外務委員会 第4号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/09/01
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 この際、福田外務大臣より発言の申し出がありますので、これを許します。外務大臣福田赳夫君。
○福田国務大臣 私、七月五日に外務大臣を拝命いたしました。ついては、すぐ皆さんにお目にかかりましてごあいさつを申し上げ、かつ、御教示を得る機会をと思っておりましたが、三十数年来の胆石の手術をしなければならない、こういう問題に当面いたしまして、たいへんおくれまして申しわけなく存じております。一昨日から正常の服務状態に復しました。ところが、難問山積というか、この秋の外交日程、こういうものを考えてみますと、建国以来の陛下の御外遊という問題があります。また日米合同委員会、これを中心とする日米の国交調整という問題があります。さらに国連の中国代表権問題、これも重要な問題であります。さらに十月になりますると、いずれは臨時国会が開催されまして、沖繩協定の批准のための協定承認を願わなければならぬ、こういう問題を控えておるわけでありまして、これくらい重要な外交案件が山積しておるという時期はないとも私は存じておるわけでありまするが、微力ではありまするけれども、全力を傾倒いたしまして、国家のために御奉公いたしたい、かような決意でございます。 もう健康も大体旧に復しましたので、皆さんから隔意なく御意見を承り、差し迫っては来週の月曜日にはアメリカへ出発しなければならぬ、そういう問題、それから国連の問題につきましてもぼつぼつ政府の姿勢を固めていかなければならぬ、こういう時期でございます。十分ひとつ皆さんの御意見をお聞かせ願いまして、あやまちなきを期していきたい、かように存ずる次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 ————◇—————
○櫻内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 外務大臣はこのたび御病気がよくなられましておめでとうございます。 いまいろいろ山積する問題を解決していきたいという抱負のほどをお述べになったわけでございますが、外務大臣のごあいさつとして初めてでございますし、私どももどういうお考えを持っていらっしゃるかといろいろ聞きたいことがあるわけです。と申しますのは、いまお話がありましたように非常にたくさんの外交問題がもたもたしております。そして何かすかっとした外交をやってもらいたいというのが国民の声だろうと思います。ですから、そういうことをほんとうに実行していただきたい、こう考えて御質問申し上げる次第でございますが、いまおっしゃった中で、当面する問題として自分はこの問題だけはどうしても解決するんだ、これは非常に重要な問題である、こうお考えになるものは一体何であるか、当面の外交の重要な、解決してみせるという問題は何であるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 まず第一に、アメリカとの間の国交推進の問題であります。 それから第二は中国問題、これはもう日本国が当面しておる非常に大きな歴史的課題であるとも考えております。この問題につきまして解決の方向を打ち出したい、かように考えます。 それから第三の問題は沖繩問題であります。これは十月に臨時国会が開かれるであろう、こういうふうに思いますが、これがぜひ国会において承認を見るようにと、こういうための努力をいたしたい、かように存じております。 最後になりましたけれども、これは非常に大きな重大な問題と考えておりますのは、陛下の御外遊でございます。これがつつがなくとり行なわれまするよう最善の努力をいたしたい。 概括して申し上げますと、この四つを私は念頭に置いてこの秋の外交政策を進めていきたい、かように考えます。
○戸叶委員 いま四つの問題をお述べになりました。これらはいずれも関連性がある問題だろうと私は考えます。その中で特に中国の問題のことも述べられたわけでございまして、アメリカの問題に対しましてはあとから申し上げるといたしまして、中国との問題についてまずお伺いしたいと思います。 けさの新聞を読みますと、外務大臣は七億の人民をかかえる中国と国交関係がないことは、歴史の流れから見て不自然である、この際外交関係樹立に正面から取り組んでいかなければいけないんだ、ただしかし、台湾との問題云々ということが書かれてございました。したがいまして、中国との国交の回復ということは、当面非常に重要であるということに力点を置かれていると思います。 そこで、まずお伺いしたいと思いますけれども、そういうふうな形をおとりになるに際しましての基本的姿勢として、中国は一つである、これまで政府が答弁してまいりましたように、そういうお考えの上に立っての中国政策をお進めになると思いますけれども、念のためにお伺いをしたいと思います。
○福田国務大臣 中国が一つであるか二つであるか、これにつきましては当国会におきましてもずいぶん御論議があったようです。これに対して佐藤総理は、中国は一つである、こういうふうにお答えを申しておりますが、私もそのとおり中国は一つである、かように考えております。
○戸叶委員 そうあるべきだと思います。 そこで、一つであるという観点に立って、私どもはいろいろと政府の中国問題と取り組んでいる態度というものについて考えてみるんですけれども、いろいろとわからない点が多い。特に近く国連が開かれるわけでございますが、国連で逆重要事項指定決議案、複合二重代表制決議案というようなものが提出されるということがすでに報道されておりますけれども、そういうものに賛成するというよりも、もし提案国になる——賛成してもそうですけれども、提案国になるとするならば、これは一つの中国という立場に立ってそういうことがなし得るかどうかということは、私はどう考えてもわからないんですけれども、この点はどういうふうにお考えになるか、伺いたいと思います。
○福田国務大臣 この際、私は中国に対するわが国の政府の基本姿勢を申し上げておいたほうがよかろうと思う。 私は、いま戸叶さんからお話がありましたように、新聞社との会見におきまして、わが国の隣に七億あるいは八億といわれる民を擁するところの大国、中国というものが現存をしておる。この中国、まあ建国以来二十数年を経ておる。そうして社会、国家の体制も特に革命以来かなり整ったと伝えられておる。その隣国中国との間に、わが国が正常な国交関係を持たないということは、これは世界の平和、また小さく見ましてもアジアの平和、わが国の立場から見ましてはなはだ遺憾のことである、こういうふうに考えておるのです。私は、この中国との間の国交の調整、この問題はわが国が、またわが国民が当面しておる最大の歴史的課題である、こういうふうに考えます。そういうようなことで、わが国の中には、いろいろな方面から日中関係を打開しようという努力が行なわれておる。これは私は歓迎すべきことである、こういうふうに見ておりますけれども、ただ見ておるだけではいかぬ。積極的な姿勢で政府がこの問題に取り組む、こういうことを考えなければならぬ時期に来ておる、こういうふうに見ておるのであります。このことをはっきり申し上げておきたい。 ただ、この歴史的課題を解決する上におきまして大事なことは、わが国の生命は長いわけです。この長い日本の歴史の中におきまして、日本が国際社会において信用を失する、国際信義にもとるというような行動もまたあってはならない。この点も十分にわきまえていかなければならない。その信義とは一体何だ、こういうことかと思いますが、それはそのときどきの国際の情勢あるいは置かれておるわれわれを取り巻くところの客観の情勢、そういうものでいろいろの変化がある。私は新聞社の方にはバリエーションがあるのだと申し上げましたが、いろいろ形は変わるでありましょう。とにかく私どもはアジアの国々の人々に対し、また世界の人々に対し、信義を失ってはならぬ、こういうふうに考えるわけであります。そういう中国に対する基本姿勢を基盤といたしまして国連には対処するということでございます。そういうことでございますが、いろいろの国連に臨む姿勢、またタクティック、いろいろな問題があろうと思いますけれども、ただいま申し上げましたような基本的方針を踏みはずさないこと、これを旨として国連に臨む、国連に対処していかなければならない、こういうふうに考えておるのです。いまいろいろ中国問題を扱う議案が検討されておりますけれども、まだはっきりした傾向というものも出ておらぬし、わが国といたしましては各国の動きをもう少し見た上で態度をきめなければならぬ。特に私は、きょういい機会を与えていただきましたので、皆さんの率直な御意見も聞かせていただきまして、国連対処方策において誤りなきを期していきたい、かように考えておる次第でございます。
○戸叶委員 佐藤内閣の重要な外交課題といえば、中国との国交回復をすることだということを、私どもは外務委員会で総理並びに外務大臣から絶えず聞かされてまいりました。しかし、正直言いましてちっとも進んでいません。そして今度福田さんが外務大臣になられまして、いまのお考えを聞いておりますと、いままでの外務大臣より幾らか中国に対して前進しているかなあとも思われる節もあります。ぜひまっしぐらに中国との国交回復という念願を達成するために進んでいただきたい。そのために私はまず国連での態度というものを伺ったわけですけれども、どうもそれに対する答弁がすっきりしない。国民もやはりその点を知りたいところです。ただ、いまおっしゃったことを伺っておりますと、ほかの国とのいろいろの動きを見ながら、出されている決議案に対して日本も態度を決したい、こういうことですが、これはいつの外務委員会でもそういう答弁を私どもは繰り返して伺っているわけです。 そこで私がもう少しはっきりしたことを伺いたいと思いますのは、いまのような中国に対する基本姿勢を外務大臣がお持ちになっていらして、かつそういう立場から考えて、逆重要事項指定方式あるいは複合二重代表制の決議案というものは矛盾をするというふうに、個人としてでもまた外務大臣としてでも同じですけれども、一体お考えにならないかどうか。一つの中国である、そして中国と国交回復をするのだ、中国は一つだ、こういうものは困るのだ、そういうことがわかっていながらなおかつそういうものが出された場合に、矛盾したものをお感じにならないかどうか。もしそれの提案国になるとするならば、大矛盾だと思うのです、一つの中国じゃなくなってくるのですから。そういうふうなことをお感じにならないかどうかということが一点。 それからもう一つは、よその国の出方を見てということをおっしゃいますけれども、日本の国の姿勢というものがきまっておらなければほかの国の出方を見るにも私は見方が変わってくると思う。たとえば日本がこういう決議案の提案国になるのだという姿勢でほかの国と接すれば、そっちの方向に説き伏せようとしますよ。そういうことに積極的でなくて、一つの中国ということではっきりしていれば、そうして中国との国交回復を推進するのだという立場に立てば、やはり説得のしかたも違ってくると思う。したがって、よその国の出方を漫然と見ているというわけに日本はいかないと思うのですよ、中国は隣の国ですから。ですから、一体どういう態度でお臨みになるのか、こういう決議案に賛成するのだ、提案国になるのだという態度で、他の国の説得にかかるのか、それとも漫然と黙って見ているのか、それともアメリカと運命をともにするのか、アメリカがどう出ようが日本は提案国になるのか、こういうようなことが一番国民の知りたいところなんですけれども、この辺のところを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 まず第二の問題からお答え申し上げますが、わが日本は漫然と外国の出方を見ているというわけじゃないのです。さらばこそ私は先ほど中国問題に対処する日本の基本姿勢はこういうことなのだということを申し上げたわけなので、この基本姿勢を国連の審議の場でどういうふうに具現するかということが問題なんです。この基本姿勢を踏みはずすということはありません。この基本姿勢の幅の中におきましてどういうタクティックが有効であるか、現実的であるか、そういうことを考えていくのだ、そのためにはわが日本がただ単に一個の日本として一人走りしたのでは、これは意味をなさない、やはり外交というものは現実的であり、実効をあげるものでなければならぬ、こういうことを考えると、各国の出方というものをよく見きわめる必要があろう、こういうふうに考えておるということを申し上げておるわけなんです。 そこで第二の問題なんですけれども、私は国連でいろいろな技術的な審議の方法論というものが展開される、こういうふうに思います。思いますが、私ども日本とすると、この国連運営のタクティックに対しましては、先ほど申し上げました二つの内容を持った基本的な考え方をもって対処する、こういうことになる。そこでもう少し平たくお答え申し上げますれば、今日の段階において、中国を国連に迎え入れる、これはもう客観的情勢である、私はこういうふうに考えます。私は、この客観的情勢を踏んまえまして国連で対処していく、こういうことは私ども日本として自然の考え方として容認さるべきではあるまいか、そういうふうに考えます。しかし、同時に二十六年の間国連の重要メンバーといたしまして国民政府が役割りをになってきた、この国民政府が一挙にして追放されるのだというような事態を一体どういうふうに見るか、こういうことかと思うのです。この問題に対しましては、私ども先ほど申し上げました国際信義というか、そういうようなことも考えて、慎重に対処しなければならぬのじゃないかな、こういうふうに考えるのであります。その考え方、これを技術的にどういうふうに表現するか、これが当面の課題である、かように御理解願います。
○戸叶委員 私の質問というのがたいへん具体的で、ちょっとお答えしにくいために、まわりからお答えになっているような気がしますけれども、福田外務大臣の苦慮していらっしゃるお気持ちはよくわかります。よくわかりますけれども、それだけでは問題の解決には当たらないというふうに私は思います。 そこで、外務大臣としての苦慮のほどはいまの御答弁の中でわかりますけれども、今度の国連での手続のいろいろなしかたで、いまのようなお考えのもとに、中国が大事だ、まず第一に国連に入るのはもう当然のことなんだ、こういうふうな基本姿勢で中国は一つだ、こういう形でいかれたときに、もう一つのほうの逆重要事項指定方式とか複合二重代表制というようなものの提案国になるということはたいへん矛盾するんじゃないか、それだけは私はいまの外務大臣のお考えからいえばできないんじゃないかと思うのですけれども、提案国になっても矛盾はしないんだというふうな——まだなるかならないかわかりませんよ、なっても矛盾はしないんだという割り切り方でいらっしゃるおつもりかどうか、この点のことをお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 ただいまは、具体的に申し上げますと、国際連合の中で二つの決議案が論議されておるのです。一つはアルバニア決議案、一つはアメリカを中心とし、わが国なんかも参加しておるところの決議案。それで、わが国やアメリカサイドでしておる決議案というものは、これは一方においては中国を国連に迎え入れよう、こういうこと。その迎え入れようという考え方の中におきましても、二つまた種類がありまして、単純に迎え入れようという決議をするか、あるいは安保理事会の議席もあわせてこの際中国に渡すということをも内容とするかという、この二つの考え方があります。まだ帰一しておりませんです。それから一方におきまして、国民政府、これを国際連合から追放する、これには三分の二の多数の議決を要するのだ、こういうようなことをここで議決していこう、こういうことなんですが、戸叶さんのおっしゃいますのは、その二つが相矛盾する決議案じゃないかというようなことかと思いますけれども、これは私は矛盾するとは考えていないのです。つまり、ただいま申し上げましたように、第一の国連決議案は、これは率直に歴史の流れをながめまして、中国を国連に迎え入れることが妥当である、こういう意思表示なんです。そういうだけのことなんであります。ただ第二の決議というか、いままで二十六年間厳然として国際連合で重きをなしてきた国民政府をここで一挙に追放するということがいいかどうか、これには慎重な考え方を必要とする重要事項としての扱いを要するという考え方、これを論議をするということなんでありまして、私はすなおに解釈しますと、別に矛盾することはないんじゃないか、さように考えておるわけであります。
○戸叶委員 私たちがすなおに考えますと、矛盾をするというふうに考えますけれども、この問題を、よくそういうふうなことが矛盾しないというふうにお考えになれる。私の頭の構造からはわからないのです。しかし、その問題でやりとりはできないと思いますから、違う角度でちょっと伺いたいのですが、いままで政府はこういうふうに答弁していました。中国の国連加盟は重要事項指定方式である、こういうふうに考えていられたんですが、私たちに対する答弁としては、中国の国連加盟問題は重要なんだから重要事項指定方式なんだ、こういうふうにおっしゃっていたわけです。で、私たちは、そんなことはありっこない、じゃまをするのだというふうに幾たびかここでは議論をしましたけれども、その問題は別として、世界の流れとして中国が国連に加盟するようなときがきた。そこでもう一度確かめておきたいことは、それでは政府は、台湾を国連から追放しないというのが不動の基本原則である、そしてさらに中国を国連に加盟させるのだ、こういうふうにお考えになっているのかどうか、この点をまず伺っておきます。
○福田国務大臣 とにかく二十六年間国際連合におきまして重要な役目を果たしてきた国民政府、これをにわかに国際連合から追放する、こういう行為は、私は、特に近隣の関係にある日本といたしまして、先ほど申し上げました国際信義という点から見ていかがなものであろうか、かように考えるわけです。何か国民政府側が国際社会において形勢が少し悪くなってきた。そこでことばは適当じゃありませんけれども、国民政府の立場をにわかに無視する挙に出る、これは私は、日本国民というものは、日本国というものはそういう国柄であろうかということについて、これはもう中国の方々ばかりじゃない、アジアの皆さんに、あるいは世界じゅうの皆さんにいろいろな複雑な懐疑心を抱かしめるに至るのじゃあるまいか、そういうふうに思います。まあとにかくその国際信義、これはできる限りお尽くしする、これが長きにわたっての日本の外交施策として有効なことじゃあるまいか、私はさように考えております。
○戸叶委員 まあ国連の代表権の問題はあまり割り切れませんけれども、このくらいにいたしまして、外務大臣とそれから佐藤総理もですけれども、機会があったら訪中をしたいということを述べられていらっしゃる。そしてまた行かれることはたいへんいいことなんですけれども、またこの間王国権氏が来られたときにも、佐藤総理もお会いしたいような形勢もあったんですが、結局会えなかった。それで、こういう外交を見ていますと、私どもは何かとても心さびしい気がいたします。そして日本の外交の責任者が行きたいと言っても行けない。それはやはり一つのはっきりした中国に対する原則が打ち立てられていないからだというふうに考えられるわけです。ニクソン訪中というものがきまったというのは、中国に対する原則がはっきりしたからニクソン訪中というものはきまったと思うんですけれども、この点についてはどう判断をしていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 ニクソン大統領の訪中につきましては、あまり公式な解説、詳しいものはございません。そこでこれは憶測するばかりなんでございますが、しかし憶測と申しましても、私どもはただ単に空想するわけにいかぬ。そこでいろいろ客観的な資料、そういうものも集めるわけでありますが、私がただいま集め得ておるいろいろな情報、そういうものを総合いたしまして考察いたしますと、私は、ニクソン大統領の訪中、これは周恩来、キッシンジャー両氏の間におきまして訪中ということはきまったと思うんです。しかしその訪中によってどういうことが結論づけられるかということをあらかじめ結論づけていないのだ、こういうふうに見ておるのです。その訪中による両巨頭の会談におきましてどういうことが論議される、これは想像にかたくございませんけれども、いま両国の間にきまったことがあってこの訪中が実現されるのだ、こういうふうには理解をしておりません。
○戸叶委員 いまのお話ですけれども、きまったことがあってとかなんとかというのじゃなくて、訪中できるという一つの基本姿勢があったから行かれることになったと思うのです。日本の政府が、いかに佐藤さんなり外務大臣が行こうと言われても、一つの原則がはっきりしないから中国としては受け入れられない、そういうことであろうと私どもは思うわけですけれども、その点についてもっと基本原則を持ってから私たちは行きたいのだということを言うべきではないか。ただばく然と中国を訪問したい、王国権氏と会いたい、こういう形では、国民に対しては何か中国問題を一生懸命やるのだという、そういうゼスチュアみたいなものはわかりますけれども、向こうに一つも響いていない、こういう点はやはり考え直していくべきではないかと思います。基本的な姿勢というものをはっきりさせる。たとえば先ほどの国連での問題に対しても、日本は矛盾したような立場をとるべきではない。そういうふうな姿勢というものははっきりさせなければ、どんなに中国は大事な国だから国交回復をするのだと言ってみたところでくずれていってしまう。こういう点をもっとはっきりさせていただきたい。そしてニクソンの訪中というものは、その辺の何か基本姿勢がきまったからこそそれがきまったのだということもよく分析して考えて、そうした上に立っての日本の立場というものをお考えになっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 米中間で議論される大きな問題は、台湾の地位に関する問題だろうと私は思います。この問題につきまして、米中間でもうすでに合意ができたのだ、だから訪中となるのだというふうな見方はしておらない。おそらくキッシンジャー特使もアメリカとしての見方を展開しただろうと思う。周首相もこれまた中国としての見方を述べられた、こういうふうに思います。しかし、結論としてこういうふうになったのだ、そういうことだからこの訪中が実現するのだというふうには見ておらないのです。 それからさらに、米中間において大きな問題となるべきものは、国連における代表権問題だろう、こういうふうに思うのです。この問題につきましても両国の立場は述べられたと思う。しかし結論が出ておるわけではない。さらばこそいまアメリカは、あなたが矛盾している、こうおっしゃいますが、二つの決議案、こういうものを提唱しようとしておる。それがもしもう米中間で話し合いがきまっている、こういうふうなことになったら、そういういまのアメリカの動きをどういうふうに理解していくか、これは理解に非常に当惑することではあるまいか、そういうふうに思うのです。 さらに両国の間においてはベトナムの平和、これも重大な問題だろうと思うのです。しかしこれについて意見の交換はあったにいたしましても、結論が出て、訪中という雰囲気をささえる一つの材料になったのだというふうにも考えられない。とにかくアメリカは、私が申し上げましたような、中国というものがいま世界政治の中でひとり歩きしておる、こういう状態、これはよろしくない、国連にも入ってもらわなければならぬ、また大きなアメリカとも、これも国交正常化の道をたどらなければならぬ、日本ともそうだ、そういうような考え方、そういうことがお互いに以心伝心というか、理解し合われた結果ああいうことになったのではないか、こういうふうに思うのです。その下地はできた、しかし具体的にどういう申し合わせができたのかということになると、そういうことはこれからの問題であろう、こういうふうな理解をしております。
○戸叶委員 いまお話の中で、アメリカと中国との間の国連についての話し合いの問題等も出たろうけれどもというようなことばがございました。先ほど国連での日本の態度というものを私は伺ったわけですけれども、そのときに念を押しておくのを忘れましたので、もう一度そこの点に戻って伺いたいのです。 それでは、日本は、国連におきまして、アメリカが決議案に対して提案国になれば共同提案国になるし、ならなければならないしというような共同歩調をとられるのかとられないのか、独自の形をとるのか、それとも同じ形をとるのか、この点だけを念のために伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 国連におきましては、基本的な考え方といたしまして、友邦、盟邦といいますか、盟邦アメリカ、これとできる限り協調してまいりたい、こういうふうに考えます。ただ中国問題につきましては、もちろんそういう基本的な考え方でまいりますけれども、これはアメリカと日本と置かれておる立場は違うところもある。わが日本はとにかく隣国中国である、そういうことが大きな点であろうと思いますけれども、そういう、点を考えますと、必ずしもアメリカと一緒にいけるかどうか、これはそうはっきりと申し上げるわけにはいかぬと思います。一般論としてはできる限り一緒にいきたい、こういうふうな姿勢をとりたいと思いますけれども、さて具体的応用問題といたしまして中国問題ということをとらえてみますと、必ずしも一緒にいけるかどうか、できる限りそういう努力はしてみますけれども、必ず一緒にいけるのだ、いくのだというふうにもまた申し上げかねるのであります。
○戸叶委員 私どもからいたしましたならば、隣国中国でありますから、中国が国連加盟ができるような方向に向かって、それを妨げるようなことにはしないで、ぜひはいれるように、中国自身も望んではいれるようなそういう形を日本としてはぜひとっていただきたい、このことを要望いたします。 そこで第二の問題として伺いたいのは、二十八日でしたか、日米合同委員会で、米軍に払う給料に対して、米軍人とか軍属が日本で使用する換算を三百六十円レートでやってくれというような申し入れがあったということを聞かされているわけでございますが、三百六十円で支払う、そのレートだけを三百六十円にするということは、これは筋が通らないと思いますけれども、この点はどういうふうになさるか、念のためはっきりさしておいていただきたいと思います。
○福田国務大臣 ちょっと政府委員から……。
○吉野説明員 お答えいたします。 今回のわが国の変動相場制の採用に伴いまして、昨八月三十一日、日米合同委員会において米側と話し合った結果、結局その前日の中心相場、すなわち取引の最も多かった相場で交換する、こういうことで日米間に合意ができまして、昨日からその率によりまして交換を開始しております。したがって一ドル三百六十円で交換していることは現在ございません。
○戸叶委員 それでは今後もそういうことはあり得ないわけですね。 そこで私どもが非常にふしぎに思いますのは、たとえばアメリカが輸入品に課徴金を一〇%かけるというふうにいわれておりますが、沖繩から物が輸出されたのに対しては、沖繩はまだ施政権下にあるのですから、まさか、これに対しての課徴金というものはアメリカはかけないだろうと思いますが、この点のことを念のために伺っておきたいと思います。
○吉野説明員 この点につきましては、課徴金が課せられて以来われわれはアメリカ政府に対して沖繩の産物に対して課徴金がかからないようにという線で強く交渉しております。しかしながら御存じのとおり沖繩は、実はアメリカ本国と同じ関税区域にございません。その点は単に沖繩のみならず、グアムだとかサイパンとかそういうようなアメリカの施政権のもとにある地域につきましても、アメリカの同じ関税地域にない、こういう理由で課徴金は現在かかっております。しかしながらわれわれとしてはいまだこの点につきましてアメリカ側に再検討を要望しております。
○戸叶委員 外務大臣、いまお聞きのように、沖繩はアメリカの施政権のもとにあるわけですね。それを同じ関税の区域にないからといって、沖繩から送るものに一〇%の課徴金をかけるなんていうのは非常に不当だと思うのですね。そのくらいのことを日本の政府が交渉できないなどというのは、少しだらしなさ過ぎると思うのですよ。やはりその点をはっきり考えていただきたい。 それと同時に、沖繩の人はドルの問題でたいへん苦しんでおります。沖繩の国会でいずれは問題になるのでしょうけれども、そんなことはもう間に合わないです。もう沖繩の主婦たちがどんどん陳情に来ています。私どものところへも、政府の適当なところへ連れていってくれといって、非常に物価が上がって困る、ドルの変動で苦しい、こういういろいろなことを訴えられております。そういう人たちの身になって考えてあげたときに、いまの課徴金の問題、それからドルの換算の問題、これは詳しく言いませんけれどもおわかりになると思います。そういう問題を外務大臣としてアメリカ側とどう交渉されるか、対米外交の一つとしても大事な問題ですけれども、この点の御意見を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 実は私も課徴金が沖繩からの輸出品にもかけられるのだということを聞きましてびっくりしたんです。で、調べてみる、聞いてみますと、これは沖繩がアメリカ本土の関税領域になっておらないんだ、こういうことでほかの地域との権衡上そうしなければならないんだ、やむを得ないんだ、こういうことのようでありますが、私どもとすると、お話しのようにまことにこれは妥当でない、こういうふうに考えられますので、この問題につきましては、もうアメリカ当局に対しましても強く申し入れをいたしております。きのうも私のところヘトレザイスという方が参りました。この方に対しましても、私は冒頭このことを要請しておきますよ、これからその他の問題に入りましょうと言ってお話を始めたのですが、最善の努力をこれからもしてみたい、かように考えております。 また、いま変動為替制をとった、そして実質上ドルの価値が下がってきた、こういう関係から沖繩経済に非常に大きな影響があるわけなんです。私もこれは非常に憂慮しておるわけでありまして、大蔵大臣からこの間変動為替制につきまして、あの制度をとるという前に私の意見も求められた。そのときも私はそのこと自体はやむを得なかろう、しかし沖繩の問題、これはひとり経済的な問題じゃないんだ、政治的な問題としてこれは何らかの解決をしてほしいんだという希望を申し上げ、なおきのうの閣議——私は病後初めての閣議でありましたが、きのうの閣議におきましても大蔵大臣に対しましてそのことを強く要請をいたしたわけでありますが、私も協力をいたしまして、何とか沖繩県民がこの事態によりまして不安がないということになりますよう努力をいたしたい、いまそういう姿勢で一生懸命取り組んでおる最中でございます。
○戸叶委員 私の時間はあと三分半ぐらいしかないですから急いで結論にいきたいと思います。 先ほどの外務大臣の重要なかつ緊急な外交問題の一つとして対米外交ということがあげられたわけですが、最近のアメリカとの外交を見ておりまして、日本の政府もいままでのような、日本がアメリカ一辺倒の信頼関係でやっていったのではだめなんだということがよくおわかりになったと思うのです。自分の国の利益のためには、友好関係といいましても友邦国といいましても、それをどんどんと見捨てて、弊履のごとく捨てていくというようなことを身にしみて感じられたと思うのです。したがって対米外交というものも再検討をするべきときにきているのじゃないか、こういうふうに私思いますけれども、一体どういう態度で対米外交をお進めになろうとするのか、この点を一点伺いたい。 それから時間がないので、問題が違いますけれども、ついでに伺っておきたいのですけれども、ことしの北方墓参につきましてまだ何らソ連からの返事がない。墓参をしたいという考えの人たちから、わが国固有の領土であるにもかかわらず墓参できないというのは残念だ、何とかしてくれないかというような要望がきておりますので、これもあわせて質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○福田国務大臣 日米間の友好関係は、いろいろの見方があるようでございますけれども、私は基本的にいささかも変化を来たしておるというふうには思いませんです。経済関係、これが中心でさざなみが立っておるというような状態かと思うのですが、しかし沖繩の返還、あれはほんとうに世界史でもまれに見るような、あの平和的な話し合いの形で実現されるということ、この一事を見ましても私は日米の基本の関係においていささかもひびが入っているとは思わない。ただ、ただいま申し上げました経済の関係なんかをほうっておく、そうしますとだんだんとこれが高じまして、あるいはひびが入るような事態になりかねないということを私はいまおそれておるのです。 その基本的な問題は何かというと、日米間、非常に緊密だ緊密だ、こういうふうにいわれておりますけれども、またそういうふうに私ども考えておりますけれども、それにもかかわらずその緊密な基盤というものが広く日米の両国民、そういう基盤に立っておらないのじゃないか、こういうふうに思うのです。もう少し、日本はアメリカを必要とする、アメリカは日本を必要とするということにつきまして両国民の間に広く認識、理解というものができて初めて、ゆるぎない、少しくらいの経済問題がありましてもそれが大事に発展するというようなおそれを抱かしめないような関係になるのじゃないか、そういうふうに考えます。今度幸い日米合同委員会がありますので、その機会におきまして日米、これは何ゆえに結ばれなければならぬかというゆえんをよく話し合い、そしてこれを両国民の間に理解を求めるというようなことについて話し合ってみたい、かように考えております。 墓参の問題につきましては、政府委員からお答えをいたさせます。
○有田説明員 お答え申し上げます。 北方墓参につきましては、四月の二十二日にソ連側に申し入れました。申し入れの趣旨は、歯舞、色丹等の北方諸島と、樺太についての墓参、それから今回はソ連本土のウランウデとザビタヤについて墓参をしたいと申し入れました。六月の二十九日にソ連側から原則的に回答がありまして、本土ではウランウデの墓参は認めよう、それから樺太についても三カ所を認めよう、しかし北方諸島については外国人立ち入り禁止区域であるからことしはだめである、このような返事が参りました。その後、私のほうも船繰りその他もありますものですから、具体案を詰めている段階でなかなかソ連側と話が合わずに、最近ソ連側は九月の五日から十八日の間にソ連側がよろしいといった時点に墓参をしてくれと申し入れてまいりました。当方、若干の困難がありましたけれども、これでやろうということで具体案を出しました段階で最終返答が来ておりませんので、この一両日、船繰りの関係があるので、ぜひきょうあすにでも返事をするようにということを目下督促中でございます。 また、北方諸島につきましては、御承知のように毎年墓参を重ねておりますので、ソ連側の言う外国人立ち入り禁止区域であるから困るというのは理由にならないから、ひとつぜひ墓参を許可するように、これまた再三再四向こう側に押し返しております。北方諸島につきましては、御承知のように近距離でもあり、また夏場でなければならないということもないので、これから引き続き強力にソ連側に対して北方諸島の墓参についてもこれを許可するように交渉していきたいと、このように考えております。
○戸叶委員 北方諸島まで含めて、見通しはいかがでございますか。
○有田説明員 見通しは、前者につきましては原則的に回答しておりますので、これはよもや全く拒否するということはなくてほぼ予定どおり何とかできるのではないかと思います。北方諸島につきましては、これは昨年もたしか非常に時期おくれになったりしたこともございますけれども、いま申し上げたように比較的簡単に準備ができますので、これはあくまでも事務当局といたしましては押してまいりたいと思います。
○櫻内委員長 正示啓次郎君。
○正示委員 与党からも少し、外務大臣にひとつしっかりやっていただきますように、お尋ねをしながら、またわれわれの意見を申し上げたいと思います。 とにかく、御全快おめでとうございました。大臣は学生時代からフクデンというニックネームがあったそうですが、まさに福のたんぼに大きな石がたくさんあって、たんぼに石があっては困るわけですから、そのたんぼの石を取られたということは、これから日中問題、対米問題、国連問題、あるいはヨーロッパ御随行の問題も、その石を取られて、大いに張り切ってやっていただきたい、このことを特にお願いをいたします。 さて、非常に時間が限られておりますので、いま社会党のほうから御議論のあった問題に関連して、日中問題の一番の障害物といいますか、それこそ大臣の石のようになっておるのは、私はやっぱりこの台湾問題であると思います。そこで、大臣は国際信義ということを強調されまして、これは全く同感でございますが、私はそのほかにも、たとえば日本国の国民の世論を調べてみましても、中共を国連に入れること、あるいは中共との国交正常化のことは大賛成であるけれども、台湾の国民政府との関係を断絶するとか、あるいは国際社会から追放するということには非常に反対の世論がたくさんあるということ。それから現下の日中国交正常化促進の世論は、みな国際平和、アジアの平和、これをこいねがっていない世論は一つもないと思います。すなわち、世論は、お互いに対話の精神をもって平和を増進していこう、緊張緩和をしていこう、こういうことだと思うのであります。西ドイツの東欧政策にいたしましても、韓国と北鮮との問題にいたしましても、ここに対話を広げていくということがすなわち平和であり、緊張緩和であると思うのであります。そこで、いまこの国民政府との日華平和条約を破棄せよとか、あるいは国連から追放せよとか、こういったことは対話の精神に沿うゆえんであるかどうか。これはむしろ対話のパイプを取ってしまって、ここに大きな激変を生ぜしめる危険があるのじゃないか。そういうことが一体世界の平和につながるゆえんであるかどうか。このことを私は大臣としてやはり考えなければならぬのじゃないか。 それから、国連憲章第十八条には、いわゆる新しく国が加盟をするとか、あるいは加盟国を除名をするというふうなときには、これは三分の二という重要事項としてやるべきであるということを明記しております。今回の中国代表権をきめる問題は、これは国の新しい加盟、国の除名という問題ではございませんから、これはこの条項、十八条がストレートに適用されるものではもちろんございません。だからこそ、いままでも重要事項指定ということでやってきたことは御承知のとおりであります。こういう精神は、しかしながら私は厳としてずっとつながっていくべきじゃないか。すなわち、国連創始国である国民政府が、この際国連の場から追放されるというアルバニアの、これは法律的に見ても非常におかしい決議案であります。代表権をきめるだけのことであればいいのに、追放という条項をつけ加えるということは、国際法上大いに議論があると思うのでありますが、そういうことをわれわれは政策として避けていくために、憲章十八条の精神をやはりこの際はっきりと国連の場において、国連の普遍性、国連の平和維持機構としての使命、そういう点から、われわれ、この憲章十八条の精神を生かすということは非常に大事な点ではなかろうか、かようなことを考えております。大臣が進んで北京を訪問しよう、これは私は非常にりっぱな決意であると思います。しかしながら、訪問される以上は、以上のようなバックグラウンドをしっかりお持ちになっておいでにならなければ、何人行ったって同じです。腹のない人間が行ったって、日本人ではありません。そういうことではだめでございますから、しっかりといまのような点を腹にたたみ込んで、北京訪問をやられることを、いつの日か、近い日にぜひ実現していただきたいというように希望いたすのでありますが、以上の私の所見について大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 私も正示さんのお話と全く同じような考えでございます。つまり私はわりあいに常識的に事を行なう、こういう姿勢でございますが、大きな常識から見ますれば、今日になると、中共、中国は国連に入っておらぬ、これはもう非常に不自然だ、これは早く入ってもらったほうがいいんだということが一つの常識だと思うのです。同時に、今日、なお二十六年間、国連において重きをなしておる国民政府、これが弊履のごとく扱われるということ、これにつきましても、非常に消極的な考え方をとる、これもまた常識じゃあるまいか、そういうふうに考えるのです。その辺をよく踏んまえまして、日本の国というものはりっぱな国だ、りっぱな態度をとっておるというふうに国際社会において尊敬されるように行動したい、かように考えます。
○正示委員 時間がありませんから、もう一問で終わります。 いよいよ九日、十日にセプテンバー・ミーティングですか、ランデブーをやられるのでありますが、これはひとつ楽しいランデブーでありますようにお祈りするのですが、なかなかそうは参らないようで、ほんとうに御苦労さまに存じます。そこでいろいろな話し合いが行なわれるわけでありますが、私は、政治問題としては決してずれていない、こう思うのであります。先ほどもお話しのように、経済的な問題についてさざなみというふうなお話でございまして、私も大体そういうふうな印象を持ちますので、ひとつトランプカードを全部机の上に並べて、お互いにアウトスポークンに話し合っていただくということを特に希望いたすのでございます。 そこで、一つだけ、私特にこの際外務大臣にお願いしておきたいのは、この間、ハワイで日米の実業家、経済人が集まりましたときのお話があったようでございます。アメリカの代表的産業人が、もしアメリカの工業製品を年間二十億ドルも日本が買ってくれるならば、円の切り上げなんかやぼなことは言わぬのだが、こういうことを言ったのですね。これはくしくも、日本はアメリカの農産物を二十億ドル買っておることはすでに御承知のとおりでございます。これに対して、日本の農産物は、一割にも達しない一億八千万ドルしかアメリカは買ってくれておりません。すなわち農林水産という第一次産業に関しては、たいへんなインバランスが、むしろアメリカのほうの輸出超過、日本の輸入超過という形になってあらわれております。しかるに、工業製品においては、日本が非常によく働く、また技術的にも進んでおる、いろいろな努力をしたということから、工業製品についてはだんだんと、むしろ日本がアメリカに進出しておる、この辺が問題だろうと思います。そこで、おそらくアメリカでまた自由化問題、残存輸入制限品目の問題が出ると思うのでありますが、そういうときには、大臣も、フクデンというさっきのニックネームからいっても、農村の御出身であることははっきりしておるのですから、そこでぜひ、日本は二十億ドルも農産物は買っておるのだよ、だから、その点を、自由化せよ、自由化せよということよりも、やはりアメリカがもっとしっかり勉強して、よいものを、工業品をつくって日本に輸出することを考えたらどうか、そのかわり、それらについては日本も、優秀なもので安く入ってくるならこれをもっともっと入れることにやぶさかではないぞというふうな態度で、アメリカと、それこそカードをテーブルの上に一切並べてお話し合いをいただきたい、私はこう思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 日米会談では、いろいろ広い角度の日米経済の問題、こういう話し合いもいたしますが、現実、具体的な問題とすると、まず第一に、日本の自由化という問題、これが一つの焦点になるだろう、こういうふうに思います。 これはどういうことかと申しますれば、わが国はアメリカに対してどんどんと輸出をしておる。アメリカの計算によると、ことしの日本からの輸出超過が二十五−七億ドルくらいにはなるだろう、こういう。これじゃとてもたいへんだ、こういうのです。そういう数字、私は必ずしもなるとは思いませんけれども、しかしかなりの輸出超過になり、しかもその輸出の速度が非常に早く伸びている。自動車の輸出がことしになって去年の同期の倍になるとか、あるいはテレビの輸出が去年の同期に比べて五割増しになるとか、あるいは卓上計算機の輸出がたいへんな伸び方であるとか、いろいろそういうことでアメリカ人を脅かしておる、それなのに日本は多数の品目について輸入禁止制をしいておる、これは不公平ではないかというのがこの問題に対するアメリカの言い分です。 しかし、いま正示さんが御指摘になったそういを中におきましても、農産物につきましては特に気をつけろ、こういうことでございますが、農作物につきましては、お話しのとおりの事情があろうと思う。ただ、全体の日米間の貿易の調整ということから見ますると、農産物といえども再検討しなきゃならぬ問題があると思うのです。思うのですが、その再検討の過程におきましては、日本のいま置かれておる農畜産業の立場、これは十分注意していかなきゃならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
○櫻内委員長 石井一君。
○石井(一)委員 時間が限られておりますので、すぐに各論に入らせていただきたいと思いますが、先ほど戸叶先生の御質問の中にもちょっと触れられておりましたが、沖繩に関連いたしまして、変動為替相場の施行と課徴金の問題、これは沖繩県民にとってたいへん大きな問題でございます。大臣お話しになっておるとおり、経済的問題というよりも、政治的な角度から取り上げなければいかぬ。そういうことから考えますと、大臣のような大物大臣が、対米折衝でもございますし、蔵相経験者でもございますし、次期総理でもあられるわけでございますから、これはひとつどうしても決定的な解決を積極的にしていただかなければならぬ問題だと思います。現在のところ、大蔵省なり総理府を中心に折衝が行なわれておるようでございますけれども、具体的にこの補償問題にどういうふうに取り組まれようとしておるのか。はっきりわかっていない問題もあろうかと思いますが、基本的な考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 この問題につきましては、一番大きな問題、また、従来から問題視されている点、これは何かというと、沖繩県民がこういう不安を持っておるのです。あるいは近い将来において円の切り上げということが行なわれるかもしれない。その際に、切り上げが行なわれなければ一ドル持っていくと三百六十円いただけるのが、切り上げの結果三百五十円しか、あるいは三百四十円しかいただけなくなる、しかもその後は円経済にみな移行してしまう、そうすると、みすみすそれだけの損をしてしまうのだ、これは何とかならぬかということ、これが沖繩県民の抱いておる基本的な心配ごとだろう、こういうふうに思います。この問題をどうするかということは、非常にデリケートでむずかしい問題であります。私は、こうすべきであるとか、こういう方向で政府は考えておるのだとか、そういうふうなことを申し上げることは、百害あって一益なしとも考えられますので、申し上げません。お許し願いたいと思います。しかし、その他、当面の問題といたしましていろいろな問題があるのです。たとえば今度の日本の通貨措置の結果、沖繩の物価が上がるのだ、こういうような影響がある、あるいは沖繩からの日本に対する旅行者とか留学生がたいへんな不自由をするのだとか、いろいろそういう通商だとか、あるいは業務用その他の旅行だとか、そういうところで支障が出てくるという問題があるのです。そういう問題は、私はすみやかに手を講じまして、沖繩県民の心配というものをなくさなければならぬ、こういうふうに考えております。私も、外務大臣で間接な立場にあるわけでございまするけれども、しかし、沖繩の民生の安定をはかるということは非常に大事な問題でありますので、大蔵、総務両大臣に対しまして、できる限りの協力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○石井(一)委員 当面沖繩国会に外務大臣対処されるわけでございますけれども、最近の日米間の経済問題、こういうふうなものが沖繩協定の批准に対してある程度の悪影響を及ぼすのではないかという憂いもございますし、もう一つ、これは少し別の問題でございますが、日本の国会で十月中旬からこの沖繩批准の問題を取り上げれば、でき得ればアメリカにおいても上院の批准というのは同時期に行なわれるのが理想的じゃないか、こういうふうに考えるわけでございまして、最近の日米間の動きというものに対して多少の憂慮を持っておるものでございますけれども、この辺の見通しについてどういうふうにお考えでございましょうか。
○福田国務大臣 アメリカにおきましても、わが国の国会の審議というものがどうなるであろうかということを注意深く見守っておる、こういうふうに思います。そこで、具体的なアメリカ側のこの問題の処理の日程といたしましては、おそらく九月中旬には、まあ十日過ぎというような段階になりますと、大統領のほうから国会に対して議案を提出するというような段階になるのじゃないか、そういうふうに思います。これを受けましたアメリカの国会におきましては、日本のほうの国会の動き等もにらみ合わせまして審議を進められるのじゃないか。その辺の関係はきわめて緊密にいっておる、かように御了承願います。
○石井(一)委員 もし、ただいま御答弁になりましたようなペースで進みましたら非常に早く批准が完了する。そういたしますと、実際に沖繩が返還される時期というものも、まず法制的な意味からいいますと非常に早まるわけでございますけれども、最近私なども渡米いたしまして、いろいろ公式、非公式にアメリカの当局者とも話をいたしました。そういう感触から得ました感じとしては、批准自体は早かれおそかれ両国お互いに協調の歩調をとって完了しても、実際の返還時期というのが来年の四月一日だというふうなこともいわれておりますが、多少ずれ込む可能性があるというような観測もささやかれておるわけでございます。批准の見通し、審議の見通しというものはわかりましたけれども、実際の返還の時期ということに対しては、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
○福田国務大臣 返還の現実の時期いかん、こういうことになりますと、まあ批准のほうとの関係もありまするが、御指摘のように実際の準備が円滑に完了しておるかおらぬか、こういう問題があるだろうと思うのです。その辺をよく見なければならぬ。国会側といたしましても、沖繩返還協定のほかに国内法が幾つもある。この法案がどういうふうになるか、またその法案を施行するための諸準備がどういうふうになるか、その辺が問題だろう、こういうふうに思うのです。一応愛知・ロジャーズ会談で、パリにおきまして愛知前外務大臣は四月一日はいかがであろうか、こういうことを言っておるわけでございまするけれども、まあ何が何でも四月一日にならなければならぬというよりは、準備が早く完了しなければならぬということをまず考えなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。ですから現実の返還の日は、来年中なるべく早いことを可とするというふうに考えておりますけれども、とにかく問題はほんとうに準備ができて、そうして返還が現実のものとなりましても、沖繩県民に支障を及ぼさない、御迷惑を及ぼさない、喜んでいただけるというような時点、これが一番いいんだ、かように考えております。
○石井(一)委員 希望的には四月一日ごろまでだけれども、準備が完了するかどうかわからない、特に法制的な国内法の調整の問題がある、こういうお答えのようでございます。私はもう一つ、沖繩にあります軍事基地であるとかあるいはまた核基地の撤去であるとか、まあ核があるかないかということも議論のあるところでありますけれども、こういう問題の処理に案外時間を費やすのじゃなかろうか。したがって四月一日であるということに対する軌道の修正なり調整というものはやはりこの辺の時期にしておきませんと、これは一つの大きな問題になるのじゃないか。私はそういう意味ではある程度ずれ込む可能性があるというふうな判断をいたしておるわけでございますけれども、この辺にも関連いたしましていかがでございますか。
○福田国務大臣 おっしゃるとおりの諸問題はあろうと思います。ですから、一応愛知前外務大臣は四月一日を希望する、こういうふうな意見を表明しておるのです。おりまするけれども、それよりは準備が、まあアメリカ側の準備もあります、また日本側の準備もあります。これがうまくいくかどうか、そういうことを踏んまえてその時期を確定するということのほうが大事である、こういうふうに考えております。
○石井(一)委員 それでは時間がやってまいりましたので、最後に一言、これはほんとうに御見解をお伺いするわけでございますけれども、一昨日外務大臣が天皇の御外遊に御随行になるというかたい決意の発表がございまして、私も興味深く拝見をさせていただいたわけでございます。これは国家的に見ても政府としても非常に大きなことであるし、ベストを尽くさなければいかぬことであると考えると同時に、ちょうどその時期が沖繩国会の直前であるし、国連総会も控えておるし、いま問題になっておる円・ドルの問題であるとか国際通貨危機、こういう問題、日米間の調整など、ある意味ではごった返しておるこの詰めの時期に入っておるのじゃないかという予想でございますけれども、感触もいたすわけでございます。天皇の御外遊、これは非常に大切なことでございますけれども、この時期に外務大臣が国をあけられるということに対してもいささかの心配を私は禁じ得ないものでございます。この二つをごらんになりましてどういうふうにお考えになるか、その辺の処理をどういうふうに持っていかれるか、ひとつその見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○福田国務大臣 ただいまのお話、まことに機微なお話でございます。いま石井さんの御心配というかお考えになられるようなことを自民党の保利幹事長が考えられまして所見を述べられたようでありますが、これはおととい総理とも私その問題に触れて懇談をいたしました。君、ひとつ御苦労さんだがお願いするよ、こういうことでありますので、そのとおり三日の閣議で随員の発令をいたしますが、三日の閣議はそういうことになるだろう、こういうふうに思います。そうなりましても国務の執行に支障のないように努力しなければならぬこと、これはいろいろな手段がありますが、そのことは当然のことであります。
○石井(一)委員 それじゃまだまだ聞きたいことは中国問題たくさんあるのでございますけれども、時間の関係で省略をさせていただきます。お元気な姿に接しましてたいへんうれしく思います。御自愛の上御健勝をひとつお祈り申し上げます。
○櫻内委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 外務大臣にはこのたび御病気が全快されまして、まことにおめでとうございました。やはり二十五分という非常に短時間ですので、きょうはほんとうに要点だけにしぼってお聞きしようと思っております。 去年までの重要事項指定方式ですけれども、これは中国の国連復帰を阻止するという目的であったとしても、いわゆる一つの中国の代表権、こういう意味でいわゆる政府のいうところの一つの中国論という点で一応は筋が通っていたのではないかと私も思っております。ところで、この九月の総会にアメリカ及び日本等が意図しておるところの逆重要事項指定方式及び二重代表制、こういったものは去年までの論旨とは全く異なる基礎の上に立つわけですね。そうなりますと、去年までの総会で日本代表が述べておったところの重要事項指定方式の理論というものは、ことしの総会においては撤回するのだ、このように理解してよろしいかどうかということなんです。すなわち、中国代表権問題というものは重要な問題だから、これは中国代表権を変更するいかなる提案も三分の二の賛成を必要とする重要事項なのだ、こういう従来の日本政府の理論というものははたして撤回したのかどうか、この点についてまず伺っていきたいと思います。
○福田国務大臣 世界情勢は刻々と動いておるわけです。中国問題につきましてはカナダの中国承認問題がある。それに引き続いて十二、三カ国が中国を承認するという動きもある。そういう世界の動きというか、これは私は歴史の動きであるとも考えておるのです。そういう動きに対応してわが国が現実的なかまえをとる、これは私はわが国として当然のことであると思うのです。その辺に中国代表権問題に対する扱い、これの変化というものがあらわれる、これは私は妥当な変化である、こういうふうに考えておりますが、御指摘のようにわが国の中国代表権問題に対処する考え方、これは変化をしてきておる。ことしの段階におきましては、ただいま申し上げましたようなそういう変化を背景といたしまして、中国を国連に迎え入れるという態度をとるということが妥当である、こういうふうに考えておるわけであります。
○中川(嘉)委員 撤回という御返事をいただいたにせよ、あるいはいまおっしゃったような新しい事態に対処するという意味の御返事をいただいたにせよ、要するに今回の総会において重要事項指定方式というものをとらないことにしたいわゆる理論的な、いま国際情勢の立場からいろいろ御説明があったわけでございますけれども、理論的な根拠は一体何だろうかということですね。 第二番目には、重要事項指定方式を今回表へ出さない。新しい二つの方式が出てきたわけですけれども、そのようにしなければならない国際的あるいは政治的な背景というものは何であるかということをもう少しここで詳しくお聞きしておきたいと思います。
○福田国務大臣 先ほどから私が申し上げておりますが、私は歴史の流れに逆にさおさすというようなこと、これはよろしくない、こういうふうに考えておるのです。中国をめぐる歴史の流れ、これはまさに国連に例をとりますれば国連にこれを迎え入れる、これが歴史の潮流である、こういうふうに考える。その歴史の流れにすなおに順応する、これがわが国のこの問題に取り組む姿勢でなければならぬ、これが私が今度国連において昨年と全く違った態度をとるというようにいうその根拠である、かように御理解願っていいのじゃないかと思います。
○中川(嘉)委員 歴史の流れとともに現在の対米姿勢であるとか、今度外務大臣としてどのような態度で臨まれるか、いろいろなことをお聞きしたかったわけですけれども、ちょっと時間が詰まっておりますので、すぐに本論に入っていきたいと思います。 それでは、現在政府が考えているといわれるところの逆重要事項指定方式ですけれども、このいわゆる理論的な根拠、これは一体どこにあるか、このことをまず伺いたいわけです。私が理論的に理解できないのは、台湾の追放を重要事項に指定しなければならないというのはどういうわけかということです。去年までは中国代表権問題がいわゆる重要問題だから、先ほど来申しておりますが重要事項指定方式だ、このように主張してきたわけです。ところが、ことしになってからは、この主張をあたかも忘却したように、新たに台湾の追放は重要事項である、こういうふうに変わってきたわけですね。こういうすばやい変わり身というもの、これには私はとてもついていけないわけです。したがって、まずいわゆる逆重要事項指定方式、この形をとる理論的な根拠、国会用語でいうならば決議案提出の提案理由というのでしょうか、こういった点をちょっと聞きたいと思うのです。
○福田国務大臣 まだ最終的に、いわゆる逆重要事項方式、これを採用するというふうにきめたわけではございませんけれども、これがいま一つの大きな問題として動いておる、こういう前提でこの問題に対する考え方を申し上げさしていただきますが、いま一つのお話は、非常に去年と変わった考え方じゃないかということですが、ただいまも申し上げましたとおり、去年あたりから台湾、中国問題に対する世界の流れというものが変わってきたんです。ごく最近におきましては、ニクソン大統領の訪中というようなドラマチックな問題も起こってくるというような情勢であります。そういうような情勢を踏んまえまして、いまどういうふうに対処するか、こういうことでございますが、私は、国際社会の動きというものはすなおに受け入れて、それに順応することが正しいのじゃないかというような考え方、そういうふうに考えますと、一方においてはどうしても国連に中国を迎え入れるという考え方をとらなければならぬ。しかし同時に私が先般来申し上げておりまするように、そういう問題を処理する過程におきまして、わが国がもう国際信義というものにつきましては何らの顧慮を払わないのだという国柄であるという印象を与える。これは私は日本百年のためにとらざることである、こういうふうに考える、そういうようなこと。それからアメリカあたりではこういうふうに言うのです。国連に中国を迎え入れるが、いままで国連で重きをなしてきた国民政府をいわゆる追放だということはこれはいかぬ。やはり国連において国府がその地位を占めるということは、相矛盾するようなかっこうになるけれども、どうもアメリカ人の多数の人の意見のようだ、こういう考え方をとっておるようです。 私は、わが日本の国民の動向というものを見ておるわけでございまするけれど、やっぱり国連に中国を迎え入れる、これは時代の流れだ。しかし同時にわが信義、これを弊履のごとくかなぐり捨てるということにつきましては、これは賛成いたしかねるというのが、日本国民の多くの人の抱いておる感触ではあるまいか、そういうふうに私は思う。そういう背景を考え、またわが国の今後の長い目の国際社会における信頼関係をいかにして維持するかということを考えるときに、この際中国追放の問題は、これこそまさに重大問題である、こういう態度をとる、これが妥当な考え方ではあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。もしわが国が、いわれるように逆重要事項指定方式、これを提案するあるいはそれに賛成するというようなことに相なりますれば、その提案の理由はまさにそういうことにあるべきである、こういうふうに考えております。
○中川(嘉)委員 いまの御答弁を聞いていましても、それじゃはたして一体どっちの方向へ進もうとしておられるのかということは非常に明確でないような気がします。 台湾追放という問題が出ましたのでちょっとお聞きしたいのですけれども、従来一般に国連における中国代表権問題を論ずる際に、台湾追放、こういう表現が使われるわけですけれども、はたしてこれは妥当な表現であるかどうかということ、これをまず伺っておきたいと思います。それから中国代表権問題に関連して一般に使われるところの台湾追放ということは何を意味するのかということなんですけれども、この点についての追放の意味ですね、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
○福田国務大臣 私も台湾とか国民政府とかそれを追放するというようなことばですね、これはことばとして妥当ではないような感じがします。国連除籍とかそういうことなんだろうと思いますが、いわれるところの意味は、国際連合の構成員の地位を失わしめるということがいわゆる追放ということじゃないか、かように考えます。
○中川(嘉)委員 それではこの地位を失わしめるという御答弁がありましたけれども、そうしますと、いわゆるそこにおけるいすそのものがなくなってしまう、こういうことでしょうか。
○福田国務大臣 それはその追放ということをおっしゃる人によるんだろうと思います。たとえば安全保障理事会まで含めて国府の地位はなくなるのだというような意味合いで言う人もあるかもしれない、あるいはそうじゃない、安保理事会、これは影響されないんだというような意味において言う人があるかもしれない、いろいろ言う人によって違いましょうが、大かた言われる意味は国際連合そのものにおいて構成員の地位を失う、そういうことを意味するんじゃないか、かように考えます。
○中川(嘉)委員 もう少しここではっきりしておきたいのですが、中国代表権に関連して使われる、これは一般的に使われているわけですが、「追放」ということば、この「追放」とそれからいまちょっとはっきりしなかったのでお聞きしますけれども、国連憲章第六条における「除名」、これとどういうふうな関係があるか。追放イコール除名なのかどうか、この辺が大事だと思うのです。私の見解ではこの両者は次元の異なる問題で何ら関連性はない、このように考えるわけでありますけれども、今度もう少し詳しく追放ということを——いまの御答弁によりますとそれを受け取る側によっていろいろに変わってくるんだ、このようにしか響かないわけですが、もう少し厳密に国連憲章に照らして御答弁をいただきたいと思います。
○西堀説明員 いまの先生の御質問は国連憲章の解釈にも関連してまいりますので、私からお答えさせていただきます。 第六条で申しますところの、憲章に掲げる原則に執拗に違反した国際連合加盟国はこれこれで機構から除名することができる、この場合の「除名、」これはまさに除名でございますし、またあるいは一般にいわれている追放ということにも相通じようかと存ずるわけでございます。 そこで、アルバニア決議案で追放——追放と一般にはいわれておりますけれども、このアルバニア案をよくごらんいただけばわかるのでございますけれども、アルバニア決議案でいっておりますことは、要するに蒋介石の代表、それは不法に現在国連における地位を占めている、国連で席を占めているところのその議席からその蒋介石の代表を直ちに追放する、こういうことでございまして、要するにアルバニア案というものは、中国問題を中国を代表するのは中共かあるいは国府かそのいずれかでなければならない、こういう二者択一の代表権の問題としてとらえているわけでございます。しかしただ現実問題として、いま申し上げましたようなアルバニア案で書いておりますところの代表を追放するという形でございますけれども、このアルバニア案がかりに成立するということになりましたならば、実態としてとらえますならばあるいはまた国の追放にもつながってくるわけでございます。そこが少し論理の混乱があるわけでございます。したがいまして、アルバニア案で申しますことは、繰り返しますけれども、第六条でいうところの国連加盟国の追放あるいは除名ということでは毛頭ないのでございまして、アルバニア案はあくまで代表権の交代としてつかまえようとしている。 それで、まだ決定はいたしておりませんけれども、新聞その他で日本あるいは米国が考えていると伝えられるいわゆる逆重要事項、これは実態をとらえまして、それはその国の追放につながってくるというような実態の面から追放——「追放」ということばが使われているわけでございますが、その点論理の混同がございますけれども、あくまでわれわれといたしましてはこの第六条にいうところと、あるいは第十八条、先ほど正示先生が申されましたものとは全然別問題である、このように解釈していただきたいと存じます。
○中川(嘉)委員 だからここは非常に大事だと思うのです。アルバニア決議案の中にある「追放」というのはいわゆる蒋介石政権の代表者、つまり人ですね、人がその席を離れる、退場する、そういう意味なんであって、これと先ほど大臣がおっしゃった除名を意味するところの、全部のいすがなくなるのですか、こうお聞きしたところが、そういう場合もある、これは非常に明確さを欠いておりますので、この追放という意味をもう少しはっきりさせませんと、これからも進んでいかないと思いますが、この追放ということについては、いままでもお話が出ましたように、その規定または解釈というものは国連憲章の中には出てないわけですね。ですから、そうするならば国連憲章に全く規定していないようなことをいわゆる逆重要事項として決議案を出そうとするというのは、これは非常にナンセンスではないか、このように思うわけです。つまり台湾追放ということは決議の内容となり得ないのじゃないか、このように私は思うのですけれども、いかがでしょうか、大臣お答え願いたいと思います。
○西堀説明員 先生のおっしゃいますとおり、確かにその十八条をごらんいただきますと、十八条で重要事項と一々掲げておりますところの一つに「加盟国の除名」という点があるわけでございます。これは第十八条の二項でございます。また十八条の三項をごらんいただきたいのでございますけれども、三項をごらんいただきますと、その他の問題に関する決定は、三分の二の多数によって決定されるべき問題の新たな部類の決定を含めて、出席しかつ、過半数で行なわれる、こういうことでございますので、この重要事項——昨年までやっておりましたところの単純な重要事項の指定決議案というものはまさにこの第十八条の三項の、この「新たな部類の決定」、要するに中国の代表権に関するいかなる提案も重要であろう、これは私はきわめて常識的なことだと思うのでございますけれども、それは問題のあるところでございます。いずれにいたしましても、ここで「新たな部類の決定を」という、これがまさに重要事項指定方式であったわけでございます。したがいまして第十八条の三項そのものを使いましていままで行なってまいりましたのが重要事項指定方式、さてそこで、いま新聞その他で云々されておりますところの逆重要事項、これは先ほども申しましたけれども、要するにアルバニア案というものは国府を代表権の変更による中華民国の代表権の消滅という立場に立って追放しようというものでございます。このいわゆる逆重要事項というものは、その代表権の変更という立場に立った国府の追放とはいいますけれども、実態は加盟国の追放としてとらえよう、こうするものでございます。ということは、現実に中国には北京と台湾の二つの政権が存在しているのでございますから、その北京のみを唯一の中国の代表と一方的にみなすことは問題の公正な解決ではないと思うわけでございまして、したがいまして、その三分の二の多数で否決されない限りは北京のみでなく台湾の政権にも中国を代表する資格を残しておこう、これがいわゆる逆重要事項指定方式の概念と申しますか基本思想でございます。 また言いかえますならば、この逆重要事項でいうところの国府は中国そのものであるといった立場は、先生方のおとりになっていますような北京もまた中国そのものであるという立場、そういった立場をとることを決して排除していないわけでございます。ただ逆重要事項指定方式のほうは北京のみが中国の唯一の代表であるという立場はこれは許されない、こういう立場でございまして、要するに、この点重要でございますからもう一回繰り返しますと、逆重要事項指定でいうところの国府は中国そのものであるといった立場は、いままで日本政府がとっておりました立場、これは北京もまた中国そのものであるといった別の立場、そういった立場をとられることを決して排除してない、ただ中共だけが唯一の代表である、それは許しがたいところである、これがいわば逆重要事項指定方式の基本思想でございます。
○中川(嘉)委員 いまずっと御答弁いただいたことについてはちょっと時間もないものですから、これまたあとでいろいろと研究をさしていただく必要があると思いますけれども、どうも逆重要事項指定方式、これはなかなか理解に苦しむわけですけれども、要するにここではっきり答えていただきたいことは台湾政府から派遣されてきておるところの代表者、人です。この代表者を追い出すのがいわゆるさっきから言っているところの三分の二の賛成が必要であるのか、あるいは政府の言う今日までの中国を代表する台湾政府の議席、これを剥奪するのが三分の二であるか、こういったどっちかをここで明確にもう一度御答弁をしておいていただかないと、今度次にいろいろと関連してお聞きしていきたいと思いますから……。
○西堀説明員 同じ御答弁を繰り返さざるを得ないわけでございますけれども、アルバニア決議案で書かれておりますところのものは、蒋介石政権の代表、それはたまたま国連において不法にその地位をオキュパイしているところの、その場所から追放するもの、こう書いているのがアルバニア決議案でございます。しかし、それが成立いたしましたところをちょっと御想像していただきたいのでございますけれども、実態的に見ますならば、それは結局二十六年来国連の忠実なメンバーとしてきたところの国府、これを追放することにつながってくるわけでございます。そこに論理の混同があると申しますか、ことばのあやと申しますか、ことばの相違があるわけでございまして、片やその代表権の交代というきわめて単純な形でとらえようとするのを、こちらは実態をとらえてそうではないのだ、国の追放ということにもつながってくるのだとしてとらえているのが重要事項指定方式であり、逆重要事項指定方式である。これは同じ御答弁を繰り返さざるを得ないのでございます。
○中川(嘉)委員 現段階では、いずれにしましても、この逆重要事項指定方式というものが、先ほど大臣からも御答弁があった以上、まだまとまっておらない、いわゆる正式にはきまったわけではないというようなこともあって、理論の上でもまだまだ矛盾があるのではないか、こういうふうになかなか納得し得ないものがまだ感じられますけれども、まず第一に、この中華人民共和国政府が中国の代表者として国連に復帰する、こういうのであれば、少なくとも一九四九年までは中国の代表者としてその議席を占めておった、この蒋介石政権の代表者の議席というものはこれはなくなる、すなわち着席するところの権利はなくなるわけですね。この蒋介石政権を代表する代表者は、国連から、こうなりますと退場せざるを得ない、これはもうあたりまえのことだと私思いますけれども、これが代表権の問題じゃないかと思うのです。それで、にもかかわらず、逆重要事項指定方式というようなもので、いわゆる国連憲章に規定もない事項を決議しようとする、これは国連機能を阻害するところの、阻害するばかりではなくて、明らかに論理の矛盾ではないかと私は実は申し上げたかったわけです。 時間も来てしまっておりますので、最後にこのことに関連したこの二重代表制に一つだけ触れておきたいと思うのですけれども、この北京政府も台湾政府も、それぞれが中国を代表する唯一の正統政府だと、このように主張しております。にもかかわらず、この両方に代表権を認めようとするところのこの二重代表制、この決議を出そうとしているわけですけれども、これは国連憲章の二条の七項の規定に、内政干渉禁止の事項がございます、これに明らかにもう違反するのではなかろうか。大体北京政府も台湾政府も、ともに二個の政府を否定しているのにもかかわらず、いわゆる中国以外の国が、日本であれアメリカであれ、国連での中国代表者は二つの政権であるといってこの決議をしようとすること自体が私は内政干渉ではないだろうか、このように思うわけです。 いろいろソ連の例等もあげて実はお話ししたいところでありますけれども、中国問題にここで問題をしぼりますけれども、将来国共合作が成立して二つの代表権に同意した場合は別として、現在の状態で、しかも中国以外の国、これが中国に二つの投票権を承認するのだ、このような決議をすること自体、これが内政干渉ではないか、これは当然不法ではなかろうかということで私はお聞きするわけです。最後にこのことに対する政府の見解をお聞きしまして質問を終わりたいと思います。
○西堀説明員 新聞紙上伝えられておりますところの二重代表制、これは要するに現実に大陸を支配しているところの中共という政権があり、また現実に台湾を支配しているところの国府というものがある、その実態をとらえまして、一つの中国であるとかあるいは二つの中国であるとか、ないしは一つの中国一つの台湾といったようなこととは全然別個の問題といたしまして、そういった解決はやはり国府なり中共なり、シナ民族の手でやってもらいたい。それまでの間、二つの要するに厳然と存在するところのエンティティーがあるわけでございますから、これをそのまま国連の場で代表せしめていこうというのがいわば二重代表制でございまして、これはこの第二条第七項の内政干渉ということに、あるいは学者によってはいろいろ強弁をすればそういったこともあり得るかとは思いますけれども、われわれ虚心たんかいに考えまして、要するに二つのエンティティーがあるものを、その二つとも国連の場で代表せしめる機会を与える、これはきわめて常識的なところではなかろうか・こういった考え方が二重代表制でございます。
○中川(嘉)委員 最後に一つ。やはり私お聞きしようとしたのは、中華人民共和国、いわゆる北京政府、それから台湾も、お互いに一つなんだ、二つじゃないのだということをはっきりと言い切っている。その二つのいわゆる政権に対して、はたの国で二重代表制であるというようなことをかってにきめる、そういう代表制を決議しようということ自体が、私が言おうとしておる内政干渉であって、不法じゃないだろうか。これはいま御答弁いただいたことをすんなりわかればそれでいいと思いますけれども、ひとつ外務省としても慎重にこの問題については検討していただかないと、不法行為になってしまった場合にはたいへんな問題であるということで、最後にこういったことに対する慎重な検討を重ねていただくことをここで要望いたしまして、あとのことについては関連して次回にお聞きするということにして質問を終わりたいと思います。
○櫻内委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 外務大臣に三つばかり御質問したいと思います。 第一は、ワシントンに行かれまして、国務長官あるいは場合によっては大統領にお会いになるであろう、そういう場合に、最近の国際情勢の変化等から、沖繩協定の内容に触れて相当考え直さなければならぬ点があるのじゃないかという点についてであります。第二の問題は、これも新聞の伝うるところのニクソン訪日の問題についての外務大臣のお考え。第三の問題は、多くの同僚委員が触れられました外相の中国政策。この三つについて、時間の制約がありますけれども伺いたいと思います。 第一の問題ですけれども、言うまでもなく、今度外務大臣がこの臨時国会に提案されようとしている沖繩返還協定は、六九年十一月の佐藤・ニクソン共同声明のこの骨格の上にできたものであって、その評価がいかにあれ、やはり言うならばベトナム戦争解決についてのめどもつかず、米中の相当きびしい対立のもとに、そのバックグラウンドのもとにつくられたことは間違いないわけです。 ところが、最近わが国の頭越しであった、いい悪い、あるいは中国側も北ベトナムの頭越しで米中接近をやった、いい悪いは別として、大きくいえば米中の雪解け方向にいま進みつつある、こういう場合に、やはり沖繩協定の前提条件がある意味ではいいほうに変わったと、私はかように考える。しかるに現実にはできた協定の内容を見れば、相当これは佐藤内閣の外交の失敗もあったのじゃないか。たとえば繊維交渉について一たん断絶したものを復活した、こちら側が要求しておき、今度はミルズ歳入委員長と日本業界との話がきまれば、日本の官房長官は政府交渉はこれで打ち切りだなんという声明をする。いろいろなことから、現実にできた協定の中にどうも国民が必ずしも納得しないものもある。特にこの二つの点で、核の撤去の問題について、これは事柄の性質上大統領でなければはっきり言えないという問題もあろうけれども、はっきりした明確な歯切れのいい回答が出ていない。それから基地の返還の内容がいかにもどうも渋い。もっとスピードアップしてもいいんじゃないか、こういう感じを持つ。したがって、こういう機会に、大統領とお会いになる機会があるかどうか知りませんが、あるやに伝えられておるので、むしろこの佐藤・ニクソン共同声明、特にそこの極東情勢の評価、そのことがやはり、第四項の台湾地域における平和と安全はわが国にとっても非常に重大な関係がある等々の問題ですね、こういう問題についてのやはり軌道修正といいますか、認識を新たにして、そしてそういったような新しい共同声明といいますか、そういうものでも発出されることと、いま申し上げたように、大統領みずからがこの核撤去に関するもっと明確なアシュアランスを出す機会をひとつつくる。それがいつであるか、日本に来るというような場合も一つの機会かもしれません。 第二には、少なくとも基地の返還の内容をごらんになれば、まことに驚くべきぐらい現状そのままなんですね。ほんとうに台湾海峡から第七艦隊が事実上撤収し、台湾における九千名の米軍が撤退するという情勢から見ると、むしろこの間のレアード国防長官が日本に来て与えた印象のような、日本がむしろ米中の和解、しかし日本列島並びに今度は日本本土に返ってくる沖繩そのものが、むしろ大陸に対する第一線的な非常にアメリカの重武装した基地という形に残る。これは非常な矛盾であり、そういうことがやはりほんとうの意味で日中の接近にも大きなマイナスを投影していることは事実だと思う。そういう意味で、新情勢に応じて、私は何も沖繩返還協定を全部御破算に願いまして、もう一ぺんやり直せというような、言うならば書生論といいますか、ということを申し上げるわけじゃない。現実に新情勢から考えれば、いま申し上げた核撤去の問題と基地の返還の内容スピードアップの問題については、外務大臣として、今度の機会にこそこの問題を提起して、もう少し国民のためにベターな沖繩返還の内容をつくる。そのことがまた日米の新しい関係の調整に一つのプラスになると思うのですが、その点に対する外務大臣の御所見を伺いたい。
○福田国務大臣 私はロジャーズ国務長官とは長時間会う、こういうことになっております。ニクソン大統領と会談するかどうか、これはまだきまっておりません。いずれにいたしましても、これらの方々とお目にかかりました際には、国際情勢全体についての見方、こういうものについて意見の交換をする。中でも私が特にアメリカ側から聞きたい点は、ニクソン訪中問題です。これをどういうところからそういうところにきたのか。また、それに関連いたしまして、中国問題を国連の場のかけ引き、そういうものとは別に、米中関係というものをどういうふうに持っていくか、その前提として中国というものをどういうふうに考えるか。また、それによって、いままでニクソン・ドクトリン、グアム・ドクトリンといわれるような方針が出ておりまするけれども、そういう方針等とあわせて極東の情勢はどういうふうに変わっていく見通しであるか、それらの点、腹を割って話を聞いてみたい、こういうふうに考えておるわけです。 そういう会談の中において、いま曽祢さんのおっしゃるように、一昨年の状態と、今日、またこれからの状態が、非常に変わってくるのだというようなことでありますれば、アメリカ自体としても、極東政策の具体的な適用、これもそれぞれ変わってくる、こういうふうに思います。 そういうさなかにおいて沖繩という問題をどういうふうに考えるか、これも重要な問題だと思いますので、私も、その点にも一つの焦点を置きたい、こういうふうに考えております。 いま曽祢さんは、核の問題、また米軍基地の問題、これを御指摘になりましたが、あるいはその他にもVOAの問題、特殊部隊の問題、そういうような問題もあろうかと思いますが、特に大きな問題は、いま御指摘の核の問題とそれから基地の問題だ、こういうふうに考えます。私もその辺につきましては非常に重大な関心を持っておるわけでございまして、いま御示唆のありましたような考え方で米当局と接してみたい、こういうふうに考えております。最善の努力をしてみる、かような決意でございます。
○曽祢委員 ぜひ御努力を願いたいと思います。国民の名においてひとつ要請しておきます。 第二の点は、アメリカの大統領の訪日の問題が伝えられておりますが、先ほど外務大臣のこの委員会における御答弁等を聞いておりますと、どうも最近の日米の関係はさざなみが立った程度だ。私は、そんなものじゃない。これはもう非常に大きな一つの変化がやはり起こりつつある。しかしそれをわれわれは破壊的に考えるべきでなくて建設的に考えるのは当然である。そういうような意味からいえば、実際アメリカの心ある人も、最近の、いわゆるニクソンダブルパンチといわれる、中国訪問の問題と、それから今回のドル防衛の問題等におけるニクソン外交の行き方は、これはハンフリー前副大統領のことばをそっくりそのまま拝借しても、ニクソン外交のいままで敵対視してきた国と対立した国と、対立の時代から交渉の時代に入ったということを言ったけれども、それじゃなくて、いままで仲の悪かった国とは交渉するけれども仲のよかった国との対立をもたらしているではないか。そういう意味で、これは非常にアメリカの中にも反省がある、そういうような反省の一つかと思いますが、アンカレッジにおける両陛下に対する表敬のニクソンの行動あるいはニクソン訪日ということが伝えられているのじゃないか。 私は、当然に中国に行く前にニクソンは日本に来べきである。これはもう儀礼的にいっても政治的にいっても当然だ。それが日本の内閣のタイムテーブルから見て、いろいろなこともありましょう、国会における沖繩協定の審議の時期等々とか、そういうこともあろうけれども、やはり理の当然としてニクソン大統領は日本にまず来て、その上に中国へ行くのが順序ではないか。これは日本人のコンモンセンスからいってそう思うのですが、それらの点について外務大臣はどうお考えか、お聞かせを願いたい。
○福田国務大臣 ニクソン大統領の訪日の問題、これが最近アメリカワシントン筋あたりで話題になってきておる、これは私は日米間の非常に大きな変化じゃないかと思うのです。私は十一年前のあの安保のときを思い出すのですが、安保のときは、ハガチー報道官、これさえもなかなか東京に来られない、こういうような事態であり、まして、わが国からお招きいたしましたアイゼンハワー大統領、これはとても日本訪問どころの話じゃない、こういうようなことで立ち消えになった。それがとにかく気軽にニクソン大統領訪日だというようなことが言われる。私はそういう日米両国の環境というものがたいへん変わってきておるということにつきまして、非常に欣快にこれを感じとるわけでございますが、いま曽祢さんが御指摘のように、日米間、その本質を見てみると、政治関係というか基本的な関係において私は狂いはないと思うのです。しかし経済関係においてたいへん確執というか、対立関係が出てきておる。政治的関係から見ると、そういう経済的な関係というものは、これはさざ波だというような意味においてさざ波というふうに申し上げましたが、しかしややもすれば、経済的関係だ、さざ波だといってほうっておきますると、これが大きな日米間の基本問題にならぬとも限らぬ。私は非常にその点は憂慮しておるのです。そういうような気持ちであります。私といたしますと、大統領の訪日、これはたいへん好ましいことである、また訪欧の途次アンカレッジに立ち寄るという陛下の御日程でありまするけれども、そういうことじゃない、陛下がアメリカ自身をみずから御訪問される、これも私はたいへんいいことじゃあるまいか、そういうふうに考えておるのです。ただこれを正式に日本政府からお招きをするというようなことになりますると、これは諸般の可能性というものにつきまして考慮し検討した上でないと結論が出ない、こういうふうに思うのですが、慎重の上にも慎重にこの問題を検討いたしまして、これでだいじょうぶだという際にはそういう手続をとる、こういうふうにしたい、かように考えております。非常にこれは大事な問題でありますので慎重に対処していきたい。御訪日あるいはわが国の陛下の御訪米、これは日米関係に非常にいいことだ、こういうふうに考えておる。その手続をどういうふうに進めるか、これが問題だ、こういうふうな気持ちでございます。
○曽祢委員 第三の問題が中国問題ですけれども、外務大臣がとにかく歴史の流れにさからわない、そして中華人民共和国、北京政府と日本との国交調整に乗り出すという決意をはっきり述べられた。当然であるけれどもけっこうなことである、そうでなければならない。ただその場合にやはり基本的な態度は明確にしておく必要があるのじゃないか。それで二つに分けまして、一つはあとで申し上げる中国の代表権の問題、このほうが先に日程に来るようですけれども、それよりもより根本的なのは、やはりその場合でもつきまとっている台湾との関係ですね。したがって、外務大臣は中国、北京政府との国交調整をやるのは必要である、これはもう時期が来ている、これはけっこうなんです。その場合に、やはり日華平和条約というものの正しい評価というものがやはり重要な法律的な並びに道義的なまた国際政治上の一つの基点だと思って、非常に重要だと思うのです。そういう場合に、これは多くのほんとうに与野党を越えての最近の正しい建設的世論だと思うのですけれども、やはり台湾との条約はいかなる状況で、当時吉田さんが抵抗しながらダレスに押し切られて、それで国民政府の要望をいれて平和条約という形をやったにせよ、本旨はやはり二十六年十二月二十四日付の吉田書簡、吉田首相のダレス国務長官あてのいわゆる第一次吉田書簡といいますか、これにある。つまり目的は、中国全体を代表する政府ができたときにその政府との全面国交調整をやるべきである。しかし当時は北京政府が国連の罪人になっている。そうでなくて国民政府のほうとの間に友好関係、友好条約をつくるということが限界だったわけですね。ですから当時の国会の記録でも、私自身が関与した記録でもぜひお読みいただきたいのですが、吉田さん自身が、この条約をやはり全面的な国交調整条約——これは他日どの政権、どっちの政権かわかりませんけれども、第三の政権かもしれない、それへの過程のワンプロセスとして友好関係を結んだ。決してこれは国府に対する全面的承認ではございませんということを言っておるわけですね。私はそれが正しいのであって、今日なお正しい。ただその後、吉田さんのお弟子さんであるいろいろな自民党政権のほうが吉田さんの目的、原点からはずれて、むしろ国民政府が即全部中国の代表者であるというような方向に行ったために、今日歴史の流れに特にさからってきておると思うのです。したがって、その点を明確にして、これは国府に対しても十分に説明できることだし、またしなければならぬ。やみくもの政策転換じゃないのですから。そういったような、この日華平和条約を日本のほうから破棄するとか、そういうことは私は適当じゃないと思うのです。また必ずしもその必要はない。だけれどもそれを正当な位置づけをするならば、言うならばこれはこれとしておいて、これは妨げできないはずだ。いまや二十二年間の実績、これはもう北京政府だけが中国の代表者の資格を持っておる。その支配権は台湾、澎湖島及び金門、馬祖に及んでおる。これとの間の国交調整の努力をする。その結果、同じような条約ができればあとの条約が前の条約を事実上消滅させる結果になろうし、またそういう条約を結ばなくても国交調整できるかもしれないし、そういうような明確な態度で、つまりこれを破棄してから臨むというのでもなく、当然にこの条約の評価を吉田書簡の原点に返ったような基本的態度で臨まれないと、あちらこちらにいって収拾がつかない混乱を起こすのではないか、これをひとつ明確にしていただきたい。 時間がないようですから次に同じ観点で国連の代表権の問題を考えると、私自身がもう佐藤政権ができたときから言っていたように、いまそのことを成績の悪い生徒がまねするようなもので、もう歴史の流れがそういったような北京政府だけが中国の代表者として認められるべきだ、ただし台湾がある限りはしばらくその議席くらいは預っておいたらどうだ、追放も気の毒じゃないか。あるいは二重代表ということもあるかもしれぬ。国連がそういうことの間の調整、仲介することも一つの方法じゃないかということを申し上げても、それは時代の波はそれでは済まなくなってきた。したがって、歴史の流れにさからわない。言うならば国連における代表権の問題についても中華人民共和国、北京政府に総会及び安保理事会の議席を認めるべきである、これがむしろ重点である。しかしわれわれから見れば日華条約並びに二十二年、二十六年の歴史もあるから、日本みずからが国府のいわゆる追放といいますか、除名でないにせよ、追放に賛成投票をする、それはわれわれはできないというのはあたりまえだと思うのです。ですから日本の意思というものが国連に北京政府を迎えること、それは安保理事会を含めてこれに賛成だ。それが歴史の流れであるし、国連の普遍性の原則を如実に伸長する点なんですから、それをやらす。しかし国府のいきなりの追放の前に、やはりいろいろな問題があろうから、二重代表といいますか、そういう問題のほうが日本政府の意向なんだ、そういう態度をきめていくことが根本に必要だ。根本をきめないで具体的な表決にああするこうすると言っているから、話がおかしくなる。 そこで、私の意見は、できるならば——これは先議権からいってもう間に合いませんけれども、アルバニア決議案が出る前に国連における代表権は中華人民共和国政府に認める、ただし国民政府に対する議席の問題はしばらく留保するというような日本独自の決議案を出せばよかった。それだったら、このいわゆるアルバニア決議案の最後のほうの国民政府追放のところだけ反対、それ以外は賛成、そういう表決のしかたもあるので、国連における唯一の合法的政権ということに、気に入らぬとかいろいろ理屈はありましょうが、大ざっぱにいえば、国連における問題はその点まではいいのじゃないか、賛成だ。私は単純な態度のほうがいいと思うのですね。その最後の項の表決に負けた場合には全部棄権したらいい。そういう態度でいくべきであって、いろいろ理屈はつけるけれども、いまごろになって逆重要事項指定方式に複合代表制をつけて、それで日本が提案国になるかあるいは賛成国になるか、そんなことをすれば、通ったら恨みを買うし、通らなければ恥をかくし、いずれにしても一つもプラスはないのではないか。もし通れば、現実に中共が入ってくる最適の方法じゃありませんか。そういうところに小細工を弄しないほうがいいのではないか。国連において北京政府を迎えるのは賛成、ただし国府の追放には反対だ、表決の際はすっきりした形でいく、もし他の案がなければ、アルバニア案の表決にあたってそういう態度をとって、最後に、第二項で破れたら、全体の政治的考慮も入れてあっさりと棄権するのが一番賢明な日本の態度の表明でなければならぬ。基本方針はなければならぬけれども、そういうことが一番いいのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○福田国務大臣 台湾のこれからの地位をどうするか、あるいは国連におけるこの秋の対処方策をどうするか、たいへん建設的な御意見を承りまして、敬意を表します。ただ、国連における対処策ですね、これはいろいろの御意見があると思う。私も先ほどから申し上げておりまするように、中国とわが国との間の基本的な考え方、これはもう中国が国際社会において厳然として存在する、これははっきり認めなければならぬということを申し上げておるわけですが、そうなれば、当然国連に迎え入れるということだろうと思うのです。それから同時に、私は国際信義ということも申し上げておる。そうなりますると、それに対応した国連における措置、これを主張しなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、率直に言いますれば、特に今年の秋の国連には中国は、これを迎え入れる、しかし、いま曽祢さんがおっしゃるように、いま急にいわゆる国府追放ということもいかがであろう、こういうふうな態度をどういう形で、手続でこれを国連の舞台で表現するか、こういうことだろうと思うのです。曽祢さんの御意見、私もよく頭で理解しておりますが、一面におきましてわが日本だけで一人芝居するわけにいかぬ。日本だけで孤立無援というようなことになっても困るのであります。やはりわが国の考え方、これの基調の中におきましてではありまするけれども、他国の考え方、また他の多数の国々がどういう対処をするかということを深く考えて現実の提案というものに臨まなければならぬではないか。そういうふうに考えるのです。まだきめておるわけではございませんので、慎重に考えさしていただきたい、かように考えます。
○曽祢委員 表決に臨むという場合に、それはだれしも自分の意見が通るのを好みますけれども、必ずしも多数を得られなくとも、日本の態度の一貫性といいますか、公正な建設的な態度の表明のほうが重要である。あまり小細工を弄して変なトラブルに巻き込まれないほうがいいということを申し上げておきます。
○櫻内委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 外務大臣に幾つか伺いたいと思いますが、時間の制約もあることでありましょうから、的確に、簡潔にお答えいただきたいと思います。 最初に中国の国連代表権問題でまず伺いたいのでありますが、これはいままでの政府の答弁でもたびたび言われたので、当然のことではありますが、あらためて福田外務大臣にお聞きしたいのでありますが、中国を国連に迎え入れるのは当然であるということを先ほどから言われましたけれども、これは国連での中国の代表権の問題というふうにお考えになっておるか、中華人民共和国の国連への加盟の問題と考えておられるか、この点についての外務大臣のお考えを伺いたい。これはきわめて初歩的の問題であります。この問題について外務大臣がお答えいただけないということになりますと、こういうことについてまで全然お考えにならないで、これから中国問題を処理されるということになると、これは大問題じゃないかと私は思いますので、直接の御答弁をいただきたいと思います。
○福田国務大臣 私が国連に中国を迎え入れるという意味は、ただいま二つのどっちだ、こういうような御質問でありますが、私はきわめて常識的に国連の構成員になっていただきたいのだ、これが世界の平和、世界の繁栄のために必要なんだ、こういう意味合いでございます。
○松本(善)委員 愛知外務大臣もこの委員会ではっきりこれは国連の代表権の問題であるということを答弁をされております。福田外務大臣が別の答弁をされる、わざわざそのことを避けて答弁をされるのは、国連の代表権の問題ではないというお考えに傾きつつあるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○福田国務大臣 私は、率直に申し上げましてそこまで分析して考えているわけじゃないのです。とにかく中国というあの厳然たる大国が国連の構成員になっておらぬ、これは世界の平和のために不自然だ、妥当でない、こういうふうに考えておる、こういうことなんです。
○松本(善)委員 私はこの問題について外務大臣がそういうお考えでしかないということについては中国問題をほんとうに処理をするということはできないのじゃないか。きわめて遺憾に思いますが、これ以上お聞きしても始まらないと思いますので、次の問題に移りたいと思います。 先ほどの国連局長の答弁を外務大臣が確認をされるかどうかということを伺いたいのでありますが、先ほどの御説明によりますと、逆重要事項指定方式の根本的な考え方は、北京を唯一の中国の代表と見るのは妥当でない、台湾にも中国を代表する資格を残しておこう、これが逆重要事項指定方式の根本的な考えであるということを言われました。これはもう典型的な二つの中国、国連において中国を代表する政権が二つだということを言う考えであると思います。これに賛成をするということになれば、私は外務大臣がこの委員会の最初に一つの中国という考えを持っておる、総理大臣もそう言われたという考え方とまっ正面から反するのだ、二つの中国を認めるという方向に進むのだということを何よりも意味しておると思いますが、逆重要事項指定方式についての国連局長の考え方を確認をされ、しかも、それについて賛成をしようとしておられるのかどうか、この点について、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 この秋の国連で決議案が出る、その決議案を通じまして、中国が二つであるか一つであるか、そういう問題についての結論を出すという意思はございません。
○松本(善)委員 国連で中国が一つか二つかということのそういう議論が直接されるのではないことは、これはだれも周知の事実です。国連において、中国を代表するものは中華人民共和国であるという問題が論議をされておるわけなんです。もし、そのことが多数になるならば、ほかに中国を代表する政権があってはならないはずなんです。この問題が、一つの中国かどうかということで論じられておるわけなんです。中国を代表する二つの政権を国連で認めていくということになれば、典型的な二つの中国論である。これは明白な論理であります。そういう方向をとろうとしておられるのかどうか、先ほど来逆重要事項指定方式と二重代表制の問題について発言されましたけれども、国連で中国を代表する政権は二つであることを認めていくという方向で考えておられるのかどうか、この点に限ってお答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 いま、中国は非常に異常な事態にあると思うのです。つまり、国民政府のほうは、大陸を含めて全中国領域の政府だ、こういう主張をしておる。また、北京政府のほうは、これは台湾、澎湖島も含めて全中国領域の正統政府である、こういう主張をしておる。非常な異常な事態にあると思うのです。ですから、この異常な事態に対するいろいろな外交上の接触、またこれが異常になるということのあり得ること、これは御了察をいただけるか、こういうふうに思いますが、とにかく、私の基本的な考え方は、一つの中国であるか、あるいは二つの中国であるか、これは中国問題の非常に大きなかなめのようでございまするけれども、国連におけるこの中国代表権問題の扱いを通じまして、一つの中国か、二つの中国か、これに対して結論を出すというような意図は毛頭ない、こういうことをはっきり申し上げます。
○松本(善)委員 ことばの上でそういうふうに否定をされましても、先ほど来の逆重要事項指定方式、それから二重代表制ということに賛成をしていくという方向であるならば、これはもう明白に私は二つの中国の方向だと思います。ただ単にことばで否定されるだけのことであります。私は、そういう方向でいきますならば、中国との国交の回復とかいうことはとてもできない相談であろうかと思います。外務大臣は、みずから訪中してもいいということを言われました。そして、それは国交を正常化するためだということを言われました。これは中華人民共和国を中国を代表する正統な政府と認めて訪中したい、こういう意味でありますか。
○福田国務大臣 私は、中国との間には、まず人的接触、これが必要である、こういうふうに考えますが、その接触の過程を通じまして、いろいろな角度の議論が取り行なわれる、こういうふうに思います。そういう議論を通じまして、その一つ一つの角度の問題、これについての両国の意見が述べられます。その意見をどういうふうに調整するかというその結論も出てくるだろう、こういうふうに思います。そういうような過程において、いまお尋ねの一つの中国問題、それにまつわるところの台湾、澎湖島の問題、これをどういうふうに理解するか、こういうこともおのずから出てくるのではあるまいか、そういうふうに考えます。いま予断はいたしておりません。
○松本(善)委員 外務大臣は、核心に触れる質問になると、いつも問題の核心を避けて答弁をされておる、私はまことにそういう感じがいたします。これではとても中国問題を解決するどころか、中国問題に当面をしてじたばたしておるというふうにしか私は見えないと思います。 この問題ばかりやっておるわけにもまいりませんので、次の問題に移りたいと思いますが、外務大臣が、この委員会の冒頭で、重要な問題として四つの問題をあげられました。その中に、インドシナでの侵略戦争の問題について一言も触れられなかった。いま世界の平和を願う者にとっては一番の関心事であります。直接戦火を吹いておる。しかも、この問題については、アメリカの国防総省の秘密報告で、これは不正な戦争だということは、みずからの手によって全世界に明らかになりました。また、いま日本の国民にとって非常に大きな問題になっておるドルの問題にいたしましても、その最大の原因が、このベトナム戦争、インドシナでのアメリカの侵略戦争にあるということは、たくさんの人たちの指摘をする点であります。外務大臣はこれからアメリカに行かれるわけでありますけれども、このインドシナの戦争をアメリカに対してやめろ、ドル危機の最大の原因はここにあるのじゃないか、そういうことを主張をして、この戦争をやめさせるというための努力をするということが日本の外交上の重要な問題とは考えていないのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○福田国務大臣 私は、先ほど四つの問題が重要問題だ、こういうふうに申し上げましたが、わが日本が中心になって当たらなければならぬ問題、そういうことで四つということを申し上げたのです。しかし、世界じゅうを見ればいろいろの問題があります。パキスタンの問題、あるいは中近東の問題、いま御指摘のベトナムの問題、いろいろある。しかし、いずれにいたしましても、これらの問題は、わが日本が指導的役割りをになって当たらなければならぬという問題じゃない。もちろんわが国に関係のある問題である。ことに、その中でも地理的に一番近いのはベトナムだというようなことで、関心を持ち、またこれが妥当な解決に向かうということにつきまして、できる範囲の協力をするということは当然だと思います。そういうようなことで、私は、いまお話しのベトナム問題につきましても、早期に平和的解決になればということを念願いたしております。そういう念願に従いまして具体的な行動をとる、こういうふうに御理解願います。
○松本(善)委員 問題を限ってお聞きしたいと思いますが、いまのドル危機の問題、国際通貨問題の一番大きな問題がインドシナでの戦争にあるというふうに外務大臣はお考えになっておるかどうか、この点、ドルとの関係での外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 インドシナ戦争ばかりじゃないと思いますが、つまり、私は、戦後二十五年間にわたるアメリカの世界の繁栄また安全保障、そういうようなものに対してとられた任務ですね、それに対する負担、こういうことが今日大きな影響をしておると思う。その一つとして、アメリカ側の理解に立って言うわけですが、インドシナ戦争というものもある。このインドシナ戦争による戦費の負担、これも今日のドルの困難、これに対しまして非常に大きな原因をなしておる。つまり、インドシナ戦争がすべてじゃございませんけれども、インドシナ戦争もまた大きなドル困難の原因である、こういう理解を持っております。
○松本(善)委員 最後に伺いたいのは沖繩のドルの問題。先ほどから問題になっておりますが、この問題について三十日に琉球立法院の代表がマイヤー大使に面会をして、ドルの円への切りかえの問題を話しました。マイヤー大使は、本土復帰前のドルの円への切りかえは不可能ではない、交換比率の保障は日本政府にかかっておる、代表団の要請を本国政府に伝えるというようなことを答えたようであります。沖繩県民は島ぐるみ皆この円の問題について、三百六十円のレートですぐに円にしてほしいということを言っております。これはアメリカ側が同意をするならば日本政府の判断だけでできる問題だ。 私は、外務大臣にお聞きしたいのは、これからアメリカに行って日米貿易経済合同委員会やその他の機会にアメリカの当局者と交渉をされると思いますが、そのときにこの問題についてアメリカは異論がないということについて政府として確かめてくる意思がおありになるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 沖繩に流通しておるドルをどういうふうにしますか、こういう問題、これはきわめてデリケートな問題で、政府の責任者の一言はかなり大きな影響のある問題、それを私は十分承知しておるのです。かるがゆえに、せっかくのお尋ねでございまするけれども、私としてはこうともああとも何らのお答えもできない。ただそういう重要な問題であるということだけつつしんで承っておきたい、かように考えます。
○松本(善)委員 それではこれだけ確かめておきたいのですが、沖繩県民の要求しておるように——こぞって超党派の自由民主党に属する人も含めての要求です。これを実現するためには、アメリカとこの点についての交渉をしなければならないということは当然お認めになろうと思いますが、この点だけ確かめておきたいと思います。
○福田国務大臣 いまとにかく沖繩はアメリカの施政権下にあるのですから、あそこで何かステップをとろうというようなことであれば、これはアメリカと相談しなければ何事もできないことである。そのことだけは問題はないです。お尋ねを受けるまでもないことなんです。 ただ私がアメリカと交渉するかどうか、こういう点になりますと、私は何のお答えもできませんということをはっきり申し上げます。
○松本(善)委員 終わります。
○櫻内委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三分散会