予算委員会 第3号
- 発言数
- 434 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/02/10
会議録
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、 以上三案を一括して議題といたします。 まず、理事会において三案の取り扱いにつきまして協議を行ないましたので、その要旨について御報告いたします。 審査は、本日及び十二日の二日間、その質疑の総時間は二百八十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ百分、公明党四十分、民社党二十分、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ十分、質疑の順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、民社党、日本共産党、第二院クラブの順といたしました。 以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 それでは、これより質疑に入ります。小柳勇君。
○小柳勇君 私は、補正予算案を論議する中心を、補正予算に関係するものを若干やりまして、あとは、老人問題を中心に、社会保障政策の前進のために質問したいと思います。 質問に入ります前に、昨日起こりました小林法務大臣の辞任の問題について、自民党総裁である総理に質問いたします。 昨晩のテレビ、きょうの新聞を見まして、小林法務大臣は、引責辞職したにかかわりませず、その責任感が全然ない。法務大臣である職を辞して、国民におわびし、内閣に対しても相当の責任があるはずであるにかかわりませず、ことば、及び記者会見の内容からも、全然反省の色がありません。前に、当議院から出ている前法務大臣の西郷氏につきましてもいろいろ問題がありましたが、同僚議員のことでありますから、その問題についていま追及しようと思いませんが、前大臣、及びきのう去りました大臣がこういう態度で、国民の政治に対する信頼、内閣に対する信頼を確保しておられると総理は思っておられるのかどうか、総理の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、まだたいへん不勉強で、けさほどの新聞を全部目を通しておりません。しかし、ただいま御指摘になりましたように、昨日も、この問題が突然起こり、小林君から辞表を提出してもらって、そしてやめていただいた。そこで、私はそのときもお答えしたのでありますが、とにかく、十二分に自分の行為についての反省があればこそ辞表も出されたんだと、かように私は思っております。したがって、そのやめられたその直後においてこの人をあまり責めることはひとつやめてくださいと。私どもも十分この行為について反省もし、今後、わが内閣閣僚一同ともにこういう点について戒心して邁進いたしますから、どうか御了承願いたいと、こういう答弁をいたしたのでございます。 今日、また同じような点についてのお話がございますが、私自身の決意は、ただいまお答えするように、こういう事件が再び起こらないように、この上とも十二分に戒心していくと、これが答え得る最大のものでありますし、これがまた私の心情を如実にあらわしておると、かように思いますので、何とぞよろしく御了解願いたいと思います。
○小柳勇君 新聞は十分読んでいただきます。きょう及びあさって、委員会ありますから、他の議員からまた問題が出ると思いまするが、私が言いたいのは、参議院選挙があるからもうやめたい気持ちであった、これでさばさばした、というのが一つ。それから、今後は言いたいほうだいに言うんだと。問題はまあたくさんありますけれども、参議院選挙も大事でありましょうけれども、一国の法務大臣であります。法務大臣が放言をやって引責辞職したにかかわりませず、やめたかったから、この際いい機会をつくってもらったと書いてある、また言っておる、記者会見で。同時に、今後はもう言いたいほうだいに言うのだと。このようなことは、国民に政治不信、政府不信の念を植えつけるもの以外何ものでもないと思いますから。総理のいまの心情は聞きましたから、私の質問は次に入ってまいります。なお、これは他の議員からまた問題が出ると思いまするが、私は一応保留して先に進みます。 次は、財政政策と補正予算との関連であります。大蔵大臣に質問いたします。 四十五年度中に三回の財政投融資をいたしました。追加計上が二千百四十一億円。であるにかかわりませず、国債を五百億減額した、この補正に。それからあとまた三百億の国債の減額をしようとしておるが、財政投融資の三回の追加をしたにかかわらず、国債五百億減額、この国債減額については、私もいろいろまた問題は別にありますけれど、景気刺激の対策をとったかと思うと、一方では国債を減らしてまいるというようで、財政政策がちぐはぐではないか、こういう気がいたします。この点について答弁を求めます。
○国務大臣(福田赳夫君) 財投を三回にわたって追加いたしましたが、これは景気を刺激しようという意味じゃないのです。年度末になりまして財投資金が不足する、特に中小企業が非常に困惑をする、こういうことで追加をいたしたわけですが、その結果、したがって景気浮揚に影響がある、これはそのとおりです。一方、国債のほうは、税の収入が予定より多かったものですから、したがって、国債を発行することは必要はない、こういうので減額をいたしたわけでありまして、これは全く関連のない事項であります。
○小柳勇君 財界の意向によって、春闘ムードを抑圧するために、いま不景気だと、不況であるという、そういう印象を与える、それがまず一つですね。これは不況ムードをあおっておいて政府の財政投融資の金をとる、まあ一応財界から考えれば一挙両得、一石二鳥の考えである。われわれも大蔵大臣がとられたこの政策はそういうようにとりますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま政府でとっておる財政政策はそういうような性格のものじゃない、実は逆でありまして、景気を何とか浮揚さしたい。財界のほうも、不況にしておいてくれと、それが春闘ムードに水をさすことになる、そういうような見解は、まあごく一部の人にあるいはあるかもしれません。かもしれませんが、しかし、私はまだ聞いておりません。財界は、あげて、何とか落ち込もうとする景気を浮揚さしてくださいと、こう言っているのです。したがいまして、何かいまお尋ねの御意見ですね、これはどうもそういう実体がない。その実体のない上に立って、何か誤解をされておるのじゃないかという感じがいたします。
○小柳勇君 私が言っているのはそこです。いま不況に落ち込みつつあるから何とかひとつ手当てをしてくれという財界の要望ですね、それはたとえば春闘に向かいますから、いま不況になっている、不況になっていると、もう春闘の賃上げはできないぞというムードを、政府も財界も一体となっていまばらまきつつある、そのことを私は言っているわけです。それでは、なぜ五百億の国債の減額をやり、かつまた、あと三百億の国債の減額をやろうとしておられるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国債のほうは、租税収入その他の一般財源のほうが三千百億円もふえるのです。したがって、補正予算が必要だと、そのための財源を支払うけれどもなお残余を生ずると、こういうような状態でありまして、財政の立場から国債は減らしているんです。しかし一方、財政投融資で、いま御指摘のように、三回にわたって追加をしておる、これは財政といわば金融の問題でありまして、これは全く別個の立場でやっておるわけであります。
○小柳勇君 本予算になりまして、財政経済の問題、また別途論議してまいりましょう。 補正予算に関連して、次は公務員の給与を今度の補正で出しました。法律案はこの前の臨時国会を通っておる。法律案を論議する場合は、ちゃんと補正組むのか、あるいは予備でいくのか、その他の経費の削減でいくのか、ちゃんと法案の審議のとき明らかにしておかなきゃなりませんが、前の臨時国会の論議を見ましても明らかにされてない。いま、その公務員給与の問題が補正として出ておりますが、総合予算主義で、まあ昨年度は総合予算主義を堅持すると言ってこられたが、ことしはもうくずれ去っておる。したがって、まず一つは公務員給与改善法案が出るときには、同時に給与の予算を含む補正予算を組むなり、あるいはもう組まないか、はっきりして出すべきであると考えます。ばらばらでですね、法律はこの前の国会を通って、今度その裏づけの金は補正予算で今度とるというようなやり方は、国会の審議上けしからぬ、不合理だと思うが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 小柳さん御指摘のとおりです。法律案と予算案、これは相並行すると、これが望ましいんです。ところが、昨年の秋の時点はどういう日本の経済情勢であったかというと、まあ今日もなお続いておりますが、超高度成長から安定成長への流動期である、過渡期である。そこで法人税の収入の見積もりが非常に困難なんです。見積もりができません。そこで財源対策、この上において非常に支障がある。さようなことから、補正予算というものを編成しないで、まず給与法だけを先行させると、こういうことにいたしたわけです。これは私はやむを得ざる措置であると、そういうふうに考えております。ただ、それで給与の支払いに支障があるかというと、そうじゃない。既定の給与費がありまして、これを振りかえ使用ができる、あとで補正でそれを穴埋めすればいいと、こういう状態でありますので、まあ補正はあと回しと。これはしかし異例だと、まあ好ましくない形であると、かようには考えております。
○小柳勇君 来年度の予算でも、いま組んであるのを見ますというと、ことしと同じような情勢が生まれはしないかと思うんですが、いま言われたように、ことしのようなやり方は不合理でありますから、来年度のやり方は変えるということを確認していいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 本年度は給与の勧告が見通しより非常に多かったんです。一二%をこえる勧告、私どもは一〇%はよもやこえないんじゃないかと、こう思っておったんです。ことしはそういうようなことがあるかどうか、私どもはことしの、四十五年のようなことはよもやあるまいと、こういうふうに見ております。まあしかし、なお対策をとっていかなきゃいかぬと、こういうふうに考えまして、予備費を千四百億円準備することにいたしました。まあ異常な事態、非常な事態がなければ補正予算はこれは避けたいと、かように考えております。
○小柳勇君 給与改善というものは、いま大蔵大臣は、一〇%程度ことしはあったと思うと予想しておったとおっしゃる。来年度の予算では、ことし上がった予算の約四割しか改善に組んでないわけですよ。おそらく五%程度だと、四十六年度もそう考えておると思うんですね。ところが五%組みながらだ、予想は一〇%ぐらいあると思った、したがって予備費に組んだと、ことしも組んでありますと言う。予備費に公務員の給与改善の費用を組むことは財政法上もやるべきでないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いかなる勧告があるかわからない。そこで腰だめというか、人事院の基準率五%までは予算に組んでおく、それ以上何%プラスになるか。おそらくプラスになると思います。そのあと不特定なプラスに対しまして予備費を使用する、そういう考えです。
○小柳勇君 総務長官に質問しますがね、この前の国会の論議で、このようなあり方、たとえば五%だけ前年度に組んでおいて、予備費にぶち込んでおくというようなやり方は検討すべきであるというような発言をしておられるが、いまはどうお考えですか。
○国務大臣(山中貞則君) 大蔵大臣も認めておられるように、原則論はそうすべきが至当であろうと思います。ことしの予算編成にあたっても、おおむね予測できる勧告の必要な金額ぐらいは一般経費に組んでおくべきであるということで話し合いもいたしたのでありますが、そのおおむね組むべきめどというものがなかなか立ちません。したがって、大蔵大臣の答弁にもありましたように、人事院の勧告の基準となる五%というものを一応一般経費に組んでおる。残りは対応できるように予備費をふやしたということで了承しなければならない結果になりましたけれども、さらに先般来の質疑応答を通じて、給与担当大臣として考えますことは、これを当初かりに予想できる満額を組んだといたしましても、やはり国会で法律を通していただかなければ支給ができないという事態がございますので、先ほど御答弁がありましたように、支給の際には、予備費の中からその不足分を幾ら支出するという姿勢、あるいは支出できなければ補正で幾ら足して満額支給するという姿勢をとるということは、大蔵大臣が言われたとおり、ことしから必要な姿勢であろうと考えておるわけでございます。
○小柳勇君 それからその予備費及び経費の削減によってというようなことを堂々と答弁しておられるわけですね。経費の削減によって公務員給与を支給するなどという、少しでもそういう考えがあることはこれはけしからぬことだと思うが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 初めからそういうことは予想しておらないんです。しかし、年度を経過するに従いまして、予算は組みましたけれども法律は通りませんでした、こういうような事態も起こるわけです。そういう際にはどうしてもその予算額を使用することができない。これはいわゆる不用額であります。 それから、まあとにかく予算は御決定願いましても、これは一銭一厘もむなしゅうしてはならぬし、また異常な事態に対しましては、他の経費はこれを節約しなけりゃならぬ。これは財政執行の当局者とすると、むしろ国家に対し、国民に対する義務である、そういうふうに考えるんです。予定はしませんけれども、しかし有事の際にそういう措置をとる、これはやむを得ないことである、かように考えております。
○小柳勇君 総合予算主義が発足しました四十三年度以来、経費節減によるものとして四十三年が二百九十九億九千五百万、四十四年が五百六十六億九千四百万、四十五年が五百四億二千三百万、毎年経費節約によって、しかも逐次増加して公務員給与などを支払っておられるということは、初めからこの予算を組んでおいて、水増し予算とは言いませんけれども、予算を組んでおいて、そしてどっかひとつ三百億なり五百億は経費節減に持ってきようという考えがあるのではないかと思うから質問しているわけですよ。もう一回答弁願います。
○国務大臣(福田赳夫君) 初めから水増しをしているという、そういうことはいたしておりませんです。ただ、もう大災害が起こった、補正予算を組まなきゃならぬ、そういう際に、他の経費を必要なというふうに考えられておるものにしても、なおこれを節約する、これは私は財政当局の責任である、義務である、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 物価の上昇も初め五%見込んでおって、七・七ですね、ことしは。来年もおそらくそういうことが予想される。そしてことしも。ことしこういうふうに補正予算を論議しなけりゃならぬのにかかわらず、来年の予算編成も同じような考えで組んであるからいま問題にしているわけです。したがって、検討していただきたいと思います。根本的に公務員給与の改定というものが五月、まあ完全実施はことしからなりました。これは一歩前進でありますが、五月一日からなぜこのベースが上がるかということ、これも問題がありますね。なぜ四月でいけないかという問題があります。及び初めに予算を五%組んでおいて、そして経費の節減でとりあえずやっておいて、一月になりまして補正予算を組む。ことしはいま二月ですね、二月になりまして補正予算を組む、このようなばらばらな予算の組み方は私はよくないと思う。したがって、根本的に検討してもらいたいと思うが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 予算と法律を一緒に出す、これは私は望ましいことだと思います。ですから、できるだけそういう努力をしたいと、かように存じます。ただ、節約はしちゃならぬ、こういうようなお考え、これは私はにわかに御賛同するわけにはいかない。私は節約をしたと小柳さんからおほめにあずかるかと思っておりましたところ、どうもおしかりのようなことで奇異に感じますが、やっぱり一応予算には組んでみましたけれども、異常な事態があってどうしても財源が必要だというような際には、他の諸経費を節約する、私は財政当局のこれは責任である、こういうふうに考えます。
○小柳勇君 そういうけしからぬ茶化したような発言は許しません。公務員給与の人事院勧告が出る、出たあと経費節約とかということで財源を持ってくるわけでしょう。その節約したものは各公務員が仕事をする場合、どこからか削ってくるわけでしょう。初めの当初予算でみな仕事をしています。公務員給与がこれだけ出たから、今度はその仕事を削ってくるというようなやり方は、それは行政がちぐはぐだということです。だから二ヵ月か三ヵ月で節減ができるようなものは初めから節約しておくべきです。私は何も国の予算を節約することをちっとも反対していません。当然です、それは。やらなければならぬことです。それなら当初予算でやるべきですよ。人事院勧告が出たから、とりあえずここから持ってこいというようなやり方はあまりにも場当たり式ではないかということを言っているわけです。どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) この節約は人事院勧告ばかりじゃないんです。これは米の問題がある、あるいは災害がある、いろんなものの財源なんです。それで、予算ではこれは必要最小限を見ておりますけれども、接待費を減らしますとか、あるいは鉛筆十本買うのを八本にしていただきますとか、そういうきめこまかい節約をいたしておるわけなんです。それで皆さんに御審議を願った重要政策が手につかないことになる、そういうんじゃなくて、おおむね事務費を節約をする、こういうものでありまして、まあ、異常、非常の際にそういうことはどうも御承認願えるんじゃないか、私はそういう感じがいたします。
○小柳勇君 ことばじりをとって論争する時間がありませんけれども、百億や二百億の金なら――それもたいへんな金ですよ、それは私の失言かもしれませんが、わずかな金なら言いませんが、何百億の金を勧告が出たから削ってくるというような考えは、大蔵大臣が幾ら言ったってそれは通りません。時間がないから先にいきます、大蔵大臣の考えを聞いたってしょうがないから。いま言ったように、基本的に考えてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 節約は四百億円しております。節約不用等の財源は四百億円でございますが、半分はいま申し上げましたような事務費などの節約でございます。あとの半分は何だと、こういいますと、不用額というものでありまして、法律が通らなかった、それに伴う執行不能になった予算の残額である、こういうふうなものなんです。二百億なんですがね、対象は。これは零細なものの集積でございます。
○小柳勇君 抜本的にひとつ検討していただきます。 それから次の問題は、公害予算がこの補正に全然組んでない。あれだけ公害臨時国会で法律ができました。地方の仕事もたいへんふえておるにかかわりませず、この補正予算には全然組んでないが、あの公害国会が終わりましたあと、公害に対してはどのくらいの仕事をされて、どういう財源で仕事をされたか、これは山中総務長官から聞きたい。
○国務大臣(山中貞則君) これは補正予算には組むべき性格のものとして明確なものがございませんでした。それまでの間に閣議決定等におきまして、十五億円をこえます下水道や観測機器あるいは調査費、そういうものに対する補助等は緊急に支出いたしますと同時に、財投において百億の公害防止事業団の追加をしていただきましたので、来年度予算で公害の基本的な予算を組むということで、補正予算に公害の項目を立てる必要はないと判断したわけでございます。
○小柳勇君 そうしますと、臨時国会が終わりまして今日まで仕事をやられたのは百億だと、金目ではかればそう判断してよろしいですか。
○国務大臣(山中貞則君) これは金も大切でございますが、公害国会が終わりましてから、時間的には、年度内予算編成をやりまして、そのときに公害予算のあり方について各省庁の予算を私の手元に全部集めて適当なチェックをし、あるいはドライブをかけなどいたしまして、最終的にまとめた作業をやったのが昨年一ぱいでございます。年が明けましてからは、予算の最終段階で総理の裁断のおりました環境庁設置についての折衝あるいは設立準備その他でかかり切っておりまして、公害対策を怠っておる、こういうことではないと御判断をいただければ幸いでございます。
○小柳勇君 昨年十二月十一日の公害特別委員会で、福田大蔵大臣に加瀬完君が質問して、国が公害予算については国庫負担金制度を設くべきである、こういう質問をいたしております。これは交付税ではいかぬのだ、こう言っております。で、大蔵大臣もそういう方向で検討するような発言があっております。また、総務長官もそういう発言をしておりますが、この辺の制度はどういうふうになったか御答弁願います。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりにいたします。つまり、この国会に公害に関する財政負担をどうするかということについて法律案といたしまして御審議をわずらわす予定になっております。
○小柳勇君 公害法があれだけできましたが、来年度の予算は実際公害に使う金は三百三億円。特に申し上げたいのは、公害病患者の付添人の手当、現行一万円を二千円アップしてもらいたいという要求があったにもかかわりませず、来年度予算にはこの二千円アップが削られておる。政府は、公害と真剣に取り組んでおると総理以下言明しておるにもかかわりませず、予算の裏づけのない公害法だけがひとり歩きしておると思うが、いかがでしょうか。この二千円アップをなぜ認めなかったかということと、総理大臣には、公害のあれだけの法律ができて、金の裏づけがなくては仕事はできませんが、来年度は実際上できる金は三百三億しかないが、総理大臣はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公害対策では法律案が成立しておる。そこでどういうふうに対策がとられたかというと、まず公害発生源者、多くの場合において企業であります。企業が公害防止対策の費用を支出いたしまして公害防止施設をやるわけなんです。これはもうばく大なものにのぼるだろうと、こういうふうに思います。私も試算ができぬものかなと思ってずいぶん努力いたしましたが、試算ができないくらい巨額な金が要るわけなんです。これがとにかく公害対策の主になります。これは法律をもって企業にそういう義務が課せられる、こういうふうなことになるわけです。それから第二は、不特定多数の公害発生源者がおりまして、これは一つ一つの公害発生源者の対策では片づかぬ、こういうものに対しては公共の事業を行なう。その公共の事業に対しましては、これは地方公共団体がまず事業の執行に当たるわけです。その地方公共団体の行なう事業に対しましては、地方公共団体がそういう事業が執行できるように財政措置を中央、地方を通じての総合対策を講じておる、こういうのでありまして、したがって、国が財政上出動するというのは、まあ補助の場合でありますとか、そういうことでありまして、四十六年度で言いますと総額九百億余りでございます。これはまあ、そういうふうに御理解を願えると、かなりの額であるということが御承認願えるのではないか、そういうふうに思います。 なおまた、国の財政上の支出ばかりではないのです。あるいは税制におきましても、あるいは関税ですね、例の脱硫装置に対しまして関税を軽減する、あるいは低硫黄の原油輸入に対しまして関税の軽減を行なう、こういう関税、あるいは財政投融資、こういうのを合わせますと三千億円をこえるのです。これは、かなり巨額の公害投資をしておる、また重点を置いておると、こういうふうに御理解願っていいんじゃないか、さように考えております。
○国務大臣(内田常雄君) 大蔵大臣から答弁漏れの件でございますが、公害による健康被害者に対する救済措置、これは、御承知のように、医療費を公費で負担する面と、それからそれに加えて医療手当、介護手当を支給する面とがございますが、医療手当のほうは――医療費のほうはもちろん問題ございません。医療手当で上ぐべきか介護手当で上ぐべきかという問題は残されておりましたが、この際、とりあえず医療手当のほうを、従来二千円・四千円というようなものを、五千円・三千円・二千円、これは日数等によりまして、そこまで引き上げることにいたしました。しかし、もちろん、介護手当につきましても御要望がございますし、私は必ずしもこれらの面においてそれで十分とも考えませんので、これは今後の懸案にして進んでまいりたいと考えております。
○小柳勇君 懸案でなくて、来年度の予算に二千円アップができていないから聞いているわけですよ。なぜ上げなかったかということを聞いているわけです。
○国務大臣(内田常雄君) 介護手当のほうは、ただいまも申し上げましたように懸案になりましたが、医療手当のほうをそのかわり、と言っては恐縮でありますが、いままで二千円と四千円というものしかございませんでしたのを、五千円の口、三千円の口、二千円の口と、こういうことで引き上げて当面まいると、こういうことにいたしました。
○小柳勇君 質問してないことを答弁せんでもいいですよ。大蔵大臣に言っているのは、厚生省から、付添人の手当、介護手当、現行一万円を一万二千円にしてくれといったにかかわらず、この二千円をなぜ削りましたかと、こういうことを言っているわけです。大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 厚生省と十分協議をいたしまして、ただいま厚生大臣からも申し上げたとおりの結末にいたしたわけでございます。
○小柳勇君 またあとで全般的な社会保障の問題のとき論議しますから先に進みますが、さっき大蔵大臣は、公害事業の予算にばく大な水増しをして答弁をしておられる。そんなことを言って国民をだます――だますと言っては失礼ですけれども、けしからぬですよ。あなたのような口で言うならば、四十五年度予算がすでにもう七百四十億円組んであった。法律ができる前に四十五年度予算では七百四十億の公害予算が組んであった。それがことしは、あなたの流儀でいけば九百二十三億円です。ところが、九百二十三億円の中には下水道の工事費用が入っているわけです。これが六百二十億円です。下水道の事業費まで公害公害とふれ回すことはよくないことです。私どもはあれだけ公害国会でやった以上は、公害プロパーの予算がどれだけついたかということを実質的に論議しているわけです。検討しているわけでしょう。それにすれば、ことしは百億ばかりしかふえておりませんぞと、なぜもっとふやさなかったですかと、こういうことを言っているわけでして、しかも国庫負担金の話はきまりましたけれども、返答されましたけれども、それを含んで、いま申し上げているように公害とわれわれがとるものは三百三億円しかございません、そういうことを言っているわけで、総理大臣、もう時間がありませんから、あまり詳しく話はできません。数字の話はできませんが、私どもが感ずるところでは、あれだけ臨時国会を開いて公害法十四も出した。にかかわりまぜず、四十五年度の予算と四十六年度予算が、実質公害だけで見ますというと、百五十億ぐらいしか違いませんと、これでは事業をやるにしてもできませんぞと、しかも、カネミオイル患者、水俣患者、新潟患者が会社を相手どって裁判しておるけれども、会社が倒産したら補償もできぬだろう。そういうものがいろいろもろもろありますから、いまひっくるめて公害対策予算はどうですかと、政府は本気で国の公害を、予算を裏づけして配慮する決意がありますかということを、補正予算を通じて聞いているわけです。総理の見解を聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君に申し上げますが、私は、三百三億しか公害対策費がないとおっしゃること自身が私にはわからないのです。生活環境そのものを私ども大きな一つの公害対策として取り組んでいる姿勢じゃございませんか。生活環境の整備のためにわれわれが下水道を整備すると、これは当然のことですよ。そのことを無視して、そんなものは公害対策費じゃないと言う。これは議論のあるところです。うんとひとつ議論いたしましょう。そういう意味で、もう少し説明していただきたい。国民は、あれだけやかましく法律をつくったにかかわらず、わずか三百三億、さように言われることは非常に不満だと……。私は、先ほど来大蔵大臣並びに厚生大臣がお話をしておりながら、それについて十分の御理解がないことはまことに残念に思っております。
○小柳勇君 わかりました。それでは、山中総務長官、ひとつ、昨年できました公害関係法律に関するいままでの四十五年度に組んであった予算以外の予算をここに並べてください。昨年四十五年度には、この大蔵大臣の説明によりますと、すでに七百四十億円組んであると、これは去年の国会の報告です。ことしは、これに匹敵するものは九百二十三億円。そこで私が、それは下水道が六百二十億円入っておりますから、公害法として考えるならば三百三億ではないかと言って、いま総理がおこっているから、それでは私が言う、いわゆる昨年成立しました十四の法律に関して――下水道工事は、いままであったのだから当然やらなければならぬことですよ。これをことさらに公害予算などと言うこと自体がおかしいです。だから、公害関係の法律十四に関連する予算を全部ここへ並べてください。いま総理が説明せいと言っているから、並べてくださいよ。
○国務大臣(山中貞則君) 下水道予算は公害関係ではないとは言えないと思うのです。でありますから、建設省から出しました各種五ヵ年計画の中で、下水道五ヵ年計画だけは完全に原案どおり大蔵省も査定してつけておりますから、金額の、初年度においてはそのような金額において相違はないと思います。しからば、その他の問題についてでございますが、これは、権限を地方に大幅に委譲したことに伴って、予算の組み方が国自体が行なう仕事としては下水道が一番大きなウエートになることは結果的に当然でございまして、その他の予算については、地方で行ないますもの等について、公害防止計画の地域等については、都市下水路その他を含めて、補助率のかさ上げ、すなわち国が一義的責任を負うということを私が統一見解を当院で連合審査会の席上申しましたとおり、原則補助率二分の一とし、学校移転等については三分の二の補助率を適用する、その他、公害防止計画地域でなくても、港湾の汚泥、河川の汚泥等の排除事業、あるいは土壌の汚染防止、公害防止機器の設置等については二分の一を下らざる補助を行なう、という内容の法律を提出いたします。したがって、それらのものは、今後権限の大幅に委譲された地方公共団体が行ないまするにあたって必要な予算として私としては十分であろうと考えます。 一方、中小企業も含めました企業のほうの金融の対策、すなわち公害防止施設を設置するために必要な金額に対する措置としては、公害防止事業団の四〇%対前年度比アップの増額をはじめとして、国民金融公庫、中小企業金融公庫、畜産公害のために初めて窓をあけました農林漁業金融公庫等々、それぞれの金融機関に必要な手当てをいたしておるわけでございます。 その他、税制等については大蔵大臣が答えたとおりでございまして、総額約二千六百億ぐらいの、予算面においても、数字が出てまいるわけでございますが、その他、低硫黄重油の関税の引き下げ等の金額等の計算を別途にいたしますれば、投資の経費その他に対する国の配慮というものは、もっと大きな姿勢というものが出してあると私は考えておる次第でございます。
○小柳勇君 大蔵大臣から、ひとつ説明してもらいましょう。
○政府委員(鳩山威一郎君) お答え申し上げます。 たしか、公害対策経費調べという調書で、こちらの委員会のほうの御要望がありまして、この中身を全部お手元までお届けしてあるかと思いますが、この表の中で新規のものと申しますと、前年度予算額がゼロというところが新規な施策でございます。これを読み上げますと非常にたくさんございますのですが、資料としてはお届けしてございます。
○小柳勇君 金額幾らですか。最終金額は。
○政府委員(鳩山威一郎君) 全部、総計としては、増額の分と一緒になっておりますから、前年度ゼロというものだけの集計はしてございません。しかし、その集計は、なおこれは足せばわかるものでございます。
○小柳勇君 私が言っていますのは、総理、四十五年度に、国務大臣福田赳夫君が昨年の十二月の国会で説明したのによりますと、公害対策事業費は概算七百四十億円ぐらいでございますと言っているのです。ことしは、それに匹敵する金は九百二十三億円です。四十六年度予算ですよ。まだこれは補正に関係ありません。ところが、これには下水道整備費が六百二十億円入っております。下水道整備費というのは過去にあるわけですよ。したがって、純粋に公害対策というならば、四十六年度予算では三百三億円、四十五年度予算では百九十八億円ですよ。したがって、その差は百億円余りではございませんかと私は言っているのですよ。何で総理はおこりますか。総理は、もっと、私をおこるよりも、公害対策をどうやってやるかという前向きの決意を披瀝しなければだめです。もう一ぺん見解を言ってください。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君も、三百三億ではないと、いまのようなものを入れればこうなるのだと、かように金額は承認なすったと思いますから、私もそれなら満足です。
○小柳勇君 これは、また総理も呼んで別の機会でやらなければなりません。ほかにたくさん大事な問題がありますものですから。 それで、とにかく、いまの公害問題は予算の裏づけがなければなりません。しかも、国庫負担ですね。この前加瀬君がずいぶん論議しておりますように、国が責任を持つという体制で国庫負担を逐次ふやしていただく、こういう体制でなければならぬと思うのですよ。 そこで、公害対策を進めておりますが、企業内でいろいろやっぱり問題が起こる。中小企業などでは、労働組合の組合員も、そこの職員ですからね、自分でやはり公害はわかりますから、これを会社社長にやめるように摘発しなければならぬ。ところが、最近、労働組合を、そんなんじゃけしからぬといって、採用しないような、解雇するような情勢もある。したがって、これは、ただいい悪いよりも、公害で倒産するような企業にはやっぱり手当てをしなければならぬと思う。企業の転換、あるいはその職員に対しては、その職務を守り、生活を守らなければならぬと思うが、通産大臣とそれから労働大臣から、公害に対する労働運動なり、労働組合なり、あるいは企業の防衛なり、こういう問題についての見解をそれぞれ聞きたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公害は国民的な一人一人の問題でありますから、従業員がそれに関心を持つことは当然のことであります。私どもとしては、やがて企業の内部に公害を監視する体制を法制化することも必要ではないかと実は思っておるのでありますが、そうなりますと、いよいよ従業員一人一人の、それについての関心なり、あるいは監視体制への協力なりというものが必要になってくると考えております。
○国務大臣(野原正勝君) 労働省としましては、公害のための労働者の健康等の問題につきましては重大な関心を持っております。そこで、ただいま労働基準局は、労働災害という問題と関連しまして、いかにして企業が公害源で未然に防止ができるか、労働者の健康管理という面あるいは労働災害の防止という見地から十分な対策を講じようということで、工場に対しましては昨年の九月に一斉の総点検を行ないまして、必要なものにつきましては勧告を行なっております。これからも労働行政の面から公害対策とは十分に取り組んでいくという考えでございます。
○小柳勇君 労働大臣の十分に取り組んでいくということまではわかりましたけれども、いま具体的に公害企業が倒産するものが発生しつつあるし、それから公害を摘発した労働組合の幹部などが解雇同様の処分を受けつつあるような実態がありますが、緊急の問題として、どういうふうに処理するとお考えですか。
○国務大臣(野原正勝君) 労働組合が公害対策等につきましていろいろな意見を具申するとか、あるいは積極的な対策を講ずるという行為につきましては、当然これは労働組合の行なうべき仕事であるという、その範囲である限りは一向差しつかえない。むしろ十分な労働組合の行なう関連の事柄であろうと存じまして、これに対しまして不当な労働組合の弾圧であるとか、そういう行為を行なう、そういうことが事実ないように十分労働組合の立場も考えて進めてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 労働大臣に質問します。いまのと直接関係ございませんが、前の国会で、通勤途上の事故を労災補償するということとほかに、六項目、参議院社会労働委員会の決議があります。それをこの国会で検討し善処するという附帯決議がついておりますが、この問題について労働省がどのように今日処理されたか、お聞きしておきたいと思うのです。
○国務大臣(野原正勝君) この問題につきましては、昨年の労災保険審議会の決議及び衆参両院の委員会におきまして附帯決議をいただいております。通勤途上の災害等につきましては調査会を設けましていま検討しておるわけでございますが、その他附帯決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、いま調査をしておるわけでございまして、できるだけ早く結論を出したい。結論を得まして、その結論ができました上は、できるだけ早く立法の措置もとりたいと考えておりますが、まだ実はその調査が十分に終わっておりません。そこで、それらの調査が終わり、意見がはっきりまとまりますれば、それに伴いまして、それぞれ対策を講ずる、立法措置も考えてみたいと、前向きに検討をしておる段階でございます。
○小柳勇君 次は、厚生大臣に質問いたします。擬制適用の問題ですね。昨年の国会で日雇健保が廃案になったために、厚生省は、それまで日雇健保を適用されておった組合員を国保組合のほうに追いやった。そのために現在どのくらい国がもうかっておりますか。
○国務大臣(内田常雄君) 御承知のように擬適と称されている人々を含めまして日雇健保の加入被保険者は百万人ございました。そのうち四十万人が擬適ということで、これを日雇健保から除きまして、原則として国保組合をつくっていただきました。その結果、あの当時も申し上げましたが、日雇健保は保険料が極端に安うございますので、大体一年間に六千円ぐらい保険料を払って、そして医療給付のほうは四万円ぐらい医療給付を受けますので、一人の被保険者について三万五千円ぐらいは赤字になってきております。そのうちの一部分は国の国庫補助で埋めております。三万五千円の四十万人をほかの籍へ移したわけでありますから、通年いたしますと百三、四十億ですね、それだけ赤字が減る勘定になります。 ただし、昭和四十五年度は、御承知のように、あの擬適廃止をいたしましたのが五月からでございまして、しかも、前に掛け金をされておった方は八月ぐらいまで当然医療給付を受けられますし、また、八月までの間に病気になられた方は、引き続いて二年間医療給付を日雇健保の資格者として受けられますので、四十五年度における財政効果というものは、いま私が通年で申し上げましたような百数十億にはなっておりません。おそらく何十億という計算であると思いますが、それはそれなりに私は赤字をなくなす上において非常に大きな意味があったと考えるものでございます。
○小柳勇君 厚生大臣、そんなあいまいな答弁では済まされませんです。ちゃんと質問が通告してあるのですから、ことしの会計で一体どのくらい赤字が解消したかということを説明しないと、十七年間も適用されておった日雇健保の組合員が国保組合――国保に移行したのですからね、それは、赤字が累積してもう日雇健保は崩壊するからという理由だったでしょう。それならば、四十万人の人が国保組合に移行したから、これこれだけ赤字解消しましたと説明しないと、この委員会の答弁になりません。
○国務大臣(内田常雄君) こまごまと数字を申し上げますよりも、私は大きな姿を申し上げましたので、こまかい数字につきましては、四十五年度と、それから四十五年度満年度につきまして政府委員から説明をお許しいただきたいと思います。
○政府委員(穴山徳夫君) お答えいたします。 いま大臣がおっしゃいましたように、四十五年度につきましては、廃止が年度途中でありましたことと、それから擬適のかつて受けていた人に対する継続給付がまだ残っておりまして、したがって、数字で申し上げますと、四十五年度は、擬適廃止によりまして収入減が四十三億でございます。それから、支出の減が六十七億でございまして、差し引きいわゆる四十五年度の財政効果は約二十四億でございます。 四十六年度につきましては、擬適の人たちがいると仮定いたしましたときの計算をいたしてみますと、収入の減が百六億でございまして、それから支出の減が二百二十二億でございます。したがって、差し引きが百十六億の財政効果が上がるということでございます。
○小柳勇君 そこで、ことしの補正予算に四億円の健保の臨時調整補助金を組んであります。これはどういう意味ですか。
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど述べましたように、日雇健保の中に擬制適用の方が入っておりますと非常にその保険料が安い。御承知のように、日額二十何円というような保険料でいきます。それが、今度そこから出まして健康保険組合をつくりますと、それだけその組合員の負担は急激に増加をするかもしれない場合が生じますので、これは国保の組合をつくる人々の収入等によって違いましょうけれども、そういう場合に対応して、四十五年度にありましたごくわずかのにぎりの補助金では足りませんので、四十五年度に四億円の補正で、特別補助、臨時補助のようなものをのせてもらった、こういうことでございます。同じことは四十六年度におきましてもいたすつもりで、四十六年度にはそれより大きい金額を要求をし、のっております。
○小柳勇君 いま四億円の補助、来年度は八億円になっておりますから、これは倍になっておりますね、四十六年度は。いま国保組合が三十八組合できた。四十万人の人が新たな組合をつくってやっているが、大臣は前の国会で、これを日雇いから国保のほうに追いやるときに、もっと手厚い補助をやると言っておられる。ところが実際は、この予算上は、大蔵大臣、日雇健保のほうを八億削りまして、そうして国保のほうに金目を移動してあるだけです。国はちっとも国庫負担はふえていません。三十八組合にはどこから金を持ってきて手厚い保護を加えようとされるか。それからこの四億円の金は三十八組合にどういうふうに分配されようとするか、厚生大臣から聞きたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 各組合ごとの配分額のこまかい点は、いまここで私は承知をいたしておりませんので、政府委員をして答弁せしめます。
○政府委員(戸澤政方君) ことしの四億円の配分でございますが、ことしは年度途中から切りかえをいたしましたために、その三十八組合の保険給付につきましても、従来の日雇健康保険のときの継続給付というようなことでもって給付を受けているものも相当ございます。したがいまして、この三十八組合の収支見込みは、まだ最終的に出ておりませんけれども、そう大きな赤字を出すというところは少ないと判断しております。しかし、大臣が申しましたとおり、日雇健康保険法のときに家族五割給付だったものが、今度、国保組合に移りまして七割給付を実施しているところが多うございます。そういった差増もございますので、そういう各組合の収支状況、それから経営努力、そういったものを見ましてこの四億円を配分いたしたいと考えておりまして、この四億円の措置によって三十八組合が大体それで経営が成り立つのではないかというふうに考えております。
○小柳勇君 そうしますと、今年度はそれで一応――まだいま答弁になっていませんけれども、幾らやるか具体例がないようですけれども、これはいいです、あとでまた聞きましょう。 来年八億、これはついていますが、そうすると、新しい三十八組合と、ほかに百五十ばかりの組合があるわけです、いままで国保組合が。その八億の臨時調整金というものは、ほかの組合に使わないというと、ほかの組合から文句が出ませんか。したがって、八億円を、なおことしもその新規の組合に使うのかどうか。
○国務大臣(内田常雄君) 私が手元に用意をいたしております数字によりますと、これは端数の関係等がございますかもしれませんが、四十六年度は九億円の特別補助ということで予算に計上してもらいました。そのほか、御承知のように、従来の百五十くらいの国保組合に対しましては定率補助、これは日雇健保と違いまして給付費に対する補助ではなしに、総医療費に対する補助でございますから、補助対象となる客体は大きいことになりますけれども、そういうものが四十五年度は七十六億円でございましたのに、今度の補正で三十億円を乗せました。小柳先生は先ほどどこかの補助を削って四億乗っけられたというようなお話がございましたけれども、二十四億のほうを削りまして、別にそのほうは三十億乗っけましたので、私の考え方では四十五年度の補正の関係では、よそを削った分は三十億として、国保組合のほうに定率補助で乗せ、別に四億円を四十五年度では握りで乗せました。四十六年度は九億円でございますし、それに定率補助が百三十億円でございます。これの配分につきましては、ほかのほうの既存の組合には一文も出さないということではないと思います。従来は一億円ぐらい既存の組合にも定率補助のほかに出ておったと思いますので、その辺は全体の組合がうまく動くように私どもやってまいりたいと考えております。
○小柳勇君 いま大臣が言われた三十億というのは私わからぬけれども、来年度の予算は日雇健保の特別補助金の十億円、いままで十億円だったのが六億円になっております。四億円削ってありますよ。日雇健保から削りまして、そして国保のほうには臨時補助金が一億円だったのが九億円になっておりますよ、八億円ふえておりますよ。だから今年度分四億円だったのが来年度八億円になっております。したがって、この八億円は三十八組合の新しい組合だけに適用しますかというのが一つの質問です。 それから日雇健保のほうはいままで十億が六億に、四億削られたんだから、したがって、国としては、日雇健保から四億持ってきて国保に加えただけで、ちっとも国としては負担はしておらぬのに、厚生大臣はいかにも手厚い保護を加えておるとおっしゃるからいま聞いているわけで、結論をいうならば、もう国保に移行した組合はだんだんしり細りになって、市町村の健保組合に追いやるつもりじゃないかと、結論は、そういうことを聞きたいわけです。
○国務大臣(内田常雄君) 国民皆医療保険という制度でございまして、私どもはそれぞれの職能にある者、またそれぞれの仕組みにあられる方が、現状におきましてはその保険の恩典を十分に得られるように進めることが私どもの当然の仕事と考えます。ただし、将来は御承知のように健保の抜本改正というような構想もございまして、いまのように保険のタイプが七つも八つもあることが適当かどうかということにつきましては、これは老人保険の創設等も含めまして三つか四つのタイプに分けたほうがいいだろうという一つの考え方をもって、関係審議会にも一昨年来諮問をいたしておりますが、現状におきましては、私はどの保険の構造も十分動くようにいたしたいと思います。 それから最初にお尋ねの一億円プラスの八億円、九億円につきましては、先ほども申しますように、それをどう分けるかということにつきましては、いまここで私は資料はございませんが、当然、大部分は擬適から国保組合に移られた方々といいますか、そのほうに配分されてしかるべきものだと私は考えます。
○小柳勇君 それでは次の質問に入ります。 老人問題でございますけれども、まず総理大臣に、老人対策というのはいま公害と同時に当面の問題ではないかと思う。これは諸外国とも老人対策について真剣に取り組んでおります。したがって、政府のこれから、現状もそうですけれども、これから老人対策、老人問題に対してどのようにお取り組みになるか、総理からまず見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君の御指摘のように、これから先の社会福祉の問題から老人問題は大きな課題であると、これは御指摘のとおりであります。そういう意味で、政府におきましても種々対策を、施策を考案しておる最中でございます。それらの概要についてはまた厚生大臣からお答えいたします。
○国務大臣(内田常雄君) 厚生省といたしましては、最近の死亡率の総体的現象、平均寿命が延びてきておること、また出生率がそれほどふえていないというような諸事情を総合いたし、計算をいたしますと、現在は一億人の国民のうち六十五歳以上の方々が七百万人、すなわち七%ぐらいでありますが、ここ二、三十年の間に十数%、つまり西欧並みにふえるということを予測しておりますことが第一であります。しかも、その上加えて、質的にはこれらの老齢者は、核家族の傾向の状況のもとに、いままでの家庭的扶養というものから離れて、社会保障の対象になる人々が非常に多いということを、本質的には考えておりますし、また、自営業者の方々が非常に少なくなりますから、老齢者が自営で、たとえば農業をして、中小企業の中においてめしを食っているということができないような、そういう状態もございますし、その他お話すると長くなりますが、いろいろのことがありまして、これから先の私は社会福祉政策というものの大きな眼目は、老人対策でなければならないと考えます。このことは現内閣の考え方も同じでございまして、昨年九月には、老後を豊かにする国民会議というようなものを初めてわが国で開きまして、総理大臣にも御出席をいただき、各方面の方々ともこれらの意見を戦わせたようなことでございますので、そういう考え方を背景として、老人福祉対策というものを進めてまいりたいと考えます。
○小柳勇君 いま厚生大臣も言われたように、いま日本の統計では六十五歳以上の方が約七%、七百三十万人でございます。経済成長いたしまして、若いいわゆる労働人口のほうは賃金がどんどん上がってまいる、所得がふえてまいりますけれども、六十五歳以上の方々、年輩の方々はほとんど年金なり、子供の扶養するその力にたよって生活しておられる。最近の具体的な例でありますけれども、七十八歳の御老人、奥さんが七十五歳でありますが、年金で生活しておられた。年金の平均はあとで聞きますけれども、二万四、五千円そこそこです。ところが奥さんが病気になって十ヵ月入院をいたしました。そこで、いろいろ統計をとってみましたですが、まず厚生大臣に聞きますが、いま一ヵ月病院に入院いたします。国保は七割給付でございますが、入院費やその他の費用をかけまして、一体入院したら幾らぐらい、一般普通入院費は幾らぐらいかかるでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) どうもこれ、厚生大臣としてお答えができなくて申しわけないんですが、何万円かかるかということは、それぞれ病気のタイプにもよりましょうし、私は正直にお答えできませんので、政府委員からお答えをさしていただきます。あるいは場合によりましては平均数字というようなものがございますから、あとからお届けをさしていただきたいと思います。
○政府委員(加藤威二君) 老人が大体入院いたしますと、一ヵ月、これはごく概算の数字でございますが、七万円ぐらいかかるという一つの数字がございます。
○小柳勇君 これは特殊の例でない一般的に、きょうここにおられる方々も、故郷に両親がおられるかもわからぬ。この例も、ずっと私、例を詳しくとっていますけれども、東京の会社の部長です、御両親を九州に置いてある。年金で生活しておられる。ところが奥さんが入院いたしまして、入院費が四万六千八百円、月に。付添費が六万一千円、月に。したがって、十万円ばかりかかります、七割給付でですね。付添婦につきましては、基準看護のところは要らない。しかし、やっぱり心配のあまり、全身動かぬものですから付き添いを雇うとなりますと、月に十万かかります。十ヵ月入院いたしまして百六十万ばかり借金なりしておられる。したがって、ついに九州から引き揚げて東京に来られた。東京に帰りますと、部長も一緒に生活いたしますが、やっぱり別に部屋をつくらなければなりません。これはしかし特殊な例じゃないじゃないかと思うのです。いまこの東京で一生懸命第一線で働いている皆さんが、家庭に故郷に両親を置いて、いつ病気するかわからない。で、七割給付といいますと、いかにももうわずかな金で入院できそうでありますが、十万かかります。十万円かかりますね。そうすると二万か三万かの年金ではやっていけないから借金いたします。あるいはそのむすこさんが毎月八万ずつ送っておったようでありまするが、部長の給与といえども毎月八万なかなか送れませんね。そういうような情勢でありますから、言いたいのは、東京都などでは七十歳以上は老人医療は無料になっておるようであります。私が言いたいのは、六十五歳以上については、少なくとも老人対策の医療として特別の措置が、国の措置があってしかるべきと思うが、いかがでございましょう。これはまず総理大臣からひとつ見解を聞いて、あと厚生大臣の御意見を聞きます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の人口動態から見まして、平均寿命が相当長くなっております。大体男子として七十、女子は男子よりもわずかだが長い、これ平均寿命でございます。いま言われるように、平均寿命以下のところに一つ基準を設けることがいいかどうか、あるいはまた平均寿命以上を考えるかと、こういうようないろいろ技術的な問題もあろうかと思います。私はとにかく年とった方、まあ五十五歳というのが定年になっておるとか、そういうようなこと自身だってもうすでに考えるときにきておると思います。もっとくふうしなければならない。ただ老人は過去社会の発展に貢献したというだけではなしに、今日なおその経験を生かし、また身につけている知識をもって社会に尽くすことができる人たちでございますから、十分生きがいを感ずるような世の中にすること、これがまず第一に必要なことじゃないかと、かように思っております。まあしかし、それはともかくとして、社会保障の対象としての問題は、欧州先進国並みに順次日本の場合も考うべきことはまた当然であります。そういう場合に、平均寿命ということを一つ考える、考慮に入れることが望ましいことじゃないかなあと、こういうような気がいたしております。
○国務大臣(内田常雄君) 時間がございませんのでずばり申しますと、年をとりますと、それだけ私は所得が必ず少なくなる。会社をやめてまいる、役所をやめてまいる。と同時に病気がちになりますので、できることなら老人の医療費というものは、保険のたてまえにおいてもできるだけ多くカバーをしてやる。今日の五割ないし七割給付よりも九割なりそれ以上の給付をしてやるなり、あるいはまた病気の種類によりまして、公費医療などになじむものにつきましては、国なり公共団体なりでそのめんどうを見てやるということが私は今後の方向であるべきだと考えます。そういう線に沿いまして医療保険の抜本改正、あるいはその他予算の面などでも考えを、施策を進めておるわけでございます。
○小柳勇君 厚生大臣、抽象論の論争でないわけですね、ここでは。具体的にいま、たとえば私はここで老人問題として、老人を前提にしていまその医療の問題を話しています。いま国保は七割給付ですね。五割を七割にするとかいうような論議ではなくて、七割給付で一体幾らかかるかという論議をしておるわけですよ。そこで聞きますけれども、いま六十五歳の御老人を全部、これから病気した場合は、付き添いなんかは別です。医療費は無料にするとしますならば、国の予算は幾らかかるでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) 時間がございませんので、私は考え方を申し上げましたので、これまたいずれ委員会等でいろいろ御議論もいただきたいと思います。 そこで、ただいまのお答えに対しましては、先ほども申しましたように、六十五歳以上の人が全国民の七%現在おります。しかしこれは二十年後には一二、三%になりますので、一〇%で押えたといたしましても、病気は二倍すると考えますと、病気率は私は二〇%だと思います。そうしますと、今日の総医療費というものは二兆五千億かかっておりますので、それのかりに二〇%といたしますと、五千億円というものは六十五歳以上の方の医療費としてかかる。これを保険なり公費医療なり、どう負担すべきかということを私は考えていったらいいのではないかと思います。こまかい数字は省略さしていただきます。
○小柳勇君 事務当局から少しいまの、そういう将来の抽象論でなくて、現実いまの六十五歳以上の方、あるいは最悪の場合、一歩譲歩して七十歳以上の方を、この老人の医療を無料にするとするならば、国は予算を幾ら組んだらいいかということを、大臣よりも事務当局から説明してもらいましょう。
○国務大臣(内田常雄君) これは予算の数字が先に出てくるわけではなしに、私がただいま申しましたようなそういう全体的な見通しを置いて、そのうち幾らを公費で見、幾ら保険で見、また、保険で見るうち幾らを国が国庫負担でやるかという問題だと思います。国民健康保険におきましては、老人はおむね家族でございますが、家族、本人とも七割給付でございますので、できたら私は九割くらいの給付にしたい。しかし現在国民健康保険におきましては、国は七割給付のもとにおきましても、総医療費の御承知のとおり四五%、約四千億円余りのものを国が負担をいたしておりますので、いま都道府県等は、まあこれ言い方悪うございますけれども、一文もこの国民健康保険につきましては負担をいたしておりませんので、老人についての本人負担の三割について都道府県等にも、あるいはまた心あたたかき市町村等におきましては、その三割の分を私はさらに上乗せをして負担をしていただく、現にそういうことを全国でかなりやってまいってきております。私の知っておりますところでも、市町村で百七十幾つかが七割プラスアルファの上乗せをしており、府県におきましても、いろいろの府県で、今日では十以上の府県が七割プラスの上乗せをやっておりますので、その場合、国がその一部を見てやるかどうかという、私と大蔵大臣との大いに論争の問題にそのほうはなります。もう一つ、つとめ人のほうは、これは家族は七割給付ではございませんので、五割負担でございますので、少なくとも百尺竿頭一歩を進めたいという考え方のもとに、今度の健康保険法の改正の構想におきましても、七十歳以上の家族につきましては、勤労者保険におきましても、とにかくこれを七〇%までの給付にしておこうと、そのために国も国の国庫補助などにつきましても新構想を取り入れておる、こういうようなことに相なるわけでございます。したがって、そういう前提のもとに幾らになるかということをはじくわけでございますので、これはやり方によって五百億でも済みますし、あるいはほんとうに私にやらせてくだされば、九百億円くらいのお金を年間にくだされば、老人の医療保険における自己負担分をかなりのところまで私はやっていけると、かように考えます。
○小柳勇君 事務当局、ちょっとひとつ説明してくれませんか。
○政府委員(加藤威二君) 老人の国民健康保険は、先生御承知のとおり三割自己負担しております。それから被用者保険の家族になっております場合には五割の負担でございますが、そういうものを全部ただにするということにいたしますと、七十歳以上におきまして、一つの非常な概算でございますが、約九百六十億という数字が出ております。
○小柳勇君 そのことを聞きたかったわけです。予算論議ですからね。ただ抽象論、政策論議するから、大臣は居眠りしている、並び大名ということになるわけです。したがってやはり予算を、幾らかかるからどうしようということを論議しませんと、予算委員会開いてもむだですね。ほんとうにそれは、そういうことをわれわれは認めるわけにいかぬけれども。したがっていま言われたように、七十歳以上を全部、被用者保険のほうも、それから国保も一緒に無料にしまして九百六十億ですか、それがいま申し上げたように、多数の方は年金で暮らしていますから、その家族などは入院しましたら借金です。働く者は借金でもあまり苦になりませんが、年金生活者は借金したら首くくらなければいけません。それで、いま大臣言われたように、市町村でもやっておるところありますよ、別に三割上乗せを。それを国が一本に、せめて七十歳以上の老人の医療は無料だということを、九百六十億の金をはかれぬものだろうか、まず大蔵大臣から聞きましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) おととしでありましたか、厚生省のほうから、老人の医療について、これを保険制度に取り入れられないかと、こういう提案がありました。そこで、これまあいろいろ論議が行なわれたのですが、厚生省のほうの審議会の委員の中で、保険制度というよりは、全額いまお話しのように公費負担、これでいけないものか、こういう議論が出まして、いまこの問題を保険制度としてやっていくことにつきましてはまあ継続審査だ、こういうような形になってきておるのです。老人問題というものはとにかく重大な問題であるということは、財政当局の私としてもそういう認識を持っております。今後とも老人の医療をどうするかということは、十分厚生大臣と話し合ってみたいと、かように考えております。
○小柳勇君 総理からの見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 社会保障というものは、子供はどうするか、おとなはどうするか、老人はどうするか、いろいろ考うべきものがあるし、それぞれが均衡をとられて、そして社会保障の中身を充実していく、こういうことが望ましいのではないかと思っております。そういう意味で、ただいまは、直ちにいま結論はどうだと、こう言われましても、お答えはちょっといたしかねます。
○小柳勇君 いま一般的にまた広げられましたけれども、ここで老人問題を特に取り上げましたのは、公害問題も大事であるけれども、老人問題が一番大事であるという前提、総理大臣、申し上げたとおりでしょう。したがって、しぼりまして、いまずっと論議をしぼってきたわけです。したがって七十歳以上の老人にせめて、これはもうやっておるところがあるのですから、地方で。それを公費で、大蔵大臣が言われたように、国が一切七十以上の方については医療は無料にいたします、公費負担にいたしますということを、大蔵大臣と厚生大臣検討しておるというのに、総理大臣何ですか、それはあなた、あまりばく然としておりますよ。もうちょっと内閣の責任者として、どうしましょうという方針くらいは総理大臣がお示しにならぬと、大蔵大臣と厚生大臣がただもう話し合うぐらいのものになってしまいます。もう一回総理大臣の見解を聞きます。国民の前にはっきりしてください。
○国務大臣(佐藤榮作君) 総理大臣が何ですかと言われても、両大臣がいま検討しているという、それで十分じゃないですか。総理大臣はただいま具体的にお答えはできませんと、かように申したのです。検討してその上で結論を出して、私の裁定をくだす、かように思います。
○小柳勇君 大蔵大臣は、それじゃもう一回ひとつ、くどいようですけれども、私のきょうの質問の一番中心です、これは。それは具体的にいろいろ方々、皆さんのお家族だってそうだと思うが、非常に具体的な問題ですね。したがって市町村もいま上乗せの方向にありますけれども、せめて七十歳以上、また年金で暮らしているような方、あるいは仕事のないような方、子供から養なわれているような方、そういう人は、医療が無料になるということはほんとうに一つの大きな国の善政ですよ。したがって、検討されているのなら、いつ結論を出されるか、くどいようですけれども、大蔵大臣と厚生大臣から意見を聞きたいです。
○国務大臣(福田赳夫君) これは財政負担としてかなり大きな問題なんです。いまでもとにかく国の総予算の中で、九兆四千億、そういう大きな予算の中でありますが、地方交付税を除きますと、とにかく社会保障は一兆三千億円、第一の割り当てをしておるわけなんです。これがまた地方財政との関係がありまして、先ほど厚生大臣からお話がありましたが、国保に対しては国が四五%の補助をしておる。地方公共団体においては何らの負担はない、こういうような状態、それからきのうも皆さん御承知のように、地方財政もいよいよ膨大化しておると、こういうような状態です。そういう状態下において、中央と地方との負担をどうするか、総合的に非常に大きな問題があります。そういうようなことで、老人医療体制、これは前進させなければならぬということは考えておるのでありまするが、なおそういう諸問題がありまして結論を得ない。そこで四十六年度では経過的に前進の措置をとる、こういうふうにしたわけでありますが、先ほどから申し上げておりまするとおり、そういうたくさんむずかしい問題をはらんでおる老人医療問題につきましては、今後とも厚生当局と、また厚生当局ばかりではない、これは自治省なんかもあるいは御参加願わなければなりませんが、十分検討いたしてみたいと、かように考えております。
○国務大臣(内田常雄君) 福田大蔵大臣は、これは私事を申して恐縮でありますが、私の先輩でもありまして、たいへん話のわかる方だと私は思いますので、これは今後ひとつ大いに大蔵大臣に私の理想を説いてまいりたいと考えます。
○小柳勇君 質問通告はしておりませんでしたけれども、自治大臣にいまの問題、ひとつ見解をお聞きしておきたいと思うのです。
○委員長(古池信三君) 地方行政に入っております。
○小柳勇君 わかりました。地方行政に行っておりますね。その問題はこれで、次の問題に入ります。 そこで、寝たきり老人が現在四十一万人ですね。しかも、現在施設に入っておられる方が一万人しかない。要注意の方が五万人おるということを厚生白書はいっております。この残りました四万人の方につきましては緊急対策が必要であるということを、これはもう厚生省認めておるし、大かた皆さんも認めておられると思うのですけれども、この緊急対策は一体あるのかないのか、厚生大臣からお聞きしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 私ども見まするところでも、寝たきり老人などで施設に入れてあげたい方が四、五万人ありまして、現在入っておられる方は一万何千人しかございません。そこで、緊急対策の一つは、何と申しましても、これらの寝たきり老人を収容するような特別養護老人ホームをできるだけ早くつくってあげることと、それから在宅の寝たきり老人に対しましては、何らかの看護と申しますか、保護の手を尽くしてあげたいと、ホームヘルパー等もできるだけ充実いたしまして、めんどうを見てあげると、こういうふうに考えております。 なおまた、これは一人暮らし老人などとも関連いたしますが、明年度の予算におきましても、電話の緊急連絡制度を設ける等のこともやりまして、そして、とにかくできるだけの手をこの一両年尽くしまし三少なくとも五年ぐらいの間には寝たきり老人で特別養護老人ホームに収容しなければならない方は全部収容し得るような、そういう状態をつくりあげてまいりたいと努力をいたします。
○小柳勇君 四十五年度の予算が五億八千万ですね。それから来年度予算は七億一千七百万で、プラス一億三千万です。総理大臣にも大蔵大臣にも聞いてもらいたいのですけれども、四十一万人の寝たきり老人が、しかも緊急対策として四万人は必要でありますというのに、来年度予算は七億一千万しか組んでない。しかとは言いません。膨大な金でありますけれども、全体の予算に比べたら七億です。いつも例に出す、たとえば戦闘機いま十五億ぐらいするでしょう。その一機分の三分の一しか組んでいないわけです。しかも家庭奉仕員というのが六千三百人おられます。今年二百名ふえますが、その手当が月に二万三千九百円、それから一人暮らし老人の介護員が三千四百人おられますけれども、日当が千五十円です。月に二回しか行きませんね、家庭に。それから老人の家庭奉仕員という方がおられます。手当が月に二万一千三百円です。さっき私は入院の例を言いましたけれども、付添婦でもいま日に二千円出さぬと来られませんです。月に六万円ですね。五万から六万、付添婦でも出さなければなりませんのに、家庭奉仕員が月に手当二万三千九百円で一体おられるだろうか。それから一人暮らしの介護員が日当千五十円ですね。また、家庭奉仕員の手当が月に二万一千三百円です。これで一体老人の介護とか看護とか、付添婦を国の予算として組んで恥ずかしくないかと言いたい。それは税金ですからたいへん貴重なお金ですけれども、現在実情は、さっき申し上げましたように、付き添いを雇いますと、もうほんとに千五百円から二千円出さないと付き添いは来ないですよ。それも、朝から夕方までですね。そういう実態であるのに、こういうような予算を組んでおるから老人対策をやっておりますという弁解にはならぬのではないか。言うならば、これはむだではないか。逆に言うならば、むだではないか。また、この低賃金で、安い費用で厚生省は一体どういう動きをしておられるのであろうか、まず厚生大臣から聞きたいと思うのです。
○国務大臣(内田常雄君) どうもホームヘルパーなどの給料を安く査定いたしておることは、正直に申しましてお恥ずかしい話でございます。しかし、四十六年度は、いまお話しの二万一千円を二万三千九百円ということにようやく上げていただきましたが、これは必ずしも本人が受け取る分が二万三千九百円になるということではなしに、これはたいへん悪いことでございますが、算定基準として国が措置費と申しますか、これらの社会保障の保護費、措置費をはじきます際の基準を二万三千九百円にいたしておるとしうことでございますが、実際は、市町村の職員であられるホームヘルパーの方が六割くらいおられるはずでございますので、それらの方は、国の基礎的な数字にかかわらず、市町村の公務員として現実の給与をもらっていることになるのではないかと思いますが、私は、さような状態ですと、国の措置費負担というものは八割になっておるんじゃないかということにもなりますので、ここにむずかしい問題もあろうかと思いますので、これはできるだけ今後も増額されなければならないことと考えます。 なお、これは働き盛りの方に限るわけではなしに、お年を召したじょうぶな方がお年寄りのめんどうを見るというような方向で、今回も老人の社会活動奉仕団というようなものを編成して、それに対する助成費を大蔵省から組んでいただきましたが、そういうようなことをやりますと、これは四万も五万もお金を出さなくても、二万三千九百円ベースで、それにまた現地において乗ぜられるものもあるかもしれませんが、間に合う面もあるかもしれません。その辺の実情もさらに十分把握いたすと同時に、私は大蔵省にもお願いをすべきものはお願いをしてまいりたいと思います。
○小柳勇君 大蔵大臣から見解を聞いてみたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま厚生大臣からお話があったとおりでございますが、給与に類したこの種のものですね、これのきめ方は国家公務員などとの権衡問題というのがあるのです。二万三千九百円、これが一体妥当かどうか、こういう問題かと思いますが、これは特別の技術が必要な職業とも考えられない。そういうような人が従事する公務員の場合はどうだと、こういうことを一応考えるわけです。そうすると大体二万三千九百円、こういうのが線として出てくるわけでありまして、一応予算積算上の基準としてそれを採用する、こういうことにいたしたわけであります。しかし、これは何も固定的には考えておりません。物価等の動きなどもありますし、そういうようなことで、経済変動においては弾力的にこれを動かしていかなければならないというふうに考えておりますが、とにかく四十六年度予算の編成では、厚生省、大蔵省よく相談いたしまして、これで動く、こういうような見当のもとにお話しのような積算をいたしておる、こういう意味であります。
○小柳勇君 厚生大臣、老人ホーム、さっき、この寝たきり老人などは少なくとも完全に収容できるようにという話でありましたが、老人ホームの現状についてこれからの構想についてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 老人ホームは、いまもお話が出ました寝たきりで動かせない方を最右翼にいたしまして、それほどではないけれどもいろいろ御家庭や扶養者の事情、からだの事情等でホームに入れたほうがよろしい方々を対象とする養護老人ホーム、それから若干の、これやはり社会福祉ではございますが、ごく軽費――安いお金を取って入れる軽費老人ホーム、それから有料老人ホームと、大ざっぱにいたしますと、この四つがございます。これら、私どもは約十八万人ぐらいを収容できれば一応満足すべき状態であると考えますけれども、昭和四十五年の三月末では、この四つを合わせまして七万三千人ぐらいの収容人数でございます。もっとも、昭和四十五年の予算をいただきましたので、それでこの三月までにでき上がるものが約九千ぐらいございまして、八万二千にふえます。やはりあと十万ぐらい残ります。この十万ぐらいを五年間ぐらいには緊急整備をしてまいりたい。しかし、もちろん社会福祉の対象になりますものは老人ホームだけではございません。重症心身障害児もあれば、ことに大きいものといたしましては保育所等もございますので、それらも含めまして相当の施設を整備をいたしたり、ことにまた、わが国の社会保障がおくれておりましたために古い木造建てのものもございますので、こういう老朽施設の改造等もございますので、老人ホーム――よけいなことを申しませんが、老人ホームだけでなしにほかのものとも合わせますが、老人ホームを最優先の一つとして、いま申しますような数字を整備をいたしてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 いま厚生大臣は非常な構想をおっしゃいましたが、社会保障制度審議会からも緊急整備の答申が出ているようですけれども、その計画ございますか。ございましたらそれを御発表願いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) いまここに持ちませんが、社会保障制度審議会でございましたか、あるいは中央社会福祉審議会のほうであったかもしれませんが、それは予算委員会の間にできるだけ早く配付を申し上げるようにいたしたいと思います。
○小柳勇君 中央社会福祉審議会です。十一月二十五日に答申がありました「社会福祉施設の緊急整備について」、これにございますけれども、この計画はいつできましょうか。
○国務大臣(内田常雄君) その審議会に実は私も出席をいたしまして御答申をいただきました。たしか昨年の十一月ころです。御答申をいただきましたが、その全部ができることにはならないかもしれませんが、私は先ほども触れましたように、これらの社会福祉施設につきましては五ヵ年計画を立ててまいりたいと考えますので、六、七、八、九、十、昭和五十年ぐらいを目標におおむねその御勧告をいただきましたような線が、できる限り多いパーセンテージで達成されるような努力をいたしたいと思います。
○小柳勇君 この中で、「現在の施設整備のための資金については、補助金、融資資金等の財源が少ないこと、補助や融資の基礎となる基準単価、基準面積等が窮屈であること、設置者の自己負担が多額にのぼること、さらに、民間社会福祉事業における寄附金の調達が困難であることなどの問題がある。」と書いてあります。建設大臣にお聞きいたしますけれども、これは建築基準の単価というのが非常に影響しておりますけれども、基準単価というのがいま一番地方などで困っておるわけですけれども、この点についての見解を聞きたいと思うのです。
○国務大臣(根本龍太郎君) 正確な数字は私存じておりませんので事務当局から説明いたさせますが、大体大蔵省と予算折衝の際にどの程度の基準で予算を組むかということが基準になるわけでございます。これはもちろん地方によっても違います。大都会とそれからそうでないところとの違いもございますが、若干実情から見れば少し低目だという声が実は地方自治体の方面からもあることは事実でございます。具体的な数字については事務当局から御説明いたさせます。
○政府委員(多治見高雄君) お答えいたします。住宅の建築単価につきましては、従来、単価は非常に低いということでいろいろ御議論いただいておることでございますが、ここ数年、われわれといたしましてもその単価を時価に合わせるように努力いたしまして、来年度につきましては、いろいろ種類によりまして単価がございますが、平均的な中層耐火で申し上げますと、一戸当たり百四十二万ということで、大体時価に合った単価に予算を計上できたというふうに考えております。
○小柳勇君 一戸当たりの単価よりは、私の言っておるのは、平米当たりの単価が、たとえば厚生省に老人ホームを建てることを申請するとします。そうしますと、いま坪当たり十二万そこそこです、基準単価がですね。それではできないわけですよ。鉄筋コンクリートを建てますと、もう十八万から二十万かかりましょう。その基準単価、国が認めておる基準単価というものが、建設省の単価というものが、各省とも一つの基準になりますね。したがって、その十二万と二十万との差八万というのはその建設する人が調達しなければならぬ。そういうものをこれに書いてあるわけですね。そういうものを、具体的にさっきの介護員や奉仕員の話と一緒ですよ。予算ではついておりますけれども、名目は、それはもう政府はつけておるじゃないかとおっしゃいますけれども、実際仕事をやる者はそれではできぬのですね。だから地方ではそれに上積みする。あるいは個人が上積みをする。そういう制度がある限り、幾らきれいなことを言いましても、政策を実現はできぬのではないか。予算が三分の二だけしかないならば、その三分の二の予算は、言うならばむだではないか。そういうもののために、せっかくやろうとしている篤志家もそれが実現できぬのではないかということを憂えるわけですね。したがって、その際の基準単価と実際の実行単価、これはもう建築業界に聞けばわかるのですから、そういうものをもう少しマッチするような方向の努力が必要であると思うが、厚生大臣から具体的に説明を聞きましょう。
○国務大臣(内田常雄君) 私もそのほうのことはわからないのでございますけれども、しかし、いまおっしゃるとおり、基準単価がこうなっているんだということになりますと、私のほうだけ特別の単価で補助金を、補助予算を組んでくれと、こう言うわけにはまいりません。しかし、このごろ私どもが聞きますところによりますと、かなり、つまり地方自治体の超過負担あるいは民間法人等の超過負担をなくす方向でそれらの単価をつくってくださっていることは、だいぶこのごろ大蔵省もわかってきてくれたなと、こういうような気もいたしております。
○小柳勇君 この問題は具体的な問題ですから、もう少し大蔵大臣、何か意見ありますか。意見があったら見解を聞いておきましょう。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題はいわゆる超過負担と言われておる問題ですね、それの一種類かと思います。超過負担があってはならないと、こういうことでその解消に努力をしてきておるわけでありまして、老人ホームの場合にそういう現象があるのかどうか私もよくつまびらかには承知しませんけれども、もしそういう事態がありますれば、その解消に努力したいと存じます。
○小柳勇君 わかりました。解消に努力していただきます。 それから、これにも書いてありますけれども、篤志家に依存しているのが現状ですね。これが発足が養老院、あるいは救貧院からの出発でありますけれども、いまでも、「ホーム」と名前は変わりました。老人福祉法ができまして養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームと、ホームと名前は変わりましたけれども、やっぱり養老院的意識というものがあります。しかも、それは篤志家に依存しておる。篤志家に依存する施設というものを解消していかなければ、真に国が責任を持った労働問題解決とはならぬのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。これは厚生大臣に聞きましょう。
○国務大臣(内田常雄君) 今日の状況を見ますると、小柳先生がおっしゃるほどでもございませんで、公共団体立のものがかなり多くなってまいっております。六割かあるいはそれ以上かと思います。あと社会福祉法人立が大部分でございます。これらは社会福祉法人がつくります際にも国が、先ほどの超過負担のことは別にいたしますが、とにかく二分の一国が補助し、残りの二分の一の半分を地方公共団体が補助する。つまり全体で四分の三を公費で補助するということでございますので、社会福祉法人ではございますけれども、実態は四分三だけは公立と同じような性格にもなると考えますし、また、これは必ずしも公立が全部いいというものではなしに、民間篤志家、宗教家等等いろいろございますので、いろいろなものがあって長短相補足していくのもいいと考えられる節もございます。
○小柳勇君 諸外国――北欧諸国などでもやはり篤志家にたよっておる面もたくさんございます。かえって役所よりもそのほうがいいという面もありますけれども、さっき総理も言われましたように、あるいは施政方針演説にもちゃんと総理が言っておられます。人間尊重ということを言っておられますが、その意味から申しますと、国が篤志家におそらく九〇%ぐらいまかしておるわけですよ。そういうのでなくて、国がもっと積極的にみずから考える。ところが、ただ、国がやりますと、やはり恩恵的な、めんどうを見てやりますという思想になる。このことを、これは福岡県の筑紫郡の悠生園の園長が「新老人福祉論」に書いておられます。「ヒューマニズムに反するものの一つに役所ことばがある。ホームの老人を収容者という。老人をあずからせることを措置という。何と冷たい言葉だろうか。ホームと名をかえても施設と呼ぶ。」、養老院的なものを施設に収容する。そしてそこに指導員がおる。指導員は一体何を指導するのだろうか。老人の倫理は老人みずから確立すべきだとここに書いてあります。そういうような思想がいまなおこのホームを支配しておる。そうすると、やはり施設長などという人が、その収容者という観念でこれは指導するんだとか、おれたちはめんどうを見てやるんだ、国の金がうんと来ておるではないか、お前たちは黙っておれと、こういうものではほんとうに老人ホームに収容してもその人はしあわせではない。卑屈になって、ただ卑屈に来訪者を見ておるのだということがここに書いてありますが、そういうものであってはならぬというのがいま諸外国の方向ですね。 それで、このホームで、もう一つは、いま北欧諸国でも老人だけ、老人ホームだけ幾らよくやってもちっともしあわせにならぬ。そこの周囲にたとえばユースホステルとかあるいは保育園とか、あるいは遊園地とか、一つの老人のニュータウンをつくって、その中で老人中心になるところの村、地域、生活、そういうものがこれからの老人福祉の対策であろうといわれております。まあ、厚生省も大体その方向のように聞きましたけれども、その点について厚生大臣の見解を聞いておきたい。
○国務大臣(内田常雄君) それは外国に二、三の例があるようでございます。老人村といいましょうか、老人タウンといいましょうか、たいへんうらやましい話であると私は思います。ことにデンマークのコペンハーゲンに私どもが手本にしたいようなものがあるそうでございます。アメリカの各州にもあるそうでございますが、これはデンマーク風のものと違いまして、あまり手本にもならないと思います。一ぺん私もデンマークに出かけてみて、そしてそういうものを手本にして、そして今後老人問題が大きな課題になりますので、年寄りだけを集めるのではなしに、そこに病院もあれば、いろいろな身体障害者もすぐそばにおって、年寄りたちがめんどうを見てやるとかいうようなことも、そういう構想もあってしかるべきであると思うことはお説のとおりでございます。
○小柳勇君 次に、老人問題で一番生活の中心であります年金問題について質問いたしますが、現在の年金の平均額、これは六十五歳以上の方はほとんど年金で生活をしておりますが、年金の平均額は一体幾らぐらいですか。厚生大臣でもいいし、事務当局でもいいのですが。
○国務大臣(内田常雄君) 厚生省がよく発表いたします数字によりますと、二万円とか、二万四千円とかいうことを申します。しかし、これは二十年とか二十四年間勤続をした人についてこうなるということであると私は了解しております。現在、日本では、年金制度がつくられましてからまだ日が浅いものでございますので、実際に厚生年金などを受けられておられる方も、二万何千円というような方は少ないのではないかと思いますが、先ほど来の御議論しておるような状態で、老齢者が多くなり、また、定年並びに定年後の退職者もふえますので、私はもうすぐ、いま言っておりますような二万円ないし二万四千円の厚生年金、あるいは拠出制の国民年金というものが実現することと考えております。
○小柳勇君 事務当局で何か説明があれば、説明してもらいましょうか。
○政府委員(八木哲夫君) 厚生年金の年金額でございますけれども、期間の長い人と短い人がございますが、標準的な二十年以上拠出しましたものの平均年金額につきましては、一番新しい数字で、昨年の九月の裁定分で一万八千三百七十六円というような数字になっております。
○小柳勇君 ほかのをちょっと……。
○政府委員(八木哲夫君) 他の制度の関係でございますけれども、厚生省の所管ではございませんけれども、手元にございますので、四十五年三月末現在でまいりますと、船員保険につきまして二十一万三千円、年間でございます。それから国家公務員共済組合につきまして三十万四千円、それから地方公務員等共済組合につきましては三十五万一千円、公企体につきまして三十三万一千円、私立学枝職員共済組合につきまして二十万四千円、農林団体職員共済組合につきまして十八万四千円というような数字でございます。
○小柳勇君 ちょっと年金問題に入りましたけれども、厚生大臣にですね、さっき申し上げましたホームの法律改正、昭和三十八年に老人福祉法ができまして、養老院がホームになりました、これはいいんですが、いま申し上げましたような施設収容とかあるいは指導とか、そういうものを何か御検討していただく気持ちはございますか。
○国務大臣(内田常雄君) 私も一年前に厚生省に入りまして、そういう呼び方をするものだということで今日までまいりましたが、小柳さんのお話を聞いてみますると全くもっともでありますので、そういう措置費であるとかというようなことばは必ずしも適当でないので、同じ金を出してめんどうみるなら、もっとあたたかいことばに変えたほうがいいと思います。
○小柳勇君 それでは、年金の話ですけれども、いま言われたように、月平均一万八千ぐらいから二万七千ぐらいです。最高が地方公務員共済の二万七千円、月にですね。大体こういう年金で暮らしておられるわけですが、これのスライドアップが再々問題になります。総理府総務長官に聞きますが、公的年金制度の調整に関する申し入れがありますね。その公的年金のいろいろな調整についてはどのように進捗しておりますか。
○国務大臣(山中貞則君) 公的年金制度調整連絡会議において審議をいたしておるところでありますが、これは理論的には非常に簡単なことでありますけれども、わが国において国民年金制度を創設いたしますときから、もっと長期的な展望の、貨幣価値の変動等も含めた議論があったところでございます。今日では、公務員給与やあるいは物価の変動等にスライドさせろという非常に短かな、短距離な議論というものが中心になっておるわけでございますが、それらについては、その波及するところの範囲その他も非常に大でございまするし、スライド制のあり方というものについては真剣な検討をいたしておりますが、いま直ちにスライド制をすべての公的年金に適用するというところまで結論を出していない次第でございます。
○小柳勇君 昭和四十二年の六月二十一日に、社会保障制度審議会の会長から総理大臣に申し入れがいっております。それに、年金、恩給の調整を早急にやってもらいたい、しかもそれは一両年中に結論を出してもらいたいと書いてあります。それを受けて、総理府に連絡会議というのができております。その議長は内閣総理大臣官房審議室長です。それで、その恩給の目的とか、年金の目的とか、あるいは総合調整をやるように、しかも一両年中に結論を出せと、昭和四十二年にこの申し入れがあるのですが、これの経過を説明してもらいたいと思うのです、申し入れに対する経過。
○国務大臣(内田常雄君) 私どももその大株主――国民年金、厚生年金を抱いておりますので大株主であるわけでありますので、このことについては熱心でございます。が、御承知のように七つか八つ年金制度が、各種の共済組合を含めましてあるものでございますので、しかもこれらの年金が、それぞれ発生といいますか創設の目的、あるいは経緯等がございまして、必ずしも一体的な総合化ができない仕組みもございます。たとえば、ほんとうの意味の社会福祉、社会保障制度としてやっているものと、あるいは企業の雇用政策的なもの、あるいは恩給のように、あるいはことに扶助料のように、過去の、昔の歴史の時代における貢献に対する報償として出されているものなどがございまして、正直に申してなかなか一体化できないということで苦しんでおりますが、少なくとも通算年金制度、一つの、たとえば厚生年金から国民年金に移った場合に通算するとか、あるいは遺族年金、障害年金などにつきましては、最低補償額というものを足並みをそろえてきめていくというようなことにつきましては、でき上がったものもございます。自余の問題につきましては、これは医療保険の抜本改正と同じような面もあると思いますので、私は、やや長い目から見ながら、これらにつきまして何か総合化、あるいは一体化までできなくても統一運営ができるようにいたす努力を続けてまいることに総理府に協力をいたしたいと思います。
○小柳勇君 いま質問しているのは、厚生大臣の答弁を求めたのじゃないのでして、総理府の総務長官に。これは総理大臣に申し入れがありまして、総理府にこの連絡会議ができておるわけでして、その主宰は総理府が主宰すると書いてあるから、その会議の経過を聞いたわけです。これは質問通告しているんですけれども、そう聞いておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) どういうふうになっているかということだろうと思いますから、私が報告を受けておることをお答え申し上げます。 これはなかなかむずかしい実は問題なんです。どこがむずかしいかといいますと、スライド制をとりますと、それだけの各組合において支出の増加があるわけであります。その財源を一体どうするのか。毎年毎年上がっていきます。その上がっていく財源をだれがどういうふうに負担をするか。この点が非常にむずかしい問題でありますので、ずいぶん会合を重ねておるようでありまするけれども結論を得ない、こういうことなんでありまして、なお検討は引き続いていたすことになっております。そこで、いまお尋ねに対する答弁は終わるわけでございますが……。
○小柳勇君 答弁になりませんよ。
○国務大臣(福田赳夫君) そこで、スライド制という問題に関連しまして、私どももスライド制が叫ばれる趣旨はよくわかります。そこで問題は、給付の実質的な価値が、経済変動がありましても維持される、そこにスライド制の叫ばれる最終の目標があるだろうと思います。その点につきましは十分な配慮をしなければならぬ、そのためには財源の問題を考えなきゃならぬわけでございますが、そういう対策を毎年毎年機械的にとっていくというんでなくて、まあ二、三年とか何とかという間をおくことになるかもしれません、その間の経済変動に応じ、財源対策等も十分踏んまえまして、とにかく経済変動に伴うところの給付の価値の下落に対しましては、その実質的な価値はこれはどこまでも維持するという方針で、いま対策を進めておる、かように御承知を願います。
○小柳勇君 いまのは私の質問の答弁にはなりませんが、大蔵大臣の意見はあとで聞くつもりだったのをいまおっしゃったから、総理府総務長官に再度質問しますが、もう昭和四十二年ですから四年前ですよ、総理大臣に申し入れがあっている、しかもそれが一年以内に結論を得ることを目途とするとちゃんと連絡協議会の発足のときに確認しているんです。その中に、恩給の目的は何か、年金の目的は何か、そのことまで検討しようと、ちゃんと協議事項をきめておるわけですよ。その経過を聞いておるわけです。その経過がなければ、内閣だって、総理大臣だって答弁できないでしょう。したがって、その会議は各省から関係者が出ておりますから、大蔵省はいまそういうふうな返事を受けたとおっしゃるけれども、おそらく大蔵大臣は、あれは自分の見解だと思う。そんな報告をしているはずはないですよ。そんな報告ではまとまるはずはないですよ。何か書類が回ったようでありますが、総務長官から答弁願います。責任問題ですよ、それは。
○国務大臣(山中貞則君) これは私の責任問題であるかどうか疑問の問題でありますけれども、しかしながら総理大臣に対して答申があったということを受けて、会議を総理府の審議室が主宰をしておるということでありまして、実質は大蔵大臣、厚生大臣がそれぞれ答弁いたしましたようなそれぞれの立場のものを調整する立場にあるわけでございます。今日までの経過では、回数その他を正確に覚えておりませんが、審議室において主宰した会議を幾たびか持ちまして、このままで議論していたんでは、大蔵大臣と厚生大臣の答弁の感触において非常に大きな違いのあることにお気づきになっておると思うんですが、このままでは議論しているだけにすぎないので、これを非常に類似性を持つ、三つのグループと記憶しておりますが、グループ別に分けて、そのグループ内で、さしあたり処理するとすればどのような処理ができるだろうかということで、班を編成してグループ作業を開始するという段階にきておるつもりでございまして、二年目には結論を出さなければならぬというつもりで努力をしておりましたけれども、その要請にいまだこたえ切っていないというのが現状でございます。
○小柳勇君 問題はたくさんありますけれども、総理大臣も聞いておいてもらいたいんですが、社会保障が日本でいま前進しないのは、社会保障制度審議会とか社会福祉協議会などから総理大臣なり各大臣に答申がありましたのをどうも尊重されない。それがいまの日本の社会保障制度が前進しない大きな原因であるという声をたくさん聞きます。逆に、今度は政府が審議会などを利用したいのは、もう出たのをそっくりそのまま法案にしてばっと出てきて、政府の責任でないかのごとく、これは審議会の答申でありますと言って隠れみのに使う。みずから財政措置なり、あるいは非常に困難と思うものは当該制度審議会などの意見を聞かないから日本の社会保障制度は前進しないなどというそしりを聞いておるわけですがね。そういうことがあってはならぬと思うんです。はっきりこれに、おおむね一年以内に結論を得ることを目途とする、として内閣の総理府が主宰をして会議を持っておる、その会議が、質問要項きのういっておるにかかわりませずここに発表できない。どうなるかということを、将来のことをそれによって私は聞きたかったわけだ。したがって、これは総理大臣に対する答申でありますから、今後もこういう答申が出ますね、そのことについては尊重して、早急にこの実現をしてもらわなきゃ困るんですけれども、総理大臣から、内閣を代表して決意を聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、日本の社会保障制度はたいへんおくれてスタートしておる。したがいまして、欧州先進国と比べてみましてずいぶん遜色がある。劣っておる。これはまあ最近のように経済が発展すれば、当然先進国並みの社会保障制度が実現するように努力しなければならないことは、これはもう理屈だけではない、当然だと思っております。まあ、私が他を顧みてよけいなことを言うようにお聞き取り願えないならばけっこうなんですが、いままではとにかく成長なくして福祉なしと、こういうふうな政策をとってまいりました。しかし、最近はその態度を改めて、福祉なくして成長なしという、ほんとうに人間の尊重に徹した政治をしよう。また、経済開発もそういう方向で進もう、こういってただいま取り組んでおる最中でございます。私はなかなか容易な問題ではない、立ちおくれておる日本の社会福祉を先進国並みにしよう、こういうんですから、ずいぶん努力を必要とし、また同時に時間のかかる問題であろうと思いますが、しかし、少なくとも政府は、ただいまこの国会でも施政方針演説で申しましたように、福祉なくして成長なしという、そういう観念に立ってこの問題と取り組んでいくつもりでございます。この上とも御鞭撻を願いたいと、かように思います。
○小柳勇君 わかりました。 そこで年金の、さっき申し上げましたように、その役所をやめるときは――恩給も年金も一緒に考えますよ――やめるときには、将来これで夫婦で晩年を生活しようと思っているわけです。いまやめますと、たとえば役所であれば、月六万から七万の年金がもらえますから、これで生活できますが、ところが、五年たち、十年たちますと、いま言ったように、いまの平均は二万四千円ですから、そのように貨幣価値は下がってしまうわけです。そうすると生活ができないから、スライドアップの問題がありますね。ところが、スライドアップの問題は、政府は再三勧告されたにもかかわらずそれができない、しかもこの間の恩給の改正では、ベースアップ、物価上昇の六割しかとっていないんですよ。物価上昇及び公務員給与の上昇に対して六割しか初めからみていない、年々ですよこれは。 そこで、たとえば七十歳のおじいさんが、昔からずっとスライドアップするならば、いま当然六万から七万もらう人が、現在三万くらいしかもらっていないのが現状です。なぜそのように公務員の恩給、これは年金にも波及しますけれども、恩給を物価や公務員給与のベースアップと同じようにスライドアップを考えないか。この前われわれのつくりました法律は、物価の上昇、公務員給与の上昇に見合うと書いてある、これに見合うと書いてある。それを初めから六〇%に是正するのはなぜですか。これは総務長官に聞きたい。
○国務大臣(山中貞則君) これは物価、公務員給与の上昇の実績に対してスライドする、スライドということばを使ってありませんが、それに対応して逐年改定するというルールを立てておるわけであります。したがって、それが満額でないのはどうしてかという疑問は当然受給権者のほうにあると思います。しかしながら、現実に公務員として現在の日々の仕事が国民のための奉仕者としての義務を持ち、それだけの責任を負わされたそれぞれの職階の人々の、仕事をしておる人々の給料に、それを、かつては功労者であり、貢献した人生を送った人であっても、現在は実務を担当していないという人のを、全く同じ一〇〇%これをスライドアップをしていくということは非常に議論があろうかと存じます。ただ、それの減額のしかたについて、何%が適正かについては、なおこれから議論をして必要な数値というものは改める必要があれば改めるべき点にやぶさかではありませんが、議論の存するところであることは認めたいと思います。
○小柳勇君 総務長官、恩給とは一体何かということを定義してください。それから厚生大臣、年金とは一体何か、定義してください。
○国務大臣(山中貞則君) 恩給とは、恩給法に書いてございますように、結局、その人が職を公のために奉じて、そうして生涯の仕事としてそれを貫き通して、定められた年限を終えて退職をした場合、そういう場合における恩給を受ける権利をその人は持っておる。国は、それに対して正当な計算された金額を支払う義務を負っているというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(内田常雄君) 私は、年金というのは恩給とやや趣を異にいたしまして、老齢者に対する生活の保障である。長年その人として社会に貢献してきた人々の生活の保障を、そのとき働ける人々がめんどうを見てやるという、そういう社会保障の仕組みであると考えて、恩給のように過去の功績に対する報償とは時代的に意味が違ってきておる、こういうように考えます。
○小柳勇君 そこで、総務長官は正当なと言った。正当な評価をして正当な――それから厚生大臣は生活保障とおっしゃいました。そのとおりだろうと思うんですよ。その公務員も、あるいは年金受給者も、それで生活しなきゃならぬのですね。これは最低の保障だと思う。ところが、現在まだ月に九千円ぐらいの方もいる。生活保護基準よりも低い年金受給者がたくさんいます。それならば、生活保護のいまの日本の水準を最低生活の保障とするならば、その生活保護水準以下の年金及び恩給受給者は全部その線まで引き上げることをお約束できますか、総務長官と厚生大臣。
○国務大臣(山中貞則君) 先生から資料をいただきまして検討してみたんですが、個人の名前と、たとえば国鉄OBの勤続年数三十六年とかということだけしかわかりませんので、恩給の受給権者としての勤務年限が何年であったのか、そういうような点等がよくわからなかったわけでございます。大体非常に低い恩給受給者の方々の実態は、勤続年数が非常に短かったということにおおむねの原因があるように思いますけれども、これは一人一人のケースについて違うわけでございますが、全般的には現在の新しい社会の概念から発生した社会保障の給付基準よりも低い基準を、先ほど申し上げましたような恩給に対する考え方から発生した受給金額というものを当然受ける権利を持っている人々の支給される金額が低いということについては、問題があるという点を私も認めざるを得ないと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 年金の水準が幾らであるべきかということは、正直のところ、いろいろ議論がございます。それのみによって老齢者の生活を維持するに足りる水準であるべきか、あるいは他の扶養形態でありますとか、あるいは労働省がせっかく今日始めておりますような勤労者の財産形成制度とかいうようなことにもからむ問題だと思いますが、その時代における社会の理念あるいは経済構造等によってきまるべきものであると考えます。しかし、私はスライド制とか、ことに私どもが採用いたしております財政再計算期における再計算というようなものを通じまして、でき得る限り時代的意味を持つような年金でなければならないと考えます。
○小柳勇君 大蔵大臣に、これは両方から結局はおたくにきますから聞くんですが、一つは年金の最低の引き上げ、いま申し上げました線ですね。それと老齢福祉年金との併給ですね。たとえば公的年金が九万円年間ありますと、年間一万二千円の公的福祉年金が併給できないんですよ、法律上。それはしかしわずかの年金しか取っていないから支給するのがほんとうだと思うんです。したがって、この老齢福祉年金の併給制限の問題と、いまおっしゃった最低生活保障するまでに各年金恩給とも上げるのが至当であるという二つの点について大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思う。
○国務大臣(福田赳夫君) 各年金の最低限の問題は、これはなかなか統一は困難だと思います。つまり、これはもう各年金にそれぞれのいきさつ、それができたいきさつもあります。それから仕組みの問題もあります。また特に仕組みの中で掛け金というか、負担金ですね、その問題があります。そういうようなことで、統一することは私は非常にむずかしい問題じゃないかと思いますが、しかし、先ほども話がちょっと出ましたが、グループ――似通ったものがあるんです。そういうグループごとに給付水準を調整はできないものか、あるいは負担の方法について統一はできないものか。そんなところがらこの問題は手がけなければならぬ問題かと、こんな感じがいたしておるわけであります。 それからもう一つは何でしたかね。
○小柳勇君 併給。
○国務大臣(福田赳夫君) 併給問題、これはいろいろな年金によりまして、併給を可とするか、否とするか、これはいろいろであります。これはケース・バイ・ケースで検討してまいりたいと、かように存じます。
○小柳勇君 ケース・バイ・ケースとおっしゃるからケースを言っているのですよ。年金が年間に九万円か十万円しか、たとえば月に一万円しか取らない方が、その福祉年金、今度月に千三百円になりますが、それを併給を禁止されております。少なくとも年金の月に一万円ぐらいの方には併給をしていいではないかと、そのことを言っているのです。厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(内田常雄君) 理論的なことを申し上げて恐縮でございますが、福祉年金を始めましたのは、これはもちろん掛け金がありません。そこで何らかの意味において公的年金をもらっていない方に出そうということで、つまり国民皆年金制度の穴埋めのことで始めたそうでございます。したがって、他の公的年金が少しでも渡る人々には福祉年金は渡らぬということでございましたが、しかし、私は、今日的意味におきますと、それでいいとも思いませんので、たとえば生活保護などを受けられる方は、福祉年金という名前ではなしに、福祉年金は併給しないが、同額を老齢加算金として支給することにいたし、また今回国会に提案をいたしますけれども、准士官以下の戦没者の遺族が受ける公務扶助料につきましては、福祉年金の完全併給をやる。これはまあ扶助料というものは、年金ではなしに、一種の国家の報償的勲章的なものであるからということの意味の理屈をつけまして、そういうようなこともいたしましたので、この辺につきましては多少のアローワンスも私はあってしかるべきものだと思っております。
○小柳勇君 次は大蔵大臣に。税制上老齢者扶養控除制度を創設する考えはございませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) さような考えはただいまは持っておりません。これはなぜかと申しますと、老齢者だけ控除をするということになりますと、乳飲み子を一体どうするのだというような問題も起こってくる。そういうようなことで一般的な扶養家族控除、こういうことですべてを網羅する。税制上ではそうやりますが、税制以外の面において先ほどから御論議のあったような手厚い措置をとろう、こういう方針でございます。
○小柳勇君 またひとつ十分御検討を願います。 建設大臣には老人問題を解決するために住宅対策は一体どうあるべきか御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(根本龍太郎君) 現在、御承知のように、日本の核家族化の問題と、それから戦後のベビーブームの方々が非常にふえたということのためにむしろそれに非常に追われている現状でございます。しかしながら、特定目的をもちまして住宅政策もやっております。その一つに老人世帯向けの問題、あるいは母子家庭の問題、あるいは同和対策、あるいは引揚者等がございます。そのうち、最近御指摘のように老人家族が非常に困っておる。そういう関係から漸次これは充実してまいりたいと思っております。これは公団のみならず、住宅供給公社のほうについても漸次日本の老人家族がふえるという現状に応じてこれの施策を充実してまいりたいと考えておる次第でございます。
○小柳勇君 住宅問題も具体的にいろいろ聞きたいのですが、時間がございません。 次は就労対策ですけれども、問題は、いま六十四歳から十五歳までを労働人口、六十五歳以上は社会保障ということに分けてるんです。私どもはいま寿命が延びまして、みな元気ですから、六十四歳以下労働人口などという考えを捨てて、全部がとにかく死ぬまでは労働人口であるということで、高年齢者の就労対策を考えるべきだと思うが、いかがでしょう。労働大臣と厚生大臣から意見を聞きたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) そのお説は佐藤内閣総理大臣と全く同じお説のようでございまして、国際的に生産年齢人口というのは十五歳から六十四歳までをいいます。御自分が生産年齢人口に入らないということで、たいへん御不満でございましたが、それは小柳さんのおっしゃることと同じで、私も六十三歳と何ヵ月でありますが、まだこのとおりでございますので、ひとつ国連にでも申し入れまして、国際的な統計のつくり方も変えてしかるべきだと思う一方、いろんな施策につきましても、もうそれは七十ぐらいまでは老人扱いにしないほうがいい、そういう面もたくさん私は考えるものでございます。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。 年齢がだんだんと延びてまいりました。そこで、いまや年をとった方々が進んで社会参加をしようと、働くことに生きがいがあるということで、非常にたくさん働くことを望んでおります。したがって、そういった方々に対しましては、実は人材銀行を活用したりあるいは職安のコーナーを設けまして、できるだけそういう人たちの就労のあっせん援助をしております。最近では非常にそれが効果的でございまして、これからも進んで社会参加をしようという方々に対しましては手厚い対策を講じてまいりたいと、これはもちろん厚生省とも十分打ち合わせまして、老人の方々が元気で、ますます働いてもらうということを考えているわけでございます。
○小柳勇君 これで質問を終わりますが、社会保障制度もいまから十年前に制度審議会から答申がありまして、もういまごろは西欧並みになけりゃならぬのにだんだんおくれてまいっております。特に老人問題は経済成長におくれた階層の人であります。老人問題が前向きに、しかも先進諸国におくれぬように、これから十分ひとつ政府一体となって取り組んでいただく、そういうことを希望し期待いたしまして質問を終わります。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして小柳君の質疑は終了いたしました。 ここで午後一時三十五分まで休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ―――――・――――― 午後一時四十一分開会
○委員長(古池信三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き補正予算三案の質疑を行ないます。石原慎太郎君。
○石原慎太郎君 おもに日中問題と防衛問題についてお伺いいたします。 日本のことしの政治は、どうやら中国型インフルエンザにかかっておるようでございまして、いまだに適当な免疫を持っていないんで、非常にかかり方が患者としてへただという感じがいたします。日中問題は非常に重要でございまして、過去の日本の歴史を見ましても、これが大問題になったときには、日本の政局が非常に変動し、日本の国家、民族というものが大きく運命を変えたという歴史的な事実もございます。ある人に言わせますと、日中問題は日日問題であると、実に名言であると思いますが、どうも日本の中におけるこの問題に対しての意見の対立というものが正しい形で行なわれてないといううらみがあるような気がいたします。たとえば国会議員、政治家の中でのこれについて積極的に発言する人を注意深く見ますと、御自分なり、あるいは自分の関係者が企業というものに関係している間、その企業が中共なり台湾と経済活動をしていられる。特に周四原則なるものが非常に強く打ち出されてきますと、いずれの国を相手にしておりましても、自分の態度というものをはっきりきめなくてはならない。必然、そういった企業活動の営利にのっとった発言というものが政治的な発言に持ち込まれて、発言の性格はロビースト的なものになってくる憂いがあるような気がいたします。早い話が、日産のディーラーが豊田の車を売るわけはございませんので、私はそういう点で、現在の日本の政治の中に行なわれている論争というものが、あまり高い型で評価できないような気がいたします。いずれにしても、私たちはこの問題の中で、日本の国益を守った形でこの問題を解決していかなくちゃいけないと思いますが、あしたも藤山さんあるいは覚え書き貿易の交渉の代表団が立たれるようでありますけれども、私は昨年の覚え書き貿易の交渉の結果について非常に不満であります。政治家である以前に一人の日本人として非常に不満と疑義を持たざるを得ません。たとえば中国側があの共同声明を発表するまでに、日本の代表に対してした発言というものは非常に、だれが考えても日本に対する誤解された認識というものの上に成り立っている。これに対して、これを修正するような討論というものがどのように行なわれたかということが一向に報告されてない。報告されてないならば、その討論がなかったんではないかという気さえいたします。私はこの交渉の代表団というものがどういう資格で中国に参るかということが非常にあいまいだと思いますが、いずれにしても、民間のものであるということだけで、政府がこれに一切関知しないというわけにはいかないと思いますし、今回の代表団の中国行きに際しまして、政府がもし昨年のあの交渉の結果というもの、あるいは推移というものに何らかの不満を持たれるのならば、そういったものをどういうふうに修正した形で今年度の交渉をするようにという、注文なり要請というものをされたかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 日中の関係が現在のような状態でありますときでありますから、覚え書き貿易という形で日中間の経済交流というものが維持できる、あるいはこれが広がるということは、政府としてもけっこうなことだと思っております。しかし、同時にこの日中覚え書き貿易の経過や背景というものは、もうよく御承知のとおり、政府としては関与していないわけでございますから、積極的にも消極的にも、この覚え書き貿易団に対しまして、政府として接触を事前にするということはいたしておりません。
○石原慎太郎君 いずれにいたしましても、過去の交渉の経過の中で、何かたんびに問題が起こって、たんびにそれが雲散霧消し、また新しい年度を迎えるという印象が非常に強いような気がいたします。しかし、相手はやはり国ぐるみで出てきているわけでありまして、どうも覚え書き貿易の交渉というものを唯一の水口にした日中関係の中で、相手側だけが石を積んでいるという感じが非常にいなめないような気がいたします。 いずれにしても、私感じますのに、特に日中問題について、日本側の長いレンジで見たシナリオというものが欠けているような気がしてならない。やはり非常に思いつき、衝動的ではこの問題解決しませんし、私たちの国益というものを十分にその交渉の中で、関係の中で獲得していくことはむずかしいんじゃないかという気がいたします。この国益については、私はやはり防衛と安全の問題、経済の問題、それから内政、つまり治安に関係ある内政干渉といった問題がクローズアップされてくると思いますが、まず一番目の安全と防衛の問題につきまして、たとえばこういった問題について、ソビエトの共産主義と中国の共産主義が違うというふうな、非常に情念的なアプリオリというものを持ち込まずに、やはり最初は純理論的な一つの座標軸をつくって、その上に、つくった上で不価値な感情であるとか、そういった問題を加えて一つの政治問題という造形をしていくべきだと思いますが、よく、中国の今日の軍事というものは恐るるに足らないという意見がございます。確かに運搬能力もございませんし、しかし、それなりに隣接しているパキスタンなりインドなり、あるいはネパールというものに非常に強い脅威を与えておりますし、北ベトナムに対してもはっきりとした介入をしておりますが、ここで問題なのは、さきに人工衛星を打ち上げたあのロケットの技術と相まって、中国が持っている核の能力、核戦力の潜在能力、ポテンシャルというものがだんだん顕在化してくるにつれて、私たちはこの問題をやはり日本の安全と防衛の問題にからめて考えざるを得ないと思います。たぶん御存じと思いますけれども、アメリカの上院の軍縮委員会、あるいはそういった機会の論争の中で、アリス・シェイのような中国通が、中国の核戦略というものが、その意図さえあれば、日本に対しての一つの巧妙などうかつという形で使われ得て、日本とアメリカの安全保障条約の中でアメリカが負うている義務というものをアメリカが遂行することに対して、アメリカが非常にちゅうちょせざるを得ないということを顕在化することができると言っておりますが、こういった大事な証言というものが、どうも野党側に都合のいいアメリカの委員会の証言ばかりが引用されまして、日本では論議の対象になっていないようでありますけれども、私はやはりこの問題というものを踏まえて日・中問題を考えていかなくちゃならないと思いますが、その点いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 核の問題は、核戦力の問題はだいぶ専門的になりますから、後ほど防衛庁長官からお答えいたしますが、私が立ち上がったのは、むしろ最初のお尋ねである日中間の問題について、政府の基本的態度、いままでも申し上げておるように、現在日中間交渉を持たないで今日まで経過しておりますが、この段階になって、これをこのままほうっておくわけにいかない、何らかの変化が必要だ、最も進展が必要だと、かように実は考えておる一人でございますので、そのことについて私の所見を申し上げたいと思う。またそれが一部の諸君の行き方についても、あるいはその意のとおりでないかもわかりませんが、ここらもよく御理解をいただきたいと思います。 たいへん卑近な話ですが、お隣同士の国が、これが交渉を持たない、しかも二十数年にわたって。そういうような状態で、その事実自身が、否定はできないが、交渉を持たないということ、それは不自然ではないか、かように私は思います。これはよしどんな原因があるにしろ、とにかくお互いに隣同士ならばつき合う、顔を見ればおはようございますと、必ず隣の人にでもあいさつする、そういうような関係が出てこなければならないはずです。ところが、いままでのところ、きわめて一部の諸君は中国を知り、あるいは一部の中国の諸君も日本を知っておるが、日本を正式に承認はしておらないし、また日本も中国政府、北京政府をそのまま承認というところまではいっておらない。そのためにどうも基本的な認識を欠いているものがある。その基本的な認識を欠くために相互の主張がどうも食い違っておる。相互の主張がある点で一緒にならぬ、どうも話がしにくい状況になる、こういうのがいまの現状ではないかと思っております。今日まで私どもが、たとえばいまの状態を変えるために大使級会談をする、そういう会談を持ちたい、かように申しましても、直ちにそれに対してそれじゃ会談をしようと、こういうところまでは話が進まない、こういうところにもいわゆる問題があります。それは過去のいろいろのいきさつがありますから、その現象だけとらえていいも悪いも、それは言えたことではないが、私の言うのは、ただいまはそういう状況になっておる。しかしその状態は変えていかなければならないのだ、とのことはおそらくみんな希望しておるに違いないと思います。ところで、日本の場合は日華平和条約、いわゆる台湾にある中華民国政府と交渉を持ち、そうしてさきの戦争は済んだ、かように理解しておりますが、しかしながら、まだいまなお戦争は継続中だと、こういうような意見が一部にあります。これなどもどういう考え方でそうなるのか、また国連自身で見ると、その中華民国、これは国連の常任理事国の一員でもあります。そういうことを考えると、これは国際的には国民政府というものは高く評価されておるものだと思うが、しかし、それに対してアルバニア案というような決議案も出ておる。したがって、この国際的評価がいま変わりつつある、そういうような状況も私どもは無視はできないのだと思います。ただいまのようなことをいろいろ考えてきて、それでは日本の場合は一体どうなっているのか、台湾との間の親交を続けておる、これは御承知のとおりであります。しかし、北京との間には一体どういうようなことになるのか、両国政府がお互いに政治的な折衝を持たないと言っても、貿易額は年々ふえておると、昨年などは一昨年に比べて三〇%もふえている。八億三千万ドルにものぼった。これは非常な両国間の貿易の拡大だと思います。そうして、その中の一部にいわゆる覚え書き貿易なるものがある。そういうことを考えると、これは民間のものではありますが、政府が全然タッチしないで、そんなものはどうなってもよろしいのだと、こういうようなものではない。とにかく日中間の関係の改善についていろいろのくふうをこらそうと、かように考えると、これなどはひとつの方法だと思いますから、これは何とかして覚え書き交渉、これも続けていきたい、かように思っております。しかし、しからば出かける諸君が政府と直接に交渉を持つかどうか、どうもただいままでのところ、政府といろいろ話し合うことは、北京に出かけて話を進めていく上においていいのか悪いのか、それすら判断がつかないようないまの状態であります。むしろ政府に会って行くことは、じゃまにこそなれ話をまとめるゆえんでもないと、こういうふうにすらとれる向きもあります。実はここらに非常に困った問題があるわけです。これは御承知のとおりだと思います。私は何よりも大事なことは、両国が両国の国情、また政治形態、さらにまた経済状態、そういうものを正確に正しく認識すると、これが必要だと思います。そうして正しい認識の上に立っての接触をすること、その場合にお互いに主義主張は異にしておっても、隣同士じゃないか、仲よくしようじゃないか、こういうことで、それにはお互いの立場も尊重するし、お互いに干渉しないこと、それぞれの独自の立場でそれは尊重していく、こういうことが望ましいのではないかと、かように私は思っております。しかし、ただいままでのところ、どうもこの交渉が私が考えるようには行っておりません。したがって、先ほども石原君からもお話がありますように、あるいは昨年も覚え書き交渉に出かけた古井君などずいぶん苦労して、そうして帰って来られた、こういうことです。しかし、私はずいぶん苦労はされたが、覚え書き交渉を続けて、覚え書き貿易そのものが続いたことは、何よりも一つの成果であった、かように私は評価してよろしいかと、かように実は思っております。ただ、純経済的な問題に政治的な問題が介入するという、こういうことがあるということは、これはどうも国柄とは言え、まことに残念なことのように思います。 最近は卓球選手、この選手の招聘にからんでやはり政治的な問題がからんでくる。これはどこまでもスポーツの問題だから、これはお互いにスポーツで交歓する、そういう意味の交流は望ましいことだと、かように思いますが、しかし、やはり国柄として、国のたてまえとして、なかなかそう簡単にスポーツはスポーツというようには割り切れないものがあるようです。しかし、私どものほうはスポーツはスポーツとして、また経済は経済として割り切っていくというようなたてまえでございますから、そこらの主張についても、お互いにただいまのところではずいぶん開きがある、これが一体どういうようなことでだんだん縮まっていくか、それをお互いを同じレベルに立てるようにするのがわれわれ政治家のつとめであろうと、かように思います。一言さっきのお話について、不十分だった点を補足しておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中国の現在の状態は、日本にとって軍事的に直接脅威という事実はないと私は思います。中国の核の開発はむしろ政治的効果をねらっておるものである、そのように判定いたします。中国の現在の世界政策や対日政策等を見ますと、多分に毛首席の遊撃戦術の戦略が非常に大きな要素を占めていて、ハードウエアとソフトウェアと両方ございますが、むしろソフトウェアを非常に柔軟に駆使している。したがって、日本側のやり方としても、むしろソフトウェアによる対応ということが非常に重要ではないか。核の開発につきましても、アメリカ側からいろいろな情報がございます。一九七〇年代の半ばごろには少なくともICBMが十五から多い場合には八十ぐらいまで展開される可能性があるというような情報もございます。しかし、アメリカ側の情報はいままでの経験に徴しますと、多分に先回わりをして、もしそういうものが出てきた場合にもうろたえないような心理攻勢をねらったような情報という感じが私しておりまして、はたして現実にそこまで進んでいるか、ちょっと疑問の余地があります。それで、いまお話の中にありましたアメリカのコミットにつきましては、これは信ずべきものであると思います。 それから第二に、核の開発というのは、これは非常に政治的要素が強いということをわれわれはよく認識して、現実をよくわきまえてかかる必要があると思います。脅威につきましては、直接的、軍事的脅威はない。われわれはこういう事態を前にして、われわれの防衛計画等も非常にソフトウエアを重視した心理的な国民的団結というものをよく考えた防衛戦略が出てこなければいけない、このように考える次第であります。
○石原慎太郎君 いま長官は、中国の核のポテンシャルというものがむしろソフトウエアといった形で評価されるべきであるということをおっしゃいました。そのとおりだと思いますが、しかし、日本がアメリカの核のかさの下に入っているという安保体制をとっておるわけでありますけれども、この安保体制自体にも純軍事的な意味と、もう一つやはり私たちの仮想敵といいますか、この安保を必要とせしめている国際情勢に対するソフトウェア的な効用があると思います。その効用自体が、中国の核の潜在能力というものが非常に高まってきたときに、ソフトウエアとしての効用性というものを著しく減じるおそれがあるんではないか。つまり、それをアリス・シェイは論理的に説明しているわけでありまして、私は、やはりアメリカがソビエトとパリティーな抑止力を持ち、ICBMを開発した段階の中国とやはり不完全でも、かなりはっきりした不完全な抑止力というものを互いに持ち合うときに、そういった点で日本に対する安保条約、特にアメリカの核戦略のソフトウェア的な効用というものが著しく落ちるということを、中国がその潜在能力を政治的に使うことで顕在化することができるということで、日本が非常に動揺する可能性がある。私は、それを日中問題のこれからの解決というものに大きな要素として組み入れてお考え願いたいと思います。その点についてのお考えをただしたわけであります。かつて、国会の答弁で長官は、日本の核戦略に関してはすべてアメリカまかせであるということを言われました。いまも信ずる以外にはないと言われましたが、信じなくてはならない、すべてまかせているアメリカ側の事情が相対的に変わってきた、明らかに変わってきているというこの現状、あるいは将来のよりはっきりしてくる段階においていかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 核が使われるという戦局の様相を考えますと、これは当然もう世界大戦にいく可能性が強いわけです。特に日本の周辺、日本を中心にしてそういうものが使われるという場合には世界大戦を予想せざるを得ない事態になります。そういうような大きな劇的な変化を周辺諸国がやるかというと、やる可能性はきわめて少ないと私は思うんです。そういうきわめて少ない可能性というものを前に押し出して、いたずらに民心を動かすというようなことは政治としてはとるべきことでない。われわれが考えられるポシビリティーの範囲内において安全率をとったことをやっていけばよろしい。どの国でも、たとえアメリカにせよ、ソ連にせよ一〇〇%安全という安全保障政策は今日はありません。みんな六〇%とか、六五%程度の可能性の中に安全率をとってやっておる。日本も同様であります。そういう時代であるということを国民に認識させるということが大事なんだ。また、そういう時代に対してどういう新しい処し方を日本がやっていくべきかという心がまえを国民と一緒に持つということが大事である。私はそのように思うのであります。
○石原慎太郎君 いま民心を動揺させる云々と言われましたが、これはだれがどこの大衆の民心を動揺させるのかよくわかりませんが、少なくとも日本の国民は、中国の核に関して何回も行なわれました世論調査でも、大多数が――たとえ日中の国交を回復しようという意思を持つ日本人にしてすらが、非常に恐怖を持っております。これは明らかなことであります。私が申しますのは、すでに民衆の中にそういう潜在的に恐怖感がある。どうも私の申し上げたことがよく御理解いただけないようで、ちょっと引用いたしますが、「中国はその核兵器の能力を顕示することで、直接軍事行動を起すことなく、外交的恫喝脅迫によって、米国を、極東及び東南アジアにおけるその同盟国を核によって守る力のないものとしてイメージづけ、大きな利益を希み得る。つまり、日本や台湾にとっての米国の抑止力の信頼性は稀薄となり、もし核の交戦が行なわれた際、米国の同盟国は潰滅するが、中国は米国自身の核交戦への決断があり得ぬために、生存する。結果として、米国と同盟国の安保条約は、同盟国側からの、米国の過激な行動への抑止力になり得、つまり、同盟国は中国にとっての人質となり得る、」ということが私は論理的に成り立つと思います。特にそういったものがはっきりそういう、状況を規制され得る国は日本と台湾であるということも、シェイは言っておりますが、私はつまりこういう、長官がおっしゃったソフトウエアであっても、非常に私たちの民心を動揺し得る外交というものによって、日本の政治というものを追い込んでいき得るその条件というものを中国はすでに持ちつつある、持っている。これを長官の立場から、日中関係の中でどのようにつまり評価していかなくちゃいかぬかということをただしているわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一に申し上げたいことは、中国の核開発がそのようなスピードで、そのような現実性を持って行なわれるかどうかという疑問であります。私はアメリカの情報を先ほど申し上げましたが、アメリカ側からいままできている情報はわりあいに当たらない情報が多うございました。それはあるいはアメリカが軍事予算を取るための議会向けに放送しているのではないかと、そういうような疑問を持たせる要素もございます。しかし、やはり大陸における推移、動向は、われわれは非常な関心を持って見ていかなければならぬと思いますけれども、しかしそれほど、日本人が神経衰弱になるほどおびえる必要はない。そういうものが出てくるにはいろいろな徴候もありますし、時間的余裕も十分あります。そういう過程において、われわれはわれわれ固有の対応策を考えていけばよろしい。これが第一点。 それから第二点は、力に対して力、核に対して核という対応ははたして現代的であろうかという疑問であります。世界じゅうがなるたけ核を少なくしよう、また核自体が使いものにならぬという方向に動きつつある。現代の世の中を見ますと、国際民主主義が非常に発達してきて、世論の力というものもかなり強く出てきております。ベトナム戦争その他見ればこれも明らかに出てきております。そういう国際世論の力とか国際平和機構の力というものも意外にあるということも認識して、力に対する力という政治よりも、むしろ日本のような場合には、こういう核という使えないようなものが出てきた場合においては、柔道の戦略と私はよく言うのです。力で来たときにすかして相手をころがす、向こうが力を持ったときにはこちらが引く。沖繩においては、武器を取り上げられたらから手というものを沖繩の人たち発明いたしましたが、これは一つの象徴的な意味でもありますが、日本には日本固有のそういう戦略体系が生まれる。これは十九世紀的なバランス・オブ・パワーの時代と違って、核という新しい要素が出てきた時代の戦略が生まれておるし、そういう考えに立って私たちは考えてみようと思うのであります。
○石原慎太郎君 総理にお伺いいたしますが、かつて自民党の小坂善太郎議員が中国との不戦条約というアイデアを提出されたことがございます。これが実現するためには、総理が先ほどおっしゃいました大使級の会談から、いろいろな地ならしが必要と思いますが、非常に仮定的なことでございますけれども、そういう地ならしのある程度進んだ段階でこういったものが望まれ得るならば、でき得るならば、総理はやはりこういった条約を望まれますかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 石原君、いまの状態ではちょっと、そこまで話をされるのはちょっと飛躍のようですが、しかしせっかくのお尋ねだから。まあ独ソ条約という、この武力行使をしないという条約の締結がありましたね。そのことも考えて、やっぱり平和に徹すると、そういうような意味からはかような条約ができればたいへん望ましいことではないかと思います。ただ、現在の状況のもとにおいて直ちにできるとは、かようには考えられません。そこに問題がございます。
○石原慎太郎君 私もそう思いますし、でありますから一種の仮定論として申し上げたわけでありますが、その場合にこの不戦条約がもし可能になった場合に、たとえば一昨年の十一月の日米共同声明で示されました極東の安全に対する認識、台湾の日本にとっての防衛的な評価というものは、当然変わってくると思いますが、その点いかがでございましょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 共同声明がどういうように変わるのか、私にちょっとわかりませんが、台湾海峡に問題が起きたら困るという、そういうことを言っているので、いまの条約ができたらそういうことは全然ないのだ、かように言われるのか、あるいはその問題が起きてもそれは関係なしと言われるのか、そこらのところはちょっと私にはわからないのですが。
○石原慎太郎君 総理はどのように、どちらにお考えでしょうかということを、一種の仮定論でございますけれども、お尋ねしたわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は不戦条約ができましても、昨年の段階では、あの共同声明、これは一昨年の状況ではそのままでよろしいと、かように思っております。
○石原慎太郎君 次いで、日中問題の中でわれわれ確保しなくちゃいけない国益の第二の経済問題でありますが、実は私は昨年の三月ですか、シアヌークが追放される直前にプノンペンにおりまして、そこで商業を営んでおる日本の大阪の中小企業の商人と話しました。彼は私にこう申しました。もうこれ以上毛さんと戦ってもかなわぬから自分はビルマに逃げる。実に、人民の犠牲においてズボンもはかずに水爆をつくったと同じように、中国の大衆の生活水準というものを犠牲にした形で量産される日常製品というものが東南アジアにダンピングされて出回っております。タイ国のごときは、そういった状況にかんがみて、中国との国交の回復という一つの政治的な動きもあるやに聞いておりますが、私、日本の経済がこれから先どれほど東南アジアに依存度を深めるかわかりませんが、しかし、いずれにしても、大きなマーケットであることには変わりはない。その際、外国がいろいろな形で中国に接近し、国交を回復することで経済活動をあの中で行なって、まあ私は常識的に言って中国の経済力というものはそう飛躍的に伸びるとは思いませんけれども、しかし、いずれかの将来中国が大きな産業国家として抬頭してきたときに、最もこれと熾烈な競争をし摩擦を起こさなくてはならないのは日本の経済だと思います。そういった問題についてやはり現在の政府が日中問題というものにいずれにしても前向きの姿勢を示されているわけでありまして、その意図の中にどういうふうなシナリオとしてこの問題をお考えになっているかをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としてもこの中国自身の経済の動きというものについてはできるだけ情勢の掌握と分析につとめております。非常にこれは困難な仕事でございまして、現在のところは、ただ一口に申しますと、一番最近のところでは、昨年ぐらいになりましてから全体としての生産がある程度伸びてきているようで、これは文化大革命の関係その他がやや落ち着いてきた証左ではないかというふうに考えられますが、同時に、この中国の経済と周辺のいまもおあげになりましたような東南アジアの諸国との関係がどういうふうになっていくだろうかということについても、いろいろ研究をいたしておりますけれども、その根本の情勢分析が非常にむずかしい仕事でありますから、的確に断定的に申しますことはできませんけれども、全体の経済構造が日本と違っておる関係などもございまして、ここしばらくの間、あるいはそれを数年と見るか十年と見るか、その辺のところも問題でございましょうが、東南アジア方面等において非常な争いの対象になるというふうにはいまのところは、あまりに熾烈な状況になるというふうには見ておりません。しかしこれは、これからもいろいろと情勢が変わってまいりましょうから、そういうようなところについても十分注視して研究は怠りなくやってまいりたいと思っております。
○石原慎太郎君 いずれにしましても、中国が国を開いて日本を含んで先進諸外国と交渉を持ち、経済交渉を持つことによって自分を高揚させていく、経済的に高揚させていくことは当然のことでありまして、その結果、私たちは非常に長い将来かもしれませんが、私たちの競争相手というものをつくっていくわけであります。これはなにもそれだけによって日本がマイナスになるということは言い切れないと思いますが、いずれにしてもそういう事態も想定され得るわけでありまして、そういった長いシナリオのもとに覚え書き貿易を含めてこれからの政府のイニシアチブで行なわれますいろいろな交渉あるいはその交渉の水口というものをお考え願いたいと思います。 それからイタリアなりあるいはカナダがその方式の中で言っております台湾に対するテークノートの意味について私ちょっとお伺いしたいと思うのです。私は、台湾の中国に対する代表権というものは、台湾という小さな島にあの政権が閉じこもってなお代表権を持ち得たのは、中国大陸に対する反攻のポテンシャルというものがあったがゆえに代表権を持ち得たと解釈できると思います。その点はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ常識的に申しますと、国連が成立するときの環境やそのときの背景あるいは事実というものに立脚していると思います。したがって、国連の創立のときからのそのときの国際情勢から言えば、中華民国政府が五大国の一つとして最初から国連の創設に加わわり、そうして現在に至るも常任の安保理事国であるということによっても承知をされておりますように、この国連結成のときからの状況というものが何より基本であって、そうしていまお尋ねのように、まあ中国に反攻、本土に反攻するということを前提にしてとかなんとかいうことは、いまになってからいろいろの理屈づけその他はございましょうけれども、私はこれは国連としての成立当時からの、あるいはまた有力なメンバーとしてのビヘービアということの上に立っての現在のステータスが認められているものであると、かように私は考えております。
○石原慎太郎君 まあ代表権の実質的な性格の分析についてはいろいろ考えの違いがあると思いますが、いずれにしてもそのポテンシャルというものが実際にないということが歴史的にも経験的にもほぼ実証されたわけであります。かといって私は、それに台湾が国家としての性格を失ったとは申しませんが、いずれにしても代表権というものは非常に希薄なものになった。と同時に、逆にそこには新しいユニティというものが何らかの形で生まれて、一つの国家、全く別個の国家というイメージが強まり、また実際にその内容というものを備えてきていると思います。私は、やはりこれを認めることが世界の平和のためにもよろしいし、国連の精神にものっとるものだと思いますが、いずれにしてもそういう形で台湾を、中国の代表権の問題もありますが、従来と違った一つの新しい国家、歴史的に国家の本質、イメージというものを変遷して現在に至った、何と言いましょうか、一つの新しい国家という形で考える。そういった考え方というものを、日本のイニシアチブで、つまり国連なら国連の場で主張するということが、日本にとっても大きな利益につながるのではないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど総理からも詳しく御見解が披瀝されたわけですけれども、いわば中国問題というものに対する日本政府の態度というものは、これは現実の上に立って、しかも将来長きにわたるいろいろの考え方から非常に慎重に真剣に扱わなければならない問題であって、国連における代表権の問題に対しましても、私はよく申しておりますが、重要な大切な問題として扱わなければならない。これだけはもう間違いのないことであるとは政府は考えておりますけれども、いかような態度をとるかという具体的なことについては、本会議でも申し上げておりますように、慎重に国際情勢、各国の動向、そうして日本の立場からいってどういう賢明な選択があるかということについては、なお慎重に検討すべき段階であると、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、いま新しい状況下において台湾ということを国連の場においてどう見るかという一つの御見解を表明されましたけれども、これに対して政府として、それはごもっともであるとか、それは違うとか、申し上げる私は段階にないと思います。 ただ、国連の憲章、あるいは精神、あるいは成立以来の経過から申しますと、いろいろの国がありますけれども、世界じゅうの人民と申しますか、人がいろいろの点で代表されるといいますか、そういう組織であることが理想であるということはかねがね言われておって、これが一口にユニバーサリティ、普遍性の原則と言われておると、こういうことはもう石原委員もよく御承知のとおりでありまして、私はいまの御見解はそれに通ずるものであろうかなというふうに考えるわけですが、しかし、くどいようでございますが、日本政府としてどういう見解かということをまだ申し上げる段階ではございません。
○石原慎太郎君 次に、防衛の問題、特に四次防において防衛体制というものがいかに技術的、自主的に改良されつつあるか、されなくてはならないかという問題について、少しお尋ねしたいと思います。 日本の防衛自体が非常に転換期にありまして、アメリカの世界政略、戦略の転換と相まって、たびたび総理あるいは長官が力説されておりますように、自主性というものを積極的に加味してくる時代になったと思いますが、まあ私は、自主防衛というものの中のいわゆる自主性というものは、通常兵器というものを――核の戦略というものはまあアメリカと非常に強い関係というか、ほとんど向こうにまかせっぱなしであるわけでありますけれども、これ自身も非常に問題があると思いますが、ここではそれに触れませんけれども、通常兵器による防衛の戦略、戦術というものが特定の他国の系列に組み込まれずに、そのために独自の開発によって他の一流国と装備、機能の上で肩を並べることであると思いますが、そう解釈してもよろしいでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 部分的にはそういう要素もありますけれども、それがすべてではない。国民の精神的要素もありますし、それから防衛力における運用の方法その他もございます。
○石原慎太郎君 まあ私、これからの質問のためにそういう前置きをしたわけでありますが、私非常に関心がありまして、現在の日本の自衛隊の装備というものの実質というものを調べてみましたが、これは非常に低い、気の毒なくらい低くて、これは何も政府や長官あるいは自衛隊の責任というよりも、非常に内外の情勢というものが今日の自衛隊の実力というものをその程度にとどめざるを得なかったと思いますが、いずれにしても非常にギャップがあります。たとえば私ここにジェーンという年鑑を持っておりますけれども、この年鑑にある各国の一流の兵器と同じカテゴリーの日本の兵器を比べましても、非常に著しく差があるものが多いような気がいたします。それを積極的に埋めていかなくてはならないと思いますし、その努力も十分していらっしゃると思いますが、なおその努力というものが、日本の防衛問題が置かれてるシチュエーションの中で非常に気がねをされたり、するべき努力というものがそういう一つのちゅうちょによって阻害されてるという節が非常にあるような気がするんです。 まあここで簡単に二、三の例を申し上げますが、たとえば、これは前に個人的なコメントとして長官にも申し上げましたけれども、日本と世界のトップレベルにあるイスラエルならイスラエルの迫撃砲の性能を比べましても、重量が著しく相手側が軽いのに射程距離が非常に長い、おそらく日本の一・五倍の射程距離を持ち、重さは三分の二に近い。これはまあ弾頭を少し変えることによって射程距離を延ばすことができるといっておりますが、実際に配備されている自衛隊の今日の弾頭ではこの射程距離に及ばない。これは要するに、昔の木下藤吉郎のやり試合の話ではありませんが、同じやりならやりで試合をして、相手が長い射程距離を持ち、こちらが短くしか持ってないと話にならない。もちろん迫撃砲だけの戦いということでなしに、いろいろな武器が、兵器がこれに加味されて戦争というものは想定されるでしょうけれども。あるいは機関銃の性能、あるいはサブマシンガンの性能、たとえば日本で使っている十一・四ミリ、これはアメリカの供与のサブマシンガンと、イスラエルが、これはすでに非常に高性能で、西ドイツまでがこれを採用しているイスラエル製のウジというサブマシンガンの性能と比べますと著しく劣ります。あるいは日本のライフルも、アメリカが使っているM16とははるかにその機能において違うし、機関砲はもう全く古過ぎて、しかも改良の計画はなし、向こう十年間これを使うということになっている。あるいは、銃身を変えることによってサブマシンガンとライフルの両方兼用できるアソートライフルというものは、ロシアではすでに配備しておりますし、ヨーロッパの一流国では二年以内にこれが配備されるようです。あるいはまた、敵を殺すよりも傷つけたほうが戦略、戦術的に効果があるので、こういった通常火器の小口径の弾丸が非常に小さいものにくふうされているのに、日本においてはそういう研究もいまだない。いろいろな点でおくれております。 あるいはまた大きな口径の大砲の、自分自身で走る自走性というものも、今日の世界の常識になっておりますが、残念なことに日本の自衛隊の百五ミリあるいは百五十五ミリの口径の榴弾砲は、その自走化の比率というものが実に七%あるいは四%程度のものでしかない。今日の常識では普通の大砲十門と自走砲五門で対等できるというのがほぼ常識になっているのに、こういった自走化が非常におくれておりまして、四次防の中の改良計画でももちろんこういった点があげられておりますけれども、非常にこれに費やす年月というものが多く見込まれている。その間に残念なことに、他国の、今日私たちギャップを持って先に行っている国のこういった兵器の改良も進むわけでありまして、なかなかウサギにカメが追いつけないという状況がいつまでたっても続くのじゃないかという気がいたします。 そしてまた、日本の生産者側に防衛庁のほうで競争原理というものを持ち込まれているようでありますけれども、どうもいままで日本の生産者側に完全な勤勉さといいますか、ある程度こういった兵器の開発に関してアメリカのシステムというものが幅をきかしているために、一種の怠惰さといいますか、そういった傾向があったんではないかという気がいたしますが、そういった点に対する反省と、これからの、つまり四次防の中であげられている改良というものに非常に年数がかかるという点、それがまた新しいギャップをそのままこさえていくという懸念について、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石原さんの御指摘になったような要素はかなりあります。それは認めざるを得ません。現在アメリカから貸与されているものと、国産の兵器との比率を見ますと五十、五十で、半々ずつであります。それを次の防衛計画で八対二に変えよう、そういう考えで進んでいるくらいですから、現状は迫撃砲などはほとんどまだアメリカの貸与品で、第二次世界大戦で使ったものですから、古いものが多うございます。戦車においてもM24とか、M4とか、Mという名前がつくのはほとんどアメリカが第二次大戦で使ったもので、それが日本の大部分をまだ占めてとる状態でもあります。事ほどさようにまだ古くさいものはございますが、次の防衛計画においてはそれを脱却して、できるだけ国産化していこう、そういう考えに立って兵器類の開発費も、第三次防では四百八十億円でありましたが、次の防衛計画では一挙に千七百億円に私はふやしているわけであります。そういう方向に沿って国産化を進めていこう。ただ、開発する方向を、私が力を入れておりますのは、エレクトロニクス、それからミサイル、それから航空機の国産、そういう点にかなり力を入れさせよう、それで、戦車とかその他についてはある限度、まあ日本の地形や日本の国情に合ったものができればそれでよろしいと、それでいざ量産すればいいんじゃないか、いつまでも量を多くつくっておく必要はない、そういう考えに立って、ともかくエレクトロニクスや、ミサイルや、航空機や、そういう部面でおくれているのをできるだけ取り返そう、そういう考えに立っておるのでございます。
○石原慎太郎君 まあ、兵器の改良というもの自体が非常にお金がかかるものでありましょうが、実はお金を使わなくても、防衛の効率化というものをあげる方法が幾つもあると思うのです。これはやはり日本の外交という問題がからんでくる問題ではあると思いますけれども、たとえば私たちの防衛構想というものが、仮想敵国と申しませんけれども、私たちにある害というものを持ち得る国際情勢というものを想定しているわけでありますけれども、たとえば中近東で行なわれております一種の代理戦争――ソビエトとアメリカの代理戦争というと非常に語弊があるかもしれませんが、こういった戦闘に現在の世界のトップレベルの通常兵器というものが持ち込まれて、しかもある側では、それを供与している国のアタッシェが出向いて、その操作をしている。そういう戦闘に私はなぜ日本側が、たとえばイスラエルとアラブの戦争の中に問題があるならば、アラブ側でもイスラエル側でもけっこうですが、日本の武官を送られて、こういった戦闘を通じて、今日のトップレベルの兵器の持つ機能、効用というものをチェックされないのか。モスクワにたしか日本の武官がおりますが、こんなものは年に一回、革命記念日のパレードで、中身がついているかいないか、SS9をながめて報告するだけでありまして、実際に何の情報もとれない。それならば、実際のダミーの戦争が行なわれている戦場に、それを向こうが拒否する理由はないわけでありまして、何らかの配慮によって武官を送り、実際に体験の中でそういった兵器というものの機能をチェックする試みがなされてしかるべきではないかと思いますが、この点、長官と外務大臣に、そういう意向というものにどういう差しさわりがあり得るのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は意識して差し控えておるのであります。中東戦争は民族的な因縁の深い問題でございまして、どのどちらにも自衛官、武官があらわれるということになると、国際的にもかなり影響があるわけであります。そういう点を考えまして、アラブ側にもイスラエル側にもタッチするなということで差し控えさしておるのであります。これは世界政策全般から見てもそのほうが賢明な政策であると私は思います。
○国務大臣(愛知揆一君) いわゆる、まず第一にアタッシェの問題でございますけれども、これは防衛庁、また予算上の措置その他人員の問題等いろいろございますわけでございますが、十分御相談をいたしまして、ただいま中曾根長官からお話をいたしましたことも十分考慮に入れまして、現在のような配置の状況にしております。したがいまして、現在おりませんですから、積極的にそういう任務というようなものを与えることを考えておりません。で、アラブとイスラエルの紛争については、実は双方からも平和国家としての日本に対する非常な期待があるわけでございまして、何らかその間に立って平和的な処理ということについて日本としての力を貸してもらえないかということは、双方ともかなり熱心なアプローチがあるわけでございますけれども、これはもっぱら、ことに今回は安保理事会に非常任ではございますけれども、日本が入ったことでもございますので、ただいまのところはもっぱら国連の場においてなし得る限りの努力をしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○石原慎太郎君 言ってみれば非常にきれいごとで、取れるべき取り分というものを取らずに、たとえば中東戦争に日本が平和というものを復活するための何かの形で力添えをするためにも、私は戦争というものをそういう形で内側からながめることも一つの大きな手がかりになると思うんですが、次の質問に移ります。 先ほど長官は防衛における自主性という問題の中に、もちろん精神の問題がなくてはならぬということを言われましたが、私はそのとおりだと思います。ただ、この精神あるいは防衛の意識というものが日本の中で非常につちかわれにくい。現在の自衛隊の隊員というものが、ほんとうに自分の手で国を守り、そのために生命を賭すのだという非常に強い使命感を持っているかということになりますと、私は非常に疑問だと思います。 たとえば、御存じでしょうが、東京で行なわれましたオリンピックのあのメーンポールに、日の丸を三着であげました円谷という自衛隊の選手が自殺いたしました。彼はアキレス腱をこわして、走れなくなることで非常に絶望し、自分に対するランナーとしての過重な期待というものにたえきれなくなって自殺をした。それも、将校ならば挙銃で頭を撃つか、あるいは切腹するかという形が考えられたはずですが、ベッドの中で、まあそういう言い方は非常に語弊があるかもしれませんが、女性がするように、かみそりで自分の静脈を切って静かに死んでいく。私は、ここに非常に自衛隊が今日置かれている自衛隊員の意識というものが象徴的にあらわれていると思う。彼がほんとうに自衛隊の将校として、一旦緩急のときに生命を賭して国を守るのだという使命感を強く持ってい、そういった使命感というものを彼に強く与え得る国内の情勢というものがあるならば、彼は青年将校として生存し得たはずであります。しかし、彼はそうやって自殺せざるを得なかった。私はやはりここに今日の自衛隊員がかかえている、ひそかにかかえている、深くかかえている、しかしはっきりかかえている問題が象徴的にあると思う。 この間、私の非常に親しい一人の作家が市ケ谷にああいう事件を起こして自殺をいたしました。この問題については私は多くを語りませんが、しかし、いずれにしてもこの事件が持っている政治的な色彩というものを私たちは避けて通るわけにいかない。そこで、私はちょうどあのときにたまたまその近くにおりまして、あの事件直後の市ケ谷に参りましたが、これは、ああいう事件が起こった――軍隊ということばは禁句であるようでありますけれども――自衛隊として、まことに見るに忍びないぐらい混乱し、無秩序で、だらしないものでした。木銃を立てている番兵がうろうろして、だれが通ったか通らないか、隣でバレーボールをしている隊員に報告に行く。そういう点で私非常に今日の、有事の際のわれわれが一番懸念している自衛隊の状態というものを象徴的に見たような気がいたしました。まあ長官は、あの事件に対しての反応ということを一口でおっしゃりますが、しかし実際にはさまざまな反応があったと思います。さまざまな反応があるということは実は困るのでありまして、日本の自衛隊が専守防衛というものの中でさまざまな心理的反応をするようでは、ベトナムで戦っているアメリカ軍のような態になりかねない。 特に専守防衛というそういう有事の際に、やはり精神的な強いユニティというものが隊員の中になくてはいかぬと思いますし、またそれをささえる国民の精神的な一つの土壌というものがなくてはいかぬと思いますが、ここで国民に声望ある長官にあえてお尋ねしますけれども、現行の憲法は、国民にある意味で非常に片寄った防衛観というものを与えていると、私は考えざるを得ない。今日の憲法下で、自衛隊員が有事の際に十全な使命感を持ち得るかどうか、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現憲法下における使命感と、それからどういうふうに改正されるか知りませんが、改正されたときにおける使命感と、あるいは内容が違ってくるかもしれません。しかし、与えられた環境のもとにおいて、現憲法下においてはやはり黙々として最大限の自分たちの職責を果たし得るように努力しておることは事実であります。私たちは、与えられた状況のもとにおいて最善を尽くす以外にはないのでありまして、それが憲法を守る私たちの職責でもあります。そういう意味において、いまの憲法を守り、百パーセント職責を果たすように、私たちは彼らに教えておるわけであります。
○石原慎太郎君 しかし防衛という問題の中で、現にある自衛隊というものが、実際にもあるいは精神的にもフルにその効用というものを発揮する状況というものを、私たちはこういった自衛隊というものを設ける限り、主張してつくらねばいかぬと思います。そういった問題が、現在論じられなくても、将来大きな問題になってくるのではないかと思いますので、私はあえて総理に、いままで多くの実績で日本の将来のための石を積まれてきた政治家として、現在云々ということではなしに、現在の国家の規範である憲法というものがいずれの将来においてその改正というものを考えられ得る可能性があるだろうかないだろうか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。私たちは、二十数年前にこの憲法をどういう形で採択したかという歴史的事実を、実際に同じ時代に生きてきて知っております。早い話が、最初飲みにくかったコカコーラがこのごろたいへん飲みやすくなったようなもので、しかし、気がついてみれば、これは特定の名前を言うとまずいですけれども、ある清涼飲料水にチクロが入っているならば、やはりこれは取りかえなくちゃならぬ、幾ら飲みやすくても。私は、そういう点で、今日の国家の規範というものが、たとえば過日の教科書裁判というものにあらわれてきたような、いろんな教育なり防衛なり国家の基本的な事業というものに対するものの考え方を基本的にそこなうような可能性を持っているという気がしてなりませんが、やはりこういった問題を考えていくのは総理の次の次の時代かもしれませんけれども、しかし、総理の御著書に、きょうはあしたの前日ということばがあります。やはり、きょう、国のために石を積まれてきている首相として、この問題についていかがお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が申し上げるまでもなく、憲法は国の基本法でございます。コカコーラみたいなものではない。これは表現としてもどうも適当でない点はひとつ直していただきたいと、かように思いますが、これは一政治家がとやかくする、そういう筋のものではない。ただいまの民主国家日本、これが国民が憲法をいかにするかというそういう取り組み方でなければならないと、かように思っております。これから先の問題で国民に課せられた課題だと、かように私も考えるし、おそらく国民もさように思っておるだろうと、かように思います。 党として、すでにわが自由民主党が一つの党の綱領として憲法改正という問題に取り組んでおりますが、これは、政党として、絶えず国民とともに政治をする、その形において国民の動向を十分つかまえる、十分正確につかむという、そういう態度だろうと、かように私は思いますので、ただいまそれがあるから直ちに改正するとか、こういうように考えることはないと、かように思っております。どこまでもこれは慎重に取り扱うべき問題だと、このことを申し上げておきます。
○石原慎太郎君 私が現行の憲法をあえて外国製の清涼飲料水にたとえましたのはまあ軽率かもしれませんが、しかし、そうたとえられてもしかたがないようなものだと私は思います。ものを書く人間として、私は日本語を愛しますが、どう見ても、私は、日本語として美しくないし、正しい日本語でないと思います。こういった非常にトリビアルな解釈かもしれませんが、しかし、そこに大きなものが暗示されていると思いますので、私はこの問題を自分の生涯の問題にしたいと思いますし、その点、またいろいろこれから先もつまりお力添えを願ってこの問題を老いも若きも一緒に考えていきたいと思います。 これをもって質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして石原君の質疑は終了しました。 ―――――――――――――
○委員長(古池信三君) 次に、上田哲君の質疑を行ないます。上田哲君。
○上田哲君 まず、総理にお伺いをいたします。 ある会合へ出ましたところが、ある青年から声がありまして、どうも国会の論議というのはたいへん抽象的でよくわからない。総理大臣の佐藤さんがどういうことを考えているのかということをもっとわかりやすく知りたいものだと。青年の言うのには、最近はやりの、総理御存じかどうか、フィーリングということばはもう日本語になっておりまして、そういう感じから言うといまこの社会を何色で見るかということがはやっております。まず、その点を青年の希望をかなえるために私は約束をしてまいりましたが、この社会を総理は直感で言えば何色だとお感じになりますか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは直接いまのお尋ねに答えたことにならないかわかりませんが、私ども政治家が一体何をしようとしているか。これは、申すまでもなく、しあわせをもたらしたい、人間尊重という、これはもう私の絶えず唱えておることばでございます。この一語に尽きると、かように御理解いただきたいと思います。
○上田哲君 お答えいただけないのではないかという危倶をその青年も漏らしておりましたけれども、そういう声も届くことで、あるいは打ち返されていくことで、総理の考え方というものも、つまり、いろんな問題が最近起こりますけれども、議会制民主主義というものが生活と密着してくるのじゃないか。灰色のほうに近いのでしょうか、バラ色のほうに近いのでしょうか。これは直感の問題で、若者はたいへんそういうことばを好みます。ひとつ若さを誇って佐藤総理からもう一ぺんくどいようですけれども感じを聞かしてください。
○国務大臣(佐藤榮作君) バラ色とも言えないし、灰色とも言えない、かように思います。私は、もう少し、その若い方に、フィーリングも大事だが、もっと現実に即した見方をしてほしいと、かように思います。
○上田哲君 現実ということばが出ましたけれども、まことにいまの現実はバラ色のバの字ものぞき得ないような雰囲気だと思います。 きょう、私は、問題をしぼりまして、先般発表されました防衛白書に言うわが国の進路が経済大国なのか軍事大国になるのかという問題をいろんな面からお聞きしたいと思うのですが、そういう問題に入っていくにつけても、われわれの国はおろか、全世界にたいへん灰色どころか黒い雲が立ち込めている感じがいたします。 冒頭に伺いたいのは、ラオスの問題であります。きのう衆議院でお答えがありましたが、それを追いかけてお伺いをいたします。外務大臣、きのうの総理の御答弁で、何かできることがあればアメリカ側にも伝えようという御趣旨の御発言があったようでありますけれども、いまわれわれの国からできることというのはどういうことでありましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まず、ラオスの問題については、八日でございますかラオスの政府が発表いたしましたものは御承知のとおりでございますが、三つの内容からなっておりますが、一つは、ラオスの主権、中立、不可侵性を保障しているところの諸国の軍隊がラオスを戦場としたことは遺憾であるということ、それから一つは、ラオスの中立侵犯の第一義的な責任は北越にあるということ、それから第三は、しかし、そうだからといってその他の国の軍隊がラオスに入ることを正当化するものではないと、こういうことがラオス国政府及び国民の考え方であろうと思います。そして、これは、ラオスがいわゆる東西と申しましょうか、一方では、ソ連をはじめ、北越、北ベトナム等からも承認され、国交関係を持っておりますし、一方、いわゆる西欧側からも友好関係を持っております。そして、中立の立場をとっておりますし、したがいまして、日本政府としては、こういう趣旨の状況が一日も早く回復されることが望ましい。つまり、ジュネーブ協定の線に沿うた解決が望ましい。したがいまして、日本政府といたしましては、ジュネーブ協定の共同議長国である英・ソ両国、国際監視団、それから友好国、あるいは場合によれば国連ということも入るかもしれませんけれども、時宜によってこうした趣旨を各国に働きかける、あるいは同調を求めたいと、こういう気持ちを持っておりますが、昨日もラオス政府側とも接触をいたしております。そして、ラオス政府に対しても、日本としてどうやったらいいかということに御注文があれば御遠慮なくいつでも御連絡をいただきたいということをまず第一にいたしました。
○上田哲君 いまのお話の中に、ジュネーブ会議の共同議長国の英ソの問題、それから関連諸国ということばがございましたけれども、その中には、国際監視委員会への開会要請の問題と、それからカンボジアのときと同じように、ジャカルタ会議ですね、こうした問題のイニシアをとってみようというようなことは含まれましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、特にラオスとの間におきましては、日本政府としても、ラオスの中立維持ということについては、積極的と申しますか、従来から緊密な関係を持っておりますから、ラオス政府の希望するような方向で動くのがまず第一ではなかろうかと思っております。 それからカンボジア問題のときには、日本政府ももちろん積極的でございましたが、期せずしてアジア太平洋諸国の間にきゅう然たる動きが出てまいりました。今回の場合は、多少ラオスのほうがちょっと違っているということは、むずかしさとかなんとかいう意味ではございません。すでにラオスの政治的なステータスということからはじめまして特殊な立場もございますから、いろいろのことはやりやすいという面も私は政治的にあるのではないかと思いますから、必ずしも会議の主宰あるいはそれを主唱するというところまでまいりませんでも、わりあいに合意が求めやすい点もあるのではなかろうかと思っておりますが、ただいま申しましたように、まずラオス側とも十分接触いたしておりますから、状況の推移を見守りましてとるべき措置について十分賢明な措置をとりたいと思っております。まだ具体的にどうやるかということはきめ切っておりません。
○上田哲君 イニシアをとることはないというようなニュアンスに受け取りましたけれども、イニシアをとらずとも、カンボジアのときと同じように、関係諸国間の間であのような会議が開催されることが望ましいとお考えですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、関係国の会議というものの、何と申しましょうか、構成とか招請とかいうことについても、国際的になりますと、なかなか実際上の困難さもあろうかと思いますが、そういう点も十分見据えてまいりたいと思いますが、今回の場合は、御承知のように、すでに共同議長国である一つのイギリスが、公式と申してもいいかと思いますが、公式の見解ももう出しておりますので、つまり議長国としての責任ということも加味いたしまして動きも出ておりますようですから、もうしばらく様子を見たほうがいいのではないかと思っております。
○上田哲君 カンボジアのときと比べると容易であるというおことばがあり、そして政治的ステータスというおことばがありました。しかし、カンボジアの場合と比べて、今回のラオス問題がそうした調整といいましょうか安定化への努力に容易であるゆえんのものは、政治的ステータスということよりも、カンボジアの場合と比べて明確に国際法上の中立侵犯という性格があろう。裏返して言うならば、カンボジアに比べて明らかにラオス側の中立性は高いと、こういう問題があろうかと思いますが、その御認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) いま、私、ことばの使い方にちょっと戸惑ったのですが、容易であるということをそういうふうにおとりになるとちょっと困るのでございますけれども、ちょっと違うということはおわかりいただけると思います。したがって、いまの協定侵犯というような問題でございますけれども、これはいまラオス政府の公式声明にもありますように、どっちがどうということになりますと、ラオス政府は、北のほうが第一次的責任者であると言っておりますが、それはともかく、この現状において外国軍隊の即時撤退ということがまず一番大切なことではないかと。これは、ジャカルタ会議のときも、そこに集中して日本政府としては主張をし、また、コンセンサスができたわけでございます。その経過は御承知のとおりと思います。
○上田哲君 総理、いまの外務大臣のおことばの中に、即時撤退が望ましいというおことばがありました。私は、非常にいいことであり、重要なことであると思います。総理が、必要があればアメリカにも話をしようと言われておるわけでありますが、そのことの中に、一日も早い撤退が望ましいということが含まれておりましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの外務大臣の話は、よく前後を聞いてそうして結論を出していただきたいと思います。中立侵犯は一体北からもやられているのだと、そういうことがございますから、そういうことで公平に外国の軍隊が全部撤退すると、そういうことがラオスの平和のためには絶対に必要なことではないかと、かように私は思います。ただいまの状態でそこらの点を十分見きわめる必要があるのじゃないかと、かように思っております。昨日も衆議院で話をしたことなんですが、ベトナムの問題について、ベトナムのこと、あれがもう平和をもたらされることを心から願っておりますが、ラオスの問題も同時に解決できると、こういうことでないとインドシナの真の平和はできない、招来しないと、かように私は思っておる一人でございます。したがいまして、ただいまのような点もよく考えて、そうして事態を見誤らないようにいたしたいものだと、かように思います。
○上田哲君 この問題には、ベトナム問題、インドシナ問題、そしてラオス問題という少なくとも分け方はあり得る部分があると思います。そういうことで言えば、アメリカサイドからするベトナム問題の解決の見方というもの、あるいはメリットというものと、この際、ラオス自身の安定化のレベルアップのための視点というものは違ってくると思います。少なくとも先ほどの外務大臣のお話のように、第一次的には北越に問題があると、そしてまた限定的であるということが言われているわけでありますけれども、それにもかかわらず、ラオス自身の二つの勢力の問題の解決ということからすれば、今回の進攻がマイナス作用を及ぼしたということは認めなければならない。その限りで、全インドシナに一つの安定状況をつくり出していくことのためには、やはり、撤退ということを、向こうが悪いからこちらもやるのだということでない論理で、ひとつみんなで早く引こうじゃないか、近いところには声をかけようと。そういう意味では、近いアメリカにわが大国日本の総理から声がかかるべきではないかというふうにも思うのですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ラオスの問題がこの国会で衆参両院を通じてこれだけの議論になっている、そうして、政府見解も述べられている、また、各党からの質問もこれに集中していると。これは、アメリカも、日本における論議を十分注視しておることだと思います。 私はかつてラオスを訪問したことのある人間でございますが、プーマ政権下におけるラオス、これは一見平静であり、そうして統一政権ができておるように見受けられますけれども、現実には、任命された閣僚も出ておらない、そういう政権でございますから、非常に国内の不統一さ、これが出てきておる。それが一体何から起きているのかと、こういうことをやはり考えざるを得ない。その際も、プーマ首相からも、当方ではずいぶん困った事態があるのだということで、北辺の守りとでも申しますか、それについて訴えられたことがございます。そういうことを実際に見、また、同時にいろいろな話を聞いておる者からいたしますと、真の平和はどうしたらいいのかと。これは、やはり、今日一番手っとり早い話は、ジュネーブの平和会議、この会議できめたこと、それを双方が守ること、これが最も必要なことだと思います。一見それが守られていたかのように思うが、実は守られておらなかったと、そうして今度またアメリカのしり押しと申しますか、援助のもとに南ベトナム軍が入ったことによってその事態は一そう激化したと、こういう事態は私も認めますが、そういう事柄について、やはりどこに基本的なものがあるのか、またインドシナに平和をもたらす方法はどこにあるのか、そこらを十分考えたいと、かように私は思います。アメリカ自身米兵の撤退にただいままで変更があったとは聞いておりません。おそらく撤退をするためにも、ただいまのような状態、南ベトナム軍をラオス国境に入れて、いわゆるホーチミン・ルートと申しますか、それを遮断せざるを得ないと、かように考えておるのではないだろうかと、かようにも想像するのであります。これはしかし想像でございます。想像の域でございますから、あるいはこういう席で申し上げることは不適当かと思いますが、そういう点も十分考えながら私どもが外交的処置に出ると、こういうことでなければならない、かように思っております。
○上田哲君 最後の部分にございました点を実は私も伺いたかったのですが、アメリカ側は撤退のために踏み込んだのだと、こういうことばであります。これは総理がそういう論理でお話しになっていらっしゃる。しかも、それは具体的に言えば、撤退の時期や形態は変わらないだろうという見通しの上に立っておられると思うし、私もきわめて客観的に見て、ペンタゴンなり、ホワイトハウスが二十八万五千への撤退計画というものをその方向で進めていくということを変更したというたてまえからこういう侵攻が行なわれたというふうには考えないことが常識だとは思います。しかし、いまアジアの一角にあるわれわれの国がそれにもかかわらず心配しなきゃならないことは、たとえば新聞の一口漫画にも出てくるように、不拡大不拡大といいながら拡大していったあの歴史の轍を踏むことにならないか、こういう問題があろうと思います。そういう方向で努力をしているんだということでは、歴史は必ずしもその道を歩まなかったという立場で、私は、総理がほんとうにこれが意図するものが奥にどういうものであるかは別にしても、歴史の歯車というようなものが不拡大といいながら拡大の方向へ進んでいくことの懸念はないのであろうか、それをまた総理はどのように見通しを持たれるのであろうか、ひとつ分け入ってお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 以上説明したとおりでございまして、私は、いま言われるように、われわれは過去において苦い経験があるじゃないか、そのとおりまたそのあとを踏むのじゃないかと、同じことをやるのじゃないのかと、こういう御心配ですが、これは日本の場合はこれに関係してないんですから、日本はこれに巻き込まれておらないんだと、このことだけははっきりさせておきたいし、また日本が一番心配しておるのは沖繩の返還、これは一九七二年中に実現するかどうかという問題がありますけれども、これは外務当局の話をもってすれば、ただいままでのところ順調に交渉は進んでおると、最も懸念されたB52、これは沖繩には一機もいなくなったと、これらのことを考えると、そのいわゆる過去の日本の場合の不拡大とやや今回の場合違っているのじゃないのか。そうして最も大事な点は、日本が巻き込まれるか巻き込まれないか、こういう心配ですが、その点については、日本は巻き込まれないと、その心配はございませんと、これははっきり言えることだと、かように思います。しかし、日本のことばかりは言ってはおれない。アジアの平和のためにもインドシナ半島には平和が一日も早くもたらされることを心から願うと、これが私どもの希望であり期待であると、こういう意味で、われわれの努力すべき点は努力したいと、これが先ほど来の外務大臣と同じ意見でございます。
○上田哲君 インドシナが近いわけではありませんし、おれのほうは関係がないのだと言っていれば、ある程度関係のないという状態が確かに保てないわけではない、それもあると思います。しかし、この問題が持っている不気味さというものは、ラオスという国が日本国民にとってそんなになじみのある国ではないにもかかわらず、たいへん大きなショックというようなものを与えた意味、これはやはりインドシナ全域にそういう戦火が拡大したということが決してわれわれの国と無縁ではないのではないか、この直感。 もう一つは、報道管制ですね。これは外務大臣に伺いたいのですけれども、報道管制ということが、普通の報道管制とはまた違った報道管制の報道管制というようなことが非常にきびしくしかれた。この辺のことが非常にわれわれの国の国民感情というものに危機感を与えていると思います。そのあとのほうの部分ですけれども、外務大臣、その辺の事情はどのようにお受け取りになっておられるか。昨年の十月十一日のロジャーズの覚え書きなどでも、ベトナム和平監視団への日本の参加なんということでたいへんわれわれの国は買われているわけですから、その辺は具体的な情報を幾つかお持ちだろうという期待でお伺いをするのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ率直にお答えいたしますけれども、報道管制の問題等につきまして、日本政府としては別にインフォームされておりませんで、ただ、現地に活動されておる、取材活動を活発にしておられた日本の特派員諸君などもたいへん活動に不便をされた、その状況等については情報として承知いたしておりますが、一々の作戦行動と同じように、報道管制等について日本政府としてちょっとコメントを申し上げるのもいかがと思いますので、ごかんべんいただきたいと思います。
○上田哲君 この問題最後で一つ総理に伺っておきたいと思うんですが、きのうの衆議院での御答弁の中でも、言うことがあるんならひとつやろうということが前向きに言われた。これは平和への意思だと私は受け取りたいので、いまいろいろ外務大臣を含めてお話がございましたけれども、それならば、言うことは何か、また、いつアメリカ側に言うことになるのか、その部分をひとつ前向きにお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に報道管制をするわけじゃございませんが、その辺は外交上の機密と申しますか、外交の当局にまかしていただきたい。
○上田哲君 報道管制ではないと注意深くおっしゃるのでありますから、十分に中身はあると、インドシナ平和のために具体的な何らかの腹づもりで近く手を打たれるというふうな期待を持って承っておきます。 そこで問題を本題に移すのですが、日本についてお答えはありませんでしたけれども、私どもは、非常にわれわれの国や、われわれの国を取り巻いているアジアなり地球全体の危機感というものを色黒く感じております。そういう中で、先ほど発表されました防衛白書に注意深く、われわれの国は経済大国にはなるけれども軍事大国にはならないという歴史的挑戦をするのだということが書いてあります。その辺をこれからじっくりひとつ伺いたいと思うのですが、まずその中心の問題となる四次防です。この四次防が防衛庁原案はいよいよ来月、三月には完成をすると、こういうふうに承っておりますが、その辺のスケジュールは、防衛長官いかがでありましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) お説のように、三月ごろ細部に至るまで固めまして、それから大蔵省と交渉いたしまして、夏ごろ国防会議及び内閣できめていただきたいと思っております。
○上田哲君 防衛庁案が来月できると、そうして夏ごろ政府案ができると、こういうことになります。たびたびの審議でも、百六十億ドルなりあるいは五兆二千、五兆八千、いろいろな数字で大体の概要は出ているわけでありますけれども、この数字がどういうふうな形で政府案に固まっていくだろうか、また、どういう時間的な段取りでいくだろうか、これを大蔵大臣あるいは総理から伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ相談が私のほうにはないのです。相談を受けてからスケジュールはきめます。
○上田哲君 表向きの相談はないんだろうと思うんですが……。
○国務大臣(福田赳夫君) 裏もない。
○上田哲君 裏もない、そうですが。まあ裏とか表とかいう悪い気持ちはありませんが、行政の効率的な運用ということからして、あるいは三次防が確定されていった経過なり、特に四次防が持っておる重みというようなことからすれば、これは大蔵大臣も新聞を読まれないわけではないという程度の意味で、腹づもりその他はおありになるだろうし、行政の効率的な運用ということからすれば、いま防衛庁長官の言われたような夏ごろ、私は八月というような数字だと思いますけれども、そのころまでに国防会議を通り閣議決定に至るような、そういう段取りでないと力を入れていく防衛計画が推進されないという支障が出てくると思います。そういう意味では、相談があるないは別として、当然それを受けて立たなければならない大蔵大臣として、そのスケジュール、腹づもりはいかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ責任を持ったお答えができないという意味で、いまそういうふうに申し上げたんですが、大体の動きは、いま中曾根長官が申し上げたようなふうに動いておる、こういうふうに見ております。御相談がありますれば、その線に沿いまして私も十分これに応ずるつもりでございます。
○上田哲君 私が伺いたいのは、実は四次防というもの自身の持っておる重みもそれから決定されてはきますけれども、いまの進行中である三次防が確定するときに、たいへんぎざぎざといいましょうか、早くはいきませんでした。そのことがまた無用な問題を引き起こしてもいけないだろう――ぜひ早くやってくれということを私は申し上げるのでは決してありませんが、そういう意味で、三次防のときは総理の裁断で三月二十何日ということですね。まだ財政の節目で言えば、八月がだめなら年末だとか、九月もありましょうか、年末だとか、ぎりぎりいけば三月ということもあるでしょうけれども、次期防がもうすぐその目の前まで来ておるということからすると、伺っておきたいのは、確認するようですけれども、十二月までいったり、まさかまた三月までいったりするようなことはないのでありましょうか、これは総理も含めてひとつお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは防衛庁側の要望でございますが、来年度予算、つまり四十七年から次の防衛計画がスタートするわけです。そうしますと、概算要求を大蔵省に出すのは八月の末ということになります、第一年度目が。そういうスケジュールを考えてみますと、やはり夏ごろまでにはつくる必要があると思いますので、私らのほうとしては、極力大蔵大臣に懇請しまして、各省の議をまとめて、そこへ持っていきたいと思う次第であります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど上田君からもお話がありますように、こういう防衛計画を、長期防衛計画をきめるに際しましては、国防会議にかけなければならない。ただいま要望もございますから、それが十分間に合うようなその時期に開催してそれぞれの手続をとると、こういうことであります。
○上田哲君 何か話が目の前できまったような感じがしますが、八月ごろ大体政府案がきまるのだということのようです。確かに今度の三次防の二・二倍あるいは二・三倍というべきでしょうか、大きいのが、これが目の前まで迫っていて、雪が降ったり桜が咲いたりじゃかなり混乱が出てくるはずですから、まあ士気に影響というのですか、そういうことばがまた使われるようなことになるでしょうから、私は、そういうスケジュールになるのだろうと思います。そこで、問題は三次防のときに――まあいまのところ五兆二千とか八千とかいわれておる数字は防衛庁の腹づもりなんでしょうから、表向きお聞きになってもいらっしゃらないという、新聞情報である。三次防の、結果的にはたいへんきれいな上り数字で二兆三千四百億という数字になったが、前の数字はそれの四千億円積みであった。それで、もし三次防と同じように四次防でも財政当局のほうから同じ比率で切られるとすると、一兆近い数字になりますね。五兆二千の中で一兆ということは、また二兆三千億に対する四千億とはまた違った意味を持ってくると思います。そういうことからいって、どれくらいの見当でなたをふるわれるのでありましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いま私どもが新聞を通じて見るところでは、あるいは五兆七、八千ですか、そんなふうな数字も出ておりますが、それにいたしますと、大体一八%ぐらいでこれは伸びていくんです。つまりことしの予算の伸び率の程度で伸びていくわけなんでございますが、この数字がはたして国力、国情に応じて均衡のとれた数字になってくるかどうか、またそういう財政の大ワクの見方もあります。また同時に、防衛専門当局がいろいろな角度から見て内容的にどうだろうかと、こういう問題もあると、また、さらに大きくはわが国を取り巻く客観情勢、こういう問題もある。そういうことでありまして、いま子の顔も見ないうちに、さあこの子をどういうふうに育てようという御返事もいたしかねるのでございますが、とにかく、いま上田さんもお考えのようなスケジュールで動くだろう、こういうふうに思います。正式な動きがありますれば真剣にこれが検討に財政当局としても取り組みたい、かように考えております。
○上田哲君 しつこいようでありますけれども、そうしますと、いまのお話では相当大なたがふるわれる、具体的に言えば、三次防のときに削られたような比率よりも上回る可能性もあると考えていいのでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) その辺がよくまだ申し上げられる段階にきておらないのです。どんな顔が出てくるのか、その顔をまだ見てもおらぬ、こういう状況なんでありまして、よく顔を見てから品定めをする、かように考えております。
○上田哲君 新聞で承知されている限りのことだそうですから、そういうことでありましょう。私のほうは新聞ではありませんが、大蔵大臣がある場所で講演をされました講演の速記録を持ってまいりました。ここで知る限りでありますけれども、ちょっと大臣の見解が出ております。お耳を汚しますが、時間がありませんから急いで読みます。飛ばして読みます。「ここまできますと、わが日本はわが日本の安全について、わが日本人が責任を持つという体制を整えなければならない。しかし、私はこのことは、財政的にはそうむずかしい問題じゃないと思うのであります。軍国日本といわれる色彩を特に強くした二・二六事件。あの前の三ヵ年間、昭和九年、十年、十一年――戦前の基準年次というふうにいわれておりますが、この基準年次における国家財政の規模は平均して二十二億円であります。今日の物価で換算いたしますと、一兆三千億円である。そのわずかな一兆三千億円の予算の実に四五%、約六千億円をさいて軍事費に使っておったわけであります。今日は一体どうなんだというと、予算の規模は六兆七千億円にふくれ上がっておりますけれども、わずかに七%、つまり防衛費は五千億円であります。戦前の小さな予算でも六千億円使った。それを今日この経済力、この財政力をもって、わずかに七%、五千億円の支出しかしておらないのであります。今後のことを考えますときに、わが日本の経済はますます伸びていくであろう。これに伴いまして財政もまた拡大される。この七%、そういう比率をそう大きく変えなくても、かりに国民総生産が数年後に倍になる。財政規模も倍になる。そういたしますと、五千億円の軍事費というものは、一兆円になり得るのであります。さらにそののち五年間、そういう調子で経済が続きますれば、二兆円軍事費ということになるわけです。そういうことを考えますときに、金のほうはそう心配ない。問題がありますのは国を守る気概ということであります。」、まあ抄録でありますけれども、これを見ると金のほうはもう心配ないと、大なたどころか、かなり規模は縮小せずにどかんといくというふうにしか受け取れないのでありますが、これは新聞でないのが残念ですけれども、お耳に達する限りで、こういう見解は今日も積極的にお持ちでありましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大体思想的にはさように考えております。つまり私は、いまアメリカの兵隊が日本の安全の第一線に立っている、こういうような状態は非常に異常な状態である、早くこれをなくすことが必要である、そういうふうに考えるわけです。ただ憲法というものがあります。憲法ののりを越えてはいかぬし、その精神の範囲内においてやらなければならぬ。ですから、米兵が全部帰れという、それはなかなかむずかしいんだろうと思いますが、とにかく米兵が今日持っておる規模で日本に駐在すると、力もここまでついてきたと。それなのにそういう状態であるということは、これは私は、なんとかわが国の威信のためにもそれこそ避けなけりゃならぬと、こういうふうにまあ考えておるのです。 それで、まあそういう計画を実現する力はどうだ、こういうと、財政的にはいささかも心配ない。まあ着々と、いまあなたが読んでくれたような状態で対処し得ると今日でも確信をいたしております。
○上田哲君 非常に財政的には心配ない、金のほうはだいじょうぶだ、書いてあるとおりだというお考えなんでありますが、つまり防衛庁案というものはそのとおり大体財政当局でも通るだろうということに、まあ私たちはフィーリングを得ます。総理、その辺のお心持ちはいかがでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうもただいまのフィーリングという話ですが、ただいまのところまだ話が乗らないんですから、まだ土俵にのぼらないうちからそのフィーリングを言うことはどうかと思います。ことに、最高責任者である総理がそのフィーリングを言うことは、これは力士どもが土俵に非常にのぼりやすい場合もあるだろうし、のぼりにくい場合もありましょうから、これはその辺のところもありますので、この際、私にまあフィーリングだけでもと言われても、ちょっとそれは無理な御要望のように思いますから、ちょっと答えられないです。
○上田哲君 顔見ているか見ていないかとおっしゃっても、与党と野党の間でものをかわしているわけではありません。政府部内での手続の問題でありますし、そう桜の咲いているときに雪の話をしているのじゃなくて、もう来月の話だと。しかも、この公開の、公の席の審議の中で一方の出し側の――アウトプット側の防衛庁長官がこういうスケジュールでという期待を述べられているという、こういうことであれば、私はあまり追い込むのもいけないのだろうと思い、また追い込むことにわがほうの意味もあまりありませんからこういう言い方をしたのでありますが、フィーリングで切り返されるのははなはだ残念であります。ずばりひとつ政治見識としてお伺いいたすのですが、国民注視のまとである防衛庁原案を財政的にはどのように――まあスケジュールは先ほど大体普通どおりでいくのだというお話もありましたけれども、積極的に推進をされる、そういう見通しであることでありましょうか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、金額あるいは規模じゃございませんね。私は、先ほど大蔵大臣が申しましたように、わが国は自分たちで守るというその国民の気概、これを十分持っていただきたいと。それに相応する政府は施策をすると、こういう考え方でございます。やはり国を守る気概がなくてはこれはいかぬ。また、そういうようにするためにもやっぱり十分考えをまとめていく。愛するに足る国にするという、そういうことばがはやるようですから、まあそう申していいだろうと思いますが、そういうような国にすること、これが必要だろうと思います。
○上田哲君 大体、お話を承っていれば、多少切る切らないというような部分はさまつなことでありまして、基本的には一次防以来いま策定中の四次防、倍、倍ということできているわけですし、大綱においてはそういうベクトルをたどっているということからすると、私は、段取りというものをきちんと示していただいて、具体的な議論をしたいと思ったまででありまして、底を流れているものは、四次防というものが大綱においてくずれるはずはこれはないと思います。そういう四次防の大体の構想の上で政府側の決意もひとつ裏にあるものと考えて進んでいきたいと思うので、そういう点では――まあうなずいていらっしゃるのでもう一ぺん伺いたいのですが、総理、いいわけですね。
○国務大臣(福田赳夫君) お話は、そういうようなお気持ちからお話しくださいますれば、そのように理解いたしましてお答えを申し上げます。
○上田哲君 わかりました。 で、私は、いま取り立ててここで一回も「軍国主義」ということばをまだ使ってないのです。防衛白書の中にある経済大国と軍事大国ということの区別とジャンルの中で話をしているつもりです。で、軍国主義ということばは、それをどう分析し判断するかということに、それぞれの立場はありますけれども、なんとかひとつ同じことばが使えるところで議論をしたいと思うので、軍事大国とかということでいきます、くどいようですが。ところがまあ外から軍国主義批判ということばが非常にきびしく出ている。これは総理もたびたび言われております。たとえばこの四次防というものが、そういうものを大きく刺激する役を果たしているということは、これは客観的にあるわけです。策定側の意図するところと異なるかどうかは別として、現象としてそういうことがあります。十二月一日のアメリカのNBCテレビの「ファースト・チューズデイ」、まあ第一火曜日という大へん人気番組でありますけれども、ここで日本軍国主義復活という放送がございました。長いのでやめますけれども、非常に人気のある番組であり、それがアメリカの放送である。冒頭に「作家三島由紀夫の腹切りは」というところで始まり、木川田経済同友会代表幹事のマラッカ海峡防衛論、桜田常任理事の憲法改正論、杉田元陸幕長の「自衛隊の敵は」云々というあのお話、そして羽田空港でお嬢さんが軟禁されているところ、そして三菱グループの首脳会議とF4Eファントム製造工場を見せて、最後に解説者は、「日本が資源を海外に依存している以上、軍事力増強に進まざるを得ない。日本はいまや静かに世界七位の軍事力を持つ国家となった」と、まあ荘重に結んでいるわけです。こういうふうな番組がアメリカからも出ているという感じ、これはどんなふうにお受け取りでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これも私から別に抗議する必要もないと思いますが、過去の歴史は経済大国即軍事大国、そういう表現であらわし得ると、かように思います。したがって日本がただいまのような経済大国になると、過去の歴史のあとをやっぱり継いで軍事大国になるのじゃないかと、普通に考えられるのはそうだろうと思います。しかし私は、日本の場合はりっぱな平和憲法を持っておる。そういう意味でこれは軍事大国にならないと、これが経済大国ではあるが軍事大国にならない、ここに歴史的な一つの試練があるのだと、こういうことを申してきております。経験になるのだと、こういうことを申しております。この点は私自身も国連の二十五周年創立記念式に参加いたしまして、その点を明確に説明したわけであります。ただその説明だけでは済みません。一体軍国主義とは何ぞや、これはやっぱり考えてみたいと思います。まあ別に軍国主義は張り子のトラとかいう必要はないと思いますが、私はやっぱり軍国主義は戦争を考え、戦争を用意している、そういうものだろうと、かように思います。日本にこの平和憲法のもとでそういうことがあるのか。外国から何と言われようと、われわれ日本国民は二度と軍国主義化しない日本をつくるのだと、そういう決意をはっきり示すことが必要じゃないかと思います。私ども保守党ではありますが、その気持ちであらゆる機会にわが国は軍国主義化しない、そのことを言っておるわけであります。どうか皆さん方も、党は違っておりましてもこの気持ちを十分理解していただきたいと思います。 私は、アメリカがどう言ったとか、あるいは北京政府がどう言っておる、どんな放送をしているとか、北京放送はどう言っているとか、そんなことが問題ではない。日本の歩む道、それこそが日本人自身みずからが定める、そうしていま言うように、外国に対して軍国主義化したと、かようなことを言われないようにしたい。そこで具体的な例で申せば、軍国主義という場合に、まあ先ほどの石原君からも、いろいろ兵器等が時代おくれしているじゃないか、こういうようなお話がございました。しかし、いまの核兵器がすべての問題を解決するような時期になってくると、核を持つ、持たないということは一つの大きな問題だろうと思います。また同時に徴兵制がしかれておるかおらないかという、これは一つの大きな具体的な事例だろうと思います。私は、この二つの事例から日本はいわゆる非核三原則、これを守る国だ、また徴兵制など考えておらない国だ、このことをもって、いわゆる軍国主義化した日本と言われるが、さようなものではない。そうしてどこまでも専守防衛だと、このことに徹するのだと、これをひとつ明らかにして、国民自身も大手を振ってだれが何と言おうと絶対に軍国主義化しないのだ、われわれはこの美しい国土を守るのだ、みずからの手で守るのだ、専守防衛に徹するのだ、そこに平和があるのだと、このひとつ意気込みでやってもらいたいと思います。ありがとうございました。
○上田哲君 そういうような放送をさせないようにしたいのだということでありましたし、それから軍国主義ということばについて核を持たないことと徴兵制を持たないことだと、こういう見解をはっきりお示しになったことは、ひとつ議論の手がかりになると思います。問題は決意の表明ではありませんで、具体的なことですから少し問題をかえ、しぼります。 沖繩問題がこの四次防の中で出てまいります。つまり沖繩防衛ということになるのでありましょう。そこで沖繩のことをひとつこれも少ししぼってお伺いをいたしますけれども、沖繩米軍のナイキ部隊、この編成と配置されているナイキの発射台の数、一基当たりの弾体の標準備蓄をお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖繩のナイキホークは、ナイキ一個大隊、三個中隊三十六基、ホーク一個大隊、四個中隊二十四基でございます。
○上田哲君 昨年来、前の宍戸防衛局長とアメリカ軍事顧問のカーチス中将との間でいわゆる宍戸・カーチス会談というのが続けられておりまして、今度防衛局長がおかわりになって、久保・カーチス会談というのが先月一回開かれております。この返還後の沖繩防衛の基本構想について話し合いが進められているわけでありますけれども、この中で特にナイキ部隊の自衛隊への肩がわり、これについてはどういうふうな話し合いが進んでいるか、御説明願いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本側が配置すべきナイキ、ホークはアメリカが現在配置しているよりも少ない数でよろしいと、またわれわれのほうの現有能力等からしてみましても、東京周辺の勢力と同じあるいはそれ以下でよろしい。そういう考えを持って米国と交渉しておりまして、大体その点は妥結に近いところにおります。ただいつ肩がわりするかという時期の問題がございまして、この点はまだ完全に妥結とまではまいりません。われわれのほうは、実は訓練その他のかげんもありまして、一年半から二年ぐらいかかると思っておるのですけれども、先方は一年くらいにしてくれと、そう言っておるので、その点がまだ完全に妥結はしておりません。しかしいずれ早晩妥結するだろうと思います。
○上田哲君 三十六基、向こうの数よりは少ないといわれるのですが、三十六基で何発ですか、アメリカは。で、わがほうは何発ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛局長をして答弁せしめます。
○政府委員(久保卓也君) 一個中隊の場合には九ランチャーありまして、通常の場合には二発ずつついております。ところで沖繩におきまするものについては、発数はまだわかっておりません。これは今後米側のものをおそらく購入することになると思いますけれども、全部購入するかどうか、これが今後の折衝でありまして、その折衝の過程でたまの数などは変わってまいると思います。 なお長官がただいま申されました日本よりも少なくて済むといいますのは、もとナイキ二、ホーク二あったわけであります。それを米側はおそらく核弾頭をつけている関係もあるかもしれませんけれども、ナイキ一、ホーク一にしていると、ですから核弾頭を取った場合にはもう少し数をふやしてほしいという希望が以前あったということであります。
○上田哲君 そうすると、結論でいうと七十二発ということになりますか。
○政府委員(久保卓也君) わがほうがおそらく引き継ぐ場合にはそういう発数になると思いますけれども、現在米側が持っておる数字はまだ私どもは了承しておりません。
○上田哲君 常識的にはそれよりも多いことになるのですが、事実また防衛庁長官もこちらのほうが少なくていいと、こういうことでありました。七十二というのは、こちら側の数字としては確認ができるところですが、それを将来四次防期間中に肩がわりする、まあ交渉が進んでいるわけですから、その場合に現在の米側の施設、まあランチャーとか弾薬庫、地上の誘導管制機器等、それは無償でくるのですか、買い取りになるのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それはもしわれわれが手に入れようとする場合には、有償買い取りになると思います。
○上田哲君 私の聞いておるところでは、今月中に装備関係の調査団が沖繩へ行って話をするというふうなことでありますが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(久保卓也君) 今回参りまするものは、主として施設関係のはずであります。一部装備のものが参るかもしれませんが、これはまだ買い取りその他のものにつきましては、データが米本国からまいっておりませんので、この具体的な視察ないし折衝はもう少しあとになろうかと思います。
○上田哲君 日本側の希望では一発六千五百万円程度というふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(蒲谷友芳君) 現在まだ額までの話にはいっておりません。米側が現在持っておる設備、それを買う場合に、いまの、今後の耐用年数と申しますか、現在使っておる状態でどの程度の価格のものかということについての調査をしまして、われわれが納得できる数字であればという前提がございまするが、そのために現在その状況を調査に行くという状態でございます。
○上田哲君 八千万円では高いけれども、ナイキJの問題ですね、六千五百万円なら引き合うということでいいんですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) いま先生のおっしゃるのが何かわかりませんが、たとえばナイキ、ホークによって違いますし、たまと地上器材……。
○上田哲君 ナイキの話です。
○政府委員(蒲谷友芳君) ナイキの場合も、当然地上器材とたまとを含んでのものでございますし、また、われわれとしましても、当然沖繩でもしたまを手に入れるとしますと、そのたまの改装をせねばいけませんので、そういう費用あるいは今後のオーバーホールの費用を考えまして、妥当価格を考えたいということで、具体的な数字は現在出ておりません。
○上田哲君 そこで確認しますが、この弾体を買う場合に、弾頭をはずして、誘導体、それ以下あるいはその施設を一緒に買うのか、くっ付けて買うのか、そこはどうですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) 現在その問題も検討中でございます。ナイキの場合に当然核弾頭のあるものは問題ございません、買いませんから。核弾頭のないものを買う場合でも、現在の日本にありますと同じような改装が必要であろうというふうに考えておりまして、現実にいまありますものを発射装置なりあるいはたまなりを見まして、それをどう改装するかということも検討を含んでの調査をするというところでございます。
○上田哲君 改造は、何を改造するのですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) いまのように、現在の日本国内にありますナイキも、ナイキJといいまして、核の弾頭は付けられない、核のたまは発射できないという改装をしております、ナイキJというかっこうで。同じように発射装置についても同じ改装をするでしょうし、たまにつきましても核弾頭を付けられないナイキJというたまに改装したいと考えておるわけでございます。
○上田哲君 長官に伺いたいのですけれども、政府がナイキJを導入決定した際には、ナイキの弾頭の取り付け部分というのは、アメリカのナイキハーキュリーズ、これはもう核弾頭は付いておるのは常識でありますけれども、このナイキハーキュリーズの接合金具を別にするのは非常に容易にはできないことである、そういうことでナイキJの導入決定をされたわけでありますけれども、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず買い取りの問題でございますが、沖繩関係の資産等の買い取りをするかどうかという問題は、大蔵省その他政府関係各方面の折衝を要する問題で、私がもしそういう場合に買い取るという可能性をほのめかしましたら、それは今日においては取り消しておきたいと思います。これは大蔵省その他との交渉の上できまることで、まだそういうふうにきまっていない。そういうふうに正確に申し上げたいと思います。 それから第二に、ただいまの改装の問題でございますが、これは国会や野党等の声もございまして、日本のナイキは核武装に使えない、そういうように改装したほうが適当であるということで、そのように改装いたしまして、ランチャー並びに弾頭についても日本国有の体系になっているわけであります。そういう方向に今度も改装する必要があるので、いまのような問題が出ているわけであります。
○上田哲君 長官驚くべき後退をされたんです。おかしいじゃありませんか。私は新たにとんでもないものを新たな計画で買えと言ってるんではないのです。あなたのほうがお出しになってらっしゃる四次防の計画の中に、特に先ほどの石原議員への御回答の中にも、ミサイル体系というものに重点を置くんだということを言われてる心これはもう四次防の基幹の考え方、しかもこの計画の中にはナイキを七部隊つくるということがはっきり出てる。これを買うかつくるかといって、安いほうをとるかどうするかというんでありまして、どうしたって安いほうをとるんでしょうから、買ったほうが安いということが常識になっている。その常識はこの際問わないとしても、これを買うかどうかについては大蔵大臣の許可を得なければできないということになると、伺いますが、四次防が動き出してから、そういう兵器の購入については、全部大蔵省の許可を得ないと買えないのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 四次防自体がまだきまっているわけじゃありません。各省の折衝を要する問題でございます。その上に、沖繩関係の資産の問題というのは、まだ政府全体としてきまっているわけでないわけです。それからアメリカのナイキ自体についても、はたして買ったほうがいいのか、あるいはライセンス生産でわれわれがやっているものをそのまま使ったほうがいいのか、先方との樽俎折衝の問題もございます。そういう意味で、まあ試みに話し合いをしてみるという程度の話はあると思いますが、わがほうが腹をきめていま進めてるわけではないのであります。
○上田哲君 現に調査に行くんだし、しかも、買い取り計画がここまで進んでいて、しかも七部隊が置かれることになっていて、向こうへ行く場合には精悍部隊が行くんだということまで出ているわけですから、そこのところは、私は先ほど長官が言われたことがきわめて筋だと思うんだけれども、急に、まあそういう形で後退をされる。これは百メートルも後退をされたんで、はなはだ残念ですけれども、しかし、そこのところは逃げ込まれてしまえば仕方がないが、原則として伺っておきます。四次防が策定され、四次防が政府案として決定されて、そして進行中にそのナイキを買う場合、ナイキでなくともいいです、国産するよりも、Jをつくるよりも、明らかにアメリカなり何なりの兵器を買う場合に、防衛庁は大蔵省に許可を求めなければ買えないのですか。大蔵大臣ひとつお願いします。
○国務大臣(福田赳夫君) これは、その買う年度の予算がきまらなければ、まあ買えないわけです。その予算については、当然これは、私どもは窓口ですけれども、政府全体としてきめるわけです。予算の閣議決定、これが必要なことになるわけです。
○上田哲君 四次防が、その計画をきめれば当然買えるということが中に含まれていますね。
○国務大臣(福田赳夫君) 四次防の中で、ナイキ、ホークをいつ整備すると、こういうことになりますね。そうしますと、まあその年度、その年度でそれを買うことが、一体四次防にはこうあるけれどもだ、現実の問題として適当であるかどうか、そういう問題の相談もあるわけです。ですから、四次防できまっちゃったから、もう当然義務的に買わなけりゃならぬだと、そういうことにはならないんです。
○上田哲君 そんなこと聞いておりませんよ。予定は未定であって、変更があるのはあたりまえなんだから、こういう予定だったけれども、そういかなかったということは実行できなかったということですよ。私が聞いておるのは、予定をきめておいても、買うときには一々財政当局に許可を求めなければ買えないのかということを言っているのです。
○国務大臣(福田赳夫君) この予算といたしましてそれが両省間で了承されることが必要であると、こういうことを申し上げておるわけです。
○上田哲君 この四次防の中ではナイキJの部隊を七つつくるということは基幹の構想なんです。その構想というものを含めて四次防というものの構想を政府は御決定なさるのか、そういうものは後々年次年次にあらためて検討するということで御決定なさるのか、どちらですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 五ヵ年計画で大蔵省及び関係各省が承認した場合には、原則としてそのメインのものはそのまま認めていただく、そういう慣習になっております。
○上田哲君 ナイキ七部隊をつくるということはメインでありましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たぶんメインだろうと思います。
○上田哲君 メインであればこの問題が、四次防が確定されるということが、ナイキの問題については当然防衛庁側の裁量の中にある、それが条理であるというふうに考えてよろしいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 福田さんは同郷の先輩で話のわかる人ですから、約束は守ってくれるだろうと思います。
○上田哲君 遠回りをしないとここまできませんけれども、そういうことになりましたので、そういう了解の上で防衛庁はいま着々と前から手を打って進んでおられるわけです。 そこで、もう一ぺん問題を戻しますけれども、そうすると金具を取りかえること自体が、ボルト一つだという説明があったのですけれども、ボルト一つだけれども、これは容易にはできないのだということになっていた。これが容易であると、すぐ核弾頭が取りかえられるということになっちゃうんですけれども、これは容易なのですか容易でないのですか導入のときは容易でないと言ったのですが、そこはどうなんですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) 現在のナイキJは、初めから、設計の段階から買い取りますので、その問題はございませんです。もちろん全体の計画を変えてバランスをつくっておるわけです。今度われわれで調査いたしますものがどういうものであって、それがいまおっしゃるようにどの程度の手数をかけて改造できるのか、全体のバランスがどうなって、有効性がどうかという問題についても、当然今度検討して、その改装経費なども検討した上で、われわれが納得できる価格かどうかという問題も検討しなければならぬというふうに考えておるわけであります。
○上田哲君 沖繩にあるナイキハーキュリーズはアメリカで使っておりますか。
○政府委員(蒲谷友芳君) たぶんアメリカで廃止されているものと同じものだと思います。
○上田哲君 私はいまの沖繩のナイキハーキュリーズは、アメリカ本国ではもう使っていないものだというふうに承っておりますが、それはそれとしても、いまの設計で買い取るのだということと改造するのだということはどういう関係になるのでありましょうか。買い取るということは、明らかにいま沖繩に配置されている三十六基のナイキハーキュリーズをこちらに持ってきて変えるんだということになるのがあたりまえだと思うのですが。
○政府委員(蒲谷友芳君) 全体を検討しまして、もし沖繩にありますナイキのたまの価格が、われわれが計算上これだったら話がわかるという場合には、現実の配置としましては、現在内地にありますたまを一時持っていって、それと交換しつつ改造していくのじゃないかというふうなことも書いてあるわけでありますけれども、そういうものを全体を含めまして今後検討するものであるというふうに考えております。
○上田哲君 たまのところをもう一ぺん言って下さい、たまを持っていくんですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) いま内地にあります現在使っておりますナイキハーキュリーズのたまを向こうへ持っていきまして、そのかわりに向こうにあるものを持ってきまして、こちらで改造するということになるのではないかというふうに考えます。
○上田哲君 これは非常に重要なことが出てきたと思うのです。ナイキハーキュリーズがアメリカのものは核弾頭持っているのは常識なんですが、非核弾頭ということもないわけではない。しかし非核弾頭ならば別に改造する必要はないわけです。いまのおことばの中に、たまを持っていって直すのだ、つまり核を抜くということですよ。ということは、いまアメリカのナイキハーキュリーズ、沖繩には核があるということが明らかになってきたと思います。これは防衛長官いかがですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) 一番先に申しましたように、仮定といたしまして、核弾頭のついているたまは問題なしに買いませんと、核弾頭のないたまがありました場合にそれは検討の対象にしまして調査をしますという考えでございます。
○上田哲君 じゃ何を改造するのですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) 現在内地にありますナイキのたまにつきましても核はつけないという方針を持ちながら、やはり核をつけないような改装をしておく必要があるということで、核のついてないたまでありましても、当然アメリカのたまは核もつけれる措置になっておりますので、日本に持ってまいります場合には、核をつけない改装をいたしたいということでございます。
○上田哲君 どうもよくわかりませんけれども、その改造、取りかえというものはそんなに簡単なものなんですか、簡単でないのですか。先ほどから二、三回聞いているのですが。
○政府委員(蒲谷友芳君) 先ほど申し上げましたけれども、調査しまして、その改造がたいへんなものであって、たいへんな金がかかる、あるいは全体の機能に影響があるというのであれば、当然買えません。そういう問題を検討してまいりたいということでございます。
○上田哲君 これはナイキハーキュリーズは核を持っているというのは常識なんですよ。これが全然核の持たないナイキハーキュリーズなんかを三十六基も沖繩に置いておいたってアメリカの極東戦略は成り立たぬのですわ。日本なら別ですよ、日本になったらどうするかという話は、私はまだとりあえず日本政府を信ずるところがら話をしたいと思っているんですけれども、しかし、アメリカの極東戦略という常識からすれば、ザ・キーストーン・オブ・ザ・パシフィックの沖繩に、この核を持たないナイキハーキュリーズがあるなんていうことは、これはあり得ない、それを改造すると、たいへんなことになると思うんですよ、少なくともそこのところは、これ以上幾ら言ってもぐるぐる回ってしまうかもしれないが、一体核のあるのは買わないとおっしゃるが、核のあるのは明らかなんだから、いまのお話の中で日本語で正確に言えば……。そうすると、その核のあるものを取りはずして改造して、核を抜いたと言われても、核が抜けているか抜けていないかというのは、どうやって明らかにするのですか。長官どうぞ。
○政府委員(蒲谷友芳君) その点は私も仮定の話になりますけれども、現在ナイキハーキュリーズは核と非核と両方を使えるものであるとわれわれは了解しておりますし、当然アメリカ側がもし日本に売ろうとするのであれば、われわれの方針をわかっておりますので、当然非核弾頭をつけてあると思います。それでなければ、われわれとしましても調査の対象にもならぬというふうに考えております。
○上田哲君 防衛庁長官一ぺん立ってください。そうするとそこのところが、明らかに核のあるものなら買わないのだ、改造の対象にもしないんだということですね。これが一つ、それだけまず伺いましよう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 核つきのものは買いません。
○上田哲君 核のものを買わなかった、明らかに核が入ってないのだ、これはいままでアメリカの軍事基地である場合にはどうにもならない条件がありますけれども、今度施政権がこちらに返ってくる場合は全然違うということは何べんも議論されているのです。そこで厳密に伺いたいのだが、それが核を含んでいない。そういうことをどうやって国民に証明をしてもらえるのでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 七二年に沖繩が返ってくるときには、もう全部非核になっていると私は思うんです。そういう約束ですから。それで、その中でその核装備に使えないように日本流に改装する、そういう話じゃないかと私思うのです。それは現品を見ればわかります。核つきのものか核つきでないか、どうせ行けば倉庫をあらため、弾薬庫をあらためてみんな点検するわけでしょう、それでわれわれが確かめた上で、われわれは受け取るということでございますから、一番確実な話じゃないかと思います。
○上田哲君 七二年には非核になっていると、こういうふうにおっしゃったということは、現在は非核でないものがあるということは当然お認めになっていることですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは先方のことでありますから知りません。少なくとも七二年返還のときは非核である、そう私は思っております。
○上田哲君 それはもう世界常識だと思います。ナイキハーキュリーズに核がある、これはもうあるんですから……。ないのもあると思います。しかし、いま沖繩のは核はあるだろう、ナイキハーキュリーズは核を持っているだろう、これはお認めになったと思います。もう一つ、そのときまでにはやってくれるとおっしゃるんだが、そうすると非常に重要な問題、改修費は向こう持ちですか。
○政府委員(蒲谷友芳君) いまの話二つあると思いますが、一つは長官の申し上げた七二年までに核を取るであろう、その問題についてはいまのアメリカのナイキは核と非核とを両方つけれるということなので、別に改装は要らぬと思います。ただつけかえるんだと思います。で、日本でもし買い取るとなりました場合には、それは日本で改装する、当然金がかかる、それを前提にして全体の価格を試算してみて、そろばんが合うかどうかを今後話し合うということだと思います。
○羽生三七君 一つ関連して。 アメリカのものについて、日本政府が核を取るか取らぬか、そのことのせんさくは別として、核を取った場合、返還後沖繩が完全な非核体制になった場合、その場合にアメリカの極東戦略と日本の自衛隊との関連はどうなるのか。だから核抑止力によって日本がアメリカの防衛に依存するわけですね。その場合、アメリカは撤退するけれども、日本は核を持つわけにいかないし、また持つべきではありませんから、当然持たない、これは政府を信用したいと思います。その場合に、日本は持たないのにアメリカ自身はもう持っている。沖繩におるわけにいかないんですから、完全な非核ということになるんですね、日本の領土内においては。その場合にはアメリカの極東戦略と日本の自衛隊というものはどういう関連性に立つのか、これらの基本的な問題でお話し合いをされたかどうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのときは安保条約が沖繩にも適用されますし、また日本の防衛方針というものが沖繩にも適用されます。したがって、日本の防衛方針にアメリカが調整してくる。私はあくまで日本の防衛については日本が第一位に立って、第一次的責任をしょって、主位に立った戦略ないし展開というものをやるべきである、そういうように考えております。
○上田哲君 アメリカ側が七三年六月までに移管をしてくれと、こういう要求を持っているわけですね、さっき一年ということをおっしゃった。一年と二年という話をなさった、そういうことですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの御質問の趣旨がわからないんですが、一年というのはどういうのですか。
○上田哲君 切りかえですよ、アメリカの沖繩のナイキハーキュリーズを移管する……。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先方は一年ということを言っております。われわれのほうは二年ということを言っております。それでいま樽俎折衝中と、こういうことでございます。
○上田哲君 そうしますとアメリカは一年、こっちは二年、かりにアメリカの言うとおりになったとして沖繩返還、つまり日本に施政権が返ってきた、日本の国の中にあるアメリカの軍事基地の中に、われわれの主権の及ばないものとしての核が残る、こういう事態が想定されるわけですよ。ナイキハーキュリーズがもしいまここでアメリカにとって核弾頭つきであるならば、それは一年間のタイムラグの中に問題が起きてくる。
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん七二年返還以降は核抜きになります。それで、ちょうどレーダー基地が、アメリカが日本の各所のレーダーを引き受けておりまして、日本の力の培養と同時に、順次引き継いでいった、そういう形になるのであります。
○上田哲君 私はどうもタイムに追われるのが初めてなものですから、時間の配分を少し誤っているようで非常に残念なんですけれども、この問題はもう少しお伺いをしたいと思いますから、次の委員会の機会や内閣委員会の場を、ぜひ予定をしていただきたいと思います。少なくとも私の見解としては、当然な常識から言って、国際的にナイキハーキュリーズは核弾頭がある、ないのもあるが、あるのが当然である。そうであればこれを肩がわりするということになっても、その改造の可能性の問題として保証はない、非核の保証はない。しかし、沖繩返還と一口に言っても、タイムラグがある。この間は明らかにアメリカのヘゲモニーの中での武器配備基地になるのですから、そうならば核が残るという問題は、論理的にも出てこなければならない。ここはもう少し具象的にデータをあげてお話をしたいと思いますが、ちょっとこれは先に行きます。非常な懸念を残していくということにしておきます。 それで、この膨大な四次防です。おっしゃるように、陸上は十八万体制だが、飛行機は一千機、二十四万五千トンということになっていく。十年後には三十二万トン、これがなるほど十年後には船の数がどれだけで飛行機の数がどれだけだというような、そういう計算は成り立つでしょうけれども、これは私は、いま国民が一番心配している問題、つまり自衛力、防衛力の限界はどこに置くのかということには、何も答えていることにはならないと思う。もし自衛力、防衛力が必要だという説得をされるのであるならば、何のためにどういうことが必要だということになる。これはもうずいぶんいろんな議論がありますから、侵略脅威ということばを防衛庁はお使いになる。その脅威の見積もりに対して対応するものだということですが、これは途中でそういう答弁がむだになるからすっ飛ばしてしまいますが、脅威はいまないと、結論として言えば。核戦争、大戦争というものはないだろうと。そうすると防衛力は要らないじゃないかということになってくるので、脅威というものの見積もりは予定できないと、こういうことである。そこで、予定できないプロバブルなものに対してポッシブルなものをつくろうということで、日本的な型を鋭意努力されているんだというところから話を始めましょう。そういうことでいいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体そのとおりです。ともかく顕在的には脅威はない。しかし脅威というものは意思と能力が結びついたときに起こり得る。そういう可能性は潜在的にはある。したがって潜在的なものに対していわゆる限定戦で通常兵器によるものについてはわれわれも国を守る体制だけは整えておく、そういう基本観念に立ってやるということであります。 先ほどのお話しの中で沖繩の核弾頭の話がございましたが、懸念が残るとおっしゃいましたが、懸念は残りません。七二年返還のときは核抜き仮還ということなので、たとえ米軍基地の中にあって彼らが操作する兵器の中にあっても核は抜かれる、そういう保障で七二年の返還は行なわれるのであります。
○上田哲君 さっきの話を蒸し返されると私の時間がなくなってしまうのであとに譲りますが、防衛戦略論争というのをそこのところから始めるというのは御理解になった。 そこで問題は、仮装敵はないんだと、だから何といいますか、攻めてくるものに対してではなくてこっち側の守りのしかただけなんだということになる、専守防衛というのはそういうことなんだろうと思う。問題は、ここに一ついままでの防衛論争で抜けていると思うのは、迎撃能力というのは何なんだと、これが明らかにされていません。いままでたとえば三次防にしても四次防にしても出てくる説明は、たとえばGNPから考えて、それを下敷きにして何%なんだという詰め方と、ある程度積算というものがあるだろう、どっちなんだというと、まあ文教費だの社会福祉費だとの関連の中で国民生活を圧迫しないようなということを考えて一%だの〇・九%だのということがある。そしてある程度積算というものの中でこれがきたんだというような言い方になっているわけです。そういうことでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのように非常に各方面の要素を考えながら、その中にバランスを求めていく、そういう考えでつくっております。
○上田哲君 それはたいへん私は一般論として正しいように見えて、戦略論としてはまるっきり穴だらけだろうと思うんです、もし、それであれば。明らかに結論としてはGMP全体の中でどれぐらいになるのかという政治配慮があるべきだけれども、防衛庁側の戦略見積もりということの中で言えば、迎撃能力ということばにでも象徴されるような、そういう見積もりがなきゃならぬと思います。それはどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そこが政治の出てくる場所でありまして、技術的な需要ないし欲望というものは、制服側に実は無限大にあるだろうと私は思うんです。防衛の完璧を期そうと思えば、あらゆるものがほしいという関係になるだろうと思います。しかしその辺を客観情勢を踏まえながら政治的判断で適当なところでカットするというのが、われわれ政治家としての役目でありまして、そこが非常に大事なポイントであると思っているわけです。
○上田哲君 政治家の役割りはいいんですがね、下のほうから上がってくる戦略見積もりというのはあるんですか、ないんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは相当なORをやりまして持っております。そして何を何機、何を何台、そういうような下からの積み上げはございますけれども、そのままに認めてしまったならばかなりの費用を必要といたしますから、これは他の国策とのバランスを考え、また客観情勢との安全率を考えて、そして判定していくわけであります。
○上田哲君 その部分はいままで出ていないわけです。たいへん何か手づかみでガボッとこう、あるいは大蔵大臣が言われるように、場合によってはチェックをかけるかもしれぬというようなところで、非常に大まかな理解でしかない。これで国民の理解を求めるといっても無理だろうと思います。私はそこに一つの科学が必要だろうと思う。そのORということばが出ましたから伺いたいが、少なくとも39Lあるいは42M、そういう名前で呼ばれる作戦解析ですね。これはモンテカルロ法などによるシミレーションということだと言われていますが、そういう形での作戦解析というものが行なわれている。まず39Lの御説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三次防をつくる前も、それから現在の新防衛計画、すなわち四次防をつくる前にも各兵器体系並びにそれらを組み合わせたORをやりまして、その作戦解析の上に立った兵器の見積もりというものを出してきておるわけです。専門的なことでございますから、政府委員をして答弁せしめます。
○上田哲君 これはひとつ詳してやってください。国会で初めてです。
○政府委員(久保卓也君) 三十九年に行なわれましたL作業と申しますのは、一応各種の防空兵器体系、これは航空自衛隊の関係でありますが、防空兵器体系の組み合わせとその効果を見たわけであります。そこでいろんな組み合わせがありますので、膨大な作業でありまして簡単に申せませんが、一つの結論的な方向で申し上げますると、たとえば航空自衛隊は防空の関係でありますから、F104が七個中隊、F86が三個中隊、それからナイキが四、ホークが五と、まあこういったような組み合わせの場合にどういう効果があるか。その場合の効果につきまして一応軍事常識的にこういう数字がありますが、来襲する敵機を常に三〇%そのたびに撃墜するということになると、相手方は継戦し得ない。続けては攻撃し得ない、相当期間準備をして、また攻撃してくるといったような数字がございます。そこでそういった目安におきまして、相手方の航空能力の中で、電波妨害の力が非常に弱いと――非常にと申しますか、弱い程度の場合には、ほぼそういったような目標に達し得る。しかし相手の能力が非常に高くて、電波妨害能力が高いという場合には、この39Lの場合にはわりあいにわがほうの勢力は弱い、こういうような結果が出ております。
○上田哲君 重要なのはECMだと思うのですが、説明をお願いします。
○政府委員(久保卓也君) このECMの能力は、各国とも最高の機密事項でありまして、私自身も存じておりませんが、米ソともにおそらく最高レベルにありますし、わが国はその点においては遺憾ながら劣っておるだろうと思います。したがいまして先ほど長官も御答弁がありましたように、そういった電子技術についての開発あるいは研究ということを、今後も一そう進めねばなるまいと思っております。
○上田哲君 ECMの数値はどこから得たのでしょうか、自分で持ってないわけですね。
○政府委員(久保卓也君) ECMの能力は、やはりアメリカから従来知識を得ております。したがっていろいろの教えを受けるわけでありますが、ただ最高のものは教えてくれない。したがって一応の基礎的な知識を持ちながら、わが国独自で常に開発をしている。したがってあるものは米軍のものをもらっておりまするけれども、それをもとにして開発したものを逐次われわれは整備しておるということでありまして、現在もちろんわれわれのほうも相当程度の能力は持っておるということであります。
○上田哲君 使用したコンピューターというのは、どこのコンピューターですか。
○政府委員(久保卓也君) 自衛隊がいま持っております大型、中型の電子計算機は、外国物が多いようでありまするけれども、一応いまの能力では、補給関係のものでほぼ手一ぱいで、小さな作業は自体のものを使えるようでありますが、主として外で作業を委託しておるようであります。
○上田哲君 39Lの場合のコンピューターは、伊藤忠商事の子会社の電子計算サービスでありますか。
○政府委員(久保卓也君) 私はそこまで存じておりません。
○上田哲君 少なくともレンタルですね。
○政府委員(久保卓也君) さようであります。
○上田哲君 ECMがその次の42Mの段階ではどうなったんでしょう。
○政府委員(久保卓也君) ただいま申し上げましたように、相手方のECMの能力をわれわれが判定をする場合に、非常に実態はわからないものですから困難でありますので、一応相当程度のECMがあるという一つのジャンルにまとめてみた。39Lの場合には強弱の二種類に分けたわけでありますが、四十二年度の場合には一つにまとめてみた、そういう計算をしております。
○上田哲君 ストライク・プランというのは何ですか。
○政府委員(久保卓也君) 相手がどういう攻撃をするかということをわがほうが想定をするわけでありますから、相手はどのようなことでも考えられます。そこでわがほうの防空情勢を一応熟知しているとして、どういうような攻撃方法をかけるか、たとえば数機編隊であるか、同時多発的に、全国的に空襲をかけるか、あるいは一地方だけにかけるのか、あるいは夜間であるのか昼間であるのか、ルートはどういうルートであるか、したがって何十本であるか、何百本であるか、何百本になりますと、これは電子計算機の容量を越えますが、私どものやったのは数十本程度のようでありまするが、そういった攻撃方法を幾様にも分けて、そこでその中でどういった防空能力が出るかということを計算したようであります。
○上田哲君 イギリスのいわゆる対独戦略というところでは、三〇%というのが通用しているようです。わが国は何%であったのか、39L、42Mでそれぞれ御報告いただきます。
○政府委員(久保卓也君) いま申し上げましたように、軍事常識的には三〇%といわれておりますけれども、これももちろん絶対的なものであるはずがありません。まあしかし、一応私どもの計算では三〇%を少しこえるのが望ましいし、それと攻撃側の被害とそれからわがほうの被害がパラレルになるといったような基準も一応考えたりしております。そうしますと、どうも相手方を一応三〇%よりもっと落とさないといけないということでありますが、さっき申し上げたように、39Lの場合には相手のECM能力が弱いときにはほぼいいけれども、強い場合にはたいへんだめであると、それから42Mの場合にはまあ何とかいけそうであるけれども少し弱い、といったような成果が出ております。
○上田哲君 39Lの場合は飛来する――さっき敵機ということばがありましたけれども、ことばにはこだわりませんが、飛来する脅威は三百機と、こういうことでしょうか。
○政府委員(久保卓也君) ほぼそういう数字であります。
○上田哲君 42Mの場合は六百機余り、七百機弱、もう少し正確にでも言うべきでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう作戦解析の内容は、こういう公開の場所で申し上げるのは私は適当でないと思うんです。これは純技術的なポイントで、むしろ政治的な質問をしていただいたほうが適当ではないかと思います。国益を保護するためにこういうふうに申し上げざるを得ないのであります。
○上田哲君 これは報道管制がしかれたような話が出ておりますが、どうしてこれがいかぬのでありましょうか。少なくともこれはGNPからだけ出ているのではないと、具体的な兵器戦略見積もりの積算として出ているのだということをお認めになっているんだし、それがどうして国会の場でわれわれは聞くことができないのか、国政調査権の範囲外という理解はどうなんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 作戦の想定がありまして、何百機来るとか、そういうような具体的な話でもありますので、これは上田議員がお出でいただけば詳細にお話は申し上げると、しかし、公開の席でこれを申し上げることは、私は適当でないと思うわけであります。
○上田哲君 仮想敵ということばを私は使っておりませんよ。仮想敵という議論をするとたいへん取っつきやすいけれども、それはたいへんシンプルであると、低次元であると、この際ひとつ迎撃能力として議論をしようじゃないか、それがなければどうして一世帯当たり二万三千円もかかるような四次防に金を出せますか。そこから先は説明ができないからということでは私は納得できないと思うんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろ検討はしておりますが、そういう具体的な詳細な内容は別の機会にぜひお譲り願いたいと思うわけであります。
○上田哲君 政府側がどういう答弁の姿勢をとるのかということを御確定いただけなければ、質問を続行できないと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 質問が続行できないと言われるならば答弁せしめます。
○政府委員(久保卓也君) 六百何十機であるかという御質問でありますが、そのようであります。もちろん、ただいま御質問になりましたように、電子計算機によるORというのは一つのゲームでありますから、どういうようなデータの場合にはどういう数字が出るか、それを参考にして私どもがいろいろの整備を考えるということであります。
○上田哲君 まあゲームだということですが、日本語の語感では何か遊びをやっているような感じがするのですけれども、まあそういう意味じゃなくて、これはテクニカル・タームです。しかも防衛庁がこれを単にだれかに小銭をやって遊ばしているということなら別ですけれども、実はこのことが四次防なり、三次防の策定のときも明らかにそうですけれども、具体的に積算の根拠になっているわけですよ。積算の根拠になっているということが防衛庁の資料に書いてある。これですね、検討結果は、その期間、経費等各種の現実的条件を加味して防衛力整備計画の策定に資すると書いてある。こういうものを議論することができなければ、これはまるっきり私たちはどこへお金を払っているのかわからないという防衛計画に身をゆだねなきゃならぬことになります。今日までの39Lに使ったお金は一億百万円という予算がしっかりあるわけであります。そういう点をお認めになりますか。
○政府委員(久保卓也君) 39Lの経費は大蔵省と話しまして、そういう費用を使っております。
○上田哲君 39Lは一億百万円、42Mは二つに分かれて六千百万円、それから四十五年度が一億九千二百万円、四十六年度は一億九千八百万円だと理解をしております。こういう形でまあウエートの問題はありますから、これを巨費と言うべきかどうかは問題がありましょうけれども、具体的に進んでいるわけです。どうも時間に追われて私はつらいのですけれども、具体的に私は自衛隊というものの存在が憲法に違反するかしないかというような、そういうレベルでの議論はしばらくおくとしても、少なくとも防衛力整備計画というものがぐんぐん進んでいくというプロセスにおいては、こういうことが科学的に議論さるべきであるということについては、少なくとも共通の場を持たなきゃならぬと思います。そういうことですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) まさに同感であります。
○上田哲君 いういう意味では、こういうものが具体的に策定をされているということ自体は、ないよりははるかにいいというもんです。ただ時間の関係があるので、これもまた次の機会に譲ってくれいという中曾根さんのお話だから、内閣委員会もありますから、半分は武士の情けであとに引きますけれども、ポイントの問題として幾つかのちょっとだけ拾い出しておきたいのは、仮想敵は言わないからということで、私も私なりに国益を背負っているつもりです。テンションを国会論議の中から海外に向けようという気はないから、そこで言ってはいないが、おことばがそっちから出たから、軍国主義ということばは使わなくても総理は使われたし、仮想敵ということばを使わなくてもそちらから出るから言うのですが、その三百機とか六百機とかいうのはグラインダーとか、ミグ21、こういうものだということを……、これは答弁求めていいのかどうかわからぬですけれども、常識があるわけです。で、これをゲームということばで置きかえていろんな解釈にすることはいいのですけれども、私は時間の関係があるから一つだけきわめつけて申し上げておきたいが、六百機ないし七百機、具体的には六百五十とか、六百六十という数字があるし、それから四〇%をちょっと切る数字という。パーセンテージが、日本における重要な数字になっています。これはもうまぎれもないところです。しかし、それはそれとして、非常に問題となるところは、六百機ないし七百機というような大空軍の襲来ということは自民党の安全保障調査会に出された防衛庁長官の見解によっても、あるいは国民に出された防衛白書の中でも、大艦隊、大空軍の襲来というものを予定しないでいいんだということを書いてある。ベトナムに行くんでも、百機であります。六百機、七百機というものが飛んで来る状態というものを想定する戦略見積もりというものは、これはどういうことになるんでありましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは作戦の解析をやるときには、ミニマムからマキシマムまでのあらゆる場合の想定をして、そうして、その中でどの程度をとるかという資料をつくるわけです。そういう意味で御解釈願いたいと思うわけです。
○上田哲君 ミニマムがらマキシマムということは、ことばとしてはありそうです。しかし、39Lから42Mにいった期間は、わずかに三年であります。それは最終年次を見込むのは五十二年までいっているんですから、その計算のとり方はあるでしょうし、いまもっと時間があれば44Sについても伺いたいんだけれども、これはあとに譲ります。しかし、その39Lから42Mまでの三年間に三百機から六百機以上に伸びたと。どこの国を、こうアジア地域でながめてみたって、まず数百機飛んで来る余力を持っている国は幾つもないし、そして少なくとも、三年前に三百機だったのが六百機も飛ばして来るような力に変わったというような軍事情勢はない。そうすると、これはちょっとミニマムとマキシマムということにはならないのじゃないか。つまり、私の言いたいのは、たいへん恣意的にそういう数字というものが置かれているのではないか。それは、ゲームなんだから当然だという御答弁が返ってくるでしょうけれども、そうならば、それが四次防の策定の根拠になっているということになると、問題は単にシークレットの中に置いておくわけにはいかないと思います。その辺は、ひとつ防衛庁長官、突っ込んで見解を明らかにしていただきたいと思います。ゆっくり聞きます。
○国務大臣(中曽根康弘君) マキシマムの場合を想定しますと、そういう可能性がないというわけではないんです。したがって、マキシマムとしてとらえておくと。しかし、われわれが平均値としてこの程度ととらえるものは、必ずしもそれによるわけではございません。
○上田哲君 残念ですが、この問題は、次の機会にもう一ぺん譲って、じっくりひとつお話しをいたします。 ある国からミグ何とかという飛行機が飛んで来る、ある国から何がしという飛行機が飛んで来るということを掲げながら、薄っぺらな議論をしようとは思いません。私は迎撃能力に限って、ひとつ議論をしようじゃないかと思う。向こうから何が来るかということは言いたくなければ、国益ということばの中に入れてもいいから。しからば、来るか来ないかということをプロバブルな問題として押えても、しからばわがほうは、十八万持って、千機持って、二十四万五千トン持ったら、どんなことができるのかということが説明されないという防衛計画というものは絶対にあり得ないと思います。そういう観点に立って、迎撃能力として、ひとつ客観的な立場で大いに議論をしようということで、じっくりひとつその場をつくりたいということで、その姿勢をひとつ問うておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 承知いたしました。
○上田哲君 総理の御見解もいただきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、私、聞いていてよくいろいろわからないんです。まあしかし、防衛庁長官が上田君とまた別なところでやりましょうと、かように申しておるからお二方にまかしておけばいいかと、かように思います。
○上田哲君 石原議員にコカコーラと憲法の関係をたしなめられましたけれども、これは総理の見識だろうと思います。友人だから、私は石原君の立場でそんなことを簡単に言わせてもらうが。総理、いまのは私が総理にたしなめたくなるようなことばです、失礼ながら。二人にまかしておけばいいだろうという話しは、これは問題だろうと思います。 再度、お答えをいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は論議しないから防衛庁長官が論議すると、こう言っているから、それを十分聞いていただきたいと、こういうのです。
○上田哲君 それでは、産軍複合体の問題というのがありまして、これもお答えをいただくように通告がしてあります。残念ながらこのほうはきょうは割愛をせざるを得ませんのでひとつデータを出してください。これは政府委員からお願いがしてありますので出される数字でありますから全部ひとつお出しをいただきたいと思います。 最後のテーマにしぼります。 私が、きょういろいろお伺いしておるのは、経済大国か、軍事大国かという問題の中で、五月の十三日の参議院の内閣委員会で、総理と防衛庁長官に来ていただいて、軍国主義にならない五原則というのをお互いにきめて、そこで議論をしようじゃないかということになっている。その中で、幾つかの柱があって、その一つなんです。ここに一つ最後に取り上げたいのは、国防意識というのを過度に権力によって誘導してはならないということです。 このごろ教科書の問題が、非常に政府の防衛教育要請ということの中で、これはもう六二年四月二十六日からの次官会議の要望書から発しているんですけれども、非常に変わってきています。この辺の傾向をどう御理解でしょうか、文部大臣にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 教科書は今度指導要領の改定をいたしたわけでございますけれども、国防教育につきましてその背後になりますところの、国を愛し、あるいは国を守ると、あるいは国土あるいは歴史、伝統、民族というものをよく理解させるということについては、いろいろ改定をいたしております。
○上田哲君 具体的に言います。たくさんありますけれども、抜き出してほんの少し言います。 教科書調査官という人がいて、これが教科書の編集者を集めて話をします。たとえば靖国神社が教科書に全く出てこないのはけしからぬ。法隆寺や東大寺のことを書くのならば靖国神社を書くのがあたりまえだと、こういうのがあります。たとえば太平洋戦争は大東亜戦争とせよ、あるいは核兵器のおそろしさを強調するな、まだ核で人類が死滅したわけではないではないかと、こういうことになっています。こういうのはいかがでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 調査官が調査をいたします段階でいろいろ言ったことにつきましては、私は承知しておりません。しかしながら、今日の段階におきましては、適切な判断を下し、適切な検定を行なっているものと私は信じております。
○上田哲君 いや、具体的に伺います。 教科書に、これは中学校の社会科ですけれども、「乃木あるいは東郷などの軍人の名まえを出せ。」「日華事変は日支事変又はシナ事変としてはどうか。」たとえばこういうのはいいとお考えですか。
○国務大臣(坂田道太君) 調査官がそういうことを出せとか、出すなとかというようなことはおそらく言ってないというふうに思います。ただしかしながら、従来のその歴史教科書等におきまして、人物というものを軽視してきたということ、歴史の理解において、やはりその当時代における――日露戦争における乃木さんであるとか、東郷さんであるとかいうようなものは、やはり歴史を理解する上においてあるいは歴史の史実を理解する上においては重要な人物である、こういうようなことはあるいは言ったかもしれませんけれども、特定に、教科書についてこれを書けとか、それを書くなとかいうようなことを指示したことはないと、私は思っております。
○上田哲君 これは速記録でやっているんです。何ならお聞かせしましようか。録音でもいいんです。録音はとってあります。いやな連想ですけれども、録音というのは。 具体的に伺います。 「日華事変は日支事変又はシナ事変としてはどうか。」ということはいいですか。聞かせろというなら音を持ってきますけれども。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、それをよく承知しておりませんから……。
○上田哲君 「戦時下の言論統制などは、どこの国でもあたり前である。あえて書く必要はない。」、「戦時下は学問研究が不自由だったというが、検定審議会の人たちはそんなことはなかったとさえいっている。また、戦時下に学問の自由がないのは当然であり、どこの国でもそうだ。」、こういうことはいかがでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 今日の段階におきまして学問の自由というものは認められておるわけでございまして、そういう方針でやっておるわけでございます。
○上田哲君 委員長、これについてどう思うかとお尋ねしているので、どう思うということを具体的に、具体的な内容ですから、もしいけなければこれは録音を持ってきますけれども、いかがでしょうか、おはかりをいただきます。
○国務大臣(坂田道太君) そのどの教科書を検定するときに、だれがどういうことを言ったとか、何とかということは私自身としては承知をしておりませんと、そういうことで、ただ、あなたがおっしゃったから、それがそのままそうであるというふうにはわからないわけでございますから、それを私はここで申し上げておるわけでございます。誤ってはいけませんから申し上げておきたいと思います。
○上田哲君 こういうことを実際に言っておるとすればどうでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 事実を確かめたいと思いますけれども、適当でない場合は、適当でないということに……。
○上田哲君 再答弁お願いします。具体的に答えてください。かりにこれが事実であったとすれば、いいか悪いかという御判断はあると思います。
○国務大臣(坂田道太君) 指導要領は日華事変ということになっておるそうでございます。日華事変ということで指導しておるそうでございます。
○上田哲君 だからシナと言えというのはいけないということですね。
○国務大臣(坂田道太君) まあ指導から申しますと、そのとおりでございます。
○上田哲君 そういうふうに指導しているのですけれども、どうなんでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 言い方としましては、この指導書にありますようなことが適当だというふうに思います。
○上田哲君 大東亜戦争はどうですか。
○国務大臣(坂田道太君) 係の人に聞きましたけれども、その辺がよくわかりません、現実問題としまして。ですけれども、私たちの指導方針としましては、日華事変ということで指導をしておるということはひとつ御了承を賜わりたいと思います。
○上田哲君 五分しかないのですよ、一ぱいあるのです。じゃ二つ三つ。 中国の呼称をシナとしなければいけないというふうに、いま承ったと思うのです。 「北方領土」――「地図には、沖繩はもちろんだが、千島、樺太を入れ、樺太の中央に国境線を入れよ。」これはどうですか。――「地図には、沖繩はもちろんだが、千島、樺太を入れ、樺太の中央に国境線を入れよ。」これは昭和四十三年度、小学校社会科の四年から六年に現にそうなっております。
○国務大臣(坂田道太君) これは外務省とよく相談をいたしまして、そういうふうに指導しておるそうでございます。
○上田哲君 それはいいということですか、外務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 私の直接守備範囲外かもしれませんけれども、御承知のように国後、択捉、歯舞、色丹は固有の領土として私どもは主張しているわけでございますから、これを日本領土として書くことは一向差しつかえないことだと存じます。(「樺太だ、樺太を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)これはまあ拝見してあらためてそれでは考える余裕をお与えいただきたいと思います。どういう経緯で、どういうふうな注釈がついているか、それらを正確に調べましてからお答えをいたします。
○上田哲君 拝見してとおっしゃるが、ここにあります。これがあります。どうぞごらんください。帝国書院編集部の小学校社会科、四、五、六の、現にいま使われておりまして、線が入っております。
○国務大臣(愛知揆一君) いま私正確にそれでは見せていただいてお答えいたしたいと思いますが、おそらくこれはサンフランシスコ平和条約で放棄したところですから、そのことがはっきりしておればいいのではないかと思います。そうして帰属は国際的に未定になっているはずだと思います。
○上田哲君 では、その結論が出るまでお待ちしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この北方領土の問題につきましては、先ほども申しましたように、南樺太、それから千島、これはただしこの千島というのは、また正確にお聞き取りいただきたいと思いますが、国後、択捉は別でございます。これらはサンフランシスコ平和条約によって、日本は一切の権利権原を放棄したところでございます。一方、ソ連はサンフランシスコ平和条約に入っておりません。それからサンフランシスコ平和条約におきましても、日本は放棄しただけであって、その帰属は未定でございます。こういう関係でございますから、私はそういう地図でよろしいのではないかと思います。 それから、国後、択捉は、ただいまも申しましたように、これは固有の日本本土の領土でございまして、領土問題としてよく申し上げておりますように、あらゆる観点から見て日本の固有の領土であり、そして日本がポツダム宣言を受諾した後において、常識的なことばを使えば、不法に占拠されて今日に至っておるわけでございますから、これは明らかに赤色で日本の領土として記載すべきものであると、かように考えます。
○上田哲君 主権の存在しない領土というのはどこかにあるのでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは固有の領土でございますから、そして、しかもソ連に対しましても、これは二国間の問題でございますけれども、日本の主張はあくまでも譲らない。そして、日本の立場といたしましては、これは長く申しますとたいへん時間をとりますから恐縮に存じますが、かねての日ソ共同宣言で、日本とソ連がとにかく国交を回復いたしましたときから、これについては継続的に日ソ間で審議をするということにもなっているわけでございますから、そういうあらゆる角度から言って、日本としては主権の存する領土であるとしてこれをあらゆるものに主張しておくことは、私は正しいやり方であると考えます。
○上田哲君 樺太に主権を主張すると言うのですか。ぼくはちょっと聞き間違ったかもしれません。確認しますが、樺太に主権を主張しておくことが正しいと言うのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) どうもそういうふうにお聞き取りいただくからたいへん事はめんどうになるのでありまして、南樺太と国後、択捉を除く千島はサンフランシスコ平和条約で放棄をいたしまして、そして帰属がまだ未定である。一方、ソ連との関係においては、ソ連はサンフランシスコ平和条約に入っておりません。それから、国後、択捉についてはただいま申し上げましたとおり、あらゆる意味で日本の領土として日本の主権の存するところとして、常識的に言えばソ連に不法占拠されているところでございますから、これを日本領土として明確にしておくことがあらゆる意味で正しい日本の態度である、かように申し上げているわけでございます。
○上田哲君 どうも私は聞き間違いじゃないかと思って聞くのですが、また聞き間違いなのかもしれません。単純な聞き間違いならひとつ、これはまじめに聞いているので、悪かったら許してください。 樺太のまん中に線を引いておけ、それからこっちはわれわれの主権を主張しておくべきところだとおっしゃるわけですか。
○国務大臣(愛知揆一君) どうも、私が申し上げますことは、議事録でも正確にとられていると思いますけれども、南樺太は日本が放棄したところでございます。
○上田哲君 そうすると、日本はその線から下は放棄したわけですね。日本が主権を放棄した領土で、日本が主権を放棄した瞬間から全く主権の存在しない領土というのはどこかに存在するのでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 条約上の文言から言えば、あらゆる一切の権利、権原を放棄したところでございますから、これは主権が存するとは言えないと思います。しかし、先ほど来申しておりますように、国際的にはその帰属が未定のところである、これが現状でございます。これは南樺太と国後、択捉を除く千島について申し上げておるわけでございます。
○上田哲君 その中央線から北のほうの国と、その中央線から南のほうの国とは主権の続きはないわけですね。国際法の常識から言って、一つの国が主権を放棄する、これはいい。その次に、主権を放棄した瞬間から主権が喪失してしまう領土というのはあるのでしょうか。法制局長官、教えてください。
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、北樺太は戦争中においても日本の領土ではなかったわけでございますね。南樺太は日本の主権の存する領土でございましたから、それまで主権を持っておったところの日本国がその一切の権利、権原を放棄したのは南樺太でございます。ですから、それからあとは、放棄しましたあとは、日本には発言権はございません。そういう関係でございます。
○上田哲君 それはいいのです。主権を放棄した、そうして発言権はない、そこでとまっていれば問題はないのです。そうすると、それからあとは、その領土については日本は発言権はないけれども、その主権を主張する国々はあるはずですね。問題は、その主権を主張する国々の政治的な主張の問題になってくる。その主張が国際法上了解するところとなっていない、こういう状態ですね。
○国務大臣(愛知揆一君) そういうことに御理解いただいてよろしいと思います。
○上田哲君 そうなりますと、どうしてここを白くするのかということは、白くしておくということは、主権を放棄したとおっしゃるけれども、少なくとも幾つかの見解が対立している主権への理解の中で、われわれの国としてはどちらかの色に塗りたくはないという一つの逆意思表示だというふうに考えることも成り立つわけです。私たちはほんとうに地球上に主権を放棄した後――主権を放棄したということは、戦争でもぎ取ったところだから返したのだという歴史的経過があるならば、返されたところというのは当然にあるわけであって、一つの国際条約の中に返したというやり方もあるでしょうけれども、それは少なくとも放棄という国際真実の上に立てば、当然に白くしていくということは、一つの意思表示だと思いますよ。極端に言えば、そこから先は国際法上の理解の食い違いの問題になるのでしょうし、見解の相違になるのでしょうが、ここに問題とするところは、政治論のジャンルとしてここを白くしておくということは、そうでなくてもいろいろ言われるわが国が、まだそこに、白くしておけば何かの色を、赤い色を塗りたいという気持ちがあるのだという意思表示だと受け取られる心配もあろうじゃないか。ことさらにここに線を引いておけということを、非常に理解度の低い小学生の教科書の中に入れるということの政治論というのは問題じゃないかと言いたいのです。
○国務大臣(愛知揆一君) それは、上田さんはそういうふうに理解されるのかもしれませんけれども、これは、だって、戦争終結のときまでは、南樺太は日本の領土であって、北樺太はそうではなかったわけですね、歴史的、沿革的にも。これは世界じゅうの人が知っていることだと思います。それから南樺太は日本の領土であったところを日本が放棄したところでございますから、私は、これは私見を申し上げて恐縮ですが、そういうことが地図の上にも明らかになっておっても一向差しつかえないことではないか。むしろ、歴史的、沿革的な知識が十分にこれによってわかるのではないか。そのことは、それらの地域に日本が主権をまた期待しているとか、赤く塗っておきたいとかというようなこととは全然別でございます。日本が、国際的なサンフランシスコ平和条約においてその地域は放棄したということが、そして帰属が未定であるということが明確になっていることは、むしろ私は、科学的、歴史的に正しいことではないだろうか、こう思いますが、これは私の私見でございますが、ただ、いま私が以上申し上げました、その領土に関する法律的、条約的並びに外務省の見解は間違いございません。
○国務大臣(坂田道太君) ただいま外務大臣からお答えがございましたとおりに、われわれとしても連絡をとりまして、そういうふうに定めた次第でございます。
○上田哲君 もともと線がなかった。そして戦後の混乱かもしれませんけれども、そういう解釈の統一されない中で、幾つかの政治的な見解がかみ合わない中で、こうした問題が未整理の中に放置され、そこに一つ突如として線が引かれたということにたいへん奇異な感じがする。私は全く物理的に聞き間違えたということはさっきありましたけれども、これは認めますけれども、ことばとしては。しかし、物理的に聞き間違える根底には、どうもそれは主権を主張しようとする下心じゃないかという感じが、やっぱり受け取る感覚があるのですよ。そういうことに少なくとも外で受け取られるようなことを、なぜそこにそんなに懸命に小学校の教科書の中まで線を引けということを麗麗しく言わなければならないか。そういうことを私は、外務大臣も私見だと言われましたけれども、やはり私見として何か政治的な主張がここに込められているのじゃないかという危倶を特に教育のジャンルであるだけに思うわけです。だから、そういうことは絶対ないのだということを、そういう立場の問題を含んでないのだということをひとつここではっきりおっしゃっていただくことが必要だと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私が私見だと申しましたくだりは、教科書については、私は権限を持っておりませんから、私の意見を私見と申し上げたわけです。しかし外務省としての見解はるる申し上げましたとおりでございまして、その立場から言えば何かものほしげに、するがためにどうこうということではないと、私はかように断定的に申し上げて間違いございません。これの例証といたしまして、先般本会議で北方領土問題に触れましたときも、日本政府の態度をいやが上にも明確にいたしたいと思いまして、国後、択捉、歯舞、色丹という島名をあげて、これが北方領土のわがほうの主張であるということを明確にしておりますところでも、政府の態度というものは明らかに御了解いただけるところと存じます。
○国務大臣(坂田道太君) 教科書のほうで申しますと、いろいろの著者からこの点をどうするかという議論がいろいろあるわけであります。これに対しまして、やはりわれわれといたしましてははっきりした見解を示す必要があるということで、外務省と相談いたしましてただいまのようなことにきまったわけでございます。
○上田哲君 総理から一言御見解をいただきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣並びに文部大臣、非常にはっきりお答えしておりますので、私からさらにつけ加える何ものもございません。どうぞそのまま御了承いただきます。
○上田哲君 私が述べてまいりましたのは、経済大国が軍事大国になっていく、こういうふうに受け取られていくような、あるいは意図しないでもそうした坂道をころがり落ちていくようなエネルギーをつけてはならない、角度を持たしてはならない、こういうことからです。そういうことからすれば、そうでなくても軍国主義といわれていくような膨張傾向の中で、こちらの意図は別にしても、白い線を引けという言い方は、またそこに赤く塗ろうとする下心ではないかという気持ちに取られないようにはっきりひとつ見解を述べていただくということが必要だと私は思ったわけです。で、そういう点はできるだけ慎重にかまえておかなければならぬと思うんです。 時間がなくなりましたが、ここにこういうものがあります。これは同じものが、線がはっきりここに引かれているわけなんですが、新宿区で配られた小学校の生徒の集金袋、いろんな費用を持っていくやつですね。ここに同じ地図があって、樺太のまん中に線が引かれている。――ごらんいただけると思いますが、斜線がついております。ここに総理府広報室と書いてある。総理府広報室でこういうことをおやりになるのはどういう意図なんでしょうか。また、どういう範囲に配られたのでしょうか。
○国務大臣(山中貞則君) 広報室長から答弁させます。
○政府委員(松本芳晴君) これは、この学級袋は、交通安全、交通事故の防止とか、そういったものの広告という形で申請してきたものでございます。ちょうどこのとき、これは二年ほど前だと思いますが、北方領土の返還のPRをしているときでございまして、そういう形でこれも、ほかのいろんなスライドや映画をつくっていると同じ状態でこれにしたものでございます。この線の件は、全く先ほどと同じように南樺太を白くしているのは、外務大臣のお答えと全く同じ線だと思います。
○上田哲君 ちょっとこれは行き過ぎじゃないかと思うんですが、各関係大臣、総務長官も文部大臣も、ひとつ外務大臣も、御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) ただいま広報室長から、前の話として私の知らないことでございましたので、御説明がございましたが、その中の事柄についてはやはり外務大臣の見解と同じことであります。ただ、そのような子供の集金袋等にまで総理府広報室がしなければならないかどうかについては検討いたします。
○国務大臣(坂田道太君) こういう個々の問題は、一々文部大臣は承知はいたしておりません。しかしきょうお話がございましたから、まあこれからひとつよく問い合わせてみたいと思っております。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、領土問題については、先ほど申し上げました以外に申し上げることはございません。
○委員長(古池信三君) 上田君に申し上げますが、予定の時間が来ましたのでまた他の機会にお譲りになってはいかがでございましょうか。
○上田哲君 では一言……。
○委員長(古池信三君) じゃ一言だけ。
○上田哲君 いろいろ申し上げましたけれども、私は時間が切れてしまったので――もう少しいろいろお尋ねをしたいことがありました。文部大臣はいま、私の知らないところであるし、ここまでは権限でないとおっしゃるけれども、やはり具体的にこれは学校のPTAが配っているのです。学校が配るという形はちょっとはばかられたらしくて、PTAというルートで配られて、そうして広告ということですから、はっきり金の出どころはあるわけです、そちらから。そうしてこういうものが毎日々々集金袋ということで、このごろの小学生は一日に一回もうお金を持っていくわけですから、広告媒体としてはこれくらいいいものはない。そこへばちっと入るということは、内容のいかんはともかくとして、やはり一つの政治論でありますから、見解が少なくともここでこうして離れていくような問題をここまでやることはないのじゃないか。そういうことが、ひとつ過度に政府がそういう見解をお持ちにならなくても――私は片々たる袋を一つ持ってきたり紙を持ってきたりして、これで全部がそうだというような言い方をしようというようなことはしません。これは防衛庁長官とさっきお話ししたように、時間をかけてゆっくりそうした問題をお互いに歯どめできるようにしたいと思うけれども、しかしこれはちょっと私の権限としてはこれ以上のことはないのですよというようなことじゃなくして、こういうものがやはり巻き込んでいくような状態をひとつできるだけ排除していくということが、今日経済大国となっても、軍事大国になる、あるいは軍国主義といわれないようにするのだというようなことの政治姿勢じゃないかと、これは私はまじめに思うわけです。戦前に返る、返らないということの利害得失もあるでありましょうけれども、どうしても教科書みたいなところにそういうことが非常に歴々とあらわれている。ぜひ、ひとつ、そういう問題については格段の御配慮をまずいただきたい。いろいろなデータをこれから持ち込みまして、防衛の問題も、あるいは国防意識の問題もひとつしっかり議論をしたい、さっき総理も防衛庁長官もそういうことをお約束をいただきましたので、私もそのためにきょうはワンステップと、予算委員会へきょう初めて出てきたものですから、時間の配分もうまくはなかったので残念に思っておりますが、ひとつそういう意味で大いにこれからも努力していきたいと思います。どうかひとつ最後に御見解を総理と防衛庁長官から承りたいのでありますけれども、一ぱいありますが、はしょっていきたいと思います。 何かそういう、お互いに経済の繁栄はけっこうだけれども、それは軍事大国であるというところにいかないことのための、まさに防衛白書に書かれていることばをそのままいただいてもいいのだけれども、軍国主義化へのチェックということをお互いにしっかりいろいろな歯どめを立てようじゃないか。そうして率直にいって、ここに数字もたくさんありますけれども、具体的に言えないけれども、いまの四次防が発足していって最終年度に一番問題になってくることは、自衛官が来ないだろうということ。海を十万トンふやせば、一万人必要になります。これはおそらく無理じゃないか、こういう問題を考えていけば、自衛隊に反対する側も観念論じゃいけないと同時に、やはり自衛力をふやしていこうというほうも、やはりもう少し理解を高めるという努力をお互いの場で必要とするだろう。こういう意味でひとつ議論の共通の場を求めていく努力、たとえば、いろいろ申し上げたいけれども、整備計画のある種の暫定的な凍結であるとか、あるいはそうした資料の公開であるとか、こういう部分についての少なくとも当面の御努力というものがあるべきではないか、ということを私は提起したいと思いますし、この御見解をいただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 次の防衛計画におきましては、五ヵ年間に約八千五百人の増員を見込んでおります。この程度の増員はまずまず妥当であり、やれると私は思います。 自衛官の募集の問題は、昨年来やや憂慮しておりましたが、この一月になりまして非常にカーブが上昇してまいりまして、昨年の分を取り返す以上によくなってまいりました。一喜一憂する点はあると思いますが、大体次の五ヵ年間、全体を見ますと八千五百人程度の増員はできる、まずまず妥当であると、そのように考えます。そのほかの詳細な点につきましては、いろいろ上田議員から御指示をいただきたいと思っております。
○委員長(古池信三君) 以上をもちまして上田君の質疑は終了いたしました。 次回は、十二日午前十時開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時一分散会二月九日本委員会に左の案件を付託された。(予備審査のための付託は一月二十二日) 一、昭和四十五年度一般会計補正予算(第一号) 一、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第一 号) 一、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機 第一号)