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65回国会参議院1971/03/02

予算委員会 第5号

発言数
370
登壇者
26
会派数
2
開催日
1971/03/02

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  まず、理事会におきまして、三案の取り扱いについて協議を行ないましたので、その要旨につきまして御報告いたします。  総括質疑は、本日から開始いたしまして七日間とし、その質疑総時間は千五十六分、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ三百九十六分、公明党百三十二分、民社党六十六分、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ三十三分といたしました。  また、質疑の順位につきましては、お手元に配付をいたしました通告表の順序により進めることといたしました。  なお、分科会につきましては、審査日数を三日間とし、分科会の数は四個、それぞれの所管事項、分科担当委員数等これが各会派別の割り当ては、お手元に配付いたしてございます刷りもののとおりでございます。  以上のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、公聴会開会承認要求に関する件につきましておはかりいたします。  公聴会は、来たる十日及び十一日の両日開会することとし、公聴会の問題、公述人の数及び選定等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、公聴会開会承認要求書を議会に提出することといたします。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  三案審査のため、本日、日本銀行総裁佐々木直君を参考人として出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより総括質疑に入ります。木村禧八郎君。(拍手)

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 昨日、日中覚え書き貿易のコミュニケと取りきめが行なわれました。この問題は、目下の非常に重要問題でございますが、これに対する質疑は、同僚議員に譲りまして、私は、財政経済問題に集中して質問をいたしたいと思うのであります。  まず総理大臣にお伺いいたしますが、佐藤内閣の財政経済政策の基本は何であるかということを、あらためてこの際、伺っておきたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、池田前内閣のあとを受けて、そして首相となったのでございますが、当時の状況は、高度経済成長からやや経済が鎮静化した状況のもとであります。いろいろ顧みて池田内閣の当時の経済成長がやはり安定成長の方向をたどらないとどうも景気が鎮静するのじゃないかな、かように実は考えて、当時も皆さん方に安定経済成長ということをまず第一に唱えたつもりであります。しかしながら、事志と違って、その後経済は、異常な進歩で拡大傾向をたどりました。私の言っているような安定経済成長、こういうものでない。しかし、ともかくも高度経済成長のもとにおいて比較的長期にわたって経済を維持することができた。したがいまして、経済は成長する、その他の点ではすべてが国民生活の向上に資するような社会資本の充実も、また物価の安定も、経済成長が急激であったにかかわらずある程度にとどめることができた、かように思っておりました。したがって、最も必要な設備投資並びに社会資本の充実、これも行なわれますが、物価の安定の方向は、おそらくこのままでいくならばだんだん下がっていくんじゃないか、われわれの希望するような方向にいくのじゃないだろうか、かように思って見守ってまいりました。ところが一事志とたがったと申しますか、私どもが予想したような方向には進まない、きわめて最近においてはたいへんな高物価を来たしておる。また、経済成長も国内だけの安定成長という方向ではなくて、国際的な影響を多分に受けるような状況になってきた一たいへん私は残念に思っております。しかしながら、今年、今回御審議をいただきます予算編成に際しては、昨年あるいはことしの経済動向など考えながら、鎮静化している経済のもとにおいて、これをやはり安定成長の方向へ向けることが今日の急務だと、かように考えて、ただいま言われましたようなひずみ、それらを取り組んで、これを是正していく、こういう方向で今回臨んでおるわけであります。重ねて申し上げますが、経済成長は安定経済成長の方向へということをねらったが、なかなかその方向ではなかったということ、これは率直に認めますし、また、今後においても安定経済成長、これは望ましいことだ、このことを重ねて申し上げて、いまのお尋ねに答えたことになっておるかどうか私もよくわかりませんが、たぶんこんなことじゃないだろうかと思いますので、一応お答えいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一つ、佐藤内閣の財政経済政策の基本がいわゆる人間尊重、つまり具体的には社会開発にあったと、こう思いますが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。ただいまも国民生活の向上と、こういう点を指摘いたしましたのも、人間尊重、社会開発、そのとおりでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その社会開発のほうも安定成長と同じように、これは実現できなかったそうですが、それもやはり実現できなかったんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 人間尊重の方向は、私は一とおりは手がついたと、かように思っております。ただ、昨年来たいへん公害問題がやかましい問題として取り上げられております。この点では新しい観点からやはり人間尊重、こういう問題と取り組まざるを得ない、こういうふうに思います。これはいままでも気はつけてはおった事柄でありますが、昨年来の急激な現象の指摘に対して私どもは強く反省せざるを得ない、かように考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理は反省ばかりされておりまして、公約は実現できなかったことに対する責任はどう考えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま公約を実現できなかったと言われますけれども、私は、その方向には向いておるということを申しておりますので、これは不十分だとおっしゃるならそのおしかりは受けますけれども、私は全然無視したと、かようには思っておりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 公約が実現できなかったこと、その結果としてこれから具体的にお伺いいたしますが、インフレがひどくなり、公害がひどくなり、非人間的環境がどんどんひどくなっていくでしょう。これは公約が実現できなかったからそうなったのです。ですから反省ばかりされないで、やはり責任というものを感じなければ、口だけで幾ら言ったって、これは私は、国民の福祉を実現することはできないと思うのです。どうしてそうなったかということを率直に考えて反省もされなければいけないのじゃないかと思いますが……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、いま政治を担当しておるその職にある者、これは国民の政治でございますから、そういう意味ではもちろん姿勢を正すということ、これはただ反省という二字のことばだけではございません。そういうものを具体性を持っていく、こういうところに問題があったと思います。これからいろいろお尋ねがあればお答えをいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃ具体的に伺いますが、まず第一に、佐藤内閣の財政経済政策の基調の一つである安定成長、これは佐藤内閣が発足しましたのは昭和三十九年。九年から大体最近まで、四十四年度までが一番具体的な数字がそろっていますから、三十九年と四十四年、この期間をとらえて私は質問していきます、具体的に。成長率は名目、実質どのくらいであったか、三十九年から四十四年まで。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 大体一〇%でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 名目、実質両方です。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) GNPの増加率の御質問でありますが、三十九から四十四の平均で申し上げますと、名目で一六・二、実質で一一・二、こういうことになっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは池田内閣が発足しました昭和三十五年ですが、これは三十九年までの池田内閣時代の成長率、いわゆる高度成長率、これはどのくらいでしたか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 三十五年から三十九年ですが、名目においてちょうど同じ一六・二であります。実質で一〇・八であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 安定成長と言いながら、池田内閣の高度成長を批判されて、それじゃいけないから、安定成長の段階に入らなければいかぬと言いながら、佐藤内閣の成長率が高いのはどういうわけですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 四十年、四十一年、御承知の大不況であったわけです。その谷が非常に深かったわけです。その反動として四十二年、四十三年、四十四年、一三%という高い成長になった、こういうふうに理解しております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 平均して言っているのであって、反動ではないのですよ。池田内閣のほうが非常に高度成長、それを上回っているということは、平均ですよ、これは高度成長を安定成長路線に持っていくのと全く反対じゃありませんか。その点聞いているのですよ。係数的にはっきりしているでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、私は安定成長ということを申しましたが、そのとおりでなかった、こういうことで、その事態について御了承いただいたものだと、かように私は思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうですか。それでは、安定成長を志たが、佐藤内閣のこれまでの財政経済政策は安定成長ではない、はっきり言われましたね。そう理解してよろしゅうございますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 安定成長を打ち出したけれども、過去の実績は高度成長が続きました、こういうことを申し上げた。なかなか事志と違った、こういうことを申したのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 次に伺いますが、個人消費支出について同様の数字を伺いたいのでありますが、個人消費支出につきまして、佐藤内閣の三十九年から四十四年までの伸び率と、それから池田内閣の三十五年−三十九年までの個人消費支出の名目、実質の伸び率、それを伺いたいのです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 三十五年−三十九年の間にありまして、名目で一六・〇であります。三十九年−四十四年が一四・〇であります。  なお、先ほどのあれに追加いたしますと、ただし平均の物価におきましては、四十四年との間では、三十五年から三十九年の六二に対して三十九年から四十四年では五・五、こういう状況になっていることをつけ加えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 実質ではどうなんですか、個人消費の実質では。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 三十五年から三十九年が九・七ですね。それから三十九年から四十四年が八・四です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この個人消費支出におきましても、池田内閣のときのほうが伸び率が高いのですね。佐藤内閣になってから伸び率がダウンしているのですよ。これはどういうわけなんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは主として民間設備投資、この伸びが三十五年から三十九年までが一三・七であり、三十九年−四十四年が一六・六と、全体として投資支出の伸びがあるからであろうと思われます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そのほかに、いま私質問しようと思いましたが、さきにお答えいただきましたので、そのほかに、いわゆる自然増収に対する減税割合が非常に低下していたり、あるいは物価値上がりによる、いわゆる強制貯蓄が行なわれた。そういうことが、池田内閣当時より個人消費支出がダウンしたということの原因になっているのじゃないですか。  それからもう一つ、物価につきまして、あとで質問したいと思いましたが、池田内閣のときより佐藤内閣のほうが平均して下がってきましたね。それは四十一年に消費者物価、総理府の統計をつくり変えているのですよ。生鮮食料品につきましてウエートを非常に下げております。そういうことが影響しているのですから、そういうことも頭に置いてこれは計算しませんと、これは事実に反しますから。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 一番最初のがちょっと聞き取れなかったのです、御質問の。  それで、これはやはり何といっても投資の伸びが伸びたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、個人消費におきましては、実質について九・七と八・四ですから、これはまああらためて物価の観点を持ち出す必要もないと思います。  それからこの物価につきまして、前の六一・に対してあとのほうがそれよりも低い五・五である。これはいろいろとその経済情勢によることでありますけれども、指数の作成は、御存知のように、五年ごとに改正をいたすのでありまして、これは純技術的にやっております。今度、四十五年のあれに基づきまして、四十六年からまた新しい消費構造に対応した指数を求める。これはいわば当然であろうと思います。特に政策的な意図を持ってつくったわけではございません。新しいこの四十六年以後のものも、消費構造に応じて新しい支出を求めますと、多少の変化があるかもしれません。非常に大きな変化ではないと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは意図的に、政策的にウエートを下げたのじゃないと思いますけれども、結果として、たとえば四十一年以後、これは改定しましたけれども、「食料」のウエートを旧指数四五二二から新指数四二三二に、二九〇点も下げている。「主食」については四八四点、「加工食品」五一点、「生鮮魚介」が三〇点、それから「塩干魚介」干物、三〇点、「野菜」二三点、みんな、いま消費者物価の値上がりの一番もとになっているもののウエートを非常に下げている。ですから実際に低く出ている。そういうことを考慮に入れないと、池田内閣当時より佐藤内閣のほうが、全体として平均して物価値上がりが小さいのだといいますけれども、こういう物価指数の内容を改定されているのです。特に一番値上がりしているものを、一番ウエートを下げているのですよ。総理、これはどう思いますか。問題じゃないですか。いかがでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 物価指数のつくり方にはいろいろ議論があります。五年ごとというのはむしろ不足である、毎年毎年つくれるという議論さえあるのでございますから、これの指数の改定を行なうことは当然でございましょう。その間に、当然のことながら消費構造に変化が出てまいります。木村さんもよく御存知のように、エンゲル係数は当然のことながらだんだんに下がってまいっておるわけでありますから、食料費のウエート等がおのずから下がってまいる。新しい耐久消費財、その他の新しい商品のウエートが高まってまいる、これは物価指数の作成上の当然のことであります。消費構造の変化に伴なう当然の結果である、こういうふうに見ていいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私、そのことも否定するわけじゃないのです。イギリスあたりではやはり一年ごとに改定しているそうですが、そのことを否定しているわけじゃない。結果として、さっき指摘したような点ですね、一番いま値上がりがひどい生鮮食料品、野菜につきましてウエートを非常に下げていることは問題じゃないかというのです。  私は、時間がなくなるといけませんから、移ります。  さらに伺いますが、個人消費支出の、GNPですね、国民総支出に占める割合です。これは池田内閣と佐藤内閣ではどういうふう変わっておるか。名目、実質。それから民間設備投資につきましても、佐藤内閣と池田内閣との比較です。それがまたGNPに占める比率、これもお示し願いたい。名目、実質。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 個人消費支出の構成比でございますが、これは三十九年を例にとりますと五五%、これが四十四年で五〇%になっております。それから資本形成の中の民間設備でありますが、これは三十九年の二三%に対して四十四年が二七%、これは経済成長の当然の結果としてこういう構成比が生まれているわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 実質もですね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは市場価格表示で出ているわけであります、ただいま持っておるのは。いわゆる実質というのはちょっと手元にございませんが、まあ傾向としておんなじ傾向をたどっているわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃまあいいです。手元にないかもしれませんが、ちゃんとあるんですからね。  それでは、いまの説明によって非常にはっきりしました。佐藤内閣になってから個人消費支出で、これがダウンしたのは、民間設備投資が池田内閣当時より佐藤内閣のときは非常に大きくなってますよね、いまの。だから民間設備投資に食われたと、そういう関係にあるんですね。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 民間設備投資の構成比が上がったということが大きな原因であると言えると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、この佐藤内閣の財政経済は、いわゆる民間主導型というんですかね、民間設備主導型、それが中心でしょう、いまの係数からいって。それでは今度は、社会資本の不足を打開するために佐藤内閣はどれだけの努力をされたかですね。やはり人間尊重の方針のもとに具体的な社会開発を言われました。そこで伺いますが、池田内閣のときとそれから佐藤内閣のときですね、この政府支出につきまして、政府の消費支出と投資支出、これがどういうふうに伸び率が変化しているかを具体的に伺いたいんです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これはいまちょっと手元に、いま急に正確なのがありませんが、政府の固定投資これが大体一〇%足らずのところにきておると思います。民間設備投資は、もちろんこれよりも非常に高い伸び率でございます。いまちょっと手元に正確な数字がありませんけれども、これよりはるかに高い伸び率であることは間違いありません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは重要な質問ですからね、もう少し正確に答えていただきたいんですね。昭和三十五年から三十九年までの政府財貨サービスの中で投資支出の伸びがどのぐらいか、それから池田内閣になってからの三十九年から四十四年までの投資支出の伸びがどのぐらいか、いわゆる社会開発投資がどのぐらいかということを聞いているんです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 民間設備投資の伸びがございましたからお答えしますが、三十五年から三十九年、これが名目で一四・六、三十九年から四十四年が一八・九と、同じく実質で一三・七と一六・六これが民間設備投資であります。それから政府支出の中に含まれる投資支出でございますが、これが三十五年から三十九年が名目で二〇・八、三十九年から四十四年が一四・四であります。実質で一六・〇と一〇・九と、こういう数字になっています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これによって非常にはっきりしてきたんですがね、池田内閣は高度経済成長で、そしてインフレをかなり刺激したことは事実であります。しかしながら、池田内閣にいわゆる社会開発の政府投資を非常に伸ばしたんですね。政府投資を二一%も伸ばした。ところが、社会開発に重点を置くと言いながら、佐藤内閣では一四%しか伸びてないんですよ。しかも四十五年になると一〇・五%しか伸びてない。社会開発社会開発と言いながらこれが人間尊重の政策の具体的な裏づけじゃありませんか。そうなると、池田内閣のほうがむしろ人間尊重であったということになるでしょう、社会開発の面からいえば。それでことばでは安定成長だ、人間解放のための社会開発と言いながら逆になっているのですよ、池田内閣と。そうしますと、池田内閣はまあインフレを刺激しましたが、佐藤内閣のもとではやはり財政政策を見ますと、政府財貨サービスの伸び率は実質成長率より高いのですよ。インフレ的であり、しかも社会資本の充実については池田内閣よりおくれているのですよ。こういう政策内容になっているんです。これはお認めになりますか。そうしたら池田内閣より内容は悪いということですよ、むしろ。いかがですか、この点は。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) もちろん、この伸び率だけの比較でもいけないと思いますが、もちろん絶対額においてこれは問題にならぬわけであります。経済のむしろ成長が非常に全体として二倍にもなっておると、こういう際でありますから、それに応じた社会投資を当然行なっておると、そしてまた経済の成長の伸びに相応した、それに応じた投資が行なわれておるわけであります。ただ民間設備投資を中心とするところのものの伸び率が先ほども話がありましたように、予想外にこれを上回りましたために総体的な立ちおくれが生じた、これはまことに遺憾ではありますけれども、そうした事態はやむを得なかったわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その遺憾というだけでいいのですか、総理大臣。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、非常に情勢が変化しておりますから、伸び率だけを比べてそうして批判することはどうだろうかと、これはもう木村君のほうが専門だからよく御承知だろうと思います。私は社会資本の投資、こういうものを比べてみましても金額的には問題なしにふえていると、そういうような規模になっている、だからいままで非常に立ちおくれたものがそれと取り組んだ場合の伸び率というか。パーセンテージというか、それはいかにも大きいですけれども、それは金額として非常に小さいものじゃないだろうかと、かように思いますので、率だけで比べるというのはいかがでしょう。やっぱり実質的にこの金がどういうように使われているか、そこまでぜひ見ていただきたいと、かように思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう少し政策論争をまじめにやらなきゃいかぬと思うんですよ。金額だけで比較するなんというのはナンセンスとは言いませんけれどもね。政策立案でみんな率でいくんでしょう。成長率というのはなぜ言うんですかね、伸び率を問題にするわけですよ。金額だけ問題にしたって、それじゃ物価値上げになったら名目的金額ふえてそれでいいんですかね。だからいわゆるこの趨勢ですね、そういうものは政策の質をきめるのであって、そういう、いままでこういうところをそういうふうにごまかしちゃ、金額などで出してきてごまかしちゃって、この政策論争をいつでもあいまいにしてしまうのですよ。そういう私は考え方いけないと思うんですよ。金額では私は比較にならぬと思うんです。経済企画庁長官どうなんですか、金額だけでいいんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 金額も伸び率も大事でありますが、しかし、伸び率は低減することも当然あるわけであります。やはり絶対額というものはもちろん非常に重要であるわけであります。それからまた、その発展段階に応じてこれは違うと思います。三十年代の後半におきましては、社会資本のいわゆるボトルネックというものが非常に、特に注目をされてきたわけであります。そういう意味においてはあの当時のほうがむしろ問題があった、また、それに応じて政府も社会投資をやったんだろうと思います。これからまた、再び私どももそうした問題に立ち向かわなきゃならぬ、こういうことで新経済社会発展計画も策定してそしていこうと、こういうような立場にあるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これまでの質疑で明らかになったことは、佐藤内閣の財政経済政策におきましては、設備投資が池田内閣のときより伸び率が非常に大きいということですね。それから個人消費支出の伸び率がダウンしているということですね。もう一つは、政府の資本投資が池田内閣のときより非常にダウンしているということですね、社会資本が。  その結果、いろいろなひずみが出てきていると思うのですよね。設備投資が非常に行き過ぎている、個人消費が、伸び率はダウンしているでしょう。それで社会資本投資が池田内閣当時よりダウンしている。その結果、いわゆる経済の不均衡がいろいろなところに出てきているでしょう。これについて具体的に伺いたいのです。いわゆるネックの問題ですね。  電力の需給がいまどうなっているか、電力需給。それから原料の需給面。それから輸送面、特に船舶。それから工業用水につきまして。労働力の需給関係につきまして。これだけについてどういうネックが生じてきたかを具体的にそれぞれ担当大臣に伺いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まず電力につきましてでございますが、理由はいろいろございますけれども、来年度のピーク時、おそらく八月でございますが、供給予備率が一%をちょっと上回る程度まで落ちてまいります。これはかなりやりくりに苦労の要る状態でございます。その事由についてはもう御存じでございますから申し上げませんが、そのような状況でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 重要ですからね、なるべく具体的に御答弁願います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それから、主要資源について申し上げますと、海外依存度が逐年上がってまいりまして、ただいま銅で七〇%余り、アルミ、ニッケル一〇〇%、石油は九九・五%、原料炭が七八%。  ただいまの趨勢でまいりますと、わが国にこれらの資源を産出いたしませんから、海外依存率は今後数年間ますます上がっていくというふうに考えざるを得ません。  水でございますが、これにつきましてもいろいろなくふうは行なわれておりまして、まあ現時点においては、ほぼ需給の均衡は保っておるというふうに考えられますけれども、昭和五十年にはおそらく四十三年の二倍ぐらいの水の需要があるというふうに考えられますので、まあ工業用水の確保あるいは大規模多目的ダム、排水の再生利用等々、相当のくふうをしていく必要がある。大体それが現況でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そんなお粗末な報告じゃ困るのですよ。  電力につきましては、たとえば火力発電所をつくろうと思えば、公害問題が起こって計画どおり発電所ができないんでしょう。そういう状況もあるのです。ですから、いままで電力需給計画を立てた。昭和四十五年度の電力白書というものがあります。その中で詳細述べているでしょう。国民にわかるように、電力需給計画がどういふうに狂ったか、民間設備投資が行き過ぎてしまったために、社会資本投資が池田内閣当時よりダウンしてしまったために、どうしてこういうネックが生じてきたか、もっと詳細に電力需給につきましても、どういう需給関係に立ったところが、どういうふうにそれがそごしたかを具体的に、今後、ネックの問題、工業問題等ありまして、計画どおりいかないんだと。それをもっと具体的に担当大臣に説明していただきたい。これは重大な問題です、今後のですよ。国民にわかるように説明してください。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) まず、電力の来年度のバランスにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、どうしてそんなにバランスが窮屈になったかということを具体的に示せというお話しでございますが、一番おそらく苦しいのは、来年度は関西電力であります。これが最も需給のそごを来たしました基因は、京都における宮津の発電所の竣工ができないという理由であります。これは非常にはっきりいたしております。それから、そのほかに現在尼崎等々において問題が起こっておりますように、公害の問題から十分にこれらの発電所を利用できない、そういったような事情がございます。全国的に考えまして、電源開発会社によるところの水力地点の大きなところは、御承知のようにだんだんなくなってまいりました。それでございますから、揚水発電をやりまして、まあ遊んでいるときの電力を使ってピークに手当てをしようという工事を進めておるわけでございます。で、それらのことを総合して考えられますことは、相当広域の融通をやってはおりますものの、水力の地点が非常に狭まってきたこと、それからから火力について、公害の問題あるいは低硫黄の原油が十分に手当てできるかできないかといったような問題から、火力の建設がなかなか当初予定していたように進まない、そういったようなことから、来年度のピーク時の電力の需給が逼迫するであろうと考えております。  消費はどうかというお話でございますけれども、これはまあ年率で、一〇%ないし一五%というのがピーク時における消費の動きでございまして、それについて私どもあまり大きな誤算をした形跡はございません。むしろ供給側がそのような事情で、長期計画についていけないという部分が出てきたということと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 石油の需給関係どうなります。  それから粘結炭ですね、鉄鋼の基礎になる。そういうものにつきましては、昭和五十年にはどういう需給関係になる、いま石油は重大な問題をかかえておりますが、これは値上げによってまた非常にコストが高くなると思うのです、全体に、物価ばかりでなく、全体の経済に大きな影響を及ぼしますから、この石油の問題についても詳しく今後どう対処していくのか伺いたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 石油の需要はおそらく、いまの時点で考えますと、年率に直して二億キロリットルくらいと考えます。国内の自給率は、もう御承知のとおり一%以下でございますから、九九・何%というものが海外依存であります。  昭和五十年にどのぐらいになるであろうかということでございますが、まあ三億キロリットルを上回るということは、ほぼもう間違いないというふうに考えます。  そういたしますと、いまの趨勢では、海外依存度は一〇〇%にますます近づいていくというふうに一応考えるべきだと思います。ただその間にまだ三、四年ございますから、現在のような石油の新しい需給関係に立って見ますと、セラースマーケットに移行しそうでございますから、われわれとしていろいろなその間に政策努力が要る。幸いにして外貨も相当蓄積されましたので、それは新しい状況に応じて新しい手を打っていかなければならない。容易なことではございませんけれども、決して不可能なことではない。また、そのことが今後わが国のいわゆる発展途上国との関係を、方法さえ間違えなければ深めていくことになるであろうというふうに考えております。  原料炭につきましては、おそらく現在のこの時点における年率の需要は五千数百万トン、五千五、六百万トンではないかと思いますが、そういたしますと、昭和五十年度にはその倍程度、一億トン程度を考えなければならないのではないか。このうちで現在手当てがついておりますのが七千万トンぐらいの手当がついておりますでしょう。ですから、残りの三千万トン分についてこれから長期契約で手当てをするということになってまいろうかと思っています。  まあ木村委員の御指摘のことが概して私はポイントをおつきになっておいでになりますので、それを反論する気持ちはございませんけれども、現在のように、わが国が相当外貨も蓄積いたした状況から考えますと、これらの海外資源を確保することは容易ではございませんが、決して悲観しなければならない状態でありませんし、また、わが国の産業構造もおのずから変わっていくであろうということを考えておりますから、決して手放しで楽観いたしてはおりませんが、何も非常に暗い状況を想定しなければならないとも思っていないわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 粘結炭はどうですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど原料炭と申しましたものを、ほとんど粘結炭というふうに考えていただいてけっこうではないかと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いまの御答弁まあ不満足ですが、時間ございませんから先へ進みたいと思うのですけれども、要するに、主要資源につきましては、もう重要なものはほとんど海外依存が大きいですね。そういうことで非常に成長率のみ拡大して、社会資本なんかは立ちおくれさしているということになるのですね。そこで海外の物価を上げたりまたネックが生じたり、せっかくの設備を遊ばしておかなければならぬような状況がくる、非常な混乱がくる。そういう場合に、適正な成長率、ことに民間設備投資、これにつきまして、設備投資とそれから社会資本の投資と個人消費とのバランスを適正にしなければならない。ところが佐藤内閣は、バランスが失なわれておる。これを是正しなければならぬということを私は提言したいのですよ。それで総理大臣に伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま御指摘になりますように今回の予算は組んだ、こういうことが大蔵大臣の主張でもありますし、事前にいろいろ話を受けたときもそうである。いままで私どもは、予算と民間の資金とこの二つがわが国経済をささえておるものだ、したがって、景気の動向によってどちらにウエートを置くかというのは、そのつどそれぞれの時期に適合した方法でやっておること、それはそのほうの専門が木村君ですから御承知できるのじゃないかと、かように思います。で、ことに私、経済の動向もさることだが、いま先ほど通産大臣にお尋ねになりましたその事柄が今後の日本の経済にたいへんな大きな影響を与えるものだと、かように実は思っております。主要なる資源は全部外国に依存しておる。そうしてこれなくしては日本の経済は立ち行かない。それを日本で精製して製品化している、それを輸出していく、それで日本の経済が助かっている、こんな状態が一体いつまで続くのか、こういうことがいわれるだろうと思います。したがって、ただいま御指摘になりますように、民間の設備、これも適当に押えないと、設備はできたが資源は入ってこない、こういうようなときがくるのじゃないのかと、そういうことも心配でございます。しかし同時に、私どもはやはり日本経済のいままでのあり方から見まして、どうしても不況感を国民が持っては困る。だから適正なる経済成長をすることがそこで望ましいのです。不況感がすぐ国内に蔓延するということは、それが悪性インフレーションの心配しているそういうもとでもあろうと、かように思いますので、経済の組み合わせというのはたいへんむずかしい問題で、そこらにわれわれしろうとながら苦心しておると、この点をお答えしておきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この四十六年度予算に関する大蔵大臣なり経済企画庁長官の演説を見ますと、安定成長路線を非常に強調しているのですよ。それならいままでなぜやらなかったのですかね、いままで。いまになってそういうことを言ってもなかなかこれは変更できませんよ。これは転換すればたいへんですよ。この高成長を安定成長に持っていくには、いままでのような利潤を中心とする市場経済、いわゆる価格経済を中心としてはなかなかやっていけるものじゃないですよ。だから私はまた繰り返すのじゃないか、同じことを繰り返すのじゃないか。だから過去の、いままでの佐藤内閣のたどってきた、安定成長路線と言いながら設備主導型になってしまった、ここで社会資本が立ちおくれた、そういうことを言いながら、人間尊重を言いながら非人間的環境を激化させてきた。それを直そうとして今度の予算を組んでいると言っているけれども、過去の実績を見れば、いま質問したように、言うことと全く反対の方向に行っているのだ、これまでの実績が。だから私は信用できなくなるのです、過去の実績を検討すれば。そこで民間設備主導型になったということ、社会資本が立ちおくれたということ、これはもう確認されましたね、数字的にも。そのことが社会資本の不足、公害、大都市問題それから物価値上がり、インフレ、これを招いたのじゃありませんか。ですから、こうした資源配分の適正を欠いたことですよね、民間設備投資優先型、いわゆる経済の生産第一主義、いわゆる資本の効率第一主義それがいまの公害なり、あるいはインフレなり、あるいは社会資本の立ちおくれをもらしている。そうして、その結果生じてきているいろいろな具体的な個々のミクロ的な問題に取り組んでいる、その場限りの、出てきた現象形態に取り組んでいるのが佐藤内閣の政策じゃありませんか。マクロ的な、こうした資源配分の適正化、これについての私はマクロ的政策判断に欠けているのじゃないか。これをいま是正しようとはしているわけですけれども、これまでの実績を検討した結果、これを是正するには、民間主導型を、これをいわゆる政府投資型、社会資本充実型に、いわゆる社会福祉の増進だ、そういう型に転換させるにはどうすべきかですね、これはもう容易なること……、いかがですか、その点は。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま木村さんの一連のお話を伺っておりまして、全く私がいま考えておるのと同じなんです、これは。まあいま御指摘の諸問題を反省いたしまして見るときに、どうしても財政のウエート、これを強化しなければならぬ。しかもいま日本の景気は下向きの傾向にある。これはあまり落ち過ぎては困るのです。下ささえをしなければならぬ。しかし同時に、これがまたこの数年間のような超高度成長というところへぶり返しになっても悪い。それはどうしても財政がかじとりの機能というものを持たなければならぬ。同時に社会資本の立ちおくれ、いま御指摘のとおりであります。これを取り戻す、こういう体制をとらなければならぬ。私は、ただ一つ木村さんと見解を異にしますのは、悪いところばかり強調されておりましたが、いいところもあるのです、これは。つまり量的成長、これはもうとにかく世界第  一、奇跡ともいわれ、あるいは驚きだともいわれる。そうしてそれがいま日本の国際社会での地位を築き、同時に、わが日本のこれからいろいろの施策を進めていく、財政的にも進め得る基盤をつくっておる。こういうことで、功罪は私相半ばすると、こういうふうに思うのですが、御指摘の悪い面は、そのとおりに考えますので、その悪い面はこれは是正しなければならぬ。そうして成長と、物価、公害、そういうものとの調和、そういうものをとっていかなければならぬ。そのためには社会資本の充実、これを中心の政策としていかなければならぬ。そういうふうに考えておるわけであります。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 安定成長をなぜ早くやらなかったかというお話でありますけれども、先ほどからいろいろ木村さんも御指摘になっておりますように、確かに四十年代徐々に高い成長を実現したわけであります。いま大蔵大臣からのお話もありましたが、功罪相半ばするという話でありますが、やはりこれは別に政府が非常に無理に、社会開発を怠って経済成長一点張りでやったということよりも、やはり客観的情勢が三十年の後半とだいぶ違っていたと思います。御存じのように、三十年の後半には、ちょっと成長しますとすぐ国際収支が赤字に逆転いたします。そういうことで、民間設備投資の伸びようとする力がそういうことによってチェックされて、総体的に比較的バランスがとれたのでございます。四十年以降になりまして、私たちは、高い経済成長と国際収支のいわゆる黒字というものを両立させ得るようになりました。これはやはり日本の経済にとって画期的なやはり一つの段階であろうと思います。この国際収支の天井がなくなりましたことが、実際問題として経済運営を非常に困難にしたことも事実であります。そこへ国際経済がまた珍しく、御存じのように、三十年代の後半は日本の経済と世界経済のサイクルが、どっちかというと、かみ合いませんで、こっちが景気のいいときは世界経済が景気が悪い。これがたまたま、国際経済も日本経済も一致して高成長を続けました。こういうふうな、いろいろと経済の背景というものの相違が相当影響しておると思います。私どもは、やはり、この四十年代の教訓、これは日本の経済が初めて到達した段階における経済運営でございますから、この教訓を頭に入れて、新しい経済社会発展計画を立て、そして新しい見地から、御指摘のような社会開発の問題も取り上げていこう、こういう角度でおるのでありまして、決して、今日のような高い経済成長と社会開発のおくれを意識的にしたつもりはございません。しかし、非常にやはり勉強になりました。こういう意味で、ぜひとも社会開発を推進してまいりたい、こういうふうに考えています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私も、経済運営のむずかしさを何も否定するわけじゃない。確かに非常にむずかしい情勢だと思うのですよ。そのディスプロダクトですね。いわゆるひずみというものが非常に大きくなっている。だから、メリットの面を大蔵大臣は言われましたが、私否定しませんよ。メリットの面とデメリットの面、いわゆるディスプロダクトとプロダクトを、どっちがそこで大きいかということを勘案しなければなりませんので、それを考えると、公害とか、これは人間の生命に関するもの。インフレの問題とか、成長すればするほど、マイナスのプロダクト、ディスプロダクトが大きくなってきておる。そこで、総理が「福祉なくして成長なし」と言われましたけれども、しかし、いままでの過去の実績は、福祉なくして成長があったのですよ。そうでしょう。個人消費支出はずっと低下している。民間設備投資に重点を置いちゃった。社会資本の低下。結局、福祉なくして成長があったのです。それを反省して、今度は反省しておるわけです。しかし、過去のようなやり方では、また繰り返しのようになるということを心配して、提言もし、質問をしているのです。  次に伺いますが、佐藤内閣と池田内閣を、さらに国民生活の面について比較しまして伺いたいのですが、たとえば、消費者物価、それから卸売り物価、消費水準、それから勤労者の可処分所得、それから交通事故、これは資料要求しておきます。それから公害発生の比較、こうした点について、佐藤内閣のときと池田内閣のときとどういうふうに違ってきているかを、これを数字的にお示し願いたい。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 消費者物価は先ほども触れましたが、三十五年から三十九年で六・一%、これが三十九年から四十四年では五・五%というふうになっております。卸売り物価は、逆に、三十五年−三十九年の〇・四に対して、三十九年−四十四年は一・八と、少し上がっております。それから消費水準は、これは実質では五・三と四・三、名目では二・七と一〇・〇、多少下がっておりますが、ほぼ横ばい。それから地価は、これは三十五年−三十九年が二割ぐらいでございますが、三十九年から四十四年は一二%、こういう状況になっております。  ただいま公害等の指数が手元にございませんが、もしあれでしたら、関係大臣からお答えします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それから可処分所得。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 勤労者の可処分所得でございますが、三十五年から三十九年が一一・三%、三十九年から四十四年が九・八%、こういうことに相なっています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 交通事故と、それから公害はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党国家公安委員会委員長・行政管理庁長官

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 交通事故についてお答え申します。  昭和三十五年から昭和三十九年までの五年間における交通事故の死者数は六万一千九百八十四人で、年平均増加率六・二%であります。負傷者数は百六十七万一千八百七十二人でありまして、年平均増加率は一二%であります。また、昭和四十年から四十四年までの五年間における交通事故の死者数は七万五百十九人でありまして、年平均増加率が四・三%であります。負傷者数は三百二十九万三千八百八十九人でありまして、年平均増加率は一九・五%であります。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 公害の池田内閣時代と佐藤内閣時代との対比でございますが、公害発生件数というものをどのようにとらえるか、また、池田内閣時代において公害という概念、がどのような形で統計に出ているかについては、非常に問題がございます。ただ、意識においては、その時代においてそのような意識があまり議論されていなかった。今日においては、結果として公害という問題を件数からもとらえて議論できる時代が来たということは言えると思いますが、念のために、統計的に把握できるかどうかは、後刻調査して、それができましたら、あとで資料として御提出したいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 公害については、大気汚染防止法の指定地域、それがどう変わっているかを伺えばわかる。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 従前の法律におきましては、大気汚染防止の指定地域主義をとっておりましたために、日本じゅう、指定された地域というものは、私の見当では、おおむね五分の一ぐらいではなかろうかと思いますが、先般の改正によりまして、この指定地域主義をやめまして、全国至るところ大気汚染防止法の適用区域になりましたので、今日では、もう指定区域ということは課題にならないことになりました。また、大気汚染によりまする健康被害を受けた者に対しまして、認定患者につきましては御承知の救済措置が昨年の二月から講ぜられることになりましたが、その対象になる人員は漸次ふえてまいりまして、今日現在では三千人弱、二千九百人余りぐらいがこの健康被害救済法の適用を受けております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私の調査では、大気汚染防止法の指定地域は、三十五年はゼロ、三十九年九件、四十四年が二十九件、四十五年が十ぐらいふえて三十九件ぐらいになるのじゃないか、こういう数字があるのですが、これはどうなんですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 府県別でいいますと、そういうようなことになろうと思いますが、その府県の中で、何市、何郡というようなものを小さく指定をいたしております。でありますから、日本列島を指定地域によって色分けをいたしてみると、私は、指定された区域のほうがはるかに少ない、おそらく地域の色分けをいたしてみますると五分の一以下ぐらいが従来は指定されておったのじゃないか、このように思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これまでの質問で明らかになったことは、消費者物価指数の値上がりも多少ダウンしているようですけれども、そのウエートを変更したりしておりますから、そんなに、まあ横ばい程度、あるいはまた、あとで質問しますけれども、実際を総理府統計局の物価指数は反映しておりません。実際よりも非常に低く出ておりますから、そういう点は、だからあまり物価対策に成功していない。特に昭和四十五年は七・七も上がっておるのですからね。それから交通事故が飛躍的に増加している。特に人口の大都市集中の傾向から、近県に居住しまして遠距離通勤が非常に多くなった。そのために、非常に通勤の混雑、それから疲労が増大している。これは土地の値上がりも一つの原因でありますけれども、それから勤労者の可処分所得の増加率が非常に低下している。消費水準の増加率も鈍化している。したがって、同じ成長率でありながら、池田内閣のときよりは勤労者の生活が相対的に悪くなっている。伸び率等から見ると相対的に、ただ金額だけではなく。そういう結果が出ているのですよ、数字的にですよ。それから世帯の貯蓄額が平均百万程度であると言われていますが、四十五年の経済白書によりますと、貯蓄デフレーターによりますと、定期預金をしても年一・四%の減価が生ずることになってしまう。ですから、貯金して損をしているわけですね。これは異常の状態だと思うのですよ。四十五年の経済白書にあるのですよ、政府の。それから公害発生件数も急増している。私がここで言いたいのは、また、政府に反省を求めたいのは、どうも佐藤内閣は、実際見てみますと、この四十六年度予算に出てきたいろんな予算を見ても、マクロ的な、そうした資源配分というような、社会資本にどれだけ、あるいは設備投資のほうへどう、個人消費へどうと、そういうマクロ的政策に欠けるところがあったのじゃないか、ですからこういう結果が出たんじゃないか。そうして、それから出てきている個々の現象ですね。マイナス現象に取っ組んでいる、一生懸命に。そして、その場限りの——その場限りと言っちゃ悪いかもしれませんが、そういうような政策を追い回しているという状況なんです。そうしてその被害者同士を対立させている。結局、そのマクロ的政策の失敗をその被害者のほうに転嫁しようとしている。  そこで、具体的な例として二つ私は伺いたいのです。一つは、生産性部門に対する犠牲ですね、生産性部門にこのマクロ政策の犠牲を転嫁している。その一つは国鉄です。国鉄の赤字対策としては、私は四十六年度資金概要をもらいました。これ見ましたところが、工事勘定、資本勘定の三百四十三億ですか、それを片っぽうの営業勘定のほうに入れているわけですよ。こんなことは変態じゃありませんか。なぜこんなことをするのか。むしろ、営業勘定から資本勘定に入れるべきでしょう。だから、それだけ工事をやめて、そうして営業勘定に繰り込んでおる。こんな変態的な資金概要になっています。それから、これは賃金を一〇%に押えるということが前提になると思うのです。もし一〇%以上にこれが上がったら破産してしまいますよ、この資金計画は。パンクしてしまいます。その点、どう考えるか。  それからさらに十六億ですよ。運輸省が一般会計にこの十六億計上しているのですけれども、これは国鉄の赤字補てんの、赤字の路線廃止の補助金として計上したというけれども、国鉄は要らないというのでしょう。宙に迷っているのですよ。受け取り先がないのです。こんな予算をなぜ計上しているのですか。こういうことを見まして、国鉄の赤字の解消ということが全くこの基本的な立場からなされておらない、この資金概要を見ても。そうしますと、結局、これは国鉄の職員に、ベースアップを押える、あるいは十六万人首切りと、そういうマクロ的な政策の犠牲をこういうところへ負わしてしまっているのじゃないですか、これまでの高度成長政策で。たとえば、太平洋沿岸ベルトを開発した、そして赤字路線、そこで損をしてきた、そういうことのしわ寄せがここに来ているんでしょう、この点、どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 国鉄の四十六年度予算で資本勘定から営業勘定へ、損益勘定へ繰り入れた、これは確かに異例なんです。異例でありますが、とにかく国鉄といたしますと、最近交通事情の変化によりまして、非常に異変を起こしておる。そういうことで、これはどうしても総合的に、あるいは国鉄と関連のある地下鉄の問題でありますとか、航空の問題でありますとか、あるいは海運の問題でありますとか、そういうものとの関連においてこの問題は根本的に解決しなければならぬ、そういうように考えておるわけなんです。しかし、それがなかなかむずかしい問題でありまして、四十六年度予算までに間に合わぬ、そういうようなことで、異例な措置でありますが、そういうものをとった。で、また、いま十六億円の問題につきまして御指摘がありましたが、これは、そういう中におきましても、国鉄におきましては合理化努力をしなければならない、こういうように考えられるわけでありまして、たとえば、地方において、地方線を地方団体が経営したい、あるいは何か特殊の団体がこれを経営したいというようなことがありますれば、それに対応いたしまして政府が助成する、こういうような意味合いにおきまして、合理化努力、これを助成する意味において十六億円を計上すると、こういうようなことをやったわけなんです。  それで、その前提といたしまして、賃金を一体どうするか、こういう問題があります。しかし、これは国鉄といたしますと、そういう無理をしなければならないような経営状態でありまするから、なるべくこれを低位に抑制していただきたい。しかし、賃金の現実の問題は、これは労働組合と国鉄当局との折衝の結果きまってくる、こういう問題でありまするから、予算でこれを制約するのだというようなきつい考え方は持っておりませんけれども、まあしかし、非常に苦しい状態であるということは、この予算を見ましても、はっきりしてくるのではあるまいか、そういうように考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 十六億はどうしたのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま申し上げました。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 受け取るのですか。そいつはどうするのですか。運輸省はどうなんですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 国鉄の予算の組み方については大蔵大臣から説明がありましたので、その点は除きます。ただ、御承知のように、国鉄はなかなかいろいろな問題をかかえておりまして、苦しい状態であることはお説のとおりでありまして、これが根本的な対策は当然考えていかなければ今後の国鉄の解決はつかない。  そこで、四十六年度の予算は、お話の二点でありますが、一〇・二のベースアップでもって間に合うか、こういうお話であります。ただ、四十六年度の予算は、特に従来の経過にかんがみまして、五%のものを含めて、その他予備金等を含めて、一〇・二%のいわゆるベースアップの資金をこしらえたということは異例の措置であります。それ以上の裁定があった場合については、これはその時点において考慮しなければならぬと考えております。  十六億円の合理化の資金は、御承知のように、国鉄再建の方針の中において、いわゆる地方鉄道交通線で、これをバスに切りかえるとか、あるいは地方公社等を考えられた場合には、それに対して従来は国鉄がある程度の補償をしてまいりましたが、それでは国鉄の赤字を増すだけでありますから、そこで一般会計から運輸省の予算に繰り入れまして、それによって処置していく、こういう、従来の方針とは変わった積極的な措置を考えておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 国鉄が反対するのはどうなんですか、その経緯は。国鉄は要らぬと言うのです。十六億予算に計上したけれども、国鉄はこれを要らぬと言っているのです、そういうものを受け取りたくないと。どうですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) 当時、これは予算折衝の中でのお互いの話し合いでありますが、十六億の予算を大蔵省から入れる話し合いの途中で出ましたときに、問題はやはり根本的にわれわれとしては考えていきたい、こういうことからして、その問題は一応わきに除いておきまして、そこで根本的な方法として大蔵省と話し合ったのですが、まあ四十六年度の予算で根本的な立て直しはむずかしいであろう、勢い暫定的なことに終わらざるを得ない、しかし、一方の合理化は必要でありますから、それじゃ合理化の資金としてちょうだいしましょうと、こういうことになったわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 わからぬですよ。われわれの税金ですからね、十六億。それがどうして、国鉄が要らぬで、政府が計上されたか。こういう予算の計上のしかたでいいんですか。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) お答え申し上げますが、十六億円の交付先は、国鉄ではなくて当該市町村あるいは府県の場合もあるかもしれませんが、地元の団体等に対する補助金でございますので、全部国鉄にはまいらないわけでございます。  それからもう一点、先ほどのにちょっとつけ加えさしていただきたい点がありますが、三百四十三億、これは資本勘定から繰り入れているわけでございますが、これは、国鉄の利払い——実は先般の国鉄の運営協議会、審議会でしたか、の答申がありまして、過去の政府からの貸し付け金、まあ借り入れ金につきましては、これはそれをしばらく再建期間中たな上げすべきである、こういう話がありまして、そのたな上げした部分に対するものであります。これで、前年は国鉄は資金に余剰がありましたから、それが結局は工事勘定に使われたのでありますけれども、本年はそれが工事勘定に回らないで、これは利息をたな上げしているわけでありますから、これは損益勘定でたな上げをしております。それに見合うたな上げの分の金でありますから、これは損益勘定のほうにそれを使っておる、こういうことでございますので、異例のことでございますけれども、そういう意味で、たな上げということから、そういうことにしてあるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃ、市町村のほうは賛成しているのですか。赤字路線廃止に反対しておるのでしょう。だから、市町村は受け取らないと言っておるのでしょう、どうなんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま運輸大臣から御説明申し上げましたように、予算折衝の途中におきまして、橋本運輸大臣は、十六億円は受け取らぬ、こういうふうに言ったときがあるのです。つまり、そんなところで国鉄問題は解決しないのだ、もっと出せということなんですよ、要するに。しかし、最終的にいろいろお考えになりまして、これは有効な措置であるというふうにお考えになりまして、ちゃうだいいたします、かようなことに相なったわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 じゃ、受け取ることになったのですか。そうすると、赤字路線廃止に賛成したのですか。そういうこと……。赤字路線廃止補助金に賛成したことになるのですか。

橋本登美三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(橋本登美三郎君) お答え申し上げます。  赤字線を廃止するという問題は、御承知のように、四十四年の閣議決定の中で、これが道路輸送にかえ得るもの、またはこれを地方に移して他の企業体等で経営し得るものは、これをひとつ考えていこう、こういうことで、初めから具体的に何線と何線を廃止するという方針ではありませんけれども、いろいろ地方、地域関係者と相談した上で、道路で十分かえられるものは道路でかえていこう、あるいはまた、地方交通線として別の企業体を持ったほうがいいものがあればこれもひとつ考えていこう——これは合理化の一つの方針であります。  そこで、十六億の問題はこれらに伴うことと、もう一つは、御承知のように、無人化駅という制度を四十五年度から施行しております。これを通勤通学等で直ちに影響を受けるものに対しては国鉄が補償してまいりましたが、国鉄に補償させると、赤字の上に赤字を積み重ねることでありますから、これはひとつ運輸省のほうで一般会計からちょうだいしまして、そういうものに対する場合の補償——これは付近の人の営業補償等もあります。及び、廃止した場合における通勤者に対する一カ年間の補償等を含めて、思いやりのある金として十六億の金を考えた、こういうことであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 三百四十三億につきまして、これは資本勘定、工事勘定、いわゆる財政再建債、これを損益勘定のほうに入れていくということは、こういうことはいままでやったことがあるのですか、たびたび。これは国鉄の再建計画としては、こういうことはなされるべきではないんじゃないですか。もっと基本的に、総合的な交通対策というものをはっきりと立てて、その上でやらなければいけない。こんなこそくな、工事勘定のほうへ一応再建債を計上しておいて、今度は損益勘定のほうにこれを振り込むなんて、こんなこそくなやり方は、これで本格的な再建になりますか。こんな計上のしかたはおかしいと思うんですがね。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) 国鉄の再建の問題根本的にこれは取り組まなければいけない、これは御説のとおりでございます。ただ、これは先般、国鉄の再建をやりますときに、政府からの貸し付け金についてはこれはたな上げということで、一応そのことからいいますと、これは結局利払いのための借り入れなわけでございます。この利払いは、損益勘定で利子を来年は千七百億払うわけでありますが、その千七百億を払う利払いのために再建債を出す、こういうことで、それは利払いを出すのは損益勘定でありますから、損益勘定にこれを受け入れた、こういう関係でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これについては、またあとで質問します。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。  この問題は、いずれ機会を見て、何かの機会にお尋ねしたいと思いますが、一つだけお尋ねしたいことは、国鉄が今日の赤字財政になった大きな原因は、過去十数年の間——二、三年前の利子補給をするようになる前、十八年間にわずかに一般会計から支出した金は四十何億でしょう。あとは全部財政投融資ですね。それで利に利が積もって借金が重なるのは、あたりまえの話であります。  そこで、その問題に関連して、過去に、公共企業体か独算制かということがずいぶん論議されました。その問題はまだ決着がついておりませんが、どうも最近の動きを見ると、これは私鉄とほとんど変わりのない方向に進んでおるんじゃないか。つまり、独算制にウエートが移って、公共企業体という性格がだんだん薄れてきたんではないか。それがいまの現状ですね。根本的に改革するというならば、企業のあり方も経営のあり方もありますけれども、やはり、一般会計から相当な財政支出をして、ある程度利子をぶった切らなければ、赤字は、これは根本的な再建はできないと思いますが、そういう意味で、性格に大きな変化を生じておるのかどうか。これはひとつ総理からお聞かせいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの国鉄の赤字問題については、その原因はどこにあるか。いろいろその取り方があると思います。いまの羽生君のような取り方もありましょうし、私は、全体から見まして、やはり交通体系の変化だ、かように思っております。しかして、ただいま国鉄の赤字線というもの、それはもう赤字だけで負担にたえないもの、そういうのが国家的に不要な線なのか、かように考えると、これはまた別だ、かように思っております。ことに、路線によりましては、地方開発のためにぜひとも、採算はとれないが、その線を開発していくとか、存置するとか、こういう線もあると思います。ことに、人の少ない北海道などでは新しい鉄道がやはり敷設されることがある。これはまあ非常に極端な例で、北海道を例にとっただけでありまして、国内におきましてもそういう地域がずいぶんあると思います。したがって、公共性をやっぱり考えていかなければならないが、それにしても、やはりくふうする、合理化の施設をしていくことは、これはやらなければならない、かように私は思っております。結局、問題の諸点、いろいろ総合的に考えて対策を立てるべきだと思いますが、最も大きな問題は交通体系の変化だ、時代に合わないところが今日の国鉄の赤字を招いた、かように、私は、一言で申せば、そのとおりでございます。したがいまして、ただいまの羽生君のお説は、これは私、頭から無視するつもりはございません。ただいま国鉄経営審議会等において、そういう点をも含めて、どういうようにすべきが適当なのかというようなことが言われておるんだと思います。非常に極端な話を申せば、貨物輸送はどうも鉄道輸送には合わないんだというような議論まで出ている。そこらにもこれから検討すべき問題があるんだということを申し上げて、いまの点は、そういう意味で、十分、羽生君の御指摘になりましたような立場からもこの問題は取り組むべきだと、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 経営のあり方については、それは交通体系全般の問題として考えられるということは一つの当然の道だと思いますが、私の言うのは、そういうことから公共企業性というものが失われて、独算性に重点が移るような性格変化を、もう政府としては考えて決断したんではないか、ウエートがもう移ったんではないか、そして国鉄の名に値しない、私鉄と同じ方向ではないか、こう申し上げておるわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そういうことはないことを、二、三の例について申し上げたのでございます。やはり、公共企業体としての性格、これを高く、私ども国家的要請からも、考えておるということを申し上げたのが北海道の例でございまして、これは北海道だけではございません、本州、四国におきましても、九州におきましても、同様な問題があるということを御理解いただきたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 四十六年度予算の重要な問題として三つの赤字対策といわれた、その一つが国鉄の赤字対策、それから米の赤字対策、食管会計、もう一つは国民健康保険の赤字だと。そのうち一つの国鉄を取り上げたんです。この国鉄の再建一つとらえても、これまで私がずっと質問をしてまいりましたように、これから社会資本に重点的にいくには、やはり民間設備投資との関連ですね、そういう観点から考えないと、根本的な再建はできないと思うんです、国鉄でも。だから、私は、こんなこそくな対策より、もっとマクロ的な、たとえば道路と航空と、それから鉄道と総合的に考えて、そうしてもうこれから国鉄の軌道については全部国の費用でやる、建設は全部国が。運営を国鉄にやらせる。そのぐらいの決意でなければ、社会資本、資源配分について、いままでのようなやり方ではもうだめだと思うんですよ。行き詰まっちゃっているんですから、幾ら口で言ったって同じことを繰り返すだけですよ。ここらの踏み切りができるかできないか。総理、いかがですか。  そのくらい飛躍しなきゃだめじゃないですか。土地問題だって、そうでしょう。私有財産を削らなくちゃならなくなるでしょう。制限しなきゃならぬ。いかがですか。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 木村君に申し上げますが、ただいま参考人佐々木日本銀行総裁が御出席になりましたから、お知らせいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんのおっしゃるように、国鉄の問題は、ひとり国鉄だけをとらえて解決できないです、これは。まあ貨物輸送の問題、また、航空機による輸送の問題、あるいは海運の問題高速フェリー、これをどういうふうに活用するかという問題、そういうものを総合いたしまして国鉄の位置づけをどういうふうにするか、そういう観点から、この抜本的な国鉄対策というものができるであろう。残念ながら、それが四十六年度予算の編成に先立ってできなかった。したがいまして、いま三つの問題点、こういう御指摘でございましたが、国鉄の対策がその三つの中で一番おくれた、こういうふうに考えておるわけでありますが、そういう発想の転換のもとに、国鉄問題これを解決しなければならぬというように考えております。その方法として、建設費はみんな国が負担するんだ、こういうような御提案でございますが、これは総合対策、これをよく考えて具体的な問題として処理しなければならぬ問題だ、いま直ちにここでそういう考え方をとるんだということはお答え申し上げかねます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まあ、発想とか構想の転換とかというのはけっこうです。これは企画庁長官も言っているんです。構想だけ転換したって実施が転換しなければだめなんですからね。  次に、米の赤字につき伺います。農林大臣に。池田内閣の昭和三十五年から九年までの農業生産性と、それから三十九年から四十四年までの農業生産性はどういうふうになっておりますか、伺います。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 農業の生産性でございますが、ただいまお話しの点を申し上げますと、農業基本法が制定されました三十六年を基点にいたしまして逐次他産業に比較して上がってまい一ております。たとえば主農業について三十六年から言いますと、二八・九、三〇・八、三〇・三、三一・五、三四・七、三六・〇、三九・四、ところが四十三年から三六・三、三四・一というふうに下がってきております。これは、御存じのように、米価を含む農産物価格の停滞等の事情もございまして、やや停滞ぎみでございます。そこで、私どもといたしましても、農業の生産性向上をはかりますためには、農業生産基盤の整備等を中心に公共投資の充実をはかることといたしまして、圃場整備事業、農道事業、畜産の需給、飼料基盤の整備、野菜果樹等の畑作振興のための土地改良などに重点を置いております。そこまで御要望がございませんでしたけれども、そういうふうな公共投資を増加してまいって生産性を上げてまいるようにいたしたい、こういう考え方で取り組んでおるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それから四十六年度の農業所得の伸びはどうなんですか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 農業所得の比率は、農業と兼業との比較を申し上げますならば、兼業のほうが五一になっておりまして、純粋農業所得は四六でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 農業所得の伸びは、どれだけ伸びておりますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 伸びでございますか、ちょっと政府委員から申し上げます。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 外部には公表いたしておりませんが、内部で検討いたしております資料によりますと、四十五年度から四十六年度の農業所得の伸びは三・二%というふうに推定をいたしております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それから農林大臣にまた伺いますが、総固定資本形成の中で、製造業と農業水産業との、これは三十五年、三十九年、四十三年、どういう推移になっているか。この全体の固定資本形成の中で製造業と農林水産、どういう比率になっておりますか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いま資料を持っておりませんので、政府委員からお答えいたします。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 農業の固定資本形成について申し上げますと、全体の中に占める農業の固定資本形成の比率がございますので、これを申し上げますと、昭和三十五年が六・一ということに相なっておりますが、四十年以降の比率を申し上げますと、四十年が五・八、四十一年が五・八、四十二年が、六・二、四十三年が五・八、四十四年が六・〇と、こういうウエートを占めております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 農業人口は、御承知のように、昭和三十九年に百九十四万減っています。四十三年に二百九十八万減っていますね。農業人口が非常に減ってるんですから、したがって農業に対する固定資本形成、これはもっと重点的にやらなきゃいけない、生産が上がらないでしょう。ですから、全体の資源配分として農村に対するこういう固定資本形成、資本の投入ですね、これは製造業におけるより非常におくれているんじゃないか。ですから、国鉄あるいは農業におきましても、設備投資重点的から社会資本重点的に移るには、そういう低生産性に対するいわゆる政府投資なり、これを重点的にやらなきゃいけないんじゃないか、その点が欠けているんじゃないか。だから、一番苦しんでいるのは、いま農林省、国鉄、みんなでしわ寄せを受けているいわゆる設備優先型ですか、この経済のあり方を、構造を変えていかなきゃいけない。変えるには、構想の転換だけじゃだめであって、まあ国鉄については、軌道部分は全部国でやれということを言いましたが、農業についても、土地改良とか、あるいはその他の灌漑とかそういうことを全部国がやるぐらいに思い切って投資しなきゃ、低生産性部門はその生産性を向上できないんじゃないか、いままでのようなやり方では。この点、農林大臣、どうですか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 低生産性部門といわれております農業、そこでただいまのお話は農業であろうと思いますが、私どもの仕事といたしましては、やはり農業というもの、それから農村というもの、農民というもの、そういう角度でものを見ていかなければならないではないかと思っております。したがって、ただいま御指摘のような農業につきましては、農基法が出ておりますように、やはり規模を拡大して、やはり能率のあがる、生産性の上がる農業を育成してまいりたい。しかし、木村さん御存知のように、わが国はやはり当分の間兼業が続くものであろうと思っております。したっがて、そういうものを総合的に考えまして、御指摘のように、農業それ自体の競争力を強化してまいりますためには、やはりお説のような土地改良、それからまた構造改善事業等も新しく十年間スタート、新しい計画で二千数百カ所をやることにいたしております。ことに、ただいま米の生産調整に伴って他作物への転換に対しては、お説のように、国は四十六年度の予算におきましてもかなりの投資をいたしておりますけれども、御指摘のようなことをしてまいることが一つ、もう一つは、やはり農民、農村を考えましたときに、兼業の人々——けさの新聞にも発表いたしておりますが、私ども去年来農村における人々の意識調査をずっと継続してやってまいりましたが、たいへん興味のある統計が出まして、そのうちの八五%は現状のまま農業をやっていきたいという多くの希望を寄せられております。そういうようなことを期待いたしまして、この国会にも御審議願います工業を地方に分散していくというふうな傾向、こういうこと等をも取り入れまして、お話のございましたように、私どもの低生産性部門については、やはりその生産性を上げてまいることが必要であろうと、そのように考えて、そういう方向で施策を進めてまいりたいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は次に物価問題について質問いたしたいんですが、その前にインフレ、物価値上げが経済的な弱者にしわ寄せされるという、そういう一つの具体例としまして、まず郵政大臣に伺いたいことがあるんです。  郵政大臣は、昭和四十一年に第五種郵便物が廃止されまして、その後、身体障害者団体から身体障害者団体の発行する定期刊行物を第四種郵便物として認めてほしいという陳情がなされていますけれども、これは昭和四十一年ごろからなされていると思うんですが、これを御存じでしょうか。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) そのことは承知をいたしております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 御存じですね。身体障害者の場合は、特に重度の身障者の場合、うちから一歩も出られない方もいるわけです。したがって相互に励まし合ったり、会報で唯一の生きがいである場合が多いわけです。「しののめ」とか、あるいは「心のともしび」とか、あるいはまた「羊の声」とか、こういう雑誌があるわけです。こういう会報を出して、そうしてお互いに慰め合っている、励まし合っている、こういう状況です。それが四十一年に百グラムまで八円で売ることができた第五種郵便物が廃止されましたために、数十ページのものを発行しますと、一冊四十円も五十円もかかっちゃうわけですね。そこへ今度のように郵便料金が値上げされますと、低収入もしくは無収入のこの人たちにとっては会費を上げることもできない、発行回数を減らしたり、中には廃刊せざるを得ないという団体も出てきているわけです。そこで、せめて第四種郵便物並みにしてほしいと言っているわけですが、第四種郵便物の料金とその種類はどういうものであるか伺いたいのです。

井出一太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(井出一太郎君) 第四種は御承知のように農産物の種子であるとか、あるいは学術刊行書でございますとか、そういうものを扱っておるんでありますが、いまの身体障害者——盲人であるとか、いろんな方々からそういう御陳情をちょうだいしております。そういうことも勘案して、今回の料金値上げにできるだけ低目にという配慮はいたしたわけでございますけれども、特に特別な扱いというわけにもいたしかねるという事情で、その辺はごしんぼう願うというお答えはしておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは私は血も涙もないと思うんですよ。というのは、いま通信教育は百グラムまで四円ですね。それから盲人用の録音したもの、あるいは点字用は無料なんです。無料です。農産物の種とかそういうものは六円です。それから学術刊行物が百グラムまで十円なわけです。それをどうしてこうした身障者の郵便料金を無料に、いわゆる盲人用の録音物あるいは点字用にこれを準じて無料にできないかというんですね。私はこれを読みまして非常に心を打たれたのです。この「羊の声」という中で、こういうことを書いている。「人間のための一つの価値の追求——そんな願いをこめて、この雑誌は生まれました。私たちは重い身障者です。足で地面を歩き、手で物をつかむことのできるのが人間だとするなら、私たちは人間ではありません。私たちは現実の中でもっとも弱い立場に置かれています。しかし、自分の生きる意味をみいだそうとして、少しでも努力するのが人間だとすれば、私たちはまさしく人間です。人間でなければなりません。そのことをみんなで確認するために、この雑誌は生まれたといってよいでしょう。あせらず、しっかりと続けましょう。」こういう創刊のことばなんです。私はこれを読みまして、盲人の点字並みになぜできないのか。これは私は厚生省がそういうふうに指定すればできると聞いておるんでありますが、小さい問題のようですけれども、私はこれを読みまして心を打たれたんですよ。ですから、小さいようですけれども、人間尊重の佐藤内閣はこういうところへ私は心を配っていいんじゃないか、あえて私はこの予算委員会の時間をさいて御質問するわけなんですが、総理あるいは担当大臣なりで、決意いかんですぐできるそうでありますから、この御答弁を願いたい。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 厚生大臣が指定をいたしますならば、それで学術書あるいはまた盲人の点字通信等と同じ扱いを受けるということでありますならば、これは私はぜひ指定をいたしたいと思います。しかしそうではない、つまり点字などの通信物につきましては、さあっと読めばすぐわかるというようなことがあって、認定しやすいのかもしれませんが、身障者の出されるものにつきましては、その認定の問題などがあるのかもしれませんが、私はもう大賛成でございますから、研究をいたしまして、郵政大臣とよく打ち合わせ、できることならお願いをいたすようにいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま予想をしたとおり、厚生大臣はお答えいたしました。私も心からお気の毒に思っておりますので、どういうような事情でそれができないか、よくひとつ取り調べた上で処置したい、かように思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 前向きでひとつ……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん前向きです。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 木村君にちょっと申し上げますが、佐々木日本銀行総裁は大体十二時ころに御退席になる予定だそうでございますから、お知らせいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それではそういうふうに進めましょう。  日本銀行総裁に伺いますが、私が調査したところによりますと、四十六年度のいわゆるインフレ・ギャップはやはりかなり残っている。大体三千三百億ぐらい——四十五年度では多少減りましたけれども、かなり残っております。そういうもとで、これはあとで質問しようと思ったんですけれども、非常に大型予算を組む、日本銀行は公定歩合を下げるあるいはまた金融等も緩和する、この影響です。三千三百億以上の、たとえば私の計算では三千三百八十億、前年度が三千八百二十億ですから、これはかえってインフレを激化させるんじゃないかと。それと、それじゃそういうふうに金融緩和をしなければ不況が続いてきて、それでこの企業に赤字が出たり、倒産が出ては困る、その辺はどう考えておるんですか、その点を伺いたいのですが。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) 最近の経済情勢は、去年の秋からの落ち着きをずっと持続しておりまして、むしろその落ち込みの早さが心配されているような状況でございます。ただいま御指摘のございましたインフレ・ギャップにつきましては、具体的な数字の検討はいろいろ立場からの見方があると思いますけれども、現在の日本銀行券の伸び率等を考えますと、インフレーギャップは漸次小さくなってきておると思います。それで、現に卸売り物価は二月には前年の同期、昨年の二月に比べて水準が低下しておるような状況でございましてそういう面では生産者に関する限りインフレーション——物価上昇はもうとまっておると考えてよろしいかと思います。ただ、消費者物価のほうはいろいろな事情でまだ上昇が続いております。東京の消費者物価だけは二月にすでにやや落ち着いてまいりましたけれども、総体としての上昇は続いておる。そういう中で全体のインフレ的な傾向をどうやってとめるかということが現在の問題でございますが、最近の資金需給の状況を見ますと、銀行の貸し出しは増加には転じておりますものの、まだ需給の関係は相当タイトでございまして、資金の需要がまだ充足されるには至っておりません。こういう点を考えますと、予算の面でいわゆる大型予算が組まれましても、そのバックにあります国債の発行額は昨年度の当初予算と変わっておりませんし、総体の予算の中における比率も下がっておる、国債の発行額の比率は下がっておるような状況でございます。そういう意味で、いまのような金融緩和の状況がこの大型予算の実施と相まって、特に景気を刺激するとこれがインフレを強くするというような心配はないものと考えております。もちろん金融は機動的に運営しなければなりませんので、今後の総需要の変化が物価その他にどういう影響を及ぼしますか、その点については常に慎重に考えておかなければなりませんので、金融の面における弾力的な運営、これは十分われわれとしては今後情勢の変化に応じて運営しなければならない、こう考えておる次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その不況対策としまして財政なり金融なり、そこでてこ入れやりますね。そういう場合、日本の二重構造のもとでは重化学工業方面、そういう方面には資金なり資材なり、労働力が多く流れていく。そうして、景気を浮揚させる。しかし、そうなると低生産性部門はどうなるか、日本の場合はいわゆる重化学工業と高生産部門と低生産性部門と二つありますから、そこで、景気政策を行なって、それでいわゆる重化学工業のほうの損害を埋めようとすると、そういう政策をとると物価が上がる。どうしても低生産性部門には資材が行きませんから、生産性が回復しない。どちらを選ぶかで、あるいはこの企業の採算を回復されるほうに重点を置くのかあるいは物価対策のほうに重点を置くのか、いわゆる低生産性部門にかなり重点を置いて、そうして、財政金融をやるのか。どちらを重点を置くかを、これを金融当局としてはどういうふうに考えておりますか。これは非常にむずかしい問題ですけれども。ですから、財政金融で景気は回復させる。しかし、物価は上がる、こういうことになりますね。その点物価の安定とどっちを選ぶか。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) ただいまの問題は、確かに非常に困難な問題でございますが、先ほどもちょっと卸売り物価指数の安定の例を申し上げましたけれども、これはいままでにおける重化学工業における高い設備投資が生産力化して、供給が増大しておることが背後に働いておると思います。したがいまして、たとえば被服の例をとりますと、被服の生地のほうは、値段がだんだん安定してきてまいりました。ところが加工賃のほうが非常にに上がってきておって、消費者物価に組み込まれております被服の価格が急上昇しておるような状態でございます。したがいまして、被服の加工をどういうふうにして生産性を上げるかということになると思いますけれども、こういう性質につきましてはそう規模の拡張だけでは、なかなか生産性が上がりません。個々にどうしてもそれぞれの嗜好に合わせた小規模の生産でやらざるを得ない。そういう中小企業に、そういうものが適当な分野であると言わざるを得ないと思われますが、そういうところに、どういう設備の資金を供給すればいいのか。その点がなかなかむずかしいところだと思います。今度の引き締めの過去を振り返ってみますと、中小企業の資金の供給はわりあいに潤沢に行なわれておりました。最初に大企業の資金が窮屈になってまいったわけでございます。引き締めの終わりごろには、中小企業もだいぶ苦しくなってまいっておりますけれども、総体としてみますと、今度の引き締めを通じまして中小企業に対する資金の供給はわりあいに行なわれておったというふうにみられるかと思います。したがいまして、もちろんその物価に対してどういう対策をとれば安定するかということについては、個々にきめのこまかい対策が必要であると思いますけれども、いまのお話のように、どちらに重点を置くかということにつきましては、一方の生産財その他の大企業の生産品についてはある程度すでに効果が出てきておりますので、今後はそういう物価関係のほうに力を注いでいくということに、そのときそのときの状況に応じた重点の変化ということは、これは必要ではないか、こういうふうに考えておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間がもう十二時ですから簡単にあと二つだけ伺いたいのですが、アメリカの低金利の影響それからアメリカのインフレについてどう考えているかですね、アメリカのインフレを輸入されていると言われますが、そういう問題ですね。それから最近円がロンドン市場で非常に高くなっておる。上限に取り引きされるようになりました。これはずっと長く続くと、円の実質的な切り上げみたいになってきますから、これをどういうふうにお考えか、この点伺いたい。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) ただいまお話がございましたようにアメリカの短期金利の低下は最近きわめて急速でございまして、われわれとしても予想外の低下に驚いておる状況でございます。アメリカ当局の説明によりますと、資金の需要が非常に少ないために、需給関係が緩和して低下しておる、こういうことでございます。われわれは今後どういうふうにその金利の推移がなりますか、注目しておるところでございますが、世界各国同じようにアメリカの金利の低下の影響は受けておりまして、日本の場合にも多少そういう面からアメリカの金融機関からの借り入れをふやそうという動きが出ておることは事実でございます。しかしながら、それが日本の経済の運営あるいは国際収支の面にさほど大きな影響を及ぼすものとは考えておりません。いまはその推移を見守っておるという状況でございます。  次に、アメリカのインフレーションの問題でございますが、いまはわれわれが外から見ておりますところによりますと、アメリカ政府並びに金融当局はアメリカの経済を上向かせる、失業率を下げるという点に重点を置いて政策の運営を行なっておるように思います。最近のアメリカの卸売り物価指数はやや上昇ぎみでございまして、いま御指摘のありましたインフレーションを大きくしないで、景気の上昇がはたして可能かどうかは、なかなか判断がむずかしいところでございまして、ここがアメリカ政府当局その他の苦心の存するところであろうかと思うのでございます。  それから円の相場の上昇の問題でございますがこれは最近日本の国際収支がよろしいものでございますから、東京市場におきましても円の相場は相当強くて、IMFのきめました相場のワクのいつも大体上に近いところにきております。これは日本の国際収支が好調であります間は、どうしてもそういう傾向が続くと思いますが、しかしながら、これは上のほうに相場が位置しておることが、そのまま円相場の切り上げに結びつくものではございませんで、その問題はむしろ基本的に日本の国際収支が今後どうなるのか、ことにいまの貿易収支の好調というものはここ数年になって初めて起こってきたことでもございますし、これがどういうふうに定着するか、これについてはまだ慎重な見方も必要であろうと思いますし、さらにまた後進国援助その他われわれとしても今後国際収支の支払いのほうを相当大きくしていく必要もあろうかと思います。そういうものを総合的に勘案いたしまして、日本の国際収支の総合的な動きをどういうふうに調整していくか、そういう形でとらえるべき問題であろうかと思います。当面の偽替市場における相場いかんでそういう問題が直ちに触発される性質のものではないと存じておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは佐々木総裁よろしゅうございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 佐々木総裁に申し上げますが、御多用のところを御出席いただきましてありがとうございました。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいま日本銀行総裁にアメリカのインフレの質問をしたのですけれども、これについて大蔵大臣とそれから外務大臣にちょっと伺いたいんですよ。それはアメリカのドルは日本の円と違いましてキーカレンシーでしょう。どこの国でも通用するわけです。ところが、アメリカがどんどんそれを増発してベトナム戦争の戦費をまかなうと、そういうことをやると、とにかくよその国にインフレを輸出するということになりますね。そういうことになると思います。だから、これについては、いずれよその国はどんどんドルがたまる。ところがアメリカは、OECDあたりでも問題になっているそうですけれども、あるいは最近のニクソンの外交教書でも、黒字国を非難しているんですよね。この点私は、アメリカ自身のビヘービアをこれは変えなければいけないと思うのです。ベトナム戦争に、キーカレンシーであるからどんどん戦費をドルで調達して、よその国から買ってよその国にいずれ持ち込むと、これに対して外務大臣は、こういうアメリカの財政経済施策について一応何か警告するとか、これはもう日本だけではないんですよ。よその国でも問題になっているそうですよ。とにかくこれはベトナム戦争に一つ原因があるわけですよね、大きな。こういうことについて何か抗議なり、あるいはまた忠告なり、そういうことを言う気持ちはないのかどうか。  それから大蔵大臣は、このアメリカのインポーテッドインフレションですね、これは。日本の最近につきましては、アメリカのインフレが日本にかなり影響を及ぼしている、国際的側面からのインフレの日本の促進ですね、これをどういうふうに考えておりますか、この点について伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アメリカは、いま日銀総裁から話がありましたが、非常に苦しい立場だと思います。ただ、木村さんが御指摘のベトナム戦争、これが非常に影響している、これは事実だと思いますが、これはだんだん減ってきているようです。一時は二百八十億ドルなんというような見方もありましたが、大体半分くらいのところに今日きているというふうに私は見ておるのです。なおこれは漸減するだろうという見通しを持っております。ですから基礎的な、非常に根本的なアメリカの困難の一つは解消の方向にきておると、こういうふうに見ますが、それにいたしましても、いま困難な状態に立たされておるということは失業率です。これが六%になっておる。これは非常にアメリカとすると異常な事態でありまして、これを何とか解消したいと。完全雇用失業率、これが幾らかというと四%である、その辺までぜひ持っていきたいという気持ちがあるようでありますが、そうすると、どうしても景気政策をとらなければならぬ、そういうようなことからもう五回にわたる金利の引き下げを行なっております。また、貸し出し、これも通貨の増発量というものをゆるめに、弾力的に見ていくと、こういう政策をとっておる。それから財政支出、これも百億に余る赤字を確保して拡大をすると、こういう政策をとっておるのでありますが、さて、そうなりますと、今度は物価にどういうふうにはね返るか。物価が、いまお話もありましたが、卸売り物価は上昇ぎみだ、四%内外。で、消費者物価は六%も上がる、そういう状態になる。そこで非常に苦しい立場に立っておる、こういうふうに見るわけでありますが、何と申しましても、アメリカはキーカレンシー、ドルの国である、そういうことから見ますと、世界経済全体の立場から見まするとどうしてもアメリカの経済を正常化していく、そしてドルの価値の安定というものに努力をしてもらわなければならぬ、こういうふうに考えております。  昨今、政府内外で、どうもアメリカの赤字は黒字国にも一半の責任があるかのごとき言動が行なわれておるようでありますが、これは私はあなたと同様、おかしいと思うのです。やっぱりアメリカ自身が姿勢を正す、これが基本である、キーカレンシー国の責任である、こういうふうに考えるわけでありますが、ぜひアメリカのインフレが適正におさまってもらいたいということを期待しております。それから、それにもかかわらずアメリカのインフレが進行する、それに伴いましてわが国の対米輸出、これはだんだんとその地位が強化されるわけであります、また対日輸入、これは抑制される、こういうふうな傾向になると、こういうふうに見ておりますが、同時にアメリカのインフレが、日本に対する輸入を通じまして、わが日本にも押し寄せてくる、そういう傾向を持つわけであります。ですから、わが国といたしましては、アメリカのそういう経済の影響をどういうふうに遮断するか。やっぱり企業の近代化、合理化、これをどんどん、どんどん進めていく、こういうことですね。これが大事なことであろう、こういうふうに考えておるのであります。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 大体お話が尽きたようで、私から特に申し上げることもないようにも思いますけれども、やはりアメリカの経済財政、あるいはそのほかのいろいろの状況というものは、特に日本との関係はきわめて密接である、それからまたキーカレンシーであるということにおいて、他の世界各国との間の関係から見ましても、非常に重要なファクターでございますから、われわれといたしましても非常な大きな関心を持ってアメリカの政策の行くえというものを常に見ておる次第であります。特に日本としては、たとえば今年もこの九月にはぜひ、日米経済合同委員会を開くことになっておりますし、それからその前に実は。ハリでOECDの会議がございますが、これもアメリカも相当の首脳部が出ることになっておりますから、そういう機会をできるだけ活用いたしまして、ただいま抗議というような趣旨のお話もございましたが、アメリカと日本の間の関係でございますから、常時密接に意見交換をして、そして双方がよくなるようにしていきたいと思っております。  それから、いま、最近の外交教書にお触れになりましたけれども、特に黒字国をこの教書で非難しているというよりは、むしろこれは、私が少し同情し過ぎて見ているのかもしれませんけれども、アメリカ自身の、いまも御指摘がございましたが、ビヘービアについてかなりの何と申しましょうか、まじめな態度をあらわしているように私は読み取りまして、それがほんとうに正確に動いていくことを期待しておるわけです。それから同時に外交教書では、他の国々の経済の興隆が相当すばらしいところがあって、そういうところにも協力をぜひ頼みたいと言っておりますが、これの意味するところは、たとえば日本を大いに意識しているだろうと思います。  それから、さらに、国際機関を通じて開発途上国への援助、この点は、たまたま日本政府の考え方と私は同じだと思いますが、日本としては、たとえばアジア開銀というようなものも例にあがると思いますけれども、マルチの国際機関を通じての後進国への援助というものが私は一つのたしかにいい方法ではないかと思いますが、そういった考え方にも、アメリカとしても取り上げてきたことは私は喜ぶべき現象ではないかと思っております。  それからなお、最近の状況ですけれども、これはもう御承知のとおりですが、六九年と七〇年を比べてみますと、たとえば貿易面で申しますと、アメリカの貿易上の黒字は十二億ドルから二十七億ドルに増加しております。それから、彼らは流動性国際収支と言っておりますが、そのマイナスが七十億から三十八億ドルというふうになっておりますので、傾向としてはこの一年間の傾向は従来よりもよくなっているのではなかろうかというような見方もできるかと思いますけれども、いま申しましたような態度で今後とも十分アメリカとの間には密接な協議をしてまいりたいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは、日本に対する影響だけではなく、世界的に重大な影響がありますから、このキーカレンシー国としての責任をやっぱり感じさせるように私はしなきゃいかぬと思いますが、いまOECDの話がありましたが、OECDでは、最近の新聞では、二月二十六日に経済政策委員会のインフレ作業部会で円の切り上げを含む日本のインフレ対策につきまして何か聴取をするというような新聞報道がありましたが、日本でOECDに行きましてそういう話し合いをされたのかどうか、報告でもされたのかどうか伺いたいのですが。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そういう円の切り上げというようなことを日本の立場において、そういうことがOECDにおきましても議題とし、あるいは話し合いの話題になるというようなことには全然参加しておりません。先ほどもいろいろお話が出ましたように、よその国の中で一部円の切り上げということを学説的にとでも申しましょうか、そういう立場で言っている者もないではないことは御承知のとおりでございますが、政府としてはさような考え方を毛頭持っておりませんし、またかりに一部の学者その他の外国の人がそういうことを、意見を公開しておるとすれば、あらゆる機会に日本の立場というものをよく説明し、説得する必要がある、かように存じております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと——日本の円切り上げ問題は、これは非常にわが日本とすると重大な問題です。そこで、私も、これはまあ諸外国がどういうような動向かということを注意深く見守っておるのですが、この間、大蔵省出身者にして外務省に出向しておる、在外公館に勤めておる、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この専門家というか、大蔵省出身の役人も招集して、どういう状態だということをつぶさに聞いてみたのです。そうしますと、これはいろいろ評論家的な意見は聞きますと、しかし、私どもが接触する、まあ政府要人あるいは民間の有力者、それらの人々は一致して、日本はいろいろな議論はあるようだが、日本政府はもう円の切り上げなんかしっこないよということを固く信じておるという報告がありました、このことをひとつつけ加えさしていただきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 次に、物価問題につきまして、最近ことに物価値上がりの大きな原因としての野菜の値上がりについての追跡調査を政府はやったようでございますが、その結果をひとつ、どういう結果が出たか報告してもらいたいのです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 追跡調査を学識経験者等にお願いをいたしまして、調査会それからその下部機構で追跡をいたしました。従来と変わっておりませんです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 じゃ、事務当局でいいですから内容を、これ、資料あるのですよ、ちょっと説明してください。

太田康二農林大臣官房長

○政府委員(太田康二君) 先般、野菜の流通段階別の価格の追跡調査をいたしたわけでございますが、ただいま大臣が申されましたように、従来実施いたしましたと同じような結果が出ておるわけでございまして、各段階別のシェアを申し上げますと、十一品目の平均で、産地段階の生産者手取り額が五一%、出荷経費が一三%、それから卸売り段階の卸売り手数料が五・九%、小売り段階の卸、小売りの価格差、いわゆる小売りの手取りになるわけでございますが、これが三〇・一%、こういう結果に相なっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その結果として、生鮮食料品に関する物価対策はどういう結論を導き出したのですか。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、去年の暮れの天候、それから干ばつ等で、一時的に上昇いたしました。それで、春ものが出るようになりまして、ただいまのところは、御存じのように、大体安定してまいりましたけれども、総括して私ども把握いたしました状況から申しますというと、最近、この生鮮野菜の需要と供給のアンバランス、こういうことを見のがすことはできないと思います。ことに、最近は、普通の家庭でも施設ものを非常に希望される傾向が多くなってまいりました。御存じのように、最近発表されましたFAOの統計などによりましても、日本人というのは一日三百九十グラム摂取するというのでありますから、世界で第二番目であり、イタリアが四百三十グラム。アメリカなどは日本の六割しか食べておりません。そういうふうに、野菜の需要が非常に増加してまいりましたので、私どもといたしましては、四十六年度予算でもお願いいたしておりますように、指定野菜産地を六百四十にふやします。御存じのように、指定野菜地域を指定いたしましても、野菜でございますから、すぐに効果は出てまいりませんけれども、逐次需要に見合う生産をするように、同時にまた、生産地と消費地とのバランスをまたとっていかなきゃなりませんので、大きな消費地としては全国で二カ所をさらに追加をいたします。そういうようなことで、生産に対しては特段の力を入れ、また、価格補償の制度も充実していくようにいたすことが必要であると、そういう方向をとっておりますが、もう一つは、しばしば問題になっておりまする流通機構について、私どもは、この国会でも御審議を願っております卸売市場法等についての御審議で詳しくいろいろお尋ねもあることと思いますが、あの法律によりまして、かなり中間のロスを節約し、合理的にマーケットが運営されるように仕組んであると思っております。したがって、この卸売市場法等を含めた取引関係について十分に合理的にいたすようにしなければならないのではないか。つまり、生産と消費の、バランスをとるように生産をさらに増強することと、価格補てんについて考えてやることと、それから取引の改善について力を入れることが必要ではないかと、まあこのように考えて、施策をそういう方向に向けておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まあお話はわかりますけれども、この追跡調査の結果、流通段階に問題があるということがわかったのか、生産段階に問題があるということがわかったのか、この結果からどういう結論を導き出したかというのです。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 簡単に申し上げますと、生産の段階においても需要と供給のアンバランスということにどうも気がつきます。したがって、それに対応するようにしなければなりません。もう一つは、流通機構をかなりやはり合理的に運営のできるようにいたしたいと、このように考えておるわけであります。ついでに申し上げますが、したがって、産地直結というふうな、このごろしばしば各地でも行なわれておりますが、こういうのは、品ぞろえがなかなか困難であるということ、お金の支払いに問題が生じておるというふうなこともありますけれども、やはりこういうやり方も助長していくことが必要ではないか。これは、農業団体等とも、それから生協みたいなところも、かなりいろいろな話し合いをしている向きもございますので、そういう傾向はやはり私どもとしても助長いたしていくことがいいのではないかと、こういうようなことを気がついているわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは結論としての対策に異論はないのですが、ただ、流通段階にいままでかなり問題があるといわれていましたが、われわれ聞くところによりますと、たとえば八百屋さんなんかは、大体一軒が二百軒ぐらいのお得意さんを持っているそうですよね。そうして、その野菜物の値段が、その八百屋さんが一カ月に生活するその費用をもとにして大体値段がきめられているということを聞いたんです。そうなると、この生鮮食料品の値上がりについて、小売り商をたたいても、実際生活から割り出してそこに値段がきまってくるということになると、やはり問題は生産段階に相当問題があるということになると思うんですよ。もちろん、流通機構の段階にも問題がないわけじゃありませんけれども、だんだん追跡調査の結果調べていくと、そういう生活費を中心とする野菜の値段、小売りなんかではですね、ということが明らかになってきておりますから、そういう点を考慮して対策を講じませんと、単に小売りばかりをたたくということになると、私は弊害が生じてくると思う。だから、問題は、やっぱり生産段階、それには、そこに、いまお話しのように、価格補償の問題も、また投資の問題もありますが、そういう問題意識で取り組む必要があるのじゃないかと思うんですけれども、もう一度その点を伺いたい。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 流通段階の、ことに小売り段階について、たいへん御理解のあるお話をいただきまして、私どもとしては、実は、小売りというのは、これはかなり調べてみましたけれども、家庭の主婦が、最近たとえば都内の烏山方面で調査いたしたところでもそうでありますけれども、百メートルから千メートル以内の買いものをなさるというのが全体の八〇%近いものであります。そして、毎日少量ずつお買いになる、二百円か二百五十円。しかも、それは、小売り屋といいましても、五十品目ぐらい並べておきませんというと、お得意は来ないのだそうであります。小売り屋さんは東京都内に何万とございますが、この方々の経営を見ておりますというと、ことに最近は一・七家族構成から二ぐらいなんで、それでしかも小さな人一人使っても最近は労働賃金が上がってきておりますので、なかなか苦しいわけでございます。したがって、追跡調査をいたしましても、私どもとしては、なるべくその合理化ができるように、それから数年前にそういう小売り屋さんに金融をすることにいたしましてそして合理化等をやってもらうようにはやっておりますけれども、生産にもかなり問題があることは御指摘のとおりであり、私どもも考えておりますが、たとえば大根だとかゴボウだとかというような根菜類の根の深いものというのは労働力が非常にかかるわけでありますから、そして、その一日の手間が千三百円やそこらではほかへかせぎにいったほうがいいという感じをお持ちになるわけでありますから、この間テレビで見ておりましても、植木屋さんとか大工さんの手間が四千数百円というのを見ておりますと、野菜づくりの人にばかばかしくなるというような感じを持たせたのではたいへんでございますので、やはりそういうところに私どもも深い同情と理解を持って生産にいそしんでいただくためにはどうしたらいいだろうかということでございます。私どもは野菜産地から出ておる代議士でございますので、特にそういうことを考えるわけでありますが、これは国全体から見てもいま全国六百四十カ所も指定して主力を注いで米作の転換をしておる最中でありますので、御指摘のように、私は、喜んで野菜の生産に取り組んでいただくような仕組みを考えて助成していくということが必要ではないかと、そういうことで真剣に取り組んでおりますので、ひとつ御協力のほどをお願いいたしたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 四十五年度の消費者物価の値上がりですね、実績がどうなるのか、あるいは四十六年度の消費者物価の見通し、これについて伺います。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 四十四年度は、御存じのように、政府の改訂見通し七・三%という見通しを立てております。大体七・三%前後のところに行くんではなかろうかと見ております。それから昭和四十六年度の分は、御存じのように、経済見通しにおきまして五・五%という目標を掲げておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣、その程度でいきますか。さっき言ったようにインフレギャップは相当かなりありますし、積極財政、それから金融を緩和すると。だから、景気は立ち直っても、物価はもっと上がるんじゃないですか、これ以上に。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 景気が過度にまたぶり返すということに相なりますると、物価はなかなかむずかしくなると、こういうふうに思いますが、私どもは、昭和四十六年度は、一〇%——まあ一三%という最近の傾向から見るとかなり落ちる勢い、これをねらっておるわけです。財政もお許しを得て機動的に運用するということでありまするし、また、金融政策のほうにおきましても、もし万一過熱の動きがあるというようなことに相なりますれば、これは抑制ぎみに運用しなけりゃならぬ。財政、金融、そういう施策相まって、私は一〇%成長ということをぜひ実現をしたい、そういうふうに考えております。また、いまかなりの落ち込みに来ておると、こういうふうに思いますが、一〇%成長ということになると、今日この時点よりはかなり上がるわけでございますが、しかし、それも、つま先上がりにだんだんと上がっていくというふうな財政、金融の誘導政策、これを徹底いたしまして物価政策にそごなからしめたいと、このように考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 四十六年度の消費者物価値上がりを五・五%と押えた、その積算の根拠を……。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 御存じのように、きわめてマクロ的な数字であります。したがって、積み上げたものではありませんけれども、私たちは十分これを実現する自信を持っております。御存じのように、四十四年から非常に物価が上がりだしました。四十五年も御存じのように七・三%ということになるのでありますが、これを四十四年と四十五年を比較いたしてみますると、木村さんも御存じのように、いわゆる前年度の影響、すなわち、げたというものを全然除いた年間の純上昇率、その年間だけの純上昇率を見ますると、四十四年の四・二%に対して四十五年は三・三%になっております。四十五年の七・三%というのは、したがって、四%のげたに三・三%の年間上昇率が加わったものでございます。こういう意味において、四十五年度はまだ過去の高度成長の影響というものがきわめて濃厚に出ておったわけであります。先ほどお答えいたしましたように、私どもの見通しの七・三%前後ということに四十五年度が相なりますると、四十六年度に対する影響は二・五をちょっと上回る程度になります。でございますから、五・五%といたしましても、年間上昇率三%というゆとりを持っております。まあ今後、もちろん、先ほど農林大臣からお話がありましたように、最近の値上がりの最も中心的な役割りを果たした生鮮食料品、これの帰趨というものが非常に重要でございますけれども、一生懸命努力いたしまして、逐次供給の安定化も実現されつつございますし、特別の事態のない限り生鮮食料品の価格というものも安定してまいるであろうと思うのであります。なお、最近における手間賃の上昇を理由とするところの値上がり、これについても十分注意をいたさなければなりませんが、総体として大体五・五%という目標を達成できるもの、こう考えておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 政府が発表する総理府統計局による消費者物価指数の値上がり率は、実際の物価の値上がりを反映していないんじゃないですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) これは、現在として考えられる最も広範なマクロ的な統計でございます。この統計は十分信頼を置くべきものであろうと思います。ただ、木村さんの御指摘は、おそらく最近の生鮮食料品を中心とするところの生活必需品の値上がりというものの感覚と必ずしもぴたりこないと、こういうお話かもしれません。もしそういうことでございますれば、これは、全体の物価指数の中の生鮮食料品、あるいはそうした関係の分を取りますれば、もちろんそこにちゃんと数字としては出ているわけであります。しかし、実際問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、食料品以外の経費もますますふえてきておる際でございます。これを総合的に見ますると、どうしてもああいう数字が出てまいる。それからもう一つ、先ほど議論がすでに出ましたけれども、今日の消費構造の変化というものはまことに激しいのでございます。ところが、今日の物価指数は、四十年のときの消費構造、したがって各費目のウエートというものを前提にして出してございます。これは技術的な約束でございまして、政府が別に意図的にやったわけではございません。それで、このたび四十六年度の新しい指数からは、新しいごく最近の消費構造、消費ウエートに基づくところの数字に、五年ごとの改定の結果として当然四十六年からなってまいるのでございます。したがって、この問題については、五年ごとに指数を変えていく、ウエートを変えていくということは適当ではないんじゃないか、長過ぎるんじゃないか、こういうことが物価安定会議等でも提言されております。そういう意味において、毎年変えるというのも継続性の見地からどうだろう、一年置きぐらいがいいんじゃないか、いろいろと目下そういう点については総理府においても検討をしておるところでございます。いずれにいたしましても、総体的なマクロの数字としてはきわめて客観的のものである。ただ、最近の季節商品の値上がりのために、やや感覚的にぴっとこないものがあると、こういうこともごもっともでありまして、私たちは、そういう意味においては、全体の数字とともに、そういう季節的なもの、食料品的なものを取り出して一般に周知できるように、これはできるだけ今後つとめてまいらなければならない、こういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 物価安定政策会議でも、いまの総理府統計局の物価指数につきまして、改善すべき点が多々あることが指摘されていると思うんですよ。どういう点ですか。それからわれわれがたとえば消費者団体連合会やあるいは第一銀行の調査等から見ましても、かなりそこにギャップがあるんですよ。単に感じだけじゃないんです。計数的にも出ていますから。その点はもっと具体的に、改善すべき点がこうこうあるんですから。たとえば、土地価格が入っていない、あるいはまた牛とか豚肉の並み肉が入っていない、ブラウス、一般書籍、私立大学の理工科系の授業料が入っていないと、いろいろ指摘されているんですよ、不十分な点が。あるいはまた、調査方法、それから調査に質、量の変化を反映していないとか、いろいろあるんですから、それについて十分に検討して、実際に、ただ感じじゃなく、やはりもっと計数的に明らかにして、国民にそうじゃないんだと、不備な点はこういうところにあったんだけれどもこういうふうに改善されると、はっきり実際の値上がりを反映するようにしませんと、これは単に物価値上がりじゃなくて貨幣価値の低下なんですから、これが影響するところは非常に大きいのです。その点を伺いたいことと、もう一つは、最近貨幣価値の低落のほうが銀行預金より高くなっている。これは異常な状態です。こういうことを放置しておいていいのですかどうですか、伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 物価が上がるから預貯金の金利を引き上げろと、こういう議論もありますが、これはもう際限のない問題だと、私は、物価を押えるという方向に取り組む、そして物価よりは預貯金の利子のほうが高いのだという状態を出現する、これが本筋であると、こういうふうに考えまして、その方向で努力をいたしたいと、かように考えております。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 統計局はただいま作業中でございますが、木村先生のおっしゃいますような、そういう品目に対する指摘等を受けまして、大体現在三百六十四品目についての改定を四百品目ぐらいまで広げたらということで、さらにカラーテレビ等も取り入れるような方向とか、あるいは持ち家等をどのように取り入れていくか。アメリカみたいに購入価格そのものずばりを入れている国や、あるいはドイツのように償却を入れているもの、あるいはイギリスのように借家に置きかえているもの、いろいろありますので、こういう点を審議会等の御意向を承りながら、国の政策のただいま申されたような盲点が生じないように、五年に一ぺんの現在は前提による改定でございますから、相当長期的な議論にたえられるようなもので、現時点の議論で取りこぼしのないように十分配慮して資料作成に当たりたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、大蔵大臣は、貨幣価値の低落のほうが銀行預金利子より多くならぬようにすると言いますけれども、実際になっているんです。それをどうするのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十五年をとりますと、まさに木村さんの御指摘のような状態で、非常に私は残念に思います。それにもかかわらず預貯金はふえております。そこで、結果的には救われたような気持ちでありまするけれども、しかし、これは預貯金者に対しまして申しわけないことである。そういうことを考えますと、何といっても物価の安定という方向に努力をしなければならぬ。逆に預貯金の金利を上げる、これはまた逆に金融機関の貸し出しの金利を引き上げるというようなことに追い込まれるわけであります。また同時に、これをときどき簡単に動かすということは、金融金利系列、こういうようなところからなかなかむずかしい問題で、そう機動的にはできません。そういうようなことを考えまするときに、どうしても物価の安定、これに努力をしなければならぬと、かように考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 次に、物価と賃金との関係について伺いたいのですが、政府は、高成長だから多少の物価が上がってもいいじゃないか。つまりフィリップ曲線、トレードオフ曲線ですかね、そういう考え方が支配しているのじゃないんですか。それを正しいと思っていますか。いま、そういう観点からこの物価、賃金の問題所得政策等考えているのですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) フィリップ曲線というものは、今日までわりあいに、何というか、妥当であったとし、しかし最近、先進諸国においては必ずしもそれが妥当しないと、こういうような議論は御存じのとおりでございます。そういう学説はともかくといたしまして、私どもといたしましては、高い経済成長というときにはどうしても高い賃金上昇を伴ってくる。そういうことから、これはやはりできるだけ安定成長の路線に持ってまいる。成長が安定的な路線に抑制されてまいりますれば、当然全体のバランスの中において賃金も決定されるべきである、されるはずである、そういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 アメリカにアクリー委員会というのがありますが、アクリー方式というのはどういう意味か御存じですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) アクリー方式というのは、私存じません。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) アクリー方式というのはどうかしれませんけれども、アメリカでは二つ所得政策らしいものを打ち出しております。  一つは、生産性委員会、これは労使が集まって生産性、賃金の関係を検討する、こういう委員会です。それからもう一つは、政府が打ち出している所得政策、つまりこれはアラームポリシーともスポットライトポリシーともいわれますが、非常に重大な問題があったときに、政府は、賃金、物価、企業、そういうような問題をどういうふうに解決するかということについて警告を発する。  この二つの方式ですね。そのどっちがアクリーなのか、あるいはいずれもアクリーに当たらないのか私存じませんけれども、その二つがアメリカにおいてとられている政策であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 政府は口を開けば所得政策とかなんとか言っていますが、その基本になっているのはフィリップ曲線だったんでしょう、あるいはトレードオフ曲線が背景にあったわけですね。それが最近の情勢では行き詰まっちゃった。これはフィリップ曲線自体がもうすでに間違っているのですけれどもね。それにかわる物価と賃金との方式については、前のケネディ時代の大統領経済諮問の委会員アクリー教授ですよ。これが委員長になってですね、賃金と物価との関係については、生産性と企業の分配と、これを条件として考えなければいけないというのがアクリー方式ですよ。こんなに問題になっているアクリー方式も勉強していないんじゃ困りますよ、経済企画庁が。いま、近代経済理論としては、物価と賃金との関係ではアクリー方式なんです。だから、生産性が上がれば賃金を上げても物価にはね返らない、企業の利潤のほうを食い込めば、賃金を上げても物価にはね返らない、そういう方式なんですよ。いままで、賃金上げたらすぐ物価にはね返るというのがトレードオフあるいはまたフィリップ曲線であったんです。これはもう、だから訂正しなければならぬ。どうなんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) フィリップ曲線が今日妥当しないかどうか、これはいわゆるスタグフレーションを起こしておる欧米の先進諸国と日本ではだいぶ事情が違うと思います。御指摘のように、先進諸国におきましては、一方において高い失業率が出現し、そして同時に経済成長もきわめて低成長である。それでいながら、一方において物価に並び賃金が非常な高さで上昇をしておる。こういう事態でございますから、そういう国において今日フィリップ曲線の妥当性が議論になるのは当然であろうと思うのであります。しかしわが国においては、まだまだ、御存じのように、欧米先進諸国のようなスタグフレーションにはなっておらないと思います。今日多少の不況感というものがございますけれども、まだまだ経済成長率一〇%前後という高い成長を実現しておるわけでございます。したがいまして、これを国際的な意味での不況という観点からいうのは、ちょっと行き過ぎるであろうと思われるのであります。そういうことで、今日において必ずしもこの問題は明確でありません。非常に理論闘争のあるところでありますけれども、それはさておいても、私どもといたしまして、現実の問題といたしまして、今日、特に昨年の秋に行なわれました物価上昇は、やはり昨年の春闘等の影響もあり、手間賃の引き上げという理由でもってどんどん物価に転嫁されてきた。この事実を見のがすわけにはまいりません。そういう意味におきまして賃金と物価とがきわめて密接な関係にある。それでありますから、私どもといたしましては、十分その動向には注目を払っております。そうして、成長が伸びる際にはよろしいのでありますが、成長が落ちてくる段階において特にこの問題が重要になってまいります。木村さんも御同意の安定成長の路線に参っている英国の労働組合は、賃金を上昇させるためには経済成長をもっと高めろと、こういう要求を出しておる点にもあらわれておりますように、やはり成長が高いということと賃金の上昇は、何といってもある程度の関係を持っておるわけであります。したがいまして、今後安定成長ということで成長が落ちてまいります。そのときに直ちにこの賃金を落とせというのでなくして、やはり長い目で見てこの成長全体に見合うところの賃金ラインというものがおのずから実現されていくのがしかるべきであろう。もしその間に長期にわたる矛盾がありますと、これはどうしてもいわゆるインフレ傾向を促進すると、こういうことになろうと思うのであります。ただし、政府は、この賃金の問題につきましては、今日の態勢のもとにありましては、企業と労働組合との間で決定さるべき自主的問題でございます。そういう意味におきまして、国民経済的な見地からそれが自主的に決定されることを望んでおると、こういうことでありまして、決していわゆる所得政策ということをいま採用しようとか、そういう観点から議論をしておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 このGNPは、福祉の指標としてはもう資格がなくなった、破綻したと思うんですが、新たにこの福祉指標として何か作成をしているかどうか。GNPにかわるものとして——福祉政策を重点に打ち出すべきですから、それについて、その福祉指標としては新しいものを考える必要があると思うんですが、それは何か作業しておりますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 経済審議会等も私どもにございまして、そして、私のほうの部内としての、これも検討を進めております。なかなか率直に言ってむずかしい問題であるようでございますので、専門家を動員いたしまして、できるだけひとつわれわれもこれを探求、開発したい、こういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 四十六年度予算は九兆四千百四十三億ですね、一八・四%の増加、こんなにふくらんだ原因は何でしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一〇%成長ですね、四十六年度において目標とするその成長を実現するために財政の規模はいかであるべきかということを考慮いたしまして、きめたわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは、一般には不況対策と選挙対策だと言われております。もう一つ重要なことは、第四次防衛計画の地ならし予算と言われているんですね。そこで防衛庁長官に伺いますが、第四次防衛計画の予算、年次的にどういうふうにこれを実行していくのか、これを伺いたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体五兆七、八千億という概算をつくっておりますけれども、年次別にはまだできておりません。これから詰めて大蔵省とかけ合うということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは一カ年平均しますと、一兆一千六百億です。ことしの防衛費は六千七百九億です。もしこのとおりにいくと、大体倍になります、来年は。この財源はどうして調達するのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まだ私のほうでは、中曾根長官のほうから第四次防につきましては何の話も聞いておりません。まあ、しかし、新聞等で私見ておるんですが、五兆七、八千億ですか、そういうような数字も出ておるようでありますが、これを実現するためには、年率にしまして一八%くらいずつふやしていかなければならぬ。まあ経済成長がどういうふうに今後なりますか、その経済成長の高さによりましては、容易ならざることであるというふうに考えておるわけでありますが、とにかく経済成長がかなりの程度にいくという際におきましては、かなりの達成率を見るであろうと、こういうふうに思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 安定成長路線じゃなかったですね、これを作成するときには、高度成長路線。安定成長路線になったとか……。それから物価の問題と関連しますが、これは実行不可能じゃないですか、防衛庁長官。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体五カ年に六百三十兆程度の国民総生産があるという前提のもとに組み立てられておりますけれども、大体その程度の成長は見込まれるという社会経済発展計画を基礎にしてやっているわけであります。社会経済発展計画がくずれればこの構想も基礎を失うことになると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、「日本の防衛」というこの防衛庁の発表したのを読みましたが、日本の防衛の基本は専守防衛にあると言いましたね、この専守防衛と第四次防衛計画との関係はどうなりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん専守防衛の基本構想をもって貫いておりまして、憲法、諸法令の制限並びに防衛政策といたしましても、通常兵器による局地限定戦に対応する、そういう方針に基づいて策定されてあります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 小山内さんという軍事評論家が、いままでの防衛計画はともかくとして、第四次防は専守防衛の域を越えていると言いますが、どうですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) そういう事実はございません。小山内さんがどういうことを言っていらっしゃるか私知りませんが、四次防の内容をよく理解しておられないのじゃないかと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 何を基準として判定するんですか、専守防衛と第四次防衛と。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 一番大事なことは防衛戦略の運用の基本であります。これは国防の基本方針、あるいは総理大臣以下私たちが国会で厳粛に言明してきた方針を厳守するということ、それからその基本は憲法あるいはそのほかの諸法令があるわけであります。そうしてそれを受けまして防衛の戦略並びに持ち得る兵器体系、これらがいずれも外国の領土を侵略的にあるいは攻撃的に行なうという意図のない兵器体系を兵器体系としても整備しております。それから運用の方針も、もとよりその方針に基づいてつくっておるわけであります。したがいまして、外国に対する侵略的要素などというようなものは全然ございません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 われわれは、その裏づけの予算を審議しておるんであります。われわれが何を基準として判定したらいいですか。判定できるような材料を国会に出さなければ、われわれが専守防衛の予算として適当であるかを判断することができないんです。そういう資料をお出しになりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 次の新しい防衛計画のわれわれが構想している概要につきましては、もし時間がありますれば、ここで概要を発表してもけっこうでございます。その内容は兵器あるいはその他についてこれから申し上げてもけっこうであると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それじゃ説明してください。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体陸上自衛隊で整備するものといたしましては機動力の向上、火力の充実、こういうことを受けましてヘリコプターの整備、それから装甲車の増強、各種火砲の自走化等でございます。それからホークを少し増加いたします。それから海上自衛隊の場合は、沿岸海域の防衛という面からいたしましてミサイル艇あるいは潜水艦、あるいは一部の護衛艦、これをふやします。それから航空自衛隊といたしましては、例のファントムを整備する。それからナイキ部隊を増加する、これらはいずれも防空用のものでございます。そのほか偵察機あるいは輸送機、高等練習機等の新機種を入れて更新、近代化いたします。予算の規模は大体いま申し上げたようなものがわれわれの想定しておるところでございます。以上のようなところを見まして、外国に対して侵略的、攻撃的意図を有するような兵器はもちろん装備しておらないわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 佐藤内閣は、経済大国が軍事大国にならないようにすると、そうならないようにするには、一つはやっぱり文民統制と国会ですよね。その国会に、この予算が、軍事予算が、五兆八千億が、これが専守防衛として適当であるかないかを判断する材料を出すべきです。PPBSも作業をやっているでしょうが、たとえばF4ですね、あれ、ファントムをどの会社に、どういう値段で、どういう発注をしたら、どれだけ価格がかかって、どういう防衛に役立つか。そういうものを二つなり三つなりちゃんと試算をして、国会にそういう資料を出さなければ、われわれ専門家じゃないんですから、国民の税金を防衛に使う場合には、このPPBS作業によってこれが行き過ぎているかいかないかを判断するそういう材料を今後出さなきゃいけないと思うんです。それから、この間、上田議員が質問したとき、これは作戦に関するとかそういうことを言って、だんだん防衛に関する発表の限界を設けていく。ですから、私、心配になるのは、軍機保護法とか、あるいは国防保安法とか、重要資源秘密保護法とか、そういう法律が出てこないとも保証できないです。そうなったら国会はわからぬです。しかも、制服の人は専門的にずうっとそれを研究しているでしょう。ところが、大蔵省が防衛庁に出向する人はしょっちゅうかわるんですよ。ですから、制服が、専門で技術的によくわかっているそういう人が、これだけでいいと言ったらどうします。わからないじゃありませんか。ですから、今後この五兆八千億に基づいて、そうしてどういう作戦内容で、どういう前提で専守防衛にこれは適当であるかないかを、詳細な私は資料を出してもらいたい。特に昭和三十九年七月八日の国防会議の幹事会が決定しました国防の総合計画を策定するための検討事項の基本計画、資料があるそうです。これを出されるかどうか、この点を伺います。  それから最後に、もう時間が来ましたから終わりますが、総理に伺いたいんですが、ホーカン・ヘドバーグというスウェーデンの新聞記者です。「日本の挑戦」という本を書いた。総理、あれを批評しておりましたが、あの中でこう言っています。「世界はもうひとつの米国を必要としない。ところが日本はいまのところ、もうひとつの米国になる道をたどっている。」ということを指摘してるんですよ。どうなんですか。それは具体的には、さっき言ったように、設備優先型だ、社会資本は立ちおくれと、はっきり書いてあります。そうして、だんだんと日本は軍事大国になる危険性があるようなそういうことを指摘しているんであります。総理は、あの「日本の挑戦」は、日本の経済大国に対する役割りを認識した証拠としてあれを評価しているようでしたが、ホーカン・ヘドバーグは、総理は私の見解と違うと、こういうことを書いてある。これですね。ホーカン・ヘドバーグ氏の著書です。これが、日本はもう一つのアメリカになろうとしている軍国主義日本になろうとしていることを指摘しているんですよ。この点は、ですから、いまの防衛問題につきましても、防衛予算が具体的に国会でわかるように今後資料を出してくれませんと、われわれ保証できないんです。その点を確約していただきたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの資料は、もしございますれば、提出をいたしたいと思います。国防会議のほうで、私、存在するかどうかよくまだ存じておりません。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 木村君と中曾根防衛庁長官の話を横で聞いてて、五兆八千億、これは政府の考えであるような何か私自身も錯覚を持ちましたが、まだ政府の考え方、きまっておりません。ただいま防衛庁の一部で、また中曾根君がこの問題をただいま研究していること、これはもう先ほど来の話ではっきりいたしておりますが、これが国防会議の議も経ておらないし、また政府自身が決定した問題でもございません。したがって、ただいまの段階で資料を提出しろとおっしゃっても、それは少し無理じゃないだろうかと私は思います。先ほど来申した程度の兵器、海上自衛艦等の話は、それはそのままとしてお聞き取りをいただきたいが、いま資料としてお出しするようなものはないので、これはきまってからお出しするのが本筋だろうと思います。  それから、その次の問題は、「日本の挑戦」の問題であります。これは私自身が、すでに国連の二十五周年記念大会でもはっきり日本の考え方を申し上げ、そうして各国に訴えたような次第でございますから、どういう著者がどんな本を書こうが、そんなことで私ども左右されるものじゃない。この点は外国人の見方でいろいろあるだろうと思います。私は、とにかくさっき木村君御自身も御指摘になりましたように、一番大事なことは、国民そのものがこの国を自分らの手で守る、みずからの力で守る、それをやはり文民統制、ことに国会が十分チェックする、一部の政治家の自由にはまかさない。幾らそれが軍人でなくても、そんな独断専行は許さない。国会民主主義のルールで、国民を代表しての監視下において、やはり専守防衛その形で日本の自衛は進められて行くべきものである、かように私は考えておりますので、別に心配はいたしておりません。しかし、ただいま御指摘になりましたように、「日本の挑戦」という新しいいろいろの意見が出てまいります。ことにアメリカ自身も日本のよき理解者だと、かように考えながらも、そのアメリカにおいてすら軍国化を注意する人がございます。まあ、ましてや共産主義の国において、そういう点はしばしばわれわれの耳にも入っております。しかし、日本国民はそういう点に迷わされることなく、また国会の皆さま方は、どうか、国会を通じて政府の姿勢も正していただきますが、それらの点においても、十分御批判をたまわりたいと、かようにお願いいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その判断する材料を十分に出してください。これでは判断できませんからね。ことに専門的ですからね、国防問題は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま速記とっておればけっこうですが、立ち上がらないので速記になっているかどうかわかりませんが、私はその必要な資料は出し得るものは出して、そうして御批判を願う、こういうことにいたしたいと、かように思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもちまして、木村君の質疑は終了いたしました。  午後は二時から再開することとし、それまで休憩いたします。    午後一時七分休憩      —————・—————    午後二時十三分開会

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。植木光教君。

植木光教自由民主党

○植木光教君 過去二十数年間に発揮されました日本人のたくましいエネルギーが一九七〇年代の日本の輝かしい未来を約束し、二十一世紀に向かう日本人の前に広大なフロンティアが開かれたことは何人も否定することができない事実であります。今国会の劈頭、総理が施政方針演説で、日本列島の未来像を展望しながら、一九九七〇年代は、「平和と繁栄と福祉の基盤を一そう強固にし、経済・社会の均衡ある成長を実現できる時代になった」と所信を述べられましたのも、この日本国民の英知とエネルギーに全幅の信頼を置かれたからであると信じます。しかし、このように、いわば戦後の荒廃し、打ちひしがれた四等国日本が、大国日本への道を歩みつつある事実に対して、六〇年代には諸外国から多くの賛辞が寄せられたのでありますけれども、七〇年代に入るや、この賛辞が、不満と不安と警戒のことばに変わりつつあるという現実を直視しなければならないと思います。この一年間、諸外国の新聞や雑誌に出ました日本批判は膨大なものでございます。総理ももちろん御存じだと思いますけれども、その代表的なものといたしまして、インドネシアのマリク外務大臣は、日本の経済的支配という脅威は現実のものであり、そしてその全責任は日本自身にある。日本が他のアジア諸国を依然原料の入手源並びに製品の市場として取り扱おうとしていることは、多くのアジア諸国の経験しているところであると、まことにきびしいのであります。  まず、この経済大国日本への対日批判と非難について総理の御見解をお願いいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま植木君が御指摘のように日本は経済大国になりました。しかし、日本が自由を守り平和に徹する、そのもとで経済大国になったということを十分理解されない、また戦前のような形で、やはり経済侵略を続けるのじゃないか、こういう感じを開発途上国の国々で持っておる。開発途上国ばかりではない、共産圏の国が、あるいはまたアメリカですらさような誤解を——ともすると誤解あるいは疑惑を持とうとしております。これはわれわれが、積極的に日本の行き方を十分説明するということ、ただ口先だけじゃなしに、今後行動の上でもそれを示していくという、そういうことが必要ではないかと思います。けさほども、いろいろ社会党の木村君からの御質問に宮澤君から答えたように、わが国の産業、経済の基盤である資源全部が外国に依存しておる。われわれはその資源を日本国内に持ってきて、そうして加工し、それで製品化して、そうしてそれで貿易をしている、輸出している。そこに日本の経済の発展もありましたし、今日の地位も築かれたと思います。しかし、それが原料国等から利益を奪い取って、そうして高い製品を今度は売りつけるんだと、こういうようなことがあってはならないと思います。OPECの諸国がそういうような意味で、原油、これを値段を引き上げる、こういうようなこともすでにとられておる今日であります。われわれが気をつけていかなければならないのは、こういう点ではないだろうかと思います。木村君のお尋ねもそういうような点に触れたかったのではないだろうかと、かように思いますが、ただいま植木君からのお尋ねがありましたが、そういう意味で、われわれが一そう発展途上国に対して疑惑や疑念や不安を持たれないような、経済的な進め方をいかにすればいいかということ、これがいわゆる経済協力の問題であり、経済援助の問題であるだろう、かように思います。これは一国だけの問題じゃなしに、多数国と一緒になりまして経済開発——それぞれの国々が経済を拡大していく、その基盤をつくる、そういうことに日本の知識あるいは技術、これをやはり持っていくことが必要だろうと、かように思います。一端を述べればさようなことです。

植木光教自由民主党

○植木光教君 ただいま総理は、行動の上で示すとお答えになりました。事実わが国の開発途上国に対する協力や援助は年々ふえてきているのであります。これは喜ぶべきことでありますけれども、それでもなお国民総生産の〇・七%くらいでありまして、DACや国連が勧告をしております一%にはまだまだほど遠い実情であります。また、昨年の国連総会は、政府ベース援助の比率を七〇%にせよと決定したのでございますが、わが国の場合、他の先進国に比べて民間ベースの比率のほうがはるかに高いことは御承知のとおりであります。この民間ベースによる援助や協力も、大局的に見ますと確かに相手国の開発と発展に寄与しておりますものの、援助を受ける側から見ますと、これらは日本の経済進出であり、企業の金もうけであるという見方が強いのであります。そこでお尋ねいたしますが、総理をはじめ関係閣僚は、しばしば五年後国民総生産一%の援助ということを述べておられますが、これは可能でありますかどうか。また政府ベースの援助の割合はどのくらいにするか、そのために財政負担をどの程度毎年伸ばしていくつもりか、お伺いをいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昭和五十年におきましてGNPの一%ということを内外に明らかにしておりますが、これは可能でございます。つまり二一%ずつ毎年伸ばしていきますればそういうふうになるわけです。その程度のことは可能である。ただ、その中におきまして政府援助、これはいま三分の一ぐらいであります。これは財政の関係がありまして、なかなかこれを改善することはそう楽じゃございませんけれども、国際社会ではこれを待望いたしております。そこでまあ努力をいたしまして、三分の一というのを逐次改善をいたしていきたい。しかし、これをまあ五〇%以上に上げるということはなかなか容易なことじゃあるまいと、かように考えております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 そのような経済協力費を確保しますために、対外経済援助五カ年計画とでもいうべきものを閣議で決定をして、それに基づいて年次計画的に財政支出を行なうことが国内的にも国際的にも重要だと思うのであります。この点について総理からお答えをお聞きいたしたい。  また、援助条件を緩和をしますとともに、それらの援助を効果的にするためには、ひもつき援助を一日も早く廃止する。相手国の援助要請等に機動的、弾力的にこたえ得るような体制を確立することが肝要だと思うのでありますが、この点については通産大臣にお願いをいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 対外経済協力につきまして五カ年計画あるいは長期計画、これを設定すると、これは非常にむずかしいんじゃないかと思うんです。政府が見当といたしまして、どのくらいの伸び率だというようなことは、これは持っていなければならぬと思いますが、その中身を割りまして計画を立てますと、相手がある。相手が既得権と、こういうような印象にもなりまして、相当具体的な年次計画の作成と、こういうことは困難と思います。  それからただいま申し上げましたが、その対外経済協力の中の三分の一の政府援助、それがまあ融資になる場合におきましては、その金利が高いとか、あるいは償還期限が短いとか、国際社会において、また相手国におきまして日本に希望が出ているわけなんです。これはなるべくそういうふうに近づけなきゃならぬと、こういうふうに思いますが、しかし、その履行に当たりましては、財政資金が要る。国の予算との関係が出てくるわけです。そういうようなことで、一挙にというようなわけではございませんけれども、逐次緩和いたしていきたい、現に毎年そういうふうな方向で進んできておるわけであります。  それから、たとえば融資をいたしました場合に、そのお金で日本の商品を買わなきゃならぬというような、いわゆるタイといういき方ですね。それをなるべくアン・タイにいたしたいと、こういうふうに考えまして、これも逐次それを行なっております。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに冒頭に言われましたように、私どもはいま民族として、祖先がかつて越えたことないような高いバーに向かって挑戦をしようとしておるということはそのとおりだと思います。これをまありっぱになし遂げられるかどうかということが、われわれの将来を決すると思いますが、そういう意味で、いままでの対外援助というのは、御指摘のように、概してサプライヤーズ・クレジットが多うございましたから、いわばその部分はある意味では、援助といいながら、商売の結果として生まれたような部分が多うございました。しかし、わが国が品物なり、あるいは。プラントなり、ことに品物でございますけれども、特に売りの攻勢に出るということについて、世界的にいろいろな反応を生んでおることは、先ほど言われましたとおりでありまして、少なくともそういうことはむろん今後も続いていかなければならぬわけですけれども、考え方の重点は、たとえば同じものを売りますにいたしましても、相手国の中に産業として残るようなプラントでありますとか、あるいはもう少し広く資源等との関係をも考えまして、経済協力でありますとか、そういうもっと息の長い、向こうへ金が定着するような形での援助、そういうことにならなければならないと思います。で、私どもも非常に狭い意味での通産省だけの観点から申しましても、今後の資源開発、あるいは経済協力ということについて、私どもなりの、ことにエネルギーなんかとの関係では長期計画を持ちたいと考えておるわけでございますから、そういう観点から多少長期−的なビジョンというものは考えていかなければならない。ただ、それは資源そのものが非常にある意味で不確かなものでございますから、はっきり五カ年計画というような形をとることは、そのこと自身から考えてむずかしゅうございましょうけれども、長期的な展望を、狭い意味での通産省の観点からはやはり持っておきたいという感じはいたしております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大蔵大臣並びに通産大臣のただいまのお答えでおわかりいただけたと思いますが、大事なことは、まあ一対一の経済協力、経済援助という、これはとかく誤解を、あるいは不安を招きやすい。やはり多数国と一緒になりまして、経済開発、経済協力をするという、そういう多数国間、多数国と手をつないでの提携しての協力、これが大事なことではないだろうかと思います。したがって、いまの資源開発の問題にいたしましても、資源国と日本との関係だけじゃなしに、多数国の立場に立ってそういうものと取り組む、また、資源国自身にそれを原材料としてのみ扱うんじゃなしに、その国の産業としても育つような仕組みにやはり協力をしていくとか、こういうようなことが必要ではないだろうかと思います。ものによりましては、もちろん一国だけでできることもあります。病院をつくったり、あるいは学校をつくったりするようなことは、これはできます。しかし、なかなか道路をつくったり、鉄道をつくったり、あるいは港湾を整備したりする、そういうような場合には一国だけではなしに、これは多数国でやることのほうが誤解を招かないでしあわせではないだろうか。また、経済開発の場合でも、できるだけ多数国間で提携して経済開発する。こういうことを考えるべきだろうと思います。まあ先ほど長期計画を立てろということ、これはできにくいと、こういうお話を大蔵大臣からお答えをいたしましたのも、多数国とやはり提携していくという、そういう立場に立つと、一国だけの持つ経済長期計画というか経済開発長期計画が、どうも立ててもそのとおりはやれないと、こういうことにもなるように思います。だから、そこらにむずかしさがあるのでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 ただいま長期計画樹立についてのむずかしさのお話がございましたけれども、相手国からいたしますと、これは一国ではありません。多数国でありますけれども、やはり長期的な展望があるということが非常にそれぞれの国の発展計画にも大きな資料になりますし、また、日本の誠意を見せるという点についても効果があると思うのでありまして、この点についてはさらに御検討をいただきたいと思います。  さらに一般的に見て、これまでの援助や協力は比較的物や金に重点が置かれてまいりましたが、今後はこの物や金とともに、知識協力、技術協力など、人による協力が格段に考慮されなければならないと思うのであります。この人による協力が大切なことは、明治維新後のわが国づくりの過程を見ましても明らかであります。明治の先輩たちは、日本の近代国家づくりにあたりまして、先進諸国に対して金や物の援助ではなく、頭脳と技術の協力を求めましたし、また、すぐれた人材を諸外国に派遣しまして、どん欲なまでに外国の事情を学び、これを取り入れたのであります。このような経験から考えましても、発展途上国の国民の自助自立努力のためにわれわれは全知全能を傾けるべきだと思います。しかし、わが国はこのような貴重な体験をもっていながら、他の先進国に比べて人による協力について著しいおくれをとっていると思います。  そこで文部大臣、通産大臣にお聞きをいたしますが、知識、協力技術協力の将来についてどのような抱負を持っておられるか、しかも、これまでのようないわば中級指導者を送るだけではなしに、たとえばマネージメント・コンサルタントのような相当高いレベルの専門家による協力を行なうことが、日本の開発途上国に対する真摯な援助姿勢を示す上において必要であります。また、その分野も経済のみならず、広く文化、教育などの分野にも及ぶべきであると考えるのでありますが、いかがでありましょう。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 植木先生御指摘のとおりに、われわれがこれだけ経済が発達をいたしましてから、開発途上の国々に対してどのような貢献をなしたらいいかということでございますが、その中で私は教育の面、あるいは技術の面、あるいは人の交流、これが非常に大事なことであり、これにウエートを注いでいかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。その一つは、やはり向こうの方々が教育を受けたいということで日本に教育を受けにこられます。いわゆる留学生、この方々に対して十分な教育をしてあげるということ、あるいはそのアフターケアーを考えていくということ、これは国費あるいは私費を問わず、考えていかなきゃならぬということでございまして、本年度はかなりな留学生の費用につきましては増額をいたした次第でございます。  それからもう一つは、先ほどから経済進出に対する不安とか懸念とか、警戒心というものがあることも私も承知をしておるわけでございますが、直接のいろいろの技術援助あるいは教育援助もさることながら、私どもといたしましては、国際機関でございますユネスコ活動を通じまして、この教育の面あるいは文化の面、あるいは技術の面についてアプローチをするということがかなりいいのではないかというふうに考えまして、最近ユネスコ活動は非常に予算的にも数倍の予算を獲得いたしました。たとえばその中で、ことしから始まりましたモービルチームでございますけれども、農業の部面についてかなりの評価を受けているわけです。現地三人、それにわが国三人、そしてまたユネスコ本部から二人、合計八人のチームでもって巡回指導、あるいは教育に当たるというようなやり方、これは非常に私は今後農業だけに限らず、いろんな面にプロジェクトを設けていくべきではないかというふうに考えます。先ほど私のところで、人材育成のためにつきましては、東南アジア各国から留学生や研究生の受け入れ、あるいは教育専門家の派遣及び理科等の機材の贈与、あるいは教育指導者の招致、各種の専門家会議の開催、こういうようなこともずいぶんやっております。これをまた順次拡大していかなきゃならぬ。しかし、要は私は、こちらから押しつけるという形でなくて、向こうから協力を求められてきたときにこれに協力をしてあげるという、そういう基本的な態度というものが、私は開発途上の国々に対しては非常に必要であると、こういうふうな考え方を持っておる次第でございます。  また、こまかい問題について御質問がございますならば、一々御答弁を申し上げたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが発展途上国に参りまして一番心を打たれますのは、比較的自分たちが知らなかったところで、エカフェでありますとか、コロンボ・プランでありますとか、あるいはその国とのバイラテラルな約束のもとに、何かの方面の専門家がわからないところで働いているということでございまして、この人たちは現地にも愛されておりますし、御本人たちも使命感を実際持っておられます。一番この人たちが心配しておりますことは、何年かあとに日本の社会に任が済みまして帰りましたときに、ちゃんと受け入れられるかどうかということを一番心配しておるわけでございます。そのために、給与関係の法律などはすでにできておる部分もございますけれども、何といってもそのブランクというものにやはり非常に心配を片方で持っておるわけでございます。そういう問題が一つあろうと思います。  それから、こちらで受け入れるいわゆるトレーニーでございますけれども、これもだいぶ数は累計ではふえましたが、その人たちが国に帰って、必ずしも親日になっていないという問題がございます。これは給与であるとか、語学であるとか、いろんなことがあるんだと思いますけれども、基本的には、まだ、われわれ日本人がそういう外国の人たちと一緒になってまざり合って、友情をつくり上げていくという経験もなかったことでありますが、そういう体験に乏しいのではないかという気がいたします。で、わが国の場合でもおわかりいただけますように、物が入ってまいります。物の自由化というのが一番やさしい段階でございまして、次に資本の自由化というのが、だんだん拒絶反応が高くなってまいりまして、最後に人の移動ということになりましたら、これは非常に拒絶反応が出てまいりますように、これはお互いに同じことでございますと思います。そういうことをわれわれとして基本的な心がまえをやはりつくり上げていくというのが、われわれ先輩のやったことのない種類の、ほんとうにわれわれが新しく直面しなきゃならない大きな仕事ではなかろうか、こういう認識を持っております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 人による協力のうちに、ユニークに活動いたしますものに日本青年海外協力隊事業というのがあります。すぐれたわが国青年たちの努力によって、今日まで多大の役割りを果たしてきております。しかし、事業開始以来、すでに六年目に入ろうとし、新年度では十五億円をこえる予算を計上しているのでありますが、現に派遣された青年隊員は八百八十二名であります。しかもその運営の実態を知っている人たちは、現状についてかなりの批判を加えているのであります。私は、この計画は、青年による国際協力と奉仕の活動であり、今後のわが国対外協力においてきわめて重要な役割りを果たし得るものと信じておりますので、この際、その実態をしさいに点検をして、思い切った改善を加えて、十分に期待にこたえるものに育てていくべきだと考えているのであります。  外務大臣にお伺いいたしますが、たとえばこの青年協力隊が海外技術協力事業団の中に位置づけられていること、その首脳部は天下りが多くて、いわゆるお役所仕事に終わっているというような批判があるのでありますが、これを改善をすべきでありますが、いかがでございましょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 海外青年協力隊の事業については、私は、概して申しましたならば、相当の成果があがっていると思います。ことに派遣されておる場所や国、その他の条件によっても違いますけれども、所によりましては、いまもお話しがございましたように、奉仕の精神で非常によく活動しておられると、そうして受け入れた国のほうからも非常な敬意を受けて、非常にとけ込んで成果をあげておる、たいへんありがたいことであると思っているところもございますし、また、それらの場合も含めて、送出の方法や、待遇や、あるいは施設等において、ずいぶんわれわれとしても改善してあげなければならない具体的に気づいているところが多いのでございますので、今後一そうの具体的な努力を重ねていきたいと思っております。  それから、事業団の問題ですが、これは率直に申しまして、ずいぶん改善の余地があると考えております。ただ、創立後日が浅いし、また、新しい性格の仕事でありますので、その道の専門家というような人たちが、なかなか急に集めて仕事をしていただくということも困難である関係から、各省庁でこの種の仕事をしておったような方を出向してもらったり、あるいは専門に事業団に入ってもらったりしておりますが、正確な数字は覚えておりませんが、全体の職員の中で各省庁から出ております役職付の人員は、たとえば八十数名のうちで二十名前後ではなかったと思いますが、これは御承知のように、事業団内部にもいろいろの事情や希望もございますから、今後は事業団内部でりっぱな人が自前で育ち上がって、そうしてその仕事をりっぱにやり遂げるように、漸次改善をしていきたい、基本的にはそういう方針でおります。

植木光教自由民主党

○植木光教君 総理に国際協力行政の一元化についてお聞きをしたいんでありますが、いまいろいろな各省各大臣からのお答えがありましたように、経済協力につきましては、単に経済的な次元だけではなしに、広く文化、教育等にまで及んでいるわけであります。したがって、ここで政府として国際協力委員会とも呼ぶべき強力な行政委員会あるいは国際協力庁のような調整機関を設けて、総合的な国際協力行政をやっていくというお考えはないか、お伺いをいたしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ大体私は、あまり新しい役所をつくるのは賛成ではございません。  ところで、ただいまの海外協力、そういうものがばらばらでたいへん誤解を受けるとか、あるいは十分の成果をあげないとか、こういうような点があれば、それは政府の責任だということで、それを正していきたいと、かように思いますので、ただいま外交に関する面からいろいろ外務省が所管しているものがあるし、また、資金の問題から大蔵省自身が関係しておるものもある、あるいはそれぞれの省が海外援助という形のものでそれぞれの分野で大蔵省に要求しておるものもあります。また、それは、やはり外交ルートでそういうものがまとまってきますので、ただいままでのところ、私の見るところでは、別に支障はないのではないか、十分効果をあげ得るのではないかと、かように思っておりますが、しかし、植木君のせっかくの御指摘でございますから、なおそういう点について、いまの制度でかぶるものがないように十分注意していって、どうしてもいまの状態がいかぬというなら、これは新しいものを考えてまいりますけれども、いまのところは一応間に合っているかと思っております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 軍国主義批判についてお伺いをいたします。  軍国主義復活に対する警戒心が軍事大国化への危惧と重なり合いまして論議されていることは御承知のとおりであります。昨夜北京で調印されました日中覚書貿易交渉のコミュニケは、またまた日本軍国主義の復活がすでに現実のものとなっているとうたつております。連日のように非難を繰り返しております北京の真意は、きわめて意図的、政略的だと思われますけれども、このほかに韓国やフィリピンあるいは台湾など友邦諸国の間からもその声が聞かれるということはまことに重大だと思うのであります。そこで総理は、まず、アジア友邦諸国の日本軍国主義への懸念、警戒心についてどう考えておられるかということが一つ。  さらに、中国側の激しいこの論難は、両国の友好関係を回復する上できわめて遺憾千万でありますし、昨夜の共同コミュニケは、日本の立場を無視し、大上段で佐藤政府を軍国主義と、軍国主義日本を非難をしているのであります。この点について総理の御見解をただしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) よく引き合いに出されるのが韓国あるいは台湾、日本、その間の三国に何か秘密な約束でもあるのではないか、こういうことがしばしば言われます。しかし、日本は、御承知のように平和憲法、そのもとで日本の自衛力は整備しておりますが、外国に出かけるような考えは毛頭ございません。したがって、この点ではすでに友好関係のある韓国政府並びに中華民国政府、これはよく理解しております。しかし、その国民の中の一部には、ただいま言われるような点を疑惑を持っておる、あるいは疑念を持っておる、そういう者はあるようであります。また、ことに日米安保条約、さらに米韓条約、米華条約、そういう三つの条約の関係等を結びつけて考えますと、そこにいまのような疑惑が生ずるということもあるわけでしょう。しかし、私どもは、いまの平和憲法をもって海外に派兵するということは絶対にございませんし、自国専守防衛、けさほども話がありましたような、そういう意味の防衛力は持っておると、こういうことがよく政府間では理解をされておる、かように思います。ただいまの日米安全保障条約を締結しておるアメリカ自身においてすら、日本は軍国主義化するのではないか、かようなことを持つ人がアメリカの国内にもいるわけでございます。したがって、これはいまの日本の国力、これは経済的な大国になったその立場から、けさほども木村君から御指摘がありましたように、「日本の挑戦」というような見方から、過去の歴史上は経済大国即軍事大国であった。みんなその道を歩んできている、そういう立場で見やすいのではないだろうかと、かように私は思います。しかし、私どもは、けさほども日本のあり方、また、これから進むべき方向についてお話しをいたしましたが、私自身が昨年国連に参りまして、この二十五周年記念大会で日本の進むべき道を明らかにしておりますので、こういう点は大上段から申せば、誤解はないはずであります。しかしながら、いまなおその話は続いておる。ことに中国大陸においてはその批判が出ておる。これはやっぱり、ただいまの日米安保条約、そういう関係から日本に対する非難が強いのではないだろうかと私は感ずるのであります。私も夜分になると北京放送を聞きますが、その際に反動佐藤内閣というようなことばが出ると、どういう点を指摘しているのか、かようにもみずから反省をいたしますけれども、その多くは米侵略主義者、それと提携しておる、こういうところに問題があるように聞けるのであります。でありますから、われわれがいま日本の国の安全のために日米安保条約、これを締結して、そうして日本の自衛力、自衛を増しておる、また、みずからの国を平和のうちに過ごさしているもの、そういうものを、いま破棄しろというのが、一つの軍国主義化の、軍国主義としていろいろ非難されるゆえんではないだろうか、かように私は思います。しかし、私はこの国会を通じて日本の国民によく理解をしていただきたいのは、われわれは平和憲法のもとで、具体的には核兵器は持ちませんし徴兵制もこれをしくような考え方はございません。ことに核については、持たないばかりじゃない、その持ち込みも許さないという非核三原則、これを厳守しておりますし、こういう点からも、日本は軍国主義化しない、軍国主義の道は歩まないというその日本政府の態度は十分理解されるだろうと思います。また、国民自身も胸を張って、自分たちの国は守るけれども、外国には攻めていくとか、そういうような派兵が考えられるとか、そういうようなことは絶対にない、かように思って、みずから確信を持って胸を張って、平和に徹していただきたいと、かように思います。私はそのことが最も大事じゃないだろうか、かように思います。

植木光教自由民主党

○植木光教君 防衛庁長官にお聞きをいたしますけれども、きのうの朝日新聞によりますというと、二十八日の新華社通信は、「佐藤首相、中曾根長官らは朝鮮再占領を企てている」と論断をし、「韓国への派兵を準備している」ということを非難をいたしております。第四次防衛計画に対するアジア各国あるいは国民の警戒心を一掃して、国民の合意と諸外国の理解を得るために、わが国防衛力の限界、防衛の限界についてこの際明らかにしておいていただきたいのでございます。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 北京放送や、新華社でございますか、北京方面から来るそのような軍国主義の非難は、いわれなき非難であって、全く事実に相違していると思います。ただ、国際的にわれわれが注意しなければならぬと思いますのは、経済的に日本がこれだけ成長しておりますものですから、よく西欧国家にあったように、経済的に進出して外国に得たその権益その他があぶなくなった場合に、軍事的に救済手段をとるのではないか、日本もその轍を踏むのではないかと、そういうところが主として、東南アジア等にかけて外国側が見ているポイントであると思うのです。安保条約との関係につきましては、総理やわれわれが常に言明しておるように、これは全く国連憲章のもとに平和を維持するための防衛的条約であって、その運用についても厳重なチェックが両国の合意でつくられておるのでありますから、その実体を知ればそれは理解されるはずであります。ただ私は、いまのような日本の経済的成長という問題が軍事的救済手段というものと結びつくのではないかという不安を与えているのではないかと思うのです。しかし、この点につきましては、日本は防衛あるいは軍事力の行使について非常に多くの限界を設けておるわけでございます。まず第一に、憲法的限界がございます。これは攻撃的兵器を持たない、あるいはそのほか、もちろん徴兵制度もやりませんし、海外派兵もやらない。それから政治的限界がございます。これも非核三原則を維持するということを総理もわれわれも言明しているところでございます。それから運用上の限界といたしまして、本土防衛に限る、したがって本土を守るに必要な周辺において必要かつ十分なだけの防衛措置を講ずる。そういう考え方に立って運用上の限界を明確にしておりまして、いわゆるマラッカ海峡防衛論という考え方に持っておらぬわけであります。さらに、装備体系における限界がしかれてあります。たとえば他国の領土を攻撃するような侵略的兵器は持たない、爆撃機は持たないというのはその一つの例であります。これらの四つの限界を厳格に維持するために、世界でも例のないくらいな厳重な文民統制が日本ではしかれております。そういう点から見まして、もしかりに軍国主義と言われる方があるならば、どうぞ日本をすみずみまでごらんください、われわれのやっていることを御理解くださいと私たちは申し上げたいと思うのであります。われわれは、次の新しい防衛計画の策定につきましても以上の四つの限界点を明確に守りまして、国民の皆さまにも御理解をいただき、かつ、外国に対してもこのことを理解してもらうように努力するつもりでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 この機会に、総理に中国問題についてお聞きいたしたいと存じます。七十年代のわが国外交の最大の課題であることは申すまでもございません。この解決には、言うまでもなく、台湾政府との関係がいかに処理されるかということにかかっていると言っても過言でないと存じます。  そこで、この点にしぼってお聞きいたしたいのでありますが、一つは、北京政府も台湾政府もともに、中国は一つであり、これは国内問題であると主張しております。総理もそういう立場をとってこられたのでありますが、今日でも依然としてそうお考えになっているか。  二番目に、国内問題だと考えるといたしましても、現実にそれが国内問題として解決できると信じておられるか。もしその見通しが立たないとするならば、たとえば一つの中国一つの台湾というような発想の転換をなさるかどうか伺いたいのであります。先日のNHKの「総理と語る」の中で総理は、一つでなければならないという潔癖さに問題があるのではないかと語っておられたのをお聞きいたしましたが、これは「二つの中国」への発想の転換であるかどうか、明らかにしていただきたい。  三番目に、ことしの秋の国連総会において重要事項指定方式が提案された場合、日本は提案国からおりるかおりないか。  四番目に、おりるおりないにかかわらず、中国の国連加盟が実現すると仮定した場合、台湾政府の国連での地位確保についてどう考えるか。  第五番目に、今国会から政府は、従来の「北京政府」の呼称にかえて「中華人民共和国政府」と呼ぶように変更せられましたが、他の三つの分裂国家の呼称もこれに準じて変更せられるのか。  六番目に、昨夜発表されました共同コミュニケについての総理の御所感をお聞きしておきたいと存じます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 総理からお答えがある前に、かなり具体的なお尋ねでございますから私から申し上げますと、まず第一の、「一つの中国」ということは、現在政府として、双方とも当事者・が「一つの中国」ということを主張されておるその事実の上に立って、政府の態度として、そういう種類の問題は、本来両当事者間で話し合いできめてもらいたい筋合いの問題である、そして結着がついたならば、日本政府としてはその結着を尊重してそれに従いましょうと、こういうたてまえをとっておりますから、その点について何ら変更はございません。  そこで、そういうことが現実できるかどうかと、その次がそういうお尋ねですが、これは政府として申しておりますのは、この種の問題はこうこうして解決せられるべき筋合いの問題であると、こういう見解を持っておりますし、幸いにしてそういう方法がとられたならば、そして結論が出たならば、その結論に従いましょうと、そこで政府の現在の態度はとどまっているわけでございます。  それから、内政問題かどうかと。これはやはり「一つの中国」ということはお互いにきめていただきたい筋合いの問題であるということは、そういうふうに考えておるからそういう態度をとっておるわけでございます。  ただ、願わくは、お互い同士の内輪の問題であると思うけれども、武力の行使だけはやめていただきたい。これは、かりに現在、たとえば台湾海峡等で武力争闘が起こる場合には、われわれとしても対岸の火災視できない場合もありましょうし、あるいはまた、現在こういうふうな状態のもとにおいて戦闘行為が起こったような場合は、従来からの国連の考え方あるいは国際通念から申しますれば、やはり一種の国際紛争的なものにならざるを得ない。そういう点から申しましても、戦闘行動、武力の行使だけは、これはぜひやめてもらいたいという態度を表明しているわけでございます。  それから、国連においての態度ということにつきましては、これは本会議その他でも申し上げておりますとおり、いろいろの情勢を見きわめつつ、日本としてとるべき最も妥当な態度を今年の国連総会ではとるべきであると考えております。具体的にどういう方法が適当であるか、まだ申し上げる段階に来ておりません。これは同時に、日本の態度というものと離れて、国連加盟国の多くの国々の動向を見てみますと、先ほどのお尋ねは、かりに中共加盟ができた場合台湾の処遇はどうするのかと、こういうお尋ねであって、これはもちろん仮定の上に立った観念的な問題でございますけれども、その観念的な問題に対して、国連加盟国としての立場の各国のいままでのものの考え方の中には、国連を結成した当時からの原加盟国であって、忠実に義務を履行し、そのビヘービアも正しかった。それを追放するというようなことは、非常なこれは少なくともためらいを感ずる。あるいは、国連憲章の二十三条等にも明確に中華民国とうたわれてある。いろいろの点から申しまして、追放というようなことは、これはまあ観念的な問題ですからなにですが、台湾というようなことに限らず、私の見るところでは、国連を中心とし国連加盟国の立場に立っての各国の取り上げ方としては、やはりそういう考え方が依然として強いのではなかろうかと想像されるわけでございます。  いまお答えいたしましたように、日本政府がいかなる態度をとるかは、もうしばらく真剣に考えていくべきことである、大体かように考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣から詳しくお話しになりましたから、私からつけ加えることはございません。

植木光教自由民主党

○植木光教君 昨夜のコミュニケについての御所感にお聞きできませんか。  それならば、次の質問に移ります。  次に、国民の政治不信ということについてお聞きをいたしたいと存じます。最近、国民の政治に対する不信が強くなってきておりまして、これは単に学者や言論界においてだけではなくて、国民各層各界の中に広くなっているのであります。たとえば、一昨年の衆議院総選挙に初当選をしましたわが党の少壮議員が昨年九月、全国的に若い世代の意識調査を実施いたしました。総理もごらんになったのではないかと思いますが、十七歳から二十七歳までの若者四千三百九十七名が何を考え、何を望んでいるかということを率直に答えたものであります。多くの青年たちは、「どういうことをする人間になりたいか」という問いに対して、「自分の能力を生かしていきたい」「社会に役立つ人間になりたい」「信頼し、尊敬される人間になりたい」と答えておりまして、きわめて堅実でございます。そして、「住みよい社会をつくるためにあなたにできることは」という質問には、半数以上の者が、「対話と協力で隣人とつながり合う」とか、「身の回りの社会の改良をする」とか、また、「自分と社会を見詰めて社会に関心を持ち発言をしたい」と回答しているのでありまして、対話と協力と参加への激しい意欲が見られます。こういう堅実で意欲的な青年たちが、現在の政治と政治家をどう思うか、というのに対して、結論的に言えば、まことに残念ながら、政治への不信がきわめて強いのであります。約七〇%の青年たちが、「政治家は政治に真剣に取り組んでいない」「責任感がない」「国民の気持ちをつかむ努力をしていない」「国際社会における日本の役割りを示してくれない」、などと答えております。これは私の周辺にいる青年たちもほぼ同じような姿勢でございます。われわれはこの現実を直視して深く反省をしなければならないと存じます。この国民、特に青年たちの政治不信を一掃し、政治に対する信頼と共感を回復するために具体的にはどうすればよいか、総理の御所見を伺いたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま青年諸君とわれわれとの間に断絶がある、その断絶をいかにして埋めるかということが一つの問題ではないかと思います。簡単な事柄にしても、お互いのフィーリングというものが完全に相違している。過日も上田君から、フィーリングはどうかというようなお尋ねを受けましたけれども、これはおそらく、なかなかわれわれの年代になってきますと、いま使われているようなことば自身の理解についても苦しむような状態です。そこらに問題があるのではないだろうかと思います。また、広く言えば、先ほどの一、二の問題については、まことに堅実な、頼もしい、たよりになるということが言われておりますから、一般教育そのものはこれは健全な方向に行なわれておるものだと、かように理解してもいいのではないかと思います。しかし、どうも現実政治の衝に当たっておる者、これは総理をはじめ皆さま方にもやはり一半の責任があるだろうと思います。やっぱり、国民との間に断絶がないように、そういうところの一体化、これをもっと築き上げる実際の努力を積み重ねなければならないのじゃないかと思います。ただ口先の話ではない、現実の問題としてほんとうの一体感がどうしたらできるか。これは個々の場合においてそれぞれくふうさるべき筋のものだろうと、かように私は思います。

植木光教自由民主党

○植木光教君 国民の信頼と共感を得るには、何よりもまず、われわれが文字どおり虚心に反省をして、勇気と使命感を持って政治と取り組んでいかなければならないと存じます。たとえば、常に問題になっております政治資金規正法や公職選挙法を改正して政党や政治家みずからを律するということも必要であります。また、議会政治の形骸化などというまことに不名誉きわまりない不信感をぬぐうために、ともすれば形式的に流れがちな国会運営のあり方にも根本的な改革を加えていくことも必要であろうと思うのであります。要は、真の民意を聞きそれを尊重することが、政治や行政に対する信頼を回復する道であり、言いかえるならば、国民の政治参加に新しい英知を働かすことが必要だと思います。そのための一つの方策として、ある一定のワク内の問題について、一定の条件のもとで国民が直接その意思を表明できる機会として、国民投票法を制定することが考えられないかということでございます。日本国憲法においては九十六条に国民投票の規定がありますが、これは言うまでもなく、憲法改正手続に限られたものであります。また、憲法下では、国会が唯一最高の立法機関であるから、法律の制定や廃止は国会のみに属する権能であることは申すまでもありません。しかし、フランス、イタリア、スイス、オーストリア、スエーデン、オーストラリアなど数多くの国民になぜ重要な法律案、重要な議案の制定、廃止について国民投票の権利が与えられているのか、深く考えてみる必要があると思います。明らかに議会制民主主義、すなわち代議制の持っているある種の欠陥を補うための制度だと思うのであります。わが国の場合、現憲法下では、法律の制定、廃止を国民投票で行なうことは不当であり、不可能ではありますけれども、たとえば国会審議において、国会法五十一条は、「委員会は、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる。」と明記して、公述人あるいは参考人を呼んで意見を聴取しております。公聴会の運営そのものについても批判があります今日、この考え方を拡大して、議案審議の有力な参考とするために、選挙権を有する国民すべてに、一定のワク内の問題について、一定の条件のもとで国民投票権を与えて直接意見を聞くことができないものであるかどうか、ひとつ総理の御見解をお聞きいたしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私はいままで、ただいま言われるような発想を考えたことはない。これは申すまでもなくただいまの憲法ではさようなことは考えておりませんから、ただいまのような点も思いついておりません。したがって、それより以上に深くこの機会にお話しするわけにもいきませんが、ただいませっかく御提案がありましたから、そういうものは十分にひとつ考えてみる、検討してみる値打ちとものだと、かように思います。それだけを端的に御披露しておきます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 考えてみる値打ちのあるものだというお答えをいただきました。いろいろ問題があることは十分知っておりますが、国民多数が直接いろいろ意見を表明するという機会をできるだけ多く持たなければならないと思いますので、ひとつ真剣に御検討をいただきたいのであります。  それから、ひとつ靖国神社の問題についてお聞きをいたします。二月の十二日に、総理は日本遺族会の青年部の諸君十二名に院内でお会いになりました。その青年たちから伺ったのでありますが、総理は、靖国神社法案の審議を促進してほしいというのに対しまして、よく承知をしている。しかし無理押しではなく、国民の総意で通したい。他の政党にも陳情してほしいと答えられたと聞いております。靖国神社法案は、戦没者及び国事に殉じた人々の英霊に対する国民の尊崇の念をあらわすため、その遺徳をしのび、これを慰め、その事績をたたえる儀式、行事等を行ない、もってその偉業を永遠に伝えることを目的としておりますが、憲法上の問題宗教上の問題等により議論が対立し、すでに国会で二回廃案になっております。本来国民の尊崇の対象であるべき戦没者の慰霊の問題が政争の対象になることは絶対に避けなければならないと思います。総理が戦沈者の遺児にお話りになりましたように、無理押しではなく、国民の総意で解決すべき問題だと思うのでありますが、国会に提案をされながら、審議にも入らないで廃案になるということに遺族の人々はたいへんな不信を抱いておりますし、その悲しみと失望はきわめて大きいのであります。総理はこの不信と失望をどういうふうにして解消すべきだとお考えになりますか。総理あるいは党の総裁として、反対闘争本部をつくったりあるいは法案の撤回を主張しておられる野党に呼びかけてこの問題を虚心に話し合って、党派を越えて戦沈者の慰霊の問題をどう解決すべきか、話し合いの機会を持たれるのも一つの有力な方法ではないかと思うのであります。お考えと御決意を承りたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま植木君が御指摘になるように、これは一党だけできめるような問題ではないだろう。国に殉じた英霊、これを祭るということ、そういう意味の事柄でございますから、超党派的にやはり話し合って、そうして一党一派の政略的な考え方でこの問題を扱わないこと、これが何よりも大事だと思います。そうしないことには、英霊に感謝するどころか英霊を傷つける、こういうことにもなりますので、そこで十分話し合うことが必要でございます。私自身も、そういうような意味で幹事長にもいろいろ話をして、実行の実をあげるようにただいましておるわけでございます。私は、問題が問題でありますだけに、これは何度出ましても同じことではない、その間に機は熟すると、かように私は考えておりますので、各党の方々にもよくこの実情をお話しして、そうして成案を得るように協力をお願いするつもりでございます。ただいまのところはそれだけでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 ひとつ総理にリーダーシップをとっていただきたいということをお願いをいたしまして、次に内政問題についてお聞きをいたします。  先ほど来話が出ておりますように、諸外国からも高い評価をわが国が受けるようになりましたが、依然として国内問題は多いのでございます。住宅、教育施設、社会施設等の不備あるいは公害、交通問題、過密過疎問題等、枚挙にいとまがありません。時間の関係上、当面の二、三の点についてお伺いをいたします。  まず、老人の問題についてお伺いいたしますが、老人問題は次の三つの悩みを解くかぎをさがすことであると思います。一つは、病院や死への老人の不安をどう取り除くか、二つ目には、暮らしの不安をどう解決してあげるか、三番目には、孤独の不安、家族や社会から断絶することへの不安をどう防いであげるか、この三つだと思うのであります。こういうふうに、集約すれば柱は三本でありますが、解決策ということになりますと多岐にわたりまして、政府全体の力が結集しなければ期待される効果はあげ得ないのであります。四十六年度予算では、政府も、寝たきり老人、ひとり住まいの老人に対するサービスや、あるいは寮母がいる世話つき老人アパートなど、新しい努力を盛り込まれ、喜ばしい限りでありますが、老人の病気や死への不安を根本的に取り除くためには、早急に老人医療の無料化を実現しなければなりません。また、暮らしの不安を解決するには、年金の大幅な引き上げ、スライド制の導入が必要であります。これらはそれぞれ財源措置について困難はありますけれども、ここで総理が強力に財政当局を督励をしていただいて、財政当局の理解と協力と奮起を要請をいたしたいと思うのであります。医療の無料化、年金問題の解決についてもさらに詳しく質問したいのでありますが、他の議員もこの場で取り上げられたことがありますので、これらを早急に実現していただきたいということを要望するにとどめまして、ここでは老人就労対策と住宅対策についてお聞きをいたしたいと存じます。  まず、老人の就労対策でありますけれども、七百三十万人の老人のうち、寝たきり老人四十一万、施設に入所している七万名を別といたしまして、働く意欲と健康を持っている多くの老人がおられるのであります。一昨年四月に総理府と厚生省が全国で行なった世論調査によれば、老後も働きたいという人が、五十歳代八〇%、六十歳代七八%となっております。しかもこの傾向は非常に大きく伸びてきているのであります。こういう高齢者に対する就労あっせん、就職促進の現状でありますけれども、労働省や厚生省がいろいろやっておられますけれども、いままでの活動状況を、就職ができた老人の絶対数及び就職成功率によってお示しをいただきたいのであります。実はこれは非常に低い率であると思うのでありますが、その理由はどこにあるのかということをあわせて御説明をいただきたいと思います。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 老人の方々の健康である限り働きたい、社会参加がいたしたいという御要望が最近非常に高まってまいりました。老齢者の方々に対しましては、高齢者コーナーを職安の中に設けましたり、あるいは人材銀行なども設けまして、それらの方々の就職のあっせん等をしておるわけでございますが、高齢者コーナーでやりましたのは、昨年の四月から十二月まででありますが、新規の求職申し込み数が一万六千二百名ございました。そのうちの就職いたしました者は約五千三百名でございました。就職の方々は三二%になっております。また人材銀行につきましては、同じ時期に見ますと、求職登録者は約一万一千七百名でございまして、就職いたしました数は三千四百名、就職率は二九%でございます。必ずしも十分ではございませんので、今後はなお一そうこれらの方々の適当な職種につきましてできるだけごあっせんをいたそうというふうに考えております。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) わが国の人口構造が急速に老齢化社会に向かいますこと、植木さんの御指摘のとおりでございますので、厚生省におきましては老人福祉対策というものを総合的に進めてまいり、御指摘の病気の不安、暮らしの不安、孤独の不安というようなことにつきましてもそれぞれ極力その施策の充実を期しております。  ところで、お尋ねの就労対策につきましては、労働大臣からお答えがございましたが、労働省の労働対策を越えるような、つまり六十五歳以上のような老齢者に対しましては、実は厚生省も労働省との協力のもとに高齢者の職業紹介所というものを設けております。これは国の施設として設けていると申しますよりも、府県にございます社会福祉協議会の中に高齢者職業紹介所というものを設けまして、国と府県がこれを助成をいたしてまいってきておりまして、これまでに実はまだ二十カ所しかございませんが、四十六年度にさらに十カ所設けることにいたしております。その職業紹介の実績はたいへんよろしゅうございます。労働省関係の人材銀行とかあるいは高齢者コーナーもむしろ、軽作業と申しますか、ほんとうに仕事を求めるほうでも人を求めるほうでも老齢者ということを頭においての関係でございましょうか一ちょうどここに四十四年の実績がございますが、四十四年の実績は、求人数一万七千八百余名、求職者数一万三千九百余名、そのうち就職が決定いたしました方々は五千余名でございまして、就職率は三六・二%というような、一般の職業紹介に比して劣らない、むしろそれよりもいいような状況を示しております。  これからやはり老人の生きがいということが私は非常に大きな老齢者対策でもあると思いますので、この面につきましてはさらに力を入れてまいるべきだと考えることはお説のとおりでございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 老人就労対策で大事なことは老人向けの職種はどういうものがあるかということだろうと思うのであります。中央雇用対策協議会では、中高年齢者の適職として七十八職種を決定しておりますが、これは三十五歳以上の職種なのであります。しかもこれを見ますと、このまま老人、六十五歳以上の人々にふさわしいものであるかど参か、どれだけが老人向けの職種であるか、まことに不明確でありまして、必ずしも老人向け職種とは言えないように思うのであります。ここでお願いをしたいのは、三十五歳以上ではなしに高年齢者の適職はどんなものであるかということを早く研究をして決定をして、広くPRして老人の雇用を官民ともに促進するというふうに努力をしていただきたいと存じます。  さらにまた、いまもお話がありましたが、六十五歳以上の人々には一般の求人というものは非常に少ないのでありまして、しかも職業紹介所では、求人と求職とを結びつける業務でありますから、求人がなければ就職はできないというのは当然でございます。これらの人々に対する職業のあっせんは現在の労働行政のルートでは解決することはできない。いま厚生大臣がお話しになりましたように、厚生省がいま手助けをしておられるという形でありますが、別に老人のための特別の職業の開発、職業あっせんというものを行なう機関を置いてこれを精力的にやらない限り、老人に職場を与えることは不可能に近いのであります。したがってここで、民間の成り行きやあるいは老人がみずから労多くして実りの少ない職さがしに回っているというような事態を一日も早く解決するために、政府が思いきって老人のための新たな職場の創設とあっぜんの業務を積極的にやるべきだと思います。これには労働省だけでは不十分であると思います。一体どこがどのように研究をし、そしてどのように職場をつくり出していくのか。その努力をすべきであるという考え方とともに、お考えと決意をお聞きをいたしたいと存じます。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 老人は非常に高い社会経験を持っておられますし、それらの方々の経験や知識を生かすそのことが必要でございますが、現在ございます人材銀行などをなお拡充強化したり、個所数もふやしまして、そうした方々の職業のあっせんをいたしたい。実は七十歳以上の方もかなり就職のあっせんをいたしております。非常に健康で意欲的な方がございますので、そういう方々は六十五歳以上でも七十歳以上でも、それぞれ非常に喜んで働く職場があるわけでございます。しかしこれにつきましては、ただいま検討しておりますのは、高齢者をできるだけ多く雇用するために、職場によりましてはひとつ雇用率というものを設定してもらいたいというふうに考えまして、一つの目標を定めまして、老齢者の方々をできるだけ雇用する。雇用する方々に対しましてはできるだけのひとつ別な助成の対策を講じたいというふうにも考えておりますので、こういった面からも厚生省と緊密な連絡をとりまして、老人の方々が進んで社会参加ができますように努力いたしたいと考えます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 老人向けの住いの問題でありますけれども、老人の圧倒的多数が家族との同居、またはスープのさめない距離、みそ汁のさめない距離に住みたいということを言っておるのは御承知のとおりであります。そこで建設大臣にお尋ねをいたしますが、たとえば団地の中に若夫婦と年寄りの三世代が一緒に住む団地だとか、あるいは同じむねに核家族向けの住宅、老人向けの住宅というふうに、老人が共に住めるような住宅の建設計画というようなものについて具体的な対策を進めておられるかどうか、あるいは四十六年度から始まります住宅整備五カ年計画、九百五十万戸建設計画の中に、老人向けの住まいについてどのように配慮をし、どの程度織り込んでおられるか、今後どういうお考えであるかということをお聞きいたしたいと存じます。

根本龍太郎自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(根本龍太郎君) 現在まで、老人向けの住宅といたしまして三千二百八十戸ばかりこれは提供をいたしております。ただいまも御指摘がありましたように、老人だけに特に向いたものというような企画はいたしておりません。これは現在、公団あるいは公営住宅として割り当てた中から、地方自治体の要求に応じて調整しておるというような状況でございます。現在やはり老人が老人だけでおるということ必ずしもどうも本人たちも喜ばないし、必ずしも幸福にならないと思います。  それから現在の新しい住宅政策の中には割り当てはいたしておりません。というのは、これは御承知のように、地方の自治体のあり方によってだいぶ違うのでございます。老人層が非常に多くてぜひこれをやりたいというような要請のあるところは、できるだけそれを充足するように考えています。ただ何と申しましても現在の住宅問題は、むしろ若い方々が結婚するからということで要求する率が非常に多い。したがってどうもそちらにいかざるを得ない。そこで老人の方々の住宅問題は、基本的にはやはり老人になって家を持たなければならぬというような境遇に追いやらずに、働いておるときにちゃんと家が持てるということが基本だと思います。そういうことで、労働省とも連携いたしまして、勤労者の持ち家政策、あるいは各企業体において持ち家政策をするための税制上あるいは財政上のめんどうをみる、こういうようなことをやって、しかる後、それでもどうしても老人住宅を特別にめんどうをみなければならぬという場合については、そこを重点的に処置していく、こういうふうに考えておる次第でございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 総理に老人対策で最後にお聞きをいたしますが、また行政機構の一元化の問題でありますが、青少年問題についても各省間にまたがっておりますので、総理府に青少年対策本部を設けて精力的にその仕事を推進しておられるわけであります。老人問題は、今後の大きな国民的課題になると存じます。同じような趣旨で、老人のための総合的な機関をお設けになるお考えがあるかどうか、この点については特にお願いとともに、御所見をお伺いをいたしたいと存じます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいますぐ老人対策の役所をつくるというような気持ちはございませんが、しかしこれからの問題で老人対策というのが大きな政治課題であること、これは私も承知しております。ことに児童対策、これは一歩進んだ今日でございます。あとは老人に対するもっとあたたかい施策が望まれる、こういう立場でございますから、厚生省を主体にして、ただいまの問題をもっと積極的に進めていく、こういうことでありたいと思います。

植木光教自由民主党

○植木光教君 老人問題とともに、特に幼児の問題についてお聞きをいたしたいと存じます。人間形成の初期的段階にある幼児は、ただいまおもに幼稚園と保育所に通っているわけでありますが経済の高度成長の結果、都市においては生活環境が悪くなり、また低開発地域では福祉は守られていない。また婦人労働が多くなりまして、働く婦人の増加によりまして、乳児、幼児に必要な家庭福祉の基盤が弱くもなってきておる。さらに就学前の教育ということについては、人間能力の開発という点においてきわめて重要だということが強調されてきていることは御承知のとおりであります。幼稚園と保育所に通っている子供は多くありますけれども、しかし依然として文部省の調査によっても、希望しながら入れないという子どもたちが多いのであります。文部省及び厚生省は、幼児のためのこの社会的な切実な要請を、公立のみならず、私立についてもやはりかなえてもらわなければなりません。計画と対策をお聞きいたしたいのであります。幼稚園と保育所との関係についてもお伺いをいたしたいと存じます。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 三つ子の魂百までと申しますが、最近の心理学その他の学問的にもそれが実証されてきて、最近非常に幼児教育あるいは就学前教育というものが重要であるということが叫ばれてきておるわけでございます。私どもといたしましては、現在、昭和三十九年度から七カ年計画を立てましてその充実につとめてきたわけでございます、昭和四十五年度当初におきまして大体五四%程度にはいっております。しかし、これは地域的なばらつきがございまして、たとえば兵庫県であるとか、あるいは香川県であるとかいうようなところにはもう八〇%がこの幼稚園がある。ところが、高知県であるとか、あるいは新潟県であるとか、あるいは長野県であるとかいうところはきわめてその幼稚園の就園というものが低いのでございます。そのかわり逆に今度は、新潟県とか、長野県とかいうところには保育所が実はかなり普及してきておるということでございます。で、われわれといたしましては、昭和三十八年だったと記憶をいたしておりますが、厚生省と文部省と協議をいたしまして、そして、もちろん保育所と幼稚園というものはその性格、目的が違うわけでございますけれども、しかしお互いが協力をし合うということ、保育に欠ける子供に対して私どもの幼稚園教育指専というものをある程度わきまえて保母さん方がやっていただくということもきわめて大事である。こういうような関係から、両者協力をいたしまして今日まで進んでおるわけでございますが、ちょうど中央教育審議会におきましても幼児問題を取り上げて、この五月には最終答申を受けるわけでございまして、今後とも十分厚生省と協力をいたしまして、この幼児教育並びに保育という問題について取り組んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。また、私どもの幼児教育指導要領でございますけれども、これも小、中、高指導要領が変わりましたが、幼稚園につきましても新たな観点でもう一ぺん見直してみる必要があると、こういうことでいま検討しておると、こういうことでございます。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 人間の幼児期における教育がきわめて大切である半面、最近夫婦共かせぎが非常にふえてまいりましたので、保育、保護に欠ける児童がたくさんおるような、そういう社会構造になってまいりましたために、私どものほうでこれらの要保育児童のために毎年五百ないし七百カ所くらいの保育所をつくっております。それにさらに従来ある保育所の拡充などもございますので、毎年五万ないし七万人ぐらいの要保育児童の収容施設、つまり保育所が能力を拡充いたしておるわけでございまして、昭和四十五年度末、今年の三月ぐらいには約百二十四万人ぐらいの児童が正規の保育所に入ることを見込まれております。しかしいろいろな計算をいたしてみますると、やはり昭和五十年ぐらいには百六十二万人ぐらいの要保育児童が数えられるというようなことで、やはり三十五万ないし三十八万人ぐらいの要保育児童を収容する保育所をつくっていかなければならない、こういうことが見込まれますので、昭和四十六年度以降さらに五カ年計画を延ばしまして、これらの要保育児童の収容施設を充実をいたしてまいります。その際、保育の仕事とそれから幼児教育の仕事と両面があるわけでございますので、幼児教育の面につきましては、文部省とも十分協力をいたし、またこの春答申が予定されております中教審の答申なども参照いたしまして、二つの保育所と幼稚園の間に矛盾がないような仕組みをつくってまいる、こういうことで両省協力して進めておる次第でございます。

植木光教自由民主党

○植木光教君 最後に、日本経済の将来にかかわります農村地域への工業の導入についてお伺いをいたします。  政府はこのたび、農村地域工業導入促進法案を提案をせられました。これは過密過疎問題、すなわち長期的に有望な工業立地を確保するという見地からも、あるいは米の生産調整等の難問をかかえている農村振興策としても、きわめて緊要な対策でありまして、今回の措置によって農村地域への工業の導入が積極的に促進されることを心から期待をしているのであります。  まず、通産大臣にお伺いをいたしますが、この工業導入にあたっては、単に農村部に工場が入ればよいということではないはずであります。今後経済の国際化が進展していく中で、十分な競争力を持ち、安定的に発展するような企業の導入を農村にはかることが必要であると思いますが、いかがでございますか。  次に、農林大臣にお伺いしますが、農村地域への工業導入は、単に農業従事者の兼業機会の拡大、兼業所得の増大をねらいとするものではなしに、これを契機として農業構造の改善を促進すべきであると考えるのでありますが、農林大臣は、農業構造の具体的な改善対策としてこの法案とどういうふうな関係を考え、また措置を考えておられるか、お伺いをいたしたいのであります。  それから労働大臣にお伺いしますが、この工場は地元の労働力、特に農業従事者を雇用することが多いのでありますが、農業から工業への職業の転換は言うはやすくしてたいへん困難な問題をかかえておると思います。こういう農業従事者の工業への就業が円滑にいくためにどのような措置を考えておられるか、お聞きをいたしたいと思います。  最後に、総理にお伺いいたしますが、従来工業と農業とは利害が対立するものとして考えられてまいりました。ところが今回は、工業と農業とが手を結んで両者の調和ある発展をはかろうとしているわけであります。この点、考え方の大きな転換がなされようとしております。しかしこれが現実に各地域において実効を上げるためには地元の住民、進出企業の関係者、地方公共団体、さらに政府、各省が相互に緊密に協力することが必要であると考えます。総理のこの点に対する基本的なお考え方をお伺いをして、質問を終わりたいと存じます。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、安い農地を工場があさりまして、無計画、虫食い的にただ農村に工場が進出する。それで幾らか土地の人が働くことができるということでございましたら、これは従来自然現象としてすでに起こりつつあることでありまして、むしろそういうことではお互いのために将来いけないのではないかという反省の上に立って、このたびの御提案を申し上げたようなわけでございます。

倉石忠雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの法律につきまして、法律の目的にも植木さんおっしゃったとおりのことをその目的として掲げております。そこで私どもはただいま二千五百二十八カ町村に対して検討いたしておるわけでありますが、お話のございましたように、農業地域へ導入される工業への農業従事者の就業の目標、それからお話のございました農業構造の改善に関する目標と、それぞれ具体的にいろいろな目標を定めまして、そうしてこの計画は県または市町村長等が主として計画を立案いたしまして、われわれの指導に基づいてやってまいるわけでありますが、それにつきましては政府もいろいろ導入してまいる工業に対して税制等において助成をするという形をとっておりますが、いまお話のございました大事な点でございますが、私どもの立場からいたしまして、何千年来先祖から受け継ぎましたりっぱな山林、原野、農地、そういうところをいたずらに不正——何と申しますか、いま問題になっております公害をばらまいたり、あるいはまた大事な農地をスプロール化されるというふうなことについては厳に慎むべきでありまして、そういうことについて将来のわれわれの子孫にへたなことをやったというふうな非難を受けないように警戒をしながらやっていく必要があるのではないか。しかし、この目標は現在の状況に照らしてみまして、きわめて私は重要なことであると存じますので、政府としてはそういうことに意を用いながら進めてまいるつもりでございます。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 農村地域から出てまいります方々は、特に職業訓練が非常に大事でございます。したがって、まず職業訓練に重点を置きまして、同時にまた職場訓練という、適応訓練というふうな形でできるだけ短期間に習得できるような簡易な職業等をできるだけ選びまして、その方々、中高年齢者の職業訓練等を行なうと、そうして同時に農村地域は文化的施設やあるいはスポーツなどの施設もございませんので、そういうものを漸次つくっていこうということで、農村の環境整備にも力を入れてみたいというふうなことで、やがてそれがその地域がりっぱな工業地帯に変わってまいる、それに備えましてあらゆる対策を重点的に講じていこうという対策を講じております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) それぞれの所管大臣からお答えをいたしましたので、それで十分かと思います。私はとにかく産業が国内にまんべんなく存在する、工業が存在すると、そういう必要がありはしないか。まあ別にイデオロギー的に農工一体化を言っておるわけでもございませんが、適正になる産業立地、そういうものが取り上げられていけば必ず地方にも適当に工業が起こると、そういうことが労働力を有効適切に働かすゆえんでもあろうと思いますし、また土地その他の立地条件等にも益することはあってもまず害するようなことはないだろう、かように思います。これは十分連携を緊密にいたしましてただいまの御指摘になったような方向で進めていくつもりでございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 以上をもって植木君の質疑は終了いたしました。     —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次に、鈴木力君の質疑を行ないます。鈴木力君。(拍手)

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 初めに、きのう日中覚え書き貿易協定が結ばれましてコミュニケが発表になりました。先ほど植木委員の質問にもありましたけれども、重ねて御答弁をお願いしたいのです。まずこの貿易協定についての外務大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 昨晩おそく日中覚え書き貿易に関連するコミニュケというものを報道を読みまして、とりあえず外務省といたしましては、非公式のコメントを報道界等から求められましたのでいたしておいた次第でございます。そもそもこの覚え書き貿易の話し合いというのは、申すまでもなく政府間の協定でございませんから、そうしてまたそれでありますだけに詳細の内容等が政府としてもわかりませんものですから、いずれ交渉団が帰られていろいろ政府にもお話があるかもしれません。そういう際に政府としての見解というものも必要に応じて申すこともあろうかと思いますが、昨晩のところはそういうことでございましたので、とりあえず非公式の、いわば事務当局の見解とでもいうべきものを報道関係のお求めに応じて出しておいたという状況でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 大体新聞に出ているところを見ましても二つの筋に出ております。その一つは、日中の覚え書き貿易交渉が妥結したことは歓迎をする、しかしその妥結に至るまでの交渉の中身については歓迎していないという二つのことがある。  そこで、まず私が伺いたいのは、歓迎していない点の、非公式であれ、発表したその点について、詳しく外務大臣から御説明をいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたようなことでございますから、私がこの席でまだ公式に見解を申し上げるのはいささか早いと思います。ただ、外務省といたしましては、先ほど申しましたようなことで、とりあえず、非公式の見解を出しておきましたので、その見解はお持ちのとおりでございまして、何と申しましても日中間はこういう不正常な状態でありますから、覚え書き貿易というような形で貿易ができるということは、これは歓迎すべきことであって、前々からその態度は表明いたしておるとおりございます。ただ願わくば、こういうふうな種類のものにいたしましても、相互の立場を尊重しながら、双方、何と申しましょうか、お互いに干渉し合うようなことなしに、もう少し相互の信頼関係、友好親善関係の中でこういう話し合いができれば、もっとしあわせだなという感じは、だれでも持つところではなかろうかと思います。そういう気持ちがそこに表明されているものとお取りいただければけっこうではないかと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 むしろ総理にお伺いしたほうがいいと思います。いま相互の信頼がなければ、ということが外務大臣からおっしゃられました。しかし私がこの新聞記事で見る限り、そこで交渉している両団については相互の信頼がある、意思で統一をされておる、こう見るのですけれども、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政府並びに——政府というよりも私と言ったほうがいいでしょうが、私自身は、覚え書き協定、この協定が再開される、切れたというだけでなしに、やはりつながることが望ましいことだと、かように考えております。平素からしばしばそのことは申しております。しかし出かけました諸君は政府の派遣したものではない。また党の派遣したものでもありません。したがいまして、ただいま報道されておるもの、それはどういうようないきさつで、どういうような背景であったか、そこらのところをつまびらかにしない現段階でとやかく言うことはどうかと思います。私は外務大臣がお答えしたのもそういう意味だと、かようにとっております。したがって、協定のできたことは歓迎するというところにとどまる、その辺で御了承をいただきたいと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 これはどうも私によくわからない、もう少し伺いたい。論理的に言いまして、中国と日本の代表がここで意見が一致しております。しかし外務大臣がおっしゃるように、ここと信頼感がないんだ、こういうことになると、日本の代表団と日本の政府との間にも信頼感がないんだと、そう聞いてよろしゅうございますか。これは外務大臣に……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもお答えいたしましたように、その報道されている文書についての非公式の見解ですが、やはりこれの中は、率直に読み取りますと、どうも日本に対する真の理解というものができていないということが、この文章どおりでありとしますならば読み取れるわけでございますね。そういうところに着目いたしますと、先ほど私が申しましたように、相互の立場を尊重し合いながら、もう少し友好的な、親善的なムードの中でできればもっとよいなと、そういう感じを私は率直に持つわけですが、そういう気持ちが表明されておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私の聞いていますのは、その相互の信頼がない、理解が足りないというその対象が中国をさすのか、交渉に行って同意をしてきたそれをさすのか、両方さすのか、それを明らかにしてほしいと、こういうことなんです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 私はこれ以上いろいろとまだ申し上げる段階ではないと思います。先ほど申しましたように、日本側の行った方々も近く帰ってこられるでしょうし、またお話を伺う機会もありましょうから、いろいろその御苦心なども承ることがありましょうが、そうしたあとで何か申し上げることがあればそれが一番適当な時期かと思います。しかし先ほど来申しておりますように、どうもその文章で見るところでは、向こうさんの言っておられることに近いようなことが合意されているようで、その点について私の率直な感じを申し上げた次第でございます。つまりもう少し日本の立場というものが向こう側にもわかってほしいなと、そういうことはできないものだろうかと、こういうふうな感じを私としては持たざるを得ないわけでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 大筋言って、お互いに理解の上に貿易を進めて拡大をしていく、この考え方は私どもとるべきだと、こう思うのです。  そこで伺いたいのは、いま相手側に不信感がある、そういうことを前提にして言いますと、ゆっくり代表団が帰ってきてからということよりも、これに対する考え方、信頼を取り戻すために何をすればいいかという、その考えを伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ですから、政府の立場といたしますれば、相互の立場の尊重と、それからお互いに内政不干渉、こういう大きな原則のもとに政府間の対話を持ちたい、そういう対話を持つことができれば、もうありとあらゆる問題等について率直な意見の交換ができる、そうすることによってだんだんと双方の真意というものが相互に理解し合えるのではないかと、こういうふうに考えるわけでございまして、いろいろこうした経験を生かし、また考えるべきところは考えながら政府間の対話というものができました場合には、いろいろ参考にしてやってまいりたいと、こういうふうに思っております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 対話と行動ということがあるわけですけれども、対話を求めたい、それ以前にどうしてこういうように中国側のほうから不信感が出てきたのか、これを政府は検討したことがありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは私はこう思うんですけれども、二十数年にわたって不正常な状態が続いているわけですから、その間に双方のフランクな話し合いができれば、政府間の対話としてそういう場ができれば、これはいろいろの点が誤解が解けていく、またそういうふうにしなければならぬと思います。いまそういうまだ対話の場というものが持てておりませんから、まあいわば陰の声とでも申しましょうか、政府間から言えば。そういうことでいろいろと伝わってくることは、こちらから言えば誤解であると思いますし、そういう点を正していきたいということは、これからの仕事であると、かように存じます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 それではもう一つ伺います。  この日中覚え書き貿易が一時から急に減少してきておる、一九六七年度から急に減少してきていると思うのですね。そういたしますと、先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、貿易は拡大したいんだと、これは歓迎するんだと、しかし、もうすでに六七年から減少しているのです。この減少している原因はいままでに探求したことがありますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように、全体としては相当なといいますか、あるいは非常なと申しますか、ふえ方で、現に最近一年間は八億ドルというようなところになっております。問題は、その覚え書き貿易、昔からのこのLTのほうが、中で占める比重が歴年減っております。その事実は私どもも知っておりますし、また、できれば覚え書き貿易の量も、全体も、双方ともふえるということが、双方のために望ましいことではないかと、こういうふうに考えております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私がいま聞きましたのは、この減少の過程をたどってきておる原因を調べてみたことがありますかと聞いているのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは覚え書き貿易が、先ほど来言っておりますように、政府間の貿易でございませんから、政府として的確なことを申し上げられる立場におりませんけれども、いろいろとその当事者の意見を詳細に直接に聞いていくことが正確な見方であると思いますけれども、やはり何かしら、この話し合いの場というものが、当初に比べましてなかなか話し合いがやりにくくなってきた、あるいはそのほか決済の条件だとか何とか、いろいろテクニカルの問題もございましょうけれども、そういうところでその比重というものが減ってきたのではなかろうかと私は想像いたしております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 この点について通産省は検討していますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) それは理由は二つあるかと思いますが、一つは、やはり窓口一本の取引でありますので、その取引になじむような商品のタイプ、数量といったようなものが自由な貿易と違いまして制約になるということが一点であります。第二点は、相互貿易でありますために往復をバランスさせようというふうにお互いに考えます。これがやはり貿易量を、どっちかといえば自由貿易に比べますと制約する要因であります。具体的に品目で申しますと、たとえばトウモロコシでありますとか、あるいは鉄鋼関係の原材料などが、ここへきまして顕著に先方からわが国に対する輸出が減っております。理由はつまびらかにいたしませんが、統計ではそうなっております。それからわが国側で米を買わなくなったということがこちらからの、こちらが買いますものとしてはやはりもう一つ減っております原因ではないかと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 当事者が来なければということで外務大臣おっしゃっていますから、この点についてはあとでまた伺います。どうも私どもはこの減少の傾向を見ますと、六七年にがたっと減っている。六七年に減ったのは第二次佐藤・ジョンソン共同声明が出た年である。さらにまた六九年にまた落ちておるのです。これは佐藤・ニクソン共同声明の出た年である。そしてその翌年は多少上がっているのです。そういたしますと、やはり日本の政治的なあり方と関係がありはしないか、こうわれわれは見るのですけれども、これに対する見解はいかがですか。これは総理に伺います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) その辺のところ私は非常に率直に申し上げているのですけれども、今回も行った人たちもずいぶん苦労されていると思うのです。そういう方々がどういうような経験、雰囲気の中で話をまとめられたか、その苦心談も伺わないと、私、ただ想像でこれ以上申し上げるのもいささかいかがかと思いますので、その辺のところを御了承いただきたいと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 外務大臣に伺いますけれども、ことしの分は想像で御答弁できないとすれば、昨年の分とことしの分ですね、この覚え書き協定についての、性格的に比べてみたらどういう状況ですか。こまかい文章の差は要らない、性格的なものはどうですか、このコミュニケですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 昨年のこの覚え書き貿易に関連するコミュニケ、それとことしのコミュニケの相違点ということでございますから、アジア局長から御説明いたさせます。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) おもな相違点でございますが、いろいろこれは比べ方があると思います。まあおもな点四点だけ申し上げますと、去年の書き方がわりに中国側ということと日本側というように並列に書いてあった点が、比較的今回は双方という点が多くなっているという点、それから第二点におきましては、例の中国に近い浅海海域の資源開発の問題について触れておること、それから第三点といたしましては、例の四条件について触れておること、それから今回、日華平和条約に触れていることというような点がおもな相違点かと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 共通点はいかがですか。

須之部量三外務省アジア局長

○政府委員(須之部量三君) 共通点ということになりますと、例の政治三原則、政経不可分の原則に触れているということ、それから日米安全保障条約等に触れていること、それから日米のコミュニケに触れていること、それから台湾問題に触れていること、その点であるかと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 昨年と比較いたしますと、相違点というのは、条件がきびしくなったということがあるかと思いますけれども、本質的には私は昨年のものとはそう違っていないと思う。したがいまして、愛知外務大臣に伺いたいのは、ことしの分の代表が帰ってきてからということではなしに、昨年も代表団といろいろ検討しているわけですから、そういう前提で、もう少し日中の覚え書き貿易等の今後の発展をさしていくための考え方等を説明をしていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) こういう状況が続いていくということを前提とすれば、覚え書き貿易というようなものは、引き続きできるだけ太いパイプになることが望ましい。これはかねて政府の態度として明らかにしているところでございますから、今後においても原則的にはさような考え方でよろしいのではないかと思います。これは先ほど総理も言われましたように、その点については、まあ私どもはそう考えておるわけですが、それから先、このコミュニケについてどう考えるか、あるいはこれらに対してはどういうように評価するか、あるいはこれを批判するかということになりますれば、これは今後真剣にそれらを直接扱ってこられた方々のやはり意見も聞かなければ、いろいろそれに対しての意見は申し上げる段階ではない、かように考えます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 本年の分については本人が来なければとおっしゃるのなら、私は、昨年覚え書き貿易の協定を結びまして、あれ以後やはり問題があったわけでありますから、あれ以後どういう対処をして今日に至りましたのか、昨年から政府のとった対策、それらの点について外務大臣に伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ御承知のとおりでございまして、政府は直接の当事者でもないわけです。それから、この覚え書き貿易の今回の一行が立たれるときも、政府との間に打ち合わせ会とか協議会とかというものもやってもおりません。これはやはり民間貿易というたてまえでやっておることなのでありまして、こういう点はやはり注意深くやっていかなければならないことだと思うのでありまして、そういう点から申しましても、現在この段階で、昨晩とりあえず非公式の見解を言うた以上に、私は公式の見解を申し上げることははばかりたいと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 政府が関係ないとおっしゃるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは政府間の協定でもございませんし、それから政府が派遣した政府の代表が交渉に当たったわけでもございませんですから、政府としては、そういう意味では全く関係がないわけです。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 昨年と今年の共通点の中には政治三原則、あるいは政経不可分の原則その他、日米の関係あるいは台湾問題、全部政治問題が前提になって貿易協定が結ばれておるのです。その貿易協定を拡大することは望ましいが、その政治問題が前提になっている、これについては関知しない、こういう御答弁では、覚え書き貿易については政府は熱心でない、あるいはこれを進めようとする熱意がない、こう聞かざるを得ないですけれども、それでいいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) それは御批判はいろいろおありだと思います、これはもう、ほんとうに率直に申しまして。しかし、こういういわば正常でない状態下において、そして双方が貿易をやりたい、そして国交がない、この状況下において、しかし貿易の話はやろうという、まあいわば特殊な環境にあるわけでございますね。それをあまり割り切った形で、これはどうだ、これはどうだということは少しぎくしゃくし過ぎるのじゃないだろうか。こういう状況はこういう状況として、いわば東洋的に扱ってまいりますことが、双方のためによろしいのじゃないでしょうか。まあ、私はこんな感じがいたします。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私が聞いていますのは、東洋的にかまえているうちに、年々この協定のコミュニケが日本にとっては悪くなる。少なくとも政府にとっては悪くなる。そういうことだから、東洋的にかまえていないで、何かしなければいけないのではないかということを指摘しているのです。いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) まあ、いろいろとむずかしい中国問題でございますから、政府といたしましても、いろいろの角度から建設的、積極的な御意見がございますれば、何でも謙虚に伺って、そして私どもとしては大いに善処をしなければならないと考えておりますが、ただいま申しましたように、これはそういう種類の問題であり、そういう環境の問題ですから、これはひとつお互いに、あまり問い詰め答え詰めぬほうがよろしいのじゃないだろうか。まあ私はそういうふうな感じを持っておりますことを重ねて率直に申し上げる次第であります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。鈴木委員の尋ねておることは、必ずしも覚え書き貿易協定の額の多い、少ないというよりも、そのことの背景にある政治姿勢を尋ねておるわけですね。それについてあまり多くを尋ねるなと言われるその気持ちはわからぬわけでもありませんが、しかし、この問題について日本の野党間の意見は、各党のそれぞれのニュアンスの違いはあるけれども、ほぼ合意に達しておると思うのです。それから、今度行かれたのも、正式の政府代表でも、自民党の代表でもないけれども、自民党与党内の有力な方々が参加しておるわけですね。そうすると、日本の野党全体が合意に達し、与党の中においても相当な有力な方々がほぼそれに近い線で合意されておる。あとは、佐藤内閣の決断だけにかかっておる政治情勢ですね。ですから、そういうきびしい政治情勢の中にあって、いい知恵を出せと言われますけれども、また、そういうわれわれの考え方は機会があれば述べさしていただきますけれども、やはり政府自身が、どんなにむずかしい問題であっても、必ず通らなければならない関門であるので、いずれは決断をしなければならないことを、昨年に引き続いて今度のコミュニケも証明しておるのではないか。この点についてぜひ総理からお考えを承らせていただきたい。これは私が質問しなかったところで、ちゃんと共同声明にみんな実は出ているのですから、同じことですから承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はさっきも申し上げましたように、この協定ができたことはこれは歓迎すべきことだと、かように思います。しかし、いまのコミュニケ自身は両者の意見が一致したのでしょうから、その間に問題ないかもわかりませんけれども、しかし私ども聞きたいのは、あまりに一方的にその意見が述べられておると、それを全面的に了承したと、こういうことなんだろうかどうだろうか、こういうことを先ほど来言っているわけです。私は事柄が、お互いに言いたいことは言うと、それもけっこうなことです。しかし、相手方の立場も十分尊重をする、そうしてその意向を、その意思を無視するというようなことがあっては長いつき合いはなかなかできない。まあ、つき合っているうちに相互にその立場を理解し合うとか、お互いの立場を守るとか、こういうようなことでもやはり改善をみるのじゃないだろうか、かように思います。その意味で、覚え書き貿易協定は望ましい、まとまったことはけっこうだと、かように思っているわけです。まあ、一方的なことでなしに、話がまとまったとすればたいへんけっこうです。しかし、私はどうも一方的にその考え方を押しつけたのじゃないだろうか、かように思いますので、やはりこちらから行った人が帰ってきて、よくその辺の事情も聞いてみなければならない、かようなことです。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 この覚え書き貿易を推進をする、拡大をするということは望ましい、これはわかりました。  それから、一方的に——これは善悪は別としてもひとつ佐藤総理に伺いたいのですけれども、この二十五日のNHKの放送番組「総理と語る」の中で、特に総理が中国問題について発言をされた中に、反動と言われたのではっき合いができないということばがあるのですが、この真意を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは率直に申せば、敵視されている、こういう状態です。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 だから、一方的という言い方、これはどうも私は納得できないのですが、いまの総理の敵視されておるという御答弁はよくわかる。ところが中国側から言わせると、佐藤総理は敵視していると、こう言うのです。それを中国のものを一方的と言ってしまっては、先ほど以来の誤解を解こうというこの道にはどうにも私は進んでいかないと思う。もしそれを一方的と言わずに、誤解もあるから解こうという、そういう談話を出すような政治姿勢を今後とってはいけないのかということを伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいまの状態がいつまでも続くと、こういうことはよくないと思っております。だから、この両者の関係はどうしても改善しなければならない、かように思います。それはどういうようなことだとおっしゃれば、相互の立場を理解し合う、そういう方向の努力が必要なのじゃないだろうか、かように私は思っております。私どもが中国を敵視した、こういう非難があったといたしましても、よもや鈴木君自身が、佐藤は中国を敵視していると、かようにはお考えにならないでしょう。私が敵視しているようにお考えですか、この辺が問題なんです、私が申し上げたいのは。けれども、これはやはりもう少し交渉を積み重ねて初めて相互に理解できるのじゃないだろうか、かように思っております。ただいまのところは細い覚え書き貿易、それだけがいま言われるように一つの意見を代表するものとして出かけておる。これは政府を代表するものじゃございませんけれども、しかし日本国を代表したような気持ちで行っておるんですから、そういう者に対して、一方的な考え方だけで押しつけられちゃ困るんじゃないかと、こういうことを私は言っておる。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。総理が北京というか、中華人民共和国の言うことを不愉快に思われることはよくわかります。それはああいう表現をされればあまり愉快でないことはよくわかります。しかし同時に、それは総理の個人的感情であるが、戦争をしかけたのは日本ですね。侵犯したのは日本です。だからこれは国家間の関係としては向こうが非常に不愉快なわけですね、それが清算されておらないですから。ですからその点は私は総理の気持ちはわかるわけでありますが、これは国家間の関係として理解すべきであるということと、もう一つは、いま鈴木委員が言われたNHKの対談の中で言われたことに関連するわけですけれども、中には、あれを総理は在任中には、日中問題は片づけないんだというようにとっておる人がおるわけですね。そういうとり方をしておる人もおる。私はそうは思わない。そういうことは非常にこれは相手のとり方で、あるいはきょうの毎日新聞を見ますと、藤山さんに新聞記者が尋ねたところでは、佐藤内閣では無理ですねと言うと、どうもそうらしいと、これでは総理の真意も向こうに伝わらぬわけですね。ですから総理が在任中でも、おれの在任中は片づけないということを言ったわけじゃないと思うのですがね。その辺は、私明確にしておいていただく必要があると思います。これは非常に重要な問題だと思いますから、はっきりしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 改善ができれば一日も早いほうにこしたことはございません。私の在任中だろうが、もちろん改善を心から歓迎するものであります。しかし、それにはただいまのような前提があるだろう。私は個人的な感じだけで申すわけじゃありません。私のフィーリングでただいまのような話をするつもりはございません。しかし、やっぱり一国の総理としてこういう問題を話しをする場合に、やはり好意をお互いに持つということが何よりも必要なことではないだろうか、最初から疑った女あるいは不安を持ったり、疑惑を持ったりする、不信であったり、そういうことではなかなか交渉は解決しないのではないかと、かように思います。さらに、その不信を生じたゆえんは、あるいは過去の日中間の関係であったかもわからない。あるいは日本の侵略主義がそういうものを、不信を与えた、あるいは今日も疑惑を与えておる、その続きだと、かように言われるかわかりませんが、しかし新しい日本、この新しい日本は十分その点が改善されたというか、新しく生まれ変わった立場でただいま国際情勢に取り組んでおると、その姿勢を正しく理解してもらいたいと、かように私は思うのでございまして、ただいま言われますこともわからないわけではありません。ただ私、羽生君のお話しのように、何だか改善されないことでも希望しているように思われてはたいへんですから、これは一日も早く改善されることを希望するということを申し上げておきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 関連。総理が中国を敵視してないと、鈴木さんもそう思うでしょうと言われましたが、いま羽生委員が言われたことは、あれは過去のことと言われましたが、現在、ココムとかチンコムというものがありますね。貿易を制限しています。あるいはまた吉田書簡の問題もそうであります。ですから中国を敵視していないというならば、具体的にあかしを立てなければならないと思います。ですから具体的に敵視してないことをだんだん示していく、いままで制限しているチンコムとかココムとかあるいは吉田書簡をやめていけばですよ、これは敵視していないんだなということはわかってくるわけです。だから具体的行動において私はあかしを立てなければ、外務大臣は対話をやりたい、やりたいと言ってもできないと思うのですよ。前に古井さんは、日中関係を悪くしているのは日本側にあるということを、はっきり古井さんはこの前話し合って、そういうことに同意してきているのですよ。そういうこともやはり私は考えなければいけないのではないかと思うのですが、総理いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま言われますように、日中間の関係はだんだんよくしていく。だんだんよくなるという、そういう方向の努力が必要だと、かように私も思います。だからいまお尋ねになりましたことはそのとおりの考え方でわれわれも努力していかなきゃならぬ、かように思っております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 交渉の任に当たっている人が帰らなければ具体的に御答弁ができないということでありますから、これはなおそのあとに回しますけれども、最後に一つだけはっきり確認しておきたいと思うことがある。それは総理がしばしば申されましたように、一方的ではいけない、お互いに相手の立場を認める、そこから妥結をはかっていくんだと、こういう趣旨に伺いました。したがって総理の立場は、おっしゃることはわかったのです。今度の発表された限りにおいては、コミュニケには、中国側のほうは少なくとも日本を脅威と見ておる。あるいは軍国主義が現実化しておるとも見ておる。そういう諸行動を中国側が見ておるということも、これははっきり認識した上で打開の道を開くかどうか、このことをはっきり伺っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは私ども外務大臣とも意見がよく一致しておりまして、いかなる政治形態をとろうとも、また、いかなる社会制度をとろうともそれらの国とも仲よくしていく、これが私どもの考え方でございます。したがいまして、われわれの考え方を相手方に押しつけるというようなことはしないつもりであります。だからそれぞれの立場をはっきりさして、その上で仲よくつき合っていくと、これが私どもの考え方でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 もう少しはっきり聞きたいのです。それは中国側のほうが日本が軍国主義化していると、あるいは軍国主義が現実的になっておるという見方をしておる。それからずっと条件がいろいろ出てきておるのですね。こういう見方をしておるということを、相手がそういう見方をしておるということを正しく認識するか、そう聞いておるのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 相手が日本を軍国主義化しておると、かような認識をしておるというのが現状であるかもわかりません。しかし、はたして日本が軍国主義化しておると、かように中国で考えておるかどうか、それに一つの問題があるし、また、さように考えるなら、われわれはそれは誤解だと言って解かなければならないと、かように思っております。この場におきましても、きょうも午前中から軍国主義の話が出ておりますが、私どもは日本は軍国主義化したとは思っておりません。また、お互いに日本人ならば、これはよくおわかりだろうと思います。だから中国、北京においてそういうような間違った認識をされては困るんだから、そういう点を十分誤解のないように正しく認識していただく、その正しい理解をするのがお互いの交流を盛んにすることではないだろうかと私は考えておりますし、また、大使級の会談も必要だろう、どこでもいつでもやりましょうと言っておるのもそういうことでございます。お互いの立場を理解し合わない限りこれはほんとうの交流は始まらないと、かように私は思っております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 お互いの立場というのは中国の立場も認めて、そういう中から行くということでありますが、大体そういう意味に伺います。  これからあと少し予算問題、予算それ自体についてお伺いしたいのです。  私はきわめて素朴なことをお伺いいたします。それは予算を見て、国民がまた素朴にこれを見ておる、素朴にいろいろな不満も持っておる。こう思うのですから素朴にお伺いいたしますので、そういう問いに合うようなお答えをひとついただきたいと、こう思います。  まず第一に、総理の演説も伺いました。予算書も見せてもらいました。ことしの総理の施政方針の中で、予算で言えば目玉商品というのは何ですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 気持ちといたしましては物価と公害、それから量的には、社会資本の充実と社会保障、かように御理解を願います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 気持ちとしては物価と公害という、このほんとうのことはどういうことですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 力は入れておりまするけれども、予算の額とするとさほど大きな額ではないと、かような意味でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 まあこれは私は気持ちだけは物価と公害と、こう伺いたいような気がしてならないのです。  そこで、特に首相の演説の中にも、またさっきの防衛問題にもちょっと触れるんですが、その予算に。国力にふさわしい防衛力の整備ということもまた演説の中にございます。この意味はどういうことなんですか、これは総理の演説にある。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう古くから言っているように、わが国の自衛力、これは国力、国情に応じて整備していくと、こういうことばでいま京で表現してまいっております。今回も別に新しく飛び出したことばではございません。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 新しくないだけに私が聞いているのですから。その国力にというその国力というのは、私はやはり全体を見なければいけないと思うんです。たとえば教育なり、福祉なり、労働なり、防衛も入る。そういう中にふさわしい防衛と、こう聞きたいのですけれども、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 仰せのごとく、あらゆる面、あらゆる支出、そういうものと均衡のとれたものでなければならない。防衛が極端に大きい国民の負担になるような状態ではそれは国力、国情が許さない、こういうことでございます。ただいまあげられたように、社会保障、教育その他の問題ともやはり均衡がとれなければいけない、ということであります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 大蔵大臣に伺いますけれども、均衡がとれていると信じていらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 均衡はたいへんよくとれていると、かように考えます。つまり、わが国におきましては予算の構成比でいうと七・一%ですが、それからGNPでは〇・八%。まあ諸外国では一%という国も一、二ありますが、たいがい三%、四%、その辺のGNP比率の防衛力である。私は、わが日本とすると、まあむしろ軽いほうである。しかし、いま経済建設、福祉社会建設、こういうさなかでありますので、まことに均衡よくいっていると、かように考えます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私は素朴に聞いておりますから、その縦の線で比率で均衡がとれているという説明は、国民の側からすれば、納得できない点があるんです。私は、社会福祉なり、教育なり、労働なり、そういう面の予算と比べて均衡がとれておるかということを聞いておるのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたが、予算の目玉、これはまあ物価、公害、それから別の量的の目方からいいますれば社会資本、社会保障、こういうところに重点を置いているわけでありますので、社会資本は一兆七千億、それから社会保障は一兆三千億、防衛費は六千七百億、まあ私どもは御批判をあまり受ける余地はないんじゃないか、さように考えております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 国民は、千何百億なんていうのには実感がないんです。だから私は国民の立場で素朴にお伺いいたします。  内田厚生大臣にちょっとお伺いいたしたい。ことしの目玉商品の中に児童手当というのが出ている。児童手当というのはどういう中身ですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) これは本年度から発足をいたしまして、年ごとに増額成長させる、こういう仕組みになっております。十八歳未満の子供を三人以上かかえる家庭につきまして、その三人目以降の子供一人について三千円の児童手当を与えると、ただしことしはまあ制度を発足させるためでいろいろの準備もございますししますので、ことしは十八歳未満の子供が三人以上おります場合につきましても、満五歳以下の子供のみを対象として三千円を支給をいたします。それは本年度末でございますから、すなわち来年の一月から発足しますので、年度で申しますと、四十七年度まではその形でまいりまして、四十八年度からはその年令を漸次引き上げて十歳まで、四十九年度には最終目標に達成をいたす年度といたしまして義務教育学校卒業までの子供を対象にする、こういう仕組みでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 いまの条件で満五歳以下の子供全部支給するには、あとどれだけ予算があればよかったのですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 全部ということになりますと、毎年百七、八十万人の子供の出生がございますので、大ざっぱに申しますと、おおむねその五倍、つまり五歳未満の子供、五倍ですから約九百万人というような数になります。ところが今回は三人以上子供があって、また条件がございますので、したがって今度の予算の何倍かというようなことに相なるわけでございます。ここにそろばんがございませんけれども、かなり、全部の子供に出すといたしますと相当何倍かになると、こういうわけでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 子供にかわって聞いているのですから、それじゃ政府委員でもいいですから、そこのところをもう少し聞かしてください。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 手元に詳細な資料はございませんが、いま大臣が申しましたように、大体五歳未満の児童というのは八百六十万ございますので、大体それの月三千円ということにしますと、約三千億円ということになるわけでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 今度の処置でいうと予算はどれだけ・ですか。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 国から出します金と、それからそれらの子供をかかえる従業員がつとめる企業が出します分と、公共団体が負担する分とこうあるわけでありますが、四十六年度は一月から発足いたしますので、二カ月分ということになりますので、国の支出しますものは三十億でございます。それに他のものを加えますから七、八十億円ぐらいが実額といたしましてそういう条件の五歳以下の子供に渡る、これは四十六年度は。しかしこれは満額にいたしますと、それの六、七倍と、こういうことになりまするので、四十七年度は六、七百億が、総額としては、国の予算ばかりでなしに、子供に渡る総額としては、そのくらいに伸びてまいることになります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 さっきの全体の三千億、これがいまの国の予算の、ことしの国の予算の計算の方法でいけば幾らになりますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 今回の政府案の考え方によりますと、大体国費の負担割合が四七、八%、全体の財源の四七、八%になっておりますので、三千億の四七、八%が国庫負担の額になる、こういうことでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そうするとこういうことですね。五歳以下の子供全部に手当を約束すると四七、八%、まあ五〇に見ましても、大体千五百億要るんだから、そのうちことしの目玉として宣伝しておるのは三十億、こういうことですね。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) 児童手当といいますのは、四十六年度から発足するというところに私どもは大きな意義を認めております。児童手当はそれといたしましても、児童につきましては、先ほども論議になりました保育所をはじめ各種の児童の保護費がございますし、あるいはまた児童手当とよく似た名前の特別児童扶養手当でありますとか、あるいは児童扶養手当というようなものがございまして、四十六年度の予算ではそれらを合わせますと、措置費をも入れますので、約九百億から一千億くらいに、これは今度の新設の児童手当を別にいたしまして、九百億から一千億くらいになります。そのほか保育所などをつくりますための社会福祉施設の整備費というものがございまして、これは別でございますので、そのほうの予算がそれに乗る。こういうことでございますので、四十六年度における社会福祉の私どものほうの目玉は、児童手当を別といたしましても、児童のための福祉の増進と、それからこれはお尋ねがございませんが、やはり老人福祉の増進ということを両方の柱にいたし、その上にとにかく児童手当というものを発足いたしまして、これは小さく産んで大きく育てる、こういうことを私は申したのでありますが、そういうことで、ことしは出発をした、こういうふうに御理解をいただきとうございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私が聞いているのは、児童手当のあれですよ。それを何か三人以上のどうこうという整理をして、みんな落っことしてしまうから、これを拾っていけば同じ条件で国費はどれだけ要ったのかということを聞いているんです。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) それは先ほども政府委員から述べましたように、七、八百万人の子供になりますので、それを対象として三千円を掛け、また本年方式にいたしまして二カ月だけにいたしましても千五百億はかかる。しかし諸外国の例を見ましても、児童手当というのは子供のある家庭について、一人目から出しておるというところはほとんどございませんので、四人目から出しているというような、そういう国もございます。わが国といたしましては、とにかく三人目から出そうということで、しかも先ほど来たびたび申し上げましたように、とにかく法律をつくってそうして本年度中に発足させるということで、総理大臣にも大蔵大臣にも踏み切らせたというところをひとつ御理解いただければ幸いと存じます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 結局、千五百億要るところの子供がいるのに三十億分だけしか出さなかった、こういうことですね。いいですね、それで。

内田常雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(内田常雄君) たびたび申しますように、千五百億というのは、平年度一年まるく出したとしてであります。そこで三十億というのは、四十六年度の、つまり四十七年の一月と二月の二カ月分だけでありますから、それを七倍くらいにした金額が平年度にいたしますと政府の負担分となるはずでございます。二ヵ月の六倍ではなしに、算術的にいたしますと十二カ月ですから六倍になりますが、何かズレがございまして平年化いたしますと七倍くらいになるはずでございますので、五歳で三人以上子供がいるというような条件をつけましても、二百何十億かということになるはずでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 しつこいようで悪いんですが、もう一つだけ聞かしていただきます。四歳の子供のうち児童手当をもらえる子供は、比率はどれくらいあるのですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○政府委員(坂元貞一郎君) 四歳以下の具体的な数字は手元に持っておりませんが、大体私どもの今回の推定によりますと、若干の高額所得者をはずすようなかっこうになっておりますので、大体  一割くらいが所得制限ということになって受給の対象にならない、こういうことに計算上なっておるわけであります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 わかりました。あと法案とか全体の社会保障の政策は別に同僚があとでやりますから、数字だけを伺っておきます。  あと教育予算関係で若干伺いたい。これは文部省にお伺いいたしますけれども、大体いまの教育条件について、まず一つ、文部省の予算は相当の金額に見えておりますけれども、義務教育費の運営費、人件費を除いてですね、国費から出る分は何分の一でどれだけの数字になりますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたします。  文部省所管の予算におきまして、義務教育諸学校教職員の人件費、これは昭和四十五年度予算では四八%、四十六年度予算案では四九%、それから国立学校の経費、昭和四十五年度予算では三四%、昭和四十六年では三三%が大きな割合を占めております。また文教予算におきましては、これらの経費はきわめて重要な基本的経費でございます。その増額をはかっていくということは、国立学校の整備、義務教育教職員の定員の充足、処理の改善という意味から、今後ますます必要であると考えております。しかしながら、そのためにその他の予算がしわ寄せを受けて伸びないということでは必ずしもございません。昭和四十六年度の文部省所管の予算案計上額は、前年度に対する増加率におきまして、昭和四十年代になって最高一六%となっております。もとより、これをもって十分と心得ているわけではございません。御指摘の学校の施設設備の充実等基本的な教育条件の整備をはじめ文部省の所管する教育、学術、文化に関する諸活動が円滑に遂行することができるよう、今後とも文教予算の増額については大いに努力をいたす考えでございます。  昭和四十六年度文部省の予算の総額でございますが、統計いたしますと一兆四百十億三千五百万円、義務教育国庫負担金、これは給与費でございますが、これが一七・四%で五千七十五億五千七百万円、国立学校特別会計は三千四百十億六千九百万円で一一・七%でございます。その他の経費が千九百二十四億九百万円、二〇・五%。たとえば文教予算の中で公立文教施設費、これが非常に大事な予算でございますが、この増加率は二四・五%で五百三十八億七千百万円等々でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そういう中で具体的にお伺いいたしますが、義務教育の関係で校舎の足りない状況はどうなっていますか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○国務大臣(坂田道太君) 公立の小中高等学校の校舎の整備状況を見てみますると、昭和四十五年の五月一日現在で、児童生徒一人当たりの校舎面積は、小学校が五・二八平方メートル、中学校が六・二三平方メートル、高等学校が六・九三平方メートルというふうになっております。十年前の昭和三十五年の小学校三・六七、中学校三・九九、高等学校の四・八六と比較いたしますと大幅に改善をされております。また、保有面積の鉄筋化の状況について見ますと、昭和四十五年五月一日で、小学校三八%、中学校四一%、高等学校五四%となっておりまして、十年前の昭和三十五年の小学校一〇・五%、中学校一二・〇%、高等学校一六・三%に比較いたしますと、鉄筋化が大いに進んでおります。しかしながら、公立学校施設は全体としてはなお御指摘のように必要面積に対してかなりの教室の不足がございます。四十四年度におきまして、普通教室でございますが、小学校一万教室、必要教室に対しまして三・五%が不足でございます。中学校については二千教室、必要教室に対して一・八%が不足をいたしております。特別教室——理科教室とか音楽教室とか図工教室でございますが、不足教室が大体小学校二万四千、中学校一万八千というわけでございます。また、保有校舎のうち木造校舎が、四十五年五月一日現在におきまして五〇・七%を占めております。この中には老朽により改築を要するものがかなりあります。特に人口過密地域におきましては、校舎の整備が間に合わず、特別教室の普通教室への転用やいわゆるプレハブ教室等で急場をしのいでおります。昭和四十五年五月一日現在で小学校七千二百八十三教室、中学校で千百五十教室がございます。このような現状にかんがみまして、公立学校施設につきましては年次計画をもって整備することとして、現在昭和四十四年度を基点とする第三次五カ年計画を実施中でございます。昭和四十六年度予算案においても公立学校施設の整備を最重点事項の一つとして整備目標を児童生徒の急増する過密地域における小中学校校舎の不足整備のための事業量の確保をはかるとともに、過疎地域における公立学校施設を整備するための諸施策の推進において国庫負担額において対前年度百六億円増の五百三十九億円、先ほど申しましたように前年度二四・六%増、建物関係事業量におきまして対前年度三十一万平方メートル増の三百六十九万平方メートルを計画しております。このほか御承知のように、初めてこの土地に対します補助金を獲得いたしましたことは、額は小そうございますけれども、かなり思い切った施策とひとつ御了承願いたいと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私はその努力を認めないという立場で聞いているんじゃないんです。努力してもこの程度だということで聞いているわけですからその点を誤解くださらないように。  大蔵大臣にもお伺いしたいんですけれども、いま文部大臣がお答えになったように、たとえば教室一つでいま義務教育の学校が特別教室は三九・九%も足らない、こういう現状であるということは、お認めくださいましょうね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) たいへん改善されてきておるということは私もよく承知しておりますが、なお十分でないということもまた存じております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 午前の総理の答弁にもありましたように、単なる伸び率では判断ができない。そのスタートがどうなっているかということなんですから、改善をされたといって前から比較してどうこういっては困るんで三九%、四〇%に近い教室を持たない子供の立場に立ってものを言ってもらわなければ困る。  そこで、私はまだまだ教育予算の足りない状況も知っておりますけれども、時間がありませんからそれ以上は申し上げませんが、どうもさっき私が申し上げましたように、福祉なり教育なり労働なりと比べて、そういうものと見て防衛のバランスがとれているのか、とれているというふうに胸を張ってお答えいただいたんですけれども、素朴な見方からすると、どうしてもこの点はすっきりしない。したがって、これから防衛予算について若干伺いたいと思うのですが、まず正月の四日だかの新聞に予算が通ったあとに防衛庁の陸、海、空の幹部たちが、これだけつけてもらえば文句言ったらばちが当たると言っておったという記事が載っておったのですが、防衛庁長官の今度の予算査定の結果の、大臣の御感想をまず承りたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 国力、国情に応じて適当な額がきめられたと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 それでは具体的に伺います。まず、防衛庁の予算のうち、全体から見ると金額はどうこうと、こういうことになりますけれども、防衛庁の予算要件と査定をされたものの違いはどれだけありますか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) お答えいたします。  防衛庁が昨年の夏に概算要求いたしました。その後沖繩関係もございましたので追加要求をいたしました。そのときの概算要求総額が七千三十億だったと思います。その後これは要求はいたしませんが、昨年の夏にベースアップの勧告がございました。これは防衛庁といたしまして要求はいたしませんが、当然その計算は四十六年度予算に反映するということでございます。要求はいたしませんけれども、実際予算に反映するという額は大体四百億でございます。ですから七千四百三十億ぐらいが御案内のとおり六千七百九億になっておる、こういう関係でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そこで、もう一つ防衛庁に伺いますが、この予算のうち、後年度以降の予算がだいぶついております。いわゆる国庫債務負担行為に関するものが相当ある、それから継続費もありますね。そこでこの予算のうち、第三次防計画にかかわるものはどれどれですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほどのことに関しますが、防衛費の伸びを公共事業費その他と比べてみますと、昨年に比べて、公共事業費が約二兆二千五百億円、社会保障費が二千億円、文教費が千五百億円、防衛費は千億円であります。この伸びを見ればまあまあ妥当ではないかとも思いますし、それからその。パーセンテージを見ましても、大体適当な額におさまっていると思います。  なお、御質問の点でございますが、お答え申し上げますと、四十六年度の予算で、第三次防防衛計画の中で含まれて、しかも次年度以降に繰り越すものは、大体において継続費としてありますのが三百五十六億四千百万円です。これは主として四十六年度甲四型護衛艦そのほか四隻の建造分です。それから国庫債務負担行為として次年度以降に繰り越すものは二千二百七億九千六百万円。これらは艦船の建造、主としてこれは中型掃海艇等六隻の建造。航空機の購入、これはF4EJ四十八機、対潜哨戒機P2J十一機、対潜飛行艇PS1五機、輸送機二機等九十六機の購入等でございます。武器の購入が百九十一億余万円、これは戦車それから地対空誘導弾ナイキ、ホーク等でございます。装備品等の分が三百十五億二千三百万円、その他二百三十二億九千百万円、これは教育訓練費、弾薬その他でございます。以上で継続費及び国庫債務負担行為の合計が二千五百六十四億三千八百万円、こういうふうになっております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そこで、さっき素朴に伺うということを言いましたけれども、素朴に伺いますけれども、この国庫債務負担行為のうち、具体的に御説明をいただきたいのです。まず第一は、計器飛行訓練機、対潜哨戒機P2J、整備訓練機、これらは四十六年度とそれから四十七年度以降との間に、翌年度以降何倍を見ていますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 翌年度以降どういう意味でございますか。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 四十六年度以降の一つの予算で四十六年度と七年度以降の金額の比率はどうなっているかということです。これは数字ですから大臣でなく政府委員でもよろしいです。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 経理局長に答弁させます。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 四十七年度以降いかが相なるかという問題かと思います。国庫債務負担行為につきましては、四十七年度は、先ほど申しました金額の中で千七百十七億ばかり四十七年度予算に出てまいります。それから継続費でございますが、このうち二百六十九億ばかりが出てまいります。合計いたしまして来年度の予算におきましては千九百八十六億に相なるかと思います。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 私が聞いているのは、いま示した、たとえば「財政法第二十八条による昭和四十六年度予算参考書類」というのがありますね。これの九八ページの下から二番目、これは四十七年度以降と四十六年度分との間の比率は幾らかと、これを聞いている。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 負担行為等の一割ぐらいが本年度の予算に計上されまして、それ以外の金額が後年度の負担になると、こういう勘定でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 もう一つ具体的に聞きます。六ページの弾薬購入費についてはどうですか。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 弾薬につきましては七十八億限度額がございまして、すべて後年度負担に相なります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 この弾薬購入費、私の計算では四十六年度予定額と四十七年度以降比率を比べてみますと、三千四百四十九倍ある、大体三千五百倍ですよ。そうすると、本年度ちょっぴり芽を出しておいて、三千五百倍を来年度から拘束をするんだというような予算については、先に言いましたように、素朴な国民からするとどうしても割り切れない。したがってこれは防衛庁の長官に、この緊急にことしの予算に計上しなければならなかった理由をお伺いいたします。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) これは、大体、二次防、三次防からのずっと継続でやってまいりまして、それで次期防にいつもずれ込んできておる、そういうかげんで、ことし入ってくるのには前の時代のものも現品として入ってくるものもあるわけであります。そういうような一定の流れと申しますか、そういう面も考えてみまして、いまのような操作をしているのだろうと思います。詳細は経理局長から答弁させます。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) あるいは経理局長からお答えするのが正当と思いますが、弾薬につきましては、大体、従来から一年前に発注をいたしまして翌年払うようなことでずっときておるものですから、したがって国庫債務負担行為はほとんど大部分が翌年度払いになりますが、ことしも同様なやり方でやっております。ことしは約七十億払っておりますから、七十億が七十八億に、約一割ちょっとふえた、こういう関係でございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 ちょっとわからないのですがね。数字は七十億とは出ていないのです。二百三十九万三千円ことしは払う、四十六年度はですね。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) 要するに一年ずれているわけでありまして、ことし払うのは去年債務負担行為で発注した分を四十五年度に払います。で、四十六年度予算で発注するものは四十七年度で払います。こういうことで毎年ずれずれできておりますから、したがって、実際ふえている額は八億円と、こういうことでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そうすると、これは大部分は四十七年度に使うものですか、この爆弾は。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) 納入が四十七年度になると、こういうものでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そうすると、ことしの払う分はどれに払うのですか。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) ことしは、予算に載っておりますのは、ことし契約をする分が載っておりまして、去年の予算書にことし納入になって支払うのが載っておるわけであります。その金額はことしの歳出予算に載っておりまして、債務負担行為には載ってないわけであります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 四十五年度支出見込みはゼロになっているのですが。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○政府委員(鳩山威一郎君) その分は債務負担行為をする契約の分で、ことし払うのはほとんどないわけで、来年ほとんど納入になりまして、来年支払いになるというわけであります。で、もう一年前の予算書をごらんになりますと、同様なことが書いてあるわけであります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 まあそこのところはわかるにしても、そういう前に発注をしておくのなら、弾薬を使うその使い方が、四十六年度は二百三十九万で間に合う、四十七年度はこれの三千四百四十九倍。  これは私の計算が間違っていれば訂正しますけれども、相当の倍数のものを四十七年度に使う。どうしてこの四十七年度が急にふえなければいけないのかということです。

田代一正防衛庁経理局長

○政府委員(田代一正君) 弾薬の予算について総括的に申しますというと、わが防衛庁におきましては、その年じゅうの、その年の歳出予算で買うものと、それから国庫債務負担行為で買うものと両方になるわけでございます。で、国庫債務負担行為で買うと申しますのは、やはり複雑な弾薬でございますということで、生産上の理由からもリード・タイムが要りますので、当然それは両年度にまたがった契約になるということでございます。ただいまいろいろ御指摘になっておりますのは、その中で国庫債務負担行為で購入するという分について申しておるというぐあいに了解されます。そこで、補完的に申しますというと、四十六年度におきましては、たしか昭和四十五年度予算で、昭和四十五年度の国庫債務負担行為でもって購入するという契約の分で、四十六年度に取得する分がございます。これが総額で六十九億に相なります。それから新規に購入するものといたしましては、歳出予算のみで購入する分が七十三億ございます。それ以外に四十六年度の国庫債務負担行為で四十七年度の歳出負担において購入いたしますのが、先ほど申しました七十八億と、こういうことに相なるわけでございます。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 そこで、もうその数字の話はそれで大体わかるのですけれども、そうすると、四十六年度の使うこの弾薬ですね。弾薬は、四十五年度に支払った分はどれだけの金額分がいまあるのですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 弾薬は五万トンとか十万トンとか、一定の備蓄をしておりまして、それで大体古いものから使って常に一定数量は万一の用意にとっておくわけであります。そういう意味で、去年の予算で契約してことし物が入ってくる、ことしの予算で契約して来年物が入ってくる、そういう流れて使っているわけでございます。大体しかし次の防衛計画においては、いままでよりも弾薬の備蓄量を少し多くしよう、いままではあまりにも少な過ぎたものでございますから、そういう計画でおりますから、次の防衛計画では順次少しずつふえていくだろうと思っております。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 次の防衛計画の中身をちょっと説明してください。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) まだ防衛庁の原案としてあるので、政府間の正式の対象にはなっておらないのでございますけれども、いままでの第三次防計画の備蓄に対してある程度のものをふやそうと、その数字をまだちょっと申し上げる段階に至っておりません。しかし、それほど大きな数字ではございません。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 素朴なものの見方からするというと、どうしてもわからないのですね。次の防衛計画に入る部分ですといって、どう見てもことしの三百五十倍ぐらいの来年度の予算を拘束をしておる。これは次の防衛計画、おそらく第四次防、この計画はまだ防衛庁内部にあって本物ではない、その計画がまだはっきりきまらぬうちに、もう金のほうはどんどんどんどん先取りしている、そういうふうに伺ってよろしいですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いまのお話は三次防のワク内のもので、次の防衛計画の予定として入っているものではないのです。四十七年度分は四十七年度予算で入っていくわけですから、したがいまして、それは四十六年度分は三次防を完成するための予算であります。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 いまの答弁は納得できないのですけれども、あしたもう少しやります。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) それじゃ、あしたでいいですね。

鈴木力日本社会党

○鈴木力君 はい。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 鈴木君の質疑の途中ですが、残余の質疑は明日行なうことにいたします。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時十一分散会      —————・—————

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