、そこら辺のところもわかりませんので、そこら辺のところをもう少し調査させていただきたい、かように考えます。
○有島委員 厚生省からいただきましたクロフィブレートの規格なんでございますけれども、無色あるいは帯黄色の液であって、特有のにおいがあるんだと書いてあります。これはクロフィブレートの原料品について言うのか、それともでき上がった薬についていま言われているのか、これはどちらなんでしょうか。
○武藤説明員 原料でございます。
○有島委員 これは原料じゃない、売っているほうのやつです。これはにおいがないのですよ。ちょっとこれのにおいをかいでみてください。それを私はあるところから手に入れたのですけれども、出回っているのです。何か、クロフィブレートの規格の中でもにおいがあるという規格が、あたかも製品そのものであるかのような錯覚を起こされている向きもあるようでございます。ですから、この製品にはにおいがあってはいけないのだということについて、速急にお医者さんなんかにも知らせなければ、たいへんなことである、かなり強いにおいですから。 それで、重ねて言いますけれども、調査なさってどのくらいの量があったら回収命令を出されるのか。ここではそんなに詰めませんけれども、回収命令をお出しになることに踏み切ったほうがよろしいのじゃないかと私は思いますので、期待しております。
○武藤説明員 十月以前のものが出回っておるというような先生の御意見がございましたが、もしもそういうものを私どものほうにいただければ、検査等もさせていただきたいと思います。 それから、あと回収命令の点でございますけれども、これは十月以前のものも検査をしまして、その結果によってまた部外の専門家にも聞きまして、十分慎重に判断いたしたい、かように思います。
○有島委員 公正取引委員会に伺いたいのですけれども、このようにクロフィブレートに対しまして今度規格が変わったわけであります。それで、その以後の製品と前の製品は明らかに品質が違うわけです。それで、新しい品質を表示するようなものがなければ、いまみたいに一々これから調査するというお話なんですけれども、これは不当表示に該当するようなことになりませんでしょうか。
○吉田説明員 お答え申し上げます。 不当表示になるかならないかという問題でございますが、景品表示法によります不当表示の規制、そういうものは法律の条文に書いてございますが、一般消費者に、品質の場合、著しく優良であると誤認されるおそれのある表示を排除するというのが景品表示法の目的でございまして、御指摘のように、クロフィブレート製剤のように一般消費者を対象としない医療用医薬品につきましては、この景品表示法の適用法はできがたいのではないかというふうに考えております。
○有島委員 薬務局長さん、いま公正取引委員会のほうで言われましたように、一般消費者に誤認されるようなものが不当表示である。この場合は医家向けであるから、専門家であるからもうだいじょうぶだと信用されているわけですね。しかし、信用されておるお医者さん、これもメーカーから考えれば一種の消費者ですよ。公正取引委員会のほうも聞いていただきたいのだけれども、お医者さんも少なくとも購入者であります。購入者がいま誤認しておるわけだ。そういった事実がございます。ここでは詰めませんけれども、よく御相談していただきたい。これはしっかりと医者のほうに周知徹底させるということを厚生省で怠っていらっしゃるわけです。しかも品質は変わっておる。それは毒性にかかわる問題です。そういったことを、法律の条文上、専門家は一般消費者じゃないからそれでいいんだというのは、それはあまりにもお役所的なものじゃなかろうかと私は思います。 それから、関連いたしまして、薬価基準について、最近国立病院なんかでも購入している活性ビタミン剤とクロフィブレートの購入価格について発表していただきたいと思うのですけれども……。
○松尾説明員 国立病院で最近買っておりますたとえばアリナミン等でございますと、一番新しい最近の私どもの手元にございますのは九円五十九銭、薬価基準が十一円三十銭でございます。それから、御指摘の品目は、製品名ではアモトリールという形になっておりますが、二十六円六十銭のものに対しまして、最終のものの平均が十八円六十八銭、こういう姿でございます。
○有島委員 十一円三十銭のものが九円五十銭だということでございましたが、前は十円五十銭だったかと思います。私の手元にありますのは、八円八十四銭で買っておる。これは七月中の購入価格です。これは医務局国立病院課というところのお調べでございます。なお安くなっているわけですね。それで、薬価基準とまた比較いたしますと、安くなっておることはたいへんけっこうなのでございますけれども、二〇%からの開きがあるわけでございます。実勢価格と比較いたしますと、なお三〇%から五〇%の開きがある。これは以前から御指摘申し上げるところでございましたけれども、公正取引委員会の御見解は、この問題は二重価格に該当いたしませんか。
○吉田説明員 私、ちょっと質問をよく聞いていなかったのですが……。
○有島委員 薬価基準というのがあるわけでございます。それから、実際に病院が買い上げている病院の買い上げ値段というのがあるわけです。昔は薬価基準のまま買っていたり、それに近いところで買っておりました。それが実勢価格とあまりひどく違うではないかという指摘をいたしました。それ以後だいぶ値段が下がってまいりまして、病院では安く買い上げるようになりました。それがいまのお話なんです。しかも、いまほんとうの実勢価格から申しますとなお三〇%から五〇%の開きがある、そういったような現実です。そういったことについて、これは二重価格ということにならぬか、病院で買う場合一つ規制がございますから……。
○吉田説明員 御質問の御趣旨は、いわゆる薬価基準と実勢価格が違う、乖離がある、そういう場合に、不当表示防止法でいう不当な二重価格になるかならないかということであろうと思います。 二重価格表示の問題、これはすべての二重価格表示が違法ということではなくて、不当に顧客を誘引するような、しかも、その顧客というのは、先ほど申し上げましたように、一般消費者に誤認されるという要素が必要でございますので、ちょっと、医家向けの場合、御質問の場合は無理ではないか、いわゆる不当表示防止法による不当な二重価格表示には当たらないのではないかというふうに考えます。
○有島委員 では、これは先ほどの問題と同じように、一般消費者と、それから医家向けであるから、専門家であるからということか、これはもう少し詰めていただきたいと思います。そうじゃないと、もう医家向けといってもこれはかなりな消費量があるわけでございます。それですから、それを準用することができるかどうかですね。そういったことをお考えになったほうがいいのじゃないかと思います。 なお、このことについては、薬価基準がもっとダウンされるような方向でいま努力していらっしゃるというお話でございますから、これはこれでとどめます。 以上で質問を終わります。
○小林委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 だいぶ時間も迫ってきましたので、三点ほど端的に御質問したいと思いますけれども、今度の円問題、ドルショックの問題なんですが、大蔵省からきょうお見えになっておりますね。
○小林委員長 大臣官房の藤岡審議官が見えております。
○和田(耕)委員 ゆうべから日米経済会議が開かれておるのですけれども、円の切り上げの問題、現在の変動相場制から円の切り上げへというこの過程は、いま大臣もいらっしゃいませんし、担当の局長さんもいらっしゃらないから、方針のようなことはお伺いしませんけれども、今後の国際的ないろいろな会議の見通しで、どういうふうな段取りでこれが片づいていくのか、このことをちょっとお教え願いたいと思います。
○藤岡説明員 それでは、概略、御質問のことについてお答え申し上げます。 八月十五日の晩、日本時間では十六日の朝でございますが、ニクソンがドル防衛の緊急対策を発表したわけでございます。それは三つの柱がございまして、一つは失業対策としての財政措置、もう一つはインフレ対策としての価格統制、それから三番目にドル防衛としての国際金融対策となっておりますが、この三番目の国際金融対策、これが私ども並びにヨーロッパの各国に対しまして大きなショックを与えたわけでございます。 さらに、その内容は、ドルと金との兌換を停止するということ、それから一〇%の輸入課徴金を賦課する、それから対外援助の一〇%削減、さらに新たな国際通貨体制を誘致しようということを含んでおるわけでございます。 これは確かに大きな措置でございましたので、発表の直後、十六日の月曜日、ヨーロッパの主要国の為替市場は閉鎖されたわけでございます。それから十七日には、十六日に休日のために開いておりませんでしたフランス等の国におきましても為替市場が閉鎖するということになったわけでございます。わが国の場合には、御承知のように、対外取引のうちドルによるものが非常に多いわけでございまして、ヨーロッパの市場をとめたからすぐに日本もとめるというわけにはまいりませんし、それから、一たん市場を閉鎖いたしますと、どうやって再開するか、再開するとなれば、必ず円の切り上げとかあるいはフロートというようなことを前提にしないと再開に踏み切れない。そういうことで、なかなか閉鎖という措置をとれないわけでございます。さらに、ヨーロッパの為替市場が、手軽に――と言いますとあれですけれども、よく閉鎖したり開いたりするわけですが、わが国と違いまして、ヨーロッパの場合には、おおむね為替管理が十分にございませんでして、非居住者のホットマネーが入ってくるという要素があるわけでございます。日本の場合には為替管理が比較的行き届いておりまして、外国人のホットマネーが入ってくるということもあまりないという配慮もあったわけでございますが、その後ヨーロッパの中でいろいろ意見の調整もございましたけれども、その辺はちょっと省略いたしまして、結局二十三日から欧州各地の為替市場は独自の形態で再開ということになってきたわけでございます。 二十四日にはさらに、アメリカの輸入課徴金につきましてガットの緊急理事会が開かれるというような運びになったわけでございますが、わが国のほうは長い間固定相場制でやってまいって、確かにそのメリットもあったわけでございます。固定相場制のもとで、IMF体制のもとで経済発展を遂げてきたわけでございますが、ヨーロッパの市場が再開いたしまして、どこの通貨もおおむねフロートしたわけでございます。結果的に円が切り下げになる。円はほんとうは強いわけでございますが、そういうおかしな現象も生じた。それから各国が、平価調整につきまして多国間の話し合いをしようという機運も出てまいったわけでございます。そこで、二十七日の晩に日本も変動相場制に踏み切ったということで、二十八日から、従来の変動幅の制限を暫定的に停止するという形で円をフロート、つまり変動相場制に入ったわけでございます。 そこで、問題の多国間の国際的な話し合いがどう行なわれるかということにつきましては、すでに九月の三日と四日に十カ国蔵相代理会議がパリにおいて行なわれたわけでございます。その内容は、これは極秘になっておるわけでございますが、私どもの聞いておりますところによりますと、やはり意見の対立は非常に根深いものがある。アメリカは非常に大きな目標を掲げまして、この際一挙に、長年悪化してまいりました国際収支をうんとよくしようということを言うわけでございます。これに対してヨーロッパ筋では、目標が大きいということもございますし、それから、そういった平価調整を多国間でする場合に、強いところだけが責任をとるというのもおかしいのではないかというふうないろいろな議論がございまして、十カ国の蔵相代理会議は、そういうことで具体的な結論を得ないままに終わったわけでございます。 それから、いまやっておりますけれども、九月九、十の両日、日米の貿易経済合同委員会がワシントンで開かれまして、それから十三日にはECの蔵相会議が開かれることになっております。そこでヨーロッパの考えがまとまるかどうか、これはまだ予断を許さないところでございます。そのあと十三、十四日には、日本とカナダの閣僚委員会がトロントで開かれる予定でございます。それから十五、十六の両日には十カ国の蔵相会議がロンドンで開かれることになっております。この前の代理会議の様子を見ましても、との十五日の蔵相会議で問題が一挙に解決するかどうかということについては、必ずしも見通しは明るくないようでございます。それから・新聞報道に伝えられますところによりますと、フランスの大蔵大臣は十五日は欠席をするというふうなことも伝えられておりますけれども、はたしてそこでまとまるかどうかということはわからないわけでございますが、そのあとの予定といたしましては、九月の二十五日に、これはIMF総会の直前ということになりますが、ワシントンで十カ国蔵相会議が一応予定されております。それから九月の二十七日から十月の一日までIMF世銀総会がワシントンで開かれる。今後の国際会議の予定は、大体以上のとおりでございます。
○和田(耕)委員 いろいろ非常にむずかしい問題があるようですけれども、いま十五、十六日の十カ国蔵相会議というのはかなり重要な会議だと見られておるのに対して、その中でも重要だと思われるフランスが出欠が不明だというのは、どういう意味でございますか。
○藤岡説明員 これは私ども新聞で読みました限りの情報でございますが、それによりますと、予算か何かのことでジスカールデスタン蔵相が、その日、議会に説明するのかわかりませんけれども、ちょっと忙しくて離れるわけにはいかない、何か、十六日も日帰りでなら行くという、これは新聞のあれでございまして申しわけありませんが、そういうことでございます。
○和田(耕)委員 全般的な印象は、多国間にしろ、このレートの問題にしても、非常にむずかしいような見通しがあるように思うのですけれども、かりに現在の日本の変動相場制というものが相当長期に続くという場合に、大蔵省としては、長期の場合でもどれくらいの期間があればまあ何とか片づくだろうというような、そういう見通しについてはどういうふうにお考えになっておりますか。見通しだけでけっこうです。
○藤岡説明員 見通しはなかなかむずかしゅうございまして、アメリカは、率直に申しまして、あまり困っていない。困っていないというとあれですけれども、ほかの国の出方を見ているのじゃないかと思います。それからヨーロッパのほうは、これは確かに課徴金の点で、日本ほどではございませんけれども、影響が多少あるわけでございます。ですけれども、いま大なり小なりフロートしておりますので、通貨面で直接大きな影響があるということではない。それから、ことにフランス等一部の国におきましては、この際単なる平価調整だけでなくて、今後の国際通貨制度の根幹に触れる問題についてもある程度見通しをつけたいと思っているのかもしれませんが、いずれにせよ、そうあせっていない。ということになりますと、問題の解決は相当長引くのではないかと思われます。 しかし、他方、各国――これはまあ各国のほかにIMFみたいなものがございますが、国際通貨不安というものはだれの利益にもならないことでございますから、できるだけ早く不安を解消して健全な国際平価に戻したいという意向もあることも事実でございます。でございますから、あるいは十人の大臣が集まりました際に解決の糸口が見出せるかもしれませんし、その辺の見通しはなかなか予測のむずかしいところではないかと思います。
○和田(耕)委員 まあ相当長く続いた場合に日本が一番困るんだという説があるのですけれども、それが事実であるかどうか、困る理由はどういうことであるか、このことについてお話し願いたい。
○藤岡説明員 お答え申し上げます。 日本の場合に、一つは、技術的に申し上げますと、対外取引がほとんど外国通貨によってなされているという点があろうかと思います。アメリカの場合にはドルで商売すればいいわけですから、ほかの国がドルとの関係でどう思おうと、そう商売に差しつかえるということがないようであります。それからヨーロッパの場合には、たとえばドイツですと、自分の国のマルクでやっていますのはおそらく五〇ないし六〇%、フランスの場合でも、自国のフランでやまておりますのが半分くらいあると思いますから、影響はございましても、日本ほど大きな影響はない。それから、日本の場合には圧倒的にドルでやっておりますので、その点が非常に違うと思います。課徴金の影響にいたしましても、日本の場合にはアメリカへの輸出が全体の約三割ですね、ヨーロッパの諸国の場合にはせいぜい一〇%から十数%、この面でも影響の大きさが違うわけでございます。 こういう状況が続きますとどの面で困ってくるかと言いますと、一つは、日本が変動相場制に踏み切りましたのは、こういう情勢でございますので、日本だけが従来のとおり固定相場、一ドル三百六十円でやっていくというのはいかにもおかしいわけで、一応国際的な話し合いには応ずるという態勢を示すことにあるわけですが、やはり日本として一番有利な解決に持って、いきたい。もしここで外国が希望するような大幅な円の切り上げに持っていけば、それはそれで一つの解決かと思いますけれども、そうなりますと国内のほうがたいへん困る。変動相場制というのは、商売の面におきましては値段のきめ方がむずかしいとかいろいろございまして、その面で貿易に関係しておられる方に御迷惑がかかるかと思いますけれども、だからといって、ここではっきりとリペッグ――固定相場に戻るということにいたしますと、それが小幅でありますと再びもう一ぺんやらなくちゃいけないという問題が起きまして、これは一そう混乱が加速化される。かといって、アメリカその他が喜ぶ程度の大幅な切り上げをいたしますと、これは国内がたいへんまた困るということで、ちょっとつらいところでございますけれども、こういう変動相場制ということでずっと国際情勢の成り行きを見守っているという次第でございます。
○和田(耕)委員 そういうふうな非常にむずかしい交渉に蔵相がいまアメリカへ行っているわけですけれども、これはあれですか、何とかして日本は最小限度の切り上げのところでというお考えを持っておられる、しかし、いま御説明のように、アメリカもヨーロッパ諸国もそう緊急なものとしては困るような態勢ではないということになると、日本は心ならずもアメリカとの話し合いにおいて、向こうの言い分をわれわれが考えている以上に聞かざるを得ないということもあり得るわけですね。
○藤岡説明員 いまおっしゃいますようなことがないように全力をあげておるわけでございますが、この平価調整の問題は、平価調整だけではなくて、いろいろな貿易上の問題とか経済援助の問題とからんでおるわけでございます。したがいまして、アメリカとのバイラテラルな話し合いで平価調整のことだけを向こうの言うままにきめるということではなくて、十カ国蔵相会議がこれからも何回か開かれ、またIMF総会もございますし、やはり多国間の調整で持っていくという方向でやっているわけでございます。
○和田(耕)委員 私、きょうは物価への影響という問題にしぼっての御質問をしたいと思って、前提としてこの問題をお聞きしたわけですけれども、問題は二つしかないのですね。長期に苦しくてもがんばって、日本の正しいと思われるレートで平価の問題とあれしていくということが一つと、もう一つは、苦しくてもアメリカの言い分、その他の諸国の言い分を聞いて、われわれが考えている以上のところでもしかたがないという二つの問題のどちらをとるかということに迫られてくるんじゃないかという感じがするのですけれども……。 そこで、通産省の方にお伺いしたいのですが、こういう変動相場制の場合には非常に契約、商談が成り立たないという問題があるわけで、一番困る実態がここにあると思うのですけれども、八月十五日のドルについてのニクソン声明以来、大企業、中小企業を問わず、商談はどのような状況でございますか。
○進説明員 先般来通産局を通じまして、各県の実情をできるだけ詳細に調査いたしたわけでございますが、その結果を今週の初めに一応まとめたのでございますけれども、その各地の実情を聴取したところによりますと、各業界で最も要望が強いと申しますか、対策についてでございますが、金融措置が圧倒的に強いのでございます。その次に強い要望といたしまして、御承知の為替相場の安定というのが指摘されておりまして、何らかの措置をとっていただきたいという声が非常に強うございました。と申しますのは、ただいまの先生の御指摘のように、将来の取引につきまして、為替相場が安定いたしませんために、契約の更改にあたりまして商社が非常に見通し難と申しますか、難航いたしておるということでございまして、商社からの注文を待っております中小企業者に対しましてもかなり停滞いたしておると申しますか、現在のところはまだかなり既契約分の生産をいたしておりますが、一部にはそういうような減産というかっこうが出ておるわけでございます。
○和田(耕)委員 いまの既契約分、すでに契約している分というのは、大体どのくらいのウエートを占め、あるいはこれが切れて新しい契約になるという時期が大体いつごろになるかということは、おわかりになっておりますか。
○進説明員 まだ、数量的にはどの程度が既契約であるとか、今後の取引はどの程度であるということまでは、正確にはつかんでおりません。
○和田(耕)委員 まあ新しい契約は、八月十五日以降ほとんどないというのは事実ですか。
○進説明員 業種によりまして非常に強い業種とそうでない、競争力の弱いと申しますか、そういう業種がございまして、業種によりましては、課徴金も完全に向こうに転嫁し得る業種等もございますし、そういう意味では取き続き注文をとってやっておるところもございます。したがいまして、業種別に影響の度合いがそれぞれ違ってまいっておるということでございます。
○和田(耕)委員 その業種別に度合いの違う業種をここで御説明いただきたいと思うのですが、中小企業だけでけっこうですが、特にひどいところとそうでもないところと、そしてまあ何とかやっていけるというところの……。
○進説明員 業種で申し上げますと、比較的影響を受ける度合いの大きい業種と考えられますのは、中小企業の出荷比率の大きい業種といたしまして、たとえば洋食器でございますとかボルト、ナット、金網のような金属製品の業種、それから皮革、陶磁器、玩具のような雑貨関係、それから繊維関係、特に二次製品でございます。それからかん詰めのような農水産品でございます。 それから、特に産地で申し上げますと、たとえば新潟県の燕の金属洋食器でございますとか、愛知県の綿スフ織物――三州地区でございます。あるいは知多半島方面の綿スフ織物、それから奈良のグローブ、バット、大阪市の縫製品、岡山、倉敷市のビニールすだれというものが、その最も大きな影響を受ける代表的な例でございます。
○和田(耕)委員 一〇%の課徴金の問題、これは品種によって、一〇%もろにかぶるところとそうでもないところがいろいろあるようですけれども、中小企業製品は比較的大部分が、もろにかぶってくるというところが多いのじゃないですか。
○進説明員 大企業製品に比べますと、中小企業製品のほうが比較的完成品が多いものでございますので、影響の度合いといたしましては、私どもはやはり御指摘のように、中小企業のほうに大企業よりも影響が大きくあらわれるというふうに見ております。
○和田(耕)委員 まあそのような状態になりますと、今後中小企業としては、ほんとうの強い輸出のドライブで、出血輸出のような形で輸出を維持していくか、あるいはまた、国内に無理してでも新しい市場を開拓していくかというようなことになりますね。しかし輸出専門の中小企業、いまもあげられましたようなものは、国内の需要に新しく振り向けるとしても、非常に困難な問題がたくさんあるのですね。こういうような問題について中小企業庁は、現在のところどういうふうな方針で対処しようとなさっておられるのか。
○進説明員 現在のところといたしましては、とりあえずは、たとえば減産でございますとか注文がとぎれましたつなぎでございますとか、そういうような金融対策が、要望といたしまして圧倒的に強うございますので、まずこれを最優先的に措置する必要があろうかと存じております。 その次には、やはり取引の安定化ということで、何か為替取引上の名案を考える必要があろうかと存じておりますが、御指摘のように、いずれにいたしましても、やはり輸出価格面への影響というものはかなり出てくると存じますので、今後の対策といたしましては、一つには市場の多角化と申しますか――やはり対米依存度が非常に強うございますので、この影響が非常に強くあらわれております。したがいまして、できるだけヨーロッパ、東南アその他の市場に転換するようなことも考えなければなるまい。それから国内向けにつきましては、これはどういたしましても、国内にどっと出ますと供給過剰ということで市場が混乱いたしますので、一時的にはともかくといたしまして、恒久的にはやはり何らかの中小企業の構造改善対策と申しますか、体質の改善対策というようなことを考えなければなるまいと存じております。
○和田(耕)委員 その場合に、国内に向いてくる、あるいは輸出のドライブをかけてくる、新しい市場を開拓していく、いろいろなことがあると思いますけれども、不況カルテル的なカルテル行動というものは強化されていくという見通しになるのじゃないでしょうか。
○進説明員 まさに御指摘のとおりでございまして、現地調査の結果におきましても、不況カルテルをつくりたいという希望が、そう多くはございませんが現在でも出ております。これは中小企業団体法によりまして、不況の場合には不況カルテルをつくっている。現につくっている例もございますので、場合によりましては、減産措置に伴いまして、業界の協調体制を保つ意味で多少そういうような措置も必要であろうかと存じますが、現在まだ具体的にどれということは考えておりません。
○和田(耕)委員 これはやむを得ない一つの傾向かと思うのですけれども、たとえばこういう状況下の不況カルテルということになると、価格の引き上げという問題が直接出てくるということになるわけですね。この問題、物価問題としても非常に重要な問題になってくると思うのですけれども、公正取引委員会の事務局長さんにお伺いしたいのですが、こういう問題も公取では検討しておられますか。
○吉田説明員 まだ具体的にこちらに案件が参っておりませんので、公正取引委員会自体としてどうするという方針は打ち出しておりません。しかし、考えられます点は、独占禁止法による不況カルテル、それから中小企業団体法によります不況カルテルというものがございますが、独禁法による不況カルテルはこちらで認可する、団体法による不況カルテルは主務大臣が認可をして、その際にこちらに同意あるいは協議という形でくるわけでありますが、もし不況カルテル申請が出てまいりました場合には、その実態をよく見まして――実態に対する影響、これが一番大事でございます。それから一般消費者、それから関連事業者等への影響を十分考慮いたしまして、適切に処理をいたしたいというふうに考えております。 なおまた、下請事業者に対する支払い遅延等の問題も考えられますが、これは先日、九月一日に、通産大臣とうちの委員長の連名で関係団体に対して要望書、つまり不当な支払い遅延が起こらないように、あるいはまた手形サイトを非常に長くしないように、特にその点を厳重に注意しろという旨の要望書を出しております。この支払いの遅延等の問題についても、これは下請事業者の保護という見地から十分に監視をしてまいりたいというふうに考えています。
○和田(耕)委員 いままで、主として輸出という面から、ドルショックの問題についての大事な問題だと思われる点の実情をお伺いしてきたのですが、輸入の問題について経済企画庁の宮崎さんにお伺いしたいのですが、先ほどからの武部君その他の質問に対して、輸入というものの日本の生活必需品に占める率は非常に少ないんだ、三・七でしたか、くらいなものだ、だからそれをおしなべてやれば、ごくわずかな影響しかないんだという趣旨の答弁だったのですけれども、ここで問題は、たとえば物価安定政策会議が物価安定のために輸入政策を活用すべきであるということを非常に強調して、もう二、三回そういう提案をなすっておるわけですけれども、その問題と関連さして、ドルショックからくる輸入の日本の物価への影響という問題を考えなければならないのじゃないか。現在の生活必需品のおしなべての輸入物資のウエートがどうのこうのということよりも、そういう問題から一ぺん考えてみる必要があるのじゃないかというように思うのですけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
○宮崎説明員 その点につきましては、和田先生御指摘のとおりにわれわれも考えております。確かに消費財として輸入されるものはウエートは比較的少のうございますけれども、これが国内の競合製品との関係で、国内製品の価格引き下げにかなり影響する面は相当出るものと考えております。それ以外に原料あるいは中間製品で入りますものも、それは当然、それぞれの生産工程を経て末端価格に影響を持ってくるわけでありまして、全体としては、輸入はかなりの額でございます、二百億ドルからございますから、したがいまして、これは物価政策上の問題としては非常に大きな問題であると考えております。
○和田(耕)委員 特にいま問題になっておるのは、たとえば物価安定政策会議の、輸入を強化すべしという議論の背景には、日本で非常に量が少なくなって暴騰するような、たとえば肉だとかあるいは野菜の一部だとか、あるいはくだものだとかあるいは飼料だとか、いろいろなものがありますね。こういうような問題は、今度の問題の輸入の問題の中心になってくると思うのですけれども、こういうふうな物価安定政策会議が問題にした幾つかの品目で、今度かりに一〇%としてこういうふうに円が高くなった結果、いままでの、輸入を促進すべしという人たちの議論に沿うような解決をするとすればどういうような方法があるかということですね。どう品目についてどういうふうな処置をしなければならないと考えておるのか。これは輸入の自由化の問題と関連さしてお答え願いたい。
○宮崎説明員 従来、物価政策の問題として輸入政策が重視されておりますが、その項目として議論されておりますのは、御指摘の輸入自由化の問題、関税の引き下げの問題、さらに、輸入されましたものがいろいろの流通段階等で障害がございます。非関税障壁、これはいわれておる非関税障壁とあるいは違うかもしれませんが、流通等を中心にした価格硬直的ないろいろな障害、これを撤去するという問題、大体そういうような問題が中心になっております。今回の平価の問題に直接これは関係ございませんで、別途また円対策八項目としてこれがとられることになっておるわけでありますが、その中で、できるだけ物価あるいは国民生活に影響のあるようなものを重点的に取り上げていただくということに、われわれとしては努力をしてきたわけでございます。農産物等につきましては、新聞あるいは農林省のいろいろなお話等を拝見いたしておりますと、なかなかむずかしい点もあるようでございますけれども、かりに自由化が行なわれない場合においても、輸入量を大幅にふやすというようなことはぜひやっていただきたい。これは大体そういう方針でいくものと考えております。 さらに、平価の問題として何かここに切り上げの問題がもし起こってくるといたしますと、輸入品の価格が下がるわけでございます。この問題については、先般、話の筋は違いますが、関税率の引き下げがあったときに、これが末端価格に及ぶようにということで、いろいろ具体的な物資について検討いたしまして、その指導も関係各省でお願いをした結果、大体その成果があらわれたという実績を持っております。 そういうことでございますので、これは全商品についてというとなかなかむずかしいと思いますが、特に輸入の大きいもので、しかも国民生活にも非常に関係の深いというようなものについては、やはり重点的に、われわれとしては今後そういった措置なり行政指導なりをやっていただく、こういうことを考えていきたい。いろいろいま具体策を検討中でございます。
○和田(耕)委員 その問題、もう、特に農林省との具体的な折衝に入っておりますか。
○宮崎説明員 自由化あるいは関税引き下げ等の問題につきましては、私どもとしての具体的な要望を出しまして一応やっておりますが、この円切り上げ云々という問題は、何しろ政府として方針が基本的にきまっておりませんので、公式には何らそういう具体的な折衝はいたしておりません。いろいろの場合を想定して、私どものほうでいま検討を進めておるということであります。
○和田(耕)委員 農林省の方にお伺いしたいのですけれども、先ほど問題になった小麦ですね。小麦の問題は、一〇%下がれば一〇%安くなるということになるわけでありますけれども、食管の赤字を補てんするというようなことがあったので――そういうお考えはありますか。
○中村説明員 小麦の問題につきましては、小麦の政府の売り渡し価格というものは家計費や米価との関係できめておりますので、国際価格の変動によってこの価格を直ちにいま変えていくという性格のものでは、筋合いのものではない、このように考えております。
○和田(耕)委員 それでは、小麦の消費者の価格を下げるとかいうふうな考えはないわけですか、いまのととろは。
○中村説明員 いまのところ直ちにそういうふうな考え方は持っておりません。
○和田(耕)委員 この食管の問題にも、今度のドルショックの問題は大きな影響を持ってくると思うのですけれども、そのような面から食管の問題を再検討するというような動きはありますか。
○中村説明員 特に食管の問題をこの面から検討しなければならないという問題はないと思っております。
○和田(耕)委員 砂糖なんですけれども、砂糖の現在の制度を何とか変えなければならないという、そういう検討はやっておりませんか。
○大河原説明員 お答え申し上げます。 先生御案内のように、糖価安定法に基づきます安定事業団の制度が水ぎわで輸入粗糖を、一応事業団で買い入れてこれを売り渡すということで遮断しておりますが、その場合の平均輸入価格は十五日ごとに改定しておるというようなことで、実際為替変動に伴う粗糖価格を反映いたすというような措置を講ずる考えでございます。現に九月の下期においては、それ以前の最近時点の国際粗糖相場の変動、為替相場の変動を含めました最近の事情を反映するという制度のたてまえになっております。
○和田(耕)委員 私自身時間がございませんので、まだ聞きたいことはたくさんあるのですけれども、最後に経済企画庁の宮崎さんにお伺いしたいのですが、八月十五日のニクソン声明があったたしか一週間くらいあとだったと思いますけれども、経済企画庁の鹿野次官に――当時、通産大臣は通産大臣でいろいろなことをおっしゃる。大蔵大臣はあまりいろいろなことを言わないけれども、いろいろ為替変動の問題で、各省でまちまちの御意見があったように思うのです。あるいはまた、いまの自由化の問題にしても、この際もう自由化なんてものはある限度以上はできないのだというようなことを、農林省の最高責任者のほうからもそういう放送もあるという段階で、鹿野さんに私はお電話いたしまして、こういうときこそ経済企画庁はもっと積極的に出かけていって、そうしてこの円の変動相場あるいは切り上げという問題に対処していく必要があるのじゃないか。いろいろと各省のほうの御意見なり現在の準備を聞いておりましても、非常に関連してまいりますね。重要物資になってくる。したがって、こういうふうなことについては企画庁の任務として、ぜひともこういう問題を総合的に取り上げて、迅速に解決をはかるような姿勢が必要なわけですね。そういうような意味で鹿野次官に電話で、何とか指揮をとってもらいたいということは申し入れたわけですけれども、八月十五日以降企画庁として、総合的に見て非常に多端にわたる影響を、しかも非常に困難な対策をきめるためにどのような具体的な行動をとってこられたか、そのことをひとつお伺いしたい。
○宮崎説明員 二点に分けて問題を申し上げてみたいと思います。 一つは、この前からいわゆる八項目といわれておりました対策、これは必ずしも円切り上げあるいは平価調整という問題と直接の関係はないといっていいかもしれませんが、いずれにしてもそういう事態に対応しての政策ということで、経済企画庁のほうが一応何といいますか、舞台回しみたいなことをして関係各省の官房長会議で推進してまいったわけでございます。このほうが、ニクソン声明によって既定の方針が大きく後退するのではないかという問題がございます。これについてはいろいろの議論がございましたけれども、大体既定方針でいこうということで、これについていろいろ議論があり、また、それについて企画庁としての線で各省といろいろお話をしてきたということが行なわれました。現にもう日米経済貿易合同委員会ですか、具体的な話が閣僚レベルで行なわれておりますので、その結果にこれはまちたいと思いますが、私どもとしてはそういった面での努力をしてきたつもりでございます。 それから第二の点は、今度の変動相場制移行、さらに今後どういうことになるか、まだ予測は私どもいたしかねますけれども、何らかの平価調整上の措置がとられるであろうというような感じがいたします。そういうことに対しまして、さしずめ臨時国会での補正予算あるいは来年度予算というようなことが問題になりますし、経済の見通しもかなり変更になるであろう。そういうことに対して経済政策としてどういうことがとられなければならないか。景気浮揚策その他いろいろの議論が行なわれておりますけれども、その際に経済企画庁といたしましては、新経済社会発展計画等で志向いたしました長期的なわが国の経済社会の姿、特に、いってみれば高度福祉国家といいますか、そういった方向に体質を切りかえていかなければならないという問題がございます。そういう面に対する展望というものを踏まえて当面の政策を考えなければならないということ。それから、もっと差し迫った問題といたしましては、今年度下期から来年にかけての経済の実態がどういうふうになるか。それに対してどの程度の措置を必要とするか。また、その内容としてはどういうことが必要になるだろうか。これは当然大蔵省、通産省、農林省それぞれお考えになると思いますけれども、私どもとしましては、これを全体的な経済政策の問題として勉強していかなければならない。また場合によってはそのための具体的な行動もしなければならないということで、そういうことにつきましても、いまいろいろ内部では検討が進められております。これは今後の事態の推移等を考えまして、適時にひとつ大臣、あるいは政府の全体の方針として反映していただくように、われわれとしては努力をしてまいりたいと思います。
○和田(耕)委員 私が御質問しておるのは、八月十五日から約一月の間に、企画庁がイニシアチブをとって、この問題についての対策を何らかの形でやったことがあるかどうかということですけれども、その点どうでしょう。
○宮崎説明員 現在申し上げられる具体的な問題といたしますと、その後、先ほど申しました八項目関係の官房長会議ということで、数度行なわれました。そしてこの会議におきまして、ただいま申しました第二の点につきましての議論も若干行なわれております。そういうことで、企画庁としては全体のまとめ役ということもございましたけれども、われわれのほうの物価政策上の面でそういうことも主張いたしまして、そして取りまとめを進めた、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 水田大蔵大臣その他の閣僚のいろいろな御意見を聞いておりますと、金で済むなら不況にならないように何とかやるんだ、そういうふうな言明が非常に多いんですね。それはそれで、この問題については大事なことなんですね。だけれども、経済企画庁は全般的な経済計画があるので、物価の問題だけを見ているわけにいかぬということはわかりますけれども、私どもが心配するのは、各国の例からいってもそうですけれども、不況が来る、デフレの問題が出てくるということで、景気浮揚というものに対して、各省ともそれは一生懸命になってまいりましょう。だからぐっと出てくる。その陰で物価問題というものがほんとうに影が薄くなってしまう。物価は大事だ大事だと言いながら、何ら対策を打たないで過ぎてしまうということを非常におそれているのですけれども、そういう心配はないですか。
○宮崎説明員 今後の事態として予想されることにつきましてはいろいろの意見がございますけれども、私どもとしましても、あまりに急速に不況が進行するということになりますと、これはいわゆるスタグフレーションという事態になりまして、非常に困難になると考えております。そういうことには落ち込まないようにしなければならない。これは物価政策上の問題としてもそう考えております。 ただ、そこまではいかないにいたしましても、ある程度の不況ということになってくるであろう。それが賃金と生産性の関係からいきますと、賃金の下方硬直性ということはどうしても強く働いておりますから、コストプッシュの問題が出てくる可能性がある。そういう点が物価の問題としては非常に心配であるということがございます。このためにどういうふうな政策をとるかということは、御承知のとおりいろいろ問題がございます。 それにいたしましても、賃金の上昇がある程度停滞して、物価のほうは、先ほどから申しておりますように、それほど直接に目立って影響が出ないということになりますと、相対的な関係ではむしろ物価のつらさということがより深刻になる可能性がございます。そういうことについて、私どもとしてはひとつ十分に政府の政策の中でこれを反映してもらうようにしなければならない。 具体的に言いますと、景気の浮揚策でいろいろの財政的な処置が行なわれると思いますが、私どもとしても、物価対策上こういうことをやってもらいたいということで、すでにやったものもございますが、いままでいろいろ検討して、要請しておってできないものがございます。流通問題その他いろいろございます。そういう物価政策の面から見て望ましいと思われるような線にできるだけ資金を回していただく、こういうこともやってまいらなければならないと思っております。 正直に言いまして、いまの新聞論調その他から言いますと、物価を忘れてしまっているのではないかということは、われわれもややそういう感じを持っておりまして、そういうことではならないということをいろいろの機会に主張しておるわけでございますが、事態は決して従来に比べてよくなるわけではない。物価水準そのものは下がってまいると思いますけれども、総体的にはより深刻な問題が出るのではないかと私ども心配しておるわけでございます。
○和田(耕)委員 最後に、この問題が起こってから大蔵省のとった態度、たとえば八月二十七日変動相場制に移るあの前後の態度等から見て、初めての経験なのでなかなか確信のある対策がとれなかったということはわかるのですけれども、こういう場合に――たとえばドイツのようなところは過去三回にわたって引き上げをしている。まあ二回ですけれども、今度の問題を入れれば……。変動相場制でもう六%ぐらい上がっておりますね。これを入れると三回ぐらいの経験を持っておるわけです。ドイツなんかの経験から見て、日本とドイツとは非常に状況が違いますから、参考になるかどうかはわからないのですけれども、ドイツの経験をどのように受け取っておられますか。これは大蔵省と企画庁にお伺いしたい。 〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
○藤岡説明員 ドイツと日本との違いでございますが、国際収支あるいは為替相場という点について申し上げますと、日本の場合には、これは先生よく御承知と思いますが、いままで国際収支が非常に黒字基調でございます。さらにこれを分析いたしますと、貿易収支の面で大きな黒字が出ておるわけでございます。これに対しましてドイツのほうは、貿易収支といいますか、あるいはもう少し広くとりまして、基礎収支のあたりではそう大きなアンバランスがなく、ほぼ均衡しておりますが、短資の流出入が非常に激しいということであります。そこで切り上げに移る際、あるいは一時的に切り上げにかえて、ドイツの場合には前回もフローティングということをいたしましたし、それから今回はニクソンショックの前に、五月からしておるわけでございます。為替相場の問題というのはたいへんむずかしいわけでございますが、国際収支の基盤は、ドイツのように基礎的収支においてほぼバランスをしておって、それから短期資本の流出入が自由であるという国におきまして、かなりうまく動くといいますか、フローティングのメリットが大きくあらわれるのではないかと思うわけでございますが、日本のように経常収支あるいは基礎的収支で非常にドル余剰を生じており、かつ、それ以外のファイナンス項目といいますか、短期資本の流出入をいま非常に規制しているようなところにおきましては、本来の意味のフローティングというのは十分なじまないという点があるわけでございます。したがいまして、多国間の調整に応ずるといいましても、いきなり切り上げができないとすればフローティングしかないわけでございますが、かといってドイツ方式の、ほとんど手放しに近いフロートというのはむずかしいわけでございます。そこで、多少一般で思われているところと違うとは思いますけれども、必要な場合においては政府が介入をいたしまして、そう相場の乱高下のないようにということで措置しておるわけでございます。そういう点がドイツと日本とは非常に大きな違いではなかろうかと思います。
○宮崎説明員 いま大蔵省から御説明がございましたが、私ども、ドイツの事例は、こういった問題の影響を考えます場合の重要な参考として、かねていろいろ勉強いたしております。特に、たとえば物価の面等で考えてみますと、六一年の五%切り上げの際には、ちょうどややインフレになってまいりまして、物価引き下げということがやはりかなり大きな目的としてとられたようであります。国内の引き締め政策と同時にとられたということでございまして、物価面に相当の好影響があらわれております。ところが六九年の引き上げの場合には、ちょうどドイツそのものの景気がやや過熱ぎみになってきておるということがございましたが、その後世界的にいわばインフレーションが進んだということもございまして、輸入価格の値下がり等はございましたけれども、あまり物価面に大きな影響は出なかったという結果になっております。 今回、わが国がいま当面しておる事態というのは、相当の不況のもとにおいてさらにこういう問題が出ておるわけでございまして、政府の政策としては、景気の浮揚政策を一方に強化しなければならないという事態でございますので、物価面と考えますと、やや相矛盾する要素になってまいります。したがって、その程度なり内容ということが非常に問題である。また税制の問題等もこれにどういうふうに影響してくるか、その辺での政策のとり方も問題であると思いますし、金融政策も、かなり従来の例とは違った考え方でいかなければいけないかもしれない。そういうことで、先ほど申しましたように、経済企画庁全体といたしまして、いまいろいろな面から検討を進めておるというわけでございます。
○和田(耕)委員 まあいろいろな問題がありますけれども、今後の特に物価問題、非常にむずかしい、矛盾し合った問題がたくさん出ている状態のもとで日本の物価の安定という問題、この任務を果たすために現在の機構あるいは現在までの各省間の連絡調整ということで、このむずかしい問題が打開できるとお思いになっておられるのか、あるいは何らかのこういうふうな措置があったらもっとやりやすいというふうなお考えがあるのか、その問題についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○宮崎説明員 当面、私どもとしては、現在の機構をフルに活用してと思っております。しかし、これは、今後とられる措置がまだ具体的にわかっておりませんので、その内容いかんによっては、あるいは何か緊急的なことを考えなければならないかもしれない。そういった問題も含めていま検討いたしておるわけでございます。
○和田(耕)委員 一番最初に申し上げたとおり、この変動相場制という現在の異常な事態は、日本が一番やりにくい状態なんですね。これは無理でも、損をしても、何とかこの状態を打開していかなければならないということになれば、円の切り上げというものは、しかも現在考えられておる以上の切り上げは必至だというような受け取り方を現在しながら、これに対する対策が必要じゃないかというように私は思うのです。そういうような点についてどういうふうになるかわかりませんから、質問はこれまでにいたしますけれども、いろいろな対策の中で物価の問題が忘れられてしまわないように、これはしようがないわというような感じにならないように、特にお願いしたいと思います。 それから、国民の一般の人の感じでは、これはよく知らない人が、ちょっと新聞なんかで見ている人が、私ももっともだと思うのですが、お金の値打ちが上がるのはいいじゃないか、お金の値打ちが上がるのは、日本の国威の発揚みたいなもので、いいじゃないか、また輸入品が非常に安くなって、いいじゃないか、こういう考えが非常に多いのですね。こういう考えが多いところに輸入の問題がうまく運ばれないで、少なくとも輸入物資は安くならないとかということになれば、これはそういうふうな意味からの反動というものも非常に大きいと思うのですね。したがって、この輸入品の価格の引き下げということがもっと末端価格に反映するようにするための措置は、これは積極的に意を配っていただきたい。そうしないと、この切り上げというものを評価している人が逆になってくるという問題もあるので、その問題だけは特に事務当局の方々に御注文しておきたいと思います。 終わります。
○武部委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後二時三十五分散会