農林水産委員会 第17号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/05/21
会議録
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い、理事に二名欠員を生じておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任については、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に亀井善彰君及び沢田実君を指名いたします。 —————————————
○委員長(河口陽一君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案については、前回質疑を終局いたしておりますので、直ちに討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○河田賢治君 私は日本共産党を代表して、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に反対するものであります。 今回の改正案の中には、蚕繭共済に関して共済目的の種類と共済事故を拡大し、補償の限度を引き上げる、また、家畜共済については共済掛け金国庫負担を強化するなど、評価すべき一定の前進面が含まれております。しかしながら、同時に見過ごすことのできない重要な問題が含まれています。 その第一は、農業共済団体の組織整備に関する改正であります。組合の区域の広域化、総代会権限の拡大、連合会における一会員一票制原則の取りくずしなどは、全組合員の参加による組合運営を進め、組合の民主的強化をはかる方向に逆行するものであり、特定の役員や大組合本位に運営される危険を生むものであります。また、共済組合の事業における現在の困難は、自民党政府の農業破壊政策、とりわけ稲作農民が自主的に転換できる諸条件をつくらないまま大幅減反を強行するいわゆる生産調整政策を推し進めているところに根本原因があるのであり、単に規模の大小で解決する問題ではありません。 第二に、稲作、麦作の農作物共済に関する合理化であります。現行の一筆単位引き受け方式に対して農家単位の引き受け方式の導入、高被害地域における国庫負担率の減少、新規開田地等の水稲の引き受け除外等は、本来充実拡大すべき共済制度における重大な後退、改悪であり、強行している生産調整政策を側面から推し進めるものであります。高被害地域にあっては高率の国庫負担を行なうことも、災害補償という目的からして当然のことです。いま必要なことは、低米価据え置き、大幅減反、中には被害多発という種々の困難の中で、なおかつ米作にたよらざるを得ないという農政の貧困さをすなおに反省し、農民が希望を持って自主的に転換できるよう、転換作物や主要農作物の価格保障制度、農災制度の拡充等を積極的に推進することであります。こうした努力こそ真の政治であり、道理にかなった道であります。 第三に、家畜共済における診療費の一部対象除外であります。初診料の除外により、昭和四十四年度実績で計算しても約二億七千万円が農民の直接負担になります。さらに、早期受診、早期治療にブレーキをかけ、結局は損害を大きくする危険を持つものであります。 わが党は、農作物共済等の改悪をやめ、蚕繭共済、家畜共済の一そうの充実、果樹をはじめ、他の主要な農畜産物における新種共済の早期実施等により、日本農業を全体として安定的に発展させる諸条件の一つとして、農業共済制度の拡充、それを土台にした農業共済組合の民主的強化を強く主張するものであります。 以上を指摘しまして反対討論を終わります。
○委員長(河口陽一君) 他に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河口陽一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 村田秀三君から発言を求められておりますので、これを許します。村田秀三君。
○村田秀三君 私はただいま可決されました農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に対し自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党、日本共産党五党共同提案の附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、現下の困難な農業情勢に対処し、一層本制度の整備拡充を図り、農業経営の安定と健全な発展に寄与するよう、左記事項を検討し、すみやかにその達成に努めるべきである。 記 一、農業共済組合の広域合併の推進にあたっては、農民の意向が十分に反映されるよう、組合の民主的運営にづき特段の指導をすること。 二、蚕繭共済については、共済事故の範囲の拡大を考慮するとともに、料率の算定にあたっては最近の被害率の低下傾向が反映されるよう措置すること。 三、家畜共済については、さらに共済掛金国庫負担割合の改善を図り、実情に即した診療点数の改定、獣医師の待遇改善、損害防止事業の強化等を一層促進し、家畜診療体制の整備拡充を期すること。 四、果樹保険の本格実施にあたっては、補償内容の充実、対象品目と対象事故の拡大、樹体保険の制度化等に努め、掛金国庫負担の増額措置を講ずること。 また、施設園芸・肉豚、鶏、畑作物等の新種共済については、早急にその制度化を図ること。 五、農業共済団体の事務費に関しては、米の生産調整による賦課金の減収、事務執行体制の整備、職員・共済連絡員等の待遇改善を配慮して、国庫負担の充実を図ること。 六、農業共済基金は、会員等に対する業務資金について融資が行なえるよう所要の措置を講ずること。 右決議する。
○委員長(河口陽一君) おはかりいたします。村田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河口陽一君) 全会一致と認めます。よって、村田君提出の附帯決議案は全回一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの附帯決議につきましては、その決議の趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処いたしてまいりたいと存じます。
○委員長(河口陽一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(河口陽一君) 農村地域工業導入促進法案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農村地域工業導入促進法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 最近におけるわが国経済の推移を見ますと、農業にあっては、米の生産過剰等農産物の需給が問題となっている中にあって、中高年齢層を多数かかえた就業構造の改善をはじめ農業構造の改善をはかるとともに、農家所得の確保をはかることが重要な課題となっております。他方、工業にあっては、大都市周辺における過密等による生産効率の低下と労働力確保難に対処し、新たな地域における立地基盤の確保が強く要請されております。さらに、職種間、地域間の労働力需給の不均衡を是正することも大きな課題であります。 これらの農業、工業及び雇用をめぐる諸情勢に適切に対処するためには、総合農政を強力に推進するとともに、産業基盤の育成対策、過密過疎対策、雇用対策等を積極的に講ずる必要がありますが、特に、農村地域への工業の導入を積極的かつ計画的に促進するとともに農業従事者が円滑にその導入された工業に就業することを促進し、並びにこれらの措置と相まって農業構造の改善を促進する措置を一体的に講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一は、農村地域への工業の導入、その工業への農業従事者の就業及び工業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善を一体的に促進するための計画制度の創設であります。 すなわち、国は農村地域工業導入基本方針を定めて農村地域への工業の導入に関する指針を示すこととし、これを受けて都道府県知事は、地域の実情に応じた農村地域工業導入基本計画を策定することとしております。さらに、この基本計画に即して都道府県及び市町村は、工業導入地区の設定、導入すべき工業の業種、工場用地と農用地との利用の調整、労働力の需給の調整及び農業従事者の就業の円滑化、農業構造の改善並びに公害防止に関する事項等を内容とする農村地域工業導入実施計画を樹立することとしております。 なお、これらの計画の樹立にあたっては、既存の農業振興地域整備計画、都市計画、工業開発に関する諸計画等と十分調整をはかることとしております。 また、これらの計画の対象地域につきましては、農業振興地域及びその予定地域を中心とし、これ以外の振興山村及び過疎地域をも含めることとしております。 第二は、農村地域工業導入実施計画で定める農村地域への工業の導入を促進するための金融及び税制上の所要の措置等についてであります。 まず、工業の導入に伴う離農者等に対しましては、農地を工場用地に提供したことによって生じた譲渡所得についての所得税の軽減をはかるほか、その転職を円滑化するための職業紹介の充実、職業訓練の実施等につとめることとしております。また、立地企業に対しましては、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例措置及び減価償却の特例措置を講ずるほか、立地企業に対し地方税の減免を行なった地方公共団体に対する地方交付税による補てん措置を講ずることとし、さらに、工業用施設の整備に必要な資金の確保の措置の一環として、立地企業及び工場用地を造成する非営利法人に対し、農林中央金庫からの融資の道を開くこととしております。 このほか、農村地域への工業の導入を促進するための所要の関連措置を講ずる旨の規定を設けております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(河口陽一君) 次に、本件につきまして衆議院において修正を加えられておりますので、その修正点について衆議院農林水産委員長草野一郎平君から説明を聴取いたします。
○衆議院議員(草野一郎平君) 農村地域工業導入促進法案に対する衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。 修正の内容は、都道府県または市町村に、基本計画または実施計画の作成その他、農村地域への工業の導入の促進に関する重要事項を調査、審議させるため、条例で、審議会を置くことができるものとしたことであります。 衆議院農林水産委員会において、五月十九日、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、賛成多数をもって修正すべきものと議決し、五月二十日の本会議において修正されました。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同を賜わりますよう御願い申し上げます。
○委員長(河口陽一君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。中野農政局長。
○政府委員(中野和仁君) 農村地域工業導入促進法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 第一に、この制度の対象となる農村地域の範囲につきましては、第二条に規定しておりまして、農業振興地域及びその予定地域を中心とし、これ以外の振興山村及び過疎地域を含めることとしておりますが、この法律案の趣旨及び他の工業開発に関する地域立法等との調整を考慮して、新産業都市の区域及び工業整備特別地域の一部、首都圏等大都市及びその周辺の地域の一部、人口一定規模以上の都市の区域等を除くこととしております。 第二に、農村地域への工業の導入に関する計画制度につきましては、第三条から第六条までにおきまして、国が定める基本方針、都道府県が定める基本計画及び都道府県または市町村が定める実施計画の内容、作成手続等につきまして所要の規定を設けております。 まず、第三条の国の基本方針につきましては、主務大臣が関係行政機関の長と協議いたしまして、農村地域への工業の導入、導入される工業への農業従事者の就業、そしてこれらと一体的に行なう農業構造の改善についてのそれぞれの目標を掲げ、それらの目標を達成するために必要な事業の実施に関する事項を定めることとしております。 これを受けまして、第四条におきましては、都道府県知事が策定する基本計画について規定しております。すなわち、都道府県知事は、主務大臣とあらかじめ協議して、都道府県の区域または都道府県の地域区分ごとに、導入すべき工業の業種その他工業の導入の目標、導入される工業への農業従事者の就業の目標、工業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標、工場用地と農用地との利用の調整、工場用地その他の施設の整備、農業従事者の工業への就業の円滑化、農業生産の基盤整備その他の農業構造の改善を促進するための事業、公害の防止等に関する大綱について定めることとしております。なお、基本計画は、国土総合開発計画、首都圏等三圏の整備計画、新産業都市の計画、山村、農業振興地域及び過疎地域の振興に関する計画、都市計画等と調和をはかるものとしております。 次に、第五条に規定しております都道府県及び市町村の実施計画は、工業導入地区ごとに定めることとしており、その計画事項は、基本計画と同様の項目について具体的に定めることとしております。この実施計画は、工業導入地区の周辺の農業従事者が導入工業に相当数就業することが見込まれ、かつ、工業の導入と相まってその周辺における農業構造の改善をはかることが必要であると認められるとともに、都道府県の場合にあっては、工業導入地区が農村地域への工業の導入の促進にあたっての拠点となると認められ、市町村の場合にあっては工業を導入することにより当該地域の農地保有の合理化がはかられると見込まれる場合に、それぞれ定めることとしております。なお、各種地域計画との調整は、基本計画と同様でありますが、特に、過疎地域における実施計画は、一定の手続きを経て過疎地域振興計画の内容の一部とすることができるものとしております。 第二は、これらの計画に従い導入された企業、離農者等に対する税制及び金融上の所要の措置に関する規定であります。 まず、税制上の優遇措置でありますが、第七条におきまして、離農者等が農地を工場用地の用に供するため譲渡した場合の所得税の軽減をはかることとし、第八条及び第九条におきましては、立地企業に対して事業用資産の買いかえの場合の課税の特例及び減価償却の特例を設けることとしておりますが、これらにつきましては、本国会にすでに提出されております租税特別措置法の一部を改正する法律案において所要の改正措置が講じられております。 また、第十条におきましては、立地企業に対し地方税のうち事業税、不動産取得税または固定資産税の減免を行なった地方公共団体に対しまして、その一部につき地方交付税により補てんを行なう旨を規定しております。 次に、金融上の措置といたしましては、第十一条及び第十二条におきまして、国等の工業用施設の整備に必要な資金の確保及び地方債の起債に対する適切な配慮を行なう旨を規定するほか、第十三条におきまして、立地企業及び工場用地の造成等を行なう非営利法人に対し、農林中央金庫からの融資の道を開くことを規定しております。 さらに、第十四条から第十七条におきましては、それぞれ、工業関連施設の整備、農業従事者の円滑な就業をはかるための職業紹介の充実及び職業訓練の実施、農業生産基盤の整備等農業構造改善の促進、農地転用等についての配慮等に関して規定しております。 なお、第十八条におきましては、主務大臣について規定しております。 以上をもちまして、農村地域工業導入促進法案についての補足説明を終わります。引き続きまして参考資料の御説明を申し上げたいと思いますが、この法律案は農林省、通産省、労働省三省共管でございます。参考資料におきましても三省でつくったものでございますが、便宜私から申し上げたいと思います。 まず、一ページをごらんいただきたいと思いますが、これは農家戸数の近年の動向でございまして、御承知のように、昭和三十五年から四十五年まで、十年の間に六百五万戸が五百三十四万戸に減っておるわけでございます。 それから二ページは、経営耕地規模別農家戸数の推移でございますが、これでごらんいただきますと、都府県の場合で、一ヘクタール未満の農家が約七割を占めておりますが、しさいにこれを見ますと、昭和三十五年に二ヘクタール以上の農家が二十三万六千ありましたものが、昭和四十五年には三十万一千というふうに、規模の大きな農家がふえておる、こういうことでございます。 それから三ページにまいりまして兼業の状態でございますが、この十年間に非常に兼業が進みまして、専兼業別農家戸数の表の構成比のところにございますように、昭和四十五年では専業農家が十五・六%、兼業農家のうちで一種兼業農家が三三・七%、二種兼業農家が五〇・七%というふうになっております。 それから四ページにまいりまして、四ページは国土の土地種類別面積でございます。国土の中での耕地、林地、その他の面積が出ております。 五ページにまいりまして、農業就業構造の現状等でございますが、まず、これは「労働力調査」によるものでございますが、農業就業人口の推移でございます。この第一次産業就業人口の中の第一次産業、「うち農業」というところを、ごらんいただきますと、一番最近では、昭和四十五年、第一次産業八百八十六万人、それから「うち農業」は八百二十三万人ということで、就業人口の中の一六・二%を占めているということで、十年前からいたしますと非常な減少を示しておるわけでございます。 それから六ページは農家世帯員の年齢別就業状態でございます。それによりますと、農業就業人口はここでは一千万ということが出ておりまして、年齢別に区分けがしてございますが、それによりますと、四十歳以上が男子、女子とも非常に多いわけでございまして、合計をいたしまして、六七%は四十歳以上であるということになるわけでございます。それに比べまして、他産業の就業人口の四十歳以上は約四割ということになっております。それからもう一つの特色は、男子に比べまして女子の就業が非常に多くて、農業就業人口の中の六割を女子が占めておるということでございます。 それから七ページは、ここ十年間の農家世帯員の他産業への就業状態でございますが、他産業への就業者が、一番新しい四十四年をごらんいただきますと八十万人でございます。そのうち新卒が五十一万四千人でございます。 それから八ページへまいりまして、それを若干詳しくしてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、八十万人の他産業への就業者の中で、十九歳以下が五十三万八千人ということで、これは新卒が多いということをあらわしておるわけでございます。それから、その次の段の転出前の就業区分をごらんいただきましても、やはり家事とか無業とかいうのが、八十万人のうちの六十万人ということになっておるわけでございますが、その下の就業形態をごらんいただきますと、就業のために村から転出いたしましたのが三十三万人、在宅でそのまま他の産業に就業いたしましたのが四十七万人ということで、約六割は在宅就業ということになっております。 それから九ページにまいりまして、出かせぎ者についての統計でございますが、農林省の「一九七〇年農業センサス」によりますと、現在、出かせぎ者のいる農家の戸数は四十一万戸ということになっております。その中でやはり東北が一番多くて四四・八%を占めておるわけでございます。これは出かせぎ者の出ている農家戸数でございますが、一軒の中に二人出ている場合もありますので、おおむね五十万人ぐらいが農家からの出かせぎじゃないかということをいわれております。 それから十ページにまいりまして、農家経済の現状でございます。最近三カ年の「農家経済調査」を表示してございますが、農業所得の伸びが停滞的でありますのに対しまして、農外所得が非常に伸びておるという状況が示されているわけでございます。 十一ページは、それを地域別に見たものでございます。 十二ページは、よくお示しする表でありますが、農業と他産業の生産性の比較推移を書いております。農業と製造業、あるいは農業と非農業とは、大体農業が三分の一ぐらいだということになっておるわけでございます。 それから十三ページにまいりますが、これは農業所得と製造業賃金の比較、一日当たりでやってみたものでございますが、農業所得の中で、平均的に見ますと、一日当たり千七百十八円ということになっております。それに対しまして、従業員五人以上の平均は二千五百七十二円ということでございますが、農業所得の中で二ヘクタール以上になりますと、二千三百七円ということになるわけでございます。 十四ページにまいりまして、ここからは雇用の現状と見通しでございます。ごらんのとおりでございますが、労働力人口の今後の見通しとしまして、総理府の「労働力調査」によりますものと、それに今後の推計が加えられておるわけでございますが、昭和五十年を見ていただきますと、就業者数五千四百万人ということになっておりまして、順次ふえ方が減っておるようであります。 それから十五ページにまいりまして、それを性別、年齢別の労働力人口の推移と見通しということで、やはり昭和五十年をごらんいただきますと、四十歳から六十四歳以上というような高年齢層の労働力がふえてくるということになっております。 それから十六ページは産業別の就業構造の推移と見通しでございまして、やはり五十年の構成比のところをごらんいただきますと、第一次産業は、現在では一八・八%でございますが、それが一二・四%に減る。それに対しまして第二次産業が四六・七%、第三次産業が四〇・九%ということで、特に第二次産業がふえるということになっております。右のほうの表は、学歴別新規学卒の就業状況でございます。やはり高卒、大学卒はふえるということになっております。 十七ページは全国の事業所数等の動向でございます。一番新しい昭和四十三年の統計によりますと、全国の事業所の数は六十万、それの従業者数は千八十六万人、製造品の出荷額が四十八兆円ということになっております。 十八ページはそれを業種別に示したものでございます。 十九ページは従業員規模別の事業所数でございまして、事業所の数としましては一ここにございますように九人以下の事業所の数が七二・六%ということで、非常に小さい企業が多いわけでございますが、従業者の数になりますと、このまん中の表にごらんになりますように、千人以上の事業所の従業者の数が一七・一%、出荷額は二九・一%ということになっております。 それから二十ページは工業立地の現状でございまして、最近三カ年の立地状況を示しております。 二十一ページはそれの業種別の内訳でございます。 それから二十二ページは農村地域における立地状況でございまして、これは通産省のほうで「工場立地動向調査」をおやりになりました際に、第一次構造改善事業を実施しました時点、昭和四十二年、四十三年分につきまして調べたものでございます。その下のほうをごらんいただきますと、対象市町村数が二千二百五で、立地いたしました企業が六千百四十一ということになっておりまして、一市町村は平均いたしますと二・八の企業が立地をしたということに、平均的になっております。都市近郊、山村と、その様相は都市近郊に非常に多いということでございます。 それから二十三ページは、農村進出工場への就業者のうち離農者、兼業者がどのくらいあるかという表でございます。同じく通産省の御調査でございますが、この全国の欄をごらんいただきますと非常にいわばバラエティに富んでおりまして、一〇%未満のものから七五%以上離農者を雇ったところまであるわけでございますが、平均的に見ますと三割以上、三割ちょっとこえたところを雇っておるということでございます。 それから二十四ページには、農村進出工場への就業者のうち地元の出身者がどれくらいかということでございますが、これは農家それ以外のものもいろいろあるわけでございまして、九〇%以上地元であるというのが、この表の構成比にありますように六七・五%を占めております。 それから二十五ページは工業用地の状況でございまして、用地の規模別立地件数と用地面積でございます。やはり件数といたしましては、一ヘクタール未満、これでいきますと、一万平米以下というところになるわけでございますが、件数にいたしますと八〇%以上が一ヘクタール未満の工場でございます。面積にいたしますとやはり大きな工場がこのウェートを占めておるということでございます。 それから二十六ページは、工場用地取得の方法あるいは取得の形態がどうかということでございますが、自分の会社で直接取得しましたものが全体の三九%、それから地方公共団体を通じて取得しましたのが三八%ということになっております。それから取得の形態は、買収が八割、賃借が大体二割足らずということになっております。 最後が農林中央金庫の主要勘定でございます。一番新しい昭和四十五年三月末現在で総調達運用共通計が二兆一千六百六十九億ということになっていますが、その運用先は、所属団体貸し付けが三千九百二億、関連産業貸し付けが七千五百六十億、それから金融機関貸し付けが三千二百八十一億、有価証券運用が四千九百五十四億ということになっておるわけでございます。 簡単でございますが、以上で終わります。 —————————————
○委員長(河口陽一君) 野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長草野一郎平君。
○衆議院議員(草野一郎平君) ただいま議題となりました衆議院農林水産委員長提出野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨を申し上げます。 本案は、最近における国民食生活の高度化に即応し、主要な野菜の消費量が著しく増加しているにもかかわらず、その生産、出荷体制が必ずしも十分でないため、野菜生産出荷安定資金協会の業務の対象とする野菜の価格の著しい低落があった場合において、生産者に交付する生産者補給金の額を、当該野菜の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、当該野菜の生産及び指定消費地域に対する出荷の安定がはかられるよう改正しようとするものであります。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(河口陽一君) 本案に対する審査は次回に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(河口陽一君) 再び農村地域工業導入促進法案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○杉原一雄君 北村委員から主として党の代表質問がこれから行なわれるわけでありますが、ちょうど私、内閣と公害の連合審査会が行なわれております会場に農村と同様出かせぎを命ぜられておりますので、冒頭に質問をしておきたいと思います。 最初に一体農村とは何か、この問題をこのような時点でもう一度あらためて考え直してみる必要があるのではないか。幸い農林省から二、三日前に各地方農政局長なり北海道知事等に通達が出されているわけですが、それによりますと、自立経営の標準的指標というのを大体おまとめになって、今後の自立農家のガイドポストということで通達を出されているわけでありますが、いまそのことをなまでお伺いしようとは思いませんけれども、そうした農林省の道しるべ、経営のビジョンをお示しになったこと等もございますので、いまこの農村地域工業導入法等を検討するにあたって農村とは一体何だということをごく概略的でいいから大臣の所信を、別な表現をとればこれはビジョンという表現になるかもしれませんが、一度お伺いしたいと実は思います。あわせかねて局長等からいま申し上げた自立経営の道しるべというものの中に差し示された今後の農家のあり方ということをごく概略御説明をいただいて、そうした道しるべとあわせていま提案されている農村地域工業導入促進法との関連が一体どうなるのか、たいへん私たちややっこしくなってまいりましたので、その辺のところを明確にけじめをつけていただきたい、こう考えるわけです。とりわけ先般来予算委員会なり各種委員会の中でいろいろ意見をかわし合ってまいりましたけれども、一番大きな農村の今日の地すべり的な変化と申しますか、それは兼業農家が非常に多くなった、たとえば昭和三十五年六六%が四十五年には八四%になったこと等については農林省からいただいた資料がそれを明確にしておりますが、同時に働く農業従事者の年齢がだんだんと高くなってきて若い農民がおらなくなったという問題もある。あるいは調査室からいただいた資料の中ではこういう表現が実はあるわけですが、「農地の資産的保有体」というような表現をとっておりますが、なかなかかたくて理解しにくいが、言わんとする意味はわかるような気がします。私ここに持っております静岡大学の上原教授が長野県の農民の意識調査をされたのが手にあるわけですけれども、りっぱな大学を出て東京で就職した長男が高い俸給を捨てて長野県に戻ってきて祖先伝来のうちに生活をしながら半分にも満たないような安月給でうちから弁当を持って通勤している、こういう事実を指摘しながら、そうした農民の、あるいは特にあと取りと申しますか後継者の意識の中に存在するもの、それはいま私たちが考えている農村の大きな地すべり的方向と逆にやはり家の制度、家を守る、こうした思想、考え方、伝統的なものがやはり存在しているというふうにも受けとめます。でありますから、計数的にはかつて農林省からいただいた意識調査の中では、うちから弁当を持って工場へ行きたいというのが希望として圧倒的多数であったと、そういうことが今度の立法の動機にもなっているようでありますから、私はそうした一つの表面的な現象とあわせてそこに流れている農民意識なり農村構造の大きな変化等について、これはただごとではないと実は思います。うかうかしていると——結局あとで言わんとすることはその次の段階で言いますので保留をいたしますが、とりあえずいま申し上げたことなど、ぼくの言ったことはばらばらでありましょうけれども、賢明な農林大臣でございますから、私のいま申し上げたことをくみ取っていただいて、一体農村とは何か、農民像はどうあるべきかと、きわめて原始的な質問でありますが、これに対する回答。並びに先ほど申し上げた、局長等からいただきたいのは、自立農家の、先般出した通達の根幹に流れている考え方、いわゆるビジョン、そういうものをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) だいぶむずかしい問題でありまして、お答えもなかなか困難だと思います。昔からの常識的概念で申しますならば、これはきわめてはっきりいたしておった時代もあると思いますが、今日では町村合併等も盛んに行なわれまして、昔のいわゆる村というものがだんだん少なくなりまして、町になり市になっておる地域がたくさんありますけれども、その中に、依然として先祖代々の農業を営んでおられる方もおるわけでございまして、したがって農村とは何ぞやということになりますと、なかなかこれはむずかしい、解説がむずかしいことではないかと思うわけでありますが、私どもが一般的に考えまして、いま申し上げましたように、行政区画が町になり市になりましても、その地域地域の実情が昔ながらのいわゆる農業を営んでおる者、あるいは兼業であって農業を営んでおる者たちが主としておられる地域は、やはりこの本法で申します農村の概念に入れて、そしてその地域に産業を誘致するという、こういうような考えを持つわけであります。 ただいまお話の、通達をいたしましたこれはあとで事務当局から御説明申し上げますが、私どもがやはり農業というものの体質を強化して、そして業としてしっかりしたものに育成していくために最近の経済情勢等にかんがみてこのようなものが必要であると、そういうことを最近調査いたしましたので通達をいたしておる次第でありますが、いまのたいへんむずかしい哲学的なお話について十分なお答えにはならないかもしれませんが、一応お答えをいたしておきます。
○政府委員(中野和仁君) ただいまお尋ねの「自立経営の標準的指標について」、去る四月二十日に地方、県農政局に対しまして内部通達としてお示しをしたわけでございますが、これは昨年秋、農業生産地域指標、まあ地域分担と言っておりますが、これを示しましたのに対応いたしまして、そういうそれぞれの地域の適地適産に応ずるようなやり方の場合に、どういう経営に持っていったらいいかという個々の経営についての指標がやはり要るのではないかということから、省内あげて作業をしておったものでございます。大体われわれといたしましては、昭和五十二年を目標にいたしまして、自立経営の標準的な指標でございますから、家族経営を主体にいたしたい。その場合に、現在の物価にいたしまして下限の所得は二百万円程度、そして農業従事者は二・五人以内。労働力はいま申し上げましたように二・五人でございますが、主として家族労働力によりますが、農繁期には一部の雇用労働力を雇用する。技術水準は、現時点での比較的高いものをとると同時に、今後の技術水準の進展の見通し等もある程度入れてつくっておるわけでございます。 その他、詳しい作業はまた別にいたしまして、そういうことでございますので、水稲経営につきましても、寒冷地、それも中型の機械化体系のもの、大型機械化体系のもの、あるいは小型機械化体系のもの等を示すと同時に、また準寒冷地、それからその他の一般の暖地における米麦作の経営の場合、それから普通畑作経営の場合、普通畑作と野菜作経営の混合の場合、野菜作経営の専門の場合、それから果樹作経営の場合、お茶の場合、花の場合、養蚕、それから酪農、肉用牛、それから養豚、養鶏、大体今後の地域分担に即応しまして自立経営として持っていくべき指標を示したと、こういうことでございます。
○杉原一雄君 そうすると局長ね、それでは通達内容そのもの、何らかの形で来ておりますか。「農林時報」その他で私見たような気がしないわけですが。もし来ていなければいただきたいと思いますが、それはできますね、どうでしょう。
○政府委員(中野和仁君) 実はこれ農林省の官房のほうで作成をいたしましたので、こまかい手続等私どうやっているか存じませんけれども、よく相談をしまして御便宜を計らいたいと思います。
○杉原一雄君 同時に、いまの通達の主軸になっているのは、自立農家は今後どうあるべきか。あるいは一番寒いところでは六ヘクタール、準のところでは四ヘクタールというような数字など、きわめて具体的に指標を出しておるわけですが、先ほど申しました農家という表現でなく、農村とはということになってまいりますと、必ずしも自立経営そのものが、農林省は自立経営のそれを柱にしていこうとしているのか、あるいは農業法人、あるいは協業化の方向等について一体——きわめて大まかな質問でありますが、それをどうながめながらいこうとしているのか、それは従として考えているのか。自立をさせながら連合協同、一緒に仕事をしていくという共同作業方式というものに進めようとしているのか、その辺の判断といいますか、指導方向を簡単にお願いします。
○政府委員(中野和仁君) その問題につきましては、たしか前国会の農地法、農協法の御審議のときにもいろいろ御論議があったわけでございます。農林省といたしましては、農業基本法の目標とします自立経営というのを中心にもちろん考えているわけでございますけれども、御承知のような現在の農村、農業の事情でございます。それのみで日本の農業が立ち行くとも考えていないわけでございまして、非常に多い兼業農家をどう持っていくかという問題がございます。その場合に、兼業農家の農業生産に占めるウェートが非常に高いのは御承知のとおりでございますので、兼業農家の技術水準の向上ということを考えました場合には、個々のばらばらの兼業農家ではなかなかそういうことも不可能でございます。そこで集団的な生産組織なり、あるいは改正いただきました農地法によります農業生産法人または農協の経営受託等、そういう広い意味の協業的な面もあわせて進める必要があろう。と同時に、農地法のときの論議にもいろいろありましたけれども、協業といいましても、やはり土地を持ち寄り、労力を持ち寄りますと、どうしても労力が余ってまいります。その余った労力は農外への安定的な産業に就業できるという方向もあわせて考えなければならぬではないか、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○杉原一雄君 では次の問題に入りますが、まあ大臣の説明、ただいま農林省、通産あるいは労働、三者共同して出された関係資料、二十三ページ、これ大臣がおっしゃったとおりなんですけれども、その中で、終わりから六行目「これらの計画の樹立にあたっては、既存の農業振興地域整備計画、都市計画、工業開発に関する諸計画等と十分調整を図ることとしております。」、このところでありますが、これはあとで北村先生、河田先生から詳しく突っ込んだ質問があろうかと思いますが、ぼくはきわめて概括的に簡単にお聞きしたいわけです。これは経企庁になるかもしれませんが、まあ新産都市計画が実施されてから相当の年月を経過しているわけですね。ですから、そうした経企庁のその後の指導、点検等を通じていろいろ問題点はないとは言わせないと思います。その問題点を行政当局としてどのように掌握しておられるかということについての質問になると思います。でありますからばく然としておりますから一つ一つお伺いしていきます。 第一点として、地域指定事業十三プラス一ですか、十四指定されたわけですね。私は富山ですから、富山も猛烈な運動の結果御指定をいただいたのですが、しかし私はその指定された地域のまん中に持っていた祖先伝来のたんぼをみんな失った一人です。そんなことは別として、地域指定が妥当であったかどうか、きわめて大まかにひとつ、つまり新産都市計画そのものが基本的にいま再検討する必要があるのではないだろうかということ、そういう問題等についていろいろ御検討なさっていると思いますから、その辺のところを経企庁関係の御答弁をまずいただきたい。地域指定が妥当であったかどうか、そのことをお伺いいたします。
○政府委員(岡部保君) お答え申し上げます。 ただいま先生のおっしゃいました新産地区の指定の問題でございますが、私どもの考え方といたしましては、あの時点さらにそれから現在に至る時点として考えますと、この指定は決して間違ってはいなかったという確信を持っておるわけでございます。そこでちょっと脱線いたしますが、指定の手続というような問題で考えてみますと、いわゆる関係市町村との協議、あるいは都道府県知事がこの指定というものに対して申請と申しますか、要するにイニシアチブをとっておられる、そういうような意味で非常に地方の御要望というものを十分生かしたという考え方がまず第一点であったわけでございます。それからもちろんいろいろな指定のいわゆる目的達成のために必要であると認められる区域指定の要件というようなもののチェックということも十分行ないましたし、それから中央での地方産業開発審議会というような場も経ましてこれを指定したというような段階になったわけでございます。 そこで、現状で確かに先生のおっしゃいましたように新産都市というものの現状を見ていわゆる何と申しますか、反省すべき点もあるんではないかというような御指摘もございますが、この点につきましては私どもも率直にそういう点があるということを申し上げなければならないと思います。たとえば新産都市を指定いたしましてこの計画というものに対して現在どういうふうに進展してきておるかというような問題で申しますれば、新産都市区域に対しての人口の集中というものは残念ながら当初の目的よりもはるかに下回っておるという感じがいたします。ただいわゆる工場の出荷額と申しますか、工業の生産というような面で申しますれば相当に成果をあげておるということは言えるんじゃないかと存じます。ただその反面御承知のように、部分的にはいろいろな公害問題いわゆる環境問題というような問題も明らかに発生はいたしております。したがいまして、今後のこれからの考え方といたしましては私ども新産都市のこれからの整備という意味では、やはり環境問題というものを相当に重点的に注意をいたしまして、そこでいわゆる何と申しますか、バランスのとれた新しい都市づくりというものに少しでも近づけるようにということを考えて、口はばったい言い方でございますが指導をしてまいりたいという考え方を持っております。
○杉原一雄君 いま責任を追及しておるわけでございませんから……。きょうこれから審議しようとする農村地域工業の導入問題これの質疑でございますから、これを今後農林省が主軸になって進めるとしましてもやはり新産都市計画等の経験と申しますか、率直にいってやはり私は計画どおりいってないと思います。そういう問題等についてのきびしい点検と反省がやはり前提になるということでお伺いしておるわけですから、率直にここで国政の未来を論ずる大事な場でございますので、はっきり考え方を出していただきたいと思います。手続がどうだこうだということは私はその辺は否定しませんよ、そのとおりだと思います。しかし手続がどうあろうと結果がどうなったかということがもうすでに答えが出ているわけですから——ある県の最高責任者が、新産都市はやったけれども、ペンペン草がはえるだろうというような、やじ馬からいろいろ非難を受けておったが、よく見なさい、どこにペンペン草がはえているかと言っていばっておったのですが、私逆に、まだその方には言わないけれども、皮肉で言ったのは、ペンペン草がはえようにもはえることができない、ヘドロの埋め立てで、埋め立てをしたところにペンペン草ははえることはできないだろう。しかしそういうペンペン草の現象が問題じゃなくて、そういう工場が計画的に、しかも公害のない地域住民の期待するそういうものがどんどん進出してきたかどうかという問題、ペンペン草の問題じゃない、そういう現象的なことで責任のがれを言ってもらっても困るわけですけれども、いま局長の答弁の中に、人口の集中度が計画どおりにならなかったということは、私これはいち早く実態をあらわしていると思います。 でありますからこれ以上ケースを取り上げてどうだこうだというやりとりはいたしませんけれども、ただ計画があった、しかし具体的に相当年数を経た今日、なおかつこれが期待と大きくずれてきたことについてのなぜかという問題、なぜか。このことをやはり究明しないと、農村工業導入等の問題につきましても常について回る私問題である、こういうふうに思いますので、そのなぜか、私たちも非常に広い視野に立って、全国的に点検をなさっている経企庁等の考え方をお聞きしておけば、これが農村工業の導入の問題につきましても、私はそれが非常にすぐれた他山の石になるのではないか、こういう意味で質問しているわけですから、いま一度あなた方の口から、それは予定どおり進捗していると言いたいところでしょうが、私はそういっておらないという、前提が違っているかもしれませんけれども、しかし多くの点でやはり認めていただけるのではないか、だから計画どおりいってないことの中には、地域の指定の妥当性の問題あるいはこの囲い込みが非常に無理があった、そういったような問題、いろいろあると思います。もう少し突っ込んで言えば、これは宮澤通産大臣がここにおればまたかというのでしかられるかもしれませんが、基本の論理の問題があるわけでありますから、そういうことをも含めていろいろ御検討いただいている点があれば率直にお聞きしたい、こういうことであります。
○政府委員(岡部保君) ただいまの先生のおことば、私ども率直に——現実にこれからの問題でございますし、率直に反省をいたし、これからの行政に資していこうという考え方でございますが、まず私、これは数字をあげるよりも性格的に申し上げたほうがいいかとも存じますが、この新産都市でいままで進んでまいりました上で一つの問題点としてわれわれ非常に反省いたしておりますことは、やはりその地域がいわゆる基盤整備と申しますか、社会資本の充実、特に生活環境の施設の整備というものが、残念ながらおくれておる。これが一つの大きな反省すべき点かと存じます。これが先ほども申しましたような環境の問題にもなりますし、あるいは人口の比較的集まらなかったという問題の一つのあらわれでもあるのではないかというふうな感じがいたします。したがいましていわゆる都市づくりであり、比較的規模の大きな工業を中心にいたしました都市づくりということを考えていたにもかかわらず、その都市としての基盤の整備というものにおくれをいささかとっておったという点について、現段階でも私ども、謙虚に反省をいたして、そういう点の整備というものを早く進めるということに努力をいたしております。この点がひとつはっきり私どもが自覚をしておる段階でございます。 それから、地域の範囲の問題でございますが、これはどうもそれぞれの各新産都市、この地区ごとによりまして非常にばらつきのある問題であります。したがって、それぞれの地区地区によって非常に問題があるかと存じますが、一般的に申しますれば、ああいう一つの都市づくりをやる、それは決して工場地帯あるいはその周辺の都市市街化地域というものだけではございませんで、逆にその周辺の、むしろ自然をある程度温存すべき地域というものも含めて、一つの大きな都市づくりというものを考えた計画でございます。したがいまして、非常に範囲が広いというような問題あるいは逆にもう少し範囲を広げてよかったんではないかというような点は確かにあると存じますが、一応現段階でああいう指定をしたというのはそれほどの間違いではなかった。ただ具体的に申しますと、いろいろなその地域々々によっての施策がまた考えられると思いますが、その辺についてはケース・バイ・ケースでこれからも考えてまいりたいという考え方でございます。
○杉原一雄君 すると、ここで農林省の答えはあるのですか、どういうことになりますか。この法案は、二十四日に国会が終わるわけですが、二十四日にかりに可決、決定をすると、それからどういうプログラムになりますか。きょうは政令の原案らしきものを受け取ったわけですが、それは大綱をおろしていって、具体的に、農村段階に煙があがるような工場が得られるかどうか知りませんが、工場がいよいよ活動する、操業開始というところまでは、年次に、段階的にどういうプログラムを想定しておられるか。これはむずかしいことですから、もし不可能ならやむを得ませんが、法の施行とか政令のそれの決定とか、いろいろなそういうものは大体機械的にできますから、したがって結局、ぼくはこういう皮肉な言い方をするけれども、農民はやっぱり期待しているところが大きいと思いますから、その期待しているところの地域なりあるいは農民の人たちが、いよいよ弁当を持って、農閑期あるいは通年、働きに出れるような状態ができあがるのは、具体的に、ケース・バイ・ケースという答えはあったのですけれども、そうでなくて、一般的なプログラムはどうなりますか、ちょっと聞かしていただきたい。
○政府委員(中野和仁君) この法案を御可決いただけますれば、われわれといたしましては、三省、特に相談をいたしまして、すみやかに政・省令の内容を、きょう差し上げましたような内容を固めまして、その上で公布、施行をいたしたいと考えております。六月中にそういうことができれば、というふうに思います。で、そういたしますと、この法案にもございますように、国としましての工業導入の基本方針をまずきめなければなりません。これも、三省でつくりました上で、関係行政機関の御意見を聞いて、同時に民間の意見等も聞くために、協議会の意見も聞きたいと思っております。それができますれば——七月あるいは八月に入るかもわかりませんが、そういう程度に考えております——それができますと、それを県にお示しをします。県でもその間にすでに、法律が通りました場合にはそれぞれどういう基本計画が必要かということはお考えかと思いますので、そういうものとをマッチさせまして、できれば九月中にはそういう基本計画が大体固まってくるようにいたしたいというふうに思っております。で、そのころ、まあ十月になりますが、一応予定しておりますのは、農村地域工業導入促進センターというものをひとつつくりたいと考えております。これは、企業側あるいは市町村側の情報を収集して、それをまた紹介をするということでございますので、大体十月ころをめどにしてそういうセンターも発足させたい。 そういうことになりましてから、具体的に、県で立てました基本計画に基づきまして、今度は、県とあるいは市町村が実施計画をつくるわけでございます。その実施計画をつくるのが十月以降になってこようかと思います。そういたしますと、やはり工場用地の取得造成ということになりますと、これはいろいろ土地問題がからんできまして、すぐ一カ月か二カ月ではあるいはできないかもしれません。まして今回は就業構造の改善なり農業構造の改善なりをあわせていたそうという新しい試みにしておりますので、若干の日にちは要するかと思います。若干いまわれわれの頭の中で考えておりますのはこういうことでございます。
○杉原一雄君 それではこれで質問は終わりますが、最後に、やはりいろいろ今日まで歩いてきたわれわれの経験の中から、特に進める場合に万全の注意をしていただきたい。これは予算委員会でも質問をしておったわけです。一つは公害つきの企業の進出の問題でありますが、これは繰り返し通産大臣その他からも答弁をいただいておりますので、決してそういうことはいたしません、こういうようにおっしゃっておるわけですね。もう一つは企業の安定度の問題でありますが、これもだいじょうぶだという答弁をいただいておるわけです。 ただ私、先般通産大臣にも答弁をいただいた、企業でない企業で、これは私この間富山に遊説に入ったところで起こった問題ですが、小さな鈴木自動車ですか、鈴木自動車という工場が農村に進出しておって、二千名程度の工場なんですが、計画的に首を切っておるわけですね、オートバイをつくっておるわけですが、オートバイの生産目標がだんだん減少してくれば、おのずから機械的に労働力がはじき出されてくるものですから首を切っているわけですね。その首の切り方の順序がぼくは非常に気にくわないわけですね。首を切るということ自体にも私は非常に抵抗を感ずるのですが、首切りの順序は、いわゆる土地を持っている農家の次三男坊、それがトップに切られていくわけですね。そこに私は、これから農村へ進もうとする工業のねらうところというのは、そこをねらっているかどうかは別として、持っている危険性と申しますか、そういうものを非常に痛感するわけです。そういう点での、今後もセンター等も設置されるわけだし、通産大臣からも七、八千万——大体そうした面でも十分の配慮をするという御答弁をいただいているわけですから、それにもう一そうの決意を固めていかないと、なかなかそう簡単にいかないのじゃないかというふうに思います。 これは余談的に、いまの私の進めようとする論理とは若干ずれますけれども、昭和三十四年三月十八日にある市長とある会社とが取り結んだ契約書の一部ですが、この契約書の中に書いてあることですけれども、全体十項にわたる契約書ですが、その七番目に、「左に掲げる事項については市は会社に対し会社の要望に副うよう全面的に協力し、会社工場の操業に支障なきことを確保することを約諾する。1、上水道工事2、配電会社に対する送電手続3、乙の工場の建築、営業の許可等乙の工場の操業に伴い生ずる一切の手続き4、その他会社において要望する事項」、全くたいへんな契約であります。 八番目に至るとかえってより具体的になります。「市の負担において掘さくする井戸の掘さく場所、構造については会社又は指名する者の指図に基くことを承諾する。前項の井戸の使用により第二項記載の工場敷地に該る土地の周辺にある井戸の水量が減少し或は万一枯渇するような場合があったときは市において上水道を設置する等適当なる方法により善処し万一苦情故障があったときと雖も」——これは俗にいう、われわれが地域住民の大きな課題になる公害問題ですね、「あったときと錐も市において一切の解決をなし、会社に対し聊も損害をかけないことを確約する。」、こういっているわけです。 これに対して特に宮澤大臣の見解を聞きたいのですが、時間がございませんからこの程度にとどめますが、こういうことですね。このことは市と会社との間の話し合いでありますから、うっかりするとこういうことになる、たいへんなことになると思いますので、今後の工業の導入については指導計画なさる当局においては十分の御配慮をいただいて農林省は農民のしあわせのためにこの法案を立ててこの法案に従って計画を進めようとされるという立場を堅持していただきたい。このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
○北村暢君 通産大臣は午後は来られないようでございますから、まず通産大臣にお伺いいたします。 あなたのところで、昨年ですか、産業構造審議会産業立地部会で「農村地域工業開発の考え方と施策について」というものを出しておるわけであります。それを拝見させていただきましたが、この基本的な現在までの総合開発、新全総までの考え方というのは、先ほど御質問ありましたように、新産都市あるいは工業整備特別地域、こういうふうにして開発が拠点的に行なわれてきた、拠点開発をやってきた。したがって太平洋ベルト地帯、こういうものに集中しており、それをまた若干避ける意味で新産都市、工業整備特別地域あるいは低開発地域の工業開発、こういうふうに拠点的にやってきたわけです。ところが今度出しましたこの農村地域工業開発の考え方というのは比較的これはそういう拠点的な開発というような着想とはだいぶ変わってきているのではないかと思われるのです。したがってこの農村地域工業開発というものに取り組まなければならなくなってきた原因、また積極的にそのような施策に取り組む、工業立地というものを検討するというようになりました原因は一体どこにあるのか、この方針を出しました基本的な考え方についてまずお伺いをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に工業側、産業側の事情を申し上げますが、いわゆる資本の集積地帯における過密問題というものが御承知のような状態になりましたし、そこへ公害という問題が加わってまいりましたので、かつては資本の集積地に工業が立地することが経済的であると考えられておったことに対比いたしまして、外部不経済という問題が相当顕著に出てまいったと思うのでございます。そういう意味では産業自身の立場からできることならば新しいところへ分散できるものは分散したいと考えるようになりつつございます。このことはやはり労働問題とも関係がございますし、地価問題等もございますわけですが、そういう傾向が出てきたというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう傾向にまた現実的にしつつあると考えられますのは、新全国総合開発計画がネットワークという考え方を打ち出しまして、通信、情報、交通等々のネットワークを全国につくろうということで、そういう考え方のもとに公共投資が進められておるわけでございます。そのようなことが手伝いまして、産業側においてもいわゆる過密地帯の外部不経済を脱却したいという動きがかなり顕著になってきたと見ております。 もちろん産業の中でも装置産業のようなものはぜひ臨海地帯におりたいと、そうでないと非常に不便であるということがございますけれども、その他の産業につきましてはただいまのような傾向が出てきた。これが工業側、産業側の理由でございますけれども、同時に農村側におきましても、従来ややもすればいわゆる虫食い的な工業立地が行なわれまして、このことは農村にとって決してしあわせなことではございません。また導入された企業も必ずしも安定性、雇用を確保するというような安定的な性格を持つものとは限らなかった。のみならず、かつては、先ほど杉原委員が御指摘になりましたが、あれは三十四年ごろの契約だとおっしゃいましたが、いわゆる企業誘致に地方が狂奔したような時代には、非常に地方にとって適当でないと思われるような今日から考えますと条件ででもとにかく何か企業を誘致する、そういうようなことがありまして、無秩序かつ虫食い的な工業導入があった。そういうことは農村にとって不幸であります。同時に、今日の米の問題でも御理解いただけますように、農家所得というものは確かに増大をしてまいりますけれども、農業所得というものは必ずしも十分に工業所得ほどは伸びていかないような展望になってまいりました。そういたしますと、問題は、結局農家の所得でございますから在村在宅のまま安定性のある雇用を農村の人たちが求める、これは当然のことであろうと思います。そういう両方の事情からならば、ひとつこの際、全体を基本方針のもとに乗っけまして計画的に進めていってはどうであろうかというのが、ただいま御審議願っております法案の根本的な考え方であろうかと思っております。
○北村暢君 いまの御答弁で若干わかってまいりましたが、企画庁がこの新全総を発表する段階においてそういう構想が織り込まれているかどうかということについては、工業の主要計画課題というところを見ましても、そういう思想はまだ出てきてないのじゃないか。この新全総は四十四年に発表されておるわけでありますが、その段階においてもなおこの拠点開発という思想、これは出していないのではないかと思われます。しかも四十年水準に比較して六十年目標にこれは計画ができているようでありますが、鉄鋼が四倍、石油が五倍、石油化学が十三倍、こういうような膨大な今後の伸びというものを想定しているようですが、それもなおかつ大規模の工業地帯の建設という形のようです。そこで、石油化学工業、これらは非常に大きな公害でありますし、さらに大都市周辺ではもうこれ以上とにかく操業するということは危険でどうにもならない。したがってこれからはおそらく人の住んでいないような新しいところに工場を移さなければならない。そういう考え方が出てきておるようですね。そういう意味におけるものでも拠点的な考え方があるようであります。したがって、そういう大きなものが地方に行くというのはわかるわけなんですけれども、総体的な形でこれからの農村地域への工業進出というものは、考え方からいくとこれは全国的なものですね。しかも非常に広範な各市町村を対象にしたような考え方である。従来の考え方とは全く違ったものであると思うのです。そういうふうなものが簡単に実現するのかしないのかというところを私ども非常に疑問に思っておるのでありますが、新全総によりますと、四十年規模で工業用地九万ヘクタール、四十五年現在でそれが十二、三万になっているようですね。大体一年間一万ヘクタールくらいふえていって、六十年目標で約二十万ヘクタールふえるだろう、それで三十万ヘクタールくらいの工場用地というものができるだろう、こういうふうに新全総では想定しているようです。これからふえていくその工業用地というものが、通産省ではこの工場立地について、先ほどもお話ありましたように、調査をしているようであります。その工場立地の調査の結果について数の多い地域において、しかも相当の面積にわたって工場立地の調査がなされておるようですが、その実態がどうだったのか、それが今度の農村地域工業導入促進法の考え方と一致する方向にいくのかどうなのかという点について、これとの関連でお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題に政府委員がお答え申し上げます前に、ただいま北村委員が従来からの経緯をたどって御質問になられましたことは、私はきわめてごもっともなお尋ねだと思っております。たまたま新全国総合開発計画の作業にも私一とき参加をいたしましたので、その辺の考え方の動きと申しますか、経緯をちょっと申し上げておくことがよろしいのかと思います。 一番最初に全国総合開発計画、これは古いものでございますが、このときにはやはり東京、中部及び近畿以外の地方に人口が動き出すであろうという想定をとったのでございますが、これは希望的観測でありまして、事実はそうなりませんでした。そこで、しかしだんだん過密という状態が出てくるのでどうかしなければならないのではないかと考えまして、新産都市あるいは低開発地域に農村工業導入といったようなことをいたしたわけでございます。その場合、新産業都市については、そのあと十五年あるいは二十年くらいを目途に考えよう、かなり長期の考え方をしておったつもりでございます。それらは大体拠点主義であろうと言われますことは、私は当時の事情から見ましてそうであったというふうに考えております。 そこで全国総合開発計画を書き直しいわゆる新全総を書きますときに従来の拠点主義というものは、これは何も捨てるわけではない。のみならず将来の臨海地帯での大規模工業地帯というものはいまから確保しておかないといけないということで、小川原湖でありますとか、苫小牧でありますとか、知多とか、周防灘という問題が出てきたわけであります。これもおっしゃるように幾らか拠点的なと申しますか、臨海の工業を集めるという思想であったと思います。しかし、それと同時にどうしても、かねてわれわれ望んでおりました人口の分散、平均化をはかるとすればなかなか拠点主義だけではできないので、何かが要るであろうというところでネットワークという考え方が出てまいりまして、これで情報化時代にもなりますししますから、全国均斉のとれた成長をしようではないか、またそれが過密地域における外部不経済を解決するゆえんでもあろう、こういう考え方を入れてきたわけでございます。 そのときに、実は作業をしております内部でかなり問題になりましたのは、いわゆる地方の兼業農家、この兼業体制というものをどう考えたらいいのかということが実はかなり論議になりまして、はっきりした結論が出ませんまま、それについて新全総はある程度触れております。触れておりますが、実は兼業のような体制を積極的に押し進める、これをもう事実と考えて進めるのがいいのか、あるいはこれはごく一ときの補足的な現象であると考えるべきことなのかということについて十分政府部内で合意が得られませんで、その点不徹底な書き方になっております。しかしいずれにしても虫食い、スプロール化は困るぞというところまでは実は関係者が一致している。それから何年かこうやってたってまいりまして総合農政というような問題にもなってまいりました。米の問題も、かなりいろんな問題がはっきりしてまいりましたので、今回こういうような形で新全総にちょっと萌芽のように出ております問題についての取り上げ方をいたした。私はそんな経緯であったかと思っております。
○政府委員(両角良彦君) 工業の立地調査につきましてのお尋ねでございまするが、通産省としましては昭和三十三年度から全国にわたります工場適地の調査を行なってきております。現在までに千九百六十四の市町村につきまして実態の調査をいたしておりまして、しかもその調査結果が経済情勢あるいは社会情勢の変動に即しまして常に新しいものであるために二年ごとに補正を順次行なっておる次第でございます。いずれにいたしましても、この調査の結果に基づきまして全国で三千七十三カ所という地点が工場の立地に適格な条件を備えておると、かような結論になっておる次第でございまして、面積としましては十四万七千ヘクタールということでございます。今回農村地区への工業導入が促進をされてまいりまする場合には当然この導入地区の選定にあたりましてはこれら適格と認められた工場の適地が優先的に御採用になるように私どもとしましても資料を提供いたしまして工業導入促進センターと企業との間で十分情報の提供を行なって適地への立地を推進してまいりたい、かように存じます。
○北村暢君 なおちょっとお伺いしますが、いまの千九百六十四市町村、三千七十三カ所、十四万七千、これは適地調査として調査された数でありますが、今度の場合は適用市町村が二千何百かになりますわね。個所数でも二千五、六百になるんじゃないかと思うのですが、個所数でも全国からいえばこれは市町村にとっては一カ所か二カ所、平均にすれば。そんなような状況ですが、しかし適地調査というのは当初三十四年に調査されたというのですから、もちろん農村地域工業を促進するという目的でやったわけではないわけですね、これ。したがってこれから該当するものがこの中から出てくれば、これは農村地域工業の促進も一年や二年や三年や十年でできるものじゃないですから、それはそれでいいのですけれども、この企画庁の言う六十年の二十万ヘクタールこれからふやそうという考え方、それとこの十四万七千というのと、おそらくあの新全総をつくる際には企画庁と通産省、これは当然打ち合わせがなされているはずだ、新全総の六十年の九万ヘクタールを二十万ふやして大体三十万ヘクタール、こう見込んでいるわけですね。そういう点からいって、若干これは数字が食い違っている。これより多少少なくなるんじゃないかという感じがします。そこら辺のところがどうなっているのか。 それともう一つは、今度考え方として出かせぎ者の問題が対象になりましたわね。しかもこの出かせぎ者をなるべく農村に固定しよう、先ほど通産大臣も公害の問題を避けるためには分散しなければならない、しかも労働力の問題も出てきた、それで工業を分散しなきゃならない、そういうお話ですが、大体分布の状況はどうなっているのでしょうかね、この立地の。おそらくこれは裏日本の地帯はわりあい少なくて、表日本のほうが多いというようなことになるのではないかと思われるのです。そうすれば農村の出かせぎ者の最も多い裏日本地帯、これとこの工業立地の調査というものが一致するかしないかということは、これは労働力問題を考えても非常に問題のあることです。農業構造改善にほんとうに役立つようなことになるのかどうかというふうに思われるんですが、この工業立地の調査というものが、いま私が申した農村地域工業導入促進の考え方、労働力の問題における出かせぎ問題を解決しようという考え方、これと従来の工業立地の調査というものが符合をするのかしないのかというところに疑問を感ずるわけなんです。この調査によっていま申したような問題の解決ができるような見通しになるのかどうなのかということですね。これを通産当局にお伺いしておきたい。
○政府委員(両角良彦君) 立地調査をいたしました数字は確かに十四万でございまするが、これは新全総の大体一年一万ヘクタールずつふえていくであろうという工場用地の見込みというものとは決して矛盾するものではないと存ぜられます。なぜならば工場立地の調査を行ないましたもの以外に企業はやはり農村地域あるいは内陸地帯に立地をいたしておりまして、そういう割合は大体半分くらいになっております。したがいまして適地調査でそこに立地をした実績と、適地以外に企業が進出いたした実績というものは今日までは約半々というような数字でございまして、これからは漸次適地調査の成果が企業側にも十分利用されていくようになると思いますが、その場合にはさらにいわゆる適地外への立地がふえていくということになろうかと思います。いずれにしましても適地外への立地があった、あるいは将来も起こり得るだろうという意味では十四万ヘクタール以上の工場用地化する土地が当然期待をされておるわけでございます。 それから第二に、工場適地調査は今日まで十年以上続けてまいっておりますが、今後ともなお新しい地点を追加調査をいたしていく予定でございまして、それによりまして毎年一万ヘクタールという工場用地需要に対応する新しい適地を次々と資料として提供できるようにわれわれとしても努力をいたすつもりでございます。 次にいわゆる出かせぎ地域への立地動向と対応しておるかどうかというお話でございますが、確かに最近におきまする全国の立地動向を見ますと、関東臨海地区でありますとか、東海地区でありますとか、いわゆる太平洋沿岸ベルト地帯への立地の集積が行なわれておりまして、東北、北陸あるいは山陰といったような過疎地帯等への立地はややそれに比べますと低調であるということは否定できないと思います。しかしながら一つの動向として申し上げますと、東北地方及び北陸地方等への企業の立地は漸次上昇の傾向をたどっております。したがいましてこの農村工業化のための促進措置というものが今後積極的にかつ計画的に推進をされてまいるならば、いわゆる出かせぎ地帯といわれまする過疎地帯あるいは低開発地帯への企業進出というものも十分私どもとしては効果をあげ得る進出が期待できる。かように存じておる次第でございます。
○北村暢君 この一万ヘクタールぐらいは毎年ふえているのですよね。それはそのとおり。ところが新産都市、工特法の低開発促進、こういうものはこれはまだ完成していないのですから、当然そういう面にも適地としてふえていきますわね。ふえていくでしょう。そういう点からいって、このふえていくものがみな農村地域の工業導入促進には向くわけではないだろう、それはまあ想定できるわけですね。したがって、各地域の開発の法律があるわけですから、そういうものの中で大体大まかな見通しでどんなような進み方をするんだろうか。それは農村地域の工業導入促進の将来の予算の規模なり何なりというものと見通しというものと非常に関係してくるわけなんです。したがって、これはあとからもこまかくお伺いしますけれども、先ほども申したように、これは一年や十年でおそらくできないだろうと思うんですね。相当の長期にわたってこれは目標を立ててやらなければならない。そのためには将来新全総の目標の二十万ヘクタールというものの分野が一体どのくらいになっていくんだろうか。この想定はやはり立てなきゃいけない。そうでなければ、これは企画庁なり通産なり農林が協議しなければ、予算の規模もわからなければ何もわからない。これは進みようがないわけですね。だからある程度の規模というものがわからなければならない。 それですから、そういう意味においては、これからふえていくであろう工業用地といままでの地域開発立法との割り振りというものですね、今度新たに出たものとの割り振りが一体どんな形になるか。おそらくこの十四万七千ヘクタールも農村地域だけの面積じゃないですね。この適地は、新産都市から工特から全部含んでの面積であるということは、これは当然なことだ。ですから、その場合のこの農村地域に該当するものと思われるものは一体どんな分布になっておるか、割合がどうなっておるか。大ざっぱでけっこうです。具体的な数字なんてこれはわからないわけですから、大ざっぱでいいですが、そういう見通しというものですね。 一体あなた方が調査した結果、先ほど北陸なり山陰地方の状況もありましたけれども、まずまず最近山形程度までいったけれども、山形から北のほうにはなかなかいっていませんね。工業進出も東北にいったといえども秋田というところにまだいっていない。秋田の新産都市も土地はできたけれども企業がこないというので、事実問題もう知事は誘致にやっきになって、もう県下で何べんも催促されている。知事も夢中になって誘致やっているけれども、なかなかこない。まああと二、三年で目標がつくというような傾向にあるようですけれどもね。あるようですけれども、まだそこまでいっていないんですよ。ですから、そういう意味で各地域立法との割り振りと農村地域の割合が一体どうなっているか、これを概略でいいですが、説明願いたいと思う。
○政府委員(両角良彦君) 私どもの推計によりますと、毎年一万ヘクタールの新しい工場用地がつくられてまいります場合に、いわゆる内陸地帯が大体その五割ないし六割というふうに考えております。で、五割ないし六割の内陸立地のうち約半分が農村地帯、この法律で予定しておりまする農村地域に当たるのではなかろうかということでございますので、実数で申し上げますと二千五百ヘクタールから三千ヘクタールぐらいのものが毎年農村地域における工場用地として需要されてくることに相なるわけでございます。その場合の工場の数は大体二千五百ないし三千ヘクタールに対しまして三千件以上の工場が進出をする、こういう一応の推算でございます。
○委員長(河口陽一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後雰時五十六分休憩 —————・————— 午後二時四十三分開会
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農村地域工業導入促進法案について質疑を行ないます。北村君。
○北村暢君 経済局長が何か都合があるそうですから、農林中金の問題について先にお尋ねいたします。 今回の法案で農林中央金庫からの資金の貸し付けができるようになっているわけですが、これは工業導入地区内においての製造の事業の用に供する施設で、実施計画に適合するものを新設するもの、その企業者並びにそのための用地の造成、取得、これに対して営利を目的としない団体が土地取得をする場合に融資をする、こういうふうになっているのでありますが、道を開いたわけですけれども、当然これは一般の金融機関との競争関係もおそらく出てくるのではないかと思うのです。 そこで、この道を開いたということは非常にいい方法なんで、特に農地を取得する場合にはなかなか一般の金融機関は金を貸さない。それはなぜかというと、農地を取得するための金はこれは当然農民に支払われるわけですね。そうすると農民は大体農林中金など農業団体の金融機関に貯金をしてしまうというので、一般金融機関は金は出ていくけれども、自分のところには回ってこない、そういうようなことで一般の金融機関は農地を取得するのに金を出したがらない。そういうので、今回の中金を利用するということは非常にそういう面では私はいい方法だ、こう考えるわけですが、さらに公共団体なり、営利を目的としない団体が取得した土地をそこへ進出する企業が買う際にまたそれに対しても中金は融資することになっています。 それから大体経営資金等も融資する、先ほどの話によりますというと、大体一年間三千ヘクタールで三千件ぐらいという、一企業一ヘクタール平均ぐらいで借りていますね。これは相当のものだと思うのです。 そうしますとこれは当然農林中金ですから農民に迷惑がかかるような融資のしかたはもちろんできない、余裕金でやるということになるわけでありますが、いままあ中金は資金が相当余裕があるわけですから、なるべくこれを運用するという面については私はけっこうだと思います。けっこうだと思いますが、他の地域開発に伴うもの、先ほど来私心配しておったのは新産都市とかあるいは工特地域とかいうようなところは、これはやはり都市的要素があるんですから、企業進出もしやすいだろう、せっかく農村地域への工業進出をする際になかなかこれは計画どおりにいかないのではないか。さらに後ほどお伺いしますけれども、農業構造改善と密接不可分な形で農政の目的も達するというのでありますから、企業側から言わせれば、当然これは条件がついてくる。したがってそういう条件づきでなおかつ企業が進出するという面においては、私はやはり金融面なり何なりの面である程度優遇措置を考えてやらなければならない。一般の優遇問題はあとから聞きますが、そういうような感じがするわけです。 したがってこの問題についてはあまり農林中金だからといって優遇するということになれば、他の金融機関との競争関係からいって非常にむずかしいだろうと思うのですけれども、来ない企業をなるべく来るようにするという一つの方法、手段なんという政策目的があるならば、何か措置がとられてしかるべきではなかろうか、このように思うんですけれども、農林中金が今度の機会に農林中金の資金を運用できると、こういうことになったのですが、その資金の運用計画なり、それからいま申した優遇措置というようなものを、金利なり何なりの面で、何らかの方法を考えてもいいんじゃないかと、こういうような感じがします。なかなかこれは、先ほど申したように、他の金融機関との競争関係がありますからむずかしいんだろうと思うんですが、この運用上の問題についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(小暮光美君) 今回御提案申し上げました法案の十三条で、農林中金が農業関連産業以外に融資する道を開いていただこうということの具体的なねらいが、いま先生おっしゃったような土地代金等にありますことは御指摘のとおりでございます。そういう面から、中金が貸せるということが農村への企業の導入に非常に役立つだろうと思っておりますが、この仕組み自身は、農林中金につきましては、現在の農中法の体系の中で認められておりますいわゆる余裕金の運用というものの考え方、その土俵の中に実はこれを位置づけたいというふうに実は考えております。そうでございませんと、むしろ農中法そのものをどう考えるかという議論の場でいろいろ決定しなきゃいかぬことだろうと思います。 そこで、現在の農中法の基本的性格を変えずに、いまの農村への工業導入の趣旨にかなうような土地関係を中心に、もちろん土地だけ貸すわけにいきませんから、設備あるいは関連した運転資金というものも貸せるように考えております。そこで、その貸し出しの条件は、やはり余裕金の運用ということでやっておりますので、現在の貸し出しの条件と異なるものを設けるというふうにもどうも考えにくいという点が一つございます。そのほかに、先生御指摘のように、そもそも市中金融機関の側からいけば、中金という特殊の機関が農業と直接関係のない企業に金が貸せるということについてのいろんな別の意味での問題意識もあろうと思います。そういう金融機関相互の競争という条件をゆがめるわけにもいかない。そういう点で、実は金利その他で特段の措置をとるということは現在考えておりません。なお余裕金の運用の一環ということで考えますので、半期ごとに、従来の余裕金の場合と同様、大蔵省と農林省とで十分審査いたしまして、農林中金本来の資金の運用に支障のないような適切な額を試算しまして、融資の総ワクについて半期ごとに中金に示すと、こういう形をとってまいりたいというように考えております。
○北村暢君 そうしますと、あくまでもこの中金の余裕金の運用で、その範囲よりもちろん出ないということになりますから、その場合の運用する資金の概略の額ですね、それは一体どんなものになるのか。そして今度のこの三千カ所の新設または増設等の金融のワク、これはやってみなければわからないかもしれませんけれども、そういうものに対してどのくらいの割合を担当できるのか。また、これは全国的になるわけですから、全国的な規模で中金はもちろん運用すると、こういうことになるんだろうと思うんです。その辺の関係を若干御説明願いたいと思います。
○政府委員(小暮光美君) 本法案が成立いたしました後に、当然基本方針、基本計画の作成等とからめまして、秋ごろまでにはかなり具体的な本年度の事業の概要が出てまいるというふうに私どもは期待いたしております。それが出てまいりませんと、農林中金なり系統金融を所管する立場からどの程度というような金額についてなかなか申し上げがたいのでございます。 ただ、全体として余裕金というものの考え方で土俵を限ると申し上げましたこととの関連で、最近の資金の動向を申し上げますと、現在七千五百億ほどの関連産業融資というものを農林中金はいたしております。農協系統全体として年々かなりの資金の伸びがこれまでございました。最近情勢がやや変わってまいりましたので、従来と同じように年々大きく伸びるかどうかという点についてはいろいろな見方があるようでございます。系統内部で当然必要とするであろう系統内部の資金の需要の増加というものを差。引きましても、当面年率千五百億程度は系統全体としての余裕金がふえるのではないかというふうに見ております。ただこれは農信連の段階で運用されるものもございまして、全部が全部中金に上がってくるというふうには考えておりません。しかもこれらをもって、御存じのように、農地保有合理化法人に対する手当てとか、さまざまな問題を考えていくことになると思います。しかしいずれにしても、総ワクとしては当面千五百億ぐらいのものが系統全体としての資金量として考えられるのではないか。 それから全体として中金が総資金量のどれくらいを分担することになるのかという点につきましては、的確には申し上げられませんが、先ほど来御指摘もございましたような中金融資の一つの性格という点からいきまして、私どもとしては、これが市中金融機関と競争し合って、こっちが出しゃばっていってやるというよりも、やはりそれぞれの企業が従来からのメインバンクを持っておりますから、そういうものと十分打ち合わせまして、農村への導入が円滑にまいりますように、土地代その他適切な部分をこちらが分担するという形の協調融資のような形が望ましいのではないか。そういうふうに考えてまいりますと、まあ総資金量の一、二割程度というものが一つのめどになるのではないかというふうに考えます。
○北村暢君 もう一つ、これは償還期限が十年以内の貸し付けになっているようですが、これは現在の市中銀行とどんな関係にあるのか。それからまた工業用地の取得だけにこの十年というのが適用されるのか。いわゆる企業の経営資金まで十年以内というのは適用されるのか。その点明らかにしていただきたい。
○政府委員(小暮光美君) 先ほど申しましたように、関連産業融資といっておりますので、余裕金運用の仕組みと同じような形で考えたいというところから十年という期限を考えたわけでございまして、なおその範囲の中でも当然短期と長期というものを考えるわけでありますが、運転資金につきましてはいま申しましたような期間を決して考える必要はない。ただ農林中央金庫が貸し出します設備資金——土地代のほかに当然一部の設備資金についても分担することになっております。農林中金が貸し出します設備資金と関連いたしまして、当該設備資金を回収するまでの間、これに関連した運転資金を見るというようなことも考えられるのではないかと思っております。
○北村暢君 それでは次に大臣にお伺いします。大臣には、先ほど杉原君も若干触れましたが、今度の法案が、提案理由の説明にもありましたように、兼業農家の、あるいは出かせぎ者の農村への定着化をはかる、あるいは農家所得を引き上げる、こういう農政上の観点からいわゆる工業を誘致することによって兼業化が進み、農業がいわゆる総兼業化してしまうんじゃないかというような批判も若干ないわけではないわけなんですが、この法案を立案するに至った農政上の問題あるいは産業政策上の問題雇用政策上の問題で、どのようにこの問題を位置づけているかということでございますが、先ほど私が通産大臣にお伺いしたのは、新全総を計画するまでにはこういう構想は確定的に意見が統一されていなかった、こうおっしゃっていますね。ところが米の生産調整問題が出てきて、急速にこういう問題に取り組まざるを得ない。しかも産業側からいっても公害その他の過密問題が出てきて、産業上の要請からもそうせざるを得ないということであったんですが、いわば私は産業政策上いままで拠点方式であったものを分散させるという一つの政策目的、これが明らかに出てきたんじゃないか。しかも見方によってはもう都市に集中して工業をやるということは、企業側からいわせても、農村から出てくる労働者に住宅を与え、しかも高い賃金を払って公害関係で苦しむというよりは、いわゆる在宅通勤で、住宅もつくってやる必要がない、比較的安い賃金で使える、こういう企業側の要請、そういう意味における要請というものが非常に強くなってきているんじゃないかというふうに思うのです。 そこで、企業側からいわせれば、先ほど説明ありましたように、工業立地上適切なところに入っていくのが半分で、そうでないものが半分ぐらい。無計画に農村地帯に入ってくる。そのために農地のスプロール化が起こっておるというのを阻止するためにいま計画的に入れるということであって、そういうような点からいって、どちらかといえば企業側、産業政策上の工業側の要請のほうが強くなってきているのじゃないかというふうにも思えるのであります。そういう点について今度の立法がそういういわゆる自宅通勤低賃金、あるいは工場敷地の地価の安いところ、こういうところに行かざるを得ないという企業側のそういう要請のほうが強いのじゃないかというふうにも思われるのです。ですから、そういう点について、この法案を出した趣旨からいって、農政上、これをどういうふうに受けとめるかという問題になるのではないかという感じがするのでありますが、この法案の位置づけですね、農政上の位置づけ、産業政策上の位置づけというものをどのように判断されておるか、お伺いいたしたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業基本法が制定されまして十年間たちましたが、私ども本国会で農基法制定に参画いたしましたあの当時のお互い国会議員は、今日になってみてそれぞれいろいろな感慨が浮かんできているだろうと思いますが、私どもあの法律、政府が提案をいたしまして、その審議の過程を見ておりまして、もう農基法制定当時すでにわが国の経済が高度の経済成長をするであろうことは予期されておりましたけれども、結果から見まして今日のように地価が急激に高騰して、そして規模拡大というふうなことを考えましても、地方でも都市近郊などでも容易なことでは規模拡大が困難な状態になってきております。こういうような状態をおそらく十年前に、あの立法当時予測した人はあまりなかったんではないかとわれわれも思うのであります。で、その後、農政の面におきましても、もう御存じのように、非常に大きな変革を生じておるわけであります。 そこで、このような法律案を考えますような過程において、私はそれぞれの立場でそれぞれの思惑を胸に抱いておられると思います。したがって立場立場で御批判もいろいろあろうかと思いますが、私どもの側の考え方から申しますならば、これは現実問題といたしまして、農村がいままでわが国の経済発展の礎石をなしておった、そういうことはいなめない事実であります。しかるにそれがだんだんと今日のように変わってまいります過程においては農村に持っておりました労働力が出てまいりまして、そしてわが国の経済発展に大きな貢献をなしておった、その他やはり食糧供給、それからまたいこいの場を提供するといったようなことで、農村というものの厳たる存在がわが国の経済の基礎を固め、しかもまたわが国の国のいしずえを固めてきたことに大きな力を持っていることは事実であります。 そういうような農業及び農村を見ますというと、最近はその経済の変転に伴って、だんだん農村の力が外へ出てまいって、農村はやや荒廃の傾向にある、こういうことを見ましたときに、私どもとしては先日各新聞に出ておりました二十一世紀の日本に関しての論文がたくさんありましたあの中で、一つは太平洋メガロポリス的構想のもとに書かれた論文等もありましたが、私どもはだ身に感じておりますことはやはり、今日のまま放置いたしておくならばかなりの部分の人口が一定地域に集中してくるであろう傾向を見のがすことはできません。そういうことがはたして国全体として利益なものであるかどうか、私は反省せざるを得ないのではないかと思いますし、また、政府の方針といたしましても農業をこれ以上小さくするべきではない。この間、総理大臣も本院の答弁において八〇%程度の食糧自給というものは堅持していきたいということを声明をいたしておられたとおりでございます。 そういう角度から考えますというと、私どもはやはりできるだけ農村において、しかも農基法の指向するような自立経営農家を中核にして、しかしながら、なおかつわが国の特殊事情で八〇%近い兼業農家が当分の間持続するであろうから、これらのなお農業にいそしんでいきたいと考えられるような人々には、その自立経営農家を中核として周囲に配して、そして広域営農団地的な構想によって営農をさせるようにいたしましょう。そのためには農地の流動化をできるように、先般国会で農地法、農協法等を改正していただきました。しかしながら、離農したいという希望の方々には離農しやすくして、他の職に転換することの助成をいたすように試みたいというので、農業者年金法その他の施策を総合農政の一環としてやっておることは御存じのとおりであります。 私どもはそういう意味で、地方の農村の多くの人々や農業団体の御意向を聞いてみますというと、やはり自分たちの周辺を荒らさないで、できるだけ大事な農地はスプロール化させないようにつとめながら、雇用機会の拡大をするということが必要である、これはほとんど一致しておる見解のようであります。私ども全く同感でありまして、したがって、いわゆる産業界の面からの要望、それはあるかもしれません。しかしながら、そういうことよりも私どもが先行して考えますのは、やはり地方に産業を分散し、人口の配分もできるだけ平均化して、所得もできるだけ地方にも得させてやるようにいたしたい。こういう考えを具現化するには、やはりこの法律のようなものを制定して、そういう傾向を助成することがいいのではないか。したがって、私どもはこの法律の中で、一つは工業の導入、もう一つはこれと並行して圃場整備、構造改善等を実施することによりまして、農村地域の経済的発展をもともに心がけていきたい、こういう考え方でございますので、私どものサイドから申しますというと、農業及び農村のほうにウエートを置くものと考えているわけであります。
○北村暢君 そこで、この法案が工業を導入するというのでありますから、しかも農業振興地域に、あるいは過疎山村振興地域、こういうところにこの法案を適用していこうというのでありますから、これが、いま大臣のおっしゃったような農業経営の規模を拡大するような構造政策に役立つような形になるのかどうなのかということがやはり問題であろうと思うのです。そこで、いろいろ施策をやり、構造政策の法案といわれる農地法の改正を行ない、流動化政策をとった。農業者年金も成立させて、年金ということで農業に専心していけるようないわゆる社会保障的なものもやった。今度国有林活用でもって、この構造改革三法というような形でやってきておるのですね。やってきているのにかかわらず、残念ながら政策効果があがっていない。で、専業農家はこれは決してふえていないわけですね。若干の経営規模の大きいものは出てきましたけれども、専業農家は減って、兼業農家がふえている。そういう事態です。で、農業の就業人口は急速に減っておりますけれども、農地の流動化が伴わない。また、人口の流出のわりあいには農家戸数が減っていない。こういう問題が出て、いわゆる基本法で指向いたしました構造政策というものはなかなか思うようにいかないわけです。 したがって、先ほど来、自立経営の場合における一つのモデル的なものの通達がなされたという話があるのですが、そういうことを指向はいたしておりますが、均分相続なんというような形もやめて、とにかく自立経営農家で経営規模を拡大していく。これは所得倍増計画のときには二・五ヘクタールで自立経営ができる、それを百万戸養成するのだと、こういうことで発表されているのですね。倍増計画の中にはっきり出ているのです。これは全然そういうような方向にはいっていない。そこで、ものの考え方を改めるべきじゃないかと、基本法にいったところの自立経営農家なんということはふやそうにもふえないのだという考え方をしておった人がおりますがね。所有と経営というものを分離して、もう農家は土地を持っているというだけで、自分は農業をやらなくてもいいのだ、請負耕作でどんどん商売人が何でも一部落全部引き受けて経営をやってもいいのだ、そういう近代的な経営をやってもいいじゃないか。だから所有がどうだの、こうだのということよりも、所有と経営を分離して経営を近代化すればいいのだ、こういう主張をする方がおるようです。したがって、基本法の制定当時における農林当局の自立経営農家を育成するという考え方はこの際改めるべきではないかという主張をする人がいる。これは総研の並木さんなんか、そういう意見を持っているのですね。 そういうことで基本法のあり方について、一度言い出したから権威にかけて、これはもう自立経営農家、自立経営農家といわざるを得なくなって言っているのかどうか知りませんが、とにかく実体的に何ら進行しない。しかも今度のこの農村地域への工業進出ということになれば、さらにこれは地価が高くなる要素が出てくる。そうすれば農民はあわ食って土地を手放すよりは値上がりを待つということで手放さない。早く手放したら損をするという形で地価がどんどん上がってくる。この状況からいえば農地を流動化するという要素というものはまことに期待できない、経営規模の拡大ということは。したがってなかなか所有と経営と一緒にしている限りにおいてはなかなかできないんじゃないか、思うようにはいかないんじゃないかというふうに思われる。 そこで問題は、こういう企業が農村地域に進出をして経営規模の拡大に役立つためには、農家が離農してもらわなければならない。それがなぜ離農しないかと言えば、いまの地価の問題がありますし、さらに従来からの問題で、地方に進出した企業の安定性、雇用の安定性というものがある。不景気になればいつでもたたんで行ってしまうというようなことで、農民は結局農地を手放し切れない、不安があるから。農地はやはり持ったままで、かりに企業が進出しても農地を手放さない。そういうことが現実には、いままではそういうわけなんですね。だから農地が流動化しない。でありますからそういう意味において今度の農村地域の工業の進出というものが計画的になされる、しかもこれは構造改善に役立つような形で計画をする、公害も起こらないようにするということなんですね。ということがこの計画の中に折り込まなければならないことになっておりますが、実際にいままでの構造改善という自立経営農家を育成するという考え方というものを改めることなしに、従来の考え方で一体この法案ができて成果が上がるんだろうかということについて、いま申したようないろいろな条件から言って非常にむずかしいのではないかというふうに思われる。そういう点の見通しについてどのようにお考えになっているか、承っておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のございました点は、全体のわが国の農政の中で一番大事な問題の一つだと思います。先ほど申し上げましたように、農基法で指向いたしております方向というのは、今日においてそれほど成功しておるとは思いませんけれども、方向としてはやはりそういう方向をとるべきではないだろうか。私どもは、農業というものの中で米が何と言ってもやはり現在も大宗的立場を占めております。将来もかなり有力な立場をしばらくの間占めるでありましょう。そういうことを考えてみますと、やはり生産コストを下げて、そしてこの体質を改善していくように努力をしなければなりませんので、そういう意味では体質のしっかりした自立経営農家というものをある程度育成していくということがやはり必要なことである。なかなか困難ではありますけれどもこれはやらなければならない農政上の一つの大きな問題だと思うのですが、しかしお話のように、現在でもすでに就業人口の八〇%余りは兼業農家、兼業の八四・何%のうち五一%ぐらいが第二種兼業である、こういう実態を踏まえてこの農業及び農村というものをどのように持っていくか、非常にむずかしい問題であることは御指摘のとおりであります。 そこで私どもといたしましては、やはりそういう兼業の中で、さっき申し上げましたように一部は離農して他によい職があるならば転換したいと希望する者——先般農林省で意識調査をいたしました、御報告をいたしたと思いますが、そういう希望を持つ者があり、一部はやはり農業を依然として継続していきたいという希望もあり、そういう前者に対してはさっきお答えいたしましたように、雇用機会の拡大をいたしていくことが必要であろうと思いますが、後者のほうにつきましてはやはり私どもとしてはできるだけそういう方々の希望がかなえられるように、離農し得るならば土地をあるいは農協に寄託をするなりあるいは合理化法人によって規模拡大の援助をして協力をしてもらうなり、それぞれの考え方で農業についての土地利用をひとつできるだけいたしたい、かように思います。 そうでない人たちにつきましては農地はどこまでも持っていたいという希望の方があるでありましょう、こういう人たちはその全体の自分の力を農業経営に投ずる必要がありませんので、そういう自分が農業に全体の能力を集中する必要のないような人は雇用機会を増大していくようにして所得をふやしていくようにするし、やはり持っている土地を利用することによって農業を継続したいと思われるようなものは、これはいわゆる第二種の兼業農家にたくさんおりますので、そういう人たちはやはり自立経営農家を中核にして、そこで営農をやってもらうような協業その他の方法でこれを活用していくことが必要ではないだろうか。同時に今度出てまいります工業等について、その余剰の労働力ともう一つは新しく農村に出てくるであろう労働力というものをやはり地元で吸収していくというようなことが必要ではないだろうか。 きのうもそういう話がよそで出ましたが、結局、それならば工業地帯における労働力がどうなるんだというふうなことを御質問になった方もございましたけれども、ずっと突き詰めて言えば、厚生省の人口問題研究所長の館博士が言っておるように、わが国の人口問題と産業の発展の将来については大問題が残されておると思いますけれども、そこまでいかないでも、やはり私どもといたしましては、自分の家から通勤して職場が得られるような体制というものは好ましい体制ではないだろうか、このように考えているわけであります。
○北村暢君 大臣の考え方は大体わかりました。それで自立経営農家というのはやはり目標としてはおろせない、こういうことのようですが、その目標を置いてそれが自立経営農家を育成するということが農政の中におけるどのくらいの役割りを果たすかということですね。先ほど話がありましたように、専業農家というのは非常に減ってきている。兼業が多くなってきている。しかも、農業所得というのは伸び悩みで、農業外の所得が多い。農家の所得に占める割合がもう兼業所得のほうが大きくなってきているという状態です。ですから、まあ私は並木さんの説に全面的に賛成するわけじゃないですけれども、どうも農業近代化というと、もう農業は自分はやらない、やらないんだけれども、土地は持って請負方式でやっちまうというと、これは農民だか労働者だかわからないようだが、財産的に農地は持っているというのがやはり出てくるのではないか。そういう点はあり得ると思うんです。 したがって、そういう面における農政の重点は、一体自立経営農家というものの育成にしがみついていいんだろうかどうだろうか。私どもは自立経営農家というのは、実際問題として農民の土地に対する執着というものは非常にきびしいものですから、それだけやはり自己防衛の意味において農民というものはなかなか農地を手放そうとはしない。したがって、私どもはなるべく共同化の方向へいって、しかも近代農業が入るような形に持っていかなければならない。だから、まあ自立経営農家というものは実際問題としては非常にむずかしい。経営規模を拡大するということは非常にむずかしい。それなるがゆえに共同化をしていくべきだという意見を出しているわけなんですけれども、この共同化もなかなかこれは言うべくしてむずかしいです、確かに。 でありますが、そういうことで、いままでの農林省のとった農地の流動化政策なりあるいは雇用の問題なりというものは、やはり一貫してさっき大臣のお答えになったように、自立経営農家というものを捨て切れないでいるところにどうも政策が集中するんですが、その効果が上がらないという結果になっているようですね。そこら辺に私はやはり反省する必要があるんじゃないかと思う。どうもこの国会の答弁を聞いていても、農業基本法というものについて誤っていないと、こういうことで、その方向にいくんだと、こういう答弁ですから、それに集中するということになるので、そういう答弁になるんだろうと思うんですが、現実問題としてはなかなか政策効果が上がっていないんですね、これ。事実問題としてそこに私はやはり基本法農政というものを検討する必要があるんじゃないかということを強く感じているんです。 そういう意味で、この点については論争していてもあれですから、私はこの点はこのくらいにいたしますが、とにかく大臣が言われるように、これが構造改善等に役立つためには、私は農村へ進出してくる企業が、安い土地とそれから安い労働力、こういうものを当てにしてくるといういき方では、私は非常に大きな問題があるんじゃないかと思うんです。事実問題として、いま農村へ進出している企業がどのくらいの賃金を払っているか。圧倒的にこれは女子労働というものを対象にした企業というものがいま東北の農村地帯に非常に多く出ておりますね。その賃金が大体八百五十円ぐらいですね、八百五十円から九百円、男で千二、三百円、こういう賃金で一体出かせぎをするなといったってそれは出かせぎしますよ。定着さして、社会問題化しているこの出かせぎをなくしようとしても、これは問題がある。いま中高年齢層の出かせぎをやっている人は東京、大阪へ来て何をやっているか。一番手っとり早いのは、地下鉄の穴掘り、これは一日五千円ぐらいになるのです。幾ら地場に近い家庭から通って、在宅通勤ができるといっても千二、三百円じゃもうこれは合わないわけですね。農外所得をふやすという結果にならない。いまの兼業所得で、農家所得はようやっと上昇している。農業所得は逆に停滞しているわけですから、農外所得にたよっている。それが低賃金であったならば、これは出かせぎするなというほうが無理なんで、やはり高い出かせぎのほうへ行ってしまう、こういう結果になると思うのです。 したがっていわゆる在宅通勤ということを言われる、まあ若年労働者で新規の人が企業に採用される、それもけっこうです。けっこうですが、しかし多くの企業は地価の安いのと、それから安い労働力を確保できるというところに魅力があって分散してくる、こういうのだろうと思うのです。それは企業側からいえば当然利潤、採算ということを考えるのですから、当然のことなんです。それがいま一般に行なわれている農村地帯における企業進出、そういう点について一体この法案が通ってどういう指導をして兼業所得というものを、あるいは離農するような方向に持っていけるか、これはもう非常に大きな問題だと思う。しかも中高年齢層を定着させるということは、職業訓練の問題もありましょうし、非常に問題です。今度の基本計画なり、実施計画の中で、構造改善に役立つための中高年齢層の採用を義務づけるようなこともやるようでございます。そんなむずかしい条件をつけて、一体この資本主義の世の中で、もうけるということを原則にしている企業が、農業構造改善事業に役立つために、農村へ企業がわざわざ利潤を犠牲にしてやってくるかどうかというところに、私は非常に問題があると思うのです。そのために税制なり、金融面なりのある程度の有利性というものをやっておる。これはあとから説明してもらいますが、その程度のことで、一体いま申したようなことで、企業が簡単にくるのかどうなのかという自信がおありになるのかどうなのか、この点をひとつ、もう少し政策的な問題としてどのようにお考えになっているかお伺いしたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは私のほうからお答えするのが適当かどうか、通産省のほうかもしれませんが、私どもの立場から申しますならば、いま多くの企業というのは、やっぱりとにかくコマーシャルベースで、そろばんだけとっておったのでは、その企業それ自体の公共性と申しますか、そういうことをかなりのウエートをもって考えませんというと、いまの社会では企業は先行していかないと思いますし、また多くの経済人もそういうことを考えておると思います。それからまた農業者側のほうから考えますと、なるほどいまおっしゃいましたように、都会地に出てきまして土木事業等をおやりになればある程度の高い給料は入るかもしれませんが、しかし、仕事が終わったあとふろに入ってからさびしいから一ぱい飲む、夏になれば暑苦しくてよく眠れないというようなところよりは、ちっとは安くてもかわいい女房、子供と一緒に空気のいい先祖代々の農村に生活をしておられるということは、また貨幣で計算のできないよさがあるわけでありますから、それはそろばん勘定だけでもいけないのじゃないか。 要は率直に申しまして、私どもいなか出の代議士でございますから、私どものほうでも自分たちの県費でつくった工業学校で、せっかく育った子供たちは卒業したら地元に一人も就職していないという、これが地元の県民の嘆きでありまして、そういうようなもろもろのことを勘案しますと、やっぱりできるだけ公害を伴わないような計画を立てながら、国、県、市町村が一体になって、地方に雇用機会を拡大し得るようなものを持ってくるということが全体として好ましいことではないだろうか。 まあそういうことを十分理解していただいて、そしていま労働力のとかく不足がちなときに、やはり地方の労働力、それから米には水が必要でありますから、水は大体地方に十分計画すればあるでありましょうし、電力は十分でありますので、私は十年前に農業基本法を国会できめますときに、北村さんもその当時おいでになったはずでありますけれども、あの基本法第二十条には、農村の工業を振興するということと同時に、そういうことのために職業訓練をやる。ちょうどいま、私ども本法律案のとき考えておりましたことは、基本法でも当時そういう方向を示しておるのでありまして、ただ、ただいまいろいろ北村さんのお話の中には、本法実施の過程において私どもが大いに注意しなければならない諸問題を御指摘になっておられる貴重な御意見だと拝聴いたしておるわけでありますが、これを実行してまいるのにそういう御趣旨をうまく体して、ひとつみんなで、通産、労働、農林、三省一生懸命でそういう方向でやってまいりたい、こう思っているわけでございます。
○北村暢君 そこで法案関係について若干質問いたします。 主務大臣が基本方針をきめることになっており、そして都道府県知事は基本計画を定め、実施計画は都道府県と市町村でやる、こういうふうになっておるのでありますが、基本方針には若干内容的なものが出ておりますが、どういう趣旨のことをおきめになるのか。 それから県段階の基本計画、これにはいろいろきめるようですが、私は、最後の実施計画というものについて、しかも衆議院段階で修正されまして、いずれも審議会を置く、こういう修正がなされたのでありますが、特に実施計画の場合に、先ほど申した実際の農村における農業構造改善事業に役立つし、さらに農地のスプロール化を防ぐ、そのための計画的な工業の誘致をやる、これはけっこうなんですが、この実施計画に対する諮問機関である審議会を置くことができるということで、これは置くか置かないか市町村なり県の自由裁量になるわけなんですけれども、ここで私はやはり相当地元の意見というものが反映されるような形で、公害問題なり、先ほど言った賃金問題なり労働条件の問題なりというものが、ある程度企業にこれは義務づけるわけにもいきませんし、何もいかないんだが、地元の意見というものを述べるような措置というものが考えられなければならないのではないかと思うのです。 ということは、地方における企業進出なんというのは、労働組合一つつくるったって労働組合つくる者はやめてもらってけっこうですと、そういう企業が非常に多いわけですね。そういう状態なんですからまだまだ——農林大臣は、先ほど言われたように、あまり利益ばかり追求しているような企業は企業の将来性もないしなんて言っているが、そういうなまやさしいものではないと思うんです。労働組合つくるなんと言ったら一ぺんに首になっちゃうぐらいなんだから。そういう企業が進出するんですよ。しかも、先ほど来問題になっているように、ちょっと技術水準の高いものは地元の職業訓練受けた程度のものではもうだめなんです。それで資本力のある大企業なんというのは技術陣は全部持ってくる。これは当然かもしれませんけれども。そんなことで、企業は来たが、地元の雇用はなされない、雇用されれば労働条件は悪い、こういうことになりかねないんですね。 そういう意味において、実施計画をさせる諮問機関である審議会等においてそういう地元の意見を入れるような配慮がなされるべきじゃないかと思うのですが、しかもこれは置くことができるということで必ず置けということにもならないわけですから、そういう意味において指導のあり方としてどのようにお考えになっているか、これを伺いたい。
○政府委員(中野和仁君) 実施計画を立てる際に、地元の意向をいろんな方面から反映させる必要があるということは御指摘のとおりだと思います。それでもわれわれといたしましては、政府原案では法文には審議会のことを書いてございませんでしたけれども、予算の面では県の段階にも市町村の段階にも協議会を置く、それから市町村段階の場合は進出企業を含めまして、いろいろな計画の話し合いをするための部落座談会を開く、こういう予算等も持っておるわけでございますが、衆議院の段階で「審議会を置くことができる」となったわけでございます。「できる」と書いてあります趣旨は、伺いますところによりますと必ず置けということになっておりませんけれども、これはすでに県の段階でも地方開発審議会等がございます。したがいまして、それの部会にしたほうがいいような県もあるわけでございまして、必ずこれを置かなくてもほかの部会で代用できる場合もあり得るというような趣旨で「置くことができる」ということになっておるようでございますが、ただいま申し上げましたように、予算を全部つけておりますので、できるだけ、こういう審議会が置かれます、あるいは別の審議会で十分こなせる場合にはそれでやっていくとか、民意を反映するようなやり方をやりたいと考えております。
○北村暢君 次に、第二条の指定地域の問題については他の委員が質問するそうですから省略をいたします。 次に、この法律に基づくいろいろな優遇措置というものが他の地域立法と比較してどういう有利な面があるかという点について説明をいただきたいと思います。
○政府委員(中野和仁君) 優遇措置は主として税制上金融上の問題等あるわけでございますが、いろいろ比較いたします制度がたくさんあるわけでございますが、今度の農村地域工業導入法案とよく似ておりますのは過疎地域の振興法、あるいは低開発地域の振興法でございます。これにつきましては大体事業用資産の買いかえあるいは減価償却——国税でございます。それから地方税の事業税、不動産取得税、固定資産税の免除あるいは不均一課税の取り扱いは大体同じでございます。ただ違いますのは今度の法律におきましては、農地を工場用地等に譲渡いたします場合の譲渡所得税の軽減をする、これはこの法律だけの特例でございます。システムその他が若干違うわけでございますけれども、新産都市あるいは工業整備特別地域というものとの比較をいたしますと、先ほど申し上げました税制の中で減価償却の特例あるいは地方税におきます課税の免除、それから事業税の不均一課税、これは両方ともございません。こちらのほうにはそれがあるわけです。また首都圏、近畿圏、中部圏につきましてもいろいろ特例があるわけでございますが、この三圏につきましては事業用資産の買いかえの特例がございますが、減価償却の特例はございませんし、所得税におきましても先ほどの新産都市と同じように取り扱われることになっておりますので、農村地域工業導入法案が特例としては多く盛られておるということになるわけでございます。ただ新産都市あるいは工特あるいは三圏の問題の場合は、こういう具体的な比較をしますれば、小規模工業の導入と違いまして、公共的な施設に対しまして国の補助率のかさ上げ、あるいは地方債についての利子補給というようなことは、別途公共施設についてはそちらの法律にはあるというような違いもあるわけです。それから金融面につきましては、おのおの開銀、あるいは東北開発等の地方開発のワクがあるようでございますが、これはおのおのにあるいは適用になるかと思いますが、特に先ほど御質問がありました農村工業地域の場合につきましては農林中金からも融資ができるというのが一つの特例になっている。大体、概略申し上げればそのようでございます。
○北村暢君 もう一つ。いま土地改良法改正でもってこの工業用地もあわせて土地改良事業で行なうことができる、これはちょっと通りそうもないようですが、それがありますね。その場合一般の工業用地造成と比較して、土地改良には相当な助成があるわけですが、そういうものに比較して、造成される土地というものが比較的安くできるのじゃないかというような気がするのですが、その点はどうなっていますか。
○政府委員(中野和仁君) 一般の工業用地と比較いたしまして、安くできるかどうかということになりますと、これはおそらく地元の土地を放しました農家の意向とか、いろいろ出てまいりますので、一がいには申せませんけれども、単に工場が誘致される、それじゃあこのくらい上がりそうだということではございませんで、土地改良区が創設換地、あるいは異種目の換地をやりまして、離農者等の土地を、工場誘致のところに土地を集めまして、農業をやろうとする農家については、あわせて圃場整備をいたしまして、そこで交換分合するような形になるわけでございます。そういうことで土地を提供するということになるわけでございます。その土地を土地改良区なりあるいは市町村が取得をいたしまして企業側に売るということになりますので、中間にブローカーが入ってつり上げる、そういうことはない、そういう面では確かに適正な地価が算定されるというふうに考えておるわけでございます。
○北村暢君 それでは自治省にお伺いいたしますが、われわれしろうとが見てもこの十条は法文がややこしくてわからないのですがね、これは一口に言ってどういうことになるのか。「地方税の課税免除又は不均一課税に伴う処置」、この十条の内容をしろうとにわかりやすくひとつ御説明願いたい。
○説明員(横手正君) 御質問の第十条の趣旨でございますが、現在地方交付税の仕組みにつきましては、県なり市町村なりの地方税収入につきまして一定のルール計算を行ないまして基準財政収入額というものを算定いたしております。その際に、この法案によります地方税につきまして、その中で十条にあります事業税、不動産取得税、あるいは固定資産税につきまして課税免除等が行なわれました場合、実は基準財政収入額の総額部分はこうした課税免除等がないものとして一応総額が算入されておりますので、その総額から課税免除等による減免額、こうしたものを控除する必要が出てまいります。そこで、その控除するに当たりましての方法なり、あるいはそうしたものにつきまして自治省令で定めるような趣旨の規定が盛られておるわけでございます。なお、この条文の後段のほうにございますが、事業税と固定資産税につきましては、こうした減額分の補てんの期間は三カ年にいたすことにするという規定が盛られております。 それから終わりのほうでございますが、実は交付税の算定は、従来七月ごろに実質的な算定を行なっておりますが、事業税につきまして当該年度の五月の末までにはっきりいたしたものを当該年度に算定いたしまして、それ以降のものは翌年度において控除すると、こういうような技術的な面もございまするが、そうした内容のことを織り込んだ規定でございます。なお、この規定は、先ほどちょっと問題に出ておりましたが、低開発地域あるいは新産、工特地域、こうした場合に、地方税につきまして課税免除等が行なわれました場合同じような特例措置が行なわれておるわけでございますが、その規定に準じて規定されておるものでございます。
○北村暢君 そこで、その際における自治省の省令できめる理由。この省令のあれを見ましても、これまた複雑で私どもにはあまり理解できないのですが、過疎地域と山村地域というのは全地域にわたってこの措置がとられますね。ところが、農業振興地域は特定の地域を導入地区に限って適用する、こういう趣旨が含まれておるようですね。これは間違いございませんか。
○説明員(横手正君) そのとおりでございます。第十条の初めのほうに「工業導入地区のうち政令で定める地区内」というような地域についてのしばりはございます。
○北村暢君 そこで、こういうものは、山村地域とか過疎地域には工業が導入されて事業税、不動産取得税、固定資産税、こういうようなものがわりあい少ないのかもしれない。しかも今度の法案では農業振興地域でも政令で十万以上ということのようですが、十万以上の都市のところは除くことになっていますね。そういうようなことからいって適用される地域というのは、まあまあ十万以下の都市ですからあまり地方財政も豊かなところではないんじゃないかと私は想定されます。 それと同時にお伺いしたいのは、この政令の定める地区内というのですから、特定の地域と、こうなるわけです。地域が制限される、こういうふうに。その場合に、山村地域は別ですね。山村地域はこれは全地域ということになっていませんね。過疎地域はその全地域になっていますね。過疎地域と山村地域を区別する理由は私はあまりないんじゃないかと思う。それが一つ。 それからもう一つは、農業振興地域でも十万ぐらいの都市のものは除くわけですから、これまた過疎地域、山村地域にやや近いものになる。やや近いかどうか、だいぶ差があるかもしれないけれども、まあ、そう思うのです。 それからもう一つは、この政令できめる特定の地域というものの規模は一体どのくらいのものを考えているか。先ほど通産省の話によると三千カ所でもって三千ヘクタール、したがって、大体一企業一ヘクタールぐらいのものですね。ところが、この資料等によりましても、大体地方に出るものについては規模が小さいものが非常に多いわけです。そういう点からいって、団地にしても、新産都市とか、特定工業地域とか、これは問題にならない。団地をつくったにしても小規模の団地になっていくのじゃないか、そして数は非常に多くなる、このように思われるのです。しかもこの数は二千五百近い、まあ大部分の市町村に適用になる、こういう問題なわけなんですが、そこで、農振地域というものを特定の地域区切ってやるというのですが、一体それはどんな規模のものを考えておられるのか。私はこの過疎が全域に適用されるのに山村は全域ではない、農振地域も全域でない、ここら辺にどうもこの保護の助成というか、何というか、優遇措置というか、税制面の優遇措置というものをせっかく規定を設けるが、それが実際にこの政令のきめ方によって恩典に浴することができないものが出てくるのじゃないか、このように思うのです。 したがって、私はやはり何とかしてこの恩典を、この農地を取得した者に対する課税とかね、そういうものはひとつ免税をしてやるということがこの政策目的を達する上においてあたたかい配慮ではないかと思うのです。そういう面において自治省はなるべく押えようとするのか、なるべく優遇してやろうというふうにお考えになっておるのか、ここら辺のところの考え方をひとつ明らかにしていただきたい。
○説明員(横手正君) 第十条にありますこの「政令で定める地区」でございますが、現在のところ農林省のほうと内々協議中ではございますが、まだ結論までに至っておりません。ただ、基本になる考え方といたしましては、やはりこの法案の趣旨に沿いまして考えてまいる必要があろうかと思いますが、そういうことになりますと、やはりこの規定自体、あるいは地方税の課税免除等の措置は工業導入のいわば誘い水的な役割りを果たしておる、かようにいえるかと思いますが、その際にやはり私どもとしては、工場が虫食い状況ではりつく、あるいはそうしたものが集積して新たな公害問題でも発生するというようなおそれは避けてまいる必要があろうと思います。なお、いま一つこの法案の趣旨からしまして、やはり雇用率を高めるといいますか、その地域の住民の多数が雇用される機会が与えられるようなそういう形の方向で考えていく必要があろうと、かように思っております。したがいまして、ただ金目の計算でこうしたものをできるだけ押えてかかろうとか、あるいはゆるめてかかろうとか、そういうところまではいまのところ考えていないわけでございます。
○北村暢君 ですからね、この工業を導入することによって、貧弱な財政の市町村も若干でもゆとりが出てくるように将来なるわけでありますから、そういう意味において減免をしたという場合に、その効果が将来あらわれて返ってくるものであると、そういう観点からなるべく導入しやすいようにしてやることが将来における地方税金体において裕福になっていく。そういう意味でどちらかといえばやはり財政規模の貧弱なところにこの法律が適用されるわけでありますから、そういう意味において私はどうも全部やれば普遍的になって特例でなくなってしまうというような意見もあるようですけれども、それでもなおかつ財政規模の貧弱なところですから、やはり交付税で見てやるということで減免をしてやるということが望ましい、こういうふうに思いまするので、この点はぜひひとつ要望として申し上げておきますが、運営上はこの政令のきめ方等はいま私が申し上げたような趣旨でぜひやっていただきたい、こう思うんです。この点について、いやそれはそうやりたくてもできないというんじゃあれですが、趣旨を尊重していただけるかどうか、この点ひとつお伺いをしておきたい。
○説明員(横手正君) 御趣旨は十分尊重して検討してまいりたいと、かように思います。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、最近の虫食い状況で侵食されるというようなことにならないように十分私ども根本的に検討してまいりたい、かように考えます。
○村田秀三君 私はまず経済企画庁の総合開発局長にお伺いをいたしますが、一つの問題に集中してお伺いをいたします。 法第二条に関連する政令見込についてでありますが、いただきました「農村地域工業導入促進法案政令規定見込事項」、第二条に関連する部分はこの第三であります。そのうちの新産業都市の区域及び工業整備特別地域に関連する部分でありますが、この見込事項で見ます限り、「都市計画法第五条第一項の規定により都市計画区域として指定された区域の全部又は一部がその区域内にある市町村の区域であること。」、こういうことになっております。しかしながらこの文章を見る限りはなかなか実態と直ちに結びついてこないわけであります。 この内容をいろいろ前もってお聞きする限り一番問題になりますのは、新産業都市に指定をされております地域内の問題である。それをこまかに申し上げますが、その第一は、都市計画法に基づく線引き——まあこれは私は新都市計画法と、この際申し上げておくわけでありますが、その線引きされた範囲内は除外される。これは私も了解をするわけであります。しかしながら、今日の新産都市の実情を見ますると、これは先輩が努力をいたしましてそういう地域を指定したのでありますから、いまさら何も言うことはないのでありますが、その新産都市地域の中にこの法律案の趣旨である純農村地域に工業を導入したいとするところの目的に適合するような地域がずいぶんと存在をしておること、これは私が申し上げなくてもおわかりのことと存じます。しかもその地域の中で旧都市計画法に基づくところの登録がなされており、かつ申請されておりながらそのまま放置されておるという地域もあるようであります。また全然この都市計画法に関連をしない地域もあります。 聞きます限りこの工業導入促進法が適用されます地域は、新旧を問わず都市計画法の全然適用されない地域は農村地域として指定をしてもいいということになっておるようでありますが、旧都市計画法に基づいて登録された地域ないしは申請をしてそのまま放置されておる地域は農村地域として認めないという方針であるやに聞いておるわけであります。しかしながらこれをよく考えてみますと、旧都市計画法に基づく計画地域、これなんかも全然もう法益は受けておりませんし、無関係の地域と何ら条件は変わりないわけであります。したがって、この際旧都市計画法に基づく地域もこの法律の適用地域に指定するということが実情に合わせてより適当であると実は私はそう思うわけです。したがいまして、新産都市の中における除外地域というものは新都市計画法によって線引きをされたうちの区域である。それ以外は全部適用されるべきである、こう実は考えるわけでありますが、経済企画庁の所見をお伺いいたします。
○鈴木省吾君 関連させていただきます。私も実は質問を通告いたしておりまして、特にこの問題を中心に質問するつもりでおりましたが、時間もだいぶたちましたので、審議の能率化に協力する意味におきましてここで納得の得られる答弁があればあとの質問は取り下げてもいいと考えておりますので関連して伺うわけでございます。 内容は全く同じなんでありますけれども、御承知のように新産業都市指定以来相当年月もたっております。しかし、十五地区二百七十一市町村と聞いておりますが、産業都市の指定町村はこのうちただいま村田委員から言われたように都市計画法に該当している町村は本法の適用から除外されるというふうに何かいまの政令規定見込事項というものを見ますとなっておりますけれども、そうなりますと例をあげて恐縮でございますが、私の県の郡山、いわき地区などは、中間に阿武隈山系という過疎地帯、しかも農林省で最近大規模農業開発をやろうというような地区が相当入っておるわけであります。これからもこの新産業都市の恩典に浴しない町村が多いわけでありまして、新産業都市の恩典にも浴しない、本法の適用も受けられないということになりますと、どっちのほうからの恩典にも浴さないという非常に不合理が出てくるわけでありますから、ただいま質問のあったように、せめて新都市計画法による線引きをしたところはやむを得ませんが、そうでないところは本法を適用するというふうに政令で規定をしていただきたい。願えるかどうか、その点ひとつはっきり御答弁を願って、納得のいく答弁があればあとの私の質問は取り下げてもけっこうだと思いますが、いま企画庁という答弁の要求でございますが、主管庁が幾つにも分かれているようですから、どうぞひとつ統一見解をお示し願いたいと考えます。以上です。
○政府委員(岡部保君) ただいま両先生からの御意見でございますが、まず最初に結論を申させていただきますと、両先生の御意見に全く同意をいたします。ちょっと説明をさせていただきますと、先日衆議院の委員会でも私御答弁申し上げたわけでございますが、考え方といたしましては、新産業都市というものの開発計画、これは拠点開発方式であり、比較的大規模な工業というものを一つの核とした工業都市の建設と申しますか、というような開発方式であるわけでございます。そこで、今回のこの法案によりますものと実際の性格は若干違っておるのじゃないかという感じがいたします。そこで、むしろ農政の振興と申しますか、農業の振興と申しますか、そういうものが一つの中心であって、そのためにいろいろ御議論がありましたように、工業の導入をはかるというのがおもな筋書きだと存じます。 そこで、こういう地域開発上、一つの、何と申しますか、目的と申しますか、この姿の違うものがこういう同じような地域にかぶさってくるという場合に、どういうふうに考えたらいいかという点、これは必ずしもこの法案と新産都市の法律とのダブル指定と申しますか、重複だけではございませんで、そのほかにもいろいろ例があるわけでございます。そこで私ども現在、いわゆる地域開発制度問題として、いろいろな開発計画というものを何とかもう少し調整する必要があるのではないか。これは数年前にだいぶ皆さま方の御指示もございまして、この二、三年間いろいろ検討をしている最中でございます。ただ、非常に現実にはむずかしい問題がございますので、まだ具体的な成果をあげるところまでいっておりません。しかし、いずれにせよ、こういう重複問題という点については、どういうふうに考えたらいいかというものの一つのあらわれがここに出たのではないかと存じます。 そこで、新産都市の考え方、いわゆる都市工業を一つの核にいたしました都市づくりという問題、先ほどもこの財政援助の主体というものがどこにあるんだというような御説明がございましたが、たとえば一つの例を申し上げますれば、いわゆる基盤的な整備、何と申しますか、都市づくりのための社会資本の整備というものに対して市町村の行なう事業については、国の補助率、負担率をかさ上げするというようなのが新産都市の法律には入っておるわけでございます。そこで、むしろそこに入る企業の財政上の助成というものは、この法案のほうがはるかに上回った助成をしておる。そういうような点から見ましても、要するに片や都市づくりという感じでございまして、片やむしろその地域に工業を導入することによって農業の推進をはかる、農政の振興と申しますか、というような感覚で、若干の食い違いがある。 そこで私ども考えておりますのは、都市づくり、都市という感覚の強いものについては新産都市でいくべきではなかろうか。それから農村という問題の点の非常に強いものについてはやはり本法案でいくべきではないか。そこで一つの線として、結局都市計画法でいわれます都市計画を計画するというのが、これが一つの都市としての感覚、開発の強さというものをあらわすものではなかろうかということで、ここで都市計画法が出てきたわけでございます。そこで確かにいま御指摘ございましたように、都市計画法の現行法で、第五条の第一項で都市計画区域に指定するということと、それから先ほども御指摘ございましたように、さらにそれの内訳として七条にございますが、いわゆる市街化区域あるいは市街化調整区域というような区域分けをするという問題と、二段階に都市計画の法律のたてまえはなっております。 そこでいまおっしゃいましたように、この具体的に都市という問題を非常に問題視されておるという、いわゆる線引き地域でございますが、あるいは近々に線引きをするであろうという地域につきましては、これは新産業都市の法律を純粋に適用する。しかし、この都市計画の法律がどこにも及ぶわけでございますが、この都市計画としてまだ十分にいっていないと申しますと語弊があるかもしれませんが、ある程度の段階でとまっておるというような問題については、現段階ではやはり実情に従いましてこれは農村の問題で扱うべきであるということになるかと思います。したがいまして、ただいまの御提案に対して同意いたしました次第でございます。
○鈴木省吾君 農林省。
○国務大臣(倉石忠雄君) 新産都市の所管しておられる企画庁からただいまお話がございましたとおりであります。私どもはいま鈴木、村田両委員のお尋ねの問題につきましては、同じ精神で本法の運用にあたっても取り組んでまいりたい、こう思っております。
○村田秀三君 そこで要望申し上げたいと思うのですが、何かいままでの経過から見ますと、都市計画法とそれから農村地域工業導入促進法あるいは新産都市指定ということで、何かこう交通整理が容易じゃないと、技術的には多少矛盾も考えられないこともないわけです。しかしながら、つまり広大な新産都市を指定して、その中にはクマやキツネが出るようなところもあるということ、指定はされながらどんどん過疎化をしていくという現実、積極的に先輩がこの指定の中に入ろうとしたその考え方というのは、過疎化を防ぐ、開発をしたい、この念願がかかっていると思うのです。しかるところ今日新都市計画法で線引きされた範囲というのは、これは積極的に行政が財政を投入する、また自然的にも条件がよい、こういう地域であろうと思うのです。もっともっと新産都市に指定をした段階においてからも、これは積極的に財政投入をしなければ開発のできない地域、これが今日やはりいま論議されている問題の地点だろうと思うのです。 そうしますと、おれのほうはこれが担当であるから、あるいはこちらはおれの担当であるからと、そういう問題ではなくて、いわゆる工業導入促進法の利益、それから新産都市に指定されたところの条件、これは違うわけでありますが、違ったからこれは問題があるんだということではなくて、まあ実は指定をされましても、具体的にどういう規模の工場が、産業がそこにくるのかは存じませんけれども、それだけをぽつり条件を整備しようとするならば、やはりその村の財政力ではなかなかできないという問題が出てこようと思います。つまり地域だけを一つぽっと穴をあけてそこだけを開発するわけにはいかないわけでございますから、これは福島県の例でありますが、田村郡の平田村あるいは三春、これは郡山なら郡山ないしは平なら平と短絡をする道路の整備であるとか何かの問題になるのでありますが、そういうものの整備をしたいと思っても財政力がない、公共事業を起こしたくても起こせないという実情があるとすれば、これは二つの法律をあわせて何といいますか考えていっても、ダブってもむしろ差し支えのない地域である、本来的に。そういう考え方が私は前提にあってこの法律の運用をはかっていただきたいと思います。まあ所管は農林省でありますから大臣の御答弁もありましたからその辺のところは間違いなかろうと思いますけれども、つまり新産都市に指定をしてもらいたいとするその気持ち、しかもまた今回の工業導入促進法も適用させてもらいたいとする気持ち、すべてやはり過疎化を食いとめ、そしてここをどうやって開発をしようかという願いにほかならないと思うのです。そういう点をひとつ御考慮をいただいて完全な運用がはかられるように強く要望いたしておきたいと思います。
○堀本宜実君 私はこの農村工業導入、大賛成でございまして、いまから十年くらい前に当然行なうべきだというような主張をしたことがございます。そのときに十四の課題を出して、非常に都市に近い圏と都市に非常に遠い農村圏とでアンケートをとってみました。その十四はいま正確には覚えておりませんが、ただ覚えておりますことは、その十四の中で丸をつけていずれを望まれますかということで農村にその答えを求めた。その中に農地を増加していわゆる増強してそしてもっといわゆる自立農家といいますか、そういう農家になることを希望いたしますか、あるいは兼業農家を望みますか、というような、アンケートの中に種類があるわけでございますが、それははっきり記憶いたしません、十年くらい前です、農業会議所におった時分でございますから。その中で圧倒的に多いのが自分が工場、事業場へ通うか、あるいは家族が工場ないし事業場へ通って賃金をもらうようないわゆる兼業でございますが、それが圧倒的に多かった、たくさんあった。それに一番たくさん丸がついている。ですから十年くらい前のささやかな調査ではございますが、農村で土地をつくってこんな難儀な仕事をまた土地をふやしてまでやりたくないという、まことに言い方がうまくないのでありますが、どうも表現がへたでありますので、十分わかりませんけれども、この仕事もそんなに土地をふやして私は努力するというよりも、賃金をもらってというそういう考え方が現在にずっと進んできて、そしていまでは農業といいながらも、兼業農業のほうが多くなって、五二%ですか、ということになった理由もそこら辺にあるのではなかろうかと私は思うのであります。 そこで基本法によりますと自立経営というようなことを主体にねらっておることは御承知のとおりであります。私は自立経営というものがいかなくなった、農林省がもう自立経営計画の推進をあきらめたと申し上げるわけではございませんが、この農林工業というものは、これが要するに一町村に一工場、かりに——かりにですよ、私はできぬと思いますがかりにできたといたしますれば、兼業者がずっとふえてくるであろうというような感じをいたします。そうしますると、ねらっておりまする自立経営農家、ことばをかえて言いますれば、つまり大規模とまではいきますまいが、規模拡大の農業経営というものとそぐわないものがあるのではなかろうかと思いますので、そういう点は今後は土地を手放してということになりますと、農業だけをやる自立農業経営者が私は必ずしもふえるとは言えない。そこでまとまった土地が、その工業が来たというようなことで農業をやめようかという人も出てくるのでありますから、自立経営、大規模農業経営者はもう皆無である、なくなってしまうというふうには私は考えないのでありますが、将来農林省としてはこういう点を私は考慮に入れながら農村工業のアフターケアといいますか、そういうことと取り組んでいかなければならない問題があるのではないかということをここで指摘をいたしておきたいと思うのであります。もしそういうことについて御計画なりあるいは御研究をされておられれば御答弁をいただきたいと思います。 もう一つ、これは農村工業が三千と言いましょうか、あるいはそれに近い数を考えておられるのであろうと思いますが、なかなか来ないであろうというふうに私は思います。しかし、来るか来ぬかわからぬのに来るとか来ぬとかいうことを押し問答したってつまりません。来るようにしむけなければならないが、それにはもう少し来てもらわなければならぬ、あるいは行ってもよろしいという、いわゆる工業家が、企業家が喜んでむしろ来るというような方向へ指導していかなければならぬ。で、いまのこの趣旨では少しもの足りないような感じがいたします。政策として実にりっぱな私はいい政策だとは思いますが、しかしこれはまあ将来少し経過を見て判断をしないと、いまここでとやこう言う材料もありません。単なる想像でございますが、私はそういうふうに思う。 そこで一番憂慮をするのは、これは通産にも御配慮をいただかなければならぬと思うのでありますが、いままで農村人が工業をやったことでもうかったものはございません。やってはやめやってはやめ、非常に努力をいたしましたが、しておりますが、何も成功したものはございません。私は畳表にいたしますイが生産できまするので、農村工業という立場から畳表製造機を農家へ貸し付けてそしてそれをやりましたが、これも損でございました。赤字でございます。そしてあと続けていくわけにはまいりません。イモをつくっておりますのでそのイモもなかなか売れないようになりましたので、真空管設備を相当投資いたしまして水あめをこしらえて、しまいにはキャラメルのおばけみたいなものをこしらえて売りましたが、これも赤字でございます。ブドー糖工場が、これは御承知のように私の県のみならず全国にブドー糖工場をつくらなければならないというようなことでブドー糖工場をつくりましたが、どれも成功しておるブドー糖工場はございません。農林省がお立てになりました甘味資源需給計画というのがございまして、それには少なくとも全部国内産でまかなうことができるように計画では立てておったのでございますが、まことにお恥ずかしい話でございまして、最後はあわが消えるように消えていって、残ったのは赤字だけでございます。農村で工業をやった例はまだそのほかにもございますが、もう一々申し上げません。もし必要があればまた何か申し上げることになるかとも思いますが、どれも成功したのがない。これはしかし農村人がやった。 ところが、今度来るのは工業をする企業として特技を持った人が来て、その人がいわゆる農業と工業との歯車をうまく合わして、企業経営をしようというのでございますから、私は、これもまあ成功するかもしれません、成功するであろうというふうにも思うのでございますが、いままでの私の経験からいきますと、なかなかそうなまやさしい、とりもちで物をとらえるようなぐあいにはいかないのではなかろうかという心配をいたしておるのでございます。とりわけ、最近中小企業が倒れます。大体一ヘクタールくらいの敷地でございますから、とても大規模のみずから基本的な工業が来ようとは思いません。たとえば組み立て工場、あるいは一部のもののみの生産工場であって、全般的なものを最初からつくり上げていくというような工業でないと思うのであります。そういうふうに考えますと、一番先に首を切られるのは下請工場でございます。最近の中小企業が倒産をいたしましたところを見ますと、自分のところがどうにもならぬようになってくるのに、人にやってもらっておる工業というものがいつまでも続こうはずはございませんので、あなた方はやめてください。どうもうまくもうかりません、売れませんというようなことで一番先にそれが首を切られることになるわけでございます。 そういう一つの例を申し上げたのみでございますが、たいへんむずかしい問題が次から次へ出てまいります。そういうことについてもうだれかが御質問にもなったでしょうし、またお答えになったと思いますが、私の表現がまことにまずくておわかりにならなかったと思うのでありますが、そういうことで何か御検討があったのか、またそんなことはないんだ、そういうことがあったら国が補償をしてやるんだというようなことがありますか。あるいは県なりが補償でもしてやるような制度、あるいは指導をする意思がおありになりますか。もし何かそういううまいことがあればひとつお教えをいただいておきたい、こう思います。これは全部申し上げましたので問題がいろいろにわたりましたが、もし答えてええものがありましたらお答えをいただきたい。答える価値なしということでございまするならば、そのままお済ましいただきましてもけっこうでございます。
○政府委員(両角良彦君) 農村地域に工業の導入を新しくやってまいりますと、ただいま御指摘をいただきましたように、いろいろな新しい、従来経験のなかった問題が発生し得るということは、私どもとしましても十分予想はされるかと存じます。このような事態でいたずらに農村地域におきまして摩擦と混乱が起こるということは、十分これは避けていかなければならない点でございまして、そのためにはやはりまず第一に、農村にこの法律に従って進出をいたそうという企業は、できるだけ優良な企業、同時に成長性の高い安定した経営が期待できる企業を選んでいくということが基本的な前提であろうかと存じます。またそれにもかかわらず、いろいろ経営の面で、あるいは技術の面で、その企業のいわば力をつけるという面での指導——これはやはり導入センターなり、あるいは都道府県の中小企業行政、あるいは中小企業事業団の振興行政、こういったものを活用いたしまして、進出企業の安定的な経営に協力をしてまいりたい、こういうつもりで、とにかく農村と工業の二つからの目的を同時に達成できるように万全の努力をしてまいりたい、かように存じます。
○政府委員(中野和仁君) 先ほど堀本先生のお尋ねの中で最初のほうの二点にちょっと簡単に答えさせていただきたいと思います。 一つは、農村に工業が入ってきますことによりまして、自立経営との関係が問題でございます。確かに従来でありますと、単なる企業誘致が多くて、それに従いましてその村の就業構造とかいろいろな方面に変化をしてまいります。多くの場合工業化ということも言えますけれども、今回新しくわれわれ考えましたのは、そういう工業導入を契機にいたしまして、まずその村の就業構造を高度化していこう、改善していこう、同時に、農業改善事業もそこであわせてやっていこうということになりますと、土地を手離します、あるいは工場に貸しますというような農家、それからその村の中にありまして農業を中心にやっていこうという農家がだんだん分かれてくるということまで頭に描きまして、これは実施計画の段階で非常にむずかしい問題があると思いますけれども、その辺に十分に気をつけまして計画を立てて進めていきたいと考えております。 それから二番目の農産加工の問題でございます。確かに御指摘のようなことが過去にあったわけでありますが、農林省といたしましても、生産中心から流通問題を考えようということになってきておりますが、その一つといたしまして広域市町村圏というものをことしから始めようとしております。それは相当広範な地域におきまして生産から流通までを一貫した体系で、その中で、農協を中心にいたしまして、そこで生産されましたものを加工、そうして流通に持っていこうということで、相当な助成をことしから予算でも持っておりますので、ただいまの御注意十分頭に置きまして、今後のそういう面にも対処をしていきたいと考えております。
○河田賢治君 十四条の問題ですが、新しく農村に工業を導入するということになれば、もちろんこれは大きな工場団地をたくさんつくるわけじゃないのでしょうけれども、しかし一定の地方自治体に工場をつくれば、ここにも書いてありますように、「工場用地、道路、工業用水道及び通信運輸施設の整備」ということが必要になってくるわけですが、この問題についてかつて新産都市の経験を見ましても、こういう建設が進められたときに、自治体自身が特に大きな工業団地なんかをつくりますから、負担をかけられる。たとえばこれは岡山の県南の新産都市四市二十六町村の場合の数字でございますけれども、六四年から七五年の十年間に六千億の事業費が認められて、財源の負担割合が、国一八・六%、県二一・八%、市町村一九・九%の負担割合。これはほかに公社も三八・八%でありますけれども、こういうふうに財政規模が非常に大きくなり、市町村の財政規模というものが国や県なんかと同等あるいはそれ以上になる場合があるわけです。したがって、倉敷市でも六〇年以降の先行投資の増大、誘致条例による減免の影響で六四年には十一億円の赤字を出した、財政再建団体に転落したという事実もありますし、岡山県もまた六四年に自治省から財政再建の勧告を受けて、公社の乱造、自治体業務の下請、農業改良普及所の縮小、失対打ち切りなど、非常に大きな合理化や住民犠牲を全面的に強化する結果を引き起こしておるわけであります。 ですから、こういうふうに新しく工業を導入するということには、国なりあるいは府県が市町村に対する財政的な援助を相当しなければならぬ。特に道路につきましても、御承知のとおり、今日は主として運輸はトラックによっているわけですが、現在の道路を見ましても、わずかに市町村道の舗装率というものは九・五、六%ですね。これは非常に少ないわけですね。そうしますと、この事業を始めましても、まず最初にそういうものがある程度先行しなければ工場を誘致しても地方自治体に大きな利益はもたらさないし、またいろいろ工場が進出しようにも、道路あるいは用水等々の整備がなされないとこれは進出がしにくいという事態にあるわけですが、この点についてひとつ伺いたいわけです。こういう問題について先行投資を相当国が認めていかれるのかどうか、この問題ですね。
○政府委員(岡部保君) ただいまのこういう地域開発の問題で、いわゆる社会資本と申しますか、そういう施設の整備というものは確かに地方の財政負担としてもいろいろ問題があると存じます。 そこで、これに対して私どもの基本的な考え方と申しますのは、いわゆる新全国総合開発計画でも考えておりますように、やはり環境づくりと申しますか、その地域の特性に応じての整備というものをこの開発の基本にどうしてもしなければならない。そのためには確かにお説のとおりに、相当程度の先行投資というものが必要であるということは私どもも全くそうだと思います。 そこで、現実の問題といたしまして、きょう、たしか午前中にもお答え申し上げましたのですが、新産業都市でたとえば生活関係の施設というものに対する投資が若干おくれたということが一つの反省の問題になっておるような次第でございまして、こういう開発という問題につきまして非常に一般的な言い方で恐縮でございますけれども、こういう基本的な施設の整備というものをできる限り先行して進めるということをこれからも努力してまいる所存でございます。
○河田賢治君 各省ごとにいろいろの名前をつけていろいろ五カ年計画なり何かが進められておるわけです。たとえば建設省は地方生活圏構想というものをつくって、それに基づいて道路計画が行なわれている。そうしますと、この建設省の地方生活圏構想というものと今度の工業導入地域の問題、これがかみ合っているのかどうか。かみ合わせるのかどうかという問題。それからまた、地方生活圏に入らぬようなところはおそらく建設省はいまのところは予定がないんでしょうから、そうしますと、この生活圏以外の市町村が工業導入計画を立てた場合に、道路用地、下水道等の基盤整備を市町村の単独事業でやらなければならぬという結果をも生むわけです。こういうそれぞれの各省別にいろいろな計画を持っておられるのですが、この工業導入についてのお考えはこれはどこできちんとまとめて、農林省は農業構造改善地域を指定する、あるいはまたこの法案にのっとって建設省がそういう工業導入をしようという地域に主としてそれを先行的に道路の整備やその他をするということが必要じゃないかと思うんですが、この辺はどうなりますか。
○政府委員(中野和仁君) ただいまの地方生活圏あるいは自治省のほうで広域市町村圏の計画もございます。それ以外にも、この注文にもございますように、いろいろな計画が現在あるわけでございます。それとの調整はこの条文にもございますように、十分調和のとれたものにしなければならぬという、そういう気持ちで運用をしたいと考えておりますが、特にいまの御指摘の建設省との関連におきましても、国の基本方針を立てる際に、これは関係行政機関の長と協議をするということになっております。建設省とも十分その国の方針それからそれに基づいてできます県の基本計画におきましても、そういうものとのそごをきたさないような農村工業の導入のいたしかたにしたいというふうに考えております。
○河田賢治君 それから促進センターというものが今度できるわけですが、これがいろいろな企業の誘致や情報の提供等々の一種の仲介役のようなやり方をやる。そうすると、この促進センターというものがおそらく、これこれの工場がこれこれの町に来たがっている、あるいは村に、そこと話し合いをしなさい、というぐあいにいくんだろうと思うのですが、その場合に、そこへ行く企業の信用について、会社のしっかりとしたいろいろな営業状態やその他がこのセンターでつかまれて、そうしてこれはもう信頼できるといういわば国が太鼓判を押して、そうして農村へ紹介されるということになるわけですか。この辺の責任をどういうふうにはっきりと明確にどこまで持たれていくのか、ひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(両角良彦君) 導入促進センターの仕事は、企業に対しましては農村地域に関連します各種の立地条件のデータ、情報調査のサービスをいたすわけでありますし、また農村、市町村に対しましては、進出を希望する企業の、ただいまお話のございましたような各種の情報資料を提供いたすわけでございまして、その間のいわば取り持ち役をいたすことになっております。したがいまして、御指摘のようなサービスはこのセンターで行ない得るわけでありますが、責任を持つという問題とは別個のサービス機関でございます。
○河田賢治君 それはサービスではありましょうけれども、しかし国がこれこれの企業が来たがっているということを言えば、相手のほうはそれを信用するに違いないですね。ちょうど結婚のときに仲人が、この女はだいじょうぶだ、この男はだいじょうぶだということを言えば、まあ大体仲人の言うことを聞くに違いないですね。その場合に、私がさらに進んでお問いしたいのは、先ほどもいま自民党の委員諸君から話がありましたけれども、企業というものは御承知のとおり、今日の経済の中のいわゆる好景気や不景気の中に存在しておる。したがって景気の影響で非常に企業のあり方というものは変わってくる。特に大企業などは御承知のとおり、たくさん子会社を持っておる、あるいは下請をずっと組織しておりますから、いざ景気が後退しますと、これらの工場をどんどん閉鎖する、あるいは縮小する、あるいは下請の加工賃を切り下げるというふうにして、不景気になった場合には自己防衛をやるわけですね。 ところが独立した中小企業やあるいはこれらの子会社的な存在は常にこういう景気が後退した場合には非常に見捨てられてしまう、労働者もまた失業者になってしまう、こういう問題が起こるわけです。現在でも昨年秋ごろから景気が後退して、今日たくさん大工場の分工場が事業の縮小をやる、臨時工全部を首切る、あるいは本工の三分の一の者を解雇するというようなことを始終新聞で見ておるところなんです。だから、本工場自体は、あるいは会社の一番中心自体は経済の波に、こういう不景気のときにはさらされないように自己防衛して、そしてこれらの子会社あるいは下請がこういう経済の波にさらされるようにして利用されるという結果になっているわけですね。こういう場合に、さっきのセンターでこの会社はだいじょうぶだと、あるいはこの会社はりっぱな企業であると申しましても、今日の資本主義の経済のもとでは、こういうつまり影響を受けて、せっかく農村へ工業が導入されましても、その工場がつぶれてしまうということもあり得る。これはあり得るわけです。事業が閉鎖する場合もあり得るのです。 そうだとすれば、それに対する直接の責任は持てぬでしょうけれども、町がせっかく自分の自治体の自腹の金も出して、あるいは農家もいろいろと苦心さんたんして土地も造成する、そして工場も建ててやる、そしてそのあとで不況がくれば、直ちにそれらの事業が閉鎖してしまうとか、あるいは休業するという事態が起こるのです。こういう場合に、先ほども話がありましたけれども、一体どういう責任を国としてとられるのか。これはセンターというものは仲介機関で、ただ工場があるということだけを知らせればいいといっておれるものかどうか、この辺をひとつ伺っておきたいと思うのです。
○政府委員(両角良彦君) 農村地域に工業が入ってまいりました場合には、あるいは景気の動向のいかんによりましては部分的、例外的に企業の閉鎖、あるいは事業の縮小といったものも起こり得るかもしれません。しかしながら、それよりもむしろ農村に企業が進出をすることによりまして、農業構想の改善なり所得の向上なり、積極的な面で果たす役割りのほうがはるかに多いと私どもは考えております。しかし、かりに、ただいま御指摘のありましたような中小企業あるいは下請企業なるがゆえに起こってまいりまする弊害が起こり得るといたしましたら、それは日本の全体において行なわれておる中小企業施策をもって対処すべきものと考えております。御承知のように、わが国の中小企業に対する施策の充実は世界で最も進んだものでございまして、私どもはこういう万全の政策的な配慮を中小企業に対して行なってまいってきておるつもりでありまして、これを農村工業化の将来の不測の事態に備えても十分活用してまいりたいと存じております。
○河田賢治君 そういう抽象的なことでは、この問題は解決しませんけれども、こういう場合はどうなりますか。土地を造成して工場が来たという場合、たとえばこれはちょっと古いですけれども、昭和三十七年に宮城県の県の開発公社の押しつけで仙台鋳鋼という会社を誘致して、年間財政が一億一千万の町なんですが、この町が三百万円を用地、用水、道路の補助として出した。三十九年に設備が完了して四十年に操業計画が立てられた。ところが昭和三十九年、四十年といいますと、ちょうどいまと同じように不況の時代なんですね。だから経営が不振で、事業再起が不能ということで、この会社が来なくなっちゃった。せっかくなけなしのさいふを出して土地を造成したけれども工場が来ない。そこでこの町議会は開発公社に対して抗議もして、そして土地の返却、投資した元利並びに金利の返済を迫る、あるいは諸経費の弁償を決議した、こういう事実もあるわけです。そして工場誘致条例をやめてしまったという事態があります。 ですから、開発促進センターで紹介されて、いよいよ行きますと言って約束はしたけれども、まだ実際にその工場が——土地が造成されたり、その近くの道路、あるいは河川なんかも多少でも改修されて、それが行かなくなったというような場合には、一体これに対する補償を誘致企業に対してちゃんと約束させるような条件をお出しになるのかどうか、こういう問題が出てくると思うのです。この問題についてひとつ、そういう場合が起こり得るのですから、景気の変動がたくさんありますから、お互いに自由競争をしておるわけですから、自由競争に敗北すれば、景気不景気でなくてもどんどん毎年ある程度の倒産会社というものはあるわけなんです。こういう場合に、これは倒産した場合ではありますけれども、倒産するような時期になるので工場が進出しなかったというような場合に損害賠償や何かを企業に出させるような、そういう強硬手段をとれるような内容を持たせることができるかどうかという問題です。
○政府委員(両角良彦君) センターの業務につきましては、ただいまお話のような、そういう強硬的な手段までは考えておりません。
○河田賢治君 センターが出せなければ地方自治体がそういう約束をすればいいわけですね。
○政府委員(両角良彦君) それは進出する企業と受け入れる側の開発公社なり土地造成主体との契約上の問題であろうかと存じます。
○河田賢治君 そういう点をはっきりしておきませんと、事態というものは一〇〇%いつも安全に動いているものではないのです。ですから、その点をいま聞きましたから次に入りたいと思います。 次には、農業振興地域ですね。これがいまざっと計画を立てて進めておられますが、大体四十八年が最終年ということですが、三千二百十一地域という大体予定らしいのですが、これは一つの町村に地域としてはまとまるわけですか。
○政府委員(中野和仁君) 若干の例外を除きますと、一町村に一つの計画を立てておるということでございます。
○河田賢治君 この農振法に基づいて大体また第二次構造改善事業、これを一緒に進められると、そこへ主として工業の導入をはかっていくという大体の計画なんです。これが五十三年で施設が、最終年になって、五十七年で大体事業が終わる。二千二百五十個所ということが予定されておりますが、それでいきますと、相当今後ピッチをあげることになると思いますが、この農振地域の領土宣言をする、そこへ第二次構造改善事業をやるわけですが、第二次構造改善事業を行なうとともに工業がそこへ進出して初めて余剰労力ができれば工業のほうに相当の人がそこへ採用されるということになるわけですが、そういう関係が大体工業の導入、いま法案が出ておりますが、これは毎年どのくらいのあれを出すという計画はここには出ておりませんけれども、大体北海道あたりでちょっと調べましても、構造改善をやりましてなかなか自立経営というものにはすぐできておりませんけれども、とにかく一割五分−一割あるいは二割くらいの労働人口が減っているところがございます。 ところが、こういうふうにして工業が導入されていく場合に農業の第二次構造改善事業ですね、基盤整備がされない。そうして農業が現代の技術と科学の水準をできるだけ高いところに置いて進めていくことが必要なわけなんですが、先ほどお話がありました自立経営農家というものですね、いま考えておられるということですが、この新全総では昭和六十年までですが、この中には水田などは御承知のとおり所得が二十年後には二百万という水準、そうしてこれに対応するところの耕作の状態をつくり出す。したがって「水田については、大型機械導入に適した二百万ヘクタールを中心として、水管理の高度化、区画整理等所要のほ場条件の整備を行ない、土地生産性を高め、大型機械化作業体系の導入を可能ならしめる。また、畑地百九十万ヘクタールについて、ほ場整備を図る。」これは「(農道と畑地かんがい施設の整備を含む。)」というふうに書かれているわけです。 そうすると、現在、農業構造改善事業でいま若干進んでいるわけですが、こういう水田に若干自然的な条件や、また社会的な条件で、大型機械の入らぬところではいま中型機械以下でやっております。もし新全総が目ざす大型機械ということになりますと、もう一度この中型機械化体系ではある程度の労働力を使っていく。しかし大型機械になればさらに農業では労働力が減る。そうしますと工業導入が大型機械化のようなものにいきませんと農業にはまた余剰労力ができるということになるわけですね。この辺の関係はどうなりますか。
○政府委員(中野和仁君) ただいまのお尋ねでございますが、新全総のいまのお話は水田中核地帯については将来、かなり先のことになるかと思いますけれども、そういう大型機械化体系、それに伴います圃場整備をやろうとしておるわけであります。現実の当面とっております対策といたしましては、日本全国を大型機械化するということはもちろんいますぐは困難でございます。やはり地域によりましては午前中申し上げました営農類型にいたしましても大型体系で組んでおるもの、あるいは中型体系で組んでおるもの、その他の組み合わせ等をやっておるわけであります。いま御指摘のように大型体系と中型体系ではかなり農家の労力も差はございます。しかし最初に申し上げましたように一度にそういう大型にもっていくということはなかなかできませんので、結局徐々にそういう方向にもっていく、こういうことに私はなると考えております。
○河田賢治君 私も一度にはいかぬと思うのですけれども、しかし工業が導入されて、一定のその町で余剰労力を使うと、そうすると農業が最高限の科学と技術の水準を使って余った労働力を出すと、私は二度も三度も繰り返すことはないのですが、ところが中型なんか現在やっております、そうするとまだまだ労力を使います。田植え機械にしてもあるいは稲刈りの機械にしても、これはよほど違うわけです。そうしますと、ある工場を導入してきた、それはある程度農村から余った労力を全部ここで消化したとしましても、今度はまだまだ農業自身のもう一段と高い水準に移していかなければならぬ。土地の圃場条件なんかよくなれば、そうするとここでまたもう一度余剰労働力が出るわけですね。そうしますと工場はまあ一応ここへきて敷地もとったという場合に、また工場を再導入するというようなことはなかなかまた困難な事態がくるのではないかと、もちろん地域によって工場のあり方というものは違いますからそう一律にはいきませんけれども、基本的な考え方としては、やはり農業が最高技術水準で現在どこまで労働力が排出できるかと、そのためにはどれだけの農業構造改善、最も現在の優秀な技術と機械これらを体系立てて使っていく、そしてあり余ったものは全部工業に吸収するという計画があって初めて私はこの導入のほうが生きてくると思うのですけれども、これがどっちかちんばになりますと、この計画はなかなかうまく進まないと思います。こういう点はどうですか、繰り返すようですけれども。
○政府委員(中野和仁君) 確かに理想を申し上げますと、また現実に進んでおります個々の農家の実態ということを無視するということではございませんけれども、こういうことを抜きにしまして理想図をかけば、あるいは先生御指摘のような体系が絵としてかけると思います。しかしながら現実の問題としましては、非常に規模の大きい農家、小さな農家、また女子労働力が中心の農家、いろいろあるわけでございます。そういうものをどういうふうにして組織化していくかということは一挙にいきがたいのが現実だと思う。だからできるだけはそういう構造を取り入れておりますけれども、あるいはもう御承知かと思いますが、北海道の場合で、構造改善を見ましても組み合わせ的な拡大でやろうとしておるものがありますし、また農地の流動化を中心にしているところもいろいろあるわけでございます。やはりそれは地域の実情とそこに住んでおります農家の今後のものの考え方、そういうものを現実に組み合わせた上で計画を実際問題としては立てることになろうかというふうに考えております。
○河田賢治君 農業構造改善の大体一つを考えてみますと、三億とか四億とか一つの単位がありますね。けれどもこれはどうもその辺の予算に縛られてなかなかそれは協業組織をつくるとか、土地の所属関係をどうするという問題もありましょうけれども、これはやはり一定の平たん地帯なんか、私は東海道をよく通りますけれども、ここでは大型機械が入るというところはたくさんあると思うのですね。そういうところならば少々予算なんかをふやして、そういうところは早く構造改善を、農道もつくったり、あるいは水田をつくったりしてやらないと、これは小さな機械を入れて、また二度目に償却が済んだころに入れればいいということになるものもありますけれども、そうなると労働力が余るとかいろいろな問題が出てくるわけです。野菜の生産やその他もいろいろ考えれば労働力をそのほうへ使用することもできるでありましょうけれども、そういう点について私たちは予算を均一的に、大体一つの農業構造改善地域において三億から四億のものをやると、そういう点に少し、そのほうでかりに縛られるということはないですか。
○政府委員(中野和仁君) 四億と言っておりますが、これは平均の話でございまして、やはり計画を立てる側におきまして、若干小さな地区で立てる、あるいはもう少し大きなところでものを考えるというところがございますので、現実問題といたしまして、運用上はその地域の実情に応じましてかなり平均よりも大きいのを認めておるというのが実態でございます。
○河田賢治君 終わります。
○委員長(河口陽一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○河田賢治君 私は日本共産党を代表して農村地域工業導入促進法案に対する反対討論を行ないます。 今日、総合農政の展開、とりわけ食管制度のなしくずし改廃のもとでの大幅な米生産調整の強行、さらには資本と人口の都市集中による過疎現象の広がりによって農業経営の破綻、農民総兼業化、大量の出かせぎ農民がっくり出されております。農村地域で強まっている「地元で働ける企業を」という要求はその結果であり、わが党もこの農民の要求の実現をはかることは、今日重要な課題だと考えるものであります。 しかし、その解決の方向は次の点に求めるべきであります。 第一に、大量の農産物輸入の拡大、価格保障制度の後退等を前提に日本農業の縮小再編を目ざす総合農政を改め、主要農産物の自給を可能にする真に自主的で総合的な農政の展開によって農業経営の安定をはかることです。 第二に、新全総における太平洋メガロポリス構想、各種のプロジェクト構想その他が示すように、依然として社会資本の投入、産業開発が独占資本の産業基盤整備に偏重した国土計画を抜本的に改め、農村地域、過疎地域における道路、交通、通信、上下水道など産業、生活基盤の飛躍的拡充を実行することであります。 こうすることによって公共事業による地元労働力の就業機会も大きく拡大し、農村地域の地場産業、農業関連産業、中小企業の発展が可能になることはもとより、今日、既存大都市での立地条件の極度の悪化のもとで、内陸部、農村部への進出を強く求めている企業の進出条件も開けることは明らかであります。 こうした条件整備に基づき、公害のない平和的産業を自主的に自治体が誘導できるようにすべきことを主張するものです。 第三に、こうした農村の産業、生活基盤の抜本強化と相まって、農林関連産業、地場産業の育成強化のための税制、金融措置を強めることであります。 ところが本法案は、農村の今日の経営破綻、労働力流出の現状を利用して、新全総に基づく内陸型工業立地の拡大をはかる資本の要求を安上がりに実現しようとするところにその本質的なねらいを持つものであります。 産業立地動向調査でも明らかなとおり、農村の安い労働力、用地確保に対する資本の要求はまさに熾烈であり、しかもこの要求が総合農政構想による土地、労働力、水の資本への大幅な提供と、農業の縮小、合理化のねらいと合致していることは重視しなければなりません。 特に本法案が、かつての新産都市計画と同様、進出企業に対する祖税特別措置等による大幅な減免、さらには自治体の先行投資等によって手厚い保護のもとに安上がりの進出を保障しようとするものであります。 また、構造改善事業の実施をもっぱら進出企業の労働力確保、用地、用水確保の立場から工業導入地域に事実上義務づけたことは、今後、農民の総意に基づく自主的かつ民主的な構造改善の方向を著しくゆがめるおそれを強めるものであります。 以上の立場から、わが党は本法案に反対の態度を表明するとともに、すでに述べた農村地域のつり合いのとれた民主的な開発のための国土政策を強く要求して討論を終わります。
○委員長(河口陽一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河口陽一君) それじゃ速記を起こして。 他に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 農村地域工業導入促進法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を求めます。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河口陽一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 杉原一雄君から発言を求められておりますので、これを許します。杉原一雄君。
○杉原一雄君 私は、ただいま可決されました農村地域工業導入促進法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案の附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農村地域工業導入促進法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行にあたり、農村地域への適正な工業の導入を図り、導入工業への円滑な農業従事者の就業を促進し、あわせて農業構造改善、地域環境の整備等が健全に進められるよう左記各項を十分検討し、その実現に努めるべきである。 記 一、本制度の対象地域の設定については、地域の実情に適応した農村地域の範囲を定めるとともに、とくにその際新産業都市の区域、工業整備特別地域に関しては、いわゆる線引きを行なうこととなっている都市計画区域を含む市町村以外の市町村を本法の対象とすること。 二、基本方針、基本計画、実施計画の樹立およびその実施にあたっては、適正な国土利用、農地の有効利用と産業立地の計画的な調和等につき配慮するとともに、地域の住民・団体等の意向が集約・反映される等その効果的な運用を期すること。 三、地域に適合した安定堅実な工業の立地を図るため、必要な経営指導、助成、適切な情報の提供等の措置を講ずるとともに、地元農民の意向にそった適正な工場用地の供給等が行なわれるよう指導すること。 四、工業の導入については、公害回避と環境保全の観点からその業種を選定するとともに、公害防止対策の積極的な措置に遺憾なきを期すること。 五、工業導入にあたっては、農用地区域の確保と地価上昇防止対策に努め、農業生産条件の整備等をはじめ、農業構造改善の充実強化を一段と促進すること。 六、導入工業への農業者の安定就業に資するため、地元雇用の促進と適正な就業条件の確保、職業の訓練と紹介等による転職対策等の拡充を図り、とくに中高年令者対策に特別な配慮を行なうこと。 七、法第十条の地区を限定する政令は、他の地域開発制度との均衡等に十分配慮すること。 八、以上のほか、本制度の農村地域における産業関連施設および生活環境施設の整備を進めるとともに農協系統を中心とした工業の導入、積寒地域への工業導入等が円滑に行なわれるよう配慮すること。 右決議する。
○委員長(河口陽一君) おはかりいたします。 杉原君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河口陽一君) 全会一致と認めます。よって杉原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、慎重に善処してまいりたいと存じます。
○委員長(河口陽一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(河口陽一君) この際、午前に趣旨説明を聴取いたしました野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案を再び議題とし、審査を行ないます。 これより質疑に入ります。質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河口陽一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十一分散会