予算委員会第二分科会 第3号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/25
会議録
○主査(金丸冨夫君) ただいまより予算委員会第二分科会を開会いたします。 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 昨日、予算委員の異動に伴い、松井誠君が辞任され、その補欠として矢山有作君が選任されました。 また、本日、西村関一君及び矢山有作君が分科担当委員を辞任され、その補欠として大橋和孝君及び戸田菊雄君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○主査(金丸冨夫君) 昭和四十六年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。 昨日の会議と同様、政府からの説明を省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(金丸冨夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは、質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 大臣に質問いたしたいと思いますが、それは予算内容についてでありますけれども、昨年でありますが、四十五年の十二月三十日に、大臣は予算の内容について言明をやっておるわけですね。それはどういうのかというと、一つは、景気動向に意を用いた、中立機動型の予算にしたい、これが第一。第二は、公的及び民間の業務部門での蓄積をはかった、こういうことを言明された。第三には、米対策についても新しい第一歩を踏み出すのだ、財政全体の体質の改善につとめた。一つは、公害対策と物価対策に重点を置いた。以上が大体四十五年十二月三十日の大蔵大臣としての言明なんでありますが、その後予算が出てまいりまして、内容を検討いたしますると、確かに景気動向にだいぶ意を用いていることは私たちとしてもそう感じられるのでありますが、ただし、あとで具体的に触れたいと思うのでありますが、いわゆる民間主導型、こういうものによる景気落ち込みを財政で補完しようという非常に強い意欲は、予算内容全体に相当私は見られる。たとえば公共投資重点で、大体前年比で一般会計で一八・四%、それから財政投融資計画で一九・六%、これはまさしく予算膨張だろうと思いますが、こういういわば内容と、さらに政府保証債、こういったものの弾力的発行、こういうことで考えますということで大臣は言っておられるわけでありますが、そして結論的には中立機動型といいますかね、こういう言明をなされておると思うのでありますが、しかし、この内容全般を見ますると、そういうことではなく、結果的には赤字財政、インフレ予算、こういうことになっておるのではないだろうかと思うのでありますが、この辺の見解が一つであります。 もう一つは経済見通し、物価上昇率五・五%と見込んでおるわけでありますが、はたしてこれで四十六年度いけるのかどうか。この辺の自信のほどをひとつ御見解を聞かしていただきたいと思うのであります。 それから、この中立機動型といいますけれども、非常に急成長、景気刺激、こういうことからいくならば、きわめて刺激大型予算と言わざるを得ないと思うのでありますが、この辺の見解について大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 二年前までの四年間にわたるわが国の経済成長は、これは異常というくらい高度のものでありまして、平均すると実質十三%成長、これはかなり日本の将来に暗い影を投ずるものである、こういうふうに判断したわけです。それは長期的な観点から言いますと、資源、また労働力、その両者に需給の緊迫化を生ずる、また当面物価対策、公害対策を困難にすると、こういう見解のもとに、これを適度の高さに抑制をするという必要を認めまして、一昨年の秋から景気調整政策をとったわけであります。この調整政策は金融を中心にしてやったわけでありますが、これが約一年ほどたちました昨年の秋ごろから浸透してまいりまして、経済活動は急速に冷却化状態に進行するに至りまして、予算を編成いたします昨年暮れの時点におきましては、あるいは四十六年度において理想的というか、あるべき成長の高さ、一〇%、それをかなり下回る傾向が見られる事態になったわけです。そこで、そういう事態において、景気を浮揚させ一〇%成長の線に持っていく、それにはどうしても金融ではこれは十分でない。金融を緩和してもこれは受け身の役割りだけだ。やはり政府が直接需要を喚起する政策をとるべきである。こういうふうに考えまして、予算は四十五年度に比べますとかなり大型なものにいたしたわけです。 しかし、中立といいますゆえんのものは、といいましてもこれを過度に刺激する——過度というところに意味があるわけでありますが、過度に刺激するという考えはないわけであります。つまり当時の景気情勢が曇り状態であるとすれば、これをかんかん照りの状態まで持っていくということは、二年前の状態にまた復元をするということになりますので、これは適当でない。やはりこれは、つま先上がりに徐々に景気が回復いたしまして、そうして過熱でもない、また落ち込みでもないと、こういう状態を実現しようと、こういうことでございます。財政の規模が拡大いたしましたけれども、これは民間投資との関係を特に考えておるわけであります。民間投資がかなり落ち込みそうだ、それを補って国民経済全体における総需要を一〇%増という程度に持っていく、そういう作用を財政に持たせると、こういうことでございます。そういう意味において中立的性格というふうに考えて、特に公債の発行ワクにつきましては数年来漸減方針をとってまいりましたが、これを漸減でなくて横ばいでやる、しかしさればといってこれを増額もしないというようなところにこの考え方が象徴されておると、こういうふうに御理解を願っていいのじゃないかと思います。 そういう状態でありますが、しかし景気の情勢というものはもとよりこれはなかなか予断を許しません。そこで心配されることは、場合によると、そのような財政態度をとりましてもなお景気が浮揚しないという場合があるかもしれない。そこで、あるいは政府保証債の発行限度を拡大しておくとか、あるいは八金融公庫の借り入れ限度を拡大しておくとか、あるいは債務保証権限を拡大しておくとか、そういう臨機の対症策が必要ではあるまいか。そういうふうに考えまして、いわゆる弾力措置というものを幾つかとることにいたしたわけでありまして、これが機動型とこういうふうに表現をいたしたゆえんでございますが、今日になってみると、つまり予算編成当時から三カ月たちました今日に立ってみますると、やはり私どもが当時見通しておりましたように、景気はだんだんとさらに鎮静化の勢いを強めつつあるのであります。まだ二月の指標までしか見られませんが、明日あたり、あるいはきょうあたり固まるかもしれませんが、その指標を見ますると、鉱工業生産、これなんかがかなりの落ち込みを示し、前年対比七%台の増加にとどまるというような傾向であります。また在庫のごときもだんだんとこれが積み増しになるというような状態でございまして、私どもがおそれておった鎮静化の勢いというのが、私どもが考えておったよりもやや強目に出てきておる。こういうような状態でありまして、私どもは予算の数字、あるいはその数字の裏にとられる機動措置、そういうものを含めてああいう方針をとったということは、今日予算を編成いたしましたときから比べて、三カ月後でありまするが、妥当であった、こういうふうに回想をいたしておるわけであります。
○戸田菊雄君 まあきわめて大臣のお話を聞いていると、景気見通しについては非常に鎮静化の方向で、より強化される方向だと、こういう御判断ですね。けさの毎日新聞でありますが、大臣が急速冷え込みが一そうきびしくなったので積極的にてこ入れが必要だというので、各種公営事業に対する支払いの七二%程度まで早期にやれというようなことを指示しておるようでありますね。こういうことからいって、最近この景気指標に私は問題があると思うのです。ことに最近金融緩和すれば、財政的なてこ入れをやれば、何とかこの景気浮揚策というものは持ちこたえるのじゃないかというような、当初計画からいろいろやったようでありますけれども、それもかんばしくいかない。しかも、なおかつ高成長の中心産業といわれる家電産業なりあるいは自動車産業、こういったものが一応落ちくぼんできておる、こういうことが結果的には鉄鋼の操短等に及んでいるということで、どうもその辺は景気回復の見通しというものは一挙に解決できない。非常に見通しとしては暗い。そういう情勢にあるのじゃないか、こういうように考えるのでありますが、そこでちょっと事務当局に、民間の設備投資ですね、現在の段階で四十五年度の実績に比較をして、主要産業の総体の面でどのくらいいっているのか。もう一つは製造業、非製造業、こういうものにどのくらいいっているのか。それがどう一体把握をされているか、ちょっとお伺いをしたい。
○説明員(高橋英明君) 四十五年度の設備投資の実績見込みでございますが、全産業では一応これは日銀の調査では一七・三伸びます。製造業が一六・二、非製造業が一九・五、それから開銀の調査でございますと、全産業で一九・〇、製造業が一七・三、非製造業が二二・九、こういう実績見込みでございます。四十六年度の経済見通しは一二・六でございます、全産業。
○戸田菊雄君 民間の設備投資は……。
○説明員(高橋英明君) 民間の設備投資は四十六年度の見通しは一二・六でございます。
○戸田菊雄君 実績に対してどのくらいになりますか。
○説明員(高橋英明君) 一八・九でございます。
○戸田菊雄君 大臣は十一時までですね。 ですから、私の調べてきたのでは、いまの審諸官が発表されたのとはちょっと違う。それは日銀、開銀とも調査をやっておるわけですが、その内容によりますと、設備投資の四十六年度の見込みというのは、四十五年の実績に対して主要産生で、これは五百二十一社を対象に調査をしたのでありますが、それによりますと、四十五年度に対して六・五%ですよ。
○説明員(高橋英明君) 六・五%でございます、日銀は。
○戸田菊雄君 日銀はね。それから製造業に対して三・二%、それから非製造業に対して二三・七%、こういう状況になっておりますね。
○説明員(高橋英明君) これは四十六年度はそうでございます。
○戸田菊雄君 そういう状況から、通産省あたりではだいぶ景気沈滞というものが長期化するのではないか、したがってこの財政金融面から相当積極的な刺激政策をとる必要があるのではないか、こういう考え方を持っておるようでありますが、大臣としてはこの点どう一体お考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十五年度の実績ですね、だんだん下がってきているのです、下下がりに。その趨勢がさらに四十六年度も続くわけで、非常にいま設備投資について低めの見通しが立つわけです。それだとこれはかなりGNP全体にすると落ち込みを示すということになる。日本経済全体として景気沈滞ということになる。そこでやはり私どもが暮れに考えておったように、財政が景気浮揚の役割りを演じなければならない、そういうときに来ておる、こういう判断をいたしておるわけであります。
○戸田菊雄君 そういう角度から、四十六年度予算全体で、一つは公営事業拡大を財政的にてこ入れをしようと、こういう方針は確かに打ち出しているわけですね。それからもう一つは、非常に危険なことだと思うのでありますが、軍備増強政策ですね、これも国産化体制八割体制に持っていく、こういう考えもお持ちになる。この二面から景気のてこ入れをひとつやっていこうと、そういう理解で間違いないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 軍需産業の点はそういうふうな理解をしておりません。これは三次防の最終年度だと、こういうことで大体それを達成しようという考え方で、それが軍需産業につながってくるわけでありますが、軍需というものはこれは国全体の中で幾らでもない。それが多少ふえようがふえまいが、たいした関係ございませんが、少なくとも軍事費を、防衛費を増大して景気を刺激しようというような考え方はこれは毛頭いたしておりません。ただ防衛費を含めまして、予算全体のスケールを四十五年度よりは四十六年度はかなり拡大をいたしたわけです。約一兆五千億円、GNPの二%に相当する額を拡大しておる。これは設備投資の不足を補って成長の安定した高さを維持しようと、こういう考え方なんです。これはくれぐれもお願いしますが、防衛費を増額して景気を維持しようなんとは毛頭考えておりません。
○戸田菊雄君 なぜこういう民間の設備投資計数というものが非常に過去の、四十五年度の実績に比較して非常に落ちくぼんでいる、これは一つは民間の間で過剰設備という、そういう設備過剰化というものが非常に強いのじゃないか。だから今度政府が財政的なてこ入れで何とか景気を浮揚させようとお考えになっておるようですけれども、なかなかうまくいかない。生産調整ができても在庫調整ができてない、総需要の面があまり拡大をしてない、こういうことにもなっているのでありますが、こういうことで景気沈滞に対する政策不況、あるいは金融、財政、こういう政策上からの転換政策というものを大いにとっていかなければいけないだろうと思うのですが、それだけでは私はどうもこの景気がよくなっていくという、政府が言うような内容にはなってこないのではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、民間のいわゆる設備過剰感覚というもの、こういうものをどう一体政府としては今後指導し、政府が考えているような方向に持っていこうとしているのか、この辺が第一点であります。 それから金融面からの財政てこ入れをやろうというんでありますが、日銀のけさの新聞発表によりますと、金融面からの景気刺激対策はほとんど手を打ったというのです。しかし、一部には公定歩合の再々引き下げをやってもいいのじゃないかという話も出ているようでありますが、日銀の総裁としてはそういうことは必要ない、こういうふうな言い方をしているのでありますが、大臣としてはその辺の御理解はどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもはいま両面作戦をとっているわけです。一方においては消費者物価の上昇、これを押えていかなきゃならない。それから他面においては景気を適度なところに維持しなければならぬ、そういう両面をにらみながら政策運営をしているのです。物価だけを考えて経済の成長ということを考えないならば、これは金融をうんと引き締めてしまう、これで事はわりあいに簡単に解決するわけです。ところが、逆に成長だけを考える、物価のことは顧慮しない、こういうことになりますれば、これはどんどん金融はゆるめる、財政は支出を行なうということによってこれも簡単に解決する。簡単でないのは両面作戦、物価も押えなきゃならぬ、しかし同時に成長も適度に続けなきゃならぬ、そこにむずかしさがあるわけでありまして、そこで日銀総裁なんかは公定歩合の第三次引き下げ、これについては非常に慎重なかまえをとっておる。私もそういう慎重なかまえをとることは当然だと、こういうふうに思いますが、しかし、さらばといって景気を放置するわけにはいかぬ。そこで量的には金融がかなり緩和の方向の政策をとっておるわけでありますが、現に三月末は政府資金の放出がかなりあると思うのです。それから四月、五月、これは政府の支払い超過の時期になるわけですが、これは相当巨額な支払い超過になる。そういうことになると、金融はこれはかなりの実感を与えるようなゆるみ方をして、おそらくコールレート、これは金融がゆるんだとかゆるまないとか、こういうことを示すのはコールレートなんです、コールレートが四月になりますと〇・五ぐらいは下がることは必至だろう、こういうふうな観測さえいたしておるわけであります。そういうような状態で金融はゆるむ、そこへもってきて政府が需要の喚起に当たる、政府の繰り上げ支出をする、両々相まって私は景気は特に新年度の予算とともに上昇過程に転じていく、こういう見方をしております。
○戸田菊雄君 その両面の策をとると、こういうことなんですが、予算上からくる物価対策関係を見ますと、総体は千二百五十億ですね。確かに四十五年度の対比実績では二〇%の増加を見ておるわけでありますが、その内訳は一千億には公営住宅予算、地下鉄工事、こういうものが含まれている。そのほか一件当たり百万ないし一千万、こういうものが主としてほんとうの物価対策諸費用としてあがっている、きわめて零細な予算である、こういうことに大体私は見ているんでありますが、こういうことになると、いま一番物価対策で必要なものは、私は一つは財政、金融あるいは管理価格対策ですね。こういうものに主として焦点を当ててやっていかなければいけないのだろうと思うのでありますが、そこまで実際問題としていってない。どうでしょう、両面のその一面……。
○国務大臣(福田赳夫君) 物価対策では、何よりも大事なことは総需要対策というふうに考えております。これがもう圧倒的に物価対策としては影響力を持つ問題なんです。物価がなぜ上がるかということを考えてみますれば、これはもとより需給の関係もあるんです。個々の品物の需給の関係、しかし、また個々の商品の生産費という要因がある。生産費要因からいいますと、賃金と輸入物質、これがどうしても上がる傾向にある。そうすると、これが高度成長というか、そういう時期におきましては、ますます労働力の需給が逼迫化する、そういうようなことで賃金が上がる傾向になるわけでございます。それでつまり卸売り物価に反映される大企業物価のほうは、これは大企業が賃金の上昇なり輸入コストの上昇なりを合理化、大量生産化によって吸収する、そこで卸売り物価は安定する、動かない、むしろ弱含みである、こういう状態になる。ところが、中小企業、また農村、あるいはサービス業、そういうようなものになりますると、大企業が賃金を上げればこれらの低生産性部門においても賃金を上げなければ労働力が集まりません。むしろ、より上げなければならぬ。そこでどうしても賃金を上げるという傾向になる。そうすると、その賃金を低生産性部門におきましては吸収しきれない。そこでその尻をどこへ持っていくかというと、サービス料金の引き上げでありますとか、販売価格の引き上げであろとか、そういうところへ持っていく。それが消費者物価としてあらわれてくるわけなんです。わが国において卸売り物価は安定しておる。しかし小売り物価はこれは先進諸国同様に急速度に上がっていく。そういうわが国において特に卸売り物価と小売り物価の間に乖離が生じておるというゆえんのものはその辺に原因があるんだと、こういうふうに理解し、したがって成長の高さ、つまり総需要という問題ですね、これを解決しなけりゃならぬ、これが物価対策のかなめであるというふうに考えておるのでございます。 それからまた需給の問題、これは季節的商品に特に多いわけでございますが、それはいま予算にも掲げてありますが、農林関係の物資なんかにつきまして特に配意を要するところであるというふうに考えるわけでございます。そういうことで需給とコストの問題、これの解決、これがとにかく優先した物価対策である。そのほかに流通過程の問題でありますとか、いま御指摘の価格形成過程に生ずるいろんな問題、管理価格というような問題もありますが、そういう問題、そういう諸問題を解決していかなきゃならぬ。そこで初めて物価というものが安定していくというんですが、何よりも先立つものは、これはもうどうしても総需要対策、これがぴしっといっていなければ物価対策は幾ら何をやっても片づかない、こういう考え方に立っておるわけであります。
○戸田菊雄君 その見通しはどうなんですか、五・五の。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ五・五%、この五・五%としたのは、やはり季節的商品につきまして格段の配慮をする、ただいま申し上げたような予算上の措置もしますが、その他の特に農林省を中心とした行政運営、こういうものに配意をいたしまして、季節的商品の変動、これをなるべく少ないようにいたしたい。こういうようなこと、それからざらに前から続けておるのでありまするけれども、やはりただいま申し上げましたように、大企業と中小企業、その他の低生産性部門との間に生産性の格差というものがあるわけでございます。やはりその低生産性部門の合理化、近代化、これを、長い努力を要する問題でありますけれども、続けていかなければならぬ、そういうふうに考えまして、物価予算とするとむしろそういうところに重点がある。物価予算は私どもは八千億円、こういうふうに申し上げておりますが、その大部分というものは低生産性部門の生産性を向上させる、つまり合理化、近代化、こういうことでございますが、そういう努力も逐次実りつつある。そういうこと、それから先ほど申し上げました総需要の抑制、こういうこと、そういうものを総合的に判断しまして、四%台に持っていくことはなかなかむずかしかろう、しかし何とかして五%台、まあとにかくその中間である五・五%、これを目標にしてひとつ物価政策の運営に当たりたい。こういうのでまあ五・五%、大体これを実現しなければならぬし、またすることが可能である、こういうふうに考えておるわけであります。
○戸田菊雄君 時間もありませんから、一括して残った問題について質問いたすわけでありますが、大臣が予算編成にあたって言明をいたしました第二の問題ですね、公的及び民間の蓄積をはかる、こういうことを言われているのでありますが、大臣の言われる政府及び地方自治体、民間大企業の蓄積に意を用いたというこれは確かだと思うのです。しかしその場合の民間というのは、いわば庶民の家計蓄積、こういったものはどういうふうに考えておられるのか、この点の内容についてひとつ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 蓄積ができるためには適当な速度の経済成長が必要ではないか、それが何よりも前提になることだろうと、こういうふうに思います。そして可処分所得がふえるような状態を実現をさせる、こういうことになるわけであります。可処分所得が増大をする、その中から蓄積の余地というものが出てくるわけであります。ですから、民間の、個人を含めましての蓄積を増大させるためには適度な成長が必要である。そういうような意味からも、あまり成長の速度は押えない、一〇%程度ということを申し上げておるわけでございます。第二に重要なことは、やはり蓄積というものが金銭的な、貨幣価値的な蓄積であることが好ましいのです。そういう事態を実現するためには物価が安定しなければならぬ、物価安定対策、そういうことに非常に意を用いているわけであります。そのためにも総需要対策を中核とした強力な物価安定対策、これが必要である。それからさらに大事なことは、企業の蓄積、これはまあ景気の進行というようなことに大きく左右されますが、個人の蓄積ということにつきましては特別の配慮をする必要がある、こういうふうに考えまして、今度の税制改革におきましても、御承知のように、あるいは預貯金の免税点の引き上げを行ないますとか、あるいは公債の免税額を引き上げますとか、また庶民に非常になじまれておる郵便貯金の貯金限度額を引き上げますとか、そういうもろもろの施策を進める。なお、さらに勤労者財産形成貯蓄を始めますとか、そういうことをいたしまして、蓄積の奨励ということを進めていきたい、こういう考え方をいたした次第であります。
○戸田菊雄君 大臣のおっしゃられたそのお答えから、一つは勤労者財産形成貯蓄、こういう理解でよろしゅうございますか。しかし、この勤労者財産形成制度なんかを見ますと、三年以上の期間にわたって使用者を通じて一定の貯蓄をする場合、この場合に初めて少額貯蓄非課税制度というものがやられるわけですね、四十六年度からは元本百五十万円、さらに別ワクで元本百万円まで利子を非課税とする、こういう措置をとったわけであります。さらに、住宅貯蓄控除制度、こういうものも二万円引き上げる対策をとったようでありますけれども、これは考えてみると、一面非常に勤労者等の財産形成に役立つような考えを持つのでありますが、これだけではたして私は労働者が使用者を通じて住宅が建つのかどうか、そういう保証はないのじゃないか。だから、もっとこういう制度は、つくるならばそういう面で明らかに勤労者に、これをやっていけば何年後にはこういうことで家が建つのだ、保証するのだというところまで私は制度上の問題としては検討されてしかるべきである。そうでないと、いろいろ検討してみますと、単に住宅にこと寄せて勤労者からいろいろな零細資金というものを集めて、それを何か別な方面に使っていくと、悪く誤解をすればそういうことにもなりかねない。そうしてみれば、いま政府がいろいろ言っているような労働者に対する所得政策、そういうことの一こまが形を変えてあらわれてきたのではないかという皮肉った見方も出ないではない。ですから、そういう見解についてどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、まあ所得政策的な配意では一切やっておりませんです。つまり勤労者——これはまあ勤労者ばかりじゃありませんけれども、特に勤労者の願いは、退職後においてはまあ五十坪、百坪、その上に二十坪、三十坪の建物、そういう夢ですね、これを実現をする、それには住宅政策全体の大きな構想が進められ、四十六年度では一兆円も使ってそういう施策に取り組むわけであります。おそらく新らしく始めこれる五カ年計画、これが完成するということにかると、住宅事情というものはこれはもう目立って変わってくるというふうに思うのですが、特にその中におきまして、まあ自分の家を自分の努力によって持ちたいという人のために便益を供したいと、こういうことなんです。つまりこれは便益かんです。これですべてが解決するということじゃなくて、本体のほうは一兆円住宅施策を四十六年度単年度においてそれだけの努力を政府はするわけですから、そういうところに大きなウエートがあるわけなんですが、それを補完し助長をすると、こういうような意味合いにおける税制なんです。税制は税制だけで何もかも解決するという性格のものでないことはよく御承知のとおりでございますが、まあそれにしても、税制が助長的補完的な役割りを果たさせたいということで、そういう制度を新しく始めたわけでございます。同時に、これが思い切った減税になるというふうにたり得ないのは、やっぱり他の預貯金制度との関係があるのです。思い切った施策をいたしますれば、他の預貯金制度に乗っかった預貯金というものが横流れをしちゃう、これじゃ意味がないのです。やっぱり新しい制度を使って、それが横流れでなくて貯蓄の純増加というものにつながる効果を持たなければならぬ。その辺を考えますと、そう思い切ったこともできない、まあ苦しいことに立場としてはなるわけであります。そういうことで、まあなまぬるいという考え方はあるいは払拭し切れないかもしれませんけれども、総合的に事を見まする場合にはまあ妥当な政策ではあるまいか、かなり前進した考え方ではあるまいか、そういうふうに考えております。
○戸田菊雄君 本会議でも若干その点の制度上の問題についてお尋ねをしたのですが、どうしても大臣、一本にこの制度を統合するというような考えはございませんか。少額貯蓄制度ですね、非課税国債関係あり、いまいったようなものもあり、それから郵便貯金関係もある。各般のそれぞれの分類においてそういう少額非課税制度というものがとられているわけです。だからどうしてもそういうものをとるならば、そしてその制度設定の趣旨があくまでも少額貯蓄者に向いているんだということであるならば、この貯蓄増強中央委員会等の発表によっても、百万以下に半数以上は大体集中しておるのですね。そう考えて、ほんとうにそれを救済するというならば、私は制度上の統一をはかって、そしてそれに集中するようなやっぱり政府の対応策も必要じゃないか。この辺の制度上の統合について大臣の見解を聞きたいと思うのです。 時間がありませんから、あと一緒に質問するわけでありますが、今度のこの四十六年度の予算は、まあ三K、米と健保とそれから国鉄の赤字財政、この三つを何としても解決するというのが当初の政府の意向じゃなかったかと思うのです。ところが、米の対策を見ましても、政府としてはこの米過剰対策、結局物統令をはずして今後米の上昇を見て、消費者米価、こういうものの上昇をはかるようなことしかやっておらないわけです。すでに米の問題については四十六年度予算、まあ農林大臣に関係することですから長く聞きませんが、いずれにしてもこれは米価審議会が四月以降開かれる。しかし政府としては、佐藤総理の施政方針の中で、二百三十万トンの減反とか、あるいは百八十万トンの自主流通米、政府が責任を持っているのはこの百八十万トンだけ、こういうことをやっているのだから、今度米価審議会が開かれても、それはただ制度の前面にどうやってつじつまを合わせるか、これしかないということです。米価審議会の権威なんというのはふっ飛んでしまう。政府みずからこわしてしまう。なおかつ物統令をはずして今後の消費者米価に対して何か上昇させるような印象を与えている。それだけじゃないですか。これは根本的に財政的面からいっても、大蔵省としての責任体制からいっても、米の問題についてほんとうに解決したか、私はそういう気はしないのですね。この米の問題が一つある。それから健康保険のほうの問題についても私はそうだと思うのですね。結局はいいこと言っているけれども、患者の負担増大だけにしわ寄せをさせて赤字克服策をやっていく、こういうことにしかなってない。それから国鉄の問題についても、抜本的解決をするといいながら、実はこの内容を見ますと、補助金を四十五年度で二・五倍に増加しただけでしょう。そしてあとは帳簿上の操作で四十六年度に予想される償却前の赤字を消す、こういうことしかやってないじゃないですか。ですから、政府の言う三K問題が一番重要だと思う。米、健保、国鉄の赤字克服対策について具体的にどういうことをやっているのですか、この点ですね。これでは私は公約に偽りありと言わなければいけないんじゃないか。やはり国民に公約しているのですから、今回やりますと。そういう面について大蔵大臣はどうお考えになりますか。その答弁を聞いて、一時間の予定でありますから、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 貯蓄に対する税制上の優遇措置ですね、これは零細貯蓄の優遇措置、それから郵便貯金に対する非課税措置、それから国債の免税限度そういうものがあるわけです。これはそういういろんな制度があります。そこへ今度は勤労者の財産形成というものがつき加わってくる。こういうことで一見いたしますと、四つ五つそういうものがありまして、ちょっと複雑過ぎるなというようなお感じをお持ちかもしれませんが、これはやはりバラエティーがあるほうが貯蓄者には好都合であるというふうに判断をしているのです。つまりメニューが多いということですね。そのほうが食いつきいいのだ、こういうふうな考え方を持っているのであります。その程度の、バラエティーがあるほうがむしろ総合的に見ますと、貯蓄増強施策としては適当であるというふうに考えておりまして、いまこれを整理するという考えは実は持っておらないのです。 それから第二の三Kの問題、これはいま公約というお話でありますが、公約はいたしておらないのです。まあ国会の総理大臣の演説におきましても、まあ三K問題を抜本的に解決されたのだというふうには申し上げておりませんのです。まあ私はこれは本会議でも申し上げたのですが、三K問題は解決をしなければならぬ問題である。しかし一挙にこれをやることはむずかしい。 そこで第一に米の問題につきましては、これはかなり根本的な処置に着手をした、つまり減反政策を強力に進める。そして五年後には米の需給、これはとにかく達成しなければこの問題手がつかぬ、大前提の問題である、これを解決することにふん切る。五カ年の計画をもってこれをスタートするということになる。また物統令の廃止、これも非常に重大なんです。つまりなぜ重大かというと、消費者の選考という問題ですね。これが初めてこの措置によってはっきり立証されるわけであります。いままで米の需給というものがどうして今日のような生産過剰な状態になったか、こういうと、うまい米でもまずい米でも多少の格差はありまするけれども、しかしまあ大ざっぱに言いますと、まず一律に生産者から買い取られる。また消費者へ売却をされる。そういう状態であったわけです。この需給問題の立場から考えますと、まず需給問題が非常に重大な問題でありますが、なぜこの生産過剰な状態になってきたかと言いますると、まずい米でもたくさんつくりますればそれで所得が多くなる、収入が多くなる。そういう状態だった。そこに大きな原因があると思うのです。何でもいいからつくりさえずればいいという体制だったわけです。ところが、うまい米だ、宮城県の米なんかはうまい米です。しかしそれにもかかわらず北海道の米、これはまずいと言われるのですが、そういう米と同じ価格で買われる。そこで品質差、銘柄差、こういうものを大幅につけなければ需給問題というものが解決されない。これはもう定説であります。ところが、銘柄というものは一体どういうふうに設定するかというと、これはだれか天下りにつけるわけにもいかない。これは国民消費者がつけるほかはないのであり出す。そこで今度は物統令が廃止された。そうすると、消費者が今度は消費段階において格差をつけてくれる、こういうことになる。その格差が将来においては生産者米価にもこれが適用される、こういう基礎をつくってくれるわけであります。その辺に物統令の廃止というものは非常に大きな意味を持つわけであります。物統令の廃止とそれから計画的減反政策、これをあわせ考えるときに、米の問題はほんとうに私は新段階に入った、こう申し上げてさしつかえはないと思います。 それから健康保険の問題でありまするが、政府管掌健康保険、これがまあ問題になる。その問題になるのはどういう点かというと、医療給付の問題、これが制度的にあるいは運営上いろいろ問題がある。その給付の合理化、こういう問題に着手をしなければならぬという問題がまあ一つある。それと同時に負担の問題です。負担が、いろんな医療保険がありましてそれがばらばらである。これを統合とまでいきますれば、なおいいんでありまするけれども、せめて合理化というところまでいかなきゃならぬ、こういう問題がある。それから第三に問題になりますのは、これは医療財政の問題であります。いま単年度赤字でもたいへんなものです。これが累積されまする場合には、健康保険におきましても来年度末あたりにはまあ二千数百億円と、こういうふうにいわれるような状態です。で、財政を一体どうするかと、いわゆる医療制度の改革改革といわれるけれども、その三つが柱になる。そのうちの財政問題、これはまあほっておけばそれだけ赤字が出る問題でありますので、これをとにかく緊急に解決しなきゃならぬというので、これに着手をするということにしたのが今度の健康保険法の改正なんです。まあ三つの論点というか、問題点の中の一つに大きく踏み出したというんでありますから、これはまあ全面解決じゃございませんけれども、一歩医療制度の根本的解決に向かって踏み出した、こう言って差しつかえないんじゃないかと思います。 それから国鉄の問題につきましては、これはお話のとおり、まあほんとうにつなぎの措置、これはいわゆる総合交通体系という中において解決されなければならない問題である。その総合交通体制というものが四十六年度予算編成の段階では間に合わなかった。これは非常に残念なことでありまするけれども、まあ七年度の課題にするほかはない、こういうふうに考えておるんです。そういう状態で最大限の努力をいたしておりますが、一挙に何もかにもという状況にいくことも困難であるということもまた御理解願いたいのであります。
○矢追秀彦君 初めに減税問題でお伺いしたいんですが、四十六年度の減税額は自動車新税の増税分を引いた純減税分でまいりますと、千三百八十七億円で、これは自然増収の九・三%しかないわけで、過去十年間から見ましても、四十三年度の五・八%に次いで低いわけでありますが、この減税は小幅であったと私どもは指摘したいわけでありますが、これに対する……。
○国務大臣(福田赳夫君) 私どもは減税はして喜んでいただきたいんです。しかしながら一方において国の歳出需要、特にこれも皆さんから言われるんですが、社会資本のおくれを取り戻せ、社会福祉を充実せよ、文教政策を拡大せよ、いろいろそういう国家の仕事に対する要請もありまして、なかなか自然増収がありましても、それを大幅に減税に振り向けるわけにはいかない。ことに昭和四十五年度におきましては、かなり大幅な減税をしたわけであります。そのあとでもありますので、まあいわゆる減税は一休みというような考え方でもいいじゃないかということも言われましたが、私は特に所得税につきましては、経済情勢が変化する、これに応じて所得税というものを調整をとらなきゃならぬ、そういうふうに常々考えておりましたので、この際所得税を中心とする減税を行なう、こういうことにいたしたわけなんですが、それとかね合いをとりまして、住民税においても減税を行なう、こういう措置をとることにいたしております。これとまた自動車新税、これとは考え方がまた違うわけなんです。自動車新税のほうは先ほど申し上げましたような社会資本、ことに交通社会資本、こういうものが非常に充実を急がれておる、そういうようなことで何らかの対策を講じなきゃならぬ。ことに道路五カ年計画が四十五年度から発足したわけでありますが、その発足の当初に約三千数百億円の財源、五カ年間にわたって財源欠陥があるということが国会においても御指摘がありまして、私ども政府としては四十六年度予算の編成の過程においてこれを明らかにする、こういうふうに申し上げたいきさつもこれあり、今回これを実施するということにいたしたわけであります。まあことしの減税はそういうような状態でありまするが、減税につきましては、ただいま申し上げたように所得税を中心として今後とも引き続いて鋭意これが推進に努力をいたしていきたい、かように考えております。
○矢追秀彦君 まあ国民の一般の世論では、どうしてもやはり税の負担が重いと、こういうことが言われております。いま努力をすると言われましたが、特に四十六年度は不況が非常にまあいまも議論になっておりましたが、心配をされ、また実際相当の景気の落ち込みが事実となってあらわれてきておりますから、そういう点がわかっておったんですから、よけいむしろ減税をやって消費を伸ばす、こういうことによって景気の落ち込みをささえるという政策がもう少しとられてもよかったのではないか。まあいま大蔵大臣が言われた四十五年度大幅減税のあとということもよくわかりますが、今年度の景気見通しの点から考えると、もう少し減税のほうに回してよかったんではないか、この点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ所得税につきましては減税をいたしたわけでありまして、これが景気と若干の関係は持つことかと思います。しかし景気に税制が根本的に関連を持ちますのは法人税なんです。法人税をこの際減税をするかということになりますとですね、これは国会でもかなり議論のある問題じゃあるまいか、そういうふうに思うわけであります。そういうようなことを考えますると、まあ景気政策上は法人税の軽減も行なうということがあるいは妥当であるかもしれませんが、まあいろいろ個人との関係でありますとか、あるいは法人税制に対する国会内外の御論議だとか、そういうことも勘案いたしまして、これを据え置くということにいたしたわけであります。でありますが、まあ減税よりも何よりも大事なのは、直接購買力をふやすようにするという考え方、これが大事じゃないかというふうに考えまして、歳出面においてはかなり景気対策上の配慮をしておる。かように御了承願います。
○矢追秀彦君 昭和四十年の不況脱出はどういう点の効果があって脱出できたか。どういうふうに受けとめておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年のときは、まあ一つは、一つというか不景気脱出の主力をなすものは、やはり財政の活動だったと思います。つまり予算の規模を拡大する、そうしてその財源として公債を発行し、増税は行なわないということにしたこと、それから逆に減税をいたしたという措置をとったこと。これもまた財政支出の拡大の景気浮揚効力をささえた、こういうふうに思うわけであります。同時に金融政策その運営よろしきを得た。これらの点が総合されまして、まあ景気が上昇過程に向かった、かように感じております。
○矢追秀彦君 いまも大臣言われましたが、やはりあのときは公債の発行による公共事業費の歳出面での景気対策、いま言われた税金の場合は自然増収は千百九十億円、それでやったわけですが、それを大きく上回る二千九十億円、この減税が行なわれたわけです。まあそういうことと、いま言われた金融の面とそういうことが総合されて景気を立ち直らせた、そういう点から考えますと、この四十六年度予算における減税というのは不況脱出の過去の経験から言って、もう少し減税してもよかったんではないか、このように思いますが、どうです。
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、あのときも法人税を思い切って軽減したわけです。これが響いた、今度は法人税の減税は行なわなかったわけでありますが、これは国会内外の御論議等も考えまして、さようなことはいたさなかったわけでありますが、そのかわり、歳出面におきましては先ほども申し上げましたような予算規模の拡大、さらに財源としての公債、これは漸減方針をやめまして、一時停止いたしまして、横ばいにするというふうな措置もとり、歳出の財源をまかなうということにいたしましたほか、いわゆる弾力条項、つまり予算外におきまして機動的手段を講ずるというようなことをいたし、景気の浮揚に貢献させたいというふうに考えまして、これで私は十分の措置であると、かように考えております。
○矢追秀彦君 四十年の不況と今回の不況とはどういう点が違うと認識をされておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年のときはたいへん深刻な不況でありまして、これをほおっておくと、これは日本経済が再びぬくもりを持つという状態に持っていくということはなかなかむずかしい、時間のかかることになりゃしないかというふうに考えたわけでございます。しかし、今回は体質がその後非常に強化されている日本経済であります。ですから、この体質の根幹をゆるがすというようなことにはなるまいというふうに考えておりますが、しかし、ほおっておきますると、これは景気の落ち込みというものはかなり深刻化する、深刻化した場合における影響、そういうものは体質が強化された今日におきましては、四十年のときとは比ぶべくもないと、こういうふうに思いますが、とにかくかなりの深刻な落ち込み状態になっている、こういうふうに考えられるわけでございます。そこで、そういうふうにまで落ちていっちゃいかぬ、こういうふうに考えまして、いろんな浮揚政策をとる、こういうことにいたしておるわけであります。まあこの五年間に日本の経済のスケールも倍になった、倍になったが、同時にその一つ一つの企業体質、これもずいぶん改善され、また一人一人の家庭、これもかなりこの五年間に充実を見た、こういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 今回の不況は、いろいろあると思いますが、やはりカラーテレビ、自動車というふうな耐久消費財の売れゆき不振による予期しなかった在庫の増加が圧迫の要因となっておると考えるわけですが、こういう性格の景気停滞ならば、よけい、さっきから申し上げておるように、購買力をつける、そのためにはやはり減税というふうなことをもう少し考えてもよかったんではないかと思うんですが、その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税を軽減をして、景気浮揚に貢献をするというためには、これはかなり思いきった減税をしなければならぬ、こういうふうに思うんでありますが、先ほど来から申し上げておりますとおり、わが国の状態は、これはこれから社会資本のおくれの取り戻しの問題、社会保障の充実の問題、いろいろ財政上需要増加の要因が山積、殺到しておる、こういうような状態下におきまして、あえて財政の基礎をゆるがすような大減税をするということ、これもまたいかがなものであろうかという判断のもとに所得税減税、これは今後も息長く続けますけれども、そう一時には下げかねる、こういう判断でございます。
○矢追秀彦君 次に、歳出に関連してお伺いするんですが、弾力的運用ということ、先ほどからも少し議論が出ておりましたが、歳出の規模も非常に一八%以上もふえまして、特にこの弾力的運用といわれる部分が増加して総額では七千億円をこえる、このように聞いておりますが、その内容について御説明を願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 弾力的運営というのは二つのことがある。一つは、一般会計の予算につきましては、まあ総額が九兆四千億、その中で公共事業費が一兆八千億程度であります。その同じような公共事業費的な物財の需要を喚起する予算、これはひとり一般会計だけじゃないのです。特別会計、特にこれは道路が大きいのですが、道路特別会計ですね。これ道路費なんかほとんどこれは特別会計のほうでありますが、特別会計における公共事業費それからさらに政府機関、これに含まれているところの公共事業費、これは電電、国鉄、これが主軸でありますが、これはかなり膨大な額がある。そのほかに政府機関に準ずる公社、公団、事業団というものがある。この公団、事業団、これは道路公団でありますとか、あるいは住宅公団でありますとか、それの執行する予算、そのうちの公共事業費的なもの、そういうもの、これを総計いたしますと四兆二千億ぐらいになりますか、その支出を繰り上げるとか繰り下げるとか、これが弾力的運営の一つであります。 それからもう一つは、予算のそれらの数字には入っておりませんけれども、景気情勢の動向によりまして政府保証債、これを発行し得る権限を獲得しておる。また債務負担行為、その権限を拡大し、あるいは政府関係八公庫の借り入れ権限を拡大しておる。そういうような手段によりまして購買力の造成をはかる、これはめったにその発動は考えてはならぬ問題ではありますけれども、まあ状況によってはこれを発動する、この二つのことを指して弾力的運営と、かように申し上げておるわけであります。
○矢追秀彦君 四十六年度予算は一般会計予算総則の十一条二項で予見しがたい経済事情の変動があった場合には、中小企業金融公庫から日本鉄道建設公団までの財源または借り入れ金を増額できるとして、その限度は百分の五十と規定されておりますが、そうしますと、ここで増額は千百四十一億円になるわけです。との五割増し発行とされた根拠は何ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは従来も借り入れ権限は予算総則におきまして、それぞれ五割増しということを言っているわけであります。四十六年度において、ことさらにいうわけじゃありませんけれども、四十六年度におきましてはこれを実行することがあり得る、こういう含みを持ちまして、まあ従来の比率を採用している、こういうところに格別な意味があろうかと思いますが、比率は従来の五割という比率によった、こういうことであります。
○矢追秀彦君 従来の五割ということでありますが、もう少しこれの根拠といいますか……。
○国務大臣(福田赳夫君) 矢追さん、いま質問を聞き違えまして、いま借り入れ弾力条項につきまして私お答えいたしましたが、保証弾力、これのほうは法人ごとに五〇%、これは新しいのです。この新しい保証弾力、これを五〇%にしたというのはどういうことか、こういうことでありますれば、それは借り入れ弾力が従来五〇%であった、それと一応肩を並べることが妥当である、こういう見解に基づくのであります。
○矢追秀彦君 次の問題は、いま言われましたので飛ばしますが、いまそういう見解で五割増しと言われておりますが、私はもう少し科学的でもいいんじゃないかと思うのです。 それから予算の修正執行の問題でありますが、行政権限りで予算を修正執行するのがよいのか、あるいはまた財政法二十九条の補正予算の規定に従って補正を組むのがいいのか。政府はいま総合予算主義をとっておられますので、補正を組まないでこの予算を修正執行していく、そういうことで弾力的運用ということでやってこられたと思うのですが、そういう点は今後ともこういう方向をとっていかれるわけですか、補正はなるべくやらないで。
○国務大臣(福田赳夫君) 補正予算の問題とは直接の関係がないのです。一般会計に関連いたしますのは、これは債務負担行為でありますか、これは従来とも債務負担行為というものがあるわけでありまして、その限度を拡大をした、こういうことであります。これは四十六年度において支払いはしない。したがって、四十六年度予算にはその予算の額としては関係しないが、しかし、発注をとり行なう権限を政府が与えられるということから四十七年度以降の予算にこれは影響してくる、こういう性格のものであります。補正予算には直接の関連ありません。それから借り入れ権限の拡大でありますとかあるいは政府保証債の発行、これらも予算そのものには関連はないのです。ただ、行政上できるその支出の財源、これについては国会の承認を得なければならぬ、その承認をあらかじめ得ておく、こういうことでありまして、これも予算そのものには関連はない問題でありますので、今後ともこういうような考え方はとっていきたい、かように思っております。
○矢追秀彦君 先に承認しておくのがはたして財政民主主義かどうか。国会の予算審議権、そういう点からいっていまの問題どうするのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政民主主義という立場で全体の、政府並びに政府関係機関、公団、事業団、そういうものの予算ができておるわけでございますが、そのできておる民主的な支出の方法、それを今回の措置によって変更するものじゃないのです。ただ、財源を調達する、たとえば借り入れ金を公庫がとり行なうという際の借り入れ金の限度というものはきまっておる、それを必要に応じて拡大し得る、こういう措置をとるものでありまして、これは従来からもやっておるのです。ですから、これは決して財政民主主義に違反をするものである、こういう見解はとっておりません。
○矢追秀彦君 弾力的運用と、それから予算がそれによって実質的に修正される、その辺の限度といいますか、あり方といいますか、その点はどういうふうに明確に区別をされるのでありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 弾力的な運用によりまして、たとえば一般会計におきましては、債務負担行為を行なうということになりますれば、これは四十七年度以降の予算に影響をしてくるわけです。それから、政府保証債を発行するということになると、その発行いたしました、これは公団になりますが、公団は保証債を発行する権限は、これは総則においてきめられておるわけであります。ところがそれ以上に、その事情によっては発行し得るということになるわけでありまして、その場合におきましては、その公団の予算規模というものは拡大をされる、そういうふうになりまするが、もとの公団の予算というものが行政的措置によってきめられるべきものでありますので、これは財政全体の運営の方法に根本的な改正を加えるものではない、こういうことでありますので、これは別に民主的運営とか何とか、そういうものに関連をする問題ではなく、また民主的運用に変更を加えるというものでもない、かように考えております。
○矢追秀彦君 その問題は、五割増しというふうなかなりの金額になった場合、いま四十七年度を言われておりますので、その点については非常にむずかしい問題だと思いますけれども、特に今回こういう弾力的運用、こういう措置をとられる場合、財政制度審議会にははかられたのか、または、はかる必要がないのかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政制度審議会に付議する必要はないものと考えておりますが、しかし意見を聞いたほうが妥当であるというふうに考えまして、現実の問題といたしましては、これにおはかりをいたしまして、賛成というか積極的な意見の表明を得ております。
○矢追秀彦君 最後に、この問題についていま補正予算とは関係がないと言われましたが、やはり現在の経済の状況あるいは財政の状況もかなり変わってきておりますが、今回のこういう措置からいいましても、財政法をもう一回検討する必要があるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの弾力措置はいずれも財政法に準拠して、これは拡張解釈するとか何とかそういうのじゃないのです。全くこれにのっとってやっておりますので、こういうことをしたからといって財政法を改正する必要はいささかも感じておりません。
○矢追秀彦君 次に、国債発行の問題についてお伺いしますが、昭和四十六年度は国債を四十五年度と同額の四千三百億円発行されておりますが、四十年度に初めて国債が発行されて以来、前年度の発行実績をにらんで毎年減額されてきた国債政策が減額ストップに転じた。これは非常に大きな政策変化だと思いますが、まずこの点についてお伺いしたいのですが、四十五年度補正で五百億円の国債発行予定額の減額が行なわれておりますので、実績見込みに比べれば、四十六年度はそれだけ増発ということも言えると思います。四十六年度の前年度並み発行というのは、本年も景気停滞が予想されるための景気下ざさえの対策ということで、大体同じにされたのですか。まだそのほかに何か意味をお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 従来は、この四、五年間は予算の編成にあたりましては警戒という字を使った警戒中立型、つまり景気情勢が過度に進行するわけであります。つまり一三%成長というような超高度の成長を達成するということになったわけでありますが、それに対して財政は抑制的な役割りを演ずべきであるというので、警戒という字を使った。そういうような意味で、公債政策につきましてはこれを漸減をするという結果になった。これは私は当然のことだったというふうに思います。ところが四十六年度の景気情勢を大観してみますると、これはむしろ落ち込みに対しまして浮揚効果をあげるような財政の運営が必要である、こういうふうに考えまして、矢追さんの御指摘のように、実績に比べれば増額、また予算に比べればこれが横ばいという結論にいたしたわけでありまして、四十五年度に比べて横ばいにいたしましたということは、景気情勢ですね、これに対応するかまえで、従来の公債に対する考え方、こういうものとは若干見方を変えておると、こういうふうに御理解を願います。
○矢追秀彦君 大蔵大臣はかつて国債火種論ということを言われたことがございますけれども、この公債の依存率でありますけれども、一般会計予算に占める依存率を五%程度にするようにという答申を財政制度審議会が出しておりますが、四十五年度では四・六、四十六年度では四・五%、こういうふうになっております。この大蔵大臣の言われた火種論と、それから財政審の五%依存度が大体実現をしてきておるように思いますので、ということは、国債減額政策がとまったと考えてよろしいんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国債は、私は、一般の景気情勢が落ち込みの状態で、政府がこれに対して需要の喚起をやらなけりゃならぬというような状態にあります場合におきまして、その財源が不足するという際に、増税を行なうということが困難な場合が多いわけでありまして、そういう際には、私は、公債を発行する、それが妥当である。しかし、景気が行き過ぎであるというような際におきましては、公債は発行を差し控えるというようなことにすることがこれまた妥当であるというふうに考えておるわけでありまするが、四十年度に戦後初めて国債を発行いたした場合におきまして、かなり私は発行自体に社会的な抵抗を感じました。それから技術上の困難も感じたわけであります。そこで、全然公債というものをなくしてしまうと、将来公債をまた多額に発行しなけりゃならぬというような事態に直面した場合に、また同じような困難に当面をする場合がありはしないか。ですから、ごく軽度の公債が発行されるというような際におきましては、経済情勢が正常化の状態におきましても、そう苦にする必要はないのじゃないか。まあ、多少の公債が残っておる、それはそれだけ減税になるわけです。公債を残さざれば増税をそれだけするということでありますから、まあ、それだけ国民負担を減らし、しかも心配ない程度の少額の国債を発行しておる、これは私はそう罪悪視する必要はないのじゃないか、そういうふうに考え、公債火種論ということを申し上げたわけであります。
○矢追秀彦君 そうすると、四十六年度の国債は、前年度の国債と比べて同じと考えていってよろしいのか、それとも四十六年度の国債政策は方向転換をしたと考えてよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、国債は不況のときにはこれを発行する、そして政府予算を拡大し、政府が積極的に需要の拡大に当たる、そういうための国債、これは私はむしろ積極的に採用すべきである、こういうこと。それから同時に、景気情勢が過熱しておるというような際におきましては、政府財政はなるべくこれを縮減をする、したがって、国債はこれを減額していくと、こういうこと。そういう考え方のもとに国債政策はこれを運営をするということを四十年度あるいは四十一年度のころ申し上げたわけでありますが、その考え方はいささかも今日変わっておらないのです。そういう考え方のもとに、今日、まあ不況である、少しの何かてこ入れをしよう、こういう事態です。そういう際に公債をどうするかということになりますると、これは、四、五年間とってきたような公債漸減方針、これじゃいかぬ。これはもうせめて横ばい程度、そういうところに持っていく。また実績から比べればやや増額になる、そういう程度に持ってくる。この辺が妥当ではないか。考え方の基調はちっとも変えてない。ただ経済の情勢が動いておる、それに対して基本的な考え方を順応さしたと、こういうことでございます。
○矢追秀彦君 私は、国債を絶対出してはいけないというふうな、そういうかたい考えは持っていないのですが、ただ、昭和四十二年、四十三年、四十四年と、年率一三%もの高度成長が行なわれたとしても、かなり多額の国債が出ておるわけであります。そういう点で、いま、大蔵大臣の言われたような火種論であるとか、あるいは五%の依存度ということが、国債発行の固定化につながるのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、これから国債というものが、非常に、予算の規模とか、あるいは好況、不況によっていろいろ変化すると思いますが、いま言われた、国債を弾力的に運用していく上からいいましても、大体金額ではどの程度、あるいは依存度ではどの程度というものを、特に火種論という上から考えまして、お考えになっておりますか。いままでのとおりでよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 景気が正常な状態——いま正常な状態というのは、一〇%成長ということが当面あるわけでありますが、そのような状態でありますれば、国債は漸減方針をとっていったらよかろう、こういうふうに思います。まあ五%以下の程度、これ程度でありますれば、そのときのいろんな財政上の事情等によりまして、国債を発行するというようなことになりましても、これはもう国の経済、財政運営上いささかも心配する必要はないことじゃあるまいか、そういうふうに考えておるわけであります。金額でどうの、率でどうのということは、ちょっと申し上げかねますが、その辺の考え方で、今後とも国債発行には立ち向かっていきたい、かような考え方であります。
○矢追秀彦君 各年度の発行額も問題でありますけれども、累積額についても十分考慮が払われなければならないと思いますが、四十年に出された国債千九百億円の償還期は、四十七年度になっておりますが、この償還準備というのは整えられておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度のやつですか、四十年度に発行いたしました公債は、これは全額現金償還をいたすつもりであります。
○矢追秀彦君 次に、外貨の問題についてお伺いしますが、先日も総括質問で大まかな質問は出たわけでありますが、もう一度お伺いしたいと思います。 現在、外貨準備がこの数年たまる一方という形になっておりますが、現在の日本の貿易の面からいいまして、黒字定着という体質になったと、こう判断してよろしいでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ定着とまで言えますかどうか、ちょっと、定着とまで言うと、やや大胆に過ぎると思うのでありますが、この傾向はしばらくは続くと、こういうふうに見ております。輸出入の状態がきわめて順調でございます。しかも、諸外国におきましては、スタグフレーション、つまり不況下において物価が上がる。この物価というのが、消費者物価も上がるんですが、同時に、卸売り物価も上がっておる、こういう状態であります。わが国は消費者物価は上がります。しかし、卸売り物価が安定していると、こういうことから見ますると、わが国の対外輸出力、——卸売り物価はすなわち輸出物価でありますから、その対外輸出力というものが非常に強化されつつある。こういうことを考えると、今後ますます私は輸出入の状態は順調になっていくのではあるまいか、そういうふうに考え、そういうことを踏まえまするときに、わが国の国際収支はまあ当分の間、何か異変が、これはまあ世界情勢でありますからいろいろあるかもしれませんが、当分の間好調を続ける、こういう見通しを持っております。
○矢追秀彦君 そうしますと、いままでの非常に黒字と赤字を行き来しておったようなそういう時代から比べまして、かなり時代が変わってきているわけです。したがいまして、やはり外貨政策に対してはやはり今後いろいろ方向の転換ということが行なわれなければならないと思いますが、現在はまだまだ昔の状態から、抜け切らないのではないか、このように考えておりますが、どういう点が現在変化をしておりますか。また今後どのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまわが国としますと二つの問題があるのです。ひとつは国内における景気のかじ取り、この問題と、それから長期にわたってわが日本とすると資源の問題、労働力の問題、そういう根本的な問題をかかえておる。そういう国内の経済問題というのが一方にある。同時に、わが国の経済の発展状態が過去数カ年間きわ立っておる。世界じゅうでわが日本の経済の発展に刮目をいたしておるわけであります。あるいは奇跡だ、あるいは驚異だと、こう言っておる。そういう状態下におきまして、わが国が国際社会においてどういう姿勢をとるかということが、非常にこれは大事な問題になってきている。まあ非常に基本的に申し上げますと、そういう二つの問題がある。内においては内の経済運営の問題、日本国内の経済運営の問題、また世界経済の中におきましては、わが国の世界経済における姿勢の問題。そこでまあわが国が国際社会において指弾を受けないような、こういう態度、それからさらに進んでは、わが国が世界の繁栄のために貢献をするというような姿勢、これがわが国に今日要請をされておる、こういうふうにまあ思うわけでございます。そういうことを考えまするときに、まあ外貨が急増するという問題があります。これに対しましては、急増いたしましても日本はこういう責任をとっておる、尽くしておる。つまりまあ輸入の自由化の問題でありますとか、あるいは資本の自由化の問題であるとか、あるいは関税の問題でありますとか、あるいは対外経済協力というような問題でありますとか、そういう諸問題につきまして世界じゅうから何一つ指をさされないという姿勢をとることが必要ではないか。そうでないと、またわが日本自体の経済発展というものが国際社会において袋だたきにあうというような形においてはばまれる、こういうような事態もなしとしない。こういうことを考えながら、内外にわたっていま目を光らしておるという状態でございます。
○矢追秀彦君 特にいまも言われましたが、まあ私は積極的にこの国内の国民生活を豊かにして生活水準を引き上げるためにその外貨を使う、こういう点がやはりもう少し重要視されていいのではないか。いまも具体的に関税の引き下げ、あるいは輸入の自由化、そういう問題もおっしゃいましたけれども、やはりいま特にこういう点が急を要しているのではないか、このように考えるのです。いま慎重にやるとはおっしゃっておりますが、たとえば、外国で外国証券の取得とかあるいは世界銀行の貸し付けとか、そういういわゆる外貨を減らすということだけに力点が置かれると、国内の国民生活のほうがお留守になって、ただ外貨を減らす、それだけしか考えない。それよりもむしろ、いま言ったように国民生活を豊かにする。特に物価の問題が大きい問題になっておりますから、そちらに使われるべきではないか。そういう点では何か極端な言い方をしますと、まあ黒字がたまった、あまりたまり過ぎるといけないから少し減らすのだ、そういうふうな考え方ではいけないと思いますのでいま申し上げているわけでありますけれども、重ねてお伺いしますが、特に国民生活の向上という上からの外貨の使用、外貨の活用、こういう点についてはどう考えますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあよく言われるのですが、日本人は長い間貧乏人でありますから、貧乏のときの経営の手法しか知らない。少し外貨がたまって今日になると、どうも知恵が足りないのじゃないかという感じがするというような御指摘を受けますが、私もそう思うのです。やはりそれはこういう外貨事情の変化に応じましてやはり流動的な姿勢をとらなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、それはいま矢追さんの御指摘のように、やはり国民生活の向上、これに活用するように、また同時に、世界経済の中において日本経済というものが、これがほんとうに有効な役割りを尽くしておるのだという評価を受けるように、両面を踏んまえながらやらなければならぬのじゃないか、こういうふうに思います。ところが、国内の経済にいかに貢献させるかという問題になりますと、これはなかなか今度はその方法論がむずかしいのです。たとえば、輸入をふやしましてそうしてまあ国内に豊富低廉な物資を国民に供給する、こういうことにすることを考えますれば、これはあるいは関税というような問題、これが非常に有効に働くわけでありますが、特恵関税問題に見られるように、これはわが国の経済、特に中小企業に与える影響というような問題までへ考えなければならぬというようなことでいろいろ問題がありますけれども、そういう問題はそういう問題として別途対策を講ずることといたしまして、やはり外貨事情が変化してきたというところに立脚いたしまして考え方の違った措置というものをふん切った態度でとっていかなければならぬのじゃないか、そういうふうに考えております。そういう方向で諸施策を進めていきたい、かように考えます。
○矢追秀彦君 時間がないので最後にお伺いしますが、円の切り上げ問題ですが、これについてはもう御答弁は大体わかっておりますが、その円の切り上げを避けるために積極的にどのような具体策を講じようとされておりますか。やらないとするならばですがね。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ国際社会で文句を言われないようなマナーというもの、これが何よりも大事だと思うのです。つまり、いま言われているような諸問題、たとえば日本は輸入の抑制措置、これが多過ぎるのじゃないかとこういうこと、こういう問題はすみやかに解消しなければならぬと、こういうふうに考えます。 それからもう一つは、資本、輸出入の自由化の問題、これもいろいろと文句をつけられているわけでございますが、これも解決をする必要がある。きのうは外資審議会におきまして懸案の自動車の自由化という問題にふん切りをつける、そういう答申が行なわれましたが、そういう問題もずいぶん御指摘の問題には影響のある問題だろうと、こういうふうに思います。また対外経済協力、これはこれからだんだんと大事になっていくのですが、これにつきましても先進工業諸国と歩調をあわせて、むしろ先頭に立ってわが日本が国際社会に協力をする、こういうような考え方が必要である。特に必要なものは何であるかというと、秩序ある輸出という問題です。いまわが日本が繊維の問題あるいは食器の問題、いろんな問題でアメリカとの間に問題が起きておる。また、ほかの国との間でもいろんな問題があります。それはいろいろ原因がありまするけれども、一つの大きな原因は、日本の商社は非常に活発です。ですから、これは売れそうだというと、その国に一定の商品が殺到するというようなことになる。そうすると、その国の経済社会を脅かすというような事態まで起きてくるわけなんです。そうすると、その相手国は黙っておらぬ、こういうようなことでいろいろ苦情が出てくる。そういうことをなくすることが非常に私は大事だと思いますが、やはり業界の自主的なそういう考え方の変化ということ、これが強く期待されなけりゃならない、かように考えておるわけですけれども、やるべきことをやっておれば、円の切り上げなんということを言う人は私はないと思います。現に私はこの間、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この四カ国に大蔵省からそれぞれ在外公館出向員として行っている人を呼びまして、話を聞きましたら、責任のある立場に立つ人はこぞって言うと言うのです。日本は円の切り上げなんということをやるはずがない、ドイツのあのマルクの切り上げ、あの先例もあることだし、あの轍を賢明なる日本があえてこれを踏むということはあり得ない、そういうふうに考えるということでありましたが、しかし、日本の輸出マナーというものに以後気をつけてもらいたいということは苦言をいたしておきましたが、私はそれらの問題が解決されますれば、円の切り上げなんというような問題について日本が苦しい立場に立つというようなことはあり得ないと、かように考えています。
○矢追秀彦君 最後にもう一つ伺っておきますが、輸出競争力が強いから外貨がたまったわけでありますが、その原因はいろいろありますけれども、やはり一つは諸外国に比べまして労働分配率が低い、それから公害対策等にもあまり力が入れられなかった、さらに国内では高く買わされて、そうして輸出には安く売られている、そういう面も実際あるわけですけれども、そういうような点も影響していると思います。それから秩序ある輸出ということを言われましたが、そういう点が改善をされてくると、どうしても製品がある程度上がらざるを得ない。それでもなおかつ技術の革新等を含めて、この輸出競争力というものは、そういう点の改善も含めた上でまた伸びる、あるいは現状の競争力を保つことは可能であるか、この点を伺いまして私の質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は対外輸出の問題で心配しておりますのは、賃金問題なんです。賃金は私はもっともっとふやさなければならぬというふうに考えておるのですが、昨年やられましたような、一年の間に一八%以上も上がるというような状態だと、これはそれだけ対外輸出力が減殺をする、結局輸出力も減ってきまして、そうして日本経済全体として成長度が低くなるというようなことにもなるわけなんでして、そうであってはならない。やっぱりそういう壁にぶつかるというような事態を避けるためには、賃金の上昇、こういうものもなだらかに、しかも息長く続いて、最後の目標は、ずいぶんわれわれのふところも変わったなということが実現されるような行き方でなければならぬというふうに考えているのですが、あまり一どきに急にはね上がるということ、これは私は心配しておりますが、その他においてはそう心配することはありません。物価の上昇の状態を見ましても、卸売り物価が安定している、諸外国は卸売り物価が上がっている、こういう一事を見ましても、わが国の輸出体制というものは非常に強固である、こういうふうに考えている次第でございます。
○主査(金丸冨夫君) 以上をもちまして大蔵省所管に関する質疑は終了いたしました。 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 —————・————— 午後一時七分開会
○主査(金丸冨夫君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 ただいま岩間正男君が分科担当委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。 また、予算委員の異動に伴い戸田菊雄君が辞任され、その補欠として大矢正君が選任されました。 —————————————
○主査(金丸冨夫君) 昭和四十六年度総予算中経済企画庁所管を議題といたします。 午前の会議と同様、政府からの説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(金丸冨夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
○竹田四郎君 最近主要な日刊紙の値上げ発表が続いているようでありますが、きょう現在で最近における朝日とかあるいは毎日、読売、日経、こういうものの値上げ発表の現状はどうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) すでに御承知のように、朝日が最初にやりまして、読売、毎日、日経というところがすでに発表し、本日サンケイが発表しております。
○竹田四郎君 公取委員長にお尋ねしますが、この前も、四十四年それから四十三年いずれも——この前は日経の上げ幅が若干違いましたけれども、今度は全部一律に百五十円の値上げということで、しかも四月一日からということでありますが、この購読料の値上げ発表について公取委員長はどういうように判断していらっしゃいますか。
○政府委員(谷村裕君) 私どもとしては独禁法の三条後段、すなわち「不当な取引制限」、俗に申せばやみカルテルと申しますか、カルテル行為と申しますか、共同行為と申しますか、そういうようなことがあればそれは独禁法に違反することであるということで見ております。御指摘のように、過去の値上げが行なわれました事例におきましては、立ち入り検査をしてその疑いがほんとうに証拠づけられるかどうかということをやったこともございますし、単に事情聴取に終わっている場合もございます。今回のことをおまえはどういうふうに考えて、どうするかという具体的な御質問であるとすれば、ただいまの段階では私ちょっとお答えを申し上げないほうがよろしい、かように考えます。
○竹田四郎君 経企庁の長官にお伺いしたいと思うんですが、新聞値上げというのは購読者にとってたいへん情報の外に置かれてしまう。一体新聞社がどのくらいもうけているかもうけてないか、これは一般の人はわかりません。ほかの問題ですと新聞がいろいろスクープしてくれまして、カラーテレビは一体もうかっているのかもうかってないのか、値段は大体どのぐらいだということを新聞が非常に書き立ててくれます。新聞の値上げだけは社告が一ぺんにぽっと出まして、その次の一カ月過ぎますとちゃんと上がった値段で取りに来る。こういうことで全くほかのものについてはいろいろな形でやられておりますが、新聞の場合は新聞社の株式も上場されておらないようでありますから、この辺も何にもわからない。しかも国民にとっては新聞というのは今日生活必需品であります。これがこういうふうな形であっては困ると思うんですが、そうして実際消費者としてみれば最近の新聞のページ数というのはうんとたくさんあります。そしてそれがほとんど半分は広告に近い。おそらくどこの御家庭でも古新聞はございませんかといって自動車がくれば、ああいい機会だというので出して、ほんとうに始末に困る。こういうふうに新聞の厚さだけはたいへん厚くなって広告面が多くなっているわけでありますから、当然それに伴う収入はあるわけです。一体そういう広告面がふえたことによってどのぐらいの収入があるかということもこれは国民に全然わかりません。そして、場合によれば、そういうマスメディアによってよく言われる商品選択を誤るというようなこともこれはないわけではありません。こういうふうに感じますと新聞の果たす役割りというものは私は非常に大きいと思うんです。ただ、その実態が何らもうかっているのかもうかっていないのか、いま上げる理由などを聞きますと、最近は不況になって広告料が下がっているのかどうかしりませんが、具体的に広告料がどのくらい下がっているかということについてもわれわれは何ら情報を得ておりません。あるいは新聞配達の配達経費が非常にかかる、こう言っておりますが、具体的に一体いまの時期においてどれくらい人件費が上がっているかということももうほとんどわからない。こういうことで一方的に上げられるということは、いま物価を抑制をして、四十六年度はひとついままでの過去の状況から改めてやっていこう。こういう形でおそらく長官としても本年度の物価の値上げということは、経済見通しは出ておりますけれども、実際四十五年度の物価値上がりの幅が非常に大きかったということ、これはたいへん苦慮されているところだろうと思うんです。これについて長官は一体その新聞社に対して、当然ある程度の申し入れなり国民に説明のつくような資料を国民に対して出してもらうということは、これは政府として私はやってもらわなくちゃ困ることだと思います。ほかの問題の値上げならばこれはたいへんですね。ただ、新聞だけが報道を担当しているからといって、物価問題で許されるというわけには私はまいらぬと思う。これについて長官はいろいろこの値上げについてどう処理をされ、どう国民にこの問題について納得を求める方法というものを具体的にどう考えておるのか、これをやってもらわなければ私は困ると思うんですが、長官どうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 確かに新聞の値上げの影響は非常に大きいわけでありますから、もちろん値上げ自身についてもわれわれ非常に反対でもあり遺憾でありますが、同時にいま御指摘のプロセスについても問題がある。非常に一方的であり抜き打ち的な感じをぬぐえません。その両面にわたって、われわれとしても朝日の値上げ通告に接して反対を声明したわけでありますが、なお、その他の社に対しましても値上げをなさないようにという要望を出しておるわけでございます。ところが、先ほど申し上げたような情勢になっておるわけで、さらにこれについては強い警告を発しなければならないというふうに考えておりますが、特に今回のこの抜き打ち的なやり方については、もう少し手順というものがあるはずでありまして、こういう問題についても十分問題にしなければならないし、それからいまお話がありましたように、われわれとしてもこれを記事にしてくれるかどうかは別といたしまして、できるだけ最近における新聞の値上がり状況、そうしてまた物価に対する影響、こうしたものをやはり天下にはっきりさせる、こういう方法はどうしてもわれわれとしてもとりたいというふうに考えております。
○竹田四郎君 時間がありませんから、なかなか詳しいところまで申し上げるわけにはいきませんけれども、ただ警告を発したり反対声明を出しただけでは私はそのままで終わってしまうのじゃないか。そういうことも必要だと思いますが、新聞がどうして上がっていくのか。どういう経費がどういうふうに上がってきたから、そこで上がったのか。新聞社内部におけるところの、内部で吸収する金額というのは一体どのくらい努力しているのか。これはいまあらゆる面でそういう意味では物価を押えるということで非常に激しい努力を、苦しい努力を現実に各企業でやっているわけです。そういう中で、ただ反対声明あるいは警告を発して、それを聞かなかったということで終われば、これはやはり政府と新聞社との関係がどうもあやしいぞというふうな国民は自然に疑いを持ってくると思います。いろいろお話し合いになるのはけっこうですし、警告をし反対声明を出すのはけっこうでございますが、どうしてこれだけ上げなくちゃならないかというその根拠ですね、それを国民に示されるようにひとつ新聞社と折衝して出してもらう、これはできますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 今回の値上げに際しましては、従来もそういう議論があったせいでしょう、朝日新聞その他の新聞も、それぞれ多少の違いはございますが、一応従来の通告一片ということではなくて相当の長文にわたる説明書をつけておりまして、一応各社の言い分というか立場というのはいろいろあらわされておるわけでありますが、しかし、もちろん基本的にいま竹田さんおっしゃったように、いろいろとその前提については明確に一般の者がつかんでいないわけでありますから、なかなかそれだけではわからない。物価安定会議等におきましてもそういうことが非常に議論になったのも、そうしたことからきておるのでありまして、ただ、われわれとしても新聞の経理のこまかい内容まで立ち入ってどうというわけにはまいりません。しかし大体の言い分というのは、向こうの言い分と、あるいはそれの妥当性についての判断というものは十分なし得るわけでありまして、われわれも、そういう意味で物価安定会議で議論が出たわけですが、たとえば広告料の収入について言っておるけれども、しかし、それほど甚大な影響をもたらす、その広告料の収入面だけで相当大きな値上げの理由になるわけないかとか、そのほか人件費についても、御存じのように大体二割というようなウエートを持っておると推定されていますけれども、そのウエートから見まして、すぐに値上げの理由になるかどうか、いろいろとそうした点の、やはり疑問持ってるわけでありまして、そうした点を十分に議論をしたわけでございます。ただ、まあ現在では先ほど申し上げましたように、警告ではわれわれも不満でありますけれども、まず重大な警告を十分に発するということが、政府としてのはっきりした意思表示でもあり、またやはり、これを新聞に載せてもらわにゃ困りますけれども、世論に十分さらしてそしてその批判の前にさらす、これがやはり重要であろうと思うのです。それで、このところどうも続いて値上げをしているわけでありまして、これにはやはり新聞の経営の体質に問題があるのであって、もしこのようなままで続くならば、毎年値上げが起こりかねないような状況になるわけでございますから、そうした点を、十分今後のあり方として反省を求めて、そうした点をやはり天下に明らかにしていく、そういうふうな方向で処理してまいるよりないと思っております。そういう意味において、はっきりとした政府の方針というものを、考え方というものを打ち出していきたいと、こういうふうに考えているわけです。
○竹田四郎君 そういういまのお話を聞いてて、概念的にはわかるわけです。しかし新聞の値上げというものは具体的な数字なわけです。だからその概念だけではなしに、数字についても、これはやはり理解ができなければいけない、こういうふうに思いますので、概念だけでなしに、ひとつ数字についても、まあ大体の見当というものは私はついてるだろうと思うのです。そういう意味で、数字についてもひとつ国民全体、いま天下にそういうものをさらすというふうにおっしゃっておりましたから、これぜひ政府のほうでも新聞、こういうことを新聞が載せるかどうかはわかりませんけれども、しかし他のメディアもあるわけなんですから、ひとつ、たとえばテレビを通ずるなり、ラジオを通ずるなり、あるいは積極的にある紙面を政府が広告として出す分には、これはしようがない。そういう手段も私はあろうかと思うのですから、ひとつ、その点はぜひそういうことで天下に明らかに、ひとつしていただきたいということをお願いをしたいと思います。 それから公取委員長にお聞きしたいんですが、まあ最近石油関係のOPECとメージャーとの話し合い等において、原油価格が引き上げになるということで、すでにこれはOPECとメージャーの交渉が終わるか終わらないかのうちに、各販売店では、石油類の価格引き上げについて店頭にいろいろな掲示をしております。これを聞いてみますと、協同組合で話をしたからこうなったんだと、こういうふうにいっておりますが、一昨年でしたか、公取のほうで、各地域の石油類の小売商業協同組合を御調査になって、そしてその間にどうも話し合いが行なわれたというようなことで、その組合を呼んでいろいろ警告も発せられたというふうに私記憶しております。それはたしか去年のことだったです。ことしは具体的にメージャーが日本の精製メーカーにどういう値段でおろすということがきまらない前に、もう店頭では値上げ、値上げの札をかけている。それでいろいろな情報を聞きますと、これも組合できめていると、去年やって、またことしも、もう年初からそういうことをやるということになりますと、私は、まさに公正取引委員会の警告というのは全く無視され、軽べつされている、こういうふうにすら感ずるわけです。私どもがここでそうしたやみカルテル、やみ協定などの話をするのすらばかげているような感じすら私受けるわけです。今度のこうした石油類の値上げについて公取委員長はどう対処しようとしているのか。去年のことしであります。どのようにお考えになりますか。
○政府委員(谷村裕君) 問題点二つあると思っております。一つは、御指摘のような末端の小売り業者の動きでございます。そうしてこれはまさに御指摘になりましたとおりで、昨年私どもが取り扱いましたいわゆる独禁法の八条第一項違反。すなわち事業者団体による構成員の、いわば値上げ等による一斉共同行為、これが相当石油が件数を占めていることも御承知のとおりでございます。非常にこの分野は競争の激しい実態を持っております。しかも精製メーカーから一つの系列店の形でそれぞれが競争をしております。そうしてもとのほうの値が上がってまいりますと、小売りのほうが苦しいものですから、ついそういうやみ協定等の行為に出るということで、私どもはこれに対して現在の動きについてももちろん十分の監視体制を持っておるわけでございますが、値上げさえしてしまえば、あとは協定をつつかれたってもうそれでかまやせんじゃないかという、もしかりにもいま御指摘になったような、ばかにされているような話であれば、まことに何と申しますか不当な話でございまして、私どもはその点については十分やはり対処していくようにしなければならないと思っております。 もう一つのポイントは、約二十社にのぼります石油精製業者、いわゆるもとのほうの、大手のほうの方々の問題であります。これも昨年来運賃が上がったというふうな問題があり、また現にメージャーからの引き取り値段がどうというふうなことがございまして、結局はそこが一体どういう動きをしておったかということも私どもにとっては1非常な関心でございました。これにつきましては先刻御承知かと思いますが、たしか三月十二日でございましたか、石油連盟ほか数社に立入り検査をいたしまして、いわゆる話し合いと申しますか値上げについての話し合いが行なわれたのではないかという疑いのもとに、ある程度の物件をただいま押収してそれを調べており、また必要に応じて当事者に来ていただいて、いわゆる供述をしていただいておる、こういう段階でございます。これはまだいま事件として動いている最中でございますので、その内容については申し上げることを控えさしていただきたいと思います。
○竹田四郎君 石油のわれわれの生活に及ぼす影響というものは非常に広範かつ深く入っております。毎年毎年こういう形でこれも消費者の納得を得ないまま、一方的にどしどし上げている、あるいはメーカーあたりもそういうことをやっているのではないかという話であります。こうした話がどうもますます広まりつつあるような感じがするわけなんです。再販問題にいたしましても、世論は強い反対、反発をしているわけでありますが、これも実際どうにも手がつけられない、こういうような事態は政府の物価政策に対して国民の疑惑のまなざしをますます深くしているというのが私は実情じゃないかと思う。そういう意味でひとつ物価担当しているところの元締めであります経企庁及び公取として、この点は一そうひとつ物価の不当な値上がりについて抑制をしていくという立場をはっきり貫いていく、こういうふうに私は思います。それで去年お二人でぶち上げました価格監視機構、これは国民にとってはたいへん共感をよんだ問題であります。おそらく当時として政府もこれを真剣にやっていこうと、物価の価格の抑制に資そうと、こういうふうにおそらく当時は考えられておられたと思うんです。どうも最近、物価監視機構の問題は、予算の上を見ましても、実際の動きを見ても、何か花火を上げて終わりだというような感じを私どもは深くするわけでありますが、価格監視機構がこういうふうな形でしりつぼみになってしまったと、この点の経過及びその理由、こうしたものをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 別に価格監視機構の問題を私たちしりつぼみというような感じで思っていません。私自身も前回もいろいろと議論がありましたときに、基本になるところのいわゆる管理価格問題というものが、今日の物価におきまして一般的な問題として存在しているというふうにはまだ考えておらないと、しかし、今後この問題が十分に起こってくる可能性がある。それからまた部門によって、ものによってそういうことが顕著になってくることも考えられる。そういう意味において、現在、公取において限られた範囲においてではあるけれども、調査が進んでおる。しかし、まだそれが管理価格であるかどうかという結論は出ておらない。結局、なぜこういうことになるかといえば、管理価格とは何ぞやと、また、今後かりにそうした問題を取り扱うにしても、それの理論的な究明というものが前提になる。そうしてそれによってやはり対処しなければならないという基本的な問題があるわけでありますから、まずそれを十分に究明すべきである、こういうふうに終始私は申し上げておるつもりであります。ただ、思いつきでもって摘発をするとか、監視をするとか、こういうようなもののやり方は私は適当でない。それだけにこれについての究明をまず怠ってはならない。 私のほうとしましては、そういう意味におきまして、御存じのように、経済審議会と物価安定会議というようなものを持っておりますが、一方においては、経済審議会においては所得政策の検討をしてもらい、そうして物価安定会議のほうでは、この管理価格問題を中心とするところの工業品の価格形成についてのいま検討をしてもらっている、そういうことでございます。単に監視と申しましても、これは制度的にもし考えるということになりますれば、ただ思いつきでもってこれを行なうというわけにはいかないわけでありまして、そうしたやはり検討が十分なされて、その上で行なわれるべきものであるというふうに私のほうは考えております。 そういう意味において、昨年からいろいろ議論も拝聴しておりますし、また、私たちとしましても、だんだんとそうした要請の強くなることも十分にわかっておるわけでありますから、それについての準備ということも考えて十分そっちのほうの検討を進めておるつもりでございます。特にそういう意味においてしりつぼみになったという考え方は私自身も感じておりませんし、また、政府自身もそうした気持ちを持って進めておるわけじゃございませんから、その点は御了解を願いたい、こういうふうに考えております。
○政府委員(谷村裕君) 私どものほうの気持ちを申し上げますと、いわゆる自由に価格メカニズムが動き、あるいは市場機能が動くというところで、それで値段がきまっていくことが一番経済の能率的な運営であるというふうには思うわけでございますけれども、今日の経済社会の情勢が必ずしもそういう条件をすべて満たしているとはいえない段階にきていると、そこで私どもの独禁政策の立場から見ましても、必ずしも十分な成果をあげる手段を政府側としては持っていないという点が問題になりはしないかということで、実は何らかの形でそういった問題を考えるべき一つの体制、機構というものが必要であろうということを私は申したわけでございます。 で、そういう意味では、いま佐藤大臣が言われましたように、政府側としましてもそれに取り組む体制をとっておるものと思います。ただ、非常にむずかしいことは、確かに私どもは管理価格といわれるもの、たとえば寡占企業の価格の動き、あるいは需給の動向、市場の構成、そういうものを調査いたしておりますけれども、この調査から何が得られるかという問題でありますが、結局、そういった大企業、あるいは寡占企業などの価格が、いまの消費者物価に具体的に影響しているという問題ではなくて、これはいろいろなものにも出ておりますように、生産性が非常に上昇いたしましても、その生産性上昇の成果の配分ということがどういう形で現に行なわれておるかと、特にそれは利潤の問題もあります。あるいは償却の問題もありましょう。あるいは製品コストの問題もありましょうが、また賃金の問題にもからんでいることは、これはもう事実でございます。 そういった意味で、ただ、いま佐藤大臣が言われましたように、監視する体制をつくるということよりも、いかなる考え方で価格問題に対処するか、企業のそういった姿に対処するかというむしろ内容が問題であろうというふうに、私は、これは個人的な見解を申し上げて恐縮でございますが、考えておる。そういう意味で経済企画庁のほうを中心とします今後の御検討に私は待っておる。むしろ私どもの仕事を越えた問題であると、かように思っているわけでございます。
○竹田四郎君 公取委員長にお聞きしたいんですが、あなたのほうで独禁懇をつくりまして、ここで管理価格あるいは独占価格、まあ名称はそのときそのときによっていろいろお使いになったと、そしてまあ日本で一流の学者を集めまして、いろいろ検討してだいぶなるところですね、一年半近くなるんじゃないか。まあ何らかの形で中間報告を私見せてもらったことがあります。何らかの形でこれが出ていい時期であろうと私は思います。去年はビールについても、酒についても、どうも国民から見てみれば管理価格的な感じのするものが次々からあらわれた。で、今度は新聞代……。政府は一体何しているんだと、政府がいろいろなことを研究するのはけっこうなんですが、いつまでやったら一体その研究の成果が出てくるのか、いつになったら検討の結果、具体的に管理価格というものをどう規制していくということができるのか、私はおそらく完全なものというものは出てこないだろうと思う。ある意味では、試行錯誤を重ねていく中でほんとうのものが私は出てくると思う。初めからもうこれでどんぴしゃりというものはおそらく出てこないし、経済の進み方から見て、むしろそういう形では私はなかろうと思う。 で、企画庁長官のお話ですと、こうした問題は経済審議会にかけて、物価安定の部会、あるいは所得政策の部会、こういうもとで検討していると言うのですが、一体いつごろになったらそういうものについて結論が出るんですか。国民はそれを首を長くしている間にどんどん、どんどん物は上がっていってしまう。給与よりも実際の物価の上がり方のほうが激しいわけです。生産性の向上のもうワク内で見ても賃金とそうした諸物価との関係、そうしてみますと国民の生活というのは実質的にそんなに上がってないわけです。だからこそ大川報告が出るような私は事態もあると思う一体いつごろをめどにその成果を、結論を見出そう、そういう目標を——やはりいまの物価がどしどしと上がっていく時期においてはそうした一つのめどをつけて私はやるべきだろうと思うのです。それでなければ国民というのはもう全く政府機関を信頼するのじゃなしに、この一年近くの間を見てみますと物価のいろいろな価格のからくりを見ましても、まあテレビに象徴されるように、もう自分たちの力でぶつかっていく以外にはない。政府なんか当てになるもんか、こういう形。自分自身でもうやっていく以外には手はないのだ。最近の石油の値上げについてもそういう意見が非常にたくさん出ております。そういう形でもう政府なんかを飛び越えて、そしてどしどしとそういう形を住民がやっていくという方向しか私はあとに残されないと思うのですが、どうですか。いつまでにこれを結論を出しますか、めどをつけてくれなければ私は困ると思う。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、たまたま関連しているもんですから所得政策と管理価格の話と両方申し上げましたが、所得政策の検討は夏には中間報告をもらうことになっており、管理価格のほうは秋にはこの中間報告を出してもらう、こういういまスケジュールになっています。竹田さんのお気持ちもわからないではないですが、いわゆる消費者が直接にぶつかる問題、これと、政府が制度的に監視をするというか、あるいは具体的なチェックをするという問題とはその内容によって共通なものもありますけれども、もちろんもしもこれを制度的にやるということになればそう試作錯誤ということを容認するわけにはもちろんいきません。やはり十分の検討をして、そしてこれを確立すべきものであろうと私は考えております。ただしやはり消費者自身が行なうところの物価運動というものは私は一つの非常なわれわれに対しても教訓でもありますし、重要なデータでもありますし、そういう意味において十分これを尊重してしかるべきものであると思いますけれども、まあ同時にこれを一般化し、制度化するということになればやはり検討ということはどうしても必要である、そういうふうに私は考えております。 そういうことで、いまわれわれもスケジュールを具体的に持っておるわけでありますから、そうした方向でもって十分検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 公取委員長、何かお考えになっておりませんか。
○政府委員(谷村裕君) 公正取引委員会の現在与えられております権限並びに立場と申しますのは、いかにして有効な競争条件を維持するようにするかということでございます。したがって、その見地からできるだけ競争条件を阻害するような事態が起こることは避けるように諸種の施策をやっていかなければならないのでございますが、そういう問題があってもなおかつなかなか有効な競争条件が整わないために、とかく企業の市場支配力というようなものが強く動いていくというふうな場面にぶつかりましたらそれをどうするかという問題は、これは私どもも考えなければなりませんが、同時に私どもを越えた問題でもあると思っておりますので、いま経済企画庁長官が言われましたような意味で、やはり何と申しますか、大企業、寡占企業等における価格形成のあり方、さらにはその中身はいま申されたような意味での所得政策等の問題、生産上昇の成果の配分の問題等にまで触れていかなければならないのではないかと、これは私の私見でございますが考えているわけでございます。
○竹田四郎君 いろいろ議論していたら時間がなくなっちゃいますから——どうもあまり歯切れの悪い、国民の期待に沿わない御答弁だったように——私の感想を述べておきます。 次に、所得政策について長官にお聞きしたいと思うのですが、所得政策についてはこれはまだ世界的に見ても成功した例はないし、まあ日本においても大川報告等が出まして、これは経済学界におきましても決してそのままどんずばり所得政策よろしいという議論でもない。しかし今度の総理以下の財政経済に関する演説を見ますと、どうも所得政策をやるぞというふうなにおいを私ども感ずるわけです。特にあなたは何と言ったかといいますと、御承知でしょうから読むことを省略したいと思いますが、念のために読んでみます。 あなたの経済演説の中に「物価安定との関連で留意すべきことに、最近における物価の上昇と賃金の関係があります。ここ数年間、長期にわたる好況、企業収益の好調、労働需給の逼迫という事情を背景に、賃金の加速度的な上昇が行なわれてまいりました。しかしながら、最近のように景気が鎮静化する中で、これまでのような大企業を中心とする賃金の上昇が今後も引き続いて生ずるとすれば、賃金コストの上昇とその価格への転嫁という形で、物価情勢はさらに深刻化するおそれが強いのであります。今後の賃金や価格の決定に際しましては、労使とも、国民経済的観点から節度ある行動をとられるとともに、それによる価格形成が消費者の利益を十分配意して行なわれるよう、強く期待する次第であります。」これは一種の所得政策を私はにおわしているのではなかろうかと思います。 また同時に企画庁の月例報告の十二月四日の報告を見ますと、これ読みませんけれども「物価・賃金の相互循環により物価上昇の加速化傾向があらわれてきている」——常に物価と賃金、物価と賃金という形を強調している。私は、所得政策というのはあらゆる所得について考えるべきであって、賃金だけ、賃金所得に対してのみそういうことをいうということは、私はこれは間違いであろうと思う。だけれども三大臣の演説を見ますと、みなそれに似たような形で述べられておる。これは、所得政策というのはおやりになる考えなのか。いまここに述べられているように、賃金だけを押さえていく、こういうふうなお考えなんですかどうですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 高度の経済成長がまあいわば出発点となって、そしてそれが所得の異常なやはり今度上昇をもたらす。そうしてこの所得の異常な上昇というものからして相当インフレ的な様相がだんだんと出てまいる。そしてそれが今度コストプッシュ的なものに高まっていく、こういう過程というものはこれはまあわが国というよりも先進諸国がこれを経験したところであります。わが国においてもまあ今日までどちらかというとデマンドプルが非常に価格の上昇に大きな役割を果たしたといわれておりますけれども、今後十分そうした先進諸国と同じような過程をたどるおそれが出てきつつある。やはりそしてその所得の急上昇という中において、もちろん対象を占めるものは賃金でございますから、私たちは賃金をもって代表さしております。 しかし、もちろんいわゆる所得政策という、何らかの意味でもって政府が政策的な介入、それがたとえ法律的な介入でなくて説得によるものであっても、介入をするということになれば、これは大きい小さいを問うことはできないのでありまして、やはり所得全般について議論をすべきものであること、これはもう当然のことでありましょう。英国の例を見ましても、当初は賃金だけやりましたけれども、直ちにそれに追随して利潤その他価格にまで及ぼした例を見てもおわかりのように、これはやはり所得全体として考える、そういう面において所得政策とも言われておるわけでありますから、私たち、特定の所得、すなわち賃金抑制ということを特にねらっているわけでも何でもないのでありますから、要は現在におけるインフレ的な様相が出てきた場合にこれをいかにコントロールし、抑制していくか、こういう課題にこたえるためのものでございますから、別に賃金だけという議論をするつもりはございません。 ただ現実問題として昨年の春闘等も、私思うのでありますけれども、やはりこの春闘のあと始末というものが昨年の秋の消費者物価に相当影響しておることは十分認められるところであります。そういう意味において、今後特に経済成長が成長速度をゆるめていく、減速してくるというときに、やはり賃金に限らず、賃金は特にそうですが、所得というものについては、経済成長が減速しているにかかわらず、なかなか速度を落としにくいという下方硬直的な特徴を持っておるのでありますから、どうしても経済成長はダウンするけれども、賃金上昇はなかなか加速化がやまない、こういうようなことが過去の所得の例に照らしても十分あり得ることでありまして、もしそういうことになってくると、やはり問題は重要になってまいります。そういう認識のもとに、私たちとしても賃金が上昇を今後どういうふうに続けていくかということには、十分な関心を持たなければなりませんし、現実にそれがやはり物価にはね返ってきていることは明白でありますから、われわれとしても物価という対策の見地から見て、これを中止するばかりでなく、もしも諸外国が味わったような、そういう経験が出てくるということにかりますれば、これはやはり当然のこととして所得政策の要求も出てくるものと思います。そういう意味においてもちろん所得政策が成功するには先ほど竹田さんのお話のありましたように、やはりできるだけ社会的なコンセンサスというものが必要でございますから、そういう意味における賃金と物価のメカニズムというものを広く一般に知ってもらう、それは何も賃金を抑制するとか、そういう問題とは全然別でございますし、国民成長とバランスのとれたところの所得の上昇、そういうことをいかにして実現していくか、こういう問題として十分に国民にその理解を訴えるならば、必ずしも反対ばかりではない、こう考えられます。政府としていまそれをすぐ具体化する、きょうあすにでも具体化する、まだこういうところまできているわけではございません。そうした問題についても理論的な究明を十分に行なった上でこれはやはり検討すべき問題である、そういう意味において、先ほど申し上げましたように、経済審議会の中に特に分科会を設けて、そうして検討を急ぎ願っておる最中であります。
○竹田四郎君 これも議論すればきりがない議論でございますが、この辺で次に移りたいと思います。 最近の大都市の過密状況というものはたいへんなものでありまして、そうした過密から生まれてくる都市生活の非人間的な環境というようなものがますます多くなってきているわけですが、昨年の公害告発の国民運動的な様相というものは、非常に都市に対する国民の考え方、あるいは企業に対する国民の考え方、こういうものを私はたいへん変えてきたと思うのです。しかし政府のつくりました新全国総合開発計画、これはおそらく公害告発のあれだけの大運動の前につくられた、四十四年でしたか、つくられたものでありまして、若干前の計画に比べまして新しい面はその中に感ぜられたわけでありますが、しかし今日の状況と新全総というものは必ずしも現実と計画というものが一致しておりません。この間の予算委員会の総括質問でも、総理は、新全総に沿っていろいろなことを考えるというふうな言い方はしておりませんでした。あまりこれは指標になるような言い方ではなしに、そういうものもある、そういうものをあっちこっちこう行きながらというような表現をたしかお使いになっておったと思うのですけれども、いまのままの新全総で昭和六十年というものを考えるわけにはおそらくいかないと思います。新全総をこの辺で改定をして、もう少し経済の安定成長といいますか、そうしたもの、あるいは都市の過密というものをさらになくしていく、こういうためには新全総というものを改定しなければならないと私は思いますが、新全総をこのまま続けていかれるのか、あるいはこの辺でひとつ改定をするのか、どのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) いわゆる長期見通しというものの性格から見まして、いろいろとその間に流動的な点もあるわけですからして、条件の変化等もございます。そういう意味において、私どもは計画は立てますけれども、もし必要があるならばこれを改定するということについては、そうやぶさかではございません。ただ、これはもう従って、全くケース・バイ・ケースで考えていいと思うのですが、新全総は御存じのように、昭和六十年という一般の長期計画よりさらに長期的なものを取り扱っておるわけでございます。そうして、特にいまのお話は公害の見地から改定しないかというふうに私受け取ったのでありますが、そういう意味でございましたら、昭和四十四年度にこれはできましたけれども、最近ますます公害問題の摘発なり、公害問題についての問題提起が多くなってきておることは事実でありますけれども、あの段階においても、もうすでにこの新全総を扱うようなサークルの中においては、もう公害問題というものは非常に十分高く評価されておりまして、そうしてその公害問題の意識というものを十分に持ちながらこの計画の策定というものが行なわれたのは事実でありまして、むしろこれは私ももちろんその過去の経緯を聞いたわけで、直接自分が携わったわけではありませんけれども、国土開発というこの計画の性格から見て、国土開発ということが表面に出ておるわけでありますけれども、この国土開発自体がもうすべて公害ということを頭に置いて全面的になされており、非常にこれについての議論がある。でありますから、むしろ公害についての個々の具体策については、その文章の中で触れるウエートというものはそれほど高く表に出ておりませんけれども、しかしこの新全総を流れる思想そのものが一貫して公害というものを意識してやっておる。であるから、国土の再編成といい、あるいは国土の計画的な利用といい、要するに公害問題を立地的な見地からして扱っていく、こういうことが全面的ににじみ出ておると言っていいと私は思うのであります。 その意味において、これはこれ自身、別に公害を直接の対象としておる計画でないために、公害ということだけの見地からいうと、何か不十分な感じをお持ちになるかもしれませんけれども、そういういま申し上げたような経緯によってできておるだけに、もし公害という見地だけから、これの改定が必要だということになりますれば、まあこの点については、私ども十分に考えた上でやっておる、こう申し上げてよろしいであろうと思います。ただ、まあ、この計画は長期の計画でもあり、したがってフレームワークというものが前提になっておりますけれども、これらもきわめて荒い前提を立ててやっております。そして、むしろこの中の課題といいますか、文章の中に計画の中身というものを盛り込んでいく、これが中心的な部分になっておるわけでございますからして、むしろそうした点を十分に御評価を願いたい、こう思います。そして、いま申し上げましたように、総合的に見て、これが必ずしも十分でないということになりますれば、十分われわれとしても検討と再改定を辞さない、常時これについてはそういう意味におけるトレースを怠らないようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○竹田四郎君 私は公害防止の、公害をなくするという運動が出てきたから、これを変えろというふうに必ずしも言っていないわけです。公害という運動を通じて新全総というものを見てみると、今日の都市の実情、あるいは日本全体の実情、こういうものに合ってこなくなったのじゃないか。もちろん、おっしゃるように、長期計画ですから、初めから終わりまでこの計画一本でなければいけないというふうに私は申し上げているわけじゃない。その途中には、実情に合ったように計画というものをどんどんと改定をしていく必要があろう。ただ、いつまでも前につくった計画を国民に提示しておきながら、これはこういうふうに改定、この辺はもうぐあいが悪い、だからこの辺はこういうふうに変えようじゃないかと、こういう形で、その現実に合ったような形にどんどん変えていく、それを国民に明示していく、このことが私は必要であろう、こういうふうに思っているわけでありますが、この新全総においても、都市は管理、情報の中心にしていく、そして全国に足を伸ばして、都市に合わない工場等は分散をさせていくという方針があったわけなんです。では、具体的に新全総が発表されてから都市における工場、あるいは事業所、そうしたものが具体的にどのように分散されていっておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、新全総の非常に複雑なところでございますが、二つ問題がございまして、一方において、従来もそうでありましたが、非常に従来は過度の集中というものが行なわれました。この過度の集中というものをできるだけ押えていかなきゃならぬ、緩和していかなきゃならぬのでありますから、過去の趨勢から見るならば、たとえば東京都あるいは大阪に、もっともっと、このまま人口が集中をしたかもしれないけれども、その過去の趨勢というものに手を加えて、そうしてその集中が過去のような激しいものにならないように、これをずっと減速さしていく、こういうことがやはり基本になっております。その場合に、どういうふうにして減速させるかといいますと、一つは、できるだけ総体的に地方に工業等を分散さしていくということが一つ。それから今度は、首都圏なら首都圏という地域の中でもって、実は首都圏として包括的にとらえられておりますけれども、たとえば北関東を例にとるとよくおわかりのように、まだまだ未開発の利用適地がたくさん残っておるのであります。こういうわけで、首都圏の中の開発適地というものに、これをまず分散さすということが一つあります。それから、今度は首都圏というものを離れて、たとえば、むつ、小笠原のように、非常に遠隔地をむしろ頭に置いて、広く地方に対して分散を行なう、この両方の分散が考えられているわけでございます。 でありますから、首都圏の人口そのものはやはり相当増大をいたしてくることは十分予定しております。しかし、首都圏の中におきましても、いわゆる現在の都市の中心部と、そして周辺地区あるいは末端地区におけるところのいわゆるまだまだ十分でない、過疎的な開発適地というものを開発していく、こういう点がやはりひとつ特色になっています。そして、しかも、ただ分散をするだけが能ではなくして、やはり同時に、国全体としての経済が機能的に集中されなければならない。そのために交通、通信のようなネットワークを完備することによって、物的な施設というものの分散をはかりつつも、しかも中枢神経的なものの集中、集積というものが同時に実現されなければならない。それによって今後予想されるところの日本の相当高い成長というものを機能的に一体化して、国土というものが初めて一体化的な利用が実現するんだ、こういう構想に立っておるわけでございますから、それらにつきまして、今後、こういう長期計画がさらに具体的な、道路は道路、住宅は住宅、そうして具体的な計画を作成する際に、そうした気持ちでもって、これの具体化が行なわれてまいらなければなりません。最近、農村に対する工業を導入するための御存じの法律もできました。やはり運用はそうしたことを頭に置いて今後なされていく、こういうことであろうと思うのであります。
○竹田四郎君 ひとつ、問題をしぼりまして、特に、この東京周辺、東京、神奈川、まあ千葉も一部入ると思いますが、この辺の工場を具体的にどう分散していくか、こういう問題を考えていくべき時期に私は来ていると思うんです。たとえば、工場をつくる制限地域というものをもっと広げていかなければ私はいけないだろう。それでなければ、交通も港湾もあるいは電力もあるいは水も空気もすべてのものが、生産あるいは人間の生活を阻害する方向へと進んでいっていると思う。これは企画庁なり、あるいは首都圏整備委員会で、何らかそういうものについて、こうしていきたいというような考え方がありましたら、ひとつ、ここで出していただきたい。やはり、そうしたものを国民の批判にさらすとともに、国民の協力を求める必要が私はあろうと思う。具体的にどうやっていくのか。概念的には先ほどのお話あるいは新全総に流れている考え方、こうしたものである程度わかります。ただ、そうした問題を言うだけでは私は工場は分散していかないと思う。工場はただ一つの工場がそこに存在しているわけではないわけです。それに必要な下請なり、あるいは関連産業もあるでしょう、それに必要な労働者というものもそこにはついているでありましょう、それに必要な公共施設というものもそれについているはずであります。ただ一つの工場をこっちへ持っていけばすべていいということになりますと、かえって都市生活そのものが私はおかしくなってしまう。そういう具体的な考え方、これは首都圏だけに限ってけっこうであります、ありましたら、ひとつ、お述べをいただきたいと思います。
○政府委員(川島博君) 首都圏におきましては、御案内のように昭和三十四年の四月から、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律というのを施行いたしまして、当初は、東京都の二十三区、武蔵野市、三鷹市の既成市街地部分全域を対象にいたしまして、工場並びに大学、各種学校等の学校の立地制限を続けてまいっておりますが、その後、昭和三十九年に法律を改正いたしまして、四十年の一月一日から制限区域を横浜市、川崎市、川口市の既成市街地に拡大適用いたしまして今日に至っております。で、問題は、横浜、川崎市につきましては、特に既成市街地のうちの臨海工業地区、これは産業道路から南の地域でございますが、現在制限区域から除外をされておるわけでございます。私どもは最近における京浜工業地帯の過密、特に公害の激化というような現象から考えまして、少なくとも川崎、横浜の臨海工業地域、これは制限の対象範囲に拡大をすべきではないか。これは法律の改正を要しません。政令の改正で足るわけでございますので、この両市の臨海工業地域に対する工業制限法の適用は早急にいたしたいということで、ただいま神奈川県並びに横浜、川崎両市と具体的な適用方法について協議を進めているところでございます。 ただ御案内のように、最近の公害の問題のみならず、用水事情、用地事情等から見まして、単に京浜工業地帯のみならず、東京湾全域の汚染あるいは社会資本の不足といった問題がだんだんと重大化してまいっております。たとえば東京湾における工業用の原材料あるいは製品の搬出入のための船舶につきましても、現在三億数千万トンの荷物を扱っておりますが、このまま推移いたしますると、昭和六十年には十億トンないしはそれをこえる荷物を取り扱わなければならないというような情勢でございますが、わずか十一万ヘクタールという狭い東京湾内でとてもそれだけの海上荷物をさばくことはできません。したがいまして、今後は単に京浜工業地帯に限りませず、ただいま発展途上にありまする京葉工業地帯につきましても、今後は少なくとも鉄鉱あるいは石油、電力といった臨海装置性の大型工業の新規立地については厳に抑制をする必要があるのではないかという観点から、現在この京葉方面には適用されておりません工業制限法の適用の拡大をする必要があるのではないか。しかしながら、これを拡大するにつきましては、もちろん地元であります千葉県の意向も十分聴取をいたさねばなりませんし、またこれは法律の改正につながる問題でございますので、私どものほうにございます首都圏整備審議会等にもはかりまして、これも検討を近く開始をする、なるべく早く結論を出したいというふうに考えているわけでございます。
○竹田四郎君 もう私に与えられた時間がまいりましたので、あとエネルギーとか水資源の問題をお聞きしたいと思っていたのですが、時間がありませんので、きょうはやめまして、また別の機会にひとつ質疑をいたしたいと思います。きょうのところは終わります。
○矢追秀彦君 公正取引委員長に時間の関係で先に御質問いたします。 競争促進政策の面からは独禁法の強化拡充ということが、物価対策の点からは価格監視機構ということが考えられるということは前からも言われておりますが、これに対して結論としてはどういう方向で現在進められておりますか。
○政府委員(谷村裕君) 先ほどもちょっと触れた問題でございますが、御指摘のとおり、競争維持政策をこえる問題として、いわば有効な価格の監視が働かない場合のいわゆる企業の動き、市場の動きに対する対処のしかたというのが、ある意味では価格監視機構という問題としていわれているわけでございます。先ほどちょっと私も申し上げましたけれども、本来ならば価格メカニズムで価格が形成されることが一番よろしいのでございますけれども、先進諸国においてもすでにやはり同じようにそういった問題がむずかしい問題として出てきているわけでございまして、私はそういった意味での新しい経済情勢に対応するための施策のあり方というものを全体として私ども公正取引委員会の問題としてももちろんございますけれども、それをある意味ではこえた問題として政府全体で御検討いただきたい、こういうふうにお願いしているわけでございます。
○矢追秀彦君 競争条件の整備として公正取引委員会の予算が計上されておりますが、管理価格の実態調査にはどれくらいの人数が充てられておりますか。その陣容でこの管理価格の対策が立てられるのかどうか。実態調査はどれくらいの期間で終了するか。その点をお伺いします。
○政府委員(谷村裕君) 私どものほうの経済部というところに調査課というのがございまして、そこでそういった管理価格と申しますか、あるいは寡占産業と申しますか、あるいはまた大企業と申しますか、いろいろな見方があるかと思いますが、そういうところの市場のメカニズムの動き方を見ているわけでございます。従事している人間は現在十六名、今回のお願いしております四十六年度予算におきましては三名の増員をそこにお願いしている次第でございます。
○矢追秀彦君 その陣容ではたして十分かどうか、その点。
○政府委員(谷村裕君) その十分と申す意味でございますが、私どものいまやっております、またやろうとしておりますことは、代表的とも思われますような寡占体制にあります業界において、いかなる形で価格形成あるいは市場の構造が行なわれているかということを、いわば類型的に調べるという意味でございます。したがって、もしその十分という意味が何らかのそこに物価政策上の対策として、たとえば企業の価格形成について政府としてある程度指導するとかあるいは介入していくとか、そういうふうな意味を持つものであるとすれば、これは全然違うわけでございます。いわば実態調査の手がかりとなるための実情を調べると、そういう意味でございます。その点についてはたして十分であるかといえば、これはもう多ければ多いにこしたことはないのでございますけれども、しかし、政府全体の定員政策等の関係もございますので、あわせて別途予算のほうもいただいておりますので、その範囲内でとにかくやれるだけのことをやろうと思っております。
○矢追秀彦君 管理価格が形成される基盤を防ぐということで、合併規制の強化あるいはまた分割ということも考えられると思いますが、その点についてはどのように考えられますか。
○政府委員(谷村裕君) 合併につきましては、ただいまの独禁法の規定では、よく御承知のように、その合併によって一定の取引分野における競争が実質的に制限されることとなる場合とよくいわれておりますように、さような蓋然性が認められる場合にはこれを合併してはならないというふうに処理するわけでございますが、もしお聞きになっていらっしゃる意味が、もっといわば巨大企業というものが出てきてはいけないとか、競争条件に変化を与えるようなものが出てきてはいけないというような意味での、もっと合併そのものについてきつくしたらどうかという御意見であるとしますならば、これはいまも先進諸国でもその問題がいろいろ議論されておりますけれども、合併等によるいわば人為的な形による巨大なあるいは支配力を持つようになるというような問題と、それからそういうような経過を経ないで、競争の中でみずから強くなっていってしまう、そういう企業とのバランスの問題というふうなことがあるのではないかと思います。いまのところは私は、私どもに与えられておる法律のもとで、個別的に考えていかなければならないと思っております。 それから第二に、企業分割等の問題でございますが、これについても、たとえばアメリカあたりでは大企業に対して分割をむしろ命じたらどうかというようなことが立法論としていわれているようでございます。かつて独禁法ができました当初のときにもさような企業の分割というような思想もあったようでございますが、いろいろこれについて考えてみますと、やはりできるだけ競争をして、競争を通じてひとつ能力を発揮していってもらいたいという基本的な考え方を持っておりますときに、もしその競争の結果、いわばりっぱな企業として大きく相手をたたきふせて生き残ったものが出てきた場合に、今度はお前別かれてしまえと、半分になってしまえというような言い方をすることがはたしていいかどうか。これもずいぶん各国の独禁政策の問題として議論されておるようでございますが、私のいまの立場といたしましてはそこまではまだ考えていないというふうに申し上げられるかと思います。
○矢追秀彦君 新日鉄の誕生を認めた公正取引委員会が、鉄鋼業界の市場構造について調査を始めると聞いておりますが、どういう方向で進められておりますか。
○政府委員(谷村裕君) 答えが二つ申し上げることができると思います。一つは、あの合併について公正取引委員会として同意審決をいたしました際につけました条件が、そのとおりちゃんと実行されておるかどうかという調査でございます。いわばこれは審決の結果をちゃんと実行しておるかという調査でございますが、これについてはすでにいたしました。 それから第二は、そういうことではなくて、むしろ業界の実態がどのような働きをしておるだろうかというふうな、いわば合併後における鉄鋼業界の動きというふうなことでございます。これをたぶん御指摘になったのかと思いますが、そのほうでございますと、ただいま私どものほうとしましては、大体生産の状況あるいは出荷、在庫、価格の推移、さらに流通面でもいろいろと変化があるやにいわれておりますので、流通の実態、そういうふうなところまでを全部含めまして、生産者側のみならずユーザーのほう、あるいは流通業者のほうまで実情をあるいは調査により、あるいは報告を聴取する等の方法によって聞いております。これをできれば三月中にとりあえずまとめてみたいというふうに思っておりますが、現在の進行状況については私ちょっとつまびらかではございません。
○矢追秀彦君 いま大まかにおっしゃいましたが、現在鉄鋼業界が行なっております粗鋼の減産というものがはたしてこれが完全に、自主的なものなのかどうか、そういう点については調べておられますか。それとも調べておられて、大体の方向は見当はつけておられますが。
○政府委員(谷村裕君) 当然のことながら、御指摘のように、もしそれが話し合いによって行なわれておるとすれば、独禁法違反の問題でございますけれども、業界全体が経済の動き、あるいは需給のバランス等を考えまして、それぞれの個々のメーカーの責任において行なっているのであれば、それは独禁法の違反の問題にはならないわけでございます。その辺の実情をどういうふうに見るかということは、当然含めて調査をいたしております。
○矢追秀彦君 独禁法に違反しておるかどうか、これは調査の結果を待たないとやむを得ませんが、いままではそういう自主減産というものは、通産省が中に入らなければなかなかまとまらなかったわけですが、昨年十一月からわりあい簡単にこれは実現してきております。それから、減産のもとにあって、値下がりするはずのものが値上がりの傾向にある、こういう点から考えまして、ほんとうに自主的な減産なのかどうか、その点がちょっと私も疑いを持って見ておるわけですが、その点にも十分注意して調査を進めようとされておるのかどうか、それが一つ。もう一つは、やはり業界全体が競争制限的な傾向を強めておるのではないかと、そういう疑いも十分あると思いますので、その点についてもきびしく検討をされているのかどうか、その辺についてできましたらお答えいただきたい。
○政府委員(谷村裕君) 御指摘のようなことが新聞あるいは経済雑誌等においても指摘され、また世間でもそういうふうなことがいわれておりますことにも留意いたしまして、ひとつ調査を進めていくつもりでございます。
○矢追秀彦君 先ほどからも申し上げました実態調査に加えまして、やはりメーカーによる価格の管理状況、こういうものをも調査をすべきだと思うのです。これはちょっと新日鉄とは関係ないですが、製品の価格がその原価に比較して非常に高くつり上げられておるというような意見がかなりありますし、また消費者においても非常にそれを疑問に思っております。したがいまして、価格形成の実態及びそれに占めるメーカーの役割り等、かなりこまかい調査分析が必要だと思うのですが、その点についてはいかがですか。
○政府委員(谷村裕君) これは何と申しますか、どの程度のものに内容をするかということと、それからタイミングをどの程度にひとつつかむかとのかねあいになると思います。私は矢追委員と同じような気持ちで調査を命じておりますが、ある意味で、また調査に長く時間がかかってしまっても困るものでございますから、その辺は私の意を体して、事務当局のほうでやってくれておると思いますけれども、どの程度の内容のものがはたしてできるか、私も実はそれを心待ちにしているような状況でございます。
○矢追秀彦君 公取委員長、けっこうです。 企画庁長官にお伺いしますが、経済運営の指針である新経済社会発展計画、これが補正ではなくて、新しく策定されるということを聞いておりますが、そういう点についてはいかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま具体的に今日直ちに改定を企図しているというところまではまだいっておりません。ただ非常に流動的なものでございますから、常にその計画の実績をトレースしながら、実態に合うように、常に準備を怠らないでいると、しかし、計画の中でも明示しておりますように、三年目にはこれを当然改定を考えるということになりますと、少なくともその改定には一年を要するわけでございますから、そういう意味において、やはり準備をだんだん始めていかなければならなくなってきつつあるということは事実でございます。
○矢追秀彦君 次の場合、いままでGNPということが非常に中心でありましたが、NNW——福祉指標、こういったものを今度本格的に取り入れるお考えはおありですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 御承知のように、経済審議会におきましていまその検討をしておられまして、この間これのむしろごく検討の始めという程度のラフな中間報告がございました。まだまだこれを具体化していくのにはもうちょっと時間がかかるものと思われます。したがいまして、今後かりにわれわれが新六カ年計画の改定を考えますときに、それまでに間に合うというたぐいのものではないと思います。また、もしもそういう指標によるものということになりますれば、これは単なる改定という域をこえまして、計画全体も新しいものが必要になってくるのじゃないかと、こういうふうに考えられます。
○矢追秀彦君 そうなりますと、次、たとえ三年、正確にいうと三年になるわけですけれども、予定どおりいくと、そのときはそういう私は時代の推移からいいまして、もっと抜本的にいまのような方向をとるべきだと思うのですが、その点はどらですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 非常に各方面の御要望も強く受けますし、いまの御質問のお気持ちももちろんよくわかりますが、いまの状況でなかなかそこに間に合いますか。いま申し上げましたように、どんなにしても一年は準備にかかるわけでありますから、かりに四十八年度に間に合わせるといたしましても、なかなかそれまでに御指摘の新しい指標というものを完成するかどうか、ちょっとこれについてはむずかしい点があるんじゃないかと私自身思っております。
○矢追秀彦君 総理府統計局の発表によりますと、四十五年一月から四十五年十二月までの消費者物価の上昇率が七・七%、それから、このまま推移しますと、四十五年度はどうしてもやはり七%をこすということは間違いないとよくいわれております。この点もやはり新経済社会発展計画からずれると考えますが、新経済社会発展計画は六年の平均が四・四になっております。最終年度三八と、この目標は希望目標なのか努力目標なのか、あるいはまた実施目標なのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 経済計画の中における指標は、やはりその事柄の性格によってそれぞれ単なる予測であるものや政策目標的な性格の強いものやいろいろとあるわけでございますが、物価につきましては率直にいいまして非常に今日の中心課題でございますだけに、これの抑制というものにはよほどの努力が必要でございますし、そしてまた、やはり新しい年次計画も古い年次計画の相当影響を受けるわけでございます。そうしたことも頭に置いて考えますと、われわれとしても何とか平均四・四あるいはまた最終年度三%台というものを実現したい、こう思っております。もちろんそれにはただ無為にするわけではありませんで、各般のいわゆる具体的な措置というものをできるだけ進めてまいる、こういうことを前提にしております。そういう意味においては一種の政策目標ともいうべき性格を非常に持っておるものであることは間違いありません。
○矢追秀彦君 さきの経済計画では、経済成長率を八%程度に維持しても物価は年四ないし五%の上昇を続けるおそれがあると、このようになっているわけです。それが新計画では成長率が一〇%程度で物価は年平均四・四%と、このようになっておる点。大体成長率が上がれば物価が一応上がるというふうなことになっており、しかも、先日参議院の物価対策特別委員会で、阿部委員の質問に答えられまして、四十二年、三年、四年というような、実績で=二%、名目で一八%前後というような高い経済成長、こういうものが続いておったんでは、幾ら口で物価安定と言っても、これは基本的にむずかしい、こういう考え方を持っております四と、このように述べられまして、一応経済成長と物価という関係についても大体認めておられるようでありますが、そうなりますと、成長率を二%上げて物価がむしろ四・四−前の計画では四ないし五と、このように押えられておりますので、この点がちょっと私自身は問題があったのじゃないか。指標の策定という、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 確かに四十二年、三年、四年と非常に高い成長で、ございまして、これは明らかに私どもが考えております適正成長力というものをこえる成長であったというふうに言えると思います。それを軌道修正しまして、いわゆる安定成長の路線に定着さしていくということをねらっておるわけでございますけれども、その際に一体、何%が安定成長であるかという判断はやはりそのときの時期、時代によって判断が違ってくると思うのであります。物価の見地から成長をただ下げさえずればいいのだというわけにもまいりません。今日におけるところの日本の経済の構造、仕組み全体、そうしたものがいままでの過去の経緯と深く結びついておるわけでございますから、これらを徐々に時間をかけてそうした安定的な安定成長に適応したものに持っていくには時間がかかるわけでございます。でありますから、幾らむやみに下げてもいいといっても、ただそれでもって下がるわけのものではないわけであります。それからまた他面におきまして、ただ一挙に下げるというようなことになりますると、これはこれでもって一つの大きな反動をもたらして、それはそれでわれわれの経済にとって重要な弊害をもたらすことにもなるわけでありますから、やはりこれは段階的に処していくべきものである、そういう意味において、まあ一〇%くらいのところを頭に置いていくのが、この際としては妥当ではなかろうか、こういう結論から、御存じのように一〇・六%という数字が、目標が出たわけでございます。 しからば、それに対応するところの物価はいかがであるか、そこにいきますと、確かに過去のモデルからくるところの計算というものが一つ出てくるのでございますけれども、しかし、できるだけこの際、同時に物価の安定というものを確実にしなければならないという政策目標が、この新計画においてもきわめてはっきりと重要なものとして出されているわけでございます。そういう意味において、政策的な努力をここに集中して、そしてかりに六%になる、あるいは五・五%になるというような傾向のものをさらに政策的な努力によって、それをできるだけ低いものに押えていこう、こういうことで、まあ、その計画の中にはたとえば、今後における輸入の自由化の影響を織り込んであるとか、そうしたものをいろいろと考えて、そして大体そうした低位のところに置いたわけであります。
○矢追秀彦君 物価対策のための予算の裏づけ、これは非常に少いとも言われておるわけでございますが、政府のほうでは非常にふやした、このように言っておられますが、この予算の裏づけについて、特に重点的な投資をされて物価安定をはかっておられる部門はどことどこですか、具体的に。
○国務大臣(佐藤一郎君) 具体的なところは政府委員から申し上げますが、私は前回もどこかで言ったのですが、実は物価関係の経費と、こういうふうに呼んでおります。特にこれは一般会計だけでなくて、財政投融資を含めてやはり考えるべきものであろうと思っております。ただ金額の多きを誇るということではなくして、と申しますのは、この関係経費でございますから、たとえば住宅の政策費をとりましてもおわかり願えると思いますが、これは物価にも非常に関係がありますけれども、住宅の供給自体を本来の趣旨とする経費でございます。そういう意味におきまして、非常に関連があるということでここに計上しておりますだけに、ただ金額の多寡だけでもってそのメリットを評価するというわけにもまいるまいということもあろうかと思います。そういう意味において関係的な経費である、そういうふうに御了解願いたいと思います。その中でも大宗を占めるものは、金額的に大きな幅を占めるものは、いゆる低生産部門におけるところの生産性の向上のための経費、すなわち構造対策費というものが非常に大きな比重を占めておる。それからまた、金額はそれほどウエートは高くはございませんけれどもも、私たちがさしあたって昨年度の予算の編成の過程において非常に力を入れてそうしてその計上において努力したものには、流通関係の経費がございます。特に生鮮食料品関係等は御存じのような急上昇でありましたので、それだけに野菜やその他のいわゆる供給安定というものをはかるために必要な流通関係の経費の計上にできるだけ努力をした。これは、必ずしも、いま申し上げたように、金額の多寡によってそれを評価するわけにはまいりませんけれども、そうしたことが言えると思います。
○政府委員(宮崎仁君) 四十六年度の物価関係経費の重点になると思われるものについては、いま大臣の御説明があったとおりでございますが、若干計数的なことを申し上げます。 全体といたしましては、一般会計、特別会計合わせまして、四十五年度の六千五百二十六億に対しまして、八千百七十五億、約千六百五十億の増加、二五%増、こういうことになっております。その中で、一番おもなものが低生産性部門の生産性の向上でございまして、四十五年度三千八百九億に対して四千五百三十四億の増加、こういうことになっております。内容は、農林水産、中小企業というような部門に対する構造対策でございます。それから流通対策につきましては、四十五年度七十五億に対して、四十六年度九十四億、十九億円の増加でございます。それから労働力の流動化の促進、前年度九百十九億に対して、千二百五十一億、三百三十二億の増加、それから生活必需品等の安定供給という関係でございますが、前年度三百四十四億に対して、六百六億円、二百六十一億円の増加、これもかなりの増加になっております。それから若干性質的には違う点もごございますが、住宅及び地価の安定、四十五年度千三百七十二億に対しまして、四十六年度千六百八十三億円、三百十一億円の増加、大体こういったような内容でございます。
○矢追秀彦君 その低生産性部門の構造改善に力を入れられておることはけっこうでございますが、その中で農業構造改善対策費が減っておるわけでありますが、これについてはどういう考えのもとにこういうふうになったのでしょうか。
○政府委員(宮崎仁君) 農業構造改善事業は、御承知のとおり、第一次、現在第二次という形になっておりますが、年次の計画を立てましてこの事業が進められております。そこで、四十六年度には、もう終わりに近づいておりますので、計画どおりやってまいりましてもこういった形の予算の減少になりますが、もちろん、構造改善の問題というのは、ここにあがっております農業構造改善対策費だけではございませんで、農業基盤その他の振興関係の経費を合わせて農業の構造改善が行なわれているわけでございまして、全体として見ますると、農林漁業対策として掲げられておる経費は非常に大きくふえておる、こういう形でございます。かなりの進捗になると考えております。
○矢追秀彦君 もちろん、私は、低生産性部門の構造改善、これは反対じゃございませんけれども、これをどの程度まで持っていくかということに非常に議論があるわけです。ある人に言わせると、GNPの一%ということを言う人もありますし、その辺についてはどのようなお考えですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 何%というようなふうに別に具体的には考えておりませんけれども、これは今日の農業生産というものの生産性が非常に低いということに着目して、政府としても今日までにずいぶん投資を行なってきております。ただ、私たちの感じでは、実は、この投資問題の底には制度的な問題もあるのでございまして、農地法の問題とかそうした問題のワク的な制限的なもの、それが前提になっておるだけに、その投資効果というものについてはよほどわれわれとしても考えなければならない面があるように思います。そういう意味において、一面において、その投資の効果をあげるようなワク組みというか、そうしたことも頭に置きながら投資を進めていかなければならぬ。そういう意味におきましては、一貫して投資をずいぶん進めてきております。ただ、政府投資だけを中心にやりますと、どうしても、今日のように民間経済を主導型とするところの高度の成長経済においては、ウエートが低くなりがちでございます。今後、そうした意味で、民間の資本というものをどの程度この方面にも注ぎ込めるか、農林中金等の金をいかにして還元することができるか、いろいろと問題を持っている部面でございます。私たちとしては、しかし、今後も、財政投資を中心にしましてできるだけこの方面をふやしてまいる。そうして、それを効果的ならしめるように他の条件を改善をしていく、これが必要であろうかと、こう考えております。
○矢追秀彦君 いま言われました投資の効果についてでありますが、過去の投資の効果についてはどのような形で検討されておりますか、それを全部点検をして、それに対してこういう改善をしていくと、こういうことは具体的に行なわれておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 結局、一つは、農業投資の問題を考える際に非常に困難な一つの問題は、全国的に都市化が進んでいるという問題であります。この都市化現象が進むに従いまして、せっかく農業投資を行なったその部面というものが、ある意味において計画変更を余儀なくされる。あるいは、すでに投資が済んでおりますにもかかわらず、これを転換しなければならない。そういうような意味におきまして、変転きわまりない今日の地方の情勢というものを頭に置いて、今後そうした意味の計画性というものの確立をもう一回再検討されなければならないと思われますし、それからまた、同じ農業生産といいましても、それの需要の動向というものが、これまた変わってきております。そうして、農業政策の重点をどこに置くかということで、従来は御承知のように米中心の農業政策であったわけでありますけれども、それが今日の時代になったわけでありますからして、今後農業生産というものがその需要動向とともにどういうところに重点を移していくべきか、そうした点を十分検討いたしませんと、農業投資というものが生きてこないわけでございます。そういう意味において、最近よくいわれます、いわゆる農業政策の確立というか、多角的な農業といいますか、総合農政といいますか、いろいろなことばで言われておりますけれども、そらした意味の計画性、これを十分に考えて、そうして投資をやっていく、これが一番基本的な問題でありますし、それから制度的ないろいろと制約があるとするならば、そうしたものを逐次撤廃していかなければならぬ、こうした点が非常に大きな問題になっていると思います。これは、農業についていえば、農林省が中心でやっているわけであります。農林当局も、そうした新しい角度からの農業政策に即した農業投資、こういう方向づけを当然行なっておるわけであります。
○矢追秀彦君 次に、輸入政策の問題に移りますけれども、物価を五・五%以内に押えるための具体的な政策として、輸入政策の活用、競争条件の整備等を積極的に進める、このように言われておりますが、この輸入政策については、具体的に、いろいろ自由化の問題等もきょうの新聞に出ておりましたが、全体としてはどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 輸入政策には、いわゆる自由化の問題と、それから輸入をできるだけ促進する問題とございます。それで、自由化につきましては、御存じのように、従来の輸入制限品目百二十を大体四十にまで減らすというところまで一応目標をつけたわけでございますが、四十ということに決して満足しないで、さらに重要な品目の自由化を必要とすると思います。これは、今後、日本がいわゆる黒字型の国際収支の型というものになって、ますます黒字がたまっていくと、こういう傾向が御存じのように指摘されているわけでありますが、そうなればなるほど、われわれとしてはこの輸入の自由化というものをさらに促進していかなければならなくなります。そして、それは、国際収支政策の上からも重要であるばかりでなく、同時に、物価対策上も重要な一つの柱になるわけであります。でありますから、四十品目というものをさらに減少さしていく、こういう方向で今後進められなければならないと思います。もちろん、さしあたってそれが国内の農業生産に与える影響につきましては、それの調整ということを十分頭に置きながら、しかし必ず前進するという方向においてこの措置をはかっていかなければなりません。また、輸入の弾力化でございますが、これもこういうふうに昔と違いまして外貨の十分にある今日でございます。できるだけ国内物価対策の必要からもこれの積極化をはかってまいらなけ、ればなりません。そういうことで、個々の品目について見ると、それぞれ効果をあげておると思われます。今後、さらにいろいろと具体的な問題になると、しかし、タイミングを失したとか、あるいは量が足らなかったとか、いろいろと問題があるわけでありますから、そうしたものをもっと機動的に、しかも十分な輸入量というものを考えるようにしていく。その意味においては、閣僚協議会におきまして、昨年、すべての物資について国内需要の二%までは無条件でもって輸入するという方針をつくりましたが、その天井を広げましてさらにこれを高い金額までどんどん輸入し得る、こういう体制にいま持っていこうと、こうしておるわけであります。
○矢追秀彦君 先月の参議院の決算委員会でも問題になりました輸入行政のあり方でありますけれども、この間の決算委員会では、牛肉それからタマネギ等の輸入割り当ての問題、これが議論されたわけでありますが、こういうせっかく外貨を使っていま言われたような輸入政策をとられて物価対策に効果が出るはずなのが、具体的に言いますと、タマネギがオーストラリア、アメリカから輸入されておりますが、中央卸売市場にはわずかしか姿を見せないで、タマネギの値段には全然影響がなかった。また、スコッチウイスキーや高級ブランデーが自由化されても、値段は全然下がっておりません。したがって、自由化したからそれで物価対策になるということはちょっと問題ではないか。しかも、緊急輸入の場合におきましても、例をあげますと、オレンジ濃縮ジュースの例でも、これは去年ですが、物価安定には貢献をしておりません。しかも、このジュースの輸入割り当てを受けた会社の不明朗な輸入の経過、こういうふうな点で、結局、実際は消費者に安いものになってはね返ってきていない。特に消費者の非常にほしいとしているものほどこういうことが起こっている。こういう輸入行政というものを抜本的に改めなければ、幾ら輸入政策をとられても、物価には影響が出てこない、こういうふうになっているわけですが、そういう点についてはいかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、御指摘の点が、われわれの経験で失敗例がしばしば指摘されておるのは、事実でございます。これは、一つは、長い間の封鎖経済、それが初めて輸入を弾力化してくる、こういうことになった初期にありがちの、やはり未経験のもたらす要素が多いと思います。今後、輸入の弾力化ということの経験を積むに従って、そうした失敗がなくなってくるんじゃないか。たとえばタマネギの例をとりましても、第一に北海道の生産量が非常に少な過ぎた。これは予想を越えて減っておった。そのために、供給に意外に大きな穴があいた。ところが、それに対して、あまりに量の少ないものが入ってきた。ですから、せっかく入ってきたけれども、焼け石に水である。しかも、オーストラリアのタマネギというのが、ほとんど日本人の嗜好に合わない、どっちかというと質の悪いものであった。そのために、入った当初から中央市場向けにならない品質であった。そのために、ふぞろいな粗末な品物を地方の市場に最初から分割して売らざるを得なかった。そういうことを考えてみますると、輸入政策を行ないます際に必要なことは、急に日本のような巨大な需要というものをまかなうための輸入数量というものをまかない得るだけの生産地、供給地というものがすぐに見つかるわけではございません。これは、どうしても、継続的な取引を行なっていくうちに、相手の国でも日本の市場というものを意識して、それに対する供給態勢が備わってくるわけでございます。いい例が、たとえば朝鮮のノリでございます。あのノリを、日本が、不作のときには非常に買った。次の年に豊作であったから買わないという議論がありましたが、われわれは、それはいかぬ、どうしてもできるだけ入れるべきであるということを強く主張して、ある程度成功したわけでありますけれども、やはり、諸外国のほうから日本に物を出す以上は、継続的に引き取ってもらうという保証がなければ、供給地においても安心して生産の継続ができない。特に食料品の関係の輸入というものは、諸外国でも、輸出市場が確立していない以上は、その国の消費以上の生産はなかなかしておりません。そのために、いまお話しのような多くの問題がある。それからタマネギの場合が一番いい例でございますけれども、われわれが需要する品質が合っている台湾のタマネギは、三月以前には入ってこなかった。そのために、この三月までの不足期に間に合わなかった。今日になると、台湾のタマネギがどんどん入ってきておる、こういうことであります。でありますから、これらについては、今後だんだんと自由化される体制になってきている今日になって、だんだんと経験を積んで、そうしたものについての体制の整備をはかっていく、そうして国内に対する供給の安定化をはかっていくことが十分可能であろうと、こういうふうに考えておるわけであります。 それからただ一つ、御指摘のウイスキーのように、国際資本との取引関係において非常に問題があるいわゆるソールエージェンシーのような問題について、私は、実は、今後の課題と申し上げる以外にはないと思います。国際的な関係があり、いわゆる取引の一つの合法的な形でございますから、そうしてこれはどういうふうにするか検討しなきゃなりません。なお、ウイスキーにつきましては、自由化された直後でありますから、またこれがどういうふうになるか、ほんとうの効果というものはもうちょっと時間をかけて考えなけれ沖ならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 いまこういう輸入行政にあたっていろいろな問題が出てきた陰には、国内の産業あるいは業界を保護する、それがそのために消費者にはね返ると、こういうことがわりあいあったわけです。もちろん、保護はしなきゃなりませんけれども、見ておりますと、何でも消費者にしわ寄せが来るような気がしてならないのです。今回も、関税の問題一つ取り上げましても、チューインガムの自由化に対しても関税を上げる上げないの問題、こういうのもその一つだとも言えると思いますし、また、砂糖につきましても、関税それから消費税が非常に高い。これは事業団との問題があるわけであります。そういう業界ないしは産業界の保護と、いわゆる物価政策の上からの輸入というものを、何か切り離してできないものかどうか、その点はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) お説の点があると思います。私も、実は、輸入をもっと円滑にできないものか。特に農林省系統の物資の輸入につきましては、形式上は通産省が輸入をする形になっておりまして、手続的にもずいぶん問題があると思います。あるいはまた、植物防疫上の手続の問題であるとか、いろいろ実際にやってみますると、どうも隔靴掻痒の感の深いものがございます。そういう意味において、輸入のしかたについてさらに検討を加えまして、これについては何か新しい考え方によってもっと機動的に弾力的に輸入がなし得るようにしていかなきゃならぬというように知も考えております。国内的な要素の強い物品でありますだけに、そしてまた、最近になって初めて輸入を積極的に行なうという道を開いたばかりのものでありますだけに、御指摘のように、いわばへっびり腰で輸入しているような感じが強いの下ありまして、これらもだんだんとなれてまいることと思いますけれども、しかし、十分政府としもこれについては意を用いて円滑な輸入がはかれるように今後そういう方向で行政を進めていきた い、こういうふうに思っております。
○矢追秀彦君 輸入の問題について、今度は観点を変えまして、輸入インフレという問題についてお聞きをいたしますが、現在は、金融引き締めの効果もあらわれまして、卸売り物価も一応は下がってきている現状でありますが、海外からのイ ンフレ、特にアメリカのインフレが輸入されてくる、これが物価上昇に大きな影響を及ぼしてくるのではないかと思います。アメリカの輸出品、特にアメリカからの原材料の価格、これが卸売り物価の動きと一致しておるように考えるわけですけれども、これらの輸入の原材料が現在上がってきたのが相当大きく物価にはね返ってきていると思いますが、この点についての現状把握と対策、これについてどうお考えになっていますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) アメリカのインフレというものが世界経済に及ぼしている影響というものは、確かに非常に巨大であろうと思います。その影響のしかたもいろいろありまして、いまお話にありましたように、輸入原材料の価格の上昇を通じて来るものももちろんございますが、むしろそれよりもアメリカの経済需要というものが非常に巨大でございまして、しかも、アメリカの国内価格が非常に高くなっておりますから、その高い価格によるところの高い需要というものが日本の商品をアメリカに引き寄せる、すなわち日本の輸出を巨額にする、そうしてそのことを通じての輸出インフレ的な意味での影響、こちらのほうが一般的に高く影響するものというふうに評価されております。あるいはまた、それらを通じて、いわゆる外為会計を通ずるところの通貨の放出というものの吸収が不十分でありますと、これもまた国内的な意味においてインフレの一原因になる。こういうふうに、いろいろのプロセスを通じてそうしたものが入ってきているというふうに指摘されているわけであります。それで、アメリカの経済の今日は、確かにインフレ的なものが非常に濃いわけでございますからして、私たちも一面においてはアメリカ自身の行儀を直してもらわなきゃならぬ。これは世界の通貨会議あるいはOECDその他のいわゆる国際的な場裏においてしばしば各国から強い要求がアメリカに対してなされておりますが、なかなか思うように進捗しておりませんことも事実でございます。ただ、この方面の影響というものは、そういう意味においてこれ一本でもってやるということは、通貨の調整でもする以外にはないわけでありまして、今日において、日本は、アメリカとの関係においては、そうした要求がある程度ありますけれども、日本経済全体として見て、今日、通貨調整を行なおうという段階には来ておりませんから、そういうことになれば一輸出インフレに関する限りは、輸入を促進することによってこれを解消する、あるいはまた、外貨のたまり過ぎによるところのインフレ的な要素については、資本輸出その他経済協力をできるだけ促進してまいる、そうした形でもってできるだけ影響を緩和してまいるということ以外にはございません。ただ、最近まで昭和四十四年ごろからのいわゆる非鉄金属その他の海外市況商品といいますか、原材料商品高というものは、これは市況商品としての性格上、必ずしも継続性を持っておりませんでして、同時にまた、落ちるときには激しい反落を示しております。そういう意味において、長期的に見ますると、そうしたものの影響というものはある程度緩和されてきておるということが十分言えると思います。米国の経済政策によるインフレというものは世界平等に影響するわけでありますが、特に日本については関係が深いのでございますから、これについては米国自身の自粛を大いに要請しなければならない、こういうふうに考えています。
○矢追秀彦君 いま、通貨についてはいじらないということを言われましたが、たしか昨年だったと思いますが、カナダで為替相場を自由化をして、そうしてアメリカのインフレを遮断するという方法をとったわけですけれども、その効果、それについては参考として検討はされておりますか。
○国務大臣(佐藤一郎君) カナダの物価高は、これはまた日本と比較にならないものでございます。それからまた、アメリカ経済との密着度も、これは日本と比較にならないぐらい、ある意味においては準国内と言えるぐらいの情勢であります。そしてまた、賃金のいわゆるレベルなども、アメリカときわめて接近するところまでどんどん上昇をしておる。いろいろな意味で、陸続きである関係もありますけれども、カナダのアメリカから受ける影響というものは非常に大きなものがございます。そういう意味においてカナダがああいうフローティングシステムをとったのは、これは一つのやはり実験であったろうと思います。一般的に言って、あれは、まず通貨調節の前提にするためにあのフローティングシステムを採用した。これはドイツがマルク切り上げを行なったときにもやったような実験でありますが、そういう前提をもって行なった実験でございます。ああしたことは、最初から通貨調節という方針がきまって、はじめてできることでありますが、わが日本におきましては、まだそうした結論をもちろん出しておるわけでもございませんし、また、むしろ、今日においては、それは避けるべきであるという意見が大かたの意見でございますからして、そういうことを前提にして議論するわけにはまいらない、こう考えています。
○渡辺武君 私は物価問題について伺いたいと思いますが、経済企画庁長官は、国会でのしばしばの答弁の中で、高度成長が物価上昇の要因の一つであるという趣旨のことを申されておりますし、特に、経済演説の中では、経済成長と物価安定とが両立しなければならぬのだということを盛んに言われているわけです。 そこで、伺いたいと思いますのは、経済の高度成長が消費者物価を引き上げるに至るメカニズムはどんなメカニズムなのか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) これはいろいろ複維な経路がありますが、何といいましても高度の需要が発生をいたすわけでございます。そして、まずそのために、巨大な需要に立ち向う安定した供給力というものが必要でありますが、その際に高度の成長に対して供給体制が立ちおくれておりますと、そこに需要と供給のアンバランスというもが一つ出てくると思います。それから供給体制がかりに安定しておりましても、いわゆる労力の需給の逼迫というものは次第に激しさを加えてまりまして、この面から来るところの賃金の上昇いうものが避けられなくなります。賃金の上昇いうもの自体が所得インフレ的な様相を呈していりますと、これはこれで非常に個人需要が強くなってまいりまして、これもいわゆるデマンドプルの大きな要素になってまいります。それからまた、生産性の高い大企業部門における賃金上昇いうものが、生産性の低い中小企業その他の低生産性部門の賃金引き上げを余儀なくしてまいる。ここにおきましては、生産性の格差というものがかなか埋まらないけれども、賃金の平準化というものは勢い進んでまいるので、その結果といたまして生産性の低い部門における賃金上昇が起こってくる。この場合におきましては、どうしてもその製品価格への転嫁ということが起こってまいりまして、主として低生産性部門におけるとろの、したがって、また、消費財部門と比較的密接な関連のある部門における価格上昇というもが起こってまいる。こういうことで、一方においてはそうした生産性の格差というようなものか賃金の上昇、そしてまた、それの転嫁というような過程から来る価格の上昇も起こる。一方においては、直接の需要、特に工業の高度成長のため前提になるところの設備投資需要というものが発するところのいわゆる乗数効果的な社会需要いうものが非常に起こってくる。そして、さらに所得需要にもなる。そして、また、賃金の筋道通じてのことも起こってまいる。いろいろと複雑な経路を通して物価上昇というものが起こっている。そして、賃金の上昇というものがだんだんと加速化してまいりますると、これは下方硬直性を生んでまいることになるわけであります。そして、一方におきまして、特に成長が速度をゆるめるというような事態に立ち至りますと、大企業においても賃金の上昇というものが生産性の上昇でカバーできないような事態に立ち至ることも十分考えておかなければならなくなってくるのではないか。そういうことになってきますと、全面的に賃金の上昇というものが一般的に価格との密接な関係を持つようになってまいる。こういうことで、これは発展の段階によっても違いますけれども、いろいろな経路を通じて物価上昇が実現される、こういうことが言えると思います。
○渡辺武君 いまの御答弁を伺っておりますと、生産性の上昇、それに伴っての需要供給関係、あるいは賃金の上昇、高生産性部門及び低生産性部門の構造的な格差というような点がおもな内容であったかというふうに思いますが、需要供給関係の問題についてはあとでなおいろいろと伺いたいと思いますが、まず最初に、いまおっしゃったいわゆる構造的要因の問題ですね、この点について伺いたいと思います。この構造政策なるものを物価対策の一つの大きな柱に据えてこられたと思いますし、現在の政策の中でも大きな比重を占めていると思いますけれども、一体、いつごろからこの構造政策を物価対策の柱に据えてこられたのか、これを伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) これはもう三十年の半ばごろから、いわゆる日本の高度成長と称せられておりますが、あのころに急激に消費財の価格の上昇を見まして、そうして結局それらは急激な需要の上昇に対する供給体制の立ちおくれということがやはり非常に指摘をされてきております。そういう意味においては、もう三十年代から問題としては取り上げられているのでございますけれども、しかし、なかなか十分な効果を発揮しておらない。そうしてまた、最近に至って特にこの問題がさらに深刻に指摘されるようになってきております。野菜の問題なんかの経緯を振り返りましてもいわゆる供給安定の法律ができたのはたしか三十年代の半ばであったと思うのでありますが、やはりそうした意識が一つ非常に手伝ってあったと思います。しかし、なかなかいわゆる集団産地というものの効果が最近になって批判されておりますようにどうも思わしくない点があるというので、再度いま再検討の段階に入っておりまして、今後本格的にそうした問題を取り扱わなければならないという意見が強まっておる、これは御存じのとおりであります。
○渡辺武君 三十年代の半ばから物価対策として構造対策を取り上げてきた。ところが、いま長官の御答弁では、なかなか効果があがらないという御答弁ですね。確かに効果はあがっていないと私も思います。この間の予算委員会の一般質問の中で御説明いただいたわけですけれども、あなたのほうでつくっていただいた統計で見てみましても、消費者物価指数の年平均の上昇率を見てみますと、一九五〇年から一九六〇年までは、年率平均四・〇%という速度で消費物価が上昇している。ところが、一九六〇年から一九七〇年までは、年平均五・九%という速度に変わってきているわけですね。その一九六〇年代を佐藤内閣の出現以前と以後とに分けて見れば、佐藤内閣の出現以前は五・四%、佐藤内閣が出てからの六年間が五・八%、こういうことで、物価はしり上がりに上がってきているというのが実情だと思うのです。つまり、このことは、構造政策を物価対策のおもな柱の一つとして取り上げてきたということが失敗したということをはっきり私は物語っていると思う。さらに構造政策を強めなければならぬと考えているとおっしゃいますけれども、過去の実績ですね、それをまじめに検討して、この失敗の原因はどこにあったのかということをよく検討する必要があるのじゃないかと思うのですね。 率直に伺いますけれども、この構造政策で今後物価が安定する確信がおありなのかどうか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 私も、しばしば、佐藤内閣、池田内閣というような分け方で質問を受けるのですが、率直に言いまして、この一年をどっちに入れるかでずいぶん指数が違ったりしています。総体的に見ますと、やはり三十年代の後半の消費者物価の上昇というものは非常なものでございます。むしろ、四十年から少なくとも四十四年までは、それに比すれば高度成長のわりにわりあいに安定していたと言っていいと思います。問題は、四十四年の末から起こった季節商品というものの上昇を契機として起こったところの四十五年の物価急上昇というものでずいぶん平均値が上がってまいりましたけれども、総体を見ますると、私たちはこの年度の比較をよくやりますときに、決してそんな特別の差があるとも思っておりません。また、暦年でとるか年度でとるかでずいぶん数字に影響しています。そういう意味で、特にそのことから直ちに総体的にすべて上がったのだという立証はなかなか無理ではないかというふうに私は考えています。ただ、御指摘のように、いわゆる構造対策の効果がなかなかあがりにくいという点は、確かでございます。一つには、急角度の高度成長というものが継続して非常に条件が流動的であったということ、そのために、少しぐらいの努力をやってもそれが打ち消されていく、こういう要素があったと思います。そういう意味において、やはり計画の立て方自体にも問題がありましたし、その実行についても、さらに努力がもっと要請されたのだと思います。特に低生産性部門の構造対策を進めるのに重要なのは、私は輸入対策ではないかと思うのであります。その面が、率直に言いまして、過去においては国際収支というものが二、三年ごとに赤字になってまいった。そのために、外貨不足から来るところの輸入不足というものがどうしてもございまして、そのために、消費財部門の輸入をもっと促進しなければならぬ時期においても、輸入が十分行なわれなかった。それが、今日の段階において、前の三十年代の後半と非常に違った点の一つではないかと思うのです。そこで、私たちも、今日は、自由化を思い切って進めることができる体制になったわけでございます。そうして、また、同時に、自由化まではいかなくとも、いろんなそうした農産物についても、できるだけ輸入を推進していくということをとり得る体制ができてきたわけであります。もちろん、国内産業の保護の名のもとにおいて輸入を弾力的にやることについては、率直に言って抵抗が少々なくございません。でありますから、よほどそこのところは十分話し合いをしなければいけませんけれども、しかし、最近においては、輸入の促進ということが相当進んできておると思います。これは、国内の産業についてだけ言えば、一つのやはりショックでございます。そういうことが一面にあって、そうしてここにいわゆる構造対策というものが進むのではないだろうかと、私は実はそういうふうに見ているのであります。国内の産業というものを、その必要なもの、その適正なものを十分に保護することも頭に一面置きながら、しかし、可能な限り輸入を促進してまいる。これが、今日の物価対策として、一番そういう意味において重要である。そうして、従来とってきたところの構造対策がとかく効果が十分でなかった面を補強するに足る一つの大きな要素になるであろう、そういうふうに考えているわけであります。
○渡辺武君 年度でとるのとそれから暦年でとろのとだいぶ違うとおっしゃいますけれども、しかし、佐藤内閣になって、昭和四十五年が物価の上昇率が一番激しかったときですね。七・七%。それまでは昭和四十三年までは上昇率が若干低下して、四十四年、四十五年と上昇するということかんですね。しかも、四十四年、四十五年と上昇したその要因は、生鮮食料品の値上がりですね。それを、おてんとうさんに責任をなすりつけて政府としての責任を解消しようといったって、だめですよ。四十三年までの上昇率の低下も、これはやはり生鮮食料品の値上がりが非常に少なかった、あるいは下がったという問題があるわけですからね。だから、おてんとうさんに責任なすりつけるのじゃなくして、政府自身の責任としてこの問題を考えなければいかぬと思うのです。しかも、年ないというような御趣旨の答弁ですけれども、四十五年度の統計はまだ出ていないじゃないですか。いま年度でとるというようなことになれば、昭和四十四年度、つまり四十五年の三月までの統計でものを言わなければならぬ。一番値上がりの激しいところは、そのために今度は除くことができる。そういうようなことをやらないで、率直に事実を見て御答弁をいただきたいと思うのです。長官としては——私は惜しむ、あなたのそういう御答弁をね。そんなみみっちいことを考えないで、率直に物価上昇が続いているということを認めた上でもっていろいろ御答弁いただきたいと思う。 それからもう一つ、次の質問に移る前に、長官の言われた点について一言申し上げておかなければなりませんが、構造政策がいままでうまくいかなかったので、それを補強するものとして輸入政策をとるのだとおっしゃったけれども、一体、輸入政策というのがどれほど物価に効果があるのか。それは、野菜が足りなくなった、そのために緊急にタマネギを輸入した。それで多少上昇の程度に水をかけることができるというようなことは、おそらく可能かもわかりません。もっとも、タマネギがあまり効果がなかったということは、これは明らかですけれども。私も輸入をすることが物価対策として全然無効だということを言っているわけじゃないのですけれども、しかし、事実はどうでしょうか。一九六〇年以来、輸入の自由化が行なわれ、そうして、日本に、アメリカ商品を先頭として外国の商品がどんどん入るようになってきた。ところが、まさにその一九六〇年以来、消費者物価の上昇というのが急速な速度になった。なぜそうなったのか。いろいろの要因はありますが、私は、一つは、この輸入自由化が大きな要因だと思う。なぜかといえば、外国から商品がどんどん流れ込んでくる。それに対抗して、国際競争力を持たなければならぬということで、やれ設備投資、生産性の向上ということで猛烈な高度成長が始まっていく。このために、消費者物価の値上がりが造政策を補充するために輸入政策をとれば今後だいじょうぶだなんというような議論もこれは成り立ちません。これは事実が否定しているんですよ。 そこで、次の質問に移りますけれども、生産性の格差が物価上昇の要因だとおっしゃるなら、大企業と中小企業の生産性格差ですね、これは、一体、ここ数年の間、解消してきているのか、それとも拡大してきているのか、これをお答えいただきたいと思う。
○国務大臣(佐藤一郎君) 最初に私が申し上げたのは、渡辺さんとはもう何回もお話しているからおわかり願えると思うのですけれども、四十五年度に季節商品を中心にして非常な急上昇を見たということを申し上げているのです。四十五年度の急上昇を否定はしていません。これは天下に明らかな事実なんですから、私は別に否定はしていない。それから天候のせいにしたわけでもありません。季節商品の値上がりの中に天候の理由が入っていることは確かであるけれども、しかし、それを天候だけの理由としてわれわれ説明したことはかつて一度もない。これはあなたがよくお聞きになっているところだろうと思います。ただ、あなたが、ずっと三十年の後半から来る日本の高度成長と物価の上昇というものを議論するときに、一々佐藤内閣がどうだといって年次をお分けになるから、そういうあれは経済現象の世界からいうと必ずしも適当と思わないから、私は一言申し添えただけのことであります。でありますから、たとえば三十五年から三十九年をとり、そうして四十年から四十四年をとれば、それは平均では三十年代のほうが高くなる。もちろん、四十五年に至って、先ほど申し上げましたように、四十四年の終わりごろから四十五年にかけて急上昇をしてきた。これについては季節商品が相当大きな寄与をしている、こういう事実をただ申し上げているのですから、そこのところはひとつ誤解のないようにお願いいたします。 それから輸入の問題でございますけれども、もし上げますけれども、いわゆる大企業製品、これについて先ほど特に私は申し上げたのではなくして、御質問も低生産部門ということを中心に議論があったわけであります。大企業部門につきましては、外国品の輸入があったからそれに負けないために設備投資中心になったというほどの表現はちょっと言い過ぎじゃないかと私は思いますが、いずれにしても、高度成長というものを前提にしてその主導を大企業の設備投資がとってきた、これはおっしゃるとおりであります。低生産部門の生産性上昇ということは、確かに、時間もかかることでございますし、長い歴史的な遺産でございますから、この構造改善ということは口で言うほど簡単でないことは事実であります。しかし、また、同時に、各方面において、生産性の上昇なり、それの改善なりの端緒が至るところに見えていることも、これまた一面事実でございます。そうしたものをはぐくみ、そうしたものをできるだけ促進させるという意味において、政府がただかけ声をかけたり法律をつくったりするだけではだめなんでして、やはり刺激というものは要るだろう。そういう意味で、私は、輸入というものが格段に弾力化そうとしておるこれからの時期に一つの期待が持てるのではなかろうか、こういう実は気持ちを持っているわけでございます。 それから生産性格差、これはなかなか率直に言って縮まっておりません。というのは、今日までいわゆる大企業を中心とする工業生産の速度があまりにも速かったというところにも一つ原因があったと思います。今後、安定成長ということで、全体の成長というものをモデレートなものにしてまいる、これも格差問題についての一つの政策であろうと思いますが、そうしたことを前提にして、できるだけこの格差を縮めるという方向に持っていく。しかし作業の性質といい、日本の現状といい、なかなかそう簡単に格差は縮まりません。しかし、やはり低生産部門は低生産部門としての経済の存立意義があるわけですから、それのを払っていく、格差をゼロにするということを別に考えているわけではないんでございまして、農業は農業としてのやはり一定の条件があるわけでございますから、その範囲において生産性も高めてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
○渡辺武君 佐藤内閣の出た前とあとを分けたというのは、それは経済現象は継続的なものですから、だから長官の言われるのも一理なしにあらずですがね、私は別に経済現象を客観的に論じているわけじゃない。政府の経済政策ですね、物価政策を論じて、質問しているわけですから、やはり政府の責任として、自分の内閣ができたあとでどうなったかと、これはやっぱりちゃんと分けて見るべきだと思いますね。 ところで、いま長官の御答弁の中で、なかなか格差は解消しないということをおっしゃいましたけれども、昭和四十五年度の経済白書、これは幕官もお読みだと思いますけれども、ここには大心業と中小企業の生産性の格差は、これはもうなかなか解消しないどころか、非常に大きくなって去ているということがはっきり出ておりますね。昭和三十一年が大企業に比べて中小企業の生産性は六〇・二%だったが、四十三年になると四八・二%にまで下がっている。つまりこれは白書自身へ大企業との生産性の格差は拡大していると、はっきりと述べていますね。そうすると、どういうことになるんですか。構造政策を三十年度の半ばごろから始めたとおっしゃる。ところが生産性格差はますます開いていく、こういう状態でしょう。一体これで物価が安定するだろうか、疑問に思うのは私は当然だと思う。構造的要因が原因だと盛んに言っていらっしゃる。その構造的要因もますます悪くなっていく一方ですからね、どうなんでしょうか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ生産性の格差の指標の求め方、私は率直に言うとむずかしいと思うのです。それは御存じのように、従来、中小企業であったものが、よく言われるように中堅企業になり、そしてまたそれが大企業の段階にどんどん突入していくというようなものもずいぶんあるわけであります。結局、それでさらに残されたものだけとの比較でもってやるわけですから、それはなかなか追いつくということはできない。それからまた一面、いまも申し上げましたように、特に四十年度に入りましてからの実質一三%の伸びというような急上昇です。これは結局、大企業中心にやはり行なわれてきているわけであります。でありますから、まあ足の速い連中がますます足が速くなるという意味で、相対的に比較すると、先ほどから申し上げているように、実際、いまあなたのおっしゃったように、むしろ広がってくるというふうな、格差のいわゆる解消ということが非常に困雑である。これはもう確かに事実でございます。そういう意味もあって、われわれとしましても、今後、一面において、この全体の経済成長というものをできるだけ安定的なものに持っていかなきゃならぬ。これはやはりそういう意味の格差を広げることをある程度緩和することになります。それから、この数字の上の格差はともかく、いままで中小企業であったものがどんどんと伸びて、そして中堅企業というか、大企業というか、経営のしっかりしたものとしてどんどん伸びていくということは、これはいいと思います。ですからほんとうの意味で、これをそうした流動的なものをどうやって比較するかという比較のしかた自身も相当私は問題があるとかねがね思っていたのですが、いずれにしましても、一方においてその努力を捨ててはならないわけでありまして、日本経済の生産性が上がること自身はけっこうなんですから、なお従来以上に中小企業部門に対する投資というものを十分にすると、現実に最近非常に金融が引き締まってきておりますけれども、金融機関の面から見れば、中小企業なんかにむしろ小さな企業ではあるけれども技術的に高いものがあったりいろいろと、ただ一概に中小企業というわけにはいかない。こういうことでわりあいに中小企業の面に対する金融なんかについても、これは全部ではございませんけれども、見直しされている一面もあるわけです。そういう面で低生産部門と称せられておったところの部門に対する投資を今後も分厚くしていく、とかく格差の縮小が困難であればあるほどやはりこうした構造対策というものは一つのわれわれの重要な課題である。なぜならば、やはりこうした部門がまだまだ生産のウエートを占めているわけであります。特に消費材の生産部門において高いわけであります。そうしてこれがやはり消費材の上昇、消費材価格の値上がりというものと無関係ではないわけであります。非常に密接な関係を持っているわけでありますから、そういう意味において、われわれとしてはさらに努力を重ねなければならない、そういうふうに考えています。
○渡辺武君 高度成長が続いているために、なかなか中小企業の生産性は上昇しているけれども格差は開いているんだという御趣旨かと思います。 次の質問に移る前にもう一つ質問したいのですけれども、先ほどこういう低生産部門で賃金の上昇が行なわれた、それがこの物価に転嫁されているんだという御答弁がありましたけれども、はたして中小企業の賃金がそれほどの大きなコスト要因になってきているのかどうか、この点ひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは私どもの調査にもございますけれども、やはり大企業が生産性の−上昇ということを根拠にして相当大幅な賃金上昇が行なわれますと、どうしても労力を保全する意味において、確保する上において中小企業もやはり賃上げを行なう。その場合に、結局、価格の転嫁という−中小企業の賃金上昇が大体一年くらいのタイムラグで大企業におくれて一般的に賃金上昇が行なわれる。そうしてそれが価格に転嫁されてまいるというのがこれが半年、一年かかるうちに一般的に価格転嫁が行なわれていく、こういうような試算もございます。そういうことで、やはりわれわれとしましては、この点は非常に重要な問題である、物価政策上無視できない問題であると、こういうふうに考えております。
○渡辺武君 長官の議論は私もしょっちゅう伺っているので、あらためてここでこまかく詳しく伺う必要はないと思うのです。時間の都合もありますので、伺ったことに端的にお答えいただきたいと思います。 いま長官ね、賃金の上昇が価格に転嫁されるんだということをおっしゃいましたけれども、私、ここに日本銀行の統計局のつくった規模別企業経営分析というものから引いた統計を持っております。それによりますと、昭和四十年から四十四年までの統計を見てみますと、中小企業の費用の中で人件費の占める比率、昭和四十年は一四・五%、四十一年が二%、四十二年が=二・九%、四十三年が二・五%、四十四年が二・七%、大体横ばいもしくは低下というのが傾向です。大企業のほうは、昭和四十年が=・八%、四十四年が=・四%、賃金を中心とする人件費の占める比重は下がっているんですよ。ですから、賃金が上がったそのために物価が上がるのだと盛んにおっしゃるけれども、一体コストの中で人件費、つまり別のことばで言えば、賃金がその主要な部分だと思うけれども、その占める比重が上がりもしないでどうして価格にそれが影響したといえるんですか、それはうそですよ。抽象的な理論をここでおっしゃらないで、事実によっておっしゃっていただきたいと思う。その反面、じゃ中小企業の利益のほうはどうか。これは純利益の統計ですけれども、昭和四十年が二・六%、四十四年が四・六%、利潤の占める比重は一貫して上昇しておる。大企業のほうも、もっと急速なテンポで同じ現象があらわれているのです。比重が大きくなるほうが影響大きいでしょう。どうですか、何で利潤を問題にしないのですか。結局のところ、いま長官おっしゃいましたように、一方で高度成長が行なわれる。その高度成長をやっておる大企業、これと中小企業との生産性の格差は、いまあなた方が出した経済白書でもってはっきりと示しているように、格差は開く一方なんですよね。中小企業の生産性は上がっているけれども、大企業のほうの速度が早いから格差は開いていく。しかもその山小企業の費用の構成を調べてみると、賃金が比重をますます大きくしているというような傾向じゃない。むしろ利潤のほうが比重を大きくしてい三という傾向がある。そうして判断してみると、まさに一番大きな問題、格差がどんどん開いている。そうしてあなた方の立場に立ってこの格差が物価上昇の要因だとかりにするならば、一番大きな問題は大企業の高度成長こそ問題にしなければならぬ。それを物価値上がりの犠牲者である中小企業や農業やあるいは労働者、これに全部責任をなすりつけて、そうして中小企業いじめ、農民いじめ、労働者の賃金を押えなきゃならぬ、やれ所得政策というような政策を物価対策の基本に据えてきたというところにこの物価対策がさっぱり効果を志げなかった一番大きな原因があるのじゃないでしょうか、どうでしょう。
○国務大臣(佐藤一郎君) そうきめつけられると困るのでして、われわれも別に中小企業をいじめているわけじゃないのです。そうじゃなくして、中小企業の生産性が低いということがやはりこの物価上昇に大きな影響を持っておる。であるからして、そのほうにやはり投資もし、生産性の向上をはかるべきである、こういうことを申し上げているのであって、それが中小企業いじめということには私はならぬと思います。問題は、もう少」客観的にやはり分析して見る必要があるのじゃないかと思います。でありますから、たとえば過去の卸売り物価の統計を一つ見ましても、やはり大企業製品と中小企業製品ではその上昇率に明らかに差があることは、これははっきりしております。それをわれわれは指摘しておるわけであります。でありますから、なるほど経費の構成というものは、大体先ほどの数字を見ましても、ほぼ横ばいに近いものでありますけれども、そのことから直ちに中小企業の製品は値上がりしないのだ、あるいはまた転嫁されないのだということには私はからぬと思います。もちろん中小企業においても相当投資が行なわれてきておりますから、そういう意味での投資的なコストというものが一面に上がっておるとか、そういうこともございます。しかしそのことから直ちに、人件費率が横ばいもしくは微減しているということから転嫁が行なわれていないということにはならないと、これは明白に言えると思います。それで全体としてこの物価の統計にあらわれているところがやはり何といっても中小企業製品を中心とする上昇というものが非常に顕著であるということを示しておるわけですから、われわれとしてはやはりそこに着目する、こういうことでございます。全体として中小企業のほうが付加価値が高いということは、やはりそれだけ何といいますか、人件費というものも上昇し、そしてそれがやはり転嫁が行なわれておるということが、この物価の統計を総体的に眺めてみて言えることであろうと思うのであります。
○渡辺武君 費用の中で横ばいもしくは低下の傾向をたどっている人件費のほうが一番物価値上がりのおもな要因として取り上げられるというような、そんなばかなことないですよ。それは長官が先ほど申しましたように、物価値上がりの主要な原因である大企業の高度成長、これを問題にしようとしないで、まさに物価値上がりの犠牲者である農民や中小企業や労働者、これに責任をなすりつけようとするその立場からしか説明できない、いいですか。大体この構造的要因なるものを物価上昇のおもな原因にするということは私は誤りだと思う。構造的ないわゆる格差があるというようなことは物価値上がりのおもな原因としてはこれは十分に説明できない。むしろいま長官の御答弁自身が白状しているように、この日本の中で卸売り物価指数は相対的に安定をしている。しかし消費者物価指数のほうはわりあいに急速に上昇しているというそのことを、つまり物価上昇の形のあらわれ方の違いですね、これを説明できるにすぎない。物価の値上がりの原因としてこれを据えてそこから対策を引き出そうとしているから、だからさっぱり効果があがらない。そういうことに私はなると思うのです。それでは、物価値上がりの原因はどこにあるのか。私はこの前の一般質問でも、またきのうの物価委員会の中でも長官にその点で質問しました。いま時間もないのであらためてその質問を繰り返すわけにいきませんけれども、一つの要因はインフレです。貨幣価値が下がっている。長官もきのうお認めになった通貨、不換銀行券が過度に増発されれば貨幣価値が下がって、物価が上がる。その現象はいままさに起こっているのですよ。貨幣価値が下がって、そのために物価が上がっている。しかし生産性の高い部門はどうなるのか。生産力が高くなればつくった品物の値段が下がるというのは、これは子供でも知っている常識ですよ。ところが貨幣価値が下がっているから、下がるべきものは下がらないで、相対的な安定の状態を示している。ところが生産性の低い部門ではどうなっておるか。生産力が上がれば、ここでつくられた品物の値段は下がるのは当然だけれども、しかしその下がり方は大企業ほどでないことは、これは十分わかる。そこへ通貨価値の低落が起こるからして、そこで消費者物価の上昇という形があらわれてきている。問題は、物価値上がりの根源の一つにインフレーションがあるということをあなたは見ようとしない。そうして物価上昇の形のあらわれ方が違うと、そこを口実にして、そうして中小企業や農民あるいは労働者に、これに責任を全部なすりつけようとする。こうしておるからこそ効果があがらないのです。失敗するのです。三十年代の半ばから構造政策をやってきながら、物価の上昇の速度はますます高くなってくるという傾向があらわれてくるのですよ。いまインフレの進行が緩慢ですから、卸売り物価指数にはあまり大きな影響は出てこないけれども、しかしもっとインフレーションが進行すれば、卸売り物価だってこれは上がりますよ。その証拠はもう出ているじゃないですか。先ほどは消費者物価の年平均の上昇率を申しましたけれども、卸売り物価だってこういうことになっているでしょう。一九五三年から一これは統計がないから五三年からやったわけですが、一九六〇年まで卸売り物価指数は年平均〇・一%の値上がり、ところが一九六〇年から一九七〇年までは一・三%の上昇、その六〇年代を二つに分けて、佐藤内閣の出た前とあとを比べてみれば、佐藤内閣の出る前は〇・五%、佐藤内閣が出てから一・九%と卸売り物価も上昇傾向をたどっている。インフレーションが進行しているからこういう現象が起こるのです。 そこで次に質問を移しますけれども、これまで、先ほども長官言われましたけれども、安定成長にするのだ、するのだと何回も言っておられる。しかし安定成長をやらせるようにするためにはどういう政策をとってきたか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ私の申し上げているのは、物価統計でも、卸売り物価のところで大企業と中小企業の製品の価格の上昇の差が出ておるから、そういう客観的な事実を申し上げているのです。これが形であるか本質であるか、これはいろいろ議論がありますが、・とにかく中小企業のやはり製品というものが上がっていることは確かです。またサービス産業のような中小企業経営におけるところの料金が上がっておる。これはもう直接的に人件費の上昇と結びついていることは、これは否定できない事実でございましょう。それが私はいいとか悪いとかいうことじゃなくて、やはり消費者物価指数に占めるそのウエートから見て、その上昇率に寄与する寄与率が高いということを指摘しておるのでございます。卸売り物価が一%上がったのはインフレーションだというふうにきめられましたけれども、私は、卸売り物価というものは、まあまあわが日本の卸売り物価は総体的に見ましてきわめて安定してきておるほうであるということは事実であろうと思います。そういう事実をもとにしていま議論をしておったわけでございまして、別に中小企業にすべてきめつけるという、そうした固定的な立場でものを議論するわけにはいかないこれたけは十分にひとつ御理解願っておかないといかぬと思うのであります。安定的な成長ということは、やはり具体的に言えば、成長率をもう少し低めていかなければならぬということであろうと思います。まあ一〇%の経済成長をずっとコンスタントなものにできるだけしていくということがわれわれの一つの目標でございます。これは何といいましても、労力の需要供給の逼迫をはじめとして、いろいろな生産供給を支配する、規定するところの諸条件がだんだんと逼迫してきておるわけでございますからして、当然のことといえば当然のことであります。そうしてまた、当然そういう意味においても客観的にこうした方向にある程度行くべきもう条件も熟しておると私は思います。で、そういう際に、やはりそれに応じた財政金融政策が必要である。そして時に引き締めということもしたがって行なわれなければならない。ただ、従来のような国際収支が赤字にならなければ引き締めはしないのだというような考え方で行くわけにはまいらない。そういうことでわれわれもそれを経験したわけでございます。あまり一ぺんに落ち込むことは、先ほど申し上げましたように、これまた別の弊害がございますから、そこいらのところを注意しながらも、せめて一〇%ぐらいの成長に今後持っていくように、これは財政金融の調節を中心にいたしましていろいろと、たとえば輸入の問題もその一つでございますが、全体としてそうした条件が熟していることを頭に置きながら経済の運営をやっていくと、こういうことになろうと思うのであります。
○渡辺武君 その中小企業の生産性が高まることがいいか悪いかというような道徳論みたいなことをおっしゃいましたけれども、私は、あなた方のやってこられた物価対策が全然いままで効果をあらわさなかった、その原因はどこにあるのかということをずっと一貫して質問しているわけですよ。そしてまず明らかになったことは、問題を整理する意味で申し上げますけれども、構造政策を中心にやってきたけれども、この構造政策は、これはもう大企業と中小企業の生産性の格差がますます開いてきているという事実一つ取ってみましても、また物価の上昇がますますしり上がりになってきているということを取ってみても、もうすでに完全に失敗して無効であったということが明らかだ。そこで、質問を移して、長官自身も言明されたように、高度成長ということが原因なのに、その高度成長については十分な対策をとらずに、いま言った中小企業や農業云々というようなことを盛んに言い立ててきている、そこに失敗の原因があるのじゃないか、その高度成長についてどういう対策をとってきたのかという御質問をしているわけです。いいですか、議論の筋からはずれたようなことはあまりおっしゃらないでほしいと思う。いまその安定成長について、こういうことを政策としてやってきたとおっしゃいましたけれども、どうも伺っていて何をやってこられたのかさっぱりわからぬのですね。長官おっしゃるように、あれこれの政策をとってこられたにしても、その政策をとった結果がどうなったのか、高度成長はますます急速になったということになってきているのじゃないですか。これは事実が示している。私は、ここで長官を誹誇するためにうそを言っているわけではない。あなた方の出したこの経済統計にもはっきりと出ている。これも私は失敗したと思う。その失敗した原因はどこにあると思っていらっしゃるのか。
○国務大臣(佐藤一郎君) よく御質問の趣旨がわかりません。われわれはやはりこの高度成長というものを修正しようということで、先般の引き締め政策以来、そうした方向にできるだけ安定させようと、こういう気持ちでやっているのですから、御質問の趣旨は、実はよくわからないのであります。
○渡辺武君 事実は高度成長、予想以上の高度成長が行なわれていることはお認めになるでしょう。この間、佐藤総理大臣が予算のこの総括質問のときに、安定成長をやろうと思ったが、意に反して高度成長になってしまったと告白しておられる。国土総合開発審議会の会長、平田敬一郎さんが会長になっておりますが、これが佐藤総理大臣に出した意見書を私ここに持っておりますが、この中でもこういうことが書いてある。これは時間がないから詳しくは読みませんけれども、とにかく予想以上の高度成長になってしまったということが書いてあるのですよ。そういう事実がある。あなた方は安定成長、安定成長で、そのつもりで努力したと言われるけれども、客観的な事実は高度成長が行なわれているわけです、意に反した高度成長が。そうなると、あなた方が安定成長を考えてやってきた対策なるものは効果がなかったということになるんではないですか、別のことばで言えば失敗したということになるんではないですか。その失敗の原因、効果がなかった原因をどういうようにお考えになっておられるのか、それを伺っているのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) いや、あなたのおっしゃるのは、四十一年から四十四年までの高度成長を言われているのですか、よく私にはわからない。そういう事実があったから、そこでわれわれとしてもこれを修正しなければならぬ、こういうことで引き締め政策を中心にして、ほぼ一〇%前後の成長のところに持っていくようにしようと、こういうことを言っているわけであります。だからもし四十一年、四十二年、四十三年、こういうようなものが非常に高い成長であったことについての御批判であるということなら、これはわれわれも毎回言っているように、これは確かに高過ぎたのだと、それであるからこそ、この一三%の高い成長が高過ぎたからこそこの修正を考えなければならない。新経済社会発展計画もそういうことを頭に置いてつくられているのであるということをここで何回も申し上げているわけでありますが、四十一年から四十四年までの高度成長ということについてのもしも原因であるということであれば、これまたいろいろ原因もございましょう。まあ何といいましても、日本のもちろん高度成長の体質といいますか、いわゆる構造といいますか、こういうことがもちろん三十年代から引き続いてその構造というものに一つ問題があります。そうして、それに対して、同時にまた海外の景況というようなものの刺激というか、影響というものも無視できない。そうしてやはり特に問題でありましたのは、いわゆる従来は高度成長と国際収支というものとがなかなかうまく両立しなかった。三十年代におきましては、高度成長がちょっと達成されると思うと国際収支が赤字になる。それがいわば一つのチェックになっておったわけであります。四十年代に入りまして、国際収支の黒字というものと高度成長というものが両立し得るようになった。これは日本経済においては初めての経験でございます。そういうことで、この初めての経験ということもありまして、いかにしてこれをチェックしていくかということについてタイミングを失したり、必ずしも適当でなかった面が私は率直に言ってあったと思います。そういう意味においては一三%の高い成長が三年も四年も続いた。まあ一昨年ですか、いわゆる引き締め問題が起こりましたときにおいてすら、経済界において、なぜ一体引き締めをするのであるかという疑問が率直にわいたわけであります。それはやはり国際収支の赤字がない以上は引き締める必要がないんだということを教え込まれてきた三十年代の経験というものがやはりものをいったんだろうと思います。あの時期において引き締めが三カ月おくれておったとかなんとか、いろいろな批評があとになってから出ておりましたけれども、しかし確かにそういう意味においては初めての経験でもある。そういう意味において高度成長を突っ走らせたこの事実は、これは認めざるを得ない。これは私もたびたび申し上げております。そうしたことも考えてみますると、今後、われわれはやはりこの前回の経験というものを十分頭に入れて、教訓としていかなければならない。今後、経済社会発展計画が予想しておる大体一〇%ぐらいの経済成長というものを実現していく際に、これは非常に参考になると私は思っておるわけであります。
○渡辺武君 先ほどもお願いしましたように委員会というのは一定の時間の中で質疑を進めかきやならぬのです。私の質問したことの要点に的確にお答えいただきたいと思うのです。時間がむだになりますよ。私の伺っているのは、もう繰り返すまでもなく、わからぬはずはないですよ。佐藤内閣登場以来です、安定成長、安定成長ということを何回も言ってきた。今度のこの経済演説の中でも、長官自身も安定成長の軌道に乗せるんだというような趣旨のことを演説しておられる。それでは安定成長のためにどういう政策をとってきたのか。また安定成長をやるんだ、やるんだといってきながら、佐藤内閣登場以来高度成長が続いている、いまあなた認められたように。これはあなた方がやってきた政策が功を奏さなかったあるいはまた失敗したということを示しているんじゃかいか、その原因はどこにあるんだということを伺っているんです。率直にお答えいただきたい、端的に。
○国務大臣(佐藤一郎君) もうすでに説明しておると思いますがね。
○渡辺武君 それでは、もう少し具体的に伺いましょう。答弁を私は逃げちゃいかぬと思うのですよ、責任の地位にある人は。率直にひとつ答えてもらいたい。すでに説明したとおっしゃる。先ほどのを聞いておりますと、佐藤内閣としてはあるいは経済企画庁長官としては安定成長にするんだ、するんだと言いながら、何一つやってこなかったなという印象ですよ、私は聞いていて。口だけのことです。先ほど長官おっしゃいましたけれども、まあ財政金融政策もとってきたんだという趣旨のことを言っておられますが、従来、この財政金融政策については、総需要抑制政策ということでまあ財政金融政策がよく口にされてきたわけなんですけれども、この総需要抑制政策としてどういう政策をとられてまいったか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ安定成長といいますと、何といっても総需要というものをいかに調整するかということが当然政策の中心になるわけであります。そういう意味においては、先ほども申し上げたような、一昨年とりました金融引き締め、そうしてまたこれについての解除についていろいろ議論があったわけでありますけれども、われわれとして、十分その総需要の調節の効果というものの見きわめがつくまではこれを解除しないということで、昨年の十月までずっとこれを継続してきたわけであります。いまや実態経済面においてもその効果が十分に浸透したということで、これの解除の措置をとったわけであります。もちろん経済成長を安定的に持っていくためには、同時にいわゆる総需要の中の個々の項目も重要でございます。今後これらについての、つまり内訳についても、われわれとしては対策上十分に留意を払っていかなければならない、こういうふうに考えております。
○渡辺武君 その総需要抑制政策なるものは、それでは何ですか。一昨年の金融引き締め以来初めてとられたことですか、それ以前はとっていなかったんですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん需要が過度になることを非常に注意をして常々おるわけでありますから、あれは四十二年でしたか、その結果としての引き締めというものは一ぺん行なわれたわけであります。まあ一方において非常に成長に加速度がついたといいますか、非常に激しい成長意欲が一方にあった。それからまた、これは何といっても日本の場合には国際経済の影響というものを無視することはできません。そういう意味において、おりから世界経済というものが全般的な好況期に入っておりまして、これの刺激というものも非常に受けたわけであります。そうしたことから、前回も引き締めというものを行なったにもかかわらず、その影響が軽微にとどまりまして、そうしてさらに四十四年度は前の四十二年、三年にまさる高い成長の路線を歩むことになったわけであります。そういう意味において、再度引き締めを行なっておるのは御存じのとおりであります。また総需要といいますときには、いわゆる金融引き締めだけではございません。一方において財政的な面におきましても、たとえば法人税率の引き上げをはかる、国債の減額をはかる、いろいろな面でもってそうした意味の需要の調節を行なってまいる、こういうことがいろいろと考えられるわけであります。
○渡辺武君 伺っていますと、総需要抑制政策というのは、何か景気対策のような感じですね。しかし私が伺っておるのは、総需要抑制政策といえば、・これは長官御自身も御存じのとおり、昭和四十四年の一月二十八日の物価安定推進会議の提言の中にもはっきり出ているんですね。従来の構造政策ではもう物価の問題は十分解決できない、だから総需要抑制政策をとるべきだ、財政金融政策をとるべきだ、そうして経済成長と通貨供給量との妥当な関係について検討せよという提言をしておりますね、これはお忘れでないと思う。つまりこれは物価対策として問題になっておるわけです。景気対策で、やれ景気が過熱しそうだから引き締めたとか、あるいはまた景気が悪くなったから刺激政策をとるんだとか云々というようなことで説明はできぬと思うんです、私は。これがつまり一方では高度成長を安定成長の路線に乗せていくという政策であると同時に、他方では物価を安定させるという政策であるとするならば、この総需要抑制政策をとったとった生別から言っていたけれども、現在われわれが目の前で見るように、他方で高度成長、他方で消費者物価の急上昇、こういうようなことにはならなかったと。したがってこの総需要抑制政策なるものも1私は何回も繰り返して言いますよ、失敗したと思う。効果がなかったと思う。その原因をどういうふうにお考えなんですか、もう一回質問します。
○国務大臣(佐藤一郎君) その点は先ほども申し上げたと思います。まあこの景気対策との関係の話が出ましたけれども、もちろんこの引き締めというものは景気対策であり得ることもあります。しかしあの引き締めを実行いたしますときに、やはり日本銀行でも言っておりましたが、物価ということがやはり一つの大きな項目であったことも間違いないわけであります。そうしていわゆる単純なる景気政策という観点から言うならば、あの時期に引き締めをどうしてもしなければならなかったかどうか、これについてはいろいろと議論があったわけであります。それにもかかわらず踏み切ったわけでありまして、それには決して単なる景気調整政策以上のものがやはりあったわけであります。安定政策会議の総需要の抑制、これはかねがねわれわれが考えておるところとも一致しておるわけであります。ただ、この通貨等の関係については、安定政策会議自身が言っておるように検討をやっておるのであります。なかなかこれについての理論的な結論というものは、今日なかなか出にくいのが現状であります。それは非常にメカニズムがまだまだ究明を要するところがあると、こういうことでありまして、安定政策会議自身が決してそれの結論をはっきりと打ち出しているわけではありません。われわれとしても当然そういう意味においては検討しなければならない、また検討しておるところであります。
○渡辺武君 時間がきましたので、最後に一問、二問だけして終わります。 私がいままで長官にいろいろ伺ってきたことは、おもな筋を言えば、いままで佐藤内閣の物価対策として大きな比重を占めてきた構造政策、これが失敗した。その失敗の原因はどこにあったのかという問題を明らかにすること、もう一つは、いわゆる総需要抑制政策、これまた失敗したその原因はどこにあるのかということを明らかにする、そうして政府のこの物価対策を根本的に転換する必要があるんじゃないかということを伺うつもりでありました。 時間がきたので、最後の点だけ一つ、二つ伺うわけでありますけれども、この総需要抑制政策が失敗した原因、私は、大きく言って二つあると思う。一つは、これは総需要を抑制すると言いながら、いわゆる総需要の中で一番物価上昇の大きな要因になっている大企業の高度成長のための設備投資、これはほとんど野放し同然、これは結果がはっきり示しております。あなた方のつくった統計の国民総支出の中に占める設備投資の比重というのがずっと高くなっておる。そうして、やれ、賃上げが物価上昇の原因だとかその他等々で物価上昇の犠牲者である国民に責任をなすりつけて、そして国民の消費を押えつけるという政策をとってきた。これがあなた方の総需要抑制政策のおもな内容だったと思うんです。国民総支出の中で個人の総支出の割合がずっと下がっている。そのことにはっきり実証されていると思う。これでは物価対策としては本末転倒で、物価上昇の根源である大企業の設備投資を押えて、これを安定成長路線に持っていくことが物価対策の第一の重要な点じゃないでしょうか。もう一つの失敗の原因は、これは需要供給関係がいまの物価上昇のおもな有因だと最初から言っておられるけれども、私も、需要供給関係が物価上昇と何ら関係がないということは申しません。それは確かにあります。あるけれどもおもな原因じゃない、それは。不況の中の物価高と、きのうも長官言っておられました。西欧ではスタグフレーションというようなことばまで出ておる。景気が悪くなって需給関係が非常に緩慢になっているのにもかかわらず消費者物価が上昇しておる。日本だってそうでしょう。いままで景気の悪いときもいいときもないんです。消費者物価は上昇している。需給関係が物価のおもな原因でないことはそのこと一つ取ってみても明らかで、どこにおもな原因があるのか。私が先ほど申しましたとおり、一つは大企業の高度成長をささえるために、きのうも質問の中で明らかにしましたが、企業は自己資本比率が一貫して急速に下がっているということでもわかるように、設備投資のために猛烈な資金需要を起こし、これを銀行のオーバーローンがささえて、この銀行のオーバーローン、これを日本銀行がばく大な日銀貸し出しあるいは買いオペレーション、これで大量の通貨信用をばらまいているという、そこにいまの物価上昇の一つの根源があると思う。もう一つは、大企業の独占価格、高度成長を続けるために自分のところの製品の値段を——カラーテレビでもはっきりわかっております。原価大体四万円と見られるものを十万、十二万円という高い値段で消費者に売って、ばく大なもうけをふところに入れる。これが物価上昇のもう一つの原因だと見られる。第三は、政府の公共料金引き上げ政策、こういうものを押えなければいまの物価の値上がりを解決することはできませんよ。長官は、こういう方向に政策を転換するおつもりがあるかどうか、これが伺いたい点の第一です。 第二には、この間新聞を見ましたところが、経済企画庁では、現在の新経済社会発展計画、これを三年後に改定するのではなくして、計画半ばで発展的に解消して、これにかわる四十八年度からの新たな経済計画を策定するつもりだという記事が載っておりました。こういうおつもりがあるのかどうか。もし新たにつくるあるいはまた改定する、どちらでもよろしゅうございますが、今後どういうような内容のものをおつくりになるおつもりなのか。物価の上昇率あるいは経済成長率、いままで経済計画等全部はずれておりますね。これらについて、特に物価の問題についてどのようにお考えになって経済計画をおつくりになるのか、その点あわせて伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) 引き締めあるいはまた一方において今後、たとえば政府の投資というものの比重というものを高めていくと、いろいろと安定政策には、それのとるべきものがいろいろとあるわけであります。新しい新経済社会発展計画はその方向を私は示しておると、そういうふうに考えていいと思います。あそこにおいては、あなたもごらんになったように、いわゆる民間の設備投資というものの伸び率というものをできるだけモデレートなものに押えていくと、こういう思想がはっきりと出ています。そうして、そのかわり、むしろいわゆる政府の環境投資その他いわゆる政府投資というものを相当重く見ていく、そうした政府の考え方があそこにはっきり出ているわけであります。引き締めによりまして、あなたが言われたように、設備投資の需要というものは、いま非常に落ちています。これは、現在はあまりにむしろ落ち過ぎているのじゃないかと言われるぐらいに落ちておる。結局、設備投資の需要が落ちるということは大企業の設備投資の需要が落ちるということにほかならないのであります。あまり落ち過ぎてもいけませんが、これをできるだけ安定的なラインに維持していきたい、こういうふうにわれわれは考えています。 それから、計画については、まあ残念ながら物価の一点において必ずしも所期したようにならなかった。しかし、一番基本である成長率ということに関する限りにおいては、少なくともいまのところはわれわれの所期したようなラインに進んでおると私は思っております。これを問題は定着さしていくように努力をしていかなければならない、そういうふうに考えております。 そこで、新しい計画の改定をどうするかという問題は、大体作業に少なくとも一年は要する問題でありますからして、やはり適当な時期に、それに着手をするのがそう遠くないときにくるであろうというふうに私たちも考えております。そういう程度であります。
○渡辺武君 改定ですか、それとも新しくつくるのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) いや、改定です。
○主査(金丸冨夫君) 以上をもちまして経済企画庁所管に関する質疑は終了いたしました。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後四時十七分散会 —————・—————