予算委員会 第4号
- 発言数
- 312 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1971/02/12
会議録
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、 以上三案を一括して議題とし、前回に続き質疑を行ないます。小平芳平君。
○小平芳平君 私はカドミウムの公害についてずっと質問をするつもりでおりますが、きのうからのニュースで、東北線でもって機関士が酔っぱらっていて急行が衝突して、乗客ら三十二人が重軽傷を負ったというこの事故について、運輸大臣から御報告を願いたいと思います。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 東北線の列車の衝突につきましては、まことに申しわけない次第でありまして、心からおわび申し上げたいと思います。 大体の状況を御報告申し上げますと、十一日の午前二時五十分ごろ栃木県下の東北本線の野崎-西那須野駅間におきまして急行旅客列車「ばんだい6号」と後続の貨物列車大宮発長町行きが衝突いたしまして、先行旅客列車の最後部の郵便車一両と後続貨物列車の機関車及び貨車四両が脱線しまして、重傷――これは機関士であります。重傷一名、軽傷三十七名、内旅客が三十名、郵政職員が七名、計三十八名のけが人を出しましたことはまことに申しわけない次第と思っております。 事故の原因につきましては、目下詳細に、詳しく調査中でありますが、大体ただいま判明いたしましたところによりますと、先行の旅客列車の機関士が酒気を帯びて、まことにこれはけしからぬ話でありまするが、酒気を帯びまして乗務仮眠したために、上り勾配、坂になっておりまして、上り勾配線の上で列車が自然にとまってしまった。その後、うしろへ下がってまいりまして、停止信号でうしろから参ります貨物列車がとまっておりましたが、それに衝突をしてこの事件が起きたものと考えられます。かかる不祥事故が発生いたしまして、まことに国民の貴重な生命、財産を預かっておりまする運転関係者といたしましては、安全輸送に対する使命感の欠除によるものであると考えられますので、国鉄に対しまして直ちに運転関係従事員の資質の向上と職員の管理の強化徹底をはかるとともに、緊急自動停止装置、EB装置と言っておりますが、緊急自動停止装置の設置及び使用の促進について緊急に適切な措置をとるように強く指示をいたしました。なお、この機会において運輸省といたしましては、さらに安全輸送に対する指導監督を強化してまいりたいと存ずる次第であります。 以上経過及び暫定的な措置を行なったことを御報告申し上げます。 なお、具体的なこまかい点の状況につきましては、磯崎国鉄総裁を呼んでおりますので、そのほうから答弁させたいと思います。
○小平芳平君 この運輸省あるいは国鉄としてのこうした安全思想ということをいま大臣は強調されましたが、健康管理、そういう点に抜けているところがあるのではないかという点、それからこの事故の起きたのが夜中の二時でありますが、朝の七時まで何ら手が打たれなかった。乗客たちは、まあけが人はおりませんかというようなことは聞きにきたそうでありますが、五時間もただ外でたき火をして時の来るのを待っていたというような点、それからもう一つ、過去の列車事故で二十日も一ヵ月もたってからむち打ち症を訴える人が相当出たという、こういうことも聞いております。そういう点、当局としてはそういう事故が起きた場合に五時間もほっておくのか。それはもう急行券の払い戻しどころじゃなくて、全部返してもらいたいというふうに乗客はみんな憤慨をしていたという点、それから将来に起きるむち打ち症等に対する対策は何かお考えかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(橋本登美三郎君) お答え申し上げます。 そのときの状況につきましては磯崎国鉄総裁から詳しく答弁させることにいたします。なお、お話のありましたこの後において病人等が出ました場合、これらについては国鉄当局をして遺憾なき措置を講じせしめる方針でおりますので、その点は御了承願いたいと思います。
○説明員(磯崎叡君) 昨日の東北本線におきます事故につきましては、先ほど大臣から御報告のあったとおりでございますが、全く私の不徳のいたすところでございまして、深くおわび申し上げます。 ただいま御質問のございました今後の手当ての問題並びに昨日の応急的な現場における措置の問題、いろいろきのうから事情を聞いておりますが、非常にその上下本線を支障いたしましたために、機関車が中に入ってしまいまして、それを取り出すのに非常に時間がかかったということと、それから幸いあの付近には私どもの自動車を持っておりまして、緊急に自動車運転手を集めましたが、やはり住居その他の関係で、四時間ほどかかってしまった。たいへんおそくなったことを遺憾に思っております。その後の問題につきましては、衝突いたしましたときの速度が大体十八キロないし二十キロくらいの速度でございます、下がってまいりましたものですから。貨物列車は動き出したばかりでありましたので、合計いたしましても三十キロくらいの速度でございましたので、いま現在、病院に入院しておられる方は一人もおられません。全部お帰りになりました。もしその後そういう事態が起きましたならば、十分私のほうで万遺憾なきを期してまいりたいというように思っております。重ね重ね私の不徳のいたすところでございまして、深くおわびを申し上げます。
○小平芳平君 総理は国鉄のことに非常にお詳しいようでございますが、何かこうした事故が起きるということは、何か欠けているものがあるんじゃないか、まあそういう事故は昔からなかったとは言えませんけれども、ちょっと特殊な事故のように思いますが、どういう点が一番欠けているように考えますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日の事故は、先ほど運輸大臣並びに国鉄総裁からおわびをしておるように、これは国民に対してほんとうに申しわけのない事故だと思います。私が直接、ただいま指揮、監督しておるわけではございませんけれども、総理といたしまして、国民に対して申しわけのない事故だと、かように考えております。一口に言えば綱紀の弛緩とでも申し上げますか、そういうことに帰するのではないだろうか、かように思います。平素の訓育もちろん大事でございますが、飲酒した、そういう人が機関車を運転する、これは最もあぶないことでございますし、自動車運転でも厳禁しているところで、国鉄において、さようなことは許されておりませんが、こういう点がルーズになっている、かようにおしかりを受けても当然のことだと、私はそういうところから直してかからなければならない、かように私も思っております。一言、お答えいたします。
○小平芳平君 ただいま総理が、一口に言えば綱紀の弛緩であるということを言われましたが、ひとつ運輸大臣、また国鉄総裁もよくお考え願いたいと、このように要望いたしたいと思います。 それからもう一つ、南ベトナムに沖縄のアメリカ海兵隊が出動したというニュースも報道されておりますが、いま沖縄返還、あるいはこのベトナムの戦争、この戦争が非常に重大な段階に来ているこのときにおいて、こうしたアメリカ軍の動きというものが沖縄の将来に、あるいは日本の将来にどのような影響を及ぼすと考えられますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 米国の海兵隊がサイゴンの沖合いに出て行ったということを、情報としては政府も承知しておりますけれども、その情報、ことに上陸をしたかどうかというような点については、確認をまだいたしておりません。関心を深くして見守っておりますけれども、現状におきましては確認されておりませんので、何ともコメントする状況にございません。
○小平芳平君 それではカドミウムについて質問いたします。過日、臨時国会で十四の法律が成立いたしておりますが、その十四法の中で、カドミウムに関係のあるものがたくさんあります。大気汚染あるいは水質汚濁、あるいは廃棄物の処理、あるいは費用負担法、それから土壌汚染はカドミウムだけであります、現状として。総理にいまお尋ねしているのですが、カドミウムに対しましてですね、十四の法律のうち水質汚濁、大気汚染、それから廃棄物処理、費用負担、土壌汚染、海洋汚染、それから基本法、公害犯罪処罰法、こういうように多数の法律がこのカドミウムに関係をしております。で、シアンとか砒素とかいうような、こうしたものは昔から毒であるということが一般に知られていたわけですが、カドミウムの場合は、最近までこれがわからなかった、知られておらなかったということ、しかし、急にこのカドミウムによる公害、それは発生した企業もそれから被害を受けた住民も、非常に深刻な場面に立たされております。政府もまた大量のカドミウム汚染米をかかえて実は困っているのが現状じゃないかと、このように思います。 で、総理はこのカドミウムというこれを直接ごらんになったことがあるかどうか。それから総理はカドミウムについてどういうことをお考えになっていらっしゃるか。以上二点についてお答えを願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 私、残念ながらまだカドミウムを見ておりません。ただ、カドミウムはいまイタイイタイ病とかこういうものがカドミウムの慢性中毒だと、そういうことを政府としてはその見解を発表しております。したがいまして、カドミウムの人体に及ぼす影響、これはたいへんなものだとかように思って、関心を深めておると、こういう状態でございます。
○小平芳平君 市民の間にもわりあい、このカドミウムという記事がよく新聞に載りますけれども、見たことがないという方が多いわけですが、これはなんですね、カドミウムは。あまりこう固いものではない、音から見ましても。これをごらんになってください。 このカドミウムがイタイイタイ病の原因になるということ、そのことを総理がはっきりおっしゃっていただけば、いまイタイイタイ病がカドミウムによるものかどうかというような意見も出てまいりますけれども、政府としてはイタイイタイ病をカドミウムによる公害病と認定している。したがって、総理としてはイタイイタイ病はカドミウムによると、このお考えに間違いはございませんですね。 それから、そこでその場合カドミウムによる被害、要するにこれはカドミウムは微量は自然にも存在しますが、このカドミウムによる財産被害、健康被害ということはそんな簡単に起きるものではない。やはり公害発生源がある。したがいまして、そうした公害についての財産上、健康上の被害については当然企業が補償すべきものだと、このようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府として四十三年このイタイイタイ病、これはカドミウムの慢性中毒だと、そういう見解を発表しております。したがいまして、この原因がそれによるものだということならば、これはもちろんイタイイタイ病がカドミウムによる原因だと、そういう因果関係が説明される、証明される、こういう関係だとやはり責任を賠償する責任者、それはおのずからきまってくるだろうと、かように私は思います。
○小平芳平君 したがいまして、裁判を起こして十年かかるか何年かかるかわからない裁判で争うよりも、やはり総理としては、政府が公害病と認定しておるわけでありますので、因果関係を認めて公害病と認定したわけでありますので、そうした十年裁判あるいは百年裁判、そういう裁判よりも、むしろ企業が自分のところで発生しているということがはっきりするなら早く補償すべきだと、こういうふうに、直接にはイタイイタイ病裁判は三井金属鉱山ですけれども、総理としてはむしろそうした三井がどこまでも争うという姿勢じゃなくて、早く解決すべきであると、あるいは患者の立場に立って早く解決させてあげたいと、こういうお気持ちだと受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一口に解決すると申しますけれども、どういうような解決のしかたがあるか、またどういうような金額が要求されるか、そこらに問題があるのではないだろうか、かように私は思います。会社として、いつまでもこういう問題で、自分たちが発生源者であると、かように考えているものについては、これはやはり責任をとるべきものだと思いますし、また患者の方にも、ほんとうにお気の毒な状態ですから、できるだけ早く問題を解決して、そうして十分静養ができるような療養ができるようなそういう処置がとられることが望ましいと、かように考えております。
○小平芳平君 よくわかりました。 それで今度は、具体的な問題として、通産大臣に、東邦亜鉛安中工場についてお尋ねをいたします。通産大臣は、二月一日衆議院予算委員会で、公明党大久保委員の質問に答えて、四十三年十一月のこの段階で、安中にカドミウムの公害はなかった、あるいはカドミウム公害はないというのが厚生関係の判断であった。このように会議録三ページ半にわたって答弁をしております。そこで通産大臣に伺いたいことは、厚生関係の判断とは一体何でありますか。厚生関係の判断とはだれの判断なのか、厚生関係の人が何の調査をして、通産省に知らせてよこしたのか、それについて明確な御答弁を願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の予算委員会でお尋ねがございましたときに、質問者のお時間の関係もございまして、比較的簡略にお答えをいたして私も意を尽くしておりません点がございます。それを補わさしていただきたいと思いますが、当時安中地方におきましては、大気汚染防止法あるいは水質保全法による指定というものはなかったわけでございます。しかし別途に、本省の鉱山保安局長から通達を出しておりまして、認可する際の基準は与えておったわけでございます。でちょうど安中地方において、このカドミウム公害が問題になり、あるいは県議会において議論されましたのが四十三年の九月、十月ごろでございまして、地方においては、こういう問題についての議論がいろいろございましたことは御存じのとおりでございます。で、厚生関係云々と申しましたのは、厚生省云々と申した意味ではございませんで、大気汚染防止法、排出基準法の指定地域でなかったということを申し上げておったのでありまして、公害問題についての認識が、鉱山保安当局あるいは地元になかったと、こういうことを申し上げたわけではございません。
○小平芳平君 そういう、厚生関係の判断というのは、指定になってなければ公害がないのですか、公害がない、公害がないと一生懸命言いながら、それが厚生関係の判断であったと、こう言っている。厚生関係が一体何の判断をしているのですか。厚生関係のだれが、何の調査をして、判断しているのですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 厚生関係と申しますのは、厚生省という意味ではございませんで、そう申しておらないわけでございます。つまり法的な規制、基準というものが、工場排水規制法あるいは大気汚染防止法ではなかった。もちろん鉱山保安当局としては自分の基準をもって通達しておりましたけれども、法的な規制というものはなかった。したがって、法的に大気汚染防止法、あるいは工場排水規制法に基づいての処分というものは法的には存在しなかった、こういう意味でございます。
○小平芳平君 そんな、法的措置がなかったなんて一言も言ってないんじゃないですか、衆議院で。厚生関係の判断として安中に公害はないと何回も言っているじゃないですか。安中に公害はない、安中に公害はないってさんざん言っておいて、それが厚生関係の判断だと言っているじゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 何度も申し上げますが、厚生省の見解でなことを申したわけではありませんで、もし規制すべき公害があればそれは法によって基準をきめ、規制されなければならない、そういう状態は当時存在していなかった、客観的に存在していなかった。判断の問題ではございません。
○小平芳平君 いままでの法律は、公害がもうばたばた発生して財産の被害を受け、健康の被害を受け、大被害を受けてからやっと、法律が動いたんじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこでそういう法律関係は当時安中にはなかったという事実を申し上げたにすぎないわけです。
○小平芳平君 法律関係はなかったけれども、公害はあったんでしょう。はっきり答弁してください。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私には判断いたしかねます。
○小平芳平君 橋本公害課長が、いいですか。四十三年十二月二十七日に、「広報安中」に出た橋本公害課長の談話、安中製錬所は要するに公害がないということを言って、安中製錬所はいろいろの金属を回収する近代的な工程と設備により操業されている。厚生関係の判断はこれしか出てないのです、これしか。そんなことを信用しているんですか。あとで安中製錬所は罰則適用で有罪判決まで受けている、その工場を何ですか、一体。安中製錬所は金属を回収する近代的な工程と設備により操業されている。こんなとんでもないことを信用できますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと御質問の意味を取りかねるわけですが、その当時地元にいろいろ議論のありましたことはこれはよく承知しております。それでありますからこそ、工場排水規制法あるいは大気汚染法の関係はございませんけれども、鉱山保安の立場からは、鉱山保安局長の通達がその年の暮れには出ておりまして、工場の施設の判断基準はこれによってやれということはいたしておるわけです。しかし、両方の法律の適用がなかったということはこれはいい悪いはともかくといたしまして、事実はさようでございました。
○小平芳平君 その法律を適用するのも厚生省でしょう、厚生省に関係なく法律だけが動くんですか、どうです。厚生関係の判断だけをぼくは聞いているんです。
○国務大臣(内田常雄君) 厚生大臣でございますが、ちょうど私、手元に当時の安中における厚生省の公害関係調査の簡単な資料がございますので申し述べさしていただきたいと思います。 先ほど、総理大臣も仰せられましたように、イタイイタイ病とカドミウムとの関係を明らかにいたしましたのは昭和四十三年でございました。そこで厚生省は昭和四十三年度においてカドミウムを生産する主要な鉱山として宮城県細倉鉱山、長崎県対州鉱山、それにいまの群馬県安中製錬所の三ヵ所の周辺の環境汚染調査を実施いたしました。その結果は四十四年三月に発表され、これらの地域においてはいま直ちにいわゆるイタイイタイ病が発生する危険があるとは考えられないが、安全を見込んで今後これらの地域を要観察地域として継続的な対策を行なっていくことが必要である、こういう厚生省の見解を発表いたすと同時に、四十四年三月に群馬県の安中地域を要観察地域として指定をいたしました。一方、群馬県では、四十三年に、安中地区住民の健康調査を実施いたしまして、四十四年四月にそのデータを専門家による委員会において検討いたしました結果、九名が鑑別診断を要するものと判定された。そこで、厚生省は四十四年度においてこれら鑑別診断を、イタイイタイ病の鑑別診断研究班というものを組織をいたしまして、金沢大学の教授の高瀬武平氏外十一名の医学者並びに臨床の先生方に委託をいたしましてこの鑑別診断をいたしました。その結果は、四十五年七月――昨年の七月に発表されて、現在までのデータでは、カドミウム中毒を支持する所見に乏しいという結論が一応出されました。しかし、四十四年度の一般検診をいたしました対象は六百八名でありました。イタイイタイ病またはカドミウム中毒と判定されるものはございませんでしたが、三十一名について経過観察を行なうことにいたして続けております。なお、厚生省は要観察地域対策として四十四年の五月と十月の二回にわたって環境大気調査、あるいは粉じん調査等をいたしました結果、五月の調査でカドミウム、鉛による局地的汚染が認められた。こういうような記録がございまして、したがって、四十三年の神通川のイタイイタイ病発生と同時に厚生省はこの問題に着目をいたしまして、いま言うように、当時三ヵ所の地点を集中的に要観察地域としていろいろな一般検診、鑑別診断等をやり、その後またさらに四ヵ所の要観察地域を追加をいたしまして、今日では人工汚染の危険があるかもしれないと考えられる七つの地域を対象としていろいろの調査を続けておる、こういうのが現状でございます。
○小平芳平君 厚生大臣にはあとでゆっくり質問しますから、もうちょっと待ってください。いまぼくは通産大臣に尋ねているんです。 それでは通産大臣、通産省は昭和四十三年に安中に公害があったと思っていますか、なかったと思っていますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは公害というものをしっかり定義をいたしていただきませんと、お答えをいたしかねると思います。
○峯山昭範君 関連。通産大臣、先日の大久保議員の質問のときには、東邦亜鉛の無認可操業を追及しているわけです。通産省が見のがした無認可操業を徹底的に追及していたわけです。それを大臣、あなたはこの無認可操業がおかしいということを、カドミウムの公害がないというのがむしろ厚生関係の判断でございますと、こう言って逃げたのです、あなたは。厚生省関係の判断が、要するにカドミウム公害はないというのが厚生省関係の判断である。したがって、本来は操業停止をやらなければならないけれども、しかしながら、操業停止をやらないで、むしろそれを認めたのだ。厚生省自体も、カドミウム公害はないというのが厚生省の判断であるが、私のほうの省も直接すぐこの操業停止をやらないで、むしろ指導して見のがしたのだ、こういう答弁じゃないですか。それでは一体だれが、厚生省のだれが、いわゆるカドミウム公害がないという考え方をしておったのか。いま厚生大臣の答弁によっても、要観察地域というそういうようないろんな点が出ているんじゃないですか、公害に対する見解はそんなことを聞いているんじゃないです。厚生省のこの見解は一体だれが言ったのか明確に答弁願いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 無届け操業、無届け施設の増設ということがありましたことは、御指摘のとおりでございますから、翌年鉱山保安監督部が司法警察の権限を行使いたしまして送致をいたし、そうして裁判になり有罪になりましたことは、御指摘のとおりでございます。他方で、私は厚生省と申し上げたことはございませんので、これは速記録をごらんいただきますとおわかりでございますが、橋本課長云々というお話は実はあったことは知っておりましたが、それは厚生省の正式の見解だと申すわけにはまいりませんでしょう。で、私が申し上げましたことは、当時この両法を適用すべきような状態がこの地方にあって、したがって、指定をする必要があるというような事態にはなっていなかったと、こういうことを申し上げておるわけで、それならば、東邦亜鉛が今日から顧みて、全く公害関係において安全であったかどうかということになりますと、それはどの程度のということにならざるを得ませんので、にわかに判断を申し上げることができないと言っておるだけでありまして、無届け操業等々が裁判により――鉱山保安監督部によりいわゆる送致をされ、告発をされて、有罪になりましたことは御承知のとおりであります。
○小平芳平君 じゃ、ぼくが公害の定義を言うまでもなく、宮澤大臣はこういうふうに答えていますよ、「安中にカドミウムの公害があるかないかということにつきましては、当時そういうものはまず――先ほどのお話のあとでまことに恐縮なことでございますけれども、工場から排出されるものとしては、あるという判定にはなっておらなかった」、こう言っていますね。それじゃ、通産省から一生懸命安中に公害調査に出かけているじゃないですか、四十三年に。公害のないところに行ったんですか。一体何回調査に行きましたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは御指摘のとおり何度も検査をいたしております。なぜかと申しますと、地方でそういう議論は非常にございました。それから鉱山保安監督部も、これは本省の指示によりまして、設置の判定基準というものは持っておりましたから、これは法律の適用はございませんから、法律とは一応切り離しておりますけれども、持っておりましたから、それが満たされておるかどうかということは、もう四十三年の十月、十月、十月、十一月、十一月、十二月と二月の間に六回ほども検査、調査を排水、大気についてやっております。これはすなわち、本省の通達いたしておりますところの基準が、工場によって満たされておるかどうかという検査をずっとやっておるわけでございます。
○小平芳平君 だから、公害があるから調査に行ったんでしょう、公害のおそれがあるから。公害がないないと言ったのは何ですか、一体。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういう工場はそのようなものを、水あるいは大気の形で排出しやすいのでございますから、それで判断の基準を設けて、それが満足されておるかを見ておったわけで、その基準そのものの中でも、それでも公害だろうとおっしゃいますれば、私は別にそれを議論いたそうと考えませんけれども、少なくともそれは法に触れる筋のものではない、こう申し上げまして間違いないと思います。それは公害でないかとおっしゃれば、これは公害というものの定義のしようだと思います。
○小平芳平君 四十三年の春ころは、いいですか、四十三年の春ころは、地元の大塚さんとか、あるいは岡山大学の小林教授とか、もう盛んにいろんな調査をし、また、被害者住民との話し合いもやっていたわけですよ、四十三年春に。それを、まるっきり無認可操業を発見した段階で公害を起こしてないから、それは厚生関係の判断だから、それは見のがしたんだと、こういうふうに答弁しているんじゃないですか、あなたは。おかしいと思いませんか。安中には公害がない、だから東邦亜鉛の無認可操業を知ったけれども、通産はそれを見のがして操業停止をやらなかったんだと、こういうふうに何回も繰り返して言っているんじゃないですか。おかしいと思いませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その二つが混淆されるということが困るということを申し上げておるわけです。すなわち、無認可施設あるいは無認可操業は法によって処断いたすべきものであります。これは鉱山保安法の八条、九条の関係でございます。それと大気汚染防止法あるいは水質基準法の適用がない。したがって、その関係の公害関係の罰則というようなものは、そこからはないわけでございますので、無認可操業あるいは無認可施設というものは、それ自身として罰せられなければなりませんが、それはそこに公害があったかなかったかということとは一応分けて考えなければならない、こういうふうに申し上げておるので、私の申し上げますのは、法に違反するような公害を当時工場が発生しておった、そういう事実は判決に徴しましてもとらえられていない。しかし、それならば普通にいう公害が何にもなかったかということになれば、それは法との関係を離れて考えましたら、おのずから判断によりまして、あったとも言えるし、法に触れるものはなかったとも言えるし、それは一切公害はなかったというようなことは簡単に言えることではございません。
○小平芳平君 何ですか、判決に徴して何ですか、そのところをもう一ぺん言ってください。
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、法律によって公害の規制があって、会社がその規制に違反したというごとは認めておらないということを申し上げておるわけです。
○小平芳平君 それじゃ、大臣は判決文を読んで、判決文の中に公害はどういうふうになっておるといっているか、そこのところを読んでください。
○国務大臣(宮澤喜一君) ここに判決文がございますが、鉱山保安法は危害防止とともに鉱害防止を目的としておるのであり、したがって、認可検査を要求しておるものである。「従って被告人らの本件行為は、単なる行政手続違背につきるものではなく、鉱害発生の危険をはらむものとして高度の違法性をもつというべきである。」こういうふうに申しております。
○小平芳平君 それじゃ、公害はあったんじゃないですか。(「公害防止が目的じゃないか」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(宮澤喜一君) 鉱山保安法はもとより鉱害の防止が目的でございます。 そこでこのような認可検査を受けないところの施設は鉱害発生の危険をはらむものとして違法性をもつ、こういうふうに言っておるわけであります。
○小平芳平君 もっとこの安中製錬所が近所に大迷惑をかけておるというところを読んでください。
○国務大臣(宮澤喜一君) このように書いてございます。「殊に被告会社安中製錬所の鉱煙、排水をめぐって、かねてから近隣住民の間に大気・土壌汚染が農作物ないし、人体に及ぼす被害についての危険感が存し重大な社会問題となっていたのであるから、右事情を知悉していた被告人らが敢えてこれを無視し、無認可のまま設備を増設し、その操業を継続したことは強く非難されて然るべきである。」、お聞きのように判決に申しておりますことは、そのような環境であるからこそ、無認可の設備の増設あるいは操業ということは一そう非難されてしかるべきである、こういうことを言っておるのでありまして、判決そのものは法律上の公害違反があったということを言わずに、法律違反は無認可の設備増設あるいは操業をしたということであると、これが法に触れるのである。その法に触れる行為が地元民の間にいろいろな公害についての関心があったことは、会社も知っていたろうと、そういう背景の中で行なわれただけに違法性がことに強い。こういうふうに言っておるわけです。
○小平芳平君 だから、通産大臣、裁判所もそういうように公害のあったことを認めているじゃないですか。天下広しといえども、宮澤さんだけだ、この公害がないなんと言っているのは。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もうおっしゃっていることはよくわかりますし、私の申し上げていることもおわかりいただいておると思うのです。公害関係の法律違反がありましたら、これは当然その点でも処罰されなければならないわけです。ところが、そういう処罰は受けておらないわけですから。そうでございましょう。そういたしますと、公害がない、あるという議論は、それは確かにございますわけですが、法律上公害関係の罪は犯しているという認定は、裁判所がいたしておらないわけです。鉱山保安法自身の違反が行なわれた背景というものはこういうものであるから、よけいに無届けであるということの罪は重いぞ、こうは申しております。しかし、公害関係の法律そのものの違反があったということを裁判所は申しておらないわけでございます。
○小平芳平君 大臣は、無認可をそのまま見のがしたのは、安中に公害がなかったから見のがしたんだと、何回も言ってるじゃないですか。判決と違うことを言ってるんだ。
○国務大臣(宮澤喜一君) 無認可、無届けということを行政上少なくとも許したということには、私は問題があると実は思っています。それでありますからこそ、後ほど送致され、また私が昨年その行為を取り消したわけでございますけれども、そのこと自身は、これは私は会社側に同情して申すのではなくて、どうしても法律論をしろとおっしゃいますからしなければなりません。すなわち、公害関係の法律の違反があったか、なかったかと言えば、これはなかったと言わざるを得ません、法律の適用がないのでありますから。ですから、そのゆえをもって工場を動かしてはならぬということはできない。そうでございましょう。しかし、無届けあるいは無届けの増設あるいは操業ということは、これはまっ正面に法律違反でありますから、それとして処断されなければならない。つまり、何となく地元にいろいろ公害の話があるから、その工場はつくらぬほうがいいでしょうというようなことは、行政指導としては明らかに行き過ぎたものであります。適法に工場がつくられる限り、それは許すことはむしろ法の命ずるところであります。つまり、産業人が工場をつくって生産をしようということ自身は、これは悪ではございません。農民が米をつくることとそんなに異なるところではない。それから生まれる悪というものを消していかなければならない、やめていかなければならないわけですので、そこで公害の法律というものがあるわけです。ですから、あなたのやっていることは法律にひっかからないが、工場は何となくやめたほうがいいでしょう、許可しませんというようなことは、これは行政としては明らかに越権であります。私は工場を弁護するためにこれを申しておるのではなくて、違反の事実は、無届けで工場をつくった、あるいは操業をしたということでありまして、公害関係の法律に違反したということではない。ここは法律論としては分けて考えなければならないと申しておるので、事実関係としては裁判所が申しましたように、そういう地元でもってもう少し気をつけたらよかろう、ことに無届けでやったということは罪は重いぞと、こう申しておるので、その裁判所の判断は、私はまことに至当だと思いますけれども、そのこと自身は、公害関係の法律違反があったというわけではない。これは法律論を言えとおっしゃいますから申さざるを得ないのですが、私はこの工場に少しも同情いたしておりませんことは、鉱山保安監督部が送致をし、起訴となり、有罪となり、私自身がこの許可の行為を昨年取り消したことによっても御存じであろうと思います。
○小平芳平君 もう宮澤大臣、あなたは問題ですよ、そんな認識を持っているなら。通産省自体が出張命令は――行った本人が言っています。出張命令は、公害調査で前後、私の聞いたのは、十二回も行っている。通産省自体が、出張命令簿には、公害調査として十二回も出張さしておる。その上、判決文でも、安中工場が近隣住民の間にもう大迷惑をかけている、被害を及ぼしていると、そういうふうに言っているのに、宮澤大臣の意見どおりなら、法律に反しなければいいんですか。法律の適用がないから公害がないの一点張りじゃないですか、あなたは。そんな認識ですか、公害の。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘のように何度も調査、検査をいたしておるわけでございます。(「公害の」と呼ぶ者あり)公害の。さようでございます。それは鉱山保安局長が法律とは別に通達を出しておりまして、施設を認めるときは、この程度のことは少なくとも満たさなければならぬぞ、具体的に申しますと、カドミウムで申しますと、〇・〇一PPM以下でなければならぬということを申しておるわけです。ですから、施設はそれだけの条件は満たさなければならぬぞということで、何度も検査も調査もいたしております。そのことは事実でございます。それは公害のおそれがあるからやったんだろうと言われれば、まことにそのとおりでございます。
○小平芳平君 じゃ、公害があるじゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) あたかも法律上の公害関係の違反があったというふうな種類のお疑いでありますから、そういうことはなかったのですと。しかし、それなら全然公害がないと言えるのかとおっしゃれば、それは公害というものをどういうふうに考えるか、定義いかんでございますが、少なくとも鉱山保安監督部は、自分たちの定めた基準以下の排出でなければならぬという検査は何度もいたしておるわけです。それはそういう危険を持つ工場だからであります。
○峯山昭範君 関連。先ほどからいろいろやっていますけれども、大臣ですね、この衆議院の大久保委員の質問のときの答弁を、大臣、一ぺん読んでみますからね。これは「カドミウム等の公害を排出しているというのがむしろ定説ではなくて、いろいろ土地に話はございましたけれどもカドミウム公害病はないというのがむしろ厚生関係の判断でございましたから、」――ここまではよくわかりますね。そうであったからいわゆる今回の「形式的な違反を直ちに送検をするということ」をしなかったと、あなたはこういうぐあいに答弁していらっしゃいます。要するに、カドミウムの公害がないということが定説であったから、あなたは、操業停止をほんとうはすべきであるけれども、しなかったと、こうおっしゃっておるのです。あなたは、法律上の公害の処罰はなかったと、だから公害はないと言っていらっしゃいますけれども、そうではなくて、もうすでにそういうような論争は一ぱい行なわれておったわけです。そのこととあなた自身が両方をごっちゃにして、両方をあわせて、そうして操業停止をしなかったのじゃないですか。あなたは法律違反があって――あったということは、あなたのほうはもうすでに知っていらっしゃる。知っているにもかかわらず、操業停止をしないで、そうして、かねてから公害病がないというのがむしろ厚生関係の判断であったから、いわゆる操業停止をしなかったと、こうおっしゃっておるわけです。この判断自身は、この発言自身はおかしいじゃないですか。取り消してください、これは。どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、衆議院におきましては、私どもがあまり長い答弁を申し上げることを御遠慮したほうがいい事情がございまして、意を尽くしておりませんから、たまたまこういう機会で十分にお聞き取り願ったほうがよろしいと思いますので、ひとつそれをお許し願いたいと思います。 確かにこの工場は無届けで工場をつくったわけであります。しかも無届けで操業をいたしたわけであります。このことを鉱山保安監督部としてはある段階で知るわけでございます。そうして、それに対して操業をしてはならぬという文書の通達をしております。その後に一斉に検査をしておるわけでございます。ところが、これは判決にも明らかになっておりますが、その検査の際は工場側が操業をやめてしまったという事実があったわけです。つまり、これは非常に悪質なことになるわけですが、検査に参りましたときには一切操業していなかった。したがって、その段階では無届けで操業をしておるという事実は把握できなかった。――無届けで工場ができたという事実は、もう明らかに把握ができたわけでございます。これはもう明らか、できておりますから。これは問題がない。その日に操業をしていなかったわけですから、操業をしておるものと考えなかった。これは、会社としてははなはだ私は非難されるべきことだと思いますけれども、そういうことが判決で明らかになっております。 そこで、問題は、なぜ無届けでできた工場を、すぐに――どう申しますか、この取り消しなり罰則なりをかけなかったかということになるわけでございます。そうなりますと、無届けでできた工場自身は公害関係の条件は満たしておったわけです。法律上は満たしておった。したがって、無届けであるという事実はとがめられるべきであるけれども、公害関係の法律違反というものはそこからは出てこない。工場排水法等の適用がないわけでありますから、それはどうも法律上――それがいい悪いは別として、あなたのところのこの工場は公害関係の法律に違反しておるということは、これは言えない。及び鉱山保安局長の通達の基準も満たしておる。したがって、その点からも法的な非難をすることはできない。そういうところからの処分は可能ではなかったということを申し上げておるのでありまして、無届けでつくったこと自身は、これもう事実でありますから、そのほうの処分ということで、先ほど申しましたように、送致のほうへ進んでいったわけであります。
○小平芳平君 佐藤内閣は公害をそんなふうに受けとめているんですか、法律違反がなけりゃ公害がないんだと。もうあんなに周囲住民に大迷惑をかけて、判決文でも指摘しているほどの公害を発生しておりながら、法律に反しないから公害がない、公害がないと平気で国会で答弁している。それが、あれですか、法律に反しなきゃいいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) あまり法律論を実は申し上げたくない。この工場に私は同情しておるようにはとられたくありませんから申し上げたくございませんが、法律に反しないことは行なってもいいのかとおっしゃれば、法律に反しないことは行なってもいい、それがわが国の憲法のたてまえだと申し上げるよりほかはございません。その結果、社会悪が発生することがあるだろうとおっしゃれば、それは、それに対して法律をもって臨まなければならないので、もし国民が法律に反しないのに罰せられるというようなことがあれば、これはたいへんなことでございます。
○小平芳平君 そんなことを言ってるんじゃないんですよ。近所に大迷惑をかげながら――植物被害、健康被害、近所に大迷惑をかけながら、しかも通産大臣は、公害はない、ないと言っている。法律に反しなければ公害じゃないのですか、それじゃ。こんなに迷惑かけていることが。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は何度も申し上げました。法律に反しなければ公害というものはないのかとおっしゃれば、それは公害というものの考え方いかんですけれども、法律内でも、どうもいかにも人に迷惑をかけているという事実は随所に実はあるのではないだろうか。それは、一つには、その人たちの道義的な責任の問題でございましょうし、一つには、そのような事実は取り締まらなければならない。取り締まるには法律をもってしなければならない。それが先般立法を願ったゆえんでございましょう。ですから、道義的な責任と、それから法律による規制と、この二つということになるのではございませんでしょうか。ただ、そういう法律がない場合において、あなたの工場は何となく評判が悪い、人に迷惑かけるから、つくることは許しませんよというようなことは、私は行政としては適当でない、こう申し上げておるわけです。
○小平芳平君 総理大臣、いかがですか、全然納得できませんよ。そんな、法律に反しなければね、それを無視して、そうして無認可をそのまま認めていこうなんという、そんな公害に対する姿勢じゃ困るですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこが問題の混同があってはいけないと何度も申し上げていることで、無認可自身は、鉱山保安法の八条、九条違反で送致もされ、有罪にもなっているわけです。これは鉱山保安法の八条、九条に違反をしておるからでございます。それと、法律上の公害関係の違反があったかないかということは、一応分けて法律論としては考えなければなりませんでしょうと。事実論としては、裁判所の言うように、そのような鉱山保安法の違反が公害のしきりに言われている背景に行なわれたのであるから、なお罪は重いぞと、責任は重いぞと言っておられることは、まことに私どもも同感でございますけれども、公害関係の法律違反があったわけではない。つまり、こういうふうに申し上げれば、もっとおわかり願えるかと思います。あの工場が全く適法に届け出をし、そうして検査を受け、操業いたしたといたします。それでもおそらく、小平議員の言われるようないろいろな公害の問題は、届けがあるないにかかわらず、それはその事実にかかわりはなく、いろいろな問題が起こっておりましょう。そうしましたら、その工場はやめさしてしまうべきか、こういうことを言っていらっしゃるんだろうと思いますけれども、営業の自由等々から考えますと、法律に触れていないものをやめさせてよろしいかということになってまいるのではないかと思います。ですから、二つの問題は法律論としては分けて考えておきませんといけない、こういうことを実は申し上げたかったわけでございます。それを、時間の関係で、衆議院では多少意を尽くしておりませんでしたから、お許しを得て少し詳しく申し上げたわけです。(「総理に聞いている」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も小平君のお尋ねと宮澤君の話を実はそばで聞いていたのです。どこが食い違っておるのか、かように私考えながら。どうも宮澤君の説明で納得されておらない。これは申すまでもなく、宮澤君が言っているのは、無許可についての法的な処分はいたしましたと、公害に対しては十分の具体的な事実が出ておりませんと。そこで、これはいろいろ危険があるという、先ほどの裁判所の判決にも、地域住民がそういう危険を感じておると、こういう表現がございました。だから、その点で、やはり具体的にこれこれのものがないと、罪刑法定主義とのたてまえから申せば、私は、経営の自由というか、そういうものも守られてしかるべきであろうと、かように思います。しかし、私が何と申しましても、皆さん方は、こういう危険のあるものについては一そう厳重に取り締まれとおっしゃるのが趣旨ではないだろかと、かように私は聞いていながら感じたのでございます。私は、これ、まあ一ヵ月に二回、七回も出かけて現場に立ち入り検査をしたという、これは多分に危険を感じておったからだと思いますけれども、そういうような回数で十分に危険な状態を摘出することができなかったと、こういうことは、まあそこらに立ち入り検査というものが形の上だけでやられたのじゃないか、どうもまだふに落ちない点がありゃしないかと、かように思いますけれども、大臣から、ただいま自分の部下が出て、そうして十分検査をしてきましたと、それでただいまのところ別に危険はございませんと、法定の基準どおりやっておりますと、かような報告を受ければ、そうか、けっこうだと、こういうように言うだろうが、おそらく、しかしこの場所は危険だから絶えず注意しておれよと、こう言ったに違いないと思います。私は、こういうような危険をかもすおそれのある事業については、いままでより以上にやはり厳重に監督すべきだろう、かように思います。お説も、この工場を直ちに閉鎖しろとはおっしゃらないのだろうと思いますが、どうも監督が不十分だと、こういう点を摘出していらっしゃるんじゃないだろうか、指摘していらっしゃるんじゃないだろうか、かように思いますので、それらの点については、さらにさらに十分に検査も厳重にする、こういうことをつとめたいと、かように思います。
○小平芳平君 総理、それは検査も厳重に、監督も厳重にということもありますが、私がいま言っていることは、この宮澤通産大臣の――公害がない公害がないと、もう何回も何回も言っているのですね、それをいま突っ込んで言えば、いや法律に反したことはなかったという意味なんだと。そんな法律に反したことがなけりゃ、公害がない公害がないと言って、そしてどんな危険が生じていても、そんなことで通るものですかということを言っているのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ問題は、過去の説明ときょうの説明ずいぶん食い違っていると、こういうことを言いたいのだろうと思いますが、先ほど宮澤君もずいぶん詳細に説明しておりますから、きょうの説明でひとつ了承してやって、過去の補足をしておると、かように御了承いただきたいと思います。
○小平芳平君 補足というものじゃないですよ。ないないと言って、今度はある……、それが補足ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、先ほどの補足が不適当なら訂正とお考えになってもけっこうだが、おそらく本人は、さっきも申しますように、衆議院の場合には意を尽くせない点もありましたと、だからきょうはこの機会に十分の説明をいたしますと、かように申しておる。そのこと自身が補足じゃないだろうか、かように思います。しかし、これが過去の訂正だとおとりになりましても、それは御自由だろうと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうふうに申し上げることが正確ではないかと思います。法律違反を構成するような公害は認められなかった。
○小平芳平君 そしてこの危険はあったということでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 判決によりますと、危険をはらむ云々と書いてございますので、したがって、これは判決が一番客観的な判断を両者から聞いてしておられると思います。それであれば、どのような措置を私どもとしていたすべきであったかということになりますれば、そういう法律を適用いたしまして、そこに規制基準を置いて、その規制基準に触れておるからこれは直させる、こういうことをすることが、おそらく、いまから顧みますと、法律上の要請と社会上の要請と両方満たすことになったのであろうと思います。そういう体制のもとに、あなたのところはこの規制基準に触れておりますよと、あるいは規制基準を突破するおそれがありますよというような監視監督をしていく。これが適当な行政であったと思います。 この問題につきましては、これは小平委員から後刻お尋ねがあろうかと思っておりましたので、そこまで申し上げていなかったのでございますけれども、本件をめぐります鉱山監督部の調査につきましては、実は私が考えまして、幾つかいかがかと思われる点があるわけでございます。この点は、責任者が自殺をいたしましたので、その死屍にむちうつという意味で申すのではなくって、私どもの反省として申し上げるのでございますけれども、四十四年の四月に一斉検査をいたしておるわけでございます。四月の十九日から二十二日まででございます。これはなぜそういうことをいたしたかと申しますと、前年工場の着工の届け出があり、そうして完成をしたので検査をしてほしいと言ってまいったわけでありますけれども、あまりに着工から完成までの間の期間が短か過ぎた、不審を抱いたわけでございます。しかも、それから、少しおくれまして着工いたしましたから、検査を受けずに一部操業したいということを申してまいりました。それに対しては、検査を受けずに操業をすることは鉱山保安法違反になるからいけないという、文書でわざわざ通達をしてあるわけです。これらのことはほぼ判決で明らかになっております。そこで四月に、疑いを持って一斉検査したわけでございますけれども、判決によりますと、そのときに工場はわざわざ操業を停止して、操業開始していなかったかのごとく見せかけて検査をだましたと、こういうことが判決にございます。それはそのとおりであろうと思います、判決がそう申しておりますから。これはもう幾ら非難してもよろしい工場の行為ですけれども、いやしくも検査をいたすほうの立場から申しますと、あすこは十五万坪ほどの土地で、工場の敷地が三万坪ほどございます。かなり複雑な地形にございます。ですから、わかりにくかった、工場がやめておればわからなかった、だまされたというのが判決でありますが、いやしくも疑いを持っていった者がそう簡単にだまされてはいかがかということを実は私は思うわけです。たとえば、工場の生産日報というようなものを見れば、かなり生産がふえておるということがつかめたのではないかというようなことを私自身としては考えます。その点が反省の第一点であります。 それから第二点は、四月に参りました。操業はしていなかった。まあいわば、だまされて帰ってきたわけでありましょうが、疑いを持ち続けまして、次に調査に行きましたのが六月の半ば、このときには十日間ほど調査をいたしまして、ついに事実を突きとめ、調書をとりまして送致をして起訴になるわけですが、この四月から六月までの間の一月余りというもの、いろいろ説明はあるのかもしれませんが、これが空費されておったという感じを私は持つわけであります。 この二つの点、これはまあ、その後送致をし、司法警察官としてのつとめを果たしたと申しますものの、鉱山保安の監督の立場からいいますと、反省をすべき点ではないかというふうに実は私はこの件を考えております。現実の問題といたしましては、そこらをいかに考えましたか、監督の最高責任者であります監督部長は、その八月に自殺をいたしておるわけでございまして、私は死屍にむちうとうという意図ではございませんけれども、やはりこのような監督行政には反省を要する点がある、ことに判決で言っておりますように、公害問題について、土地の関心、議論の高かった工場でございますので、そういうことも考えあわせますと、いろいろ反省をしなければならない点がある、こういうふうに私としては考えております。 これはお尋ねを追って申し上げようと思いましたが、この件全体を通じましての私の所感でございます。
○委員長(古池信三君) それでは、午後零時四十分に再開することといたしまして、それまで暫時休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 ―――――・――――― 午後零時四十九分開会
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、補正予算三案の質疑を行ないます。 この際、宮澤通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 午前中の小平委員の御質問に関連いたしまして申し上げます。 昭和四十三年当時、安中地方には、東邦亜鉛の操業と関連いたしまして、社会的事件としての公害発生のおそれがございましたが、そのゆえに鉱山監督部におきましても、通例よりもしばしば回を重ねて、水質、排煙等の調査、検査を行なっておったわけでございます。それにもかかわらず、ちょうどその時点で東邦亜鉛株式会社が届け出をせずして工場を増設し、また、その一部を操業しておりましたことを発見できませんでしたことは、まことに遺憾なことでございます。今後かようなことがございませんよう十分監督、指導を厳にいたしてまいりたいと考えております。
○委員長(古池信三君) 小平芳平君。
○小平芳平君 通産大臣に重ねてお尋ねしますが、要するに私が――無認可操業のことについてはこの次に質問いたしますので、いま午前中ずっと私が続けてきましたことは、公害があったかなかったかということを言っていたわけです。そのことについて、どうも公害と言えば、大臣はすぐ定義と言われますから、じゃあ農作物の被害はありましたか、いかがですか、四十三年ごろは。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の知識が十分でございませんのでつまびらかではございませんけれども、米につきましては、四十三年の産米については補償をしたことはないということだそうでございますが、桑につきまして会社側が見舞い金を支払ったことはある。四十四年産米につきましては、米につきましても補償が行なわれておるようでございます。
○小平芳平君 したがいまして、四十三年にも、あるいはその以前にもあったそうですが、畑――野菜とか小麦とか桑、こういうものが非常に被害を受け、そして住民が要求したところにはわずかの反当たり千円とかいう、そういう見舞い金という形で会社が払っていたということであります。四十四年からはカドミウムに対する汚染の補償ということになってきております。 したがいまして、午前中の公害があったかなかったかということについてですが、大臣は要するに法律に反する公害はなかった、こういうことばかりをおっしゃるのですが、法律はその当時、指定地域になっていなかったということはわかります。しかし、そうした被害が現実に起きていたということはお認めになりますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 見舞い金の支払いということが行なわれておることから判断いたしますと、そういう認識が両者にあったものと考えます。
○小平芳平君 したがって、公害がないないと言っておったわけですね。そのことを総理、公害というのでしょう。それから通産省で操業の認可を取り消した書類がございますか、いま手元に。その認可を取り消した文書の中に公害云々ということが入っておりませんか、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このような事実がございます。鉱山保安監督部長の処分を不適当として通商産業大臣――私でございますが、昨年の二月十八日に裁決書によりまして認可を取り消したわけでございます。その際の理由の一つといたしまして、会社からの申請書にかりに正確な記述がなされていたとするならば、安中精錬所周辺の鉱害の発生状況、立地状況、気象条件等に照らし、別途の処分がなされたことも十分予想されるところである。この意味は、会社の申請書の中に、これだけの施設をもってすれば、この公害は〇・何々、これくらいになりますということが書いてあったわけでございますけれども、現実に立地その他から考えますとその会社の申す程度にPPMを押えることができないのではないか。したがって、そういう会社の申請事実そのものがいわば虚偽の申請であって、これを許可した行政行為に瑕疵があった、こういう理由をもって、瑕疵と申しますか、あるいは――まあ瑕疵でよろしいと思います、が、瑕疵があったという理由をもって裁決によって認可を取り消しております。
○小平芳平君 したがって、公害防止施設も不完全であったということでありますね。したがいまして、総理、先ほど来私は公害に取り組む政府の姿勢、それはこうやってあの、しぶしぶ動く会社も見舞い金を出しておるわけですから、そのくらい住民にとっては深刻な被害を受けておるわけですから、そういう状況をとらえて発言する場合に、ただ公害はない、公害はないと言って、問い詰めていけば、これは法律に反していないだけのことなんだ。そういう行政の姿勢、特に通産当局のそういう姿勢というものはきびしく批判されるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 安中では、たしか四十二、三年ごろからたいへん地域住民も不安にかられ、会社といろいろと折衝した、こういう事実はございますし、また、そういうことがあれば、監督官庁は当然みずからの力で十分会社を指導監督する、これはあたりまえだと思います。ただいまのような小平君の御批判、これはまさしく当たっておると思います。まあ今日、法律も整備されてまいりましたし、この上とも私どもは法の命ずるところに従ってさらに指導、監督、これを厳にしたい、かように思っております。
○小平芳平君 それでは次の問題にまいりますが、通産大臣にお尋ねしますが、要するに、無認可操業していたということを通産省はいつの時点で発見されたか。これも衆議院で大久保委員は、四十三年十一月に発見しておりながら、そこを談合して、そうしてあらためてプラスした分までの認可申請を出させて、そうして四十四年一月に認可をしたとこうした監督官庁と企業との癒着度ということをきびしく追及しておるのですが、これに対しては通産大臣は、四十三年十一月に発見したということに対しての意見は述べられておりませんが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これらの点は判決がございますので、比較的客観的に申し上げられるのではないかと考えておりますけれども、まず工場自身が完成をし、引き続き使用を開始した時点は四十三年の三月ごろから十月ごろにかけてというふうに考えられます。それに対しまして、最初に不審を抱きましたのは、四十三年十月十五日に排水の調査をいたしました際に、担当宮が、従来あったと思われる煙突が場所が動いておったということを知ったわけでございます。そこで、これは設備の変更であるから認可を申請する必要があるということを会社に申しました。それを受けまして、会社は四十三年の十一月二十六日付で認可を申請してまいりました。それに対しまして鉱山保安監督部は、四十四年の一月二十五日に着工を認可いたしました。その際、先ほど申しましたような鉱山保安局長の通達の基準を守るように、その基準内であることを確認をして認可をいたしておるわけでございます。御承知のように、二法の適用がございませんので、鉱山保安局長の設けた基準を守らせるというふうにいたしておりました。しかるところ、ちょうどそのころの時期でございますが、会社として、翌年の二月に工場ができました、ついては一部使用をさせてもらいたいということを言ってまいったわけですが、着工の認可を求めてから工事が完成するまでの期間がいかにも短か過ぎると考え、そこから不審を抱くに至ったというふうに承知をいたしております。したがいまして、不審を抱くに至りました時期は、昭和四十四年三月の二十日に完成届けが提出され、一部を検査前に使用したいという申し出がありましたときに、あまり時間が早過ぎるという疑念を抱くに至りまして、四月に、先ほど申し上げました一斉検査をいたしたわけでございます。
○小平芳平君 結局、いろいろ説明なさいますが、四十三年十一月に知ったわけですよ、無認可操業を。それはなぜかといいますと鶴田部長、そのほか伊藤、貞広、阿部、宮崎、猪股、この六人、そのほかに資源試の職員も一人連れて、七人で、四十三年十一月四日から六日まで安中工場の調査に行っているわけです。こうした専門家が七人も四、五、六と三日かけて、どんな大きな工場であろうとも、複雑な工場であろうとも、専門家が七人も行ってそうしたことを発見できなかったということは、とうてい考えられませんね。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 四十三年の十一月四日から六日まで、最高責任者であります鶴田以下が監督、検査をいたしております。これは煙の排出口調査、環境の予備調査を、煙突それから製錬所周辺についていたしております。検査物件、調査物件は、場内においては硫酸関係、焼結炉、乾燥炉の煙突、場外におきましてはダストジャーの設置等の点であります。で、この検査、監督は内容も実績もはっきりいたしておりますが、これが先ほど私が遺憾であると申し上げた点でございまして、これだけの人間が、これは工場の――工場そのものでも三万坪ほどございます。そこで故意に見てみなかったかどうかということは何とも申し上げられません。判決も触れておりませんが、疑いを抱いて工場全部を、しかも中に立ち入って見ましたらこれはわかり得たはずでありまして、多少あるいは難きをしいるきらいがあるかと思いますが、ともかくそれが発見できなかったという事実は私は遺憾だと思います。
○小平芳平君 発見できなかったのじゃないですよ。それは鶴田氏は、四十三年十一月に無許可操業を知ったときすぐに操業停止しておけばよかったとこのように語っていたという事実があるでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は判決も別に申しておりませんし、本人が御承知のようになくなりましたので、私どもその点は存じません。
○小平芳平君 鶴田さんの遺族が新宿区北町にちゃんとおいでになるから、じゃ聞いてみてください。そういう大ぜいで調査に行き、そうしてまた当時の新聞報道によっても、四十三年十一月に無許可操業を知ったのだとすぐ操業停止すればよかったが、それをしないためにたいへんなことになったというふうに全部報道されているのですよ。そういうことは御存じないですか。したがって、先ほど大臣は、発見できなかったことは遺憾だというふうに仰せですが、発見できなかったどころか、それにいままでの無許可にプラスさせて認可申請書を出させて、そうして許可している。四十四年一月に、不正の分までも一緒にひっくるめて認可をしているという、この責任ですよ、責任。それはもう責任者はなくなったわけですけれども、通産省がそういう姿勢で公害に取り組む、あるいは企業に相対するということは、きわめて私は国民にとって不信用きわまる姿勢だとこういうことを申し上げているのですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 裁判所の判決並びに私どもの知り得た限りでは、そのようなことを確認いたしておりません。
○小平芳平君 それじゃ、先ほど遺憾だと言ったのは、見つけなかったから遺憾だということだけですか。もっと企業に対する監督官庁としての責任はありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御指摘の点は判決でも触れられておらず、また、私どもの限られた調査でもそのようなことを確認しておりませんので、先ほど遺憾だと申し上げましたのは、少なくともこれだけの人間が何回か検査をしておってそういうことがわからなかったことは、もう少ししっかり検査のしようがなかったものかという意味で申し上げております。ただいま小平委員の言われましたことにつきましては、判決も私どもも確認ができませんので、それにつきましては何とも申し上げていないわけでございます。
○小平芳平君 そういうことは厳格に行なっていただきたい。先ほどの公害調査もそうですけれどもね。 それで私は、今度は次に別の質問に入るわけですが、イタイイタイ病ですね。これは総理がさっきはっきりと、カドミウムによる公害だというふうにおっしゃったので、そこまではよろしいわけですが、厚生省は慢性カドミウム中毒という名前をつけて扱っているわけですよね。したがって、厚生省が公害病としてはどこから認定するか。どういう条件のものを公害病として認定していらっしゃるか。この点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(内田常雄君) カドミウムの慢性中毒の検診につきましては、じん臓障害、それから続いて骨の軟化症、さらにそれに妊娠とか授乳あるいは内分泌の変調、さらには老化、また栄養としてのカルシウムの不足、こういうことが誘因になるものだと厚生省は考えておりまして、そのためにまず尿中のカルシウムの量、あるいはたん白の量、あるいはまたその血液検査というようなことをいたしまして、それから先ほど申しましたような慢性中毒の端緒を得ていくと、こういう順序でございます。
○小平芳平君 カドミウムによる健康被害者に対して公害病と認定していく場合ですね、要するにイタイイタイ病に――カドミウムによる公害病はそれじゃ何人ですか、いま現在救済してる人は何人ですか。
○国務大臣(内田常雄君) 公害による健康被害者として救済いたしております総員が、最近では私どもも前向きの姿勢をとっておりますのでふえてまいりまして、たしか二千九百人余りのはずでございます。その中でイタイイタイ病という認定を受けてる者の数、いま政府委員が調べておりますので、後ほどお答えを申し上げます。
○政府委員(曾根田郁夫君) イタイイタイ病の認定を受けておる患者の数は、昨年十二月末現在で九十六名でございます。
○小平芳平君 厚生大臣、数字の間違いってことも世の中にはありますがねえ、九十六人と二千九百人ではちょっと違い過ぎますね、これは。要するに、私がいまここで申し上げる趣旨は、厚生省は九十六人という限定された人しか救済の対象に入れておらない。しかしながら、初期において、この前の衆議院で指摘されたような中村登子さんのように、体が痛むわけです。こういう初期のものは厚生省では慢性カドミウム中毒と称して、イタイイタイ病からはずしちゃって対象へ入れてないわけですよ。これを私は入れるべきだと、こういうふうに申し上げたいわけですが、いかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) いま私が二千九百人と申しましたのは、イタイイタイ病ばかりでなしに、お尋ねが公害による健康被害者として救済の対象になっておる総数は幾らかと、こういうお尋ねでございましたので、二千九百人と申し上げました。その中でイタイイタイ病として認定されてる者が、政府委員の答弁のように九十何人と、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。 中村登子さんのケースにつきましては、先般ああいう新聞報道並びに衆議院におけるお尋ねがございましたので、私どものほうも、解剖をなさった方、またその解剖後における臓器などについても、ぜひ私どものほうでもその鑑別診断研究班等で再検討いたしたいということで、お送りをいただくなり、あるいはまた所見をお聞かせいただくように、いろいろ手配をいたしておりますが、中村登子さんが生存中におきましては、当時の資料によりまする限り、イタイイタイ病として認定されるものがございませんでしたので、いまの九十何人の中には入っておらなかったというわけでございます。
○小平芳平君 要するに、初期においてカドミウムによる体が痛いということを訴えている人が相当数いるんです。私は一々具体的に例を申し上げますが、こうしたたくさんの人たちのカドミウムによる健康被害をどこで救済するか、どのように救済できるか、それが鑑別診断もはっきりしておらない、そういう点はいかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) イタイイタイ病であるということが、法律によりまして、地元のお医者さん等を主とする審査委員会で認定されますと、これは小平さんも御承知のように、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置の適用者といたしまして、医療費なり、医療手当なり、場合によりましては看護手当を支出する仕組みでございますが、そこまでに至る間、お尋ねの早期診断につきましては、先ほども私が触れましたようなカドミウム等中毒鑑別診断研究班というものを厚生省が十二名の医学者並びに臨床の専門家をもって構成をいたしまして、それらの方に、早期診断の結果からまた最終的の鑑別診断までの間の資料を御検討をいただきまして、カドミウム中毒があるかどうか、こういうことを研究をいたすたてまえになっておるわけでございます。
○小平芳平君 その鑑別診断をするイタイイタイ病研究班の委員の方の中には、わざわざカドミウム公害を発生する企業の部長さんまで入れているのですが、これはどういうわけですか。
○国務大臣(内田常雄君) 私はそのようには聞いておりませんでした。先ほども申しますように、十二名の方々でございまして、皆さんが医学の専門家ないしは臨床の専門家でいらっしゃいます。班長が高瀬武平さんといいまして、金沢大学医学部の整形外科のプロフェッサーで、この方面の権威といわれている方でございまして、そのほかは主として要観察地域の区域内における臨床あるいは医学の方面の専門家を加えることにいたしておりますほか、ただいま小平さんがおっしゃったのはおそらく三洋電機株式会社の健康管理部長をしておられる原田章さんといわれる方のことではないかと思いますが、この方はお医者さんでいらっしゃいます。それからもう一人、慶応大学医学部の衛生学の教授土屋健三郎さんという方がいらっしゃいまして、この二人はともに微量重金属についての日本での代表的専門家である、こういう方でいらっしゃいます。なお、これも厚生省がボランタリーに選出したわけではございませんで、カドミウムなどを扱う工場を所管をしております労働省と協議の上、労働省方面からの御推挙もございましていまの原田章さん並びに土屋先生を入れてありますけれども、あるいはそのことではないかと存じますが、これらは企業の代表者という意味では全くないと私は聞いており、理解をいたしております。
○小平芳平君 それは企業の代表者ではなくてお医者さんだということはわかりますが、カドミウムによる中毒、カドミウムによる健康被害その鑑別診断をやるべきその研究班に、現に公害を発生して、兵庫県洲本市で三洋電機洲本工場、これは四十三年七月に公害を発生した、水からカドミウム一・四PPM、土壌からカドミウム二六OPPM、こういうふうな公害を発生している企業、その企業につとめている人がそこへ入ってきているという必然性がどうもふに落ちませんが、いかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) 三洋電機の洲本工場がかつて公害物質を流したということは、私も厚生相に就任をいたして聞きました。しかし、そのことにつきましては、私どもがカドミウム汚染地域として注意しなければならない要観察地域を指定いたします際に、当然その工場の所在地の洲本も問題になったわけでありますので、あるいはどうかということを私がただしましたところが、ここに資料がございますけれども、この洲本の工場におきましては、だいぶ以前、昭和四十三年ごろの状況におきましては、廃水処理施設が十分でなくて、カドミウムの高濃度のものが排出されたことが検出されたそうでございますけれども、改善をせられまして、今日ではカドミウムの排出基準は御承知のように〇・一PPM、つまり排水口における濃度が〇・一PPMが基準でございますが、現在ではこの工場は〇・〇五PPM以下になっておる、こういうことでございまして、したがって、先ほどの研究班に属しておられる先生が直ちに公害工場を代表する方と考えられないと私は見ております。
○小平芳平君 総理はおかしく思いませんか。それは企業代表でないことはわかりますよ、企業代表。要するにカドミウムによる健康被害の鑑別診断の方法というものがきわめて、いまきまっていない段階なんです。ですから、どの段階から国が公害病と認定するかということがきわめていま重要なんです。その例は幾つかあとであげますが、そういう研究班に、そういうカドミウム公害を発生して問題になった会社の現職の部長をやっている人が入っていて、ちょっとおかしく思いませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私にもよくわかりませんが、あるいは公害を発生していた工場の部長、これが公害防止に役立つような設備をした、それを生かしたい。こういうようなことであれば、これは一つの役立つことかと思います。しかし、私はこういう事件は、どういうことであったのか全然知りません。したがいまして、むしろいろいろ、工場の経営者の代表ではないでしょうが、とにかくそういうように見られる、こういうところに問題があるのだろうと思いますが、やっぱり公害を取り締まる、こういう観点から、あまり関係のない人のほうが望ましいのではないか。その理由がはっきりしておれば、先ほど冒頭に申したような理由がはっきりしておればけっこうですが、そうでなくて、それにしてもやっぱりいろいろ誤解を受ける、そういう者は避けたほうがいい、さように思います。
○小平芳平君 それは、総理がおっしゃるような公害防止の意見を聞くために原田先生が入っているということは考えられませんね、厚生大臣。それは考えられません。ですから、やっぱり総理がおっしゃるように、誤解を受け好ましくない、ということでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) こじつけを申し上げるつもりはございませんが、十二名の方々、一々名前は申し上げませんが、先ほど申し上げましたように医学士、あるいは臨床の専門家、中には榛名生活協同組合の病院長というような公害摘発にたいへん御熱心な方々も入っておるわけでございまして、いまの原田さんというお医者さん、三洋電機の方が入っておりますことは、先ほど述べましたように土屋健三郎、慶応大学の先生と並んで微量重金属の権威ある専門家であるということで、労働省から御推挙を受けた者を検討の上加えました。しかし、小平さんのおっしゃるような誤解を世間に受けるということは、いやしくも健康衛生官庁である私どもがいさぎよしとしないところでございますので、これまた総理のおことばもございますので検討を私はいたしたいと思います。
○小平芳平君 それから厚生大臣、もう一人、先ほど厚生大臣が名前をあげられた土屋教授という方ですね、この土屋教授という方は、黒部市でこういうパンフレットを配っているわけです。このパンフレットによりますと、きわめて、イタイイタイ病なんていうものはめったに起きるものじゃないという趣旨の発言が多いのですよ。たとえば「自然食品からのカドミウムの吸収は、一番低い」「吸収されないで、便にほとんど出ちゃう」そういうことをこのパンフレットではいっている。そうなると、米の汚染なんか心配ないということにもとれるわけですよ、これでは。「自然食品からのカドミウムの吸収は一番低い」「吸収されないで、便にほとんど出ちゃう」それから「骨にはカドミウムはありません。」といっている。「骨にはカドミウムはありません。」といっているが、これはかっての小林教授の分析では、出てきているわけです。「カドミウムは骨を溶かすんじゃないのですよ。」「カドミウム中毒からイタイイタイ病になることはまずないといってよい。」こういうふうなパンフレットを黒部市でわざわざつくってまいておりますが、こういうことは、委員会で決定したことならともかく、しかも厚生大臣先ほどお話しのように、この方は臨床医でないから、イタイイタイ病患者そのものの診察をしたこともないわけです。ないわけですが、そういうことをパンフレットにして配るということは、ちょっと不穏当じゃありませんか。いかがです。
○国務大臣(内田常雄君) この鑑別診断研究班のメンバーを選定いたしましたのは、四十三年か四十四年のころであると思います。しかも、この土屋先生は慶応大学の衛生学の教授で、何べんも申し上げますように、微量重金属の専門家だということで労働省の御推挙もあって選んだ方でございまして、黒部川のそのカドミウムの汚染の問題は、私が就任いたしましてからの問題でございまして、昨年ごろでございますので、そういうことをいわれる方をくみしやすしとして、たとえば私どもが選定したということでは全くございませんで、これは土屋さんが学者としての――私、それ見ておりません。いま先生お述べになりましたのは見ておりませんが、医学者としての何か御発言であろうと私は考えます。特にそういう方を選んだということでは全くございません。
○小平芳平君 これ、ごらんになってください。こういうものを配布するということは、委員会の決定でもないので――いま言ったところは線が引いてありますから……。 厚生大臣、ちょっと時間がもったいないので……。そういうパンフレットを、個人的見解に違いありませんが、黒部市でカドミウムによる健康調査をやった、厚生省がそれを発表した直後にそういう意見を述べられるということは、ちぐはぐになるのですね。だからあまり歓迎すべきことじゃないでしょう、そういうパンフレットを配るのは。
○国務大臣(内田常雄君) いまいただいたばかりで、中身を読んでございませんが、よく拝見させていただきまして、また委員会等におきまして考え方を述べさせていただきたいと思います。
○小平芳平君 先ほど来私が再三申しますように、カドミウムによってからだが痛いという人、これは中村登子さんの例はもう申すまでもなく、この中村さんと同じころ、カドミウムの箔をつくるその工場にいた人で、松本リトさんあるいは橋本八重子さん、このお二人の方にしましても、もうずっと五年来病気して、そうしてからだが痛い。もう足も痛い、腰も痛い。橋本八重子さんは指も曲がってしまった。それで激痛のために毎日痛みどめの注射を打っていると、こういう方が現に安中にいらっしゃる。しかも、二人とも会社をやめるときに健康保険の五年間継続給付を会社が手続してくれた。しかし、それはさっぱりまだからだがよくならないのに、この二月で五年の継続が期限切れになってしまう。これらの人を厚生省が救済するか、労働省が救済するか。いずれにしてもカドミウム研究班がはっきり認定してくれないことには、これらのお二人の方はもう生活も困っているわけです。いかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) 先般の安中における中村登子さんの問題が提起せられましたので、私は厚生大臣として、これに対応する厚生省の考え方なり経緯なり今後なすべきことを十分整えなさいということを申しつけました。そこに、私が持っておりますのがその厚生省の答えでございますが、これによりますと、中村登子さんと同じような状況にありましてお年を召した方がもう一人おられて、その方について十分なその鑑別診断をやることがこの中村登子さん問題を解明するためにも一つの役に立つであろうということで、そのお年寄りにつきまして精密検査と申しますか、鑑別検査をやっていただいております。その結果がやがてわかると思いますので、それらに対応いたしまして、なお労働省のほうとも打ち合わせまして、産業衛生の関係等もございますので。できる限りの処置をいたしたいと考えます。
○小平芳平君 同じような方は東京板橋にもおられまして、石井栄さん、メッキ工場で働いていた。二十年もカドミウムの蒸気を吸っていた。四十五年七月三十日カドミウムによる職業病として労災補償の申請を出していらっしゃる、この方は。これはいかがですか、労働大臣。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。 メッキ工場の労働者でカドミウムの中毒を起こしておると聞いておりますが、これに対しましては現在までまだ聞いておりません。しかし、そのようなメッキ工場の労働者がカドミウム中毒の疑いがある、保険給付の請求をするということになりますれば、当然これは調査いたしまして、それが適格であれば労働災害を適用し、基準法の条章に照らしましてこれは救済の道を立てたいと考えております。
○小平芳平君 要するに、カドミウムによる健康被害者は労災の対象にするということですね。
○国務大臣(野原正勝君) そのように考えております。
○小平芳平君 そこで困ることは、このいまあげた三人の方は、イタイイタイ病の研究をなさっている萩野博士も診断をなさっているんですが、カドミウムと断定もできない、かといってカドミウムでないとはもとより断定はできない、そういうような方をどう救済するかということなんです。厚生大臣はこの報告書ばかりごらんになっているから、そういう町にある実態を御存じないから、そんな御答弁しかできないわけですがね。実際上町にはこうした方がたくさんいらっしゃるわけです。カドミウムとも断定できがたいが、かといってカドミウムでないとも言い切れないし、しかしからだは痛くて困っている。骨が折れちゃった。この人の場合なんか、東京の板橋の方なんか、背が十センチももう現に縮んじゃった、そういう被害者をどう救済しますか。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のような点はまだ必ずしも明確でないのでありますが、しかしこれに対しましては労働災害に適用する方法を検討すべきである。したがってそういったカドミウム等によって起こった災害に対しましては、できるだけ労働災害で救う道を考えたいと考えております。
○小平芳平君 五年間継続給付のほかに労災が適用になればこれで問題はないわけですから、じゃ労災適用の方向で結論を出していただきたい。 それからまだ安中市にはこれは総理もお聞き願いたいのですが、安中市北野殿というところに住んでいらっしゃる大塚沢喜さん、この方は御主人と奥さんとお嫁さんと三人に、一家三人に保健所から入院せよと、カドミウム中毒の疑いがあるので一家三人入院せよと言ってきている。一家三人入院されたんじゃ生活できませんですよ、これね。こういうような深刻な問題に対して政府はどう対処されますか。
○国務大臣(内田常雄君) 御指摘のような方が、工場につとめられておりました本人、あるいは御家族であります場合には、先ほど労働大臣のお答えのようなことで、労災の適用を得られる場合もございましょうし、そうではなしに全くその工場に関係ない一般の市民であります場合には、やはり国民健康保険でカバーをするほかいまのところはない。しかしその国民健康保険は言うまでもなく本人も家族も七割カバーでございますので、あと本人負担の分がここに問題になるわけでございます。このカドミウムを原因とするイタイイタイ病の認定があればこれまあ公害認定救済法の対象になりますけれども、それまでの間は現状においてはやはり本人負担でやっていただく、あるいはまたそれらに関連して会社なり地方公共団体なりに特別の措置を相談をして、できるだけ御本人の負担を減らすというような、法律以外の道を考えなければならない場合もあるのではないかと私は思います。
○小平芳平君 それは厚生大臣ですね、最初の、私の質問の最初に総理大臣が、カドミウムによるものが原因だとわかれば、当然その企業が負担すべきだと述べておられるわけですから、当然負担すべきでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) 一般検診等が、また精密検診等が、検診に関する限りはこれはもう本人負担ではございませんけれども、いまお話しのような病気で入院せざるを得ないというような事態のもとにおいては、先ほど私が述べましたように、関係地方公共団体なりあるいは関係企業と打ち合わせまして、私どもができるだけの心配をする方向で処理をしたいと考えます。
○小平芳平君 そこで総理に伺いますが、このイタイイタイ病研究班には、先ほど申し上げたような問題もありますし、それからもっと対象をふやしてもらいたいですね。九十六人という人員じゃなくて、もっともっと初期の段階でも、カドミウムで痛い痛いという人に対してはその公害の対象として考慮していくということ。しかも、初期の鑑別診断の発見が確立されておらないというそういう隘路もありますので、早急に委員会なら委員会をつくって、そして鑑別診断の方策をきめ、政府は救済の対象をふやしていくという積極的な対策をお願いしたいのですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来いろいろ御意見もまじえてのお尋ねがございましたので、研究班の編成につきましては、この上とも厚生省も慎重にまた適当な人を選ぶ、これに注意したいと、かように思います。 また、早期発見、これはひとり公害病ばかりじゃございません。何にかかわらず、早期発見そうして早期診療、そういうことが望ましいことは、私がしろうとであってもさように思いますから、そういう点で、一そう研究班並びに鑑別等もそういう意味の立場で取り組む、こういう姿勢が望ましい、かように思います。
○小平芳平君 それから、労働省にもう一回お尋ねしますが、カドミウムを扱う工場において、その専門的な健康診査が必要ですね。これは労働省でも通知を出しておられますが、その健康診査は、ぜひともこのカドミウムという特殊重金属、これの専門的な検査をお願いしたい。健康診査が必要であるということ。 それから、カドミウムについては水の環境基準だけが〇・〇一PPMときまっているのですが、労働衛生上の許容限度といいますか、そういう基準を早くきめるべきだ。工場周辺の地域には環境基準があって、そして亜硫酸ガスその他の規制がかかる。しかし労働環境があまりにも野放し過ぎるというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(野原正勝君) カドミウム等の問題につきましては、当然精密検査が必要であろうと存じます。したがいまして、これに対しましては精密な検査をした上で、しかもそれに対しましては、いかにして基準をきめるかというまだ基準もはっきりきまっていないわけであります。しかし、いつまでもそういうわけにはまいりませんので、至急に関係の権威の方々に手をわずらわしまして基準をきめたいと思っておりますが、できるだけ早く決定をいたしまして、労働災害補償でもってそれらの者を救う道を講じたいと考えております。
○小平芳平君 できるだけ早くと言われますが、いつごろですか。
○国務大臣(野原正勝君) 四月末ごろまでにはきめたいと考えております。
○小平芳平君 それからもう一つ。労働上の問題としまして、カドミウムのほこりのひどい工場で働いている人は、何々組というその組が請け負って働いている。したがって、その場合には社会保険も何もない。病気になったらもう国民健康保険しかない。こういうような悲惨な事実もあるんですが、これに対する考えはいかがですか。
○国務大臣(野原正勝君) カドミウムの災害の起こるような危険のあるものについては、全部これを労働災害で救う道を考えたいと、ただいま事務当局と打ち合わせをしたわけでございます。
○小平芳平君 そうしますと、岡澤三郎という方ですが、この方は東邦亜鉛につとめていた。そうしていまは松井田の妙義山療養所に入院しているという方。結核だというのですが、どうも結核ではないらしい、カドミウムじゃないかなというふうなことを本人も言っておられるそうですが、こういう場合でも労災の適用になりますか。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。カドミウムを取り扱った作業に従事していた労働者が健康診断等によりまして異常が発見されたとき、当該疾病がカドミウムを取り扱うことに基因するということになりますれば、これは当然カドミウム中毒となるわけでございますが、所要の労働災害補償法を適用いたすという考えでございます。また、労働災害保険の保険給付を受ける権利は労働者の退職によっても変更はない。したがって、これらの事実を認定した上において、これがカドミウムによって前に従事しておった職業から起こった原因であるということになりますれば、これは労働災害の適用を受けることになります。
○小平芳平君 それでは、もう時間がありませんので総理に最後に伺いますが、総理はおそらくイタイイタイ病患者に直接会われたこともございませんですね。――この「イタイイタイ病との闘い」という本はお読みになったですか。――これも読んでいない。ずいぶんのんきな総理ですね。この痛い状態で「このようにして、イタイイタイ病の患者さんは家族にさえも忘れられて、ひとり「イタイ、イタイ」といいながら、ついには死んでいく。これらの痛みは一様ではない。裂くがごとく、あるいはまた刺すがごとき痛みである。長時間立っていたり、歩きつづけたりすると、当然痛みがくるのであるが、静臥していても体の重みがかかり、鬱血するその下部に痛みがくる。それで身体の向きを変えてくれと、まわりの者に頼むのだが、その体位を変えるときがまた、たいへんな痛みである。重症になると、呼吸運動やわずかな身動きにも痛みが走り、笑ったり話したりするにも疼痛がくる。動くことも、話すこともできなくなり、身長は脊椎の圧迫骨折のためいちじるしくちぢむ。一般に一〇センチないし三〇センチ以上もちぢんでしまう。」、しかも七十二ヵ所も骨折した人もいたと。こういうようなところから、ひとつ私は、るる述べましたカドミウムの問題、特に早期救済という点についての問題につきまして最後に御答弁願って終わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小平君の質問から私もずいぶん勉強させられた。ただいまもお読みになりましたが、どうも私も勉強不足で、ただいま取り上げられた本をまだ読んでおりません。しかしこの種の病気についての早期発見、早期診療、これは先ほどもお答えしたように、大事なことだ、必要なことだと、かように思いますので、他日も衆議院でも同じようなお答えをいたしましたが、もう少し中村登子さんがなくなられる前にやるべき処置はなかっただろうか、こういうことを申したのですが、ただいま御指摘になりますように、この種の問題は早期に発見をして早期に手当てをする、そういうことが望ましいこと、これは申すまでもないことであります。かような意味におきまして監督官庁それぞれを督励いたしまして対策に万全を期したいと、かように思っております。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして小平君の質疑は終了しました。 ―――――――――――――
○委員長(古池信三君) 次に、松下正寿君の質疑を行ないます。
○松下正寿君 私は、日中国交正常化及びそれに伴う諸問題につきまして、総理大臣、外務大臣及び防衛庁長官に御所見を伺いたいのでございますが、その前に私の基本的考え方を若干述べまして、その考え方を御理解の上に私の質問にお答え願いたいのでございます。 日中国交正常化への要望というものは、政府当局は非常に慎重であられますからこれは別としまして、国会において表明された意見、マスコミ、一流総合雑誌等に発表されておる意見等を総合してみますというと、ほとんど一致した国論のように思われるのでございます。アジア大陸に人口八億以上の巨大国であるところの中華人民共和国が存在しておるということは厳然たる事実でありますから、これを正式に承認すべしという主張の起こるのはこれはきわめて当然であり、このような主張がなされること自体が、日本国民がいたって健全な常識を備えておる証拠であると思うのでございます。しかし、日中国交正常化は、これは原理としては正しいにもかかわらず、日本が現在置かれておる立場からいろいろな複雑にして困難な問題がたくさんあることは明らかであります。したがって、私は、この国会においてもまた国会外においても日中正常化のプラスの面と同時にマイナスの面が公然かつ率直に論議され、その利害得失が十分に考慮された上に結論が出なくてはならないと考えておるわけでございます。しかるに現在日中正常化の問題につきましては、肯定論は非常に活発に展開されておりますが、否定論のほうはちょっと影をひそめておるかの感があります。私は、昭和七、八年ごろから太平洋戦争の起こるその前、その期間、対外強硬論が一方的に支配して、それに反して慎重論のほうが影をひそめておったことを記憶しておるのでございます。当時、政府の言論弾圧ということはなかったわけでもないでしょうが、あまりなかったように記憶しておりますが、右翼等の脅迫が若干あったことは確かであります。しかし、それよりも以上に政治家や言論人が一種の言論自己抑制のようなものをしておったように考えられるわけであります。私は、日中の国交正常化のように原理的には正しいが非常に重大な矛盾を含んでおるところの問題に関して、もっと活発な甲論乙駁がなされることを希望いたします。特に、政治家や言論人が多少でも、日本人のくせであると思いますが、言論の自己抑制のようなことをしますというと、これは憲法上の言論の自由をみずから放棄しておることになる。そういうようなことになりますというと、これは一種の民主主義の否定になるわけであります。私は、日中正常化のプラスの面とマイナスの面が率直に論議される、そのことが中華人民共和国を含むところの世界各国に日本の真実を理解させるゆえんであり、またその理解に基づいた国際関係が樹立されることを切に望むわけであります。その反対に言論の自己抑制のようなことが行なわれて、一方的見解だけが表明されるというようなことになりますというと、これは中華人民共和国を含むところの世界各国に誤った認識を与えることになり、これがさらに国際的な不信を招くことになりはしないかということを非常に心配しておるわけでございまして、そういう点を前提として以下三つ質問を申し上げたいと思います。 第一問は、総理大臣と外務大臣でございます。政府は現在台北の中華民国政府を中国の正当な政権と認め、親善、友好関係を結んでおるわけでありますが、同時に、北京の中華人民共和国との間にも――これは佐藤総理のおっしゃったことばと思いますが、政府間の各種の接触を行なう用意があると言っておられます。 そこで私は、次の二点について総理大臣及び外務大臣の御意見を伺いたいのであります。 第一点は、政府の中国及び台湾に対する態度は最近、特に昨年の秋あたりから相当大きく変化したように見受けられますが、もしそうであるとしたらどういうような変化が行なわれたか。 第二点は、この政府間の各種の接触ということばが、これは単に接触しっぱなしでいいという意味でありますか、あるいはその最終の目的が中華人民共和国と正式の国交を開始するということを目的としておられることであるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一の、政府のこの中国問題についての態度が変化したかどうか、このお尋ねにつきましては、総理大臣の施政演説にも、また私の外交演説にも述べておりますように、いろいろの点で国際情勢が変わっております。また国連等における代表権問題の取り扱い等においても変化が見られている、こういうことも頭に置きながら、中国大陸との間におきましても何とか不正常なと申しましょうか、不正常な状態をより正常化したいというような気持ちで対処していくことが適当ではなかろうかというような姿勢を持っているわけでございますが、これは同時に、ただいまに始まったことではございませんで、一面におきまして、ただいまもお話しのございますような、台北にある中華民国政府との友好関係を保持しながら、中国大陸との関係を何とかより正常なものにしたいということについてはかねがねいろいろの努力をしてまいっておりますことは御承知のとおりであると思います。 それから第二の、各種の政府間の接触ということは、おことばのとおり政府も使っておるわけでございますが、民間においては覚え書き貿易その他のルートをもって接触がございますが、まあ政府といたしましても相互の立場を尊重し、また内政にそれぞれ干渉しないというたてまえのもとに、話し合いができて相互の立場の理解というものが進むことがまず第一に望ましいことではないであろうかということで、でき得れば、いついかなる場所でも、たとえば大使間の接触というようなことは望ましいことであるということを提唱いたしておるわけでございますが、そういった接触で双方の立場を話し合い、双方の誤解があれば誤解を解くということがまず最初に望ましい段階であると、こういうふうに考えて提唱いたしておる、これが現状でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣がお答えしたので、私からつけ加えるあまり余計なことはないようですが、私は外交の基本と申しますか、その基本には絶えず柔軟性を持つことだと、一方的な考え方で相手にそれを押しつけるというその考え方は、できるだけ押えないと、世の中はどんどん変わっておるのですから、変化に即応すると、そういう態勢が望ましいと、かように私は基本的に思っております。したがいまして、私どもはその根本において、先ほど松下君も御指摘になりましたように、日華平和条約、それを基準にしておる。したがってただいまのところ、台北にある国民政府、これが唯一の中国を代表するもんだと、かように考えてはおります。しかし、中華民国、この台北にある蒋政権、これが中国大陸に行政権を伸ばすことができないと、そういう現実を私どもは認めざるを得ない。また、北京にある中華人民共和国も、小さいとは言え台湾自身に一指も染めさせることはできないと、そういう現実のあること、これは認めていかなきゃならないと、かように思っております。そこで、中国は一つだと、かように言われておりますが、しかし、ただいまの現状を見て、その一つだけと交渉するということは、いかにもかたくなな状態ではないのかと。ともかく、その代表権に触れる前に、中国大陸との接触はもっと活発にあってしかるべきだろうと、人的、物的交流、これはもっと盛んにあるべきが当然だろうと、過去の歴史はさようなことをやってきたのです。文化の交流、さらに物的交流、人的交流、そういうものが盛んになり、そうして相互の理解を深めていくこと、これが基本ではないかと、かように思っております。大事なのは、やっぱり何といいましても、姿勢、あるいはその態度が、世の中がどんどん進んでおるのですから、取り残されない、その状況が望ましいと、かように私は考えております。 以上、基本的なお答えをいたしました。
○松下正寿君 私のお尋ねしました一番大事な点は、接触を重ねた上に、最終的に中華人民共和国と正常な国交を開始される目的を持っておられるかどうか、その点でございます。お答え願います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは究極的には、国交ということを考えることは、事の性質上、私はそれを考えていかなければならないと思いますけれども、しかしいま一番必要なことは、まず中国大陸側との接触の門戸を、何と申しますか、対等と申しますか、先ほど申しましたような原則のもとにその対話が開けるということが大切なことであり、そして相互の理解または誤解を解いた上で、その後の問題ということについて建設的な考え方ができるのではなかろうか。いわゆるプレコンディションというようなことを前提にして考えるべき段階では現在ないのではないだろうか、私はかように考えております。
○松下正寿君 それでは現在の段階においては必ずしも中華人民共和国と正常国交開始を目的としていない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはただいま申し上げましたとおりで、究極的には対話を始めたい、そうして現在の正常ならざる関係をより改善して、より正常化したいということを望んでいることは、究極的にはそういうことでございますけれども、しかしそこに至りますまでにはずいぶん越えなければならない、また相互に考えなければならない問題もあろうかと思いますので、あらかじめこうこうということを私は申すべき段階でないように思われます。
○松下正寿君 これは外務大臣か、あるいは条約局長いらっしゃったら、条約局長からお伺いしたいのですが、政治問題は別としておいて、国際法の立場から、現在昭和二十七年の日華平和条約があるわけですが、この条約にもかかわらず日本と中華人民共和国との間に国家を開始することは必ずしもこの条約に違反しないように私には見えるわけです。その点は法律問題としていかがでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 条約あるいは法律問題、さらにこまかく専門的にお答えをする必要があれば政府委員からお答えいたしますが、これは現に政府といたしまして日華平和条約は大いにと申しますか、これは厳として存在しておるわけでございますから、これを大切にしなければならないことは当然でございますけれども、しかしこれと現実の中国の状態に対して、より正常な関係を持ちたいという接触を提唱しているくらいでございますから、その間に私はできない――こういう条約があればそういうことはできないではないかという議論があるとすれば、それは少し狭過ぎる見解ではないかと、かように存じております。
○松下正寿君 条約局長いらっしゃったら、ちょっとその点を御説明願いたいのです。
○政府委員(井川克一君) ただいま外務大臣が御答弁になりましたことに私別段法的につけ加えることはないと思うわけでございまして、いろいろな方面から接触をしていくという段階でございますので、これから直ちに法的な問題が起こるとは考えておりません。
○松下正寿君 それでは第二の問題に移りたいと思います。 日中間の民間貿易、いわゆる覚書貿易その他日中間の文化的な交流等についてわれわれ日本人は非常に熱意を示しておるわけであります。政府は従来政経分離の方針をとっておりましたが、最近、さらに政府間の接触を行なう用意があるというようなことを言っておるわけでありますが、このような新しい日中関係というものが韓国にどういう影響を及ぼすかということにつきまして総理、外務大臣及び防衛庁長官の御所見を伺いたいと思うのであります。 というのは、日本と中華人民共和国とは正式な国交は存在しておりませんが、先方側では、佐藤内閣が非常に敵意を持っておると言われておりますが、これは私は違うと思いまして、決して日本政府も国民も、中華人民共和国に対して敵対的関係にはないことは明らかであると思います。ただ、お隣の韓国と北鮮との関係がきわめて緊張状態にあることは明らかであります。そして、日本の防衛あるいは安全保障というものが韓国の安定、ことに強い安定した韓国という、したがってもっと具体的には、現在の休戦ラインを維持するということが日本の防衛上不可欠である。さればこそ佐藤総理のエッセンシャルというようなことばも出てきたものと理解いたしますが、ところが、日中関係が促進されますというと、それ自体としてけっこうでありますが、そのことが同時に韓国の立場を不安定にはしないか。たとえば、周四原則、これが韓国に適用されないことを希望するとかいうような見方もありますが、これは一方的であって、これをのんだ以上は向こう側が適用するのは向こうの自由になると。これは民間のことだから政府は関知しないとおっしゃるかもわかりませんが、しかし実際これが非常に多く韓国経済発展を希望しておる韓国政府並びにその民間に挫折感を与えやしないか。その結果、日本の安全保障というものに支障を生ずる危険がないか。そういう点で二つの、日中国交の促進というけっこうなことと同時に、韓国の維持というけっこうな二つのことの矛盾をどう調整したらいいか。この点につきまして総理、外務大臣及び防衛庁長官の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まず私からお答えをいたしたいと思いますが、いまお話のような種々の問題がございますから、わが国としての中国問題の扱い方というものはいろいろの要素を私は含んでおるものと思います。アジアの平静の維持といいますか、国際緊張を緩和するということ、お互いに国益を伸長していくということ、あるいは国際信義を守っていく、いろいろの角度からやはりアジアの国としての日本と、その日本のとるべき中国政策というものとはやはり相互の関連がございますから、友邦各国との間に緊密な協調を保ちながら考えていかなければならないというところに私は大切な要素もあり、またむずかしい要素もあると思います。 そこで、経済問題でございますが、韓国との間には日韓国交正常化ができまして以来、いろいろの例をあげることができると思いますが、韓国の経済の状況は一口に言ってたいへん進捗しているように思われます。政府といたしましても、日韓間においては毎年一回経済閣僚合同会議を開いておりますし、相互に十分連携し合いながら、韓国民の福祉の向上、経済の再建に対しては、できるだけの協力をする立場にありまして、この関係はますます伸ばしていくべきものである。また、そのことが国際緊張の緩和に役立つものと私ども考えておる次第でございます。 防衛上の観点、その他からは防衛庁長官からもお答えがあろうと思いますが、私は以上のように考えておる次第でございます。
○松下正寿君 いま大事な点をちょっとお答え願えなかったわけですが、周四原則の適用についてちょっと御答弁願いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 周四原則というものにつきましては、これは基本的に日本としては、もうさきに御質問の中にもおことばがございましたけれども、日本としては国営貿易や統制経済をやっているわけではございませんから、これに対する対処方策としては、基本的には民間の企業として善処すべき問題である。善処というのは、それに対応する方策を講ずべきである。しかし、政府といたしましても、関心の深い問題でございます。そうして、韓国との間には、私はいま申しましたような線で、日韓の経済協力関係というものが、今後といえどもますます発展できるように、政府としては考えていくべきである、かように存じております。
○松下正寿君 そこに何か矛盾みたいなものがある感じがするわけですけどね。政府としては大いに韓国の安定を期すと、ところが、民間のほうは周四原則が、これは韓国にも当然適用され得るわけです。これは、民間の問題なんだとおっしゃいますが、しかし、日本の安全保障、日本のナショナルインタレストに重大な影響を及ぼすようなことを、これは民間だから、民間にまかしておけと言われますが、民間はその場合には韓国を拾てて中共のほうに行くという可能性が、いま現にどんどん起きております。その結果韓国に非常な不安感を与えるということは、これは私は昨年の十一月に韓国に行きまして、二週間ばかりつぶさに実情を視察しましたが、非常な不安感を持っている、挫折感を持っているわけです。これは民間の方だから、営利としてどっちをおやりになるのも御自由ですというのは、これは自由主義日本として当然かもわかりませんが、結果としては日本のナショナルインタレストにかかわることについて、政府ははっきりしたどっちをとるかという態度をきめていただきたいと思います。その点について外務大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたことに私は尽きていると思いますけれども、日韓の経済協力については、今後ますますその実があがるようにいたしたい。それから現実にただいま非常な不安、挫折感があるというふうな御所見でございましたけれども、私はさようには存じておりませんので、韓国における現在の経済の各方面における事業、あるいは日本に対して求められつつあるところの協力という面については、相当な私は成績をあげていると思います。それから、一方将来はともかくといたしまして、現在の日中関係におきましては、貿易等においては、出し入れ八億ドル以上年間の成績をあげているような状況ではございますけれども、これは日本と他国との間の経済の関係、あるいは貿易の関係などから見ますれば、まだこれは少額なものでございまして、日本の企業あるいはその他の体制から申しましても、私は韓国における日本との関係の韓国の企業家その他の人たちに、挫折感を起こすというような状態では私はないと、かように観測いたしておりますが、今後とも韓国側にはさような不安を及ぼすことのないようにいろいろ配慮をいたしていきたいものと考えております。
○松下正寿君 総理はお答えにならぬようでございますから……。ちょっと、幾ら繰り返しても同じようなことになりますから、この程度にしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの松下君のお尋ね、これは私やはり外交のポイントの一つじゃないかと、かように実は思っております。いままで中国大陸との間をよくすると言いながら、せっかくわれわれが築いてきた外交関係、そこに悪い影響を与えたら、これは新しい道が開けても、いままでのがこわれるのですから、これはいいことじゃありません。言いかえますならば、いま日韓間の関係は、正常化して、たいへんお互いに協力し合っている、そういう態度でございます。いま、日中間の関係も、われわれももっとお互いの交流を深めたいと、かようには思いますが、そこで、ただいまのような四原則、そういうものが頭にのしかかってくると、そういうところに韓国にたいへんな心配がある、不安があると、かようになってまいりますと、これはそう簡単にも日中間の交渉が進展をしないと、こういうことになるんじゃないかと思います。私は、そういうことで、関係者は、ただ日中間だと、日本と中華人民共和国との関係だけと、かように考えるわけにはいかない。アジアに位する各国との関係を調整しながら、その上に立ってはじめて中国大陸との関係も正常化していくんだと、こういうことでなきゃならないと、かように実は思っております。最近、卓球選手が帰ってきて、そうしていわゆる周四原則を適用すると。どうも、卓球にまでそういうものがついてきている。アジアの各国が、どうもこれは政治色が強過ぎやしないかと、こういうことで批判をしていると、こういうようなことがあると、これはやっぱり考えなきゃならない。しかし、あの卓球協会の問題は、これはアジアでは入れられないが、しかし、国際的には中国が入ることを歓迎しておると、こういうような報道もあります。そこらに、日本の国益は一体どこにあるのかと。私どもが中国大陸といろいろの交渉を持つといたすのも、これもとりもなおさず国益のために、また、緊張緩和のためにそれを取り結びたいと、こういうことでございますから、ただいまのことが他の国に不安を与えたり、あるいは他の国との間に一つの摩擦が起こるようでは、これは国益増進とは言えないように思うと。中国には周四原則がございますが、私どもは、それに対して、どうか各国はそれぞれの立場があるのだから、その立場をひとつ理解し合い、また、お互いに内政干渉にわたらないと、そういうことでつき合おうじゃないかと、こういうようなただいまの主張をしておるわけであります。 私が冒頭に申しましたのも、もっと柔軟な態度が望ましいというのは、ただいま言われるようなことをも含めながら、どうも膠着した姿勢で外交は取り組めるものではない、やはり柔軟な態度で外交交渉は進めるべきだと、かように私は考えておると、この点をお答えしておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三点にわたってお答えいたします。 まず、日米安全保障条約は、極東の平和及び安全維持に寄与するとも書いてありまして、極東すなわち日本の周辺地域の動向には非常に大きな関心を持っているわけであります。その中にはもちろん韓国が含まれると私は思います。そういう点から、安全保障条約を実施していく上について韓国にどういう影響を及ぼすかということは、日本国民として大きな関心を持たざるを得ない段階であると思います。 第二番目に、日米安全保障条約は、国際連合憲章を中心にした平和的な防衛的なものであります。国連憲章というものがあくまで中心になっていると思います。そこで、国際関係というものが、国連憲章を中心にして、その精神と現実が保障されるような状態であるならば、私は好ましい状態である。バンドン会議以来のいわゆる平和五原則というようなものは、内政不干渉等を中心にして言われておるので、私は国連憲章に背反するものとは思いません。むしろ、国交を――国交と申しますか、友好関係を促進していく上に好ましいものではないかと思います。要するに、国連憲章というものが普遍性をもって、それがアジアの各地域に実現されるということが望ましいものであると私は思うのであります。 第三番目に、国際関係というものは、あくまで国家と政府の独立と尊厳をお互いに尊重するということは基本的に確認されなきゃならぬと私は思います。したがって、いわゆる民族解放闘争というものがどういうものであるか、われわれはまだ実態を見きわめませんけれども、もし非合法的な手段で他国の政府を転覆することを支援するとか支援するというようなものであるならば、これは安全保障上支障があるものであると、私はこのように思います。
○松下正寿君 中曾根長官の御意見は非常にりっぱであると思いますが、私の具体的にお聞きしたがったことは、現在民間で進んでおり、また、政府も、まあ黙認といいましょうか、幾らか奨励しておるように見えますが、日中の接触あるいは接近、これが韓国に大きな影響を及ぼす、そのことが日本の防衛にどういう影響を及ぼすかということをもうちょっと具体的に御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣と総理大臣が御答弁になりました範囲内を出ません。やはり非常に流動的なものであり、かつ、お互いの真意がどこにあるかというのを捕捉している段階であるだろうと思います。したがいまして、そういう流動的な段階においては、できるだけ発言を慎んだほうがいいと私は思います。特に防衛の問題はそのように思います。
○松下正寿君 それでは、いま防衛庁長官のおっしゃったことを前提としまして、総理と防衛庁長官からもう一ぺんお答えを願いたいのですが、現在の段階においては、日中の国交の促進とはいうが、具体的に日本の防衛を考えなきゃならぬのは当然のことと思いますが、それをそう具体的に考えるほど現在進んでいないし、いまのところではそこまでいく気持ちがないのだと、防衛問題を考えるほどまだそこまで進んでないのだと、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、中国大陸との交渉を始めよう、それが緊張の緩和に役立つと、かように私どもは実は考えて、また、そのことが国益とも合致すると、かように考えておるわけでございます。したがいまして、その範囲においてなら、これはたいへんけっこうなことだと、かように思います。しかし、それがもしも突き進むことによって、非常に片寄った結果を来たして、国際的緊張を激化さすと、そういう結果になることは私どもの好むところではございませんし、また、いまから取り組もうとする姿勢とも反対の方向でありますから、そういうふうなことがあってはならない。先ほど韓国との日韓の関係についてのお話がございましたが、この中国との交渉を再開すれば必ず韓国が困るんだとか、たいへんな不安が与えられるんだと、かようには私はきめ方いかんによっては必ずしもならないと思います。私どもの望むところは、われわれの国益も大事ならば、同時に、国際緊張を緩和さす、こういうことがねらいでなければならない。現在のように、対立して、そうしてお互いに悪口を言っている。北京放送など聞いていると、「反動佐藤内閣」とか、あるいは「佐藤、中曾根の輩」と、(笑声)こういう放送が毎晩聞かれるような状態が、それがなくなれば、これはよほどけっこうなんだと。私どもは、いま中国大陸と交渉を持ちたいというのは、とりもなおさず緊張を緩和したい、こういう観点でございますから、いまの御心配もさることながら、それが交渉ができるような状態になればいまのようなことは解消すると、かように私は確信しておりますので、従前からの態度はやっぱり続けてまいるつもりでございます。
○松下正寿君 それでは、第三の質問に移りたいと思いますが、現在の日本の安全保障政策といいましょうか、防衛政策といいましょうか、これは、軍事的には、まあ経済、政治全部含んでおりますが、特に軍事的には、日米安保条約によるところのアメリカの軍事力と日本の自衛隊の、まあこれはそうたいしたものでもありませんが、若干の軍事力ということが根幹になっておりますが、そのほか、地理的に、韓国、台湾その他中華民国政府の支配下にある領域の現状維持、現状が維持されるものということを前提としておるものと考えられるわけであります。ところが、日本と中華人民共和国との国交が開始された場合はもちろんでありますが、それが開始されないにしても、若干日本が中華人民共和国と接近する姿勢を示すというだけでも、中華民国との関係が非常に悪くなることが考えられるわけであります。どっちも喜んでくれればこんなけっこうなことはございませんが、なかなかそうはいかないのが現実であって、そこにも政府が非常に苦労しておられるところがあると思いますが、そういう点も考えられまして、日本が中華人民共和国と国交を開始した場合、これはちょっと先のことのように思われますから、そこまでいかなくても、もっと交渉が進む段階だけでも、日華関係が相当悪化するのじゃないかということが心配されるわけでありますが、そういうようなことが日本の防衛体制にどういう影響を及ぼすか、その点について総理大臣並びに防衛庁長官の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の防衛関係、あるいは私どもの関心の度合い、これは、私が一昨年ニクソン大統領との間の共同コミュニケで声明したとおりでございます。私ども、ただいまの憲法のもとで、また、自衛隊法のもとで、わが国の自衛隊を外に出すというそんなことは考えませんが、しかし、台湾海峡に問題が起こるとか、あるいは朝鮮半島に問題が起こるとか、さような事態が起これば、われわれは関心を持たざるを得ない、このことは非常にはっきりしておる。だから、そういうことのないようになりたいと願うのがただいまの心境でございますし、そういう意味において、私は、やっぱり緊張緩和ということは必要だと、かように思っております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中国問題の解決のしかたによるだろうと私は思うのです。解決のしかたが兵火や戦火を伴って行なわれる場合と、話し合いで平和的に相互的にうまく落ちつく場合と、そういうおのおのの場合によって日本に及ぼす影響、国際関係に及ぼす影響は非常に大きいだろうと思います。したがって、今日その問題がどういうふうに解決されていくかということが予断されない事態でありますから、いまからどうこうと判断することは非常にむずかしいと、こう申し上げる以外にありません。
○松下正寿君 防衛といいますと、まあ軍事、悪くすると戦争ということばにつながってくるわけで、したがって、こういうデリケートなことについて防衛庁長官が非常に慎重で、あまり例の持ち前えの雄弁をふるわれないのは非常に残念であります。お立場上、私も若干理解があるわけでありますが、ただ、私は、国民の一人として、現に中華人民共和国と、今度の日航なども、だいぶあれは台湾に影響を与えるのじゃないかと思いますが、次から次と中華民国つまり台湾を刺激するように現実になっておるわけであります。これはむろんどなたも希望しないところでありましょうが、日本が全体として中華人民共和国と接近を深めれば深めるほど、中華民国との関係がかえってよくなればけっこうでありますが、そうはならないというのが現実だろうと思います。私は、特にその場合に非常に心配になりますのが、ことに来年すでに返還が約束されております沖縄の防衛です。こういう問題が、現在、日本の近隣として、自由主義国として、韓国と台湾つまり中華民国、これが非常に重要な、よくなっておると思いますが、まあ韓国の場合は別としておいて、台湾が幾らかでも悪化しますというと、これが日本の防衛体制に相当大きな影響を及ぼすのじゃないだろうか。ことに、沖縄の防衛というようなことを考えるというと、全く関係がない、うまくいくだろうというように簡単に考えられないのじゃないかということが心配になりまして、その担当者であるところの防衛庁長官の御意見を重ねてお伺いしたいわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄の防衛につきましては、これは七二年返還後の問題になりますけれども、謙虚に抑制された範囲内で、しかも必要にして十分と、そういう程度の防衛力をあそこへ配置したい。したがいまして、周辺諸国との摩擦等は起こさないようにわれわれも深甚の注意をはらってやるつもりであります。内容につきましては、いままで公表しました範囲内でありまして、その程度で外国と摩擦を起こすとは私は考えられません。
○松下正寿君 ちょっとずれておるんですが、私の質問しましたのは、そういう日本の既定の方針ということでなくて、つまり、日中国交が、日中の関係が接触すること自体が、中華民国に不安を与える、その結果、日本の防衛政策にどういう影響を及ぼすかというその一点についてお答えを願いたいわけであります、特に沖縄の問題について。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日中が、和平といいますか、友好関係を促進しているということは、もちろんこれは国連精神やあるいは平和五原則に沿っているのだろうと思いまして、そのこと自体は私は別に差しつかえあることであると思いません。問題は、要するに、いわゆる中国問題の解決が最終的にどういう形で行なわれるかということが一番のポイントになると思うのです。それ以前の、お互いがお互いを信用し合い、かつ、友好的にお互いの関係を改善していくということは、私は現在の国状から見ても、世界の大勢から見ても、一つの趨勢であると思うわけです。ポイントは、いわゆる中国問題の最終的解決のしかた、方法にあると思うのです。その方法については、さっき申し上げましたように、そのしかたによって影響が非常に大きくなる場合もあり、あるいはスムーズにいく場合もあると考えられる。その場合に、沖縄の防衛問題はひっからんでくるのでありまして、これは沖縄の防衛のみならず、日本全体がひっからんでくる問題であるだろうと思います。そういう意味からも、これ以上申し上げる段階にはないと私は思うのであります。
○松下正寿君 先刻から総理大臣、外務大臣、防衛庁長官の御意見をただしてきたわけでありますが、何となく食い足りないのが私の本音でありますけれども、大体総合してみますというと、政府としては、日本と中華人民共和国との国交正常化を希望しておると。これは、国民全部が希望しておると思い、私もその例外ではございませんが、しかしながら、同時に、国交正常化ということは、現在の自由主義諸国――アメリカ、中華民国、韓国等の日本との関係において重大なる利害関係に影響を及ぼさない範囲において日中の国交を正常化させると、こういう意味のように私には理解されましたが、その点はいかがでございましょうか。 それから第二に、はっきりと念を押しておきたいことは、いかなる場合においても、現在日本と中華民国との間に締結されております昭和二十七年の日華平和条約、これには何らの影響は及ぼさない、これを万が一にも日本が一方的に破棄するようなことは絶対にしないかどうか。この二点について、総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 これで私の質問を終了いたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたしますが、私は、ただいまの状況で、直ちに日本の国益を守り、緊張緩和、そういうように役立つ、そういう解決が直ちにできるとはまだ思っておりません。これはいましばらく時間かかることではないだろうか。そのためには、双方でお互いにその立場を理解し合うこと、そのための交流も必要ならば接触も必要だし、あらゆる機会をとらえて、交渉とまでは申しませんが、接触を緊密にすること、これが何よりも必要なことのように思います。第一点はそのとおりでございます。 そうして第二点、いま何の調査であったか、はっきり覚えておりませんが、やはりわが国の国内におきましても、台湾を抹殺してしまえという、いわゆるアルバニア案、こういうものには反対でありまして、台湾を支持するものが七〇%、かように記憶しております。同時に、中国大陸との交渉を持てという、これまた七〇%であります。国民の希望するところのものはそういうところにあるのではないだろうか。お互いに牽制し合ってはいますが、これがやはり同じような支持数を示しておる。政府並びに私はさように理解しております。ただ大事なことは、いまの国民政府も、また北京にある中華人民共和国も、いずれもが中国の正統政府、これはおれのほうだと、かように言ってるところに問題があるのでございまして、私どもは、いわゆるその主張と、ただいま述べました国民世論の動向というものについて、いかに判断したらいいか、こういうことでございます。私は、とにかくただいままでの状態では、台湾、これにはずいぶん戦後も緊密に交流が行なわれております。したがって日本と中華民国との間には、ただいまは誤解がない状態でございます。しかし、北京政府とは、残念ながらまだまだ交流が不十分でありますから、そういう意味で相互の理解が十分でない。そこで私どもが主張しておるのが、お互いの立場をとにかく尊重しよう、そうして内政に干渉しないと、そういう状態で、何かもっと緊密な連携はできないだろうかと、貿易の拡大はできないだろうか、人の交流が容易にはならないだろうか、こういうような道をただいま探っておる、こういう段階でございます。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして松下君の質疑は終了しました。 ―――――――――――――
○委員長(古池信三君) 次に、岩間正男君の質疑を行ないます。岩間正男君。
○岩間正男君 日本共産党を代表してお聞きします。 まず第一にラオス問題ですが、ニクソン政権は、去る八日、米軍の支援による南ベトナムかいらい軍の本格的なラオス進攻を開始しました。これは昨年のカンボジアの進攻に続いてインドシナ全域への戦争の拡大をさらに徹底的に押し進めようとするものであり、一九六二年にアメリカ自身が調印したジュネーブ協定に違反し、ラオスの中立を公然と踏みにじるものであります。ジュネーブ協定のラオス中立宣言はその第二項で、アメリカを含む調印国の義務を規定しています。その第二項の(a)、同じく(b)、同じく(g)を、非常に恐縮ですが、外務省の方にまず読み上げていただきたいと思います。
○政府委員(須之部量三君) ただいまの第二項の(a)でございますが、(a)は、「ラオス王国の主権、独立、中立、統一又は領土保全を直接又は間接に侵害するおそれのある行為をいかなる方法によっても行なわず、また、いかなる方法によってもこのような行為に参加しないこと。」、それから(b)でございますが、「ラオス王国の平和を侵害するおそれのある武力その他の手段の行使又はそれらによる威嚇を行なわないこと。」、それから(c)でございますか。――(g)は「いかなる形においても外国の軍隊又は軍事要員をラオス王国に導入せず、かつ、外国の軍隊又は軍事要員の導入をいかなる方法によっても促進し又は黙認しないこと。」、以上でございます。
○岩間正男君 お聞きのとおりでありますが、そこで私は総理にお尋ねします。 アメリカの行為は明らかにいま読み上げたジュネーブ協定のどの規定にも違反するものと思いますが、総理は違反とお考えになりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) ジュネーブ協定の文章は、ただいま読み上げたとおりでございます。そこで政府の見解を申し上げます前に、これも事実でございますから御説明いたしたいと思いますが、二月八日にラオスの政府が声明を出しております。御承知のことと思いますが、このラオスの声明の全文を読み上げることは省略いたしますが、「ラオスの中立、侵犯の第一義的責任は北越にある、」、こういう項がございます。同時に、「しかし、これはその他の国の軍隊がラオスに入ることを正当化するものではない、」、こういうことも明らかにせられております。政府といたしましては、ただいまも岩間さんもお述べになりましたように、ラオスの現政府というのは、ソ連、北越その他いわゆる北側といいますか、そういうほうも入っておりますし、一方アメリカその他両側のほうも入ったジュネーブ協定というものが成立しておる。そうして双方ラオス国を承認し、双方ともにその中立を維持しようというのがこのジュネーブ協定の趣旨になっておりますから、そうして日本はこのジュネーブ協定に入っておりませんことも御承知のとおりであります。したがって日本政府といたしましては、どちらがどうであると、この今回の一連の行動といいますか、戦闘行動について、いずれがジュネーブ協定違反であるというようなことをコメントする立場にないと申し上げることが適当かと考えますが、同時に、いま申しましたような環境にあるラオスでございますから、政府といたしましては、ジュネーブ協定のこの線に従って一刻もすみやかに一切の外国軍隊がラオス領内から撤退をすることを強く望んでおります。そしてジュネーブ協定が規定しておりますように、ラオスの中立が保全され、そして主権が尊重され、そしてラオスの問題はラオス自身の手によって処理ができるように、関係各国が相協力することが最も望ましいところであると考えております。そういう考え方に基づきまして、すでに二月八日の夜には外務省としての非公式見解も出しておりますけれども、そういう考え方に基づきまして関係国に対して、そしてまた直接にはラオス政府との間に十分日本政府としても意思疎通をはかりまして、日本政府としてできることがあればその線に沿ってできるだけのひとつ協力をいたしたいと、こういう考え方を関係各国との間にそういう打診工作と申しますか、そういうものをすでに始めております。
○岩間正男君 私は、協定違反かどうかを総理に聞いているんです。総理にお答え願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣が答えたとおり、二月八日の声明でその事態がはっきりしております。
○岩間正男君 違反とは書いてないでしょう、あれ。違反も何も、このジュネーブ協定のそのものには触れてない。この点はどうなんだ、はっきりこれはしてください。
○国務大臣(佐藤榮作君) ラオスは、北から侵入はしておるが、それを理由にして他国の軍隊が入ること、これを正当化するものではないと、かようにはっきり申しております。
○岩間正男君 いま読み上げた協定には、いかなる方法でも手出し、介入する、侵入することについて禁止しているんでしょう。はっきりしているじゃないですか。 で、愛知外相にお聞きしますけれども、第一に双方が撤退することが望ましいという声明を出された。というのは、これははっきりやはり協定に違反しているという、そういう事実の上に立つわけでしょう。どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 日本政府の立場といたしましては、ジュネーブ協定には、先ほど申しましたように、参加もいたしておりません。同時にまた日本政府の現在の立場といたしましては、どちらが違反したというようなことをあげつらうよりも、今後の始末、今後の収拾ということに至大な関心を持っておるわけでございますから、すみやかに外国軍隊がラオスの領内から撤退する、こういうことができるように、すでにジュネーブ協定に参加しておる国々、共同議長国である英ソ両国、それから国際監視団を結成しておりますインド、カナダ、ポーランド、こういう国々、それから当事国であるところの国々あるいは国連といったようなところに、それぞれ外交努力といたしまして、なし得る最大の努力と貢献をいたしたいと思いまして、すでにその緒についていると申し上げても言い過ぎではないと思います。日本政府の立場としては、日本国民全部の私は期待であると思いますが、すみやかにこの事態を収拾するということが大切なことである、これに全力をあげたい、そうすべきであると、かように存じております。
○岩間正男君 私は、一国の外交をやっておるんですから、その判断がどうかということを聞いている。そうして、この原因の大もとを正さなきゃならぬ。だから違反かどうかという点をどう考えるかということが最大のこれは重大な問題なんだ。ところが、これに対して答えることができない。三歳の童子でもわかること、これを認めない。そういうことになりますと、結局は違反をかばう結果になりませんかどうですか、総理大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、賢明な……。
○岩間正男君 総理に聞いている。
○国務大臣(愛知揆一君) 日本の国民の皆さまがいまのこの問答を聞いておられて、どちらに理があるということをおのずから公正に判断してくださるだろうと思うんです。(「名答弁」と呼ぶ者あり)もとへさかのぼればということになれば、いろいろこれはいろいろにそれぞれの国々、それぞれの国民が言い分があろうと思います。私は日本の外交の担当者として、そういうことに、あなたのおっしゃることにイエスと言ったりノーと言ったりすることが、そういう話法で言わないことが賢明である場合もたくさんあるということを、これまた賢明なる岩間委員が十分御理解くださることだと思います。
○岩間正男君 私は賢明じゃないから、本来。私はわからないから聞いているんですからね。どういうふうに判断するか腹がわからないから聞いている。まあとにかく言を左右にしてはっきりした明確な方向を言えないとこね、そこに日本外交の姿がある。 私は、それではお聞きしますが、いろいろただいま逃げ答弁をされたが、結局アメリカの今回のやり方、それから南ベトナム政府によるラオス進攻は、総理はこれを支持するとはまさか言えない問題だと思いますんですが、どうでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどのラオスのプーマ首相のコミュニケ、これは二つ出ておりますね。二月四日に出たコミュニケでは、北越が依然としてジュネーブ協定を侵犯していること。さらに二月八日にはどういう声明を出したかというと、ラオス領土が戦場になったことについての第一の責任は、国際法とジュネーブ協定とに違反してラオスの中立と領土保全の侵犯を開始し、いまなお侵犯を続けている北越にあるが、このことは他国の軍隊がラオスにいることを正当化する根拠とはなり得ない旨述べておる。これは先ほど私がお答えしたとおりであります。そのとおりラオスのプーマ首相も言っておる。そのとおり事実を言っているから、事実を私は説明したんです。
○岩間正男君 それじゃプーマ首相のその声明を支持されますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのような、いまの読み上げた趣旨がそうです。
○岩間正男君 いや、支持されますか、プーマ首相のその声明は。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは事実プーマ首相はそう言っているんだ。私が支持するも支持しないもないじゃないか。
○岩間正男君 だからそれを支持するかどうかと聞いているんだ。
○国務大臣(佐藤榮作君) それは事実をですね、否定しない。
○岩間正男君 いや、判断がほしい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私どもは、プーマ首相が言っていることを否定したり支持したりというそのことが大体おかしいじゃないですか。いま私は、これはもうジュネーブ会議、ジュネーブ協定、これが守られておればインドシナ半島は平和は保たれておる。このことはわれわれの心から願うところのものです。そのジュネーブ協定が守られておらない。それは一体だれの責任なんだ。そのことをただいま読み上げたとおりプーマ首相が言っておる。
○岩間正男君 日本の首相はどうなんだ。日本の首相はどうかと聞いている。(「日本の国会ですよ」と呼ぶ者あり)そんなこと読んだって、それを正しいと思っているのですか、どうなんですか。そこを言わなければしょうがないですよ。あなたの判断を聞いている。政治は判断ですよ。
○委員長(古池信三君) 岩間君、質疑は起立してお願いします。
○岩間正男君 いや、時間がないですよ。内容によりけりだ。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも不規則発言のように思うから、つい立って答えられない。
○岩間正男君 まさかアメリカのラオス侵略を支持するとはおっしゃれないでしょうね。もうお答えなければそう思いますが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、インドシナに、ラオスに戦火が飛び火すること、それは私の好むところではございませんし、そのことは一日も早くやめてほしいことだ。このことははっきり申し上げておきます。
○岩間正男君 まあ結局これは支持されないということの表現だと思います。その上に立ってお聞きしますが、そんならですね、次のような事実をどうお考えになりますか。けさほども質問があったのですが、アメリカの第三海兵隊が南ベトナム北部に上陸したこと、このことが問題になりました。このことはですね、これはラオス進攻作戦の一環として行なわれていることは明らかだと思うのです。しかしこの第三海兵師団、この海兵隊は去る一月十五日、われわれは現地の情報を手にしておるのでありますが、静岡県沼津今沢海岸に上陸し、さらに東富士演習場で訓練中であった。ところが急遽四週間の演習日程を二週間に繰り上げ、そうしてこれは二週間でやめて移動を開始しました。その直後に今回の進攻作戦というものが行なわれたのは、これは事実です。私は外務大臣並びに防衛庁長官にお聞きしますが、このような事実、これは御存じかどうか。いかがです。
○国務大臣(愛知揆一君) 本日午前中にも御質問がございましたが、外電――サイゴン発電報で伝えるところの、アメリカ海兵隊が事態の今後に備えてサイゴン周辺の沖合いに艦船に乗って駐留しているという趣旨の外電を見ましたが、これは現在ただいまの時点で確認しておりません。
○岩間正男君 それは答弁になりません。私はあれを聞いているんです、沼津海岸、沼津海岸に上陸をしたのを途中で演習をやめて移動したこと。
○委員長(古池信三君) 岩間君、質疑は起立して願います。
○岩間正男君 防衛庁長官、施設庁に報告はないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣と同じであります。
○岩間正男君 もう一度お聞きします。沼津海岸の様子はどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一月十五日にアメリカの三百五十名ぐらいの部隊が沼津海岸におりまして、そして戦車十六両、それからりゅう弾砲六基、そのほか車両部隊をトレーラーに乗せようとしましたときに、静岡県の平和委員会の人々がこれを阻止しようとしまして米軍との間にいざこざが起きました。警察官がいなかったために米軍はしばらく待っておったらしいですけれども、時間がきたものと見えて、米兵四名ぐらいが背中で平和委員会の人を押して、その間を戦車が通っていったと、そういう事件がございました。別にけが人やその他はなかったようであります。
○岩間正男君 それもまだ答弁になりませんよ。途中で演習を中止して帰ったのはどうかという、その点が触れてないです。その前のことは時間がないから省いたんです。日米合同委員会の区域、施設ですね、その委員会に報告があるはずでしょうが、どうです。何月何日に入って、何月何日に退去したか、これを明らかにしてください。こんなこと知らぬとは言えないですよ。
○国務大臣(愛知揆一君) もう少し具体的に、詳しく御質問願います。
○岩間正男君 時間がないからすわってもう一ぺん繰り返しますが、沼津海岸に一月十五日の六時ごろだと思いますが、上陸をした。この米海兵隊は、その後大体四週間で……
○委員長(古池信三君) 発言は起立して願います。
○岩間正男君 それを二週間で繰り上げて退去しているんだと、われわれは情報を手にしている、これはどうか。したがって、あなたのほうの報告をここへ資料として出してもらいたい。
○国務大臣(愛知揆一君) さような情報は、政府としては確認しておりません。
○岩間正男君 総理、いいですか、これで。日本の防衛はこれでいいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま外務大臣が答えているように、お尋ねのような事実は確認しておりませんと、かように申している。
○岩間正男君 おかしいじゃないですか。防衛庁長官、さっき言ったでしょう。
○委員長(古池信三君) 岩間君、発言は起立して願います。
○岩間正男君 平和委員会でちゃんと反対運動をやったと、ピケを張ったと、そこまで確認していて全然入ったという事実はないと言うのですか、どうなんです。全然米軍のことはノータッチですか。これがいまの姿か。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近、米軍から北富士で実弾射撃の演習をしたいと言っておったのを、たしか十五、十六日であると思いましたが、あれは中止すると、そういう通知が入りました。それは確認しております。
○岩間正男君 資料を出してください。資料を委員会として要求したいと思います。委員長、資料を要求してください。
○委員長(古池信三君) 岩間君、起立してください。
○岩間正男君 資料を要求します。
○委員長(古池信三君) いかなる資料ですか。
○岩間正男君 いつ海兵隊が入って、いつ海兵隊が退去したか、資料。
○国務大臣(中曽根康弘君) よく調査いたしまして、わかり次第、資料を提出いたします。
○岩間正男君 総理もいまの応答を見られたと思うのですが、このような危険な事実というものを十分に知らないというのは何事です、一体。しかもこの海兵師団は、チャップマン海兵隊総司令官の証言によるまでもなく、すでに明らかなように、全太平洋地域のいかなる場所に緊急事態が起こっても即時出動できる部隊で、これはニクソン・ドクトリンのいわば最も中核をなしている部隊ですよ。そうしてしかも沖縄だけじゃなくて、本土の岩国にも緊急出撃部隊として置かれています。このことは、日本が事実上今回の進攻作戦に協力、支援していることを明白に語っていると私は思います。総理がアメリカのラオス進攻を支持ができないとほんとうに言うんなら、このような協力、加担はやめるべきだと思いますが、総理の考えをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま日本国内に駐在しておるアメリカ兵が出ていく場合、これはもちろん、私どもに相談がある、事前協議の対象になります。しかし、施政権を持っておる沖縄、その沖縄から米兵が出ていくとか、これは施政権者たるアメリカ政府の責任においてやることでございます。私どもはとやかく言えない、また、その実情をつかみ得ないのも、これは施政権者でないだけに当然じゃないでしょうか。私は、先ほど来いろいろお答えしていたあるいは防衛庁長官、あるいは外務大臣、事実をつかんでいないという、これもやむを得ない状態じゃないか。私はあまりに不親切な答えかと思って実は心配しておりましたが、そうじゃない。これはやはり施政権者の責任においてやることだと、かように私考えますので、これらの点は、いま岩間君がどうも戦争に介入しているんじゃないかと、かようにきめつけられても、私ども介入はしてないと答える以外に方法はございません。この点は十分御了承いただきたいと思います。
○岩間正男君 実に重大な答弁を聞きました。こういうことでは日本のいまの防衛体制というのは問題になる。一体安保条約によって在日米軍としていつから日本に入るのか、出るときはいつ在日米軍でなくなるのか、海兵隊は在日米軍でないはず。この性格変更はいつ行なわれるのか、これもあわせてお聞きしたい。重大問題ですよ。
○国務大臣(愛知揆一君) 御承知のように安保条約関連取りきめで、日本が提供した施設、区域から戦闘作戦行動で発進する部隊については、事前協議の対象になることは御承知のとおりであります。それから装備、配置の重要な変更、これもしばしば御説明申しておりましたが、たとえば一個師団、一機動艦隊というような程度のものの移動については事前協議の対象になりますが、それ以外の、単純な日本国内におけるところの移動というようなものは事前協議の対象にならない、これも御承知のとおりでございます。海兵隊はアメリカの軍でございますから、その事前協議の了解によって処理されるべきことは当然でございますけれども、事前協議になるべき事項がならずに、知らぬうちに作戦行動に出ていくというようなことはあり得ざるところでございます。
○岩間正男君 在日米軍の身分変更の問題を聞いているのですよ。答弁がはずれていますよ。時間がないからこの次に保留しておく。 次に、沖縄返還協定の問題についてお聞きしますが、愛知外相はさきの衆議院予算委員会で、わが党の松本議員に対して、沖縄返還協定は日米共同声明の基本線が完全に裏打ちされるような趣旨の協定にしたいと答弁されましたが、どういう形で日米共同声明の内容を盛り込むのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 沖縄の返還については、松本委員にお答えしたとおりに、一九七二年中、核抜き本土並みというこの基本線と申しますか、このワクの中で返還が行なわれることに両国の最高首脳間の取りきめができておりますから、このワク組みの中でその意図していることがきちっと約定の中で実現ができるように返還の協定というものがつくられる、こういうことを申し上げておったわけで、それに何らの変わりはございません。同時に、いかなる文言で協定文にこれをつくるかということはまた別個の問題でございますから、その協定の文案等についてはまだ煮詰まっておらない、これが現状でございます。
○岩間正男君 具体的にお聞きしますが、日米共同声明という文言を、そのものを沖縄協定の中に入れるのですか入れないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 一番大切なことは、核抜き本土並み、七二年中の返還ということでございますから、そして本土並みということで例を申し上げますならば、安保条約その関連の取りきめがそのまま返還後の沖縄に何らの変更なしに適用がされるのであるということが、かっちりこの協定の上ででき上がればそれでけっこうなことである、こういう考え方で協定をつくるわけでございます。
○岩間正男君 文言として入れるのですか入れないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それはしばしば申し上げておりますように、文言としてどういう文言になるかということを、いかなる形でもまだお約束をできる段階ではないというのが松本委員にお答えをしたところであって、これは今後十分練り上げて、いずれ批准国会で御審議を願いたいと考えておるわけであります。
○岩間正男君 それでは共同声明第六項の「極東の安全をそこなうことなく」という文言は入るのですか、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは繰り返すようで恐縮ですが、その文言についてどうなるということのお約束は、現在まだできないわけでございますけれども、日米安保条約あるいはそのほかにも日米関係でいえば通商航海条約もございますね、そういうような条約、そしてまた、これはもっと当然のことですが、一切の、憲法、日本の本土の法令が何らの変更なく適用されるということが、この返還協定の中で明確になれば、それが必要にして十分なことであると、かように考えておるわけでございます。
○岩間正男君 くどいようですが、それでは第七項「日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではない」という文言はどうなりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 日米安保条約が完全に適用されるということなのでございますから、それで私は必要にして十分であろうと考えます。文言については先ほど来繰り返して申し上げておるとおりでございます。
○岩間正男君 さらに、第八項の「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく」というこの文言は入るのですか入らないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 文言については何とも申し上げられませんが、日米安保条約の、条約とその関連取りきめが、何ら変更なしに沖縄に適用されるということが一番私は大切な眼目であると思いますから、それがびしっと協定の上で明らかになるということが必要なことであって、またそれで十分なことではないかと思います。
○岩間正男君 私は具体的に聞いているわけですから、入れるとか入れないとか、はっきり言われなければならないのだが、これは非常にあいまいな答弁です。これはどういうことを意味するかというと、これら日米共同声明の核心ともいわれる文言が返還協定に書き込まれないという保障はない、こういうふうにいまの応答から考えるわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) それは返還自体が、先ほど来言っておりますように、共同声明の第六項、第七項、第八項がその趣旨であり、中核であり、精神であるわけですね。ですから、そのことがこの条約文として明白になるようにするということが大事なことであり、同時に日米安保条約関連取りきめが何らの変更なしに適用されるということになれば、これで私はその眼目あるいは柱というものが十分そこに根つけがされるものである、こういう考え方で協定文の作成を両国当局者間でいま鋭意相談中である、かような次第でございますから、文言をこうこう書くとか、あるいはそこは書かないで済まそうとかいうことをいまお約束する段階ではございません。これはまだ調印の時期もきまっておらない現在の段階で、十分りっぱなものをつくりたいと思っておるわけでございますから、御意見は十分拝聴いたしたいと思いますけれども、政府としての原案というものをまだお示しすることはできない状況にありますことも御了承願いたいと思います。
○岩間正男君 新聞情報では、国会審議を刺激してはまずいからこのようなことばは入れない、共同声明のことばは入れないのだといっておりますが、どうなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、まあ新聞の方にしかられることを考えなければなりませんけれども、ただいま記事にいろいろ伝えられておりますことには、私どもとしては実は責任が持てないわけでございまして、有能な記者諸君がそれぞれ勉強されてこうもあろうかということをつづられておるのかと想像いたしておるわけでございます。
○岩間正男君 四月ですか、五月ですか、調印は。
○国務大臣(愛知揆一君) おそくも夏までにはと考えております。
○岩間正男君 あと二、三ヵ月しかないのですね、それでいいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) この二、三ヵ月がほんとうに大事なところでございまして、私どもとしては、ますますねじりはち巻きで取り組んでいかなければならないと思っております。
○岩間正男君 原案もできていないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、いずれわれわれの苦心の存するところもお聞き取り願いたいと思いますけれども、全体が、返還の問題は非常に多岐にわたっておりますし、また、日米両国間の折衝の問題でございますから、いわばワン・パッケージでございますね。それを全部中身を取りまとめ、かつ協定のできますときには、それに関連するところの国内立法の問題もたくさんございますし、あるいは行政的な取りきめというものも考えなければならないと思います。――これは行政協定という意味ではございませんよ。国内的な行政上の措置についてのいろいろの事前の打ち合わせというものも、関係各省庁の間でやらなければならない、そういう意味の行政的なアレンジメントと申しましょうか、これをAからZまで全部真剣に検討いたしまして、協定を中心にした一切の返還後の状態というものをごらんになっていただかなければ沖縄の、ことに県民の方々は御安心ができないわけでございますから、これらにつきましては、もうしばらく時間をかしていただきたいと存じます。
○岩間正男君 次に、基地提供の問題についてお聞きしたいと思います。 外務大臣は、衆議院予算委員会のわが党の松本議員に対して、日本政府が施設区域を提供する場合、これが民有地であれば地主の承諾もしくは納得がなければできないのが通常の考え方であると言い、基地提供にあたっては地主の意向を大いに尊重する旨を答弁されましたが、これは沖縄県民の立場に立つ限り当然のことと思いますが、そのとおり受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府といたしましては、松本議員にお答えをしたとおりの方針で、全力をあげて善処いたしたいと思っております。同時に、提供すべき基地は、安保条約の目的に即してこれを整理をいたしたいと思いますし、また、沖縄県民の民生の安定あるいは経済建設等に役立つものというようなものは、現に米軍が使っておりますところも、これは提供をせざる分に入れたいと思って、鋭意この面につきましても折衝を続けておるわけでございます。そういう態勢でございますから、関係の地主の方々あるいは御関係の方々にも、そういう政府の気持ちも十分御理解をいただいて、御協力を願いたい、かように存じております。
○岩間正男君 確認しておきたいと思います。 次に、外相は日米両政府の合意が成立しない場合、日本政府が合意しないものを米軍基地として提供することは考えられないと答えられていますが、そうすると、返還までに日米間で合意が成立しない基地は、一体どうするんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは日米間で、ただいま申しましたように、鋭意折衝を煮詰めて、合意しないものは提供できないわけでございますから、先方の希望、こちらの希望、それを双方で煮詰め合って、合意ができた姿で提供をいたしたい。これもなかなか骨の折れる仕事であるということを率直に申し上げますけれども、先ほど申し上げましたような基本的な姿勢と考え方で、これから大いに努力を続けてまいりたいと思っております。
○岩間正男君 提供しないということは、直ちに撤収するということですか。それとも合意するまでは継続使用を許すということですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは考え方の筋といたしましては、合意できたものが、そして関係の方々の了解のもとにスムーズに事が運ぶということが一番望ましいわけで、その望ましい姿をつくり上げるために現在、大努力中でございますから、そういうことができなかった場合というようなことを、今日この段階で仮定して申し上げることは、私としては差し控えたいと思います。
○委員長(古池信三君) 岩間君に申し上げます。あなたの質疑の持ち時間は、終了いたしました。
○岩間正男君 委員長、もう一問だけ、まとめてやりますから許してください。
○委員長(古池信三君) それではもう一問だけ許します。
○岩間正男君 最近、新聞報道によると、政府は避けがたい遅延のためこの協定の発効の日まで、地位協定上の手続をとることができない施設区域は、手続完了の日まで引き続き使用させる、こういう方針を決定したと言っています。これがまず一点ですね。 それから外相は衆議院で、日本政府が合意しないものを、返還後に占領の継続だといって提供させられることが一体考えられるでしょうか――こういうふうに答弁をされているのですから、そういうことになりますと、私は当然、これは継続使用を認めないという方向を明らかにする必要があるのじゃないか。そういうことを私が特にお聞きしておりますのは、実は岡崎・ラスク交換公文のことを思い起こすからです。あのサンフランシスコ条約締結のときに、これは問題になったわけですけれども、合意に達しない基地は、あの条約が発効してから九十日まで合意に達しない場合には、それをそのまま米軍に継続使用させるときめた。ところが、それで五十数ヵ所の日本の重要な基地が、米軍の継続使用のままに日本政府の意向に反して行なわれた。それが相当長期間あったのです。これを沖縄で許すことは私はできない。つまり、岡崎・ラスク交換公文のあのような苦い経験というものを、沖縄でここで繰り返すことは、私は絶対できないというふうに思うのです。これをどういうふうに考えられるのか。結局、この点が非常に重大でありまして、米軍が必要だと認めた基地は、もう合意のあるなしにかかわらず継続使用を許すかどうか、こういうことが、実はこの岡崎・ラスク交換公文と同じ趣旨のものがつくられるかどうか、ということにかかっているわけです。アメリカに基地を提供する場合を考えると、一つは米軍専用の基地を認めること、第二は、これに対して継続使用を合意に達しないものを認める、第三は、自衛隊に返還して共同使用をする、地位協定の二条四項(b)で継続使用する、しかも、実質的には米軍に使わせる、この三つだと思うのです。そういう中で、これは安全を確保する、安全をそこなわない、沖縄のかなめ石としての機能をそこなわないということを実際は果たされる、それが結論だと思うのです。私はそういう点から、この基地の問題というのは、非常に重大な意味を持っておると思うのです。 最後に、佐藤総理に一問だけお聞きします。これは特にあなた答えてください。 政府以外は口出しするなという意味でこの前、佐藤首相は衆議院本会議でわが党の不破議員に対して、外交権は政府の専権の問題だ、こういう答弁をされました。沖縄返還協定前に、その内容と問題点について国会に報告する当然の、これは民主的政府であったならば、果たさなければならない義務を拒否しました。佐藤総理のこの態度は、沖縄百万県民をはじめとする国民の意思を無視するものであり、議会制民主主義の精神に反するものだと思います。そして、こういう政府の姿勢こそが、このたびの小林法相の辞任問題を引き起こしたのではないかと思うんです。このような態度を改めて沖縄返還交渉の内容を国民にはかり、国民の意見を聞いて、私は民主的に決定すべきだと思いますが、最後に総理の御意見を伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私へのお尋ねは、先ほどの私の答弁でよく御理解をいただいたことと思います。したがいまして、岡崎・ラスク協定ということもお話に出ましたけれども、私はすでにあの協定は効力を失っておる、まあ過去のものでございますけれども、ああいう形のものはつくらないようにすることが本筋であると、その線にできるだけの努力を傾けたい、かように存じております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国会にはもちろん批准国会がございますから、そういう際に批准をお願いすることは、これは当然でございます。ただ中間の経過を一々報告するということはそれはできないと、こういうことを言ったものでございます。しかし皆さん方から政府に対して進言なさること、それが国会の場であろうが、委員会の場であろうが、本会議の場であろうが、それは御自由でございます。政府もまたそういうことを聞くだけの義務がある、それだけは申し上げておきます。ただ、政府からその中間報告を求められましてもそれは困ると、そういうことでございますから誤解のないようにお願いしたい。どうぞよろしく御鞭撻のほどお願い申し上げます。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして岩間君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(古池信三君) 次に、山田勇君の質疑を行ないます。山田勇君。
○山田勇君 時間もございませんので、問題をしぼってお尋ねいたします。 まず最初に自治大臣にお尋ねいたしますが、近年火災による焼死者が激増し、昨年は千五百九十四人と、これまでの最高を記録しております。本年も正月早々の和歌山の旅館の焼失による十五人をはじめ、北海道美唄市の美容院で十人、宮城県岩沼町の精神病院で六人、また千葉県の精薄児収容施設の火災で五人、そのほか連日のように火災焼死者が新聞紙上に報じられております。この九日には戦後二番目の速いペースで三百人の焼死者を出してしまいました。個々の原因、状況などにつきましてはいろいろと問題点があろうと思いますが、いずれにしても非惨な状態には変わりはないと思います。ところで、火災による死者のうち窒息や一酸化炭素ガス中毒など、煙による死者の割合が年々ふえる傾向にあります。この原因、対策をどのように考えておられますか。
○国務大臣(秋田大助君) 火災が多いことがやはり死亡数を多くしている一つの原因でもございますが、ただいまもお話しのとおり新建材等による一酸化炭素その他有毒ガスが急速に発生をするということも、火災における死亡者の数を多くしておる一つの原因である。またいろいろこのごろは家具がたくさんお部屋にございまして、一たび火事になりますと、新建材のそれとともに相まちまして煙に巻かれる、という点もあろうかと存じます。この点につきましては、新建材につきましては、建設省いろいろお考えを願いまして、大きな建築物につきましては、こういうものの使用制限というような規定をもって対処されております。しかし、小さな普通の家庭の建造物につきましては、この点、手抜かりがあると私は存じております。しかし、これを禁止するということは、なかなかむずかしい点でございますが、消防研究所等でいろいろカーテンその他建材等にまた被膜を用いることによりまして、有毒ガスの発生を多少なりとも防止をするという等々の研究もいたしておりますので、こういう点、科学的にひとつ新しい技術を急速に開発をいたしまして、有効な手を打つ道がありはしないかということを考えております。その他、消防に関するいろいろの施設の充実、予防査察の強化、もちろん従来行なっておるところでありますが、今後その点を十分やってまいりたいと考えております。
○山田勇君 昭和四十五年版の消防白書でも指摘されておりますが、市町村の消防力が施設、人員の面でも基準を下回っていることは、消防体制上問題があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(秋田大助君) 消防基準という規定がございまして、それは昭和三十六年の規定でございまして、それによってやっておるのでございますが、消防設備、施設等は六〇%という、充実率六〇%という数字、人員のほうは八〇%という数字がございます。この数字の示すところ、基準の率にまだ遠いということが言えます。ただ、設備のほうは古い設備のもので、最近の設備は相当近代化されておりますので、実質的にはこの六〇%より上にいっているということが言えると思いますが、しかしながら人員、機材の点につきまして、十分今後意を用いまして地方交付税の措置、それから地方債の措置、また国によるいろいろ消防ポンプ等のその他機材の補助制度の強化という点を、今後ますます期していかなければならぬと考えております。
○山田勇君 市町村の財政状態からいって多くを望むことができない場合、国や都道府県が必要な財政援助を大幅にふやす道しかないと私は思いますが、人命にもかかわることですので、速急な措置が必要と考えられます。具体的な方策をお聞かせ願いたいのですが、何か事故があってから後手後手と回るように思うのですが、そういう点を含んで御答弁いただければ幸いでございます。
○国務大臣(秋田大助君) 数字的に申しますと、基準財政需要額では、四十五年千五百五十九億円というものを基準にいたしまして交付税の配分を考慮いたしております。なお、地方債につきましては、消防関係で同じく四十五年七十億円を措置いたしております。国の補助金につきましては、年々これが増額につとめておりまして、本年度四十六年度は二十億円であった昨年度のものを四億円上回らしておるわけでございまして、逐年かくのごとく強化をいたしております。なお、地方におきましては、都道府県から市町村に補助金及び貸付金を出しておるのでありまして、都道府県から市町村への補助金は昨年度七億円、貸付金は五億円という措置をいたしておるのでありまして、金融及びこれら補助金の措置は相当のものと心得ておりますが、なお足らないものがありますので、先ほどからも申し上げておりますとおり、これらの措置を強化いたしてまいりたいと考えております。
○山田勇君 なおもう一つ火災についてですが、それは地下街の防災についてであります。全国七十ヵ所ある地下街の防災設備は、非常に不完全で危険度が高いということですが、特に東京では十七ヵ所のうち六ヵ所は自動火災感知器、スプリンクラー、それから排煙施設のどれ一つも備えていないという危険な状態でございます。まあ先日のロスアンゼルスの地震などを考え合わせますと、りつ然とするものがあります。私も、一昨年とことしの初めと二回ロスアンゼルスに行きましたので多少ロスの町のことは知っておりますが、町の区画は整然として道路も広くとられております。それでもあれだけの大きな被害が出ておるわけです。地下街で火事が起こり、停電の中で群衆が右往左往する図はまさに地獄図であります。建築基準法の改正で、この一月一日から排煙施設の設置が義務づけられておりますが、まあ既存の施設は適用除外ということになっております。これでは、みすみす大被害を手をこまねいて見ているといった状態でございます。まあころばぬ先のつえといいますか、安全対策に対する投資について低利な融資といったことを考えているのかどうか、実際面での改善策を積極的に指導しているのかどうか。これは建設大臣の所管になるかもわかりませんが、重ねてお尋ねいたします。
○政府委員(降矢敬義君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘がございました地下街の問題は、火災になりました場合に煙と暗黒との戦いということになります。消防施設のほうにおきましては、消防機関に排煙車その他の機材を大都市を中心に準備しておりますが、施設そのものの消火体制につきましても、――いま排煙設備については御指摘のような四十六年の一月一日以降のものについて適用されるわけでございますけれども、消防の側といたしましては予防、査察等を相当やりまして、行政指導をいたしまして、スプリンクラー、その他火災の起きたときの消防施設の充実につとめるということで実際指導しているところでございますが、今後とも、そういう体制で予防、査察とあわせて現実の具体的な施策を積極的に進めていくということになっております。
○山田勇君 次に、厚生大臣と国家公安委員長にお伺いいたしますが、最近のモーテルの実態と社会環境の中での影響についてでありますが、モーテルは本来アメリカの現状を見ましても、まあ自動車の普及に伴いますますふえる傾向にありますが、まあ日本の場合は自動車旅行者が気軽に宿泊できるといった施設の目的からはずされている面がありまして、地域の婦人団体などの実地調査などからも指摘されておりますように、実際にまあ私なんかは外からしか見たことがないので内部のことは詳しくはわかりませんが、外面は非常にけばけばしく一般の旅行者が非常に近づけるようなものではありません。内部はどのようになっておるのですか、わかりましたら一度教えてください。
○国務大臣(内田常雄君) いまのモーテルでございますが、旅館の一種だということで、旅館業法の適用を受けるたてまえから私どものほうの所管になっておるわけでございます。しかし、どこまでがいわゆる旅館、ホテルで、どこから先がモーテルか――あるいはカーテルなどということばもあるようでございますが、この辺がまことに判然としないところでございます。中がどうなっているかということにつきましては、私も山田さんと同じで全く行ったこともございませんし、また車の運転ができませんので参れもしないのでございますが、しかし、総理府などの世論調査が最近発表されたものがございますが、あまり世の中からは風教上歓迎されていないように考えられておりますので、私どももそれに対処しなければならないものだと思います。
○山田勇君 まあこのモーテルなんというのは、青少年教育に悪い影響を与えるとして取り締まりをきびしくしてほしいという声を相当聞くわけですが、ここに内閣総理大臣官房広報室から、ことしの一月に出ている社会環境の浄化に関する世論調査のモーテルについてという本がありますが、それによりましてもモーテルをセックスの目的で行くところと認識している者が大半を占めております。また子供を健全に育てる上でモーテルが近くにあることは非常に有害だと考えている者も七〇%を占めております。 前の国会で旅館業法が改正されましたが、実績面から一向に改善されず、むしろ不健全さが目立つ現状で、今後の問題といたしまして旅館業法から風俗営業等取締法へ移管したほうが改正の実績があがると思うのですが、それとも今後、自動車の旅行者が気軽に泊まれる施設として指導していく方針であるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) モーテルはその利用の実態から見ますと、お説のとおり風紀上問題のある営業であります。また世論調査の結果も御指摘のとおりでありまして、一部地方議会の要望を見ますと、風俗的見地からの規制を望んでいる事情もありますので、今後の事態の推移をながめながら必要によっては風俗営業等取締法の改正の検討とあわせて検討したいと存じております。
○山田勇君 次は、通産大臣にお尋ねいたします。 昨年来、電力事情はピンチを訴えていますが、ことしの夏の需給関係の見通しはどのようになっておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 八月がピークになると思いますが、九電力全体での供給予備率は一・一%程度、北海道を除きますと〇・七%くらいという非常に窮屈な需給になっております。
○山田勇君 東電の千葉発電所はどういうエネルギー源を使って火力発電をやっておりますか。
○政府委員(長橋尚君) 東電の千葉発電所のエネルギー源といたしましては、石炭と重油の混焼をいたしている現状でございます。
○山田勇君 私の調べのほうでは、東電の千葉発電所は天然ガスを使用しているんですが、そうではありませんか。
○政府委員(長橋尚君) 御指摘の東京電力株式会社でLNG――液化天然ガスを使用しております発電所は、現在のところでは南横浜火力発電所でございます。いずれ同社におきましては、千葉の袖ケ浦にも数年後にLNG発電所を設置すべく諸般の準備を進めている状況でございます。
○山田勇君 この天然ガスをたいて火力発電をやりますと、どのような公害というものが出てまいりますか。
○政府委員(長橋尚君) お答え申し上げます。 LNGをたきます場合、大気汚染の非常に大きな原因に現在なっております亜硫酸ガスに関しましてはほとんど無害であると、かように考えております。
○山田勇君 天然ガスを使いますと千三百度から千四百度と、まあかなり高熱でありますが、そこに窒素酸化物が含まれるものが排出されませんか。
○政府委員(長橋尚君) 窒素酸化物が排出されますことは事実でございます。
○山田勇君 亜硫酸ガスは一応のどの粘膜程度で終わるんですが、この窒素酸化物というものが出れば肺の奥まで入りまして、相当人体に対する影響は強いと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(長橋尚君) お答え申し上げます。 御指摘のような問題につきましては、厚生省の所管の問題でございます。窒素化合物に関します環境基準並びに排出基準につきましては、目下いろいろ科学的なデータ、その他に基づきまして、政府部内におきまして検討をいたしております段階でございます。
○山田勇君 まあ時間もございませんから、次に移ります。 この窒素酸化物というものはあまり問題にされておりませんが、これが出ますと、たいへん大きな問題になることは間違いございません。その研究のほうもずいぶんとおくれているように思いますが、これはほかのまた何か機会のあるときにお尋ねをしたいと思います。 どちらにしても、日本の電力供給というものは火力発電にたよるウエートが大きいわけです。私も先般関西電力のほうでずっと視察してまいりましたが、企業努力ということは私は確かに認めます。石炭の関連産業等におきまして全部が重油、ミナス原油、そういうものに切りかえるわけにはいきませんが、企業努力も買います。しかし電力、火力発電がいけば必ず地域住民の反対があるということは、おそらく何かの形で企業側の努力がまだまだ足りないのだろうと思います。それを住民の身がってときめつけるわけにはまいりません。年間何億というCM料を使うけれども、電力危機を訴えたようなPR、CMというものはもう年に一回か二回でございます。ほかは、バラ色の電力事情をただCMするだけでございます。そういう点、電力業界のほうも十分考えていただきたい。 そのほかもろもろ、電力業界は十年間に火力発電で二千九百二十九億円、その他を含めて三千五百八十八億円の公害対策を計画していると聞きますが、これは間違いないことだろうと思います。それに対して脱硫の技術開発に十億、公害防止設備に二十六億、これはあまりにも額が小さいのです。これは一々お聞きしたいのですが、時間を少し食い込みましたので先に進みます。どちらにしても、これはイデオロギーで解決する問題じゃなく、地域住民にも納得のいくような説明があれば地域住民は納得いたします。これは何も企業側の肩を持って言うわけじゃないのです。企業は企業側の企業努力をしております。それはそれで認めます。しかし、地域住民がもっともっと納得いくような形でやれば私はいいと思います。 それでは総理にお尋ねいたします。 私はかねがね政治とは弱い者のためにこそあるべきだと考えております。身寄りのない老人、寝たきり老人、身障者、公害におかされた人、交通遺児、母子家庭、スモン患者、その他底辺に苦しむ人たちは意外に多いはずでございます。いまの政治は強い者の味方で弱い者には冷たい。俗に言う強きを助け弱きをくじくといった姿勢でございます。いつも引き合いに出される防衛予算との対比でもわかりますように、現在毎日苦しんでいる人々は国からの援助はもう全くスズメの涙であります。こういった弱い立場の人々は国に訴える力も弱いものです。政治が十分な配慮をしてこそ生活に希望も持てると思いますが、総理の考えをお聞かせください。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいつも政治、これは人間尊重、そういうことでなきゃいかぬと、こういう表現もしておりますし、また、この前の施政演説では「福祉なくして成長なし」と、かような表現も使っております。したがいまして、ただいま御指摘になりました弱き者に政府のあたたかい手を延ばすこと、これは人間尊重という観点から当然しなければならないと思います。また大企業の味方であると、かようにきめつけられるが、やはり「福祉なくして成長なし」と、福祉がなければ、これは幾ら経済成長と申しましても平仄が合わないと、かように私は思っておるのでありまして、それらの点で、なお考えていかなきゃならない点が非常に多いと思います。絶えずそういう意味で、反省しながら、またくふうをこらしながら前進これあるのみと、こういうことで、ただいま政治と取り組んでおるような次第でございます。
○山田勇君 私も、議員生活も政治活動もほんのかけ出しで、何もわからないと言われるかもしれませんが、この三年間で最も強く感じたことは、いまの政治がほんとうに国民全体の意見を反映しているかということでございます。確かに総理が総裁をしておられます自民党は、衆議院では四百九十一議席のうちの三百三議席を占め、一見国民の大半の意思を代表しているようですが、四十五年の国勢調査でも、議員一人当たりの人口は東京七区では五十万人に対し、兵庫五区では十一万人と、そのアンバランスの幅は、そのほかの地域でもますます拡大していることは見のがせない事実であります。参院地方区の定数是正でも、ここにいまさら述べるまでもなく長年叫ばれておりますが、しかるに、またも今国会でも見送りになるようでございます。また、政治資金についても、いろいろと政治資金インフレと言われるように、半年ごとに発表される内容はふくれ上がる一方、そのほとんどが保守党に流れている。これも団体の寄付をやめて個人の寄付に限定しなければ不公平という声は御承知のはずでございます。まして公害関係の自動車、石油業界、それに不況にあえぐ家電業界からの多額の献金を見るとき、国民は政治に何を感じるでしょうか。政治家はなぜそんなに金が要るのか。西郷前法相の手形乱発にしても、私にはほんとうにはさっぱりわかりません。とにかく金はふんだんに持ち、選挙区は不公平なままの選挙結果では、いまの政治に対する国民の不満が深まるのは無理ないと思います。 最後にもう一つ。今回の小林前法相の国会を無視した発言ですが、その内容は私もかねがね気になっていたことなんです。地方政治と中央権力の密着についてであります。知事とか市長は地域住民が選挙できめるものであります。中央政府の気に入らない人物が出てもこれを差別するようでは憲法の自治の本旨にもとるわけでございます。中央集権化は戦前の日本の誤った道へ逆戻りするのではないでしょうか。私は国会議員が地方選挙の応援の際、中央直結の政治なんということばは使ってはならない。民主主義を冒涜するものだと思っております。国民のだれもが愛することのできる日本の国をつくるために総理の一大決意をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 山田君にお答えいたします。 たいへん時間が短いのではしょられて質問されたと思います。最後の小林君だけの話に入るわけでもないが、全体の政治姿勢についていろいろ御批判をいただいたと思います。私どもは、一口に言えば、何といっても政治は国民のものなんだと、国民とともに政治をすると、こういうことでない限り十分の効果をあげないと思います。したがいまして、われわれの一言一動、これは国民の眼の前にさらされているのだと、いつも監視されているのだと、その態度で取り組まない限り成功はしないと、支持は得られないと、かように私は思っております。そういう意味で、一言一動とにかく気をつけていかなければならないと、かように思っております。 ただ先ほど政治資金のお話にお触れになりました。政治に資金が必要なもの、これは政党など政治活動する限りにおいて、その範囲の政治資金、これは必要なことだと、かように思います。したがって、私は政治は金だと、かようには申しませんけれども、必要なる政治資金はこれはやはり調達はしなければならないと、かように思います。また国民のものだと、かように考えるがゆえに、国民からの清い金、これは私どもが政治家である限りにおいてそれを受けることも差しつかえないのじゃないかと思います。しかし、この政治資金規正法についていろいろ考えてみますると、だんだん金のかかるような実態に現実がなりつつあります。したがいまして、何とかこれをひとつ規制しろという強い要望の出ておること、これは私どももよく承知いたしております。なかなか私ども過去におきまして政治資金規正法、それと取り組みましたが、苦い経験、結局成立はしなかった、それはだれの責任だと、かように私は申すわけではございません。事実をそのまま申し上げて、これが成立ができなかった、まことに残念でございます。また同時に、いまお触れになりましたように、定数是正と申しますか、人口の割合に議員の割り当てがぴったりしておらない、こういう点もございます。昨年国勢調査が行なわれたばかりでございます。正確な人口動態、これは必ずつかめると、かように私は思いますので、この定数是正の問題は最近の正確なる数字、それを根拠にしてやるべきことだと思います。また、そういう際にどういうような結果が出ますか、これはまあ選挙制度審議会等でいろいろ検討されることですが、そういう際に、衆議院においても、参議院においても、やはり定数の是正は行なわれるだろう、同時にまた、政治資金そのものも、おそらく勧告を受けることになるのではないかと、かようにも私は考えておりますし、そういうような点もございますから、そういうようなことと一緒に合わして取り組む、これが必要なことではないだろうかと思います。 私どもは政党として、あるいは衆議院で三百名取ったと、かように申しましても、これはよく皆さん方から指摘されるように、人口動態からいえば必ずしも五〇%をこしていないじゃないか、こういうことがいわれます。まあ、それほどただいまの議席は人口の実態に合っていないという、そういうものがございますから、これが新しく是正されるときには、必ず訂正されると、かように思いますし、そうして国民とともに政治がされると、こういう状態にならなければならないと思います。まあことしは選挙の年だといわれますけれども、この選挙を通じて国民の批判が必ず行なわれるわけであります。その意味におきましても、ことしばかりが大事な年ではございません。政治と取り組んでおる政治家は絶えず国民の批判を受けるんだと、その批判台に立つんだと、さような気持ちで絶えず政治と取り組まないと、国民の厳粛なる批判が下るものだと、かように私は思います。したがいまして、いま幾つかの例を述べられましたが、その基本的な問題になる定数是正並びに政治資金規正の問題、これが基本的な問題でございますだけに、選挙制度審議会におきましても、十分の成果があがるような勧告がされることだと思います。私はその勧告を、答申を待ちまして、そして必ず成立すると、各党の協力が得られると、こういうことが考えられましたならば、やはり元気を出してこれらの問題と取り組むべきだと、かように思っております。大事なことは、政治家は絶えず国民とともに政治をするのだ、皆さん方にまことに相すみませんが、議会だけで、政府だけで政治をするのではないと、それだけははっきり私どもも認識しておるということを申し上げます。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして山田君の質疑は終了しました。 質疑通告者の発言は全部終了いたしました。補正予算三案の質疑は終局したものと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(古池信三君) それでは、これより三案の討論に入ります。通告がございますので順次発言を許します。発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。竹田四郎君。
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表し、昭和四十五年度補正予算三案について、反対の討論をするものであります。 一つ、本予算案を見ますと、政府は国民の切なる願いにこたえていないということであります。国民は公害の絶滅、物価の安定を喫緊の対策として望んでおります。佐藤総理も、公害と物価の年だというふうに指摘をされております。昨年は、不十分ではありましたけれども、一刻も早く公害対策を進めるということで、公害関係十四法をつくることに私どもも協力をしてまいりました。しかしながら、いまこの瞬間においても悩み苦しんでいるところの公害による疾病患者がたくさんおります。この治療、救済、あるいは公害監視の強化など、緊急に行なうべきことがたくさんあります。ただいまも首相が、人間尊重ということを言っておられますけれども、真に人間尊重を考えるならば、企業に対する施策よりも人間に対する施策を優先すべきであろうと考えるのであります。かかる点から考えますと、補正予算の上にそうした政府の決意が見られないということがきわめて残念であります。 第二点は、総合予算主義と公務員給与の改善についてであります。政府は、四十五年度当初予算の中で総合予算主義を堅持すると述べております。今回の公務員給与に関連いたしまして大幅に追加したことは、総合予算主義は全くくずれ去ってしまったことを意味しております。当初予算において税収を過小に見積もり、給与改善経費を五%しか見込んでいないことなど、政府の財政政策に大きな誤りがあります。大蔵大臣自身も過日のこの席上で、人事院の勧告は一〇%ぐらいになるであろうということを予想していたと答えているではありませんか。また、景気対策においても政府の見通しには大きな誤りがありました。こうしたことについての反省もなしに、ただ補正予算でしりぬぐいすればいいという財政運営については、私どもは賛成するわけにはまいらないのであります。当初において予想された経費は適正に計上すべきであります。 第三点でありますが、食管会計の繰り入れについてであります。これについても、農政の失敗を補正でカバーしようとする態度が見られるのであります。それだけではないのであります。その失敗をさか手にとって、消費者米価の物統令の適用廃止、あるいは食管制度の解体によって生産者、消費者の犠牲に転嫁しようとすることは全く許されないことであります。 第四点は、地方交付税の取り扱いについてであります。地方交付税は地方団体の固有の財源であると思います。国の都合で地方との間にかってな貸し借りをしたりすることは、地方財政の計画的運営をそこなうだけでなく、地方自治に対する国の統制干渉を強めることになり、かかる措置は即刻やめるべきであろうと考えます。 以上、きわめて簡単でありますが、主要の点を申し述べて、反対討論といたします。(拍手)
○委員長(古池信三君) 次は塩出啓典君。
○塩出啓典君 私は、公明党を代表し、昭和四十五年度補正予算三案に対し、反対の討論をいたします。 まず、本補正予算は、提出時期において著しく国会の予算審議権を制約するという重大な誤りをおかしているのであります。何となれば、今回の補正規模二千六百億円のうち約三分の一をこえる一千億円はすでに支出が決定された公務員給与費の改定に充てられるものであります。十二月の臨時国会で公務員給与法の審議の際、われわれ野党は、年度途中での歳出の追加を伴う法律案の審議には当然その財源措置を明らかにした補正予算の提出を強く主張し、それがまた政府の義務であり、財政法の精神であったはずであります。しかるに政府は、言を左右にし、補正予算を提出せず、その結果、給与財源は当初予算を先食いし、残り少なくなった今日において補正予算を提出したのであります。このため、国会は、一千億円をこえる公務員給与費については、事実上これを承認するほかはなく、予算、法律の一体化の原則はくずれるとともに、国会の予算審議権に対し政府は重大な侵害を行なったと断ぜざるを得ないのであります。 次に、私は、今回の補正予算が、政府が現在とらんとする財政政策から見ても矛盾していることを指摘したいのであります。 政府は本補正で、税の自然増収三千百億円を見込んで、例年のごとく五百億円の公債を減額し、経済の抑制をはかろうとしているのであります。しかるに、四十五年度の財政投融資計画は逆に三回にわたって改定、拡大し、二千億円をこえる投融資の追加が行なわれております。この措置により、景気を上昇させるよう働かせていることは、さきの国債削減と全く矛盾するものと言わざるを得ません。むしろこの際、政府与党の経済政策としては、自然増収を引き当てとした国債減額を中止し、政府自身が経済見通しの改定で認めたごとく、七・三%に上昇する消費者物価によって生活の低下を余儀なくされた国民各層に対し、減税などの生活安定対策を行なうとともに、生活保護費の改善等の施策がなされるべきであって、これこそ人間尊重を唱える佐藤内閣のとるべき道ではなかったかと思うのであります。これら生活福祉の対策もとらず、また、国会の予算審議権を侵害する、ただ単なる収支の均衡のみに拘泥した本補正予算に反対せざるを得ません。 以上をもって、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(古池信三君) 次に萩原幽香子君。
○萩原幽香子君 私は、民社党を代表して、昭和四十五年度補正予算三案に対し、三点の理由から反対の意見を申し上げたいと存じます。 まず第一点は、米の買い入れ高に対する把握が不十分であったことを指摘いたします。この歳出補正に七百三十億の食管会計への繰り入れが計上されております。私は、米の買い入れ追加そのものを云々しようとは思いませんが、当初予算よりも五十万トンもの大幅な追加をしなければならないということ、つまり、初めの買い入れ高の押え方があまりにも大ざっぱ過ぎたという点に問題があると思うわけでございます。それを、あたかも当然のごとく平然と行なわれる態度に許しがたいものを感じます。 次いで第二点は、当初予算編成にあたって国民待望の減税が少な過ぎたのではないかと思われる点でございます。歳入補正を見ますと、租税及び印紙収入として三千十一億円が計上されております。この金額は、昭和四十五年度の所得税減税規模を五百五十億円も上回り、また、この増収のうちには、八百億円もの所得税の増加が含まれているのでございます。私は、これらの増収を見て感じますことは、当初予算編成の際、働く人々に対しての減税をはじめ、現在の物価高を乗り切るために働く妻の所得についての免税、あるいは若年労働者に対しての減税等、薄きに過ぎたのではないかということでございます。この増収は、当然、当初予算を組まれます際に、教育、福祉、物価、公害などの重要政策財源、また、さきに申し上げましたような減税財源に充当すべきはずの金額だと存じます。この点、まことに不満と申し上げざるを得ません。 最後の第三点は、補正を前提として組まれる予算編成に対する安易な態度でございます。小林前法相は、野党の人々がこたつに当たったり昼寝をしている間に、懸命に予算編成に取り組むと言われたようでございますが、最高の頭脳を集めて国民のために一生懸命、きめこまかに考えられたといたしますならば、あまりにも見込み違いが多過ぎるのではございませんでしょうか。私は、もとより、補正予算の機能を否定するものではございません。しかし、失政の隠れみのに補正予算が使われることは納得いたしかねる次第でございます。 以上申し述べました三点の理由から、ただいま提案されております補正予算案に対し、反対の意を表して、討論を終わります。(拍手)
○委員長(古池信三君) 次は岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十五年度補正予算案について反対いたします。 この補正予算案は、公務員給与、生活保護、国民健康保険等の経費の追加、食管特別会計への繰り入れ、地方交付税交付金の追加支出など、現行制度のもとで当然補正されるべきものを含んでいます。しかしこの中には、当初予算の性格とその成立後の実績に照らしても、根本的に改めなければならない重要問題があります。 その第一は、食管特別会計への繰り入れであります。いわゆる過剰米問題、他方では野菜類の高騰などの事態を見れば、いま緊急に必要なことは、米の食管制度を守るとともに、米以外の農作物への転換を容易にするため、転換作物に安定した価格保障制度をつくり、また、外国農産物の輸入制限など、日本農業の自主的、民主的発展を目ざす総合的農業政策に転換することであります。しかるに、政府は依然としてこれまでの反人民的農業政策を固執して、その立場からこの補正予算を組んでいるのであります。 第二は、地方交付税交付金の問題であります。今日、地方自治の原則を名実ともに確立するためにも、また、重い住民税、超過負担、税外負担などを解消するためにも、地方交付税制度を抜本的に改正し、交付税を大幅に引き上げ、実情に即した基準財政需要額の算定などを実施すべきであり、これは全国地方自治体から強く要求されています。本補正予算案で、この問題解決のための取り組みが行なわれてしかるべきでありますが、政府はこの地方自治体の切実な要求を無視しているのであります。 第三は、国民健康保険助成費に関連する問題であります。国民健康保険の療養給付費財政調整交付金等に四十四、四十五両年度を合わせて六十五億円が追加されるのは当然でありますが、政府管掌健保の赤字対策が全く行なわれておりません。この赤字は四十五年度で五百億円に達するのに、これに対する繰り入れは当初予算でわずか二百二十億円、本補正予算案では全く無視されております。これは四十六年度に健康保険法の改悪を行ない、もっぱら被保険者に負担を押しつけようと政府が考えていることを示しています。 以上の理由により、本補正予算案に反対するものであります。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、補正予算三案の討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、 以上三案を問題に供します。三案に賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○委員長(古池信三君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十一分散会