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65回国会参議院1971/03/12

予算委員会 第12号

発言数
394
登壇者
32
会派数
5
開催日
1971/03/12

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、  以上三案を一括議題といたします。  九日に引き続き、総括質疑を行ないます。渋谷邦彦君。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 昨日、ニクソン大統領が日本繊維業界の自主規制に対しまして、受け入れることはできないと、このような声明を発表されましたが、その経過と、その事実関係について御答弁をいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 繊維問題につきまして、ニクソン大統領が日本時間のけさの七時に、こういうような態度を表明せられました。ちょっと長くなりますけれども、要旨を申し上げますと、米国政府は、毛と化合繊製品の自主規制協定について、二年間日本政府と交渉を試みてきた。米国政府は、協定を意味のあるものとするために、不可欠な基本的原則は一貫して堅持しながらも、細目については可能な限り柔軟な態度をとってきた。米国側が基本原則として考えていたのは次の点である。一つは、特に問題のある品目については品目別のワクを設けることとする。規制のワクは一九六九年実績プラス合理的な伸び率とする。かかる品目間に若干のシフトを認める。一つは上記以外の品目の輸入が一九七〇年実績プラス伸び率をこえる場合、米国は協議を要請し、協議が整わない場合は規制を行なう。月曜日に、日本側業界はミルズ議員との話し合いの後、一方的規制宣言を行なった。日本政府も公にこの異例な宣言を支持し、政府間交渉は打ち切る旨の声明を発表したが、この規制案は、次の点において米国にとっては不十分と考える。総ワク規制であり、特定品目への集中が生じ得ること。総ワクが一九七一年三月三十一日に終わる一年間の実績プラス伸び率となっていること。自分はこの問題を交渉によって解決したく、さらに交渉を続けることには自分も歓迎であるが、日本側業界の動きにより、意味のある交渉を行なう道は閉ざされた。したがって、自分は現在議会に提出されている法案、すなわち繊維輸入制限条項を支持するものである。また、直ちに日本からの毛と化合繊製品の毎月の輸入状況を監視するよう商務長官に命じることとする。これが大統領の言われた要旨でございます。要旨でございますが、ほとんど全部でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 昨日の外務委員会におきまして、愛知外務大臣は、業界の自主規制を通じてのこの維繊問題の解決は期待できると、このような御答弁があった由でございますが、その辺の見通しの誤りはどうして起こったのか、その原因についてお尋ねをしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) この米大統領のこの談話にもありますように、日米間、政府間の折衝は二年近くにわたって行なわれてきましたけれども、どうしてもその話がまとまらなかった、これは御承知のとおりでございます。ところが一方において、かねてから日本の業界が考えておったところの自主規制というものが、アメリカ側の有力者との間の連係もとられながら、この大統領の声明にもありますように、月曜日に発表されたわけでございます。政府間の折衝がどうしてもまとまらない間に、こうした相当の前進、大所高所から日本の業界もこういうふうな輸出の一方的な規制をするということに踏み切られたのでありますから、このやり方というものがとにかく実施され、実りが結ばれることが政府としてもけっこうなことであると、こういうふうに考えまして、この自主規制というものに対して米側も理解を大いに示してくれることを期待しておったわけでございます。同時に、この委員会でもしばしば申し上げておりますように、この繊維問題というものは政府間の交渉ではあっても、しょせんは自主規制の問題でございまして、日本側の業界の納得ある支持、協力、そして実施がなければ実現できない筋合いのものでございますし、また、その筋合いに対しましては、累次の国会の御決議もその点を非常に重視しておられた、これはもう当然のことであると思います。その線に従ってやってまいりました政府間の折衝はまとまらなかったけれども、日本側の業界がこういう態度をとられたことは歓迎すると同時に、どうかしてこれで事態が円満に収拾されるということを望むのは日本政府として、私は当然の責務ではなかろうかと考えるわけでございまして、くどいようでございますが、政府間折衝がまとまらなかったことはまことに私も遺憾に思いますし、微力を嘆ずるわけでございますけれども、しかし、しょうせんは、日本側の業界の御協力というよりは納得ある自主的な規制でなければこれは解決はできなかったわけでございますから、今後も十分事態の推移を見守りながら、これが実施され、そして究極において事態の円満な解決に結びついていくということ、それから同時に、こうしたような日本側の節度あるいわゆるオーダリー・マーケッティングという考え方に立ったところの日本の各界のビヘービアというものがアメリカにもあるいは世界的にも認識されるということが、今後の広い意味における日米間あるいは国際社会における日本のあり方というものに対してたいへんよい道でもあるして、終局的に必ずや先方の理解を得られるものである、こういう確信を持って、日本側としては、関係の業界、政府その他の方々が協力一致しまして今後とも事に当たってまいりたいと、かように存じておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 今回の大統領の声明は、私ども国民としてもたいへん遺憾であったと、なぜならば、日本の繊維業界においても、いろいろな事情はあったにせよ、ともあれ自主規制をしようという、ここまで譲歩しているにもかかわらず、なぜそれを受けとめることはできないのかと、これは非常に判断に苦しむわけであります。したがいまして、今後政府間のまた交渉を再開することを期待したいと、希望するという旨のこれがやはり声明の中に、またいまの御答弁の中にもあったようでございますけれども、いままで約二年間にわたってできなかったことが、はたして将来において解決の見通しがつくものなのかどうなのか、あるいはその業界に対する政府としての今後の折衝のしかたはどうなるのかという疑問というものが一向に消えないわけでありますが、この間の関係というものについてさらに御答弁をいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 大統領のこのことばの中にも、自分は交渉をするということについては歓迎なんだけれども、しかし、今回のこういう状況によって、実りのある成果を交渉によって獲得するということについての道は閉ざされたように思うということが書かれてあるということは、私は今後の道を示唆するものではないかと思うのであります。同時に、日本側としては、オーダリー・マーケッティングということに基礎を置いて自主的に一方的に規制するというのが今回の繊維業界の態度でございますから、私はこのせっかくの勇断といいますか、決断というものが実行に移って、そうしてその結果が、なるほど日本側の誠意、大所高所から立ったところのビヘービアというものがよく認識をされて、これが政府間の交渉というかっこうで判をつき合ったというかっこうではないけれども、事実上円満に、多少の時はかかるかもしれませんが、結着がついて、そうして他のいろいろの範囲の問題についても悪影響を及ぼさないように、全体としての日米関係に好影響がもたらされるように、これを期待し、また、外交活動といたしましてもそれを念じて努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  なおまた、政府間の交渉が二年もかかってまとまらなかったということは、今回のこの日米間のこうしたような行き来から見ましても、先方にも先方としての非常に複雑でまた強烈な動きがあるということもこれによって私は御理解がいただけるのではないだろうかと思います。こういう点を双方が十分認識し合いながら、可能なるそして誠意のある態度でこれが実現されていくということが一番望ましいことであるということの教訓を双方に受けたような感じも私は実はするわけでございますので、要は、これから十分事態の推移を見守ってまいりたい、かように考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いずれにいたしましても今回の交渉がまた振り出しに戻りまして暗礁に乗り上げたという感じをぬぐい切れないわけでありますが、政府としては、いままでの交渉経過あるいは業界のいろいろな意向等しんしゃくしてみた場合に、どういう解決方法を持ってこれから臨まれようとするのか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これからの態度、あるいはこれからのやり方ということは、ただいま申し上げました御説明で私は御理解がいただけるかと思うのでございますけれども、政府間の交渉、政府間の、先ほど申しましたように判こをつき合っての交渉というような、こういうスタイルはまず本件については私は期待できないと思います。同時に、日本側としてとるべき措置については業界の勇断によって内外に明らかにされたわけでございますから、要はこのせっかくの態度というものが具体的に実施されて、そしてその実績というようなものが十分先方の理解を受けることによってアメリカ側の保護主義、制限主義的な立法措置その他というものが回避できるような結果を導いていくと、これが一番望ましい道ではなかろうかと、かように考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ、いずれにしてもいまの御答弁を伺う限りにおきましては、政府間交渉は不可能である、ということよりもむしろ今後は期待できないということになれば一体解決のめどはどういう方法手段によってなされるのかと、まあくどいようでありますけれども、やはり新たなそういう疑問が起こってくるわけであります。  で、数日前でございますか——日時は明確でありませんけれども、佐藤総理大臣がマイヤー米大使と会談をされた。おそらくそのときにも繊維問題についての話し合いがあったのではなかろうかというふうに浅聞するわけでありますけれども、その間の事情とそして総理御自身がいま外務大臣の御説明を通しまして基本的な今後の日本の方針としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、マイヤー駐日大使とも会いましていろいろ経過なぞ話しをして、十分の理解を得たつもりであります。これはいままでのいきさつをあまり知らない大使ですから、その辺のところ、駐日大使、これはもう米大使にもよく事情を話をしておかないといかぬのじゃないか、こういう意味でよく話をしたわけです。  それはそれとして、まあ今後とも両国間に誤解や疑惑が残らないような、そういう方法をとるのが、これはまあ当然であります。いままで貿易についての基本方針、これはこのことによって変わるわけではございませんから、先ほど来外務大臣が答えておるような意味におきまして私どもはますます貿易拡大というか、これをいままでの路線で進めていきたいと、かように思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますと、重ねて伺いますが、マイヤー大使との会談の際には、繊維問題については全然お触れにならなかったのでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 繊維問題に触れた。いきさつを、いままでの経過を話をし、同時にまた、国内における動きなぞよく説明してやったと、こういうことでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあいずれにせよ、米国の国内事情というものもあるだろうと私は思うのでありますけれども、しかし、国際間における交渉をまとめようとする場合に、一方的なその主張のみをあえて日本自体が受け入れなければならないという不合理は、これはやはり大きく反省しなければならない問題点の一つではないだろうか。先ほど解決の方法につきましても、日本政府としてはまあしばらく今後動静を見守っていくというお話もございました。はたしてこれから動静を見守るだけで十分な対策というものが打たれていくのであろうかどうか、このようにも考えられるわけであります。一体いつまでその動静をこれから見守っていくのか。そしてまた、業界については今回の結末についてどのように政府自身としてもアドバイスをし、アメリカ側と交渉再開への道を開こうとされるのか、この点いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、かりに政府間の交渉がまとまったといたしましても、日本側のまとまるときの態勢というものは日本の繊維業界の完全な理解、納得そして実施に対する責任ということが前提になるわけでございます。ところで、それがまとまらない、長年伸び伸びになっております間に日本側の業界の自主的な——先ほど私が勇断と申しましたけれども、勇断を持って一方的な自主規制というものが行なわれることが宣言されたわけでございますから、そういう意味では事態が私は進んだと思うのであります。でありますから、私は先ほど十分今後の事態を見きわめつつと申しました中には、日本側のそういった自主規制の実施ということが進みまして、そしておそらくそのことはアメリカにもいろいろの先ほど申しましたような意見もあり、またいろいろの社会層といいますか分野もございますが、必ずや私は理解が進められるものと確信いたします。のみならず、世界的にたとえばEEC方面あるいはその他の国々の間におきましても、自由貿易をやっていきたいと、保護主義、制限主義というものは世界の大道、人類の福祉のためには復活させるべきではないというコンセンサスが相当にびまんしておる今日のことでもございますから、そういう点から申しましても保護主義、保護立法というようなものを避けて、ぎりぎりのところでこの自由貿易の線を守っていくという、そしてその間にはオーダリー・マーケッティング、秩序のある日本の経済界の態度というものが私は必ずや世界的な評価を受けるものと確信をいたしますし、おそらく日本の全国民的な支持ももちろん、大きに受けることであることでございますから、私は先ほど来申しておりますように、いわゆる外交ルートの政府間接触、政府間の対話、交渉だけではできませんでしたことはまことに申しわけがございませんけれども、さらにより広い分野で、そして自由貿易主義ということからいえば、これは政府間交渉とは言いながら内容的にはこれは相互の業界、関係経済界同士の理解と納得と実施ということがその中心なんでありますから、そういう点から申しまして、今回のこの米大統領のこの問題についての感触やお気持ちも理解はできますけれども、数日前に日本の政府として公表いたしました態度、そしてそれに相伴う業界の具体的な行動というものが必ず私は理解を得るものであると、かように存じており、また、そういう方向で今後とも及ばずながら外交的な努力も大いに展開してまいりたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 通産大臣にお尋ねをするのでありますが、いずれにしてもまことに不愉快な結果に終わった今回の繊維問題につきまして、通産省としては業界に対してどういう解決の、何といいますか指導といいますか、されるおつもりなのか。一体このままの状態では業界としても硬化するのではないだろうかということを心配するわけであります。そうでなくてさえもいま繊維業界というものはたいへんな窮地に追い込まれているということはだれしもがひとしく認めるところであるだけに、一体通産省としてはどういうふうにその解決の方途をお持ちになるのか、重ねて伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) やはりおのおのの国にいろいろな事情がございますから、わが国の経済もここまでまいりましたのですから、相手国のそういう事情もいろいろ推量をしてやると、それだけの余裕は私はあってしかるべきだというふうにただいま考えております。  そこで、この声明について業界がどのような反応をするかということは、ただいま現在実は私にわかっておりませんので御紹介を申し上げることはできませんけれども、本来、業界がいたしましたことが一方的な宣言でございますから、それにはいろいろな条件はついてはおりますものの、本来一方的宣言というものは相手方がそれをいかに評価するかということは第二義的な意味しか持たないのではなかろうかというふうにただいま考えております。しかし、ただいまの時点で、まあ、かなり反応のあるこれは声明でございますから、もう少し落ちついて冷静に時間をかけて問題に対処すべきではなかろうか。ただいまにわかにかくかくと反応を申し上げることは、私の立場として必ずしも適当ではないのではなかろうか、こう思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 締めくくりにもう一つ、いままでのことを整理して申し上げたいと思うのでありますが、先ほど来からの政府側の答弁を伺っておりますと、判断が甘かったといえばあるいは少し行き過ぎた私どもの言い方かもしれませんけれども、しかし、やはり事態がこうなるであろうという、万が一ということを絶えず想定しながら、そうした場合に一体どういう手を打たねばならないのか、これがやはり政治の課題であろうと私は思うのであります。したがいまして、いまの通産大臣の答弁を伺う限りにつきましては、やはりそういうことを想定してなかった、非常に甘い判断に立っていたのではないかというふうに考えられますけれども、政府としては、おそらく万が一ということを考えた上に立って、もしそうなった場合どうするかということをお考えになっていらっしゃったんではないだろうか。とするならば、その点の政府側としての考え方について、あえてお尋ねをしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 一方的宣言をいたしましたのは業界でございますから、先ほども申し上げましたように、一方的宣言にとりましては、先方の評価あるいは対応いかんは本来二義的な意味しか持たないのではないかというふうに私は考えております、いろいろの条件はございますけれども。  なお、先ほど政府間交渉の再開の可能性につきましては、外務大臣が非常に慎重にことばを選んで御説明をなさいました。私はそれで尽きておるというふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に移ります。  まず、総理大臣にお尋ねしますが、先般発表になりましたニクソン大統領の外交教書についてどのような評価をされているか、お伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ニクソン大統領の外交教書、これは申すまでもなく、アメリカの基本的な外交方針、何を一体目標にしているか、これを明らかにしておると思います。申し上げますならば、恒久平和、その維持だ、かように私は思っております。そのために対話を十分にして、そうしてお互いに疑惑、疑念を持たないようにしたい、これが基本的方針であります。この方針には私どももたいへん、明らかにされただけに安心しておるというか、そうなくちゃならないと、かように私は思っております。ことに大国でありますだけに、米国の外交の目標が恒久平和にある、これは高く評価してしかるべきだと、かように思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 米国の考え方というものが、申すまでもなく日本の今後の外交の方向あるいは防衛のあり方について重大な影響を持ちますだけに、あえていまその評価についての御答弁をいただいたわけでありますが、いまお伺いする限りにおいては、恒久平和、表面的に考える限りはなるほどそういうふうに受け取れないことはないだろう。しかし、実際問題としては、前年のニクソン・ドクトリンの再修正と見られるような節もありますし、むしろ今回の場合には非常に抽象的な表現で綴られている個所が非常に多い。そしてさらには、戦争への危機をはらんでいるということすらもわれわれとしては判断するわけであります。で、特に、この日本の項目におきましては、貿易の自由化を促進せよとか、あるいは対外援助につきましてもこれから積極的に取り組んでもらいたいと、また取り組むべきであろうと、日本はそれができるということを期待していると、さらにはまあいま問題にいたしました繊維問題の解決も期待したいというようなことを、特にその問題にしぼって強調しているような印象を受けるわけであります。で、今後こうした問題は日本としても決して無視するわけにいきませんし、むしろ今後日本の基本的な外交の姿勢として示していかなければならないポイントだろうと思いますので、この点についてはいかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、基本的な態度は渋谷君も御了承いただけるように思います。私どもアメリカがただいま申し上げる点をニクソン教書で、外交教書で明らかにした、かように私は考えておりますので、そういう意味ではわが国の自由を守り、平和に徹する、この考え方と軌を一にするものである、これは高く評価してしかるべきだろう、かように思います。なお、日本の貿易の姿勢について、これはもうすでに日本が貿易の自由化、さらにはまた資本の自由化等に踏み切って、いまスケジュールを組んでおりますから、これをそのスケジュールどおり、さらにまた、ものによりましては、より早めるという態度でいくならば、ニクソン大統領の言っている事柄と別に矛盾はないように思っております。ただ、先ほど来冒頭にお話しになりました繊維の問題については、両大臣から答えたので、私からつけ加える必要はないように思いますけれども、とにかくこの問題は政府間交渉してなかなか話がまとまらなかったと、そのときに日本の政府としてはアメリカ側にも、これはもともと業界できめるべき事柄なんだ、また、したがって、業界が納得しない限り、政府がきめても実行のしようがないのだ、また、国会等からも政府の行動範囲については制限を受けているのだと、その点を誤解のないように願いたい、こういう前置きでいろいろ話を進めてまいりました。そうして、皆さま方からいろいろ批判も受けたように、政府は見切り発車までして、この程度ならば業界を説得し得るのだと、こういうふうな点でいろいろ交渉したが、なかなか政府間交渉はまとまらなかった。そういう際にミルズ案なるものが出てきたわけです。これは政府の交渉よりもずいぶんやさしいものですから、これについてやはり業界もそれを納得するという、そういう状態だったろうと思います。とにかく自主規制のできたことは、ミルズ委員長との間ではその誤解はないと思いますけれども、しかしながら、米国の業界から見ればおそらく規制が包括的であること、また伸び率等についてもなかなか希望するようなものでないという、そういう意味でたいへんむずかしい状態であり、その批判はなかなかきびしいだろうと、かように私は思いますが、そういう事柄が米国政府としてもいろいろの感じを持っておるのではないだろうかと思います。しかし、この事柄はいま直ちに政府間交渉に移ると、こういうようなものでもないように私は思っております。とにかく私どもは平和に徹すると、こういう意味から、また自由貿易の立場からも各種の貿易は拡大したいと、こういうたてまえでございますので、誤解のないように理解を深めること、これはこの問題に限らず全般について一そうわれわれは努力していかなきゃならぬと思います。ことにまあ日本の場合は原材料を多く外国に依存しておる、そういう立場でございますだけに、十分経済的な問題について摩擦が起こらないように説明は十分して理解を深めていきたいと、かように思っております。先ほど申したような都合でございますから、私は貿易の自由化、資本の自由化等についてアメリカからもいろいろ指摘されておりますが、ただいまのスケジュールは十分守り、また、そのものによってはより早めるくらいの気持ちで取り組んでいきたいと、かように思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 関連しまして、将来は日米関係の調整が必要となろうということをニクソン大統領は非常に強調されているような印象を受けます。総理大臣としては、この点について、もちろん経済問題が主体となることは言うまでもないだろうと思いますけれども、どのように分析されて、そうしてまたその調整についてはどのように対処されようとするのか、その構想をお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日米間にはいろいろの問題がございます。しかし、ただいま問題として残っておりますものは、安全保障条約は自動延長、さらにまた沖縄は近く返還される、こういうのが外交交渉の主体でもあります。しかし、いまや日本の経済力は自由陣営ではアメリカに次ぐ第二の地位を占めておる。したがって、アメリカと競争の立場に立つものもずいぶん多いだろうと思います。そういう場合において、フェア・コンペティションはもう当然のことでございますし、そういう意味の理解ある仲のいい競争というか、そういうものを展開していく、こういうことでありたいと思います。しかし、なかなかそのとおりにもまいり戻せん。先ほど外務大臣は、オーダリー・マーケティングということばを使いましたけれども、なかなか経済問題はオーダーだけでもいかない。繊維の問題一つをとってみましても、御承知のように、流行によってどんどん変わっておりますから、そういうものがオーダリーというだけではなかなか解決されないのじゃないだろうか、かように思います。しかし、基本的にお互いにその立場を理解し合えば、おそらくそれが破裂あるいは激突と、こういう形を招来しなくても済むのじゃないかと思いますので、そういう点は、仲よく競争するという、そういう表現が最もいいかと思いますけれども、そういう形で進めてまいりたい、かように思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 大蔵大臣がかねがね、国民総生産の一%を近い将来、対外援助費として振り向けたいと述べておられます。ニクソン大統領も、今後五年後には日本としてそれができるであろうという推測に立って、大いに日本の対外援助を希望すると——まあ、希望されるほうはまことにけっこうだと私は思うのです。日本もこれだけ発展したかと思うわけでございますけれども、しかし、一面においては、申すまでもなく、国民の生活水準というものが先進国並みではない。では大蔵大臣あるいは総理大臣は、先進国並みになるということを予見しての大統領の発言だと判断されるのか。もうすでに大蔵大臣の発言等もこれあり、その点はどのように理解し、そして今後国の政策としてそのとおりに貫くのかどうなのか。その点はいかがでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国が戦後のような世界の四等国、五等国、こういう時期でありますれば何をか言わん、こういうふうに思いますが、いまやアメリカ、ソビエト、日本と、総生産においてはそういう地位を獲得しておる。そういうことになりますと、わが国はわが国の繁栄、これをはからんといたしますと、わが国だけが繁栄したのではそこには限界がある。やはり世界じゅうが繁栄するということで初めて日本国も繁栄する、そういうふうに考えられるのであります。ですから、わが国の繁栄という、わが国自体の立場からいいましても、世界を発展させるということに日本は協力しなければならぬ、こういうふうに考えるのです。それがまたできるような状態になってきたわけであります。  そこで、将来を展望しますと、一九七五年。昭和五十年、このころには国民総生産の一%、このくらいは協力したいものだ。また、これが国際社会から要請をされている、こういうふうにいま考えるわけであります。  そこで問題がありますのは、渋谷さん御指摘の点なんです。つまり、国内がまだ整いが足らぬじゃないか、それなのにどうか、こういう点です。そこで私どもは、国民にそういう点についての理解を求めなければならぬ。しかし同時に、わが国の整いがそう貧弱であるかというと、そうでもない。今日はなおまだずいぶん問題があります。しかし、もろもろの五ヵ年計画が進捗しておる、こういうものの成果、そういうものを展望しますと、これはもうかなり見違えたような状態が実現するのじゃないか、そういうことを考えておるわけであります。まあ、いろいろ日本の国際社会に対する姿勢というのが問われますが、やはり日本はマイホーム主義じゃいかぬ。国としても世界の中の日本という立場を考えていかなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 おっしゃることはよくわかるのですけれども、いま、ことばじりをつかまえて申し上げることはたいへん恐縮だと思うのですが、国民の理解を求める、なるほどそれは当然だろうと私は思うのです。その理解を求める方法というのは、先ほど私指摘申し上げましたように、生活水準が先進国並みにならなくても日本の経済成長というものはこういうふうになってきたのだから、こういう事態のときには当然後進地域の国々に対してもやるべきじゃないかと、こういうお考えだろうと思うのですが、そうなったら具体的に一体どういう方法で、もう近い将来のことでございますので、どういうことを一体お考えになって説得されようとするのか、重ねてくどいようですけれども……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ、何といっても衣食住と思います。衣のほうはこれは十分、食もあり余るくらいの状態です。住はどうかというと、これが一番おくれておるわけでございますが、これも新五ヵ年計画ができるという五年後におきましてはかなり整ってくる、こういうふうに見ているのです。しかし、人間の欲望にはこれは限りがない。そこで欲望は幾らでもありますけれども、そこまで来た段階でありますと、これから日本の国力を増す、そのためには世界が平和でなければならぬ。また、世界が繁栄しなければならぬ、そういう点にも思いをいたさなければならぬのじゃないか。あまり自分ばかりのことを考えておっていいのかということについては、国民の理解が得られる、そういう段階に来ている、こういうことを申し上げておるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ニクソン大統領はさらにこのように述べられておりますね、御存じだと思いますが。このニクソン・ドクトリン自身をあまり急速に進め過ぎるとアジア諸国の信頼と安全保障を弱めることになると、そういう意図からか、背景からかわかりませんけれども、ニクソン・ドクトリンには非常に矛盾が多過ぎる。もうしばしば外務委員会等においても論議された点ではございますけれども、ただ、日本政府といたしましてインドシナのいろいろの情勢の変化ということはみのがせない、やはりアジアの一員である以上は——ということは総理もしばしば仰せになっているとおりであります。そうした場合に、やはり戦争につながるという一つの脅威を感じますだけに、私はあえてこの点は、日本の立場としてどうあるべきかということから伺うわけでありますが、去る二月の八日、撤兵の手段としてラオスに米軍が進駐したわけであります。この点については総理は、国連憲章第五十一条の集団的自衛の原則に立って正当と思われるかどうか、この点いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣から補足してもらいたいと思いますが、ラオスのプーマ首相が言っておりますように、いずれの国からも、いずれの軍隊もひとつ国外に出てくれ、撤退してくれと、こう言っている事柄がこれはもう如実にラオスの実情をあらわしておる、かように思います。北から先に入ったとか、南がどうしたとか、かように言うわけではございませんが、なかなかラオス自身の中立、安全、これはなかなかいまのところでは維持されておらないというのが現状じゃないかと思っております。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 国連憲章第五十一条による解釈といいますか、これはもちろんその上に立ち得ることと思いますが、それ以上に、ただいま総理も言われましたが、ジュネーブの協定の線から言いましても何から言いましても、今日現在の時点から将来に向かっては外国軍隊の即時撤退、そうしてラオスの中立維持、主権の尊重、領土保全、こういうことがすみやかに展開さるべきことである。たまたまアメリカとしてもすでに内外に明らかにされているように、インドシナ半島からの撤退計画というものもいままでのところは公表されたとおり進んでおりますし、おそらくこれから五月一ぱいあるいはその先の計画もあらためて立つことと思いますが、そうして事態が急速に好ましい方向に望むようになることが最も適当なことであると考えます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 実にこっけいだと思いますことは、この行動というものは、つまり米軍がラオスあるいはカンボジアに侵攻したという行動については、それは撤退計画の成功をさせるためだ。また、ジーグラー報道官もその米国政府の正当性について言明されております。こうしたことが許されますと、たとえば今度は朝鮮半島において何か紛争が起こった。それで現在韓国に相当数の軍隊が駐留しているわけであります。それで撤退と称して今度は大規模な作戦をやってもいいのかという理屈にもなるわけです。この辺はどういうふうに判断したらよろしいんでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはほんとうに具体的な事例でケース・バイ・ケースに、条約的、法律的あるいは憲章的にも解釈をしなければなるまいと思います。いまのお尋ねは、こういうことがもしかりにあるとしたならば、という前提にお立ちの御質問と思います。そういう点に一々お答えをするほど私もいろいろの場合を想定いたしておりません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 やはり日本の国益を守るということを政府特に総理大臣がしばしば口にされることばでありますけれども、それだけにある程度のことを想定しませんと、そのどたんばへ来て、先ほどの繊維問題にかかわらず、甘い見通しに立って、さあそうなった場合どうするかということを心配するから尋ねているわけでありまして、六九年十一月のいわゆる佐藤総理とニクソン大統領の共同声明を見ましても、非常に朝鮮半島における危険性というものは考えられると、緊張状態が今後も非常に続く、そういうことを表明されておりますだけに、そういうことを背景にしていま私はお尋ねをしたわけです。その点どうですか、お答えできませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはやっぱりその場合、ケースによって考えなければならない。また、それぞれに見解が違ってくると思いますけれども、というのは、そういう場合に法律的にどうなるのか、条約に照らしてどうなるかということもありましょうし、それから、実際のもっと広い意味で緊張がどうなった場合にどう対処すべきかというような大きな政策的な見地からの見解というようなもの、そういう立場からの意見、いろいろに考えていかなければならないと思います。いま御言及になりました共同声明の問題は、しばしば政府側の見解を申し上げておりますように、そもそも安保条約というものが日本の安全、それから日本を含む極東の安全に寄与するという、そういう考え方でワク組みができているわけでございますが、そのワク組みの中の日本の安全ということから言って、かりに朝鮮半島で緊張というものが急激にかつ広範囲に組織的に起こるということがありとするならば、これは観念的に言いましても、日本の安全と関連して考えざるを得ない場合もあり得るでありましょう。そういうことを情勢の何と言いましょうか、判断として一般的な見解を表明されているものであって、そうしてこれを今度は条約的な立場から考えれば、たとえばアメリカが米韓条約を結んでいる、日本はアメリカと安保条約を結んでいる。しかし、アメリカが韓国に対して米韓条約で、あるコミットメントを条約上約束しているからといって、それが自動的に日米安保条約の運用の判断の限拠にはなり得ない。日米安保条約の立場においては、日本は日本の安全、これに関連する極東の安全ということからいって日本が自主的に判断をする、こういうことになるわけであって、その間に自動的な関連関係は条約的に何らございません。こういうことに相なるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、これもしばしばいままでの国会審議を通じて問題になった点でありますが、事前協議についてもう一度再確認をしたいと思いますので、お尋ねをするわけでありますが、いままで事前協議については一九六〇年以来政府の専権事項として取り扱ってこられた。ところが、先般の質疑応答を伺っておりますと、最終的には国会報告という問題がありましたけれども、その国会報告は事前の報告ではなくして事後の報告だ、こういうふうに修正をなさったようでありますが、それは総理そのとおりでございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 総理の御答弁もあるかと思いますけれども、これはもうしばしば申しておりますように、事前協議に対していかなる態度をきめるかということは政府の専権事項でございます。同時に、これもまた観念的な問題だと思いますけれども、事前協議というようなことはいま私は予想いたしておりませんから観念的な問題だと申し上げるんですけれども、非常にその事態が重大な事態、たいへんなときであって、日本がたとえばイエスと言わなければならないようなことがかりにある、これはやはりケースによって非常に大きな違いがあると思いますけれども、これを最高の政治判断として、ある場合においては政府の専権事項ではあるけれども、国会に御相談をして国民的な御理解を得たいと、かように考える場合もあり得るということを総理が答弁されているのでございまして、そういう考え方からいえば、かりにそういうことがあるとしても、本来政府の専権事項であり、そのときの事態によりますけれども、事後であるということが私は常識的な考え方であると思います。私は、そういう意味で総理が御答弁になったのかと思っております。これが政府の態度でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) さすがに外務大臣は誤解を受けないようによく説明してくれたと、かように思います。私は、いまの問題は政府の専権事項だと、しかしながら、重大な事柄というような場合に政府だけで片づけるという筋のものじゃないということを過日もお話ししたような次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そこで、この重大な事柄については、当然いまおっしゃられたように国会にはかるべきだというようなお含みだろうと私思うんです。その場合に、やはり事前でなければ何の意味もないじゃないか。事後でもしそういう報告をした場合、国会のはたして、まあ議決までいくか、そういう方法はどうなりますかそのときになってみないとわかりませんけれども、国会の承認をかりに得られないといった場合どういう事態が起こるのか。総理はそこまでお考えになった上に立って、先ほどの外務大臣の答弁のごとく、やはりあくまでも専権事項として今後も貫くんだと、たとえばそれが重大な事項であってもそうなんだと、事後でもやむを得ないんだと、こういうふうにやはり理解してよろしいんでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 専権事項ということは、申し上げるまでもなく政府の責任においてということであります。政府の責任、これはまことに重大でありますから、いま言われるように国会で否定されるとか否認されるとか、かようなことになれば、これはたいへんなことだ、かように私は思っております。だから、その責任においてやることだから何ら了解できないんだ、こういうものじゃなくて、もちろん国会にかかる以上国会の意思をやはりはっきりさせる。それが事前であれば、おそらく否認されればやめざるを得ないだろうし、ノーと言わざるを得ない。その国会の議決どおりやることだろうと思いますし、事後であれば政府は責任をとるべきこと、これは当然だと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、防衛関係の問題について若干伺いたいと思っておりますが、佐藤総理は、一月二十五日の衆議院本会議において、わが党の竹入委員長に対する答弁の中で、わが国の防衛力は複雑な国際情勢下にあって十分な体制とは言えない、国力、国情に応じ防衛力を整備していく、このようにおっしゃられましたが、これは、四次防以降、やはりお答えの中から伺う印象としては、強力に軍事力を増強しようという意図、また、予算の規模についても、四次防の相当大きな予算額を考えてみた場合に、やはりそうならざるを得ないんじゃないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは誤解はないだろうと思いますが、日本の自衛力、これが不備であることは御承知のとおりでございます。したがって、日米安全保障条約を必要としておる、足らないところはやはりそれで補っておるわけであります。四次だろうが五次だろうが、今後どういうように発展していくか、これはもちろん、いろいろそのときの情勢によって考えざるを得ないんですけれども、しかし、基本的に、何と申しましても、日本の憲法、その範囲、範疇を越すわけにはまいりませんから、その点で、はっきりした限度があるんだと、かように御了承いただきます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ、はっきりした限度とおっしゃいましたけれども、中曽根長官の場合には、昨年の外人記者クラブにおける演説の内容を見ますと、もっと、いま総理がおっしゃったよりも明快なんですね、考えてみますと。これを全部言っていると時間がありませんから、ただ一項目だけ申し上げてみたいと思うんですが、防衛力整備の面から見て、人的にはすでに達しようとしている、また、長い海岸線を持っているという地理的な環境から見て攻撃阻止の地点を領海とその周辺領域に限定しなければならない、こういうふうに言われているんですね。これは、さらに分析してみますと、四次防以降については空に重点、それから海、それから陸と、こういう優劣をつけながら、今後の自衛隊の整備、強化に当たっていこうということが明確に示されたんではないだろうか、いわゆる総括的軍事力の増強につながると、こういうふうに思うんですけれども、その点、まず長官のほうから伺いましょう。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 増強という表現よりも、これは整備あるいは漸増と、そういうことばが当たるんではないかと思います。国民生活全般を見ながら、また、国際環境をよく調査しながら、それに適合するようにやっていこうというのでありまして、日本だけの独善的な考え方で進めようと考えておるものではございません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 日本語というのは非常に適当な、いろんな意味にとれることばが多うございまして、まあ、漸増と言うも、整備と言うも、解釈のしようによっては増強というふうになるんではないかと私は判断するんです。しかも、やはり長官の構想の一環としては、いままで領海に限定されていた、特に海という場合を考えた場合、その防衛範囲というのは非常に限られていた。ところが、一九七二年の沖縄返還と相まって、今度はむしろ領海から公海にまで広がろうとしている。しかも、そのためには三十数万トンの艦艇の保有を必要としなければならないんではないだろうかと、こうおっしゃっていますが、その点はどうでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の防衛を領土、領海だけに限定していたという事実はないのであります。日本の防衛のために必要最小限のエアリアにおいて防衛の措置をとるということは前から考えていたところでありまして、したがいまして、われわれが申し上げましたのも、日本を防衛するに必要な範囲内において領海並びにその周辺海域と、そういうふうに考えておるのでございます。それから海上防衛力につきまして、いま三十数万トンとおっしゃいましたが、これは衆議院の予算委員会でいろいろ質問がありまして、私の個人的な印象でもいいから申し述べろと、こういうお話がありましたので、大体三次防から四次防への伸びと同じ程度ぐらいのものが四次防から五次防にかけて、やはり海上兵力については必要であると思うと、そういう抽象的な表現で申し上げたのでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまの問題に焦点をしぼって、もう一度お尋ねをするんですが、三次防から四次防、四次防から五次防へと、だんだんトン数がエスカレートしておるんですね。最終段階では一体何万トンになるんでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) それは、そのときも申し上げましたが、非常に客観情勢の推移であるとか、あるいは科学技術の問題であるとか、日本の経済情勢あるいは社会保障、そういうあらゆる問題を考えて総合的に判断すべきもので、いま数量的に明示することはきわめて困難であります。そのことも、そのときに申し上げたとおりなんでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 人的な、いわゆる隊員の補充強化ということについては、いま求人難ということと相まちまして、これはとうていこれからも不可能であろう、むしろ、これからは機械化されたいわゆる機動力あるいは集中力というものが当然必要になってくるだろう、こういう点で、相当、艦艇のみならず、航空機についてもそうでありますけれども、そのミサイル搭載等々、いろいろなふうに発展するように考えられるわけであります。したがって、いままでの予算のワクで考えられたきわめて小規模な自衛隊の規模というものから、一躍世界の列強に伍しておる通常兵器を用いる軍備力といいますか、については、もうベスト・ファイブくらいに入るのではないだろうか、こういうふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) とてもベスト・ファイブに入るものではないと私は思います。数量的に考えたものでも、海上護衛力とか、あるいは陸上のいろいろな各師団単位の防衛力、あるいは航空勢力にいたしましても、大体日本の国土、地形、国力、国情に見合った範囲内に限定して持っていこうというのでありまして、これを無制限に増大させようという考えは毛頭持っておりません。その点は、われわれもやはり国民代表の政治家でございますから、国民の心、あるいは周囲との国際情勢、そういうものをよく見渡してバランスのとれた考え方で防衛をやっていかなければならぬと心に銘記しておる次第であります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 バランスがとれたということになりますと、もっと社会福祉のほうに、やはり全体の国民経済あるいは国民福祉というものを考えた場合に、その辺を十分考慮して防衛力の均衡化をはかっていく、答弁としてはそういうことであろうと思いますが、しかし、実際に予算の規模から見た場合、それじゃもっと縮小してもいいんではないか。とにかく、四次防においては五兆八千億という膨大な金額です。三次防と比較すると倍以上であります。こういう点を考えた場合に、その兵力についてはふやさないとすれば人件費はかからない。一体何にそれを使うのか。当然、近代兵器の開発というものに向けられていくのではないだろうか。そうなれば、先ほど漸増するとおっしゃった、また、整備ともおっしゃった。そうした点を考えた場合に、やはり、その力の上ではベスト・ファイブにいかなくとも通常兵器を持ついわゆる防衛力については、そういうふうにレベルアップされていく危険性というものはないであろうか。むしろ、そういうことにいま着々と進んでいるのではないかということを懸念するわけでありますが、いかがでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の場合は、非常に大きな自己抑制があります。それは、一つは、通常兵力におきましても、攻撃的兵器——他国に侵略的脅威を与える攻撃的兵器を持たないということであります。ですから、爆撃機であるとか、あるいは航空母艦であるとか、そういうようなものは持ちません。これは、イタリアとかフランスとか、あるいはそのほかの国々と比べましても、非常に日本が特色を持っておるところであります。これは平和国家として非常に大事な自己抑制であると思いますし、そのこと自体は日本の前途のためにも非常にわれわれが配慮しなければならない重大なポイントであろうと思います。  それからもう一つ大事なことは、そういう兵器とか数量よりも、運用方針というものが非常に大事だと思います。運用方針につきましては、前に申し上げましたように、憲法上の制約、あるいは政治上の制約、あるいはわれわれ防衛庁当局としての運用上の制約、そういうものを厳重に課しておるのでありまして、そういう総合的な判定で日本の防衛というものをよく外国からも見てもらいたいと思っておるところであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただ、昨年十月にお出しになった防衛白書の中には、これもよく長官御存じのとおり、この「防衛力の限界」の中で、「政府はたとえ憲法上可能なものであっても、政策として核装備をしない方針をとっている。」——ちょっと前後を読みませんから、ここだけでは紋切り型になってしまうだろうと思いますけれども、憲法上は可能であっても、政策的に、じゃ、将来核装備をしてもいいという方針になった場合、やはり一挙にエスカレートして、日本のいわゆる防衛力というものが一段と強化されていくんじゃないかというふうにも解釈できるのですけれども、この点、いかがなんでしょうかね。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法上の解釈は法制局長官にお尋ね願いたいと思いますが、法制局の見解といたしましては、防衛のためのいわゆる戦術核というものは憲法上は必ずしも否定されていないと、そういう憲法上の解釈がありましたから、それはそれとして、やはりそれを曲げるわけにまいりませんから、一応は書いておいたわけです。しかし、佐藤総理も言われますように、自民党政府といたしましては核装備はしない、このことははっきり明言しておるのでありまして、私もその政策を推進しているわけです。私は、この政策が日本のためにも非常に賢明であると思いまして、非核ということを常に政策のときにも冒頭に申し上げておるところなんで、この政策は堅持されるべきであると、このように思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま、憲法上の解釈についての点もちょっと触れられたようでありますけれども、ただ、いま佐藤内閣においてはですね、あるいは自民党ともおっしゃった、に関する限りは、考えられないと、しかし、将来どうなるかわからないということも考えられる可能性は十分ある。絶対ないと保証できますか、それでは。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 人間がやっている政治の世界には絶対ということはなかなか適用されないと私は思います。もし絶対ということばを、そのとおりと言ったら宗教的な世界じゃないかと思うので、われわれの世界ではないと思います。もしそれを政治の世界で言ったら、うそに近くなるのじゃないかと、私はそう思います。やはり、そういう相対的な中で、しかも人類の平和とか国民の安寧福祉というものを探求しつつ、それを最も確実に保証される、よりベターなものへ、よりベターなものへとわれわれは進んでいくのが政治であるだろうと思うのであります。いまの核装備の問題につきましては、私は、日本国民の現在の念願をよく政治家は知っておりますから、絶対とは申し上げませんが、こういう政策が日本国内においては相当長く、あるいは思わぬ予期せざる大きな変化でもない限りは、国民はこれを堅持していくべきである、そういうふうに考えていくだろうと思いますし、われわれもそういう政策をあるべきであると思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま中曽根君が答えたとおり、私ども、非核三原則、これは私は堅持する、また堅持さるべきものだと、かように私は思っておりますので、誤解のないようにお願いいたします。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 もう何回かその御答弁を伺っておりますので、われわれとしても十分理解しておるつもりでありますが、ただ、最近の一連の傾向を見た場合に、航空機のことを例にあげたいと思うのですが、F104、あるいはF105ですか、それから今度はF4Eファントムですか、に変わったと。いままでは迎撃戦闘機を主体にした日本の防衛というものに力点が置かれていたようでありますけれども、今度の機種を考えますと、これは明らかに戦闘爆撃機である、攻用撃であるということですね。こういうふうに、国民の知らない間に、ちょろっちょろっと変わっていくんじゃないか。それで、事態のいろんな客観情勢の変化に伴って一挙にという、そういうことを絶えず心配するがゆえに、こうしたことが議論になっていくのではないかというわけでありますが、その辺のいろんな、もちろん機能の高い、そういう機種を用いるということは当然でありましょう、近代戦の上においては。まあ、近代戦——ということ自体もどうかと思うのでありますけれども、そうなった場合あるいはという、やはり一まつの、そういうふうに、だんだんいままで迎撃用のやつから今度は攻撃用のやつに変わっちゃった。まあ、そういう経過を考えてみた場合に、やはり、まだまだ疑問がぬぐい切れないという点から、いまお尋ねをしたわけであります。いかがでしょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) F104、F4つまりファントムを採用するときには、その性能を国民の皆さまにも議会にも公表いたしまして、そして採用しておるのでありまして、いわば、これは要撃戦闘機として使うものです。もちろん、支援戦闘機としての機能も果たせます。たとえば、将来ある地点が橋頭堡として奪取された、そういう場合にその地点を爆撃する、わが領土の一角がやられたような場合に行なう。それは現在のF86Fでもやっておる支援戦闘機としての機能であります。それで、ファントムについては、行動距離を見ますと、簡単に申し上げれば朝鮮半島の三十八度線ぐらいしか行けない。行っても大した時間あそこには滞空できない。そういう行動距離の制約があります。日本列島は海に取り囲まれておりますから、そういう点から見ましても、外国に対してそういう脅威を与えるようなものではないわけであります。それから、ファントムには爆撃の専用装置をはずして、日本型のものは改造してあります。これも、いまのように迎撃戦闘機を主として任務としておるためにそういう装置をわざわざ施しておるのでございまして、外国に脅威を与えるようなものではございません。こういうような政策は今後ともわれわれは堅持していく考え方でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、横須賀あるいは三沢、横田という主要な基地から米軍の撤収約一万二千と言われておりますけれども、横須賀については何か一年間ぐらいおくれる、こういう計画発表もあったようであります。そうした場合に、全く同じような状態で自衛隊が肩がわりするということが考えられましょうか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 横須賀につきまして一年おくれるという発表はまだございません。外務省にもまいりませんし、われわれのほうにもまいっておりません。  それから米軍との肩がわりの問題につきましては、ただいま、あるいはそれ以前にも申し上げてまいりましたような機能を自衛隊は果たしているのでありまして、米軍の主たる機能はいわゆる「やり」の役目を持って、日本は「たて」の役目を持っていると言われますように、そういう攻撃的性格を持っている部分あるいは戦略的部分、こういうものはアメリカにたよらなければ、やっぱりわれわれはやり切れないし、また、そういう政策を今後も続けていくつもりであります。ですから、横田のファントムが移駐しても、三沢のファントムが移駐しても、自衛隊の機能は依然として本土の防衛に限定される、そういう線でわれわれの政策はやはり一線を画してあります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、そうした一連の日本の航空あるいは海上あるいは陸上のいわゆる防備力といいますか、を強化する一環として、やはり国内生産というものが最近非常にクローズアップされてきた。いわゆる防衛生産と申しますか、それが急激に伸びておるわけです。いままで主としてアメリカ側に依存していたやり方がだんだん減退してまいりまして、そして最近は、あるいは三菱重工等をはじめとする千数百社が兵器産業として脚光を浴びておるわけであります。こうした場合に、かつて軍人大統領と言われたアイゼンハワーが、巨大な軍事組織と大軍需産業の結合体が米国の自由と民主主義を破滅に追いやる危険性がある、こういう警句を発しておるわけであります。これは日本においても全く同じだということが言えるだろうと私思います。しかし、最近、年々こうした防衛生産というものが非常に盛んになってきておる。そしてまた、これにまつわるいろんな問題等も聞いております。まあ、その問題はともかくとして、最近のそうした防衛生産が著い増加の状態である、各種兵器の数も非常に著しいものがある、現状どういうふうになっておるのでしょう。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) わが国工業生産に占める防衛生産の比率を申し上げますと、昭和四十年度が〇・五%、四十一年度が〇・五%、四十二年度が〇・四%、四十三年度が〇・四%、四十四年度も〇・四。前にも申し上げましたように、工業の中では日本の皮革産業の程度の生産数量でございます。それから調達額を申してみますと、防衛庁の調達総額の中で国内調達額の比率を見ますと、四十二年度は九一%、つまり国産を手に入れているというのが九一%、四十三年度が八八%、四十四年度が九四%大体国内で手に入れると、そういう形で努力して、それで、いま申し上げました〇・四%で、一%にもなっていない、こういう状況からしますれば、少なくとも、そういう数量面から見て、民需を迫圧するとか、あるいは産軍複合体ができるという要素は少ないと思います。しかし、今度、人的な面でそういう産軍複合体のようなものができないように、われわれは大いに監視し、監督していかなければならぬと心得ております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そこで、いま産軍複合体ということを、あえておっしゃいましたので伺うわけでありますが、今日まで、防衛庁の、要するに高級幕僚と言ったほうがいいのか、高級将官と言えば、そういうことばはないかもしれませんけれども、いわゆる将と将補ですね、どのくらいの人たちが実際こういう防衛産業に天下り——と言ったほうがいいでしょうね、されているか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 昭和四十年度から四十四年度までの間に、昭和四十四年度調達実施本部契約高上位十社に就職しましたものは、三菱重工業七名、川崎重工業七名、石川島播磨重工業三名、三菱電機八名、日本電気四名、東京芝浦電気九名、日立製作所二名、小松製作所四名、日本航空機製造ゼロ、伊藤忠商事一名でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ、いまの数字は上位十社ということでありますので、私が先ほど指摘申し上げました千数百社というのは、はたして合っているかどうかわかりませんけれども、それらを含めると相当数にのぼるのではないだろうか。そこで、過去の軍国主義時代のことをわれわれは記憶を呼び戻すわけでありますけれども、いわゆる政府というよりも、そうした軍人と軍需産業の癒着というものが、あの忌まわしい敗戦という結果を招いたことは、いまさら申すまでもないわけでありますけれども、やはり、この点については、ある評論家がニューヨークタイムズにいみじくも喝破し、それを指摘しているわけであります。簡単に申し上げますと、日本の兵器工業というものはゆっくり基盤ができつつある、近代的な兵器産業というものが。そして、まだ今日の段階では実際には日本を支配するだけの力は持ってないけれども、しかしそれが支配機構の一環となっていることは見のがせないと、それで産業界は政治経済両面に強力な発言権を発揮しつつ兵器生産への関心をつのらせ、その能力を増大していると。これがはたして適切であるかどうかは別問題といたしまして、いずれにしても、そういうことが客観的にも指摘されるような事態、そして、いま長官が述べられましたように、少なくとも十指に余るところには相当クラスの人たちが行かれておるといった、ここにやはり産軍複合体と……。先ほどそういうことはない、また、あり得るという危険性については十分監視もしていく、こう述べられておりますけれども、その点、いかがでしょうか。私は、そういう危険があることを心配するわけであります。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体、いわゆる防衛受注を受けている会社を見ましても、その会社の総受注額の一割以下でございます。それで、現在は、防衛庁の艦艇を修理したいと思いましても、造船会社は非常に好況で、造船のほうがもうかるものですから、防衛庁の艦艇ですら修理になかなかいい顔をして迎えてくれないという状態でございまして、われわれのほうがむしろ困っている状態が実情でございます。それから、人的な面におきましては、防衛庁内部におきまして就職のいろいろな規律を設けまして、そういう複合体ができないような配慮を持っておりますが、今回はまた議会側のお考えもございまして、法律を提案しておりまして、そういう就職の審査会をつくることになっております。こういうようないろいろな手段を講じまして、人的にもよく注意してまいりたいと思っておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、昨年の九月の九日から五日間にわたって、フランスにおいて、IAEAですか、この主催による低中レベル放射性廃棄物処理技術のシンポジウムが開かれております。このシンポジウムの結果は、原子力の活用あるいは保障措置など、わが国の方向性をきめるその背景となり得るかどうか。これは科学技術庁長官でございますね。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 昨年の九月、フランスで、IAEAとENEAが共催で中低レベル放射性廃棄物管理の開発に関するシンポジウムを開催いたしまして、IAEAから要請がございまして、関係機関に連絡をいたしまして、わが国からも九名の方が参加をいたしました。このシンポジウムは、専門的、学術的な交流の場でございまして、このシンポジウムでは、放射性廃棄物処分に関しますところの各国の現状でありますとか、技術的諸問題、研究開発の動向について報告をし、かつまた討議をなされたわけでございます。そこで、現在科学技術庁に置かれておりますところの放射性固体廃棄物処理処分検討会、これは専門家約五十名くらいをお願いいたしまして自主的に処理処分の方法を検討いたしておるわけでございますが、この検討にあたりまして、ただいま先生の御指摘になりましたシンポジウムのいろいろな検討の結果も、これを資料として取り上げていきたい、かように考えております。わが国の方向性をきめる背景になるという程度のものではない……。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま語尾のほうがはっきり聞きとれませんでしたが、まあ、それはともかく、わが国では、このシンポジウムにだれがどのような資格で参加されたのでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 東京都立大学教授の佐合氏、日本原子力研究所の和達氏、放射線医学総合研究所の市川氏、東京電力から宇佐美氏、中部電力から田中氏、関西電力から桑島氏、日本原子力発電会社から板倉氏、荏原製作所から角谷氏、水産庁から松尾氏、科学技術庁からオブザーバーとして藤岡というのが参っておりますが、これらはいわゆる専門家としての資格で参加をいたしておりまして、われわれのほうでは、それぞれ通知を出しまして、希望者を先方に連絡をいたしまして、その方が出席したのでございまして、特に政府の見解を代表するというような性格のものではございません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただいまの御答弁のとおり、国としてはその責任はあえて持つものではない、このように理解してよろしいのでございましょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) そのとおりでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ここ五年間、原子力産業による廃棄物の量を示していただきたいと思います。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 五年間というのに正確に当たるかどうかということは、ちょっと明確でございませんが、原研では、年間ドラムかんに五百ないし八百本の廃棄物が発生しております。それで、外部からのものも一部引き受けておりますが、大体同量でございまして、現在、原研に保管されておりまする量は約一万本程度であります。それから、動燃事業団は年間三百ないし四百本の廃棄物が発生いたしますが、現在二千三百本が保管されております。それから、現在運転されていますところの原子力発電所、これは三つございますが、うち一基は四十一年に運転開始し、他の二基は去年から運転を開始したものでありますが、現在までに発生いたしました数は、ドラムかんで、三基合計二千四百四十本でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この放射性廃棄物は、生物にどういう影響を与えるでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) これらは、それぞれの施設の構内に設けられました安全な保管施設に保管されておりまして、外部には全く搬出されておりませんし、したがいまして、生物には何らの影響を与えるものではございません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、放射性同位元素協会というのはどういう団体でしょうか。役員構成あるいは業務内容。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 日本放射性同位元素協会と申しますのは、放射性同位元素の応用に関する技術の向上、普及などをはかることを目的といたしまして、昭和二十九年、社団法人として設立されたものでありまして、研究発表会、講演会の開催、専門図書の編集、刊行、それから放射性同位元素の頒布、使用済み放射性同位元素の回収、保管などを行なっております。役員は、会長一名、副会長二名、理事三十七名、監事二名となっておりますが、会長は茅誠司東大名誉教授でありますが、ほとんどすべての役員が大学とかあるいは研究所等の学識経験者でございます。本協会に対しましては、昭和二十九年、民法第三十四条に基づきまして内閣総理大臣が設立の許可を与えておりまして、その監督につきましては、民法及び「内閣総理大臣の主管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則」に基づきまして、定款の変更許可でありますとか、事業計画、事業状況の報告等の所要の監督を行なっておるわけでございます。  なお、本協会には、放射線障害防止法に基づきまして、放射線同位元素の販売、それから廃棄並びに使用の許可等を与えておりまして、同法に基づきまして、所要の指導監督を行なっておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 放射性廃棄物の海洋投棄については、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 原子力施設から生じますところの放射性廃棄物の処分につきましては、これは非常に慎重を期さなきゃならないという立場から申しまして、現在、科学技術庁に放射性固体廃棄物処理処分検討会というものを設けまして、鋭意検討を続けております。処分の方法として考えられますことは、陸上処分あるいは海洋投棄等のことが考えられるわけでございますが、何ぶんにも、これは慎重を期さなければなりませんので、その検討の結果を待ちまして——そう長くはかからぬと思います。結論が出ますれば、その方向に従って考えてまいりたいと思っております。  以上でよろしゅうございましょうか。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 先ほど申し上げたシンポジウムにおいては、日本の代表が、過去十年間、日本の沿岸海域の約三千メートルの深さにセメントで固めたドラムを投棄した、この投棄したドラムは千五百本にのぼっている、しかも、全期間を通じて数百キューリーである、こういう論文を発表しておりますが、これはどうなんですか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 放射性同位元素協会が過去において行ないました海洋投棄は、昭和三十年から十数回行なっております。これは館山沖の約四十キロメートルの地点でございまして、深度は二千六百メートルの深海に行なっておるのでございます。もちろん、ドラムかんによりまする廃棄でございますが、これは障害防止法の施行規則に定めましたところの基準に従って行なっているものでございます。この容器の強度は、この程度の深さに十分耐えるものであると考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それで、いま耐えられるとおっしゃられましたけれども、三千メートルの水圧、いま二千六百メートルとおっしゃいましたか、十分耐えられるだけの梱包がなされておりますか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) この投棄にあたりましては、アメリカ等が海洋投棄を行ないましたそういう実績等も十分しんしゃくをいたしまして行なっておるものでございます。現在は投棄は行なっておりませんが、投棄にあたりましては、当庁をはじめといたしまして、海上保安庁その他関係機関に十分連絡をとりまして、その指導を受けますと同時に、終了後におきましても、これらの機関に対してそれぞれ報告を行なうような慎重な態度をとっておるわけでございまして、その後、この投棄地点の周辺に対しまして放射能の測定等も行なっておりますが、現在まで何ら異状を認めない状況であります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この発表によりますと、これらの廃棄物に含まれる放射核物質は、海底に達すると、直ちに海水中に浸出すると、こういうふうに発表されているのですね。いまのところは全然その放射性の異状が見られないというふうにおっしゃっていますが、将来における危険性はどうなんですか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) お答え申し上げます。  私どものほうで慎重な測定を行なっておりますが、その浸出するというような懸念はないという結果が出ておりまするし、将来もその懸念はないと存じます。  なお、専門的なことでございまするから、政府委員に詳細お答えをさしたいと思います。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) 現在、私たちで行ないましたものについては、全くそういうことはございません。ただ、先生おっしゃいましたのは、たしか原安協で、理屈として計算した場合に、こう出るのじゃないかという計算の表がございます。それはございますが、現在実際に捨てているものについては、全くそういうものはございません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 将来においても、その危険性、その可能性というものはありませんか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほども大臣が、いま中止していると申し上げましたが、私たちのほうも、これは十五年やりまして、この観測をもう少し続けていきたいと思います。また、アメリカにおきましても、一九四六年から一九六三年まで捨てて、現在中止いたしております。したがいまして、私たちこれから先十分観測していきたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 現在は中止しておりましても、すでに千五百本が投下されておる。これが何らかのショックあるいは腐食等によってさらに多量の放射性物質が流れ出さないという保証がありますか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) 四十二年に一度その場所に確実にあるかどうかの調査をいたしまして、それは確実に調べております。その間、深海のところにおきます安全性も調べておりまして、現在のところ全く安全であると、そういうふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 シンポジウムに参加した代表者の言明、先ほど申し上げましたけれども、浸出すると、にじみ出ると、こういうふうに発表されているのです。いまの御答弁とちょっと食い違いませんか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま先生おっしゃいましたにじみ出るという発表はしてないので、試算のほうとの関係でにじみ出る場合という考え方が出ていたと思います。しかし、ただ私たちのほうでやっておりました、低レベルで入れておりまして、しかもそれをコンクリートの中に十分入れておりまして、絶対出ないような考え方を持っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この投棄に関しては科学技術庁で立ち会いましたか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) 投棄いたします場合、必ず科学技術庁が立ち会っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 さらに、この報告書によりますと、試験的投棄ということばを使っていらっしゃるのですね。それはどういう目的のためなんですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○政府委員(梅澤邦臣君) 私たちのほうも非常に低レベルのものを少しずつ捨てておりますが、長く観測するという考え方で、現在まで試験的という形でやっておりました。なお、ENEA等ヨーロッパにおきましても、現在試験的段階として相当量捨てて、現在まで二度捨てておりますが、本年また一度やるという計画がありますが、大体皆さん試験的という形でやっておりまして、私たちのほうも試験的という考え方でやっております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 大臣ね、先ほど四十キロとおっしゃった。非常に日本の沿岸から近いところなんですよね。万が一のことがありますと、その辺の一帯は相当甚大な被害を受けるばかりじゃなくて、それは漁業区域になっているわけです。そういったことについても十分考慮が払われているのでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) この場所の選定は放同協が行なって、それを科学技術庁の承認を得て行なったのでございます。その地点の選定にあたりましては、もちろんこれは十分慎重を期しておるわけでございまして、まず外洋であること、また海流その他によっていろいろな危険な状態にならないこと、そういうような観点からいたしまして、水深等におきましても二千六百メートルというようなところを選んだわけでございますが、また漁業にも支障がない場所、あるいは海底のケーブルとか、そういったものが布設されておらないところとか、いろいろな条件を満たしておるところを選んだわけでございます。その後の観測結果におきましても何らの異常がございませんし、将来も懸念がないと思われまするので、科学技術庁といたしましては、この位置の選定は適当であったと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いずれにしても、この廃棄物の総量、いわゆるその放射性が数百キューリーと、これは飲料水に例を求めて考えた場合に、専門的なことは私もわかりませんけれども、一リットルの中にかりに一万分の一マイクロキューリーですか、非常に微量だという数字でございましょう、放射性物質が入っても、これは人体にきわめて甚大な影響があるということが報告されておるわけですね。ですから、いままで投下した千五百本、それが何かのはずみでその放射性物質が流れ出す、そうして、それがたいへん近海を汚染してしまうということを心配するがゆえにそのことをいま申し上げているのです。こうした事実については、その地域住民等には公開しているのでしょうか。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) 特に公開といいますのは、どういうことをお尋ねか、よく意味がわかりませんけれども、特に秘密裏に行なうというようなことはやっておりません。これは民間の船をチャーターしてやっておることでもありまするし、関係機関は全部立ち会っておるというようなことでございまするし、秘密裏に行なっているということではございませんが、公開ということがどういうことを、お尋ねでございますか、よく理解できないのでありますけれども、特に公開の特別な手続というようなことはやっておらないかと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 私が申し上げておるのは、原子力の三原則の一つにあるわけです。その地域住民あるいは漁業を営む人たちについても、こうしたものを約四十キロ先において投下すると、けれども心配は要らないかと、そういう意味のことなんです。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○国務大臣(西田信一君) いわゆる三原則の公開というのは、成果の公開ということをいっておりまして、いろいろ観測をいたしておりまするから、その結果等につきましては、必要がございますれば公開するということは考えておりますが、投棄そのものにつきまして、特に公開ということはどういうことを公開とおっしゃるのか、よくわかりませんけれども、そういう特別な手続はいたしておりませんが、成果につきましては、必要があれば公開しようと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、沖縄返還に関しまして恩赦の件がたいへん問題になっておりますが、総理はどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 恩赦の問題、ただいま考えておりません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますと、全然考慮しないと、そういう恩赦の点については沖縄返還の時期がきても全然検討の余地はないと、このように理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) さような意味ではございません。どういうことにするか、そのときに考えるべきだ、かように思うので、いまからやるともやらないともそういうことを考えておらない、こういうことでございます、

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 たいへん含みのあるおことばでありますけれども、やる可能性はあると、こう見てもよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも可能性ということになると、やる可能性もあるが、やらない可能性もある、かように御理解いただきたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 選挙制度審議会が第七次発足をしたわけでありますが、今度の諮問事項には「政党本位の選挙を実現するための選挙制度全般を通ずる根本的改善策を具体的に示されたい。」と、こういうことになっております。総理自身、政党本位の選挙の実現と、その法の制定化というものをどうお考えになって、そうしてまた、その方向に持っていかれるかどうか、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度審議会が発足いたしまして、今回、国勢調査も行なわれた時点でございますので、これらの点も考えながらいかにすべきかということと取り組みたいと思っております。しかし、ただいま地方選挙が行なわれ、さらに参議院選挙が行なわれる、これに間に合わせるというような御意見もすでにありましたけれども、私どもは、どうもこの際に、その選挙に間に合うようにはなかなか結果が出ないし、また、おそくなりますと準備される方も非常に困るだろうと、かように思いますから、ただいまのところは触れないで、いましばらく調査にかかると、こういうことでございます。しかし、いずれにいたしましても、選挙制度審議会が最近の国勢調査を基礎にいたしましてそれらの点に考えを及ぼすというか、それらも当然のことだと思っております。党内からもそういうような意味の話もしばしば私も耳にするのでありますけれども、ただいま早急にはきめられない。もう少し最近の国勢調査の精査を待って、しかる上で取りきめるべきだと、かように思います。しかして、ただいまお尋ねになりました基本的問題でありますが、もっと個人本位の選挙よりも政党本位の立場でものごとが考えられれば適当だと、かように思いますけれども、しかしその選挙、それに先行するためにはやはり政党法が必要だろうと思いますし、そういう点もただいまございませんから、ただいま抽象的に政党本位の選挙だと、かように申しましても、なかなかすぐには間に合わないのじゃないだろうか、かように私は率直にお答えをしておきます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますと、いま当面する課題として一番、衆議院の委員会等においても指摘されておりますように、定数是正の問題があります。衆議院の場合、参議院の場合、ともにこれは早急に解決をしなければならない問題ではないか。総理御自身としてどんなふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私もそういうように思います。しかし、先ほど申しますように、最近、昨年行なわれた国勢調査の結果、これをやっぱり精査するというか、そういうものが出てこないことにはやはり取り組めない、また今回の選挙にすぐ間に合うようにいまからやるというわけにもいかない、かように思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ次の選挙といっても、非常に物理的にむずかしいと私は思うのですけれども、やはりしかし近い将来においてこの問題の整理をしなければならないのじゃないだろうか。選挙制度審議会の答申を待つこともけっこうでございましょうけれども、もう今回で第七次であります。何回も何回も繰り返しこの是正の問題についても検討をされました。参議院の定数是正についても、答申まではいかなくても、中間報告として出されてきた経過があるわけであります。したがって、やはり将来の——この次はまずいかもしれないけれども、やはり方向としてはこうするというその方向ぐらいはお示しいただけないでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私も、方向としては定数是正があるべきだと、かように思っております。しかし選挙制度審議会のいずれにしても答申を待たなければ、私どもが先に結論を出すわけにはいかぬだろうと思います。おそらく選挙制度審議会といたしましては、いま選挙の公正かつ公平に行なわれる、あるいはまた汚濁を防ぐ、こういうような意味からも、政治資金規正法もございましょうし、選挙区の適正化の問題もありましょうし、そういうような問題を十分御検討願う、しかる上で答申を得たい、かように私は期待しております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、財政経済に移りたいのですが、時間もありませんのではしょって申し上げますが、最近の日本の財政経済のあり方はいま順調になってきているというのが普通の定説でありますが、どうでしょうか、大蔵大臣、この外貨準備高というものは今後も増加する見通しでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国の外貨準備は、このところ実は急増いたしておるわけでございます。二月に三億ドル余りふえたのです。これを分析してみますと、三分の一が大体輸出入の輸出超過、それからあとの三分の一がこれがいわゆるドルシフトですね、アメリカで金利が安いというような関係からドルを使う、入手すると、こういう関係、それからあと残りの三分の一が日本の証券、特に株ですね、株式を買う、こういうような関係なんです。昭和四十五年度におきましては、基礎収支を四億五千万ドルと、こういうふうに見ておるわけでありまして、ただいま申し上げましたようなドルシフトとかあるいは株買いでありますとか、そういう短期資本の移動がなければ、大体四億五千万ドルが目標になるわけでございますが、最近のふえ方の中にはそういう流動資金の移動、こういう面からの外貨増加分があります。四十六年度におきましてどういう推移を短期資本、資金の動きが示しますか、これが外貨がどういうふえ方になるか、そういうことをきめることかと思いますが、ただいまのアメリカの金利情勢、それからわが国の経済が国際的に非常に堅実と見られておる。そういうような情勢からただいま申し上げましたようなドルシフト、これは若干のものがあるのじゃあるまいか、それから株の買い、これなんかどういうふうになりますか、これこそは予断ができませんけれども、そういうものを総合いたしましてまた四十六年度にはかなりの増加が予想されるのじゃあるまいか、ただいまそういうふうに見ております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 したがいまして、今後も国際収支の面では黒字が定着すると見てよろしゅうございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 今後長い間のことは申し上げかねます。しかし、まあ四十六年と、こういうような一年間ぐらいをとってみますると、これは国際収支はかなりの黒字基調であると、かように見ております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、確かにまあ黒字が定着しているように、これからも続くのじゃないかといういまの御答弁を待つまでもなく感じられるわけでありますが、ただし、昨年八月ごろから御存じのとおり景気調整過程に入ってきております。そういうことでむしろ経済成長率というものが、政府が立てられた見通しを下回るのじゃないだろうか、いわゆる不況感がひたひたと押し寄せてきている。そういった場合に、逆に輸出のほうがそれをカバーするために非常に伸びるのじゃないだろうか、こんなふうなことが考えられるわけでありますが、その辺の見通しはいかがでありましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 大体そういう見通しかと思います。ことに、諸外国におきましては、卸売り物価が上がるのです。消費者物価も上がりますが、同時に連動いたしまして卸売り物価が上がる。わが国におきましては消費者物価は上がっておる、これは国際社会並みに上がっておるのでありますが、卸売り物価がまあ定着をしておる、そういうようなことからわが国の対外輸出基盤というものがますます強化されつつある、こういうようなことで輸出は有利である、こういうふうに見受けられますので、その貿易収支は今後とも堅調に推移すると、そういうふうに見ておるのです。ただ、そういうようなものを総合いたしまして、四十六年度経済見通しにおきましては、資本の移動、そういうものを考慮いたしまして四億五千万ドルと、こういうふうに見ておる。それに短期資本の移動を加えてまあ収支じりがどうなるか、それが外貨の保有高に反映してくると、こういう見方をいたしておるわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただいま答弁を伺っておりますと、一貫して今後もさらに外貨準備高というものがだんだん積み増しされていく、こうなった場合、アメリカあたりの意向等も、これは黒字の責任国として円の切り上げということが想定されまいかと、この点はいかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 円切り上げというのですね、これは非常に大事な問題であります。そこで、国際社会で一体円についてどういう見方をしておるか、これ、この間、大蔵省から出向しておりまする在外公館の専門家を集めまして、これはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツです、で、意見を聞き、また、外国の見方について聞いてみたのです。そうしますと、私どもの考えておったのとは違いまして、外国の専門家ですね、これの間におきましては円の切り上げという議論があまりない、というよりはほとんどない、日本政府はよもや円の切り上げはいたすまいと、こう信じておる。ことに一昨年はドイツのマルクの切り上げがあったわけです、あれは失敗に終わったわけです。あの失敗を日本がよもや再び轍を踏むというようなことはあるまい、すまいと、こういう考え方がびまんをしておるのだと、こういうふうに報告をいたしております。ただ、日本のほうで、あるいは週刊誌とかあるいは評論家の間に円の切り上げ、円の切り上げと言って論ぜられる、そういうことで話題になるのでありますが、その程度であると、こういうふうなことを言っております。私といたしましては、理論的にも政策的にも円の切り上げということは絶対いたさない、かたくそういうふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、この貿易の自由化ということにつきましては、政府の考え方、何回か伺っております。ただ、いまの御答弁等を整理して考えてみますと、やはりだんだん黒字が累積されていく。米国あたりも指摘しておりますように、もっともっとその責任ある行動をすべきではないか。そういう一環としていろいろなことがいままで取りざたされているわけでありますけれども、そうしたことを踏まえて、これから日本自体が産業経済発展に不可欠な原材料、今日でも石油をはじめとしてほとんどが輸入、こういうことであります。その場合、いままでは原材料そのもので日本の国へ輸入してきた、それを現地においてある程度製錬したものをこちらに加工して持ってくる、そうなれば多少そういう地域の国々に対しても恩恵を与えていくことになりはしまいか、こういうふうに考えられるのですけれども、その点いかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) たとえば油につきまして、現地で製錬するというようなことが話し合いがつきますればたいへんけっこうなことじゃないか、私はそう考えます。またけっこうなことでありまするから、財政上、金融上所要な協力はいたす、そういう考えでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますと、いまおっしゃられたことをまとめてみますと、要するに加工貿易方式というものをこれからおとりになる、というふうに理解してよろしゅうございましょうか、加工貿易方式。要するに先ほど説明しましたように、現地においていろいろな原材料そのものをストレートで持ってくるんじゃなくて、それぞれの地域で加工したものを、石油にしても日本の国へ運んでくる。そうするといままでの値段よりは若干は高い値段を払うことにはなるかもしれませんけれども、その地域については日本から恩恵を与えることになるんじゃないか、その方向というものをこれからとっていかなければならんのではないか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 普通、加工貿易というと、原料を日本に持ってきまして日本で加工して海外に輸出するものですから、ちょっと私つかみかねたのでございますが、逆に現地で加工するというもの、少しそれは付加価値がつくわけですから、わが国に輸入をするというときには高くなる、それはやむを得ないことかと思います。公害なんか日本の内地で発生しないほうがいいのですから、そういうことが現地との間に話がつきますればたいへんけっこうなことだと、かように考えます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それから昨年金融引き締めが解除されたから、日本の景気が非常に流動性を持ってきていると思うのでありますが、この点について最近の景気の動向どうでございましょうか、経企庁長官。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 渋谷さんも御存じのように、ただいま景気が非常に鎮静化の度を深めております。これは当初見込みましたよりやや深いんじゃないかと言われるくらいの鎮静化の状態になっておるわけでございます。そこで政府といたしましてもこれに対処しなければならないということで、御存じのように、日本銀行の金融引き締め措置の解除、いわゆる公定歩合の二回にわたる引き下げ、あるいはまた財政措置におきましても、財政投融資の追加でありますとか、補正予算の効果、あるいは財政支出の促進といろいろ考えておるわけでございます。ただ私どもの見通すところになりますと、在庫調整も多少見込みよりずれておる感じがいたしますけれども、もう三月を過ぎまして春になりましたら、在庫調整も一巡するであろう。そうして民間設備投資も現在非常に冷えておりますけれども、主として製造業以外のものを中心にいたしましてなお相当旺盛な意欲が残っておりますから、そうしたことで逐次設備投資の動向も回復してくるのではなかろうか。なお在庫調整、設備投資以外の輸出にしましても、あるいは個人の消費にいたしましても、あるいは住宅の投資にいたしましても、総体的にはまだまだ強い面が残っております。先ほど申し上げました政策の運営とあわせて動向を見守っていきたい。大体下半期から徐々に成長は回復してまいる、そうして政府の見通しております一〇%前後の安定的な成長の路線に大体向かうのではないかと、こういう感じを持っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただ、いまの御説明に加えまして、昨年十一月あたりからの状況を見ますと、たとえばこの機械の受注ですか、その峠がずっと下がってきておるわけです。これは部分的な見方かもしれないですね。いまむしろ総合的な見方に立っておっしゃられた。しかし部分的に見た場合に下がってきておる。それでその面については少なくとも危険を感ずるというふうにわれわれは判断するわけであります。こうしてこの四十六年度の経済見通しというものが、いままで大体すぱっと政府の見通しが合致したことはないということからも、何かやはりこの昭和四十六年度、これから昭和四十七年度にかけてますますその先行き見通しというものは暗いんじゃないか、重ねてその点をお尋ねするわけですが、同時に危険な条件というものはふえていないかどうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 政府の見通しが狂っておるとおっしゃいますが、物価はなかな問題がございますが、四十五年度は大体において見通しのようなところにきたと私は思っておりますが、引き続き四十六年度の問題でございますが、これもいま御指摘のように確かに昨年の秋ごろから特に設備投資が冷えてまいってきておることは確かでございます。ただ製造業が中心でございます。それから大企業が中心でございます。全体をながめてみますると製造業のほうが予想外に鎮静しておるのに対して、非製造業の投資意欲は意外に盛んでございます。特に電力その他を中心にしまして、あるいはまた中小企業におきましても——中小企業は前からそうなんですが、金融の引き締めの解除に非常に敏感に反応いたします。それで卸、小売り、あるいはその他の中小企業関係の設備投資、その他もまだまだ非常に強味を持っております。そういうようなことで製造業のほうは相当落ち込んでまいりますが、非製造業のほうでは、これが大体全体の六割くらいを今日設備投資の中で占めておりますが、そうしたこともございまして、今後先ほど申し上げましたように設備投資以外の需要、輸出にしても消費需要にしても、その他の需要も強いことでございますから、あと財政投資等も相当伸びようとしておるときでございますから、そうしたことで現在は率直に言いまして一番悲観的なムードの濃い段階に立っております。それだけに非常に前途を悲観的に見る考えが支配的になっておりますけれども、今後だんだんとそうした他の需要の強さ等もあずかりまして、だんだんと明るく見通しがなってくる。そうしてまた政府といたしましては、財政金融をいつでも機動的、弾力的に政策を運営できると、こういうかまえをとっておるわけでございますから、その点につきましては、いまおっしゃいましたほど落ち込むということを今日考える時点ではない、こういうふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そこで、ただ政府がしばしば申されておりますように、中立機動型ですか、いまの御答弁を通じまして、はたしてその機能というものが発揮できると、だいじょうぶだと、いまの予算のワクの上から見てだいじょうぶだと、このように理解してよろしいんでございましょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) だいじょうぶであると考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 今後政府保証債の弾力的な発行だとか、あるいは公団、公庫などの借り入れ金の弾力的な増額等々、これはむしろ大蔵大臣のほうになりますかね、景気の要するに下ざさえというものが当然必要になってくるんじゃないだろうか。いまの答弁に関連しましてそのように感ずるわけですけれども、ちょっと脈絡がないかもしれませんけれども、その点はいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政府のほうでは、大体超高度成長といういまの経済の勢いを、これを安定成長、そういうところへ持っていきたいと、こういう考えで、その安定成長の高さというものは、それはまあ一〇%、そういうふうにまあ見ておるわけなのです。一〇%というものを見詰めまして、いまの時点ではかなりまあ一〇%を割っている、これを一〇%まで持っていくと、しかし一〇%以上にはしない、こういうまあ政策運営をしたいと、こういうのです。景気が過熱状態にありますときにこれを抑制しようという際には、これは金融が非常にものを言うわけです。金融を引き締めると、これはもう引き締め方によりましては徹底的な影響があると思います。ところが、景気が今日まあ安定点として求めておる一〇%を下回っておると、こういうような状態において、景気を浮揚させるという際には、金融はむしろ受け身の立場をとるわけでありまして、積極的な景気浮揚の役割りは直接にこの需要の喚起に当たる財政であると、こういうふうに観念をいたしまして、で、今度の予算、これもまあ従来よりは大幅にこれをいたしております。約一兆五千億円、GNPの二%に当たる額を増額いたしておると、こういうわけであります。この運用ですね、これを支払いを促進いたしますとか、あるいは繰り上げ支出をいたしますとか、これでかなりの景気調整機能を持つと思います。しかし、万一御指摘のようにそれで足らぬ場合がないともわからぬ、そういうことも考慮いたしまして、まあ国会に対しまして、いま政府保証債を発行権限を予算外において拡張することをお願いをいたしますとか、あるいは政府八金融公庫の貸し出しワクを拡大するために、この借り入れ金限度を予算外において五割方拡大することをお願いいたしますとか、あるいは政府債務負担行為の権限を拡大しておきますとか、まあいろいろなそういう弾力措置を講じておるわけであります。この額がおおよそ七千億円になります。まあ大ざっぱに言いますと、これもGNPの一%に当たるわけであります。これだけの装備をいたして、これを縦横に使うということになりますれば、私はこれはもうかなり決定的な影響を経済の動向に及ぼし得ると、こういうふうに考えておりまして、いまは多少沈みがちでございまするけれども、これからつま先上がりに景気は回復していく。曇り後薄日と、かんかん照りでは困る、薄日が一番いいと、こういうふうに存じまして、その薄日状態が実現されるものであると、かような見通しに立っておるわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 つけ加えまして、まあ従来からもしばしば言われております社会資本の不足と、まあ非常に前向きにいつも大臣の御答弁を伺っておりますが、この四十六年度、いまずっと御答弁を伺う限りについては、これを解消する絶好の機会ではないだろうか。したがって、この四十六年度、この機会をとらまえて社会資本を積極的に充実するための方途を当然講ずべきではないだろうかと、こう判断されますが、この点についてはいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 御説のとおりに考えております。したがって、社会資本一般会計予算におきましても、いわゆる公共事業費、これは一兆七千億円、かなりの額をまあ計上する。それから新たにまあ住宅五ヵ年計画でありますとか、港湾の五ヵ年計画でありますとか、あるいは空港整備五ヵ年計画でありますとかですね、あるいは道路関連ではありまするけれども、交通標識等の五ヵ年計画を設定いたしますとか、まあもろもろの長期計画を立てまして、これを着実に進行していこうと、お話のとおり、民間設備投資、これが不足しておりますから、それを補うのは社会資本の充実である、財政の任務であると、さように心得ております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後に、沖繩の返還につきまして一、二お尋ねをしたいと思うんでありますが、現地の要望に必ずしも現在復帰要綱に盛られている中身が満足できないものがあると、——一つ一つ取り上げている時間がございませんけれども、そういう不満があるやに聞いております。もう一九七二年四月ということになれば、時間的にも非常に切迫しているといった、そうしたような要望というものを十分組み入れながら調整をはかって、沖繩県民の十分期待にこたえるような、そういう要綱を策定することができるだろうか、こういう心配がいまできておるのでありますけれども、総理いかがでございましょうか。むしろ長官のほうがいいですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは第二次復帰対策要綱を今月内にも閣議決定をいたしたいと念願をしておりますが、それはお話のように、すみやかに沖繩の人々になるべく全貌を明らかにすることによって、復帰ショック、不安等をなくしていただくために早いほどよろしい、そうして詳細なほどよろしいと思っているわけでありますが、ところが、それらのうち、重要な一、二の問題について、沖繩の現地側との意見が一致しない点がございます。私どものほうからも責任者を派遣をいたしましたし、先般副主席あるいは復帰対策室長、総務局長等、そろって幹部が参りましたが、なお意見の調整がつきませんので、一ぺん沖繩に帰ってもらいまして、昨日上京してもらいました。本日十時から知念副主席を中心に沖繩・北方対策庁の幹部とじっくり意見の統一ができるまで話し合うつもりでありますが、もし沖繩との間に意見が合意しないものについては、第二次の復帰対策要綱からは落として第三次回しとして詰めに慎重を欠くことのないように第二次対策をきめたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 で、現在の作業の進みぐあいは、十分間に合うということを想定されて進められているはずでありますが、だんだんいろいろな問題点が出てきますと、おくれはしまいかという心配が出てきているわけです。その点、いかがですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは拙速をとうとんではならないことでございますから、少々予定よりおくれましても絶対に詰めを誤ってはならない、合意を得なければならぬという目標があると思うのです。ただ、私どもの事務当局について、たいへん人数が手薄でございますので、本日の閣議において、各省庁から一人ずつ沖繩・北方対策庁に大体半年間、貸してほしいということを私から依頼をいたしました。大体いまのところ、各省大臣、おれのところはいやだという話はありませんので、加勢をしていただけるものと思っておりますが、そうしますと、現在の仕事に従事しております者の約二倍ぐらいになりますので、ということはわずか二十人ぐらいでやっておるということであります。加勢を願いましてでも慎重に、そうしてかつなるべく早くという両方の目的を達成して、作業に悔いのないようにしたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 もう一つだけです。きのうですか、ランパート高等弁務官が第二次の毒ガス撤去計画を発表したようであります。これについては、もちろん、琉球政府を通してそのコース等を早急にきめてもらいたいと、こういう要望があったようでありますが、これは着々進んでおるのでしょうか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) たいへん見落としてならない点は、ランパート高等弁務官においては、先般米側の正式な発表をいたしました。おそくとも夏の終わりまでには撤去できる施設がジョンストン島において完成しつつあるという予定を発表をいたしましたが、そのときにおいては、前提は現在の百五十トン運びました搬出ルートを利用すればという前提でありました。しかしながら、その後、私とランパートと会談等もいたしましたし、愛知外務大臣等のルートからもいろいろと話し合いをいたしまして、日本側のほうが——もちろんこの場合において日本側とは琉球政府側であります。アメリカの毒ガス撤去ルートとして支障のないかわりのルートを提供するならば、それに対して同意する用意があるという姿勢をとっていることであります。この点については、琉球政府に対して、一月の中旬、すみやかに新しいルートの決定をしてほしいということをお願いしておりますが、いまだにどうも決定がないようでありますけれども、情報によりますと、この一両日中には、関係住民その他の了解を取りつけて、ルートの発表が琉球政府の立場においてなされるのではなかろうかという感触もございます。それが発表されましたならば、アメリカ側はそれに対しておそらく同意を与えるであろうと思いますので、同意を得ましたならば、直ちに、財源、工事その他について米側とも琉球政府側とも打ち合わせをいたしまして、最後の一個まで沖繩から毒ガスが排除される日のすみやかに来ますことを目標として努力をしたいと考えております。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって渋谷君の質疑は終了いたしました。  午後は一時三十分再開することし、それまで暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。中沢伊登子君。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 はじめに総理に御質問申し上げたいと思いましたが、それは後ほどに譲ります。  運輸省の航空局からこのような資料が出ておりますが、関西に国際空港をつくる基本方針は、もうすでにきまっておられるのですか。そしてまた閣議決定はされておられるのですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 関西に、関西の第二国際飛行場をつくるという方針は、運輸省として決定いたしております。もちろんこれは予算の問題でありますから、特に閣議決定という問題とは違って、昨年から調査を進めて、本年中にはその場所をきめたいと、かように考えて、目下検討中であります。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 はじめ淡路島につくるとか、その後、海上につくるとか、いろいろな説がありましたが、一昨日でしたか、運輸大臣はモデル海上空港にしたいとかの発言があったようでございますが、大阪湾説は内定しているんですか、確定しているんですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 日本は残念ながら国土が狭いものでありますから、大型飛行場をなかなか陸上につくるということは非常に困難な事情があります。かつまた、最近の大型飛行機は騒音も相当に高いのでありますからして、したがって、いわゆる人家の密集した地帯に設定するということはむずかしいと、こういうことからして、まあ関西国際空港は海上にこれを設けたいということで、ただ、以前に淡路島ですか、このほうでも誘致運動等が、現在は状態は違っておりますけれども、当時にそのような声もありましたので、淡路島もあわせて検討しておりますが、現在のところはいわゆる陸上につくる考えは持っておりません。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 いま神戸港沖というような話がもっぱら地元のほうで聞こえておるわけですけれども、神戸沖とすれば、百年の歴史もある、千古の港でございますし、港湾機能に支障を来たさないのかどうか。あるいはまた神戸沖というのは羽田とはだいぶ違っておりまして、海岸線はほんとうに過密な、住宅文化都市がひしめいておるわけです。しかも裏に六甲山という山がありまして、海岸と六甲山との間がへたいん狭いです。そこに国鉄や私鉄が二本、国道、第二阪神国道、高速道路と何本も並行して走っていますので、その上にまた頭の上までもかと、こういうことで、すでに反対運動が、相当きつい運動が起こっていますが、すべてにわたって綿密な調査はやっていると思いますけれども、一番大切なのは人体への影響調査だと思います。神戸市の宮崎市長も、羽田沖で本格的調査をやると、こういうことがきのうの新聞に出ておりましたが、実際に人体影響調査というのはやってごらんになったのでございますか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 御承知のように、超音速飛行機というものが目下開発中でありますけれども、これが開発がおくれておりますのは、一つは、いわゆる騒音と衝激波の問題であります。日本は国土が狭いものでありますから、陸上の上を飛ぶ機会は非常に時間的には短いのでありますけれども、アメリカとかヨーロッパはやはりどうしても陸上の上を超音速機といえども飛ばざるを得ない、そうなりますというと、これはたいへんな従来伝えられておるような騒音であり、あるいは衝激波を受けるとすれば、これはまあアメリカ大陸とか、ヨーロッパ大陸は影響を受けるわけであります。そういうことからしてこの問題が解決しなければ、いわゆる超音速機というものは実用には向かないということで、最近では開発が時間的におくれておるようであります。したがって、日本の場合においても当然これは、外国人と日本人といえども騒音に対する感度は同じでありますから、したがって、世界において歓迎せられざる状態でのいわゆるエンジンは受け入れることはできませんから、日本においてもその点についてはもちろん騒音の低い、そうして衝激波のない、そういう飛行機でなければ入れるわけにはまいりません。  そこで、まあ阪神沖というお話がありましたが、まだ実は運輸省では数カ所の地点を調査中でありまして、特に阪神沖が有力なる候補地だとはきまっておりません。ただ、海上にこれをつくる場合はできるだけ陸地を通らない、市街地を飛ばないと、こういうような設計の上でくふうをしたい。したがって、まあ海岸線に並行して滑走路がつくられると、こういうことになりますと同時に、いわゆるできるだけ陸地と離して飛行場をこしらえる。できれば四キロもしくは五キロぐらい海上の沖合いに出たところに人工島をつくって、そこに飛行場をつくる。その場合にまあ突き出しますからして、両側に一種の港のようなものができますから、自然に。これを流通港湾なり、あるいはカーフェリー港湾なり、こういうことでその地域の開発にも役立つようにと、日本の現在の経済力をもってすれば飛行場の建設に、まあ陸地よりは二割もしくは三割上がる場合がありましても、金の問題は私はたいした問題じゃないと思う。それよりはいかにして騒音を少なくするか、あるいはそういう衝激波のない、皆さんから喜ばれる大飛行場をつくるというのが私の考えであります。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 この狭い日本で、大臣も盛んに狭い狭いとおっしゃっておられるんですが、この狭い国でなぜ国際空港が二つも必要なのでしょうか。いまに新新幹線というような計画もあって、東京と大阪の間をもう一時間、あるいは四十分ぐらいで飛ぶというものも研究されていると聞いておりますけれども、成田との二重投資にはならないかどうか。そして、そのSSTが騒音やあるいは排気ガス、そういうもので人体にそれほど影響がないとすれば、SSTも日本に飛んでくると、こういうことになるんでしょうか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 飛行場がまあ足らないことは、もう皆さん常識としておわかりと思います。大阪から東京へ飛んでまいる。そうして普通に着くなれば四十五分か五十分で羽田飛行場に着くものが、羽田の上空へ来たって三十分もしくは一時間くらい待たされる場合があります。これは飛行場がないからなんですね。飛行場をつくる余裕があれば、さようなことはあり得ないんですが、そういうことによって、いわゆる現在使っておる飛行場は、結局、国内飛行場専用にせざるを得ない。もちろんこれは全部専用であって、全然使わないというわけではありませんか、原則として現在の大阪空港にしましても、東京の羽田空港にしましても、国内専用でも足らなくなると、こういうような状況で、昭和六十年度に計算をしますと、現在の国内飛行のお客さんは現状の大体十三倍ぐらいにふえます。それから国際関係のお客さんも現在と比べて、昭和六十年度には大体七、八倍ぐらいのお客さんの増加を来たす、まあ十倍と見ておりますが、まあ七、八倍。こういう増大するお客さんを、いかに飛行機が大型化しましても、なかなかこれはいま飛行場で、国内、国際を両様に使っておる飛行場でこれを使用することは、危険もあるのみならず限度があります。そういう意味において、どうしてもやっぱり大阪にも国際飛行場もつくるということは、一つは、大阪自身も何も東京の付属の都市でありませんで、大阪は大阪としての独特の、いわゆる外国から見ましても商都として、あるいはそのほかの意味におきましても重要な国際的都市であります。この国際的都市に直接飛んで行けないということであっては、これはまあ大阪の将来、神戸の将来のためにもなりませんし、かつまた、皆さんが外国に行ってごらんのように、ニューヨークの近辺には幾つかの国際飛行場がある。これはもうパリでもロンドンでも同様です。将来のいわゆる交通革命ということから見れば、国際飛行場というものはどうしても現在の成田の一つだけでは間に合わない、おそらく大阪の第二国際空港ができましても、せいぜいまあ今後二十年か二十五年ぐらいの寿命ほかないのじゃないかと、かように考えておりますので、関西空港の建設は急を要する問題と私は考えております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 よくわかりました。しかし、いずれにしても、どこにきめるにしても地域住民とのトラブルが起こることは、もうやむを得ないことかと思いますが、第二の成田にならないかどうか、その点が非常に私は心配でございますので、運輸大臣の誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 成田問題ではお互いにたいへん困った問題でありますからして、こういうことを二度も三度も繰り返すことは好ましくないと思っております。したがって、中沢さんからの御質問があったような人体等における障害の詳しい調査、あるいはまた運輸省でこれから調査を進めてまいり、そうして将来の地域住民に対する障害度の少ないということを十分に証明し得るような措置をする、あるいは必要によっては、そこで一種の実験的なことも行なって、地域住民の人に十分に理解してもらう。十分に理解した上で建設をする。ただ反対せんがための反対はこれはいたし方がありません。これはもう法によって行なうほかありませんが、少なくとも最善の努力をして皆さんの御理解を得るという自信を持って関西空港はやりたいと、かように考えております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 お待ちしておりました総理大臣がお見えになりましたので、総理大臣から、マイヤー大使との会談の報告をひとつ聞かしていただたきいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんおくれてまいりまして申しわけありません。  マイヤー大使、けさほどのニクソン大統領の声明について詳しく説明してくれたわけであります。大体においてすでにもう報道済みでございますので、私重ねて中身は申しません。まあそれにつきましても、なかなかアメリカ側の事情にもわれわれが理解しないような面もありましたので、そういうふうな点もこちらからもいろいろ聞いたような次第でございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 その繊維問題でけさの渋谷委員の御質問のあとに、何らか変わったニュースが出ておりませんか、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) けさ御報告を申し上げた以降、これといったことはございません。たとえば、アメリカの下院歳入委員長ミルズ氏が談話を発表したというようなことは外電で承知いたしておりますが、それ以上これといった動きはございません。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 たいへん失礼な言い方かもしれませんけれども、もともとこの問題は佐藤総理大臣とニクソン大統領との間で始まった問題でございます。それで二年間経過をしてしまいまして、民間ベースにおりてきたような感じがいたします。そしてミルズさんと、それから日本では業界とが何かやり取りをしたような感じになりまして、そしてこの解決がはかられるような形になってまいりましたところで、さっそくニクソンから拒否声明を出されたわけでございますけれども、こうなりますと、やっぱり佐藤総理大臣からも一言あってしかるべきではなかろうかと、こんな感じがするのですが、いかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政府間交渉はいたしましたものの、政府間交渉でも絶えず申しましたことは、業界の理解がなければ何を政府間で話し合おうとも、これは実行するものではないんで、これは立法措置じゃございませんし、業界の協力なくしてはできないんだと、こういうことを毎度申し上げていたのであります。したがいまして、私どもは政府間の交渉はいたしましたものの、両院における国会の決議もありますし、また、ただいま申し上げるように、業界の協力なくしてはできないんだと、こういう一つのワクがありますから、いわゆる政府間の話し合いというもの、限度があるわけです。その話がまとまらなくて低迷しておる間に、別のほうから話が自主規制に踏み切られたと、こういうことでございまして、これはもう政府といたしましても、せっかく政府間交渉で始めたのですから、政府間交渉でまとまれば、それはもちろん何ら申し上げることはございませんけれども、しかし、どうも政府間交渉、なかなか進まないと、業界自身もそういう意味ではどうも進まないからという、そういう自主的な規制をなさったんじゃないかと、そういう点では、私はやはりまああり方といたしましては政府間交渉で成功しなかったことが民間交渉で妥結したと、こういうように見るべきではないだろうかと、かように思っております。別に政府間交渉、それが全然別な方向であったと、かようには私は思いません。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それでは次に、国民の暮らしの問題について御質問をしたいと思います。  わが国の経済が高度成長を遂げてきた今日、国民の生活実態と生活水準について政府はどのように認識をし、どんな見解を持っておられるかを承りたいと存じます。  そこで、まず佐藤総理大臣にお伺いをいたします。総理大臣も戦前は若御夫婦と小さいぼっちゃんと三人暮らしで鉄道官舎の生活をなさった経験をお持ちでございますが、現在、家族四人都会暮らしでどのくらいの家計支出になるとお思いになられますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) なかなかむずかしいお話ですが、まあ私自身の生活経験から申しますと、今日までに私は何回家をかわったか——もちろん官舎でございますが、自分の持ち家にまで発展するまでに十八回かわっております。それで家内ともそういう点で話をするのですが、お互いにずいぶん苦労もあった、最初のスタートは月給百円、そのもとでスタートしたんでありますが、しかし当時の百円ですから、いまから比べればそれはちょっと百円という感じは出ないだろうと思います。しかし、若い役人がまあその程度の生活をしたと、こういうことでございます。一番最初住んだのは裏長屋とでも申しますか、むね続きの家の、これは官舎ではございません。そういうところで月給の、そうですね、月給の約五分の一払った、百円の月給で二十円の家賃を払ったと、かように御理解いただければいいです。ずいぶん苦労したものでございます。まあ今日の生活から申せば、おそらくただいまの平均所得、勤労者の平均所得、これはずいぶん上がっております。したがって、きわめて最近のものを見ればおそらく十万を過ぎ、十一万前後に内閣の統計ではなっておるんじゃないかと、かように思います。これがまあきわめて最近の統計で、したがって、どうもわれわれのように百円で生活した者、ちょっと感じが出てこないようなものでございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 総理が詳しく御存じなくてもやむを得ないと思いますが、たいへんけっこうなお話を伺いました。私は総理よりちょっと年が下のはずですけれども、私が結婚したころは九十五円でしたから、だいぶ私のほうが安月給のようでございます。当時の家賃が二十八円でございましたから九十五円の月給で同じような生活をしてきたと思いますが、私が総理に望むのは、そのような数字の知識ではなくって、国民の暮らしの向上と充実について具体策の強力な実施をしていただきたい、こういうことをお願いしたいわけです。  そこで関係大臣に御質問を申し上げるわけですが、まず、経済企画庁長官に伺います。長官は、わが国の勤労者の平均的な家計支出としてどのくらいの金額の暮らしを想定しておられますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 御質問の趣旨が必ずしも私はっきりつかめませんが、おっしゃっている意味は、おそらく水準といいますか、まあ理想的といいますか、考えられる水準をお聞きになっているんだろうと思います。それで、もちろん政府といたしましては新経済社会発展計画、あるいは新全総その他においても、いわゆる国民の快適な生活と健康を保つ、快適に暮らせる生活というものを政策の目標にいたしておるわけでありますが、しかし、その具体的な中身は、やはり国民生活水準の発達の段階によって当然違ってくると思います。これを計数的に一がいに確定することはむしろ困難かもしれません。しかし、御存じのように、最近わが日本はずっと経済成長一〇%以上の高度成長を続けております。GNPの成長はすなわち国民所得の成長でもございますから、そういう意味において年々消費水準が上がってきておることは御存じのとおりであります。いま、総理から勤労者の四十五年の平均一世帯十一万というお話がございましたが、一割五分ぐらいの上昇を示しておることは御存じのとおりであります。こういうことで、できるだけ適当な経済成長のもとにおいて消費水準の安定的な上昇をはかってまいる、そうしてそれによって近代生活の理念にふさわしいところの生活水準を実現していくように経済政策を運営してまいる、こういうことであろうと思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 私は国会議員としても、また、一人の国民としても、国民のそのような家計の実態については、この資料ですね。こういうものにたよるよりほかに方法はないのですけれども、経済企画庁は勤労者の家計についてこれらの調査をどのように評価し、どのように活用しておられますか。そしてまた、これを政策立案のデータとしておられますか、どうですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 何と申しましてもこの家計調査は現在としては最も権威のある、国としても最も権威のある唯一のものであろうと私たちは思っております。そういう意味において、この家計調査にあらわれた数字というものを十分にわれわれもよく見まして、そして立案の参考にさしていただいておるわけであります。まあ御指摘の点は非常に広範なものでございます。物価の政策の問題にもつながり、所得政策にもつながる全体の問題でございます。私どもは今日、先ほど申し上げましたように、相当高度な成長のもとに毎年相当収入が伸びてまいっております。したがいまして、御存じのようにエンゲル係数、すなわち国民の生活費に占める食料費の割合は毎年逐次低下を示し、逆に文化的、レジャー的な経費の支出がますますふえておる。そういう意味において、大きな方向としては、やはり非常な消費水準の向上を伴いながら、ある程度快適な生活に向かっておる。ただ、まあこの家計消費支出はあくまでも個人の消費中心の統計でございます。本来でありますれば、これにむしろその環境をはかるところの社会開発的な要素をもっと今後重視しなければならない、こういうことになってきておりますけれども、生活自体はやはり逐次上昇してまいっておる、こういうふうに考えております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 過去十年余り、一年の休みもなく物価はずっと上昇してまいりましたので、消費水準が上がったとか、収入がふえたとか言いながら、国民生活というものは物価に追いかけられ続けっぱなしでございまして、夢がないままに今日まで押し流されてきたような感じがしております。内閣統計局は昭和四十年を一〇〇とする消費者物価指数が、四十六年には一三九・八になると発表しております。これは六年間に物価が四〇%近く上がった、こういうことになろうかと思いますが、これは百万円の貯金が六十万円に減ったことを意味するのではないでしょうか。それでもなおかつ収入総額の中から二〇%前後の貯金をしていく国民の気持ちは、一体何だとお思いなりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 御存知のように、非常に高い成長を実現してまいりましたために、すでにOECD等でもしばしば報告されておりますように、いわゆるわが国の国民所得、一人頭の所得の上昇と、それから成長から誘発されるところの物価上昇というものとを差し引きまして、正味における実質的な消費生活水準の向上というものが、ともかくも今日先進諸国の間では日本が一番高いという意味においては大きく私は評価されていると、こう思っております。ただ、御指摘のように、個々の収入がふえてまいりますが、同時に過去のストックの減価ということが問題になり、また同じ個人の収入が増加いたしましても、階層上のアンバランスの問題もございます。そうしたことから、今日、消費者物価の上昇を何とか安定的なものにしなきゃならない、こういう問題が起こってきているわけでありますから、われわれといたしましても、できるだけそうした努力を払わなければならない。ただ、実質的には正味の生活水準の上昇は、まだまだ世界的には日本は一番である、そういう意味の評価は十分なし得ると思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 私は、国民がそのように貯蓄をするのは、社会保障の不備の中で、生活防衛だろうと思うんです。まず、こどもの教育費のために貯金をしよう、あるいは家がほしいとか、老後が心配だから、こういうような気持ちから一生懸命で貯蓄をしているんだと思います。いまお話しのありましたように、エンゲル係数で見ますと三二・二%と下がっていますけれども、これはこのあれで見る限り相当中身は悪くなっています。やっと大根やホウレンソウが安くなったと思っておりましたら、昨年のキャベツと同様にまた畑にまき込んでしまわなければならない。こういうことを見たり聞いたりしておりますと、もう消費者はほんとうにあ然とせざるを得ないわけでして、いつまでこういうことが繰り返されるのかなあ、まあこういうことで、非常に、せっかくつくったものをもったいないなあというような気持ちと両方入りまじって、たいへん複雑な感情を持っているわけです。  そこで、エンゲル係数の中身がずいぶん悪くなっていることは御存じでございますね。二、三例をあげてお聞かせいただきたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) エンゲル係数全体はほぼ先進国並みに下がってきております。いま中身の御質問でございましたが、おそらく御質問の趣旨は、最近、御存知のように野菜等の季節商品と中心に非常に価格が上がっております。そのために、その価格の上昇によって実質的な伸びが非常に落ちてきているんではなかろうかと、こういうような点、中身の問題というのはそういう意味であろうかと思います。そこで、確かに季節商品、特に野菜等におきましては、御指摘のように、特に四十五年度はまあ異常と申していい価格の上昇でございましたから、確かに多少消費抑制的な姿が出ております。ただし、このエンゲル係数が下がるということは、やはりそれだけ実質的な食料費の上昇は生じておる。問題はその中身でございますが、一方において、たとえば魚であるとか、そうした野菜というようなものが価格の上昇で少し実質上マイナスになっていると思われるものがございますが、一方において、肉であるとか、あいるは乳製品であるとか、あるいは飲料であるとか、そうした、何といいますか、程度の高い食料の中身のほうは実質的に伸びております。で、そういうことで、総体的に見ると、やはり消費の多様化、高度化に応じまして、食生活の向上でやはり示されておるというふうに見ていいと思うのでございます。ただ、その中にありまして野菜のような季節商品的なものは、年度によって、昨年のような異常な上昇がございまして、その年に限って名目支出の上昇のわりには実質的な上昇がないと、こういう意味において多少消費抑制的な年がありますけれども、総体の方向としましては、やはり消費生活の内容が非常に上がってきている、こういうことは十分うかがえると思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 私はいまの長官のお答えとは多少違う感じを持っているのです。というのは、肉のかわり豚肉や鳥肉を使ったり、あるいは白身の魚にかえてイカやタコをとっている、こういうふうになっておりますから、エンゲル係数が少し下がったということが必ずしも喜ばしいことではない、こういうふうに私は思っております。  きょうはそういうようなやりとりをするつもりではございませんが、ここにリンゴを持ってきております。このリンゴ、総理大臣、幾らだとお思いになりますか。全然おわかりになりませんか。経企庁長官、おわかりになりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 二百円——二百円じゃ安いですか。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 これは申し上げますと、これは新しい品種の「むつ」というリンゴでございますが、これが一個五百円です。さっき買ってまいりました。これは夕べ買ってまいりました。これが一個四百円、これは「ふじ」というリンゴです。これが「スターキング」という普通のあれですが、これが百五十円なんです。こういうふうに、品種はどんどん改良されて、そしてこんなに高い値段がつけられる。こうなるとわれわれの口にはなかなかこういうリンゴまでが入ってこなくなってくるわけですね。そこら辺で私は国民の食生活に非常に心配をいたしましているところです。それからこれは夕べ神戸から来るときに、千疋屋で、この「むつ」というリンゴはないかと聞いたら、いま千円のが一つございますがということで、よう買わなかったわけですが、一個千円するのです。こういうことで、いまに安いリンゴ、四つか五つで百円ぐらいのリンゴというものは、これからはジャムぐらいにされてしまって、なかなかリンゴも国民の口には入らないのではないか、このように思います。  そこで、この間の二円五十銭の農地ではございませんけれども、これ一個で二百坪に相当するわけです。幾ら価値観が変わったとはいいながら、少しおかしいのではなかろうかと、こんな感じがいたします。そうして土地がほしくてほしくてしようがないような国民は、何だか国民のほうが頭が変になったのか、こんなような感じすら持っておるわけでございます。福田大蔵大臣もこの間、利子配当の租税特別措置は貯蓄奨励のためにもということをおっしゃっておられましたけれども、最近は国民はその貯蓄をする、一方では貯蓄をしなければいけないと思いながら、もう土地の問題なんか考えると、貯金なんてあほらしい、こういうふうなことを盛んに言うような状態になってまいりましたけれども、こういうことについてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日本の経済の中では、とにかく消費者物価が上がる、これだけがまあまずい点じゃないか、こういうふうに思うのです。諸外国では卸売り物価も上がります、国際収支も悪い、経済は成長が横ばいである、そういう状態ですが、わが国ではほかの点はみんないいんでありますが、消費者物価が上がるということがよそさま並みなんですが、よそさまが悪いからわが国ではしようがないじゃないかというふうな考え方をしちゃいかぬと思います。何といっても物価問題、これを真剣に解決する、こういうことじゃないかと思いますが、いま総力をあげてそれに取り組んでおるというのが現状でございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 経企庁長官にもう一つお尋ねをしたいのですが、勤労者がいま家がほしいほしいというのはよく御存じだと思いますけれども、その勤労者の切実な願いである住宅事情、そういうものの実態はおつかみになっていらっしゃいますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 今日の住宅不足の状況は、これはもう何人もわかっておるつもりであります。私たちもこの住宅問題については、一番生活水準の維持という点から見て心配しておるところでございます。いま計数の持ち合わせございませんけれども、もし必要でしたら建設大臣からお答えいたします。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 ことし二十七歳の青年が公務員に準じた給料をもらっていますが、税込みで五万円弱です。住宅手当が三千円、手取りは四万円余り。結婚しようと思っても、民間アパートが六畳一間で権利金や水道、光熱費をならしてみて、約一カ月に一万八千円から二万円だということ。公営住宅は所得金額にひっかかって入れないわけです。これが実態なんです。公営住宅の所得ベースあるいは入居基準、こういうものを改正するべき時期にきていると思いますが、そのようなお考えございませんですか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) まず住宅事情でございまするが、昨年の調査を見ましても、大体三百四、五十万戸が住宅問題で困っている方が多いと思います。これは御承知のように、戦後非常に資材の少ないときにできたところのものがすっかり年限に達しておるというような事情も相当あります。それから核家族化が非常に予想以上に進行しておる、こういうような事情、それから大都市で公営住宅のためにいろいろ政府が補助、助成しておりまするが、土地の入手が、特に東京都でこれがおくれております。そのために、せっかく予算を回してやりましても、これが使い切れないために返還になった、こういうものがあります。しかし、いずれにいたしましても、住宅問題は最大の重点なので、最近は特に職住近接の関係もありまして、安いものということで郊外に行きますと、今度は交通関係で非常に参ります。そこで再び都心の公有地あるいは工場あと地を買い入れるようにさせまして、そこに中高層を持っていく、こういう政策を特に昨年から重点を入れております。ところで前に入った人はわりあいに条件のいいところで安いわけです。ところがあとからできたものは、条件が必ずしもよくないにもかかわらず非常に高い。そこで不公平な感じがありますので、これを均斉ある家賃体系にしなきゃいけないということ、それからもう一ついま御指摘になりましたように、所得が上がってきております。ところが入居基準をきめておりますと入れない人が出てくる。それでこの改正をいまやらしておるところでございまして、いままでは公営住宅と公団住宅の間の格差で両方に入れない人が出たので、これを接続して、そういうことのないようにいま改正して指導しておる段階でございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それから勤労者の家計の中でもう一つ困っている問題が教育費の問題でございます。私はこれは申し上げておいたのですけれども、この資料を使いますよと、総理府の統計局のこれをお願いしておいたのですけれども、この資料で見ますと、先ほどお話のありました約十万円ぐらいの所得の人は、四十一歳の勤労者ですけれども、四十一歳というと、まだ子供さんは二人あるとしましても、せいぜい中学校と小学校ぐらい。その四十一歳の勤労者の家計ですでに教育費というのがもう一〇%負担をしておるわけです。そういう中で公立の大学へ進学させてやりたい、こういう親心は十分わかるわけです。いわゆる教育ママになる下地もこんなところにあろうかと思います。公立大学や国立大学が少ないのですから、私立の大学に入るのにもっと負担を少なくして進学できるような方法がとられるべきではなかろうか、このように思うわけです。  このように住宅や教育費の面で国民の暮らしは大きなゆがみができておりますが、その上に物価のピッチの値上がりで、国民が十万円、十一万円の収入を得たとはいいながら、非常にいま物価に追っかけられ、また教育費や住宅費で悩んでいることを長官は十分御確認をしていただいているでしょうか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 十分確認いたしております。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 関連。ただいま中沢委員の御質問の中に、非常に、十一万円になったといってもサラリーマンの生活はあまり楽ではない。楽ではない中から貯蓄をしていく。その貯蓄の理由の中で、子供の教育費というその理由が非常に高いパーセンテージを占めている、こういう実態があるわけでございますけれども、こういう状態はどこに原因があるとお考えでございましょうか。たとえばPTA会費、その他寄付金などで考えてみましても、昭和四十三年度公立小学校においての父兄負担というものは約千二百五十億に達しているわけでございます。そのうちのPTAの会費、いわゆる小中学校の徴収金というものが一千億余りあるということでございます。しかもこの使用の内訳を見ますというと、教員給与、電気、ガス、水道費、建築備品などの修繕費あるいは用地費や建築費など、本来国及び地方公共団体の予算でまかなうべきものに使用されているわけでございます。特に私が非常に心配をいたしますのは、この小中学校の学校徴収金、この中で建築のいわゆる修繕費がまかなわれているという実態でございますが、この修繕費というようなものは地財法の二十七条の四に違反するということになるのではないかと、こういうことを考えるわけでございます。こういう実態、寄付金の場合は別でございますけれども、いわゆるみんなからほんとに強制的に集められるような会費の中でこういった修繕費がまかなわれているということは、額のいかんを問わず、やはり地財法に違反するのではないか、こういうことを考えるわけでございますが、この実態を文部大臣はどのようにお考えになりますのか、承りたいと思います。  時間がないので続いて御質問いたします。それから、大臣は、こういう義務教育におけるPTA負担の実情について御調査になったことがおありでございましょうか。もし御調査になっていらっしゃいますなら、その上に立ってどのような御指導がなれましたのか、承りたいと思います。  次に、四十五年度で政府は私立学校に対しまして、人件費を含む経常費を百三十二億助成されたわけでございますけれども、これが父兄負担の面でどのような効果があがりましたでございましょうか。調査をしておられましたらお示しをいただきたいと存じます。  とにかく、最近は教育貧乏ということばがよく使われているとおり、教育費が生計を脅かしていることは周知のとおりでございます。そこで大臣は今後こういう問題についてどう努力をされるおつもりか、承りたいと存じます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたしたいと思います。  貧しい家庭の中でだれでも自分の子供を高等教育を受けさせようという気持ちは十分わかるわけでございます。また、日本の国民は非常に教育熱心であるという事情もあるわけでございます。それだけに日本の今日のこの経済繁栄もあろうかと思うのでございますが、家計費の中に占める教育費が非常に高いということも私たちは承知をいたしております。したがいまして、なるたけ義務教育においてはお金のかからないようにということで、その一環といたしましては、教科書の無償ということも実現をしておるわけでございますが、しかし、御指摘のとおりに、PTA等でこの会費等に、中には当然国や市町村でまかなうべき施設費までもお願いをするというような形になっておるのは、これはやはり地財法に照らしますともとるものであると考え、実はこの実態も調査をいたしまして、毎年これを是正する方向に向かって努力をしておりますけれども、まだ完全な段階に達しておらないわけでございます。  また、私立大学に対する助成を昨年度から行ないましたわけでございますが、その効果についてでございますが、この効果は今後数年ならなければわからないとは思いますけれども、しかし、おそらくあれがもしなかったとするならば、昨年からことしにかけまして私立大学が一斉に授業料の値上げということをやらざるを得なかったんではないか。そして、それはまた学生たちの反発を買いまして、せっかく収拾の段階にございます大学紛争を激化したであろうというふうに思います。  この人件費を含む経常費助成というものは、単に授業料値上げに見合うお金ではないんでございまして、教育研究の質的充実ということに対しまして、この費用というものが見込まれておるわけでございます。  今日医科大学等におきまして不詳事が——大阪大学の入学試験に対する不正事件も起きております。もちろん直接の関係はございませんけれども、しかし、今日私立大学の医科大学あるいは医学部に入りますためには相当多額のお金が必要である。お金がなければ私立の医科大学は受けられない。こういうことは社会的な問題でございまして、私は、今後医科大学に進む者に対しましては、公立、国立、私立を問わずかなりの助成を考えていかなきゃいかぬのじゃないかというように、いま事務当局に対しましてその構想というものを練らせておるような段階でございます。  あるいはお答えに漏れたところがございましたならば、再質問していただきますならばお答えを申し上げたいと思います。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 まだまだお聞きしたいことがあるわけでございますけれども、これはまた委員会のときに詳しくお尋ねをいたすことにいたします。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 先ほどから御質問申し上げましたように、勤労者の生活がここまで上がってきたと、水準が上がってきたとはいいながら、やはり依然として充実感がないわけです。そこで、もうがまんがならないというようなことで、消費者パワーということが立ち上がって、もうみずからカラーテレビの二重価格の問題と取り組んだり、あるいは再販の問題に立ち上がったりしたわけですけれども、これはどのように評価しておられますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) まあ、いまも教育のお話が出ておりましたが、やはり進学率はますます向上する。大学入学率も上がってくる。やはりエンゲル係数が低まり、食料費の割合が低下するに従って文化的な関係の方面の支出がだんだんとふえてくる。やはりこれは大勢的に、長期的に見ますと、やはり国民生活水準というものが上がってきておる。ただ、生活水準が上がりますれば上がりますほど、所得が上がれば上がるほど、人間はまた新たな欲望を持つわけでございまして、ある意味においては、常に不足感に悩まされておる存在だと思います。そういう意味において、一方において、教育の事情というものは、少しずつではありますが、改善されていくのでありますが、なかなかそうした完全な満足感を満たし得ない近代の生活であろうと思いますが、そういう中にあって、いま御指摘のような問題も、やはり消費者の広範なそうした欲望というものが出てきたと思います。  私どもも、今日の自由主義の体制のもとにおきましていわゆる直接的な価格統制というようなものを実行し得る時期ではございません。そういう意味におきまして、やはり生産者ができるだけ組織化されると同様に、消費者もやはりその消費者の立場を自覚いたしましてそしてこうした運動が起こってまいる。ある意味においては自然の成り行きであるとともに、また、それを合理的に運営することによって非常に価格も——物価問題にも益するところが多いのではないだろうかというふうに私は考えております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 時間がありませんから、次に進みます。いまの十万円あるいは十一万円の暮らしの実態から漏れている人、たとえば老人世帯、母子家庭、福祉施設で働く人、出かせぎ農業、母子相談員ホームヘルパー、こういうようないろいろな人があるわけですけれども、こういう人たちの調査は政府はしたことがございますか。

加藤威二厚生省社会局長

○政府委員(加藤威二君) 福祉施設職員の処遇がどうなっているかという問題については、数年前にも調査いたしましたけれども、現実にただいまこの三月から実態調査を実施いたしております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それでは、私のほうから実態を一つ二つお話しをしてみたいと思います。  福祉施設で働く婦人を例にとってみますと、ある県立のりっぱな肢体不自由児の施設でございますけれども、定員が四十五名の看護婦さんを確保できないために、五十二人に一時帰宅を申し渡しました。そのうち二十八人が自宅待機をきめましたけれども、現在は総婦長や幹部を除く二十七人の看護婦で病棟を受け持ち、一人が月に十三回も徹夜勤務をする重労働です。そのために勤務条件の改善を要求して年休闘争に入ったために業務が麻痺したので、五十二人に一時帰宅を申し渡したということですが、こんな例がほかにもあるのではないでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 中沢さんがあげられました兵庫県の例は、私も実は聞き及んでおります。いろいろ私も、当然心配をいたしまして、事情をただしましたところが、おっしゃるとおり看護婦さんが足りない、こういう次第でございまして、いま社会福祉施設は保育所が一万三千、その他を加えますと二万くらいございまして、それらの社会福祉施設で従事をしておられる職員の方々は二十万人くらいおるのでございますが、実情を聞いてみますると、全体的には、看護婦さんを除いてはおおむね充足されているということだそうでございます。しかし、私どもは昭和四十六年を出発点といたしまして、これらの社会福祉施設の足りない状態に即応して緊急整備計画というものを立てて、大幅な増設をいたすことにいたしておりますので、そういう状況に対応いたしますときには、看護婦さんばかりでなしに、私は、保母さんであるとか、あるいは寮母さんでありますとか、それらの専門職あるいはその他の職員の方々が非常に足りなくなるのではないかということを心配をされますので、そこで問題は、それらの施設で働く人々の確保のこと、そのためにはやはり給与の引き上げということがどうしても必要でございます。実は給与等につきましては、御承知のとおり、措置費の中に含めまして国が八〇%、地方が二〇%を持っておりますけれども、職員が地方公務員であります場合には、地方公務員として他の職員としての待遇を受けるようでございますけれども、社会福祉法人その他の私立の場合におきましては、高い職員を使いますと、どうしても経営そのものに食い込むというようなことで、高い職員そのものを採用できないというようなこと、あるいはまた、若い職員でもこのごろでは安い給料では得られないということになりますので、私どもはこの給与の引き上げ計画を実は立てておるところでございまして、ことに経験を積んでおります人々に対しましては、昭和四十六年からは特別な計らいとして二〇%ぐらいの給与の上のせをする、また、調整費の増額をはかってまいるとか、あるいはまた、すでに御承知の三年計画の格づけ是正が四十六年度をもって終わりますので、それに次ぎましてその待遇の是正というものを一般的に考えて、そして職員の充足をはからなければならない。そうしないと、幾ら大蔵省から、かなり昨年に比べますと四十六年度は六割増しくらいの施設の整備費をつけていただいておりますが、施設ができても人間が得られないということになることを一番心配いたしておりますので、それに対する対策を十分つけてまいる計画でおります。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それでは、もう一つの例を申し上げてみたいと思います。  この間から養老院を二、三見て回りましたが、そこで働く婦人たちはおいおい高齢化してきている。自分たち自身も、早く後継者を見つけて、それこそ自分たちもそこで寝かしてほしいと、こんなことを言うぐらいに、いま、なりつつあります。そのような実態を御存じですかどうですか。養老院も何とか四十歳前後の働き手を求めておりますけれども、容易に働き手がございません。定員を割った中で、これまた過重労働なんです。養老院に入りたい人はたくさんございますが、そこで働く人は少ししかございません。そこで、それは手当を引き上げるだけではだめで、私は、これは身分保障もしてやったり、あるいは養老院なんかの場合は、その近くに住宅もつくってやるというような方法が考えられなければ、養老院も、入れものだけつくっても、とうてい働き手がない。こういうことで、私は、これからの社会福祉施設というものもなかなかむずかしくなってくるんではなかろうか、こんなに感じておりますが、その辺はいかがでございますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 全般的に申しますとおっしゃるとおりであると思います。しかし、これらの働く職員の方を一つの資格職にしてしまうということ、たとえば保健婦でありますとか、看護婦さんでありますとか、助産婦さんあるいは保母といったような資格職にしてしまいますと、そういう資格がなくても寮母さんとして働いておられるような方々その他の補助員というものがかえって得られなくなるという問題もございますので、資格職としないでしかも身分保障ができるような方法を考えなければならないと思います。また、養老院等で働いている方がだんだんと老化してまいる場合が多いことはお説のとおりでございますが、しかしまた一方、かなりお年をめした方で働ける人が、自分たちが働ける間は社会福祉のために働きたいという方々ができておりますので、そういう方々を社会奉仕部隊として活用をいたしてまいろう。つまり、資格はあっても潜在看護婦になっている、ある程度以上お年をめしたおかあさん方を、昔の看護婦さんを掘り起こして、そして講習をしてそういうところに付けてまいろうと、こういう計画も立てておるところでございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 いろいろ申し上げますけれども、その家庭奉仕員や母子相談員も全部同様でございます。この人たの実態もこれからつかんでいただきたいと思いますけれども、特に母子相談員なんというようなものは、遠い道のりをてくてく歩いて行ってみたり、おかあさんが昼間働いておられるものですから、母子相談員の方がわざわざ夜まで相談に乗ってあげなければならない。こういうようなことが再三私どもにも伝えられてまいります。そういう中で、実は給料が生活保護費ぐらいしかもらっていないんです。そうすれば、若い人たちにこれを譲ろうと思っても、誇りを持って、こうやりなさい、こういうふうに言えないものですから、たいへんあとがまがなくて、実は重い足を引きずりながらやっぱり母子相談員になっていなくてはいけないのです、こういうような話も聞かれるわけです。それから、出かせぎ農家問題でもしかりでございまして、農家もいま米に一生懸命たよっているわけですけれども、出かせぎ農家の人たちも、自分の家を分解しなければ人並みの生活ができない、カラーテレビも自分のうちに入れなければならないし、そういう中で、夫と別れて暮らす、そして自分は農家を守りながら、なおかつ、手のあいている限り内職をして働いて家をささえていかなければならない、こういうような実情でございます。このような働き手は全部女性でございますけれども、女性もそうそう下積みな働きばかりをやるわけにはなかなかいきません。きれいな仕事、楽な仕事、そしてかっこいい仕事をしたいというのが女性の言い分なんでございますけれども、このような人たちは、いまのいわゆる高度成長から漏れて日の当たらないところで働いている人たちと言っていいと思いますが、こういう人たちにどのように報いられますのか、その辺のお考えをひとつ承りたいと思います。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 母子相談員のことでございますが、私も十分知識がございませんでした。しかし、今度御指摘がありましたので聞いてみますると、母子相談員の方々は社会福祉施設などで働かれる専従の職員と違いまして、早く申すと、いわば民生委員、児童委員と同じような扱いを受けているような状態で、これは国から直接措置費あるいは給料の補助金を出しておらないで、地方交付税の算定基準の中に入れて地方費支弁でやっておるというようなたてまえになっておるところに多少の問題は残ると思います。非常勤の母子相談員につきまして、昭和四十五年度は具体的に申しますと二万一千二百円と、こういう給与。これは月額のようでございます。それを二万三千九百円というような単価に引き上げてそして地方交付税を組むということでございますが、幾ら非常勤でございましても、このような金額ではなかなか民生委員、児童委員と違う苦労の面もございましょうので、私は、御指摘のありました点につきまして、さらに自治省とも打ち合わせて改善の方途を講じてまいらなければならないと思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 厚生省がこのたび老齢者対策プロジェクトチーム、こういうものを設置されて発足させると発表しましたが、この構想を伺わしてください。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 老人対策のことにつきましては、先般の本会議で中沢さんの御質問に対する私も考え方を若干途べておきましたが、もう御承知のように、数が著しくふえてまいるという人口構造の問題と、お互い家庭における家族扶養の意識がだんだん薄くなってまいってきておるという、これは厳粛なる事実と申しますか、困った事実に対応いたしますと、これから先老人問題が一番大きな私は社会福祉政策の対象になるということで、このままではいけないから、老人であるから、厚生省の所管では社会局だけでやってまいりましたけれども、それに年金局も、あるいは保険局も、あるいはまた公費医療などのことを考えまする場合に医務局等も、みんなで総がかりで参加をいたしまして、これらの老人対策というものを来年の予算編成に間に合うように、具体的にはことしの八月大蔵省に概算要求を出しますときまでに、いろいろの面からこれらの概算要求ができますような計画を立てたいということでつくらしたものでございます。その重点は、いまも触れましたように、医療の問題あるいは年金の問題と、こういうことになろうかと思いますが、しかし、老人が、最近ではまあ六十五歳以上の方が総人口の中の七%——七百万人というようなことでございますが、急速にふえてまいりますので、私どもが計算をいたしましても非常に巨額な財政資金等も要する問題でございますので、これに対する対応策はいろいろの面から立てなければならないと苦心をいたすところでございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 七十歳以上のお年寄りに支給している老齢福祉年金は、全体でどのくらいの額になりますか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 今度御審議をお願いしておりますこの予算案で、いままでの月二千円を二千三百円に引き上げますので、総金額にいたしますと、私はここに数字を持ちませんが、七百億ないし九百億円くらいの範囲でございます。その受給人員は三百万人弱と、このくらいになります。ことに、金額ばかりでなしに、今回は所得制限あるいは併給の問題、あるいはまたからだの悪い方には、七十歳でなしに六十五歳まで引き下げるというようなことをやりますので、受給人員もかなり四十五年よりもふえることに相なります。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 いまの所得制限の問題ですけれども、全部の老人に一律に支給することは考えておられませんか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) これは二つの矛盾する問題がございます。私などももちろん社会人でございますから、扶養の義務のあるお子さま方が相当の地位にあり所得のある方の親御さんを見ましても、やはり親と子は最近は別でございまして、子供に所得があるからといって親が大いばりで子供からお小づかいをせびれるというような状態にはない。そういうことから考えますと、私は、所得制限がないほうがいいという面と、もう一つは、やはりこれは掛け金がございません。国民の税金から出すお金でございますので、国民の意識といいますか感情といいますか、そういう面から見ると、しかるべき所得のある方々が扶養する親御さん等につきましては、所得制限をかけないと、国民感情の上からおさまりが悪いというような気持ち、そういう矛盾した二つの事項がございますので、その間におきましてしかしながらだんだんやはり所得制限はゆるめるという方向でやってきておるわけでございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 しかし子供が結婚をしますと自然に戸籍は分離してしまっているわけですね。完全に分離してしまう。それですから、そういう中で扶養義務というものがあるもんでしょうか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 戦後の民法の改正で、あるいは戸籍法の改正で、おっしゃるとおりの面がございますが、しかしいろいろの法律で、やはり扶養義務者ということばが残っていると私は記憶をいたしますので、子供が結婚して戸籍を別にいたしましても、親に対する扶養義務がなくなるということではないと思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 そこで福田大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、この間の本会議で御質問申し上げましたように、老齢者扶養控除というのはたいへん私、これ、いい案だと思うのですが、もう一ぺんお考えを伺わしていただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この間もお答え申し上げたんですが、老齢者に控除をいたしますと、さてそれじゃ乳幼児にどうするかと、こういうようなまあ権衡バランスの問題があるわけなんです。そこで、これを税上の控除でいきますということは、これは実はなかなかむずかしい問題なんです。そういうようなことで、私は老人対策、これはもうこれからの社会保障体系の中でのまあ残された最大の問題といってもいいかと思います。これはやはり年金の問題とそれから医療の問題ですね。この二つを柱としてまあ攻めていかなければならない問題じゃあるまいか、そういうふうに考えるわけでありますが、税のほうでは、まあ思い切った措置というのはなかなかむずかしい。なお研究してみますが、非常にむずかしい問題をはらんでいるということも御承知願います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 くどいようですけれども、妻の取り扱いが扶養控除から配偶者控除というものになりましたからね。いまのこの世相の中で、老人がほんとうに地位を高めるためにも、家庭の中でもいやすくなるようにするためには、私はやっぱり老齢者扶養控除というものをひとつ設けて、老人の同居家族が、ほんとうにそういう面でも息子夫婦が老人を大事にしてくれる、こういうような方法を考えるべきじゃなかろうか、こういうことでこの問題に執念を燃やしているわけですけれども、ひとつ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 考え方といたしましては私も全く同感なんです。やっぱり法律上の扶養の義務、こういうことの有無は別といたしまして、醇風美俗といたしまして、老人をいたわる、これはことに近親者がいたわる、これはもうどうしてもそうなければならぬと思います。私もなおよく勉強してみます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それでは、次にモーテルの御質問をいたしたいと思います。  また佐藤総理大臣にひとつお伺いをしたいのですけれども、最近雨後のタケノコのごとく大量にあちこちに建設されて大流行になっておりますモーテルとかカーテルとかあるいは旅荘とか呼ばれるようなものを御存じでございますか、どうですか。モーテル街道といわれるように、国道やハイウエイの横にもういっぱいできているんです。こういうものが最近、そればかりでなくて農村にまで進出しておりますが、御存じでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私も自動車で走っておりますと、窓から何々モーテルという広告をずいぶん見受けます。またこういうものについての批判もなかなかきびしいと、これがどうも風紀を乱しておると、こういうような話も耳に入りますし、あるいはまた密室内の殺人と、こういうような犯罪行為にまで発展していると、こういうようなことも私自身の耳にも入っておりますので、ただいまそういうものを知っているかと言われると、私自身は経験はございませんから——泊まったとか、あるいは利用をしたとか、そういうことはございませんが、いろんな話を耳にしておることは事実でございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 国家公安委員長はその実態を把握しておられますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私も経験したことはございませんが、一応調べましたことを申し上げます。  近年いわゆるモーテルと称する旅館業が都市の近郊や主要幹線道路の周辺に設置されて、ずいぶんふえております。昭和四十二年三月現在で九百八十軒のものが、昭和四十五年九月現在で三千九百五十八軒ということに相なっております。これらの営業は、主として自動車を利用する男女同伴客を対象としておりまして、また営業所の構造設備が一般に閉鎖的であるところから、強姦、暴行等の犯罪が発生しております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 もっといろいろ詳しく御報告をいただけるかと思っておりました。  このモーテルというものは、本来ドライブしたり長距離運転をしたりしたときの車と運転者の休息の場、仮眠の場、こういうものであるはずでございましたのに、日本では人目につかない連れ込み宿的な発達をしてしまいました。しかし、場所は堂々と目につくようになっておりますし、看板も出ていたり、夜はこうこうとネオンまでがついておる状態でございます。そこで、最近、地域の環境風俗を害するようになって、子供たちの教育上おもしろくないと、親たちの心を暗くしたり、非常に嘆かせたりしております。東久留米市では、モーテルのためには土地を売るなと、こういうふうな宣言までしたと報道されております。半年に千戸もふえると聞いております。いまの報告では四倍になっているわけですけれども、つい最近はまた半年に千戸もふえると聞いております。これをふえるがままにしていらっしゃるのか、何らかの対策を考えていらっしゃるのか、どのように規制をしようとなさっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。  警察としましては、モーテルに対する行政上の監督権はございません。ございませんけれども、犯罪の防止や風紀対策の観点から、防犯施設の整備、防犯組合の結成及び防犯指導の強化等を行なっているにとどまります。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 昨年の四月、私たち女性議員の運動で、これは旅館業法の改正を見ましたけれども、それは距離制限と宿泊者名簿の励行あるいはフロントをつくることに終わってしまったわけです。  そこで大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、行ってみますと、ここで一日に六回転も七回転もしている。相当の投資や設備をしても、二年間には償却できると、こういうことですが、税金の面はどうなっておりますか。うわさによりますと、利用者の四割方が夫婦だということで、銀行が相当の融資をしているということも聞いておりますが、その状態はどんなものでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず銀行の融資の問題でありますが、私、まだその点を調べたことはございませんけれども、モーテルがあんまりはびこるということは、わが国の美しい文化という点からみましてまことに残念なことだと思います。したがいまして、直ちにそういう融資は抑制するように行政指導をいたす、かようにまあ考えております。  それから税の問題でありますが、国税庁長官が来ておりますので、お答えを申し上げます。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) 私どものほうでは、こまかい業態別に資料を十分収集いたしておりませんので、総括的にお答えするわけにはまいりませんが、これはまあ旅館業の一つとして、保健所等から資料を収集いたしまして課税をいたしております。こういう新しく発展する業態のものにつきましては、国税局また当該税務署では、重点種目として調査をいたしておりますので、おそらく適切な課税をしているものだと、かように思っております。  なお、御承知と思いますが、脱税摘発を目的としております査察行政、これは年間約二百件程度のものを調べておりますが、すでにその中にモーテル業者が二件入っているというような実情でございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 おそらくそういうことは相当あると私どもはにらんでいるわけです。  そこで公安委員長にお伺いをいたしますが、先ほど刑法犯や特別法犯も相当ふえていると、こういうお話でございましたが、このモーテルの場が賭博の場になっているという話も聞いておりますし、暴力団の資金源にもなっているのではなかろうかと、こんな心配をいたしておりますが、警察官の立ち入りがなぜできないのか、これが立ち入りができるようにするためにはどのようにしたらいいのでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど申し上げましたように、現在は旅館業法のもとにございますので、何らそういう権限はございません。風俗的な取り締まりの権限はございません。したがいまして、旅館業法改正の成果を見きわめながら、何とかして風俗営業法の適用をするようなことにしたらどうかということで、検討をいたしております。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 私どももぜひそれを風俗営業法で取り締まっていただきたい、このように御要望を申し上げる次第です。  そこで、佐藤総理大臣も、さっきは行ってみたことがないとおっしゃっておられましたけれども、うかつにはそういうところに行かれませんけれども、総理大臣としてこれをどうお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま公安委員長からお話しいたしましたように、やはり適切なる取り締まり方法をとるべきだと、かように私、考えておりますので、公安委員長もそういう関係で先ほど申したのでございますから、その結果をひとつ待っていただきたいと、かように思います。

萩原幽香子民社党

○萩原幽香子君 関連お願いいたします。  中沢委員はまことに淑女でございますので、大臣がモーテルに行かれますことはむずかしいのじゃないかと、たいへん同情的でございましたが、私は総理はじめ各大臣に一度御視察を願いたいと思うわけでございます。特に文部、厚生、国家公安委員長のお三方にはぜひそのおすすめをいたしたい、こういうふうに考えるわけでございます。百聞は一見にしかずと申しますので、実情をとくとごらんになれば、内部構造基準やメーター基準などの対策もまた一段と真剣にならざるを得ないはずでございます。先ほどお話がございましたように、四十二年の三月から四十五年の九月までの間に約四倍に増加しております状態を考えてみますと、モーテルとはよほどもてる商売ということになるのではないかと思います。なぜこんなにモーテルが繁盛するかと考えてみますと、利用者が非常に多く、もうかるからということでございましょう。そこで、モーテルの利用者の七二%は休憩だということでございますし、中にはわざわざタクシーで来る者もあるということでございます。先ほど四割までが夫婦だと、こういうお話もございましたが、それはまことにあぶなっかしい話だというふうに私は思います。大部分はボーリング並みにレジャー化した性の享楽の地になっているというふうに私は考えるわけでございます。したがいましてこの場での行為が家庭の破壊の原因になり、性病を家庭に持ち込む結果にも一役買っているということを考えれば、このままでは捨てておけないと考えるわけでございます。  そこで私は文部、厚生、労働の三大臣にお尋ねをしてまいりたいと存じます。こうした性の乱れを助長するような興味本位の出版物や映画等に対して、文部大臣はどのようにお考えでございましょうか。教育上の対策を承りたいと存じます。また、健全な性道徳確立のために正しい性教育が必要だと考えるわけでございますけれども、文部省では、新しい指導要領の中に性教育をどのように取り入れられておりますのか。また、中・高の改定期にはこの問題をどのようにお取り入れになるおつもりですか。どう盛り込んでくださいますのか。  次に、厚生大臣にお尋ねをいたします。性のレジャー化に伴い、潜在化してふえている性病についてどのような対策を持っておられますのか、承りたいと存じます。特に、性病予防対策費補助金が本年度は昨年度に比較して減らされているように考えますけれども、それの理由は何でございましょうか。性病のおそろしさを周知徹底させるための成人教育はどのようにやればよろしいのでございましょうか。  次に、労働大臣にお尋ねをいたします。青少年男女が多く就労している職場における性教育の実態について労働大臣は御承知でございましょうか、承りたいと存じます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) モーテルに行ってみないかということでございますが、先生方が行っていらっしゃいますから、よく一ぺん聞かせていただきたいと思います。大体いろいろな人から承っておりますから、私は承知をいたしておるつもりでございます。そういう意味から、終戦後非常にいろいろな面におきまして自由になったことはけっこうでございますけれども、どうも雑誌あるいは映画あるいはテレビ等が、青少年というものを頭に置かないで、あるいはおとな本位といいますか、あるいは興味本位といいますか、享楽本位に、あるいは売らんかなという形において放映されたり、あるいは出版されたりしておるわけで、もういやおうなしに子供たちは見ざるを得ないという、そういう環境に置かれておるということもこれまた事実でございます。究極的に申しますと、やはり社会全体がそういうことに対して、つまりおとなたちがそういうことに対して倫理性を持ち、道徳性を持ち、また親は親として、あるいは社会人は社会人として、子供たちに対して適切な指導を行なっていくということが前提でなければ、いかに学校教育だけでこの問題を取り上げてもだめだと思うのでございます。しかし、学校教育の中におきまして、こういうようなフリーセックスの悪い面等につきましての適切な教育及び指導をやることは、私当然なことであると思いますし、また現にやっておるわけでございます。たとえば性教育の基本的なねらいとは何かという問題につきましては、基本的なねらいは、心身の発達における男女差及び家庭生活における男女の役割りと責任とを、生理的、心理的、倫理的側面から理解をさせ、性に対する健全な態度をつちかい、現代社会にふさわしい性道徳を確立し云々と、こういうわけで、いろいろ学校教育の中におきましても、また社会教育といたしましても努力をしております。しかし、こういうふうに私が抽象的にお話を申し上げることは容易でございますけれども、現場の先生方やあるいは両親が、あるいはおとなが、具体的に子供たちにその心身の発展段階に応じて適切な性教育の指導をする、あるいは教育をするということは非常にむずかしい。特に日本の社会におきましては、従来閉鎖的な社会でもあったわけでございまして、ヨーロッパ社会と違う点もございますから、一そうその困難性はあろうかと思います。そういう意味から、私は学校教育におきましては、まず、性そのものということよりも、あるいは小学校の小さい段階においては、植物の発達の段階であるとか、あるいはまた発生のことであるとか、あるいは動物をだんだんわからせるとか、あるいはまたそれと並行いたしまして、お互いの体、あるいは男女の体の差、その発育の状況等をお話を申し上げていく、あるいは教育をしていくということが必要ではないかと思います。社会教育の面におきましても、かなり前から実は純潔教育ということでもっていろいろのことをやっておるわけでございますが、特に純潔教育の指導書、手引書等もございます。あるいはシリーズもございます。詳しいことはここでは申し上げませんけれども、相当に社会教育の上においても努力はいたしておりますけれども、はたしてそれがどれだけ効果があるか、その効果がある反面よりもむしろその忌まわしいテレビやあるいはまた雑誌等がはんらんをして攻め寄せてきておる、こういうことを防ぐということがなかなか実はたいへんだと思います。そういうことでございまして、今後ともこの性教育の問題については私たち教育に携わるものとして、真剣に具体的に取り組んでまいりたい。しかし、これはやはり相当時間をかけていかなければ簡単にいくものではないというふうに思います。  先生ももうごらんになったと思いますけれども、あのBBCでメリーゴーラウンドでございましたか、つまり性教育の映画が放映され、英国の社会では非常に好評である。また日本でもいつか放映されたようでございますけれども、これにはやはり賛否両論がございまして、はたして英国でよろしいということが日本の社会で直ちによろしいとは言えないんじゃないかという気が実はしたわけでございます。その他日本でも、ザ・ビギニング・オブ・ライフという、何という、何といいますか、哺乳動物の発生過程という、これは非常にきれいな、そして純粋な映画でございまして、こういうようなものは学校の子供たちに見せたらどうかという気が私自身これを見まして感じたようなわけでございます。やはり学校教育、社会教育、両親の教育あるいはまあおとなたち自身がおのおの注意をしていくという配慮であって初めて性教育というものが十分になされると考えておる次第でございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 萩原さんにお答え申し上げますが、性病予防法というものがもちろんありまして、厚生省でも九千万円あるいは一億近い予算を組んでおるわけでありますが、これでどういうことができるかというと、御承知のように、たとえば結婚をする際とか、成人式の際とか、あるいは妊産婦などの方々に無料で血液検査の機会を与えるというようなことと、それから性病で治療に行った患者につきまして、医師に報告の義務を与えており、また濃厚感染源の患者が治療を中断したような場合には、さらに引続いて治療を勧告するというようなことまでしかできないんで、昔の濃厚感染源の性病罹災者を強制検ばいといいますか、措置入院のようなことはいまはできない。しかもこれは非常にパーソナルな問題でございますので、あるいはまたパーソナルの域を越えまして、家庭の問題もございますので、なかなか歯がゆい点があるようでございます。それでこれらの費用はいまの公費による健康診断等の費用のほかは、もっぱら宣伝等のためにする費用の助成ということで、厚生省自身もいろいろな性病のおそろしさ、また治療の必要、治療の方法等に関するパンフレットなどを出しまして、機会あるごとに配っておるわけでございますけれども、今日潜在患者がふえているというようなことを聞きますが、医師のほうの報告、これは全くノミナルのものではないかもしれませんけれども、まあノミナルの報告から比べますと、そんなにふえてもいないというような報告がございまして、私どもがはだで感ずる——はだじゃありません、頭で感ずるものと矛盾があるような気もいたしますが、これらについては万全の対策を私は進めるべき時期にきていると思います。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 勤労青少年は健全に成長する過程にございます。先ほど来お話のような廃退的なものからできるだけ守っていく、そのためには目下やっておりますのは、勤労青少年ホーム等を通じまして、あるいはスポーツ等を通じまして、いかにして勤労青少年が自分みずからを明るく豊かに人間として形成していくかということでやっておるのでありまして、どうも先ほど来お話のようなことは、ややともしますと、勤労青少年にもまねられるおそろしいものを持っておりますので、極力そういうものから守っていく。そのためには大いにそうした勤労青少年ホームなどを通じまして健全な育成をはかっていくという方針でいきたい、かように思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それじゃ最後にたばこの有害表示について御質問をいたします。  たばこの有害表示は無用、時期尚早との審議会の答申が出されたようですが、政府はこの答申にお従いになるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 専売事業審議会におきまして小委員会を設置いたしました。それはなぜかというとWHOですね、国際健康機構でありますね。そこで厚生大臣に対しまして、たばこの有害表示方について勧告があったわけです。  そこでわが国においてこれをどうするかという問題になったわけですが、これは慎重にやりたいというので小委員会の方に御検討願った。そうしますと、この小委員会の皆さんの結論は、たばこは有害であるかどうか、これは学問上どうも決着がつかぬ。しかし、病気と非常に関係があるという危惧が国民の間にみなぎっておるということに着目せられたい。しかし、同時に国民の間に喫煙の風習が定着している、これも頭に置いて対策を講じたらどうであろうか、こういうような答申でございます。  そこで、まあ、それを解釈しますと、アメリカその他一部のごく少数の国ですが、デンジャラスと有害表示をやっておるのです。しかし、わが国でそれをどういうふうに扱うかというと、この懇談会では、そこまでいくのはどうもどうかというような空気でございます、解釈いたしますと。そこで、しかし何らかの処置はとらなければならぬだろう、こういうふうに存じまして、いまどの程度のことをしたらよかろうか、まあ答申でありまするから、これを尊重しなければならぬが、しかし国民の健康ということもよく考えなければならぬ、厚生大臣ともよく相談いたしまして適当な措置をとりたい。まだ結論は出しておりませんでございます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それはやっぱり国民の健康第一ということで、私どもとしては表示が望ましいわけです。というのはカドミウム米はもうやめようか、あるいはBHC牛乳は厳重に取り締まろう、こういうふうなことが言われながら、たばこはやはり有害だと、こういうふうなことを言われながら、これを表示しないというのは多少私は問題があるのじゃなかろうか。それはなぜかと申しますと、最近高校生の間にも相当喫煙の風習が蔓延しております。そこでこの間帰国をされた国立衛生学院の生理衛生学部の浅野博士、この方がスエーデンでたばこの人体実験をして帰ってこられました。この方のお話ではいろいろな貴重な資料を持ってこられて、あるいは映画も持って帰っておられるようでございますけれども、お話を聞きますと、やっぱりたばこを吸うと心臓や血管に相当な負担がかかる、こういうふうに申しておられます。特にこれをおとなが害を知っていて吸うのはもういたし方がないけれども、これから成人になる未成年者たちですね、こういう人たちにはどうしても吸うことを慎ませなければならない。特に高校生の間で喫煙がはやっているようなことでは、これはやっぱり何とかおとながこれをとめなくてはいけないのでなかろうか、こういうふうに言っておられるわけです。これはこの間の、この間といいましても二月の十一日ですが、日本経済に載りましたこれ御存じでございますか。高校一年は禁煙ですね。高校二年になると近煙で今度は近寄るわけです。高三になると、ほんとうに一生懸命で吸うと、こういうようなデータを高校生自身がとった、こういうことが日本経済二月十一日に載っておりました。私どもちょっとがく然としたわけでけれども、こういうことで、やっぱりこの未成年の健康を守るためには、たばこの有害表示もして、おとなはのみたければしかたがないわけですけれども、そういうことをしたらどうかと、こういうふうに私ども強くこれを要望するわけです。そこら辺もう一度御答弁いただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) わが国では未成年者につきましては、未成年者喫煙禁止法、アメリカあたりにはそれはないんです。それをわが国では未成年者喫煙禁止法というもので、法をもって禁止しているのです。その点は非常にきびしいわけです。それからアメリカじゃ未成年者の喫煙禁止法がない、そういうようなこともあって、おそらく有害表示、デンジャラスという表示をするに至ったのかと、こういうふうにも思われるわけです。有害であるという説もあるし、他方喫煙は精神の安らぎにもなる。そこで、これに有害表示をするということになると、かえって逆効果にもなるじゃないかというような意見もあり、なかなかこれ判定のむずかしい問題でありまするが、とにかく何らかの表示はして警告をいたしたいと、かように考えております。ことに未成年者の喫煙の風習、そういうものが法律はありますけれども、あまり励行されてないような面もありますので、警察当局とも連携いたしまして十分努力してまいりたいと、かように存じます。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 くどいようですけれども、実態は先ほど申し上げたようなことなんです。相当に蔓延をしているんです。高校生の間に。それからサリドマイドの睡眠薬は奇型児とのイコール関係がなかった。こういうことで私はサリドマイドも使用、販売を許しておったと思います。その結果があのようなことです。それからたばこも因果関係がはっきりしないからということで逡巡されることであれば、やっぱり国民の健康を害してもかまわないかといえば、そうではないわけですから、その辺を十分御検討をしていただきまして、表示の方向に私どもは持っていっていただきたい、こんなに思います。  それからいま精神の安らぎになると、こういうお話でしたけれども、私は自分自身が吸いませんから安らぎになるかどうかわかりませんけれども、聞くところによりますと、初めてのむ人は相当頭がくらくらしたりなんかすることをがまんしてのむんだと、こいうふうなことも聞いておりますので、あまりそんなからだをこわすようなことはしてもらわなくてもいいんではなかろうか、このように私ども考えるわけです。  そこで、最後に、運輸大臣に一つ御提案を申し上げたいと思います。それは私どもよく長い汽車に乗りますと、ところかまわずにぱくぱくやられますと、たいへん迷惑をすることがございます。それで最近は国鉄にも女子、老人の乗る車があるように一台ぐらいは無煙、たばこをのんだらいけない車、こういうものもつけていただくようなことはお考えになれないものでしょうか、いかがでしょうか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) たいへん有意義な御提案でありますから、国鉄を通じ検討さして、善処したいと思います。

中沢伊登子民社党

○中沢伊登子君 それじゃこれで終わらしていただきます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって中沢君の質疑は終了いたしました。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、春日正一君の質疑を行ないます。春日正一君。

春日正一日本共産党

○春日正一君 本論に入る前に、一つ予定外の質問をいたしますが、愛知外務大臣はきのうの衆議院の外務委員会で、わが党の松本善明委員の質問に答えて、自衛隊は通俗的に言えば事実上の軍隊であると、こういう答弁をしております。言うまでもなく、日本国の憲法では陸、海、空軍その他一切の戦力の保持を禁止しておるというたてまえから見てですね、総理は自衛隊は軍隊であるというようにお考えになっておるのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) なかなかむつかしいというか、哲学的表現をされると、これはもう自衛隊は自衛隊だと、こう言う以外にはないのです。おそらくいわゆる軍隊という観念、これ一つ特別なものがあるだろうと思いますから、おそらく外務大臣がさように答えたとすれば、よほど引き出し方がじょうずであった、おそらくその表現によって自衛隊の性格が変わるとは私思いませんから、これだけは誤解のないようにお願いしておきます。おそらく観念的な問題として軍隊という観念、これは、自衛隊には適用ないと、かように御理解いただきます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 この問題では、昨年の五月八日の参議院の本会議で、社会党の羽生三七議員の質問に対して、中曽根防衛庁長官が自衛隊のことを空軍、海軍と、こう言って大問題になって取り消されたいきさつがあるわけです。本会議で取り消されただけでなくて、その後の議院運営委員会でもこれが問題にされて、中曽根長官も「浅学未熟、考えの足らざるところでありまして、大いにつつしみたいと思います。」と、こういう答弁までしている問題のあったことなんですね。それを外務大臣が今度は言われたということになると、そうしてそれがそのままで不問に付されるということになれば、やはり政府の自衛隊に対する考え方というものはこの一年間に変わってきたというふうに見ざるを得ないと思うのですけれども、もしそうでないならそうでないで、これは不適当であると言ってはっきり取り消していただきたいと思うのですよ。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その議事録でも十分前後の関係からお読み取りいただけると思いますけれども、それはそれといたしまして、表現が不穏当のところがございましたらそれは撤回いたします。

春日正一日本共産党

○春日正一君 もう一つ、これと関連してですね、この重要な発言があるのですけれども、こういうことなんですね。まあ速記録、これ取ってきたのを見ますと、「私は、自衛隊というものは、やはり通俗でいえば、それは一つの事実上の軍隊と考えるべきものではないか。」と、これがいま私が問題にしておるところですけれども、そのあとですね、「しかし、それはユニークな定義を付したところの軍隊でなければならない。これがいまの実質的には自衛隊である、自衛隊というものの内容、性格というものを憲法において、はっきり明定することが筋である。これは私はいまでもそう考えております。」と、つまり、憲法を変えて憲法の中に自衛隊のそういうものを盛り込めという趣旨の答弁をされておるのですけれども、これが自民党の一議員がおやりになるなら総理のいつもお得意のように個人の思想の自由と言えるけれども、外務大臣が外務委員会で、閣僚としての答弁の中で憲法の中に盛り込むという考えをいまも持っておるということになれば、これは問題だと思うのですよ。この点どう始末されるか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それもですね、前後の関係をずっとお読み取りいただければ私はよろしいのであって、まず第一に私はいま憲法改正などということを言っておるわけではございません。憲法論議があり、そうして自衛隊というものをどういうふうにしたらいいか、憲法第九条というものがしばしば論議になりますが、それはずいぶん前の、数年前の論議のときをお引きになっているわけなんですが、自衛隊というものは私は確かにユニークなものだと思うのです。日本の憲法第九条のもとにできたユニークなものである、そして国民的にも定着しているものであると思います。これを憲法論議からいえば、その定着している考え方というものをはっきり明確に定義づけるということができたならば、いろいろの論議というものがはっきりしてくるのではないか。一つの憲法論議としてそういう考え方があるわけです。それはけっこうなことではないかという意見もあってけっこうではないか。現在の憲法改正をいつやるかというようなこととは別に、私は憲法というものは常にいろいろの方がいろいろの角度で研究されるということは私は適当なことではないかと思います。私はしかし現在の立場におきまして、憲法改正やるべしと言っているわけでもなければ、こうこういうように改正すべしと言っているわけでもありません。それはその昨日の速記録も十分お調べをいただきたいと思います。もし私がいま申しておりますことと趣旨が違うようにとられるような表現でもございましたならば、その点は先ほども申しましたように訂正いたします。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私もさっき言いましたように、どなたがどういう考えを持っておいでになろうと、その頭の中までほじくり出してどうこうということじゃなくて、少なくとも閣僚といえば、とにかく佐藤内閣という一つの組織体を代表して、少なくとも外務委員会では外務大臣が佐藤内閣を代表して発言しているわけでしょう。そういう場での発言として、こういうふうにはっきり自衛隊の性格を憲法においてはっきり明定することが筋であると、これは私はいまでもそう考えておるというような積極的な肯定的な姿勢を出したということになれば、佐藤内閣がそういう考え方を持っておると、いつどういう手順でやるかは別として持っておるということの表現ととられてもそれはしようがないでしょう。そうでなければ閣僚の発言というものは信用できなくなる。閣僚として聞いておるんだから、だから私はそれを問題にしておるので、愛知外務大臣がかつてそういう大臣でない時期に書いたものの中にそういうことがあったということをほじくられて答えるにしたところで、いま閣僚の立場でもって現在でもそう考えておるというようなことを言うことが非常に大きな問題になるんじゃないか。私はこれは取り消したらいいと思う、そうでないというなら。総理の立場で、総理もそう考えておいでになるというならそれでもいいけれども、そうでないというなら、やはり取り消されないと閣内不一致ということになる。そこのところの処理をひとつきちんとしてほしいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はそのことで論議をするならば、幾らでも私は自分の責任において論議をいたします。しかし先ほど申しましたような考え方なんですから、私が先ほど申しました趣旨に違うような表現にとられるような表現があるならば、それは取り消しますと申しております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そうすると、私はもう一度だめを押しておきますけれども、「性格というものを憲法においてはっきり明定することが筋である。これは私はいまでもそう考えております。」と、いまでも考えている、そういう人が外務大臣になっておるわけですね。それは佐藤総理大臣、それでいいですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来そのときの模様に触れての弁解がございました。私はそれはそれなりにとっていただきたいと思います。どうもこの点では、自衛隊の性格については私どもはこれは憲法違反でないと、かように思っております。しかしながらおそらく共産党は憲法違反だと言われるのじゃないかと思います。また国民の中にもそういうような方もあろうかと思います。そこでそういうような議論について憲法違反じゃないんだとか、かように申しておるほうから申せば、もっとはっきり書いておけばいいじゃないか、こういうような議論に発展しやすいのです。だけど、ただいま憲法改正する意思なしと、こういうことをはっきり申しておりますからこの辺で、そうお責めにならないほうがいいんじゃないか、私はそういうような結論を持っております。私は考え方が別だとは思いません。私どももこれは憲法違反にあらずと、かように自衛隊を位置づけておりますから、この辺がどうも不明確だと、こういうのが皆さん方の主張でもあろうかと思いますけれども、それでは対立でございますから、これはもうこれより以上議論する筋じゃないように思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そうすると、いまの総理の答弁で、大体愛知外務大臣が言われた佐藤内閣としては憲法においてはっきりそれを明定しようというような考えは持っていないということで、総理がそれをまとめられたというふうに受け取っていいですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりです。御了承いただきます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それでは防衛庁長官のほうですね、フリーダム・ボールトの話をお聞きするつもりだったのですけど、いまの問答で時間なくなりましたから、そっちのほうは省略しますから……。  それで佐藤総理に経済政策といいますか、そういう基本の問題でお聞きしたいのですけれども、総理はこの前の公害国会でもって、かつての成長なくして福祉なしというこのスローガンを、福祉なくして成長なしというふうに言い直されましたけれども、その真意はどの辺にあるのか、そこらからお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) あらゆる経済活動というものは、これは手段にすぎないと、やはりねらいは国民の福祉、そこにあるんだと、そういうので表現を変えたのであります。ところが、どうも過日もこの席で問題になりましたが、かえって変えたことのほうが間違いだと、福祉なくして成長なしではどうも福祉が成長の手段のように読み取れると、こういう御注意がございましたが、しかし私はそうは思わない。やはり経済活動の目標、目的、これは福祉なんだと、国民の福祉なくしては経済成長というものを考えられない、こういうことを申したのです。

春日正一日本共産党

○春日正一君 で、これまで経済社会発展計画、全国総合開発計画などを指標にして地域開発とか新産都市の建設など、産業中心の政策がとられてきた結果、過疎、過密の問題とか、公害や交通問題が激しくなってきた。そういうことで、いままでの政治の中にそういう矛盾があったから、だからこれからは公害や交通問題など国民生活の環境整備に重点を置いていくと、そういうふうな意味で福祉なくして成長なしと言われたのかどうかですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大体同じかと思いますが、とにかくわれわれの経済活動、あるいは政治活動、それにいたしましても国民の福祉、お互いのしあわせ、これを願ってやることなんだと、だからそういう方向に手段として経済成長だとか、あるいは政治活動だとかいうものが使われること、それは手段なんだと、どうも手段のほうが主体なような感じを持たれることは困るんだと、こういうことを実は申したのでございます。これはかつて炭鉱災害——石炭の炭鉱でいろいろの人が死にます。災害が起こる。このやはり採炭事業というものはお互いがしあわせになるために石炭を掘っておる、それが災害を引き起こす、こういうようなことではどうも許せないじゃないか、こういうことを率直に申しましたが、最近の経済事情、あるいは社会事情等も、お互いがしあわせになろうと、よりよい住みいい社会をつくろうとしてその結果が過密状態が出たり、そうしてそこにあるいは住宅が足らない、あるいは交通災害が起こる、こういうようなことではこれはいかないから、そういうものについては十分の対策を立てなきゃならぬと、かように論理が発展していくわけであります。

春日正一日本共産党

○春日正一君 ところが、総理は、今度の国会での施政方針演説で、新全総に基づいて日本列島の未来像を壮大に描き出して、新幹線自動車道、新幹線鉄道、基幹空港や通信網など大規模な基盤整備計画を強調されております。しかし、いままでも産業基盤に重点を置いて国民生活環境の整備がおくれてきた、あるいはおろそかにされてきた、その結果いろいろな先ほど言ったような矛盾が生まれてきたんだと、とすればですね、当然国民の生活環境整備、とりわけ現在おくれておるそこを優先的に取り上げてやっていくような計画なり政策にならなければ、総理の言われた福祉なくして成長なしということにはならないのじゃないか、その意味で総理が今度の国会でやられた演説なり新全総計画というものは、この総理の言われたその考え方と逆を行ってしまうのじゃないかと、こう思うのですけれども、その点どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 春日君は私の話を理解していただいていると、かように私思います。ただいまお話のように、いままでも経済成長をしたと、たいへんしあわせになったと、国民生活は向上したと、かようなことは言えると思います。しかしその反面、ただいまあげられたように、環境が破壊されたとか、あるいはお互いの生活が乱れてきた、あるいは災害が起こったとか、あるいは住宅不足だとか、こういうような幾つもの問題が起こるわけです。それをいままではひずみだと、かように申しておりまして、ひずみをなくするのだというような考え方でございます。もちろん、ひずみには違いないが、ひずみというような考え方でなしに、もっと基本的に取り組むべきじゃないか、本来の経済発展、それはもちろん経済発展そのものとして評価してしかるべきだが、その評価のしかたはお互いの生活にどういうように寄与するか、こういうところから出ていくんだと、だからそういう意味では福祉なくしては成長はないんだと、成長は考えられないんだと、ただ単にひずみの程度ではどうも気が済まない、もっと基本的な問題として取り組んでいくということが必要だろうと、かように思って、姿勢を改めてこういう問題と取り組もうという姿勢を示したつもりでございます。なおしかし、現在のところで姿勢は一応わかったが、なお効果があがっていないじゃないか、こういう次のおしかりになれば、これは皆さんとともどもにそういった足らない点を直していく、こういうことでありたいもんだと、かように思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 いや、私はその総理の言われた新全総の計画そのものが総理のいま言われたことに矛盾するのじゃないのかと、そういうことをお聞きしておるわけなんですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 新全総自身は、これは矛盾とは思いません。また計画はまんべんなく全国を開発しようということですから、これでむしろその過密、過疎、そういうような問題があらわにならないだけにたいへんけっこうだと思います。しかしながら計画は計画であって、実際は食い違うだろうと、だから絶えずそういうものをトレースしていかなければならない。そのトレースは一体どうなるのかと、こういう問題になりますと、いま毎年というわけにもいかないでしょうから、これはしかし長く計画を立てたのだから、そのままいくんですと、こう言っては済まされないことでございます。だから春日君の御指摘は、そういう意味で十分トレースしろとおっしゃるなら、そのとおり私ども考えておりますと、かようにお答えいたします。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それでは経企庁の長官にお伺いしますけれども、新全総で東京、大阪、名古屋の三大都市圏に昭和六十年にはどれくらいの人口が集まると見込んでおいでですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 計画にお示してありますが、東京圏の二千五百万、大阪圏の千四百万、中部圏もお話になったと思いますが、五百五十万、大体こういうところが中心になっております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 では、いまの三大都市で新規に必要になる事務所面積はどれくらいと想定しておいでになりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 政府委員に説明させます。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) お答えいたします。事務所の面積、東京区部で昭和四十一年から六十年の間に建設しなければならないと考えております事務所の建設面積は二千三百万平方メートルでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 大阪、名古屋。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) 大阪市部につきましては千百万平方メートルでございます。それから次に名古屋の市部におきましては五百六十万平方メートルと考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 東京の二千三百万というと、霞ケ関ビルの百五十ぱい分ですが、それくらいなものをつくらなければならぬ。そこでその次に、三大都市の周辺部から都心部への通勤者の増加の見込みはどうなっておりますか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) お答え申し上げます。周辺部から都心への通勤者でございますが、東京におきましては約三百二十万人になるであろう。これは四十年に対して三倍弱になるであろうと考えております。大阪におきましては二百三十万人になるであろう。これは四十年の大体三倍弱でございます。それから名古屋におきましては百十万人になるであろう。これは五倍強でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それでは全国の市街地面積はどれくらいふえますか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) 全国の市街地面積は昭和四十年約四十六万ヘクタールでございますが、これが六十年には九十四万ヘクタール、約倍になると考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それでは工業用地の面積はどれくらいにふえますか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) 工業用地の面積は全国で昭和四十年約九万ヘクタール程度でございますが、これに対しまして昭和六十年には三十万ヘクタール、約三倍になると考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そういう計画の結果、工業生産の規模と基幹産業の生産規模はどれくらいになりますか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) 工業生産の規模、いわゆる工業出荷額で表示いたしておりますが、これは大体昭和四十年の五倍強に増加すると考えております。さらに基幹産業の規模でございますが、これは特に基幹産業としてあげておりますのは鉄鋼、石油、石油化学で例をとっておりますが、鉄鋼におきましては約四倍、石油におきましては約五倍、石油化学におきましては約十三倍程度のこれは生産量で考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 こういう工業の生産規模や大都市への人口と機能の集中の予測はきちんとされておるわけですけれども、その結果として激しくなる公害とか交通事故、災害の危険についてはどういう予想がされておりますか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) お答え申し上げます。  災害あるいは公害の問題、この計画の全般的な問題といたしまして、これをいかに抑制するか、制御するかということがこの計画の相当中心の部分になっていると存じます。ただ、数字的にどういう表示をするべきかという問題がございまして、ここで数的な表現はとっておりません。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこが問題なんですね。いままでの総合開発計画なり全国開発計画でも、公害防止とか災害防止ということがうたわれておるのですよ。しかし、実際には、先ほど総理もお認めになったように、開発だけが進んで公害とか災害とか交通問題とかいうようなものが非常に深刻になってきておる。これは一体どういうわけか。その理由を説明していただきたい。そういうふうに読み込まれておりながら、どうしてこういう問題がこんなに激化してしまったのか。それはむしろ長官のほうに聞かしてもらったほうがいいと思うんですね、政策の基本だから。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 今日の御存じの都市化といいますか、昭和三十年代から始まりました高度成長、この結果といたしまして、人口の都市集中、そこから過密、過疎化の問題が起こってまいりましたし、いわゆる、あらゆる社会開発的な見地からのひずみの問題も出てきたことは御存知のとおりでございます。そういうようなこともありまして、一方において経済成長も大事であるけれども、同時にバランスのとれた成長でなければならないということから、各種の格差、ひずみの解消ということに重点が向けられて、御存知のように、新しい新経済社会発展計画にいたしましても新全総にいたしましても、適当な成長の上に立つところの社会開発の推進ということを中心にして、いま御指摘になったような問題を最重点課題として取り上げるようになってきておる、こういうわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私繰り返して言うけれども、そういう計画が初めからあった。あったけれどもこういう矛盾が起こってきておるということになれば、計画の中に矛盾があったのだ。だからそこをほんとうに直していかなければならないのじゃないかということを私は言っているのです。  そこで、総理にお聞きしたいのですけれども、開発をすれば当然、プラスだけでなくマイナス面も伴ってくる。だから、総理は極楽図を描くなら当然それに伴って起こるであろう地獄図も描いてみせて、この地獄図をなくして極楽図だけにするにはどうすればいいか、そこまで問題を詰めていかなければいけないのだけれども、極楽図のほうのあれはきちっと数字まで出ておるのだけれども、地獄図のほうは、何とかないようにいたしますというような一般的な規定で済まされておるところに、今日の矛盾が深刻になった原因があるのじゃないのか。だから、当然、そういう意味から言えば、公害対策なり防災政策なり、そういうものも具体的に考えて、そうして必要な資金の裏づけをするような、そういう計画というものにならなければならないのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点、総理、どうですか。一番これは根本問題です。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりだと思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 では次にお聞きしますけれども、下水道五ヵ年計画について言いますと、これは下水道法の審議のときにも私、建設委員会で問題にしましたけれども、一番ひどい東京とか大阪の大都市の河川の汚染というものは、閣議できめた環境基準まではいかないのですね。そういうものを環境基準まで早くいかせるように、五ヵ年でやる、そういう予算をなぜおつけにならぬか、そこをお聞きしたい。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  これは春日さんとだいぶ議論したところでございますが、東京都のこれはたいへんに実は深刻な状況になりまして、一時は隅田川が全くこれは死の川になってしまったのです。普通の状況ではあれは浄化できないということで、思い切って利根川から水を流してかろうじてやったというほどの思い切った措置もやっております。東京都については東京都自身も今回はたいへん思い切った予算措置も講じ、政府もこれに協力してやっているということでございまして、五ヵ年間でこれを完全にするということはなかなかむずかしいのです、これは長年の蓄積がこうなったのでありますから。そこでこれは過去を責められれば、われわれ政権を担当したものとしておしかりを受けるのはやむを得ませんと思います。ところが御承知のように、従来一般国民も地方自治体も下水についてはいままで認識が今日ほど高まっていなかったのです。従来ややもすると、水に流せばそれで自然に浄化するという観念がどこにもあったのです。そうして都市河川の小さな河川はどんどんどんどんこれを下水化してしまった。そういう制度上の欠点もありましたので、すでに先年、都市の中小河川の抜本的な整理をするというふうにやっていたということで歴史的経過がありますので、したがって、御指摘された点はわれわれも率直に認めると同時に、しかし五年間でこれを全部やるということはなかなかむずかしい、しかし基本的な問題は本格的にこれからやっていくということでございますから、そういう意味において、この点は春日さんも相当おわかりになったと思いますので、今後とも政府は一生懸命にやるつもりでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私は過去を責めているのじゃないですよ。できたものはしようがないから立ちおくれたものを早く埋めて早くバランスをとってほしいと、そういう意味で言えば、五ヵ年間でできない、十年たったらこうなるというのを、もっと金を出して五年間なり六年間なりでやってしまう。そこへもっと金を出してほしいと、それを言っているわけです。  それから住宅の問題でもそうですね。ことしまでの五ヵ年計画で一世帯一住宅ということが言われたのですけれども、現実には三百六十万戸の不足があるというふうに言われて、これは思ったとおりいかなんだのです。ほとんど前進していない、三百六十万というのは。しかもその反省なしにまた今度は一人一室という売り込みでしょう。これはあまり広告が過ぎますわ。江東のほうへ行きますと、十一人家族で六畳一間に住んでいる人がいるですよ、収入が少ないために。十一間与えられますか、この人に。ほんとうにそれだけの親切があるならいいけれども、一世帯一住宅がまるっきりできないのに、その反省なしにまた今度の五ヵ年で一人一室というようなことはあまり広告が過ぎるのじゃないか。私に言わせれば、持ち家住宅主義をとっている限りは持ち家の買えない人がたくさんいるわけですから、これは絶対解消しない。やはり公営住宅を大量に建てて入れていく、持ち家はむしろ持ちたいという希望者にやらせるというような形でこの比率を変えて公営主義に変えなければ、いま政府が掲げている一世帯一住宅というようなことにはならぬだろうと思うのです。その金を出してほしいと私は言うのですけれども、その点建設大臣どうですか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  この点もかなり緻密に議論したつもりでございましたけれども、これは現在公害並びに公団住宅に対する入居希望はたいへん多いのでございます。ということは、現在の状況では核化の現象、都市集中の現象が予想以上に多くなったのがそうした結果になっているということと、それから戦後都会に建てられましたところの言わば急造住宅がもう老朽してしまって、これが限界にきているというところの二重、三重の原因がこういう結果になっていると思います。そこで、持ち家政策は、政府施策住宅の責任転嫁というような取り方でありまするが、私はそうは思わない。本来、各個人が持ち家ができますれば、この競争が下がっていくわけでございます。そこで全部が全部公営住宅でやるとするならば、これは膨大な資金が必要です。ところがそれを皆さんがやれやれと言うならば、税金を取って、これを安い住宅を住宅税でもやってやるということならこれはやれますよ。ところが一方においてはサラリーマン減税はせい、事業税は減らせ、こういうことではなかなかいかない。そこで、私らがいま提案しているのは、企業が毎年相当の大幅の賃金上昇をしています。私は、企業が賃金にあげるということもいいが、その一部をさいて従業員に対して持ち家政策をやりなさい、そうすればこれは企業のためにも安定した勤労者を把握することになり、また従業員も定年になってから今度は自分の家をちゃんと持てると、こういうことを提言しているのです。そのために今度は新しい制度も設け、あるいは勤労者財産形成の問題、あるいは住宅貯金、そういうふうなことをやりつつ、そうしてそういうことをやっても持ち家ができない人には、優先的に低所得者並びに中級のサラリーマンの方々のための政府施策住宅をやっていこう、こういうことなんです。したがいまして、何と申しますか、政府で全部住宅をつくれというならば、ぜひ私は住宅資金の確立のために住宅税でも設けろというぐらいの提案をしてもらうならはなはだ私は歓迎しますけれども、それはできない。政府でやれということは、納税者の負担においてやれということなんです。この点を明確に私は国民に知っていただきたいと思います。そこで今度は農住政策等総合的なやり方をして、そうしてその上に大都市の住宅困窮者を中心とするところの政府施策住宅をやっていこう。御承知のように、これもずいぶん論議したところでございまするが、東京都に相当重点を入れて割り当てております。ところが東京都自身が土地の入手が困難です。今度土地の入手ができるというと、関連の公共負担にたえ切れないために、いまの区その他町村でやり切れない。それでことしの予算からは、学校とかそういうものに対する補助金も出す、いろいろくふうをこらしているのでございまして、御指摘になりましたその全く計画どおりいかないという点は認めますけれども、しかし、実勢に即したところの施策を一生懸命やっているということだけはひとつ御理解していただきたいと思う次第でございます。  なおまた、一人一室というのが、これが全体の住宅政策の目標として掲げているのでありまして、漸次この目的のためにも国も地方も企業も協力してこれをやっていこうという一つの目標を示しておるということでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私、この問題あまり深入りしませんけれども、しかし国でやれ、地方自治体でやれと言えば、税金だと言う。そのとおりですけれども、税金、とにかく九兆四千億の予算の大部分は税金ですから、それをどう配分するかという配分の問題で先ほど言ったように公害対策とか、住宅とか、交通対策というようなところにもっとよけい配分しなさいと私は言っておるのですよ。自衛隊の費用五兆八千億ということが来年度になっておる。何でそんなにふやさにゃならぬかと言えば、その必然性の説明はできないわけですよ。そんな金があるなら住宅なり、公害をなくして住みよい国にしたら、この国を守るためにという国民の気持ちというのは出てくると思いますよ。そこが土台でしょう。それを私は言っている。その根本をはっきり言っておきます。  それから、もう一つついでに言えば、たとえば交通事故の問題でも、この死者を半減させようということで三千七百億ですか、これを警察庁が要求したのに、半分以下に削られた、そのために交通事故半減の見込みがなくなったというようなことが新聞にも報道されておる。だから一番大事なところを削っているというそこらを私は問題にしたいわけです。だからこういう国民に緊急に必要な生命と生活を守る関係の予算ですね、これをもっと今度の予算で大幅にふやして、この矛盾をなくすという考えが政府にないかどうか、特に大蔵大臣どうなのか、そこを聞きたいのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 予算をひとつよく見てもらいたいのですがね。これは約二三%は地方交付税です。これは地域社会、それから一七%は社会資本、一四%は社会保障、それだけあげても五五%はこれは民生安定、こういうことなんです。いま社会資本は立ちおくれておる、これは明治以来のことなんです。戦後やっとわが国ではそういう問題に着目された、こういうことなんで、これはそういう方面への金の使い方、これはもうわが国は飛び抜けて世界一なんです。そういうことで、あなたは非常に力説されますが、力説されるようなことはあなたが認識されるよりはるかに以上にやっておる、こういうことなんです。

春日正一日本共産党

○春日正一君 もうその答弁を聞いたらあきれかえって議論する気にならぬのですね。総理もさっきお認めになっておる。公害が深刻になっておるといって、公害国会を開いて法律をつくらなければならぬような事態になったでしょう。交通事故で死傷者がぐんぐんふえておるでしょう。減らないでしょう。そういうことを見ながら世界で一番でございますと言うんでは、これは議論にならぬのです。だから私は次に進みますよ。  そこで、新全総では、一応ネットワークの形成、大工業基地というような産業開発に加えて生活環境整備があげられて、大規模プロジェクトの三つの目標が設定されておりますけれども、しかし実際には幹線自動車道路や新幹線鉄道はどこの路線をどこからどこまで、いつまでに完成するというような計画がある。それからそれを実施するために今年度は自動車重量税まで取ろうというような計画もある。工業用地の埋め立てでも、新たに五ヵ年計画を立て陸奥湾、小川原湖とか周防灘とかいうような工業基地の造成が急がれております。しかし市町村道、公園、保育所などはいつまでにどの程度にやるものか、これはちっとも明らかじゃないのですね。国鉄は赤字線の廃止まで言われておる、こういう状態、しかも一番緊急を要する公害や交通事故さえいつになれば解消できるのか、ちょっとめどがないというような状態です。だからこの新全総という計画は非常に大きな矛盾をはらんだ、これをそのままやっていけば最近の公害国会で問題になったような事態がもっと深刻になっていくというふうに考えざるを得ないような計画だと思うのです。  そこで、私は総理に提案したいのですけれども、この際、この新全総を改定して、全国のあらゆる地域で住宅、上下水道、公園、交通施設などの生活環境施設を中心に整備して、都市でも農村でも住民のための一定の社会的水準の生活、文化が確保されるようにするということ、それから万全の公害・災害対策、それから自然と人間の正常な循環関係の確保それから、文化遺産と自然の保護というようなことを行ない、そういう立場から産業全体が釣り合いのとれた形で、カーブがゆるくなっても釣り合いのとれた形で発展していくというようなことにする必要があるんじゃないか。そういう計画にこの新全総を改定すべきだというふうに思うんですけれども、総理の考えをお聞きしたいと思います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いま春日さんが御指摘になったことが、新全総計画をよくお読み願っておると思うのでありますが、全部出ておるわけです。あなたの御指摘になった点が十分織り込まれ、それがむしろ政策課題の中心になっておるのが新全総であると、こう申し上げていいと思います。ただ、先ほど何か数字の出ておる部分は非常に重点視されておって、数字がないから重点化がないんだというようなちょっと印象を受けるようなお話のように思ったんですが、これは当然昭和六十年という相当先までを見越した見通しでございます。でございますから、いわゆる行政目的としての具体的な目標というものは、さらにこの課題、この精神の上に立って個々の五ヵ年計画等を立案して、そうして具体的な措置をとっていく、こういうたてまえになっておるわけでございます。でありますから、こまかいところの数字はもちろんまだあげる段階ではございません。ただ、六十年までの計画というとあまりにビジョンめいて抽象的な感じでもいけないというので、一応のフレームの試算として大体八%前後の経済成長を前提といたしまして、そしてその場合に、先ほど議論になりましたように、各地域の人口がどのくらいになるとか、大ざっぱな工業生産額がどのくらいになるとかいう試算を、一応フレームとして書いてあるだけでございまして、新全総お読み願うとわかるんですが、あの文章の部分が実はあの計画の中心課題でございます。特にこの新全総の中でもって強調いたしておりますのは、いわゆる国土の再編成ということで、全国土をあまねく有効に利用する、ただしそのためには交通ネットワークというものが前提にならなくては成り立たないということで、この新全国の交通あるいは通信のネットワークというものを非常に重視しております。そういうことで、たまたま交通幹線に触れておるだけでございまして、別にそれ以下のものを軽視しておるとか、そういうことではございません。これは新五ヵ年計画その他において、先ほどの下水道でも例が見られますように、具体的な措置をこの方向に沿ってやっていく、これが新全総の考え方でございますから、そしてもう開口一番、文章の最初から、環境を重視する、豊かな快適な国民生活を実現する、自然の保護、生活環境の改善、そうしたことがずっともう課題の中心になっておる、そういうことがよく御理解願えると思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 総理の考えをひとつ……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 新全総の計画は、いま佐藤企画庁長官から話したとおりでありますが、しかしこれは一応長期にわたる計画でございますから、やってみるうちに必ず実際とそごするものだろうと私は思いますし、そういうものは適当なときに手入れをして、そして実際に合うように、またその足らない点を補っていくように直していかなければ、計画が生きてこないと思います。したがって、まあその期間は二年くらいたてば、これはもう一度最初の計画どおりに進んでいるか、新しい事態が起きているか、そういうようなものも見るべきじゃないだろうかと、かように私思いますので、いま春日君の言われるように、適当にトレースすることだけは政府も十分注意してまいるつもりでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 まあこの問題は別な機会にもっと議論するとしまして、次に大都市の防災対策についてお聞きしたいんですけれども、都市のマンモス化に伴って大都市では毎日災害の危険が増大しておるというふうに言われております。  そこで主要な大都市において災害の危険がどのように増大しておるのか、そうしてまたそれに対してどういう対策を持っておいでになるのか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。これは総理府の長官ですか、この関係は、責任者は。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは災害対策基本法に基づいて、大体地域防災計画、地方防災計画、それぞれ立ててやっておりますが、最近はことに大都市に人口が過度に集中いたしておりますし、生活の態様が全く違っております。高層ビル、地下街、あるいは、高速道路、自動車の非常な増加、一たん事故があった場合において、地震等においては、道路全体が火の帯になるおそれもあるわけであります。また家庭生活も暖房等に石油暖房等が普及してきてまいっておりますから、これらの今まで立てておりました計画、それぞれの地域の問題も新しく検討し直す必要がある。ことに後ほど御質問があると思いますけれども、ロサンゼルスの例等を見ましても、関東南部等においては大震災の経験を持っておるわけでありますから、現在中央防災会議の事務局において、八つの部会に分けまして避難部会とか、通信部会とかいろいろありますが、これを区分けをして、さらに最近のロサンゼルス調査団の報告を現実的なものとして取り入れまして、六月ごろに中央防災会議を開く予定でおりましたものを、四月ごろに開くように作業を急がせておる次第でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 もう少し具体的にお聞きしますが、大都市における火災危険区域の設定の状況はどうなっていますか。これは消防庁のほうですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 市町村の消防計画の中で、特に危険が多くて、人命の事故を伴いやすいという区域を危険区域というふうに指定していまして、特に警防を重視しているわけでございますが、その個所は、東京が二百六十、横浜は八十四、京都が九十二、大阪が二十二、神戸が二百八十九、北九州が九十二、名古屋が百四でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 大阪の二十二というのはこれは少な過ぎる感じなんですけれども、どうなんですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) これは具体の都市におきまして、それぞれどういう区域をどう認定するかということでございますが、個所の問題は、大阪は確かにほかの都市に比べて少のうございますが、市街地の面積全体に対する割合といたしまして見ますと、大阪は危険区域の面積が二・四平方キロございまして、全体の市街地面積に対して一・二%ということでございまして、たとえば東京は〇・六、横浜は〇・八%というような状況でございますので、それぞれの都市によって個所というよりも、面積として多くとらえているというところもあるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 地盤沈下の状況はどうなっていますか。これは企画庁のほうですね。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) 地盤沈下の現状でございますが、現在関東地方——東京、埼玉、神奈川、千葉、特に神奈川では横浜、川崎市周辺、千葉では浦安、市川、船橋周辺、そのようなところになりますが、東京地域の地盤沈下の速度は次第に緩和してきております。が、沈下は続いておりまして、その区域はむしろ北のほうの周辺部に拡大いたしております。まあ年間十センチ以上沈下いたしております地域と申しますのが、東京都の中ではまだ二十方キロ程度の面積がございます。さらに埼玉県のほう、埼玉県の南部でございますが、このあたりでは年間十センチ以上の沈下というのが約十方キロくらいの量がございます。千葉県の葛南地域におきましては、やはり年間十センチ以上の沈下の地域が約三十四方キロ程度でございます。さらに次は大阪でございますが、大阪では大阪市の周辺、それから兵庫県、いわゆる尼崎、西宮、伊丹地域でございますが、大阪市の地域につきましては、港湾地区と申しますか、港湾の周辺の地区に見られました激甚地域の沈下速度は、三十八、九年から急速に減少いたしまして、大阪市の中心地区では沈下がほとんどとまっていると申せるかと存じます。現在年間一センチ前後の沈下である。これは当然地下水のくみ上げ規制等の問題でこういう状態になったかと存じます。ところで最近では沈下の範囲が大阪市の東部、特に東大阪市、門真市、守口市、などの東部の工業地帯に拡大しておりまして、この地域では年間十センチ程度の沈下の部分が出てまいっております。それから最近はだいぶおさまっておりますが、新潟平野、これについて若干申し上げますと、この地域の沈下量は三十五、六年ごろと比較すればかなり沈下がおさまってまいりましたが、現在でも年間四、五センチ程度の沈下はあるという状態でございます。以上でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 東京でのゼロメートル地域の拡大の推移、それをちょっと説明してくれませんか。

岡部保経済企画庁総合開発局長

○政府委員(岡部保君) いわゆる東京ゼロメートル地域と申しますか、東京湾中等潮位以下の地盤の地域というのは一体どのくらいあるかと申しますと、現状では約六十四方キロでございます。これは過去のデータで見ますと、昭和三十六年時点で三十六方キロくらい、それが四十年には四十五方キロ、それが、先ほど申しましたのが四十四年のデータでございますが、だんだん増加してきておるというのが事実でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 石油タンクなどコンビナートその他の危険物施設、ガソリンスタンドなどの増加と事故の増加の状況にどうなっておりますか。これの説明を願います。これも消防庁ですか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 危険物施設の増加状況でございますが、これは昭和三十四年の三月と昭和四十五年の三月を比較いたしますと、製造所は四十五年、三千四百五十九で一・三七倍でございます。それから貯蔵所でありますが、これは十九万二千百五十五で、三・〇四倍になっております。それから取り扱い所は十一万三千百七十でございまして三・八五倍になっております。全体で申し上げますと、三十四年は九万五千二百七件でございますが、四十五年は三十万八千七百八十四、三・二四倍になっております。このうち特に伸びておりますのが地下タンク貯蔵所七倍、それから一般取り扱い所六・六九倍が目立ってございます。  それから最近の火災の状況でございますが、四十年には百二十二件、四十二年には百四十三件、四十三年には百四十八件、四十四年には百八十七件でございます。ただこれは絶対数でありまして、危険物施設の全体の数がかなりいま申し上げましたように伸びておりますので、この割合を見ますと、四十一年が〇・〇六四%でありますが、四十四年は〇・〇六一%、まあ横ばいないし若干減っておるというような割合になっております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 ついでに、昭和石油・川崎製油所の火災、こういう特徴的な、どんなにおっかないものかということの説明にこの例をどんなふうだったか説明してくれませんか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 昭和石油の川崎製油所の火災でありますが、これは四十五年二月の二十六日に十時ごろに発火いたしまして、損害額が約七億でございます。出火の原因は、ポンプの修理中にポンプのボルトをゆるめたところ熱い油、三百二十二度摂氏が噴出して着火、発災したものでございます。これに対して消防活動をいろいろやりましたが、川崎消防署あるいは企業自衛消防署、それから海上保安庁等が消火活動に当たりまして鎮火いたしました。このときは軽傷が四名ということでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 川崎消防局の発表だと、周囲九百五十平方メートルに延焼拡大、炎の高さ四十メートル、消防体制に瞬時の遅延を生ずれば収拾のつかぬ大災害に発する危険な状態であった、こう言っておるんですね。そういうものが非常にふえておる。そこでお聞きしたいんですけれども、大都市における災害の様相というものがこのように刻々変わっておる。しかし政府の防災基本計画というのは、昭和三十八年につくったまま今日まで一度も修正していないのはどういうわけですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 先ほどもその点ちょっと触れたのでありますが、基本計画の修正までは触れておりませんでした。確かに、お話になりますとおり、基本計画というものが制定当時のままで推移しておりますが、社会生活環境全体が、ただいま御指摘の数々の点等を考えましてもここ数年において非常に大きな変化がありますので、今後具体的な地域防災計画の検討と並行して、この基本計画そのものについても再検討を加えていく時期にきているものと考える次第でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 昭和石油の川崎製油所の火災は、防災の観点から見て工場立地の規制を必要とするように思うんですけれども、その点どう考えますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和石油の昨年の二月の火災につきまして、ただいま消防庁から報告がございましたが、これは原因は実は非常に初歩的な修理の際のミスであったわけでございます。幸いにいたしまして、コンビナートでございますので消防等の用意がよくできておりまして、不幸中の幸いで、あれ以上大事に至らなかったわけでございますが、コンビナート等におきましては、やはりコンビナート内部における消防体制の整備、たまたま川崎がかなりよくできておりますけれども、全国的に留意すべきことであると考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私の言っているのは、個々のコンビナートの消防体制のどうこうじゃなくて、そういうものが大きな危険を及ぼすんだから、そういうものをつくる場合に、その周辺環境といいますか、そういうものの規制をきちんとしておきませんと、まさかのときに大事件になってしまう。そういうことの必要を考えておいでかと、こう言って聞いているわけですわ。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、たとえば高圧ガスあるいは揮発性のもの等々の設置につきましては、一定の安全基準がございますわけで、それは守られておるわけです。ただ、コンビナートがだんだん大きくなりますので、従来の基準で十分に安全であるかという点につきましては、そのつどやはり再検討する必要がある問題であると考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私はもっと大きいことを聞いているんですけれどもね。どうもわかってもらえないらしい。  次に進みますが、災害対策基本法では、災害基本計画の修正についてどういうふうに規定しておりますか。

青鹿明司内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○政府委員(青鹿明司君) 基本法の三十四条に規定がございまして、「災害及び災害の防止に関する科学的研究の成果並びに発生した災害の状況及びこれに対して行なわれた災害応急対策の効果を勘案して毎年防災基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。」という規定になっております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで中央防災会議はこの防災基本計画を毎年検討してきましたか。

青鹿明司内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○政府委員(青鹿明司君) 基本計画は、御承知のとおり、防災の基本と方向を示したものでございまして、これを受けて指定行政機関の業務計画あるいは都道府県の地域防災計画等で具体的な措置が定められているわけでございます。それで、いろいろの事情によりまして、検討を具体的に要するのは主として地域の防災計画でございまして、これについては制定以来相当数の修正につきましての協議を防災会議で受けております。その数は私の承知いたしておりますところでは百八十回になっておるかと思うのでございますが、具体的な施策の推進は地域の防災計画によりまして取り進められている、かように考えておるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 私がもらった資料ではたくさん開いておりますけれども、三十二年の六月十四日に基本計画、防災体制の整備についてという議題があるだけで、あとは激甚災の指定その他だけで基本計画を審議したというのは一つもありませんよ、これ。

青鹿明司内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○政府委員(青鹿明司君) 御指摘のとおり、基本計画は三十八年に定められまして、それ以外三十四回中央防災会議の御審議をわずらわしておりますが、具体的に防災会議の場で基本計画を検討したことはございません。ただ事務局といたしましては、ただいま申し上げましたように、個々の措置につきましては十分地方と連絡をとりながら具体的な施策の中心になります地方の地域防災計画等の修正につきまして所用の指導もいたし、またその協議を受けている、かような次第でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 さっき言いましたように、この八年間ですか、非常にたくさんの新しい危険の状態とかそういうものが出てきておる。当然それらについて防災計画を改定、補充していかなきゃならないのに、八年間全然その作業がやられなかった。しかも一方では、経済社会発展計画はこの間に三回改定されておる。全国総合開発計画は一回改定されておる。つまり産業優先の政治姿勢というものがここに出ているんじゃないか。災害というような問題をどれほど軽視しておるか、防災会議の会長である総理の責任のある御答弁を願いたいと思う。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来いろいろお話がございました。防災会議というものがときに開かれておる。また、そのつどそれぞれ補足、あるいは修正しつつ今日まで推移しております。最近の一番大きな問題は、経済計画のほうの発展よりもロサンゼルスの地震に学ぶところのものがずいぶん大きいのでありますから、これを契機にしてもう一度ひとつ防災会議を開き十分対策を立ててみよう、こういうのが、先ほど申しましたように、あまりおそくならないうちに、こういうのでございます。また、さっきも川崎市内における火災等の例についてお尋ねがありましたが、御承知のように、海上における防災訓練などもしばしばいたしております。こういうことが、やはり書いたものとして残らないで、それぞれのつど、それぞれの機関がお互いに協力して、こういう災害の防止、拡大をどうして防ぐか、こういうようなことについての訓練、これには励んでおる次第でありますから、その辺のことも御理解いただきたいと思います。

春日正一日本共産党

○春日正一君 地震対策の話しが出ましたけれども、もちろん地震対策、それから大都市の防災ということになれば、ここで私、各県の主要な都市の防災基本計画をとって見たんですけれども、やはり個々の火事をどうする、ガス管をどうするといった個々の対策はあっても、一つの大きなプランを持って防災都市をつくっていくというような意味の防災対策というものはないわけですね。だから、そういう意味で地震対策というものまで考えれば、そこまで考えなければならぬ、それまで含めて防災基本計画を至急に改定すべきだろう、こう思います。  そこで、その具体的な問題として、地震対策についてお聞きしますけれども、南関東における地震の発生の可能性、想定される被害の様相、その対策の緊急性などについて、政府はどのようにみておられるか、これをひとつ聞かしていただきたいと思います。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) その点につきましては、消防審議会から対策に関する答弁が出ております。いまこれについて中央防災会議のほうで検討しておりますが、その対策の大綱は長期、中期的な対策と短期的なものと二つに分けております。やや長期的、中期的な対策としては、ただいま先生が御指摘の都市の防災対策をしっかりやりなさいということが書いてございます。で、短期対策といたしましては防火対策、初期に消火する対策、またこれが広がらない防止対策をどうしたらいいか、消防力の充実というような点を指摘して、ことに都市防火対策につきましては、日本の都市が木造で密集化しておるんで、非常に震災、火災に弱いからこの点を注意しろ、また、関東のかつての大震災のときに比べまして、コンクリート建ての建物も耐震性が増しておるけれども、最近の大地震の経験に徴してまだまだ不十分である、またゼロメートル地帯と言われる東京の湾の地帯の部分についての防災都市化的ないろいろな対策、これらについても指摘がありまして、なお具体的ないろいろ対策が述べられておるわけであります。必要ならば事務当局から述べさせたいと存じます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 じゃあ事務局のほうから説明してくれませんか。ついでですけれども、私の言ったのは地震発生の可能性、そういうものがあるのか、その場合想定される被害はどういうようなことが想定されておるのか。それから、そのために対策の緊急性はどうか、こういうことを聞いているんですから、事務局のほうでいいから、少し親切にそこのところを……。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) 消防審議会におきましては、答申といたしまして、六十九年周期説というようなものを前提にいたし、かつ大正の関東大地震というものを想定いたしまして、一応の答申をしているわけでございます。地震の予知の問題につきましては、あるいは起こるかどうかという可能性につきましては、いま申し上げた程度のことでありまして、別段特に審議会としては深い議論をしたようなことはございません。で、そのときの被害想定としては、すでに答申に書いてありますとおり、木造の倒壊数は東京及び神奈川、埼玉、千葉というところで五万四千六百四十一棟、それから火災の発生件数は千三百七十九件ということでございまして、そのうち延焼、拡大火災なるものが二百九十一件ということでございます。で、十時間後にはそういう想定であればどうなるかということで、東京湾十三区では約五十平方キロ程度が焼失するであろうということを想定の中に述べております。また発災後十時間後には横浜とか二十三区とか、あるいは川崎市では大体八十万人ぐらいが家屋の喪失者、被災者になるであろうということも述べておるわけでございます。  それからそういう一応の被害想定というのはかなりむずかしゅうございまして、一応そういう想定のもとに長期対策とそれから短期対策というものを答申しておるわけでございまして、短期の目標としては人命の安全確保、罹災者の救護、それから治安、秩序の保持ということを目標といたしまして、火災発生防止対策の推進並びに消防体制の確立、避難体制の確立とそのための前提としての交通の確保とか、あるいは消防用水、飲料水の確保、物資の確保あるいは防災教育の徹底ということを書いております。それから中期及び長期の目標といたしましては、先ほど大臣がお答えいたしましたとおり、都市全体として防災化するという観点のもとに都市計画その他のことを詳しく触れているわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 その中期の防災の問題ですね、護岸とか建物の不燃化という問題も当然大事ですけれども、しかし地震対策とすれば比較的広い地域を対象とした町の防災化が重要になると思います。この点で消防審議会の答申ではどういうふうに問題を提起しておいでになりますか。

降矢敬義消防庁長官

○政府委員(降矢敬義君) その点につきましては、都市の防災化対策といたしまして総合的な防災都市計画の樹立とこれに基づく都市改造の推進、この場合、中心となる事項といたしまして、防災の観点からする都市計画の基本構想の樹立、防災及び消火、避難を目的とする総合的な都市改造計画の策定、それから防災避難拠点の建設、避難路確保のための防火建築帯、緑地系統、歩行者専用道路の建設、こういうところをあげておるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 答申後すでに一年になりますけれども、中央防災会議ではこれをどのように審議されましたか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) ただいま、消防審議会の答申でございますので、消防庁において中央防災会議にかけるためのただいま消防庁長官の報告いたしましたような点について調査、検討、立案をしておるわけであります。一方、それを待つまでもなく、先ほども申し上げました防災会議に八の部門を設けて、それぞれの部門において一種の想定的な検討をいたしておるわけでありますが、これを取りまとめて四月ごろを予定として、当初六月ごろと思っておりましたものを繰り上げて中央防災会議にかけたいと申し上げたことはそのとおりでございますが、なお先ほど予知の問題で少し御意見がありまして答弁がなかったと思うのですが、ロサンゼルス地震では実は相当な観測機材が整備されておったにもかかわらず予知できなかったという結果が報告されております。その意味で元東京大学の河角博士の六十九年周期説、そうすると一九七八年から危険期に入ると、こういうことになるわけでありますけれども、はたしてこれは周期があるものかないものかの問題も含めて、やはりわれわれとしては常時これに備えておかなければならないことであるということを教訓づけられたわけであります。そこで中央防災会議においてもそのような緊急性ということであらためて作業をスピードアップいたしておるという背景があるわけでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 東京の江東地区の防災拠点再開発は建設省でも調査をし、すでに計画もできて着手の運びになっておるのですけれども、この計画の構想と完成の見通しはどういうことになっておりますか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。  昭和四十年から特に江東地区の防災に必要なる調査を始めまして、それが、東京都がこれ実施するものでございまするが、東京都だけの力ではなかなかこれはむずかしいのでございます。たいへん金もかかることでありまするので、建設省がこれに対して全面的に応援してきております。で、四十五年は、御承知のように、震災が出た場合に防潮堤のほうはだいぶできました。ところが内水面のほうの手当てができておりませんので、うしろから水害にやられる危険性が非常に多いということで、この方面の内水面の強化、これを相当やっております。それからあそこに一つの避難拠点みたいなものをつくっておきませんと、非常に木造の密集した、しかも小さな工場のあるところでございますから、へたをするともう全面的にその災害を受ける危険がありまするので、現在はその拠点をつくることに着手いたしまして、ことしは白鬚地区にひとつつくっていこう。さらに東京都の、まあ今度はだいぶ予算もつけるようでございますから、これに対応しまして避難道路あるいは避難緑地、それからまたいまの、でき得ればあそこは疎開させたいのです。あそこの中小企業の密集しておるところを幾らそういうことをやっても危険であることには変わりがありませんので、そこで、でき得れば北関東あたりに、いま百万都市を三つぐらいつくって、そうしてだんだんだんだんそちらに都市機能をもってしかも条件のいいところに疎開さしたいと思ってその計画も進めております。しかし具体的に何年までにどうかということは、まだ実は東京都と私のほうの各局との間の完全な合意が出ておりませんので、おそらく選挙でも終わりますれば相当積極的にこれは話が進められると、こう思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 江東地区のほかに関東で大震災が起こったら大きな被害を受けるので大規模な防災事業を必要とする、そういうような危険地帯というものはどういうところがありますか。——これは防災会議でもいいし、消防庁でもいいし、建設省でもいいし、どちらでもけっこうですよ。総理は全部答えてくれなければならない、防災会議の会長だから。

吉兼三郎建設省都市局長

○政府委員(吉兼三郎君) 東京地区につきましては、私ども建設省のほうは先ほど大臣からお答えしました江東地区が一番劣悪な条件下に置かれておりますので、国の立場からも非常に調査を継続して、近くその基本計画を立てるところまでまいっております。お尋ねの江東以外の地域につきましては、国の立場、建設省の立場から特にそういった調査を実施しておりません。

春日正一日本共産党

○春日正一君 これはたいへん盲点だと思いますよ。たとえば神奈川県の消防課では、いまそれを調べてあれしているようですけれども、東海道線の東側、海岸寄りは百七十万住んでおるけれども、東側のほうは工場だの何だの一ぱいで逃げるところ一つもないんですね。これ何とかしなきゃならぬということが問題になっております。それを調べてないというのは、これは手落ちじゃないですか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 御承知のように、この基本法に基づきまして各都道府県がその計画を立てるわけです。その計画を実施するために国の助成、援助が必要なとき、その要請に基づいて地方自治体で調査立案ができないときに援助している、こういう状況です。  それで、江東地区は、前から東京都から要請があってやっておるのでございます。それで神奈川県なり横浜あるいは川崎市で災害基本法に基づいて計画を立てて、これに対する助成をやったときに初めてこれはいくのでございまして、国の固有の計画でやるというたてまえになっておらないんです、御承知の基本法のつくり方から。そういう意味で、いまそこまで建設省が具体的な調査をしておらないと、そういう意味でございますから……。

春日正一日本共産党

○春日正一君 まあ関東大震災といえば、当然神奈川、千葉、埼玉にかかるわけですから、しかもほとんど一帯になっているものです。だからそういう広い立場で防災を考えることが必要だろうと、そういう意味で質問したわけです。  そこで、江東の問題ですけれども、この防災拠点の再開発は、どういう法律によって事業は実施されることになりますか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) これは都市再開発法、住宅地区改良法、公営住宅法、それから道路法、都市公園法、河川法、日本住宅公団法等を適用して、相互にできるだけこの法の適用ができるものを集約して、そうして江東地区に助成並びに予算措置をやっていくと、こういうことでやっております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 たとえば都市再開発法ですね、これでは土地、建物の所有権を持つ者に用地や工事費を負担させて公共施設や高層建築を建てて分譲マンション、分譲事務所などの売却部分をつくって採算をとる、こういう制度になっていると思います。これは法案のときにだいぶ議論したところですけれども。だから賃貸し部分をつくって、いま住んでいる者を入居させても家賃が当然高くなる。そうすると、あの辺の人たちは東京都の平均からしても所得水準の低い人が多いですから、家賃が高くて入れないということになるけれども、これを権利金や家賃を低くして全部収容できるようなくふうはありますか。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) これは実務に関することでございますから、事務当局からお答えいたします。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、住宅関係では公営住宅法、日本住宅公団法、住宅地区改良法等の法律の規定によりましてあの地区の住宅改良を実施するということでやっております。お話のように、確かに防災という目的を加えまして住宅を建てます場合に、それを高層化しなければいけないという要請が一つ出てまいります。それから耐火構造にしなきゃならない。また、あの地区は非常に基礎が悪い地区でございますので、その基礎を深くしなければいかぬということで、建築費が非常にかさむわけでございます。したがいまして、家賃も高くなるという問題がございますので、東京都の住宅の全体の建設計画の中で高層率なりあるいは特殊基礎費等を現在の制度の範囲内で、許されます限りそういった点についての特殊な国としての援助を行なって家賃の軽減をはかりたいということで努力をするつもりでございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 公営住宅でも、たとえば入居制限があって、せっかく建てても入れないという問題が出てくる。それからまた大量に建てて入居保証するとしても、先ほどのように高層建築をやれば公営住宅でも非常に高いものにつく。これを政策的に家賃を安くしようとすれば、地方自治体は非常に大きな負担を負わなければならない。そうすると工事そのものの進みがおそくなるということになる。こういう点は特別な補助とか、そういうことを政府として考えておりますか。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) 現在の制度で特別な補助ということは考えておりませんが、現在の制度の中でそういった高層住宅、それから特殊基礎等につきましては特別な補助ができるようになっておりますので、その制度をできるだけ活用するということでその問題は解決する。  それから特定目的の公営住宅という制度がございますので、この場合につきましては、その地区の住民の方を優先的にその公営住宅に収容するということでその目的は達成できるというふうにわれわれは現在考えております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 入居基準、所得のあれがあるでしょう。それにひっかかって入れない、さっき大臣ちょっと触れかけたんですが……。

多治見高雄建設省住宅局長

○政府委員(多治見高雄君) 所得水準の問題は一般的な基準はもちろんございますけれども、特定目的の公営住宅ということで、特定の入居者についての公営住宅を建てるという制度がございますので、その入居基準に合う限りにおいては、そういった人たちを優先的に収用できる。入居基準は収入の制限でございますので、非常に高い収入の方は公営住宅には入れないという規定でございますので、収入の高い方を特に入れるというための規定の改正は現在考えておりません。

春日正一日本共産党

○春日正一君 それから中小零細業者もあそこは非常に多いところですけれども、こうした人たちが都市改造のあとでも、団地やその周辺で経営が維持できるようにすることが必要だと思うんですよ。おまえさんたち出ていけということになればこれは目的に反するわけですから、この人たちの命を救ってやるために工事をやろうというのに、出ていけといってしまったらはじまらないわけですから。だからそういうためには、現行法で行なう場合、都市改造後も中小零細業者が現在使っておる程度の面積が必ず保証されるのかどうか、これを一番心配しておるんですわ。それからその場合清算金なり権利金なりで過大な負担を負わされて出なければならぬようになるおそれはないのか、この点お聞きしたいんですが。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 春日さんの御心配になるのは私もよく承知しております。それで、これは減歩になるわけです。フロアで分けると、従来の面積より狭くなっては営業できないというところの不満があるわけです。そういうときには、本来ならば従来の資産に比例してやれば減るはずだけれども、これは営業上どうしても必要なものには歩増しの床割りをするように指導するつもりです。ただ、そのときに負担が多くなりますから、その負担をどうするかということで、これは分割払いないしは融資をやるといういま制度で誘導しております。ただ、先ほど事務当局が御答弁したことに対して、これではなかなかたいへんじゃないかという御指摘のようですが、私もそう思います。そこでこれは特別な立法を用いることなくして、私は、自治省、東京都と相談して、できますればこういう特別なる防災の施策をやっておるときにおいては、交付税等、そういうところの配分で相当これは考慮してやるべきだと、あるいはまた、そういう意味で東京都も、おそらく今度はこれをやるにあたっては相当の地方自治体自身としての施策もつけ加えられるはずだと私は思っています。その結果を見て、どうしても特別なる助成をしなければならないというときになりますれば、これは十分財政当局とも話し合いをいたしまして善処いたしたいと思っております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 店舗の改造とか共同化のために新しい資金が当然必要になると思うのですけれども、中小企業振興事業団法による普通の協業化融資のほかに、何か特別の融資の処置がとれるのかどうか。もう一つは、災害復旧の場合は、国民公庫その他中小三機関の融資について別ワクが設定され、利率の引き下げ、貸し付け期間の延長というような処置がとられるのですけれども、災害予防のための都市改造の場合にこういう処置がとられないものかどうか、その点通産省にお聞きしたいのですが。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、御指摘のように、中小企業振興事業団の高層化資金を利用してもらうことができるわけでございまして、すでに全国にそういう実例が幾つかございます。それから個別の場合には、一番よく利用されるのは国民金融公庫でございますけれども、これはこういう場合には特例を設けまして、市街地整備のための移転などの場合には一千万まで貸し出せるということに——ただいま五百万でございますけれども明年度からいたすことにいたしております。

春日正一日本共産党

○春日正一君 そこで、終わりになってくるのですけれども、この事業費は六カ所の拠点づくりだけで約五千億かかる、その他の消防体制の強化、地下埋設物の整備、内陸河川の埋め立て、護岸、貯木場の整理というような防災施設が約五千億、合わせて一兆円かかる。これでも私ども不足だと思っている。それくらいかかるんですね。ところが、これを東京都で試算したのを見ますと、十年でやるとしても——いままでの普通の補助ですね、現行法の。それによると、住宅費は東京都全域の住宅予算の三五%、それから公園、避難広場は四〇〇%、それから河川費が三六%、学校施設費が一八七%、社会福祉施設が四一%というようなものがこの事業だけにとられてしまうんですね。そうなると、東京都の行政というものはそのために非常にゆがみが出てくる、そして事業もおくれるというようなおそれが出てくるわけですね。そこで、事柄の性質からいっても、当然国として特別に高い補助をつけて、少なくともこの防災拠点については、危険期に入る七カ年間で完成するというようなめどでこれを進める必要があるのじゃないかというふうに思います。  そして、もう時間がありませんから、私ついでに全部言わしてもらいますけれども、そういう意味で、この建設省の去年の十二月に答申した江東地区防災事業に関する基本方針についての中間報告でも、いま私がいろいろ質問したような問題も考慮しているだろうと思いますけれども、やはり法の特例をつくるなり、何かそういうことをしてやっていかなければうまくいかぬ問題があるということを指摘しております。そういう点も、いまの質問でもある程度わかっていただけたと思うのですけれども、やはり伊勢湾台風のときには、その被害が大きかったために、二十七の法律に特例をつくり、そして実際は八〇数%の補助で三千億以上かけてあの復旧をやったのですね。私は、あれを見てきて、相当がっちりしたりっぱな復興ができているというふうに思いました。しかし、あれはあとの祭りなんです。大被害を受けたあと、高い金を出して二度と再びということであの防災をやったんですけれども、しかし、大地震の場合の江東地区だけを見ても、四十五万が死ぬということが予想されているということになれば、四十五万死んだら金出してやろうでは追っつかぬでしょう。そこを総理、考えてほしいと思います。だから、財政面からも特例をつくって十分な補助もし、あるいは先ほど言った中小企業の問題、住宅の問題等も現地の人たちが不安なくこの改造に協力できるように特例をつくるというような形で、あの江東防災のための特別措置法というようなものをつくって、これでこの事業を早急に完成するということをやってほしいと、そうすべきじゃないか、そうして神奈川の問題とかその他のところでも、そういう非常な必要があるならば、その地域に応じたものとして、やはりそれを推進するための特例をつくってやるというような形で、この大地震の対策としては、国として至急取り組んでやっていかなければならないのではないか、私はそのことを真剣に提案するのです。とにかくあそこで何十万という人が死ぬという問題は、決して共産党の春日が言うからどうこういう問題ではないと思う。すべての政治家が国民に対する責任として真剣に考えなければならぬ問題だと思います。ぜひそれをやってほしい、やろうじゃないかと提案するのですけれども、総理のお考えを聞かしていただきたいと思います。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 総理がお答えになる前に、私から一つの事実認識の問題について申し上げたいことがあるのです。それは、ただいま江東地区に震災が起こると四十五万が死ぬと、こういうふうにも断定されております。これは御承知のように、都市計画学会に東京都が研究を依頼したときにあたって、これはあそこの防災施設をどういう条件のもとに立てるべきかということで検討したんです。そのときにあたりまして、これは前提条件としては、三月中旬の午後二時、風速毎秒十メートル、温度十二度、湿度五〇%という非常にきびしい悪い条件で、もし従来のままで、四十年の段階で従来のデータをこれにかければどうなるか、そうすれば四五%の被害が出てくるだろうと、これは出てくるということではなくて、それを前提として対策を講じなければいけないということでございますから、これはちょっと間違うと非常に不安を与えますから、まずこれ一つ申し上げます。  それから春日さんが提案された発想も一つの発想だと思います。ところがあなたがすでに言われましたように、ちょっとやるだけでも二兆円以上かけなければどうにもならない。そのときにあたって、いまこれは政治は一つの選択です。あのままにして、それだけかけても十分じゃないというのに、特別立法をして金をかけるべきか、むしろ私は、すでに春日さんにも何回も申し上げたが、東京この付近のこの過密状況を改善するために膨大な金をかけることと、北関東に、むしろ都市機能を失って生活条件も悪いのを置くよりも、そっちのほうに漸次移転して、そうして少し間引きをしたあとで改造したほうがいいかどうかというのが政治の実際的な選択の問題だと思うのです。この点でいかないと、とにかく悪くなったところになんぼ金がかかってもやるということではたしていけるかどうか。しかも、もしいまあなたの御提案したことをそのまま東京の江東地区にやるならば、これは川崎でもやれあるいはいまの横浜もやれ、これが今度は名古屋地区、さらには大阪の堺地区、こういうふうになりますと、これはたいへんな負担になってできない。だから、私は、やはり先ほどあなたが提案された新全総の再検討をして、むしろ過密都市に、条件の悪いところに集めるよりも、漸次もっと別なほうに誘導して安定させることがどうかということの判断の上でこれは決定すべきじゃないかと思って、せっかくいま一生懸命われわれのほうでも検討している段階でございます。

春日正一日本共産党

○春日正一君 総理。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま建設大臣からお答えをいたしました。まあ、先ほど春日ビジョンを聞いているような気がして、お尋ねの形ではありますが、どうも春日ビジョンかなと、こういうふうに実は聞き取ったのです。しかし、ただいま、これは地区住民の方に不安を与えることはしたくございませんが、ただいまのような過密都市だとそういうことを考えますと、これに対する防災対策は十分考えなければならない。しかも住宅の不足、また自動車のはんらん、そういうことを考えると、これはひとり東京だけの問題じゃない。隣接区域、関東一円というか首都圏一円でものごとをやはり考えざるを得ないのではないか、そこに問題が提起されておる、かように私思います。ただいまその問題をめぐって東京都知事が争われようとしておる。私はそれについて深入りすることはこの際はやめますが、確かに御提起になった事柄がどうもこの場限りでは過ごせないような気がいたします。これは十分これらの問題について取り組む姿勢、ただ地方自治体のやることだ、中央はまた別ですと、こういうような考え方でも済まない。これはやはり地方では地方のそれぞれの計画をお持ちでしょうが、また中央においてはそれを限られた地方自治体の範囲内ではなくて、関連都市の関係においてやはり調整していくことが必要ではないか。やはりさように考えると、規模はどうも大きくならざるを得ない。まあ先ほども申すように、東京はそれでできても名古屋はどうするか、大阪はどうするか等々の問題はありますけれども、しかし過去の経験から申しまして、私はいま一番問題になるのがこの過密最大の都市じゃないだろうか、かように思うので、これはただ単なる空理空想だとか、あるいはビジョンとしての批判でなしに、やはり政府は防災会議でも十分それらの点に取り組んだ姿勢で検討すべきだとかように私思います。総理府長官山中君からお答えしたのも、できるだけ早目に防災会議を開いてそうして対策を立てようと、こういうことであります。そうして、それは限られた範囲ではなく、全体的にやはり取り組むことが必要だと、かように思います。建設大臣の言われる、関東地方に百万都市が幾つもできること、これも必要だと思いますが、とにかくそう言っているうちにもどういう事態が起こらないとも限らないということを考えると、政府の、政治家の責任というものは、どうもあげ足をとるわけにもいかないだろう、やはり真剣にこういう問題と取り組んだその姿勢が必要だろう、かように思いますので、私はこういうことを前向きで検討すべきその時期だろう、かように私思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもちまして春日君の質疑は終了いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 速記を起こして。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、市川房枝君の質疑を行ないます。市川房枝君。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 きょうは婦人の地位の問題、公明選挙、財界と政治献金、消費抑制といった項目につきまして、総理及び関係当局にお伺いしたいと思います。  まず総理に対して、婦人参政二十五周年記念日の十二月十七日に内閣総理大臣談話を発表してくださいましたこと、婦人参政実施二十五周年の来たる四月十日には記念切手の発行、記念式典、レセプション等の計画を進めていてくださるようでございまして、それに対してお礼を申し上げたいと思います。  しかし、超党派の婦人議員の懇談会として、この二十五周年を機会に中央官庁には現在婦人局長一名、課長七名しかいないが、これをもっと増加するよう具体的な措置を講じられたいというお願いを昨年の暮れに申し上げたんでございますが、そのことはどうなっておりましょうか伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 過日お目にかかったときに婦人参政権の記念行事、それぞれお約束した点を実施に移したことについて、ただいま礼を言われて、これは当然のことをしただけでお礼を言われてたいへん恐縮に存じております。  ところで婦人の地位、これはまあ過去においては婦人で大臣の職にあった者が二人、私の際ではございませんが厚生大臣並びに科学技術庁長官、また婦人で政務次官になられた方がいままで十三名あるようでございます。また婦人の国会議員はこれは昭和四十六年ですが衆議院が八名、参議院が十三名、地方自治体の場合の議員数、これは四十五年の調べですが、地方では都道府県会議員三十八人、また市議会議員が二百二十五名、町村会議員が二百七十二名、この市議会と町村議会のほうは四十三年の調べであります。まあそういうことで、それぞれ参政権はうまく使われておると、かように私思いますが、現職の管理職にどういう方がいらっしゃるか、このほうはたいへん残念ながら婦人少年局長、局長は一人、課長のほうは国会図書館まで入れますと十名ということになっておるようです。まあこれらのことを考えながら婦人の地位の向上にさらにつとめていかなきゃならぬかと思っております。婦人の外交官がただいまのところ一人、婦人の司法官、検事が六人、判事が十四名、判事補が二十五人、婦人の高校の校長、これは百五十七名、中学校長は十七人、小学校長は二百人、それぞれの職場において責任のある地位についておられます。その他の民間の婦人の管理職職業、専門的、技術的職業者数等も一応調べはございますが、とにかく、最近の状況から見ると、だいぶ地位は向上してまいったと思います。しかし、市川君がお尋ねになりましたように、もっと各省においても現職の局長に登用しろと、あるいは課長の数をもっとふやせと、こういうような点は、どうも御要望に必ずしも沿っておらない、かように思います。これはまあ一つには、婦人の方が主婦の座とこういう公職の座と両方兼ねるということはなかなか困難なんじゃないか。そういう点もひとつ理解していただいて、私どもが特に婦人に対して狭き門というものをつくっておるわけではないのでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま総理からいろいろな数字をあげてお答えをいただいたんですが、私は、ここでは総理の御自由におなりになる中央の行政の上においての婦人のことをこの間から申し上げておるんですが、その行政、いわゆる中央政府においての局、課長といいますと八名、国会図書館入れて十名になるわけですが、これは去年の暮れ、十二月三十一日現在で言いますと、男の課長級以上は三千六百十五名、それに対して女が十名ということになりますか。その割合は非常に低い。そうしてこれはふえていない。ほとんど二十五年、二十年前と同じだと言っていいわけです。それで、むしろ最近はどっちかというと後退しているような傾きがある。総理はまあだんだん進んできているとおっしゃっていましたが、たとえば法務省では最近八王子にあります婦人補導院の院長を男にかえたんです。それから栃木、和歌山に婦人の刑務所がございますが、そこは前に女が所長をしていたんですよ。いまはみんな男になっちゃった。それからこれは司法のほうですけれども、いま総理は裁判官、検事の名前をおあげくだすったんですけれども、先般、最高裁の当局は、婦人は裁判官に不適当だという発言をいたしまして問題を起こしたことは新聞などに出ておりました。それから長年裁判官として勤務し、男なら裁判所長として転出できると思われるのに、婦人だからそのまま据え置かれているらしいような事実もございます。それから公務員の宿舎の配分でありますが、これは宿舎法によって、主たる生計を営む者と、こうなっておるんですが、それは社会通念上男子だと、こういうことでお申し込みを受け付けながら、余っているのに婦人を拒否したというので国会図書館で問題になっております。  こういう事態ですね。これは、別に法律改正を必要としないので、憲法あるいは国家公務員法では男女平等になっておりまするから、総理のと言いますか、あるいは各省庁の上の方が、婦人を採用しようと、女にしようということが御自由におできになると思うんです。そういう場合に、やっぱり婦人を引き上げていく、殊に婦人に適している要職は婦人にするということを、私は、総理が閣議ででも皆さんと御相談なすって、まあそういう申し合わせでもしてくだされば、少しそっちのほうにいくのかなと実は思うわけでございます。その点、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  たいへん率直なお話でございます。また私どもの気持ちも、婦人適職、これはもちろん婦人を採用する、優先的にですよ。まあ適職でなくとも、最近の状態で、特に私、婦人教員というものがふえておると、かように思います。したがって、先ほどのような小学校長、これは全国的にもだんだんふえておるんじゃないだろうか。これがどうも私はやはり婦人の職業としても適しているような職業であろうかと、かようにも思います。  また、先ほど来のお話は、各大臣そろって聞いておりますから、あらためて閣議でやらなくとも、この際に十分市川さんの話を理解するだろうと思います。さような意味で、その狭き門、それを閉ざしていると、かようにはお考えにならないで、私は女性上位とは申しませんが、対等には考えてまいりたいと、かように思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 上位でなくて平等でけっこうです。  それからもう一つですね、すぐおできになることは、いわゆる国家公務員として上級試験に合格した人が各行政官庁に就職するわけですが、その上級の甲種の試験に、四十五年には婦人の合格者が五十二名あった。それだのに採用されたのは、三十名しか採用されていない。だから、採用しようとお思いになればできる。そうして、そういう人がだんだん上の管理職にいくんで、その点が欠けているから、まあ私、管理職のことを申し上げたのですが、やっぱり問題はそこにもあるんじゃないか。これはひとつ皆さんでお考えいただきたと思います。  次は公明選挙のことを伺いたいと思います。この四月の地方選挙及び六月の参議院選挙を前にして、いまや事前運動花盛りとでも申しますか、でありますが、警察当局はこの状態をどういうふうにごらんになっておりますか、御意見を伺いたい。公安委員長か警察庁でもけっこうです。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事前運動の取り締まり等についてのお尋ねかと思います。警察は違反取り締まりを通じまして、選挙の公正の確保に寄与する立場に立って、厳正公平な取り締まりを行なうことを基本方針としております。事前運動に対しては積極的な注意、警告を行なって、その続発蔓延の防止につとめるとともに、証拠が明白で悪質な違反については、選挙の期日前であっても検挙するという方針で臨んでおります。  現在、三月八日現在では、把握しておる取り締まり状況を申し上げますと、警告しましたものが、統一地方選挙関係で四千六百四十一件、参議院議員通常選挙関係で七百六十九件でございます。また検挙しましたものは五十九件、百九十一名で、これはいずれも統一地方選挙関係の事犯であります。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま警告あるいは違反の事件の数を御報告いただいたのですが、東京で申しますと、都知事の立候補予定者の秦野さんの写真と名前と、それからその地区の都会議員、市区町村会議員の写真、名前と一緒にしたポスターが全都にずいぶん早く張りめぐらされまして、一般の都民は、あれはやっぱり一つ事前の運動じゃないか、違反ではないのかという疑問を持ったんですが、あのポスターは一体警告の中に入っておりますか、どうなんですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。  お尋ねのポスターは、政治活動として行なわれておる演説会の告知用ポスターであると思われますが、政治活動として演説会を開催する場合においては、その告知のために掲示されるポスターに当該演説会の弁士である者の氏名、写真が表示されていましても、当該ポスターに投票依頼の文言があるとか、何々選挙立候補予定者何某といった記載があるなど、当該ポスター自体が選挙運動のめたに使用する文書図画と認められる場合は格別といたしまして、掲示の方法、態様等が社会通念に照らして妥当なものである限り、公職選挙法の違反にはならないと考えております。したがって、その限度内においては検挙いたしておりません。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあいまのお話のようで、わかったようなわからないようなといいますか、いろいろなそういう類するものも出ておりますから、ああいうのはみんなそれじゃ警告もされず、そのまま通っているのかと思うんですが、ただ、都民の一部にこういう考え方があるんです、秦野さんは警視総監でおいでになったんですから、いわゆる警察の取り締まりについても多少の違いがあるんじゃないのか、少しゆるいんじゃないかという心配があるんですけれども、それはどうでございますか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。  警察は厳正公平を旨として違反取り締まりに当たっておりまして、この方針は相手がだれであろうと変わるものではございません。したがって、お尋ねの点については全くそのようなことはないと信じております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それは当然のことなんで、聞くほうが少しおかしいかもしれません。伺えばそうおっしゃるにきまっているわけなんですが、ただ、そういう気分があるということを当局はやはり含んでおいていただきたいと思います。  今度の地方選挙、特に東京都知事選挙でいま一つの大きな問題は、ポスター、印刷物、新聞広告、TVの利用等々でおそろしく金がかかっている。今後も使われるんじゃないかということなんです。この状態に対して、心ある都民は非常に心配をしておりまして、公明選挙関係の団体はすでにいろいろな決議もしておるようですが、私どもの関係しております中立の青年婦人団体の都政をよくする都民会議なども、二、三日中に両方の候補者にお目にかかって、選挙法を守り、金のかからない明るく正しい選挙を実行していただきたいと申し込む予定にしておりますが、それが聞き入れていただけるかどうか、この問題は別になりますが、この明るく正しい選挙の推進を所管しておられますのは自治大臣だと思いますが、大臣は、現在のその選挙の状況といいますか、事前運動の状況といいますか、これは、いわゆる明正選挙が行なわれているとお思いになるかどうか、御意見を伺いたいと思います。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) いろいろ御批判もございましょうが、明正選挙が行なわれておると思います。しかし、まあこれにはいろいろ御意見があるわけでありまして、われわれとしては、さらに正しく明るい公正な選挙が行なわれるべく、いろいろ努力をいたしておるところでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 明正選挙運動のための予算、その使われ方、あるいはその効果といいますか、そういうことを事務当局でけっこうですが、伺いたいと思います。

中村啓一自治省行政局選挙部長

○政府委員(中村啓一君) 今回の統一地方選挙を控えまして、特に先般予備費の支出をお願いをいたしまして、約五千万円をもちまして、さしあたっての四月十一日並びに二十五日の選挙におきまして、選挙民の方、有権者の方々がよくお考えをいただいて一票を大事に行使をしていただくという方向で、いろいろな啓発活動について現在展開をしておるところでございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 明正選挙の予算はだんだんふえてきておると思いますが、それぞれ関係の方が御熱心にやっていただいておりますけれども、この明正選挙の運動が盛んになるというか、あるいは予算のふえるということは、裏返して言いますというと、やはり選挙はますます暗く正しくなくなったからその必要があるのだと、こういう皮肉なふうに感ぜられるわけなんですが、そして一生懸命やっていっても選挙はだんだん悪くなって金がよけいかかってきているということになりますと、一体明正選挙のための費用は、これは税金のむだ使いになってしまって、そんなこと何もやらぬほうがいいということにもなるのじゃないかと思うのですけれども、これ、どういうふうにお考えになりますか。これはむしろ総理に一ぺん伺いたいのですが……。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 先ほども申し上げましたとおり、考え方による点もあろうと思います。さらにさらに明正度を高めるために予算措置をしているとわれわれ考えておるわけでありますが、問題は、先ほど先生お触れになりました金のかからない選挙、それをどの点を考えるかというわけで、要するに、法律上、法定費用なり制限を受けておる、そのいわゆる法律上の選挙運動費用、これはまあ明正になっておると、しかし直接、間接に、むしろ選挙に入る前、いろいろ関連の費用がたくさん要っておる、ここに私は問題があるんじゃなかろうかと思うわけでありまして、そういう点をさらに正して、そして明正選挙の明正の度合いを高めていく必要がある、そのために、第七次——今回の選挙制度審議会にもああいう諮問をいたした次第であります。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま自治大臣から伺いましたけれども、どうして選挙がよくないのか、あるいは金がかかるかということはいろいろ問題ありまして、ここでは時間がありませんから、その問題には触れないで、ただ御意見として伺っておきます。  その明正選挙に一生懸命やっておいでになります方——この間、二月九日に三鷹で開かれた「東京都市明るい正しい選挙推進大会」というのがあったのですが、そこで会長の小島憲さんが特別講演をなすったそうです。それを聞きにまいりました私どもの仲間が私にこういう報告をした。小島先生がおっしゃったのに、来年沖繩が返ってくるときにはいわゆる沖繩の恩赦があるだろう、そのときに選挙違反も恩赦になる、だから、地方選挙及び参議院選挙は違反はやれるだけやって、そしてとにかく勝たなくちゃいかぬというので、だから違反の心配なんか必要ないと、こういうふうな空気が流れていると、こういうふうに小島先生おっしゃった。それでびっくりして私のところへそれ言ってきたんですが、ついきのう私は、公明選挙連盟会長の高橋雄豺さん、選挙制度審議会の会長でもいらっしゃるのですが、たまたまお目にかかりましたら、高橋先生のほうから私に、やっぱりどうも困ったと、恩赦のことで選挙違反がずいぶん横行しているみたいだ、こういう話を聞いたんですが、恩赦はそれこそ内閣の権限といいますか、総理の権限でおいでになるんですが、そういう状態をそのままほうっておいてもいいんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまのような話を聞くにつけましても、これは私たいへんだと思っております。まだ政府は、それじゃ恩赦やるのかどうかという、このお尋ねはけさほどもあった。それに対して私考えておりませんということを申しました。重ねて、渋谷君だったと思いますが、その可能性はあるのかと、こういうことでしたが、可能性ということになれば、やる可能性もやらない可能性もあるんだと、こういうことを申したんですが、しかして、とにかくそのやりとり、政府自身が考えはなくとも、ただいまのような町でそういう話が出ると、こういうことこそほんとうに困ったことじゃないか、私はこういう点でやはり警察当局が厳重に取り締まる必要があると、かように思っております。  とにかく、選挙はどこまもで正しく清らかに行なわれなければならないものでございます。これは市川さんの場合には、だんだん金がかからないように後援者の方も非常に御理解があるようですが、私などどうもいろいろ考えてみてじくじたるものがある。いわゆる選挙をやるたんびにだんだん、名目は違っておりますが、なかなか金がかかってきておると。物価の上昇はともかくとして、限度一ぱい使うと、そういうような状態になっておる。しかし、長くもう議席を持ち、地域の方にもお世話になっておるが同時に御奉公もしておると、かように思いながら、やっぱり金のかかるのが今日の実情じゃないかと思うんです。だから金のかからないようなくふう、これは先生からしばしば政治資金規制の問題についておとがめをいただいておりますが、私はたいへん困った問題だと、かように思っておりますし、今回統一選挙だといわれ、さらにまた引き続いて参議院の半数改選と、こういうような選挙の年でもありますだけに、この問題は特に関係のある人たちがすべてが留意しないと、特別に心を払わないと、これが無軌道になったらたいへんだと、かように思います。そういう際でもありますので、ただいまの恩赦というような問題、いままで考えたことはございませんでしたが、あらためてやっぱりいろいろ考えていかなきゃならないかと、かように思いますが、それぞれの関係の方ともよく相談いたしまして、どういうことを考えればいいか十分注意いたしまして、選挙が乱れないようにすることが何よりも大事なことだと、かように思っておりますので、これがもう民主主義の基盤ですから、これが正しく行なわれないような、そういうことならこれはたいへんなことだと思いますから十分注意したいと思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 まあ来年のことですし、いまからまだお考えになっていないということも、そうかもしれませんけれども、やっぱりそういううわさといいますか、これはまあ私は過去の関係からだと思うのですよ。まあ恩赦、申し上げるまでもなく国連恩赦のときに約七万人、皇太子の御成婚の恩赦では約一万二千人、この間の明治百年の恩赦では約六万七千人の選挙違反者が恩赦になっておる。それでこういうときに、ほかの方もおっしゃったでしょうけれども、私もそのときどきに、恩赦の中に選挙違反を含まないようにとお願いをし、佐藤総理にもたしか一、二回申し上げて、それから、それはしないとお約束くだすったこともあったのですけれども、結局は現実にはそういうことになっているから、なかなかまあ総理がしないとおっしゃっても、それじゃいまのうわさがおさまるかといえば、やっぱり私はおさまらないだろうと思うのですよ。だから、そうすれば総理どうしたらいいかということになるでしょうけれども、これは、そうするとかしないとかいう、一度、しかし、やったらちゃんと約束を守っていただかなくちゃいかぬのですが、何か総理のほうから、まあこれはおもに候補者といいますか、あるいは政党側といいましょうかの問題でありますので、それぞれの党で引き締めるようにひとつお願いを申し上げたいと思うんですが、明正選挙の選挙に、これはほんとうに水をさすものでありまして、一生懸命やっている人は、もう腹を立てて、もうこんな運動はやらないと言って、みんな憤慨を実はしているわけなんです。ですから、これはひとつ何らかの方法でお考えを願いたいと思うんです。  選挙に関して、もう一つお願いしたいことは、さっきもちょっと触れましたけれども、まあ今度の選挙はえらい金がかかると、特に自民党御推薦の側の候補者には五十億、百億というお金があるそうだということがいわれ、それじゃその金はどこからきているかといえば、もちろん財界からきたお金に違いないと思うのですが、それで、これは、こういうことでもし御当選になりましても、私はやっぱり、金をこういうふうに使った、そういうことを都民一般が知るようになりますと、やっぱり自民党と財界とのいわゆる癒着ということで、一般の都民に私はこれは政治不信の念をもっと深めるだろうと思います。だから、そういう点も私はお考えいただいて、十七日の告示を、ちょうどもう三、四日前に控えているんですが、総理からといいましょうか、自民党の総裁として、私は、堂々と選挙を戦うと、違反があったらどんどんどっちの側でもかまわない、それこそきびしく、総理おっしゃったように検挙して、そうして公平にといいますか、堂々たる戦いをやっていただきたい。それを都民に総理からこの議場を通してひとつはっきりとおっしゃっていただくことが幾らか効果があるんじゃないかと思うんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 明正選挙、これは今日の課題でございます。これは一選挙に五十億だとか百億だとか、さような金が使われるはずはございません。また、さようなことを私どもの党員に私は許さないつもりです。この点ははっきり申し上げておきます。したがって、この市川さんの——もうすでに告示が迫っておる今日、そういう意味のことを言われますと、何だかどうも選挙に水をさすとでもいうか、あるいは政財界の癒着というようなことまで言われると、この影響は、市川さんが発言なさるだけに影響は非常に大きいだろうと、かように思いますので、それはちょっと、私も伺いまして、どうも市川さんらしくないと、かように思って聞いたのですが、とにかくこの明正選挙、これがわれわれのただいまのぜひともなし遂げたい問題でございます。したがいまして、いろんな明正選挙を乱るような行為は、これは遠慮なしにどんどん取り締まると、さきの警視総監であろうが、また現知事であろうが、そういう問題は許せない。そうして都民に、選挙は正しく戦われ堂々たる選挙が行なわれたと、こういうことをひとつ示したいものだと、かように私思いますので、どうかいまの点は国民が誤解のないように私からもお願いをいたしますが、どうかよろしくお願いします。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま私は財界と自民党との癒着ということを申し上げて、だいぶお気にさわりましたらしいんですが、ほんとうはその問題をこの次には私ちょっとお伺いしようと思って実は用意をしているんですが、それは一月二十一日の各新聞紙上に、日本の財界の総司令部といわれる産業問題研究会が二十日の例会で、自民党及び国民協会に対し、政治献金についてきびしい注文を出したと大きく出ておったんです。で、これはまあ自民党の総裁、総理のところに何かそこから言ってきておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねがありますので、このサンケイ新聞一月二十一日に出たその記事をよく調べたのです。私の手元には木川田君から何ら言ってきておりません。したがってまた、党のほうに何か言ってきているものがあるかと、これも調べたのでございますが、どうも私どもにはまだ確認できません。この言われておりますこと、これは産業界としてもいろいろ政治資金の出し方等について、ことにまあ最近の経済状態から見まして、五十億だとか百億だとかいうような金が出てくるはずはないのでございますから、そういうような点からも、いま言われるように、この政治資金を、まあ癒着云々がというようなことばもございますが、協力するにしてもそこまではできないという、たぶん現状からいたしましてそうだろうと、かように私も思います。しかし、ただいまお尋ねの点は私のところに参っておりません。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 この産研の代表世話人は木川田東電社長ですが、そのほかトップクラスの人たちが集まった席で、政治献金についての反省といいますか、財界としての反省をし、そうして意思表示をなすったと、サンケイ新聞だけでなく、ほかの新聞にも全部大きく出ておりました。これは私非常に重要なことだと考えたものですから、当日の会合に出席なすっておりました財界のお一人の方に実はお目にかかっていろいろお話を聞いたのです。それで、そのときの模様を、出席の皆さんは——総理はいまいやだとおっしゃいましたけれども、私は聞いたことだからそのまま言わせていただきますが、出席の皆さんは、政界と財界の癒着が一般国民の間で問題とされ、政治不信を招いているが、これは歴史的に見ても非常に危険だ、自民党は財界の金だけを当てにせずに国民の各層から献金を受けるべきだと、こういうふうな内容だったんです。それから私、いま総理は何もきてないとおっしゃいましたが、その点も私確かめたのです。何かお出しになりましたか——この会は、そういう決議をしたり持っていったりする性格の会でないから、そこで話し合ったこと、みんなで一致したことは、それぞれの人が団体を通して、あるいは個人で有力な自民党の方々にお伝えをすると、こういうことにしているのだということでございましたから、たぶんきてなかったろうと思うのですが、私会いましたときに、その方に、そういうふうに癒着がやっぱり政治不信につながって、これは日本の将来にとって非常に心配だとおっしゃるなら、そんなにお金をお出しにならなきゃいいじゃないですかと、その人に私は言ったのですが、そのことの話はいろいろありましたけれども、ここでは省きます。  ところが実際、財界はそうおっしゃりながらずいぶんお金を出しておいでになるのですよ、だんだんふえているのです。つまり去年、四十五年は四十四年の倍近くいわゆる政治資金の収入があったのですね。それで四十五年の一年間の報告はまだ発表されておりませんが、私は自治省について自民党並びに国民協会それから自民党の中の有力派閥だけを調べたのです。これはぜひひとつ総理並びに各閣僚の方々にも聞いていただきたいんですが、簡単にちょっと申し上げてみようと思うんですが、昨年の下半期、つまり七月一日から十二月末までは、一月十日までに提出しなければならない政治資金規正法の規定なんですけれども、自民党も国民協会もまだお出しになっておりません。それでちょっと一年の計算ができないものですから、上期の金額を二倍にして、一年間のを一応出してみました。自民党はそうしますと、百七億七百万ということになり、四十四年のほぼ倍額になるんですよ、百億をこす。これはいま申しました計算ですから、正確ではありませんけれども、まあ見当だけ。国民協会は八十七億一千十八万円で、やはり前年の倍近くになります。それから自民党内の有力派閥、一年に一億円以上収入のおありになります方々を、私が毎年集計して発表しておるんですが、四十五年には新しい派閥も台頭して、全体に金額も少しふえておるんですよ。金額順にこれをあげてみますと、四十四年の第一位は総理でした。ところが、今度の第一位はお隣においでになります大蔵大臣の福田さんのほうでございまして、これは三団体で四億八千二百四十六万、ただし下期が出ておりませんので、上期を二倍にしたんですから、これは正確じゃありませんけれども、しかし第一位。それから第二位は田中幹事長でございまして、これが四団体で四億六千九百九十二万、これは正確です。全部届けが済んでおります。それで第三位が総理になるんですが、総理は三団体で四億一千四百十万円、ただし一団体がまだ未届けでございますので、最後的に正確ではございません。ただ、未届けの一団体は、四十四年の上と下を比較してみますと、下期が上期より四倍くらいだったんです。だから、その計算で計算しますると、総理は六億二千九百八十七万となりまして、やはり昨年同様、総理は第一位においでになるらしいです。それから第四位は前尾派、一団体、二億九千四百七十四万、第五位は三木派、二団体、二億一千五百九十五万、第六位は中曽根派、三団体、一億六千六百三万、第七位は大平派、一団体、一億五千八百七十三万、第八位は橋本派、ここにおいでのようですが、三団体、一億五千九十六万、第九位は船田派、一団体、一億二千五百六十六万、第十位は石井派、一団体、九千百四十万、第十一位は園田派、二団体、九千五十六万、第十二位は藤山派、一団体、七千二十六万。これは一億円以上——少し下がっていますけれども、これはいまの上期、下期の去年ので比べますと、みんな一億ちょっと超過するみたいなんです。それで、この順位はもちろん届け出だけのものでこのほかにまだきっとおありになるかもしれぬと思うのですが、私は、それこそ無所属で、ほんとうの政界の内部を何も知らないのですが、こういう計算だけをしておりまして、それでこの順位あるいは途中から頭を出しておいでになる方々というものを見て、そうして考えますと、やはり総理は権力者——時の権力を持っておいでになる方が一位なんです。それであとは福田さんと田中さんの順位争いになって、上下はこうなるのです。田中さんはここ三年くらいでぐんとのしておいでになって第三位、前尾さんを抜いちゃったわけなんですね。それで今度は、さっきあげましたように中曽根さん、大平さん、橋本さん、園田さんなんかの、いままで一億円以下だった方が上に上がってきたことが珍しいのですが……、まあ横道にちょっと入りましたが、こういうことで私は、ほんとうは自民党の皆さん方のどなたが今度総理におなりになるのかなあということを、この数字で見ているのです、見当が違うかもしれないけれども。だから非常に興味があるのです。ところで、以上の十二派閥の二十五団体で合計しますと二十七億三千七十七万円、これは前年度より多いです。ところで、この中で寄付としてどこからもらったかはっきりしているのは約一七%で、あとはわかりません。総理の派は、このガラス張りでは、いつもあまり明るくありません。暗いです。今度も十二人中の九位でございます。で、この派閥への献金及び自民党への献金者の名は、御承知のとおり会費、賛助費の名目で逃げておりますが、財界から来ておることは私は確実だといっていいと思う。それでこれでは——これはみな自民党へのお金といったって、いまの派閲のは別ですからね。だから、こういう数字を見ますと、いやなことばですけれども、やはり財界と自民党との癒着というものがどうしてもあるわけなんで、それで私、国民がこれをだんだん知ってくればやはり政治不信——こればかりではありませんけれども、これが一つの大きな政治不信の原因になる。そこで財界の方たちが御心配になっておるんだと思います。産研では、国民の政治不信、こういうことからくる政治不信をどうして解消するかということで、新聞にもこれは出ておりましたが、国民協会の改組、選挙制度の改正、選挙の公平、政治資金規正法の改正等を主張しておいでになりました総理、財界の司令部の方たちが政治資金の規正を要求しておいでになるんですよ。それから社会、公明、民社の三党は共同で第五次選挙制度審議会の答申の線に沿った改正案を三月の九日に衆議院にお出しになったのです。自民党は、この政治資金規正法の改正にはやはり知らぬ顔でお通しになるのですか。総理はもっとも、このことでは、すべての人の納得が得られる成案でないとむずかしいと、こうおっしゃっておりますし、それは過去のあれを見ればある程度わかるんですけれども、まあ私から言えば、ほんとうは自民党内にある反対は、私はいつになったってなくならぬと思うんですよ。それは、いまのままならお金がどんどんさっき言いましたように、入ってくる。だから現状のままでいいと、こういうことなんですが、しかし一方からいえば、こういう状態が続くことが私は、やっぱり財界の方たちが言う危険だと、こういうことなんであって、この財界の認識は、私もこの点では同感でございます。総理、私はこういう点をよくお考えいただいて、まず手始めにはそれこそ前からお約束の政治資金規正法を、多少党内であれがあるかもしれませんけれども、そこは総理の政治力といいましょうかを、御発揮になって、それこそはっきりそうすれば、私は総理の業績として残ると思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまのお尋ねの政治資金規正、これをどうするかの前に、実情をいろいろお読み上げになった、これは届け出並びに——あるいは推定も入りますが、しかし、その中で一言まだほかにあるような言い方をされたのは、これはたいへん迷惑だし、さようなことはございませんから、もし、さような疑いを持っておられるなら、それだけはひとつ訂正していただきたい。何か政治資金規正をやって、いまの届け出までごまかしておるようでは、普通の脱税とは違って政治資金でありますだけに、これはたいへんな悪影響を与える、かように思いますので、この点はひとつ御訂正願って——われわれはそのまま出しておる。それから明瞭度というか、いわゆる会費あるいは賛助費で金が集まっておる。その場合は、寄付者の名前は出さなくてもいい、こういうことになっております。それが、私の場合には、会費が非常に多いと、こういうことで御指摘になりました。これはそのとおりでございますから、これはあえて私とやかくは申し上げません。が、しかし、そうまでしてある、余裕のある会費の扱い方、そういう政治資金がこれ以外にまだ何かあるような言われ方では、ちょっと私おさまりかねるものですから、その点を指摘したわけです。これはおそらく私ばかりじゃない、名前をあげられた方々みんなにそういうものがあると——福田君にはそれがないと、こう言われれば、福田君はそれで安心でしょうけれども、何だかみんながあるように思われると、市川さんはそういうことはお考えにならなかったのかと思いますが、どうもその点だけちょっと気になりますから、われわれは法律は守って、そのとおりをやっておると、これはひとつ御了承いただきたいと思います。  ところで、政治資金規正法、これについては、私はできるだけ多数の方の賛成を得る案ということを望んでおります。これは全部が全部了承しなければ規正はできない、こういうものでもありません。それはもう御指摘のとおりでございます。したがって、適当なときに、こういう問題が出てくるだろうと思います。今度問題になりますのは、いまちょうど統一地方選挙あるいは参議院選挙が行なわれますが、昨年国勢調査が行なわれた、そういうようなことで、また、選挙制度のあり方についても、いろいろの議論が出ております。別に車の両輪論を私ここに持ち出すわけではありません。が、とにかく、こういう問題は全体としてやはり考えていくのが当然だろうと思いますので、いま任命された選挙制度審議会の方々は任期が二年になっておりますので、十分の期間もあることだから、そういう間に十分御審議をいただいて答申を願いたい。政府はやはり答申を待って、しかる上で処置したいと、かように思いますので、この点もよろしく御理解をいただきたいと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 今度の選挙制度審議会に政治資金規正法も諮問しておいでになりますか。そうじゃないように思うんだけれども。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まだそこまではいたしておりません。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 今回の第七次選挙制度審議会には、政党本位の選挙制度の具体的な方法をひとつ示してもらいたい、こういうことが諮問の文句でございまして、直接政治資金規正法の改正を諮問をしておることはございませんが、いろいろ大きくかけてございまするから、考え方によっては、十分入り得ると思っております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 総理はいま、選挙制度の答申をというようなふうに伺ったのですけれども、いまのお話とちょっとまあはっきりしないのですけれども、まあそれはこれ以上追及しませんけれども、総理、ひとつ何とかこれを具体的にするようにお考えをいただきたいと思います。  それから大蔵大臣にちょっと伺いたいのですが、四十四年の法人企業の実態によると、四十四年度の法人の寄付金支出額は六百三十億九千四百万円で、五年前の四十年の倍になっております。それからまた、四十四年の交際費は九千百五十四億六千六百万円で、このほうも四十年の六割増となっておるのです。どうしてこんなにふえていくのか、あるいは、こうどんどんふえていってもかまわないのか、大臣の御意見を伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私も詳しく存じませんので、主税局長がおりますので、まず詳しくお答え申し上げます。

細見卓大蔵省主税局長

○政府委員(細見卓君) 御指摘になりましたような趨勢をたどっておりますが、これは基本的には取引金額が大きくなり、業容が大きくなってきておるからでありまして、たとえば売り上げ金といいますか、営業収入千円当たりでのこれらの交際費でありますとか、あるいは寄付金の支出の割合を見ますと、これはむしろ低下してきておるというわけでございまして、金額が大きくなっておるのは、全体としての業容が大きくなった、それに基づくものだと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 少し順序が違いまして——先ほどの政治資金規正の問題について、これはもう御要望をよく心にとめまして伺って、いずれまた、選挙制度審議会の方々にも御意見のあるところを披露しておいて、そうしてやっぱりあわせて検討していただくようにいたしたいものだと、かように思っております。おくれまして申しわけございません。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いま、寄付金あるいは交際費がふえるのはあたりまえだということなんですが、この金額は、大部分これは損金に算入される、すなわち営業費に加えられるから、それだけ生産費が高くなる、また、それだけ税金を払わなくてもいいというか、まぬがれるといいますか——ということなんで、一般国民側から見ますと、寄付金、交際費の増加は、物価高と大衆への税の増高というふうな二重の被害になるように私は考えのですが、私のこの考えは間違っておりますか、大蔵大臣に……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま主税局長から申し上げました寄付金の総額ですが、そのうちの一定限度、各期ごとに一定限度以内のものが経費に算入されまして免税になる、こういうのでありまして、全体が免税じゃないのです。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いや、それは承知しているのです。承知しているのですが、しかし大部分はやっぱり免税になるというか、経費として計算されているのですね。だから、それが私はやっぱり一般の消費者、国民からいうと、やっぱりコスト高になって、物価が高くなるということになり、それから今度は税金をそっちのほうは払わなくてもいいのだから、足りない分はやっぱり一般国民が税金をその分だけ払うことになるのじゃないか、そういうふうに私は考えるのですが、大蔵大臣はどうお考えになるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一般の会社が社会活動をしておる社会的な一つの活動単位といたしまして、いろいろな会社としてのおつき合い、そういうものもあるわけです。そこである一定限度を限りまして、それ以下の寄付につきしては、これは政治上の寄付ばかりじゃありません、みんな込みにいたしまして、そして免税と、こういうことにしておるのでありまして、これは会社が個人同様に社会の一つの単位としていろいろな社会活動をしておる、そういう以上、これはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 その問題で私まだ了承ができないのですが、いろいろまだありますけれども、時間がだんだん迫りましたので、政治献金と財界の問題はこれで終わりまして、次の消費者行政について二、三の問題を伺いたいと思うのですが、総理、ことしの一月の十二日に読売新聞社の招待で日本に来られたアメリカの消費者運動の指導者のラルフ・ネーダー氏が総理あての手紙を出したようですが、それをごらんになりましたか、あるいはそれの返事をお出しになったでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ラルフ・ネーダーの手紙というのは私のところがら運輸大臣のほうへ回したのです。運輸大臣がこれにお答えをするだろうと思いますので、お聞き取りいただきたいと思います。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) ネーダーさんの総理に対する公開質問状ですが、はたしてこういう種類の公開質問状に一々総理が答弁するのはどうかという問題はありますけれども、これは運輸大臣関係のものでありますので、私のところで検討を加えてまいったのであります。  最初に、質問に対して回答したかといえば、まだ回答はしておりません。その理由を簡単に申し上げます。御承知のように、交通規制につきましても、それから事故の原因等につきましても、アメリカと日本では事情が非常に違います。たとえば、自動車の検査制度は、日本は国家が統一してこれをやっております。アメリカでは国家が統一してやっておりません。州それぞれ、もしくは民間でやっておる。あるいは日本では型式認定という制度があります。それに対して、アメリカでは型式認定がない、あるいはまた道路事情が日本とアメリカで非常に違っておる。違っておりますために、日本では御承知のように対面交通で人間が右側を歩いて自動車は左を歩く。アメリカのほうは同じ方向に歩くわけです。これは、日本の道路事情が悪いという一つの理由もあります、同時にまた歩道が十分でない。こういうように事情がだいぶ違っておりますので、ネーダーさんが質問されましたことにそのまま直接的に答えることはなかなかむずかしい点があります。したがってたとえば、ユーザーが参加していないのではないかという御質問もありましたが、これなどは日本ではいろいろユーザー団体等が入っておりますし、あるいは使用者団体あるいは技術者団体、こういうものに諮問をして規制を行なっておるとか、あるいはまた回収の問題につきましても、日本の場合、アメリカで回収されたものが日本で回収されていないようだと、これは事実そのとおりでありますけれども、それにはアメリカのほうでのいわゆる欠陥車に対する規定と、あるいは日本の欠陥車の規定とは違うというようなのも一つです。それから製作年月日等が向こうでやったものと日本でやったときとは年月日が違う。同じような型でありましても、その間において事情が違います。したがって正当な理由がなくて回収しない例はない。ことに日本のいわゆるメーカーといいますか、あるいはこれを販売する方々は、非常に熱心に回収の数も運輸省に届けをする、あるいは回収の原因等についてもあらかじめこれを届け出をして、そうしてこれを新聞等に発表いたして、かなり正確にやっております。この点は日本のメーカーはかなり忠実に、交通安全といいましょうか、自動車欠陥についても積極的な姿勢を示しておる。こういう点で事情が違いますので、いわゆる質問に対してこれを答弁すると、筋違いの答弁になってしまう、向こうから見れば。でありますからして、ネーダーさんがほんとうにこの問題等についてお話をするというのでありますなれば、私のほうは喜んでネーダーさんとお互いに、これはもう交通事故を防ぐためでありますから、喜んで話す考えではありますけれども、ただ質問状は非常に簡単なものでありますから、その簡単なものにまた簡単に回答すれば、かえって誤解を生む心配もありますので、まだ質問に対しての回答はいたしておりませんが、来日する機会があれば、私なり関係者が会って、そうして十分に話し合って、交通事故絶滅あるいは欠陥車の絶滅等には全力を尽くしてやってまいりたいと、かように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 私は昨年秋アメリカへ行ったときに、ワシントンのネーダー氏の事務所にも参りましたし、その関係で彼が日本へ来たときにも会っていろいろ話をしました。それから一月十六日付の総理への手紙も写しを私もらいました。それで、これに対する返事がどうなっているかということを実は気にしていたわけでございますが、ネーダー氏自身も返事を待っているといいますか、二月に日本からアメリカへ行ったその笛吹き運動ですか、その会合に出席した日本ユーザーユニオンの松田事務局長が会ったときに、まだ日本から返事が来てないということを言っていたんだそうです。だから、いま運輸大臣の御説明、私もわかりましたけれども、そういう意味のことを、やっぱり手紙で出したらどうでしょうか。やっぱりあの人のアメリカにおける立場とか地位で、これ、あるいは日本の自動車のアメリカへの輸出に重大な関係を及ぼすようなことになっては、私は日本の国益に反すると思うので、率直にあの手紙に対して日本はこういうふうに違うのだ、だからこういう事実はあるとかないとかいうふうにお出しくださることのほうが日本のためにいいと思うのですけれども、いかがですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) ネーダーさんが御希望であれば私のほうの見解をお知らせすることはやぶさかではありません。ただ、アメリカのほうの欠陥車といいますか、自動車の安全対象は、乗っておる人ですね、ドライバー、その人の安全を中心にいわゆる安全車の実験、技術開発をやっておるのです。事故の数から見ましても、アメリカではドライバーの死傷が非常に多いです、日本の場合は歩行者のほうが死傷が多い。これは先ほど申した道路事情等、あるいはモラルの問題もありましょう、こういうことでありますから、しかしながら日本としてアメリカ政府と昨年の秋にいわゆる安全車を開発するための調印をいたしましたので、関連もありますから、ネーダーさんが御希望であれば、私のほうの考え方、また、いいところはもちろんわれわれもちょうだいをしてやっていきたいと思っておりますので、その間についての連絡はとりたいと思います。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 それではできるだけ早い機会に、私は、ネーダーがまた日本へ来るというそのときまで待つという必要もないのだから、やっぱり返事をできるだけ早い機会にお出しくださるほうがかえっていいんじゃないかと思いますから、その点。  それから消費者の問題で、これは通産大臣はちょっと御用でお帰りになりましたので、かわりの方でけっこうですが、通産省の外郭団体の日本消費者協会が、国際団体から、国際消費者機構IOCUから、真の消費者団体とは言えないということで理事の資格を停止されたということが新聞に大きく出ておったんですが、その理由といいますか、経過といいますか、あるいはそれに対してどういうふうになさろうというのか、御報告を願いたい。

井上保通商産業省企業局次長

○説明員(井上保君) 日本消費者協会は六一年にIOCUに加盟いたしております。それで、六八年に理事会員ということになっておりまして、ところがその後、日本消費者協会の役員構成であるとか、その他の問題につきましてIOCUのほうから質問がまいりまして、それで会員の資格を停止するというような問題が起きたわけでございますが、その後、消費者協会のほうから詳細な説明をいたしまして、現在先方で検討中でございますけれども、いま聞いております情報によりますと、大体釈明が認められまして、近く会員資格の停止も解除になるのではなかろうかというふうなことでございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 市川君に申し上げますが、時間がまいりました。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 はい。ちょっと一つだけ……。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) それじゃ簡単に一問だけ。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 この消費者協会ができたとき、ホテルニュージャパンで発会式をしまして、私傍聴にいきまして、そのときどうもこれは消費者の会ではないというので、この予算委員会で、ちょうど総理は通産大臣をしておいでになりました。藤山さんが企画庁の長官でしたが、私そのことを伺った覚えがあるんです。私は、どうも通産省はメーカーのほうのむしろ側に立っておるわけなんで、その役所が消費者の側の外郭団体をお持ちになるというか、どうも私には了解ができないといいますか、だからどうしても業者のほうの利益が、いわゆるテストをいろいろやっておいでになりますが、テストの場合もやっぱりその業者が入るのじゃないか、あるいは前もって連絡があるのじゃないのかというようなことが、現に事実あそこにはあったのでありまして、そういうことも考えられるので、これは国際機構のほうで資格はそのままならそれはたいへんけっこうだったと申し上げてもいいんですが、この会の消費者団体としての私はあり方をひとつ通産当局で検討していただきたい。消費者運動は御承知のとおりずいぶん変わってきておりますし、だからいまの時点でひとつ御検討願いたいことをお願いをして私の質問を終わります。ありがとうございました。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 市川君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から一般質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会

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