法務委員会 第3号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/03/11
会議録
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 三月六日、西田信一君が委員を辞任され、その補欠として剱木亨弘君が選任されました。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際補欠選任を行ないたいと思います。 選任につきましては、先例により委員長にこれを一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に鈴木省吾君を指名いたします。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。 この際政府委員から発言を求められておりますので、これを許します。羽山矯正局長。
○政府委員(羽山忠弘君) 大阪刑務所の目下新聞等によって報道されております入学試験問題用紙を不正に盗取いたしました事件につきまして説明をしろという御要求をいただきましたので、概況を御説明申し上げます。 あらかじめ申し上げておきたいことの一つに、実はこれは御承知のように、目下警察及び検察庁におきまして捜査が進行中でございまして、私どもは捜査の内容をよく承知いたしておりません。ときどき連絡に参りまして話を伺ってくるようにつとめてはおりますけれども、警察も、検察庁も、なかなか現にお忙しいようでございまして、十分にお話を承る機会もないわけでございます。それとは別個に私どもが内部で調査をいたしまして、当面の対策を考える参考にいたしますために調査をいたしたのでございます。したがいまして、それらを総合したところの概況を申し上げまするので、あるいは後に間違っていたということが重大な点であろうかと思いますが、その点はひとつこの際の説明といたしましてお聞き取りいただきたいと思うのでございます。 何よりもまず非常に不祥事を起こしましたことをおわび申し上げる次第でございます。 まず関係いたしましたと疑われます受刑者について御説明申し上げます。 受刑者または大阪刑務所から仮釈放になりまして出所いたしました人物で本件に関係があると疑われます者は、新聞報道のとおり、五人でございます。さしあたり五人でございます。その一人は、姜旭生、これは韓国の発音ではカンウォークセンクと読むんだそうでございますが、姜旭生——日本読みで説明をさせていただきたいと思います。これは窃盗、賦物故買等によりまして、昭和三十五年から約二年半大阪刑務所で刑を受けまして、昭和三十七年の十二月十九日に仮出獄になって出ております。この男が去る一月三十日、大阪だと思いましたが、自動車の中で絞殺、首をしめられて、それから身体を数十カ所刃物で刺された傷がございまして、死体で発見されたということが本件の端緒だというふうに承知いたしております。 二人目は、新聞では家弓と書きましてかゆみと読むんだと思いますが、家弓こと岡本光司——光という字に司法省の司という字でございますが、でございます。これは家弓という名前はどうも本人の妻の実家の姓のようでございます。で、岡本というのがほんとうのようでございますが、本日は新聞のとおり家弓という名前で御説明させていただきます。で、これは昭和三十年の十二月二十六日に強盗殺人、死体遺棄で無期懲役刑が確定いたしまして、自来約十三年間、大阪刑務所で刑をつとめまして、昭和四十三年の十二月十三日に仮釈放になっているわけでございます。これは現在、大阪府警におきまして逮捕して取り調べを受けておる模様でございます。 三人目は尾崎増義でございまして、これは昭和二十六年十月十六日に強盗致死で無期懲役が確定いたしまして、自来約十六年半、大阪刑務所におきまして刑をつとめまして、昭和四十三年の九月六日に仮出獄に相なった人物でございます。これも現在、大阪府警において逮捕、取り調べ中でございます。 その次は昨日、大阪府警が逮捕したように新聞に出ているのでございますが、宮里栄正、これは昭和三十一年の八月十日に強盗殺人、死体遺棄ということで無期懲役が確定いたしまして、自来約十二年四カ月、大阪刑務所で刑をつとめまして、四十四年の十月十五日に仮釈放に相なった人物でございます。 それから最後に五人目でございます横光和孝、これは強盗、殺人——強盗殺人ではございませんで、強盗と殺人と二つでございまして、昭和三十六年六月三十日に殺人につきましての懲役刑十年が確定いたしまして、強盗につきましては二年三カ月という刑がすでに確定いたしておるのでございますが、現に大阪刑務所に在監中でございます。これは目下、大阪拘置所のほうに本件が発覚いたしましたために移しまして取り調べ中でございます。 それから本日の新聞で報道されました職員につきまして一言いたしておきたいと思います。 一人は、新聞に報道されておりますとおり、大阪刑務所の看守部長阪口登でございます。これは大正四年十二月十五日生まれでございまして、五十五歳だと思いますが、刑務所につとめました経験年数が三十二年六カ月という職員でございまして、現在、大阪刑務所の分類審議室の考査班に勤務いたしておるのでございます。 次は三反崎益三でございます。これは昭和六年十二月十六日生まれでございまして、三十九歳でございます。で、これは年齢は三十九歳でございますが、刑務所につとめました経験年数は約五年九カ月でそう長くつとめた人物ではございません。これは目下大阪刑務所の保安課の看守をいたしておるのでございます。 以上でこれまでに関係いたしました受刑者、仮出獄者、それから職員の関係の概略を申し上げたのでございます。 事実の点でございますが、事実の点は先ほどからもお断わりいたしましたが、若干あいまいな点が多いのでございますが、概況を御報告申し上げます。 まず、これまでに問題になっておりますのは、昭和四十三年、四十四年の入学試験問題を盗んだ、受刑者が看守の目をごまかして盗んだということが一つと、それから昨年の一月十五日の早朝、大阪刑務所の四区という収容区の外へいを乗り越えまして入学試験問題を盗むために侵入いたしまして、そして結局盗んでいったわけでございますが、盗んだというその三つになるようでございます。で、指導といたしましては、入学試験問題の漏れるということ、入学試験問題が盗まれるということはきわめてこれは重大なことでございますので、非常に内部の指導といたしましては厳重な指導をいたしておるのでございます。その一つに、下刷りとかあるいは校正刷りとかいうような紙、あるいは印刷中に破損するに至ったというような紙、そういう損紙をすべて厳重に管理いたしまして、責任者が立ち会いのもとで焼却をするということになっておるのでございます。ところが四十五工場、四十六工場に約百人の印刷工の受刑者が働いておりまして、それらのうちの一部が看守の目を盗み、すきをうかがいましてその損紙を抜き取ったというのでございます。そしてすきを見てソフトボールの補修をする際に、その中に詰め込んだ。一時バレーボールという報道がされたようでございますが、これはどうもバレーボールではなくてソフトボールのようでございます。そして運動時間に外に待っておりました姜その他の者と共謀いたしまして外に投げ出したということでございます。どうしてそのボールが外に投げられたのであろうか、この辺も私どもはふしぎに思いまして、いま鋭意調査中でございますが、これまでに判明いたしておりますところでは、キャッチボールあるいは外へいに向かって投げつけて、そのはね返りを受けるというようなことをよくやるようでございまして、そのときにときどき暴投をして外に飛び出すことがあるんだそうでございまして、この暴投を装って故意に暴投するというようなことがあったのではなかろうかというふうに疑われておるのでございます。そういうわけで外に入学試験問題が出るに至ったということでございます。 それから昨年の一月十五日は結局内部に、ただいま申しましたような方法で抜き取った試験問題用紙を外に投げ出す受刑者がおらなくなりましたために、結局最後の非常手段で、侵入して盗もうということになりまして、成人の日——成人の日は一日免業日でございますので、その辺もよく知っておるようでございますが、尾崎と岡本が第四区西側の外へいに参りまして、午前二時ごろ、岡本がはしごを押えておりまして、尾崎が中に侵入した。そうして中に入りますと、工場は非常に厳重にかぎがかけてございますのみならず、特殊印刷物印刷中につき、みだりに立ち入るなとか、中に入るなとか大きな看板が出ておるのでございますが、なかなか、通常の出入り口は非常に警戒が厳重であるということで、これもかねて計画してきたと思うのでございますが、その工場に参りますところの渡り廊下があるのでございます。その渡り廊下の外側が、まことに何と申しますか、上にのぼるには都合のいいような構造になっておりまして、その渡り廊下の横を伝いまして屋根にのぼったようでございます。そうして渡り廊下の屋根から順次四十五工場と四十六工場の仕切りのところの屋根の部分に達しまして、そこに横に張ってございます板をはがしまして、はり伝いに中央に降りまして、工場の中に別に仕切って倉庫のまた部屋があるのでございます。当日はその問題はすべて、完成品であると半成品であるとを問わず、倉庫にしまってある。それから英語と数学の問題は別のところに置いてあったようでございまして、これは被害がなかったのでございますが、英語と数学と申しますのは大阪大学のものでございます。この倉庫の部屋もかぎがかかっておりましたのみならず、封印がしてあって、それを取ればすぐわかるようなしかけになっております。そこでその部屋の窓ガラスを破りまして、裏側に金網が張ってあるのでございますが、その金網をさらにペンチではずしまして向こう側に押しやりましてそこから入ったようでございます。当日たまたま中には完成品と半成品をまぜまして大阪大学、大阪市立大学その他の注文品でございます入学試験問題用紙が約三十万枚ぐらいあったようでございますが、そうしてそれをどうして大阪の大学のものであるかということを判別したかということ、これも想像でございますが、長年この仕事に従事しておりましたとこかがら、その付近にございました原稿あるいは何か、そういう校正刷りの置いてあったもの等から判断したのではないかと思いますが、とにかく一問ごとに十六間分を盗んだようでございます。そうしてまた工場に出まして、当日朝から夕方暗くなるまでその工場の中におったようでございます。これは犯人の気持ちを想像いたすのでございますが、入学試験問題が盗まれたということがもし気がつかれますならば、たちまちその問題を変えられるということになりますので、侵入したということを極力秘匿するという意味で金網などはすぐペンチを使いましてもとどおりにして、そうして夕方になりましてからまたはりを伝わりまして屋根に上がった。そして十六日の午前三時ごろ姜と岡本とが外に迎えに来て合図をして、そしてロープを投げて尾崎を引き上げるという方法で尾崎は脱出したように考えられるのでございます。そういうわけで、大阪大学の英語と数学の問題は盗まれていないようでございます。 そこで問題はその一月十六日の午前三時ごろでございますが、大阪刑務所の外べいにはしごが立てかけてあるということを通行人が発見いたしまして、すぐ堺の北警察署に通報し、一一〇番で通報したそうでございますが、警察からは刑務所のほうに連絡がございまして、刑務所では同日午前十時ごろまでかかりまして、いろいろな点検をいたしました。その結果最初のうちは逃げたのではないかということで受刑者の頭数の点検にかなり時間をかけたようでございます。当時の受刑者は、現在もそうでございますが、約二千人でございまして、寝ておりますのでまあ点検の手数もかかったと思うのでございますが、それから受刑者が逃げてないということになりましてから、内部、外部を徹底的に調査いたしたようでございます。もちろん印刷工場の中も調査いたしたようでございますが、そのときにナイロンロープとそれから茶色の手袋が内部の外べいとその印刷工場との中間に落ちておるのを発見いたしております。それから外べいの内側に明らかにだれかがずりおりたか、ずり登ったかわかりませんが、その足の痕跡があったということでございます。だれかが侵入したことは疑いない。しかしながら問題は入学試験問題を刷っておる工場の中の検査でございますが、これは今日になりましてはまことに遺憾だと申さざるを得ないのでございますが、倉庫室のガラスが破られていたわけでございますが、その破られていたということをまあうっかりいたしまして、ただかぎがしっかりかかっておるということで、異常なしということに判断いたしたようでございまして、これは今日になりますと、まことに遺憾なことであったと思うのでございます。ただその状況のその詳細は一月十六日の午前中に調査いたしまして、大阪刑務所の保安課長ほか一名が堺の北警察署に参りまして侵入された状況をつぶさに報告いたしておるのでございます。で、当時の刑務所の判断といたしましては、結局入学試験問題が盗まれていないということで、結局逃走の援助か、あるいはときどき起こりますたばことか酒とかを、入ってきてどこかに隠しておくというような、物品の不正な差し入れではなかったかという判断で終わったわけでございます。 それからあと職員の関係でございますが、実は本件が非常に大きく報道されるに至りまして、法務省は、大阪矯正管区並びに大阪刑務所に指示いたしまして、職員に対して自発的にこのいまつかまっている受刑者からごちそうになったとか、何か物をもらったとかいうことがあるものは、すべて自発的に申し出るようにということを申したのでありますが、阪口という先ほど申し上げました看守部長が四十四年中に相当回数に渡りまして大阪市内のキャバレー等で飲食の提供を受けたということを申してきたのでございます。で、そこでもう直ちにこれは捜査当局に通報をしろ、どういうことであるか、その詳細はもう取り調べをする専門家にまかしたほうがいいということで、大阪の検事正のほうに通報をいたしました。検事正のほうからおそらくあるいは警察のほうに連絡されたのかと思うのでありますが、昨夜逮捕された。なお、阪口が問題の尾崎に頼まれまして、当時四十四年中でございますが、大阪刑務所に在監いたしておりました宮里というものから、何か尾崎が宮里に製本を頼んであるのだ、それを持ってきてくれということを言われまして、阪口が受け取って、宮里から受け取りまして、尾崎に渡したという事実がございまして、それは阪口の言うところでは、私ども内部の調査に対する阪口の言うところでは、入学試験問題を抜き取るということとは関係がないのだというようでございましたが、もうその辺は一切捜査当局のお調べにまかせるということで引き継いだわけでございます。 それから三反崎益三につきましては、全然これは私どもは従来の調査の対象にもならなかった人物でございまして、まことにうかつで恐縮でございますが、けさの報道によりまして承知いたした。で、どういうことでつかまったのかというようなことも、現段階におきましては、はなはだ申しわけないのでございますが、承知いたしておらないのでございます。 以上が事実の概況でございまして、重ねて、事故の発生につきましては、深くおわび申し上げる次第でございます。
○委員長(阿部憲一君) 本件に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
○亀田得治君 それではただいまの報告に対しまして、若干質問をいたします。 この事件の全貌はまだわかっておりませんが、いずれ詳細全体が明らかになった段階でまとめて御報告願いたいし、また最終的な質問をその際にいたしたいと思いますが、しかし何ぶんにも本件は社会的に非常に大きな影響を与えておりますので、大きな点については、ひとつ大臣みずから所信を明らかにしてほしいし、また若干いまお聞きした中でも相当疑問点もありますので、それらの点について、局長のほうからさらにお答えを願したいと思います。 まず、ただいまの御報告の中で、昭和四十五年一月十五日の早朝の侵入の関係についてお聞きします。 外部からの通報があって、そうして刑務所のほうでは受刑者が逃げたのではないかということで調べたが、それはなかった。そうすると結局外部から侵入されたものだ、こういうふうな角度でお調べになったようであります。その調べがたいへんずさんであったという感じがいま報告を聞いていてしたわけですが、局長も若干そういうふうに感じておられるようですが、これは大事なことですから少し確かめたいのは、外へいの内側に足の痕跡があったという点ですが、これは位置からいいますと、第四十五印刷工場とどういうふうな関係になっておるのでしょうか、距離なり、そういう関係は。
○政府委員(羽山忠弘君) 大阪の刑務所の西側の外へいがございまして、それからちょうどその外へいに並行に約十五メートルの間隔をおきまして四十六工場という印刷工場がございます。それからそれは長方形の印刷工場でございますが、それに並びまして、すぐ続きまして、その工場にちょうど長屋のように接着いたしまして四十五工場という工場がございます。で、この外へいの——ここに当時の写真があるのでございますが、この写真ではよくわかりませんが、ただ言われてみるとそうかなあと思いますのは、その四十六工場のほうに寄った外へいのコンクリートの内側の表面に引っかいたような白い痕跡があるのでございます。それでまあ人がずり落ちたか、ずり上がったかという判断をいたしたわけでございます。
○亀田得治君 何か図面があると非常にはっきりするのですが……。その四十五並びに四十六の工場というのは結局は一つのむねですか。長屋のようなものがこう何か接着しているというのですが、どういうふうな関係でしょうか。
○政府委員(羽山忠弘君) ここに紙がございますので——これは問題の試験問題の印刷に使った用紙でございますが、こういうように大阪の刑務所があるといたしますと、一区、二区、三区、四区というふうに、中でもへいがございまして仕切ってある。そして問題の四区はここの四つ目の部分でございます。ここに一こちらが西側でございまして、こちらに外へいがこうあるわけでございます。そういたしますとそこに縦に長くこういうふうに印刷工場がございます。その印刷工場のこちらのほうが四十五工場でございまして、それからこちらが四十六工場でございます。ちょうどこの外へいのこの辺の内側にすべり落ちたようなあとがあった。 それからただいま申し上げましたこの工場に接着いたしまして検身場というのがございます。検身場と申しますのは、収容者が作業場に入りますとき、それから帰りますときに裸になりまして検査を受けまして、——これは物品を持って出るとか出ないということの検査でございますが、検査を受けまして着物を作業衣から居房に帰る着物に着がえまして帰る。入るときには居房衣から作業衣に着がえて入る検身場がございます。その検身場から今度はずっと房のほうに帰ります渡り廊下がここにあるわけでございます。渡り廊下がありまして、その渡り廊下の屋根が通常の工場の屋根よりずっと低くなっておりますのでその渡り廊下の屋根にまず上りまして、それからあとはその渡り廊下の屋根を歩いてまいりまして工場の屋根に上がる。で、工場がいま申し上げました四十五工場、四十六工場とこういうように続いておるのでございますが、そこでちょうどその中間がこういうふうに家の何と申しますか羽目板が向かい合っている部分がございまして、それからこちらのほうの、四十五工場のほうの横板がございます。それをはがしまして上から中へ入った、こういうふうになるわけでございます。
○亀田得治君 ガラスが割れていたというのは四十五工場のどこなんですか、いまおっしゃった。
○政府委員(羽山忠弘君) いま申し上げました工場はこういうふうに長いわけでございます。そして四十五、四十六とこうなるわけですが、こちらのすみを仕切りまして小さな部屋ができております。これは倉庫という看板が上にこう横に書いてございまして、ちょっと話が前後いたしますが、工場自体の出入り口の錠前がこうかかっておるわけでございます。そうするとここをあけてこう中に入りますと、またここに小さな部屋がございます。その部屋のとろこにこちら側に引き戸のドアがついております。それでそこの引き戸のドアもこれは普通のドアでございますが、内側には三センチ直径くらいの金網がずっと張ってあるのでございます。それでここのところのドアのかぎはしてございましたのと、五センチくらいの幅の紙のテープを張りつけまして、ドアをあければ——まあ、あけることはできないわけでございますが、かぎがかかっておりますから。もし万一あければかぎの封印がとれるというふうになっております。そのドアに続きまして下に腰板がございまして、その上に三尺の引き戸になりまする窓がございます。その窓には四枚ガラスがはめてございまして、向かって右の窓の左の下のガラスを破りまして、そのガラスの破りかたと申しますのは、こうガラスがございますと斜めにぴゅっと破っておる、それをこうはずしまして中の金網をおそらくペンチか何かでやったんだと思いますが、金網が下のほうがずっとかぎがとまっておりますからそのかぎを全部はずしまして金網を押してそしてかぎをあけてそして中に入った。あとはまた外へ出まして金網をもとのようにしたのか、あるいは中でもとのようにしたのか知りませんが、もう一ぺん窓を締めてもとのようにして外に出たと、こういうことになるわけでございます。
○亀田得治君 先ほどから外壁と言っておりましたのは、刑務所のあの大きな外から見えるへいじゃなしに、その印刷工場のすぐそばにある刑務所の中のへいのことなんですね、魁あとがついていたというのは。
○政府委員(羽山忠弘君) あるいは私の発音が悪かったかしりませんが、外へいと申し上げたと思います。 外へいと申しますのは、大きなへいでございます。外のへいでございます。ただいま申し上げました、刑務所がこうございますと、へいがあるわけでございます。五メートルのそのへいが外へいでございまして、四区の外へいと申しますのはここでございます。それからここに工場がこうある。その外へいと工場との間隔が約十五メートルということになるわけでございます。
○亀田得治君 大体わかりました。そこで点検をされたのは何名で点検されたのですか。
○政府委員(羽山忠弘君) いまここに正確な人数を持ち合わせておりませんが、承知いたしておりますところによりますと、夜間はすべて、寝ている職員、私どものほうでは仮眠と申しておりますが、仮眠しておるものも全部起こしたと、それから警備隊というのがございます。その警備隊の人員も全部出動さしたと、で、明るくなりましてからは出勤してまいりまする職員がおりますので、そういう職員を相当数使って点検をしたというふうに承知いたしております。
○亀田得治君 いまの説明聞きますと外から侵入して、そうして印刷工場をねらったということは、これはもうだれでもはっきり推定できるわけですね、推定できる。それであればなぜ一体ガラスがこわれていることが気がつかないのか、これが非常な私疑問に感ずるわけです。いまのお話ですと、普通の点検であればガラスがこわれていることがわかりそうな場所のように思いますが、その点どうなんでしょうか。
○政府委員(羽山忠弘君) お尋ねの点はまことにごもっともでございまして、私どももその点を現地の調査におきましては非常に重大に感じまして取り調べをしたわけでございますが、まあ現地のこれは弁解になるようなことではなはだ恐縮でございますが、ちょうどそのガラス窓の前の天井に螢光灯がございまして、その螢光灯を引くひもの先にちょっと特殊な何か重いものがくっついていたと、それがこう当たります部分がち金うどそのガラスの破れた位置のようなところにくる、それでだれかがその螢光灯の綱をあやまってそこへ当てたのではないかというような判断をしたのだと、こういう説明でございました。しかしながらこれはそれならばそれを一応やってみればどの程度にガラスが割れるのか割れないのかということがすぐ問題になるわけでございまして、その辺に調査並びに判断のまあ非常な粗漏と申しますか、遺憾な点があるように思うのでございます。
○亀田得治君 何かいままでの新聞の報道等を見ておりますと、ガラスの割れていることに気がつかなかった。先ほど局長もそういうような意味でお答えがあったと思うのですが、どうもいまのお答えですと、ガラスがこわれていることがわかったようですが、ただそのこわれた原因は螢光灯の操作のひもがぶつかったんじゃないかと思ったというんですが、普通螢光灯のあのひもがぶつかってガラスが割れることはこれは常識的に考えられぬと思うのですね。だからそういうことになりますと、何か点検自体がきわめてルーズにやられておると、もう少しこれは全貌がわからなければ断定はできませんが、そういうルーズな点検をやっているということは、点検をしておる人自身にも何か関係があるような感じすら持てるわけですね。とにかく侵入者があったことは間違いないというふうに、これはさっきの状況の説明でだれでもわかります。そうして侵入の目的は何かと言えばそれは試験問題にきまっているでしょう、その工場をねらうというのであれば。その工場では試験問題のほかに何かそういう人のほしがるような印刷を、ほかにも何かやっていたのですか。とにかくそこの問題の倉庫ですね。そこには試験問題しかないのでしょう。その点はどうなんです。
○政府委員(羽山忠弘君) そのとおりでございます。
○亀田得治君 そうすればどうも点検自体がそういうふうな状況で済まされておるということは納得がいかない、納得が。それでこれもわれわれが直接捜査するわけじゃないのでわかりませんが、いろいろニュース等見ておりますと、阪口あるいは三反崎以外にも相当関係者があるのじゃないか、こういうことが言われておりますが、その点はどういうふうに感じておられますか。まだほかに相当あるのじゃないですか。
○政府委員(羽山忠弘君) この点は今後の捜査なりあるいは私どもの及ぶ限りの調査ではっきりすると思いますし、またはっきりさせなければならぬと思っておりますが、まだ相当あるのではないかというお尋ねに対しましては、現にまあ二人逮捕になっておるわけでございまして、どうも何とも申し上げようがないというふうにお答えせざるを得ないのでありまして、まことに恐縮に存ずるのでございます。
○亀田得治君 この一月十五日の件が相当明確になりましたが、四十三年、四十四年の関係でソフトボールに入れて暴投をしたというふうに見込みをつけておるようですが、ボールの数などの点検や保管などは刑務所としてどういうふうになっているのですか。
○政府委員(羽山忠弘君) 御承知だと思いますが、刑務所は物品の管理がもう非常にやかましいところでございまして、マッチの棒一本に至りますまで一々数を数えるというような状況でございます。したがいましてソフトボールの管理にいたしましてもその数の管理は非常に厳重であったというふうに申し上げられると思います。しかしながらその破れたところを受刑者に補修させるというようなときにどの程度の監督をしたかというような点、それからソフトボールが飛び出した、受刑者が暴投した、外に出たというようなことを申しまして、拾いに職員が外にまいりましたときに、なくなるということがそうひんぱんにあるわけではございませんが、ときには行って見るともうなかったということがあったというようなことによりまして、その辺のすきをつかれたのではないかというのがさしあたりの私どもの想像いたしておるところでございます。
○亀田得治君 ボールが外に飛び出すという場合、そういうボール遊びをしている場合にはだれか見張りの人がおるのじゃないですか。
○政府委員(羽山忠弘君) まず運動をさせるということで職員が監視をしているわけでございます。それからちょうどその運動場の上の外べいには昼間は見張りが立つことになっております。したがいましてたとえばソフトボールをいたしておりまして、ひんぱんにファールボールが外に飛び出すというようなこともあるようでございますが、そういうようなひんぱんにたまが外に飛び出すようなときには、見張りその他もよく見て、その飛び出したたまが拾われていかないように注意しておると思いますが、そこが、こちらのすきをねらいまして、暴投、あるいはファールボールか何か、そういう形態で、見張りが向こうを向いているときに、それから運動の監視の職員がまた横を向いているようなときにほうり出すというようなことになるのではないかというふうに想像をいたしておるのでございます。
○亀田得治君 それは十分注意しておれば、外へ飛び出した、拾いに行く、外にだれかが来ておるのなら——これは何回もやっているようですからね、どこかで気がつかなきゃいかぬはずなんです。それが気がつかない。そうすると、その見張り人というのが一体信用できるのかできぬのか。さっきのガラスの破損を見のがしておるのと一緒で、そうして筋の通らぬような見のがした理由を述べておるわけですが、その見張り自体が、私、疑いたくなるのです。 で、このソフトボールを使ったというのは、いままでの調べでは、何回になっているのですか。
○政府委員(羽山忠弘君) その点は、まだ警察その他の関係当局から全然説明を受けておりませんので承知いたしておりません。ただ簡単に、ソフトボールまたはバレーボールに入れて投げ出したようだということでございます。
○松澤兼人君 さっきのガラスの話に戻ってまことに恐縮なんですけれども、普通の場合にはだれが——貴重品というか、特別に倉庫に置いておく重要な品だと思うのですけれども、普通の場合、その倉庫から出る人、最後に倉庫のかぎりをあけて、締めて外へ行く人は、どういう順序でやっているのですか。先ほどの説明を聞きますと、ガラスをこういうふうに斜めに切って手を入れてかぎをあけた、内からかぎは締めている——外には南京錠みたいなものがあるのでしょうけれども、その辺のところ、普通の場合にはどういうふうにして倉庫の責任を持っている人が締めて出ていくのか、そこのところを説明してください。
○政府委員(羽山忠弘君) 普通の場合は、一切責任者であるところの職員がそのかぎその他を締めて出てまいるわけでございます。それでガラスの窓でございますが、窓は平素あけたり締めたりしないことになっておりまして、それをガラスを割ってかぎをはずした、こういうことになるのでございます。
○松澤兼人君 そうすると、大きなドアみたいなものでなくて、小さなガラス戸の、いわばねじ込みのかぎ、それをあけて、そこから入ったということなんですか。
○政府委員(羽山忠弘君) 私、その現場を見ておりませんので、よく詳細にわかりませんが、どうも報告を受けましたのは、ただいまお尋ねのようなことであろうと思います。したがいまして、先ほど申し落としましたが、よく注意いたしますると、そのかぎもおそらくあいていたのではないかと。しかし、そのかぎは、金網が張ってございますから、金網の内側になる、こういう関係で、これも、まことに恐縮でございますが、見落としたのではないかとこういうふうに思います。
○松澤兼人君 どうもそこら辺のところに、亀田君も、中にも連絡をとっておる人があるのじゃないかという疑問が生じてくるわけです。窓からしのび込んだとしても、かぎを締めたということは先ほど報告になかったです、あけたということはありますけれども。そのかぎをまた締めて、金網はあったけれどもガラスはこわれていた、こういうことだろうと思うのですけれども、ガラスがあいて、金網が切れた、はずされたということはわからないにしても、内側にかけてあるかぎが、かけてあったのか、なかったのか、その辺のところがやはり問題だと思う。
○政府委員(羽山忠弘君) その点はまさに御指摘のとおりでございまして、かぎはかかる——もし、かけたといたしますれば、そのガラス戸が破れておりますから、そこからもう一ぺん手を突っ込んでかけているかもしれません。私はどうもかけていなかったんではないかというような想像をいたしておるのでございます。
○亀田得治君 まあ、お聞きすればするほど、いろんな疑問が次々とわくわけですが、この侵入事件があって、あと点検をした際に、点検する人はその倉庫の中に入りましたか、外側だけ見たのですか、どうなんですか。
○政府委員(羽山忠弘君) 倉庫の中は、印刷担当の職員三人のほかに、別途に監督者が参りまして点検をいたしております。これはやはり外のかぎ、それから中の倉庫のかぎ、この辺が異常がないということによりまして、まあ問題は盗まれなかったのだというような判断をしたようでございます。
○亀田得治君 それがはなはだ疑問なんです。普通、ものがとられたのではないかと——これは試験問題の重要な倉庫ですからね、そう疑ってかかるのが当然なんです。そうして、いまのお話ですと、二、三名の方が中に入って調べたようですが、その調べ方ですね、印刷物をちゃんと倉庫の中に積人である、積んだ人が受刑者の中におるはずですね、その人を連れて来て、そうして看守の方が一緒に来て、全然変わったところがないかどうか、そういう調べまでやってるんですか。ただ看守のんだけが見てるんですか、どうなんですか。
○政府委員(羽山忠弘君) 工場の担当でございます看守だけが見たわけではございませんが、やはりその看守の報告と申しますか、が重要の資料になったことは間違いないんではないかというふうに想像するのでございます。で、確かに、まあもう少しつけ加えさしていただきますと、造幣局の紙幣、造幣局で刷ります札のごときは、破ってしまえば何の通用力もないわけでございますが、入学試験問題と申しますのは、半成品でありましても、破損したほごでありましても、わずかな一部分でございましても、表へ出れば、一部の人が非常に見たがるものである。そういう意味で、非常に盗難の的、盗むということの的になりやすいものであるということは、やはり関係職員がほんとうに徹底的に認識する必要があったというふうに考えております。 それからもう一つ私どもが遺憾に思いますことは、すでに京都の刑務所におきまして昭和四十年、それから名古屋の大学におきまして昭和四十三年の同じ時期ごろに同じような事件が起きておりまして、外へいを乗り越えて中へ入るというような事態がありまして、これも、大阪の刑務所におきましてはそういう事例を詳細に聞きまして、まあいろいろ合計いたしますと三十項目ぐらいにわたりまする点検要領というようなものをきめまして、これを読みますと、このとおりやってれば何も事故は起きないはずだというふうな感じがいたすくらい厳重な所長指示がその印刷工場に対して出ておるのでございますが、どうも先ほど申しましたまあ外へいがあるということと、それから朝晩は、はだかになって来て、はだかになって帰るというようなこととか、そういう非常に、まあそういう運用によりましてまさかとられたことはないとか、抜き取られたことはないだろうというような、まあ安易な気持ちがこういうようなすべての事故につながったんではないかというふうに考えまして、深く反省をいたしておるのでございます。
○亀田得治君 いや、それはまあどんなに厳重にいろいろ取りきめをしましてもね、内部の者が通謀しとったらこれはもう全く何にもならぬわけですね。それで、普通、物がとられたといえば、その現場を見れば、これは何か物が動いとるに違いないわけですよ、全然同じかっこうですっと抜き取っとくと、そんなことはこれはあなた、神わざでなきゃできるものじゃないわけですから。それは局長のほうがそっちのほうの専門なんだ、よく御存じでしょう。だから、それならば倉庫の中へ入ってとられたんじゃないかということでお調べになったその時点で私は気がつかなきゃならぬ問題だと思うんです。その現場というものをいまわれわれ見ることできませんから、それは非常に上手にもう外形的な変化は全然与えないで抜き取ったかもしれません——そんなことはおよそ考えられないことですよ。だから、前の日に一番最後までいた人を連れてきて調べるとか、厳重にやればその時点においてこれはえらいことになってるということ当然気がついてしかるべきだと思う。気がつくべきものがつかぬということになりますと、これは刑務所全体が疑われる、そういう結果になるわけですがね。それは気がつくのが普通じゃないですか、どうでしょうか、私はそう思いますがね。
○政府委員(羽山忠弘君) 私どものほうで入りました尾崎を取り調べておりませんので、どの程度のことを彼がやったか何とも申し上げにくいのでございますが、もし御質問のように内部の職員に共犯者がいたというようなことであればもう論外でございまして、これはもう気がつくも気がつかないもないことになるのでございますが、かりに昨年の一月十五日の事件につきましては共犯者はいなかったんだといたしますと、これはやはり点検あるいはその事故の直後の調査の粗漏があったということを言わざるを得ない、こういうふうに考えるのでございます。
○亀田得治君 しかし、四十三年、四十四年、この辺ですでに密売グループと刑務所の職員が連絡されて、これも全貌はもう少し先になると思いますが、いろいろなことをやられたことはこれは事実なんですね。四十五年一月のやつはそのあとなんですからね。これは侵入という形態をとったかもしれぬが、この侵入事件というのは、全然外部から一方的にやったものだと必ずしも私は断定できないと思うんですよ。時期的にこれは逆なら別です。侵入事件が四十三年ごろあって、しかしこれはどうもあぶないからというのでやり方を内部と通謀することに変えたというなら別ですが、あとなんですから、もう連絡済みなんですよ。私はそういう意味で、はなはだもってとの事件が奇怪千万だと思っておるのです。時間も相当たちましたから、いずれさらに事実関係一切明らかになった時点でもっと究明したいと思います。 そこで、局長に用意しておいてくれと申し上げたんですが、刑務所の収賄事件ですね、これはときどきあっちこっちで新聞などでも報道されるわけですが、いままでどれくらい起きておりますか、ちょっとこの際明らかにしておいてください。
○政府委員(羽山忠弘君) 三年間に行政処分をいたしましたのは十人でございます。その内訳は、これは刑事処分でございません、刑事処分がかりに起訴猶予ということになりましても行政処分をいたすことがございます。いずれも全部収賄でございますが、その内訳は、減給が六人、それから懲戒免官が四人でございます。
○亀田得治君 その中身は大体どういうふうなことです。一つ一つ若干は違うでしょうが、大体共通した面があると思いますが。
○政府委員(羽山忠弘君) 非常に多いのは、件数として多いのは、暴力団関係の受刑者が中に入っておりましたときに、その家族が不正に物を差し入れる、たとえばたばこを渡してくれとか、近ごろビニールとかプラスティックとかいうものが非常に進歩いたしまして、簡単にウィスキーなど小さく梱包するようなことができるようでございますが、そういうものを渡してくれということを依頼いたしまして、そして看守に金品あるいは飲食物の提供をするというような事故でございます。
○亀田得治君 そういうことは一般的にもよくうわさされておることでありますが、その中の一部が私はそういう処分の対象にあがってきておると思います。つまり、そういうふうなことになれっこになってしまっているんじゃないかと思うんですね。初めはどうもいやな感じを持っておるんでしょうが、何回もやっているうちにだんだんそれがなれてしまって、そういうことの中から今回のような大きな問題が発生したんじゃないかと私は思うんです。これは偶然起きたものじゃ私はないと思うのです、そういうのは。それは普通の物の出し入れ——家族に渡したいとか、中身は社会的にも質的にも全く違う犯罪なんですね、本件のやつは。それは常識的に考えたら、試験問題を盗んでばらまくなんていうのはたいへんなことだということは、これはもうすぐわかるはずです、いやしくも国家公務員であれば。それがわからぬような、そういうわからなくなるような雰囲気が刑務所の中にできているのじゃないか、形としてはどちらとも連絡であり、あまり違いませんがね。そういうものが積もり積もって本件のような問題に刑務所の職員が手をかすというようなことになったものと私は思うのです。平素からそういう雰囲気がなく、本件のような問題をいきなり持ちかけられたといったら、ちょっと刑務所の職員の人はそれはだれでも気づきますわね、そんなことをしたらたいへんだ。その辺に私は刑務所のあり方が次から次、いろんな問題を起こしておるわけですが、根本的に検討し直す必要があると思うのです。こんなことをやっておって、一体受刑者の人に対するたとえば戒護とかそういうことを幾ら言ったって、それはだれも聞きませんよ。形式的に聞いておるだけで腹の中が笑っておるということになってしまうわけですね。それはもう直接の当事者を処分するとかあるいはその上の人を処分するとか、そんな問題じゃなしに、非常に重大な問題にぶつかってきておると思います。どんな悪いことをやって刑務所に入っている人だって、それはやはりちゃんとまじめに反省もし、ものを考えていくという良心はあるわけですから、あればこそ受刑なり戒護というものも必要になるわけでしょう。しかしその基礎は私はそれに関係する人たちに対する信頼というものだと思うのです。しかしそういうことを、私は今回の事件というものが根本的に破壊したように思うのです。その破壊したのはそれなりの歴史的な一つの悪い慣習が積もり積もってふき出たものだ、こう思うわけでして、この点は法務大臣からひとつ所信を伺っておきたいのです。もう通り一ぺんのことじゃなしに、だれそれを処分したらいいとか、そんなことで済む問題じゃないと思う。日本の矯正行政の基本に触れてきておる問題だと思うのですね。どうするのかこれを。ある人はどうも刑務所で次から次そういう問題が起きてはまずいから、ちょうど税務署でやっているように二、三年したら取りかえたらどうかというようなことを言う人もありますが、しかしこれはもうそうなりますと、初めから信頼しないと、こういう前提になりますからね。一体そういうことに踏み切っていいものかどうか。これは非常に制度の根幹に触れてくる私は問題が提供されてきておると思います。まあ法務大臣も小林さんがおやめになったおかげでえらいむずかしい問題に就任早々直面されたわけですが、ひとつこの際御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) 今回の大阪におきましての試験問題が外部に持ち出されたその経緯等については、先刻来お聞きのとおりでございまして、まだ実態が明らかになったとはいえないのでございます。そういう際でございますが、この問題が新聞紙上をにぎわし始まった時分から、ちょうど私、着任直後のことでございますが、問題を知りまして、それはどういう真相だったろうか、早く真相を知りたいというので、非常に心配もし、また手配もしまして、本省からも大阪の現場に係員を派遣しまして、一刻も早く真相をわかり次第、知らしてくれるようにというようなことで今日に及んでおるのであります。その間、幸いにして、初めのうちは部内の職員等の間違いは全然伝わってまいりませんから、おそらくは看守その他の関係の諸君の中にこうした間違いの一つの大きな条件を満たすようなことはなかったのかな、そうであればありがたいと、こう思っておったのであります。 ところがちょうど三月の、今月に入りましてからの九日ごろだったと思いますが、先ほど問題になりました阪口登でございますか、これが、職員でございますが、その阪口登なる、看守部長の地位におりますが、この人が自発的に上司に申し出て、そうして、自分が犯人の一人に当たるわけですが、それと一緒にキャバレーで若干の供応を受けたことがあるということを申し出たということがわかりました。そのときには、それはまだ外部にはわかっていないときでもございましたし、私自身としてはさすがにまじめな取り締まり当局であるから、どういう事情でそういう人と一緒に酒食を共にしたというようなことがあったのかなということに非常な不安を持ちながらも、みずから上司に申し出ておるということですから、おそらく何の間違いもなかったのだろうなと、ぜひそうあってもらいたいというような気持ちでおったのであります。 それがけさほどになりまして、初めて新聞及び役所側から聞いてみますと、その阪口登なる部長が、他の一人三反崎益三、との二人がきょうは逮捕されて、そして調査を受けているということを聞いてがく然としたのであります。 かようなわけでございまして、こうなりました以上は、私はこうならぬにかかわらず、先日来、他の席でもお答えしているのでありますが、実態を早く知りたい、そして真相を早くつかんで、そうして信賞必罰、その点を明らかにして将来に対する十分な戒めにしなければならぬ、われわれ当局の責任者としてはその原因を深くたずねて、この原因の除去にあらゆる努力をすべきものである、こういうふうに決心をしており、そう申し上げておるのであります。この点、今日もなお、同様な気持ちであることはいうまでもありません。二人の者が調べられておるということが明らかになってまいりましたが、それならそれで、その二人はいうまでもなくただいまいろいろ亀田委員からも御指摘になりますように、他に影響が、類似のものがあるのか、ないのか、早くこの真相を知って、そうして事態を明らかにして、いやしくも綱紀の乱れが部内に起きないように、また外部からの信頼にそむくようなことが最小限度であればいいかなと思っておりますけれども、やはりこれも私はこうなってしまった以上は実態をどんどん明らかにして、ありのままを適当の機会にこれを御報告して、そうしてみずからも是正につとめてまいりたい、こういうように思っておるのであります。私はその意味で今回の事件を大きな今後の部内一同の反省の材料として、そして今後に誤りなきを期して、いやしくも外部からの信頼にそむくようなことが二度と起きないように早く手当てをしなければいかぬと、かように思っておる次第であります。まだまだこの問題についての真相がわかりませんことが私にとって何となくもの足りなくって、また焦燥の念にかられておるのでありますが、この点はただいまの状態におきましてはもうすでに部内の職員の一部に関係者が出てきたということはほんとうに申しわけないと、責任の立場におるものとして深く皆さまに遺憾の意を表明しておわびを申し上げたいと思っているのであります。今後に十分なる配慮をしてまいることをお誓い申し上げたいと思います。
○亀田得治君 だいぶん時間をとりましたのでこの程度にしたいと思いますが、大臣もお聞きのように、昨年の一月の侵入事件のあとの調査のやり方がはなはだふに落ちないのです。私、いろんなニュースを見ながらそう思っていたのですが、本日お聞きしてもなおさらそう思います。だからその辺を十分ひとつ調べさしてほしい。これは要求しておきます。 それから最後に二つばかり法律問題ですが、法務当局の御意見を参考にお聞きしておきたいと思うんです。 その一つは、問題を金を出して買ったという父兄なり学生があるわけですが、たとえば盗品故買の刑法二百五十六条の二項あるいは業務妨害の二百三十三条、こういうものに当たる場合もあるのではないかという点、なかなかいきなりそこへ持っていくのはむずかしい、主として犯意の関係だと思いますが、そういうことを法務省側の見解として聞くわけですが、私は一人一人父兄なり学生の状態というものが違うわけですからね、その間の事情をある程度ちゃんと知ってそうして金を出していた、それに応じていたというふうな父兄なり学生があれば、私はりっぱにこの法の適用の対象になっていくものだと思うんです。古いやつは時効の関係があるでしょうが、新しいものについては。だから頭からそんなものに持っていくのはむずかしいというふうなことをいってしまうのはおかしいと思うんです。これだけの重大問題ですからね、徹底的に私は個別的な事情まで究明していくのが法務省としての責任ではないかと思うんですね。最終的な処分は別ですよ。いろんな社会的な地位なり状態なりそれはお考えになることは当然でしょうが、初めから法律的にその二つの条文に持っていくことは無理だ、そういうことをきめてかかることはよくないと考えるのですが、どうですか。
○国務大臣(植木庚子郎君) 着任早々でもございますし、法律問題には一向しろうとでございますから、はたしていまお答えすることが間違いないかどうかについては若干疑念を持っておりますが、一応御質問に対してのただいまの私の考えを申し述べておきます。 この場合に亀田委員の仰せになるのは、事案が賦物故買というような犯罪にも当たる場合がありはしないか、そういうことも十分配意の上で研究をし検討しなければいかぬぞという御意見かと思うのでありますが、これは一言にしてきわめて平凡な、平易に申し上げますれば、まだ事実はこれからさらに詳細に調べた上で、そうしてその事実のいかんによっておのずからいかなる罰則が適用になるか、いかなる条文が最も適切であるかというようなことがきまるのでございますから、いま直ちにどうこうということはどうも憶測しかねるのじゃないか、こう思います。 それからもう一点は、いまのお話ですと、これはあるいは私が御質問を取り違えておるかもしれませんが、試験問題そのものを盗んできてそうしてそれをある一部なり特定の人に渡したというようなことになると、そうしてそれが金をもって売ってやったということになりますと臓物故買ということになるのかと思いますが、どうやらこういう場合のいままでの間違いが起こりそうになった場合の例を聞いてみますと、やはり特殊な方法で特殊な入手のしかたをして、そうしてこれをやはり別の紙にまた刷り直すとか、あるいは適当な方法でもって適当に売り込むというようなことをどうもやっているやに思えるのであります。話を聞いてみますとどうもそういう場合が多いように思いますから。そうしますと、いまの仰せの条文がどういうふうに適用するような場合もあり得るかなといって、私はいままだ考えてみているのですが、どうもまだ私にはよく判断がつきません。さようなわけでありますから、十分事案を調査の上で、またことにわれわれ法務当局としましては、検察庁当局に対して当然警察当局から事件の送致が必ず行なわれると思いますから、その際にはさらに十分検討してまいるように留意してまいりたいと、さように考えております。御了承を願いとうございます。
○亀田得治君 たとえばその密売グループから父兄が誘いを受けて、父兄がそんなことを受け付けなければこんなことはもう消えてしまうのですね。だから父兄側も非常に大きな責任はやはり感じなければならぬ事件だと思います。そっちがどんどんそれに応じていくという姿であれば、今後またどこでどうなるかわからない。私はそういう意味で、ややもすると全体のあれを見ていて、父兄側に何か同情的なような意見も幾らかある点もあるのですが、それは私は間違いだと思うのです。だから一つ一つの案件が私は違うと思うのです。たとえば姜から父兄の人に幾ら幾ら出してくれ、いやそんな多額のものを困る、だいじょうぶなのか、いやそれはちゃんとこうこうこういうふうなやり方でこうなるのだからこれはだいじょうぶだから安心しておれ、非常に詳しく事情を聞いて金を出した父兄もおるかもしれません。そうなればこれは故買のほうが成り立たなくても、業務妨害のほうが成り立ち得る可能性は私は出てくると思うのです。だから刑務所の中なり直接の密売グループだけでてんてこ舞いしているのに、父兄のところまで手を伸ばすのはたいへんだというふうなことじゃなしに、これはもう非常に質的に重い私は事件だと思いますので、初めから犯意の上で困難だとかいったような、投げてしまったような関係じゃなしに、やはり父兄の事実関係を究明してほしいと思うんですね。その中にはおそらく私は十分そういうことを知り、そうしてやったというのもあるんじゃないかと思うんです、多数の中に。そういう場合にはしかたがない、やはり警察権の行使をしてもらう。そうしなきゃあなた、試験制度全体に対する信用の問題ですわね。いま受験生自身が試験を受けて非常にショックを受けたと若い人は言うておりますわね。そういう意味で申し上げているんです。いま事実がはっきりしないときにどうかと言っているんじゃなしに、私のような考えも成り立ち得るぞということを踏まえてもらって検討をしてほしい。 それからもう一つ、これは参考にお聞きしますが、これもいろいろ世上意見の出ているところですが、すでに国家試験が通って医者になってしまった人、これは取り消し得るものかどうか。これはまあ厚生省あたりもいろいろ検討しておるようでありますが、法務省としての見解ですね。まあ社会的には不正な方法で入学した。で、入学を取り消す。したがって卒業しとらぬのだから、国家試験を受ける資格はないんだから、それは当然だめだ、こう言いますが、しかしすでに医者になって活動している人から見ると、その途中ではいろんなことはあったかもしれぬが、最終的に医者になる資格を得たのは国家試験によっておれはもらったんだ、それは堂々とちゃんと自分の実力で取ったんだ、こういう主張をされると思うんですね。法務省としてはそういう二つの主張に対してどういうふうにお考えでしょうか。これはまあ結論的なことはなかなか言いにくいかもしれませんが、お考えがございましたらひとつ明らかにしてほしいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの父兄側の責任というようなものも十分考えていただかなきゃならぬじゃないかということに、要点は、最初の部分は尽きると思いますが、これまた事件の送致がございましたならば、その際にやはり関係の人たちの調査なりあるいは取り調べを十分いたしまして、そうしてやはり父兄側の責任も追及すべきものがあればやはり検察当局としてはこれに十分な検討を加えて結論を出すだろうと思います。またさらにいまの医師の例をおあげになりましたような場合、そういうような場合にどうするかということについては、過日衆議院の法務委員会で厚生省当局も触れて答えをしておりますが、やはり一応のこの際考え方を述べているだけで、こういうふうになるべきものですとか、こうすべきものだと思いますというようなはっきりした結論はまだしておりません。そうして、それに対しては十分慎重に検討の上で結論を出したいと思います、というような答えをしておりました。したがって、私ども法務当局としても、おそらくまだそこまでの法律論その他については研究がいっておらないと思いますから、今後の処理の上でまた御報告する機会もあろうかと思います。文部当局の問題についてもやや同様な態度で答えをしております。やや文部当局のほろはこうした問題についての結論を、これは大学当局の問題であり、あるいは国家試験については国家試験当局の問題になりますから、そういう意味において自分たちの処理すべき範囲はおのずからある程度きまっておるということは言っておりましたけれども、これも参考に述べておる程度のように私は一緒に聞いておりました。以上のとおりでございます。
○亀田得治君 最高裁の民事局長おられますね。はなはだ突然のお尋ねで恐縮ですが、そのあとの問題ね、どういうふうにお考えですか。たとえば医師になった人が取り消されたという場合に、その人がその取り消しは違法だということで取り消しの訴えを求めるということになるとあなたのほうに上がっていくわけですが、あなた自身はこの問題について、これは新聞でも争点はごらんになっておると思いますが、どういうふうにお考えになりますか、参考までにちょっと聞かせてください。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 全然研究しておりませんので見解を述べることはできません。御了承ください。
○亀田得治君 研究しなくたっておおよその考え方というものはあり得るわけでしょう。断定的なことじゃなしに。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 事案の内容もよく承知しておりませんので、何とも申し上げるわけにまいりません。
○委員長(阿部憲一君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(阿部憲一君) 続いて、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を、便宜一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。植木法務大臣。
○国務大臣(植木庚子郎君) 初めに裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件の適正迅速な処理をはかりますため、判事補の員数を十二人増加し、また、簡易裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の増加に対処するため、簡易裁判所判事の員数を二人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所及び簡易裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所書記官の員数を十四人、裁判所事務官の員数を五人、合計十九人増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 次に、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改宗に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、一般の公務員の恩給の増額が行なわれました場合には、これに伴って、執行官法による執行官の恩給も増額されることとする措置を講じようとするものであります。 御承知のとおり、現在、執行官には、退職後、恩給法の例によって、一般の公務員が受ける普通恩給または増加恩給に相当する恩給が支給され、この恩給の年額は、退職当時の執行官の国庫補助基準額を俸給年額とみなして算出することになっております。ところで、このたび政府におきましては、最近の経済情勢にかんがみ、一般の公務員の恩給の年額について所要の是正を行なう等の必要を認め、恩給法等の一部を改正する法律案を別途今国会に提出いたしましたが、とれに伴い、一部の退職執行官の恩給につきましても、これに準じて増額の措置を講ずる必要が生じました。そこで、この際、執行官法による執行官の恩給の年額の改定につきましても、すでに旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定についてとられている方法にならうこととし、一般の公務員の恩給の年額が改定される場合には、別段の措置を講ずることなく、執行官法による執行官の恩給の年額もこれに準じて当然に改定されることとなるようにいたしました。 以上が旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とず両案とも慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(阿部憲一君) 以上で説明は終了いたしましたが、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○亀田得治君 裁判官の定員をふやすということ並びに裁判官以外の職員の定員をふやす、提案された内容ははなはだ数が少な過ぎるというふうに裁判の実情からして言えると思うのであります。それらのこまかい点について後ほどまたお尋ねすることといたしますが、その前に、いわゆる十三期の裁判官の方々がこの四月に任期が満了するということで再任の問題が起きております。で、これは最高裁にまずお聞きすることになりますが、裁判官の数が足らぬで、一人でもふやしたいといっておる時期でもありまするし、私は身体的にその裁判官が仕事ができないとか、そういったような特殊な事情がない以上は、全員の方がやはり再任、希望しない人は別です、本人が希望がある以上は全員再任をしていくべきものだというふうに考えておりますが、その点についての最高裁当局の御意見をお聞かせ願いたい。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 再任の制度は、もうすでに亀田委員も御承知のように、人事の停滞を防ぎ、かつ不適格者を排除する制度であるというふうに説明されておるわけでございまして、私どもその線にのっとりまして個々の事案でもございますので、裁判官会議におきまして慎重に個々につきまして御審議をいただくということになるのではないかと思っておるわけでございます。もとより裁判官は一名でも必要なときでございますので、そういった点も十分念頭に置いて御審議いただくものと、このように考えておるわけでございます。
○亀田得治君 今回の任期満了予定の裁判官の数ですね、これは総数何名になります。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 三期と十三期が再任でございますが、おそらく亀田委員お尋ねの要点は十三期であろうと存じますので、十三期について申し上げますと、総数七十名でございます。
○亀田得治君 内閣へその名簿を提出するのはいつごろになるでしょう。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 任期満了は四月十三日ということになっておりますので、大体その十日前後前に所要の手続がとられるのではないかと考えております。
○亀田得治君 その提出のしかたは、結論として得た名簿だけを出すわけでしょうか。どういうことになるのですか。調査資料なども含めて出すわけですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 再任を適当といたしまして御決定をいただきました再任名簿を提出するわけでございます。
○亀田得治君 そうすると、結論の名簿だけですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 再任の希望を添えて提出するわけでございますので、さように相なるかと存じております。
○亀田得治君 そういたしますと、内閣で出された名簿について実質的な調べをやる——三権分立のたてまえからそういう慣習はないと私は思うのですが、それはどうなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 内閣は内閣独自の任命権をお持ちでございますので、その任命権に基づいて任命すべきかどうかを最終的に御決定になるものと考えております。で、私ども、内閣がどのような御審査をなさいますかということにつきましては存じ上げておりません。
○亀田得治君 資料をつけて出さないわけですが、そうしますと、調べるとしたらどういう調べになるのでしょうか。過去において最高裁が出した名簿がそのまま通らなかった案件というものはあったのかどうか、その点から先に聞きましょう。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これまで任命のための名簿を提出いたしまして、それが拒否されたという例はございません。
○亀田得治君 最高裁が政府に名簿を出す前に政府と最高裁が打ち合わせをする、そういうことはありませんか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そのようなことはございません。
○亀田得治君 そうすると、裁判官といえどもこれはだれかが任命しなければなりませんからね。現在の制度では行政府の責任者が任命することになっておりますが、実質的には三権分立というたてまえがいまお答えになったような慣行によって守られておるものだと私は考えるのですが、事務総長の御意見をちょっと聞いておきたい、その点、どういうふうにお考えになっておるか。
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) 最高裁判所といたしましては、従来の慣行が守られることを希望しております。
○亀田得治君 そうなりますと、結局最高裁の名簿作成の段階というものが実質的な結論であり、きめ手になると思うのですね。で、端的に聞きますが、昨年から非常に問題になっておる青法協の会員であるということのために再任をしないことはないと、そういう意味のことをお答えになっておるようでありますが、当然私はそうあってしかるべきだと思うのですが、もし何かの間違いで青法協の会員であるということでこれを排除するというようなことがあった場合には、私はこれは憲法十四条の重大な侵犯だというふうに考えるのですが、この点事務総長どうお考えでしょう。
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) すでに何度もあらゆる機会に申し上げましたように、青法協会員であるという理由だけで再任の名簿から落とすようなことは、最高裁判所といたしましてはいたしておりません。
○亀田得治君 だから私の聞きたいのは、もしそういう間違ったことをやればこれは憲法十四条違反になる、この見解を明らかにしてほしいのです。従来最高裁判所なりあるいは学者等がいろいろな憲法十四条についての判断を出しておるわけですね。憲法を守る立場の最高裁ですから、その点どういうふうにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま事務総長からも申し上げましたし、またこれまでの機会にもたびたび申し上げておりますように、青法協会員であるということだけを理由として再任の名簿からはずすというようなことはいたさないということを申しておるわけでございまして、亀田委員のお尋ねは、もしということでございますけれども、私どもそういうことはあり得ないというふうに考えておりますので、そのように御了承をいただきたいと思います。
○亀田得治君 まあそういうことはしないというのは、これはけっこうなことです。それを単に、ずいぶんこの問題で世論がわいておる、だからいまはうまくないというふうな一時的な政策的な問題としてお考え願っては困るわけなんです。それで幸い皆さんは絶えず憲法問題を扱っておられる方ですから、見解をお聞きするのです。憲法十四条に反するごとになると、私たちはこれはもう確信しておるのです。国がそういろ差別扱いをすることは憲法十四条に反することになる、そのことを明らかにしてもらえばこれは安心するわけであって、ぴしゃっとこれでもう結論が出るわけなんです。現在は情勢悪いからちょっと手控えておこう、そんなんじゃないんだということがはっきりします。私はそのことがやはり裁判官の中でもこの問題は非常な論議を呼んでおるのですから、そういう論議に終止符を打つと思うのですね。それでわざわざこういう法律的な質問をしておるわけです。むしろ最高裁判所のためにこれは明らかにされたほうがいいんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) もちろん憲法十四条は法のもとの平等ということを規定いたしておるわけでございまして、重要な条文であろうと思いますが、直接に問題になりますのは、やはり裁判所法の五十二条ではなかろうかというふうに思うわけでございます。裁判所法の五十二条は、積極的な政治活動を禁止するということを規定いたしております。その条文に違反したことが直ちに再任しないとか、再任するとかいったような問題につながるものだとは考えておりません。あれは文言の問題でございますので、直ちにその問題にはなりませんけれども、とにもかくにも積極的な政治活動というものは、裁判官はしてはいけないのだということは、これは法律でもって規定をいたしておるわけでございます。 ところで青法協の問題は、これまで昨年の前事務総長が談話を発表いたしましたように、裁判所の見解といたしましては、あくまでこの裁判官の職業倫理と申しますが、モラルの問題として説いておるわけでございまして、しかもそれはおよそ一般に政治的な団体という意味で説いておるわけでございますが、それが具体的には青年法律家協会といったものが念頭に置かれておることは、これは御承知のとおりでございますが、そういう何と申し上げますか、具体的に日々の活動をしておる団体というものを前提にいたしまして、そうしてその団体が政治的な活動をしておる団体でありましょうとも、それに会員として加盟しておるというだけでもって排除することはしないというふうにとらえてき、またその趣旨のことを先ほど来も申し上げておるわけでございます。そういうことでございますので、五十二条の問題というものを介して十四条の問題につながることは亀田委員御指摘のとおりでございますが、直接にはその問題にはいかないのではないか、このように考えておるわけでございます。
○亀田得治君 まあ裁判官が自民党なり、社会党なり、共産党に入っても、それだけで法律五十二条に反するということにはなりませんね。これは従来からも皆さんそうおっしゃっておる、いわんや青法協をやです。政党こそこれは政治活動のそれこそ集中的な団体なんですから。だからこの五十二条に反しないことは、こんなことはもう裁判所の解釈自身からはっきりしておるんです、はっきり。ただモラルであろうが何であろうが、ともかくその五十二条にも反しないような行動、そういうことを理由にしてこの再任をしないということが起きれば私は憲法十四条の問題にやはりなっていくと思うのですね、当然これは。だから労働組合の組合員の解雇の場合でもそういうふうなことを理由にしてやったような場合、これいろいろな裁判例にもなってきていますね。また最近三菱樹脂の問題が最高裁の大法廷に移されておりますが、しかし少なくとも国ですね、国の場合には、憲法十四条はきびしく適用しなければならぬというのがこれは通説ですわね。だから私はまことにあたりまえのことをこれは聞いておるんですが、そのあたりまえのことをなかなかすなおにそうだとおっしゃらぬもんですから、何かこう疑問が残るわけですね。裁判所法の五十二条の問題じゃなしに、やはり憲法十四条の問題です。現に裁判所なんかそういう問題として扱っておるじゃないですか、同じ趣旨の問題を。どうしてもおっしゃらぬものを、首をつかまえて言わすわけにもいきませんが、それはすなおにお答えになって、どうですかね。国がそういう信条とかそういうことを理由にして、本人が希望しておるのに、しかもいままで裁判官としてやってきておるのに、それを採用しないということになれば、当然十四条に私はなっていくと思うんですがね、それはどうですか。この答えいかんはね、裁判所のやはり憲法十四条というものをどれだけ真剣に、まじめに考えておるのかということにもつらなる問題ですからね。われわれが一番最高裁判所に期待をしておるのは、政治関係なり行政関係ではいろいろな争いがあっても、最終的には裁判官は憲法に従ってきっちりやってくれると、こう思っておるわけですから、その皆さんに聞いておるわけですから、それはほかの人ならちょっと回避してもらってもいいけれども、皆さん自身がこういう答えを回避するわけには私はいかぬと思うのです。答えてください。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 憲法十四条の規定は、確かに新憲法における一つの大きな価値を持つ条文として尊重すべきものであるということを、そうではないというふうに申し上げているわけではないわけでございます。ただ、裁判官の任命ということに相なりますと、私どもは直接には裁判所法の規定に基づきまして、その規定の命ずるところによって任命するということに相なるわけでございます。任命資格を有する者かどうか、これも裁判所法の定めるところによる任命資格を有するかどうかの問題でございますし、欠格事由に該当しないかどうかということもまた裁判所法の規定に基づくものでございます。そういうような意味におきまして、私ども裁判所法、直接の裁判所の構成及び裁判官の任命資格を定めております、そういった裁判所法に違反するというようなことは、いたさないということをはっきり申し上げておるわけでございますので、むしろ法律を尊重をいたす者の立場といたしましては、そのように申し上げることのほうが最も忠実な解釈ではなかろうかという趣旨で申し上げておるわけでございます。
○亀田得治君 まあこの程度にしておきましょう。 この法案に関連したことで若干お聞きいたしますが、資料をいただいておりますが、この資料の九ページですか、ここに地方裁判所の特殊損害賠償訴訟事件数というのがあります。その備考の二にその種類ワクが書いてあるわけですが、これは各種類についての数字というものは、いまおわかりになっているでしょうか。時間の関係もあるから後ほど資料で出してもらってもいいですが、わかっていますか。全体は資料で願います。一番多いのはどれですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 公害関係の事件で多いものと申しますと、これは分類の内容にもよるわけでございますけれども、騒音・震動・地盤沈下に関するもの、それから大気汚染、水質汚濁、日照関係、その他と、五つに分けますと、騒音・震動・地盤沈下の関係に関するものが一番多くございまして、昨年の六月三十日現在で訴訟が八十八件、調停が三十件係属いたしております。
○亀田得治君 四十二、四十三、四十四、各年度について内訳の一覧表を、参考に、あとでいいですから、ください。 薬品関係というのは何件ぐらいあるのですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) やはり昨年の六月三十日現在でございますが、薬品関係、食品も含めた統計しか手元にございませんが、地方裁判所に訴訟として二十五件係属いたしております。
○亀田得治君 これらの特殊損害賠償訴訟事件で、公害の発生源だけじゃなしに、同時に国が共同被告になっているというのはどれぐらいあるのですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) ちょっと手元に数字がございませんので、資料として出させていただきたいと存じます。
○亀田得治君 じゃあ調べてください。 これは大臣に次にお尋ねするのですが、この公害関係の損害賠償請求事件、これは非常に重要な中身を持ちながら事件が長引くということで、一つの世論の批判の対象になっておることは御存じだと思うのですね。 ところが、たとえばその中で国が同時に被告になっているものもあるわけなんですね。有名なのはサリドマイド事件ですね。もう証人調べも始まっているわけですが、こういう事件の進め方を見ておりますと、どうも原告、被告と——おれは被告だからともかく原告のいうことは一応否認してかかるのだというような姿勢が見れるわけですね。共同被告である製薬会社とか、そういう諸君がそういう態度をとるのは、これは一応わかりますが、それにくっついて政府まで、何か訴訟になった以上はこれはもうお互い対等に争うのだ、こういうふうな姿勢がどうも見える。せんだってサリドマイド事件のずっと記録も整備してもらったのですが、これをずっと拝見しましても、そういう姿勢が見られるのですね。これはサリドマイドだけじゃないのですが、どうもこの辺がふに落ちないのです。だから、形式的には法務省、法務大臣が担当しておることになっておりますから、もっとこの点について直接の担当、薬であればこれは厚生省、いろいろあるわけですが、そんなにむきになって反駁し合ったりしていくのじゃなしに、やはり大所高所から真相を早くつかんで、そうして結論を出していってあげる。これは現実に困っている被害者のことはこれはみなわかっておるわけですから、サリドマイドにしても、両親なり御本人がどれだけ苦んでいるかということは、これはみなわかっておるのだから、そういう態度を、私は国の当事者、その代理人である法務省がとるべきではないか。そうして、およそのことが明確になってきたら、その段階で国が責任を負うべきものは負う。あるいは会社が責任を負うべきものは負うというふうなやはり訴訟の進め方が必要じゃないか。これは、裁判官によってはずいぶんそういうことを注意する人もありますね。国は普通の当事者じゃないのですから、そんなに意地張らんでもいいでしょうという意味のことをいう方もあります、裁判官の中には。しかし、そういうことを注意されるまでもなく、私はもっとこういう特殊な事件の扱い方というのは、高いところに立って促進をはかるべきだと思うのですね。 法務大臣、就任早々で、あまりそこまではなかなかまだ目が届いておらぬと思いますが、私の考え方ですね、これに対してひとつ大臣の端的なお考えを聞いておきたいと思うのです。これがうまくいけば、今度裁判官ふやすのは十三名ですか、だいぶ助かるですよ。ふやすことばかり考えないで、ふやさぬでもやれるようなことにずいぶん手間どってるんですよ。手間どった結果、みんなが喜ぶんならいいけれども、それはあなた、損害賠償払う会社が喜ぶだけで、被害者である人は非常に悲惨な目に会ってるわけですからね。良心的な裁判官はずいぶんその点で苦労しますがね、いまの訴訟法の運用上。苦労するんですが、何と言ってもやっぱり当事者の態度によって、それは裁判官のやり方も違ってくるわけですし、しかし会社にそのことをまっ正面からこんなことを言っても、なかなかそれは会社の権利を押えつけるものだからというような反駁を受けるだけで、国の場合は私はもっと大らかにやっていいように思うんですね。理屈をうやむやにせいと言うんじゃないですよ。国の言うこともはっきりしない、または原告の言うことも多少足らぬところがある、こういうケースが多いんですね。原告の言うのに多少足らぬところがあると、そこにつけ込んでガチャガチャガチャガチャ言うんですね。それじゃ国のほうがそれほど科学的な根拠があるのかというと、そうでもないんです。だから、そういう争いのしかたはほんとうに私は見ていてみっともないと思う。どうですかね。
○国務大臣(植木庚子郎君) 公害関係についてのたいへんむつかしい結論に帰結する大事な御質問でございますが、私としましては、ただ仰せの御意見に対して考えてみますと、こうした問題につきましては、国がやはりばく然と十分なる自信もなくて被告の立場に立っておるから、あるいは賠償しなきゃならぬという立場に立ちたくないというようなことから、じんぜん日を送っているんじゃないと、こう思うのであります。御承知のように、公害問題は近年大写しに世界的にも大きな論議の種になっておる問題であります。それだけに当該公害とそうしてそのよって生じた被害者の間の公害そのものとの、当該公害の原因とそして公害を受けたものとの間の因果関係と言いますか、その因果関係が単に若干の関係があるというようなことでこういう問題が片づけられるかどうか、相当因果関係をやはり考えなければならないのではないか等の問題について、非常に判断がむつかしいということが、自然こうしたことについての結論を当該法廷で主張するのがおくれているのじゃないかと、こう思います。 それにつきましても思いますのは、先般の公害関係法律の、前の臨明国会で、通過までのときにもいろいろ論議になりましたが、国としてこうした公害についての判定を加え得る十分な機関を早くこしらえて、当該機関で問題になっているような事案については、やはり裁判当局にしましても、あるいは原告、被告にしましても、その権威のある機関がどういう意見をこの問題について持つかということが非常に待たれる問題になっておる。それが今回のような、いまお話のようなためにお疑いを受けるというようなことになるんだろうと思います。 裁判官といえども、あるいは当該訴訟の当事者としましても、幾ら国が被告になる場合についても、これは陣容をそろえればそろえられるとも言えますが、公害問題は世界的に新しい問題であるだけに、そこにはまだいろいろ論議の余地があるために、自然とおくれるのじゃないか。しかし、そのために非常に裁判がおくれるというのでは、これはまた一つの訴訟事務の円滑な進行ということについての大きな欠点になりますから、だから、これを是正する意味において、御趣旨のようなことも、当事者は十分検討の上、反省の上、善処すべきものではあるまいかと、かように思う次第であります。国でありましても、よく親方日の丸というようなことばもときには出ますが、しかし、やはり国は国として、その立場になれば、やはり主張すべきことは正々堂々とやはり主張しなければならぬ、こう思いますから、その意味で私はある程度御了承願い、当事者はまたそれに対して十分反省の、ただいまの御意見等も参考にして進むべきだと、かように思う次第でございます。 なお、この機会に、先ほど裁判官の再任の問題についての御質問がございましたが、先般私も同席しておりました席で、総理がこの問題について衆議院でお答えしたことを聞いております。その場合にやはり先ほど当事者から御説明がありましたように、単に青法協の会員たるがゆえということをもって、この任命を拒否する、再任を拒否するというようなことはいたしませんというふうに答えておられましたことを参考につけ加えさしていただきます。(「法務大臣がそんなこと言ってもいいのかな」と呼ぶ者あり)
○亀田得治君 ちょっといま法務大臣が言われたので、あとのことに関して最高裁に聞いておきますが、そうすると、だれが青法協の会員であるかというふうな資料は、名簿提出の際にはないわけですね。つかないわけですね。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 当然のことでございます。
○亀田得治君 法務大臣は、国が被告の訴訟の現状について、具体的にまだそうタッチされなかったかもしれぬと思います。だから、ああいう一応のお答えがあるわけですがね。たとえば、因果関係がおよそ明らかになった、そうすると、国がタッチしているというのは、たいてい監督責任ですよ。監督というか、薬であれば、それを許可をした、そういう責任ですわね。それを追求されておることが多いわけです。そういう場合に、そこが私は、物の大きな立場で考えなければいかんということになるんだと思いますが、厚生省がその薬を許可する場合に、担当の検査をする人が規則できめられたとおり一生懸命やったかもしれぬ、良心的に。絶対自分はだいじょうぶだと思ったということかもしれぬと思うんです。そこで、この点だけを拡大強化して言うわけだね、ちっとも過失はありませんと、しかし、現に、因果関係は、明らかにならぬやつは別ですよ。因果関係がおよそ明らかになって、この薬でこうなったというような場合には、どんなにまじめにやったって、結果がそう出ていれば、厚生省として、国としてまことにすまんかったと、なぜこう出れないかということを言っているんです。もっと別の面から手をつけて調べることに気がつかなかったという、いや、そんなところまで気を配ることを要求するのは法律的に無理だとか、いろいろの議論があると思うんですよ。しかし、結局はチェックがきかなかったわけでしょう、結論としては。だから、その辺のことについては、行政内部で、したがって、その担当官を行政処分をするとか、せぬとか、それはまた別個の問題だろうと思うんです。事件全体を見た場合には、そういう場合には、いさぎよくそんなつまらない争いはやめて、そうして早く結論を出して救済をしていくというふうにしてやってこそ、なるほどわれわれのつくっておる国というのはりっぱなものだと、こうなるんであって、ちょうど個人と個人の争いのようにこまかいことにあくまでも食い下がっていく、そういうことは私はよくないと思うんですよ。民事局長そういう場面にちょいちょいぶつかるでしょう、裁判やっておって。それは幾らたしなめたって、向こうは主張する権利を持っておるから、まあ言うわけでしょうけれどもね。そんなことはいたずらに訴訟を長引かすし、一方で何でしょう、国会でも問題になっているように、無過美賠償責任という議論が出ているわけでしょう。そんな法律が通ればその部分はもう争う必要がないわけですわな。だから法律がなくったって、そこは私は国の考え方としてもっと筋の通った出方があるものだと思うんですね。どうです、そういう意味で聞いている。少し具体的に聞きましたが。
○国務大臣(植木庚子郎君) 私のただいまの気持ちとしては、先ほどお答えしたとおりでございますが、しかし一面裁判の進行を非常に妨げている傾向があるじゃないかと、そのために公害を受けた者が非常に泣いているじゃないかということについては、私自身もほんとうに気の毒だな、何とかもっと協力をして、そして当該事案の早期の解決はすべきものであるというふうには実は、一方矛盾しておるかもしれませんが感じておるのであります。したがって、こうした事件についての法務省が、たとえば訴訟の実務を担当する部局を持っておりますが、そういう係の者に対しては、こういう声も、あるいはこういう意見も十分尊重して今後善処してみたらどうだ、善処すべきじゃないかということは、注意を与えたいと思っております。 以上をもって御理解を願いたいと思います。
○亀田得治君 やっぱり何ですわな、法務省の訟務担当官も勝れば点数が上がるんですかね。そういうやっぱり気風があるんじゃないの。それは勝ってならない事件で勝ったら、これは国民に相すまぬことをしたと思わなければならぬのですよ、逆にね。そういう点をやはり私はよく適当な機会に話をしてほしいと思いますね。なかなか法律専門家というと、ともかく勝つことにあらゆる手段を尽くしてやりますからね。その気持ちはわかるんだけれども、そのことが結果としては非常に全体を長引かし、複雑にし、無用な苦痛を与える。これは最高裁どうですか。国の当事者の事件でままそういうことがあるんじゃないですか。裁判官で困っておる人おりますからね。ここで、あるんならはっきりおっしゃっていただいたほうが、大臣から注意してもらえば……。それで聞いておくんです。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) お答えします。国側が特に裁判の進行を妨げているということは聞いておりません。
○亀田得治君 まあ現場の裁判官がいろいろ訴訟指揮でしかるべくやっているんでしょうが、これは訴訟指揮の問題として、あまりそういうことが上のほうに言われてこないのかもしれぬと思うんですがね。それはよく国が当事者になっておる事件、この二十幾つあるというお話でしたね。一ぺんそれ最高裁としても聞いてみてほしいと思う。国がどういう態度をとっておるか。いいですか、この点。もっと促進するくらいに私はしてほしいと思っています。相被告を説得すべきものはして。そんな態度なんというものはみじんもない。相被告と一緒になって原告を攻撃しておる。ほとんどそうです。だからこの二十何件というのを一ぺん点検してみてください。大事なことなんです。点検しますか。
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 検討してみたいと思います。
○亀田得治君 それじゃ次に職員関係のことを一つ聞いて終わりにしたいと思います。法務大臣、もういいです、大臣もうけっこうです。最高裁だけでいいですから。 今度の定員増ですが、裁判所の概算要求の数に比べると、はなはだ少ないですね。概算要求は何名でした。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 概算要求の総数は五百九十七名でございます。
○亀田得治君 その一割にも満たぬ三十三名ですからね。お話にならぬというわけだ。で、概算要求の中で電話交換手とか行。に当たるものですね、そういう職種は何名要求されたですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 行(二)に当たる職種の合計は九十七名要求いたしております。
○亀田得治君 結論どうでした。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 結論はゼロでございます。 なおちょっと一言お尋ねに関連してふえんさせていただきたいと思いますが、五百九十七名につきましてはなお減員の要求もございまして、この関係が内数になっておりますので、実質的にはそれよりも少ない増員要求の内容になるわけでございます。
○亀田得治君 行(二)の関係を九十七名要求して一名も認められぬと、これはちょっとひどすぎますわな。行(二)の要求はおそらくどこの庁舎でどういうものが要るというのが、ずっと一つずつ集計されてまとめられたものだと思うのですね、要求は。ばく然とまあこの程度というものじゃないと思うのです。仕事の性質から言って。そうなんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) そのとおりでございまして、新設の庁舎に新しい機械が設置されますと、たとえばボイラーあるいは電話交換機等が増設になりますと、そのものについては増員の要求を計上いたしておるわけでございます。
○亀田得治君 その九十七名の庁舎との関係がわかるような表をつくってくれませんか。できますね。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 後日でございますが、御提出いたします。
○亀田得治君 そこでこのまあ事務系統のことであれば多少お互い譲り合ってというわけにいくんですがね。この行(二)の関係を一名も認められないでほうりっ放しにされる。はたしてこれでいいのかどうか、ここが非常に気にかかるわけですが、最高裁としてどういうつもりなんでしょうかね、人員の配置について。初めから要らぬものだったら——要らぬものを要求しているはずがないわけでしてね。その関係は一名も認めぬというのはどうなんですか、おかしいですね。新しい庁舎ができれば、それに応じたもちろん古い人もそこへ当てはめるのは、同時に必要になる人も出てくるわけでしょう。一人も認めぬ。まあこの庁舎は一名だ、この庁舎だけはひとつ認めておこうという話ならわかるのだが、一人もだめだ、これは納得いかぬね。その表見てからもう一ぺんお聞きしたいと思うがね。皆さんそれ納得して引き下がっているの。どうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) まことにごもっともな御指摘でございます。私どもの予算要求の態度と申しますか、御批判があろうかと存じますけれども、現状の上に立ちまして、なお増設されましたものにつきましては人員増の要求をして、新設の設備を操作してまいりたいという考えで概算の要求をいたしておりますわけでございますが、実際問題といたしましては、行(ニ)職員の職務内容とされておりますものにつきましては、必ずしも公務員であることを要しない。最近いろいろなこのような仕事を委託を受けてやる企業が発展してまいりまして、そのような企業に委託することが、むしろ清掃であるとか電力の供給に関する保守の仕事であるとか、このようなものは保守契約あるいは清掃の委託契約というようなもので処理したほうが適切であるというような考え方も非常に強く国の方針として打ち出されておりまして、従来行(二)職員で処理しておりましたものを委託の費用として予算上認められているというように内容的に転換いたしておりまして、そのような関係で、かりに清掃要員としておりました人が、清掃の仕事がなくなりますれば、それによって仕事のなくなった行(二)の定員は清掃関係の業者のない庁へ定員を振り向けて新設の行(二)の職務内容を処理するというような転換が行なわれておりますので、九十七名が委託の予算として認められるというような転換もございまして、仕事の処理の上において、多いことはこれはまことに望ましいことではございますけれども、話し合いの上で予算をまとめ上げました段階では、そのような執務の処理の適正なやり方というようなことが、この要求をこのような形にまとめ上げたということに相なるわけでございます。
○亀田得治君 九十七名というのは、全部外部に委託してやってもらうという方針でそういう予算をもらっておるという意味ですか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 九十七名分全部を委託の費用に転換したということではございませんので、内部的にたとえば、電話も自動交換機に振りかえよう——電話交換業務というものは人員を要しないような形になってまいりますので、実際は電話交換機を新型のものに取りかえましたような場合には、それによって浮いた人員は他の行(二)職種に振り向けていくというような操作がございますので、そういうものを合わせますと、九十七名の当初の要求がほかの形で必ずしも、九十七名分の庁費の職務内容の処理に要する費用としてそのまま入ってくるわけではございませんが、従来の機構の改善と申しますか、設備の改良と申ますか、そういうものによって人員を浮かしてきたものも含めて処理いたしますので、行(二)職員関係の従来の職務内容あるいは増築改良によりました設備の活用によりまして、行(二)関係の定員はこれまでまかなえるという結論に到達したわけでございます。
○亀田得治君 そうしたら、九十七名の表をおつくりになって、どの部分はどういう処理でやるというふうに、そこをひとつ明らかにしてもらえますか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 計数的と申しますか、算術的に明快に出るかどうか、これは人手の問題でございますから、むずかしい問題でございますけれども、努力いたしまして、御納得のいくような資料をつくりたいと思います。
○亀田得治君 九十七名はみんな場所的に予定された人なんですから、この部分はもう人を置かなくても、自動交換機でやっていくのだとか、いや、この部分は外注でやっていくのだと、一つ一つこれは処理がついていなければならぬわけですね。それを明らかにしてもらえばいいわけです。そうすればこっちは安心するわけです。そういうちょっとめんどうくさい資料かもしれませんが、至急おつくりを願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) つくってお届けしたいと思います。なお、必ずしも場所的に明らかというわけではございませんで、自動車の運転関係などは、自動車の台数との関係でも出てまいりますので、そういう点も明らかにしてお届けすることにいたします。
○委員長(阿部憲一君) 他に御発言もなければ本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十八分散会 —————・—————