社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 232 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/05/18
会議録
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 徳永正利君が委員を辞任され、その補欠として金丸冨夫君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(林虎雄君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び児童手当法案を一括して議題といたします。 まず、両案の趣旨説明を政府から順次聴取いたします。内田厚生大臣。
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、まずその提案の理由を御説明申し上げます。 厚生年金保険は、一般勤労者の年金制度として、わが国公的年金の中核をなしており、昭和四十四年にいわゆる二万円年金の実現を目ざした大幅な給付改善がはかられたことは、すでに御承知のとおりであります。給付の改善については、従来は、五年ごとの財政再計算の際に行なうのを例としてきたのでありますが、最近における経済事情の推移、なかんずく物価の上昇にかんがみ、次期財政再計算期を待つことなく、今回、応急的に年金額を引き上げるなどの改正を行なおうとするものであります。以下、その内容について概略を御説明申し上げます。 第一は、年金額の引き上げについてであります。昭和四十四年の改正の基礎となった経済諸指標のうち、消費者物価の上昇を参照しつつ、おおむね一〇パーセント程度を引き上げようとするものであり、このため、年金額のうちの定額部分を一五パーセント引き上げることといたしております。また、障害年金及び遺族年金の最低保障額についても、現在の月額八千円を同様に一〇パーセント引き上げて月額八千八百円とすることとしております。 第二は、標準報酬区分の改定についてであります。近年における賃金の分布と動向に合わせて、現在一万円から十万円までの二十八等級でありますのを、一万円から十三万四千円までの三十三等級に改めようとするものであります。 第三は、女子に対する特例脱退手当金支給の期限の延長であります。女子の場合、被保険者期間が二年以上あれば年齢に制限なく脱退手当金が支給される特例措置が、本年五月三十一日までの期限で認められておりますが、これをさらに五年間延長しようとするものであります。 今回の改正案は、船員保険につきましてもその年金部門について厚生年金の改正に準じ、年金額の引き上げをはかるとともに、標準報酬等につきましても同様の改正を行なおうとするものであります。 なお、今回の年金額の引き上げは、現にその支給を受けている既裁定者の年金についても適用されるものであります。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、児童手当法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 御承知のように、児童手当制度はわが国社会保障制度の中でいまだ実現を見ていない唯一の制度であり、次代の社会をになう児童の育成の場である家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上をはかるためには、この制度の創設がかねてより懸案となっておりました。 特に、今後において老齢化が予測されるわが国の人口構成を考えますとき、将来の高齢化社会をささえていくこととなる児童の健全な育成と資質の向上をはかることは、わが国が将来にわたって活力にあふれた社会として発展を続けていくために、今日においてとるべき緊急の課題といわなければなりません。 政府といたしましては、このような観点からわが国の国情に即応した児童手当制度を実現いたすべく、鋭意検討を続けてまいりましたが、先般成案を得ましたので、この法律案を提出した次第であります。 以下、法律案の内容の概略について、御説明申し上げます。 第一に、児童手当は、満十八歳未満の三人以上の児童を養育している者に対して、義務教育終了前の第三子以降の児童一人につき、月額三千円を支給することとしております。ただし、児童を養育している者の前年の所得がおおむね二百万円以上であるときは支給しないこととしております。 第二に、児童手当の支給は市町村を通じて行なうこととし、児童手当の支給に要する費用は、被用者の児童については、事業主の拠出金十分の七、国庫負担十分の二、都道府県及び市町村負担十分の一をもって充て、農業従事者その他自営業者の児童については、国庫負担三分の二、都道府県及び市町村の負担合わせて三分の一をもって充てることといたしております。 なお、公務員及び公共企業体の職員に対する児童手当につきましては、国、地方公共団体または公共企業体が直接支給することとし、その費用は、それぞれ支給者において全額を負担することとしております。 第三に、本制度の実施につきましては、その円滑な発足を期するため段階的にこれを行なうこととして、当初は、とりあえず支給の対象となる児童の範囲を五歳未満の児童とし、昭和四十八年度からはこれを十歳未満の児童にまで引き上げ、昭和四十九年度からは義務教育終了前の児童に及ぼすこととしております。なお、昭和四十六年度においては明年一月分からその支給を開始することといたしております。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(林虎雄君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。 両案の審査は、本日はこの程度といたします。午後一時まで休憩をいたします。 午前十時二十八分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十三分開会
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 山下春江君が委員を辞任され、その補欠として村上春藏君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(林虎雄君) 労働問題に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○小柳勇君 春闘状態について質問いたします。 昨晩からテレビ、ラジオで徹宵情勢は報告しておりますが、なお問題は解決しないで、いま進行中のようでありますが、現在の現状について御報告を願います。
○政府委員(石黒拓爾君) 昨日夜、経営者側が社長会を開きまして、その後に経営者側から中労委に対しまして八千九百五十円の前年度の回答を必ずしも下回らなくてもいいというような言い方の案が出ました。その後、進展ございませず、たびたび事情聴取が行なわれ、あっせんが行なわれ、それから五時四十分からは自主交渉も三十分ほど行なわれましたけれども、これも成果なく終わりまして、朝、一応中断いたしましたが、先ほど再開いたしまして、なおあっせん続行中である、ただし、まだ進展はないという報告を受けております。
○小柳勇君 私鉄の金額、いま示されました金額は昨年並みであるということで妥結をしていないのですが、いまの見通しなど、わかりませんか。
○政府委員(石黒拓爾君) 労使の態度が非常にかとうございまして、ほとんど歩み寄りの形跡ございませんので、見通しは現在のところ残念ながらつけにくうございます。
○小柳勇君 公労協関係の調停なり、あるいは仲裁の空気はいかがですか。
○政府委員(石黒拓爾君) 公労協のほうは、去る四月三十日から五月の五日にかけまして、ほとんどの組合が調停申請をし、最後に残りました国鉄関係も先日調停申請をして、現在、公企体関係のすべての組合が調停を申請をし、調停継続中でございまして、事情聴取も引き続き行なわれまして、たいていの労使が二回ずつ行なわれましたが、国鉄関係は昨日一回目が行なわれたということでございます。二十日を控えまして、その前に何とか片づけたいということで、公労委としては調停委員会の合同会議等も開き、問題を煮詰めるべく努力をしておるというふうに承知しております。
○小柳勇君 最後に、大臣に質問いたします。 この前も、ここで質問いたしましたように、あるいは意見を述べましたように、私鉄の争議も、国鉄の争議も、国民の足をとめる紛争であります。したがって、これは一日も早く解決しなきゃならぬ。でき得れば、国民の足を奪わないで解決しなければならぬので、私鉄関係で心配いたしますのは、運賃値上げなどがちらちら巷間にうわさされておりまして、運賃値上げをするためには、国民が一回か二回ぐらいストライキもがまんしてもらわなければならぬ、世間に申しわけが立たないというような、もしそういう空気でもあったら、これはまことにけしからぬと思います。経済情勢についてはいろいろ私ども調べておりますけれども、とにかく一日も早く紛争が解決するように、公労協のほう、特に国労や動労は十九日から二十日に関東の拠点で実力行使を打って早期解決をはかろうとしております。これが汽車がとまりますと、汽車も電車もということになってしまいまして、たいへんな国民の足の混乱が生ずると思います。でき得れば――でき得ればでありません。絶対にそういうような事態が起こりませんように、政府として、この際乗り出して早く問題を解決しなきゃならぬ。私鉄といえども、やはりこの政府の考えが相当影響すると思います。経営者だけの責任ではないと思います。特に公労協に至りましては、政府が資金を裏づけしませんと、経営者だけでは問題解決できないと思います。そういう面で、公労委に対するいろいろの指導なりあるいは中労委に対する指導なり、政府がやるべき任務はたくさんあると思いますから、労働大臣として、政府として、この紛争解決のためにどのように努力されるか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) まず私鉄でございますが、去る十四日の私鉄ストにおいては約千七百万といわれております。また本日のストにおいては二千三百万という多くの市民の足が奪われたということで、その影響はまことに甚大でございます。したがいまして、中労委のあっせんにわれわれは期待をしておるわけですが、その公共に及ぼす影響などを経営者もあるいは労働組合の側もよく理解しておると思うのでありますが、そういう深刻な事態を二度にわたってやったと、これ以上このストがまたこれからも起こるというふうな事態は絶対に避けたいと思います。そういう点で、私どもは、精力的な中労委のあっせんに大いに期待をしておるのでありますが、政府側も、そうしたあっせんについて、あっせんに期待をすると同時に、その良識ある解決のために労使双方が円満な解決をぜひともやっていただきたいというふうに望んでおるわけでございます。 なお、公労委の問題につきましては、ただいまお話もございましたとおり、公労委の調停によって、いろいろな事情が十分に調査をされておるようでございます。したがって、公労協の関係におきましては、私鉄スト等とダブるようなことがあっては絶対うまくないと思うんで、そういう面において、これまた良識ある解決の方途を講じてまいりたい。公労委の調停あっせんが出た際においては、当然政府側はそれを尊重いたしまして、あらゆる対策を講じてまいるということかと存じますが、いまは公労委のあっせんに期待をし、労使双方が良識をもって円満に解決されることを切望するという段階でございます。その努力をこれからも続けてまいる考えでございます。
○小柳勇君 昨日夕べ、政府は、公企体関係の経営者の代表を政府側にお呼びになったようでありますが、そのいきさつなり、その話の内容について、この委員会で漏らせるものがあったら御報告を願いたいと思うのであります。
○政府委員(石黒拓爾君) 昨日夕べ、公企体関係の代表者を政府が呼んだというのは、少なくとも労働省としては関知しておりません。承知しておりません。
○小柳勇君 政府のほうから呼ばれたと聞いておりますが、まだ経営者側に聞いておりませんので、私どもが組合側から聞いただけでありますから、いま労働省として関知しておらなければ、他の省から呼ぶわけはありませんから、詳細また別の方法で調査いたします。 重ねて申し上げますが、一日も早く紛争を解決しますように、特に公企体に対する政府の資金の裏づけ問題など、ひとつなるべく早く結論を出して、紛争を解決してもらうように要望いたしまして質問を終わります。
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。 ―――――――――――――
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。 山本杉君が委員を辞任され、その補欠として堀本宜実君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(林虎雄君) 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案を議題といたします。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○小野明君 この法案につきまして、まず立法の経過につきまして疑点がありますので、お尋ねをいたしておきたいと思います。 立法化するにあたりまして、大臣の私的な諮問機関であります失業対策問題調査研究会、こういうものを設置をいたしまして、そして実行内容について、中間報告で結果を発表しておる。そのことがこの法案の中身になっておるわけですが、このように重要な法律案の作成の土台を大臣の私的な諮問機関にゆだねる、この辺に何か他に意図があるかの印象を受けるわけです。この点についてはいかがですか。
○政府委員(住榮作君) 御承知のように、現在の雇用失業情勢、非常に変化を来たしております。今後もますます変わっていくと考えられるのでございますが、労働省としまして、今後の失業対策制度のあり方について根本的に検討する必要があるというように考えたわけでございます。しかしながら、この問題の重要性にかんがみまして、そういう労働省の考え方をまとめるにあたりまして、特にこういった問題に造詣の深い学識経験のある方々を研究委員に御委嘱を申し上げて、客観的、専門的な立場から御意見をまとめていただきたい、こういうようにお願いをしたわけでございます。 で、昨年の十二月に報告書も出されましたので、私ども、その報告書に盛られております考え方をもとにいたしまして、今後の失業対策についての基本構想をまとめたような経過になっております。しかしながら、御指摘のように、この基本構想は、あくまでも労働省の責任においてまとめたものでございまして、そういう労働省の考え方に対して雇用審議会の御意見を承るということで、雇用審議会には労働大臣から諮問を申し上げ、そうして、その労働省の考え方に対する御意見を承ったわけでございます。同時にまた中央職業安定審議会にもそういった労働省の考え方を御報告申し上げまして、中央職業安定審議会からも建議をいただいております。私ども、そういった正式の手続によります御意見を十分参考といたしまして、その意見を尊重しながらこの法案をまとめて、今回国会に御提案をいたしたような次第でございます。
○小野明君 雇用審議会、それから職安の審議会、これはまあ当然のとるべき措置でありますから、それはいいのです。ただ、その構想の骨子となるものが事前にこの研究会によってまとめられておる。これは三十八年の職安法、緊急失対法の改正の際も同様のことをおやりになっているようですね。ですから、この辺に何か政治的な意図というものが感じられるわけです。特にこの研究会のメンバーを見ますと、政府関係の方は別として、民間人といいますか、江幡さんあるいは武山さん、近藤さん、舟橋さん、こういう民間人を起用している。いわば大臣の私的な諮問機関ということがきわめて明確に出ている。同時に、御承知のように、三十六年の四月の十二日、行政管理庁行政管理局長から、研究会など大臣の私的機関に法律改正をするような諮問はしてはいけない、こういう行為はつつしむべきである、こういう通達も出ているわけですが、これとの関連あるいは内容、そのメンバーとの関連については、どのようにお考えであるか、お尋ねをいたします。
○政府委員(住榮作君) いま申し上げましたように、労働省の考え方をまとめるにあたりまして、問題の重要性にかんがみまして、ただいま先生おっしゃいましたような方々を含めまして、七名の学識者に対しまして、今後の失業対策を考えていく場合に、どう考えたらいいだろうかというようなことで、個々の方々に私的に御意見を聞いたわけでありまして、あらかじめ案を持って労働省の考え方を諮問するというようなことではなくて、それぞれの立場で今後の失業対策についての考え方についていろいろ御検討を願ったわけでございます。個々の先生方には、それぞれ個人的に研究を御委嘱を申し上げたわけでございまして、世上、便宜、失業対策問題研究委員会と称しておりますけれども、それはいわば俗称のような意味合いでございまして、私ども、個々の先生方のグループとしてのいろいろな御意見を労働大臣の立場から聞いた、こういうことでございますので、いわゆるその審議会に諮問する、こういう性格のものとは違うものと考えておるわけでございます。なお、政治的な意図があるのではないかというような御指摘でございましたけれども、先ほどから申し上げておりますように、非常に重要な問題である。労働省としても、あくまでも今後の情勢の見通しの上に立って客観的に対策を立てる、その場合のあくまでも参考とするために御意見をお伺いした、こういうように考えておる次第でございます。
○小野明君 その辺は御答弁をいただきましても、どうも私の疑点はぬぐうことができません。 しかし、次に進行をいたしますが、現在、労働力の不足が深刻になってまいっておる、なお、十九万余の失対事業に就労しておる人がおる、こういうふうに言われております。こういった人たちが固定化し、高齢化しておるというのは、労働省の言うとおりだと思います。しかし、これの要因をつくったのは一体どこであるのか、固定化し高齢化するような要因をこしらえたのは、やはり政府にあるのではないか、このように考えるわけであります。これは緊急失対法、職安法の三十八年の法改正がこういう状況をつくり出したと思うのですが、一方で政府が中高年の雇用対策をおくらせてきておる、こういうふうに私は思うわけですが、結局、原因は政府がこしらえた、そしてこういう状況になったので一方的にこういうものをこういう法律案によって措置しようとしている、こういうことを私は申し上げたいわけです。この辺についての御見解はいかがですか。
○政府委員(住榮作君) 現在、失対事業就労者の平場年齢は昨年の九月で五七・六歳、それから失対事業の就労者としての期間が平均約十三年、こういうことで、いわゆる就労者の老齢化、固定化という現象が年を追うに従いまして高まってきております。この原因、いろいろあると思うわけでございますが、一つには、現在、従来からの失対事業の就労者で、雇用失業情勢が好転してまいりました関係もございまして、比較的年齢の若い層とかあるいは体力のある方々が民間に就職をされる、その結果といたしまして、比較的年齢の高い方とかあるいは体力なり、健康なりが必ずしも十分でない方々が依然として失対事業に依存せざるを得ない、こういうような状態になってきたのがその大きな原因でなかろうかというように考えております。
○小野明君 結局、政府がいままで中高年の雇用対策というものをサボってきた、そこで急激にこういった法律案をこしらえて方向転換させよう、こういうふうにしている。これを私は申し上げたいのですが、現在でも中高年の雇用の状況というものは非常に困難をきわめておると思います。現在の中高年の雇用状況についてひとつ簡略に説明をいただきたいと思う。
○政府委員(住榮作君) 御指摘のように、現在の雇用情勢のもとにおいて、一般的には労働力の逼迫基調は続いておるのでございますが、年齢が高くなるにつれまして就職がなお容易でない、これは事実でございます。たとえば職業安定所の統計を見ましても、五十歳までは要するに求職倍率が一を下回っておるという状況でございますけれども、五十歳以上になりますと求職者のほうが多くて求人が少ない、こういうことで、年齢が高くなるにつれてその傾向が顕著になっておるというのは事実でございます。
○小野明君 それで、おっしゃるように、業務統計を見ますと、五十一から五十五歳は〇・五八である、五十六歳以上では〇・一七と、非常に求人倍率というものが落ちておりますね。この実態から、私は、あえて新しい立法によって中高年齢者の雇用を促進する、こういうことでなくても、従来の雇用対策法とかあるいは職業安定法、この中に中高年齢の雇用促進対策というものはうたわれておるわけですね、入っておる。従来からの法律があるにもかかわらず、新しいこの法律案をつくってこなければならなかったという積極的な理由というのは、一体何であるのか、あらためてひとつ説明を伺いたい。
○政府委員(住榮作君) 中高年齢者の雇用の促進につきまして、ただいま御指摘のように、職業安定法とかあるいは雇用対策法の中に、たとえば職業転換給付金の制度とかあるいは就職促進の措置の制度が規定されております。それで足りるではないかというようなことですが、そうではなくて、今後の雇用失業情勢を考えてみますときに、一番大きな問題になるのは、やはり中高年の雇用をどう促進していくかということであろうかと思います。したがいまして、今後の雇用失業対策というものは、やはり中高年齢層に重点を置いて考えていかなければならない、そういうことで職業安定法あるいは雇用対策法というような一般法の規定の中ではなくて、中高年齢者の雇用促進という観点から、従来の考え方を取り入れるとともに、新しいたとえば求職手帳制度とか、あるいは特定地域の考え方その他をこの法案に一本化いたしまして、今後の中高年に対する雇用促進対策を総合的に進めていく必要があろう、こういう考え方から、従来の対策をさらに充実しますとともに、新しい考え方も取り入れまして、この特別措置法案を御提案いたしておるような次第でございます。
○小野明君 それで、新しい措置というのは求職手帳とか、雇用率の設定というような問題であろうと思いますが、民間企業に雇用率を設定しよう、こういうふうにされておるわけですが、この設定の方法ですね、あるいは中高年齢者に対する職種の問題、あるいは雇用率を守らせるような指導方法、こういうものが問題であろうかと思います。この辺についてどのように指導をされようとしておるのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(住榮作君) この法律の目的にも書いてございますように、この法案の大きなねらいは、中高年齢者がその能力に適合した職業につくことを促進するということでございます。そこで、その雇用率でございますが、中高年齢者についてその能力に適合した職種というものが何であるか、こういうことをきめまして、その職種について、たとえば六〇%以上が中高年齢者が雇用されていなければならない、こういうことで雇用率というものを設定していく。現在、官公庁において、閣議の申し合わせによりまして、雇用率を設定しておりますが、それは二、三例をあげてみますと、たとえば自動車の配車だとか、製本のとじ工とか、あるいは小使さん、清掃作業員、そういうような職種につきましては、たとえば百分の九十五以上は中高年齢者でなければならない、それからたとえば倉庫作業員とか、整理工とか、洗車作業員というような職種においては百分の八十五であるとか、あるいは料金の徴収係とか、飼育係とか、自動者の運転手等につきましては百分の六十五、あるいは郵政関係の外務職とか、そういった職種については百分の六十とか、そういうように職種の実態に応じまして、それぞれの率を設定していく。現在、官公庁で雇用率をきめております職種は三十四職種になっております。この法律が通過しますならば、民間にもこういった方法で雇用率を設定していく、こういうことにいたしたいと考えておるわけでございます。そこで、その雇用率を実効あらしめるための方策でございますが、この法案では、あくまでも雇用率そのものは努力義務として規定しております。強制的な規定にはなっておりません。そういうようなことで、事業主の方々が進んで中高年齢者を雇い入れるような体制をつくる必要がある、こういう観点から、たとえばこの法案の十条に書いてございますように、職場適応訓練に関する給付金等については、事業主に対して特に配慮をいたしまして、一般の場合よりも高い給付金を払うとか、あるいはいろいろ融資等についても特別な配慮を加えるということで、できるだけ事業主が中高年齢者を雇い入れやすくするような条件整備につとめていく、こういうことがこの法案でも書かれているわけでありますが、同時に、労働大臣からも事業主に対しまして、中高年齢者の雇い入れについて要請ができるような規定も置いてございまして、そういうようなことをあわせまして中高年齢者の雇用を促進していきたいというように考えておるわけでございます。
○小野明君 そこで、大臣、どうでしょうかね、いま局長が言われますように、まあ社会的な一つの努力規定というようなことで企業が雇用率を守るような結果が予測できますか。この点については、さらに強力な指導方法というものが考えられてしかるべきではないかと思います。求人倍率も非常に低いですからね、この点はどうでしょう。
○国務大臣(野原正勝君) 身障者の雇用率を決定いたしまして官庁にも民間にもお願いしておるわけでございますが、意外にこれが非常に効果的でございまして、いまやすでにほとんどの企業で達成されようとしております。したがって、身体障害者の雇用率の設定等の問題に比べてみますと、やはり中高年齢者に対する雇用率の問題は、行政さえ十分に御理解願えるようにするならば、意外ないい結果が生まれてくるのではないかというふうに期待をしているわけでございます。
○小野明君 それから、次の質問に入りますが、中高年齢者の定義というものが、従来の対策としては三十五から六十五であった、これでは四十五から六十五になっておるようです。その年齢範囲が狭められてまいっております。そこでお尋ねをするわけですが、六十五歳以上の者については一体どのような措置を行なわれようとするのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(住榮作君) この法案の対象となる中高年齢失業者、御指摘のように、労働省令で定める、こういうことにいたしております。私ども、この範囲を定めるにあたっては、関係審議会の意見を聞いて省令をきめるというように考えておりますが、現在のところ四十五歳以上六十五歳、こういうように考えておるわけでございますが、そこで、六十五歳以上の方々につきましても、ほんとうに働く意思、能力がある、これはもう当然一般的に安定所においてもそういう方々の職業紹介、再就職ということに力を尽くすべきであることはもちろんでございますが、そのためには、従来もやっております、たとえば人材銀行等でいろいろお世話を見ておりますが、こういった施設をふやしていくとか、あるいは人材銀行をつくってないところでは安定所に高齢者コーナー等を設けまして職業紹介、再就職のあっせんにつとめてまいりたいと思っております。と同時に厚生省等にも、社会福祉協議会がそういう高齢者の方々の職業紹介をされる場合――これは無料でやっていただいておりますが、そういうことをされる場合には積極的に許可をし、積極的な活動をしてまいられるような体制を組むと同時に、雇用対策法に基づきます職業転換給付金制度等をも十分活用いたしまして努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○小野明君 次に、定年制の問題についてお尋ねをしたいと思います。いま、ほとんどの企業が五十五歳で定年制をとっておるようですね。労働省として、定年による退職後の生活実態あるいは再就職の際の労働条件、これらについて調査をしたことがおありですか。
○説明員(森山眞弓君) 労働省におきましても、昭和三十九年度及び昭和四十二年度に雇用管理調査、定年到達者調査などによりまして、定年到達者及び企業における定年制などについての実態を調査いたしております。また、昭和四十五年度におきましても調査を行ないまして、目下集計中でございます。
○小野明君 その内容について、四十二年というと、かなり前のものになりますね。要点をひとつ説明をしていただきたいと思います。
○説明員(森山眞弓君) 定年の状況につきまして、いま申し上げました調査によりまして簡単に御説明申し上げますと、定年到達者のうち七四%の者は再び雇用者として働いておりますし、自営業についております者は八%、無職でおります者が一八%という状況でございます。 それから、これら就業している者及び無職の者のうち就業したいと望んでいる者につきまして、その理由を調べてみますと、働かないと生活に困るからという理由をあげております者が七三%ございまして、家族の状況、すなわち扶養家族が一・八人、あるいは在学生を持っている者が四七%あるというようなことから考えますと、その希望の理由も当然のことだと考えられるわけでございます。
○小野明君 これは大体同じような傾向が出ていると思いますが、七一年の四月二十六日に総評で調査をしたものがございます。これはごらんになっていますね。
○説明員(森山眞弓君) はい。
○小野明君 この定年退職者の生活実態調査、これによりますと、定年退職者の九割が定年延長を希望しておる、九割が。これは生活苦である。それから、その内容等については、二十年以上勤続で退職金が二百五十万円以下の者が半数である。それから再就職をしても賃金は定年退職時の半分以下が六〇%、で、逆に重労働になっておる。それから戦争などの理由で婚期がおくれて定年後もなお扶養家族をかかえている者が三三%、こういう結果が出ておるわけですね。ですから、定年退職後の生活というのは非常に窮迫化しておる、こういうことが言えると思います。また労働条件も賃金に比べて非常に酷である、こういうことが言えると思います。さらに総評の調査でも出ておりますけれども、中高年齢者は、大なり小なり戦争犠牲者がおるわけですね。定年で企業に再就職した者の三三%のものが戦争で婚期がおくれて扶養家族をかかえておる。これは失対の従事者についても同様であります。しかも再就職した者の六〇%が、先ほど申し上げたように、定年退職時の賃金の半分以下、こういった実態でありますが、これらの人が安心して生活ができるようにするのが労働行政、指導でなければならぬと、こう思いますが、この実態に立ってどのようにお考えであるのか。これは課長さんというようも、局長がおられぬようですから、大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 定年制の問題をちょっと申し上げますが、実は、かねがねこの問題が話題になっておりまして、昨年の九月でございますが、私どものやっております労働懇話会におきまして、資本家側あるいは労働者委員、中立委員の方全員で実はその問題で協議をいたしました。たまたま話がまことに一致して、定年制はもう延長すべきだ、人間の寿命がこれ以上伸びたからには過去の五十五歳定年というふうなことはナンセンスである、したがって、これはできるだけ早く定年制の延長をはかって、年齢が伸びた以上は、もっと大いに働いてもらおうじゃないかということが話題になったわけでございます。その際に起きました問題は、どうもいままでの日本の賃金体系というのは年功序列賃金で、年をとるに従ってどうも賃金が高くなる。ちょうど五十五歳の定年というふうなことになりますと、そのころが一番高くなっておるときでありまして、それがそのまま延長されたのじゃ、どうも妙なことになる。実は能力はいくらか下がる段階でございますが、賃金のほうはべらぼうに高くなるので、この矛盾を何とかしなければ、どうも定年制ばかり延長しても困ったことになるのじゃないかというふうなことで、そういったことも含めて、どういう方向にしたら一番いいのか、ひとつ十分検討をしようじゃないかという話がございました。そういう問題も含めてこれから定年制の問題を十分に検討しようということで作業を始めたわけでございます。
○小野明君 それは九月十七日に産業労働懇話会が、延長をやろう、内容はいま大臣の言われたとおり。しかし、いまの大臣の答弁は労働大臣の答弁ではなくて、産業労働懇話会の代表の答弁ですよね、大臣はそうお考えになりませんか。私がお尋ねしておるのは、それほどひどい賃金にある、あるいは戦争犠牲者もいる、労働条件は悪い。しかも物価は、政府の目標をいつも上回って十年間五・五%も上がっている。ことしは七・七ですか、政府の約束というものは全く守られていない。こういう中で定年後の国民の暮らしというものはますます追い詰められていく。こういう実態を踏まえて、私は、この定年後の生活は、一体労働省としてはどうお考えであるのかと、こう尋ねておるわけです。ですから、その辺の定年制の問題についてどうお考えであるのか、もっと労働大臣の立場でひとつ、企業の代表ではなくて、お答えをいただきたい。
○国務大臣(野原正勝君) いや、別に企業の代表のつもりではございませんで、私はあくまでも労働大臣のつもりでございます。ただそのときのお話が、たまたま御出席の方々が異口同音に言われましたことは、そういった理解のしかたでございまして、やはりこれからは定年制をもっと延ばすべきじゃないかという主張、同時に非常に障害になっている問題は、年功序列などを何とか考えなければならぬじゃないかというふうな意見があったことを率直に申し上げただけでございます。まさしく日本経済というものは非常な成長もし、発展もしてきたわけでございますが、まあ物価も上がりました。しかし、同時に賃金も上がっております。物価を上回るほどの賃金でございますから、その意味においては均衡のとれた上昇とも言えるわけでございますが、これからもある程度物価も上がるだろうが、賃金のほうがより一そう上昇する機運にあるわけでございます。そういった面で、社会保障もきわめて重大でございますから、社会保障制度の拡充強化を望むものでございますが、同時にまた労働力が非常に不足の現象を生じたと、労働力不足時代でございますから、そういった意味においては、まだ働く意思を持ち、十分体力もある、能力もあるという者が非常に多く、もっと働きたいという願望があるならば、その方々にも進んでわが国の経済成長に一そう御協力を願いたいということで、定年制の問題をあらためて検討する段階にきたというふうに考えておるわけでございます。
○小野明君 衆議院では大臣はもう少しはっきりした答弁をなさっておると私は思っておりますが、物価が上がって、それよりも賃金は上がっておる、ある面はそういうことが言えるかもしれません。しかし私が申し上げておるのは、六〇%は企業に働いておったときの賃金の半分以下である――定年後のことを申し上げておるわけですよ、この労働者のことを。そういう実態を私は申し上げておるので、一向に上がらないわけですよ、この人たちは。おまけに会社によっては女の人には若年定年制、結婚定年制というようなものもあるやに聞いております。これ実際あるわけです。こういう職場から追い出されておるのですが、こういう実態にあるんですが、この実態を踏まえて定年制の延長ということについて、大臣はもう少し明確な答弁をしてもらわなければ困るのです。どうお考えなんですか。
○国務大臣(野原正勝君) たしか衆議院では、私、五十五歳の定年をせめて六十ぐらいまでは延ばしたいものだというようなことを申した記憶がございます。同時にまた定年制の延長によって、得る所得が急激に非常に低くていいというように考えておりませんで、この能力に応じて賃金は支払われるものであると思いいますけれども、やはり多年の職業の経験等を生かすならば、これは相当定年を過ぎた方々でも、生活のためにある程度十分な所得を得る道が与えられるというふうに考えているわけでございます。その点は、まだ必ずしも十分検討はできておりませんが、定年後の処遇につきましても、できるだけひとつ適正な生活を持ち得るような条件を与えられるべきものであるというふうに考えております。
○小野明君 そうすると、大臣の衆議院での答弁、六十歳くらいまでに定年を延長すべきである、この御答弁は、御趣旨はいまも変わっておられぬわけですね、どうですか。
○国務大臣(野原正勝君) その考え方は変わっておりません。
○小野明君 そういう御答弁を衆議院でなさり、現在もそういうお考えであるとすれば、定年をさらに五年引き延ばすための指導というのは、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(野原正勝君) 指導というとどうかしれませんが、やはりこのことは、あらゆる関係者の方々に事の事情をよく御理解いただくということが大事でございましょう。同時にまた定年後の方々が自主的にいままでの就職しておったところ以外に、まあ経験を生かしあるいは第二の意欲を持ってやっていこうという場合には、おそらく職業訓練も必要であるかもしれません。そういった面で、働く人たちのお気持ちを十分に尊重して、できるだけその人に応じた適当な職を与える、いままでやっておった仕事をそのまま継続ではなく――そういった方もあるかもしれませんが、おそらくは別な仕事をしてみたいという方もおありだろうと思う。そういう面で、やはり時には職業訓練等も大いに行なう必要があるというふうに考えております。
○小野明君 まあ、大臣のいまの御答弁を聞きますと、それは演説をしただけだ、中身は転職をする入もあるだろうし、職業訓練もやりゃあいいじゃないか、この程度ですね。しかし大臣ね、六十歳までに延長をすべきである、こういうふうに言われた以上は、やはりそれに伴う努力といいますかね、指導はいかなる指導をするのかという具体的な方法がなければいかぬ。それは労政局長がその大臣の答弁を受けて、定年延長の具体的な措置をきめるのがほんとうでしょうがね。大臣は、そう言われた以上は、労政局長にやはりおまえきちっとやれと、どういう具体化をするかということでやらしてもらわなければいかぬです。いいかげんな答弁をしてもらっちゃ困る、国会で。やはり延長するなら延長する、こういうふうな具体的な措置をとる、こういうふうにしてもらわないと、いいかげんなアドバルーンをぽんと上げただけで、あとはもうどうかなろうというようなことでは困りますね、大臣、どうですか。その辺でさらに定年制延長のための具体的な措置というものをおやりになるお気持ちがありますか。
○国務大臣(野原正勝君) 定年制の延長は、これはもう国の方針として命令をするわけでもないし、やはり当面のわが国の労働力不足という現象から生じた労使双方の必要に応じてお互いが理解をし、協力して話し合いでもってそういう機運が醸成されて、お互い納得づくで定年制の延長ができるわけでございます。したがって、その場合においては、定年制の延長がどういう形になるか、あくまでもそれは自主的な話し合いできまっていくと、政府が積極的に命令するとか、法律でどうこうするというふうな事項ではなかろうと、大いにその必要性については理解のある――理解を求めるような対策は、当然これはやりますけれども、労使双方ともそのことに対する深い理解の上にそうした機運はでき、お互いにひとつ進んで定年制を変えて、実現していこうという機運になれば、それがだんだんと定年制の延長につながっていくということになるわけでございます。そういう面で、大いにこれからそういった機運を醸成していくような努力をいたしたいというふうに考えております。
○藤原道子君 関連。私も、昨年の十二月から病気でずっと休んでおりましたので、おとなしく聞いているつもりでいたんですけれども、がまんができない。私、昨年も一昨年も定年制の延長については御質問申し上げた。そのときの答弁といまの答弁と同じようなんです。大臣が、もし六十歳まで定年の延長が必要であるということになれば、はっきりした方針で指導に当られてしかるべきじゃないかと思う。もともと労働省が発足したのは、労働者のサービス機関としてできたはずなんです。ところが、いつの間にやら資本家べったりのような感じを一般に与えている。非常に私は残念でございます。もし六十歳まで定年制延長ということが正しいとお考えになりましたら、そういう方針をはっきり打ち出して指導に当られるべきじゃないか。 それからもう一つは、まあお役人は天下り機関というのがけっこうある。ところが労働者にはこれがないんですよ、大臣。しかも二十年以上つとめていても退職金はわずかに二百五十万円。こういう高度経済成長の基本となってきて、これをささえてきた労働者が――平均年齢は六十九歳ですか、それが五十五歳でやめさせられて、それでもって社会保険はも六十にならなきゃ厚生年金だって始まらないんでしょう。一体どうして暮らしていくんですか。さっき大臣は、物価が上がってもそれを上回るだけの賃金がベースアップされている、こういうお話であった。冗談じゃないです。すべての物価をひっくるめて七%なら七%の値上がりなんです。ところが生活と切り離すことのできない物価は、一体どれだけ上がっているか。食糧はどうなるか、これは食わなくちゃ生きられない。労働者は、自動車だとか電気器具はなくたって済む。それまでひっくるめての物価の値上がりでしょう。もし間違ってたら指摘してください。社会保障がはっきりできておる諸外国だって、五十五歳定年というところはどれだけございますか。私は勉強不足ですから教えてください。首を切られた者は一体どうやって生きていけとおっしゃるのか。それで、再就職すればいままでの月給が半分ぐらい、しかも重労働になる。こういうことに対して、労働者の立場を尊重しなから生きる道を考え出して、そして厚生省が社会保障に――全くこれもだらしがないのですけれども、そういうときは労働省がむしろこれにハッパをかけてしかるべきではないかと思うのですが、あまりやると苦しくなるからこの程度でやめますけれども、大臣のしっかりしたお考えを聞かしてください。労働者のサービス機関として労働省は発足したものと、私は当時も議員をしておりましたが、そういうふうに理解しておるのですけれども、大臣はどのようにお考えですか。このごろの答弁聞いていると、資本家べったりの答弁ばかり聞くのでむかむかして……。失礼いたしました。
○国務大臣(野原正勝君) どうもまことに遺憾でございます。私は、何も資本家べったりではございません。もうことごとく勤労者のために何とかしてあげたいということでやっておるわけでございますから、その面は誤解のないようにお願いしたいと思います。同時にまた、私個人として、定年制は延ばすべきものだと、大方の方々の御意見がございますから、六十くらいがまずいいところかなと、私が個人として考えているのを申し上げただけでありまして、いろいろな方々の御意見が必ずしも全部六十歳までいいと、まだきまったわけではございません。しかし、あえて言えというから六十歳くらいを自分としてはいいんじゃないかと考えていると申し上げたわけでございますから、この辺もおそらくいろいろな機関を通じまして御検討いただいて結論が出ると思います。その結論を待っていかなければならぬわけでございますが、とにかく定年制の延長は、これは当然やらなければならぬ必然的な問題として、これからも真剣に考えたい。同時にまた、御指摘のように、定年後の方々が非常に所得が下がるという面は、その所得の激変を来たすようなことは困るわけでございますので、少なくとも働いていただく限りは、十分とは言えなくても、定年後の方々でも相当の所得があると、この所得の保障も考えなければならないと考えますが、それはやはり労使の話し合いで、その人の能力に応じて適正な賃金が与えられるものというふうに考えます。決してこれは資本家側にべったりの議論でもなんでもございませんので、やはり働く人たちの立場を十分に尊重するたてまえで、あくまでも労働省は勤労者の立場を代弁する、主張するという立場においてこれからもやってまいるという考えでございます。
○小野明君 ことばじりをとるようでたいへん悪いんですが、個人としては六十くらいが適当だと思うと、そういうふうにおっしゃるのですけれども、いまこの場でも六十歳くらいが適当だと思うと、個人と大臣とこれは切り離せないんです、これは大臣答弁ですからね。きちっとやっぱりいまわれわれが言うような努力、それをしてもらいたいと思います。おっしゃるまでもなく、労使できめなきゃならぬ問題も多いと思います。その上に立って指導という立場があるわけですからね、その辺でひとつ熱心にやってもらいたい。誠実に実のある措置をやってもらいたいと思う。労政課長いいですか、局長にもちゃんと言っておいてもらいたい。 それから、時間がありませんから進めますが、この目的、この法案に即してお尋ねしますが、第一条を見ると、中高年齢者、失対事業従事者も含めて「能力に適合した職業につくことを促進するための特別の措置を講ずることにより、その職業の安定を図る」、こういうようにあります。これはもちろんこの前提に憲法でいう労働者の職業選択の自由、これを保障する、それをやりながら安定雇用につける、また失業者の生活の安定をはかる、こういう意味である、こういうふうに考えてよろしいですか。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおりでございます。
○小野明君 法案の十二条二項に「誠実かつ熱心に就職活動を行なう意欲を有すると認められる」者、これに求職手帳を発給することになっている。ところが、現在就労している人も含めまして「誠実かつ熱心に就職活動」、これをやらないからということで、これは職安の職員の恣意、個人的な考え方、判断によって、感情的なものによって処理されては、求職者はたまったもんじゃない。私も、これらについては、現在就労している人たちについても非常な不安があります。トラブルが非常にある点なんです。これについては、客観的なやはり基準というものが必要ではないだろうか、こう考えるわけです。この「誠実かつ熱心」というような抽象的な表現がありますために、非常に問題のところがある。この点は、局長はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(住榮作君) これは手帳を発給する場合に、安定所長が、こういう要件に合致するかどうか、こういうことを見て手帳を発給するわけでございます。 そこで、御指摘のように、安定所長の主観的な判断によってやる、こういうことは避けなければならないことであります。申請者の求職活動の事実等に基づいて客観的に判断していくべきであろうと考えております。そこで、具体的には、たとえば安定所から出頭を命ぜられたにもかかわらず、正当な理由なくして出頭しなかった、あるいは安定所からいろいろな職業紹介とか職業指導を行ないますけれども、そういう場合に、正当な理由なく断わる、こういうような客観的な明白な事実に基づいて判断すべきであると考えております。 そこで、そういう客観的な基準につきましては、私ども、中央職業安定審議会等の意見も聞いた上でそういう基準をつくりまして、安定所長が主観的判断によってこの要件の認定を行なうことのないようにいたしてまいりたいと考えております。
○小野明君 特に局長、戒めてもらいたいのは、局長なり職員の主観的な判断が――人間ですから感情も入りましょうが、そういうものが入らないように、厳重にひとつこの点は処置をしてもらいたいと思います。よろしいですか。
○政府委員(住榮作君) そのようにいたしてまいりたいと考えております。
○小野明君 それから、法律案の二十一条には、新たに特定地域開発就労事業、これを設定をして「雇用の機会の増大を図る」、こういうふうな表現もあります。この地域は過疎地域あるいは未解放地域と、これを予定をしておられるようですが、全国に何カ所程度これを設ける方針なのか、あるいは特定地域として認定をする基準というのはどういうふうになっておるのか、お尋ねをいたします。
○政府委員(住榮作君) この法案の第二条に特定地域の定義をいたしております。「中高年齢者である失業者が就職することが著しく困難である地域として労働大臣が指定する地域」である、こういうように定義をいたしております。この指定する場合の基準といたしまして、たとえば求職者の数と求人の数とのバランスが全国平均から見て著しく高いとか、あるいは中高年齢者の法案でございますので、中高年齢者の求職倍率が高い、あるいは失業保険の初回受給者の被保険者に対する割合が高いもあるいは広域職業紹介活動によって他の地域に移転して就職する、そういうような状況がどうであるかというようなことが基準になろうかと思います。そこで、いま申し上げましたような考え方でこの特定地域を定めていいかどうか、その基準については、中央職業安定審議会の意見を聞いてきめて、その基準を実際その当該地域に適用した結果、そういう基準に合致する地域を特定地域として労働大臣がきめる、こういうふうにいたしたいと思っております。 それから、一体どれだけになるであろうか、地域の数はどうであるか、こういうことでございますが、この特定地域は、私ども、現在のところ、安定所の管轄区域を基準にしてきめていきたいというように考えておりますので、ただいま申し上げましたような基準から現在の情勢に照らし合わせて判断してみますと、少なくも百以上の安定所の管轄地域がこれに該当してくるのではないか。 それから、御指摘のように、産炭地域とか同和地域がどうなるかということでございますが、産炭地域、同和地域は非常に雇用失業情勢が、現在の指標から見ましても、悪いということでございますので、該当する可能性は非常に高いものである、こういうように考えております。
○小野明君 いろいろいま御説明になったような基準がありますが、年々非常に過密過疎というものが深刻化してまいっております。そこで、人口減少の非常に激しい過疎地域については、求人求職の比率とかあるいは失業保険の受給率とか、そういう要件以外に、運用を弾力的に行なう必要はないのか、あるのではないか。こういうところではやはり失対就労というのが非常に大きなウエートを占めてまいりますから、その辺の運用についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(住榮作君) ただいま申し上げましたように、特定地域は、原則といたしまして、現在のところ安定所の管轄地域、こういうように考えておるのでございますが、実際問題として管轄地域が非常に広い場合もございます。そういう中に、いま御指摘のような過疎市町村もあるわけでございますが、全体の管轄地域といたしましては、特定地域に該当しなくても、そういった市町村の区域をとってみますと、御指摘のような問題のある地域も出てこようかと思っております。そういう点は、先ほど一般的な考え方としての基準を申し上げたのでございますが、そういう地域の特殊性も考慮しなければならない場合も出てくると考えられますので、その点は弾力的に基準をつくり、弾力的な適用ができるようなことも考えていかなければならぬのではないかというように考えておる次第でございます。
○小野明君 それから、現在、失対事業に就労している人たちの大きな不安として、健康診断の問題があるわけですね。これが故意に乱用をされるんじゃないか、失対追い出しということで。たいした病気でないのに、なおかつこれをはじき出す、こういう問題、懸念というものがございます。だから健康診断をやる場合には、この悪用といいますか、乱用、悪用を防ぐ、こういった意味で運用されなければならないと思いますが、これは当然のことなんですね。この辺については失対をどうごらんになり、どう対処されようとしておるのか、お尋ねをいたします。
○政府委員(遠藤政夫君) 御指摘の点、まことにごもっともでございます。実は健康診断につきましては、四十五年度当初から実施いたしておりますが、これを実施いたしましたいきさつについて簡単に申し上げますと、現在失対就労者は十九万人ほどおりますが、この中には、先ほど御指摘のとおり、十数年失対事業に就労しておられる方々、しかも、かなり平均年齢が高くなっておりまして、相当な年齢の方々が大部分を占めております。失対の現場で働いておられる最中に脳溢血を起こしたりあるいは心臓麻痺というようなことで亡くなられたり、あるいは体力的に非常に病弱質な方も含まれておりますので、作業中に不測の事態を起こして、けがをされるというような事態がかなりひんぱんに従来起こっております。そういうことのために、就労している方々が非常に不幸な目におあいになる例もございますので、健康診断を実施いたしまして、その人の体力なり、そういった能力に応じた作業にできるだけついて働いていただくというような体制をとるために、昨年の初めから健康診断を実施いたしたわけでございます。この点につきまして、健康診断をやるという口実のもとに、その結果を恣意に乱用して失対から排除するのではないかというような懸念が就労者の方々の中には非常にあったように私ども聞いております。これは健康診断を実施いたします際に、そういうことを私ども決して意図しているわけではございませんので、健康診断の結果、病弱な人には病弱にふさわしいような作業についてもらうし、あるいはどうしても作業が不可能な方は、その病気がある程度作業につけるようになるまで一応保留して、保留という形で休養していただく、こういうことで私どもお約束してまいりましてこの健康診断を実施してまいったわけでございます。今後とも、今度の法案によりましても、従来の失対事業を継続してまいりますので、健康診断は今後とも定期的に実施したいと思っておりますが、昨年一年間の実施の結果、健康診断の結果によって排除された例は一件もございません。きわめてわずかな数の人が病弱のために作業につくのがむずかしい、医者からとめられまして保留という形で一時休養された例はございますけれども、これも〇・二、三%でございます。御懸念になりますような健康診断を乱用して失対から排除するというようなことは、実績としてもございませんし、今後ともそういうことを決して考えておるわけではございません。
○小野明君 これは、御承知のように、法的な拘束というものは失対事業に対する人たちにはないと私は思います。同時に、この傷病手当というのが二十二日だそうですね、非常に短い期間である。こういう事実もありますから、いまおっしゃるように、この健康診断というものが失対から排除される原因にならないように、十分ひとつ今後ともこの運営については配慮をお願いをいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
○政府委員(遠藤政夫君) 健康診断の実施につきましては、御趣旨のようなことで運営してまいりたいと思います。
○小野明君 それから、なお現在就労している人たちの問題として所得制限という問題がございます。これは公的な現収入というものがあるとすれば、これは別である。しかし何もかも洗いあげてこれに該当すると、こういうことを率直に言うておやりになるのかならぬのか、ひとつお尋ねします。
○政府委員(遠藤政夫君) 失業対策事業の就労者につきましては、先ほど御指摘ございました中高年の就職促進措置という制度が職業安定法にございます。この措置の対象になりますのは、一定の収入、一定の基準の収入以下の人たちがこの対象になりまして、失業している間は就職あっせんをきめこまかくやると同時に、その間、手当を支給しながら生活の安定をはかっていく、こういう制度でございます。そういう制度を通してなおかつ就職できない場合に緊急失業対策法による失業対策事業に就労していただく、こういうたてまえになっております。失対事業の就労者につきましても、一定の所得基準が適用されることは当然でございます。したがいまして、従来ともこういった一定の基準を上回る所得を有する人につきましては失対事業から遠慮していただく、こういう措置をとってまいっております。今後ともこの方針には変わりございません。たゞ、いま御指摘のように、これが公的収入があるかどうかということではございませんで、その収入がいかなる収入でございましても、客観的に一定基準を上回った収入であるということが明らかであれば、これは当然制度のたてまえから申しましても、失対から遠慮していただくことは当然だと考えております。今後ともそういう方針で運営してまいりたいと思っておりますが、ただ御懸念のように、十九万人の就労者を一人一人厳重に洗いあげて所得が幾らになっているかということを調査までして実施するというつもりはございません。
○小野明君 終わります。
○小柳勇君 この前一般論を質問いたしましたから、きょうは法案の内容で具体的に質問をいたします。 まず大きな第一番は、求職手帳制度について質問いたします。いままでの就職促進措置の制度におきましては、一般の中高年齢求職者は、このような制度があることをあまり知らされておらない、公共職業安定所もこの制度を積極的に活用しようという姿勢に欠けておったところが見受けられ、せっかくのよい制度も十分活用されないまま運営されてきたように思われます。 今回の求職手帳制度は、この法案における中高年齢者の雇用促進対策の中核とも言うべきものであり、就職が困難な中高年齢失業者などに対しては、この制度を十分周知し、その積極的な活用をはかることによりこれらの人々の就職を積極的に促進すべきであると考えるがどうか。 また、従来、就職促進の措置の制度を申請しようとしても、なかなか申請用紙を渡さないなどの事例も見受けられたようであるが、失業者の生活の安定をはかるためにも、また制度の効果を早期に達成するためにも、申請の手続をできるだけ簡素化し、迅速化し、少なくとも一カ月以内に手帳を発給するようにすべきであると考えるが、労働大臣の所見をお伺いいたします。
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。 求職手帳制度につきましては、新聞、ラジオ、テレビ等の各種の報道機関を通じまして、あるいは公共職業安定所の窓口等を通じましてその周知をはかるとともに、公共職業安定所における求職受理、就職相談所等においてこの制度が中高年齢失業者等に積極的に活用されるよう、必要に応じまして指導、助言をすることにいたしたいと考えております。 手帳の発給手続につきましては、公共職業安定所長は、申請書その他必要最小限の書類を備えていれば、申請を受理することにいたしまして、できる限り簡素化することに考えております。また申請から手帳の発給までの間につきましては、手帳を発給する必要があるかいなかの判断が、求職者の事情にとりましてはまちまちであり、調査を要する日数も異りますので、一律にきめることは困難でありますが、少なくとも申請後一カ月以内に発給し得るよう迅速化につとめたいと考えております。
○小柳勇君 以下大きな方針は労働大臣に求めますが、その他行政上の問題は局長あるいは部長から御答弁願います。 求職手帳の第二の問題は、従来、就職促進措置の運営にあたっては、求職者の意に反して、低賃金等労働条件の劣悪な不安定雇用に無理に職業紹介を行ない、これを拒否する者については、誠実かつ熱心な求職者と認められないとして措置の認定からはずすというような事例も見られたと聞いております。新法の成立を機会に中高年齢者の雇用の促進を一そう積極的に推進すべきであると考えるので、今後の職業紹介にあたっては、中高年齢者の就職が困難であるという実態に配意し、労働者の職業選択の自由を侵すことのないよう十分配慮すべきであると考えるが、どうでございますか。
○国務大臣(野原正勝君) 職業安定行政を進めるにあたりましては、すべての求職者にその有する能力に適した職業につく機会を与え、これによってその職業の安定をはかるため、求職者の職業選択の自由を尊重しつつ、適職紹介の原則に従いまして、安定した常用雇用への就職あっせんをはかってきたところでありますが、この法律の運用にあたりましても、中高年齢者等の就職が困難であるという事情に十分配意しまして、職業選択の自由を侵すことのないように、従前にも増して慎重に推進してまいる考えでございます。
○小柳勇君 求職手帳の第三の問題でありますが、この法律の第十四条では、「安定した職業」についたときには手帳が失効することとなっておりますが、失業者が低賃金等労働条件が劣悪で、不安定な雇用についたため手帳が失効することを防止するため、安定した職業というのを次のように限定してもらいたいと思う。いまから私が読み上げますが、一つは、相当期間雇用が継続する見込みのある常用雇用、第二は、生活が成り立つ賃金及び労働条件、第三は、労働基準法等法令で定められた労働者の権利、第四は、健康保険などの社会保険が保障された雇用をいうこととし、これに該当しない場合には「安定した職業」ではなく、引き続き手帳が効力を有することとすべきであると思うが、大臣の見解を聞きます。
○政府委員(住榮作君) 手帳の発給を受けました者が安定した職業についたかどうか、この判断につきましては、その雇用形態とか雇用期間とか、賃金その他の労働条件、社会保険の適用状況とか、あるいは自営業の場合、営業状態その他の事情を総合いたしまして、個別的、具体的に判断すべきものであると考えますが、一般的にいって、その収入、営業状態等から見まして、その者が長期にわたってこれに生活を託することが可能であると認められる場合には、当該職業は安定した職業と見るべきものであると考えております。また、たとえば行商、露天商等の零細な自営業、日雇い労働等の多くは、これにより長期にわたって生計を営むことが不可能であると思われますので、安定した職業には該当しないものと考えております。
○小柳勇君 求職手帳の問題の第四の問題でありますが、現在実施されている就職促進措置の実施状況を見ると、利用者の数が少なく、利用率も低下してきております。 これは、中高年齢者は、まだまだ就職難であるという現状から見ておかしいのであります。この原因の一つは、中高年齢者は扶養家族をかかえて生活が苦しい実情にあるにもかかわらず、安心して就職活動、職業訓練の受講などができる額の手当が支給されていないことにあると思います。手当の額は、就職指導を受ける場合一万九千円、訓練を受ける場合二万五千円程度ということであるが、これではとうていこの制度を利用して再就職をはかり得ないと思われます。新しい求職手帳制度に基づき就職促進の措置を受ける者に対する手当につきましては、中高年齢失業者及びその家族の生計費と就職活動などに必要な経費とを考慮して手当の額を大幅に引き上げるべきであると考えるが、いかがでありますか。
○国務大臣(野原正勝君) 手帳の発給を受けて就職促進の措置を受ける者に対しましては、その措置の種類に応じ、就職指導手当及び訓練手当を支給することにしております。 これらの手当の額を定めるにあたりましては、中高年齢失業者等が就職促進の措置を受けることに専念し得るよう、それらの人々の生計費等を考慮して定めることとするとともに、今後とも賃金水準、物価水準の上昇、他の同様の給付との均衡等を考慮しまして、その増額につとめてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 求職手帳に関する第五の問題でありますが、この法律では、求職手帳の有効期間については「労働省令で定める期間」とし、また、この手帳の有効期間の延長についても「労働省令で定める期間延長することができる。」と規定しておりますが、中高年齢失業者等の就職状況は、必ずしも容易でないということは政府も認めているのでありますから、中高年齢失業者等の就職の状況に応じ、再就職のための十分な余裕を持った期間とすべきであると考えます。特に高齢の者や、特定地域における中高年齢失業者等については、炭鉱離職者に対する求職手帳の有効期間が三カ年であることを考慮し、これとの均衡を失しないよう、大幅な手帳の有効期間の延長を認め、この間、手当を支給して生活の安定をはかるべきであると考えるが、いかがでございますか。
○政府委員(住榮作君) 手帳の有効期間は、手帳の発給の日から起算いたしまして、原則として六カ月とする考え方であります。これは現在の中高年齢失業者等就職促進措置の期間は、大体二カ月ないし六カ月でございます。この期間内に大部分の者が民間就職していること及び失業保険金の平均受給月数が四カ月程度、長期の受給資格者の平均受給月数でも六カ月程度であるということを考慮して考えておるのでございます。しかし、この期間内にどうしても就職できない者につきましては、有効期間をさらに六カ月延長するという考えでおりますが、産炭地域などのように、雇用の機会が乏しく、中高年齢失業者等の就職の機会が特に困難な特定地域におきましては、この期間延長について特別の配慮を加えまして、一般の場合よりもさらに長くする考えでおります。
○小柳勇君 次は、その第六問でありますが、求職手帳の制度の対象となる中高年齢者の年齢の範囲については、雇用審議会の答申にもあるように、雇用失業情勢の変動あるいは特殊事情の発生等に応じ、弾力的に運用できるようにするとともに、これを定めるにあたっては中央職業安定審議会の意見を聞くべきであると考えるが、いかがでございますか。
○国務大臣(野原正勝君) 求職手帳の対象となる中高年齢失業者等の範囲は、労働省令で定めるものとして、雇用失業情勢の変動等に応じ、弾力的に対処できるようにしております。今後、雇用失業情勢が著しく変動し、中高年齢者の労働力需給についても著しい変化が見られる場合には、すみやかに労働省令を改正して、中高年齢失業者の年齢の範囲を変更することとし、情勢の変化に的確に対処してまいりたいと考えております。 また、この労働省令を定めるにあたっては、あらかじめ中央職業安定審議会の意見を聞くこととする考えであります。
○小柳勇君 次は、特定地域開発就労事業についてお伺いをいたします。 その第一問でありますが、特定地域開発就労事業は、産炭地域、過疎地域、同和地域など中高年齢失業者などの就職が特に困難な地域において、地域の開発に資するとともに、地域の開発により雇用の機会が増大するまでの間臨時に就業の機会を与える事業であると聞いております。すなわち地域の開発と就業の機会の提供という二兎を追うものであります。この二つの目的の均衡がとれておれば心配ないのでありますが、ともすると、二兎のうち地域の開発に重点が置かれ、失業者に対する対策としての性格が等閑に付されるおそれがあります。失業者などに対する対策であることを明確にし、求職手帳の有効期間が切れても就職できない失業者が相当数発生した地域は特定地域に指定し、開発就労事業が実施できるようにすべきであると考えるが、いかがでございますか。
○国務大臣(野原正勝君) 特定地域開発就労事業は、中高年齢者である失業者が就職することが著しく困難な地域であって、雇用の機会が乏しく、しかも開発の可能性を有しながら、有効な開発が進められていない地域について実施することとしております。しかしながら、この開発の可能性の有無については、この事業が失業者に就業の機会を与えることを目的とするものであることにかんがみ、厳格に過ぎる判断を加えることなく、必要に応じ弾力的にこの事業を実施できるようにいたしたいと考えております。
○小柳勇君 第二の問題は、また特定地域開発就労事業の事業種目や運営についても、失業者、特に中高年齢の失業者に対する対策であることに留意し、開発効果のみを重視したものとならないような弾力的な実施を配慮すべきであると考えるがどうか。地域指定の基準や、事業種目などについては中央職業安定審議会の意見を聞くべきであると考えるがどうか。この二点について御答弁を伺います。
○政府委員(住榮作君) この事業の内容及び運営方針につきましては、この法案の成立を待ちまして具体的に定めることになりますが、これを定めるにあたりましては、この事業に就労する中高年齢者にとって無理のないものにする等を考えまして、さらには雇用審議会の答申にもそういう趣旨がうたわれておりますので、そういう点を配慮してやっていきたいと考えております。 なお、地域指定の基準、事業内容につきましては、御趣旨を体しまして、関係の審議会の意見を聞いてきめてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 第三の問題は、特定地域開発就労事業の国の補助率は三分の二であるといわれております。この事業が実施されるのは、産炭地域、同和地域、過疎地域などのように、雇用の機会が乏しいところであり、その地域の地方自治体の財政状態は一般的にきわめて窮乏しておりますので、この事業を実施したいと思っても三分の一の地元負担分が重荷となって、進んで実施することができなくなることも考えられます。せっかく創設されたこの事業を真に効果あらしめるためには、地方自治体の負担分について十分な財政措置を講ずることとすべきであると考えるが、いかがでございますか。
○政府委員(住榮作君) 御指摘のとおり、産炭地域等の地方自治体は財政的にも十分でないというように考えられますので、特定地域開発就労事業の実施にあたりましては、地方負担分が地方自治体の財政を圧迫することがないよう、自治省とも鋭意折衝いたしまして、交付税や起債によって必要な措置がとられるよう努力してまいりたいと考えております。
○小柳勇君 大きな第三の問題は、現在の失対就労者について質問いたします。 その第一は、現在失対事業に就労している者については、衆議院における修正により、特に期間を定めることなく失対事業に就労することができることとなりましたが、さらに就労者の無用の不安を除去するため、失対就労によって維持されてきたと同程度の生活内容が社会保障対策や、高年齢者の仕事に関する対策によって充足されるようになるまでの間、引き続き就労できるようにする旨を明確にすべきであると思うが、いかがでありますか。
○国務大臣(野原正勝君) たびたびお答えしておったとおりでありますが、現在、失業対策事業に就労している方々につきましては、雇用審議会の答申を尊重し、現在の就労者が失業対策事業に就労することにより維持されている程度の生活内容が社会保障対策や、高年齢者の仕事に関する対策によって充足されるようになるまでの間は、引き続き就労できるように配慮してまいる所存であります。
○小柳勇君 その第二の問題でありますが、現在失対事業に就労している者については、期限を切らずに引き続き緊急失業対策法に基づく失対事業に就労させることが明らかになったが、労働省は、この事業の運営について、合理化とか正常化を行なう考えであると伝えられておりますが、失対事業を継続して実施する趣旨を尊重し、就労者の実情を十分に考慮して失対就労者に過重な負担をかけることのないよう配慮を加えながら、社会の批判を受けないよう運営の改善をはかるべきであると思うが、どうか。また失対就労者は月わずか二万数千円でその生活をささえているのでありますから、一そうその生活の安定につとめるべきであると思うがどうか。この二問についてお答え願います。
○国務大臣(野原正勝君) 失業対策事業の運営につきましては、種々問題があるといわれておりますので、行政運営の面における改善をはかることを検討しておりますが、この場合におきましても、就労者の年齢、体力や生活の実情に応じてあまり無理の生じないよう、改善をはかりたいと考えております。 また、賃金につきましても、従来から毎年その改善につとめているところでありますが、今後とも就労者の生活の安定をはかるよう、その改善につとめたいと考えております。
○小柳勇君 次は、失対、就労者の再就職、自営業の開業等自立を積極的に促進することは当然のことでありますが、これらの人たちは大部分が失対事業に長期間固定化し、高齢化した人たちでありますので、自立してみずから生活を営んでいくには相当の困難があると思われます。したがって、自立促進という名目のもとに強制的に失対事業から追い出しをはかることのないよう厳に戒しめる必要があります。また、失対事業から自立することを希望する者については、手厚い援護措置を講ずるとともに、それによって十分生活を維持することができるような安定した職業に定着できるよう十分考慮すべきであると考えるが、いかがでありますか。
○政府委員(住榮作君) 現在の失対事業の就労者であって、再就職なり、自営業の開業等を希望する者につきまして、この際、その自立を援助するために就職支度金の増額をはかりまして、安定した職業につくことができるよう、十分配慮していきたいと考えております。この際自立するかどうか、あくまでも就労者の自由意思にゆだねる考えでおりまして、強制にわたることがないようにいたす考え方でございます。
○小柳勇君 次は、失対事業の就労者が何らの不安を伴うことなく自立への努力をすることができるよう、失対事業に就労できる資格を留保したまま転職訓練や職場適応訓練が受けられるようにするとともに、それらの訓練を就労者の実態に応じ、自立の実効があがるように充実させるべきであると考えるが、いかがでございますか。
○政府委員(住榮作君) 安定所のあっせんによりまして職業訓練を受ける就労者につきましては、現在でも失対事業の紹介対象者としての扱いを留保いたしております。今後とも引き続きこのような扱いを活用しまして、就労者の自立促進につとめてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 次は就職支度金の問題でありますが、就職支度金は、通常五万円を一定期間を限り十万円引き上げて十五万円にするとのことでありますが、長年失対事業に就労していた人たちが自立への意欲をふるい起こし、血のにじむような努力により自立への道を歩もうとするのでありますから、後顧の憂いなく、安心して新たな道へ進むことができますように、十分あたたかい援助の手を差し伸べるべきであると考えます。こう考えますときに、十五万円という金額では十分ではないと、私は以前から三十万円、せめて三十万、できれば五十万と言っておったのでありまするが、予算の確定後でありますから、すぐには困難でありましょうが、せめて従来の五万円に二十万円積み上げて、二十五万円ぐらいには引き上げるべきであると考えるが、大臣の率直なお考えを伺います。
○国務大臣(野原正勝君) 就職支度金の額につきましては、たびたび申し上げておりますが、制度の趣旨等から見まして、おのずから限度があると考えております。予算成立後のことでありますので、いろいろ困難ではございますが、御趣旨の線に沿うよう最大限の努力をいたしたいと考えております。
○小柳勇君 いまの大臣の見解は、私は二十五万円と言ったんでありますから、その線に沿うように努力されるととってよろしゅうございますか。
○国務大臣(野原正勝君) そのように努力するつもりでございます。
○小柳勇君 次は失対就労者に対する夏季、年末の臨時の賃金については、衆議院における修正で、法律上の制度として支給されることとなるわけでありますが、失対就労者が長年にわたりこれを重要な収入の一部としてその生活の安定をはかってきたという従来の経緯等を尊重し、その運用の改善に努力すべきであると考えるが、いかがでございますか。
○国務大臣(野原正勝君) 失対就労者に対して支払われる夏季、年末の臨時の賃金につきましては、従来どおり、法律上の制度として支給するように、衆議院において法案が修正されたところであります。国会の御意思がそのようであれば、すでに所要の予算措置も講じてありますので、法律上の制度として支給する考えであります。 しかしながら、支給要件等につきましては、雇用審議会の登申の趣旨を十分に尊重いたしまして、就労者が長年にわたり臨時の賃金を重要な収入の一部としてその生活を維持してきたという従来の経緯等十分配慮しながら、就労の状況に応じ、公正妥当な措置を講ずる等、合理的な改善をはかることといたしたいと考えております。
○小柳勇君 次は、大事な問題でありますが、この法案におきましては、求職手帳の発給要件、失効要件及び手帳に基づく就職促進措置の実施計画については中央職業安定審議会の意見を聞かなければならないと、明確に規定されておりますが、法案に規定されていない事項であっても、さきの大臣の答弁にあるように、手帳制度の対象者の年齢の範囲のように、この法案の実施に関する重要事項については、あらかじめ中央職業安定審議会の意見を聞くべきであると考えるが、いかがでありますか。
○政府委員(住榮作君) 先にもお答えいたしましたですが、この法案の対象者の年齢の範囲とか、特定地域の指定基準あるいは特定地域開発就労事業の事業種目等につきまして中央職業安定審議会の意見を聞くことにいたしておりますが、さらに中高年齢者の雇用率とか、求職手帳の有効期間あるいは延長期間というような、この法律の施行に関する重要事項につきましては、特に法律に明記されていないものにつきましても職業安定審議会の意見を聞くようにいたしたいと思っております。 このことを明らかにするために、附則の第五条におきまして、中央職業安定審議会の調査、審議事項の改正をも行なっているところでございます。
○小柳勇君 問題の第五は、高齢者の対策であります。高年齢者は、労働市場に対する適応性に乏しく、したがってこれらの者の生活の安定は労働によってではなく、社会保障対策によってはかるのが本来の姿であるとは考えます。しかるに、現在のわが国の社会保障制度による給付の水準はきわめて低く、これのみによっては生活の安定をはかることができないため、やむを得ず公共職業安定所に求職者として出頭して就職しておるのが現状であります。高齢者が無理な就業の必要がないようにするため、社会保障制度による給付の充実をはかるべきであると考えるが、労働大臣のお考えはどうか。 また、社会保障対策の充実により生活の安定をはかれたとしても、高齢者はさらに社会に参加したいとの希望を持っております。このような高齢者の希望に対応して、高齢者の能力に応じた軽易な仕事に従事する機会を与えることにより、高齢者に生きがいを与えるべきだと考えるが、いかがでありましょうか。
○国務大臣(野原正勝君) 今後のわが国の人口構成の一そうの高齢化や、雇用失業情勢の動向にかんがみまして、高齢者に対する対策がますます重要なものになるので、雇用審議会の答申の趣旨に沿いまして、お説のとおり、高齢者に対する社会保障制度の充実をはかり、その生活の安定をはかるとともに、仕事に関する新たな対策の確立によって生きがいを与え得るよう、閣僚の一員として一そう努力してまいる考えでございます。
○小柳勇君 次は、労働省と自治省にお伺いいたします。 自治体職員の問題でありますが、現在約十九万人の失業者に就労の場を与えるため、全国では相当数にのぼる自治体職員が失対事業に従事しております。政府は、四十六年度には失対就労者を大幅に減らして、失対事業の規模も、昨年の十四万人から十二万人へと、二万人もの大幅な縮小をはかろうとしておりますが、このような失対就労者の減少に伴って、失対事業の管理監督に当たっている地方自治体の職員が分限解雇されたり、全く経験のないような部門へ強制的に配置転換されることのないよう厳重に指導監督すべきであると考えるが、労働省と自治省から見解を聞きます。
○政府委員(住榮作君) 失対事業の規模の縮小に伴いまして起きます管理監督要員の問題でございますが、規模が減ったからといって直ちに人件費補助を機械的に削減することによって事業主体に摩擦が起こらないように、実情に応じまして弾力的に対処してまいりたいと考えております。 また、事業主体に対しましては、管理監督要員の部内における円満な配置転換とか、就職あっせん等によりまして、円滑な移行がはかられますよう指導しているところでございますが、今後とも、御趣旨に沿いまして事業主体を指導していきたいというふうに考えております。
○政府委員(山本明君) お答えいたします。 地方公務員法の二十八条の分限処分の問題を先生はおっしゃっておると思うわけでございますけれども、この場合には、予算の減少により過員を生じた場合ということになっていると思います。ただいま労働省のほうで、予算はできるだけ見たいというお話もございますし、その点からの問題はないのではないだろうかと思っておりますが、一般的には、そういう方々の経験あるいは能力、技能等を生かしまして、できるだけその本人の適職のほうに配置がえをしていくというのが実態のようでございます。労働省とも十分協議し、自治体のほうに対しましては、財政状況あるいは職員構成、職員定数等十分勘案して、そういう職員に対しては十分な配慮をするように指導をするようにいたしたいと思っております。
○小柳勇君 次の問題も労働省、自治省との関係ですが、労働省では、最近地方自治体の職員が正規に配置されている職場へ失対就労者を紹介し、就労させているようでありますが、そのために自治体の欠員が補充されず、自治体職員の職場が狭められたりあるいはその労働条件の改善が妨げられたりしておると聞いておりますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(住榮作君) 私どものほうでは、失対就労者の体力、能力に合わせまして安全で健康に就労していただくよう、いろいろ配慮をいたしております。軽作業現場の開発、拡大等がその一つでございますが、そういうことで事業主体を指導しておるのでございますが、中には、正規の職員が配置されている職場にも失対就労者を働かせておる、そして正規の職員の手伝いをさせておる、こういうようなところもあるように聞いておりますので、御指摘のような問題の起こらないよう十分注意してまいりたいと思います。 なお、今後につきましては、花卉栽培といった失対就労者のみがまとまって就労することができるような軽作業現場の開拓に積極的に取り組むよう、努力をいたしてまいりたいと考えております。
○小柳勇君 最後は、これは喜屋武委員からも質問があると思いますが、行きがかり上、附帯決議などの問題もありますので質問しておきますが、沖繩が近く本土に復帰いたしますが、現在、沖繩では、本土の三十八年の改正前の緊急失業対策法に類似した法律に基づきまして失業対策事業が実施され、そこに千数百人の人が就労して、その生活のささえとしていると聞いておりますが、沖繩復帰にあたりましては、この失業対策事業の就労者をどのように扱うか、お考えを聞いておきたいと思います。
○政府委員(住榮作君) 沖繩の本土復帰にあたりまして、本土並みにこの法律をそのまま沖繩にも適用したいというように考えております。したがいまして、復帰後に発生する沖繩の失業者につきましては、求職手帳等によるこの法律に基づく諸対策が行なわれることになりますが、復帰時に沖繩の失業対策事業に就労しておる者につきましては、本土の現在の就労者と同様に取り扱いまして、本土の緊急失業対策法を適用いたしまして、失対事業に引き続き就労できるように対策を考えてまいりたいというように考えておる次第でございます。
○小野明君 関連して。 先ほど質問を一つ落としておりましたので、一点だけです。現在、失対事業に就労いたしております方々の不安の中にもあることですが、本人の職業選択の自由を保障しながら安定雇用につける、こういう原則、筋というのは通っているのかどうか、この点を一点お尋ねをしておきます。
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほど小柳先生の御質問のございましたように、現在の十九万人の失対就労者の方々につきましては、中には、老齢化したとは申しましても比較的年齢の若い、一般労働市場で安定雇用につけるような体力、能力を持った方もかなりおられるようでございます。こういう人たちの中で、再就職したいあるいは自営業を開業したい、こういう希望を持った人もかなりおられますので、そういう人たちは、いろいろな障害があると思いますが、できるだけいろいろなきめのこまかい援護措置をとりまして、就職支度金の増額とか、こういった措置をとって再就職あっせんを強力に進めてまいりたいと思っておりますが、その際も、ただいま先生御指摘のように、憲法に保障されました職業選択の自由、この原則が貫かれることは当然のことだと考えております。
○小柳勇君 質問を終わります。
○渋谷邦彦君 いままで質疑応答がございました点については、できるだけ重複を避けたいと思います。 先般行なわれました委員会におきましての私の質問をもう一ぺん整理をしながらお尋ねをしてまいりたいと思います。 今後の日本の失業状態の推移というものについての展望を伺ったわけでありますけれども、大臣の御答弁には、経済の安定とともに失業の数が逐年減るであろうと、こういう意味のことを伺ったように記憶しております。しかし、実際問題としては逐年増加するかあるいは現状維持と、一向に減らないというようなことが、これからの高度経済成長のひずみとともに、むしろますますそれが深刻化する、そういうことが想像できるわけであります。先回の質疑の中でネックになった問題の一つとして、失業者にはいろいろな形態があるということを指摘した中で、とりわけ最近の一連の不況という問題から中小企業者の倒産が非常に著しいものがある。したがって、その倒産と同時に、それに伴ういわゆる失業者というものも決してこれは見のがすわけにはいかない、こういうふうに申し上げました。しかし、残念なことには、労働省のほうにおいてその倒産に伴う失業者が一体どういう実態になっているかということについての資料がございませんでしたので、それは私のほうで要求をいたしまして御提出をいただいた。その中身というのは非常にこれは不満足な内容であります。したがって、これをもとにして言うことは的確性を欠くと思いますけれども、しかし、この提出された内容から見ましても、特に昨年一年間において件数を見ますと、実に約二万件近い中小企業の倒産があるわけであります。もちろん個人企業をはじめ、資本金百万円以上というような企業体であります。そのほかに考えられますことは、この種の倒産によって生ずる失業、それから潜在的に失業しているというふうに思われますものの中には、御存じのとおり、食えないということ、そうした背景のもとにパートタイマー、あるいは特に東北、北海道等における季節労働者、あるいは駐留軍に従事している労働者、こういう人たちはきわめて不安定な条件のもとに仕事をしている。いつその職場をやめなければならないかわからない。言うなれば、この方々もやはりこの潜在的な失業者と見るべきではなかろうか。こうなってまいりますと、決して減るどころではない、また現状維持でもない。むしろこれからふえていくような方向に立つのではないだろうかということを私は非常に心配をするわけであります。そうなりますと、現在提案されております雇用促進というものが、はたしてその精神にかなうような意味合いを持つものであるのであろうか。 まず基本的な問題として労働大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) まあ、いろいろな倒産等も出ておりますから、中には、個別的にはこういう現象もあるかと思いますが、大きな目で見ますと、やはり日本経済というものはどんどん成長もしております。したがって、労働力の不足の時代になってまいったのでありまして、年とともにむしろ労働力が非常に不足の現象が強まっている。特に新卒であるとか、若年層の非常に足りないという状態がある。したがって、中高年齢者等につきましては、職業指導、職業訓練等によってそういう方々がやっぱり働き出すという必要性がますます強くなるんではないかというふうに考えます。
○渋谷邦彦君 私は、いま大臣がおっしゃった、なるほど日本の経済が成長していることは事実でございます、これは。だれもそれを否定するものはいないんです。しかし、その成長の一番恩恵を受けているものは何か。これはいままでもしばしば論議が繰り返されておりますように、やはり大企業である。いま私がここで指摘しておりますのは中小企業である。たとえば繊維問題一つをあげましても、影響を受けた愛知県を中心とするその周辺、その他の地域におきましても倒産が相続いているんです。なるほど一方においては過熱しております。ところが、一方においてはそういう状態があることは、大臣も御承知だと思うんですがね。家電メーカーにしたって同じだと思うんです。それに家電メーカーの下請をやっている業者等々も決して例外ではないということを踏まえておっしゃっていただきたい。
○政府委員(住榮作君) 先生御指摘のように、特に昨年以来の不況の影響も雇用失業面にあらわれてまいっております。企業の倒産件数、あるいは業種別に見ましても、製造業の中の電気機械とか、科学とか、あるいは卸売り、小売りと、こういう点のたとえば対前年の雇用の伸び等をも見ましても、伸びが鈍化してまいっております。しかし、その他の部門においてはやはり依然として雇用需要が高いということで、そういう点で景気の鎮静化による雇用失業への影響は否定しがたいところがありますけれども、私ども、現在のところその影響は軽微である、こういうように考えておるわけでございます。今後、いろいろ景気のてこ入れの政策がいろいろとられておりますので、こういった情勢もそう深刻になることなく、雇用に対する需要も強くなってまいるのではなかろうか、こういうように考えるわけでございます。もちろんその間に摩擦があることは事実でございますので、そういう摩擦に対しまして職業紹介なりあるいは職業訓練、そういった再就職を促進する対策を強力に推進していく、これは当然のことであろうかと思っております。 それから長期的に考えてみますと、これも前回申し上げたかと思いますけれども、今後の日本の経済の成長というものはやはり国民総生産で一〇%以上も伸びていくと、こういうようなことが考えられております。一方、労働力の供給というものは、四十年前半――これは戦後のベビーブームの影響を受けまして非常に供給が豊富であった時代でございますが、それが過ぎ去りまして、逐年労働力の供給が減ってまいりました。そういうことを考えてみますと、その内部には年齢別の問題とかあるいは地域別の問題とか、あるいは産業職種の問題とか、いろいろな問題はありますけれども、全体としましては、そういう供給と需要との関係で、私ども、雇用失業情勢というのは悪化することはないのじゃなかろうか、こういうように考えておるところでございます。
○渋谷邦彦君 これ以上申し上げてもおそらく水かけ論になるであろうと思うんです。なるほどこの東京商工興信所、これはもう毎月出ているんですよ、私も知っているんです。ところが件数は一向に減っていないんですよ、これは。ですから、こういうデータに基づいても、私は、その決して心配ないとおっしゃる政府のそういう考え方、それについてはやはり不安をぬぐい切れないということを申し上げたいわけなんです。 先ほど申し上げた質問の中で御答弁いただけないものがもう一つありましたね、潜在失業者に対して、これをどうこれから扱っていくかということ。
○政府委員(住榮作君) 潜在失業者の実態でございますが、これは……。
○渋谷邦彦君 時間がもったいないから、概数でいい。あとで資料出してください。
○政府委員(住榮作君) はい。現在、まあ基本的な調査といたしまして、総理府の就業構造基本調査によります転職希望者、追加就業希望者、新規就業希望者、これを合わせまして、昭和四十三年におきまして総数で二百十二万でございます。それ以前の四十年の調査と比較いたしますと、三十万人以上の増加でございます。この中で、たとえば転職希望者が非常にふえておりますけれども、その実態を見ますと、男子の場合は、若年層において転職希望者が多い。と申しますのは、その理由としまして、自分に適した仕事でないと、あるいはもっといい収入を得たいから、こういうのが転職希望になっております。そういう意味で、必ずしも現在の若年労働力が自分の適性に合った職業についておるかどうかあるいは条件のいい職業についているかどうか、こういう問題がその原因になっているんじゃないかと思います。そういう意味で、若年者に対しましては、適性に応じた職業につくような就職前の指導とかあるいは就職後のアフターケア、こういうことについて努力してきましたし、これからも一そう努力いたしまして、できるだけそういう理由によって転職希望が起こらないようにしていかなければならないと思っております。 それから追加就業希望者でございますが、これは特に女子の中年層においてこの理由による就業希望が出てまいっておりますが、それは実はパートタイマー等としてあらわれてきておるのではないかというように考えておるわけでございますが、パートタイマーの就業条件あるいは就職のあっせん、そういったものについてこれを適正に行なう――必ずしもこれはフルタイムができがたい事情にもある求職者でございますので、そういう点を考えて、そういう希望に沿うような職場の条件整備に対する対策を進めていくというようなこと、あるいは新規の就業希望者、これは非労働力から労働力になろうとする方でございます。一般に失業者と考えていいわけでございますが、そういう方々につきましては、いろいろ申し上げておりますような失業対策、雇用促進対策というものを積極的に進めてまいりまして、おっしゃるような潜在失業、不完全就業に対する対策を考えていかなければならないというように思っておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 いま言われた中で、一つだけに焦点をしぼりたいと思うのですがね。なるほどパートタイマーについてはフルタイムに働けない、これはおっしゃるとおりだと私思うのです。しかし、実際のそうした立場で働いていらっしゃる方々のいろいろなお話を伺いますと、やはり主人の収入の多少でも足しにしたいという方々がほとんとであるわけですね。できることならば恒久化した、そういういわゆる安定した仕事にしてもらいたい、それにはもちろん条件もあるでしょう。フルタイムは働けないけれども、たとえば朝九時から――人は五時ごろまで働くけれども、三時ごろで帰してくれないかとかも等々のそういう問題はあろうとは思いますけれども、それは当然のことでありまして、そういう点も十分考慮した上で国として配慮すべき、いわゆる法律で明確化すべき、そういう考え方をこれからすべきではないかという点をもうひとつ突っ込んで申し上げたいわけです。そうした点についてはいかがですか。
○政府委員(住榮作君) パートタイマーの問題でございますが、まず第一に、フルタイムを希望される方、こういう方々に対しましては、もちろんフルタイムとしての雇用の場につけるように、これは一般的な雇用対策ということで対処していかなければならない、こういうように考えております。ただ、家事、家庭責任等の関係におきましてどうもフルタイムができない、こういう条件の方方もあるわけでございます。またそういう方々でも、事業主のほうでその能力を生かそうと、これは一般的な労働力不足が背景になっているわけでございますが、そういう需要もあるわけでございます。そこで、そういう供給と需要をうまく適合さすような職業紹介対策、職業あっせん対策、これを充実しなければならないことは当然でございます。と同時に雇用された場におきます問題といたしまして、いろんな家庭責任との関係でそういう変則的な雇用と申しますか、せざるを得ぬわけでございますから、それに対して、たとえばそういう障害を除くようないろいろな託児所の問題その他の問題もあると思うんでございますが、そういう福祉施設対策というものについて政府としてもできるだけ援助をし、パートタイムならパートタイムなりに安定した雇用、あるいはそういう方方でもフルタイムの雇用につけるような事業主に対する援助あるいは働く人に対する援助、これに対する対策を十分行なっていきたいというように考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 くどいようですけどね、実際はフルタイムではないにいたしましても、その職場で、ある一定の時間働きますが、結局それでは十分収入が得られませんので、残りの仕事を家へ持って帰ってやると、こういうことも私は実態として知っております。言うなれば、実質的にはフルタイムやはり働いてるんだ、しかし、それに伴う労働条件が実に劣悪なんですね。と同時にその賃金体系を見ましても、これはひどい状況なんです。ですから非常に不安定なそういう条件のもとに働かなければならない。そこで、私は、いまそれを法律の上で明文化して、今後の国の方策としてそういう方々をきちっと保護していくと申しますか、そういう措置をとるべきではないだろうかと、こう申し上げておるのですが、いま大臣ちょっとトイレに行っちゃって、その答弁聞くわけにいかない。その点をもう一ぺん法律の面ではどう考えたらいいか。
○政府委員(住榮作君) 雇用のあっせんと、こういうことにつきましては、職業安定法なり、ただいま御審議をいただいております中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案、こういう対策によって、できるだけそういう能力に適合した職業につくような対策を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。それから雇用の場における問題といたしましては、これは申し上げるまでもなく、労働基準法等によりまして、最低労働条件の厳正な実施という問題がございます。と同時に、それは最低労働条件の問題でございますが、そういうことではなくて、正しい処遇が与えられるような事業主に対する指導と、それから別の意味で申し上げますと、そういう方々の能力をほんとうに生かすように雇用管理をするような事業主に対する指導、こういうものを徹底していかなければならないと思っております。と同時に、まあ仕事を家庭に持ち込んでする、これは好ましい状態ではないと思うのでございますが、非常にそういう事態があるとするならば、家内労働法等の実施によりまして、劣悪な条件になることのないような対策を進めていかなければならないというように考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても十分対策を考えると、こういうようにとります、いまの答弁を。 次に、先般も答弁がありましたように、現在の就職状況は、若年労働者はむしろ求人難で、中高年齢にいくにしたがって求職難がきびしいという一般的なそういう説明がございました。実質的にはそのとおりだと私思うのであります。そこで、これからの人口の老齢化に伴って、どうでしょう、これから五年間あるいは十年間に、いま想定される人口の老齢化というものはどういうふうに実態的に進むものか、それを労働省ではどういうふうに把握しているか。
○政府委員(住榮作君) 労働力人口の今後の推移でございますが、たとえば四十四年度におきまして、四十歳から六十四歳の全体の労働力人口の中に占める割合でございますが、三七・一%、これが昭和五十年におきましては四二・七%と、約構成比としまして五・六ポイントほど高まっていく。それからまた六十五歳以上につきましては四十四年度が四・六%、昭和五十年度は五%ということで、〇・四ポイント構成比が高まっていく、こういうような推計をいたしております。
○渋谷邦彦君 いま説明がありましたように驚くべき数字でございますね。そうなりますと、やはり憂慮されますことは、特に中高年齢者の失業者に対して、どう一体雇用を促進するか。これはいままで繰り返して論議されたとおりでございますけれども、非常に心もとない感じがするわけです。なるほど職業訓練あるいは指導等々、一連のそういうような労働省のいま考えているそういう線に沿うた行き方によって十分吸い上げていくことができるであろう、対応措置としても十分とられるであろう、こういう判断のようでありますけれども、そのように人口が老齢化していくパーセンテージが非常に高いということになってまいりますと、一方においては社会保障制度が全然立ちおくれておる。これでは、いまここでせっかく法律ができましても、つけ焼き刃のようなことになりはしまいかということを非常に心配します。そうした人口の老齢化の進むに従って、一方再就職ということが非常にきびしい。いわんや憲法で保障された職業選択の自由というものもからんでくる。こうしたことを総合的に踏まえて、労働大臣の基本的な考え方をもう一ぺんここで重ねてただしておきたい。
○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、今後労働力人口の年齢構成が高まるものということでありますが、これに対しまして中高年齢者の雇用の促進と安定をはかっていくための、基本的には中高年齢者の職業の拡大、改善をはかることが何よりも必要でございましょう。このための定年制の延長であるとか、年功序列型賃金体系の改善の指導等と相まって中高年齢者の適職の開発研究、雇用率の設定、ジョブ・リデザインの開発等によって中高年齢者の職域の拡大をはかることとともに、職業紹介体制の強化、就職援護措置の充実等につとめてまいる、こういうような一連の対策が必要であるというふうに考えます。
○渋谷邦彦君 先ほどの御答弁にもありましたように、定年制の延長ということもしばしば承ってまいりました。しかし、おそらくはいま直ちにという当面する問題の解消には役に立つだろうかという、やはり一まつの疑惑がぬぐいされないということであります。しかも、これは労働省から出していただいたこの資料に基づきましても、とりわけ五十六歳以上の再就職率というものはきわめて悪い。こういう実態がその数字の上で明らかになっていますね。そうした場合に、ただ努力するとかいうようなことでは、やはりそうした立場に置かれている方々はいつまでたっても不安というものが残されて、一体どうすればいいのだと、こういう感をぬぐいされないと私は思うのです。もちろんいま具体的な一つの考え方として定年制の延長ということをおあげになりました。しかし一方においては、あるいは厚生年金の支給なり、老齢年金のあるいはその額を上げるとか、それを並行して一方において行なわなかったならば、決して安心できる老後の生活というものは保障できない。これもしばしば指摘されてきたとおりだと思うのです。そうした関連のもとにおいて、労働大臣は、そうした社会保障というものとどう一体からみ合わせながら一方においては基本的にこれを押し進めていかれようとしているのか、その点はいかがですか。
○政府委員(住榮作君) 先ほども申し上げましたように、非常に労働力人口が高齢化してまいります。現実問題といたしましても、年齢が高くなるにつれてその再就職が容易でない、これも統計の示しておるところでございます。そこで、今後の労働力の需給関係を考えてみますと、一方、経済の伸びによる雇用需要というものが相当高い。労働力人口の高齢化が進むということは、いままでのような若年労働力が少なくなってくる、こういうことも影響をいたしておるわけでございます。たとえば現在までの状況を見てみますと、昭和四十年の雇用の需要に対しまして新規学卒者がその需要を埋めておった割合でございますが、これが六一%になっております。そういうように、非常に学卒者が需要の大半以上を埋めておる。ところが、御承知のように、学卒者が減っていくわけでございます。おそらく今後は需要の半数も満たせないのじゃないか、こういう事態が想定されております。そうなりますと、今後のわが国が経済活動を続けていく、そのためには労働力に対する需要もあるわけでございますから、ほんとうに中高年齢者の能力を生かす体制になれば、私ども、労働力の将来の需給関係を考慮いたしますと、中高年齢者の再就職というものは必ずしも困難ではない。ただ、一つはそういった中高年齢者の能力を事業主が生かすというような体制ができるかどうか、こういうようなところに非常に大きな問題があると考えるわけでございます。そこで、この法案におきましても、たとえば雇用率とかあるいはその雇用率達成のためのいろいろな事業主に対する援助措置、こういうような対策によりまして、事業主のそういった中高年齢者の能力を生かして使うと、こういうような体制ができるようにいたしております。と同時に求職者につきましては手帳を発給いたしまして、手当を支給しながら就職指導とかあるいは職業訓練を行なうということによりましてその再就職を促進していこう、こういうような方向で進めますならば、中高年齢者の再就職の問題はそんなに困難なものではないというように考えておるような次第でございます。
○渋谷邦彦君 そこで、この点も重ねてお尋ねしておきたいと思いますけれども、たとえ中高年齢者であっても、一つのワクにはめられた、あなたはもうこれしか適応性がございませんよというのでは、あまりに残酷な仕打ちという以外ないですね。これはもういま申し上げたとおり、職業の選択というものは許されているわけです。そうしたことを踏まえて、いままでこうした立場に該当する方々からアンケートのようなものをとって、それに基づいた方向に立ってのやはり職業訓練とかいうことを考えられたのかどうなのか、その点を明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。もちろん一つの傾向というものは統計の上からも見ることはできるだろうとは思います。しかし、やはり大ぜいの方々の希望というものがどういうところに一体焦点があるのか。先般の答弁の中にも、人によって職業というものはやはりきめていくのだという大臣の考え方がありました。そうしたことを考えてみた場合、いま申し上げた点については十分調査をなさったのかどうなのか。
○政府委員(渡辺健二君) 就職の困難な中高年の方々につきましては、かねてからその就職の能力をつけるために能力再開発訓練を積極的に実施しているわけでございますが、能力再開発訓練を行なうにつきましては、われわれは、中高年の方々の体力、能力等に十分に配慮をいたして職種の選定をいたしておるわけでございまして、その職種につきましては、広く中高年の方々の一般に希望されるような事例の多い職種あるいはその体力、能力に応じましたもの、あるいは中高年の方々に対する需要の多いもの、そういうものを考慮いたしまして、約八十職種以上につきまして能力再開発訓練の科目の設定をいたしておるわけでございます。実際に受けていただく訓練につきましては、中高年の方々で訓練を受けられる方の希望を承りまして、そしてそれらの訓練科目のうち御希望になるような科目についていただくということで、ただいま訓練を行なっておるところでございます。
○渋谷邦彦君 ついでですから伺っておきたいと思うんですが、この再開発訓練につきまして、その対象となる人は、やはり申し込まれた人、希望された人がやはりその対象になるんだろうと私は思うんですけれども、その対象外で、いわゆる申し込みをしなかったという人たちについての啓発指導というもの、これを合わせてお聞かせいただけませんか、どういうふうにやってこられたか。
○政府委員(渡辺健二君) 能力再開発訓練の対象者は、それまで職を持っておられた方で、新しい職につくために従来の自分の持っておられた職についての能力以外にさらに新しい職業能力をつけたいと希望される方を能力再開発訓練に受け入れておるわけでございまして、特に中高年措置の対象者ということで、安定所から職業訓練を受けることが適当という指示を受けた者については、その方は全部能力再開発訓練に受け入れて訓練を実施しておるところでございます。
○渋谷邦彦君 これは一例でございますけれども、もちろん私が確実な資料を持ってのことではありません、人の話を総合して申し上げるわけですから。特に炭鉱離職者の場合、なかなか地上での仕事になじめない、しかも長年――といっても、おそらく子供のころからと言ってもいいくらいの方が相当数占める。そういうような環境のもとに生活をされてこられれば無理もない話だと思います。そうした場合に、特に炭鉱離職者は、最近でも常磐炭鉱ですか、四千数百名解雇されたという事態が発生しているわけです。おそらくまた近い将来においては北海道でもあるいはまたまた九州でも、そういう事態が引き続き起こるであろうといった場合、はたしてそうした方々の希望に合致するような職業訓練というものの可能性があるんであろうかどうであろうか。そして全部の人たちのそういう希望というものを受け入れるだけの現在の機能的なシステムになっているのかどうか、この点いかがですか。
○政府委員(渡辺健二君) お尋ねの炭鉱離職者等が多数に発生した場合には、職業相談によりまして希望を承りまして、職業訓練を受けたいという方にはその地域の職業訓練所に、訓練校に入っていただきまして、職業訓練を実施いたしておるわけでございまして、最近、ほとんど御希望の方は職業訓練を受講できるようになっておるわけでございます。 で、いま例にあげられました常磐のように、非常に職業訓練を希望される方が多いという場合でございますが、現在さらに希望を確かめておりますけれども、付近の職業訓練校で収容し切れないような場合には、われわれ臨時の訓練校というようなものをその付近につくりまして、そういうようなことによっても極力職業訓練を受講できるようにしようということで、絶えず配慮をいたしておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 おそらく今回の常磐炭鉱のような場合、これは予測されなかった事態ではなかったろうと私は思うんですね。そして、いまどうしようかという、これから職業の相談に応ずると、それもけっこうでございましょう。しかし、そうしてずるずるたっていきますと、時間ばかりたつ、時間がたつばかりではない。もらったいろいろなお金もなくなってしまうということがこれからまた続くようであれば、やはり労働者にとってこれほどやはり残酷なことはないんじゃないかと思うんですがね。特にあらかじめそういうことが想定されて、こういう事態が起こったらこうしようという、当然そのぐらいの予備的な方法というものが、対策というものが考えられてよろしいんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。
○政府委員(渡辺健二君) 常磐の場合の例で申しますと、あすこは炭鉱地帯でございますので、かねてからあの付近には内郷の総合訓練校というような、炭鉱離職者のための訓練校も数年前からできているわけであります。そのほか、県立の専修校も幾つかございまして、そこに予算的にも炭鉱離職者のための能力再開発訓練のワクを設けまして、受け入れる準備をいたしておるわけであります。現実にことしに入りまして、その離職者が多数発生することが具体化いたしまして以来、二月、三月と数回にわたりまして、職業相談等によりまして訓練受講の希望があるかどうか、さらに訓練希望がある方については、どういう科目を訓練希望されるかというようなことを調査をいたしております。離職者の方は、最初離職することがはっきりいたしましても、当初はなかなか自分の将来の進路についてすぐにははっきりおきめになれない方がございます。あるいは職業訓練を受けて新しい職につこうと思われる場合であっても、どういう職がいいのかという職種までにつきましては、いろいろ御自分でおきめになるまでにしばらく時間がかかることもございまして、その過程におきまして、初め希望された科目をあとで変更されるという場合もございますので、時日の経過によって一度二度と何回かにわたりまして希望を確定いたしまして、そうして最終的に希望が確定すればその科目に入っていただいて訓練をするということで進めているわけでございまして、早く希望を確定された方については、すでにそれらの地元の訓練校に入っていただいている方もあるわけであります。それからこの常磐の場合には、かなり訓練希望の方が現在までのところ、まだ最終的に確定されない方も含めますと、多数ございます。地元の既設の訓練校で、科目によりましては十分でないものにつきましては、たとえば会社のあく施設等を利用しまして臨時にその訓練科目を開設するというようなことも、いま地元で対策を立てているところでございまして、逐次、訓練希望が確定された方につきましては、そういうところに入っていただきまして、訓練を実施するよう手配をしているところであります。
○渋谷邦彦君 次に、先ほども私聞き違いじゃないだろうかと思ったのですが、大臣の答弁の中で、特に高齢者に対しての労働条件、これについてはあまり無理のないように改善するというふうに聞いたのですが、間違いないでしょうか。無理のないような改善というのは、一体どういうことですか。
○国務大臣(野原正勝君) まあ、高年の方は体力、能力も壮年時代と違いますので、このような方々に適するような無理のない職業を選んで、そのための訓練等も考えたいということであります。
○渋谷邦彦君 ちょっと私の質問の取り方をはき違えたようだと思うのですが、そうじゃなくて、いまおっしゃられたとおり、肉体的に、能力的にもあるいは衰えがあると思います。それは同感でございます。したがって、この若い方と同じ、たとえばその労働時間の場合、同じにするということでは、やはりこれはちょっと調整をしてもらわなければ困る。一時間短縮するなりあるいは二時間短縮する、賃金は同じであるというふうにできないものか。無理のないように改善するというのは、そういうことを大臣は踏まえておっしゃったのかということを確かめたいのです。
○国務大臣(野原正勝君) 失対就労者のことだと思うのですが、これは御指摘のような点を含めて考えたいと思います。
○渋谷邦彦君 ちょっと局長答弁してください。
○政府委員(住榮作君) 大臣の御趣旨を補足して御説明させていただきたいと思いますが、失対事業就労者は年齢が非常に高くなっております。そこで従来の失対事業の事業種目、これは必ずしも現在の就労者の実態に適していない、こういうようなことがだんだんとふえてまいっております。そこで、たとえば屋外作業であっても軽作業の分野を多くする、あるいは屋内作業を拡大していくというようなことで、そういった就労者の実態に即しまして、事業の種目等についても適するような種目を選んでいかなければならない。それからまた、御指摘のように、労働時間等の問題につきましても、画一的に八時間労働でいいのかどうか、こういう問題も出てくると思います。その場合に、従来の賃金と同様というようなことになるかどうか、いろいろやはり作業の内容等とも関連さして考えていかなければならない面も多いかと思います。いずれにしても、できるだけ就労者の実態、それから生活、こういうものを考慮いたしまして、適切な運営をはかっていかなければならない、こういうように考えております。
○渋谷邦彦君 次に、先ほども問題になりました過疎地域の問題でありますけれども、御存じのとおり、とりわけこの過疎地域については農村地帯が過半数を占めるだろうと思います。そうしますと、いま減反というようなことから非常に生活的にもきびしい条件のもとに置かれておる、これが農家の実態であります。しかも老齢者が非常に多い。しかし現金収入を得るためには、老躯にむち打って働かなければならない、これもまた実情であろうかと私は思います。しかし具体的な問題として、そういう過疎地域における一体開発という問題についてはどうするのか。もちろん開発事業というものが何らかの形で行なわれるとするならば、そういった方々を吸収して、せめてもの現金収入の道がそこに立つことができるであろう、こういうふうに思うんでありますけれども、最近の急激な過疎化現象に伴って、具体的に一体そういう地域に対する開発というものはどういうように考えているのか。
○政府委員(住榮作君) 過疎地域でございますので、地元に安定した雇用機会がない、あるいはそういうことから若年労働者等が労働力の需要地域に流れていく。その結果、そういう地域を離れられない方々がその地域に残るというようなことで、まあ過疎地域という現象が起こっておるわけでございますが、そういった過疎地域の問題につきましては、御承知のように、過疎地域対策緊急措置法に基づきまして、過疎地域の開発振興ということが政府全体としてはかられておるわけでございます。それと同時に、今国会におきましても、農林省が中心になりまして、農村地域工業導入促進法という法案を提案いたしまして、現在審議されております。そういうような過疎地域対策緊急措置法なり、農村地域工業導入促進法等によりまして、まず第一には、そういった地域の開発振興をはかる、そうしてできるだけ地元に安定した雇用機会をつくり出していく、これがまあ政策の基本であろうかと思っておるわけでございます。そこで、当面、そういう地域における雇用対策といたしまして、そういう政策の浸透によりまして過疎地域が開発される、そういうことになるまでの間、失業者に対しての対策としまして、この法案にも書いてありますように、特定地域として指定しまして、開発就労事業を実施し、地域の開発に資するとともに、中高年齢失業者の就業の機会の増大をはかる、こういうような対策を講じながら地域の振興と失業対策というものをあわせ考えていきたいと思っておるところでございます。
○渋谷邦彦君 これは再確認でございますが、現在十九万の失対労働者の方がございます。これもかねてから論議されてまいりましたように、先ほども私ちょっと触れましたが、一方においては社会保障制度というものの充実、もう一つはそうした当事者の生活が必ず保障できるという、そうした安定した雇用への道が開くまでは現在の事業というものを継続的に行なうということで間違いないかどうか。打ち切るとか、抜本的な対策も立てずにこれで解消するというようなことはないか、この点を再確認しておきたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) そのとおりでございます。
○渋谷邦彦君 まことにそっけない答弁ですが、けっこうでしょう。そうであるということにお間違いないようでありますから。 次に、雇用促進事業団のことについてお尋ねをいたします。雇用促進事業団の役割りですね、もちろんその目的に明確に示されているわけでありますけれども、具体的にどういう効果をあげているのか、それはおたくのほうからかねがねいただいております資料に基づいても、だいぶ進んでいるようにお見受けいたします。そうしてまた決算委員会等においても、理事長さんわざわざお越しをいただきまして、その都度御答弁に立たれているようであります。ですから、それを蒸し返すようなことはここで申し上げたくない。したがって今後の雇用促進事業団という、その目的に沿った事業というものを完ぺきに推進するために、事業団としてどういういま展望に立った考え方を持っているかということが一つ。それから今日までの事業というものが、確かに法律の精神に基づいて着々実効をあげてきているのかどうか、このまず二点について述べていただきたい。
○参考人(堀秀夫君) 雇用促進事業団は、御承知のごとく、昭和三十六年に発足したのでございますが、その目的とするところは、まず第一に、労働者の技能の習得と向上、地域間及び産業間の移動を円滑化する、そのほか労働者の就職の援助に関し必要な業務を行なうことによって労働者の能力に適応する雇用を促進して、労働者の福祉の増進と経済の発展に寄与する、このような目的でございます。 したがいまして、もう少し具体的に申し上げますと、この目的に沿いまして、まず第一番目に職業訓練の実施、これは若い諸君を対象とするところの養成訓練、それからすでに職業に従事しておられたけれども転職のやむなきに至った、このような離職者の方々あるいは失業中の方々、このような方々に対するところの能力再開発の部面、これを全国の職業訓練校で訓練いたしまして実行する。それから地域的な移動に伴いまして、移転就職者用の宿舎の設置運営を行なう。これにつきましては、大体最近の実績は八千戸ぐらいずつアパートを建設しておりまして、最近まで約六万戸に近いところのアパートを建設しておる、こういう状況でございます。それから、これと並びまして、従業員を雇いたいけれども、それを収容する施設がない、こういう事業主の方々に対しまして住宅の融資を行なう、あるいは福祉施設、職業訓練等の融資を行なう、このようなことも実行しております。これも当初は毎年約二十億円ぐらいのワクでございましたが、最近はおかげさまで希望も非常に多くなりまして、それに応じてこの予算のワクも、たとえば昭和四十六年におきましては百八十七億円というところまで進んでおるわけでございます。これと並びまして、炭鉱離職者あるいは駐留軍離職者、あるいは身体障害者、その他職につきたいけれどもなかなかその職につくことが簡単にはいかないというような方々に対するところの交付金の支給であるとか、資金の貸し付けであるとかというような各種の援護措置、このようなことを実行してまいっておるのでございます。 そこで、わが事業団の仕事のやり方といたしましては、政府――これは労働省あるいは通産省というような政府関係の機関が行なうところの行政と即応いたしまして、いわゆるその行政機関が行なうのになじまないようなことにつきまして、表裏一体となって仕事を行なう。したがいまして、事業団の仕事は、きめのこまかな仕事をいま言ったような内容について、できるだけこのようなことによって労働者の福祉を充実さしていく、こういう考えで進んでおるわけでございます。したがいまして、これにつきましてはいろいろな最近は事業団の内容、業務の内容も拡大してまいりましたけれども、いま申し上げましたように、私どもとしては、きめのこまかな仕事、行政機関が行なうような方法と並びまして、私どものほうとしては、そこまで手の行き届かないような仕事について裏となって仕事を行なう、こんな考え方で進んでまいりたい。 なお、これにつきまして、業務の拡大につきまして、いろいろな最近問題等も指摘されておるのでございますが、私は理事長に就任以来、やはり特にこのような仕事をしております事業団でありますので、国民の信頼にこたえまして公正な仕事を充実さしていきたい、このような気がまえで業務に取り組んでおるようなわけでございます。
○渋谷邦彦君 確かにいま述べられましたように、事業団法第一条の目的をそのとおりに、いまそれに肉づけをされておっしゃたんですが、先ほど労働省のほうからも答弁がありましたように、特に中高年者に対する再就職のための職業訓練あるいはそのための施設、そしてそれに伴う今度は福祉施設、これのやはり強化拡充というものはきわめて急がなきゃならない。その点については、ここにもおたくのほうから出された資料があるんですが、はたして全国的な規模に立った場合、これだけの状態で、いま人口の老齢化が進もうとしている昨今ですね、はたして十分その需要にこたえられるのかどうか。その点の判断と、それからそれに対応する考え方を一体どう持っていらっしゃるのか。
○参考人(堀秀夫君) 私は、先ほどからいろいろ御意見がございましたけれども、やはりおっしゃいますように、今後の日本の雇用構造等を考えてみますると、やはり中高年層の率が非常に多くなってきておる。一方において、なるほど産業、経済の発展はございますけれども、中高年の方々の就職は、一面において求人は非常に多いけれども、必ずしもその求人との結びつきというものは容易でない、こういう見通しを持っているわけでございます。特に中高年の方々が就職せられるにあたりましての最もネックとなるおもなものは、まず第一番目にやはり家族をかかえておられる、これが求人等に応じて就職しようとしても、やはり住宅あるいは福祉施設その他の面において欠くるところがある、これが一つの大きなネックになっておるのではないか。それと並びまして、また、いままでいろいろな仕事をやってきておられるけれども、これが産業構造の変化あるいはその他のいろいろな措置によりまして離職するというような場合になりましたときに、いままでの技能では新しい需要になかなかこたえられないようになるのではないか。したがいまして、この方々に対して、ほんとうにこの時代が需要しておりまするところの要請にこたえるような技能をなるべく早く身につけてあげることが何よりも大事なことであろうと、したがって、そういう場合にはその職業訓練中のいろいろな生活上の援護措置と、こういうものも十分にやっていかなければならないと思うのであります。そういうような観点に立ってみまするときに、私どもは、事業の内容は、おかげさまでだいぶふくらんできておるわけでございます。たとえば移転就職者の住宅につきましても、最近は伸び方が非常に大きいわけであります。それから融資のワクもふえておる。それから職業訓練につきましては、最近各地の職業訓練校も、だいぶふえてまいりました。ただいまは八十五校になっております。これらの職業訓練校の内容をさらに充実さしていくことが必要であろうと思っておりますが、これから今後の見通しを考えるときに、やはり現在のような仕事ではまだまだ不十分であろう。したがいまして、この内容を充実さしていくということがいままでにもまして必要になってきておるのではないか、このように考えております。
○渋谷邦彦君 いま言われたその内容の充実というものをもっと掘り下げていった場合、それは予算の面ですか。
○参考人(堀秀夫君) 内容の充実については、一つは予算の面もございます。それからもう一つは、それと並びまして、たとえば中高年の方々に対して能力再開発訓練を行なうという場合に、やはり最近の技術革新、生産方法の変革というようないろいろな時代の推移がございまするので、いままでのような職種につきましてマンネリズム的にそれを行なっておるということでは、なかなか実効があげられない、取り残されるのではないか、このような観点からいたしまして、私どもは、事業団に最近職業研究所を付設していただきましたが、この職業研究所等を動員いたしまして、中高年層に対するたとえば適職はどんなものであるか、これに対してなるべく早く技能を身につけるための訓練方法はどうしたらいいか、こういうような検討が必要であろう、いままでの惰性にとらわれないでそのような改革を行なっていくということが必要だろうと思います。 それからもう一つは、たとえば住宅の問題にいたしましてもあるいは融資の問題にいたしましても、この運営のしかたにつきまして、やはりいままでと同じような考え方でやっていかないで、最近のいろいろな雇用情勢に即応して、ほんとうに役に立つような運営をしていくことが必要ではないか。したがいまして、予算の面についての充実ももとより私どもは必要だと思っておりますが、それと並んで内容の反省と検討、これが必要だと、このように思っております。
○渋谷邦彦君 いまの御答弁の中で、最大のいまそうした計画を遂行する上においてネックになっておる問題としては住宅があるとおっしゃいましたね。どうなんですか、移転就職者のための住宅供給状況というものは。これからも相当やはりふえるだろうということが予測されるのですけれども、これからの予想というものを考えて、どの程度これから――まあ、もちろんそれには長期展望に立った五カ年計画なり十カ年計画というものを考える必要もあるだろうと思うのでありますけれども、その点がどうかということが一つ。 それからそれに反しまして、これは決算委員会でも指摘を受けましたように、せっかく移転就職者のためにつくられた住宅であるにかかわらず入る人がないために結局はそれ以外の人に入らせたという――これは安定局長の通牒ですか。これによってそういうふうに何か二年間か三年間やったと、ここにそういう矛盾がひとつ起きてくるわけですね、せっかく国の金を使う、一方においては建てたけれども入る人がいない。しかし、国全体として見た場合、まだ足りない。一体、その辺の計画というものは理想的に、合理的に行ない得るのかどうなのかということが問題ではないか。この二点について明らかにしていただきたい。
○参考人(堀秀夫君) 移転就職者用住宅の今後の方針といたしましては、政府全体の住宅建設五カ年計画に即応いたしまして、この四十一年から四十五年度までの第一期住宅建設五カ年計画に即応して建設してきたわけでございますが、今後におきましては、四十一年度以降におきまして、やはりこの住宅建設計画の一環といたしまして、移転就職者用宿舎はこの約一年間に一万戸というものの確保を行なうということが必要であろうと考えております。これと並びまして、雇用促進融資に基づくところの――これは事業団が自分で建てないで、事業主に融資をいたしまして建ててもらうわけでございますが、この雇用促進融資に基づくところの住宅建設、これも大体一年間に一万二、三千戸から一万五千戸、この程度を見込んでおるわけでございます。これにつきましては、私どもの分担としてはいまのようなことでございますが、政府全体の住宅建設計画、これが適正に予定どおり実行されることを私どもは期待し、その一環として、私どものほうとしてはいまのような努力を行なう、このようなつもりでおります。 それから第二の御質問でございますが、この移転就職者用住宅をどういう場所に設置するかという問題でございます。これは毎年労働省におきまして、全国の労務の需給状況、それから各地におけるところの工場の建設誘致というような見込み、これを勘案いたしまして広域職業計画を立てるわけでございます。それに即応いたしまして、私どものほうとしては、労働省と相談をいたしまして、労務者をその地方にこれだけ就職させるという計画に基づいて、しからばいかなる地域にどのような戸数を建てるかということを協議いたしまして、選定して建設しておる、こういう状況でございますが、ただいまお話にございましたように、ある地域におきましては、実はこの地域において工場がこれだけ今後できる、あるいはその地域におけるところの工場においてこれだけの拡張をして求人がこれだけあるという予定でありまして、それに基づいてその住宅を建設を始める。ところが、でき上がってみると、その工場の誘致あるいは工場の拡張計画というものが当初の予定どおりいかないで、それがおくれておると、こういうようなことから、住宅は建てましたけれども、その地域においてよそから移転してこられるところの労働者の方々が少ない、こういうような現象が若干あったわけでございます。そこで、そういう場合につきましては、せっかくつくりまして入る者がないというようなことは、これはまことに申しわけないことであるし、もったいないことでもある。したがって、そういう場合においては、その地域におきまする失業保険の受給者、失業保険に加入しておる方々で住宅がないという方々を臨時にそこに収容するというような措置をとってもやむを得ないということで、そのようなことを実施した事例もございます。これがただいま御指摘になりましたところの局長通達でございます。いまのようなことでございますので、その点は、最初の見込みが違ったということでございます。私どもとしては、なるべくこの見込みを確実につけまして、労働省と相談してつくりますときに、ほんとうにこの見込みどおりにいくということが確実な地域に建てるということ。それからもう一つの配慮といたしましては、大都会の周辺におきましては、土地の値段が最近御承知のように非常に高くなっておりまして、予算の関係からなかなか大都市周辺――ここは求人も非常に多く、入りたい希望もたくさんあるわけで、そういうところに建たないというようなことも考えられますので、そういう点につきましては、最近、この用地の状況からいたしまして、たとえば大都市周辺にはもう少し高層の移転者用住宅を建てる、高い十階建て以上の住宅も建てる、こういうようなことも考えたいと思いまして、目下その準備を進めておる。いまのようなことで、この粗漏のないように私どもとしては今後最大の配慮をしてまいる、これは労働省にも十分申し入れてございます。いまのようなことで進めてまいりたいと思っております。
○渋谷邦彦君 あと一、二問で終わりたいと思いますけれども、実際住宅を管理しているところは、申すまでもなく財団法人中高年齢者福祉協会ですね。決算委員会でもだいぶ指摘されたようでありますけれども、この福祉協会、運営の上において非常に粗漏があるように判断されるわけであります。一体、事業団の足りない仕事を委託さしてやっているのか、あるいは全然目的の違った存在としてそういう財団法人という法人格を持った団体を設立して、何とか仕事をやらしてみようじゃないかというような簡単な考え方でやっているのか。それが一つですよ。そうなりますと、非常に迷惑するわけですね。 それからもう一つは、福祉協会というものが、今後さらにこの事業団とやはり密着して連携を取って仕事をやっていく必要があるのかどうなのか。 それから次の第三点は、いま御指摘がありましたように、なるほど土地の取得ということについては非常に困難です。先般も勤労者財産形成法の問題を審議いたしますときに、労働大臣にもこの点ただしました。非常に不明確な答弁に終わってしまいました。しかし、はたして労働者の希望にこたえられるようなそういう環境と、土地の取得ができるのかどうなのか。そしてまた、土地の取得にからんで、決算委員会で問題になったようなことが十分あり得るということが想像されますけれども、その辺はまあ指摘もされたことでありますので、もちろん十分に注意しながらやっていかれるだろうとこう思いますが、その辺の考え方をこの機会に明確にしておいていただきたい。
○参考人(堀秀夫君) ただいまお話しの中高年福祉協会、これは昭和四十年に設立された財団法人でございます。この中高年福祉協会の仕事は、中高年の雇用促進に関するところの調査研究、啓蒙ということと合わせまして、ただいま御説明をいたしました移転就職者用住宅の管理を行なうということで、その点は事業団から委託をする。この事情につきましては、当初の移転就職者用住宅が毎年相当な勢いで建設されてまいりまして、昭和四十年……。
○渋谷邦彦君 すみません。こまかいことはこれにありますから、もうけっこうですから、簡単にやってください。
○参考人(堀秀夫君) そこで、いまのような住宅の数も非常にふえて、管理人の数もふえる、そのような状況にかんがみまして、やはり中高年福祉協会で管理人を管理いたしまして、そうしてこの中に入っておられる方々のお世話をするということが必要じゃないかということで委託をしたわけでございます。 そこで、今後の見通しでございまするけれどもただ、この中高年福祉協会の仕事のやり方等については、私どもも、いろいろな御意見がございまして、その後いろいろ検討をしておりまするけれども、必ずしも能率的でない面もあると思います。したがいまして、私どもは、近い将来におきまして、労働省とも相談をいたしまして、中高年福祉協会の組織、業務の方法、それから人事、こういうものについては根本的に改善をはかる、こういうことで検討をしておりまして、近くそのように実行したい、このように思っております。 それから第三点は、土地の取得の問題でございます。最近、以前の事業団の土地の取得につきまして、いろいろの問題があったのではないかという御指摘がなされておるわけでございます。これは六、七年前のことでございます。いろいろ調べて見ますると、やはり率直に申しまして、私どもは、やはり反省を要する面が相当ある、このように思っております。そこで、用地の取得というものにつきましては、これは、私は就任以来、こういう公の負託にこたえて事業を行なうところの事業団としては、あくまでも公正、明朗にしなければならない、こういう考え方で進んでおりまするので、その方針で今後もやってまいりたい。大都市の周辺につきましては用地がなかなかありませんけれども、先ほど申し上げましたような高層住宅等を考えるとか、その他いろいろな方法を考えまして、地方公共団体と連絡を密にいたしまして、そちらのほうにもやはり相当数はつくってまいるように努力をいたしたい、このように思っております。
○渋谷邦彦君 最後に、自立を希望したいという方々に対しては貸し付けも行なう、こうおっしゃいましたね。貸し付け限度額は幾らですか。
○参考人(堀秀夫君) 貸し付け額が三万円でございます。現在までの状況は、人員にいたしまして約八千七百名に対して資金の貸し付けを行なっております。こういう実績でございます。
○渋谷邦彦君 先ほど就職準備支度金、これを五万円から今度は十五万円でしたね。それを同僚議員は二十五万円ぐらいにすべきじゃないか、御遠慮されて三十万円から二十五万円になってしまったのですが、私は、三十万円でも足りないと思う、はっきり申し上げて。これはもう絶対に善処してもらいたい。しかも、いま理事長さんがおっしゃった三万円で一体自立できるのかというと、いまどきの物価高とか何とか申し上げなくても、これは重々御承知だと思うのですが、もっと合理的な考え方に立っておやりになる必要があるんじゃないでしょうか。それじゃ支度どころじゃない、もうそれだけで何かやろうとしてもうすぐ吹っ飛んでしまう。それで、その貸し付け金の場合とその準備支度金の場合とどういうふうに関連があるのかということ、それはあとこちらから答弁してもらってもけっこうです。まずそちらから伺いたい。
○参考人(堀秀夫君) ただいま申し上げましたのは、いわゆるいろいろな特別法、特別措置に基づきまして貸し付けを受けられるというような資格のない方々に対して私どもはほそぼそとやっておる就職資金貸し付け額であるということでございます。したがいまして、この特別法あるいは特別な措置に基づきまして貸し付けを行なう場合には、ただいまお話のありましたような措置が行なわれる。私どもの資金は、そういう資格のない方々に対するところの措置でございます。お話のように、まことに少ない額でございまして、今後におきましては、こういう方面ももう少し獲得しなければならない、このように思っております。
○政府委員(住榮作君) 事業団で貸し付けていただいております制度でございますが、これは一般の日雇い労働者が常用雇用につく、その場合にいろいろな経費が要るということが考えられますので、そういった経費に充てるものとして実施していただいておるわけでございます。 一方、失対事業の就労者につきましては、現在まで失対事業就労者が民間再就職されるとかあるいは自営業をおやりになる、こういう場合にはやはり経費が要るわけでございます。失対就労者につきましては五万円、こういう金額にいたしておったわけでございます。そこで、この法律の制定を機会に、ほんとうに失対就労者の方々がみずから進んで民間再就職されるとかあるいは自営業を開始されるという場合には、特に従来五万円であった金額を十五万円に引き上げて貸し付けよう、こういう考え方にいたしておるわけでございます。 そこで、その金額では少な過ぎるじゃないか、こういうことでございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、十五万円の額につきましては、予算の範囲内で最大限の努力をいたしましてこの額の引き上げをはかってまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。
○渋谷邦彦君 じゃ、いままでのことを総括して最後に大臣にお願いいたします。 いま理事長さん、実に率直なことをおっしゃった、これはたいへん正直だと私も思います。たいへん失礼な言い分でございますけれども。足りない、また実質的には効果はない、そういう意味を含めておっしゃられた。やはりある程度、できないまでもそれに近い、いわゆる可能性を含んだ、人々が自立できるあるいは再就職への糸口ができるというまでには、いろいろなまだ問題点が残されておるように思うわけであります。いまの貸し付け金問題にいたしましても、お聞きになったとおりでございまして、こうした問題を総括いたしまして、まだまだ大臣としても善処しなければならない、改善をはからなければならないことをお気づきになったと思うのです。それを政治的判断の上に立ってこれからどう対応されるのか、それからさらにその方面というものを明確に、私はこうして臨みたいというその所信をお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(野原正勝君) 就職支度金の場合、先ほど小柳さんの御質問に答えたのでありますが、何とか二十五万円ぐらいに増額できないかということでございまして、その方向で善処したいというお答えをいたしました。まだはっきりきまったわけじゃございませんので、何とかそのようなことにいたしたいということで、これから努力いたします。
○喜屋武眞榮君 私は、持ち時間もわずかでありますし、また時もおそくなっておりますので、実は、お尋ねしたい問題点一ぱいあるわけでありますが、いままでの委員の皆さんから大体引き出していただきましたので、そのことは重複を避けまして、私は、その他の面から質問をいたしたいと思います。 まず質問に入る前に、私、これを携えてきておるわけでありますが、これは、この法に関連して全国的な該当者がいかに深刻な問題として訴えておるかということが明らかになっております。これは実は、きょう私の議員宿舎にも、帰りますというと――もうそれを一々私読んでおりますが、読めば読むほどほんとうに胸を締めつけられる思いがいたします。また会館に参りますというと、そこにもどしどしまいります。そこでも目を通しております。一々その内容を申し上げるわけにはまいりませんが、おそらく他の委員の方にもいっぱい、あるいは政府の皆さんにも、大臣はじめたくさんまいっておるのではないかと思います。私のところに参ったものだけでも、はがきが六百二十一通、それから封書で二十三通、電報で十六通、それから決議文の形で要請が十三通、こう参っておるのでありますが、これはおそらく私が考えますのに、氷山の一角である、このように思いまして、私は、しみじみ感じさせられました。 いま、わが国はGNPは世界第二位だと、いわゆるバラ色の繁栄だと、こう謳歌しておる中で、このように国民底辺の中で日の当たらない、きょうの生活をどうするか、あすの生活をどうするか、こういうことで生活の不安におびえながら、しかも、労働を通して希望を求めて生きていこう、こういった人々が日本の底辺に一ぱいある。このことを私は立証する一つの事例である、こう思われます。さらに私は思いを――戦後二十数年異民族支配のもとに求めずして、好まずして置かれた沖繩県民の中で、さらにこれ以下に深刻な立場に置かれて生活しておる、暮しておる沖繩の仲間が一ぱいおることと結びつけて考えながら、私は次に何を思い出したかといいますと、日本国憲法は、今日よく憲法の空洞化、空洞化と、こう言われておるのであります。まあ空洞化のとらえ方はいろいろな面からよく引用されるのでありますが、いまさら私が申し上げるまでもありませんが、ぜひこの機会にもう一ぺんこの場で憲法二十五条をかみしめてみたい、こう思う次第であります。申し上げるまでもなく、二十五条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、明確に憲法の精神が打ち立てられておるわけであります。この実現に向かって努力してこられたことはわかりますし、了解できるわけでありますが、私は、この日本の現実と、そうしてこの憲法の精神を結びつけて考えてみた場合に、日暮れて道遠し、まだまだこの憲法の精神ははるかに遠い、手の届かないところにある。この理由が、もしGNPが世界第二位であるということを前提にするならば、このような日の当たらない層が多くおるということは、これはまさに政治の貧因、こういうことにもつながるのではないか、こう思われてなりません。私は思います。憲法が暮しの中にどのように生かされておるかどうかということが、われわれ国民にとって非常に大事なことである。そのことを絶えず私は忘れておらないわけでありますが、その気持ちで国民主権の一人々々の命を、暮しを大事にしていくということがまず明確に具体的にこれが政策に具現されていかなければならない、こう思います。 第二点は、年寄りと子供、婦人が大切にされているかどうかということがその国の文化社会国家としての一つのバロメーターであるということは、私が申し上げるまでもありません。こういった立場に立ってこの方法をいろいろ検討してみるわけでありますが、労働大臣は、この法に対して、このような憲法の精神に照らして、どのような御見解を持っておられるのであるか。またこの目標に向かって今後どういう施策をあるいは決意を持っておられるのであるのか、まずそれをお尋ねをしたい。
○国務大臣(野原正勝君) 喜屋武委員のお話、まことにごもっともでございます。非常な共感を覚えるものでありますが、私は、従来の非常に深刻な時代において、憲法二十五条をそのままいかに生かすべきかという問題を考えるときに、やはり緊急失対法というものの意義はまことに大きいものがあったと考えます。わが国の経済が非常な成長もし発展をしておるという段階におきまして、いよいよわが国が労働力が足りない時代にも入ったということは、一面、それはもう好ましいことではありますが、同時にまた中高年齢の方々が職を求める、非常に労働力不足でありながら、一面においては中高年の方が非常に困っておるという事実もございます。ところが、わが国の現状は、そうした中高年齢の方々にも何とかひとつ新しい生活のための役割りを持ってもらいたいという点で、やはり雇用の奨励であるとか職業の訓練であるとかいう点で、まあそれらの方々の持つ役割りというものをあらためて考えさせられるわけでございます。そういう意味において、この中高年齢の雇用促進法は、現下のわが国が求めておる――これからは中高年齢の方々もひとつ大きな国の発展のための役割りをになってもらう、そのためには、むしろこれから積極的にその方々を援助をしなければならない。あらゆる面、角度から中高年齢の方々を大事にして、その方々のお立場というものを十分御理解をいただいて、国の発展にひとつ役割りを果たしていただこうというような意味合いが盛られていると思うのでありますが、御承知のとおり、最近においては若年労働者、学校新卒等がだんだん減りまして、結局、中高年齢者にその非常な不足な労働力をお願いしなければならぬというようなところまできたということを考えてみるときに、これからはあらためて中高年齢者の存在というものに対して手厚い対策が必要である。同時に、いままでやってまいりました戦後の失対就労者の方々が幾多の大きな国の繁栄のためのいろいろな仕事に貢献をいただきまして、その役割りもまた非常に大きいものであったと思うのでありますが、この従事者の方々も、すでに平均年齢が五十七歳以上ということになっておりますというと、いままでのような失対という形で、そういう方々をいまのような状態で置くことはどうであろうか。むしろこれは、その方々に対しまして手厚い国の社会保障なりあるいは老後の対策なり、そういう面で何ら生活に不安のないような姿でお報いするのがほんとうは必要であろうと思うのであります。しかし、中には、まだ中高年齢といいながら、やはり民間に就職のできる、働きたいという意欲を持った方も少なくないと思うのでありまして、そういう方々に対しては、この際国ができるだけの援助をして協力をするというのもけだし当然でございましょう。そういった単なる失対という形の従来の姿、まあ一種のマンネリ化しておったと思うのでありますが、そういうものは今回の中高年齢者雇用促進法によって新しい一つの希望を与えられる方々もおありであろう。しかし、いままでやってきた方々でその新しい仕事もちょっとむずかしいという方に対しては、安心して従来の仕事を進めていただこうじゃないかということで、理解のある御修正もいただきましたので、そういう点でその方々に対するお報いをしたいという点で、憲法二十五条のお話がございましたが、どうもこれがわが国における最も底辺に存する方々に対するせめてもの思いやりのあるあたたかい政治でなければならぬという点で、これからもこの制度についてはできるだけの対策を講じていく必要があるというふうに痛感いたしまして、喜屋武先生の御意見に衷心から敬意を表する次第であります。
○喜屋武眞榮君 まあ、この問題を柱にしてなおお尋ねしたいこともありますけれども、次に移ります。 佐藤総理は、第六十五国会の所信表明の中で、完全雇用、わが国の労働状況は完全雇用、こういうことを述べておられますが、このことを労働大臣はどのように理解しておられるのであるか、お尋ねいたします。
○国務大臣(野原正勝君) 完全雇用の意味、内容につきまして、国によって違うと思うのでありますが、わが国の場合は、幸いにも他に比べまして失業者が非常に少ないという状態はまことに御同慶でございます。しかし、そうかといって、はたしてこれで完全雇用と言い切れるかどうか、これは私は完全雇用などと言い切る勇気は実はございません。特に先ほども渋谷委員の御質問にもございましたように、わが国の繊維産業の現状等、あるいはまた多数の倒産等の事実もございますので、全体的に見れば非常に数少ないけれども、かなり多くの方々のやはり失業という問題、あるいはまた倒産等の影響等によって生活に不安を覚えている者も少なくない。ただ、米国であるとか英国であるとかいうふうな国に比べれば、幸いに日本の現状はまず恵まれておるということも言い得るかもしれませんが、そういう状態で、これがはたして完全雇用が実現されておるかいなかということについては、これが完全というものは、まあ一〇〇%雇用されることが完全なんでございますが、まあ一・二、三%でもやはりこれはそういった失業状態の人がいる限りは、どうも完全とまでは言い切れない。ましてや多数の失対の方々も現実におるわけでございますから、その意味では、まだまだそういう面への対策はこれからもおろそかにできない、これからも十分に対策を講じていく必要があろうかと、こういうふうに考えます。
○喜屋武眞榮君 このことにつきましてもなお掘り下げていきたい気持ちもございますが、どうしてもお尋ねしたい問題二、三ございますので、次に移りたいと思います。 次に、実態の確認の面から、失対労働者の実態について、数はいま十九万ということでありますが、その中の性別、年齢別の概要はどのようになっておりますでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(住榮作君) 四十五年、昨年の九月現在で失対の紹介対象者の総数が十九万二千でございます。そのうち男は約八万四千七百人、女が十万七千人。男の割合が四四・二%、女の割合が五五・八%。それから年齢別の状況でございますが、二十歳から四十九歳までの方が約二〇%、それから五十歳から五十九歳までの方が約三五・八%、それから六十歳以上の方が四四・一%。平均年齢が五十七・六歳、こういう状況になっております。
○喜屋武眞榮君 次に、この就労者の作業内容、仕事の内容ですね。詳しいことはちょっと時間がかかると思いますが、大まかでよろしゅうございますから、その作業内容はどのようになっているか。それから賃金は民間給与に比較してどういうふうになっているか、その二点についてお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(遠藤政夫君) 御承知のとおり、失業対策事業は、できるだけこういった失業者を就労させることによってその失業期間中の生活の安定を得させるということを目的に事業を実施いたします関係上、できるだけ多くの労働力を使用するような事業であること、これがたてまえになるわけでございます。したがいまして、その失業者の技能なり体力等の状況に応じまして、こういった人たちを就労させるに適当な事業種目を選んで実施をいたしておりますが、主として事業内容は屋外の作業が中心になっております。先ほど来申し上げておりますように、最近では非常に老齢化しておりますし、体力、能力の一般的に劣った方が多い関係上、屋内作業とかあるいは屋外作業でございましても比較的軽易な作業を中心に事業を実施いたしております。おもなものをあげますと、道路の清掃でございますとか、公園の維持管理でございますとかあるいは屋内でのいろいろな作業、こういったものが半数以上を占めているような状況でございます。 それから賃金につきましては、これは一般のそういった同じ程度の作業内容に支払われます民間の賃金と大体同程度の賃金ということで、労働大臣がその賃金の額をきめることになっておりますが、今年度の賃金額は全国平均で千百三十六円五十四銭になっております。これをそれぞれの作業内容に応じまして、作業の種目、それから能率、こういったものに区分いたしまして十五段階に分布いたします作業賃金日額表を作成いたしまして、それをそれぞれの作業に従事する失対就労者の人々に当てはめまして賃金を支払っているという状況でございます。
○喜屋武眞榮君 次に、夏冬の期末手当ですね、この期末手当は幾らが支給されているか、この概要ですね。
○政府委員(遠藤政夫君) 夏と年末の臨時の賃金につきましては、夏は四十六年度一人当たり九日分、ただいま申し上げました千百三十六円五十四銭の九日分が夏の臨時手当として計上されております。年末につきましては二二・五日分の原資を予算に計上いたしておりまするが、今回御審議願っております法案におきましては、臨時の賃金制度を廃止することにいたしておりましたわけでございますが、先般、衆議院で修正されまして、法律上の制度として支給することに相なりましたので、予算に計上いたしております二二・五日分を一人当たり支給することに相なるわけでございます。
○喜屋武眞榮君 次に、先ほど小柳委員が触れられました七二年返還後における沖繩の関連におきましては、先ほども御質問があって、それに大臣のお答えがありましたので了解いたしましたが、それに関連いたしまして、復帰後、特定地域開発、その特定地域開発の就労についての計画と申しますか、それに対してはどのようにお考えでありましょうか、伺っておきたい。
○政府委員(住榮作君) 沖繩の本土復帰の対策の重要な一環といたしまして、沖繩の経済開発、社会開発をどうするかということにつきまして、現在、政府内部で関係各省相寄りまして検討を続けている状況でございます。そういうように経済開発あるいは社会開発ということを進めていきます場合に、いろいろそれに伴う事業量をどうするか、こういうことも具体的に詰めていかなければならない。それと同時に、また本土と一体化するにあたりまして、本土の事業所の沖繩における企業活動等も活発化していくことが予想されます。いろいろそういうことを考えまして、さらに沖繩にいま御指摘の特定地域開発就労事業を実施するかどうか、こういうことになるわけでございますが、私ども、今後の沖繩における雇用失業情勢を、そういう経済開発あるいは社会開発との関係においてどう見ていくかというようなことを十分現在検討しておるわけでございますが、そういうことを含めた上で対処していきたいというように考えております。
○喜屋武眞榮君 私がそれをお尋ねいたしましたのは、ぜひ遺憾のないようにやってもらわなければいけないと思いますが、さらに復帰する時点までの間にも、どのように趣旨を生かし、法の内容を生かしていくか。それはその法の完全適用という面で、私は、いつも国会を通じて矛盾を感じますことは、いままでは、本土の法は沖繩に適用されない、行政権が別だから、こういったことで答えておられたのでありますが、ところが去年の十一月から国政参加を実現をいたしております。一緒になってつくった法は、少なくともそれは沖繩県民にも当然適用されるべき筋合いのものである、これは憲法の精神からも当然である。ところが実際問題といたしましては、施政権が返るまでは手の届かないところにあるんだと、こういう非常に苦しい答弁を今日までしておられるわけです。ところが、今度逆に県民不在という、国民不在という立場から、いま問題になっておる返還協定の内容の問題も関連して、県民不在だということ、いや県民不在ではないのだ、住民の代表もちゃんと国会に参加しているのだから県民不在ではないのだと、こういうように逆手に利用されると言っちゃちょっと失礼かもしれませんが、一緒になってつくったんじゃないか、だから県民不在とは言えないんだと、たまたまきのう佐藤総理の御答弁の中にもそういうことが出てきたわけであります。そのように一緒になってつくった法は当然沖繩県民にもストレートで適用されるのが筋道である、そのように考えた場合に、何かしら本土において一生懸命にみなこうしてつくってくださり、一緒になって私どもがつくったものが適用されないことに矛盾を感じ、不満を感じるわけであります。ならば、少なくともその内容は、法の形式上の完全適用は別として、その精神を生かす道は幾らでもある。結論的にいえば予算の裏づけ、その精神を生かす予算の裏づけは今日でも十分できるわけであります。そういう意味合いからぜひひとつ、復帰後はもちろんでありますが、その復帰までの過程におきましても、この精神が十分に沖繩にも実質的に生かされるように、こういう強い要望を当然の要求として持っておるわけであります。それに対する大臣の御見解をお伺いしたい。
○国務大臣(野原正勝君) ただいまの喜屋武委員の御発言、私はごもっともであると考えます。このことはよく体しまして、でき得る限り実現できますように、最善の努力をするということを申し上げます。
○喜屋武眞榮君 時間もありませんので、最後に、直接の関連はないといえばないし、あるといえばある問題でありますが、沖繩の労働者の問題、特に基地労働者が去年二千名、ことし三千名、この解雇が、しかも不当な解雇がなされておることは御承知のことと思います。その解雇された沖繩の基地労働者がどれくらい本土に進出しておるかという、この実態について確認しておられるかどうか、これが第一点。 次に、若年労働者が毎年中学卒、高校卒が進出しておるわけでありますが、この問題は、復帰に向けてのあるいは復帰後の沖繩の経済開発、いわゆる基地産業から平和産業への転換、こういうことで沖繩の経済開発に関連して、過疎過密との関連もありまして、これは非常に重視いたしているのですが、それは一応この場では別といたしまして、この若年労働者が毎年進出いたしております。その実態についても確認しておられると、こう信じますが、そのこともお聞かせ願います。 同時に、皆さんが確認しておられるその数字は、おそらくその一部でありましょう。と申しますのは、職安の正式なルートで手続を経て来たのもおりますけれども、いわゆるやみルートを経て個人雇用の形で渡って来ているのもだいぶあるわけです。この両面からの実態が調査されているかどうか。このこともお尋ねしたいのでありますが、それに関連いたしまして、若年労働者の定着率が非常に悪いということを実は聞きまして、たいへん私沖繩の者として胸をいためているわけですが、しかし定着率が悪いという、なぜ悪いかということは、本土側のいわゆる雇用者の立場から配慮してもらわなければならない点もありましょう。また沖繩側の立場で反省しなければならない両面あるわけです。その本土側に対して私が強く申し上げたいことは、現地における雇用条件と、実際来てみたら食い違っている。話が違うじゃないか、こういったギャップがあるということ。そこからきたところのひとつの心理的影響、それから環境が違いますために、そこからくる、遠い沖繩から海を隔ててはるばる来ている、環境になじめない、そういったところからくる心理状態あるいは施設設備からくるところの不満感、こういった管理面からもいろいろ問題があるようであります、聞きますると。そういった実態も十分調査されているかどうか。またそのような調査に基づいてどのような指導、配慮がなされているかどうかということもお聞かせ願いたい。 そこで、最後にお願い申し上げたいことは、どうかこの問題は復帰に向けて、さらに復帰後の沖繩の軍労働者がだんだんこれは縮小されていく、その基地労働者が沖繩の開発にももちろんとどまってもらわなければいけませんが、本土にも進出する、わけでも若年労働者は本土に吸収される率が多いと、こういうことを思いますときに、今後ひとつあたたかくこの問題解決のために、あらゆる面からひとつ違和感を与えないように、安心して希望を持って、ほんとうに本土に来てよかった、こういった希望を持って、誇りを持ってわが国の復興に協力できる、働ける、こういう条件設定を施設面からも管理面からも、また待遇面からも完璧を期して特別の配慮を――特別というと、決して甘えるという意味の特別ではありません。四半世紀の断絶がありますから、しかもこれは国の犠牲であることは間違いありません。そこから落ちこぼれたひずみ、そういった過去のしわ寄せをになってきて成長した沖縄の青少年でございます。そういう意味で、ひとつ特別の御配慮を賜わっていただきたい。こういうことを御要望申し上げ、先ほどのお尋ねしたことに対するひとつお答えをお願いいたしたい。 これで私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(住榮作君) まず軍関係離職者の再就職の状況でございますが、昨年の六月一日から昨年の十二月末までの人員整理状況、二千八十四名でございます。今年に入りまして、四月十五日現在まで八百二十一人、あわせまして二千九百五名の人員整理が行なわれております。これに対しまして、沖縄内で再就職された方々が四百六十六人、それから本土で就職された方々が八十四人、こういうことになっております。 それから第二点の沖縄の方々の本土への就職状況でございますが、まず学卒者について申し上げますと、四十五年三月卒業の中卒で本土に就職された方々が約二千百名、それから高卒で本土就職者が約四千百名、合わせまして六千二百名、こういう状況でございます。それから学卒以外の一般の就職が約六千名でございますので、合わせますと一万二千の方々が本土へ就職をされておられます。これに対しまして、それ以外の、正規のルートと申しますか、こういう安定所紹介以外の紹介による本土就職者がどれだけおるか、こういうことにつきましては、実は実態がよくつかめないのでございますが、琉球政府の出入国管理部の調査によります就職を目的とした本土出域者の数、この調査がございます。それが約二万三千名、先ほど申し上げましたように、琉球政府あるいは本土政府の職業安定所を通じて就職した者の数が一万二千でございますので、その差の一万一千というものが安定所の紹介によらない就職、こういうように一応考えられるわけでございますけれども、その一万一千の中には、本土に就職されておられまして、離職ではなくて、沖縄のほうに帰郷される、その方々が再び本土の事業所に帰って来られる場合も、この管理部調査によりますと、この数の中に入っておりますので、その点は考慮に入れる必要があるかと思いますが、なお、正式な公共職業安定所の紹介ルートに乗らないで就職された方々も相当多数あるというように推定されるところでございます。それからこういった方々、特に学卒者の本土就職の場合の定着率の問題でございますが、まず本土の学卒者と比較いたしてみますと、女子の場合は大体本土並みでございます。男子につきましては本土よりは若干高い、こういうのが調査の結果判明をいたしております。いずれにいたしましても、本土と申しますか、やはり一年間で二二、三%の離職率でございます。非常に高い離職率でございまして、特に学卒者の状態ということから考えてみますと、非常に憂慮すべき事態であると考えられるわけでございます。そこで、こういった離職率が非常に高い、この定着性を高めていくということについてでございますが、まずその大事なことは、就職するにあたりまして、正しい職業指導ができておるかどうか、ほんとうに適性に合った職業の選択が行なわれるかどうか、これが非常に大事なことであろうかと思います。そういう意味で、私ども、琉球政府等とも十分御連絡いたしまして、就職前の段階における職業指導、これをたとえば適性検査等をも織りまぜながら、正しい職業指導によって正しい職業選択が行なわれるようにしていきたい。 それから就職後の問題といたしましては、特に沖縄関係者の場合には、御指摘ございましたように、非常に生活環境が違うとかあるいは職場環境になじめないというような問題等がございます。そういう点に特に着目いたしまして、私ども、そういう沖縄関係の学卒者を採用する事業所に対しまして、集団的にそういった生活相談あるいは日常の職場における相談、そういうものを特に親身になって、ほんとうにその就職者の立場になって考えていくように指導していただくよう、特に事業主にお願いをしておるわけでございますが、同時に安定所に、特に就職直後のアフターケアを中心にしてやるということで、年少就職者相談員という制度をつくっております。これは民間の非常に経験のある方々にお願いをしておるわけでございますが、そういう方々には、特にそういう事業所をたずねていただきまして、いろいろな相談に乗るあるいは悩みの打ち明けも聞くというような態勢で定着を高める、こういう態勢をとっておるのでございまして、今後ともそういう対策をさらに徹底して、問題の起こらないように対処してまいりたいというように考えておる次第でございます。 私の最後に御要望申し上げましたことに対する大臣のお答えをお願いいたします。
○国務大臣(野原正勝君) 御要望の諸点は十分尊重して、今後できるだけおこたえいたしたいと考えます。 ―――――――――――――
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。 中沢伊登子君が委員を辞任され、その補欠として村尾重雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○吉田忠三郎君 私は、きょうの質問のしんがりを承りまして、これから質問いたすことになったわけでありますが、社会党といたしますれば、きょうの質問の冒頭に同僚の小野、小柳両委員から、しかもかなり細部にわたっての質問がございましたから、私はできるだけ重複を避けて質問をいたしたいと思います。なお時間がかなり経過しておりますから、要領よく簡潔に質問いたしますから、答弁のほうも要領よく、簡潔に、明快に私は答弁を大臣以下に求めて質問に入りたいと、こう思います。 その第一は、先ほど小柳委員からも質問されて答えられましたが、多少この際私はそれに追加をして、大臣並びに関係の局長あるいは部長に答弁を求めたいと思います。 それは小柳委員の質問の冒頭の件でありましたが、中高年齢者等の年齢の範囲の問題であります。この範囲の問題大臣は雇用、失業の情勢の変動に応じてという意味で答えられたものでありますけれども、その変動といっても幾つかの態様があるわけです。形がございます。たとえば地域の特殊性、具体的に申し上げますと、産炭地あるいは同和地域等々の形の問題がある。こういう変動に応じて、この運用は弾力的に運用ができるようにしなければならないと私は考えるが、この点はいかがですか。
○政府委員(住榮作君) 雇用審議会の答申にもその趣旨が盛り込んであるわけでございますが、私ども、この年齢の範囲をきめる場合には、中央職業安定審議会の意見を聞いて具体的にきめるようにいたしたいと思っております。そこで、その範囲をきめるに当たりまして、先生御指摘のような趣旨を十分織り込みながら対処できるようにいたしてまいりたいと考えております。
○吉田忠三郎君 そうしますと、確認をいたしますけれども、この法律すべて、これ万全とは言えませんね。ですから、いま申し上げたような事柄を含めまして、たとえばこの適用対象あるいは特別地域の指定、雇用率の設定等々、幾つかまだ問題があります。こういう問題はやがて中央職業安定審議会等々の意見を聞くと、こういう理解でよろしゅうございますか。
○政府委員(住榮作君) ただいま御指摘のような事項は、この法律の運営に関する重要事項でございますので、附則五条に規定しておりますように、中央職業安定審議会の意見を聞いてきめていきたいと考えております。
○吉田忠三郎君 その次には、この政府の原案では臨時の賃金を支給しない――原案ですよ。こうなっていますが、その理由は何かということ、原案では支給しないという、しないという理由がなくて支給しないということにはなりませんから、その理由は何か。
○政府委員(住榮作君) 臨時の賃金の制度は一般の民間の日雇い労働者にほとんどその例が見られません。それと同時にその支給もこれはいろいろ経緯があるのでございます。たとえば月一日しか働かない者あるいは二十二日働いた者、そういう者にも同率の金額が支給されているというようなことで、いろいろ問題もあり、またそのことについて事業主体その他からの批判も非常に多かったわけであります。そういうことを考えまして、この修正前の原案では制度としては臨時の賃金を廃止する。こういうことにいたしておったわけでございます。
○吉田忠三郎君 その次に月間労働、すなわち稼働とでも申しましょうか、一カ月間に一日稼働した場合でも、あるいは定めによって二十二日間満度に就労した者でも、これは一律にと答えられたものが支給されると、こういうことになっているんでありますが、その支給の基準は何で定めているのか、これは明らかでありませんね。こういう機会ですから何で定めているのか、その基準をですね。これを聞かせていただきたいと思う。
○政府委員(住榮作君) 緊急失業対策法の十条の二の規定におきまして、賃金は労働大臣がきめる。こういうことになっております。そこで臨時の賃金も賃金でございますので、臨時の賃金の支給基準は労働大臣が定めまして、各事業主体に通達として出しておるのでございます。
○吉田忠三郎君 そこで、私はそれまでまあわかったんでありますがね、賃金とは一体何ぞやという問題ですよ。ここで私は賃金論を皆さんと議論展開する気はありませんよ。ですけれども、一般的に賃金とは、御承知のように、労働の質と量に対する対価、つまり対象であるということを、これはもう何人も否定のできない、御承知おきのとおり、だと思うのであります。そういうときに一律にきめたのは、私は、やっぱり労働行政、極論で申し上げますと、労働大臣が私はよくないと思う。労働大臣がよくないと思う。非常にこれは一般的にですね、そういう意味では悪平等になっている。このことは、たびたびこれは衆議院あるいは参議院の当委員会でも指摘をされたんです。これが改善されていないからですね。労働大臣、いいですか。あなたがよくないとぼくは言っているんですよ。そういうことを改善されていないから、そのためにまじめに働いている人々が、この臨時の賃金までが悪いかのように世間では誤解をしている。誤解されているんですよ。まことに私はこの点は遺憾にたえない。このようなことは、世間から誤解を招かないように改める必要があるんじゃないかと思うのですが、どうですかね。労働者が迷惑千万だ、これは。
○国務大臣(野原正勝君) まことにごもっともな御意見と拝聴いたします。確かに非常に画一的であると、悪平等的な賃金ということ、これは私も実はこの委員会においての質問に幾たびかお答えしたわけでございますが、こうした悪平等は何によって起きたかという問題までは別とするといたしまして、少なくともこれからはそうした悪平等ではいかぬのじゃないか。やはり公正妥当な何人も納得できるようなあらゆる各方面の御意見等を十分に尊重しながら、やはり正しい賃金を支給するということに改める必要がある、確かにその点は反省しております。過去においてそうした確かに御指摘のような悪平等をあえてやってきたということがございます。その点はこの際何とか公正妥当なものに改めていく必要があるというふうに感ずるわけでございます。
○吉田忠三郎君 大臣は改めることを約束いたしましたから、これ以上私は追及しません。 そこで次の問題に移りますが、一般的にいわれております冬季加算の問題であります。これは積雪寒冷地、北海道であるとかあるいは東北等で行なわれています失業対策事業等、その事業に就労する者について、いま申し上げたように冬季加算制度、これがとられているのですね。金額は北海道では百二十円程度であります。完全にいまだに私はこんなもので足らないと思っていますがね、十分だとは言えない。ところが今申し上げたようなこんなわずかな冬季加算でさえ、今度のこの法律改正でこの法律が成立をした場合、これが当該地域では支給をされないのではないかという非常に心配と不安がある。政府はこの冬季加算についてどう考えているのか。私は金額をやはりアップをしてその実情に合ったようにして、さらに継続をして支給すべきものではないか。特殊な問題ですからね。寒さというものと雪というものは特殊なものですから、何人といえどもこの雪と寒さというものはこれはひとつ考えてやらなければならぬ問題でしょう。こういう心配あるのですよ、この法律の中にはね。ですから今後もこれが継続されて支給されるものかどうかということをひとつ約束をしてもらいたいですね。
○政府委員(住榮作君) 御指摘のように、積雪寒冷地帯では冬季加算をいたしております。それはそういった地域における失業対策事業就労者の生活実態等も考慮してその制度が生まれてきておるのでございますが、その必要性というものは今後も当然続くわけでございますので、まあおっしゃられましたように、そういう制度はやめてしまうという考え方は現在持っておりません。今後とも冬季加算というものは継続していく考え方を持っております。
○吉田忠三郎君 そこで局長、継続をしていくことは明らかになりましたから、私はそれを了といたします。 問題は、単価の問題ですね。物価は幾らわれわれが国会で物価がどんどん上がってきちゃって賃金はさっぱりそれに伴って上がらぬ、生活はたいへんだ、こう言っておるのだけれども、依然としてとめどもなく物価は上がっておりますね。特に石炭にしてもそうである。あるいは石炭にかわる燃料として石油にしてもそうである。百二十円といったらどういうことでしょうか、計算してですね。その金額だけで燃料を取得するだけのものになっていません。いない。片や一方国家公務員あるいは地方公務員あるいは公企体の諸君すべてがやはり寒冷地給が支給されて、完全にその支給されるもので燃料費はまかなえる、光熱費はまかなえる。なぜ一体失対の人だけが支給される百二十円程度のものにしておかなきゃならぬか。特殊なこういう積雪寒冷地の寒さというものに対する対応策というものはまことに私はこれは血の通ったものとは言えない。将来いわゆる継続していくわけですから、そうしたものの物価の上昇に見合ったアップということを当然考えなくてはならぬと思いますが、この点はどうですか。
○政府委員(住榮作君) 御指摘のようなこともございますので、本年四月から北海道におきまして一部わずかではございますが、従来の額を引き上げております。今後これをさらに充実しろと、こういう御質問でございますが、私どももその必要性は十分わかっておりますが、いろいろまあほかとの関連の問題等もありまして困難な点はございますが、十分努力はしてまいりたいと考えております。
○吉田忠三郎君 努力をいたすということですから、継続支給するということとあわせてその点は特に要望しておきます。 それから、先ほど来各それぞれの委員も問題にしておりましたが、失対の就労者の自立化の問題ですね。政府のほうは積極的にこの法律をもって促進をしていく、こういうことになっております。大臣の先ほどの答弁もそうだ。しかもそのためには就労支度金の額を従来は五万円であったものを十五万円にいたしますと、こういう説明なんです。これに対して同僚の小柳委員は、そんなものではどうにもならぬ、二十五万くらいどうや、次に渋谷委員は、三十万くらいどうやと、私は、バナナのたたき売りじゃありませんけれども、少なくともあなた方がこの法律を提案をして積極的に就労を促進をいたしていくということであるとすれば、おのずからいわゆる財政的にもあるいは支給についても限度というものはあります、ありまするけれども、客観的に見て、どうですか、大臣、五十万くらいの支度金というものを支度をしてやらなければ、あなた方いかにここで積極的に促進をはかるのだ、こう言ってみても、絵にかいたぼたもちのようなものですよ。仏つくって魂が入っていないということなんですよ。なりますよ、これは。ですから、私なぜこういうことを言うかというと、大体、この戦後二十数年間この事業に職を求めておられた方々の特殊性を考えるからです。この人人は、かようなことを申し上げてたいへん失礼であるけれども、みずからのたくわえというものは、中にはそうでない人もいるかもしらぬけれども、大半の人はそうあまり私はたくわえを持っているとは思えません。そしてまた他に頼るすべも私はないのじゃないか。これは私の判断ですから、誤っておればこれは訂正いたしますけれども、そういうふうに考えているのであります。ですから、こういう人を自立のために積極的に促進すると、こう言っているのですから、そうするとどうしても二十万や二十五万や三十万、こんなものでは私は、あなた方のこの法律をつくって進めていくということにはマッチしない、伴っていない、こういう気がしてならない。特にみずからが――当然のことでありますけれども、努力をして失対事業から自立しようという、そういういい面が出てくるとすればなおさらのことですよ。しかし一面、いま申し上げたように、たくわえもなければたよるすべもないということになったら不安が伴ってくるということは当然出てくるわけです。ですから、私はせっかくこの法律をここで提起をしたあなた方のこの積極性も私は認めますよ、認める反面、今年は今年として予算運用上どうこうという問題はあるとしても、少なくとも大臣は、四十七年度には飛躍的にやっぱりこういう問題解決のために財政的に大蔵省に迫まって措置をする。とりあえず今年は、あなたのおっしゃるように、二十五万を目ざして努力をするということであるならば――私も本意ではありません、本意ではありませんけれども、市町村自治体に対して、つまり都道府県に対して、市町村に対しても、この二十五万のほかにそれぞれプラスをしてやるようにあなた方が努力をしなければこの法律を出した私は意味がないと思う、この点どうですか。
○国務大臣(野原正勝君) まことにごもっともな御主張でございます。今後については十分努力したいとは思いますが、ことしのところは、先ほど小柳さんの御質問にお答えをしたとおりでありまして、まあ当初の十五万というのをあらためてひとつ御主張のようにぜひともやりたいということでございますが、明年以降の問題につきましては、今後努力をするということで御了承をいただきたいと考えます。
○吉田忠三郎君 ただ単に努力だけでは、ぼくは了承しませんよ。なぜかならば、あなたは、いままでの委員会で毎回努力をする、努力をする、この努力でどれほど私どもはごまかされてきたかわからぬ。ですからいま具体的にぼくは言っているわけですよ。来年度の予算のことについてはほど遠い前のことですから、努力でいいでしょう。具体的にぼくは――今年度予算というものはきまっていますから、先ほど来、予算の範囲内でということで住局長が答えられているのもそこだと思うから、それはなかなか困難だと思うのですよ。それまで私はむちゃくちゃにあなた方の言い分を否定をして、さらに追い込めようなんという気はないんです。ないけれども、せめてあなた方がこの法律をつくったことの意味は、こうした人々のいわゆる自立を促進するんだ、積極的にやるんだ、こういう政策ですから、そのような積極性があるならば都道府県知事にあなた方もの申したっていいじゃないですか。このことは本意じゃありませんよ。市町村長にものを申して、あなた方考えておるものにプラスしてやるというような積極的な努力がなくて、一体この法律を出した意味がないじゃないかと思うのです、ぼくは。その答えが具体的に何にもないじゃないですか。私は具体的に言っているんですよ、具体的に。ですから私が冒頭言うたように、少なくとも客観的に、いまの経済事情の中では五十万が至当ではないか、こう言っているんですから。大臣いいですか、あなた二十五万をめざして努力をすると言う。あるいは渋谷委員に対して三十万でどうやと言ったら、それも努力する。かりに三十万であなたは努力するということならば、あと二十万私の言っていることに対して足らない、そういうことです。これは市町村自治体に、いいですか、知事の場合は十万くらい要請をする、あるいは市長の場合はまたこれ十万くらい要請するとか、五万要請するとか、七万要請するとか、町村の場合は三万くらい要請してトータルで五十万くらいになるように努力するというぐらいでなければ、その努力は私は信用できないんですね。
○国務大臣(野原正勝君) バナナのたたき売りではないというような冒頭のお話があったのに、ついバナナのたたき売りみたいな議論になりますが、しかし、私どもは、就職仕度金は何とかしてこれを増額したいという気持ちで一ぱいでございます。したがいまして、先ほどの小柳さんの御質問の中にありましたとおり、何とかその点は責任を持って努力しようということでございます。しかし、関係方面に対しての要請でございますが、その面もあわせてこれからまあ緊密な連絡をとってひとつ御協力をいただくということにいたしたいというふうに考えます。その程度で御了承を願えれば幸いでございます。
○藤原道子君 関連。いまの努力で、ちょっと関連したいのですが、私かつて婦人の失対事業における職域の問題、職場の問題、男の人と同じように土方ですか、ああいう仕事をしている。女にはもっと女に適した職場があるんじゃないか。そういうものを開発したらどうだという話をしたら、その点につきましてはごもっともでございますので、検討して努力いたしましょう、こういう答弁があった。その後、どういうふうな努力をされて、どういうふうに実現されておるかということが一つ。それから婦人の平均寿命が非常に伸びておりますね、女のほうが。四年以上多いわけです。ですから先ほどの御答弁で、六十歳以上が四四・一%ですか、というお話でございましたが、六十歳以上が婦人がどのくらい、男がどのくらいという現状になっておるかということと、それからもう一つ、いまでも婦人の職場の開発についてどういうふうなお考えを持っておるか。まだなかなか年とってもじょうぶな女の人には適切な仕事があると思うのです。そういう点をひとつお考え願いたいということについてお伺いをしたい。 それから、これは私、不勉強なんですけれども、まさか同じ職場で働いていて男女差の賃金ということはないんでしょうね。それはどうなっておりますか。それもお聞かせ願いたい。
○政府委員(遠藤政夫君) まず六十歳以上の女子の割合がどれくらいかということでございますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、男女全体では六十歳以上の人が四四・一%でございます。その中で男女別の数字を見ますと、男子の場合は六十歳以上が六〇%でございます。ところが、女子は非常に高年齢者が少のうございまして、女子の場合は三一・六%、つまり女子の場合のほうが六十歳以上は非常に少ない、三分の一程度だということでございます。 そこで、一般的に女子でなお高齢者の場合は、藤原先生御指摘のように、できるだけ軽作業に、それもあれば屋内作業にというようなことで、この数年来、そういった作業現場をできるだけふやすように努力してまいっております。たとえば花壇をつくりまして花を栽培するとか、あるいは公共施設のいろいろな洗濯物をクリーニングさせるような作業をやらせる、あるいはポリエチレンで袋をつくりましてごみ集めの作業をやらせる。こういったできるだけ女性に向いた仕事をふやしてまいりまして、こういう仕事はできるだけ高齢者でしかも女の人にやらせる、こういう方向で指導してまいっております。 それから第三点の賃金でございますが、同じ作業であれば、男子も女子も差別はございません。能率の面で若干の差がある場合はございますけれども、同じ作業で同じ能率であれば同じ賃金格づけが適用される、こういうことになっております。
○藤原道子君 もう一点確認しておきたいんですが、いまでも婦人の職場というものについては検討しているんですか。六十歳以上が急速にこれ減っていると、女のほうがね。少なくなっている。それはあなた方のおかあさんとか考えても、土方しろったって無理ですよね、七十にもなって。そういう点を考えて、ことに戦争未亡人とか、だんなさまが突如として労災でなくなるとか、いろいろ女には突然襲ってくる不幸があるんですよ。笑いごとじゃないのよ。真剣に考えてほしい。戦争犠牲者がだいぶ多いんです。それから労災とか交通事故、こういうことで突然として働かざるを得ないという人が非常に多いんです。そういうことに対して、日本にもっと社会保障が充実していればいいけれども、目腐れ金でしょう。そういう点からこの働く職場というのは非常に大事です。そういう点でもっと真剣に考えてほしいということを申し上げて、その後どの程度に検討しているか、もう一ぺん聞かしてください。
○政府委員(遠藤政夫君) いま御指摘になりました六十歳以上が急激に減っているというお話でございます。実はそうではございませんで、男子と女子を比較いたしますと、男子の場合は若い人たちが再就職なり、自営なりで失対事業から自立していく人が非常に多いわけでございます。女子の場合はなかなか再就職ということがむずかしい関係で若い人が比較的残っております。たとえば数字で申し上げますと、四十歳から六十歳までが女子の場合、全体の六六%、三分の二以上が四十歳から六十歳の線に集中しております。それに対しまして、男子の場合は、同じ四十歳から六十歳の階層が実に三七%、三分の一しかおりません。こういうことで男子の場合、若い層が積極的に自立する人が多いために老齢者が残っておる、割合として老齢者が比較上多くなっておる、こういう一とでございまして、女の人が脱落しているということでは決してございません。こういう状況に対しまして、こういった男の場合も、高齢者で一般の作業に従事できないような人たちあるいは女性の人たち、こういう人たちにつきましては、先生御指摘のような、昔の従来のような、いわゆる土木作業といわれる炎天下で道路工事やったりするような仕事は、この十九万人の全体の中で約一割程度でございます。あとは公園の管理とか、地方へ参りますと道路の清掃とか、あるいは病院の掃除だとか、受付だとか、そういった比較的軽作業で老齢者に向くような仕事をできるだけふやすような方向で失対の運営をやっておるわけでございます。
○吉田忠三郎君 藤原先生の関連質問がございまして、さらに私はそのあと続けたいと思いますが、大臣ね、この法律をずっとわれわれはしさいに検討していますよ。検討した結果、これがすべてだというふうには私は思っていませんけれども、自立を促進していくということが目的の一つであるというふうに私は理解しているんでありますがね。これは間違いないでしょう。どうですか、大臣。そのまま、間違っているかどうか、ずばり答えれば、次の質問にぼくは進むのですがね。すべてではないけれども――よく聞いてくださいよ。つまりこの自立促進が目的の一つになっているんじゃないかという意味ですよ。これは間違っていますか、そういう理解は。――これは大臣に聞いているんだ。
○国務大臣(野原正勝君) 失対の方々が自立を希望するというか、その方々は、この際積極的に自立を援助したいということでございます。
○吉田忠三郎君 聞こえないんだ、ちょっと。
○国務大臣(野原正勝君) 積極的に自立を援助したいという意味でございます。
○吉田忠三郎君 そうしますと、私の理解は間違いないということですね。積極的に自立を援助するということですからね。ですから、私の理解が間違いがないということになりますれば、いま大臣が答えられたように、名実ともにこの自立ができますように援助措置というものを考えなければならないし、またそう考えて施策を施さない限りは実効を上げることができないと私は思うのです。そうしてこの制度の運用の妙を得るといいますか、具体的に申し上げますと、無定見にのんびりこうやっていくというわけには私はまいらぬと思うのですよ。この法律のねらいは、そんなにのんびりしたような法律の内容にはなっていませんからね。ですからね、その意味は私はわからないわけでもないわけですから、十分そういう点を勘案しながらこの施策を推進しなければ、私は意味がないと思う。私は具体的に提言してみますけれどもね。したがって、この制度を利用したり活用していく場合に、無定見に、いわばだらだら利用していくとかあるいは活用するということであっては私は意味がないと思うのですよ。むしろこの機会に迅速に、そうしてそこに積極的にその人々が利用ができたり、活用ができるようにいたすことが私は非常にいまの場合必要ではないのか、こう考えるのですよ。これは私の意見ですよ。ただし、私のようなこの考え方をかりに是とした場合に、ややともすると、その扱い方を間違えると今度は誤解を招いたり、あるいは予測をしない紛争を起こしたりいたしまするから、その場合は最も注意をしなければならぬ、留意をしてまいらなければならぬのは、ある期間に自立しようという意欲のある人々、そういう人々の――人々ということは就労者ですね。そういう人々に十二分に利用ができたり活用ができるように、事が事だけに私は運んでまいらなけりゃならぬ。ただ通り一ぺんの、法律がここで判定されたからといって、この問題の解決、前進というものにはならないと思うのですよ、私は。ですからね、この際先ほど来どなたさんからか申されましたように、特殊な行政だけにほのぼのとした、血の通った、そうして心のこもったあたたかい行政の配慮というものを加えなければ、私の意見を是としてもたいへんな問題になると私は思う。この点は大臣どうでしょう。あるいは大臣でなければ局長でもけっこうです。あるいは部長でもけっこうですよ。通り一ぺんのこの法律が通ったからといって、これであなた方のその積極的な自立の促進ということにはならない。いま申し上げた私の意見を入れて、ほのぼのとしたそうして血の通った、血の通ったということは就労者にですよ。そうして心のこもったあたたかい行政というものが必要なんですよ、これは。この点はどうですか。
○政府委員(遠藤政夫君) 現在、失対に就労しておられる方々の中には、先ほどの数字でも申し上げましたように、再就職なり自営なり、そういった形で自立の可能性を持った方がかなり含まれておると私も考えております。ところが、こういう人たちもたいていの人が、大部分の人が十年とか十五年とか、相当長期間失対に就労しておられます関係上、そういった可能性なりあるいは意思を持っておられましても、もう惰性的に失対に就労をしておりますために、なかなかふん切りがつかない。再就職しようとしてもふん切りがつかないというような状態に置かれておるのではなかろうか。こういうふうにいままでの実情から考えられます。そこで、こういう人たちを再就職なり、自立をさせるためには、何らかの形で積極的な自立のための援助策が必要であることは、先ほど来先生御指摘のとおりでございます。そこで、先ほど小柳先生、渋谷先生、ただいま吉田先生御指摘のように、そのための就職支度金の額の増額ということでございますが、これも大臣からお答えがございましたように、予算の範囲内でできるだけ増額するように努力いたしたいと思います。同時に県なり市町村にも協力を要請いたしまして、さらにいままでの実績もございますので、できるだけ上積みをしていただくように要請をしてまいりたいと思いますが、こういった額の増額もさることながら、こういった自立の促進につきましては、ただいま御審議中のこの法案が成立いたしましたのを契機にいたしまして、言ってみればこういった人たちの意欲をこの機会に喚起するというようなことでやりませんと自立の促進もなかなか効果をあげにくいと思いますので、この法律が成立いたしましたあと、一定期間を限りまして、ただいま申し上げましたような就職支度金の増額措置を実施いたすことによってこういう人たちの自立を積極的に促進してまいりたい、かように考えております。とは申しましても、いま吉田先生から御指摘ございましたように、運用を誤りますと逆効果を招きかねませんので、一定期間を限ると申しましても、その間にこういった意欲、能力を持った人たちが十分活用できるような、そういう弾力的な運用をはかってまいりたい、かように考えております。もちろん先生から御指摘されるまでもなく、就職支度金の増額制度を恒久的制度度としてだらだらやるというようなことは毛頭考えておりません。十分先生の御趣旨に沿って運用してまいりたい、かように考えております。
○吉田忠三郎君 その点はぜひそういう方向で最善の努力をしてもらいたいと私は思う、こうお願いをいたしておきたいと思います。 それから次に、ちょっと労働大臣、あなたのほうで耳ざわり悪いかもわかりませんよ、これから聞くことは。これは一般に世論としていわれていますから、ざっくばらんに、かわって私はあなたに申し上げるわけですが、この失業対策事業の運営の問題なんです。この運営の問題については、世論は、一般的に必ずしもいい批判をしていませんね。かなり悪いような批判をしているんですよ、運営について。私は、この批判は誤りだと思うんです。必ずしもマスコミの批判が的を射ていないと思う。的はずれだと思っているんであります。たとえば八時間労働のたてまえから、その問題から実働あるいは稼働との関係で批判を加えたり何かしていますね。それから作業能率がたいへん非能率であるというようなことも、しばしば報道関係等々でも批判をしております。それから去年だと思いましたが、一部の不心得な組合幹部がこの国会でも指摘されたことがありますが、実働、稼働ないがままに賃金の取得をしておる、こういうことが衆議院の段階でも、あるいはこの委員会においても指摘されたことがございます。それは速記録を見れば明らかになりますが、私はこれらの批判はなしとしないけれども、すべてが、この批判というものが当てはまっておるかというと、そうではない。この失対事業法ができた当時にさかのぼって、振り返って、しかもこの法律の精神から申し上げますれば、必ずしも私は先ほど申し上げたように当たっていない、こう言わざるを得ないんであります。しかもその運営を、私はあまりにもある意味において新聞論調などは知らなすぎるのではないかとさえ私個人は思っているんです。なぜかならば、昭和三十八年にこの失対法が改正されましたね、その際に運営面の改善をはかるということで、各事業主体に運営管理規程というものを作成をすることを義務づけていますよ。これは大臣、当時はあなたば大臣でありませんから、存じ上げておるかどうかは別として、そうなっているんですよ、昭和三十八年のときに。ところが、その一同に運営面の改善というものがなされていないのです。しかも失対法の精神どおり適正な運営がなされていなかった。これは大臣、いいですか、一に労働省の行政指導が不十分である、あなた方のほうが不十分なんだ。徹底を欠いているんですよ。そうしてこの失対事業に対する批判というものの責任を今度は、政府みずからが、いま申し上げたように、つまり徹底もしていなければ実行していないんだから、当然あなたのほうに責任があるんです。その責任をいやしくも回避をしておいて、失対の就労者のほうに転嫁するというようなことは、全く私としてはなっていない行政だと断ぜざるを得ない、私は。ですから、政府は、一体こういう問題について今後責任を負って――大臣、いいですか。その改善あるいは合理性等々あわせて考えて積極的に努力をして、しこうしてその具体的な施策を樹立をして、二度と再びいま前段に申し上げたようなこの事業に対してこの種の批判をされないようにするのが政府つまり労働大臣の責任だと私は思うのです。この点はどうですか。
○国務大臣(野原正勝君) 現在の失業対策事業の運営については、お説のとおりでありまして、種種批判のあるところであります。労働省といたしましては、まことに遺憾に存じております。今後における失業対策事業の運営につきましては、御指摘のとおり、き然たる態度をもって社会の批判を受けることのないよう、失業対策事業に対し鋭意努力する所存でございます。
○吉田忠三郎君 もう六時過ぎてまいりましたから、これ一つでやめますが、これも労働省にとって非常に耳の痛いことではないかと思うのです。大臣、いいですか。あいつは立つといつもこういういやらしい質問するなどと思っては困るんです。それは最後にいたしますが、この法律は、中高年齢者の雇用を促進するための特別の措置を講ずると、いかにももっともらしい命題を掲げております。しかし、その内容たるや、私はざっくばらんに申し上げますが、従来の対策を寄せ集めてきてそうしてこの法律にしたという、そのものにすぎないと私は思っているくらいなんです。あなた方はそう思っていないかもしらぬけれども、私はそう思っておる、まあそう言っても、あまり悪口ばかり言っておったんじゃいけませんが、中には随所にかなり労働省としてもくふうをこらした面がある。これは私はやっぱりとうといものだとして評価します。悪口ばかり言っておるわけじゃないでしょう、大臣。ほめるときはほめますが、しかし何と申し上げましても、この法律を完ぺきに、あなた方が考えているような、しかも自立を積極的に促進をしていくということになりますと、その対策というものが、裏づけがなければいけません、裏づけがなければ。たとえばさっき一つ申し上げた手当といいますか、何といいますか、支度金の問題ですね。こういう問題だって二十万がいいか、二十五万がいいかあるいは三十万がいいか、私は五十万と、こう言っているんですが、どれがいいか、いずれにしてもこれはやっぱり対策の一つですよね、裏づけですよ。やはり何と申し上げましても、財政的な裏打ちと申しましょうか、そういう措置というものがなければ、これは万全だとは言えないと思うんであります。しからばあなた方のいままでの答弁で財政的に十分であるかというと、まずこれは十分だということは言えないでしょう。不十分でございますね。ですから、私が最後に申し上げることとしては、この法律があくまでもこの中高年齢者の雇用が促進されてそのことに大いに役立つと思われるように、あなた方は、これからも積極的に財政的な措置をいたして、裏づけをして、万遺憾なきを期さなくてはならないと思うのであります。そういう立場で、そういうものの見方ですると、まことに労働省の労働大臣以下この衝に当たられている人々のいままでのとっておりまする対策というのは、まことにお粗末の限りである、こう言わざるを得ない。また悪口になりましたが、こう言わざるを得ない、残念ながら。 そこで、私は悪口ばかり申し上げてもしようがないから、積極的にあなた方にこれから協力をいたす意味をかねてこれから意見を申し述べておくのでありますが、政府はほんとうに真に中高年齢者の雇用の促進について実効をあげようと思うならば、四十七年度以降、この法律案に盛り込まれた幾つかの施策があります。この裏づけとなる予算について飛躍的な拡大をはかるように、あなた方は努力をすべきだ。私どもも、言いっぱなしではなくして、当然われわれ委員のほうとしても、そのことについては、側面からあなた方を鞭撻あるいは叱咤激励をし、ときには大蔵大臣を説得してやはりその裏打ちをするように、われわれもまた努力をしなければならぬと私は思うのです。大臣どうですか。あなたは局長以下政府を督励をして、監督をして、こういう決意を持って、もっと強いことばで言うと、覚悟を持ってあなたはやっているかどうか。その決意を私は最後に伺って私の質問を終わりたいと思う。
○国務大臣(野原正勝君) 中高年齢者の雇用促進関係の予算につきましては、必ずしも十分ではないと痛感しております。従前から就職促進手当等につきましては、年々その改善をはかっておるのでありますが、この法律の成立を機会に、従来にも増してその改善充実をはかるように鋭意努力してまいる考えでございます。
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
○小柳勇君 私は、ただいま可決されました法律案に対する附帯決議案を提出いたします。 案分を朗読いたします。 以上であります。
○委員長(林虎雄君) ただいま小柳勇君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。 小柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、国務大臣から発言を求められておりまするので、これを許します。野原労働大臣。
○国務大臣(野原正勝君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その後趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいる所存でございます。
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十八分散会 ―――――・―――――