大蔵委員会 第16号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/03/25
会議録
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案外三法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 最初に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 最近における内外の経済情勢の変化に対応し、物価対策、輸入自由化対策に資する等の見地から、関税率について所要の調整を行なうこととするほか、開発途上国に対する特恵関税制度を新設するとともに、公害対策として脱硫重油製造用原油の減税制度を拡充するなど、関税の減免・還付制度等について所要の整備を行なうため、関税定率法、関税法及び関税暫定措置法の改正を行なう必要がありますので、この法律案を提出することとした次第であります。 以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。 第一は、関税率の改正であります。 まず、物価への影響をも考慮し、ケネディ・ラウンドで譲許されている千九百二十三品目につき、昭和四十七年一月から適用される予定の譲許税率を九カ月繰り上げて本年四月から適用することといたしますとともに、協定税率が適用されない国の産品で従来関税格差の解消を行なってきたもの等四百三十二品目につきましても、ケネディ・ラウンドの繰り上げ実施にあわせて格差解消措置を継続することといたしております。このほか、バナナ、羊肉・馬肉、カラーフィルム等の生活関連物資を含む百二十四品目につき関税率の引き下げを行なうことといたしております。 また、輸入自由化の促進等に関連して、豚肉に差額関税、グレープフルーツに季節関税を採用するなど、単純な増税は極力回避しつつ二十二品目について関税率の引き上げを行ない、原則として自由化実施の日から適用することといたしております。 このほか、紅茶、大豆等七十五品目につきまして、暫定税率の適用期限の延長等を行なうことといたしております。 第二は、特恵関税制度の新設であります。 特恵関税につきましては、原則として国連貿易開発会議の加盟国のうち開発途上にある国などでその適用を希望するものに対し、供与することといたしております。 まず、農水産品等につきましては、五十九品目に限り特恵税率を適用することとしておりますが、特恵供与により輸入が急増し、国内産業に損害を与える場合には、その適用を停止することができることといたしております。 また、鉱工業産品等につきましては、例外十品目以外のすべてを特恵関税の対象としておりますが、このうち五十七品目は五〇%の関税引き下げ、その他は無税とし、品目ごとの特恵供与ワクの範囲内で特恵税率を適用することといたしております。なお、価格変動が著しい基礎原材料等につきましては、緊急関税を若干緩和した要件のもとに発動し、特恵税率の適用を停止することができることといたしております。 以上の特恵関税制度の実施は、本年十月までの間で政令で定める日からとし、昭和五十六年三月末までの適用を予定いたしております。 第三は、関税の減免・還付制度等の改正であります。 大気汚染防止対策の一環として、重油脱硫減税制度を拡充し、脱硫重油一キロリットル当たり五百円の軽減を行なうとともに、製油用低硫黄原油の関税につきましても一キロリットル当たり百十円引き下げることといたしております。 また、農林漁業用燃料油の免税制度等につき適用範囲の拡大を行なうほか、現行の減免・還付制度の適用期限を延長する等所要の規定の整備を行なうことといたしております。 ————————————— 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を一括して御説明申し上げます。 政府は、昨年十二月税制調査会から提出された「昭和四十六年度の税制改正に関する答申」に基づき検討を重ねた結果、昭和四十六年度の税制改正におきましては、最近における国民負担の状況にかんがみ、所得税の負担の軽減をはかるため、給与所得控除をはじめとする各種の所得控除の引き上げ、青色事業主特別経費準備金の創設、相続税の軽減合理化等を行なうことにより平年度約二千億円の減税を行なうほか、当面の経済社会情勢の推移に即応するよう、公害対策、海外投資資源開発対策、貯蓄奨励及び住宅対策、企業体質の強化等に資するため所要の措置を講じ、輸出振興税制を改正し、交際費課税を強化する等、税制の整備合理化をはかるとともに、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して、自動車重量税を創設することとし、ここにこれらの法律案を提出した次第であります。 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一に、最近における所得水準の上昇等を考慮して、中小所得者を中心とした所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうことといたしております。 すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現行の十八万円から十九万円に引き上げるとともに、扶養控除を現行の十二万円から十三万円に引き上げることといたしております。また、給与所得者について、その負担を軽減するため、昭和四十三年以来据え置かれている給与所得控除の定額控除を現行の十万円から十三万円に引き上げることといたしております。これらの結果、給与所得者の課税最低限は、夫婦と子供二人の場合では、現行の約八十八万円から約九十六万円に、夫婦と子供三人の場合では、現行の約百三万円から約百十三万円に、それぞれ引き上げられることとなります。 第二に、障害者控除等の特別な人的控除についても、一般的な控除にあわせて引き上げを行なうことといたしております。 すなわち、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ現行の十万円から十一万円に、特別障害者控除を現行の十四万円から十五万円に引き上げるとともに、いわゆる母子世帯への配慮から、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族の控除についても現行の十三万円から十四万円に引き上げることといたしております。 第三に、配偶者控除の適用要件である所得限度の引き上げを行なうなど、きめこまかい改正を行なうことといたしております。 すなわち、配偶者控除及び扶養控除の適用要件である所得限度について、実情に即するよう現行の十万円から十五万円に引き上げるとともに、給与所得者が確定申告書の提出を要しない限度についても、昭和三十三年以来長年にわたって据え置かれていることを考慮して、現行の五万円から十万円に引き上げるなどの措置を講ずることといたしております。 以上のほか、少額貯蓄非課税制度について、貯蓄奨励をはかる見地から、非課税限度を現行の元本百万円から百五十万円に引き上げること、生命保険料控除のワク内で控除していた心身障害者扶養共済制度の掛け金について、その全額を所得から控除すること、申告書の公示限度を現行の五百万円から一千万円に引き上げる等、所要の規定の整備を行なうことといたしております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一に、完成工事補償引き当て金制度を製品保証等引き当て金制度に改め、この引き当て金の設定を認める対象事業の範囲に、建設業のほか、特定の製造業を追加することといたしております。 第二に、寄付金の損金不算入制度について、別ワク損金算入を認める特定の公益法人の範囲を拡充し、社会福祉の増進等に寄与する法人を追加することとしております。 以上のほか、申告書の公示限度を現行の一千万円から二千万円に引き上げる等、所要の規定の整備を行なうこととしております。 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、公害対策に資するための措置であります。 すなわち、公害防止施設の特別償却の率を現行の三分の一から二分の一に引き上げるとともに、公害防止事業者負担金について、その納付したときに一時に損金算入を認める特例制度を設けることとしております。 第二は、海外投資、資源開発対策に資するための措置であります。 すなわち、海外投資損失準備金の対象地域の拡大及び出資要件の緩和をはかるとともに、石油開発投資損失準備金制度を資源開発投資損失準備金制度に改めて、その適用範囲の拡大、積み立て率の引き上げ等の拡充を行なうことといたしております。 第三は、貯蓄奨励及び住宅対策に資するための措置であります。 すなわち、貯蓄奨励対策として、勤労者の財産形成に資するため、少額貯蓄非課税制度の別ワクで、元本百万円を限度とする勤労者財産形成貯蓄非課税制度を創設するとともに、少額国債の非課税限度を現行の元本五十円万から百万円に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。また、住宅対策として、住宅貯蓄控除制度について、その対象貯蓄に一定の勤務先預金等を加え、税額控除の限度額を一万円から二万円に引き上げる等その拡充をはかるとともに、新築住宅の登録免許税の軽減制度について、その内容を拡充した上、適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。 第四は、中小企業対策に資するための措置であります。 すなわち、青色事業者について、青色事業主特別経費準備金制度を創設することとし、毎年の事業所得の五%相当額、最高十万円を限度として、準備金に繰り入れた金額を必要経費に算入することを認めることといたしております。また、特恵関税の供与に伴い事業を転換する中小企業者についての償却の特例制度を創設するとともに、信用保証協会の抵当権の設定登記等の登録免許税の軽減制度を設ける等の措置を講ずることといたしております。 第五は、輸出振興税制の見直しであります。 すなわち、輸出振興税制については、その縮減合理化を行なった上、適用期限を延長することとしております。まず、輸出割り増し償却制度については、輸出貢献企業に対する特別割り増しを廃止するとともに、割り増し償却率を輸出比率の一〇〇%から八〇%に引き下げることとしておますす。また、海外市場開拓準備金については、輸出貢献企業の特別割り増しを廃止する一方、中小企業の負担を緩和するため、積み立て率を五割程度引き上げることとしております。さらに、技術等海外取引所得の特別控除制度については、工業所有権の譲渡等を除き、その所得控除の率を二分の一に縮減することといたしております。 以上のほか、交際費課税の強化をはかるため、損金不算入割合を現行の六〇%から七〇%に引き上げて適用期限を延長し、山林に関する課税の特例制度について合理化を行なうとともに、証券取引責任準備金制度等、期限の到来するその他の特別措置について実情に応じ適用期限を延長する等、所要の措置を講ずることとしております。 以上、関税定率法等の一部を改正する法律案外三法律案につきまして、その提案の理由と内容を申し上げました。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
○委員長(柴田栄君) 引き続き、補足説明を聴取いたします。谷川関税局長。
○政府委員(谷川寛三君) 関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、改正の内容を補足して御説明申し上げます。 最初に、関税率の改正について申し上げます。 まず、物価対策のための改正について申し上げます。 第一は、ケネディ・ラウンドの繰り上げ実施でございます。 わが国は、ケネディ・ラウンドに従い、昭和四十三年七月から五段階の引き下げを年次的に実施してまいりましたが、参考資料としてお手元に提出してございます「昭和四十六年度関税改正案一覧表」にございますように、物価対策等の見地から、昭和四十七年一月一日から適用される予定の最終税率を九カ月繰り上げまして本年四月一日から適用することとしております。繰り上げ実施の対象品目は、資料の「A昭和四十六年度関税率改正案総括表」にありますように、千九百二十三品目でございます。 なお、協定税率が適用されない国等の産品のうち四百三十二品目につきましては、従来と同様、今回の繰り上げに伴い、ケネディ・ラウンドの譲許税率にあわせて関税率の引き下げを行なうこととしております。 以上が物価対策の一環としてのケネディ・ラウンドの繰り上げ措置でありますが、このほかに、関税率の引き下げを行なうもの百二十四品目の中に、特に物価対策の観点からする生活関連物資三十八品目の関税率引き下げが含まれております。これら三十八品目の内訳は、資料の「A−附表関税率改正品目の改正趣旨別内訳」に示すとおりでございますが、以下そのおもなものについて御説明申し上げます。 バナナにつきましては、新たに季節関税を採用することといたしまして、国産果実特にリンゴの出回り期であります十月から翌年三月までは現行税率六〇%を据え置くとともに、四月から九月までの期間につきましては、これを四〇%まで引き下げることとしております。 なお、このほかに、メロン、イチジク等、生鮮果実類の関税率を二〇%から一〇%に引き下げることとしております。 羊肉・馬肉等につきましては、ソーセージの自由化対策の意味も含めまして、八%から無税とすることとしております。 カラーフィルムにつきましては、国産品の品質向上等にかんがみまして、一般のロール状カラーフィルム等現行税率四〇%のものは二六%に、また、商業映画用のカラーフィルム等三〇%のものは二三%に、それぞれ引き下げるとともに、昭和四十八年度におきましては、これらをいずれも二〇%まで引き下げることとしております。 灯油につきましては、最近における石油製品の値上がり傾向にかんがみまして、現行税率一キロリットル当たり、二千二十円を千五百二十円に引き下げることとしております。 また、乗用車につきましても、輸出環境の整備の趣旨もかねまして、小型乗用車につきましては二〇%から一〇%に、大型乗用車につきましては一七・五%から一〇%に、それぞれ関税率の引き下げをはかることとしております。 次に、輸入自由化対策のための改正について申し上げます。 資料の「改正趣旨別内訳」にありますように、輸入自由化を促進いたしますため、各種関税措置を活用することとしておりますが、以下そのおもなものについて申し上げます。 グレープフルーツにつきましては、季節関税を採用し、国産かんきつ類の出回り期でありまする十二月から翌年五月までは四〇%、その他の時期におきましては二〇%とすることとしております。 豚肉につきましては、現在の基本税率一〇%とあわせて畜産物の価格安定等に関する法によって定められておりまする豚肉の安定基準価格及び安定上位価格の中間価格を基準とする差額関税を設定し、国内養豚農家の保護に配意しつつ、適正な価格水準による輸入をはかることとしております。 なお、豚につきましても、豚肉の場合と同様の考え方に基づきまして差額関税を設定することとしております。 次に、牛につきましては、肉用和牛等の生産の保護育成をはかりますため、低価品の輸入に備えまして成牛一頭につき七万五千円、仔牛一頭につき四万五千円の税率を設定することとしております。 また、馬につきましても、地域産業としての軽種馬生産を保護いたしますため、軽種馬一頭につき四百万円の従量税率を新設することとしております。 なお、これら豚、牛及び馬のうち、改良増殖用等の目的が輸入されるものにつきましては、従来どおりこれを無税とすることとしております。 さらに、内外価格差の大きいパテントレザー、皮製はき物の部分品等につきましては、それぞれ関税率の引き上げを行なうこととしておりますほか、硫化鉄鉱、はつか取卸油、木炭、魚粉等につきましては、それぞれ関税割り当て制度を新設いたしますとともに、メントール、仕上げのり等につきましては、従価従量併用税を採用する等、それぞれの品目の実態に応じまして種々の関税措置を活用することにしております。 なお、これら自由化対策のための関税改正は、原則として、自由化実施の日から施行することにしております。 以上、自由化の促進等のため、単純な関税の引き上げは最少限にとどめまして、季節関税、差額関税等各種の関税機能を積極的に活用することといたしておりますが、資料の「総括表」にありますように、これらの措置も含めまして、関税率の引き上げを行なうこととなるものは合計二十二品目となっております。 このほか、暫定税率の適用期限を延長する等現行税率を据え置くものが合計七十二品目、また、従価税から従量税へ切り替えるもの等が三品目ございまして、これらを合計した一般的な関税率の改正品目数は二百二十一目となっております。 次に、特恵関税について申し上げます。 特恵関税につきましては、原則として国連貿易開発会議加盟の開発途上国でありましてその適用を希望する国のうち、政令で定めるものを受益国とすることにしておりますが、このほか、開発途上にある地域で固有の関税及び貿易に関する制度を有し、特恵供与を希望するものにつきましても、本来の受益国に与えられる特恵の便益の範囲内で品目を限定いたしまして特恵を供与することができることにしております。 次に、特恵関税の適用方式について申し上げますと、まず、関税定率法別表の第一類から第二十四類までの農水産品等につきましては、熱帯産品を中心ににつきまして五十九品目に限って特恵税率を適用することにいたしまして、税率の引き下げ幅は、二〇%(グリセリン等)から一〇〇%(カカオ脂等)までとしております。なお、これらの品目につきましては、特恵税率の適用によりまして輸入が急増し、国内産業に損害を与える場合には、特恵税率の適用を停止することができることとなっております。 また、関税定率法別表の第二十五類から第九十九類までの鉱工業産品等につきましては、生糸、絹織物、合板、にかわ類、皮製衣類、はき物、はき物の部分品の例外七品目及び石油関係三品目計十品目を除きすべて特恵関税の対象としておりますが、これらに適用さる特恵税率は、国内産業に及ぼす影響を考慮いたしまして、綿織物等五七品目につきましては、五〇%の引き下げ、その他のものにつきましは無税となっております。これら鉱工業産品等に対する特恵税率の適用は、品目ごとの区分に従って、昭和四十三年の特恵受益国からの輸入実績に最近年(昭和四十六年度の場合は昭和四十四年)の特恵受益国以外からの輸入実績の一割を加えて算定される特恵供与ワクの範囲内で行なわれることとなっておりまして、年度の途中で受益国からの輸入が供与ワクをこえたときは、その適用を停止することとしております。また、特定の一国からの輸入がワクの五〇パーセントをこえることとなった場合も、同様となっております。 なお、一時期に特恵輸入が集中することによりまして問題の生ずるおそれのある品目につきましては、例外的に割り当て方式をとることとしたほか、価格動が著しい基礎原材料等につきましては、緊急関税の発動要件を若干緩和した要件で特恵税率の適用停止また無税品目から二分の一軽減税率適用品目への変更を行なうことができることとしております。 以上の特恵関税の供与は、本年十月一日までの間におきまして政令で定める日から実施することとしておりまして、昭和五十六年三月末まで十年間継続することとしております。 次に、関税の減免、還付制度の改正等につきまして申し上げます。 まず、重油脱硫減免制度につきましては、脱硫重油一キロリットル当たり三百円の減税額を五百円に引き上げ、実質的に脱硫重油の関税負担を全額免除することにいたしました。なお、これとあわせまして、製油用の低硫黄原油につきましても新たに一キロリットル当たり百十円の減税を行なうこととしております。これらの措置は、石炭対策特別会計の財源事情のため本年十一月から実施いたしまして、同特別会計の存続期間に合わせて、昭和四十八年度まで継続することとしております。 なお、これに関連いたしまして、同特別会計の財源に充てられている原重油の暫定税率の適用期限は、同じく昭和四十八年度まで延長することとしております。 このほか、資料にありますように、最近における軽質燃料油需要の増大に対応いたしまして、農林漁業用燃料油の免税制度につき、免税対象重油の範囲拡大を行なうとともに、軽油の一部を免税対象に追加することといたしましたほか、脂料製造用原油及び揮発油の免税還付対象に工業用のアンモニアを追加する等、関税の減免・還付制度の拡充をはかることとしております。 なお、現行の減免・還付制度の適用期限につきましても明年三月末まで延長することとしております。 これらの改正による昭和四十六年度の関税の減税総額は、約三百六十一億円にのぼるものと見込まれます。 以上で関税定率法等の一部を改正する法律案につきましての補足説明を終わらせていただきます。
○委員長(柴田栄君) 細見主税局長。
○政府委員(細見卓君) 内国税につきまして、簡単に補足して御説明申し上げます。 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 その第一は、課税最低限の引き上げでございまして、基礎控除、配偶者控除、扶養控除おのおの一万円の引き上げ、給与所得控除の定額控除の三万円引き上げによりまして、給与所得者の課税最低限は、各世帯を通じましておおむね一〇%程度引き上げられることになります。 たとえば、夫婦と子供二人の給与所得者の課税最低限は、昭和四十五年分の八十八万円に対しまして、昭和四十六年分では九十六万三千円、改正後の平年分では九十八万四千円に引き上げられることになります。これは、アメリカの百三十一万四千円、フランスの百六万二千円には及ばないといたしましても、西ドイツ、イギリスのそれぞれを上回るものとなっております。なお、障害者控除などの特殊な人的控除につきましても、一般的な人的控除にあわせましてそれぞれ引き上げをはかっているところでありますが、今回の改正におきましては、昭和四十一年以来据え置かれております白色申告者の専従者控除についても、現行十五万円を十七万円に二万円を引き上げることにいたしております。 第二は、配偶者控除の適用要件であります所得限度の引き上げでございますが、今回の改正で給与所得等につきまして現行の十万円を十五万円に引き上げることによりまして、パート・タイムなどで働きに出ておられる配偶者については、現在では年間収入金額が二十二万五千円をこえますと配偶者控除が受けられなくなっていますが、それを三十一万七千五百円までの収入があっても配偶者控除を受けられるようにいたしております。 なお、このような所得限度等の引き上げと関連いたしまして、山林所得、譲渡所得及び一時所持の特別控除について、現行の三十万円から四十万円に引き上げることといたしております。 以上のほか、税制の整備といたしまして、一定の看護婦養成所の生徒を勤労学生控除の対象に加えることとし、生命保険料控除のワク内で控除しておりました心身障害者扶養共済制度の掛け金につきまして、その全額を所得から控除することとするほか、農業者年金の保険料を社会保険料控除の対象に加えること等の改正を行なっております。 また、固定資産の交換の場合の課税の特例の対象に、農地の上に存する耕作に関する権利を加えること、申告書の公示限度を現行の五百万円から一千万円に引き上げる等所要の規定の整備をはかることといたしております。 公示限度の引き上げにより、申告所得者全体の中での公示件数の割合は、現在の四%から一%程度に低下し、公示限度額を現在の五百万円に引き上げた昭和三十九年当時の状態に戻るものと見込まれております。 ————————————— 法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 第一は、完成工事補償引き当て金制度の製品保証等引き当て金制度への改組でございまして、現在、建設業につきましては、工事の完成、引き渡し後において行なう補修の費用に充てるため、完成工事人事補償引き当て金を設定することを認めておりますが、これを建設工事の補修に限らず、特定の製造業者が生産した製品について、無償で補修を行なうための費用についても引き当て金の設定を認めることといたし、その名称も製品保証等引き当て金とすることにいたしたものでございます。 第二は、寄付金の損金算入の範囲の拡充でございまして、現在、科学技術または教育の振興に寄与する法人等に対する寄付金については、一般の寄付金の損金算入限度額と同じ金額までを別ワクで損金に算入することを認めておるわけでありますが、今回、この制度の対象となります法人に社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人を追加することといたしているものでございます。 以上のほか、交換取得資産の圧縮記帳綱度の対象となる資産の範囲に、農地の上に存する耕作に関する権利を追加すること、申告書の公示限度を二倍に引き上げ、六カ月決算法人にあっては二千万円、一年決算法人にあっては四千万円とすること等、所要の規定の整備を行なうこととしております。公示限度の引き上げにより、申告法人の中での公示件数の割合は、現在の五%から二%程度に低下いたしまして、現行の公示限度を定めました昭和三十二年当時の状態に戻るものと見込まれております。 ————————————— 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 第一は、公害対策でございます。 公害防止施設の特別償却制については、特別償却の率を現行の三分の一から二分の一に引き上げることとしているのでありますが、この場合、中小企業者については、三年間三〇%ずつ均分償却する方法との選択を認めることとしております。 第二は、海外投資及び資源開発を促進するための措置であります。 海外投資損失準備金については、対象地域の拡大及び出資要件の緩和を行なっているのでありますが、これは、一法人が投資先法人の発行済み株式の一〇%以上を所有していなければならないとする出資比率の要件を日本側共同出資法人合計で一〇%以上であればよいことに改めますとともに、投資先法人は新開発地域にあるものでなければならないといたします適用地域の制限を廃止するものでありまして、この場合、新たに拡大される地域にかかる準備金の積み立て率を一〇%とすることとしております。 次に、石油開発投資損失準備金制度につきましては、これを資源開発投資損失準備金制度に名前を改めまして、適用対象の拡大、積み立て率の引き上げを行なうものでありますが、これは、適用対象に現行の石油のほか金属鉱物等の重要資源を加えるとともに、積み立て率を探鉱段階については一〇〇%、開発段階については三〇%とするものでございます。 第三は、貯蓄奨励及び住宅対策のための措置であります。 まず、貯蓄奨励対策といたしましては、少額国債の非課税限度を現行の元本五十万円から百万円に引き上げるほか、少額貯蓄非課税制度とは別ワクで元本百万円を限度として勤労者財産形成貯蓄非課税制度を創設することといたしておるわけでございますが、少額貯蓄の非課税限度及び郵便貯金の限度額がともに百万円から百五十万円に引き上げられることとなっておりますので、勤労者でございますと、一人当たり五百万円までの貯蓄について非課税の扱いを受けられることとなるわけでございます。 次に、住宅対策といたしましては、まず、住宅貯蓄控除について適用対象貯蓄に一定の勤務先預金や生命保険契約などを加えるとともに、税額控除の限度額を現行の一万円から倍の二万円に引き上げることとしているわけでありますが、税額控除の控除率は年間貯蓄額の四%でありますので、この限度額の引上げによりまして、年間適用対象貯蓄は現行の二十五万円が五十万円に引き上げられることになるわけであります。また、現行制度では、この控除はすべて確定申告書を提出してその適用を受けることになっておりますが、給与所得者については、年末調整の際に控除できることとし、この控除を受けるためだけで確定申告をするような必要はないこととしております。 住宅対策といたしましては、年金福祉事業団の住宅等にかかる融資に伴う抵当権設定登記について、登録免許税の税率を現行の千分の四から千分の一に軽減すること、新築貸家住宅の割り増し償却制度の適用期限を延長する等の措置もとられております。 第四は、中小企業対策であります。 まず、青色事業主特別経費、準備金制度の創設についてでございまして、これは、年齢六十五歳に達するまでの間準備金積み立てを認めるものでありますが、青色事業者が廃業、引退等をした場合には、その時における準備金積み立て残額は、一時所得の収入金額として取り扱いまして、それ以外の理由で取りくずした場合などは事業所得の総収入金額に算入することとしております。一時所得として扱われるときは、四十万円控除後の二分の一が課税対象とされることとなり、大幅な負担の軽減がはかられるわけでございます。 次に、特恵関税の供与に伴いまして事業を転換する中小企業者の償却の特例は、特定事業を営む中小企業者が認定計画に従いまして事業を転換する場合には、その計画に従って廃棄することとなる設備についてその計画期間内に償却が終わるよう措置するものでございます。 第五は、輸出振興税制の見直しでございます。 輸出割り増し償却制度及び海外市場開拓準備金の両方につきまして、輸出貢献企業に対する特別割り増しを廃止することにいたしております。輸出割り増し償却については割り増し償却率を現行の八割に縮減しているのでありますが、海外市場開拓準備金については、中小企業について負担の激変が生ずるのを避けるため、準備金の積み立て率を現行の五割程度引き上げることとしており、資本金一億円以下の商社の積み立て率は現行の一・一%を一・七%に、資本金一億円以下のメーカーの積み立て率は現行の一・五%を二・三%に引き上げられることとなります。 技術等海外取引所得の特別控除につきましては、所得控除率の二分の一圧縮を行なっているところでありますが、圧縮の対象から除外するものといたしましては、工業所有権の譲渡の場合のほか、コンサルティング役務の提供の場合をも含めております。 このほか、輸出交際費についての特例制度を廃止いたしまして一般の交際費と同様に扱うこととし、また、外航船舶の保存登記及び抵当権の設定登記にかかる登録免許税について、その税率を現行の千分の一から千分の一・五に、千分の一・五を千分の二にそれぞれ引き上げた上で適用期限を延長することとしております。 第六は、交際費課税の強化であります。 交際費については、現在、四百万円と資本金の千分の二・五%との合計額を上回る支出額について、その六〇%を損金に算入しないこととしているのでありますが、今回の改正は、この損金不算入率を七〇%に引き上げることとするものでございます。 以上のほか、今回の改正におきましては、山林所得課税の特例、事業用資産の買い換えの特例等について合理化をはかるとともに、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法の制定に伴って交付されまする塩業整理交付金について、圧縮記帳による課税の特例を認める等の措置を講ずることといたしております。 以上が、所得税・法人税。租税特別措置法のそれぞれ一部を改正する法律案の提案理由を補足して説明いたした次第でございます。 —————————————
○委員長(柴田栄君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(柴田栄君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の皆さん方には、まことに御多用の中を、ただいま議題となっておりまする四法案に関しまして、本委員会に御出席をいただきまして、本審査のために貴重な御意見を拝聴することができますことを、厚く御礼を申し上げます。 これからの会議の進め方につきまして申し上げますると、まず、最初に、関税定率法等の一部を改正する法律案について尾関参考人及び斎藤参考人の順に、引き続いて所得税法の一部を改正する法律案外二法案について北野参考人及び福良参考人の順に、お一人約十五分程度の御意見をお述べいただきまして、その後委員の方々からの質問にお答えいただきたいと存じますので、御了承をお願いいたします。 それでは、尾関参考人、お願いいたします。
○参考人(尾関將玄君) 私は、これから、関税率審議会の調査部会長として、昭和四十六年度の関税改正について意見を述べたいと思います。 関税率審議会は、昭和四十五年十月、大蔵大臣から、最近における経済情勢の変化に対応して、現行の関税率をいかに改めるべきかを諮問されました。その後、同審議会は、調査部会を中心に、本年初めまで七回にわたり慎重審議を重ねた結果、本年一月、大蔵大臣に対し答申した次第であります。ただいま御審議いただいております関税定率法等の一部を改正する法律案は、この審議に基づいて作成されたものであります。 今日、われわれは、内外に種々の問題をかかえておりますが、対外的には、わが国の国際的地位の向上に伴い、輸入自由化の促進及び後進国の援助の問題があり、対内的には、高度成長によるひずみとしての物価及び公害の問題があります。そこで、関税率審議会としては、これらの諸問題に対する施策の一環として、いかにして関税機能を活用すべきかについて、その具体策を鋭意検討いたしました。その結果、KRの繰り上げ実施千九百二十三品目のほかに、二百二十一品目について改正を行なうとともに、特恵関税を実施する等の施策を行なうべきであるとの結論に達しました。この結果、減税額は三百六十一億円となる見込みでありまして、今回の改正は、品目数におきましても、減税規模におきましても、画期的なものであると思います。 まず、最近における物価問題の重要性にかんがみ、物価対策として積極的に関税政策を活用することといたしまして、今回KRの九カ月繰り上げ実施により約百七十億円の減税を行なうほか、バナナ、羊肉・馬肉等三十八品目の生活関連品目について約百二十億円の減税を行なうことといたしました。 なお、特にバナナ等につきまして、関税率審議会としては、かねてから高率関税の引き下げを要請する附帯決議も付されており、今回の改正にあたっても、答申された以上の減税を行なうべきであるとの強い意見も出されましたが、とりあえずの措置として答申の線でまとめたわけであります。 ただ、この際、政府に特に要望したいのは、このような減税の効果をいたずらに流通過程等において吸収させることなく、末端の消費者物価に反映せしめるよう、流通面等について万全の措置をとっていただきたいことであります。さらに、今後におきましても、この観点に立って物価対策のための減税に一そうつとめるべきであると考えます。 次に、輸入自由化対策については、政府は現在の残存輸入制限八十品目を本年九月末までに四十品目にする方針をきめておられるのでありますが、輸入自由化につきましては、わが国の国際的地位にかんがみ、資本自由化と並んで積極的に推進せざるを得ない問題であると同時に、関係業界の保護と消費者の利益との調整をはかる必要があり、かつ、関税上の保護措置により、自由化の効果を減殺することは極力避けるべきでありますので、できる限り単純な関税の引き上げによらず、いかにして輸入自由化の推進に寄与するかについては、われわれとして最も苦慮したところであります。 現在の残存輸入制限品目は、国際競争力に乏しい業種に属するものであり、自由化にあたり経過的な関税上の保護措置を講ずることはやむを得ないのでありますが、上述の趣旨から、単純な関税率引き上げは極力これを避け、原料の関税引き下げ、関税割り当て制度、季節関税、差額関税の採用等の関税諸機能を活用することとして、二十五品目について所要の改正をしたのであります。 輸入自由化にあたり、今回の改正をもってしては、国内産業保護上、不安を持たれる向きもあろうかと思いますが、緊急関税制度等もあることでもあり、その運営上遺憾なきを期することによって自由化の実をあげることを期待いたすものであります。 次に、特恵関税につきましては、国連貿易開発会議において多年検討されてきたところでありますが、昨秋結論を得て、わが国も開発途上国に対して特恵関税を供与することとなったのであります。開発途上国と競合する中小企業の比重の高いわが国としては、特恵供与はほかの先進国にもまして関心の深い問題でありますので、われわれも慎重に審議したところであります。政府案では、特恵供与品目等の選定、特恵供与ワクの設定及び管理方式、さらに関税上の緊急措置について、きめのこまかい配慮がされておりますし、別途中小企業特恵対策臨時措置法案も国会において御審議中のようでありますので、特恵供与によりわが国産業に大きな混乱を生ずることはまずないものと思われますが、政府におかれましては、中小企業の合理化、近代化につとめるとともに、特恵供与の実施にあたっては、業界に無用の不安混乱を招かぬよう、慎重に配慮されることを希望してやみません。 最後に、公害対策といたしましては、四十五年度以来実施しておる重油脱硫減税の減税単価の引き上げを行なうとともに、新たに低硫黄原油の関税軽減を実施することとしたことは、大気汚染防止対策を進める上で意義のあることと考えます。 なお、本審議会といたしましては、エネルギー源としての原重油の関税は極力引き下げるべきであるという附帯決議をしばしば行なっており、今回原重油の暫定関税率の四十八年度までの延長決定に際しましても、その趣旨の附帯決議をつけた次第であります。 以上、今回の改正案の主要点について、私どもの考えを申し述べたのでありますが、これを総合いたしますと、政府御提案の関税定率法等の一部を改正する法律案に基本的に賛成するものであります。しかしながら、今後とも関税政策によって措置すべき問題はなお多く存在するものと思われますので、四十七年度以降も一そうの努力を重ねることを期待いたしたいと考えます。 以上でございます。
○委員長(柴田栄君) ありがとうございます。 次に、斎藤参考人、お願いいたします。
○参考人(斎藤倉之助君) 私は、特に特恵問題の産業界に与える影響と申しますか、そういう点について、特に四項目について要点を御報告してみたいと思います。第一項目は基本的な考え方、第二項目は産業界に与える影響の大筋と申しますか、そういう問題、それから第三番目にはその具体的な内容、第四番目にはわれわれ特に銀行としての考え方、そのような四項目について御報告してみたいと思います。 まず、第一の基本的な考え方でございますが、この特恵問題につきましては、先ほど御説明がございましたように、農産加工品については、エスケープクローズがありますし、工業製品につきましては、減税額というものも額としては少ないものであるというふうに聞いております。それから特に輸入につきましてシーリングのワクがございますし、また、五〇%の頭打ち条項も入っておりますから、輸入面につきましては大綱としては影響はないというふうに考えております。ただし、特恵問題には関係なく、むしろ発展途上国の追い上げという問題が基本的にあるわけでございますので、その点が私どもとしては問題意識を持っております。その動きにこの特恵という問題が一つのインパクトを与える、これはあり得ると、そのように考えております。それから特にこの特恵につきましては、輸入面よりも輸出面に非常に問題がある、そのように考えております。これは特に対米輸出において問題があると、そのような基本的な考え方でございます。 それから第二の産業界の大きい動きについて特徴を申し上げますが、まず、発展途上国からの輸入面につきましては、大綱としては問題ないということを申し上げたわけでございますが、四十四年度の輸入の通関実績約百五十億ドル、それから発展途上国からの輸入は、そのうち約四二%の六十三億ドル、その中身は、工業用原材料五十八億ドル、これはほとんど無税あるいは低率ということになっております。それから軽工業品、これが問題の軽工業品でございますが、これは約五億ドル。全体の輸入については、この軽工業品の輸入額は三、四%程度にすぎません。したがって、先ほどのことからさらに関連いたして考えますと、大綱としては問題ないというふうに考えておりますが、もちろん、輸入される場合の流通経路の問題とか、あるいは特に中小企業がその影響を受けるとか、そういう点につきましては、私どもとしては重大な関心を持っております。 それから次は、先進国への輸出面でございまして、特にこの面に影響があるということを先ほど申し上げましたが、若干詳しく申し上げますと、米国の特恵制度は、御承知のように、例外品目として、石油類三品目、それから繊維、これは特に絹、麻関係、カーペット、そういうものを除きました九十品目が例外品目となっております。それから靴が五品目、それから一次産品の一部分、これが例外品目となっておりますが、原則としては無税方式でございまして、エスケープクローズ方式でございます。それから一方、各国の輸出における軽工業品の割合をちょっと御報告いたしますと、日本は約二九%、米国が約一二%、英国が約二一%、西独が約一五%、フランスが約二一%この軽工業品は、御承知のように、中小企業が多く関係しておるわけでございます。しかも、この先進国の中では、日本が最も輸出に占める軽工業品の割合が高い、そういうことでございます。しかも、日本の軽工業品の輸出の約三三%はアメリカ向けでございます。したがって、米国市場における発展途上国との競合といいますか、それは重大な関心を私ども持っております。私どもの調査によりますと、約九十一品目を特にわれわれはマークしております。この九十一品目の対米輸出額が約十七億ドルくらいでございます。これは、対米総輸出額の約三四%を占めておる、そういう状況でございます。したがって、輸出面、特に対米市場において、われわれは問題意識を持っております。 次に、もう一つ大きい、これは特恵という問題よりも、より以上、後進国からの追い上げという問題でございますが、この影響を受ける業種にだんだん変化があらわれてきておる、そういう点でございます。具体的に申しますと、雑貨繊維、そういうものの中心から、やがては非鉄金属関係、化学工業品、軽機械関係と、より高度のものにだんだん移っていくということを覚悟しておかなければいけないのではないか、そのように率直に考えております。 それから第三番目に、若干具体的な内容につきまして動きを御報告してみたいと思います。特に問題の工業製品について申し上げてみますと、輸入面におきましては、御説明がございましたように、特定品目、例外品目等重要な問題に影響のあるものにつきましてはそのような措置がとられております。それから先ほど申し上げました対米輸出面におきまして九十一品目われわれは問題意識を持っておりますが、これらの中から特にしぼりまして約九十三品目につきまして私どもは輸入直輸出面等について検討してあります。 特に、輸入面におきましては、特恵という問題より以上に、先ほど来申しましたように、基本的な後進国の追い上げという問題を重要視しております。 輸出面につきましては、特に影響があるということを申し上げましたが、試みに申し上げますと、最も影響あるものをA、それから中間の影響がB、ほとんど影響がないものをCといたしますと、最も影響あるものが約二十二品目われわれは考えております。それからその次に影響あるものが約十九品目、これだけで四十一品目あるというふうに考えております。したがって、対米輸出面において、われわれとしては十分問題意識を持っております。特に雑貨関係は、大・中の影響があるものが合計して二十四ございます。そのほか、軽機械、その他の問題にもだんだんこういう動きが波及していくというふうな考え方を持っております。 それから業種別にちょっと動きを申し上げますと、まず、雑貨でございますが、輸入面につきましては、シーリング方式がございますし、問題業種につきましては例外品目あるいは特定品目になっておりますから、影響度は少ない、そのように考えております。したがって、この面におきましても、考え方といたしましては、後進国の追い上げの基本的な問題が重要であると、このように考えております。ちょっと試みに申しますと、木製の台所用品、プラスチック製の玩具、人形及びその部分品、グローブ・ミット、バドミントン用具、その他若干ありますのですが、そのようなものについては、基本的にむしろ特恵問題以前の問題を問題意識として十分持っております。それから輸出面につきましては、輸出依存度の高い中小企業が多くありますし、特に、香港、台湾、韓国、そういうところとの競合がございまして、先ほど申しましたように、少なくとも相当影響のあるものを二十四品目マークしております。 繊維でございますが、輸入面につきましては、影響があります重要なものは、二十五品目が、例外品目、特定品目として指定されておりますから、影響は少ない。ただし、二次製品につきましては、たとえばワイシャツ、セーター、子供服、スラックス、中級以下のコート、ワンピース、こういうものにつきましては若干問題意識を持っております。これも、率直に申しますと、輸入方法の変化とか、そういうことが重要なあれでございまして、特恵という問題より以前の問題だというふうな感じがしております。輸出面につきましては、これも具体的に申しますと、米国が大部分例外品目にしておりますので、特恵よりも輸入制限が問題である、このように考えております。 それから軽機械でございますが、輸入面につきましては、トランジスター、半導体、コンデンサー、こういうものが今後ふえてくるのではないかというふうに思っております。輸出面につきましては、これは特にアメリカの資本が東南アジアに進出が非常に強くありますので、それがさらにアメリカに再上陸するというふうな形で、やはりアメリカ市場においては競合が相当出てくるのではないか、そのように考えております。 それからその他の窯業、ゴム、化学工業、非鉄金属等につきまして、輸入面について申しますと、花火とか、あるいは香気性物質等は除きまして、大部分影響ないと、こうように考えております。輸出面につきましては、ガラス鏡、モザイクタイル、花火、あるいは陶磁器製の食器、自転車用のタイヤ・チューブ、そういう問題は影響が出てくるというふうな考え方を持っております。 そのほか、特定地域に集中している地場産業、これは特に中小企業が主体でございまして、輸出指向型でございます。それと、アメリカの輸入制限問題こういう問題を問題意識として持っております。 最後に、このような動きに対しまして私どもはどう対処しようとしているかということにつきまして申し上げます。特に注目している業種は、ただいま申しましたことに関連いたしますが、輸出依存度の高いもの、それから輸出国における発展途上国との競合度の強いもの、それから輸入について急増する傾向のあるもの、それから特に経営者の方でまだ問題意識を十分お持ちになっておらない企業、そういうポイントにつきまして私どもといたしましてはできる限り銀行としての任務を果たしていきたい、このように考えております。具体的に申しますと、企業の近代化、あるいはデザイン力の強化、あるいは技術力の強化。それから第二番目には、海外へ進出するという場合がございます。発展途上国への進出という問題がございます。その場合には、商社あるいはよいパートナーを見つけるとか、あるいは現地における情報の提供とか、そういうものに努力していきたいと、そのように考えております。それから、もう一つ、業種転換の問題がございます。これは、国際分業とか、あるいは日本の国の高加工度工業への転換とか、いろいろそういう問題がございますが、これも今回政府当局で産業の調整に対しましての援助措置が検討されているということでございますので、そういう措置を十分活用させていただきまして、各業界における問題点につきましてわれわれの任務を果たしていきたい、そのように考えております。 以上で終わります。
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。 次に、北野参考人、お願いいたします。
○参考人(北野弘久君) 日本大学の北野でございます。三法案について意見を述べよということでございますが、問題が非常に多岐にわたっておりまして、しかも、与えられた時間がわずか十五分間でございますので、私なりに重要と考えます五つの問題だけに限定しまして所見を述べたいと思います。 まず、第一に、先ほど細見主税局長からも御説明がございましたように、所得税につきまして、基礎控除、配偶者控除をそれぞれ現行の十八万円から十九万円に、扶養控除を現行の十二万円から十三万円に引き上げるということが予定されております。また、給与所得者につきましては、給与所得控除の定額控除を現行の十万円から十三万円に引き上げるということが予定されております。この結果、たとえば、夫婦と子供二人のサラリーマンの課税最低限は、改正初年分では九十六万三千円、改正平年分では九十八万四千円に引き上げられるということになりまして、これは、西ドイツ、イギリスの課税最低限を上回ることになるということが指摘されております。このほか、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の各引き上げ、配偶者控除及び扶養控除の適用要件であります所得限度の引き上げ、給与所得者が確定申告を必要としない所得限度の引き上げ等の改正がなされることが注目されるのであります。しかし、昭和四十六年分の自然増収が総額で実に一兆四千九百六十五億円の巨額にのぼっておるということ、最近の物価上昇率等を考えますと、今回の改正規模は決して私どもにとっては十分であるとは言えない、このように考えるのであります。 第二の問題としまして、今回、ただいま申し上げましたように、給与所得控除の定額控除の引き上げが予定されているのでありますが、そもそも現行の給与所得課税の仕組み自体が根本的に検討される必要があるのではないかと、このように考えております。現行法のもとでは、給与所得の必要経費は、すでに給与所得控除額に含められておりまして、控除済みであるということになりますので、所得税法が給与所得につきまして一般的な必要経費の概念を導入していなくても、そのことをもって直ちに違憲とすることはできません。しかしながら、ある者の給与所得の必要経費額が、法の定める給与所得控除額を著しく上回る場合におきましても、その超過分を一切控除しないということになりますと、他の所得者と比較しまして著しく負担の不均衡をもたらすことになるのであります。もちろん、法におきまして、そのような超過分を控除することを否定するだけの十分な合理的な理由がございますならば、少なくとも憲法上は問題はありませんけれども、実は、そのような合理的な理由の存在はいかにしても考えられないのであります。超過分の控除の否定は、結局は、行政の便宜に帰すると言うことができると思います。超過分が僅少である場合には、憲法上はさして問題にする必要はございませんけれども、超過分が著しい場合におきましても、法が定める給与所得控除額のみの控除を強制しまして、その超過分を控除することを制度的に保障していない所得税法の現行方式は、違憲性をはらむものと言わなければならないと考えるのであります。私は、現行方式の違憲性を解消するためには、西ドイツのように、実額控除をすることを制度的に保障するということが必要であると考えておるのであります。それから次善の措置といたしましては、次のように考えております。すなわち、必要経費の額は、一般に、給与所得者の職務の種類によって違ってくると見られます。かりに、定額控除を強制するとしましても、現行法のように、すべての給与所得者に対して画一的な金額を強制するのではなく、給与所得者の職務の種類から来る差異を制度的に考慮する方法が望ましいと考えるのであります。それで、給与所得者を幾つかに類型化しまして、それぞれの類型の実態に応ずる給与所得控除額を法定することとするわけであります。現行方式の違憲性を解消するためには、このような方式も検討されてよいように思うのであります。もっとも、このような方式によりましても、ときに実際の必要経費額が法定額より上回る場合が考えられます。しかし、その場合のわずかな差異は、一般に、憲法上容認し得る合理的な差別と見てよいと考えます。 なお、以上とは別の観点の問題としまして、給与所得控除制度の基礎にある四つのファクターをおのおの独立の控除項目とするのが立法論的に望ましいと考えております。 従来、法律学者は、税法事件に対しまして統治行為論を適用する必要があるとは夢にも思っていなかったのでありまして、この点を指摘する学者は、私の知る限り、いまだに存在いたしておりません。しかしながら、私は、税法学という学問の発達につれまして、租税立法の持つ多くの違憲性が明らかにされるようになってきますと、やがて最高裁判所は違憲判決の持つ影響を避けるために、税法事件に対しましても統治行為論を適用して司法審査を回避するという事態に立ち至るようになるのではないかということをおそれております。私自身は、裁判所は、統治行為論を適用しまして司法審査を回避すべきではない、つまり、統治行為論なる学説を肯定しない立場に立っておりますけれども、そうなりますと、多く予想される租税立法に対する違憲判決は、自衛隊法に対するそれよりも、社会的、政治的、経済的に、重大な影響をもたらすことになります。立案当局は、事の重大さを認識されまして、税法案の立案作業に当たっていただきたいと思います。なお、現在の租税立法には、学問的は違憲の疑いがある規定が少なくないということをこの機会に明らかにしておきたいと思います。 第三に、個人の青色事業特別経費準備金制度のことでございます。この点に関しまして、周知のように、中小企業諸団体は、事業主報酬控除制度の創設を要望しておりました。政府としましては、個人事業者につきまして、青色申告の奨励、老後の保障等をはかる見地から、青色事業主特別経費準備金制度を導入することにしたといわれております。昭和四十六年度の税制改正におきまして、事業主報酬控除の導入を見なかったとはいえ、ともかくこのような準備金制度の導入を見たことは、わが国の税制史上、一つの前進と評価することができると思います。しかしながら、事業主報酬控除の思想は、青色事業主特別経費準備金制度のそれとは異質のものを含んでいることに注意されねばならないと考えます。それは、今回の準備金制度のような青色申告の奨励とかといったレベルのものではありませんで、もっと本質的な、基本的な視点に立つものであります。私は、青色申告制度が導入されて以来、すでに二十年以上の歴史を持つ今日の時点におきまして、いまさら青色申告の奨励とかいうレベルの発想が出てくること自体に対して、基本的な疑問を感ずるものであります。 事業主報酬控除論は、青色申告の奨励という視点からではなく、法人企業と個人企業との間の制度上の不均衡を是正しようという観点から展開されているものであります。個人企業を法人企業と同じように純粋に一つの企業体と見た場合、事業主が企業体に対し提供しました役務の対価は、企業体のコストを構成するという考え方が成り立ちます。このような考え方からいいますと、事業主報酬控除は企業体にとってまさしく経費であるということになるのであります。つまり、事業主報酬控除論は、理論的にも十分に成り立つわけであります。 ただ、事業主報酬控除は、経済的には、所得税レベルだけでは、あまりメリットがございません。なぜかと申しますと、事業主報酬は、事業所得計算上必要経費に算入されるかわりに、その分は給与所得となりまして、現行法のたてまえからいきますと、結局、総合課税の対象になるからであります。もっとも、給与所得控除分だけは、経済的にはメリットがあるということになります。私は、事業主報酬控除論の意義は、そうした経済的メリットの面においてよりも、むしろ個人企業を法人企業と同じように考えようというそのこと自体、つまり思想的、精神的側面においてこそ存在するのだと考えております。 ただいまも申し上げましたように、事業主報酬控除論は、所得税レベルだけでは経済的にはあまりメリットがございませんが、これを事業税、住民税にまで波及させますと、経済的にもかなりのメリットが生じます。のみならず、事業税についてこれを導入いたしますと、従来の事業所得から勤労性所得部分を分離させるという効果をもたらすという理論的な意義を持つに至るわけであります。また、事業主報酬控除論は、少なくとも理論的には租税回避の手段としての法人成りを阻止しょうという立場からもサポートされ得る側面を持っていることにも注目したいと思います。 ともかく、理論的には十分根拠のある議論と考えるのであります。私は、かねてから、企業課税をめぐるさまざまな問題は、究極的には、わが税制が法人とか個人とかという人格の相違によりまして画一的に別個の制度を適用している点に由来していると考えておりますけれども、事業主報酬控除論はそういった企業課税の基本的なあり方に深くかかわり合いを持っております。酬控除論を右から左へのポケット論によって一蹴するのではなくて、そうした企業課税論の一環としての視角から本委員会におきまして慎重に検討されることを要望したいのであります。 第四に、租税特別措置のことについてであります。今回の税制改正案におきましても、多くの特別措置の導入・拡充が見られます。政府側の試算によりましても、昭和四十六年度の特別措置による国庫減収は、実に国内税だけで四千三百九十四億円という巨額に達しております。個別の特別措置につきまして所見を述べる時間がございませんので、この機会にかねてから考えております特別措置をめぐる問題点を総括的に申し上げさせていただきたいと思います。 第一点、財政議会主義を強調しております日本国憲法は、補助金のような国費の支出についての国会のコントロールは、個別的・具体的であらねばならないということを要請しております。特別措置は、税法律の規定するところであるというそう意味では財政議会主義に反しないのであります。しかし、その実質は隠れた補助金であります。その意味から、この巨額の補助金に対しては実質的には全く国会の民主的コントロールは及んでいないわけであります。つまり、特別措置は、実質的には憲法の財政議会主義を形骸化せしめているということが指摘されねばならないのであります。 第二点、特別措置は、特定の政策目的のために負担の公平を犠牲にするものであります。負担公平原則は、単に財政学のレベルの租税原則の一つではなく、私は、日本国憲法のもとでは憲法上の原則であると考えております。したがいまして、特別措置に対しましては、そのような観点から厳密な憲法的なメスが加えられねばならないと考えているのであります。 第三点、利子所得、配当所得の分離課税等の特例によって容易に理解されますように、特別措置は総合累進構造を形骸化せしめております。そうして、それは、租税制度の持つ所得再配分及びビルトイン・スタビライザーの機能を減殺せしめるのであります。 第四点、大企業、高額資産所得層等への傾斜的な優遇措置は、一般の納税者のタックス・モラルを低下せしめるということが指摘できるのであります。 第五点、特別措置は、一たん採用されますと、その政策効果のいかんにかかわらず、既得権化いたしまして、廃止が困難となっております。政策効果のない特別措置は、いたずらに特定の納税者の租税負担を合法的に軽減するだけであります。 第六点、一つの特別措置の承認は、連鎖反応的に類似の幾つかの特別措置の承認要求をもたらすということであります。 第七点、特別措置による巨額の減収は、結局、一般大衆に対する所得税であるとか住民税等の重課、間接税の増微といった大衆課税を結果することになります。 第八点、特別措置は税制を複雑化いたしまして、人々の理解を困難にすることになります。税制の複雑化は、申告納税制度の健全な展開を阻害することになります。 第九点、企業会計に関する特別措置は、多くの場合、企業会計を混乱におとしいれ、その健全な展開を妨げるということになるわけです。 ともかく、法律学的な立場から申しますと、もろもろの資本主義的な経済政策の遂行は、租税面においてではなく、できるだけ歳出面において考慮さるべきであるということになることをこの機会に強調しておきたいと思います。 最後に、最近の税務行政のあり方に関連しまして、一つだけ問題を提起させていただきたいと思います。たとえば、昭和四十三年一月三十一日の東京地方裁判所判決——「判例時報」の五〇七号九ページでありますけれども、それによりますと、納税義務の確定を目的とするはずの税務調査が、現実には、その目的をこえまして、人々の結社の自由であるとか表現の自由とかといったさまざまな基本的人権を侵害する手段となっているということを明らかにしております。つまり、税務職員の質問検査権に関する法の規定が、事実において治安立法的に運用されている面があることが指摘されているのであります。現行法のもとにおきましても、質問検査権の行使には一定の法理的な限界が存在するわけでありますが、この際、行政面での改善とは別に、現実の行政の場におきまして権力の乱用がなされないように、立法において厳格な手続的規制がなされることを要望したいのであります。この問題につきましては、御承知のように、日本税理士会連合会の税制審議会が昨年十二月三日に答申を取りまとめております。 以上、時間の関係で、はなはだ意に満たない意見の開陳に終わりましたが、これをもって私の意見の開陳を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。 次に、福良参考人、お願いいたします。
○参考人(福良俊之君) 福良でございます。税制調査会の昭和四十六年度税制改正小委員長として、御参考までに意見を申し述べさしていただきます。 税制調査会は、昨年末の十二月の二十一日に、昭和四十六年度税制改正のよるべき指針を取りまとめまして内閣総理大臣に答申いたしたのでございますが、政府におきましては、この答申を全面的に尊重され、税制改正の具体的な政府案を決定されたのであります。 税制調査会が昭和四十六年度の税制改正におきまして特に重点的に取り上げるように指摘いたしましたのは、およそ次の四点でございます。第一は、所得税及び相続税の減税でございます。第二番目は、租税特別措置の弾力的運営に関するものでございます。第三点は、地方税の軽減合理化についてでございます。第四点は、自動車新税の創設でございます。これらの重点事項は、政府案におきましても重点的に取り上げられまして、具体的な措置が講ぜられております。 まず、第一の所得税につきましては、最近におきまする著しい所得水準の上昇等を背景とした個人の所得税負担の累増を緩和するために、その軽減を行なうことといたしまして、各種の所得控除の引き上げが行なわれるとともに、青色事業主特別経費準備金が創設されております。また、相続税及び贈与税につきましては、夫婦問の財産移転につきまして、居住用財産の生前贈与及び相続税の配偶者控除の拡充をはかるなど、その軽減合理化が行なわれております。 第二番目の租税特別措置につきましては、公害対策、海外投資資源開発対策、貯蓄奨励、住宅対策、中小企業対策、企業体質の強化等のための措置の拡充強化をはかり、期限の到来する輸出振興税制につきまして経済の国際化に対応する方向に改組し、交際費課税の強化をはかるなど、税制上の諸施策につきまして社会経済の進展に即応して適切な措置が講ぜられております。 第三番目の地方税でございますが、地方税におきましては、所得税の軽減に合わせまして個人住民税の減税が行なわれますとともに、事業税、電気ガス税等の軽減が行なわれ、また、市街化区域内の農地の固定資産税の課税について合理化がはかられております。 第四の自動車新税につきましては、税制調査会においていろいろ議論を行ないました結果、必要最小限度の負担を広く自動車に求める税制上の措置を講ずるよう政府において検討すべきであると答申しましたところ、政府におきまして、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮いたしまして、自動車重量税が創設せられることになっております。 以上のように、昭和四十六年度税制改正の政府案は、税制調査会の答申を十分尊重し、その実現をはかるべき措置を講じていると考えられます。ただ、答申で述べております事項のうちで、社会保険診療報酬課税の改善措置につきましては、残念なことでありますが今回の改正には織り込まれておりません。 この際、税制調査会として、今後どのような税制について検討をしておるか、あるいは検討をしようとしておるかということも、御参考までに申し上げてみたいと思います。わが国の税制は、その負担水準の面では、諸外国に比較してかなり低く、税体系の面では、直接税の割合が大きく、戦前の姿や西欧諸国のものと比べて特異なものとなっております。すなわち、租税負担率は国民所得に対しまして一九・三%でありまして、アメリカの三〇・四%、イギリスの四二・二%、西ドイツの三丁六%、フランスの二九・一%等、主要諸外国より一〇%以上も低く、また、直接税と間接税の割合は六六・六%と三三・四%となっておりまして、ちょうど二対一の割合となっております。ところで、今後、社会資本を充実し、社会保障を整備して、欧米並みの高福祉社会を実現していくためには、税負担がある程度上昇していくことはやむを得ないのではないかと考えられます。昨年春閣議決定を見ました新経済社会発展計画においても、同じような趣旨のことが述べられております。ただ、この場合におきましても、可能な限り経費の効率化につとめて、必要最小限度の負担となるよう努力することが肝要であり、また、負担の上昇がやむを得ないといたしましても、それは国民にとって無理のない、なだらかな過程を経て達成されるものでなければならないことは、言うまでもございません。そして、その場合に、どのような税体系をとった税制でこれらの増大する歳出需要をまかなうのがよいかということが、次の大きな問題でございます。国税収入を三分いたします所得税、法人税、間接税それぞれについて考えてみますと、所得税につきましては、今後におきましても、所得、物価水準の推移に応じまして負担の調整軽減を行なっていくことは必要であろうと考えられます。間接税のあり方につきましては、このところ税収に占めるウェートが逐次低下してきており、近年における消費の高級化、平準化に対応いたしました適正な負担を求めるといった見地から、現行関接税体系につきまして基本的な見直しが必要ではないかと思われます。なお、法人税につきましても、その仕組みや負担水準について、引き続き検討が必要であろうと思います。これらの問題につきましては、税制調査会といたしましては、四月以降、基本問題小委員会を中心に検討を行なうこととしておりまして、本年夏ごろまでには十分論議を尽くし、今後の税制の基本的な方向を答申としてまとめたいと考えております。この機会に、税制調査会がどのように考えておるかということを御参考までに申し上げた次第でございます。
○委員長(柴田栄君) ありがとうございました。 それでは、参考人に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 二、三の点についてお伺いをしたいと思います。 北野先生に二点ほどお伺いいたします。 いまの証言の中に、租税立法の中においてだいぶ違憲性のものがあると、こういう御指摘であります。具体的にその内容等があれば教えていただきたい、これが第一点であります。 それから第二の問題について、今回青色事業主特別経費準備金制度というものが創設されたことは、そのとおりであります。これは税制から見て非常に前進だという御指摘でございました。白色申告との比較でわれわれが検討いたしますると、五%のが十万円、最高ですね、必要経費として認めるというのが今回の経費準備金の内容になっているわけです。白色申告のほうは、現行一万五千円、これを平年度で二万円に引き上げたことは引き上げたのでありますが、この程度にとどめておる。こうという全体を見ますと、確かに青色申告のその部分だけでは前進の形をとっているかもしれませんが、税制全体からすれば、どうも分断政策をとっているように私は判断をするわけです。ですから、そういう意味合いにおいて、青色申告と白色申告、こういうものの差別助長になっているのではないだろうか、そういう税制全体からいってですね、こういう判断を持つんですけれども、その辺の見解が一つであります。 それから納税行政に対する御指摘があったのですが、私もそういう治安立法的な内容が各所で現に行なわれていることを知っているのであります。ですから、そういう意味合いにおいては、私たちも今後十分立法の場において職権乱用にわたらないような諸手続の検討というものが必要だろうと思うのでありますが、さしあたっていま一番先生が実感として感じられておる職権乱用というそういう部面がどういう内容においてやられているか、その辺の実情をいろいろと把握していれば、ひとつお聞かせ願いたい。 三点であります。 それから福良参考人のほうからいま税調のお話がありましたので二、三質問してまいりたいと思うのですが、一つは直間比率をあげられまして、直接税については六六・六%、間接税については三三・四%。どうも、最近の税調のあり方として、間接税の割合が直接税に比して非常に低いと。しかし、政府が、今回も歳入見積もりその他の中で税収の内容を見ますると、高いほうはそのままにしておいて、低いほうだけ引き上げしていこう。たとえば自動車重量税なんか設定をされたり、あるいは今後考えられる付加価値税というものがどうも設定をされていく。もうすでに付加価値税等については、つくるかつくらないかというような問題じゃなくて、政府の意向としてはもうずばりいつどういう時期に設定をしていくかというそういう段階まで踏み越えていると思うのですね。ですから、こういうものに対して、今後、税調としては、検討内容としてどういう考えをお持ちになっているのか、その辺の見通しを聞かせられれば説明をしていただきたい。 それから間接税をそういうことで抜本的に洗い直す必要がある、こういうわけですね。われわれは、いままで、いろいろな審議の中におきまして、たとえば戦前の戦費調達費用としてやられた交通税、あるいは電気ガス税、あるいは砂糖税、こういうものがありますが、こういうものは全般的に廃止をして、そして軽減措置をはかっていくべきじゃないかという主張を再三やってきているのですが、なかなか政府の態度としてはそういうところまで行っておらぬ。ですから、間接税全般を見直せというならば、まず国民に重荷となっておる、あるいは当然廃止すべきものは、私たちとしては、排除していくのが当然ではないか、この辺から検討される必要があろうと思うのですが、その辺の見解をひとつお聞かせを願いたいというふうに考えるわけです。 それから統計上見ますと、年々所得税の減税も非常に小幅なんです。ですから、いま御指摘のように、物価調整減税等は必ずやるべきだという御指摘のようでありますが、所得税の減税は今後もやはりやっていくべきだと思うのかどうか、その辺の御見解を税調としてどういうふうに検討されておるか。 三点伺います。
○参考人(北野弘久君) ただいまの戸田先生から御質問があった三点について簡単に申し上げたいと思いますが、第一点、まあ非常にたくさんの問題がございまして、とても申し上げかねますが、二、三例証的に申し上げますと、たとえば法人税法百三十二条であります。この規定は、御承知だと思いますが、同族会社の行為計算否認規定でありまして、これは大正十二年だったと思いますけれども、できた規定でありますが、旧憲法下とほとんど同じような形で新憲法下の今日に存在しておるわけでありまして、これはむずかしい法律学の議論を使わなくても、初歩的な憲法学の知識だけで、違憲である、租税法律主義に違反する、つまり課税要件明確主義の原則に反するわけでありまして、それが一つ。もう一つの例を申しますと、法人税法施行令七十一条に規定します「使用人兼務役員」に関する規定、これは、すでに、旧法下でありますけれども、これに関する下級審の判決で違憲であるという判決が出ております。事件は旧法下でありますが、新法では若干の条文の構成がよくなっておりますけれども、私は同じような問題が依然として新法下において妥当すると考えておりますので、法人税法施行令七十一条をあげておきたいと思います。 それから第二番目に、青色申告関係の準備金制度の導入でありますけれども、決して私は積極的にこの制度がいいとかいう形で評価する立場に立っているわけじゃなくて、むしろ否定的な立場に立っておりますのですが、ある限定された範囲内におきまして一つの進歩である。これは、青色申告の歴史から見ますと、専従者控除制度の拡充というような純歴史的な動きから見ていきますと、一つのステップであるということを申し上げただけでありまして、御指摘のように、白色申告との不均衡の問題は重要な問題として指摘されるべきだと思います。決して、準備金制度というこういう形のものが今日の解決方策として十分であるとは考えていないわけであります。それから、私、いまさら青色申告という制度を特に論ずる必要はなくなってきているのじゃないかと思っております。すべての納税義務者が記帳するというふうな考え方が浸透してきますと、いまさら青色申告者だけを特別に保護するという、そういう姿勢が今後の立法のあり方として問題であると考えておりますので、御指摘のように、青色申告者の特典という形で考えていくという姿勢をもうそろそろやめて、すべての納税者にそういった特典を拡充していくという、そういう方向の立法がなされるべきであると考えております。 第三点、職権乱用の問題、これはもう枚挙にいとまがありません。先ほど申し上げましたのは、判決のあった事案だけを申し上げたわけでありまして、最も有名な事件は中野民商事件でありまして、あそこの判決で、東京地裁の西山裁判長は、税務調査が、納税者の生活擁護団体と申しますか、そういう団体の存在そのものを否定することが目的だったと、そういうふうに客観的に理解できるという、そういう趣旨の認定を行なっておりますわけであります。つまり、結社の自由という憲法上の基本的人権を侵害することそれ自体が税務調査の目的である。決して租税債務の確定という純粋な租税目的が目的ではなくて、客観的にはそういった人々の基本権を侵害する手段になっておる。もっとも、税務当局にどういう主観的意思があったかどうか知りませんが、裁判所はそういうふうに客観的に認定できるということを述べておるわけです。 その他いろいろあるわけでありまして、たとえば、ある非常に有名な事件では、新憲法では考えられないようなことが行なわれているわけでありまして、これははっきりした公の場でも問題になりましたし、それからはっきりした証明書もあるわけでありまして、申し上げていいと思いますが、ある税務当局者は、国民の裁判を受ける権利を奪うことをやっておるわけでありまして、裁判を受ける国民の基本的人権を侵害することを白昼公然として行なうという、あるいは、ある人の営業の自由を阻害する、白昼公然と営業妨害をはかるという、そういうような事実があることが明らかにされた事案があります。 以上、簡単に申し上げたわけでありますけれども、枚挙にいとまがないということを申し上げたいと思います。
○参考人(福良俊之君) お答えいたします。 三点御質問があったと思います。 第一点の直接税と間接税の比率の問題でございますが、直接税と間接税の比率が一体どの程度のものが適当であるかというのは、その国のそれぞれの経済的な背景、あるいは歴史的な沿革等も関係するものと考えられます。しかし、現在の状況、直接税が先ほど申し上げましたように六六%を占めておる、間接税等がその残りであるということは、戦前の水準等から考えても、あまりに直接税に片寄り過ぎておるのではなかろうか。それから、ことに、税の負担感と申しますか、その点から申しますと、直接税があまりに全体のウエートが高いということが、逆に言えば納税者の税負担感というものを強めておる点があるのではなかろうか。それらの点を考慮いたしますと、直接税と間接税の比率というものをある程度是正する必要があるのではなかろうかと、このように税調としては考えております。ただし、来年度からどうすればよろしい、あるいは再来年度からどうすればよろしいということで具体的にはまだ検討が行なわれておりません。そして、御承知でもございましょうけれども、基本問題小委員会におきましては、およそ七つの点についていろいろの検討を行なってまいりまして、中間報告を行なっております。先ほども申し上げましたように、この四月以降基本問題小委員会がさっそく発足いたしまして、これらの点についてさらに検討を進めていくということになっております。したがって、先ほど御指摘のように、直ちに付加価値税に重点を置いていくのであるとか、そういうふうなことは今日の段階ではまだ何ら決定を見ていないというのが実情でございます。 第二点でございますが、間接税の洗い直しをするのはけっこうだが、それに先んじて、たとえば国民生活に非常に関係のある電気ガス税等を廃止したらどうか、こういう御議論でございます。電気ガス税等につきましては、税制調査会におきましても、今日まで毎回電気ガス税の減税ということについていろいろの答申を行なっております。ただ、御承知でもございましょうけれども、この税収というものが地方の自治団体等にとりましてはかなり大きなウエートを占めておる。しかも、一方におきましては、電気等はその消費が伸びている。そして、その徴収は電気事業者がこれを集めて地方団体にそのまま渡すというような便宜の手段等もございますために、この電気ガス税等の廃止につきましてはかなり地方側からの抵抗があって、いま御指摘のようにそれを全廃するというところまでは行っていないのが現状でございます。しかし、今後ともこれらの問題については検討を重ねていかなければならないと思います。 第三点の所得税の減税が年々小規模になっておるではないかという御指摘でございますが、比率の上から申しますと、四十六年度の税制改正におきましては、税の自然増収一兆四千九百億に対して、減税総額が全体として一〇%内外にとどまっておるという点が一つ問題になろうかと思いますが、過去五年ばかりの平均をいたしますと、減税額は税の自然増収に対して大体一〇%程度ということで、特に四十六年度においてその率が悪化しておるということにはなっておりません。さらに、これまた私が指摘するまでもございませんけれども、長期税制の答申におきまして、所得税の減税についておよその目安というものを掲げたのでございますが、四十四年度、四十五年度を通じまして、税率の緩和、あるいは控除の引き上げ等によりまして、大体目標とする所得税の減税は実現したのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、経済諸情勢の推移、あるいは国民所得の向上、さらには物価の上昇等も考えまして、四十六年度におきましても、基礎控除をはじめといたしまして、各種控除の引き上げによりまして所得税減税というものに大きなウエートを置いて税制改正の答申をしておるということを申し上げておかなければならないと思います。今後におきましても、いま申し上げたと同じような理由におきまして、税制調査会といたしましては、税を三分しております所得税、ことに累進構造を持っております所得税の減税については、十分留意しながら検討していかなければならない大きな題目だと考えております。
○戸田菊雄君 いまお話の中で二点ほどさらに質問しておきたいと思います。 〔委員長退席、理事大竹平八郎君着席〕 その第一点は、おそらく、政府の考えとしましては、四十六年度税制では抜本検討ができなかったわけですね。したがって、ことしの……
○参考人(福良俊之君) それは、間接税についてですか。
○戸田菊雄君 いや、税制全般について。税制全般について抜本検討ができなかった。したがって、それらの検討は七月以降開かれる税調の中におそらく政府から諮問されると、そういう運びだろうと思うのです。一応、間接税等について——いままでの大蔵大臣等の答弁ですと、その辺が中心になっているようでありますね。だから、税調としても、当然、いまの付加価値税等については、もう私は自動車重量税はその布石だと見ているのですけれどもね。だから、いろいろ取りざたされているのを検討しますと、一つはフランス型を、あるいは西ドイツ型を、あるいはEEC型をと、こういうふうに具体的に爼上に乗ってきているわけですね。そういうものから推して、たとえばフランス型で行った場合については税収見積もりはこの程度まで上がるだろう、こういうようなことです。しかし、大蔵大臣としては、物価等の見合いでもってなかなかふん切りがつかないというようなことをいま言っておりますが、内心はだいぶそっちのほうに行って検討されている。だから、そういう事実がいま税調としてはないのかどうか、その辺の見解をひとつお聞かせ願いたい。想定の上で申しわけありませんが、もしそういうことで付加価値税等を導入をしていくというようなことになって検討される場合には、はたしていま指摘をされるフランス型とか、西ドイツ型とか、FEC型とか、どういうものに日本としては符節を合わせていくような方向にあるのか。あるいは、想定で申しわけありませんが、その辺の税収見積もりとしてはどの辺に考えるか。この辺の三点について内容としてもう一回お聞かせを願いたいと思います。 それから私は、直間比率、この大小はあまり意味をなさないと思うのです。結局、直間比率を土台にとってねらうところは、大衆重課方式で進めようという税制全般の増強体制につながっているのじゃないかと思うわけです。そういう意味合いにおいて、間接税の全般的な検討、こういうことはあるわけでありますが、どうしても、そういう面で言って、今後の経済膨張、歳出膨張、こういうものの最終というものを、大衆重課という形で進めてくるんじゃないか。そういう面について、先ほど御指摘になったように、所得税については、重税感、負担感が非常に重いという感じを持つわけです。こういうものはやはり早期に払拭をしていかなければいけない、内容において実質的に。そういうものを一体どこに焦点を当てて税調等で検討されようとしているのか、この辺の問題についてもう一度お聞かせを願いたいと思います。
○参考人(福良俊之君) お答えいたします。 第一点の問題でございますが、税制調査会の委員の任期は今年の九月の四日あたりで終わるはずでございます。したがいまして、その問におきまして、税制改正についての抜本的な検討ができるかどうかわかりませんけれども、先ほど申しましたように、この四月から直ちに基本問題小委員会を発足させて、任期中には少なくとも税制のあるべき姿についての答申を行ないたいというのが第一の考え方でございます。 〔理事大竹平八郎君退席、委員長着席〕 そして、付加価値税制について一体どう考えておるのかということでございますが、これは、御承知でもございましょうけれども、税制調査会といたしまして、木下教授あるいは館教授のお二方に、一体現実に付加価値税制というものがどのように実行されておるかということを学問的な見地からと実情からと御視察を願いまして、その報告を受けております。ただし、全体として付加価値税制を採用するといたしましても、その移行までには少なくとも数年を要するであろうというのがいままでの結論でございます。したがいまして、いま御指摘のように、付加価値税制をとるといたしまして、一体どのような付加価値税制をとるかというところまではきまっておりません。ことに、EECの諸国、あるいは北欧の諸国、さらにこれからイギリス、アメリカ等がどういう態度に出てくるのかわかりませんが、多段階の付加価値税制をとるか、あるいは単段階の付加価値税制をとるかによりまして、税収等の見積もりもかなり変わってこようかと思います。それらの点については、まだ検討していないというのが実情でございます。当然、将来の財政需要、ことに社会保障の拡充等々の財政需要あるいは社会資本の拡充等のための財政需要、そういうものもにらみ合わせながら、おそらく付加価値税制を採用するといたしましても、その内容が具体的にきまっていくのではなかろうかと思います。しかし、それは将来のことでございますので、先ほど仮定の上に立ってとお話がございましたが、私の立場としてはそれ以上申し上げることは困難かと思います。 それから直間比率の問題は、むしろ直接税の比率を低めるということは税の負担感を軽減することには役立っかもしれないけれども、間接税重課ということになると、それは大衆課税の強化ということになりはしないか、また、それが一つのねらいではないかという御指摘でございますが、いままで、間接税につきましては、御承知でもございましょうけれども、逆進的な性格を持っておる、そういう意味で間接税を重課するということは大衆課税になるということでかなりの反撃があったことは、申し上げるまでもございません。しかし、そう言いながら、西欧の諸国、また、アメリカ等におきましても、従来の直接税中心からある程度間接税にウエートを置いていくというふうに変化を見つつある。当然、その国の経済情勢、社会情勢等を勘案しながらこれらのことはきめていかれなければなりませんけれども、先ほども申し上げましたように、全体として所得水準が高まってくる、その中におきまして消費の高度化というものも行なわれてくるということになりますと、従来の間接税の増徴というものが単純に大衆課税であるという考え方をある程度是正して間接税についても考えていく必要があるのではなかろうか。現実の問題といたしまして、今日、所得税の納税者は二千万人をこえるということになっております。したがって、現在の所得税というものが、ある意味から申しますならば、大衆課税になっておるということも事実でございます。そういう面で、直接税と間接税につきまして、ある程度の比率を是正するという方向で今後とも検討をしていこうということでありまして、これが直ちに大衆課税の強化だという観点からだけ議論をするわけにはまいらないように思われますが、それらのことにつきましては、国民感情等も十分考え、さらに物価情勢等も十分にらみ合わせながら検討をしていかなければならない問題だと、かように考えております。
○松井誠君 最初に、斎藤参考人にお尋ねをしたいと思いますが、お話の中で、アメリカの資本が東南アジアあたりでつくった製品がいわゆる再上陸をするというお話がありましたが、それと同じようなことが、おそらく、韓国や台湾に行っておる日本の資本がやっぱり同じように日本へ再上陸してくるということもあり得るだろうと思いますが、そういう可能性としてどういう具体的な品目があるだろうかということが一つと、それからそういう形で再上陸してくるものに特恵関税ということになりますと、どうせ再上陸してくるのは相当高度の工業品だと思うのですが、経済協力という少なくともたてまえで日本の場合には資本が出ていっているわけですが、それがそういう形で再上陸してくるということになると、経済協力というたてまえからもどうであろうか。あるいは、そういうような高度の工業製品がやってくるというのは、特恵という本来の趣旨からいって一体どうであろうか。そういうことでちょっと疑問を持つんですけれども、その点をお聞かせをいただきたいと思います。 それから北野参考人にお尋ねをいたしたいんですが、いま大島教授のサラリーマン違憲訴訟というものがあって、先生も何か鑑定書を出されたそうでありますが、その違憲論の内容をお聞きをしまして、これは、結局、違憲だという具体的な憲法の条文というのは、人間は法のもとに平等だというそのことだけなのか、あるいは、何かそれ以外にも関係条文があるのだろうか。 それから統治行為論というふうに心配をされましたけれども、そういうことが、たとえば訴訟の中で政府のほうの準備書面みたいなもので統治行為論というものがすでにおわされておるのかどうか、そういうところから来る具体的な危惧なのかどうかということ。 それからもう一点は、先ほど、先生が、ことしの特別措置の減収額の四千三百九十四億、そう言われましたね。四千三百九十四億と言われたんですが、これは、政府の資料によりますと、その中から、交際費の分を増収分として千百九十六億、それを引いて、差引が四千三百九十四億になるわけです。交際費課税については、損金に算入するという意味の減収と見ないで、損金の不算入——いいですか、むしろ増税として特別措置の中に計算をしておる、そういう考え方でいいのかですね。交際費課税というのは、そういう意味で、本来取るべからざるものを特別措置で取っているんだという考え方なのか、そうじゃなくて、交際費課税というものは本来取るべきところのものを、これだけ特別措置で減収をしているんだと考えるべきなのか。これは特別措置全般にも多少関係のある問題ではないかと思うのですが、その点をお聞きしたいと思います。 それから最後に、福良参考人ですが、先ほど、日本の租税負担率が非常に低いというお話がありました。確かに、数字の上ではそうだと思うんですが、租税の負担率だけで機械的に比較をするということに私はどうも疑問がありまして、たとえば一人当たりの国民所得のレベルも問題でしょうし、あるいは税外負担というようなものが一体具体的にどの程度あるかないかということも問題でしょうし、それから社会保障というものが具体的にどういうように充実をしているのかいないのかということも問題でしょうし、そういうことをやっぱり総合的に考えないと、国民の租税の負担率だけで税金にまだ軽いというようには簡単には言えないんじゃないかと考えるのですが、その点についての御意見を伺いたいと思います。
○参考人(斎藤倉之助君) お答えいたします。 ただいまの御質問を、ちょっと誤解があるといけませんので、私、要約さしていただきますと、アメリカの資本あるいは日本の資本が後進国に行き、それがまた、特に、私は、先ほどの御報告では、アメリカにたとえば上陸していって、アメリカ市場において競合するというお話を申し上げたわけでございますが、どういう品物があるかというふうな問題と、それから経済協力との関係はどういうことになるのかと、それからそういう中において特恵をどう考えて位置づけたらいいのかと、御質問をそういうふうに承りましたのですが、そういうことでお答えさしていただきますが……
○松井誠君 ちょっとすみません。アメリカの資本の再上陸を中心にお聞きをしたのでなくて、日本の資本が韓国や台湾へ行っておって、そして日本へそれこそ再上陸してくるという可能性はないのか、あるとすれば、それは具体的にどういう品目なのか、そして日本の資本がそういうところへ行っているのは、経済協力というたてまえということで行っているとすれば、その点は一体どう考えたらいいかという趣旨なんです。
○参考人(斎藤倉之助君) わかりました。それは、具体的に申しますと、輸入面とあるいは輸出面に両方それでは関係が出てくるというふうに思いますのですが、たとえば軽機械関係とかそういうふうな高度のものに相当こういう動きが出てくるのではないかというふうに考えております。したがって、その場合に、発展途上国のたとえば資源を開発するとか、あるいはそれが輸出に向いてくるとか、そうしますと、発展途上国のまた経済の発展にプラスになる、国際収支のプラスにもなると、いろいろそういうふうなメリットが当然出てくるように考えます。それから、そういうことで、結局、それぞれの発展途上国のプラスにもなりますが、同時に、また、先進国のプラスになってくる。要するに、経済の全体の進歩の一つの過程としてそれは十分とられられるのではないか。そこには、当然、競争とか、あるいは協調とか、そういう問題が出てくるように思います。その場合に、特恵をどう位置づけるか申しますと、私は、やはり、国際化、いわゆる資本の自由化、あるいは貿易の自由化、それから発展途上国の進歩、そういうふうな中で特恵問題も前向きに考えていくべきではないかと、そのように実は考えておるわけでございます。
○参考人(北野弘久君) 松井先生からの三点についてお答えいたします。 第一点は、大島違憲訴訟においてどのような憲法条項が問題になっているのかという御質問だったと思いますが、これは、私の知る限り、憲法十四条だけであります。総評のサラリーマン訴訟では二十五条論も展開されておりまするが、大島違憲訴訟は憲法十四条の平等条項だけが問題になっておりまして、私もそのような観点から意見を述べたのであります。憲法十四条は、単に形式的な差別禁止条項ではなくて、私は、憲法規範論としましては、租税関係につきましては、実質的な平等と申しますか、応能負担の原則を包含すると考えておりまして、単に形式的な平等条項ではない。能力に応じて平等に租税を負担するのだという、そういう実質的な応能負担原則を包含するものとして憲法十四条の法規範論的意味を理解することができるのだと、そういうふうに考えております。 第二点、統治行為論の話でありますが、これは、私の知る限りは、まだ法廷ではそういう議論は出ておりませんし、そもそも国側ではそういう発想すら頭に浮かんでいないと考えていいと思います。私が申し上げたのは、日本の憲法学者は、従来、租税事件に対する、あるいは租税問題に対する研究に対して、あまりにも不十分である。つまり、租税に対する憲法感覚と申しますか、法感覚と申しますか、そういったものがきわめて欠落しておるということを申し上げたいために申し上げたわけでありまして、憲法学者が頭に浮かぶ統治行為論の事例として租税事件は入っていないということを指摘したわけであります。つまり、それほど租税に対する法律学界の認識がおくれているのだと、実は統治行為論は場合によっては租税事件にこそ発動せざるを得ないような事態に立ち至るのじゃないかということをおそれたのでありまして、その辺の認識を新たにしてほしいということから一般論として申し上げたわけであります。 第三点、租税特別措置でありまするけれども、これはまさに松井先生のおっしゃるような考え方も成り立つと思いますが、私としましては、交際費というのは本来、営業経費であると考えておりますので、そういう観点から申しますと、営業経費の損金算入を制限するということは、これはプラスの、増税のほうですか、になってくるという理解が可能なのではないか。ただし、現在の交際費課税のあり方が十分であるという意味ではありません。私は、むしろ、交際費課税のあり方に関連しましてかねがね思っておりますのは、措置法で対象にしている「交際費等」というのは、使途不明金は入らないわけでありまして、あくまで使途の明確なものだけに対してあのような制限を加えているわけであります。おそらく、現実の税務行政の中におきましては、使途不明金的なものを含めてと申しますか、使途不明なのか使途が明確なのかはっきりしていないものなどをミックスしてと申しますか、必ずしもそれを税務調査できびしく追及していない。と申しますのは、税務調査の段階で本来交際費等の損金算入の規制を受けないそれ以前の経費項目の問題であるはずなのに、それがはっきりつかめないために、現実には「交際費等」としての規制の対象になっているのじゃないかということでありまして、「交際費等」の課税の立法規定はむしろそういった税務行政の貧困さ、あるいは税務調査の不十分さを立法でカバーしている面もあるのじゃないかと、そういうふうに考えておるわけでありまして、むしろ税務調査をきびしくやっていきますと、ほんとうの「交際費等」だけに限定して規制対象にしていくという形で税務調査をきびしくやっていきますと、案外、新聞でいわれております、報道の金額にならないのじゃないか。あんなに大きな金額が出てくる一つの理由は、税務行政の貧困さにあるのじゃないかと考えているわけでありまして、この税務行政の貧困さを立法でカバーしておるという面があるのじゃないかと、そういうふうに考えております。ただ、現代資本主義のもとにおきましては、一般的な傾向としまして、企業は営業経費を増大することによって租税の回避をはかるという傾向が世界的に見られますので、交際費の立法規制というものは、例外的な措置ではなくて、むしろ原則であるという考え方も成り立つと思いますので、そういう考え方からいきますと、松井先生の御指摘のような理解も可能であろうと考えます。 それから質問はなかったんですが、先ほど福良参考人から付加価値税についていろいろ御意見が述べられましたので、時間の関係で私も述べたかったんですが、省略した関係上、ちょっと申し上げますと、付加価値税につきましては、二つの点で問題があると考えております。一つは、この税金は逆進的な構造になる、逆進性を持っておるということであります。それから第二番目に、物価上昇の原因になる危険性があるという、この二点からいきまして、私としてはきわめて慎重に考えるべきであると考えております。
○参考人(福良俊之君) お答えいたします。 先ほど、各国の国民所得に対しまする税負担率を単純にお示しいたしましたので、あるいは誤解を招くおそれがあったかと思います。もちろん、税の負担率だけで一体比較ができるものかどうか。御指摘のように、税外負担というものがどうなっておるか、あるいは社会保障がどうなっておるのか、、国民の所得水準自体がどうなっておるかということ等の広い範囲から検討を進めなければ、ただ単純に率だけで重いとか軽いとか言えないことは事実でございます。
○鈴木一弘君 最初に、尾関参考人に伺いたいんですが、関税率審議会の答申を見て感ずるんですけれども、まず、最初のところで、UNCTADの合意事項に基づいて今度改正したらどうかということになったわけですが、その中で、特恵受益国、これを定めることについてまずお聞きをしたいのでありますけれども、「政令で定める」と言っておりますが、香港等についてはどういうような考え方になっておりますか。英国の属領である香港、あるいはヤウンデ協定国、こういう国々に対しては、どういうような考え方であるか。一つは逆特恵の国でありますし、一方は香港は英国の属領でありますが、英国とは違うのか違わないのかという点。これは特恵問題としては非常に大きな問題だと思いますので、そういう点では御審議がなかったかどうか。 それからもう一つは、いわゆる貨物についての原産地証明のことでありますが、原産地証明が、場合によれば、原産地でない国から出して原産地証明をつけるというふうな事態も起きてくるだろう。これも政令でということでございますが、原産地証明についての審議といいましょうか、その点はどういうふうになってこられたかを伺っておきたいと思います。 それからいまの問題で、これは斎藤参考人にお伺いしたいのですが、特に競合の激しい品物については原産地の問題がものすごくたいへんな問題になるだろうと思うのでありまするけれども、それについてどういうように要望をされておられるのかということ。 それから先ほどもありましたが、アメリカの資本が東南アジアへ進出して再びアメリカへ再輸入をする。特恵の中には一わが国の特恵ではありません、アメリカの特恵ということになりますので、難貨等はシーリングでやっておるけれども、そのほかはエスケープクローズであるというようなこともあるようでありますが、その場合、一つは、米資本が東南アジアへ進出して、材料で出していくのか。そういう場合は、特恵の規定もたぶんあるだろうと思うのですが、そこで何か加工をするとなれば、付加価値がついてくる。この場合も、やはり、そうなって高級なものはひっかからないと思いますけれども、そうでないようなものだと、場合によればひっかかる。たとえば、はき物類であるとか、特にその点については、はき物について言えば、アメリカでは関税割り当て制度をとろうとしているようでありますけれども、そういう点についての影響について伺っておきたいと思います。
○参考人(尾関將玄君) お答えいたします。 香港につきましては、いろいろむずかしい問題もあるかと思うのでございますが、結局、いろいろと研究した結果、香港等においても、一がいにこれに特恵をやらないというようには言い切らなくてもいいのだと。大体、本来からいうと、UNCUTADに入っている国にということが一つの条件であるけれども、そうでなしに、そのほうのある地域のみであっても、関税を持って、そうして貿易制度を確立してやっているような国に対しては、特別にそれを取り入れてもいいのだというところまではきておる。ところで、しかし、それじゃ香港に特恵をやることにするかどうか、そういうことになりますと、これはそのときによって政府がきめることであって、まだ現在においてそこまでやるのだということを言い切ることはできないという、非常にデリケートなところに来ております。 それからもう一つは、ヤウンデの特恵、これもいまいろいろ研究をやっているけれども、これにどうするかというようなことは非常にデリケートなところがあるので、どうするかというところまでは決定しておらない。 それからもう一つは、原産地証明、非常にむずかしい問題であって、しかもこれは実際において運用する上においては非常に重要なことだと思います。御質問、まことにごもっともだと存ずるのでございまするが、これは手続に関することでありますから、関税審議会等においてこれをどうするかというようなことはやらない。これは、手続に関して、いろいろ政府当局、事務当局で研究すべきものであるということになっております。
○参考人(斎藤倉之助君) お答えいたします。 まず、第一の原産地証明につきましては、私もこれは非常に重要なことだと思います。この点につきましては、いまお話がありましたように、政府当局において適切な措置がとられる、このように考えております。 それから第二の問題につきましては、主として、現在、先ほど申しましたが、軽工業品という形で上陸していくというふうに私は考えております。それも、具体的に申しますと、現在は、何と申しましても、雑貨とか繊維関係、こういうものが相当競合するわけでございますが、それは、先ほど申しましたように、例外品目等になっておる点が非常にありますから、その意味では問題ないわけでございまして、繊維の問題につきますとむしろ違う問題があるということでございまして、後進国との問題ということと特恵問題とからんで申し上げますと、むしろ、軽機械関係とか、技術の高度なもの、それから例外品目からはずされたもの、そういうものにクッションとして東南アジア諸国が使われていくと、そういうことは覚悟しておかなければいけないのではないか、そういうふうな意味でございます。
○岩動道行君 私、一点だけちょっと関税について伺いたいのですが、尾関参考人に原重油関税に関する基本的な考え方はどうあるべきかということについて伺いたいのでございますが、現在は、石炭対策として原重油に対する関税がかかっておるわけでありまするが、そのうちの一部が公害対策として還付される、あるいは低硫黄に対するに軽減が行なわるというようなことが今回さらに新しく取り入れられたわけでございます。それはそれなりに意味があるわけでございまするが、最近のOPECの石油の価格引き上げに伴って、こういう原重油、原材料というものは、本来ならば無税であるべきものを、それが石炭対策等のために関税をかけられてくる。そうして、石油価格は、毎年上げられていく情勢になってきているわけでございます。国内の物価問題にも大きな影響が出てまいる。こういうときに、物価対策、あるいは公害対策、こういういろいろな複雑な、相矛盾した観点から、この原重油関税というものを基本的に見直していかなければならないのじゃないかという感じがいたしまするので、この際、原重油関税に対する基本的なお考えをもし御教示いただければ、お示しいただきたいと思います。
○参考人(尾関將玄君) お答えいたします。 いま石動先生の御質問、まことにごもっともだと存じます。関税率審議会のほうにおきましては、ずっと前から、エネルギー源になるこの重油関税については、無税にすべきものだと、ずっと前から申しております。そうして、いろいろとそうもいかないというので、かけるときにも、政府がかけようとするものに対しては、附帯決議をつけて、無税にしなきゃならないものだけれども、いろいろの理由もあるので、、この際は諮問のとおりに関税をかけることにするというような附帯決議をつけてやっております。しかし、この収入というものは、もう申し上げるまでもなく、非常に大きなものでありまして、それがいろいろなものにつぎ込まれておる。そこで、すぐは廃止できないような状態にもなっておった。が、しかし、またもう一方を言うと、いまおっしゃったようないろいろの理由で、これはどうしてもずっと安い税金にするか、それをどうするか、慎重に研究しなければならない。そこで、これから引き続いてこれをどうするか。いまの実際としては、どうしても政府としてある程度のなにが必要であると。また、理論からいくと、そういうことは立ちにくい問題だというようなことで、引き続いて研究すること、審議することということにいたしたいと思っております。
○委員長(柴田栄君) 参考人の方々に申し上げます。 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べをいただきまして、ありがとうございました。ただいまお述べをいただきました御意見は、四法案の審査を通し、十分に役立たせていきたいと存じます。ありがとうございました。お引き取りをいただいてけっこうでございます。 —————————————
○委員長(柴田栄君) ただいま議題となっておりまする四法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案についての本日の質疑はこの程度にとどめ、この際、関税定率法等の一部を改正する法律案にあわせて租税及び金融等に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○伊藤五郎君 私は、関税定率法の一部を改正する法律案について、若干お尋ねをいたします。 豚肉の自由化により、海外から安価な豚肉が大量に輸入され、国内養豚農家は大きな影響を受けると考えるが、関税によってどこまでその影響を食いとめていくことができるでありましょうか、お答えを願います。
○政府委員(谷川寛三君) 先生、もうすでに御案内のとおりと存じますが、昨年の六月に、物価対策閣僚懇談会におきまして、豚肉につきましてはこの際輸入の自由化をいたしまして、その反面、関税その他国内の豚肉の安定制度との調整措置を講じていくようにという御決定がございました。そして、ことしの一月十九日に、関係閣僚協議会におきまして、この九月末までに豚肉は自由化をしていくということになったわけでございます。今度、関税率の改正を行なうにいたしましても、それを踏まえまして、御審議いただいておりますように、豚肉につきましては差額関税の制度をとることにしたわけでございます。豚肉の価格安定につきましては、これまた御案内のとおり、畜産物の価格安定等に関する法律によりまして、安定基準価格と安定上位価格が定められておる。国内の豚肉の卸売り価格が安定基準価格を下回ったら、畜産振興事業団がこれを買い上げる。それから上位価格を上回ってくるようになりましたら、事業団が持っている豚肉を放出するという制度になっておりますが、今度の差額関税では、この二つの価格の中間の価格、まあ通常へそ価格といわれておりますが、それを基準にいたしまして、これを基準輸入価格として、それと豚肉の輸入価格の差額を差額関税として徴収する、ないしは輸入価格の一〇%、どっちか高いほうを関税として取るということにしたわけでございます。したがいまして、いま申しました中間のへそ価格以下では豚肉は入ってこないということになるわけでございます。一方、中間の価格というのは、豚の生産費等を勘案いたしまして、農林省におかれまして再生産可能の価格としてきめられておりますので、今度の差額関税の制度によりまして豚肉の輸入自由化をいたしましても、養豚農家には何らの影響はない。養豚農家の保護の上から申しまして完璧であるというふうに考えておる次第でございます。
○伊藤五郎君 大体わかりましたが、ただいまのへそ価格を基準価格とする差額関税を設けた場合、確かにへそ価格以下で輸入されることはないと言っても、私は常にへそ価格において豚肉が輸入されると考えられるため、結局、国内の豚肉価格がへそ価格以下に押えられるのではないかという心配があるのであります。その点はどうなんです。
○政府委員(谷川寛三君) いま申しましたように、今度の差額関税の制度によりまして、自由化後におきましては、とにかくへそ価格までは必ず税金を取りますので、それ以下で入ってくることはございません。かつ、日本の港へ着きましてから国内の卸売市場へ行くまでに保険料とか運賃とか、いろいろな諸掛りがかかります。これは、過去の実績によりますと、三%から一割ぐらいまではかかりますので、いまのへそ価格の上にそれが乗っかるわけです。ですから、大体、上位価格に近いところで輸入の豚肉は価格がきまってくる。それからまた、御案内のとおり、豚肉につきましては変動が激しいわけでございますが、米国とか韓国からの輸入の豚肉の価格を見てみますと、大体上位価格に近いところで輸入されておるようでございまして、決してその点御心配はないというふうに私どもは確信しております。
○伊藤五郎君 大体心配がないようでありますが、しかし、われわれは、立法するにあたっては万一の場合を考慮するわけです。かりに予想しがたい事態が生じて、大量の輸入豚肉によって、国内養豚経営に重大なる影響を与えるおそれを生じた場合には、一体どうおやりになるつもりであるか、これをお聞きをしたい。
○政府委員(谷川寛三君) いま申しましたようなことで御安心をいただいてだいじょうぶだと思います。かつ、豚肉というのは、これは先生に申し上げるまでもないところでございますが、ピックサイクルというのがありまして、先ほど申しましたように、価格の変動が内外とも激しいものでございますから、かりに輸出国の価格が安くて、輸入国が高い、相当輸出できるということになっても、いつ価格変動があるかもしれぬということでございますので、大体いまのあれを見てみますと、豚肉というのは輸出商品ではないようでございます。牛とかマトン、羊肉なんかについて見ますと、世界の生産量の、牛は四%強、それからマトンが九%強輸出されておりますが、豚肉だけは一%ぐらいしか輸出されておりません。これも、いま申しましたような価格変動が激しいから、非常な損害を受けるおそれがあるのでということもあって輸出商品になっていないだろうと思います。ですから、今度、輸入自由化によりまして安い豚肉がどっと入ってくるということは、まずないと思います。しかし、かりにそういう事態が起こりまして、そうして国内の豚肉の価格もうんと下がった、そのために養豚農家が被害を受けまして、そうして総合農政の推進にも非常な支障を来たす、あるいは来たすおそれが出てきたという場合には、つまり関税定率法の九条の二というのに緊急関税という規定がございます。そういう緊急関税の規定のいろいろな要件に合致するようないま申しましたような事態が生じました場合は、機を失せず関税率審議会の緊急関税部会、先ほどの尾関さんが部会長さんでございますが、そこにはかりまして、機を失せず緊急関税を発動いたしまして救済をするようにしたいと思っておりますので、御安心いただきたいと思います。
○伊藤五郎君 豚肉については、大体わかりました。 次に、簡単にバナナの季節関税について伺いたいと思います。 季節関税の作用によってバナナ関税を引き下げるといいますが、これは国内のリンゴ生産に大きな影響を与えるものと考えられますが、一体、どう、お考えですか。
○政府委員(谷川寛三君) バナナにつきましては、三十八年に自由化をしたわけでございますが、自由化前におきましては、差益金と関税を入れますと、一〇〇%というものを取っておったわけでございますね。その後、自由化をいたしまして、七割に下げた。それから四十三、四十四年に五%ずつ下げまして、現在六割になっております。これは、とにかく、六割という関税率は、国内でも——国際的にももちろんでございますが、国内でものすごく高いあれでございまして、消費者のほうからはもっと軽減すべきであるという要望が強いし、一方、いまお話がありました競合果実と考えられますリンゴの栽培農家のほうからは、また別の御要求が出てくる。こういうことでございまして、いろいろ勉強いたしまして、今回、季節関税というものを採用することにいたしました。リンゴの出回り期でございます十月から三月まで、この期間は、ただいまの六割の税率を維持いたします。が、次の期の四月から九月までは、六割を二割下げまして四割ということにいたしまして、ただいま申しました両方の相反した要望を折衰するということにした次第でございます。この十月——三月にリンゴの七割が出回るわけでございますので、それ以外の四月——九月を四割にいたしましても、これは三割の時期でございますから、リンゴの栽培農家保護の上からは全く心配がないというふうに考えております。
○伊藤五郎君 関税局長は心配がないと言いますが、リンゴは、いま、年間を通して一年じゅう出回っている。それは、冷凍施設が非常に完備したんですね。これを、あなた、お考え願わなければいかんですよ。それだからして、このバナナの季節関税によってリンゴの領域がうんと侵害されると心配をしているわけです、われわれは。特に、東北の青森県、山形県、岩手県ですね。そういうことだから、そういう場合、その対策をいまから考えてもらわなければいかん。季節関税でリンゴはうんと侵害される。こういう心配がある場合、一体、どうやりますか。
○政府委員(谷川寛三君) 先ほど申しましたように、確かに、一年間リンゴはいま出回りますけれども、関税率を下げます四月——九月は三割程度のものでございますから、まあいま申しましたように心配はない、リンゴのなにのですね。私ども、リンゴの気持ちもよくわかりますけれども、一方、消費者の御要望も満たさなければいけませんので、いま言ったようなことをしたわけでございますが、かりにこの措置によりまして、豚肉と同様でございます、国内のリンゴの栽培農家が非常な打撃を受けるようになった、その結果、リンゴも重要果実に指定されておるわけでございますが、農政推進上非常な支障を来たすことになったという場合には、機を失せず……
○伊藤五郎君 緊急関税ですか。
○政府委員(谷川寛三君) そうでございます。定率法の九条の二、緊急関税……
○伊藤五郎君 季節関税はやめますね。
○政府委員(谷川寛三君) 季節関税をやめるのじゃなくて、あそこにありますように、通常の関税のほかに高い関税を取りまして、リンゴ農家を保護するということにしたいと思います。
○戸田菊雄君 特恵関税についてまず最初に質問してまいりたいと思いますが、今回の関税定率法の改正で一番問題なのは、私は、中小企業対策じゃないかと思うのです。これらの諸対策について政府はどのような基本的な施策を持っているのか、その辺をまずお聞かせを願いたい。
○政府委員(谷川寛三君) 先ほども斎藤参考人のお話にもありましたように、私は、国内の輸入の面ではさしたる影響はないと思っております。と申しますのは、特恵関税供与の案自体が、御審議いただいております案自体が、国内産業に及ぼす影響を考えましてきめこまかくきめておるという点を申し上げておきたいと思います。と申しますのは、鉱工業製品が中心でございまするけれども、まず、国内産業にとりまして一番問題のある生系、絹織物等七品目につきましては、これは例外——特恵を供与しないということにしてございます。それからアメリカのように青天井で特恵を供与するのではございませんで、一定のワクを設けまして、基準年度における開発途上国からの輸入額を基準にいたしましてワクを設けまして、そのワクの中で特恵を供与するというふうな配慮をしております。したがいまして、ワクをこえますと、もう特恵供与はしない。それからまた、特定の国の特定の物資が、その物資についてきめられましたワクの五割を年度の途中でこえました場合は、もうその国のその物資につきましては特恵を供与しないということも考えまして、これも一つの大きな歯どめでございます。それから税率につきましては、原則は無税でございますけれども、繊維製品とか国内産業保護上いろいろ問題のあります物資五十七品目につきましては、無税ではない、税率のカット幅を五割にとどめるというふうなことも考えております。まあそういうことでだいじょうぶだとは思いますけれども、なお、場合によりましては、特恵供与によりまして安い開発途上国からの物資がたくさん入ってくるということによりまして国内の産業が相当被害を受けるというふうな事態が生じてまいりました場合は、あるいはおそれが出てまいりました場合は、ただいま議論がありました関税定率法の緊急関税の規定を若干緩和したところで、たとえば特恵供与を停止したりするようないろいろな措置を講ずることができるようにもしております。こういったことで、特恵供与の案自体が非常にきめこまかくきめられておりますので、まず、さしたる被害はないのではなかろうかというふうに考えております。 しかし、それでもいろいろ問題があろうと思いますのでこれまた通産省のほうから御説明を願ったほうがいいかと思いますが、基本的には、先ほど来斎藤参考人のお話にもありましたように、国内産業の中小企業の近代化、構造改善を進めていく必要があると思いますが、別途中小企業特恵対策臨時措置法案というのをただいま御審議願っておりますが用意いたしまして、これまたきめこまかくいろいろな対策を講じておる。それに伴いまして、また予算上の措置もいろいろと講じておる。こういうことで、国内産業の保護上遺憾のないようにしたい。 ただ、先ほどこれまた斎藤参考人のお話にもありましたが、海外市場におきまして、特に対米輸出の面におきまして、いろいろまた問題が出てくるおそれがある。すでに、人形とか、いろいろ特恵以前に開発途上国からの追い上げがひどいものがございます。こういうものがアメリカの特恵供与によりまして被害を受けることが予想されます。これにつきましては、いまの中小企業対策によりましていろいろ措置も講じておりますが、OECD等の場におきましても、これは特恵供与後の負担の均衡という面からいたしまして重要な問題でありますので、そういう被害がわが国の産業に起こりました場合はまたいろいろ対策を講じてもらえないかという要請も機会を見つけては主張しておるところでございます。御案内のとおり、合意書によりましても、特恵供与後、再検討——レビューの期間も設けまして、いろいろな実施後の問題を議論することになっておりますから、いま申しましたような第三国市場での影響が非常にでてまいりましたような場合には、その場におきましていろいろ関係国に要請もしているというようなことも考えておる次第でございます。
○戸田菊雄君 確かに、いま関税局長が指摘をされますように、今回の特恵関税制度の骨格としては、種々いま言ったような指摘の点は十分な配慮をされていると思うのですね。しかし、現行有税扱いの鉱工業製品の八百四十七品目、このうち七百八十四品目を無税にするわけですね。非常に膨大な品目にわたっておる。あるいは、工業製品のうちでも、発展途上国と競合の激しい六十品目については無税ですね。たとえばメリヤスなんかについては、五十四品目について五〇%の引き下げを行なっていますね。あるいは生糸、これは七十品目——これは現行どおりですね。さらに、石油類三品目、これもこれまでどおりということになっております。それで、いろいろ季節関税とかあるいは緊急関税、そういうものをとり得る発動の制度上の内容は整備をされておるようでありますが、これだけではたして完ぺきだと言えるのかどうか、この辺の自信はどうですか、局長として。
○政府委員(谷川寛三君) 先ほども申しましたように、供与案自体が、いってみれば相当シビアにできておりますので、御参考までに申しますと、四十六年度の特恵供与のワクでございますが、これなども五億ドル程度でございまして、これまた、分析してまいりますと、必ずしもただいまのところでは開発途上国で生産されていないものも入っております。御案内のとおり、開発途上国からの輸入に、先進国からの最近年の輸入額の一割をプラスしたもの、このうちの一割のほうが大きゅうございますので、というようなことで、ワク自体も非常に狭うございますし、それから先ほど申しましたように要件を緩和した緊急関税の発動も最悪の場合には用意されておるし、それからワクの管理につきましてこれまた法律にありますようにきめこまかい配慮をいたしまして、国内産業に対する影響を最小限に食いとめようということも考えておりますので、重ねて申し上げますが、先ほど参考人のお話にもありましたように、国内産業上はまずだいじょうぶであるというふうに考えております。ただ、いま申し上げましたように、海外の市場におきましての競合につきましては、いろいろこれから状況を十分つかんでまいらなければいかぬと思っております。
○戸田菊雄君 それで、通産省のほうに若干質問をしたいのでありますが、私は、今回の関税定率の引き下げで中小企業の各業種が相当な被害を受けるのじゃないかと、こういう判断をしております。それは、輸出面でも輸入面でも同じようなことが言えるのじゃないか、こういうように考えるのでありますが、中小企業庁としてのそれらに対する対策はどういう基本政策をとっているか、説明していただきたい。
○説明員(斎藤太一君) 特恵の供与がわが国の中小企業の与えます影響は、お話のように二面あると思います。一つは、わが国が供与いたしますことによる輸入面の影響でございます。それからもう一つは、諸外国、特にアメリカ、EEC等が特恵を供与することによります輸出面における影響ですけれども、ただいまも関税局長からお話がございましたように、輸入面につきましては、シーリング方式をとっておりますことやら、いろいろと影響が出ないような仕組みを考慮されておりますので、さほど輸入面では中小企業の影響は薄いのではなかろうかというふうに考えております。 私ども懸念いたしておりますのは、輸出面の影響でございます。特にわが国の輸出は、雑貨、繊維のウェートが高うございますし、同時に、それがアメリカ向けの輸出依存度が非常に高い業種が雑貨等に多うございますので、しかも、こういう業種は、いわば労働集約的な面が強うございまして、従来から、この数年間、低開発国の追い上げを実は受けておったわけでございます。それが、今回の特恵の供与によりまして、むしろ加速されるというような形で、輸出面で悪影響が来るということを懸念いたしておる次第でございます。これに対します中小企業庁と申しますか私どもの基本的な施策としましては、何と申しましても、中小企業の近代化、合理化をさらに推進いたしまして、一つは、より生産性の向上をはかる。もう一つは、低開発国がまだつくっておりませんような高級品のほうに品物を漸次切りかえていく。つまり、労働集約的な商品の労働面に依存した形では、低開発国の低賃金によります製品に競争力の面でだんだんに追い着いて、さらに追い上げられてまいりますので、いわゆる技術を生かしましたアイデア、あるいはファッション、デザイン、そういった技術を生かした高級品に漸次輸出を切りかえていくと、こういったことが基本的な施策として必要であろうというふうに考える次第でございまして、従来から、中小企業のこういった近代化、合理化につきましてはいわゆる構造改善政策、あるいは中小企業近代化促進法によります中小企業近代化政策というものを推進してまいっておるところでございます。ただ、近代化するといたしましても、業種によりましては、なかなか近代化のむずかしい等の業種もございまして、そういう業種につきましては、その業種の中の近代化できる企業は近代化をさらにいたしますけれども、一部の企業につきましては、この際、より成長部門に転業しようかといったような企業も出てまいろうかと存じます。したがいまして、こういった転業につきまして、日本経済全体の効率化の促進という見地も考えまして、転業を円滑にするような施策をこの際特に強化いたしたいというふうに考えまして、中小企業特恵対策臨時措置法案という法案を今国会に提案をいたしまして、主としてその内容におきましては事業の転換の円滑化を助成するような施策を中心といたしました法案を今国会に御提案申し上げまして、現在御審議をいただいておるところでございます。 〔委員長退席、理事大竹平八郎君着席〕
○戸田菊雄君 いま計画部長の答弁ですと、万般施策が整ったような印象を受けるんですが、具体的に一つ聞きたいんですけれども、輸入面での影響を受ける業種は主として中小企業庁としてはどういう業種だと思っておりますか、その内容について。
○説明員(斎藤太一君) 輸入面におきまして主として影響を受けると思われますものは、おおむね繊維関係でございます。
○戸田菊雄君 具体的に内容をひとつ……。
○説明員(斎藤太一君) 最近、この二年ほどの間に、急激に輸入がふえておりますものといたしましては、絹糸、毛糸、それから合繊糸といったような繊維の糸関係、それから織物関係では、毛織物、綿織物、それから製品といたしましては、メリヤス製品、あるいはワイシャツでございますとか、女子のワンピース等の外着類、それから男子の下着類、こういったものが輸入がこの二、三年の間にそれぞれ物によりましては五倍、十倍とふえてまいっております。
○戸田菊雄君 これは、中小企業庁が、ことしの一月、「特恵供与のわが国中小企業に与える影響について」ということで資料を作成をしておりますね。これは御存じないですか。
○説明員(斎藤太一君) 先生のお尋ねの資料と申されますのは、「日本経済新聞」に出ました資料のことではないかと存じますが、あの資料は、実は、昨年の半ばごろに、特恵が量的にどういう影響を与えるだろうかということをある程度大まかにつかんでみようかということで、一つの試算をいたしたことはございます。ただ、これは、輸入と申しますよりも、輸出面で日本の輸出がどれぐらいこれによりまして落ちるかという試算を実はしたものでございまして、輸入の関係のそういった試算はいたしておりません。
○戸田菊雄君 これは、あとで資料として御提示願えますか。中小企業庁の「特恵供与のわが国中小企業に与える影響について」という資料、どうですか。
○説明員(斎藤太一君) 実は、あの資料は、非常に大胆な前提を置きましてやったものでございます。つまり、過去数年間の間に、日本と低開発国の間の価格がどのように開いたか、その価格の開いたことと、日本の輸出のシェアが落ちましたことと、両方の数字を見合いまして、これが輸出の数量が落ちたのはその価格の格差が開いたことによるものであるという一つの前提を置きまして、それで、今度アメリカが特恵を供与したというふうに考えまして、関税分だけまたさらに価格が開くということであれば、過去の趨勢値から見てさらにどれぐらい輸出が落ちるだろうかと、こういった試算をやったものでございますけれども、その前提に非常に無理があると申しますか、大胆な前提を置いておりまして、いろいろ中を見ますとおかしな数字も出てまいったりいたしまして、特に私ども考えておりますのは、過去に日本の輸出のシェアが落ちましたのは、決して価格だけの問題ではございませんで、そのほか、市場の変化、あるいは輸入される側の好みの変化でございますとか、いろいろございます。また、かりに価格の格差がございましても、低開発国側の工業化の進みぐあいと申しますか、生産能力にも限界がございまして、そういったいろいろな要素のかみ合わせによりまして輸出への影響というものは出てまいりますので、ただいまの内部資料としてつくりましたものは、どうも問題が非常に多くて、ちょっと公式な資料としては使えないのじゃないかということで、中小企業庁としましても、まあ全く試算的な試案的な資料という意味で、庁議としても採用しないということにして、机の中に入れてあるといったような種類の資料でございまして、公式にお出しできるような確度を持ったと申しますか、資料としては、私どもちょっと使いにくいように考えております。
○戸田菊雄君 だいぶそういうずさんさがあるということですけれども、一応資料として御提示は願えませんか。どうですか。
○説明員(斎藤太一君) ただいま申し上げましたような事情でございまして、できれば御容赦をいただきたいと思います。
○理事(大竹平八郎君) どうですか、御了解願えますか。 委員長から申し上げますが、相当膨大なものでずさんなものだというけれども、何かある程度簡潔にまとめ得るものはないのですか。——ここで確約しなくてもいいですよ。
○説明員(斎藤太一君) 今後の予想となりますと、先ほど申しましたように非常にむずかしい予想でございまして、私ども実際上予想はきわめて困難であると思っておるのでございますが、これまで過去におきましてどういうふうに品目別に対米輸出品につきまして日本、アメリカでのシェアが変化してまいったか、あるいは輸出額がどういうふうに落ちてきたかというような、過去の実績から見ました数字でございますれば、作成いたしまして御提出いたしたいと思います。
○理事(大竹平八郎君) 戸田君に申し上げますが、どうですか、この程度で。
○戸田菊雄君 いまの資料でいいと思いますが、ただ、内容がほしいのですから、これは委員長とあとで話をしましよう。
○理事(大竹平八郎君) はい。
○戸田菊雄君 それで、いま輸入面で影響の出る内容について説明いただいたのですが、中小企業庁の資料の内容によりますと、綿織物、あるいは女子用外衣、男子用外衣、男子用下着、あるいは毛麻織物、こういうものが主として今回の特恵供与によってわが国の中小企業に相当な打撃を与えるということを言われているのでありますが、そういう理解でいいですか。
○説明員(斎藤太一君) ただいま先生が御指摘いただきましたような商品は、最近、確かに輸入はふえております。ただ、御承知のように、今度の特恵の仕組みといたしましては、無税あるいは五〇%カット等によりますいわゆる特恵輸入ワクというのはシーリングが設けられておりまして、そのシーリングが一ぱいになりますと通常税率に戻るということに相なっておりますので、そういう意味におきまして、もちろん影響はある程度あろうかと存じますけれども、それなりの影響はあろうかと存じますが、非常に大きな影響を与えるということにはならないのじゃなかろうかと、そういうふうに了解いたしております。
○戸田菊雄君 輸入面での競合国ですね、このおもなるものはどこでしょうか、大体五位あたりまであげてください。
○説明員(斎藤太一君) 絹糸でございますと、韓国、中共でございます。それから毛糸は、台湾、韓国。合繊糸は、韓国、台湾。それから毛織物は、むしろイタリアとかイギリスとかのほうが多いようでございます。綿織物は、台湾、香港。メリヤス製品は、香港、台湾。それから男子の外衣、女子外衣といった製品になりますと、香港、台湾、あるいは中共。男子の下着も、台湾、中共といったようなところでございます。
○戸田菊雄君 輸出面ではどういう業種が影響を受けましょうか。その業種の種別を十四ぐらいあるようですが、一応……。
○説明員(斎藤太一君) 輸出面では、主として雑貨製品が主でございます。
○戸田菊雄君 業種で……。
○説明員(斎藤太一君) いろいろございますけれども、最近、輸出の絶対額も落ちてきた、それからアメリカにおきますシェアも落ちておるといったようなものといたしましては、たとえば、人形でございますとか、人造真珠、それからゴムぞうりといったようなものがございます。それから絶対額はまだ減っておりませんけれども、シェアが低下しつつあるものといたしましては、かつらでございますとか、クリスマス電球、あるいはモザイクタイルといったようなものがございます。それから絶対額は依然として輸出はふえておりますけれども、だんだん日本のシェアが落ちておるものといたしまして、洋がさでございますとか、ケミカルシューズ、それから金属洋食器、野球用のグローブ・ミットとかいったようなものでございます。それから絶対額は増加しておりますが、シェアが横ばいになってまいったものといたしまして、かばん類とか、メリヤス衣類、それから綿織物といったようなものがございます。
○戸田菊雄君 シェアが減少しているという現象は、これはどういうところと競合しているからそういう結果になるのですか。
○説明員(斎藤太一君) やはり、一番競合しておる国といたしましては、最近工業化が進んでまいりました香港、台湾、韓国あたりでございます。
○戸田菊雄君 あとで具体的にさらに聞いてまいりますが、結局、特恵供与で日本の主として中小企業の各業種が影響を受けることだけは間違いないですね。ですから、通産省としても、それに対していろいろな調査をやり、具体的な諸対策というものをいま講じつつあると、こういうことだと思うのですね。そこで、一体、具体的に聞くのですけれども、影響を受ける業種は総体どのくらいあると思いますか、それからそれに関係する従業員の数は一体どれくらいですか、この点を数字的に教えていただきたいと思います。
○説明員(斎藤太一君) 雑貨と申しましても、非常にたくさんの業種がございまして、それぞれがそれなりに濃淡の度合いはございましても影響を受けようかと存じますので、総体としての影響の量とかいったようなものを量的に把握するのは私どもとしても非常に困難かと思っております。
○戸田菊雄君 通産省としては別に掌握していないということですか。
○説明員(斎藤太一君) お説のとおりでございます。
○戸田菊雄君 それでは、ほんとうに施策をされたとは言えないのじゃないかと思うですね。いま、中小企業の総体業種は、数にしてどのくらいありますか。
○説明員(斎藤太一君) ちょっと業種数でいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、製造業で申しますと、中小企業の事業所数が六十万企業ぐらいございまして、その出荷額は日本の全体の製造業の出荷額の約半分になっております。
○戸田菊雄君 いま、中小企業は、そうでなくてすら金融政策やその他でもって四苦八苦しているわけですね。なおかつ、今度の特恵関税の定率の引き下げによってもっとあおりを受けよう。だから、そういう問題について、いま中小企業と名のつくものは幾種類もの表示があるわけですから、中小企業としてはどのくらいあって、具体的に製造業としてどのくらい被害を受けるか、この程度の資料は持ち合わせていないと、審議が進まないということになるのじゃないですか。どうなんですか、その辺。
○説明員(斎藤太一君) 中小企業は、規模から申しまして中小企業の定義ができておりますので、業種として大企業と中小企業と両方でつくっているようなものもございますし、それからその影響を具体的に量的にどれくらいの影響というのを数量として把握するというのは実は非常に困難なんでございまして、全体で何企業、どれぐらいの業種が影響を受けるかというのは、ちょっと正確に申し上げかねるのでございますけれども、主として雑貨関係の業種が中小企業として影響を受けるであろうということは申し上げられると思います。
○戸田菊雄君 政府の態度がそういうことでは、特恵供与によって被害を受ける各中小企業を、さっき部長がおっしゃられたように、これから転廃業ないし協業化、共同化、こういうものを政府は推し進めていくというのですけれども、具体的な施策はなつとらぬじゃないですか。そういうことで、どうして一体、企業に最大のしわ寄せが来て、それに対して具体的に金の貸し付けはどうするとか、協業化の問題はどうするとか、こういうことになっていかないのか、どうなんですか。
○説明員(斎藤太一君) 輸出依存度の非常に高いものが特に影響を受ける度合いは高いかと存じますけれども、そういう輸出依存度が一定以上のものといったような形で線を引きますれば、そういったものの業種数等は出てまいります。
○戸田菊雄君 だから、その内容を教えてくださ い。
○説明員(斎藤太一君) 特に輸出依存度がたとえば六割以上のものといったような雑貨等で拾ってみますと、雑貨業種は約二十二業種ぐらいございます。これの従業員数が約二十万人でございまして、全製造業の約二%でございます。
○理事(大竹平八郎君) 戸田君に申し上げますが、通産省の室谷国際経済部長が見えておりますから、それに関連した御質問がございましたら、していただきたいと思います。
○戸田菊雄君 私の調査によりますと、輸出入合わせましていま言う製造業の総企業数は六十万と、こういうことを言われたのですが、そのうち、七万五千七百五十一企業くらいはまともにこの影響を受ける。その従業員は、八十九万九千四百四十二人、大体九十万に近いですね。だから、こういうものに対して、やはり具体的な政府での保護政策をとっていかなければどうにもならないのじやないか、こう考えるのでありますけれども、単に法律立法だけでは保護政策になっていないんですね。現に、金融政策でもそうです。幾らここで歩積み、両建てはやめなさいと言っても、銀行貸し付けのときにはやっぱり依然としてやっている。そういうものに対してのチェックもないしね。だから、こういうときに明確にチェックをして中小企業対策というものを中小企業庁はとっていかなければ、私はたいへんなことになるんじゃないかと思うのですけれども、そういう抜本施策について一体どう考えているか、具体的に御説明を願いたい。
○説明員(斎藤太一君) 中小企業の特恵に対処する対策といたしましては、何と申しましても、やはり近代化、合理化を進めまして、その構造改善をはかっていくことであろうかと存じます。そのために、中小企業庁としましては、中小企業近代化促進法というものをテコにいたしまして、現在約百三十業種ぐらいすでにその対象に指定をいたしておりますが、それで、近代化の基本目標を定めまして、その目標に即しまして年々の実施計画を定め、それになって設備の近代化、あるいは協業化、共同化ということによります新鋭機械の導入、あるいはは技術の振興といったようなことで、特に中小企業金融公庫等に近代化資金の貸し付けワクを特利特ワクを設けまして融資をするとか、あるいは中小企業振興事業団という機関を通じましてここから非常に低利の資金を貸し出しまして、中小企業の共同事業によります近代化を促進するといったようなことを中心として進めておるわけでございます。
○戸田菊雄君 いまの大企業、中小企業、あるいは零細企業、こういう大別でけっこうですが、その中に占める中小企業の割合はどのくらいですか。
○説明員(斎藤太一君) 非農林水業業の関係——全体の農林水産業を除きました事業所数が四百六十五万でございまして、これは四十二年の統計でございますが、そのうち、中小企業は四百六十二万でございまして、ほぼ九九%ございます。それから製造業で申しますと、全体の企業数が、これは四十四年の工業統計でございますけれども、七十四万ございまして、そのうち中小企業は七十三万でございまして、これも大体九九%でございます。
○戸田菊雄君 現在の日本の企業診断では、いま部長が指摘をされましたように、確かにその比率は九七・二%ないし九九・九%になっているんですね。大部分が中小企業なんです、日本の経済をささえているのは。こういうものがまっとうに当たるわけですよ、この際ね。そういう意味から、通産省としては、協業、共同化、高度化転換、こういうものを考えてこれから具体的に中小企業対策というものをやっていこう、こういうふうに考えておるのですけれども、この協業、共同化というものは、一体どういうふうに考えているのですか、その具体的な内容についてお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(斎藤太一君) 中小企業は、御案内のように、規模が小さくて、資金力、資本力等も弱いといったような面がございます。それで、従来は、労働力が豊富なころは、安い労働力に依存するという形で中小企業は存在してまいった面が強かったのでございますけれども、最近のように労働力不足になってまいりますと、賃金の面では大企業とだんだん格差が縮まってまいっております。それに対応してまいりますには、労働生産性、物的生産性を高めるということ、あるいは付加価値を高めるということが必要になってまいるわけでございますけれども、そのために中小企業は中小企業なりに規模の利益を追求しようということになりますが、その場合に、個々の中小企業者では経営の規模なり生産の規模が小さいということで、たとえば協同組合等をつくりまして共同生産等を行なうということをいたしまして、そのために、資金力もそうなりますと強化されますので、大規模の新式の機械が導入できるというような共同化によりますメリットもあろうかと存じます。そのほか、原料の共同購入でございますとか、共同宣伝とか、共同販売とか、共同事業にいろいろな面で、それぞれでは力の弱い中小企業が一緒になってやるということでそれぞれの効果も出てまいる、こういうふうに考えております。
○戸田菊雄君 私の聞いているのは、そういう抽象論じゃなくて、協業、共同化について、たとえば業種別的にそういうものを一括まとめてこれからその商売をやっていくような形に持っていくのか、それとも、また、地域的にいろいろ散布されておりますが、こういう形どういうふうに——いまよくいわれる農工一体その他もあるわけですけれども、そういうものの形でいくのか、この辺の具体的な方向というものを聞きたいんですよ。いま言ったように、単に商売をやっている事業所を集めて、そして単にそれに資金を落としていくといっても、具体的にどういう方向で進められるかがわからないのでは、協業化、共同化といっても、それは見当のつけようがないと思うですね。だから、その辺の具体化の問題についてどう考えておるのか。協業化をやる、共同化をやるというならば、業種別的にいまの業者を全部集めてそしてやっていくのか、どういうかっこうで協業、共同化というものを通産省としては考えているのか、その辺を明確にお聞かせ願いたい。
○説明員(斎藤太一君) 中小企業近代化促進法の指定業種が約百三十現在指定されておりまして、それによりまして近代化を進めておりますが、特にこの中で昭和四十四年から特定業種という制度ができまして、これはその業種の属します組合を中心といたしまして一つの共同化、協業化等の目標をつくりまして、先ほど申しましたような近代化を進めていこうということで、特定業種という制度ができたわけでございます。それまでの近代化促進法の業種は、個々の企業がいろいろ近代化設備を入れる、そういったことが主たる内容になっておりましたけれども、特に特定業種におきましては、組合を中心としまして協業化、共同化を進めるということがその構造改善計画の柱をなしておりまして、そこでは規模の利益を追求するという目標のもとに、ある一定の生産規模の適正な規模を描きまして、その規模に達していない中小企業につきましては、極力合併をするとか、あるいは組合を結成をするというようなことによりまして、適正規模に持っていきまして、その適正規模に即応した新鋭機械を導入しようと、こういったことが構造改善事業の中心をなしております。
○戸田菊雄君 非常に抽象的なんですね、適正規模というけれどもね。そういうことで全体業者を合併その他促進をすると。私は、そういう話を聞くと、やっぱり中小企業の切り捨てになってくるんじゃないかというふうに考えるですね。現存する中小企業をどういった法規制をしていくかということが当面のやっぱり措置だろうと私は考えるですね。合併をして従来の中小企業は全部切り捨てちやうということになる、そういう政策はどうも私は納得できないわけですけれども、そういうかっこうになりますか。合併、切り捨て、こういうかっこうですか。
○説明員(斎藤太一君) 先ほど申しましたように、だんだん賃金水準が高まってまいりまして、しかも、低開発国に追い上げを受けるとなりますと、極力生産性の向上をはからなければならないということで、規模の利益が追求できる分につきましては、極力、合併あるいは協業化等によりまして規模の利益をはかる。それからもう一つは、極力専門化をはかりまして、多品種少量生産をやっておりますものを極力専門化をする。それから技術の開発をいたしまして、より高品質のものをつくるといったような、いろいろな行き方があろうかと存じます。私が申し上げましたのは、規模の利益がそれなりに効果があがるものにつきましては、極力規模の利益を追求するべく合併あるいは協業化をはかるということでございまして、そういった規模の利益よりはむしろ専門化をはかるということが向いているような業種の場合には、そういう専門化をさらに促進する。それで、専門化のためには、新しい設備の導入等を推進する。あるいはその業界の中でお互いがみんないろいろな品物をつくっております場合に、話し合いをしていただきまして、Aという会社は、A´という商品に特化をする、Bという会社はB´という商品に特化をするという形で、商品のお互いの分野を分け合いまして極力専門化をはかるということによって、品質の向上、あるいは生産性の向上をはかる。こういった行き方もございまして、一がいにどれもこれも規模の利益というわけではございませんが、そこらをその業種業態に即しまして一番それに即したようなやり方を進めていくということで考えて推進いたしておるわけでございます。
○戸田菊雄君 中小企業の構造改善事業と見ていいですか。そういう内容ですか。そういう考えですか。
○説明員(斎藤太一君) 一応現在の構造改善計画が策定されておるものにつきましては、適正な規模の目標を立てまして、極力そこに到達するように指導いたしております。
○戸田菊雄君 今回の特恵関税定率の引き下げによって、中小企業の業種転換が必要と思われますような業種はどのくらいありますか、通産省の考えで。
○説明員(斎藤太一君) これは、特恵によります影響がまだ具体的に量的把握が困難であるということと、先ほど申しましたように、現在すでにシェアが低下しつつある、あるいは輸出そのものが落ちつつあるというものもございますれば、まだ輸出は伸びつつあるけれどもシェアがすでに低下しつつあるというものや、その影響はまださまざまでございまして、ちょっと一がいに把握が困難でございます。
○政府委員(藤田正明君) ただいまの戸田先生の御質問、はなはだ具体的でございまして、それに答えられないのは残念でありますが、輸入面におきましては、中小企業に対する影響度合いは比較的少ないものだと思います。輸出面におきまして競合する関係であるかと思います。そのような度合いを、現在も影響の度合いを研究中でありますが、なお四十六年度の予算にはそのためにその影響度合いを今後とも調査すべく予算も計上をいたしておりまして、いま御審議をいただいておるところでございます。 なお、通産省より御答弁申し上げましたように、中小企業に対しましては構造改善ということを主体にはいたしますけれども、しかし、これは基本的な大きな問題でございまして、当面この特恵によりまして被害が生じた場合を考慮いたしまして、先ほど来申し上げましたような中小企業特恵対策臨時措置法案とか、あるいはまた、金融面におきましても、民間金融におきましても、このあいだ銀行局長のほうから通達を出しまして、中小企業に対する金融の円滑化というふうな特別の通達も出しまして、いろいろと税制面のほうにおいても考慮もいたしております。具体的に何品目がどうということは現在調査中でございますが、今後ともそれを的確に把握して対策を立てたい、かように思っております。
○戸田菊雄君 政務次官の答弁で了承するのですけれども、この状況ではちょっと私は審議できないですね。ですから、きょうは通産省の関係は一たん打ち切ります。具体的にあとで資料の提示を要求いたしますから、そのことによってあしたまた判断をすることにいたします。 それで、関税局長のほうに再度また質問するわけですけれども、輸出入両面にわたっていま一番競合するのは、アメリカとの競合が一番多いのじゃないかというふうに考えるわけですね。そこで、具体的にお伺いをするのでありますが、まず発展途上国ということがあるわけですが、この発展途上国というのは一体どことどういうふうに考えておられるのか、内容について御説明願いたい。
○政府委員(谷川寛三君) これは、具体的には、八条の二の改正規定にありますように、法案が通りましてから政令で指定さしていただくことになっておりますが、国連の貿易開発会議でもいろいろ議論をいたしました、どういう基準で開発途上国をきめるか。国民所得でいくのか、国民総生産でいくのか、いろいろ議論いたしましたが、これはなかなかむずかしゅうございまして、結局、とにかく特恵供与を希望してまいった国を、挙手主義と申しておりますが、手をあげてまいった国を特恵供与の対象にしようではないかという合意が得られたわけでございます。 〔理事大竹平八郎君退席、委員長着席〕 合意書はお手元に差し上げておると思いますが、その合意書に「受益国」の欄で規定してございます。そういうことでございまして、今度の改正案でも、八条の二の規定におきましても、まず経済が開発途上にある国であること、それから国際連合貿易開発会議の加盟国であること、それからいま申しました特恵供与を希望する国という、三つの条件を付しまして、あと具体的にどこの国をどうするかという問題につきましては、法案を通過さして成立さしていただいたあとで具体的に政令できめさしていただくということになっておる次第でございます。 なお、この国庫貿易開発会議で議論しておりました段階におきましては、具体的に頭に考えてなかったわけでございますが、その後いろいろな問題が出てまいりまして、必ずしも国運貿易開発会議の加盟国でなくても、いろいろと今後の日本との関係等を考えていきました場合に、大所高所から判断をしていくことが必要ではないかという地域等が出てまいりましたので、いま申しました原則はもちろん守るわけでございますが、八条の二の二項に特別の扱いをする地域を規定したわけでございます。これにつきましては、先ほど申しましたように、当初の計画を練っている段階では議論が出ておりませんでしたので、品物等は相当政令で制限し得るようにしてはございますが、特別の供与規定を設けるということにしたわけでございます。
○戸田菊雄君 一つだけ計画部長に。アメリカ市場におけるわが国の輸出品の競合状況ですね、品目別に、合板、じゅうたん、陶磁器、タイル、金属品の洋食器、テレビ受像機、トランジスタラジオ、これの一千ドル単位でけっこうですから、総輸入、それから対日輸入のシェア、一パーセント、これをあしたまで資料を、そのほかにもありますが、これはいただけますか。どうですか。
○説明員(斎藤太一君) 資料を作製いたしまして提出いたします。
○戸田菊雄君 通産省の資料要求をして、そのことによって再度またあした少しやりたいと思いますが、これ一点で関税のほうは質問を取りやめておきたいと思いますが、農産物関係ですが、さっき伊藤委員のほうからも質問があったんですけれども、今回、五十品目を二〇%から一〇〇%、これを引き下げることになっているわけですね。こういうことになりますと、それでなくてもいまのたとえばグレープフルーツとかなんとかが入ってきて日本のミカンとかなんかがだめだと。バナナが入ってきてリンゴがだめだと。総体軒並みに農産物の被害というものは甚大なものがあるのですね。だから、これでなおかつ特恵関税率を下げてやっていくのだとすれば、やはりだれが見てもその被害率はわかるわけです。だから、さっき局長が指摘をされたように、いろいろな歯どめのほうはやっておりますけれども、それだけで一体間に合うのか。一体、そういう見通しがあるなら、最初から規制品目を厳重に選定をして、これとこれはやらないんだということで、もう少し品目の幅を縮小するような方向があってもよかったんだと、こういうふうに考えるんですけれども、それはどうですか。
○政府委員(谷川寛三君) この特恵供与の問題は、もともと開発途上国の輸出を促進しようじゃないかと、それによって工業化を促進し、ひいては経済開発を加速しようということで起こったわけでございまして、原則は、ですから、鉱工業製品に対する特恵でございます。これが中心でございます。したがいまして、農産物のほうは、まあつけ足しと言ってはなんでございますが、そういう程度のものでございまして、いまお話がございましたように、国内の日本の農業の問題を考えまして、とにかく競合しないものだけを選んで特恵供与をしようと。まさに先生がおっしゃいました方針で五十九品目に限って供与するということにした次第でございます。品物を選びます場合も、開発途上国の位置からいたしまして、熱帯産品を、先ほど補足説明で申し上げましたように、グリセリンとかカカオ脂とか、こういった熱帯産品を中心にして選定をいたしております。それから税率をきめますにつきましても、一々品物を洗いまして、グリセリンは二割しかまけません、カカオ脂は無税にいたしますというふうに、品目ごとにずうっときめこまかく税率をきめてまいりました。なお、それでも——これでもうほとんど影響はないとは思いますけれども、大体入ってきますものを見当つけてみますと、三千数百万ドルにしかすぎませんものですから、影響はないと思いますが、それでも国内農業にあるいは被害を及ぼすことがないとも言えませんので、歯どめを設けまして、そういう事態が生じましたら、改正法の八条の三に規定してございますが、特恵関税の供与を停止するということもできるようにしておる次第でございます。まさに戸田先生がおっしゃいます方針で品物をごく限定いたしまして、いま申しましたようなきめこまかい配慮をいたしましてなにした次第でございます。
○戸田菊雄君 正確な資料を持ってきていませんから、あるいは私の記憶違いかもしれませんけれども、その場合は指摘してもらってけっこうです。私の記憶では、いま、外国から輸入してくる農産物その他、一千八百万ドル程度あるだろう、日本の農産物総生産と大体匹敵するぐらい来ているんじゃないか、こういうふうに思うんですね。それで、ことしの予算を見ますと、いわゆる農産物の自給生産というものは、農林省がおりませんからあれですが、昨年は八三%程度ですね。ことしは七八・五%ぐらいまで下がっている。さらに、自民党の農産物長期見通し、あるいは昨年の十二月十二日に発表された農産物の地域指標試案、こういうものをずっと見ますと、五〇%程度までおそらく昭和五十二年あたりまで下げていく、自給率を。そういうものと今回の農産物の特恵関税というものの見合いというものは、何か並行してやられているのじゃないかという印象を私はある程度持つのですが、だから、そういう面については、全般的な施策の中でやらなければならないことは当然でありますが、よりやはりそのことによって日本のたとえば大豆とか、あるいは小麦にしても、アズキにしても、もう日本の味噌なんというものはほとんど外国に依存してつくっておられるでしょう。たとえば仙台の三色最中なんというのは、もとは東北全体でとった日本の農産物でアズキなどを土台にしてつくっておったんです。いまはみんなそうじゃないですね、ほとんどがそういう状態。だから、こういうかっこうでいまの日本の農産物というものは総なめに総被害を受けているというのが状態であろうと思うんですよ。だから、この辺の判断をどう一体いたしておるのかどうか。五十九品目に全く厳格な規制をとったと、こう言うのでありますけれども、中身は決してそういうものじゃないと私は思うんです。国内消費部面でも相当今後需要が拡大するように、そういう各般の農産物の品目が入っている。だから、そういう意味合いで、品目規制の品目制定というものは単に大蔵省の関税部門だけでやられたのか、それとも、高度な政治判断、そういうものも入ってやられたのか、どこで一体きめられたのですか、その辺の内容について具体的にお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(谷川寛三君) もちろん、関税につきましては、今度の特恵に限りません、大蔵省だけでやっておるわけではございませんで、今度のあれで申しますと、鉱工業製品は通産省の御意見、それから農産品につきましては農林省の御意見ということでございまして、大蔵省は総まとめをやっておるわけでございまして、決して独善的な判断をしておるわけではございません。いろいろな問題を関係各省で総合的に判断をいたしましてきめておるわけでございますが、農業につきましては、いまお話がいろいろありましたけれども、そういうこととは全くあれで、開発途上国からのいろいろな要望を選択しまして、大豆なんかも要求はありましたけれども、これはいまお話しのように日本の農業にとって重要な問題ですから、これは例外にするとか、とにかく影響がないと認められる熱帯産品を中心にいたしまして厳選をしたということでございまして、日本の国内農業に対しまする影響が被害がないようなことで考えておるわけでございます。
○戸田菊雄君 この点は政務次官にちょっとお伺いをするんですが、結局、貿易自由化、開放経済、こういうことで今後立ち臨もうとしておるわけですね。ですから、そういうことであれば、非常に重要な各般の自由品目なり、反面、規制品目というものは、もっとやはり広範な国民の知恵をしぼったそういう中できめられていくような姿でないと、単に行政ベースですね、そういうことで判断をすると、なかなか、誤りというか、そういうものはなくすことができないんじゃないかというような気がするわけです。非常に各省一生懸命やって、たいへんな資料をもって検討されておるわけですけれども、もう少し何か権威のある、そういう中でこの規制品目というものを検討していく、こういうものがあってけっこうじゃないかと思うのですが、その辺の見解はどうでしょう。
○政府委員(藤田正明君) おっしゃるとおりでありまして、いまの農産物に関しましても、将来の食糧の自給度をどの程度に持っていくのか。あるいは、国内の第一次産業のパーセンテージをどういうふうに将来とも考えていくか。また、反面、国内産業を保護しなきゃならぬし、そしてまた、消費者物価のことも考えなきゃならぬ。いろいろな角度から考えざるを得ないと思いますが、しかし、今回のこの特恵の品目につきましては、若干性格が異なっているかと思うのです。ということは、低開発国の要望によってこの品目がある程度左右されるということもございます。先生おっしゃいましたように、大きな範囲において総合的に考えて品目をきめるべきだと言われる、もうそのとおりでございますが、その中においても若干性格は異なっておるということを一言申し上げておきたいと思います。
○戸田菊雄君 それじゃ、きょうは、この程度でやめたいと思うのですけれども、通産省のほうに資料を具体的にお願いをしたいと思います。 その一つは、輸入面で、どういう業種が主として影響を受けると考えられるか、その面の業種十種類を資料として御提示願いたい。 それから輸出面では、十四業種を選定して、その業種別に影響あると思われるものをお出しを願いたいと思う。 それから輸出入合わせて、現下の中小企業の事業数、それから影響を受けると思われる業種、これを十種類ぐらいでけっこうでございますが、その程度あげていただきたい。さらに、数にして幾らか、影響を受けると思われるもの。その辺の、想定でけっこうでございますが、その辺の数。それからそれにからまる従業員の数は一体どの程度影響を受けると思われるか、その辺の内容。 それから協業、共同化、こういうものに対する金融面からの具体的措置ですね。いま各般の法律を提示中だと、こういうのでありまするけれども、どの程度一体予算が考えられ、どの程度の業種を考え、ことに一番競合が多いと思われるアメリカ等との関係におきまして、さっきの読み上げました資料、あの品目別の競合内容というものを項目別に御提示願いたい。 以上、大まかな資料要求をいたしますして、あしたまた質問することにいたしまして、きょうはこの辺で終わりたいと思います。
○政府委員(藤田正明君) ただいまの御要望の資料につきましては、提出方に極力努力いたします。
○松井誠君 関税の関係で特恵のことについて簡単にお尋ねをしたいと思うのですが、いま戸田委員から話がありましたいわゆる受益国といわれる開発途上国、これは政令にまかされておるわけですが、「希望する」ということが条件になっておるわけですけれども、とにかく、希望するという前提でいま考えておる開発途上国というのは一体どういうところか。まだ一つも考えがまとまってないというなら別ですけれども、とにかく、はっきりしているのがあればそれ、それからこれからいろいろ検討をしてみて入れたいと思っておる国があればそれ、そういう区分けで、国の名前をお聞きをしたいと思います。
○政府委員(谷川寛三君) 先ほど戸田先生の御質問に対しましてお答えいたしましたように、関税暫定措置法八条の二で、経済が開発の途上にあること、国際連合貿易開発会議の加盟であること、それから特恵供与を希望してまいった国という三つの条件をつけまして、具体的にはこの法案が成立をいたしましたあとで政令できめることになっておりますが、全く問題のない——もうすでに手を相当あげてまいっておりますので、いま三つの条件に照らしまして全く問題ない国が六十三カ国ございます。ところが、率直に申しまして一番問題なのは、ガットに日本が一九五五年に入りますときに、ガットの三十五条というものがございまして、異議のあるところは必ずしもガットの規定を全部適用しなくてもいいということになっております。その三十五条を採用した国がこの開発途上国で相当数あるわけでございますね。アフリカ諸国でも十六カ国ばかりございます。考えてみますと、これは日本の名誉の問題でございまして、こういう国をそのまま扱っていいかどうかということでございますね。そういうガットの三十五条を援用しておるような国に特恵を与えていいかどうかという問題がございますが、考えてみますと、三十五条を援用されましたときには、これらの国は、イギリスとかフランスの属領であったわけでございまして、それがそのまま残っている。そこで、実は、昨年夏、この問題が起こってまりいましてから、駐在の公館を通じまして、援用撤回方を申し入れいたしました。強く申し入れいたしまして、その結果、昨年じゅうに六カ国が援用を撤回してまいりました。ことしへ入りましても、数カ国から、やがてこれを撤回いたしましょうという話がまいっております。ところが、中には、コンゴのごときに、先日、公館の方が、大蔵省の関税局長、それから外務省の経済局長に会ったんですが、そんなものがありますかというような御返事で、忘れておるところがあるわけでございます。これはいかぬというわけで、法案が通りましたら、さっそくに、前の国連大使の鶴岡さんを特派大使にいたしまして、これらの三十五条の援用国に援用撤回方を要請に参ることにいたしました。そういうこともございますので、鶴岡大使の御報告等も伺って判断をしなきゃならぬ問題がありますものでございますから、いま直ちにこれらの点につきましてどうするということを申し上げられないのでございますが、とにかく、問題のない国は六十三カ国ございます。
○松井誠君 数が非常に多いようでありますから、できましたらその六十三カ国の国名なり、それからいまお話しがあったそういう懸案を持っている国の国名なり、そういうものを資料としてお渡しいただけませんか。
○政府委員(谷川寛三君) いま申しましたように、問題がないとは思っておりますが、個々に、原産地証明を出せるような権威のある税関当局があるかどうかとか、いろいろまた細部を調査して見なければいかぬところもございますものですから、どこの国ということをいま具体的に資料に差し上げることはいかがかと思っております。三つの条件には合いますけれども、何さま開発途上国でございますので、行政当局のいろいろななにが整っているかどうか、その証明書が出せないようなところでございますと特恵をやるわけにまいりませんものですから、そういう調査を大至急——資料をとりつつございますが、やってみなきゃいかぬ面もございますので、正式な公の資料として出しますことにつきましてはちょっとお許しが願えればということでございます。お話しは申し上げますけれども、公のものとなりますときに、いま言ったような……。
○松井誠君 ゆっくりした時間があれば、その国をここで伺おうと思っておったんですが、時間がありませんから、それではひとつ検討をしていただいて、出せる範囲で出していただくということにしたいと思います。 もう一つ、この八条の二の二項のいわゆる「地域」ということ、この「地域」というのも、具体的にまあ希望があればということですけれども、希望があれば供与をしようというそういう予定の地域というのはどういうところですか。
○政府委員(谷川寛三君) さしあたりましては、この合意書にも出ておったかと思いますが、国連貿易開発会議の場で、イギリス等から、属領であります香港などにつきまして特恵を与えてもらえないかという要望が出てまいっております。しかし、こういった国をどうするかということにつきましては、まだ具体的にきめておりません。ただ、法律上は——まあそのほかにもいろいろな国が出てまいると思いますが、一項の条件にはそのまま当てはまらないけれども、つまり国連貿易開発会議の加盟国ではないけれども、その他の条件に合う国がありました場合には、法律上は考慮の余地があるようにしておく必要があるのではなかろうかと。暫定措置ではございますが、今後十年間継続される特恵関税のことでございますから、そういうような配慮をする必要があるのではなかろうかというのでこの規定を置いたわけでございますが、具体的にどこにどうするということは、ただいま考えておりません。一項のほうは、この法律が施行になりましたら、いま申しました調査を終わり次第、また、特派大使の帰朝の報告があり次第、政令で具体的に規定することにきめておりますが、二項のほうはまだどうするということをただいまの段階ではきめておりません。
○松井誠君 そうしますと、具体的に考えておるのは、結論は別として、香港ですが。私は、たとえば日本が承認をしていない国——中華人民共和国だとか、朝鮮民主主義人民共和国だとか、あるいは北ベトナムですね、そういうのを国と言うわけにはいかないから、地域ということで書いて、まあ開発途上国かどうか問題でしょうけれども、そういう趣旨も含めて「地域」というところにまとめるつもりであったのかと思ったんですが、そうじゃなかったんですか。
○政府委員(谷川寛三君) 例をただいま手をあげてまいっている香港等で申し上げましたが、いまお話しの中共などにつきましても、特恵供与を希望してまいった段階におきましては、供与するかどうかを、直ちにもう法律上だめだということでなくて、供与するかどうかを検討し得るように、法律的な措置をした次第でございます。いまお話しの国々も、そういう事態がありましたときに、どうするかを判断することにしたいと思っております。
○松井誠君 そうしますと、一項の開発途上国という定義をいわば避けて通ったわけですから、この二項でも開発途上国というそういう実態があることが前提にならなきゃならぬと思いますけれども、しかし、それは、UNCTADに加盟をしておるという条件はないわけですし、ますます、何といいますか、適用の基準というものはあいまいになってくるわけですね。一体、かりに中国が希望してきたとして、それは、はたして開発途上国、開発途上の地域ということになるのかどうか、あるいは、北朝鮮がそういうことで希望してきても、一体そういうことになるのかどうか、そういうこと自体も含めてやはり検討するということですか。
○政府委員(谷川寛三君) さようでございます。先ほど申しましたように、原則は、二項のほうでも、加盟国以外の原則は原則として守っていかなければなりませんので、さように考えております。
○松井誠君 これはもう現在では言ってもしようのないことですけれども、この条件の中に、先ほど局長の話ですと、開発途上国の定義がめんどうなものだから挙手主義をとったと、希望すればという条件をつけたというんですが、希望すればという条件がはたして適当であったかどうか、私はやっぱりいまでも非常に疑問だと思うんですね。いわゆる低開発国というのが「援助よりも貿易を」と言ったのは、それはいろんな意味があるでしょう。援助という形では返さなきゃならぬし、その償還がたいへんだという、そういうそろばん勘定もあったでしょうけれども、しかし、やはり援助には耐えられないといいますか、そういうやはりプライドもあったと思うんですね。ですから、「援助よりも貿易を」というのは、UNCTADのそういう国々のいわばスローガンになったわけです。ですから、そういうプライドというものがもしあると考えれば、私は開発途上国であります、ですからひとつお願いをしますという承認を条件にしたということが、やっぱり相当問題じゃないかと思うんですね。ですから、私は、低開発国としての特恵の受益国になることを拒否しますところだけ除くというようなことだったら、プライドを傷つけないでもよかった、そういう方法もあり得たと思うんですがね。それはいま言ってもせんないことですけれども、希望すればというのは、特恵が先進国の恩恵であるかのような、そういう考え方がどこかのすみっこにあるのじやないか。特恵というのは、確かに、最初の出発は、低開発国の要求ではありましたけれども、しかし、それに応じていわばそろばんをはずして特恵関税というものをやるのではなくて、私はやっぱり広い意味の打算があるはずだと思うですね、先進国に。ですから、何か恩きせがましいようなそういう希望という条件を入れたこと自体に抵抗を感ずるわけです、私自身も。しかし、これは言ってもしようがありませんが。 もう一つ、いろいろ特恵には政令事項にまかせられたところが多いんで、たとえば八条の二の三項の「原産地の確認その他」というのも政令できめる。これは具体的にはどういうことを大体予定をされておられるのか。
○政府委員(谷川寛三君) まず、最初の、挙手主義の問題でございますが、冒頭にも申し上げましたように、いろいろ議論いたしましたが、なかなか的確な基準がつくれない。そこで、いまお話がありましたように、もともとこの議論は一九六四年にUNCTADの場で、開発途上国のほうから出てまいった要望に基づいていることでもございますから、とにかく挙手主義ということでいこうじゃないかと。それで、その挙手主義によりまして与える特恵につきましては、お手もとに差し上げております合意書にもありますように、先進諸国におきましては最恵国待遇の権利は発動しないということも言っておるわけでございます。つまり、それがありませんと、ケネディ・ラウンドによる一括引き下げと同じになりまして、場合によりましては、挙手をしないのに、与えれば最恵国待遇を要求されてまいることになりますので、KRと特恵と何ら選ぶところがないということになるのでございますが、とにかく挙手主義でいけば、いま言ったように、先進国もそういう変な要求はしないということでまとまったわけでございまして、なお、私は、ばく然としてはおりますが、今度の特恵の趣旨に沿うのではないかというふうに考えております。 かつ、いまお話がありました開発途上国のプライドの問題につきましては、一ぺんも国際会議の場ではそういった式の議論は出てまいりませんでした。それからまた、一方、先進国からの恩きせがましいということも、これは全く考えておりません。合意書にありますように、開発途上国の輸出を促進しよう、工業化を促進しよう、それによって経済開発を促そうじゃないかという純粋の意図によるわけでございます。 それからあとのほうの原産地規則でございますが、これは非常に技術的でございまして、原則は私どもといたしましては——これまたいろいろ国連貿易開発会議の場で議論されました。議論されましたが、なかなかまとまりませんで、たとえばアメリカは、付加価値の割合によって判断をするとか、付加価値主義を持ち出すというようなことでまとまりませんで、とにかくまとまらないが、なるべく簡単なものにして、なるべく世界的に統一したものをつくろうじゃないかという申し合わせで終わったわけでございますが、日本といたしましては、受益国で実質的な変更を伴って生産された物品は当然のことでございますが、その受益国を原産地とする物品にしよう。それから受益国から日本に送られてまいります場合には、ほうぼうの国を回ってきたんじゃいかぬと。それが通常の輸送の経路であればいいわけでございますけれども、ほうぼう回ってきちゃいかぬ、直送されてこなければいかぬとか、そういうことを原則的にきめたい。 それからもちろんのことですが、輸入の際に、は、受益国の税関で証明された——これは先ほども申し上げましたが、原産地証明書を日本の税関に出してもらわなきゃいかぬ。これは当然のことでございますが、そういったようなことを基本的にはきめたいと思っております。 そして、これはどうも政令ではなかなか書けませんで、事こまかになりますので、省令に譲らなければいかぬことになるかと思いますが、原則は、いま申しましたように、実質的な変更ということで、関税率の分類番号が、号が変わったら実質的な変更があったものと見て、その国を原産地にして特恵関税を供与しようかというふうに考えておりますが、たとえば先進国からAとBという機械を持ってきまして、それを単にくっつけてCという機械をつくった、こういうのを特恵関税の対象にしますと、これはいろいろ弊害がございますから、その場合には、いま言ったように号と号が変われば実質的変更があったものとして認めるのだけれども、単なるアゼンブルはいけませんと。そういういま申しました例の場合には、でき上がったCの価格のうち、AとBの価格が何%以下でなきゃいかぬというようなことも、事こまかくきめたいと思っております。 それから問題がありますのは繊維製品でございますが、たとえば衣類が来たという場合に、織物から衣類になっただけじゃいけませんと。その前の織り糸がその国の生産物でなきゃいけません。織り物が入ってきた。その場合には、織り糸だけじゃいけません、その前の繊維が原産地がその国でなきゃいかぬということもきめたい。たとえば肉のかん詰めなんかが、これは肉からかん詰めになると号が変わりますけれども、これは簡単に認めてはいかぬと。たとえば肉が当該開発途上国で屠殺されたものでなきゃいかぬとか、そういう事こまかにきめていきたいと思っております。 原則は、先ほど冒頭に申しましたようなことを書きますが、具体的には、いま申しましたように、場合によっては省令の段階に落としましてこまかくきめていきたいというふうに考えております。
○松井誠君 そうしますと、その原産地規則、原産地の確認という問題は、だいぶ技術的ではありますけれども、非常にやっかいな問題ですね。そういうことを考えますと、あれでしょうか、韓国なり台湾なりに日本の資本が行っておって、そしてそこでつくった製品がそれこそ日本に再上陸をしてくるというときに、品物によれば、その原産地かどうかという問題で特恵にはならないというものもあり得るわけでしょうけれども、日本の資本が具体的に韓国なり台湾なりに行ってどういう仕事をやっておるか。単独なりあるいは合弁なりいろいろなことをやっておるんでしょうけれども、それが日本へ再上陸を、これからしてくるような可能性、現にしておるというような、そういう品物、そういうものとしてはどういうものが予想されるわけですか。
○説明員(室谷文司君) 最近、韓国、台湾等に対する日本の企業の投資はふえてまいっておりますが、その中で特恵という意味で影響がある程度あるというふうに思われますのは、やはり繊維、雑貨関係であろうかと思います。私はいまある程度と申し上げましたのは、実は、日本のこれらの国に対する投資による製品が逆輸入されることによる影響をできるだけ少なくするという意味で、実は、許可にあたりましては、日本の市場に対する逆輸入がなされないように相当きびしい行政指導をいたしておりまして、そういう点のないようにいたしておりますことが第一点でございます。 それから第二点といたしましては、先ほど関税局長からの話もございましたように、ただ日本から原料を持っていって形式的に加工してこちらへ入れればいいというものではございませんで、やはり相当程度実質的に向こうの国でつくったという実体がなければいけないということで、これらの製品については、その辺も考慮しながら、原産地の確認の規則、加工基準によるわけでございますけれども、その加工基準を定めていきたいというふうに思っておりますので、そういう意味である程度というふうに申し上げたわけでございます。
○松井誠君 それで大体わかりましたけれども、いま言われた繊維なり雑貨なりその原産地規則ということでひっかかって特恵にならないというようなものもあり得るわけですか。そういうものは大体特恵の品目として全部通りそうなんですか、原材料なんか。
○説明員(室谷文司君) その品物は、全然というわけではございませんで、たとえば例を申し上げますと、これらの国の発展途上国では、比較的従来はこちらから染色をいたしました織物を持っていって製品にする、ただ織物を持っていって構成品にするというような単純な加工をしている場合が多いわけでございますけれども、やはり実体的に向こうで加工という場合には、やはり相当程度染色の工程も向こうでやっていただかなければ、実質的に向こうの産品とはみなされないのではないかというものもあるわけでございます。アメリカ等におきましては、いわゆる付加価値基準ということで原産地の確認をしたいということでございますが、付加価値基準というのはなかなかむずかしい点もございますので、むしろそういった加工基準によりまして、中にはなかなかこちらに入りずらいというものもかなりあるわけでございます。
○松井誠君 租税特別措置で少しお聞きをしたいと思ったんですが、もう時間ですから、せっかくお待ちをいただいて恐縮なんですが、資料だけお願いをして終わりにしたいと思うのですが、一つは、企業別及び業種別に全体の租税特別措置がどういう形でどれだけのものが利用されておるかという利用度を知りたいわけです。規模別に分けて、そういうものは租税特別措置の中でどれだけの特別措置を利用しておるかいないかということ、あるいは業種別に分けて、どういう業種が一番こういう租税特別措置を使っておるかどうかというような、いろいろ統計はあるようですけれども、大蔵省の権威のある詳しい統計をひとつ……。 それからもう一つは、これは積み立て金、まあ準備金なり引き当て金なり、非課税の積み立て金ですね。非課税の積み立て金の毎年の残高、おそらくはずっとだんだん増加をしてきておって、実質上の経費だという理屈がどうも通りにくいだろうと思うのですが、そういうものの資料にしたいと思いまして、それの残高をずっと、まあこれは相当長い期間でないと、租税特別措置というものが現実に始まってからの統計をお願いしたいのですが、そのときにちょっと前提としてお伺いをしておきたいのですけれども、租税特別措置というのは一体何かということがどだい考えてみるとよくわからなくなってしまう。先ほど、私、交際費のことをちょっと持ち出しましたけれども、たとえば貸し倒れ引き当て金だとか、退職手当の引き当て金だとかというのは、現在は租税特別措置としての取り扱いではないというのですね。配当の軽課措置もそうじゃないというのですね。そういうのも、しかし、普通には、特別措置だと受け取られておるわけですから、できればそういうものも含めての統計にしていただきたいと思うんですけれども、特別措置という定義がよくわかりませんから、そこのところをまず定義をはっきりさして、そういう統計をひとつつくっていただきたい。
○政府委員(細見卓君) 法人企業の実態につきまして会社標本調査をやっておりますが、その中で、いま御要望がありましたような統計がどこまで引き出せますか、後ほどまた具体的なことは御相談して資料を作成いたしたいと思います。私どもも、別にこの問題を隠そうとか、あるいは故意に調査を怠るというようなことをいたしておるわけじゃありませんが、何せ八十万になんなんとする法人のすべてからとるというのは、標本として現実性があまりございませんので、いつも、見込みがわかって実態がなぜわからぬと、こう言われるのですけれども、見込みは標本で出してある程度推計しておる。実態となりますと、それこそ税務統計として正確なものを出さなきゃならないということになりますと、これは悉皆調査になって、それはやっておらないと、こういうことがありますので、法人企業につきましても標準調査によりましてある程度実態を予測しておるものがございますものですから、それらにつきましてはできるだけ御要望に沿うような資料を作成してまいりたいと思います。 いまの特別措置の考え方でございますが、私どもは、やはり、事業の税務計算、あるいは企業所得の計算に対しまして何らかの法律的な措置によってその計算を変えておるというものが特別措置であると。したがいまして、御指摘の引き当て金と準備金との違いで申しますれば、引き当て金というのは、そのときに、企業としては、あるいは事業としては、債務性があると申しますか、企業会計のほうで会社としてはそういう債務を背負っておる。たとえば退職引き当て金でありますれば、職員に対してその状態で企業はそれだけの退職給与を支払わなければならないいわば債務を背負っておると。したがって、それは利益の留保ではないというような企業会計のほうの考え方、それを税のほうでそのまま受け入れておるというわけでございます。つまり、引き当て金と申しますのは、利益と経費との発生をそれぞれ会計原則その他によりまして適正に配分していくためには、引き当て金を設けなければならない。準備金になりますと、ある程度予期はできるが、必ず起こってくるとも言えないようなものについて一定の準備をしておく。したがって、その残高がある程度以上積もるとか、あるいは経験律でそうした準備金を使用しなければならない事態に対してやや過大になっておるというような場合には、若干利益留保的になると、こういうことであろうかと思いますが、別に引き当て金の数字を隠さなきゃならないということでもございませんので、要望を表にして差し上げたいと思います。
○委員長(柴田栄君) 両案件についての本日の質疑は、この程度にとどめます。 次回の委員会は、明二十六日午前十時から開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十六分散会