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65回国会参議院1971/03/15

予算委員会 第14号

発言数
313
登壇者
27
会派数
2
開催日
1971/03/15

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算  以上三案を一括議題といたします。  この際、参考人の出席要求につきまして、おはかりいたします。  本日、水資源開発公団総裁柴田達夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 前回に引き続き、上田哲君の質疑を行ないます。上田君。

上田哲日本社会党

○上田哲君 私は、四次防がわが国の今後の財政骨格だけではなくて、国家骨格にかかわる重大な方針案だと思っています。そこで、四次防の、あるいは防衛力整備計画そのもののあり方というものの究明を、単にGNPの何%が適切であるとか、あるいは最終時どれぐらいを上限とするのかというようなことだけではなくて、基本的に、本来防衛庁が、そうした案の策定にあたって、内容的に積み上げているであろう内容の分析そのものから解きほぐしていきたいと考えます。  そういう点で、これまで陸海空それぞれ三自衛隊についていろいろお尋ねをしてまいりました。きわめて率直に言って、私はそういう質疑が成功をしたとは思いませんけれども、いずれにしても、これまで質疑を続けてきたことの取りあえずの繰めくくりという意味で、四次防終了時の陸十八万、海二十四万五千トン、空九百機をもって、それぞれどのような侵攻兵力に対して迎撃能力を持つものと計算をして四次防を策定したのか。防衛庁のシミュレーションによって、これを数量的に明らかにしていただきたい。何べんもの質疑通告がしてありますので、ここでひとつ、まとめて御説明をいただきたいと思います。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 作戦の様相は多種多様でありますので、厳密な数字を申し上げることは事実上不可能でありまするけれども、一応数字の上で積算をしてみたところで申し上げてみたいと思います。  陸の場合には、先般申し上げました火力指数ということで単純に比較をいたしますると、この前申し上げましたように、一流国に対して、従来、三次防で一でありましたのが、四次防以降における新しい装備定数によって完全装備されますると四割程度上がるということで、一流国が一に対して現在二程度の火力指数を持っておりますので、大ざっぱに申し上げれば、装備が充足されたところでわが十三個師団の三分の二ぐらいに対抗できる、もう少し具体的に申せば、控置すべき部隊もありまするから、かりに、たとえば九個師団を一地域に充当できるとすれば、その三分の二でありますから六個師団に対抗できる、火力指数の上では。ですから、指数が同じであれば、双方が戦闘で勝利を受べくいろいろの戦術を練る、あるいは海空の協力を得るということになろうかと思います。  それから空の場合には、いろいろの試算をやってみますると、相手側の消耗度合とこちら側の消耗度合を比較いたします。で、相手側の消耗の場合には、これは単純に飛行機の撃墜率を考えます。こちら側の場合には、飛行機なりナイキ、ホークなりの消耗度と基地の減耗——基地がこわされるというようなこと、あるいはバッジ・システムなんかが破壊されるということ、レーダーサイトがこわされるというようなこと、そういうものを一応総合的に損害度合を出しまして、その、言うならば、戦力の損害度がほぼ同じであるというところまでが防衛の目標であるという計算をいたします。そういたしますると、大体、将来予想される脅威について六百機程度のものについて、いま申し上げたような数字に近いところに落ちつくというのが、四次防の完成時の姿であります。  それから海につきましては、これは個々の戦闘場面についてのいろいろの計算をやるわけでありますが、たとえば、海峡の場合にどの程度の阻止率を持つか、どの程度の探知率を持つかということでありますけれども、兵力構成が、ちょうど陸の十三個師団をつくりましたときのように、たとえば陸の場合に一方面に二個師団という計算をやっておりますが、それと同じように、内航防衛が二個隊、外航防衛が二個隊、それから遊撃部隊が幾つかというような計算をした上で、日本周辺の海域についてどれだけの探知率、どれだけの阻止率を持つかという計算をするわけでありますが、総合的にはたいへんむずかしいわけでありまして、少なくとも、こういうような探知率をねらい、こういう撃沈率をねらうということはありまするが、それでもってどの程度の相手方の兵力に対抗し得るかというところまでは、まだ計算ができておりません。計算方法があるかどうか、まだこれからの問題でありまして、せっかくの御質問でありますので、今後のわれわれの研究の課題といたしたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 長官、これは迎撃能力の全体としては、どれほどの満足度だとお考えになるか、また、そういう延長線上に迎撃能力はどの辺までが必要だとお考えになりますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 陸と空につきましては、これは、いま申し上げましたように、陸の場合には四次防で完成するということを申し上げておりませんが、陸と空につきましては、目標兵力が達成されれば、近い将来における脅威についてはまずまずの兵力だろうと思います。もちろん、その間には、たとえば基地の抗堪性、基地のたとえば対空防備なんかが非常に不備でありますから、そういった問題が今後整備されるにせよ、一応、正面兵力としては近い将来における脅威についてはまずまずの兵力であろうと思いますけれども、海の場合に、いま申し上げましたように、個々の戦闘場面、戦術場面についての計算はある程度可能でありましても、総合的な評価ができません。特に、原子力潜水艦というようなものを対象に考えまするときには非常に手不足でありますので、この点は大きな能力の向上、特に質的な能力の向上が必要であろうと思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 ほかはわかりましたが、海がたいへんまだ積算されていない。原子力潜水艦がないと迎撃能力が出てこないということになりませんか、長官。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 原子力潜水艦があればいいとは言えますが、むしろ、われわれのほうの計算で申しますと、艦艇による探知というよりも、ヘリコプターによる原子力潜水艦の探知が非常に効果的である。したがいまして、DDHでありますとか、DLHでありますとか、そういった系統のものの増強あるいは数的な増加ということが必要であろうかと思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 長官、原子力潜水艦はどうですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 目下のところ、持つ意思はございません。従来から答弁したとおりでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 いま伺ったところは、大体防衛庁が積算しているそうしたものの限度、内容だと思います。問題は、中身がなくて大ざっぱな防衛力増強ということは、大きなことはいいことだということにしかならない。目の子の防衛力増強ということになってきます。そこに上限が出てこないということが出てきます。一体、いまの説明を踏まえて、長官は、大きいことはいいことだという増強計画なのか、さらに、どれほど内容を充実して説明にたえるものにするのか、この辺を承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大きいことはいいことだという考えは持っておりません。やはり、日本の国力、国情に照らしてみて、必要にして十分、必要最小限だけは確保すると、そういう考えに立脚しております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 今後、三自衛隊の迎撃力の内容について、さらに内容的な積算を深められますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん深めていくつもりであります。特に、御指摘のように、海上自衛隊の整備につきまして、もう少ししさいに深めていく必要があると考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 大部分は伺いましたけれども、まだ十分ではありません。内容の積算について、いつごろにはそうした説明ができるでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いつごろという期限を切るわけにまいりませんが、いずれも、みんな、ある前提に立って、その前提を条件としての一応の係数ということになります。しかし、コンピューターで入れたその係数といえども、どの程度の信憑性があるかということは、また疑問であります。終局的には、そういう数量計算を基礎にして、政治的な大局的判断で最後にはきめるべきものであると思いますが、その基礎となる数量的係数も、やはりもう少しきわめていく必要があると思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 防衛庁の現段階のシミュレーションは、ほぼ伺ったと理解しますけれども、ずいぶん穴があります。これをひとつ大いに詰めていっていただいて、説明をひとつ十分にしていただきたいと思います。その点を今後とも論議することとして、次に移ります。  予備自衛官の問題でありますけれども、四次防の重点の一つである予備自衛官の増員のうち、陸上自衛隊の六万人増員の年次計画をお示しいただきたい。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 三次防末で三万九千でありますが、四次防衛末で六万人ということになっております。これは陸上自衛隊でありますが、海上自衛隊が三千六百人、航空が二千人、この数字で大体退職自衛官がほぼ——若干年度によりましてでこぼこがありますが、一応募集の関係からいいますると、平均的に募集するのが適当ではなかろうかという考え方でおります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 年次別な数字はないんですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) たしか、大体四千五百人平均で伸ばしていく計画であったと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 その人件費、装備費を説明してください。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 予備自衛官の手当といたしましては、既定分が四十八億、増勢分が十二億、合計で六十億、それから装備につきましては、新しく購入いたしますのは小銃の約二万丁でありまして、金額で七億四千万程度であります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 今回から一佐が含まれることになるはずでありますけれども、一佐は何名含まれますか。それから一佐は年次別平均では組み込まれ得ない性格だと思いますが、それはどうなりますか。それから一佐の該当者はどれぐらいありますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 私の答え得る範囲で申し上げますと、一佐は四十一人でありますが、募集計画までちょっと私存じておりませんが、大体これも先ほど申し上げましたように、全体を平均的に伸ばすとすれば平均的に伸び得るのではなかろうかと思います。該当総数は人事教育局長がお答えすると思います。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(江藤淳雄君) 四次防におきまして、一佐の予備自衛官がどのくらいになりますか、はっきりいたしませんが、四次防期間中に退職する見込みの一佐の人員は約七百二十名程度と見込んでおります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 一佐を四十一名採るということは、四十一連隊をつくるということですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) さようであります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 これは非常に重要なことだと思います。六万人の予備自衛官をもって独立の四十一連隊をつくるということは、ほぼ各都道府県ごとに警備連隊を置くということになります。減耗補充の補充要員ではなくて、明らかにほとんど各都道府県ごとに、一佐を、連隊長を中心にする警備連隊を置くということは、旧軍隊当時以上の治安出動の体制を可能にするという懸念も出てくると思います。じっくり説明をいただきたいと思います。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 国土防衛に十八万人の第一線の師団をフルに活用し機動的に利用しようとするわけでありますが、そういたしますると、後方の治安関係が問題になります。あるいは被害を受けました場合の救済あるいは難民の誘導その他、そういったような問題が問題になります。そこで、当然、後方の治安用には警察の部隊がありまするけれども、非常に混乱をしたような場合に、やはり集団的な警備力というものを控置する必要があろう、そういうふうに考えます。警察力の場合には、相当数が集め得ますけれども、長期間にわたって集団的に利用するという本質は警察の場合には非常に欠けるわけで、そういった場合に、いまの警備連隊式の集団力で非常に重要である。そこで、たとえば外国の例で見ましても、イギリスで予備兵力が二十四万の中で、五万人程度はそういった後方治安用に控置されるようであります。西独の場合が十万、フランスが平時において三万三千人と思いましたが、有事には三十万人ばかり動員できる、そういった後方治安用の部隊を控置しておるということであります。なお、外国の場合には、警察部隊と軍隊の中間の組織というものは、これは平時から置かれておりますが、わが国にはそういったものがない。そういう意味で、陸上自衛隊の十八万人の第一線部隊が十分に国土防衛に専念している間、後顧の憂いのないように国民の救済のためにそういったものが活用されるという必要があろうかと考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 御答弁の中に、はっきり警備連隊ということばがありまして、三次防までの減耗補充要因とは明らかに違う。四十一連隊が各都道府県にほぼ置かれるということになると、これは昔の軍隊と同じ体制あるいはそれ以上だということもできる。治安出動ということの懸念を非常に持つわけですけれども、長官、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) それは、有事の際に後方の警備を受け持つということもございますし、あるいは災害復旧、有事の際の災害、産業施設や道路や交通網が遮断されたり、産業が非常な被害を受けたりする、そういう場合の災害復旧にも役立ちますし、あるいは住民の救急措置等にも役立ちます。そういう総合的な意味で、やはり後方支援力を養うという意味で、大体一つの県に一つぐらいずつそういう勢力をつくっていこうという構想でおります。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 関連。  長官、この間ロサンゼルスの大地震の報告が閣議でなされて、そのあとを受けて——これは新聞報道ですから、確実なことはわかりませんけれども、直ちに、東京都に大震災があった場合には、自衛隊五万人出動する、おれにまかしておけと言わんばかりの報道があったわけですが、その真否について。もしかりに、それが五万人ということが自衛隊で相当討論されて、ある程度の見通しと計画があるものならば、それをこの席で明らかにしてほしいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、昨年一月に防衛庁長官になりまして、すぐ命じましたことは、東京、大阪その他の大都市に災害があった場合に、すぐそれに対する対策措置をしさいに検討せよ、それを報告せよ、そういうことを命じまして、各大都市を中心に、各方面総監部及び師団が中心になって、そういう計画を、前にも持っておりましたけれども、精密につくり上げまして、五月に私のところへ第一次の答申があったわけです。それを私聞き、また自分で、こういう点はどうか、こういう点はどうかということを言って、また押し返しまして、さらにまた検討を加えました。そうして最近ようやく防衛庁内部として一応の成案としてできた案が固まりまして、それを中央防災会議に提出して、中央防災会議の資料として検討を願う段取りになったわけです。たしか、中央防災会議は、五月ごろに正式に開かれるのではないかと思いますが、わがほうの原案をつくり上げますまでにはかなり調査もし、また、わがほうの実力等も調べまして、練りに練ったものができたわけです。それをこの際一応公表して、そうして大方の皆さま方の御批判も承ったり、あるいはさらにこれを検討して、直す必要があれば直すところも見きわめようと、こういうことで出したのがこの間の案で、これは正式に新聞記者会見で発表したものでございます。  その内容は、詳しくは事務当局から申し上げますが初期に一番大事なことは、災害がどういう状況にあるかということがなかなか把握しにくいことです。新潟の災害の場合でも、県庁に行きましたら、塚田知事さんは非常によくやっておられたらしいですけれども、通信線の途絶等で、どこにどういう災害が起こっておるか、なかなか把握できなかった。そこで、自衛隊が飛行機を飛ばしたり、偵察隊を出したりいたしまして、大体全県下の状況を把握して知事さんに具申をした、そうして知事さんからいろいろ具体的な要請が出たというのが真相であります。  そこで、もし東京にあるというような場合がありますと、一番災害を受ける危険性をわれわれが想定しておりますのは、江東地区であります。あの辺は地盤が非常に弱いということと、地震が起これば必ず津波が起こります。そこで堤防が決壊してあの辺が水につかるという、そういう危険性をわれわれは感じて、それに対する対策を行なう、それからもう一つは、川崎、京浜の工業地帯であります。あの辺は石油その他も相当ございまして、そこで倒壊したりする場合に、かなりの危険性もある。それから都心部等でございます。  それに対して、まず、偵察、状況の把握ということ、それから総理官邸あるいは防衛庁の司令所、あるいはNHK、あるいは各省、あるいは場合によっては宮中に至るまで、通信網を直ちに自衛隊独自で引いて、そうして情勢によってはヘリコプターを飛ばしながら、それをテレビで受像して、その中枢に対して直接映るように手配をできるようにしておく、そうして通信、偵察というものを、まず初期の段階で一番重要視するわけでございます。それと同時に、今度は負傷者の救出という問題が次に出てまいりまして、おそらく、地震が起こったりすると陸橋がもうみんな落ちるかもしれない、そうすると自動車が、詰まってしまう、それからガス管が破裂する危険性があって、火を吹く可能性もある。そういうようなことも一応最大の被害として想定をいたしまして、その場合には外から入れない、おそらく外へ外へと自動車も出てくる可能性もあります。したがって、ヘリコプターを使う以外にはないというので、都内で何カ所ぐらいヘリコプターがおりられるか、大型でおりられるところが約六十カ所ぐらいございますが、そのほか、学校の庭とか、そのほかを加えまして、約百をこす個所を見当をつけてあります。そういうところにヘリコプターでおりて、そこから分散をして、その辺全体の生命の救出に当たる必要がある。それから鎮火作業を行なう必要がある、あるいは道路が途絶している場合に警戒をして、できるだけ早く自動車が外から入れるようにして救出を行なうということも必要であります。それから、御存知のように、医療品をデポに集積して負傷者を助けるとか、そういうようなことどもを、あらゆる方面を想定して、それだけのことをやるには陸上自衛隊をどうするか、練馬の師団がどこへ展開し、十二師団の相馬ケ原がどこへ行き、あるいは海上自衛隊はどうするか、航空自衛隊はどうするか、そういう手はずをきめまして、大体陸上自衛隊を含めて五万五千人ぐらいの人間が必要である。それから、航空機がたしか三百八十機か九十機、約四百機近く、そのほか、いろいろ所要のものを整備して、車両は、たしか一万両以上になったと思いますが、もし御必要あらば、あとで資料で御提出いたします。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 もう一度、長官のおっしゃったとおり、どういう状態に災害が拡大し、かつまた、量的にもどうなるかという想定は必要だと思うんです。でありますから、いまの場合はあらゆる想定に対処できるという機能的な面を全部点検なさったわけですが、五万人という数字の問題にこだわる必要はないと思いますが、それは動かし得る可能性の最大限だというふうに受け取っていいか。しかもその場合は、新潟地震、私も地震のとき、当日すぐ現場に飛んだわけなんですが、そういう地震の想定に立つのか、関東大震災の想定に立つのか。ロスの実態に立ってみると五万人が限度か、どこに想定のテーマを置いておるのか。その辺のこともひとつお聞きしたいと思います。  もう一つ、長官のただいまの説明の中で若干不安を感じたわけでありますが、かりに治安の場合、警察権力の問題と自衛隊の場合との関係ですが、新潟の場合はがっちりと塚田知事が掌握していたと思いますが、東京都の場合はだれがこれを掌握して、指示、指令を一本化していくのかどうか、その辺のところをはっきりしておいていただくことが非常に都民に対しても安心感を与えるのではないかということでお伺いします。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 案の正確な数字を申し上げますと、人員は総計で五万七千名、航空機約三百七十機、車両一万三百両、艦艇約五十隻を派遣するということです。  それで、陸上自衛隊の部隊運用としては、被害状況にもよりますが、東部方面総監指揮のもとに、第一師団、これが都心地区、第十二師団・群馬県相馬ケ原が、これが神奈川県または都内城西地区、第一空挺団・千葉県習志野、これが江東地区、増援予定は、第六師団・山形神町は都内城北地区、第十師団・名古屋は都内城南地区に展開を予定いたします。大体五万人程度というのは、関東大震災のときにやはり陸海軍が出動したと同じくらいの数のようになっております。  それで、想定は、これは消防審議会答申の被害想定を基準にして、一九七八年以降、つまり昭和五十三年以降、震度五ないし六。大正大震災は震度六でございました。そうして、冬季の夕食時に起こる。被害予想は、東京、神奈川、千葉、埼玉を中心に起こるという可能性をもとにしてやっておるわけです。その際における指揮系統の問題でございますが、これは防災関係の諸法令できまっておると私思います。その諸法令に従って自衛隊は救援活動を行なう。たしか新潟の場合は、知事さんからいろいろ要請がありまして、その要請を受けてやるという形になっていたと思います。その点は、法令に従って自衛隊は出る、そういうことになります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 せっかくのことですから、大蔵大臣、財政支出上の見地から、各都道府県に四十一連隊を置くということについてどうお考えですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは、四次防が出てきましたら、その総ワクの中で検討いたします。

上田哲日本社会党

○上田哲君 長官、もう一ぺん伺います。治安出動に重点が置かれるという懸念はありませんか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いまのように、予備自衛官が実際活動しなければならぬというときには、国に非常事態が起こって、そうして第一線の実力部隊はみなその方面に出動するという場合に、後方支援、あるいは先ほど申し上げましたように、災害の復旧であるとか、あるいは人命の救助であるとか、そういう総合性も含めて予備自衛官を各県ごとに活用しよう、そういう考えに立っておるのでありまして、治安出動というような、そういう概念を離れたような場合、あるいは防衛出動の場合に後方を支援するという場合もあるわけであります。治安出動という場合だけである場合には予備自衛官は活動する必要はないんではないか、もっと大きな破局が来た場合の一つの想定を置いて、いまのような予備自衛官の体制も整えておこう、そういう考え方に立脚しておるわけです。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そこで、防衛庁長官による予備自衛官の招集はきわめて容易でありますが、招集に応じない場合の罰則は逆にきびしい。一方、志願制としての欠陥もあります。六万人の増員を行なうという計画とともに、この罰則の規定を変える考えがあるのではありませんか。

江藤淳雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(江藤淳雄君) 予備自衛官も、ただ非常勤であるというだけでありまして、全く隊員でございますので、原則として罰則は自衛官と同様にいたしたいと考えております。したがいまして、現在の予備自衛官三万九千三百人が六万二千三百人程度になりましても、特に罰則の修正を考えてはおりません。

上田哲日本社会党

○上田哲君 次の問題に移ります。  政府は、わが国に産軍複合体制への懸念がないという説明として、いままで防衛費がGNP一%にとどまっているとか、あるいはその他の数字を使っています。しかし、一%というのは当然経済の流れの中で何倍かの有効需要を生み出すわけでありまして、本来は、この総額とGNPを比べて防衛産業が経済全体の中で占める大きさをはからなければならないはずです。同じように〇・四%も問題になると思うのですが、ここで私は、昨年五月以来防衛庁に計算を依頼しておきました資料をいただきましたので、それに基づいて質問いたしますが、政府支出が有効需要を乗数的に生み出していく、それが軍需産業にどのような影響を持つかということを明らかにするには、防衛費の支出額が〇・九%あるいは一%だという主張をするのではなくて、その防衛支出によって生み出されていく有効需要の総額を計算すべきだと思います。つまり、〇・九%がGNPの中で何%になったかを見るべきでありまして、もちろん、これは単年度だけではいけない。そこで、四十二年から四十五年まで計算をしていただいたわけでありますけれども、どうなっておりましょうか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) お答えいたします。  昨年来上田議員から御質問がございまして、防衛庁経理局といたしまして、経済企画庁の経済研究所で行ないましたマスターモデル、これを中心にして分析をいたしましたのでありますが、それによりますというと、昭和四十二年から四十五年度までのGNPの占める防衛本庁の支出は〇・七七%、乗数計算をいたしますというと、それが二・三九%に相なると、こういう結果が出ております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 これらの防衛支出によって生み出される有効需要の累計額が四十五年度のGNPの中に含まれる比率はいかがですか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) その計算をいたしますというと、二・二%になります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そうなりますと、四十五年度においてGNPに占める防衛支出の割合は一%未満であることは確かです。その生み出す有効需要はその倍以上になるという計算になるはずです。防衛支出が日本経済に与える比重を語る場合には、GNP一%という説明ではなくて、このような二・二%というような数値をもって説明することが正しいと思うのですが、いかがですか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 乗数分析をいたしますというと、確かにそういう問題があるわけでございますが、これは御説明いたしたかと思いますが、乗数分析をいたしました場合のベースにとりました数値は政府消費でございます。政府消費と申しますというと、いま防衛庁の支出の中でほとんどが政府消費ということになりますし、また、予算で申しますというと、法務省とか、それからおそらく外務省もそうでしょう、ほとんどが政府消費ということになるわけであります。したがって、さっき申し上げました乗数効果も、いずれも政府消費という部面でとらえた乗数効果でございます。したがいまして、防衛費なるがゆえにということばはそこから出てこないという問題が一つあると思います。  それからもう一つは、ただいま御質問ございましたようなことをやりましたならば、非常に多種多様な、非常に高度な分析、非常にこまかい業種別、そういった広範な分析をしなければ確定的な数値が出ないという問題が一つあると思います。そういうものをまちませんというと、非常に的確な数値が出ない。したがって、そういうこれができるまでは、依然といたしまして従来と同じようにGNP比において占める防衛費の割合ということが適当な手法じゃないかというぐあいに考えられます。参考までに申しますというと、現在国際的に防衛費をはかるという場合には、やはりGNP比において占める防衛費の比率ということが定説に現在ではなっているわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 世界の常識は、そういうことがパターンになっていることはまぎれもないことです。しかし、いまお話しのように、GNP一%という説明がはなはだしく不完全であるということはお認めになった。今後は数値ができ上がるまではという御説明でございましたから、単にGNP一%という説明でこれからの説明をするのではないという方向へ努力をしていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) その場合には、同じスタンダードを用いたほかの諸元もやはり出す必要があると思います。防衛費だけをその乗数効果を持った数値を出して、ほかのものはグロスナショナル・インカムですか、それでやれば対比の基準が違うわけであります。したがって、防衛費の場合には乗数効果を持てば二・幾らになる、公共事業費の場合はこれがぐるぐる回って三%とか四%になる、教育や社会保障費の場合にはどのくらいになる、そういう同じ基準を用いた評価をしなければ正確な判断は出にくいと思います。私が記憶しているところでは、防衛支出というようなものは一般消費支出よりは乗数効果は高い。しかし、資本支出、いわゆる公共事業費その他から見れば、これはかなり低い。一般消費支出と公共事業費との間くらいに入っている。そういうものであると私は考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ちょっと関連して。  長官に伺いますが、今後のやはり課題としましても、PPBSですね、この作業は防衛庁ではおやりになっているかですね。いまの防衛費の支出による乗数効果、あるいは公共事業費による乗数効果ですね、そういうことはPPBSでやるべきであって、たとえば一千億の財政支出を公共事業費に使ったとき、あるいは防衛費に使ったとき、あるいは防衛費の中でも、いろんな兵器によっていろいろまた違いますね。そういうために、前にアメリカでマクナマラですか、氏が使用したPPBSの問題が起こってきたわけです。最近では、アメリカが、単に防衛費だけではなく、全体の政府支出におきましてPPBS作業をかなり広範にやっているように聞いておりますが、政府でも、大蔵省を中心にPPBS作業をかなりやるように聞いておりまして、特にこれから防衛費が非常に多くなりますから、それとの関連で、やはりPPBS作業をしていただかなければならぬし、また、われわれが予算を審議する場合に、どうしてもPPBSによりましてある選択ができるような、Aの兵器をつくる場合は幾ら、Bという兵器をつくる場合幾らと、航空機でも二つ三つ、あるいは三つくらいの一つを選択できるような、そういう作業をやって、それに基づいて予算を出す、一応試算を出してもらう、一応決定した予算はそれで審議しながら、しかし、B案、C案としてこういうのがあるんだということを出してもらいませんと、われわれ予算を審議する場合の選択の、あるいは比較ですか、そういう基準がないものですから、できるだけ今後、非常にこれはこまかい作業になると思いますが、防衛庁だけではなく、各省ともいろんな連関がありますから、その点、これまでPPBSをやるやると言っても、その後どうなっているかさっぱりわかりませんので、その後の状況ですね、防衛庁はどういうふうにやっているのか、それから今後どういうふうにやろうとしているのか、大蔵省は全体の予算との関係でPPBS作業をどういうふうにやっているのか、もう一ぺんこの際承っておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) PPBSにつきましては、これは一つの非常に合理的な経済計画策定の手段である、特に予算査定上有効である、こういうふうに考えるのです。ただ、それが準備がずいぶん要るのでありまして、一つは要員の準備であります。それだけデータを使いこなせる人です。そういう人。それからもう一つは、データそのものをよほど積み重ねなければいかぬ。こういう問題があるわけでありまして、この二つの問題をどういうふうに整備していくか、いま多少金もかけまして準備中であります。いずれ、これを、局部的だろうと思いまするけれども、予算の査定、予算の編成、そういう上に有効に活用する時期が来るであろう、こういうふうに考えますが、ただいま、いつというほどの自信のあるお答えをできる段階まで至っておりませんでございます。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁でも、もちろんやっております。私は、日本の官庁の中で一番進んでいるものの一つは防衛庁じゃないかと思っております。これは自慢で申し上げるんじゃなくて、そういう御用命もあってやらしてきておるわけです。しかし、これには非常に膨大なお金と人間と、それから資材が要るわけです。たとえば一つの印刷機を買うという場合、その場合に、これに油がどれぐらいかかるか、人間がどれぐらいかかるか、時間がどれぐらいかかるか、消耗度がどうであるか、その一つ一つのケースについて、みんなまたデータを持ち寄ってきて、そのおのおののデータについて、またいろいろ選択があるわけです。油についてはどの油がいい、そういうような幾つかの選択がある。そうなると無限大に分かれていく、そういう分岐点に至るあらゆるデータを整備してコンピューターに入れておかないと、PPBSの結果は出てこないわけです。それを防衛庁全部にわたってやるということは膨大な金もかかりますし、また人間も要るわけでございます。しかし、そういう方法自体は、たとえば、ある重要な兵器を採用するという場合には非常に重要な方法でもありますから、方法については非常に研究もしておりますし、部分的に実施しているところもございます。現在はそのような程度で、これをいかに拡充していくかということを検討している最中であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いま、防衛庁長官、部分的に実施しているものがあるというお話ですが、何か資料を、あとでいいんですが、それを出していただけたら出していただきたいと思います。  それからもう一つ。大蔵大臣、まあ、いま防衛庁長官も言われましたが、私も、膨大な要員と、それから経費もかかりますし、それからそういう専門家ですね、そういう者の養成も必要だと思うんですね。そういう者、コンピューター等を操作する人。しかし、われわれ行政効果を判定する場合、国民の税金を使ってどの程度効果があるかないかを判定する基準がこれまでないわけですよ。ですから、PPBSが出てくると、それによって判定できるわけです。ですから、行政効果を判定する場合、どうしてもわれわれ予算委員としては、そういうものは必要なんです、今後。いままでは勘で——勘と言ってはおかしいですけれども、判定する基準がはっきりないわけですよ。ですから、これは国会全体として、衆参両院を含めて、全体としてそういうものがどうしても必要だと思うんです。ですから、いま準備中ということは伺いましたが、非常に時間もかかると思いますけれども、しかし、いつごろをめどに、そしてどういうふうにやるか、そして、できたらそういうものを国会に、予算審議の際に出す意思があるのか。そういうものを出される必要があると思うのですよ。この点、もっとかなり積極的な御意見を承っておきたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一般の財政問題としては、大蔵省が中心になりまして、その準備を進めておるんです。それで、これはもう国会ばかりじゃなくて、政府部内のいろんな施策のために必要である、こういうふうに考えます。そこで、これを使い得る段階になりまして、そしてこういう効果が出てまいりますということが明らかになるという時期におきましては、もちろん国会に詳細に報告を申し上げまして御理解を深めたい、こういうふうに考えておりますが、何せ、とにかくこれはかなりのデータを時間をかけて整備するという必要があり、また、要員の訓練、これもわが国ばかりではとてもできないんです。アメリカあたりの進んだ国の知識を導入する、それにはアメリカへ要員を派遣するというようなこともありまして、なかなかそう簡単にいかないんです。しかし、非常に取り急いでおりますので、一刻も早くそういう国会に御報告ができるような時期に到達いたしたいと、せっかく努力をいたしておるところでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 防衛庁長官の言われる諸元の違いということもわかります。それから、おっしゃるように、この計算も防衛庁が非常に正確な数字を一生懸命出してくれたということは率直に認めます。そこで、ここまで来れば、単にGNP一%ということばかりが唯一の説明のしかたではなかろう、少なくとも、GNPを語るのであれば、有効需要の累計額というところまでいくのがほんとうじゃないか。一%を否定しようということではありませんけれども、二・二%というような数字も出るわけですから、そういう点で、ひとつ、こういう問題をしっかり御研究をいただく、また御発表もいただくということについて御見解を承っておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 今後も研究をよくいたしまして、御要望あらば、できる限りの資料を提出いたしたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 こういう資料をやってくれますね。こういう方向に向かっての努力……。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 努力をいたします。

上田哲日本社会党

○上田哲君 もう一つですが、防衛庁は、これまで防衛生産の鉱工業生産に占める割合をわずかに〇・四%であって、皮革産業並みであると説明してきたんでありますけれども、今度の表の計算によって、それが過小に説明されていたということが明らかになったと思います。たとえば、四十五年度の場合、二千億円の調達額が〇・四%であるならば、その分母になるものは五十兆円でないと計算が合わなくなります。それは明らかに、鉱工業部門の付加価値ではなくて、総生産額にほかならないと思います。  そこで、本来は、分母に鉱工業生産の総生産額をとった場合は、分子に、中間需要も含めた防衛支出に基づく総需要を置かなきゃならない。ところが、分子には最終需要しか置いていない。したがって、〇・四%は実際には大きい数値でなければならないはずなんです。この数値を計算すべきだと思いますが、どうですか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 〇・四%という数値でございますが、これは、鉱工業生産を分母にとって、分子に防衛庁支出をとるというかっこうになっていると思います。そこで、やはり論理的には、そういう御指摘になる問題も部分的にあると思います。しかし、基本的にやはり分子の点に問題がございまして、先ほど来長官も申し上げ、私も申し上げておるように、全般的に、単に防衛産業のみならず、いろんな各分野について精細な数字が出る、しかもスピーディに出るという段階にならなければ、なかなかその数値はできないだろうというぐあいに考えております。したがいまして、当面といたしまして、やはり私ども申し上げておるような数字でもってせざるを得ない。しかし、それについては将来いろいろ研究する余地がある、こういう問題じゃないかと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そこで、この表によると、防衛費の支出は各産業部門に配分されるわけですから、とりわけ鉱工業部門に支出される防衛支出は経済全体に対して一・九倍の生産を誘発することになることになると思います。こういうふうな防衛装備支出の生産誘発率というのは、さっきもお話がありましたけれども、民間の消費支出や一般政府消費支出よりも高くて、公共投資や住宅投資計画という国内資本形成の次に位置している。つまり、不況時には防衛産業が公共投資に次いで景気刺激に有効であることになる。産軍複合体という問題に一つ大きな問題を投げかけるとも思うのですが、いかがでしょうか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) ただいまの計表は昭和四十年度のいわゆる産業連関表をもとにして防衛庁の事務当局で計算した数値で御質問になっていると思います。ただいま御質問ございましたように、その数値で見ますというと、防衛庁支出、全体の支出ですね。全体の支出の経済全体に及ぼす効果は一・五でございます。防衛庁支出の鉱工業に対する支出の経済全体に及ぼす効果は一・五という数値になります。さらに分解しまして、ほかの部門に移りますというと、民間の消費支出が一・七、それから一般の政府消費支出、これが一・三ぐらい、それから公共投資または民間の設備投資といった国内の総資本形成に対する影響度は二・二ということになります。したがいまして、この表から見ますというと、一番高い数値を示すのは国内総資本形成の数値、それからその次に鉱工業に対する防衛庁支出ということになってくるということはお説のとおりだと思います。したがいまして、逆に申し上げますというと、景気刺激の度合いも、その数値の高いものから順番になっているということもまぎれもない事実かと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 一・九と一・五はわかりました。私の間違いです。  そうなりますと、〇・四%という言い方は、防衛支出の流れを、防衛産業の実態の流れと防衛産業の実態の把握ということから言うと、適切ではないと私は考えるわけです。この絶対量は、どっちみち、パーセンテージから言って大きいとは思いませんけれども、こういう数字が特に特定の産業数社に流れていくというところに、将来抜き差しならない産軍複合体制というものへの危険な萠芽もあるという警戒はしなきゃならないと思うんです。そういう点で、より適切な指標をつくるという努力は、やっぱり望まれると思うんです。単に〇・四%、皮革産業と同じだという言い方をずっと続けているということだけでは、そういう危険な面に対する、やっぱりまじめな予防の姿勢にはならないんじゃないか、こういうように思うんですが、防衛庁長官と、これは大蔵大臣からも御見解を承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん、経済的数量というものを静態的にとらえる場合と、これを動態的に秤量する場合と、おのおの考えなきゃならぬと思いますし、さらにそれが政治や社会的に及ぼすインパクトというものも当然政治としては考えなきゃならぬところであります。ただ、いままでは、社会保障費にしても、あるいは民間資本形成にいたしましても、いわゆるGNPに対する比較で出てきておるわけですから、その例に準じて、防衛費についても、それでやっておる。国際的にも、そういうスタンダードでやっているから、日本もやっておる、そういうことなのでありまして、その動態的把握というものは、これからやはり政治家として、あるいは国会として、きわめていくべき一つの課題であると、このように思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 上田さんの話は、死の商人というか、そういうような傾向が出ちゃ困るんじゃないかということばだろうと、こういうふうに理解します。私どもそう考えます。これはもう、要するに、政治の姿勢である。いわゆる軍事国家、軍事大国というものにしてはならぬ、こういう政治の姿勢にかかる問題である、そういうふうに考えますが、政府全体として、しばしば申し上げているように、そういう国家にはいたさないということを明らかにしておるので、さような心配はないと、そういうふうに申し上げておるわけなんです。まあ、そういう体制にならないためには、事こまかい気を使わなきゃならぬ。上田さんのおっしゃるような軍事費の波及効果、そういうものにも十分気をつけていかなきゃならぬ、かように考えます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 わかりました。次の問題に移ります。  アメリカの新国防報告の重要点と、それからニクソン外交教書及び昨年の国防報告との相違点について、大まかに説明していただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まず、いわゆるレアード国防教書でございますか、これ、非常に長文でございまして、一昨日全文を入手いたしましたが、とくと分析、検討いたしたいと思っております。  そこで、概観いたしましたところでは、トータル・フォースという考え方が出てきているということが特徴かと思われますが、そのトータル・フォースというものの考え方も、従来のニクソン・ドクトリン等に示されておりました考え方と同じような考え方ではないかと思いますけれども、一応、トータル・フォースということについて、この報告に出ておりますことを、ごくかいつまんで申し上げますと、従来のアメリカの戦略というものが、米軍自体の現役軍を整備することによって、ゲリラ戦から全面核戦争までのすべての事態に柔軟に反応し得る能力を備えなければならないというのが、いままでの考え方であったのに対しまして、自由世界の安全保障上の要請を満たすために利用し得るすべての軍事的及びこれに関するリソーセズ——まあ資源と訳すのが適当であるかどうかわかりませんが、を最大限に活用するということが一つの特色ではなかろうかと思われます。そうして、もう少しこれを具体的に申しますと、米国自体については、現役兵力だけではなくて、予備兵力、州兵部隊を合わせたものをトータル・フォースとする。で、この意味では、予備兵とか、州兵の重要性というものが増加されることになるであろうと思います。それからその次に、米国の力に自由諸国の力を合わせたものが自由世界のためのトータル・フォースということにしよう——これには、いま申しましたように、軍事力だけではなくて、これに関連したリソーセズも含んで考えたいということのようでございます。それから、自由諸国の力としては、それぞれの国がみずから行なう努力と、適当な援助によって、増強されることになろうと、まあこういう考え方が、ごくかいつまんで申しますと、考え方の中心であるように思われます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 もう一つ、「現実的抑止の戦略」というのは何を指すのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 現実的抑止の……。

上田哲日本社会党

○上田哲君 「現実的抑止戦略」、頭のほうで言っていますね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとお待ちください。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私の解しているところによりますと、レアード報告では、「意味ある介入」ということを片っ方で言っております。それと同時に、力の立場に立つ精力的な交渉、これをやっていこう。これが、いままでのいわゆるコンテインメントといいますか、封じ込みに対して、いまのような新しい概念を彼らは持ち出しているだろうと思うのです。それで、それを称して「現実的抑止戦略」、リアリスティック・デターランスということばを使っていますが、そういうふうにして、いままでのような封じ込め的な政策から、もう少し動態的な、動いていく、そうして精力的交渉もやりながら、しかも現実的に戦争を起こさないような配慮で、力の分担、配備を行なおう、そういう考え方に少しずつ変わってきているのではないか。これがニクソン・ドクトリンの一つの軸をなしている考え方ではないか、そう思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 「世界の警察官と新孤立主義の中間の道」、これは何を指しているわけでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまお尋ねの「現実的抑止の戦略」ということばは、このレアード氏のステートメントの副題に用いられていることばをただいまお尋ねかと思います。なるほど現実的抑止の国家安全保障戦略を目ざしているということがサブタイトルにつけられております。そうして先ほど申しました点に、もう少しつけ加えて申しますと、レアード長官としては、ニクソン大統領が二つの目標を掲げておるわけですが、それは、今世紀における初めての平和の実現ということ、それから全米国民の生活の質的な向上、この二つの目標に沿って今回国防五カ年計画が設定されたが、その計画は現実的な抑止の戦略に基づいたものであると、こう説明がされております。「ストラテジー・オブ・リアリスティック・デテランス」ということばを、こういうふうに一応訳してみたわけでございます。で、この考え方は、現実の脅威の認識、それから抑止の基礎である強大な軍事力の維持及び世界の警察官と新孤立主義の中道を歩みつつ、と、いま御指摘のとおりでございます。戦略、財源、人的資源、政治的現実を考慮した点で現実的なのであると、こういう説明が加えられております。  それからもう少し詳しく入ってみますと、このステートメントは二つの部からなっておる。第一部の現実的な抑止の戦略という部類では、過去の政策が反応、受動であったのに対して、積極、能動的なものである、と。それから、過去の政策が封じ込めであったのに対して、考え方は、有意義な介入という点を重視している。それから、旧戦略においては、先ほど申しましたように、あらゆる戦略に対して柔軟に対応し得る、そういう体制であったけれども、これは、アメリカと自由諸国の全体の力によって、あらゆる形態の危険を抑止することにしておると、こういうふうでございます。  なお、このステートメントの第二部においては、国防省としての人的、物的、経済的な資源管理の改善等に主として言及しているようでございますが、先ほども申し上げましたように、非常に浩瀚なものでもございますので、政府といたしましても、いま少し時間をかけて分析をし、各方面の権威者の立場から十分検討を加えておきたいと、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連。  いまの両大臣の御説明からうかがえることは、ニクソンのドクトリンは、せとぎわ政策への——ある意味ではこれは現実的抑止力といいますけれども、これはせとぎわ政策への、あるいは冷戦構造への復帰、そういう要素が非常に強いように思われますが、抑止は抑止であっても、非常な危険な能動性を持っておる、そういうことも一面に、はらんでおるのではないでしょうか。その点はどうお考えですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまも申しましたように、政府としても、いま少し詳細に検討する時間を与えていただきたいと思いますが、同時に、先ほど申しましたように、そしてまた、この報告の随所にもあらわれているようでございますけれども、従来の基本的な考え方とは違いはないように見受けております。  それからもう一つ、大切なことは、日本の自衛という点にも触れられておりますけれども、その触れ方は、大統領の外交教書でのこの問題に対しての触れ方と同じような触れ方でございまして、日本としての従来からの考え方や体制に影響を与えるものではない。また、もしそういうことがかりにあったとしても、これは日本が自主的に考えて政策を遂行していくべきものであると、こういうふうに存じております。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 冷戦構造に戻るものとは考えません。  意味ある介入というのを私想像いたしますに、やはり、ニクソン・ドクトリンにありますように、アメリカはコミットメントを守って、いざという場合に、必要あらば空海軍をもって応援する、そういうことが表に出ております。こういうことをある意味において意味ある介入、そういうふうに言っているのではないか。  それから、力の立場に立つ精力的な交渉というのは、たとえば、SALTでソ連との間で戦略核兵器制限交渉を精力的にやっておる。冷戦構造の場合にはそういう話し合いはないわけであります。あるいは、最近、中国に対してアメリカがそういう話し合いのチャンスを非常につくろうとしておる、そういうこともやはり精力的な交渉と、そういう部面でも出てきておるのでありまして、これはダレス時代の冷戦構造やせとぎわ作戦とは非常にまた性格が変わって動いていると、そのように思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 長官に伺いますけれども、世界の警察官と新孤立主義の中間の道というのは、わがほうにとってはどういうことになりますか。  それから、各国独自の防衛力と集団的防衛取りきめの間の注意深いバランスというのは、どういうことになるでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカが過般いろいろな経験をしまして、そして世界の警察として介入し過ぎたと、そういう批判がアメリカ国内あるいはアメリカの議会筋からも非常に出、ニクソン大統領も、在野時代からそういうことを痛感して、大統領になられてから、その政策を修正して、世界の警察官というような、世界から過剰介入と思われるようなことはやめる、ですから、民族的内戦と思われるようなものにはなるたけ手を出すまい、という方向に動きつつある。ベトナムからできるだけ手を引こうというのも、そういう思想傾向のあらわれではないかと思うのです。だと言って、孤立主義で、昔のように、全然無関心でおるということでもない。アメリカはコミットメントしておるわけですからそれは守る、そういう方向で、そのコミットメントを実行する内容が前とは少しずつ変わってきている。そのように思います。  それから、もう一つの点は何でしたか。

上田哲日本社会党

○上田哲君 各国独自の防衛力と集団的防衛力取りきめの間の注意深いバランス。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) これはやはり、いままでアメリカは何でも引き受けて警察官みたいにしてやったと、やり過ぎたために議会からも批判を受けた。だから、セルフエイドと彼らは言っておりますように、自活力をつくってくれ、また、できるだけみずから、守るという力をつくってくれ、それが一つの意味においてはベトナミゼーションという形になっておるのだろうと思うのです。それは、韓国に対しても同じように、韓国は自分でつくってくれ、そのかわり応援はいたします、しかし、二万人は撤退したい、こういう形で出てきているので、いま申し上げたことも、やはりニクソン大統領のニクソン・ドクトリンの思想のあらわれではないかと、そういうように思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 もう一つ伺いますが、さっきのお話のトータルフォーセズ、総合戦力とでも訳すのでしょうか、その辺はいい適訳をつけていただいたらいいと思いますが、総合戦力というのは何でありましょうか。州兵を強化するというような側面のほうは、われわれとは、とりあえず関係はないわけですけれども、総合戦力ということの中に、わが国自衛隊はどういうふうな位置づけになるのか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私の理解しているところによりますと、やはり、自由世界における武装力、それから資源の力、あるいは知識力、あるいは宣伝力、そういうものをすべてコンバインをして、そうして総合的な力を発揮しよう、そうして、おのおのがその内部内部においてその立場に合う分担をしてほしい、そういう考え方に立って総合戦力ということばを使っておるのではないかと思います。しかし、われわれの国は、アメリカとは日米安全保障条約を結んでおって、ほかの軍事関係はほかの国ともございません。したがって、安保条約に関する権利義務を負うのみであって、それ以上の負担を考えるということはない。安保条約を中心にしたパートナーシップというものは現存しておりますし、お互いが信頼と責任を持って実行していかなければならぬと思います。これについては、いままですでに政府がいろいろ申し述べているとおりでありますけれども、それ以上を負担をするということはあり得ない。そのようにお考え願いたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 ちょっと私はニュアンスが違うのじゃないかと思うのですが、さっきの外務大臣の御説明とも少し違うような気がするのは——どっちがと言うつもりはありませんが、外務大臣の説明のほうに近い感じを私が持つのは、ここに言うトータルフォーセズというのは、国内の州兵をさらにこれから強化していく、それから、友好国、同盟国ということばを使ってありますけれども、そういうほうの力も合わせた総合戦力というものを考えていく、この二つの側面のことを言っているのだろうと、機能ではなくて物理的な総和ということがかなりあるのじゃないかという気がするのです。それで、きょう見たのですが、アメリカのハリス調査によると、アメリカは、日本周辺で戦争状態に入った場合には、日本は条約上アメリカを助ける義務があると考えている人がアメリカでは七四%ある。これは、この国防報告とどういうつながりがあるかというようなことは直接的に言われませんけれども、そういうようなベースを一つ考えてみて、この今回の総合戦力論ということの中には、かなり具体的な協力要請というものがあるように思うのです。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) これは、レアード報告の解釈の問題でございまして、レアードに聞かなければわかりませんけれども、私の解釈しているところでは、やはりあれはニクソン・ドクトリンを政策化した一つの報告であると解釈しておるわけであります。したがいまして、アメリカはANZUSであるとか、あるいはNATOであるとか、いろいろなそういう条約網を持っていて、そして、いままでややもすれば放射線的にワシントンから各国にみんな力を供給するほうが多過ぎたと、今度は供給するというほうだけではなくて、遠心状に、それらの国々が手をつないで、丸く手をつないで力を合わしてくれ、そういう願望が入っているんじゃないかと私は思うんです。そういう願望がかりにありましても、日本の場合は、日本とアメリカとの単独の握手があるだけで、ほかの国とのそういうものがございません。NATOのような集団的なものでもございません。そういう意味において、われわれはいままでに安保条約にきめられた権利、義務というものを正確に、また責任を持って実行していけばいいのであって、アメリカが何と言ってこようと、そういう条約上の権利、義務関係が基本でありますから、われわれはその精神に沿っていけばいいのである、そういうふうに思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 さっきパートナーシップということばがありましたけれども、今回の総合戦力論にもかかわらず、パートナーシップの中には軍事的要素は入らないということでいいわけですね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本に関しては安保条約に関する軍事的な協力関係はございます。また、経済的な協力関係も安保条約に書いてあります。要するに、従来どおりの権利、義務関係でけっこうであると、そういうふうに思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 日本列島の抑止力は何によって構成されていますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 基本的には日本国民の意思にかかっていると思いますが、現象的には日本の自衛隊やそのほかをつくって日本列島を守ろうとしているその力と、それからアメリカと提携して守ろうとしている日米安保体制と、その二つのコンビネーションでできているんではないかと思いますし、もう一つは、やはり国際環境全般からきておる戦争を起こしてはならないという平和的傾向、国際世論、そういうものによっても支持されているだろうと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 外交優先ないしは国を守る気概論等の部分は、それはそれでけっこうだと思います。けっこうというのは、そういう要素を計算することはあり得ると思います。この場合、純軍事的に限ってみて、日本列島の抑止力というものは何でしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) それは日本国内的には自衛隊その他を中心にして日本の防衛を全うしようとする日本国民の決意、それが政策的に自衛隊その他になって出てきているわけであります。その基本はやはり愛国心といいますか、そういう日本人の決意というものが中心である。それともう一つは、外国との提携の部分では日米安保体制という、この二つが中心であるだろうと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 抑止論というのには本来心理的要素というのが入っている、それはそれでいいと思います。しかし、本来の狭義における抑止論というものは、そういう心理的効果をつくり上げるもとの軍事力というものが問題になる。そこで私らが議論をするわけです。そういう意味では、そのソースとなる軍事力としては、日本列島の抑止力は——私はおっしゃる意味の心理的要素はわかりますよ、自衛隊とか愛国心というおことばをお使いになるのは防衛庁長官としてはわかります。それはそれとして否定するものではないが、そういう心理的な効果を国際的にもつくっていく軍事的ソースとしては、私はアメリカの核のかさ、第七艦隊、足の長い空軍支援力、こういうことだと理解するんですが、どうですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 軍事的に見ますれば、防衛隊があって、もし万一でも日本に手をかけたり、侵略しようとすると手ひどい目にあうぞと、だからそれはそろばんに合わないからやめておいたほうがいいと、そういう考え方を起こさせる自衛隊やそのほかの日本の防衛力、そういうものも大きな要素を占めていると思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 どうしても純軍事論にならないようでありまして、私が「と思う」と言ったことは、別に信ずるとか主張したいということじゃ全然ないんですが、分析論を言ったわけです。そうすると、伺いますけれども、わが国は防衛戦略をとっているんですか、抑止戦略をとっているんですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 両方です。戦争を起こさせないということが第一であり、もし万一起こった場合には国を守る、現実的に守る、両方でございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 軍事論的にですがね、マクナマラの時代とか、つまり防御力と攻撃力というものを一つの兵器に同時に与えていた時代、さっきの柔軟戦略の時代ですけれども、このときはそういうことが言える。しかし、実際問題としてMIRVとABMがそれぞれの意味を与えられて以来、攻撃力や防御力と抑止力というものは変わってきている。抑止力という場合には、攻撃力が中に入っているということは戦略概念上の通説だと私は理解しているんです。その意味では、日本はそういう意味では——本来抑止力論というのは核戦略論議にしかないことばなんですから、通常兵力論に抑止力論なんというのは本来ないわけだし、それがあるという見解にお立ちになるなら別ですけれども、私はそういう通説に従うならば、われわれの自衛隊というのは抑止力戦略をとるべきではない。抑止力戦略をとると、結局抑止力協力関係というものが出てくるし、今度の総力戦略というのが非常に問題になってくると思う。私はやっぱり明快にこの際、防御戦略をとるのだ、それが専守防衛だというふうに理解すべきだと思うんですが、どうでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) その点は私は見解を異にいたします。現実的抑止力というものは、戦略兵器による抑止力も非常に大きいです。これは大規模戦争誘発を抑止していると思います。しかし、日本列島を中心にする防衛力自体も、かりにも日本に対して、小さな侵略にせよやれば手ひどくやられる、その被害のほうが大きくてそろばんに合わない、そういう考えを起こさせて手を出させないという、日本自体の力もこれは抑止力に含まれていると思うのです。世界全体で戦争が抑止されているというのには、そういう戦略的抑止力もあれば、あるいはいわゆる戦術的局所的抑止力もあり、それらが全部総合されて世界の平和が維持されているのだろうと思います。それがほころびたところに、あるいは中近東、あるいはベトナム、そのほかで戦争が起こりつつある。ベトナム戦争にしても中近東戦争にしても、必ずしも戦略的抑止力のみの問題ではなくして、そのほかの宗教的問題とか、あらゆる問題で、通常兵器を中心にしてああいう問題が起きているわけでありますから、もし力のバランスというものがある程度あって、それと宗教感情その他政治感情というものがうまく調整されておれば、ああいう悲劇は起こっていないかもしれないのです。ですから、抑止力が戦略兵器のみによって維持されているという考えは、私は現実的でないと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 戦術上抑止力と戦略上抑止力を区別されるわけですね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 戦術というのは便宜上使ったことばで、言いかえれば局所的抑止力と申してもいいかもしれません。

上田哲日本社会党

○上田哲君 区別しているわけですね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 両方あると思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 じゃ、その区別に乗ってもいいです。そうすると、戦術的抑止力の問題は通常戦力としてはお考えになる、しかし、戦略的な問題としては抑止論をとらないと、こういうことですね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本としては、安保条約に依存するということです。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そこでやっぱり私ははっきり明確にしておきたいと思うのです。戦略上は日本は抑止戦略をとらないということになれば、今度の総合戦略論が出てきても、新たにそういう戦略上の協力というものは出てこない。専守防御ということはとりあえずそこで一本立つ。私はこの際通常兵力という限界局所でもいいです、とにかくそういう核抑止力という意味での抑止力戦略に日本は入っていかないということを限界とするということをこの際はっきり確認をしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本は安保条約によりまして、やはり日本の防衛のためにアメリカの核抑止力を期待しているところもあるわけです。日本自体は核を持たないというのは、万一の際にアメリカの核抑止力というものがやはり期待をされておるからであるという要素もございます。そういう意味において、やはり安保条約を通じて戦略的抑止力というものも日本に対して戦争を起こさせない一つの力として期待していく……。

上田哲日本社会党

○上田哲君 その戦略抑止力に日本の自衛隊が協力支援態勢をとることはないということですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 要するに日本を防衛するという面から見ると、日本の局所的防衛については自衛隊というものが日本列島防衛に当たっているけれども、しかし、安保条約を中心にする攻撃的兵力あるいは核兵力、そういうものについても日本は安保条約を通じて依存している要素もあるわけでありますから、両者の抑止力を期待してコンバインされてあると、こういうことであります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 コンバインということで問題になるんです。その核抑止力の形成に日本自衛隊が参加することがあるんですか、ないんですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) それは私は現実的にないと思うんです。もっと具体的に御質問していただきませんと内容はわかりませんけれども、それはアメリカがやっている——分担していることで、日本のやっていることではないと思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 それでけっこうです。この国防報告の「基調が「現地諸国による米軍戦力の肩代わりを推進しながら、それら諸国の軍事政策に関しては、米側が引続き管理権をにぎっていく」という点にある」ということが三月十一日の毎日社説に出ていますけれども、これはまあ中心的な見解だと思うんです。で、この場合明確に、いまおっしゃったように分担はないんだと、そういう立場で独自の安全保障策を確立すべきときだと、その見解を承ります。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 独自という意味がどういう意味であるか、これは解析を要するところでありますが、私はやはり着任以来、アメリカに対して無原則的依存あるいはばく然たる期待を過剰に持ってはならない、日本は自分のやるべき分担を明確にして、その分に関してはやはり責任を持った体制をみずからつくり上げておかなければいけない、そういうことを言って、いわゆる日本の憲法を中心にする一つの防衛戦略体系というものを固有につくり上げる必要がある、その上に立って安保条約による提携と運用を考うべきである、こういう基本的な考えに立っているわけであります。

上田哲日本社会党

○上田哲君 最後に一問。私、きのう自由民主党の藤山愛一郎さんにお目にかかったんですが、藤山愛一郎さんの御説明を承ると、中国の日本への軍国主義批判というのは、向こう側は日本が軍備を持っているからといって異論を唱えるわけではない、日本の自衛隊が直ちに侵略行動を起こすと考えているわけでもない。ただ、アメリカの侵略行動を分担する役割りを持つことへの大きな懸念がある。そうして日中国交回復を語り合おうというときに、映画なんかによる戦争ものキャンペーンなんというものがたいへん望ましくない傾向として、軍国主義的傾向としてとらえられているんだと、こういうふうに言っているということであります。防衛庁はこの際、土屋次官がソビエトを訪問して軍事基地を見るという話もあるということでありますし、この機会に、いま防衛庁長官はアメリカの核抑止力戦略の中には基本的には参加する立場はないんだということも言われたわけでありますから、まさにわれわれがそれにどういう賛成の態度をとるかどうかということは別にして、少なくとも政府見解として専守防衛ということが一本線を引かれたということはあると思うんです。そうであれば、そういうことを踏まえて、この際ひとつ中国の軍国主義批判の具体的なパターンの指摘に対して、具体的な理解を求めようという外交的努力をはかられる意思はあるかないか、この点を伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本の軍国主義云々ということについての中国側の見解あるいはその根拠となっているようなこと、いろいろ私も伺うわけでございますけれども、政府としての見解あるいは日本の国民的な姿勢というものは、もうわれわれとしては自明の理であると思いますけれども、なおこの上に、これはただ単に中国に対する関係だけではございませんから、日本の国民的な心情、それからとっているところの具体的な政策、この内容等についてはできるだけ外国の人たちに正確に理解してもらえるように、この上とも努力を続けてまいりたいと思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 防衛庁長官。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いまお話が外交的努力というお話でありましたので、外務大臣の答弁でいいんだと思っておりましたが、もちろん防衛庁といたしましても外交当局と連絡いたしまして、そういうわれわれの純真な気持ちを中国にも理解してもらいまして、誤解を解くように努力いたしたいと思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって上田君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      —————・—————    午後零時四十六分開会

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。平泉渉君。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 初めに、中国問題についてお伺いをいたしたいと思います。  現在、中華人民共和国と日本との関係ですね、かなり異常な事態がある。まあ日本の有力者が訪中をされて、日本政府、またその政策に対して、非常に激しい非難の言辞を含む文書が公表されておる。それに対して、たとえば、日本共産党などは赤旗紙上で公式に、もし事実とすれば、日本共産党に対する許すことのできない攻撃だというようなことで、非常に激しい反ばくが行なわれておる。これは、日本政府のほうからは、外務省のほうからは発表がありますけれども、全般的に見ると非常に隠忍しておられるという感じを受ける。衆議院予算委員会、参議院予算委員会、従来までの質疑を通じましても、そういう感じでありますので、これはもとより、政府としては、外交問題でありますから、非常に慎重にやられるのは当然ではないか、こう思うのでありますけれども、国民として見ておりますと、どうもこれ、はっきりしない。これだけひどいことを言われておって、何とも言えないというのも、少しこれは政府のほうに弱点があるのじゃないかというような疑惑も、かなり出つつあるような感じもございます。私の立場としては、これは中華人民共和国を無用に刺激してはならないという点においては、全くそういう感じでありますけれども、また、可能な限り関係を改善していかなきゃならぬ、こういう見解に立っておるのであります。しかし基本的な事実関係というものは、やはり明らかにしていかなくちゃならんのじゃないか。そういう立場で質問を申し上げるわけでありますが、まず、現在日本が中共政府との関で国交を確立するという、あるいは正常化するという場合に、どういう日本側としては処置をとらなければならないということを、中共側が要求しておるのか、その点をやはり確認する必要があると思います。  そこで三月一日北京で調印された日中覚え書き貿易会談コミュニケによりますと、「双方は政治三原則と政治経済不可能分の原則は中日関係において重視されるべき原則であり、政治的基礎であることを重ねて強調し、確認した。」、こうあるのでありまして、政治三原則の意味をまず確認しなくちゃならぬと思うのであります。  そこで、中国を敵視しないというのは、究極的には日米安保条約の廃棄を要求しておるのかどうか。そういう意味と解していいのか。まずこれを伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 三原則の御質問でありますけれども、まず、第一の中国敵視政策をやめることというのがそのうちの第一項でございますけれども、これは一体どういうことを意味するのであろうかということを考えてみますと、中華人民共和国政府が日米安保条約に反しているということは、いろいろの機会あるいは方法によって明らかにされておりますから、反対しているということは承知しておりますけれども、それならここにいわゆる中国敵視政策をやめる、中国を敵視するなということの中に、具体的にどういうことを含んでいるかということについては、必ずしも明確でない。具体的に安保条約の廃棄ということまで含めているのかどうか、これは明らかでないというのが、ただいまのところの政府としての見方でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 かなり安保条約についての批判は強いということは、これはお認めならざるを得ないと思うんですが、その点どうでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それはただいま申しましたとおりで、安保条約に反対であるということは、かなり強く明確になっていると思われますが、いまも申しましたように、敵視するなということは、その三原則できわめて簡単な柱になっておりますから、それのいわゆる説明としてどこまで入るのかということについては、必ずしも明確でない、こういうふうに見ております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 三原則の第二は、二つの中国をつくる陰謀に加わってはいかぬ、こういうことでありますけれども、これは先ほど申しましたコミュニケによると、いわゆる日華条約を当初から無効、不法なものであるというんで、廃棄とか、本来もともと存在しなかったということを確認をすると、そういうふうなことをやはり求めておるのかどうか、この点はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この第二の原則については、中国が一つである、それから台湾は中華人民共和国の支配下に置かれるべきものであると、こういう意味であると解しております。そういう考え方から言えば、論理的な結果から言っても、国民政府を認めていないわけですから、日華平和条約は認められないということを主張しておるものであり、この第二の原則はそういう内容を含むものと、こういうふうに見ております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 第三原則は、いわゆる日中国交正常化への努力を妨害しない、こういうことなんです。非常にこれはわかりにくいんであります。妨害しないというところから見ると、政府の負う義務は不作為の義務であって、主体は政府ではなくて国民がいろいろやっておる、両方の民間でいろいろ行なわれることにつき政府はそれを妨害しないという、不作為の義務だというふうに読めるんですが、これの読み方によっては、非常に広範な範囲にわたって、あるいはわが国の法令の範囲を越えても、内政の自由がかなり束縛を受けるという感じもするんであります。この点はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) やはりこれは第二の原則と全く密接な関係があるのではないかと思いますから、自分のほうを唯一の合法政権として認めろと、そういう意味のいわゆる正常化でなければ、これは正常化を妨害するものである、こういうふうな趣旨ではなかろうかと思われます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 さらにいろんなことを含み得るんではないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところは想像たくましゅうすると、いろいろのことが含まれ得ると思いますけれども、ただやはりほかの原則と同じように、非常に原則として伝えられるところ、それからあるいはここ十年間ぐらいの間に、いろいろの団体、政党あるいはその他と、先のしかるべきそれぞれの機関と申しますか、人々との間に、共同声明とかコミュニケとか、ずいぶんたくさん出ておりますが、それらの中で同じ表現が使われているのは、この三原則であって、それの解釈というようなことについては、必ずしも同じ表現がない場合もございますから、一体これがそれの拡大解釈としてどこまで行き得るかということになると、取りようによってはずいぶん広範なところまで行き得る可能性のある考え方である、こういうふうに見てしかるべきではないかと思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 まあ政治三原則の意味ですね、もちろん、中国側の言っていることでありますから、政府としてはっきりした答弁はなかなかできにくい。中共に聞かなきゃわからぬことでありますけれども、これを見ておると、非常に広範なものを含んでおるし、また、広範になり得る。まあ独立国の間の外交の先例として、相手の外交政策、内政政策の全般にわたって、非常に広範な要求を突きつけなければ、国交の正常化はできないというのは、これはどういう辺に位置づけすべきことなのか。大体、戦勝国が戦敗国に対して無条件降伏をやるのに基づいていろんな要求を出すという先例はある。また、社会主義国家などでブレジネフ・ドクトリンのように、共通の利益のためには介入するんだという原則もある。そういうふうなものと何か似た、そういうものの中で位置づけられるのか、この辺はやはりわれわれとして考えなければならぬ。一体これは正常なことなのかどうか。その一つの考え方として、日ソ間で国交回復をやりましたときに、日本はソビエト側に中ソ条約を解消してもらいたい、あるいはソビエト側から安保条約をやめてくれと、こういう要求があったかどうか、そういうことも含めてお答えを願いたいと思うんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) きわめて異常で一方的な態度ではないかという趣旨の御指摘であり、御意見を交えての御質疑でありますが、何しろ日中間が現在正常な状態でないというわけでございますから、先ほど申しましたように、政府として何を主張しておるのか、まあ不明確なこともずいぶんあるわけでございますね。そこで、私はお尋ねとちょっとはずれるかもしれませんが、政府としては中華人民共和国政府との間に、よく申しますように、いついかなるときでも場所でも大使級会談を持ちたい、あるいは政府間の対話が望ましいと、ただこれは双方内政不干渉で相互の立場尊重という、大きな二大原則のもとにこれをやりたいと、いわゆる外交上の用語でありましょうか、プレコンディションというようなことを最初から前提にしてやるということは、私は正常な行き方ではないし、また、きわめて先方の一方的な態度に従っていくやり方ではないか、こういうふうに考えまして、いま申しました二大原則のもとで対話を持ちたい、その対話の間で先方の主張もとっくり聞いてみたい、ただすべきところはただしたい、それから当方の主張すべきことも大いに主張したい、おのずからその対話の間に双方のだんだん歩み寄りができてくるのではないだろうかと、こういう態度をとっておりますことは御承知のとおりでございます。  それから日ソ間の国交正常化のときのことですが、三十年の六月から三十一年の十月にかけて、国交正常化の日ソ間の交渉が行なわれましたが、この交渉で、ソ連側が交渉の上において、日米安保条約の解消をわがほうに要求したという事実はございません。また、日本側も中ソ友好同盟条約の解消をソ連側に要求したという事実もございません。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 政治三原則はかなりいろんな問題点が明らかになってきたと思うんでありますが、あといわゆる周四条件といわれる日中貿易に関する条件ですね、この内容をまず明らかにしていただきたいと思うんであります。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) 四条件でございますが、先般のコミュニケによりますと、この、コミュニケのとおり読み上げますと、「一、蒋介石一味の「大陸反攻」を援助し、朴正煕集団の朝鮮民主主義人民共和国に対する侵犯を援助するメーカー、商社。二、台湾と南朝鮮に多額の資本投下を行なっているメーカー、商社。三、米帝国主義のベトナム、ラオス、カンボジア侵略に兵器、弾薬を提供している企業。四、日本にある米日合弁企業および米国の子会社。」これらとは貿易の交流を行なわないという内容でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 中共はガット加盟国でもないし、わが国との間に通商条約があるわけでもありませんから、この貿易政策というのは内政問題だと思うのです。したがって、論評する必要はないのですけれども、ただ問題なのは、日本と同様に中共との関係が非正常であるオーストラリアあるいは西ドイツ、そういうところの貿易で、こういう条件を中共側で出しておるかどうか、この点ひとつ伺っておきたい。そしてまた、もししていないとすれば、その理由は何とお考えになるか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) オーストラリア、西ドイツ、それぞれ若干の中国との貿易は持っているようでありますが、何しろその関係というものは、日本に比べては非常に薄いということがまず前提でありますし、それから国交のない関係は同じでありますけれども、民間のやはり貿易でございますから、どういう条件を前提にしてやっているかということは、必ずしも日本側としてつまびらかでございませんけれども、しかし、非常にきつい、こうした条件が前提になり、コミュニケあるいはその他を前提にしてやっているようではないように見受けられます。ただある場合、オーストラリアなどの事例にあるかと思われますけれども、中国に経済使節団を派遣しようとしたら、それが若干こじれていると。それはどこからこじれてきたかといいますと、オーストラリアの中国に対する態度あるいは逆に国民政府との関係というようなことが問題になって、ある程度の進行がうまくいかないでいるというようなことは、情報としては承知いたしております。  いま申しましたように、何条件、三原則とか四条件とか、そういうものがきちっと前提にされて、そして行なわれているとか、それの話がまとまらなかったから、うまくいかなかったとかいうふうな具体的なことは、政府としてはあまりつまびらかに承知しておりません。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 どうも日本だけに課せられている条件らしいのであります。その理由が何かということは、これはなかなか外務大臣にお伺いしても推測になると思いますけれども、そこで、最近日中関係で、お互いに内政干渉ということばが非常に評論で行なわれる。中共側から日本に対して内政干渉がある、日本側のやっていることは中国の内政干渉、いろいろあるのですが、ことばがあまり乱れて使われてはいけないと思いますので、最近日本側から見て、中共政府の公の声明発表などで、やはり厳密に考えて日本の内政に対する干渉だというようなものはどういうものがありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもなかなかむずかしいわけでございますけれども、やはり文化革命以来、一般的に申しまして、常識的に言って、対日態度が北京側から非常に強くなっている、硬化しているということはいえると思いますが、たとえば、その中で、昨年四月の中共・北鮮両政府の共同コミュニケ、これは周恩来総理が金日成総理をたずねたときの共同コミュニケですが、「双方は日本人民が日米安保条約を破棄し、日本軍国主義の復活に反対し、日本の完全な独立及び民主的発展を保障するために行っている闘争を支援し、声援した」というくだりがございます。また、昨年十一月の日本の団体と中共側の友好協会との間の共同声明にも、「中国側は米日反動派の日本軍国主義復活に反対する日本人民の英雄的闘争を断固支持する」というようなくだりもございますし、また、昨年とことしの覚え書き貿易のコミュニケにおきまして、先方は日本国民がみずから選んだ日本の政府に対する露骨な非難あるいは中傷といわれてもいいようなことが掲げられているということも、御承知のとおりかと思います。こういったような、いろいろのことから、私は内政干渉的なことがいわれている、ただ、先ほどもお答えいたしましたように、はたして安保条約廃棄というようなことが、三原則に含まれている重要な要素であるのかどうかというようなことについて、政府としては、その辺のところになりますと、どういうふうに理解すべきかわからないというのが偽らざる現在の見方でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 この二つの中国の陰謀ということが中共側からいわれますが、一体いま日本政府としては、中国というのは、いま一つの国家ではなくなって、この領域の中に二つの国家ができておるんだと、こういう認識に立っておられるのでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その点については、日本は中国が一つである、また、双方の政府が一つの中国を非常に強く主張しておる、そうして一方と国交を結べば、他とは断絶という非常に強い態度を国際的にもとっている。そこで、一つの中国問題というものについては、筋合いからいえば、双方の話し合いで平和的に解決をさるべき問題であり、その結果を日本政府としては承認すると申しますか、それに従ってまいりたい、こういう態度をとっているわけでございますから、この二つの中国の陰謀云々といわれていることに対しては、日本政府のこうした立場をとっているということが、また先方にも明らかになっていると信じておるわけでございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 最近中共側から日華条約が当初から不法・無効である、こういうことを非常にいわれるのに関連して、日本の国内でも、いわゆる日華平和条約の附属文書の中に、条約の適用地域の制限条項があるわけです。したがって、その大陸中国との間は法的にはまだ戦争状態だ、こういう議論があり、あるいはまた、そういう疑問があるようであります。この点についてはどうお考えでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この点は、しばしば政府の立場は御説明いたしておるわけで、現実に中華人民共和国政府が、中国本土を有効に支配しているという客観的事実が明らかにありますだけに、政府の申しますことが何かなじまないように聞かれる方もあるように思われますけれども、一体国際法の原則から申しましても、国際法の主体というものは国家でありますことは申すまでもない、その国家を代表した機関が政府である、日本政府としては国民政府という中華民国を代表する機関である国民政府との間に平和条約を締結したわけでございます。こうした政府間の締結された条約は有効に成立した国家間の合意でありますから、これは当該国家全体を法的に拘束する、これはもう間違いない国際法の大原則であると思います。そういう立場から戦争状態の終結とか、あるいは両国の結んでおった戦前の条約の効力関係とか、こういうものは国家間を法的に拘束するものとして、日華平和条約で規定したとおり、戦争状態は終結した、これこれの条約は効力を失ったと、こういう種類の問題はあくまでこの条約によってさように解すべきものである、これが政府の見解でございます。同時に、日本政府といたしましては、先ほどの応答にも明らかに申し上げておりますように、中華人民共和国政府がこれを認めない立場に立っている。日華平和条約というものは自分らとしては認めていないものである。その立場に立って法的に戦争状態が終結してはいないという見解をとっていることも、また日本政府としてはよく承知しておるというのが現状でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 すると、中共政府の見解ではわが国との間は戦争状態ですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これも政府間の接触がございませんから、そういう点は間接に伝えみているわけですけれども、中華人民共和国としては、つとに日華平和条約というものを成立の当初からこれを認めないという立場をとっておる。したがって、条約的に、法的には日本との間に戦争状態は継続していると、こういう立場をとっている、これが現状であると思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 日華条約を当初から無効なものとして不存在を確認しようということが言われているのでありますが、これは一体日本としてはできることでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまず条約論として申しますれば、一たん結びました条約は、その条約にかりに廃棄ということの手続が規定されておる、そういう場合にはその条約の廃棄手続によって処理すべきものであると思いますが、そういったようなものがない場合におきましては、これを廃棄できないというのが通説であると思います。ことにこの国交の回復設定とか、あるいは領土とかという問題については、いわば一ぺんきりの条約でございますから、そういう性格のものにおきましては、通常廃棄ということがあり得ないというのが通例の解釈である、こういうふうに考えます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 中共側の見解をずっと政府がどのように認識しておられるかを伺っておるわけでありますが、台湾の中華民国またその国民に対して経済技術援助を行ない、その経済発展を助ける、また民生の安定に寄与する、こういうことは、中共政府の見解に言う、いわゆる台湾の永久占拠、大陸反攻の援助、こういうふうにみなされておるのでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと御質問の趣旨を取りかねたかもしれませんけれども、日本が台湾に対してたとえば経済協力をする、あるいは投資をする、そのことがたとえば二つの中国の陰謀に加担するというふうに大陸中国と申しますか、北京政府が見ているかどうかと、これもいろいろの情報あるいは往来された方々のお話を伺えば、そういうふうな見解をとっているようにも思われますけれども、これはしばしば政府も言っておりますように、政府の現在の考え方というのは、つかみの政治借款とか何とかということではございませんし、日台相互の立場から見て純経済的にも双方の共栄のためにプロジェクトベースで援助を交換するということは、これは先ほど来申しておりますような正常な国交関係のもとに友好的な関係を持つ間柄においては私は当然しかるべきことであって、このことがとやかくと非難されることは当たらないと、こういうふうに考えております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 昨年の秋、佐藤総理は国連に行かれまして、そこでの演説で、世界に四つの分裂国家があるということを言われたのですが、どれどれを言っておられるわけですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 世界に四つの分裂国家があって、そのうちの三つまでが日本の周辺、アジアにあるということを佐藤総理が指摘したことはそのとおりでございます。アジアの三つのほかの一つは東西のドイツでございましょうし、それからベトナム、、それから朝鮮半島の現状、そうして中国の現状、こういうところを、特にメンションはされませんでしたけれども、常識的に言って第二次世界大戦後の一つの不幸な状態として、こういう状態が現出しているということを指摘された次第であります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 分裂国家というのは、どういうことですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは私の考えが入るかもしれませんけれども、第二次大戦以前にはなかった観念であり、状態であると考えます。つまり歴史的に見れば、一つの正統政府があって、それを打倒しようとする反対勢力があって、その間に紛争がある程度続いたという歴史的事実はあるようでありますけれども、非常に長い期間、二十年、三十年にわたって、それぞれの政府というものがそれぞれ相当の領域を有効に支配し、継続的に長く続いている。しかし、それは本来は一つの国であったところだというような状態を指して一口に分裂国家と言っているというのが世界の現状である、こういうふうに考えております。しかし、そういったようなことでありますだけに、その四つの場合でもおのおのやはりその二十数年あるいは三十年の間に、それぞれの歴史的背景や、依って来たるところの原因その他が違っておるし、また現在までのところ、それらの状況に対して国連その他がとっている態度というものも、それぞれにまた違ってきている。したがって、一がいに、一律にこれを論ずるわけにいかない点も多々あるというのが今日の現状ではないだろうかと考えます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 議論として、第二次世界大戦の結果として分裂したのはドイツと朝鮮だったと、しかし中国の場合はそうじゃないんだという議論がある。しかし、中国の分裂は純粋な内戦であるというだけにむしろこの分裂の根は非常に深いんじゃないか、こう私は考えますが、大臣の御所見はいかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私の申し上げましたことが正確を欠いておりました。中国の場合においては、そういう前段おっしゃったことはそのとおりだと思います。同時に、それぞれがいまも言いましたように背景や、あるいは歴史や、あるいは現状がそれぞれ相当に違っておりますから、一がいに、一律に論ずることはできないのであって、中国の状況は中国の状況、分裂国家という中にもちろん入ると思いますけれども、そのステータスというものはまた中国だけの特殊性もある。いわんやその成立の過程というと、おかしいかと思いますけれども、国境の紛争にそもそもの源を発していて、他の分裂国家よりむしろ長い歴史と沿革を持っている。そういうことも含めて、これは特殊な要素を持っているということは否定できない事実であろうと思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 分裂国家というのは、いま大臣が言われたように、戦後の——第二次大戦後の新しい現象だというお話でありますが、従来の国際法の概念を単純に適用すると、いずれか一つの政権が全域にわたっての正統政府だ、したがって、それだけが国際法の正統政府であって、その政府が他方の政権に対してやることは、いわば内乱鎮圧というような純粋な内政事項である。たとえ武力行動であっても、これは全く国際法上の問題ではない。こういう見解をとる人がある。一体、これは現在の分裂国家に対して妥当な考え方なのかどうか。そういう法理をドイツ、朝鮮、ベトナムについて適用すると、どうなるのか、こういう点をひとつ伺ってみたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、歴史的に見ても、ある国の中に正統な政府があって、たとえば、それに対する革命政権が起こりまして、若干の間、その間に相克が起こっているというようなことは、歴史上も相当の事例があったように思いますけれども、これは完全に、そういうふうな事例は内政問題と申しましょうか、国内の問題として片づいたし、また、それが比較的短期間に終わったと、こういうふうに解してしかるべきではないかと思います。ところが、今日のいわゆる分裂国家は、その状態が非常に長い。そして先ほど申しましたように、それぞれが相当の領域を有効に支配している事実というものも、相当長く続いて固定化してきているということが、必ずしも第二次大戦前のこの種の問題と同列に論ずることはむずかしいのではないだろうかと、こういうふうに考えますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。  それからその次に、しからば、今日の分裂国家においても内政問題であるかどうか。この点でありますが、これは、中国に例をとれば、政府の見解としては、この経過から申しましても、ひとつ当事者同士で話をつけてくれるべき筋合いのものであって、早く結論を出されることを期待している。この考え方の底は、これはやはりお互いの内輪の問題として解決してもらいたいという気持ちですから、内政問題といえ内政問題の立場に立っているわけであります。そこで今度は両当事者が武力抗争——われわれは決してそれを心から欲しませんけれども、武力抗争が起こった場合に、内乱と見るべきか、国際紛争と見るべきかという問題がそこに出てくる。これは国連の考え方その他から申しましても、国際紛争といわざるを得ない状態があり得ると、そしてまた、この日本の立場におきましても、国際紛争、特に日本の安全等に関連してくることがありとすれば、至大なる関心を払わざるを得ないのであるから、それだけに武力で、両当事者が解決をするにしても、武力を使うことだけは何としても避けてほしいということが日本として望まれることであるわけでございます。  それから、国際紛争ということであれば、これは当然国連における集団的な自衛権の発動にもなりますし、また、日本としての自衛権の発動ということにかかわりのある問題の筋合いであるということも私は当然であると思います。したがって、総括的に申し上げましても、内政問題であるから、そこの間に武力紛争が起こったときに、これを内乱としてだけは片づけられない場合があると、これはくどいようでございますが、国連憲章でもこれを予想し、あるいはまた、朝鮮半島の事実のごときは明らかにその見解に立って、憲章的にも、あるいは条約的にもそうであり、また事実、これに対処する未然の危険防止ということについても事実上のかまえ方がとられているということは御承知のとおりである、かように存ずる次第であります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 いまおっしゃった趣旨からいいますと、いわゆる台湾海峡の平和についてわが国が国際的関心を表明しておるわけです。これは中共側からいうと、内政干渉だというんですが、それについて、いまのお考え方からすれば、どういうことになりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 内政問題として話し合いをつけてもらいたいということを心から願望いたしますが、同時に、これが大陸反攻あるいは台湾解放ということで、武力抗争ということになれば、どうしてもこれは国際紛争として取り上げなければならないような状態が起こる可能性がある。そのことを私どもとしては留意しておかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 よく西独の外交政策としてかつてハルシュタイン原則ということが言われた。これはどういうものであるか、また、現在どういうふうに適用されているのか、適用されていないのか、その辺をちょっと伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ハルシュタイン原則は、たとえば東ドイツと特に強く結ぶようなところとは、西ドイツとしては、これに対して、何と申しますか、国交上かちいいましても、積極的な交わりを結ぶことはできない。非常にこれに対しては消極的に対処しなければならないという趣旨がいわゆるハルシュタイン原則といわれるものであると思いますが、その原則は、今日においてもブラント政権においても基本的な考え方として踏襲されているものと存じます。ただ実際に、非常にこれを窮屈に適用するかどうかということについては、そのときどきの西ドイツ政府として、西独の国益あるいは国際緊張の緩和というような、いろいろの立場に立って、その適用というようなことについては必ずしも厳格に、シリアスなものに膠着するというのではなさそうに見受けられますが、まあハルシュタイン原則というものができてから相当の年月もたっておりますから、情勢の変化に応じて、多少の適用、運用の変化はあるのではないかと存じます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 中共の現状についての認識でありますが、防衛庁長官にお伺いしたいんでありますが、中共のGNPの中に占める軍事費の比率というのは、どの程度になっているのか、その点をまず伺っておきます。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 英国戦略研究所のミリタリ・バランス、一九六九年から七〇年の年鑑によりますと、中共のGNPに占める国防費の割合は一九六八年度で九%となっております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 世界のほかのおもな国と比べると、どうでございますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 前述のミリタリ・バランス等の諸資料によりますと、まず、軍事費を絶対額で申し上げますと、一番大きいのは、アメリカが年間二十六兆七千八百四十億円、八・六%、二番目がソ連で十四兆三千二百一億円、八・五%、三番目が中共で二兆六千百億円、九%、その次が英国で二兆五百六十三億円、五・一%、その次がフランスで二兆千百四十六億円、四・四%、それから西ドイツが二兆二千億円で三・五%となっております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 そうすると世界最高ですね。そこで、非常に経済開発は大事にしなきゃならぬ国が非常に軍事能力の拡充に力を入れている様子がうかがわれるのですが、われわれとして心配なのは、中共の核能力が今後どのように発展していくような計画になっておるのか。ことにわが国に対しては、距離的にいっても核による威嚇というのは、わりあいに行ないやすい状態じゃないか。そういう可能性についても防衛庁長官としてはどういうふうに見ておられるのか。この二点をお伺いいたしたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 中共の核兵器の開発状況を見ますと、中共は一九六四年十月、最初の核爆発実験を行なってから、昨年十月末までの間に合計十一回実験を行なっています。その開発の重点は、水爆の開発に向けられている様子であります。で、実験の実施状況から見て、中共はすでに標準原爆、すなわち威力二十キロトン級、それから強化原爆、威力二百キロトン級、及び水爆、威力三メガトン級の三種の核爆弾を設計製作をする能力を有している可能性があると思われますが、実際どの程度生産保有しているかわかりません。次に、中共は少数の中型爆撃機TU4及びTU16と、約三百機の軽爆撃機イリューシン28を保有している模様であり、標準原爆は軽爆機に搭載可能のものを製作する能力を有していることは考えられますが、強化原爆及び水爆については、そこまで軽量小型化が進んでいるかどうかは疑問であります。で、ミサイルの開発状況について見ると、先般発表された米国の一九七二年の国防報告が、中共のICBMの開発は進展しているが、その本格的な実験が行なわれたかどうかは明らかでなく、これが実戦能力を持つに至るのは一九七四年から七五年後になる可能性が強いと述べておりますように、ICBMの戦力化は七〇年代中ごろ以降となるものと見られます。しかし、MRBM、IRBMについては開発は一応終わったとの見方もあり、配備の確証はないが、近い将来にこれが配備される可能性はあります。ただ問題は、中共の経済力、生活水準と、そういうような大型兵器を開発し、実戦装備する軍事費とのバランスをどう見るかという問題で、開発についてはある程度お金が出せますけれども、これを兵器化して実戦配置にするというとばく大な金がかかるわけであります。それで、中共が、民生の安定や生活水準の向上というものを考えた場合に、それを犠牲にしても実戦配置というばく大な金のかかる方向に進むかどうか、その点はわれわれとしてはよく注目しておく必要があると思うわけであります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 中共政府の国際情勢に対する見方として、ソ連との武力紛争、また、米国またはその援助による本土反攻ということが現実に行なわれる可能性があるということを、非常に、そういう見方をしておるのでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは情勢判断の問題でありますから、なかなか的確にぴしりと申し上げることは性質上できないと思いますが、中ソ関係は、たとえば御承知の国境紛争等についての話し合いというものは依然続いておりますし、それから御承知の、双方の本任大使の交換も行なわれましたわけですから、政府間の接触といいますか、関係というものは正常化しつつあるように見受けられます。双方とも、国柄が国柄でございますから、政府間の関係、あるいは党と党との関係というようなことは、また別の目で観察しなければなるまいかと思いますが、その辺はなかなか微妙なことでもございますし、確たる情勢判断は、なかなか、なしにくいと思います。  それから大陸反攻が台湾側から行なわれるか、あるいは大陸側が——先ほど申しました台湾解放ということが行なわれるか、これは全く私どもそういうことがないことを望み、また、現在のところ、さようなことが予見できるような状況ではないというふうには見ておることは、しばしば他の問題に関連しても申し上げているところでございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 まあわれわれも米国のアジア政策というのは、非常にそういう中国本土に対して侵略、いわゆるロールバックをしていこうという、そういう意図は全くないと思うのですが、念のために、いわゆる日米安保条約上の在日米軍基地というものが、そういうふうな本土反攻の基地になるという可能性は私は絶対あり得ない、あるはずもないと、こう見ておりますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは安保条約の根幹に関連する問題でありますけれども、御承知のように安保条約は、その前文から申しましても、各条項から申しましても、すべて、何らかの危険が起こるようなことのないように抑止したいという基本的な理念から出ております。したがって、条約論としても、国連憲章五十一条が引かれておりますし、万一の場合の防御ということだけでございますから、大陸に攻撃をかけるというようなことについて、米軍の活動に便宜を与えるために日本が施設区域を提供しているというようなことは全然ございません。さような点から申しましても、いただまのお尋ねのようなことはございませんということを確言いたす次第でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 なお、国連における問題、これがやはり最近の中共議論の一つの大きな火つけ役だったわけでありますが、国連というのは、各国の動向が大事でありますが、そこにおける動向というのは、また、お互いに各国がきめていくんじゃないか、こういう相互に影響され合ってできていくものである、こう感じておるのでありますが、まあ総理のいわゆる分裂国家論の中で、現在、国連では中国だけが原加盟国当時の政権と法的に継続しておる政権が代表されておる。ほかの国についてはだれも代表されてないというのが現状なんです。この問題について、何らかの変更をしなきゃならぬというような議論が出てくる場合には、私はやはり国連の普遍性という原則から考えると、すべての分裂国家全体について、どういうふうに代表するかということの基準、そういう問題にさかのぼってやはり考えなければならぬ。そういう問題が確立しないと、なかなか早急に変更をするということはできないんじゃないかと、こういう感じを持っておりますが、大臣の御所見を伺いたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 確かに、これは各国とも私はそういうところがあると思いますけれども、たとえば分裂国家問題にいたしましても、それぞれの国の立場からいっての、いわゆるバイラテラルな問題のとらえ方と、それから国連加盟国としての立場で、国連をよりよきものにしたいという立場に立つところの考え方と、これは本来表裏一体をなすべきものだと思いますけれども、とらえ方としては二つの面が私はあるように思います。そこで、国連加盟国の立場、あるいは国連の場における論議の対象としては、ユニバーサリティの原則からいって、人民の一人がここに代表されることが望ましいという意見は確かにかなり強くあると思います。そういうことが、たとえば中国の代表権問題につきましても、そういうとらえ方というものが相当私は普及しているのではないかと思われ、またそういう点が、ある意味からいえば、ますます問題を複雑にしているとも考えられるわけでございます。  で、お尋ねのいわゆる分裂国家全体に一つの基準を考えて、そして国連で扱うことはどうかという、そういう議論も国連の場においては一部にないではない、あるわけでございますけれども、先ほど来申しておりますように、それぞれの分裂国家と申しましても、いろいろと持っている条件やステイタスが違うものでありますから、必ずしも実際的な問題解決のアプローチであるかどうか、これは今後なおよく検討を要すべき問題じゃなかろうか、かように存じておる次第でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 中国問題についての私の基本的な事実を確認する、また、政府のお考えを伺うという意味では、一応ここで私は終わりたいと思います。  二番目に、今度は経済外交問題について伺いたいのでありますが、まず通産大臣に、わが国経済の物質的基礎としての原料、燃料、食糧、こういったものの合計の海外依存度ですね、これは絶対量的に見ても、また総輸入中のパーセンテージで見ても、すでに世界最高だと、こういうことが通商白書でもいわれておりますが、この趨勢で五年ぐいたつと、量的に、金額的にどのくらいの輸入になるのでありましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 食糧、原料、燃料、まあ大体輸入の中でほぼ七割、ちょっと七割をわずかながら切っておりますけれども、そのぐらいを占めておるわけでございます。それで新経済社会発展計画によりますと、五年と言われましたから一九七五年度をとりますが、わが国の貿易は、これを通関に直しますと、輸出が三百八十二億ドル、輸入が三百七十億ドルという推定でございますので、そこで、おそらく七〇%をちょっと割り込んだぐらいの数字が、同じく原料、食糧、燃料の数字になると考えます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 パーセンデージはあまり変わらないとお考えでございますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これはこの経済社会発展計画の考えております数字、これが世界貿易の年平均の成長を七・五%と見ておるわけでございます。そのことのいい悪いは、これはいろいろありそうでございますが、かりにそういたしまして、輸入を三百七十億ドルといたしますと、ちょっと七〇%をほんのわずか下回る程度ではなかろうか。これもしかし、ことに燃料の消費などが予想よりもふえてまいりますので、確かには申し上げられませんが、まずまずその辺かと思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 そうすると、いまおっしゃった一九七五年段階で、わが国の貿易というのは世界貿易の中で何%ぐらいの比率になっているのですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ほぼ一〇%と思いますが、輸出が一〇%に近い、九・八%とかいうことでございましょうか、輸入が九%余りということになろうかと思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 大蔵大臣にですね、いま程度のわが国の貿易、いま五年後というのと比べると、まだかなり、半分近いところまでしか来てないわけですけれども、いまの段階でもかなり日本を取り巻く世界経済との関係がいろいろ問題になっておる、こういう五年以内に、こういう大きな数字なり世界貿易の一〇%になるということになると、経済財政政策全般で貿易相手国との間に非常に細密な政策の調整をやらないといかぬ、こういう時代になるのじゃないか、現在すでにEEC諸国の域内貿易の密度というのが非常に大きいのであります。その際には、その裏として、一見貿易と直接関係のないような、もう労働政策に至るまで総合調整が非常に詳しく行なわれている、担当大臣がそれぞれ直接に国際交渉をほとんど毎月やっておるというような状態が見られるのでありますが、この七五年段階ぐらいまで行く間に、徐々にそういう意味での経済財政政策の総合調整というのを主要貿易各国とやらなければならぬという事態になってくるのじゃないか、どうごらんになっておられますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私も同様な感じがするのです。つまり、わが国の国内社会を見ましても広域化、こういうことが進んでおるわけです。国際社会でもまたそういう傾向をだんだんとっていくのじゃないか、EECということが言われますが、これがそのはしりであると、そういう見方をするのです。ただ、これがまあ一つのグループを結成しまして排他的なものになると、これは国際政治の上において非常におそろしいことになりやしないか、第一次大戦争の勃発、こういうことを顧みてみましても、あれは英帝国主義経済、それに対してドイツが為替管理を主体とした政策をとったわけであります、それでは追いつかない、やはり領域を海外に求めなければならぬと、こういうようなことからというふうな解釈、見方、これがかなり普遍化しておりますが、このグループ化というか、世界経済社会の中の広域化がその広域経済の中での結束のあまり、これが排他的になるということになると、これはたいへんなことだと、幸いに戦後の国際社会では、これは国連が国際連盟よりは整備しておる、また経済国際機構、これが非常に変化して発達しておる、そういうようなことで歯どめがあります。ですから広域経済に、国際広域経済になること、この傾向はやむを得ないし、また、これはうまくいけばたいへんけっこうなことだと思いまするけれども、同時にこれは、まあ経済の自由交流、この勢いというものが国際政治舞台の上で強く打ち出される必要がある。それと同時に、過渡的には二国間のいろいろな調整、いま現にわが国は日米経済閣僚会議、カナダとの間には日カ経済閣僚会議、日韓の間にもそういうものがあります。その他、非常に重要な相手国であるオーストラリアとの間にもいろいろ話し合う機会を持っておる、それからEECの主要各国とも話し合いの機構、場というものを持っておる、そういうものを通じましてわが国と個別の相手国との間の経済調整ですね、これを進めていく必要があるのじゃないか、また、そういう特別の機構を持たない関係の深い国に対しましても、いわゆるバイラテラルな話し合いを通じまして両国の関係を調整をしていくと、こういう必要がいよいよ重大になってくる、そういう心がまえで国際経済に臨んでおります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 通産大臣に伺いたいんですが、けさの朝日新聞を見ますと、アメリカにおける広範な世論調査をルイス・ハリス社とやっておる。やられた結果が発表されておりますが、やはりその中で注意しなけりゃならぬのは、米国と日本との間で自由貿易をやるべきかどうかというような質問に対して、六六%が貿易制限が必要だという答えが出ておる。それからまた「日本経済の進出は急激すぎ、欧米諸国に重大な脅威を与えている」というのが、そのとおりだというのが五〇%になっているんですね。こういう問題点。こういう点を考えますと、いま大蔵大臣も言われた相互の調整ということ、これがいまの段階ですでにこういうふうな意識を与えているということになると、これから先はたいへんなことではないだろうか、よほどきめのこまかい相互の調整が必要じゃないかと。もう内政の各面にわたって日本の農業政策はこうなるからアメリカのほうはどういうことになるんだというようなところまで、非常にきめのこまかい内政の各面にわたってやられるということが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、通産大臣どうお考えですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常にむずかしい問題だと思います。理念的にはそういうふうに考えることはもう当然でございますけれども、はたしてどういう方法で、またどういう方向でそれをやるかということになりますと、容易なことでございませんで、いま私どもはやはり貿易というものはあるいは資本の取引にしてもそうでございますけれども、できるだけ自由にいたしましょうということをずっと申してまいり、最近になってその上に幾らかオーダリー・マーケティングという思想が加わらないとぐあいが悪いかな、というような時点に入ってきておるわけでございます。いま平泉議員の言われますのは、それから先にもう一つ先の段階を言っておられることになるわけで、たとえばEECの内部において、事実上いろんな制度でそういうことを考えようとしている。そういうところへ、これ国際情勢の環境的な変化にもよるかと思いますけれども、どのようにして入っていくかということになりますと、実は確たる見通しがつかない。問題としての意識は私どももわかっておるつもりでございますけれども、どういう道を歩いたらそこへ行けるかということがにわかに発見できない、というのが現状ではないかと思います。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 もう一つ問題として、資源輸入国との間の片貿易が日本は非常にはなはだしい現状である。これは資源はますます輸入がふえてくるわけですから、非常に片貿易が続くと、どこかでまた逆に日本が輸出超過をものすごくやる国がないとつじつまが合わぬということになるので、だんだん悪循環してくるんじゃないか。現在イラン、オーストラリア、クウェート、サウジアラビア、こういうところと膨大な片貿易でございますが、どういう是正策をお考えでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにそういう傾向は顕著でございまして、わが国と一番貿易量の大きい国はどこかと言えば、これはたいていの方がアメリカだと言われる。その次、次と言っていきますと、オーストラリア、カナダぐらいまでは多くの方が言われますが、四番目にイランというのは、これはなかなかそこを言われる方は少ないように思います。そのようにオーストラリアについても十億ドル程度のわが国の赤字と申しますか、入超でございますし、イランにつきましても八億ドルぐらいの入超でございます。それからあとおっしゃいますように産油国、それからインドネシアもそうでございますが、そういうところが入超でありまして、他方で出超のはなはだしいのは、韓国でございますとかあるいは台湾でございますとかタイでございますとか、御承知のような国々になるわけでございます。それで、いまのお尋ねについて私どもこういうふうに考えるんでございますが、まあこれらの資源輸出国、それとの間に片貿易が多いわけでございますが、ことに石油などはどちらかといえば人口の少ない国、それも発展途上国といいますか、あまり生活水準の高くない国からわが国が輸入する場合が多うございます。中東においてことにそうでございます。そういたしますと、これらの国は、先般のOPECの動きでも見られますように、自分たちの持っているただ一つの大切な資源を、できるだけ高くじょうずに売ろうではないか、それによってインフラストラクチャーを充実して近代化しようと考えておるわけだと思います。そのことは理解のできることでありますから、それに対応してわれわれもいろいろ経済協力等々の方法によって、まず先方のインフラストラクチャーの充実のためにわが国も一役ひとつ買わせてもらう。なかなか商品貿易では、先ほど申し上げましたような事情から、伸びというものはそんなに期待できません。といたしますと、やはりプラントとかインフラストラクチャーとかいう出方をする、これが私は一番お互いのためによろしいのではないかと考えております。オーストラリアにつきましては多少事情が異なりますけれども、しかしオーストラリアといえども、資源を眠らせておいて満足だと考えておるわけではないわけでありまして、資源の収奪が起こるということを不快に思うわけでございますから、やはりインフラストラクチャーあるいはプラント等の形で、その眠っている資源の開発にわれわれが協力をさせてもらう、こういう姿が、多少時間がかかりますけれども、貿易を正常に近づけていく方法ではないか、というふうに考えるわけでございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 この資源の問題は、非常に私は日本のへたをすると命取りの問題だと思うんですが、米ソ経済は、基本的には対外依存度は非常に構造的に小さい。ところが、日本に割合に構造的に似ている西ヨーロッパの経済大国は、すべ経済統合を行なう大体意思を表明しておるか、あるいはイギリスのようにすでにその決意を表明して国会で決定しておる。こういう状態でありますから、こうすると世界経済の中で日本は漸次孤立する危険があるということをやっぱり否定できないんじゃないか、この点について大蔵大臣御意見を、政府の対処策としてですね、お伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私も常々申し上げておるのですが、いまわが国が当面している最大の問題は、内政の七〇年代という国内の整えの問題、これをしなけりゃならぬという問題であると同時に、わが国が近時とみに経済力が向上してきた、世界じゅうで注目の的になっているわけです。そういう中で国際社会に臨むわが国の姿勢というものを、どういうふうに持っていくか、こういうことだろうと思う。そこで通産大臣もオーダリー・マーケトだと、こういうことを言っていますが、その辺は特に気をつけていかなければならぬし、同時に対外経済協力、それから世界じゅうから要請されております物資交流の自由化、資本の交流の自由化、そういう問題で国外から問われるというようなことがないように、その辺はよほど気をつけていきませんと、わが国が孤立化をする、そういうふうに思います。ですから、そういう努力をしながら、自由交流という世界の大政策を日本は積極的に進める。その間におきまして最もわが国がその弱点だとされておるところの資源の問題、これを解決する。まあそう急いではならぬと思いますから、着実に資源問題に手を打っていく、そういう立場に日本はあるんじゃないか、そんな感じがしておるわけであります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 外務大臣はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本が孤立するようになったら、これはもうたいへんなことでございますし、それから先般も資源についてのいろいろの角度からの論議もありましたので、いま外務省といたしましても、従来の経験、最近の傾向にかんがみまして、できるだけ広く深く今後のあり方を想像しながら、いわゆる経済外交を展開していかなければならない。それについては、通産省のお考えも、もちろん非常に必要なところでありますし、同時に何と申し上げたらよろしいのでございましょうか、国際的な、グローバルな各国というよりも、全体の傾向がどういうふうに今後二十年、三十年先に広がっていくか、その姿を探求していくことが、私は日本にとっても特に必要なことではないかと考えておるようなわけでございます。そういう点から考えても孤立するようなこれがあっては、もうとてもこれはたいへんなことである。身近なところではこれを注意しながらもっとグローバルに、もっと段階を広くやっていきたいと思っております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 科学技術庁の長官に伺いますが、ウラン資源の確保対策ですね、これを一つ。それから原子力委員会による原子力開発長期計画が今度改定されておる、この二点について、いずれもこれは日本の資源問題に関連しての問題が起こっていると思うのでありますが、どういう改定が計画されているのか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) まずウラン資源の確保対策について申し上げます。非常に原子力の開発、ことに原子力発電が急速度に進んでまいる情勢にございまして、昭和六十年度には、大体原子力発電は六千万キロワットに達する、こういう見通しでございます。これに必要な天然ウランの量も急速にふえてまいりますが、昭和六十年度までには十万トンをこえるウラン精鉱の確保が必要である、こういうふうに考えられます。これらのウラン資源の確保につきましては、国内においてほとんど期待ができないわけでございますから、当然もう海外から安価なウランを安定的に入手することを考えなければなりません。そこで海外ウラン資源の確保については、現在は民間が主体となって長期購入契約、あるいはまた短期購入契約等を進めておりまするほか、これがどうしても開発輸入方式を取り入れていかなければならぬと思います。そうすることによって長期間にわたる安定的な確保をはかっていかなければならないと考えるわけでございますが、現在までに電力事業者に長期及び短期の購入契約によって確保されておりまする数量は、三万八千トンでございます。またアメリカ、カナダ、それからニジェール等におきまするところの共同探鉱も鋭意進めておるところでございまするが、これら民間におきますところの確保策に対しまして政府もできるだけの援助をする、こういうことを考えておりまするほか、動燃事業団におきますところのオーストラリア、カナダ、アフリカ等、海外の有望地域の調査を積極的にこれから進めてまいるつもりでございますし、あわせて金属鉱物探鉱促進事業団を通じまして、民間活動に対しますところの資金的な援助も行なってまいりたい、かように考えております。今後ますますこの喫緊の課題としての海外からのウラン資源開発を進めるために、いままでもいろいろなことを積極的にやっておりますけれども、さらに必要に応じまして、海外資源国との原子力の協力協定というようなことも広範にひとつ考えまして、そうして所要の方策を進めてまいりたい、かように考えております。  第二のお尋ねは、原子力委員会が原子力開発利用長期計画を改定するようであるが、どういう考えか、こういうことでございます。先生御承知のとおり、現在の長期計画は、昭和四十二年の四月につくりましたものでございまして、現在これを基礎にして進めておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように原子力発電の開発あるいは動力炉の開発、原子力船の開発等、その原子力開発は非常に発展が著しいのでございまして、ことにこの原子力に対する電力需要の増大ということが非常に見込まれるわけでございますが、したがいまして現在立てております計画は、実情に合わなくなってまいっております。これはもう大幅に改定を必要とするわけでございます。また海外におきますところのウラン資源、ただいま申し上げましたこういう動きにつきましても、いろいろな動きが見られます。最近におきますところの原子力関係の国際的動向は、わが国の原子力開発利用の推進に少なからざる影響を及ぼすことも予想されるわけでございます。これらの内外の諸情勢の進展に伴いまして特に重要な課題としてこれから検討を要する問題は、核燃料資源の確保、濃縮ウランの確保等の核燃料の問題があげられると思います。さらにまた放射性廃棄物の処理、処分、これはまた大きな問題として検討を要することでございます。動力炉開発の本格化、国際協力の拡大、その他原子力船、核融合、放射線利用等、原子力の各般にわたりまして問題がございますから、これらをひとつ具体的に取り上げまして、そうしてこの長期計画を見直すということが、われわれの考えでございます。原子力委員会では、いまいろいろこれに対するスケジュールを組んでおりまして、大体本年末をめどにいたしましてひとつ結論を出したい、かように考えております。これによりまして新しい長期計画を立てたい。なお日本原子力産業会議というのが非常に熱心に原子力開発のことに御協力を願っておりますが、ごく最近にこの会議が、「二〇〇〇年にいたる原子力構想」というものを発表いたしました。これはたいへん参考になりまするし、われわれがこういう長期計画を立てまする上におきましても、これらを十分にひとつ参考にしてまいりたい、かように考えておる次第であります。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 経済協力——もう時間がありませんので非常にしぼりまして、技術協力が少ないということは、もう昔から日本の経済協力で必ず言われておる、毎年言われておるのですね。現在政府資金による政府資金ベースの経済協力の中で技術協力の占める比率はどの程度になっておるか、ということが第一点。フランス、アメリカと比較してどうかというのが第二点であります。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) わが国の一九六九年の技術協力の実績は千九百万ドル、政府の開発援助に占める比率は四・四%でございます。これはただいまも御指摘のように、この額並びに比率というものは非常に低いので、この辺がこれからのわが国の大いに努力しなければならないところであると思います。試みに主要国の現状を申しますと、同じく一九六九年アメリカの実績は六億三千七百万ドル、フランスが四億三千二百万ドル、政府開発援助に占める比率はアメリカが二〇・一%、フランスは実に四四・七%、それからDACの諸国の平均が二二・八%、こういうふうな現状でございまして、確かに御指摘のとおりわが国はたいへん低いという現状でございます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 平均より五分の一程度であるというこの理由ですね、少ない理由、なぜ少ない少ないと言いながら大きくできないのか、その少ない理由の最大のものは何でありましょうか。その対策としてはどういうことをお考えでありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いろいろの原因がございますけれども、一つ傾向として大きいと思われますことは、たとえばフランスの例などがそれなんでありますけれども、いわゆる旧植民地と申しますか、歴史的に非常に広い相手国を持っておるというところに比べて、日本がそういう環境にないということが一番大きな背景になっていると思われます。それから具体的な当面の問題といたしましては、技術協力といえば、日本から派遣する専門的なその道の有能な人たちが必要なわけでありますけれども、その人たちを確保することに従来は非常な困難を感じておりました。したがって、こういう人に行っていただきたいというような方々の所属している団体、企業その他に対しまして、政府としてもいろいろの面で協力をお願いしなければならない。これは人事管理上の問題もございますし、制度上の制約もございますので、そういう点に相当思い切った協力を求めていかなければならない。それから帰りましてからあとの身分保障等についての制度が不備であったということ。それからもう一つは、このことばの関係と技術の関係、たとえば語学は相当優秀であっても技術的なレベル、手腕がそれほどではない。これはまあバランスがとれなければなりません。で、そういった面の人材の養成ということが非常に必要なことでありますが、当面のところ両刀づかいの有能な方が比較的少ないということでございます。したがって、こういうところが原因と思われますので、要点はむしろ率直に言って、お金の問題よりも人物の問題である。この点に十分力を入れていきたいと思います。それからもう一つは、この受け入れるほうの場合でございます。つまり各国から研修員を受け入れてもらいたいということで、このごろは非常な各国からの要望がございますが、この研修員等の受け入れ、その研修あるいは待遇、設備という問題が一面に大きく横たわっている。こういうような点が少なかった理由であり、また対策として必要な焦点だと、こういうふうに認識いたしております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 文部大臣に伺いたいのですが、先般OECDのパネルがわが国に来て、日本の教育政策について検討をいたしました。その中で報告を見ますと、わが国の初等教育は非常に優秀であるけれども、高等教育に問題がある。それから、ことに国際面での教育がはなはだ不備ではないかという言い方をしているのでありますが、この点どうお考えでございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) この点はもう率直に申し上げて、そのとおりじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。国際化のための教育という一章を設けておりますが、その第一は、現在の日本の国際的地位、——国際的地位と言ったほうがいいのか、経済的実力と言ったほうがいいのかわかりませんが、そういう点から考えると、まず第一に外国語の教育が不十分であるということ。第二番目には、外国留学についての社会的評価というものをもう少し高めなければいけない。第三番目には、外国人教師を容易に採用できるように考えるべきである。それから四番目には、世界全体に貢献する人材の養成を目標とすべきであるということ。それから国際協力の必要性ということを指摘をしております。これらに対しまして、私どもといたしましても、十分実際に役立つ外国語の教育の必要性を考えましたので、特に今回の中学、高等学校の指導要領の改定の際におきましては、そのねらいといたしまして、英語会話などの教科を新たに設ける措置を講じております。また留学生に関しましては、特にいままで先進国に比べますと、受け入れの体制が整っていなかった。特に、その費用等が十分でなかったということで、四十六年度の予算におきましては相当のレベルアップをいたしまして、これで大体フランスその他の国々と同等か、あるいはそれ以上というところまでまあいったわけでございます。それからまた中教審等におきましても、相互に単位を認め合うような学部レベルの学生を交換できるようにすべきじゃないかというようなことも言われております。なかなかこれはむずかしい問題でございますけれども、将来はやはりそういうところまでいかなければならぬのじゃないか。たしかブリティッシュ・カウンセルのフルトンさんが日本に参りましたときにも、イギリスと日本とのある大学においてそういうようなことができないかというようなお話もございました。それから外国人の教員につきましても、現在国公立の大学では正式の教員にできない事情がございますが、将来どうしても給与をもう少し考える、あるいはその待遇等を十分考えていかなければいかぬというふうに思います。  それから世界に貢献する人材の養成というような問題につきましては、まあ最近国連大学の構想も提案をされておるわけで、われわれも意欲的にこれに取り組んでおるわけでございますが、その前提といたしまして、やはり各大学におきまして、もう少し大学というのはやはり世界に通ずる学問、研究、教育をやる機関なんで、やっぱりヨーロッパ諸国の大学の考え方からしますと、国連大学をつくるというようなこともいいけれども、現にわれわれが既設の大学を持っておって、そこで外国の留学生をかなりたくさん養成をしておるし、あるいは自国の学生たちを世界に貢献できるように教育をしているのだと、こういうことが一面根強くあるようでございますが、こういうようなことはやはり日本がこれから考えていかなければならぬことであって、世界の中の日本といって、経済だけは世界の中の日本になっているのですけれども、世界の中の日本に伴う教育、文化、あるいは教養、語学その他そういうものがまだ実に貧弱、不足しておる、こういうことで、この点についてはやはり少し大きい構想を持って、緻密に計画を立てて、着実にこれから施策をきめていかなければならぬのじゃなかろうかというふうに私は考えております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 外国人に日本のイメージをアップするということも非常にこの際に必要だと思うのですね。日本が勉強することも大事でありますが、外国が少し日本を知らな過ぎる面もあるのではないか。その観点でフルブライト法を非常にアメリカは戦後やって、世界各国に非常に大きな影響をもたらした。先般、私アメリカに行きましたときに、アメリカもだんだんそれほど、比較的に豊かでなくなってきたし、逆にひとつ日本のほうからフルブライト法で恩返しをしてくれないかという話がかなりあるのです。文部大臣の御感想はいかがでございますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 戦後、アメリカの援助物資を積み立てまして、そのお金を土台として日米の留学生の交換ということをやってくれたその功績は非常に私は大きいと思います。そして同時に、これはアメリカにとっても日本というものを知る上において非常に大きく貢献をしたでありましょうし、また日本人もアメリカというものを知る上において非常に大きい貢献をしたと、こういうふうに思っております。しかし、フルブライトも結局最近では少し戸惑っているようなかっこうでございまして、私は日本も独立したわけでございますから、もう占領政策当時の日本ではないわけで、何でもかんでもアメリカにおんぶするというような考え方をやめて、フルブライトがそういうような資金を一つの基礎にして日本の留学生、人物交流をやっておる、そしてそれが両国にとって非常にいいということであるならば、その資金に見合うお金というものをやはりこちらが対等に出し合いまして、そして対等にひとつ留学生の交換を続けていくというような意気込みがなければならないのじゃないか、この点は外務省、文部省を通じまして努力をいたしたようでございますけれども、ことしまではそれが実現できなかったということでございます。さらにまたお尋ねは、単に日米関係だけじゃなくて、世界に向かってそういうようなことを考えたらどうだろうかという御提案だろうと思うのです。私も同感でございます。今後はやはり平和外交に徹するというならば、こういうようなところに力を入れていくべきである、物の交換と同時に人の交換というものなくしてはわれわれは世界に貢献することはできないのじゃないかという気持ちを私は持っておるわけでございまして、私どもにとりましても十分この点を考えまして施策を進めてまいりたい。非常にいい御提案だと私は思っております。御協力のほどをお願いを申し上げます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 まあ、技術協力をやる場合でも、わが国のイメージを世界で高める上からも日本語が非常に大きな問題になる。日本語を、海外における教育を推進するために、第一に私はやはり国内で日本語を外国人に教育するという専門のコース、学問としてそういうものが確立されなければならぬだろう、日本人であれば教えられるという問題ではないと思いますので、そういう点について、わが国の国立大学でそういう専門の講座があるのか、そういう点を私はまず文部省のほうでどういうふうに見ておられるのか伺っておきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) これまた御指摘のとおりでございまして、実を申しますと、日本語教育というものを外国人にどうやって教えるかという教える方法がまだ実を言うと確立しておらない、こういうことを率直にこれまた認めざるを得ないわけでございます。しかしながら、まあ細々ではございますけれども、現在国立大学におきましては、東京外語大学の新設日本語学科及び留学生課程、それから千葉大学留学生部及び九州大学の教養部等に日本語関係の学科目が置かれております。特に東京外国語大学の新設日本語学科、これは昭和四十三年の創設でございますが、現在約三十人の外国人留学生が帰国後日本語教師となるべく日本語教育を受けております。また、私立大学におきましても、国際基督教大学において日本語を履修させるコースを置いております。しかしながら、全体としましては、これらの大学における日本語教育が主として外国人留学生に対するものであり、日本人の日本語教育専門家の養成という面では必ずしも十分なものとは言えないのが実情でございます。この問題につきましては、日本語教師の養成、日本語教育法の研究、そのための各種教材の作成等を積極的に行なうべきであるとの要望も強うございますので、文部省といたしましても今後そのための方策について十分に検討してまいりたい、かように考えております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 海外で自分の国のことばを広めるという努力はほかの国は非常にやっていると思うのです。ことにフランス、ソビエトですね、これは非常に強力にやっておる、こう私は理解しておりますが、海外におけるわが国の努力ですね、政府ベースの努力はこのフランス、イギリス、ソビエトあるいはドイツ、こういう国の努力と比べてどういうふうなことになるか、お調べがございましたら簡単でよろしゅうございますが、発表していただきたい。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○説明員(加川隆明君) ただいまの平泉議員の御質問、調べが大体ついております。フランスの海外に対するフランス語教育、そのために送っております人間、教師の総数、大体一万五百名ぐらいです。それから予算が円に直しまして百五十一億円。それからソ連は八百八十五名、これを送っております。しかし、予算はまだ詳細を調査中でございますので、予算の点はまだわかりません。それから英国、これは大体六百名、ブリティッシュ・カウンセルを中心にして六百名送っております。予算が大体円に直しまして九億六千万円。それから西独、これがやはり三百名以上送っておりまして、予算が大体四十四億三千万円、これはゲーテ・インスティチュート、これを中心にやっております。それからついでに調べましたところで、アメリカを調べたのでございますが、これはいろいろ平和部隊等がございまして、平和部隊を入れますと、これはもう約三千名近く、二千九百名、国務省関係だけを申しますと二百八十八名で、予算は三億九千万円、こういうことになっております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 日本は……。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○説明員(加川隆明君) 日本は、わが国政府ベースで出しておりますのは四十一名でございまして、予算が約一億三千万円ということになっております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 フランスの何分の一ですか。

加川隆明外務省情報文化局文化事業部長

○説明員(加川隆明君) 大体フランスの平均いたしますと百四十分の一ぐらいになるわけです。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 フランスの百四十分の一と言われるそのフランスの数字もおそらく実際はもっと多いと思うのです。いまおっしゃったのは、外国人に対する教授という名目ではっきり出ておるのですが、フランス人の子弟に対するものを加えますと膨大な数字になっておるのです。その点はわれわれとあまりにも違い過ぎる。経済の規模は日本のほうがフランスの本来二倍でなければならぬ。人口の数もこちらは二倍でありますから、どうも逆のような気がするのです。  そこで郵政大臣に伺いますが、NHKの海外向け放送時間、これはソ連、中共、アメリカ、イギリスと比較すると放送時間としてどういうような割合になっておりますか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 諸外国の海外向け放送事情は、昭和四十六年三月のNHKの調査を申し上げます。アメリカでは三十五カ国語を用いまして一週間八百三十時間、イギリスが四十カ国語で六百七十八時間、ソ連では六十四カ国語、一千八百六十六時間、中国——北京放送でありますが、これは三十言語で千三百九十一時間、こういうことでございまして、わがほうはこれに比べますと少し見劣りがいたしますが、二十三カ国語で一週間二百五十九時間、こういうことになっております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 NHKの海外放送は、出力があまり十分でないという説もあるのですが、いずれにせよ放送時間としてみると、中共のような国と比べたらたいへんに違うのですね。まあ、その内容について、これは日本語教育とか、日本の国情の説明とか、いろいろな意味で、対外文化政策として非常に重要ではないかと思うのです。その点どの程度までこういう問題を重視していかれるおつもりであるか。国家として郵政大臣のお考えはいかがでございますか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) おっしゃるとおり、これには力を入れなければならぬと思います。そこで、御承知でございましょうが、二本立てになっておりまして、放送法に基づいてNHKが本来業務として行なうものと、政府側、つまり郵政大臣の命令の範囲内で行なうものと、こういう二立てであるわけでございます。それでことしの予算が両方合わせまして、およそ十二億円ばかりでございますから、これは多々ますます弁ずでさらにひとつふやしたいと、こう思っております。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 私は経済協力の問題も大事であるけれども、一方で片貿易を非常にやって、それはあまりいじらないでどんどん輸出超過である。そこでまた一方、再び資金によって経済援助をやる、こうなると非常に輸出本位になるんですね。すべてがまた経済援助といっても、結局輸出に戻ってしまいますから、そのままでいくとダブルの輸出ばかり行なわれる。どうしてもこの技術援助というようなものは非常に強化していかなきゃならぬ。経済援助も、ただ、経済で黒字になっておるから、この金は自由に使えるんだと、そういう意味でいろいろ不平もあるんなら、金をやろうというだけでは、全般的に見て、経済協力のほんとうの成果のほうがあるかという点は、われわれ心配しなきゃならぬと思うんでありますが、その点、大蔵大臣として、今後の経済協力というものをどういうふうに考えるか。やはり私はそういう点から言うと、輸出の黒字をどんどんどんどんそのままにしておいて、ことに片貿易のほうが非常に大きくなりながら、経済協力を一方その金でやるんだというんでは、あまり説得力がないような気がするんであります。お考えを伺いたいと思う。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 経済協力はわが国の輸出を伸ばすためだ、これが第一の目的であってはならぬと思うんです。つまり経済協力でなけりゃならぬ。それには、やはり相手国側の事情というものをよく把握いたしまして、また同時に、相手国側で、わが国から協力を受ける以上、それを復興、再建のよすがといたしまして立ち上がり、安定が達成できると、こういう姿勢を求める、これだろうと思うんです。その姿勢を受けて立って、わが国がこれに協力をする。ここで初めて経済協力の実をあげていくんじゃないか、かように考えますが、そういう考え方をとりますと、やはりわが国の輸出本位というのから態度をかえまして、相手国の振興、発展のためだと、こういうことになると、やはり協力手段を多様化していかなけりゃならぬと、こういうふうに思うわけです。いま技術協力について立ちおくれである、こういう御指摘がありますが、まさにそのとおり。ただ、これはことばの問題というか、わが国といたしますると、他の国に比べまして非常なハンディキャップを受けておるわけであります。ですから、思うようにはいきませんけれども、考え方の基本だけは、これは変えて、ほんとうに世界のおくれた国々のために役立ってやるんだという姿勢で取り組まなけりゃならぬだろう、かように考えます。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 いまおっしゃることばの問題がやはり最後に大きな問題になる。日本人が英語を勉強するのもいいんですけれども、日本語教育というものをやはり抜本的に強化しなければならぬと思うんです。この点を、現在、文部省、外務省はそれぞれの手段でやっておられますけれども、先ほど答弁がありましたように、フランスあたりの何百分の一という数字なんですね。これはほとんど信ずべからざる状態だと私は言わざるを得ないと思うんです。これは、ことばがむずかしいだけに、イギリス人がフランス語を勉強するのと違うんでありますから、よほど学問的にも研究しなければいかぬし、あらゆる金をつけて、各国に、むしろ、東南アジアの中等教育に——わが国の義務教育、中等教育に英語が進出しているんでありますから、東南アジアの中等教育に日本語が進出するということをやはり考えなきゃいかぬ。その辺も、これはもちろん相手国のあることですから、一方的に言うべきことではないが、少なくとも、もしそういう方針を相手国がとられるならば、それについての予算、人員、そういったものについては全面的に援助するというようなことをやらなければ、これはなかなか現実に技術協力をやるんだと言っても、わが国の技術者が行ってそう簡単に全部英語でやるというわけにもなかなかいかない。これはやはり両方の歩み寄りが必要じゃないかと、こう思うんであります。ぜひ大蔵大臣としても、そういう点について御理解をいただきたいと思うんですが、もう一度ひとつその点簡単にお願いします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 全く同じような考えを持っておりますので、今後とも努力いたします。

平泉渉自由民主党

○平泉渉君 私がここで最後に言いたいと思いますことは、やはりわが国の経常国際収支が黒字になってきたというような段階から、私は日本の外交史上、一つの大きな曲がりかどに来ているんじゃないか、やはり従来は、日本の外交姿勢というものに対してかなり各国から批判があったわけです。率直に言って、その批判はどういうことかといえば、日本という国は世界の政治経済体制の大筋を確立するということにあまり協力の意図がない。自分の国にしか興味がないようだ。あまりそういうことは、つき合いのほうはできる限りほどほどにして、国内の建設に最重点を置く、これがもう私は明治以来、日本がとらざるを得なかったやむを得ざる立場だったと思うんであります。つまり一言で言えば、日本の外交の本質は内政中心だということだったと思う。私は、ここまで経常収支がコンスタントに黒字が出るというような段階になったわが国の発展段階というものは、やはりここで百八十度に転換してくる時代じゃないか。その意味から言うと、もはや、むしろ逆に海外貿易依存度が非常に大きくなってきて、経済が、こういう資源のない国が経済発展をここまでやると、世界で未曾有の国際依存度の高い国家ができてしまう。米、ソ、イギリスをすら抜くような巨大な国際経済の中に巻き込まれた国家になってしまう。むしろこの際、日本の外交の姿勢は、外交中心の内政になるぐらいに日本のあり方というものを転換しなけりゃならぬ。非常に百八十度の転換だけれども、これをぜひやらないと、今後の日本の発展というものは望めないのじゃないか、こういう私は心配をいたす。従来、国際会議に出ても、日本のやり方というのは、外がどう動いているかは報告しよう、こちらはあまり発言しないほうがいいという傾向があったんですね。ひとつ今後は、世界のこれからのあり方というものに対して、知的な貢献ができるような構想力、それから活動力、そういうものをどんどん提供していくという活発な外交をやっていただきたいと思います。  ぜひひとつ、その点、外務大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともな御質疑をいただまして、たいへん感謝にたえません。これは私も特に最近痛切に感ずるところでありますけれども、たとえば国連の場におきましても、日本に対する期待というものは、そういう面でもきゅう然として起こってきたように思うわけであります。たとえば文化活動、それから人権問題というようなところについても、日本のイメージというものが、一面においては誤り伝えられているところもありますけれども、一面においては、私は相当正確に認識されてきていると思います。つまり、平和主義が徹底した文化国であり、また技術の高い国であり、学ぶべきところというか、むしろ学びたいところ、日本からというような空気が相当出てきたように思いますので、この機運の上に、日本の行くべき外交の針路というものはそういうところにある。これは必ずしもただいまお尋ねのところと合致したものではないかもしれませんが、広い意味で、新しい日本の外交の活躍の期待される面が、そういったほうからも出てきている。これを、国民的な理解と支持を受けて大いに発展を期すべきものであると、こういうふうに考えておりますので、だんだんの御意見など十分頭に入れまして、大いに御協力をいただいて、積極的に進みたいと考えます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって平泉君の質疑は終了いたしました。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、西村関一君の質疑を行ないます。西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村関一君 まず、最初に水資源開発公団にお伺いをいたします。  日本の水資源の現状につきまして、各種利水の需給の関係につきましてお伺いいたしたいと思います。

柴田達夫水資源開発公団総裁

○参考人(柴田達夫君) 水資源の全国の需給につきましては、政府におきまして相当長期にわたって調査をいたしております。その中で、建設省あたりが昭和六十年の長期をもちまして需給を調査いたしておりますのが、現状におきましてはまあ一番確かな調査でございます。六十年までに都市用水が三倍半になる、農家用水も一・二倍になる、こういうことで非常に需要がふえてまいります。これに対しまして開発のほうはなかなか困難な事情がございます。ことに関東近畿、あるいはまあ山陽地域というようなところでは、六十年を見まするというと、相当不足を生ずるのではないかというような状況でございまして、こういう政府の需給の予測に基づきまして、関係省の上に総理大臣、経済企画庁が中心になりまして開発計画の調整をいたしまして、それぞれの水系別に需給計画を立てまして、基本計画として政府が決定いたしまして、これに基づきまして、公団が実施すべきものは実施をいたしておるという状況でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 建設大臣にお伺いいたしますが、いまの答弁の中にございましたが、六十年度を期して水の需給の関係についての調査の結果を伺いたいと思います。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  水の将来の需給の状況は、いろいろの条件でこれが計数が変わるのでありますが、一応今日までの傾向からいたしまして類推していきますというと、まず第一に、すでに向こうの事務当局から御説明があったかもしれませんが、昭和三十九年の現実に必要としたところの都市用水は年間百七十八億トンです。これに対して農業用水は約五百億トンです。で、このうち河川に依存するものは都市用水で百二十四億トン、農業用水で三百七十五億トンでございます。これが昭和四十三年になりますと、都市用水で二百五億トンになっております。で、これが昭和六十年を想定してみますと、都市用水では大体現在の三倍半、それから農業用水が一・二倍と、かなりのこれは量を開発しなければならないということでございます。これに対しまして、いままでは一水系ごとにいろいろと開発の計画を立てておりましたものを、将来になりますれば、隣接する河川同士を連結しまして、一つのネットワークをつくることによって、絶対量を有効適切にアロケーションするというようなこと、これが相当必要になってくるのではないかと思いまして、目下その基礎調査を進めていっておる段階でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 まだそれはできておりませんか、基礎調査は。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 大体のところはできておりまするけれども、これは場所によっては相当進んでおりまするけれども、全国的に全部できておるという段階には至っておりません。鋭意これは進めてまいると思います。それと同時に、御承知のように、最近の情勢から見ますというと、いままでの既成の都市、あるいは既成の工業団地がそのまま存続するということが必ずしも適切ではないということで、むしろ、水資源と土地というものが相当豊富にあるところに産業が移転していくと、こういうふうな傾向がありますので、従来の手法を変えて、将来のあるべき、また望ましき産業と人間生活がバランスのとれた地域開発という点でこれは再検討しなきゃならない。そういう意味で、たとえば北海道では新しい苫小枚地区、日本海方面でも、いま小川原湖を中心とする陸奥湾のほかに、秋田港の問題、それからずつときていまの福井から新潟に至る地点も、水と港湾が相当豊かにこれは建設をされるというような問題があります。それから北九州と山口を含めた周防灘の開発、それから鹿児島湾の問題、四国の高知湾と、こういうふうなものがありまするので、ひとつ角度を少し変えて水資源の調査をしなきゃならないと思っている段階でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 近畿圏整備本部のお立場から、近畿圏の水の問題をどういうふうにとらまえておられますか。その基本的な調査、検討がなされているか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 近畿圏も首都圏に次いで非常に大阪、神戸方面を中心として過密化しております。それと同時に、水が非常にこれは不足しておりまして、そういう観点から従来は淀川水系、これは琵琶湖を含めて、これにすべてをかけておったようなかっこうでございまするが、現在われわれのほうとしては、もとより淀川水系が一番の根幹をなしまするけれども、いまの和歌山県の河川、それから一部は三重県の水資源というようなもの、こういうものも総合的に開発しなきゃならない。ただし、そのときにあたりまして、従来はダムとか大きな湖のあるところを、下流のためにひとつ協力してくれというような発想があったために、なかなか地域利己主義が対立して、十年の長きにわたってこれがなかなか合意できなかったのです。そこで少し考え方を変えまして、たとえば琵琶湖のごときは、これは日本にとって非常に貴重な観光資源であると同時に、いこいの場でもある。そうしてまた、あそこにはそれに適したところの総合開発的な計画を立てて、その中で琵琶湖の水を下流地区の都市用水に活用できると、そういうふうな総合的な構想でこれはやるべきだ、こういうことになりまして、いませっかくそれの方向づけができまして軌道に乗りつつありまするので、そういう観点からこれを進めてまいりたいと思っている次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いま大臣のおっしゃった計画は、どういう行政ベースでやられることになりますか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 現在これを進めていくために、地元の各県はもとよりのこと、これは滋賀県、それから京都、大阪、それに兵庫県等の知事をはじめ、それから行政官庁としては建設省、それから通産省、農林省、それに自治省等の、それぞれの責任ある局長クラスが連絡会議を開きまして、総合調整をしながらこれをいま進めておる。まあこれは経済企画庁と私のほうが幹事役をやっております。これにはまたかなりの財政負担も伴いまするので、大蔵省からも出ていただいて、そうしてかなり綿密に事務的な詰めをやっておると、こういう段階でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 連絡会議は二月一日に発足したと伺っておりますが、大体その詰めばいつごろできる予定ですか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) これは少なくとも今年中には一応の結論ができて、四十七年度予算を編成するときには大体の合意は少なくともつくりたいと、こう思っているんであります。ただ、あんまりせっつきますというと一方的な押しつけになる、これは地元の合意を得ないとなかなかできませんから、その点はそうせっつくと、かえっていけない問題で、まあ私は本年の十月ころまでにはつけておかなきゃならないと思ってる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 琵琶湖の総合開発につきましては、いま大臣も言われましたように、この水は単に滋賀県だけの水じゃなくて、日本全体の日本の水であるということには間違いございませんが、しかし、この水とともに生まれ、水とともに生活してまいっております琵琶湖周辺の県民にとりましては非常に大きな問題でございますから、どのような基本的な姿勢で琵琶湖の総合開発に取り組んでみなければならないか、その点もう一度大臣の御見解を伺いたい。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お示しのように、琵琶湖は日本にとって非常に重要な意味を持っていると思っています。単に都市用水とかあるいは農業用水の資産であるということのほかに、近畿圏、それから中部圏をも合わせた、少なくとも約二千数百万の人々にとっては、ある意味におけるあそこがいこいの場として保護されなければならないという段階にきていると思います。そうした意識の上に立ちまして、美しい天然資源としての価値が減少しないように配慮しつつ、しかもあそこには都市機能を持ったところの政策もやらなきゃならぬ、そこにむずかしさがあります。それとあわせて、下流地方の水資源としてもこれまた欠くことのできない要素でありまするので、そうしたものも総合して計画する、こういうことにしていかなきゃならない。そういう意味で、実は私が十三年前に建設大臣をした当時は、いまから見ればその配慮が足らなかったんです。下流地区の水資源を確立するためにとにかく協力してくれと、こういうようなことをやっておったために、なかなかこれが成功しなかったんです。それからすでに十数年たっています。その間に行政当局のみならず、下流の人々もまさしくそのとおりだということで、だいぶ話がほぐれてきましたし、それにまた滋賀県側も、われわれは決して地域利己主義だけにとらわれているんではない、下流の水事情もよくわかっておる。しかしながら、この琵琶湖をもっと大局的な見地に立ってこれを保護し、かつ開発しなきゃならぬ、そこで総合開発形式には賛意を表するということで、ようやく軌道に乗ったという段階でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いまお話のとおり、琵琶湖は、私は世界的に見ても、緑に包まれた人間環境を養う非常に大事なところだと思うのでございます。下流の都市のために、その基本的な自然を守るということがこわされてはならないと思うんでございまして、そのために滋賀県、つまり琵琶湖の周辺の人たちの要望いたしておりますところのいろいろな総合開発計画というものがございます。こういうものを実施していくためには、どうしても各省各省ごとの予算ではできがたい面もあると思われるのでございまして、総合立法が望まれておることは御承知のとおりでございます。この点につきまして大臣は、衆議院の予算委員会等においても御答弁になっておられますが、検討の結果、必要ならばそのことも考えなければならないという御答弁をなすっていらっしゃいますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) そのとおりでございます。ただ、私は立法さえすればできるというものではないのです、これは。実はよくダムの開発が各地で進まないので、ダムのあるところには全部特別立法でやるべきだという議論もあります。これには私はにわかに賛成できない。ということは、法律が一つできれば何でもできるというものではなくて、これは公害立法にしろ、農業基本法にしろ、あらゆるそうした総合的な立法ができても、それだけではできないのです。それよりもむしろ私は、琵琶湖の総合開発に関する具体的な政策が、地元も、それから各省も合意する具体案をつくることがまず第一だ。それで私は今日まではすぐに立法措置だけには踏み切らない。しかし現実にそうしたいろいろのプロジェクトをやってみて、その上においてぜひともこれは立法したほうがよろしいと、そうでなければ事業の遂行が非常にむずかしいというならば、私はつくってもけっこうだ。問題は単に立法がいいとか悪いかということではなくして、具体的なプロジェクトができること、その成果を見てしかる後やるということで、私は衆議院でその旨を答弁申し上げた次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いま審議しております四十六年度の予算の中に十億の実施予算がついております。これはどういうふうにお使いになるおつもりですか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) いまの淀川水系、いわゆる琵琶湖の水質源開発については一応の基本計画ができております。しかし、先ほど来申し上げましたような意味におきまして、この基本計画を変えなければならぬと思っております、従来のあれを。いわゆる総合開発のために従来の基本計画を変更しなければならない、この変更ができれば、これに基づいて今度は総合開発計画を実施するための実施設計に入らなければなりません。そのために使う経費として十億考えている次第でございます。具体的に申しますれば、一部の湖岸堤とかあるいは関連道路とか、それの買収費の一部に充てるということで、少なくともこの十億でまず四十六年度から琵琶湖の総合開発の第一歩を踏み出す、その実行予算としてこれを使っていく、こういう意味で十億を計上しているわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 十億の金では何ほどのこともできないと思うのでございますが、年次計画というようなものは持っておられますか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど来申し上げましたように、各関連省との連絡の上、ことしのうちに具体的なプロジェクトができれば、それで初めて年次計画にはいれるわけであります。したがいまして、本年初めてやったから、十億は少ないようでありまするけれども、いわば、これは公共事業でいうならば、実施設計の第一歩というわけですから、そういう意味で金額は少ないけれども、これで初めて総合計画に入る、そうして年次計画を本年中にまとめて、それに基づいて今度は予算化をぐんぐん進めていく、こういう段階になろうと思うのであります。

西村関一日本社会党

○西村関一君 大蔵大臣、この問題につきまして、財政当局としてはどういうふうにお考えでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま建設大臣からお答えをいたしましたように、まず淀川水系ですね。この水資源開発事業を行なう、こういうことで十億円の対策をとったわけであります。これは水資源公団において行なう。そのほかに、別に琵琶湖周辺の総合開発問題があるわけなんでありますが、いずれもまだ具体案がきまっておりませんが、琵琶湖周辺問題、これはなかなか大きな問題でございまして、これから練りに練らなければならぬ、こういう問題かと思います。それから水質源開発事業につきましては、下流の自治団体、こういうところとの負担の問題等の話し合いもあろうかと思います。まあプロジェクトがきまり、そうした負担問題も話がつくということになれば、四十七年度以降においてはこれを財政化していく、こういう心がまえで臨んでおります。

西村関一日本社会党

○西村関一君 次に法務大臣にお伺いをいたします。  先般、大阪刑務所において不祥事件が起こりまして、われわれといたしましても心を痛めておるのでございます。私は、こういう不祥な事件が再び起こらないために——過去においてもここ数年の間においてもこの種の事件が起こっておるのでございます——起こらないために、法務当局としてどういうふうな心がまえで、特に矯正施設の責任者に対して、あるいはその職員に対して臨まれるお考えでございますか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 大阪におきましての刑務所関係の不祥事件について、お心を痛めていただきまして恐縮に存じます。公務員が、一般的に考えてみまして、当然その所属のいかんを問わず、これは何としましても厳正に規律を守っていくということが必要なことは申すまでもございません。ことに私の関係しておりまする、刑務所を含んでおる法務省の公務員としては、非常に大事な問題でございます。規律保持の問題が大事なことは、これは、これがもしも不幸にして不十分であるということになりますと、おのずから政府に対する、われわれの役所に対するものはいうまでもなく、政府全体に対する不信の念を国民の各界各層に与える重大な原因になると思うのであります。その意味におきまして、検察庁も含むわれわれ法務当局といたしましては、他の省の職員より人一倍この綱紀の維持ということについて気をつける必要があると感じておるものでございます。  そこで、われわれといたしましては、直接自分の受け持ちの行政について重大な責任を持っておるのですから、その仕事を通じて格段の留意を平生からしておらなければならないと思うのであります。先年もああして金嬉老事件のような不祥事件がございました。これまた非常に残念に思っておるのでございますが、われわれ役所の従来もやっており、私も今後さように続けてまいりたいと思います方針は、これは申すまでもなく、機会のあるたびごとに、管下各機関に対して通達を発して、反省を求め、将来に対する考察を怠らぬという注意をいたしたいと思います。また、その趣旨の徹底をはかるためには、これまた会同のたびごとに、他の用件で集まったときでも、やはりこの綱紀粛正、綱紀維持という問題については特に注意を喚起して、そうしてお互いの、会同した者の所見も求めたり、あるいはこちらの考え方も申し述べて、常に反省と将来に対する検討を重ねていこうと、こういう方針を強く感じておるのでございます。  不幸にしてもし過誤があった場合には、これこそ厳重にその真相を調査いたしまして、そうして信賞必罰、間違いのあったときには、厳正にやはり処置をする。そうしてこれを誤らないようにしてまいりたい、かように考えておるのでございます。もちろんその際において、賞すべきよき問題があったときには、かりに事は小さくても、これに対してもやはり賞する道を常に講じてまいろう。こういうことをすることが、信賞必罰が兼ね備わって、はじめて目的を達し得るのではないか、かように考えておりますので、私もその方針で進んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 私も多年にわたって篤志面接委員、宗教教戒師として施設の中に出入りをいたしておる者でございますから、施設の職員の方がどんなに苦労しているか、どんなにほかの人たちの知らない労苦を重ねているかということは、いささか知っているつもりでございます。それだけに今回の事件に対しましては、法務当局とともに、どうしたらいいかということを考えさせられたのでございます。  一つは、管理体制の中で欠陥はないだろうか、あるいは職員の待遇の上において問題はないだろうか、さらにもっと大事なことは、矯正関係の職員の心がまえの問題、その仕事に対する誇りを持つということ、そういう職員の教育、指導という点が欠けているのじゃないかと思うのでございます。ただ一片の通達あるいは会同の訓示だけでは問題は解決しないと思うのでございます。そういう点、最高の責任者であるところの法務大臣としては、その点に特に留意をしていただきたい。必要ならば、大臣みずから施設においでになって、親しく下部の職員と接触をせられて、問題の所在を突き詰めていかれるということも一つの方法じゃないかと思うのでございますが、その点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。  たいへん、われわれの部内に対する御理解のある御意見を前提としての御質問で、ありがたくお礼を申し上げます。  全く、管理体制の問題、人の訓練の問題、あるいは給与の改善の問題等々、たくさんあろうと思います。私も、たとえばそのいま仰せになりました中の給与等の問題、あるいは給与以外の処遇等の問題、これも非常に大切な心すべき問題と思っておりますので、かねがね注意はいたしており、心してはおるのでありますが、何しろまたわれわれの役所と類似の点のある他の公務員諸君も、他の役所にあるわけでございます。これらとの権衡等もございまして、私自身の思うにはまかせない点もたくさん出ようかと思いますが、でき得る限りの、ただいまの御趣旨を体しての方針でまいることは、当然、私に対するたいへん参考になるよい御意見を承ったと存じまして、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

西村関一日本社会党

○西村関一君 次に、監獄法の改正につきましては、いま検討の段階でありますか、伺いたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 監獄法の改正の問題につきましては、御承知のとおり監獄法は刑法付属の非常に重大な法典でございまして、しかしながら、これが非常に古い法律で、それに対しての運用上のいろいろなある程度の改善は試みられておりますけれども、なお現在の情勢に必ずしも十分合ってないという点もなきにしもあらずであることは御承知のとおりであります。  そこで法務省といたしましては、やはりこの監獄法の改正というものは、刑法の全面改正作業とおのずから深い関連がございます。ところが刑法の全面改正作業と申しますものが、これがなかなか思うように進捗しておりません。これの問題につきましては、三十八年以来、法制審議会において刑法改正の作業が準備検討が行なわれておるのでありますが、ようやく近く答申がなされるのではないかという程度までまいっております。そこで、これに合わせる必要が多分にあると考えられまして、監獄法の改正につきましても、四十二年の七月、いまから三年ばかり前でありますが、四十二年——三、四年の前に、その時分から矯正局でまず作業を開始いたしまして、準備作用を進めておるのであります。ことに去年の九月ごろから以来、前大臣の御意向もあって、特に検討を急げという御指令のもとに、当局においてはいろいろ研究をしたのでございますが、まだこれが報告を聞いてみますというと、十分にまとめてしまったというところまではまいっておらないのであります。で、なぜかと申しますと、その法案が非常に大部のものでありまして、おそらくは新しくできる総取りまとめをした法案は百五十条以上にわたるような大事なむずかしい問題を含んでおりますので、こうした点につきましてもなお十分に検討をして、そしてさらに一応の結論が得られましても、これらはおのずから関連の、同じ省内における、法務省内の他の部局との十分なる審査検討も必要であります。また関係各省庁等もやはり関係のある法律でございますから、これについても意見の調整を行う必要がございます。最終段階的にはもちろんこれも法制審議会の審査を、審議をお願いしなければならぬ。こういうような問題がまだ前途に控えておりますので、でき得る限り急いでやる方針ではおりますけれども、なお若干の時日を要するのではあるまいか、かように思われるのが現時点の状態でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 私も改正法案の中身につきましてはいろいろ問題があるということはいささか承知しておるつもりでございますが、大体監獄ということば、監獄法という名前自体が、私は矯正関係の職員に与えるところの心理的影響というものはやはりあると思うのでございます。今日の矯正当局の考え方は、監獄という名前によってあらわされるような内容とは違った立場に立っておられると思うのでございます。そういうものが、監獄法制定時代の遺風が私は施設の中にもまだ残っているということを感じますがゆえに、その点一日も早く名称を含めて、監獄法の改正に取り組んでいただきたいと思うのでございます。  それと、その次には、その問題と、もう一つは、死刑廃止の論議につきましては、廃止賛成、廃止反対と両論が出ておることは私も承知しておりますが、現在どういう状況にございましょうか。私は宗教教戒師という立場から受刑者に接してみまして、この死刑の宣告を受けている人でも、こういう人は死刑にすべきじゃないと思う場合が非常に多いんでございます。そういう点が私は死刑反対論者でございますが、いまどういうふうになっておりますか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。  第一段は監獄法という名前の問題でございますが、この点、確かにいろいろきょうまでに検討した上におきましても、どうも名前が適切じゃないのじゃないだろうかというので、いろいろくふう、考案を練っているようでありますが、まだ名案を得るに至っておりません。一つの考え方には、たとえば刑事施設法、刑事施設法というような名前を試みに使っている、使ってみる場合もあるのでありますが、これまた必ずしもその真相をあらわすに足りない。あるいは他の部分をも包容しているような憂いもあります。そういう問題がありますので、なお検討中で、まだ仮称としてはっきり申し上げるのさえいかがかと思うような状態にございます。  それから次の死刑廃止の問題でございますが、死刑廃止の問題につきましては、これは非常に大事な、存続するかしないかの問題は大事な問題でございます。法務当局としましては、今回よく説明を聞いてみましても、いわゆる廃止論、世界的に廃止の国が若干ふえてまいっておりますが、廃止論をも含めた意味でどういうふうにすればいいか、何か適当な施策がないかというのを広い意味で研究をいたしているのでございます。私も今度考えてみましても、やはり前回にそれに近い感想を持ったことがかつてございますが、どうやらこの死刑廃止ということは、まだそこまで踏み切る段階までいってないのではないかという考え方がやや頭に強く映ってきております。それと申しますのは、わが国の戦後における非常な混乱な時期は一応去った感がございますけれども、なお御承知のとおり、ときどきはどうやらいかがかと思われる忌まわしい、いわゆる極端な犯罪がときどき行なわれている、こういう実証から考えてもそういう気がいたしますし、一面世論の状況はどうであろうか、こういうことも考えてみますというと、まだ日本国民の多数の方々の御意向が、はたして死刑を廃止してもいい、廃止すべしだという意見が非常に多くなってきたかどうかと考えますと、どうやらまだ凶悪な特殊な犯罪に対しては、やはり死刑はまだ存続していいのじゃないかという意見のほうが多いやに受け取られるのであります。  その一つのあらわれとでも申しますか、先般、いまから三、四年前、四十二年であります。四十二年に総理府で死刑問題についての世論調査をやられたことがあります。その結果によりますと、国民の世論の結論はどんなふうに出たかと申しますと、御承知かと思いますが、存続すべし、死刑はなお存続する必要があるという意見が七一%であります。そうして死刑を廃止すべきだという意見が一六%にすぎません。こういうような状況も、国民の凶悪犯罪に対する考え方が、別に凶悪な犯罪に対して、当然それに何と申しますか、報復的に死刑にせいというのではないでしょうけれども、しかし、なお多数の者に対して凶悪な犯罪を抑止する力が、死刑という制度があるということによってやはり相当効果があるのだ、こう見ている意見がやはりその中の相当部分を占めているようにも思われますし、かたがた、あわせてそんなふうに見ているのであります。  さらにまた最近、今度はわれわれ庁内におきましての研究の状況を申し上げますと、御承知のように法制審議会に刑事法特別部会というものがこしらえてございまして、その部会におきまして、やはり慎重な審議を続けておりますが、ちょうどこれは昨年の二月であります。去年の先月になるわけですが、そのときに開催された第二十回の刑事法特別部会、その部会の意見におきましては、大体において死刑は存置することがなお当然であるという考え方のほうが、大多数がこれに意見が同調しております。こういう状況等を考えますと、なかなかこの死刑廃止の問題は容易にまだ決しがたいむずかしい問題だなと、こう私はいま思っておるのでありますが、今後とも十分研究をいたしまして、そうして適切妥当な結論を出したいと思うのでありますが、どちらかと申しますと、いまの感じといたしましては、まだ今日の段階においては死刑を廃止するに適当なる時期になったとはどうもまだ言いかねるような感じのほうが多いことを率直にお答え申し上げておきます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 大臣からいま死刑存置、死刑廃止の両論の趨勢についてお話がございましたが、それぞれ私は理由があると思うのであります。私は、人間の生命の尊貴、生命に対する畏怖の念、そういう立場から申しますと、ましてや誤審ということもたくさんの事例の中にはないとは言えないのでございますから、無実の罪を着て生命を断たれるという事例もないではないと思うのでございます。そういう点から申しましても、私はなお死刑廃止の側に立つ議論に対しても傾聴すべきものがあると思うのでございます。いまこの問題についてこれ以上論議をしようとは思いませんけれども、慎重に御検討願いたいということを要望いたしておきたいと思います。ありがとうございました。  次に、私は外務大臣にお伺いいたします。初めに、去る十一日の本院外務委員会においての羽生委員からの質問の中で、南ベトナムの沖合いにある油田の開発の問題について、開発公団と民間八社が加わる計画があるということに対する質問がございました。これに対して愛知外務大臣は、よく調査をいたしましてお答えをするという趣旨の御答弁がありました。保留をされたのでございますが、今日の時点において、この問題に対して、さらにそれから後の状態においてどういうふうな結論に達しておられますか。伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねの件は、その当時お答えいたしましたように、私といたしましては、その経緯を承知していなかったものでございますからお答えができなかったわけでございますが、その後も情報等を新聞などで見まして、その実態についていろいろ調べてみましたが、現在のところ、日本の関係業界の中で、この大陸だな等の石油資源については相当の関心を持っているということは承知いたしました。それから、南ベトナム政府がこれを国際的に国際入札にしたいという計画を持っているようでございますが、しかし実際問題としてそこまで、具体的な入礼がいつ行なわれるとかいうような詳細なことはまだわかっていないようでございます。それから他の諸国、これはアメリカが、報道されているとおりに関心を持っておるようでございますが、他の、フランスとかドイツとかいうような国においてもこうした石油資源、なかなかこれはよい資源であるということが一般的にいわれているようでございますので、それだけに、本件に対しての関心は高いようでございまして、あるいは国際入札というようなことが実際行なわれるようなことになりますと、それらの国々も応札するのではないかと見られているようでございます。  そこで、先般羽生委員からも、お尋ねといいますか御意見を承りましたように、その水域が水域でありますだけに、そしてベトナム戦争が現状のような現状でありますだけに、政府としては、民間の会社の応札ということであるにいたしましても、十分慎重に政府としての配慮も必要であろうかと思いまして、その後の事態等につきましても十分よく見ておろうという態度を現にとっておるわけでございますが、なお企業等の関係等については、通産省のほうとも十分連絡をいたしまして、慎重な扱いにいたしたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 この問題につきまして、通産大臣は何かお考えがございますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) たまたま海洋石油という会社が設立をされましたために、これがベトナム沖の開発を唯一の目的として、そのためにできたのではないか、ちょうどそういう時期になりましたのでそのように一部に考えられたようでございますけれども、本来、海洋石油は、東南アジアにおける有望な石油をさがそうというもう少し広い目的をもってつくられたものであったわけでございます。  他方で、ベトナムの国内では国内法ができたようでございますけれども、まだこの鉱区を現実に入札に出すという、どこをどうというようなことが一切具体的になっておりませんので、はたしてうわさされておるようなことがあるのかどうかということも現在の段階では不明でございます。及び、会社がその目的のために設立されたという経緯ではないのでございますので、私どもとして、もう少し具体的にどのような事態の展開をするのか、それを見ておりましても十分である、かように考えておるところでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 先般羽生委員からも強い意見が出ておりましたが、紛争当事地域と申しますか、紛争が起こっておる地域でございますから、この点につきましては、日本政府としても、民間ベースの国際入札に入札するかしないかという問題はともかくといたしまして、日本政府の指導としても、ただ一方的に戦争当事国の一方的な国に加担するといいましょうか、力づけるといいましょうか、そういう点につきましては慎重にこの問題を取り上げていただきたいということを私は考えるものでございます。何と申しましても五四年のジュネーブ協定以来紛争が続いているのでございます。一つのベトナムが二つに分離されておるという現状でございます。複雑な国際情勢の中で争っている、戦っている状態でございますから、この点重ねて外務大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、十分今後とも注視してまいりたいと思っておる次第でございます。これはむしろ、法律的とか条約的とかいうような点から論ずるだけでなくて、やはりいまおっしゃったような、全体としての政治的な配慮と申しますか、そういうような点にも十分重点を置いて配慮いたしたいと思っております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 関連。  いま石油問題というのがたいへん大きな問題になっておるわけでありますが、OPECとメジャーとの話し合いにも日本としては一言の言を差しはさむこともできなかったわけです。しかしながら、考えてみますと、世界で石油の輸入量の多いのは日本が一番多いわけです。しかも八社ですか、このメジャーから日本には買っていると、こういう事態になっているわけですが、実際にはOPECの国々とメジャーとの間で石油の価格というものはきまってくるだろうとは思いますが、さらにそれが日本に対する販売ということになりますと、石油関係の国際カルテルというものがもうでき上がっている、こういうふうに見てよかろうと私は思うんですが、そういう国際的な石油カルテルというものが存在して、そのために日本の必要な石油に対する価格のつり上げというようなものが実際上は行なわれているんではないか、こういうふうに思いますが、この点はいかがですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 厳密に法律的な意味で申し上げることはできませんけれども、常識的に、いわゆるメジャーというものが現在開発されておりますところの世界の市場を相当程度支配しておるということは、これは事実と思います。ただ、実はメジャーの間にも激しい競争がございますことは御承知のとおりでございまして、わが国に対しましても、一般的には常にそういう競争が存在いたしております。今回のような場合にはこれはまた別でございますけれども、従来わが国としては、そういうメジャー間の競争を、まあ申せばじょうずに利用してバイヤース・マーケットをつくってきたわけでございました。これからセラース・マーケットにかりになるといたしますと、その辺がどういうふうに展開いたしますか、わが国としてもいろいろ考えておかなければならない問題でございますが、今回の問題に関して申しますと、メジャー側は一様にOPECとの協議の結果をそのまま世界各国——わが国を含めまして消費国に転嫁をしたいといっておるのでございまして、その間に、それに何かをプラスして消費者に押しつけようというような、そういう形跡はございません。ただ、共同行為、共同動作をもって同じ値幅のものをわが国にも値上げしようとしておりますことは、これは表面事実でございます。で、私どもはそれに対して、そのこと自身が消費者の都合を考えない、理に合わないことであるということを考え、また業界もそういうことを申しておりますのと、次に、かりにメジャー全体としての表向きの返事は、各国ともそうしてもらっておるのでということではありましても、今度は具体的に、これは公になるかならないかは別といたしまして、おのおのが自分の取引先との関連をどう考えるかということとは必ずしも一緒であるとは限りませんので、その辺のことも私ども考えながら、いま精製業界に対して、一面メジャー全体を相手にするような形で、しかし他面で、おのおのとおのおのが話をするような形で話し合いが進んでいるところでございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 おそらく今後の資源問題というものを考えてみますと、セラース・マーケットになっていく可能性というものは、まあ鉄鋼にしても鉄鉱石にしてもあるいは石炭等にいたしましても、そういう可能性というのは非常に強まってくるんじゃないかというふうに思われますが、そうしたものが最終的には日本の消費者へかかってくるわけです。この際、私は、国際的にも、そういうカルテルというようなものはやめていくという国際的な話し合い、こういうようなものができないものか、また、日本あたりがそういうものをこの際提唱をして、国際的なカルテルというものをお互いに慎んでいく、そして、自由競争の上に立っていくんだ、こういうことが今後非常に必要になってくるだろうと思うんですが、そういうような提案というものを日本政府はしていくような意思があるのかどうか、そういうことは必要ないとお考えなのか、その辺の事情、考え方を伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これにはいろいろな面がございますわけで、ただいまのそのセラース・マーケット云々、私も同じようなことを先刻申し上げましたけれども、逆に論をなします人たちは、今回OPECがかなりの値上げに成功した、しかも数年間の供給の方式というものは、事実上五年間きまったわけでございますので、そういたしますと、産油国としては、そのような満足し得る条件をもってできるだけ今度は油を出そうとするのではないだろうかと考える人々がございます。あるいはそうでございますかもしれないわけでざございます。かなり有利な条件になりましたから、産油国にとりましては。で、そこで私も最終的にセラース・マーケットになると断じ切れない要素もあるなあと、大まかには基調は変わったということは、ただいま御指摘のように私もそう考えておりますけれども、そういうことも考えておかなければなりません。それから同時に、今回産油国が表明いたしましたように、自分たちはできれば中間にあるもののまあ利益をできるだけ小さくしていきたい、そして消費国と直接結びつきたい、こういう意向が今回の会議を通じて表明されておりますので、わが国のような消費国は、そういう意味ではまた産油国ともう少し密接に関係し得るチャンスを持ったとも言えるかと思います。かたがた最近の深度掘さくの技術の進歩あるいは探鉱技術の進歩に伴いまして、まだまだこの新しい石油資源の開発ということは実は可能である。まあかりに既存の開発のものが世界の六分の一であるということがそのとおり事実でないにいたしましても、まだまだそういう可能性があるというふうにも考えられます。そのようなことを考え、しかもそれらの作業のうちには、われわれとメジャーのどれかとが共同で作業をしたほうがいいものもあり得る、少なくとも情報等の点についてもそう考えられますので、いわばメジャーとわれわれとの関係というのは、一面対立する関係、一面協調する関係というのを、やはり両面で考えていかなければならないということがあるのではないかと思っておるわけでございます。そういう面から申しますと、ただいま御指摘の点などはかなり微妙な要素を持っていると思われます。それから、全然別のこれは要素でございますけれども、OECDにおきましては、各国が今回のメジャーとOPECとの話し合いの際にOECDの立場から集まりまして、いろいろに協議をいたしました。そうして行く行くは消費国も含めた国際的な相談の場というのができることが必要ではないかという主張もちらほらきかれるようになったわけでございます。ですから、このような国際的な場における相談の場というものは私は伸ばしていくことがいいだろう、そういうものを発展さしていくことがいいだろうと思っておるわけでございますけれども、他方で、また前段申し上げましたような考慮から申しますと、バイラテラルな、一社対一社の関係でメジャーとこれからどういうふうにつき合っていくかというのは、多少また別の要素も入ってくるというふうに考えておるわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 関連。  簡単に一つだけお尋ねします。いまの竹田委員の御質問にありました石油の原油の売り渡し価格に対して国際的なカルテル行為が行なわれているかどうか、そういう点なんですけれどもね。せんだって公正取引委員会が立ち入り検査をやられたようですね。その結果、まだ私聞いておりませんけれども、かなり疑わしいというのが証拠がつかめたように聞いているわけです。ですから、通産大臣としてもその辺は非常にむずかしいと思います。むずかしいと思いますが、慎重に御配慮いただきたいというのが一つ。  それから、いま西村委員の御質問の中にありましたように、わが国の石油の九〇%以上が外国に依存しているわけですね。ですから、日本の石油業界の諸君が何とかその石油の開発ができないかということですね。なかなか努力されることはよくわかるわけですよ。ただ、いまやろうとするような、また私が一昨日質問したようなああいう場所ですと、へたをして戦火の中にまた巻き込まれる危険性もあるから、そういうことろについては慎重な配慮をして、やめてほしいというのがわれわれの気持ちなんです。その他の方法においてあらゆる努力を尽くして、とにかくいまアラビア石油がああいうような形をとっておりますけれども、何とかアウタルキーまでいかなくても、相当な量が自給できるような、そういう方法をとる必要があると思いますが、そういう意味における積極的な政府の業界指導というものは非常にやってほしいと思う。その点いかがです。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まず、後段に言われましたことからお答えを申し上げますと、私どもまさにそういうことを実は考えておりまして、これは大蔵大臣にも事柄としては基本的には御賛成をいただいておることでございますけれども、石油——広くは資源全般でございますが、ことに石油問題につきましてマーケットの基調も変わったやに見られますので、従来の考え方からひとつ根本的に新しいものを考えたいと存じまして、この夏ごろまでには結論を出したいと、通産省だけでなく、私どものほうで試案をつくりまして、大蔵省あるいは外務省等々と関係各省と共同作業をいたしたいと考えております。この結果は、昭和四十七年度予算編成とも関連いたしまして、予算の面あるいは法案の面でまた御審議を仰ぎたいと考えておるわけでございます。  それから前段の公正取引委員会の問題でございますけれども、私、公正取引委員会にかわって、いま申し上げることは差し控えなければなりませんが、この各国の独禁法の適用の関連、それとわが国の独禁法、こういうことのからみは、かなり実は複雑のようでございますし、それからメージャーがわが国のおのおの精製業者に石油を売りますときの契約の内容といったようなものが実は必ずしも明確でございません。そこでそのようなこともかなり問題を困難にしておるように、そういうことではなかろうか。私どもとして、そういう観点から問題を公取が考えてくれるということは実は歓迎いたすところでございまして、できる協力はいたしたいと思っておるんでございますけれども、どうも報道されたように、公取も十分に調査が進められる自信というものは、いまの段階ではお持ちでないのではないだろうか。私たちできるだけの協力はいたしたいと思っておりますけれども、そんなことではなかろうかというのが私の推察でございます。公取にかわって申し上げるわけではございませんので、この点御了承をいただきたいと思いますが、そんなふうな推察をいたしております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 インドシナ情勢につきまして、外務大臣、防衛庁長官に主としてお伺いをいたしたいと思います。  過去十数年、二十年近い長年月にわたりまして、ベトナムをはじめカンボジア、ラオス、インドシナ地域において、あのような非常にきびしい激しい戦闘が続いておるんでございますが、それらの地域において米軍が用いました兵器の種類及びその数量、それからそのエフェクトですね、その結果どういう状態を来たしておるかということについて防衛庁長官からお伺いいたします。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 地上戦闘におきまして、両方ともに主として小銃、機関銃、迫撃砲、火砲等を使用していますが、共産側はこのほかにロケット弾をしばしば使用しております。航空機による対地攻撃は地上戦闘の支援、補給ルートの切断等のため、各種の爆弾、ナパーム弾、ミサイル等が使われ、またヘリコプターの場合には、機関銃、ロケット弾等々が使われていると承知しています。共産側は航空機及びヘリコプターによる地上戦闘支援を行なっておらず、地対空ミサイル及び多数の高射火器を使用して防空を行っていると言われております。生物・化学兵器については、米軍によりかつて地下壕等に潜伏しているゲリラ部隊員を追い出す目的等のため催涙剤が使われていたと聞いています。枯れ葉剤についてはジャングル地帯の警戒のため、かつては米軍により大量に使用されたようでありますが、最近は基地周辺の除草の場合を除いて、ベトナムにおける使用は全面的に停止されたと報ぜられています。催涙剤についても現在は使用されていないと思われます。なお、インドシナ作戦で米軍が運用している航空機は約千五百機、ヘリコプターは約三千五百機と承知しております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いまの長官のお話の中に、枯れ葉剤というのがございましたが、これは二・四・五Tではなかろうかと思うんでございますが、もともと生物兵器として使われたものでございます。この二・四・五Tにつきましては、アメリカの議会におきましても、かなり問題が起こっておったんでございます。これは最近もう使わなくなったと、しかし使うだけ使っちゃっていまは使わなくなったということでは困ると思うんでございますが、これがどれだけの地域にまかれたか、どのような影響を与えたかということについて防衛庁としてはつかんでおられますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 脱葉剤には幾つかの種類があるようでありまして、米軍の文献によりますと、オレンジ——二・四Dと二・四・五Tを混合したもの、それからホワイト——ピクロラムと二・四Dとを混合したもの。ブルー——カユジル酸水溶液、それからブロマジル、それからモヌロン、こういういろいろな種類があるようであります。それでいま言われたオレンジというものは広葉樹に有効で、撒布後一週間で死滅するよしであります。これらは地上撒布あるいは空中撒布によって行なわれたと言われておりまして、これは植物による遮蔽の除去及び通信線の切断等に使われたようであります。いずれも人畜に対しては比較的無害でありますが、二・四・五Tには不純物、主として微量のダイオキシンが含まれておるというよしであります。インドシナ戦争における使用数量は明らかでありませんが、脱葉剤一ヘクタール当たりの使用量は、その種類によって異なりますが、十ないし五十キログラムであり、ベトナム全土の五%にあたる五千三百二十五平方キロメートルに撒布されたと聞いていますが、これから推定する以外にはない模様であります。

西村関一日本社会党

○西村関一君 アメリカの資料によりますと、南ベトナムの全面積の一二%にわたる地域にこれを撒布したようにございます。しかもこれが人体に及ぼすところの影響は奇形児を産む、サリドマイド児のような奇形児を産むということが調査の結果報告されているんです。いま私の手元にベトナム・コリアというハノイから出しております新聞が届けられておるんでございますが、この中にも、アメリカン・サイエンチスト・アンド・ケミカル・ウオーというのが出ております。いろいろのことが書いてございます。私はこのことがハノイ側だけの報道であって、アメリカもこれを確認しているかどうかということを調べたいと思いまして、国会図書館に参りまして、このアメリカの科学者たちの資料を求めたんでございますが、国会図書館ではちょっと見当たりませんでしたが、日本学術会議に参りまして、この資料を手に入れたんでございます。これはやはり間違いないということでございまして、いまその詳しいことについては申し上げる時間がございませんけれども、人体にかなりの影響を与える、すでに奇形児が出ておるということでございまして、こういうような奇形児の写真も提示されておるのでございます。このことがアメリカの議会で問題になりまして、二・四・五Tの人間及び環境に及ぼすところのエフェクトというこのようなアメリカ上院議会のヒアリングのレポートがこんな大部のものが出ているんでございます。これはやはりアメリカはそういう点においては良心的な面があると思うんでございます。すぐにこのことが議会で取り上げられますというと、ヒアリングやりまして、このような大部の報告書を出しておるんでございます。私はこんな大部のものでありますから、これを全部読んだわけじゃございませんけれども、そういうことがアメリカの軍部によってベトナムにおいて行なわれておる。その他のいまお話になりました兵器にいたしましても、きわめて非人道的なエフェクトを与えるところの兵器を用いておるんでございます。そういうことをやらざるを得ないというところにベトナム戦争、インドシナ戦争のきびしさがあるというふうに私は考えますけれども、こういうことは、やはりこれは国連のウ・タント事務総長報告、化学細菌生物兵器の使用とその影響、これは外務省から出している翻訳でございますが、この中にはいま私が申し述べました二・四・五Tはもちろん入っておりませんけれども、しかし、これに類するような兵器が現在は使わなくなったと、これはアメリカの議会で問題になりましたから、おそらく使わなくなったのだと思いますが、これは国会図書館にこのレポートがちゃんと保存されておるのでございまして、こういうようなことから考えまして、私はベトナムの戦争、インドシナの戦争が、国際法や国連憲章や諸条約に違反するかしないかということは別問題といたしまして、おそらくこういう兵器は人口稠密なヨーロッパ地域においては、かりに不幸な事態が起こったとしても使わなかったと思うのでございます。やはりアジア人べっ視の考え方がアメリカにある。アジアの地域なればこそ何をやってもかまわない、極端にいえば。そういうべっ視感から出ている。その目的のためには、手段を選ばないというような考え方がアメリカの軍部にあるということはいなめないと私は思うのでございまして、こういうことにつきまして、これをどういうふうに受け取っておられますか。防衛庁長官は、外交問題においてはこれは外務省、外務大臣の見解に属すると言われるかもわかりませんけれども、やはり日本の防衛を担当しておられる長官として、また日本の将来ある優秀な政治家の一人として、こういう問題に対してどういうふうに考えておられるか、御見解を伺っておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) かりに戦争といえども、非人道的な兵器の使用というものは、極力抑制さるべきであると思います。そうして、使われる兵器並びにその数量というものにつきましても、必要にして可及的十分という限度にとどむべきでありまして、力が幾らあるからと言って野方図にこれを使っていいというものは人道に反すると思います。われわれ自衛隊は、憲法のもとに独自の防衛力を造成しておりますけれども、そういう点につきましては、今後とも大いに戒めてまいりたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務大臣。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 西村委員も外務委員会等における政府の説明もよく御熱心にお聞き取りいただいておりますから、詳細に申し上げることは省きますけれども、日本政府としては、御承知のように一九二五年の毒ガス使用禁止の議定書に昨年国会の御承認を得て批准をいたしたわけでございます。したがいまして、二五年の議定書で使用を禁止されている種類の毒ガスというものは、いかなる場合にも、いかなる国によっても使われざることを、これ期待いたしておるわけでございます。アメリカにおいてもようやく二五年の議定書の批准ということを国会の承認を求める手続はしつつあるようでございますけれども、これがすみやかに行なわれれば、二五年の禁止しているものはもちろん使えなくなると思います。それからさらに日本といたしましては、軍縮委員会においてBC兵器の使用のみならず、進んでその他の面におきましても積極的な提案をして、各国の同調を求めておるわけでございますから、こうした日本の考え方というものが、大国間においてもコンセンサスとして成り立つ、そうして成り立てば、こういうものが根本的に使えなくなるというようなことにすみやかになるようにいたしたいものである。これを基本的な体制にして、現在のジュネーブで行なわれております軍縮委員会におきましても、かねての方針どおり、日本の代表といたしましては、できるだけの努力を展開中でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 文部大臣にちょっとお伺いいたしますが、一九六九年の十月、日本学術会議の総会におきまして、化学生物兵器の禁止について、ジュネーブ議定書の批准の推進と、わが国での化学生物兵器の生産、貯蔵及び使用をしないことを強く声明する、こういう提案がなされて、ほとんど満場一致で採択されたということは御存じのとおりでございます。これを大臣はどういうふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 一応私は聞いておりますが、詳しくは聞いておりません。しかし、そのことは、やはりわれわれといたしましても守っていかなければならないことではないかというふうに考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 私が各大臣にお伺いいたしております趣旨は、もうおわかりになっていらっしゃると思うのでございますが、戦争そのものはきわめて非人道的なものであるということはいなめないと思うのでございますけれども、しかし、アジアの地域において、われわれのごく近い地域において非人道的な戦争が繰り返されているということは座視できないと思うのでございます。そういう立場から、何とかしてこの戦争を早くやめさせる手だてを尽くすべきではないかという趣旨から質問をいたしておるのでございます。  そこで、重ねて防衛庁長官にお伺いいたしますが、ベトナム及びインドシナ戦争において米軍が使用いたしましたところの爆弾、B52によるところの爆撃によってどのくらいの爆撃をやったか。ベトナム、カンボジア、ラオス、この六カ年間、少なくともこの六カ年間においてどのくらいの爆弾をあのインドシナ地域に投下したかということと、このわれわれが忘れようとしても忘れることのできないB29がわが国に投下いたしました、特に東京に投下いたしました爆弾の数と対比いたしまして、どのような状態になっておるかということをこの際お伺いいたしておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 第二次大戦中日本に投下されました爆弾は十六万一千四百二十五トン、機雷が一万二千個、原爆が二個。これは米国の爆撃調査団の報告であります。  インドシナ戦線でB52の一カ月間の延べ出撃機数は、六八年の最盛期に千八百、その後次第に減って、七〇年初めは月間千四百、同八月が千二百、九月以降は平均月千となっております。これらの期間で米国がインドシナ半島で落とした爆弾の量は、ル・モンドによりますと、五百十七万二千五百八十八トンに及ぶであろうと。ベトナム、ラオス、カンボジア領内に落ちたものであります。ですから、大東亜戦争で日本に落ちたのが十六万トンに対して五百十七万トンというばく大な数量のようになっているようです。ただし、ニクソン大統領は、四十六年二月十七日の談話におきまして、戦術核兵器は使用しないと、そういうことはいまでも言明しております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いまお答えいただきましたように、比較にならぬくらいたくさんの爆弾をあのインドシナ諸国諸地域に投下している。われわれが第二次世界大戦において受けました被害と比べまして、これはまあ人口の槻密度から申しますと、それこそそれも比較にならぬと思いますけれども、しかしこれだけのばく大な爆弾を投下していると。もう山容は改まっておるし、あのジャングルの密林はほとんど形を変えておるというような状態にまでなって、生活の根拠を失っているインドシナ諸国の農民たちの状態、また親を失い、子供を失っているところの人たちの苦渋、そういうことを考えますと、これはよそごとだとは思えない。これは十六万トンに対して六百万トン近い爆弾をあの狭いところに落としておるということでございます。これは私は、こういうことは許されないと思いますし、こういう事態は一日も早く終息させなければならないと思うのでございます。  戦術核兵器は使わないということを言明しているということでございますが、一説によりますと、十七度線を境といたしまして、そこに放射能の汚染によって北と南とを分離してしまうというようなことを考えておると。これが戦術核兵器の使用ということにつながるかどうかわかりませんけれども、そういうことが伝えられておる。そういうことがないことを私は望みますけれども、そういうことを言われておる。  また、戦術核兵器につきましては、かつてディエンビエンフーの戦いのときにこれを使おうとしたこともありますし、朝鮮戦争のときにもその決定がなされようとしたことがございますね。今回ニクソン大統領が戦術核兵器は使わないということを言っておりますけれども、はたしてそのことを信頼していいかどうか。われわれとしてはそういうものを使ってもらっちゃ困るということを強く、私はこの国会の場におきましても、私は野党の議員でございますけれども、野党とか与党とかいうことのそういうことは別にいたしまして、戦術核兵器を使わないことを強く要望するということを私は訴えたいんでございます。その点愛知外務大臣はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はかねがね申し上げておりますように、もう核はもちろんでありますが、インドシナから外国軍隊が撤退するということが何より大切な一番の基本のことである。そうしてアメリカといたしましても、撤兵の計画を内外に公表しておるし、いままでのところはその発表した予定どおり減軍も実行しているようでございますが、この上ともに、先般もいろいろお尋ねがございましたか、ジュネーブ協定が守られて、そこに早く返るように、ことにカンボジア、ラオスと次々と事態が憂慮すべきことになりましたが、ラオスについては、率直に申しまして、二月初旬以来の日本政府の関係国へのアピール、またそれをとりまとめての米英政府への申し入れ、連絡というようなことが、昨年のカンボジアのときよりも相当効果があらわれてきているような感じを私実は受けておるわけでございまして、たとえば共同議長国の関係にいたしましても、ソ連が昨年よりももう少し積極的に意向を表明してきている。イギリスはもちろん非常に熱心である。あるいはその他の日本側としてアピールした国々も相当の熱意を示してジュネーブ協定の線に戻るということについての同意見を示してまいっております。これは必ずや、少なくとも今後双方がエスカレートしないということには相当の私は影響力があるのではないかと見ておりますが、そういうところでもちろん満足できるわけのものではございませんから、基本的にこうした態勢がもっと積極的な動きになって、われわれ、そしてインドシナ半島の人たちに安心ができるような状態がつくり上げられるようなことに、この上ともできるだけの努力を展開いたすべきである、かように存ずる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 私は政府の努力に対してこれを多とするものでございまして、決して何もやっておられないというようなことは考えておりません。  しかし問題は、六二年のジュネーブ協定を守る守らぬという問題だけじゃなしに、五四年のジュネーブ協定までさかのぼらなければ、私はいわゆる北側を納得させることはできない、あるいは解放戦力側を納得させることはできないというふうに考えるのでございます。その点について、いまここでこのわずかな時間で外務大臣とお話し合いをするということはできませんが、それは別の機会に譲りたいと思いますけれども、一つ伺いたいと思いますことは、パリ会談がどうして暗礁に乗り上げておるのであるか、どういうところに争点があるのであるか。アメリカは引き揚げると言う。解放戦力側は引き揚げの具体的な計画を示せと、そうするならば、いつでも和平の会談に応ずるということを言っておるのでございまして、それぞれ具体的な見解を出しておるのでございます。どういうところに争点があって、なぜパリ会談が暗礁に乗り上げているのか。あれをもっとパリ会談を成功させるような手だてがないものだろうかということを思うのでございますが、外務大臣としてはどうお考えになりますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ごもっともでございまして、パリ会談がまとまれば、もちろんそれはたいへんけっこうなことであると思います。何ぶんにもこれはまあ実際は四者でやっているわけでございましょうけれども、きわめて秘密に行なわれているわけですから、この内容等について軽々に想像を用いて申し上げるわけにもまいりませんけれども、双方それぞれの言い分がある。たとえばアメリカ側としては、俘虜の扱い等につきましてももう少しはっきりした保障を得たいというようなこともあろうかもしれませんし、また北側からいえば、ただいまもお話のように、米軍撤退の具体的な何か保障というものの要請があるかもしれません。しかし、ともかくも現在会談は中断しているわけではない。まだまだこれに期待が持てるあるいはまた四者の中で直接米側と北越側との間の何かコンタクトができるということもあるいは考えられるかもしれない。これは各国ともにこの成果があがることをみんな望んでいることであろうと思いますから、この上ともに成果のあがることを期しながら、それについてそれぞれこれは日本だけでどうということもなかなか私は率直に言ってできないと思いますけれども、いろいろの面から成果があがるように促進することには、各国と協力して当事者の努力を要請いたしたいものだと思っております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 この前も伺いましたが、ワルシャワ会談というものが中断されておるような状態になっておるということでございます。それからウィーンで開かれますところのSALTの会議、これがその成果が危ぶまれておるということが報道されております。これは非常に大事な会議だと思うのでございますが、これにつきまして外務大臣としてはどういうふうに考えておられますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ワルシャワの米中会談については、私は中断とは見ないのでございまして、すでに百数十回もときどき間を置いては行なわれておったような経過から申しましても、これは何どきでも双方の呼吸が合えば百何十回目が開かれる状況ではないだろうかと見ております。関係当事国双方ともこれをやめたという態度はとっていないと思います。  それからSALT交渉のほうは、率直に言って一時もっとどんどんと速度が速まって何らかの結論にいく時期が期待されておったように思いますけれども、その期待に比しては相当おくれているというか、いまどういうふうになるかということの見通がなかなかつかないようですが、これとても米ソ両方がSALT会談を始めたときの発想、願望を変えたわけではないと思うのでございまして、両当事者ともに本件のまとまることについての誠実な努力というものは今後とも続けられることであると、またそうあってほしいと、こういうふうに存じております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 次にお伺いいたしたいことは、日本政府も数年来、国連の場において、国連憲章の改正ということを言っておられるのでございますが、その中におきまして、平和維持機構をどのように強化するかということについて、三十三カ国委員会というものができておりますが、その経過なり現状はどうなっておりますか。また日本政府のこれに対するお考え方はどうでございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは平和維持機構の問題と、それから特に日本が積極的な態度を示しております憲章改正問題と、両方の立場から何といいますか、詰めていくことが適当かと思いますけれども、憲章改正問題の中でも平和維持機構の充実と責任制の確立ということは考え方としてうたっておりますから、こういった角度からの政府の考え方といいますか、提案といいますか、これが漸次同調国をふやしていって、そしてそれが何らかの形にまとまるか、まとまらないにしても、それだけでも何らかの成果があがるということになれば、これはたいへん望ましい姿であると存じます。  それから憲章改正全体の問題について、日本側の主張は御承知のとおりでございますが、御承知のとおり従来からそうでありますが、なかなかいわゆる大国が反対をいたしておるわけで、いろいろの経緯はございましたけれども、結局しかし、憲章改正問題は日本等の提案がともかく来年の総会におきまして取り上げられることになった、今年の総会ではそこまでまいりませんでしたけれども、とにかくしかし公のオープンの場で取り上げられるということになりましたことは一歩前進であろうか、こういうふうに存じております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 憲章改正につきましては、日本は具体的な提案をするということになっているのでございますが、そういう点につきまして、外務省としては成案をもう持っておられますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 外務省自身としての案も持っておると申しますか、一つの案は考えておりますが、同時にこれは大多数の国連加盟国の同調がなければならないわけでございますから、趣旨や精神や、相当具体的な点に至るまで、各国の同調を得るためにはある程度流動的と申しますかある程度幅のある考え方がよろしいのではないだろうか、しゃにむにこれでなければいけないというような取り上げ方もございましょうけれども、またときによりましては、相当の幅のあるところで満足しなければならないところも予想していかなければならないかと思います。ある意味では若干の時間がおくれました、国連でも取り上げる時期が。しかしそれだけにいろいろと加盟国の間に憲章改正に向かっての意欲を盛り上げていくことに必要な時間もある意味からいえば出てまいりましたわけですから、こういうムードの中に立ってそして多くの国を誘引し、さらには安保常任理事国の各国をもできるだけ理解を示させるようにして、漸次忍耐が要りますけれども、日本の企図するようなところへ持っていくようにいたしたいものだと思っておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 本件につきましては、二十四回の国連総会において、二十五回総会の議題として取り上げるように提案をしておられるのでございます。それが事実上昨年の総会におきましては、七二年の総会の議題となることが決議されたと、これはまあ一歩前進だということを言われましたけれども、二年間のたな上げになっておるということでございますが、これはやはりさっきもお触れになりましたように、米ソ両大国の大国エゴイズムというものが国連という場においてこういう結果をもたらしておるというふうに思うんでございますが、米ソ両国だけでなくて、イギリス、フランスも消極的でございますが、こういうような状態に対して開発途上国と申しますかの国々の代表たちはむしろ積極的にこの憲章改正を推進しようという気がまえを示しておることは御承知でございましょう。日本といたしましてはいままでのいきさつから申しましても、もう少し大国に遠慮することなく、諸般の情勢を検討しながらといわれますけれども、多数の開発途上国、国連に加盟しておる多数の大国以外の国々の代表たちの意見もあることでございますから、もう少し積極的にこの憲章改正の問題を取り上げていただきたいと思うんでございますが、その点どういう具体的なめどで、また具体的な内容でこの問題を進めていくお考えでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 日本政府として特に本件を積極的に公に提案といいますか、積極的な態勢を示したのは二十四総会からでございますから、昨年の二十四総会と今年の二十五総会でございます。そして改正問題を二十六国連総会の正式の議題として取り上げることを提案いたしたわけでございます。そしてこれを中心にしていろいろの論議が重ねられましたが、率直に申しますと何でもかんでも二十六総会で正式議題として取り上げよということで最後までがんばりますと、その全体が否決になるという票読みになりましたものですから、一歩後退いたしまして、期間では譲りまして第二十七国連総会の正式議題にすることに妥協したわけでございます。そのかわり第二十七総会では国連総会の正式議題にするということが大多数をもって採択されたわけであります。そして同時に来年の七月までに各国は国連憲章改正に対してのコメント、意見を事務総長の手元まで出すということに相なりました。それらの点が正式に大多数できまりましたから、その意味からいえば日本が第二十四総会から正式、公式に提案いたしましたものが三度目の二十七総会では正式の議題になり、そしてその直前の七月までに各国は事務総長までそれぞれコメントを出すということになりましたから、そういう点から申せば本件がいよいよ日の目を見る段階にはなった。  さてしかし、これからその内容について平和維持機構とか、あるいはまた常任理事国の構成、あるいはまた敵国条項であるとか、あるいは国際司法裁判所の問題とか、いろいろ具体的な改正案については、さてそれからどういうふうなことになりますか、これは相当な大論議ということになりましょう。そしてその結着をだんだんつけていくのには相当の私は時間がかかると思いますが、しかし二十四総会以来の経緯を見ますと、たとえばいわゆる先進国の中でもイタリーというようなところは日本の提案というか、考え方に積極的な賛意を表しております。それから中小国の中にだんだんと国連も二十五年ここまできたんだから、ここでひとつ初心に返ってよりよき国連を、現状に合うように改組といいますか、改善しようという空気はようやく相当の国々の間に同調する機運が出てきたということは、私は言えるかと思いまして、その限りにおいては喜んでおりますが、同時にこれからの努力はまた非常にたいへんである。これはぜひ全国民的な御支持、御協力のもとにこの線が伸びていくことが望ましいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 国連平和維持機構の強化の問題につきまして、いま各国はどういう考え方を持っておりますか。北欧、カナダ等の国連待機部隊等のこともございますが、これも含めてお答えを願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたような経過でございますから、一つ一つの提起いたしました問題について、どこの国がどういうほどには、まだかたまった意見として申し出ているところまでには至っておりませんから、一がいにどこがどうということまでは、まだなかなか機が熟してこないと思います。  ただ先ほど来インドシナの問題でもこの点が出ておりますけれども、たとえば国際紛争が起こりましたときの国際監視団というようなことが結成されましても、なかなかファンクションすることがむずかしいわけでございますね。非常にまどろっこしく感ずるわけで、こういうところはひとつ国連の、場合によりましては事務総局がもっと責任がとれるような形になり、そしてもっときびきびと動き得るような責任体制のもとにおける行動が望ましいというような点については、私は観念論かもしれませんけれども、相当各国の理解が進んで来つつあるのではないか、こういうふうに存じております。   〔委員長退席、理事森八三一君着席〕

西村関一日本社会党

○西村関一君 まあ大臣はお触れになりませんでしたけれども、国連待機軍の現状につきましては、外務省も把握しておられることだと思うのでございます。こういうものに対して、日本政府としてはこれをどういうふうに評価するか、こういう現状に対してどういうふうに評価するか。国連に自衛隊を出すということは、もちろんこれは憲法や自衛隊法に抵触いたしますから、たとえ国連のためとはいえ、それはできないと思っております。待機軍の形はこれは国軍とは一応離してなされておると私は理解しております。国連待機部隊といいますか、そういうものを置いて訓練している北欧諸国やカナダ等のやり方にどういうふうに評価しておられますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いまお答えが漏れまして失礼いたしましたが、この問題については何回か国会でも御議論が出たところでございますけれども、ただいまのところそういった待機、常備するような実力部隊というものに対して、日本が積極的に参加するというようなことは考えておりません。これはただいまもお話がございましたが、憲法はともかくとして自衛隊法などの点からいってそれができないということもございましょうけれども、さらに私はもう少し根本的に考えて、日本のいわば世界にユニークな憲法を持っておる平和国として、そういうような点についても日本の協力というものについては、日本独特の協力の姿勢が望ましい、私はまあこういうふうに考えております。  この点は先ほども触れたわけですけれども、たとえばジュネーブ協定における国際監視団につきましても、政府としては望まれれば協力の用意はございます。しかし、それは資金の面あるいは資材というような面での意味でございますということはきわめてはっきりしておるわけで、この考え方というものは、ただいまお話の国連待機軍についても私は当てはめるべき考え方だろうかと考えております。しばしば外務省では国連待機軍参加の積極案というものを持って引き出しに入れているはずだという御質疑がかつても出たことがございますが、そういう点についていろいろの考え方というものが勉強されていることもありましょうけれども、政策として、さようなことを外務省として考えているわけではございません。

西村関一日本社会党

○西村関一君 いま大臣もお触れになりましたが、国連事務総長の権限を強化するということを含めて、やっぱり憲章の改正を考えなければならぬと思うんでございます。そうでないと、平和維持機構というものも実際に弱いし、発動することも事務総長の権限にないし、いろんな面に実際の効果は薄いものになっちまうと思うんです。そういう、私のお伺いしたいと思います点は、国連をもっと強化する、せっかく国連というものがあるんでございますから、これをただ大国だけの国連にしないで、国連憲章の精神にのっとって世界の諸国、諸民族の一人一人の国民のための国連にしていくという立場に立って憲章の改正も考えなければならないし、同時に平和維持機構の強化の問題も考えていかなきゃならぬと思うんでございます。ただ、一国の治安を守るということだけじゃなくて、世界の治安を守るという立場から国連の平和維持機構を強化するということが要請されると思うんです。これにはわが国がどういう形で参加するかということにつきましては、いろいろ問題があろうと思いますけれども、しかし、この問題は看過することができない問題だと思うんでございまして、国連外交を推進するわが国といたしましても、この問題に対してより真剣な取り組み方をしていかなければならぬと思うんでございます。この点、防衛庁長官はどういうふうにお考えになりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前にも申し上げたかもしれませんが、個人としまして人類武装・民族非武装ということが次の段階で望ましいと、こう考えておりまして、そういう中心は国連が成長していくべきであると考えております。理念としてそういうものを持っておりますから、先生の指摘する方向には私賛成でございます。ただ、現実の日本はそこまでまだまいるわけにまいりません。しかし、国連憲章の改正そのほかあらゆる機会を通じてそういう人類的な、普遍的な立場に立った努力を持続的にやっていくべきであると思いますし、われわれの防衛力の整備の方向もそういう趣旨に沿ってやっていくべきであると、そう思います。

西村関一日本社会党

○西村関一君 通産大臣にお伺いいたしますが、経済協力のあり方につきまして、私は自由主義諸国の開発途上国の経済開発に対する協力、社会主義諸国に対しても同様な協力をしていくべきであると考えるんでございますが、その点につきましてはいかがですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 平和憲法を志向しておりますわが国にとりまして、   〔理事森八三一君退席、委員長着席〕 第三次大戦のようなものを招きませんように、その原因になりそうなものを排除するということが大事な国の方針であると考えますから、そして経済協力はそのための非常に有効な手段であると考えておりますので、特に相手側の国の体制いかんといったようなものを、どうしてもこういう場合には経済協力ができないといったような考え方はすべきではないというふうに思っております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 資本協力と貿易協力と技術協力に重点があると思いますが、その点につきまして、いまのお考えを適用していかれるということでよろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 資本協力の場合には、技術協力と違いまして多少相手側の体制によりまして、たとえばいわゆる民間資本というのを全然認めないというようなことになりますと、そうでない場合に比べまして、いろいろ幾らかむずかしい点があろうということは、これ想像されますけれども、何も社会主義体制であるから一般的な経済協力はしないというふうに考える必要はないと思っているわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 通商産業大臣、もう一点だけお伺いいたしますが、いわゆる南北の南ですね、開発途上国の中の格差というものがこのごろいわれてまいっておりますが、そういう点につきましてはどういうふうにお考えになっておりますか。南のほうの側の格差、つまり開発途上国側の格差の問題はどういうふうにお考えになっておりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、同じ開発途上国でもいろいろ発展段階が違う、こういう御指摘であると思います。そのとおりでございますと思います。したがって、たとえば国連の貿易開発会議のような場合におきましても、御承知のように、特恵という問題が出てきたわけでございますけれども、私ども、その相手国によって特恵を欲する品目は違うわけでございますから、相手国になるべく即したような方向で特恵を与える。また、経済協力にいたしましても、たとえば農業センターといったような協力が最も相手に適するという場合と、もう少し中小企業、あるいはさらにもう少し進んだもの、いろいろございますから、先方が最も国情から考えて適当とするような協力関係を結んでいくことが適当だと、こういうふうに考えております。

西村関一日本社会党

○西村関一君 文部大臣にお伺いいたしますが、わが国が国際社会におけるところの地位から考えまして、教育、文化に対するところの国際協力を進めていくということがいかに重要であるかということは論を待ちません。先ほどの平泉委員の質疑の中にもこれが出ておったと思いますが、GNPの上昇と比較いたしまして経済協力はある程度までいっておりますが、この教育、文化に関する協力につきましては、どのような状態になっておりますか。  なお、時間がありませんから続いて一ぺんにお伺いいたしますが、先般タイ国において行なわれました教育面のアジア地域協力に関する会議というものが開かれましたが、文部大臣の代理が出られたと思いますが、その内容についてお伺いいたしたいと思います。  さらに、これらの教育、文化の協力につきましては、さきの宮澤大臣にお伺いいたしましたように、自由主義諸国だけじゃなくて、社会主義諸国に対しても同様な観点からこれを進めていくべきであると考えますが、特にユネスコを通じてこれらの働きを進めていくということになると思いますが、この点いかがでございましょう。  それから次は、第三点はユネスコのアジア文化センターというものがこの四月から発足すると承っておりますが、これは非常に大事だと思うのでございまして、これに対する文部当局としてのお考え方を伺いたいと思います。  さらに第四点といたしましては、この六月にシンガポールでアジア地域の文部大臣会議が開かれますが、地域協力の問題に対して会議をなさると思いますが、この点、どういうことでございますか。  最後に、国際大学の現状について。また、日本としてどういう受け入れ体制を考えておられるか、その点。  それだけのことを一ぺんにお伺いします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、これからアジアあるいは世界に日本が貢献するならば、やはり教育、技術、文化そういった面もあわせて考えていかなきゃならぬというふうに私どもは考えておるわけでございます。  で、お尋ねの第一点でございます。アジアの教育に関する地域協力会議、これは二月の上旬にタイにおきましてユネスコの主催で開催をされまして、ユネスコの国内委員会の事務総長の伊藤君と、それから国立教育研究所長がこれに参画をいたしました。で、会議の目的は、一九七〇年代におけるアジアの教育発展のために、各国はどういう点でどのような協力をしたならばいいかということの検討でございました。  で、その大きな検討課題でございますが、その第一点は、どうもアジアは他のアフリカとか、あるいは中南米とかいう地域に比べまして、地域協力やあるいは国際協力というものが弱いのではないか。これは、やはりアジアの文化的あるいは歴史的、言語的な相違と、そういうところに原因があろう。また、それぞれの国々がどうも協力への意欲が少し不足じゃないのか。それから、またこれを取りまとめる世話役といいますか、そういうものがなかったというところにあるんじゃないか。しかし、これからはやはり、その障害を克服して、そうして教育発展のために地域協力、国際協力をする必要がある。——まあそれに、おそらく暗には、その裏には日本がその世話役となってそうしてひとつ特に協力してもらいたいということであろうかと思います。そういうようなことを実現するために、たとえばそういう分野は一体どういう分野か、協力し合う分野はどういう分野かということでございますが、それぞれの国における教育内容の改善あるいは教育機器というものをどういうふうに導入をして、また教育方法を考えていくか、あるいは大学がどういうふうにして提携、協力していくか、あるいは教員の養成あるいは再教育、そういうものが取り上げられたようでございます。  そうして、まあこういうようなことをやるために、バンコックのユネスコアジア教育局の中にアジア教育発展センターというものを新設して、研究と連絡、情報の中心とするということ。第二番目は、日本とユネスコが共同で開発いたしましたモービルチーム、これは御承知かと思いますけれども、たとえば農業部面につきましては、現地のエキスパート三人、あるいは日本人の農業関係のエキスパート三人、それにユネスコのエキスパートの方が二人というチームをこさえまして、そうして各国を指導して回る。これは、非常に、私はユニークなことで、先般もユネスコ本部からまいりましたけれども、その方も高くこれを評価しておりました。これを単に農業だけではなくて、やはりその他のプロジェクトにも考えようということで今年度も予算を要求しておるわけでございます。それからまた、各国の教育研究開発センターを地域協力事業に参加をさせるというようなこと、あるいは先進諸国からの財政的援助を強力にやるということ、あるいは次官クラスの定期的な会合を持つというようなこれが討議の結果の大要でございますが、先生御指摘のように、六月初めにはシンガポールでアジア文部大臣会議が開かれまして、こういったものも含めまして大いに討議がなされるというふうに考えております。  それから、確かに私は、文化、教育、技術というものの協力というものを、東南アジア開発途上の国といたしまして、特に日本が力を入れていかなきゃならない、また、その期待にこたえていかなければいけないということはそのとおりだと思いますけれども、アプローチのしかたというものはやはり考える必要があるというふうに思うのでございまして、先生もその点を御指摘になっておると思いますが、そういう意味からはむしろユネスコとユネスコ活動を通じまして教育、文化、そういう面の援助といいますか、協力と申しますか、向こうが求めるものにこちらがこたえていくと、そういう態度が非常によろしかろうというふうに思いますし、また、ユネスコという形をとってまいりますと社会主義国であろうと、それから自由主義諸国であろうと、そういう関係はございませんから、これは一つの大事な行き方だというふうに考えておるわけでございます。  それからユネスコに、御指摘のアジア文化センターがこの四月からいよいよ発足をするということになっておるわけでございまして、たとえばアジア諸国にございまする文化的な所産、それに対するユネスコ活動もこういった文化センターを通じまして進む。本年約五千万円の政府補助が計上されておりますけれども、さらにこれは将来発展をさしていくべきもの、またおそらくそうなっていく、またそのことをアジアの方々は非常に期待をしておられるというふうに考えておるわけでございます。  それから国連大学の構想の問題でございますが、昨年の秋のユネスコ総会では、日本を含む七カ国の共同提案によりまして賛成が七十一、反対がゼロ、棄権三で次の内容の決議を採択をいたしております。ユネスコは国連大学に関する研究を世界の大学界と協力して実施する。二番目には、ユネスコではその研究結果を九月までにまとめ国連に提出をする。三番目には、ユネスコでの研究に要する経費は加盟国の拠出金、国連及びユネスコ予算の節約でまかなう。  国連総会におきましては日本を含む三十七カ国の共同提案によりまして、賛成九十四、反対ゼロ、棄権十一で次のような内容の決議を採択いたしました。加盟国政府は本年五月末までに国連大学の財政負担を含む意見及び提案を国連に提出、二番目は、国連事務総長はユネスコの研究、各国からの意見、提案等を考慮して、国連にかかわる問題についてユネスコ及びユニタールと緊密に協力して研究を継続する、この研究のために国連事務総長に対し、国連総会議長指名の十カ国の政府専門家及び事務総長がユネスコ事務局長及びユニタール所長と協議して指名する五名の専門家で構成する専門家委員会を設置する権限を与える、こういうことで、おそらく今秋の国連総会におきまして、研究の結果を国連事務総長は経済社会理事会を経て提出すると、また国連大学の設置等につきましては今度の総会におきまして討議され、何らかの決定が行なわれる、かように考えております。  わが国といたしましては、最初からこれに対して非常な熱意を示しますし、各界、各層、各党の非常な御協力もございましたし、御援助もございましたし、御叱正もございまして、われわれもこれに対しましてまともに取り組んでまいっておるわけでございますが、本年度の予算におきましてはユネスコにおける研究のために約五万ドル、研究費総額の約三〇%でございますけれども、これを拠出いたしまして大いにこの国連大学の推進と申しますか、総会の決定、そうしてまたどういうような大学をつくるかというようなことにつきましても皆さん方の御意見等、あるいは各界、各層の意見等をとりまとめましてわれわれのはっきりした考え方を打ち出して、そうしてひとつ提案をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 ちょっと大臣、さっきちょっと質問いたしましたことに答弁漏れがあると思うのです。つまり経済協力に対して教育、文化関係の協力が非常に予算的に弱いと、それがどうなっておるかということ、それを御答弁願いたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) ここで予算の額をちょっと申しますと、大体教育、文化の国際協力につきましてはあまり十分ではございません。文部省関係のこの分の合計額が八億四千万円、これは昭和四十五年度でございまして、この点はもう少しやはり考えていかなきゃならない。先ほども申し上げましたように、この物の面に対する経済大国といいますか、経済の実力というものは世界的に見ましてもかなりの高さにある。しかしそれに比例して、文化、教育の面についての日本の国際社会に出てまいりまする姿勢と申しますか態度というものは、まあこう言っちゃなんでございますけれども、はなはだ貧弱じゃないかという気が率直にいたすのであります。この点は私どもも至らない点がございましたけれども、外務大臣あるいは大蔵大臣ともよく相談をいたしまして、平和に徹する外交を進めていくというようなことでございまするならば、それを裏づけするものがやはり必要である、あるいは姿勢が必要である。単に、国際協力というような先ほどお話がございましたように、国内のいろいろの面を補うためにあるいは成長を助けるためにあるいは民生を安定させるためにということだけじゃなくて、われわれが積み重ねたあらゆる部面における成果を、今度こそはアジアのために、あるいは世界のために何か貢献をする使命があるのじゃないか。あまり使命なんかと申しますと非常にまたおこられるわけでございますけれども、その行き方を、私が申しますように、国連あるいはユネスコ活動を通じてアプローチをしていくというような態度が日本の行くべき道だというふうに私は考えておるわけでございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 外務大臣と大蔵大臣、答弁願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 経済協力はひとり経済協力であってはならない、これは先ほど申し上げたとおりであります。したがいまして先ほどから御論議の技術の問題また文化の問題、こういう問題につきましても、もうますますこれから意を用いなければならない、さような方針で臨みたいと、かように考えます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 特に私からはお願いをしたいくらいでございまして、先ほど来だんだんのお話に対しましては、私は全く同感であるという以上に、積極的に文化、外交、それから技術協力、非常にこれは足りないところでございまして、平泉委員にも申し上げましたように、数字をあげて申しましたように、比率からいっても実額からいってもまことに乏しいことでございますが、これは必ずしもお金だけの問題ではなくて、ほかにいろいろのくふうが同時に必要でございますが、それらについて積極的な努力の展開を御協力の上に立って大いにやってまいらなければならないと思っております。

杉原一雄日本社会党

○杉原一雄君 関連。ちょっとタイミングがずれたのでありますが、通産大臣に対して、三月五日の総括質問で、南ベトナム、カンボジア、ラオス等々についての日本との輸出入の関係、資本の問題、幸いにして今日資料をいただきましたので、ここで時間がございませんから詳細なことを承ることはできませんが、ただ、たとえば南ベトナムの場合、輸出が一億九千八百九十六万三千ドル、それは六八年、六九年、七〇年と、こういうふうに出ているわけです。でありますから、カンボジアを含め、ラオスを含めて輸出の主たる品目はそれぞれ何であるか。輸入は非常に少ないようでありますが、バランスは非常に破れているのですが、それは主たるものは何であるか。もしここでお答えしていただければ幸いですが、貿易白書等にあってそれを見なさい、こういうのならそれでいいわけですが、その辺のところ御判断をいただいて答弁をいただきたい。  同時にまた資本の問題です。資本の問題もここにデータをいただいているわけですけれども、それは日本における投資の主体、それが何であるか、主たるもの、それを御指示いただけばいいと思います。  実は私、十三日だったと思いますが、私の富山港に中国の船「勝利号」が入りました。八千トンの船でございましたけれども、一時間ほど政治委員といろいろ懇談をしたのでありますが、富山湾に入るときにはからっぽの船なんです。富山湾から出ていく場合にはそれは富山湾にある日産化学の尿素、いわゆる肥料、ちょうど私が行ったときに荷積みをしている最中でした。私はそういう姿を見ながらやはり、先ほど西村委員がおっしゃった社会主義国家との貿易の構造、その辺に大きな問題がある、こういうふうに痛感いたしました。でありますので、その意味とは若干違いますけれども、南ベトナムなり、カンボジアなり、ラオスの貿易の構造をやはりわれわれは十分把握していく必要がある、そういうことでお尋ねするわけであります。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まことに恐縮でございますが、急なお尋ねでございましたので、南ベトナム、ラオス、カンボジアの貿易の品目別の詳細はただいま持っておりませんので、これは調べますとわかりますので資料として提出させていただきます。  それから、資本協力の関係は、実は大蔵省と協力いたしましてその数字をつくりましたわけでございますが、そのおのおのがどういう性格のものであるかいとうことのお尋ねでございますので、これも追加として資料で出さしていただきたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村関一君 最後に、厚生大臣、通産大臣、国鉄総裁にお伺いいたしたいと思います。  厚生省の予算の社会保障費関係の予算でございます。これは前年度の比と対比しながら出されておりますけれども、出発が、出発の当初から弱いのですから、だからそれだけでは私は、せっかくの御努力のあることは認めますけれども、厚生大臣や大蔵大臣の御努力のあることは認めますけれども、十分なとは言えないと思うのです。特に私は老人福祉に対しまして非常に弱いというふうに考えるのでございます。今日の老人の数は、七十歳以上の老人の数はふえておりますが、それだけにこれらの人たちを厚く処遇する、老齢年金につきましても、少なくとも月額六千円まで上げるということが必要だと思いますし、いわゆる谷間にあるところの老人、六十五歳から七十歳までの谷間にあるところの老人の問題についても大きな問題であると思います。それから心身障害児の予算も、私は、たいぶ伸びておりますけれども、弱いと思いますが、これらの点について現状なり対策なり方法なり、そういうことを厚生大臣からお伺いしたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 一般論といたしますと、わが国の社会福祉なり、あるいはまた社会福祉を包括する意味における社会保障に関する国の予算なり、あるいはまた国民所得の中における支出割合というものが、先進諸国と申しますか、北欧の諸国あるいはヨーロッパの諸国などと比べて、数字の上でおくれておりますことは御説のとおりであると思います。これはまあ日本が敗戦後の事情等の問題もあったり、また社会福祉マインドというものが盛り上がっていなかったということもあるかもしれませんが、これはあとから老人の問題について一言述べさせていただきますけれども、わが国におきましては、何と申しましても家族扶養と申しますか、あるいは家庭扶養というようなものの中に老人の福祉あるいは身体障害者の福祉なども包容されておったようなそういう国柄でございました。しかし最近はそれがもう申すまでもなく全く変わってまいりまして西欧風になってまいりまして、家庭福祉から社会福祉あるいは社会保障をもってこれらの谷間に残されておる方々の福祉を考えていかなければならないようになりましたので、予算の組み方などにおきましても、あるいはその他の施策におきましても、私はいままでよりも急速度にこれを伸ばしてまいりたいと存じます。また一方におきましてはいまもお触れになりました老人の人口構造などが、これは世界のどこの国にも見られないような速度をもって急速に老齢化をいたしてまいりますので、そういうことに対応いたしましても、いま申し上げた社会福祉の問題は大きな課題になる、こういう、私は、二重の面がございますので、決して今日の厚生省の予算全体あるいはその中における社会福祉関係の予算の伸びをもちまして満足いたしておるわけではございません。御存知のように厚生省の予算の伸び方は、四十六年度におきましても前年に対しまして一八%をちょっとこえるくらいの伸びでございましたし、また、予算総額の中に占める社会福祉よりもやや広い社会保障関係の予算というものは一四・三ぐらい、つまり防衛費の倍よりちょっと多いぐらいを占めておりますが、このことにつきましては、わが国は福祉国家である、こういうたてまえから、今後、私はさらに伸ばすような努力をいたしてまいりたいと思います。  老人の福祉年金につきまして五千円ぐらい出すべきだ、こういう御意見でございますが、まことにごもっともであると思います。これは従来毎年百円か二百円ぐらいずつ引き上げていただいてまいりましたが、四十六年度はそれを三百円、これはさして多いとは思いませんが、三百円引き上げまして二千三百円というところまでまいりました。それは、御承知のように、拠出金づきの老齢年金というものがことしから発足をいたします。これは十年の経過年金。お金をかけた人々に対する年金が五千円ということでありますので、一般的の感情からいいますと、お金をかけた方もかけない方も同額というわけにはまいりませんでして、これがいまの御発言のように、私どもが遠慮し過ぎているのかもしれませんが、同額とはまいりませんでしょうけれども、できるだけいまの御希望のありましたような金額の方向に私どもはさらにふやす努力を続けてまいりたいと思います。  それから、心身障害者、身体障害者あるいは精薄児等に対する予算は、これも十年前あるいはまたそれらの法律が身体障害者福祉法なり精神薄弱者福祉法なりという法律ができましたときに比べてみますると、何倍かあるいは何十倍かにふえております。精薄関係の予算のようなものは、十年前に七億でございましたのが、今日では五百億がちょっと切れますが、四百九十四億ぐらいに伸びておりますし、それにまた肢体不自由者を加えました心身障害者——いまのが心身障害者全体の予算でございますが、その中でも精薄に対する予算はまた非常な伸び方をしていることは認められますが、これらにつきましても、今後大蔵大臣の御協力を得て、できるだけ進めてまいる所存でございます。

西村関一日本社会党

○西村関一君 心身障害者対策総合基本法というものが先国会に成立しましたが、その法律に基づいて何をやろうとしていらっしゃいますか。何をやっていらっしゃいますか、具体的に。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) これはもう申すまでもなくいままである法律体系でばらばらになっておりますのを総合性、統一性を持たせて心身障害者の福祉を思い切って向上しようという趣旨での議員立法でございます。これを動かしますために、まず中央社会福祉協議会というものを発足さして、そこが施策について企画をなさるということでございますが、先般ようやくこの心身障害者福祉対策基本法に基づく協議会のメンバーがきまりまして発足をいたしましたので、それらの御意見を取り入れまして、総合的な盛り上げをやってまいる、こういうつもりでおります。

西村関一日本社会党

○西村関一君 まだほかに伺いたいことがたくさんございます。施設の従事者の待遇の問題とか、従事員の確保の問題とか、いろいろな問題がありますけれども、もう時間がありませんから伺いません。  最後に、私は、これらの保護を要する老人とか心身障害児・者、そういうものに対するあたたかみのある、思いやりのあるところの行政が厚生省だけではなくて、政府全体としてなさるべきじゃないかと思うのですが、特に運輸行政の面におきまして、そういう身体障害者、身体障害児、そういうものに対して特別な配慮——外国では特別な配慮がなされておるのでございますが、たとえば特別の席を設けるとかあるいはいろんな車いすの設置をするとか、いろいろなことをやっておりますが、国鉄ではそういう点については、合理化、合理化ということを言われておるけれども、やはり合理化に伴うところのサービスの面が欠けておると私は思うのですが、その点いかがでございましょうか。

磯崎叡日本国有鉄道総裁

○説明員(磯崎叡君) 心身障害者につきましては、実は国鉄はその基本法のできます以前、すなわち昭和二十三年からある種の——第一種の方々に対して運賃の割り引きを五割いたしております。また二十七年からその範囲を非常に拡大いたしまして今日に至っておりますが、昭和三十年以降の割り引き額の累計だけでも約百億になんなんとする額になっております。そういう運賃上の問題と、いま先生のおっしゃった接遇と申しますか、サービスと申しますか、こういう点で最近いろいろ行ないましたことの中で二、三申し上げますと、まず、いまおっしゃった車いすでございます。車いすも近ごろは非常にいいのができまして、折りたたみができるようになりました。折りたたみのできるのは、車内に自由に持ち込んでよろしいというふうに規則を改正いたしました。現に相当の実績があがっております。  それから、これは青函航路だけでございますが、青森−函館間につきましては、非常に歩く距離が長いものでございますから、駅に車いすを備えつけまして、そして心身障害者の要求によりまして使ってもらっております。ただ船に乗るときに、非常に階段がございまして、特にそういう場合には荷物用のエレベーターでもって上がるというふうなこともいたしております。また、たとえば東京駅なんかでも、必ずしも心身障害者に限らず、重病人等の場合には特別に荷物用のエレベーターでもってお上げしているというふうなこともございます。また担架を使っていただいているというふうな例で、極力やっておりますが、そのほか最近いたしましたのは、盲導犬を車内に連れ込むことにいたして、これは最近、だいぶ新聞に報道されましたが、まだ犬の数があまりございませんようで、実績はたいしてございませんが、相当これは目の悪い方に喜ばれているというふうに伺っております。  また、ごく最近でございますが、自動発売機に点字用のものをつくりまして、そして目の悪い方に不自由されないようにしていただくというふうに、いろいろなことをやっておりますが、やはり要は、第一線のお客さんに接する職員の気持ちだと思います。これは外へは出ませんが、親切にしてもらったといって感謝される面もたくさんございますが、やはり私は、職員がほんとうにお客さまに対して誠意を持つ、真心を持つというところから出ることが一番大事だと思いまして、今後ともそういう点につきましては、十分指導してまいりたいというふうに思っております。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) もう時間です。

西村関一日本社会党

○西村関一君 最後に、いまの問題につきまして、運輸大臣に最後のお尋ねをいたしたいのですが、いまお聞きのとおり、国鉄でも鋭意配慮をしておられる、サービスにつとめておられる。やはり運輸行政全体の面から見ましても、国鉄だけじゃなくて、全体としてこういうケアを要する、助けを要するところの人たちに対する行政的な配慮が欠けているというふうに——欧米に比べまして非常に欠けていると、劣っているというふうに思うのでございますが、いまの国鉄の例はその一つの例でございますけれども、いまの青函連絡船のときの乗り場の車いすの問題も、私が提起してようやくそれをやってもらったということもございます。ほかにもこまかいことでございますけれども、幾つかあるのでございます。そういう点に対して、担当の大臣として、こまかい行政におけるところのそういう助けを要る人々に対する配慮、そういうことについて御見解を伺って私の質疑を終わりたいと思います。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 具体的な詳しいことを申し上げる必要もないようでありますが、おっしゃるように、サービス精神といいますか、特にキリスト教精神、愛の精神でこのようなサービス事業には全面的にやってもらいたいということで、国鉄その他の交通機関に対しましても行政指導をやってまいっております。先ほど磯崎総裁からお話がありましたように、あのようなやり方は私鉄にもこれを応用いたしまして、法律はありませんけれども、国鉄がやっておると同様のことを私鉄にやるようにということで、私鉄のほうでもやっておるような状態であります。かつまた、タクシー等におきましても積極的にやはり身体障害者が乗るような特殊の車は、これは認定外として、特例としてこれをつくることを認めております。要は、そういう具体的ないろいろたくさんなことがありますが、それらを、もちろん先ほど総裁が言ったように、その根本を流れるものは愛の考え方である、サービス精神に徹するということであります。したがって、いわゆる国鉄も当然でありまするが、私は、常に前だれ精神に従って、そうして従来の官庁的な考え方をやめろ、そうしてやはりお客さんなんであるからそのお客さんに対するサービスに徹せよ、こういうことを強く指導してまいっておるわけであります。なお今後ともにこのような方針のもとで指導してまいりたいと、かように考えております。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって、西村君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度といたし、明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会

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