予算委員会第四分科会 第3号
- 発言数
- 285 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/25
会議録
○副主査(玉置猛夫君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、小山邦太郎君及び大橋和孝君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君及び西村関一君が選任されました。 ―――――――――――――
○副主査(玉置猛夫君) 昭和四十六年度総予算中、厚生省所管を議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○上田哲君 四十五年二月に政府の風疹障害児の調査があったと思いますが、その御報告を概要承りたいと思います。
○政府委員(坂元貞一郎君) 沖縄の風疹児発生の問題でございますが、三十九年から四十年ごろにかけまして沖縄全土に風疹が流行しまして、その結果相当の風疹障害児というものが発生いたしたわけでございます。これに対しましては日本政府、つまり本土政府といたしましては、数回の専門家による検診班なり指導班等を現地に派遣いたしたわけでございます。その結果、大体当時風疹による障害がある、何らかの意味において障害が認められるというような対象者が三百六十名あったわけでございます。その内容としましては、先天性の心疾患を有する者が五十二例、先天性の白内障が二十八例、聴覚障害が三百三十九例、その他十四例、こういうようなことになっております。これに対応いたしまして現地に派遣いたしました検診班なり調査団等の総合的な調査の結果等の勘案いたしまして、早急に何らかの意味で手術をする必要があるというような対象者につきましては、本土政府のほうに――つまり本土のほうに来ていただきまして、本土のしかるべき専門病院で手術等を行なった、こういうことになっております。大体このうち、当時におきまして手術を行ないました児童数は心疾患児五名、白内障児が七名でございます。九州大学なり国立病院等で手術を行なったわけでございます。 それから聴覚障害児につきましては、当時本土の民間の各団体等から補聴器というものを寄購していただきましたので、これで当時一時的に間に合わせまして、その後は琉球政府のほうにおきまして向こうの制度により補装具の交付修理を行なっている、大体こういうような事情に相なっておるわけでございます。
○上田哲君 御丁寧な御答弁で非常にけっこうなんですけれども、一時間しかないので簡単にひとつお願いしたい。 いまの風疹の検診ですね、これは私はいいことをやられたと思っております。ただ、いま御報告がありましたけれども、たとえば心疾患五名、それから白内障七名、たとえば白内障は二十八人ですね。だからこれを見ても非常に十分な手当てがあとで行なわれていないということになるんですよ。いま補聴器というお話がありましたけれども、補聴器も国が出したわけではないんですね。全く民間の善意に基づいて寄付をされた。したがって、これが全部に渡ればいいけれども、全部にあまねく渡っているということじゃなくて、まだまだ必要な数が多くあるわけです。しかも非常に問題なことは、この子供たちがこの春学校へ行くということですね。これじゃ学校へ行けないと思うのですよ。時間がもったいないからまとめて言ってしまいますけれども、たとえばろう学校というのは伊覇にしかないわけですね。これじゃ全く手当てがない、学校へ行けないというような状態になってしまうと思うのです。そこらはどうなさるのですか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 私、先ほど申し上げましたのは、当時の時点において手術を行なった者が五名ないし七名おったということでございまして、その後本土政府のほうに、たとえば心臓疾患等でございましたら毎年、昭和四十三年度は二十名、四十四年度は二十名、四十五年度は四十名、それから四十六年度におきましては二十名を予定しておりますが、こういうふうにその後も継続をしてきておりますけれども、その中に当然この風疹障害児というものも入っている、こういうふうに私ども了解しております。 それから、後段のほうの聴覚障害児等についてのいわゆる盲学校等の整備でございますが、これは私もよく実態がわかりませんが、文部省の管轄になっておりますので、文部省のほうでおわかりだと思いますが、私どものほうのいわゆる施設といたしましては、・社会福祉施設といたしましては、難聴児に対しまして、現地の小学校に特殊教室というものを設けまして、早期の指導に当たっております。それ以外に、たまたま本年の一月から、沖縄のほうに聴覚障害児福祉センターというものをつくりまして、これによりまして、聴覚障害児の聴能訓練なり、生活指導等を実はやる予定にして、いま建築中でございますので、そういうような施設を私どものほうではできるだけ今後活用していきまして、こういった聴覚障害児の療育訓練等をやってまいりたいと、かように思っているわけでございます。
○上田哲君 ちょっと私は、そんなんじゃいけないと思うんですよ。当時やられたといったって四十四年でしょう。まだ幾らも時間がたっていないわけですよ。あとほかの症状とあわせてやった――治療まであわせてやった者何名、何名なんというようなことを言っていては、私が十分に前から資料を出してもらうように頼んで、できるだけ建設的に前へ進めようといった話がおかしくなってくるんです。そんなことをおっしゃるんなら、五百五十分の三百六十について、一人一人について名前をあげて説明をいただかなきゃならぬ。三百六十の対象者、白内障二十八人のうち今日まで何人やったか、言えますか。また学校についてもできるだけ手当てをして十分な対策を講じたいなんというようなことを言っていたんじゃいけないんですよ。結論をはっきり伺いたいのは、目の悪い子供たちが完全にきちんと学校に行けるようにできるのですか、できないんですか。非常に数が少ないんだから、その辺はごまかしはきかない。私はこんなことを声を上げて言うつもりはないんだが、しかしやっぱり調査をやったことはよかったと思うけれども、しかしそのあと十分に保護できていない。できない実態をどう考えておるか。これはすなおに言ってもらわなきゃならぬ。こんなことでけんかするテーマじゃない。何とかして手を差し伸べていってもらいたい。それをいかにも官僚的な答弁で、自後できるだけの努力をいたしまして、可及的に、なんということを言ってるんじゃ、これは私はもう少しデータをあげて追及の立場に立ちますよ。もう少しまじめにやりなさい。 〔副主査退席、主査着席〕
○政府委員(坂元貞一郎君) 私が申し上げたのは、そういう趣旨ではございませんので、当時たとえば、いま白内障のお話が二十八名とございましたが、この二十八名の内訳が実はあるわけでございます。このうち手術を要するという者が十七名ございます。それから手術をしなくてもいいという者が十一名ございます。その十七名のうち早急に手術を要するという専門家の判定が当時下った者が七名おるわけでございます。したがいまして、この七名の者は全部手術が終わりました。こういうことを私申し上、げたわけでございます。そこで、残りの者――十七名のうちから七名を手術しまして、残りの十名でございますが、これにつきましては、私どもとしましては、現在のところまだ確実にその残りの十名の者の数をつかんでおりませんが、先ほど申し上げましたように、もう少しこの点は現地側とよく連絡をとって、その数をつかみたいと思っております。おそらく、私どもの推測によりますと、先ほど申しましたように、その後心臓疾患等の手術なり、育成医療というような形で本土に連れてきたり、あるいは現地のほうで育成医療の給付がなされておりますので、その中に残りの児童も入っているんじゃなかろうか。しかし、その実態は、もう少し現地側とよく私どもこれを打ち合わせた上で、把握をいたさなければならぬ、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
○上田哲君 そうなると、こまかいことを聞きますけれども、こまかいことを聞くことが私のもともとの趣旨ではないのです。たとえば二十八人の白内障のうち心疾患の子供が含まれていますね。二十八人について十七と十一の区別がどうなっているのかよくわからないが、たとえば二十八人のうちの心疾患の者、こういう者についてはきちんと手当てが終わっているのですか。その辺どうもつじつまを合わせるような答弁をされているような気がするのです。つまり結論的には、大臣、いま実態は十分に出てこないわけですよ。私は何べんも繰り返すことになるけれども、一回調査をした――その調査に行ったことはいいことだと思うのですよ。しかし、その一回では十分でなかった。実態は十分に把握されていない。それからアフターケアも実際には民間の善意にたよるというようなことです。こういうような重要な風疹の調査あるいはアフターケアも一回ぽっきりというわけにはいかぬだろう。いまの御答弁の中にあったように、もっと実態を調べて、予算をつけるということを含めて、アフターケアを十分してやらなければならぬだろうというふうに思うのですが、再度調査団を派遣するなり、アフターケアに力を入れるなりのお考えは何かありませんか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 私、いまも申し上げましたように、その後のアフターケアの実態がまだ十分に把握できておりません。したがいまして、せっかくの御提案もございますし、私どもも琉球政府のほうとかねがねそういう打ち合わせをいたしたいというふうに思っていたやさきでもございますので、早急にそういうようなことを何らかの方法で考えてみたい、かように思っております。
○上田哲君 大臣、答えてください。
○国務大臣(内田常雄君) 風疹の実態のことは、私も正直申しましてよく知りませんが、風疹が起こらないような対策というものを一方で進めながら、他方において、お母さんがこういう病気にかかったために生まれた子供が不幸な先天性疾患を有するというような、そういう子供に対しましては、できるだけ国もめんどうをみてやることがよいと思いますので、施設の行き届かないところの子供などにつきましては、いまも政府委員から申しましたように、沖縄当局にもその事後の状況についてただしまして、できるだけ本土政府からのあたたかい措置を展開をするようにいたすべきだと思いますし、いたしたいと思います。
○上田哲君 こまかいことはよろしゅうございます。確認しておきますと、一回目の調査をしていただいたわけだけれども、実際にはまだ実態のほんのきれ端しかつかめていない。ですから、これからやらなければならぬことは、いま、どなたですか、局長さんが言われたことの中身は、可及的すみやかにもう一ぺん調査団を派遣してもらうこと、それから手術その他の措置の必要なものについては、現地ではできませんから、直ちに本土との連携を密にして、そういう手当てをしてもらうこと、それからそういう子供たちがようやく新学期に向かっているわけですから、そういう特殊学級について配慮してもらうこと、大きく分けると、この三つだと思うのですね。この三つに大臣は積極的に取り組んでいきたいということだと理解してよろしいですね。
○国務大臣(内田常雄君) 調査団を派遣するというようなことになりますかどうか、そこのところは私もまだここで申し上げられませんが、沖縄・北方対策庁などと打ち合わせまして、あらためて調査団を派遣することがどうしてもその前提になるような場合には、当然考えなければならぬことでございましょうけれども、いろいろな方法もございましょうから、先ほど私が申しましたような線で、そういう子供たちのめんどうをみるために医療教育などのことにつきましても、できる限りの努力を進めるという方向でつとめてまいりたいと存じます。
○上田哲君 ちょっとくどいようですが、この前幾らかかりましたか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 当時は総理府のほうの予算で行ったわけでありますので、金額等は承知しておりません。
○上田哲君 調べてくださいよ。一時間後まででいいですから、電話をかけてでも聞いてください。まあどっちみち微々たる金なんですよ。調べてもらえればすぐわかりますよ。厚生大臣、これはぜひひとつ、手弁当でいくお医者さん方によって構成される分もあるわけですから、北方対策庁との関係云々というようなことよりも、これは大臣がよかろうということになれば、耳が聞こえなかったり心臓が悪かったりして、学校に行けなくて困る子供がすぐ拾い上げられるわけですから、もう一回数字が出てくれば、これくらいのことができるかできないかの御判断を承りたいと思いますが、ぜひひとつ御努力いただきたいということをつけ加えておきます。調べてください。 それでこの風疹というのは、非常に子供の予防医学上問題が深いわけです。さっきはワクチンというお話がありましたけれども、そのワクチンの前に、沖縄でようやくこういうことが明らかになったけれども、本土全体でどれくらいの抗体があるか、どれくらいの伝染の可能性があるかなどなど、いわゆる疫学調査、抗体調査、そういう資料はどんなふうなことになっておりますか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 本土のほうにおきましての風疹の発生でございますが、たまたま問題になりましたような沖縄の三十九年、四十年当時の大規模な流行というのはございませんので、全国的な規模においてその疫学調査等を実施したことは実はないわけでございます。しかしながら四十四年度の厚生科学研究費を用いまして、全国の主要病院の八百病院につきましてアンケートの調査をいたしたわけでございますが、その結果大体二十一例くらいの症例が風疹による障害である、こういうふうに専門家のほうで確定診断した例がございますが、これも正確な、厳密な意味の全国的な調査じゃございませんで、その実態等はつまびらかではございませんが、大体専門家等の意見によりますと、そう多数の発生児が見られていないというようなことが言われておりますけれども、いま私申し上げましたように、四十四年度の一部のアンケート調査によりますと、二十一名くらいの症例が見られている。こういうことだけしかいまのところわかっていないわけであります。
○上田哲君 そこが私は非常に問題だと思うのです。沖縄でもやっと一回やったらこれだけ出てきた。実に大きいわけですね。耳がやられる、心臓がやられる、目がやられる、非常に大きいことなんですね。ところが本土のほうはまるっきりやられていないわけですよ。事実、厚生省に伺ったらその後のデータは出ていないということなんですけれども、これも十分な調査じゃありませんけれども、学者のいろいろな調査をした資料を見ますと、大まかに言えば、現在の出産適齢期、妊娠適齢期といいますか、そういう方々には大体抗体は九〇%ぐらいある。ところが、これからおかあさんになるハイティーンの娘さんたちは、たとえば大阪地区であるとか、あるいは九州、四国が、どうも西北希薄型だそうでありますけれども、西のほうに行くとずっと薄くなってきて五〇%を切っているところが数カ所ある。このままでいくと、数年後には風疹が大阪地区、九州地区、四国地区などで大流行の危険があるということが疫学的に言われております。これはたいへんなことだと思います。これを単に小さなミクロ調査をしてみたら二十一例ありましたということでは、これは完全に後手後手になってしまうと思います。こういう考え方についてはいかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) 私、正直に申しまして、風疹につきましてはあまり知りません。わりあいに最近になりまして、沖縄でこの風疹が先年流行をして、その犠牲者に対する処置をしようとする事態にあるというようなことを、私は初めて知りましたわけでありまして、それはいけないわけでありますが、私は、これは一種の季節的な、地域的な、したがって風土病的な伝染病のように、これは専門家でありませんので考えております。沖縄はいまはおさまっているということも聞いておりましたけれども、台湾かなんかにまだその根が残っておるというような程度の私は認識を持っておりまして、したがってまた、これを放置いたしますならば、季節的に、また循環的にこれが沖縄あるいはまた本土にまで部分的であれ、しょうけつをきわめるということになったらたいへんだと考えざるを得ない。最近いろいろ新しい病気――スモン病とかベーチェットとか、そういう病気のことにつきましては比較的私も耳にいたしておりますけれども、このことにつきましては私自身十分の認識もございませんでしたので、いまお話を聞いておりますると、将来の心配も大いにあるわけでございましょうし、その抗毒素等をこれから妊婦、産婦になられる婦人方に持ってもらわぬことにはいろいろの心配もあるでございましょうから、十分の配慮をさせるように私も関心を持って進んでまいりたいと思います。
○上田哲君 大臣が、風疹については私はよく知らぬのでと率直に言われるので、私はそれで熱意があればいいと思うんです。ただ厚生省としてこんなことではたよりないことおびただしいと思いますよ。これはぜひお考えいただかなければならぬと思うんですが、大臣が、また沖縄にも発生することになると困るからと言われるが、沖縄には発生しませんよ、大体抗毒素ができているから。しかし沖縄の例はそんな単純なことじゃないのです。ほとんどその子供たちは六五年六月から十二月の出生児です。そうしてその全出生児は一万二百人、発生率は三・五%ですよ。これはたいへんなことです。しかも日本中の抗体、非常に大ざっぱな抗体検査だけれども、学者のやったところでは、いま申し上げたようにたとえば九〇%もあるのは、おとなといいましょうか、二十何歳というおとなはいい。しかしハイティーンの連中は西へ行くほど非常に薄くなってきて、大阪近辺、四国、九州では数年後には風疹の大流行が起こるということは疫学的に言えるわけです。これをほうっておくというようなことでは非常に問題が起きる。かりに沖縄のこのパーセンテージではじき出してみますと――データがないからしかたがないんですけれども、単純計算でも二万四千人の子供が関西――西のほうを中心にして二万四千人の子供が風診にかかる、こういう数字になっているんです。こういうことを言っている学者がいるんです。これはやはり私はすぐ調査をすべきじゃないか。いま調査がないままでいいということにはならぬじゃないか、こういうふうに思うんですが、大臣その点について熱意をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) これは、私が大臣ではございますが、厚生省の各方面の活動というものは私の指示を待ってやるというようなことであってはならないわけでありまして、それぞれその方面の担当の技官などもございます。また、厚生省の所管には御存じのように予防衛生研究所というようなものもあるわけでございますので、当然私の指揮を待つまでもなく、また上田さんからそういう御叱正をいただくまでもなく、厚生省が常にそういう姿勢をもってこういうことに当たっておらなければならぬものだと私は思います。そういうことを、さらにまた私は省内におきましても意向を伝えまして、そうして、こういうものに対する今後の思わざる事態の発生を十分頭に置きながら対処をさせるように熱意を持って進んでまいりたいと思います。
○上田哲君 わかりましたが、お金は……。
○説明員(亀谷礼次君) ただいまお尋ねでございます第一回及び第二回の集団検診の技術要員の派遣の経費でございますが、第一回の一般診断及び精密検診を合わせまして延べ十四名でございますか、行っていただきました経費が約四百八十万円の経費でございます。 それから御質問にございませんでしたけれども、先般来の厚生省に対する御質問に関連して、沖縄北方対策庁の予算措置についても一応御説明しておいたほうがよろしいと思いますので、つけ加えさしていただきますが、先ほど先生からお尋ねをしていただいておりました、来春から学齢に達する児童の問題を含めまして、沖縄北方対策庁の四十五年度の予算では、風疹障害児対策備品整備、これを約九百万円措置いたしました。なお来年度におきましては、いま先生からお話がございましたように、来春から学齢に達するということもございますので、これら障害児のための教室の建設費、これは本土と違いまして四分の三の高率補助でございますが、これを一億二千万円特別に障害児のための経費として予算にいま計上いたしております。その他、一般の盲ろうあその他を含めましての特殊学級に対する設備等に二千三百万円ばかりございまして、この中には当然風疹児対策費も含まれておるわけでございます。簡単でございますが……。
○上田哲君 大臣、お聞き取りのように、教室や何かは当然やってやらなければならぬことだし、それは大いにやっていかなければならないと思いますから、それを調べますと五百万かからぬほどのものだから、これはぜひ調査団をすみやかに派遣して、沖縄復帰の年を迎えるわけですし、ちょうど就学期を迎えている子供たちについて実態を十分に把握するということをぜひ約束をしてくれませんか。
○国務大臣(内田常雄君) これは、私がそのことをここでお約束申し上げますよりも、関係の局長もおりましてお話を聞いておるわけでありましょう、北方庁もおられるわけでございますから、あなたの御熱意にもこたえる意味におきましてあらためて打ち合わせをいたしまして、こちらから派遣するのがいいのか、あるいはまた沖縄当局のほうのこまかい報告、調査などを受けるものがあって、対処策が双方の協議できまるものがあれば、そういうことで予算の措置、医療の措置等が講じられる点があるかもしれませんので、その辺全体を含めまして十分前向きで検討させるようにいたしたいと思います。 〔主査退席、副主査着席〕
○上田哲君 じゃ、もう一つ確認をしますけれども、沖縄だけでなくて西日本を中心に二万四千人も風疹の流行が起きるというようなことがあれば、これは非常に重大事だと思うのです。そういうことが数字的には言えるわけんなですから、これに向かってすみやかに調査をする、そして対策を講ずるということはお約束いただけますね。
○国務大臣(内田常雄君) けっこうなことである、こう思います。 〔副主査退席、主査着席〕
○上田哲君 前向きに御答弁がありましたから納得をいたします。金額からいってもたいしたことはございませんし、目下は意欲的な学者たちの良心、善意にゆだねられてしまっているようなかっこうになっておりますから、ぜひひとつ沖縄の問題、それからわが国の国内全体の問題についての調査をやっていただくことについて、また可及的すみやかに御結論の御報告をぜひいただきたいと思います。 ワクチンのことも聞きたいので一言聞いておきましょう。風疹ワクチンはどうでしょう。私どもが聞いているところでは、大体あと二年もすれば実用段階にも到達するのではないかというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。
○政府委員(武藤琦一郎君) 風疹ワクチンの開発につきましては、四十四年、四十五年、四十六年、それぞれ研究が続けられておりまして、四十七年度におきましては製造基準とかあるいは国家検定の基準の計画を行なう予定になっております。したがいまして、いままでの研究に基づきまして、四十七年度中には実用化が行なえるというふうに大体予定しております。
○上田哲君 ひとつそのほうも車の両輪ですから、大いに御努力いただきたいと思います。 そこで時間の関係から問題を移します。風疹というのは結局いわば小児医療あるいは小児予防医学の一部でありますが、風疹の場合にも、いま御答弁がありましたように、ほとんど実態をつかまえていない、非常に心もとない感じがするわけです。本来ならばあたかも沖縄の風疹児のように十分な調査治療が講じられなければならないニードといいますか、対象がどれくらいいるのだ、それにどうして手がつかないでいるのだという問題があると思います。厚生省としては、いま本来の小児医療の対象にしなければならない子供たちがどれくらいあるか、そういう調査がおありですか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 小児医療と申しましても非常に幅広いわけでございますので、そういうような小児医療の対象にしなければならないような児童の数というようなものについての的確な調査はしてございません。ただ個々の分野につきましての個別的な調査はございます。たとえば、小児のガンなり、あるいはそれ以外の小児の特有な疾病についてのそれぞれの対象者というのがどの程度いるかというような、疾病ごとの、あるいは障害ごとの調査というのは一部ございますが、全般的な、小児医療全般の対象というようなものについての的確な調査というのはございません。
○上田哲君 ないですよ。私は、ないことが問題だと思うのですがね。やらないのだからない。小児ガンその他、特殊な病気についてやっているというなら、小児ガンについて言ってごらんなさい。
○政府委員(坂元貞一郎君) 小児ガンの場合の対象数として私どもがつかんでおりますのは、一体全国的に見ますると三千五百人くらいいるのではなかろうかということで、それを対象にしまして、四十六年度の予算を実は計上いたしているわけでございます。
○上田哲君 これは予算作成の逆算の方法でね、私はそれが十分な疫学からきたとは言えないと思うのですけれども、そうでしょう。
○政府委員(坂元貞一郎君) たとえば小児ガンにつきましての正確な科学的な調査というのは実はございません。いまおっしゃいましたように、この方面の専門家等が過去の経験等に徴して、いろいろはじきました結果が、大体年間三千五百人程度ということで、大体小児ガンの発生率は、一万人に一人というのがおおよその学者の意見だ、こういうようなことから計算いたしました数字でございます。
○上田哲君 大臣、やはりこういうことなんですよ。これからの子供が大事だ、母子保健ということを非常に大事な柱にされた、ところがことしは老人のほうにすっかりいってしまった。私は老人も大事だと思う。老人をやめてこっちに来いなんということは言いません。しかし、たいへん影が薄くなってしまって、実際には、よるべきデータが何もない。全く調査が行なわれていなくて、小児ガンについて言えば大体一万人に一人くらいという過去のデータから計算をすれば三千五百人くらいになるのじゃないかということで、かけて予算をつくる。こういう大ざっぱなことでは、小児医療、小児ガン予防医学、こういう方向には全く科学的な踏み出しはできないと思うのです。この実態はどうですか。
○国務大臣(内田常雄君) 私も、厚生省全体の上に乗っかっておるわけでありますから、一々のことは存じませんけれども、しかし小児に対する保健とか、育成対策とかということを進めますためには、これは非常に動いている社会でございましょうし、疾病のことについてはなかなかむずかしい点もあるでしょうけれども、しかし政策の基盤となるような調査というものを握っておらなければ、疾病対策ばかりでなしに、児童の育成対策も、母子保健対策もできないわけでございますから、それらの足らざるところは厚生省の職員が十分そういう気持ちを持って常に対処していかなければならないことであると考えますので、今後、ことに最近、社会福祉の問題が老人ばかりでなしに、いま児童手当さえも取り上げられる事態になってきておる今日でございますので、足らざるところを十分補うような体制をとらしてまいりたいと考えております。
○上田哲君 率直でけっこうです。そこが非常に根本的に欠落しているんですよ。これでは十分対策は出てこないと思うんですね。私二、三の例をあげますけれども、こういうデータがあるんです。大田区の小中学校の生徒児童全部を対象にして、そこでニードの調査をやっているんです。時間の関係があるからこれを差し上げますから、こまかくは読み上げませんけれども、実は非常に熱心な学校医の先生方が何人かおられて、グループができ上がって、区教委に頼んで若干の調査費を出してもらって調査をした。調査の方法というのは結局先生に頼んで、こまかくやり方を依頼して、生徒の実態を聞いてもらって出すというクリニックな方法ですけれども、誤差はあります。子供自身の自覚症状もありますし、先生の見方もありますから誤差はあるけれども、ざっと五万人をこえる数ですから、そういう大きな分母からいうと、かなり概数といいますかが出てきているんですよ。これはちょっと余談になりますけれども、虚弱児調査という名前を付した。ほんとうは潜在的医療ニードですね、これを調べたかったんだけれども、そんなこと言うとおかしいんで、虚弱児という言い方をして、予算がないものですから予算をもらおうとするお医者さん方の良心的な知恵ですよ。ここでこまかいデータを全部読み上げるのはたいへんですし、時間がありませんから省きますけれども、たとえば心臓疾患、結核、腎臓疾患、てんかん、あるいは言語障害、これが全対象児童は五万六千人ぐらいですけれども、この一%に当たっていますよ。大田区というのは一体東京二十三区の中でどういうことになるのかということは私もつまびらかにいたしませんけれども、たまたま小中学校の生徒全児童を対象にしてやったデータの中で、かりに一つの平均値としてとらえていくと、もし全国ということで考えると、いま心臓疾患と結核や腎臓疾患や、てんかんや言語障害で、ほうっておいてはならない、すぐに手当てをしてやらなければならない、そういう子供たちがこの平均値でいうならば、全国に十六万人いるということになるんです。これは実際に調査されている大田区から申しますと、この数字が出てきた。こういう数字や問題についてはどう考えますか。
○国務大臣(内田常雄君) いま上田さんの御所見で大田区のその調査から推計すれば全国で十六万人ぐらいおるであろうというお話ですが、私はぼんやりした大臣ではございますが、ふだん頭にありますのは、そういう児童の身体障害者十一万人というような頭を実は持っております。それはどこからきた数字かというと、これは私が間違いましたらばまた政府委員に訂正させますが、大体五年に一ぺんぐらい全国的な調査をしておる。たしか四十年の調査がこれまでの厚生省のそういう数字の基礎であったように思いますので、だとすれば四十五年――昨年に調査したはずで、それが遠からず集計もされるとは思いますけれども、そういう調査はやっておるようでございます。四十一年の十一万が今日十六万かもしれませんが、おおむねそんな数字が出ております。ともかく、これは弁解するわけではございませんが、たとえば、いま問題のスモン病の患者が何人いるかということを調べるにいたしましても、結局医療機関全体の診療実績調査のようなことを全国的に医師会等を通じてお願いをして、そして報告をしていただいて、来た患者のうちスモンかもしれないと思われる者を表で出していただいた、それが四千数百人とか、あるいは七千人とかいうような数字で出ておるわけでありますが、それは医療機関とか病院に来た患者についての調査だけでありまして、来ない患者もあるかもしれないのでありますから、こういうことはいま大田区の小学校でやったと同じように、ほんとうにつかまえるならば、何か国民背番号制度というようなもの、これは年齢別に背番号をやるかどうかしまして、ほんとうにその人が診療所に入っているかどうかは別としまして、学校の校医が診察したのが小学生について出ると同じように、これは小学校ばかりではなくて中学生もございましょうし、十八歳以下の生徒でございますから高等学校の生徒も入りますが、そういうようなことでもやっていただけると、かなりいろんな、病院や診療所に行かない人人の健康状況についてもわかるわけでありますけれども、なかなか実際はそこまでいきにくいという面も、これは弁解するわけじゃないけれどもあるようでございます。しかし、私が先ほど申し上げましたように、その児童対策をやりますために、何科のどういう疾患の者がどのくらいあるか。また、親のない子供がどのくらいあるのか。親はあるけれども親が共かせぎで保育所などに入れて、めんどうを見なければならぬ子供がどのくらいあるのかということについては、八〇%から九〇%ぐらいまでは概数でつかまえる調査がなければならないとは私は思いますが、それらの方法については足らざるところは私は補わせるようにすべきだと考えますので、そうしたいと思います。
○上田哲君 最後の部分、了解します。背番号というところまで話が飛ぶ必要は全然ないと私は思うのですけれども。大田区の良心的な開業医の先生方にこうした努力をしてもらわなければデータがない。大田区の小中学校を対象にした以上の、国のデータがないということでは、これはやっぱり非常にぐあいが悪いと思うのです。ぜひひとつこれを積極的に集めてもらうということをお願いをします。 時間がありませんからどんどん進みますけれども、厚生省の今度のこの方面のお金が四千万ですよ。札幌ですかに二千万、そのほか二カ所に補助が一千万というような、そんな程度しかない。実際にこのような予防医学、治療医学の分野に対しては、生まれる前の妊婦検診ということと、それから小児医療の充実という二つの柱がなければならぬ。これは哲学だと思うのです。この二つについて積極的な御努力をいただきたいと思うのですけれども、実際にその前のデータが、いま申し上げたようにこれがないのでは、やりようがないのじゃないかということが明らかになる。大臣としては努力をされるということですから、いまの資料も差し上げますからぜひ役立てていただきたい。その一つとして、小児医療センター、私は例を世田谷の国立小児病院にとりたいと思うのです。これはほんとうにいい仕事ですよ、たった一つですけれども。愛知や兵庫、神奈川の問題もあるけれども、とにかくセンターとして私はいい仕事だと思っています。ところが大臣、いまパンク寸前ですよ。実態を御存じですか。完全に国立小児病院はパンク状態で、目の前の状態はこれもお医者さんや看護婦さんの献身的な努力でやっとまかなおれている。一ぱい数字を出す余裕はないと思いますけれども、小児病院――そちらから伺いましょうか。たとえば、どれくらいの患者が押しかけてきて、それがどのくらいみられるか。お医者さんの頭数で割ったら一人当たり診察の時間がどれくらいになるかなどなど、あまり役人的な発想の姿じゃなく、その実態というものが説明できますか。できるならお願いするし、そうでなければ私のほうから申し上げます。
○政府委員(松尾正雄君) 地域平均にいたしまして入院患者は、現在平均でございますけれども四十五年度で二百五十六名、外来で七百九十名という状態でございまして、病床の利用率が八五%程度でございますが、私ども、大臣にも足を運んでいただいたことがございますけれども、たいへん入院患者に比べまして外来患者の比率が一般の国立病院よりはなはだ多いという実態でございます。したがいまして、多い場合には千名をこすことがあるようでございます。かようなことでございまして非常に混雑をしておる。したがいまして、たいへん医者もいろいろ予約をいたすにいたしましても、その整理に忙殺されているというのが実態でございます。
○上田哲君 たとえば、来る患者さんは、開設当時に比べると、入院、外来とも二倍くらい。これはまあいいことですよ。来ていただくのはいいことだ。しかし、まるっきりそれが、簡単にいうと二倍のロードをかけるだけになっている。そして、もっといけないことは、それが手抜きになるということですよ。私は繰り返して申し上げるが、国立小児病院のお医者さん方が非常に献身的に努力されているということを前提にしての話でございますから、医者がいいかげんなことをやっていると言うのじゃありませんよ。しかし結果的には手抜きになるのですよ。たとえば検診ですね。項目でいうと二項目を落とす。それをする以外には患者の検診が回し切れないという状態が起きていると思います。この実態はどうですか。
○政府委員(松尾正雄君) 私も、そういう検査をどれだけ省略しておるかということまでは聞いておりませんけれども、ただいま申しましたように異常に患者が多いわけでございます。したがって、それを整理するのに非常に苦労しておる。しかし、おそらく検査の手抜きということはできるだけやらない形で、専門的な検討の上で必要な検査をやるという形で進んでいると思いますけれども、いろいろな面に、ただいま申されましたように非常に殺到している状況でございますので、その圧迫があるということは私も十分承知いたしておるところでございます。
○上田哲君 どの検査を抜いているかなんという話をすると、どう言ってみたって結果的にお医者さんがサボっているような形になるから、これはやめますよ。だが、言っておきますが、具体的にいままでどおりの検査方法ができないですよ。そうすると、結果的に患者があふれるんですよ。だから二項目は落としています。こういう実態です。しかたがないんだ。みないよりみたほうがいいんだ。そこで、あまりお医者さんの良心にかからないところで申し上げますが、これは中央機関であり研究機関でもあるわけですから、病理解剖の解剖率というのがありますね。この解剖率が四十一年八一・三%、四十二年八九・九%、つまり九〇%やっているわけですよ。これはたいへんまじめな数字になるわけです。ところが、七九・七、七八・五、ついに四十五年は七三%に落ちちゃった。九〇%が七〇%に落ちてもやむを得ないわけですよ。つまりこれは、医務局長さんは専門だから、この数字が何を意味しているか、すぐおわかりになる。具体的には、小児病院の病理的なレベルがこれだけ落ちているということであり、こんなところまでしわ寄せされなければならないところまで国立小児病院の、何といいましょうか、忙しさが及んできているということですね。この点をひとつ見解を明らかにしてください。
○政府委員(松尾正雄君) こういう中心的な機関におきます剖検率というものがその一つの水準を示すバロメーターでありますことは、先生御指摘のとおりであります。したがいまして、そういう事情もよく聞いてみたいと思います、剖検率が下がってきたということは、あるいは御指摘のように、医者が非常に多忙であることなのか、あるいはその剖検の専門家がたまたま足りなくなったのかというような、いろいろな事情があろうかと思います。この点はひとつ十分、実態に即して検討さしていただきたいと思います。
○上田哲君 具体的に何をしますか。
○政府委員(松尾正雄君) まあ具体的には、それだけ殺到しております患者という実態に合わせて、とにかく人間をふやすということが第一番だろうと思います。従来も実はこの病院についてはそういう実態がございますので、いろいろやりくりをいたしまして、よけいに人員をさいているはずでございます。しかしながら基本的には、そういうところのどこに隘路があるか、あるいは設備等が、たとえば自動化するようないろいろな装置を入れることでもっと受けとめられるものであれば、そういう自動化ということも十分検討する。いずれにいたしましても、抽象論ではなくして病院当局自体のいろいろな具体的な提案というものを受けながら検討したい、こういうつもりでございます。
○上田哲君 剖検率のところでいいますと、常勤の医師が一人しかいないのですね。日本病理学会基準の三倍の状態になっている、こういう実態があるわけです。たとえば具体的にいうと、剖検率を高めるということになれば三倍のロードをしいることになる。ですから、人をふやさなければいかぬと思うのですよ。具体的には、たとえばそういうような手当てをしますか。
○政府委員(松尾正雄君) 実は、病理学者といいますか、そういう剖検をするような方というものが非常に日本では貴重な存在でございまして、はたして数さえ、定員さえつければ直ちにそういう適任者が得られるのかどうか、私は必ずしも自信を持ってお答えできないような気がいたします。しかしながら、先ほど申しましたように、剖検率が下がったということの実態、並びにそういうことに手当てがつくのかどうか。それはまた必ずしも剖検の場合には常勤の医師でなくてもやる方法があると思います。非常に少ない人でございますから、かけ持ちということも十分考えなければならない。そういった点はひとつ具体的に病院当局と打ち合わせた上で検討させていただきます。
○上田哲君 いろいろな例は出さないで、しぼっていきますけれども、優秀な人がいないと困るというお話ですが、これはいろいろなかね合いがあるかもしれませんけれども、この機関に――小児外科というのは大人の半分だというのではなくて、まさに独自の分野だと思うのですが、小児外科を含めてそういう新しいジャンルヘの挑戦を兼ねて、すばらしい医者がそこへ集まったのですね。ところが当初はそれでよかったと思います。現に、具体的に言えば、まだベッドが余っていますよ。これだけたくさんの入院患者が来てもベッドが余っている。なぜ余っているかというと、ただ入れるだけなら入れてもいいのだけれども、十分にこれに見合うだけの検査やオペができないということでは責任がとれぬのじゃないかということで、これは人手の問題になりますけれども、使わないで置いておくというくらいの良心的な病院だと思うのです。ところがその需要がどんどん多くなってしまう。結果的にはいまの状態は、当初の三倍の人だと、たとえば神経科なんというのは来た患者の過半数をほかへ移すよりしようがないところまできているのですよ。これでは医者の良心なんというものではなくなってしまうのですね。あすこにいた医長クラスの何人かがほかの大学へ移ったりという傾向が出てきます。これは根本的に、病院一つつくればいいということではないだろうけれども、その後のフォローがない、小児医療に対する行政が十分行き届いていないということをあらわしていると思うのですね。その点どうお考えになりますか。
○政府委員(松尾正雄君) 私は先生の御見解と多少違う見解を持っておりますが、この国立小児病院というのは、日本のパイオニア的な形でこういうものを整備いたしまして、御指摘のように非常に優秀な若い先生も集まっていただいたわけでありますが、しかしそういうところへ、たとえば新しい大学ができてそういう大学に引っぱられる、あるいは神奈川その他に小児センターができまして、そういうところにいわば指導者として育っていって誘致されることがあるとすれば、ある意味で日本の小児医療を確立する上での国立小児病院の使命というものが達成されたと申し上げていいと思うのです。
○上田哲君 そんなことを言っているのじゃないのですよ。どんどんほかの病院へ行くことはいいわけですよ。しかし失望して行くというようなことでは……。
○政府委員(松尾正雄君) ただし、もちろんそういうこと以外の事情、たとえば非常に忙し過ぎて困るのだという不満から去って行くということであれば、これは……
○上田哲君 不満じゃないんだ、できないからだ、これは。そんなことを言っちゃ困りますよ。優秀な医者がどんどん育っていって後進の指導に当たるようなプロフェッサーになるということはいい。そのことがいけないということは一言も言っていない。たとえば忙しすぎるから去るということは――あなた行ってごらんなさい。これは、大臣は行かれたというからおわかりだと思いますが、松尾さんも行かれたに違いないと思うが、忙しすぎるから不満であるということは、その医者の名誉のためにも言いたくない。よくやっていますよ。忙しすぎるからというのなら初めから行きませんよ。そういう人たちは十分なことができないのですよ。これはいろいろな例がありますよ。時間がありませんが、重ねて言いましょうか。たとえば妊婦の健診ですね。妊婦の無料健診の実施率は、厚生省が言っておることは、大体必要数の六五%をカバーしておるということだ。ところが六五%とおっしゃるけれども、実際には一年間の妊婦の数は百九十万人だが、実際には八十九万人しか行っていない。これはパーセンテージで言えば四七%にしかならない。ところが厚生省の数字では六五%ということになってくる。どうしてこういうことになってくるかというと、百九十万人の中から保健所に自発的に来るのが三十万人。その三十万人を差し引いた残りに所得制限に基づく対象の比率を掛け、さらには三歳児健診の受健実績六五%を掛ける。こうして予算を必要以上に切り詰めている。こういう数字でやっているものだから、いまの妊婦健診の百九十万人のうち六五%をカバーした、こうおっしゃるけれども実際にはほんとうのところ五〇%切れているわけです。保健所に自発的に行く三十万人を計算から除外するのは当然の結果とおっしゃるかもしれないが、少なくとも三歳児健診の実績は六四・五%じゃないのです。これは八七%もあるのです。こういうことから言えば、この数字だって全くの細部に結びつけたからくりでしかないんですよ。まだいろいろ問題があります。たとえばそういう中でいえば、本来の検査というのは血圧、梅毒、貧血、尿たん白等の検査、こういうことだけじゃなくて、血液型の検査や出血性素因の検査、肝臓器の測定検査などということを含めなければならない。そういうものが入らないわけでしょう。検査をしたと言われるけれども、ほんとうに健康な子供が生まれるために妊婦健診をするということになれば、医務局長だって、そこまで含まなくてよろしいということは言わないでしょう。少なくともそういうことも、これは一般的に百九十万人を対象とする行政上のレベルという言い方なら幾らでも出てくる。しかし、それはおっしゃるように忙しくていやになったという理屈に通ずる。そうじゃないんです。これはできないんじゃないですか。ほんとうに治療ができないので、医者の良心の問題としてとどまることが不可能だということはやっぱり理解してください。この問題に具体的に答えてください。
○政府委員(松尾正雄君) 妊産婦健診の問題は児童局の所管でございますが、ただいま私が申し上げました小児病院の問題については、私自身も実はほかにあまり例のないことかもわかりませんけれども、この小児病院の医長クラスの方々と全部一堂に会して、いろいろ御要望も聞いております。そういうことで、ああいう医長クラスが皆どういうふうな問題意識を持っているか、どういうことを希望しておるかということも聞いておりますので、そういう点ではひとつ私も特別の、他の一般病院以上にこの小児病院については苦心しておるところでございます。私の理解がもしそういうような点で間違っておったといたしますならば、いさぎよく訂正いたしまして、そういう先生方の御要望に沿うように努力いたしたいと思います。
○主査(吉田忠三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(吉田忠三郎君) 速記をつけて。
○上田哲君 時間がないので非常に残念ですが、いまの基本的な考え方で、私は、これは努力がなければどうにもならないので、答弁をされるだけではしかたがないんで、これはひとつ十分に――専門家である松尾さんに申し上げますけれども、それじゃどうすればいいんですか。現実の問題として小児病院に行かなければ問題の解決しないということがたくさんあります。そういうたてまえでつくったわけです。いま三時間です。三倍です。どうすればいいかという問題、これは金があれば簡単ですけれども、その辺のところを真剣に考えて前向きにどうすればいいんですかね。
○政府委員(松尾正雄君) 私は、少なくとも世田谷の小児病院が日本の最初の事例といたしまして実績を持ち、先生も御承知だと思いますけれども、相当遠くのほうからもここに患者が来る、紹介されるという実態でございます。しかしながら、やはり基本的に大きな線としては、各県あるいは各地方にこれに類するような小児の専門病院というものが普及してくるということで、これを忘れて世田谷だけの問題点を解決するということは、私は正しくないと感じております。全国的にそういうものを展開して、そういう意味の中心になるいわば国立の世田谷の病院ができたわけでございます。そういう設立の趣旨が生かされますように各県にも十分呼びかけて、そういうものができるようにいたしたいと思います。しかしそれだけでもって、この世田谷の現実の問題がすぐ解決するわけではございません。したがって、先ほど申しましたように、人をふやすにいたしましても、一口に、単純に責任を持ってふやすということはなかなか言えないことでございます。たとえば設備の問題あるいは機械の問題、そういったようなことで解決ができるだけの努力はひとつしていきたいと思っております。
○上田哲君 こまかいことを言いますと、小児病院にはいま検査技士が泊まっていないんです。だから交換輸血なんか急にできないわけです。これではやはり国立小児病院の意味がないんじゃないか。こんなものは努力すればすぐできるわけです。あるいは、目下のところは放射線治療などはここではできないわけです。そこでほかの大学病院との連携ということに――連携ということばはいいけれども、ほかに運ぶということにならざるを得ない。そんな小児病院センターはないわけですが、最近は肺炎まで――まあこれは内容の問題でありますが、こういう問題は大きくふりかぶった話じゃなくて、目の前の問題としてすぐ手がつくだろうというふうに思うんです。時間が委員長から制限されておりますから、それは、私は終わってからデータを持ってきますから、それについてひとつ具体的にお答えを願いたいと思います。 そこで大綱目として、ほんの数分しかありませんから、いまのお答えの部分を詰めていきたいんだけれども、大綱目として、まさしくそれは単に世田谷の小児病院だけじゃなくて日本じゅうに――私は非常に具体的だと思うんですが、各都道府県に一つずつそういう検査センターを含めた小児病院をつくって、最終的にはどうなるか。最終的にはいいんですけれども、たとえば構想としては国立小児病院に統合するという、こういう全国ネットワークというようなものをつくっていくようなシステムが必要だと思うんです。ところが、意欲はわからぬではないけれども、ことし出してきた予算が四千万円ですね。これでは百年かかってもその体制にはならぬと思うんです。実際に、かけつけて、あすがわからぬ子供の命をどうしてくれるんだということで、全国にそういうシステムをつくると言われても、対策の予算が四千万円ということではいつまでたってもできない。子供は死ぬほかない。そこのところはどう考えますか。
○政府委員(松尾正雄君) ネットワークをつくるという体制でこの小児問題は取り扱え――決して小児病院がないから子供の治療ができないという実態でないことは先生御承知だと思います。必ずしもそういうことではないわけでございます。先ほどもお話がございましたように、小児というものはおとなの小さいものではないという御指摘がございました。まさにそのとおりでございます。そういう意味において、単に小児内科といったようなもの、いわゆる小児科というものだけで治療するものではない、あらゆる各科が総合して子供に対応すべきだということから、いわば小児病院という発想が出てきているわけでございます。したがいまして、今後そういうふうに各都道府県を通じましてそういうネットワークをつくるというのは、私たちの一つの考え方でございまして、ことし、たいへん御指摘をいただきまして、これだけじゃ全く焼け石に水だという御指摘でございますけれども、実はことし初めて頭を出したものでございますので、今後、各都道府県の意識という問題もございますが、こういうものを契機といたしまして、急速にそういう機運を具体的に盛り立てまして、それに応じて私どもも対応策を考える、こういうふうに進めてまいりたいと思います。
○上田哲君 大臣ね、いまお聞きのとおりです。で、私も頭を出したことは評価します。しかし実際にこれはだめなんですよ。全く焼け石に水以下なんですね。大臣にこれはぜひひとつお約束いただきたいのだけれども、この方向を強めるということは医学の当然な潮流なんですね。だから、これに熱意を持っていただく一つの表示として、たとえばもう一ぺん国立小児病院に行ってくれませんか、お忙しいでしょうけれども。そこで見ていただいて、全国にぜひそういう体制を組んでいただくような姿勢でやっていただきたい。これはひとつ将来あなたの銅像が建つぐらいの大事なことだと思うのですよ。 そこで、いま医務局長の言われたことに、一つ私は許しがたいと言ってはオーバーだけれども、いかぬと思うのは、特にそういう小児センターというものができなくても個々の医療、治療には問題はないのだと。それじゃ根本的に子供はおとなの半分ではいかぬという新しい哲学の台頭はどこへいったのか。これは私はまずいと思いますよ。だからこそ厚生省の頭を出した今度の青写真は、全国にそういうものをつくる、こういう形でできなければいけないのです。だから、そういう形を全国に波及さしていく。いま三つ四つです。四千万じゃどうにもならぬです。しかしそれはそれとして、今後の問題として、たとえば大臣、仙台というところで「こどもの城」運動というものがございます。これはとにかく市と話し合いをして、どうしても子供のためのそういう運動をしなければならないというので、市長まで一緒になって市有地は開放しよう、そうして東北大学からお医者さんを頼もう、それだけではいけませんから、そうして国からいろいろな手助けをしてもらって、そうして「こどもの城」と称する小児医療センター、そういうものをつくろうじゃないかという運動を進めておるのです。こういうものをどう評価してどういうふうに力を加えていかれようと思うか、ぜひ小児病院へ行って見てくれないかということを含めて、もう最後ですから、意欲ある御答弁をいただかないと、もう一ぺん再度立ち上がりますから。これは対決点ではございませんから、ぜひ一つ意欲ある御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私も医務局長と上田さんの問答をよく聞いておりましたが、これは私がいまここで初めて気がついたわけではございませんで、すでに私が厚生大臣に就任いたしました当時から、小児医療というものの特殊性、重要性につきまして私も省内でレクチュアを受けてまいりました。がんセンターなどにつきましては、治療部門、教育部門、またそれらに従事するメディカルの職員の養成部門等ができておりますし、これについては地方にもがんセンターを充実していって軌道に乗せつつありますが、それと小児とは分野が違いますけれども、しかしこの小児というのは、とにかく一年に百七、八十万人生まれるわけでございますから、十歳未満の子供をとりましても千五、六百万人もおられます。それから児童福祉法にいう十八歳未満の者をとりましても二千五、六百万人おるわけでございますから、したがって診療率といいますか、そういうものも普通の成人年齢の人よりも多いでありましょうから、さらにまた、その上子供はおとなの小型ではないというような、これも医者の常識、これは私は厚生省におきましても指揮をとっておるわけでありますから、そういう面を考えますときに、がんセンターなどの全国的なネットワークあるいは救急医療の医療機関などのネットワークと違った意味において、また同時に同じような形で全国的にネットの仕組みをつくっていくということが必要だということを、厚生省はつとに言っておりました。世田谷の国立小児病院にも私が参りまして、いわば日本における小児医療の施設の顔のような形だと思ったわけでございます。しかしそれだけじゃ足りるところじゃありませんから、全国的にこれはひとつセンターあるいはセンターができる前におきましても、公立病院なんかもだんだん充実をいたしておりますから、コーナーで出発する場合もございましょう。が、そういうことを大臣として力を出しまして、厚生省のそういう前向きの正しい野心を達成させるために私も協力をいたすつもりであります。ことにいまお話の仙台付近におけるそういう地元の盛り上げるような運動がありますことは、たいへんけっこうなことでありますから、そういうところには特に力をかしてまいる、こういうふうにすべきであると考えまして、十分お話を拝聴しました。
○上田哲君 けっこうだと思います。で、ひとつきょうは荒いデータですから、さっきから申し上げているように、差し上げるものは差し上げるし、御努力を確認しておきますが、沖縄の風しんにはひとつもう一ぺん調査団を派遣するということを前向きに検討する、それから西日本にもそういう危険があるので、風しんを含めて小児医療治療のニードについては、できるだけデータをとっていただく、そして妊婦検査ということと、全国的な小児医療検査センターのネットワーク化ということについて最大の努力をしていただく、その中の一つとして仙台の「こどもの城」も取り上げたい、こういうことでいいですね
○国務大臣(内田常雄君) おおむね上田さんの念を押されたとおりであります。ただ、沖縄に現実に調査団を派遣することは私反対ではございませんが、御承知のように、そもそも厚生省というところは地方に部局を持たないところであります。沖縄県はもうすぐ来年には本土の一県になるわけでございますから、それは宮城県とも長野県ともどこの県とも同じ資格になりますが、そういう地方地方につきまして、厚生省は他のたとえば農林省における農政局、通産省における通産局とか大蔵省における財務局みたいなものを持ちませんので、その地方の民生部、衛生部あるいは保健所というようなものを厚生省は手足に使っておりますので、きのうもここにいらっしゃる塩出さんから、中国方面のある事件につきまして厚生省は調査団を派遣しないのかというようなおしかりもいただきましたが、すべて厚生省がその第一線にチームを編成して出すというような仕組みがとれない部面がありますことは、これは上田さんもおおむねお察しいただけることと思います。ことに沖縄に対しては、あそこに医師が少ない面もございますから、沖縄立のいろいろな診療所、病院等に、一般の医師も歯科医も本土から派遣をしている仕組みなどもございますので、場合によりましてはあらためて調査団を派遣しなくても――派遣するのに反対というわけじゃございませんが――風しんに対する残されている調査をやる、こういうことで御理解いただければけっこうであります。
○主査(吉田忠三郎君) 上田さんの質問は終わりました。
○西村関一君 四十六年度の厚生省所管の予算書を拝見いたしますと、努力が払われておるということは、各項目ごとにわたりまして私は認めることにやぶさかでないものであります。ただ、全体として言えますことは、今度の厚生省予算の伸びでございますが、それぞれ特色がございますけれども、GNPの伸びに比べて、日本が福祉国家であるというのにはあまりにまだ十分だとは言えないと思うのでございます。そこで、私は全体についてお尋ねをすることがとてもできませんが、特に老人対策、心身障害児、心身障害者対策、社会福祉の施設の問題点、施設に従事する従事者の問題点にしぼりましてお尋ねをしたいと思います。 まず老人対策でございますが、老人の年齢は近年非常な勢いで伸びてまいっております。老人の数がふえてきておるのでございますが、これに対しまして老人対策の予算は、各項目にわたってまだ十分だとは言えないというふうに思うのでございます。たとえば老齢福祉年金にいたしましても、月二千三百円ということになっております。これはまあ二千円から二千三百円になったんだから、三百円増したということでございますけれども、聞くところによりますと、厚生省原案では二千五百円を要求したのを二千三百円に削られた。これはもう予算全体の組み方からいいまして、それは厚生省としてもやむを得なかったんじゃないかと思いますけれども、老人の数がふえていったから、対象者がふえていったから、総額として押えなきゃならぬというのであったならば、これは私は間違いじゃないかと思う。数がふえていくことはけっこうです。長命であられるということはけっこうなわけなんです。これは日本の医学の進歩の結果でありますし、経済社会の諸環境が老人の年齢を高めていったということだと思うのでございますが、そのことのために老人の福祉年金の額が押えられる。月二千三百円というのは、私は寡聞にしてよく知りませんけれども、開発途上国は別といたしまして、いわゆる先進国といわれておる国々の老人福祉年金と比べて非常に低いと思うのでございます。こういう点につきまして、これをもっとふやす考えはないか。 それに関連をいたしまして、いわゆる年金制度の谷間にある老人たち、つまり明治三十九年四月一日以前に生まれ、そうして現在六十四歳以上の老人は、年齢の関係で拠出制年金に加入することができませんし、また七十歳になっておりませんから、老齢福祉年金も受けることはできません。いわゆる年金制度の谷間に置かれておるこれらの老人たちに対しまして、あたたかい援護の手を伸ばす方法がないものだろうかということをまず私は考えるのでございます。つまり、老人福祉の問題に対して、安んじて老後を楽しむことができるというのには、あまりにも政府が、国家が保障するところの額は少ないと思うのでございます。まずその点からお伺いいたしていきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) これは細目は政府委員からお答えを願うことにいたしまして、おおむねの考え方を私から述べさしていただきます。 私は、老人対策につきましては、西村さんと全く、ほとんど同じ考えを持っております。老人人口がふえてまいるから、したがって一人頭の年金等もほとんど増額できないというような考え方では全くございません。むしろ、日本の人口構造が老齢化の方向を急速にたどる。したがって老人福祉というものは、これから一番大きな社会福祉の問題になるわけでありますので、むしろその年金についていいましても、であるからこそ老人対策の充実の一環として、年金もできる限りふやしてまいりたい、こういう考え方に私は立っております。 今回お尋ねの老人福祉年金につきましては、月二千円が二千三百円になるわけでありますが、私も正直に申しますと、二千三百円よりももっと多く実はほしいと考えました。しかしこれも、いま御意見のうちにありましたように、いまの老齢福祉年金というものは七十歳以上の者にしか支給をされません。しかし、本年から拠出制の年金の特例年金と申しますか、十年年金が発足をいたしまして、六十五歳以上の該当者には月五千円の拠出制年金が出るわけでございます。そういうことを考えます際に、同じ老人でありながら、一方は掛け金をしたから、一方は掛け金をし得なかったからということで、全く老齢年金が受け取れない方があるということは、老人同士の感情として、私はまあ実際地域社会におりまして、私もだんだん老人の一人に近くなっておるのかもしれませんが、それらの人々の状況を考えますと、適当でないということを考えますときに、老齢福祉年金につきましても、ことし以降は少なくとも六十五歳から受け取れる人をつくりたいと、こういうことも実は考えたわけでございます。 で、この二点を考えました結果、福祉年金は去年で二百円アップ、一昨年は百円アップ、こういうのを今回は三百円アップということで財務当局と手を打たざるを得なかった。そのかわりというわけではございませんけれども、いまの七十歳の受給資格につきまして、体の悪い御老人などにつきましては六十五歳まで引き下げるというようなことも、これも実行いたすことになりました。お尋ねにはございませんでしたが、そのほか、実は福祉年金につきましては、他の二つの目標を設定いたしました。一つは、福祉年金をもらえるはずの人で、法律上の扶養義務者の所得の制限のためにもらえないような方々が従来九%程度あったようでありますが、今日核家族化の現状を考えますときに、子供の所得と老人本人の年金とはあまり関係がない場合がしばしばございますので、この所得制限というものをできるだけゆるめていくということで、かなり大幅のこれの緩和ということも実はいたしましたし、あるいはまた、これは御賛成いただけるかどうかとは思いますが、この遺族の公務扶助料を受けておられる、つまり戦死者の未亡人、あるいは老人等の方々に対しましては、いままでは老人福祉年金の併給はごく一部の金額しか認められませんでしたのを、階級の低い、具体的には准尉以下の戦死者の御遺族の方々で七十歳以上の方々には、老齢福祉年金を完全併給するというようなことも、世論に訴えて行なったというようなことで、正直に申しますと、福祉年金は以上の四つの目標を同時に達成をせざるを得ないというようなこともございまして、金額は、私もやや不満な金額、二千三百円で手を打たざるを得なかったということでございます。しかし、これはこれで固定するというわけのものではございませんので、まあ厚生省ばかりでなしに、総理大臣も大蔵大臣も、老齢福祉対策ということについては非常に関心を持っていらっしゃいますので、今後大きな課題として大いに前進をさせてまいりたいと思います。
○西村関一君 いま内田大臣の御答弁の中にございましたいろいろ御苦心のある点は私もわかる気がするのでございます。私は、何もされなかった、怠慢じゃないかというようなことは考えておりません。しかし、かりそめにも経済の中級国家ではなくして大国になってきたこの日本の老齢福祉年金の額は、あまりにもみすぼらしいということを私は率直に申し上げざるを得ないのでございます。なかなか御苦心があるところでございまして、これだけでも不満足ですが、とにかく三百円でも上塗りなさったということは御努力の結果だということだと思いますが、あまりにもこれは額が少な過ぎるということで、これでは老人たちは老後を楽しむどころか、このごろ新聞紙上をにぎわしておりますように、老人の自殺者が非常にふえておる。これはまあ問題のありかはあると思いますし、原因はほかにもあると思いますけれども、こういうことのないようにするためには、まず老齢福祉年金の額をふやすということでなければならぬと思うのであります。御承知のとおり欧米各国の都市を歩いておりますと、老人たちはいかにも楽しそうに公園とか山のレストランとかというようなところで老後を楽しんでいる。レジャーを楽しんでいる。そういう風景を見るのでございますが、まだわが国ではこの程度ではとてもそこまでいけないということを感ずるのでございます。何とかして人生の冬を迎えているところの老人たち、私も老人でございますが、この老人たちが余生を有意義に暮らせる、余生を新しい生きがいを感じながら過ごされるというような、国のあたたかい保護の手が伸ばされなければならぬと思うのであります。 また病気になった老人の医療費につきましても、これは地方自治体において勘案されておるところもあるようでございますが、いまお話もございましたように、こういう人たちに対しては六十五歳まで引き下げる、受給の年を引き下げるということもお話のうちにございましたが、病気になっている老人はみじめでございます。特に寝たきり老人、そういう人たちに対して国がもっとあたたかい保護の手を伸ばしていかなければならないと思います。 それから私は広島に参りまして、原爆孤老といわれる原爆症患者の御老人、こういう人たちに対する国の配慮も非常に薄いという感じを受けております。こういう日の当たらない場所に置かれている老人たちに対しまして格段の御配慮があってしかるべきだと思うのでありますが、その点いかがでございましょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 全くお説のとおりでございます。でありますから、私は老人対策はただ年金額を引き上げるということだけで済むものとは決して思うものではございませんで、特に医療の問題が年金の問題と並んでこれからの大きな私どもの政策課題になってまいってきておるわけでございます。老人医療につきましては、御承知のように健康保険の抜本改正の自民党の構想の中には、老人だけを対象とする老人医療保険というようなものを一つのグループとしてつくって、いまの国民健康保険の中、並びに職域の健康保険の中における老人というものはみんなそこから引き抜いて、老人医療保険のグループのほうの対象にして、そして保険料等は他の方面の保険グループからお金を入れて、また国からも補助をして、そうして老人につきましては医療給付率を特に高くしてまいるというような構想もございまして、関係の審議会に諮問を二年ほど前からいたしているようでございます。しかしこれにつきましては、また他に異論もございまして、保険と同時に公費医療の面をも考えるべきだと、こういうような意見も審議会からもまいってきておりますので、いかなる方法によるかは別といたしまして、私どもは老人医療につきましては、いまの保険における家族の待遇だけに甘んずることなく、特に老人医療の問題というものを取り出して、そして公費によるか保険によるか、あるいはその折衷の方途によるか等を検討いたしておりまして、必ず私はこの問題は今後審議会の御答申のいかんにかかわらず、実現の方途をはかってまいりたいと考えておるものでございます。これはまあてまえみそになって恐縮でございますが、その考え方のごく一部でもございますが、今度の健康保険制度の改正の中にもありますことは御承知のとおりと存じます。 原爆孤老あるいは寝たきり老人のことにつきましても、私どもも非常に大きな関心を持っております。いわゆる寝たきり老人と言われておる方が四十万人くらいあるということが、厚生省の調査で、ございますが、これらの中でどうしても施設に入れなければ済まされないという方が、私の記憶でも五万数千人くらいはおられるはずでございます。しかし、現在その寝たきり老人を対象とする特別養護老人ホームに収容されておる方は一方四、五千人くらいでございますので、 〔主査退席、副主査着席〕 まだやはり三万人以上の方々が、これらの施設に入れてあげなければならない方が、順番を待っておる、こういうことであろうと思いますので、この特別養護老人ホームの充足ということにつきましては、国、地方公共団体、もちろんこれは国の助成が必要でございましょうが、あるいはまた社会福祉法人、宗教団体等の力をかりまして、私は急速に収容の必要な老人はそこに収容できるような計画を進めてまいることにいたしております。広島は、私は実は昨年の八月六日の原爆記念日に参りまして、広島の原爆老人のホームはたいへんよくできておりまして、非常にあの件だけは愁眉を開いたわけであります。場所もいいし、施設も新しゅうございますし、あの中におられる御老人の方々、これは寝たきりの方々とそうでない養護老人の方々と両方いらっしゃいましたが、たいへん状況はよかったわけでございます。しかし、それで私は満足いたしませんので、ああいうものをできるだけ全国に多くつくってまいりたいと、かように考えます。
○西村関一君 原爆孤老の問題につきましては、大臣お話しになりましたように施設に入れない人がたくさんおるわけであります。いまお話しのように、原爆孤老のホームをつくろうという民間の運動も起こっておりますことは御承知のとおりであります。この点さらに厚生省におかれましても格段の御配慮を願いたいと思うのであります。私がお願い申し上げておりますことは、社労委員会やあるいは第四分科会におきましてすでに取り上げられておることであり、専門外の私がお尋ねいたしますことは、これはもう的を射ていないようなことをお尋ねしているかとも思うのでございますけれども、率直に私は自分の感じたことを申し上げまして、大臣及び当局の皆さん方の見解を伺っておるわけでございますから、御了承をいただきたいと思うのでございます。 次に、老人福祉法によりましていろいろな働きがなされております。たとえば老人ホームに収容して保護する特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、無料老人ホーム、そういうような老人ホームが相当できてまいっておりますことは私も承知いたしております。内容的にはいいものもございますが、かなりひどいものもあるというふうに私は見ているのでございます。この老人ホームの内容を改善し、充実する。そしてまたあとでお尋ねをいたしますけれども、施設に従事しておられる、働いておられます方々の心がまえ、また、心がまえだけじゃなくて、これらの使命感に徹している人々に対する処遇、待遇の問題、そういうことも含めて施設を改善し、充実していく。これはまあ老人ホームだけじゃなくて、あとからお伺いしたいと思っておりますところの心身障害児、心身障害者施設につきましても同様でございますが、この老人ホームの現状につきまして、私はこまかい数字はこれは資料としていただければいいことでございますから、先ほどの、谷間に置かれている老人に対することにつきましても、私は政府委員の御答弁をいただく時間がございませんので、そういうことに対する資料をいただきたいと思うのでございますが、大臣のお考えだけを伺っておけば私はけっこうだと思います。老人ホームの現状につきましてどういうふうにお考えかどうか。
○国務大臣(内田常雄君) あまり老人問題に私が熱心でございまして、私が御答弁申し上げますと、役所の局長の諸君が、大臣が老人局長だから老人福祉施策は大臣にまかしておけということで、みなが手を引くというと困るわけでございまして、局長の諸君にも譲りたいと思いますが、御承知のように老人ホームにもいろいろ種類がございます。先ほど来西村先生とも問答いたしました、いわゆる寝たきり老人を収容対象といたします特別養護老人ホームというのがまずございます。それから寝たきりではないが世話を見てくれる家族などがいないような老人を対象として養護老人ホームというのがございます。これらはいずれも全くの社会福祉施設でございますので、所得の少ない方々に対しましては国費で八割残りの二割以内を地方公共団体等でこれらの処置と申しますか、食事費等を含めまして運営費を負担することになっておりますが、ある程度お金を負担してもいいという老人のために軽費老人ホームというのがございます。さらに、全く老人福祉法の対象外にはなろうと思いますけれども、有料老人ホームというのがございまして、老人のアパートと申しましょうか、そういう式のものを含めますと種類が四つくらいございますが、しかしこれらを通じまして、ほんとうのところ、たとえば火事なんか起きましてもきわめて安全だ、また何かの際に、老人を寝たきりそのまま外へ引き出せるといったような施設に必ずしもなっているように思えません。そういう状態になっていますものは全体のうち何割しかないということでございますので、私どもは社会福祉施設の整備計画の中でも、老人ホームの数をふやすこと、それからそれらの老朽施設を近代的な施設に改善をして建てかえる、こういうことも同時に大きな研究課題にいたしておるわけでございます。この両々相まちまして、私は両三年の間に、この方面からは先生方から高く評価をされるような状態を、ぜひつくりたいと考えます。しかしそういうホームは、これはおっしゃいますように、そういう施設で働く職員の問題がございます。寮母さんと申しましょうか、あるいは病気がちでございますので看護婦さんというような方々もまた必要でございましょうし、それらの施設で働かれる職員の確保が同時にまた非常に問題になってまいります。そのためには、これらの職員の処遇の改善というようなこと、あるいはまたそれらの身分、資格というものに関しましても非常な誇りを持って、また安心してそれらの職員が働けるようなこともやってまいるような施策を充実をすべきだと考えております。それと同時に、先ほども申しましたように、老人の中にはからだは悪いがやはり家庭におられる方が、施設におられる方の何倍かおられるわけでございますので、家庭におられる老人のための、在宅老人に対する、これは身体障害者もお話がございましたが、同じでございますが、それらに対するいわゆるホームヘルパー、あるいは介護人の制度、これらも踏み出しておりますけれども、必ずしも十分ではございませんし、ホームヘルパー、介護人の身分も不安定のものがございますので、そういう点についても配慮をいたしたいと思います。また御承知かどうか存じませんが、自宅におられるからだの悪い老人や身体障害者につきましては、国からいろいろの施設をお貸しするという形なんですが、実際は給付をいたしております。たとえば特殊のギャジベッドと申しますか、自由にベッドが回転するのでありますとか、あるいは場合によりましてはお風呂とか便器、便所の施設とか、そのほか生活必需品などもお宅のほうに供給することもやっておりまして、相当充実してまいったと思います。身体障害者につきましては、そのほかに補装具などもできるだけ新しいものを研究開発をいたしつつ、それらも無償でお貸しするというか寄付するというか、修繕までお引き受けするようなこともやっておりますので、そういう面から努力を払ってまいるつもりでございます。
○西村関一君 私はあと十五分ですね、上田君がだいぶ時間を取りましたから私の時間は少なくなりましたので、まとめていろんなことをお伺いしたいと思います。 老人ホームの施設の改善、老朽施設を建て直すというようなことをお話しになりました。私けっこうだと思うのでございますが、これは大臣ぜひやっていただきたい。金がかかっても、これは金をかけることは決して私はマイナスにならぬと思う。このために、もっと力を入れていただきたい。たとえば老人ホームの庭にいたしましても、庭というような庭がない、やはり庭に出て自然を楽しむ、青空を見るというようなことが老人たちの老後を楽しませる大きな要素になると思います。もう少し敷地を広めて、りっぱな庭をつくって、木を植えて、そしてまた場所等も湖畔であるとか山のふもとであるとかいうような、非常に景色のいいところ、そういうところをやはり選んでいただきたい、私はこの間も二度ばかりフィンランドに参りまして、フィンランドの老人ホームを見ましたが、実にうらやましいと思いました。そこにはサウナ風呂が各階ごとに二つずつ両側についておるのでございます。そこに行って自由に老人たちはお風呂を楽しむことができることになっております。実に広い庭がありまして、ここではなだらかな芝生がずっと続いています。こういうところに行けるのは有料、軽費老人ホームというのかもしれませんが、そういうことができるのは、やはり老齢福祉年金が十分あるからで、日本の金に直しまして一カ月二万数千円の年金をもらっている、夫婦で入っている人は、夫婦は倍というわけにはいきませんけれども、それでも相当な額をもらってそこに入っている、あとは息子や娘たちから出してもらうということで、実に豊かなうらやましい生活をしている。それに比べまして日本の老人ホームは非常に貧弱でございますから、この点は大臣もお感じになっておられまして、何とかこれはひとつ改めようという意欲を持っておられますことはけっこうでございます。さらに老人ホームだけじゃなくて、心身障害児、心身障害者施設につきましても私は同様のことが言えると思うのでございます。事例を申し上げてお尋ねをする時間がございませんけれども、これまた非常に貧弱でございます。これもひとつ改善をしていただきたいし充実をしていただきたい。 さらに、いまお話がございました従事者、職員の問題でございますが、実は私ごとを申し上げて失礼でございますが、私は一人、交通事故で父親を急に失いました娘、高校を卒業しました娘をあずかりまして、そして育てました。この娘が老人ホームで働きたいということを言い出した。私がすすめたのではございませんけれども、そういうことを申し出まして、私はさる老人ホームに入れたのでございます。一生懸命いまも働いておるのです。その娘を通しまして、これはかなりいい施設でございますが、老人ホームの問題点について幾らか私は聞いておるのでございます。せっかく使命を感じて、うら若い娘がお年寄りたちのお世話をするということで意気込んで参りますが、いま大臣がお話しになりましたように、身分の問題あるいは労働条件、労働基準法の適用など、なかなかなされていないようでございますし、そういうことを言いますとこれはいけないかもわかりませんけれども、これはもう二十四時間勤務、もちろん時間交代ではございますけれども、そういうことでも喜んで働いておる。しかし身分の保障がない。私立はもちろんのこと、公立の場合でもなかなかそういう点が十分に行なわれてない。それからまたそういう施設に必要ないわゆる専門家、そういう方々の待遇につきましても、私はもっと国が配慮していいんじゃないかと思うのでございます。自分は心身障害あるいは精薄、あるいは手足の不自由な子供たちのための専門家であるということに対して誇りを持つ、そしてまたそういうところで働くことについて生きがいを感ずるというような若者や専門家、お医者さんであるとか心理学者であるとか、いろいろな分野の専門家があると思うのです。そういう人たちが甘んじて施設で働くことができるような状態をつくり出していかなければならぬと思うのです。それが私は行政の責任に立っておられるところの政府の責任だと思うのでございます。こういうことが私は残念ながらきわめて不十分だと思うのでございまして、専門家にしましても施設に従事する人たちにしましても、長くそこに居すわることができないというような、特別な例外はございますけれども、大体においてそういうことでございます。私は精薄の父といわれました糸賀一雄君とは長年のじっこんでございますが、彼はなくなりましたが、ああいう状態でなくなりましたけれども、ああいう人がさらにまだ隠れておる、埋もれておると思うのです。そういう人を政府は掘り起こしてきて、そういう人たちをもっと大事にする、優遇する。そうして生涯をかけて一つの仕事に打ち込むことのできるような、そういう背景をつくっていくということが私は必要じゃないかと思うのでございます。こまかいことについては私は伺いません。幾らかの資料は持っておりますけれども、そういうことには触れませんけれども、全体としてそういう点が私は痛感されるところだと思っておりますので、大臣の御所見を承っておきたいと思います。 ―――――――――――――
○副主査(玉置猛夫君) 質疑の途中でありますが、この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 予算委員の異動に伴う欠員の補欠として、小林武君が選任されました。 ―――――――――――――
○国務大臣(内田常雄君) 西村先生からたいへんありがたい御激励をいただいたと私は思います。日本のそういう方面の社会福祉施設ばかりじゃなしに、そもそも考え方が私は今日まで非常におくれておったように思うわけでございますが、しかし、ちょうど私が厚生省に参りました今日におきましては、国民の社会福祉マインドというものが非常に向上をいたしてまいりましたし、これはそういう国民のマインドを反映いたしまして、厚生省も意気いよいよ上がってきておりますし、大蔵省もたいへん理解を深めてきていただいているように思います。どうしていままでこういう社会福祉についての国なり国民なりの考え方がおくれておったかと申しますと、これは私流の解釈によりますと、一つは日本では社会福祉のことは家族制度の関係がございまして、家族内の、家庭内の扶養、しいて申すと家庭福祉ということでカバーされている面が非常に多かったと思いますが、戦後そういう家族扶養の考え方が非常に薄らいでまいったり、また核家族というような状況が顕著になってまいりましたが、そういう状況から考えますと、これまでは西欧並みに日本が社会福祉にそんなに力を入れるような社会的な環境が成熟していなかったということと、それにまた戦争前は軍事大国というような、富国強兵というような目標もあったでございましょうし、 〔副主査退席、主査着席〕 また、戦後しばらくの間は、経済復興というようなことで追われておったことと思いますけれども、しかし、今日公害の問題が大きく国民や政府の反省の課題になったと同じように、これらの社会福祉が取り上げられてまいった、そういう事態にきておると思うのでございます。でありますので、厚生省の予算も、御承知のようにいま医療費などが非常に多くを占めますけれども、それでも四十六年度は一兆三千億をこえるというようなことになってまいりましたし、これは多いように思いますけれども、建設省の予算がやはり一兆飛び何百億というようなこと、農林省の予算につきましても一兆の次はやはりまるがついて一兆何百億と、こういうようなことで、厚生省の予算もかなり伸ばしていただいております。頑迷固陋な大蔵省も、税の問題などにつきましては、新年度におきましてからは社会福祉の施設などに対する寄付とかいうようなものは、それは損金扱いにするとか、あるいは相続財産からの贈与というのでしょうか寄付というのでしょうか、そういうものも相続税の対象からはずしてまいる、教育施設と同じように社会福祉についても取り扱いをするというようなことにまでたどりついてまいってきたことは、私どもの前途の政策につきましても非常に明るい面が出たように思いますし、なおこの上、西村先生をはじめ皆様方の御激励をいただきまして、大いに福祉大国の目標を果たしてまいりたいと考えておるのでございます。
○西村関一君 私はこまかいことを申し上げるようで恐縮でございますが、時間がありませんから言いたいことが一ぱいございますけれども、この機会に申し上げられないのは残念でございます。いま大臣の御答弁の中にもございました身体障害者のたとえば義足の問題、これは身体障害者のいわばからだの一部分でございます。これがなければハンディキャップを克服することができない。それでもハンディキャップを負っている。たとえば義足のようなものにいたしましても、義足を製造する工場、これはただ商業ベースで金もうけ主義で義足をつくるというのではなくて、やはり心の通うた、身体障害者の方々のからだの一部をつくるんだという、そういう心の通うた製作に従事するように御指導を願いたい。そういう金もうけ主義でなくて、ほんとうに福祉の精神に徹した義足をつくる、そういう御指導を願いたいと思うのです。そういうことはこまかいようでございますけれども、私は行き届いたこまかい配慮のしみ通る福祉行政、そういうものが、一例で申し上げたわけでございますけれども、必要じゃないかと思うのでございます。また、リハビリテーションにつきましても、予算面を見ますると、新と新しく出ておるところを見ますると、リハビリテーションの研究費というのがありますし、リハビリテーション助成費というのがありますが、助成費のところを見ますると、これは何か大会をやる大会費に使われるというようなことがございまして、これはやはりこういうことに対しても、もっと予算的に厚く取り上げていただいていいのじゃないかと私は思うのでございます。 さらに、時間がございませんから続けて申しますけれども、重症心身障害児、重症心身障害者、精薄と身体障害と兼ねておる、申すまでもございませんが、そういう人たちは非常にみじめな状態でございます。こういう人たちを持っておる家族もたいへんな犠牲を負うているのでございます。私は、こういう人たちや、こういう子供たちがひけ目を感じないで、そういうハンディキャップを克服して、さらに国家社会に貢献できるような、そういう行政、そういうことのできるように持っていく行政をやっていただきたい。数からいうならば、全体の一億一千万日本の人口からいうならば、わずかだからといってそれが置き去りにされておってはいけないと思う。そういう者にこそ手厚い保護をしていかなければいけないと思うのです。私は、必ずしも社会主義国の行政が一から十までいいと礼賛するものではございませんけれども、この社会福祉行政の中において、こういうハンディキャップを持っている人たち、老人であるとか病人であるとか、また心身障害者であるとかいう者に対する福祉行政が非常に手厚く行なわれておる。これは学ぶべき点だと思うのでございます。また、さらに健全な青少年、子供の福祉につきましても非常に重点的に取り上げられておる。朝鮮民主主義人民共和国の平壌に参りますと、少年宮殿というものがございます。これは社会教育と児童福祉の総合的な施設と言っていいと思うのです。これは非常にりっぱなものです。ああいう国、社会主義の国におきまして、少年宮殿というものが実にりっぱなものができておる。私は北欧の国々、たとえばスウェーデンでありますとかあるいはフィンランドのヘルシンキ、そういうところに参りましても、こういう保護を要するハンディキャップを持っておる人たちのための施設に、いかに国が金を入れているかということを見て、わが国の現状と比べて痛感するのであります。これは大蔵省の方も見えておられますが、福祉国家と口を開けば総理は言われますが、福祉国家の名に値するような福祉行政、そういうものに惜しみなく金を出していただきたいということを申し上げて、もう一度大臣の御所見を伺って私の質疑を終わりたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私は、わが国におきましてもそういう社会福祉重視の時代がまさにきていると思います。むしろ社会主義、共産主義国でなしに、自由主義国でありますわが国のようなところにおいてこそ、これらの社会福祉施策の充実というようなことが必要になってきておるものと思います。 なお、御意見のうちにございましたリハビリテーションのことにつきましては、これは老人、身体障害者の社会復帰ということのためのリハビリはもちろんのこと、他の意味から、たとえば今日医療というものは、病気をなおすことではなしに、出発点は予防、環境衛生から始まって、そしてその最終点は病気の治療をした者のリハビリだと、したがって、リハビリテーションの施設というものは、非常にそういう面からも重要だというような考え方になってまいりまして、たとえば老人につきましても、脳卒中で倒れられる方が毎年五、六十万人あるわけです。そのうちの四、五割の方は、そのままたしかなくなると思うわけでありますけれども、しかし、助かった方に対してはリハビリの施策を充実をいたしませんと、寝たきり老人になってしまいますので、そういう面につきましてもリハビリの施策をやろうということで、一部の脳卒中後遺症の老人に対しましては、一部と申しますよりは所得の少ない方に、国が老人ホームあるいは老人福祉センターなどでリハビリの施設をいたしまして、公費でリハビリのめんどうを見る。こういうようなことも、今度の四十六年度の予算に芽を出してきたようなことになっております。また身体障害者の補装具などにつきましても、国立身体障害者センターというものがございますが、従来はそこで一つの課であった補装具課、補装具課長さんというものがおられて、そこで補装具の製造開発の指導、また民間の業者に対するネットワークをやっておられましたが、四十五年度、今年度からこれを独立させまして、補装具研究所というようなものになりまして、一そうそのものに対する国の施策の重点が置かれるようになってまいりましたことは、私は非常にけっこうだと思うのであります。これはまあ私も政治家の端くれでございますから、少し大言壮語をさしていただきますと、この段階におきましては、厚生大臣がやめましても内閣がつぶれぬでございましょうけれども、厚生大臣が予算委員会で排斥されてアウトになった場合は内閣そのものがつぶれるような、そういう時代がきてほしい。そういう時代をひとつ私どももつくろうではないかと、こういうことさえも私は目標に置いておるようなわけでございますので、よろしくお願いいたします。
○西村関一君 まあ大臣しっかりやってください。私も応援いたしますから。
○主査(吉田忠三郎君) ほかに御発言もなければ、厚生省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 午後一時三十分まで休憩をいたします。午後零時九分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十三分開会
○主査(吉田忠三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。 まず、参考人の出席要求についておはかりいたします。 本日、文部省所管の審査に関し、参考人として日本私学振興財団理事長永澤邦男君、同じく理事西田剛君及び池中弘君の出席を求めたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(吉田忠三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○主査(吉田忠三郎君) 昭和四十六年度総予算中、文部省所管を議題といたします。 政府側からの説明はこれを省略し、説明資料を本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(吉田忠三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林武君 初めに管理局長にお尋ねをいたしますが、千葉の工業大学の補助金の件について、四十四年度決算書、四十五年度予算書の報告等について、四十六年二月二日付で、外部提供可能の当該書類はない、送付はできないという意味の回答があったわけですが、ここでは読みようによってはいろいろ考えられるわけですけれども、外部に提供可能のというのは、あるけれども外部に出せないという意味であるのか、あるいはそういう書類は全然ないので送付できないのか、その点はどういうことなんですか。
○政府委員(岩間英太郎君) 弁護士会を通じまして、ただいま御指摘のような書類の提出を求めるような文書がまいっておりますけれども、私としましては、四十五年度の私学に対する経常補助金は私学振興財団からということになりましたものですから、したがいまして、それに必要な四十四年度の決算あるいは四十五年度の予算書につきましては、文部省には手元に書類がないということでお断わり申し上げたわけでございます。
○小林武君 そこで、どうなんでしょうね、これは文部省に全然そういうものがないということは、見ていないということにもなりますね。そういうことは法的に許されるのかどうかということですよ、補助金を出す上で。どうも法律のことはあまり詳しくないけれども、あなたのほうでそういうことができないようにも考えるんですが、それはどうですか。
○政府委員(岩間英太郎君) 人件費を含みます経常費の補助金につきましては、四十五年度以降は私学振興財団で取り扱うということにいたしたわけでございます。したがいまして、文部省で直接扱うものではございませんので、それに必要な書類としての四十四年度の決算書あるいは四十五年度予算書は、私学振興財団のほうに届けるということで、私どものほうではいただいておらないわけでございます。
○小林武君 それはあなたの係でないということですか、それとも文部省では全然関知しないことだと、こうおっしゃるんですか。
○政府委員(岩間英太郎君) 私学振興財団で補助金を扱うことになったものでございますから、私のほうでは必要がなくなったと申しますか、私学振興財団のほうにその書類を届ければよろしい、こういうことにしたわけでございます。
○小林武君 もう一ぺん確かめますけれども、これは大臣にちょっとお尋ねいたしますが、そうしますと、私学振興財団に金をやった、その金は文部省としてはいかなる扱いをしても関知しないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(岩間英太郎君) 私からちょっと申し上げますが、関知しないということではもちろんございません。私学振興財団が補助金の執行をいたします場合に、文部省と十分連絡をとりましてやるわけでございますから、文部省としましてはその補助金の交付の基準その他につきまして承認等の権限を持っておりますので、その限りにおきましては私学振興財団と十分緊密な連絡をとりまして執行いたすということになっております。
○小林武君 緊密な連絡ということなんですけれども、そうすると、これは助成についてはもう国としては審査する必要がなくなったというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(岩間英太郎君) 補助金の配分方針等の基本的な問題につきましては文部省がこれに関係いたしますが、具体的な配分につきましては、これは私学振興財団におまかせするというのがたてまえでございます。
○小林武君 具体的配分というのは、結局何々大学にどうするということでしょう。その場合に、何々大学にどうするということになれば、それに対する審査というものは、文部省の責任が全然なくなって振興財団だけがやるということになりますかね。 〔主査退席、副主査着席〕 ぼくはそういうふうには法律を読まないわけですけれどもね。あなたのほうでも、少なくとも国として審査するというのは法律的には義務づけられているのじゃないかと思うんだけれども、振興財団ができたといっても、この中にある法律には、国は全然これから何も審査をする必要もなければ何もないとは言っておらぬと思うのですよ。その点がどうもはっきりしないのです。あなたの回答も、それから大学局長の回答も、そういう書類はございませんから知りませんということにどうしても疑問を感ずる。しかし、何といえども、あなた練達の士で、役所のことはよく知っているんだけれども、ぼくらはなかなかそれは理解できない、こういうことなんですがね。
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、実際に配分をいたします場合に、その基本方針となるような配分基準等については、文部省に御相談をいただきましてからやっていただきます。しかし、具体的にどういう大学に幾ら補助金を出すかという問題につきましては、これは必要な書類を私学振興財団が具体的に私学から取りまして、そしてそれを見て具体的な配分を行なうということでございます。
○小林武君 それじゃ、ひとつ振興財団にお尋ねをいたしますが、この四十四年度決算書、四十五年度予算書のあれでは、振興財団のほうでは部外に提示しないということなんですが、この提示しないというのはどういうことでしょうか。
○参考人(永澤邦男君) お答えいたします。 先ほど御質問がありましたとおり、第一東京弁護士会から千葉工業大学の四十四年度の決算書及び四十五年度の予算書についての資料の要求がありましたが、決算書及び予算書は、経常補助金の申請の添付資料として財団から千葉工業大学に御提出を願ったわけでございまして、したがいまして、目的外に使用するために第三者にこれを提供するということは適当でないと考えましたので、お断わりをいたした次第であります。
○小林武君 目的外でなければこれは提示するわけですか。
○参考人(永澤邦男君) お答えいたします。 財団としては、これは千葉工業大学に対する補助金の査定の参考資料でありますから、私どもその目的に沿うようにこれを使用しておるわけでありまして、第三者の方がこれをどういう目的で御利用になるか、それは財団としてわかりかねます。これを第三者に提供することは財団としては適当でないということで提供をお断わりしたわけでございます。
○小林武君 どういう目的で使うかということですけれども、私が考えますれば、予算、決算書というものは、これそろえなければならぬ書類ですね。その予算、決算の提出された書類というものについて疑義があるとかということになると、これは話は別になりますね。弁護士会のほうですと、これはもちろん強制力はありませんけれども、弁護士法第二十三条の二の二項について、やはり法の一つの裏づけを持って請求される。それについて見れば、必ずしも何のために使うかわからぬというようなこととも言えないのですね。私から言えば、一体、この国の金を使うことでありますから、最も適正に間違いのないようにやるという点から考えれば、そう部外に出さないと言って押し切るというようなことはガラス張りではないような気がするのです。もっと明らかにして、だれでも見てください、われわれのやっていることだれでも見てください、文句があるなら見てくださいというような態度こそが、将来の私学の補助その他貸し付け金にいたしましても、ますます増加をして、そして国立学校と全く平等のところまでいくような、そういう一つの形になるのに都合がいいのではないか、こう思うのです。その点については私も一、二疑義を持っているわけです。幾つかの大学の場合、まあわれわれから見れば特段のことでもないのだけれども、おまえのところはそういう補助金はやれないというような話も相当聞いておるのです。そういう見方から見られるということは、はたしていいのかどうかということがありますが、どうですか。いまのようなことから言って、明らかにするということはまずいですか。
○参考人(永澤邦男君) 本来私立学校法の規定によりましても、各学校法人は財産目録、貸借対照表とか、あるいは収支計算書等の書類は学校法人の事務所に備えつけて、また必要があればどなたにもお見せしなければならない状態に置かれておるわけでありまして、財団といたしましては、それは補助金審査資料として法人から御提出をいただいたものでありますから、財団としてはその本来の目的に使用すべきであって、これを第三者にお見せするということは財団としては適当でない。これはその資料を公開せよということと、秘密主義ということは私は無関係であろうと思います。私ども弁護士会の名においての御請求でありましたから、十分慎重に取り扱いましたけれども、ただいま申し上げたような理由によってお断わりをいたした次第です。弁護士会のほうにおいては、直接工業大学の法人についてこういう資料は十分手にお入りになる状態に置かれておるのでありまして、これを提供するかどうかは、大学自身、法人自身が判断すべき問題であると考えております。
○小林武君 私立学校法施行規則第七条援助申請手続の中に「申請書に次の各号に掲げる書類を添付して文部大臣に提出するものとする。」という中に、予算書、収支計算書(前年度のもの)、援助申請の理由書、援助による事業その他の計画書、財産目録等ありますが、法律にもあげているわけですけれども、これが正確であるということを確かめるということは、これは振興財団としてのつとめでしょうね。正確なものでないという疑義が出た場合には、これはどうですか。出したらよろしいというふうにお考えになりますか。出せばいいんだ、出したものを信用するしかないとお考えになるか。出しても、そういう疑義が出た場合にはそれを審査してみるのか。私ならば、確かめてみるということは、そういうことだと思うんですがね。
○参考人(永澤邦男君) お答えいたしますが、私は私立学校法の精神から申しましても、また財団と学校法人との関係におきましても、財団は決して文部省的な存在ではございませんからして、補助金の関係につきましても、やはり学校法人を信頼するのが私は第一だと思っております。したがいまして、私立学校法に規定せられているとおりに、各学校法人は所定の手続を経てつくられた書類を財団に御提出になっておるものと私どもは確信しております。 ただいま小林委員から、何か疑義があるというようなおことばを伺いましたけれども、これはただいま初めてお伺いすることでありまして、私どもは学校法人というものを信頼し、信用しておるというところから、学校から提出せられた書類はそういう点で疑いのないものであると、手続上も。というふうに私どもは信じて取り扱っておるわけであります。
○小林武君 あなたの気持ちは実はよくわかるわけです。振興財団の責任者として、しかもどういうお立場におられたかということを考えますと、振興財団の性格、それからまたそういう過去のいろいろなお立場を考えると、これは信頼の上に立たなければならない。それから補助金を出すといっても、われわれも常々主張しているんですけれども、金は出しても、それによって、金によって支配するような、そういうような考え方というのは、出し方として間違っていると、こういう考えもありますから、もっともだとは思いますけれども、ただしかし、信頼するだけではいかない場合が実際の場合にはあるということは御理解いただけると思うんですよ。で、私がそういうことを、もしということを申し上げたのは、これは私もそこへ行って確かめたわけじゃございませんけれども、弁護士会のそういう要求が出たということは、実は学内においては、予算、決算に対して学内の機関にかかっておらないという、こういうことのためだというふうに聞いているんです。私は、学内のものの機関を通ってきたものであるなら、たとえば、学内の組織はよくわかりませんけれども、理事会なら理事会、そういうものが成立をしておって、その成立した中できめられたということであれば、それはもうそれ以上疑うなんということは、よほどの事態がはっきりしない限りは、それはなかなかできません。しかし、それにかかってないということであれば、私はこれはやはり問題だ。そのことの事実は私は確かめませんけれども、疑問点はそこだと、こういうふうに聞いているんです。そうすると、これはただ信頼しているというだけではやはり問題があるのではないか。そういうことは耳になさったことがないかどうか。 もう一つそれにつけ加えて御答弁願いたいのは、その当時の理事長、あるいは学長といいますか、総長といいますか、そういう工業大学の責任者というのはどなたになっておりますか。
○参考人(永澤邦男君) ただいま財団の立場につきまして、小林委員からたいへん御理解のあることばをいただきまして感謝しております。 先ほど申し上げましたとおり、この工業大学の提出しました予算書、決算書等について手続上疑いがあるということは、それはただいま伺ったわけでありまして、いままでそういうことを耳にしたことは財団としてはありません。したがいまして、もしそういう事実に疑いがあるとすれば、財団といたしましても十分事実を調査した上でこれを検討いたしたいと思っております。
○小林武君 検討したいということでございますが、そういうことがあったから、私は、弁護士会から資料として出してもらいたい、弁護士法なんとかということを言ってきたんだと思うのです。だから、こういうのであれば、私としては何か人のあれをあばくというような単なるそういうことであれば話は別ですけれども、そういう問題もからんでいれば、将来の私学振興財団というものの発展から考えましても、出すべきものは、公的なものであれば、しっかりやっぱり出して明らかにすべきだと、こう思うのです。まあ検討ということはお出しになるというふうに理解してもよろしいのかどうか。 それから、結局部外と言いますが、われわれは部外になる。あなたのほうでは国会のほうで要求したらお出しになるのかどうか、この点ひとつ聞きたいですね。
○政府委員(岩間英太郎君) いまのようなお話でございますと、これは私学法関係の法規に触れるわけでございますので、そういうふうな問題がございました場合には、私どもがその間違いを正していかなければならないという立場にございます。そういう意味で、ただいま先生が御指摘のようなことがあるかどうかを私ども自体といたしましても調べまして、それにつきまして一もし間違っておりましたら、そのものを国会のほうに御報告申し上げるということは、これは私どものつとめでございます。事実を調べまして御報告申し上げれば、決算書、予算書を第三者にごらんに入れると同じような効果が出るわけでございます。しかし、資料は、先ほど来財団のほうで申しておりますように、補助金を査定するための資料でございます。一時大学からお預かりしたという形のものでございますから、もしこれが必要であれば、大学のほうから直接取っていただくというのが筋じゃないかと考えております。そういう意味で、先生御指摘のような事情につきましては、調査をいたしまして御報告いたしたいと思います。
○小林武君 ちょっと答弁漏れが一つあるんですが、その当時の理事長、総長といいますか、そのときの責任者というのはだれでしょうか。
○参考人(永澤邦男君) 決算書並びに予算書は理事長宇佐美敬一郎の名で提出されております。たいへんあとになりまして申しわけありません。
○小林武君 理事長は、学長といいますか総長といいますか、そういう方とは違うのですか。
○参考人(永澤邦男君) 学長は掘口貞雄でございます。
○小林武君 いまの岩間さんの答弁にぼくは二つ問題点を感ずるのですがね。一つは、文部省が全然関知しないというのはぼくはちょっとおかしいと思うのです。振興財団でやるにしろ、まだ出発間もないときだし、書類が整備しているかどうか――これはあれですか、あなたのお考えですというと、私立学校法などとは全然無関係で、振興財団ができたから、法にきめられたようないろいろな手続を文部省ではとらないでもよろしいというようなあれがあるんですか。あなたの先ほどの答弁ならば、おまかせしてありますからということですけれども、どうですか、これは。私立学校法その他から。
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど御指摘になりました私立学校法の施行規則の第七条、これは私どもが直接補助金を出しているものにつきましては、この規定の適用があるわけでございますが、たとえば新設理工系の学部学科等に対します補助金につきましては、やはりその該当する大学からはこういう書類を取るわけでございます。しかし、現在私学振興財団が扱っております人件費を含む経常費の補助にかかわるものは、これは財団のほうにこういう関係の書類をお出しいただくわけで、具体的に審査をしていただくというのが筋ではないか、こういうふうに考えております。
○小林武君 この場合、私学振興財団というのはこれは何ですか。やはり国の中に入りますか。
○政府委員(岩間英太郎君) これは補助金の執行に関しましては国と同様な権限を持っておるということになっておるわけであります。
○小林武君 私の考えでは、やはり私学振興財団は国の中に含まれるものだと思うのですがね。その場合に、文部大臣というのは、全然、先ほどのようなおまかせ主義でよろしいということの意味になりますか。
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほども申し上げましたように、補助金の配分の基本的な事項につきましては文部大臣に御相談をいただくというふうなたてまえになっておるわけでありまして、その基本的な方針の中で具体的にどういうふうな配分を行なうかということは、これは財団のほうにおまかせするということでございます。
○小林武君 審査に対する責任、そういうものはもうなくなった、法的にはないと、こういうふうにおっしゃいますか。
○政府委員(岩間英太郎君) 私学振興財団に対する監督の責任は文部大臣にあるわけでございます。そういう一般的な監督の範囲内で私学振興財団が独自の判断で補助金の配分を行なうというたてまえになっているわけでございます。
○小林武君 私学振興財団に対する監督というものはのがれることができないでしょう。その場合における、法に示された一つの条件、そういう条件をあなたのほうで確かめるという責任はないことはないと思うのです。そうでしょう。それを、手を抜いてもいいというような法律にはなっていないと思うのですがね。どうですか。私はそれではとても納得いかぬです。これは、そういうふうに文部省が全部おやりになっているというなら、ひとつそうはっきり言ってもらいたい。どんなことが起こってもあなたのほうではまかしてあるからと……。それに、書類の中に、あなたのほうで書類をおそらく整えているだろうと思うのだけれども、予算、決算のあれがついていたら、どういう内容のものがついていたかということをあなたのほうで書類として持っていないというようなことは、ぼくらはちょっと考えられないのだけれどもね。こういうことは一体どうなんですか。事実全然ないのですか。見たこともないということになりますね、そうすると。
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもがいま実際に具体的に補助金を出しているものにつきましては、これは関係書類を私どもがいただいております。しかし今度の人件費を含む経常費の補助のように、全部の私学を網羅するものではございませんので、関係のところだけからはそういうものをもらっているわけでございます。それから、今度の人件費を含む経常費の助成につきまして、やはりこれは振興財団の中に同じような書類の提出があるわけでございますから、私どものほうでそれが必要であれば私学振興財団のほうと連絡して中を調べればよろしいわけでございまして、二重に私どものほうにそういう書類をいただく必要はないわけでございます。日本私学振興財団については、私学法の五十九条を改正いたしまして第九項という新しい規定を設けまして、所轄庁の定めるところによって収支予算書を監督官庁に届けなければならないというふうな規定を設けたのでございます。これは四十五年度以降に適用されるものでございまして、私ども手元にはこの新しい規定に基づきますものはまだまいっておりません。
○小林武君 そうすると、どういうことですか、それだから必要がない、こういう御解釈ですか、いまのあれは。
○政府委員(岩間英太郎君) 必要がないということは申し上げてないつもりでございますが、弁護士会のほうからお話しのございました四十四年度決算書、四十五年度の予算書は事実手元にないわけでございます。その新しい規定によって四十五年度以降公認会計士の……
○小林武君 書いてあるでしょう、そういうように。
○政府委員(岩間英太郎君) 監査報告書を添付したものが文部大臣のほうにこれから上がってまいるということになります。
○小林武君 四十五年度からということですか。いま何と言いましたか。
○政府委員(岩間英太郎君) これは四十五年の六月に成立をいたしました法律に基づいて改正されたものでございます。実際には、公認会計士の監査報告書が添付されるということになりますと四十六年度からということになります。
○小林武君 四十六年度になればそれが必要になるわけですね。そういうことですね。法律のすき間みたいなものということになりますね。私は、どう考えてもこれは文部省としてはそういう言い方はしないほうがいいのではないか、こう思います。ただ、このことについてそれほどいまやろうと思いません。これは両方にお願いいたしますが、先ほど来言ったように、問題はどういうことかというと、やはり適正に行なわれないから――これは大学も数ございますけれども、それぞれ補助金をもらいたいというようなことは当然のことです。そうしてその場合には、もう金が少ないですから公平にやはりやってもらいたいという気持ちもあるでしょう。いろいろなものがあるわけですから、そこで、私は何といってもガラス張りで、はっきりしたほうがいいと思うのです。国民の前にそういうものがはっきり出て、これではやはり私立大学も私立の高等学校も私立の小中学校も困るだろう、だから予算でもっとひとつうんと増額するのが至当じゃないかという声が出てくるのが私は一番いいと思うのです。だから、そういう時期にちょうど出発しているわけですから、門出ですね、その門出の時期に、そのことについて多少の疑義があって弁護士法のあれに基づいて請求したというような場合であれば、私はもっと大きく出て、さあごらんくださいというようなことがあってしかるべきだと思います。 それからわれわれ問題だと思いましたのは、工業大学の学内の機関の決定を経ていないということです。この機関の決定を経ていないで出たということになると、その予算書、決算書は、これは法に示された条件を満たしてないことですわ。そういうことによって金が出されたということになりますと、これは明らかに不正ですよ。どんな不正があってもしかたがない、これを信ずるよりほかしようがございませんというような態度では、出だしからやはりまずい。ただし、そういうことの事実を全く私がはっきり証明できるかというと、できないですよ。そういう声が出てきて、しかもそれに関連して弁護士の側から要求があったというふうに判断しているものですからね、だからそれならばやっぱり財団としても文部省としてもすげない態度をとることはないのではないかと、こう思うんですが、この点についてはどうですか。
○参考人(永澤邦男君) 先ほども申し上げましたとおり、財団といたしましては、文部省と私学との間に立ちまして、学校法人を信頼するという立場に立ちまして補助の事項を扱ってまいっておるわけでありますが、ただいまお話伺いますと、提出された書類について手続を経てないやの疑いがあるという御指摘がありました。先ほど申し上げましたとおり、初めて伺った事柄であります。で、私は全国に五百二十三の学校法人がありますが、私も私学に育った人間といたしまして、やはり私学人はお互いに信頼し合っていくことが最も大切なことだと、私は財団もそうあるべきだと思っております。しかるに、もし御指摘にあるようなことが事実であるとすれば、私は私学の中にそういうわれわれの信頼を裏切るようなものがあったということは、まことに遺憾にたえない次第でございますが、そういうことにつきましては、事実を十分調査いたしました上で適当な措置を考えたいと思っております。また、それを機会にさらに他の学校法人がそういうようなことのないように、私は私学全体が自粛して姿勢を正していっていただきたいと思っております。私も就任以来、機会あるごとに私学の諸君には、この機会に私学は一そう経営の姿勢を正すべきであるということを、あらゆる機会に強調してまいったのでありますが、もしいまのようなことが千葉工大にあるとすれば、まことに信頼を裏切ることで、私自身としても非常に心外でございますが、ただいま申し上げましたとおりに、十分事実を調査いたした上で、適当な措置を考えたいと思っております。
○小林武君 もう先ほど来申し上げているように、先生のそのお立場をいろいろ考えて、おっしゃることは、よくわかるんです。ただしかし、金の問題になってきますというと、たとえば補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律によると、決定の取り消しもしなければならぬという事態の問題なんですね。そういうことになりますと非常に事が重大でありますから、先ほど来言っているように、むしろこれは明らかにされるものは、見せるものは見せて間違っていないということならば間違っていないということを明らかにする、間違っていたならばやっぱり今後間違いをしないようにする、こういうことを私は希望いたします。それであるなら、やっぱりお出し願いたいと思うんです、その決算その他についてですね、明らかになるように。それはどうですか、これは大学局長もここにおられますけれども、文部省としても異議はないでしょうね。そういう事態がいま起こっている、一つの疑惑が起こっている、そういうことについて、やっぱり疑惑であるならば、これは晴らすべきものならば、晴らす事実であるならば、あなたたちだっていま言った予算執行に関する法律があるわけですから、やらなければならぬことでしょう。それについてどうですか。
○政府委員(岩間英太郎君) 先ほど申し上げましたように、予算書、決算書はこれは補助の支出のためにお預かりした書類でございますので、 〔副主査退席、主席着席〕 その範囲しか使わないということが、これが一般のルールだと考えております。ただいまの御指摘のような適正な手続をとったかとらないかという問題につきましては、これは私どものほうで調べまして、そういうことが事実あったのかどうか、そういう点を調べまして御報告を申し上げたいと思います。それで小林先生の御指摘の点は十分ではないかというふうに考えております。
○小林武君 文部省に言いますけれども、「調べまして」と言うのはけっこうです。事実は出ているのです。そうでしょう、現物は出ているのです。この現物が、機関の決定を経たものかどうかということが、これが問題です。だから機関の決定を経たものかどうかということを明らかにすればいいという主張の人は、もう全然かかっていなかったから出ないと、こう言っているのですからね。出ているということであるならば、そのものを示さなければいかんです。こういう内容のものが出て、これについてとにかく予算、決算書であるということを明らかにするためには、ものを見せなければいかぬですね。だから私はそちらに出すべきだと思う。わからなければ、それじゃそういうところに出せないならば、私のほうへ資料を出してもらいたい、こういうことに考えますがね、どうなんですか、出せませんか。
○政府委員(岩間英太郎君) やはり予算書決算書の内容を伴うものでございますから、その内容につきましては、やはり学校のほうに資料を求めていただくというのが、これが筋合いではないかというふうに考えるのでございます。たまたま手続において瑕疵があるという問題でございまして、この問題につきましては、これは私学法とも関係するところでございまして、私どものほうで調べまして、さらにその上で是正すべき点があれば是正を命ずるということにいたしたいと考えております。
○小林武君 それではこれはこれで終わります。 最後に一つ文部大臣に、ちょっとおられませんでしたから、私から一言申し上げますと、問題は弁護士からそういう照会があったのは、この決算書、予算書を、補助金をつける場合に添えなければいけない。それが学校の機関の中で決定されたものでないという、そういうものがあり、それがおそらく弁護士の間の問題になったと思うのです。弁護士がそのことについて照会をした。こういうことになるわけでありますから、私はその点について、出発早々の財団でもあるし、将来のことを考えますというと、そういう疑惑はもうはっきりして、ガラス張りの中でやっぱりやるべきだ、こういうことでありますが、そういうことをひとつ財団のほうに希望して、適当な措置をしてもらいたい。それからもう一つ文部省のほうですが、その予算、決算書を添付した書類が、それは幾ら財団がどうしても、文部省のほうに全然ございませんと、そういうものは私のほうでなくてけっこうなんですなんて言うことは、いままでの文部省からいって、必要もないものまで集める文部省がなぜこういう問題についてやるのか、その意味がわからない。どうもどっちかというとそれはごまかしでないかというようなぼくらのようなひがみ根性の強いのは考える。だからそういう点は、やはりきちんとしておかれたほうがいいのではないか、これでいまの問題は終わります。 そこで今度文部大臣にお尋ねをしたいわけであります。私は実は不正入学の問題について、これはもう刑務所で何を盗ませたなんていう話は、とにかく別といたしまして、文部大臣から先般この国立の大学についての御説明をいただいて、それから私立大学の中には、もう入学金その他で非常なばく大な金を要するということの御説明を得たから、そのことについて私はもう質問しません。しかし文部大臣自身も何ぼですか、一万五千円ですか、国立学校が。片方は上のほうになるというと上限はどのくらいだかわからぬというやつがあるわけですね。六百万、七百万なんていうのもあるけれども、ある大学においては、それはもっと高いものがあるだろうと、私の見た大学時報によると三千万円というものが書かれている。そうなりますと、文部大臣としては、これいまのままで医師の養成というようなものが放置されておったら、私はこの種の問題というものはなかなか根絶やしにはならないんではないか。いろいろ道徳的なことを主張いたしましてもならないんじゃないかと思うのですが、抜本的というかそういう対策が必要ではないか、こう思うのですが、この間の大臣のお話で国立学校の定員を増す、そういうお話も、御苦労のことはよくわかります。当面そういう程度のことしか大臣としても言えないですよ、いま予算をやっているから言えないと思いますけれども、大臣として将来どうでしょうか、私が考えるには医師養成に関する限りと言ったらはなはだ悪いんですけれども、全部ならなおいいんですけれども、そういう国公私立の間にいわゆる財政的な差別のないようなしかたにしないと、もう先年、新しくなりました三つの私立大学といえども何と言われてもどうにもなりませんというような発言がありますわね。それから言って、特段の思い切った措置というものが必要だとお考えになりますか。私はもうこれはここまできたら思い切ったことをやらなきゃならぬと思うのですが、これはどうでしょう。
○国務大臣(坂田道太君) 大体小林さんおっしゃるように、私も実は考えておるわけでございます。こまかいことはまだ詰めておりません。おりませんけれども、やはり今後十年といたしますか、あるいは昭和六十年までといたしますか、とにもかくにも人口十万当たりに対して百五十人くらいまではこれをふやさなきゃならぬ。そういたしますとあと千五百人くらいの増を考えなきゃならぬ。昭和三十六年以来千五百四十、これは国立が九百、公立が四十、それから私立が六百という形で養成はしております。しかし、現在医者になってまいりましたのはまだおそらく四百そこそこじゃないかと思います。千五百四十の増員計画が達成されるのは昭和五十一年くらいでございまして、その際には大体人口十万当たり百二十五くらいになると思います。そういうわけでございまして、残りあと千五百人くらいはどうしても養成しなきゃならない。しかしそれもやはり重点は、金がかからないでも養成ができるというところにウエートを置いていくというのが望ましいことだ、というふうに私は考えております。したがいまして、これはいつつくるかは別といたしましても、最小限度二つか三つは国立の医科大学あるいは医学部を増設しなきゃならぬのではなかろうか。あるいはまた現在九つの公立の医科大学がございますが、これに対しまして、国としての予算措置はほとんどしてないのでございます。こういうふうなことについて、かなりの思い切った財政措置並びに定員等を考えればある程度定員六十名とか、あるいは定員八十名とかいうようなところももう少し増員できるんじゃないか、現にことしの予算でも御審議をわずらわしているわけでございますが、福島の医科大学ではたしか六十名を八十名に増員しております。それからまあ私学の申請というものも御案内のとおりにかなりあるわけでございますが、しかしこれにつきましては、先般来お話がございますようなことでは社会正義にもとりますので、私は、もう従来、私学助成というのは昨年から始めましたあれを達成していくならば、そうしてそれにいろいろのものを付加していくならば、何とかやっていけるんじゃなかろうかと実は甘く考えておったのでありますが、こういう事態を見ますると医師養成というものは、もう国立であろうと公立であろうと私立であろうと、とにもかくにも一人当たり年間二百万はかかるわけです。それに対して、私学に対してこちらの助成もない、あるいは全体的な寄付金というものもアメリカみたいにないといたしますれば、結局それが学生の納付金という形で、学生にあるいは父兄にかぶってくる、しかしこれはいかがなものか。思い切って、私は医師養成ということに関しては国公、私立かなり高い助成の道を開かなければいかぬ、特に私学に対しては。それを幾らにするかということについては、いませっかく私たちは検討いたしておりますが、しかし、小林さんおっしゃいます御趣旨は、私もそういう考え方で実は事務局を督励いたしまして、早急にその原案を得たい。そしてまあ政府部内の大蔵省、あるいは定員の問題につきましては、これは荒木行政管理庁の長官のところ、あるいはまた定員――これは国立でございますけれども、定員につきましては総定員法をどう考えていくか、とにかく思い切った増員計画でなければ、いままでのままの範囲内でやれと言われても、それは私は国立を二つ三つつくれと言われても、それはできぬのではないかということで、その辺の政府部内の折衝もこれからやらなければなりませんが、まずまず私としましては、文部省自身としての基本方針を早急に固めたいというふうに考えている次第でございます。そうして、そのような社会正義にもとるような事態にならないように、そう金持ちでなければお医者さんにはなれない、あるいは私学には入れないというようなことがないようにいたさなければならない、そういう段階じゃなかろうか、というふうに思っております。
○小林武君 いまの問題ですけれども、医師になりたいという人材があれば、これはだれでもなれるのだ、いわゆる経済的理由でなれないということでは、やっぱりほんとうの医師養成にはならないことが一つありますね。それと同時に、いまのように私学に非常におんぶしているというようなことです。幾ら責めましても、何か不正だとかなんとか言っても、寄付をもらわなければやれないような状況にある。そういうことになりますと、私はここで、これは文部大臣は厚生大臣をおやりになって、その面では、全く一番この点でよくわかった方だと思うから申し上げるのですが、いまの大臣の答弁非常に私は賛成です。つけ焼き刃なことをやってもどうにもならぬ。抜本的に私は二つ考えるのです。思い切って、ここまできたら、とりあえず重大な一つの問題を提起して、これについては大臣おっしゃるように国立並みのところに全部持っていく、私立も国立も公立も同じ二百万円なら二百万円をはじき出してやれ。それから、そういうことが事実公立、国立、私立めんどうであるならば、私はあなたがかねて主張しているいわゆる新構想大学で一切の医学部のあれは、特殊法人でもつくって、そういう大学にして全面的に国が責任を持ってやるというようなやり方をとるとか、そういうところにきていると思うのです。それを単に、何か経営者にそれがしわ寄せがいったり不当なことをやっているというような追及のしかただけでは私はほめられない、りっぱなことをやっているとは言えない、責めるだけでは意味がない、そんなことは私は片手落ちだと思う。だから、大臣としてはひとつそういう点、文部当局として思い切ったことをひとりやってもらいたいのです。そういう点では、そういうあれにあるかどうか知りませんけれども、私学振興財団なども、そういう点についてはひとつ御議論あったらどんどん主張なさって、そうして、まずそういう面における根本的な解決策を一日も早く御提示いただきたいと思うんです。 それで、厚生省のほうにちょっと一言お尋ねいたしたいんですが、いまのような医師を養成するという面の問題もございますけれども、やっぱり日本の医療制度そのものに、これに関連することがないとは言われないと思うんですが、そういう点についての御意見あったらちょっとここで聞かしてもらいたいと思うんです。いまのままの程度でよろしいのかどうかということです。
○説明員(松下廉蔵君) 非常に大きな問題についての御質問でございますが、いま小林先生御指摘がありましたように、国民の医療を進めていきますためには、もちろん中心になります医師の質の向上と数の充足ということが基本的に大事なのは御指摘のとおりでございますけれども、同時にいまの医療は総合的な医学技術の進歩に伴いまして、きわめて総合的な医療でございますだけに、医師という人の知識、技能というだけではもちろん完全ではございません。そういう意味ではいまお話がありましたようなそういう御趣旨だと思いますけれども、一つは人と並んで医療を行ないます場である医療機関の整備を進めるということ、それからもう一つは医師を中心といたしましてのチームワークでもって医療を進めていきます。まあ歯科医師は特別な立場でございますが、薬剤師あるいは看護婦、衛生検査技師、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士など、いわゆるパラメディカルな職種の人たちの質の向上と充足を進めていくということ、そういったことが日本の医療を振興いたすためには不可欠の条件と考えております。医療機関につきましてこれを整備いたしますためには、公的な医療機関につきましては年金福祉事業団等あるいは国の直接の融資等の方法がございます。それから私的な医療機関につきましては医療金融公庫の融資によって整備をはかる、あるいは分布の不均衡を是正いたしますために僻地医療対策としての諸般の診療者あるいは親元病院からの助成等諸般の施策を講じております。それからパラメディカルな職種の養成につきましては、最近の技術の進歩に伴いまして種々の職種が免許制度として法律が制定されておるわけでございまして、それに伴ってのそういった人たちの養成につきましても、諸般の方策を講じましてその充足をはかっていく、そういうような総合的な対策によりまして今後の医療を向上さしていかなければならない、そういうように考えております。
○小林武君 それから私の経験で一つあるんですが、たとえば労働者の利用する病院をつくろう、労災病院ですかね、そういうものをつくろう。そういうことになりますと、開業医が猛烈な反対をする、こんな病院をつくられてはたまらない、こういう運動をやる。開業医にしてみれば自分の営業の――営業といいますか、そういうものの妨害になるということになるんですが、こういう形のことをやっておったのでは、一体どういうことになるのか。将来その開業医をなくせとは言いませんけれども、そういうものとお互いに敵視し合うというか、存在を忌避するというような、そういうやり方でなく、一体医療の機関のあり方というものを、厚生省では検討なさっておりますか。これはもう各地で起こっておると思うんですよ。あるいは県立の病院を置きたいというようなことを言うと、それを置かれるというと開業医が全部反対するとか、そういうような事態はあなたのほうでは専門のことだからちゃんと御存じだと思うが、必ず起きますよ。そういうことが一体国民の医療という問題と非常に相反したようなことになるわけですけれども、そういう点についてはどうなんですか、いまのところ解決策というものがあるんですか、どうですか。
○説明員(松下廉蔵君) ただいまの御指摘の国公立あるいはそれに準ずるような公的な医療機関、公的な開設主体によります医療機関と、いわゆる私的といいますか、私的な医療機関との配置の調整という問題であろうかと思います。この問題は現行の医療法におきましては、公的医療機関に導入される資金の効率的な利用というような点も配慮いたしまして、一定限度以上の病床のあります地域におきましては公的医療機関が増床あるいは新設をいたします場合に、より効率的な利用を促進するという意味で、場合によって設置をあるいは増設を許可しないことができる、こういうような条文が置かれておることは、御存じのとおりでございます。そういうような意味におきましては、公的な医療機関と私的医療機関の職務の分掌といいますか、機能の分掌といいますか、そういうことも私もこれから検討していかなければならないし、従来も検討してきたわけでございますが、いま申し上げた医療法の運用につきましては、必ずしも画一的な病床数だけの問題ではございませんで、たとえば教育的な医師の研修を行ないます病院であるとかあるいは小児の特殊な医療を行ないます病院であるとか、そういう特殊な分野におきます公的医療機関については一定の病床をこえましても許可されるように運用をいたしております。要は、各地域におきましての住民の医療が公的な医療機関も私的医療機関も協力いたしまして、できるだけ万全を期するような運営がなされるということが理想でございますので、御指摘のような点が一、二の県であることは私も聞いていないわけではございません。そういった問題につきましては、私どもといたしましてもできるだけ調整をはかりまして、いま申し上げましたような規定の活用も十分に配慮いたしまして、できるだけ地域全体の医療が向上することができるような運用をしてまいりたい、さように心得ております。
○小林武君 この点は終わります。 それじゃ文化財関係を一つ。文化財の行政といいますか、そういうものについて、いま相当配慮しなければならないような事態になっておると私は判断する。と申しますのは、いま各地で起こってきております文化財といっても、いまのところ埋蔵物文化財を例にとりますが、埋蔵物文化財の保存という、この保存について特徴的なものが出ているわけですよ。それは何かというと、一つは埋蔵物文化財なり文化財を保存する側の役所――役所といいますか保存しなければならない立場、県と県教育委員会それから市町村の教育委員会、これらは保存する立場にあるわけですけれども、これらが自分の何といいますか立場を忘れて破壊の側の協力者になるというケースが出ているわけです。一つの例をあげれば、静岡県の浜松の伊場遺跡の問題、これは市そのものが県指定の伊場遺跡を指定からはずして破壊するという方向に進んでおる。それからもう一つは、前から問題になりました県の段階ですと、岡山県の津島遺跡の場合には、県が率先してこれを破壊するほうに回ってそして問題を起こした。現在では一応解決したかのごとくでありますけれども、だいぶ文化庁も妥協的になってまいりましてプロ野球の球場をつくるために、津島遺跡がどうも完全な保存の形をなさなくなる、私はプロ野球を目のかたきにしているわけでもありませんけれども、プロ野球のために重大な遺跡をこわさなくてもいいと思っているんですが、そういう段階は県の段階の問題。町村の問題とか市の問題になりますと、最近は神奈川県の逗子持田台地遺跡、これは市の教育委員会が伊藤忠の土地造成に協力するといいますか、そういう形でもうとにかくどんどん破壊のほうに進んでいった。それが市民の運動によって問題化しているということをお聞きになっていると思いますが、一体こういう傾向というものをどう一体文部省でお考えになっているのか、文化庁ではお考えになっているのか、破壊を、みずから保存する者の側からもそういう形が出てきている。そして毎度申し上げることだけれども、土地の開発というようなことはもう非常に急速な形で行なわれているわけですから、問題が激発する時期に当面の責任者がそういう何といいますか、文化財を守るというような意識が全然ないようなことではどうなるか。これは文化庁としてはどういう、あるいは文部大臣としてどういう指導の方針を確立しようとなさっているか、その点まずお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(安達健二君) 御指摘のとおり近時各種の開発事業が活発化してまいりました関係からいたしまして、埋蔵文化財その他の遺跡が破壊される事例が各地に起こっておる。その場合に県とか市町村等の当局側のほうの姿勢について問題のある事例もある。こういう御指摘の点、そういう事態があることははなはだ遺憾に思っておるわけでございます。これをいかにしてそういうことを絶無にするかということにつきましては、やはり根本的には埋蔵文化財なり文化財保護に対する一般国民を含めた周知徹底、啓蒙ということが大事だろうと思うわけでございます。 それから第二番目といたしましては、県の教育委員会当局に埋蔵文化財の担当の専門職員を強化するという機構上の問題、そういうところが第二にあろうかと思います。現在百二十名ぐらいのものが県の埋蔵文化財を担当いたしておりますけれども、ある県によってはそういう職員がないというようなところもございますので、そういうところにそういう職員をいかにして配置するかということが一つの問題であろうと思います。 第三といたしましては、文化財に対する重要性を県なり市町村が積極的に認識してもらうためには、やはり文化財行政等を所管するところの専門の部課を置いてもらうということが必要であろう。こういうことで私どもは機会あるごとに埋蔵文化財の専門職員の増加と文化財行政に関する専門の部課を置いてもらいたいという、この二つの点は会議のつど申し上げておるわけでございます。そういう点から埋蔵文化財の職員もだんだんふえてまいりましたし、また文化財の関係の専門の課を置くところが現在十五府県等にふえてまいっておりますので、私どもといたしましては、そういうことによって県なり市町村等の体制を整えていくということが大事であると考えておるわけでございます。
○小林武君 いまの御答弁は、私はやはりおざなりだという感じがするんですよ。あなたにはなはだ悪いんだ、こういうことを言うのは、悪いけれどもおざなりだ。いま日本の埋蔵文化財というようなものを守るのはだれかというと、あなたが一番先に言った啓蒙されるはずの市民のほうが逆に教育委員会を鞭撻して、ある場合はこれに明らかに反対の態度を示して、その中で守られるというものが多いんですね。伊場遺跡の場合はどうですか。文部省の白書の中に、伊場遺跡をこわしてもいいようなことを書いたではありませんか。それだから市の教育委員会は、特に市長は、このときとばかり、なるべく指定をなくしようというような態度をとった。それから逗子の場合はどうであったかというと、教育委員会はたいした史的価値がない、学問上の価値がないというような判定を下して、そうして破壊のほうにどんどん進んでいった。ところが地元民が、この三浦半島の中の重要な遺跡をこわされてたまりますかということで市民運動を起こしたら、初めて市議会が混乱するほどの騒ぎになって、そうして一時それが中止された。それから岡山県の問題については、あなたもう十分御承知だと思う。こういうふうに行政系統の中に入るところの者がいまのようなだらしがないことでは、市民の啓蒙も何もあったものじゃない。だからそのことについて、何というか啓蒙だとか専門職がいないとかというようなことではなしに、強力な一体指導というのはどういうことをやれば強力なのか。破壊をするような場合には断固たる態度を文化庁は持つべきだと思うんだけれども、そういう気がまえを見せているのかどうかということになると、いささか頼りないという感じがするわけです。あなたその点どうですか、強力なあれやったんですか。ぼくはそういうときには遠慮会釈なく断固として、もう破壊は許さぬという態度をとるべきだと思うのですが、さっぱりとっていないというような気持ちを持っているのですが、ぼくの考え方が間違いなら、あなたそうじゃないということを言ってください。
○政府委員(安達健二君) 私は非常に現実的なことを申し上げまして、基本的な姿勢の問題については当然だと思いまして、申し上げなかったのでございますけれども、われわれといたしましては、文化財を守る立場でございますから、われわれとしては事がある場合には、断固としてその立場を貫くというのが第一でございますが、同時にその場合には、やはり学問的な基礎というものが大切でございます。したがいまして、私どもはそういう問題が起きましたときには、まず科学的な調査をやるということを常に申し上げておるわけでございまして、したがいまして、いま御指摘になりました持田台地でございますが、この点につきましても私のほうは直ちに調査に行っておるわけでありまするし、また伊場遺跡につきましても、われわれはあくまでも学問的な調査に基づいてやるべきであるということで、現在坂本太郎博士を学術経験者の長といたしまして、そこで十分ひとつ調査をするという方針によって進めておるわけでございます。また、津島遺跡につきまして、野球のスタンドの増設につきましては、われわれとしては遺跡というものをあくまでも維持するということでございますけれども、スタンドがこわれて人身に支障があるというようなことでは困るわけでありますから、この遺跡を破壊しないで、最小限にこの遺跡に触れるようにして、そうして人命に支障のないようなことでスタンドはある程度認めざるを得ない。こういうことで、これについては地元の学者も一応賛意を表しておるということでございますので、われわれとしては基本的にはこの保存の立場を貫くとともに、それが常に学問的な立場に裏づけていく、こういうことを基本にいたしておるのでございます。
○小林武君 まあこれで終わりますが、その前に一つ、持田台地の遺跡について、文化庁としてはどういう態度をとっているかということ。それからもう一つ、専門の職員を置くということはこれはもういいことです。これはどうぞ将来ひとつあなたのほうで勉強してもらいたいと思いますね日本全国にやっぱり文化庁の、東北なら東北六県の中に中枢になるようなそういう一つの機構をつくらぬというと、これはもうだめだと思います。ブロックごとの一つの中枢というようなものがあって、そこで地元の考古学者とか、あるいは大学の専門の方とかいうようなものがいつでも動員される必要があるのです。たとえば持田遺跡の場合は、教育委員会はここにそういう文化財があるということもよう知らぬような状況じゃないですか。そういうようなことではだめなんです。もうあなたかだれか知らぬけれども、ぼくが初めのころ質問したときには、遺跡台帳ができればあとは心配ございませんからと、まるでりっぱなことをおっしゃった。その遺跡台帳ができてからでも、とにかくたいへんなことが起きているわけです。だから、遺跡台帳というものがどんどん追加されていって完成するような形、それでもなかなかいまのような状況では追いつかないと思います。それをりっぱにさらにうまくやれなんということは、それはちょっと酷だと思いますけれども、少なくとも努力はもう集中しなければいかぬ。そういうことで、職業野球のあれを、人命に支障のないようになんということを言うのであったなら、そんなものをつくらなければいいのです。そんな大事なところにつくらぬで、別のところにつくればいいのだけれども、しかしあなたの考えはわれわれとはだいぶ違うわけですが、そのことはいいです。 そこで持田遺跡について当面どうやるのか、それをちょっとお聞きして、私の質問を終わります。
○政府委員(安達健二君) 持田遺跡につきましては、先ほど先生御指摘のように、市の教育委員会で調査をしたんですけれども、これは三日間ということで、調査としてははなはだ不十分であるというようにわれわれも考えるわけでございますので、したがって事前調査をひとつ完全に実施するということが第一前提でございまして、その遺構の状況によってこの今後の処理については十分指導し、万全を期するようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。 なお遺跡台帳のところでお触れいただきましたが、この点につきましては今年度四十六年度千五百万円をお願いいたしておりまして、これによって従来の台帳の不備をこの際徹底的に洗い直すということの事業を始めるようにいたしておるわけでございます。 それから御指摘になりました発掘調査体制につきましては、御指摘のような点もたいへん有益な御示唆と伺いまして、今後積極的にいい方法を検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○小林武君 そこで持田遺跡ですが、これは文化庁からはどういう方がおいでになったのか、それが一つです。 もう一つは、持田遺跡の場合、いまのことばですというとちょっとあいまいなんですが、この調査をやって、その調査の結果、破壊もやむなしというお考えなのか。調査によってはもう保存のために全面的に宅地造成は許さぬというのか、その点についてはどうですか。はっきりしておかないというと、どうもあぶないから……。
○政府委員(安達健二君) 遺跡の状況によっていろいろな場合があり得るわけでございます。一番きわめて重大な、国の指定に値するような遺構が出ておるということになれば、宅地開発に大きな変更をいたさなければならないということになりますし、また、その遺跡の状況が全国的に見てあまり価値があるものでないという場合には、あるいはこれを記録にとどめる場合もないとは言えませんし、あるいはまた、その中間におきまして、そのうちの重要なものを残していく、そういう緑地化していくというような方法もございますから、これはやはりその結果に基づいて、学術的調査の結果に基づいて、適切なる措置を講ずるということだろうと思います。
○小林武君 学術的調査をやるというのですが、それにはどのぐらいの期間をかけておやりになるおつもりか。
○政府委員(安達健二君) まずはどういうような遺構、遺跡であるかという全体の概況をつかんで、それから、その概況のもとにおいてどこのところを整備するかというようないろいろなやり方がございますので、いまここで私が何日間で何千万円かければこれができるかというようなことは、ちょっと私どものいまの判断では正確なることを申し上げかねるわけでございます。
○小林武君 持田台地は、これは昭和三年、昭和五年にすでに発掘され、今日報告もなされている。そういうものがとにかく市教委でもはっきり知ることができなかった。知らなかったというようなこと、知っていてもやったのかもわからないけれども。そういう状態では困るし、それほどのものでありますから、やはりいまのところまできたら工事を停止しているのだから、工事を停止していまにもぶちこわしてやろうかというところまできて、いまになっても、なおかつどのくらいのことをやるかわからぬというようなことは、ぼくはまるでこわせこわせと言っているようで、その点はひとつ早急に文化庁はそれについては断固として工事を停止させて、どのくらいの規模の調査を行なう、その調査の結果についてどういう決断を下すかということをやらなければならない。 それから、先ほど来あなたは、この場合、この場合ということをおっしゃったけれども、私は逗子の市民じゃないからあまりよくわかりませんけれども、逗子の話を若干聞いてみるというと、この逗子という土地について、あの緑地帯を全然皮をはいでしまって緑地をなくすということは、少なくとも風致上からいっても、人間の住む環境の実態からいっても問題のあるところだ。いわば公害的な一つの様相を呈した今度の宅地造成だと思う、もうければいいという式の。これは何ぼ大資本であろうが何であろうが、そんなことは許しちゃいかぬと思う。そういう際に文化財に対するき然たる態度をひとつとってもらいたいと思う。私はとにかく一切の国土開発をみんなやめちゃって、全部残せ、そんなやぼなことを言っているのじゃない、そういうことではない。だからその点で十分ひとつ考慮してやってもらいたいと思います。 ―――――――――――――
○主査(吉田忠三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 小林武君が委員を辞任され、その補欠として小柳勇君が選任されました。 ―――――――――――――
○主査(吉田忠三郎君) 質疑を続けます。
○小柳勇君 参考人にまことに申しわけありませんでした。関連質問ですけれども、私は委員でなかったので発言できなかったので待っていただきましたが、冒頭に質問させていただきます。 それは、きょう文部省には通告いたしておきましたが、医学部の入学については金がたくさん要るということは、もうずいぶんたくさん問題になりました。ところが、医学部だけでなくて、たとえば、美術も、あるいは音楽も、ほかの私大も寄付行為が盛んであるし、金がないので入れなかったという者が私の周囲にたくさんいるわけです。で、ことし試験が終わりました。私が知っておる親たちでも百万や二百万の寄付金を出さなければならぬのでたいへんじゃと。またある子供は去年の試験でも実は通っておったけれども寄付金が少ないためにおれは落ちたのだと、そういうひがむことすら言っておる、実際はそうでないかも知れないけれども。寄付行為が頭打ちでなくて自由に許してあるところにそういう問題が発生すると思いますが、そこで、これからが質問でございまするが、あと、今後の具体策については文部大臣に聞きますけれども、現在、私学振興財団に対して法人から寄付行為、その他いろいろな名目はありましょうけれども、財団に法人から金が入ってくるのが一体どのくらいあるのでありましょうか、お聞きしたい。
○参考人(永澤邦男君) お答えいたします。 寄付金の補充、管理、それから配付、これは日本私学振興財団法によりまして財団の業務の一つになっておるわけでありますが、現在財団を通して行なわれておる寄付は、いわゆる指定寄付金であります。財団が個々の学校法人にかわりまして民間から寄付を集めまして、これを管理して個々のそして指定された学校法人に事業の進捗状況に応じまして交付しておるというのが現状でありまして、いわゆる寄付者から、この寄付金はどこそこの学校にやってもらいたいという寄付先が指定された寄付金であります。 現在、最近の状況を申し上げますと、財団発足以前のことでございますが、四十四年度はおおよそ一億九千六百万円、それから四十五年度が約五億円でございます。この途中から財団ができたわけです。四十六年度におきましては大体約七億円を財団としては予定いたしておる次第であります。 なお、つけ加えて申しますと、以前からもそうでありましたが、財団になりましてからは、寄付金審査委員会というものを設けまして、これには関係方面から委員の方々、すなわち財界、私学関係、それから関係の大蔵省、文部省等の方々に委員をお願いいたしまして、ここでこの寄付、助成計画が教育上免税にふさわしいかどうか、その助成計画が適切であるかどうかというような点を慎重にこの委員会で検討いたしまして、寄付の開始をする以前にこういう審査を経ましてやっておるというような非常に慎重な取り扱いをしておるわけであります。私どもはただいま、従来の寄付免税の条件につきましては、私学への自由な寄付金を一そう増加させるという意味におきまして、この条件の緩和を訴えてまいったのでありますが、大体その大綱は認めていただきましたので、やがて改善が実施されるようになると期待しておる次第です。
○小柳勇君 二つの点を質問したいと思いますが、一つは、いまおっしゃいました法人から財団、おたくのほうに寄付する場合の条件ですね。私の調べたところによりますと、その法人の寄付は資本金の千分の二・五プラス当期所得の百分の二・五、これは損金算入の限度額とは違いますか。
○参考人(池中弘君) 財団に寄付をされますときは、ただいまおっしゃいました、資本金の千分の二・五、〇・二五%と、所得の二・五%の二分の一を損金に算入するというワクとは別に、財団に出された場合は全額が損金になります。このワクとは別に免税にするわけです。
○小柳勇君 私、大蔵省のほうで調べてみたのですけれども、そうですか。このワクはこれは限度額のワクで、そのほかに全額免税になるわけですか。
○参考人(池中弘君) そうでございます。
○小柳勇君 わかりました。そこで、さっきおっしゃいました四十六年度の七億というのは、個人と法人と分けまして大体の見当どういうふうになっておりますか。
○参考人(池中弘君) 現在年度の途中でございますが、本年の二月十三日現在の集計でごかんべん願いたいと思います。年間の予定は五億でございますが、その当時はまだ三億六千八百万円しか集まっておりませんでした。そのとき法人が千二百四十二法人、三億四千八百万円、個人五百三十七人、二千万円、こういう状況でございます。
○小柳勇君 わかりました。そこで、個人がたとえば百万なり二百万なんという寄付はなかなかサラリーマンではできないですね。したがって、将来のことをまた文部省に聞きますけれども、法人からの私学振興財団などへの寄付について私は、この損金算入の限度額についてもう少し文句言うつもりでありましたけれども、このワクのほかになお限度を寄付できるわけでしょうか、もう一回確かめておきたいと思います。
○参考人(池中弘君) 間違いないと思いますが、法人の場合はいまの限度額とは別に全額を損金に算入できます。しかし個人の場合は限度額がございます。個人の場合は所得の一五%を上限といたしまして、それから所得の三%を引いたもの、その三%の金額が十万円をこえるときは十万円で切る、足切りでございます。ですから、式で言いますと、所得の一五%引く所得の三%、この三%が十万円をこえるときは十万円、それを引いたものが所得控除の限度額になっております。
○小柳勇君 わかりました。そうしますと、個人の場合、財団に寄付する場合は頭の限度はあるけれども、私学に直接個人が寄付するのは頭の限度がない、こういうふうに理解していいのですか。
○参考人(池中弘君) 財団に寄付をしていただくときには、免税になりますけれども、直接される場合には先ほどおっしゃったワクがあるわけです。
○小柳勇君 わかりました。免税のワクですね。したがって、私が言わんとするところは、私学に個人が五十万とか百万とかいたしますその頭をひとつきめてくれんかということを、これから文部省に言おうと思ったのです。個人の寄付の限度は幾らである。ただし法人が財団などに寄付するにはもうちょっとワクをゆるめてやるべきである。そうしないと医学部などは個人で一千万、二千万でしょう、寄付が。そういうものが子供のほうに影響するわけです。金持ちは幾ら寄付する者は寄付しても、われわれはちっとも痛くもかゆくもありませんけれども、それと同時に金のない人の子供が受験するときに、自分も力がないかもしれぬけれども、あの家は金があるから入れたが、私の家は金がないから入れなかったということを言っているわけです、いまの責年が。それを是正するのが当面の文部省の仕事ではないかと思ったものですから、したがって法人が寄付する場合には限度をもっとゆるめて、個人が寄付するやつをどこかで筋を引いたらどうだろうかと、こういうふうに考えるのですが、もう少し説明してください。
○参考人(池中弘君) もう少し詳しい御説明をしますと、現在のところは財団が受けて、それを学校に交付する。寄付金の使途でございますが、私学の校地、校舎、その他の付属設備の取得の費用に充てるものに限られておりますので、それ以外のものにつきましては、現在のところ免税の対象にならないわけであります。しかしその範囲をさらに拡張するようにお願いをしておりまして、近くそれが実現されるやに聞いておりますが、現状ではそうでございます。 それともう一つは、入学のときに払う寄付金でございますね。これについてはこういう免税の措置は全然ないわけでございます。
○主査(吉田忠三郎君) ちょっと関連いたしまして、たまたま官房長官もおるし、それから文部大臣に一つだけ伺っておきたいと思いますが、ただいままで同僚の小林委員あるいは小柳委員からいろいろこれに関する質問がございました。さらに関係の特に財団のほうからもお答えがあったのですが、お聞きのとおり、たいへんこの財団の寄付行為の金額は少のうございますね。ですから、これはやはり先ほど来文部大臣もかなり積極的なこの問題の解決についての御意見がございましたが、私はたいへんだと思うんです。問題は金でございますから、ですからあえて伺うのでありますが、いま小柳委員が申されている子供なりあるいは親のほうが百万とか二百万負担をいたしますというのは、一般に医科系の大学、特に歯科系の大学ですね、この関係はもう最低一千万というのが現実通り相場じゃありませんか。しかも大臣ね、先ほど小林委員は申さなかったけれども、最近では受験する一年くらい前から、おそくても半年くらい前から保証金として積まなければ入学ができないというのが現状なんです。たいへんな問題でしょう、これは。だから、小柳委員が言ったように、万々そういうことはないんだと思いますよ、入試のときの制度上はないと思いますけれども、一年前から一千万の金を保証金として積まなければならぬということになりますと、どういうことになります。私は、その一千万というお金があったならば、堂々と入学試験に合格する子供たちはたくさんいると思うんですよ、こういう問題ひとつ文部大臣考えられましてね、今後の施策として私は生かすべきだと思うんです。 それから官房長官ね、これは大蔵大臣でございませんが、この寄付行為について税制上の問題がたくさんございます。ぼくはこの大蔵委員をやっておりますが、非常に問題があるんですね。篤志家がこれは個人として寄付をするわけですからね。これがいまの税制では三分の一だけです免税点は。三分の二は課税されるんです。これは厚生省所管の社会福祉の施設に寄付してもそういうことを受けるんです。せっかく篤志家が何とかいまの現状打開のために少しでも財政的に援助したいという、こういう方に全体の対象になる問題ですね。きのうの新聞にも出ておったでしょう、それをお世話をしたのが現職の官房副長官の木村君で、そういうお世話をして大蔵大臣に何かけしからぬと、しかし現状の税法ではどうにもなりませんと、こういうふうな新聞囲み記事が出ておりましたがね、これはやはり政府としても、こういう問題はもっと検討を加える私は必要があると思うんです。私は思いつきのようでありますけれども、今度いまのお答えにもありましたように、法人化の寄付行為がかなり三億数千万ということですから、しかもいまの法人が税制上いわゆる経費として減免税になる額というのは、大体一法人が四百万ですか、こうなっていますね、それが全国で一兆三千億円ですよ、官房長官。免税の対象になった金額が一兆三千億です。たいへんなものですね。思いつきのようでございますけれども、この際はそういう法人に――これはみな飲み食いです。ですからせめてこの半額はこうした財団の寄付行為は、それは免税の対象にする、こうなったら私は思いつきのようでありますけれども、これくらいの抜本策をやらないと、文部大臣がたいへん積極的な御意見を出されまして、私ども賛成していますが、その御意見だけでは、こういう抜本策をきめこまかくやらないと、この問題の解決にならぬように私は思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(坂田道太君) 先ほどお答えを申し上げましたことも、私たちは真剣に取り組んでおるわけでございますが、同時にこの私学振興ということにつきまして、全部に寄付を願う、篤志家の寄付を願うということは、むしろ奨励さるべきだと私は思っておるわけです。そのためには喜んで寄付ができるような態勢を整える必要があるということで、実は本年度初めて日本私学振興財団に指定寄付金としての道を開いたわけです。それは先生おっしゃる第一段階でございまして、まだまだ私といたしましては、今後先生のおっしゃるような点をも含めまして、積極的に検討をしたいというふうに考えておる次第でございます。
○国務大臣(保利茂君) 私は飛び込んでまいりましてまだよくいきさつはわからぬのでありますけれども、私学の問題、特に医学関係の入学状況等は、まことに憂慮にたえないような状態にあるようでございます。私も私学の理事会に、ある大学に関係をいたしておりましたのですけれども、まあお話しのように、法人等でむだが多いと、それは社会的にもこういう面に有意義に用いられるようなくふうが大胆に取り入れられていいんじゃないか。すなわち大学教育等の面に寄付をされるならば、そういうのは相当大胆に奨励措置を講ずるというような、免税がどうなるかわかりませんけれども、そういうことは実際必要じゃないか。それからこれは少し立ち入り過ぎるように思いますけれども、日本のこの教育、学校制度というものは、官立を中心としてとにかく発展をしてきた沿革からいたしまして、欧米あたりにおきますというと、みな私学といいますか、篤志家の寄付、浄財によって教育が盛り上がってきておるという沿革的な違いがある。いま日本の私学という何からいいますと、一般篤志家の教育の面等に対する積極的な協力を呼び起こすというような措置は私は非常に大事なことであろうと存じます。これは多少個人的な意見にもなりますけれども、そういう上で、だんだん一歩一歩、この私学助成等が国によってもだんだん強められる、もう一つお話しのように、民間篤志家の教育に対する積極的な協力を呼び起こすような措置が必要じゃないかと私は思います。
○小柳勇君 それじゃ参考人ありがとうございました。あとは文部省に聞きますから、文部省のいまの問題あとでまた質問しますから。 そこで、伊勢神宮の式年遷宮が昭和四十年にあるようであります。私どもの郷里ではこういう袋が市の広報と一緒に町内会長の手で各戸に全部回ってきているわけです。これは奉賛会の募金袋でございます。これは右お願いすると書いてありますが、総目標が四十二億円、福岡県の目標額が四千八百万、私のほうの地域の目標額が二百五十万ということで、この奉賛会の福岡県知事の亀井光――現職でありますが、裏のほうには趣意書が書いてございますが、これで町内会の金を集めるわけです。おそらくこれは私どものところだけではなくて全国的にこれが展開されておると思いますが、このことについてまず文部省として掌握しておられるかどうか聞いてみます。
○政府委員(安達健二君) 御指摘のとおり伊勢神宮が古来から二十一年目ごとに内外宮の御正殿の施設をつくりかえる、いわゆる式年遷宮を行なうということが、終戦後、神宮の国家管理が廃止されたためその費用は国民一般からの寄付を中心にまかなうということで、次回の四十八年の第六十回の式年遷宮につきまして財団法人伊勢神宮式年遷宮奉賛会というものが設立されまして、総経費四十何億のうち約半分の二十億円の募金を行なうということになっておるわけでございまして、その奉賛会は文化庁のほうで認可をいたしました財団法人でございます。この奉賛会が各都道府県に地区本部が設けられておりまして、この支部組織が中心に行なわれているということは承知いたしておるわけでございまして、御指摘のございました現職の知事で地区本部長という形になっておられる方が現在のところは二十二道県ございます。ただこの場合はあくまでも知事というのではなくして、私人たる個人としてその職についておられる、こういうように私どもは承知いたしておるわけでございます。
○小柳勇君 いま県で、四十六都道府県の半分ですね、二十二の県知事が、しかもこれが長になっているんです。神社庁は福岡県神社庁ということになっておりまして、県庁と一緒のかっこうだ、そこでその本部長が亀井光だからこれは県から出ていると思って県に問い合わせたら、いや私のほうじゃありません、それは宗教法人です、と言うのです。本庁とか県神社庁ということ自体からまぎらわしいのでありますが、いまおっしゃったように二十二道県の知事が本部長として金を集めておる。個人といいましても、いま選挙の最中に県知事の名前できますと、個人の方は個人と思わないんですね。県知事さんが出したんだろうということで、町内会長さんも集めて歩いているんですよ。このことについて自治省として掌握されておられますか。
○説明員(遠藤文夫君) 福岡県につきまして、知事が個人として奉賛会の会員になっておるという話は聞いております。そのほかの点につきましては、いま伺いましたところでございます。
○小柳勇君 全国的に募金活動が四十二億円目標に展開されておると思いまするが、各県の実態についてお調べになったことございますか。
○説明員(遠藤文夫君) ございません。
○小柳勇君 県知事を本部長にしまして、まあこれは一つの例ですけれども、町内会が募金運動やっておるのにこれを野放ししておいていいのでしょうか。
○説明員(遠藤文夫君) 実は、町内会というものは御承知のように現在住民が自主的に集まっている自治的会合でございまして、別に地方団体の組織でも何でもございませんから、町内会がどういう活動をしているかということにつきまして、一一私どもが何といいますか、立ち入るということもどうかと思われますし、それから御指摘の知事さんの個人としてのいろいろやはり、知事さん個人としていろいろ宗教という信仰を持たれる方もあるわけであります。その知事さん個人の宗教的活動問題の面を、私どものほうから一々立ち入るのもいかがかということで、現在この問題につきまして、私どものほうで直接立ち入るということはしてないということでございます。
○小柳勇君 私も、やっぱり戦前からの神崇拝のあれがありますから、矛盾を感じてこなかったわけですね。伊勢神宮のお金を集めるとか、神だなにあげるあれがきますが、ちっとも不思議でなくやってきましたけれども、選挙のさなかだからよけいそれを感じたかもしれませんが、県知事の名前で町内会長が募金してやる。そしていまぽっと思い出しましたのが去年の正月に総理が閣僚と一緒に伊勢参りをしておられます。国民も総理大臣が毎年伊勢神宮に参拝するのはあたりまえだという印象もあるのじゃないかと思いましたね。それで過去ずっと調べてみましたら、昭和三十年の一月五日に鳩山総理が奥さんと二人、神前のお参りの姿が小さく出ております。三十二年一月五日に石橋湛山首相がお一人お参りをしておられます。これは小さく出ておりますが、ところが昨年の佐藤総理のやつはこんなに大きく出ておりまして、わざわざ各新聞社から記者が向こうへ行かれまして、わざわざ伊勢神宮で記者会見をされている。だからよけい新聞に出たかもわかりませんね。こういうものが自然と伊勢神宮というものは、国民は総理がこんな行って閣僚と一緒にお参りになるのはあたりまえだ、というふうに受け取っているのではないか、私自身がやっぱりそのように思うように。しかし、憲法では宗教的な活動は国及びその機関は一切禁じてあります。これは非常にすれすれのところだろうと思いますけれども、国全体の目標を定め四十二億円の奉賛会の資金といい、あるいは総理が正月に伊勢参りをされる、こういうことといい、これは特殊な活動になるのではないかと私はいま思うものですから、まず文部大臣から見解を聞きたいと思います。
○政府委員(安達健二君) まず伊勢神宮の遷宮の寄付金の募集でございますが、これは先ほども申し上げましたとおり、個人たる資格で行なう。それから奉賛会本部に聞いてみましたところ、地区の本部事務局長会議等で誤解を招くような方法は極力避けまして、たとえば町内会の割り当てをする、そういうものはないわけでございますけれども、事実上あるような……、そういうものに割り当てをしないように、そういうような指導は本部で十分いたしているというように、私どもの調べましたところでは、そういうことになっておるわけでございます。それから憲法におきますところの第二十条の「国及びその機関は一宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」というのがございます、二十条の第三項にあるわけでございますけれども、私ども承知いたしておるところでは、いわゆる伊勢神宮というのは皇室の祭祀のところでございまして、その場合には、おそらくもちろん個人的な資格において正月にお参りになるということで、憲法と直接関係はないと私どもは承知いたしておるところでございます。
○国務大臣(坂田道太君) ただいま安達次長からも申し上げましたが、私も総理大臣が個人的に伊勢神宮にお参りになるということはさしつかえないというふうに考えております。
○小柳勇君 憲法二十条に二つの面がありまして、一つは「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」これが伊勢神宮から見た場合ですね。そういたしますと、総理が閣僚と一緒に、しかも、新聞記者多数の人と一緒にお参りされることは特権ですか、それがまず一つ。それから「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と書いてありますね。これは、たとえば、総理は国の機関でございますから、その総理が閣僚と一緒に堂々とお参りされるということは――もちろん個人では信教は自由です、二十条は信教の自由がたてまえですから。しかしながら、それはやっぱり宗教活動といわれても、これは逃げられないのではないかと思うんです。官房長官にはお忙しいところをわざわざ来てもらったんですけれども、もちろん、費用はみなプライベートなもののようです、大臣は。しかし、随行の秘書官以下の方々は公的な出張として公費も出ておる、これは会計検査院で調べてみました。だから、その資格は総理大臣は個人でありましても、随行の方などは公務出張です。もし、個人でありましても、総理ですからやはりこれは純然たる私の旅行でありますとは言えないでしょうね。あれだけ大げさに新聞記者の皆さんと随行員の皆さんを集められて一個列車借り切りのようですから、それをいや、これはプライベートな信教の自由でございますとはあまりにも大げさではないかと思うんですが、官房長官いかがでございましょうか。
○国務大臣(保利茂君) 総理大臣が正月四日に伊勢参りをされると、私も昨年は一緒にお供を、たまたま総理も行かれるというので、私も久しくお参りしてないし、自分の気持ちを洗い直したいというような気持ちからたまたま行かれるということだから一緒に参りました。これが一体宗教活動になるものでございましょうか。一国の行政の最高責任者として、ほんとにたいへんな任務を帯びておるわけでございますから年が改まって――改まらなくても平常そうでなければならぬと思うんですけれども、とにかく年が改まると同時に、心を新たにして責任を果たしていきたい、やっぱりお互いに、小柳さんはどうか知りませんけれども、心の何といいましょうか、よりどころといいましょうか、大きな何ものかに、まあそれは天地自然と申せましょうけれども、そういうものにみずからの誓いを新たにして任務を全うしていきたい。私は、総理の心境はそういうことだと思っております。したがって、これは国民の皆さまからも許されてしかるべきだ。しかし、もし、大いに皆さんひとつ伊勢参りをしなさいよとか、あるいは伊勢神宮に参拝をすべきであるとかいったようなことを総理が言われておるというようなことであれば、これは問題だろうと思うんですけれども、ただみずからの気持ちを引き締める、任務に照らして引き締めるという意味から、私も、実はそういう気持ちでお参りをいたしたわけでございます。したがって、このことはお許しいただけるんじゃないだろうかと私は思うんでございます。 それから総理大臣は、私もそうでございますけれども、昨年参りましたときに秘書官が一緒に行ってくれております。おそらくこれは公務出張となっておると思います。私には内閣官房長官としての任務がございます。したがって、どこにおりましても、その任務上、任務を遂行していく上に連絡の必要も起こる、こっちから用が起こるのではなく、外のほうから起こるものですから、そういうことで総理大臣を助ける、あるいは各国務大臣を補佐するという立場におられる方々は、その連絡のために随行されることは許されることであろうかと思いますが、それはあたかも――総理があるいは軽井沢に静養される、あるいは鎌倉に静養されるときに必ず秘書官についていってもらわなければ私ども困るわけであります。そういう意味において出張をいたしておる、私はそういうように理解をいたしておる。この点では大体小柳さんも御了解、御理解いただけるのではなかろうかと思います。 〔主査退席、副主査着席〕
○小柳勇君 心情的には理解できるわけです。ただ、さっきおっしゃったように、神社が国家管理を離れたに伴い、昭和二十一年二月三日、全国神社の総意に基き、伊勢神宮及び神社の包括団体として設立された神社本庁でしょう。そこで、宗教法人であることには間違いない。その宗教法人に公の総理が閣僚と記者の皆さんと一緒にお参りをされると、これは純粋なる個人の信仰活動だけではないとみてもみられるのではないかと、そう思います。その点をきょう問題にしているんですが、さっきおっしゃったように、前の続きでありますが、日本のいまの憲法は、――たとえば神道と宗教法人、しかも日本の神道というのは一つの宗派でしょう。その信仰というものが政治に結びつかないようにというのが憲法の精神です。そういたしますというと、もちろん、それは信仰されることは自由でありますけれども、公の、もうほとんど実質的には公ですよ、総理が盛装をしてお参りになるわけですから。それを年々繰り返すことによって、これはもうこの宗教活動はあたりまえのようになってしまうわけです。だからこの奉賛会のお金だって当然のことだというので、国民全部がやるべきであるという印象になってくると私は理解して、これを問題にしているわけです。これは憲法の精神からいまの信教は自由である、自由に信仰しなさいという立場から言いますならば、総理の行動としては完全に個人の信仰とだけ言えないのではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(保利茂君) 私は、その袋の話はいま伺ったばかりでございますが、どうもあなたは総理が伊勢参りをされるということと袋との話を結びつけられて、少し飛躍が過ぎているのではないかという感じがいたしております。というのは、総理はただ年頭にあたって自分の気持ちを引き締めて、そうして任務を達成するという誓いを自分の心に誓えばいいことです。それはやっぱり形の問題もありますから、お参りをされる。そうでない方もおられます。また、吉田さんのようにお参りされなかった方も、私官房長官をしておりましたから知っておりますが、おいでにならなかった方もおります。しかしまた、佐藤総理のように、いま問題になっております靖国神社に参る、あるいは伊勢神宮にも参る、自分の世田谷の氏神様にも参られるというような、そういうような、人それぞれ同じ総理大臣でもそれぞれの何がございますし、それをお前はそこに参ってはいけないんではないかということはどういうものでございましょうか。それはもちろん総理大臣としての行動というものはよしんばどうでありましょうとも、常時総理大臣であることに間違いございませんから、したがって、それだけの影響力というものは常に考えていかなければならぬと思いますけれども、一国の総理大臣といえども、年頭にあたって心を新たにして国務に邁進するということをするようなことは、私個人としてはけっこうなことじゃないかというように思っております。それを袋のことと結びつけられると、これはちょっとどういう種類のものかわからぬものですから、私ちょっとお答えいたしかねるのでございますけれども、ただ、小柳さんは新聞等をお広げになっておりますから、何かえらいにぎやかになにして、そこで大宣伝でもやるようなお話でございますが、これはひとつ当節の発達した、これはいい姿かどうかわかりませんけれども、わが国現在のマスコミの状態、発展、発達の状態からしまして、何も一緒においでくださいと言っているわけでもなし、大ぜいの方が一緒に見える機会を便宜をはかって、一般の問題について語り合いをされるという機会を持っておられるというだけでございますから、これも総理にいかぬじゃないかと言われても、これはいたし方がないのじゃないかという、私はどうもそういう感じがいたします。
○小柳勇君 やはり結びつく、だから私は問題にしたわけです。何にもいままで感じなかったのか。感じないわけはない、こんな新聞を見て。しかも、内宮、外宮に正式に参拝されたと書いてある。だから、新聞記者の皆さんだって正式な参拝とみなす。そう書いてある。それから、これも町内会からきたものですから、公式の「市政だより」と一緒に今度はこれももらいにこられるわけです。そうすると、千円なり百円なり入れておきましょうと。今度はまた全国から集まるでしょう。しかも、それに県知事が代表者の本部長ですから、これは私も県に聞いたわけです。これは秘書官が個人のでしょうとおっしゃるから個人のでしょう。あるいは本人何も知らぬかもしれないけれども、二十二の道県で県知事が本部長になっていらっしゃると聞いておりますから、国民の皆さんもちっともふしぎでなくなってくる。片方では正式に総理がお参りし、片方は町内会から千円の金を集めにきた。そうすると、これは国のお宮であるということになってしまいましょう。しかし、これは終戦後の日本国憲法と違いやしませんかと、このことを言っているわけです。感情的にはわかりますよ。何も総理がお参りしたのが憎いでも何でもないのですけれども、そんなものが自然と、伊勢神宮は国の神さまである、近い将来、これは奉賛会よりも国でひとつ予算を出しなさいということになるかもしれない。そういうものを感じたからきょう問題にしたのでございまして、決してお参りしたのが憎いのではございませんが、ただ自然と、靖国神社法でもまた問題になるでしょうけれども、自然と国民感情の中に、お伊勢さんはこれは国の神さまであるということになってしまったような気がしたものですから問題にしたわけです。 そこで、二十二の道県に対しましては、自治省として、もうこれでやむを得ぬ、これは個人のだからしょうがない、こういうことでお済ましになるつもりですか。
○説明員(遠藤文夫君) やはり知事さん個人の行動を私のほうで一々取り上げてすることはどうかと思います。現在のところ、特に、私のほうからとやかく申し上げる筋合いではないように考えております。
○小柳勇君 これは吉田主査から回ってきたレポですけれども、二十三日に自治大臣は、公務員、地方公務員としては好ましくないと答弁したと書いてあるのです。あんた御存じないかもしれないけれども、少し答弁が無責任過ぎるような、課長さんだからそれは答弁できなければこの問題は保留しますよ。
○説明員(遠藤文夫君) 大臣の何か答弁がどうなっておるのかでございますけれども、御趣旨は帰りまして、どのようになっておりますか調べまして、上司と相談いたします。
○小柳勇君 自治省にも質問通告はしておったにもかかわらず、福岡県だけをお聞きになっておるようでありますけれども、各県に、二十二の道県がどのようにやっているか調べてください。また質問しましょう。 それから官房長官、また、来年のお正月もありましょうが、神社、伊勢神宮というものについて決して私ども、尊敬するということは少しも変わりません。私が申し上げましたように、そのお伊勢さんだけが国の神さまみたいな印象を自然とそれが植えつけられていかれる面では、お伊勢さんとしては大きな特権を与えられたようでありましょうし、総理としては、自分ではそうではないけれども、やはり政治活動に近い行動をしておられるといっても過言ではないと思います。したがって、また、正月がまいりますけれども、官房長官としていままでどおりちっともかまわないという気持ちでございますか、以上お聞きします。
○国務大臣(保利茂君) 私は、あけすけに申し上げますけれども、私どもがおすすめして総理がお参りにいかれるわけではないのです。また同行しておる閣僚を、総理が誘って行かれたわけでもなし、これは総理が一月四日に伊勢参りをされる。それから一月七日には鎌倉の鶴岡八幡宮にお参りされる。五日にはたしか明治神宮や世田谷の神社等に参られる。総理の日程の予定表に書いてある。伊勢神宮だけにお参りをされているわけではなしに、総理としては年頭にあたって、いやが上にも心を清めて、また引き締めて国務に尽瘁しなければならないということでやっておられる。私は純粋にそう見ております。したがって、その行為を、これは宗教活動にわたる、そういう誤解を持たれちゃたいへんでございますけれども、そうでない限りにおいて、これは小柳さんからでもそんなことをやめたらどうかというようなことは、どうも私はよう言い切りません。またその限りにおいて、少なくとも、年頭にあたってそういう気持ちを新たにしようということについて、それは人さまざまの気持ちがございましょうから、やはりその人々の気持ちというものは尊重されなければならぬのじゃないかという意味からして、やめさしたらどうかというような、端的なところそうじゃないかと思うのですけれども、私は、ようそうは言うことは言い得ないと思います。
○小柳勇君 この式年遷宮というのは、二十年でまいりましょう。また六十八年――四十八年がそのようですから六十八年ですけれども、そのときに日本の姿がどうなっておるかわかりませんが、ただ、きょうこの予算委員会第四分科会で私が問題として取り上げたということについては御記憶してもらいたいと思うのです。そして、でき得べくんば、こういうような大名行列になりませんように、ほんとうに総理がみずからえりを正して、自分のよりどころとして伊勢神宮にお参りされることはだれもとめることはできないでしょうが、もちろんけちつけることはできないでしょう。ただ、ここでこの予算委員会分科会で問題になったことは官房長官は御記憶してもらいたい。
○国務大臣(保利茂君) 十分記憶しておきます。
○小柳勇君 自治省のほうにはもう一回重ねて申し上げておきます。私は質問通告しておきましたから、もう少し各県の実態なり、あるいは全国的にどういうふうな姿で発展しておるくらいは調べてもらいたかったのですが、きょうは聞くことができませんでした。したがって、機会があればまた聞きたいと思いますから、この発言の問題を――吉田主査おりませんですから、レポだけ持ってまいりましたから、私のほうも調査いたしますから、大臣がどういう機会にどういうことをお答えになったかお調べください。二十三日自治大臣が、公務員、地方公務員としては好ましくないと答弁したと書いてあります。お調べください。 次の問題に入ります。さっきの私学の経費の話からけりをつけていきたいと思います。 学校法人ですから、あまり暴利をむさぼろうなんて考えている学校経営者はいないと思います。だから、学校を建てて、そして設備を整えて、教授その他の人件費を払って経営すればいいわけですから、そこで、さっきも申し上げましたように、医学部だけじゃなくて、ほかの私学でも相当寄付行為がなされておりますが、この寄付行為に対して、その寄付の限度額、個人の寄付の限度額などをお考えになったことがございませんか。
○政府委員(岩間英太郎君) 最近になりまして、先生御指摘のように、入学に際しまして多額の寄付というようなことが行なわれてまいりましたということはきわめて遺憾なことでございます。私ども私学振興財団をつくりまして、人件費を含む経常費の助成に踏み切りました際にも、少なくとも、そういうような法外な寄付金を取るというようなことは是正をしたいということを国会にも明らかにしてまいったところでございます。ただいままだそういう補助金の額が十分なところまでいっておりませんので、私ども具体的に個々の学校を指導するというところまでいっておりませんけれども、その補助金の額の増大にあわせまして、そういうような社会的に批判のございます問題につきましてはぜひ是正をしてまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。まだ具体的に、どの程度が最高限度か、そういう点につきましては、いろいろ事情がございまして、学校の事情もございますし、それぞれの状況に応じましてそういう額がきまってくると思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございます。私学振興財団とも十分連絡をとりまして、また私学の実情等を考えまして、こういう問題につきましては、真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小柳勇君 方々で問題になっておりますように、一千万、二千万なんということはとても一般の個人には寄付できない。それができるところにやはり問題があるんじゃないかと思いますから、非常にむずかしい問題とは思いますけれども、もっと法人の寄付などについては大幅な特権を与えて、個人の寄付についてはひとつ限界を置きまして、それ以上は罰するぐらいのこの際英断をやらなければ、金を持たないところの子供は希望する学校にも入れない。あるいは実力があって、試験には合格したが、親が金がないから入れなかったということになりますとひねくれまして、思想的にも担当の影響がありますから、学校教育として一番大きな問題じゃないかと思いますから、もう一回くどいようですが、大臣の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(坂田道太君) この点はまさに先生の御指摘のとおりに私どもも考えておるわけでございます。私どもが昨年経常費助成に踏み切りましたのも、たとえば、国立の大学生というものは一年間一万二千円でございます。にもかかわらず、平均いたしまして、私学に入りますと授業料だけで大体十万程度は納入しなければならないという状況でございまして、そういうわけで、私学のほうではもうとても教育研究の質的充実をはかり、そしていい先生を確保するとするならば、当然その費用を学生に転嫁せざるを得ない。つまり値上げは必然なんだ。それがまた大学紛争のもとにもなる。また、これ自身もあまりにも格差があり過ぎますから問題だということで、私どもは、とにもかくにも明治以来初めて人件費を含む経常費助成を百三十二億注ぎ込んで寄付を押えたわけであります。ところが、今度はまたこの医学部においてはただいまのような法外な寄付金を要請し、そして、私は、寄付金が普通の意味における個人の寄付金でなくて、試験の当落を左右する寄付金であるというところが教育的に問題である。あるいは学生に与える影響が問題になると私は思うのです。でございますから、私はもちろん歯どめと申しますか、それをどうつけるか、その寄付金にですね。先生御指摘のようなことをどうするかということについていま検討をいたしておるわけで、私がいままで検討しました段階で申しますと、去年からできました経常費助成ぐらいでは医学部の寄付金を完全にストップする、あるいは歯どめというわけにはいかないので、相当思い切った助成をやるならばその歯どめの措置はできる。だから、それはそういう正義を貫くためにはやらなければならぬのじゃないかというふうにただいま思っておる。しかし、これは政府部内においてもいろいろまた議論をしなければなりませんのでございますけれども、私、文部省といたしましては、いまそういうことを何とかして具体案を練って、そして政府部内をまとめて来年度からそういうようなことが起こらないようにしたいものだという覚悟をきめているわけです。もし、皆さん方からいいお知恵がございましたらひとつ拝借をしたいというような気持ちでございます。
○小柳勇君 わかりました。 方々で問題になっておりますから、医学部だけでなくて、ほかの私立の大学でも同じような問題が発生していることで、ひとつ十分解決してください。 時間がありませんから次の問題に入りますが、この前予算委員会で海外勤務者子女の教育のことで質問いたしました。大臣がお留守でありましたから確認しておきたいと思うのですが、この予算支出を見ますと二千二百万しかついてない。で、僻地教育の振興を見ますと百八億円ついている。だから、私は、僻地以上にこの海外勤務者の子女は非常な不幸な教育を受けておられると思う。したがって、海外勤務者子女教育については根本的に考え直すべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましても、実は、私自身がもう少しやはり思い切った措置をとらなければいかぬというふうに思っております。昨年も実はイギリス、フランス、ドイツの新らしい大学を見て回ったわけでございますが、その際、あれはジュッセルドルフの海外子女の教育をやっておるところを現場を私見てまいりましたし、また、在留邦人の方々から陳情を受けてまいりました。ことしの予算にも、これは外務省の予算でございますけれども、これはつくようになったと思います。 それから、イギリスにおきましても、その子女の教育の行なわれているところを朝見てまいったわけでございます。これは、イギリスで聞いたことでございますけれども、イギリスでなぜ寄宿舎制度というものが発達したかというと、イギリスでかつて七つの海を支配したというああいう時代に、どんどんイギリスの官吏の人やあるいは商売をやっておられる人たちが海外に出て行くというときに、安心して子供を預ける学校が必要だということで、結局寄宿舎制度というのもその一つのなごりといいますか、そういうことで発達したんだというようなことすら聞いてまいったわけでございますが、そのような意味において、国際社会の一員として日本がこれから活躍をするということであるならば、当然思い切ったそういうようなことを考えていかないと、何か家に帰ることばかり考えてはほんとうの仕事ができないのじゃないかというようなことにもつながるわけでございまして、この海外勤務者の子女の教育については、今後十分具体策を練ってまいりたいというふうに思っております。 また、いろいろこまかい問題につきましては局長からお答え申し上げます。
○小柳勇君 そこで、この僻地教育のほうは初等中等教育の充実の中に予算が入っているわけです。ところが、海外勤務者の子女教育は国際文化のところに入っているのですね。少なくとも義務教育だけはこの同じようなあれで、これは文化庁のほうが悪いとは言いませんけれども、何か海外勤務者の子女の義務教育の責任は文部省の初中局にないような印象を与えますが、大臣その点いかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) この点は、初中局がやはりこの全体の義務教育ということは所管をしておるわけでございますが、しかし、事日本以外の海外の問題についての政府の窓口はどこかというと外務省でございまして、その外務省との関係におきましては、うちの国際文化課で取り扱っておる。そしてもちろん緊密な連絡のもとにこれをやっておるということで、ひとつ御了解を得たいと思います。
○小柳勇君 将来の具体的な計画などもあるんですか。
○政府委員(安達健二君) 御案内のとおり、現在海外に二十三校ありますが、来年度から二十六校になりますところの日本人学校が設立されまして、そこで日本の教育課程によるところの、日本の教師によるところの教育が行なわれることになっておるわけでございまして、一番大事な問題は、そういうところにいい教師を確保するということになるわけでございまして、その面におきましては、国立の教官、それから公立の教官が現職のままで研修等の名義で出張して、その教育に当たっていただく、こういう体制を確立することが第一でございまして、私どもも、その方針に従いまして、そういう方向に現在進んでおるということでございます。 それから教材、教具等につきましては、これは内地と申しますか、国内にある基準と同一なものでなければならない、こういう観点に立ちまして、明年度は教材費等につきまして現在の九百万円を倍の千八百万円に増加すると、こういうようなこともいたしておるわけでございます。と同時に、帰ってまいりました子供、そういう日本人学校等のないところから帰りました子供が国内の教育に適応できるようにということで、東京学芸大学と神戸大学の付属の小中学校等で特別学級を設けておる、あるいは公立、私立の学校に研究委託をして、そういうことをやっておる。こういうことで、私どもといたしましては、初中局はもとより大学局とも十分なる連絡をとり、また、外務省が在外邦人の援護、保護という観点で責任を持っておられますので、協力いたしましてこの教育の振興に大いに努力いたしたい。同時に、これは役所だけではなくて、民間の商社等も直接父兄の立場にあるわけでございますので、この海外子女教育振興財団というものが出発いたしまして、財界におきましても協力してこの教育の振興に当たろうと、こういうことで、最近非常にその必要性が叫ばれ、またそれに対応しまして私どもも最善の努力をいたす所存でございます。
○小柳勇君 時間がありませんから最後の質問でありますが、北九州八幡区に福原学園というのがございます。この学園が職員組合をつくりまして、理事会と話し合いに入ろうとするけれども話し合いもしてくれない。相当きびしい陳情がまいっておりますが、私どもが調べても学園の紛争はよくわかりませんから、先般調査を頼んでおきました。したがってその実態と、今後どのように解決していただくか御答弁を願います。
○政府委員(岩間英太郎君) 学校法人福原学園の設置しております八幡西高等学校及び九州女子大学付属高等学校の教職員が、昭和四十五年九月十二日に福原学園教職員組合を結成いたしまして、給与引き上げ、学園の民主化、それから教職員の身分保障の確立、そういうものを要求いたしまして理事者側と紛争が続いておるわけでございます。いまは御承知のように、私立学校につきましては労働組合を設けることができるということになっております。そういう関係で、これは労使の関係の問題でございますけれども、世帯が非常に小さいことと、それから当事者がかなり感情的になっておるということで、紛争が非常にもつれておるようでございます。最近の事情を照会いたしましたところ、学校側といたしましても、組織上のいろんな関係がございまして、悪いことばで申しますとワンマン経営と申しますか、そういうような点もございまして、教職員の不満があったようでございます。 それから、これは県のほうの調査でございますが、九十名のうちの約半数が組合に加入しておると、また第二組合も結成されておる。授業のほうはいまのところ平穏のようでございますけれども、県当局としましては、これは労使の問題でございまして、まだ教育問題というところまでいっておりませんので静観をしておるという状況でございます。 なお、理事者側の話を聞きますと、三月十九日十一名、三月二十二日一名の教職員を指名解雇をしたというようなことでございます。これも言ってみますと、どろ沼の様相を示して、非常に感情的に対立しているようでございます。われわれといたしましても、これは高等学校の問題でございまして、直接の所轄庁が都道府知事となっておりますので、県当局と十分連絡をいたしまして、教育上不測の事態が起こらないようにということを念願して指導に当たりたいというふうに考えております。
○小柳勇君 私どもも地元のことでございますから、問題が早急に解決することを希望いたしますが、教科の変更などということで内容がよくわからぬこともありますものですから、文部省に調査していただきました。文部省でできるだけ円満解決の方向に助言と御指導を願いたいと思います。 以上で終わります。
○塩出啓典君 それでは、きょうは時間もだいぶんおそくなりましたので答弁のほうも、まだ一人おりますので、簡略にお願いしたいと思います。 私、きょうはいわゆる夜間中学の問題についていろいろお尋ねしたいと思うのでございますが、どうしてこういうことを尋ねるかと申しますと、ことしの二月八日の「中国新聞」地元の広島版に、「島の夜間中学は開店休業」と、こういう記事が載っておりまして、実は、私も夜間中学なんてあるのを実は初めは知らなかった。それで、いろいろ文部省のほうもお呼びして実情を聞いたわけでありますが、東京を離れた広島県のしかも海の上にある島の片すみの漁村のことですから、あまり実情も詳しくはわからなかった。 〔副主査退席、主査着席〕 その点は私は非常に残念に思ったわけですよね。それは文部省としては全国を統轄しておるわけですから。しかし、実情を調べますと、実はこれは昔はかなり夜間中学の学生も多かった。漁村であるために昼間魚をとりに行く、そして夜帰ってきて、そして夜間中学に行く、そういうわけで夜間中学ができておったわけです。ところがだんだん、だんだん、親の方々も教育に対する熱意ができまして、かなり昼間に移っているわけなんです。けれども、現在五人の生徒がおるわけですが、その五人のうち四人は長期欠席であるという。それはどういうわけかといいますと、昔沿岸漁業ですぐ近くに行って帰っておったのでありますが、いまは沿岸で魚がとれないものですからずっと土佐のほうに行くものですから、結局、長期欠席だと、船も大体三百トンぐらいの船で、そして大体家族でやるわけなんですね。だから人を雇えないものですから家族でやる、どうしても子供が必要だと、そういうような情勢のもとで長期欠席になっておる。それでもう結局年が過ぎると、これが除籍になって卒業できないで、義務教育を受けないままで社会へほうり出されると、そういう実情だったわけです。それで、私いろいろ図書館等で夜間中学を調べましたら、塚原さんという方の書いた本でこれを図書館から借りて読みました。これを読んで私も非常に感動したわけですがね。涙の出るような事がいろいろあったわけでございますが、全国に二十校ぐらいあって、六百名ぐらいの夜間中学生がいる、そういうお話を聞いて、しかも、現在の学校教育法にも現在の夜間中学というものはない。夜間中学という名前自体がそもそもないのであって、何かそういうようなことを聞いたわけなんです。そういうわけで、私もいろいろそういう点からお話をしたいと思うのでございます。 そこで、大体文部省といたしましては、夜間中学というものをどのように掌握しておられるのか、そしてまた、そのように夜間中学へ行かなければならない理由は一体何なのか、その年齢構成等はどうなっておるのか、そういうような点をひとつ。
○政府委員(宮地茂君) お答えいたします。 いま先生が御指摘になられました夜間中学校でございますが、学校教育法には、小学校、中学校は高等学校、大学と違いまして、高等学校、大学のほうは夜間の課程を置くことができるという規定もございますが、小学校、中学校には夜間の課程は法律上認めておりません。しかしながら、いろんな理由から戦後、昭和二十四年ごろのようでございますが、当時のインフレ上昇期に生活困窮家庭の長欠生徒を救う対策としまして夜間学級が、法に認められていないけれども、必要に迫られてできたという経緯がございます。その後いろいろ変遷がございますが、今日では、先ほど御指摘のように、広島、兵庫、大阪、京都、神奈川、東京、こういう府県に生徒が大体六百余名、七百名足らずの生徒が在籍しております。この人たちは、ほとんどがいわゆる十五歳を過ぎました、学校教育法上でいえば学齢生徒でない、十五歳以上の生徒さんが大半でございます。それから、私のほう十分な調査はいたしておりませんが、先ほど先生から御指摘になられましたような夜間中学に非常に御熱心な方々の御調査等いろいろ参考にいたしますと、学齢生徒は現在二〇%未満で、極端な例では六十歳近い人もおられる。五十歳代がパーセンテージで一%ぐらいですが三名おられます。それからさらに四十歳代の方もおられます。それからさらに二十歳、三十歳代の方が四〇%ぐらい、それから十六歳から十九歳までが四〇%といったようなことで、多くは十六歳から三十歳までの方が大半でございます。 そういう状況で、こういう方々が夜間中学へ入っておられる理由、これも実は詳細の調査を予算もとりまして来年度いたしたいと思っておりますが、大体のところでは、いろんな理由から義務教育を修了していない、まあ家庭の経済的な理由が多くのようでございますが、あるいは勉強ぎらいとかいったようなことで長欠をしたとか、さらには、子供のころ病気であったとか、いろんな理由がございますが、そういう方が学齢を過ぎましてともかく義務教育だけは修了しておきたい、何とか勉強したいといったような意欲の方、さらに理容師、美容師、あんま、マッサージ、その他こういった試験を受けますのには中学校卒業というのが受験資格になっておりまして、そういう資格をともかくとっておかないと、将来の就職、自分の一生の仕事として身を立てるためにも、基礎資格が要るといったようなこと、さらには一部海外からの引き揚げ者、特に最近東京の夜間中学は、韓国等の引き揚げの子弟等が向こうの高等学校は出ているけれども、日本語がわからないので、夜間中学で日本語の勉強をするというようなことで、いろいろ理由がございますが、そういったようなことが入っておる動機、理由のようでございます。
○塩出啓典君 それで文部大臣、こういう問題は、もうすでに昭和二十年代からあった問題です。昭和四十一年に、行政管理庁は青少年の労働、いわゆる義務教育を受けている人の労働というその勧告の中で、こういう夜間中学等に学齢の児童がいっていることは好ましくない、そういうような勧告も出ているわけです。四十一年といえば、もうすでに五年もたっているわけですけれども、まだ実態をつかんでいない。私はこういうのが一番社会の縮図といいますか、やっぱり上の方方ばかり見るのじゃなくて、最もこれは生活のたいへんな縮図がそこにあると思うのです。そういうような姿を、最もおくれているところを詳細に調べて、それに対する手を当然打っていかなければ私はならないと思うのです。そういう点で過去のことは言いませんけれども、いずれにしても、そういう実態も掌握していない、そういう私は文部省の姿が怠慢といわざるを得ない。私はそう思うのですけれども、どうですか、その点。
○国務大臣(坂田道太君) これはおっしゃるとおりだと思います。ただ、われわれといたしましては、とにかく学齢の者は正規の学校に通わせるという最大限の指導、助言、努力をいたしたい。しかしながら、学齢以上の人たち、これは法律上はそれは許されていないかもしれませんけれども、しかしそれらの人たちに対して、やはり教育の機会を実態的に与えてやるということは、私は考えていかなければならぬことじゃないか、それをどうするかということについて、やはり私どもは具体的にこれに取り組まなければならないというふうに思います。先般もお尋ねが他の委員会でございまして、そのことを申し上げておるわけでございます。だから、いままでは法律的には許されないのだからという名目でまあほったらかすみたいな、大体熱意がないというような形だったのですけれども、私はそうじゃなくて、やはり世の中に、いまおっしゃるように、いろいろな事情でこういうような現実もないわけじゃないわけです。この点をとらえて、やはりたとえばいまの広島の場合は学校はあるわけです。それはやはりそれを認めて、すぐにというわけじゃないけれども、事実上これは存在するわけです。むしろそこに通わせるような努力を政府としてやるべきじゃないかというふうに私は思っております。それを形式的には認められないのだけれども、事実上あるものをどうやって認めるかということについて、われわれもやつ。はり行政官庁だものですから、法規に縛られるわけではございますけれども、それについてのまあ特例かなんか、そういうようなやはりしゃくし定木でなくやり得る道はないのかということをいま検討しておるという状況でございます。
○塩出啓典君 文部大臣、私の言った趣旨を少し感違いされているように思うのです。私は、夜間中学をなくせということを言っているのじゃないのですよ。ただ、現実の問題として必要なんです。私もこの本を読んで、ほんとうにやはりそこで働いている先生方はえらいと思うのですね。そういうところに私はほんとうの教育があるような気がしたわけですけれども、私はそういう実態を調べないで、じゃどういうわけで夜間中学へ行かなければならないか、そういうこまかい姿を調べないでは対策の立てようがないのです。そういう実態も昭和四十一年あるいは昭和三十年あたりから問題になっているこの問題に対して、文部省からもすでに前にいただいた資料がございますが、いろいろ聞いてみると、これは文部省にあった資料ではない、全部学校長会なり、そういう人たちが集めた資料が文部省から出ている。もっとそういう問題については文部省としても調査をして、そういう点で積極的に取り組んでいただきたい、そういうことを申し上げたわけです。 そこで、大体この夜間中学校に対する文部大臣のお考えというものは、いまお話になったとおりやはり必要である。けれども現在法的にはそういうきちっとしたものはない。しかし、必要であるということは文部大臣はある程度認める、そのように解釈していいわけですね。
○国務大臣(坂田道太君) そのとおりでございます。
○塩出啓典君 それで、お尋ねしますが、次に、いわゆる不就学者の数、それからまたいわゆる長期欠席者の数、それは大体現在どのような数であるか。またこれはどのように推移をしておるのか。あまりこまかい数字でなくて大体の数でいいと思いますが。
○政府委員(宮地茂君) 不就学は、いわゆる就学の猶予免除を受けた者、さらにそれ以外で、就学をしておることにはなっているが、いろいろな理由で長期欠席をしている者、そういうふうに分けて考えたいと思いますが、就学猶余免除の場合、大体不就学者は一万五、六千名、四十一年度から四十四年度までの四、五年を見ましても、大体四十一年が一万七千、四十四年は一万六千、まあ千名くらいの減少がございますが、やや固定しておりまして、大体〇・一七%から〇・一八%の状況でございます。それから猶余免除ではない、いわゆる長期欠席でございますが、これはたとえば昭和二十七、八年に例をとりますと、長欠者が十五万人前後でございます。比率にしまして一・数%でございますが、昭和四十三、四年ころの率では長欠率としましては相当減りまして、〇・三%余りでございます。人数は三万人余り、年によって若干違いますが、そういうことになっております。もっともこの長欠調査は毎年やっておりますが、一応一年間を通算して五十日以上連続して、あるいは断続して休んだ者を長欠者として調査しております。その数字でございます。したがいまして、長欠者は戦後から今日までずっと長欠者がございますが、最近では相当減って〇・三%余りになっておる、こういうような状況でございます。その長欠の事由を見てみますと、最近では、四十三、四年の例を見ますと、病気というのが比率にしまして七〇%余りが病気でございます。それから、経済的理由が三%、学校ぎらいが一一%、その他家庭の無理解とかいろいろございますが。したがいまして、大半が病気ということになっております。いまのは小学校でございますが、中学校のほうでは、病気が五五%、小学校のほうは病気が七五%ですが、中学ですと五五%ぐらいが病気で、あとは学校ぎらいというのが二八%、経済的理由が六%、その他、こういうふうになって若干違いますが、大半が長欠者は病気でございます。その病気もじん臓とか心臓とかそういった病気の者が多いようでございます。
○塩出啓典君 いま〇・三%で三万人というのは、これは小学校、中学校を含めての数ですね。
○政府委員(宮地茂君) 言い落としました。先ほどの長欠の〇・三%は小学校でございます。中学校は〇・六%で小学校よりも若干中学が長欠者が多うございます。
○塩出啓典君 何名になりますか。これはいつのどこの調査ですか。
○政府委員(宮地茂君) これは文部省でいたしております学校基本調査というのがございます。二十七、八年ごろから四十三、四年ごろと申しましたのは、各年度文部省でいたしております調査ですが、三十三年度までは長期欠席児童生徒調査という名目でいたしておりましたが、それ以後は三十四年以後今日まで毎年学校基本調査としてやっております。四十四年と申しましたのは四十四年度の調査でございます。
○塩出啓典君 これは文部省が全国を抜き取り的にやった調査、全部……。
○政府委員(宮地茂君) 全部です。
○塩出啓典君 全部についてですね。 それで、いまお聞きしますと、大体小学校で三万人、それから中学校では〇・六%ですから大体三万人ぐらいですか。そうすると全部で六万人ですね。そういう六万人の人たちが長期欠席である。そのほかに、もちろんからだの悪い就学猶予免除者の人もおるわけですね。そうすると、長欠者の人たちは学校を五十日以上も休むわけですから、学力が低下しているわけですね。また、中には学校に来ない人もいると思うんです。そういう人たちはだんだんおくれてしまうと学齢をオーバーしているわけですね。私がお聞きしたいのは、そういう人たちがちゃんと義務教育に相当する教育を受けて卒業してくれればいいわけですね、一年ぐらいおくれても。けれども、われわれの聞く範囲では、結局そういうような人たちは一つは除籍になっていく人もいる。また情けで卒業できても、結局非常に学力がない状態で社会に出ていかなければいけない。その二つあると思うんです。そのあたりはどうですか。
○政府委員(宮地茂君) 就学猶予免除者のほうは確かにおくれて、いま先生おっしゃいますようなものがほとんどそうなると思います。ただ、長欠のほうは実は五十日間以上の休んだ者をとっておりますので、その年にたまたま五十日余りの、いわゆる子供にとっては大病でしょうが、大病がなおったので次の年からは、あるいはその病気がなおればすぐ学校に行っておるというような子供も相当おります。ただ、この調査がそこまで追跡いたしておりませんので、はっきりしないのでございますが、しかし、学校ぎらいとかいったような子供はそう簡単になおりませんから、おっしゃいますように、大ざっぱに申せば先生御指摘のようなことになろうかと思います。 そういうことで、実は私どもこれに対しましては、就学猶予免除者、さらに長欠につきましては、いろいろ各省が協力してこの子供らの対策をやる必要がある。さっきの直ちに除籍云々の問題にいく前に、これに対してできる限りの手を施して就学を先にさせていく、こういう必要があろうと思いまして、これは昭和三十年でございますが、文部、厚生、労働関係各省が寄りまして、これは三省の次官通達で県等にも出しておりますが、共同して密接に連絡をとりながら対策を講じようということでございますが、文部省といたしましても、その長欠対策というようなことから、教育的な観点からは一つは従来は長欠をしておりました者、中にはこれは自閉症みたいな子供も従来はずっと長欠者とかあるいは猶予等に入っておるんですが、まあそういったようなことで、最近は特殊学級を非常に奨励していっておるということで、昭和二十七、八年ごろ長欠率が一・数%とか、それが最近は〇・三%とか申しましたが、別に役所がやったのが功を奏したというか、あれを言うわけではございませんが、関係各省が協力してこれをやっておる。しかしながら、先生が先ほどこの豊浜中学の例をお出しになられましたが、こういうのは漁師の方々が学寮をつくって子供を学寮に置いて小、中学校に通わせるような、これは労働省等関係省から補助金も出てそういう学寮もつくっておる。したがって、多くの子供は学寮に入って、昼間親は漁に出ても、子供は小、中学校に通っておる。しかし、中には親が子供を連れて漁に出ていくということで、これはいろいろ教育的に配慮しましても十分でございません。そういうことでむしろ労働省とか、関係各省のほうからそういう親に対しての、文部省としてももちろんそういう親に先生等が家庭訪問をしていろいろお願いはいたしておりますが、そういうことでだんだんなくするようにいたしたい、こういうふうに努力はいたしておる次第でございます。
○塩出啓典君 先ほど昭和三十年の文部省のいわゆる通達、これを私も見さしてもらったわけですけれども、この中では、確かにそういう問題は非常に関係機関、団体がやっぱり協力してやっていかないと文部省だけではできない問題ですね。それで関係機関及び関係団体の参加による就学奨励対策委員会を設けるなどの方法によって協力体制を確立する、そういうのがあるわけですが、これは就学奨励対策委員会なんてちゃんとできているんですか、いま。
○政府委員(宮地茂君) これは昭和三十年にこういうことをきめまして、そのときに各県で、中央では文部、厚生、労働三省が緊密な協力を持ち合う、したがって、各県ではこういう関係で委員会を持って指導するようにということをいたしまして、これを関係各省の連携は、まあ私どもとしましては、相当もう地についておると思いますので、現在中央ではそういう形式的な委員会は持っておりません。各省がそれぞれ努力いたしております。県ではその当時の指導で、形としても委員会を持っておるところがあるところはあるようでございます。
○塩出啓典君 あるところはあるようだといって、そういうことじゃ困るんですよ。そういうことが必要ならばちゃんとやらせるなり、もっと掌握してもらいたいですよ。この除籍者、いわゆる義務教育は完了しないけれども、学校に来ないために、病欠はまだいいんです、元気になって来るから。学校ぎらいの人は学校に来ないために除籍になっているんですね。それは私がいま広島県の豊浜中学、これは長欠者四人のうち三人は近く除籍しなければならない。これはここの山根先生にお聞きしたら、そういうことでございました。きのう私は高野さんという方にいろいろお会いして聞きましたら、この方は非常に夜間中学のことを真剣に推進されてきた方でございますが、江戸川区の中学でも二十名いる、この三月で二十二名の人がもう学校に来ないために除籍になるわけです。中学が二十校で二十二名。平均して一校一名といたしましても、全国には大体一万数千の中学校があるわけですから、そういう一万名もの人がやはり結局は除籍になって社会にほうり出されていく。先ほどいろいろ局長は対策を言われましたけれども、こういう現実があるわけです。それは一生懸命やってこられた労働省、厚生省もそれぞれやられたかもしれぬけれども、こういう現実があるわけです。それどうですか、除籍者の数というのはわかりますか、毎年の数というのはつかんでおりますか、文部省は。
○政府委員(宮地茂君) 除籍でございますが、実は先生からあらかじめこの豊浜中学をお聞きしたものですから、実は私もこの近くの島に生まれましてこの状況はよく知っているんです。それで除籍というのですけれども、これは高等学校とか大学等の除籍と違いまして、別に法令用語でもございませんが、卒業ではない、それから完全に課程を終了したという課程終了でもない、さればといって退学処分にするというものでもないが、一応年齢にきたので在学生としての取り扱いを別の扱いにしていくというのがこの除籍ということばの実態。そこで中国新聞に載りましたこの件につきましても、実は県の教員組合がお書きになられた白書があるようでございます。県としても、この新聞なり白書にあるとおりであるとするならば、これは相当問題であろうということで十分調査してもらいました。そうしましたところ、この除籍というのは、豊浜の、四十五年度のこの三月に普通夜間中学でも来ておれば卒業するであろう子供が三名ございます。この子は来ないわけなんです。それで来ないということに対しては来るようにもっと努力すればよいわけですが、これはいろんな理由がございます。その場合に、とにかく一年間ほとんど来てないから一応学齢生徒としての十五歳は過ぎたから、学籍簿としては別にするということで、また、この子供が学校へ来て勉強するということであればいつでもいわゆる復学させます、夜間中学で勉強させます。そういうことのようでございます。これは直接私のほうも島の教育委員会に聞かせましたし、県の教育委員会にも聞きましたのでございますので、非常にどうも無理解に、年齢になったからおまえは済んだという形ではございませんで、その点は御理解いただきたいと思います。まあ法律的には町としましては、十五歳までの子供、これは親も義務がありますし、町としても学齢生徒は就学させなければいけないわけですが、長い間勧奨して昼間に来ないからというので、それでは夜なら勉強できるであろうといって、これは気持ちとして私は法律にないことまで町としてはやった。そして子供に勉強の機会を与えた。それでも子供は来なかった。それでは一応年齢が過ぎたから一応学籍簿は横に置きますという措置でございますので、ただ冷ややかに除籍ということで町教委の態度が冷淡だというふうには考えないでいただきたい、こういうふうに思います。
○塩出啓典君 私は、決して地方の学校が冷淡だと言っているのじゃないのですよ。もちろん、除籍ということばは正式なことばじゃないけれども、実際にはそうやって学校に来ない人たちが年齢がくれば、長欠で休んで学校へ出て来ればもう友達も卒業しているしね。結局そういう人たちは社会に出て、義務教育を完了しないで出ていっているのです。それが、いま言ったように江戸川区の中学二十校でも二十二名おるのですよ。そういうのがまた豊浜にも三名いるのです。だから、それは私はそこの学校の校長が冷淡だと言うのじゃない。冷淡なのは文部省が冷淡だと言いたい、そういう実態も調べないで。そういう人たちが一番大事じゃないかと思うのだが、そういう点で、そういう実態ちゃんと調査してもらいたい。文部大臣、そういう点、調査するなり、もっと前向きに検討してもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(坂田道太君) これは当然でございますので前向きに検討いたしたいと思います。
○塩出啓典君 それで、きょうは厚生省なり労働省の方にもいろいろお聞きしようと思ったのですけれども、時間もありませんので、そういう不就学の児童に対しては生活保護法の学用品の授与とか、また就学援助法、学校給食法、そういうようないろいろ法律で、子供が学校へ行くために援助を、必要な経費が親の負担にならないようにそういう処置はとられているわけですけれども、現実には、いま言ったように東京の二十校で二十二名、その計算からいけば、全国で約一万名の人がそうやって社会に出ていっているのじゃないか。だから、そういう点で、いま対策を立てて、さらに推進をしていただきたい、このことを要望します。 それで問題は、その前に引き揚げ者とかあるいは戦前戦後のときに義務教育を受けてないような人、そういう人たちがいま何かの免状をとる場合には中学卒という免状が必要であるために夜間中学に来ているというお話でございますが、大体、そういう義務教育を完全に終了してない数というのは、これは新聞等で見ますと百二十万人もおるというように書いてあるのですが、大体、これはどのくらいおるのでしょうか。これはわかりませんか。
○政府委員(宮地茂君) 昭和三十五年度の国勢調査の結果によりますと、十五歳以上の方で、いま先生がおっしゃいましたような完全に義務教育を終わってないというものの数は百四十三万人、三十五年度の調査でございますが、百四十三万人で、内訳は、男の方が三十一万、女の方が百十二万人という調査が国勢調査の結果に出ております。
○塩出啓典君 したがって、三十五年百四十三万ですから、それから死ぬ人もおりますけれども、いま言ったように毎年新しく出ていく人もおるわけですね。そういう点で、百万以上の人がやはりいると思うのですね。そういう人たちがそういう中学校卒業の免状を受けるためには、これはもう夜間中学しかないと思うのですね、そういう人たちのためには。私はそういう点で、そういう人たちの救済のためにはやはり夜間中学というものは必要ではないか、そのように思うのですが、その点、文部省の見解はどうなんですか。
○政府委員(宮地茂君) いま先生おっしゃいます点、実情としては私どもも十分わかりますし、実情に目をおおうのは適切な行政でないというような考えから、夜間中学というものは行政管理庁から指摘も受けましたけれども、できる限り学齢児童生徒は昼間に行かれるように、で夜間中学を認めることによって昼間行くべき子供が夜に流れて来たんではこれはいけません。しかしながら、制度として認めますと、昼間行けない者は夜というふうにいまよりも夜来る学齢児童生徒がふえるんではないか、それではせっかく就学奨励費とかいろいろやっておっても、かえって制度を認めたことによってぐあい悪くなるのではないかというような懸念もございますが、しかし、それにしても年齢を超過した人が八割以上も占めておる実情におきましては、現在の夜間中学が果たしておる役割りというものもこれは大きいといったようなことでジレンマのような感じがいたしますが、そういうようなことを含めまして、形式的には学齢児童生徒は昼間に行くべきで夜行ってはいけない、完全な形式論をすれば夜間中学だから認めるべきでないということになりますが、いま言いましたようなことで、ただ形式的に認めないということは血の通った行政でない。まあいろいろなことで、文部省十分実態を把握していないというおしかりも受けましたが、いま申しましたような考えから来年一人ずつ、もう六百人余りですから、一人一人のへについて十分な調査をし、何がゆえにそれぞれの個々の生徒がそういう道をたどってくるかといったようなことまで調査して、しかる後に制度上どうするかというようなことも検討したいというふうに考えまして、来年予算を要求しておりますのも、そういうことをしたいという、そのための資料を得るための調査でございます。
○塩出啓典君 文部大臣はどうなんですか。
○国務大臣(坂田道太君) やはり教育の機会均等を与えるということは非常に私は大事だと思います。ただしかし世界的に見ますと、文盲率の非常に少ないのは日本だと思います。しかし、それだからといって完全を期さないわけにはまいりません。こういうような問題はやはり努力を重ねていかなければならないというふうに考えます。
○塩出啓典君 それで、確かに局長言われるように児童生徒は昼間行くことが望ましいのですよ。現実にしかし昼の学校に長欠をして、そうして年々一万人近くの人が社会に出ておるわけでしょう。その人たちは、いま言った除籍の形で出ていく数ですよ。それが一万かどうか掌握しなければわからないわけですけれども、東京の江戸川区の場合は今年度は二十二名ぐらいですね、出るというのです。そういう人たちがどんどん出ていっておるわけですからふえておるのです。そういう人たち、もう年も、年齢を過ぎておるわけですよね。そういう人たちがないようにすることがまず第一だと思いますね。けれども現実にそれがあるのですから、それが全国に百四十三万おるのですからね。現実にそういう人たちがおる。夜間中学の人たちは、先生たちの手によって、そういう人たちの中から何人かの人が学校に行って、そしてみな希望に燃えてやっておるわけです。これは大阪では去年から発足をしたわけですけれどもね。そういう点で、私は文部大臣にお聞きしたいのは、現在学校教育法にもないようなそういう状態でやらせるのではなくて、現実に必要なんであるならば、ちゃんと法律を改正して、そうしてちゃんと法律で認めて、そうしてやっぱり昼間の中学校の先生と同じように先生に対する国の援助というものもちゃんと平等にしていくべきじゃないかと私は思うのですね。その点どうなんですか。
○国務大臣(坂田道太君) その点も含めまして検討いたします。
○塩出啓典君 大阪は四十四年に発足をしておるわけですね。この夜間中学ができたわけでしょう、大阪は。そうでしょう。その点ひとつ状況を報告してくださいよ。それはわからなければ課長さんでいいですよ。とにかく局長なんか関心ないんだから……。
○政府委員(宮地茂君) 四十四年以前からもあったようでございますが、四十四年には学齢超過者のためという目的で一校つくったように聞いております。
○塩出啓典君 一校ですか。ことしからもう一校ふえるように聞いているのですけれどもね。
○政府委員(宮地茂君) 四十六年度から一校増設する計画のようでございます。
○塩出啓典君 まあこれも高野さんという方にお話を聞いたのですけれども、大阪の場合もこの人が実際に行って、そうしていろいろ教育委員会の人に話して、そうして四十四年から発足をしたのです。最初は三十人の予想でありましたけれども、九十八人、そうしてことしの四月からは二校で三百八十名になる。そうして、そういう夜間中学は何も宣伝はしてないわけですね。ただ、ときどき朝日新聞や毎日新聞にそういう記事が載る。そういう記事をたよりにみんな来ている。そういう点を考えれば、私はそういう現在の、年をとって義務教育を受けていない人たちのために果たす役割りは非常に大きいのじゃないかと思うのですね。そういう点で、文部大臣は検討する検討するというお話ですけれども、これから検討していただいてけっこうですけれども、これはもうきのうやきょうに始まった問題ではないのですから、ひとつ早急にこの問題は検討していただきたい、そのことを重ねて要望しておきます。
○国務大臣(坂田道太君) 私といたしましても、教育の機会均等をできるだけ保つように努力いたしたいと思います。
○塩出啓典君 これはもう少しひとつ実態を知っていただきたいと思うのです、私もあまり実態を知っているというわけじゃないですけれどもね。 それで、四十六年度予算で調査をやる、こういうお話でございますが、四十五年度においてもそういう調査費が九十五万四千円とってあるというふうに聞いておるのですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(宮地茂君) 来年度いろいろ調査をしますための予備的な調査を今年度いたしまして、三月末までに調査を集計したい、こういう予定でございます。来年度はそれをもとにいたしまして、先ほど来申しました個々の子供まで調査するように、さらに、現在あります学校の校長さん方等にもお集まりいただいて、私どもが形として調査しただけでなくて、肉となるような御意見も聞いて今後の対策を講ずるための調査をしたい、そういう予算が来年度でございます。
○塩出啓典君 この今年度の予算の調査にいたしましても、三月の二十二、三日ごろに学校に書類が到着しているといわれている。そうして二十六日に区へ提出して、三十日までに文部省に出せ、そういうようなことで、四十五年度の予算にあるならば四十五年の四月から使えるわけですから、何もこの内容は年度末でなければできない内容じゃないのです。それをいまごろ言ってくるのはどういうわけだ、そういうわけで、非常に膨大な昔からの経過をやるわけで、ほんとうに三日くらいでできるわけない。私がこういう問題をやるということを通告したからあわてて出したのではないかと勘ぐりたくなるような、まあそういうことは証拠がないわけですから言えませんけれどもね、いずれにしてもそのようによくないわけですよ。文部大臣も、あなたあまり御存じないが、これは四十三年の分科会で、山高しげりさんが灘尾さんとだいぶやっているのですよ。だから、この本をきのう読ましていただいたのですが、そういうのを読んでいただいて、そしてひとつ――現在の夜間中学の教師は国の補助もない、普通の、昼間とは非常に差別受けているわけですよね。昼と夜と兼業でやらなければならない、そういうようないろいろな差別待遇の中で。そうしてほんとうにこの夜間中学へ来る人は、みんな昼間の学校に行けなくて、あまり数が多いから、夜間へ行くと数が少ないから、そういうところでほんとうに生きがいを感ずるいろいろな人が来ているわけですね。そういうわけで、これはすみやかに、学校教育法第七十五条にそういう条項をつけ加えればいいわけですからね。この学校教育法を改正してくれという、そういう要望はもう昭和三十年ごろに文部省に対して出ているのです。それに対しても何ら、ほったらかしになっているし、そういう現在の夜間中学というものをちゃんと法律的に認めて、そうしてそういう人たちを昼間と同じようにやはり国が力を入れていく、それと同時に、もう昼間の生徒が仕事等に行ってなかなか昼間の学校に行っていない、そういうために教育を受けないで卒業をしていく人がおるわけですから、そういう人たちを一人でもひとつ少なくするように、全力をあげてやっていただきたい、まあそのことをひとつ要望いたしまして、あとどのように検討していただくか、方針がきまったらまたそのときにお聞かせ願いたいと思います。大臣、最後に一言何かしゃべってください。
○国務大臣(坂田道太君) 夜間中学の問題、長期欠席者あるいはまだ義務教育を受けないでおるという人たちがずいぶん各地におるわけであります。これに対して教育の機会を与えるということは、やはりわれわれといたしまして当然考えなければならない問題だと思います。私どもといたしましても、鋭意、本年度調査をいたしまして実態を把握いたしまして、その上でこれに対してどう対処するか、法律を改正する必要があるならばそれを改正する等を含めまして、十分前向きに検討いたしたい、かように考えております。 ―――――――――――――
○主査(吉田忠三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 予算委員の異動に伴う欠員の補欠として、和田静夫君が選任されました。 ―――――――――――――
○主査(吉田忠三郎君) ここで、便宜、一昨日の自治省所管に関する質疑の際、保留となっておりました事項に関し、和田君に質疑を許します。和田君。
○和田静夫君 分科会中に答弁をもらうということでありましたから再度質問をいたしますが、まず第一は、福陽会の発行といわれるところの印刷物「ふくほう」ですね、これが私ども関連しての吉田主査の質問を含んで、言ってみれば、選挙の事前運動的なにおいが非常に深い、したがって十分な調査を必要とする、その結果について御答弁をお願いいたします。
○政府委員(中村啓一君) 福岡県知事選挙をめぐりまして文書が、あるいは選挙の公正を害するのではないかという御指摘をいただきましたことはたいへん選挙管理に当たっておる私どもとして恐縮に存ずるところでございます。お話のありました福岡県の一部の職員で構成をしております福陽会という団体がございますが、構成員は福岡県の課長補佐以下の職員がなっておりまして、会員数は約三千五百人前後ということになっておるところでございます。この福陽会という会は約二年前の四十四年十一月に結成をされておるところでありますが、この福陽会という団体が「ふくほう」という会報と申しますか、あるいは会員だよりと申しますか、あるいはいわゆる機関紙と申しますか、そういうものを発行をいたしております。発行をいたしましたのは昨年の六月からでございます。会を結成して約半年後から「ふくほう」という申し上げましたような会報的なものを出しておるわけでございます。そこでこの「ふくほう」という会報の中で一この「ふくほう」は月二回、毎月一日と十五日に発行をするということになっておるところでありますが、特に一昨日、当委員会で御指摘のございましたのは、三月一日に発行をいたしました知事選特集号という会報についてでございました。これにつきましては、私ども御指摘をいただきましてたいへん恐縮をして事実の調査に当たった次第でございますが、問題点は二つあると存じておるところでございます。 第一点は、この「ふくほう」というものの性格を何と見るかということでございますが、これにつきましては、この「ふくほう」がいわゆる新聞ということに該当をいたしませんと、選挙に関しまして報道、評論をするということは許されませんので、したがって新聞に該当しないものであるとすれば、おそらくは、これは選挙運動のための文書図画と言わざるを得ない面がございます。ところで、その新聞紙の定義ということでありますけれども、これにつきましては、ここ十数年来の判例の積み重ねによりまして、比較的幅広く考えられるようになってきているところでございます。号を追って継続をして発行され、かつ、かなり多数なものに配布をされておるという態様があります際には、比較的これを新聞と認定をされる傾向にございます。特に判例等が主張しておられます点は、日本には新聞紙法というようなものもないので、したがって新聞というものがどういう用件を備えればそれを新聞とするかという厳密なスタンダードがないかとも存ぜられますが、いずれにしても傾向として、新聞紙というものについての裁判所の認定等は比較的幅広く考えるという傾向にあるわけであります。したがって、問題になりましたこの「ふくほう」という会報を、直ちにこれが新聞紙でないと断定することは困難な要素がございます。したがって、新聞でかりにあるといたしますれば、選挙に関する報道、評論の自由は持っておるということに公職選挙法でされておりますので、その限りにおきましては、これをもって直ちに選挙運動のための文書図画、あるいは、したがって三月一日というまだ選挙公示のされていない時点におきます文書でありますから、事前運動のための文書図画というふうには言いがたい面がございます。しかし私どもは、特に選挙管理の立場にある者として痛切に感じておりますことは、新聞等が選挙に関して報道、評論の自由を持っておられるということは、やはり社会の公器という高い立場に立ってのことであろうかと存じております。したがって、いわゆる新聞ということに名をかりれば選挙に関する報道、評論が何でもできるということで、それが名目になりまして事前運動的な文書が配られるということになりますことは、きわめて遺憾であると存じておりまして、やはり社会の公器という本来の新聞のあり方から新聞というものが乱用されることのないように厳重に注意をいたしたい。選挙管理機関としては、関係者の間にぜひそういう考え方の徹底いたしますことを従来とも心がけておるのでありますが、さらに留意をいたしたいと存じておるのであります。 それから第二点の問題は、かりにこれが適法な新聞であり、したがって公職選挙法の規定によりまして、選挙に関する報道、評論をやったものといたしましても、その新聞はいわゆる通常の方法によって領布をされなければいけないわけでございます。そこで、この三月一日の知事選挙特集号「ふくほう」がどういう領布の態様であったか、この点も大事な問題でありますので、私どもとしては関係の県の当局の方々にも参集をいただきまして、私ども選挙管理機関並びに公務員部共同で実態の把握につとめてまいりましたところでございますが、私ども現時点では、この「ふくほう」という会報を、いつも以上にたいへんたくさん印刷して、無差別に非常に多く配布したという事実はまだつかんでおりません。関係者の供述によりますと、通常、大体四千から五千印刷しておって、この特集号もその例外ではない、四千から五千程度の印刷であり配布であると申し立てております。しかしながら、これは事実の認定にもかかわるものでありますし重大な問題でありますので、警察当局とも連絡をとりまして慎重に実態の把握につとめておる次第でございます。 繰り返し、大事な選挙の時期を控えまして、選挙の公正をめぐるような問題について御指摘を受けましたことは恐縮に存じますけれども、本件にかかる事実関係は申し上げたような次第でございますので、よろしく御了承を賜わりたいと存じます。
○和田静夫君 いま新聞という規定の問題では論争のあるところが残ります。一つは、たとえば第三種の要件を備えたところの、言ってみれば諸団体の機関紙的な紙誌が、いままでの経験からいえばたくさん事前運動的なもので摘発される。そのために苦汁をなめたという経験が、言ってみれば革新党の側には多い。ところが、立場を逆にする場合というのはそういうところから免れる例が非常に多い。いま言われた、これを新聞と考えてみるにしても、言ってみれば選挙目前九カ月、計画的に、しかも一面は常に知事の政策宣伝、二面は職員団体に対する非難攻撃、こういう形で出され続けてきている。それはまさに意図的であり、ある意味では脱法的である、こういうふうに言えるのでありまして、その辺に関する注意というものは厳格にやっていただかなければならぬと思います。 それから第二点の問題について、先日指摘いたしましたように、この十八号について、各個々人の宅に、われわれのほうとしては、無差別に郵送で配布されたというような認識ですから、その辺のことはいま警察庁を通じて十分に調べられるということでありますから、調べた結果については、これは後ほどひとつ見解を知らしていただきたい、こういうふうに思います。
○政府委員(中村啓一君) 和田先生の仰せになりますように、新聞は本来社会の公器というたいへん高い次元のものでございます。社会の公器ということに名をかりて、特定の選挙運動のためにするというようなことは、法律論はとにかくといたしまして、たてまえとして好ましいことでは私どもももとよりないと存じております。私どもとしては、やはりそういう社会の公器の乱用が行なわれませんように、選挙管理の立場にある者として十分に関係機関に連絡をとって、注意の喚起に相つとめておるつもりでございます。なお、配布の事実関係につきましては、さらに厳密な事実調査を続けることにいたします。
○和田静夫君 残された問題。福友会――いわゆる課長クラス以上でつくられている福友会、それから課長補佐以上でつくられているところの、まあ後援団体的性格を持つ朋友会、これについての調査、完了いたしましたか。
○政府委員(山本明君) 福友会というのは課長以上の人たちによります親睦団体でございまして、会長は総務部の次長がやっておるわけでございます。それから朋友会は課長補佐クラスの人たちの親睦会ということでつくられておりまして、会長は職業訓練課の課長補佐がなっているということでございまして、規約をつくったり、会費をとったりということではなくて、いわゆる親睦の意味でそのつど寄って話し合いをしておるという団体であるというふうに、調査の結果はそういうかっこうになっております。
○和田静夫君 最後にいたしますが、そうすると、いま二つの団体は地公法でいうところの職員団体ではない、そういうことですか。
○政府委員(山本明君) おっしゃいましたように、地公法五十二条によるところの職員団体ではない、親睦団体である、こういうふうにわれわれは考えております。
○主査(吉田忠三郎君) 和田君の質問を終わります。
○萩原幽香子君 時間がたいへんおそくなりましたし、もう皆さんのお顔色を見ておりますと、何か申しわけないような感じさえするわけでございますので、私は、ですから、いろいろ質問の計画をいたしておりましたが、とてもそういう時間もないようでございますから、PTAの問題にしぼって質問を申し上げたいと存じます。 学校教育振興のための協力団体であるはずのPTAが、いまやいろいろと世間からの非難の的になり、PTA不要論の声さえ耳にするようになりました。そこで大臣にお伺いをいたしますが、一体PTAとは何か、この原点に立ち返ってお尋ねをいたしたいと存じます。 〔主査退席、副主査着席〕
○国務大臣(坂田道太君) Pはペアレソツ、Tはティーチャーズ、Aはアソシエーションだと思いますので、やはり先生方とそれから生徒たちの両親との会というふうに理解をしております。教育というのは、やはり学校で行なわれる教育だけではうまくまいらないので、特に小、中、高という段階におきましては、家庭との協力関係あるいは父兄との協力関係なくしてはうまくいかないんじゃないか、そういうふうなことからこういうPTAという組織ができて、そしてまた、そのような趣旨で今日までいろいろな役割りを果たしてきたというふうに私は考えます。
○萩原幽香子君 非常に私は、大臣がいまおっしゃったような、いわゆる先生たち、そして父兄たち、それが子供のしあわせをめぐってつくられた団体、そういうふうに解釈をいたしますならば、いわゆるPTA不要論というのは起こらないはずだ。ところが、現にそういう問題が起こっているということについては、私は、現在のPTAの持っております問題点というものについてお伺いをしてまいりたいと思います。
○政府委員(今村武俊君) PTAの不要論が提起されますのは、本来の意味のPTAが不要だというのではなくて、現在のPTAの運営のしかたについていろいろ問題がございます。PTAの運営がなかなか当初の目的のように民主的に運営がされないで、一部幹部だけのPTAになっておるとか、あるいはPTAが教師、父兄ともに一緒になって教育の問題を考え、教育の向上を考えていこうとする目的で発足したにもかかわらず、現実には、学校に対して、一部の幹部の人々から寄付金をしいられるような結果になってしまっているとか、そういう運営のしかたに関する異論からPTAの不要論が出ておりますが、その不要論を説く人々も、しからば父母と先生が、教育によってほんとうにその向上をはかるべく努力をするPTAが本質的に不要なのかといいますと、決してその不要論を唱えているわけではないわけでございます。
○萩原幽香子君 そのとおりだと存じます。しかし私はやはり、先ほどのお話の中にもちょっと出ておりましたが、PTAのいわゆる役員のあり方、そういうものにも問題がございましょう、あるいはPTAの会費の使い方にも問題はございましょう、また活動のあり方にも問題はあろうかと考えるわけでございますが、時間の関係もございますので、私はまずPTA会費というものから少し問題を詰めてみたいと考えます。 先ほどの答弁にもございましたような学校のいわゆる徴収金、これが地財法の違反の疑いがあるような費用に流用されている事実が、まだ残されておるわけでございますけれども、最近のPTA会費の実情に対して三点からお伺いするわけでございます。 まず第一点は徴収方法でございます。それから年額はどれくらいになっておりますのか、その使途はどういうふうになっておりますのか、これを小中別にお示しをいただきたいと存じます。
○政府委員(今村武俊君) 昭和四十三年度の統計によりますと、公立の小学校で九百九十八円、公立の中学校で千五十三円になっております。なお、この会費のほかに、臨時に寄付金等で父兄が負担している経費もございます。 PTAの会費の使途につきましては、PTAの予算の立て方がいろいろございますので一律に統計をとることはできませんが、サンプル調査をしてみますと、PTA本来の経費と申しますか、PTAの運営費、たとえば庶務費、PTAの専任事務員等の人件費、学習などの活動費、広報活動費等に使っておるものもございますし、また、学校後援会費的な性格のもの、たとえば施設設備費等の補助、研修旅費等の人件費補助、学校行事等の活動費補助などに使われているものもございます。 これらのPTAの会費の徴収方法につきましてはいろいろございまして、統計的な資料ではございませんが、銀行に振り込むような形のものもあれば、児童生徒の手を通じて、学校の担任の教師を通じて集めるものもあれば、また、PTAの役員を通じて集めているもの等いろいろございます。
○萩原幽香子君 その使途の中に、pTA本来の使命達成のために使われていると思われるものは大体何%ぐらいでございましょうか。
○政府委員(今村武俊君) 小学校、中学校だけとりましても全国に四万もございますので、それらのPTAの予算を残念ながら全部分析しておるわけではございません。私が体験しました例で申しますと、毎年優良PTAについて文部大臣の表彰が行なわれております。各県で優良と見られるものを文部省に各県から一PTA、単位PTAの推薦があるわけでございますが、昨年の例でございますと、五〇%くらい学校後援会費に使っておるというのが優良PTAでむしろ普通であって、中には七十何%というのにあって驚いたわけでございます。したがって、全般的に見ますと、まだ学校後援会的な性格にとどまっておるPTAがわりあいに多いのではないかと推測いたしております。
○萩原幽香子君 文部省の統計要覧でございますね、昭和四十五年版でございますね、これを見ますというと、もうほとんど――先ほど五〇%ぐらいということでございましたが、五〇%といったようなものではなくて、その大部分が後援会的な要素を含んでいるのではないかと、むしろまだ、いわゆる市町村あるいは国が負担すべきものまでも含めてPTA会費でまかなっているということになるのではないかと、こういうことを私は考えるわけでございます。 そこで、こういう実態に着目いたしまして、私たちの姫路市でございますけれども、連合PTAでは、市内限りで単位PTAの会計の実態を調査いたしました。そのときに、その調査した人が、いまさらのように父兄負担の大きいことに驚いたわけでございます。先ほど局長さんのおっしゃいますようなPTAの会費のものではなくて、もっともっと多額のものが出ているという実態でございます。その調査結果を非常に驚いたわけで、これを市教委と市長に提出をいたしまして善処方を要望したわけでございます。そこで市教委でも、これはたいへんなことだというので、あらためて調査いたしました結果、九千三百八十五万円、姫路市全体でございますが、その中で約五千七百万円が市でまかなうべきものであったと、こういうことが出ているわけでございます。そこで市ではあらためて三十九年度分の要求予算額に五千七百万円を加算いたしまして、一億三千万円を要求した、こういう実態がございました。そこで驚いたのは市長でございます。これはたいへんなことだというわけで、いますぐにはいかないけれども、四カ年計画で父兄負担を解消すると、こういうことを約束いたしまして、三十九年度では二千万円を加算して九千六百万円を計上したと、こういったようなケースもあるわけでございます。 で、こういうことから考えますというと、これまでのPTAというものは、いわゆる学校援助、こういう形になってしまっておったのではないか、こういうことが考えられるわけでございます。ところが、姫路市でいま困っております問題の一つに、これまでがそういった後援会的なPTA会費でございましたために、これを公費でまかなうということになりますと、学校の格差というものがかなり出てくると、こういう問題もあるわけでございます。で、こういったような面につきまして、これまで文部省といたしましてはどのように把握をされ、どのような方向でもって助言をしていただいたかということでございます。しかし、PTAと申しますのは、もちろん公の支配に属さない、いわゆる任意の社会教育関係団体でございますから、直接の干渉はできないと考えます。しかしながら、このような実態がわかれば黙っておるわけにはまいらないと思んです。どういう形で助言をなさいましたか、あるいはどういう形でこれから助言をなさろうとしておりますのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○政府委員(今村武俊君) 文部省の社会教育局におきましては、昭和四十二年七月十五日に、社会教育局長通知が都道府県教育長あてに出ております。それは社会教育審議会で議論されました父母と先生の会のあり方の内容を通知したものでございますが、この昭和四十二年の通知と昭和二十九年の通知が、目立つ指導の内容でございまして、PTAの目的、性格あるいは構成、運営、相互の連絡、提携等について詳細な指導の内容が通知されております。しかし、その後の事態を反省してみますと、非常にいいことを通知したというだけと言うと、まあことばが悪くなりますが、それだけではどうも隔靴掻痒の感じがございまして、きわめて不十分でございます。いいこと言っているだけでは、なかなか十分わかっていただけない点があるので、来年度、四十六年度の予算におきましては、五千四百万円の予算によりまして各都道府県ごとに、いままでいわれていたPTAのあり方が具体的に個々の学校の単位PTAにおいていかがであるかということをお互いで点検し、研究していただくための都道府県単位の研究集会に対する補助金を計上しておる、こういうところでございます。
○萩原幽香子君 私、こういったようなことがずいぶん長くまかり通った原因というものについて考えてみたわけでございます。そういたしますと、まず学校、それから設置者である市町村、それから国も含めまして、そういうことに対して非常にルーズだと申しますか、PTAに甘え過ぎていたということがあったのではないか、こういう反省をするわけでございます。ですから、こういうことを非常にきびしくやろうとしますと、何かなしにPTAの役員さんたちは学校に悪いなという感じをお持ちになる、そういうことも私はこういったことがずっと改善せられないもとになっているのではないか、こういうこともまあ考えるわけでございます。特に国立のPTAなんかにおきましては、非常に大きな問題を残したということは、もう御存じのとおりでございます。たとえばプールをつくるというようなことにいたしましても、三百五十万しか国から補助が出ていない、あとの六百五十万をPTAでやると、こういったようなことは、ほんとうは許されるべきはずでもないものが平然とまかり通る、こういうところに、私は非常なPTAの問題があるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。 そこでまず、PTAというものはアメリカが本家本元でございますね。その本家本元のアメリカのPTAの実態というものはどういうふうになっておりますのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○政府委員(今村武俊君) PTAが、アメリカのことばを訳したということだけしか存じませんので、向こうの実態については、ほんとうに申しわけないのですが、私のよく存じないところでございます。
○萩原幽香子君 それでは私がお教えいたしましょう。アメリカでは会員は約三〇%でございます、会員は。まことに任意団体であるということを明らかにしておるものでございます。それだけに、PTAというものに対する意識がはっきりしておるということになるのではございませんでしょうか。そして、いわゆる会費は年間一ドルでございます、三百六十円。そういうことで活動をしておるわけでございますね。その活動といいますのが、いわゆる子供の環境をよくするというような形の、わが子とそれから私の先生という関係ではなくて、子供を取り巻く環境をよくするために立ち上がって活動をしておる、こういうのがアメリカの実態のようでございます。そういうことから考えますというと、日本のPTAというものは、親たちはおそらく任意団体というふうに考えていないのではないかということを考えるわけでございますけれども、いかがでございましょう。
○政府委員(今村武俊君) 書面の上ではいろんなことを画期的に変えることはできても、世の中の実態というのはなかなか画期的ではなくて、ほんとうにスロースローでしか変わっていかないという一面がございます。学校後援会というものは、子供が学校に入ったときに、みんな父兄は入るものだという長い習慣があって、それが形だけPTAという形になっても、長年の習慣で、PTAというのが任意的なものであるということがなかなか理解されていないように思います。また、幾つかの例を見ましても、任意的だということを強調して初めに役員のほうで募集してみても、結果としては全部が入ってしまうというのが日本的な一つの慣習といいますか、雰囲気だろうと思います。したがいまして、意識しているところでもそうでございますから、多くは無意識のうちにPTAに入って、そしてメンバーであるかのごとくないかのごとく、そして、時間がたてば過ぎてしまうというのが大かたの実態のように関係者の話を聞きながら感じております。
○萩原幽香子君 やはり日本のPTAといいますのは、私は婦人会と同じようなことを考えるわけでございますね。いわゆる日本の社会教育関係団体というものが、みんな、婦人会なら、その地域に住めば好むと好まざるとにかかわらず婦人会にいつの間にか入っていたという、そういう形ですから、PTAというのも、学校に入れば、これは私は、PTA会員だという形になってしまっている。そういうところが、PTAというものがどういうことをやるのか、どういうことをやるのがほんとうなのかということがもう一つはっきりしないもとになっているのではないだろうかというふうに私は考えるわけでございますね。 そこで、PTAということばを使いながら、やはり親の感覚の中にはわが子から一歩も出ないという感じでもって組織されているのではないだろうか、こういうことも言えるわけでございますね。私も学校の教員をしておりましたが、PTAの会合を持ちますと、親たちはやはり全体の問題を考えるということより、まず自分の子供の学校の授業参観をいたしまして、そのあとはずっと列をなして並びまして、そして、先生、うちの子はいかがでございましょうかと、これがPTAの実態ということになれば、これはたいへんなことじゃないかというふうに考えているわけでございます。そういうことがやはりわが子かわいさからくるいろいろな問題行為を生じさせているもとになっているのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。 そこで今度は、いわゆる五千四百万円でございましたか、PTAの活動予算が組まれたわけでございます。ところが、あれを見て新聞では、PTAのようなものに対してさえも中央集権化をはかろうとするのか、こういったようなことを書いておった新聞記事も私、読んだわけでございます。そこで、局長さんにお伺いをいたしますけれども、この五千四百万というお金はどのようにお使いになりますおつもりか、承りたいと存じます。
○政府委員(今村武俊君) 先ほど御説明いたしました、昭和四十二年六月に、社会教育審議会がPTAのあり方について考え方を明らかにし、その結果を文部省の社会教育局長が当時、各都道府県に送付しておるところでございますが、この趣旨の徹底をはかるため、来年度は、各都道府県の教育委員会が開催するPTAの指導者研究集会の経費の一部を、国が都道府県に補助し、その研究集会を通じて、それに参加する各単位PTAの役員の方々が、PTA本来のあり方に即した、わが学校の、わがPTAの活動のあり方をどうするかを研究討議していただく、その場を提供したいという意図でございます。したがいまして、私どもが中央集権的に統制せよとおっしゃっても、どういうぐあいにしたらいいかわからない、そういう性質の仕事でございまして、PTAが本来、自主的な団体であるということ、それから地域地域あるいはその背景となっている学校学校の事情がいろいろ違うこと、そういうことを十分考えていただきながら、そうして各都道府県が各都道府県の責任において、社会教育主事等の専門的な知識を生かしながら、それぞれに指導書をつくり研究の材料をつくって、各参加者が自主的な討議を開いていただきたいという趣旨のものでございますから、中央集権云々という話は、いわれていたようには思いますが、あんまりぴんとこない話でございます。
○萩原幽香子君 社会教育主事の中で特にpTA専門と申しますか、そういう社会教育主事さんは別にいらっしゃるわけでございましょうか、各都道府県で。
○政府委員(今村武俊君) 社会教育主事の専門制ということについては、私どもは目下大いに研究しているところでございますが、PTA専門の社会教育主事というぐあいに分化しているわけではないのでございます。
○萩原幽香子君 私も社会教育主事の講習を受けた一人でございますけれども、そのとき確かに成人教育あるいは青少年教育、婦人教育といったような形に分かれていたと思うのですけれども、それでは、PTAは成人教育の部で研究をなさった主事さんが当たられる、こういうことでございましょうか。
○政府委員(今村武俊君) 都道府県と市町村に社会教育主事が配置されております。市町村でいえば、社会教育主事が一人いるかいないかというようなところでございまして、この点は、この段階になってしまいますと、成人教育専門とか青少年教育専門とかいうこともあり得ないので、一人ですべて担当しておる。都道府県の場合は、どちらかといえば成人教育の方々がやっておるわけでございますけれども、PTAに加入するにあたっては、家庭教育と学校教育といわゆる社会教育の、その結び目に当たる非常に枢要な場所に当たるのがPTAでございますから、成人教育を従来やっていた人が、直ちにPTAの関係の指導助言がうまくいくというものでもないので、来年度といいますか、新年度早々各都道府県の段階におきましては、課長を中心にしてこのPTAの問題に全力をあげてチームワークよろしく取り組んでもらいたいということを、目下、いま都道府県の担当課長に毎日お話しをしているところでございます。
○萩原幽香子君 この問題は、先ほど申しましたように、いろいろな問題を含んでいる、まあいえば曲がりかどということになろうかとも考えるわけでございますね。きょうは私、時間がございませんのであまり指摘できませんでしたけれども、このPTAの役員というものにも非常な問題がある。ですから、先ほどの寄付行為といったようなことになりますそのものが、役員の考え方の中にもあるのではないかということを思うわけです。しかも、そのPTAの役員というのが、もう十年も同じ人が、自分の子供も学校には行ったこともない、そういうような人が、いわゆるその地域の有力者といったような人がPTAの役員になりまして、そして、もう会員一同の気持ちを自分が一人ひっさげて立ったようなかっこうで、何もはからないでやってしまうといったような実情もあるかに私は聞いておるわけでございますね。そういった、その役員の選考というようなことにつきましては、どのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(今村武俊君) PTAは自主的な社会教育関係団体でございますから、役員の選出については、PTAのすべての会員の意思に沿った役員が選考されるといいますか、選ばれることが大切でございます。その役員選出の方法について、いろいろな、運営委員会を設けたりする等の技術的な指導が四十二年の通達にはあげてございますけれども、各PTAにおいて必ずしもさように行なわれているわけでもないし、また、これをどうこうということもできない行政の立場にあるわけでございますが、要は、会員の総意によって、会員の希望する役員が選出されるように、それぞれの府県ごとに、あるいはそれぞれの市町村ごとに、社会教育の担当者が適当な助言をする必要があると存じております。
○萩原幽香子君 局長さん、たいへんおそれ入りますけれども、ことし一度そういうPTAの指導者研修会でございますか、やっていただきますときに、各都道府県の単位PTAの実態調査というものを一度していただくわけにはまいりませんでしょうか。そうして役員はどうなっているか、あるいは、先ほど申しました会費の状態はどうなのか、そういうものがどのように使われておりますのかといったような、いわゆるPTAの実態調査というものをやっていただきまして、しっかりとPTAの現状を把握していただきます上に立って、いわゆる望ましい姿のPTAに発展いたしますような御指導が願わしいと考えるわけでございます。その点はどのような費用でおやりいただけますでしょうか。それで、五千四百万円のうちらでやれますのでございますか、その点ちょっとお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(今村武俊君) 社会教育のほうでは、五千四百万円というのはわりに大きなお金でございますので、実はその予算を要求する際に、昨年、各県から個々の単位PTAについていろんな資料をいただきまして検討いたしまして、今年度の予算要求の基礎資料にしたわけでございます。したがいまして、データとしてはある程度あるわけです。ただ、それを印刷にするほどの庁費がないというのが実情でございますけれども、データはございます。しかし、なお、去年とことしと事情も変わるわけでございますから、その五千四百万の運用の中において、ただいまおっしゃいましたことをやろうと企画いたしておりましたので、個々の単位PTAについて、もちろん悉皆ではございません、サンプル調査でございますが、十分個々の実態を明らかにした上で私どものものの見方を考えていきたいと考えておるところでございます。
○萩原幽香子君 それでは、その調査ができましたら、それは各都道府県の教育委員会、そうして小学校あるいはPTAというところへ御配付を願いたいと考えるわけでございます。 そこで、文部大臣にお願いをいたしたいのでございますけれども、ことしは公民館のほうにたいへん力を入れていただきまして、昨年の二倍半の予算を組んでいただきましたことは、たいへんありがたいと思うわけでございますけれども、とにもかくにも社会教育につきましては、これまで非常にまま子扱いになっておったと思います。これではほんとうに正しい形の教育を推進することはむずかしいのじゃないかというふうに考えるわけでございますので、こういったものができました際には、何とか文部大臣のほうでこの費用だけはお持ち寄りいただきまして、すみずみまでPTAの実態をまず把握され、そこから考えさせていただきますような方途をお願い申し上げたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(坂田道太君) もうこれはおっしゃるとおりでございまして、PTAの単位団体の実情というものをやはりもう少しわれわれは把握をして、その上でPTAはどうあるべきかというようなことについて具体策を練り上げたいと、かように考えております。先ほど来いろいろ有益なお話を伺っておるわけでございますが、ともいたしますと、先生御指摘のように、何だかPTAが後援会的な色彩が非常に強くなって、よけい寄付金を、施設設備やそういうような、言うなら、地財法の違反になっておるようなことをやったところがいかにも優良なPTAであるかのごとき錯覚を持っておる、そういう惰性が実はあったことも事実でございます。これはいけないわけでございます。しかし、その一番もとの気持ちは、先ほど先生、アメリカのPTAのことをおっしゃいましたわけでございますが、しかし私は、そこで非常に感心したのは、年間一ドルということですね。これはやはりきわめてアメリカの何というか、常識といいますか、PTAの何たるかということを心得ておることだと存じます。日本でも、やはり教育環境をよくしようという気持ちではあると思いますが、それが少し行き過ぎまして、自分の子供も考えましょうけれども、ほかの子供も――少なくとも私たちのPTAの属する学校は、もし市町村でだめなら、あるいは国からの補助金が足りなければ、これだけのことはひとつわれわれのところでできるようにやってみようじゃございませんかという気持ち――それから御承知のようにいろいろの基準がございます。せっかくつくるならば、われわれが少し協力をして、そうして基準以上のりっぱな教育環境あるいは設備を、こういう善意で始まったのが、だんだん何といいますか、考えはわかるわけでございますけれども、やはりちょっと行き過ぎてしまう。去年の表彰にいたしましても、実を申しますと、この今村局長、局長になりましてからやはりその傾向を非常に心配しまして、それで何とかこれを是正したいというふうに決心した。ところが、昨年の段階では、もうすでに各県において従来のやり方で選考が終わっておったというような事情がございました。しかしながら、その際、みんなを集めて、ことしはまあ従来のような形でいくけれども、来年度はそういうわけにはいきませんよと、それはあなた方わかってくださいと言って、この四十六年度を迎えておるわけでありまして、今後は、先生の御指摘のような方向でPTAを、一がいにはいきませんけれども、次第に先生の御指摘の方向へやはり導いていかなきゃならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、いろいろ有益なお話を伺いましたので、私どもといたしましては、先生のその有益な御指摘に対しましてこたうべく最善の努力をいたしたい、かように考えております。
○萩原幽香子君 たいへん時間がおそくなりまして、皆さん方に御迷惑をおかけいたしましたが、大事な問題でございますので、どうぞひとつ、先ほどの大臣の御答弁もございましたように、よろしくお願い申し上げたいと思います。終わります。
○副主査(玉置猛夫君) ほかに御発言もなければ、文部省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 本日の審査は、この程度にとどめます。 なお、明日は午前十時に開会し、労働省所管を審査いたします。 これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会 ―――――・―――――