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65回国会参議院1971/03/17

予算委員会 第16号

発言数
289
登壇者
29
会派数
2
開催日
1971/03/17

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題といたします。  本日は、参考人として河角東京都防災会議地震部会会長、富樫本州四国連絡橋公団総裁、蓑輪同じく理事、以上お三方が出席されております。  この際、参考人の方にごあいさつ申し上げます。本日はお忙しい中を本委員会のため御出席をいただき、厚くお礼申し上げます。参考人の方には、委員の質疑にお答えいただくという形で御意見をお述べ願うことといたします。  それでは、前回に引き続き質疑を行ないます。松本賢一君。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 まず、本州四国連絡橋公団の総裁にお尋ねしたいと思いますが、せんだって建設委員会でいろいろ架橋のことについてお尋ねをしまして大体わかったんでございますが、最近新聞によりますと、ちょっとふに落ちないことがありましたのでお尋ねいたしたいと思うんですけれども、坂出市の番の州というところにアジア共石会社の石油コンビナートができるということから、それが架橋のために危険であるといったようなことが新聞記事に出ておったんですが、この点についてひとつ総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) いわゆるBルートと申します児島−坂出のルートが番の州を通っておりまして、番の州には石油コンビナートが計画されております。石油コンビナートの不慮の災害等に関しまして、橋梁との関連でどう考えなければならぬか、これは今後もさらに研究を進めてまいりたいと思いますが、橋梁の側といたしますと、路線の選定の問題、工場の側としますと、工場の配置計画の問題があるわけでございます。これらを適切にし、また、防災施設等を設けることによりまして両立できるように考えていきたいと思っております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ちょっと現地のことがわかりかねるので、もし何でしたら地図を見せていただいてお話をいただいたらと思うんですが……。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) そこに図面を差し上げてございますが、そこに番の州というところがございます。そこに与島のほうから線が引かれておりますが、それが架橋のルートでございます。それに接しまして石油コンビナートが計画されておりますけれども、石油の貯蔵タンク等は端から五、六百メートル離れております。その他どういう危険なものがあるのか、それはさらに今後の計画をお聞きいたしましてそれに対する対策を適切に立てたいと考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 通産大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、一体石油コンビナートですか、この計画はどんな程度でどんなふうになっておるのか、一応お聞かせいただきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) このコンビナートはアジア石油が三分の二、共同石油が三分の一出資をいたしましてつくりましたアジア共石株式会社が六万バーレルの予定で設備を計画しておりまして、石油審議会では昭和四十四年十一月に許可をいたしております。で、稼働開始の時期は予定として昭和四十七年十月でございます。コンビナートを組みますのは四国電力の火力と岡山県の水島のエチレンでございます。シーバースを予定しておりますが、そのうち一つが二十一万トンのデッドウエートの船を着けるということを予定しておるようでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いまの六万バーレルとおっしゃいましたが、六万バーレルというのは最初の計画であって、将来はどういうふうになるのでございますか。何か将来の計画はもっと大きいように聞いておるのですが。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) おそらく六万バーレルというのは企業の単位としては中途はんぱでございますので、将来増設の計画があるものと考えるべきではないかと思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 私の聞いたところでは、十万バーレルは県のほうで言っている数字だと、で、実は二十万バーレルまでの計画を持っておるのだと、こういうふうに聞いておるのですがいかがでしょうか。

本田早苗通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。  いまの敷地ではせいぜい十五万バーレルというふうにわれわれは判断いたしております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 じゃあ敷地の関係でもうそれより大きくはなり得ないということですか。

本田早苗通商産業省鉱山石炭局長

○政府委員(本田早苗君) お答えいたします。  いまの敷地ではその程度と判断しておるわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それで、この図面で見ますとですね、総裁。石油会社の敷地の上を架橋の一応予定線が通っておるわけなんですけれどもね。こういう点についてもう少し詳しくお話を聞かしていただきたいと思うのです。御意見を交えて。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) ルートがコンビナートにごく接近して通っております。接近しておりますところは、まだ詳細な計画は承知いたしておりませんが、事務所とかそういうものになりまして、製油施設は一番端のほうになるわけでございます。タンクがまあ一番東の端と申しますかになります。先ほど申し上げましたが、貯蔵タンクはその端から五、六百メートル離れておりますが、もっと近いところに危険なものがあるかないか、それらを今後検討いたしたいと考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 シーバースが何でも三百メートル先にできると、それが危険なんでその位置を変更すれば橋に危険はないんだというような意見もあるというように聞いておりますが、どうでございましょうか。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) 石油コンビナートのシーバースにつきましては、ただいま香川県がシーバース対策検討委員会というものを設けまして検討いたしております。ただいま検討中でありますのは主として航路との関係でございます。候補地が三つあるように聞いておりますが、私ども公団といたしましては、その委員会の結論によりまして、もし橋に接近したところでもやむを得ないというようなことになりますれば、それに対する対策を検討いたすわけでございます。これは工事中の問題もありますし、でき上がってからの問題もありますが、協調して橋の安全が確保できますように相談いたしたいと考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 まあわれわれしろうと考えで考えて、石油コンビナートの上をそういうものが通るといったようなことは非常に危険なような気がするので、何もそういうところへ石油会社をつくらなくていいじゃないかという、これはしろうとのそういう気持ちがするのですけれども、これも新聞——十四日の毎日新聞ですけれども一によりますと、公団の企画部長の松崎さんが架橋工事中にも危険がある、開通後の安全にも支障があるというようなふうに談話をしておられるわけなんですけれども、こういう点についてどういう支障があるのかひとつお聞かせをいただきたいと思います。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) 工事中の支障は、工事用の船舶が相当出入りするわけであります。橋の近所に。それがタンカーの入ってきたときに操船上のいろいろの制約が起きるだろうと思います。これが支障といえば支障。それからでき上がったあとの支障と申しますと、これは橋の下を通ることになるかどうか、いまの計画では、あそこから東のほうに引き返すような計画になっておるようですが、もし通るといたしますと、どういう危険が起こるかということでありますが、このほかのルートでもみんな橋の下を通らなければならないことになる。ですから、でき上がってからの問題はどのルートについても同じじゃないかと、かように考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは運輸大臣にちょっとお聞きしたいのですが、国鉄もこの橋を通ることになっておるのですね、そういう点、国鉄としてどうお感じになりますか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) お答え申し上げますが、御承知のように、本四連絡橋の備讃ルートですが、宇野−高松間のこの橋は、鉄道と道路の併用橋になっております。したがって、一般の旅客貨物等を運ぶことになりますからして、お話しのような危険な状態は、もしあるとすればもちろんこれは十分に調整をしなければなりませんが、ただ、四十五年、去年の十二月の三日付で調査の指示をやったわけでありますけれども、まだ具体的にどこに橋が出てくるかということは決定を見ておりません。しかしお話しのように、これは一般交通、公共機関でありますから当然公共機関が優先をされることは当然でありますからして、企業側のいろいろの計画はありましょうが、それらとも調整を十分にとって、少なくとも交通上の安全が阻害されることのないようにやっていきたい、こう考えておるわけであります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは運輸大臣にお聞きする問題ですか。−海上保安庁のほうで、何かあの辺は海の銀座といわれているところなんで、工事中あるいはまた石油コンビナートの関係等でたいへんな大型の船が通ったり、またフェリーボートが通ったりといったようなことで、非常にその点も危険があるというようにいわれているのですけれども、この辺海上保安庁としての見解はいかがでしょうか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、このシーバースの問題があります。このシーバースがどこに着けることが海上交通あるいは港湾の機能発揮の上で能力的かということで検討を進めております。まだ正式にどこにシーバースをつくるかということの決定には至っておりませんけれども、当然これは早い機会にこれをきめざるを得ないと思いますが、事務的にはある程度話し合いが進んでいると思いますけれども、まだ最終的決定には至っておらない状態であります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そこで公団のほうとして今後——いままでにいろいろと現地のほうと協議なさっておられるだろうと思いますけれども、今後ずっとやっぱり協議をして、そして石油工場のほうの計画というものを始終情報を得ながらやっていらっしゃると、こういうことですか。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) お話しのとおりでございまして、今後さらに密接に連絡をとりながら遺漏のない計画を立てたいと存じております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは橋は非常に国策上大事だということで地元の要望も強いし、いろんなことからも橋はかけることに、三本みな一緒にかけるんだということにきまっている、これは総理大臣が決定なすったんだと、こういうふうに伺っておりますが、とすると、これが万支障があるようなことがあると困るんで、石油会社のほうの都合で橋のかける位置を変えると、そんなようなことはあり得ないことだと思いますが、いかがですか。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) ルートはおおよそきまっておるわけでございます。起点、終点がきまっておりますが、まだ若干数メートルは、十数メートルの点で動かせる余地はあるわけでございます。そういう意味で先ほど路線選定ということを申し上げたわけでございますが、おおよその位置はきまっておりまして、これ以外にルートはないわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 としますと、通産大臣にお伺いしたいんですけれども、橋に危険があるとか支障があるとかいうことになりますと、この石油コンビナートのほうの計画を変えてもらうというようなこともあり得るわけでございますね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 基本の原則は安全が第一でありますし、公共の福祉が企業の利益に優先すべきものだと考えております。したがって、そういう心配があるならばそれに対する対策は企業の側で十分にとらなければなりません。たとえば精製プラントであるとか、あるいはタンクであるとかいうものは、できるだけ橋から遠いほうにレイアウトするとかいうことはこれは当然しなければならないことでございまして、私ども必要があればそういう行政指導もいたさなければならないと思っております。けれども、ただいままでのところ、この問題は解決が不可能であるというほどの問題ではないのではなかろうか、十分必要な行政指導はいたさなければならないと思っております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 通産大臣、非常に公共優先ということでお答えをいただいたのですが、ひとつ将来問題が起こらないようによく指導をしていただきたいと思います。これは橋が、せっかくの計画が実行できないようなことがあったらたいへんでございますから。  そこでですね、これは大蔵大臣にお聞きしたいんですが、橋の問題出ましたから。橋は三つかけるんだと、六十年までにかけるんだと、そして着工のあと先は多少あろうと建設大臣もおっしゃっておりますが、トラブルがいろいろ起こるかもしれないからそういうものを解決しながらやるから多少の遅速はあろうと、こういうことばなんですが、大体四十八年度に着工するというふうな予定だということを公団から伺っておるのですが、これに対する原資といいますか、予算といいますか、そういうことの大蔵大臣としての見通し、そんなことを伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まだはっきり四十八年度と申し上げる段階じゃないかと思いますが、したがって、まだ財源を本工事のためにどういうふうにするかということはきめておりません。おりませんけれども、これはもう、もとより国が中心になって公団を援助しなければならぬわけでありますが、同時に、これは地元のほうにも御協力を頼みたいと、こういうふうに思っておるのです。まあ地元もいろいろな経過から見ましてそういうことを心得ておられるかと、こういうふうに思いますが、たとえば出資というような形もまああるかもしれません。あるいは公団債、これをお持ち願うというような形もあるかもしれません。いずれにいたしましても、これからこの工事の調査が実施計画として進んでいくと、それに見合ってどのくらいの金がかかるだろうか、こういうような目算もだんだん固まってきますから、それと見合いを取りながらそういうことを固めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 大体三つの橋でどのくらいの予算が必要なんですか。ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) 四十三年の建設省の出された報告によりますと、三本で約七千七百億、七、八百億だったと思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 個々におっしゃっていただきたい。

富樫凱一本州四国連絡橋公団総裁

○参考人(富樫凱一君) 各ルートで申し上げますと、神戸−鳴門が三千七百二十八億です。それから児島−坂出の線が二千五百五十一億、それから尾道−今治のルートが千四百七十八億でありますが、この尾道−今治の線は、一般道路の規格でやった場合の金額でございます。総計いたしまして七千七百五十七億でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 で、大蔵大臣、いま七千七百五十七億とおっしゃったわけですが、これからものも上がるでしょうし、何やかやでまあ一兆円ということを感じるのですがね、それはどうですか。それはまだどういうふうにやるかきまっておらぬとおっしゃるけれども、これはとにかくだいじょうぶと思っていいわけですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ国の他の諸施策ともにらみ合わせまして実際のこの工事は進めていかなければならぬと、こういうふうに思います。三本が同時に同じような速度で進行していくかというと、まあ他に新幹線の問題というような問題もありますれば、あるいは道路計画という問題もある、そういうようなこととにらみ合わせまして、あるいは多少前後しながら進んでいくというような場合も考えるわけでありますが、いずれにいたしましても、そういうものとにらみ合わせまして六十年までには大体これは架橋し得ると、こういう大体の見当のもとに計画を進めておると、かように御承知願います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、まあほかのこととにらみ合わさなければならないけれども、とにかくやる気でやるんだということには相違ないのですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それじゃこれで橋の問題は打ち切りたいと思いますが、要するにこういったトラブルをできるだけ早く解決して——先に行けば行くほど解決がむずかしくなると思いますので、これはひとつ公団のほうにもお願いをいたしたいし、通産省に対しても、あるいは海上保安庁等に対してもトラブルが起こらないように、そうしてまた将来危険がないように、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。これで、この問題についての質問を打ち切ります。  それでは次に大地震といいますか、震火災といいますか、そういうことに対する質問をいたしたいと思います。  まず、きょうは河角先生に御出席をいただいておるので、たいへんありがとうございました。河角先生にお伺いをいたしたいと思うのですが、一般論でございますが、この際、権威者でございますので、一応お聞きしたいと思うのですが、マグニチュードということについて、どうもよくわかりませんので、しろうとにわかるようにお話が願えましたら、ひとつお願いしたいと思います。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) 日本では大地震ということをいいますが、大きな地震というのを、時によりますと強い地震というのと間違えてといいますか、混同して使う場合もありますけれども、大地震と申しますのは、非常に広い範囲を広く破壊するというような地震が大きな地震でございます。これはエネルギーの大きな地震ということです。それから強い地震というほうは、一つの場所で、そのゆれ方の程度の強い弱いを示す一つの場所のことをいうことばでございまして、そういう意味で、マグニチュードというのは、その大きさのほうをあらわす単位と申しますか、規模の指数でございます。それで、これを最初にきめたのはアメリカの地震学者、リヒターという人が一九三五年にきめたものでございますが、それと向こうでは特別な地震計を使いまして、そうしてその地震計で書かれた一番大きな地面の振れを取りまして、その対数を取って、規模を、マグニチュードというものを定義しておりますが、日本には初めそういう地震計が、それと同じものがなかったために、日本では最初私が地震のゆれ方の各地の分布状態を調べまして、たとえば百キロのところで震度が五という、強震といわれる程度であれば、それはあるその強さによって五というような指数をつけて呼び、六というような烈震という程度で、百キロのところで烈震であれば六とかりに呼ぶというようなことをして、日本のマグニチュードのあれを私はそういうようにしました。関東地震はそういうスケールでいいますと、ちょうど百キロのところで震度六、震度六ということは建物が多少倒壊が出てくるという程度のところでございます。まあそういうふうなものと、アメリカで定義されましたマグニチュードとの間の関係も、多数の観測が集まった後には比較ができるようになりまして、両方の関係がつけられて、大体私のマグニチュードを半分にしてそれに四・八五という数を足せば向こうの数になるというふうな関係がございますが、結局、マグニチュードというのはエネルギーをあらわしておりますので、まあマグニチュード五くらいの地震というのが日本では被害を及ぼす最低限の地震でございまして、最大限というのは世界じゅうで見ましてもマグニチュード九程度のものが最大限でございます。マグニチュード九くらいになりますと、からだに感ずる範囲が二千キロというような遠くまで及び、中国あたりにしかそういう地震があまり起こってもおりませんけれども、その九の地震になりますというと、中心から四、五百キロの距離まで被害が起こる。壁がこわれる程度で倒壊に至らない強震区域というものを入れてみますと、四、五百キロにまで及ぶ。烈震区域という、日本の木造家屋が倒れるような範囲になりますと三百五十キロくらいの範囲になるかと思います。そんなふうなものでエネルギーの単位でいいますと、最大級の地震というのは原爆の大きさに比較していいますというと、最高千メガトンくらいのエネルギーを地震が出す。それから関東地震程度の地震が数十メガトンという程度でございます。まあ、そういうふうなエネルギーでの対数に比例するような指数がマグニチュードでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ありがとうございました。  それで、地震年表といったようなものを見ますと、昔の地震のマグニチュードも出ておるのですね。それはどういうふうにしておはかりになるのか。それから、たびたびお立ちになるのは何ですから一ぺんにお聞きしますが、先生の東京の地震に対する六十九年周期説というようなものがございますね。こういうものについてひとつ御説明をいただけたらと思います。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) 昔の地震のマグニチュードというのは、機械観測がないのにどうして出したかという御質問でございましたが、先ほど、私のマグニチュードの出し方は地震の強さの分布を見て、それによってマグニチュードが推定できるようになりましたので、それを使いますと、昔の地震の記録から、どこでどの程度の強さであったというのが被害状況から推定できますので、その分布の関係からマグニチュードが昔のものをきめられる。それは私がきめたものでございますけれども、いま大体、昔のものはそういうふうな数を学会でも使っているわけでございます。  それから六十九年周期と申しますのは、これは最初鎌倉に実際に起こって記録の残っている強い地震、強震といいますか、被害を伴う程度以上の地震を選び出しました。それからまた、先ほど申し上げましたように、古い地震でも震源の位置とマグニチュードがきめられますから、鎌倉なら鎌倉までの距離がわかりますと、マグニチュードのほうから、鎌倉でどの程度の震度、強さになるかということが推定できます。そういうふうにして鎌倉での地震の強さが震度五という程度以上の地震を選び出しました。そこで、歴史時代に三十三回あったと推定されたわけでございます。それを、その地震の起こり方に時間的な法則性があるかどうかということを、統計学的な方法を尽くして私が調べてみましたところが、六十九年という周期が九九・九%という確率であるということが立証されたわけでございます。これはもう現在、周期性があるかないかということを調べる検討の方法を、私も新しい方法を考え出して、そういうものを尽くして調べてみましたけれども、確実にそういう周期性があるということが証明されたものでございます。その後、東京における強震についての調査もまた追加してやってみましたが、東京のほうがむしろ周期性が、六十九年という同じ周期性が高いといいますか、九九・九六%というような確率で周期性があるということが証明されたのでございまして、そういう統計学的な学術的なむずかしいことは省いて、実際に歴史上にそういうのが実績としてどのくらい周期性の法則が当たっているかということを申し上げたほうがおわかりやすいのじゃないかと思いますので、それを申し上げますが、歴史時代に関東地方で一番古い大きな強い地震というのは西暦八一八年に起こった関東地震でございます。これはいろいろの分布状況から、大正十二年の地震と同じところに同じ程度の大きさで起こったのだろうということを私の恩師の今村明恒先生がおっしゃっておりますが、まず間違いないと思います。その八一八年から六十九年で区切ってみますと、現在までに十七回そういう地震の起こって当然と期待される年があったわけでございます。その十七回の中にちょうどその年に当たるという地震もありますし、一、二年ずれたというものもあり、中にはその私の六十九年目の周期から、期待される年から二十七、八年も離れて起こる地震もありますけれども、そういうものは私の周期で起こった地震ではないと考えて、そういうズレの量の平均の——自乗して平均して平方根に開いた標準偏差というものをとってみますと、そのズレが十三年ということが標準偏差として出てまいります。ですから、私の周期で期待される年からその十三年以内に起こった地震は当たりと考えまして、そういうふうに当たった回数が十七回の中に何回あるかと調べてみますと十三回ございます。四回しかはずれたという年はございません。そうしてしかもその四回が、最初が平将門が東国で乱を起こした時期、二回目が平忠常の乱の時期、三回目が保元、平治の乱のとき、四回目が吉野朝時代で新田氏の家来が武蔵の本田で戦っておったような記録のあるところでございまして、みんな関東地方ないしは日本全国が乱れておったときでございますので、地震があっても記録が残らなかった可能性もございますけれども、それを無視しましても十七回中十三回当たるというようなことでしたら、七〇何%という確率で当たることになるわけですから、そういうふうに私の六十九年周期から期待されるものが七〇%以上で、歴史的な確率から当たるとしたら、それを無視して対策をしないということは、これは為政者としては責任問題じゃないかと、私は七年前の国会の新潟地震直後の地震対策委員会でそういうことを申し上げましたが、それが聞かれまして、その翌月から東京都で防災会議の中に地震部会をつくり、そうして来たるべき地震がどの程度であるか想定をして、その基準の地震が、ついでに申しますが、大正十二年の程度のゆれ方ということにしました。それは百年に一回くらい東京ではそういう地震が起こった実績があるからでございまして、その強さを基準にしまして被害想定をいたしますというと、御承知のような非常にたいへんなことになる。ついででございますからその点申し上げてよろしゅうございましょうか。——ついでに申し上げます。その被害想定の結果を申しますと、東京都の二十三区内で約二万戸の倒壊家屋が関東地震をもう一度繰り返されたらということでございますが、その程度のものが起こります。そうしてそのときに普通の危険物関係でない原因から起こる火事が七百三十二カ所から起こると推定しております。それを現有の消防力で消してみますというと、六割を都民が消してくれて、あと四割は消防が消すとしますと、現有の消防力ではその半分しか消せないで百四十七が燃え広がっていくという結論になります。そしてその百四十七の火事がちょうどその地震のときに、風が年間の東京の平均風速くらいである三・五メートルくらいであるとたいして火災による死者は出ませんけれども、もし風速が十二メートルくらいになりますというと、二十三区内で逃げおくれてしまう人が五十六万人という数が出ると推定されております。その上に最近は非常に危険物がたくさんふえました。ことに石油ストーブがもう各家庭に、多い家には数台もあるというような普及ぶりでございますので、それから起こる出火件数というのが非常に多いことが三年前の十勝沖地震のときの実例から出火率が出まして、それを東京に当てはめますと約三万件の出火が起こる勘定になります。七百三十二の火元でも半分しか消せないというときに三万件も起こりますというと、都民がたとえ六割消しても消防の消せるのは一%程度、そしてその残りが燃え広がるとしますというと、三時間の間に二十三区の九〇%の面積が焼け野原になるだろうという結論が東京消防庁で、これは略算でございますけれども、その程度になるという推定が出ております。このような危険事態でございますので、東京の地震対策というのは、いまの周期性から見ますと、あと二十年がその周期に当たる年でございますけれども、昭和六十六年、一九九一年が私の周期から期待される年でございますけれども、その前後先ほど言いました標準偏差が十三年ある。その十三年の間になりますというと、その前の期間の地震の起こる確率が四倍になりますから、そういう危険期をめどにして対策を間に合ううちにやっていただきたいと私は願って、いままで努力してきたわけでございまして、最近、東京都だけでなく、国でも三年前からこの問題を取り上げて検討していただき、昨年の五月からは、中央防災会議の中に八つの部会ができまして、この検討を進めて対策を考えていてくださるようになったわけでございまして、非常にありがたいと思っております。そして神奈川県とか千葉県とか埼玉県というようなところでもこの問題は慎重にいま考えており、神奈川県では被害想定がこの三月一ぱいで終わるというようなところまで進んでおります。この辺で……。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 またあとでこれに対する対策等の問題につきまして、また先生にお伺いすることもあろうかと思いますが、ちょっと話題を変えて、先生はロサンゼルスへ団長として視察に参られたわけですが、ロサンゼルスでごらんになって、それといままでの東京都のいろいろな問題との比較検討をなさったと思いますけれども、私ども新聞で少しは見ておりますけれども、ひとつ先生よりロサンゼルスの簡単な御報告がいただけたらと思うのでございます。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) それではロサンゼルスの地震につきまして、私どもの見たことと、その南関東地域の地震に対する対策に参考になる点だけを簡単に申し上げます。  新聞などで御承知のとおり、この地震はマグニチュード六・六という地震でございます。これは日本では中地震と言われる程度で、昭和二十四年ごろだったと思いますが、そのころに起こりました今市の地震とか、あるいは七、八年前に起こりました宮城県北部に起こった地震、あるいは二年前に起こりました岐阜県の北部といいますか、中部といいますか、その辺に起こった地震などと大体同じ大きさでございまして、入口の密度の低いところでは日本でも十数人死んだかどうかといったような程度の地震で済んだと思いますが、今度のロサンゼルスの地震は、近代大都市の近くに起こったという点で、非常に東京付近に大地震があるかと心配しているわれわれにとりましては、参考になる点が多いのではないかというふうに考えて現地に参りました。しかし、この地震が実はロサンゼルスの町の中心に起こらないで、北西の方向に、中心街から四十キロ余り離れた山の中に起こりまして、ほんのロサンゼルス市の一部分が先ほどから申し上げております烈震区域という、日本の木造家屋が倒壊するような強さの範囲はほんの一部分、北西の部分がかかっただけでございます。ですからロサンゼルスの大ロサンゼルスと言われておるロサンゼルス市という中にまた幾つかの小さな市が含まれておりますが、それを含めた面積から考えますというと、おそらく二十分の一くらいのところの部分だけが被害を受けた程度で済んだのでございまして、非常にしあわせであったわけでございます。そしてまたこの地震が朝の六時零分という非常に都合のいいといいますか、しあわせな時刻に起こりまして、火を使っている家庭も少なかったし、また路上を走っておる車のラッシュの時間でもなかった、そういう点で非常に被害が軽く済んだわけでございますが、それにもかかわらず、近代施設の象徴ともいうべき高速道路が非常に大きな被害を受けました。  それからまた、耐震設計をして昨年の十月に落成したというオリーブ・ビュー病院という病院が一階の柱がめちゃめちゃになりまして、こんなに傾いて、そしておそらく取りこわさなければならないようになると思いますが、そんな程度の大被害を受けたという点で、いままで考えられていました普通の地震の状況から考えますというと、何か耐震設計図に欠陥でもあったんではないか、あるいは施工の面でごまかしでもあったんじゃないかというような点をわれわれは問題にして行ったわけでございますけれども、現地へ行ってみますというと、この地震の震源の深さが十五キロ程度というような非常に浅いものであった。そのために、震源の真上の震央と言われる点の周辺では、震源からの距離が近かったために非常に強い震動が起こりました。まあ、いままで日本の地震でも、その地震力が重力と比べまして何%というような、その%で地震力をあらわすことが地震工学上は普通でございますが、そのあらわし方で言いますというと、日本の建築基準法では、重力の三割、三〇%程度の設計強度を取らなければいけない、三〇%程度の地震力を考えることに日本ではなっておりますけれども、それを上回って、重力の一〇〇%というような地震動が、アーチダムを持っている貯水池のすぐわきの山のはたの上で観測されましたし、それから、先ほど申しました大被害を受けた高速道路とか、近代的な耐震設計をしたオリーブ病院などの辺では、重力のおそらく四〇%、五〇%というような程度の地震力が加わったものと考えられます。その上に、断層がその地帯に、ちょうどあらわれたのでございます。その断層は上下に二メートルくらいの落差が起こり、そして水平に北のほうの部分が西にやはり二メートルくらいすべるというような大きな動きを示しました。その断層からそういうふうな大きな動きを示したところから、十キロ程度の距離に、いまのような病院とか高速道路がありまして、その断層線の方向に、いまの施設のあった地域までずっと割れ目が地上に見えるというような地変の起こった地帯にあったわけでございまして、そういう狭い断層に沿って、その北側に約二、三キロの幅の地域が帯のようにつらなっておりまして、その部分だけが非常な被害を受けました。ですから、その被害区域の中にありましたガス管、水道管というようなものが、やはり非常に大きな被害を受けました。  日本の参考になる点は、高圧ガス管については、いままでは、ガス会社の意見によりますというと、元せんを締めるから問題はないというふうに言われておりましたが、向こうでは、高圧ガス管が破裂しまして、道路に直径二メートル以上というような穴が十数カ所にあくほどの勢いでガスが吹き出して、数時間それが吹き続けた。非常にしあわせなことに、その地域が密集市街地でなくて、郊外の非常にゆったりした住宅地でありましたために、漏れたガスに引火したのは、たった一つの穴からだけでありまして、それもそばの電柱を焦がしただけで済んでしまいました。これが東京のような密集市街地だと、やはり高圧ガス管が走っております。そして、東京の中央区あたりの隅田川寄りに走っている鉄管は、直径が百十センチというような大きな鉄管でございますので、そういう高圧ガス管がもし切れて、そこからガスが噴出しましたら、大阪のガス爆発のような、ああいう事態ができたのではないか。私どもとしては、この問題は慎重に考えなければならない問題だということを教えられてまいりました。  まあ、その他の点につきましては、先ほどの高速道路がこわれたというのも、地震が非常に強かった、日本の設計震度の指定されております三〇%程度の重力とひとしい地震力のおそらく倍くらいの震動があったという地域で、そうして耐震設計の設計された強度は、日本で要求される強度の三分の二くらいの強さしがなかった。ですから、結局、設計された強度の三倍くらいの強い地震動が働いたために、高速道路も、そうして新しく建てられた病院なども被害を受けたと思います。しかも、その耐震設計をしました病院のほうは、建物はもう使いものにならないと思いますけれども、その中で死んだ人は、直接地震によって破壊したコンクリートのかたまりに打たれて死んだという人がただ一人出ただけでございます。二百人余りの入院患者のうち一人だけであった。そういう点で非常に耐震設計というものが役に立ったと私は思っております。その同じ病院で、二階建で一階がぺしゃんこになってしまったのも起こりましたから、そういうのはほんとうは感心できないわけでございます。もし普通の日中で、人が働いている時期だったら、おそらく三、四十人の人がその建物の下敷きになって助からなかったと思いますが、全くペしゃんこに、柱がめちゃめちゃにつぶれて地面の上に落ちておりましたから、そういう問題もございますけれども、とにかく本格的に耐震設計をすれば、もう最大級の地震の強さにも耐えられるという立証が得られたと私思いますので、ほんとうに地震に耐えるような建物を建てれば建てられるという点で、非常に教訓を得たと思っております。  それからまた、高速道路は、建物よりもさらに弱かったらしゅうございます。そうして、しかも、こわれた部分は三、四メートル、三十メートル以上といったような高いところを走っている橋のようになった部分でございまして、そういうところが、日本に比べますと非常に細い橋脚が折れたり、あるいは橋げたがはずれたりしまして、落ちたものでございまして、そういう点から見て、日本の高速道路というのは、アメリカから見ますというと数倍の耐震設計が行なわれていると思いますので、その点ではかなり安心感が得られたと思っております。  あとの問題は火事の問題ですけれども、火事の問題は、今度のアメリカの場合は、先ほど申しましたように、非常に広い空地を持った住宅地だけが地震力が強かったわけでございますので、そういう点で木造住宅はほとんど被害がございませんでしたし、したがって、火事もほんとうにばらばらに起こっただけで、一軒燃え上がっても、消防が全然来てくれなかったのに、ただ一軒灰になっただけで、隣の家のペンキがちょっと焦げる程度で済んだというふうな被害状況であったのは、ほんとうにまあ、うらやましいと感じました。日本と比べまして、道路が広がったり、また道路から五メートルくらい引っ込んで家は建てなければいけないという規則になっていたそうでございまして、そういう点で、また、隣との間も空地があるというような、非常に緑の中に家が建っているというような状況でございましたので、被害はほとんどなくて済んだ。火災というのは、もうアメリカでは、ほとんど郊外の住宅地もたいして問題ありませんし、また、中心街のようなところは不燃建築が多いわけでございますので、そういう点でも、火事の問題はそれほど心配にならなかったと思います。  ただ、今度の地震で超高層ビルなどの耐震性について十分ほんとうの試験ができたわけではございません。ロサンゼルスの中心街には超高層ビルもずいぶん幾つかございましたけれども、その辺に働いた地震力というのは、日本の耐震設計の基準から見ますというと、まあ最高重力の三〇%くらいの強度を持たせるというものから見ますと、その半分か三分の一くらいの震動しか働かなかったために、超高層ビルが無事に残ったとしても、別にそれで設計がいいとか安心だとかというわけにはいかないのじゃないかと思うわけでございまして、そういう点から見まして、耐震設計の問題は、超高層ビルに関する限り、まだほんとうに安心がいくというようなデータが今度の地震で得られたというわけではございませんけれども、今度の地震のかなり強かった地域内に、アメリカでは強震計が二百七台くらい据えつけてありまして、そのうちの九〇%が完全な記録がとれました。それで、その記録と、建物の上に置かれた強震計も記録がとれておりますので、そういうものを解析しますというと、やはりそのほうからその建物の耐震性の判断もある程度はできるかと思いますから、将来そういう問題についての参考になる結論が出てくるかと思いますが、ただ一つ問題は、この地震があまり大きくなかったために、超高層ビルのようなものに共振れを起こして、そうして大きくなるというような、そういう長い周期の震動が含まれていなかったという点で、今度の地震だけで向こうの超高層ビルの耐震性が十分チェックできるとは限らないかとは思いますけれども、まあしかし、…普通の建物、先ほど言いました激震地にあったオリーブ・ビュー病院などがあの程度に持つことを考えますと、超高層ビルも地震のときにかなりだいじょうぶではないかという見通しはつくと思いますけれども、大きくゆれるということは避けられないと思いますので、まあ霞が関ビルのような、ああいう大きなビルで、そして日中になりますというと二万人から五万人というような人がいるときがあるというふうに考えられております建物で非常に大きくゆれる場合に、中にいた人たちがパニックを起こさないという保証はございませんので、そういう面から、もっと、どの程度ゆれるかという可能性について本格的な研究を積み重ねて、日本の超高層ビルのそういう点をチェックしておくようにと、ぜひお願いしたいと思うわけでございます。このことは、先月の十二日にありました衆議院のほうの災害対策特別委員会でもお願いしたわけでございますけれども、非常に私としてはその問題が心配になりますので、その点をまた重ねてお願いしたいと思います。  長くなりまして、どうも恐縮でございました。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そこで、いま報告を承ったわけですが、いまの報告の中にも出ておりましたことについて一、二お伺いしたいと思います。  建設大臣にお伺いしたいんですが、いま、四階建てかなんかの病院がぺしゃんとつぶれて、一階だけつぶれてしまったということがありましたね。それは、日本の十勝沖の地震でも、函館大学でしたか、あそこがぺしゃんとつぶれたんですね。私どもも写真を見たわけですけれども。ああいうことについて、その後どういう研究が行なわれて、そうしてどういうふうな処置がとられておるか、お聞かせをいただきたいと思うんですが。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) これは非常に技術的な実務的なことでございますので、事務当局から答弁させます。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) お答えをいたします。  建築物と地震の問題につきましては、御質問ございましたので特に申し上げますが、日本では非常に常時関心を持って研究を続けております。特に今度のロサンゼルスの地震の問題につきまして、大臣の御指示で調査団も派遣して、そのデータを集めて、それを今後の建築に生かしたいということで努力をすることになっておりますが、北海道の地震につきましては、あのデータを全部集めまして建築学会で分析をしていただきまして、今後の建築物に生かせる面について周到な研究をしていただきたいということでやりまして、全般的に申し上げますと、関東大震災、それから十勝沖地震等のデータは十分建築行政に生かしていけるということで研究も進めておりますし、今後も努力を続けるつもりでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 非常に私心配なんです。ああいった建築が各所にあるんじゃあるまいか。そうすれば、あのくらいの大きさの地震、まあ関東大震災はもっと大きいんじゃないかと思うんで、あれば、そういうものがぺしゃんぺしゃんぺしゃんと、あっちでもこっちでもつぶれるということが起こる可能性が大いにあるんじゃないかと私は思うんです。その辺についての再検討といいますか、そういうものをどういうふうになさったか。あれはもう函館大学だけの問題なんだということになるのか。それとも、これと同じようなものがあっちにもこっちにもあるはずだということになるのか。その辺が、どうもまだはっきりしないんです。あるはずだとすれば、どういうふうになさろうとするのか、なさったのか、それをよくわかるようにお話をいただきたいと思うんです。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) お答えいたします。  地震の際の地震の建築物に対する影響でございますけれども、これは、御承知のとおり、非常に複雑でございます。それで、一言で、こういう地震があった場合に建物にこういう影響があるということを、一がいに断定的に申し上げられませんので、北海道の地震の場合の結果につきましても、一つ一つの建物につきましていろいろ検討はしているわけでございますが、−言で申し上げますと、非常に複雑であるということは申し上げられますが、そういった複雑な要素を全部検討いたしまして、今後の建築物の構造に生かしていきたいということで、これは今回に限らず、関東大震災以来、日本の建築の規制の行政上ずっと努力をしている問題でございます。したがいまして、今度のロサンゼルスの地震の調査をいたしました、まだ最終的な結論は出ておりませんけれども、結果を、まあ一応聞きました報告だけから判断いたしましても、日本の建築物の単体としての構造は世界で最も地震に対する安全に配慮を払っている構造になっているというふうに、われわれとしては、言わしていただければ、自信を持っているというところまでいっていると考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に複雑な問題でございますので、今後もこの地震の対策については十分検討を進めたいというふうに考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 私ども建築の専門家でないので、あまり専門的におっしゃるせいか、よくわからないんですけれども、要するに、地震のゆれ方も非常に複雑でしょう。複雑だから、われわれ地震がこわいわけなんで、現在、これから新しく建てるものについてはまた別な研究ができて、いい技術でやられるかもしれないけれども、もうすでに日本全国至るところ鉄筋コンクリートの建物があれだけたくさんあるわけなんで、それは、いままでの技術で、つまり函館大学を建てたのと同じ、大体同じ頭で建てたんだというふうにわれわれは判断をするんですが、そうすると、あの程度の地震でぺしゃんと一階がいってしまったというと、関東大震災のときにはコンクリートの建物が非常に少なかったので、私らの記憶では内外ビルという一のがめちゃくちゃにこわれましたが、それ以外には、あまりひどくこわれたのはなかったように思いますが、とにかく、東京で十勝沖の地震と同じ地震がかりに起こったときに、函館大学と同じような状態のものがどれだけたくさんできるかわからないというような不安があるわけなんです。その不安を一掃してもらわなければ市民は困るわけなんで、それをするためには、現在あるコンクリートの建物を一応再検討するとかなんとか、そういったような方法をとっていただきませんと、地震のゆれ方は複雑なんだからどういうことが起こるかわからないから、とおっしゃったんでは、やはり不安は一つも解けないわけなんで、そういう点、ひとつよくわかるように説明してもらいたいと思います。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) 建築物全体の耐震構造につきましては、お話のように非常に複雑な問題がございます。また、関東大震災以後、耐震構造の研究というのは非常に進んできております。御承知のように、今度建築基準法を改正いたしまして、耐震構造についての規定も一部改正いたしました。そこで、高層建築物についての耐震構造の従来の考え方というのは変わってきているわけでございまして、先ほどのお話がございましたように、私も専門的な技術者でございませんけれども、要するに、関東大震災以来の幾つかの地震の経験を生かして、従来ございましたコンクリート構造の建築物というものは地震に対してはだいじょうぶだということでやってきているわけでございますが、最近の高層建築物につきましてはそれと別な理論で、建築基準法に、はっきり靱性ということばを使ってございますが、従来の剛性のほかに靱性も考えて耐震構造を考えるという規定になっております。そういった規定で、従来のように、ゆれました場合に、しっかりそれを受けとめるというだけではなくて、非常に高層の場合には靱性も考慮して震動を受けとめる構造の変革と申しますか、従来の耐震構造の考え方だけでなしに、新しい考え方も入れて耐震性を持たせるという構造を建築法で認めたのであります。そういったことを考えまして、単体の建築物としては、現在の日本の建築物は耐震構造という面につきましては世界的に一番進んでいるというふうに考えているわけでございます。  ただ、現在すでに建っております建築物につきましては、まあ実際の地震が起きました場合に、いろいろ問題がございます。そういったものについての補強といいますか、耐震性の増加という面につきましては、まだ今後われわれとしては十分検討していかなければいかない問題があるというふうに考えております。特に、最近、大臣からロサンゼルスの地震の経験を生かして、すでに建っている——これから建ちます建物につきましては、耐震構造については十分われわれ検討いたしました規定に従って安全な構造をつくるつもりでございますけれども、すでに建っているものについても、さらにそういった検討をすべきではないかということで、その点の検討を進めているということでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 大臣にお伺いしますが、ほんとうに私自身だって不安なんです。鉄筋三階の宿舎に住まわしていただいておりますけれども、地震が起こったら一階がぺちゃんといくのじゃなかろうかと、それはやっぱり寝るときには考えます。ですから、市民、特にアパート暮らしをしているような人たちには、木造の人はもちろんですけれども、鉄筋のアパートでも、現に新潟ではああいうふうにひっくり返っている。これが東京の都内にだって、ないとは言えないでしょう、新潟にあったんだから。東京では絶対にないんだという証拠があれば見せていただきたいと思うのですけれども、それは言えないだろうと思う。そうすると、これも再検討しなければならぬ。いまのような函館大学のような場合もあるし、ロサンゼルスでも現にそういうことが起こっているし、ということになると、これは全部再検討をして、悪いところがあれば直す、そしてそういうことをやっていただかなければ、市民はまくらを高くして寝られない、こういうことになるわけですが、その点、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 先般お答え申し上げましたように、従来日本では、いま事務当局が御説明いたしたように、特に震災については非常な配慮をして、建築基準法、こういうものをつくり、さらに先般もこれを強化しております。しかし、これで万全であるかといっても、これは必ずしもそうだということを、それじゃ証拠を出せといっても、私は証拠を出すわけにはいきません。そこで、先般のロサンゼルスのあの経験が非常に大きく再検討の材料に使われるべきだということで、建設省を中心とし、関係各官庁のその専門家を派遣しまして、東京都から派遣された調査団と一緒になりまして、その調査の結果をいま解析して、これに対する、今度は日本の従来のやったことに対する反省の材料にしております。それに基づいて、さらに強化すべきものを強化していくというふうに指導したい。  ところで、これは全部国がやるということでは、とてもこれはできませんので、幸い、現在東京都も、あるいは各都道府県も、それぞれにおいて震災対策なるものを真剣に取り上げておる状況でございます。そこで、おそらく、いま松本さん自身も非常に不安だというふうに感じておることは、一般都民も一般国民もそう感じておることでしょうから、やはりいかなる人間といえども自分の生命を大事にすることは当然でございますので、これは自分の住んでおる住宅環境を改善するためには最善の努力をするだろう、それに対して目安をはっきり示してやるということが国として大事である。でありまするから、今度の経験は、従来の技術的な日本の検討した結果にプラスして、震災に対する安全度をどういうふうにすべきか、よくわかるように解説いたしまして、そうしてそれぞれの各家庭において補強する資料にしてまいりたいし、それからもう一つは、各都道府県が地域的に都市再開発をいまやらしております。これもやります。それからまた、関連する災害に対するいろいろの予防措置の、これも中央防災会議で示した基準に従いまして各都道府県が実施することになっておりまするので、この都道府県が実施するいろいろの災害対策に対する政府の助成は、それぞれの地区において異なりまするので、各自治体においてつくられた防災対策に対して、その計画に対して国が助成する、こういうことで進めてまいりたいと思っている次第でございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 参考人にあるのですか、質疑が……。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それでは、簡単にいまの問題……。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 簡潔にお願いします。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) いま建設大臣からお話がありましたように、東京都とか神奈川県とかいうような自治体におきましても、この問題は非常に真剣に取り組んでおりまして、建物の耐震性の調査を神奈川県でも東京都でもやって、耐震診断を実施しております。現在ある建物につきまして。それからまた、地盤の調査をいたしまして、どういう強さと地盤によって震動がなるかということのちゃんとした計算も、実測に基づいてやっておりまして、そこの地域にはどの程度の強さまでは地震があるだろうということを考え、それに対して建物がだいじょうぶであるかというチェックもやっております。ですから、そういう結果、わかったものは順次に行政指導で改造なり何なりをするようにしたいとは考えておりますけれども、そういうところまで進んでおることを申し上げておきます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いま建設大臣のおっしゃること、どうも納得がいかないようなところもあるのですけれども、そうすると、それぞれ家庭のお話まで出ていたのですけれども、個人の持ち家に四階建てなんというのは、おそらくないと思うのですが、アパートとかビルディングとか、そういうようなものに住んだり働いたりしている人たちの不安というものを取り除くために、私はほんとうに早急に総点検をしていただきたいという気持ちがあるのです。それをやっていただきたいということを申し上げたいのですけれども、どうですか。簡単に申しますけれども、そういうことをやっていただきませんと安心できないと思うのです。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど申しましたように、安全度が、いま先生から言われたように、地域によってこれは違います。そこで、その災害の起こりそうな場所において、いろいろいま、地盤の状況、それから建物の状況の検討を、それぞれの自治体にやってもらっています。そういうところにおいて、いま御指摘になりました、たとえばアパートとかマンションとか旅館とか、こういうものについては一応安全性はとっておるつもりではございまするけれども、これは都道府県がそれぞれの営造物について点検することをいま指示しております。そうしてその結果、これは非常にあぶない、補強する必要があるというときには、これは行政指導で補強を勧告し、あるいはまた、それがきかない場合には行政監督でそれを措置すると、こういうふうにしなければならないと思いまして、この全体の問題については、いま建設省のみならず、防災会議、それから消防関係等も、日本においては、つぶれるということよりも、先ほどあなたも言われ、先生も言われたように、火災に対することが私は一番危険性が多いと思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いま火災のことは言ってないですよ。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) いやいや、言わないけれども、これが一番あぶないということなんですね。だから、そういうものも含めて、ただ、つぶれないというだけではいかない。それをも含めて、現在は、各災害が起こるであろうと予想されている地区において再確認をしてもらうように行政指導しておる、こういうことでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 火災のあぶないことはわかっていますが、火災は、これは一番大事なことですから、あとで聞きますけれども、鉄筋コンクリートの建物は一応だいじょうぶだという、われわれ先入観があったれけです。大正震災以来。ところが、最近の地震の実例を見ると、鉄筋コンクリートの建物がぺしゃんといったり、ひっくり返ったりしておるということになると、鉄筋コンクリート必ずしも安心できないという不安が起こってきておるわけなんですよ。それを解消するためには——いや、解消するためじゃない、実際にあぶないのかもしれない。それで、それをあれするために、私は総点検を、少なくとも四階以上ぐらいの建物については総点検をしなければいけないんじゃないかということを申し上げておるわけなんで、と同時に、新潟で新しい橋が落ちました。これは高速道路なんかと大体同じ設計だろうと思うのですが、その落ちた橋に対する反省もあっただろうし、その後どういうことがそれについてなされておるか。私は、新しいものをかけるときには必ずそれを考えておるということは、もうわかり切っておると思うので、それよりもむしろ、いままでつくってあるものを、まあレントゲンで調べるか何で調べるかわかりませんけれども、とにかく、そうやって調べて、もう一ぺん検討してみるということが必要じゃないかと思うので、それがどの程度になされておるか、あるいはまた、なされる御意思があるのか、それを伺いたい。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  これは、先般もお答えしたように、建設省が所管する高速自動車道路については、それぞれその再検討を命じて実施しております。それから各都道府県についても、営造物について総点検を指示しております。ただ、これは非常に広範なことですから、まだその結果の報告が来ていないと、こういう段階です。それから、いま新潟の問題とかどうとかありますけれども、あれは、結果を見た結果、さらに技術的に、どういうところに設計のミスがあったのか、あるいは地盤調査のその点がミスがあったとか、そういう点を検討させて、これは土木研究所あるいはまた学会にはかって、その解析の結果は全部新しいものに採用しております。そういう状況でございまして、現実にこれは先般以来その総点検を命じておる段階でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 重ねて聞きますが、総点検を——これはまあ総点検といっても、十年かかるときもあろうし、というようなことじゃだめなので、大体その目安はいつごろまでにその総点検を終わるという、大体の目安はどうなんですか。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) 建築物につきましては、具体的に申し上げますと、三月七日から全都道府県で総点検をいたしまして、大体一週間をめどで、その結果を明らかにしたいということで指示いたしておりますけれども、なかなか一週間ではできないという状況でございまして、少なくとも十日あるいは二週間程度の時間をかけて……。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ちょっと待ってください。どの範囲ですか、それは。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) これは、建築基準法で申し上げます特殊建築物、簡単に申し上げますと、不特定多数の人がたくさん集まります旅館、ホテル、アパート、劇場、学校、そういった特殊な建築物につきまして、防火の観点、それから耐震性の観点から総点検をしなさいと指示をいたしまして、三月七日から実施いたしております。その結果を、われわれの希望といたしましては三月中に報告をもらいたいということで現在督励いたしておりますが、なかなかむずかしいということで、各都道府県努力はいたしておりますけれども、われわれの希望といたしましては、三月中にその結果を得たいということで努力をいたしております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 あの橋の問題は。高速道路もね。

高橋国一郎建設省道路局長

○政府委員(高橋国一郎君) 高速道路につきましては、先般の政府調査団の中に首都高速道路公団のエキスパートを加えていただきまして、今回のロサンゼルスの地震の高速道路の被害についてのみ時間をかけまして調査してまいっております。その調査の報告はまだ詳細に私は聞いておりませんが、簡単に申し上げますというと、設計の点におきまして、ロサンゼルスの場合はわが国の設計よりもきわめて地震に対して弱いということが言えるようでございます。先ほど河角先生が申し上げたと思いますが、設計の水平の震度、地震の震度のとり方が、設計におきましてロサンゼルスは〇・〇二から〇・〇三というふうな設計の基準になっております。一方、日本におきましては、御承知のように、関東大震災の経験を生かしまして、関東大震災級の、震度六といっておりますが、に構造は耐え得るような設計になっておりますので、〇・二ないしは〇・二というふうなことで、大体十倍ないし五倍程度の強さがあろうかというふうに考えられます。  それと、あと細部の設計でございますが、今回ロサンゼルスで落ちました橋、私は実は、現地を見ておりませんで詳しい報告を聞いておりませんが、一、二聞いた話によりますと、先ほどの河角先生の御意見のように、非常に高い橋、三十メートル級の高い橋でございまして、一本のピアでもって建ったようでございます。そういうところが大きな被害を受けておるというふうに聞いております。それから、けたが落ちたりしましておるようでございますが、こういうことは日本の設計だとちょっと考えられませんでして、首都高速道路のその技術屋は、日本のデータ、設計図を示しまして、こういうふうにすべきではなかったかというふうな忠告まで与えているようでございます。したがいまして、三十メートルの高いピアを一本でやるというようなことはきわめて危険であるということが一点と、それからもう一つは、橋げたのジョイントの構造が非常に弱かったために、地震等に対する対策が弱かったためにはずれて落ちたというふうなことではなかろうかというふうに報告を受けております。  以上総括いたしまして、ロサンゼルス級の地震がきた場合には、首都高速道路公団におきましての道路につきましては、若干のクラック等は入るかもしれません。しかし、落橋をしましてたいへんな事故を起こすというようなことはないというふうにわれわれは確信しております。  それからついでに申し上げますと、先ほど、新潟地震におきまして橋が落橋をいたしております。これは昭和橋と申したかと思いますが、この橋は落橋いたしました直後、直ちに建設省は技術の調査団を出しまして詳細な検討を行なっております。その結果の報告をもとにいたしまして、もうすでに、その後、全国のこれに類似した橋梁はすべて修正するように直さしております。それを簡単に御説明申し上げますと、砂の地盤の上にくいを打ちましたのでございますけれども、橋の基礎のくいを打ったわけでございますが、これがいわゆるクイックサンド現象を起こしまして倒壊したように聞いております。と申しますのは、従来、砂の地盤というのは支持力が非常に強いというふうにわれわれ考えておりまして、クイックサンドという現象は学問的にはわかっておりましたが、実際経験した例がなかったわけでございます。それで、従来の古い橋が落ちなかったのは、ウエル工法といいまして、コンクリートの大きな井筒を埋めておりましたので、これは古い橋のほうはむしろだいじょうぶだったわけでございますが、最近の技術の進歩によりまして、パイル工法といいますか、くいをたくさん基礎に打ったわけでございますが、それがたまたまクイックサンド現象を起こしたわけでございまして、と申しますのは、砂の粒子の振動、固有の振動がございますが、それと地震の振動とが振動周期が一致するような状況になりますというと、砂がちょうど液状の状態になりまして、流動するような状態になりまして支持力を失うという学問的なことがわかっているわけでございますが、これが起こったわけでございます。それを契機にいたしまして、まず斜くい、斜めにくいを打つということで手直しをさせまして、それからくいの基礎が支持力がぐっと落ちますので、本数を増加させるというような処置をとりましたために、今後はそういう現象は全国的になかろうというふうに判断いたしております。  以上、日本の橋の場合は、これは東京都内に限らず全国的な問題でございますが、明治、大正にかけました橋におきましては不安がございますので、これは大臣の御指示のように、全国的にいま調査を始めております。その調査の結果によって、補強するものはものによっては国の補助を出しまして補強いたして、関東震災級の地震に耐え得るように設計いたしたいと思いますが、それ以外の新しい仕様書に基づいて昭和に入ってつくった橋は、大体私たちはだいじょうぶだと確信しております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、あの新潟のあとで全国的に調査をして、そして悪いものがあったのですか。

高橋国一郎建設省道路局長

○政府委員(高橋国一郎君) 二、三の例しかなかったようでございます。ちょっと個所は忘れておりますが、砂の地盤でございまして、しかもパイルで打った工法の例でございますから非常に数が少のうございます。昔の古い橋は全部ウエルでございますから、だいじょうぶでございます。以上でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いま再検討というのですか、調査というのですか、一週間ということばが出ておったのですが、一週間というのは、早ければいいということにはなりますけれども、一週間で全国的、相当広い範囲で、調査を命じるほうも少し気が短か過ぎるのではないかと思うし、それから、できるのですか、実際一週間で。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) これは何も全然知らないものを一週間で調査しろというわけの指示ではございませんので、建てます当初、建築基準法に基づきます確認を受けて建てて、その後も常時監視をして、建物の状況その他は当然把握をしているべきものでございます。それが今回の地震その他の地震、火事等の例にかんがみまして、特にこの点をもう一回あらためて見なさいという指示でございますので、本来ならば法律の規定によりまして常時把握をしているべきものを、あらためてもう一回何か落ちているところはないかということで調べなさいという指示でございますので、まあわれわれとしては、一週間で何とかやりたいということで指示したわけでございますが、お話のように一週間じゃ短いということで、各都道府県も努力はいたしておりますけれども、報告その他についてはもう少し時間をくれないかという声もございます。しかし、われわれとしては、一週間で何とか調べられるだろうから、その結果を三月一ぱいにとりたいということで努力しているということでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 調査の結果が出ましたら、なるべく早く国会に報告をしていただきたいと思います。  それから問題を変えますが、地震の対策を練るためには、一応予想される災害というか、地震というか、そういうものを想定していかなければならぬと思うのですけれども、地震の発生の時期とか、あるいは地震の規模とか、震度とか、そういうものをどういうふうに想定しておられるか。そこで対策本部というか、何ですか、総務長官にちょっと。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) いま私は、総理が本部長で、総理府でその事務をあずかっておるという立場にあるわけでございます。しかしながら、対策本部においては、ロサンゼルスのただいまの河角先生のお話もございましたように、私も非常に緊張して承りました。直接、私ども役人の視察団の報告とまた違った意味の権威者の見解でございますから、非常にこの場においても参考になった点がたくさんございます。しかし、いままでの報告等を聴取いたしましたものでは、やはり先生も指摘されましたように、ガス等の公益事業部門に対する特定な研究がやはり必要であるということを考えまして、さっそく中央防災会議の八部会に、さらに公益事業部門についての新しい部会を加えて検討を開始いたしておるところでありますが、四月中に防災会議を開く、その手順に従っていま検討いたしておりますものは、大体、消防審議会が答申をいたしました問題点を出発点といたしまして、そういう状態のもとに関東地方南部に地震が起こった場合にどうするかという問題にしぼって、いま検討しておるわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いま消防審議会の答申というお話が出ておりましたが、これは私もちょっと拝見をしましたのです。そこで、一応これは消防庁のほうから説明していただきたいと思うのですが、河角先生おられますけれども、地震の発生の時点ですね、いつ発生するかという一つの想定のもとにやるという点について、私ちょっと意見があるのですが、どういうふうにきめておられるのか、その点をひとつ伺いたい。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 答申におきましては、地震発生の予想時点といたしまして一九七八年を予想いたしまして、その規模その他は関東大地震程度ということを前提にして審議をしたわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それで、この一九七八年というもの、さっきの六十九年周期説プラスマイナス十三年というところからこの数字が出てきておることはわかるんですけれども、それは絶対にそこまではだいじょうぶということが言えるんでございましょうか。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) 先ほども申しましたように、プラスマイナス十三年という範囲は、私、危険期と呼んでおりまして、その危険期の確率はその前の期間の四倍になると申し上げました。ただ、確率的にそういうことが言えるだけであって、その前の期間の間は確率は低くありますけれども、決してゼロではございませんから、だれも起こらないということをはっきり答えられる人はないと思います。ただ、地震予知の研究家たちが集めた資料によりますというと、かなり地震の前兆も進んできている様子であって、いつ起こってもふしぎはないというような状態になっているという話がございますけれども、しかし、ほんとうのいままで観測された事実で申しますというと、地震の起こるに必要なといいますか、ほんとに起こり得るような状態までのエネルギーの三割程度がいままでに現在蓄積されているという程度で、まだ七割くらいの部分がこれから蓄積されるんじゃないかという話を、その地震予知の人たちから聞いております。しかし、その七割の部分が非常に急激に蓄積されるという可能性が決してなくはないわけでございまして、いままでと同じ割合で進むわけではございませんから、まあ時期の問題は地震予知の方法ではまだはっきり予知することができない状態だと思いますが、そういう意味で危険は迫っているとは言えますけれども、ほんとうにあと七年間だいじょうぶだなんということはだれも言えない。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それでは、まあまああと七年というところに目標は置くが、それまでも十分注意をしなければならぬということはわかるわけでございますが、そこで、さっきはコンクリートの建物の地震による被害についていろいろとお尋ねしたんですけれども、今度は火災による被害についてお尋ねをしたいと思うんですが、先ほども河角先生からお話がありましたが、私はこの消防審議会の答申によると、河角先生のお話の二つあった中の非常に小さいほうの数字をとって一応いろいろ考えられておると、こういうふうに見られるわけなんですけれども、先ほどの東京都内——まあ東京を例にとるわけですが、東京都内で百四十七件の大火が起こるというお話は、これは石油ストーブなどのそういう危険なものを一応考慮に入れていない数字だということであるわけなんで、そうすると、そういうものに対する対策というものが、まあ石油ストーブはこれはもう勘定に入れなくてもいいんだというところまで石油ストーブの安全度がいかなければ、この計画というものは、夏はともかくとして、冬の東京に対してはこれは無意味な計画ということになってしまうと思うんです。そうすると、そのどっちか、石油ストーブが絶対安全なものだということにならないとすれば、先ほど先生のおっしゃった三万件の火災が三時間の間に東京の九〇%を焼き尽くすという想定をとらなければならないし、その想定をとらないで、百四十七件の火災が起こるんだという想定をとるのだとすれば、石油ストーブというものを、これはもう少なくとも今後七年の間に絶対安全なものに改造していくということを考えていかなければならぬと思うんですが、それをひとつ。どうもこの消防審議会の答申と防災会議のほうの、東京都防災会議の河角先生のおっしゃる三万件という問題とが矛盾してしまって、われわれしろうとの頭ではこんがらがってしまうわけですが、そういう点について、ひとつどういうふうに今後やっていかれるのか、御説明をいただきたいと思います。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) お答え申し上げます。  河角先生のおっしゃった三万件というのは、一応、現在石油ストーブを使っておる約三百万世帯のうちの七割がそういう冬の時点に使っておるだろうということを前提にして、十勝沖地震の十和田湖における出火、石油ストーブからの出火率をそのまま前提として計算すれば、大体そのくらい予想されるだろうということでございました。ただ、御指摘のように、答申は石油ストーブによる火災は全部極限まで押えるという前提に立って答申をされております。聞きますと、なかなか想定が非常にむつかしゅうございますので、反面、石油ストーブにつきましては、地震の際の転倒その他による出火防止という措置を考えるという前提があったようでございまして、その点につきましては、四十六年の十月から、JISにおきましては石油ストーブの自動消火装置というものをつけるという考え方がすでに定まっておるようでございます。われわれといたしましても、ぜひ将来、法的な規制のもとにおいても何らかの自動消火装置を加えた石油ストーブが全家庭に使用されるということを前提にして検討いたしたい、こう思っておるところでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、四十六年の十月とおっしゃいましたか、それまでに安全なものができるということですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 石油ストーブの自動消火装置についてはいろんな考え方があるようでございまして、それに基づくいろんなしかけもあるようでございます。いずれにいたしましても、通産省のJISの規格におきましては、そういうものを四十六年の十月から採用するということを聞いておるわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、石油ストーブというものから起こる火災というものを一応ゼロにみてもいいというところまでこぎつけるという、そういう何というか覚悟というか何というか、そういうものははっきりお持ちなわけなんですね。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 石油ストーブにつきましての自動消火装置というものを徹底することによって、いまお話しがありましたような点を最終の前提として考えていきたい、こう考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それはぜひそういうふうにやっていただかなきやならぬと思います。  そこで、また話を変えますが、地震でいろいろと公共的な施設がこわれると思うのです。まず、先ほどガス管のお話も出ておりましたけれども、水道、ガス、電気といったようなもののこわれる予想と、それに対する対策について、これはどなたにお聞きしたらいいのか知らぬけれども、お伺いしたいと思うのですか。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ちょっとお待ちください。いま政府ですか。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 政府のほうへ。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 政府のどちらからお答えになりますか。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 だから、水道とガスと電気を一ぺんにひっくるめてお話しいただかなくても、個々別々に説明していただいてもいいのですよ。

青鹿明司内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○政府委員(青鹿明司君) 私ども手元にただいま直接お答えするような資料を持ち合わせておりませんが、先刻、総務長官から御答弁申し上げましたように、今回、防災会議の中に公益事業部会を設けまして、特に電気、ガスにつきましてどのような被害が起こるか、それに対しましてどういうような措置をとるべきか、さらに詰めた検討をするということで、今後引き続き作業を進めたいと、かように考えているわけでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 今後今後とおっしゃるけれども、水道やガスに対する地震の災害についての予想の数字だとか何とかという、そんなものが実際できていないのですか、政府には。

青鹿明司内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○政府委員(青鹿明司君) 具体的な数字は手元に持ち合わせておりませんが、そういう公益事業、公共事業の被害がございましたときにいかに対処すべきかということは、地域の防災計画の中にそれぞれ織り込まれておりまして、ここにございますのは東京都でございますけれども、電気ガス上水道施設防災計画というのがございまして、これについていかに対処してまいったらよろしいかということは、それぞれの地域の防災計画の中でもって方針が定められておるわけでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連。参考人の方にお聞きしたいのですが、先ほども高圧ガスの破裂というのが十数カ所、ロサンゼルスの場合にあったということですが、このガス管に使っている材質、あるいはその規格というのですか、こういうものが、たとえば石油なんかの場合にはおそらくアメリカにAPI規格というようなものがあると思うのですが、そういうような規格的なものを使っているのか、あるいは日本なんかの場合には、おそらく鋳鉄管なんかを水道、ガスに使っている場合が多かろうと思うのです。そういう材質は、一体ロサンゼルスの地震の場合の高圧ガスの場合にどんな材質を使っていたのか、その点もしおわかりだったらお答えいただきたい。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) いまの御質問には、私直接お答えできるほどのそのほうの専門家でございませんので、ただ見たり聞いたりしたことだけをお伝えいたしますが、いまのような規格というようなものが現地にあったかどうかはまだ知ることができませんでしたけれども、材質は鋼鉄管だといわれております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 ありがとうございました。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 どうもいまの答弁は私には納得いかないのですがね。水道管やガス管がどの程度こわれるかという検討が、まあ地区地区ではついておるだろうというぐらいのお話なんですけれども、それを把握していないということは、これでは対策が立てられないのじゃないかと思うのですがね。電気の問題なども、これもやっぱり研究してもらう、こういう点、もう答弁していただけないのかしら。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これから関係各省、そういう想定ができ得るかどうか、そういう問題も含めて検討もさせてみたいと思いますが、いま少しく全体的な考え方としては、防衛庁、消防庁並びに警察、それぞれ地域の公共団体等をひっくるめた東京都の全体といたしますか、あるいは江東地区あたりにいたしますか、あるいは川崎等も入れますか、そういうふうな場所を想定をして、総理を本部長とした国と地方自治体と一体となった模擬演習みたいなものを、本年中にでもやってみたいというような計画をいま考えておるわけでありますから、それらの前提としての条件をどう想定するかという問題にも入ってくると思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そんな飛躍したことをおっしゃっても困るのだけどね。それじゃわからないということで、ひとつ早くわかるようになってもらいたいと思います。  それから交通機関とか、通信機関あるいは放送、そんなようなことについての大体の予想される災害だとか、それに対する対策だとかいったようなものをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) これは御質問の趣旨は、そういう地震が起きた場合に、どういう影響があるかというお話でしょうが、問題は地震の度合いにもよると思いますが、大体いまの地下鉄、私のほうでいえば新幹線、いわゆる高架鉄道及び地下鉄、あるいは飛行場の滑走路、こういうものは私どもの関係の交通機関であります。その地下鉄のトンネル部分といいますか、構造物については、設計時において従来の最高の地震があった場合、それらを経験にして、それ以上相当上回る構造基準に従って設計をいたしておりますので、少なくとも、とんでもないものがくれば別ですけれども、われわれの考えられる点における震度に対しては構造物は心配はない。かように自信を持っております。ただ、しかしながら、実際問題として、相当規模の地震がまいった場合に、これは走っておるものでありますから、どこでとめるかという問題があります。これに対しては、もちろんこれは新幹線の場合は非常に、震度一とか二というものでもすぐ感ずるような装置ができておりますが、これが四とか五とか、ある程度のものがまいった場合に、これが自動的にストップをするというような装備をいたしております。地下鉄も同様であります。そこで、ストップだけしたんではしかたがありませんので、直ちに動かせる状態であれば別問題ですが、しかしながら、引き続いてあとから地震がくる場合も想定されますからして、したがって、ストップした状態でどういう状況であるかを直ちに伝達する形式、この地震が相当強烈なものである、なお引き続き地震が続くであろう、こういう点を直ちにこれを伝達する順序等を考えております。それに従って、いわゆるお客の誘導その他のことを計画的に準備を進めておるのですか、これらは御承知のように災害対策基本法という法律がありますが、その中で交通部門については運輸省が担当いたしております。その運輸省の中で、その基本法に基づいて直ちに交通災害対策本部というものを運輸省内に設けまして、そこでいわゆる警報その他地震の状態の連絡、あるいは交通麻痺の状況、こういうものを知らせる警報伝達等の措置をふだんからそれらを決定いたしております。その状況に従って、あるいは全体的な交通が動けない状態になった場合に、あるいは荷物をある程度最小限度運ぶような必要がありましょう、あるいは食料品等があります。特に食料品が中心でありますが、そういう場合に対しては、運輸省が業者に対してそれらを行なういわゆる命令権、行政的命令権を持つ、こういう制度にいたしております。ただ問題は、そこの災害の発生場所によって情勢が違いますから、どこどこに何百台のトラックを用意するとかというわけにはいまから予定はできませんが、少なくとも関係者に対しては、そういう場合においては非常命令を出し、あるいは行政命令に服するような訓練と話し合いをふだんにおいてもこれは行なっております。それがいわゆる運輸省防災業務計画というもので、一つのものができておりまして、それに従って常に訓練等に努力をいたしておりますので、災害時においても、まああわてれば別でありましょうが、沈着にやるならば災害は最小限度に食いとめる、こういうような方針でやっております。もちろんこれは私どもが持っておるのは交通災害だけでありますが、これは各省それぞれに災害基本法に従って、いわゆる対策本部ができますから、各省との間で十分なる連絡をとってこれを実施していく、たとえばヘリコプターを使う場合に、運輸省はヘリコプターをたくさん持っておりませんので、ヘリコプターを使う必要があれば直ちに自衛隊と連絡をして、どこどこにこういうことをしてもらいたいと、こういうような措置をもあわせて計画をいたしておるような状態であります。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 御質問の中の通信あるいは放送、こういう問題についてお答えを申し上げます。  先ほども御指摘のように、十勝沖地震というものがたいへん参考になり、あるいは教訓として受けとめて、特に電信電話のほうは鋭意ただいま準備を急いでおるわけでございます。そこで、特に局内設備の補強と、それから局外設備の主要なるものにつきましての応急用ケーブルの準備、これに力を入れまして、すでに電電公社は昭和四十四年、五年、六年、この三カ年で三百二十四億、相当に巨額な経費を投じておるわけであります。そこで、恒久対策といたしましては東京、名古屋、大阪の三大都市に対しましては、市街中継交換機の一部を前橋、豊橋、姫路等に分散をして、主要な市街伝送路の建設を行なっております。さらに市街伝送路の有線、無線両方の方式を併用をしてこれに当たらしております。それから都市及び町村の通信上の孤立を防止する、こういうことのために無線機を配置いたしております。それから市内電話局相互間を結ぶ中継線の二条化、あるいは多ルート化、つまり複線で万一の場合に備えるというやり方を実施しておるわけでありまして、これが完成しました暁には、市街電話の途絶はこれは全国的に防止し得るという体制ができておるわけでございます。ただ、市内の電話につきましては、局外の通話用ケーブルの被災状況によりましては、地域的にやはり孤立化するおそれがございますので、今後はこの面の対策に、鋭意、意を用いたい、こう考えております。  それから電報につきましては、電報交換局の接続を被害地以外の中継交換局に切りかえるということをいたしまして、おおむね平常時程度のものが可能に相なるような配慮をいたしておるわけでございます。  それから国際通信でございますが、これも同様に局舎設備の耐震防災対策を講じておりまして、万一、東京国際関門局の機能が喪失したという場合におきましては、小室に新局がございますから、これを臨時関門局として短波の活用によりまして緊急国際通信を確保する。こういう体制を講じておるわけでございまして、私はある程度準備は前進しておるように考えております。  それから放送関係でございますが、これは何としても人心の動揺を防ぐという意味でたいへん重要でございますから、この非常災害時における情報及び警報等の伝達のために放送の役割りを特に重視いたしまして、ただいまポータブルラジオはもうたいへん普及しておりますから、これに中波のラジオ放送というものを一番重点的に考えておるわけであります。こういう点はNHKにおきましては災害対策規程というものがすでにございまして、これに基づく各種の実施細目を制定して、毎年一回総合訓練をすでに実施をいたしております。それから電源が切れたという場合たいへんでございますから、非常時の際には自家発電と申しますか、そういう形で停電に対処する非常用電源を備えさせておきまして、これはもう百七十局のうちで百六十六局はそういった非常用電源が期待できるわけでございます。  まあそういうぐあいに進めておるわけでありますが、特に非常時における通信体制の整備につきましては、電波法の第七十四条というものに基づきまして、郵政大臣が、こういう非常事態が発生するおそれがある場合には、この法律に基づきまして災害の救援、人命の救助、交通通信の確保、こういった秩序維持のために一つの法的発動等ができるわけでございまして、郵政大臣命令で放送免許者に対していろんな指示ができる、こういう体制になっているわけでございますが、なお、先ほど来伺いましたような、この非常事態に備えるためには、この機能を一そう充実させ、活用をする、こういう心がまえでおるわけであります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、運輸大臣にお伺いしますが、一応国鉄とか地下鉄とかいうものが、かりに東京に大地震が起こった場合には、まずストップせざるを得ないということにはなるわけですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) ある程度の地震がきたときには、走っておったのではこれはあぶないですからね、ストップということが一番安全な道です。それによっていわゆる……。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ストップというのは、そこでとまるという意味じゃなしに……。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 全体がね——。全体の輸送問題は、その地震が起きた発生時においてはストップをして、そこで各方面からの情報を集めた上、ある程度減速をして走らせる状態が可能であれば、これは走らせるというような手配はしております。しかし、問題はそういうような中型地震じゃなくて非常に大型地震を想定をしていらっしゃるんだろうと思うのです。そうすると、大きい地震ということになれば、どこかにいわゆる危険な場所が出てきましょうから、それらを点検してみないというと、減速でも走らせることはこれは危険です。したがって、大きな地震が起きて自動ストップをする。そうして三十分か二十分ですぐ走らせるということは、それはかえって危険でございますから、やはり全体の情勢を調べた上でないとできないということになります。その間における、たとえば二時間とか三時間の混乱時期が出てまいりますね。その場合にはいわゆる最も安全性がある地上の輸送を原則として考える。その意味において運輸省の防災業務報告計画では、鉄道はもちろん、これはある程度事態が鎮静した暁は、この応急修理をすべき場所があれば、もちろん急速にこれを警備員を発して直す。そうして、やっぱり何時間後といいますか、これには全体の鉄道輸送を行なう、こういう方針ですが、いわゆる激震時の事態においては、これは動かすことはもちろん危険でありますから、その場合における輸送は主としてトラックあるいはヘリコペター、こういうものを使う。こういう想定のもとに滅備をしておるわけであります。あるいははまた船等によっては、もちろんこれはカーフェリーとか、あるいは小型といいますかね、貨物船を動員するとか、こういう準備をもちろん一面において行なっております。したがって港湾関係、海上保安庁、これらは一切それらの部署につくわけですが、そうしてやっぱり、緊急災害時、たとえばこの前の関東大地震のような場合、直ちに大きな物資を遠隔地からこれは持ってくる準備を進めなきゃなりませんから、そういうものはもちろん港湾等を活用してこれを行なう。こういうような万全の体制を考えておると、こういうわけであります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 いまの、郵政大臣にお伺いしますがね、もう一ぺん通信施設の耐震性といいますか、そういうものはどの程度のなんでしょうか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) たいへんこれは専門的なお尋ねでございますいますが、実はロサンゼルスの直後に電電公社からも人を派遣いたしまして、そのときに電話局一つが交換機がひっくり返っちまって、そこで通信の途絶があったようでございます。それを検討いたしますと、どうも基礎も薄弱であったし、それからこれをささえる施設が十分でなかったようでございます。したがいまして、それが一番この際緊急を要するのでございまして、この間電電公社とも打ち合わせましたが、十勝沖地震以来、その点に一番注目をいたしまして、補強工作は、まずさっき申し上げた予算相当なものでございますから、それで震動の際にひっくり返るようなことは絶対にないと、こういうことのようであります。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 まだ、文部大臣や厚生大臣きょう見えていないんで、学校と病院のことについてもお尋ねしたいんですけれども、まあ割愛しましょう。  そこで、さっきお尋ねしました水道、ガス、電気の問題ですけれども、これはひとつ御答弁がいただけなかったんですが、何かわかるような資料をできるだけ早くつくって出していただきたいと思うんです。それとも、何か報告をしていただくか、何らかの方法をとっていただきたいと、御要求申し上げたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) そのような場合にガス、電力等がどのような被害を受けるかということについて、実はまことに率直に申し上げるわけでございますけれども、十分な調査といったようなものは現在までできておのません。電力などで考えておりますことは、たとえばダムでありますとか、原子力発電所などには通常以上の耐震の設備を要求しておりますし、また、非常の場合によその電力会社から当該地区へ送電をするといったような計画は持っておりますし、また、ガスの場合には供給停止といったような措置もこれはございますけれども、御指摘のような点についての資料、データというものは、率直に申してほとんどないというのが実情でございます。  そこで、中央防災会議がこの問題を本格的に取り上げるということになりましたので、九電力とガス協会に対しまして、そういう場合の想定なども立ててみるようにということは、実はごく最近のことでございますけれども、申してございます。したがいまして、そういう資料が出ましたときには委員会提出をさせていただきたいと思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それじゃひとつお願いします。  それじゃまた話を変えますが、いろいろと対策をお伺いしておるわけなんですが、その一体対策というものが、消防審議会から答申が出ておるというもの、これを読んでおりますと、東京都防災会議の結論によってやっているのだというようなことも書いてあるし、一応対策というものはいろいろ書いてありますが、あっちのもの、こっちのものに、中央防災会議あるいは東京都防災会議、あるいは消防庁、警察庁、いろいろな各省庁というものと、これどういうふうな連絡をとって、どういうふうにその対策を一われわれからすればこれをできるだけ一本化して、わかりやすいものにしていただきたいと思うのですけれども、そういう点は従来はどういうふうにやっておられるのか、あるいは今後はどういうふうにおやりになるのか、ひとつお話しいただきたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) それぞれの地方の防災会議において想定あるいは計画等がなされましたものは、全部中央防災会議に上がっておるわけであります。ところが、やはり東京都は東京都の問題として処理いたしますので、関東南部といえば川崎、神奈川県というものも当然中央としては考えなければなりません。あるいは近畿圏全体としての構想も持たなければなりませんので、先ほどは少し答弁が飛躍し過ぎるというおしかりでしたけれども、今後そういうようなあるいは想定の上に立って、実際上の人心の不安動揺を避ける配慮をしつつ、模擬演習等を行ないます際には、当然地方自治体となって行動しなければならないと考えております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 できるだけ、対策を印刷物なんかになさる場合に、こっちのものとこっちのものとが別々な、読んでみて矛盾するようなことのないように、ひとつちゃんとしたあれを、統制をとっていただきたいと思います。  それじゃ次に、いろいろ災害の対策について伺いましたが、やっぱり一番大事なことは、都民なり市民なりの生命を守るということ、これは、シビルミニマムというようなことばもありますけれども、シビルミニマムの中の一番ミニマムだろうと思います。生命を守るということは。そこで、さしあたってのいま地震が起こったということに対する避難といいますか、生命を守るために。そういうものに対する対策について、ひとつまず大つかみにどういうことになったのか、広域避難対策というようなものができておるということもあっちこっちで聞いたり読んだりしますけれども、概要をまず御説明いただきたいと思います。東京都の例でやっていただきたいと思います。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 現在起きた場合にどういうふうな対策をやるかというお尋ねでございますが、東京消防庁といたしましては、もとより東京都防災会議のもとに各部門と連絡をしてやるわけでございますが、人命の安全確保という観点からいたしますと、東京消防庁としては、火災の発火点数というものを百五十から百五十刻みで三百、四百五十、六百というようなことで想定いたしまして、それに対して現有消防力をつぎ込むという体制でございますが、一応想定されますのは、火災の発火点がきわめて少ないというような場合においては、現有消防力をそこに集中的に投入いたしまして火災を防止するということをまず第一番に考えるわけでございます。しかし、不幸にして火災の発火点がかなりありまして、延焼火災が拡大するという場合には、むしろ消防力全体を避難路及び避難個所の確保という点に集中的にこれを投入するという計画をつくっておるわけでございます。  また、広域避難地の点につきましては、東京都の防災会議におきましても、現在大体四十六カ所地点を考えておりますが、なお、さらに二十程度の増加を目下検討しておるところでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そのいまおっしゃった四十六カ所、私は消防のほうから地図をもらっているんですけれども、これは何も書いてないのでわかりませんのですがね。それでおもなところを少し、代表的なところを、どのくらい広さがあって、どの辺にあるかということをおっしゃっていただきたい。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 東京都の計画では、現在のところは一人一平米という計画で、最大の距離を大体十二キロぐらい、一日十二キロぐらいの歩行距離を考えているようでございますが、この点については現在、歩行距離についてももっと短いものにしなければならぬということで検討しております。たとえば千代田区におきましては北の丸公園あるいは皇居東御苑、皇居前広場、それから永田町のこの近辺ということを現在のところ避難地というふうにしております。また、たとえば新宿区で申し上げますと、新宿御苑あるいはは赤坂離宮、神宮外苑あるいは中央公園、こういうところを一応予定しております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そこで、あっちもこっちも聞くわけにいきませんので、時間もあれですし一番危険だといわれておる、これは日本で一番危険なところだと思いますが、いわゆる江東地区ですね「それについてのお伺いをしたいと思うんですが、江東地区に対する避難場所について、もっと具体的に御説明をいただきたいと思います。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 墨田区で申し上げますと皇居前広場、十一号埋め立て地、七号埋立て地……。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 皇居前広場ですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) はい。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 墨田区から……。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) はい。それから夢の島、それから葛飾区の北部の一帯ということになっております。  それから江東区で申し上げますと南砂町、夢の島、辰巳の埋め立て七号地、東雲十一号埋め立て地、こういうことになっております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ちょっとその広さと収容人員とを言ってくださいよ。どのくらいいけるのか。それと、その区からの距離、これは江東地区については少し詳しく話を聞かないと、これは一番あぶないところですから……。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 広さその他につきましては、いま手元に資料がございませんので、資料を提出いたしたいと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連。いま避難場所の一つに皇居前広場というようなことを言われたのですが、一体どのくらい歩くのか。おそらく交通機関も全部だめだと思うのです。そうなると、火災の中を一体そこまで逃げて来れるような距離になっているのか、どうなのか。具体的には何キロくらいあるのか。その点を明示してもらわなければ、避難場所を幾らたくさんつくったところで、逃げられない避難場所なら、こんなものを幾らつくったって意味ないですから、その点、距離も明らかにしてほしい。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) いまの計画では一人一日十二キロというものを最大の距離として想定しているわけでございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、多少長過ぎるという議論がございまして、そういう意味でもっと距離を短縮して、そうして避難個所をふやしたいというのが現在検討しておる計画でございます。  なお、たとえば、いま手元にあります資料で、江東区の七号埋め立て地というのは、避難地面積は四十八万五千三百平米でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連。参考人にお聞きしたいと思うのですが、地震の際に、一体火災もその間にはおそらく起きているでありましょうし、それから主要な道路もはたして通れるようになっているかどうかわかりませんし、そういう中で、先ほども水道の話も出ましたのですが、水も一体与えられるかどうかわからない。そういう中で十二キロの避難場所までの距離は少し遠過ぎるのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。

河角庸東京都防災会議地震部会会長東京大学名誉教授

○参考人(河角庸君) お答えいたします。  おっしゃるとおり非常に遠いのでございますが、それ以外に現状では避難地をさがし得なかったわけでございます。もうとにかく安全な面積を持っていて、そうして、しかも必要な人員を収容できるような広場というのは全部しらみつぶしにさがして、そうして選び出したのが四十六カ所ですか、それだけ選び出して、やっと一人当たり一平米というような非常に窮屈なものをさがして、それを割り当てただけでございまして、もう現状では、最悪のところは、ただいまお話しがあったように十二キロというような非常にたいへんな距離になっておりますから、これを避難できるかどうかという点にはかなり疑問が残っておりますけれども、やむを得ない措置でございます。それで、このようなままでほうっておくわけにはいきませんから、これからまた考えます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 それで、これはこんなことが書いてあるのですよ。江東区、葛飾区のあれにですね。これは東京都の出した震災対策あらましという、これは消防審議会のやはりなにと連絡してやっておられるらしいですけれども、この中に、江東、葛飾の二区は避難経路を火災から守ることは不可能であると書いてあるのですね、不可能と書いてあるのです。そうすると、ここへお逃げなさいと言われて、それでその逃げ場所に行く途中は火を消すことができなくて不可能だと、そういう指定のしかたというのはあるものでしょうか。これは消防庁どうですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 現在の消防力をもってして消防だけで避難地を確保するということにいたしましても、先ほど河角先生のお話もありましたとおり、延焼火災の出火点がかなり江東地区においては残りますので、そういう意味で非常にむずかしいということでございまして、東京都の消防庁自体としても、もちろん消防力の増強あるいは防火水利の増設等は当然検討しているわけでございますけれども、もちろん他の機関、その他の力も借りてこれに当たるというのが現在の体制でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 絶対に火は消しとめますからということでないと避難地にはならぬと思うのですが、それを途中火災から守ることは不可能だということになったんじゃ、これは避難場所にはならぬと思うのです。  そこで、一歩話を進めますが、この防災拠点ですか、江東地区には六つの防災拠点をつくるという計画が進められておるわけです。それで、この計画ができれば、いまの避難地というようなものは大体遠いところから行く必要はないということになるわけですが、この六つの防災拠点というものの計画についてどういうふうに進展していっておるのか、まずその計画の概要をお聞かせいただきたい。これは建設省があれじゃないですか。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの江東防災の防災対策事業の一番根幹になります避難拠点の確保の問題の事業でございますが、拠点開発事業と私どもは申しておりますが、御指摘の、現在江東地区にその候補地としまして六地区を想定、選定をいたしております。この拠点構想の開発のまず第一号といたしまして、四十六年度から白髪東地区、この地区から取っかかりたいということで、国のほうにおきましても拠点開発の再開発事業並びに避難広場の確保事業を東京都に対するところの助成事業としまして着手をいたしたい、こういう計画になっております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 六つの地区とその大きさ、それから大体どういうものができるのか、話をしていただきたい。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) 現在、私どものほうで試算をいたしておりますところの計画で申し上げますと、六つの地点と申しますのは、白鬚東地区、四ツ木の西地区、大島小松川地区、木場地区、両国地区、中央地区になっております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 面積も言ってください。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) 拠点の面積で申し上げますと、白髪東が四十九・九ヘクタールでございます。四ツ木の西が四十二・三、大島並びに小松川地区におきましては百十、木場が四十七・二、両国が四十五、それから中央地区が百三十一ヘクタール、総面積にいたしまして二百二十四・四ヘクタールということになっております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは大体どういうものですか。聞くところによると高層建築を回して中を緑地帯にするという話です。どういうことですか。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) 現在の構想は、その拠点地区に−大体標準で五十ヘクタール程度の規模で考えておりますが、そこに、まん中に大体計算で一人一平米程度の避難広場、有効面積を確保する、その広場の周辺を高層のビル、アパートで二重にこれを取り囲む、それによりまして周辺部からの火災をそこで遮断をする。それから、この拠点の配置は大体近辺から丁二キロ程度の距離のところにこれを配置するということでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 そうすると、さっきの避難場所が遠い、そして途中があぶないというところからあれすると、これができなければ江東地区の人の生命は守れないということが言えると思うんです。ところが、パンフレットを拝見しますと、これが十年から十五年の計画ということになっているんですね。いまお話を承ると、白鬚地区がことしから取っかかりましようということなんですが、これをうんと早めるということが私は絶対必要だと思うんです。特に七年の目安ということもあるとすれば、これをうんと早めなきゃならぬと思うんですが、そういうことに対してひとつ建設大臣の御意見をお伺いしておきたいと思います。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 一応の計画はそうなっておりますけれども、非常に金のかかることです。それから、またこれをやるには土地が——密集地帯を疎開することですから、非常にこれは利害関係者があることでございまして、そのためにこれを円滑に実施するために、いま東京都に江東地区の災害対策の委員会をつくって研究さしておりまして、これに基づいて東京都が年次計画を立ててまいりまして、これに対して国の助成をしていくと、こういう形になります。その意味において、先ほど申し上げましたように、これはすべてその自治体の基本計画に基づいてこれに対する国の助成をする、こういうたてまえになっております。したがいまして、東京都のこれに対する具体策ができてまいりますと、これに応じて国の施策を進めていく、いま白鬚地区は都と建設省の合意ができたので予算化していっていると、こういう段階でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 まあ白鬚地区はそういうふうに具体化してきたですが、ほかの地区に対しても一応計画としては建設省もこれを認めておられるわけですね。それで、聞くところによると、約五千億の金がかかるということなんですね。それで、これをやる場合の国庫補助というようなものの関係はどういうことになっているんですか。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) 全体の事業費が、四十三年度の調査で少し古いんでございますけれども、大体五千億程度の総体の事業費がかかるということになっております。で、これの事業の内容は、まず周辺の道路の整備でありますとか、それから避難広場を確保するという、そういう公共事業的なもの、それからそれに関連いたしますところの再開発事業というものが主たるものになろうかと思います。その公共事業的なものは国の助成事業でもってこれを助成してまいりたい、それから再開発事業はその公共事業資金をもってそれを事業化をしていくというわけでございますが、むろんこれに対しまして別途財投関係の資金の手当てを大幅に考えなければならない、こういう大きな仕組みになるかと思いますが、全体につきまして国の国庫補助はどのくらいになるかということは、現在のところ試算をいたしておりませんので、ちょっと正確なことをいま申し上げかねますが、白髪東地区について申し上げますならば、白髪東地区の全体事業費は三百五十七億程度、このうち国費が、現在いろんな諸制度——先ほど申し上げましたいろんな諸制度によりまして国が補助をするといたしました場合に、八十二億程度のものが予定をされるということでございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは、東京都は金があるのかないのか知りませんけれども、とにかく日本で一番あぶないところだと思うし、地震といえば江東地区というぐらいの場所なんで、これは東京都の計画も、それは一年も早くやりたいに相違ないけれども、やっぱり国庫補助の関係、いろんなことがあって、計画を早めることもできないということもあろうと思いますが、これはひとつ東京都と共同というか、われわれのことばで言ったら共同して、それで、一日も早くこれができ上がらないということになると、数十万の生命というものが地震から守れないということになるわけなんですから、これはもうほんとうに火急の問題として考えていただきたいと思うんです。これはやっぱり国費も要ることですし、その点についての大蔵大臣の御見解も承っておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 地震の問題は、もうすみやかに、まあきめこまかく考えておかなきゃならぬと、こういうふうに考えます。ことに東京はたいへんなことだろうと思いますから、そういうことを考えて、まあ都民にあまり恐怖心というか、与えても困ると思いますが、早急にしなきゃならぬと思います。財政当局といたしましても、東京都の計画につきましては、できる限り御協力を申し上げたい、かように存じます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ひとつこの対策は最重点的に考えて、予算的にも措置をしていただくと同時に、国庫補助なんかももっと十分に考えるべきじゃないかと思うわけです。これはひとつ要望申し上げておきたいと思います。  もう時間もありませんので、先ほどの総務長官のおっしゃった演習の問題が出ておりましたので、その前に自衛隊の派遣計画というものを、おとついでしたかも、この席で簡単にお伺いしたんですけれども、自衛隊の派遣計画というものについて御説明をいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体大まかに申し上げますと、人員にいたしまして、陸海空で約五万七千名、それから飛行機にいたしまして約三百七十機、艦艇約五十隻、それから車両が一万両強、その程度のものを動員いたしまして、まず最初に状況偵察、特に大地震が起きた場合には通信線が切断されたりしますものですから、航空機あるいは舟艇等をもちまして状況を偵察して、それを防災の本部に至急に知らせる。それから通信線網をすみやかに架設する。状況によればヘリコプター等を飛ばして、テレビカメラでその防災中枢センターに各所の状況をテレビで映させるようにしようと思っております。そうしてそのほかNHKあるいは各省との通信網を至急補修し、あるいは架設するというようなことも考えております。心配しておりますことは、大地震が起きますと、津波が起こるものですから、江東地区に津波が押し寄せるということを考えまして、その場合にはヘリコプターとか舟艇が非常に必要なわけであります。そこで江東地区につきましては、そのような船の用意というようなことも大いに考えております。そうして大体東京を中心にいたしまして、各師団が前進して、そこで作業をするポイント、ポイントをきめております。これらの師団が直ちに人命の救助にかかる。東京都内にヘリコプターが着陸する地点が何ヵ所あるか、調べております。たしか百四十ぐらいだったと思います。大きいところで六十ヵ所、おりられると思われるのが百四十ぐらい、そこへヘリコプターをおろして、そうして治療、あるいは救済、あるいは道路の警戒、救出、そういうようなことをまずやらせると、まあそういうようないろんな段取りを考えておりますが、これらはいずれも中央防災会議に案を出しておりまして、そこで決定をいただき次第、そういう段取りでやりたいと思っております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 ちょっと簡単過ぎるんですけれども、まあ私自身がこれをもらっておりますが、説明したものを。この質問は私だけの質問じゃないんで、私はこれを読んだからもういいわというわけにもいかないと思うんですけれども、もっと質問したいんだが、時間がありませんので何ですが、これはちょっとわきへ置いといて、警察のほうにお伺いしたいんですけれども、警察の特に地震のときの交通の統制の問題について一応どういうふうな計画を持っておられるか。

片岡誠警察庁交通局長

○政府委員(片岡誠君) お答えいたします。  東京の例でお話ししたいと思います。まず交通規制としては二種類考えております。まず第一次の規制としては、大体多摩川から第二京浜、それから環状七号をずっと回りまして、そうして水戸街道からは中川、新中川、江戸川、大体一般的に申せば環状七号の中の車の通行を一切禁止する。それから中へ入ってくるものも全部禁止するという措置をまずとりたいと思っております。これは自動的に、警視庁としては指示命令がなくてもチェックポイントでそれをとるという仕組みをとっております。ただ人命救助のため、あるいは避難誘導のため緊急車は例外的に動かす。それであとは火災の発生の状況なり、あるいは道路の欠損の状況、それの情報をできるだけ早く集めて、それによってその後の交通規制を考えていく。チェックポイントとしては環状七号のチェックポイントと、それから環状六号線、環状五号線、さらに外堀から荒川にかけての線、大体そういう線と、放射線道路との交差点にチェックポイントを自動的に置くようになっております。そこで、その後の活動としては次第にその避難誘導、人命救助から災害復旧活動に移ってまいりますし、さらに緊急物資の輸送という段階になってまいろうと思います。そういう逐次、災害対策基本法による緊急車を、いま申しましたような順序で知事または公安委員会の認めたステッカーをつけた車だけを走らしていくという、基本的にそういう構想でございます。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは交通の統制というのは、われわれの想像以上にむずかしいことになるんじゃないかと思います。いまのような自動車のはんらんで、これは時間がありませんので別の機会にもっと詳しくお聞きしたいと思いますけれども、そこで、いまの防衛庁の自衛隊の派遣について、これはパンフレットを読んでみますと、消防庁の消火活動に協力して実施するということが書いてあるわけです。私としては消防庁と協力なさってそういうことをなさるのももちろん大事だけれども、警察の交通整理に何とかして協力するというようなことも考えておいてもらいたいと思うんですが、どうですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) もちろんこれは中央防災会議できめられまして、そうして防災の本部長みたいなものがそのとき直ちにできるだろうと思うんです。その司令部からの指示に基づいてわれわれは行動することなっておりますから、交通その他おのおのその所管所管の責任者の指令に基ついてやっていくことになると思います。一例を申し上げますと、たとえばヘリコプターを飛ばせるにいたしましても、航空機を飛ばせるにいたしましても、おそらく新聞社のヘリコプターとか軽飛行機でも相当東京の上を飛ぶだろうと思う。飛行機の統制だけですら危険防止のためには相当重大なこともあるようにも思いまして、地上のことはもちろん、そういう空中における問題でもいまからよほど段取りをよくしておかぬといかぬと、そのように思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 防衛庁長官ね、この自衛隊の災害出動というものは非常に各地で感謝さている場合が多いわけなんです。その防衛庁というか、自衛隊というかの中での災害出動等に対する精神的な位置づけといいますか、ちょっと言いにくいけれども、そういうものをどういうふうに考えていらっしゃるか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛隊は国土防衛を本義といたしますけれども、日常においては、いざというときに一番役に立つのは災害出動である。それで、いままで新潟の地震であるとか、あるいは伊勢湾台風であるとか、あるいは新潟の豪雪であるとか、そういう場合に出動を命ぜられまして、かなり地元の皆さんからも感謝されておるので、われわれとしては一番働きがいのある、まあいわば平時において自衛隊の腕前を発揮する場所でもあるように思います。そういう意味におきまして、各師団長に対しましては、災害出動を非常に重要視いたしまして、いつでも即応できる体制、これには兵たん補給までみんな含まっておりますけれども、そういういつでも即時出動できる体制を整えさしておりまして、その方面に関するいろいろ作戦計画と申しますか、そういうものまでも常時やらしております。私といたしましては、自衛隊の仕事の中の平時における非常に重要な仕事として、この問題を重要視して徹底していきたいと思っております。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 これは非常に私は崇高な仕事だと思うので、外敵というか、侵略軍に対する防衛の仕事とこれの仕事とどちらが精神的に崇高な気持ちでやれるかということについての、私は自衛隊の一つのこの出動に対する位置つけというものを非常に大きく評価したいと思うので、その点、長官はどういうふうにお考えになりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 御意見に全く同感でございます。平時における一番国民生活に役立つことはこの災害出動でございますから、この災害出動を平和時における自衛隊の職務の非常に大きなものとして取り上げまして今後とも万全を期してまいりたいと思います。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 時間がないので何ですが、最後に、総務長官のおっしゃる総合演習というか、総合訓練というものについて御説明いただきたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これはロサンゼルスの地震が実際に起こりましたので、そういう想定行動と申しますか、演習と申しますか、そういうものをやはりやっておく必要がある、ただ、これと人心の平常におけるいたずらなる不安、動揺どいうものとの関係においてよほど慎重な事前の準備、PR、そういうもの等が必要なことであろうと考えまして、これはまだ計画として何月の何日ごろやるというところまで煮詰めたものではございませんので、これから関係者を中心に、そういうことをやる必要があるということを前提として協議してまいりたいと思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) もう時間が来ました。

松本賢一日本社会党

○松本賢一君 もう一言。これはもちろん総理大臣が総指揮でおやりになる予定でしょうね。災害出動の場合もそうでしょうね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど御答弁申しましたとおり、本部長には総理大臣という構想でございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって松本君の質疑は終了いたしました。  河角参考人には、長時間にわたり御意見をお述べいただきありがとうございました。お礼を申し上げます。  午後二時十五分に再開いたします。それまで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      —————・—————    午後二時二十六分開会

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。杉原一雄君。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 主として農業問題にしぼって質問をしたいのであります。  それは、現在直面している農民は、象徴的な表現をすれば、農民よいずこへ行くという表現のほうが妥当のようであります。この前の総括質問でも申しましたように、北海道で生産組合長が米の生産調整を苦にして死にました。ぼくたちの研究会の中で熊本日日新聞の記者の報告によると、去年もことしも中心になるリーダ格の農民が農業に失望して自殺をしたケースが二つあります。こうした農民の不安と疑惑と失望に対して、きょうはひとつ政府当局の誠意ある回答で一致点を見出し、日本の農業の将来に展望を切り開きたいという期待を込めて質疑を展開いたします。  まず第一点として、農民が直接的に被害をこうむる、つまり農民の命にかかわる農薬の問題であります。農薬取締法は、臨時国会をわれわれが協力して通したのでありますが、これが具体的に活動を始めるのはいつからですか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 先般の国会で農薬取締法の改正案が成立いたしまして、これが近く施行される運びになっておるわけであります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 近くというのは、はっきり言い切れないのですか。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 事務当局といたしましては、四月の上旬改正取締法の施行を目途にいたしまして、目下準備をしておるところでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは、一月の十八日の行管の勧告に従ってだろうと思われますけれども、二月の二十七日に農林省から「有機塩素系殺虫剤の使用および使用不能農薬の処分について」という通達が出ているわけでありますが、この通達の主たる意図はどこにあるのか、お伺いします。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘の通達は、二月二十七日に都道府県に出したわけでございますが、これは先ほど申し上げました農薬取締法の改正の施行は四月の上旬を予定しておりますが、だんだん作付期に入ってまいりますので、事前にこういう方向で農家に徹底するように、いろいろな注意を喚起するという意味で出したわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 行政措置としてはきわめて妥当だと思います。ただ、その内容の点について若干お伺いいたしますが、これによりますと、あるいは森林あるいは人が食べる蔬菜等について禁止されていない。私にいろいろ業者から訴えられたのを聞きますと、全面禁止にしていただけないだろうかという要望がございますが、なぜ全面禁止にできないのか、その点を明らかにしてください。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) ただいまの有機塩素系殺虫剤の全面禁止のお話でございますが、われわれといたしましては現在、農業資材審議会の農薬部会にもいろいろ御意見を聞いているところでございますけれども、今度の改正取り締まり法によりまして、指定農薬制度というのができます。それによりましてこれを指定いたしまして、その使用をきびしく規制する。目下われわれの考えておりますのは、食物に関係があります農作物には一切使用しない。ただ林業と花について用途を限定しまして使用基準をきめまして使ってはどうかということを考えております。それは、その理由といたしましては、林業と花につきましては食品の汚染とは直接関係がございませんし、それからいろいろ調べてはおるわけでございますが、それによりましても、環境の汚染についても、林業にまいたBHC等が原因になりまして人畜に被害を及ぼすというおそれはほとんどないというようなことでございますので、とりあえず林業の場合はマツクイムシあるいはスギタマバエというような害虫の駆除のためには、これしかいまないわけでございます。目下代替農薬の実用化をはかっておるところでございますが、当分といいましょうか、当面この使用だけは認めざるを得ないのではないかという方向で検討しておるわけでございますが、繰り返すようでございますが、食品に関係のあるものにつきましては一切禁止してはどうかということでいま検討をしておるところでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 山の中へまいてもだいじょうぶだということは保証されないと思うのです。きょうのある新聞では、アメリカの東部のメリーランド、バージニア等におきましては、DDTの禁止もきちんとやった、ところがマイマイガのいわゆる毛虫が非常にモミやカシの木を食い荒らすのでたいへん困った、しかし、だからといってDDTの使用をあらためてこれを認めるわけにはいかないだろうということで、いろいろくふうして予算投入等をして、いま局長が申した代替の農薬もしくは代替の手段、こういうことを検討しているようでありますが、いま局長が申した代替の農薬もしくは別な手段というものを何か具体的に検討している内容があったらお聞かせください。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 林業関係のいま私申し上げました代替農薬につきましてはダイアジノン、その他の薬があるようでございますが、これがまだいまなかなか有効なきき方がしないということで、林野庁におきまして、この一、二年、何とかきくものがないかということでいまやっておるところでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 同じ関連をしながら、厚生省から、これは大臣名でありませんが、環境衛生局長名で牛乳中の農薬残留の減少対策の強化ということで通達をお出しになっているわけですが、この中で特に農林省に対して抜本的対策の強化を申し入れてあるがということでありますが、農林省に対しての抜本的対策、要するにその抜本的対策というものの内容は、どういうことを期待しておいでになるか、明らかにしてください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) いまお話がございます塩素系の農薬などは残留性が非常に強いものだということで、これにつきましては蔬菜等あるいはまた乳牛の飼料になります米のわら、その他はもちろんでありますが、さらにその他の、できるならば果樹等についても、これを制限してほしいというような申し入れをいたしておる。果樹についても農林省は前向きに取り上げて厚生省の要望に応ずるような検討をされておると、こういうことを私は報告を受けております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 そこで、BHCの使用禁止ということなんだけれども、現在どの業者がどのように保管しておるかは承知しておりませんが、およそ幾らほどまだBHCが存在しておるか。おそらく、それは山にまいただけでは始末のできない問題ですから、通達にもありますとおり、どろの中へ埋めて云々というのでありますが、これもやはり非常に気を回すものから見ればたいへん心配なんですけれども、国民が安心できるような処理の方法ですね。幾らほど現在残っているか。処理の方法については国民はよろしい、どろの中へ埋めなさいということで、沖繩の毒ガスのように気を回さないでいいような状態に指示されておるのか、その辺のところを明確にしてください。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 昨年秋、われわれの調査いたしましたところによりますと、流通段階の在庫が約七千五百トンぐらいありましたが、そのほかに若干農家の手持ちがあろうかと思っております。そこで先ほどから申し上げておりますように、有機塩素系殺虫剤の用途をきびしく規制をいたしますと、相当部分が不要になります。それの処理でございますが、これにつきましても先ほど御指摘のありました通達で、病虫害防除員なりあるいは毒物劇物取り締まりのための取り扱い責任者の指導を受けまして、できるだけ小規模な単位で埋没等の処分を極力してくれということをいっております。と申しますのは、これはまだ焼いたらどうなるかというところまでもわかっておりませんので、結局地中に埋める以外にないのではないかということでございます。それから地中に埋めます場合にも、これは毒物埋物取締法の政令に基準がございまして、地下一メートル以上のところで、かつ地下水を汚染するおそれのないような地中に埋めろという基準がすでにできております。これを守って、ひとつやってもらいたいという指導をしておるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 地面の中へ埋めることですから、いろいろ心配されますね。地面の中に人間の飲む水もあるわけですから、そうした点についての詳細な指導等が行なわれておるのですか、どうですか。ただ埋めればいいというものじゃおそらくないと思いますが。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 地中に埋めまして、それが地下水に影響してはどうもという問題でございますが、われわれがいままで調査なり何なりしたところによりますと、現在川の中の水のBHCのいろいろ調査があるわけでございます。これによりますと、アメリカの水道用水の基準よりも、われわれのほうの調査では水の中のBHCが少ないというようなこともございますし、それから最近は林野にまいて、それが流れ出していろいろ問題を起こしておるという問題もございましたので、昨年林野につきましたようなところの水等も、農薬検査所に送りまして調査をしたわけでございますが、これも非常に少ない残留しかないということでございますので、地下水に影響しないようなところに埋めれば、私たちはだいじょうぶではないかというふうに判断をしておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 関連。私は本委員会におきまして、ベトナム作戦で用いられました落葉剤二四五Tについて質疑をいたします。アメリカでは上院の公聴会、ヒヤリング等がありまして、これを禁止いたしたいのであります。禁止したというのは表向きで、あるいは実際には使うことになるかもわかりませんが、とにかく、そういう措置をとっている。ところが、わが国におきましては林野の何といいますか、下葉といいますか、林野のためにこれを使っているということでございます。これは人体に影響を与えるばかりでなく、すべての生物を殺してしまう、土壌自体がだめになってしまうというものでございます。そういうことがアメリカの調査ではっきりしてきておるのであります。それなのに林野庁はこれを使っている、全林野の労働組合がこれに猛烈な反対をしておる。こういう点につきまして林野庁長官なり農林大臣は、どういうふうに受け取っておられますか、お伺いしておきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 二四五Tでありますが、これはつまりこれの中毒を起こしたものは奇形児が生まれるという催奇形性があるという話でありまして、しかし、アメリカも、それからスウェーデン等でだいぶ長いことの実験をしたようでありますが、まだそういうことについて正確な立証はないようでありますが、いわゆる枯れ葉作戦に使われておる分量というものは、林野庁が下草を刈るのに使う量とはだいぶ量が違うようでありますが、とにかく御存知のように、このごろは山のほうの仕事は労働力がだいぶ欠乏してまいっておりますので、何とかしてそういう薬品で労力をつまり省力することが経営上必要であるということで使うようにいたしておったわけでありますが、御存じのように、これは何十年に一ぺんということをやればいいわけでありまして、毎年毎年継続的に使うわけではありません。わが国でも動物実験等はしておるようでありますが、しかしながら、いろいろに御意見も出ておりますので、ただいまはもちろん時期でありませんから使っておりませんし、これからもこれを使うということは慎重でなければならぬ。しかし、先ほど申し上げましたように、労働力省力化のためには何とかして薬品でまかなわなければなりませんで、そういうことに対する代替薬品について鋭意検討させておるわけであります。現在そういうところであります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 厚生大臣ね、先ほどの質問のあとの続きなんですけれども、厚生省の通達によりますと、牛乳検査をより強化しようということ、自主検査の励行ということが大きく指摘されているのですが、これについてはやはり機械その他でかなり機能的に困難な状況があるだろうと思います。でありますから、問題は機械設備の充実という点でどういう財政的な配慮とか、行政的配慮等があるのかないのか、そういう点について、はっきりしてください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 牛乳中に残留するBHCの量の減少につきましては、私ども非常に神経質に各都道府県を指導をいたしておるわけであります。従来は主として原乳中に含まれておるBHCの残留量について検査、測定等をやっておったわけでありますが、今度は市乳の段階、びん詰めになる段階において、それの検査をひとつやってもらうようにしたいと、こういうことで酪農家を対象にするほかに、市乳の牛乳処理業者を対象として購入市乳についての検査をやってもらうということを、いま杉原さんからお尋ねがあったことに関連いたすわけでありますが、その場合の検査につきましては、もちろん検査のための器具その他が必要になります。しかし、これは市乳業者がみずから備えてやるようなことではなしに、やはり市乳業者がしかるべき筋に検査を委託するというようなことにならざるを得ないと、市乳業者各個に器具機械を設置するということは無理もあるということで、県とか、大学等に依頼検査の方法をもってやってほしいと、こういうことを通達をいたしておりますので、いま市乳業者に一切の検査器具を持たせるたてまえのもとに国が予算を組むというところまでは至っておらないわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 山中長官ね、いま農林省と厚生省の話みたいに、ゆっくりしておられたようですけれども、いま環境庁ができると、いま二つの省のやりとりをお聞きだと思いますが、ここに環境庁がどういう形で入るのですか、こういう問題の処理については。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 原則的には許容限度あるいは残留性、そういうものについての分析あるいは基準設定、さらにこれらのものをもとにして各種通達や行政を行ないまする際は、関係大臣が環境庁長官に協議しなければならない、こういう形になるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 ついででございますけれども、この間、ここで公聴会があったわけですよ。で、御承知の東京歯科大学の上田教授が提案されたわけですか、一つは、公害賠償保険制度を設置したらどうだという提案をされたわけです。もう一つは、単なる諮問機関でなくて、継続的にずっと専門的な——ブレーントラストということばをお使いになったのですが——ブレーンを結集してこのいわゆる公害問題に対処するような対策をおとりになったらどうだという提案をされたのであります。私は、かなりよい案であると思いましたが、いまそういうことは長官の耳にもたびたび入っていると思いますが、いかがでございましょう。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これはやはり永続的な、そういう継続した、しかも長期的な視野の中で毎年毎年それを新たにしていくということは必要でありますから、いままでの中央公害対策審議会の形をうんと広げまして、そうして数多くございました各省庁の水質その他の規制法に付属してできておりました審議会、そういうものを部会の形で吸収をいたしまして、それぞれの部会が常時活動しつつ、それに伴ってその構成員となっております中央公害対策審議会というものが活動を展開していくという形で、常時活動できるようにしていきたいと考えております。さらに名称はどうであったか正確によくわかりませんでしたが、要するに公害に関する保険制度の確立という、あるいは提唱ということでございましょう。これは被害者の立場の問題と、それからただいまの、農薬等が突如規制をされてそれが使えなくなった場合に、どこかにおいて、それが商品として販売するために購入してストックしてあるという問題で、ここらがやはり農薬行政のいま問題点になっておるところでありましょうが、こういう問題等と両面の問題を含んでおるかと思います。はたしてそれがそのような制度になじむ内容になり得るかどうか、これらについては今後の検討課題であろうと考えます。  ついででございますが、同じような被害者の立場からいたしまする無過失賠償については、今国会に間に合わせるべくただいま最終的な詰めをいたしておりますので、被害者の立場からの法律上の庇護ということについては、大きく一歩前進するものと考えております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 いままでの質問の進め方と若干それますけれども、十二日の日に私の故郷のイタイイタイ病裁判が結審を見たわけです。で、六月三十日にいわゆる判決が出るということは確定的になりました。ただ、こうした中で痛感することは、すでに三年間がかりの裁判で、裁判の途中で十九名もなくなっておるわけです。こういう段階で原告と被告が相対立して、被告の側から言わせれば、まだまだあと最高裁まであるんじゃ、こういうことで、必ず勝つと言っていばっているようでありますが、事、公害裁判等については、法務大臣にお聞きするまでもなく、やはりこれはちょっと違ったケースじゃないか、疑わしきは罰するというところまでこれはもっと裁判を促進していくべきものではないだろうかということを、この公判を通じて痛感するわけですが、ただ、それとは別に、実はこの裁判担当の弁護団の中から、はからずもこの公判の鑑定の問題で、三井金属の証拠研究のために厚生省が百万円、これは名前も出ておりますが、神戸大学の教授に与えて研究をしたと、結果的には三井の立場を弁護する結果に、これは学問の自由ですからいいわけですけれども、そういう鑑定の根拠をつくる作業にプラスすることになるわけですが、ただ、新聞紙等が伝えるのは、この間に三井と厚生省とが、わずか百万でございますけれども、癒着があるのではないかという疑わしき発言が出ているわけですが、この点について大臣のほうから明確な御答弁をいただきたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) その件、お尋ねをいただきまして、私はいい機会であったと存じます。数日前にそのようなことが一部の新聞に、現地からの報告として、原告側の弁護団が非常に不満を持っておると、こういう記事でございましたので、私も非常に驚いたり、また、もしそうであるならば、まことに恥ずかしいことであると考えまして、さっそく担当の局部長を呼びまして事情をただしましたところが、全く事情が違うことが判明をいたしました。と申しますのは、厚生省ではかねてから、これはもうカドミウムばかりではございませんが、水銀もそうでございましょう、その他の微量重金属が公害源として大きな悪い機能を持つことにつきまして、いろいろな方面の調査をいたしておるわけでありますが、このカドミウムにつきましては、公衆衛生学会、また、それを運営をいたしておりますところの日本公衆衛生協会というのがございまして、そこに対しまして、いろいろな学者にいろいろの分野を担当していただいて、委託研究費二千万円というものを昭和四十五年度の公害調査研究委託費の中からかねて支出をいたしておりまして、その二千万円の研究の一環として、厚生省がお願いをしたというものではなしに、公衆衛生学会のほうから神戸大学の喜多村教授にカドミウムの腸粘膜からの吸収についての研究というものをお願いをいたしてあったそうでございます。これは富山のイタイイタイ裁判の被告の利益になるというようなことと全く関係はございませんで、従来から厚生省のその方面のいろいろな研究が、原告側の証拠としても援用されたものもあるそうでございまして、厚生省といたしましては、そういう衛生といいますか、公害源の調査について全く事実上の研究をお願いをしておったと、こういうことでございます。しかし、せっかく裁判が結審になる時期でございましたので、また、私ども聞いておりますところでも、裁判長御自身が証拠の提出についても、その必要なしということで結審を急いでおられるような時期にもあったようでございますので、原告の弁護団の方々がそんなものを出されたんでは、また、結審が延びるのではないかという神経質になられること、まことにごもっともなことであったと思うのでございますが、しかし、幸か不幸か喜多村教授のこの件についての報告というものは、まだ厚生省にもどこにも出されておらない、着手をされたばかりのようでございまして、結果も出ていないというようなことでございまして、物理的にも証拠の対象にもならないと、こういうような状況でもございましたので、心配は私は同情できますけれども、そのような事実であると、こういうことがわかっていただけたと私は考え、誤解が解かれたと、こういうような状況でありますので、そのように御理解をぜひいただきたいと思います。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 悪臭防止法は、すでに閣議決定で議会へ送られてきていると思いますが、臨時国会等でかなり予測して議論をしたわけですが、なかなか提出がおくれたようでありますが、何か内輪の事情がございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) しいて申しますと、二つの事情があったと思います。一つは、悪臭の測定といいますか、対策といいますか、そのものが物理化学的に非常にむずかしいと、私どもよくわかりませんが、メチルメルカプタンとか、あるいはアンモニアはもちろんのこと、悪臭源となる化学物質をどのようにしてとらえ、それの規制をどのようにするかという技術水準が非常におくれておるために、法律をつくりましても、規制基準等がつくれないというような事情のために、悪臭というものは、もうすでに昭和四十三年の段階におきまして典型公害にはなってはおりましたけれども、規制法が出されないというような事態が今日まで続いておりましたが、まあこの段階で、全部の物質というわけにはいかないけれども、悪臭の主たるものにつきましては、その測定なり、規制なりがどうにかできるという技術的段階にようやく達したということで、今度の国会に法律案を出したということでございます。  それからもう一点は、その規制の主体を市町村にすべきか、あるいはもう一つ上の団体の都道府県にすべきかということが課題でございまして、大体、悪臭というものは、その範囲あるいはまた性質からいいましても、地域性が非常に高いということで、市町村を規制の主体にしたらどうかというような案で厚生省は進みました。ところが、いま言う測定なり規制の技術的むずかしさもあって、市町村では無理であろう、もう一つ上の段階の都道府県の段階にして、そこで技術指導なり、測定指導なりをし、また、都道府県が全部の権限を持つのではなしに、地域指定なり施設の指定なりあるいは規制なり勧告なりというようなことは、地元の市町村からの要請、打ち合わせに応じて、権限をいつでも市町村にまかせるものはまかせるということの前提に立ちながら、都道府県にしたほうがよかろうというような議論もかなり長い間行なわれました結果、結局、今国会に出しましたものは都道府県知事を規制主体にする、こういうようなことがございました。それが今日までの経緯でございますが、さようなたてまえのもとに、今回、この国会に法律案を出しましたので、よろしく御審議をいただきたいと存じます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 大臣のほうはすでに御承知だと思いますが、富山大学に優秀な学者がおるわけでしてね、助教授の加藤さんですが、今度、横浜国立大学に移りますけれども、彼の言をもってすれば、測定法は一兆分の一でも可能だというみずから創作、発明した機械があるわけです。そういうようなことを私も見せてもらったわけですが、それをおそらく御承知の上で、立法審議の過程で議論をされたと思いますが、こういうことで、それぞれの衆知を集めれば可能であるという一つの例になるのではないかということで、一応御承知だと思いますが、念のためにお伝えをしておきます。  それでは、先ほど申した農業の本質的な問題に入っていきたいと思います。  いま、二百三十万トンの生産調整という名の美名のもとで作業が進んでいるわけですが、農民に直接会って話を聞きますと、去年も食管制度を守るから生産調整に協力しろと言われたから協力したというのが過半数だと思います。しからば、ことし、これをいま県から市町村段階におろしているわけですが、このときのやはり農民を説得する中心のスローガン、何かそういった旗じるしが農林省側できちんとしたものがあるならば、簡単な表現でお示しをいただきたい。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 別にスローガンというものはございませんで、このままでいけば、わが農業というものはたいへんなことになるということにつきましては、生産者がよく承知しておられますし、団体等もおわかりのことでございますので、御協力を願っておるわけであります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 ある自民党の代議士が農民を説得するにこういう表現を用いているわけです。いま大臣の言われたことは、農業の危機だと、こういうことに尽きると思います。そこで、その危機とは何ぞと、こう言いますと、来年米価は一万五千円になると、これは自民党のある代議士がおっしゃったんですが、そういう表現が農民を納得させるに適当だとお思いになりますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) そういう表現を私は聞いたことはありませんですが、とにかくこのままでまいりましたならば非常に過剰米がふえてくるということはもう何人もわかっておることでありまするので、米は生産調整をして、そして転換作目に新しい活路を見出していこうと、こういう将来のことがみんなで考えられておることではないかと、このように思っております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 二月に農林省の農政局が、農業者転職対策推進調査結果というのを発表しておられるわけですがどの発表の中から抽出して、今後の農業、農政を考える場合に非常に必要なファクターは何だということでお示しをいただければ幸いだと思います。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) ただいまのお話しの調査でございますが、われわれといたしましては、この調査をやりました結果非常に感じましたことは、調査いたしました三百十三万人の中で農業従事者が百八十六万人おりまして、その中で専業者が過半を占めておるわけでございますが、それの八五%は農業を継続したいと言っております。と同時に、農業従事者の中でも、もう少しよりよい働き口があれば他産業に変わってもよろしいということを言っておる者が一四%ぐらいございます。その場合に、他産業に働きたいという農家の中では、大部分がやはり在宅のまま就業したいというようなことを言っております。それからなお、東北を中心としましてかなり出かせぎがございますけれども、その出かせぎ者のうちで、地元によい働き口があれば地元で働きたいというのが三分の一あるということでございます。それから農業をやりたい中で、今後農業経営をどうしていくかといった場合に、現状維持をしたいというのが三分の二でございますが、規模を拡大をしたいというのが一一%ございますので、われわれといたしましては、やはり規模拡大をはかりたい農家、これは自立経営に向かっていこうとする農家でございますので、この農家の個々の経営を助ける、あるいはその自立経営指向農家を中心にしました集団的な生産組織を広めていくということが農業面では必要ではないかと思います。なお、これにあわせまして市町村長の御意向をいろいろ聞いたわけでございますが、その際にも、現在の市町村における農業の見通しといたしまして、やはり六五%の市町村は、基幹産業として農業の拡大をはかりたいと言っております。と同時に、農村への工業導入につきましては、六割の市町村が、農業の振興と両立する限りはやりたいということを言っておりますので、この辺われわれ頭に置きまして今後の行政を進めるべきではないかというふうに、事務的には考えておるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは生産調整のことですが、二百三十万トン、しかもそれは府県別に割り当てられたわけですが、割り当てたのには三つの基準があるということを聞いておるわけですが、特に第三の基準である、新農業地図という表現が妥当かどうかは知りませんが、農業の地域的な配分といいますか、担当区域をおきめになったわけですが、これはどういう作業で、どういう判断に基づいてこういうものをすでにおきめになったのか、そのことを概略お聞きしたいと思います。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 先生のおっしゃる御質問は、農林省が先年の十二月十二日に公表いたしました農業生産の地域指標の試案のことだと思いますが、このつくりました背景といたしましては、おととしあたりから、生産調整の問題が出ましたときに、できれば新しい農業の地図をつくってもらいたい、これによりまして、よく言われますところの適地適産の思想に基づきまして、今後の農業指導を地域の実情に応じて、できるだけ好ましい姿に誘導するということが必要ではないかというような御議論がございまして、農林省が、最近アメリカ等で経済計画に用いられております空間均衡モデルを使いまして、昭和五十二年を目標年度といたしまして、いま申し上げたような方法論を用いて作成をいたしたものでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 コンピューター二千万円使ったという話も聞いてるんですがね、コンピューターにお聞きになることもけっこうですが、なまの、農民なり、地域の行政担当者等の討論の積み重ねを相当おやりになったんですか、どうですか。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) この試案の作成の過程におきまして、現に各県でお立てになっております県のいろいろな計画がございます。これらを十分県の担当の方からお話を伺っておりますし、それからよく、われわれが従来やっておりました過去のトレンドで延ばす趨勢線の方式、こういったものも参考にいたしたり、さらに、作成の過程におきましては、農業団体等の方々に対しましてもこういう方法でやるというようなこともよく御説明を申し上げまして、御協力を賜わったような次第でございまして、十分、県なり農業団体の御意見を伺ったつもりであります。なお、試案の公表後も逐次御説明を申し上げまして、現在その意見を求めておるという段階でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 何か聞きますと、発表したけれども、あまり批判が出てこないというふうなことがマスコミに載っているわけですが、それは農林省としては、きわめてすぐれたベターなものであるから出ないのだと、自信を持ってそれを受け取っておいでになるのか。農政、結局、不信ということは内在しているんじゃないかと私は思いますが、そういう意地悪な考え方が間違っているのでしょうか、どうでしょう。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 実は、私はたいへんこのことに関心を持っておりまして、熱心な者の一人でございましたが、でき上がりましたものにつきましては、私どもとして遠慮深く試案ということで申し上げておりますけれども、ただいま官房長から申し上げましたけれども、各県の県知事さん、それから農業団体の方々にお目にかかってみますと、初めあれが出ましたときには、全然、自分たちのお考えのことと一〇〇%同じではないかもしれませんが、若干違っておるところの方については、御意見も若干ありました。だんだん研究してみると、やはりああいうことだろうというようなことで、たいへん、このごろはいろいろな方にお目にかかりましても、まあ県によっては違いますけれども、非常にわれわれの考えていた将来のビジョンというものとぴったり合っているというおほめをいただく方もかなりおります。そういうことで、わが国にとりましては初めての試みでありますし、結局、やはりああいう方向で将来の農政を進めていくことがいいんではなかろうかと。しかし、この上とも、なお、さらに地方で御希望があるならば、それらの御意見ももちろん謙虚に承るつもりでありますが、たいへん苦労をいたしましてやってみると、やはり結局ああいうことではないだろうかと、まあこのような考え方を持っているわけであります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 としますれば、まだそこまで議論を伸ばすのは飛躍しているかもしれませんが、日本の農業の将来ということになると、これはもう沖繩が日本へ返ってまいりますから、沖繩農業のビジョンをマッチさせなければいけないわけですが、その辺のところを作業として山中さん、関連してやっていますか、どうですか、この問題を。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 農林省が、俗称農業地図をようやく試案で出しましたのは、すでにおそ過ぎるぐらいでございます。沖繩においては、模範農場において、すでに沖繩のほうの農業地図は作成されておりまして、その方向で指導いたしておるわけでありますが、あくまでも亜熱帯地域としての特性を生かすということが重点になっておりますので、それらの特性ある農業の地図というものが、復帰した後に本土で地域の農政の指数、目標というものに対して合致し得るものであるかどうか、これらは需給その他の問題とも関連をして農林省の全国的なマクロの視野かちあらためて検討を加えてもらわなければなりません。これは復帰の後に直ちにということよりも、復帰以前において農林省が中心で沖繩のすでにある程度整えられております考え方の上に立ってそれをなるべく有効に取り入れられる形で地域指標の中に入れてほしいということで農林省も快くその作業をしていただいておるということでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 山中長官、具体的には米は何万トンくらいに押え、あと今後の沖繩農業で有望な農産物、パイナップルなりサトウキビ、いろいろあると思いますが。そうした大まかな構想をちょっとお聞きしたい。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) まず本土においては米が大問題でありますが、沖繩においては米は需要の九分の一で、一万トン生産でございます。ただ、これはしかし米の奨励策をとりますと、過去に三万二千トンに到達した歴史がございますので、その反面においてはキビ畑が食われるわけであります。しかし、沖繩の立地条件を考えた場合に、沖繩の農業の基幹作目はあくまでサトウキビであり、パインでなければならない。すなわち、本土よりもすぐれた条件のものにおいて初めて沖繩の基幹的な地位を与えてあげなければ、米というものでは無理であるということを累次説明をいたしまして、南西諸島から沖繩の品質は確かに米としても劣りますので、それらの問題について十分お話し合いをいたしました後、第一次復帰対策要綱において、沖繩においては米の生産を今後奨励しない、むしろチェックしていくのだという思想を出しました。すなわち、生産者米価については、本来ならば米生産農家がわずかであるといっても、その既得権を守り、本土並みにするためには、本土並みの生産者米価に引き上げるべきが至当でありますけれども、消費者米価を据え置きますることに伴いまして生産者米価も、復帰後も現在の農協が買い入れてあと払いをするという制度をそのまま踏襲をする、ただし、それについてキビ並びにパインに転換をされる場合においては、本土の現在五カ年でもって支払われまする各種態様の休作補償あるいは転作補償よりも手厚い沖繩側に対する補償をしてあげることによって——できない地域は別でありますが、大体キビ作に転向してもらうし、場所によってはパインに転向してもらう、そうしてキビとパインとを組み合わせた農業形態の上に、一年じゅう霜の降らないところでありますから、和牛生産、肉用牛生産というものがこれから非常に可能性の大きい分野でありますので、キビのトップあるいはバガス、こういうものを飼料に生かし、あるいは、パイナップルのしぼりかす、こういうものは適当な粗飼料と濃厚飼料をいずれも含んでおりますので、これらをやはり沖繩の特色ある肉用牛生産の条件として、さらに一年じゅう牧草が繁茂しているという条件をうまく組み合わせまするならば、キビ作農家、パイン農家というものが畜産という問題に新しい進展を期することができるのではないか。ただ、立地条件がたいへん消費地に遠い沖繩でございますので、やがては現在二万八千頭ぐらいしかおりません肉用牛を少なくとも十五、六万頭を底辺にいたしまして、その底辺の上に立って産地処理工場をつくり、そしてそれを海上冷凍輸送によって大消費地に低廉、新鮮そして短時間で供給するという形態にぜひ持ってまいりたいものと考えております。  なお、少し時間をとりましたが、沖繩にはミバエ類の害虫がおります。ミカンコミバエ、ウリミバエ、このようなものを予算上も措置いたし、現地においても沖繩本島等においてはほぼウリミバエ等はいないというようなことも証明できましたので、植物防疫上の予算措置もいたしておりますが、さらに現在の状態でもそのまま出荷してもかまわなという心証をほぼ——物証のほうでありますが、得られましたので、沖繩においてメロンその他亜熱帯植物に属するくだもの等を本土の市場に運ぶための生産体制、指導体制というものに入っていくようにいまつとめているところでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 いま長官の話を聞きますと、チクロが禁止されるという国内事情等もあって、かなりその点が本土と沖繩の農業とが適当にマッチするような感じもするけれども、何といっても農林大臣ががんばっておられるわけですから、いま長官のお話と農林省が考えている長期ビジョンとの関係が食い違いがないのかどうか、完全にこれを一体になっていける見通しが、長官のいまの発言、きわめて具体的なのですが、その辺のところどうですか、農林大臣のほうは。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの答えを聞いておりますと、完ぺきと申しますか、一言の補足すべきものもないようでありますが、ただ、ミカンコミバエ等についてのお話、これまだ私、報告を受けておりませんので、この点だけまだ初耳でありますが、あとは同じ方向でございまして、われわれもそういう方向で沖繩の復帰に備えてまいりたいと、こう思っております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 生産調整は即減反になるわけですから、減反には去年も奨励金、ことしも奨励金なんですが、ただ、国土の利用という面からぼくは納得ができないわけです。ただ、しかし、具体的に作業が進んで行政も行なわれてまいりましたが、ここで、去年の減反奨励金のことについて行政監理委員会から提案があるとお聞きだと思うのです。それを端的な短い表現をすれば、そんなお金の使い方は捨て金だと、もっと土地を高度に利用し、別な形での農業生産をやるべきでないか、他産業への転換もあるでしょうけれども、捨て金だというきびしい批判が勧告となって出ているかのように聞いておりますが、その真実はどうかということと、捨て金ということに対する、農林省のそれに対する反論といいますか、それを明確に出していただけたら出してください。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 行管の勧告と申しますか、あれを拝見いたしました。私の記憶いたしておりますのは、農薬取り締まり等について末端まで徹底していないというふうな行政的措置のことについての勧告がございました。それは私どもといたしましても、法律を施行するに際しましてこの勧告を十分尊重いたしまして対処いたすつもりでありますが、あとのこと、ちょっと記憶いたしておりませんが、事務当局からお答えいたさせます。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 先生お尋ねの件は、おそらくこの間、たしか朝日新聞だと思いましたが、行政監理委員会の委員の安西さんが、この生産調整にからみましてこういったことについてひとつ監査をしたらどうかというようなことを、まあ行管の内部で言っておられるということのようでございまして、実は、正式に私のほうにそういう話があったわけではございません。私たちも昭和四十六年度以降の生産調整につきましては、転作を基本としてものごとを考えていくと、確かに休耕につきましてはいろいろの批判があることはわれわれ十分承知をしたしております。そうは申しましても、昭和四十六年度で実施いたします面積が五十万ヘクタールをこえるというようなことでもございますし、場所によりましては直ちに転作もできないような条件のところもあるわけでございますので、やはり休耕という形で残らざるを得ないものもあるわけでございますので、転作を基本としながらもやはり休耕も一部認めざるを得ない、これらによりまして少なくとも単年度の需給均衡を確保するというような意味で二百三十万トンの生産調整ということを打ち出しているわけでございますので、休耕につきましても、今回は多少くふうを加えまして農地保有合理化法人への賃貸借あるいは市町村、農協等への寄託休耕というような形で、集団的な休耕をできるだけ誘導するというような形で、よく休耕田に伴ういろんな問題もあるわけですけれども、これらの管理がうまくまいりますように予算上のくふうも加えておるというようなことでございまして、休耕が確かにいろいろ批判のあることはわかっておりますが、現実におきまましてはある程度やむを得ないというふうに考えておる次第です。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 これも新聞をたよりにして申して失礼でありますが、農林省内で、現代社会と農業ということで熱心な討論が行なわれていると、六月ごろに中間報告ができると、しかもその目ざすところは、農業は自然循環産業だという一つのテーマ設定をして、それに向けての努力をされているわけですが、いま行監の安西さんといわれました——私は朝日じゃないんですよ。ほかの新聞なんですが、その指摘とこの辺の動きとの関係でございますが、あくまでも経済合理主義でいこうとする今日の経済の主流に対して、農業は自然循環産業だと、こういう農業を守るという動きがあるかのような報道があるわけですが、これは一体、そういう熱心な討論、新農業哲学とまで銘打たれているわけですが、動きがあるのかどうか、あるとすれば、いつごろこうしたものは結論となり、それが具体的な政策の中にいかに生かされようとしているのか、そういうものを展望を持ってやっているのかどうか、そういったことをちょっとお伺いします。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 農林省ではいろいろな研究会、それから外郭的団体でも勉強してもらっております。それから公式のものは農政審議会等ございますが、私どもが将来の農政について政府として申し上げておるのは、総合農政の推進についてという閣議決定の方向に基づいて農政を推進してまいるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 実は非常に古い証文で申しわけないのですが、昭和四十三年の八月二十六日に、当時私、農林水産委員をしておりまして、西村農林大臣ともやりとりをしたことなんですが、米穀管理制度の改善に関する意見ということで、関西経済連合会から私たちの手元へも陳情が実は参っているわけですが、いまの進められようとする農政の方向が、結果的に、私はその当時、この方向へ行くんじゃないかと念を押したら、いやそんなことはないと農林省は口をきわめて反論されたわけですが、どう考えても、いまから考えると、その方向に農業が進んでいるように思います。たとえば、大項目で言うならば、間接統制への移行、それから農業構造改善の促進など等があります。こういう中で、米を直接統制から米の取引を自由にするとか、あるいは価格の問題点は安定幅をきめて上限下限の問題とか、いろいろ問題提起はされているわけですが、いま進めようとする農業の方向が、残念ながらこの方向に進みつつあるように思われます。それは国民の意見ですから、いずれでもいいと思いますが、私は相手が相手だけに非常に警戒心を持って見てきたわけですが、そんなことは断じてないと、農林省は農民の味方として今日このような農政をとっているんだということなのか、あるいはやむを得なかったというのか、基本的な問題等について大臣腹を割って意見を聞かせてください。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○政府委員(倉石忠雄君) 私はいつでも腹を割って申し上げておるつもりでありますが、率直なところ、私どもはいろいろな角度で、たとえば、先ほどちょっとどなたかのお話がありました、経済合理主義だけでものごとが処理できるとすれば政治家というのは楽なものじゃないかと思うんであります。特に低生産部門といわれておる中小企業あるいは農業というふうなもの、ことに農業のような国民の生命に一番関係のありますもの、それからまた国際情勢がどういうふうに変化していくかもわからない今日のような時局に際会いたしまして、国民食糧の確保というのは重大な任務ではないかと思うのであります。そういう意味で政府は農業についての重点的施策を考えておる。ただ、いま生産がやや過剰になっております米を、これ以上生産されるということはすべての面で不経済でありますので、これは調整をするが、そのかわり、昔は選択的拡大といわれましたわが国の需要の強い物資を、できるだけ国内生産をやってまいりたい、そのためには、一方において貿易の自由化もしなければなりませんけれども、それをやりながらも、やっぱり体質を改善してコストダウンをして、そして競争力を維持していこうというわけでございますからして、農業に対する情熱と意欲は政府としては依然として変わっておらないということをひとつ、国民の皆さまよく理解していただいておると思うのでありますが、そういうことを私は申し上げたいと思います。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 そこで、減反休耕ということと、問題は、それに伴って特に力点を転作に置いておられるようでありますが、農民に指導なり誘導される場合に、知事との関係もあるが、何をつくれと一つまり目玉商品という表現が最近はやりますが、何をつくったらいいのか、いわゆる目玉商品があったら二、三示してください。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 私どもが転作の対象の作目として取り上げておりますのは、ただいま大臣のお答えにもございましたように、当然需要が旺盛であるにもかかわらず国内生産がこれに十分対応していないというような作目でございまして、一つは私たちが取り上げておりますのは飼料作物でございます。さらに永年性作物といたしまして、果樹等も今後ふやしてまいりたい、それから大豆等の豆類、それから本年特にいろいろ問題になりました野菜、こういったものに重点を置きまして、先ほども御説明申し上げたように転作を進めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 まあ野菜の問題は分科会であらためてやります。一本二百三十円の大根もあるけれども、一わ一円のホウレンソウも出てきたのでありますから、これはもっと詳細に野菜法その他をいじくらないと解決しませんから、別なところでやりますが、ただ気がかりなのは大豆ですね。大豆の過去十年間の統計はないとしても少なくとも五年、貿易の自由化が始まったのはいつかわかりませんが、そのころから大豆の輸入と国内生産とのバランスの関係がどういうふうになっているか、そのことをひとつ明確にしていただくことによって、私は目玉商品としての大豆の今後の見通しの問題が出てきますから、その点、判断できるような資料をお願いします。

荒勝厳農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝厳君) では大豆についてお答え申し上げます。  昭和三十六年に大豆の輸入の自由化が行なわれた次第でございますが、それに伴いまして作付面積も三十六年には二十八万七千ヘクタールありましたものが、昨年、四十五年には九万六千ヘクタールにまで減っております。また一方その結果、収量につきましては、大体反当収量としてはおおむね横ばいを続けて、さしたる減少もなく、また増産もいたしておりませんが、面積が減りました結果、生産数量といたしましては、昭和三十六年には三十八万七千トンありましたが、四十五年には十二万六千トンに減少いたしておる次第でございます。また、自由化いたします前の最高の生産量はおおむね五十二万トン国内生産量があったようなかっこうになっております。昨年の稲作転換によりまして、約九千ヘクタール前後の稲作転換が大豆作へ行なわれておるというふうに思っております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 農業地図をここに開いておりませんからわかりませんが、大豆の転作といいますか、それをどこに——従来は北海道であったわけですがね、どこに期待しておいでになるのか。それと同時に、私の質問の半ば——外国から貿易自由化で入ってきたわけですからね、これは主としてアメリカだと思います。それがどういう推移をたどってきているか、それをちょっと聞きたかったんです。ただこれから、力点を置いてどこへつくれと、農民に、どの地域にこのことを奨励されるのか、そのことにあわせて答弁をお願いします。

荒勝厳農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝厳君) お答えいたします。  大豆につきましては、北海道が現在の日本内地におきますやはり生産県といいますか、全体の作付面積九万五千ヘクタール、昨年、四十五年、ございましたが、そのうち北海道が約一万ヘクタールで、内地が八万五千ほどの作付面積になっております。ただし、内地の大豆につきましては、非常に、まあ薄く、広くというかっこうで、主産地といたしましては、北海道大豆が中心になって、商品作物として商品化されておりますが、今後われわれの、この大豆の稲作転換の中心は、特に東北の地区の、いわゆるかつての主産地でありました岩手、青森あるいは秋田と、こういったあたりに特に重点を置いて、指導いたしてまいりたい。そのほか、西のほうの阿蘇山ろくの周辺も、大豆の一つの新産地になるんではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。  また、先ほどお尋ねの輸入につきましては、合計、昭和三十六年には約百十五万八千トンの輸入量がありまして、その内訳といたしましては、百十万トンがアメリカで、約五万トンが中共ものでございましたが、その後年々、逐次輸入量がふえまして、四十五年には三百二十四万トンの輸入がございまして、そのうちアメリカが二百九十五万トンで、中共ものが約二十九万トンと、こういうふうになっておる次第でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 宮澤通産大臣ね、いま農林省が大豆をつくると言っているんですよ。主たるところはアメリカから、いままで輸入してきておったんですから、こちらでつくれば向こうのは要らなくなりますが、逆に繊維みたいなことになりませんか、あっぺこっぺの。繊維問題みたいな形になりませんか。その辺は貿易など、うまくやれますかね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、大づかみに申しますと、わが国は、農産物はもうずいぶんアメリカから買っておりますので、国内で大豆をふやそうと、それが多少のことが響きましても、アメリカの農業グループから文句を言われる筋合いは、私はさらさらない。ずいぶん買っておるんでございますので、そういう点では繊維などとは、私はおのずから違うと考えてよかろうと思います。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 まあ一時期は、たとえば小麦のように、アメリカに生産過剰の問題が起こったわけですが、最近、私、そこまで目を通しておりませんが、小麦その他農産物等、アメリカもだんだん生産のほうがダウンしてきている傾向にあるのですか、そういう意味で競合する心配はないということなんですか。その辺のところ、アメリカの国内の動向をちょっと明らかにしてください。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと私、十分にアメリカの農産物の最近の動向を存じません。たとえば、トウモロコシのようなものは、昨年来、非常に減産、それから病気があったようでございます。価格は暴騰して、今日でもなおそういう様子でございます。一般的に過剰農産物は、たぶん御指摘のいっときのようなことではないのであろうと思っておりますけれども、つまびらかには実は存じません。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは、いまの転作のうちの目玉商品の大豆の問題について、いわゆる外側の圧力が、通産大臣の証明によって、そうたいしたことはないということなんだから、それを一応信頼いたしましょう。  そこで、今度は下からの問題になりますが、これまた生産過剰になると、第二の食管赤字ということになるおそれは推理できるわけですね。その辺の手当てについて、農林省はどこまで考えておりますか。

荒勝厳農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝厳君) 先ほど申し上げましたように、日本では国内で、かつて終戦後でございますが、約五十万トンぐらいまで国内で大豆をつくりました実績がございます。現在、私たちのほうで大豆につきましての需要を達観いたしますと、大体アメリカから入ります大豆は主として搾油用に回されまして、そして油とかすに分離される。国産の大豆につきましては、主として用途が食品加工用に向かいまして、みそとかあるいはとうふ、油あげ、納豆と、こういったほうに、非常に国産大豆はたん自分が多いものですから、利用されておる。さらに中共の大豆も、大体みそとか、とうふとかというふうに、こういう用途に供されておりまして、大体それらの総需要量といいますか、用途は、大体七十万トンぐらい国内では必要とされる。そのうち、できますれば、われわれといたしましては、この五年間の間に約十六万ヘクタールの稲作転換を行ないまして、それとともに、約五十万トン前後の国産大豆を生産いたしまして、少しでもこういう国内用の食品に適した大豆を国内で自給していきたい。食用油用の大豆につきましては、やはり今後、ただいま二百数十万トンの輸入が行なわれておりますが、今後とも、アメリカなりその他の国々に依存せざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 いまの局長の判断の中で、アメリカ等から入る大豆、必ずしも油だけでなくて、とうふをつくっているのを御承知でしょう。ぼくは選挙して歩きますから、よくとうふ屋へ車をとめて飛び込みますがね、小さい豆の大豆がたくさんありますよ。最近は知りません。しかし、とうふにつくることはありますよ。また、私の一同士がとうふ屋ですが、中国の赤い大豆が入ってきても、おれは白いとうふをつくってみせるという有名な演説をして歩きますがね、とにかく中国等から大豆の入っていることもよく承知しておりますが、いま言われたことは、若干現実とは違っているのじゃないか。しかし、それは追い詰めてお聞きしようとは思いません。ただ、宮澤大臣等の答弁等を通じて、あえて私は心配することは——この問愛媛に行きました。愛媛のかんきつ類をやっている農家の人たちが、あの海を渡って九州へ行って、夏カンなどをつくっているわけですよ。なぜかと。もちろん自分の企業安定を目ざし、企業拡大をねらっているんだけれども、一つは、貿易自由化で入ってくるであろうグレープフルーツに対抗する、つまり一つの大農方式でいこうじゃないか、三十ヘクタールでないと勝てない、アメリカは五十ヘクタールだ、わがほうは三十ヘクタールで、労力なり、いろいろくふうすればアメリカに負けぬだろうというようなきびしい姿勢で、グレープフルーツに対するかんきつ類の栽培経営をやろうとしている、共同化しようとしている努力があるわけですから、農民はすでに警戒心を持ってがんばっているという事実をも含めて、やはり動向、貿易の実態等を十分把握していただいて、こいねがわくは日本の農業を守ってもらいたいということを、特に答弁の中から感じたことを、注文の形でお返し申したいと思うわけです。  で、その次に、去年、四十五年度の生産調整の実績、並びにその中から生まれてきたことしの農政への皆さんの確信、またそうでないプラス、マイナスの面があると思います。マイナスの面等についてもお伺いしたいわけですが、あまりばく然としておりますから、一つ一つ片をつけていきます。たとえば去年の減反、休耕で最大の協力をしたのは北海道、青森、兵庫、これはどういう地域の事情があったか、お聞きします。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) お答え申し上げます。  北海道は御承知のように二九九%、それから青森が二三一%、兵庫は一三二%でございまして、兵庫は全国の平均が一三九%でございますから、若干下回っておるわけでございますが、数県を除いてみな一〇〇%を上回ったわけでございます。そこで北海道あるいは北東北におきましては、当時冷害が懸念されるという気象情報等もありまして、かなり目標を上回った面もございますけれども、基本的にはやはり米の需給事情を農家が理解していただいたこと、それに地方公共団体、あるいは農業団体等が協力していただいた結果だろうと私たち考えておりまして、特に兵庫につきましては、特別変わった理由はないのではないかというふうに判断をしております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 では、逆に皆さんが目の上のかたきのように、こぶのようにお思いになっているのは新潟、京都だと思います。新潟の事情、京都の事情、それをどのように御判断されますか。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 新潟はおそらく米どころで、生産調整の趣旨は頭ではわかりましても、なかなか米一本やりのところでございますので、生産調整に協力するところまで至らなかった町村が多かったんではないかというふうに判断をしております。京都の場合も、府庁の方針自体がかなり積極的協力ではなかったというふうにわれわれ判断しておりまして、その結果が御承知のように京都の場合は五二%程度、新潟の場合は七八%程度にとどまったんではないかと思っております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 もっと局長、新潟の場合もう少し突っ込んでいかないと、新潟のやつらは言うことをきかぬのやという形に印象づけられますから、やはり農業地図の面でも今度はそういうことを幾らか考慮されていると思いますから、もう少し突っ込んで、日本海沿岸の県であるということとか、いろいろもう少しあたたかい目で情勢分析していただけませんか資料がなければしかたがありませんよ。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 先ほど御答弁申し上げました際に、冷たく言ったつもりはございませんので、新潟の場合はやはり米どころでございまして、先ほども申し上げましたように、生産調整そのものはやらなければいがんだろうという気持ちは農家にもあったかと思いますけれども、やはり米どころ一本やりのところで、なかなか実際問題としてそこまで行き得なかったという点だろうと思います。ただ北陸におきましても新潟だけがそういうことでありまして、富山、石川、福井等は一〇〇%かなり上回ったような実情にあるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 やはり一番大きな問題は、水田の率が八五%もあったり、あるいは切りかえてすぐ転作ができないというような耕地の事情等もあったり、あるいは富山の場合と比較される場合にちょっと私困るんですけれども、富山の場合は化学工場を中心とした、いまではすでに工業県になっておりますから、条件は非常に新潟とは違うわけです。そういうようなことなど、やはり今後の農業ビジョンをおつくりになる場合に最大限配慮されておると思いますけれども、大いに配慮していただきたいと思いますが、同時にこれは日本農業新聞の十六日のでありますが、予約数量割り当てに対して不服審査申し立てをするということを農民が一致協力してその線でがんばると言っておるわけですが、こうした点について行政を担当される皆さんは困るでしょう。だが、しかし、それぞれの農民の気持ちも私はわかるような気がしますが、こうした農民の抗議抵抗等について、やはり農林省当局が静かに反省できるようなものがないのかどうか。目には目、目くそには目くそなんという形になるということはないと思いますけど、その辺はこういうこともすでに情報としてキャッチされておると思いますが、どうですか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 新聞にときどきいろいろ出ておりまして、やっぱり実情を調べてみますと、そういうこと以外にまだいろいろなことも各地であるようでありますが、おかげさまで、もうほとんど全国の県が末端までおりております。それぞれの県の事情で若干相違はあるかもしれませんが、私どもとしてはそういう御苦労のところには、なおより一そう農業団体、市町村長を通じて事情を説得するようにつとめさしておるわけであります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 先ほどの私の質問の中心は、四十五年度の生産調整ということで、その実績をいまあらためて追及しておるわけですけれども、そういう中で今日まで基本農政以来、総合農政に移り変わってくる過程で、県知事なりが中心になってかなり新しい農業の方向を創作し、努力し、今日まで計画をしてまいっていると思いますが、ただここでこの新しい波に乗りながら、いまきびしい情勢にぶつかって困り果てている分がたくさんあると思います。たとえば八郎潟の干拓地の問題ですが、きのうだったですか、建設大臣はそういうところにも工業進出云々という表現が実はあったので、私前から心配していたことが具体的に大臣の名において行なわれたわけですが、これはまあもともと八郎潟の干拓、大潟村の計画というものはそういうものではなかったはずであります。でありますから、ここで順序を追うて尋ねます。  一体八郎潟にどれほど国費を今日まで投入してこられましたか、総額をお聞きします。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) お答え申し上げます。  現在の計画におきまして、七百四十億の国費を投ずることとして事業計画を進めてまいっておりまして、そのうち四十五年度までに五百四十七億円の経費を投入しております。これは国営の干拓事業と、八郎潟新農村建設事業団の支出にかかる経費でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 とにかくそれは建設的な費用でありましょうけれども、たとえば漁業の人に対する補償その他もありますからね。そうした経費を全部を突っ込んでみて、そんな数ではないでしょう。もっと多いでしょう。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) ただいま申し上げました数字は、漁民に対する補償金を含んだ数字でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは現在、ただいまの耕作面積、耕作可能面積は幾らですか。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) 当初一万七千二百二十五ヘクタールの干拓をする計画でございますが、現在一万一千六百十八ヘクタールの干拓を完了しておりまして、そのうち約六千ヘクタールにつきまして四百六十戸の農家の入植をさせて、水稲生産でもって大規模機械化営農を実施しているところでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 昨年は、それでは減反、休耕の問題はどういうふうに措置されましたか。あわせてことしの分も。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) 昨年度は全国のまあ平均に見合った休耕をいたしておりますが、本年度におきましても、全国的な傾向に見合って約二割の休耕ないしは転作をする予定でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それではこれからの問題でございますけれども、手元の十三日の日刊紙に載っているわけですが、大型畑作に転換をしようということが農林省できまったかのごとく報道されておりますが、その事実。それから畑作にするには何を、どのような作物をつくらせようとしているのか、指導的な方向を明らかにしてください。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) 御承知のように、大潟村は水稲の大規模機械化一貫栽培のモデルとし建設を予定をし、発足をした事業でございますが、米の生産事情、需給事情が今日のような事態に相なりましたので、水稲生産を対象といたします入植は、現在四百六十戸で中止しております。現在の事情にかんがみまして、これ以上水稲生産を対象として農家を入植させますことにつきましては問題がございますので、残った土地につきましては、これを排水し、畑地として造成をして、畑作経営の大規模農家の創設というようなことを念頭に置いて、いかにこれを使うかということを目下研究中でございます。その前提としまして、八郎潟の中に国営圃場を持っておりまして、そこに牧草をはじめバレイショをつくりまして栽培試験も実施しております。それらの試験成績も踏まえまして、今後どういう作目をつくり、どういう経営をしたらいいかということを、専門家の知識も借りまして、鋭意検討して誤りなきを期してまいりたいと、かように考えております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは次に、去年の減反、休耕等の問題から、一時は総合開発なりあるいはグリーンレポート等で高く評価された佐賀県農業でありますが、佐賀県農業も——私いまここに計画書を持ってるわけですが、去年池田知事とも会っていろいろお話を伺ったわけですが、去年のこれを受けておそらく——春に会ったのですが、秋になってから知事はたいへんお困りだったと思いますが、その辺のところを調査したり検討して、ことしからの作業を進める場合に何か参考にしておられる点がございませんか、共同化の問題その他を含めて。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 御指摘の佐賀県の米づくり運動でございますが、これは昭和三十九年に、先生御承知のように発足をいたしまして、順次何段階かに分けまして集団化——初めは栽培協定から始めまして進めてきたわけでございますが、そこに生産調整がありまして、かなり私も影響があったと思います。しかしいろいろ九州農政局におきましてもその結果を調べてみたわけでございますが、それによりますと、一応かなりの影響はあったといいながらも、集団栽培など生産組織化の進んだところにつきましては、生産調整の影響があまりないという答えのほうが多いわけでございまして、ややパーセント的に申し上げますと、すでに佐賀では水管理なり品質の統一を軸とした集団栽培が広く定着しておるので、むしろ影響は少なかった、たとえば大分なり鹿児島なり宮崎なりの生産集団化を進めつつある県よりも。指導者層はそういうふうに見ておるわけでありまして、生産調整がかなりこういう集団化に影響を与えると思いますけれども、やはりその中にありましても、そういう集団の力で生産調整を単にばらばら休耕ではなくて、まとめていろいろなことをやっていく、また転作もやっていくということで、われわれといたしましては、かつての米づくり運動とは違う意味でこういうものを高く評価をしていきたいと考えております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 その他あるいは庄内なり岐阜県の南大垣の農業経営等にもあるわけですけれども、要するに土地配当という形での耕作をあるオペレーターに委託して、あるいはアルバイトなり出かせぎ等に出ていた農家がおったわけですけれども、私は三万何千円という形で補償金が出れば、無理してまでその委託をする必要がないという農家も出てくると思いますが、そうした矛盾が去年の減反、休耕等の中で各地で出ていたように伺っておりますが、その辺は農林省ではどういうふうにして掌握しておりますか。全然ないものでしょうかね。私はあり得ると思います。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘のように、昨年三万五千円の奨励金を出したものですから、それが地代水準といいましょうか、そういうことになった面がありまして、かなり今後の規模拡大の方向としての借地の問題なりその他の問題に影響があったのではないかというふうに思われる面がわれわれの調査でもございました。しかしそういうこともありましたものですから、今年度の生産調整におきましては、やはり規模拡大など構造改善に資する方向でやらなければならないという観点から、農地保有合理化法人が休耕水田を転作の目的として買い受けたり、そして規模拡大に資するということをやりましたり、あるいは集団的な転作を優遇するというような手を打ちまして、できるだけそういうばらばらな単なる休耕がないように持っていくべきだというふうに考えておるわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 前々から心配しておったことですが、日本農業新聞に「食管改変の布石」として「配給制度を改正へ」という大見出しで報道されているわけですが、政府部内で今日の配給制度を自主流通米、第二自主流通米その他の問題等を含めてどういう形で配給制度を変えようとしているのか。現在決定版が出ているのか、それとも思案中なのか、その辺のところを、この報道について御承知ないかもしれませんけれども、いま読み上げた点だけでも、すでに大きな題問を国民に投げかけていますから、明快な答弁をいただきたいと思います。

亀長友義食糧庁長官

○政府委員(亀長友義君) 御承知のように、物価統制令の適用は廃止をするというたてまえで進んでおりますので、それに伴いまして、物統令が廃止になってもお米の流通が合理的に行なわれるように、新規業者の参入、あるいは従来卸と小売りとの関係が非常に固定的に特定のものの間の売買しか認めないというようないわゆる結びつき、そういうものは逐次緩和をしていくということをすでに方向として明らかにいたしておるわけでございますが、そういう線での配給制度の改正になるということは私ども考えておりますが、農業新聞、私は詳しくは読みませんでしたが、特にそこに書いてあることの中で、物統令の適用廃止に伴って起きる問題は、私どもは先ほど申し上げましたように処理したいと考えておりますが、特に物統令の廃止後の措置につきましても、現在いろいろ御意見を拝聴して検討中でございまして、そのほかにもまた特に配給制度改正と銘を打って特別の改正要綱を決定したという段階ではいまだございません。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 長官、ついでですが、栃木県の議会から決議文が農林省に参りませんでしたか、物統令について。

亀長友義食糧庁長官

○政府委員(亀長友義君) そういううわさを聞いたのでございますけれども、私どもまだ文書では受け取っておりません。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 これは二月の十三日の県議会の最終日できまったのでありますが、「配給米に適用されている物価統制令をはずすな」という議員提出の意見があり、満場一致できまった、衆参両院に働きかけると書いてありますので……。まだ農林省にきておらぬわけですね。こういうことで一つの県がこの線でまとまった意見を集約している点など、やはりことしの農政を進める上においてきわめて大事なことでないだろうかと私は思います。  これは質問ではございませんけれども、先ほど佐賀の話が出、八郎潟の話が出る、それから私も南大垣の農協のことも話をしましたが、農基法農政から今日まで農民はあらゆる努力をしてきたという事実は農林省は一番よく知っているはずであります。あるいは集団的な米づくりについて、農民のセクト的な気持ちを乗り越えて一つの方向を出してきたこととか、あるいはオペレーターに技術を信託して余剰労働力を他に売って所得を獲得する努力とか、あるいは庄内なら庄内なりの努力、農事組合方式等をつくるという努力、先ほど申し上げた新佐賀段階米づくりの努力などは農事試験場等が一体になって極限の状況をつくり出し、それに対して技術を集約的に投入しながらたくさんの米をとるといったような努力をしてきたこと等が水のあわになったとは申しませんけれども、農政が目まぐるしく転換することによって、せっかくのそうした努力が逆の裏目が出てきているということを思うときに、何とはなしにさみしい気持ちが一ぱいであります。でありますから、農民のそうした努力、そうした誠意について農林省は常に念頭に置いて農政を進めていただきたいと思います。  そこで、次の段階で、迷う農民は米をつくれば生産制限、今度は転作で大豆をやれば外からの圧力なり、内側の需要の問題等もあったりして、これも必ずしも楽観を許さないといったような問題に直面をしているわけですが、そこで今度農林省は蚕勇をふるったとは申しませんが、農村工業導入促進法という法律を提案されて、農村への工業の進出を大胆に打ち出してこられたわけであります。これも、きょうの新聞によりますと、土地改良法の改正案がいよいよ本ぎまりになったように受け取れますが、それと農村工業導入との関連があると思いますが、いかがでございますか。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) 農村工業導入法案におきましては、工場を導入するのを契機といたしまして、農業構造改善をあわせてはかるということにしておりますが、その際に工場用地をどうやって造成するかという場合がございます。普通の場合は工場が入ってきますところを買収をしてやるわけでございますけれども、そういうことのほかに農家が土地を持ち寄りまして、そして工場に提供するといいましょうか、売り渡しをする、そして残ったところを補助整備をやりまして、そこではまた土地改良事業をやるということをあわせてやれるこの土地改良法の改正もきのう閣議決定されたわけでございますので、農村工業の導入法で具体的な実施計画を立てる際に、そういう土地改良法の新しい改正を使いまして工場用地の造成と同時に土地改良事業をやるということをやろうとしているわけでございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 私は富山市の郊外にいるわけですが、建設省の努力でバイパスの路線がもうそろそろ完成しようとするわけですが、その路線が完成しようとするとたんに、小さな工場がもう雨後のタケノコのように林立しておるわけです。これは表現を変えれば農村に工業が進出してきた、こういうことになるわけですが、ほうっておいてもそういう条件があるとできてくるわけです。そういう中からいろいろな問題がまた起こるわけです。あるいは耕作地が陰になったりして、一つの工場用地の二倍ぐらいが大体耕作地としても減収その他の影響があるといわれておるくらいでありますが、でありますから、農林省がいま農村工業化の方向を進められる過程において、いろいろな配慮をされておると思う。あるいは労働力の問題、土地提供の問題、いま言われたように土地改良の問題、こういった点で立法が出た場合に、農村ではやりますが、いま大まかなところ、農民は政府を信頼し、ある程度大きな期待をかけておるわけですが、それに対して不安もあるわけです。不安の点はあとで申します。でありますから、期待をかけておる農林省のこのプランに対して、この場を通じて農民に呼びかけてほしいと思います。こういう点でこういう努力をするのだということをわかりやすく、法第何条などと言ったって農民はわかりっこないのですから、その辺のところをお願いいたします。

中野和仁農林省農政局長

○政府委員(中野和仁君) ただいまのお話、これから法案を成立さしていただきますれば具体的にしていくところでございますけれども、国の基本方針、県の基本計画というものを立てましたあと、それに従いまして、大きな団地といいましょうか、そういうところにつきましては県が具体的な実施計画を立てますし、それから町村の場合には若干それより小さくなるかと思いますけれども、導入計画を立てるわけでございます。実施計画を立てますが、その際といたしましては、どこの場所を工場用地にするかという、まず場所をつくりまして、そこにどういう工業を入れてくるか、その規模の大きさはどれくらいか、それからそこに導入される工業へどういう農業従事者が雇われるか、何人ぐらい雇われるかという計画を立てるわけでございます。と同時に、先ほども触れました工場用地の造成との関連での農業構造改善のいろいろな土地基盤整備等の事業も計画をするわけでございます。したがいまして工場用地と農用地の利用の調整も十分はかりたい。それからもう一つは、かなり農村に工場がいきます場合、公害問題がいろいろ出てまいりますので、あらかじめ実施計画におきまして、入ってくる工場との公害防止に関しまするいろいろな計画をあらかじめ実施計画の中で立てておく、こういうことをやりまして、従来のように、先ほども御指摘もありましたように農村にかってにと言うと語弊がございますけれども、工場が入っていくだけで終わりということではなくて、工場が入りますのを契機にいたしまして、農業構造改善と就業構造改善を同時に三位一体でやりたい、こういうことを考えておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 関連。農林大臣にお伺いいたしますが、農政のこのような転換期に当たりまして、従来農林省が手がけてまいりました農業用水、水利ダムがどういう形で活用されるかという問題でございます。私の関係いたしました滋賀県の愛知川ダムでございます。これは長い間反対運動が尾を引いておりまして、なかなか着手できなかったのであります。しかし、御承知のとおり、私ども反対の農民、反対の地元の人たちの側に立って、このダムの着工に至らせないという立場でやっておりましたが、最終的にはやはり大きな国策に協力するという立場で、下流の耕作農民の立場を守るためには、ひとつ地元のダムに反対しておるところの人たちに納得してもらおうということで現地に泊まり込みまして、現地の反対の側の人たちを説得したことがございまして、そういう経過を経まして、あのダムがようやく着工される運びに至ったのでございます。しかし、このダムができまして愛知川ダムができまして、その水ははたして下流の耕作農民のために使われるかどうか、使われないことは、大部分使われないということは明らかでございます。こういうことに対しまして私も幾らか関与をいたしました者の一人として非常に責任を感じているのであります。これは大きな農政の転換期にあたっておるのでございますから、時代の流れというものは食いとめることはできないということもわかりますけれども、多大の国費を使ってダムをつくる、農林省がそのダムをつくるということでございますが、あまり農民のためにならないようなダムになってしまうということでございますが、これは構造改善事業あるいは農村工場の誘致という点ともからみ合わせながら、こういう事態に対して国はどういう立場に立って農民を説得することができるか。特に反対してまいりました諸君は、山の高いところのかえ地に家を移して非常に不便な状態を忍びながら、やはりそこに移っておるのですから、そういう状態でこのダムが着工されつつあるわけでございます。こういうことが各地にも起こっておる。さっき八郎潟の問題も出ておりますが、こういう事柄に対しまして、農林当局としてはどういうふうに、反対しておったが、ついには賛成に回って協力したという人たちに対して言いわけをしていくことができるか。それはまあ時代の流れでございますから、そういうことでわかってもらわなければ困るということであればそれまででございますけれども、そういう事態に対しましてその水がはたして耕作農民のためだけに使われるかどうか。使われないということは明らかであります。そういうことにつきまして農林大臣の御所見を承っておきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お話のございましたその特定のところの状況について私はよく存じませんけれども、一番農業に大事なのは水利でございます。したがっていままで私ども地元の生産者と農林省とが意見が一致をいたしましていろいろなダムもつくって水利もやっているわけでありますが、いまお話しのような件が随所にございます。たとえば愛知用水などでも当初の計画から見ますというとそれを途中で工業用水のほうに、名古屋市に持っていっております。で、いろいろな事情がございますけれども、要するに私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、一定の農産物というものを確保しなければなりませんので、その範囲においてはやはり水利というものはどうしても必要なものでございます。特定のことについては事務当局からお答えいたさせますが、考え方といたしましては、そういう場合にはやはり農業水利のほうと工業との間に生産者団体あるいは県当局なども参加をしてもらっていままでは両者の意見の調整をやって円満にやってまいったと、こういうことでありますが、ただいま御指摘の特殊なことにつきましては事務当局からお答えいたさせます。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) 御質問の趣旨は、むしろ一般的の問題であると思いますので、一般論としてお答えしたほうがよかろうと存じます。  ただいま農林大臣から御答弁がございましたように、農業生産の基本、基盤は農業水利でございます。米をつくりますにしても、あるいはその他の果樹なり蔬菜なり畑作物をつくりますにしましても、配水がまず前定であり、配水した上にかんがいをするということが必要であることは申すまでもないところでございます。したがいまして、従来この農業基盤整備の方向としてダムをつくり基幹水路を張りめぐらします場合に、水田を対象にして計画をされたところが多いことは御指摘のとおりでございますが、ただいま米の過剰の状況のもとに生産調整が進められております現在、まあ四十六年度で申し上げれば二割、これを畑作等へ転換をしなければならぬという事態に相なっておりますので、そういう事態を踏まえましてこの農業水利の問題も考えなきゃなりませんので、現在生産調整の方向に合わせまして新しくこの農業水利事業、土地改良事業を起こしてまいります場合には、一定の面積を畑へ転換するということで、水田から畑への転換を進めております。したがいまして、水田を対象とする水利から畑地かんがいなり畑作物あるいは果樹、牧草、飼料作物といったようなものを対象にして水を流す計画を進めておるわけでございまして、ダムをつくりまして水田の一部をそれらに転換するからといって、直ちに水が不要になるものではございません。私どもとしましては、できるだけそういう形で広く水、が使えるようにしたい。もちろん水田と畑作物では水の使用量が違いますが、畑作物にします場合には少し面積を広げませんと、水稲のように少ない面積で多額の所得を生むことができませんので、できるだけ農用地造成等を含めて広い面積で所得を上げる。そのためにはやはり面積を広くして、面積を広くすれば水も要るということでございますので、一般的にそういう考え方のもとに水田中心の基盤整備から水田に畑作物なり果樹なり飼料作物を組み合わせた基盤整備という方向に現在方向転換を進めつつあるわけでございまして、御指摘の愛知川につきましてもそういうことで対処してまいりたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 私は関連ですから、これ以上質疑をしまいと思っておりましたが、いまの農地局長の御答弁は一般論で、一般的なお考えを言っておられる。私は愛知川ダム及び土地改良区の今後の転換ということについて大臣にお伺いしたいのでありますが、農地局長はこの事態をよく御存じでございますか。愛地川ダム及びこの土地改良区の実情は御存じですか。それに即してどういうふうにやろうというふうに考えておられますか、お伺いをしたいと思います。私は歴代の農地局長とはずっとこの問題で長らく接触をしてまいり、こういう事態になりましてから私はしばらく農林省からは遠ざかっておりますけれども、ほかの関係の委員会に属しておりますから農林省から遠ざかっておりますけれども、いまこの問題が出まして、非常にそういう点に対してどうなっておるのかということを伺っておきたい。さらに愛知川ダム、土地改良区だけの問題でなしに、全国的に同じような問題があると思うのであります。私のところの大中之湖の干拓でも、米をつくるということで干拓をやったのですけれども、しかしもう米は要らなくなったというので、非常に苦労しながら転換をやっております。作物の転換をやっております。そういうことも御存じだと思いますが、そういうことにつきまして農民の立場、また、反対はしておったが最終的には国策に協力するということで賛成の側に回りました愛知川ダム関係の水没をいたします地区の農民の立場に立って、どういうふうに考えておられますかということをもう少し具体的にお答えをいただきたいと思うのでございます。

岩本道夫農林省農地局長

○政府委員(岩本道夫君) 愛知川ダムの建設につきまして、一部反対の方々がありましたことは承知をしております。しかし、農業基盤の整備と、また、日本農政の転換という展望のもとに御協力をいただいたわけでございまして、今日こういう事態のもとにこの転換をはからなきゃならぬ事態に相なっておりますので、できるだけそれらの人たちの立場を尊重いたしまして、畑作の転換を十分進めるという見地に立ちまして今後十分検討を加え、善処してまいりたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 どうも私は、いまのような抽象的な御答弁では納得がいかないんです。しかし、関連ですから、私はこれ以上伺いませんが、また別の機会に伺います。どうか……。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いまにわかにきっとお話がございましたので、農地局長も全国の仕事をやってるものですから、あるいは詳細にわからない点があると思いますので、後刻担当者を御説明にあげるほうがいいんではないかと思いますが、それでよろしければさようにお取り計らい願えればしあわせだと思います。

西村関一日本社会党

○西村関一君 ちょっと一言だけ。大臣、私はくどいようで申しわけないんですけれどもね、ダム反対の水没関係の人たち、十何年反対しとったんです。反対者の人たちの中へ入って私は一ヵ月この山へ入りました。五日間断食をいたしました、現地で。それで説得したんであります。そういう立場からいまのような農地局長の答弁では満足できないんです。ですから、もう少しきめのこまかい農林省としての方針を示していただきたい。反対しておったが、最終的には賛成して、非常に深い山の中腹のところに——自分の村が、家が水没しちまうんですから、山の中腹のところにかえ地をもらって、そこへ家を建てたという人たちもございます。二部落そういう人がございます。そういう犠牲を払ってる人たちの立場に立ってこの問題についての農林省の考え方を出していただきたいということでありますから、いま大臣がおっしゃったように、また別の機会にあるいは個人的にお話を伺ってよく問題を詰めていきたいと思います。一応これで私の質問を終わります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 先ほど農政局長の答弁で農村工業化の輪郭がわかりましたが、私、農民の立場に立って心配で一ぱいです。というのは、まず、公害の問題で都市周辺でうるさいものだから山へ登る、野原へ出かけていくというようなことは考えられるわけですね。これをどうほんとうにチェックするか。これは山中担当大臣からもあとほどひとつ最高司令官としての決意表明をいただきたいと思いますが、まずその心配が一つあるわけですね。  その次に、これは私企業でしょう、出てくるやつは。中国のように公社とか国営じゃないでしょう。とすればひっくり返るおそれがあるわけですよね。農民が田地田畑を離れて、そこへ労働力を売った、さあどっこいひっくり返ったと。現に富山にあるわけです。ごく最近、これは法と関係なしに。それは、三越金属というしんちゅうの加工業がですね、砺波市という市のところへ——市といっても田園です——出てきた。それでまあ、公害問題で大騒ぎをして、きついきつい協定をつくって、どうにか企業を始める段階まできたところで、どっこいたくさんの借金があるというので、いま三菱商事に身売りをすると。何かきのうもそのことで労働者が裁判所に仮処分申請をするという悲痛なきびしい問題にまでいっているし、また雇用契約をした農民の婦人たちがおそらく宅控えという状態になっているでしょう。でありますから、これが現実なんですよ。だから、工業導入といって、一体どういう工業を導入しようとしているのか、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) あの法律のときにまたいろいろな御討議があると思いますが、政府が考えておりますのは、通産、農林、労働三省で緊密な話し合いをいたしまして——先ほども意識調査等でお聞き及びのとおりに、ただいま全体の農業者のうちで農業所得よりも農外所得のほうが若干上回っておる、それから自立経営の比較的大きな農業専業農家というのは全体の大体約二割足らず、あとの八割が兼業農家である、しかも幾ら規模拡大ということを一生懸命でやりましても、なかなか私は長期間、わが国の地方においては兼業農家が残るものであろうと思います。しかもその兼業の農家の方々が、先ほど農政局長からも意識調査で御報告いたしましたように、できるならば自分の家から通勤して仕事をしたいという方が圧倒的に多いので、そういうようなこと、もう一つは、やはり太平洋ベルト地帯といわれるような地域に全人口の大部分が集まってしまうというようなことが、はたしてわが国全体の国民として幸福であろうかということを考えてみましたならば、やはり外国でもやっております。それからよくわが国の国会議員さんなんかでも多くの方が産業の分散ということを言っていらっしゃいます。そういうのと私どもの農政のビジョンとをひとつうまく調整したいと、こういうようなことでございまして、したがって、計画を立てますのは市町村であり、県でございますので、もう公害というふうな問題については、誘致する前段でそういうことにもちろんこれらの人々は対処するように御計画にもなるでありましょうし、農協等がこのごろ法律改正さしていただきまして土地を所有することができるようにもなってまいりましたので、各地方が、やはり農協が産業界といろいろな話を進めております。  それやこれやを考えますというと、私はやっぱりおきめ願っております法律であります農業振興地域の整備に関する法律、ああいうものが施行されておる、しかも、なおかつその上に比較的規模の大きな農業地帯というふうなところにこそそういう工場が進出し得るのではないだろうかと、しかも、その進出し得る工場というものの選択は生産者団体であり、自治体当局でございますので、そういう意味で私は十分に調査の上で、当該地域に合うような産業を分散していくということが必要ではないか、しかも私たちの立場から、これは農業者団体も言っておられることでありますが、大事な一種農地等がスプロール化してしまって、使いものにならないようなことになることを極度におそれておるわけでございますので、そういうことをも市町村長、県知事等と十分打ち合わせまして、そして助成措置を講じたりして産業を地方に持ってまいろうと、こんなようなことでございますので、地元の方の御意向は十分そこに入ることができるのではないかと、また尊重しなければなるまいと、こういうふうに思っておるわけであります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連……。これは農林大臣と厚生大臣にお聞きしたいと思いますが、農村に工業が入っていく過程において、いまもお話がありましたように、専業農家が非常に少ない。今後ますます現金収入を、そうした入ってくる企業へのパートタイマーという形であるいは入ってくる企業からの下請けを家内労働的にやっていく、こういうようなことが、特に農村に工業が入っていく場合に、そうした問題の中で農家の主婦がそういうところに働きに出る。この間も話がありましたように、日曜ぐらい百姓やればいいじゃないかというようなお話もありましたけれども、おそらくこういうことができるような状態では私はないと思う。そういう地域に農家の主婦のいわゆる農婦症なども、最近はかなり広範に農婦症にかかっている主婦も多いようであります。それからさらに、その農家の子供が、結局おかあさんが忙がしいからインスタント食品を食わされる。こういうことで、農村の子供の体位が非常に悪くなってきておる。こういうことを私はある農村の医師から話を聞きました。その医師は、農婦症退治あるいは農家の小さな子供の体位向上のためにおれはやっていくのだというかたい決意を述べておりましたけれども、そういう農村に工業が入っていく場合に、そういうことがかなり傾向的に出ているように私は思います。そういうものに対して、一体どう対処していくのか。労働力の観点から見ましても、私は、かなり重大な問題ではないかと、こういうふうに思いますが、そういう実情がもしいまわかっていたならば御説明をいただきたいし、そういうものに対して農林当局あるいは厚生当局がどういうふうにこれからそういうものに対処していっていただけるのか。これはある程度対処していただかなければ困る問題である、こういうふうに思いますが、詳細がわかっていたならばこの場で発表していただきたいし、その対策をひとつ両大臣から聞かしていただきたい、こういうふうに思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お話のこと、たいへん大事なことだと私どもも思います。そこで、それぞれの地域によってそれぞれ事情が違うのではないかと思いますが、やはり私ども、その地域、地域によって違うでありましょうが、最近の傾向を見ておりますと、高校卒等で工場地帯に就職した者がかなりの割合でユーターンしておる傾向、これは見のがすことができないのじゃないかと思います。私は、そのほうの専門家ではありませんけれども、やはりいろいろな意味で若者たちがユーターンしてきている。われわれとしては、やっぱりそういうようなことの傾向をどういうふうに受けとめるかということも大事ではないかと思いますし、もう一つは、いまお話のありますような、家庭の主婦が労働に出かける。こういうことはやはり保育上必要とするとか、いろいろの施設がそれに付随して必要になることと思いますが、やはり私どもといたしましては、母体の保護もしなければなりませんし、いろいろ大事な問題もたくさんあると思いますけれども、やはりそういうことについては、それぞれの地域に応じて対策を講じていかなければならないではないかと、そのように思っているわけであります。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 医療機関の配置などの少ない農村に工業を興す、こういうことになりますと、私は、いろいろ環境が違ってまいることも、御説のとおり、あろうかと思います。今日では、医療機関が少ない場合には、この健康指導の健診車というようなものを農村地域に走らせるということ、医師や保健婦を乗せましたそういう集団健診車あるいは健康管理車のようなものを走らしてもおるわけでございますが、そういうこととの関連で、いろいろな施策が必要になってまいる場合も私は多かろうと思いますので、状況に応じて、健康管理の面においても対応策を講じてまいりたいと思います。また、主婦の方々が働きに出るというような場合ですと、都会とは違った意味の、子供たちが、かぎっ子ではないのかもしれませんが、インスタント食事ばかりするような子供も出ることも憂えられますので、これはやはり地域保育所といいますか、簡易保育所といいますか、そういうようなものも考えなければなりませんし、場合によりましては、企業内の託児所というようなものを助成をするというような問題も必ず生じてまいろうと思いますので、事態に応じて対応策を考えてまいりたいと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 いま両大臣から保育所等の話もありましたけれども、結局、一番問題は、子供の食事というものをやはり心配してやるような、保育所をつくるにもそういう保育所をつくらなければ、昼飯だけではおそらくだめだろうと思います。そういう点で、いま、そういう面で今後処置をされるということでありますから、私どももそれに期待しますけれども、これはかなり真剣にやっていただかないと、地域地域で実情は違いますけれども、真剣にやっていただかないと、これはたいへんな問題になると思います。ひとつ力を入れてやっていただくことをお願いしておきます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 では、農村工業の問題で通産大臣。「通産ジャーナル」の二月号に、もっとほかのものを見ればよかったのですが、これは初めてぼくは気がついたので、「産業立地対策の拡充」ということで、総額百二十九億を見てあるわけで、その中で農村工業の促進については、七千四百万円ですね。この間、大学の答案用紙一枚一千万円したから、たいしたことないです。これ一体、何をしようとしておるのですか、あなたは、通産サイドで。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどのことと関連をして申し上げますけれども、私どもは、今度導入する工業としては、第一に内陸型の工業であるということ、それから産業として将来発展性があるということ、第三に雇用の吸収力が大きいということ、第四に公害を起こさない、そういう基準で選んでいきたいと思っておるのでございますが、いま御指摘の予算のうち二千万円はそういう基礎調査、それから農林省と一緒に基本計画をつくるわけでございますが、そういうためのいわば調査費計画策定費でございます。五千万円は、センターというものができまして、ここで企業側の希望と地元側の希望とを仲人をしようということでございますが、そこへの補助金でございます。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 それでは問題を変えまして、農村の文化の向上にもかなり役割りを果たしている有線テレビの問題ですが、閣議決定をして、もうすでに法案をこちらのほうにお送りになったのですか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 昨日、閣議決定をいたしまして、衆議院のほうへ付託に相なりました。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 時間がありませんから、はしょって質問いたしますけれども、新聞その他では一面かなり好評な面があるわけです。なかんずく、未来の都市をつくるのだ、有線都市をつくるのだといったような、期待を持ったものがたくさんありますけれども、あるいは言論統制のおそれあり、営業に対する立ち入り権等があって、営業の自由を阻害する憂えあり、また、一体未来はどういう事業になるのか。ただ単に山奥でテレビが見えないというだけの問題じゃなくなったわけですから、未来に描かれる有線テレビの姿、こういったものについて、大臣からお聞きしたいと思います。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) これはおっしゃるように、非常に大きな可能性をはらんでいる問題だと思います。まあ、ここ数年の間は、山間ないしは大都市におけるビル陰電波障害、こういうものを救済する意味で発展をしてまいりましたが、昨今は、これを同軸ケーブルを使いますからチャンネルは豊富にあります。そこで自主放送にもこれを使いたいと、こういうような問題になって様相は少し変わってまいりました。御承知のように、一昨年、これについての法案を提出いたしたのでありますが、衆議院においてこれは審議未了に相なりまして、その後世論もいろいろとこれについての議論が生まれてまいりまして、当時のものとはだいぶ趣を異にした法案に相なりました。いまおっしゃる、これが言論統制にわたるのではないかというような御懸念でありますが、これは今度の法案では非常に注意しまして、そういう点はなくなっておると思っております。なぜかならば、この許可は施設に対する許可制、したがって事業についてはこれはもう何ら規制をしておりません。届け出でいいわけであります。なぜ施設をやるかといいますと、これは技術基準というようなものもございます。あるいはその機械の保守能力というふうなものもありますから、この限度においては、この有線テレビというものの現状並びに将来を考えるときには、施設についてはそれだけのきめこまかい配慮をいたすべきではないか。そこで事業のほうは、これは放送法がそのまま適用されます。したがいまして、いまの放送は、これはもうきわめて自主性を持っておりますからその御心配はありませんし、さらに番組審議会をそれぞれ自主放送の場合は加えますから、これも地域の良識がその放送の方向をきめていかれる。こういうことでございまして、法案はたいへん整備されてまいっております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 関連。いまの郵政大臣の御説明を伺って、ちょっと四つばかり問題点がありますので、まとめてお尋ねします。  まず第一は、この法律の適用対象は再放送の場合と、もう一つはあきチャンネルを利用した自主放送の場合に限るのかどうか。そうだとすれば、近い将来予想される、たとえば回線を利用して、それにコンピューターをつないでやるいわゆるデータ通信的な問題、あるいはテレビ電話ですね、それからもう一つは電送新聞、これは新聞社等が考えておるようですが、そういったサービス的なものについては対象除外になっているのかどうか。除外になっているとすれば、そういうサービスが開始された場合、これは何ら法律的には拘束を受けないことになるのだが、そういうことかどうか。  もう一つは、いまの施設に対する立ち入り検査ですが、あなたは、たいして心配ないとおっしゃるのですけれども、そうじゃないと思うのですよ。大臣の立ち入り検査というものが施設の面に及ぶということになると、その面を通じて、これは施設をした人が必ず放送事業をやることになっているわけだから、その面からの圧力が加わってくる危険性がある。だからそのやり方を一歩間違うとたいへんなことになると思うのだが、そういうことに対してわれわれが納得できる、そうでないということを示してもらわなければ、いまあなたのおっしゃったことは理解できないので、その点を明確にしてもらいたい。  もう一つは、当初、放送法のほうについては何ら制約がなかった。ところが、あなたのほうで当初考えていたものが、途中で放送法の規定準用ということになって番組審議会が設けられることになったんだが、これはほんとうに一歩間違うと言論、報道、表現の自由の侵害になるおそれが多分にある。したがってその点に対する、そうでないというならば、明確にその点を明らかにしてもらいたい。  それからもう一つは、この施設に対する出資ですけれども、NHKの場合には、全国的に各事業に対して出資ができるように放送法の改正を考えていますね。だとするならば、民間放送事業者は一体これに対してどういう参画ができるのか、あるいは各新聞社がこのCATVに対しての資本の出資はどういうふうになるのか、これが一つですね。それからもっと基本的には、NHKは放送法第七条に基づいて全国どこでもテレビ、ラジオが聞けるように設備を設置する責任がある。そういう責任が一方にあるにもかかわらずこういう法律をつくって、何かちょっと寄り合い世帯のような事業体をつくって、そこである部分に対しては難視聴を救済していくということになるわけですね。ですから、現行法から一歩他のほうに踏み出ているわけですね。本来のNHKの使命である全国あまねく聴視できるような施設を設置するという精神があるならば、私は、これは必要ない、こう思う。そういう点の政府としての、なぜこの二刀流にならなければならなかったかという理由ですね、明らかにしてもらいたい。これだけです。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 鈴木さんの御質問は数点にわたっておりますが、その第一点でありますが、再放送のほかに自主放送をする場合、この範囲が、たとえば新聞のファクシミリであるとかその他いろいろ拡大するのをどうするかという御指摘でありましたが、これはいま当面の課題にはなっておりませんけれども、さっき申し上げたように、将来非常な可能性があるという意味においてはこういうものも含まれている、こういうふうに御理解をいただいてよろしいと思います。  それから施設に対する許可制であって、立ち入り等やたらと役所が干渉しては困るではないか、こういう御指摘でございますが、施設に対する許可制は、私は、杉原さんにお答えしましたように、これは技術基準というようなものを維持しなければなりませんし、そういう意味においては、これは必要だと思います。したがいまして運営の面において、いま御指摘になるような、みだりやたらに干渉がましいことは、これはもう厳に慎みますから、さよう御承知を願いたいのであります。  それから番組審議会というものが加わったというふうに御指摘になりましたが、これは放送法を準用いたしまする上においては番組審議会は当然であろうと思いますし、これが地域社会に根をおろした番組審議会ができますと、かえって非常にいい効果があるのではないか、こういう期待をいたしているわけであります。  それから、その次の問題は、NHKに出資の道を開いた点にお触れになりましたが、これはNHKというものがあまねく国民に放送を提供しなければならない使命を持っているのでありまして、その意味において、本来、たとえば中継局を広範に設置するとかあるいは共同アンテナの施設をするとか、これがNHKの本来の仕事でございます。したがってカバレージが一〇〇%近いところまでいくということが望ましいわけでありますが、都市のビル陰障害というふうなものは、これはまあ最近になって出て来た問題でございます。したがいましてNHKだけこれに出資するのはおかしいというふうにおとりになっていらっしゃるようでありますが、これは道を開いたわけでありますから、義務を課したということじゃございません。したがってNHKがこれにタッチしていきますことは、ますますその使命を拡充するゆえんになるのではなかろうか、こう思っている次第でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 民放はどうするか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 民放については特別の規定をしておりませんけれども、これはそのケース・バイ・ケースというふうなことで扱ってしかるべきではないかと思っております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 新聞は。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 新聞も同様にお考えいただいていいと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 もう一つ放送法第七条の関係、NHKの本来的な難視聴解消、この問題について。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) それはさっき申し上げました、本来業務としては中継局であるとか共同アンテナであるとか、これにNHKはたいへん努力をしております。しかし同時に、いま新たに起こってまいりますビル陰の電波障害等に対して、こういう手段も講ぜられまする以上はNHKがこれに参加をしてしかるべきではないか、こう考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣、まだこれは非常に疑問がありますが、きょうは関連ですから他に譲りますが、もう一つ基本的な問題として、あなたが放送モニター制というものを考え出して、予算折衝の段階で大蔵省とやり合いましたね。第一次査定で削られた。結局これは立ち消えの形になっていると思いますが、これは非常に各方面からたたかれましたよ。というのは、やはり歴代内閣がいままでとってこられた放送番組に対する不当介入と思われるようないろんなケースを知っております。私は。私は党の不当介入対策特別委員長をやっておりますが、いろんなケースを知っております。  それで、われわれが心配するのは、政府がいろいろと放送番組に入ることはこれは介入になりますからね。われわれがいま各テレビの、特に娯楽番組とかCMを見た場合、確かに低俗化しているのがありますよ、これは。目をおおうようなものもありますよ。これはやはり直してもらわなければならない。しかし、その直し方、やり方については、それぞれの放送局が番組審議会というものを持っておるわけですから、そこが、国民世論に背を向けるようなことでなくて、やはり文化の向上のために、国民の生活全体の向上に役立つような魅力のある娯楽番組というものを放送し、げすびたCMをやらないようにやることはこれは私はもう当然だと思いますが、それを権力によって政府がやるということはこれは間違いであって、あくまでも自主的な立場に立って、放送基準というものもあるわけですから、それに照らしてやっていただくという立場をとりませんと、たいへん問題があるわけです。こういった一連の政府の動きを見た場合に、私は、今度の立ち入り権とかあるいは番組審議会等を設けたことが、当初から考えられたのではなくて、法律に、中途からそういうものがどこかからつつかれて入ってきたということもすっきりとしない、私は。だから、そういう心配をぬぐうことができない。番組の適正化については各放送事業者において誠心誠意やっていただく。番組向上委員会等もあるわけですから、そういう機関を通じて適正な番組をつくるようにやっていただくのが筋であって、あなたが考えているようなモニター制なんというのはこれはちょっと方向を間違っていると私は思うのです。そういう心配があるから、そんならばだいじょうぶだということを示してほしいというのが私のいまの質問の基本なんです。杉原委員もそこを突いていると私は思うのです。だからもう一回、その辺、番組全体に対する政府としての考え方があると思いますから、それを示していただきたいと思います。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 先般のモニター制度につきましては、これは賛否両論ございました、実際申し上げると。あまりにもひどいではないか、何かひとつくふう、考案をしてみよと、こういう支持の立場の御意見も私のところへ来たわけであります。しかし、おっしゃるように、本来的には、これはもう番組審議会がほんとうに機能を発揮し、あるいは向上センター等が本来の方向で力を出していただければこれはこれにこしたことはないと、こういう私も考え方に立っております。したがいまして、今回のCATV法案においてもこの番組審議会を盛りましたゆえんのものは、本来、現在の放送業者がそれぞれの機能を十分に番組審議会を活用して生かしていくということが一つでございますが、自主放送、地域の、たとえだまあ数千ぐらいを単位とした自主放送がそこに設けられると、こういう場合、その地域の学識経験者というふうなものが番組審議会をその場で形成をいたしまして、これがきめのこまかい番組の作成をするということがやっぱり望ましい姿であろうと、こう考えております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 農林大臣、ちょっと最後に。  ぼくのスタートは、農民よいずこに行くということで、農民の不安と失望の状態に対する希望を与えたいという願いで質問したわけですが、最終的にはまだ十分解明できなかったと思います。で、特に京都食管ということが新聞に伝えられておりましたが、京都が、第二次自主流通米等については保管料その他の援助をして、農民には、ひとつ自主的におつくりくださいという方針を実は出した。その報道の中で、農林省のえらい人が、そういうことは社会党が喜ぶことだわいと書いてあったわけで、そういうとらえ方も農林官僚の中にはあるということ。それからまた、生産調整に  ついて、非協力的な県については、何か陳情に来たところが、勤務評定をされて、おまえのところは去年はこの程度の協力しかしなかったじゃないか、よくもずうずうしくも農林省へ来たのう、こういったことで、かなりきびしい顔で応待されたということも報道されている。報道の真偽は知りません。ただ憂うることは、権力の形において、今日米が過剰になったという現実に直面して、愛情を抜きにした合理主義的なものの運び方について、私はきわめて不安を感じます。そういう点で、賢明な農林大臣から、心配しなさんなということで、農民に向けての一つのあいさつといいますか、宣言をいただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私はしばしば申しておるのでありますが、協力したとかしないとかということで別段差別はつけてはおりませんけれども、生産者が、御自分が一番よく知っておられると思うのです。いまの農業の全体を。したがって、この間も、十八、九歳から二十歳前後の農業青年会議所の人たちの集まりでお話を聞いておっても、涙の出るほどうれしい御意見でございました。私は、そういうことで、とにかく四十五年には一四〇%近くも御協力願った方々でありますし、聡明な方々でありますので、必ずことしも、量は多いけれども御協力は願えるものであると思っておりますが、私自身がかかりに農業、お米の生産者であるとしても、いろいろ御心配があることはお察しできるのでありますから、先ほど来申し上げておりますように、農政の転換に際しましては、全力をあげて御不安なからしめるように最善の努力を農林省はいたしておるわけでございますので、どうぞひとつ、その辺を多くの方々が十分御理解をいただいて御協力を願えるように心からお願いをいたしておる次第でございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって杉原君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度とし、明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会

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