大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 225 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/11
会議録
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 昨十日、永野鎮雄君が委員を辞任され、その補欠として伊藤五郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(柴田栄君) まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案の審査のため、本法案審査中、日本輸出入銀行総裁及びその他の役職員の出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柴田栄君) 次に、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案外一法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 まず、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案につきまして申し上げます。 開発途上国に対する経済協力の促進は、最も重要な国際的課題の一つであり、わが国といたしましても、開発途上国の自助努力を積極的に支援するため、他の先進諸国とともにその拡充につとめてきておりますことは、御承知のとおりであります。 このような方針のもとに、インドネシアに対しましても、同国の経済安定と開発を促進するため、適切な経済協力の推進に努力いたしている次第であります。 同国に対する経済協力につきましては、特に昭和四十一年度以降、IMF、世銀等の協力を得て、関係各国でインドネシア経済の実情に即した援助のあり方を検討し、これに基づいて国際的な協調のもとに援助を行なうことといたしております。この間におきまして、インドネシア経済はようやく安定化の時期から復興と開発の時代に移行するきざしを見せてまいり、同国の経済発展のための努力を引き続き支援し、これを一そう効果あらしめるためには、新規援助と並行して、対外債務の救済について長期的な観点に立った措置を検討すべきであるとの国際的認識が強まってまいりました。かかる認識に基づいて、いわゆるアプス案を中心に検討が重ねられた結果、昨年四月の債権国会議において、無利子三十年償還という方式で債務を繰り延べることを骨子とする長期的債務救済の措置について合意をみるに至ったのであります。この合意は、各国政府がインドネシア政府と二国間協定を締結することにより実施されるのでありますが、オランダ及びフランスはすでにこの二国間協定を締結し、その他の債権国会議参加国も近く二国間交渉を開始する模様であります。また、債権国会議参加国以外では、ソビエト連邦が債権国会議の合意と同様の内容で協定を締結いたしております。 わが国といたしましても、国際的経済協力の一環として、この合意に基づく債務救済を実施することが必要であると考えます。その場合、その対象となる債権のほとんどすべては、日本輸出入銀行がすでに行なった債務救済の結果としてインドネシアの中央銀行に対して有する貸し付け金債権及び日本輸出入銀行の融資にかかる対インドネシア民間債権であります。従って、今回の債務救済につきましても、従来と同様、同銀行がその実施に当たることが適当であると考えられますが、この救済措置をこの合意に基づいて無利子で行なうためには、日本輸出入銀行法の貸し付け金の利率の決定に関する規定についてその特例を設ける必要がありますので、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。 以下、この法律案の概要について申し上げますと、まず、日本輸出入銀行が本件債務救済を実施する場合には、インドネシアの中央銀行に対して無利子で債権の繰り延べ及び貸し付けを行なうことができることといたしております。 次に、日本輸出入銀行は、本件債務救済の実施に関する業務について、これを一般の業務と区分するため、特別勘定を設けて経理するものといたしております。さらに、この特別勘定にかかる業務に要する資金の財源に充てるため、政府は日本輸出入銀行に対し、予算の定めるところにより、無利子で資金の貸し付けができることとし、その他、所要の規定の整備をはかっております。 ————————————— 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、最近の夫婦間における財産の形成等の実情に顧み、配偶者控除の引き上げを中心とする贈与税及び相続税の負担軽減を行なうほか、所要の規定の整備をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一に、贈与税の配偶者控除の引き上げ及びその適用要件の緩和を行なうこととしております。 すなわち、夫婦間の居住用不動産の贈与にかかる贈与税の課税最低限を現行の二百万円から倍額の四百万円に引き上げることを目途として、贈与税の配偶者控除を現行の百六十万円から三百六十万円に引き上げることとしております。また、その適用要件を緩和し、現行は婚姻期間が二十五年以上の場合に適用されることとなっておりますのを、婚姻期間が二十年以上であれば適用されることに改めることとしております。 第二に、相続税の遺産にかかる配偶者控除の引き上げ及びその適用要件の緩和を行なうこととしております。 すなわち、贈与税の配偶者控除の引き上げ等との関連において、相続税の遺産にかかる配偶者控除及びその適用要件を、現行の婚姻期間十五年をこえる一年につき二十万円、最高限度二百万円から、婚姻期間十年をこえる一年につき四十万円、最高限度四百万円に改めることとしております。 第三に、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度の引き上げを行なうこととしております。 すなわち、生命保険金の非課税限度については、現行の相続人一人当たり百万円から百五十万円に、死亡退職金の非課税限度については、現行の相続人一人当たり五十万円から八十万円に、それぞれ引き上げることとしております。 以上のほか、申告書の公示限度を引き上げる等、所要の規定の整備を行なうこととしております。 以上が、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案外一法律案の提案の理由並びにその概要であります。 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
○委員長(柴田栄君) 引き続き、両案の補足説明を聴取いたします。稲村国際金融局長。
○政府委員(稲村光一君) 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案を提案するに至りました背景につきましては、ただいま提案理由説明の中で申し述べたとおりであります。以下、本法律案につきまして、逐条的にその内容を補足して御説明申し上げます。 まず、第一条におきましては、この法律の趣旨として、他の主要な債権諸国と協調して、インドネシアに対する債務救済を実施するため、日本輸出入銀行に対し、同銀行が債権の繰り延べまたは貸し付けを無利子で行なうことができる権限を付与いたしますとともに、これに伴う所要の措置を講ずることを規定いたしております。 第二条及び第三条は、それぞれ日本輸出入銀行が債権の繰り延べまたは貸付けを無利子でできる権限を付与するための規定であります。 すなわち、第二条におきましては、日本輸出入銀行がすでに行なった債務救済の結果として、インドネシアの中央銀行に対して有する貸し付け金債権についてその期限の繰り延べを行なう場合に、無利子でこれを行なうことができるものとしております。 また、第三条におきましては、日本輸出入銀行が、インドネシア旧債務にかかるわが国の民間債権で昭和四十五年一月一日以降にその履行期限が到来するものに関し、その履行の円滑化をはかるため、インドネシア中央銀行に対し新たに資金の貸し付けを行なう場合に、無利子でこれを行なうことができるものとしております。 次に、第四条におきましては、第二条及び第三条に規定する債権の処理にかかる経理につきましては、日本輸出入銀行はこれを一般の業務にかかる経理と区分し、特別勘定を設けて整理しなければならないものとし、また、この特別勘定に生ずる利益金は、一般の業務による利益金と区分して処理できるようにいたしております。 第五条におきましては、特別勘定において必要な資金の財源として、政府が予算で定めるところにより、日本輸出入銀行に対して無利子で資金の貸し付けを行なうことができるものといたしております。 なお、昭和四十六年度予算におきましては、同年度間の所要財源として、一般会計において日本輸出入銀行に対する無利子貸し付け金四十二億円を計上いたしております。 第六条は、この法律に規定するもののほか、特別勘定の経理に関する事項その他この法律の実施に関し必要な事項は、省令に委任することといたしております。 以上、簡単でございますが、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案の提案理由を補足して御説明いたした次第でございます。
○委員長(柴田栄君) 細見主税局長。
○政府委員(細見卓君) 相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 今回の相続税法の改正は、妻の座の優遇等の見地から、相続税及び贈与税の負担の軽減をはかるため、贈与税の配偶者控除及び相続税の遺産にかかわります配偶者控除を引き上げるとともに、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度の引き上げを行ないまして、あわせて税制の整備合理化を行なうことをその内容といたしております。 第一は、贈与税の配偶者控除の引き上げ及びその適用要件の緩和であります。 現在、婚姻期間二十五年以上の夫婦の間におきまして居住用不動産またはこれを購入するための金銭を贈与いたしました場合の贈与税については、通常の基礎控除四十万円のほか、贈与税の配偶者控除百六十万円が適用されまして、あわせて二百万円までが非課税となっておりますが、妻の座に対する税制上の優遇措置をさらに強化すべきであるとの要望や地価の上昇等を考慮して、配偶者控除を三百六十万円に引き上げて非課税限度を四百万円とするとともに、この控除の適用要件を緩和いたしまして婚姻期間を二十年に引き下げることとしております。 第二は、相続税の遺産にかかわります配偶者控除の引き上げ及びその適用要件の緩和であります。 配偶者が相続人となっている場合の相続税につきましては、通常の基礎控除のほか、婚姻期間十五年をこえる一年につきまして二十万円、最高二百万円までの遺産にかかわる配偶者控除の適用が受けられることとなっておりますが、今回、贈与税の配偶者控除の引き上げ等に見合いましてこの遺産にかかわります配偶者控除を、婚姻期間十年をこえる配偶者が相続人に含まれている場合に適用するとともに、その控除額を婚姻期間十年をこえる一年ごとに四十万円、最高四百万円に引き上げることとしております。 この引き上げの結果、配偶者と子四人が相続人となりました場合の相続税の課税最低限は、現在の千万円が千二百万円に引き上げられることとなります。 第三は、生命保険金及び死亡退職金の非課税限度の引き上げであります。 現在、生命保険金の場合は相続人一人当たり百万円まで、また、死亡退職金の場合は相続人一人当たり五十万円まで、相続税が課されないこととされておりますが、この生命保険金について、契約の推移等を勘案いたしまして、また、死亡退職金につきましては、生命保険金とのバランスから、これらの非課税限度を、生命保険金の場合は相続人一人当たり百五十万円まで、死亡退職金の場合は相続人一人当たり八十万円まで、それぞれ引き上げることとしております。 この引き上げの結果、さきに述べました配偶者と子四人が相続人となる場合の生命保険金及び死亡退職金の非課税限度の合計額は、現在の七百五十万円から千百五十万円に引き上げられることになります。 第四は、相続税法の整備合理化でございます。 すなわち、相続税の遺産にかかわります配偶者控除については、申告の有無を問わず適用することといたしますとともに、贈与税の配偶者控除については、申告書の提出があれば期限内申告でなくても適用することとしまして、それとあわせまして申告書の公示限度を現行の倍額に引き上げるほか、延納の最低税額を三万円から五万円に引き上げることとする等の整備合理化をはかることとしております。 以上、相続税法の一部を改正する法律案の提案理由を補足して説明いたしました次第でございます。 —————————————
○委員長(柴田栄君) この際、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、先ほどの両案とあわせて三案を便宜一括して質疑を行ないます。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○松井誠君 輸銀の総裁がお見えになっておりますので、輸銀の業務内容などについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。 輸銀というのは、私のきわめて常識的な理解から言うと、貿易振興のための輸出の信用供与、そういうのが主であって、経済開発なり援助なり経済協力なりそういう低開発国向けの信用供与というのはむしろ経済協力基金がやるというように、大まかに交通整理ができておるような気がしておったのでありますけれども、いろいろ見てみるというと、必ずしもそうではないようです。 そこで、最初に、輸銀の融資残高における低開発国向けと先進国向けとの比率、そういうものがありましたら、まず教えていただきたいと思います。
○参考人(石田正君) 日本輸出入銀行は、お話がございましたように、輸出振興ということを目的としてやっておるわけでございますけれども、日本の輸出のパターンと申しますか、日本の製造業その他の競争力等の関係から申しまして、どちらかと申しますると、先進国に出ますよりも後進国に対して機械その他が出ることのほうが多いものでございますので、全体のトータルの中から見ますと、大体七割ぐらいが後進国向けというふうなぐあいに相なっております。
○松井誠君 その比率というのは、大体横ばいなんですか、あるいは、その比率がだんだん高くなってきているか、低くなってきているか、そういうような大まかな傾向はどうなんですか。
○参考人(石田正君) これはあまり変わらないのではないかと思います。ただ、方向といたしまして、日本の輸出が非常に競争力がついてまいりまして、先進国に対しまして、先進国の国内製品よりも日本のあれが強くなるという面が濃くなってまいりますれば、その場合には先進国向けも相当伸びてまいりますけれども、いまのところでは残念ながら先進国をどんどん輸出でもって席巻するというよりも、むしろ後進国のほうへ出ていくほうが多いのではないか。後進国におけるところのほかの先進国との競争に勝つという段階でございまして、先進国の国内産業をどんどん排除して日本のプラントその他が出ていくというふうなぐあいには遺憾ながらまだなっておらないと、かように考えております。
○松井誠君 私はここに一つの統計を持っておるんですが、これは何年度ということは書いてありませんけれども、低開発国向けは大体五〇%だけれども、しかしその比率は一九六七年の六五%から六九年末で五三%と低下をしておるということで、それは、低開発国か先進国かという区分けではありませんけれども、地域別の融資の残高を書いてあって、おそらくそこからの推計だと思いますけれども、そのようになっているんですけれども、いまの数字と違いますけれども、どうなっていますか。
○参考人(石田正君) 私の申しましたことは、大ざっぱなことを申しまして、はなはだ恐縮でございますけれども、大体の傾向から申しますと、日本の輸出におきましては、プラントとかそういうふうなものでなくして、ほかのいわゆるキャッシュ取引に近いところの、御承知のとおりに、繊維でございますとか、あるいはテレビとか、自動車とかいうふうなものは、先進国に相当伸びております。しかし、われわれがタッチいたしておりますのは、どちらかと申しますと、機械プラント関係が主でございまして、そういう観点で日本の輸出全体の傾向とは必ずしも合わないという面があるかと思います。ただ、われわれのやっております中で、先進国向けと申しますか、そういうふうなところでいま非常に元気がいいのが、やはり造船でございます。造船につきましては、これは、御承知のとおりに、世界一の輸出実績を誇っておりまして、このほうは、北欧諸国であるとか、あるいはメジャーオイル関係とか、そういうふうな関係でだいぶ輸出が伸びておりまして、これに日本輸出入銀行の融資をいたしております。いわゆる延べ払い輸出の中におきましては、船が一般のプラントよりも多いという実情でございますから、その辺を考えると、一番初めに申しましたところは一般論でございまして、船なんかもその考えに入れますと、先進国へも相当伸びていく傾向がなきにしもあらずであると、かように考えておる次第でございます。
○松井誠君 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、協力基金との業務の分担ですね。一応、協力基金のたてまえは、輸銀のベースに乗らないようなものをやろうというように書いてありますから、理屈の上では二つがダブるということはないたてまえになっていると思います。しかし、必ずしも現実はそうではないようなんですが、一体、いまの基金と輸銀とのそういう融資のあり方ですね、そういうことについて総裁はどのように考えておりますか。
○参考人(石田正君) これは、基金がやりましても、輸出入銀行がやりましても、日本の物が出ていくということにつきましては、いまのところ変わりがないわけでございます。したがいまして、物が出てまいりました場合に、それはいろいろな形をとりまするけれども、どちらのほうがやったらよろしいかということにつきましては、なかなかむずかしい問題がございます。法律のたてまえから見ますと、われわれのほうが断わったものだけ基金がやればよろしいではないかというようにも考えられます。しかしながら、現実問題は、先生のお話のごとく、経済協力と申しますか、援助と申しますか、援助的色彩の多い借款供与というものがふえてまいりますれば、それはだんだんと経済協力基金のほうになじむという問題が出てまいります。だんだんこのような色が濃くなっていくのではないだろうかと思うのでございます。いまのところにおきましては、われわれのほうは、いわゆるそういう円借等をやりましても、やはり輸出を伴うものでございますから、わがほうといたしましてやれる範囲においてはやっていこうというふうなことで従来来ておるわけでございます。こういうたてまえに従って、こちらがとてもぐあいが悪くて引き受けられないというものは基金さんにお願いする、こういうことでいっておるのでありますけれども、しかし、現実問題としては、なかなかわがほうとしては扱いにくいものもだんだんこれからふえてくるのではないかと思います。ですから、現実問題といたしましては、経済協力基金がそういうことを担当するという分野がだんだん多くなってくるかと思うのでございますが、これは、円借等の問題にかかわりませず、一つ一つの輸出案件につきましても同じような問題がございまして、そこをどういうふうに仕分けをしていくのかというのはわれわれのほうも基金のほうもいろいろと相談をいたしておりまするけれども、いまの関係を紙に書いて方針的にこうするんだということではなかなか具体的な問題が割り切れない、こういう問題が起こってまいりますので、われわれのほうといたしましては、基金と一件ごとによく相談をいたしまして、これは基金のほうでやったほうが適当であるというものは基金のほうにお願いいたします。それからわれわれのほうでやるのが適当というものはわれわれのほうでやろうというふうな考え方で進んでおります。 なお、これにつきましては、政府の御意向も参考にいたしながら処しているというのが現状でございます。
○松井誠君 輸銀と基金とは、しかし、いろいろな融資の条件は違うわけでしょう。ですから、融資や輸銀でなかなか困難な場合には基金へ回るというそういう仕事のあり方をやればダブることはないわけですし、そういうことも私はできないわけはないと思う。なるほど、経済援助、経済協力というものは広がってくるでしょう。くるでしょうけれども、輸銀が断わればそれで経済協力ができないというわけじゃないのですから、ちゃんと基金というものがあるわけですから、基金並みに条件を緩和して無理して輸銀が基金の肩がわりをするような形で業務分担がこんがらかるというふうにする必要はないし、しなくたって現実にどこかに障害が起こるということはないのではないか。同じ金を払うのですからどっちでもいいようなものですけれども、私はやっぱり気になりますのは、援助と普通の商業ベースの輸出信用とは、どだい性格は違うものでしょう。ですから、二つの性格の違うものを一つの銀行がやっておって、今度はそれぞれ商業ベースに乗った輸出信用というものと低開発国向けの援助と条件が違うものが、何か条件の中でもこんがらかるというふうなことはありませんか。
○参考人(石田正君) われわれのほうは、銀行といたしましていろいろ仕事をいたしております。この場合におきまして、延べ払いその他におきまして輸出が行なわれるわけでございますが、これにつきましては、対外的にも対内的にもいろいろとわがほうのやります仕事としては制約があるわけでございます。対外的に申しますると、あまり過当競争をしてはいけないというので、延べ払い信用につきましては、各国とも、期間はどのくらいにするとか、金利はどのくらい取るというふうなことでいろいろ話し合いがございまして、それを無視して輸出入銀行がやるというわけにもまいりません。それからまた、いまの状況から申しますると、一件一件ごとを見まして、その仕事の性質自身からすればこれぐらいの期間でいいではないか、これぐらいの金利が取れてもいいのではないか、こういうふうなものでございましても、受け入れ国におきましては、できれば安ければ安いにこしたことはないわけでございますから、安くしろという御要求がございます。ここらの問題につきましては、向こうの言うことをそのまま受け取らなければならないというような情勢でございますれば、輸出入銀行としてはできないということになりますれば、基金のほうへお願いせざるを得ないと思うのでございます。しかし、案件によりましては、日本輸出入銀行がいま出資あるいは政府からの借り入れ金をやりまして、そうして、そこからはじき出しますところの金利その他でまあまあやれるであろうというふうなものにつきましては、これは輸出入銀行がやっているわけでございますが、もうそういうものにつきまして一切後進国でありますとかあるいは経済協力的な意味があるから全部やめてしまうということでありますれば、もちろんこれは基金にやっていただきますればそれでできないわけはないというのは、先生のお話のとおりだろうと思います。
○松井誠君 輸銀の場合、輸出金融の条件について、たとえばOECDあたりから文句が出て、保護し過ぎる、ゆるやか過ぎるという文句が出たというような話を聞いているのですが、これは基金の場合にはそういう——これは総裁じゃなくて、大蔵省になるのか、企画庁になるのか、わかりませんが、それは国際的な制約とまではいきませんけれども、そういう申し合わせ、協定みたいなものに基金は縛られないんですか。
○政府委員(稲村光一君) 輸出の延べ払い条件に関しまして何か国際的な批判が出ているかどうかという御質問でございますが、輸出の延べ払いにつきまして、これは後進国援助というよりも、輸出競争という面で、確かに、OECDのたとえば輸出信用に関します部会というのがありまして、ここはお互いにあまり過当な条件の競争をしないでいこうという話し合いの場でございまして、特にこれが日本に対しまして日本の条件が甘過ぎるとかいうようなことが出ているわけではないと承知いたしております。これはただ各国ともいろいろと輸出を伸ばすための条件をそれぞれの各国の機関におきましてやっているわけでございますが、これをできれば過当競争ということにならないようにしよう、こういうことが話というか相談が行なわれていることは事実でございますが、その点で特に日本が問題になっているということはないと承知いたしております。それから造船のほうに関しましては、これは特別にOECDに造船のための部会がございまして、これはもっぱら造船に関する事項をやっておりますが、むろん延べ払い輸出の問題だけではありません。その他造船一般の問題があるかと思いますが、それにつきましては、やはり同じような趣旨で、ある程度以上の条件は出さないで、あるいは場合によっては大体こういうところまでと条件をみなできめて、条件の調整と申しますか、調和をはかっていこう、こういうことでございますが、いずれもこれは延べ払い輸出のほうの問題でございまして、直接援助のほうの問題とはこれまた関係がございません。援助のほうはまた援助のほうで、これはOECDではDACという先日からいろいろのお話が出ておりますが、援助の条件はなるべくソフトにしていくべきだ、こういうことでございまして、その点の目的の違いと申しますか、問題のあれによりまして、各国のそれぞれ問題の趣旨ということによる違いが若干ございます。
○松井誠君 船舶輸出の金利を引き上げたというその理由として、私はOECDの意向もあったのではないかという観測なんです。そういう意味で、先進国向けのそういう輸出というもの、援助という性格を持っていないものについては、むしろダンピングは避けよう輸出競争は避けようということで、輸出条件そのものが日本が保護し過ぎるというような一つの批判がある。ところが、逆に、経済援助のほうは、経済援助の条件がきびし過ぎる、だからもっと条件を緩和しろという、そういういわば一般的な批評がある。そういう全く二つの違った条件のものを一つの輸出入銀行なら輸出入銀行というものがかかえておるということが、ますます全体の交通整理を混乱させることになるのじゃないか。なぜかといいますと、基金と輸銀との間のそういう交通整理、業務分担の整理ということについていろいろ話し合いがあるやに聞いておりますけれども、そういうものがあるかどうか、あるとすれば、一体どういうことをめどにしてその整理の基準にするつもりなのか、そのようなことについてお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) 輸銀につきましては、確かに御指摘のとおり、輸出の振興と申しますか、後進国、先進国を問わず、ただいま総裁から御説明がございましたとおり、もっぱら輸出振興ということを本来の目的として発足をしたわけでございまして、それは事実でございますけれども、その後延べ払いの輸出あるいはプラントに対する長期の延べ払いというものが後進国に対する援助の一環としての意味も非常に持っておるわけでございまして、その意味で、御指摘のとおり、一つの機関で援助的なものと輸出振興とを混在させているのはおかしいではないかという御議論も確かに一つの問題点であろうかと存じますが、しかし、同時に、先ほど総裁からも御答弁がございましたように、現状におきましては、輸銀と基金との関係というのは、連絡理事会というようなことで業務の調整は各案件ごとの調整をいたしております。それからそれぞれの各省間におきましても、やはり緊密に各省間の連絡会議というのを持ちまして調整をいたしております。現在におきまして、特に大きな混乱と申しますかあるいは不都合が起こっておるということではないと存じます。しかし、同時に、確かに先生御指摘のような問題点もございますので、今後の将来の問題といたしましては、輸銀と基金との関係を対外経済協力という面でどういうふうに業務を調整していったらいいのか、その面につきましては、先般、昨年の暮れの対外経済協力審議会の中間的な御意見にもございますように、将来の問題といたしましては、やはり今後援助のひもつき廃止というような方向にだんだんと進んでまいり、また、援助の量的な拡大、質的な向上ということも考えていかなくてはならないという事態に即しまして、実施機関のあり方につきましても政府といたしまして検討いたしてまいりたいとは存じておりますが、現状におきまして特に大きな不都合が生じているということはないと存じます。
○松井誠君 ケース・バイ・ケースでやるというのも実際的な一つの方法かもしれませんけれども、先ほども言いましたように、輸銀のベースに乗らないものを基金でやるのだということがちゃんと仕組みのたてまえになっておるわけですから、そういう意味では、区分けをする基準というのは、私はきわめてはっきりしておると思うのです。 それはその程度にして、今度、インドネシアのこげつき債権のリファイナンスというのが輸銀法の改正の一つの内容でありますけれども、このリファイナンスは、こげつき債権の再融資というのは、今度が初めてではなくて、何回目、いつからですか。
○政府委員(稲村光一君) インドネシアに対しますリファイナンスと申しますのは、すでに過去三回にわたって行なわれておりまして、昭和四十二年に四千五百五十万ドル、四十三年に六百九十万ドル、四十四年に六百四十万ドル、合わせまして五千八百八十万ドルがインドネシアにリファイナンスが行なわれております。
○松井誠君 こういう形のリファイナンスについて、輸銀のほうでは、先ほどの基金との関係の問題もからみますけれども、そういうものまでやはりいまの基金との関係で輸銀がやらなければならないというお考えですか、総裁は。
○参考人(石田正君) 過去三回にわたりましてリファイナンスが行なわれたわけでございまするが、これは、一つには、リファイナンスをされました元債権の相当部分が輸出入銀行が協融で融資をいたしておりましたものが非常に多かったということと、それからして過去の三回の場合におきましてはリファイナンスの条件が三年を据え置きとしますところの十一年でございまして、そうしてしかも金利は四%ということでございました。こういうことでございますれば、従来の輸出入銀行がほかでやっておりますところのいろいろなファイナンスの関係からいたしまして、輸出入銀行ではできないとまでは言い切れない。そういうことも両方かね合わせまして、過去三回やってまいりましたわけでございます。
○松井誠君 遠慮されているのか、その後お考えが変わったのか、わかりませんけれども、総裁は、四十四年の最高輸出会議の席上で、そのリファイナンスの問題について文句を言っておる。そういうしりぬぐいまで輸銀がするのはかなわぬという趣旨の発言をしたという報道を私は受けたことがあるのですが、確かにそのときにはそういうことを言われたのですか。
○参考人(石田正君) 多少ニュアンスが違うかと思うのでございますが、最高輸出会議におきましていろいろお話を承っておりますと、皆さんは、これだけ輸出をふやせというふうなことで、輸出輸出ということを非常に言われるわけでございます。今度は百五十億ドルのやつを二百億ドルまで持っていけというふうなことを言われるわけですが、それは最高輸出会議としてはそういうことを焦点として御議論になることはけっこうでございますけれども、しかしながら、それをやりますためには、日本の外貨がそれだけふえるわけでございますけれども、それがすぐ入ってくるのか入ってこないのかという問題もございます。また、輸出をいたしまして必ずその代金が取れるということが確実でありますならばそれでよろしいのでございますけれども、場合によっては、投資にいたしましても、延べ払いにいたしましても、あるいは円借にいたしましても、金融機関が金を出しますときには返ってくるということを前提に出すわけでございますが、現実の問題としては結果的には返ってこないということが起こり得るのは、金融としてあり得ることだと思うわけでございます。そこで、そういうものまで御配慮願って輸出をどのくらいにしたらいいかということをお考えにならなければ困るではないかということを申し上げたわけであります。早い話を申し上げますれば、すべて日本の輸出につきまして、これが海外援助というものが拡大されまして、そうしていわゆる円借とか海外援助とかという形になってまいりますれば——一般の業者といたしますれば、われわれから金を借りますれば、それは返さなければならないという問題がございます。しかも、それが返ってこない場合には、やはりかわって払わなければならない。借り主でございますから、払わなければならないところの責任があるわけでございます、われわれに対して。ところが、もし円借ということになりますれば、これは全部輸出いたしますと同時にみんなもらってしまうわけであります。そして、輸出して、あと取れなくなってもどうなってもかまわないと、そういうムードで輸出振興会議だけが突っ走るということがはたしてそれでいいかどうかという意味で申し上げた次第でございます。
○松井誠君 その発言を聞いたある財界の政治部長みたいなのが、その総裁の発言はけしからぬと。輸銀というのは国の機関なんだから、国が最終的にしりぬぐいするのはあたりまえだというようなことを言ったということまで出ておりまして、私らから言わせればとんでもない話なんで、援助でなくて、ほんとうの意味の商業ベースであるとすれば、最終的にはやはり企業がリスクを負わなきゃならぬのは私はあたりまえだと思います。ところが、援助と両方やっておりますと、その辺の仕分けそのものがだんだんしにくくなってくるのじゃないか。先ほど私が基金との区別のことを言いましたのは、そういう意味もあるわけです。私は、この最初のリファイナンスのときに、これが輸銀の仕事かどうかということについて、いま総裁は積極的にお認めになったような口ぶりではありませんでしたけれども、もっとやはり問題になってしかるべきであったと思う。聞きますというと、これで終わりじゃなくて、また来年も再来年もリファイナンスはあるわけでしょう。リファイナンスはないのですか、これで終わりですか。
○政府委員(稲村光一君) 今回の御提案申し上げておりますインドネシアに関しまするリファイナンスは、総額におきまして大体九千三百七十万ドルくらいになるかと思われますが、この中には、先ほど申し上げました過去三回にわたって行なわれました五千八百八十万ドルの分を、さらに国際的な協調によりまして、より期間を長く、かつ無利息という条件で、国際的な線にあわせましていたします分でございまして、そのほかにまだ民間の債権であるものが千六百九十万ドルくらいございますから、これはデューが来るごとに同じ条件でリファイナンスをしていくということでございます。実際にそれが起こってまいりますのはデューが来たときでございますから、これは来年以降という部分もあるわけでございますけれども、今回の分はこれで一つのものとしてお考えになっていただいてよろしいのではないかと思います。
○松井誠君 けさの新聞なんですけれども、日本経済調査協議会ですか、財界の機関なんでしょうけれども、ここでインドネシアの経済援助の条件緩和を要望しておる。その中で、インドネシア向けの長期延べ払い輸出についても輸出保険をかけるべきだと、そういうことも要望の一つに入っていることが書いてあるわけですが、それはいままでやっていないわけですか、インドネシアに対しては。
○政府委員(稲村光一君) ただいまの御質問でございますけれども、今回お願い申し上げておりますものはスカルノ時代の延べ払いに基づくものでございまして、これがこういうような事態になりましたので、その問題が起こりました昭和四十年の暮れでございますが、一応、延べ払いの輸出は、その後続けますとさらに債権が累積するというおそれがございましたので、とめたわけでございます。その後はいまのような状況でございますので、延べ払いにつきましては、非常に慎重と申しますか、一般的には認めないというような方針でずっと進んできておるわけでございます。詳細につきましては、通産省のほうから御説明申し上げたほうがよろしいかと思います。
○説明員(山口衛一君) ただいまの御質問に関しまして、輸出保険制度のほうから申しますと、インドネシアに関しましては、御承知のとおり、かつて四十年の十二月に保険金支払いを停止したというふうな措置をとっておりまして、その後情勢が好転しつつあるような面もございます。現段階では、昨年の八月一日以降、船積み後六カ月以内に代金決済がされる短期取引については、普通輸出保険も輸出代金保険も手形保険も引き受けを再開しております。ただいま申し上げましたのは、六カ月以内のものでございます。六カ月をこえるものにつきまして、いわゆる中長期の契約に関しましては、中央銀行支払い保証等につきまして送金につきましての免責条項を設けております。
○松井誠君 よく意味がわからないのですが、中央銀行——もう一ぺん最後のところを説明してください。
○説明員(山口衛一君) 御説明いたします。 ただいま申し上げましたのは、インドネシアに関しまして短期の契約のものがございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、普通輸出保険、輸出代金保険、手形保険、いずれも引き受けをいたしております。それから百八十日をこえる契約のものが中期及び長期のものでございます。これにつきましては、インドネシアの中央銀行の支払い保証というものがついておりましても、現状ではインドネシア中央銀行の送金に関します信用の問題につきましてまだ十分に信用がありと認められないという判定のもとに、私どもは、送金、つまり向こうから金を送ってくることに関しての、それについては保険金を支払わない、そういう条項を入れております。それ以外の戦争危険その他につきましては、全部保険をつけて保険金を支払うことにしておりますが、送金に関しましては、保険においてこれを引き受けないというような制度をとっております。
○松井誠君 あれですか、長期の延べ払いの場合には、かりに中央銀行が保証しても、その送金が確実だとは言えない……。
○説明員(山口衛一君) 送金に関しましては、保険事故とみなさないということで保険金を支払わないという、そういう制度をとっております。
○松井誠君 輸出保険を支払わない……
○説明員(山口衛一君) 保険金を支払わない。
○松井誠君 保険をかけるかかけないかということを聞いたわけですよ。
○説明員(山口衛一君) 保険をかけることはございます。付保はできます。
○松井誠君 付保はできる。したがって、かけてはおるけれども、事故とみなす条件が違うと、そういう意味ですか。
○説明員(山口衛一君) はい。
○松井誠君 そうしますと、ここに書いてある長期延べ払い輸出にも輸出保険を適用すべきであると、新聞記事だから正確じゃないかもしれませんけれども、これは、そうしますと、ほかの国に対する延べ払い輸出のような保険の条件といいますか、そういうものにしろという意味なんですか。
○説明員(山口衛一君) おっしゃるとおりの意味かと存じます。
○松井誠君 確かにスカルノ時代よりは経済情勢はあるいは好転したかもしれませんけれども、いままでそういう差別をしてこなきゃならなかったという状態、それよりも何よりも、スカルノ債権がこういう形で焦げつきになって、税金でそれをしりぬぐいをしているというような状態、そういうものがある中で、またいままでと同じような形の輸出保険を再開をするということについては、これは何としてもやっぱり割り切れないと思うんですね。財界のお歴々が盛んにインドネシアに目をつけて、資源の問題が主なんでしょうけれども目をつけておりますけれども、企業のリスクが全然なくて、ともかく最終的には保険をもらえばいいんだというようなことでやられたのでは、また同じような問題が起きないという保証はない。こういう要望に対して、これ大蔵省のほうではどうなんですか。あるいは、通産省のほうではどうなんですか。もしこういう要望が出たら、あるいは出たかもしれませんが、そういうものに対してどうですか。
○政府委員(稲村光一君) 輸出保険に関しましては、通産省の所管でございますので、われわれのほうといたしましては特に通産省にお先ばしって何か意見を申し上げるという立場ではないわけでございますけれども、これはインドネシアに対する全体の問題としまして、新しい援助は別といたしまして、慎重でなければならないというふうに考えておりますが、第一義的には通産省の問題でございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○説明員(山口衛一君) ただいまの御質問につきましては、私ども聞いております範囲では、保険制度のこのような運用のしかたにつきましては、日本だけではなく、インドネシアに関しまして債権を保有しておる国々で保険制度を持っている状況を調べますというと、大体同様の取り扱いをしているように聞いております。ただ、将来の今後の情勢は十分見きわめなくちゃならぬと思います。情勢を十分見きわめながら、今後も慎重に検討してまいりたいと思っております。情勢いかんによって十分検討していかなければならぬと思います。
○松井誠君 この輸出保険のことにつきまして、計数の問題だけ一つ確かめておきたいと思うんです。一体スカルノ債権というものがどれだけあるかということについて、大蔵省からもらったパリ債権国会議の資料によれば、日本が九千三百二十万ドルということになっておるわけでありますけれども、インドネシアに行った北島ミッションの報告書に出ておるスカルノ債権の額とはずいぶん違うんですね。北島ミッションの報告書に出ておる日本の債権というのは、二億二千三百五十六万五千ドルです。こっちが九千三百万ドルで、こちらが二億二千三百万ドルになっておりますね。この中には賠償担保借款を含んでいると書いてある。賠償を担保にした債権というのが帳消しになっておるとすれば、この部分だけは引くんでしょうけれども、それにしても数字が合わないですね。
○政府委員(稲村光一君) 先生御指摘の数字は、北島ミッションの報告書に出ております二億二千三百万のことを言っておられるのかと思いますが、これは当時のIMFの資料によるものでございまして、これは当時すでに国会でも御論議があったわけでございますけれども、これにつきましては、いま先生御指摘のとおり、賠償担保借款でございますとか、あるいは、実際に船積みをしなかった、したがって、つまり実際の債権にはならなかったというものも中にあるわけでございます。結局、賠償担保借款につきましてはすっかりきれいになっておりますし、それからむろん短期のものは残っておるわけではございませんで、済んでおるわけでございますが、一応いまのような調整をいたしまして、北島ミッションの報告書の注のほうにも書いてございますとおり、これはIMFの報告書では二億二千三百万になっておりますけれども、わが国の試算によりますと、債務額は一億三百万ドル程度であると、こういうふうに書いてあるわけでございます。いまのような調整をいたしますと、実際のスカルノ債務というのは、ずっと少ないわけでございます。IMFのほうの当時の資料はそういうほかの要素を含んでおったわけでございまして、その点で現在のスカルノ債務の金額とは照合しない、こういうものでございます。
○松井誠君 あなたがいま言われた注の中でのわが国の試算というのは、下に書いてありますね。それは一億三百三十万ドルですか。その中には、現金というのは二千五百万ドル——これは千ドル単位ですか。——ちょっと待ってください。現金も入れて債務額が出ておるわけですね。現金の部分をかりに別にしても、九千三百万ドルということとは違う。
○政府委員(稲村光一君) ただいまの、一億三百万ドルと、それから先ほど申し上げました今回の対象になる九千三百万ドル程度。この差につきましては、この一億三百万ドルという中には、いま御指摘になりましたとおり、百八十日以下のもの、これがここに書いてある現金と合うのだと思いますが、これは当然返済をされてしまっておりますから、これは引く要素でございます。他方、先ほど申し上げました六七年から六九年までに輸銀のリファイナンスをいたしておりますので、それの利子は当時はなかったわけでございますが、その利息分が千八百万ドルぐらいになりますので、先ほど申しました五千八百八十万ドルのリファイナンスの利息が千八百万ドルぐらいになります。したがいまして、一億三百万ドルから控除をいたすべき問題といたしまして、二千五百万ドルの百八十日以下のもの、これは控除いたしますが、他方、逆に、利息分千八百万ドルを加えなければいけませんから、その調整をいたしますと、ほぼ九千三百万ドルぐらいになります。
○松井誠君 これは単位千ドルと書いてありますが、やっぱり百万ドルですね。そうしますと、まあその千八百万ドルという利息がいつ現在のものかわかりませんけれども、おおよそ合うということでなしに、きちんと合うのかどうかですよ。これは、十万ドルとしても、われわれ庶民にとってはたいへんな数字になる。それがきちんと合うのかどうか。
○政府委員(稲村光一君) 九千三百万ドル程度と申しましたのは、日本の現在におきまするスカルノ債権というものでございまして、この数字はパリ会議のときの資料では九千三百二十万ドルというふうになっておりますが、今回の法律の御審議をいただきまして御承認を得ましたあと、インドネシアとの二国間交渉に移るわけでございまして、そこで初めて詳細なところの金額の詰めが行なわれるわけでございますが、われわれのほうの資料で現在までに詰めました限りでは、パリ会議で先方のIMF側の数字では九千三百二十万ドルでございますけれども、わが方の現在までのところでは九千三百七十万ドルぐらいになるのではないかというふうに思っておりますが、これは、先ほど申しましたとおり、具体的な個々の問題につきましては、今後のインドネシアとの間の二国間交渉の際に詳しい正確な数字が出てまいります。当方の数字では、九千三百七十万ドルぐらいが大体のあれではないだろうか。それと、北島ミッション報告書に出てまいります一億三百三十万ドル、これとの差というものは、先ほど申しましたように、九千三百七十万ドル自体に若干のまだ変動要素がございますが、大まかに申しますと、先ほどのように、百八十日以下のものの二千五百万ドルは済んでおりますから、これから落とすべき要素でございます。他方、このとき現在におきましてはまだ輸銀のリファイナンスというのが行なわれておりませんわけでございますから、輸銀のリファイナンスの金利というものはゼロであったわけでございます。したがって、一億三百万には含んでおりませんから、現在の債権としてはそれを加えなければなりません。それで、その差額が、二千五百万ドルを控除しまして千八百万ドルを加えますと、七百万ドルぐらいが、一億三百万ドルと現在の九千三百七十万ドルとの大体の——若干の相違はございますけれども、それの差であろうかと存じます。 具体的な計数につきましては、ただいま申し上げましたとおり、今後インドネシアとの二国間交渉によりまして金額を確定をしてまいりたい。日本側の数字によりますと、それが大体九千三百七十万ドルぐらいになるのではないかと、こういうふうに考えております。
○松井誠君 インドネシア側と日本の側とにいろいろ資料の食い違いがあって数字がきまらないととことならば、私は、決してほめた話ではありませんけれども、わからないわけではない。しかし、日本の側だけの資料であったら、きちっとした資料が、それを相手がそのままのむかどうか別として、できておってしかるべきだし、そういうものはもうあるのではないですか。そういうものを基礎にして四十二億という今度の金もやはり一応の金額はきまってそれから試算をしたものでしょうから、それはあるのじゃないですか。
○政府委員(稲村光一君) 日本側の数字といたしましては、いま申し上げました九千三百七十万ドルというのがわれわれのほうの資料で得られます数字でございます。当方としては、これが確実であるというふうに思っております。したがって、今後これを基礎にインドネシア側と交渉をするということになると思います。
○松井誠君 北島ミッションの報告書に書いてある一億三百万ドルと、いま言われた九千三百七十万ドルとは、これはつながるわけですね。つまり、一億三百万ドルを基礎にして足したり引いたりすれば九千三百七十万ドルになるわけですね。
○説明員(大倉真隆君) 細部の計数にわたりますので、私からお答えを申し上げます。 結論的には、いま松井先生のおっしゃったように、つながっているわけでございます。九千三百七十万ドルの基礎になっておりますのは、一九六六年六月末の残高八千百四十万ドルでございます。その八千百四十万ドルと御指摘の北島ミッションの一億三百万ドルとの差額は、ここにございます現金、それから百八十日以下というものに該当するわけでございます。さらに続けて申しますと、八千百四十万ドルのうち、七月以降に若干の回収が現実にあったということで五百七十万ドル減りまして、さらにまた、先ほど御答弁の中に出てまいりましたリファイナンスが五千八百八十万ドル行なわれましたので、現在民間債権として残っておりますのは千六百九十万ドルでございます。今回の債務救済の対象額は、リファイナンスの元本五千八百八十一万ドルと、民間債権として残っております千六百九十万ドルと、さらにリファイナンスの利息としまして今後発生をいたします分を含めまして、これは期限もきまっておりますから正確に計算できるわけでございますが、今後発生いたしますものを含めまして千八百万ドル、この三項目を足しますと九千三百七十万ドルで、したがいまして、元本とこれから発生する利息を合わせましたものが一括して救済対象になる。元本は三十年、利息はあとの十五年で均等にすると、そういう数字になるわけであります。
○松井誠君 もう一つ計数のことをお聞きしたいのですが、四十二億ですね、この四十二億の積算の基礎はどういうことになりますか。
○政府委員(稲村光一君) ただいまの四十二億円の積算につきましては、民間債権のリファイナンスに要します資金が二十六億円、輸銀債権の繰り延べに要する資金が二十四億六千七百万円で、合計五十億六千七百万円の原資となるものでございますが、この必要資金の五十億六千七百万円に対しまして、今回の措置の実施によりましてインドネシアからの回収がございます。これはインドネシアからの回収予定を九億二千九百万円を一応見込みまして控除いたしました差額四十一億三千八百万円ということになりまするが、この四十一億三千八百万円に対しまして四十二億というのを一般会計に計上するわけでございます。
○松井誠君 それにしても、四十二億ちょうどにはならない。——なるんですか。
○政府委員(稲村光一君) これは、先ほども申し上げましたとおり、民間債権につきまして、インドネシアとの間で債務の確認が行なわれておりませんので、二国間交渉をこれからやらなければならないという部分もございますので、若干の異同を生ずる可能性を考えまして四十二億というのを計上いたしたわけでございます。
○松井誠君 こういう性質の金というのは、四十二億ぽっきり、今年度で終わるということではない、まだ続くわけですね。
○政府委員(稲村光一君) これは、ただいま御説明申し上げましたとおり、本年度と申しますか、四十六年度における問題でございまして、これは今後も引き続いてまいります。これはインドネシアからの回収も始まってまいりますから、したがいまして、だんだんと四十二億というものの金額は減ってまいるわけでございますが、約十年近く、おそらく五十三年度がピークでございまして、それ以後はむしろ回収超というふうになっていくのではないか。トータルしてずっと最後まで見通しますと、約二百七十億円程度が毎年毎年の累積で必要になるのではなかろうか、こういうふうに算定をいたしております。
○松井誠君 まだ、この法律案そのものだけでなしに、それをめぐる問題についていろいろお聞きをしたいのですけれども、きょうはこの程度にします。
○成瀬幡治君 私は、ざっくばらんに一言聞かしてほしいのですが、よく世にいう吉田書簡というのがあって制限するわけですが、輸銀ベースでいけば、全くコマーシャル・ベースだと思いますね。そこで、そういう制限、チェックするというのは、輸銀の理事会できめられることになっているのか、そうじゃなくて、これはとても中共にはいけませんよという指示があなたのほうに頭から来てしまっていてやれないものなのか、その事務的な話だけをまず第一に聞かしてもらいたい。
○参考人(石田正君) 政府のほうから、吉田書簡があるから輸銀は絶対貸してはいけないぞという指示は、いただいておりません。それからして、事務的問題といたしまして、何と申しますか、ケース・バイ・ケースでもってわれわれのほうは全部処理しておるわけでございます、あらゆる案件を。要するに、貸してくれという申請がない限りは重役会には上がってこないわけでございます。じゃ、かりに重役会に上がってきた場合に、政府の意向を無視してやってしまうかという問題が最後に残るかと思いますが、この点につきましては、やはり輸出入銀行は政府機関でございますから、一応、政府の御意向も伺った上で措置するということが政府機関としては理想なんではないだろうかと、かように考えております。
○成瀬幡治君 いままで、そういうことは政府に伺ったことがあるのかないのかですね。
○参考人(石田正君) 最近いろいろ論議になりまして世上騒がしくなっておりまするけれども、そういう段階におきましてわれわれのほうは具体的な案件のアプローチはまだございません。
○成瀬幡治君 そうすると、具体的な案件がなかったからやっておらぬので、やろうとすればできるわけですね。あるいは、あなたのほうがそういうものがあれば政府の意向というものはお聞きになっておるわけですが、まだお聞きになっておりませんか。
○参考人(石田正君) われわれのほうは、いつも仕事をやっておりますのに、先ほど申しましたようなぐあいに、あらゆる案件につきまして、民間のほうが金融機関を通じまして自分たちではファイナンスできないから、輸銀がこれだけもらってくれということでもらいまして、そしてその上にいいか悪いかということをきめるのがたてまえになっております。したがいまして、われわれのほうとしまして、先ほど申しましたようなぐあいに、いま手持ち案件がございません。手持ち案件があれば、どうしてもわれわれとしては処理しなければならぬわけです。イエスかノーか言わなければならぬのですけれども、いまのところは手持ち案件はございません。
○成瀬幡治君 いままではそういう案件がなかったんだというふうに承知してよろしゅうございますね。
○参考人(石田正君) あの、何と申しますか、これはもうはっきりしたことでございますけれども、私がなりましてから、また、中共関係に関しまして、これを金を貸してくれという話は、アプローチは受けておりません。
○成瀬幡治君 政経分離とか不可分ということばがございますですね。片方じゃ政経は不可分だという議論がありますし、そうじゃなくて、いや、可分だという議論もある。日本は可分論で来ていると思います。ところが、これを見ると、どうも輸銀は政経不可分論になってくる。これは総裁にどうということでなくて、府政の問題だと思いますが、実際どこでチェックされるのかわかりませんでしたが、大体チェックはどこでされるということがわかりました。普通そういう政府の意向というものを無視するわけにはいかないが、政府の意向というのはあなたのほうにまだ来ていない。新聞等、あるいは国会の論争をはじめいろいろとあるから、テレビ、ラジオ、新聞で知っているんだと。普通の案件は、政府に意向をただすのではなくて、あなたらの責任で処理されておるというふうに私は理解しておるのですが、それが普通じゃないでしょうか。
○参考人(石田正君) これはなかなか政府機関としてむずかしいところでございまして、たてまえとしては輸出銀行があります以上は、普通の業務につきましてはわれわれだけの判断でやっていくのが当然じゃないだろうかと思うわけであります。しかしながら、ものごとによりましては、非常に大口な案件であるとか、あるいは仕事自体は非常に必要なものであるけれども、相当危険が伴う。われわれのほうとしては債権確保はできるとは思うけれども、いろいろと不安が起こる場合があり得るわけでございます。そういう場合につきましては、やはり政府の御意向をその案件について聞くということはいたしております。
○成瀬幡治君 いままで、それじゃ、いたしておるとおっしゃるが、いたした例というのはどのくらいあるんですか。どこの案件でおやりになったことがあるんですか。
○参考人(石田正君) これは、何と申しますか非常にむずかしい問題でございますけれども、われわれのほうは、輸出関係等につきましては、御承知のとおりに、政府の輸出承認という問題があるわけでございます。それから先ほど来お話がございました輸出保険という問題がございます。これが、何と申しますか、政府のほうがかりに輸出保険をつける、輸出承認もあるといって、われわれのほうが貸さないというふうなことに相なりますると、これは非常にぐあいの悪い問題になってくるわけでございます。したがいまして、われわれのほうの事務当局といたしましては、結局、私どもの監督をいたします大蔵省、及び民間ベースでありますと、延べ払いベースの問題が関連いたしたとしますれば通産省、こういうところと事務的に相談いたしまして、そうして、こういうふうなものにつきましては輸出承認がありますればわれわれのほうは出せると思いますとか、あるいは、それは輸出承認がありましてもわれわれのほうとしてはファイナンスができません——ファイナンスができないということを御承知の上で輸出承認なり輸出保険をおつけになるのは、これはそのような御判断でおやりになってもけっこうでございますけれども、われわれはいわゆる金融常識としてはできませんというふうなことを大体一般論といたしまして申し上げまして、そうして、何と申しますか、輸出承認あるいは輸出保険をおつけになる段階においてわれわれの御意見を徴していただく、われわれのほうとしては、こういうことで実際問題は処理をいたしておるわけでございます。
○成瀬幡治君 それは、国でやっておみえにならないで、一つのプロジェクトならプロジェクトの内容で、あるいは商品のそういう内容であるだろうということは私は考えられます。あなたのほうがこう言うのじゃなくて、通産省なりあるいは大蔵省と御相談になりますことはわかりますが、国でそうやられたことはございましょうか、輸出先の国で。
○参考人(石田正君) どうも、われわれの意向におかまいなく輸出承認なり輸出保険をとってしまって、それでもってわれわれのほうとしてはファイナンスを断わるということは、理論的にはあり得ることでございましょうし、わがほうとしても、銀行でございますから、そういうことがあってどうということはないのではないかと私は思っておりまするけれども、実際問題として政府機関として政府もばらばらで何をやっているかわけがわからぬというようなことではぐあいが悪いのではないかと思いまして、われわれのほうといたしましては、いろいろな案件がありますと、いわゆる問題になりますような案件につきましては、われわれのほうは、もう契約をしてしまってからわれわれのところに話しがまいりましてそうしてそれは金を貸さないぞということでは輸出取引もできないと思いまするから、われわれは、一方におきまして、そういうふうな業界側につきましては、話があるときに大体どのくらいのどういう話があるかということを前びろに連絡してほしいということを言っております。そうして、それに対しまする条件はどういうふうになっているかというふうなことを聞きまして、そうして、われわれのほうとして、金融ベースに乗るような条件になるかどうか、フレキシビリティーの問題もございますし、条件等の問題につきましてもよく業界と相談をしてほんとうのファイナンス・コンタクトをするということをお願いをいたしております。その段階におきまして、要するに、政府関係におきましてもそういう話もお聞きになっておるわけでございまするので、いろいろ連絡をいたしまして、そごのないようにつとめておるというのが現状でございます。
○成瀬幡治君 私の話の内容は結論めいたものは大体わかっておるわけですが、実際問題として、私は、輸銀というのは、全く経済の問題であるから、コマーシャル・ベースで、基金のほうは、後進国家の開発というようなことになって、若干政治的なもののニュアンスがあるかと思っておるから、輸銀と基金の使い分けというものがどこかでなされてしかるべきじゃないかと思っておりますが、これは大蔵大臣等でないとわからないかもしれませんけれども、末端へまいりますと基金と輸銀の関係が入り組んでしまっておるだろうと思いますが、そういうような点について、国際金融局長は、どんなふうに今後整理されて——いままでも続いて通産省の出されておる「経済協力の現状と問題点」によると、それに基づいて交通整理をしておるようなことが書いてあるわけですけれども、もう一つ次元の高いところに、いま言ったような政経の問題に関連してこの問題についても議論されているのじゃないかと思うのですけれども、それは全然議論されていないのですか。もしあるとすればというような前提のもとにおいて何らそういうことについてまだ議論が進んでおりませんか。
○政府委員(稲村光一君) 輸銀と基金との業務分野の問題に関連いたしましては、先ほど御答弁いたしました点で尽きるかと思われますが、いま御指摘の政経というような関連からの輸銀と基金の機構をどうするかというようなことに関連いたしましては、特に議論はいたしておりません。もっぱら、現実問題として、輸銀、基金の援助、経済協力という面からの機能、実施機関としての役割りなり進むべき道につきまして、現状においても大体うまく連絡調整を行なっていっておるというふうに存じておりますが、しかし、将来の発展を考えますと、これを将来の関係といたしましてはさらに検討をして、もしいい考え方なり仕組みが考えられるならば、この両機関をどう調整していくかということは将来の問題ではあろうかと存じます。
○成瀬幡治君 インドネシアのことについて山口さんにお尋ねしたいと思うのですが、百八十日以内のものは輸出保険の対象になる、それ以上のものはだめですよと、こういうふうに整理されておるようですが、いつからおやりになったのか、日にちがちょっとよくわかりませんが、それ以後のものについて事故発生はございませんか。
○説明員(山口衛一君) 昭和四十五年の——昨年でございますが、八月一日以降でございます。それ以降につきまして事故は現在ございません。
○成瀬幡治君 そうすると、輸出保険というものは、あなたのほうから、百八十日以内のものはよしということは、四十五年八月一日以後にやられた。それ以前というものは、全然輸出保険の対象になっておりませんか。いつからストップしたのですか、輸出保険は。
○説明員(山口衛一君) 先ほどの御答弁で申し上げましたが、昭和四十年十二月からストップいたしました。それを開きましたのが昭和四十五年の八月一日でございます。
○成瀬幡治君 そうしますと、四十年の十二月に輸出保険のほうはストップされてから、全然それじゃ日本からの輸出がなかったかというと、輸出はあったのだろうと思いますね。一体、どういうようなかっこうでやっておったのでしょうか。これはあなたのほうの守備範囲でないとおっしゃられればまさにそのとおりだと思うのですが、輸出は実際あったのだろうと思いますが。
○説明員(山口衛一君) 輸出はむろんございましたが、保険はその場合ストップしておりまするので、実際に保険なしで、いわゆるLCベースそのものでやっておりました、そういう状況でございました。
○成瀬幡治君 いま、それで、その輸出保険対象外のときのベースと、四十五年八月から輸出保険の対象になってからの輸出の増加比率というのは、急速に伸びておりますか、大体どのくらいのものでしょうか。
○説明員(山口衛一君) 明確な数字を実はただいま直ちに申し上げる時間がございませんが、私の感じているところでは、前後ともに大した差はないというふうに考えております。
○成瀬幡治君 もう一つ、四十五年の八月から百八十日以内はいいわいというふうに結論を出されたその根拠は一体何でしょうか。
○説明員(山口衛一君) インドネシア経済のその後の復興状況、また、それまでの輸出代金支払い状況等も勘案いたしまして、また、諸外国の保険制度、その運用等もにらみ合わせまして、諸外国の保険制度でも昨年あたりからこのような短期のものについては認めるようになってきております。ただ、中長期のものについては、諸外国も同じような禁止的な措置をとっているように聞いております。
○成瀬幡治君 政府のほうも、提案理由の中に、非常に抽象的に、「インドネシア経済はようやく安定化の時期から復興と開発の時代に移行するきざしを見せてまいり、」と、こうなっておるわけです。これをもう少し具体的に数字をあげて、こういうことで安定期から復興と開発に入ったんだよというような御説明ができましょうか。
○政府委員(稲村光一君) インドネシア経済が非常に混乱をいたしましたのは、昭和四十年、四十一年、その前後でございまして、いわゆるスカルノ政権が倒れましてスハルト政権に移行するその間というのが一番大きな混乱であるかと思われますが、このときの一つの一番大きな問題は、インフレの高進ということであると思います。このころは、物価が、年率で、六〇〇%と申しますか、六倍になるというようなたいへんなあれがあったわけでございます。いまのインフレの状況をあれいたしますと、たとえば六九年度一昨年の末の対前年上昇率は一〇%くらいの普通の、普通と申しますか、非常に穏やかな、インフレではありますけれども、穏やかな上昇になり、さらに、昨年末の六九年末比では、物価の上昇率は八%というように、非常に穏やかになっております。他方、財政自体につきましても、いままで財政の赤字というのが大きな問題であったのでございますけれども、その後一九六八年度には経常予算につきましては均衡を回復いたしまして、一九六九年度には二百七十一ルピアの黒字を生じました。それから一九七〇年度は三百五十六ルピアの黒字見込みというふうに、これは経常予算についてございますが、非常に回復をいたしております。しかし、これは、他方、開発の面の開発予算というほうでは、まだ開発事業に対する歳入の源が十分でございませんで、したがいまして、ずっとここ数年各国が協調いたしまして新規援助の会議を毎年持っておるのでございます。こういう各国の共同した国際的な相談に基づく新規援助に基づきましてこういう開発予算の赤字が埋められている、こういう感じでございます。 当面は、したがいまして、やはり新規の援助というのは続けていかなくてはインドネシアの復興は今後十分に実現できないという情勢ではございますけれども、しかし、先ほど申しましたとおり、昭和四十年、四十一年ごろに比べますと、非常に安定をしてきている、こういうふうに了解いたしております。
○成瀬幡治君 いま、たな上げというのですかね、そちらのほうはこちらの法律案に出ております。新規援助ということをいまあなたも言われましたのですが、その新規援助と救済と二本立てでやっていくんだと。新規援助の内容はどんな計画なんですか。
○政府委員(稲村光一君) 新規援助につきましては、これはインドネシアに対しまする援助会議というのが毎年ございまして、外務省のほうからお答えいただいたほうがいいかと思いますが、毎年相談をいたしまして、インドネシアの経済の現状その他を勘案して、大体このくらいのことを各国でやろうではないかということをきめて、それに基づきまして二国間交渉をいたしまして、そして毎年の金額をきめておるわけでございます。
○政府委員(沢木正男君) インドネシアにつきましては、スカルノ政権が倒れましてから、一九六六年に、インドネシアをこのままほっておけば東南アジアの情勢が非常に不安定になるということで、日本が提唱いたしまして債権国を集めまして、東京で第一回の会議を持ちまして、それが母体となりまして、それ以後、IGGIとわれわれ称しておりますが、政府間債権国会議のようなものが毎年開かれております。そこで、世界銀行、IMF等がインドネシアの経済を診断いたしまして、毎年どれほどの総需要が必要であるか、それのためには国内資金と外国からの援助とを集めましてどれだけの計画にするのが適当であるか、そこで外国援助の所要額の合計額が出されまして、それに基づいて各国が援助を行なっておるという状況でございます。
○成瀬幡治君 それは、そういう年次別の援助なのか、長期的な計画に基づいてことしはこれだけだ、こういうふうにきまるわけですか。
○政府委員(沢木正男君) 債権国会議が出します援助の需要量は、毎年の額でございます。しかしながら、インドネシアでは現在五カ年計画を組んでおりまして、この五カ年計画の内容に沿った援助を毎年の発展によって修正しながら認めていくという方式をとっております。
○成瀬幡治君 それは、中心として、資本協力が多いのか、何が多いのですか。
○政府委員(沢木正男君) 資本協力が中心でございますが、もちろん中身は技術協力もそれに付随してどういう技術協力が必要であるということも会議で提示されております。
○成瀬幡治君 もう一度輸銀のほうへお聞きしたいのですが、相当前のときには、アラスカパルプの問題があったり、それからブラジルの問題等、いろいろとあって、なかなか苦労された点もあると思いますが、いま輸銀としてそういうような問題点はございませんですか。スカルノのインドネシアの問題が一番大きな問題でしょうか。
○参考人(石田正君) いろいろとむずかしい問題をかかえておりますことは先生御指摘のとおりでございまして、私が輸出入銀行に参りましたときにおきましては、いわゆる四大案件と称しまして大きな問題があったわけでございます。これには苦慮いたしましたですけれども、その四つのうちで、いわゆるインドネシア関係の北スマトラ石油、これにつきましては、油が初めの約束どおり出ないでなかなか予定どおり入ってこないという問題で相当滞りができるのではないかということを非常に心配したわけでございますが、結局、北スマトラの石油とそれからしてインドネシアのペルミナとの間に話がつきまして、石油の量というものの取り分の問題につきましても多少調整を加えますし、それからして、また、油を供給する期間も延ばすということをやりまして、いまのところでは全部その油が入ってまいりまして、予定どおり全額完済されまして、私のほうとしましては、北スマトラにつきましてはもう何ら問題はないと言えるような状態になって愁眉を開いている次第でございます。 それからついでに、油の問題でございますが、アラビア石油につきましては、これは、御承知のとおり、油自身はうまくとれたわけでございまするけれども、硫黄分が多いというような問題がございまするし、そういうふうな問題からして販路をどうするかという問題がございます。日本の中でも評判が悪いというようなことで、このいわゆるリパーカッションがどういうふうにわれわれのほうへ来るであろうかということを心配しているというのが実情でございます。 それからまた、ウジミナスの問題につきましては、私が国会でまあ大体うまくいくのではないかと申し上げたとんたに二年間にえらい赤字を出しまして、これはたいへんなことだということで私自身もウジミナスに参りましていろいろお話をいたしまして、その結果、向こうのウジミナスのいわゆる鉄鋼製品の売り上げ価格というものにつきまして政府統制をゆるめていただくとか、あるいは向こうの開発銀行の出します金利を安くしていただくというような手を打ちまして、大体期間損益としては黒字が出るようになりまして、いま現在のところは相当好況になっておるところでございます。しかしながら、これがよくなりますると、また大いにこれを拡大したいというお話がございまして、初めは五十万トンのところで始めたわけでございますが、実績はもう六十万トン以上出しておりまして、その成績自身というのは非常によくなっておるわけでございます。しかしながら、大いに拡大しようといたしますると、やはり資金が要るということになりまして、どのくらいやったらいいかということで向こうのほうは大きな希望を持っておられますが、それをどのくらいにしようかということでもっていま頭を悩ましておるというのが実情でございます。 それからアラスカパルプの問題につきましては、これは針葉樹が日本にない、これがなくてはたいへんだということで事業をやるということで始めたわけでございますけれども、その後、向こうからは、要するにいわゆる素材のまま持ってくるということができなくなりまして、材木にして持ってこなければならないというような問題も起こりましたし、それからして、また、人絹のほうにいたしましても、針葉樹でなくて広葉樹を使ってもよろしいと、こういうふうな問題が起こってまいりました。それからして、また、人絹というものがわりあいに不況産業なものでございますから、値段が予定したところの値段では買えないというようなこともございました。いろんなことがございまして、私が参りましたばかりには期間損益は少し黒字になったのでございますけれども、それがまたちょっとその後材木の値が下がったり、それからしでいろいろな経済状況が日本の中で変わってきたものですから、四苦八苦しているというのが実情でございまして、これをどうするかということについてわれわれも非常に頭を悩ましておるというのが実情でございます。 インドネシアだけが問題であってほかには何も問題がないかと申しますと、いろいろな問題がございます。たとえばチリに政変が起こりますと、銅の買い入れのために融資をいたしておりましたものがどうなるか、こういうような問題につきましてもまだはっきりとした見通しがついておりません。出したときは回収は確実であろうと思って出したのでありますが、これが長い時間かかっておりますうちにいろいろな問題が起こっております。そのうちに非常に頭を悩ませながら仕事をやっておるというのが実情でございます。
○成瀬幡治君 相続税のことで一言お尋ねしておきたいのですが、この恩典に浴される人は、これは死亡してから六カ月以内に申請すればいいわけですが、これが施行しますわね。そうすると、たとえば去年の——悪いですけれども、ことしでもいいですけれども、ことしの一月に亡くなった人は適用になりますか。
○政府委員(細見卓君) 本年の一月一日以後の死亡の方でございまして、六カ月が申告期限になっております。その申告期限に間に合うように法律ができておれば、当然一月一日にさかのぼれる、こうなっております。
○成瀬幡治君 十二月三十日の人は不適用、一月一日は適用、こうなるわけですね。
○政府委員(細見卓君) 暦で切りますので、どうしてもそういうことは起こるかと思います。
○成瀬幡治君 その申請は、あとで、二月なり、三月なり、あるいは四月までかかるが、六カ月間ありますからよろしいのですが、そこら辺のところはうまい方法はないですか。同じ恩典を暦でぱっと切っちまうということは、どうも……。
○政府委員(細見卓君) いつで切りましても、やはりそういう問題は起こるわけでして、まあ法律が年をさかのぼってということはいままではなかったので、これは御承知のように四月一日に施行さしていただくつもりで予定しておるわけですが、しかし、その年一月一日までさかのぼるというのが法律の遡及としてはまあ限度じゃなかろうか。年を越して原因が発生しておるものまで法律で手当てできるということは、いままでの税法その他の扱いとしては事例がございません。
○成瀬幡治君 まあ事の是非は別として、財産の非常にたくさんあるのかないのか、われわれにもなかなかわかりかねるのですが、あなたのほうで、いままでに、相続税でたくさんとられた、相続税で一番この人が多かったんだというのと、普通一般に、今度改正されて、何%ぐらいの人が相続が発生をして、何%ぐらいの人が課税対象になるのでしょうか。
○政府委員(細見卓君) これも自然現象でございまして、大体一年に日本で亡くなられる方が六十万ないし七十万、これはいい悪いは別としましてそういうことになっております。その中で、相続税の課税件数になりますものが大体一万数千件というような形でございまして、二%の上のほうから三%の低いところあたりのところを前後いたしております。その場合に、たとえば四十一年のように相続税の課税最低限を大幅に引き上げましたときにはさすがに減りますが、いずれ御質問もあろうかと思いますが、その後、財産価格、特に土地などの評価が高くなってまいりましたので、現在のところ、二%ないし三%ぐらいの方が、亡くなられて相続税を払っていただく問題が起こる、そういうことになっております。
○成瀬幡治君 六十万世帯の中で一万数千件、約五十八万世帯ぐらいが対象外で、しかも、それは二、三%だということになる。平均というのですか、額の多い人は、ほんとうにどのくらいありますか。件数でいって一万数千件だというと、どのくらいの平均になりますか。
○政府委員(細見卓君) 四十四年の実績で申し上げますと、一人当たりの財産が二千六百万余りになっております。
○成瀬幡治君 これは大体土地が多いだろうと思うんですね。そうすると、農村関係に多くて——いや、そうばかりじゃなくて、都市が土地が上がっているから、ですから、農村関係が非常に多いと見ていいのか、都市が多いのか、あるいはこれは評価基準というのが非常に問題になっておりまして、たとえば農地は三・三平米二円五十銭ぐらいになったらこれはとても問題にならぬわけですが、その評価が非常に問題だと思いますが、いまは、土地評価というのは、市民税なりあるいは村民税等で評価されておるので大体来ますのか、それの何割かというものを上乗せされて評価されるものなのかですね。
○政府委員(細見卓君) 課税になります農家は、いわゆる純農家というものはほとんどございません。大体三ヘクタールぐらいの農耕地を持っておられて、家屋敷が当然それについておるわけでありますが、そういう程度の方につきましては、現在の千万円の評価でありましても、農村に特に家族が多いせいもございまして、これは、御承知のように、嫁に行っておられる人も、よそへ行っておられる人も、全部相続人として評価いたしますから、そういうことで、家族の多いせいもありまして、提案理由にも読み上げましたように、大体子供さん四人と——やっぱり、金持ちの人は家族も多いようでして、大体四人ございます。そういうようなことで、相続税がかかっておるのは、むしろ都市化された農村の方はございますが、そういう都市化されたところ以外におきましては、農家が課税になるということはございません。そういうところの評価でございますが、おしなべて、時価の五、六割、あるいはもう少しいっているところもございます。その辺は、評価の進みぐあい、あるいは都市化現象の進捗度というようなものによって、都市化現象が急速であるところは評価が追っつかないというような現象がございますので、若干のデコボコはあろうかと思いますが、大体おしなべまして五、六割というようなところで評価して、それが相続税の課税にあたってはそういう課税財産の中に入ってくるというわけでございます。
○成瀬幡治君 夫婦間の贈与の問題ですが、二十五年から二十年に変えてたいへん善政のようですけれども、実際これはこういうことが行なわれておりますか。これは、どのぐらいいままで発生件数というものがございますか、二十五年以上で夫婦間で贈与があったというのは、年間で。
○政府委員(細見卓君) 夫婦間で贈与がありまして、そして配偶者控除を適用した事案が、千五百件ぐらいございます。 なお、補足いたして申し上げますと、相続税がかかるような方が一万五千件ぐらいしかないわけですから、その中で千数百件あると、割合としてはかなり高いということであろうと思います。
○成瀬幡治君 生命保険の大体の受け取り金額の平均というのは、どのぐらいになっておりますか、一人当たり。
○政府委員(細見卓君) 課税になりましたもので見ますと、相続税が課税になるときは今でありますが、保険に入っておられるときはかなり古いわけでございますから、五十万、六十万ぐらい、五十四万ぐらいのものが平均になっております。
○成瀬幡治君 五、六十万平均に対してこれを見ますと、どういうことになるわけですか。かりに四人とすると、三百二十万円まで無税で、一般庶民にあんまり縁がないなと受け取ってよろしゅうございますか。
○政府委員(細見卓君) 先ほども申し上げましたように、いま課税になっておられる方は、比較的財産も豊かになっておる、つまり長い間にわたっていろいろな活躍をされて資産もできたというような方でありまして、したがいまして、そういう相続税の課税になるような方の保険金というのは、それこそ昭和の初めごろにかけられたような保険、あるいは昭和の十年代にかけられたような保険が課税になってくる。しかし、いま現在ここで考えてみますと、百万円以下というような保険ということは、あまり保険金としての機能を果たさないわけでありまして、相続税が、中堅的な財産を持っておられる方に安心感を持ってもらおう、そんな人は課税しませんという意味におきましては、現在百五十万くらいの保険金は社会常識として、そう大きなものじゃないのじゃないか、かように考えております。
○成瀬幡治君 さっきの、八十万だったら、四、八、三十二というのは、これは退職金のほうの間違いで、百五十万円ですから、四人家族でいうと六百万の保険をかけている、それが常識なんじゃないだろうか、そういう人たちが多いから、そこを最低課税限度額にする、それからまあ控除しますよと、こういうことなんですが、ほんとうに六百万くらいの平均に最近はなっておりましょうか。どうも、古い人が五、六十万であると、こうおっしゃるのですが、最近の契約高の一件平均というものは大体何百万というのが多いわけですか。
○政府委員(細見卓君) 別の調査で平均保険金の加入状況を調べたものがございますが、四十年でありますと、そのときには民保、簡保、あるいは農協の保険というものを全部入れまして、百万円であったわけですが、それが四十五年になりますと、三百五十万くらいになっております。そういうわけでございまして、やはり五、六百万は、いま特に保証倍率の多い保険が出ておりますので、そう高い水準じゃないのじゃないか、かように思います。
○成瀬幡治君 毎年毎年こういうものを改正するということもいかがなことだろうか、何年か先を見越してという理屈も一つ成り立つだろうと思いますが、まあそういう事柄がいいか悪いかはよくわかりませんけれども、御説明の趣旨はよくわかりましたということを申し上げて、私は質問をきょうは終わります。
○鈴木一弘君 初めに、輸出入銀行法のほうの関係で伺っておきたいのですけれども、最初は、いままでの特にインドネシア、それから韓国の問題もこれは将来どうなるかわからないのでありますけれども、石田総裁が、昭和四十四年の六月に開かれた最高輸出会議というものがございますね、その席上で、わが国の経済協力のしりぬぐいを輸銀がしている、はっきり申し上げれば、企業が開発途上国向けに延べ払い輸出を行なったり借款を供与したり、そのあとで相手国が支払い不能になるというと、今度は政府の金融機関である輸銀が再融資——リフファイナンスまで行なって企業には損をかけない、こういう仕組みがはたしていいのだろうかと。特に、日韓経済協力の場合には、三億ドル以上の民間信用を供与するというようなことまでがはっきり申し上げて政府間の合意みたいなふうに伝わっておりますし、そうすると、これは、どうも、どう考えても、私どもは、政治と商売——政商といいましょうか、それの一致というような印象を強くせざるを得ない。はたしてそういうことがいいのかどうかということは、これは私は非常に疑問の感じがしてならないわけであります。それは、実際のそのような業務をやっていらっしゃる輸出入銀行としては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかですね。これは、私は、問題がそこから大きく分かれてくると思いますので、伺っておきたいと思います。
○参考人(石田正君) 日本の輸出入銀行ができました状況のもとにおきまして、輸出振興というものが非常に大切であったことは、これは問題がないのじゃないかと思うのであります。したがいまして、輸出を伸ばさないといけないということで輸出を振興をするということと最高輸出会議が開かれるということは、それ自体として私は意味があったと思うのであります。問題は、それをいかにしてファイナンスするかということでありまして、われわれのほうから申しますと、御承知のとおりに、出資とそれからして借り入れ金というものと両方になっているわけでございます。これにつきまして、われわれのほうといたしましては、御承知のとおりに、一番初めは出資から始まったわけでございます。それがだんだんと出資の分が減ってまいりまして、そしていわゆる借り入れ金の問題がふえてきた。こういうことは、まあ、国の財政一般なり、あるいは財政投融資の問題として、やむを得なかったことではないかとも思うのでございますけれども、しかしながら、この傾向がどんどん片一方においては続いていく。他面におきましては、われわれの仕事というものは、世界経済というものが非常に変動しておりますことは一般的にも御承知のとおりでございますし、ことに、いま、後進国というような問題につきましては、これはなかなかあしたを期しがたいという問題もあるだろうと思うのでございます。でございますから、そのときそのときの常識に従いまして、金融常識によってやるというようなことでこれはやらなければならないと思うのでありますが、その関係をどういうふうに調整したらいいかということについて日夜頭を悩ましているというのは、先生の御指摘のとおりでございます。
○鈴木一弘君 はっきり申し上げれば、かせぎのほうは全部民間で、危険負担は全部国家だというふうな感じになるんですよね。私もそう極端なことばというのはおかしいと思うけれども、そういうコマーシャル・ベースのような経済協力方式というものがはたしていいのだろうかどうかという点に非常に疑問がある。これは、日韓の問題の場合でも、日韓協力委員会というものが設立されています。そのときの話では、これでもうどういう商売をやっても、いざというときにはうしろがあるぞ、心配ないぞという民間側の声も出てきている。こういうことは、はたしていいのだろうか。このままで行けば、日本商社を救済するために、一生懸命日本国民の税金といいましょうか、そういうもので補わなければならないという、ずいぶんおかしな話になってくるのですけれども、そういうことがはたしていいかどうか。私は、危険負担をことごとく国家で持たなければならないという考え方は、どう見てもぴんとこないわけであります。とにかく何でもいいから進出をしろということで、そして一方の利益のあがる分は商社のほうでやり、それについての保証というものはことごとく——保証というわけじゃありませんけれども、手当てというものは、危険負担は国家がする、こういう行き方というものはほんとうにいいかどうかということになると、ものすごく疑問がある。いま非常に苦慮なさっているというのですけれども、苦慮なさっているなら苦慮なさっているで、どういうふうに解決しようという気持ちといいますか、そういう考え方があるかどうか、それをお伺いしたい。
○参考人(石田正君) われわれの仕事をやっている点におきまして、大きな点が二つあると思うのでございます。一つは、輸出を促進しなければならない。したがいまして、延べ払いその他につきまして金融をいたしておるわけでございますけれども、それが対外的にとってくるところの条件と申しますか、これが一体適当であるか適当でないかということが一つ大きな問題だと私は思います。と申しますのは、輸出入銀行ができましたときには、これは海外の金利も安い、海外に競争者が非常に多い、日本の企業は非常に弱いというところからスタートしたのでございますから、郵便貯金から金を借り出すばかりでなくて、出資によりまして、これは無利子の出資でございますから、それによりまして金利を薄めましてやっているということは意味があったと思うのでございますが、それがもうあたりまえということで、情勢が変わっても変わらなくても続けていくということはどうであろうかということについて心配をいたしまして、そうして、だいぶおしかりを受けましたけれども、船やなんかの問題につきましてはだんだんとわれわれのほうの率を上げていく。OECDの場合なんかにおきましても、われわれは積極的にああいうものができることが望ましいのだと、こういうことで大いにつとめておりまして、要するに、一般のいわゆる延べ払い輸出等につきましても、できるだけ民間の輸出業者その他がいわゆる出資金によって補助を受けるという形を順次なくしていきたい、こういうことで大いに努力いたしてまいっているわけでございます。 それからもう一つの問題は、危険負担という問題に対してどう処するかという問題でございますが、私ども銀行のやっていることは非常にむずかしい問題でございますので、その点を認識願って、政府といたしましてもだんだん出資分をふやしてもらう。そうして、延べ払い分というものばかりがふえていくというふうなことでは非常に困るのではないかということで、おまえのほうは採算の上からいって大体四%でやっていくものについてはぐあいが悪いだろうから、おれのほうは利子補給にしてやる、こういうふうな声も聞かれたわけでございますが、それはよく説明申しまして、われわれは利子の問題については努力いたしますが、利子だけの問題ではなくて、元本がどうなるかという問題が危険負担という問題についてはあるのであるからして、したがいまして、そういうことが万一起こりました場合には、出資で処理するか、あるいは借り入れ金で処理するかという問題になりまして、出資金で処理したほうがまだベターではないか、そういうこともお考えの上で年々の出資額というものはふやすようにしていただきたい、こういうことを申し上げてきているわけでございます。
○鈴木一弘君 私は、先ほど申し上げた、かせぎは企業、危険負担は国家、そういう形にどうしても現在の運用ではなっていかざるを得ないわけでありますから、したがって、はっきり申し上げて、ある商社の人たちがこういうことを言っている。これは韓国の場合を見ても、政府の国家資金が使われる場合の有償、無償はもちろんのこと、民間の借款までも輸銀の融資というものが保証されるということになると、商社としては、ある程度の運動費、極端なことを言えば相手国の政財界に対してのリベート、運動費というものを巨額の金を使ったからといっても心配はないということになる。そういううわさは、韓国の「東亜日報」とかいう新聞であるとか、いろいろ書かれてきたわけであります。私はそういうことが一つの大きな原因になっているのではないかと思う。それが日本に対しての相手国からの見方としては、日本はなめてかかるべきものであると言えるし、取れるものは取ってもいいではないかということにもなるし、いろいろといやらしい声というか、そういううわさというものがある。政治家の名前が出ていないものはあるとかないとか、これは事実であったらたいへんなことでありますけれども、そういうことがうわさをされたり耳に入るということは、私ども非常にいやなわけです、はっきり申し上げてですね。そういうところで、はっきり申し上げて、何から何までというような政商合体というようなかっこうというものは、これはどうしても今後は避けてほしいと思うわけです。だから、そういうようなコンミッションを渡すというような事態にまで発展していくのも、私はこの運用いかんにうんとかかっているような感じがしてしようがないわけです。これは、政務次官、どうですか、どういうふうに考えるか。
○政府委員(藤田正明君) ただいまの鈴木委員のおことばでありますけれども、輸銀が民間の投資に対して保証するとか、そういうことはないのでございまして、これは輸出保険特別会計によって国家の保険がかかるわけであります。そのような何らかの事故ありたる場合には、それぞれ保険金を支払って、そうしてその輸出保険特別会計による保険にかかるわけでありまして、決して輸銀のほうがそれを保証するとか代がえするとかいうことはないのであります。ただ、輸銀法の中にありますけれども、十八条の九でございますか、そこに書いてありますような要件を満たす場合には、これは輸出入銀行においてその代がえもまた考えられる。あるいはまた、国際的な会議によってその保証をせざるを得ない、あるいは債権を肩がわりせざるを得ないというふうな場合にはそういうこともあり得るというふうな要件がきまっておるはずでございまして、一般には輸出保険特別会計によってそれをまかなっており、それぞれの民間業者は保険料を支払っておるということでございます。
○鈴木一弘君 それは、その仕組みのことはよくわかっているのですけれども、はっきり申し上げて話し合のうちに、政府自身が、韓国等に三億ドルの民間借款を期待するとか、そんなことを言えば、これは裏では、きちんと保証しますよということですよ。そういうことがいろいろな面で運用の中では当然輸銀も入ってまいりますし、これはいま申し上げたような事態が私は発生せざるを得ないように思う。それがエコノミックアニマルといういやな評判を生んできたりいろいろしているという点を考えなきゃならない。これは、特にはっきり申し上げているのは、その点は十分猶予していただきたいと思うんですけれども、特にインドネシアの場合は、これはさんざん論議をしてきたことですから私はあまり言いたくないんですけれども、政府ペースのいわゆる問題についても、北島報告書を見ても、米ぬかプラントについての話が出ております。これについても、「老朽化したもと米倉庫に格納され、すでに四年近くもかかる状態に放置された機材は、建設するとすれば修理が加えられなければなるまい。」とか、あるいは、マルタプーラというところにある南カリマンタンの国営企業の製紙工場でありますけれども、これについても、「本年度中に本プラントの完成をみることは不可能であり、インドネシア政府の積極的な建設資金の支出がないかぎり、完成はさらにおくれプラントとしての機能をさらに悪化させる可能性が強い」とか、あるいは、プマタン・シアンタル製紙工場というところは、「生産能力は日産十五トンである。日本人技術者操業指導の段階では日産十八トンをあげた時期もあるが、その後生産は次第に低下し、最近は日産三トン程度になっていたが、調査団が訪問した時は完全にストップしており、」と、こういうようなことが出ております。そのほかにも、向こうの長官と北島団長とがしゃべっている中に同様の問題が出ておりまして、いま言われたクラワンの米ぬか油工場については、「資機材が倉庫に入ったまま何年も眠っている。」ラウト島の合板工場については、「一応機械は運びこまれているが、とても稼働できる状態にない。」マルタプーラの製紙工場については、「建設が予定より大幅に遅れている。」シアンタル製紙工場については、「現在はストップしている。マネージメントの改善があれば、これについては立て直しがきくと判断している。」とか、こういうことがどんどん出ているわけですよ。マルタプーラの製紙工場は約二千万ドル使って九〇%完成しているけれども、すでに老朽化しちゃっている。十年以上も経過しちゃっている。それからクラワンの米ぬかの先ほどの問題も、昭和三十八年の十二月に契約が成立したけれども、まだそういう米の倉庫に機械器具が放置されたままになっているということがこのインドネシア経済協力調査団の調査報告にもあるはずです。こういうような相手の政治主体が非常にずさんであれば、自然と民間ペースのこともずさんになるのはあたりまえのことなんですが、この私のいま申し上げたのはほんのわずかであります。あとこれをずっと読んでいくと、ほとんど全部が問題点のあるものばっかりです、これを見ると。どういうふうに現在なっているんでしょうか、その辺を伺いたい。
○政府委員(沢木正男君) ただいまあげられましたマルタプーラのパルプ工場、それからもう一つのパルプ工場をおあげになったと思いますが、これらはいずれも賠償で供与したものでございます。それで、非常に不幸なことは、賠償で供与しまして工場が完成しましてまさに操業に入った一、二年の間にスカルノ政変があったわけでございます。それで、新しいスハルト政権が成立いたしますまで約半年間の空白期間というものは、国内が荒れに荒れまして、中央政府からのお金も一切来なかった、輸入はほとんどストップしたということで、原材料供給その他がとだえまして、そして労務者も離散したというようなことから、現在非常に悪い状態に立ち至ったというのがその原因でございます。 それから米ぬか工場につきましても、これも賠償で供与をいたしたものでございまして、その後政府がかわりました結果、そういうものにはあまり財政をつぎ込んで盛り立てていくということをやらないというふうに根本的な向こう側の政府の政策変更があったわけでございます。 で、賠償につきましては、あくまでもこれは戦争によります被害の償いというような意味もございまして、年次計画を取りきめます際に、われわれとしましては、一応、そういうものはおたくの経済発展にはあまり役立たないんじゃないかという意見は申し述べますが、最終的に賠償国のほうでどうしてもこれだと言った場合には、なるたけその意思を達成させるというような考え方をとっておりまして、あくまでもそれがだめならば賠償の支払いはいたしませんということを言えない関係にあるわけでございます。その点が、われわれが通常与えております借款の場合と賠償の場合は違うわけでございます。 ただ、確かに賠償によりましていろいろ問題が起こったケースはございますが、一方において、紡績工場、あるいはそれ以外のホテルでありますとか、非常にうまくいっておる事例もまたたくさんあるわけでございまして、全体としましては、われわれ賠償がさほど失敗ばかりであるとは考えておらないわけでございます。 それから韓国なんかに借款を出しまするのは、これは日韓協定できまりました分を出しておるということでございまして、円借款で供与をいたしますものには保険がかからないわけでございます。そういう意味におきまして、民間で延べ払い輸出でやります場合とそれからこの円借款でやります場合には保険の取り扱いも異なっておりますし、日本が置かれました国際的な地位、立場から申しまして、後進国援助はどうしてもやっていかなければならない。それで、そのためにやはり国力相応の後進国に対する援助の手を差し伸べなければいかぬ。商社の保護の問題というのはむしろ輸出信用保険の問題でございまして、これは、日本のみならず、欧米各国とも輸出のリスクをカバーするために公的な資本でもちまして信用保険を付保しておるのが各国の例でございます。そこで、今回のこの債権繰り延べは、インドネシアの経済を援助してやるということでございまして、商社の保護には連なる問題ではないわけでございます。
○鈴木一弘君 あとの余分なことを言わないでいただきたいと思うんですね。聞いたことだけ答えてください。私は基本的なことで先ほど申し上げたわけですから。いま、いわゆる賠償の問題であると。それはわかっております。しかし、これは、吉田総理がサンフランシスコ平和条約のときに賠償実施のレールというものをしかれてきた。そのときの話では、向こうが投資という名をきらったから賠償という名前にしたんだ、御希望によって賠償という名前を使ったんだ、こちらから言えば投資であるというような意味のことをはっきり言われておる。また、もう一つは、北島報告書を読むと、相手国の長官が、いまこういう指摘をしたことに対して、「率直な御意見に感謝する。これらについてはイ側——インドネシア側——も調査してみたい。その上でオールタネーティブな方法を両国で相談してみたい。」ということをはっきり言っている。わが国の場合は、賠償だから金さえ出せばいいのだということで、所期の目的というものを達成していなくてもかまわないのかどうかということは、一つの大きな問題だと思うんです。その点ですね、いまの答弁では、これはどうなったかということを私は伺っているのですけれども、それについての御答弁がなかった。その点をもう一ペん伺いたいと思います。
○政府委員(沢木正男君) これらのパルプ工場全般につきまして、去年でございましたか、全部のパルプ工場を調査するミッションを出しまして、それぞれのいろいろ原因がございますので、それらにつきましては、現在プロジェクトエードの中で取り上げまして再建をはかっております。
○鈴木一弘君 米ぬか油工場はどうなったのですか、西ジャワの。
○政府委員(沢木正男君) 米ぬか工場につきましては、私、いまちょっと記憶がございませんので、調査いたしました上で回答申し上げます。
○鈴木一弘君 はっきりとこの報告書にあるんですよ、そういうことがいいかげんだと。どうしても、私どもも、非常にいいかげんである、ずさんなものであるというふうに思わざるを得ない。特に、いま賠償の件についても、政府ベースのインドネシアにおける主要経済プロジェクト、そういう一覧表から見ても、三四・七%というものが所期の目的を達成していないということがはっきりと言われているわけでありますが、そういう、たとえ賠償であろうとも、まあ一面は投資であると言ってみたり、あるいは相手国としては日本とよく相談をしたいと、こう出ているわけでありますから、その点について、これはいいかげんに放置しておいていいものかどうかということは問題があると思う。で、この報告書に指摘されているようなことすら答弁できないようじゃ、これはどうしようもないですがね。どうなんですか、その点は。
○政府委員(藤田正明君) おっしゃるとおりに、過去の賠償とか貿易とか民間投資援助というふうなものが、所期の目的を十分に達しているとは言いがたいことは、まことに残念なのであります。それらにつきまして、今後、政府といたしましては、十分に検討いたしまして、これらの組み合わせが、賠償はもうほとんどございませんけれども、これらの組み合わせが、適正な、相互間が緊密な一つの目的のために、インドネシアの自助自立のために有効に使われるように努力をいたしますとともに、いままでのそれらのものについても十分に検討いたしたいと思います。
○鈴木一弘君 それじゃ、検討をされて、こういうふうになりますというのは、いつごろはっきりいたしますか。
○政府委員(藤田正明君) できるだけ早く御報告申し上げます。
○鈴木一弘君 インドネシアの商品援助の問題は消費物資中心に行なわれてきているわけでありますが、これは現地の繊維業等の軽工業の振興、こういう芽をつんでしまうんじゃないかという、そういう反感が持たれているということを聞いておるのですが、実情はどうなんですか。
○政府委員(沢木正男君) 商品援助は、IGGIにおきまして、インドネシアのインフレを抑制するためにそういう制度が必要であるということが認められて開始したものでございますが、商品援助の内容自身、インドネシア経済が回復するにつれて変わっております。現在は、消費物資よりも、生産財のほうが比率としては多くなっております。
○鈴木一弘君 BE援助というのですか、それでわが国の金額というものはどういうふうに変遷をしてきているか。それと、内容の主な変遷を……。
○政府委員(沢木正男君) 商品援助は、一九六六年の援助におきまして三千万ドル、六七年の援助におきまして五千万ドル、六八年が六千五百万ドル、六九年が五千五百万ドル、七〇年の援助におきまして五千五百万ドルでございます。これは、この商品援助に選び得る品目表がございます。それによりましてその品目に許されたものをこの資金を使ってインドネシア側が輸入できるという状況になっております。これは非常に長い品目表でございますので、大体の傾向から申しますと、私が先ほど申し上げましたように、当初は物価を抑制するために相当大量の消費財も入っておりましたが、その後品目が整理されまして、大体生産財中心になってきております。
○鈴木一弘君 これは、北島ミッション報告では、いまのようなインドネシア経済を再建させるために必要であるということは言っておりますけれども、そのための誘い水である、しかし非常に長い期間で必要だということを言っているように思うのです。一体、どの程度まで、六六年から始まって、一九八〇年までやるのか、二〇〇〇年までやっちゃうのか、そういう点が一つでございます。
○政府委員(沢木正男君) これは、われわれとしましては、そういうふうな通常のキャッシュで輸入されるようなものが援助で輸入されるということになりますと、結局、インドネシア自体の経済力をゆがめてしまうという可能性がありますので、できるだけそういうものは早い段階において切り捨てるべきだという意見を国際間でも主張しておるわけでございます。しかしながら、これがいつやまるかということにつきましては、物価の動向とも関係いたしますし、IMF、世銀等も主としてインドネシア経済を検討しました結果勧告をいたしましたので、そういう点の国際的な調整が必要でありまして、日本一カ国だけでは結論は出せない問題でございますので、いつの段階で将来やまってしまうかということははっきりとは申し上げかねるわけでございます。
○鈴木一弘君 北島ミッション報告書では、期限等についてはどういうふうに述べられておりますか。
○政府委員(沢木正男君) こういう援助の形がインドネシア経済にビルドインされた形でインドネシアの経済発展をゆがめるのは好ましくないというふうな意向でございまして、期限をいつまでというふうなはっきりした言い方はしておりません。
○鈴木一弘君 先ほど、いわゆるネガティブリストのお話が出たわけでありますけれども、その内容は、日本の場合は、ほかの国々に比べると、アメリカとかフランスとかオランダに比べると、非常にルーズであるという声も聞いているのですけれども、その実態はどうなんですか。
○政府委員(沢木正男君) これは全部各国共通のリストでございまして、日本だけが特別のリストを持っておるというのではございません。
○鈴木一弘君 いまの商品援助の中で、各国でどのくらい——日本は全体としていま御答弁がごさいましたけれども、いままで、一九七〇年までに出された各国で承認した額はどのくらいですか。わが国はどのくらい、合計したらどうなるか、教えてください。
○政府委員(沢木正男君) 各国がB回援助で出しました額は、われわれ全部わかっておるわけでございますが、いま手元に統計を持参しておりませんので、後ほど御報告申し上げます。
○鈴木一弘君 一九六八年までのことしか私もわからないのですが、金額が各国で三億三千百万ドル、わが国が一億二千五百万ドル、あとの二年間のことは私もはっきりわからないのですが、それでも比率としてはかなり高いものになっている。現在、商品援助の中身がどういうものが一番出ているのか、それを私は伺いたい。それは、大衆のための物資が出ていっているのか、それとも、いわゆる電気製品であるとか、電気冷蔵庫であるとか、ルームクーラーであるとか、あるいは掃除機みたいなものであるとか、そういうようなものが多いのか、何が多いのか、それによって、商品援助とはいうものの、ずいぶんと中身が商業ベースになっているかなっていないかの大きなきめ手じゃないかと思いますが、その点を品目別に教えていただきたい。
○説明員(川口嘉一君) 商品援助の品目別の割合でございますが、機械機器二八・七%、化学品二〇・六%、金属製品一八・四%、繊維品一二・三%、その他軽工業品一一・三%、非金属鉱物製品七・六%、食料品一・一%、これが六八年から七〇年の十二月までの全体の割合でございます。
○鈴木一弘君 これはわが国だけのですね。
○説明員(川口嘉一君) さようでございます。
○鈴木一弘君 そうしますと、話によれば、はっきり申し上げて、冷蔵庫であるとか、ルームクーラーであるとか、そういうようなものが、日本商品というものが非常にはんらんしている。それは、これ以外のものから入っているのか、それとも、商品援助で行っているのか。私ども、そういう点、向こうの市場にそれが出ましても、はたしてそれがいわゆるインフレ鎮静とかインドネシアの経済を再建させるという物資になっているのかどうか非常に疑問があるのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
○説明員(川口嘉一君) ルームクーラーその他奢侈品といったようなことは、私ちょっと詳細を存じませんので申しわけございませんが、全体といたしまして六八年度から七〇年度までの割合の推移などを見ますと、繊維品その他直接消費的なものから、機械機器、化学品といった生産資材的なものにウエートが移っているということは申し上げられるかと思います。
○鈴木一弘君 これは少したいへんだと思うのですけれども、おもな製品をピックアップして、機械製品であるとか、化学工業品であるとか、繊維製品であるとかいうことじゃなくて、繊維は大体わかりますけれども、あとの部門についてどういうものがおもに出ているのかということを、金額とその内容品目というものを、これはいまでなくてけっこうでございますが、あとでいただきたいと思います、資料として。
○委員長(柴田栄君) よろしゅうございますか。
○説明員(川口嘉一君) 調査いたしまして提出させていただきます。
○鈴木一弘君 これは特に資源開発云々ということがいま問題になっておりますけれども、インドネシアに対しては、いまの商品援助等を見ても、わが国が非常に高い比率を占めているということがわかるわけです。 〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕 それで、今度は、資源の確保とか資源の開発であるとかいうことが国会でもさんざん論議されておりますし、佐藤さんもずっと言われている。そういうような姿勢でありながら、はっきり申し上げて、インドネシアでは次から次へと失敗をしているというふうにしか思えないことが非常に多いわけです。先ほど北スマトラ石油の話がございましたので、これは別としますけれども、ボーキサイトについても、アメリカのアルコアという会社がほとんど全部の開発鉱業権というものを取得した。残っているピンタン島というところに対して、これも推定埋蔵量が四千から四千五百万トンといわれているけれども、そこまでもアメリカは手を伸ばしている。ニッケルについては、日本は入札において完全に負けてしまった。森林資源開発についても、やはり思うようにいっていないところがある。そういうふうに、日本からの投資というものは、非常に言われておりながらだめである。商社として、そういうところは全部国家というものをうしろにしなければできないというようなことをよく言っておるわけでありますけれども、そういうような資源確保云々と言っておりながら、一方では消費物資というものが大量に行く。これでは、相手国の開発どころか、わが国にとっての非難というようなことが重なるようなことをわざわざやっているような感じもする。一体、そういう点の指導といいましょうか、強力なタッチというか、そういうものが国の姿勢としてはっきりしなきゃいけないと思うのですが、そういう点はどうなっておるのですか。
○政府委員(藤田正明君) おっしゃるとおりでございまして、確かに、商品援助が多かったということはございます。ただし、商品援助の中に、機械部品であるとか、その国の経済復興のために役立つ商品もあったわけでございまして、今後ともそういう意味の商品援助を続けていかなくてはならぬと思います。ただし、直接的にまた長期的に経済復興に役立つようなプロジェクト援助というものに重点が移行していくことも、これまた国の姿勢として当然であろうかと思います。商品援助とプロジェクト援助とのうまい組み合わせを今後はやっていきながら、インドネシアの経済的発展、復興というものに焦点を合わせていくべきであると、かように考えております。
○鈴木一弘君 インドネシアには資源があるということが財界等で一つの旗じるしになってインドネシアに対しての援助というものが行なわれてきたという、そういうものが一つの大義名分になっていたのだけれども、実際問題は、いま申し上げたことのほかに、銅においても何においても、すべてがわが国の企業というものが敗退をしておる。欧米諸国のほうがリードしてしまっておる。これでは、ただのもうけるだけのものに、私が先ほど申し上げたように、輸出保険もあれば、さらに輸銀も再融資というような状態で、カバーだけをするような状態になってしまっているのではないか。そういう点で、いまのような御答弁ではあまり抽象的過ぎる。はっきり申し上げてそういう旗じるしが魅力で始まったという、それはっきりしてもらいたいと思うですね。それがいいかげんなことで次から次へ行ってしまうのでは、私は、インドネシアの開発には日本は役立たなかったと、ただもうかることだけに手を伸ばしてきたのじゃないか、わがふところを肥やすことをやってきたのじゃないかと、そういう非難が、巨額な金を注ぎ込んでいながら、一番大きな焦げつき債権をかかえていながら、非難だけが集中するということになっているわけです。 〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕 そういう姿勢というのは非常にいやだと思うのですがね。これでは日本とアジアの低開発諸国との間の結びつきとか協力とかいうことは、日本のほうでやりたいといっても、向こうで断わるということになりかねないと思うのです。この点は、はっきりひとつ基本的な姿勢というものを正してほしいと思うのですが、答弁をお願いします。
○政府委員(藤田正明君) この前の委員会でも申し上げたと思うのでありますが、援助自体はその国のために援助すべきでありまして、あらゆる低開発国の援助の基本方針はその国のための援助ということでございます。それらに焦点を合わせた援助であるべきでありまして、その国の国民から援助自体をすることがきらわれるようなまことに相反することがあっては、おっしゃるとおり、ならないと思います。基本的方針と申し上げますとそういうことでございますが、ただ、天然資源のある国に日本のいろいろな資本が投下されながらもうまくいっていないじゃないかというふうな御質問もあったかと思いますが、確かに、うまくいっていない場合もありますし、また、うまくいっているものもあると思います。そのような全部が全部悪くいっているわけじゃないのでありまして、今後大いに努力する必要はあるかと思いますけれども、海外投資につきましてアメリカにおくれをとったり、あるいはインドネシアに関しましてはオランダにおくれをとっておることは事実でございます。しかし、今後の海外資源の確保という大きな命題が日本にはあるわけでございますから、この点に関しましては大いに努力いたさなければならぬ、かように思っております。
○鈴木一弘君 だから、はっきり申し上げて、財界等の言い分では、非常に政情も不安であるし、はたしてどうなるかわからないから、国が投資についての保証をしてくれない限りはだめだというふうな空気もあるんです。私はそれはやり口としてはひどいと思うのです。そんな言い方はないと思う。ただ、資本力が、欧米の国の商社に比べれば、また会社に比べれば、小さいかもわからないけれども、しかし、小刻みなものでなくて、きちっとさせるように、これは強力なサゼッションをする必要があるだろうということをつくづく感じるわけですから、そういう点、成功した云々といっても、エビをとるとか、真珠をとるとかいうくらいのところじゃしょうがないわけですから、そういう点もよくよく見ていただきたいと思うのです。そうでないと、この問題は、後々、私どもの世代はかまわないけれども、あと二十年、五十年たったときの世代はアジアにおいて孤児としての日本ということを味わわざるを得なくなってくる。そういう先行きのことを考えて、私は、はっきりしてもらいたいと思う。そのために一つや二つの商社が泣いてもかまわぬけれども、そういうことができなければ、これはほんとうのわが国の発展もなければ、アジアとしての平和というものを維持することも不可能になってくる、こういうことを痛感せざるを得ないわけです。その点は十分注意してほしいと思います。 ここで、ちょっと相続税のことについてお伺いしたいのでありますが、今度の相続税法の改正で妻の座を非常に優遇をするということが出てきているわけでありますけれども、妻の座だけじゃないと思いますが、特に相続税に関連して私は一つ伺っておきたいのですが、妻と夫、この二つの場合には、はっきり申し上げて、夫が収入を得る場合も配偶者の力であるということが考えられるわけであります。したがって、一方の所得を配偶者と折半をして二分の一にし、それに累進税率を掛けて加えるといういわゆる二分二乗方式というものがまず所得税のほうでなされなければ、幾ら優遇をすると相続税、贈与税のほうでうたっても、片手落ち過ぎはしないか。基本的なものが解決しないで、相続税のほうだけ云々と言ってもどうも納得できないような気がするけれども、そういう点はどういうふうに局長は考えていらっしゃいますか。
○政府委員(細見卓君) 二分二乗方式というのをもう日本の現状におきまして取り入れてくるべきではないかという御意見につきましては、私どもも傾聴すべき御意見として今後検討してまいりたいと思います。ただ、その場合に、二分二乗方式に所得税の課税をするということは、必ずしも半分が妻の財産であるというところに直接はつながらないわけでありまして、課税の方式として世帯持ちの人たちをどういうふうに課税するか、あるいは課税単位として所得者単位でいくのか、あるいは夫婦を単位として課税するのかということでございまして、そのことが即夫婦共有財産制ということと必ずしも密接につながらなければならないということではないのじゃなかろうかと思います。と申しますのは、たとえばアメリカその他の国は二分二乗が多うございますが、フランスのように子供の数まで入れましたいわばN分N乗というようなやり方もあるわけでございまして、これはフランスの夫婦共有財産制と必ずしも一致しないようなやり方になっておるわけでございます。そういう意味で、私は、民法が改正されなくても二分二乗方式というのは日本で課税のあり方として考えられると思いますが、相続税のほうにおきまして、夫の財産の半分は妻の財産であるというふうに認定することにつきましては、かなりむずかしい問題がございまして、世の中で夫の所得の半分は妻の働きだという話はわりあい出るのでありますが、それでは夫が酒を飲み過ぎてつくった借金の半分は女房の借金かという話になると、これはいやだという話になるわけでございまして、日本でほんとうの意味で夫婦共有財産制というものができるかできないか、これはいま法制審議会のほうで御検討を願っておることでありまして、ただ、私どもの感じといたしまして、戦前の民法が家督相続ということを中心にしてきたもののむしろ反動として、次男、三男の地位を高くするとかいうようなこと、あるいは妻の地位を高くしようというようなことで、少し分割主義になり過ぎておるのではなかろうかという感じを感じとしては持っておりますが、これらの点につきましては、いずれ法制審議会のほうで結論をいただき、われわれのほうもそういうものを踏まえて相続税のほうでもそれを取り入れていきたいと思いますが、現状においては鈴木先生のお話しの逆で、相続税のほうだけで大幅なことをいたしますと、たとえば妻の遺留分で子供の相続分が侵害されるというような問題が起こってめんどうな問題が起こる。だから、二百万円、あるいは今度四百万円にすると、家屋敷を買う金というようなところのいわば中途半ぱな折衷条件になっておるというのが実情でございまして、私どもも、もう現在の段階で、国民感情に合致する民法の制度、相続制度、家族制度というようなものができ、それが税法とすんなりと一致するというのが一番望ましい状態だと、かように考えます。
○鈴木一弘君 その場合、どうしても、独身者の場合、所得税の場合にははっきりと問題が起きてくる。どうしても税制というものをはっきり二つに分けなければならぬ。その辺にはそういう問題があると思いますけれども、いまの答弁で大体わかりました。 四十三年に総理府の広報室が日本の家族制度についてアンケートをとっております。その中で、夫が働いて妻が無職の場合に、夫の収入で得た財産は一体だれのものであるか、こういう質問をアンケートでやったわけです。それに対しての答弁といいますか、その答えは、八六・六%という圧倒的な多い数が夫婦共同の財産であるというふうに答え、夫の単独財産だと答えたのは、わずかその残りの一・八%程度しかなかった。そういうことから見ますと、はっきり申し上げて、妻に対しての贈与の問題なんというのはちょっと私も疑問が出てくるわけです。昨年の予算委員会の席上で、法務大臣が、結婚後の財産は夫の名義で取得されている。しかし、内助の功というものをある程度認めるならば、無収入の妻がある財産を夫から取得しても、贈与ということを考えないでもいいのではないかということを、これは法務大臣の見解で、大蔵大臣の顔を見ながら、税法上考えてくれということを答弁している。そういう二つの面から見て、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(細見卓君) 婚姻期間中にできる財産につきまして、夫と妻とが共同でつくったものであるという意識が圧倒的に多いということについては、おっしゃるとおりでありますが、同じように法務省が調査いたしましたものによりまして、それじゃこの分けまえはどう分けたらいいかということになると、三分の二は子供にやりたい、自分は三分の一でいいという奥さんの意見が非常に多かったというようなこと、その辺は確かに全体として戦後の家族制度というのがかなりまだ流動的で、国民全体の意識がまだ定着し切っておらないというようなところがございますので、いまのように妻の立場を非常に重視すべきだという御意見もございますし、妻のほうに財産を贈与してもいいのじゃないかという御意見、これはよくわかるわけでありますが、そのような場合には、現在は、糟糠の妻の住む家という意味で二百万、今回四百万にお願いするわけでありますが、そういうものの贈与を非課税にするということにしておるわけでありますが、すべての財産をそれでは半々に分けたらいいかということになりますと、先ほど鈴木先生の御指摘のように、累進税率をまつ二つに分けられるわけでございまして、株式から何から全部をそれじゃ妻に分けると、分けない人との間に差が出てくるという問題が出てまいりますので、その辺の手当てができて、税制全体として、何といいますか、整合性のとれたものにしてからいまのお話もやっていく。その意味では、二分二乗方式というようなものを取り入れてから、妻に対する贈与というのをある程度自由にしていくような方法も民法のたてまえと並行してできるようになるのではないか、かように考えております。
○鈴木一弘君 確かに、夫婦共同という意識が先ほど申し上げたように非常に高いということから見ると、夫婦共同財産というものができた場合、贈与税を課するということは非常におかしいわけです。カナダでは夫婦間の贈与については税金がない、贈与税がないというふうに聞いておりますし、アメリカは半分が非課税であるとか、あるいはフランスとか西ドイツは二〇%以下、こういうようなことから見ても、特別な配慮というものは夫婦間にはある。今回の改正案で、控除というものは確かに引き上がってきた、非課税額が上がったわけでありますけれども、そういうのに比べると、民法のいわゆる男女平等ということから考えても、いまの弁答でわかるのですけれども、まだまだ平等であるというふうには思っていないと、こういうことに理解していいですか。
○政府委員(細見卓君) 私どもは、人権の基本にわたるようなことについて平等であるとかないとかいうことは申し上げる筋でないのでありまして、課税のテクニックとしてどういうふうにしていくかといえば、現在の民法のたてまえによりまして、稼得者主義で、稼得者の財産、自分名義で所得を得てその所得の残りが財産になっていったものはその人の固有の財産である——固有財産といいますか、そういうたてまえというものにのっとりながら、そのたてまえと矛盾しない範囲で妻の地位を高めていく。たとえば、所得税におきまして控除を同額にするとか、あるいは相続税におきましても、御承知のように、三千万までの財産につきましては妻がその法定相続分を得る限りは非課税であると。この制度は、わりあい宣伝されておりませんが、ヨーロッパ諸国のどこの国よりも一番見ようによっては妻に甘い制度になっております。以上のことは、先ほど申し上げましたように、それぞれの国が、コミュニティープロパティー、何と訳すのか知りませんが、共同財産と訳すか共有財産と訳すか知りませんが、そういう民法の制度に乗っかっておりまして、夫婦間の贈与というものが共同で稼得した財産については概念としてあり得ないと。国有財産についての贈与について贈与税の問題は、それぞれの国はそれぞれ課税しておるわけでありますが、そういうことで民法のあり方というものの推移を見ながら、御指摘のような方向については今後検討していかなきゃならないと思っております。
○鈴木一弘君 結局、一つの例としても、退職金や何か前借りして自分の家をやっと建てたと。そして、それを奥さんの名義にすれば当然ですけれども、夫婦共同の名義にする。そうすると、たちまち贈与税がかかる、こういうことになっていく。しかも、それについても、自分の住む土地とか、あるいは、ここにあるように、居住用不動産の贈与に関する贈与税の課税最低限が四百万円というふうに、基礎控除を含めてそうなってくるわけでありますが、そうすると、はっきり申し上げてほかのほうの税法では認められていない。こういう点に妻のほんとうの権利というものは夫と死別するか離婚するというときしかないじゃないかというおかしなことになる。男女平等であるとか、妻の座、配偶者の座というものを平等の権利で保障するものは、御主人が死ぬときか、そうでなければ離婚するときであるという奇妙な論理ができてしまう。だから、税法全体にわたってその問題について検討のし直しが必要じゃないか、いまの問題について。いまの答弁でそういう権衡は民法上の問題からもよくわかるという話でありますが、それでは一体いつごろそれに着手しますか。
○政府委員(細見卓君) 経常的な状態であります所得税につきまして、二分二乗の方式につきましては早急に検討に着手すべき問題であると思いますので、今回制定の税制調査会で検討になっております長期答申なども一つの問題として取り上げていきたいと思いますし、それから妻の座の贈与とかあるいは相続財産についての話は、御承知のように、相続税は人が亡くなったときにしか関係ないわけでありますので、そのときのことしかカバーできない、これは御了承願えると思います。
○鈴木一弘君 一つ伺いたいのは、これはよくわからないのですが、相続税の申告期限までに財産の分割をしないで、そうして申告がおくれた、そういうような場合には、どういうふうになるのかということをちょっとお伺いしたい。
○政府委員(細見卓君) 御承知のように、シャウプが勧告しましたものには、実際に財産を分けた状態で申告しなければいけないと言っておったわけでありますが、財産が不動産であるとかあるいは農村の農地であるとかというようなことで、分割ということが現実にできない、そういうことで分割を仮装せざるを得ないというようなことになりましたので、現在は、そういう現実にだれにどう分け前が行くかということとは関係なく、民法の法定相続分によってそれぞれが相続したものとして税金を計算する。そこで、六カ月たったところで相続税は納めていただきまして、その納めていただいた相続税の額を、さらに公平という意味では、それぞれが財産を分けられた分け分に応じて負担していただくということになるので、国との関係では六カ月目に相続税を計算されるときにおいては分割状態というのは一切関係ないと、こういうわけでございます。
○鈴木一弘君 それで、更正の問題なんですが、それまでに民法による相続分というものが分割が行なわれなくて、それがしかし民法の相続分があるいは包括遺贈ということで計算をしてある。ところが、その後その財産を分割をした。そうしますと、課税価格というものが自分の得たのとはちょっと違う場合が出てくるわけですね。その場合に、更正請求とか、そういう場合の処置はどうなりましょうか。
○政府委員(細見卓君) 私の申し上げ方が不十分であったのでありますが、現実に分割をしておられる場合には、分割に応じて相続税の計算をするわけでありますから、いまのようにその後分割の状態が変わったという場合には、当然更正の請求をしていただいて、新しい分割に応じた税額に計算し直すと、こういうわけであります。
○鈴木一弘君 きょうは、私、この程度にして、質問を留保しておきます。
○渡辺武君 私はIDAの出資の問題について一、二御質問したいと思います。 今回のIDAに対する第三次増資案によりますと、各国の出資比率の変化については、いただいた資料で概略わかるわけです。この資料を一見しますと、アメリカやイギリスやフランスなどの出資比率が漸次逐年下がってきて、これにかわって、西ドイツ、日本などの出資率が増加しているという傾向であります。おそらくこれは各国の経済力の変化が一応反映されていると思いますけれども、特に最近ニクソン・ドクトリンなどが公然と唱えられ始めておりますし、アメリカに肩がわりした日本のこういう方面における出資が今後かなり増大するだろうということは一応予想できるわけですが、きょう私が伺いたい点は、この出資比率に関連する投票権ですね、この問題を伺いたいと思うんです。IDA協定の第六条第三項には投票権についての規定がございますけれども、この投票権は、当初と比べて、今度の増資によってどのように変化するのか、これを伺いたいと思います。特に、第一部国と第二部国ですね、この点でどういうような変化が生まれるのか。それからまた、第一部国の中で特に大きな国、アメリカ、日本、西ドイツ、それからイギリス、フランス、イタリアぐらいでけっこうですが、どのように変化するか、その点をまず伺いたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) IDAの投票権の問題でございますが、これは、IDAの仕組みと申しますか、これから御説明を申し上げたほうがよろしいかと思いますので申し上げますと、IDAは、ほかの世銀とかIMF等と違いまして、金を出す国とそれから受ける国と、つまり先進国と発展途上国と申しますか、それが実はさい然と分かれている。第一部国というのが、加盟国百七カ国のうちの十八カ国、これを第一部国と申しまして、これがいわば金を出すほうでございます。それに対しまして、そのもらうほうの第二部国が残りの八十九カ国でございまして、そういうような仕組みに初めからなっております。それに対しまして、投票権はどうなっておるかと申しますと、一部国の投票権の総数が全体の六二・三七%、これに対しまして二部国の投票権の総数は三七・六三%ということに最初からなっております。実は、今回の増資に関しまして投票権の調整をやるべきだということは、わが国が前から主張いたしておりまして、今国の第三次につきましては、それが実現をしたということでございますが、しかし、その場合でも、一部国と二部国との投票権を変えるということは、これはやはりIDAという組織、先ほど申しましたあれからいたしまして、金を出すところがよけい投票権をとるといいましても、これはやはり一部国全体と二部国全体とを比較いたします場合には投票権には変わりがないというほうがいいということになりまして、これはことに発展途上国に対する関係でそうなっておりまして、その点で全体としての一部国と二部国との投票権の比率は今回も変わらない、こういうことに相なっております。 それでは、一部国相互の間の投票権がどうなっておるかと申しますと、わが国につきましては、一部国中だけの割合を申し上げますと、現在のと申しますか、当初からの技票権は日本が一部国の中で四・五三%でございまして、これを国ごとに申しますと、大きいところから申しますと、アメリカが四〇・五四、イギリスが一六・七九、それからフランスとドイツが同じでございまして六・九六、カナダが五・〇六と、こういう投票権になっております。これに対しまして、今回投票権を調整いたすということになりました。これは、今回だけでなくて、第一次と第二次の増資がございまして、今回が第三次の増資でございますが、これまでの累積を考えまして全体の資金の拠出に合わせて投票権を調整する、こういうことに相なります。まあわれわれの主張が通ったわけでございますが、これによりますと、日本は一部国の中の投票権の割合は五・五四%に上がり、逆に、いままで多かったところが割合が下がっておりますが、アメリカが三八・二七、イギリスが一三・〇四、それからドイツがこれは拠出が多うございまして九・〇五と上がっております。それからフランスが六・九五、カナダが五・八九というふうになることになっております。
○渡辺武君 イタリアはどのくらいになりますか。
○政府委員(稲村光一君) イタリーは、当初のと申しますか、現在の投票権が二・五九%でございまして、これが今回の調整によりますと三・八五%に相なります。
○渡辺武君 そうしますと、もっぱら投資をするほうの国ですね、これが全体の六二・三七%の投票権を占めておって、いまおっしゃったパーセンテージですね、これは第一部国の比率ですか、それとも、全体の比率ですか。
○政府委員(稲村光一君) 便宜第一部国の間の比率を申し上げました。
○渡辺武君 全体の中での比率を聞かせてください。
○政府委員(稲村光一君) 全体につきましての比率を申し上げますと、国ごとに申し上げますと、アメリカが、全体の中で現在二五・二八%でございますが、これが今回二三・八七に相なります。それからイギリスが、全体では一〇・四七でございますが、これが八・一三に下がります。それからドイツが、四・三四でございましたが、これが五・六四になります。フランスが、四・三四が四・三三、日本が、二・八三が三・四六、カナダが、三・一六が三・六七、それからイタリーが、一・六二が二・四〇と、こういうことに相なります。
○渡辺武君 そうしますと、アメリカが最大の投票権を持っておる、約四分の一の投票権を持っておるが、同時に、アメリカ以外の国で、まあ言ってみれば旧植民地、従属国ですね、これに対するいろいろな政策という点では主としてアメリカに同調するといういわゆるアメリカの同盟国といわれる国ですね——フランスはとかくいろいろな政策上の違いを見せておりますけれども、いま御報告いただいた国々は、いわばそういう点ではフランスほどにアメリカにたてをつくことも少ないというような国がほとんどだと思うんです。それらの国の投票権を集めてみると、五〇%近いということになると思うんですね。四割から五割の間だろうと思うんですけれども、こういう構成を持った投票権がIDAの投票権であるとすれば、IDAの活動というのは、特にアメリカを中心とした世界のこういう主要な帝国主義、独占資本主義国の政策に沿って行なわれるということにならざるを得ないと思いますけれども、その点はどうですか。
○政府委員(稲村光一君) アメリカが投票権が多いのは、これは言うまでもございませんが、拠出額が多かったからでございまして、しかも、それは、当初に比べますと、いまのように調整をいたしまして減っておるわけでございます。IDAは、やはり世銀、IMF等と同じでございまして、加盟国も先ほど申し上げましたように百七というようなあれでございまして、それから同盟国というふうにおっしゃいましたが、これは各国それぞれの立場なり政策がございまして、決してアメリカに追従しているというものではございません。これはフランスに限らないと思います。そういう意味で、特にこのIDAがアメリカの政策の遂行のための機関になっている、あるいは、なる可能性があるというようなことは、これは事実とは反するのではないかというふうに思います。
○渡辺武君 そういう御答弁をなさるだろうと思って伺ったわけですけれども、しかし、これから先いろいろ伺う点でその点はおのずから論証されるのじゃなかろうかというふうに思っているのです。 しかし、もう一つ伺いたいことは、今度、増資にあたって、第二部国ですね、融資を受けるほうの側、これの投票権が、当初と同じように三七・六三%にとどめておるというその事情ですね、これはどういう事情からきているのですか。
○政府委員(稲村光一君) これは、先ほどもちょっと御答弁申しましたが、このIDAの仕組みといたしまして一部国、二部国というのが分かれておりますときに、この全体の政策を、金を出したらそっちのほうが投票権もそれだけよけい持ってそして全体を牛耳るということはやはり適当でない。もらうほうの、つまり発展途上国の声につきましては、いままでと同様にやっぱり据え置いておく必要がある。これは、単に発展途上国の側のつまり二部国側の主張であったばかりでなくて、一部国のほうといたしましても、IDAの組織の当然のあれとして、やはり一部国と二部国間の投票権については調整をしないほうがいいという結論に達したわけでございます。
○渡辺武君 私はその辺にかなり妙味があると思うんですね。つまり、先ほど別の御質問に対して、藤田政務次官が、援助というのは、相手国の経済の発展を主として考えてやるものだというような趣旨の御答弁をされましたけれども、そうだとすれば、私は、融資を受ける側の発言権というのはもっと大きく認めておくべきだと思うんですね。ところが、尊重するという形にはなっておりますけれども、しかし、全体としては半分以下という投票権しか認めていない。わずか十七の国が六二・三七%ですか、この投票権を持って、そうして八十九あるいは九十の国が三七・六三%というような投票権しか持たぬというような状況でIDAが運営されているということですね。私はこの点にIDAの一つの重要な性格があると思う。形はいかにも民主的なものであるけれども、しかし、実質上はアメリカを中心とする旧帝国主義植民地所有国ですね、これが実質上の実権を握ってやっておるというところがこの投票権の比率の中にはっきりあらわれているのじゃないかというふうに思います。 そこで、次に伺いたいことは、IDAと世界銀行との関係ですけれども、このIDAの融資の条件が、金利についても、それからまた貸し付け期間についても、返済条件などについても、世界銀行よりもはるかに緩和された条件だということは、これは明らかだと思うのですけれども、しかし、その活動が世界銀行を補完するものだというふうに言われておりますですね。第二世銀というふうに呼ばれていることでもはっきりわかると思うんですが、この世界銀行とIDAとの関係はどうなっているのか、その点をお答えいただきたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) IDAと世界銀行との関係でございますが、これはただいま御指摘のとおり、IDAのほうの融資は五十年無利子、単に手数料として年四分の三%を取る。返済につきましても、十年間は据え置き、あとの十年で一%ずつ毎年返していく。それから最後の三十年で三%ずつ、五十年で完済、こういうのがIDAの条件でございます。これに対しまして、世銀のほうは、金利は、これは世銀の市中からの資金調達コストをもとにいたしまして、その時々きめているわけでございますが、現在のところは四・二五%でございます。期限のほうも十五年から二十五年というようなところが普通であろうかと思いますが、このように条件が非常に違いがある。これは、世銀につきましては、融資対象と申しますか、むしろいまのように高い貸し出し金利でもまかなえるようなコマーシャル・ベーシスに乗るプロジェクトと申しますか、そういういわば収益性のあるプロジェクトも出得るわけでございます。そういうものが主になっている。これに対して、IDAは、いわばそういう世銀のベーシスの融資ではまかなえない、つまり、非常に収益性の少ない、あるいは償還に非常に長期を要する、主として産業の基盤と申しますか、あるいはインフラストラクチュアというようなものに対して融資をする。それからまた、国に対しましても、国全体としましてGNPの一人当たりが三百ドル以下というような、後進国の中でも特におくれているというところに融資を行なう。世銀については、そういうあれがございません。そういうような点で、両者の関係というのは、それぞれの機能と目的と申しますか、によりまして融資活動を行なっている、こういうことでございます。
○渡辺武君 このIDAの協定を見てみますと、協定の第六条に「組織及び運営」という項がございまして、これを見てみますと、IDAの総務、それから理事、総裁、これらが、世界銀行に加盟している国については、職権上、世界銀行の総裁、総務、理事が兼任するというように書かれておりますけれども、そのとおりでございますか。
○政府委員(稲村光一君) そのとおりでございます。
○渡辺武君 それからIDAの目的ですね、この点についても世界銀行との関連が書かれていると思いますが、どんなふうなことになっているのか、その点も伺いたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) ただいま御説明申し上げましたとおり、IDA協定、国際開発協会の協定の第一条に「目的」というのがございますが、これを読み上げますと、「協会は、世界の低開発地域で協会の加盟国に含まれるものにおける重要な開発上の需要に応ずるため、特に、通常の貸付けの条件よりも弾力的なかつ国際収支に対する負担が軽い条件で融資を行ない、もつて国際復興開発銀行の開発目的を促進し、かつ、その活動を補足することにより、当該地域における経済開発を促進し、生産性を増大し、及び生活水準をこうして向上させることを目的とする。」と、こういうふうになっております。これはその実体が先ほど御説明申し上げましたようなことで、実際上この目的を達成するためのIDAの融資活動というのが行なわれているわけでございます。
○渡辺武君 つまり、IDAの融資活動が、世界銀行の開発目的を促進するということに置かれているということが、いまの御答弁で明らかだと思うんですけれども、世界銀行の開発目的というのは、一体どういうことなのか、それをお答えいただきたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) 国際復興開発銀行につきましては、やはりその第一条に「目的」というのが書いてございます。これは若干長いので、全部読みますと時間の関係もあろうかと思いますが、要するに、戦後、戦時中のいろいろなことで経済が荒廃をいたしました。そういうものに対する復興、これを復興させて、そしてその加盟国とも経済の開発をはかっていくというためにできました、長期の資金を供与する、こういう機関でございまして、わが国におきましても、国際復興開発銀行のほうからは融資を受けた事例が多く、それが日本の復興に非常に役立ったということは御承知のことであろうかと思います。
○渡辺武君 形の上ではいまおっしゃったとおりの目的でやっているということになっていると思いますけれども、しかし、現在の世界銀行の総裁は、これは私が申し上げるまでもなく、アメリカのもとの統合参謀本部の長官のマクナマラですね。そうして、IDAと同じように、投票権の最大部分がアメリカに握られているという状況で世界銀行というものは運営されているわけですね。そして、世界銀行の発足の事情などを見てみますと、これはブレトン・ウッズ会議によってつくられた機構であることは言うまでもないことですが、特に私が重要視したいと思いますのは、アメリカの輸出入銀行ですね、これが従来は備品輸出のための信用もやっておったけれども、同時に、長期固定融資ですね、これもやっておったのを、その機能を分離して、そうして世界銀行に主として長期資金の供給をやらせる。で、アメリカの輸出入銀行は商品輸出のための金融だけに限るというようなことが世界銀行の発足にあたって行なわれているようですね。ですから、それらの事情から考えてみても、それからまた、その後、日本その他に行なわれた世界銀行の融資の実績から見ましても、この機構は、形は集団的な各国の出資及び各国参加した運営ということになっておりますけれども、しかし、事実上は、アメリカのドルの世界支配を促進するための国際機構というふうに私は見ざるを得ないんじゃないかというふうに思います。たとえば、日本の場合で考えてみますと、世界銀行の融資が最も集中したのは電力と鉄鋼だったと思うんですね。その電力と鉄鋼がいまどういう事情になっているか。たとえば電力については、世界銀行の融資の過程で、従来水力発電を主として火力発電は従とするという政策は基本的に転換して、そして火主水従というのに変わっていきましたし、そしてアメリカからの——国じゃないですけれども、アメリカの石油独占資本ですね、これが握っているところからの原油の輸入に日本の電力産業が圧倒的にたよるというような事態が生み出されているわけですね。そしてまた、日本の火力発電の設備なんかも、アメリカのゼネラル・エレクトリックやウエスチングハウスその他から導入されるというような経過があります。鉄鋼についても多かれ少なかれそういう同じような経過があって、日本の鉄鋼の原材料、それからまた輸出市場は、電力と同じように、強くアメリカに依存するというような事態になっているのが現在の実情だと思うんですね。このこと一つとってみても、私は、世界銀行というものが、これは確かに形の上では、あなたおっしゃるように、長期の融資を与えるもので、また、事実、そういうことになっているのですが、それを通じて、いま申しましたように、アメリカのドルの世界支配を促進する機構として役立っているのではないかと思うんです。IDAがそういうアメリカの開発目的を促進するということをその目的にうたっている機構であるとすれば、IDAもまた同じような役割りを演じているというふうに考えざるを得ないと思います。特に、いま申しましたように、総裁や総務や理事というようなのが、これが職権上、世界銀行の総裁、総務、理事と同じだというような事態のもとでは、IDAの性格というものもおのずから明らかじゃないかというふうに思いますけれども、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(稲村光一君) 総裁がアメリカ人であることは事実でございますけれども、しかし、理事は、これは二十一カ国から出ておるわけでございまして、副総裁もこれは数名おりますが、いずれもいろいろと各国から出ておるのでございます。そのことだけからしましても、世銀及びIDAがアメリカの支配力を世界に及ぼすための機関であるというふうに解するのはやや行き過ぎではなかろうか、そういうふうに、おことばでございますが、感じます。 それからわが国に対する世銀融資の問題でございますが、これは、確かに、御指摘のように、電力、鉄鋼等がございました。しかし、それだけではなくて、たとえば東海道新幹線でございますとか、あるいは愛知用水公団、それから高速道路等につきましても、まだ日本が十分に経済力がつかず、国際収支も苦しんでおりましたころ、世銀の資金によりまして日本の開発が非常に進んだ、貢献をした点は、否定し得ないところではなかろうかと、こういうふうに存じております。
○政府委員(藤田正明君) 先ほど来の渡辺委員の御意見は、御意見としては伺いますけれども、一つの方程式に乗っかった主観的なものであるというふうに思うのでありまして、私たちは、そういうように、IDAなり第一世銀というものが、アメリカの世界支配のためにあるいはドル支配のために利用されておるものとは思いません。それから世銀なりIDAなりによって、われわれ日本もそうでありましたが、また、低開発国の多大な経済的な復興なり開発も、そういう寄与を受けておるものと信じております。
○渡辺武君 一つの方程式に基づいた主観的なものだというのは、少し言い過ぎですね。やはり、問題というものは、これはもちろんそれぞれの理論に基づいて分析しますが、私は客観的な事実を言っているわけです。電力にしたって、どうですか、いまのいわゆる石油騒動を見てもわかるでしょう。アメリカのとにかく石油独占体が押えている中近東、これからの石油原油量というのが圧倒的でしょう。しかも、日本の精製産業というのは、これは日米合弁というのが非常に多うございます。もちろん、イギリスも入っていますけれども。そうして、日本の火力発電所というのがそういうアメリカが関与している原油に非常に依存しておるということは、これは隠れもない事実ですね。もっと言ってみましょうか、世界銀行の融資によって、東京電力なりそれからまた関西電力なり、その他の日本の電力産業が導入した技術ですね、これはもっと私は深い結びつきを持っておると思うんです。ただ単純に原料を買って、原料上で強くアメリカに握られているというだけじゃなくて、たとえば日本の東芝電気、これは御承知のとおりです。アメリカのゼネラル・エレクトリックが筆頭株主をしている会社ですよ。そうして、世銀融資によってアメリカから大型の火力発電機が採用されるときには、第二次の火力発電機については、たとえばゼネラル・エレクトリックと結びついておる東芝電気がそれをつくって納めるというような仕組みになっている。しかも、東芝及びゼネラル・エレクトリックは主として東京電力系統にその機械を納めるし、ウエスチングハウス、それに結びついている三菱電機、これは主として関西電力系統のところに機械を納めるというふうに、設備の供給という側面からしても、アメリカの巨大独占体に市場のほうで系列化している。それがいまの日本の電力産業の実態だと思う。この世界銀行の融資というのが、そういうことが実現されていく上に大きな役割りを果たしている。これは事実ですよ。何も特定なシェーマに基づいて独断を言っているわけじゃないんですよ。あなた方のほうが政府答弁の立場からいってそういうことまで言えないでしょうから、いまおっしゃったような答弁をなさるでしょうけれども、人の議論に対して無用なそういう中傷的なことを私は言うべきじゃないと思う。その点はひとつ気をつけてほしいですね。
○政府委員(藤田正明君) あくまでも意見と見方の相違でありまして、これ以上平行線をたどってもいたし方ないと思いますが、多くの例の中からたまたまそういうものを抽出されまして言われていることに対しては遺憾であります。また、鉄道とかあるいは鉄鋼に関しましても、日本の再建にたいへん役立ち、そして、それらのものが、いま現在、鉄鋼のごときは逆にアメリカの基幹産業である鉄を圧迫しているという事実すらございます。そしてまた、東海道新幹線のごときも、ほとんど全部日本の手でやりまして、世銀借款を得たからといってアメリカのひもつきのものは何もなかったはずであります。一、二の例をあげられましてそういうことを言われることもおかしいのではないかと思います。これはお互いに意見は平行線でございますので、これ以上は申し上げません。
○渡辺武君 まあ議論をやってもおそらく平行線だということは私もわかりますが、ただ一つだけ申し上げておきましょう。一、二の例とおっしゃいますけれども、先ほど御答弁があったように、鉄鋼と電力会社が世界銀行融資の最も集中したところですよ。東海道新幹線なんかは金額としてはほんのわずかですよ。それから愛知用水などは、これは初めは農業用水だ、そういうたてまえでやって、いま何をやっていますか。工業用水の供給の水路になっているじゃないですか。ですから、そんな例を持ち込んでも世銀行融資の本質は変わらない、そのことだけ申し上げて、次の質問に移ります。 IDAが、いま申しましたように、世界銀行の開発目的を促進する、あるいは、総務、理事、総裁なども世界銀行の総務、理事が兼任するという仕組みになって運営されている以上、やはりIDAの融資対象国の選定だとか、あるいは対象事業の選定だとか、あるいは融資の条件ですね、さっき申しました金利、あるいは据え置き期間だとか、返済のやり方だとか、これはまあ違っていることは明らかでありますけれども、そのほかの融資条件ですね、これは従来あるいは現在世銀がとっているやり方と同じようなやり方でやっているというふうに見てよろしゅうございますか。
○政府委員(稲村光一君) 融資のプロジェクトをどういうふうにして選ぶかということの御質問であろうかと存じますが、条件につきましては、IDAにつきましてはこれは一本でございまして、全然別の条件というものはございません。むしろその点は将来の問題としては問題かという議論はございますが、現在におきましては全部一本でございまして、その条件の差はないわけでございます。 それでは、そのプロジェクトをどうするかということでございますが、これは、先ほど申しましたとおり、まず全体の問題としましては、その相手の国がGNPの一人当たりが三百ドル以下のような非常に後進国の中でも特に後発と申しますか、そういうところにしかIDAの資金は出さない、こういうことになっております。それから具体的にそのプロジェクトを選ぶにつきましては、IDAのほうからミッションを派遣いたしまして、そしていろいろと現地で現地の国の政府当局と協議をいたしまして、そして慎重にきめまして、これをIDAの事務局のほうでこれまた融資委員会と申しますか、そういう組織がございまして、そこで審議を行ないまして、それが原案をつくりまして、それを最終的には理事会において審議いたして可否を決定する、こういう手続になっております。
○渡辺武君 こまかい点に移る前にもう一つだけ伺いたいと思うのですが、協定の第五条ですね、これの(C)ですか、次のような条項がございますね。「協会は、融資が受け入人にとって合理的な条件で民間資金から調達されることが可能であるか又は銀行が行なう種類の貸付けによって供給されることが可能であると認めるときは、融資を行なってはならない。」という条項がございますね。ここで銀行といわれておるのは世界銀行であることは、申し上げるまでもないことでございます。この条項を読んでみますと、こんなふうに解釈できると思うんですが、その点はどんなふうに解釈したらいいか伺いたいのですが、つまり、先ほどの御答弁にもありましたが、世界銀行の融資が行なわれるほどの経済的な条件もないという低開発国ですね、これに非常に条件のゆるやかなIDAの融資をやる、そうしてそのことによってそこの国の経済的な発展がある程度もたらされて世界銀行の融資が可能になるということになった場合には、今度は世界銀行の融資に切りかえるということですね。そうして、世界銀行の融資をやることによってそこの国の経済がさらに発展して、民間資本の輸出も可能になるということになれば、それをまた民間輸出に切りかえていくというふうな仕組みになっておると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(稲村光一君) 特定の国が非常に経済の発展段階が進んでおりませんでIDAからの融資が適当であるという場合に、だんだんに発展段階が進んでまいりましていわばコマーシャル・ベーシスの融資でも、つまり世銀からの融資でも受けられるというような場合になりますれば、おっしゃるとおりでございますが、これは、国によって、ある国はIDA融資のみ、ある国は世銀融資のみ、こういうふうに分けておるわけではございませんので、同じ後発の後進国の中でも、プロジェクトとして、これはコマーシャル・ベーシスに乗り得るというものにつきましては、これは世銀融資ということもあり得るわけでございます。したがいまして、両方からその融資を受けておるという国もあり得るわけでございます。
○渡辺武君 世界銀行の融資の目的に、世界銀行の融資によってそこの国の経済の開発を促進さして、そうして民間資本の投資の状況をつくるというような趣旨のことがございますね。その点はどうですか。
○政府委員(稲村光一君) 御指摘のとおり、世界銀行協定の一条の二項にございます。さらに、これは補足して申し上げますと、民間資金の補足のための機関としてはもう一つIFCというのがございますが、これは主としてそちらのほうばかりをやっておるところでございます。
○渡辺武君 いまの点は、私は、世界銀行の融資の戦後の変遷過程をたどっていけば、非常に明確にあらわれておると思うのです。大体、世界銀行の融資は、当初は西ヨーロッパの比較的発達した資本主義国に集中しておる。日本もそれに入ろうかと思うんですけれども、それが五〇年代の半ばごろになると、そういう国に対する世界銀行の融資は大体終わって、そうして世界銀行の投資先は、アジアその他の旧植民地、従属国に転換する。それにかわってヨーロッパ諸国では大体貿易為替などの自由化がずっと促進されて、それに伴ってアメリカの民間資本も全面的にそれらの国に進出を始めるというような状況があらわれておると思うんですね。日本は、それより四、五年おくれて、一九六〇年代の初めごろ世界銀行の融資は終わっておる。そうして、その後、六〇年から始まった貿易為替の自由化に伴ってアメリカの資本の輸入が急テンポに拡大して、現在また資本の自由化ということが最終段階に来ておるというような事態になっておると思うんですね。ですから、世界銀行の、言ってみれば最終的な目標、これは相手国の経済の開発ということにあるといわれておるけれども、実際のところは、アメリカその他の民間大企業の対外進出の条件を整えるということにあることは、これは明らかだと思う。事実がこれを証明しておる。そうして、IDAがそういう世界銀行融資ができるような条件を整えるために行なわれるとするならば、IDAというものが、主要な資本主義、帝国主義大国の大企業の民間資本輸出、これの条件を整えるという遠大な目的をもって運営されているものだというふうに見ざるを得ないと思うけれども、その点はどうですか。
○政府委員(藤田正明君) 私たちはそう見ておらないのでございまして、世銀は世銀なりの一つの目標を持ってやっておりますし、IDAはIDAの一つの目標を持ってやっております。すなわち、IDAに対しましては、一部国と二部国を完全に分けまして、一部国は出資をし、そして二部国に経済開発の援助、民生の安定というふうなはっきりした目標をやっておるわけであります。ただいま、先ほどの御質疑の中にもございましたけれども、見方の相違でありまして、これは平行線であります。
○渡辺武君 見方の相違とおっしゃいましたが、あなた方、ものをごらんになるときは、やはり世界銀行の協定なりIDAの協定なりに明確にうたわれていることをひとつ見落とさないようにしてほしい。また、事実、戦後の歴史的な経過の中であらわれている客観的な事実ですね、これもひとつ見落とさないであなた方のその議論というものを立ててほしいと思うんですね。 その点は要望して、時間もないので質問を次に移しますけれども、いただいた資料によりますと、IDAの融資がインド、パキスタン、インドネシアなどに大体集中している。七〇%程度はこの三国に集中しているんじゃないでしょうか。ところが、この協定の第五条の第一項の(a)、これを見てみますと、「協会は、世界の低開発地域で協会の加盟国に含まれるものにおける開発を促進するため、融資を行なう。」と、こういうことになっていますね。だから、IDAに加盟している国であって、しかも世界の低開発地域に融資をやってやるんだというふうになっているわけですけれども、一体何でこの三国に七〇%以上もの融資が集中したのか、こういう融資の対象を選ぶにあたって何か特別の条件があるのか、その辺を伺いたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) IDAが、御指摘のとおり、その融資の従来の実績を見ますと、インドに非常に片寄っておりまして、それからそれに続いてパキスタンと、それから最近やっとインドネシアにも来るようになった。この点は、まさに御指摘のとおりでございます。なぜそれではこういうことになったかと申しますと、これはIDAのほうの融資方針といたしまして、一人当たりのGNPと申しますか、それを重視いたしておりまして、たとえばインドでございますと人口五億三千万人、それからパキスタンが一億三千万ぐらいだと思いますが、インドネシアも同じぐらいでございますが、これはいずれもパー・ア・ヘッド百ドルぐらいのあれでございまして、人口割りにいたしますと実はこの数字というのはあまりおかしくないことになります。それで、従来は、むしろインド、パキスタンにのみ集中をいたしておりました。われわれのほうといたしましては、それではおかしい、やはりこれはもっとほかの東南アジアの国にも融資を回してほしい、回すべきであるという主張をずいぶんと繰り返しておりまして、まあその結果、人口におきましてはパキスタンと同じ程度のインドネシアには、六九年からだったと思いますが、IDAの資金が多く来るようになりました。今後におきましては、インドがやはり何と申しましても人口が多うございますから、したがって、全体の四割ぐらい、それからパキスタン、インドネシアがそれぞれ一二・五%ぐらいというのが、現在のIDAの融資の国別のおおよそのめどということになっております。これは、むしろインド、パキスタンに集中しておりましたのを、東南アジアにも行かせるようにということは、日本といたしましては常に主張をいたしておりまして、それがまあ次第に実現をしておるということでございます。
○渡辺武君 人口一人当たり三百ドル以下のGNPという条件なら、ほかにも幾らでもあると思うんですね。特にアジアに投資が集中しているわけですけれども、、アフリカにももちろんたくさんあるし、中南米諸国にもあるだろうと思うんですね。ところが、アジアに特に集中している。そのアジアというのは一体どういう国なのか。いまアメリカのベトナム侵略戦争がますます拡大しているという条件でもわかりますように、アメリカが特殊な関心を持っている地域であることは明らかです。しかも、インド、パキスタンにしても、インドネシアにしても、これらがアメリカのアジア戦略について非常に重要な地位を占める国であるということは明らかだと思うんですね。私は、GNP一人三百ドル以下というようなことになっているけれども、三百ドル以下の国といえば、加盟国約百カ国の中にたくさんあると思うんですね。それがこういうような国に集中している理由は、いまおっしゃったような理由ではどうにも納得できない。特に最近では韓国などがやはりずっと融資がふえているようでありますが、その辺韓国などはどういう事情でもってふえているのか、その辺もあわせて御答弁いただきたい。
○政府委員(稲村光一君) いまの一人当たり三百ドル以下のGNPというのが、以下というのが一応の基準であると申し上げましたが、さらに、御指摘のとおり、それは何も東南アジアの国に限らず、アフリカ及び中南米にもあるかと思いますが、そういう国の中でも特にIDAの資金を必要といたしますのは、やはり一人当たりのGNPが低いところでございまして、そういうところを基準にいたしましてIDA当局として融資方針をつくっておるわけでございます。たとえば台湾について申し上げますと、これは一人当たりのGNPが二百七十ドル——六八年基準でございますが、したがいまして、いまの二百ドルの基準からいえばそこに入るわけでございますけれども、しかし、台湾はもう三百ドルに近くなっておるわけでございまして、これはすでに六二年でございますか、一ぺん出ただけで、その後全然IDA資金は出ておりません。韓国につきましては、一人当たりは百八十ドル、六八年の数字で申しますと。ここについては、三百ドルの中でまだ上のほうでないと申しますか、プロジェクトによってはIDAに融資対象となり得るものがあるということで、わずかでありますがやっておる。しかし、大部分は、先ほど申しましたとおり、インド、パキスタン、インドネシアというようなGNPの百ドル程度という、さらにGNPの一人当たりの額の低いところ、大体そのめどとしては人口に応じまして資金の融資を行なっておる、こういうことがIDAの融資方針であるというふうに了解しております。
○渡辺武君 初めは、人口がたくさんあって、そしてGNPが三百ドル以下というようなお話で、それじゃ人口が少ない韓国はどうなのかというと、やっぱり韓国にも融資条件があるというふうな御答弁で、御答弁がやっぱり矛盾していると思うんですね。その辺はまた平行線でございますという答弁があるかもわからぬので、その辺にとどめて、次に質問を移しますけれども、いまあげられたような国は、経済状況も非常によくないし、特に外貨事情が非常に困難な国がほとんどだろうと思うんですね。現に、先ほど午前中の御討議の中で出てきましたインドネシア、ここでは、国際的な再建国会議ができていて、いわば借金奴隷のような状態に落ち込んでいる。インドもそうだと思うんですね。ですから、そういう国に非常に条件のゆるやかな融資をIDAはやるわけですね。そうすると、しろうと考えで考えてみましても、返済できないような状況が起こったときどうするのだろうか、こんな条件のいい融資をやってどうするのだろうかという気がするんです。一体、返済条件などを、ただ単に十年据え置きで、次の十年間が一%で、次の三十年間が三%だというようなことでなくて、そういう返済を裏づけるためにいろんな条件がつけられているのじゃないかというふうに思いますけれども、その点はどんな条件がつけられているか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(稲村光一君) IDAが融資を決定いたします前には、先ほど申し上げましたとおり、IDAの事務局といたしまして慎重な調査をいたしまして、その中にはそのプロジェクトの有効性と申しますか、その国の経済の発展に対する有効なものということのほかに、むろんその国の今後の返済能力と申しますか、そういうものも当然勘案してきめるわけでございます。ただ、その場合に、何か担保と申しますか、そういうものをとっているかどうかと申しますと、これは、協定上、IDAが低開発国の政府以外に貸す場合につきましては政府保証をとり得るという規定がございますが、現在までのところ、IDAの融資は、全部借り入れ国政府が借り入れ人になっておりまして、したがいまして、そういう意味で政府保証というのは意味がございません。政府に対する貸し付けという形をとっております。したがいまして、政府の約束ということになると思います。 それから返済の問題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、据え置き期間十年でございますので、IDAが六一年にできましてからまだやっとそろそろ最初のものについて据え置き期間が過ぎるかという状態でございまして、むろんその返済が滞るというような事態は現在全然ございませんし、まあないのが当然でございますが、今後につきましても、いまのようにソフトな条件でございますから、したがって、その返済については心配はないというふうにIDAの当局としても判断をしておるようでございます。それから万一それでは返済がなかったらどうするかという点につきましては、これはIDAの協定の中に規定がございまして、若干さらに繰り延べをしてやるというようなことによりましてその国の今後の発展を期するということが可能である場合には、むろんその繰り延べをすることができるという規定がございます。まあこれは現実の問題としてそういうことはないと思いますが、非常に悪質と申しますか、そういうものがあれば、これはまあ一種のIDAに対する義務の不履行としてその資格停止処分というような規定もございますけれども、これは両様のあれがございますが、現実問題としては、ただいま申し上げましたとおり、まだ据え置き期間をやっと過ぎる国が出てくるかという程度でございまして、現実問題として返済ができなくてこれの焦げつく心配があるというような事例はございません。
○渡辺武君 インドやパキスタンにIDAが融資した場合のその借款協定ですね、これの詳細は日本政府にも届いておりますか。たとえばインドやパキスタンの港湾や鉄道に融資する場合に、どういうような協定で融資したかというようなことについて、そのほかの国についても、従来のIDAの融資の全部について報告が来ているわけですか。
○政府委員(稲村光一君) その協定はIDAと借り入れ国との協定でございまして、これはIDAのコンフィデンシャルな文書となっておりまして、当方には来ておりません。むろん、その審査の途中で理事会において議論が行なわれますから、したがいまして、日本の理事がその審査に参画するという機会はあるのでございます。
○渡辺武君 日本が世界銀行から最初に火力借款を受けた当時、一九五三年の十月の十六日付で外務省の情報文化局が発表したものでありますが、「火力借款の締結について」という文書がある。それを見てみますと、いまあなた御答弁になったような形式的なことじゃとてもものの真実というものはわからぬということがはっきりわかりますよ。もう時間が来たので、内容の詳しいことは申し上げませんけれども、これによりますとまず、日本の電力会社は電力の事業計画についてのすべての報告を世界銀行にやらなければならぬというようなことになっていますし、特に電力料金はこれを改定するというような約束まで取りつけられているし、それからさらに、これは日本開発銀行のことだろうと思うのですけれども、日本の銀行は世界銀行の融資した火力発電会社が事業をやる上において必要な資金は優先的に保証しなければならぬというようなことまで約定として取りかわされている。特に重要なことは、日本政府の財産がこの世界銀行から金を借りるにあたって担保として入っている。その日本政府の財産の中には、当然のことながら日本銀行が保有する財産も含まれるということが明らかになっている。また、こういう正式な発表された文書ではなくして、世界銀行の融資協定の一、二を内容を調べてみましたところが、その内容の中には、自己資本——資本構成ですね、これを改善するためにどうしろこうしろというようなきびしい条件もつけているし、労働組合の問題についても世界銀行が公然と関与しているというような事態がはっきりと出ているわけですね。また、日本政府は、この世界銀行融資の返済の条件を報告する意味でしょうけれども、日本の経済政策、特に外貨の事情ですね、これについて世界銀行に報告を求められたときには報告しなければならぬというような状況に置かれているわけですよ。だから、これは、いまあなたがおっしゃったような形式的な表面的な御答弁では、とうていIDAの本質を尽くさないと私は思います。先ほどあなたがおっしゃいましたように、IDAが世界銀行を補完するものとして機能している、そうして世界銀行の融資条件とほとんど同じように一本でやっているというようなことになったら、これは低開発国の援助なんというものじゃない。実質上世界の高度に発達した資本主義国、これがアメリカを中心として、集団的に経済的な後進国に経済的に介入をする、そうしてそこの経済を言ってみれば漸次支配していくというための機構にほかならないということが実に明らかだと思う。時間が来たのでこの辺でとどめておきますけれども、そういう機構に日本がこのたび増資をするということでありますが、これは日本政府が常々言っている相手国の経済を発展させることが主たる目的だというようなことは私はまっかな偽りだと思う。その点をはっきり申し上げて、私の質問を終わります。
○政府委員(藤田正明君) ただいまの渡辺委員のおっしゃいましたのは世界銀行の例でございまして、世界銀行ではコマーシャル・ベースにのっとっております。コマーシャル・ベースにのっとった場合は、相手方の融資先に対してある程度の条件をつけるのは当然であります。債権の確保のためにそれらのことは融資として私は常識的である。ただし、この第二世銀といわれますところのIDAに関しましては、そのようなコマーシャル・ベースではないのでありまして、ただいま言われたような例は世界銀行の例であります。その点の相違ははっきりいたしておると思います。
○松井誠君 ちょっと資料のことで伺いたいのですが、一昨日、四つの国の派遣された調査団の報告書を求めたのですけれども、もう一ついろいろな統計をお願いしまして、きのうからきょうにかけて大体の資料をいただきました。これについてこの次にいろいろとお尋ねしたいと思うのですが、そのときに、調査団の報告書の中で、ベトナムと韓国については公表をはばかる部分があるので、この点は要約をして提出をしたいというようなお話でしたけれども、実際にいただいた報告書は、韓国においては全文であるそうでありますが、南ベトナムについては全然ない。あのときの理解では、全然ないということではなかったと思うのですけれども、その点はどうなんですか。
○政府委員(沢木正男君) ベトナムに出しました政府派遣コミッションの報告につきましては、取りまとめましてその重要な部分について資料として提出する用意がございます。
○委員長(柴田栄君) 三案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十分散会 —————・—————