予算委員会 第19号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/20
会議録
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、 以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(古池信三君) この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。三案審査のため東京大学名誉教授我妻栄君を参考人として本日出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(古池信三君) この際、分科会に関する件につきましておはかりいたします。理事会におきまして分科会に関する件につきまして協議を行ないましたので、その要旨について御報告いたします。 分科会の審査はすでに報告いたしました三日間でございますが、来たる二十二日、二十三日、二十四日及び二十五日にわたって実質三日行なうことにいたしました。分科会の数、所管事項、分科担当委員数等、これが各会派への割り当ては、去る二日御報告いたしたとおりでございます。なお、分科担当委員の選任は、前例により委員長の指名に一任すること、並びに分科担当委員の変更につきましては、その取り扱いを委員長に一任することといたしました。また、分科会におきまして参考人の出席を決定いたしましたときは、その取り扱いを委員長に一任することといたしました。 以上御報告ございましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(古池信三君) それでは、これより昨日に引き続き質疑を行ないます。木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 私はまず、身体障害者の定期刊行物の郵便料金につきまして、去る三月二日の本委員会の総括質問で——今度の郵便法改正によりましてまた非常に郵便料金が上がるわけです。御承知のように、昭和四十一年までは身体障害者の定期刊行物に対する郵便料金は第五種がありまして、五十グラム十円、百グラム二十円になっておったのですね。それが四十一年の改正によりまして第五種がなくなり、第一種となって五十グラム十円が二十五円となり、それから百グラム二十円が三十五円になったというのですね。今度の改正で、今度は五十グラムが四十円となるわけです。百グラムが五十五円となるのですね。四十一年の五十グラムですと四倍になっちゃうんですね。そこで身障者に対して非常にこれはお気の毒だ、いろいろ事情を聞いてみますと、身障者は非常に孤独感が強いから、いろいろサークルをつくって雑誌を出して、お互いに慰め合っているわけなんですよ。そういうものに対して第四種というのは特別の扱いがあるわけです。第四種の中で盲人の点字なんかにつきましては、これは無料なんですよ、そういう特別の料金があるのですから、四十一年にもうすでにそういう陳情があって、そうして一向にこれは取り上げられていない、いろんな人に頼んでも、そのときはよしよし非常にお気の毒だから何とかしようと言いながら、口では言ってもちっとも実行されない一政治に対して非常に政治が冷たいのではないかということを言われまして、私は、どうしても今度はこの点は、佐藤内閣が人間尊重のスローガンを出しているのですから、せめて佐藤内閣でこの程度の身障者に対する、盲人の点字に対する無料扱いぐらいはできないものかというのでこの前質問したんです。ところが、総理は、前向きに考えてみるとお話がありました。厚生大臣は認定の問題はあるけれども、厚生大臣、認定によってこれが無料、あるいは軽減できるんなら大賛成だというお話がありました。最後は郵政大臣の決意いかんですよ、それでいかがですか。 そこでまず橋本運輸大臣に伺いたのですが、これは昭和四十一年に身障者が、当時官房長官であった橋本運輸大臣に陳情しておりますが、そのとき身障者にお目にかかって非常に理解ある態度を示した。新聞には、身障者の願い橋本長官を動かす。郵便料に特例をと車いすに松葉づえで直訴したところ、橋本長官は、法的に身障者の刊行物の区別がむずかしいので、医療法人や社会福祉法人の名を借りて認めさせるようにしてはどうか、ぜひ協力したいと約束されているのです。その後実際こういうお約束されて、どういうふうに協力されたか、実際にですね。その点を伺いたい。
○国務大臣(橋本登美三郎君) ちょうど私が官房長官の時代でしたが、総理大臣の代理で心身障害児大会というのが久保講堂で開かれまして、そのときに口のきけない人、足の動かない人を背負っておかあさんたちが参りまして、それを拝見しまして、私は役所でつくりました総理大臣の祝辞を述べるようななまやさしい気持ちじゃなかった。そこで私の所感を申し述べてまいったのですが、その後御承知のように、身体障害者に対する政府の施策は飛躍的に進んでまいったのであります。ちょうど四十一年の四月で郵便法が改正されました際に、いまお話しのようないきなり従来五十グラム十円であったものが五十グラム二十五円に値上げとなりましたときに、身障害者のそのような同好グループといいますか、雑誌を出しております十二、三名が官邸に参りまして私お目にかかった。いろいろ事情を聞きますというと、まあ心身障害者の人にとっては、これが唯一の楽しみである、何とかしてあげたいということで、そのあと郵政省の郵務局長または課長を呼びまして、再三にわたって何か方法ないだろうかということでやりましたが、点字は点字という形で明らかにすることができる。ところが、心身障害者の場合になりますというと普通の文字でありますからして、なかなか区別がつきにくいということが一つ、あるいはまた、長期療養者等でもそのようなことをやっている。そういう場合に心身障害者のいわゆるグループの雑誌であるということの登録という問題もありますけれども、なかなか区別がしにくい。もし重症心身障害者のことに対してそのような措置を講ずれば長期療養者等もそれが生活のかてになっておりますから、御承知のように。こういうものを含めるというと、どこでどう判定するかなかなかむずかしいというような話でありました。で、私はとにかく何とかしてこれらの気の毒な人々を幾らかでも慰めるという、これはまあ金額はわずかでありますから、それによってどうということはないにいたしましても、国家が、あるいは社会が、こういう人に対して特別な愛情を持っておるというあかしができれば私は喜ぶのじゃないかと、こういう意味で再三検討課題をお願いいたしましたが、どうも現在の法律の上では、郵便法の上ではつくりにくいし、あらためて改正の機会に考えるといっても、点字のようにはっきりしておるものは、これはもう非常にわかりいいんですけれども、その点でむずかしいということを二、三回会議をした結果がそういう結論でありました。私は、そこで郵便法のたてまえからこれを行なうことがむずかしければ、たとえばいわゆる重症心身障害者だけではなく、長期療養者、こういう人がそういうような同好グルーブによって慰められるということは、一種の広く言うなれば少し幅が、解釈が広くなるかもわかりませんが、やっぱり医薬と同じようなものに、精神的な医薬ですね、そういうことからして何か郵政省でできなければ厚生省の面でそういうものを含めたものができないだろうかということまで検討いたしましたが、なかなか限度がいわゆるつかみにくいということで、今日に至っておるように聞いております。政府としては、何とかして道があればこれは考えてやりたいという気持ちを当時もいまも持っておるから、総理も前向きの御答弁があったんだろうと思うんです。ただ御承知のように、郵便法というものは非常に明確です。一つ一つを規定しておる。たとえば通信教育あるいは学術研究書、あるいは点字と、こういうぐあいに具体的に明示しておりまして、郵政大臣がこれをいわゆるその他郵政大臣が認可するものという法律条項はないんであります。かつまた、いま申したように、重身障害者のいわゆる扱うものと、一般の扱うものとの区別がしにくいと、ただ医療法人という点で私は押えればいいんじゃなかろうかと思ったんですが、それも郵便法のたてまえからいうと、なかなかむずかしい。こういうような報告を受けて、残念ながら関係者の人の満足を与えるようなことはできなかったのでありまするが、おそらく引き続き次の郵政大臣等も深く関心をいたして検討を進めてまいっておると私は信ずるものであります。
○木村禧八郎君 具体的に何もされなかったのですか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) そういうことで、対策につきましては再三にわたって検討しましたけれども、郵便法、郵政省の範囲ではむずかしいという結論を得た。あとはそうしますというと残すところのものは、厚生省がそういうものを、いわゆる含めての将来の対策というものを考える余地があるかどうかということを考えましたが、やはり具体的に幾ら補助するとかなんとかということまで至らないうちに私の官房長官の任期が切れてしまったと、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 いまの法律の範囲内では何か困難である、できないようなお話なんですが、実際できないんですか。私いろいろ検討してみたんですけれども、盲人用郵便取り扱い方法というのがありますね、これについては盲人用のものもあります。それから学術刊行物を内容とする郵便物の取り扱い方法があります。これは第四種に指定されております。これを見ますと、そんなに私は困難……、どうして技術的に困難ですかね。これは盲人用のほうは結局いろいろ書類の手続があって、そうして最後はスタンプを押すんですね。こういうスタンプを押すんです。認定してね。学術論文といったって、学術論文の中に私資料を出してもらった。学術論文といったって、たとえばこういうのが学術論文なんですから、いろいろ、われわれも判断に苦しむのがあります。たとえば大学とか、研究所とかいうものでない、「考える子ども」「社会科の初志をつらぬく会」、「わらべうた」「日本わらべうたの会」、こういうのが学術論文ですか。こういうのがこれだけたくさんあるんですよ。これは学術会議のスクリーンによってきめるんだそうです。こういうものと、いまの身体障害者の出すそういうものと比べまして、こういうものに対して第四種を認めているなら、なぜ身体障害者のが認められないか、私は非常に疑問に思う。技術的にも困難じゃありませんよ。認定が困難、困難と言うけれども、こういう手続でできるのですよ。だから、真剣に考えていないということですよ、真剣に。やろうと思えば、こういう手続上われわれしろうとが見てもこれはできますよ。できないことはありません。ですから、そこでさら一に私は非常に遺憾なのは、この間、三月二日に質問いたしました。そして総理大臣は前向きに考えると答弁していただいた。厚生大臣も積極的な答弁をした。ところが、私は三月二日にこの質問をしまして、三月の十五日に衆議院を通っちゃっているんです。もう。衆議院を通っちゃっているんですよ。それで参議院を通れば、これは二月からですか、実施は。前の四十一年の十円が四十円となるのですよね、これまでの、これは五十グラムですけれども。百グラムでは二十五円が五十五円になるんですよね。五百グラムでは百十五円が百七十五円になる。それでほうっておくんですか。官房長官、総理がお見えになりませんから官房長官、総理がああいうふうに積極的な御答弁をされたんですからね、官房長官はどういうふうに……。もう衆議院、通っちゃったんですよ。どういうように処理したんですか、いままで伺っていると何もやらなかった。まず、官房長官、総理にかわってお答えください。
○国務大臣(保利茂君) 先般の木村議員と総理大臣、厚生大臣との御質疑、御問答は、私も十分この場で傾聴いたしておりました。総理大臣の責任ある御答弁が行なわれております。したがって、立法措置でぴしゃっといけば、これはもう問題ございませんでしょうけれども、そのことは必ずしもとられていない。それじゃ今度改正された郵便法の中で、木村議員が心配されておる問題の処理ができないかどうかと、できなければならない、しなければならない、そして具体的な措置を行政措置でやれるように、せっかく郵政大臣、いま検討をしていただいている。ただ、これは検討だけじゃ困るんで、必ず御趣意の点は実現しなければならない、総理大臣の責任だと私は思っております。したがって、郵政大臣とも御相談しまして、せっかくいま検討をされて、まだ総理に御報告になるような結論になっておらぬようでございますけれども、近いうちに結論をつけていただいて御報告を願うように、督励といいますか、私からもお願いをいたしておりますから、私は木村議員の御心配、取り上げられております問題は、必ず内閣の責任において処置しなければならない、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 いま、非常に責任のある御答弁されましたから……、ただ、抽象的でございますので、二月一日からはこのままほうっておけば上がってしまうんですから、その間にまだ期間がございますから、具体的にたとえば四種の中の盲人の点字に該当するような無料化ができるのか、あるいは学術論文みたいな、四種でああいう取り扱いできるのか、具体的なお約束していただきませんと、われわれ、簡単に承服できない。と申しますのは、過去においてこういう例があるのですよ。これは身体障害者のほうの会報に載っているのですけれども、四十一年のころ陳情した結果「郡郵政大臣の温かい御理解に依り、年賀ハガキの収益金より補助金を出す事となり、四十二年十二月には十二万円の補助金を受領した。」と、こうあるのですよ。これは補助金で一応片をつけたようであります。 それから実は私が質問してから、郵政省の役人が身体障害者の人に、何か補助金でこの解決をはかりたいが、どうかというようなお話があったそうです。われわれのところに連絡ありました。私は、それはあなた方補助金いただくなら、われわれは別に文句言いません。けれども、これはそういうたてまえではないんだ。いや、補助金でほんとうに実質的郵便料金をもっと軽減し、あるいは上げないような実質的な効果があるのならいいけれども、その後補助金を一回もらって、あともらってないわけですからね。この補助金だけで糊塗したのでは、問題の本質の解決にはならない。あとでまたいろいろ会ができたり何かする場合、なりませんから、私は、補助金を意味しているというなら私は反対ですよ。そういう例がある。 それで、また郵政省の役人がどうしてそういう身体障害者のところに行って、われわれが国会で取り上げて、そして問題にしているとき、裏から回ってそういう工作するのですかね。前にFMの問題も聞いていました。あるいはまた、切手の問題——郵政大臣のあれの郷里の切手の話を聞きましたが、どうも私は、郵政省の人たちが、そういう人たちについてどうも裏に回っていろいろ工作をして、そしてまた私のところに参りました。郵政省の役人が来まして——名前言いません。衆議院でもう通る少し前に、どうしても修正はしてほしくないということを言ってきているのですよ。こんなことをわれわれに言ってくる筋合いじゃないと思うのですよ。そういう身体障害者のこういう問題について、どうしてそんなに抵抗するのか、どうしても私は理解がつかない。ですから、さっきの官房長官のお話は、これは非常に誠意のある私は御答弁と受け取ります。ですから内容がそういうことであってはいけないのじゃないか。この点を心配しますから、もう一度官房長官から答弁していただいて、それから郵政大臣からまた御答弁していただきたい。
○国務大臣(保利茂君) 法律違反をやって行政措置をやるわけにはこれはもちろんいかぬでございましょう。適法であり、かつまた妥当なものでなければならない。その範囲においてあなたの御心配の点、われわれもまた共感をいたしております問題を処理しなければならぬ。郵政大臣、ああいうお人柄でございますし、真剣にそれを片づけるということで検討されておりますから、なかなか線を引いたり何か関連部門が出てきましょうから、なかなか扱いは困るであろうと思うのですけれども、その間でもせっかくいま御趣旨の線で御検討いただいておるようでございます。これはあなたに対してのみならず、またこれは総理に対して一も、郵政大臣が当然の責任を持っておられるわけでございますから、もうしばらく時間をかしていただき、そして、郵政大臣でお考えをいただくようにお願いをいたしておるところでございます。御了承いただきたいと思います。
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。 いま官房長官から非常に責任のある御答弁がございまして、私も同様に考えて、この点はただいまいろいろ苦心を払っておるところでございます。そこでいまお話のありました昭和四十一年の値上げ以来の問題でございますが、私も経過は大体聞いております。そこで、そのときに補助金のような形のものである程度お話をしたということもございますので、今回もそういう身体障害者の代表が見えましたおりに、そういう話は確かに出しておるようであります。しかし、それとこれとは筋が違う。これは木村委員おっしゃったとおりだと思います。それで、ずっといままでの経過等を洗ってみたんでありますが、盲人用の点字その他は、これは国際的に大体各国ともやっておるようでございます。身体障害者をこの中に入れるという問題は、はたしてそれだけでとどまるかという懸念が一つあると思うのでございます。あるいはさっきの長期療養の方々であるとか、ないしは結核の方、その他ハンセン氏病の方とかいろいろなところまで拡大してまいりますと、どこで一体、ボーダーラインが引けるかどうか。それが、現場の事務の上にもたいへん煩瑣なことにもなるというようなことで、従来、なかなか踏み切れなかったものだと思うのでございます。そこで今回、法律改正によりますれば、一種、二種はもちろん法定でございますが、三種、四種が、もちろんこれは慎重に扱いまするけれども、省令で機動、的、弾力的に扱えるという、法改正ができるわけであります。具体的にこれを示せ、こうまあおっしゃるわけでございますが、いままだ最終的には煮詰まっておりませんけれども、私の頭の中にある考え方は、第三種というものの扱い方をもう少しくふうをすることによりまして、現に身体障害者の団体の方々の中で、この三種を受けて施行しておる団体もございます。そうするとこれは、かりに今回の料金改定によりましても、十二円ということでいけるわけでございます。その中へひとつ今回の御要望が織り込んで処理をしていったならばどうか。これには若干の要件がございます。その団体が法人格を持っておるとか、あるいは部数などの関係もあると思うのです。こういう点はせっかく厚生大臣ともいま相談をしておるのでございまして、その辺の基準等にくふうをいたしますならば、その線で御要請のようなことに実現方ができはしないかという考え方をただいま持っていることを申し上げたのでございます。
○木村禧八郎君 厚生大臣ちょっと……。
○国務大臣(内田常雄君) 郵政大臣からお答えがございましたように、私どもと郵政省と真剣に協議をいたしております。こういう方法でという私のほうにもアイデアがございまして、おおむね郵政省のほうにも乗っておいていただいておりますが、そのやり方をここでまだ未熟でございますから、申し上げないほうがよろしいと思いますが、簡単に申し上げますと、一種の擬制適用というような方法だってあり得るのじゃないか、こういうふうに私は考えて折衝いたしております。
○木村禧八郎君 厚生省もようやく、私質問してから三月十八日になって、身体障害者の団体に発行物を届けるようにという、努力はされましたから、それはけっこうですけれども、ようやくわれわれが問題にしてから身体障害者の刊行物をいろいろお調べになった。それはけっこうですよ、それで前向きになれば。しかし、認定についてはこういう——実際にわれわれこれ見ましたけれども、やろうと思えばやれるということがわかったんです。われわれしろうとでも。ですから、前向きに取り組んでいただきたいと思います。 ただ、非常に心配になるのは、第三種は月一回以上ですね。そういう点もあります。それはさっき考慮されておりましたから、あまりここは問題にしないほうがいいと思いますけれども、ただ郵政省の役人から私聞いたのは、さっきたとえばハンセン氏病の人とかあるいは母子家庭とか、そういうところにだんだん拡大すると困ると言うのです。なぜ困るかというと、これから郵政事業を合理化していくのだ、それでオートメ化していく、そういう工場をいまつくっていると言うのです。そういう場合に、もう大量的に流れ作業でやっていくのだから、そういう例外的のがあると困るというんですよ。そういう考え方です。だから私はね、それはまあ近代化、合理化は必要だと、しかし、ひずみが出てくるのだからそういう近代化、合理化のときに、それによってどういう障害が出て、どういうマイナス面が出てくるかをよく総合的に判断して考えなきゃいけないんで、あなた方は効率ということばっかり考えているが、それもあなたの立場ではけっこうかもしらぬと、あなたの立場から言えばですよ。しかし、もっと総合的にね、結局人間をしあわせにするための仕事なんであるから、他方においてそういうふしあわせな人が出るんじゃいけないんだから、総合的に考えなさい。ところが事務当局は、郵政大臣、これはよくお聞きになってないかもしれませんが、そういう考えですよ、大体が。だからそこに抵抗があったと思うんです。私はあったと思います。ですからこの近代化、合理化を進める上にあまり例外、例外が出てくると困るというようなことも言われていましたから——それだけじゃないかもしれませんが、その点は頭に置いて、そうして私はもうできるなら盲人並みに、点字並みにできるものかどうか。さらにこれを念を押して伺っておきたいと思うのです。
○国務大臣(井出一太郎君) どうも郵政省が一番頑迷なようにおとりになって恐縮でありますが、まあ役人は事業と取り組んでおるもんですから、まあできるだけ能率的な考え方をしたと思うのでございます。まあそれはそれなりにひとつお許しをいただきまして、こういうことこそあたたかい政治が配慮をしなければならぬ問題だと思いますので、御趣旨をよく尊重してやりたいと、かように考えます。
○木村禧八郎君 いやその盲人並みという……。
○国務大臣(井出一太郎君) これはですね、どうもいろいろ勘案をいたしたのでございますが、まあただいまのところはひとつさっき申し上げましたようなくふうで、御趣旨に沿いたいと、かように御了承をいただきたいと思います。
○木村禧八郎君 じゃこう理解できませんか。まずさしあたりですよ、第一段階としてさっきお話ししましたね。第三種についてのいろいろの考慮、それからさらにもっと進んでは、理想としてはですよ、目標としては盲人並みにというふうに理解できませんか。まずさしあたりはそれを考えると、そうしてそれは究極はやはり盲人並みにすることに努力されるということは考えられませんかどうか。
○国務大臣(井出一太郎君) まあさしあたりはひとつ第三種でこれを救済するような方法を考え、いまおっしゃる後段のほうはひとつもう少し研究課題とさせていただきたいと思います。
○鈴木強君 ちょっと関連して。 いま木村委員の御質問の中で、もう身障者に対するあたたかい政府の御措置というものがわれわれがはだに受けとめるだけのものが出てきていないと思うのです。郵政省のおやりになっていることは私は非常にちぐはぐなところがあると思いまして、たとえば年賀はがきで一円の寄付金つきのものを発行しております。そうしてそれをまあ福祉施設その他に厚生大臣等と相談をして配分をされている。これは本来郵政省のやる仕事じゃないでしょう、これは。そういう点をやっているんですよね。それからまた、一面盲人だとか身体障害者一だとか、そういう方々に対する割引の問題については、われわれはもう十何年間毎回意見を出しているのですけれども、これがなかなか全く入れてくれないわけですよ。ですから一体この普通割引を盲人並みにやった場合に幾らの郵政の中には収入減になるのですか。私はやる気になったらできると思うのですよ。官房長官もいらっしゃいますけれども、一体その政府の身障者に対する施策というのはこれだけではないですよ。たとえば雇用関係を見ましても、身障者なるがゆえに社会復帰の場合でも、もう少しあたたかくお役所でも会社でもそういう人たちの適する職場の中に受け入れてやろうというような考え方が薄いんじゃないでしょうか。私はかつて早稲田大学を卒業して上級試験に受かった方が、身障者なるがゆえにどこに行ってもお払い箱になってしまって、そのおかあさんが泣いて私のところへ来たことを思い出します。そしていろいろやりまして、やっとある役所に特に大臣が、私直談判をして理解ある態度で採用してくれました。そのおかあさんや早稲田を卒業した身障者の方の喜びというものはこれはもうたいへんなものでした。そういう、政府が率先して役所の中に身障者の方々を雇えるものは雇ってやろうという方針がきまっておるのにかかわらず、そのことすらが無視されてしまう、軽んぜられているということが事実だと思う。だからましてやこの程度の身障者に対する特別扱いというのはやる気になったらできますよ、これは。一体幾ら減額になるのですか、減収になるのですか。もう少し私は思いやりのある措置をやってほしいと思います。しかも今回は、佐藤総理がいま大臣おっしゃったように、ある程度お約束をした話じゃないですか。それがまだ解決してないということは、これは佐藤内閣の重大な問題ですよ、これは。そこらをもう少し考えて、今回まあ衆議院からこっちへ回ってきておりますが、むしろ政府が率先して直すような気持ちでやってほしいし、われわれもまた修正案を出しますよ、これは。出しますけれどももう少し——いまのような答弁ではだめですよ、これは。それをひとつ官房長官からも、身障者に対する全体の問題としてもう少し政府で考えてほしい。郵政大臣、幾ら減額になりますか。そのくらいのものができないはずはないですよ。これはやってほしいと思います。 それからもう一つ、関連ですからこれでやめますが、天皇陛下と皇后陛下がこの秋にヨーロッパを御訪問になる。その際記念切手を発行しようという話が出ておりますね。従来日本では、天皇、皇后の御肖像を切手にやったことはないそうですね、皇太子の場合はこの前ありますけれどもね。そこでまあ外国の事例なども考えて、今回そういう記念切手を、肖像画を入れたものを発行しようということだと思うのですが、郵政大臣としてはあれですか、宮内庁なんかにこれは相談しなければできないことなんですか。あなたはいまそれに対してどういうふうに考えておりますか。 きのうもほかの委員会で特種切手の問題とかいろいろありましたけれども、もう少しそういう点も配慮してやったらどうですか。それはあなた、いま決断して発行するつもりですか、ヨーロッパ御訪問のための記念切手。
○国務大臣(井出一太郎君) 私に関する点だけをお答えをいたしたいと思いますが、身障者に対する特例を設けろと、こういうまあ木村委員の御質問に関連してでございますが、これは先ほど来申しておりまするとおり、前向きで検討をし、そのまあ第一歩として第三種で扱ってまいろうかという具体的な提案をきょうは申し上げたわけでございます。 かりに身障者の関係の郵便物をもし低料で扱うという場合に幾らの減額になるかという数字は事務当局のほうでははじいておるわけでございますから、必要であれば申し上げることにいたします。 さらに、一番最後にお触れになりました両陛下が欧州旅行をなされます記念の切手をという問題でございますが、これは二、三の新聞等がそういう事柄を話題にし始めております。おっしゃるとおり、まあ、従来皇太子殿下の御成婚の記念切手というものは出ておりますが、陛下の場合は前例はないのでございます。しかし、まあこれは国民の側からはたいへんそういうことが望ましいというふうな御意見が多いようにも私は耳にするわけであります。したがいまして、これには準備も要ることでございますから、たとえば宮内庁方面の感触等もよく確かめるというふうな問題が残っておりますので、私としては、まず国民の皆さまがこれを待望しておられるというふうな見方に受けとめておりますので、できれば、これはひとつことしの切手の一番重要な項目として扱ってまいりたいと、こう考えております。
○鈴木強君 官房長官、答えてください。あと郵政省から、幾ら減収になるか、答えてください、身障者に対する。
○国務大臣(保利茂君) 先ほどお話しの点につきましては、行政部内で反省すべき点があるように思いますし、とにかく現代が、すべて能率主義、合理主義といいましょうか、そういうことが非常に要請される一面、したがって、何かそれとそぐわない、なじまない点がある。これは、私どもの今日の日本全体の状態が経済成長といってきている反面において、非常な反省をしなきゃならないところがあるということと同様のことだと思うんです。私は、やっぱり、そういう能率主義、合理主義の中に、何といいますか、お互いに人間として考えさせられる点が幾つも出てきておる、いまの身障者の扱いにいたしましても、そういう点から行政部内においても強い反省を要するのじゃないかというように思いますから、御趣意もそこにあろうかと存じますし、私も同感でございますから、そういうことでひとつ善処してまいりたいと考えております。
○国務大臣(井出一太郎君) まだ、現在のところ、東京周辺の団体をおよそ推定して百団体ぐらいではないか。全国ということになりますと、もうちょっと的確な調査が必要でございましょうし、それからまた、その料金体系をどういうふうにするかというふうな料金の刻み方というふうな問題で数字が変わってもまいりましょうから、これはもう少し精査をした上で申し上げたいと思います。
○鈴木強君 大体精査をしなければわからない、幾ら減額になるかわからないというのに、あえてそれをやるというところにも郵政省の政治感覚を疑いますよ、私は。政治感覚というよりは、行政感覚を。それが何十億になるのか何百億になるのか私はわかりませんけれども、その数さえつかまえてないわけでしょう。これは微々たるものですよ。だから、極端に言ったら、年賀郵便のお年玉、交通遺児なんてやめたらいいんですよ。そんな厚生省のやるようなことを郵政省がやる必要はない。そうして、もっとそういう日の当たらない身障者の方々に、世論としていつも国会にも出ているわけですから、あたたかい手を差し伸べるということは、これは当然じゃないですか。もう一歩ほんとうにその気になって考えなきゃできないことですよ。だから、官房長官も、総理もああいうふうに言っておられるんですから、われわれ参議院で修正案を出しますよ、だから、与党も含めてこれは修正しようじゃありませんか。総理大臣によく官房長官から伝えてくださいよ。そして、何とかこの際解決しなければ、これは木村委員が非常にタイミングよくやっていただきましたので——いつもずるずるになってしまう。この際ぜひ決着をしたいと私は思うんです。そういう意味で、ぜひ政府としてもわれわれの意思を尊重して、修正案が出たら、与党も賛成してもらうようにお願いしたい。これは政府が言うったって、総理大臣は自民党の総裁ですから、そういう意味で私はお願いしておきたい。官房長官、どうですか。
○国務大臣(保利茂君) 木村さんや鈴木さんのきょうの御質問の御要旨、私どもがお答えいたしましたことは、特にただいまの御注意を含めまして、総理大臣に私から報告をいたしておきます。
○木村禧八郎君 結局、いま官房長官が言われましたが、これは、佐藤内閣のもとでの高度経済成長、いわゆる近代化ですね。ああいうものの一つの盲点の一つと言われましたが、まさにそうですよ。そういうことがあって、これは具体的な一つの問題にしては非常に大きな問題でないように見えますけれども、私はその意味するところは非常にこれが深いと思うのですよ。いまの世相の一面、いわゆるひずみの一面ですね。ですから、ほんとうに真剣に考えて、いま鈴木委員が言われましたが、修正案を出すような場合にも、これは与党の方もひとつ御考慮願いたいと思うのであります。 それから経費につきましてはこういう調査がある。盲人用点字等につきまして、四十四年度盲人用点字等の年間取り扱い数ですね。百六十万通です。これに対して経費が九千四百万円なんです。ですから、そう大した経費じゃないのですね。これをかりに無料化して、その費用がかかっても、郵政特別会計は独算制ですから、それによって赤字が生じた場合は、大蔵大臣、これを一般会計から補てんするくらいの考えを持っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの問題は、せっかく郵政省を中心に相談をいたしておるところでございますから、その相談の結果を待ちまして善処いたします。
○木村禧八郎君 次に、物価問題について質問いたしたいのでありますが、これまで十年以上も物価が大きな問題になっておりますのに有効な対策がとられてないことは周知のとおりであります。そこで、この際、私は、この物価値上がりの原因につきまして総合的な究明を行ないますとともに、物価対策について積極的な提案を行ないまして、そうして政府にその実行を求めたいと思うわけです。 まず、そこで、四十六年度の物価対策予算につきまして伺いますが、その目的は何でありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まず、物価予算ということでありますが、その前に予算全体の問題があると思うのです。つまり、総需要、総供給、その名において適正な役割を財政が演ずる、これがとにかく何といっても一番の物価対策だと思います。それからその中において、それからその中において、八千何百億でしたか、物価予算というも…のがあるわけなんですが、これは、一つは、長期的に低生産部門の生産性を向上する、こういうねらい、それからもう一つは、当面の物価の需給だとか、そういう個々の商品の需給だとか価格安定だとか、そういうもろもろの具体的措置に対する補強、そういう二つの性格を持っております。
○木村禧八郎君 いま、この物価関係の予算としては、総合的な全体の予算がほかにある。その予算だけではなく、財政、財投とか、あるいは民間の資金需給ですね。ですから、全体の需給バランスですか、これが物価と大きな関係があることは言うまでもないでしょう。しかし、私は、政府が四十六年度に出している物価関係予算、これについて伺っている。それに対する御答弁がありませんが、その前に、いま総合的な需給バランスのお話がありましたから、一体政府は四十六年度予算を編成するにあたって、景気との関係で需給バランスをどういうふうに見ているのですか。いわゆる需給ギャップ。前に問題にしましたね。四十五年度予算で問題にしました。四十六年度の需給ギャップをどういうふうに見るのですか、需給バランスを。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、数字のことは木村さん御承知だと思いますから、あらためて申し上げませんけれども、依然として最大の需給要因である国民需要ですね、これは健実に伸びていく。それから第二の需要要因である民間の設備投資、これは低調である。それから、そういう間におきまして、国の財政経済総需要を大体一〇%という程度にするために財政はいかなる需要を持つべきであるか、こういうような考え方で、まあやっておるわけですが、その検討の結果、財政の規模は一般会計において約一兆五千億円、これを拡大する、一八・四%の拡大と、こういうことになるわけであります。
○木村禧八郎君 そうしますと、結局、数字的に見て、四十五年度に比べて四十六年度の給需バランスは、たとえばインフレギャップ、前に問題にしました、あれはどの程度に見ておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 需要が、一〇・一ですね、一〇%がらみの増大であるというにおきましては、需給はこれでバランスをする、かような見解であります。
○木村禧八郎君 大蔵省の需給バランスの計算は、前に問題にしたように、少し違うのですが、あまりこれはオーソリティがないですよ、権威がないですよ。われわれの前の計算ですね、御承知のように、需給ギャップが三千八百二億あったのですが、そうした計算でやりますと、四十六年は三千三百八十億、やはりこれはインフレギャップですよ。設備投資は落ち込みますと言いますけれども、なるほど率は落ち込んでいるんですよ。ところが、やはり四十五年度は十三兆八千六百九十億、四十六年は十五兆四千六百七十億ですね。金額としてはかなりふえておりますね、やはり。ですから、需給バランスから見て、やはりインフレギャップはかなりある。だから問題は、私は来年度だと思うのですよ。むしろデフレギャップが出るかもしれないのは来年で、本年度はインフレギャップがかなりあるんですよ。そういうもので、あとで質問いたしますが、積極財政、積極金融がいまとられているのです。とられていながら、非常に不況だ、不況だと言っているでしょう。これはどういう点にそういう不況感があるのか。これから見ると、かなり個人消費の伸びは大きいし、設備投資の落ち込みも、個人消費の伸びで、つまり昨年の大幅賃上げがこれをカバーしているわけですよ。大幅賃上げがカバーしているんですね。ですから、かなりインフレギャップがあるのです。その点、どういうふうな……。今度の四十六年度の予算は非常に大幅予算ですから。物価との関連でですね。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、大体一〇%程度の総需要水準ですね、つまり成長の高さ、この辺だと非常にいいと思っておるのです。ところが、実際今日この時点はどうであるかというと、これはちょっと数字的にはつかみにくいですが、勘としては、一〇%を一、二〇%割っているような状態じゃないか、そういうふうに思います。傾向的にこれからどういうふうになっていくかと言うと、ほっておきますと、これはもう四十六年度、来年ですね、いま御指摘のように、デフレギャップ、これが出てくるということが心配される。つまり、そのデフレギャップというのは、成長の水準を落とせば、それは出るわけじゃないんですが、一〇%に維持しようという前提をとりますと、そこはデフレギャップがかなり出てくるんじゃないか、そういうふうに思ったわけであります。そこで、そのデフレギャップをどういうふうにして埋めていくかということに問題が移るわけでありますが、これは財政によって直接需要を呼び起こす、こういう政策が必要であると、こういうことから、この財政の規模、財政投融資の規模、これを拡大して、そのデフレギャップを埋めて、そして一〇%成長というその目標を達成したいと、こういう考え方をとっておるわけです。
○木村禧八郎君 ですから、問題は、私は来年のこのデフレギャップが問題になってくると思うんです。そこで、来年デフレギャップを回避するために大型予算を組んだというお話ですが、そこで問題は、物価との関係なんですよね。 だから、景気の落ち込みを防ぐために、デフレギャップを埋めるために積極予算を組むということはわかりました。財政投融資も非常にふえていますね。だけど、それと物価との関係ですね。ちょうどアメリカみたいなふうになって、景気の落ち込みを防ごうとして積極財政を組むと、今度は物価が非常に上がってくるんじゃないか。そこで、今度の物価対策としての一環としていわゆる物価関係予算というものを出してきて、それがかなりふえているわけですよね。大体物価関係八千百七十五億、二五・三%ふえているんですよね。ふえています。それで、これは結局、物価関係予算というものは、いま目的を聞いたんですが、物価を安定させ、あるいは物価の値上がりを食いとめる、そのための予算であるのかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように——申し上げないと言うんですが、申し上げたんです。申し上げましたように、一つは長期的な対策、つまり低生産性部門の生産性を向上する、こういう対策、それからもう一つは、当面の対策、これは流通の問題、流通をなめらかにしなければならぬと、こういう問題、また、労働力の需給を、これを円滑化しなければならぬと、そういうような問題、その他もろもろの当面要請されるところの物価諸施策に対しまして財政が協力をする、そういうための予算であります。
○木村禧八郎君 わかりました。 それでは、その低生産性部門、あるいは流通部門における物価対策としての予算ですね、これは、四十六年度の物価値上がりを、五・五ですね、五・五に消費者物価の値上がりを押える、大体そこに目標を置いているわけですね。それとの関連において、この物価関係予算がどの程度に物価対策として寄与するのか。低生産性部門について何%、これは積み上げてやったのかどうか。それから、いま言った流通部面で何%、ここに数字的に具体的にありますから。これが低生産性部門の生産性向上、流通対策、労働力の流動化促進、競争条件の整備、生活必需物資等の安定供給ですね、それから住宅及び地価の安定その他となっております。それは項目はわかりますよ。しかし、これが具体的にどういうふうに五・五%と関連して、どれだけの——これはおそらく各省とみな相談してやられたと思うんですよ。それがなければ具体的な物価安定策にならぬですよ。だから、どういうふうに積み上げて何を寄与するということで、こういう予算を組んだか。積算の基礎ですよ。予算はみな積算の基礎があるんですから、この物価対策としての積算の基礎を示してください、項目ごとにですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) たいへん御無理な御注文だと思うんです。物価対策の最大の柱は、何といっても総需要をバランスをとる、そこにあるんです。しかし、その総需要がどの程度のバランス状態であればどの程度の物価状態になる、これはなかなかむずかしいだろうと思う。 それから、この予算はいろいろととられておる。まず第一、一番大口である低生産性部門の生産性の向上、これのごときは、先ほどから申し上げておるように、長期的な対策なんです。これから長期にわたって物価安定の対策をとらなければならぬ。それには、低生産性部門の生産性を向上させる。大企業が賃上げを行なう、それに連動して中小企業、農村等の賃上げがありましても、それらの中小、農村等が価格を上げないでも立ちいかれるようにという配意でありまして、これなんか影響の出るのはすぐというわけではないのです。しかし、前々からやっておりまするから、今日この時点においてもある程度の影響は出ておるわけでありますが、ことしの予算がどういうふうに響いてくるかというのは、これは将来の問題なんです。それから労働力の流動化促進、これもすぐ四十六年の予算とどういう結びつきを持つか、賃上げとどういう関係になってくるか、これだって測定は非常に困難なんで、おそらく、そんな測定ができるという人は——まあこれはなかなか発見することも困難じゃないかというふうに思います。それから競争条件の整備という予算の問題、それから流通対策、生活必需物資の安定的供給、そういう項目がありますが、生活必需物資の安定的供給、これは個々の問題につきまして、さあ豚の肉がどうだという、これは一つの推測ができると思いまするけれども、生活物資全体といたしまして、この予算と何%の影響になるか、これもまたむずかしい問題じゃあるまいか。それからさらに、その次には、住宅及び地価の安定ということを掲げておるわけでございますが、これも数字をもって全体を捕捉するということはかなりむずかしいので、私どもが言っているのはそうじゃないんで、この予算によって物価安定には努力する、そういう努力の問題もあります。それから、その他予算外においてとられる物価諸施策等があります。それらを総合いたしまして、一体四十六年度における物価水準はどうなるだろうか。また、どうしなければならぬかということを勘案いたしまして五・五%ということを言っておるわけでありまして、これを一々数字とどういうつながりでなるかということは、これは申し上げかねる。
○木村禧八郎君 そういう物価関係予算を組んできているから、ちっとも物価が安定しないんですよ。だから、物価関係予算の組み方についてはあとで提案しますけれども、そういうことをやってきているから、いままでちっとも安定しないのでしょう。総需要、総需要と言いますが、総需要がどういうふうに低生産性部門なりあるいは高度の生産部門のほうに配分をされるか、いわゆる構造要因というものがあるわけです。あるいは国際的要因もありますしね。いろいろあるんですよ。 そこに入る前に、それでは、この八千百七十五億ですね、これがふえた、なぜふやしたのですか。これが二五・三%ふえている。なぜふやしたのか、前年度より。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、将来の経済情勢を展望しますと、やはり賃上げも続いていく、大企業における賃上げは続く。そうすると、どうしても中小のほうも賃上げをしなければならぬ。そういうことにならなければ中小企業は労働力を確保することができない。そういうようなことを考えまするときに、物価問題の問題点、これは最大の問題点だと思いますが、これは、低生産性部門の生産性を向上するという考え方をとらなければならぬというので、この八千億円の中で圧倒的に多い額をそういう方面に用いている。しかし、それは長期の施策である。そこで、当面必要とする流通対策、あるいは住宅の対策だとか、あるいは労働の需給の問題だとか、そういう問題にも手を打たなければならぬ、こういうふうに考えまして、できる限りの措置を講じた。物価問題に対して特に重点を置いた考え方をとったということでこの予算がふえている、こういうふうに御理解願います。
○木村禧八郎君 そういう抽象的なことでは物価対策の論議にならぬのですね。それが二五三%ふやすことによってどの程度物価の引き下げに寄与するのか、だからこれだけふやしたと出てこないと、こういう問題が起こるのですよ。 それじゃ、八千七十五億ですね、これの需要誘発効果はどのくらいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これはやはり、人件費、物件費ですね、くるめまして、需要を誘発する効果というものはあると思います。これは一・〇という程度ではないと思いますが、予算の各費目の需要誘発効果、これはもう学者の間でもいろいろ議論がありまして、私から、一ポイント幾つであるとか、二ポイント幾つであるとか、これは申しかねますが、若干の需要誘発効果はあると、さように考えております。
○木村禧八郎君 企画庁長官、どうなんですか、その点。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、財政支出の乗数効果、これはいろいろな計算があるように思います。私のほうの研究所なんかでやっているのを見ますと、投資的なものならば二であるとか、あるいは補助金的なものであれば〇・五であるとか、いろいろございます。 そこで、物価の関係の経費でありますが、これも、中身を見ると、先ほど大蔵大臣のお話のように、いろいろの性格のものがあります。これだけをとっていわゆる誘発効果というものを計算することは、それほど意味がないのじゃないかと私は感じております。木村さんのおっしゃりたい意味は、八千億で相当誘発効果があるのだから、それと今度は物価を引き下げる効果と比較考量してみた場合のことを頭に置いていらっしゃるのだろうと思います。まあ、引き下げ効果につきましては、これは今日のところ、一々の項目について、どれだけの効果という計算はむずかしいと思います。ただ、全体としてマクロ的な意味で物価のいわゆる見込みの指数というものをあげているわけでありますから、それと直接結びつくようなこまかい積み上げ的な計算を決してしているわけではありません。しかし、もちろん、ここに載せておるところの財政支出というものは、先ほどお話がありましたように、低生産性部門の生産性を向上させるとか、あるいはまた住宅の経費で言えば、住宅の供給をふやすことによって住宅需要を緩和するとか、それぞれの目的に沿って行なわれているわけであります。しかも、これは物価関係の経費でございまして、物価にも非常に影響がございます。同時に、それ自体としての、経費としての目的も持っている。そういうふうなことを考えてみますると、これは計数的に無理にこれだけのものだというふうに帰属させること自体は、相当フィクションも伴いますし、かえって無理があるのじゃないか、やはり全体としてながめてみる必要があるのじゃないか、そういう感じがいたします。
○木村禧八郎君 一体、経済企画庁は何をやっているのですかね。積み上げ的なあれをやっていない。マクロ、マクロと言うが。それから五五%の値上げを聞いても、げたばき理論でしょう。げたばきですよ、これは基準が動くんですから。ですから、私は望みたいのは、もっと積み上げ的な作業をこれからしなければだめですよ。いままでは、そういうげたばき理論とかあるいはマクロ的だけでですね。マクロも必要ですが、マクロもこれも不十分であることは前に指摘いたしました。だから、これはやはり積み上げ的にやってみて、一応どの程度の物価の引き下げ効果があるか、それから今度物価予算として八千百七十五億、大体常識は、需要誘発効果は約二倍といわれておりますよ。そうしますと、一兆六千億くらいの誘発効果になるのですよ。一兆六千億物価予算で需要をふやしておいて、これがどの程度物価を上げますか。それと、物価対策予算によって物価を引き下げる効果と、これを積み上げて一応私は詰めなければ、予算をわれわれ審議しても、マクロ的に、そんなものかということであって、全く物価対策の詰めの議論にならないんですよ。企画庁はそういう作業をすべきなんだ、ほんとうは、積み上げ的な。そうしなければ物価を論議することにならぬでしょう。どうなんですか、そこのところ。むしろ私は、この予算は物価関係予算というけれども、物価対策予算じゃなくて、物価引き上げ予算になると思う、逆に。一兆六千億も需要を誘発して、それでそれがどれだけ——低生産性部門といったって低生産性部門でどれだけ生産性が上がるのか、それをやっぱり計算すべきですよ、これだけあったら。大体それはできないわけないですよ、詰めは。
○国務大臣(佐藤一郎君) ですから、私が先ほど申し上げましたように、たとえば一例をとりますと、八千億の中に二千億足らずの住宅関係の経費が入ってます。この住宅関係の経費をとりまして、これが需要誘発をするから、それだからこれは要らないとは言えません。これはつまり住宅政策としても必要な経費なんです。それが同時に物価にも関係するという意味でもって計算に入っているわけであります。大体、たとえば中小企業あるいは農業の低生産性部門の生産性を上げる、これは物価対策であると同時に、構造対策でもあり、生産対策でもあるわけです。そういう意味でもってこれが載っておるものを、これを物価の側面から見ると、これも物価に関係のある経費である、こういうふうにして計算したのが八千億の計算であります。でありますからして、これをただ、需要を誘発するから、そうしてそれがあまり効果がなさそうだからやめると言っていいものではございません。結局、財政需要というものが物価に与える影響というものは、需要の面から論ずる場合には全体としてやはり議論すべきものであると、こういうふうに私は考えます。 それからまた、この個々の積み上げにつきましては、おっしゃるように、学者の間でもって多少の研究はございますが、まだなかなか世界じゅうどこをさがしましても、それにこたえるに足るようなこまかい計算は出ていません。PPBSについても、まだ発達の初期の段階であります。また同時に、経費の性格が、先ほど申し上げましたように、低生産性部門の生産性の向上というような一種の長期的な視野に立った経費というものが非常に多いのでありまして、これを無理に、何%これに寄与しているというふうに帰属させるということは、これはかえってミスリードするんじゃないかと私どもは考えております。そういう意味において、しいて数字的なものをここでもって積み上げてやるということはかえって無理がくる、そういう感じがいたします。 しかし、同時に、私どもは、やはり従来のいわゆる物価の上昇率等を勘案しながら、本年の四十五年度から四十六年度にわたるところの、先ほど木村さんが御指摘になった、げたの高さ等も頭に入れながら、やはり年間上昇率というものを計算する。そしてその際には、もちろん、最近における価格変動の重要な原因であった季節商品の動きであるとか、その他の労賃の動きであるとか、全体のものを見、それからいわゆる需要の強さというものも頭に置いて、そうして大体の年間上昇率を計算する、そういうことからマクロ的に出てきたわけであります。で、もちろんその際に、ある意味の政策的な努力、こうした予算等の効果ということも当然その前提にはなっています。理論的には前提になっておるわけであります。住宅を建てなくなった場合にはどうなるか、あるいは国鉄に金を出さなかったらそれだけ料金にはね返るかもしれません。そういうようなことを前提にしてはおりますけれども、それを一々こまかい計算はしていない。総体として、しかしある程度政策的な努力というものも頭に置いて、そうして五五ぐらいのところに落ち着けたいと、こういう目標を立てておるわけであります。個々の需要について、やはり需要サイドから御議論なさるのでしたら、私は、財政需要全体をとらえて議論するのがいいんじゃないかと、こういうふうに考えています。
○木村禧八郎君 いや、いままで物価安定に寄与してきているのなら、そんな議論はしないですよ。いままで一つも物価安定に実効ないじゃありませんか。だから、これまでの政策について、あるいは物価関係予算の組み方について再検討しなければならないから、こういう議論をしているんですよ。あなたはいままでの弁明だけしないで、私が八千百七十五億の物価関係予算のいわゆる乗数ですね、需要誘発効果が一兆六千億になる、それに対して今度は、この予算が物価安定にどれだけ効果があるかわからないから、この予算はやめてしまえばいいじゃないかというような、あなたそういうような言い方したでしょう。失礼じゃありませんか、そんな言い方は。そんなことを議論しているのじゃないのですよ。いままで、政府が何回、物価安定といいながら、ちっとも安定しないから、この際やはりいままでのやり方を再検討しなければならぬから、そこで詰めの議論をしているのです。いま。それで詰めの議論を。そこで、こういう予算の組み方ではだめだ、やっぱり積み上げ的に、低生産部門にこれだけ投資したら、どれだけの、たとえば低生産性部門のところにどれだけ投資して、どれだけの寄与率になるか、あるいは流通対策にこれだけ投資したから何かを、詰めをやっていないから、関係ある予算を寄せ集めただけに過ぎないのじゃないかというのですよ。これじゃだめだというのです。もっとほんとうに積み上げ的にやらなければ……。物価対策に全体の予算を問題にすべきだ、それはもちろん、前から、総需要としてね。予算だけじゃありませんよ、これは金融面だってそうでしょう、そのほかにもまだ国際収支の問題、対外的側面とか、構造的側面とか、いろいろあるわけですね。ですから、ただ弁明だけにしないで、もっと前向きで、やはりこれまでのこういう物価関係予算の計上のしかたに問題があるので、もっと積み上げ的な検討をしていきたいくらいのあれがあってもよさそうに思うから私は質問したのですが、その点、いかがですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、言われるところのPPBSというものは、われわれとしてもできるだけ研究を深めるようにやってはいます。ただ、これがどの程度実用的なものになるか、あるいはまた、政府が各方面に対して十分こたえ得る権威のあるものになるか、これはやっぱり今後の検討を待たなければならないと私は思うのであります。今日の段階において、しいてこれを政府の数字であるといって無理に出すというのは、私は、かえってミスリードすると、こういうことを申し上げているのであります。むしろ、需要としては、全体としての需要という計算がやはり大事なんじゃないか、物価問題につきましては、われわれもできるだけそういう数字的なものを今後求めていく努力、これは当然いたさなければなりません。 それから、いわゆる物価関係の経費が、先ほど申し上げましたように、本来それ自体としての、財政支出としてのまた目的も持っている。この点もわれわれは忘れてはならない点であろう、こういうふうに考えます。
○木村禧八郎君 たとえば道路予算でも、道路予算を組むときには、それによってどの程度の混雑が緩和されるとか、いろいろ想定してやるでしょう、財政効果を。だから、物価対策予算を組むについて、低生産性部門の生産性向上というだけじゃ、もっと基礎の積算から積み上げていかなければいけないというのです。そういうことを言っているので、それじゃなければ不当表示予算です。不当表示ですよ。理由なくして組んでいるのじゃないか。理由なくして組んでいる。そうじゃないと言うのなら、これだけ寄与するとか、具体的に示すべきだ。それが正しいか正しくないか知りませんけれども、これだけの努力は払ったのだ、大体この見当だ、その見当について、たとえば三%寄与すると、それでいいかどうか、これは判断を求めるべきですよ。そこまで議論が来ないと、いままでの低生産性部門の生産性向上だ、流通対策で、もっとこれを合理化して生産性を上げて、物価に寄与する、こんなことは幾ら議論したって、ちっとも実りある議論になっていないのですよ、いままでね。また、こういう物価対策予算の組み方をしているから、実のある物価対策にならぬのじゃないか。それだけじゃありませんけれども、これもやはり反省しなければならぬ。 そこで、時間がなくなってきますから、さらに伺いますが、五・五%の値上がりにつきまして、これについては、たとえばその後石油の値上がりの問題が起こっている。それから郵便料金の引き上げ、それから社会保険料等の引き上げでございますが、こういうものはみな含んでいるのですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 経済現象のことでございますから、いろいろな要素が入ってきます。これは、もちろん年度の当初に予想しない経済事態どいうものが十分起こり得るわけであります。特に国際経済関係の動向というものは、率直に言って、なかなか織り込みにくい点があるわけであります。そういうことも含めて、総体的にやる、これがまあ結局マクロ的な意味であります。でありますから、石油の値上げがあるであろうということは、いろいろな事態から推測はもちろんできるわけでありますけれども、これがどうなるかというようなことを計算できるものでも、もちろんありません。そういう意味において、やはり物価というものは、上がるものも、下がるものもありますし、動かないものもあるわけでありまして、そうしたものを積み上げてやるということは、もちろん、先ほどから申し上げているように、五・五という数字についてなされてないことは、これは当然だろうと思います。最近石油の値上がりが起こってきまして、われわれとしてももちろんこれは物価問題に関係ある重要な関心は持っております。それからまた郵便料金、これは公共料金の一部でありますが、公共料金については、概観して言うと、たとえば全体の物価上昇率の大体半分、もしくは三分の二くらいのところに毎年抑制しながら推移しているわけでありまして、当然その中の一部になるであろうというふうに考えておるわけであります。
○木村禧八郎君 石油なんか含んでないですね。その後これを発表してからああいう問題が起こってきたと、特に石油は相当今後値上がりが予想されていますが、通産大臣、この石油の価格の問題ですね。これは今後の物価に相当やはり大きな影響あると思うんですが、これはどういうふうにごらんになっておりますか。また、どういうふうに対処しようとしておるのか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、先般来わが国の精製業者に対してメジャーとOPECが相談したものを、そのものをまともにわが国にかぶせるということは理屈が立たないということをしばしば申しておりまして、ただいま現状はどうなっておるかと申しますと、メジャーの中にもわが国のそういう主張にある程度理解を示すものも多少あらわれまして、そこで、しかし、ヨーロッパその他の国との関連もあるので、団体交渉でなく個別の交渉にしてくれないかという話がございました。私はそれはよかろうということを実は申したのでございます。と申しますのは、確かに他の国との関係がございますし、事が大っぴらになるということは供給者側としても好まぬ点があるかもしれない、そうも考えましたから、それはよかろうということを申しましたので、ただいまの交渉の段階はそういう個別の交渉でメジャーの側がどのぐらいの配慮をするか、及び、わが国の精製業者側がどのぐらいの配慮をするか、そういうことが実はこれからでないとわかってまいりません。なるべくそこでかなりのものが吸収されるように私どもも行政上努力をいたしたい思っております。で、その結果、しかし、かりに千円がらみのものが残ったといたしますと、今度はそれをどう開くかということになるわけであります。たとえば、いわゆるモータリストのマイカーと申しますか、ガソリンスタンドで売っておるガソリンでございます。それをどうするか。それから電力をどうするか、ナフサをどうするか、灯油等がどうなるか、軽油がどうなるか等々、御存じの開き方がございます。私としていま考えておりますことは、たとえば電力なら電力につきまして、これが将来に向かって電力料金を押し上げる一つの種をまくことになるということはこれは理論的にはどうも否定はできないわけでございますけれども、まあ、将来といってもいろんなことが起こり得るのでありますので、なるべくそういう目先の影響があらわれないような開き方をしたいと考えております。なお、聞いておるところによりますと、いわゆるマイカー族が月間に消費いたしますガソリンの量というものは、かなり多い人でも百リットルだそうでございます。そういったようなことが、したがいまして、国民経済の各方面に与える影響というものを慎重に考えてまいらなければなりません。ナフサが業界があのような状態でございますから、多くのものがしょえるということはなかなか期待できないといったようなことでございますので、ただいまの段階は開くもとになる金額が幾らになるか、それをどう開くかといったようなことを腹の中ではいろいろ考えておりますけれども、もとの金額がきまってまいりません。なるべくそれが小さな額であるように行政的に努力をしておる段階でありまして、したがいまして、御質問に対して適確にただいまお答え申し上げることが事実問題としてできないというのが実情でございます。
○木村禧八郎君 この個々の問題について伺ったのは、石油とか郵便料金、あるいは社会保険料の特に健保の料金引き上げ等、あるいはまた消費者米価の値上がりですね、これもいま一キロ百五十二円が流通米二百円くらいになるのじゃないかというふうにいわれておりますけれども、そういうものが、値上がりを考えますと五・五%の水準にとどめることができないのじゃないか、こういうまあ気がするものですから。それで五五%にとどめるというならば、どういうふうにつとめるのか。いまいろいろ問題にしました物価値上がり等どういうふうに処理して五・五%におさめるか。その点と、もう一つは、さっき言った物価関係予算と政府がいつも発表する年度の消費者物価の値上がり率との関連、これは関連があるのかないのか。あればどういう点で関連させているのか。そのうち政策的努力をどのくらいみているのか、政策的努力ですよ。本来ならばもっと上がるべきものを——六・五%上がるものを、物価関連予算で一%ぐらい下げるのか。そういうならわかってくるのですよ。それで、それはこうこうこういうふうにして積み上げると一%なり二%を政策努力によって物価が下がることが期待できるから、ほんとうは六・五%ぐらい上がるのが五・五%と、こういうふうに説明すればわかるのですが、何らそこに、その積み上げ方式でないから関連性がない。わからぬですよ。だから政策としてどれだけ物価引き下げに寄与したのかさっぱりわからぬですよ。また、そういう意図、どれだけの寄与しているのかわからぬから質問しているんです。 それからもう一つついでに。総理が、きょう新聞を見たんですが、新経済社会発展計画の最終年度の三・五%ぐらい、安定した場合の物価値上がりは三・五にしている。いままで三%と言っていたんです。なぜ〇・五%上げてしまったのか。これは皆さん御相談してそういうふうにしたのかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) その総理の発言は、きのう衆議院の大蔵委員会での発言かと思いますが、その席に私は立ち会っておったのですが、物価問題でやっぱり質疑がありまして、その際、まあ三・五%くらいにはしたいものだ、将来は。しかし、当面それはなかなかむずかしいので四十六年度では五・五と、こう目標をしているんだと、こういう軽い意味で三・五%ということを申し上げた。別に政府部内で相談した結果ではございませんです。
○木村禧八郎君 そうなると、新経済社会発展計画のあれはどうなるんですか。
○国務大臣(佐藤一郎君) 新経済社会発展計画では、御存じのように三%台と申しております。そこで、まあ三・九も三%台じゃないかという議論さえ出ておるわけでありますが、総理とされましては、三%ということでありますから、当然三・五ぐらいのところは実現したいものだ、こういう希望を表明されたものと私は思います。
○木村禧八郎君 さっきの発言に対して、さっきの質問に対して経企長官御答弁ないです。
○国務大臣(佐藤一郎君) 積み上げの話ですか。
○木村禧八郎君 そうです。
○国務大臣(佐藤一郎君) これは、先ほど木村さんが予算のことと関連して道路のお話をたまたま引用されましたが、われわれもいわゆるPPBSを考えますときに、たとえば交通需要とそれから道路投資というようなものは当然これは比較的計算が成り立ちやすいものでございます。現在われわれの予算の編成その他にも十分これを使っておるわけです。ただ、あらゆる物資とあらゆる現象を含んでおる予算の全体、あるいはまたこの物価の効果の問題、こういうことになりますと、ちょうど交通需要と道路というように的確な関連づけの行なえない計算があまりにも多いわけでございます。そういう意味において、今日まだGNPの計算においてさえなかなか積み上げということが困難である、そういう情勢にあるわけでありますから、まあ私たちとしてはやはり過去のいわゆる経験、過去のケース、あるいは経済全体の動向、そうしたことを頭に置いてマクロ的に計算をしていく。その際に、先ほど木村さんが御指摘になりましたように、需給ギャップも相当にゆるんでくる見込みになっております。四十年の不況以後だんだんと需給ギャップが小さくなりまして、そうして四十四年にピークになりましたが、これがまた再び四十五年、六年と徐々にゆるんでくる。これはやはり一つの大きな前提として考えなければならぬと思います。そうして、昨年非常に、まあこれも七・三%になるかその前後にわれわれは落ちつぐと思っておりますが、あの七三%という四一十五年度の上昇率にいたしましても、年間上昇率だけをとってみると三・三%であったわけであります。で、今日の物価において季節商品の及ぼす影響というものが非常に激しいわけでありますが、野菜なんかを中心にして考えまして、ここのところ、まあ政府の努力もあり、大方の関心も深まりまして、ずいぶん安定供給ということについて進前が見られたものと考えられます。そういうことで、四十五年一年じゅう野菜で悩まされましたが、ああいう事柄はないというようなこともいろいろと考えまして、そうして年間上昇率がもしも三%ぐらいのところならば何とかいくんじゃないか、そう無理がないんじゃないかと、こういうような感じを持っております。で、もちろん政策的な努力、これももちろん前進するわけでありますから、それはいまの季節商品なんかにも十分頭の中にそれを入れて、そうして考えているわけであります。ただ、特定のパーセンテージを幾らというふうにはっきりとはじくということは、表に立って言えるような数字としては計算をしてないわけであります。まあ、全体としてのやはり物価の環境というものも見、そして今後やはり輸入の自由化あるいは輸入の促進その他、われわれが考えておる、政府としてなし得る政策というものをできるだけやっていく。そういうことによって、十分年間上昇率をその程度に押え得るであろう、こういう考え方に立っているわけであります。
○木村禧八郎君 これまでそうした目標——三%あるいは三%台とかいろいろいわれて議論してきておるのですけれども、結局、にもかかわらず、物価が政府の予定していたより着実に上がってきているから、ここでこの際、これまで歴史的に見まして、物価値上がりの原因は一体どこにあるのか、そういう点をここで総ざらいをしてみる必要があると思うのですね。それで、私は大体三つに分けて考えた。一つは、昭和三十年から三十五年まで、あれ、経済成長したけれどもなぜ物価が上がらなかったか。三十六年から急に上がっているわけでしょう、歴史的に見ましてね。それはなぜであったかということ。それから第二は機能的原因と呼んでいるのですがね、総需要、需要圧力、デマンドプルです。それから第二は管理価格、第三がコストプッシュ、第四が輸入インフレです。機能的原因としてはこの四つを私は指摘できると思うのです。それから第三番目には、企業体として非常に借り入れ金が過剰である。そのことはやはりどうしてもインフレ選好的傾向というんですか、企業のインフレを好む傾向、どうしてもそれを助長する。 大きく分けて、歴史的経過から見た原因、これをはっきりしていく必要があるのじゃないか、歴史的経過から見てね。どうしてこんなふうに急に三十六年から物価が上がったかはっきりしているのですから、その前なぜ上がらなかったか。第二が機能的原因としてデマンドプル、総需要、それから管理価格、コストプッシュですね、ウエージプッシュ、それから最近のインポーテッド・インフレーション——輸入インフレ、この四つじやないかと思うのですよ、機能的にはね。それから三番目は企業の体質、いわゆる借金過剰。これについてどう評価をしているかですね。私はこれまでの物価の値上がりも総合的に把握したら大体こういうふうに分析できるのじゃないか、総合的にですね。ですから、これについて一々答えていただきたい。 まず第一の、歴史的に見てどうして三十六年から急に上がったか。それから第二番目の四つですね、機能的原因についてどう評価しているのか。それから最後の企業の借金過剰、これとインフレとの関係。インフレ対策が十分にいかない。それにはやはり企業のインフレ選好的傾向というのは、借金がうんとあるから何とかして貨幣価値が下がったほうが都合がいいのですから、そういうインフレ選好的傾向、こういうものが潜在的にあるのじゃないか。これについての評価の上に立って私は積極的な物価対策の提案をいたしたいと思うのですよ。だからこの評価について政府のほうの意見を伺いたい。で、この際、なかなかそういう機会がありませんから、総ざらいしてその原因について総合的にここで究明して、それで、なるほどこの点に今後ウエートを置いていけばいいのだ、こういうふうにしてみればいいのだ。ここでやはりただ責めるだけでなく、お互いに検討したい、こういう気持ちで質問しているのですから、その点はひとつ十分に御考慮の上答弁していただきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま御指摘のまず第一点の、昭和三十年代の前半の問題、これはやはり相当急に成長してまいりましたが、三十六年以後ほどの成長ではございません。まだまあ成長の初期というところでございましょう。大体七%とか、それでも相当高い成長になってまいりました。そこで、これについて物価上昇がなぜ伴わなかったか。これはやはり何と申しましても、三十年以前まので、それから三十年以後の御存じの一兆円予算とかいろいろな形での蓄積というものが十分あった。その一番基本はやはり労働力の需給であろうと思います。農村からの人口がまだどんどん入ってまいりまして、いわゆる労働力需給というものにわりあいにゆとりがあった。それからまた、いわゆる全体としての経済のそうしたことにあらわれている余力というものがこの七%程度の成長というものを十分カバーしていく、それがまだ物価値上がりに反映するに至らなかった。そうして、しかも、設備能力がどんどん出てまいりまして、むしろ供給力の増加というものがわりあいに表に見えてきておる。こういうことでございますから、それが三十五年を境といたしまして、労働力の需給をはじめとして、すべての点について供給的な面での余裕がなくなってきた。それから、このごろになりまして、やはり一種の成長に加速度がついてきたといいますか、需要面においても非常に急激な需要が来た。特に倍増計画であるとかそうした高い目標が掲げられまして、非常に高度成長を急ぐ、こういうようなこともありまして、やはりこうしたことになったろう。いろいろな面で、都市の問題をとりましても、労働力をとりましても、あらゆる面で資金的にもまだそんなに窮屈でなかった。これが三十六年以後にあれだけの急成長を見ましたが、結局これをリードしたものは民間設備投資の急上昇でございます。先ほどお話がありましたように、明らかに民間設備投資を刺激したところのものは、やはり先行きにおけるところの膨大な——というか——利潤の上昇の見込みであるとか、全体のそうしたことがあるわけですが、その基礎にはいまお話しの債務者がわりあいに有利な環境というものが形づくられておった、これは私は否定できないと思います。でありますから、自己資本の充実をはかるよりもやはり借金によって行なう。特に日本の場合においては、いわゆる金融機関というもののウエートが非常に高い、これがやはり間接的な金融というものを助長する、こういうふうなこともあったと思いますが、いろんな制度が相まって、やはりこの企業設備というものの投資を中心にして急激な上昇が行なわれた。確かにそういう意味においては、どんどんどんどん設備をすればそれがそれだけ身になってきたという意味において、債務者が非常に有利な経済であったということは私はいえると思います。今後、安定成長を考えるときには、やはりこの問題について十分頭に入れながらやっていかなければならぬという意味でわれわれも考えておるわけであります。 そこで、この物価上昇の原因でありますけれども、御指摘になりましたように、やはり一つがデマンドプル——需要の急激な上昇であろうと思います。特に需要の上昇が急激であったことと、それに対応するところの供給が追っつかない。特にこれが労働力にもあらわれたわけでありますけれども、消費財の生産、これにおいて特に顕著であった。生産性の低い中小企業部面あるいは農業生産、これが新たなる需要、新しい形の需要、その需要の変化にもなかなか追いつけない、こういうことからして、いわゆる需要供給の関係でもって相当上がる要素があったことは確かであります。これがやはり中心になりまして、そこへ今度はいわゆる御存じの産業間の格差の問題がございまして、そのためにこの産業間格差というものが解消しないにかかわらず、賃金の格差を埋めるということで、いわゆる中小企業、農業関係の賃金というものがどんどん上がってまいる。そういうことから、今度は賃金の上昇というものが急激に顕著になってまいった。一たび賃金の上昇が顕著になってまいりますと、この賃金というものの性格上、どうしても一ぺん上がったものは下がりにくい、こういう下方硬直性を持っておるわけでありますからして、どうしてもコストプッシュ的な様相が少しずつ加わってまいる。そして、先ほど御指摘のように、海外の要因も無視できないものがございます。これは年度によって違うのでありますけれども、やはりこのところ世界貿易、国際経済というものは、歴史的に見てかつてないくらいの大きな成長を見、発展を遂げてきているわけでありますから、その影響がくる。特にアメリカのインフレというようなことも大きな影響をもたらしてまいる。その間にあって、卸売り物価というものが消費者物価ほどには上がりませんでした。どちらかというと、ずっと安定してきておる。これは打ち続く設備投資によって供給というものが相当十分に行なわれたということの結果でございますけれども、したがって、いわゆる需要供給に非常に敏感に卸売り物価だけは動いてきております。そういうことでコストプッシュ的な様相というものがわりあいに卸売り物価においてはまだ見られないできておる。そういう意味において、管理価格的な問題というものが一体どの程度に日本の経済においてあるものか、これらは十分われわれも今後考えなければならない、特定の部門をとってみると、そう考えられるところももちろんないではありませんが、全体として管理価格というもののウエートがどの程度あるか。これらはもう少し物価の上から見ますると、十分検討を要するところがあると思います。いずれにしましても、しかし、先ほどおあげになった四つの点がやはり物価について重要な問題である。昭和四十四年度の経済白書におきまして、政府は卸売り物価について、この点について一応の試算をしております。その際には、需要の急上昇によるところのものが五割、海外のインフレ的な影響というものが三割、賃金コストの関係からくるものが二割というような試算を示しております。ただし、これは卸売り物価についてであります。で、消費者物価につきましてはそれほど明確でありませんが、しかし同時に、そのときにごく短期的な数字をとらえてやっておりますが、それらを見ますと、賃金コスト部面が三割ちょっとくらい、需要のサイドが六割をこえるというような試算も行なっております。これらはまだ試算の域を脱しません。明確にこうだというところまで、まだ残念ながら研究は進んでおりませんけれども、しかし、総体的にいいまして、まず膨大な需要が起こってまいった。しかし、それの刺激になったのは、民間の設備投資であります。その設備投資をリーダーとして、そして需要が起こってまいる。そしてその需要に刺激されて賃金も上がってまいる。こうしてだんだんと、あたかも欧米先進諸国と同じように徐々にコストプッシュ的な要素が強まろうとしつつあるのではなかろうか、こういう点が見受けられるわけであります。
○木村禧八郎君 大蔵省に伺いますが、この法人企業統計にもあるようですが、日本の企業の自己資本比率、それから借り入れ資金の比率、諸外国との比較をちょっと伺いたい。それからごく最近の統計でいいですが、長期負債というのはどのくらいになっておりますか、企業の。
○説明員(亘理彰君) お答えいたします。 法人企業統計によりまして、主要企業、資本金一億円以上の法人について見ますと、四十四年度で自己資本比率は一八%でございます。それから各国は、アメリカが四十四年で、主要企業でございますが、五五%、イギリス、西ドイツはそれぞれ四十三年で五三・一%、四一・六%でございます。 それから長期負債の割合でございますが、社債、それから金融機関からの借り入れ等を含めまして固定負債の比率、これも一億円以上の主要企業でとって見ますと、四十四年は二六・五%でございます。
○木村禧八郎君 金額を聞いている。
○説明員(亘理彰君) 金額は、四十四年度で、いまの一億円以上の企業で約二十兆でございます。各国の数字はちょっと持ち合わせておりません。
○木村禧八郎君 いまの説明でもわかりますように、日本の自己資本比率は四十四年度で一八%ですよね。ですから、ものすごく借り入れ金比率というものは大きいのです。それから借り入れ金も長期負債が約二十兆円、ものすごい。これで高度成長をやったわけでしょう。ですか結論として言えることは、さっきも長官が言われましたが、民間の設備投資に非常に重点を置かれて、それが借金経済でやられておるということですね、大部分。でこれがどうしてもインフレ的な傾向に持っていくということだと思うのです。それで昭和三十五年の一万円は、現在では五千七百円くらいです。消費者物価指数で見ると、三十五年を一〇〇として、いま一七五、六ですから。こうしたインフレによって、ものすごく企業は借金負担が軽くなって、ですからむしろ企業はインフレを要求していると思うのです。物価の安定を欲していない。だから、われわれはそうした財界の支持を得ている佐藤内閣が物価安定を幾ら口で言ったってできないんじゃないかというのは、こういうところからもどうも言える気がする。ですから、作業としては一応いろいろな作業をやっておりますけれども、ここに一つ大きな私はインフレ圧力があるのじゃないかと、こう思うのですよ。その点どうですか。いまの、非常に負債過剰、これが諸外国と比べてお話にならぬほどひどいといいますか、借金比率が大きいのですが、この点どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの経営表で明らかなように、わが国においては企業の自己資本比率が非常に脆弱でございます。なぜかということになると、これは木村さん、いまお触れになりましたが、日本の経済がとにかくあの焼け野原から、廃墟の中から出発したというところに原因があると思うんです。それと同時に、もう一つは、その出発後の成長発展の速度、これに第二の問題がある、こういうふうに考えております。やはり非常なエネルギー、バイタリティを持った日本の経済界、これが急速に設備の拡大をする。その際に自己資本の調達じゃとても間に合わない。そこでやっぱり借り入れ金にこれを依存するということになる。また、これにこたえる経済の力があった、こういうところかと思うんです。ただ、木村さんのお話の中に、企業サイドはインフレを待望していると、こういうお話でございますが、まあ、そうでもないと思います。やはりこれはインフレになったらもうたいへんなことなので、企業の根底をゆすぶるということになりますから、これは腹の底にはインフレは困る、こういうことは考えておると思うのでありまするが、しかし、まあ、現象問題として、物価が上がる、借り入れ金がある。その借り入れ金の負担がそれだけ軽減をされる、これはそのとおりだと思うんです。しかし、だからといってインフレを待望しているというような気分は私は認めておりませんのでございます。
○木村禧八郎君 いや、それは逆なんです。表面は物価の安定を希望しているんですけれども、腹の中ではクリーピングインフレーション、徐々に物価が上がることを、貨幣価値が下がることを期待しているのが実態だと思うのですよ。それは見解の相違ですから、見方のあれですから。 最後に、いままでの質疑を通じまして、結局インフレ要因というものを総合的にいろいろ考えて検討した結果、この積極的提案としまして、こうした積み上げ的なインフレ対策並びに物価対策予算の編成のしかたをやってはどうかということを提案したいんですよ。 まず第一に、マクロ的な対策としましては構造的な要因、それからから第二は需要要因、第三が国際要因ですか、この構造的要因としては、生産性格差、これをやっぱり経済企画庁あたりで詰めて、数字的にこれを検討する、いわゆる生産性格差を。それから需要要因としては成長率ですよ。成長率。それから国際要因としては海外の物価動向、それから輸出入状況。マクロ的な試算としてはこの三つをコンバインしまして、そこでどの程度に物価上昇の要因があるかということを作業すべきではないかと思うんです。 それからミクロ的な作業としましては、二つに分けまして、低生産性部門と、それから高生産性部門に分けまして、低生産性部門の対象になる物価としては農産物物価ですね、それから、中小企業製品、それから一部のサービス。この低生産性部門のこうした農産物とか中小企業製品、一部サービスというものにつきましては、生産性の上昇率ですね、生産性上昇率につきましては、これまでずいぶん議論してまいりましたが、結局これは投資配分の問題だと思うのでよ。で、投資配分を低生産性部門のほうへ——さっき大蔵大臣が言われましたが、それはやはり問題にすべきですね。これは四十六年度はかなり改善されましたけれども、四十六年度予算では政府投資の伸び率一一・七に対して民間設備投資一二%、まだ上回っていますよ。しかし、四十五年よりは非常に改善されましたね。四十五年は政府投資支出の伸びが一〇・五、民間設備投資が一八・九ですから、ずいぶん変わりましたよ。改善はされたけれども、まだまだ私は低生産性部門に対する投資配分が足りない、もっと積極的に私は重点を置くべきだと思う。そういうことによって、これが物価抑制にどの程度の寄与がされるかが出てくると思うのですよ、こういうことからも。 それから、第二は賃金の平準化問題です。高生産性部門の賃金が上がったら低生産性部門にどの程度平準化の影響があるか。これはやはり調べるべきであるんじゃないないかと思うのです。 それから、高生産性部門につきましては、管理価格と全体の需給関係、これは大企業製品でありますけれども、この高生産性部門の管理価格、これは通産省の担当だと思うのですけれども、それから全体の需給関係、これは物資別の需給関係、これは大体この程度ですね。マクロ的あるいはミクロ的試算をこういう形でやったらどうかと思うのです。これは非常に骨の折れることだと思うのです。たいへんだと思うのですよ、口では言いますけれども。しかし、このぐらいの作業は非常にめんどうですけれども、ひとつ企画庁でおやりになって、そうして、これを裏づけとしたやはり物価関係予算というものを出してもらいたいと思う。ことしは間に合わないから、来年度あたりからそういう関係予算の出し方をしてもらうと、かなりわれわれはかみ合った議論ができるのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがですか、大臣。
○国務大臣(佐藤一郎君) いま御指摘の点は、物価対策のいずれも問題点でありますし、柱であります。われわれも御指摘のような問題点を取り上げてこれの解決を進めなければいかぬ。そういう意味におきまして、もし必要なものについては予算化する必要も起こりましょう。その際にどの程度の積み上げができますか、これはわれわれとしても、もちろん木村さんの御指摘を待つまでもなく計数化し得るものはしたいと思っています。そういう意味において今後の努力に待つと、こういうことになろうと思うのであります。物価問題は総合的な問題でございますから、同時に総合的なやはり見方というものも持ちながやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 大蔵大臣に対して、予算との関係を。
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんの積極的提案ですね、これは私は考え方においてはもうこのとおりだと思います。私もこういうふうに書かないけれども、頭の中には大体この程度のことを考えておるわけであります。ただ、それを先ほども申し上げたわけでありますが、さあこれだけの金を使ったらこれだけの生産性が上がるのだとか、あるいはこれだけの金を使えばこれだけ物価が下がるのだとか、そういうことは計数的には非常にむずかしい問題かと思うのです。しかし、考え方の基本は私はこのとおりだと思いますので、できる限りこういう方向でやってみたいと、かように考えます。
○委員長(古池信三君) 以上をもって木村君の質疑は終了いたしました。 午前はこの程度とし、午後一時二十分に再開いたします。 それまで暫時休憩いたします。 午後零時十九分休憩 —————・————— 午後一時三十三分開会
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 この際、御報告いたします。 委員長に御一任いただきました分科担当委員の選任は、お手元に配付いたしましたとおり決定いたしましたので御了承願います。 —————————————
○委員長(古池信三君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。藤原房雄君。
○藤原房雄君 私は公害問題、農林水産関係につきまして関係の各大臣に所見を承りたいと思います。 最初に、カネミ事件に見られますポリ塩化ジフェニール、いわゆるPCB公害について最初に伺いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私は化学者でございませんのでつまびらかにはいたしませんが、PCBというのは塩化ジフェニール系の一種で有害な作用も持つ化学物質であると考えております。このものの作用なり措置につきましては政府委員からお答えさせていただきたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) PCB、すなわちポリ塩化ジェフェニールの公害問題でございますが、現在知られておりますPCBの性格と申しますか、これは比較的に安定したものでもございますし、BHCやDDTと同じように、きわめて長期間の間分解を起こさない、こういうふうな性格でもございますので、したがって、大量に環境中に放出されるといったような事態があれば、これは自然の浄化作用には期待しがたいということであろうかと思います。したがいまして、PCBの使用先における取り扱い、あるいはもちろん製造工程におけるいろいろな問題と、これらに関連いたしまして廃棄物からの環境汚染というものは当然予想されると思います。また、これは重要な問題として注意しなくてはならないと思います。厚生省といたしましては、有機塩素系の化合物の環境調査を実はすでに具体的に計画をいたしております。近く着手できる見通しでございますが、PCBもその一環といたしまして取り組むことになろうかと思います。したがいまして、まして、まだデータとしては保有してございませんけれども、調査研究の解明などもいたしまして、それとともに、所要の対策も考えていきたいと、このような段階でございます。
○藤原房雄君 ポリ塩化ジフェニールというのはわれわれ耳なれない名前ではございますが、三年前ですか、カネミ事件を通しましてこのPCBの実体というものが研究され、浮き彫りにされてきたわけであります。いま局長からいろいろむずかしいお話ではございましたが、しかし重要な、自然に還元しにくいものであるということで、鋭意研究しなければならないということでありますが、研究しなければならないということは、まだ十分な研究段階でないということでありまして、これからのことだと思いますが、三年前に多くの方々に被害を及ぼした、こういうものでもございますし、現在、公害としていろいろなものが人の健康をむしばむ、生命をも奪うということでたいへん問題になっている、こういう昨今でございますので、生命尊重という上からいきまして、PCBの公害につきましては、これからるる問題点をあげてまいりたいと思いますが、非常に重要な、そしてまた、私どもの日常生活に決して無関係ではないと、こういう観点から問題を展開してまいりたいと思います。 で、身近なことといたしましては、この問題のカネミ事件でございますが、実際このPCBのために健康をおかされた、そしてまた、命を奪われるような方々があったわけであります。このカネミ事件を通しまして、被害者のその後の病状、それから生活の状態とか、補償の問題とか、こういう問題が現実に起きているわけでありますので、その概略を御説明願いたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) お答えいたします。 カネミ油症患者のその後の経過あるいは現在の生活の実態のお尋ねだと思いますが、四十三年に事件が発生いたしまして、今年もその原因の究明、すなわち、油症の本体、それから治療方法等についての研究を主として九大の樋口教授を中心にお願いしているところでございまして、その研究を来年度もさらに続けていくという予定でおります。現在、油症患者数は十六の都府県で一千十九名を把握しております。また、生活の実態でございますが、これは生活保護世帯といたしまして十三、また、世帯の更生資金の貸し付けを行なっておりますが、その実績は、福岡県及び北九州市の生活資金の貸し付としての七十八件、計一千万円、それから世帯更生資金の貸付といたしまして七十四件、計一千四十二万五千円、このような状況でございます。
○藤原房雄君 病人の数だけではなくして、病状はどうかという、この点をお聞きしたわけですけれども、いまお答えがありませんでしたから、もう一度お願いします。
○政府委員(浦田純一君) 病状は、その後やはり色素沈着がなかなか快方に向かわないといったようなことで、現在でも治療を続けておられる方々がおられるわけでございますが、急性的ないろいろな胃腸症状、あるいは皮膚の症状といったようなものについては、かなりの改善が見られる、あるいはなおられたという方もあるわけでございますが、依然として一番問題の色素の沈着、あるいは肝臓等の機能の障害といったようなことについては、まだなかなかすっかり全治、全快というところまで至っていないわけでございます。また、適正な治療方法も残念ながらいまのところまだ確立されていない、そういったような状況でございます。
○藤原房雄君 いまのお話ですと、なおった人もおるんだというようなことで、そういう点を強調なさっておりますけれども、まあいま裁判中でもございますし、いろいろ問題があろうかと思いますが、現実はもっときびしものであります。まあそれでありますからこそ、きょう私はこの問題を検討しますし、今後、公害の上からも、まあ新しい型といいますか、重要な問題として取り上げてまいりたいという気持ちでおるわけでありますが、まあこういう状況はより詳細に把握していただきたいと思うんです。 つい最近問題になっておりますが、対症療法に取り組んでおります九州大学の油症研究班の研究成果について、厚生大臣にお伺いしたいと思うんでありますが、まあこれに伴いまして、過日、新聞に報じられておりましたが、カネミ倉庫の油症研究班に対する寄付の申し出があったということでありますが、その事実ないし申し出の趣旨というものは一体どこにあったのか、まず、この点お聞きしたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) 私どものほうの県側への照会の結果によりますと、カネミオイルの会社のほうから一時この油症研究班のほうに研究費の寄付の申し出があったそうでございます。これに対しましては、油症班としては受け取るわけにいかないということで御辞退申し上げましたところ、大学の本部のほうで、一般研究費といったような形でもって一千万円の研究委託費、これは委託契約を結んで寄付をお受けになったというふうに承知いたしております。
○藤原房雄君 ただいま報告のありましたように、PCBによる公害汚染というものは非常に治療が困難である、こういう認識を深くしたわけでありますし、これは真剣に取り組まねばならない現段階としましては大事なことだと思います。 そこで、お伺いするわけでありますが、PCBの国内メーカー及びその商品名を通産省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(山下英明君) 日本でPCBをつくっておりますのは、二社でございまして、比較的それぞれ大きなメーカーでございます。昭和四十五年にPCBが日本で使われました量は約一万トンに達しますが、そのうちの六割近くが電気関係の機器、たとえば大型のトランスですとか、あるいは大型のコンデンサーの冷却剤もしくは熱媒体に使用されております。そのほか、二割弱のものが各種の化学プラントで同じく熱媒体として使用されておりまして、たとえばプラスチックを製造する場合、あるいはアスファルトピッチを製造する場合等でございます。さらに、残りの二割が感圧紙といわれます。最近開発されましたコピー用の用紙に染料溶剤として使われておったわけでございますが、この分野はPCBが開放性で需要者に接触するものでございますから、それの弊害等が研究されまして、現在では、その需要は転換されつつある状態でございます。さらに、ごく微量、全体の二%内外ではございますが、可塑剤、塗料、インク等に使われております。
○藤原房雄君 いまもお話しありましたように、たいへん用途が広い。また、閉鎖的な使用用途とともに、オープンで使用しておるところもずいぶんあるようでございます。こういうところから私どもの知らない間に日常生活の中でこのPCBの影響を受けているということは十分に考えられると思います。 それはさておきまして、次に、労働大臣に、メーカーが二つあるわけで、そのほかいろいろな工場で使っておりますが、PCBを主因とする労働災害の実態、これをつとめて詳しく報告を願いたいと思います。
○政府委員(岡部實夫君) お答え申し上げます。 PCBを製造いたしておりまする事業所等におきまする労働者の災害の状況でございますが、具体的な事案といたしましては、昭和三十八年十二月に神奈川県下のあるコンデンサーの製造工場におきまして、絶縁用としてPCBを使用中の労働者が、そのPCBの飛沫を受けまして、目、皮膚等に傷害を受けました。これが把握されておりまして、神奈川の労働基準局におきまして、その発生後、直ちに衛生の専門官を派遣いたしまして、いろいろ実態を調べました。やはりそのPCBの液の飛沫を受けたことがその原因であるということを一応認定いたしまして、その後、その事業所に対しましては、コンデンサー製造に際しましての労働者に対しまする防護措置、その他を実施させ、さらに特殊健診を行なわせるようにいたしております。具体的な事案といたしまして把握いたしておりますのは、ただいま申し上げました一件でございます。
○塩出啓典君 関連。 ちょっとさきに返りますが、先ほど、九大への研究費について、委託研究のように聞こえたのでございますが、委託研究であれば、何を委託されたのか。その点が一つと、それからもう一つは、いまさっき厚生省から、なおった人もおるというお話でございますが、大体、全体のうち何人ぐらいなおって、なおってないのが何人ぐらいいるのか、もう少し経過をわかるように御説明いただきたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) あるいは文部省のほうからお答えすべきかとも思いますが、私どものほうの承りましたところでは、一千万円につきましては、大学の本部が正式に研究費として寄付を受け入れる。それは委託契約を結んで、研究費として使うということで受け入れたということでございます。その研究項目は、いまの油症の温泉治療法の研究というふうに何っております。 それから油症の患者さんのその後の状況でございますが、全治と申し上げますと、これはなかなか医学的に判定するのもむずかしいわけでございまして、後遺症という問題が残されておるわけでございますので、全治とは申しませんが、軽快された方が三分の二ぐらいおられまして、三分の一の方は依然として治療を続けておられる。ただし、入院してまで治療しておられるという方はないようでございます。
○藤原房雄君 労働省から労働災害のお話、一件お話しございましたが、私の調べたところでは、大阪の府立公衆衛生研究所の、やはりコンデンサー工場でございますが、先ほど目をやられたというお話ですが、ときには皮膚症状を呈した人がおるという研究の発表がございます。写真に出ておるのですが。このように、非常に用途が広いためにいろんな症状を呈しておる。しかし、急性の場合には非常に発見がやすいけれども、慢性といいますか、亜急性の場合には、なかなか問題の把握というか、研究も進んでおりませんで、発見がおくれるという、こういうことがあるのではないかと思います。こういうことを考えますと、労働省はもう少し真剣に、PCBのおそろしさ、そしてまた、これと真剣に取り組んでいく姿勢が必要ではないかと思います。 次は、日本の国の状況については、非常に研究がおくれているという様子が、ある程度いまの応答の中から感じられましたが、外国ではこのPCBについてはどういう状況であるか、あらましでけっこうでございますが、報告願いたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) PCBの環境汚染のいろいろな状況でございますが、これは文献によるわけでございますけれども、いわゆるフードチェーンといたしまして、まず廃棄されましたPCBが、河川や海に入りまして、そこのプランクトンに摂取される、そのプランクトンから魚介類が——さらにそれの生物界の中における濃縮現象も起こりまして、魚介類の中に移る。それをさらにえさとしております海獣、海のけものでございますが、海獣または鳥、こういったような汚染経路が推定されまして、たとえば川マスに四〇ないし五〇PPM、あるいはニシンに二〇PPM、アザラシ、タカ、ミサゴ、ミサゴの卵まで。ことにミサゴの脂肪の中では三〇PPM、あるいはタカの脂肪の中では二二〇PPM、卵の中には二九〇PPMといったようなことでございますが、また別の調査によりますと、フカの肝臓には〇・一ないし四といったようなオーダーで、あるいはハマチの身の中で〇・二ないし三といったようなオーダーで、いずれもPCBによる体内の汚染ということが起こっておるようでございます。それからPCBのいろいろな臨床的な症状、ことに慢性毒性につきましては、目下動物実験をわが国でもやっておるところでございます。
○藤原房雄君 いまお話を聞きますと、これは外国のデータではあるけれども、非常にいろんな角度から調査をし、数値が出ておるようでありますが、これが日本の国では一体どうなっているのかということですが、まあ冒頭にお話ございましたように、あまり詳細のデータがないようです。これからなんという話でしたから。 それで、PCBは、塩化ナフタリンやDDT、BHC、こういうものと化学的には同じ性質を持っているという、こういうことから、環境汚染物質ということで、本来ならば早くから注目しておかなければならないことであったと思うのでありますが、しかし、最近まであまり真剣な取り組み方がなかったという、こういうことが言えるのじゃないかと思います。これは非常に怠慢な姿勢であると思うのでありますが、今日急にこのPCBの問題をいろいろ検討するようになったのは、どういう点からこれが脚光を浴びるようになったか、この点、通産大臣どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども政府委員から申し上げましたように、従来六割ぐらいがコンデンサーでありますとか、あるいはトランスフォーマーでありますとか、大きな機械の中に熱の媒体として使われておった。したがって、それは機械の中の閉鎖された部分でございましたから、まず災害を与えるということが、危険が非常に低かった。ところが、カネミ事件の場合、そのように使われておりました熱の媒体が、おそらくパイプの欠陥と思いますが、中にまざったのではないかというふうに考えられまして、そこからPCBが直接人体に入りました場合の影響について注目されるように至ったと思います。たまたま、これも先ほど政府委員より申し上げましたが、概して閉鎖された機械の中に使われておりますけれども、最近になりましていわゆる感圧紙という、コピーの紙の裏に染料の溶剤として塗られて使われておる、最近そういうものがかなり出てまいりまして、これはやはり人が手でさわるわけでございますから、どのぐらい蓄積したらどうこうということはともかくといたしまして、危険をもたらし得るので、そこで、かわるものがあれば、何も溶剤にこういうものを使う必要はないわけでございますから、転換をしたほうがいいということで、先ほど申し上げたように、使用の転換を指導したわけでございます。おそらく、何によって最近注目を浴びてきたかというお尋ねでございますから、一つはそのカネミの事件のPCBが漏れたということ、もう一つは感圧紙というようなオープンのところへ使われるに至ったというところから、私どもが行政上注意を始めた、こういうふうに考えております。
○藤原房雄君 私の手元にメーカーのカタログがあるわけですが、毒性を持つPCBについてメーカー側の態度が非常に理解に苦しむような点があるわけです。それは、カタログの中に、カネクロールの場合に、皮膚に付着したときは適当な溶剤で洗い、最後に石けんで洗えば完全に落ちます、こうあるわけですね。それからアロクロールの場合には、常法により石けんで洗ってくださいという、きわめて安易に取り組んでいるようです。適当な溶剤というものは一体何を示すのか。また石けんで洗い落としてほんとうに落ちるのかどうか。これは別な研究機関では落ちないと、こう報告されておるわけであります。なかなか落ちにくいということが報告されておるわけでありますが、こういうことからいたしまして、このカタログの内容、これを放置しておくというのは非常に危険ではないか、このように思うわけでありますが、通産大臣、厚生大臣の見解を承りたいと思います。
○政府委員(山下英明君) 御指摘のように、製造会社のカタログではPCBの使い方について注意書きがございまして、できるだけ手に触れないように、また手袋をはめてやるように等々を書いてございますが、もし手に触れました場合に、石けんでそれを洗いなさいと書いてあったカタログがございました。御指摘のとおりでございます。私どもはそれは石けんだけでは十分に取れないと、こう判断いたしまして、そのカタログを訂正させた次第でございます。もう一社のほうは、特殊の溶剤で洗って、それから石けんで取るようにと、その場合の特殊な溶剤とは塩素系の溶剤でございます。
○藤原房雄君 いつ改めさしたのですか。
○政府委員(山下英明君) 二月でございます。
○藤原房雄君 また、工場作業における安全衛生の立場からしましても、PCBは非常に危険な物質である、いまお話あったとおりでありますが、こういうことからいたしまして、労働安全衛生規則で規制する必要があるのじゃないかと、こう思うのでありますが、労働大臣、見解を承りたい。
○政府委員(岡部實夫君) 先生御指摘のように、私のほうでも、基準局で被害を一件把握しておりますし、いろいろ厚生省等のデータによりましても問題があるということで、ただいま御指摘のように、安全衛生規則で各種の有害物質につきましての規則をいま根本的に洗っております。その中の一つといたしまして、この物質を取り上げまして、それに対しまする予防措置並びに健康診断等の健康管理を内容といたしまする規則を新しくつくってまいるということで、目下技術専門家の会議並びに中央労働基準審議会の意見を聞いて手続を進めつつあるところでございます。
○藤原房雄君 石油化学工業の急速な発展と技術開発に伴って、PCBに限らず工業薬品それから医薬品、毒物劇物等の慢性中毒については、今後ますます大きな課題になると思います。これらの慢性中毒に関する研究というものは早急に進められなければならない、こう思うわけであります。先ほどちょっと触れてはおりましたけれども、どのようにこういう点を進めていくかということを厚生省にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど厚生省のほうからはお答えを申し上げておりませんでしたけれども、このPCBのようなものが食品工業などで熱の交換媒体として使われました結果が、これは機械の損傷等が原因でございましょうが、カネミ事件のようなものを起こしましたので、私どものほうといたしましては、食品工業の熱媒体などにもこういうものは使わないで、その他の、これは非常にむずかしいことばになるようでありますけれども、芳香族炭化水素というようなものを熱媒体に使って、そして腐食性が少なく蒸発しやすい、そういうものに置きかえるようにと、こういう実は指導をしてまいりますとともに、この種の熱媒体薬品等を使う食品の製造業というものは、許可業種にすることはもちろん、施設基準を設けたり、また食品衛生管理者を設置する、こういうようなことを実はやらしてまいっております。それから物質そのものにつきましても、これは工業薬品あるいは毒物劇物その他の医薬品を通じまして毒性に関する研究体制というものを積極的に大いに進めるというたてまえを国立衛生研究所にとらせまして、この研究体制の整備拡充というようなことにつとめることにいたしております。また、これらの工業薬品であって現在毒物劇物に指定されていないもの、また過去に毒性が研究され、現在毒物または劇物に指定されているものであって、毒性評価に疑問のあるものにつきましても、毒物指定調査研究班というものを設けまして、研究対象としてあらためて取り上げ、その研究の推進をはかることにいたしておるわけでございます。医薬品その他の毒物劇物などの取り扱い、監視体制等につきましても、現在非常な厳重な体制をしかせるように私は担当者を指導督励をいたしております。
○塩出啓典君 関連。カネミ事件、これは労働大臣と厚生大臣にお聞きしたいのですが、カネミ事件が起きてもう三年にもなりまして、こういうたくさんの被害者を出したわけですけれども、ところが、いまお話を聞きますと、外国ではもう環境調査ができているのに、わが国はこれからやるという話だし、研究もこれからやるような話ですが、労働災害の実態もこれからやると、ちょっと話を聞いておって、少し熱意が足りないのじゃないか、もっと早くやるべきじゃないかなと、そういう気がするのですけれどもね、労働大臣、厚生大臣においてどういう考えでおるのか、そのあたりをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 政府委員から答弁をいたさせますと非常に専門的に深入りをしてしまいますので、私から御答弁を申し上げますと、外国でもこの問題については非常に調査が進んでいるというわけではなしに、スウェーデンかなんかでわりあいにこのものの調査が進んでいるそうでございます。したがって、わが国におきましても外国のあとを、後手後手に回るという意味ではございませんけれども、この種の工業薬品はたくさんございますので、それらが、もちろん有用な物質ではございましょうけれども、少なくともそれが食品とか国民の衛生に大きな影響を与えるよう外事態になってまいりましたので、私どものほうにおきましてもこれらのたくさんの工業薬品、これは農薬などにつきましても実はそうでございましたが、あらためてこれを大きく取り上げてまいる、こういう体制をとっておるわけでございます。それはさらにもっと早く、十年も二十年も前からとっておれば一そうよかったわけではございましょうけれども、一応はやってまいりましたけれども、特段のこれから研究対象にしておると、こういう趣旨に御理解をいただきとうございます。
○塩出啓典君 カネミ事件が起きてから取り上げてもおそい、カネミ事件以後の措置のしかたが。
○国務大臣(内田常雄君) 塩化ジフェニールとうものがいろいろな用途に使われておりますで、それはそれなりの研究や調査はいたしておるわけでございましょうけれども、特にそれらを食品加工に使うとか、あるいはまたそれの代替物の研究とかというようなことに特に力を入れてま いってきておると、こういうことに御理解をいただきとうございます。
○国務大臣(野原正勝君) PCBの問題につきましては、労働安全衛生規則に明確に規定がなかったことでございまして、まことに遺憾であると考えておりますが、現在は中央労働基準審議会におきまして諮問しております労働安全衛生規則の改正案の中に、PCBについての規定を入れることになっております。この規定を改正いたしまして、労働者の保護の徹底を期したいと考えております。
○藤原房雄君 たいへんにこういうPCBを中心とした調査というものがおくれているということが浮き彫りになったわけですが、外国のデータについては先ほどいろいろ環境汚染の実態については報告がありましたが、日本における状態で、今日研究されて発表されている環境汚染の実態というもの、この実態の汚染源とかまたは汚染経路、こういうことでわかっているデータございますか。ありましたら報告願いたいと思うんですが。
○政府委員(浦田純一君) ただいま詳細にその報告書を見ておりませんので、ただ報道されたところで承知して、いまその原本を取り寄せるように手配中でございますが、愛媛大学で、日本におけるPCBによる環境汚染の調査研究をいたしております。それによりますと、鳥や魚のからだにもPCBの蓄積が認められているということでございます。まあ人間については、はっきりいたしませんが、たとえばカラスでございますが、カラスの胃のそばにあります脂肪組織からは一ないし二PPMあるいは魚類でも、これは先ほどデータをずっと、申し上げましたが、一部は国内の資料も入っておったわけでございますが、フカの肝臓が〇・一九からO・四PPM、あるいはアナゴ、メバル、ハマチ、こういったものの中からいずれも零コンマ以下のオーダーではございますが、発見されております。それから人間に近い牛から、わずかでございますが、〇・〇四ないし〇・〇七PPM、牛のこれは脂肪組織でございます。なお東京湾の泥からは〇・〇五ないしO・一九PPMが検出されたと、このような状況のように聞いております。
○藤原房雄君 瀬戸内海の魚やまたは東京湾の魚にも塩化ジフェニールが含まれているという、こういうおそるべき実態であります。しかし当局の研究体制といいますか、非常におくれておるということでありますが、外国の例につきましても、先ほど一部報告ありましたが、先ほどの発表を見ましても、海洋が非常に汚染されている。それから野鳥とか野生動物が汚染されている、こういう外国のデータがはっきりしているわけであります。いまも国内の一部のデータがございましたが、詳細のデータがないということでありますが、こういう非常におそろしい人体に影響を及ぼすPCBが、知らず知らずのうちに私どもの環境を汚染しておる、これはほんとうに重大なことだと思います。 ここで考えなければならないことは、外国におけるPCBの使用の状況というのは一体どうなっておるのか。そのためにそれがわが国に輸入される、その輸入する食料品とか家庭用品とか、こういうものにないのかどうかという、こういう危惧が生れてきます。こういうことから、輸入品の非常に数多くのものがあるわけでありますが、PCBの検査というものを厳重に行なわれなければ、あとからたいへんなことになるんではないか、国内におけるデータが少ないだけに、今後の体制というものは強化すべきだと、こう思うのでありますが、その点についてはいかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) 先刻政府委員からも御報告申し上げましたように、魚を食べる鳥とかあるいは海獣にはPCBの蓄積がスウェーデンなどの研究によると認られるということでありますけれども、肉食をしない動物の肉にはほとんどPCBの汚染がないと、こういう報告もあるということでございますしたがって正直に申し上げまして、現状においては外国から輸入される食肉などにつきましては、PCBの残留量というような検査は、現在まではいたしておらないそうでございます。しかし、国会で取り上げられた問題でもございますし、そのものは、一方においては有用な工業薬品ではございましょうけれども、他方においては、またきわめて人間の衛生にとって有害なものでもございましょうから、この問題につきましては、さらに検討をいたしまして輸入食品等につきまして、その分析あるいは残留許容量等をきめていくかどうかということも進めてまいりたいと私は考えます。
○藤原房雄君 先ほども通産大臣からちょっとお話があったんですが、カーボンレスペーパー、これは回収したということでありますが、回収するには回収するだけの理由があって回収したと思いますが、いつも問題になることは、そのあとの処理のことであります。先ほどもお話ございましたように、蒸発した蒸発の液のためではないかというのですが、目がやられたというお話でありますが、こういうことから考えまして、このあとの処理についてはどうなさったか、この点ちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 聞いております話で佳非常に安定度の高い物質でありまして、また揮発性も少ない。それで、閉鎖された機器の中に入っておりますPCBでございますけれども、これをしたがって補給をしたという例はほとんどないそうでございます。つまり一ぺん入れましたら、安定してそのまま長く存在をする。ただ考えられますことは、それらの機器が不要になることは考えられます。コンデンサーでありますとかトランスフォーマー。そういうときには、それに使われましたPCBは、メーカーのところへ回収いたしまして、無毒化をして処理する、こういう指導は以前から行なっておりまして、そのように行なわれておるようでございます。
○藤原房雄君 いまあらゆる角度からずっと話を展開してまいりましたが、非常に危険な私どものまた環境を汚染しているそういう実態がだんだんわかってきたわけであります。が、このPCBは劇物、毒物の中に現在入っているのか入ってないのか。であればぜひこれは入れるべきであると思いますし、また使用規制基準につきましても、厳重にきめなければならないと思うのでありますが、この点について伺いたいと思います。
○政府委員(武藤き一郎君) お答えいたします。 毒性の観点からいたしますと、経口致死量の観点から当方で基準をきめておりますが、その基準に達成いたしておりませんので、現在毒物劇物には指定しておりません。
○藤原房雄君 規制基準については。
○政府委員(武藤き一郎君) お答えいたします。 毒物、劇物の指定基準は、毒物でございますと、一キログラム当たり三十ミリ以下のものを指定しておりまして、それから劇物につきましては、体重一キログラム当たり三十ミリをこえ、それから三百ミリグラム以下のものを指定しておりまして、PCBは千三百ミリグラムが経口致死量になっておりますので、したがいまして弱毒でございまして、劇物には指定しておりません。
○藤原房雄君 先ほどから大臣いろいろお話しのように、まだまだ研究が足りませんし、また現状の掌握というものも非常に弱いという、こういう点が先ほどから何度かお話ございました。ものごとが起きてからでは取り返しがつきませんので、鋭意ひとつこの劇物、毒物の規制、こういう面についても研究して、早くに規制していただきたいと思うんです。 最後に、以上お聞きのとおりPCB汚染については、人体における残留性、それから毒性から考えまして、非常に憂うべき物質であるということが言えると思います。性質がよくて、工業的には、いろいろな使用の用途があると思うんでありますが、しかも、いまお話ありましたように、非常に政府の認識が甘いという、対策も非常におろそかであり、資料も十分にないという、こういう現況であります。この点について、今後前向きに取り組んでいく決意があるかどうか、最後に総務長官にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) これはやはり、それぞれの担当省の研究機関で、いま少しく議論を聞いておりましても、まだ入り口に差しかかっておる程度の感じでございますので、もう少し具体的に詰めた後、将来、このような薬品、食品公害等も、広い意味の公害の概念の中に取り入れていくべきかどうかというような問題も含めて検討してまいりたいと思います。
○塩出啓典君 関連お願いします。 先ほど通産大臣がカーボンレス・ペーパーのことで、処分どうなったかという、そういう質問に対して、処分どうしたかという、そういう答弁はなかったと思います。トランスの場合、話しますとね。 それともう一つは、先ほどの劇物にも毒物にも指定してないということですけれども、やはりこういうカネミ事件のようなことが起きたことから考えて、なぜ指定しないのか、非常にわれわれ判断に苦しむわけでございますが、指定する必要がないのかどうか、厚生大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 通産大臣からのお答え、あとからあると思いますが、毒物、劇物取締法による指定、これは政令等でやれる問題でありますから、私どもはやろうと思えば、そんなにむずかしいものではないと思います。ただ、取り扱い等に非常に規制を受けますので、そのものの重要性、取り扱いの実態というようなものも勘案してきめないと、何でも載せるわけにはまいりませんけれども、先ほども申しましたように、国会でこのように御指摘があることでございますし、また私どものほうの関連のカネミの事件等があったから、食品衛生のほうにさえ使わなければそれで済むものだ、ということではないと思いますので、これは、私どもは基準の改定なり何なりということについて検討いたしまして、そして毒物、劇物の指定、あるいはまた、その規制の基準等につきましても、さらに一歩を進めて処置をいたすつもりでおります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 紙のほうのことを申し上げるのを落としまして失礼いたしました。メーカーが回収いたしまして、無毒化して廃棄した、苛性ソーダを使って無毒化したそうでございます。
○藤原房雄君 PCBのことにつきましては、以上で終わりたいと思います。 次は、農業問題につきまして若干御質問したいと思います。 私は、現在まで予算委員会で、この農業問題につきましては、あらゆる角度から論じられております。私は素朴な農民の声を、また現実の問題を質問したいと思います。地域住民の納得のいくように、どうかひとつ真剣にお答え願いたいと思います。 最初に、秋田県の八郎潟のことでございますが、三十二年から、国の直轄事業として干拓工事、が行なわれてまいりました。五十年完成を目ざしたのでありますが、農業事情の大きな変化によりまして、いろいろ変更が行なわれたようでありますが、まず最初にお聞きしたいことは、現在の入植者数、それから耕地面積やいままでの生産実績、これの概要をお伺いいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府委員からお答えいたさせます。
○政府委員(岩本道夫君) 八郎潟の中央干拓地の現在までの入植戸数は四百六十戸でございます。 入植者の圃場の面積は約四千七百ヘクタールに及んでおります。このほか増反圃場として約千五百ヘクタールが現在まで造成されておりまして、さらに、四十六年度に五百ヘクタールが造成される見込みでございます。 入植者の生産の実績は、玄米で四十三年に千七百五十二トン、四十四年に五千七百二十二トン、四十五年産の実績は約一万三千五百トンと推定をされます。
○藤原房雄君 干拓事業の最も代表的な八郎潟に入植しておる農家の方々の農地や住宅、それから農機具等の購入に伴って生じた農家一戸当たりの負担金、これは総額幾らになるかということ。これがどういう償還方法で償還することになっているか。それから第一次の入植者は、償還はいつから始まるのか。この点、お伺いいたします。
○政府委員(岩本道夫君) 八郎潟中央干拓地入植者の償還金でございますが、四百六十戸を一戸当たりで見ますと、おおむね二千三百六十万円に相なっております。この償還の金額の中で一番大きいものは、国営事業にかかります土地の負担金でございますが、これは支払い期間が二十五年でございまして、うち三年が据え置き期間となっておりまして、年利六分でございます。また、営農機械につきましては、支払い期間七年、うち据え置き期間三年、年利率六分五厘と相なっております。償還は、国営の工事が完了してから開始されることになっておりますので、四十六年、七年と、さらに工事を続けまして、それ以降始まることに相なりますが、当初は三年間が、土地の資金につきましては据え置き期間があるわけでございます。
○藤原房雄君 これ、第一次の入植者の方々が生産を始めた。ところが、農業事情の変化によりまして、過剰米問題ができましてから、減反するということになります。最初の返還する手順というものが、ここで大きく狂ってしまったという、こういう問題が起きておりまして、地元の方々としましては、何とか償還の方法、償還条件というものを緩和してもらいたい。据え置き期間またはいろんな方法があると思うのでありますが、この点につきまして、大蔵大臣や農林大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 八郎潟は、御知承のように、大きな農場として私どもといたしましてはたいへん将来を嘱望いたし、楽しみにいたしておったのでありますが、御存じのような情勢で、やはり八郎潟におきましても、普通に生産調整をやってもらっておるわけでありますが、そのために、私どもといたしましては、畑作物に転換することに鋭意努力をいたしております。それがだんだん定着してまいりますならば、いままでの計画の所得とあまり違わない所得を得られるんではないかと考え、また、それに相応するいろいろな仕事を継続してやってまいるつもりでございますので、当面は、いまお話しのような緩和条件というふうなことをいま考えておらないわけであります。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま農林大臣からお答えをいたした次第でございますが、私どもといたしましては、あの入植は順調にいっている、こういうふうに見ております。その後、計画の変更があることはお話しのような状態でございますが、計画が変更されましても、もうすでに入植した者の立場が別に変わるというような状態でもないようでありますので、償還条件——ただいまずいぶんこれは緩和したやり方をやっておりますので、これでやっていただきたい、さような考えでございます。
○藤原房雄君 現実は、やはり減反のためにそれだけの減収になっておりますし、何もほかの人たちから見て変わった生活をしておるわけじゃございませんが、強い要望がやはり地元の方々からございました。 もう一つは、入植当時一戸十ヘクタールを平均として入植したわけでありますが、現実入ってみますと、実測しますと、ある者は十一ヘクタールあった、ある者は九ヘクタールしかなかったというように耕地面積の非常にアンバランスであったということで、そういう点も調整してもらえるものならという、こういう地元の意見も非常に強くあったのでありますが、この点については、いかがですか。
○政府委員(岩本道夫君) 配分面積が実測をいたしますと、正確に十ヘクタールずつになっていないのは御指摘のとおりでございます。最小のものは九・〇四ヘクタールと承知をいたしております。これはなぜかと申しますと、土地に高低がありますこと等、地形上の制約のために、圃場整備等の工事をいたします場合に、土地の区画として造成をいたしますと、道路をとったり、水路をとったりいたしました場合に、のり面の占める割合の関係で、そうならざるを得なかったやむを得ない事情によるものと考えております。この点に つきましては、入植者の募集の際にあらかじめこの八郎潟の地形の実情を示し、そういうことで提示をいたしておりますし、また、この八郎潟におきまして目的とする生産性の高い機械化営農を実現していきますために、あちこちに零細な耕地を切り刻んで配分をいたしますことは、本来の目的に沿いませんので、残った土地を調整用に既入植者に配分することも考えられないことではないわけでございますけれども、そういう機械化営農方式との関連におきまして、なかなか問題があるというふうに考えております。
○藤原房雄君 その測量上の問題もございますが、実際、協業して仕事をしているわけでありますから、面積の違う人たちが集まって、多い人はいいと思いますけれども、少ない人にとってはやはり同じ面積でありたい、これは現実いろいろなことを地元では言っておりましたけれども、不可能なことではないと思いますので、検討していただきたいと思います。 次は、残存耕地の今後の利用の用途の問題でございますが、先ほど農林大臣もお話ししておりましたように、食糧基地としてモデル的な農業というものをあすこにつくるのだというこの初期の計画が貫かれておればよろしいわけでありますが、最近いろいろなことが言われておりますので、この点について、農林大臣からはっきり今後の方針についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 残っております土地の利用につきましては、大規模畑作による生産性及び所得水準の高い農業経営を導入いたしてまいりたいと思っております。当初、目的どおり模範的な新農村を私どもはあすこに建設をいたす考えでございましたが、米作はそういうことで中断をいたしますけれども、やはり当初の目的どおりの考え方でやりたいと思っております。このために輪作の方式であるとか、機械化体系等につきましての畑作試験を拡充強化いたしたい。それから経営方式等の検討も行なっておるわけであります。その他圃場の整備も続けることといたしておりますので、私どもといたしましては御存じのように、米以外の選択的拡大の作物については、なお需要が十分ございますので、そういう方面で残った土地を活用いたしてまいりたいと、こう思っております。
○藤原房雄君 次に青森県のほうに移るのですが、新全総が閣議で決定されましてから、むつ・小川原開発のことが具体的に計画が進められておる。その構想についてもいろいろ言われておりますが、企画庁長官から、あらましこの構想についてお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) むつ・小川原湖の開発は御存じのようにたいへん大規模なものであり、相当年月を要するものでございます。したがいまして、そのプランニングについても相当の時間を要するのでございます。今日までは国土開発総合調整ということで、国土開発の審議会においていろいろと議論がなされてきましたが、いよいよそれに対応してこれを具体化するための機関が要るということで、このたび一方においては土地を先行取得するための機関、それからまた一方においてはこのマスタープランを作成するための機関と、こういうものを政府関係の出資を求めましてできることになったわけであります。今後、これらの機関を中心にいたしましてそのプランの作成をするわけでございますが、もちろん、これは地元の県の理解と協力なくしてはできないことでございます。そういう意味におきまして、このマスタープランをつくりますときにはもちろん大規模な工業、いわゆる立地の作成ということではございますけれども、単に単なる工業開発にとどまらないで、広くその周辺の農業の問題、あるいはまた環境保全の問題、そうしたものを十分に取り入れました総合的なマスタープランをつくってまいる、そうして、そのためには地元の青森県をはじめ関係の市町村、あるいは関係の団体等のいわゆる民間の意見も十分に取り入れまして、住民の意思が十分反映するように、こういう方向でもって検討してまいろうと、こういうことであります。
○藤原房雄君 この開発計画の対象の中に、国営や県営の農業開発工事を現在までも何カ所か行なってまいりましたし、現在また実施中であるところがあると思います。そういうことからいたしまして、現在計画ではあると思いますけれども、計画の地区内に入る現在農地の面積、それから国費負担額、またそれに関係する戸数とか、それから農家の平均負債額といいますか、その計画の中に入っている農家または農家を中心とした実態というもの、この点、掌握しておりましたら概略御説明願います。
○政府委員(岩本道夫君) むつ・小川原地域の開発の構想は、まだ基本的な調査、基礎的な調査をしておる段階と承っておりまして、その地域の範囲等につきましても正確にまだ承っておりませんので、あまりこまかい正確なことは申し上げられないと思いますが、この地域と考えられる中にあります農業開発の地域を申し上げますと、古くからやりました国営開拓事業であります三本木の地区の谷地頭という地区がこれに入っております。また県営の開拓パイロット事業の淋代平という地区及び発茶沢地区、さらに県営の補助干拓事業の仏沼地区、この四地区がこの地区の中に入っております。これらの地区は小川原湖の沿岸の比較的平たんな洪積台地や低湿地帯にありまして、農業開発を進めまして、小川原湖の水を水源として経営規模の拡大をはかるという性格のものでございます。その関係面積及び農家戸数等でございますが、発茶沢地区におきましては、二百八十九ヘクタール、百九十八戸、事業費が八億八千八百万でございます。それから淋代平が八百一ヘクタール、受益戸数七百二十五戸、事業費十三億六千二百万円でございます。谷地頭地区はすでに事業を完了しておりまして、面積二千三十八ヘクタール、受益戸数六百七十、事業費五億八千七百万ということになっております。それから仏沼は、干拓事業でございますが、二百十四ヘクタール、受益戸数三百十一戸、事実費八億八千八百万でございます。これらの地区におきまして開拓事業が進められておりまして、その受益農家の負債額は、正確には把握されておりませんが、青森県の農家経済調査の一戸平均の負債額を見ますと、四十一万円ということに相なっております。
○藤原房雄君 開拓事業が進められる、これには多くの国費が投入されるわけでありますが、そして、そこに農家の方が入植する。それが幾年も出ずして、今度は大規模開発計画が進んで、この農地が他の目的に使用されるという、こういうことが現実に、プランの段階だとは言いますけれども、もう目の前にそういうことが起きておるわけであります。こういうことから、国土利用という観点から考えますと、一貫性のないということを非常に感ずるわけでありますが、この点につきまして、企画方並びに農林省、どのようにお考えになっていらっしゃるか、所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤一郎君) いまおっしゃるように、非常に急激な高度成長に伴う急激な国土の姿の変化がございます。そういうことのために、いままで農業用地としての開拓、開墾、開発を目がけておりましたものが、急激な都市化のために、あるいはまた、このたびのいま御指摘のような関係でもって、必ずしも農業関係だけでなくなってまいる。そのためにある程度経費を投入しながら、それが途中でもって農業用地があったものが工業用地として売られる。こういうようなことが各方面に見られております。御指摘のように、そういう意味において非常に十分な計画が立っておらなかった。まあ新全総もそういうような考え方に立って、今後そうした重複を避ける意味においてもできるだけ今後の大きな方向というものを明示すべきである、こういうことで行なわれたものでございます。 今日、国土の狭い日本において、しかも、平たん部をさがすということになりますと、これはどうしても従来の農業用地とぶつかるわけでございまして、その点はある程度は私はやむを得ないと思うのでありますが、できるだけひとつ今後はそういう意味においての計画性を持たせていかなければならないものと、こういうふうに考えております。ただ、都市の周辺地帯については、御存じのような状況でございますから、なかなかその点の計画性というものをよほど具体的にやらなければならない。そういう意味において御存じの都市計画法によるところの、新しい計画法によるところの線引き等も行なわれて、いわゆる土地利用計画というものが逐次いま立てられつつございます。これなんかもいま御指摘になったような方向でもってこれからやっていくということの一つのあらわれであろうと思うのでありますが、できるだけそういう方向でやっていかなければならぬと思っております。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま国会に御審議を願おうといたしております産業の地方分散に関する法律等でも申しておるわけでありますが、私どもといたしましては、やはり国全体の経済の計画に基づいて、それぞれ地方に産業を分散していくということは必要なことだと思っておりますが、いまお話に出ております小川原湖開発につきましては、前々から県において、また地方の地元において、たいへん大きな計画をお立てになっております。たまたまそういうことがお話しのように農地の問題と重複する点がございますが、これは私どもといたしましては、こういうような地域について農地を離れる農村の人々でやはりなおかつ農業を続けていきたいという考えをお持ちの方々については、農業委員会がやります農地のあっせん等、そういうことの指導をいたしまして、やはり農業が継続されるように指導いたしてまいりたいと思っております。で、大体こういう地域では、農業と農業以外の分野との合理的な土地利用の調整をはかることが一番重要でございますので、優良農地の保全に配慮しながら計画的な土地利用が進められるように都道府県知事を指導してまいりたいと思っております。
○藤原房雄君 私は、現地の一開拓者の方の様子をよく知っているのでありますが、三十年に食糧増産でこの土地に入植いたしまして、かれこれ百五十万からの借財を背負いまして農家を一生懸命やってまいりましたが、結局は行き詰まってしまい、まあ離農しなければならない、または最近のこの土地ブームといいますか、土地ブローカーの口車に乗って土地を全部手放さなければならなくなった、こういう方の姿を見ているわけであります。急激な社会の変化とか都市化とか、まあ都市のそばでありますと、そういうこともあらかじめ予測もしたでありましょうけれども、むつ・小川原にこういう大きな規模のものがあるなんということは予測もしなかったことでありますので、非常に地元の農民の方は借財を背負って、そしてまた思うように営農ができないということから、心が非常に動くわけであります。こういうことからいたしまして、大きな開発、これは国家の繁栄のために必要なことかもしれませんが、そのことのためにいつも泣かされるのは地域住民であり、また素朴な農民である、このように言えると思うのであります。特に、十数年営々として開拓してきたその土地を手放さなければならないという——過日も鹿島の問題いろいろございました。私も、いろいろ調べましたけれども、実際農地までも売っている農家の方もいるわけであります。いろんな実態もございます。本日は時間もございませんので申し上げませんが、こういうことを考えますと、やはり大規模の計画、その中でいつも悲しい思いをさせられるこの農民の立場に立って、その土地で農業を営む方々の補償ということをあらゆる角度から検討するということが必要ではないか、このように痛感しているわけでありますが、農林大臣の御所見はいかがでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先般、私もあの地域一帯を見せてもらってまいりました。一つには、やはりいまのようなわが国の経済の状態でああいう地域を物色して、これは県が主として大きな計画をお持ちになる、したがって、地元の方々と十分協議をされたようであります。しかし、個々別々の農家の方々にとっては、いま御指摘のような問題もあるかと思いますが、続けて農業をやりたい者については、先ほど申し上げましたとおり、それを助成するようにいたしますが、さらに私どもといたしましては、やはり他産業に転換して、そして所得を増進していくような方向にできるだけ誘導してまいりたいと、こういうことでございます。あの地域は、まだこれからほんとうの計画を立てるわけでございます。ただいまお話しのようなことにつきましては、農林省といたしましても関係各省と相談をいたしまして、計画が進められる段階においては十分私どもの立場で考えてやってまいりたいと、こう思っております。
○藤原房雄君 次は、水産関係のことについてお伺いしますが、近年の水質汚濁のために全国の漁場が汚染され、漁民の被害を訴える声が全国に広がっているわけであります。この沿岸漁業といいますか、漁場の公害の被害の状況、これは昨年の夏だと思いますが、水産庁で総点検をするというお話がございましたが、もしその結果がまとまっておれば、それをあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) 最近、工場の排水でありますとか、あるいは廃棄物の投棄、あるいは船舶からの油の流出等によりまして相当な漁業被害が出ておりまして、最近の一年間の被害額は、これは都道府県からの報告でございますが、海面で百二十六億円、内水面で二十三億円という、約百五十億にのぼっておる状況でございます。そこで、私ども昨年の九月から全国で漁業環境の悪化が見込まれるような地域につきまして、あらかじめ水質の保持と漁業環境の維持回復に必要な対策を推進いたしますために、漁場の総点検をいたすことにいたしまして、各県に委託費を配りまして、全国でおよそ二百三十ほどの区域、海面で約百四十ほど、内水面で九十地域について水質、底質それから水産動植物への重金属類の蓄積について調査を実施いたしたわけでございます。この重金属類の蓄積——カドミウム、水銀などにつきましては、まだ分析が各県で終わっておりませんので、総体的な判断を下すにはなお若干の時間がかかるわけでございますけれども、いままでに行なわれました中間的な取りまとめに従いまして、CODあるいはBODで水質の汚濁の状況を見ます限り、大体半数程度の水域において水質の汚濁が相当進行しておる、そういう結論でございます。私どもこの調査の結果が、重金属類の分析等を終えまして総合的な判断ができますならば、県に対しまして水産庁の立場から必要な措置をとるように県と十分相談して指導援助をいたすつもりでおります。
○藤原房雄君 この公害の被害を受け、そこで問題になるのは、いつも補償の問題でありますが、この補償は企業との間の話し合いということでありますが、なかなかこれは漁民の思うようにはいきません。どこに行っても聞かれることは補償問題でありますが、国は補償のことにつきましては積極的に取り組んでいかなければならないと思います。この問題につきましても今日までいろいろ議論されてまいりましたが、この補償の問題につきまして、十分の補償をすべきであるということとともに、もう一つは、漁業権のことからいたしまして、漁業組合に一括して加害者から補償される、漁業組合が今度は各漁民に分配するわけでありますが、これがなかなか公平に納得のいく分配がなされていない。こういうことで、四十五年十一月二十一日ですか、水産庁の漁政部長から、漁業補償金の配分についてという通達が出されたというのでありますが、現実はなかなかこのルールというものは守られていない。こういう点で、十分に漁業補償の問題については指導をしっかりしていただきたい、こう思うわけでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) 各種各様の事情で漁業補償の問題が年々相当な件数に及ぶわけでございますが、一々役所が補償に立ち会ったり、あるいは助言をするということもいかがかと思いますので、私ども、原則としての漁業権補償の補償金を得た場合の組合の中における処置、少なくとも配分委員等を選んで客観的な根拠に基づいて十分、組合員からあと非難が起こらないようにしてくれということで指導をいたしておるわけでございます。これらにつきましては、今後とも十分県庁と連絡をいたしまして、適正な補償金の配分が行なわれるように私どもも努力をいたすつもりでおります。
○藤原房雄君 次は、基地公害についてちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほどお話のありました、むつ・小川原湖のすぐそばにある三沢市の天ケ森射爆場でございますが、ここにおる半農半漁の漁民の方々がたいへん基地公害に悩んで訴えておりました。沿岸を回遊する魚群がジェット爆音によって四散し、漁獲高が著しく減少して漁業経営に重大な打撃を与えておるという訴えでありますが、防衛庁といたしまして、これに対して補償しておるようでありますけれども、その補償の算定の根拠といいますか、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 施設庁の行なっておりまする漁業補償については、駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱及び漁船の操業制限法に基づく損失補償額の決定に関する実施規程、これに従って適正に算定しておるはずでございます。詳細は政府委員をして答弁せしめます。
○政府委員(島田豊君) ただいま大臣から御答弁ありましたように、駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱の第二十条、それから漁船の操業制限等に関する法律に基づく損失補償額の決定等に関する実施規程、これは総理府訓令でございますが、それの第三号のイの規定によりまして、漁業の制限によって生ずる損失につきまして、漁業の制限期間内におきます平年の漁業所得額、つまり平年と申しますのは制限がない場合、状態のことをいうわけでございますが、その平年の漁業所得額から制限時、つまり制限がある状態、これの漁業所得額を差し引いた額の八割をもって補償額とする、こういうことになっておるわけであります。そこで、その制限時の漁業所得額につきましては、制限時の粗収入を漁業の種類別にそれぞれの組合の水揚げ台帳などから調査の上確定いたしまして、この制限時の粗収入から当該粗収入をあげるに要した経営費を控除いたしまして制限時の所得額を算出いたします。平年の所得額につきましては、漁業の種類ごとに制限面積などをもとにいたしまして、全漁場に対する制限水域漁場の依存割合を求めまして、そして制限時の粗収入から平年の粗収入を推定いたしまして、この平年の粗収入から当該粗収入をあげるに要する経営費を控除した、つまり平年の所得額を算出をする。そしてその平年の所得額から制限時の所得額を差し引きました額の八割を補償をする、こういう基準になっているわけでございます。
○藤原房雄君 まあいろいろな規定があってなさるわけでございますが、現地の漁民の方は実際年間二千円か三千円というような方もいらっしゃいまして、まあ個々の場合を見ますと、非常に不満がうっせきしておる、こういうことが言えると思うのです。 次は、報道による施設庁方針によれば、射爆場の管理を地位協定二条の四項の(a)による米軍管理から、二条の四項(B)の自衛隊管理に移管するというようなことが言われておりますが、この点について確かめておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三沢射爆場は、三沢飛行場の関連施設として現在まで米軍が使用してまいりましたが、三沢基地のファントム戦闘機は本年六月までに韓国に移駐することになっております。したがって、本施設の使用の態様にも変化が予想はされますけれども、本施設が日本側に返還されるかどうかはまだ確定しておりません。これは今後の折衝に待つ問題でございますが、われわれとしては日本側に返還されるように努力してみたいと思っております。
○藤原房雄君 政府は今日までこの地位協定の改定の必要ということ、必要と考えているということをよく言われておったのでありますが、今後のこの現行の地位協定の適用、現行のままでの地位協定の適用というものは非常に困難な何点かが浮かび上がってきているわけでありますけれども、地位協定の改定、これを考えているかどうか、お伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、できるだけわがほうに返還してもらおうと、返還が実現すれば、それが地位協定の改定というものにつながっていくわけであります。現在は三条使用による分と、それから二条四項(a)によって自衛隊と米軍と共同しているところと、そういう部分からなっておりますけれども、まあわれわれといたしましては、ファントムがあそこで機能しなくなればわがほうに返還してもらいまして、それに伴いまして、先方と合意の上で地位協定の問題についてもわれわれの要望を満たすように努力していきたいと思っております。
○藤原房雄君 この基地の射爆場については、現在もなお射爆訓練が行なわれているわけでありますが、米軍及び自衛隊の使用頻度と、それから射撃訓練の内容、この点についてお伺いしたいと思います。米軍についてはファントムによるナパーム弾の実験が、投下訓練が行なわれたと、こう言われておりますが、自衛隊についてはどうか、その点についてもお伺いしたいと思います。
○政府委員(島田豊君) 昭和二十七年の六月の日米合同委員会におきまして定められた使用条件によりますと、使用の火器は機銃弾、ロケット弾、ナパーム弾及び模擬爆弾、こういうことになっておるわけでございます。使用の頻度につきましては、米軍がその使用のつど発表いたしませんので、われわれとして的確な数字を把握いたしておりませんが、四十五年度におきまして自衛隊が約三千五、六百回使用いたしておりますので、それ一から推定いたしまして、米側もほぼ同様数の使用頻度でなかったかというふうに推定をいたしておるわけでございます。ナパーム弾につきましては、三十七年の九月から四十四年の五月まで、大体年間五回程度、展示演習という形でナパーム弾の使用をいたしておると、こういう状況でございます。
○藤原房雄君 それから同射爆場の米軍使用については、地位協定の第二条の一項の(a)に基づいて使用協定が結ばれているわけでありますが、この、使用協定、これはある程度は地元民の方々も知っておりまして、この訓練時における進入方向という、こういうことなんかもいろいろ観察している人がおります。何せたいへんな爆音のために日常生活がたいへん乱されておるという、こういうことからいたしまして、いろいろなことを研究しているのではないかと思います。私もその方から写真をお借りいたしましたけれども、ほんとうにこの写真からいたしまして、使用協定の進入方向に違反しているのかどうか、守られているかどうか、非常に疑わしいという状況も私なりに感じておるわけでありますが、この種のことから考えますことは、使用協定における違反があった場合は、一体どういうことになるのか。また、地元住民を守るために、この使用協定を守らせるための監視体制といいますか、そういうものは現実あるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(島田豊君) 日米間で使用条件が合意いたしておりますので、その使用条件に違反して行なわれるということは万々ないと思いますけれども、もしそういうことがかりにありとしますれば、それは当然米側に対してわれわれとしても十分注意を喚起をいたしていくつもりでございます。
○藤原房雄君 先ほどお話しございましたように、三沢基地から米軍が移駐することになりました。でありますから、また様子も変わってくるわけでありますが、三沢のようないろいろなケースが日本のほかの基地に考えられるわけで、そういう憂いからいろいろなことをお聞きしているわけでありますが、最後に、基地の司令官は、特別の事情のない限り天ケ森射爆場は使用しないという意向が伝えられておるわけであります。地元民の方々も、この射爆場の移転ということに対しましては非常に強い熱意を持っておりまして、三月十五日の三沢市議会の本会議におきましても、この三沢基地の自衛隊移駐に対する反対と、天ケ森射爆場の早期移転ということを満場一致で決議したということが言われております。この地元住民のこの意思に沿うように何らかの形で考えなければならないと思いますし、地元民に説得させる、納得させる説明というものがここになされなければならないという一つの転機が来ているのではないか、このように思うわけであります。自衛隊の移管だけでは基地の問題は解決しない。こういう観点から防衛庁長官の考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛上の必要と、それから地元の皆さん方のいろいろな御要望とをよく調整いたしまして、私といたしましては、地元のいろいろなお考えについてもよく留意いたしまして処理していきたいと思っております。
○藤原房雄君 秋田、青森、東北方面の問題、いろいろ地元の声を中心にしまして訴えてまいりましたが、地元でまた農業問題や、基地のことや、公害のこととともに、問題になるのは出かせぎ労働者の問題であります。出かせぎ労働者のことについて、この定義といいますか、出かせぎ労働者の問題についていろいろ意見があったわけでありますが、労働省と農林省といろいろお話し合いをしたということでありますが、その見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 出かせぎの定義等、必ずしも明確でなかったのでございますが、昨年の五月、農林省と協議をいたしまして、一応きまったのは、一カ月以上一年未満居住地を離れて他に雇われて就労する者であって、しかもそれが終わりますと、自分のところに帰って家業を営むというふうな者を出かせぎ労働者の範囲とするということになりまして、今後ともこの定義のもとに出かせぎ者の労働対策につきましては積極的な対策を講じてまいる考えでございます。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま労働大臣からお話がございましたけれども、私どものほうも労働省と十分打ち合わせまして、いわゆる出かせぎ対策についてできるだけのことをいたしておるわけでありますが、いまお話のございましたように、東北の方は特に多いわけでありますが、そこで私どもは、できるだけ農業の近代化をはかって所得をふやすということも大事でありますが、いまは国会にお願いいたしておりまする工業導入というふうなことをやりまして、とにかく方針としては規模を拡大いたしていくたてまえでございますけれども、何と申しましても、やはり余剰の労働力をかかえた兼業者のような方がたくさんおられるわけであります。その方々の地元における雇用機会を増大するということが一つであり、もう一つは、やはり農業所得をふやしていくということが大事なことであります。しかも、なお余った労働力を効率的にお使いになろうというお考えの方が出かせぎに出られるわけであります。したがって、そういう方々には福利施設、その他についても私どもはできるだけ政府として努力をいたすことが必要ではないかと、このように思ってるわけであります。
○藤原房雄君 先ほどの定義といいますか、それに基づいて現在掌握しておる出かせぎ労働者の方はどのぐらいいらっしゃるか、さらにまた、それらの方々で、出かせぎ労働者の方々の労働災害、それから賃金不払い、行くえ不明、こういうことでときおり社会問題を起こしておりますけれども、この現況をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 出かせぎの数は必ずしも明確でないのでございますが、まあ多く見ましても六十万人ぐらいと言われておりますが、はっきりしたものはいろんな見方でもって違っております。大体出かせぎ手帳等によって見ますると、やはり四十万内外というふうに考えられますが、しかし、四十万人から六十万人の範囲であろうと、大体五十万人ぐらいではないかというふうに推定いたします。 ところで、御指摘のように、労働災害の問題につきましては、出かせぎの方々がかなりの労働災害を受けている。あるいはまた、賃金の不払いで非常に苦しめられておる者も少なくないということを考えますときに、こうした労働条件や、そういった賃金不払い等の問題につきまして対策を講ずる必要はもとより当然でございます。そこで労働省としましては、この問題につきまして、特に一番問題の多いのは建設業界に働く方々でございます。労働基準法等に定めております最低基準を確保しながら、重点的は監督指導を強化してまいっております。特に労働災害の防止につきましては、工事現場の機械設備の安全性の確保はもちろんのことでありますが、危険作業に対する未熟練労働者の就業を制限をするとか、あるいは安全教育、衛生教育の実施をいたしまして、就業前に安全規則等をよく覚えさせる必要もございます。あるいはまた、健康診断でございますが、元請、下請等も含めた総合的な監督指導を現在実施をしております。 また、賃金の不払いの確保につきましては、労働者及びその家族の生活に直接影響するところが大きいのでありますから、かねてから行政の最重点事項として監督指導の強化につとめておるところでございまして、特に公共事業発注機関等に対しましては、元請も含めまして、そういう不払い等の問題がございますれば、直ちに通報制度を実施をしております。あるいは業者団体等によりまして、賃金の支払い保証制度の普及を進めておりますが、現在約十四ほどの賃金支払い保証制度を設けたものがございますので、やがてこれは全国的な機関として、こういう賃金の支払い保証を責任を持って元請、下請等が行なえるような体制に進めてまいりたいというふうに考えております。 また、出かせぎ労働者の労働条件の確保につきましては、建設業を中心としまして、これらの実施につきまして今後とも総合的な対策を進めてまいる考えでございます。
○藤原房雄君 原前労働大臣が、出かせぎ労働者の対策のために法律をつくるということをかつておっしゃったことがありますが、検討なさったかどうか、お伺いします。 〔委員長退席、理事自井勇君着席〕
○国務大臣(野原正勝君) 伺っておりますが、これに対しましては、やはり労働基準法あるいは労働のいろいろなさまざまな職業指導の問題や、あるいは出かせぎ労務者に対する職業訓練の問題等々、あらゆる総合的な施策を講じて、初めて出かせぎ労務者の対策は講ぜられるわけでございますので、そういった点で、特に出かせぎ者に対する特別な法案を制定するというまだ段階になっていないわけでございます。特に最近は、総合農政の関連におきまして、かなりたくさんの出かせぎ労働者が出ておりまするし、また、その対策としましては、農村地域における工業の導入を積極的に進めていく対策もこの国会に提案を見ておりますし、また、労働省としましては、かねてから離農対策のためのいろいろな相談員制度を設けまして、あるいは農村人材銀行等も相当の数を設けまして、出かせぎ者の方々も含めまして対策を講じておる段階でございます。そういった面で一段と農村地域における労働力の導入あるいは活用に対しましての対策をきめこまかに実施をする段階でございます。また、職業訓練等につきましては、訓練手当を支給するとか、また成人訓練、いろいろな面で対策を講じていこうということでございまして、まだ特に出かせぎ者に対する法案を用意するという段階にはなっておりませんが、おおむね現在の対策がそういった目的を十分に果たし得る段階であろうかと思っておりまして、この政策を積極的に進めてまいる考えでございます。
○藤原房雄君 労働省としては、この健康診断のことにも留意しているというお話でありますが、出かせぎから帰ってきますと、帰ってきた段階では農林省の管轄になるのだろうと思いますが、この出かせぎに行った方々の健康診断、健康管理ということについて農林省はどう考えていらっしゃるか、この点ちょっとお伺いしたいと思いますが。
○政府委員(中野和仁君) 現在農林省におきましては、就業近代化対策という予算によりまして、たしか四十六年は一億五千万程度でございますが、特に出かせぎ地帯につきましては、就業、就労前に健康上の留意をしてもらうということの周知徹底と同時に、帰ってまいりました人方のためには、労働省の出先機関とも話し合いをするようにということで農業委員会に指示しておりまして、定期的にも健康診断を受けるように指導をしているわけでございます。
○藤原房雄君 それから、この出かせぎ労働者の方についての問題として、職安を通す、通さないという、こういう問題もあるわけでありますが、労働省の資料によりますと、およそ三割は職業安定所に届けてない、こういわれておりますが、どういうところに理由があるのか、この点どうお考えか、お伺いします。
○国務大臣(野原正勝君) 出かせぎ者が職安を通すのはだんだんふえてまいっておりまして、現在はおそらく三五%以上になっていると思いますが、それにしましても、いろんな縁故等で参っておる者が少なくないわけでございます。それはやはり、長く出かせぎを続けておりますというと、縁故ができてまいります。特に、岩手県を例にしてはどうかと思いますけれども、まあ気仙大工という、大ぜいの方々が特殊な技能を持ちまして、たくさんの建設事業に従事しておる。出かせぎ者とはいいながら、実は気仙大工という名さえもらって、特殊な技能労働者として働いておる、こういうものは、すでにもうある程度定着的に出かせぎをしておるというような状況も見受けられるわけでございます。同時にまた、岩手県からは、たとえばお酒屋さんの杜氏という仕事、これなどもかなりたくさんの人たちが出ておりますが、これもすでに全国の酒屋さんの仕事に年期的に、定期的に契約をしておるというふうなことで、やはり職安を通さなくてもやっておるというふうなこともあったりして、いろんな点でそういうような、必ずしも安定所を通さなくても、十分な、安定した職業に従事しておる者が少なくないということもいえるのであります。しかしながら、そうした安定機関を通さずして就職したというようなものが、ときとしてやはり労働災害にかかったり、あるいは賃金不払いというふうな問題に直面しますると、やはり非常にむずかしいことになりますので、つとめて職安を通したり、あるいは職安と十分な連絡のもとに、勤労者の方々の対策に遺憾なきを期したいというふうに考えております。これは漸次、安定機関を通すような傾向になってまいりましたことは好ましい事態でございますが、まだまだ十分でないということはいえると思います。 〔理事白井勇君退席、委員長着席〕
○藤原房雄君 それはほんの一部でございまして、実際は、職業安定所といいましても、これは一つ一つの村にあるわけではございませんので、非常に、届け出るということでございますけれども、たいへんなことなんです。 もう一つは、健康保険の二重加入といいますか、健康保険の問題もよく話題にのぼるわけでありますが、これもまた、出かせぎにいくたびに役所に届け出るということのために、加入、脱退、こういうたびにこの問題が起きてきます。こういうことからいたしまして、届け出る人が少ないとか——多くなったといっても三五%ですから——それから健康保険の二重加入といいますか、こういう問題が起きるというのは、やはり現在の出かせぎ労働者の生活の実態に合わないという、そういう面があるのではないか、こういう点をよく考慮してあげなければならないと思うのですが、厚生大臣、どうですか。
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるように、二重加入の実情がたくさん残っておるようでございます。しかしこれは、それだ日雇い労働者の方々にとりまして保険料の負担が二重になるわけでありますから、出かせぎというものがあります限りにおきましては、やはりつとめ先の職場の健康保険、あるいは場合によりましては日雇労働者健康保険などに入られます場合には、そのことを出身地の市町村に届け出をしていただいて、健康保険のほうの保険料をなくなしてもらう、こういうことをして二重の支払いを防ぐように、ぜひしていただきたいと思います。なお、このことについては、十分私どももその趣旨を徹底させるようにしなければならないと思います。これはやはり職場の保険のほうが、もちろん本人は十割給付でございますから有利でございますので、手続はそれだけめんどうのようでございますけれども、郷里の市町村の保険に入っておって本人七割給付ということよりも、本人にとりましてはいいことでもありますので、そのことを、手続はやっかいでも、徹底をさせていくほうがいいと私は考えております。
○藤原房雄君 この出かせぎ者の多い地方に対する、地方自治体の問題でありますが、現実に出かせぎ労働者が多いということは、人口流出ということではない、これは住民登録があるわけでありますが、現実に生活の場が移っている。これは直接間接その地元に大きな影響を及ぼすことは、これは当然だと思います。過疎地域に対する対策は講じられておりますが、過疎とは、これは人口流出という観点とは違うかもしれませんが、このようにいろいろな角度から考えますと、何らかの形で出かせぎ労働者が多い——一〇%と見るか、一五%と見るか、その比率はいろいろあると思いますけれども、この出かせぎ者の多い市町村に対しましては、過疎地域指定の対象と同じようなものを考えられないかどうか。こういう点を、非常に訴えがありまするし、そう感じているわけでありますが、この点につきまして、自治大臣と大蔵大臣にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(秋田大助君) 出かせぎは、お示しのとおり人口の流出ではない。しかしそれに類し、実態が過疎地域の指定を受けてもいいような地域が多いわけです。しかしながら法規上過疎対策が、法規上のいろいろの優遇措置が講ぜられない地域、これを一体どうするか、これにつきましては、ひとつ交付税上の措置をもちまして、こういう地方公共団体のいろいろ財政需要に応じたい。この点につきましては、今後前向きに積極的に、この線を検討してみたいと考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御指摘の地域ですね、そういう地域につきましては、あるいは山村振興対策でありますとか、あるいは過疎対策だとかいうふうに、いろいろな対策がとられておりまするが、そういう対策をとる場合に、出かせぎという要素を、これは過疎現象、そういうふうなものと相通ずる要因があるような感じ、ただいまお話を承って特にそういう感じを持ちますので、いま自治大臣からもお話がありましたが、ああいう方向でひとつ検討してみたい、かように存じます。
○藤原房雄君 総合農政で一環とし、また最近の米の過剰問題からいたしまして、稲作から酪農に切りかわるという、こういう点は非常に進められておるわけでありますが、その点からいたしまして、この酪農問題について二、三お伺いしたいと思います。 最初に、最近なま乳の生産が、伸びが少し落ちているように思うのでありますが、この点についてはどんな原因か、また今後の見通しについて、農林大臣、お願いいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) 生乳はお話のようにちょっと落ちましたが、また最近は回復してきておりますが、その一つには、やはり例のBHCのようなものが混入いたしておるというふうなことも伝えられたりなぞして、若干警戒を持たれた、そういうこともあるかもしれませんが、したがって私どもといたしましては、御存知のようにこれを使うことを禁止をいたしておるようなことでありますので、逐次この需要は伸びてまいるものである、このように見ております。
○藤原房雄君 昨年二回も輸入配合飼料が値上げになった、こういうことで、たいへん酪農家の経営というものが苦しくなってまいりました。こういうことからいたしまして、自給配合飼料の供給に力を入れるという、また草地改良事業というものが大事じゃないかと思いますが、現在の現況、それから、自給飼料の基盤の実態といいますか、この概略御説明願いたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 昨年、配合飼料価格が二回にわたりまして引き上げられましたために、牛乳生産費中の飼料費が増高いたしておることはお話のとおりでございます。そこで、一方多頭飼育経営の伸展等によりまして酪農経営の生産性も著しく向上してまいっておるものと考えられますし、また酪農生産者の引き続く合理化の努力も加わってまいっております。この値上がりが直ちにそのまま生産費に反映いたしておるとは言えない面もあると考えておりますが、私どもといたしましては、飲用向け牛乳価格そのものにつきましては、各地域の需給の実勢に応じて取引当事者間の交渉を通じて決定せらるべきものであると考えておりますが、いずれにいたしましても、この問題の処理にあたりましては、関係者がよく話し合われまして酪農、それから乳業の健全な発展に資するような方向で対処するように期待いたしております。来年度の加工原料乳の保証価格につきましては、今月末の畜産振興審議会において鋭意諸君の御意見を聞いた上で、答申を尊重して決定してまいりたいと、こう思っております。
○藤原房雄君 この草地改良事業の面についてはどうですか。
○説明員(斎藤吉郎君) 草地改良の関係でございますが、いわゆる自給飼料の基盤整備ということで、いわゆる草地開発事業につきましては、昭和五十二年におきます草地の面積を約五十一万ヘクタール、こう見込みまして、このため国営、都道府県営、あるいは団体営の草地開発事業、さらに共同利用模範牧場の設置事業、さらに飼料基盤の整備の特別対策事業といったような諸種の事業を行ないまして、この草地造成の改良を計画的に進めてまいるということにしております。なお、昭和四十四年度までにこのうち約二十五万ヘクタールの草地が造成されております。さらに既耕地におきますところの飼料作物の作付についても、昭和五十二年には約九十八万ヘクタールを見込みまして、飼料作物の増産対策事業を推進してまいるということにいたしております。昭和四十四年度におきます飼料作物の作付面積は六十一万ヘクタールに及んでいるのが現在の状況でございます。 さらに米の生産調整対策の一環といたしまして、昭和五十年度までに水田二十万ヘクタールに飼料作物を積極的に導入いたすということによりまして、これらによりまして自給飼料の生産基盤の整備拡充をはかってまいるということでございます。
○藤原房雄君 この積極的な草地改良と言いますか、また国有林の利用という、こういうことも叫ばれるわけでありますが、いろいろ聞く強い声は、実際借りましても傾斜のひどいところであったり、また貸し付け料や幼齢木補償料が非常に高かったり、こういうことで、なかなか思うようにできないということが聞かれるのでありますが、この貸し付け料とかまた幼齢木補償料という基準はどうなっているのですか。
○政府委員(松本守雄君) お答えいたします。 貸し付け料は、昨年農地法が改正されまして、標準小作料、また近傍類地の価格を勘案をいたしまして、決定をいたしております。もう一つ幼齢立木の補償料ということでございますが、大体費用価——費用価の複利計算で計算をいたしております。以上でございます。
○藤原房雄君 積極的にひとつ国土利用という上から進めていただきたいと思います。 次は、先ほど大臣もお話ししておりましたが、BHCの影響というのは非常に大きいわけでありまして、きのうもまたBHCの使用に対するきびしい態度というものがお話があったわけでございますが、しかしまあ林業につきましては、余ったものについては使用するというお話でございます。この点につきまして、やめるならばいっそのこと全部やめてしまうということが本来のたてまえじゃないかと思うのでありますが、このBHCにかわる薬品の開発ということは現在行なわれているのか、その結果がもしありましたら御報告願いたいと思います
○国務大臣(倉石忠雄君) 技術的なことはあとで林野長官から申し上げますが、たてまえとして私どもはBHCは一切使わない、こういう原則でございまして、いまお話の林野の関係、たとえばマツクイムシ、ハエ等につきましていろいろ実験をいたしておりますが、まあ専門家の経験によりますというと、もうちょっとこれを使って、そしてその間に開発をしたい、こういうことでございまして、間もなく私どもの考えているようになると思います。
○政府委員(松本守雄君) 森林に対するかわりの薬はないのかというお話でございますが、けさ先生のお手元に実験をやりました資料を差し上げましたが、まあそういった実験を四十五年、六年、二年計画で林業試験場とそれから県の林業試験場で、いま実施中でございます。それによりますと、マツクイムシの防除に関するかわりの薬が開発をされる見込みでございます。もう一つタマバエというのがございますが、このタマバエはまだいまのところはっきりとした見通しはございませんが、それでもダイヤジノン、こういった薬をいま実験中でございまして、これももうしばらくで、しばらくといいますが、今年内には何とか実用化できるのではないかというふうに考えております。
○藤原房雄君 この研究データからいたしまして、相当の効果があるという結果が大体うかがわれるわけでありますが、おそらく慎重を期していろんな角度からなさるのはけっこうでありますが、せっかく勇断をもってBHC使用を禁止しておるわけでありますから、全部これをやめてしまうという原則ではなくて、一切使わないということが望ましいことだと思います。チクロ入りのかん詰めにいたしましても、これと比較するのはどうかと思いますが、現在やはり一応製造は中止になっておりますが、小売り店や問屋には売れずに山積みになっておるという、こういうことからいたしまして、各農家にある、また在庫がある、これは使わないんだといいましても、手近にあればどうしても使わざるを得ない。また、放牧ということからいたしまして、近くではやらないということでありますけれども、やはり汚染の一つの原因になるという危惧も出てくると、こう思うわけであります。その点につきまして、ひとつ鋭意努力していただきたい。早急に、全面禁止という、一切使わないという明確な姿を一日も早くとっていただきたいと、こう思うわけであります。 最後に、牛乳ですが、最近は、ビタミン入りとか、ミネラル入りとか、添加物の入ったものが非常に多い。加工乳、これは飲用牛乳の中の五割も占めているということでありますが、はたしてこれがわれわれの健康にどれだけの影響を持っているかという点を考えますと、いろんな学説があるようであります。添加物の問題は私どもは、いろいろな角度から研究いたしまして、どうもこれは乳業メーカーのための方法、施策としか思えない。やはり、消費者という、また健康という上から考えますと、これは好ましいことではないと、こう思うわけであります。イギリスの食料・薬品法によりますと、第一章の第一条に、これは「何人といえども、人間の消費用に食品を販売するときそれが健康に害を及ぼすようにして添加物を加えたり、食品を調理する際成分として何かを使用したり、食品から成分を抽出したりあるいは食品に他の加工や処理を加えてはならない。」というように、厳格にきびしく規制しております。新鮮なそして栄養のあるなま乳をそのまま飲ませるということが非常に望ましいことであり、本来そうでなければならないと、こう思うわけでありますが、日本の現状はそれから遠い現状であります。この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(浦田純一君) 御指摘のように、日本では、一般の牛乳のほかに加工牛乳についての規制が設けられ、また加工牛乳が市販されておるという現状でございます。これは、いきさつを申しますと、昭和二十五年にただいま食品衛生法に基づきます施行令をきめる際、従来からございましたこれらの加工牛乳を、衛生的な見地から新たに規制の対象にして、いろいろと基準をきめたわけでございます。ただいま微量の栄養素あるいはミネラルとして入っておりますものは、あるいは御指摘だったかと思いますが、ビタミン類、ビタミンのA、ビタミンB1、B2、D、それからミネラルといたしましては鉄あるいはマグネシウム、こういったようなものでございます。決して消費者の便を考えずにメーカーの便だけ考えたといったようなことではございませんで、戦後の非常に食糧事情の乏しかった、窮屈だったおりに、いろいろとビタミン類を強化するといったようなことが食品関係で見られたわけでございます。その後栄養状態も改善されてまいりましたし、食品の流通も非常に豊富になってまいりましたので、これらの微量栄養素の添加ということについては、慎重に将来の問題として検討してまいりたいと思っております。
○藤原房雄君 厚生大臣、これは早急にひとつ研究して対策を講じていただきたい、こう思うのですが、最後に決意をお願いしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私は、時代も変わってまいりましたし、またいろいろ栄養も豊富になってまいりましたので、いま政府委員からお話がありましたとおりでございまして、昔やったことがそのままいいということであってはならないと思いますので、十分これらの問題につきましては考えてまいりたいと思います。
○委員長(古池信三君) 以上をもって藤原君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(古池信三君) 次に、萩原幽香子君の質疑を行ないます。 質疑に入るに先立ちまして、御出席をいただきました我妻参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日はお忙しい中を、かつお足のお悪いところを、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 委員の質疑にお答えいただくという形で御意見をお述べ願いたいと存じます。萩原幽香子君。
○萩原幽香子君 先ほど委員長のほうからごあいさつを申し上げましたが、私も、たいへんお忙しいところをお差し繰りいただきまして、御出席いただきました我妻先生に厚くお礼を申し上げる次第でございます。あわせまして、この件につきまして、あたたかい御配慮をいただきました委員長はじめ諸先生方にも厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。 質問に入ります。本年一月四日付の朝日、毎日、読売の各紙が筆をそろえて妻の座の強化を掲載されました中に、法制審議会身分法小委員会が夫婦財産制について検討されることになったと報じておりました。このことは、同小委員会が積極的に問題をお取り上げになりましたのか、それとも法務省が諮問なさいましたのか、この点まず法務大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。 先年、夫婦財産制等の問題につきましていろいろ法制審議会の中に論議、審議を、研究を始めてもらっておったのでありますが、その後、財産法上の問題で先に急いで結論を得て、審議をして結論を得たいというものがございましたので、それのほうにしばらく取りかかるために、夫婦財産関係の問題についてはしばらくおくらしておったのであります。主としてその問題は、今回なおわれわれ当局におきまして研究中でございますが、根抵当の問題が時局柄どうも必要が迫られてまいっておりますので、その研究等にやや時間をとったわけであります。ようやくそのほうも審議会としても結論を出していただきましたので、われわれといたしましては審議会御当局にお願…をして、そうして今度は夫婦財産制の問題等も加えて、広い意味におきまして身分法上の問題もあわせ考えながらいろいろ御研究を願いたいと、こういう方針でおります。幸いにして、それがまた新年度早々にこの小委員会をつくっていただいて、そこで審議を始めてくださる段取りに相なりました。以上、御報告いたします。
○萩原幽香子君 昭和四十一年以来中断をされておりました委員会が開催されるに至りました経過と検討の目的をも少し具体的にお伺いを申し上げたいと存じます。
○国務大臣(植木庚子郎君) 政府委員をして説明させます。
○政府委員(川島一郎君) お答え申し上げます。 法制審議会というのは法務大臣の諮問機関でございまして、これはだいぶ前、昭和二十年代にできたわけでございますが、戦後は民法が改正されまして、身分法が大きく変わりました。そのあとで、この新して改正後の身分法の規定の適用の状況を再検討する必要があるということで、法務大臣から民法全般に関する諮問がありました。これに基づきまして法制審議会では民法部会を設けまして、さらにその下に身分法小委員会というものを設けまして、そこで民法の身分法に関する規定を初めからずうっと規定の順序に従いまして検討をしてまいったわけでございます。そうして大体その検討が親族編を終わりまして相続編の初めに入ったところで、ただいま大臣が申されましたように、財産法の緊急な仕事が出てまいりましたので、しばらく身分法の審議を中断しておった、こういうわけでございます。そうして昨年財産法の関係で根抵当の問題が片づきましたので、民法部会としては再び身分法の問題を並行して取り上げていきたいと、こういうことになりまして、昨年の十二月に民法部会を開きましたときにそのことをおはかりしたわけでございます。その席上で、今後身分法を再開するとして、どういう問題を扱うかという点について各委員の御意見を伺ったわけでございますが、そのときに問題になりましたのが夫婦の財産の問題、それから親子関係の問題、それからまあ相続関係についてもなお検討をし残してある部分が相当あるであろうというようなことで、その辺を主として今後検討の対象にしていきたいと、こういうことで再開に踏み切ったわけでございます。
○萩原幽香子君 昨年私が当委員会で、妻の内助の功をどのように評価するのが妥当かとお尋ねいたしました際に、法務省の民事局長さんは、現行の制度を認められながらも、昭和四十三年に内閣総理大臣の官房で世論調査をした際、たとえ妻が無職であって夫の収入で得た財産でも夫婦共有と見るという答えが七二%だったとお答えになりました。さらにその後同じ調査で共有であると答えた者が八六・六%になっているわけでございます。こうした国民の意識を法務大臣はどのように受けとめておられますのか、承りたいと存じます。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。 その問題につきましては、ただいまも御指摘になりました内閣の世論調査の結果、仰せのとおり七二%という結果が出ておりますし、のみならず一般の傾向にもかんがみまして、ぜひともこの問題については至急に検討を遂げていただいて、われわれもまた事務的に十分調査をいたしまして、適正な結論を得たいと思うのであります。と申しますのは、ややまだるっこい申しようをしておりますが、現在の民法上の問題、あるいは相続法の問題等々の関係から考えてみましても、これまたそれぞれの理由があり、またある程度においては現在の制度そのものも相続分の中に、あるいは財産分与の請求し得る規定等の中に妻の座と申しますか、夫婦、配偶者間のいろいろな関係について、相当のやはり考慮が入っておる点も十分あるのじゃないか。それでそれらの点と、さらに最近の世論調査の結果出たような問題等も十分かみ合わせて、そうして行き過ぎにならないように、やはり従来の制度にもまたその制度のよさがあるのでございますから、そのよさも十分反省して、そうして適正な結論を得たい、かように思っておるのであります。われわれといたしましても、ことに私といたしましても、この問題については、最近税法等の問題でも特別なお扱いをなさるようになっております。本年度もまた新しい改正案をお出しになっておりますが、これらもやはり一般の傾向を示す方向に近づいておられるというふうに思いますので、私の所管の問題についても、なるべくこれは前向きに研究をしてみたいと、かように考えております。
○萩原幽香子君 ただいま法務大臣前向きに検討するというお答えでございましたが、昨年私が当委員会で妻の内助の功についてお尋ねいたしました際には、政府は妻の内助の功は、相続権や財産分与請求権で保証されているから、特別の手当ては不要というお答えでございましたんですけれども、植木法務大臣は、それからよほど進んだ形でこの問題をお考えになっていらっしゃるわけでございましょうか。いわゆる相続権や財産分与請求権だけでは、どうも保証がむずかしい、何とかもう少し検討をしてみたいという、そういうお考えでございましょうか。この点はっきりお伺いをいたしたいと存じます。
○国務大臣(植木庚子郎君) その点につきましては、私は前向きに研究をいたします。検討いたしますと申し上げておる意味は、先ほども御指摘の内閣調査の世論調査の結果等に、あるいは一般の空気を見てみましても、これについてはやはり時代がそういう傾向に向かっておりまするし、のみならず、これについては傾聴すべき、あるいは考えるべき余地があるのじゃないかと、こう私は思っておるのであります。しかしながら、現行法の上にもやはりそこに相当程度のこの精神が盛り込まれておりますから、これを何らかその間において、大きな行き過ぎにならないような程度をいかにして発見するかという考え方で私は申し上げておるのでございます。
○萩原幽香子君 ただいまの質問につきまして、我妻先生の御見解を承りとう存じます。
○参考人(我妻栄君) 憲法の二十四条と民法の夫婦の財産関係七百六十二条、それから相続分に関一する九百条というようなものの関係は、大臣がおっしゃったことに大体において賛成であります。つまり憲法が規定している男女の本質的平等という理念は、おそらく民法のいま私があげましたような規定をもっと改正するようなことを要望しておるように見えます。しかし、民法の規定をそのとおりに改めるということになりますと、またいろいろ支障を生じますので、現在の法では憲法の思想が民法の底に流れているという、そういう立場にできておるのでありまして、したがって、民法が憲法違反の規定だと言うことはできない、そういうふうに考えております。しかし、先ほどからの御質問でうかがわれる御意見によりますと、民法を再検討する余地がありはしないかという御趣旨と拝承いたしましたが、その点については大体同感でありますけれども、もう少し具体的に御説明申し上げたほうがよいかと思いますが、それはあとに回しましょうか。それともいま……
○萩原幽香子君 続けて、それでは我妻先生にお尋ねいたします。 先生の親族法を拝見いたしました中に、夫婦の財産の帰属にはおよそ三種類あるとされております。本来的な特有財産、名実ともに夫婦財産、形式的には一方の名義になっているけれども、実質的には夫婦共有財産、こういったような分類をされておるわけでございますけれども、この三番目の実質が共有で名義が一方のものになっているといった財産の取り扱いについて若干のお尋ねを申し上げたいと存じます。 まず第一に、先ほど私は申し上げませんでしたけれども、鳥取のナシ園の話をテレビで見たわけでございます。そのときに夫婦一緒に働いて、最後には、五十年には六百万にしたいといったようなお話、夫婦の涙ぐましい協力の実態でございましたが、そのときに最後に司会者が、奥さんなくしてはナシづくりは成り立たないというわけですね、こういうことを言っておりました。こういったナシ園の場合を考えてみましても、これはおそらく夫名義のものになっているのでございましょう。私の知っている限りでは普通の財産は夫名義になっていると思うわけでございます。そこで夫が死亡いたしましたときに、妻の持ち分というものはどういうふうになるのでございましょうか。いわゆる夫から相続することになりますのでしょうか。それとも夫の被相続分から妻の潜在的持ち分を先に取りまして、あとを子供やその他とともに相続することになるのでございましょうか。まずその点をお尋ねいたしたいと存じます。
○参考人(我妻栄君) 御質問は相続の相続分、御承知のとおり子供があるときには三分の一が妻、あとの三分の二は子供で分けるということになっておりますが、その妻の三分の一というのはどこからきたんだということにもなるだろうと思いますが、大学の講義のようでたいへん申しわけありませんが、非常に具体的にお答えいたします。たとえば夫婦と子供が五人ありまして、遺産が三千万円であったといたしましょう。そうすると、妻は三分の一で一千万円、あとの残り二千万円は五人の子供が相続しますから四百万円になりますね。これを、考えようによっては、三千万円の遺産のうちの二割は妻の内助の功によるものだとしてまず妻に与える。三千万円のうちの二割、六百万円を妻に与える、そして残りの二千四百万円を子供五人と妻と六人に平等に分けると考えてきますと、一人四百万円になるわけですね。妻も子供と同じように四百万円もらって、そうして最初に取っておいた六百万円を加えてそれが一千万円になるのだというふうに考えますと、妻は二割協力分としてもらうのだという説明ができるだろうと思うんです。しかし子供一人しかいないと三分の二取っちまいから、妻の協力分がないということになります。二人でもだめですね、みんな同じになりますから。そうすると、子供が三人以上あったときだけそれができるのかと、その割合が違ってくるが、どういうことだということになりますと、私のさっき五人あったときの例の説明は実際はぴったり合わないんです。そこでもしこれを徹底的に合うようにするには、妻の協力分を何割にするかということは、子供が一人の場合、二人の場合、三人の場合と全部こまかに刻んでいかないとできないということになります。しかし、それははたして可能であろうか。ことに夫婦の職業がことごとく違ういう場合に全部に共通の割合というものを出せるものかどうかということは、相当困難だろうと思います。外国の立法例を読みましても、この点について妻の特別の働きをまず与えるという制度は、ちょっと私の見るところではないようであります。ただ、妻の相続分というものを子供が一人の場合、二人の場合、三人の場合と、それほどこまかにも刻みませんけれども、子供の数に応じて刻んでおるという立法例はあります。フランスはたぶんそうだったと思いますが、しかし日本は、御承知のとおり、妻は三分の一というのは、子供のない場合も子供の多ぜいある場合もみんな一緒くたにして三分の一としておりますから、あるいはその点なんかには多少考えなきゃならぬ余地があるのじゃないかとも思えますけれども、さてそれをどのぐらいの割合にしたらいいかということになると、相当困難にぶつかるだろうと思います。 それから、ついでに申し上げておきますが、先ほど御指摘のように、夫婦の財産の帰属についていろんな型があると申しましたが、忘れてならないことは、その多くの型を当事者に選択させるということが前提になるのであります。ところが、日本では夫婦の財産関係をどうしたらいいかということを選択する例はほとんどありません。御承知と思いますが、夫婦財産制という制度がありますから、夫婦が結婚する前に、われわれの婚姻中の財産関係はどうしよう、どっちが取得したものもみんな共有にしていこうということも、やろうと思えば可能なのでありますけれども、わが国ではそういうことは実際行なわれておりませんのですね。だから、そのことも考えて、外国にいろんな制度があるということは婚姻当事者が自主的に選択しているんだと、ところがそれに反して、日本では選択する制度があるにもかかわらず、みんながそれを選択していないんだということも、一緒にお考えくださいまして、さてどういう制度がいいかということを、われわれも研究いたしますが、ひとつ研究をしていただきたいと思います。
○萩原幽香子君 私はもっと虫のいい話を実は先生、考えていたわけでございます。先生、先ほど妻の持ち分を二割とると、あとを六人に均分するようなお話をしてくださったわけでございますね。ところが、私はそうではなくて、妻の持ち分というものを先に取ってしまって、あとをいわゆる妻は三分の一、それから、子供たちは三分の二を五人でも六人でも分けると、そういうような私は考え方をもって先生にお尋ねをしておったわけでございます。そういたしますと、子供の数によって妻の、その分が変わってくるということにはならないわけでございますね。先に持ち分を取って、潜在的持ち分を取って、そのあとを妻は三分の一、そうして子供は三分の二と、そういうふうに私は取ることができないものだろうかどうだろうかと、こういうことを私は先生にお尋ねをしておったわけでございます。しかし、先生のお答えで、いま私の考えておりますことと、先生のお考えになっていらっしゃることとは多少違うようでございますので、私のほうも勉強させていただきたいと思いますけれども、私のような考え方もまだ非常に多くの人が持っているということを先生に御認識をいただきたいと考えるわけでございます。 続きまして先生にお尋ねいたします。妻の離婚の際の分与の財産の扱いにつきましてお尋ねをいたします。
○参考人(我妻栄君) 離婚については、御承知のとおり財産分与ということがあります。そうして、その分与の標準としては、夫婦の協力によって得た財産を特に考えろということがここでははっきりメンションしてあります。もっともどれくらいの割合ということは書いてありませんですけれども、それも考えに入れるように言っております。そうしてこれも御承知のことと思いますが、夫婦別かれの場合には慰謝料という考えも加わってきますから、夫婦が協力して取得した財産というものと、それから慰謝料というものとを計算して、その合計額を与えるべきだ。もっと慰謝料というときには、夫が非常に横暴で夫婦別かれをするというときでありますから、そうでないときにはどうしても性格が合わないために夫婦別かれをするので、どっちに責任があるというのでもないという場合もありましょう。そういう場合には慰謝料という観念は出てこないと思いますが、今度は逆に妻のほうが非常にけしからぬ場合がある、慰謝料を出すのは妻から夫のほうに出すべきだというような場合もないでもないでありましょう。しかし、いずれの場合でも協力して得た財産は財産の清算なんだから、これはもうどっちに責任がある場合にも、はっきりと清算すべきだ、そうして、そのほかに慰謝料を与えるなら与えるべきだという考えは、学者がほとんどすべて強く主張しておりまして、家庭裁判所の調停なんかでも次第にそのことがあらわれてきておるように考えられます。それに比較して、先ほどの相続のほうでは、はたしてそこまではっきりとされているかどうか。つまり妻の協力によって得たものは妻に与えて、その残りを私は均分と申しましたが、あるいはそれの残りの三分の一を妻ということにする、そういう思想はあらわれておりません。遺産の分割のほうでは、一切の事情を考慮することになっておりますから、おそらく夫婦が協力して取得した財産かどうかということも、分割のときに考慮はされるだろうと思いますけれども、何ぶんこれは分割方法の規定でありまして、九百六条の規定ですか、相続分はそれによっては動かないというたてまえでありますから、相続分にはそうした趣旨があらわれていないように思われます。またあらわすことがおそらく困難だろうと思われます。 続いて、さっき外国の例ということをちょっと申しましたが、農家なんかに行きますと、長男が父の仕事を手伝って、そうして格別給金ももらわないで、盆と暮とに小づかいをもらうだけだ。ところが次男のほうは東京に出て、金を送ってもらって大学を出たというようなことがありますね。そういう場合も平等に分割するということははなはだおかしいわけです。しかし、日本の民法はそこまでの手当てはしておりません。スイスの民法は、子供が親に無償でお手伝いをした場合には、その分を特に考慮して相続分を定めろという規定がありますが、日本にはそれがありませんですけれども、もし進んで農業に従事した子供に対しては、父親は一日どれだけの給料を払うべきだ、それを払っていないから、借金になって残っているのだというようなところまで理論を進めてきますと、相続のときには長男に対しては長男自身の権利だとして幾分かを与える、そうしてその残りを分けるということもあり得るだろうと思います。そこで、その理論を夫婦の場合にももってまいりますと、妻は当然自分の財産だと言って取るべきものがあるのだという理論までいけるのかもしれませんですけれども、相続というものは、泣く泣くもよいほうを取る形見分けという川柳にもあるとおり、悲しんでおりますけれども、骨肉の争いは相当深刻になります。したがって、相続の制度というものは、余りあるものをしかるべくと言わないで、計数的にはっきりきめておくことが望ましいという一面もあるのです。そういうようなことを考えますと、できれば計数的に妻の相続分を定めたい、しかし、それはなかなか困難だというのが私自身の考えだけではなくて、現在の民法学者の多くが考えていることだろうと思います。先ほどのお答えの追補になりますけれども、申し上げておきます。
○萩原幽香子君 大蔵大臣にお尋ねいたします。 私は、昨年、質疑の際に、先ほど我妻先生にお尋ねいたしましたような、夫婦間の実質共有財産の移転は、形式的な所有名義の変更にすぎないのであって、贈与ではない、したがって贈与税は非課税にすべきだという主張をいたしました。 ところが、このたびの税制改正でもその私の考え方は取り上げられておりません。やはり贈与としてみなされ、単に税の軽減をはかられただけでございます。まあ二百万を四百万とか、あるいは二十五年を二十年とかいったように軽減はされておりますけれども、やはりその税の軽減にのみとどめられております。そこで、どのような根拠で贈与となされましたのか、承りたいと存じます。妻の潜在的持ち分というものはやはり大臣はお認めになっていらっしゃらないのでございましょうか。だからこそ全部贈与だという形でごらんになっておりますのか、こういうことをまずお尋ねをいたしたいと思います。 また、このように私は非常に具体的に問題を提起したわけでございますけれども、それを大臣は税制調査会に諮問をしていただけましたのでございましょうか、どうでしょうか。そうしていただけたといたしますならば、審議の経過とその結論を明らかにお示しをいただきたいと考えるわけでございます。 カナダにおきましては、夫婦間の贈与とは見ておらないということで、したがって贈与税は取っておらないようでございますね。 そこで私は大臣にお尋ねしたのは、先進諸国ではこの夫婦間の贈与というものをどのように考えておりますのか、あわせて承りたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、昨年ここで萩原さんからいろいろ妻の座の税法上の諸問題について御意見を承ったわけです。そういういきさつもありまして税制調査会に、そういう御主張に対しましてはどういたしましょうかということをおはかりいたし、で、ただいまお話しのような改正ということをいたしたんです。 ただ、萩原さんのおっしゃるような根本的なところまでは行きかねる。つまり、わが国の民法が夫婦別産制をとっておる、そして、形式的にはまあ共かせぎというような所得が、所得の積み重なりが形式的にも夫の財産という形にいまなっておる。実質的には何か潜在的に奥さんが協力をされたという、その成果としての資産ではございまするけれども、形式的にはそれが夫の財産であると、こういうふうにいまなっておる。やっぱりこれはもう形式的なものであるかあるいは実質的なものであるか、その共有というものの性格ですね、これを税務当局で判定する、これはまあなかなかむずかしゅうございます。だから、どうしても形式主義によらざるを得ないわけでございますが、その形式主義をとらざるを得ない税制上の立場、その立場の中におきましてもまあ許容し得る最大限ということで四百万円という引き上げを行なったと、こういうふうに御理解願います。 なお、諸外国の法制はどうかというお尋ねと、それから税制調査会における審議の経過はどうであったかということにつきましては、政府委員のほうからお答えいたさせます。
○政府委員(吉田太郎一君) お答えいたします。 まず最初に、税制調査会におきまして、先ほど先生のお話しのような観点も含めまして、贈与税における配偶者のあり方ということを審議したわけでございます。ただ、その結論は、先ほど大臣の申されましたように、基本的にはやはり夫婦財産制度というものをどう考えていくかと。その社会通念というものの最も結集したものがやはり民法であるであろうと。その民法に従って税制を運用することが一番あやまちの少ないことであろうと、かようなたてまえの結論になったわけでございます。 それから、諸外国の税制につきましてもほぼ同様のたてまえで行なわれておるようでございまして、アメリカにおきましては、これは先生御承知かと思いますが、夫婦財産制について夫婦財産の共有制をとっております州と、それから別産制をとっております州がまちまちでございますので、これを統一いたしますために、贈与税のところではこれを二分の一を控除するという形にしております。それから西独におきましては、これは特に配偶者あるいは子、孫という形で控除をやっておるという形でございまして、基礎控除ということで配慮しておるということでございます。フランスはこれも御承知のように夫婦財産共有制でございますので、夫婦財産契約に基づく贈与につきましてはその二分の一にかかる、かようになっております。それから英国につきましては、贈与税というものはございません。ただ死亡七年以内に贈与した財産の価額をすべて相続のときにかける、かようになっております。
○萩原幽香子君 離婚の場合は、妻の持ち分として分与財産が非課税になっております。これはもう昨年お尋ねしたことでございますけれども、にもかかわらず、婚姻継続中の場合は贈与と見て課税される。これはやはり私はどう考えてみても納得がいかないわけでございますね。別かれたときは取りませんよと、財産をあげても非課税ですよと、しかし婚姻継続中にこの分だけあなたにあげましょうといったら、それは贈与だから税金かけますよと、こういうふうにおっしゃることが、何となしに私は矛盾しているように思うわけでございますけれどもね、大臣。どうぞひとつ納得のいく御答弁をお願い申し上げたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) それはわが国の民法が夫婦別産制をとっておる、そこから来るわけなんです。夫婦が相協力いたしまして財産ができる、これはまあ私はそのとおりだと思いますけれども、その財産の帰属が夫のほうにいく、そしてそれを別財産として夫婦とも別々にこれをみると、こういう制度が民法上とられておるわけなんです。ですから、夫婦である間はとにかく別産だと、こういうたてまえでいかざるを得ないのです。しかし別れてしまうというときには、これは夫婦別産制も何もないわけなんですから、それはおのずからそこに差異が出てくる、まあそういうことかと思います。
○萩原幽香子君 どうもちょっとはっきりしないんでございますけれどもね、大臣。やっぱり私は一緒にいるかどうかということと、別れたということを同じに、やっぱり財産というものを、妻の持ち分をきめる場合には同じことになるんじゃないかという感じがするわけでございますね。やはり大臣は、これ全部別産制に関係があるというふうにおっしゃるわけでございますけれども、そのあたり私はどうももう一つ、頭が悪いせいですか、納得いたしかねるわけでございます。で、それがなぜそういうことになっておりますのか。それでは別産制というものは、非常に妻というものの持ち分は、その一緒におります間には認めていないという感じになっておりますんでございましょうか、そういう点が少しわかりにくいところなんでございますね。 そこで、核家族時代に入りました現在でございますから、愛情のある夫たちは妻の老後というものを非常に心配をいたしまして、贈与税を払っても、なお妻の資産にしてやろうという例も年々増加していることは、これは大臣御存じのとおりでございます。まあそんな愛情のある主人が多いのだから、贈与税くらい取ったっていいじゃないかということになったらたいへんでございますけれども、それほど核家族ということになりました現在、夫は非常に妻の老後を心配しているわけでございますね。そうしてその贈与税をめぐって夫婦げんかの起きている一幕もある。これはまあテレビでもドラマでやっておりましたから、大臣ごらんになったかと思いますけれども、まあなけなしのさいふをはたいてといったら語弊がございましょうが、家をつくった。家をつくって妻のことを思ってそれを妻の名義にした。ところがそれは贈与税がかかる。そこでこの夫は、善良なる夫は、銀行からお金を借りまして贈与税を払った。ないしょにしておったところが、次のボーナスのときにそれがばれてしまった。で、奥さんのほうからは、何と水くさい話じゃないか。何のためにおまえさん、贈与税を払ったんだ。一ぺん税務署へ申し込んだらいいじゃないか。こういうところで夫のほうはそれはしかたがないのだ、きまっていることだからといったようないざこざで奥さんが出ていくといったような一コマがあるようなドラマがあったわけでございます。こういうことは、私はどうも庶民の気持ちではないだろうかという感じがするわけでございます。昔のように子供がほんとうに親をみてくれるという状態でなくなったという現在では、やはり夫というものは非常に妻というものを心配している。まあ福田大蔵大臣もおそらく奥さんのことについては精一ぱいいろいろお考えいただいていることと思いますけれども、そういうあたりでひとつこの夫婦の問題というものをお考えいただいたらいかがでしょうか。この庶民の気持ちといまの別産制の考え方のズレというものについて大臣はどのようにお考えでございましょうか、承りたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから法務大臣、また我妻先生からお話がありましたが、別産制というところの問題があるのです。税法はこれは民法の原則それに立ってこれは立案され、施行されなければならぬ、そういうたてまえになっておるわけでございますが、しかし、いまお話しのようなまあ感情論というかがあるわけです。感情というものが。それは私は事実だと思います。そういうようなことを考えまして、税法とそれから別産制の民法の考え方というものをどういうふうに調和させるか、こういう問題だろうと思います。そこで四十六年度の税制改正、去年萩原さんからも御指摘のありました問題点等踏まえまして、妻の居住用財産につきましてこの控除限度を引き上げる、こういうことをまあ考えたわけなんでありまして、まあ税制調査会のほうも大体その辺がいまの別産制のたてまえから言いますると限度じゃないか。こういうようなことなんです。問題は、ですからもう民法問題に移ってくると、こういうふうな感じがいたしておるわけであります。
○萩原幽香子君 やはり大蔵大臣は民法のほうへと、別産制が問題だと、こういうふうにおっしゃるわけでございますけれども、その別産制ということは結局は妻の持ち分が不明だということなのでございましょうか。相続税法の中で、妻の持ち分を証明するような方法を定めるといったような配慮をこれまで大蔵省のほうでなさったことがございましたでしょうか。たとえばこういうことをやれば、これは妻の持ち分として認めてあげますよ、こういったような形のものが配慮されたかどうか。もしもそうした御努力がなくて、ほんとうを言えば贈与でもないものにまで贈与税を課せられているということになるならば、私は納得をいたしかねる、こういうふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、こういうことじゃないかと思うのです。萩原さんは実質的にはどうもこれは妻の財産になるべきものだ、あるいは共有財産になるべきものだ。にもかかわらず、これが夫の財産というふうに見られておる。その辺の矛盾をどういうふうに考えるかということなんかと思いますが、これはどうしても税法となると、形式主義になるのです。どうもこれは形式的には夫の財産にはなっているけれども、実態は実はこうこうなんだというようなそういう認定はなかなか税務当局としてはいたしかねるのです。その辺にむずかしいところがあるのじゃないか。その辺の調和をどうするかということで、まあ居住用財産の特例措置というものを考えたわけなんでありますが、どうもいまの民法のたてまえから言いまして、この別産制度になっておる。しかし実態はこうだといって税務署が認定をする、これはなかなかむずかしいことじゃないか、かように考えます。
○萩原幽香子君 法務大臣並びに我妻先生にお尋ねをいたします。 現行制度では離婚の場合の分与財産は裁判所できめることになっておりますね。そこで婚姻継続中の夫婦の間で、妻の持ち分を確認するような方法はございませんでしょうか、お伺いをいたしたいと存じます。
○参考人(我妻栄君) いまの御質問の前提があるのだろうと思いますが、それは民法の七百六十二条ですか、そこには夫婦別産制をとっている。しかし、あれは形の上だけで、実際は共有の実を持っているのじゃないか。したがって、贈与してもそれは元来共有であるものの名義をただ形式的に変えただけじゃないかというそういう御議論が中に入っているのだと思いますから、順序といたしまして、民法のいわゆる別産制の規定をちょっと説明させていただきます。 それは御承知のとおり、婚姻前から持っていた財産と、婚姻中自己の名で得た財産とは、それぞれ夫または妻のものだ、いわゆる別産だ、こう言っているわけですね。ところがこの規定はわかったようでなかなかわからない、婚姻前から持っている財産というのは、これはわかりましょうが、「婚姻中自己の名で得た財産」ということがなかなかわかりにくいのです。「自己の名で」ということばは、わが国の法律のほかにはあまり用いておりません。外国の法律では、いわゆる代理人が行為をするときには、本人の名前においてといっております。ところが日本では、代理人は「本人ノ為メニスルコトヲ示シテ」といっておりまして、名前においてとは言っていない。日本の法律で「名において」ということを用いた最も有名なものは、明治憲法の「司法権ハ天皇ノ名ニ於テ」「裁判所之ヲ行フ」というあの規定です。あの規定の「司法権ハ天皇ノ名ニ於テ」ということの意味については、憲法学者の間に有名な論争があった点でありまして、民法学者はそれとは違う立場をとらざるを得ない、しかし民法にそういう用例があまりないものですから、この七百六十二条の場合、「自己の名で」というのはどういう意味かということをせんさくしていきますと、なかなかむずかしいのです。まあ常識的にいいますと、自分の立場でというぐらいのことになるだろうと思いますけれども、結婚してからあとで、夫または妻が自分の父の財産を相続したという場合には、これは自己の名において、あるいは自己の立場で取得したといえるだろう、しかし、その相続財産を売った金はどうなるのか、売った金で商売をしたときにどうなるのか、どこからか共有になるのだろうが、どこからなるのかとなると、なかなかむずかしいのです。それから第三者が特に妻に対して、これはあなたにあげるので、夫婦二人にあげるのじゃないのだといってくれたら、これは妻が自己の名で取得したということになりましょう。しかし競馬競輪でもうけたやつは一体夫の名において取得したのか、それとも夫婦の共有になるものなのか。それから営業上取得したものはどうなのだろうか。農地からの収入はどうなんだろうか。そして最もわかりやすいようだがわからないのは、サラリーマンの月給です。月給日になると、十万円の月給請求権を生ずるわけですが、あの月給請求権は夫婦の共有であって、妻の委任状がなければ半分しかもらえないということになるものだろうか。こう言いますと、いや、そうじゃないのだ、一ぺん袋に入れて月給もらってきて、自分のものになったときから共有になるのだということが常識的に考えられます。しかし近ごろは、袋に入れて渡さないで、銀行に振り込むところが相当あります。年金や何か振り込んであります。あの振り込みはそれじゃ夫婦共有の預金口座に振り込まなければ無効なものなのだろうか、あるいはまた実質的ということをいうなら、夫だけの名義の口座も、実質は夫婦の共有だということになるのだろうか。金融取引がはなはだしい混乱に陥るおそれがないものだろうか。そしていわゆる贈与は、贈与じゃなくて、名義を書きかえるだけのことだということになりますと、第三者もやれるという理論が当然出てまいります。そうしますと、妻の名義になっている財産を夫の債権者がこれを共有に直して、そうして夫の持ち分を強制執行するということも可能になるのではないかという疑問を生じてまいります。また、妻の名前の有価証券や、あるいは預金なんかを譲り受けた者は半分しか取得し得ないんだろうかというような問題を生じまして、いろいろ困難な問題を生じてまいります。それから、自己の名においてが、いま申しましたようになかなかわかりにくいところへ持ってきて、今度は財産というのは別産だといっている、その財産もなかなかわかりにくい。財産というと普通にはプラスだけをお考えになるでしょうが、民法で財産というときにはマイナスを含めます。したがって、競輪で損をしたという夫の債務の半分は妻は共有に負担するということになります。それはおかしいだろう、プラスだけでいいだろうということになりますと、プラスは共有になるがマイナスは共有にならないということになったらアンバランスになるということも考えられるわけであります。それから手に入れた所有権を取得した者に限るわけにはいかぬ、債権も共有になる可能性があるんじゃないかということは、先ほど俸給の振り込みやなんかでも申しましたんですが、これを要するに七百六十二条という自己の名において取得したものはそれぞれの財産だといってることは、どうも妻の協力というものを無視しているという点では、われわれも割り切れないものがあると思います。しかし、それではどこまでこれを制限していくか、財産というのを何か制限ができるか、自己の名において取得したというのを何か制限ができるかということを考えますと、これはなかなかむずかしい問題になります。そして、先ほどから大蔵大臣をはじめとして、税の担当の方は民法の七百六十二条が改正にならない限りは税は改められないとおっしゃるような口吻を承りましたが、それについては私には異存があります。これは民法学者でありまして税のことは全く門外漢でありますけれども、民法が別産制をとって、もし民法が共有という共産制をとっておったらおそらく税のほうでもそうならざるを得ないと思います。しかし、逆に民法が別産制をとっておるからといって、総合的な課税をするということは少しも違法ではない。やる気になればやれるもんだろうと思います。もっと、具体的に申しますと、かりに私の一年間の収入が一千万円あったとします。現在はその一千万円に対して課税してまいりますが、これを半分五百万円が私の収入、半分五百万円は妻の収入としてそれぞれ別に課税の計算をしまして、それを合わせれば、累進課税ですから当然少なくなります。そういう課税をしたところで、民法のほうからは少しも小言は申し上げません。前の最高裁の判決も、そうしないからといって、つまり五百万円ずつ分けて課税しないからといって、憲法違反とも違法ともいえないという判決でありまして、逆にそうすることも許されないということを言ってはおりませんですね。で、私は税の門外漢でありまして、たいへんよけいなことを言うのですけれども、いわゆる実質課税の原則によって、実質的には夫婦の共有であるというならば、やろうと思えばやれるのじゃないかと思います。ただ、民法学者としてどうしても申し上げておかなくちゃならない一つがあるのですが、それは、民法の七百六十二条を改めて共有あるいは共産制にしないと税が改まらないだろう、あるいは逆に民法さえ改めれば大蔵当局が何といったって改めるだろうというので民法を改めようとなさるなら、それは見当違いだと言いたい。つまり、先ほどから申しましたように、民法というものは取引の中に深く入っておりますので、ここで共有にするということはいろいろなところに支障を生じてまいります。支障を生じないように立法しようとすれば、いろいろ苦心を要しましてそう急にはまいりませんので、それができないからといって、だから税のほうでもだめだということになってはたいへん困るのでありまして、民法は民法の立場で、御趣旨に従って一そう研究いたしますが、やはり税のほうはそれと関係なく、もしおやりになるつもりならおやりになったらいいだろう。私自身、身をもっておやりになることを望んでおるわけでありますが、しかしまた税としては税のほうのそれぞれのいろいろなお立場がありましょう、したがって急にどうするということには、また税のほうの支障があると思いますので、この点でも私は差し出がましいことを申すつもりはありません。ただ民法学者として言いたいことは、民法が改まらなければ税が改まらないとお考えになることは、民法としては迷惑だということを申し上げて終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 私も一言申し上げておかなければなりません。どうも我妻先生が、少し先回りをされております。私はいま所得税についての課税の方式の話を申し上げているのでもなく、また萩原さんにおいてもそういう話に触れているのではないと思うのです。問題は、資産の移転ですね、これをどういうふうに理解するか、こういう問題なんで、まだ所得税を合算をしてとか、そういう話をいたしておるわけでは全然ないのでございます。ですから私の申し上げていることは、夫の財産これを妻に移転をする、そういう際に潜在的に妻の夫の資産形成に対する協力ということを認めるべきではないかというお話に対しまして、別産制をとっておるわが国の民法下においては、それはなかなかむずかしいことですと、こういうことを申し上げておるわけでありまして、決してまだ所得税のあり方については触れておりませんから。
○萩原幽香子君 そのとおりだと思います。我妻先生にお願いをいたしておきたいことは、どうしてもやはり七百六十二条というものが基本法でございますから、基本になりますので、だから基本的に七百六十二条の別産制というものにつきましては、妻の座というものを評価することのむずかしさというものは私は感じますがゆえに、先生にお願いを申し上げたわけでございます。税の問題につきましては、またあらためて大蔵大臣のほうに、大蔵省のほうにお尋ねをしてまいりたいと思いますけれども、まあ何が何でもこの七百六十二条でございますか、この基本的に民法上の妻の座の確立をはかるということが、まずやはり私も基本になってくるのではないかと、こういうふうに考えますので、これからの審議会におきましては、私のそうした要望もぜひおくみとりをいただきまして、そういう立場においての御審議をいただきたいことをお願い申し上げまして、きょうはたいへんお忙しいところをまことにありがとうございました。御礼を申し上げながらお別れをいたしたいと存じます。
○委員長(古池信三君) 我妻参考人に申し上げます。 萩原委員の御質疑も終わったようでございます。長時間にわたりまして御意見をお述べいただきまことにありがとうございました。お引き取りいただいてけっこうでございます。厚くお礼を申し上げます。
○萩原幽香子君 次いで問題を税制に移したいと存じます。 まず、第一に配偶者控除の意義と、その設定理由についてお伺いをいたしたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) 御承知のように、所得税法上の妻の立場、これにつきましては昭和三十五年まで子供同様に被扶養者という立場におかれたわけであります。しかし夫が所得を得る、そういう上において妻の協力、これを見逃がすことは妥当でない、そういう考え方から三十六年度の税制改正におきまして扶養控除を従来適用されておったその制度をやめまして、配偶者控除という制度を新設する。この配偶者控除につきましては、基礎控除と大体同額にいたしておりますが、ちょうどそういう形におきまして今日に至っておると、これが現状でございます。
○萩原幽香子君 控除相当額は妻の所得になるわけでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは夫の所得から妻の協力費を控除をすると、こういうことですから、これは法律上妻の所得だと、こういうわけじゃないんです。しかし、実質上は、妻が夫の所得に協力した、そういうことを認めての制度でありますので、妻に所得がある——妻が自分の所得を得るためはたとえばバーを経営しておる、そしてそれから相当の所得があると、こういう際におきましては、これは協力費を差し引く必要はあるまいというので、その際にはこの控除は認めないと、こういう考えをとっておるんです。ただ、どの程度の所得、非常に零細な妻の所得があったという際に、これを一々追及すると、これもいかがであろうかというので、零細な所得につきましてはこれを追及しないと、こういうたてまえで、従来給与所得につきましては十万円というふうになっておりましたが、今度の税制改正でこれを十五万円に引き上げると、こういう考え方をとっております。
○萩原幽香子君 それでは、大蔵大臣、やっぱり控除相当額というものは法的にいえば妻の所得ではない、こういうことでございますね。そうすると、妻の所得とならないものが、どうして妻の貢献を認めたことになるのか。税負担のバランスをはかるためというのなら理解はできるんですけれども、これで妻の貢献を認めたというのなら、私は少々納得がいきかねるというふうに考えるわけです。そんな感覚は徴税当局特有のものではないかという感じがするわけでございますけれども、いかがでございましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) 長い間、妻は、所得税法においては、被扶養者だと、こういう扱いを受けたんです。これは妥当じゃないじゃないかと。つまり、夫がかせぎをする、その銃後の守りというか、家庭にあって家庭の世話をしておる、それは夫が安んじて所得を得るということに協力し、貢献したんじゃないかと、そういう考え方をとりますと、被扶養者というのはいかにもおかしいというので、妻に独立の座を設けると、こういうことになって、その考え方がいまの配偶者控除ということになっておるわけでありまして、私は妻の座というものがこの考え方の中にかなり重要視されておるんだと、こういうふうに考えますが。
○萩原幽香子君 問題の角度を少し変えて伺いますが、課税単位とは一体何でございましょうか、それを選択決定する理論的根拠についてお尋ねをいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 課税単位をどういうふうにとるかということにつきましては、諸外国いろいろ立場があります。わが国におきましては、所得源、所得があるというその根源に着目をいたしましておのおの分けるたてまえをとっております。ところが、所得税法上消費形態ですね、と申しますのは、妻は夫とともに一家を形成しておると、そういう消費の形態、これに着目をいたしまして総合して課税をするというような国もずいぶんあるんです。ですから、課税単位といいますれば、所得源に着目する考え方か、あるいは消費主体に着目する考え方かと、これで二つに世界の傾向が分かれておると、かように御理解願います。
○萩原幽香子君 そこで、稼得者単位、あるいは夫婦単位、または世帯単位などの課税単位というものがあるわけでございますね。それの長所、短所を比較して明らかにお示しをいただきたいと存じます。
○政府委員(吉田太郎一君) 課税単位だけの長所、短所と申しますよりは、むしろ課税単位の場合には、それを控除額あるいは税率とどう組み合わせるかによって一つの税制上の特徴が出てくるわけでございますので、一がいには言えないかと思います。ただ、しいて課税単位だけの長所、短所、あるいは特徴点ということを申しますと、非常に観念的にならざるを得ないわけでございますが、たとえば稼得者単位の課税の場合でございますと、非常に簡明直截な税制になって、執行が容易である。たとえば給与所得者の共かせぎ世帯の場合でも、それぞれ年末調整で申告をする、それぞれが源泉徴収をいただくわけでございますから、総合して調整する必要がなくなるということでございますとか、あるいは、同じく稼得者単位でございますと、夫婦共かせぎ世帯の負担が相対的に有利ではないかというふうな長所があろうかと思います。同時に、短所といたしまして、財産分割による税負担の不当な回避が行なわれやすいということもあるのではないかという問題もあろうかと思います。これに対しまして、合算課税、これは夫婦単位あるいは世帯課税の場合でございますが、非常に制度的に複雑になるという欠点があろうかと思います。たとえば給与所得者の共かせぎの場合でございますと、確定申告によって調整しなければならないというようなことがございます。あるいは夫だけが所得を稼得しておる世帯のほうが共かせぎの場合よりは相対的に有利になる。これはよく二分二乗という問題が取り上げられるときに考えられる欠点でございますが、たとえばいまの制度をそのまま二分二乗を入れました場合には、比較的高額所得者が有利になるとか、あるいは共かせぎあるいは独身者の世帯が不利になると、こういうような短所があろうかと思います。ただ、これは、いずれも控除あるいは税率との組み合わせの上で最終的には判断すべきことではないかと、かように考えております。
○萩原幽香子君 大体、稼得者単位でございますと、税金が取りやすいということはそのとおりでございましょうね。非常に簡単であって取りやすい。しかし、また、欠点もあるわけでございますが、いまいろいろな組み合せでこれをすぐにどうこうということはなかなかむずかしいようでございますけれども、この課税単位を決定するにあたりまして、生活単位に関する基本法制というものをどのように考慮されますのか、承りたいと存じます。
○政府委員(吉田太郎一君) 基本的には、課税単位を考えます場合に、どの単位で担税力を測定するのが最もふさわしいかということから課税単位というものの考え方がきまる話だろうと思います。したがいまして、御質問の基本法制とおっしゃいますその趣旨がよくわかりませんが、たとえば民法の制度というような御趣旨でございますと、いまの課税単位の場合はむしろ所得税体系の中での課税単位であるといった場合でございますと、民法との関係はそれほど直接的にはつながらないと、かように考えておるわけでございます。むしろ民法の関係が非常に関連をいたします場合には資産課税系統のものではないかと、かように考えております。
○萩原幽香子君 私はいままで少しかたいお話ばかりを申し上げてまいったわけでございますが、ここらで、ひとつ、妻の内助の功がどんなものか、具体的な例を申し上げながらお考えをいただきたいと思います。 これは先ほどおいでいただきました我妻先生の、「法律における理窟と人情」という御著の中にあったお話で、学術奨励金をお受けになった学者御夫妻のエピソードがございますが、奨励金をお受けになった御主人が、その授与式に臨んで次のようなごあいさつをなさっておるのでございます。「私が奨学金をもらってうれしいことはいうまでもない。しかし、私が奨学金をもらったことをいちばん喜んだのは私の妻です。私は、たとえ世の中に認められなくても、私の研究は非常に値打ちがあるのだという自信をもって精進してきた。だから、ずいぶん苦労はしましたけれども、苦労に打ちかってゆくだけの張り合いはあった。ところが、私の妻にしてみると、そのことがわからない。学者の妻となった以上、生活の苦労をがまんする覚悟はある。しかし、夫は学問上なんの値打ちもないことに苦労しているのじゃないだろうか、もし、そうだとすると、自分の苦労はまことに意味のないものとなる、もし学問的に意味のあることに苦労してくれるのなら、どんな苦労でもしのぶのだが……、という不安が妻にはたえずあったのです。ところが、こんど日本学術会議の推薦を得て、自分の研究は、今までだれにも認められなかったけれども、りっぱに学問的な価値があるのだということが証明された。そのことが妻の過去十年に余る苦労を一瞬にして消してしまったのです。そうした意味で、うちの妻くらい今度のことを喜んでいるものはいない。願わくは、今日の式に妻も呼んでいただきたかった……。」というお話でございます。 皆さん、私は、このお話は、ひとりこの方の奥さまだけのものではないと思います。きょうのこの席におられる諸先生方の奥さまもみなそのとおりでございます。妻は常に夫と一体をなして働いているわけでございます。夫の仕事の半分は妻の努力によると考えることは不当でございましょうか。私は、この妻の内助は、また夫を通して社会的役割りを果たしていると考えるわけでございます。こうした妻の社会的機能を高く評価する民法解釈論が有力となり、世論調査の上にもはっきりとそれが出ているわけでございます。ここまできた以上、税制もまたこれにこたえて妻の内助を正当に評価すべきではございませんでしょうか。その意味では、妻の平等を認める立場から、二分二乗方式の採用に踏み切るべきではないかと考えるわけでございます。個人主義のまことに徹底していると思われます先進国のイギリスやアメリカやドイツでも、二分二乗方式をとり、夫婦という消費単位に課税をすることになっているのに対しまして、まだ家族主義の払拭できないわが国が最も個人主義的な所得稼得者単位で課税することはおかしい話だと考えるわけでもございます。もちろん、現状のまま二分二乗方式を採用しようといたしますならば、累進税率の構造、あるいは共かせぎ夫婦の取り扱い、また、専従者控除等、課税技術上の問題があることは私にもよく理解ができるわけでございます。しかしながら、こうした幾多の困難点はあったといたしましても、これが正しい理論があるといたしますならば、そういうものを克服してそれを採用していただくような御努力こそ、政治をする人のほんとうの愛情ではないだろうかと考えるわけでございます。こういう立場から、ひとつ大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) そのお話で、初めて、先ほど我妻先生から民法と税法との関係で所見が述べられましたが、その問題に来るわけなんです。私が先ほどから申し上げておりますのは、夫婦別産制のもとで資産の夫婦間の移動、これは今日の現行民法というものを踏まえざるを得ない、こういうことを申し上げたわけでありまするか、さて所得税をどういう体系にするかということにつきましては、これはいろいろ諸外国でも考え方があります。大別すると、所得源方式、それから消費主体方式、この二つだろうと思うのです。わが国は所得源方式をとっておる。この考え方はどういうところから来ておるかというと、シャウプ税制なんです。その前は家族単位に対して課税をすると、こういうことだったわけであります。消費主体方式ですね、それが採用されておった。ところが、シャウプの勧告、その理由、この方式は世帯間で不均衡が起こり得る可能性が多い。それから税を軽くしたいということから、そのゆえに家族を分散させるというような傾向を不当に助長するというようなこと。それから同居であるかどうか、消費主体、これがどういう判定ができるか。たとえば同居の家族、そういうような人をほんとうに捕捉できるかどうかというような手続上の困難もある。そういうようなことで、日本で明治以来とられておった家庭本位の税制、これはやめるべきであるということで、あれは二十六年でありましたか五年でありましたか、そのころからいまの制度になってきておるんです。その制度というものがずうっと国民生活になじんできておる。そこで、またそのたてまえをとりまして現行の税制というものができ上がり、また、税率だとか、もろもろの控除でありますとか、そういうのが全部それを基本にしてできておるもんですから、これをにわかにここで大転換をいたしまして昔の明治の体制に復元をするということにつきましては、非常に大きな困難があるわけなんであります。しかし、諸外国においてそういういわゆる二分二乗方式というものを採用しておる、こういう国も多いわけでありまするから、これはどうしても検討をしなければならぬという問題ではありまするけれども、その検討はそうそのなまやさしいものではないのです。所得税というものを根本的に引っくり返すというものでありますので、にわかにこれを採用するんだというふうなことは申し上げられませんけれども、なお検討はいたしたいと、かようなことで御了承を願います。
○萩原幽香子君 たぶん大臣はそういうふうにおっしゃるだろうと考えていたわけでございます。これがそんなになまやさしいものだとは私も考えてはおりません。しかし、我妻先生の御説明にもございましたように、現行の民法というものは、妻の持ち分といいますか、妻というものを認めるという趣旨の法規であることには間違いないと思います。しかも、昨年の予算委員会で私が質疑をいたしました際に、当時の小林法相は、民法改正にはいろいろ困難な点があるので、税制上適当な措置を講ずることによって問題の解決をはかることが望ましいと繰り返し繰り返し主張をなさいましたことを私はいまもなおはっきりと覚えているわけでございます。これは大蔵大臣もおられたわけでございますから、その点は十分お考えをいただいたと考えるわけでございます。 そこで、先ほどの御説明によりますと、やはり二分二乗方式もまた考えなければならない方法だというお答えをくださったわけでございますね。むずかしさはあるけれども、そういう形の検討もしなければならない、そういうお答えをくださったわけでございますね。もう一度確認をさせていただきたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、民法から直接制約を受けている問題じゃないんです。検討の余地のある問題なんです。民法とはかかわりなく検討していい問題なんであります。そこで、先ほどから申し上げましたように、しかし、二分二乗方式を採用するということになることは、これはもう非常に大きな所得税の根本的な改正になるので、そうなまやさしい問題でない。しかし、これを採用しておる国々が相当たくさんありますので、そういうような国々の税制の執行状況、それからわが国において今日の所得源方式が採用されておる、その理由につきましては先ほど申し上げましたが、その理由というか、デメリットをどういうふうに解消できるかというようないろんな問題がありますが、それらの問題につきましてとくと検討いたしたい、かように存じます。
○萩原幽香子君 ぜひその方両にお願いを申し上げたいと存じます。二分二乗方式によらぬ現行課税方式が違憲であるとして訴えた者に対し、最高裁は、昭和三十六年にこれを棄却して、現行税制に合憲の判決をされたわけでございます。ところが西ドイツでは、一九五七年、つまりわが国の最高裁判決より四年も前に、西独連邦憲法裁判所では、所得を合算して課税する世帯課税方式は基本法六条一項に違反であると判決し、その結果、西ドイツでは二分二乗方式が導入されたといわれております。もちろんわが憲法と西ドイツ基本法では規定内容も形式も違いますけれども、個人の尊厳、法のもとの平等及び両性の本質的平等を定めたわが憲法の法理及び精神は、西独の基本法と異なるものはないと存じます。とすれば、わが最高裁も西独憲法裁判所と同様の考えができたはずではないかと考えるわけでございます。にもかかわらず、いまや大きな潮流となった妻の座を高度化して実質的な男女平等をはかろうとする現実社会の動きに目をつぶった形の判決は、まことに法の番人といわれる最高裁の態度としては遺憾のきわみといわざるを得ません。このような最高裁の判決がまかり通るわが国の現状をどのように受けとめておられますのか、法務大臣の御所見を承りたいと存じます。
○国務大臣(植木庚子郎君) 一応政府委員に弁答させまして、それでなお私もつけ加えるところがあったらつけ加えさしていただきたいと思います。
○政府委員(川島一郎君) 最高裁判所の判決をどのように考えるかという御質問と存じますが、最高裁判所の判決は、われわれといたしましては十分尊重しなければならない立場にございますので、ここでそれ以上の論評を申し上げることは差し控えさせていただきたいと、かように考えます。
○萩原幽香子君 ぜひ一度お考えをいただきたいと考えるわけでございますが、おそらく法務大臣も私も同感だとおっしゃるでございましょうから、もうお伺いすることは差し控えたいと存じます。私ははたいへん不満でございます。 で、以上私は妻の座を高めるために主として民法及び税法上の諸問題についてお尋ねをしてまいりました。その取り扱いにつきましては、まず基本的には民法上の妻の座の確立をはかるために法制審議会で早急に問題点の御検討を願い、解決をはかっていただきたいと存じます。法制審議会の今後取り組まれます御抱負並びに政府の積極的な姿勢について、まず法務大臣のこの点についての御見解を承りたいと存じます。
○国務大臣(植木庚子郎君) 私は、先ほどお答えいたしましたときにも、でき得る限り時代の趨勢、世論のおもむくところを考えて、そうして現在の制度のいいところも考え合わせて、そしてなおできるだけ進歩的な、前向きな改善をはかりたいと、こういうことを先ほど申し上げたのでありますが、その意味におきましては全く同じであります。ただ、現在の制度にも見るべきところもあるんだと、これにはどうしても実情に合わせてやむを得ずさらに踏み切るということができるものかできないものか、ここにも私は検討の必要があると思っておるのでございます。しかし、気持ちとしては、世論のおもむくところもそんな状況でございますし、そうしてわれわれとしても、でき得る限りこれは報いていくべきだ、制度の上でできるならばそれはやってまいりたい、そういう気持ちから私は申し上げておるのであります。
○萩原幽香子君 法務大臣に私は大きな期待をかけながら、大臣に対する御質問を終わりたいと考えるわけでございます。 次に、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたように、民法改正を待たずに解決のつく問題もあるわけでございますので、これらの点につきましては、税制調査会で審議の促進をはかっていただきますよう要望いたしたいわけでございます。 最後に、大蔵大臣にお尋ねかたがたお願いを申し上げたいと存じます。法制審議会が審議を促進されますときに、必要があれば十分な予算をおつけくださるお考えがございましょうか、その点をまずお伺いをいたしたいわけでございます。 あわせまして、今日、ここで私が提起いたしました問題を税制調査会に諮問して審議を願い、すみやかにこれを税制面に生かしていただく御用意がありますのかどうか、お伺いをいたしまして、この項の質問を終わりたいと存じます。
○国務大臣(福田赳夫君) 法制審議会に必要な費用につきましては、十分に配慮したいと思います。 なお、税制調査会に対しまして、二分二乗方式ですね、これはまた御相談を願うようにいたしたいと思います。ただ、これを早急にというのは、見通しとするとそう簡単ではないということだけをつけ加えさしていただきます。
○萩原幽香子君 きょうは、法務大臣からも、大蔵大臣からも、非常に明るい見通しの御答弁をちょうだいいたしました。私はこれを非常に大きく期待をいたしまして、来年、どのようにこれがあらわされますのか、楽しんで待たせていただくことにいたします。 ついで質問を妻から子供に移したいと存じます。次の世代を背負う児童を心身ともにすこやかに育てるかいなかは日本の命運にかかっておると存じます。 そこで最初に、児童の福祉は何を基本方針として行政運営をされておりますのか、文部、厚生、労働、三大臣の御所見を承りたいと存じます。
○国務大臣(坂田道太君) 文部省の所管をいたします文教行政は、申すまでもなく、教育基本法に基づいて行なわれておるわけでございます。児章憲章の特に、たとえば四でございますか、「すべての児童は、個性と能力に応じ教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。」あるいは五に「すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶ一ように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。」、六「すべての児童は、就学のみちを確保され、また十分に整った教育の施設を用意される。」、こういうように児童憲章にもあるわけでございますが、われわれ、教育基本法におきましても、たとえばその第三条に、教育の機会均等というところで、人種あるいは信条、それから男女の別あるいは身分、あるいは経済的な事情によって差別をされないというような規定もございまして、そういう考え方で教育基本法によって行なわれておるわけでございます。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたしまます。わが国の産業、経済の成長、発展のにない手として、勤労青少年の今後の対策は非常に重大でございます。昨年、実は勤労青少年福祉法を国会で御審議をいただき、通過させていただきまして、昨年の五月にこれが施行になりました。勤労青少年の福祉法は、心身ともに健全な青少年の育成をはかる、そうしてそれらの方々が「勤労青少年ホーム」や勤労青少年の体育施設等を通じまして、ときにはレクリェーションあるいはクラブ活動というふうなものを通じまして健全に成長する対策を講ずる。同時にまた各企業におきましては福祉員制度を設けまして、そうした勤労青少年の相談にあずかって、これからの時代を健全に進めていこう。ややもしますと勤労青少年のいろんな道義上の問題やその他危険が生じておりますので、そういうものから守っていくという対策を講じてまいる考えでございます。
○政府委員(坂元貞一郎君) 児童福祉の基本理念につきましては、先生御存知のように、戦後、児童福祉法というのが昭和二十二年にできております。この児童福祉法の第一条から第三条に児童福祉の基本理念なり、国、地方公共団体の責任、そういうようなものが明確にうたわれているわけでございます。それから昭和二十六年の児童憲章、このような児童憲章の精神等もあわせ考えまして、厚生省としましては、児童福祉の万般の施策を総合的に推進していく、こういう状況になっているわけでございます。
○萩原幽香子君 それぞれの行政の観点立って各大臣から御答弁をいただいたわけでございますけれども、私は、子供のしあわせの基本的な理念は、やはり児童憲章並びに児童権利宣言の精神の具現化にあると考えるわけでございます。そこで、あらためておのおのの場における具体策を承りたいと存じます。
○国務大臣(坂田道太君) その具体策につきましては、たとえば就学前の幼児の教育奨励あるいは機会均等のための幼稚園教育の振興、あるいは経済的に恵まれない児童生徒に対する就学の奨励あるいは心身に障害を有する者に対する特殊教育の振興、あるいは僻地教育あるいは同和教育、あるいは家庭教育の振興、子供たちの遊び場を確保するための校庭開放の促進とかあるいは少年を自然に親しませるための、たとえば具体的に申しますと一「少年自然の家」の整備等、あるいは少年の科学知識を高め、諸活動の拠点となる「児童文化センター」の整備とかあるいは子供会等の団体活動の助長であるとか、あるいは青少年のためのすぐれた映画などの製作と奨励とか、子供の健康、安全をはかるための保健管理等医療費補助、学校給食の振興、安全会による災害給付あるいは児童生徒に対する保健、安全教育の推進、まあ私のところでは、学校教育あるいは保健体育、それから社会教育と、この三つのそれぞれの部面におきまして、その児童憲章の精神が教育基本法にのっとりまして具現されるようにいたしたいというふうに考え、やっておるわけでございます。
○国務大臣(野原正勝君) 働く婦人の方々が家庭生活と子供の育児、教育という問題、非常にこれは両立できないようなら困るわけでございます。いかにして働きながらもすこやかに児童の保護をするかと、育児ができるかという観点で、たとえば「働く婦人の家」を設けたり、あるいは事業内の託児所施設などを通じまして、そうした対策をきめこまかに講じていく以外にないということで、その方向に向かって鋭意努力を傾けております。
○政府委員(坂元貞一郎君) 厚生省としましては、児童福祉対策としまして数々の重要な項目をたくさんかかえているわけでございます。児童の健全育成対策としまして、児童館その他の施設をつくると同時に民問の地域のボランティア組織の育成、そういうようなものを考えておる。これが第一点であります。それから第二点としましては、保育所の整備なり、保育所の児童の処遇をはじめとしますいわゆる保育対策、これが第二点でございます。それから第三点としましては、いわゆる母子世帯等の生活援護その他の母子福祉の対策、それから第四点は、心身障害児等の特別な障害を持っておる児童に対する各種の援護保護の対策、それから母子保健の対策、こういうような柱につきまして施設の整備なり、あるいは中に入ります児童の処遇の問題なり職員の待遇の問題なり、そういう問題について幅広く総合的に母子児童福祉対策を進めていく、こういう現況になっておるわけでございます。
○萩原幽香子君 これは非常に詳しくお尋ねすれば文部省、労働省、厚生省それぞれにいろいろお願いもしたいこともあり、お尋ねしたいこともあるわけでございますけれども、先ほどの大臣方のお答えは、具対策と申しましたけれども、具体策の基本方針みたいなお話を承ったように存じます。 そこで、私は、もう時間も参りましたので、こうした具体案の具体案、具体策の具体策そういうものにつきましては各分科会におきましてきめこまかくお尋ねをしてまいりたいと存じます。まだ私の時間は二分あるわけでございますけれども、先生方たいへんお疲れでございますので、ここらで終わらせていただきたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(古池信三君) 以上をもって萩原君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(古池信三君) この際、分科会の審査日桂につきまして変更を行ないますので、御報告申し上げます。 諸般の事情により二十二日より審査に入ることは困難と思われますので、二十三日より審査に入り、二十四日、二十五日及び二十六日午前中にわたって実質三日審査を行なうこととなりました。 右御了承願います。 本日はこの程度にとどめ、次回は明後二十二日午前十時開会いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十八分散会