法務委員会 第5号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/03/23
会議録
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、補欠選任を行ないたいと存じます。選任につきましては、先例により委員長にこれを御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に鈴木省吾君を指名いたします。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案、以上三案を一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。植木法務大臣。
○国務大臣(植木庚子郎君) 民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案及び民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案の三案につきまして、その趣旨を便宜一括して説明いたします。 御承知のとおり、わが国の民事及び刑事の訴訟費用に関する制度は、明治二十三年に制定された民事訴訟費用法、民事訴訟用印紙法及び商事非訟事件印紙法並びに大正十年制定の刑事訴訟費用法によってその基礎が定められているのでありますが、これらの制度につきましては、自来、見るべき改善が行なわれることなく、わずかに、昭和十九年制定の訴訟費用臨時措置法によりまして証人の日当の額等に関する特例を定めることとされたまま、今日に至っておりますので、現状では、多くの不備な点が目立つようになり、解釈や実務慣行によってこれを補っている点が少なくないのであります。 そこで、政府といたしましては、この制度の適正円滑な運営を確保しまするため、鋭意その具体的な改善について検討を進めてまいりましたところ、このたびようやく成案を得ましたので、ここにこれらの三法律案を提出する運びと相なりました。これらの法律案は、現行の民事訴訟費用法、民事訴訟用印紙法、商事非訟事件印紙法、刑事訴訟費用法及び訴訟費用臨時措置法の五つの法律を廃止いたしまして、新たに、民事訴訟等の費用及び刑事訴訟費用のそれぞれに関する必要な事項を体系的に整備しようとするものであります。 主要な改正点について申しますと、まず民事訴訟等の費用につきましては、当事者間の償還請求の目的となる費用の範囲を明確にし、手数料を徴すべき申し立ての種類を限定しまするとともにその額を適正なものに改め、過大に納められた手数料等につきましては簡易な手続で還付することができるようにいたしております。また、民事、刑事の手続における証人等に対しまして、新たに、出頭に必要な旅行日につきましても日当を支給することとし、旅費の種目として航空賃を加えることといたしております。なお、これらの改正措置は、原則として本年七月一日からこれを実施することといたしておりますが、ただ民事訴訟等における手数料に関する点につきましては一部のものを除き本年十月一日から実施することとし、また、これらの改正に伴い必要な経過措置を定めますとともに、関係法律の規定の整理を行なうことといたしております。 以上が、民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案及び民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案三案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(阿部憲一君) 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 次に、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○後藤義隆君 この改正案は一般公務員の恩給の年額の是正が行なわれることに伴いまして一部の退職執行吏の恩給についてもこれに準じて増額しようというものであるようでありますが、その改正の趣旨について具体的に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(貞家克巳君) 御説明の便宜上、まず一般の公務員の恩給の改定の仕組みについて申し上げますと、一般の公務員の恩給の年額は、その公務員が退職いたしました当時の俸給年額を基準にして算出することになっておるのでございます。ただ退職後に国民の生活水準、あるいは公務員の給与、あるいは物価の事情等というようなものに著しい変動がございます場合には、そういった諸事情を勘案いたしまして恩給年額の算出の基礎となる俸給年額を引き上げて、仮定俸給年額——仮の俸給年額というものをつくりまして、これを基準にして算出することにしているわけでございます。これがいわゆる恩給のべースアップと言われるものでございます。 ところで執行官につきましては、執行官法の規定によりまして恩給法の例によって恩給を受けることになっているのでございますが、恩給年額の計算の方法といたしましては、執行官は俸給を受けることがございません、手数料制を取っておりますので、執行官の国庫補助基準額というものを俸給年額とみなして算出することになっているわけでございます。 そこで一般の公務員の恩給につきまして、執行官の恩給はその例によるわけでございますから、いろいろな恩給を受ける権利の発生とか、消滅とか、そういった事項について改正がございました場合には、執行官の恩給も当然その例によって改められることになるわけでございますが、すでに退職いたしました公務員の恩給の年額が、いま申し上げましたように改定されるという場合には、当然には執行官のほうの恩給は改定にはならぬわけでございます。したがいまして従来執達吏、執行吏の時代から、一般の公務員につきまして退職した者の恩給の年額が改められました場合には、そのつどこれに対応いたしまして別個の法律をもちまして執行官のほうの恩給の年額の改定が行なわれていたわけでございます。 ところで今回一般の公務員につきまして恩給の年額を改定するという措置がとられることになったわけでございますが、いま申し上げましたように、執行官の恩給は当然これに伴って増額するということがございませんので、何らかの立法措置をとりまして執行官のほうの恩給も引き上げる、べースアップをする必要が生じているわけでございます。そこで従来たとえば一般の公務員につきまして何円のものが何円に引き上げられた、つまり仮定俸給年額が幾らになったという場合に、そのつどこれに応じて執行官のほうの仮定俸給年額を定めるという方式も従来とられていたわけでございますが、実は昭和四十二年に制定されました旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律におきましては、昭和四十三年法律六十四号の改正によりまして、そういった一般の恩給が増額されるたびごとにそういう具体的な措置をとるということをやめまして、当時の執行吏にちょうど対応する同格の一般の公務員につきまして恩給年額が改定されました場合には、常にそれに応じて増額されていくという、いわばスライド制の措置をとったわけでございます。 そこで執行官の恩給につきましても、それと同じように、同格の一般の公務員がございますので、そういったものの恩給が今後増額される場合には、それに伴ってそれと全く同じように増額されることにしようというのがこの法律案の趣旨でございまして、それを具体的に当てはめますと、昭和四十五年十月一日という時点を基準にいたしまして、その当時六十八万七千二百円を仮定俸給年額とするもの及び二十七万一千円の仮定俸給年額によって算出される恩給、これがいわば現在の執行官と同格に見られるわけでございますので、それに固定いたしまして、その恩給年額が今後増額される場合には、それにスライドして自動的に上がっていくという措置をとったわけでございます。 そこで今度一般の公務員につきまして恩給の年額が改定される、つまり仮定俸給の年額の引き上げが行なわれるわけでございますが、それによりまして具体的に影響を受けますのは、昭和四十二年七月三十一日までに退職いたしました執行官七名のうち四名の者がそれに応じて仮定俸給年額の引き上げが行なわれるという結果になるわけでございます。
○後藤義隆君 その人数も内容もわかりましたが、この第二条の中に「政令で定める者を除く。」と、こうありますが、それはどういうような意味を持つものですか。
○政府委員(貞家克巳君) この点実は非常に技術的な問題でございまして恐縮でございますが、一般の公務員の恩給におきましては、先ほど申し上げましたようないろいろな経済的事情によって恩給年額が引き上げられる場合以外に、これは非常に例外的でございますけれども、一部の受給者につきまして年次格差というものにつきまして是正の措置がとられることがございます。これは主として昭和二十三年六月三十日以前の退職者と、その後の退職者との間の均衡でございますが、実はその時点を境にいたしまして、給与体系が異なりましたために、前の一定の方々が次のどれに移ったかという変遷の点におきまして新しい号俸が分かれるというような現象があったようでございます。 そこで恩給の仮定俸給年額がその低い号俸を基準にしてきめられておるというようなことが従来ございましたので、そういった不均衡を是正いたしますために、恩給法の改正によりまして、そのための措置がときどきとられるということが考えられるわけでございまして、いわばそれはいわゆるベースアップによる改正ではなくして、格づけの変更のための是正ということになるわけでございます。これは給与制度が非常にきめのこまかくなったということから起こる現象であるというふうに承知しておるのでございます。 ところが執行官につきましてはそういった現象は全く見られないわけでございまして、国庫補助基準額というものはすでに一本でございまして、現在は二本になっておりますけれども、それがそのまま不自然な現象がなくて続いておるということになるのでございます。 そこで一般の公務員につきましてそういった特殊の給与体系の変遷に基づく不均衡の是正というようなことが行なわれました場合に、執行官のほうの恩給がそのままそれにスライドするということになりますと、これは非常に不当な結果が起こるわけでございますので、そういった特殊の事由で恩給年額が改定された場合には、そういった恩給の改定にはスライドしない、つまり通常のものにスライドするということで、そういった年次格差というようなものが——年次格差による是正がございました場合には、その部分は除いて、その他の部分にスライドしていくということでございまして、その場合には政令でそういう改定にはよらないということをはっきりさせるという趣旨でございます。
○後藤義隆君 執行官法附則第十三条は、退職後の年金に必要な法律措置が講じられるまでの間、恩給法の例により、独自の恩給を支給している暫定的なものでありますが、その退職年金に関する処置を講ずるための検討は行なわれておるのでしょうか、どうでしょうか。その点お伺いいたしたいのですが。
○政府委員(貞家克巳君) 結論的に申し上げますと、この問題非常に重要な問題であると考えまして検討をいたしておりますが、残念ながらまだ具体的な構想を樹立するまでには至っておりません。これは非常にむつかしい問題でございまして、ちょっと補足的に理由を説明させていただきたいと思いますが、現在の執行官に対する退職後の給付が不十分であるということは否定できないところであると存じます。ただ、これを今度どういう方向に持っていくかということにつきましては、執行官の公務員性を一そう強化するという姿勢を保ちます以上、これはそういった退職の処遇につきましても一般の公務員のそれに近いものにする、あるいはそういう制度に組み込んでいくという方向で検討しなければならないと思います。現にそういった方向で研究をいたしておるわけでございます。ただこれにつきましては、執行官が手数料制をとっているというところからまいりますと、非常に解決の困難な問題が多々あるわけでございます。 御承知のとおり、一般の公務員の共済制度と申しますのは、保険数理を基礎といたしまして、掛金に相当大きな比重を持たしておるわけでございます。そうして、一般に公務員は次第に地位が上昇し、給与が高くなるということがございますので、当然にその拠出する掛金も多くなりますし、それから退職後にもらいます給付も高くなってくるという仕組みになっておるわけでございます。こういった仕組みの中に執行官をはめ込むということになりますと、これは、執行官というのは、残念ながら現在では非常に特殊な身分である。つまり地位が一応固定しておりまして、ところが、半面収入は一定していないということになるわけでございます。そこで、掛金なり、給付の基準をどういうふうにきめるかと、これを一律にきめるのか、あるいは何らかの、非常にこまかい段階をつくるのかというような問題になりますと、なかなかむずかしい問題があるわけでございまして、つまり、一般のそういった仕組みにマッチさせる困難性がひとつあるわけでございます。それと同時に、現行制度は非常に不合理と申しますか、非常に昔からの制度でございますが、また現実的に考えますと、妙味と申しますか、うま味もあると、それが執行官の人材を吸収する、給源を確保するための一つの手段になっているということも、これも否定できないことでございます。 具体的に申しますと、現在の制度が恩給制度であり、しかも一般の恩給とは別になっているということからいたしまして、たとえば一般の職員を退職いたしました後に執行官になった場合には、その通常の公務員に対する給付というものを受けながら、まあ働くことができる。あるいは執行官も退職いたしました場合には両方の併給、つまり両方の給付がされるというような妙味というようなものもあるわけでございまして、新しい制度を考えますにつきましては、先ほど申し上げましたような技術的な問題点を解決いたしますと同時に、現在の制度に比べてうま味がないと申しますか、かえって不利になるような制度をつくるわけにはいかないわけでございます。そこに非常なむずかしい、苦しい問題があるわけでございます。そこで、現在執行官法が制定されましてから相当たっておりますけれども、何よりもまず執務態勢を近代化するということに鋭意力を注いでおるわけでございます。 御承知のとおり、執行官法の中には、財政措置その他との関係から、当分の間は全く新しい制度にはまだ完全には移行しないというようなことになっているわけでございますが、その暫定措置の解消ということに目下裁判所当局においても非常な努力をされているわけでございます。したがいまして、私どもの率直な考え方を申しますと、まずもってそういう暫定措置を解消していく、そうして執行官法のねらっている本来の姿にまず持っていく、それによりまして執行官の手数料、あるいは経費というようなものの実態、あるいはその性格を再検討をするということが、まず第一のステップではなかろうか。そういう手数料制をいま急に捨て去るわけにはまいりませんけれども、手数料制の純粋化と申しますか、あるべき姿というものをまず現出いたしまして、その前提のもとでいろいろと新しい一般の公務員に近い制度への組み入れということを検討してまいりませんと、いまの、現在の段階で、直ちに具体的な構想を固めるということは非常に困難であるのみならず、かえって危険な要素を含むのではないかという考え方を持っておるわけでございまして、私ども決して現在の制度で今後ずっとこのとおりで問題はないのだというような考え方は毛頭持っておりません。これはさらに前進しなければならないと思っておりますが、いま申し上げましたように、非常に解決の困難な問題が多々ございますので、いましばらく時期をお貸し願いたい、さように考えておるわけでございます。
○委員長(阿部憲一君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時八分散会 —————・—————