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65回国会参議院1971/05/13

内閣委員会 第17号

発言数
242
登壇者
14
会派数
3
開催日
1971/05/13

会議録

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  ただいま参考人として、東京大学農学部長山田浩一君、東京大学助教授逸見謙三君が出席されておられます。  両参考人には御多忙のところ、本委員会に御出席いただき、ありがとうございました。  それではまず、特殊教育の問題につきまして足鹿委員から御質問があります。これを許します。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 健康の都合上、すわったままたいへん失礼ですがお尋ねをいたしますので、参考人なり当局もすわったままでけっこうでありますので、よろしく御了承いただきたいと思います。  文部省設置法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、きょうは参考人の御出席を求めておりますが、きょうは本来の付託された案件の中心問題を若干述べたあとで、両参考人から御意見を承りたいと、かように思います。  心身に障害を持つ児童生徒に対するわが国の特殊教育は、日本国憲法二十六条及び教育基本法三条の精神を受けて、戦後の困難な経済、財政事情をも乗り越え、関係者の真剣な努力によって著しい発展を遂げてまいりました。このことは近代国家社会が基本的人権を基礎として高度福祉国家社会の実現を目ざす以上、当然のことであろうと思います。しかるに一方、数十万人に及ぶ心身障害者に対する効果的な教育事業は、結果的に国家社会に大きなプラスをもたらすものであろうと考えます。そのような観点からも、心身障害者を含めたすべての国民が完全な義務教育を受け、幸福な社会生活が営み得る社会制度を一日も早く実現するよう努力すべきである、かように考えます。ことに自由世界第二位のGNPを誇る経済大国となったわが国は、これらの経済力を背景に、そういう特殊教育事業に力を注ぐべきだと私は考えておるものであります。これについての文部大臣の御所見を承りたいと思いますが、御病気で本日は御出席ができないようであり、また、心身障害児の中にはすでに母体の中でこの状態となり、それが原因が医薬品にあるということですでに大きな社会問題化しておる。このことについて厚生省、ひいては政府の責任に帰一することも考えられます。したがって厚生当局の出席を求めて、所見なり対策をただしたいのでありますが、これは後日に譲りたいと考える次第であります。  そこで、そのような立場から二、三特殊教育問題について文部当局にお尋ねをいたしますが、わが国における義務教育年齢、つまり小中学校の児童生徒の数及び就学率はどれほどか。また、ろうあ、精神薄弱児、心身障害児の数及び就学率はどうなっておるか。教育白書にいうわが国の義務教育の就学率九九・九%は、これら心身障害児を含めたものかどうか。第三点は、心身障害児の就学率は三〇%と低く、五十二万八千人中三十万人近くの者が教育を受けられない実情にあるといわれるが、障害別の人数、就学者数及び就学率を聞きたい。これら未就学の原因、理由は何か、この点について文部当局の御所見を承りたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 特殊教育の対象児童数並びにそのうち在学する者の比率でございますが、これは悉皆調査は事柄の性質上かなり困難でございますので、抽出調査をいたしまして、出現率を推定をし、それに対する在学者の数を乗じて在学率を計算をするというやり方をとっておるわけでございます。  まず、視覚障害者でございますが、出現率は〇・〇八%、推定児童数といたしましては一万一千四百十三という数字が出ております。在学者の数は四千八百八十四でございまして、視力が〇・〇一未満の者につきましては一〇五%、視力が〇・一以上〇・三未満の者につきましては三・二%という状況でございます。で、視力が〇・〇一未満の者につきまして一〇五%という数字が出ておりますのは、これは視力が若干あるわけでございますので、本来ならば特殊学級に収容をして教育をすることが適当と思われる者が盲学校に就学をするというようなことでございまして、一〇五・三といった盲学校の就学率の数字が出ておるわけでございます。ところが、視力が〇・一以上〇・三未おくれておりますので、就学率が三・二%というふうなきわめて低率な状況になっているということでございます。  次に、聴覚障害者の数でございますが、出現率が〇・一一%、推定児童生徒数が一万五千六百九十三人ということでございます。で、このうち聴力損失値が七十一デシベル以上の者の該当数が約一万あるわけでございますが、ろう学校に現に就学をいたしております者は一万九十四名でございまして、就学率は一〇一%ということになっております。これも盲学校について申し上げましたと同じように、聴力損失値が七十デシベル以下の者につきましては、これは私ども特殊学級で教育することが相当であるというふうに考えておるわけでございますが、特殊学級の整備が必ずしも十分ではございません現状から、現在特殊学級に就学すべき者がむしろろう学校に就学をしておる、こういった関係から一〇一%という数字が出ておるわけでございます。次に、聴力損失値が五十一デシベル以下の者につきましては、該当数が約五千あるわけでございますが、特殊学級に就学しておる者がそのうち約八百ということでございまして、したがって在学率は一五%というふうに比較的低い数値になっておるわけでございます。  御承知のとおり、盲とろうにつきましては、すでに就学義務の制度が施行されておりまして、それに対応して盲学校、ろう学校の設置義務が各都道府県に課せられておるわけでございますが、その教育の現状を申しますと以上のとおりでございまして、視覚障害あるいは聴覚障害の著しい者につきましては、その該当者が盲学校、ろう学校に就学をしておる。しかし、弱視あるいは難聴といった、必ずしも盲学校、ろう学校に就学をさせないで、身近な特殊学級に就学をさせることが適当と思われる者の就学率につきましては、ただいま申し上げましたようなきわめて低率でございまして、その他の者は一般の学級におきまして困難な条件のもとに教育を受けておる、こういうことでございます。  それから次に精神薄弱者、肢体不自由者、病弱者でございますが、これにつきましてはまだ就学義務が施行になっておりません。なるべく早い機会にこの就学義務を施行いたしたいというふうに考えておるのでございますが、その就学の現状を申し上げますと、精神薄弱者の出現率は二・〇七%というふうに推定をされておりまして、該当の児童数は約二十九万でございます。ところが精薄関係の養護学校に就学をいたしております者の数は約七千四百でございまして、IQ五十未満の者のうち約一六%の者が養護学校に就学をしておる、こういう状況でございます。次に、IQ五十以上の比較的軽度あるいはボーダーラインといわれる精薄者の該当数は約二十五万あるわけでございますが、特殊学級に就学をいたしております者は約十一万五千でございまして、したがって在学率は約四六%というような状況でございます。  それから肢体不自由者の出現率でございますが、これは〇・一八%でございまして、推定数でございますが、該当児童生徒数が約二万五千、現に養護学校に就学いたしております者が約一万二千、特殊学級に就学いたしております者が約二千、計一万四千でございます。合わせまして肢体不自由者の在学率は約五六%ということに相なっております。  それから次に病弱者、虚弱者でございますが、これの出現率は〇・四九%でございまして、該当児童生徒数は約七万、養護学校に約二千三百、特殊学級に約三千五百在学をいたしておりまして、合わせまして約五千九百の者が養護学校または特殊学級に在学をいたしております。在学率は八・五%でございます。  以上、特殊教育の該当者といたしまして、出現率が二・九三%、対象児童生徒数が約四十一万八千、このうち特殊教育諸学校または特殊学校に在学をいたしておりますものは約十五万九千人、在学率が三八・一%、こういった状況でございます。  それから一般の小中学校の在学率でございますように、九九・九%というきわめて高率でございますが、これは小中学校に在学すべきものと在学しておる者との比率でございまして、ただいま私が申し上げました特殊教育関係の数字はこの別ワクとなっておるのでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 私お尋ねしておるのは、あなた方が青表紙の四十四年度の「特殊教育資料」というものを事前にお配りになれば、時間を空費しなくても済むのです。なぜこういう重要な資料を特殊教育問題を審議する当委員会にあらかじめ御配付にならないのか。いま数字の御説明がありましたが、これを見れば歴然としている。数字は若干古い。四十四年度現在で五十二万八千六百十名、在学者が十五万八千八百二十名、これは言語障害者と情緒障害者を含めた総計であります。これらの在学率は三〇%という実に低いものである、その数字自体を私は聞いておるのではない。その原因と理由は何かということを聞いているのです。このような膨大な身体障害者、児童生徒があるにもかかわらず、三〇%の就学率しかない。その原因と理由は何か。貧困にあるのか、教育制度の欠陥にあるのか、いろいろお調べになっているでしょう。それなくして特殊教育の今後のあり方というものは論ずるわけにはまいらぬではありませんか。いかがですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 特殊教育の就学率がはなはだ不十分であることは御指摘のとおりでございますが、その原因といたしましては、これはいろいろ原因があろうかと思いますが、やはり特殊教育諸学校の整備がおくれておる。盲とろうにつきましては、ただいま申し上げましたように、かなりなものが就学をいたしておるわけでございますが、弱視、難聴を収容すべき特殊学級というものの整備がはなはだおくれておるということ、それから精薄、肢体不自由児、病弱者につきましては、先ほど申し上げましたように養護学校の設置の義務制がまだ施行されておりません。また、養護学校に就学するほど強度の障害がなくて特殊学級に級の整備が、これまたはなはだおくれておるというようなことがございまして、文部省におきましては、年次計画を定めまして、特殊学級並びに養護学校の増設計画をいま進めておるわけでございますが、それが現状では不十分であるというようなことから、就学率が不十分だというような結果が起きておることかと思います。もちろん、原因はこれだけではなくて、就学奨励の措置ということもございましょうし、また父兄その他の理解の問題等がいろいろあると思いますが、そうした施策全体のおくれというものが、遺憾ながらやはりこうした低い就学率の数字となってあらわれておるものと考えておりますが、ただいま申し上げましたように、養護学校や特殊学級の増設につきましても、年次計画を定めて、その整備を考えておるわけでございますし、施設設備につきましても、あるいは就学奨励につきましても、年来いろいろな努力は続けておるつもりでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 とにかく、あなた方の私どもへの審議資料の提出のしかたに対しては非常に遺憾な点が多い、こういう「特殊教育資料」にしてみても事前に御提出になれば、われわれもそれぞれ勉強もし研究もいたします。最近値のものを御提示願いますとともに、同僚議員がいろいろな追跡調査をされた結果、特殊教育総合研究所の運営及び建設のあり方について、昭和四十五年三月、初等中等教育局特殊教育課から発行しておる資料があるはずなんです。そういう資料を何ゆえあらかじめ当委員会に御提出にならないのですか。実態といい、また特殊教育の運営及び建設のあり方についての特別な研究結果があるにもかかわらず、なぜ審議資料として御提示にならないのでありますか。そういうふうにあなた方は私どもに審議資料をお与えにならなければ、審議は長引きますよ。われわれの責任ではなくしてあなた方の責任ですよ。積極的に進んで御提示になりますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) さっそく取り寄せて提出をいたします。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次にお尋ねをいたしますが、戦後、特殊教育が義務教育体系の中に組み込まれてから、わが国の特殊教育は、国や地方公共団体と関係者の努力によって着実に発展をしてきておると思います。しかし、それにもかかわらず、ただいまも述べられたように、特殊教育の現状はきわめて不十分なものであると断ぜざるを得ません。その原因は、特殊教育諸学校や特殊学校の増設が十分でないこと、就学奨励金が支給されているが、障害児を持つ保護者は経済的負担が大きいこと、特殊教育の効果に対する親や社会一般の理解が乏しいこと等に基因していると私どもは推定をしておるのであります。これらに対して文部政務次官がおいでになっておるようでありますが、どのようなこの原因と対策を講じようとなさっておられますか、御所見があれば承りたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) ちょっと予算の関係でもございますので、私から先にお答えを申し上げたいと思いますが、特殊教育がおくれておりまする理由、原因につきましては、私が先ほど申し上げ、かつ、ただいま足鹿先生から御指摘になったようなことかと思いますが、まず特殊学級の増加の措置といたしましては、義務教育費国庫負担法におきまする教職員定数及び給与費の積算におきまして、四十六年度は千二百学級の特殊学級の増設を予定をいたしております。それから特殊教育の内容の整備充実という観点からは、ただいま文部省設置法の一部改正でお願いしておりまするように、国立の特殊教育総合研究所を設置いたしまして、特殊教育の内容、方法の整備をはかり、関係職員の研修にさらに努力を続けてまいりたいということで、四十六年度におきまして七億五千万円の予算を計上いたしております。  また、特殊教育の関係の設備の補助でございますが、盲学校につきましては、感覚の訓練設備を整備いたしますとか、ろう学校におきましては、集団補聴設備の整備をいたしますとか、養護学校におきましては、閉回路テレビを整備いたしますとか、そういった施設設備の整備をいたしますとともに、寄宿舎の整備、スクールバスの購入に対する補助その他の予算といたしまして約二億八千万円の補助金を計上いたしております。そのほかに父兄の負担を軽減するという観点からは、特殊教育の就学奨励費補助金・交付金約十億円を計上いたしまして、教科用図書購入費、学校給食費、交通費、寄宿舎居住費、修学旅行費、学用品購入費、通学用品購入費、そういったものの父兄負担につきまして補助金を交付する措置をとっておるわけでございます。  それから特殊教育諸学校の建物の整備でございますが、本年度は八万二千平米に対しまして十六億一千二百万円の補助金を計上いたしております。また私立の非常に特色のある特殊教育の諸学校があるわけでございますが、これに対しまして経常費といたしまして二千六百万円の補助を計上するといったような措置を講じまして、ただいま御指摘の特殊教育のネックの解消をはかっていきたいというふうに考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 昭和二十三年に盲・ろうあ並びに養護学校、総括して心身障害児と称せられておるようでありますが、これを義務教育とするための学校教育法が制定され、同年六月ろう学校が政令施行となったが、養護学校については法制定後二十年以上も経過しながら、いまだに施行されないのはなぜか。早期に政令を公布し、施行すべきではありませんか。あなた方の怠慢によるものでありますか、特別の事情なり理由に基づくものでありますか、解明を願いたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 養護学校の義務制をすみやかに施行するということにつきましては、私ども全く同感でございますが、ただ遺憾ながら、学校の整備がおくれておりまして、養護学校のうち、精神薄弱児を収容する養護学校につきましては三十県、病弱児を収容いたします養護学校につきましては二十九県がまだ未設置という状況でございます。これに対しまして、先ほど申し上げましたように、施設設備に対する補助等をいたしまして、その設置の促進をはかっておるわけではございますが、なおかつこういう状況にございます。私どもといたしましては、四十八年度までにこうした養護学校の未設置県を解消するということを目標といたしまして、毎年十八校の新設を予定をいたしまして、必要な予算措置を講じておるという状況でございますが、ただ実績といたしましては、必ずしもその目標どおり進行していないことははなはだ遺憾でございますが、まだ一両年先のことでもございますので、最大の努力を払って、こうした学校の整備をはかっていきたい、それがほぼめどが立ちました段階におきまして、義務制の施行ということに踏み切っていきたいと、かように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 早期に政令施行をすべきだと思うんですが、その見通しはどうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 政令の施行をいたしますにつきましても、その受け入れ体制の整備をはかるということがやはり前提条件であろうかと思いますので、ただいま申し上げましたように予算的な補助という方法によりまして、未設置県の解消をただいま鋭意努力をいたしておるということでございまして、その目標が四十八年でございますが、そういう目途で義務制の施行を考えていきたいということでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 府県の実施を待つまでもなく、まず政令を公布して、国が必要な予算の裏づけをなし、これを促進されるということが私の求めておる答弁なんです。そのように御努力になる御意思はありませんか。自主性にまかせておいて、あとになって政令を公布する、逆じゃありませんか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 非常に積極的な御意見でございますが、私ども現在とっておりまする態度といたしましては、やはり、すみやかに受け入れ体制を整備をいたしまして、その上で義務制の施行ということに踏み切りたいということでございます。積極的な姿勢で臨みたいということにつきましては、先生と私どもの気持ちは全く変わりないというふうに考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 一官房長の裁断には無理な御答弁かと思いますので、大臣答弁を留保いたしておきます。  次に、就学猶予免除についてでありますが、これらの判別基準はどうなっておりますか。これの何ページですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) お持ちかと思いますが、「特殊教育資料」の三〇ページでございます。「特殊教育対象児童生徒の判別基準と教育措置」というのがございまして、障害の種類といたしましては、ごらんのように、「盲者および弱視者」、「聾者および難聴者」、「精神薄弱者」等の区分がございます。それから「盲者および弱視者」について申しますならば、視力の強弱によりまする区別がございまして、視力が極端に悪い者につきましては盲学校に収容するような判別をいたし、それから必ずしもその程度悪くないという者につきましては特殊学級あるいは普通学級で特別な留意を行ないながら教育をする、こういった基準によりまして判別をし、それぞれ進学先を定めておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 就学猶予の問題等についての基準はここに載っておりますから、早くお配りになれば皆さんも御参考にされて勉強になると思う。私どもも理解が早まると思う。そこで、この就学についての判定はどのように行なわれておるのでありますか、たとえば精神薄弱者等の判別基準は、聞くところによると、順次改善されておると聞いておりますが、その改正の経過はどうか、こうした障害別に定められる判別基準をさらに改善するという点についてどう考えておられるか。心身障害児教育においては、まず就学免除者をなくすることが必要であるという意見について、文部省の改善対策が聞きたいんです。私は、基準そのものは資料によって明らかになるわけでありますから、このようなものを現状をもってよろしいとお考えになっておるのか、今後どのように改めて、免除者を可及的すみやかに少なくし、就学率の向上に御努力になるためにはどのような改善策を御用意になっておるかということが聞きたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 判別基準の改善の措置につきましては、私詳しく承知いたしておりませんので、ここに参っております特殊教育課長からのお答えをお認めいただきたいと思いますが、これに関連をいたしまして、就学率の向上あるいは猶予・免除者の減少という点につきましては、この判別をさらに正確に合理的に行ないまして、それぞれ、その判別の結果に対応した養護学校なりあるいは特殊学級なりを整備をしていくということがやはり基本であろうかと思います。判別はしたけれども、それに対応して収容する学校なり学級なりが不十分だということでは、これは判別の意味がないわけでございます。また、そういう施設がないために猶予・免除にしなければならないというような結果が起こるわけでございますから、判別の結果が出ましたならば、その判別の結果に対応した措置が行ない得るように、学校なり特殊学級なりを整備をしていくということが基本であろうかと思います。そのことが猶予・免除者を少なくするゆえんであるというふうに考えるわけでありますが、その具体的な施策といたしましては、先ほど申し上げましたように、特殊学級につきましては毎年千二百学級、それから養護学校につきましては毎年十八学級の増設を行なうということによりまして、この判別基準に従った教育が行ない得るように、その結果、猶予・免除者が少なくなるようにするという措置を講じ、そういう努力をいたしておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 いまの御答弁では了承することもできませんが、また日を改めます。  そこで、文部省における過去五カ年間の特殊教育関係予算の推移を、資料として本日御提示を願えますね。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 提出いたします。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 御提示を願います。  次に、特殊教育諸学校の児童生徒一人当たりの教育費は、普通学校生徒一人当たりの七倍にも達するといわれておるとわれわれは承知いたしておりますが、現在、就学奨励費等の内容はどうなっておりますか。また、保護者の負担はどれほどとなっておりますか。問題は、経済的負担能力の問題で就学できないのが実情ではないかとわれわれは判断をいたしておりますが、これに対する的確な資料、それに基づく判断、今後の対策はどうでありますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 特殊教育の就学奨励費につきましては、根拠法といたしまして、盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律という法律がございまして、この法律に基づいて実施が行なわれておるわけでございますが、予算額といたしましては、先ほど申し上げましたように、約十億五千万円の予算が計上されております。それでその単価でございますが、教科用図書の購入費について申しますと、盲学校の高等部につきましては一万一千九百五円という補助をいたしております。それから、ろう学校の本科につきましては二千八百二十一円という補助をいたしております。養護学校の本科につきましても二千四百二十三円という補助をいたしております。小中学部につきましては、御承知のとおりこれは義務教育でございますから、全額無償でございます。それから、学校給食費といたしましては、小中学部では一万二千九百二十八円という補助をいたしております。ほかに、一々申しませんが、交通費といたしましては通学費、帰省費、職場実習費等の支給を行なっております。それから、寄宿舎費といたしましては、寝具購入費、日用品の購入費、食費等の支給を行なっておりますほかに、修学旅行費、学用品の購入費、通学用品の購入費等につきまして補助が行なわれておりますが、ただいま申し上げましたように、盲ろう学校につきましては、一般の小中学校と異なりまして、特別な就学奨励補助がございまして、対象就学児童生徒数の七〇%につきまして、ただいま申し上げましたような経費の全額が補助対象になっており、全額の支給が行なわれておるのでございまして、一般の小中学校に比べましてかなり行き届いた就学奨励措置を講じておるつもりでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 特殊教育においては、ことに幼児期の重要性が認識されておるということは、御承知のとおりでしょう。しかし、施策面にあらわれていないのです。特に、聴覚障害児に対する国語教育、視覚障害児に対する点字教育、肢体不自由児に対する機能訓練等、また、自閉症については私は詳細なデータを持っておりますが、最近の新しいこれは問題でありますが、あとで触れることにいたします。とにかく、幼児時代から行なうことによって効果は非常に大きいのです。一定の年齢に達してからの教育よりも、対策よりも、幼児期が一番大事なんだ。しかるに、現在、幼児教育については、就学奨励費の対象から除外されておるではありませんか。また、特殊教育諸学校や特殊学級の兼設に対する国庫負担あるいは国庫補助の対象外とされておるではありませんか。心身障害児の幼児教育に対しても、義務制ないしはそれ以上の助成を行なうべきだと私は思いますが、これはあなたの判断ではできますまい。いずれ文部大臣の御出席を求めて所見を明らかにいたしたいと思いますが、事務当局として答えられる範囲がありましたならば御答弁願いたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 方向といたしましては、ただいま足鹿先生がおっしゃいましたようなことかと思いますが、現状についての御説明を申し上げておきたいと思いますが、特殊教育児童につきましては早期教育の効果が非常に大きいということにかんがみまして、幼稚部の設置の促進をはかっておるわけでございます。現在特殊教育諸学校が四百九校ございますが、そのうち百十四校におきまして幼稚部が設置されております。特に早期教育が効果があるといわれております部分はろう学校でございますが、百十四校のうち九十六校がろう学校の幼稚部でございまして、盲学校につきましては十四校、精神薄弱児の養護学校につきましては二校、肢体不自由児の養護学校につきましては一校、病弱児の養護学校につきましては一校の幼稚部がそれぞれ設置されております。今後、こうした幼稚部の増設につきましても努力を続けたいと思いますが、なお、ただいまのお話の中で、幼稚部につきまして就学奨励が行なわれていないというお話でございましたが、学校給食費、それから交通費、通学費、帰省費の双方でございますが、交通費、それから寄宿舎居住費、それから校外活動費、学用品購入費、通学用品購入費につきましては、幼稚部に対する補助が行なわれております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 最後に、心身障害者に対する就学教育の問題とともに、これらのものが将来社会に出てりっぱに正常者に伍して社会生活を営み、社会の発展に貢献することができるよう就学、教育及び就職に至る一貫した特別の施策が必要だと思います。  昨年の本院予算委員会において身体障害者を参考人として招致し、その悲痛な叫びを私どもは聞きまして、打たれるものがありました。一度官房長なり大臣は、昨年の予算委員会の公聴会の速記録をお読みになる必要があろうかと思います。要するに一定の年齢に達して社会に出てからの対策というものがきわめて問題がある。このことについて本院は重視し、予算の審議上、公聴会に特別に車いすに乗った人を呼び、その切々たる声を聞きました。まことにわれわれも同感の至りでありました。お読みになったことがありますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 予算委員会の速記録はまだ拝見いたしておりませんが、その種の話はいろいろ聞いてもおりますし、若干の学校を私も見たことがございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 十分に御検討願いたいと思います。あと文部省の行政機構改革、文部省の医師養成計画等の問題は、同僚議員の御質問等にも重複するきらいもありますので、一応文部行政についての特殊教育問題に関連する質問はこの程度に終わっておきたいと思います。

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) それでは山田参考人から、定員外職員の定員化問題について御意見を承ります。その後におきまして両参考人に御質疑を行ないたいと存じます。山田参考人、お願いいたします。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) 山田でございます。よろしくどうぞ。  私たちは農学という学問をやっているわけでございますが、農学は、いわゆる農業、これはもう御承知の穀物をつくる、野菜をつくる、果実をつくるというような、そういうプランテーションの農業、それから水産業、それから林業でございます。または牧畜業といいますか、牛、馬を飼う、そのようにいわゆる第一次生産に関する学問を行なうだけでございませんで、それらの第一次生産物を二次的に加工していくという仕事、そういう仕事があるわけです。結局、その仕事としましては具体的には食品工業、これはいろいろの種類が御承知のようにございますが、食品工業、その中でも微生物を特に使います醸造工業、これはお酒とか、みそとか、しょうゆとか、お酢とか、あるいはウイスキー、ブドウ酒というようなことになるわけですが、そういう醸造工業、それからもう一つはいわゆる発酵工業でございまして、そういう醸造とは違う、いわゆる微生物をつくる工業があるわけでございます。たとえば有機酸をつくるとか、あるいはアミノ酸をつくるとか、酵素類をつくるとか、あるいは各種のビタミンをつくるとか、あるいはさらにお薬のほうですと抗生物質をつくるというような発酵工業があるわけでございます。そのほか、例の皮をなめすという皮革工業、または木材のほうでいいますと、木材加工のいろいろ、ハードボードをつくるというようなことがございますし、またパルプなどをつくる。これは全部そういう基礎的な研究を農学でやるわけでございます。ただ、これだけではございませんで、さらにいわゆる農業工学とか、あるいは農業土木学とか、あるいは農業経済学とか、さらにまた畜産獣医学というような非常に変わった部門も全部含めまして、いたって幅の広い学問をやっているというのが農学であろうかと思うわけでございます。要するに農学は、人間の生活といいますか、衣食住に非常に密接の仕事をやる学問でございます。そういうふうに考えるわけでございます。  何と申しましてもそのようなことから、農学は、私たちは応用の学問の中でも最も重要なものであろうかと考えている次第でございます。ところが、もうすでに御承知のとおり、最近になりますと、たとえば宇宙開発とか、あるいは原子力とか、電子工学とか、そのほかいろいろございますが、化学でいいますと石油化学というような学問が非常にはなばなしく登場してまいりまして、一般の人の目がどうもこちらの方面に向けられるという事実がございます。時代の寵児といいますか、非常にもてはやされる。そうなりますと、農学のような非常にじみな学問はどうしてもあまり振り向かれなくなってくるということになるわけでございます。その結果といたしまして、農学に対する研究費などがどうしてもたくさんいただくわけにいかない。私たちは少し冷遇されているのではないかというように考えるわけでございます。極端の議論としては、農学なんか要らないじゃないかという議論がありますが、これは私に言わせれば暴論でございまして、たとえば動物学の幾ら専門家、大家がおられても、おいしい牛肉をつくることはできないだろうし、おいしいミルクをつくることはできないであろう。どんな有名な、高名な植物学者がおられましても、おいしいくだものとか、あるいはおいしい野菜をつくるということはむずかしい。そういうことで、応用の学問というのは基礎だけあればいいというものではなくて、農学のやっぱりそこに必然性があるというように思うわけでございます。  このように、農学は一見たいへん日の当たらないような学問のように見えておりますけれども、実はそうではございませんで、たいへん、いま申し上げたとおり、重要な学問であります。わが国の農学の一般的なことを申し上げるわけでございますが、非常に多くの分野で世界的に見ましても指導的な立場に相当ありまして、数年前のトリプルASというアメリカにミーティングがございますが、日本の農学でやはり代表的な、たとえば養蚕であるとか、発酵工業であるとか、あるいはお米をつくるようなプランテーションは非常に世界的なものでございまして、高く評価されているわけでございます。もちろん、そういうことのあるなしにかかわらず、大学といたしましては、世界的な学問の水準を維持していくということが必要でございますので、私たちは研究費とか、あるいは人員とか、いろいろな不足などに悩まされておりますけれども、無理をしながら研究を続けておるという状態でございます。  次に、私たちの属しております東京大学の農学部の現状について簡単に申し上げたいと思います。東京大学の農学部は、創立以来、八十数年たちまして、非常に長い歴史を誇っておりますが、現在は八学科、つまり農業生物科、農芸化学科、林業学科、水産学科、畜産獣医学科、農業工学科、農業経済学科、林産学科、この八つの学科からなっておりまして、それに約七つほどの付属施設がついております。非常に膨大であります。演習林、それから農場、水産実験場、園芸実験場、それから牧場、最近ですと図書館ができましたし、また、家畜病院ができておるということでございまして、非常に全国的でも広い地域にわたっておりますし、東京大学の本郷のキャンパスにも、たいへんコンパクトにいろいろなものが入っておるということでございます。  それで、いわゆる総定員法の成立いたしました、ちょうどいまから十年前の昭和三十六年ごろと比べますと、たいへんこの十年間で差ができております。それを二、三申し上げますと、まず一つは大学院でございます。当時、大学院がだんだんに拡大してきまして増大してきます。それで大学院制度が完備してきましたために事務量が非常にふえておる。それで大学院はできたが建物もできない、事務員もいただけないというのが実情でございます。これが非常に膨大になってきたことが一つでございます。先ほど申し上げたとおり、大学院教育にも関係のあります図書館の整備、これもわが農学部においてはりっぱな図書館ができたのでございますけれども、必要の定員がついてこない。ただ、建物ができて本があるというだけでございます。したがいまして、これの要員をどうしてもどこかから出さなければいかぬということで人が足りなくなる。それからもう一つは、非常にこの十年、二十年あるいは三十年、学問の進歩が著しいのでございまして、それに従いまして、たとえば私の属しております農芸化学というような学問では、どうしても分析の機械とか実験用機器が非常に高級化されております。それで高度に使用する人の教育が必要でございまして、特殊の人をオペレーターとして雇わなければならない、そういうようになっております。そのために、やはり人がついてこない。機械は買っていただけますけれども、人がこないということになっているわけでございます。私たち学生時代の三十五、六年とは全く違うのでありまして、非常に人が要るにもかかわらず、定員がついてこないというだけでございます。結局いま申し上げたような、これらのことを円滑に運営するためには、どうしても定員が足りないという事実があるわけでございます。  そこで私たちは、いたしかたなく、たいへんまずいことでございますけれども、定員がとれないということのために、臨時職員というものを雇ってきたというのが実情であるわけでございます。そういう方法しかほかになかったものですから、従来どおりの方法で大きな批判もなしに従来どおり臨時職員を雇っている。この臨時職員というのは、東京大学におきましては三月三十一日で一応解雇するという形にいたしまして、次の日の四月一日に再雇用する。そのときに別の人を雇えば、これは問題なく臨時職員ということで文字どおりいくわけでございますが、何しろやっておりますことがみな専門的な業務でございます。それでどうしても能率をあげるためには、やはりいままでせっかくなれた人をそこでやめてもらって別の人というわけにいかない、その人を再雇用することになってくるわけです。ここにいま問題になっております臨職問題の最も大きな点が隠されているわけでございまして、このようなプロセスでもっていわゆる常勤的非常勤職員というのができてきているわけでございます。いまこの数は、東京大学ではおそらく一千名以上、わが農学部におきましても八十数名がこの臨時職員ということでおるわけでございます。  この臨時職員をどんどん定員化できればたいへんいいのでございますが、何しろ定員の数が定められておりますので、たいへんむずかしいわけでございます。そこで、現状を打破するためには、どうしても定員を増してもらうしかない。定員増以外には方法はないと私らは考えているわけでございます。したがいまして、私どもは、総定員法に対する参議院内閣委員会の附帯決議の二項及び三項を活用していただきまして、定員外職員の定員化ということも含めまして合理的な処遇の改善をはかっていただきたいと考えておりまして、従来お願い申し上げている次第でございます。  それで次に、臨時職員の給与は一体どういうふうに出していたかということについて申し上げたいと存じます。  大学におきましては、ほかの官庁と全く違いまして、臨時職員の給与というものは、これはいわゆる臨時の人件費から出ることができない、校費から出さざるを得ないという状態でございます。もちろん、われわれのほうにも臨時の人件費というのがあるわけでございますけれども、このお金はいわゆる非常勤講師——各部局いろいろなところから、よその大学あるいは官庁の技官などにもお願いする非常勤講師——の給与に使われる。臨時職員の人件費はそのために隠されてしまって出てこない。どうしてもこれはわれわれの講座費——われわれが文部省からいただくお金を使わなければならない、こういうことになってきます。さらに困ったことには、臨時職員の費用が、人件費のアップ、いろいろなことから年年一四・五%は上がっているわけです。ところが、残念ながら、われわれがいただきます講座費というものは一〇%くらいの予算しか政府からいただいておらない、増しか考えておらない、その差額はどうしてもわれわれの研究費を食うという形になるわけです。どうしてもわれわれの研究費を使わなければならない。したがいまして、臨時職員の待遇改善をやろうとしましても、どうしても費用の捻出に非常に努力する、困ってしまうという実情でございます。  なおまた、この臨時職員にしておきますと、非常に不遇な待遇になるということが一つありまして、身分の保障がないということでございますが、さらに困ったことは、非常に不安定でございますから、よそから非常に引っこ抜きということが起きてきまして、われわれが非常にほしい臨時職員が会社あたりに引っこ抜かれてしまう。身分が不安定でございますから、どうしてもこういうことになってしまう。したがいまして、私らが必要といたします人員を確保することが非常にむずかしくなっているというのが実情でございます。  そこで、皆さんにいろいろお世話になりまして御迷惑かけております東京大学の農学部でなぜこの臨時職員の問題が大きくクローズアップされてきたかということでございますが、このことは一口で言いますれば、農学部に臨時職員が多いのでございますけれども、結局は農学という学問が、先ほど申し上げたとおり、生活に密着した学問でありますけれども、宇宙開発とか、あるいは南極探検というような非常にはなばなしいといいますか、いわゆるビッグ・サイエンスというものを農学部の分野では持っていないということでございます。したがいまして、予算も少ないし、人員もどうしてもいただけない。しかし比較してみますと、たとえば文学部とか、文科とか哲学というようなお仕事とはまた違うのでございまして、哲学のような仕事ですと、特に最近の非常にこういう機械が要るのだということはないわけでございますけれども、われわれの学問の性格上、特にやはりいろいろの機械が必要になってくる、新しい設備も機械も必要になってくる、人間も必要になってくるという問題がある。こういうために農学部がいろいろこの問題について悩んでおるわけでございます。したがいまして、私たちは、もしこれを定員増ができないということになりますと、将来この農学の学問を非常に貧困な方向に押しやるのではないかということを心配しておるわけでございます。  私たちは何とかこの限られた条件の中で成果を十分あげるように努力はいたしております。事務の簡素化なども極力努力してやっております。しかしながら、いかんせん、仕事の量と人員——人間の数とを比較しますと、どうしても問題が残りまして、人員の絶対不足ということが一番大きな問題になっております。最近、私、学部長になりまして以来、農学部の職員組合からもこの問題についていろいろ熱心に申し入れがございますけれども、思ったよりもいま非常事態でございまして、学部長の仕事というものはなかなか忙しくて、組合の諸君とも対応できないということで、申しわけなく思っておりますけれども、しかし、何とかよく話し合うようにいたしまして、一緒にこの臨時職員問題を、これを定員化するという問題を努力していきたいと考えておる次第でございます。  たいへん簡単でございますけれども、大体臨時職員問題でわが農学部におけるアウトラインをお話し申し上げました。どうかひとつ議員諸公のお力によりまして解決していただきたいと、この席をかりましてあらためてお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) ありがとうございました。  それでは両参考人に対し質疑のある方は御発言をお願いします。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 逸見助教授からの、参考人の御公述はないのでございますか。あれば承っておきます。

逸見謙三東京大学助教授

○参考人(逸見謙三君) 私から特別ございませんで、私、皆さんにお時間をさいていただく発端になりましたこの内閣委員会へのお願いの書類をつくった本人でございますので、こまかい点ございましたら、御質問ございましたらお答えさしていただきます。こういうことでございます。  ありがとうございました。   〔委員長退席、理事塚田十一郎君着席〕

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 それでは二、三両参考人にお尋ねをいたしますが、一番問題になっておりますのは、行管の昭和四十四年七月三日の「解決をせまられた非常勤職員問題」という定期刊行物があります。その冒頭にこのような一文がある。「非常勤職員の問題は古くて新しい問題である。既報のように、政府機関の非常勤職員数は、委員、顧問等を含めて約十九万人いるといわれ、このうち常勤的な職員は七千四百人を完全に上廻っているといわれている。しかし、その実態すら把握されていない。国会で総定員法審議の際、佐藤首相が非常勤職員問題の存在にさえおどろき、その実態を明らかにするため、行政管理庁を通じて調査を命じたため、この調査の結果によって、非常勤職員の問題は解決を迫られているものといえよう。」という一文を冒頭に出して、定員外職員の問題の沿革等、以下詳細にわたって報告をいたしておりますが、ただいまの参考人の御意見を承りますと、人文科学と自然科学の分野における相違点は、私も全く同感であります。一時人工肉とかいうものが新聞で宣伝をされましたが、いつの間にか消え去ってしまいました。しょせん、人類が生存を続けるためには、農業を基盤とする適正な工業とのバランスのとれた産業形態が必要であるということは言うまでもないと思うのであります。  しかるに、最近の政府の農林業に対する漁業を含む政策は、まことに遺憾でありまして、たとえば米価の三カ年据え置きの問題、あるいは休耕、転作の問題等、あるいは食管法を守るために休耕、転作に協力をしてほしいと言いながら、本年は買い入れ制限を実施して食管法をじゅうりんする、こういう一連の動きについては、農民の怨嗟の声はきわめてきびしい。与党の内部にすら政府の施策に対して公然と反撃を加える動きすらある。世間もまた、報道関係の誤った宣伝に踊らされ、食管法の撤廃に同意をしたり、あるいは貿易自由化をして、安ければ何でも入れたらいいではないか、さらには、東南アジアその他に開発輸入を行なって、すべてのものを安ければ外国に依存したらいいではないか、こういった風潮がとうとうとして流れ、その影響が学園にも及び、いわゆる農林関係の研究体制にすら大きな欠陥をもたらすような人事配置が余儀なくされておるのが現状だろうと思うんです。このような背景の中に立って、あなた方はき然としてその所信に向かって邁進し、農業が国家民族の産業基盤の根幹であるという認識に立って、勇断をもって今後この定員外の問題にいたしましても対処していかれなかったならば、研究に大きな支障が生ずるのみならず、同じ国民を、同じ職種で同じ勤務条件をもって働いておる人々を、悲惨な立場に長年期間置かざるを得ないというような片手落ちなことが、あたかも当然のごとくなされるような結果をもたらしておると思うのであります。  農学部長さんは先般私どもに対して公然と、四十六年三月二十三日、内閣委員あてに実情を、簡単ではありますが、お配りになりました御要請がございました。したがって、私どもは、その内容を本日詳しく伺いたいために御足労をわずらわしたのでありますが、まず第一点として伺いたいことは、以上のような基本認識の上に立って今日まであなた方のとられた待遇改善なり、定員外職員の定員化の問題に対してはこそくであった。まっ正面から行管なり、あるいは文部当局に対してどのようにこの改善について御努力をなさってまいられましたか。その点について具体的な事跡があれば承りたい。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) 私たち、端的に申し上げまして、非常に努力は足りなかったように思います。反省しております。しかしながら、もちろん大学当局を通じ、文部省を通じてそういうことをよく申し上げていましたし、今後もそれを続けていくという強い決心を持っております。  昭和四十二年度の定員と昭和四十六年度の定員とを比較すると、現在教官が三千七百四十五名であったものが三千八百七十二名、プラス百二十七という数字が出ておりますが、教官以外のほうは五千七百十という数字が五千五百三十一という数字、つまり百七十九名減っておるわけでございます。それで、これは講座などが学問の発展とともにふえてまいりましてできます。教官はふえている。しかし教官以外の事務職員などが減ってくるという事実、これはたいへんゆゆしいことである。これがいまいわゆる臨時職員問題とも関連しまして問題になっておりまして、非常に跛行的な、教官はふえているけれども、実際に手足がない、そういうアブノーマルの状態であろうかと思いますので、私たちは、いま御指摘のように、今後ともこの問題につきましてはまっ正面に取り組んで努力したいと考えておる次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 いままで文部当局なり行管に対して正式な申し入れをなされた事実があるかどうか、あるとするならば、行管なり文部当局はどういう態度をこれに示されたかという事例を聞いておるのであります。どういうふうになったのか、ならないのか、ただ研究費をやりくりをして当面を糊塗して今日まで至られたのか、その点はきわめて重要であります。明確にひとつお聞かせをいただければ幸いであります。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) この問題につきましては私たち総長に申し入れた。総長から文部省にお願いしておるはずでございますが、じかに行管そのほかに働きかけたことはございません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 大学学術局長に伺いますが、東京大学の総長から、この定員外職員、つまり常勤的臨時職員の待遇改善について申し入れがございましたか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 最近二度ばかり総長にお目にかかりましたが、そのときそういうお話がございました。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 それでどうなんですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 臨時職員の問題につきましては、これは閣議決定の線にもございますように、季節的臨時的な業務に従事するということがたてまえでございます。本来そうあるべきものでございまして、私どもは事務の合理化、簡素化、あるいは一部の事務の請負化、そういったような方法によりまして、これの漸減をはかっていただくように各大学にお願いをしておるわけでございますが、現状といたしまして、先ほど農学部長からお話がございましたような実態にあることは、これまあ認めざるを得ないと思います。  で、総長からの御要請は三点あるわけでございまして、一つは、現在おります非常勤職員を定員化してもらいたいということ。それから第二点は、すでに行なっておりまする定員削減措置を、従来の分はこれはいたし方ないとして、四十七年度から施行されようとしておるものについてはぜひ除外をしてもらいたい。それから第三点は、臨時職員の給与の改善をしてもらいたい。この三点でございます。  第一点の定員化の点についてでございますが、ただいま申し上げましたように、臨時職員の本来のあり方というものは臨時的、季節的な業務に従事するということでございますので、これが長期的に停留するということは、これはたてまえとしては私どもはそうあってはならないと考えておりますが、しかし、現状そういうものがあるということでございますれば、その臨時職員の従事しておる職務の内容、実態を十分大学からお聞きをいたしまして、四十七年度の概算要求の段階におきまして、真に必要と申しますか、そういうものにつきましては、つまり定員化ということではなくて、必要な業務に対応する増員措置をやりたい、こういう方向で努力をいたしましょうというふうに申しております。そのことによりまして、現に臨時職員として勤務されておる方々の身分の安定と申しますか、定員内繰り入れということが可能にもなるわけでございます。  また、ちょっと関連して申しますと、定員内職員に欠員が生じました場合には、つとめて臨時職員からその充足をはかるようにということも、これは人事の実際の運用上、東京大学におきましても行なわれておることでございますし、私のほうも、それは人事運営上の方策といたしましては適切な方法でございますから、そういう方法で御善処を願いたいというふうに申しております。御承知のとおり、この定員内職員の採用は、これは試験採用ということがたてまえでございますが、臨時職員につきましては、採用候補者名簿に登載がなくなったような時期におきまして、人事院に協議をいたしまして、選考採用という方法によりまして、年々かなりの数のものが定員内に繰り入れられておるわけでございます。そういった方々と、それから必要やむを得ない部分につきましては、定員増をはかることによりまして、今後臨時職員の定員化ということでは直ちにはございませんが、必要な定員の確保をはかり、そのことがひいては臨時職員の身分、給与の安定に資するような、そういう方向で努力していきたいということを申しております。  それから第二点は、その定員の削減措置にどう対処するかということでございますが、これは大学当局もすでにお認めになっておりますように、四十四年、五年、六年の既定計画については、これを了承するということでございます。その線に従って処置を願っておるわけでございますが、今後の分につきましては、教官並びに教育研究に密着する職員の定員の削減につきましては、ぜひ特別な考慮を願いたいということを大臣以下考えておりまして、すでに行政管理庁にもその趣旨のお願いをいたしておるわけでございます。  それから第三点の給与の改善につきましては、四十五年度末、具体的に問題になったケースといたしましては、住居手当の問題がございますが、これは大学側の御要望につきまして、特別な措置といたしまして、遡及をして適用をするという措置を講じております。  東大の学長と私どもとの間のやりとりの概要は大体以上でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 それはいつのことでありますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 正確な日時は私覚えておりませんが、ことしに入りましてから三回ばかりお目にかかって、そういう話を伺っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 山田参考人に伺いますが、いまお聞きのような総長は文部当局との折衝をなさっておるようでありますが、ただいまのあなたのお話のように、教官数あるいは教授数はふえておる。そのふえるには手足が必要である。教官数がふえるのに手足がふえない。また、手足となって働く非常勤職員は定員職員と同じ仕事を長年月にわたってやっておる。教官がふえれば当然それに付随して関係職員の増員要求、非常勤職員の定員化要求を予算要求でなされるはずでありますが、そういう予算要求はお出しになっておるのでありますか、ならないのでありますか。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  この件は全く同感でございまして、私らもやっております。それでいまのお話、東京大学の例を申し上げたとおり、わずか四年間で教官が百二十七もふえた。ところが教官以外の職員が百七十九も減っておるというこの事実こそ非常に重要でございますので、いま御指摘のとおり、学問、研究を農学部のフィールドでやるためには、どうしてもこれは手足が必要である。教官だけ幾ら頭をそろえても研究も教育もちゃんとできないということを私らは認識しております。いま御指摘のことについて、もう少し詳しく逸見参考人からお答えさしてよろしゅうございましょうか。

逸見謙三東京大学助教授

○参考人(逸見謙三君) 要旨は、ただいま学部長から御説明したとおりでございますが、私ども従来の態度といたしまして、研究教育上どうしても教官定員、あるいは直接の研究者、あるいは実験上の機器、設備、こういうものの要求を初め書類でお出しいたしまして、いろいろ折衝してお願いしておるわけでございますが、その折衝の過程で、どうしても強く教官定員と機器の予算だけ妥協する過程でお願いしておりまして、先ほど足鹿先生から言われました手足と申しますか、そういうほんとうの基礎になります職員の確保に適切な配慮を欠いていた、こういうことはまことに事実でございまして、深く反省しておりまして、今後このようなことのないようにいたしたい、このように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 官房長は総長とお話になった、きわめて抽象的でして、いま私が指摘したような、また、山田参考人なり逸見参考人は、きわめて謙虚な反省をすると、強くあなた方に向かって要求をするとはおっしゃらないが、反省をしておるという御表現でありますが、この学者らしい謙虚な態度に対して耳を傾け、教官がふえるならば、当然その手足となって働く人々の定員をふやし、多年の経験を積んだ非常勤職員の定員化をはかるということについて、総長といかような今後話し合いを進め、実現をされる御意思がありますか、その点を明確にしていただきたい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 具体的な問題の処理といたしましては、四十七年度予算の概算要求の段階の課題として研究していきたいというふうに考えております。つまり一般的に問題をどう処理するかということではなくて、具体的に何学部の何学科のどこの定員をどうするかという形で、御相談があればこれはぜひ耳を傾けて、私どもといたしましても虚心に検討してまいりたい、こういうことでございます。ただ、総長と私どもの話し合いの段階におきましては、まだそこまで具体的にどこの定員をどうするというところまでは立ち入っておりませんが、これはやむを得ないことだと思います。四十七年度の概算要求の段階におきましてしさいに検討いたしたい、さように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 この際両参考人に伺いますが、総長が文部省と折衝をなさる際に、あなた方学部は、学部のそれぞれ特徴があり、また、性格も変わったものもあるでしょう。したがって、定員なり手足となる人々の員数、その他具体的な付随した問題がそれぞれ違っておると思うんです。当然総長の手によってはそういうことが具体的に文部省に反映しないと私は判断する。したがって、文部当局と交渉なさる来年度の予算編成過程における折衝、話し合い、そういうものについては、学部の実情に明るいあなたなり——たとえて言うならば、農学部ではあなたなり助教授の逸見参考人なりが立ち会われて、個々別々に御折衝なさらねば、いまの官房長の御答弁では、また逃げられてしまう。せっかく四十七年度の編成過程においては話し合うという御言明があったわけでありますから、その際には総長に同行されて、そして、そのよって来たるところの理由と正当性と妥当性を力説され、必ずその実現に向かって努力をなさらなければ、総長の一括交渉では急所をはずれるおそれが私あると思いますが、いかがでありますか。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおりでございますが、ただ、いままでの大学の風習といいますか、習慣によりまして、学部では学部の意見をまとめ、これを総長に答申し、総長から文部省のほうへ働きかけてもらうということを従来どおりやっておったわけでございます。ただいま御指摘のとおり、確かにそれではなかなからちがあかないということもございますので、今後は私たちとしてはできるだけ当局とも御相談しまして、御指摘のように努力するつもりでおります。  以上でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 官房長に伺いますが、その意思はあるんですね。——ですから総長に帯同して、学部別に意見を聴取し、その妥当性のある要求に対してはあなたがたが謙虚に耳を傾ける。あくまでも総長に権限があるでありましょう。その総長を補佐し、総長の命を受け帯同することは、私は当然だと思うんです。各省の予算折衝を見ておりましても、初めは課長クラスで大蔵省が折衝をする。次には局長クラスで折衝する。局長クラスで折衝のつかないものは次官クラスで折衝する。最後には大臣と大臣の最終政治折衝によって決定をする。なお決定しないものは与党との調整によって決定するという経過は御承知のとおりだろうと思う。そのままの形をおとりなさいとは申しませんが、少なくともいま山田参考人が言われたように、各学部別に総長が、膨大な予算ですし、きわめて研究の必要な段階であり、日本農業の危機でもありますし、謙虚に耳を傾けて、その要請にこたえるだけの交渉、話し合いの場を持たれる御用意があると理解してよろしいですね。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 御承知のとおり、東京大学は非常に大きな大学でございます。したがって、概算要求事項というものも例年非常にたくさんの数にのぼるわけでございまして、かつまた定員も国立学校総定員の約一割、一万人以上の定員が東京大学に配当されておるわけでございます。したがって、問題は非常におそらく多岐にわたるということが予想されるわけでございますが、これを大学全体として何らかの形で整理をして文部省にお持ちになるということは、これは当然なことでございます。折衝の手続といたしましては、経理部長あるいは事務局長から会計課長等に御説明がございまして、徐々に整理をいたしまして、なおかつ整理のつかないものは事務次官でございますとか、大学局長でございますとか、私どものほうにお話しがあろうかと思いますけれども、総長からそういった全体の問題についてお話しがございます際に、個々の学部の責任者の方が帯同をしてお見えになりまして、ぜひ実際の話を聞いてくれということでありますならば、私ども耳を傾けるにやぶさかではございません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 当然でしょうが、その御言明はきわめて重要な御言明だと思いまして、両参考人もよくただいまの御言明を受けとめられまして、成果をあげられるように期待をいたします。  行政管理庁なり文部省に具体的な事例で伺いますが、ここに事例の写しを私は持っております。これは常勤的臨時職員の事例です。名前をあげて恐縮でありますが、加藤揚子さんという方の。名簿に載っておりますから別に公表して差しつかえないと思います。この人は昭和四十年十二月一日、「事務補佐員(東京大学農学部)に採用する 任期は一日とする ただし任命権者が別段の措置をしない限り昭和四十一年三月三十日まで任用を日日更新し、以後更新しない 日給(勤務八時間につき)八百六十四円を給する 昭和四十年十二月一日 東京大学総長 印」。続いて同じくこの人が、四十一年九月二十九日限り退職をしたいという異動内容通告を受けておる。九月三十日に通告を受けておる。続いて、「四十二年三月三十日まで任用を日日更新し、以後更新しない」という通告を四十一年十月一日に受けております。  こういうことが繰り返され繰り返されて、そして勤続実に六年有半、一番最終的には「四十七年三月三十日まで任用を日日更新し、以後更新しない 日給(勤務八時間につき)千八百円を給する  ただし、土曜日に相当する日の日給は(勤務四時間につき)九百円とする」、七——四号俸で本俸は三万九千八百円、これに加算が三千百八十四円で、合計四万三千円程度であります。  このような繁雑な、しかも人権を無視した日々更新、一月更新、こういうことを多くの常勤的臨時職員にとらなければ運用がつかない状態は、行政を繁雑化し、基本的人権すらも私は無視しておる措置だと思います。少なくとも勤続六年半ともなれば有能達識な経験者であり、それなればこそ、また長期にわたって使用しておるんだろうと思う。しかるに、このような繁雑なことがどの職員にも適用されるというようなこの矛盾を行管は御存じでありますか。文部当局はこういうことをやれと御指示になっておるのでありますか、伺いたい。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。  日々雇用職員という範疇がございまして、この範疇に属する職員は、ただいまのような任用の形態をとっておることを承知いたしております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 ばかばかしくて話にならぬ。矛盾をお感じにならないかということを聞いておる。とっておるか、とっておらないかということを聞いたと同時に、それに対する所見は当然述べられなければならぬでしょう。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。先ほど文部省の安嶋官房長からお答え申し上げましたように、臨時的な仕事、将来それがなくなっていくであろう仕事、年間に事務量の変動のあるような仕事、そういう種類の仕事につきましては、日々雇用職員で業務をやっていくのが適当かと考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 常勤的職員であることが、常勤職員化することが適当だと、こういう判断ですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 臨時的な仕事をやっていただく職員につきましては、日々雇用職員としての形を現在の雇用制度のもとにおいてはとるのが適当かというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 これなくしては大学の図書館業務に——これは事務補佐員として採用になっておるようなことのようでありますが、運用のつかない六年半もつとめさせて、そして今後もこういう形態を維持存続するということが、あなた方、行管としては妥当だとお考えになっておるわけですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 日々雇用職員の待遇問題につきまして、これは全く別途な見地から、賃金単価の問題、あるいは退職金の支給の制度に関する問題、あるいは共済組合に関する問題、そういうことにつきましては、これはやはり別途処遇改善についてその検討をする必要はあるんではないかという御意見が多うございました。それにつきましては、関係の官庁におきまして検討いたしておりますが、現在、臨時的な業務、たとえばただいまのお話でも、たしか年度間から年度末まで、年度当初から年度末まで限っておりません。年度間からの任用もあったようでありますが、年間経常的に必ずしもずっと続く仕事でないものにつきましては、そういう臨時職員、あるいは日々雇用職員の形態で採用することはやむを得ないかというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 これは行管長官に一ぺん御出席を願って承らないと、あなた方のような事務官では、私は片がつかない問題だと思うのですね。今日、会社あるいは団体、その他幾多の社会経済活動あるいは学術活動を行なっておる団体も数多くあると思いますが、一日一日更新をしていくというような非人道的な形態をとらなければ、国家公務員としての活動が完ぺきが期せられないというような前近代的というか、非人道的というか、許すべからざる人権を無視した形態をとらなければならぬという根拠は、どこにありますか。わが参議院は、先般の総定員法の審議の際、「二、各行政機関における職員の定員については、行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬよう努めること。三、定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」、人事院もおいでになっていますね、人事院も。「人事院勧告の完全実施を期すること。」、これは全会一致の決議ですよ。これを今日まで何ら検討もなされない。今後も存続するという御言明でありますが、許すわけにはまいりません。私は、荒木さんが病気だということでありますから、御遠慮を申し上げ、先日来おいたわりを申し上げて、あえて政務次官の御出席のもとに、一昨日も許認可事項を夜の八時半までかかってやりました。何たることですか。そのような事務官僚行政が続く限り、国会の決議を弊履のごとくあなた方は考えておるのですか。この附帯決議は満場一致の与野党一致の決議ですよ。どのように検討なさったのか、いまの答弁は完全にこれを踏みにじっておるではありませんか。こういうことであるならば、病気を押して荒木行管長官の出席を私は要求せざるを得ません。第一あなたがそういうかってな答弁をするということになれば、政治的な問題としてこの問題を解決せざるを得ない。人事院は、国家公務員の争議権も団結権も奪い、ストライキ権その他の労働立法によって許された権限を剥奪し今日に至っておりますが、いやしくも民間の臨時雇いにこのような残酷むざんな制度がありますか。国家公務員の、国の運命を左右するような、学園の自由を保障されておる大学においてこのような事態が存続することを人事院はお認めになるのでありますか。人事院総裁の出席を私は要求いたします、御答弁がなければ。事務的な答弁では満足いたしません。しかと御答弁願いたい。

飯野達郎人事院事務総局任用局企画課長

○説明員(飯野達郎君) 日々雇用の非常勤制度と申しますのは、やはりいま局長がお答えになりましたように、季節的な臨時的な仕事についてその日その日、何日か必要であるというようなそういう仕事につく職員を想定して、日々雇用の非常勤職員が使われておるというふうにお答え申し上げます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 そんな御答弁は聞くまでもないことなんです。六年半もつとめておるのですよ、六年半も。だから、あなたがこういう立場に立ったら不合理だとは思いませんか、人間として。それから感想はどうですか、行管にもこういう制度で定員外職員を置いていらっしゃいますか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) ときによってそういう採用をいたすこともございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 これは驚き入った御答弁でありまして、このような事態を私は大臣の出席を得ずして審議を進める余裕はないと思う。あなた方がそういう態度であるならば、一昨日、許認可の法案は上げなければよかった。何だい、一体、こういう不合理千万なことを行なっておって、どこに行管の使命がある。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 私の表現が不適切でありましたために、あるいはおしかりを受けておるかと思いますが、日々雇用職員の制度につきましては、人事院規則その他できまっておりまして、そういう形の雇用は非常勤の臨時的な仕事についてはできる、またそれ以外にはできないということから、日々雇用職員の雇用をいたしておるわけでございまして、先ほども御指摘の総定員法制定の際の内閣委員会におきます附帯決議につきましては、これは日々雇用職員の制度自体の問題ということではなくて、定員外の職員の処遇の問題についてその実情を調べて、そうして善処せよという御趣旨と承っております。この趣旨に基づきまして、私ども各省庁にお願いいたしまして、各省庁の定員外職員の実態を調べていただきまして、その結果を拝見いたしますと、各省庁におきまして現在定員外職員として雇用されている方々は、これは臨時的な仕事あるいは近い将来にその仕事が非常に変動していくという見通しのある仕事のいずれかに属するということでございまして、現在それが定員内職員のやる仕事をやっておられるのではないという御報告を受けておる。その御報告によりまして、実態調査の結果といたしましては、現在そのために増員をいたして定員をふやすということの措置をとる予定にはなっておりません。今後も実情をよく承りまして、先ほど文部省の官房長の御答弁にありましたように、十分に実情を検討いたしまして、善処していきたいというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 行政管理局長、あなたは本院の附帯決議の趣旨を全然はき違えていらっしゃる。調査せよなどということはいっておりません。念のために申し上げましょう。「一、本法律案審議の過程において政府の言明せるとおり、公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわないこと。二、各行政機関における職員の定員については、行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬよう努めること。三、定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」といっているんですよ。何を調査せよといっているですか。決議の趣旨も知らないでふざけた答弁をすると許しませんよ。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 御指摘のとおりでございますが、総定員法の審議の経過の途中におきまして、実態について調査をするということを政府側としても答弁いたしております。そういう調査に基づきまして検討すべきであるということで調査を実施いたしまして、その結果について検討したわけでございます。定員化、増員という問題については、その調査の段階では、私ども各省庁からその必要ある種類の職員についての報告は受けませんでしたが、処遇の改善につきましては、これは現在退職金制度の問題その他につきましても、退職金でございますれば総理府の人事局が所管でございますし、また、共済制度につきましては大蔵省が所管でございますが、そういう所管の省庁とも打ち合せをし、処遇の改善が可能かどうか検討しているところでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 あなた方苦しくなると検討、検討と言うが、その検討の結果はいつ出るのですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 現在相談をいたしておりますが、いつということをはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、できるだけすみやかにその検討を進めたいというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 検討の内容について、たとえば、一年雇用制の撤廃、定期昇給、期末・勤勉手当を定員内職員と同様に行なう、定員外職員の昇給制度の頭打ちを撤廃する、年次休暇、病気休暇、特別休暇——つまり女性の生理休暇等をさすのでありましょう——を定員内職員と同様にする、定員外職員の祝休日の有給化、退職金を定員内職員と同様に支給する。以上のような条項について検討して、はじめてその附帯決議の趣旨にかなうと考えますが、行管は何を、どの項目を、具体的にどのように検討しておられるか、その内容を詳細述べられたい、検討とおっしゃるならば。答弁ではごまかされますから、資料で要求いたします、あとで。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) ただいま御指摘の点につきまして、私全部メモをとりませんでしたので、伺ったことにつきまして耳で記憶で申し上げますが、私ども行政管理庁の所管の問題は実はただいま御指摘の中にはございませんで、退職金の問題でございますと、先ほど申し上げましたように人事局の問題でございますし、休暇制度の問題につきましては、これは人事局及び人事院と関連いたしているかと思いますし、また共済制度の問題につきましては、これは大蔵省の関係になってまいると思います。で一年雇用の撤廃ということにつきましては、これは私どもの定員外職員の雇用の問題でございますと、これも正確に申しますと私ども所管でございませんが、ただ私どもがお世話をやきました関係で、年度をまたがって雇用しないという閣議決定がございました。この閣議決定は従来どおりの考え方で進むという政府としての考え方になっております。先ほど申しましたように、退職金制度あるいは共済組合制度その他につきましては、現在それぞれの所管省庁におきまして検討を進めていただいております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 所管省庁において何を検討しておるのですか。じゃ念のため申し上げましょう。一年雇用制の撤廃について何庁が検討しているのですか、一々御答弁願います。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 一年雇用制撤廃につきましては、ただいま申し上げましたように、昭和三十六年の閣議決定におきまして、年度をまたがる雇用はしないという閣議決定をいたしておりまして、これにつきましては、政府としてその閣議決定を変更するということを考えておりませんということをただいま申し上げたわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 だから決議をじゅうりんしておると言うのですよ。「各行政機関における職員の定員については、行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬよう努めること。」という付帯条件をつけて総定員法は通してあるのです。総理の出席の上でつけた与野党一致の国会の意思ですよ。荒木長官の出席を要求いたします。君とそう押し問答やったってらちがあかぬ。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 各行政機関における職員の定員の問題につきましては、これは先ほど安嶋官房長より御答弁がありましたように四十七年度予算、従来におきましても四十五年、六年、予算査定をいたしておりますが、それと同様に四十七年度以降の予算におきまして、この定員の増員が必要かどうかということについての検討を重ねまして、これを実施していくわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 「定員外職員の常勤化の防止について」、これは昭和三十六年二月二十八日の閣議決定であります。自来十年有余の日子が経ておるじゃありませんか。わが内閣委員会が定員法審議の際にこの点を指摘し、「各行政機関における職員の定員については、行政需要に応じた人員を確保し、」ということは、社会、経済、文化、産業、一切の情勢が多岐にわたり複雑化していく、つまりこれに対応する行政需要も増大してきておる、したがってその人員を確保する、こういう趣旨であるのですよ。三十六年の、いまから十年昔の閣議決定が間違っておるならば、総理の出席を求め、荒木行管長官の出席を求めて、これは政治問題でありますから、あなたがそれ以上の御答弁ができなければ、私どもはこの問題が政治家として——いまだにこの閣議決定を固執するかいなか、これは閣議決定であって法律でも何でもない。拘束力もないと私は認める。このような不合理なものに対して行政管理庁は適切なる調査、検討、判断、勧告をするのが、あなた方の任務ではありませんか。あなた方が出した、冒頭に読み上げた「解決をせまられた非常勤職員問題」、私は冒頭に読み上げました。「国会で総定員法審議の際、佐藤首相が非常勤職員の問題の存在にさえおどろき、その実態を明らかにするため、行政管理庁を通じて調査を命じたため、この調査の結果によって、非常勤職員の問題は解決をせまられているものといえよう。」、何を解決するのかといえば、一年雇用制の撤廃、定期の昇給、期末・勤勉手当を定員内職員と同様に行なうこと、これはどうですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) ただいまの問題につきましては、これは給与関係の問題でございますと同時に、それぞれの任命権者の問題かと思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 行管は関知しないというんですね。それでよろしいね。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 行管の所管ではございません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、定員外職員の昇給制限、頭打ちを撤廃すること、これについてはどうですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 定員外職員の給与につきましては、常勤職員の給与との均衡をはかって処理するということにきめるということになって、これは人事院規則できまっておりますので、その関係で人事院及び給与の関係及び予算の関係がありますので大蔵省の関係と思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、年次休暇、病気休暇、特別休暇を定員内職員と同様にすること、これはどうですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 休暇の問題につきましては、私は、非常に明確なお答えになりませんが、人事院の所管に主として属するものと考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、定員外職員の祝休日の有給休暇についてはどうですか、これも人事院ですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 同じく主として人事院の所管かというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、最後ですが、退職金を定員内職員と同様に支給すること、これはどうですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) これは大蔵省の所管でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、共済組合に加入させること、これはどうですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 失礼いたしました。ただいまの退職金は、これは総理府の人事局の所管でございます。  それから共済組合につきましては、大蔵省の所管でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、超勤手当を差別なく支給すること、これはどこですか。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 全体としては予算の関連ではございますけれども、事実上は所轄任命権者の考え方によるものかと存じます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 以上で行管の大体の権限なり所掌事務について明らかになりましたので、次に関係各省の出席を求めることにいたします。  峯山君から先ほどから関連の御質問があるそうですからどうぞ。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 定員外職員の問題は非常に重要な問題でありまして、わが内閣委員会におきましても従来から相当論争をやってまいりました。私はいまの論点の中で焦点をしぼって質問をしたいと思いますが、参考人の皆さん、ほんとうにお昼で申しわけないですけれども、もうしばらくしんぼうしていただきたいと思います。  まず私は、いまの同僚議員の質問の中で、それぞれの担当の官庁の長が出席しなければ、それぞれ質問はできないと思うのでありますが、私はこれは非常に重要な問題があるんですが、先ほどから指摘がありました一つは、やはり国家公務員の最高の長は何といいましても内閣総理大臣ですよ。内閣総理大臣が、いわゆる佐藤総理大臣がどう思っているかということが一番の焦点なんです。私はこのことについて、先般の、これは四十四年の五月にこの定員外職員の問題が大きく取り上げられて、そしていま同僚議員から話がありましたように、総理大臣は定員外職員はもういないものだと、こういうぐあいにとっておると、しかしながら、現実にいるから一ぺん調査したらどうだということで、これはすぐその年調査がありまして、そしてあくる年、去年ですね、去年の十二月の暮れに総理大臣は、この定員外職員の問題について質問をしたところ、総理大臣と認識としては、いわゆる定員化する定員外職員というものは一人もいなかった、こういう答弁でしょう。これは総理大臣自身が一人もいなかったという答弁をしているわけです。これは先ほどから議論がかみ合わなかった一つの問題点として、職員のいわゆる恒常的な職員であるか、日々仕事が変わる職員であるか、このとり方の違いになってくると私は思うんですね。それでこの閣議決定で行なわれた、ここに出てきますいまの昭和三十六年に行なわれたこの閣議決定のいわゆる日々雇い入れる職員というのは、これは仕事の内容そのものが日々変わるんです、日々。日々変わるのであって、職場も日々移動するんですね。そういうような職員のためのこれは法律でありまして、私たちがきょう東京大学の農学部の皆さん方から出されたこの資料を見てみますと、これは日々変わったり、年次によってふえたり減ったりするものではない。私は文部省当局もけしからぬと思うんです。あなた方は行管庁からこの定員外職員の調査を依頼されたでしょう。それを報告したでしょう、こっちへ。その報告をしたときにあなた方は、こういうふうないわゆる定員化する職員は一人もいないという報告をしているでしょう、こっちへ。私はきのうからこの問題を質問するにあたって、行管庁に対して文部省が一体どういうふうな、先ほど東大総長との話はやっているとは言いますが、それは話であって、全然だめなんです、その根本になっているところの資料が。いわゆる国立学校のそういうふうな職員というのは四千二百人もいる。ここに出ております。要するにこれは二年ですね、四十二年、四十三年、十一カ月をこえる雇用した職員というのが国立学校で四千二百三十九人と出ております。そうでしょう、あまり変な顔せぬでください。そうでしょう、こんなにたくさんいるのです。しかも、この内容について四つに分けております、四つに。そうでしょう。これは一体皆さん方はこの名簿、これ見たでしょう、これ、この名簿見ましたか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 見ました。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 そうすると、こういうふうな人はいわゆる定員化するに当たらない、日々仕事の内容も変わり、また季節によって四つに分けていますね。行管庁の分け方ですと、異種業務と官署変更と業務量変更というのが一年と数年とあります。この四つに分けておりますね。この四つに入っている分は定員化することができないというのが行管庁の見解なんです。これをあなた方は、定員化する人は一人もいないと報告しているんです。この報告に基づいて総理大臣は、定員化する人は一人もいないと、こう答弁しているんです。根本的にここが変わらないと何ともしようがないですよ。あなた方は行管庁に対して定員化してもらいたいという要求をしていないんでしょう。これは、ここら辺のところはどういう考えを持っているんですか。これは一人一人について、これは日々雇い入れるべき人であって、仕事の内容が違うのかどうか、一年間を通じてこの人はその仕事の内容が違うのかどうか、一ぺん説明してみてください。どうなんですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 行管の管理局長からの御答弁がございましたように……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 答弁なんかないよ。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 現在におきましては、昭和三十六年の二月二十八日の定員外職員の常勤化の防止についてという閣議決定がまあ私ども有効であるというふうに考えております。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 有効じゃないなんて言ってない、私は、何だ。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) そこで現に東京大学その他に置かれております非常勤職員は、すべてこの閣議決定に従って発令が行なわれているわけでありまして、この閣議決定の趣旨に沿わない定員はいないはずでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 何、もうちょっとはっきり言ってくれ。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 現在定員外職員につきましては、昭和三十六年二月二十八日の閣議決定が有効と申しますか、実施されておるわけでございまして、文部省あるいは国立学校といたしましては、この閣議決定に従って非常勤職員の発令をいたしておるわけでございます。この閣議決定の趣旨は、先ほど来申し上げておりますように臨時的、季節的な仕事に対応するための職員を設置する、こういうたてまえになっております。そのたてまえに基づいて現在任用されておる職員があるはずでございます。それに反した職員がいるはずがないわけでございます。そういう意味で、私どもはすべて閣議決定どおりに職員が任用されておるというふうに行管に御報告を申し上げたわけであります。  そこで実態につきまして、先生お話のように、それは違うじゃないかという御疑念が当然出るわけでございますが、私ども、はたして現在勤務いたしておりまする非常勤職員の仕事の内容が定員をもって措置すべきものであるかどうか、そういった点については、東京大学当局その他の説明を十分聴取した上で、必要なものにつきましては増員の措置をしたいということを、先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、私どもの基本的な考え方はさようなことでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 あなた、こういうぐあいにして雇用している人は、いわゆる政令違反ですよね、言ったら、もし仕事の内容が恒常的なものであるならば。これは日々仕事も変わり季節的なものだという考え方に立って見ているわけです。そうじゃなくて、これは仕事の内容そのものはほとんどこれは恒常的なものなんでしょう。それでどうしても定員の増員が必要であるにもかかわらず、増員することはできないから、やむを得ずこの閣議決定に基づいた、いわゆる三月三十日で雇用を打ち切って、そして四月の一日または二日の日に雇用するというようなことを、日々雇用というそういう雇用のことをやっているのでしょう。これはどうなんですか。そこは参考人、どなたでもけっこうです。

逸見謙三東京大学助教授

○参考人(逸見謙三君) 確かにただいま御質問のとおりでございまして、私どもは実質的な違反をやっておるということは非常に申しわけない、こういうふうに存じております。いろいろ私どものほうから大学当局を通じまして文部省に提出しております書類は、ただいま御指摘の点でもなかなか統計にのりにくいものである、こういうことを私ども重々承知しておりますし、それから先ほど学部長から説明いたしましたように、いわゆる非常勤職員に関する予算からこれらの非常勤職員の給与は出ておりませんで、大部分が講座当たり積算校費というもの、こういうものから出ておりますし、なかなか統計にのりにくいということで、文部当局のほうでも御苦労なさっていらっしゃるんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、実質的な政令違反であることはまことに申しわけないのですが、私どももこれは定員外職員の定員化という線じゃなくて、ここの内閣委員会にお願いしてございますのは、定員増で解決していただきたい、こういうことでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 わかりました。  それで、さあ文部当局、ほんとうは文部大臣に出てもらってやらないとほんとうに何ともなりませんけれども、あなた方の行管庁もそうですが、定員外職員の調査結果というのを、これは本会議で総理大臣に質問して、出てきた調査というのはぺらぺらな、こんなのインチキだというのははっきりしておる、ほんとうに。ということは、日々雇用している人はたくさんいる。それは全部除いてしまったあとのこんな調査なんて意味ないですよ。こんな調査じゃ、ほんとうに私は総理大臣にこういうふうな報告をしているのなら、私はこれは大問題だと思うのです。文部省当局に聞きますけれども、東大をはじめ各学校の非常勤職員の皆さんは、この日々雇用というこの閣議決定に基づいて雇用契約をしておる。だからこれは定員に繰り入れるべき人じゃない、そういう見解を言いましたね。それで現実にここにいるんですよ、そういう職員の人が。この人々は、閣議決定ここにありますが、これで契約しなかったら何でやるんですか。給料払うなというんですか。現実にいるんですよ。学校にそういう非常勤の人たちが現実にいるんですよ。そういう人たちの立場に立って行政というのは考えないといけないんじゃないですか。ただいま大学当局も政令違反だということはわかっておっても——何ら私は違反だと追及しているわけじゃない。けれども、現実に政令に基づいてやっているわけですよ。日々契約しているのを政令に基づいてやっているわけです。これでやらなかったら一体何でやるんだというんです。これ以外に何かやる方法があるんですか。現実にないでしょう。そうするならば、当然私はこういうふうな人たちのいまいろいろお話ございましたけれども、やっぱり年次休暇の問題とか、定期昇給の問題とか、期末手当の問題とか、勤勉手当の問題とか、こういうような問題は文部省当局、あなた方が真剣に考えなければいけない問題じゃないですか。あなた方が真剣に行管に対しても話をしないといけない問題じゃないですか、そうでしょう。もうちょっと考えて答弁してください、どうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 臨時的な職員の採用が、ただいま御指摘の形以外では行なえないということは、これは事実でございます。したがいまして、この閣議決定に従って臨時的あるいは季節的な業務の必要に対応するための日々雇用職員が置かれておるということが実際なわけでございまして、それに対しましては足鹿先生からも御指摘がございましたような問題はございますけれども、所定の給与はきちんと支払われておるということでございます。ただ、足鹿先生がおっしゃいましたような給与上の問題点が、これは幾つかございます。私どももそれにつきましてはいろいろ検討を重ねてまいっております。先ほど申し上げましたように住居手当といったような点につきましては、先般若干前向きの改善措置を行なったわけでございますが、その他のたとえば昇給の問題でございますとか、あるいは年次有給休暇の問題でございますとか、あるいは期末手当の問題でございますとか、その他いろいろ考えてみておるのでございますが、やはり日々雇用という雇用形態であって、しかも、それがつまり途中で任用を中断するというたてまえをとっておりますので、そういうたてまえをとっている以上は、初任給につきましても、期末手当につきましても、退職手当につきましても、一般職員と同様の取り扱いをすることは困難であるというのが私どもの検討の結果でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 もう焦点は、あちこち言いませんでしぼりますけれども、あなた方はそういうふうな職員の皆さんは、各大学でどういうふうな実情になっているのか、非常勤職員がどのくらいいるのか、実態はちゃんとつかんでおるんですか、どうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 数でございますとか、あるいは任用の期間でございますとか、あるいは従事いたします職務の内容でございますとか、あるいはそれに対する給与の内容でございますとか、必要なことは把握しておるつもりでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 そうすると、つかんでいる内容については、これは後ほど全部出してくださいよ。よろしいですか、全国の大学のこの非常勤職員の問題については、後ほど全部出してください、資料、どうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 提出いたします。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 そうすると、あなた方は、ここにたとえば東大の問題があるわけですが、これらの職員の皆さんの職種ですね、職種は、行管が定員化すべきでないという四つの分け方をしていますね、御存じですね、四つ、その四つの分け方にすべて入ってしまうと、こう見ているんですか、どうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 結論的には、定員化の対象になる職種ではないという判断でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 これは、ここに書いてある職種は、全部定員化の職種にはならない、こういうことですね。そう見ておるわけですね。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) このままの形で定員化すべき対象職種ではないという判断をいたしているわけでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 それじゃ具体的にいこう、一つだけ。先ほど加藤揚子さんという方の名前があがりましたので、私もこの方を例にとりますが、この方の職業並びに仕事の内容等は、あなたもお調べで御存じだと思うんですが、この四つの分類のどれに入りますか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 非常に個別、具体の問題でございまして、加藤揚子さんのやっておられます仕事が現実にどういう仕事であるということを、私ども、これ東大当局に当たりまして確認をしたいというふうに考えます。したがいまして、その分類がどの分類になっておるかということも、ただいまちょっとお答えいたしかねるのでございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 うそ言いなさい。自分がわからなくなったら、あとで問い合わせるとか、そんなこと言ってはよくないですよ。  それじゃ、私、参考人に聞きましょう。まことに申しわけないですがね、加藤揚子さん、この方は、プライバシーを侵害してまことに申しわけないですが、概略どういうお仕事をやっていらっしゃるか、お仕事の内容はわかりますか。

逸見謙三東京大学助教授

○参考人(逸見謙三君) この人は農学部の図書館につとめておりまして、かなり高度の洋雑誌の整理と、こういうことを私どもさせております。その意味で、先ほど私ちょっと失言めいたことを申し上げましてなんだったのですが、本来でございますと、定員内職員で、ちゃんとした待遇をして雇うべき職種のところにいてもらう職員であると、こういうふうに考えております。ただ、私ども非常にイージーに、閣議決定の形式だけまねまして、精神に反したような形式をとって雇っていると、こういうことは確かでございまして、で、文部当局のほうでこういう調査をいたしました場合、あるいは漏れているんじゃないか、こういうふうに拝察いたしました。どうも……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 これは官房長、どうなんですか。文部省、きょうは担当みんな来ておるでしょう。この報告の中にこの方も一人入っておるわけです、この表の中に。これは総理大臣に報告したのとぼくのと同じことでしょう、これ。行管庁、同じなんでしょう。同じであるとするならば、この四千二百三十九人の中の一人に入っているはずですよ、これ。そうすると、この加藤揚子さんの仕事は、「異種業務」、「十一月をこえる雇用職員のうち、」、要するに「二種類以上の異った業務に従事」してないですね、この人は。そうでしょう。これが一つ。それから二つ目、「業務の都合により勤務官署または勤務場所の変更のあったもの」、勤務場所の変更ないでしょう、違いますね。三つ目、「業務量変動(一年)」、いわゆる一年ごとに業務が変わる異種業務につく。この人はこれはこういうことないでしょう。四番目、最後の「業務量変動(数年)」、これは要するに業務量が一両年の間に多くなったり少なくなったり、事業所が廃止になったり、請負化によってほかの人がする。こういうことはないでしょう、これは。この人はどれに入っているのですか。もし、どれにも入ってないとするならば、あなた方の報告はインチキだということになりますよ。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げましたように、加藤揚子さんが具体的にどの分類に入っておるかということは、これは大学当局に当たってみないとわからないわけでございますから……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 いま大学当局が言ったじゃないの。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) いや、具体的に……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 具体的に言ったよ、いま。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) いや、ですから先生は幾つかの分類をおっしゃったわけでございますが……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 それからもう一つは「その他」というのがある。「その他」に、「上記各項のいずれにも該当しないもの」、これがある、これですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) ですから、具体的にはこれは聞いてみないとわからないわけでございますが、この場でどれかと問い詰められれば……。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 電話して調べなさい、すぐに。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) これは私は、数年の間にこの業務量が変更するという見通しの分類であろうと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 六年半も同じ職種にいるんじゃないか、そんなべらぼうなことがどこにあるか。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 あなた、もう、たとえばたった一人の人を取り上げてさえこうです。こういうふうなインチキな調査ですよ。あなた方そういうふうなインチキな調査を総理大臣に報告しているじゃないですか、文部省当局が。あなた方インチキなんです。私はあんまり言いませんけれども、私はきょうここで発言すると問題になるようなことがあるから、私はあんまり言いません。けれども、あなた方が大学当局のいわゆる臨時職員に対する考え方、どういうふうな考え方を持っているのか。私はきのう聞いてほんとうに憤慨いたしました。あなた方は、この臨時職員に対する考え方がいいかげんなんじゃないですか、ほんとうにこういう方々は、あらゆる面の保障が全くなされてない。非人道的だという話もありました。だから、かわいそうだから何とか人間並みにしてあげないとかわいそうだ。あなた方そういう考えがあるなら、行管庁の調査のときだってもっと本格的に出すべきじゃないですか。あなた方が一生懸命やらないから——行管庁はこれはもうだめなんですからね、ここはそんな権限はないですから。あなた方が一生懸命言えば、こっちだって一生懸命に総理大臣に言うのですよ。あなた方から出ているのは、定員化すべき人なんというのはゼロで出ているんです。だから、ここはしようがないんじゃないですか、行政管理庁というところはもうそんな人間味なんか入るところではないのだから、あなた方が一生懸命ならないといけないんじゃないですか。  それじゃあ私はもう一人ずつ全部やりますよ。これは全部調査して、この一人一人の仕事は、行管庁のこの分類のどれに当たるのか、一人一人調べて、そうして報告しなさい。もしそれが間違っていたら——私は全部聞きますよ、一人ずつ。私は大学へ行って一人一人の人に聞いて回ってもいいです。インチキの報告はいけません。やっぱり、ぼくは、たとえ何であろうと正確に報告をして——そうでしょう。正確に報告をして、そしてその一人一人の人たちが、ほんとうにその仕事の内容等もできるだけ——それはあんまり調べろなんというと、プライバシーの侵害にもなるし、いろいろ問題が起きますけれども、けども、そういう人たちを何とかしようという立場に立っての協力は私はしてもらえると思うんです。そういうような立場に立ってやらないといけないんじゃないですか。加藤揚子さんの問題についてはどういうふうな分類をしたのか、一ぺん電話して聞いてください。どこへ入っているのか、どうですか。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) さっそく同道して照会いたします。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 その前のことについてちゃんと答弁しなさい。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 先ほど申し上げたことにまた返るわけでございますが、現在三十六年の閣議決定というのが有効でございまして、私どもこの閣議決定に従って日々雇用職員を発令をしておるわけでございます。東京大学も、もちろんこの閣議決定に拘束をされておるわけでございます。ですから、東京大学が、ただいま違反してということばがございましたが……、(「法律じゃない、違反じゃないですよ。法治国で、君、閣議決定は法律か、閣議決定というのは何だ」と呼ぶ者あり)

塚田十一郎自由民主党

○理事(塚田十一郎君) 委員長の許しを得て御発言願います。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 閣議決定はもちろん法令ではございませんが、行政府といたしましては、最高のと申しますか、最終の意思決定でございますから、文部省、東京大学、すべてを含みまして、この閣議決定に拘束されることは当然でございまして、日々雇用職員の任用も、東京大学学長といえども、この閣議決定に従って日々雇用職員を発令すべきものなんです。しておるはずであります。私どもは東京大学がここで違反をしておるということをおっしゃるならば、これは実に意外、遺憾だと言うほかはないわけでございまして、私どもはこれ以外の形における日々雇用職員はないはずだというふうに考えておるのでございます。ただ実態問題といたしまして、先ほどもお答えをいたしましたように、臨時的、季節的な業務ではなくて、その職については定員増の措置が必要であるというものがございますれば、それは四十七年度概算要求の段階におきまして、詳しくその実情を伺った上で善処をいたしたい、このように申し上げておる次第でございます。

峯山昭範公明党

○峯山昭範君 私はとてもじゃないけれども、そういうふうないいかげんな答弁ではもう全然納得できませんよ。これは一ぺん、委員長ね、文部大臣と行政管理庁長官と人事院総裁、全部出てもらって、この問題はきちっと解決してもらわなければだめですよ。こんないいかげんなことではだめなんですよ。それまで、私の質問はこれで終わりますけれども、一応その点を留保して、私の質問はこれくらいにしておきたいと思うんですが、いずれにしましても、行政管理庁自身もこういうふうないいかげんなことではいかぬと思うんですよ、私は。もっと本気になって調査をし、それから、この間から言っておるように、行政管理庁自身が、ほんとに国民の立場に立っての行政改革でなければ何にもならないと私は思うんです。三%、五%削減にしましても、その問題一つ一つもやっぱり、ただ単に行政改革をやるために、ただそれを推し進めるだけじゃなくて、やはり庶民の立場、国民の立場に立って、そしてその行政改革そのものを推し進めていかないと、国民が圧迫されるような行政改革やっても何にもならないと私は思うんです。  一応これだけ申し上げて、これ以上問題の進展がありそうにありませんので……。文部省当局は一人ずつ調査して報告してくださいよ。ちゃんと全部。よろしいですね。四千二百三十九人おりますから、全部調べて報告してくださいよ、ちゃんんと。よろしいですね。じゃ、私の質問はこれで終わります。   〔理事塚田十一郎君退席、委員長着席〕

上田哲日本社会党

○上田哲君 委員長、関連。同僚委員のそれぞれの質問の中で、非常に具体的な問題に立ち至らなければ解決ができないということが明らかになりましたし、委員長の取りはからいによって、この問題をきわめるために、関係閣僚その他に全部来ていただいて、ひとつ、しっかりした結論の方向を導き出したいということでありましょうから、その前提として一言だけ、基本的な考え方をきちっと伺っておきたいと思います。  私の感想からすれば、大学当局あるいは文部省、行管、ここには出席をされていない関係各省庁が、一体どこに、だれもが認めているこの矛盾といいましょうか、欠陥といいましょうか、そうしたものの、まことに果てしもない連続の行政を、どこが主体となってやっていくのか。それぞれがどうも譲り合っているようにも思われるし、それぞれがかばい合っているようにも思われるし、もっとはっきり言えば、それぞれが逃げ回っているようにしか思えない。そういう谷間の中で、こういった具体的な苦しみを持つ人々が進んでいる、進行していると思うんです。  そこで山田参考人にお伺いをいたしたいんですが、その根底に、現実にそうしたしわ寄せを受けている人々のための人権回復といいましょうか、こういう立場を最重点とされて問題解決、定員増と言われているわけですが、問題解決をはかろうとされておるのか。あるいはきょうのお話の冒頭にるるございました農学という研究の体制的な広がり、その奥行き等からして、非常に大きな研究体制の充実のためには人が要るんだ、これでは研究ができないんだ、学者の立場、あるいは学問、行政の具体的な指導者の立場におられるところから、研究体制の充実という点からこれを最重点として問題解決をはかろうとされておられるのか。あるいはこの二つの問題を全くフィフティー・フィフティーに対等のものとして解決されようとされておられるのか。その基本的な姿勢、考え方と御見解を承っておきたいと思います。  それからなお、この見解のあと、文部、行管当局からも、それぞれの御見解をあわせて承りたいと思います。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  私、これは学部長としてということよりも、個人の意見がだいぶ入ると思いますが、私はこの問題は、全く定員職員と同じ仕事をやらしているのにもかかわらず、臨時職員であるというところに問題がある。したがいまして、これは人権問題だと考えております。それでありますから、これはどうしても定員職、非常勤的な人に常勤的な仕事をさしておるということ、このことを問題としているわけでございます。ですから、いまの先生の御質問に答える意味では、私は第一にそれを考える、人権問題であるように考えております。  しからば、仕事の上のことを全然ネグるかということになりますと、これはもう全然問題ございません。私、申し上げることは、そういうことも当然考える。これは一研究者としましては、私らやはり研究をやって、世界的なレベルで人に負けないようにしようという気持ちは大いにある。ですから手足がほしい、助手だって一人でもほしいし、自分でも実験を手伝う助手もほしいし、機械の分析をやってくれるオペレーターもほしいということでございます。これも当然でございます。しかしウェートは、フィフティー・フィフティーということじゃなくて、何%ということは申し上げられませんけれども、主として私は人権問題としてとらえています。  ですから、今後もそういう意味で、ぜひひとつ、これは先ほど来お話ありますように、ただ臨時職員を定員化するという気持ちじゃなしに、ぜひひとつ文部当局にもお力添えいただきまして、私らも加藤総長と、これは東京大学においては人事の問題は加藤総長一本になっておりますので、先ほどおっしゃったように、文部省にも伺い、また、先生方にもアクティブに働きかけてお願いするという形で定員化していく、臨時職員を定員化していくという形じゃなしに、定員増をぜひお願いしたいと、こう考える次第でございます。繰り返しますと、私はこれは人権問題だと考えておりまして、そちらに主力を大いに将来ともやっていきたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 はっきりいたしました。何としてもおことばの中にありましたように、世界的レベルで誇ることができるような研究をしたい、これは学者としては当然のことでありますし、社会の負託もまさにそこにあると思います。それを片方にかかえながら、しかし、これは一つには人権問題だ、こうお考えになっておられ、その方向で解決をされることが、もうすでに差し迫ったぎりぎりの課題である、こういうふうに受け取りをいたしました。それをその立場から具体的に行政がついていくということがほんとうのあり方だと思うんですが、行政はこれをはばむということになっては、本来の意味を失うことになるだろうと思う。ひとつ文部省、行管、それぞれの立場から、山田参考人のそうした基本的な見解について同意見であるのか、違った見解であるのか、もし同意見であるならば、どのような決意をお持ちなのか、ひとつ伺っておきたいと思います。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) ただいま山田農学部長からお話がありましたように、学者として最高の研究を行ないたいというお気持ちは、まさにそのとおりだと思います。私どもぜひそうあってほしいものだと思いますが、しかし、一方残念ながら国の予算措置なり……。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 弁解を聞いているんじゃない。

上田哲日本社会党

○上田哲君 もっと違ったことを……。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 結論を申しますと、常勤職員をもって処置すべき職務内容につきましては、先ほど来申し上げておりますように、増員の方向で大いに努力をしてまいりたいということでございます。

河合三良行政管理庁行政管理局長

○政府委員(河合三良君) 臨時職員の問題につきましていろいろと問題が出ておりますが、ただいまのお話につきましては、これは、ただいま安嶋官房長のお話のように、任命権者である文部省あるいは東大総長及び文部省の御相談、御検討の上で、これは増員を要するという御判断になりまして、そういう御要求がありました場合には、私どもも十分にこれを検討いたすべきものというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 最後に両参考人に念を押し、かつ御意見を承っておきたいと思います。  私の手元に二つの手紙と申しますか、いただいております。これを記録にもとどめておきたいし、これに対する御所見を承って、参考人に対する質疑を打ち切りたいと思います。よくお考えになって正確に御答弁を願い、御答弁になったことは必ず実行をしていただきたいと思います。  第一点が、「従来、農学部職員組合(以下農職)と農学部長との交渉は定期的ないし、要求がある場合には随時行なわれてきた。定員外職員問題についても、農職は長年交渉をかさねてねばり強く闘ってきた。このような積みかさねによって定員外職員の定員化にとって重要な確認を二月十八日に勝ちとった。」、要するに合意が成立したという意味でございましょう。その合意とは、「確認書削減用ポスト三および空ポストを即時定員化に使う。高橋さん(七年目、園実)朝妻さん(七年目、図)大貫さん(七年目、水産)を削減用ポストで定員化する。完全定員並待遇を即時実施する。こまかい点については今後さらに交渉する。一九七一年二月十八日 農学部長代理藤巻正生農職委員長志村博康」  これを御確認になりますか。実施に責任を持っておやりになりますか、どうですか。御意見を承りたいと思います。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  実はちょっと私たちのことになりますが、私が三月の初めに学部長になった、その前の学部長が病気なさいまして、そのかわりに藤巻教授がなったということでございます。そのときに確かにそういうお約束ができておった。そうして、それを第一次削減をわれわれのほうの三人のポストが返上できていただけるというようなことだったのでございますが、それが実際不可能になってしまったという事実があるわけです。私たちはもちろん組合の意向を尊重するわけでございますけれども、そのままそっくり受けてお約束できるということはなかなかできなかった事情がございます。それは学部の主任会議及び施設長の合同会議ということでこの問題はきめておりますし、また人事の問題は、それらの意向と組合の意向を考慮してやるということを基本線にしておりますので、何回にもわたって交渉したわけでございますが、なかなか組合と意見が合わなかったという事実がございます。したがいまして、組合の言われるとおり、今後もそれをやっていくということは、ここでお約束できませんけれども、組合の意向を十分考慮して学部長がこれをきめていくのだ、人事の問題は学部長の責任と権限でやりますので、そういう言い方は冷たい感じでございますけれども、十分組合の意向を考慮してやっていくということをお約束しよう、これを確認事項の第六項目の中に入れておりまして交渉しております。明日も組合の方と予備折衝的なことをやることにきめておりますし、今後もできるだけ組合の意向はなるべく考慮してやっていきたいと考えておりますけれども、組合のおっしゃるとおりにはなかなかならないこともございます。  たとえば園実というのは園芸実験所の略でございますが、ここにおります方は、組合は、非常に古いからやれということは当然でございます。組合としては古い方を優先させようというのは私は当然だと思いますが、たとえば、一例でございますけれども、公務員試験を通った人がおられて、そこの園芸実験所の所長は、ぜひその人を先にしてくれというような希望も出ておる、そういうようなこともいろいろありますので、私らは、先ほど申し上げた学科主任及び施設の長との合同会議でも考えておる。いまその定員化の問題はルールをきめておる最中でございます。早くそのルールがきまりますれば、組合とも非常に話がうまくいくのでございますが、前執行部とのまだ未解決の問題をかかえておるがゆえに、たいへん組合の方等にもいろいろ御迷惑をかけております。しかし、基本的な態度としては、なるべく組合の意向も考慮してきめていく、こういう線は将来堅持していきたい、こう考えておる次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 何か御事情があるようなことをおっしゃいましたが、次にこういうことを述べておる。「しかしながら、二・一八確認を具体的に煮つめようとした二月末に、二・二五教授会乱入、学部長室座り込みなどの暴力的な共闘系一部分子の盲動によって、また彼らの暴力的な追及をのがれて、当局は学外に逃れてしまった。そして三月十日になり、前学部長川田教授の病気を理由に、学部長が交代し、現在の山田浩一学部長が選出されてきた。山田学部長は「学部長室」という補佐を一方的に設けて管理体制の強化をはかってきた。」、「農職は農学部に働く労働者の多くの要求、とりわけ定員外職員の定員化を要求して交渉を申し入れてきた。しかしながら農学部当局は共闘系分子の盲動を理由に交渉を実質的に二カ月以上も拒否しつづけ、ようやく四月二十一日に学外で交渉が実現した。しかし、この四月二十一日の交渉も学外であり、会場の問題を理由に、不当にも人数制限や時間制限をおしつけ組合弾圧の意図を明確にしてきた。それ以后、農学部長は「時間的余裕がない」ので組合とは会えないと一方的に通告し、数度にわたる農職の交渉要求を拒否しつづけている。農学部長は言葉では「定員外問題を解決したい」とは「誠意をもって交渉する」などと言っても、それは空念仏にすぎず、真に定員外問題を解決して行こうとしているとはとうてい言いがたい状態である。」と批判をしておりますが、今後誠意をもって組合との話し合いに対処されますか。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  先ほど先生のおっしゃった最初の部分でございますが、残念ながら、いま東京大学の農学部のキャンパスは、奥に地震研究所があり、まん中に応用微生物研究所がありまして、私たちの門の前におります農学部と、この三つのグループが同じキャンパスに同居しておりまして、昨年の六月ごろから、この定員の問題、非常勤職員の問題、非常に重要になってきて、応用微生物研究所でだいぶ問題が起きたのであります。その後に八月になりまして、地震研究所で不慮の事件が起きまして、この問題が非常に急速に問題化され、そして現在の状態になっている。農学部にも火が移って、二月の二十五日にわれわれが教授会を開くというときに、共闘系の諸君に乱入され、占拠がされ、いまだにわれわれが中に入れないという残念な状況が起きております。  したがいまして、私らが教授会も主任会議も、何も中で開けない。これは早急に何とかしなければならないと、いま努力はしておりますが、そういう状態でございます。そういう状態がありますので、組合とも残念ながらしょっちゅうお会いすることが当然できない。私があたかも組合と会うのを拒否しているように言われますけれども、必ずしもそうじゃないのでございまして、事実、私も努力はしておりますけれども、予備折衝という形で意見を聞いております。  ただ、いろいろ意見の食い違いがございます。私たちは、組合から出した六つの項目について、文章を直して、われわれがそれを両者の確認事項にしたいということでやっておりますが、その点がなかなかうまくいかない。それからもう一つは、従来非常に大ぜいの人で、何百という人と一緒にやるというような形式ですと、ただ学部長が疲れてしまって、何も実のある討議にならないという事実も一つございます。それで私たちは、東京大学の確認書の線で、むやみに人数を制限することはいたしませんけれども、適当な制限をお互いにやって話し合おうじゃないかということをプロポーズしておるというのが現状でございます。  したがいまして、最後の御質問でございますが、私は、組合を全然ネグって、独裁的な政治をやるというようなことは考えておりません。ただ、そういう状態でありますがゆえに、学部長室というものをつくりまして、これはかってにつくったのじゃなくて、教授会の決議によってつくっております。そして五、六人の人と私は学外にありまして、いま指揮をとっておるという状況でございます。重ねて申し上げますが、組合の意向を全部ネグり、私が独裁的に何かやるということは考えておりませんけれども、ただ、そういう特殊な事情があるゆえに、たいへん組合に御迷惑をかけておるということは率直に認めたいと思っております。  以上でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 次に、「農職は、農学部長に対し、反動的、管理者的態度をすぐやめ、組合との交渉にすぐ応ずるよう要求している。私たちは、時間制限や人数制限のない正しい交渉によって、その交渉の積みかさねによって以外、定員外問題の真の解決は出来ないと考えている。さらに私たちは、農学部長は、農学部に働く労働者の、とりわけ常員外職員の声をよくきき、十年近くもの長期にわたって不当な差別を強いられてきた定員外職員の実態をもって、さらに政府、文部省に大巾増員の要求を行ない、全員定員化を行うよう要求している。」  いろいろ資料が添付されておりますが、ただいまの学部長の御答弁は、誠意をもってもちろん当たる、かような御発言でもあり、本組合は建設的かつ具体的に、穏当に話し合おうとしている態度をお認めになって、との問題の早期話し合いと解決のために最善を尽くされることを強く御要請を申し上げますが、対処していただけますか。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  先ほど先生のお話の中にありました、人数も制限せず、時間も制限しないというやり方、これは相当問題があろうかと私は考える次第でございます。非常に多くの人と、ただわあわあ言って、農学部長だけが一人答えるという立場が、従来、この数年間あったようでありますけれども、私らはその態度はとりたくないと考えております。ただ、組合と将来話し合う機会はぜひ持ちたいと考えているわけでございまして、その点はお約束します。ただ、いままでの習慣どおりやれ、前執行部もやったとおりやれということに対して、われわれは、やはり相談して、われわれの態度を打ち出していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。その点だけ申し上げておきます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 要するに、組合の執行部とあなたが誠意をもって話し合いをされ、人道上の問題である、人権上の問題であると、先ほど述べられた趣旨に基づいて、話し合いをすみやかに開始され、そうして具体的に解決をはかられるよう御努力なさることを私は期待をいたしておるわけでありまして、あれこれといままでの経過にとらわれることなく、率直に、誠実にお話し合いの場を持たれることを強く要請しておるわけでありますが、その点について、陳弁はよろしゅうございますから、イエスかノーか、この点を誠意ある御答弁を求めておるのであります。

山田浩一東京大学農学部長

○参考人(山田浩一君) お答え申し上げます。  組合の執行部とは今後とも誠意をもって話し合って、この問題の解決に努力いたします、と申し上げます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 最後に、私の手元に七人の東京大学の教授の連名の手紙が来ております。名前は省略いたしますが、委員長にも申し上げます。特に同僚議員にもお聞き取りをいただきたいと思います。  「定員外職員(いわゆる臨職)の定員化について」という手紙であります。  「昭和三六年二月二八日の閣議決定により、昭和三八年以降は常勤的定員外職員の定員化はいちじるしく困難になっております。特に一昨年の「行政機関の職員に関する法律(いわゆる総定員法)と現在実施中の定員五%削減の計画によって、常勤的定員外職員の、定員内職員の退職に伴う定員化の機会が極めて少ないものとなっております。」、つまり自然退職の補充をしないということを問題にしておるわけであります。  「国家公務員の数の野放図な増大を避けなければならないことはいうまでもなく、教育機関といえども職員の能率向上と事務の簡素化をはかり、定員増の必要を極力押えなければならないことは私どももよく存じているところであります。しかしながら、東京大学、特に農学部の実情においては、下記の理由により事務量はますます増大し、このため常勤的定員外職員数も著しく増大しております。一、昭和三六年七年当時に比較して大学院制度が完備し、このための事務量が増大したこと。二、新制大学制度の主旨を生かし、図書館などを整備したため、そのための定員増が必要になったこと。三、学術の進歩に伴い、実験用機器、設備などが著しく増大、高級化し、そのための管理要員が必要となったこと。」、これは山田部長が先ほど陳述されたことと一致していると思います。  これら定員外職員の待遇を定員内職員なみとすることは現行制度の下では著しく困難であり、またそのためにこれら職員の勤労意欲が十分でない場合がしばしばあります。そして常勤的定員外職員の問題は大学、学部の管理運営上の最大の問題の一つとなっております。私共はこのような現状の打開には定員増以外に方法がないと存じます。また、このような情況に対処するために「総定員法にたいする参議院内閣委員会の付帯決議二、三」がなされたものと存じております。実情調査のうえ、十分な御配慮を賜りたく、お願いする次第であります。」、三月十一日付であります。  以上、あえて私は記録に載せるために朗読をいたしましたが、本委員会の附帯決議二項、三項に寄せておる期待はきわめて大きいのであります。現在これ以外にわれわれは追及をしていく根拠がきわめて薄いのであります。きわめて壁は厚いのであります。したがって、国会がこの切実な人権問題、人道問題にすらこたえ得ないというような形になりますといたしますならば、国会の形骸化は国民の指弾を受けるでありましょう。したがって、委員長におかれては、本日提起された諸問題解決のために相当の時間をさき、本問題解決のために、そしてその促進と実現のためにはかられるべき重大な職責があると考えまするが、委員長の御所見なり対案をお聞きをいたしまして、私は本日の質疑を打ち切りたいと思います。委員長の御所見を承りたい。

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) ただいまのお考えに対しまして、私自身も切に強くそういう気持ちに動いておるものでございます。したがいまして、この問題の解決につきましては、委員会もでございますけれども、その他の方面におきましても、できるだけの努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございますから御了承願います。  両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。  本案に対する午前中の審査はこの程度にいたし、三時まで休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  ただいま参考人として京都工芸繊維大学学長藤本武助君、中央蚕糸協会会長山添利作君が出席されております。  両参考人には、御繁忙のところ本委員会に御出席いただきありがとうございました。ことにたいへん時間がおくれたことを恐縮しておりますが、あしからず、ひとつ御了承願います。  それでは京都工芸繊維大学繊維学部養蚕学科の廃止問題について、両参考人に対し質疑の方は順次御発言を願います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 ちょっと足腰を痛めておりまして、すわったままでほんとうに恐縮でございますが、参考人の皆さま、政府委員の皆さんもおすわりになったままでけっこうでございますから、どうぞひとつ。  京都工芸繊維大学の学科の改廃問題について、参考人並びに関係当局にいろいろとお尋ねをいたしたいと思います、私は不敏な者でありまして、ときどき荒いことばを使いますが、別に他意はございませんので、あまり腹を立てられないで、ひとつお聞き流しの上お答えをしていただければ幸いだと思います。  最初に、きょうは文部大臣が御病気のためにおいでになっておりませんので、村山大学学術局長に伺いますが、文部当局を代表して御答弁いただけますね。官房長も大臣になったおつもりでひとつ御答弁いただけますね。——それでなければ進行しませんよ。

安嶋彌文部大臣官房長

○政府委員(安嶋彌君) 本件につきましては大学局長が大臣にかわって……。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 じゃ、それでいきましょう。  最初に文部当局に御見解を承りたいと思いますが、大学自治の内容とその限界について伺いたい。大学は高等教育機関であるとともに研究機関である、かように私は考えておるものでありますが、社会制度としての大学の自治について文部省の御見解をまず承りたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 大学は、法律上もそうでございますし、それから、法律以前の問題といたしましても、社会的に最高の学問の教育研究機関ということに世界的にも相なっておるわけであります。そういう特色からいたしまして、大学につきましては、その目的とするところの教育研究活動については、自主的に研究対象であるテーマを設定するとか、それに基づいて教育研究活動を行なうとかということにつきまして、いわゆる自治が認められておるわけであります。で、これは必ずしも法規に基づく制度というよりは、それを含めまして背景をなすところの大学の使命から、社会的に、あるいは歴史的に成り立っておるものでありまして、一口にどの範囲が大学の自治であるということを御説明することはたいへん困難かと思います。この問題につきましては、ときに争いがございまして判例などもございます。ある事件に関しまして最高裁判所までいった判例もあるわけであります。それらを引用しつつ申し上げますと、制度的に大学の自治が一番成文化しておりますのは国立大学の人事に関してでございまして、ここでは、たとえば学長あるいはその他の教官の任用ということを一般国家公務員法の原則だけによらずして、それぞれのまあ大学のしかるべき管理機関がみずから選考し、大学の申し出に基づいて文部大臣はこれを任用するというような制度になっております。これがまあ制度的に大学の自治の根幹をなすものと考えられます。そのほかにも明文上は必ずしもどこに根拠ということはございませんけれども、たとえば、先ほど申しましたように教育研究のためのテーマを発見し、これを教育研究活動に展開するというような過程におきましても、たとえば大学設置基準というような法令的な基準もございますけれども、これはきわめて大まかな大綱を示すにとどまりまして、その具体化のほとんどは大学の自主的決定にゆだねられております。それからまた、これは判例にもございますけれども、大学のキャンパス、施設の管理などにつきましても、これが社会公共の利害と衝突しない限りにおいてはある程度の自主、自治ということが認められているわけであります。一番問題となりますのは、たとえばこの大学の学部、学科の設置でありますとか、あるいは予算の執行でありますとか、そういうような問題になりますと、これはこの教育関係の法規だけではなしに、この会計法でありますとか、財政法でありますとか、そういう国家の一般法規の規制もございます。また予算、財政というようなワクもございます。そこで、まあ大学の自治というものは、そういうもののやはりワク内の自治ということに相なるわけでありますが、これは文部省としての慣行的な行政的態度でございますけれども、このような事柄につきましても、原則的には大学側の検討の結果を文部省で承りまして、それを大学問のバランスでありますとか、社会諸般の情勢からする緩急順序でありますとか、国家の財政の都合でありますとか、そういうことを勘案いたしまして、大学と合意の上で措置をするというようなやり方をやってまいっております。大学自治いかんという大へん広範囲なお尋ねに対しまして、短時間でとうてい尽くさないわけでありますけれども、ごく要点をかいつまんで一応御説明を申し上げました。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 大学の自治は、わが国において学部の自治を中核として認められてきておるのでありますが、最近、大学における研究教育の分野の多様化、社会的意識の発展、大学の大衆化に伴い、大学自治の理解は次第に多くの問題を内包するに至っておるわけであります。すなわち、学部を基盤とする大学の自治は、国家権力からの学問の自由を保障する条件だと私は考えるのでありますが、私は教育専門家ではございませんが、このような理解で進んでまいったものでありますが、そのことは、教育専門家の独善を克服して、国民的、社会的要求と研究教育の結合をどのようにはかり得るかということが今日的課題となっておると思いますが、この点について藤本参考人の御所見を承りたい。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私は流体力学を教えておりまして、式とか、そういうものをやっておりまして、おしゃべりをするのが非常に、話をしますのがまずいわけでありますが、ただいまの御質問につきまして、大学というものは学問の研究及び教育が使命でありますけれども、同時に、社会に対する使命も十分考えて行動すべきものと私は考えております。ことに私の大学は技術系の大学でありますので、社会の要請には十分こたえなければならないと、こういうふうに考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 御所見を承ったわけでありますが、私は先ほど述べましたような見解のもとに、大学の自治はあくまでも国家権力からの学問研究の自由を保障する、それが大学の自治の条件として一般的に理解をされておると思うのでありますが、その点はただいまの参考人の御所見と必ずしも背馳しておらない。しかし、社会に対する使命も、あるいはその要請は、技術系大学としての独自の立場のあるという御見識を御発表になったことはけっこうでありますが、そういう見地から申し上げますならば、より根本的には大学は学問研究の自由を保障すると同時に、これは大学のための学問研究の自由ではなくして、大学自体が国民のものであり、大学の自治も、その権原も国民に依拠するものであって、国民的、社会的要求と遊離して存在し得ないものだと解してよろしいのでありますか。ただいまの学長の御所見はいかがですか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私は、私の大学が技術の関係の大学でありますから、社会の要請には十分こたえなければならないと思っております。けれども、純学問というものについて考えますというと、それは必ずしもそうでない場合があろうかと私は思います。たとえば、こういう例をとって悪いかと思いますが、サンスクリットというようなものがございます。これは今日の社会ではそれほど皆に、一般の方々に役立つものではありませんけれども、しかし、学問としてはやるべき値打ちのあるものであると、私はそういうふうに感じております。ですから、そういう面において社会と遊離しておるような感を与えるものもあるかもしれないと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 現行法においては国立大学等の学部、学科等の設置、廃止について、どのように国立大学の場合規定をいたしておりますか。その基準内容を御説明願いたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 純然たる大学の設置の場合でなくて、すでにある大学で学部、学科を増設する場合ということで御説明申し上げますが、そういう場合には、すでに大学が存在しておるわけであります。そこで、そういうものをつくるかどうかという場合には、第一次的にはやはり当該大学の判断、希望というものを基礎として文部省と十分協議をいたします。なお文部省としては社会的な諸情勢を見まして、たとえば社会的に人材が不足しておるような分野、あるいは学問研究についてさらに拡充を必要とされておるような分野につきましては、あらかじめ大学に、こういう分野についての学部あるいは学科の設置というものは非常に歓迎する、それから、しからざるような分野については必ずしもその緊急性がないのではないかというような両方の伝達をいたします。大学はそういう内外の情報とみずからの判断とで学部、学科などの設置の企画をいたします。で、大学と文部省とは十分協議をいたしまして、これは進めようということになりましたものにつきましては、まず予算の概算要求という形で措置をいたします。予算の概算要求が政府原案ということで国会に提出されるに至りますと、学部につきましては、これは国立学校設置法につきまして必要な改正の措置をいたします。学科につきましてはそのような立法措置まではいたしません。で、予算並びに学部については、法律が成立いたしますと、具体的に学生募集その他の措置をいたしますし、それから具体的に建物をつくるとか、あるいは設備を整えるというような行財措置が伴うわけであります。なお、具体的にどのような規格でつくるかということにつきましては、一般原則としては、先ほど申し上げました大学設置基準がございまして、大まかなものはきまっております。それからすでに同種の学部、学科が国立大学として存在しておるものにつきましては、そういう既存のものの前例ということも一つの参考になります。それに大学としての新しい考え方も場合によっては加えるわけであります。そういうことで構想自体を練り、予算、それから立法、行政というような措置を順次進めて学部、学科をつくるということになっております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 関連して伺いますが、国立大学の学部の設置、廃止については法律事項ですね。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) そのとおりでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 学科、講座等については何によるのでありますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 学科、講座、研究施設等につきましては政令以下の段階あるいは行財政措置によって措置をいたします。立法は伴いません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 京都工芸繊維大学の場合の学科、講座等の場合も、その技術系たるを問わず、人文科学系たるを問わず、政省令に依存しておると解してよろしいのでありますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 大学によって区別はございません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 といたしますと、学部の設置は、あるいは改廃は、国民の代表たる国会の監視ないしは審議、同意を要するものだと判断しても言い過ぎではないと思います。このことは、政省令に委任されている学科、講座の改廃についても、学部の場合に準じて十分な配慮と手続のもとに行なわれるべきものだと私は思考いたしますが、この点について文部省はいかにお考えになりますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 国立学校の学科、施設等、これは当然職員の定員、それから物件費の予算などを伴いますので、すべて予算にかかわります。そういう意味合いにおきまして、学部と比較いたしますと、形式的には異なっておりますけれども、実質的にはささいなものといえども、慎重な配慮のもとに措置せられるべきものと心得ております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 といたしますならば、私の指摘したとおりだろうと思いますが、現実には国立大学の学科等の改廃が、大学自治の名に隠れて大学関係者の一方的な判断によって独善的に行なわれていいということはないと思いますが、いかがでありますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 先ほど御説明申し上げましたように、学科以下の改廃につきましても、まずもって大学が自主的に判断をいたしますが、それだけでものごとが済むわけではございませんので、文部省と協議いたしますし、それから予算という形で政府レベルでの検討がなされ、また予算でございますから、間接的でございますが、国会の御審議を経るということになっているわけであります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 ことに国民生活に大きな影響を及ぼす学科等の改廃にあたっては、地域の住民、関係業界等からの十分意見なり要望を聞いてその反映につとめるべきだと考えます。藤本参考人の御所見を承っておきたい。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 地域関係者あるいはその産業の方々の御意見を参考にするということは十分やるべきことであると考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 国立大学等の学科等の改廃問題について、文部省はいかなる基本方針のもとに今日まで具体的に対処してまいられましたか。たとえば京都工芸繊維大学養蚕学科廃止の問題に対して具体的に御説明を願いたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 学部、学科の設置、廃止、改廃等につきましては、一般論といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、内外の動向などを文部省としては察知いたしまして、大学に情報として流し、奨励すべきものは優先的に取り上げると、しからざるものについては第二次的に扱うという一般的な取り扱いでございます。で、御指摘の京都工芸繊維大学繊維学部養蚕学科の問題につきましては、実はこの同種の学科が国立大学として全国に三つございます。で、養蚕関係の客観情勢といたしましては、現在では若干様子が異なっているようでありますけれども、十年くらい前には何か改善を必要とするのではないかというようなことからいたしまして、関係の学識経験者の御意見も徴しました結果、蚕糸の教育は非常に重要ではあるけれども、量的には必ずしも大きなものを期待する必要はないので、むしろ現在のように——現在というのは当時の時点でありますけれども、三カ所でそれぞれ必ずしも十分でない教育をやっているよりは、どこか農学系のところとの関連において一カ所で充実をした教育をやったほうがいいのではないかというような御意見をいただいたわけであります。ただ、そういう御意見に基づきまして具体的にどの大学がどうするということにつきましては、それぞれの大学の御意見もあるわけでありますから、その後、さらに当事者において御検討願うことといたしておりました。  なお、その御意見は昭和四十年にちょうだいしたわけでありますけれども、その当時、御指摘の京都工芸繊維大学の養蚕学科につきましては、自分のところは統合などする必要はないので、独自にこれを守って発展さしていくというような御意向であったように承知をいたしております。文部省としてもそれぞれの大学に御検討を願うこととし、何か決定的な結論を出すことなく今日に至っておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 山添参考人に伺いますが、いま学術局長が述べられた、大学における蚕糸学教育の改善について、いまからおよそ七年前、昭和四十年三月、文部省大学学術局が出されましたものがありますが、ごらんになったと思います。大学における蚕糸学教育の改善に関する会議の議長横山忠雄君が大学における蚕糸学教育の改善について結論を出しておられますが、当時におけるわが国の蚕糸業と今日における蚕糸業のこの七年間の推移はいわば大きな激動期であったと思います、また、将来も大きく動く要因が多分にあると考えますが、ただいま聞けば、統合問題については京都は独自に判断をするのである、この方針でまいられたというお話でありますが、中央蚕糸協会として、この昭和四十年における情勢と今日の情勢を対比して、京都工芸繊維大学の養蚕学科廃止の動きについていろいろ情報を得ておられるでありましょうし、これに対する御所見がございましたならば、この際伺いたいと思います。

山添利作中央蚕糸協会会長

○参考人(山添利作君) 団体におきまして、蚕糸教育の制度につきましていろいろ研究をいたしまして要望を持っておりました。その結果、これを文部省に移し、文部省で専門家の御意見を徴されたと、こういうふうに私は承知しておるのでございますが、国体においてなぜそういうふうに蚕糸関係の学問についての学制について問題を取り上げたかと申しますと、これは御承知のように、日本の非常に最近における経済進歩、特に技術とか、あるいは工業の進歩ということに伴いまして、いわゆる三つの昔からございます伝統的な蚕糸業に関する研究教育をあずかっております学校におきましても、だんだん他の工学系の学科に押されてくると、こういう事情がございまして、ところが、蚕糸関係といたしましては、やはり蚕糸関係の研究教育はこれをあくまでも維持してもらいたいと、こういう希望、それにはどういうふうにしたらいいか、あまり戦線が広がっては、これはなかなか問題がむずかしいので、これを集約して蚕糸の教育並びに研究を拡充していきたい、こういう意図並びに希望に基づくものでございます。そういう一般的な状況並びに希望は変わっていないと思いますが、蚕糸自体の、先ほど足鹿委員から御説明の、七年前と現在と蚕糸自体の状況がどう変わっておるかということでございます。申し上げるまでもなく、蚕糸業は日本の伝統的な古い産業で、世界的にいってもこれはもう卓絶した技術水準にあると思うことは間違いないのでございますが、かつては、戦前ならば国の非常に大きな産業でありましたが、今日は他の分野の発展によりまして国民経済の中における比重は下がっております。しかしながら、依然として蚕を飼っておる農家は四十万戸、これらはいわゆる山林農家ですか、山林の分野の戸数あるいは漁業、これも大体似たようなもの、それだけの原始産業におけるウエートは保っておるのでございまして、非常に大ぜいの人がこれに関係をいたしておる。いわんや、それから生糸になり、あるいは織物になりという過程まで含めますと、これは関連する人たちの数は非常に大きなものだと思います。一方、生産の数量でございますが、最近の五年間をとってみますると、ちょうど五年前には三十二万俵ぐらいございましたが、昨年あたり四十万俵、生糸の国内の消費でありますが、これが八万俵、年率に直しまして大体四、五%の増加を示しております。世間では一時よく斜陽産業というようなことばも言われたのでございますが、国民の所得増加に伴いまして国内における需要も非常にふえておるのであります。したがって、七、八年前には輸出を七、八万俵もいたしておりましたが、現在は逆に輸入のほうが七万俵を突破するであろうというような状況になっておりまして、全く国内生産では追いつかない、消費は伸びると、こういう事情に相なっております。むろん消費というものは無限大のものではございませんけれども、考え得る当分の間におきましては、これは年によってよけいふえるときあり、横ばいのときとございますけれども、まず大体四、五%はふえていく、こういうことになっておるのでありまして、これは見方によりまして、ほかのものと比べれば何だという御感想もあろうかと思いまするが、蚕糸自体が、あるいは農業生産そのものの中におきましては、相当まあ、あまり強く私が言うのはぐあいが悪いのですけれども、伸びつつあり、かつ伸びるべき可能性を持った産業だと、かように考えておるわけであります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 したがって、昭和四十年三月の横山答申、この時限における段階と今日の段階においては情勢の大きな変化と推移がある。こういうことは専門の山添参考人の御意見として承った、かように理解してよろしいですね。——わかりました。  そこで、藤本参考人に伺いたいのでありますが、養蚕学科の改組について、あなたは昭和四十四年十二月、突如として提起をされたと聞いております。すなわち、農学系の蚕糸学科を廃止して工学系の学科に改組をせんとされたそうでありますが、その動機、その理由、構想は何に基づかれますか、御所見を承りたい。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) おことばを返しましてはなはだ申しわけございませんが、四十四年の十二月に私が突如として何か言ったというおことばでございますが、これは全く事実に反します。もし御必要でしたらそれまでの経過を私から申し上げますが、いかがでございましょうか。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 ちょっと待ってください。かりに十二月が昨年の一月であるにせよ、若干の時間的ズレはともかくといたしまして、あなたは、当大学教授会は繊維学部の養蚕学科の廃止を強行採決をされた、その方針のもとに文部省との間で折衝を行なっておられると聞いております。先ほども村山さんは、文部省との合意、協議ということばを使われましたが、いずれにせよ、昭和四十四年十二月ごろから昨年の一月ごろにあたって、教授会に対して現在の繊維学部、この中には養蚕学科、繊維工学科、繊維化学科、三学科を農学系にするか工学系にするかを決定せよと学部教授会に強要をされたと言われておりますが、あなたはそれを御否定になるのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私はそれを否定いたします。私はこの大学に昭和四十一年六月一日に就任した者であります。それ以後、例の蚕糸教育に関する答申等を見ましたし、また他の専門家の御意見もいろいろ聞きまして、養蚕学科の状態がどういうものであるかということがわかってまいったのであります。四十二年に初めて養蚕学科の教授と会いまして、養蚕学科をそのまま存続するのであれば、内容を大学らしいものに改善する必要があるということを伝えたのであります。それは四十二年の四月二十八日であります。その後、四十二年の十一月一日に繊維学部長が交代いたしましたので、これは普通の大学ではやらぬことでありますが、特に私は自分の書面を繊維学部長に出しまして、養蚕学科の問題につきまして、これを存続させるならば、大学らしい教育をする必要があるということを、したがって、内容を改善する必要があるということを学部長に伝えました。学部長は、学部の教授にこの点について十分説明をしたと思います。その後まだ幾つかございますが、決して四十二年十二月十二日に突如として私がそういうことを申したのではありません。  実は四十四年の十二月十二日より一週間ほど前でありますが、繊維学部長が私のところへ参りまして、繊維学部に対する学長の見解を教授会で述べてほしいということを言うてこられたのであります。私は、繊維学部の状況について自分の見解を述べることは、養蚕学科の問題が出てくるというので私はやりたくないと繊維学部長に申しました。しかし、再度ぜひ来て話してほしいというので、十二月十二日に繊維学部の教授会に参りまして三点について話しいたしました。  その一点は、まことにお恥ずかしい次第でありますけれども、私の大学の一方の工芸学部はりっぱに大学として責任を果たしておると思いますが、繊維学部におきましては必ずしもそうでございません。注意いたしましたことは、人事、ことに教官任用について慎重な行動をお願いするということが一点でございます。もうこれ以上申し上げなくても、そういうことを申しました事情はおわかりいただけると思います。  いま一点は、学部長の選出その他の委員等の選出にあたって必ずしも大学らしい明朗さを持っていない、それを指摘いたしました。  それから第三点が、養蚕学科の問題について、いままで私が繊維学部に伝えたことをもう一度繰り返して、どうされるかということを聞いたのであります。  それ以後につきましては、これは学部みずからが十二月十二日以降、連日教授会を開きまして決定したことでございまして、それに学長は何ら干渉はいたしておりません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 昭和四十四年十二月十二日に、あなたは繊維学部教授会に出席をされ、繊維学部を農学系にするか工学系にするかについて年内に決定しろと爆弾宣言を行なわれたことは、先般、京都において蚕糸教育振興会において皆さんが確認をしておるところでありますが、あえてこの事実と異なったことをお話になったようでありますが、われわれは根拠なくしてさようなことは申しません。これは厳たる事実であります。あなたが参考人として強弁をなさいますならば、本委員会は証人として召喚をし、あらためて誓紙をとった上で御言明を求める用意もありますが、真実は真実として、過般各界を網羅し、政界はもちろん、与党も野党も、養蚕関係、繊維関係、染色関係、卸売り業関係、日本学術会議、あらゆる方面の人々がお集まりになってこのような経過の御報告がありました。当日御案内を申し上げておったにもかかわらず、主催者の話によれば、あなたと繊維学部長は何ゆえか御欠席になっておる。なぜ、いまおっしゃったようなことが事実だとするならば、その誤解を解くべく進んでその会合に出席をされ、そこですべての人々に誤解を解く御努力をなさらなかったのでありますか。私の言っていることは根拠がなくしてこのようなことは申し上げません。あなたがどこまでも御否定になりますならば、以下、順次追及を、御質問を申し上げますが、いま一応お確かめを申し上げておきます。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私は学長として諸般の会合に出席いたします場合には十分慎重にいたしております。でありますから、今回のこの問題につきましては、評議会におきまして出席すべきかどうかということを確かめてあります。で、出席すべきでないという評議員の意見でございますので、私はあえて出席いたしませんでした。ただ、私が十二月十二日にそういう、先ほど申し上げました三点について、養蚕学科の問題についても申しましたが、それは、それまでの繊維学部長及び養蚕学科の教官の話し合いが幾ら努力してもうまくいかないということで、これ以上は農学系にするのか工学系にするのか、いずれかを学部できめるべきである、ここまでは言いました。と申しますのは、わずか三学科の学部で、一部は農学系であり、残りは工学系であるというふうな非常に不都合な状態でありますから、農学系にするなら農学系にするがよろしかろう、工学系にするなら工学系にするがよろしかろうと申しました。しかし、年内に決定せよというようなことは絶対に申しておりません。  私は就任以来、毎日その日に起こりましたこと、人から言われたこと、自分が言ったことをメモしております。ですから、日にちもはっきり申し上げられるわけであります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 いま御釈明になったことは、何年何用どこでそのような御意見を御開陳になったんですか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 四十四年の十二月十二日でございます。十二日の日に繊維学部の教授会を開きます会議室でございまして、先方からの申し入れば三時から五時までという話でございました。私が三時から参りまして、先ほどの三点につきまして約一時間半ほどお話し申し上げ、それについて御質問を受けようと思ったのですが、御質問がございませんので、五時からちょうど留学生の会合を予定いたしておりましたので、四時半ごろに退席いたしました。  以上でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 あなたは先ほど十二月十二日にさようなことを言った覚えはないと言われましたが、ことばの言い回しというものは、いろいろ受けとめる人の考え方なり立場なりによって相当ニュアンスが変わってきます。常々、いまあなたのことばの端端にもありますように、三学科しかないこのわずかな体制の中の一学科ということば、そういう意味のことを申されましたが、要するに、十二月十二日に教授会に出席されたことも事実である。これはお認めになる。そこでどういうことを言われたかということが食い違っておるようでありますが、私の確かな資料によれば、簡潔に申し上げて——いろいろ言い回しはあったでしょう、繊維学部を農学系にするか工学系にするかを年内に決定せよ、そういう趣旨の発言のあったことは聞いておる人があります。証人もあります。したがって、私はそれを信じます。越えて四十四年十二月二十四日、養蚕学科の助教授、助手を学長室に呼び、四十六年度には養蚕学科の学生は募集しない。諸君は武士らしく四年経過すればやめてもらいたい、首切り宣言を行なわれたと聞いておりますが、まことに、あなたが一々御否定になれば——記録を私は持ち合わせておりません。詳しくは証人によって対決をせざるを得ぬことに相なりますが、あなたはかねがね工学系にすべきであるという立場に立ち、農学系を含む大学は二流、三流校であるというような意味の偏見を常に述べられておったと聞いております。四十六年度には養蚕学科の学生は募集しない。ことばは、武士らしく、四年経過すればやめてもらいたい、こういうことばであったかなかったかは、的確にそのとおりであったとは私も考えませんが、意味はそのような意味の御発言があったことは、当日出席をしておった人から私は聞いておるのでありますが、あなたは御否認になりますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 十二月十二日の後に——私はその日を書きとめてまいりませんでしたのでわかりませんが、養蚕学科の助教授を呼びつけたという事実はございません。彼らから来たのであります。私はあの大学に参りましてから、緊急やむを得ない場合以外は学部長とか教官を呼びつけたことはございません。必ず先方がこられるのを待っておるという主義でございます。でありますから、呼びつけたことはありません。  それから、いまいろいろ話の内容についてお伺いいたしましたが、これにつきまして、その発言をいたしました責任者は何か明確な証拠を持っておるのでしょうか。私はたびたび、私の言わないようなことまで、証人がおるというて言われますけれども、その点について私はお伺いさしていただきたいと思うのであります。と申しますのは、十二月何日とか、こういう記録は私がメモをしておりまして、そのメモをもとにしていろいろ話をするのでありますが、繊維学部の教官の中には、そういうことは聞いたことがない、知らない——実際あったことを申しましても、聞いたことがない、知らないというのが現在の状況でございます。で、私はそういう発言を、そういうことを申しておられる方がどなたか存じませんが、それほど私はその当時の状況から申しまして、そういうことまで言える状況でなかったと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 冒頭にお断わりを申しましたように、少し荒いことばを使うということはあらかじめ御了解を願いたい、別に他意を差しはさむものではないということを申し上げたはずでありますので、御了承を委員長においてもいただきたいと思いますが、本日、私の手元に、元参議院議員、現在、郡是高分子工業株式会社取締役会長白波瀬米吉君から速達が届きました。「藤本学長は一学部より農学士、工学士を出す事は不合理だと申し、養蚕は学問でないとも申して居るのです。而て生糸は他繊維と異って居る点は、各種繊維は機械と技術によって如何様にもなるが、生糸は蚕を通さねば如何とも出来ない。蚕即ち土壌肥料、桑並に蚕の品種研究によらねばならぬ。尚ほ生物学こそ」云々ということばを述べられたと、直接白波瀬さんからお手紙をいただきましたが、元参議院議員で十年余にわたってわれわれの先輩として議員に御就任になった方が、わざわざこのような手紙を私にくださったということは、あなたの日ごろの思想を十分裏書きしておると言っても過言でありませんが、あなたは養蚕学科を廃止する一つの意図のもとにあらゆる方面にこのような見解を常に述べられる。そして誤った世論の形成を土台に次々と手を進められたと推定せざるを得ないのであります。四十四年十二月二十四日に養蚕学科の助教授、助手を呼んだ覚えはないとおっしゃいますが、呼ばれたか、たずねたかは別として、その手続の問題を私は論じません。いずれであってもけっこうであります。とにかく四十六年度には養蚕学科の学生は募集しない、諸君は武士らしく四年経過すればやめてもらいたいという意味のことを述べられたことは聞いておる者があるのでありますが、それも御否定になるのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) ただいまの十二月何日かに助教授がたずねてまいりました。それは事実であります。向こうから来たのであります。しかし、その時点において、私が四十六年から養蚕学科の学生は募集しないということが言えたであろうか。それは概算要求の形で文部省で承認された上で初めて言えることであります。私はそういうできるかできないかわからないことは申しておるはずがありません。  それから私は白波瀬という方には三回お目にかかりましたけれども、その三回ともそういう話については一切いたしておりません。と申しますのは、四十一年六月一日に学長に就任いたしましてから四十四年十二月十二日までは、養蚕学科を何らかの形で存置できないかということを考えて、それを養蚕学科の教官、あるいは繊維学部長と話し合っておったわけであります。ですから、その期間に白波瀬さんに会いましたのは少なくも四十四年以前であります。三回お目にかかったと思っておりますけれども、そういう時期でありますから、私が白波瀬さんにそういうことを言えるはずがないと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 とにかく本人じきじきの信書をもって、あなたの日ごろの御所信のほどをこの大先輩はわざわざ私に書面を差し出していただいたわけであります。私は予期せざるときにいただいたわけでありまして、事の真偽はあなたと当該者の話し合いにまかせる以外にありませんが、よもや、あなたが言われないことを元参議院議員で十年近きわれわれの先輩が、事実を曲げてわざわざ書信をよこされるはずは私はないと考えます。  それはそれとして、「昭和四十六年度京都工芸繊維大学学生募集要項 一、募集人員 工芸学部  繊維学部 養蚕学科約四〇名 繊維工学科五〇名 繊維化学科四〇名」とし、「注 当学部を志願する者は、第一志望、第二志望、第三志望までを志願することができる。ただし、生物で受験する志願者は、養蚕学科のみとする。」、このような併願を認めない募集要項をお出しになったことは、養蚕学科廃止の前提とも受け取れますが、その御趣旨は那辺にありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 募集要項の作成の順序を申し上げますというと、募集要項を作成いたしますのは、私のところにあります学生部が事務を担当いたします。そうして各学部から提出されたものをまとめたものがその募集要項でありまして、学長がかってに書くものではございません。学部が教授会で決定したものを載せてあるわけであります。さよう御了承お願いいたします。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 そうすると、これは事務系統の者が独自の立場でこういう重大な手続をするのでありますか。あなたは御存じないはずはないと思いますが。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) いや、もう一度御説明申し上げます。御説明のしかたが悪かったと思いますが、学生部がこの印刷万端、どういう書式にするかということ、あるいは文章のこまかい点で誤解がないように修正するというようなことは学生部の係の者がやりますけれども、どういう募集方法により、どういう試験をするかということは、学部が決定いたしまして、学部教授会を通ったものをわれわれは受け取って、それを印刷にするのであります。ですから、繊維学部教授会が決定したものであります。これについては学長といえども口を差しはさむわけにはいかないのであります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 これは、先ほど学術局長が申されました文部省通達、つまり協議を求めることに対しても私は反しておると思います。教授会がかりに決定いたしたといたしましても、あなたは最高の学長として、このような併願の道を断ち、自然に野たれ死にをするような取り扱いを、きわめて重大な取り扱いを、教授会の一方的なものであるからといって、これに注意を与え、あるいは再議を求める、こういったことは全然なさらずに、文部省にもこの募集要項についての含む重大な意義を御協議もなさらないという責任はあなたにはないのでありますか。教授会がすべてそういうことは責任を負う、学長はその責任を負わないと、こういう御見解と承ってよろしいのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) もちろん教授会の決定事項につきまして、あまりに逸脱したものについては考え直してもらうことはありますけれども、妥当な、あるいはこの程度ならばやむを得ないというものについては教授会の決定どおりにいたします。それで、何か非常に生物学と物理学と化学の問題について御疑念があるようでございますが、これは第一志望、第二志望というものをやる以上は、同じ科目を受けさせて比較しなければきめられない、こういう事情がございます。そのために生物学については従来どおり、第二志望、第三志望を望む者については物理、化学で一斉に試験をして比較するという公平なやり方であります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 だからですね、繊維工学部、繊維化学部を除く養蚕学科のみを志願した者は、他への併願を認めない。「物理および化学で受験する者は、どの学科を第一志望としてもよい。」、ただし書きがついておるのです。このような文章を読んだ受験を志した者も、将来この学科はどうなるかわからない、そういう疑念を持たざるを得ないではありませんか。このような重大な問題を、あなたは昭和四十五年一月十五日、井谷学部長に対し、即時、養蚕学科廃止を意味する農学系か、工学系かを決定しろと強硬に要請をされたと伝えられておる。井谷学部長は一月十五日深夜、しかも学外の某所において教授会を開き、養蚕学科教授の反対を押し切り強引に採決をしたと、私は調査の結果知っております。しかも、これは旅館に匹敵すべき、ある寮で行なわれたと聞いております。そしてまた、農学士を出すような蚕糸教育は停止する方向に踏み切るとの案件を可決したことが、本問題が表面化した発端になっているのであります。この募集要項のよって来たるところは、いま述べたようなことが一つの背景となり動機となり、原因となってここへきておるのであります。御存じないのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 生物学の科目の問題でありますけれども、これは物理、化学、生物学の三つの科目のうち、任意の二つを選ばせるということをやりますというと、試験出題の状態によりまして、点数にいろんな不公平が出てまいります。それを矯正するのは非常にめんどうでありますから、繊維工学、繊維化学は物理、化学で試験を要求しておるわけでありますから、養蚕だけは生物学を入れておく、こういうことをしたわけであります。試験の公平を保つためにはこれ以外に方法はないと私は考えます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 四十五年一月二十一日にはこの問題が表面化し、私の手元にあるものでも、学生大会における真相の文書がたくさん手元に届いております。あなたは学生大会が開かれたことも御存じないのでありますか。学生が蚕糸学科廃止反対に立ち上がったということは、ゆえなくしてさようなことができるのでありますか。この文書によれば、「教授会の一方的決定の暴挙を許すな、S科」、すなわち蚕糸科のことです。「の将来と繊維学部の未来を我々学生の手にとりもどせ」、このような檄文もあります。このように、大学生が熱意を持って学校へ勉強に来ておる、その学生が大会を開き、抗議をし、その決議をもって、教授会の決議の取り消し、井谷学部長の辞任、改組案作成に学生参加の三条件を申し入れたことは、あなたは御存じございませんか。つまり、あなたの言をかりていえば、こまかい学生の募集要項等はあえて部長にまかせている、このような御趣旨であったかと思います。しかし、学部長といえども、このような学科廃止の問題について、あなたの指示を受けず、あなたに報告もしないはずは私はないと思う。しかも一月十五日深夜、学外においてこのような決議をされたことは、不法不当とは言わぬが、妥当ではないと私は申し上げて差しつかえないと思う。現在、養蚕学科は六名の定員の教授陣に対し、五人であり、その五人がさらに現在三人になっておっても、資格ある人がたくさんあっても、あなたは補充しようとなさらない。言うならば、この養蚕学科の自滅を待つ対策をとっておられると断言しても、あえて言い過ぎではないと思います。昭和四十五年四月二十日、井谷学部長の引責辞職問題が表面化し、松本学部長代理、現学部長をして、生物蚕系教育は続けるとの表明によって、三カ月間にわたる学生のストが解消した事実を御存じないのでありますか。学生あっての大学でありませんか。教授だけおって、だれを相手にあなた方は教育をなさろうお考えになるのですか。教授だけ並んでおられて、学園の使命が達成できるでありましょうか。私は事教育については全くのしろうとでありますが、全学の学生がこのような挙に出るということは、あまりにも一方的、学園の自治に名をかりるファッショであり、独裁だ、こういう憤激をかったからだと私は考えます。そうして、いまも述べましたように、井谷学部長の引責辞職となり、松本学部長代理が、現学部長が、蚕系教育は続けるとの表明によって、やっと学生も了承いたした。この事実も御存じないのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 非常にたくさんのお話がありました。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 たくさんでありません。簡単です。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) いや、簡単でございません。いろいろたくさんございまして、どういう点から私はお話し申し上げていいか、ちょっといままとまらないのですが、昭和四十五年の一月十五日の教授会がございました。これは事実でございます。私も、それがどこで行なわれたかということも知っております。しかし、こういう祭日の日にやらなければならなかった当時の情勢は、現在からは御想像いただけないと思います。当時は、大学紛争が盛んなときでございました。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 違いますよ。井谷さんがやめた後においては静かなものですよ。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 昨年でございます。四十五年でございます。当時はまだ紛争がございましたし、同時に同窓会の動きが出てまいりました。したがいまして、非常に困難な状態におちいっておったという事情がございます。それと、繊維学部長は、私の私宅まで参りまして、自分は何回かこの問題を決定しようと思ったけれども、今日にまで延ばしてきた、いかがすべきかということを聞いたのであります。ですから、あなたが十分の審議をなさって、もう結論をとっていいならとるべきであろうと、こういうふうに繊維学部長に申したわけであります。それで、その結果、一月十五日にやったと、こういうことでありますが、その当時の教授会のメンバーは二十二名でございます。で、出席者は二十一名でございます。一名は、繊維化学の教官が相当長期の病気をして休んでおりましたので出席できなかった。それ以外は全員が出席いたしまして、賛成者が十九名、反対が二名であります。当時出席いたしました養蚕学科の教授数は五名でございます。でありますから、これからごらんいただきましても、教授会がみずから決定したということはおわかり願えると思うのであります。そして、学生の紛争はそれから起こりました。  いま御指摘の点は私は全部知っております。それを知らぬほど私は愚かな学長ではございません。で、学生との話し合いにも一回は出席いたしました。そのときに私は学生諸君に事情を説明いたしました。学生諸君からは、当時の学生紛争を反映いたしまして、相当きびしい質問が出てまいりましたが、これはみな学部段階の問題ばかりでございました。学長は知らない問題、関知しない問題について学生が私に質問をしてきた。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 知らぬなんて……、そんなもんかいな、大学というものは。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) そうであります。たとえば一つ例をお聞き取り願いたいと思いますが、繊維学部の校舎を建てました。そのときに、校舎をりっぱに建てるのは私の責任でございます。私及び事務局の責任でございますが、その校舎の面積をどういうふうに各学科に振り分け、どういう実験室を設けるか、あるいは講義室を設けるかということは、これは教育研究にかかわる問題でございますから、学長としては干渉できないわけであります。ところが、学生が聞きましたのには、なぜこういう実験室をつくらなかったか、学長の責任ではないかというふうに申します。一例をあげますとそういうことでございます。もちろん、たとえばいまの例で申しますと、建物につきましては、建設いたしますのは私の責任でございます。私及び事務局の責任でございますが、その中にどういう講義室を幾つとり、どういう実験室を設けるかということは、これは建物の面積が許す限り、学部の教授会が決定すべきことであります。その決定どおりに私がつくったのに対して、学生は、こういう実験室がないではないかと。それで、私は学生諸君には、それは自分はきめてないのだ、学部の段階でお聞きくださいと。そういうときに養蚕学科の教官はどうしておったかということでありますが、学生がそういう問題を投げかけてきましたときに全部いなくなったわけであります。そういう問題は養蚕学科できめたと一言説明すべき養蚕学科の教官は、全部、その学生との話し合いのところから逃げてしまったわけであります。でありますから、そういう実験室をどうすべきかというふうなことの説明は私にはできません。ですから、学生……。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 そんなことを聞いているのじゃないのです。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) いや、ですから、私は、学生にも会って十分話してあるということを、例をもって申し上げているわけであります。決して知らなかったというふうなことではございません。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 とにかく、井谷学部長が、一月十五日の深夜、学外のある旅館と聞いておりますが、において教授会を開き、養蚕学科教授の反対を押し切り、採決によって御決定になった。かように聞いております。また、一月十四日、五十五名の助講会——助手講師会は、絶対反対をして一斉退場をしておる事実もある。一月十五日の学外において教授会をお開きになりました目的は何でありますか。報告がないのでありますか。私が問わんとしておるところに、建物がどうだこうだというお話がありますが、そういうことを聞いているのではありません。一月十五日の深夜、学内ならばともかくも、市内の旅館において教授会を開き、養蚕学科教授の反対を押し切って、採決により、一月十四日の助講会の反対も押し切られて、今日の問題が表面化したことはまごうかたない事実でありますが、御否定になるならば、一月十五日の教授会は、だれが何の目的で開き、どのような結果になったということについても御報告を受けておられませんのでしょうか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私は、一月十五日に繊維学部が教授会を開いたということは知っております。そうして、それがどこで開かれたかということも知っております。それは京都にございます共済組合の会館でございます。決して旅館というような——共済組合の会館ですから人を泊めるようにはなっておりますけれども、普通の一般の旅館ではございません。そして、深夜と言われますけれども、あそこはせいぜい十時が門限でございます。なぜそういうところへ持っていったかという事情につきましては、当時の繊維学部長から、それは繊維学部のほうで学生が妨害をするという事情で持っていったんだということを私は報告を受けております。それから、その決定した際の教授の出席者、それの賛否は、先ほど報告申し上げたようでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 学生大会が開かれた。教授会の決議の取り消し、井谷学部長の辞任、改組案作成に学生参加の三条件の貫徹を期して全学ストに入った。このように聞いておりますが、昭和四十五年四月二十日、井谷学部長が辞職をされた理由、そして現松本学部長が代理になったいきさつはどういういきさつでありますか。学部長の引責辞職を要求した学生の意思に基づいておやめになったのでありますか。引責辞職でありますか。どのような事情によっておやめになったのでありますか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私の手元に参りましたのは、辞職願いにつきましては、病気が理由になっております。事実、いま私はっきり覚えておりませんけれども、三月ごろから心臓に若干の異常を生じまして、大学へは出てきておりません。そうして四月になりまして出てきて、その上で、一部にはそういう病気が原因である、一部は繊維学部の教官から多少の批判者が出たということで辞職したのであろうと私は思っております。それから松本保教授が学部長代行になりましたのは、これは評議員の最年長者であるという理由だけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 お尋ねをいたしますが、いずれにせよ、私が先般現地でいろいろと調査をし、いろいろ聞いたところによりますと、当初、あなたは教授会に養蚕学科廃止を強く要請された。途中において態度が少し軟化をした。しかし、教授会は決定をした、あなたの御意思に沿って決定をした。学生の全学ストが起きた。板ばさみになり、心労の結果、現部長にかわったとも言う人もあります。事の真偽はいろいろ違っておる点もありましょうが、とにかくやめたいという事実は間違いありません。こういう点から考えて、養蚕学科を実質的に廃止するにひとしい繊維材料学科に改組をされる案を、養蚕学科教授会の反対にもかかわらず、その後多数で御決定になったことは、先ほど白波瀬元参議院議員が書面をよこされたと同じようなあなたは考えに立っているからであろうと思われます。養蚕学科と繊維材料学科、つまり繊維と人工繊維を含む材料学科であろうと思います。昨年の概算要求した際に、このような立場であなたは文部省に概算要求をされたと聞いておりますが、文部当局はこの判断をこのままうのみになさって今日に至っておるのでありますか、伺いたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 京都工芸繊維大学からは御指摘のような案で概算要求があったように記憶しております。ただ、大学からの概算要求というのは、通例予算編成方針のワクに盛り込むにはあまりに多くございますので、文部省としてはみな有意義な御計画だとは思いますが、取捨選択をせざるを得ないわけであります。そういう場合にいろいろな選択の基準がございますけれども、やはり問題のあるようなものは、必ずしも文部省として優先的に取り上げかねるというような一般的な事情もございます。結果的には京都工芸繊維大学の案件は概算要求に取り上げないということになっております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 藤本学長が推進をされ、四十五年七月二十一日、繊維材料学科案の概算要求が、文部省の局議の段階で却下された。藤本学長の養蚕学科廃止の企図は、この予算関係で一とんざを来たした。しかるに、あなたは、概算要求の却下で養蚕学科の廃止はできなくなったので、次は学内措置によって養蚕学科をつぶそうとなさった。すなわち、学内臨時措置として、四十五年九月十二日、四十六年度の養蚕学科の学生募集については、さきにも触れましたが、対策を講ずる学部教授会に要請をされた。すなわち養蚕学科の廃止は学部の既定方針であるから、この事実を実現せしめるため、学生募集要項に、入学者選抜に、さらに養蚕学科に入学許可した者も、他学科に転科せしめる等の方策によって、養蚕学科への入学者を極力減少せしめて、学内的に養蚕学科を自滅に追い込む方策を講じられた。このように解せられる向きが多分にあるわけでありますが、二の点については文部省はその時点において、このような従来見ざる学生募集要項に対して矛盾と不信の質問をなされ、あるいは実情を調査されるというようなことはなかったのでありましょうか。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 学生募集というのは、学部なり学科が存在する限りにおいては、定められた入学定員によりましてやるのが通例でございます。どのような学科を入学試験の科目に出すとか、あるいは転科を認めるとか認めないとか、そういうのは大学の判断の範囲内で処理されることになっております。お尋ねの京都工芸繊維大学の場合の学生募集要項につきましては、その一般方針の範囲から逸脱するものとして御相談は別になかったように記憶いたしております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 昭和四十五年九月二十八日、藤本学長は入試委員会で、養蚕学科を廃止することは既定方針であることを募集要項に明記することは、受験生に対し親切であり、また、文部省の方針であることを強調し、強硬に記入せしめることにしたと伝えられております。養蚕学科の志願者を減少せしめることは、つまり募集しても入学者がない。これが一つの結果となってあらわれることをあらかじめ意図してやられたと推定されても御弁明の余地はなかろうと思います。この事項については、後に文部省より削除を命ぜられたと聞いておりますが、参考人並びに文部当局から御説明を願いたい。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) ただいま文部省への御質問を承っておりまして、事実が違うということを申し上げたいのであります。そもそも概算要求を出しますときに、学部がみずからの手で、こういうふうな学科を新設するとか、そういう案をつくりまして、それを評議会に出します。それで評議会で承認された上で、それが文部省へ送られるわけであります。そうして文部省において、それについてのいろいろお取り計らいがあるというのが順序でございまして、あたかも私が概算要求案をつくったようなお話でございますが、繊維学部の概算要求案につきましては、繊維学部でつくられたものを、そうして繊維学部の教授会が決定したものを評議会に出されて、私はそれから工芸学部の概算要求案と一緒に取り扱うわけであります。それが学長の仕事でございまして、私が繊維学部の概算をつくったということは、これは普通の大学では考え得られないことでございます。もしこの点について、私が申し上げるのが、そういうことではなかろうとお疑いがございましたら、これは文部省のほうにお伺いしていただいてけっこうです。  それから次に、入学試験の方法の決定の経過でございます。これについて、私はいまのお話がこれも全然違うということを申し上げたいと思います。実は、昨年の春、養蚕学科の問題で紛争がありまして、多くの受験生に、翌年度養蚕学科を志望しない者が出てくるおそれはなかろうか。そういうときには、つまり志望者が非常に減少するおそれはないか、そういうときにはどうすればよかろうかという相談を持ちかけてきたのは繊維学部長であります。で、私は繊維学部長に、そういう場合には他の大学では第二志望という方法をとっておるが、そういうものについてお考えになったらどうかということを申し上げました。それが昨年の七月二十九日でございます。で、八月十日に再度お見えになりました。そのときにもやはり入学試験の方法につきましては、第二志望の方法もあるし、あるいは場合によっては転科を認めるというふうな方法もある。そうしてまた、養蚕学科の志望者があまりにも少なくなって、その試験点数が異常に低い場合があるかもしれないから、そういう場合には最低点を初めからきめておいて、そこで切るというふうなことも考えなければならない。そういう点は学部でお考えなさいと、こういうふうにしてお答えしたわけであります。  ところが、八月二十日になりまして、また繊維学部から来られまして、繊維学部としては、大学科制度をとりたい——大学科制度といいますのは、学科をきめずに百三十人を入れます。そうして、その入った学生に、自由にどの学科でもやれるようにするというのが大学科制度、まあここでかりにそう申しておきますが、大学科制をとりたい、こう言われましたので、私は、大学科制というものは現行規定ではできない、また、そういうことをやれば大混乱が起こる。ですから、学科別ということはやはり避けられないということを説明いたしました。かりに繊維学部の言うように、大学科制をとった場合、いま何が起こっておるかといいますと、入った学生の半数以上が繊維工学科をやりたい、こういう大学として教育が不可能になるような状態が現出いたします。それで私は、それはやってはならないということを申し上げました。そういう経過がございます。その後もたびたび会っております。それで、結局現在のような方法に落ちついて、これも繊維学部で教授会が最終的に決定したものでございます。私はそういうことは、いろいろのアドバイスは与える、忠告は与えますけれども、私は決定権はないわけであります。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 大学の募集要項の決定は、一般方針の範囲内では、これは大学の裁量でやるべきことでありまして、特に変わった方針をとる場合以外は御相談はなくて、事後報告でございます。  京都工芸繊維大学の昨年度の募集要項作成につきまして大学からどのような御相談があったか、私、現時点でよく記憶をしておりませんが、かりに御指摘のように、養蚕学科廃止は既定方針であるというような付記をすることについて御相談があったとすれば、それは少なくとも文部省としては別に既定方針ではなくて、むしろ検討課題であるという答えをしたものと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 私の調査によれば、本事項については文部省より削除を命ぜられた。私の調査ないし資料に基づけばそうなっています。いずれにせよ取りやめになった。昭和四十六年二月二十三日に養蚕学科の志願者は百十三名、定員の二・八倍であったと言われておりますが、そのとおりでありましようか。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 私はいまその受験者数を持ってきておりませんが、それくらいであったと思います。百名余りであったと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 しかりとするならば、別に養蚕学科に学生の志望者がないとか、あるいは著しく減じたとか、こういう悪条件の中にあってもなお二・八倍の志願者があるということは、わが国の蚕糸業の将来に対して学生が熱意と希望を持っておる生きた証拠ではありませんか。私はさように解して差しつかえないと思う。あなたの御答弁と私の調査とはよほど歯車が合わぬようでありますが、とにかく農学部を志願するような者は売れ行きはあまりよくない。しかし、やはり生涯を昆虫に、あるいは蚕糸業に、あるいは農業に捧げようという者はまだないとは言えない証拠でありましょう。  このあとで農林省に伺いますが、最近の農業事情を考えますならば、むしろ桑を植えさしたり、また抜いたりというような悲劇の中に、今日まで日本の養蚕業を維持し、少なくとも私の鳥取県においては特化係数の面からいいましても、米、ナシ、葉たばこ、養蚕であります。生乳、役肉牛等ははるか後位におるのであります。いわんや最近の絹ブームに乗って大きく将来を期待できるのは、あるいは水田の転作の第一対象になるのは、私は養蚕、すなわちまず桑園ではなかろうか、かように考えても差しつかえないと思います。そういう中にあって、衰退せんとする日本農業の中にあっても、将来にともしびの見えるものに対しては、進んでその教育内容を充実し、学生に希望と自信を与えるような教育こそが大学のほんとうの使命ではなかろうかと私は思う。  しかるに何ぞや、現実においてあなたがおとりになっておる方針を具体的に見るならば、養蚕学科の教授の欠員補充については、先ほども述べましたが、養蚕学科の教授定員は六講座六名である。昭和四十四年三月三十一日定年退職をなさった青木茂一先生、これは栽桑学、土壌肥料学の講座です。四十五年十一月一日、鳥取大学に転出した市川吉夫教授は、病理学、微生物科学講座であります。昭和四十六年三月三十一日、定年退職なさった小西俊夫教授は蚕糸経営学の講座であります。右三教授の後任はいまだ補充せず、教授定員六名に対し、半数が欠員のまま放任されておるということは、いかに日本農業が今日のごとく斜陽産業視されておるとはいえ、あまりにも近視的な考え方である。将来を展望した考え方に通ずるものではないと私は判断せざるを得ない。退職、転職後を補充せず、自滅に追い込むようなことをおやめになって、助教授等の中にも学位を持ち、相当の年月の研さんを重ねた人がたくさんあると聞いております。人材には事欠かないはずであります。なぜこれをすみやかに補充し、もって勉学にいそしむ学生に希望と勉学の不備不足を補う措置をおとりにならないのでありますか、御所見を承りたい。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) 先ほど志願者が少なくなるであろうという見込みでやりましたことが、実際は志願者がたくさんきたということで、これは数カ月前の見込みと違ったという点は、これは事実でありますけれども、本年は入学者を四十四名入れましたけれども、現在残っておるのは三十三名であります。これは合格発表をしてもこないのであります。そういう状態であることを御報告申し上げておきますし、また、その中で真に養蚕をやりたいという者は、十二、三名である、こういうことも御報告申し上げておきます。  で、教官の任用の問題につきましては、これは学長が任用するのではございません。先ほど学術局長からお話がございましたように、教育公務員特例法によりまして学部が選任するわけであります。それを文部省へ送りまして、そこで任用されるということでございまして、教官の任用は学長の範囲から出たものであります。ただ養蚕学科がなぜ欠員を補充しないかということにつきましては、私は養蚕学科の改組が問題になっておる限り、改組が済んだ上で欠員を入れようと、こういう考えが学部にあるのではないか、また私はそれは妥当な方法であると、こういうふうに存じます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 四十四名の合格者があったにもかかわらず、入学者が減っておるということは、この養蚕学科の前途に不安と疑念を持つからさような状態が起きるとも判断されます。また、就職状況が悪いというようなことも廃止の理由になっておるようでありますが、私の調べたところによりますと、就職先の分類に養蚕企業という分類があるのであります。農林省に伺いますが、現在、日本の養蚕農業経営の中で養蚕企業という企業体が幾つありますか、私の知る範囲内においては自立経営養蚕農家はあり、部分的な稚蚕共同飼育や、あるいは条桑飼育の共同化等は相当あることを存じておりますが、工芸繊維大学が就職先の分類に養蚕企業と分類をしておることは、私は現実にそぐわない分類のしかただと断定せざるを得ない。蚕糸業は製糸工業、蚕糸の製造、飼育の研究あるいは学校の教師、あるいはまた農業高等専門普及員等々、単にあなた方の言われる養蚕企業、大学側の言われる養蚕企業なるものがかりにあったとしても、それのみを就職先の分類としてあげられることは妥当でない、かように私は考えますが、この点、農林省の御見解を承りたい。養蚕企業とはどのような形態をさして言うのでありましょうか。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) ふだん私たちの使っております行政に際しての用語の中には、実は養蚕企業という字句はありませんので、この際あまりはっきりした御返事ができないと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 私も開闢以来初めて聞きました。全くもって不可解千万だ。こういう陰に陽に、直接に間接に養蚕学科を自滅に追い込むような、このような工芸繊維大学のあり方の総括責任者であるあなたの今日の参考人としての御供述は、若干の私との歯車のかみ合わない点はあるにいたしましても、あなたの御意図がどこにあるかはおよそ想定ができます。  そこで、農林省に伺いますが、これからの繭生産対策と蚕糸学教育の改善についてであります。総合農政において中心的役割りを果たすべき養蚕業並びに生糸産業の最近の状況について聞きたい。ことに最近における生糸需要と養蚕業の実態並びに今後の繭生産対策の方向について、農林省の方針なり具体的な施策を承りたい。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 最近の蚕糸業の現状について申し上げますと、過去におきましては養蚕業がいわゆる生糸の需要減退等がございまして、昭和三十年の初めごろの時期におきましては、非常に養蚕業が衰退いたしまして、政府の勧奨によりまして老朽化桑園の改植ということもいたした次第でございますが、その後、日本の国民経済の発展並びに国民所得水準の非常な上昇を背景といたしまして、最近における生糸の国内需要量は堅調に推移しております。その結果、先ほど山添参考人が申されましたように、日本の生糸の国内における生糸生産高は、先ほど申し上げました堅調な需要に即応することができませんで、最近非常に生糸輸入量がふえてまいりまして、韓国あるいは中国方面から生糸の輸入が年々増加いたしまして、昨年では六万五千俵をこえる生糸の輸入が行なわれたようなかっこうになりまして、それで国内の旺盛なる需要に即応したのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第であります。  他面、一方国内における農業生産の推移等からいたしまして、米の生産過剰が相当顕著になっておりますので、農林省といたしましては、昨年来、総合農政の推進に稲作転換対策事業ということに重点を置きまして、稲作からしたがってその他の農作物への転換を、ただいま全力をあげて推進しておる次第でございます。それに対しまして、特に農林省といたしましては、稲作からの転換に際しましては、今後、将来において需要の増大が確実に見込まれる、これに重点を置きまして転換の指導をいたしますとともに、単年度作物もさることながら、やはり農業の定着性に重点を置きまして、永年作物への転換に重点を置いている次第でございます。その結果、農林省の蚕糸園芸局といたしましては、この蚕糸業、特に生糸の需要というものは将来性があるということで、稲作から桑園への転換に重点を置きまして、している次第でございます。  その具体的な対策といたしましては、いわゆる転換奨励金といたしまして、昨年は反当三万五千円を平均で農家に補助金を出したが、本年度からは永年作物である養策桑園あるいは果樹等には反当四万円、単年度作物には反当三万五千円、単なる休耕には三万円ということで、作物別の奨励金に格差を設けて、蚕糸業の振興を予定している次第でございます。そのほか、蚕糸業の今後の旺盛な需要に即応するために、これ以上外国から生糸を輸入することについては実力をもって極力押えていく、したがって、国内で増産していくという考え方のもとに、昭和四十四年の桑園面積十六万三千ヘクタールを昭和五十二年には二十万ヘクタールぐらいまで増加いたしたいということで、先ほど農林省で発表いたしました農産物の地域指標の試案におきましては、そういう形をとったわけでございます。このため、現在あります蚕糸価格の安定制度を適切にさらに運用することによって、その価格の安定をはかりながら、米の生産調整に伴う桑園への転作、あるいは新しくことしから発足いたします養蚕の振興産地の育成等、予算的な奨励措置を増強いたしますとともに、蚕糸関係の、いわゆる日本の持っております技術を活用いたしまして、農業の生産基盤の対策に強力に推進してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 農林省の考え方について概略わかりましたが、今後の繭生産対策の基本的な課題は、生糸の需要の増大と、労働力不足の深刻化という条件のもとで、技術的水準の向上、改善等、機械化による養蚕業経営の育成にあると言われておる。私もそのように考えておる。こうした問題に対処し、今後の繭生産対策の指導的役割りを果たすべき第一線技術者の養成、確保、蚕糸関係教育の改善等に対して、農林省はどのような考え方を持っておられるか、この際明らかにされたい。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 養蚕関係、あるいは製糸関係、あるいは種関係、そういったものを含みまして蚕糸関係に現在従事しております旧蚕糸関係の専門学校の卒業生が、おおむね三千人程度ではなかろうか、こういうふうに推定している次第でございます。ただいま御指摘がありましたように、日本の蚕糸業も、われわれといたしましては今後ともさらに強力に発展さしていきたいということからいたしますと、やはり現行水準程度の蚕糸関係の、いわゆる旧制専門学校以上の卒業生の技術者は確保してまいりたいと、こういうふうに考えておりまして、横山会長がかつて答申されましたときにも、大体そういうお考え方で蚕糸当局とも相談があったんではなかろうかと思いますが、われわれといたしましては、三千人ぐらいの人員が、大体三十年間の定年の期間に、年々少なくとも将来百人ぐらいが蚕糸関係のいわゆる専門技術者として必要ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 先ほど大学の養蚕学科の志望者が減少しているといわれることについて、卒業者に思わしい就職先がない、これが大きな理由であるという理由をかまえて、工芸繊維大学が養蚕学科を廃止していく大きな一つの理由にしておるようであります。しかし、農学科の卒業者には大学資格を要する農業改良普及員の職が制度的に確立されておる。しかるに、養蚕学科卒業者については、同様の制度の確立の要望にもかかわらず、今日まで農林省が何らの措置も講じようとしないのは、先ほど述べられた蚕糸業の長期的発展の展望に沿わない欠陥であると私は思うが、所信はどうか。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 蚕糸関係の技術指導、いわゆる行政機関における技術指導体系の問題といたしまして、ただいま御指摘がありましたように、一般の農事につきましては農業改良普及員制度がありますことはもう御指摘のとおりでございますが、蚕糸につきましては、県に別にいわゆる蚕業技術員の制度が昔からございまして、それに基づきまして人員の配置をいたしておる次第でございます。そのほかに、さらにいわゆる養蚕団体に別に蚕業技術員の制度がございまして、まあ俗にいう嘱託普及員という名称が使われておりますが、そういったことで、一般農事に比べますと非常に濃密な技術員制度を現在活用しておりまして、全国、非常に多くの技術員が現在それに従事しているわけでございます。したがいまして、いわゆる一般改良普及員の専門技術員制度、あるいは駐地区制の採択ということとは非常に——まあいわゆる桑と昆虫といいますか、二つのことで養蚕というものが成り立つものですから、非常に農事としての普及体系が違いますので、これは農林省におきましては、別の技術体系の指導のもとに蚕糸試験場の技術を高度に活用しながら、県の技術員あるいは養連の嘱託普及員というものの体系の中で養蚕の振興をはかっておる次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 いろいろと御検討になっておるようでありますが、最近のわが国の蚕糸事情は、生産量でも世界第一、しかるに輸入量においても世界第一という、まことに遺憾な状態である。内需に国産で間に合わない、こういう状態である。同時に、日本のすぐれた養蚕技術者に対し、低開発国といいますか、後進国といいますか、トルコ、イラン、その他の国々から蚕糸技術者の海外派遣の要請が強いといわれております。平和使節としての技術者の派遣は、きわめて国と国との友好の上にも効果があり、好ましいことであると思います。また、日本のすぐれた技術がまだ国交の回復していない中国等にも派遣をされる、こういうことも、私はいろいろないきさつは別として、技術のお互い交換という面において、友好を促進していく一つの手段ではないかと思う。いずれにせよ、海外が日本の専門教育を受けた技術者を求めておるという事実について、いま一段と養蚕業に対する高等教育を充実すべきである、私はかように考えておりますが、東京農工大学といい、上田にある信州大学といい、現状を何ら変えておらない。しかるに、京都の工芸繊維大学のみが繊維材料学などという、養蚕とは似ても似つかない工学系にこれを切りかえようとしておることに対し、われわれはあらゆる人の総意を総合した先日会合に列席をし、党派、専門をこえて意見の一致を見ました。  当日は村山さんも荒勝さんも御出席になっておりましたが、学長はおいでにならない。部長もおいでにならない。出席者からは、なぜ京都の工芸繊維大学の二人の方は御出席にならないのか、廃止に伴う疑惑と不審についてただしたいという声が横溢しておりました。何かあなた方にうしろめたい、あるいは突っ込まれれば困る背後に実情があるからではないかと疑惑を持たれてもいたしかたありますまい。あなたはさきに、業界やその国の置かれておる産業との協調なくして技術教育のあり方はないと冒頭に述べられたが、なぜ進んでそのような機会に、西日本蚕糸業振興会議に御出席にならないのか。農林省あるいは文部省の専門局長も臨席をされ、われわれの同僚である自民党の林田悠紀夫君、京都府選出の谷垣専一君、宮崎県選出の坂元親男君等も御出席になっておりました。不肖私も出席の光栄をにないました。当日は、兵庫、奈良、和歌山、岡山、徳島、愛媛、高知、熊本、大分、宮崎、鹿児島、全養蚕連合会長、製糸関係としては片倉工業、グンゼ、鐘渕繊維、神栄、神戸生糸、ユニチカ代表、筒井製糸、酒六、藤村製糸、熊本製糸、蚕種関係では滋賀県蚕種製造、グンゼ、神栄、ユニチカ、吉田蚕種、徳島蚕種企業、愛媛蚕種、熊本県蚕種、織物関係では、郡是産業、丹後ちりめんの本場の丹後織物工業組合、特に京都の織物卸商業組合の理事長のごときも、切々として、京都に七十年の歴史を持つ高等蚕糸学校の従来の歴史から説き、今日これを蚕糸材料学に切りかえるがごときは縦一本の学体系であり、京都という一つの地域の特性も生かし、いわゆる蚕種から桑を経て繭に至り、繭から糸になり、これを染色して織物にする過程を説き、特に日本の伝統の美を残す京都の地にこの大学のあることを誇りとしておる。われわれはきょうこの会合に出て、この廃止のことを聞いてびっくりしておる。寝耳に水であると言っておる。あなたは先ほど来、技術教育に携わる者としては、業界やその他の関係者の意見をよく反映すべきだと冒頭に口にしておきながら、国会議員も、その他行政庁も、学会は諸星静次郎氏以下、日本学術会議の委員も出られ、また、日本蚕糸学会の関西支部長、九州支部長等々、各界各層を網羅するこのような重大な会議に出て所見の一つも述べないようなそのような態度自体が、養蚕業廃止につながる思想につながると私は考えます。列席の諸君も皆そうでありました。党派を越えて、政党の所属を越えて完全なる意見の一致を見ましたが、この会議を閉ずるにあたって次のごとき決議がなされました。  このような決議が採択されました、満場一致ですよ。この決議に対して、文部当局並びに農林省当局、京都工芸繊維大学長参考人、並びに山添中央蚕糸協会長に対し、この決議の実現方に向かって努力せられるかいなか、反対であるか賛成であるか、所見があれば積極的に御開陳を願いたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○政府委員(村山松雄君) 文部省といたしましては、大学の中で、特に御指摘のように産業教育に関連のある分野につきましては、当該産業分野の状況というようなことをいろいろなルートから事情を承りまして、それを大学にも情報として伝達をし、そういう分野で積極的に課題を見つけ、大学教育そのものを拡充整備されるということにつきましては、十分それに対応する処置をとってまいりたい、かように、これは一般論として考えておるわけであります。  蚕糸の関係につきましても、これが重要であり、この教育研究を振興すべきものであるということにつきましては、角度が多少違いますが、すでに六年前にも御意見を承りまして、その線で進めたわけでありますけれども、背景をなす業界の状況というのが、六年を経た今日、またかなり変わっておるようでございます。そういう状況につきましては、業界、団体あるいは農林省のほうからもさらによく事情を承りまして、関係の大学にもお伝えをし、それに基づきまして処置をとりたいと思います。  ただ、文部省の立場として申し上げますと、最初にも申し上げましたように、産業教育につきましても、事が大学の問題ということになりますと、やはりまずもって大学側のこれに対する対応意思の決定というものが一つの柱になります。それと諸般の情勢、財政事情、その他事務的な状況等をにらみ合わせまして、文部省としての案を立てて措置するわけでございます。したがいまして、さらにいろいろ御事情をお述べになりましたけれども、事実に即した詳細な資料なども文部省としても整えまして、大学側と緊密な連絡をとりながら対処いたしたい、かように存ずる次第でございます。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) 私たち蚕糸行政に携わる者といたしまして、この現在の日本の蚕糸業が依然として世界一の蚕糸国であり、また、今後とも蚕糸業の将来につきましては、われわれが大いに努力して振興してまいりたい、こう思っております立場からいたしますと、いままで日本の蚕糸業をここまでささえてまいりましたのは、やはり世界一の技術水準を持っております蚕糸技術が、しかも、それが日本独特の日本で開発されたいわゆる科学技術であるということを考えますと、やはり蚕糸関係の大学が今後専門的に、学術の研究と、また人材の養成にぜひ今後とも御協力を願いたいということが私たちの考え方の基本でございます。

藤本武助京都工芸繊維大学学長

○参考人(藤本武助君) ただいまいろいろ御指摘にございましたが、それに対しまして、私は何を考えておるかということを一言申し上げさしていただきます。  私は養蚕という養蚕の技術が、わが国が世界最高、あるいは世界でわが国ただ一つということはよく知っております。ですから、その養蚕学をやるということについては、何も異論もないわけであります。これはひとつお認めいただきたいと思います。  ただ、私の大学の養蚕学科についてはどうであるかということでありますが、養蚕学科は生物を扱うものであります。したがいまして、これは農学部に置くべきものである。これは昭和四十年に出ました答申はまことに正しい、私はこの点は正しいと思っております。さらに、私は四十一年にも、両三年にわたりまして努力いたしましたことは、養蚕学科、現在の私の大学の養蚕学科を大学の水準のものにするということについて努力したわけであります。現在の学科、科目、あるいにその状況を見ますというと、それは職業教育でありまして、大学として、はたしてこれでいいかどうかということに大きい疑問があります。むしろ、これは大学の農学部という養蚕をやるのに適した環境のところでやるべきであるということが私の意見であります。  それから、いま一つは、養蚕学科の卒業生で、先ほどお話がございましたが、実際に養蚕に従事する者、これは養蚕だけではありませんで、製糸、農業、農薬、そういう農業一切に関係する者が昭和二十八年から四十三年の間において、入学生数は六百四十名としますというと、それの二〇%にすぎないのであります。それから工業、商業、その他養蚕とは、あるいは農業とは無関係の者が三〇%、中学校、高等学校の教員になる者が七%、不明の者が七%、入学許可をしましたけれども、とうとう卒業しなかった者が三六%に達しておるのが現状であります。特に最近は京阪神地方は都市化いたしまして、私の大学へまいります学生の出身はほとんど市街地であります。都会地であります。京都、大阪、兵庫、滋賀、それに若干奈良、それから他の地方が加わる。しかも京都府に例をとりますというと、ある統計を見たのでありますが、従来、京都府下には養蚕農家が二万軒あったそうでありますが、それが現在では二千軒に減ってしまった。これは都市化が進んだわけであります。そういう事情でございまして、学生の出身がすでに養蚕については私は多少不向きな状態になっておる。しかも、現在の状況では、彼ら学生を説得するだけの将来性がないと申しますか、疑問が持たれておる。それからいま一つの点は、就職いたしましても、その待遇が著しく悪いというような事情もございまして、先ほど申し上げましたように四十名のうち八名くらいしか、その専門教育を受けた、あるいは職業教育を受けたものを生かすことができない、こういう状況でございます。したがいまして、残りの三十二名は心ならずも、あるいは本人が希望しておるのかもしれませんが、自分の受けた職業教育とは違った分野に出ていくということになっております。  これは教育者として実につらい状況であります。教育者というものは、卒業した学生をそれぞれの専門に応じて就職を望む者は就職をあっせんしてあげる。望まない者もおりますから、それはいいとして、望む限りはできるだけのあっせんをしたい。けれども、そういう状況では十分学生諸君に満足も与えられない。結局三十何名、これは途中で脱落いたしますけれども、相当数の学生が四年間、この二十歳代のきわめて大事な四年間を特殊な職業教育に時間をつぶすということを、私は非常に心苦しく思っておるわけであります。  私は昭和二年以来、京都大学を経まして、初めは研究に専念し、ただいまは教育に関係いたしておりますが、真の教育者といたしまして、その点は非常に苦しい点であります。でありますから、ただいまの御意見ございましたけれども、私は簡単にはこれを納得することができない、それは以上のような事情によります。

山添利作中央蚕糸協会会長

○参考人(山添利作君) 結論だけを申し上げたいと思います。  ただいま御紹介のありました西日本蚕糸連盟主催によるところの会合の決議文は、全然同感でございます。この問題につきましては、昨年夏ごろでございましたか、京都の学校の動きを仄聞いたしまして、坂田文部大臣に陳情いたしました、反対であると。蚕糸教育はあくまでも拡充する方向をとっていただきたい。京都の動きは反対である、こういう陳情をいたしたのでありますが、今後もその態度は変わりません。ただいまの決議の趣旨につきまして、国会におきましても深い御関心をお持ちになっていただきましたことは、まことに私どもといたしましては、しあわせに存じておるわけでございます。ともかく蚕糸教育は拡充する方向でお願いいたしたい、かように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿覺君 最後に、農林省当局の御意見は私は了といたします。あえて大臣の出席を求める必要もなく、明快であると存じます。ただ、村山大学学術局長のただいまの御答弁は、きわめて不明確であり、本問題に対する関心はきわめて深いとはいえ、まだ十分なる認識が持たれておらないことを遺憾に思います。したがって、これは、すみやかに文部大臣の御出席を求め、文部大臣の国務大臣としての総合的かつ政治的な判断に基づいて御所見を求めたいと思います。したがって、文部大臣に対する質問は留保いたします。  なお、おことばを返すようでありますが、藤本参考人の御意見はきわめて近視的である。長期の展望に立って日本の農業が今後いかに畑作への転換を余儀なくされておるか。その転換作目のきわめて重大な柱の一本である将来の展望に欠け、従来の不振をきわめた蚕糸業の状態をもととして即断をし、学者としての長期の展望に欠くるものがあると私は断ぜざるを得ません。したがって、本日の論議を通じかみ合わなかった点は、意見の相違として、今後も私も精査いたしますが、もし本日の御意見に重大な間違いが発見されたときは、再び参考人または証人として今後は御出席を願い、この問題については徹底的に検討を加えたい。同時に、先ほど朗読をいたしました決議の趣旨、世論に耳を傾け、業界その他の実情に、要請にこたえることが、技術教育の立場にあるという前言に沿って今後も善処されんことを強く要請し、反省を求めたいと思います。  以上で本日の質疑を打ち切ります。

田口長治郎自由民主党

○委員長(田口長治郎君) 両参考人には長時間にわたりありがとうございました。  本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会

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